衆議院

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第15号 令和5年4月21日(金曜日)

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令和五年四月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    尾崎 正直君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      川崎ひでと君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    田野瀬太道君

      平  将明君    土田  慎君

      冨樫 博之君    中野 英幸君

      中山 展宏君    平沼正二郎君

      牧島かれん君    松本  尚君

      中谷 一馬君    馬場 雄基君

      太  栄志君    本庄 知史君

      馬淵 澄夫君    山岸 一生君

      早稲田ゆき君    浦野 靖人君

      遠藤 良太君    堀場 幸子君

      河西 宏一君    福重 隆浩君

      浅野  哲君    塩川 鉄也君

      緒方林太郎君    大石あきこ君

      櫛渕 万里君

    …………………………………

   国務大臣

   (孤独・孤立対策担当)  小倉 將信君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   政府参考人

   (内閣官房孤独・孤立対策担当室長)        山本 麻里君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   原  宏彰君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官兼休眠預金等活用担当室室長)        小川 康則君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松本  圭君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           楠田 幹人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     大岡 敏孝君

  平  将明君     冨樫 博之君

  平井 卓也君     土田  慎君

  太  栄志君     馬場 雄基君

  山岸 一生君     早稲田ゆき君

  岩谷 良平君     遠藤 良太君

  大石あきこ君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     田野瀬太道君

  土田  慎君     平井 卓也君

  冨樫 博之君     川崎ひでと君

  馬場 雄基君     太  栄志君

  早稲田ゆき君     山岸 一生君

  遠藤 良太君     岩谷 良平君

  櫛渕 万里君     大石あきこ君

同日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     平  将明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 孤独・孤立対策推進法案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、孤独・孤立対策推進法案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十六日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房孤独・孤立対策担当室長山本麻里君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。早稲田ゆき君。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 本日は、内閣委員会で質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、孤独・孤立対策推進法について伺ってまいります。小倉大臣に伺います。どうぞよろしくお願いします。

 コロナ禍で顕在化をした我が国の社会問題の一つとして、この孤独、孤立の問題があろうかと思います。人と人との接触機会が激減をし、そしてまた感染拡大防止措置などによりまして、特に、子供それから高齢者、障害者などの見守り、それからまた地域での交流、それから相談支援、そうしたものの機会が失われた結果、今まで水面下で進んでいたと思われるこの孤独、孤立が改めてあぶり出されたということではないかと思います。

 その中で、政府は二〇二一年の二月に孤独・孤立担当大臣を置きまして、内閣官房においては民間支援団体とともに連携をしてこの対策を講じてきたところではありますけれども、支援団体からは、この孤立、孤独の根拠法、この制定を当初から早くやってほしいと指摘をされていたと思いますが、このように二年もたってしまったこと、私は非常に遅れてしまったことはどうしてなのかと思いますが、小倉大臣、法案提出がここまで遅れたこと、その理由をお聞かせください。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 孤独、孤立の問題は、長引くコロナ禍の影響等により孤独、孤立の問題が深刻化、顕在化したものであり、政府では、委員御紹介のように、令和三年二月に、孤独・孤立対策担当大臣が司令塔となって、政府一体で迅速に孤独・孤立対策に取り組むことといたしました。

 具体的には、これまで、孤独・孤立の実態把握に関する全国調査、孤独・孤立対策の重点計画の策定及び改定、国における官民連携体制の構築、地方における官民連携体制のモデル構築、一元的な相談支援体制の試行など、様々な施策に取り組んできたところであります。

 社会に内在する孤独、孤立の問題については、コロナの感染拡大が収束したとしても、政府として必要な施策を着実に実施する必要があります。また、単身世帯や単身高齢世帯の増加によりまして、今後、孤独、孤立の問題の更なる深刻化も懸念されます。

 こうした中で、孤独・孤立対策の安定的、継続的な推進体制を整備することが今後必要になるとともに、これまでの試行やモデル開発の段階からようやく本格実施の段階へと進めていく必要も生じたところであります。

 今申し上げたような状況に鑑みまして、これまでの政府における約二年間の孤独・孤立対策の取組状況を踏まえた上で、今回、国会に法案を提出することになったというのが経緯でございます。

早稲田委員 今、二年間を踏まえたとおっしゃいましたが、本気でこの法律を制定する気持ちがおありになったのかどうか。私は、何となく、この孤独、孤立がコロナ禍でわあっと社会的に注目をされる大変な問題だということになったので、取りあえず、単年度予算で事業は今までもやられている、支援団体がいっぱいやられている、そういうものを繰り返してやっていって、本当に法律を制定してやる気持ちがあったのかどうか非常に疑問なんですが、大臣、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 これまでの取組も、孤独、孤立の全国的な相談ダイヤル、これは試行をさせていただきました。これは当然、試行ですので、その後の本格実施に向けた試行を何度かさせていただいたということであります。また、NPOの支援に対しましても、継続的にこれを支援をするということを重点計画に書いてございます。重点計画自体も見直しておりますし、実態調査も二回ほどさせていただきました。

 そういう意味では、コロナ禍を踏まえて一過性に何かをやっているということではなくて、その先を見据えて、この二年間、着実に取組を進めてきたということだと思います。

早稲田委員 大臣から、一過性ではないというきちんとした御答弁をいただきましたが、一過性ではない、本気で取り組んでいただくということでございますから、それでは、特に孤立・孤独対策の重点計画について、次のことに進みたいと思います。

 この重点計画、もう既にできているわけですね。第一条では対策本部を置く、第八条では孤独・孤立対策の重点計画を作ると法にも制定をされましたけれども、既に二〇二一年にできている、そしてまた改定もしている。

 その上でですけれども、この重点計画を見てみますと、孤独、孤立の官民連携のプラットフォームを通じて、全国で二百以上のNPO、その皆さんがやっているその声を反映させた形で、二百ぐらい、もっとですかね、その施策が記載をされているわけですけれども、ただ羅列をされているだけのような気もいたします。

 法制化、法定化をされたことによりまして、この重点計画の内容はどのように変わるのでしょうか。私は、限られた予算と人材を生かすためには、今ある、ただ列挙されているような施策だけではなくて、似通ったものは統合し、そしてまた重点化して、どんどんこの対策を進めていく必要がある、実効性を高める必要があると思っておりますが、大臣のお考えを伺います。

小倉国務大臣 今回の御審議いただいている法案に基づき策定される重点計画は、この法案における孤独・孤立対策の基本理念、国等の責務、基本的施策に係る規定内容を踏襲して策定することとなり、こうした点は、結果として現行の重点計画と同様の内容になるものと考えております。これまでの重点計画も、様々な団体の方々から丁寧に御意見を伺って作ってきたものでありますので、そういう意味では、この重点計画の継続性、非常に大切だと思っております。

 他方で、不断の見直しも重要でございまして、重点計画に記載する具体の施策の内容につきましては、計画策定までの間に行った孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の結果や、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームでの議論の内容などを踏まえ、現行の重点計画の記載内容から必要に応じて見直しを行ったものが記載されることになるというふうにも考えてございます。

早稲田委員 今までと同様の重点計画をということで、見直しはしますよということでありますけれども、こうして法定化されたわけですから、やはり、二年間のその支援体制の総点検はなさって、是非、統合すべきものは統合し、そして、もっと進めなければいけないものを重点化をしていただくように私は強く要望したいと思います。

 その上で、その目標とか達成期間についてですけれども、これは有識者の会議でも様々議論があるとは承知をしておりますが、やはり、国民に対して、達成目標を挙げてやるべきだと私は考えます。法定化される孤独・孤立対策の重点計画の策定に当たり、どのような目標、その達成の期間、それから、どのように設定するおつもりなのか、また、達成状況については具体的にどのような評価、検証を行うのか、伺います。

小倉国務大臣 まず、重点計画の目標と評価でありますが、この法案に基づいて作成する孤独・孤立対策重点計画に定めます施策については、施策の内容に応じて、原則として、具体的な目標及びその達成の期間を定め、目標の達成状況について適時に調査を行うことといたしております。これらの規定により、孤独・孤立対策に係る施策の評価を適切に実施をしていきたいと考えております。

 他方で、孤独・孤立対策の総合的な評価、検証については、孤独、孤立の問題を抱える当事者等の状況が様々でありますことから、定量的な効果測定は難しい側面もございます。

 また、これまでの有識者会議におきましても、あるいは前回の委員会での委員の皆様方からの御指摘の中でも、孤独・孤立対策では継続性が大事であり、評価という手法がなじむのかといった御意見ですとか、取組のプロセスを見ていくことが重要ではないかといった御意見があったところでもあります。

 いずれにいたしましても、孤独・孤立対策の成果指標は今後検討が必要な課題だと考えておりまして、引き続きしっかり検討してまいりたいと思っております。

 また、期間の設定につきましては、施策ごとの期間の設定は、本法案に基づき、重点計画に定める施策について、その期間を設定をし、評価を適切に実施をしていきたいとも考えております。

 一方、この重点計画全体の期間の設定につきましては、孤独、孤立の問題において、その時々の社会状況等に応じて機動的に対応していくことが必要でありますことから、本法律案では、孤独・孤立対策の重点計画全体についての見直しの期限などを確定的に定めることはいたしておりません。今後設置することとなる孤独・孤立対策推進本部におきまして、重点計画の内容と併せて、こうした見直しの考え方についても決定をさせていただきたいと考えております。

早稲田委員 評価については、今後また有識者それから対策本部の意見を踏まえてということではありますけれども、例えばでよいので、参考人に伺いたいのですが、他の類似の施策などの例を参考に、現時点で政府が考えていらっしゃる目標それから評価などについて、手法について、今、分かる時点での御回答をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、孤独・孤立対策の目標設定ということでございますけれども、各施策ごとに、現行の重点計画におきましても、その施策の特徴に照らして目標の設定の仕方は様々でございます。現行の重点計画におきましても、どの施策におきましても定量的又は定性的な目標設定をしておりまして、今後、現行の重点計画の施策におきましても、その評価をしてまいりたいというふうに思っております。その検討を踏まえまして、この法律に基づく重点計画の施策の検証ということを更に進めてまいりたいというふうに思っております。

早稲田委員 よく分かりました。そのように、是非、施策の推進に関する評価というものを、今までのを踏まえてやっていただきたい、更に進めていただきたいということを申し上げておきます。

 その上で、具体的なお話として、一つに、孤独、孤立といえば、やはり孤独死という課題があろうかと思います。そして、これは今、重点計画には入っておりません。

 このことにつきましては、長妻議員が、令和四年度の五月二十六日、予算委員会で当時の野田担当大臣に質問をしておりまして、総理も答えておられます。このときには、孤独死の人数というものを把握する必要があるでしょうということで、全く推計値もないのはおかしいと。それに対して、前向きに検討する、研究もしたい、それからまた、定義を明らかにした上で実態を把握していく、これも総理がお答えになっています。

 もう一年たっておりますけれども、このことについて調査研究をされているのか、また、孤独死と言われる方々の人数を把握されたのか、伺います。

小倉国務大臣 孤独死につきましては、その実態把握のために必要な用語の定義や把握方法などについて、孤独死に関する研究事例、死亡に関する統計データ等を参考として、有識者の御意見も踏まえつつ、慎重に検討を続けているところであります。今後さらに、有識者の意見も参考にしつつ、引き続き、孤独、孤立の実態把握の一環としてよく研究をしたいというふうに思っております。

 そういう意味では、現時点でということでありますが、現時点では孤独死の人数等は把握できておりませんが、重点計画におきましても、孤独死の実態把握について明記するかどうかについて、今後、有識者の意見も聞きながら検討してまいりたいと思っております。

 そういう意味では、引き続き、様々な角度から、課題はあるのも事実でありますが、孤独死の定義と人数について調査を進めてまいりたいと思っております。

早稲田委員 検討、検討とおっしゃいますが、これはもう本当に社会問題化していて、特に高齢者の方の孤独死が多い中で、団体によりますと、三万人を超えるのではないかというふうに言われております。自殺をなさった方の数よりも多いということになります。そうした問題をやはり重点計画にしっかり入れていただいて、研究調査もですけれども、まずは実態把握をしていただく、こうしたことが是非必要であります。

 今の段階で、法定化されても、重点計画が作られてから一年以上たってもまだこの実態把握がされないというのは、やはり実効性が非常に危ぶまれますので、こうした問題は非常に重い問題でありますからこそ、政府がやらなければなかなか解明ができませんので、是非やっていただきたい。この重点計画の改善をするに当たっては、これを入れていただきますよう要望させていただきます。

 そして、その上でですけれども、英国における、イギリスにおける孤独問題への対応というのがございます。日本政府も、これに倣い、こうしたことをやられたんだと思いますけれども、この実態を、どれだけ英国の対策について勉強、調査をされたのかということを私はレクのときに伺いましたら、その後担当大臣が兼務になったというようなお話しか出てこなくて、余り研究をされていなかったのではないかと非常に感じました。

 是非、在英の日本大使館などの協力を仰いで、この中身、英国における政策目標、評価の手法についても調査をしていただきたい。そして、日本のこれからの重点計画、それからまた評価手法についても、重ねて、これを入れていただけるようにお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、寄附文化の醸成についてであります。

 社会的な大きな課題についてでありますけれども、内閣官房の孤独・孤立担当室の政府参与でもあります大西連もやい理事長によれば、この問題がクローズアップされるきっかけとなった一つ、生理の貧困という問題がありまして、これに真っ先に取り組んだ民間団体Colaboがあります。そのColaboの都の委託事業をめぐる一連のバッシングの影響で、炎上や飛び火を恐れて、貧困や孤独、孤立問題に取り組むほかのNPO、それから民間団体が、全体として、助成金の申請や寄附募集など、こうしたファンドレージングがしづらいという状況に陥っているお話を伺いました。

 そこで、こうやって社会的課題を政府と一緒に取り組んでいるNPOなどの自律活動の基盤となる寄附文化、この醸成というものは大変重要だと思います。これについて、二〇一四年に共助社会づくりの推進のための関係省庁連絡会議を開催して、寄附文化の醸成に係る施策の実施状況について取りまとめをされておりますけれども、以降、目立った取組が見えておりません。十年たつわけですね、来年で。

 この関係省庁による取組が寄附文化の醸成にどれほど役立っているのか、一度フォローアップを行っていただいて、PDCAサイクルで回して、そして、大臣のリーダーシップの下、改めて、市民活動を支援する寄附文化の醸成に積極的に取り組むべきではないかと考えますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 寄附文化の醸成、非常に大切な視点だと思います。

 そういった意味では、平成二十六年、二十七年に開催をいたしました共生社会づくり推進のための関係府省連絡会議、この開催以降も、政府といたしましては、寄附文化の醸成、これに努めてきたところであります。

 そもそも、NPOに関してでありますが、孤独・孤立対策などの社会課題に関しましては、行政のみならず、NPO法人を始めとした民間とも連携して解決に取り組むことが期待されているものでありまして、そのため、NPO法人等の活動基盤を充実させることは重要な課題と考えております。

 まず、内閣府では、NPO法人への寄附を促進するため、他の公益性の高い団体との平仄を図りながら、認定NPO法人に対する税制優遇措置を累次拡充させてまいりましたし、休眠預金等活用制度によりましてNPO法人や公益法人等に対してなされる支援は、国民の皆様の寄附のいわば呼び水となり、寄附文化の醸成に資するものとの御評価もいただいております。

 内閣府といたしましては、これからも、これらの施策を継続的に進めるとともに、我が国における寄附文化の醸成を図ってまいりたいと考えています。

早稲田委員 是非、関係省庁が作ったこの実施状況について、フォローアップをきちんとしていただきたいと思います。継続して進めていただくのはもちろんですけれども、更にもっと進めていただきたいという思いで私は質問しております。

 今の現状の中で、寄附文化というのがなかなか、日本の風土もありますし文化もありますので、進みが遅いということなので、是非、大臣には、孤独、孤立にはそうした方々の力が欠かせないわけですから、その自律活動に資するような寄附文化をお願いしたいと思います。醸成をしていただきたいと強く要望させていただきます。

 また、次の質問ですが、NPO等の民間団体、中間支援団体の役割も、先ほど来申し上げているように大変重要でありまして、今回は、孤独・孤立対策官民連携のプラットフォーム、これを政府内に設立して、その中に大西連理事長も政策参与として迎えることで取り組んでいらっしゃるわけですけれども、私も資料を添付させていただきました。

 私もいろいろ新宿の活動に行かせていただきましたけれども、とても熱心に取り組んでいらっしゃる。更に言えば、コロナ禍でどれだけ生活困窮の方たちが増えて、さらに、物価高で更に増えていらっしゃる。私が伺ったときは一年以上前でしたけれども、五百人ぐらいの方が食料配布に並んでいらっしゃいましたが、今、六百人という数字が何か毎月のようにあるということもおっしゃっていましたので、そうした地道な活動を支援するということが非常に重要であります。

 私は、この間、先週、地元の大船というところにあります支援団体を訪ねました。そして、一般社団法人インクルージョンネットかながわ、こちらは、神奈川県の委託を受けて、孤独、孤立の女性の相談、訪問、同行支援、生理用品などの提供、さらには、県下の各自治体の女性相談に対する研修、職員の研修も行っているんですね。非常に長きにわたりこれをやっていらっしゃるということで、私は、相談件数も増えているし、さらに、相談だけでなく同行支援もやっていらっしゃるという、非常に画期的な取組だと思います。

 阿部理事長におきましても、コロナが明けても支援ニーズは変わらない、むしろ増えていると。そしてまた、神奈川県としても、今年度は、前の二千万円から、更に二千五百万円に増額をしてやっていらっしゃるということです。これは、県の委託の予算は、四分の三で、内閣府の男女局の地域女性活躍推進交付金のつながりサポート型が活用されていると承知をしております。

 このつながりサポート型の交付金以外にも、各府省庁で様々な団体補助、支援の仕組みがありますけれども、ほとんどが、法律に根拠のない単年度予算事業であります。それから、毎年あるかないか分からない補正予算事業も大変多いです。これでは継続的に支援をすることは大変に困難です。

 そして、今法律ができたわけですから、それこそ、法律ができる前には、これから法律が必要というのには、一つには予算の問題だと思うんですね。ただし、一つ大変残念なのは、今回の法律が理念法である、プログラム法であります。予算事業を義務化する実施法ではないということ、これが残念であります。そして、七条には、政府は、必要な財政上の措置を講じなければならないと明記はされております。

 そこで伺いますが、この法案の成立により、第七条に基づき、単年度予算事業で実施をされてきたNPO等への支援、これは複数年度、継続的に実施をされると理解をしてよろしいのかどうか、大臣に伺います。

小倉国務大臣 私も、大臣に就任して初めてお伺いした先が、政策参与を務めてくださっております大西さんが代表を務める新宿のもやい、早稲田委員も行かれたということですけれども、お邪魔をさせていただきました。

 非常に、コロナ禍や物価高を踏まえまして、従前よりも、とりわけ若い人や女性の支援ニーズが高まっているということでございますし、そういったNPO法人に対する、やはり安定的、継続的な支援というのが必要ではないかと私も感じております。

 実際に、孤独・孤立対策の関連予算につきましては、内閣官房において関係府省庁の協力を得て取りまとめていますが、このうち、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援につきましては、孤独・孤立対策の重点計画において、今申し上げたような観点に立ち、当面、令和三年三月の緊急支援策で実施した規模、内容については、強化、拡充等を検討しつつ、各年度継続的に支援を行うこととされているところであります。これに基づきまして、令和五年度予算では、令和四年度第二次補正予算と合わせて六十億円を超える規模の予算を確保したところであります。

 今回の法律案では、NPO等への財政的な支援は、第十三条の、「国は、」「当事者等への支援を行う者が行う孤独・孤立対策に係る活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」の規定に基づき行うこととなり、本法案が成立すれば、この規定により、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援に必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

 この法律案は、基本法的性格を有するものであることに加えまして、予算の単年度主義の原則との関係が問題となりますことから、複数年委託契約を可能とする規定を盛り込むことは適当ではないと考えておりますものの、地方自治体の判断で複数年契約を導入した事例を周知する事務連絡を昨年六月に地方自治体向けに発出するなど、NPO等が安定的に活動しやすい環境整備にも努めてきたところでございます。

早稲田委員 単年度予算ということと、それから、これが基本法であるということ、それのハードルもあるわけですけれども、是非、これができたことをきっかけに前に進めていただかないと、本来ならば、私は、孤独・孤立対策の予算を義務化する法案を提出すべきだったのではないかと思います。そうでないと、いつまでたってもNPOの方たちが、単年度、あるいは二年続くかもしれないけれども次は駄目かもしれない、そういうことで、継続的にやっていきますと政府はおっしゃっても、それがなかなか、人員のこともありますし、できないわけですね。

 ですからこそ、大臣が、女性支援に限らず、個々の補助事業が単年度限りで終わらないように、しっかり総合調整機能、リーダーシップを発揮していただいて、単年度で終わらないようにしていただきたいと思います。

 それと、あともう一つ質問を重ねますけれども、附則の第三条において五年後の見直しということが書かれているわけですけれども、やはりこれでは遅いのではないかと。大体、当初から言われていた法律の制定が二年後ろ倒しになっておりますので、これももう少し早めに見直しを考えていただきたい。そして、NPOへの支援予算が複数年度安定して行われるように、その財政措置の条文を強化する改正も視野に入れていただきたいと思いますけれども、二問、大臣に伺います。

小倉国務大臣 この見直し期間の話でございます。

 法案の附則第三条で、御指摘のとおり五年となっております。これは、ほかの基本法的な性質を持つ法律の例も踏まえまして、五年後に見直しを検討することとしているところであります。

 その後の見直しをどうするかということでありますが、それにつきましては、施行後の施策の実施状況等も踏まえまして、見直しをどう行うか、しっかり判断をしたいと考えております。

早稲田委員 もう一点、リーダーシップを発揮していただきたい、総合調整機能でやっていただきたいという決意をお願いします。

小倉国務大臣 それにつきましては、今回法案を成立をさせていただいた暁には、孤独・孤立対策推進本部ができます。総理を議長とする本部ができるわけでありますから、総理並びに担当大臣のリーダーシップの下、これまで以上に総合調整機能を発揮をさせていただきたいと思っています。

早稲田委員 これまで以上にとおっしゃっていただきましたので、是非やっていただくことを期待をさせていただきます。

 次に、自治体間格差ということについてです。

 まず、一ページから三ページ、この辺は大西連さんのもやいの活動でありますけれども、これを見ましても、貧困というのが経済的困窮だけでなく、孤独、孤立、これが相まってということも書かれておりますし、その背景というものは大変深いんだと私も推察をいたします。

 その上で、つながりサポート事業を例に取りまして、自治体間格差がどうなのかということでありまして、私の方でも調べさせていただきました。これは四ページから五ページ、そして六ページですけれども、六ページの表を見ていただくとよく分かると思うんですが、なかなか三年間とか継続をしてやっていただいているところが少ない、例えばこの事業だけでも。そして、全くやっていらっしゃらない埼玉県というようなところもあるわけでございます、ほかもありますけれども。

 そういうふうに見ますと、これは四分の三の補助事業で、確かに補助率は高いわけですけれども、それでも自治体負担が出るということなのか、事業の重要性がまだ知られていないのかもしれませんけれども、非常に、男女局のつながりサポートの交付金というものは、私は実際にインクルージョンネットのようにやっていただければ実効性が上がると思っておりますけれども、それでも、四ページの表にありますように、実施の自治体は九十七、五十六、八十四と減っているわけですね。それを見ても、なかなか、一年目しか実施しなかったとかいうところもあるわけであります。

 この現状、これは孤独・孤立対策の一つの事業ですけれども、政府は、これを踏まえて、どのように自治体の取組を認識されているのか、また、格差ということにどのように御意見をお持ちか、大臣の御意見を伺います。

小倉国務大臣 早稲田委員御指摘のとおり、地域によってはNPO等の活動が活発でない、あるいは継続性が十分でないところもあることは認識をいたしております。

 まず、こうした地域におきましては、今回の法案第四条で区域内における施策の実施に関する地方公共団体の責務規定がございますので、その下で、例えば自治会組織や社会福祉協議会など、地域において現に存在している様々な社会資源を生かし、連携して孤独・孤立対策の取組を推進していくことが考えられます。

 また、地方自治体に対する支援につきましては、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームに係る調査研究事業がございます。この実施状況を踏まえて、地方公共団体の具体的な事務と併せて、財政当局等とも協議しつつ検討を進めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 本当に、予算補助の事業でありますけれども、全然やられていないところがあるということを見ても、やはり格差が出てしまうのではないかと思って大変心配です。確かに、NPOが少ないという地域もあると思いますが、そこはやはり政府も挙げてそうした支援団体を拡充するように取り組んでいただきたいと思いますし、地域格差がないように、もっと広報も、それから周知徹底もしていただけるような、そういうお取組を更にお願いしたいと思います。

 それから、相談支援の在り方について移ります。

 孤独対策を進める上では、切れ目のない支援、それから一元化する支援体制ということがよく言われているわけですけれども、障害福祉であれ、外国人労働者など、様々な政策分野において、相談窓口の一元化とうたわれておりましても、実際には、福祉の窓口、それから次は就労の窓口へ行ってください、法テラスなどの番号を教えるだけで、支援につながらないというケースが非常に多いわけです。そういうことを、やはり孤独・孤立対策では、率先して支援の一元化ということができるように進めていただきたいと思うわけです。

 先ほど申し上げました一般社団のインクルージョンネットかながわ、受託している神奈川県の孤独・孤立女性支援事業においてですけれども、たらい回しを絶対にしないということを実際にやっていただいていまして、多機関連携といって、相談者の課題をまず切り分ける、そして適切な機関と窓口につなげていく、電話ができないときはこちらの支援団体が電話をする、そして、さらには同行支援までしていくということなんですね。それで問題の解決、改善につなげていくという大変重要な取組を行っていただいています。

 ある引きこもりのケースでいうと、数十回そちらを訪問したそうです。そして、それによってやっと出ていただけた、つながったというお話もありました。それほど本当に地道な活動がないと、なかなか支援につながらない孤独対策なんだなということを実感いたしました。

 こうした支援の在り方を、孤独、孤立の女性支援だけではなくて、女性以外の孤独・孤立対策についても徹底されるべきだと私は思いますけれども、大臣のお考えを伺います。

小倉国務大臣 まず、委員御指摘の窓口を一元化する、これも重要だと思っておりますし、先ほどイギリスの話がございました。私も年初にイギリスに訪問しまして、実際に孤独対策をやっている担当者と意見交換をし、現場でも意見交換をさせていただきました。

 いろいろ我々が参考にすべき点はあるんですが、その中の一つは、やはり、相談を受けてから支援者へとつなぐリンクワーカー、つなぐ人の存在だと思います。それが非常に重要だということも認識をいたしております。

 そういった中で、孤独・孤立対策において相談支援を実施するに当たっては、当事者等の多様な事情やニーズ等の状況に合わせて必要に応じ相談と支援をつなぐことができるよう、体制整備をしていくことが望ましいと考えております。

 このような観点から、一元化という意味では、内閣官房が孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの関係団体の協力を得て取り組んでおります孤独・孤立相談ダイヤルでは、シャープ九九九九という分かりやすい番号から一元的に相談を受け付けるとともに、必要に応じて地域の支援機関につなげて同行支援を行うなど、相談から支援につなげる実践的な試行を行っているところであります。

 このような取組を進めていくためには、まず第一に、相談に当たる人材の確保、育成、資質の向上、第二に、相談と支援をつなぐコーディネーターの育成や確保、第三に、地域における支援の担い手の把握や見える化などが課題と認識をしております。

 孤独・孤立相談ダイヤルにおける課題の解決に向けた対応等の成果を踏まえつつ、相談から支援につなぐ体制の整備について官民で連携して検討し、相談支援体制の更なる整備を推進をしてまいりたいと考えております。

早稲田委員 イギリスの事例を実際勉強されていたということを私は担当からはお聞きできなかったのが大変残念でありまして、英国の取組をほとんどお答えにならなかったんですね、そのとき。だから、しっかりそうしたことも大臣からもお伝えいただいて、これが進むようにしていただきたいと思います。

 そうなんですね、本当に、つなげる方の力量というのもありますけれども、その団体全体の人員体制もありますので、そこは政府が後押しをしていただくということなんだろうと思います。是非よろしくお願いします。

 それから、相談体制でありますが、今、シャープ九九九九ですけれども、固定電話を今若者はもちろん持っておりませんし、携帯電話でも話さない、通話ということがほとんど行われないというような状況があります。

 神奈川県ではSNSによる相談受付を始めておりますし、もちろん政府の方でもいろいろやられておりますけれども、やはり音声での連絡も、LINE電話など、こうしたものも一つ大きく支援がつながるようになるのではないかと思うので、是非、二十四時間というのは難しいかもしれませんけれども、日中だけでもLINE電話という手法も検討していただきたいと思いますし、それについても、その活動を支援するためのNPOの支援というのも重要であります。

 このLINE電話の対応について、それからまたNPOの支援ということについて更に伺いたいと思いますが、人材の支援ですね、よろしくお願いします。

小倉国務大臣 まず、孤独・孤立対策において相談支援を実施するに当たっては、当事者等の多様な事情やニーズ等の状況に合わせて対応できますよう、電話だけでなく、SNSなど多様な媒体を通じて相談支援を行うことができるように整備することが望ましいと考えております。

 他方で、相談支援につきましては、当事者等の多様な状況に即した充実した相談支援を行うためには、関係機関において相談支援に当たる人材の確保、育成及び資質の向上も課題となるものと考えておりまして、これらの体制の整備の状況を踏まえながら、多様な媒体を通じた相談支援体制の整備を進めていく必要もあるものと考えております。

 そういう意味では、今支援されていらっしゃる団体、どちらかというと従来型の電話での相談や対面での相談が中心でございます。

 SNSを通じた相談というと、また新たなノウハウも必要になりますので、そういったものにつきましては、民間団体ともしっかり連携をして検討を進めてまいりたいと思っておりますし、御下問のLINE電話につきましても、各団体が対応できるか等の技術的課題の有無も含めて、その利用について検討してまいりたいと考えております。

早稲田委員 是非、あらゆる手法を検討していただきたいと思います。

 最後、時間になってしまいましたのであれですが、子供政策、少子化対策、さらには女性活躍担当の大臣であられる小倉大臣に強く確認をしておきたいわけですけれども、孤独、孤立の解消、これが、旧来型の家族や、それから家庭の形成を促すものではないということを、改めて確認をさせていただきたいと思います。

小倉国務大臣 今私どもがやっております孤独・孤立対策は、特定の家族の在り方や価値観を押しつけるものではないことを申し上げたいと思います。

 法案で孤独・孤立対策の基本理念として定めておりますとおり、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等に対する支援に当たりましては、その意向に沿って当事者等が社会及び他者との関わりを持つことにより孤独、孤立の状態から脱却して日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるようにすることを目標としております。

 この理念、目標を大切にしながら、孤独・孤立対策におきましては政策を進めていきたいと考えております。

早稲田委員 今大臣から、特定のそうした旧来型の家庭の形成を促すものではないということを確認させていただきました。

 この重点計画の改定のポイント、昨年のですね、そこにも加筆をされたのが、人と人とのつながりをそれぞれ選択の中で緩やかに築けるような社会環境づくりが大切だと書かれておりますので、是非そうした視点を持っていただいてやっていただくことを強く要望させていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時四十五分開議

大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。稲富修二君。

稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。

 大臣、どうぞよろしくお願いします。

 孤独・孤立対策について、私が最初に意識したのは、私の福岡の選挙区なんですけれども、地元でマンションがあるところがありまして、そこの自治会の人、地域のお世話をよくやっている方が、周りに誰が住んでいるかよく分からないと。そして、先ほどありましたように、孤独死という事案もあるということで、お独り暮らしが増えているという現状がございます。そして、そういう自治会のお世話をされている方も、次にバトンタッチをしたいけれども、誰もそれを受ける人がいないという切実な声があったことが、問題を私が意識する発端でございました。

 五年前に一度この問題を取り上げさせていただいて、今回、法案まで至っているということが一つの大きな節目であり、私にとってもすごく大きな感慨を覚えるところです。

 また、単独世帯、独り暮らしが増えているということで、それについて、イギリスで孤独担当大臣、孤独を担当する大臣ができたということは、社会保障制度を最初に生み出した英国でこういった問題を最初にやるということも、また一つの大きな節目かなというふうに思います。

 そこで、まず、今回の孤独・孤立対策ということなんですけれども、英国では孤独担当ということになっていますが、孤立を入れているということなんですけれども、なぜ孤立ということも概念に入れているのか、まず御答弁をお願いします。

小倉国務大臣 まず、主観的概念であります孤独と客観的概念である孤立は相互に関連するものであって、政府では、孤独、孤立双方を一体として捉えて対応することとしております。

 また、孤独、孤立は、心身の健康面への深刻な影響や経済的な困窮等の影響が懸念されるものであります。

 イギリスの例を引用していただきました。イギリスも、孤独が肥満や認知症、高血圧のリスクを高める等の健康被害をもたらす、こういった研究がある一方で、孤立に関しましても、社会的なつながりが弱いと一日十五本の喫煙と同程度の健康への悪影響がある、したがって社会的孤立は健康格差に影響を与えるとの研究もございます。

 こうしましたところから、政府では、孤独のみではなく孤立も含めて政策の対象としておりますものでありまして、孤立の問題については、英国においても長い対応の歴史があるものと承知をいたしております。

稲富委員 ありがとうございます。

 それでは、孤立について少し伺ってまいりたいと思います。

 二〇二〇年の国勢調査では、単独世帯が三八%、夫婦のみ世帯が二〇%、夫婦と子供世帯が二五%ということで、単独世帯、独り暮らしが今や最大の世帯であるということに、まず私は衝撃を覚えるわけでございます。

 かつては、独り暮らしといえば、私もそうでありましたけれども、学生時代に田舎から東京に出てくる独り暮らし、若い人たちが家庭を持つ前の住まい方といいますか世帯の持ち方という印象でしたが、今や、独り暮らしというのは、若い方もいらっしゃいますけれども、高齢世帯、高齢のお独り暮らしということでございまして、これは、地域を歩くと、その感覚とこの数字というのは非常に合致するものがあります。そして、かつてはお二人暮らしだった方が、この長寿社会の中でお一人亡くなられて、お一人で大きな家に住んでいらっしゃるような方もいらっしゃいます。

 標準世帯という言葉も、昨日総務省にお尋ねしたところ、二〇〇四年の家計調査年報を最後に、今や使われていないということです。両親プラス子供二人という家庭は今や少数になっているということです。

 これは社会の構造的な変化であり、社会保障制度の根幹に関わることだと私は考えます。二〇四〇年に、更にそれが、一人世帯が四割になるということで、加速化をしていくということで、少しその点について伺いたいと思います。

 まず、高齢者の一人世帯の現状というのを、資料をお持ちしましたので、少し御説明したいと思います。

 資料一を御覧いただければと思います。六十五歳以上の方がいる一世帯当たりの平均所得を見ると、この黄色のところで、単独世帯が二百八・四万円、夫婦のみ世帯が四百四十五・七万円ということ、そして、単独世帯の主な収入源というのは当然公的年金であるということで、これは大体予想されることなんですけれども、問題は、夫婦のみ世帯と単独世帯を比べると、急激に、大幅に収入が減るという現状です。

 そして、さらに、次の資料二を御覧いただければと思いますが、単独世帯の二百八・四万円、平均ですけれども、所得階層別に見ると、一番所得が高い方から低い方まで五つに分けた場合の一番低い方でいえば、単独世帯の収入は年約百二十七・六万円であるということで、約十万円程度の収入で暮らしているというのが第一の層であるということなんですよね。

 つまり、高齢者は、二人よりも一人になった場合に急激にリスクが拡大をするという現状があるということです。

 例えば、収入のリスク、貧困のリスクというのが今申し上げたことで、また同時に、介護について言えば、二人暮らしであれば、一人が例えば何らかの介護が必要になったとしても、もう片方の方が分かる。しかし、一人だと、どうなっているのか分からない。あるいは、もう一つは孤立のリスクでありまして、これは、一人であると、ほかの方と話す機会が減っていくということもデータで出ております。

 これまで、社会保障制度は、リスクを軽減するために年金、医療、介護を充実させる、あるいはそれを最適化するために制度としてやってまいりましたが、しかし、例えば、今見ていただくように、リスクを軽減するために年金を増やせるのかといえば、今の財政状況で実は難しいというのが現状かと思います。したがって、個々の制度を充実させてリスクを軽減できるかというと、そういう状況ではない。

 したがって、私は、極端に言えば、これからの高齢、更に進む一人社会の中では、二人よりも一人の方が格段にリスクが増えるという意味では、独り暮らしの方をどうするのか、どうやってリスクを軽減するのかというのが最大の社会保障のテーマになり得ると思っています。

 そこで、コロナ禍において拡充された制度が、住居確保給付金という制度があります。コロナによって収入が減った、あるいは生活に困った方が、衣食住といいますけれども、最初に住のところで困って、そして住居確保給付金が随分と活用されたというふうに思います。

 まず、この住について。住居確保給付金について、コロナ前、そしてコロナピーク時と、現在、どれぐらいの世帯が使っているのか、事実関係を教えてください。

本多政府参考人 お尋ねの住居確保給付金の支給実績についてお答え申し上げます。

 住居確保給付金は、求職活動中の住まいの安定を確保することで自立を促進するため、一定期間、家賃相当分を給付する制度でございます。

 最近の支給実績ですが、コロナ前、令和元年度が三千九百七十二件。令和二年度が十三万四千九百四十六件、令和三年度が四万五千六百七十一件、令和四年度が、十二月までの累計でございますが、一万九千八百九十七件となっております。

稲富委員 ありがとうございます。

 今御説明があったように、コロナピーク時は急激に使用が増えた。要件の緩和というのもあったとは思いますが、やはり、住をどうするかというのが収入の貧困あるいは生活を守るために非常に重要になってくるというのが、コロナ禍で明らかになったわけです。

 そこで、資料三を御覧いただけますでしょうか。

 収入は先ほど申し上げたような状況ですけれども、単身世帯の支出はどうなっているのかを見ると、これは月ごとですが、住居についてはこの黄色で囲ってあるような一万三千三百十円、あるいは光熱・水道は一万二千円で、消費支出は十三万七千円ということなんですけれども、つまり、収入を増やすことは非常に難しい、例えば年金を充実させるというのは現実的には難しいという中で、どうやってリスクを軽減するかというのは、私は住のところではないかと思うわけです。

 我が党も公約において住宅手当というのをうたってまいりましたが、やはり住宅に対する政府の政策というのが必要になってくるのではないか、リスクを軽減するために必要になってくるのではないかというふうに思うわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 先ほども厚生労働省の政府参考人より、住居確保給付金の支給実績等についての答弁がございました。コロナ禍での生活困窮者の生活の下支えとして大きな役割を果たしてきたものと承知しております。

 また、生活の基盤となる安定した住まいの確保は、孤独・孤立対策の観点からも大変重要であると考えております。例えば、住宅セーフティーネット制度による住宅確保要配慮者への経済的な支援として、家賃や家賃債務保証料の低廉化の仕組みを活用することも孤独・孤立対策に資するものと考えております。

 私どもの孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの会員には、この制度を活用して孤独・孤立対策に資する活動をしている団体、例えば一般社団法人全国居住支援法人協議会などにも御加入いただいておりまして、孤独・孤立対策としての様々な支援の議論に当たって、こうした団体との連携も図ってまいりたいと考えています。

稲富委員 ここは住宅政策に関わるところで、ちょっと幅広な議論が必要なので、今日は大臣の答弁を伺いまして、少し私も研究を深めてまいりたいと思いますが、やはり住に対する支援が私は必要だというふうに思います。

 続きまして、法案の十四条について、少し要望そして意見を申し述べたいと思います。

 調査研究を推進というところでございまして、国は、孤独、孤立の状態にある者の実態に関する調査研究を進めるということなんですけれども、今回の法案の中で、私は、この十四条の調査研究を進めるということが対策本部の中で最も重要な機能の一つだと思っております。これはいわばすぐできることでありまして、それについて三つ意見を申し述べたいと思います。

 一つは、この孤独・孤立対策について、これまで政府は、令和三年、四年と、人々のつながりに関する基礎調査をされました。しかし、これだけでは不十分じゃないかと思うわけです。

 そこで、まず一つ目は、孤立に関する生活実態が分かるような既存のデータを政府はたくさん実は持っております。しかし、先ほど私がお示ししたものは総務省のデータであり、厚労省のデータでありということで、ばらばらに存在しているし、独り暮らしあるいは孤立という面では切っていないので、一つ一つ出してこなきゃいけないわけです。そして、何があるかというのも、私はよく、全部を、つぶさに分からないわけです。

 例えば、内閣府が平成二十六年に、平成二十六年度一人暮らし高齢者に関する意識調査結果というのも作っておりまして、平成十四年度、十一年度、六年度にも同趣旨の調査を行っております。今回の人々のつながりに関する基礎調査よりもサンプルは少ないですけれども、個別面談で、孤独の状態や住宅、収入、あるいは都市規模別にもあります。ということで、かなり充実した内容だと私は思います。

 こういう既存のデータ、調査があるはずでありまして、それを是非、対策本部で集約して、政策に生かせるように総合化をするといいますか、そういう既存のデータを活用していただきたいというのが一つ目なんですけれども、大臣の答弁を求めたいと思います。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策における施策の効果的な実施に当たりましては、これまで二回行いました孤独・孤立の実態把握に関する全国調査結果のみならず、孤独、孤立に関連する既存データの活用も重要と考えております。

 稲富委員に参考資料でお示しをいただきました総務省の家計調査ですとか厚労省の国民生活基礎調査、こうした生活実態に関する既存データをどのように組み合わせれば、より深く正確に孤独、孤立の実態把握ができるのか、孤独・孤立対策の施策の推進に当たっては、しっかり考えていきたいと思っています。

稲富委員 ありがとうございます。

 調査研究について、二つ目の要望です。

 都市と地方の課題がありまして、孤独、孤立に関しては、都心部と地方では大きく異なると思います。

 冒頭申し上げましたように、私の地元では、独り暮らしの方が非常に増えている。マンション暮らしの方も多くいらっしゃる。孤立を、なるべく人と接しないことを望んで、マンションに住んでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。

 そして、同僚の早稲田議員がおっしゃいましたけれども、孤独死という問題もあります。恐らく、地方と比べると急激な形で独り暮らしが増えているということかと思います。

 そして、内閣府の、先ほど御紹介した平成二十六年度の一人暮らし高齢者に関する意識調査というのがありまして、それによれば、都市規模別に大都市、中、小都市、町村の四つに分けていて、それぞれで随分と意識が違います。

 例えば、孤独死を身近に感じますかという問いに対して、大都市は四六・七%に対して、町村は三七%ということで、やはり都市部とそうじゃないところでは、孤独感といいますか、孤独に対する考え方も大きく違うと思います。

 したがって、今後、調査研究において、令和三年、四年にされたところは都心部と地方という差はありませんでしたけれども、これから是非、地方と都心部というのが分かるような形での調査を進めていただきたいということを思っておりますが、大臣の答弁を求めます。

小倉国務大臣 私どもも、委員御指摘のように、孤独・孤立対策の施策を実施する上で、都市部と地方での課題の違い、これを考慮することは重要と考えています。

 都市部と地方のそれぞれの課題の把握をどうするかという点については、現在政府で実施しております孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の中で、標本設計や集計内容の工夫も含め、有識者を交えてしっかり議論をしてまいりたいと考えています。

稲富委員 ありがとうございます。

 もう一つ、この調査研究について御要望申し上げたいと思います。

 女性の独り暮らし、特に中高齢の方の実態についてであります。

 これも地元の方からお声をいただいたことなんですけれども、例えば子供がいらっしゃる御家庭については、様々な政策、ある意味いろいろな政策の取組がある。そして、高齢者、六十五歳以上になれば、先ほどお示ししたような六十五歳以上の女性のお独り暮らしというのが、実態がある程度分かります。しかし、子供がいない中高齢の女性というのには余り政策が行き届いていないということを要望でいただいて、確かに、見てみると、子育て世帯についてはこういうことがある、しかし、そうではない中高齢の方々に対する光がなかなか当たっていないんじゃないかというのは、そうだなと私も思うんですね。

 調べてみると、確かに、六十五歳以上の女性については、お独り暮らしになると最も貧困率が高いと言われております。

 そして、現在、例えば高齢の前のところ、中高齢の女性でいえば、今や生涯の未婚率は女性では一七・八%、どんどん上昇しているということで、独り暮らしがどんどん増えていっているわけです。

 そして、女性の労働者に占める非正規の割合というのは約半分、五四%ということですし、賃金で考えれば、非正規の労働者は正規の労働者のほぼ七割の給与ということを考えれば、お独り暮らしの女性は、非正規が一定程度いて、そして収入も少ないということが予想されるわけです。

 したがって、収入が少ない独り暮らしの女性がたくさんいらっしゃるということで、その方々が、今、人生百年時代ですので、長生きをして、六十五歳以上になって、当然、収入が低ければ年金も低いということになるわけです。そういうサイクルの中で、将来的にすごく不安を抱えているという声だったんですね。そういう中高齢の女性の生活実態というのを是非、今後、調査研究の中でしていただきたいということなんです。

 例えば、横浜市は二〇一六年に、非正規のシングル女性ということで、非正規で働く三十五歳から五十四歳で子供のいない女性に対するウェブアンケート調査をしております。そうすると、年収が二百五十万円未満というのが六八・二%という現状もあります。

 これからこの中高齢の女性の生活、リスクをどう軽減していくのか、是非、これから調査を進める上で、その視点から取り入れていただきたいというふうに思うわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 現在、政府で実施しております孤独・孤立の実態把握に関する全国調査では、我が国の孤独、孤立の実態を概括的に把握する設計となっており、御指摘のような、独り暮らしの女性といった、特定の属性の方の生活実態の把握には必ずしも適していないと考えております。

 しかしながら、孤独、孤立の状態は、人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、孤独、孤立の対策は、御指摘にもありました、独り暮らしの中高齢の女性も含め、あらゆる人が対象となるものと考えております。

 私の地元にも、例えば御夫婦で年金暮らしの方で、夫が亡くなられて、いきなりダブルインカムからシングルインカムになって非常に生活が困窮をしているといった方にも多くお話を伺いますし、稲富委員御指摘のように、男女間の賃金格差というのが日本は大きいという状況にございますので、例えば中高齢になったときに蓄えが少ないですとか年金が少ないというのは、やはり女性の中高齢に偏っているのだろうということも推察をされます。そういった中で、実際に、実態調査結果に係る有識者の分析によりますれば、中高齢に孤立の傾向があることも分かっております。

 これまで議論がありましたように、例えば様々な既存のデータを組み合わせて、より分析をするというやり方もありますでしょうし、自治体のデータを活用させていただくという方法もあろうかと思います。御指摘の点も踏まえながら、毎年の施策を検討してまいりたいと考えています。

稲富委員 是非、充実した調査にしていただければと思います。ありがとうございます。

 続きまして、十六条のことをお伺いしたいと思います。情報の交換、情報の提供に関してであります。

 協議会の中で情報の交換を行うことができるということとなっております。個人情報保護法では、本人の同意がなければ情報を提供することができないとなっておりますが、三項によって、当事者の同意がなくても情報の提供が、共有が可能となっているということに今回なっております。似たような制度で、児童福祉法の制度がありまして、二十五条の三でも同じように情報の提供そして共有ということが記されておりまして、そこでも情報の提供ができるということになっております。

 これも地元から非常に強い声があるのは、誰がどこに住んでいるのかよく分からないという方がたくさんいらっしゃるということ。地域で、特に自治会で地域のお世話をされている方からすれば、住んでいる方が分からない。そして、先ほども同僚の議員からもありましたように、孤独死の問題が発生をする。情報の提供をどうするのかということは極めて大事であると思います。

 特に、大臣も度々答弁されているように、孤独、孤立から生じる問題を予防していかなきゃいけないということからすれば、協議会における情報の共有をどうするのかというのは、個人情報保護法との関係で非常に難しいですけれども、どこまでどうするのかということは極めて大事な点だと思うんですね。そうでなければ、逆に言うと、午前中にあったような孤独死の問題というのは私は防げないんじゃないかというふうに思うわけです。

 難しいところなんですけれども、どうやってその情報共有をするのか、その点についてお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 まず、御指摘の孤独・孤立対策地域協議会、これは、各地域において、個々の当事者等への具体の支援内容について関係機関等の間で協議をする場となっております。

 個々の当事者等への効果的な支援を実施するためには、地域における当事者等への支援に携わる様々な関係者のネットワークの下で、孤独・孤立対策地域協議会を構成する関係機関等が共通の情報と認識を持つことが重要と考えております。

 支援に当たりまして必要となる当事者の個人情報、これにつきましては、基本的には本人の同意を得た上で協議会の構成機関等が共有することになるものです。

 他方で、例えば当事者がセルフネグレクト状態にあるなど、本人に自覚がなく、個人情報の提供に同意しないケースも想定され、こうした場合においても、協議会の構成機関等が必要な個人情報を共有した上で適時適切に支援を行っていくことが求められております。

 このため、今回の法案では、今申し上げたようなケースで、協議会が、必要があると認めるときに、構成機関等に対して必要な情報の提供を求めることができるとしたところであります。

 今後、この規定の求めに応じることが、個人情報保護法上、例外的に本人の同意なく個人情報を第三者に提供できる場合である「法令に基づく場合」に該当する具体のケースについて、関係機関と調整して整理をし、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しをすることといたしております。

 そういう意味では、個人情報の保護との兼ね合いで、委員の御指摘のとおり、今回の条文に「必要があると認めるとき」としたわけでありますが、実際にこの条項があることによって支援が手遅れになってしまうという委員の懸念も踏まえまして、しっかり、そういったことがないように、これから関係機関の意見も丁寧に聞きながら、運用上の工夫をしてまいりたいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 大臣から御答弁いただきましたように、必要があると認めるときということは、いわば事態が発生してから情報共有するのでは遅いという御答弁をいただきました。

 したがって、これをどう考えるのか、必要があると認めるときをより早く考えるのかどうか、よりそれを幅広に考えるかどうか、考えないと、私はこれが意味のない規定になってしまうというふうに思いますので、その点も踏まえて是非御検討いただいて、これが本当に地域で活用され、例えば孤独死という問題を少しでも減らせるような、役に立つような法律にしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続きまして、孤独・孤立対策協議会についてなんですが、先ほど申し上げたように、いろいろな協議会が地域、地方にありまして、要保護児童対策地域協議会、社会福祉法による支援会議、あるいは生活困窮者自立支援法による支援会議、様々な会議があって非常に分かりづらいのではないかというふうに思うわけですけれども、孤独、孤立の協議会はそれらが手が及ばないところをやろうとしているのか、それとも、重なる部分もあると思うんですけれども、それを統合した形でやろうとしているのか、どういう役割をそこで果たそうとしているのかということを御説明いただきたいと思います。

小倉国務大臣 今回の孤独・孤立対策の地域協議会では、確かに稲富委員御指摘のような、要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協ですとか、社会福祉法上の支援会議、生活困窮者自立支援法上の支援会議といった既存の会議がございます。そういった既存の会議で対応できないような複合的な課題を抱えているケースを対象に、幅広い関係者が連携した支援を行うことを想定いたしております。

 他方で、こういった新たな協議会の設置が自治体やあるいは関係者の過剰な負担にならないようにしなければならないというふうにも思っておりまして、協議会の運用においては、こうした既存の組織を活用しながら、各自治体や地域の実情に応じた形で柔軟に設置することも可能とすることを想定しております。

 この点も含めた協議会の運営等の考え方につきましては、地方自治体を始めとする関係者の意見も聞きながら整理をし、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しをしてまいりたいと考えています。

稲富委員 ありがとうございます。

 続きまして、NPOについてお伺いしたいと思います。

 先日の委員会でも、NPOのガバナンスについて、自民党の議員さんが質問されておりました。そして、同僚の我が党の議員もNPOの促進について質問をしておりました。

 今回、NPO等への支援として約六十億円を計上し、その活動を支援するということがうたわれております。私も確認したところ、例えば、子供の居場所づくり、生活困窮者等支援、自殺防止対策ということで、NPOは行政が届かない現場に即した支援活動を展開をしており、その活動は不可欠だと私も思います。

 重点計画にも、NPOの活動をきめ細かく支援し、官、民、NPO等の連携を強化する、そしてまた、NPO等の活動に対して安定的、継続的にきめ細かな支援を行うということで、いわばこの対策の中でNPOというのが制度として組み込まれているわけであります。

 その中で、私が感じておりますのは、先日、平沼先生が御質問された、お金を出す以上はそのガバナンスをしっかりしてくれというのは当然のことだと思うんですね。

 そのときに、参考人からこういった答弁がございました。補助対象団体に対する指導監督を行う必要があると認識をしている、そして、本格的な支援が可能になる、あるいは、NPOの持続的、安定的な活動に向けた支援を実施する必要があるということなんですけれども、私も、現実には、NPOが果たす役割は、先ほど申し上げたように非常に大きいと思いますし、それが大事だと思います。しかし、かといって、同じ党の同僚議員と全く違う意見で恐縮なんですけれども、恒常的にいわば財政支援をし続けるという姿が果たしていいのかというふうに思うわけです。

 NPOはあくまで民でありまして、先ほど申し上げましたように、当然、指導監督をするということになるわけですよね。財政支援をする以上は、それがどういうふうに使われるのかという指導監督をするわけです。しかし、民だからこそNPOの存在意義があるわけであって、したがって、恒常的に財政支援をし続ける、あるいは継続的に続けるということが、果たして本当に、これからNPOを育てていく、あるいは更に活動を活性化させるためにいいのかということを考えていかなければいけないのではないかという問題意識を私は持っております。

 当然、NPOは、特定NPOの場合であれば税金の控除も受けられるわけでございまして、それを通じて財務あるいは経営というのを透明化を図られているわけです。

 したがって、更にそれに財政支援をするということになると、私は、やり得ることはずっとこれをやりますよということよりも、財政的じゃない部分も含めて、例えば、最初のところはこれぐらいやります、しかし徐々に徐々にそれが自律的に活動していけるような環境をつくっていかないと、いつまでたっても政府が支援をし続けるということであれば、それは、いわばNPOというよりも、政府のやっている仕事を請け負っているという姿になってしまうのではないかという危惧を持っています。

 したがって、ちょっと長くなりましたが、ガバナンスが必要というのもそのとおりだと思います。しかし、一方で、ずっと続けるのかどうかということは慎重に考えなきゃいけないのではないかということを思うわけですが、大臣の基本的な認識を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 NPO法では、法人の自律性、市民の自発性及び自由な活動を保障し、法人運営の自主性を尊重することを理念といたしております。NPO法人と行政においては、適切なパートナーシップの下で活動していくことが重要だと考えております。

 確かに、NPO法人の活動の目的達成のために、行政からの補助金や委託事業費など、行政資金が活用されるものもありますので、そういった使い道についてはきちんとチェックをしなければいけないことも承知をしておりますが、その運用に当たりましては、NPO法に掲げる理念に即して適切に行われる必要があるとも考えております。

 委員御指摘のように、ずっと行政資金を入れていくことが全てではないという話は、私も同意をいたしております。まさに、早稲田委員と議論をさせていただいたように、休眠預金口座における支援のような、そういう支援を行うことによって、呼び水といいますか、それが触媒となって更に寄附が集まり、自律的に、より幅広い範囲で活動できるようになるNPOも出てくると思いますので、どうやってNPOを支援していくかというのは、まさに政策ごと、ケース・バイ・ケースで判断されるべきだと思っております。

 実態といたしましても、行政からのNPO法人等への支援につきましては、今申し上げたように、活動内容によって支援手法は異なっているものと考えておりますので、内閣官房としては、令和五年度に実施するモデル調査の取組状況等を踏まえて、孤独・孤立対策に関するNPO法人等の諸活動への支援策の在り方について検討していきたいと考えています。

稲富委員 よろしくお願いします。

 続きまして、相談ダイヤルについてお伺いしたいと思います。

 孤独・孤立相談ダイヤル、試行的にされたということでございますし、これからも本格実施に向けてという言葉もありましたので、恐らく相談窓口として活用していくものと想像しています。

 しかし、他方で、資料を御覧いただくと、最後の資料ですけれども、いのちの電話というのがありまして、その他、例えばこの記事に書いてある、こころの健康相談統一ダイヤル、あるいは、よりそいホットライン等々、様々な電話窓口があります。

 したがって、相談窓口を充実させて、そういった困った声をしっかりと受け止める窓口が必要だというのはそのとおりだと思いますし、それは進めるべきだと思うんですね。

 ただ、こういう、いのちの電話という長い歴史を持った相談窓口がある、あるいはほかにもあるということで、孤独・孤立ダイヤルとその他の電話のどこに電話をするのかといったときに、やはりちょっと分かりにくいんじゃないかと思うわけです。何が違うのかもよく分からない、私自身もよく分からないし、困った方が、実際にどこに電話しようと思ったときに、どこにしていいかよく分からないのではないかと危惧するわけです。

 それと同時に、先ほど申し上げたように、いのちの電話はかなり長い歴史を持っておるやり方で、そして、そこで働く方は、随分と訓練を受けて、ボランティアで研修を受け、そして様々な訓練を受けて相談員となられているわけです。

 そうやって考えると、例えば政府の孤独・孤立ダイヤルができたことによって、いのちの電話をやっていた方がそちらを辞めてこちらに来るとか、これまでやってきた、積み上げてきた方がこちらに移ってくるということになると、一体何のためにこれをつくったのかということにもなりかねないと思うんですね。

 もう一つ言えば、いのちの電話をずっとやってきている方にお話を伺うと、やはりそんな簡単にすぐできるものじゃないと。訓練が要るし、したがって、すぐ誰か人がいればいいというわけではないということを考えれば、やはり、相談員として訓練を受け、そして経験を積む。そして、ダイヤルをつくればすぐにそれを受けられるというわけではないんじゃないかというふうに思うわけです。

 したがって、分かりづらいんじゃないかということと、人材が移動してしまうんじゃないかという懸念があるわけですけれども、その点について、大臣の見解を伺いたいと思います。

小倉国務大臣 この孤独・孤立相談ダイヤルは、孤独、孤立に関する個人の悩みが複雑多様化し、相談窓口も分野やエリアに応じた様々なものが存在する中で、各相談窓口の主体のみでは複雑多様な課題への対処には限界があること、あるいは、相談者の立場からは、様々な相談窓口があるがゆえに相談をどこにすればいいか分からず諦めてしまう状況を打破することを狙いとして取り組んでいるものであります。

 具体的には、委員が御紹介いただいた日本いのちの電話連盟を含む官民連携プラットフォームの関係団体の協力を得まして、シャープ九九九九という分かりやすい番号で一元的に相談を受け付け、必要に応じて相談から支援制度や地域の支援機関につなげる実践的な試行を行っております。

 そういう意味では、いのちの電話も含め、より幅広い孤独や孤立の課題について一元的に総合的に受け付けるのが私どもの電話相談窓口でありまして、必ずしもかち合う、重複するものではなくて、むしろ連携してより広範囲に取り組んでいるもの、そういう認識でございます。

 もちろん、人材育成は重要でございます。今回関係している団体というのは、いずれも、いのちの電話のようにしっかり経験を積んだ団体にお願いをしておりますが、これを広げるとなると、先ほど来申し上げているように、相談員の体制の強化等々も課題となってくると思いますので、その点につきましては、今後、環境整備に取り組んでいきたいと考えております。

稲富委員 どうもありがとうございました。

 これで終わります。

大西委員長 次に、太栄志君。

太委員 神奈川十三区の太栄志でございます。

 先日の本会議に続きまして、本日も、この孤独・孤立法案、質問させていただきますので、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、特に、私のライフワークであります子供、防衛、外務、この視点からの質問をさせていただきたいと思っております。

 それでは、早速質問に入りたいと思います。

 まず、医療カウンセリングについてお伺いいたします。

 孤独、孤立とメンタルヘルスの問題は密接に関係しており、孤独・孤立対策を進める上で、医療カウンセリングの有効活用というのは大変重要になってくるというふうに思っております。もちろん、政府やNPOの無料相談窓口が存在し、その大切さというのは認識しておりますが、やはりクリニックなどにおいてプロフェッショナルな訓練を受けたカウンセリングというのが大変重要だというふうに思っています。

 私、五年ほどアメリカで生活をしていました。そういった中で、日本とアメリカのまさにカウンセリングに対する認識の違いというのを大変痛感しております。

 日本では、心を病んだ人が受けるのがカウンセリング、そういった認識が強い、根強く残っている。やはりカウンセリングへのハードルが高い、なかなかカウンセリングを受ける人が少ない状況だと思っております。

 一方、アメリカでは、カウンセリングは身近なもので、敷居が割と低くて、病まないために早めに受ける、そういった感覚があるというふうに思っています。精神疾患を治すためだけではなく、心の調子を整えるために気軽に利用する人が多い。だから、企業でも専属のカウンセラーがいたりということで、広くカウンセリングが社会的に浸透しているというふうに認識しております。

 そこで、お伺いします。

 まず厚労省にお伺いしたいのが、我が国の医療カウンセリングの現状を全体的にお答えいただきたいというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 心の健康の問題は、あらゆる分野で生じるものでございます。保健医療、福祉、教育など様々な機関においてメンタルヘルスに係る相談支援等が行われているところでございます。

 こうした相談支援に当たりましては、心理学に関する専門的知識及び技術をもって相談に応じる公認心理師を始めとする専門職によって行われるということになってございます。

 現在、公認心理師として登録されている方は約七万人でございまして、年々増加しております。そのうち、保健医療分野におきましては、従事している方を推計いたしますと、約二万人ということになってございます。

太委員 どうもありがとうございます。現状に関して了解いたしました。

 それでは、小倉大臣にお伺いしたいのですが、この医療カウンセリングの重要性に関して、孤独・孤立対策を推進していくという観点から、この重要性に関して御見解をお聞かせください。よろしくお願いいたします。

小倉国務大臣 太議員御指摘のメンタルヘルス対策につきましては、先ほど厚生労働省からも答弁がありましたところでありますが、政府の孤独・孤立対策の重点計画におきましても、具体的な施策として、職場のメンタルヘルスに関する総合的な情報提供、相談対応、学生のメンタルヘルスケア支援、防衛省・自衛隊におけるカウンセリング・相談体制の充実、精神疾患の予防や早期介入の促進などを盛り込んでおります。

 したがいまして、メンタルカウンセリング、これの重要性は十分認識しており、孤独・孤立対策としても引き続き推進していきたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございました。是非ともこれは推進していただければと。重要性に関しても認識していただきましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

 その上で、今度は厚労省にお伺いしたいと思います。

 今、大臣からそういった答弁をいただきましたが、我が国において、できる限りこの敷居を下げて、低くして、気軽に受診できる、そういった医療カウンセリングの普及に向けて、やはり私は、改めて、国民のカウンセリングに対する意識改革と体制整備、この両輪で進めなければいけないというふうに思っておりますが、多くの国民が医療カウンセリングを利用できる体制整備へ向けてどういった取組を進めていくのか、その点に関して教えていただきたいと思っております。

 今、医療カウンセリングは、一部の条件を満たした場合を除いて、ほとんどは自由診療、十割負担になっています。そういった中で、医療カウンセリングの保険適用範囲の拡大だったりとか、あるいはカウンセラーの公的資格制度の拡充などを通じて、どう体制整備をしていくのかというところを、厚労省としての取組、また見解を教えてください。お願いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 精神疾患を抱える方は、御案内のとおり、医療機関における治療の対象となります。他方におきまして、疾患を有するまでには至らない精神保健に関するニーズが顕在化しているという状況でございます。

 このため、昨年の精神保健福祉法の改正におきましては、自治体が実施する精神保健に関する相談支援について、精神障害者に加えまして精神保健に関する課題を抱える方々を対象に加える等の改正を行ったところでございます。

 また、相談支援に従事する心理学の専門知識及び技術を有する専門職が重要でございまして、公認心理師につきましても、その更なる育成と資質の向上等に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 ちょっと一つお伺いさせていただきたいんですけれども、カウンセラーの公的資格制度ですね、これは今現状どうなっているのか、これからどう変わっていこうとしているのか、そこをもう一度教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 公認心理師は国が設けておる資格制度でございまして、現在約七万人ということでございます。資格の取得に当たりましては、大学院レベルの専門的な教育でありますとか、あるいはその実務経験といったことを経た上で、試験を受けて、公認心理師になっていただくということで、年々増加しているという状況でございます。

太委員 年々増加しているということに関しては分かりました。

 今後、何か制度的な変更等を行う予定なのか、そこも、今後の見通しも含めて取組を教えていただけますか。お願いいたします。

斎須政府参考人 現在、公認心理師、順調に人数も増えているというところでございまして、また、現場の状況、あるいは自治体との意見交換も踏まえまして検討してまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございました。

 先ほども言いましたが、カウンセリングを受けやすい環境整備、病んでからではなく、病む前から早めに対処していける、そういった環境づくりというのを是非とも進めていただきたいと思っておりますので、引き続きの取組をどうかよろしくお願いいたします。

 それでは、次に移りたいと思います。

 次は、防衛省・自衛隊における孤独・孤立対策についてお伺いをいたします。

 今、国際情勢が様々厳しくなる中で、昨年十二月に安保関係の三文書の改定も行われました。防衛力整備へ向けての取組が進んでいること、このことは私も進めていただかなきゃいけないというふうに思っていますが、一方で、防衛力を抜本的に強化していくという中でも、やはり最前線で任務に当たられる個々の自衛隊員の皆さんの心身の健康が、まさに組織の人的基盤を支える上でも最も重要な要素だというふうに思っております。

 まずお伺いいたします。防衛省の方にお伺いいたしますが、近年の自衛隊員の自殺者数とその自殺動機に関する分析を教えてください。お願いいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊員の自殺者数は、平成十六年度から十八年度までの間に百人以上を記録したことをピークに、平成十九年度以降は緩やかな減少にあり、令和三年度は五十八人でありました。しかしながら、依然として毎年六十人程度の隊員の貴い命が自殺により失われております。こうした状況は、亡くなられた隊員の御家族にとっても大変痛ましいことであり、また、私たち組織にとっても多大な損失です。

 自殺の要因についても調査を行っていますが、その中では、一つは勤務環境、家庭問題、健康問題が主要な要素として挙がっているものの、自殺の多くは、多様であり、かつ複合的な原因、背景を有していることから、確定的に申し上げることは困難であります。

 いずれにしても、引き続き、様々な分析を行い、防衛力の中核である自衛隊員の命が自殺という形で失われないように、自殺事故防止に全力で取り組んでまいる考えであります。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

太委員 ありがとうございました。よく分かりました。一時は年間百名を超える隊員が自殺をされたという時期もあった。一方、平成十九年以降は百名以下になってきた。ですけれども、二〇二一年も五十八名ですね。

 ということで、今御指摘されたとおり、まだまだ本当に、隊員の皆さん、また御家族にとっても大変痛ましい状況だと思っておりますので、どうか改善していけるように分析をしっかりとしていただきたいということと、やはり、ほかの国家公務員の自殺者数よりも自衛隊員の自殺者数というのが突出しているこの現状、まだこれが続いている状況ですので、是非とも引き続き対策を進めていただきたいと思っております。

 そこでお伺いしたいのが、防衛省・自衛隊におけるメンタルヘルス対策について教えていただきたいと思っております。そして、さらには、諸外国軍におけるメンタルヘルス対策について併せて防衛省の方からお答えください。お願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊におけるメンタルヘルス施策につきましては、全隊員に対するメンタルヘルスチェックのほか、メンタルヘルス施策強化期間の設定、啓発普及のための教育教材の作成、配付及び研修等を行っております。また、駐屯地ごとに臨床心理士や部内カウンセラーを配置し、定期的に部外カウンセラーを招聘するとともに、部外の相談窓口を設置するなど、カウンセリング体制の充実も図っているところでございます。

 また、諸外国におけますメンタルヘルス対策につきましては、これにつきましてはとても有用だと考えておりまして、我々、例えば、今現在、自衛隊で行っております全隊員に対しますメンタルヘルスの関係で、教材の作成ですとか、先ほどの各駐屯地へのカウンセラーの配置などにつきましては、アメリカのPTSD対策を参考にさせていただいておりますし、また、現在、部隊長に対するメンタルヘルス教育の強化を行っておりますが、これは、英国陸軍等の研究成果で、優れた指揮官の存在がPTSD症状の少なさと関連しているという結果を基に実施しているところでございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、引き続き、諸外国の軍隊の取組などの情報収集に努め、メンタルヘルス施策の推進を図ってまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございました。様々、啓発活動、また部外カウンセラーも活用して、拡大してやっているということで了解いたしました。

 あと、海外の事例ということで、イギリスまたアメリカということで教えていただきましたが、自衛隊のメンタルヘルス対策を考える上で、アメリカにおける国防総省と軍の取組事例というのは、自殺事案の調査体制や対策の統合調整に向けた組織整備など、参考とすべき内実を大分備えているというふうに思っております。同盟国アメリカと、まさにアメリカは、社会自体も、様々このメンタルヘルスに対する取組というのが進んでいるところがありますが、まさに日米間でこの方向での情報交換また共有を拡大して、適宜、我が国の施策に反映させていくことは、新しい防衛協力の一つの課題としてあり得ると思っておりますが、防衛省として、どういった形で米軍との情報交換、共有を行っているのか、その点について教えてください。お願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在、陸上自衛隊から米国に衛生連絡員を派遣し、日頃から衛生の情報の交換、共有を行っているところでございまして、これの得られた情報につきましては、防衛省・自衛隊のメンタルヘルス対策に随時活用しているところでございます。

 また、海上自衛隊におきましては、米海軍主催の各国海軍が参加する国際パワーシンポジウムにおいてメンタルヘルスについての意見交換を実施するとともに、さらに、航空自衛隊におきましては、米国防省主催の心理学関連国際学会へ参加いたしましてメンタルヘルスの最新の知見を学ぶなど、人的交流も通じて、日米の連携の強化を行っているところでございます。

 実戦経験の多い米軍との協力は特に重要だと考えておりまして、引き続き、衛生連絡員を通じた情報収集や、学会に参加する等、防衛省・自衛隊のメンタルヘルス施策を推進してまいりたいと考えております。

太委員 どうもありがとうございました。是非とも、この点を日米防衛協力の一つとして引き続き進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次になるんですが、先ほども御指摘がありました、自衛隊としても、様々、部外カウンセラーの活用等を行っているということなんですが、二〇二一年、当時の岸防衛大臣が実際にカウンセリング体験を行い、その感想を防衛省のホームページ等で広報していました。大臣や自衛隊の幹部らが、上官らがカウンセリングを積極的に受けていることを隊員たちにPRすることというのは、心理的な抵抗感を低減する上でも大変重要だと考えておりますが、自衛隊におけるカウンセリングの利用拡大に向けた取組ということを、広報も含めて教えていただけますか。よろしくお願いいたします。

鈴木政府参考人 済みません、先ほどの答弁で言い間違えましたので、訂正させていただきます。

 先ほど、米国に衛生連絡員と申しましたが、正しくは米国に衛生連絡官ですので、済みません、訂正させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

町田政府参考人 カウンセリングの利用拡大に向けた取組につきましてお答えさせていただきます。

 防衛省・自衛隊では、隊員の自殺事故防止のため、カウンセリング体制の充実強化、カウンセリングの利用啓発などの対策を行うために、令和四年四月に、防衛省のメンタルヘルスに関する基本方針を策定し、基本的方向性を示しております。

 具体的には、カウンセリングに対する心理的な抵抗を低減させる、これを目的といたしまして、陸海空各自衛隊の現場部隊の隊員、これは、健康状態に問題がない隊員を含め、多くの隊員にカウンセリングの体験をさせるなどの取組を推進しております。また、メンタルヘルス施策強化期間、これを年二回設けまして、隊員の意識を高めるとともに、ポスターによるカウンセラーの周知を行い、現場部隊や各機関等におけるメンタルヘルス施策の一層の推進を図っているところでございます。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き、隊員のストレス軽減や悩みへの適切な対応を行うとともに、隊員がその能力を十分に発揮できるような健全な職場環境の整備に努め、自殺事故防止に全力で取り組んでまいる考えでございます。

太委員 ありがとうございました。

 これは具体的に教えていただきたいんですが、岸前防衛大臣はカウンセリングを受けられたと、浜田防衛大臣もこれを受けられる御予定なのか、そこを教えてください。お願いいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 具体的な日程について浜田防衛大臣室と調整し、進めるというふうにしております。

太委員 是非とも調整して、隊員がまさにカウンセリングを受けやすい環境を進めるためにも是非とも進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今、自衛隊の問題、いろいろとお話しさせていただきました。自衛隊は、まさに最近のセクハラ、パワハラ問題もありましたが、やはり実力組織として、どうしても組織としての閉鎖性というか、閉ざされた組織の特徴、何よりも規律の維持や任務の実効性確保というのが強く求められる以上、様々、組織の風土としていろいろあると思っております。

 そういった中で、ではこれからどういった形で自衛隊の孤独・孤立対策を進めていくのか、その点に関して小倉大臣に御見解をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小倉国務大臣 今、太委員と防衛省とのやり取りがございました。自衛隊ならではの様々な特殊要因の下で心身の不調を来す可能性があるというのは私どもも認識しておりますし、だからこそ、防衛省・自衛隊におけるメンタルヘルスの取組の必要性も十分認識をしており、孤独・孤立対策としてもこれまで進めてきたところでございます。

 例えば、具体的には、政府の孤独・孤立対策の今の重点計画におきましても、具体的な施策として、防衛省・自衛隊におけるカウンセリング・相談体制の充実、防衛省・自衛隊におけるメンタルヘルス教育の強化を盛り込んでおります。

 引き続き、防衛省と連携をして、こうした取組を前に進めてまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございました。

 是非ともこの問題、先ほども言いましたが、我が国のまさに防衛力の人的な基盤をしっかりと支える隊員の皆さんの心身の健康というのは非常に大事だと思っておりますので、その点、取組を進めていただきたいと思っています。

 これは冒頭でも聞きましたが、このカウンセリングの問題、ここは、アメリカの研究等を見ていても、やはり米軍の中でも、どうしても軍隊、軍人の人たちは、カウンセリングを受けることを、アメリカでも、隊員たちの中では、心の問題を抱えること自体が弱さ、一種の弱さの表れだと見られることは何とか避けたいという考えだったり、あるいは人事上不利になるということで、なかなか進まないというのが現状だと思いますので、そういった懸念を何とか乗り越えて、防衛省の方でもカウンセリングを進めて、利用が拡大できるように何とか進めていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に移ります。次は、子供の孤独・孤立対策に関してお伺いいたします。

 昨年の自殺者数がまた増えたという中で、特に懸念されているのが小中高校生の自殺者数が五百十四名、五百名を超えた。まさにこれは社会の異常事態ですし、緊急事態だというふうに思っています。

 子供の自殺者数に対する小倉大臣の見解を教えてください。お願いいたします。

小倉国務大臣 まず、子供が自ら命を絶つことは絶対にあってはならないことだと認識しております。

 令和四年の児童生徒の自殺者数が五百十四名と過去最悪となってしまいました。自殺者数の増加は孤独、孤立も要因の一つであると考えておりまして、このような状況を重く受け止めております。

 また、先般、超党派の自殺対策を推進する議員の会が、総理に対し、自殺の危機から子供の命を守るための緊急要望を申し入れたと承知をしております。

 こうした状況を踏まえまして、私が担当大臣を務めるこども家庭庁に、子供の自殺対策に関する事務を担当する室を新たに設置をし、警察庁、文科省、厚労省などの関係省庁と連携して、子供の自殺対策に取り組むことともいたしました。

 孤独・孤立対策を推進する観点からも、引き続き、子供の自殺対策の取組を進めてまいりたいと考えています。

太委員 大臣、ありがとうございました。

 それでは、今回の法案では、基本理念で、孤独、孤立の状態は人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会のあらゆる分野において孤独・孤立対策の推進を図ることだと言っておりますが、この法案で子供の孤立対策にどのような役割を果たすのか、そこを具体的に、大臣、教えてください。お願いいたします。

小倉国務大臣 孤独、孤立というのは、当事者、家族等が置かれている状況、具体的な状況により様々でございます。同様に、子供についても様々な事情やニーズがあると考えております。

 具体的にこの法案でどう変わるのかという点でありますけれども、今回の法案では、当事者等への支援に関わる関係者の連携、協働の促進について規定し、孤独・孤立対策に関わる官民の幅広い関係機関等が参画し、それぞれが対等に相互につながる水平型連携の下で孤独・孤立対策の効果的な施策を推進する基盤となるプラットフォームの構築を推進することとしております。

 これによりまして孤独・孤立対策に関わる様々な主体が有機的に連携、協働することで、孤独、孤立の問題を抱える子供たちが信頼できる他者とのつながりを築くことができる環境づくりがより進むものと考えております。

太委員 大臣、先ほどもお答えになりました、こども家庭庁、ここもまた連携してやっていくという中で、自殺対策の担当室に言及されました。

 それでは、この人員規模に関して、人員規模が発表されています。併任で十名程度と承知していますが、担当室の人員規模を確認させてください。これは大臣じゃなくても。お願いいたします。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御紹介ございました、こども家庭庁に発足といいましょうか設置をいたしました自殺対策に関する事務を担当する室でございますけれども、今し方先生から御指摘ございましたように、支援局の総務課長を含め十名でございます。

太委員 支援課長を含め、併任でということで十名ということなんですが、これはやはり少ないと思います。

 そういった意味で、ポーズだけで終わらせずに、ちゃんと内実を伴わせていただきたいと思っておりますが、小倉大臣としては、今後、この人員規模から拡充を行う必要性をどう考えていらっしゃるのかというところ、大臣、教えてください。お願いいたします。

野村政府参考人 恐縮ですが、こども家庭庁のことですので、こども家庭庁の審議官としてお答え申し上げます。

 先ほど先生からも御指摘ございましたように、児童生徒の自殺者数が令和四年は五百十四人となっているということで、子供が自ら命を絶つようなことがないような社会づくりを進めていくことが必要ではないかということで、今回、先ほど御答弁申し上げたような事務を担当する室というのを新たに設置をしたところでございます。

 今後、警察庁、文科省、厚労省など関係省庁と連携して対策に取り組んでいくということになってまいりますが、今し方御指摘ございました、こういった人員規模や予算の拡充につきましてでございますが、今後、必要に応じて検討してまいりたいと思います。

 まずは、対策、どういったことを講じていくのか、進めながら考えていきたいと思いますが、いずれにいたしましても、子供政策の司令塔であるこども家庭庁といたしましても、子供の自殺対策にしっかり取り組めるように考えてまいりたいと思っております。

太委員 大臣もいらっしゃいますが、是非ともこの問題、早急に対処していただきたいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 次に移ります。

 政策目標の策定及び施策評価の在り方に関して、これは先日の本会議でも質問させていただきました。ですが、先日の本会議では、孤独・孤立対策における政策評価の在り方、EBPMの必要性に言及をさせていただきましたが、残念ながら、これまでEBPMの推進に御尽力されてきた小倉大臣からは具体的な言及がありませんでした。

 それで、ここでちょっとお伺いしたいのが、一般論として大臣に御見解をお聞かせいただきたいんですが、政府の政策、施策全般におけるEBPMの推進の重要性をどのように認識しているのか、この点、教えてください。

小倉国務大臣 当然、孤独・孤立対策におきましてもEBPMの視点というのが大切だと思っておりますし、より広く政府の政策、施策全般にというお問合せでございました。

 当然、EBPMの推進といいますのは、より限られた予算で実効性のある施策を打つためにも、あるいは国民の皆様方にその政策の必要性や有効性を御理解いただくためにも欠かせない取組だと思っておりますので、やはり政府の政策、施策全般におきましてもEBPMの推進というのは非常に重要であると考えております。

太委員 ありがとうございました。明確に御見解を述べていただきまして、ありがとうございました。

 それでは、その上で、十八日の本会議で、小倉大臣は、孤独、孤立の問題を抱える当事者などの状況が様々であり、定量的な効果測定は難しい面があると考えている、また、これは先ほども質疑がありましたが、孤独・孤立対策の評価指標は今後検討が必要な課題であり、引き続き検討すると、先ほど来も発言されております。

 それでは、今回の法案の実効性を高める上で、目標設定というのはもちろん極めて重要です。定量的な効果測定は難しい面があると考えている一方で、評価指標は引き続き検討とのことでありますが、どのような検討を進めるのかということで、有識者の声も反映される予定なのか。

 例えば、これは先日、一昨日か、自民党の三谷議員からもありました、兵庫県立大学の先生方のああいった本当に具体的な分かりやすい指標もある中で、そういったことを具体的にどういうふうに検討されて、いつまでも検討じゃなくて、検討方法があるのか、そういった有識者の声も反映されることなのかというところをお答えください。

小倉国務大臣 先ほども申し上げたように、EBPMの推進、それ自体は、孤独・孤立対策においても大事にしなければいけない、そういう視点だと思っております。

 実際に、既に、令和四年に行いました実態把握に関する全国調査によりますれば、孤独感に関する直接質問への回答について、年齢階級別に見ますと、孤独感がしばしば、常にあると回答した人の割合が三十歳代や二十歳代の若い世代で高く、次いで五十歳代や四十歳代の中高年でも孤独感が高い人が一定程度いることがうかがえ、とりわけ男性では、三十代のみならず五十代でも高いことなどが明らかになってきております。

 こうした実態調査結果を踏まえて、例えば、ゲートキーパーの養成等の充実といった、若い世代を含む身近な相手と相談できるような取組の推進など、関係府省の施策を含め、孤独・孤立対策の施策を総合的に実施をしているところであります。

 また、より学術的なという意味では、JSTの社会技術研究開発センターにおきまして、社会的孤立、孤独に至る要因やメカニズムの分析を踏まえた予防の観点からの社会的仕組みの創出に資する研究開発が開始をされております。内閣官房といたしましても、この研究に関するJSTとの情報交換を行っているところであります。

 重点計画の基本方針にも記載のとおり、孤独、孤立に関する実態把握と併せて、孤独、孤立に関連するデータや学術研究の蓄積、整備の推進に努め、これらを基に孤独・孤立対策における各種施策を効果的に推進をしていきたい、このように考えております。

太委員 大臣、ありがとうございました。どうか引き続きの取組をよろしくお願いいたします。

 時間がなくなりましたので、次に移りたいと思います。在外邦人の孤独・孤立対策についてお伺いいたします。

 私は、外務委員会などでも、在外邦人などの保護、また、旅券法審議などで度々、在外邦人に関する問題を扱ってきました。

 外務省は、在外邦人の保護、支援は外務省の最も重要な責務の一つであり、生活環境が日本とは異なるなどの事情で孤独、孤立の状態に陥りやすいと答弁をしてきていますが、実際に、近年の在外邦人の亡くなる死亡理由は自殺が二番目に多い、こういった状況です。

 外務省として在外邦人の孤独・孤立対策の重要性をどのように認識しているのか、この点、教えてください。お願いいたします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 在外邦人は、言語や文化、生活環境が日本とは異なるなどの事情により孤独、孤立状態に陥りやすい環境にあると考えられます。

 外務省としては、各在外公館の領事自身が在外邦人からの個別の相談に応じるなど、問題の解決に向けて取り組んでおります。

 また、外務省は、在外公館に派遣している医務官が電話などで相談を受け、現地医療機関についての情報提供や適切な医療を受けるための支援を行ってきているほか、相談件数が多いロンドン、パリ、ソウル、シドニーの四公館では日本語で診療が可能な精神科専門医と顧問医契約を結び、必要に応じて在外邦人の支援を行っております。

 また、外務省としては、政府の孤独・孤立対策の重点計画において明記しているとおり、在外邦人の孤独、孤立の実態調査を今後実施することとしており、実態に即した在外邦人保護の実施に努めていく考えであります。

 在外邦人の保護、支援は外務省の最も重要な責務の一つであり、外務省としては、悩みを抱える在外邦人の方々に寄り添い、きめ細やかな支援に取り組んでまいりたいと考えております。

太委員 ありがとうございました。

 それでは、在外公館とNPOなどとの孤独・孤立対策に関する連携実績に関して教えてください。

 外務省は、在外邦人からの相談を受けているNPOとの間で緊急連絡体制を構築して、在外邦人から寄せられる相談内容が深刻かつ緊急に対応すべきと判断された場合に備えているというふうに承知しておりますが、二〇二一年に取り組み始めてから今まで、どの程度の連携実績があるか、この点を教えてください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、外務省は、二〇二一年七月、SNSなどで在外邦人からの相談を受け付けている国内五つのNPOと連携した取組を開始いたしました。

 具体的には、在外邦人の方々に対し、外務省の海外安全ホームページ、在外公館のホームページや領事メールなどを通じて、NPOを広く紹介し、在外邦人の方々がNPOにチャットやSNSを通じて直接相談することを支援しております。

 また、在外邦人からNPOに寄せられている相談内容が深刻かつ緊急に対応すべきと判断される場合に備えて、NPOと外務省との間に緊急連絡体制を確立し、これまで、具体的な事案について連携して対応してきております。

 外務省としては、在外邦人から寄せられる相談内容にきめ細かく対応していくためには、相談対応の最前線に立つNPOの活動と緊密に連携することが重要と考えており、引き続き、NPOと連携し、取組を進めてまいりたいと考えております。

太委員 分かりました。

 その上でお伺いしたいのですが、緊急連絡回線を使用する、相談内容が深刻かつ緊急に対応すべきと判断された場合とは、先ほどおっしゃった緊急連絡体制を構築している五つのNPOが個別に判断するのか、NPO間で共通のガイドラインのようなものを作成して判断しているのか、この点、教えてください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 相談内容は多岐にわたっておりまして、一人一人が個別の事情を抱えておりますので、個別の判断、そのときに合わせた個別具体的な判断になるかと考えております。

太委員 ちょっとよく分からなかったんですけれども。NPOが個別でやっているかどうかというところだったんですが、ここは是非とも緊密に連携をしながら取組を進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最後に、在外の日本人会、商工会議所、また日系人団体などの在外邦人のコミュニティー活性化に向けた外務省の支援に関してなんですが、このコロナ禍で、二〇二二年三月までは、在外邦人に対して医療及び精神カウンセリングの提供事業も実施されてきたと思います。今はこれは終わっているんでしょうかね。それで、外務省として、医療、精神カウンセリングの提供事業にとどまらず、在外の日本コミュニティーの活性化に向けて更なる支援をどういった形で行う考えであるのか、その点、最後に教えてください。お願いいたします。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 在外邦人の孤独、孤立問題に対応する上で、海外の日本人会を始めとした在外邦人コミュニティーとの連携は重要であります。

 この観点から、在外公館は、日本人会などを通じて、外務省と連携した五つのNPOを在外邦人に対し広く周知し、孤独・孤立対策の支援を行っております。また、在外公館が日本人会等に対して実施する安全対策連絡協議会などの場で、孤独、孤立問題について説明するなど、在外邦人へのきめ細やかな周知啓発に努めているところでございます。

太委員 対応等教えていただきまして、ありがとうございました。

 どうか引き続き、在外の日本コミュニティーの活性化に向けても、この点、支援を、取組を進めていただきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

神田(憲)委員長代理 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 よろしくお願いいたします。

 十二時をまたいでということで、何かワーク・ライフ・バランスに悪いなと思いながら、質問をさせていただきます。

 孤独・孤立対策推進法ということですが、孤独、孤立という言葉をつなげて、皆さん方、使っておられますが、私の理解では、孤独と孤立というのは全く別物であると認識をいたしております。

 法令用語で調べておりますと、孤独というのは法令用語としては初であります。そして、孤立という用語はたくさんありますが、そのうちの半分ぐらいは、絶海の孤島みたいな、離島振興法みたいなもので出てくるのが孤立であり、それ以外にも、社会福祉法とか犯罪被害者等基本法とかで孤立という表現が出てきます。今回、そういう中、孤独、孤立ということで出てまいりました。

 それぞれの言葉の定義をお伺いしたいと思います。山本室長。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、孤独は主観的概念であり、独りぼっちと感じる精神的な状態を指し、寂しいことという感情を含めて用いられることがございます。他方、孤立は客観的概念であり、社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指していると考えております。

緒方委員 そうなんですね。大臣の所掌事項、孤独・孤立担当大臣の英訳を見てみましたら、孤独の方はロンリネスとなっていました。そして、孤立はアイソレーションということになっています。今、室長からも答弁ありましたとおり、孤独は感情であり、孤立は置かれている客観的な状態だと。この法律は、孤独、孤立そのものに対応するというよりも、孤独、孤立によって心身に有害な影響を受けている状態に対応するものであります。そういうことですね。

 これを踏まえると、孤独を一切感じていない孤立状態で心身に有害な影響が出る可能性ってあるのかなと私は思うんですけれども、山本室長、いかがでしょう。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、孤立している方、これは困難に至ったときに必要な支援や有益な情報へのアクセスがしづらいという問題がございます。したがって、今何か問題を抱えておられるときに、例えばちょっと心の問題があるといったような方についても、人とのつながりが遮断されていることによって、その方が支援を受ける有益なサービス情報にきちんとつながっていかないという問題がございます。

 そういう、アクセスがしづらくなるといったような様々な問題がございますので、孤独を覚えていない孤立にある方についても、本法案の対象にして支援をしていく必要があると考えております。

緒方委員 今、何か矛盾しましたよね。矛盾していましたよ。

 私が聞いたのは、孤独を一切感じていない孤立状態と。今、アクセスが得づらくて非常に難しい状態にあることを自分で感じているわけですから、その人は孤独を感じているわけです。

 私が聞きたいのは、孤独を一切感じていない孤立状態で心身に有害な影響が出るというのは、具体例を挙げてくださいと聞いているんです。室長。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 具体例というのは、今申し上げたとおりなんですけれども、私ども、どういう議論をしてきたか御紹介をさせていただきたいと思います。

 今回、孤独、孤立の概念というのは、現行の重点計画を検討する際にも、どういう概念整理をしたらいいかということを検討してきたわけでございます。そこで、先ほど、孤独は主観的概念、孤立は客観的概念というふうに申し上げているんですけれども、この二つは様々なケースがあるわけでございます。

 例えば、社会とのつながりが少なく孤立しており、不安や悩み、寂しさを抱えて孤独である場合があります。また、社会とのつながりが一定程度あり孤立していないんですけれども、不安や悩みがあるというのがございます。また、社会とのつながりが少なく孤立しているけれども、不安や悩み、寂しさを抱えていないため孤独でない場合もあります。ただし、その場合でも、家族など周りの方が困難を抱えている場合も想定されております。

 したがって、私どもとしては、この孤独、孤立に関して、当事者や家族等が置かれる具体的な状況は多岐にわたって、感じ方、捉え方も多様でありますので、孤独、孤立双方を一体として捉えまして、当事者等の状況に応じて多様なアプローチ、手法により対応していくということで考えているところでございます。

緒方委員 今聞いたものの中の大半は、孤独があるケースです。今聞いたものの大半は孤独があるケースであって、今私がずっと聞いた中で、本人が孤独がなくて孤立しているんだけれども対応しなきゃいけないというのは、家族が心配しているケースだけですよ、今聞いた中で。それだけですか。

 もう一度聞きます。

 孤独を本人が一切感じていないのに孤立状態にある、そういう人はいますよ。一人でずっと孤立しているんだけれども全然本人は孤独を感じていない人は世の中にいるわけであって、例えば、某テレビ番組で、ちょっと一軒家の中に住んでいる方とか、ああいう方は全然、孤立しているけれども孤独には感じていないわけですよ。

 そう考えたときに、孤立と孤独を分けているわけですから、私、何が言いたいかというと、結局、孤独に帰結するんじゃないですかということを聞いているんです。結局、孤立と孤独を分けているけれども、孤独を感じていない孤立しているだけの人というのは、そもそも心身に有害な影響を負わないと思うんですよね。負わないんですよ。

 そうすると、孤立していて、かつ、孤独を感じている人だけに対応するということだけなのであれば、それは孤独と孤立を分ける必要がなくて、ベン図で書くと、全部、対応しなきゃいけないものは孤独の中に全て含まれるでしょうというふうに聞いているんです。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 私どもとしては、ベン図で描いたときに、完全に孤立というものが孤独の中に含まれるというふうには整理をしていません。それは重なっている部分もあります。

 今回、法律で対象としていますのは、社会から孤立、孤独、又は孤独を覚える、又は社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態にある、その方々への支援とか、あるいはそこに至らないようにするための予防ということでありますけれども、孤立というのは古くから、これは日本でもそうですし、英国でもそうなんですけれども、いろいろな意味で社会資源へのアクセスが難しいということで、本当に政策的には大きな課題であったということでございます。

 孤独という概念が最近注目され始めた。ただ、これは重なっている場合もありますし、捉え方も異なりますので、これを完全に分けてやりますと、こぼれ落ちちゃう方がいらっしゃいますので、先ほど申し上げたような整理をさせていただいております。

緒方委員 私、別に孤独と孤立がベン図の中で含まれると言っていなくて、心身に有害な影響を与えるとか、この法律で対応しなきゃいけないものということで聞いているんです。

 もう一度聞きます。具体例を挙げてください。孤独を一切感じていない孤立状態で心身に有害な影響が出るという、そのケースはどういうことがあるか。もう一度言いますよ。孤独を感じていない孤立で心身に有害な影響が出るんですよ。何だと思いますか。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 例えば、一つ事例を挙げさせていただきたいと思いますけれども、孤独を感じていませんけれども、他と、他の方々、社会資源から孤立していることによって、一人でいらっしゃることによって、例えば認知症が進んでいく、悪化していく、それは一つの事例だと思います。

緒方委員 それだけですか。ほかに何かもう少しないですか。一人でほっておいたら認知症になるという人に対応するために、これは孤立と書いてあるんですか。何かちょっと今ぴんとこなかったんですけれども。室長。

山本政府参考人 一例として挙げさせていただいたわけでございますけれども、この法案でも規定しておりますように、この問題というのは、人生のあらゆる段階において誰でも起こり得る、いろいろなきっかけで起こり得ますので、一番典型的な分かりやすい事例として、認知症の悪化といったようなものを挙げさせていただいた次第でございます。

緒方委員 けれども、基本的に、私、思うんですよ。英国の大臣も、別にアイソレーションに対応する大臣ではないわけですよ、所掌が。ミニスター・イン・チャージ・オブ・ロンリネスか何かだったと思いますけれども、基本的にロンリネスなわけであって、アイソレーションに対応するようなことを想定していないんじゃないかと思うんですよね。

 基本的に、孤立と言っているけれども、孤立の裏に、よほど限界的なケースでない限りは必ず孤独が入っている。それに対する対応だからやらなきゃいけないということじゃないかというふうに思うんですけれども、最後、大臣。

小倉国務大臣 緒方議員の御自説、大変興味深く拝聴させていただきました。

 私なりの整理でありますけれども、幾つか孤立を設けている理由があると思います。

 まず第一に、稲富委員のときに申し上げたように、例えばイギリスでも、社会的なつながりが弱いと、これは内心関係なく、一日十五本の喫煙と同程度、私、たばこを吸わないので、どれぐらいの悪影響か分かりませんが、それ相当の健康への悪影響がある、いわゆる社会的孤立そのものが体に影響を与えるとの研究があり、実際にイギリスも、孤独担当とは名のりつつも、社会的な孤立の対策についても同大臣がやっているというふうに伺っております。

 あともう一つは、やはり孤立で孤独を感じていなくても、孤独を感じていなくても、それは、緒方委員いわく、その時点で孤独を感じているじゃないかというふうにおっしゃるかもしれませんが、ただ、孤独を感じていたとしても、それを孤独と認めないとか、孤独ということにためらいが生じているという、そういった方もいらっしゃると思います。だからこそ、孤独を感じていない孤立状態の方に対しても、いつ何どき、声を上げられるような、そういう環境整備もしっかりやっていかなきゃいけないんだろうと思います。

 三点目は、実態調査をやっておりますけれども、実態調査もいろいろな手法がございます。孤独を把握をするために、実際に、その人の気持ちを答えてもらう調査もあれば、孤立状態をしっかりと調べることによって、内心の孤独の近似値を得るような調査もあります。そういう意味では、実態把握をする上でも、孤独だけに限るのではなくて、やはり孤立の観点も大切にしながら、実態把握も努めていかなければいけないと思います。

 いずれにしても、緒方委員おっしゃるように、漠然と孤独、孤立というのではなくて、ここで言う孤立の状態がいかなるものかということを、きっちりと私どもがわきまえた上で、その対象者を把握をして、適切な政策を打っていかなければいけないというふうなことは、議論をお伺いしていて感じたところでございます。

緒方委員 それでは、質問を移したいと思います。

 この法律と他の法律との兼ね合いということについてお伺いしたいと思います。

 この法律で、これからできる内閣府の所掌事項の中に、孤独・孤立対策の推進に関する事務のうち他省の所掌に属しないものの企画立案並びに実施に関することと。つまり、他省に属するものは内閣府ではやらないわけですよね。では、他省に属するものは何ですかと昨日聞きましたら、答えは、自殺対策、刑務所出所者等への支援、引きこもり支援、不登校児童生徒への支援ということがございました。しかし、これは等がついていたんですね。

 山本室長にお伺いしたいと思います。それ以外に何があるんですか。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 基本的には、重点計画の中の関連施策というところで整理をしているものですけれども、今御紹介いただかなかったものの中で幾つか御紹介をさせていただきますと、生活困窮者等支援、それからフードバンク支援、食育の推進、子供の居場所づくり、住まいの支援でございます。

緒方委員 それだけ他省の所掌に属するものがある中、内閣府に何が残るんですか。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 内閣府の事務は、いわゆる内閣補助事務と分担管理事務、二つに分かれますけれども、分担管理事務の方で何が考えられるかというのを申し上げますと、まず一つには、この法律に基づく重点計画の策定、そのほか、実態調査をしていくといったような事務、また、その実態調査の結果を踏まえて、今、内閣官房の方で、NPO支援とか地方公共団体支援をモデル的に調査費という形で実施をしておりますけれども、それが本格実施になる暁には、そうしたものの事務事業というものが入ってくると考えております。

緒方委員 室長、答弁を間違えておりまして、重点計画の話は項が違います。重点計画は重点計画であるんだけれども、そうじゃなくて、具体的な事務のうち、他省の所掌に属しないものの企画立案及び実施に関することと書いてあるので、その中で、先ほど言った自殺対策だ何だというのを全部、がさっと落とした上で内閣府に残るものの企画立案及び実施に関すること、それは何ですかということを聞いているんです。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、現在の内閣府の中の部局で、孤独・孤立対策として関連する施策を所掌している部局としては、DV法を所管する男女共同参画局や、就職氷河期世代支援を行う政策統括官組織などの部局があります。ここで取り組んでいるこれらの事業が関係してくると思います。

緒方委員 孤独・孤立対策というのは、所掌事項上は切り分けられているわけですよね、今言ったDVとか男女共同参画とか。それが新しく入ってくる所掌事項の中に入ってくると、何か今、室長、矛盾したことを言いましたよ。

 室長、この孤独・孤立対策の中で、他省の所掌に属しないものというので何がありますかと言ったら、内閣府の全然別の所掌事項を挙げたわけですよ。間違っていますよ。もう一度。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 ちょっと質問の取り違えをしておりまして、大変申し訳ございませんでした。

 他省の所掌に属しないものとして挙げられるものは、先ほどお答えさせていただきましたように、実態調査を実施をするといったようなことであるとか、あるいは、現在、国のレベルで官民連携プラットフォームの形成をしまして、一年以上前から活動を進めておりますけれども、その運営でございますとか、また、地方公共団体におきましても同様に官民連携基盤をつくっていただくということを進めておりますので、そちらの事務などが入ってくるかというふうに考えてございます。

緒方委員 それぐらいなんですね。

 実態調査とプラットフォームと地方自治体の関係ということですか。もう一度、確認ですけれども。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 私ども、孤独・孤立対策におきましては、これは、行政だけではなくて多様な民間団体との連携、協働が大変重要だと考えてございます。先ほど来、別の先生方からも御質問いただいたところでございます。そのために、官民連携プラットフォームをつくりまして、そこで具体的に取組の対話をしながら構築をしている。

 何となれば、他省庁で取り扱っている施策というのは、どちらかといいますと課題解決型支援である。ある特定の問題が生じている方に、言ってみればちょっと選別主義というような形で、そこに支援を重点的に投入していくという施策体系であるのに対して、孤独・孤立対策というのは、そこに行くまでの日常生活場面におけるつながりをどのように緩やかにつくっていくか、そこをどうやって支援をしていくか、それを行政と多様な民間団体とが連携して構築していく、そういう政策スタイルを取りますので、この点は大変重要であるというふうに私ども考えております。

緒方委員 他省庁がやっていることを選別型と言い切るのって失礼だと思いますよ、あなた。それはさすがにない。厚生労働省とかいろいろ、多分、厚生労働省出身だと思いますけれども、いや、ちょっと失礼じゃないですかね。

 小倉大臣にお伺いしたい。他省庁のやっている業務というのは選別型だというふうに思いますか。

小倉国務大臣 選別型という表現が正しいかどうかは別として、他省庁がやられている事業というのは、特定の層を意識をして、リスクベースでターゲットを絞り、より実効性の上がるような事業を実施されているのに対して、我々は、ターゲットベースで、支援が十分に行き渡らない、そういった方々に対してもより広範囲で支援をしていく、そういう意味だと理解をしております。

緒方委員 ただ、新しい所掌事項を見る限り、内閣府がやるというのは、重点計画の策定と、そして他省庁がやらない事項、これだけが所掌事項として書き込まれるわけですよね。

 山本室長にお伺いしたい。総合調整をやられるということですが、何をやられるんですか。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに、総合調整事務というのは内閣補助事務でございまして、各省を通じて政策の統一性を図るために企画立案、調整をしていくということでございます。

 具体的には、孤独、孤立の実態調査の結果が出ますので、その結果を踏まえて、その結果を共有しながら、各省において取り組んでいただくことについて働きかけをしていくということが考えられます。

 以上でございます。

緒方委員 室長の言われる総合調整というのは、調査をして働きかけをするというのが、それが総合調整ということですか。もう一回。

山本政府参考人 調査結果によって、孤独、孤立問題の特にどういった点に課題があるのかというのを、それぞれの、全省庁で共有をいたしまして、恐らくこれは一つの省庁だけでは解決できないことが多いと思いますので、連携して、どういうそれぞれの施策の改善をしていくかということを調整して、話し合って、その実現に向けて働きかけていく、これが総合調整だというふうに考えております。

緒方委員 それでは、他省でなく、内閣府内部の他の部局がやっている事業で、孤独、孤立に対応しているものがあるんじゃないかと思います。先ほど、小倉大臣、こども家庭庁で子供の自殺対策ということを言われたりしていました。それ以外でも、小倉大臣が担当しているものの中に障害者の施策とかこども家庭庁の関係の施策とかがあって、結局、内閣府の中でも実は重複する事務があるのではないかというふうに思うんです。

 内閣府の中で、それぞれ総合調整でやっているものの中で、孤独、孤立と重複している事務があるんじゃないかと思いますけれども、山本室長、いかがでしょう。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の中でという御質問でございます。

 先ほどお答えしましたように、孤独・孤立対策に関連する事業としては、例えば、DV被害者支援といったようなものもありますし、就職氷河期の方々への支援といったようなものもあります。そういうところは少し重なってくるところはあるかと思いますけれども、そこらは内閣府に事務を移すときにどういった形で府内の事務を調整していくかということであろうかというふうに思っております。

緒方委員 内閣府設置法の中に所掌事項の追加があるわけですから、それぞれが権限を持つことになるわけですよね。

 今、室長の話であると、内閣府で新しい権限をつくるときに、既存の内閣府の権限との調整は現時点ではされていないということですね。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 現時点では、法律事項についての検討を行っておりますので、まさに内閣府設置法の改正を盛り込ませていただいているところでございます。これは、内閣府と他省庁の所管する業務とを切り分けていく、明確にしていくというところでございます。

 今後は、法律がもし成立するということになりましたら、内閣府内における所管業務との連携、あるいは必要に応じ見直しということが出てくるのであれば、それは法律以下の下位法令における、例えば内閣府本府組織令をどのようにしていくかということを施行までに検討していくということであろうというふうに思っております。

緒方委員 現時点で何の調整もしていないということですね。これからということですね。もう一回確認ですけれども。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 調整をしていないというよりも、分担管理事務の中の、私どもが新しい組織に期待しているというか想定している業務としては、今私どもが試行と言ってみたり、モデル構築の調査と言っているようなものを本格的に実施をさせるというところが一番の狙いだろうと思っておりますので、それは非常に大きな業務というふうになると考えてございます。

緒方委員 全然答えになっていないんですけれども。

 この法律が通ることによって、内閣府は業務が純増だという理解でよろしいですか。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まさに内閣官房で行ってきた業務を内閣府の方に移します。内閣官房の方は、そういう意味では縮小といいますか、この事務はなくなるわけでございますけれども、内閣府の方に新しい事務が出てきますので、その分については純増ということになります。

 ただし、内閣府の中でどういう組織立てをしていくかというのは、今後施行までに検討していくということになると思います。

緒方委員 調整をつけずに内閣府の業務が純増していくということですね。

 結局、私、何が言いたかったかというと、屋上屋を架しているんじゃないかということを言いたかったんですね。内閣府のやれることというのは極めて限定的だし、しかも、内閣官房と内閣府はスリム化しましょうというスリム化法が二〇一五年に通っている。そういう中で、こういう屋上屋を架すようなことをどんどん積み重ねてきたから、今、内閣府とか内閣官房って訳の分からない組織になっているわけですよ。

 何でもかんでもこういうふうに内閣府とか内閣官房とかにばんばんばんばん持ち込むんじゃなくて、これは思うんですけれども、例えばですけれども、厚生労働省の、厚生労働大臣の総合調整権限の中でやれなかったのかなというふうに思いますけれども、これはどちらに答えていただけますか。政務にお答えいただきたいと思いますけれども。

小倉国務大臣 確かに、緒方委員おっしゃるように、行政の肥大化につながってはいけないと思います。

 ただ、孤独・孤立対策担当大臣が任命をされてからこの二年、様々な取組を続けてまいりました。官民連携プラットフォームの設置、重点計画の策定、相談ダイヤルの設置、こういったものは多くの方に御評価をいただいたと思います。だからこそ、この体制をより安定的、継続的に施策も含めて実施をしていくために、今回、法案を提出をしたわけでございます。なので、内閣府にそういった業務を集約をして更に体制を強化をしつつ、継続的、安定的に実施をするための環境整備をしていくことは、私は必要ではないかと思います。

 他方で、厚労省に移せばいいじゃないかという話でございます。

 厚労省も、今、事務が大変肥大化をしていて大変なので、内閣府がいいのか厚労省がいいのかという話もございますけれども、私どもの考えといたしましては、やはり厚労省で福祉的なアプローチからやるよりも、むしろNPOを含めた民間団体とより広く連携をしながら予防を含めて孤独・孤立対策を行うことこそが孤独・孤立対策の意義であると思っておりますので、そういったことを考えると、厚労省よりも内閣府に持ってきた方が適当ではないかと判断した次第であります。

緒方委員 そんなこと言っていたら、複数の省庁にまたがるものは全部内閣府に来ますよ。そうしないために、内閣府、内閣官房のスリム化法で、各省の大臣にバスケットクローズとして総合調整の権限を出しているわけですよね。今の発言を全部真に受けるのであれば、少しでも省庁間の権限争いとかに当たるものは全部内閣府に持ち込まれることになって非常に危険だというふうに思います。これは指摘だけに留めさせていただきます。

 続きまして、地方自治体の負担増ということについてお伺いしたいと思います。

 昨年度、令和四年度の骨太方針では、全国知事会から、国から計画を作れ、計画を作れ、基本計画を作れとばかり言われて負担が重いとずっと言われていて、計画の新設を抑制するという方針が地方分権の中で決まりました。この法律でも計画は求めていないんですよね、地方自治体に。ただし、地域協議会を努力義務として求めている。

 これは内閣府の官房長にお伺いしたいと思いますが、地域協議会とか、これも実際には地方の負担増だと思うんですけれども、これは骨太での抑制対象ではないんでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、骨太の方針の中で、地方の計画が地方の負担になっているのではないかという御指摘でございますけれども、あのときの御議論でいえば、やはり、市町村まで含めれば千七百幾つございまして、小さな自治体にとっては非常に大きな負担であったということなので、所要の対策を取れという御指摘であったというふうに理解をしております。

 今回の協議会の設置も、確かにそういう面がないとは言いませんけれども、既に地元でもそういうプラットフォーム的なものがあるとか、やはりそういうことが政策的に有用であるとか、そういう趣旨で、今回、努力義務でございますけれども、このような形になっているものと理解しております。

緒方委員 協議会設置を努力義務で法定化する手法というのは、骨太方針の迂回措置として使われているんじゃないかというふうに思ったりするわけですけれども、山本室長、いかがでしょう。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 この地域協議会、なぜ設置をするかということでございますけれども、これは骨太方針の迂回ということではなく、まさに今現場で抱える課題というのが複合的課題でございますので、これを解決していくためには、やはり複数団体間で個人の情報を共有していかなければ、支援方針も協議はできませんし、支援もできないという状況でございます。

 今、個人情報保護法上の規定によって、なかなか御本人の同意が取れない場合の個人情報共有が難しゅうございますので、これについては地方団体からも、是非ここのところは法的整備についてお願いしたいという要望をいただいておりましたので、そうしたことも踏まえて今回措置をさせていただく次第でございます。

緒方委員 骨太方針のときにどういう議論があったかというと、計画を作るのは努力義務ですからというふうに国から言われたとしても、その計画を作らないと国からお金が下りてこない、場合によっては、役所によっては、計画を作るのは努力義務ですよと言いながら、作った地方自治体をネットで公開するとかそういうことをやられていて、事実上、作らないと国から不利益を受けるというような思いがあるという指摘もこれは実はあったんですね。

 山本室長にお伺いしたい。協議会の設置と、この件に関する将来的な財政措置はリンクしていますか。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 地方公共団体に対する財政措置につきましては、現在内閣官房で行っております地方版プラットフォームに係る調査研究事業の実施状況を踏まえて、地方公共団体の具体的な事務と併せて、財政当局等とも協議しつつ検討していくということでございます。

 したがって、今、この地域協議会と財政支援が直にリンクをしているという状況にはないと思います。今後の検討に委ねられます。

緒方委員 将来的にあり得るということでよろしいですね。室長。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御答弁申し上げた、検討結果次第であるというふうに考えてございます。

緒方委員 結果として、地方協議会をつくらないと金が下りてこないというような事態になるときに、結局、努力義務と書いてあるけれども、各自治体、特に都道府県レベルで、つくらないといけないよねというふうに事実上の強制になる可能性があると思いますけれども、その点、小倉大臣、いかが思われますか。

小倉国務大臣 地方協議会、まさに我々は必要だと思ったからこそ、今回の法案に努力義務とさせていただいたわけであります。

 そういう意味では、地方協議会を設置するに当たってのやはり財政支出も伴いますので、そういった地方自治体をどう応援していくかというのは、今室長からも申し上げたように、財政当局と今後相談をしつつ検討していくことになろうかと思います。

 委員が御懸念をされているのは、計画の場合は、計画にそれぞれの政策が乗っていって、その前段階である計画なかりせば、その後の施策についても財政支援が伴わないという話だと思いますが、我々の場合は、別に協議会がその他の施策の前提になっているわけではございません。別に協議会がなかったとしても、官民連携プラットフォームを通じた様々な支援はあり得るでしょうし、その地域におけるNPO法人に対する支援もあり得るでしょう。

 そういった意味では、委員御懸念の、地方協議会を設置しなければ、あらゆる孤独・孤立対策の施策の財政支援が国から来ないということは、指摘としては当たらないのではないかと考えています。

緒方委員 最後の答弁、しっかりと受け止めさせていただきました。

 それでは、質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

大西委員長 この際、暫時休憩することとし、本会議散会後直ちに委員会を再開します。

    午後零時四十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十一分開議

大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浅野哲君。

浅野委員 お疲れさまでございます。国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、午前に引き続きまして、孤独・孤立対策推進法案に関する質疑を行わせていただきたいと思います。

 私が今日まず最初に取り上げたいのは、支援をする方たちに対する支援でございます。

 まず、大臣に基本的な認識を伺いたいと思っておりますが、政府が孤独・孤立対策を行うに当たっては、孤独、孤立の状態にある者とその家族などだけでなく、その当事者などに対して支援を行う者の立場にも配慮しながら、この支援が継続的に行われるように様々な政府の取組の中で配慮すべきだというふうに思っております。本当に基本的なことなんですが、これに対して大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 孤独・孤立対策の推進に当たっては、孤独、孤立の当事者等への支援を行うNPO等は重要な存在であり、今後、こうした団体の活動に向けた支援を実施していくことが必要と考えております。

 このため、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援につきましては、各年度、継続的に支援を行うこととしており、これに基づき、令和五年度予算では、令和四年度第二次補正予算と合わせて六十億円を超える規模の予算を確保したところであります。

 また、浅野委員御指摘のとおり、NPO等が持続的、安定的に活動していくためには、その活動状況等を踏まえた環境整備に取り組むことも重要です。

 このため、令和五年度予算において、NPO等の活動を熟知した中間支援組織による現場で活躍する中小規模のNPO等に対する運営能力の向上や活動基盤整備のための支援方策を検討するモデル調査を実施することとしております。

 モデル調査の実施状況につきましては、孤独・孤立対策官民連携プラットフォームにも共有し、官民の水平的連携の下で、NPO等の皆様としっかり意見交換を重ねながら、孤独・孤立対策におけるいわゆる支援者支援の在り方を検討していきたいと考えています。

浅野委員 ありがとうございました。

 今、答弁の中でも触れていただきましたけれども、今後、支援をするNPOなどに対する様々な支援も準備、検討していくということで、次の質問では、そこについて、個々の、ちょっと何点か確認をしていきたいと思います。参考人の方にお伺いをしたいと思います。

 まず、今日の資料の一を御覧いただきますと、令和三年八月十一日に、NPO支援組織有志という方々から孤独・孤立対策に関する要望書というのが、政府や様々な政党、政府関係者に提出をされたようでございます。これを私も以前から拝見をしておりまして、今回の法案審議の中では、この要望の内容についても非常に重要な論点が幾つか含まれておりますので、是非、各論になりますけれども、何点か政府の考え方を確認させていただければと思っております。

 まず一点目は、今大臣の答弁の中にもありましたけれども、通告の番号でいうと三つ目になるんですが、小規模なNPOなどが効率的かつ効果的に事務を行えるように、NPOなどを支援する組織からの支援を受けられるような仕組みをつくってほしい、こういう要望がございましたが、これに対して政府が今どんなことを準備、検討しているのか、お聞かせいただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど大臣から答弁をさせていただきました、孤独・孤立対策活動基盤整備モデル事業というものを用意しておりまして、この中で、中間支援組織が、小規模NPO等への運営ノウハウの提供など、非資金的支援を実施することとしております。

浅野委員 非資金的支援ということで、言い方を変えれば、お金を助成するだけでなく、ノウハウやアドバイスですとか、人的な支援を行っていくというふうに理解をしてございます。

 続いて確認したいことですが、一番目と二番目を一緒に確認させていただきたいと思います。

 まず、NPOなどの支援者の皆様、それぞれ大小様々な団体がございます。そして、活動の規模、活動の範囲についても様々ございますが、やはり活動規模に見合った少額補助の仕組みというのをつくってほしいという要望、あるいは、この活動を行う中で、過度な成果主義に陥ることなく、短期的な事業評価のみならず、中長期的な評価をしながら支援を行ってほしい、こういった御要望があるわけでありますが、これに対して政府は今どのように考えているのか、教えていただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 身近な地域に多様なNPO等が存在できるよう、少額の資金助成のニーズがあることは承知しております。このため、令和四年度第二次補正予算を活用した、地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査においては、小学校区を活動エリアとする孤独・孤立対策に取り組む小規模NPO等に対して少額支援、これは上限五十万円でございますが、これを実施することとしております。

 また、孤独、孤立の問題については定量的な効果測定が難しい面もあると考えておりますので、取組プロセス自体も評価対象とする必要もあると認識しております。いずれにしましても、孤独・孤立対策の評価指標は今後検討が必要な課題と考えておりまして、引き続き検討してまいります。

浅野委員 是非、現場のニーズに応じて柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 あと二点だけ確認したいことがございますが、今、小学校区での活動というものも想定されているということでしたが、やはり、小学校区だとか生活圏ごとに孤独・孤立対策を行うNPOなど、こうした支援団体を是非可視化していただいて、困っている方々と支援団体、NPOなどをつなぐための調査、分析、そして情報の発信、これが非常に重要だと思いますし、是非ここを行っていただきたいと思います。

 あわせて、孤独、孤立の状態にある方を含めて、多様な市民が地域のNPOなどに担い手として参加をすること、これが、予防にもつながりますし、多様な担い手の確保にもつながるかと思います。こうした市民の参画を促進するためのボランティアコーディネーションの推進を図っていただきたいと思いますが、この二点について答弁をいただけますでしょうか。

山本政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームのモデル事業において、既に地域のNPO等の可視化に取り組んでいる事例がございます。

 また、孤独・孤立対策活動基盤整備モデル調査において、中間支援組織が、孤独・孤立対策の課題抽出や、地域資源の発掘や、ネットワーク化、見える化に取り組むことができるようにしております。また、ボランティアコーディネーションについても、孤独・孤立対策活動基盤整備モデル調査において、中間支援組織が取り組むことができるたてつけとしたところでございます。

 これらのモデル調査は、中間支援組織のアイデアと力をかりて、地域のNPO等の支援モデルを構築し、孤独・孤立対策の浸透を目指すものでありまして、取組結果についてはしっかりと横展開をしていきたいと考えております。

浅野委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 今、少し細かなことを伺わせていただきましたけれども、次の質問は、今日午前中、早稲田委員も少し触れられていたかと思いますが、NPOなどのような支援者の皆様、支援団体をどう育成していくかということであります。

 やはり育成をするにも財源が必要でございまして、私から本日提案させていただきたいなと思っておりましたが、午前もその議論がございました。今、休眠預金活用制度というのがございます。議員立法として過去に提案されて、今運用がされているものでございますが、この休眠預金を活用した育成支援を考えるべきではないかというふうに思いますし、その立場からまず伺いたいと思います。

 この休眠預金の活用制度は達成すべき目標というのを二つ持っている制度だと認識しておりますので、この達成すべき目標とは何なのかというのをまず政府に確認させていただきたいと思います。また、休眠預金活用制度によって補助される補助金の金額であったり、あるいは事業期間や事業評価の考え方についても併せて伺えればと思います。

小川政府参考人 お答えいたします。

 休眠預金等に係る資金活用の目標でございますが、これは法に基づき定めております基本方針において二つ定めております。一つに、資金の活用により社会の諸課題を解決すること。この諸課題というのは、子供、若者支援ですとか生活困難者支援、あるいは地域活性化等を念頭に置いております。二つに、課題解決のための自律的かつ持続的な仕組みを構築をする。この二点を大きな目標としているところでございます。

 また、御質問いただきました各事項についてでございます。

 まず、助成金額についてでございますが、総額につきましては、活動の進捗に応じて段階的に拡大するということとされております。初年度三十億でございましたが、本年度は七十五億円まで拡大しておるところでございます。また、個々の事業に対する助成額につきましては、大小様々ございますが、概して言えば、数百万から一億円程度まで、こうした助成を行っているところでございます。

 二点目の事業期間でございますけれども、これについては、まとまった金額を助成をする、これによって柔軟な活用が可能となりますように、最長三年間、複数年度にわたる事業を選択可能、このようにしておるところでございます。

 さらに、事業評価につきましては、成果を可視化していただく、こういう観点から、事業活動の成果を定量的、定性的に把握する社会的インパクト評価、この実施を求めておるところでございます。

 こうした特徴を生かしながら、休眠預金活用制度の活用を図ってまいりたいと考えてございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 まさに、この休眠預金というのは、元々国民の皆様が金融機関に収められている資産の中で一定期間以上全く動かなかったものを社会課題解決のために利用させていただくという制度でありますが、今御説明いただいたように、社会課題の解決として、それが継続的に自律的に活動ができるように、活動する方々を育成する目的も持って運用されておりますし、また、最大三年間の事業期間、あるいは事業評価についても社会的インパクト評価を導入をしているということで、私としては、これは国民の皆様の預金ですから無駄に使うわけにはいかないんですけれども、孤独、孤立に悩んでいる方々、言い方を変えれば、国民のために、それを支える担い手を育成するという目的であれば、私はやはりこの休眠預金の活用というのも一つの手段ではないかというふうに考えております。

 先ほど参考人から触れていただきましたが、実際に若者支援だとか困っている方々を助けるような事業もあるというふうに先ほどおっしゃっていただいたんですが、具体的にどういった事例、特に孤独・孤立対策という観点から、この休眠預金を活用してどのような活動が行われてきたのか、簡単に御紹介をいただきたいと思います。

小川政府参考人 お答えをいたします。

 休眠預金活用制度、二〇一九年度から本格運用を始めておりますけれども、これまで八百の事業に活用してきたところでございます。このうち、孤独、孤立や社会的差別の解消に向けた支援、このカテゴリーに該当するものが約四百、これはテーマの重複を含んでおりますが、四百あるところでございます。

 そのうちから具体的な事業例を紹介させていただきますと、例えば、社会から孤立した非行少年の就労支援のために受入先企業の開拓を進める事業でありますとか、孤立した母子世帯と地域とのつながりを育むための住居支援を行いまして、母子世帯への理解を深め、また地域の一員として支援する仕組みづくりを進める事業、さらには、空き家を活用して、交流イベントを通じて発達障害者やその家族の居場所づくりを進める事業、こうした事業に具体的には活用されてきた、このようなところでございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 ちょっと今御紹介いただいた事例も含めて、資料の二の方に私の方でも資料を準備させていただいたんですが、まさに、就労支援を通じて社会とのつながりをつくる支援、あるいは、困っている母子家庭に住まいの提供やあるいはコミュニケーションを取る環境を提供する事業であったり、あるいは、まさに居場所づくりですね、障害をお持ちの方やその家族に対する居場所づくり、こういった事業がこれまでも行われているということで、実際に、これまでもたくさんの、先ほど四百とおっしゃいましたか、四百ぐらいの事業があるという中で、本当に全国でこういう孤独・孤立対策に様々なアクションを起こしている方々がいらっしゃいます。

 こういった思いを持つこれからの担い手、将来の担い手というのも、これからどんどん出てくる分野だと思いますので、休眠預金も活用しながら、孤独・孤立対策を担うNPOなどを育成していくべきだと思っているんですが、ここまでの議論を聞いて、大臣の御見解、御所感があれば伺いたいと思います。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策については、官、民、NPO等の多様な主体が連携して対処することがとりわけ重要と考えております。政府では、これらの主体が参画する孤独・孤立官民連携プラットフォームを設置をし、課題解決に向けた取組を進めてきたところです。

 孤独・孤立対策の分野における課題は多様かつ刻々と変化するものと認識しておりまして、これに対する施策も、行政による施策とNPO等による共助の活動、それぞれの特徴を生かし、互いに手を携えるようにして展開していくことが求められるものと考えております。

 孤独、孤立に関する課題に対しましては、こうした視点に立ち、NPO法人を始めとした多くの民間の団体に活用いただくよう、休眠預金等活用制度を運用していきたいと考えております。

 国や地方公共団体が対応することが困難な社会課題の解決を目標とする休眠預金等活用制度は、委員御指摘のとおり、孤独・孤立対策についても大きな役割が期待されているものと受け止めておりますので、引き続き積極的な活用を図ってまいりたいと思います。

浅野委員 是非ともよろしくお願いします。

 今、休眠預金活用制度について取り上げましたが、もう一つ、既に政府の方で運用し始めている既存制度で、これも是非活用すべきだと思う制度について議論していきたいと思います。先日の本会議でも取り上げました重層的支援体制整備事業について取り上げていきたいと思います。

 本日の資料の三を御覧いただきたいと思うんですが、こちらは、重層的支援体制整備事業の中でどのような事業が行われるのかというものを、政府のホームページから私の事務所の方でちょっと整理をして作成したものなんですが、全く同じ情報が政府のホームページにも載っておりました。

 これは、上から順番に簡単に御説明いたしますが、まず最初は包括的相談支援、とにかくどんな相談でも、どんな方からでも包括的に相談を受け止めるような事業を構築するということですね。二つ目が参加支援事業ということで、社会とのつながりをつくるための支援、マッチング、メニューをつくるということであります。三つ目が地域づくり支援ということで、これは、言い方を変えれば居場所づくりと言えると思うんですが、世代や属性を超えて交流できる場や居場所を整備したり、あるいは、交流、参加、学びの機会を生み出すために個別の活動とか人をコーディネートするような事業だそうであります。下二つは、これら三つの事業を支えるための基本的な事業ということなんですけれども。

 改めてこう見てみますと、とにかく何でも相談してきてくださいという環境、あるいは社会とのつながりづくり、そして居場所づくり、コーディネート機能、まさに孤独・孤立対策の中でこれまで政府の中でも議論してきた各種の論点に対応するための事業を、この重層的支援体制整備事業では、もうメニューを準備して待ち構えているような事業なんです。これを是非、地域における孤独・孤立対策を検討する入口として各地域で導入することが、今後、まずはいいのではないかというふうに思うんですけれども、この重層的支援体制整備事業を今後の取組の軸に置いていくのはどうか、このことに対して見解をいただきたいと思います。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 孤独、孤立を抱える当事者やその世帯が置かれる具体的な状況は多岐にわたっており、生活課題や支援ニーズが複雑化、複合化している事例も多いと承知をしております。このため、こうした当事者への支援に当たりましては、支援に関係するあらゆる分野の関係者が有機的に連携し、分野横断的に取り組んでいくことが求められております。

 また、孤独、孤立の予防の観点からは、当事者等が支援を求める声を上げやすく、周りの方が当事者の声に気づき対処できるような環境整備や、日常の様々な分野において緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりが重要とされていることと承知をしております。

 こうした孤独・孤立対策を行うに当たりましては、先生に御紹介いただきましたとおり、市町村において包括的な支援体制を構築するための取組であります重層的支援体制整備事業、こちらも孤独・孤立対策を行うための有効なアプローチであると考えております。

 引き続き、厚生労働省といたしましても、孤独・孤立対策と連携をしながらこちらの事業を推進してまいりたいと考えております。

浅野委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。

 この制度の内容とか制度の目的としているところは、私はすごく評価をしています。ただ、強いてこの制度の今の現状の課題というのを申し上げれば、これは先日の本会議でも取り上げさせていただいたんですが、あくまでも、自治体がやるかやらないかを自分たちで決められる任意事業ということなんですね。

 ただやればいいというものではないので、任意事業としてスタートしたことは一定程度理解ができるんですけれども、先日の本会議の厚生労働大臣の答弁によれば、本日の資料の四に少し記載がございますが、令和三年度から始まり、最初は四十二市町村、そして令和四年度が百三十四市町村、令和五年度は、予定ではありますが百八十九市町村がこの重層的支援体制整備事業を使っているということなんですけれども、百八十九市町村と聞きますと、まだまだ足りないのではないか。

 孤独、孤立、あるいはそれ以外の社会的課題というのは全国に存在しておりますし、厚労省として、この重層的支援体制整備事業をもっと多くの自治体に実施するように更に強力に働きかけを行っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 地域における包括的な支援体制を整備していくために、重層的支援体制整備事業は有効なツールであると考えております。

 このため、厚生労働省といたしましては、円滑な事業実施に向けた自治体の中の準備体制を整備していただくために、移行準備事業というもので自治体への財政的な支援を行っております。

 また、各都道府県が主催する研修などに国の職員を派遣いたしまして、管内の幅広い関係者の方と一緒に地域の事例の共有や意見交換等を行う都道府県キャラバン、こういったものを開催をするなどの取組を行っているところでございます。

 こうした取組を通じまして、より多くの自治体におきまして包括的な支援体制の構築に資するような形で事業が実施されるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。

浅野委員 今、移行準備事業についても触れていただいたんですけれども、重層的支援体制整備事業は、いきなり実施するものではなくて、事前の準備が大変重要だというふうに言われているものです。やはり、その地域にどのような課題があって、そこにどのような関係者が集まれるのか、そして、その関係者同士の対話を通じて問題点をより正確に把握し、適切な役割分担、そして適切な対策、これを地域自らが考え出して、それを支援するのが重層的支援体制整備事業であるということですので、この準備プロセスというのが非常に大事だというふうに思います。事業を実施すればいいというわけではないと思っています。

 ですので、今、移行準備事業、支援しているというふうにおっしゃったんですが、本番の事業を全国でいきなり始めるのは、なかなか形骸化しやすいという懸念もありますから、移行準備事業を通じて、しっかり、各地域でどんな課題があるのか、どんな孤独、孤立の問題があるのか、それをどういう体制で進めていけるのかというのを各地域で議論していただくというのが大変重要ですし、ここは全国的にやってほしいと思うんですが、ここについて、移行準備事業を全国レベルでしっかりやってもらうように厚生労働省から強力に働きかけていただく、これについてはいかがでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 移行準備事業につきましては、令和三年度は百四十八市町村でございましたが、令和四年度は二百二十五市町村、令和五年度は三百に近い市町村が取り組む予定と聞いております。

 先生からの御指摘を励みにいたしまして、今後も推進してまいりたいと思います。

浅野委員 今、令和五年度は三百近くの市町村が取り組むのではないかということなんですが、三百という数字をどう考えるかなんですね。本当に、先ほども申し上げたように、もっともっと多くの地域で、孤独、孤立問題、あるいは様々な社会的課題、地域が力を合わせれば解決、改善できるような課題が存在しているわけですから、いかに移行準備事業を多くの自治体でまずはアクションを起こしてもらえるのか、これが非常に大事だと思いますから、是非頑張っていただきたいと思います。

 次の質問ですが、次は、孤独・孤立対策において、当事者、困っている方々に対してどういう制度体系で支援を準備していくのかという部分について少し議論をさせていただきたいと思っております。

 今日の資料の五を見ていただきたいんですけれども、こちらは、私の事務所の方で作成をした、孤独・孤立対策における当事者の状況に合わせた支援階層をイメージで表したものになります。

 実は、ベースとしているのは、問題を抱えている学生なんだけれども、なかなか学校の先生だとか学校の準備した相談窓口に相談に来ない学生がいた場合に、どういうふうにその問題を抱えた学生に対してアプローチをすべきかという研究を過去にした方がいらっしゃいまして、そのときに整理された支援階層というものをちょっとベースに作らせていただきました。

 これを見ていただきますと、まず縦軸に、第一層、第二層、第三層というふうに書いてあるんですが、まず第一層は、日常的な居場所づくりということで、ボランティアだとかクラブ、サークル活動、地域のコミュニティー、居場所づくりですね、こういったところが主になっていく。そして第二層は、制度化された相談支援ということで、定期的な訪問をして状況を確認したりだとか、あるいはピアサポート、困っている方々同士の支え合いの場をつくったりだとか、あるいは何でも相談窓口、SNSなどを使ったこういった相談支援を準備する、これが第二層です。第三層は、より専門的な支援ということで、メンタルヘルス教育だったり、あるいはカウンセリングですとか、こういった日常的な生活の現場、そして、困っているということが分かった場合に、まずは一定のルール、制度に基づいて支援をする形、そして個々の専門的な支援ということで、分けている考え方なんです。

 今、政府の官民連携プラットフォームでこれまで議論をされてきた内容を見ておりますと、私も、第一分科会、第二分科会、第三分科会と三つの分科会に分かれて、様々な支援の在り方、取組の方向性が議論されたというのは承知をしているんですが、一見すると、一つ一つの支援メニューというのは議論されていても、全体としてそれがどう整理されるのかという全体像が少し見えづらいかなという印象を持っております。

 ですので、私が今日資料を準備したのは一つの例ではあるんですが、是非、当事者の状況に応じて適切な支援策を、何が適切なのかを判別し、そしてそれをしっかり適切に提供できるようなアセスメント手法を政府としても検討し、そして、行動するのは自治体であったり現場の支援団体でありますから、しっかり政府としてガイドラインを作成して、全国的に適切な支援が適切な判断に基づいて困っている方々に行くように準備をしていただきたいと思うんですが、これについて政府の御答弁を求めたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独・孤立対策においては、いわゆる課題解決型の支援とともに、予防の観点から、日常の様々な分野において緩やかなつながりを築けるような居場所づくりも重要であると考えております。これは、議員御提案になりました、当事者の状況に応じ階層化して支援を実施するという考え方とも一致するものと認識しております。

 このような中で、支援策を判別するためのアセスメント手法の導入については、各階層の支援をシームレスにつなぐ上で有効な取組であると考えております。

 なお、現在、これから本格化させる孤独・孤立対策の推進に当たり、まずは日常生活環境における緩やかなつながりづくりに注力をする必要があると考えており、委員の御提案については、その取組の中で検討してまいりたいと考えております。

浅野委員 まずは居場所づくりからということなんですけれども、法律の中には五年後見直しの規定もございますし、ただ、この支援体系全体像をちゃんと一目で分かるように整理をする作業自体は、五年もかけなくとももっと早くできるはずですから、これは是非早期に実施していただければ、これから取り組む方々にとっても有益なものとなるでしょうから、そこは重ねてお願いをしたいというふうに思います。

 では、次の質問ですけれども、孤独、孤立を感じているのは我々日本人ばかりでなく、今日は、午前中、防衛省関係者の孤独、孤立の議論もございましたし、先日は在外邦人の孤独、孤立の問題も取り上げられておりましたが、私が聞きたいのは日本にいる外国人の孤独、孤立、これをどう日本政府として考えているのかについて伺いたいと思います。

 シンプルな質問です。在留外国人の孤独・孤立対策について、今回審議されているこの法案に基づいてしっかり支援をする考えが政府にあるのかどうかという点について伺いたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独、孤立は人生のあらゆる段階で何人にも生じ得るものであり、孤独・孤立対策は、全ての国民が対象になるとともに、在留外国人も対象としております。

 特に、外国人は言葉や文化の違いから孤独、孤立に至りやすい状況等があることから、在留外国人向けの孤独・孤立対策として、法務省の取組に加えまして、内閣官房としても、本年三月に孤独・孤立対策ウェブサイトの外国語ページを作成し、公表いたしました。十言語で必要な支援制度や相談先の情報の提供に努めているところであり、今後とも対策を推進してまいりたいと考えております。

浅野委員 どうもありがとうございます。

 やはり言葉の壁というのが非常に在留外国人の方々にとっては大きな障害になると思いますし、ホームページでは十か国語対応しているということなんですが、やはり住んでいる地域、生活圏の中で、困ったときに誰に相談すればいいのか、あるいは役所のどこに行けばいいのかとか、どういうところでそのような悩みを聞いてもらえるのか、そういう部分についてもしっかり情報を伝えていくことは大事だと思いますので、是非、今後の施策の中に盛り込んでいただきたいというふうに思います。

 一応、準備した質問は全て終わりましたので、まだ時間が残っておるんですが、今日は金曜日の午後ということもありますので、これで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、阿部司君。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 今般、社会のあらゆる分野で対策を推進し、当事者や家族の立場に立った支援を継続的に行うことをうたった孤独・孤立対策推進法案が提出されました。

 先ほどから私の方でも質問しようと思っていたものがかなり出てまいりましたので、ちょっと確認の意味も込めて改めてさせていただくかもしれないんですけれども、よろしくお願いします。

 この法案なんですけれども、孤独・孤立対策を策定、実施することを国や自治体の責務として位置づけて、内閣に内閣総理大臣を本部長とする孤独・孤立推進本部を設置して、対策の具体的な目標、達成期間を盛り込んだ重点計画を新たに作成することと承知をしております。

 これまでも政府は担当大臣を任命して重点計画の策定、実態調査などを進めてきたところでありますけれども、これまでは裏づけとなる根拠法がありませんでした。その意味からも、法制化によって、これから国を挙げて本格的にこの問題に取り組んでいくというところで、期待をするところでありますけれども、この法案は、基本理念、国等の責務、施策の基本となる事項などを定めたものでありまして、いわゆる基本法の性格を有するものだと理解をしております。

 そこで伺いますが、本来、当該分野の政策を進めるに当たっての計画策定などに先立って、理念や国の責務等を定めた基本法が定められているべきではないかと思いますけれども、今回、なぜ法案提出がこのタイミングになったのかを、まず初めに小倉大臣にお伺いします。

小倉国務大臣 まず、この法案提出の経緯でございます。

 これまでと重なるところもございますが、孤独、孤立の問題は、長引くコロナ禍の影響等により孤独、孤立の問題が深刻化、顕在化したものであり、政府としては、二年以上前に、孤独・孤立対策担当大臣が司令塔となって、政府一体で迅速にこの対策に取り組むことといたしました。

 その上で、社会に内在する孤独、孤立の問題については、コロナ感染が収束したとしても、政府としては必要な施策を着実に実施をする必要がございます。また、この先を見ても、単身世帯や単身高齢世帯の増加により、この問題の更なる深刻化が懸念をされます。

 こうした中で、この二年間の蓄積を踏まえつつ、孤独・孤立対策の安定的、継続的な推進体制を整備することが今後更に必要になるとともに、これまでの試行やモデル開発の段階から本格実施の段階へと進めていく必要も生じたところでございます。こうした状況下において、これまでの政府における二年間の取組状況を踏まえた上で、今国会に法案を提出することとした次第でございます。

 なお、なぜ基本法ではなく推進法なのかという点につきましては、確かにこの法案は基本理念や国等の責務等、基本的な事項を定めるものである一方で、この法律で同時に、国における孤独・孤立対策推進本部の設置や自治体における地域協議会の設置といった、対策を推進するための個別具体的な施策を一部含む内容でありますことから、基本法ではなく、推進法とした次第でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 コロナ禍で若年層そして女性の自殺者が増加しましたけれども、感染症による行動制限で人々の交流が非常に制限をされ、孤独感を感じる人や孤立に陥る方々が増えてきた、そうしたことへの対応、そして、緊急対応してきたため、今般この法制化がされたと承知をいたしました。支援に当たる団体の方々も、取組の根拠となる法制化というものを前向きに捉えていると聞いておりますので、今後、この対策がしっかりと進むことを願っております。

 次に、実態調査そして重点計画についてお伺いをしてまいりたいんですけれども、まず実態調査について、政府では、二〇二一年度そして二〇二二年度の二回、孤独・孤立の実態把握に関する全国調査を実施していますけれども、この調査結果はどのように政策に反映されたのか、大臣にお伺いします。

小倉国務大臣 御指摘いただきました全国実態把握調査でございますが、この全国調査結果の有識者による分析によりますれば、男性や中年層の孤立の傾向が明らかになっております。

 こうした調査結果につきましては、順次、具体的施策への反映に努めておりまして、例えば、令和四年度補正予算の事業におきましては、先ほどの状況に鑑みまして、男性の孤独、孤立の悩みなどに係る男性相談支援の取組を開始するとともに、孤独・孤立対策の取組モデル調査におきましても、中年男性を対象とした居場所づくりを公募対象とする予定であります。

 引き続き、こういった実態調査結果を施策に反映をして、効果的な孤独・孤立対策の推進に努めていきたいと考えています。

阿部(司)委員 実態調査は非常に重要だと思いますので、今後も是非実態の把握に努めていただきたいと思うんですけれども、特に、地域によって様々な違いが出てくると思います。地域ごとの孤独、孤立の様相、そしてその解決に資するリソースの偏在、こちらもしっかりと把握をしていく必要があると思うんですね。

 そこで、地域ごとの孤独、孤立の発生状況の特徴、そして、支援に当たるNPO等の、孤独・孤立対策を進めるのに資するリソースの地域による差異、こちらはどのように把握をされているのか、政府参考人にお伺いをいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 孤独、孤立の問題は幅広い社会的課題に密接に関連する問題であることから、地方においては、法案第十一条を踏まえ、地方公共団体、NPO等の当事者等への支援を行う者、地域住民その他の関係者相互間で連携し協働して、地域の実情に応じて施策を講じていくことが必要です。

 こうした観点から、国においては、地方における孤独・孤立対策官民連携プラットフォームのモデル事業を実施し、プラットフォームを設置した上で、当該地域における孤独、孤立の状況の把握や、NPO等地域における担い手の把握、見える化などに取り組んでいただいております。

 こうした事業は今年度も実施予定であり、本事業の成果を全国の地方自治体に共有することで、地方での孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの形成を促し、地域における孤独、孤立の状況やNPO等の担い手の把握を推進してまいります。

 また、国としても、そのような地方の状況の把握に努めていきたいと考えております。

阿部(司)委員 官民連携プラットフォームを通じて把握をしていくとの御答弁でしたけれども、これも後で少し質問しますけれども、官民プラットフォームの連携は非常に重要だと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 と同時に、そのプラットフォームだけで実態把握が果たして十分なのかどうか、ここは一つ重要なポイントなのかなと思っていまして、是非、政府の方でも、官民プラットフォームの連携、これもやりつつ、先ほど小倉大臣の方でもおっしゃっていたような実態把握の調査、やはり地域ごとにかなり事情が異なってくると思いますので、是非こちらもやっていただきたいなと御要望させていただきます。

 次に、重点計画についてお伺いをしてまいります。

 こちら、現行の重点計画と本法に基づく重点計画、二つあると承知をしておるんですが、これは分かりづらいんですけれども、今回の法案で孤独・孤立対策推進本部が策定するとされる孤独・孤立対策重点計画は現行の重点計画とどのように異なってくるのか、また、この法案に位置づけられた重点計画策定によって現行の計画は白紙となるのか、大臣、御見解をお伺いします。

    〔委員長退席、藤井委員長代理着席〕

小倉国務大臣 まず、現行の重点計画と法案成立後の重点計画の違いでありますが、現行の計画は、私が議長を務め、全省庁の副大臣で構成をする孤独・孤立対策推進会議、これにおいて決定されるものです。他方で、今回の法案に新たに規定をいたします重点計画は、内閣総理大臣を本部長とし、全省庁の大臣で構成をする孤独・孤立対策推進本部において作成及びその実施を推進していくものであり、法律においてその作成が義務づけられていることや、各施策に責任を有する大臣で構成する本部が作成するといった点で、これまでと異なるものであります。

 現行の重点計画についてはどうなるのかという御下問についてでありますが、本法案に基づく重点計画の作成に伴い、現行の重点計画は効力を失うことになると考えております。

 他方で、重点計画の継続性は大事でございますので、本法案に基づいて策定される重点計画は、本法案における孤独・孤立対策の基本理念、国等の責務、基本的施策に係る規定内容を踏襲して策定されることになりますので、こうした点は、結果として現行の重点計画と重なる内容になるものと考えております。

 今後、重点計画に記載する具体の施策の内容につきましては、計画策定までの間に行いました全国調査の結果や、先ほど来出ております官民連携プラットフォームでの議論の内容を踏まえまして、現行の重点計画の記載の内容から必要に応じて見直しを行ったものが記載されることになると考えております。

阿部(司)委員 別物ということでした。

 現行の重点計画、各省庁の二百以上の施策が掲載されております。似たようなものも多いなという印象を受けまして、しっかり重複を整理していく、予算が限られていると思いますので、しっかり効果を上げられるように対応を行っていただきたいと思います。

 新たな重点計画を策定する上で、今、二百以上の施策があるというお話をさせていただきましたが、このような点を整理していくべきと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

小倉国務大臣 先ほど御答弁申し上げたように、現行の重点計画と法案成立後の重点計画、結果として内容が同じものとはなりますが、他方で、委員御指摘のように、かなりの施策を盛り込んでおりますので、中には重複感が大きいものですとか、あるいは、組み合わせることによって、より有機的に孤独・孤立対策に資するものがあろうかと思います。

 そういった点につきましては、重点計画を今後変えないというわけではなくて、先ほども申し上げたように、実態調査の結果ですとか、あるいは官民連携プラットフォームでの議論を踏まえて、不断に見直しを行っていきたいというふうに考えています。

阿部(司)委員 各施策のネーミング、これも非常に似通っているものが多いなという印象を受けておりまして、あと、ターゲットも取組も非常に似たり寄ったりのものが多いなというところが散見されますので、各省庁の政策をホチキス留めをするようなものではなくて、しっかり視点を持って調整を図っていく、新規の重点計画としてしっかり取りまとめていただきたいなと思います。

 そのためには、先ほど来様々な委員が指摘をされておりますけれども、総合調整機能というものが必要になってくると思いますが、本法では、内閣府に内閣総理大臣を本部長とする孤独・孤立対策推進本部を設置して、今おっしゃったように重点計画作成とその実施、推進を担わせることとしておりますが、省庁の縦割りを乗り越えて、民間とも連携するための総合調整機能、司令塔機能をどのように担保していくのか、そのためにどのような仕組みを検討しているのか、小倉大臣、お伺いします。

小倉国務大臣 まず、孤独、孤立は、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものでありまして、幅広い社会的課題に密接に関連する問題でありますことから、孤独・孤立対策は、政府全体を通じて、各省の広範にわたる施策を総合的に推進する必要があると考えております。

 本法案におきましては、孤独・孤立対策に関する事務を、内閣官房と同じく、内閣の機関として、内閣の行政各部に対する統括機能を助けるための企画立案、総合調整を行う内閣府に移管をすることとしております。

 総合調整の内容といたしましては、内閣府移管後も、引き続き、孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の結果を踏まえて、孤独、孤立の状態に至らないようにする予防の観点からの施策の在り方を企画立案をし、関係省庁に対して実態調査結果を共有した上で、施策の総合調整を行うことなどを想定しているところであります。

 また、本法案では、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を盛り込んだ重点計画、先ほど来申し上げているような計画を作成し、その実施を推進する等の役割を有する機関として、これまた、私を議長としていたものから、総理を本部長とし、そして、副大臣から、閣僚級で構成をする推進本部、これを内閣府に設置をすることになります。こうした各省庁の政策の責任者である閣僚級で構成をする推進本部が、司令塔機能をより発揮をして、孤独・孤立対策の政策基盤となる重点計画を策定することになろうかと思います。

 どうやって民間団体の声を踏まえるのかというお尋ねに関しましては、この重点計画を官民連携プラットフォームに参画をしている孤独・孤立対策に関わるNPO等の団体からの意見も踏まえながら作成をすることにより、実現ができるのではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、政府の中に関しましては、政府一体となった、より強力な孤独・孤立対策を推進していきたいと考えています。

阿部(司)委員 是非、小倉大臣には、強いリーダーシップを発揮して、この取組を推進していただきたいと思います。

 それで、この法案では、重点計画における施策については、具体的な目標及び達成の期間を定めると第八条の第三項で定めておりますけれども、この目標を定めるに当たって、孤独・孤立対策のKPI設定について、こちらはどのように考えているのか、これも先ほど来からほかの委員からも指摘がありましたけれども。また、重点計画全体の期間設定についてどのようにお考えか、併せて、大臣、お伺いします。

小倉国務大臣 本法案に基づき作成をします孤独・孤立対策重点計画に定める施策については、施策の内容に応じて、原則として、具体的な目標及びその達成の期間を定め、目標の達成状況について適時に調査を行うこととしております。こうした規定によりまして、孤独・孤立対策に係る施策の評価を適切に実施をしていきたいと考えております。

 孤独・孤立対策の総合的な評価、検証につきましては、孤独、孤立の問題を抱える当事者等の状況が様々でありますことから、定量的な効果測定になじみにくい側面もあると考えております。

 加えまして、これまでの会議におきましても、孤独・孤立対策では継続性が大事であり、評価という手法がなじむのかといった御意見ですとか、取組のプロセスを見ていくことが重要ではないかといった御意見があったことも事実であります。

 いずれにいたしましても、孤独・孤立対策の評価指標は今後検討が必要な課題と考えており、引き続き検討してまいりたいと思います。

 期間につきましては、本法案に基づき、重点計画に定める施策について、その達成の期間を設定し、評価を適切に実施していくことになろうかと思います。

 他方で、重点計画全体の期間の設定につきましては、孤独、孤立の問題において、その時々の社会状況等に応じて機動的に対応していくことが必要でありますことから、今回の法律案では、孤独・孤立対策の重点計画全体につきましては、見直しの期限などを特段設けることはいたしておりません。今後設置することとなる孤独・孤立対策推進本部におきまして、重点計画の中身と併せて、見直しの考え方についても決定をしてまいりたいと考えています。

阿部(司)委員 KPIの設定は孤独、孤立になかなかなじみにくいといった御発言がありましたけれども、やはりある程度数値でも把握していく、分かりやすい形で把握していくというのは大事なことだと思いますので、是非しっかり研究をしていっていただければと思います。

 また、期間につきましても、しっかり、ある程度のめどですとか区切りというのは非常に大事だと思うので、こちらも是非この計画に盛り込んでいただけるよう御検討いただきたいと思います。

 次に、政策の実行の裏づけである予算についてお伺いします。

 本法案は、七条で、政府は、孤独・孤立対策に関する施策を実施するための必要な法制上又は財政上の措置その他の措置を講じなければならないと定めております。

 岸田総理は、施政方針演説で、孤独や孤立に寄り添える社会を目指すと述べられていました。そのためには、政府が継続してこの問題に取り組むことが重要だと思いますし、その環境を整備することが必要だと思いますけれども、その最も大きなものの一つが予算だと思います。

 そこで、今後の孤独・孤立対策関係予算の確保について、大臣、御見解をお伺いいたします。

小倉国務大臣 阿部委員御指摘のとおり、孤独・孤立対策は政府の重要政策だと認識をしておりまして、だからこそ、孤独・孤立対策の継続性や安定的な支援、これは非常に重要だと思っております。

 孤独・孤立対策の関連予算につきましては、内閣官房において、関係府省庁の協力を得て取りまとめているところであります。このうち、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援につきましては、対策の重点計画におきまして、当面、緊急支援策、これは令和三年三月に策定したものでありますが、これで実施した規模、内容について、強化、拡充等を検討するとともに、先ほど申し上げたように、やはり継続性や安定性も重要でございますので、各年度継続的に支援を行うことをうたったところでございます。これに基づきまして、令和五年度予算におきましては、令和四年度第二次補正予算と合わせて六十億円を超える規模の予算を確保したところであります。

 今回の法律案におきましても、NPO等への財政的支援に関しては、第十三条に規定を設けてございます。そこで、国は、当事者等への支援を行う者が行う孤独・孤立対策に係る活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとしたところでありまして、これに基づきまして財政的支援を行うことになります。

 今回の法案が成立をすれば、この規定に基づいて、孤独・孤立対策に取り組むNPO等への支援に必要な予算の確保に担当大臣としても努めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 予算、今頑張っているNPOさんたちがたくさんあられると思いますので、しっかり準備、措置をしていただければと思います。

 続いて、個人情報の共有に関してお伺いをいたします。

 本法案では、地方公共団体は、孤独・孤立対策を推進するために必要な連携及び協働を図るため、孤独・孤立対策地域協議会を置くよう努めると第十五条で規定をしております。地方公共団体が、関係する多様な主体とともに孤独・孤立対策に当たることを想定されています。

 こうした多様な主体が当事者への支援策を考えて実施をしていくには、最低限の個人情報の共有というものが必要になってまいります。

 そこで、この法律の第十六条では、協議会における情報交換及び協議に必要な場合、協議構成機関の支援実施に関してほかの構成機関などから要請があり必要と認めたときには、協議会は、支援対象となる当事者の情報提供等を求めることができると規定をしております。

 本条項によって、本人同意を得ずに第三者への個人情報の提供が可能になると理解をしておりますが、どのような場合に個人情報を提供し得ると考えるのか、想定されるケースをお伺いしますとともに、どのような形でそれを示していくのか、こちら、御見解をお伺いできればと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、個々の当事者等への効果的な支援を実施するためには、地域における当事者等への支援に携わる様々な関係者のネットワークの下で、孤独・孤立対策地域協議会を構成する関係機関等が共通の情報と認識を持つことが重要となります。

 支援に当たって必要となる当事者の個人情報については、基本的には本人の同意を得た上で協議会の構成機関等が共有することになるものです。

 一方で、例えば当事者がセルフネグレクトの状態であるなど、本人に自覚がなく、個人情報の提供に同意しないケースも想定されまして、そうした場合においても、協議会の構成機関等が必要な個人情報を共有した上で支援を行うことを可能とするため、所要の規定を設けています。

 具体的には、協議会が構成機関等に対して必要な情報の提供を求めることができる規定を設けており、今後、関係機関と調整をし、この規定の求めに応じることが、個人情報保護法上、例外的に本人の同意なく個人情報を第三者に提供できる場合である「法令に基づく場合」に該当する具体のケースを整理し、法案成立後の法の施行までに通知等でお示しすることとしています。

阿部(司)委員 個人情報の兼ね合い、非常に慎重に検討していく必要があると思いますので、その上で、分かりやすい線でお示しをいただけるよう御準備をいただければと思います。

 次に、孤独・孤立対策の進め方についてお伺いをしてまいります。

 現在、先ほどもお話が出ましたけれども、孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム、こちらが立ち上がっておりますが、鳥取県など、県と政令市で十二、そして、一般市町村で十七程度と聞いております。こうした地方公共団体は、孤独・孤立対策に積極的で、関係する団体等、リソースにも恵まれているところではないかと考えております。

 先日、私、引きこもりの支援活動をしている民間団体の方々と意見交換をさせていただきまして、全国規模で活動するNPOの方からも、県レベルで活動するNPOの方からも、口々にこう言われたんです。自治体ごとに役所の対応も、取組状況も、NPO団体の数そして活動状況も天と地ほどの差がある、こういったことをおっしゃっていました。

 そこで、地域や自治体間で孤独、孤立への取組や対応に大きな差があるということは重大な課題であると思うんですけれども、こうしたことに対して政府はいかなる対応をしていくのか、小倉大臣、お伺いします。

小倉国務大臣 まず、NPOに対して自治体間で格差が生じているのではないか、自治体の熱意に差があるのではないかという話がございました。

 今回の法案では、第四条で、地方公共団体について、区域内における当事者等の状況に応じた施策の実施に関する責務規定、これを設けております。また、地方における施策の実施に当たりましては、第十一条で、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民その他の関係者相互間で連携し協働していくことも求められております。地方公共団体においては、これらの規定を踏まえ、孤独・孤立対策の実施にしっかり努めていただくことになります。

 また、国におきましては、地方における孤独・孤立対策官民連携プラットフォームのモデル事業を実施し、これまでに二十九の地方自治体において、官民連携プラットフォームを設置した上で、地域の実情に応じて、地域における担い手の把握、見える化や孤独・孤立対策に関する普及活動などに取り組んでいただいております。

 こうした自治体における連携強化のモデル事業は今年度も実施予定でありまして、本事業の成果を全国の自治体に共有することで、官民連携プラットフォームの構築と孤独・孤立対策の推進に全国で取り組んでいただけるよう努めてまいります。

 また、NPOに関しましても、地域において十分な数のNPOがないとか、あってもなかなか体力のない中小規模のNPOである、そういった事情も伺っております。

 そのため、今年度の予算におきましても、NPO等の活動を熟知した中間支援組織による、現場で活躍する中小規模のNPO等に対する運営能力の向上や活動基盤整備のための支援方策を検討するモデル調査を実施をすることとしております。

 こうした形でも、NPOをしっかり支える取組を通じて、孤独・孤立対策を前進させていく予定でございます。

阿部(司)委員 成功事例、ベストプラクティスの横展開ですとか、中間団体のNPOの支援、こうしたことを通じてフォローしていくといった御趣旨だったかと思いますが、自治体でかなりリソースに偏在があるという中で、例えば人がいないですとか、専門家がいない、こうしたことについて、国側でも財政的なフォローを含めてより支援をしていく必要があると思うんですけれども、こちら、小倉大臣、御見解いかがでしょうか。

小倉国務大臣 財政支援につきましては、今後どのような形が実際に地方公共団体を通じた孤独・孤立対策につながるのか、財政当局とも協議を続けながら考えていきたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、地方間の格差を解消し、孤独、孤立の問題というのは場所を問わないわけですから、しっかり、どの場所にいても孤独・孤立対策を行い、そして抜け落ちることがないように、我々としても検討してまいりたいと思います。

阿部(司)委員 かなりやはり差があるという声を聞いていまして、孤立、孤独、引きこもりですとか、いろいろなケースがあると思うんですけれども、役所の対応で、ああ、もういいやとなっちゃうケースがかなりあるというお話で、職員の意識改革みたいなところとか、相当細かいところまで力量の差が出てきているということなので、サービスレベルというか、質の向上というか、その辺の意識の改革というのはなかなか一夕一朝で改善できるものではないと思うんですけれども、こうした課題があることを是非御認識をいただきたいと思います。

 次に参ります。

 二〇二一年実態調査では、孤立は、男性、中年、低所得者に多く見られ、世帯年収が百万円未満、休職中、仕事をしていない人、派遣、契約、嘱託社員に孤立傾向が見られました。一方で、孤独を感じるのは二十代から三十代の若い世代が多いという結果でした。

 孤独と感じるようになるには、皆それぞれにきっかけとなる出来事があります。いじめによる人間関係の重大なトラブルがあった、生活の困窮、病気やけが、失業、休職、退学、離婚などなど、様々なきっかけで人は孤独感を深めていきます。そしてその中で、社会から孤立してしまう人が出てくる。

 法案成立の後に、政府は新たに専門部署を設けて新規の重点計画を策定していくことになりますけれども、孤独を感じ孤立している方々の対症療法的な対策ではなくて、孤独や孤立に陥るようになってしまった原因そのものを突き止めて、そこにアプローチしていくという姿勢こそ、根源的な孤独・孤立対策なのではないかなと考えておりまして、非常に重要であると思うんですが、こうした視点を踏まえた今後の孤独・孤立対策について、大臣、御見解をお伺いします。

小倉国務大臣 私ども、強い孤独感を感じ孤立状態にある方に対する相談支援ですとか、様々な支援も重要だと思いますが、委員御指摘のように、そういった対症療法だけではなくて、そもそもの原因を突き止めてアプローチをする、そういった姿勢も重要ではないかということにつきましては、問題意識を共有しているところであります。

 実際に、先ほど来出ております全国調査では、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事を調べております。この回答を分析いたしますと、委員にも御紹介をいただきましたが、孤独感に強い影響を与えたと考えられる出来事としては、例えば、いじめやハラスメント等を含む人間関係による重大なトラブルや、病気やけが等の心身の重大なトラブル、独り暮らしなどが上位に挙げられております。

 こうしたことを踏まえまして、孤独・孤立対策におきましては予防の観点からの取組が特に重要と考えておりまして、こうした調査結果も踏まえて、例えば、孤独、孤立に関する支援制度や相談先についての情報発信や、孤独、孤立に対する国民一人一人の理解、意識や機運を高めるための普及啓発活動により、孤独、孤立の当事者や家族等が支援を求める声を上げやすく、周りの声が当事者への気づきや対処ができるための環境整備を図ること、また、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等にとって日常の様々な分野における緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくりといった取組を、関係者と連携、協働して進めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 孤独に陥るきっかけへのアプローチ、こちらも重要であるとの御認識を示していただいたと思いますので、是非、対策を進めていただきたいと思います。

 また、私、先ほども触れましたが、民間のNPO団体の方々と交流をさせていただきました際、引きこもりの支援の方から、特に引きこもりについては、学校時代の、小学校ですとか中学校、高校のいじめ経験が不登校や孤独のきっかけになる、これが非常に非常に多いとお伺いをいたしました。

 そこで、いじめ問題に対する教育現場における対応がまだまだ弱いとの声が伝わってきますけれども、孤独や孤立を生まないような教育現場の対応について、文科副大臣の御見解をお伺いします。

簗副大臣 お答えいたします。

 引きこもりになる原因は様々であり、一概に申し上げることはできませんが、委員御指摘のように、いじめや不登校が将来の引きこもりにつながる可能性もあり得ると思われます。

 いじめや不登校については、令和三年度の調査において、いじめの重大事態件数については過去二番目に多い七百五件、不登校の児童生徒は約三十万人と過去最多となっており、憂慮すべき事態であると認識をしております。

 いじめの対応に当たっては、いじめ防止対策推進法に基づき、被害児童生徒を徹底して守り抜くという意識の下、加害児童生徒には毅然とした態度で指導等を行い、いじめをやめさせるとともに、被害児童生徒の心のケアを行い、不登校等の二次的な問題につながらないようにすることが必要であります。

 また、学校のみでは対応し切れないいじめ事案等については、警察に相談等を行い、適切に援助を求めなければならないこと等を改めて徹底する事項をまとめた通知を、本年二月に発出したところでございます。

 不登校対策については、本年三月三十一日に、一つには、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整えること、二つに、心の小さなSOSを見逃さず、チーム学校で支援すること、三つに、学校の風土の見える化を通して、学校をみんなが安心して学べる場所にすることを柱とした、誰一人として取り残されない学びの保障に向けた新たな不登校対策であるCOCOLOプランを取りまとめ、不登校により学びにつながることのできない子供たちをゼロにすることを目指した取組を進めることとしております。

 さらに、様々な悩みや困難を抱えた児童生徒に対応するため、令和五年度予算において、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の配置について、いじめ、不登校対策のための重点配置校の拡充に加え、新たにオンラインを活用した広域的な支援体制整備のための費用を確保する等の支援体制の充実を図っているところでございます。

 文部科学省としましては、いじめや不登校等の学校での課題が将来の引きこもりにつながることも踏まえ、学校や教育委員会等で適切な対応がなされるよう、必要な対策を進めてまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 いじめ、不登校が、引きこもり、孤独、孤立につながっていくケースは非常に多いと思いますので、今、副大臣がおっしゃったように、いじめ、不登校の対策、スクールカウンセラーの設置のお話ですとか、お話しいただきましたけれども、実際に大人がしっかりと目配せをしていくことが非常に物理的にも大事だと思いますので、是非取組を進めていただきたいと思います。

 次の質問になりますが、政府は子供の孤独、孤立に対してどのような取組をしていくのか、お伺いをしてまいりたいと思います。

 本年四月には、こどもまんなか社会の実現を目指して、こども家庭庁が発足しましたが、今、文科省の御見解をお伺いしましたけれども、こども家庭庁としましては、子供の孤独、孤立についてどのような対応を行っていくのか、御見解を政府参考人にお伺いします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 子供の孤独、孤立については、令和四年の自殺者数が過去最多になっている状況等を踏まえ、積極的に取り組んでいくことが必要であると考えています。

 具体的には、内閣官房では、孤独、孤立で悩みを抱える子供向けにウェブサイトを作成し、自動応答により、悩みに応じた相談先の案内等を行っています。また、このサイトを活用できるよう、学校において一人一台端末にブックマークを登録するなどの配慮を依頼しているところです。また、孤独・孤立相談ダイヤルの試行に当たって、子供がかけやすいよう、利用者が選択する分野の一つに十八歳以下の方という分野を設けているところです。

 さらに、孤独・孤立対策の重点計画の施策として、子供、若者に対する孤独、孤立の観点等を踏まえた行動、意識に関する実態の把握、児童生徒における重大ないじめ対策の推進、不登校児童生徒への支援の推進、子供の居場所づくり、地域における子供、若者の育成支援、児童相談所の体制整備等による相談体制の強化などについて、関係省庁が連携して取り組んでいるところです。

 今回の法案により、これらの孤独・孤立対策の施策について、内閣府が総合調整を行いながら推進していくこととしています。

 また、こども家庭庁は、子供に関する基本的な政策について企画立案、総合調整を行っていくものと承知しています。こども家庭庁においても、孤独・孤立対策の視点を入れて、各種施策に取り組んでいただきたいと考えております。

阿部(司)委員 是非頑張っていただきたいんですけれども、印象として、文科省があって、こども家庭庁があって、孤独、孤立の推進本部があってと、やはり縦割り感がかなりあるなと、今、率直に思いました。内閣府の総合調整機能を果たしていくというお話だったんですけれども、これも小倉大臣のリーダーシップになってくるんですかね、是非ともリーダーシップを発揮して、子供の孤独・孤立対策も進めていただきたいと思います。

 最後に、先ほどの団体の方とお話をしているときに印象的であったことに触れて、今後の孤独・孤立対策の進め方についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 意見交換のときに私から、何が今の行政の支援で問題なのか、お伺いしました。そうしましたら、行政は解決のための出口ばかりを探っていて、どうすれば解決するかばかり考えている、もっと当事者に寄り添うことを考えるべきだ、行政はやっていることがずれている、そういったお話をお伺いしました。

 私自身、さっき重点計画のKPIについて質問したんですけれども、どうしても、どのような効果があるのか、どういう時間軸で解決していくのかという方向に直線的に考える、そういう習性があるかなと思うんですけれども、もちろん、税金を使っておりますから、しっかり問題解決をしていくことが主眼になっていくと思いますけれども、孤独・孤立対策というのは、さいなまれている人に寄り添うといった姿勢というのが非常に重要なんだなということを、是非、これもNPOの方のお話をお伺いして私自身が感じたところであります。

 そこで、最後に、現場で支援に当たる皆様の声も踏まえまして、当事者に寄り添うという姿勢で孤独、孤立の問題に取り組むことは極めて重要ですけれども、今後の政府の対応について、小倉大臣、率直な御意見、御見解をお願いします。

小倉国務大臣 まず、孤独・孤立対策の基本理念の中で、孤独、孤立の状態にある者及びその家族等の立場に立って、当事者等の状況に応じた支援が継続的に行われることを旨とすることとされているところであります。こうした基本理念に沿って、押しつけではなくて、まさに当事者とその家族が望むもの、こうしたものを行政が民間団体と連携をして提供することが重要だと思います。

 私も、昨年の八月に孤独・孤立対策担当大臣になりましてから、支援者や関係者、いろいろお話を聞いてまいりました。たしか、NPO法人あなたのいばしょの大空幸星さんだったと思いますが、孤独、孤立感を強く感じている方は、解決策を求めているよりも、むしろ、その悩みを誰かに聞いてほしい、その悩みを聞いてあげることがまず第一の前進につながるんだということをおっしゃっていたのを強く記憶をいたしております。

 そういう意味では、阿部委員御指摘のように、孤独・孤立対策を推進するに当たりましては、現場で当事者等を支援しているNPO等の団体の御意見を踏まえることが重要であり、そうすることによって行政と現場のずれを解消し、国、地方それぞれにおいて、当事者への支援を行う者、地域住民その他の関係者から成る官民連携プラットフォームを設けるなどして協議をし、本当に当事者にとって真に必要な施策を講じることができるよう努めてまいりたいと考えています。

阿部(司)委員 是非、当事者の立場に立った孤独・孤立対策を推進していっていただきたいと思います。

 これにて質疑を終わります。ありがとうございました。

藤井委員長代理 次に、堀場幸子さん。

堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。

 孤独・孤立対策推進法案ということで、質疑をさせていただきたいと思います。

 そもそも、これは先ほどにいろいろな方がされていて、ほとんど内容がかぶってしまうなと思いながら聞いてはいたんですけれども、やはり、今回、孤独とか孤立という問題というのをクローズアップして法案ができているというふうには承知をしております。今までは、表面に出ているいろいろな課題に対して対処をしていく、さっき大臣のおっしゃるリスクベースというところだと思いますけれども、アイスバーグ理論で言う、上に出ているところに対して一生懸命対応してきたことはあるけれども、今回、孤独というものに関しましては、その内側にあるもの、原因の一つに挙げられるようなものを解決していくというような法案だというふうに理解をしています。

 孤独であったり貧困というものがよく、そのアイスバーグ理論の中で、下に隠れているというところから、DVが出たり怒りだったりいろいろなものが出るんですけれども、そういう観点から考えると、新しい法案なのかなというふうに考えています。

 ただ一方で、ちょっと法案としてふんわりしているというか、実施法ではないという、プログラム法案というところも気になっているところです。やはり、しっかりと支援をしていこうというのであれば、基本法があって実施法があるというスタイルの方がいいのではないかなというふうには考えています。

 まず、大臣にお尋ねします。

 孤独と孤立の定義についてお願いします。

    〔藤井委員長代理退席、委員長着席〕

小倉国務大臣 孤独と孤立の定義でございます。

 一般的に、孤独は主観的概念であり、独りぼっちと感じる精神的な状態を指し、寂しいことという感情を含めて用いられることがあります。他方、孤立は客観的概念であり、社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指すものと考えております。

堀場委員 では、客観的概念としての孤立というものに対して、これをどのように解消していくというふうにお考えか、教えてください。

小倉国務大臣 先ほど申し上げたように、孤立というのは社会とのつながりや助けのない又は少ない状態を指します。

 こういった客観的孤立の解消に向けては、第一に、経済的困窮や引きこもり等による社会的孤立の問題に対応する各種支援施策、第二に、孤独を抱える方それぞれの多様なニーズや状況に応じた相談支援体制の整備、第三に、日常の様々な分野において、人と人とが交流し、それぞれの選択の下で緩やかなつながりを築けるような多種多様な各種の居場所づくり、こういったものを推進をしていきたいと考えております。

堀場委員 先ほどの、私よりも前の議論の中でもありましたけれども、孤独と孤立というのは、寂しいとかいう感情の部分と孤立というのは違うと。客観的な状態として孤立にあるという、独居というものが挙げられると思います、一人でお暮らしになられている方であったり。おうちの中で引きこもっているという、この人も社会的な意味で孤立というふうに言うことができる可能性はありますけれども、親とか保護者と一緒に住んでいたとしても、引きこもりの方も含めて孤立というふうに言うことが可能かどうかはさておき、定義は私は必要だと思っています。

 というのは、様々な御支援をされている、孤独の御支援をされている方も、やはり、孤独、孤立の支援で、定義は必要だったのではないかというような御意見を出されている方も数多く拝見しています。

 そして、私も、孤立が入っている理由がちょっと、何でだろうなと思っていました。

 というのは、イギリスにおいてあるものも孤独という方に観点が非常に強く、孤立していることに対しては、それは状態ですから、本当の心の中が分からないということなので、やはり、孤立というよりかは孤独を感じている人に対する支援というものがあるのではないか、そちらを重視していくべきなのではないかなというふうに考えています。

 客観的な孤立、例えばうちの親は、今は一緒ですけれども、その前に一人で住んでいる時期が仕事の関係でありました。御高齢であったとしても、それを解消する必要は多分ないかもしれない。でも、一人で住んでいますから、この定義でいうと孤立をしていますよね。仕事をしているので社会的には孤立はしていないかもしれないけれども、寂しい思いはしていたかもしれない。それは、じゃ、一体どこからが支援の対象でどこからは支援の対象ではないのかというのも、線を引く必要というのはあると思っておりますので、ここが非常に重要だと思っています。

 そもそも、支援を求めていない人もいると思います。一人で住んでいるけれども、支援は別にしてほしくないですよ、そういう方もたくさんいらっしゃると思うんですよね。なので、孤立していて支援が将来必要になるかもしれないから、でも今は支援が欲しくない、だから個人情報の提供を拒んでいる方、ここまでも情報共有する必要性があるのかなという疑問を持っています。

 ところで、感情である寂しいということを解消することが孤独の解消とするならば、必要な支援とはどのようにお考えですか。また、予防というのはどのようにしていくのか、大臣、お願いします。

小倉国務大臣 寂しいという感情が含まれます孤独の解消に向けては、孤独は外から見えづらく、声が上げづらいことからも、まずは、当事者等が支援を求める声を上げやすく、周りの方が気づきや対処をできるようにするための普及啓発等の環境整備、これが重要だと思っておりますので、こういった環境整備を推進をしてまいりたいと思っております。

 また、予防に関しましては、幾つかあると思いますが、例えば、先ほど申し上げたように、人と人とが交流をして、それぞれの選択の下で緩やかなつながりを築けるような多様な各種の居場所づくり、こういった観点が重要になろうかと考えております。

堀場委員 ということは、つながりの実感というのは何を指しているか、教えてください。

小倉国務大臣 つながりの実感ですが、重点計画におきましては、人と人とのつながりを実感できるための施策の推進、これを基本理念の一つとしております。

 ここで言うつながりの実感とはどういうことかというと、孤独、孤立の問題を抱える当事者や家族等が疎外を感じてしまうような関係や支援の場に形式的につなぐのでは十分ではなく、当事者や家族等が相談できる誰かや信頼できる誰かと対等につながっているという形で人と人とのつながりを実感できることを意図させていただいております。

堀場委員 そうですよね。これはやはり信頼関係だと思っているんです。なので、子供たちの支援も、後半、子供のことが出てきますけれども、恐らく信頼関係がないと何も話さないし、支援も要らないと言うし、困っても助けを求めないし、それは情報が幾らあったとしても、相手に信頼ができない状態で話をするのかというのが非常に疑問なんですね。

 なので、何かこういう、いろいろな支援のスキームがあるのかもしれないですけれども、そのときに、ぱっと出会ってぱっと解決できる問題ではないというのがこの孤独という問題で、それで、孤立というのは私の中ではちょっとおいておいて、まずは孤独という問題を解決するためには、まず一番重要なことは信頼関係を構築するということで、それはとても時間がかかるということだと思います。

 そして、もう一つは社会的欲求といって、帰属意識ですよね。そこも、居場所と大臣はおっしゃっていましたけれども、その帰属意識が必要で、ここに行ったら信頼できる人がいる、仲間でもいいと思いますし、そういった居場所が必要だとは思っています。

 寂しいという感情というのは、寂しいんだよねということを言うということが、非常に、何というのかな、それに気づかないという意味じゃなくて、気づいていたとしてもなかなか支援要求しづらいと思うんですけれども、要支援者というのはどのように発見していくとお考えか、大臣、お願いします。

小倉国務大臣 御指摘のように、寂しいという感情が含まれる孤独については、これは個人の主観に関わるものであり、また、ためらいや恥じらいにより支援を受けない方もいることから、望まずに孤独を感じる方を的確に外から把握することは困難と言えます。

 このため、まずは、当事者が支援を求める声を上げやすく、周りの方が気づき、対処をできやすくするための情報発信や普及啓発などの環境整備が重要だと思っております。

 また、ためらいや恥じらいで声を上げづらい、全く初めて会った方にはその声は伝えられないけれども、日頃つながりのある人に対しては、信頼関係を持って告白できる場合もありますでしょう。そういったときには、先ほど来申し上げているように、やはり、居場所をしっかりとつくってあげて、その居場所の中で緩やかなつながりを人と人との間でつくり、そして、そこで信頼関係の下で寂しいという感情を吐露できるような、そういった環境整備をしていくことも同じように重要かと考えております。

堀場委員 ということは、最初に居場所があって、そこに、寂しいかどうか分からないけれども、取りあえず行ってください、何かつながりを持ってくださいという、ここがすごい難しいことだと思っているんですよね。

 例えば、子供で、引きこもりであったり不登校であったりとかする場合というのは、学校であったり地域の様々なところから支援の手というのも入っていくことが可能だと思うんですけれども、そうではないところの人たち、例えば、私が今回これをやるに当たって本を何冊か読んでいたんですけれども、孤独というものとごみ屋敷という問題についての本とかを読ませていただいていたんですが、そういったごみ屋敷みたいに表出している課題がある場合は、とんとんと行って、どうしたんですかといってお話をすることもある。そして、それがなかなか受け入れられないけれども、何回も通ううちに何か人間関係ができて、意外と解決に結びつくというような地道な努力をされているという方々がたくさんいるということも分かりましたけれども、そういう何か表出している課題があれば、その課題をネックに、ポイントにやっていくことができる。

 さっきでいうところのアイスバーグの上に出ているものがあると、支援というものは、最初、その下に入っていくことというのは非常に、可能性があるし、信頼関係ができるんですけれども、最初からアイスバーグの下にあるものにアプローチをするというのはとても難しいんじゃないかなというふうに考えています。難しいからできないという意味ではなくて、非常に難しい課題を今回やろうとしているということを言わせていただいています。

 こんな難しい問題なんですか、第五条では国民に対して努力義務を課していると思うんですが、この努力義務は、どのように国民が協力することを求めているのか教えてください。

小倉国務大臣 先ほど来申し上げているように、孤独、孤立は人生のあらゆる場面において誰にでも起こり得るものです。他方で、実際には、孤独、孤立に至っても、他人や制度に頼りたくない、迷惑をかけたくない、あるいは他人に知られたくないなどのためらいや恥じらいの感情により、支援を受けていない方もいらっしゃるのも事実です。加えて、孤独、孤立に至っている当事者の家族等が困難をそもそも抱えている場合もございます。

 このため、孤独・孤立対策におきましては、当事者等が支援を求める声を上げやすい、また、周りが気づきや対処ができる環境を整えることも重要と思っております。

 こうしたことを踏まえて、今回の法律案では、国民の努力として、当事者等に対する関心、理解を深めることや、国及び地方公共団体が実施をする孤独・孤立対策に協力するよう努めることについて規定をいたしております。ここでの協力するということは、例えばでありますが、国や地方公共団体が実施する孤独、孤立の問題についての普及啓発活動を目的としたイベントに御参加をいただいて、この課題に関する理解を深めていただくといったことも想定をしております。

堀場委員 これは結構難しいなと思っているのは、今、地域における活動というものが、自治会とか町内会もそうですけれども、PTAもそうですけれども、やはり、こういった形での参加というのは、どちらかというと余り好まれていない。PTAも、やはり、強制加入ではないということから、任意なんだというところが非常に前に出て、そして今、様々な変革期にあるというふうに承知をしています。

 ということは、やはり、地域の中の何かに参加をしていくというのは、共働きで、毎日くったくたになるまで働いていて、そして子供のこともあってと、すごく忙しい現代の私たちにとって、そういったところに参加をしてみようとか、周りに孤独な人がいるみたいだから頑張ってみようという人はなかなかいないんじゃないかなというふうにも感じています。そういう人から支援が生まれていくのは分かるんですけれども、そういった課題、新しい何かをやるためには何か違うアプローチの方法が必要なのではないかなというふうに思っています。

 今までと同じように、地域でこういうことをやるから、いろいろな掲示板に貼って、これ、行ってみようかな、この日、空いていたら行こうかなとか、主催する人に誰か何人か集めてきてと言われて、嫌々ではないけれども、おつき合いで参加するわみたいな状態では、やはり根本的な解決というものは動かないので、国民に対して、努力義務で、興味持ってねということは非常に重要だと思うんですけれども、ここから先、もう少し違う観点から、国民の皆様の価値観が変わるようなアプローチを是非やっていただきたいなと思っています。

 それでは、男性の孤独、孤立、主に孤独なんですけれども、と性別役割分担の関係性について大臣の御所見をお願いします。

小倉国務大臣 令和四年に実施をいたしました全国調査によれば、不安や悩みが生じた場合の相談相手がいないと回答した人の割合は、男性が一四・四%、女性が六・六%となっておりまして、女性よりも男性の孤立の傾向が強いことがうかがえます。

 男性の孤立の傾向については、これは一般論であり、いろいろな見方があると思いますが、一つには、我が国の男性は、職場や仕事上のつながりに比重が置かれ、地域活動への参加の機会が乏しいなど、地域とのつながりが希薄化してきたところ、雇用環境の変化により、職場のつながりも変化してきたことが背景としてあるのではないかと考えております。

 こういったことを踏まえまして、男性が不安や悩みを相談したり、支援を求める声を上げやすくすることは孤独・孤立対策において重要と考えておりまして、男性の孤独、孤立の悩みなどに対応する男性相談支援の取組を行うこととしております。

 引き続き、こうした取組を含め、普及啓発や情報発信、広報などの環境整備の取組を進めてまいりたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 それは、やはり孤独・孤立担当大臣としてのお答えだと思うんですけれども、同時に、小倉大臣は男女共同参画局で担当もされております。

 ジェンダーの話は何度もさせていただいていますけれども、ジェンダーというのは、女性にも非常に厳しいものかもしれないですけれども、男性にとっても、男は泣くなとか、男は強くあれとか、家族を守るのは男だとかというようなことで育てられてきた人というのは、そんなにしんどい思いをしても弱音を吐くことは許されないとか、そんなことで弱くてどうするんだというような育て方をされてきた男性というのは非常に多く、それに苦しさを感じている方というのもいらっしゃるというふうに聞いています。

 そういった観点から考えたときには、先ほど言っていた国民の理解というのは、やはりジェンダー的な観点から理解が促進されるべきなのではないかなというふうに男性の孤独に関して考えています。

 特に、先ほど言いました、この質疑の前に本を読もうと思いまして、アマゾンをしゃっしゃっしゃっと見ていたんですけれども、そうすると、孤独を楽しむとか、孤独と向き合うとか、終活とか、どちらかというと精神論が人気があるんだなというふうに思います。何か、孤高みたいな、すごく、何というんですか、特に、男性たるもの弱音を吐かず、武士道みたいな、そういう精神論が非常に多いんだなというのがアマゾン検索のときに見ていた感想です。

 だから、これは本当はすごくいいものだというふうな書籍を多く見るというのは、私、これは結構日本の特徴なんじゃないかなというふうに思っています。別に、ほかの国が孤独を楽しめと言っていないわけじゃないですけれども、高齢の男性の引きこもりというのがもっと深刻化しているのは、やはりこういった精神論なのではないかなというふうに思っているところです。

 なので、男性の、男性だけじゃないんですが、孤独というのはいいものなんだという書籍を多く目にするんですけれども、これでもこの法案を作る理由、ネガティブな、消極的な孤立というものに焦点を当てるからだとは思うんですけれども、あえて孤独はいいものだという人がたくさんいる中で、この法案を作っている理由を教えてください。

小倉国務大臣 確かに、委員おっしゃるように、今回の孤独・孤立対策の対象は、本人が望んで孤独を選択しており、孤立もしておらず、心身に何の支障も来していないような方に対してまで直ちに支援対象とするものではありません。

 ただし、孤独・孤立対策には、孤独、孤立の状態になることの予防の取組を含むものであり、繰り返し申し上げておりますように、孤独、孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものでありますことから、施策の対象は全国民となっております。

 実際に、孤独、孤立というのは心身に有害な影響を受ける可能性があるというのは様々な研究結果でも明らかですし、我が国を見ても、これも繰り返しになりますが、コロナ禍で孤独、孤立の状況というのが深刻さを増し、また、先行きを見ますと、高齢者や単身世帯、これが増える中で、やはり孤独、孤立というのが大きな課題になるんだろうということを考えつつ、今回、その予防と解決に関して法案を提出をさせていただいたということでございます。

堀場委員 ということは、国民が理解するべきことというのは、お一人様で健康で楽しく過ごしていらっしゃる方はいいですよ、それはそれで楽しんでください、でも、何か人間関係の断捨離のし過ぎでどんどん人がいなくなっちゃって、気づいたら誰もいませんということは、やはり避けていただかないと困りますよというメッセージなんだと思うんですね。

 あと、精神論で、ジェンダー論の中で、男は弱音を吐いちゃいけないとか、そういうことじゃないんだよ、寂しかったら寂しいと言うべきなんだ、そうじゃないと健康に被害が出ますよということをしっかりと周知していただいて、そういった理解を促進することが国民の義務なんじゃないかな、国民にお願いすることなんじゃないのかな、つまり、誰もが楽しそうに見えても寂しさを抱えているかもしれないよねという思いやりを持とうねというようなことを国民に是非お願いをするというのが非常に重要なんじゃないかなというふうに考えています。

 なので、やはり、ジェンダーというのは、この孤独の中で、特に男性における、男性の孤独とジェンダーというのは非常に関係性があると思っておりますので、その辺りも是非御理解をいただきたいなと思っております。

 そして、次に、孤独という問題と貧困という課題があると思います。この関係性について、大臣の御所見をお願いします。

小倉国務大臣 令和四年の全国調査結果を見ますと、世帯の年間収入では百万円未満、経済的な暮らし向きでは大変苦しいと回答された方で、孤独感がしばしばある、常にあると回答している割合が高くなっております。また、現在の孤独感に影響を与えたと思う出来事への回答を分析しますと、生活困窮、貧困というのは孤独感に強い影響を与えたと考えられる出来事として上位に挙げられております。

 孤独に至る要因は人によって様々であるとは考えておりますが、今申し上げたことからも、貧困というのは孤独感に一定の影響を与えていることがうかがえると思います。

堀場委員 よく、お金の余裕は心の余裕と私なんかは教わったことがあるんですけれども、やはり、お金がないという状態というのは精神的に非常に追い詰められる。DVの主たる原因のところでも、恐らく、お金、金銭的な問題というのはあると思うんですけれども、やはり、人を追い詰めるためには、お金の問題、旧統一教会をめぐる宗教の問題のときも金銭的な問題というのは必ず発生してきて、それが客観的な、大きな一つの原因となっていく。

 人の心を、やはり、余裕をなくしていくのは、金銭的な問題、貧困なんだということも非常に重要なので、私たちが、少子化の問題とか様々なところで言っているとおり、お金が手元にないという、ずっと三十年間経済成長しなくて、お金が手元になくなってきているという不安感が、本当に孤独というものと混ざり合ったときに非常に強く表れるということもまた考えられるというふうな結果だと思っているんですね。なので、やはり、貧困対策というものと孤独の対策というものを離して考えることはなかなか難しいんじゃないかなと思っています。

 でも、裏を返せば、貧困対策と同時に孤独の対策というのはできるんじゃないかなという可能性もあるというふうに考えておりますので、是非、今後スキームを考えられる際にはそういったこともやっていただきたいなと思っています。

 次に、孤独、孤立とDV若しくは自殺との関係性について、大臣、お願いします。

小倉国務大臣 こちらも令和四年の全国調査を見ますと、現在の孤独感に与えた影響と思う出来事を調べております。この回答を分析しますと、家庭内別居やDV、虐待を含む家族間の重大なトラブルというのは孤独感に強い影響を与えたと考えられる出来事として上位に挙げられております。

 一方、自殺については、厚生労働省と警察が取りまとめている自殺統計の中で、多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きているとも分析されております。

 また、当該統計では、遺書等の生前の言動を裏づける資料がある場合などに限定された自殺の原因、動機別自殺者数というデータもございます。網羅的でもありませんし、自殺の原因、動機別にそれぞれ計上されておりますので、数値の見方に注意が必要となりますが、これによると、孤独感を原因、動機とした自殺が令和四年で六百七十三名にも上っております。

 以上のことから、限られたデータとはなりますが、DV、自殺共に孤独感との一定の関連性があることがうかがえます。

堀場委員 ありがとうございます。

 一方で、引きこもりという状態、それもまた本を読んでいたんですけれども、引きこもりというものを肯定的に捉えた場合、これはやはり一つの生き方なんだと。なので、引きこもりをしながらすぐに自殺に移行するということはなかなか少ないということもあるので、自殺から遠ざけているとも言うことができるということで、本人が引きこもって逃げているというふうな理解だったときに、それはいいんだよということをやはり私たちは社会として認識しなければならないなと思っています。

 例えば、不登校になっている子供もそうですけれども、別に学校に来ることが全てじゃないよねということを今は文部科学省も含めて言っているところですよね。でも、なぜかまた違う学校をつくって、不登校特例校だったら学校へ行くでしょうみたいな、何か不思議なことを今文部科学省はやっているんですけれども、学校に行くことが全てじゃないよねということを、学校に行かなくても別に大丈夫ですよ、そうやって逃げていてもいいんですよということをやはり許容するというのがどうしても必要。

 私たちが小さな頃というのは、学校に行かないなんてことは考えられないですし、何か皆勤賞が金メダルみたいな、そんな時代でしたので、やはり、学校を休むということ、若しくは引きこもるということに対する非常にネガティブな視点ばかりがあるんですよね。

 でも、やはり、こういった現象を一つ一つ取っても、自殺であったり、最悪の事態から見たときには、本当に生きるための一つの手段なんだよねと、肯定的に捉えていくといった国民の理解も必要なんじゃないかなというふうに思っています。

 では、支援のスキームだったり協議体、地方自治体の政策についてお尋ねをしたいと思います。

 そもそも、支援というのはどのようなスキームを念頭に置かれているのか。一般社団法人であったりNPO法人であったり、様々なところに委託をしていくのか。そういった形を取られるのかどうか教えてください。

小倉国務大臣 今の内閣官房では、これまでNPO等の取組モデルの調査や地方自治体の官民連携モデルの開発などに取り組んでまいりましたが、組織の性格上、NPO等を直接支援する取組はこれまで行っておりません。

 今回の法案で、現在の内閣官房の孤独・孤立対策の事務を内閣府に移管することによって、初めて孤独・孤立対策に取り組むNPO等への本格的な支援が可能となります。

 そういった中で、内閣府への移管後の具体的な支援スキームにつきましては、今年度実施するモデル調査の実施状況等を踏まえ、適切な予算執行の下での効果的な支援の在り方について引き続き検討させていただきたいと思っております。

堀場委員 先ほどの、前にあった立憲さんの質疑の中で、何か、若年被害女性の支援のスキームで、すごいネット上でたたかれているので怖くてなかなかできないんですよねというようなお話がありました。

 でも、私は逆だと思っていて、補助金が投入されている団体に対しては、支援をして見守ることも大事ですけれども、同時に責任が発生しておりますから、しっかりと、そういう何か間違ったうわさが流れているのであれば、それを払拭する義務があると思いますし、お金の流れで不透明なことがあると指摘されるのであれば、それをしっかりと払拭するための説明義務があると思っているんですね。

 だから、予算で組んで税金を投入させていただく場合に関しては、一般社団法人とかNPO法人の単なる経理上の報告ではなく、やはり税金をもらっているからには責任があるということもしっかりとやっていっていただかなければ、同じ問題が発生するんじゃないかなという懸念をしています。

 やはり、こういう、弱者に対する支援というような、福祉という分野においては、特にこの孤独の問題はいろいろなアプローチの方法が必要ですから、たくさんの方が関係者として出てくる。そうなったときに、いい団体さんの方がほとんどであったとしても、何か仮に起きたときに、全部に対して批判が来るというようなことはやはり避けなければならないですから、国の責任としてしっかりとそこは見守っていくというか、監視という言葉は私は余り使いたくないんですけれども、しっかりと信頼関係を構築して、何か間違っているのであれば勧告をしていくような、そういったシステムも必要なのではないかなというふうに思っています。

 今回の法案の中で、官民連携のプラットフォーム、これが非常に重要な鍵だというふうにも理解しております。官民連携のプラットフォーム、これについて大臣の御所見をお願いします。

小倉国務大臣 お尋ねのありました孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム、これは、孤独・孤立対策に関わる官民の幅広い関係機関等が参画をし、それぞれが対等に相互につながる水平型の連携の下で、孤独・孤立対策の効果的な政策を推進する基盤となるべきものです。

 今回の法案におきましては、関係者の連携、協働について定める第十一条の規定に基づく取組と位置づけております。

堀場委員 ありがとうございます。

 これは結構いろいろな自治体で取組が始まっていて、特に、いろいろな団体さんが集まって、いろいろな課題について話し合って、分科会でやってみたりとか、あと、何か情報発信のイベントをやったりとか、そういったことをされていると承知をしています。

 だから、さっき言っていた理解の促進という点においては非常に重要なキーになってくると思っています。ただ、これがメインだと言われると、これがメインではないんだとは思うんですけれども、大きな柱の一つですと言われると、これよりももう少し踏み込んだ支援に対する具体的なものが欲しいというのが、それぐらいもっと、喫緊の課題なんじゃないかなというふうに認識をしています。

 だから、ただイベントをしてどうのこうのという、非常に重要ですけれども、日々の、さっき言っていた信頼関係が構築できるような支援を、やはりしっかりと支えていくような形を取っていただければなというふうに思っております。

 今回、さっき言っていた、孤独、孤立をやる様々な支援スキームができると思うんですけれども、若年被害女性の支援とか、児童虐待の支援とか、配偶者暴力の支援とか、協議体がたくさんあります。先ほどいろいろな方が質問されていましたけれども、数多く協議体があって、地域の皆さんは、会議体が多過ぎるんじゃないかなと。これは前にも私、大臣にもお尋ねしたことがあるとは思うんですけれども、地域の皆さんは、本当にこういうものが多いというのが、私が実際にしゃべっている方の意見なんですね。だから、実際に支援をしたいんだけれども、本当に会議体が多過ぎるんじゃないかというようなお話があります。

 というのは、これらが原因がかぶってくる、特に孤立、孤独という問題であればかぶってくるのであるならば、この協議体は多過ぎるのではないかというお話もあるんですけれども、これについて大臣はいかがお考えでしょうか。

小倉国務大臣 孤独、孤立の対策の、この度の法案が成立した暁につくられることになる地域協議会、法定の協議会は、各地域において、個々の当事者等への具体の支援の内容について関係機関等の間で協議する場であります。この協議会の設置により、地域における当事者等への支援に携わる様々な関係者のネットワークの下、協議会の構成機関等が共通の情報及び認識の下で当事者等への個々の支援を円滑に行うことを可能とするものであります。

 堀場議員御指摘のように、地方自治体には、若年被害者女性支援、児童虐待、配偶者暴力など、既存の制度に基づく類似の組織が複数存在していることは承知をいたしております。こうした中で、協議会を構成する関係機関等の追加的な負担にならないように、類似、既存の組織を活用して、各自治体や地域の実情に応じた形で設置することも可能とすることを想定しております。

 こうした点も含めて、孤独・孤立対策地域協議会の具体の運用につきましては、法案成立後の法の施行までの間に、関係者の御意見を丁寧に伺いながら考え方をまとめ、通知等でお示しをしていきたいと考えております。

堀場委員 前にも大臣には男女共同参画の方でお話をしたことがあるんですけれども、一つにまとめると意外にうまくいったという例がありますよということを言いました。児童虐待とDV、岐阜県の例ですけれども、そういった、同じ場所に何か一つ、課は違ったとしてもあると、情報連携が非常にうまくいっている例がありますと。根幹が同じような原因なのであれば、そういったことも検討されるべきなのではないかなというふうに私自身は思っていますし、何度も言うように、ここに行ったら、実際に逃げていったら助けてもらえるというような場所がハードルが高い警察以外のところにあるのは非常に重要なことだと思っていますし、海外を見ても、そういった事例がたくさんありますので。

 そういうことも含めると、孤独な人がここに行って孤独を解消してもらおうとは思わないと思うんですね。だけれども、それ以外の被害に遭っている方々というのは逃げる場所が必要ですから、そういったことを考えたときに、これだけ多くの協議体が存在するというのは、本当に、また、地域というのは、小さくまとまって、よりきめ細やかにやっていこうとすると、人がそんなにいないんですよね。

 ここの中でも、人員の教育というものをうたわれているけれども、それって相手がいないと教育も何もできなくて、でも、やってくれる人が少ないという課題がやはり地域ではあると思うんです。その少ない人数の中でやっているけれども、今日は孤立、今日はDVみたいな、会議体が多いというのが現状なので、そこを何とか解決してほしいというところだと思います。

 そして、さっきも言っていたんですけれども、個人情報の壁を取り払うために、この協議体というのは存在していると承知しています。なので、支援をしてほしくないと言っている人まで本当に情報を共有する必要性があるのか、これはもう一回考えていただきたいと思います。ただ単に孤立している、でも、もしかしたら寂しいかもしれないから、孤立という状態にある人はみんな支援の対象になる、予備軍かもしれないからということで、そこまで共有するという必要性があるのかなというのはあります。

 一方で、もう孤立をしている人、独居の御高齢の皆さんというのは、恐らく、地域の防災で、震災救援所の金庫の中にそういう皆さんの個人情報が入っていて、何かあったときには皆さんの生存の確認に行ってくださいというシステムになっているところもあるわけですよね。だから、既にリスト化されて、それは個人情報がしっかり守られていて、いざというときには開けて、皆さんの生存確認であったり、助けに行ってくださいねというシステムになっていると思うので、やはり、緩やかさというのをどこら辺まで求めるか分からないですけれども、最低限度のことは既に行われていると承知しております。

 なので、あえてこの協議体の中でどこまでやるかというのは、個人情報のこともしっかりと踏まえていただいて御判断をいただきたいなというふうに思っております。

 本当に、これだけ支援がかぶってくる可能性がある、これは今ほかの方も質問されていましたけれども、多くの個別の支援体制がつくられていることが本当に必要なのか、多くの支援が重なって非効率なものになっていかないのか、こういう懸念があるんですけれども、それについて、大臣、お願いします。

小倉国務大臣 私どもとしても、そこは非常に気をつけたいと思っております。

 繰り返し申し上げているように、既存の様々な支援になくて孤独・孤立対策にあるものというのは、やはり、複合的な要因で孤独、孤立というのは生じておりますので、孤独、孤立を対象とした地域協議会の存在というのは大きいものがあるだろうと思っております。

 他方で、既に様々な支援をする会議体がございますので、重複は避け、現場の関係者の追加的な負担は避けねばならないということで、例えば、これは広島県でしょうか、三原市の例でいいますと、各種の協議体を吸収をして一本化をして、スリム化をして風通しをよくした、こういった例もございますので、こういった先進的な取組をしてくださっている自治体の事例を紹介をしつつ、横展開をして、最適な在り方というのをこちらとしても支援をしたいと思っておりますし、繰り返しになりますけれども、運用に関しては、これから、自治体を含め関係者の皆様方の声を丁寧に聞きながら、通知等でお示しをすることになると思いますので、そこでの議論もしっかりさせていただきたいと思っております。

堀場委員 本当にこの幅が大きくて、それで、心を支えたりするという、今まで余りない、客観的な、何か目に見えるものではない心の寂しさとか、そういったものをやって、また、目に見えないつながりというものをつくろうという、そして、信頼関係というまた目に見えないものをつくろうとしている今回のこの法案ですけれども、定義もなかなか漠然としている中で、地方自治体としてどのように施策をやっていくのか、ずっと出ています重点計画、今までやってきたものとどのように変わるのか、何が変わるのかという点について、大臣、お願いします。

小倉国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、孤独、孤立は人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものと承知しております。また、当事者や家族等が置かれている具体的な状況は多岐にわたりまして、孤独、孤立の感じ方、捉え方も人によって多様でございます。

 そうした性質に鑑みますと、地方における孤独・孤立対策としては、まずは、その地域や住民の実情に応じて施策を講じることが求められております。

 今回の法律案では、第四条で、地方公共団体について、区域内における当事者等の状況に応じた施策の実施に関する責務規定を設けさせていただいております。加えて、地方における施策の実施に当たっては、法十一条を踏まえ、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民その他の関係者相互間で連携し協働していくことも求められております。

 こうした観点から、国におきましては、孤独・孤立対策の官民連携プラットフォームの地方版のモデル事業を実施をし、多様な行政、民間の関係者で構成されるプラットフォームを設置をし、地域の実情に応じた施策に取り組んでいただくことを支援をさせていただきたいと思っております。

堀場委員 ありがとうございます。

 やはり、こういう課題を解決するためには、国民の皆さんのエンパワーメントというか、自分で、自分のこととして主体的に問題解決をしてほしい、していこうという姿勢が必要で、こういったところに参加しようということもそうですけれども、何かこういう課題に、一緒に解決しようと国民の皆様が、住民の皆様が思って、エンパワーメントでやっていく。政府が上からこういう協議体に来てくださいというのではなく、この地域をもっと明るくてよくしようねという芽生えが必要で、そういった仕掛けというものをつくられている自治体さんはたくさんありますので、そういったことにも御留意をいただきたいなというふうに思っています。

 最後に、少し子供のお話をさせていただきたいと思います。

 子供の孤独については、家族がいても生じているんですけれども、具体的な支援システムというのはどうやってするのか教えてください。

小倉国務大臣 孤独、孤立は、先ほど来申し上げているように、当事者や家族が置かれている具体の状況は多様でありまして、子供についても同様でございます。

 こうした様々な事情やニーズがある子供の孤独に対する取組としては、まず、子供用の孤独・孤立対策ウェブサイトで、悩みに応じて相談窓口を案内しているところであります。また、十八歳以下の子供たちに対しましては、学校において一人一台端末に孤独・孤立対策ウェブサイトのブックマークを登録するなどの配慮を文部科学省を通じて依頼をしているところであります。

 このほか、子供の孤独・孤立対策としては、孤独しがちな子供たちの周りに信頼できる他者とのつながりを築くことができるよう、既存の施策も踏まえながら、多様な居場所づくり、地域づくりなどを推進していきたいと考えております。

堀場委員 これは文部科学省さんとも何度も何度もやっていることなんですけれども、子供がしんどい思いをしている、孤独もあると思いますけれども、それ以上に様々な、ネグレクトであったり、いろいろなプレッシャーがあったりとか、いろいろなそういうしんどさを抱えている子供をどうやって発見するのかというのは、学校内で一人一台タブレットにぽちっと押すしんどさ、しんどいから押そうという人は余り、やはり、いじめを受けているとか、そういった支援要求の場合はあるかもしれないですけれども、寂しいな、ぽちっという人は多分余りいなくて、やはり、大人側からどういう声がけができるのか、周りの大人に何ができるのかということだというのは、もう文部科学省さんも含めて何度も何度も言わせていただいています。ということは、やはり発見機能がないといけなくて、学校に発見機能を求めるべきだというのが私が何度も主張しているところですね。

 両親が共働き、非常に多くなっておりますし、子供が帰宅時に誰も家にいない、いわゆる鍵っ子ちゃんですね、というのは寂しいし、孤独だと感じている子供が本当にたくさんいると思っています。また、それに対する罪悪感を持ちながら仕事をしている人も多くいて、そういったお互いの寂しさが親子の中であるんだろうなというふうには思います。

 こういったことは支援の対象になるのか、また、その場合、具体的にどのような支援を考えているのか教えてください。

小倉国務大臣 孤独・孤立対策においては、当事者のみならず、当事者の御家族も支援の対象としており、共働きの親あるいは一人親の子供やその親が孤独を覚える場合についても支援の対象になるものと考えております。

 堀場委員御指摘のような、共働きの両親が就労により昼間に家庭にいない小学生というケースを考えますと、支援策の一つとしては、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊びと生活の場を提供して、健全な育成を図る放課後児童クラブがあり、地域で適切に運用できるよう、実施主体である市区町村に対する財政支援を行っているところであります。

 また、その中で、一日六時間を超え、かつ十八時を超えて開所する事業所への運営費の加算や、十八時半を超えて開所する事業所の職員に対する処遇改善事業も併せて実施をしているところであります。

堀場委員 そうすると、やはり学童になってきて、今、保育園もそうですけれども、待機の学童の問題、そして、一年生、二年生、三年生ぐらいまでは入れるんですけれども、四、五、六になってくると、どうしても学童に入ることを子供も嫌がったりとか、もういろいろな学童をめぐる課題というのが出てきて、なかなか難しいなと思っています。でも、親としては学童にいてほしいんだよねといって、学童以外の選択肢がないんだよねなんていうところも課題だと思っております。

 子供をめぐる課題というのも様々ありますし、子供の居場所づくり、今回、今大臣が答弁されているように、孤独、孤立の対策本部の方で子供の居場所づくりということを言及されるわけですけれども、さっきお話しになっていた対応、居場所をつくるというのは、全て、全てじゃないですけれども、ちょっと文科の部分もありますけれども、こども家庭庁管轄なんじゃないかなというふうに感じるんですね。ということは、子供の居場所づくりの管轄というのは、こども家庭庁と内閣府の孤独・孤立推進本部、これの関係性というのを教えてください。

小倉国務大臣 こども家庭庁と推進本部の関係性についてお尋ねがありました。

 本法案により内閣府の特別の機関として置くこととなる推進本部は、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策等を盛り込んだ重点計画を作成し、その実施を推進する等の役割を有する機関です。政府一体となって孤独・孤立対策を強力に推進するため、その本部員は各省庁の政策の責任者である閣僚級で構成することとしており、子供政策に係る事務を所掌するこども家庭庁の政策責任者としての内閣府特命担当大臣もその本部員となることを想定しております。

 こうした形で、推進本部とこども家庭庁の連携を図ってまいりたいと考えています。

堀場委員 時間が来たので終わらせていただきます。

 孤独という問題は、今、本当に非常に重要だという、孤立はちょっといろいろあると思いますけれども、孤独という点に関しては非常に大きな課題だと思っておりますので、是非、もっと詳しくて、もっと細かく、きめ細やかく取り組んでいただければと思います。

 本日はありがとうございました。

大西委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 孤独・孤立対策推進法案について質問をいたします。

 孤独、孤立の問題を考える際に、今日は、まず、引きこもりとの関係でこの法案をどう捉えるのかということについてお尋ねをしたいと思います。

 大臣にお尋ねいたしますが、引きこもり状態にある人というのはこの法案の支援対象と考えておられるのか、その点についてまずお聞きいたします。

小倉国務大臣 お答えいたします。

 今回の法案では、孤独、孤立の状態にある者への支援にとどまらず、孤独、孤立の状態となることの予防も含めて孤独・孤立対策と称しており、予防の対策は、およそあらゆる人が対象となるものと考えております。

 したがいまして、塩川委員御質問の引きこもり状態にある者も、本法案の支援対象と考えております。

塩川委員 その場合に、引きこもり状態にある人について、この法案で新たにどんなことができるようになるんだろうか、そこをまず教えていただきたいんですが。

小倉国務大臣 今回の法案では、当事者等への支援に関わる関係者の連携、協働の促進について規定をさせていただき、孤独・孤立対策に関わる官民の幅広い関係機関等が参加をし、それぞれが対等に相互につながる水平型連携の下で、孤独・孤立対策の効果的な施策を推進する基盤となるプラットフォームの構築を推進していくこととしております。

 これによりまして、民間の団体や地域の組織など、引きこもりの当事者やその家族などを支える地域の資源が明確になるとともに、こうした方々が有機的に連携、協働することにより当事者等への効果的な支援につながるもの、こう考えております。

塩川委員 プラットフォームの構築で関係者の有機的な連携、協働が進むということでの、引きこもり状態にある人に対しての支援が行える、そういうスキームがこの法案としてあるということであります。

 そこで、内閣府が、こども・若者の意識と生活に関する調査におきまして、引きこもりに関する意識調査を行っております。そこでお答えいただきたいんですが、十五歳から六十四歳までの年齢層について、引きこもり状態にある人というのはどれだけいるというのが調査で明らかになったんでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました、こども・若者の意識と生活に関する調査でございますけれども、これは、内閣府において従来実施してまいりました、三年に一度の子供や若者の意識調査というものと、おおむね五年に一回やっておりました引きこもりに関する調査、この二つを令和四年度に一体的に実施したものでございます。

 その調査の集計に際しまして、外出頻度が低くて、その状態が六か月以上続いていると答えた方々の中で、例えば御自宅で仕事をしているといった一定の類型にも当てはまらないような方を引きこもりと定義をして、集計を行わせていただいたところでございます。

 そうした調査の集計の結果、お尋ねのございました十五歳から六十四歳の間で引きこもり状態にある方の割合でございますけれども、十五歳から三十九歳で二・〇五%、四十歳から六十四歳では二・〇二%というような数字になっておりまして、ざっくりと申し上げれば、これらの年齢層において、おおむね五十人に一人程度が引きこもり状態という回答に該当するというふうになってございます。

塩川委員 五十人に一人程度が引きこもりの状態にあるということであります。

 過去の引きこもりに関する調査では、二〇〇九年、十五歳から三十九歳について行った際には一・七%、それから、二〇一五年度の調査のときには十五歳から三十九歳で一・五七%、二〇一八年度の四十歳から六十四歳の調査については一・四五%ですから、一%台、それが今回の調査は二%ということですから、引きこもり状態にある人は増えているというふうに認識しているのでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 数字を見ると、確かに、数字の動向としては今御指摘のあったような数字の傾向でございますので、パーセンテージとしては上がったような数字が出ているということではございます。

 ただ、その一方で、調査客体のぶれであるとか、毎回の調査の方法が若干ちょっと異なることなどもありますし、さらに、直近の四年の調査は御案内のとおりコロナの影響下というのもありますので、単純に並べて比較できるかというと、ちょっとそこまで断言するのもなかなかつらい面もあるところではございますけれども、調査の結果として出ている数字は御指摘のとおりでございます。

塩川委員 就学や就労のように社会参加ができていない、また家族以外の方と親密な交流がない、そんな状態が六か月以上続くような引きこもりの状態にある人が二%ということであれば、単純に推計すれば百四十六万人という数にもなるわけです。研究者の方などでは、もっと多いんじゃないか、二〇四〇年には一千万人規模ではないかとか、そういったことを指摘をされる識者の方もいらっしゃるわけであります。

 そこで、関連して、今回の意識調査ですけれども、引きこもり状態の人の就業経験がどのような実態になっているのかについてはお答えできるでしょうか。

野村政府参考人 申し訳ございません、今すぐ手元に出てくるものの中で、就業経験が過去にあるかないかとかいったものは今手元にございませんが、ただ、引きこもり状態にある方の中で、今回の調査に際しまして、自分は専業主婦ないしは主夫であるとか、あるいは家事手伝いをしているとお答えになった方、あるいは育児や介護に専念しているなどといった選択肢を選ばれた方の割合は、十五歳から三十九歳で三三・三%、四十歳から六十四歳で四五・三%、こういうあんばいになっております。

塩川委員 ですから、当然、家庭内で家事、育児に関わるようなことをされている方が一定数に上るということも言えるわけですけれども、私がちょっと確認したところでいえば、実際に就業経験がある人については、十五歳から三十九歳で六二・五%、四十歳から六十九歳で九〇%ということで、いわば、引きこもり状態の人の多くは、一度社会に出て就労、就業経験を経た後に引きこもり状態になっているという方が多いということです。

 引きこもり問題に取り組んでおられる方の話を伺う中で、ハラスメントなどで傷ついて、自分は社会から必要とされていない、そういった思いで引きこもり、その後、社会に戻れなくなっている、でも、就労意欲そのものはお持ちの方が七割以上にも上るということもお話で伺いました。

 本当は働きたい、社会とつながりたいという人も多いことが、今回の調査でも明らかになったのではないでしょうか。こういった意欲のある人の就労機会を確保するために、その人の特性やペースに配慮した職場環境や仕事づくりが必要であると思います。

 それから、先ほどの答弁にもちょっと関わるんですけれども、女性の引きこもりの特徴についてというのは、今回の調査ではどうだったんでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の調査結果におきまして、引きこもり状態にある方の中での女性の割合と申しますと、十五歳から三十九歳で四五・一%、四十歳から六十四歳などでは五二・三%となりました。

 先ほどお答え申し上げた、専業主婦ないし主夫、あるいは家事手伝いなどなどと答えた方の中には女性の比率が高くなっているかなと思われるところではございますけれども、今回のこの調査について、ほかに対象者の基本属性、自己認識、幸福感などの回答もいただいておりますけれども、この中では男女に分けての形での集計というのは行っていないところでございます。

塩川委員 四十歳から六十歳では女性が五二・三%ということで、半数を超えているということで、従来、引きこもりといった場合に男性の方が多いイメージがあったんですが、四十代から六十歳までの方で女性が多い、そういう特徴というのは何を意味しているのかとか、その点については分かりますか。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 明示的に、先ほど申し上げましたように、クロスの集計とかは取っていないところでありますので、これだと断言できるものではございませんけれども、ちょっと傍証的な申し上げ方にはなってしまいますけれども、先ほど申し上げた、専業主婦であるとか家事手伝いといった往々にして女性が多くありがちな状態、こういったものになっている方がやはり家の中でそのまま引きこもりにつながっているというところも背景にはあるのかなというふうに考えております。

塩川委員 そういった側面もあるでしょうし、また、コロナ禍で多くの雇用の影響を受けた方が女性だった、不安定な雇用の非正規の下で働くのが、コロナ禍で職を失うという中での不安定な状況というのが生まれているという背景もあるのではないのか。そういう意味でも、SOSの声を上げる女性の方の姿というのが顕在化をしたというのが今回の調査の一端ではないのかな。そういったことも踏まえて今後の取組に生かすことが必要だと思っています。

 そこで、今回の調査について、これを今後どのように生かしていくのか、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

小倉国務大臣 この委員会でも先ほども答弁いたしましたように、私どもとしては、二回にわたって孤独、孤立の実態調査を全国的にさせていただきました。

 ただ、それに加えまして、今議論にありましたような引きこもりに関する調査も含めて、既存の調査やデータ、こういったものをしっかり活用しながら、より詳細に、正確に今の孤独、孤立の状況について把握をさせていただきたいと思いますし、これまでの議論を伺っても、例えば孤独、孤立もそれぞれが置かれている状況は多種多様であります。性別によっても、あるいは年齢によっても、これまでの人生の状況によっても、そのいずれにおいても孤独、孤立の状況はやってくる。引きこもりにおいても、男性が多い、女性が多い、あるいは、子供や学生が多い、働いた経験がある人が多い、かなりまちまちの状況という点では似ているんじゃないかというふうに思っております。

 そういう意味では、この孤独、孤立の様々な実態把握においても、引きこもりの様々な調査やデータ、これを意識しながらしっかり進めていきたいと思います。

    〔神田(憲)委員長代理退席、宮路委員長代理着席〕

塩川委員 実際に、国としてあるいは自治体として、その中で、現に現場で支援活動を行っている市民団体、NPOの方々、そういった力を引き出していく、そういう取組というのが求められるわけですけれども、やはり二%の方が引きこもりの状態にあるという、それだけの規模での引きこもりがあるということをリアルに捉えることが必要なんじゃないのか。

 例えば十万人の人口規模の市でいえば二千人ぐらいの方がそういう対象なのではないのか、そういった立場で施策に当たっていくということが必要だ。そういったことが今回の調査を踏まえても生かされていく必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

小倉国務大臣 まず、孤独・孤立対策においては調査研究と実態把握というのが非常に重要だろうと思っております。

 今後、法案を成立をさせていただいて体制を強化をする中で、どういった調査の仕方あるいは実態把握の仕方が孤独、孤立の課題に迫れるのか、しっかり私どもとしては考えていきたいと思います。

塩川委員 それで、今後引きこもりの調査をどうしていくのかということなんですけれども、先ほど答弁にもありましたように、子供、若者の意識調査については三年に一回のサイクル、それから引きこもりについても大体五年に一回のサイクルということで、今回一緒にやりましたということなんですが、今後、この引きこもりの調査を行う部署というか担当というのはどこになっていくんでしょうか。というか、引き続き行うということでいいんでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、これまで引きこもりに関する調査は内閣府の子供、若者育成支援の事業の中で行われてきており、直近では、先月三十一日に結果が公表された令和四年度こども・若者の意識と生活に関する調査において、引きこもりについても把握がされたと承知をしております。

 本年四月一日のこども家庭庁発足に伴い、当該事業及び当該調査が同庁に移管されたことから、引きこもりに関する実態把握についても、一義的にはこども家庭庁、あるいは政策を所管している厚生労働省など、関係省庁間で調整しながら検討していくものというふうに考えております。

塩川委員 引きこもりの調査そのものは、これまでは内閣府の方でされてきたということで、引きこもりの意識調査について主体的に行うのはこども家庭庁になるということでよろしいんですか。

山本政府参考人 こども家庭庁、あるいは厚生労働省においても引きこもり施策を持っておりますので、引き続きこれは担当していただくことになるというふうに考えております。

塩川委員 施策は担当するのは分かるんですけれども、この引きこもりの意識調査については今後もやるんですかということと、それはどこがやるのか。今まで内閣府がやってきた、それは子若法のスキームに合わせて今回も行ったわけですけれども、それが、こども家庭庁が発足したのに当たって、こども家庭庁で引きこもりの意識調査を行うようにしていくのか、その点を教えてほしいんですが。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 調査を今後どうしていくかということについては、今後とも検討していかなくてはいけないことだろうと思っております。政府統計という形にするのか、それとも、引きこもり対策、施策を実施しておりますところは、当然のことながら、その実態把握、様々な情報収集を地方公共団体等からも収集しながら施策を実施していくというのは当然でございますので、どういう形で把握をしていくのかというのは幅広く検討されるものだというふうに考えてございます。関係する省庁もありますので、それは関係省庁間で調整をしながら今後検討していく課題だというふうに理解しております。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 政府全体としてどういうふうに調査をしていくのかというのは今室長の方からお答え申し上げたとおりだと思いますけれども、ただ、内閣府の方で従来から、子供、若者であるとかあるいは引きこもりに関する調査ということ、二つの調査ではございますけれども、やってまいりました。

 こうした中で、引きこもりの関係とか子供、若者の意識の調査という広い調査をやっておったわけですから、これはこども家庭庁の中で、内閣府から継承してやるとすればどのようにやっていくのかという辺りは、また引き続き考えて整理をしていきたいというふうに考えております。

塩川委員 それは、引きこもりの調査はこども家庭庁でやっていきますということでいいんですか。厚労省が引き継ぐとかそういう話じゃないということ。

野村政府参考人 失礼いたしました。

 子供、若者の引きこもりという切り口で申し上げるならば、具体的なやり方は今後の話ではありますけれども、こども家庭庁の中で引き継いでやっていくのかなというふうに考えております。

塩川委員 今後について、こういった調査は今後も検討していくという話がありました。是非、継続的に行って、実態も把握をして、それを施策に生かすということですけれども、どこが主体かというのは是非考えていただいて、具体化していただきたいと思うんですけれども、その際に、今回の調査も、六十九歳まで引きこもりの調査も行っているんですよね。前回は六十四歳までだったのを、やはり前回の六十代の人がどのように推移しているのかというのを把握をするという点でも六十九歳。そうしますと、高齢者の方においての引きこもりというのもあるわけです。

 それを考えると、もちろん、子供、若者とか、また、いわば現役世代、と同時に、高齢者についての引きこもりの調査をしっかり行っていく必要があるんじゃないのか。その点についてはいかがでしょうか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 政府統計においては、これまで七十歳以上の高齢者に対する引きこもりの把握はされていなかったと承知をしております。

 御指摘の高齢者の引きこもり調査の実施に関しては、関係省庁間で調整しながら検討されるものと考えております。

塩川委員 ですから、さすがに高齢者の人をこども家庭庁で調査というふうにはならないと思います。そこのところで、担当の部署のところをどうするということが大事な点じゃないかなと思っておりました。そういう意味でも、しっかりとした実態の把握が施策に生かされるという点で、高齢者を含めた引きこもりの継続的な調査をお願いしたいと思っています。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。

 先ほど御答弁いただきましたように、引きこもり状態にある人が今回の法案における支援対象にも当たるということで、どのような支援が可能となるのかということについては、先ほどのお話にあるような、関係者の方の連携、協働を進めていく、プラットフォームの構築という形で、そういうことで生かしていくということがあったわけです。

 当事者の方やまた支援に取り組んでおられる方のお話を伺っても、従来の、最初から解決ありきの相談窓口、相談体制というのは限界がある、期限を決めて何かをするというんじゃなくて、やはり本人や家族の方のニーズを把握をして、そのSOSをしっかり受け止めて対応できるような受皿づくりが必要ということで、よく言われるような伴走支援のような、つながりをつくる、つながり続ける支援もそうですし、オーダーメイド支援ということも求められていると思うんです。

 その場合に、引きこもり対策については、内閣府の子ども・若者育成支援推進法や、厚労省所管の引きこもり支援の施策、また社会福祉法の重層的支援体制整備事業、生活困窮者自立支援法、若者雇用促進法の地域若者サポートステーションなどがそれぞれ引きこもりに係る施策に取り組んでいるわけです。今回の法案でこれらに横串を刺すことによって、引きこもり支援対策の改善を図ることがどのように行えるのか。いろいろな関連施策に横串を刺すといった点での、この法案が生かされるような、そういった取組というのはどんなふうになるのか。そこの点について御説明ください。

小倉国務大臣 引きこもりの方を支える各種支援策については、これらを所管をする、恐らく厚生労働省を中心に、担当省庁においてそれぞれ実施をされてきたと思います。

 ただ、先ほども申し上げたように、引きこもりと孤独、孤立の課題というのは同じような背景を持つものだというふうに思っておりますし、引きこもりも、それぞれ具体的な状況は様々ですし、複合的な要因から引きこもりになる、そういうケースもあるのではなかろうかと思います。そういったことを考えると、我々の孤独・孤立対策をしっかり推進をすることが同時に引きこもりの対策にもつながるのではないかというふうに感じております。

 そういった中で、孤独・孤立対策においては、先ほども申し上げたように、官民の水平連携型を志向した連携プラットフォームの構築によって地域の関係者が集まって、孤独・孤立対策ではありますけれども、政策基盤となるような、そういったものも推進をしてまいりますし、さらに、地域協議会において、具体の支援策については、しっかり関係者が集まって、それぞれのケースごとの最適な支援を議論をし、そして支援へとつなげていくような、そういう仕組みも用意してございます。

 そういった官民連携プラットフォームですとか地域協議会、こういったものを通じて、地域におけます様々な関係機関の横串の連携が図られるのではないかと期待をさせていただいているところです。

塩川委員 先ほど、午前中の質疑で内閣府設置法の改正の部分の議論があったんですけれども、孤独・孤立対策に関するいわば企画立案、総合調整という内閣補助事務を持つということと、分担管理事務については、重点計画の作成、推進とともに、他省の所掌に属しないものの企画立案事務という話がありました。

 引きこもりについては、そのときにたしか厚労省という話があったんですけれども、ですから、引きこもりの施策そのものは、中心的には分担管理事務という意味で厚労省。そうすると、それ以外で引きこもりに係る孤独、孤立の法律のスキームというのは、内閣補助事務に関わるような取組というイメージでよろしいんですか。

小倉国務大臣 私のイメージはこうでございます。

 まずは、引きこもりは、御指摘のように、一義的に厚労省がこれまでも行ってき、あるいはこれからも行うべきものだと思います。ただ、先ほど申し上げたように、孤独・孤立対策と引きこもりの対策というのは、背景が同じで、根っこが同じところも多分にあると思いますので、孤独・孤立対策を更に強力に推進することを通じて、間接的にではありますけれども、引きこもり対策の推進にもつながるのではないかということが一つであります。

 あともう一つは、午前中の審議にもありましたように、今回の法案を基に、孤独・孤立対策推進本部ができて、総理をヘッドとする、より格の高い本部の下で、しかも、各省庁の政策責任者である閣僚級がそれぞれ本部の構成員となり議論をすることになります。そういった推進本部におきまして、それぞれの施策においても、孤独、孤立の観点から施策を実施をするように促していくことになりますので、そういったことを考えても、引きこもり対策と孤独・孤立対策というのが同時に推進していく可能性が高いのではないかというふうに考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 あわせて、引きこもり対策に関して、孤独・孤立対策の地域協議会、それと子ども・若者支援地域協議会、また生活困窮者自立支援法に基づく支援会議、社会福祉法に基づく支援会議と、引きこもりに関わるようなそれぞれの地域協議会、支援会議があるんですが、その関係はどんなふうになるのかについても御説明ください。

小倉国務大臣 まず、今回法案の中で規定をしております地域協議会は、各地域において、先ほども申し上げた、個々の当事者等への具体の支援の内容について関係機関等の間で協議をする場となっております。この協議会の設置により、地域における当事者等への支援に携わる様々な関係者のネットワークの形成が可能となり、その上で、協議会の構成機関等に対する、秘密保持義務も含めて、当事者等の個人情報の共有を可能とする仕組みにより、構成機関等が共通の情報及び認識の下で当事者等への個々の支援を円滑に行うことを可能とするものであります。

 協議会におきましては、塩川委員御指摘のような子ども・若者支援地域協議会や様々な既存の組織がございます。そういった既存の組織で対応ができないような複合的な課題を抱えているようなケースを対象に、幅広い関係者が連携をした支援を行うことを想定しているものであります。

 また、そういった協議会の設置が更なる現場の負担にならないように、協議会の運用においては、既存の組織を活用して、各自治体や地域の実情に応じた形で設置することも可能とすることを想定をいたしております。

 いずれにしましても、こうした点を踏まえた協議会の運営等の考え方については、今後、自治体を始めとする関係者の意見も丁寧に聞きながら整理をした上で、法案成立後の法の施行までの間に通知等でしっかりお示しをしていきたいと考えています。

塩川委員 実態にかみ合った対策としての通知等をお願いしたいと思います。

 それで、厚労省に引きこもりの支援施策についてお尋ねします。

 この引きこもり支援施策について、厚労省としてはどんな取組を行っているのかについて、簡単に全体像を示してください。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、平成二十一年度から都道府県及び指定都市にひきこもり地域支援センターの設置を進めてまいりました。平成三十年四月までに全ての都道府県、指定都市に設置を完了いたしました。

 令和四年度からは、更に身近なところで相談ができ、支援につながることができるように、一般市町村においても、それぞれの市町村の実情に合わせて取組を行っていただけることといたしております。

 具体的には、引きこもり支援の核となる相談支援、居場所づくり、ネットワークづくり、この三つの事業に加えて、家族会の開催など多くの事業を総合的に実施するひきこもり地域支援センター、又は核となる三つの事業を実施するひきこもり支援ステーション、又は地域のニーズに応じて必要な事業を選択して実施するひきこもりサポート事業、これら三つのうちのいずれかの事業について、それぞれの市町村の実情に応じて実施可能としているところでございます。

塩川委員 今お話がありました、ひきこもりサポート事業、ひきこもり支援ステーション、ひきこもり地域支援センターについて、それぞれ、実施している市町村数が幾つかを教えてください。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年度の実施自治体数は、都道府県、政令指定都市も含めまして、ひきこもり地域支援センターは八十五自治体、ひきこもり支援ステーションは八十七自治体、ひきこもりサポート事業は八十五自治体において取組が実施されております。

塩川委員 都道府県、政令市、これはこれでいいんですけれども、市区町村レベルですと幾つか分かりますか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、ひきこもり地域支援センターが八十五自治体と申し上げました。このうち、都道府県、政令指定都市が合計六十七ですので、それを除く一般市町村では十八自治体になります。

塩川委員 ごめんなさい、ひきこもりサポート事業は幾つと言いましたっけ。

本多政府参考人 ひきこもりサポート事業は全て一般市町村で、八十五自治体でございます。(塩川委員「支援ステーションは八十七ですか」と呼ぶ)はい、八十七自治体でございます。

塩川委員 そうすると、足し算すると百九十ということですけれども、全体の市区町村千七百余りに比べると、まだまだ非常に少ないということがあると思います。

 実際、委託事業のひきこもり地域支援センターは受託団体によって差異が大きいという話もお聞きしますし、自治体の取組でも、窓口がないというところもあると聞いています。自治体間のアンバランスが非常に大きいという点で支援体制に差が生じているという点でも、この底上げを図ることが必要だといったときに、厚労省の引きこもり支援施策の予算の推移はこの間どうなっているでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 引きこもり支援等に係る直近五年間の補助金の当初予算の推移といたしましては、令和元年度は約五億円、二年度、三年度はそれぞれ約十二億円、令和四年度は約十八億円、令和五年度は約十六億円となっております。

 このほか、さらに、令和三年度と令和四年度の補正予算におきまして、市町村による支援体制の構築を加速化させるために、市町村が引きこもり支援を開始、拡充する場合の事業費を計上したところでございます。

塩川委員 五億円、十一億円、十八億円というふうに増やしてはきているわけですけれども、でも、今年度は十六億円と減ってしまっているんですが、これで自治体の取組を更に前に進めていくことができるんでしょうか。

本多政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和五年度におきましても、自治体の実施見込みを踏まえながら必要な予算を確保しているところでございます。

塩川委員 その実施見込みの団体が余り増えないということを見込んでいるということなんでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 今後の自治体の実施見込みですとか、過去の執行状況などを見ながら、必要な予算については確保できるというふうに考えております。

塩川委員 この予算の中身について言えば、新たに設置する上での初期コストの部分と、同時に、運営をする上でのランニングコストの部分があると思うんですけれども、そのランニングコストは、当然、毎年度毎年度計上もされて、市区町村にそれを示す、出すということになると思うんですが、そのランニングコストの部分での数が増えないんじゃないですか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 過去の執行状況なども見まして、それも踏まえますと、実施する自治体が増えることを勘案いたしましても、令和五年度予算で必要な額は確保できるというふうに考えております。

塩川委員 それは、令和四年度から令和五年度で幾つ増えるということでカウントしている、積算根拠にしているんですか。

本多政府参考人 済みません、特に今、手元にその積算根拠でお示しできる数字がございません。

塩川委員 予算が減っているので、大丈夫なのかということを要するに聞いているので。そういうときに、だって、実際に実施している、運営をしている市町村が増えれば、予算が増えるでしょう。それが減ったらまずいんじゃないですか。

本多政府参考人 お答えいたします。

 これまでの執行状況なども踏まえまして、また、先ほど補正予算のことも申し上げました。令和四年度の補正予算についても引きこもり対策の予算がございますので、そういったものも併せて考えると、令和五年度の予算は確保できているというふうに考えておりますけれども、いずれにいたしましても、今後の自治体の意向を踏まえて、十分な予算が確保できるようにしてまいりたいと考えております。

塩川委員 補正でつけているのは、これは立ち上がるときの初期のコストの経費ですよね、加速化ということで行っているものですから。毎年度毎年度の運営費に対する補助として行われている部分について、実施自治体が増えれば、その部分の予算も増えると思うんだけれども、それが十八から十六に減ることで大丈夫なのかについてのお答えがないままであります。

 要するに、今年度の積算根拠を後でちょっと教えてください。

 それを含めて、しっかりとした支援を行うということが必要だと思っていますし、率直に言って、引きこもり状態にある人の数が、二%、百四十六万人、そういったことを考えたときに、予算規模が余りにも小さいと思います。そういう点でも、自治体及び支援団体に対する財政措置を抜本的に増やす必要があると思うんですが、厚労省、改めていかがでしょうか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、ひきこもり地域支援センターの拡充等に併せて、自治体を支援するための必要な予算については確保してきたところでございます。

 引き続き、自治体における相談窓口の設置や居場所づくり等による支援体制の拡充を進めるために、必要な予算の確保をしてまいりたいと考えております。

塩川委員 予算は減っているんですから、そこはやはり抜本的に改めるということを求めたいと思いますし、支援を行っていく上でも、引きこもりの当事者であった人に支援者になってもらうようなピアサポーターといった取組、引きこもっている人の気持ちが分かり、共感、安心できる人間関係も生まれてくるということで、こういったピアサポーターの配置ですとか、そういった工夫というのはもっと生かされていいんじゃないかなと思うんです。

 こういうピアサポーターの方への支援措置などについては是非厚労省の方で考えてもらいたいと思うんですが、いかがですか。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御紹介のありましたピアサポーターなど、そういったNPOや任意団体の活動につきましては、こちらの引きこもり関係の予算、ひきこもり支援推進事業の中で、民間団体との連携事業についても予算をつけているところでございますので、こういうものも活用しながら、そういったピアサポーターなどの活動も支援してまいりたいと考えております。

塩川委員 それが規模が小さい、なかなか使い勝手が整わない。そういう意味でも、抜本的な予算の拡充と使い勝手のよいもの、実際に支援で頑張っておられる方々のところに届くような、そういった財政措置を是非考えていただきたいと思っています。

 大臣にお尋ねします。

 孤独・孤立対策としての引きこもり対策に対して、この法案でも法制上、財政上の措置を取るということもあるわけですけれども、大きな立場で引きこもり対策を進める上での法制上又は財政上の措置ということについてお答えをいただければと思います。

小倉国務大臣 引きこもり対策への法制上、財政上の措置につきましては、一義的には所管をしております厚労省において必要性を検討すべきことだと思っておりますが、先ほど申し上げたように、引きこもり対策と孤独、孤立の対策、非常に根っこは同じ部分も多いと思いますので、間接的に引きこもり対策にもつながり得る孤独・孤立対策の予算、しっかり、法案を成立をさせていただいた暁には、この法律に書かれている条項を基に、担当大臣として予算の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 もちろん孤独、孤立の法案のスキームの話ではあるんですけれども、実際の施策が厚労省ということで、厚労省で頑張ってくれという話にとどまらず、全体のスキームの中で改善が図れるような取組につなげていただきたいと思っています。

 引きこもりの取組、引きこもりの支援を行っているような皆さんのお話、当事者の方、家族の方のお話を伺っていても、やはり厚労省の取組も予算措置ですよね、法令上の担保があるわけではないといった点で、さっきみたいに予算が減るのでは率直に言って困りますので、引きこもりの基本法のようなそういった立法措置なども考えてほしいという声もいただいております。

 大いに知恵も出さなければいけないと思うんですが、率直に、引きこもり支援のこういった立法措置などについて大臣の所感を伺えればと思います。

小倉国務大臣 繰り返しになって大変恐縮でありますけれども、立法措置の必要性につきましても、一義的には所管省庁であります厚労省において検討していただくべきものだと考えております。

塩川委員 是非、この法案のスキームの中で、引きこもり対策についてもしっかりと取り組める、そういったことにつなげていくことを求めるものであります。

 もう一つお聞きしたかったのが、高齢者の方の話なんですけれども、加齢性の難聴者の支援の話についてお聞きしたいと思っています。

 高齢社会対策大綱において、六十五歳以上の独り暮らし高齢者の増加は男女共に顕著となっている、高齢者が安全、安心かつ豊かに暮らせるコミュニティーづくりを進めていくことが重要だと述べております。

 高齢者の孤独、孤立問題も大きな社会的な課題だと考えますし、その中で、高齢者の方の加齢性の難聴、これも大きな問題だと思っております。こういった高齢者の方の加齢性難聴というのがやはり孤独、孤立の問題を抱えるそういった要因となっているんじゃないのか、この点についての大臣の認識を伺います。

小倉国務大臣 塩川委員御指摘のように、高齢者の加齢難聴者はコミュニケーションに支障が生じやすいことが考えられます。こうした方が孤独、孤立の問題を抱えることのない環境づくりが大事であると私どもも考えております。

 したがいまして、政府の重点計画におきましても、具体的な施策として、難聴者のための補聴器等の利用による社会参加の推進について記載をさせていただいており、これを孤独、孤立に関係する問題と捉えまして、関係省庁と連携して施策を進めることとしておりますし、今後もしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

塩川委員 この問題はまた、法案とは別に引き続き取り組んでいきたいと思っています。

 終わります。ありがとうございました。

宮路委員長代理 次に、櫛渕万里君。

    〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 孤独・孤立対策法案の質問に入る前に、一言。

 先日、四月七日に委員長へ理事会での検討をお願いした、GX電源法案の審査に内閣委員会を加えていただく件ですが、改めて、五つの束ね法案の一つ、原子力基本法は、内閣府の所管であり、内閣委員会が審査すべきものであります。一昨日の合同審査に内閣委員会が加わらなかったことに強く抗議するとともに、引き続き、内閣委員会での法案審査を求めます。委員長、お取り計らいをお願いいたします。

大西委員長 理事会で協議中です。

櫛渕委員 お願いいたします。

 さて、孤独・孤立対策法案の質問に入ります。

 まず、小倉大臣は、十九日の質疑で、孤独・孤立対策といじめや自殺対策など既存の対策とどう違うのかといった質問に対して、既存の政策は、具体的に起こる問題に対応する、いわゆる課題解決型の支援を行うものであり、孤独・孤立対策は予防の観点の取組が重要、多様な各種の居場所づくりの推進などに取り組むと答弁されました。

 しかし、予防が本当にできるんでしょうか。居場所づくりで孤独、孤立は解消するんでしょうか。予防するに当たっては、まず、孤独、孤立がなぜ起こるのかを把握しなければならないと考えます。

 この点、重点計画では次のように書かれています。「人と人との「つながり」や人間関係を築くことが容易ではない社会になりつつある中で、人々が「生きづらさ」や孤独・孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へと変化してきた」と、理由に挙げているんですね。

 大臣、社会の変化が孤独、孤立を増やしているのであれば、人為的に居場所というものをつくったとしたところで、それは対症療法にしかすぎず、具体的な、そして根本的な対策にはなり得ないのではないでしょうか。

 大臣に最初に伺います。孤独、孤立はなぜ生まれるんでしょうか。社会の変化が理由であれば、居場所づくりで予防ができると本当にお考えですか。いかがでしょうか。小倉大臣、お願いします。

小倉国務大臣 先ほど答弁申し上げました、私どもの実態調査におきましては、例えば、いじめを始めとする、あるいはハラスメントを始めとする人間関係を発端にして孤独、孤立感を強く感じる、そういった結果もございます。まさに、そういった原因にしっかりアプローチをして対応していく姿勢が重要だと思っております。

 それに加えまして、やはり、そういった原因につきましては広く予防する、そういった観点も重要だと思っております。

 したがいまして、この予防という観点を大切にするために、人と人とが緩やかにつながることができる居場所づくりを我々として進めていくということを申し上げたわけでございます。

櫛渕委員 私の質問に対する答えになっていないんですね。

 人と人とのつながりを持ちにくい社会、生きづらさを抱える社会、それは結果であって、なぜそのような社会へ変化したとお考えですかとお聞きをいたしました。

 また、大臣は、十九日にこうも答えています。孤独、孤立は、当事者の自助努力に委ねられるべき問題ではなく、社会全体で対応しなければならない問題と捉えている。

 しかし、社会の変化で孤独、孤立が進んでいるのですから、社会全体で対応はおかしくありませんか。原因となっている社会をそのままにしておいて、その問題の解決はできません。孤独、孤立の問題に向き合うのに最も重要なことは、社会の在り方そのものを問うことではないでしょうか。違いますか。

 では、問われる社会の在り方とは何か。それは、自助や自己責任、これを過剰に重視する社会ではありませんか。そして、そのような社会をつくり出したのは自民党政権なんですよ。三十年もデフレ経済が続く中で、消費税増税を繰り返し、非正規雇用を拡大して、人々の生活を不安定にさせてきた、そこにコロナ災害となった。だから、元々ある問題が孤立、孤独という形で顕在化したわけです。さらに、戦争による物価高が押し寄せて、人々は三重苦とも言える非常事態にあるにもかかわらず、消費税減税さえもしない、一律の現金給付もない。経済的な孤立、これがそもそもの問題です。

 重点計画には、生きづらさや孤独、孤立を感じざるを得ない状況を生む社会へ変化してきたと書かれておりますけれども、自然現象のように言わないでいただきたいんですよ。そのような状況を生む社会へと自民党政権が変えてきたんです。その結果として孤独、孤立が進んでしまった、これが事実なんです。そのような状況を生む社会へ変えてきた、その政策の見直しや、そして反省、それがないままにこの法案を審議していても、私、意味がないと思いますよ。

 大臣に改めて伺います。

 この法律を作る根源とも言える認識、改めてお答えください。孤独、孤立が生まれる原因、特に自助や自己責任を過剰に重視してきた社会、これとの関係について、どのようにお考えでしょうか。

小倉国務大臣 今回の法案提出に至った経緯でございますが、コロナ禍で孤独、孤立の問題が深刻さを増している、これから先も単身高齢者や単身者の増加が見込まれる中で、我が国の重要政策課題として孤独、孤立に一層取り組む必要性が出たため、今回、法案の提出をした次第でございます。

 なお、櫛渕委員がおっしゃったような消費税減税も含む様々な政策課題については、政府内でそれぞれ担当している部署がございますので、是非そこでお尋ねいただければありがたいと思います。

櫛渕委員 大臣、是非、自己責任とか自助とかを重んじてきた社会についての関係で、その根源は何かというところにしっかり目を向けていただかなければいけないと思います。そこを見ずして、人と人とのつながりに助けを求めることができずに孤立、孤独に追い込まれている人たちの根本原因がどこにあるかと、先ほど申し上げましたけれども、経済的な孤立、これを無視して、幾ら居場所とかネットワークとかプラットフォームとか言っていても、根本的な、根源的なところが解決しないままに、それは対症療法にしかすぎません。そのような本質から逃げるような認識では、私、大臣の資格はないと思います。

 孤独、孤立に追い込まれ、生きづらさを抱える原因は何かを捉えて、それを取り除くことが対策のはずじゃありませんか。そのための法案ではないんでしょうか。まずは、自助や自己責任を過剰に強いてきた自民党政権の政策の間違いを率直に認め、国民に謝罪し、反省するところから出発していただかなければ、幾ら法案だけ作っても意味がありません。

 法案の中身を見ていきます。今、自助についてお聞きいたしましたが、共助についてもお聞きいたします。

 今回の法律で最も気になるのが、例えば十三条のように、「当事者等への支援を行う者が行う孤独・孤立対策に係る活動を支援」、要は、当事者への支援を行う者を支援というふうに書かれており、国は間接的な支援にとどまる項目が多いんです。なぜ国が直接前面に出ないんでしょうか。

 もちろん、自治体やNPOの活動は重要です。しかし、居場所やプラットフォームとか、聞こえはいいですが、要は、孤独、孤立の対策は中間団体に丸投げをして国は手を出さないということではありませんか。孤独、孤立の対策で本来前面に出るはずの公助、これをできるだけ少なくする、そして共助に対応を任せる、これが今回の法律の核心部分ではありませんか。いかがですか。

小倉国務大臣 櫛渕委員、これまで、今お話しの中で、幾らプラットフォームをつくっても意味がないとか、そういう御発言をされましたが、少なくとも、私が担当大臣として、官民連携プラットフォームに参加をしていただいている参加者にお話を聞けば、官民連携プラットフォームがあったから非常にNPO間の情報共有が進んだ、連携が進んだ、そういったお話を伺ったわけです。

 だから、櫛渕委員がおっしゃるような、プラットフォームを幾らつくっても意味がないというのは、全く現実としては当たらない指摘だと私は考えております。

櫛渕委員 プラットフォームそのものを私は否定しているんじゃないんですよ。根源的な問題を解決せずに、対症療法としてプラットフォームだけをつくっても意味がないんじゃないんですかと申し上げているんですね。根源的な問題、経済的孤立と、私、先ほど申し上げました。

 そして、国の責務ということをしっかり法案に書き込んでいただきたいんです。国が前面に出ることが必要だと私は先ほどから申し上げております。

 例えば支援団体からの声として、例えば、生活保護のどこを改善してほしいのかという問いに対して、六割以上が、扶養照会をやめてほしい、このように答えています。また、午前の審議でも、若年女性を支援する団体Colaboへのバッシングの影響について問われ、大臣は寄附文化の醸成を行っていきたいという趣旨の答弁をされましたが、それは、国がやるべき公的支援、これをやらないための言い訳であり、責任回避じゃありませんか。

 確かに、寄附文化は大事です。しかし、国の役割として、若年女性を救う支援でいえば、十八歳までの少女たちが暴力や虐待など家庭に問題を抱えて帰れない、行き場がない、そうした困難を抱える少女たちへの福祉的シェルターとか公的支援を手厚くして、性的搾取から少女たちを守る、それが本来求められている支援なんじゃありませんか。

 大臣は、こども家庭庁の大臣でもあり、そして女性活躍の大臣でもあります。孤独、孤立の問題は、社会の最も弱いところにしわ寄せが行くんです。大臣、困難を抱えた若年女性の声、お聞きいただいたことはありますか。お会いしていただけませんか。

小倉国務大臣 先生の事前通告に一切ございませんでしたので、この場ではコメントを差し控えさせていただきます。

櫛渕委員 是非、会っていただくことを検討していただきたいと思います。

 プラットフォームをつくるということの、そこにも例えば加えていただくとか、いろいろ検討の方法はあるかと思いますし、私も、NGO、NPOで十七年間も活動してきました。だから、よく分かるんですよ。国や自治体の福祉や行政サービスが不足していたりとか、制度が使いにくい、だから、やむを得ず、困難を抱えた人たちを放っておけずにサポートしたり、ボランティアで支援したりするんですね。それは、あくまで問題解決されるための、本来であれば一時的な支援なんです。

 子供食堂だってそうですよ。それが結果として共助になっているだけであって、国が根源的な問題を放置したままで公助を広げない、それどころか、緊縮財政で公助を削って、共助を行う人々の善意を利用して、安価なサービスの担い手のように扱うのはやめていただきたいんですね。

 今、孤独、孤立の人が増えて、NPOや支援団体は人々も資金もかつかつです。国がまずは問題の根本を直視して、経済的孤立から人々を救うために課題解決に乗り出す、そのことを法案に明記いただくよう強く求めます。

 続いて、小倉大臣は、昨年十月の日経ビジネスのインタビューで、孤独、孤立は一種、男性の問題という側面もあるのではないかと述べており、十九日の質疑でも、男性や中年層の孤立傾向に問題意識があると見受けられます。

 しかし、本当にそうでしょうか。孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の結果を見ても、孤独感は男性五・一%、女性四・六%と、それほどの差はありません。少なくとも男性の問題とは言えないと思います。

 パネル二を御覧ください。

 二〇二〇年の十一月、ホームレス女性がバス停で殺された事件がありました。これは、今の中高年女性が置かれた状況を示す象徴的な事例です。コロナの影響が特に女性など立場の弱い人に向かった結果の事件と言えます。

 このように言うと、なぜ助けを求めないのか、こう疑問を持つ人もいるかもしれません。しかし、パネルにあるとおり、支援先を知らない、そもそも支援先がない、あるいは自分を支援の対象と思っていない。だから、助けを求められないんですね。

 小倉大臣に伺います。中高年女性に対する国の姿勢についてです。

 女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二一年には記載されていた中高年単身女性の孤立の実態の把握、そして必要な支援策の検討、この文言、実は、最新の二〇二二年度版にはこの記述が消えてしまっています。この重点方針二〇二二年度版でなぜ記述が消えているんでしょうか。また、中高年単身女性の孤立の実態把握と、そして必要な支援策の検討は行われたんでしょうか。お伺いいたします。

小倉国務大臣 女性活躍・男女共同参画の重点方針、これは各年度の重要施策をピックアップしてまとめられたものであり、毎年度、編集上の都合で施策の入替えが行われているものと承知をしております。

 その上で、重点方針二〇二一は、コロナ禍で女性の就業面や生活面への影響が深刻化する中で、困難な状況にある女性を下支えする施策を幅広く盛り込んだものであり、中高年女性の孤立の実態把握もその一つとして盛り込まれたものであります。

 この実態把握は、令和三年十二月に実施した政府初となる孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の実施につながっており、以降継続して調査を実施することで、中高年女性も含めた孤独、孤立の実態の把握に努めているところであります。

 その後、男女共同参画の実現をテーマとした重点方針二〇二二では、記載こそありませんが、中高年女性を含む孤独、孤立の実態把握が重要という政府のスタンスは変わっておりません。

 孤独、孤立の問題は、先ほど来繰り返し私が申し上げておりますように、人生のあらゆる場面で何人にも生じ得るものと認識しております。したがいまして、孤独・孤立対策は、中高年の女性も含め、あらゆる人が対象となるものと考えております。

櫛渕委員 この殺人事件の背景には、国による中高年女性の孤立に向けた不十分な状況があるのではないかと私は思うんですね。そして、女性活躍の陰には中高年女性の貧困の問題が埋もれているように思う、このように考える支援団体の方は実はたくさんいらっしゃいます。

 もう一度パネルを見ていただきたい。

 政府は自助、共助、公助と言って、弱者は自己責任へと追い込まれ、公助へのアクセスも阻まれています。必要な人に手を差し伸べるだけではなくて、社会構造そのものを変えていかなければならないという分析もあるんです。まさに私が先ほど指摘したとおりです。

 ここからは、中高年女性の単身者がどのような問題を抱えているのか、具体的に追っていきたいと思います。

 一つは、単身者の公営住宅の入居要件についてです。

 パネル三を御覧ください。

 これは、わくわくシニアシングルズという団体の方々による中高年シングル女性の生活状況実態調査報告書でございますが、居住実態として、民間住宅に住む人が四一・八%と最も多くなっています。そのせいもあって、住居費支払い後の家計に余裕がないと答えた人が六割以上にも上るんですね。中高年シングル女性にとって住居費が重い負担になっていることがうかがえます。

 この調査では、単身高齢女性は容易に部屋を借りることができない、年金生活者でも暮らせる単身者向けの公的住宅の拡充を希望するなどの声が寄せられています。しかし、現実には、単身者が公的住宅に入居するのには高いハードルがあり、例えば都営住宅だと、障害のある人や生活保護を受けている人以外の単身者の入居は年齢要件六十歳以上となっています。

 この点について、昨年二月、予算委員会の参考人質疑においても、全国の中で、公営住宅で、六十歳未満、単身の人たちが入居できないと指摘があります。令和四年の孤独、孤立の全国調査でも、孤独を感じる人が一番高いのは民営賃貸住宅となっています。公営住宅への入居の促進は一種の孤独対策にもなると考えます。

 国交省に伺います。なぜ単身者の公営住宅への入居について年齢制限を設けられているのでしょうか。これを撤廃若しくは緩和して、高い住居費に困っている単身者を入居させるべきであると考えますが、いかがですか。

楠田政府参考人 お答えいたします。

 公営住宅につきましては、平成二十三年の公営住宅法の改正により、入居に当たり原則として同居する親族を求めるいわゆる同居親族要件を廃止いたしておりますけれども、法令で定める入居者資格以外の要件につきましては、地域の実情に応じて、公営住宅を管理する自治体が条例で定めることとされておりまして、まだ同居親族要件が規定されているところもあるというふうに承知をしております。

 国交省の方では、令和四年三月に、公営住宅への入居者資格について通知を発出いたしまして、引き続き同居親族要件を存置している事業者に対しまして、住宅に困窮する低額所得者に的確に公営住宅が供給されるよう、同要件の廃止又は一部廃止について検討を要請したところでございます。

 今後も、担当者会議、研修等、様々な機会を捉えまして、事業者に対して働きかけを続けまして、住宅困窮者の居住の安定の確保に努めてまいります。

櫛渕委員 公営住宅の入居要件の緩和、大臣、孤独・孤立対策になりますので、そして実態調査、全国調査でもこれは出ていますので、是非、強く国交省と検討いただくようお願いいたします。

 そして、次に、教育訓練支援給付金の年齢制限についてです。問題は、住まいと並んで、就労支援と教育訓練なんです。

 大臣、パネルの右側を御覧ください。就労支援を受けたことがないと答えた人が六割以上に上っています。国が行った全国調査でも、孤独を感じると答えた人の属性のうち、失業中だった人が飛び抜けて多かったではありませんか。

 居場所づくりやプラットフォームももちろんいいですけれども、しかし、今ある仕組みを本当に機能させることの方がもっと重要であると考えます。

 この調査で非正規の働き方をしている人が約四割を占めていたわけですが、こうした人たちが教育訓練を受けたいと考えた場合、四十五歳以上は受けられないという、四十五歳未満という規定があるんですね。これでは、キャリアアップを図る中高年は活用できません。是非、四十五歳未満の年齢、これの制限の撤廃、お考えいただけませんか。これは厚労省にお願いいたします。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の教育訓練支援給付金でございますけれども、これは離職者の訓練期間中の雇用保険の基本手当が支給されない期間について支給するものでございまして、平成二十六年度以降、時限的な特例措置として実施しているものでございます。

 この制度は、若年の労働者に長期の教育訓練の期間中の支援が必要であることを考慮いたしまして、また、訓練の終了後にその成果を一定以上の期間において生かせる者として、四十五歳未満の離職者を支給対象としてございます。

 教育訓練給付そのものは受給できるわけで、その上の教育訓練支援給付金について年齢制限があるということでございます。

 現在、雇用保険財政が厳しい状況にある中で、教育訓練支援給付金につきましては慎重な検討が必要と考えてございます。

櫛渕委員 限られた財源だからこれ以上の対応は難しいという一昨年のお考えの上で、総理、今年は所信表明演説で、個人のリスキリングに対する公的支援、五年間で一兆円のパッケージで拡充という言及をしているんですよ。だから、是非、四十五歳未満の年齢、この制限も是非とも緩和していただき、中高年の単身女性も受けられる制度にここは変えていただきたいと思います。

 そして、時間がなくなってしまいましたので、済みません、財務省さん、寡婦控除についてはちょっと飛ばさせていただきまして、最後に、福島の東京電力福島第一原発事故による避難者、この方々の孤独そして孤立の現状と対策についてお聞きをいたします。

 忘れてはいけないのは、この事故によって避難されている方々がまだ二万七千人を超える、こうした方々がいらっしゃるということです。そして、今なお原子力緊急事態宣言が続いています。ある日突然、準備も不十分なまま避難を強いられた方々がこれほどの人数に上り、しかも今なお続いているのが実態なんですね。

 パネル五を御覧ください。

 県内避難でも約四割、県外避難だと半数近い人が孤独を感じていると答えています。よく眠れない、何事も以前より楽しめなくなった、憂鬱で気分が沈みがちと答えた人も多いですが、これらも孤独そして孤立と関係しているのではないかと考えます。

 新潟県の福島第一原子力発電所事故による避難生活への影響に関する検証、ここでも、人間関係の変化という項目があります。これによって人間関係が薄くなった、こう答えた人が七割、そして、支援先で知り合いが少ないため孤独である、こう考えた人が四割にも上ります。

 大臣、孤独・孤立法案、これが今審議中ですけれども、この法律によって、こうした原発事故で避難して孤独を感じている人たちがどのように救われるのか、お答えください。

小倉国務大臣 東日本大震災の発災から十二年がたち、災害公営住宅等にお住まいの方の中には独り暮らしとなった高齢者が少なくなく、原発事故による避難者も含め、日頃からの孤独、孤立の防止が重要と認識しております。

 このため、復興庁では、被害者支援総合交付金を通じて、自治会の設立支援や交流会の開催などのコミュニティー形成に対する支援、人と人とのつながりをつくり、被災者の生きがいをつくるための心の復興事業等々の自治体の取組を幅広く支援しているものと承知しております。

 引き続き、復興庁とも連携をしながら、原発事故による避難者の孤独、孤立の防止に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

櫛渕委員 最後、時間が来ましたのでまとめさせていただきたいと思いますが、大変重要な点ですので、一言申し上げます。

 忘れてはいけないのは、国がこうした状況を積極的に生み出しているということが大変大事な点だと思うんですね。つまり、原発事故で避難している方々に対して、子ども・被災者支援法、これを無理やり打ち切って、絶望に追いやったわけですよ。そして、孤独、孤立というものが、今、放置されたままになっています。十九日の質疑でも取り上げられましたが、是非、孤独・孤立法の第二十五条での推進本部に復興大臣を入れてください。

 そして、最後、まとめますが、このような様々な施策、冒頭申し上げたように、やはり結局、根源は経済の問題です。経済的孤立、ここから孤独、孤立が始まっています。れいわ新選組が求める、消費税、インボイスの廃止、最低でも減税、そして一律の現金給付や教育の無償化、そして全国一律の最低賃金千五百円、住まいは権利、家賃補助、こうした経済政策を積極財政でまずは実行した上で、誰でもが自分らしく生きられるための孤独、孤立予防対策を実行していただくよう強く求め、私の質問といたします。

 ありがとうございます。

大西委員長 次回は、来る二十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十七分散会


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