衆議院

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第17号 令和5年4月28日(金曜日)

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令和五年四月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大西 英男君

   理事 井上 信治君 理事 神田 憲次君

   理事 藤井比早之君 理事 宮路 拓馬君

   理事 青柳陽一郎君 理事 稲富 修二君

   理事 阿部  司君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    池田 佳隆君

      石橋林太郎君    石原 宏高君

      尾崎 正直君    大野敬太郎君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      杉田 水脈君    鈴木 英敬君

      田野瀬太道君    平  将明君

      中野 英幸君    中山 展宏君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      牧島かれん君    松本  尚君

      中谷 一馬君    太  栄志君

      本庄 知史君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    足立 康史君

      岩谷 良平君    河西 宏一君

      福重 隆浩君    浅野  哲君

      塩川 鉄也君    緒方林太郎君

      大石あきこ君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     松野 博一君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 谷  公一君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)

   (共生社会担当)

   (孤独・孤立対策担当)  小倉 將信君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (全世代型社会保障改革担当)

   (経済財政政策担当)   後藤 茂之君

   国務大臣

   (宇宙政策担当)     高市 早苗君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   内閣府大臣政務官     鈴木 英敬君

   内閣府大臣政務官     自見はなこ君

   内閣府大臣政務官     中野 英幸君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  林   学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)

   (厚生労働省大臣官房審議官)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  廣瀬 健司君

   政府参考人

   (内閣官房TPP等政府対策本部国内調整統括官)  武藤 功哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       窪田  修君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 飯田 陽一君

   政府参考人

   (内閣府宇宙開発戦略推進事務局長)        河西 康之君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    原  和也君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹谷  厚君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   青木 孝徳君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (特許庁総務部長)    清水 幹治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         加藤  進君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   参考人

   (日本銀行総務人事局長) 播本 慶子君

   内閣委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  松本  尚君     石橋林太郎君

  堀場 幸子君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     松本  尚君

  足立 康史君     堀場 幸子君

    ―――――――――――――

四月二十七日

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

大西委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本銀行総務人事局長播本慶子君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房内閣審議官黒田秀郎君外二十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大西委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大西委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 内閣委員会の皆様には御無沙汰をいたしております。昨年、ちょっといろいろ党内でありまして、内閣委員会を首になりまして、今、メインは農林水産委員会ですね、行ったことのないところでやっておりますが、今日は、私が無理やり来させてくれと言ったんじゃなくて、同僚からたまには来なさいということで、出張をしてまいりました。

 昨日、衆議院ではGX、原発の法案が終わりましたので、私自身も、まあ党でもそうだと思いますが、いよいよ、骨太方針に向けて、あるいは今年年末に向けて、少子化対策が大事なテーマでございますので、今日は少子化対策をやらせていただきます。

 大臣、私、実は最近の変化が分かっていなくて、今日、最初は、小倉大臣お願いします、少子化対策をやりますと言ったら、いや、それは地・こ・デジでやってくださいと言われまして、がくっときたんですが、後藤大臣はこども未来戦略会議の、総理が議長で、副議長が小倉大臣と後藤大臣、よく考えたら、今日私が伺うことは小倉大臣よりも実は後藤大臣の方が適任だということがだんだん分かってきまして、やはり僕は運が、まあやめておきましょう、非常にいい形になったということで、ありがとうございます。お手数をおかけしますが。

 そういう意味では、全世代型社会保障改革担当大臣としての後藤大臣に質問させていただきたいと思います。

 まず、少子化対策の財源について、財源が要りますから、どうなっているか御検討状況を教えてください。

後藤国務大臣 子供、子育て政策につきましては、こども未来戦略会議におきまして必要な政策強化の内容、予算、財源について順次議論を行うこととしておりまして、御指摘の財源についても今後しかるべきタイミングで御議論をいただきたいと考えております。

 また、子供、子育て政策の強化のために必要になる財源につきましては、現時点において特定の財源を念頭に置いているものではありませんけれども、徹底した歳出改革が大前提であるというふうに考えております。

 なお、昨日開催した第二回会議では、総理が示されている子供、子育て政策の推進を図る上での基本理念である、若い世代の所得を増やすこと、社会全体の構造や意識を変えること、全ての子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援することの三つに沿って、構成員の皆様から自由闊達な議論をいただきまして、第三回では、たたき台で示されている加速化プランに沿って検討すべき子供、子育て政策の内容について議論していくことにしております。

 その上で、同会議において議論を進めまして、六月の骨太方針までに、将来的な子供予算倍増に向けた大枠をお示ししてまいりたいというふうに考えております。

足立委員 すると、財源は六月の骨太方針である程度見えるのか、いや、それはやはり年末なんだと。そこはどうですか。

後藤国務大臣 六月までに予算倍増の将来への道筋についての大枠をお示しするということでございますので、子供、子育ての政策、そしてその財源等につきましても、こども未来戦略会議において、六月までに御説明のできることを御説明をしていくということでまとめたいと思います。

足立委員 御説明できることを御説明すると。いや、いいんです、いいんです。多分、いや、分からないですけれども、ちゃんと書いてくださったら有意義なんですけれども、ほわっと書かれて、年末に向けてやっていかれるのかなと勝手に推測していますが。

 ただ、私たちは余り胸張って言えません。だって、私たちも余り財源のことを言っていませんからね。だから、日本維新の会、今、躍進ということでありますが、いろいろ、自民党さんもしっかり、維新の会、財源どうするんだと聞いてください。そうしないと、ふわっと議論が進んでいくので。

 やはり私は、この財源の議論を党内でしっかりやるべきだという立場。そういうことを言っているのでちょっと干されているんですけれども。やめておきましょうか。

 しかし、さっきもあった、政府・与党もそうだし、私たちもそうだけれども、歳出改革は徹底してやる、これは当たり前ですね。それから、我が党がよく言っているのは、経済成長だ、こう言っている。歳出改革、行財政改革と経済成長でやるんだと言うんだれけども、それだけでできることとできないこととありますから、私は、個人的に、税の構造改革とか、あるいは社会保障の大胆な改革とか、そういうことが絶対に必要になってくるというのが個人的立場であります。それを我が党もやはり言っていくべきだ、選挙前に言っていくべきだということを、まあ勝手に言っているんですが。これぐらい許してもらえますか、大丈夫ですか。ちょっと後で怒られないように。

 じゃ、私個人が何がポイントになると考えているかというと、一つは年金改革だと思っています。結局、要は、人口ピラミッドが激しく変わってきたんだから、世代間の調整がやはりどうしても必要なんだということが当たり前だけれども、いわゆるシルバー民主主義か何か分からないけれども、なかなか政治がそこを仕切れていないというのが現状だと私は思います。

 そういった意味で、子供対策、少子化対策の予算は、やはり私は全世代で、もうちょっと言えば高所得の高齢者。高所得の高齢者は、やはりそこはちょっと頭を下げてお願いせなあかんと私は思っています。そのためにも、私、よく地元で、皆様もいろいろ地元活動されると思うんですけれども、私も選挙区内を歩きます。私は、比較的豊かな高齢の先輩方のお宅に伺うと必ず、年金のクローバックをやらせてくださいと頼んでいるんです、今。票は減りますけれども。だから、私が選挙で多少苦労しているとしたら、それを言っているからですよ。まあやめておきましょう。

 よく考えたら、自民党、公明党、そしてかつての民主党も、と言うのが正確かな、要は、平成二十四年の、だから、平成二十四年ということは、私たち日本維新の会が結党されて初めての解散・総選挙で五十四議席だったかな、をいただいた年ですよ。でも、それは秋冬ですね。その前の二月の閣議決定で、その前の民主党政権末期の平成二十四年二月十七日の閣議決定で社会保障・税一体改革大綱というものが示されて、そこには高所得者の年金給付の見直しと入っていたんですよ。

 ところが、その後、秋には、年金機能強化法、平成二十四年、その年の八月十日に成立した法律からはその規定が削除をされてしまった。その間には、国会の審議や三党協議があったわけであります。私たちは、そこは、まだ党がありませんから入っていません。

 これは事務方で結構です。厚労省になるのかな。これは、朝川審議官、二重のお立場があると伺っていますし、それから厚労省の日原審議官も、どういう形でも結構ですので、その経緯、できれば、何で入れたのか。最初は入れたわけですよ、政府として。何で入れたのか。あっ、これは、立憲民主党の質問者みたいに、答弁が時間がかかったりするとぎゃあぎゃあ、私は言いませんから、それから、答弁が不十分なところがあっても、一定の御示唆がいただけたら満足しますから、だから、気楽に、萎縮せず、この一連の経緯は一体何だったんだと、ちょっとその辺を教えてください。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたいわゆるクローバックにつきましては、平成二十四年、当時の政府、民主党政権でございますが、提出の年金機能強化法案に盛り込まれた、高所得者に対する基礎年金のうち国庫負担分の一部を支給停止するというものでございます。

 その導入につきましては、同年の三党協議、民主党、自民党、公明党の協議でございますが、におきまして、保険料の納付インセンティブに与える影響、約束した給付が支払われないのは社会保険の原則に反するのではないか、そういうような御懸念が示されまして、衆議院における修正で法案から削除されたと承知しております。

 その際、附則において、高所得による老齢基礎年金の支給停止については引き続き検討が加えられるものとする、そういう検討規定が置かれてございます。

 元々、政府提案に入っていた趣旨は、世代間の公平、世代内の公平、そういったことを考慮して設けられたものと承知しております。

足立委員 まさに御指摘あったとおりで、世代間の公平。これはやった方がいいですよ。民主党政権でせっかく入れたのに、腰砕けになって、これは解散・総選挙の前だからやめちゃったわけです。いやいや、引き続き検討はするんだと。大臣、これはちゃんと検討した方がいいと思いませんか。

後藤国務大臣 今のお尋ねは少子化対策の財源の問題で、まさに、今、足下の最大の課題でございます。繰り返しになりますけれども、子供、子育て政策強化のために必要となる財源については、現時点においてまだ特定の財源を念頭に置いていないということで、徹底した歳出改革を大前提にしております。

 今、委員からも御指摘がありましたけれども、少子化対策自身は、これは、社会全体の課題として受け止め、また国民一人一人の課題であるという認識の下で、社会経済の参加者全体で支えていく、負担もしていくという視点も重要であるというふうに考えています。

 なお、御指摘の年金のクローバック制度については、今厚生労働省からもお答えしたとおりではありますけれども、保険料納付インセンティブに与える悪影響や、約束した給付が支払われないのは社会保険の原則に反するのではないかとの懸念などが示されておりまして、当時導入されなかった。そういうことを踏まえて今検討いたしております。

足立委員 その二つの課題は、それは政治がちゃんとリードしないと、ちゃんと説明しないといけない。いや、それはそうするけれども、それをすることによって、少子化対策というか、現役世代にその財源を回す。そうすることによってまた現役世代が元気になれば、また高齢者の年金制度が安定をしていくことによって皆さんの年金はより確かなものになるんだから、逆に納付インセンティブは上がっていくんですよ。保険料の納付インセンティブは、今、ほってあるから下がっていっているんだから、私は全くこれは理屈が逆だと思う。

 それから、財産権というか、これは権利だと言うんだけれども、しかし、まさに、当時つくったクローバック制度は、先ほど朝川さんおっしゃっていただいたように、高所得者の老齢基礎年金。基礎年金ですよ。それも国庫負担分でしょう。高所得高齢者の基礎年金。高所得なんですよ。何でそこに税金を入れる必要があるんですか。

 だから、今、二つ大臣もおっしゃいました。そういう議論があったというのは分かりますけれども、それはやはりおかしいんです。やはりクローバックはやった方がいいんです。カナダだってやっているんだから。

 今、大臣がいろいろおっしゃいましたが、これは朝川さん、内閣官房か厚労省か知りませんけれども、その後の検討というのは、検討しているんですか。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 社会保障・税一体改革がございましたが、その後、平成二十五年に取りまとめられました社会保障制度改革国民会議報告書というものがございます。そこにおきましては、高所得者の年金給付の見直しについて、世代内の再分配機能を強化する観点から、税制での対応や各種社会保障制度における保険料負担の在り方等、様々な方法を検討すべきとされております。

 その後の年金制度改正も何回かありますが、その過程でも、社会保障審議会の年金部会におきましても議論、検討をされてきております。

 この問題につきましては、引き続き、様々な観点から検討していく必要があると考えてございます。

足立委員 阿部理事、名指ししたらあきませんけれども、これから我が党でも少子化対策を議論していくと思います。我が党は、とにかく行財政改革だ、大阪でやったからできるんだと。取りあえずそういうのでもいいんですけれども、やはり本格的な、だって、ベーシックインカムとか言っているんだから、それはやはり一定の財源の議論を我が党もしなければ、いずれ政府・与党からも、政府・与党もあほじゃないんで、いよいよ維新の会が伸びてくるとなれば、突いてきますよ、そこを。そのときに、まさに自民党、公明党、当時の民主党が腰砕けになったテーマ、これをやったらいいんですよ。

 大変ですよ。繰り返しになりますけれども、私は、地元を歩いて、高所得の高齢者の方の先輩のお宅に行ったら、必ずこの話をしています。必ず言われるのは、まず国会議員の定数を減らせと言われます。必ず言われます。だから、日本維新の会の身を切る改革路線というのは正しいんです。だって、必ず言われるもん、まずやれよと。だから、やりますと言うんです。でも、それをやった上で、じゃ、身を切る改革で財源が生まれるのか。身を切る改革は財源ではありません。あれは政治家の姿勢です。

 そうすれば、では財源は何だ。それはもちろん行財政改革をやる。大阪ではやった。でも、大阪でやった行財政改革と同じマグニチュードで国政でやっても、それは十分な財源ではないんです。そして、これから税と社会保障と労働市場の三位一体改革を進めるに当たっては、必ず財源の話が出てくる。私は、もちろん行財政改革と経済成長が中心だと思いますよ。でも、行財政改革をやる、歳出改革をやる、なぜ日本維新の会にそれができるのかといえば、自民党、公明党、民主党にはできなかったけれども、なぜ日本維新の会に、彼ら三党ができなかった、レベルの深い深い行財政改革が日本維新の会にできるのかということを証明する唯一最大のテーマがこれなんです。

 要は、高所得高齢者のクローバックさえもできないような政党に日本の未来を預けることはできません。だから、私は党内でもずっと、この年金のクローバックを掲げるべきだと。選挙で負けてもいいんですよ、一回ぐらい。でも、必ず、さっき朝川さんからも御紹介があったように、自民党、公明党、民主党は一回やると言ったんだから。これは法律を作ったんですよ。ところが、選挙が怖いから腰砕けになってやめたんです。それをもう一回テーブルにのせて議論する責任は、自民党に対するチャレンジャーである私たちが、本当に決勝戦で自民党と戦いたいのであれば、日本維新の会のマニフェストにちゃんと、異次元の少子化対策を支える異次元の年金クローバックを導入すると書くべきだと個人的に阿部理事に提案をしておきたいと思います。(発言する者あり)いや、党内でなかなか議論をさせてもらえないんですよ。済みません、友達いないので。(発言する者あり)でしょう。だから青柳さんもちょっと維新に来た方がいいよ。昔はもっと親しかったよね。

 いや、いいじゃない、党でまとめた意見をするのも議論だけれども、でも、国会議員なんだから、いろいろな議論を国民の皆さんに聞いていただく、それがまた党にフィードバックされて議論が進んでいく。ダイナミックにやりましょう、ダイナミックに。

 さて、もう一つテーマがあるのは、昨今話題になっている子供医療費や、特に出産費用の無償化の議論であります。

 これは、日本維新の会として保険適用を訴えてきたところ、菅前総理の御提言もあり、政府・与党でこれは保険適用するんだということが決められました。というか、そういう方向になっているようであります。

 私は反対していました。これも私が党内で干されている理由の一つなわけでありますが。元々、出産費用の一時金というのは、財源は保険財政から出ているわけです。しかし、子供を支える、出産を支える、次世代を支えるお金は、私は保険でやるべきじゃないと言い続けてきているんです。だって、保険というのは、現役世代が払っているんだから、企業が負担しているんだから、働く人が負担しているんだから。もちろん高齢者も一部負担していますけれども。だから、保険財政ではなくて、それはやはり税だと私はずっと言い続けてきたんですね。だから、保険適用は反対ということを言い続けてきましたが、我が党のみならず政府・与党もそっちへかじを切った。

 百歩譲って、保険適用のいいところは標準化されることですよ。なぜ出産費用の無償化が一時金を増やしても増やしてもできないのかといえば、理由は一つですよ。イタチごっこになるからですよ。でも、それは、医療界が悪い、産婦人科医が悪いんでもないんですよ。大変なんですよ、産科を維持していくというのは。だから、私は、産科を何か攻撃して、イタチごっこじゃないかといって攻撃する論調、国会でははやっていますけれども、私は反対です。そんなことをしたら医療が壊れます。

 じゃ、今申し上げたように、保険適用のいいところ、それは標準化をするということです。例えば教育無償化が大阪でなぜできているか。上限設定したからですよ。その上限設定に従わないところは無償化政策から出ていってくれとやったんです、これは橋下さんが。標準化なきところに無償化はないんです。

 だから、標準化をするために保険適用にするのは賛成です。でも、問題は財源なんですよ。保険財源では駄目なんです。税でやるべきなんです。

 そこで、私は大臣に一つ御提案をしたいのが、子供医療費も、あっ、ごめんなさい、まず、朝川さんかな、厚労省の日原さんでも構いません。子供医療費って今、よく私たちは地元では、子供医療費無償って、維新の会もやっていますよ。それも高校生までかな、十八歳まで。普通は小学生とか小さいお子様ですよ。大阪では高校卒業まではもう標準化されています。ほぼ、維新の会がいただいている首長の市では、十八歳までかな、ちょっと余り勉強していないんだけれども、無償が実現しています。私の地元池田市の瀧澤智子市長もそういうことをやっています。箕面もやっています。茨木はやっていないんですけれどもね、維新の市長じゃないので。

 茨木の市長さんは、いい市長さんなんですけれども、とにかく、子供政策に余りお金をつけると、これは毒まんじゅうだと。余りやるとすごい財源が要るから、それも未来永劫要るから、だから少子化対策に余りお金をつけるのはこれは毒まんじゅうだといって公言していましたけれども。でも、維新の会は、それは毒まんじゅうじゃないんだ、未来をつくるために、次世代を、次代をつくるために必要だということで、身を切る改革でやってきたわけですね。

 その子供医療費というのは、自治体が単費で結構支えているわけです。大体その辺の、子供医療費がどうなっているか、何か通告していましたっけ、ちょっと簡単に御紹介ください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 地方自治体による子供の医療費助成についてでございますけれども、これは、窓口負担の無償化、それから窓口負担の一部助成、償還払いによる助成など、様々な形を含んだ数でございますけれども、昨年の四月一日時点で、全国の千七百四十一市区町村のうち、ちょっと細かくて恐縮ですが、入院について、小学生を対象とするもの千七百四十一自治体、中学生を対象とするものが千七百二十三自治体、これは九九%でございます。高校生を対象とするもの千四十六自治体、六〇・一%。それから、外来について見ますと、小学生対象が千七百二十自治体、九八・八%、中学生対象が千六百七十四自治体、九六・二%、高校生を対象とするものが九百六十七自治体、五五・五%となってございます。

足立委員 なるほど。まさにそういう状況ですね。

 教育無償化は大阪でスタートして、大阪って、まあいろいろな議論がありますけれども、大阪も含めて、大阪が強い政治的リーダーシップで教育無償化、特に今、新しく再選をさせていただいた吉村知事始め大阪維新の会のリーダーシップで高等教育まで、大阪公立大学まで無償にする。かつての大阪市立大学の医学部まで無償になるわけですよ。そうしたら、うちの梅村聡参議院議員が、ラッキー、子供は行かせるとか言っていましたけれども。やめておきましょうか。ちょっと後で議事録を調整した方がいいかもしれませんけれども。

 そういうことで、大阪でやってきた取組を、今やこの教育無償化が政府・与党の政策にもなってきて、国費でそれが措置され始めているわけです。いずれ、大阪での十八歳までの医療費無償が国の政策として私は標準化されるべきだと思います。財源も。

 そして、出産費用についても、標準化するのはいいんだけれども、税を入れるべきだと思うんです。

 そういうことでいうと、結論から言うと、私の個人的提案は、後期高齢者医療制度と同じように子供医療制度をつくるべきだ、その子供医療制度には税金をふんだんに入れるべきだ。後藤大臣であれば、私が言っていることを、多分、言いたいことは分かると思いますね。言いたいことは分かりますよね。

 今、皆さん、国の政策では、子供の自己負担、子供医療の自己負担は三割ですよ。何で高齢者は一割とか二割で、あるいは三割で、高齢者の自己負担は少ないのに、なぜ子供の自己負担は多いんですか、いや、三割ですか。それを埋めているのは、自治体が埋めている。おかしいんですよ。

 だから、後期高齢者医療制度と同じように子供医療制度というものを創設をして、そこには税金をふんだんに入れる。こうすることによって、今日ずっと議論になっている少子化対策の財源、世代間の公平、これを抜本的に措置していくことができると考えますが、大臣、どうですか。

後藤国務大臣 子供の医療費の問題につきましては、国の医療保険制度では就学前の子供の医療費の自己負担が三割から二割に軽減されておりますし、さらに、今議論されておりますたたき台においても、地方自治体から特に要望の多かった子供医療費助成に係る国民健康保険の減額調整措置の廃止等を盛り込んでいる。そういうことで、いろいろな対応を検討しております。

 その上で、財源の御提案に関しては、これは繰り返しになりますから短く言えば、現時点において、特定の財源を今念頭に置いているわけではありません。

 なお、御提案の、子供を対象とした独立した医療保険制度の創設について言えば、今お聞きして、御主張の御趣旨については理解しているつもりですけれども、例えば、既存の医療保険とは別に特定の年齢層の方を対象とした保険をつくることが必要か、適切か、一体何歳までを対象とするのか、無償化した場合の医療提供体制や受診行動への影響がどうなるのか、無償化に伴う給付増について、公費で対応するとして、その財源をどのように安定的に確保するか、そういった課題もあるのではないかというふうに制度論としては感じたところです。

足立委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃった課題、これはまさに検討すべきことなんですね。だから、私たち日本維新の会は、というか私は、これを検討し、党内でも、青柳筆頭理事がおっしゃるように、いろいろ言うんだったらまず党内でまとめてこいと。私が原子力政策で立憲民主党に言い続けてきたことですよ。日本維新の会は原子力政策で一貫して責任法案というのを提案してきた。立憲民主党は原発ゼロ法案を撤回してしまいましたよ。じゃ、今、立憲民主党に原発政策はどうなんだと聞いたら、ノーアイデアです、党内でまとまらないから。

 何が言いたいかというと、これは立憲民主党を批判しているんじゃないんです。私たち日本維新の会も、野党第一党そして政権にチャレンジをしていく、そういう立場からいえば、まさに今日私が提起したようなテーマについてしっかりと党内論議を深め、そして、責任ある政策提案、財源も示した上でしっかりとした政策提案をしていくことが、まさに、民主党政権のように、あの民主党政権のようにホップ、ステップ、肉離れみたいなことを再び繰り返すようなことがあったら、日本政治は、令和の時代は終わります。

 やはり、民主党政権の失敗の教訓を踏まえ、私たち日本維新の会は、そうしたことを繰り返すことがないように、外交、安全保障とか国の基本については政府・与党と平仄を合わせながら、社会保障、少子化対策については、今大臣がおっしゃった、何か、ちょっとずつ直しています、微修正していますということではなくて、そんなことでは日本の衰退は止まりません。抜本的な大改革を、党内でしっかりと少子化対策をまとめていくために、党内でもしっかり頑張っていく、そして、しっかりとこの国会で今日のような議論をこれからも続けていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、松本尚君。

松本(尚)委員 おはようございます。自由民主党の松本尚でございます。

 今日は一般質問ということで、かねてから私がいろいろと気にしておりました件について質問をしていきたいと思います。

 私は、長年にわたり、外傷患者に対する外科診療を専門としておりました。例えば、刺された人、撃たれた人、あるいは交通事故に遭った人、高いところから落ちてしまった人、こういった重症の患者さんを治療してきたわけでありますけれども、それに加えまして、ドクターヘリとかドクターカーを使った、救急現場に医師を派遣する仕組みの構築というものにも注力をしてきました。これを病院前救急診療というふうに申しまして、今は一つの診療領域として確立をしておるわけであります。

 その結果、外傷患者さんに対して、救急現場から早期に医療を介入することによって、救命率を格段に上昇させることができました。

 お手元に資料を配付しておりますけれども、資料の一番というのは、救急現場からの医療介入によって、病院にその患者さんが到着するまでの間に、いわゆるバイタルサインといって、収縮期の血圧とか呼吸数とか、あるいは意識の状態というものがどれぐらいよくなったかというのを示したグラフでありますけれども、これが統計学的に、病院に到着したときには上昇しているというようなものを示したものであります。

 それから、資料の二番目ですけれども、そういった患者さんのうち、特に、そういった患者さんは予測生存率というものを計算できるようになっておるんですけれども、その予測生存率が七〇%を切るような症例であっても、これも統計学的に有意に救命をしてきたというデータを、これは両方とも私が書いた論文で、私の勤めていた病院でもって調べた結果でございますけれども、こういったようなデータが出てきているということであります。

 こういう医学的なあるいは科学的な背景を基にして、本日は、警察とそして医療機関による、事件現場における医療提供体制の構築といったものについて質問をさせていただきたいと思います。

 こういった意図は、元々、人質の立てこもり事件等々でも被害者が出ているわけでありますけれども、昨年の安倍総理の銃撃事件とか、あるいは先般の岸田総理への爆発物の投擲などのような事件などもあって、こういったいろいろな事件の場所場所に医療の早い介入というものが必要なのではないかといったようなところにも、今日の質問の意図が込められているということを御承知おきいただきたいと思います。

 まず、二〇〇〇年以降の全国の人質の立てこもり事件における被害者そして被疑者、警察官等の死亡者数や負傷者数について、警察庁の方から伺いたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 人質立てこもり事件につきまして、警察庁に報告があったものとして、二〇〇〇年から二〇二二年、平成十二年から令和四年になりますけれども、この間における全国における人質立てこもり事件の認知件数は合計で百二十三件、その中での死傷者数は合計で百二名、死亡者が六名、負傷者が九十六名であります。この中には被疑者に係る数字は含まれておりません。

 死傷者数の内訳について申し上げますと、人質となった被害者につきましては四十六名の方でありますけれども、亡くなられた方が四名、負傷者数が四十二名。それから、警察官につきましては、亡くなった者が二名、負傷者が二十名。第三者で三十四名、これは全て負傷でございます。

 以上でございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今お示しいただいたんですけれども、百二十三件、死亡者数も負傷者も、特に警察官については二十名が負傷しているということでございます。

 私が調べたところによりますと、例えば二〇〇二年の九月の福岡県二丈町での事件では、被害者宅の娘さんが腹部を刺されて亡くなっていらっしゃいます。二〇〇三年の九月に名古屋市で起きた事件は、人質それから機動隊員、被疑者の三名が死亡し、三名の警察官が重傷を負われています。また、二〇〇七年五月、愛知県の長久手町で起こった事件では、警察官一名が殉職、被疑者の妻子と警察官一名が負傷している。

 このように、人質となった被害者、そして捜査に当たった警察官までもが死亡あるいは負傷しているという現状は、我が国の治安のみならず、国民の生命を守るという観点から、こういった事件現場に対しても早期に医療を介入させるということを考えなければいけないだろうと、医師としての私の感情と申しますか意見というふうに、考えなきゃいけないかなと思っているわけであります。

 では、次に、二〇一六年の二月に発生しました千葉県の佐倉市における人質立てこもり事件における医療の対応について、警察庁の方から伺いたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの人質立てこもり事件につきまして、簡単に申し上げますと、平成二十八年二月十八日午後八時半頃、千葉県佐倉市内に所在する教会内におきまして、刃物を所持した被疑者が女性一名を人質にして、約八時間三十分にわたって立てこもったものというものでございます。

 千葉県警察から報告を受けているところによりますと、お尋ねの事件におきましては、負傷者が複数いるという一一〇番通報を受けまして、救急隊の派遣を要請するとともに、人質となりました被害者が負傷している可能性を踏まえまして、日本医科大学千葉北総病院に医師などの派遣を要請したものと承知しております。

 同病院の医師の方々らは、事件現場におきまして、発生から約八時間半後に解放されました被害者の治療に従事していただきまして、その後、被害者は事件現場に待機していた救急隊により同病院に搬送されたものと承知しております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 実は、聞きたかったのは、誰の判断でこういったことをしたのかということなんですけれども、現場の警察の方から、救急要請するとともに、こういった負傷者が出る可能性があるということで判断をされて、医療のチームを現場に待機をさせたというような事案でございます。

 こういった人質立てこもり事件に医療チームを待機させるということは、実は今の病院は私がいた病院なんですけれども、佐倉市の警察の刑事課の方と、こんなことをやったらいいんじゃないかなというような話を実はしていたとはいえ、千葉県警がこういうふうに主体的かつ意図的に医療チームを事件現場に要請したということは、非常にすばらしい、価値のある判断ではなかったかというふうに思うわけであります。

 こういった事案を受けまして、千葉県警察本部と、それから、今出ました、私が勤務しておった当該医療機関との間で、事件現場医療派遣チーム、インシデント・メディカル・アシスタント・チーム、これはIMATというふうに呼んでおりますけれども、協定を締結したわけでありますけれども、その協定の概要について、警察庁から説明をお願いしたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 委員から今御紹介ありましたように、千葉県警察におきましては、平成二十八年七月二十九日、先ほどの事件の五か月ほど後ですけれども、日本医科大学千葉北総病院と事件現場医療派遣チームの運用に関する協定を締結しておりまして、同協定におきましては、突発重要事件の発生現場において警察活動を実施するに際しまして、当該現場において事件現場医療派遣チームを運用するために必要な事項を定めて、同年八月一日から施行しているところでございます。

 若干申し上げますと、この定めている必要な事項というのは、医療派遣チームの編成及び任務でありましたり、あるいは千葉県警察と医療派遣チームの連携等について定めているものでございます。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 このように、警察組織が医療機関との間でこういった協定を締結するということは、非常に画期的で先進的な決断だったというふうに思います。これによって、県民に対する安心、安全の確保、さらには被害者の救出、救助、犯人確保に従事する警察官を守るという意味においても、非常に意義のあるものであると思っております。

 しかしながら、協定の締結だけでは絵に描いた餅にすぎないわけでありまして、この協定を生かすための準備が必要だと思っています。

 そこで、千葉県警とIMATによる合同訓練について、これまで、どのような目的で、いつ、そして千葉県警内のどういった組織がどういう規模で訓練を行ってきたのかについて、お聞かせいただきたいと思います。

渡邊政府参考人 お答えします。

 千葉県警察におきましては、これまでに、日本医科大学千葉北総病院が運営するIMAT、事件現場医療派遣チームとの合同での訓練を四回実施しているところでございます。

 目的といたしましては、事態対処医療についての警察官の理解を深める、あるいは、実戦に備えて警察官と医療派遣チームの連携を高めるといったものと考えております。

 この四回の訓練についてそれぞれ申し上げますと、平成三十年五月に参加人数約九十名、平成三十一年二月には参加人数約五十名、令和元年七月には参加人数約七十名、令和二年十月には参加人数約九十名ということで、いずれも、刑事部捜査第一課等の人質立てこもり事件の捜査に関わる所属等が参加して、事件現場医療派遣チームに関する医師からの講演をいただいたり、あるいは、事件現場を想定して、そこでの警察活動と連動した事態対処医療訓練を実施したものと承知しております。

 その後、新型コロナウイルス感染症による感染拡大を受けまして合同での訓練が行われていないところでありますけれども、千葉県警察からは、現在、同医療派遣チームとの合同での訓練を早期に実施する方向で検討しているという報告を受けております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 今、質問にお答えいただきましたけれども、実は私もこの訓練等々には参加をしておりまして、今日は、こういった質問をしているのは、是非皆さんにも御理解をいただきたいと同時に、しっかり議事録に残して、こういうことをやっているんだということを国民の皆さんにも知っていただきたいということで、今、説明をしていただいたところであります。

 今の御回答にありましたように、年に数回の訓練を実行していくことによって、警察、特に現場に出動する捜査チームに対して、医療チームは一体何をやるのか、医療チームにとっては警察組織に対する理解、こういった相互理解を進めることになるというふうに思います。

 私、なぜこれを推進したかというと、先ほどにももうお話ししましたけれども、我々の命を守ってくれている警察官が、危険を冒して現場に突入していくというようなこともある。彼らを守らずして一体何の医療だというような思いが非常に強くて、もちろん被害者の方、それから、事件の解決に対しては被疑者もちゃんと命を守るということが必要ですけれども、どうしてもそこのところをしっかりとやりたかったというのが目的であります。

 そういった意味で、今御回答いただきましたけれども、四回の訓練で九十名、五十名、七十名、九十名というふうに警察の方がたくさん参加をしていただき、医療のチームとの相互理解を深めたということは非常に価値のあるものだろうと思っています。

 この合同訓練は、警察官の皆さんへの外傷診療の基礎的な知識、そして、止血のためのタニケット、止血用具ですけれども、これの使用方法の伝授を行い、また実動訓練では、人質立てこもりのシナリオを作り、現場突入から人質の救出、救助、犯人確保、そして負傷者への医療チームの介入、搬送までを一つの流れとして実施させていただいておりました。

 資料三は、そのときの様子を撮影したものであります。これは千葉県の機動隊の持つ組織の中で集まったものですけれども、ここにいわゆる被害者の方が寝かされていて、医療チームが、安全を確保された後、これは犯人確保後ですけれども、この場合はたしか撃たれた患者さんだったと思いますが、速やかにこれを診察し治療をしということであります。周辺には機動隊の方、これは千葉県警の突入救助班の方々ですけれども、どういうことをやるのか、どういう格好で自分たちを守ってくれるのかといったことも含めながら見学をしているところでございます。

 このように、危険を冒して現場に突入する警察官の生命を守るという思いを持たせることで、警察の皆さんからの信頼を得、それが警察官と医療チームの一体感を強くできたというふうに思っております。

 さて、このような事件現場への医療チームの派遣と待機、そして早期の医療介入について、警察組織と医療機関の間での協定締結というのは、千葉県のほかに東京都でも行われております。千葉県警での訓練時には神奈川県警からも見学者が来られておりまして、同県警も協定について強い興味を示しておりました。

 残念ながら、新型コロナのパンデミックにより、その流れが立ち消えになっているのではないかというふうに推察しておりますが、ここで谷国家公安委員長に質問したいのですけれども、こういった取組を全国の府県警まで拡大していくという可能性、あるいはその意思があるかどうかについて伺いたいと思います。

谷国務大臣 お答えいたします。

 まず、外傷外科医として警察の事件関係あるいは医療関係に長く御尽力いただいております松本委員に、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 御質問の件でございますが、いわゆるIMAT、事件現場医療派遣チームについては、突発重要事件の発生時において、負傷者等が出るおそれがある場合に、警察から要請を受けて事件現場で待機し、負傷者などが出れば迅速に応急的治療等を行うものであり、警察としてもその重要性を認識しているところであります。

 このIMATは、平成二十四年九月に警視庁が医療機関との間で協定を締結して以降、令和五年四月現在までで十一の都道府県警察において協定が締結され運用しているところと承知しているところであります。その中には、委員御指摘の千葉県も当然入ってございます。

 また、警察庁では、人質立てこもり事件などの捜査指揮に当たる捜査幹部などを対象とした研修において、医師の方を講師として招き、事態対処医療に関する講義、訓練も実施するなど、必要な取組を進めていると承知しているところであります。

 引き続きこのような取組を進めていくとともに、既に協定を締結した都道府県警察の取組事例を全国において共有するなどして、その重要性について周知を図るべく、警察庁を指導してまいりたいと考えております。

松本(尚)委員 ありがとうございます。

 このように、警察組織が主導して、国民そして警察官の命を守るための体制づくりを、是非、更に進めていってほしいということをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大西委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 内閣委員会で審議をし、昨日の衆議院本会議で可決をされました孤独・孤立対策推進法案、この法案の基本理念の中に、望まない孤独、孤立は社会全体の課題であって、社会のあらゆる分野で推進を図っていくことが重要なんだというようなことが明確にうたわれております。

 そして、孤独、孤立を感じる人は様々ですけれども、中でも性的マイノリティーの方々が孤独、孤立に陥りやすいことは各種の調査で明らかになっております。自殺総合対策大綱でも、性的マイノリティーは自殺念慮の割合等が高いことが指摘をされておりますが、とりわけ、子供や若者の状況はより深刻であります。

 認定NPO法人ReBitの調査によりますと、性的マイノリティーの十代の約半数が、この一年の間に自殺を考えたと回答しています。また、孤独感がしばしばある、常にあると答えた割合は十代で約三割。これは、内閣府が昨年調査をした孤独・孤立の実態把握に関する全国調査の同世代の結果と比べて、何と八・六倍も高い数値になっています。

 さらに、性的マイノリティーの子供や若者は、マジョリティーの子供や若者に比べて、不登校率、これが中学校で五倍以上、高校生で十倍以上高いという、そういう結果も出ております。

 また、孤独、孤立を抱えたときにまず相談するのは誰かということで、家族という人が一般的には多い一方で、性的マイノリティーの若者の場合、九割以上が、自分のセクシュアリティーについて保護者に安心して話せない、このように回答しています。また、約七割は、誰かに相談したいと思いながらも、自分の性自認から四年余り誰にも打ち明けられなかったと答えています。非常に深刻な状況です。

 こうした子供たちを始めとする性的マイノリティーが孤独、孤立に陥らないように、一人じゃないんだ、ありのままの自分でいいんだと思える社会にしていく。そのためには、性的マイノリティーに関する理解促進の取組をより一層進めていくことが不可欠になります。

 そこで、小倉大臣、改めて、性的マイノリティーの孤独・孤立対策の強化、また、そのための性的マイノリティーに関する理解促進に向けた取組の強化について、見解をお伺いします。

    〔委員長退席、神田(憲)委員長代理着席〕

小倉国務大臣 お答えをいたします。

 私も当事者の方々に実際にお会いいたしまして、御意見を伺いますと、委員御指摘のとおり、家族に理解されず誰にも相談できない、心が許せる人間関係がつくれず孤独といった事例ですとか、あるいは、性的マイノリティーの方は自殺におけるハイリスク層であるといった切実な声がございました。

 まず私が担当いたします孤独・孤立対策におきましては、一つの番号からNPOなど関係団体が連携をして相談を受け付ける相談窓口、孤独・孤立相談ダイヤル、シャープ九九九九の試行を行ってございます。

 これまでの試行においては、利用者が選択できる分野の一つに、「性別の違和や同性愛に関して相談したい方」を設けて試行を行い、孤独、孤立に悩む方が声を上げやすい環境整備に取り組んでおりますので、引き続き、こうした環境整備に取り組んでまいりたいと思っております。

 また、理解増進の方でございます。

 政府においては、性的指向、性自認について、職場や学校等を始めとして社会での理解増進に向けた啓発活動の充実、適切な相談対応や人権救済等を行っていく必要があると考えており、共生社会担当大臣といたしましても、関係府省が連携協力することにより、政府全体としてこれを取組として更に進めていけるように努力をしてまいりたいと考えております。

國重委員 今御答弁いただいたように、政府全体としてしっかり取組を進めていっていただきたいと思います。

 そして、理解促進のための取組を一層進めていく、そのために今、議員間で、これに関する議員立法、性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案、いわゆる理解増進法案について議論が進められております。

 仮にこの法案が成立したとするならば、今は各府省庁ばらばらで進められているこの取組というのが、内閣府の強力なリーダーシップの下に基本計画が定められて、総合的、計画的に、より一層この取組が力強く進んでいくことになります。国や自治体、そして事業者や学校にも、性的指向、性自認の多様性に関する知識の着実な普及また啓発などを行う努力義務、これが課されることになります。

 この法案によって性的マイノリティーの方々が少しでも生きやすい社会を実現していくのはもちろんですけれども、この法案は決して性的マイノリティーの方々だけのものじゃないんですね。性的マイノリティーも、そのほかの方々も、共に生きやすい社会を実現していくということがこの法案の目指すべきものであります。

 しかし、中には、この法案が成立することによって、性的マイノリティーの権利だけが優先されて、ほかの人たちの権利が脅かされてしまうんじゃないか、具体的には、自分は女だと主張するだけで、体が男性であったとしても女性スペースに入れるようになってしまう、それによって女性の権利が著しく害されるようになるんじゃないかというような不安の声が、例えばSNSとかそういうところで散見されます。

 今日は、質問時間が限られておりますので、懸念の声が大きくて、身体的露出がされているお風呂について確認をさせていただきます。これまでの内閣委員会でも一部取り上げられておりますけれども、ちょっとこの法案との関係も含めて確認をさせていただきたいと思います。

 公衆浴場、いわゆる銭湯や旅館等の宿泊施設の共同浴室について、現在それぞれ衛生等管理要領が定められておりまして、その中で男女別の定めがされています。これらは風紀の観点から混浴禁止を定めていることから、男女の別は身体的な特徴の性をもって判断することとされていると、事前に政府の方からも説明を受けております。

 そこで、念のため確認をさせていただきたいんですけれども、これらの共同浴場における男女の判断基準はトランスジェンダーにも当てはまる、つまり、トランスジェンダーの場合も性自認ではなくて身体的特徴に基づいて判断することになると理解をしていますけれども、これで間違いないかどうか、答弁を求めます。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 公衆浴場や宿泊施設の共同浴場につきましては、厚生労働省が管理要領を定めております。具体的には、公衆浴場における衛生等管理要領や旅館業における衛生等管理要領になります。この中で、おおむね七歳以上の男女を混浴させないことなどと定めております。

 この要領で言う男女は、風紀の観点から混浴禁止を定めている趣旨から、トランスジェンダーの方も含め、身体的な特徴の性をもって判断するものであり、公衆浴場等の営業者は、体は男性、心は女性の方が女湯に入らないようにする、こういう必要があると考えております。

 実際の適用につきましては、都道府県等が条例を定めております。この条例によって、基本的にこの要領と同じような形で男女の浴室を区別し、混浴を禁止しているものと承知しております。

國重委員 トランスジェンダーの方であっても、心ではなくて身体的特徴で判断するというようなことだったと思います。

 では、共同浴場において、先ほど答弁いただいたとおり、風紀の観点から心の性ではなくて身体的特徴をもって男女を区別する、このような現在行われている取扱いというのは憲法十四条に照らしても差別に当たらないと、念のため確認しますが、差別に当たらないということで間違いないかどうか、答弁を求めます。

伊佐副大臣 憲法十四条、いわゆる法の下の平等でありますが、この原則が規定されております。この趣旨としては、合理的な理由なしに区別をすることを禁止するという趣旨でございます。

 つまり、合理的と認められる範囲内の区別を否定するものではないというふうに理解をしておりまして、先ほど委員御指摘の、公衆浴場における入浴者については男女を身体的な特徴の性をもって判断するというこの取扱いは、風紀の観点から合理的な区別であるというふうに考えられております。憲法第十四条に照らしても差別に当たらないものというふうに考えております。

國重委員 合理的区別であって、差別に当たらないということでした。政府として要領を出しているわけですから、憲法違反に当たるものを出すわけもないですし、これは合理的区別として、憲法十四条の差別には当たらないというような答弁をいただきました。

 ただ、今議員間で協議をされている理解増進法ができることによって、体が男性のままでも女湯に入れるようになってしまう、そのように社会のルールが変わってしまうんじゃないか、男性器のある人が女湯に入るのを拒むと差別になり、許されなくなるんじゃないか、こういった懸念の声があります。

 しかし、そもそも、今現在議論、協議をしている理解増進法案というのは、調査研究とか、また、知識の着実な普及を図るとか、そういった理解を促すための取組を進めるための法案なんですね。

 確かに、差別は許されないという文言はあるんですけれども、これはあくまで、全ての人々がお互いに人権や尊厳を大切にしながら生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現を目指していくという立法動機であるところの、立法者の認識を表現したものにすぎません。これに具体的な法規範性があるわけではありません。これは議員立法ですから、衆議院の法制局とも様々やり取りをしていますけれども、法制局としても当然そうだというようなことで、これは認識が共有されているものであります。

 ですから、この理解増進法案ができることによって、共同浴場に関するルールを変えないといけないというふうになったり、また、体が男性である人が突然女湯に入ってくるような事態、こういうものは生じません。

 更に言えば、先ほど確認しましたとおり、共同浴場において身体的特徴をもって男女を区別することが差別には当たらない、このことからすると、まずは私は理解増進法を成立させるべきだと思っていますけれども、一歩これが進んで、仮に法規範性のあるいわゆる差別禁止法案が成立したとしても、そのような身体的特徴をもって共同浴場の区別をすることについては差別に当たらないことに変わりはない、そのように考えます。要は、憲法十四条の差別に当たらないんだから、差別禁止法ができたとしても、この差別禁止法で言う差別には当たらない。

 法律の文言というのは厳密に作られることになっていまして、これは例えば「実務立法演習」という中にも様々書かれてありますけれども、法律の文言が同じであれば同一の意味内容であるということが法の大原則になります。

 そういった観点からしますと、ちょっと繰り返しになりますけれども、仮に法規範性のあるいわゆる差別禁止法案が成立したとしても、そのような身体的特徴をもって共同浴場の区別をすることについて、差別に当たらないことに変わりはない、そのように考えますが、これに関する政府の見解をお伺いします。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる差別禁止法案が差別を禁止する趣旨の法案だとすれば、この法案によって差別に該当しないことは禁止されないものと考えております。

國重委員 一応、先ほどの「実務立法演習」の中の法律の文言のルールというか、それを少しここで御紹介させていただきたいと思いますけれども、法律の立案の世界では、前例踏襲主義といって、前例となる法令用語や法令表現を踏まえ、それに従って立案するということが非常に大事です、この点は厳密かつ厳格にそのようにしなければなりません、言葉を変え、自己流の勝手な用語や表現を絶対に使ってはならないのです、その用語や表現が法律ごとに異なっていると、どうしてもその解釈が分かれてしまって定まらず、したがって法律の運用ができないということになりますと。

 確かに、憲法十四条の差別は、これは国が名宛て人になりまして、公権力が名宛て人になって、法律というのはまた国民が名宛て人にもなりますけれども、ただ、差別というこの意味内容、一緒であれば憲法十四条の差別に当たらない、差別禁止法ができたとしてもこれまでの取扱いは差別に当たらないというような論理的帰結になるわけであります。

 その上で、仮にトランスジェンダー女性であると偽って女湯に入るようなわいせつ目的の男性がいるとすれば、それはただの犯罪者です。建造物侵入罪、また公然わいせつ罪に当たり得ますし、また、施設管理者が出ていけと言って、出ていかなければ、不退去罪にもなります。

 一方で、私がトランスジェンダーの方たちからお話を伺っている限り、私もいろいろな団体とかまた個人でお話をお伺いした限り、皆さん、例えば心は女性で体が男性の方とか、そういう方というのは、そもそも銭湯とか温泉とかの女湯に入ろうと思っていないんです。自分自身が誰よりも自分の体に対してネガティブな感情を持っています。だから、それを他人に見せるなんて苦痛で耐えられないというような悲痛な声、切実な声というのが、私が聞いている限り、世の中にはいろいろな人がいるかもしれませんけれども、私が聞いている中ではこれが全てになります。

 今回の法案で目指しているのは、先ほども申し上げましたとおり、共生の社会の実現です。その中には、性的マイノリティーの方々だけじゃなくて、マジョリティーの方も当然含まれます。私は、共生社会の実現のためには、様々な社会のルール、また取組を検討するに当たって、まさに多様な立場の人たちの声を聞いて、複眼的に、バランスよく進めていくということが非常に重要であって、そのようにして初めて真の共生社会が実現できるんだというふうに考えています。

 このことは性的指向、性自認の分野も同じであって、これまで生きづらい思いをして社会の中でもがき苦しんできた性的マイノリティーの方々の声を聞くことはもちろんのこと、それ以外の方々の声も聞いて、混乱がなくお互いの人権を尊重し合えるように取り組んでいくことが極めて重要なことだと思っております。

 小倉大臣に、これについての見解と、大臣の目指す共生社会とは何なのか、その実現のためには何が重要と考えるかについてお伺いしたいと思います。

小倉国務大臣 國重委員のお話を伺っておりまして、私もやはり、こうした議論において、当事者以外の方々の意見もしっかり聞いて、丁寧に議論を進めながら、お互いの理解の増進に努めた上で共生社会の実現を目指すべき、そういう御意見に全く同感でございます。

 その上で、政府といたしましても、多様性が尊重され、性的マイノリティーの方もそれ以外の方も含め、全ての人々がお互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる共生社会の実現を目指してまいりたいと思っております。

 共生社会は、まさしく全ての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利、あるいは人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利が尊重される社会であると考えております。

 こうした共生社会の実現に向けまして、引き続き、性的マイノリティーの方もそれ以外の方も含めた様々な国民の声をしっかり受け止め、政府全体としても取組を進めてまいりたいと考えています。

國重委員 あらゆる人がひとしく尊重されて、ありのままに生きられる社会、その実現、簡単な道のりではないと思いますけれども、私も最大限それに向けて努力をしていくことを申し上げまして、本日の質問を終わります。

 ありがとうございました。

神田(憲)委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この間、孤独・孤立対策推進法案の議論をしてまいりました。そういう対策の一つとしても、高齢者の孤独、孤立問題も極めて重要な課題であります。

 高齢社会対策大綱などを見ますと、六十五歳以上の独り暮らし高齢者の増加は男女共に顕著となっている、高齢者が安全、安心かつ豊かに暮らせるコミュニティーづくりを進めていくことが重要だとして、高齢者の孤独、孤立問題も大きな社会的な課題であります。

 その中で、高齢者の加齢性難聴者、こういった方の孤独、孤立の問題も非常に重要な課題だと思っておりますが、孤独、孤立の問題を抱えているのではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

小倉国務大臣 塩川委員御指摘のように、高齢者の加齢難聴者はコミュニケーションに支障が生じやすいことが考えられ、こうした方が孤独、孤立の問題を抱えることのない環境づくりが大事であると考えております。

 したがいまして、政府の孤独・孤立対策の重点計画におきましても、具体的施策として、難聴者のための補聴器等の利用による社会参加の推進について記載をさせていただいており、孤独、孤立に関係する問題と捉え、関係省庁と連携して施策を進めることといたしております。

塩川委員 高齢の加齢性難聴者の社会参加の推進に当たって、補聴器の利用は重要な課題ということであります。

 厚生労働省にお尋ねいたします。難聴と認知症の関連性が指摘をされております。認知機能の低下と難聴の関係に関する調査研究はどうなっているでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十年度から令和元年度にかけまして、日本医療研究開発機構、AMEDによりまして、聴覚障害の補正による認知機能低下の予防効果を検証するための研究が実施されたところでございます。この研究におきましては、難聴と認知機能低下の関係性について一定の相関性が確認されたものと承知しております。

 他方におきまして、難聴になった結果として認知症になるのかといった因果関係については明らかにならなかったものと承知しております。

塩川委員 相関関係は確認をしている、因果関係についてまでの結論を得るには至っていないということで、まだ途上ということですけれども。

 補聴器を着ける、着けない、この装着の有無による認知機能低下に関する調査研究はどのようになっていますか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度から、国立長寿医療研究センターが自ら実施いたします、いわゆるインハウス研究として、補聴器と認知機能の低下に関する調査研究が実施されているものと承知しております。

 この研究におきましては、補聴器の装着の有無による認知機能の低下に関する調査でございまして、この結果は今後公表される予定ということでございまして、現時点で結果は取りまとめられていない状況であると承知しております。

塩川委員 現時点では取りまとめが行われていないということです。

 難聴と認知症の関連性の指摘というのは、国際的な学会の中におきましても指摘がされているところであります。難聴高齢者の聴力低下が精神的健康に及ぼす影響や社会生活に及ぼす影響などが指摘をされています。認知症のリスク要因のうち、難聴は最大のリスクの一つとなっている。高齢者の補聴器使用が認知機能を改善するという研究成果もあるとされております。

 今、補聴器の支給については、障害者総合支援法に基づく補聴器支給が行われております。ただ、両耳の聴力レベルが七十デシベル以上の人が対象で、七十デシベル未満の軽中等度の難聴の場合は対象になりません。WHO認定の補聴器推奨の基準四十一デシベル以上との乖離があります。

 このような聴覚障害認定基準を見直して、障害者総合支援法の補装具制度による補聴器利用者の拡大をという強い声がありますけれども、それに応えるような対策を是非求めたいと思いますが、いかがですか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 聴覚障害を含め身体障害の認定基準につきましては、医学的な観点からの身体機能の状態を基本としつつ、日常生活の制限の程度により定めているところでございます。

 聴覚障害者につきましては、身体障害者福祉法におきまして、両耳の聴力レベルがそれぞれ七十デシベル以上の方など、聴覚機能に重度の障害がある方を身体障害者として支援の対象としているところでございます。

 聴覚障害者に至らない軽中等度の方を身体障害者として支援の対象とすることにつきましては、他の障害種別とのバランスなどを踏まえた慎重な検討が必要と考えているところでございます。

塩川委員 やはり、中等度の方におきましても、日常生活に大きな支障が生ずる、そういうこと自身が健康などにも影響を及ぼす、こういった点についても、このような障害認定基準の見直しというのは是非とも行っていただきたいということを強く求めるとともに、保険診療の適用といった課題もあるんですが、その点についてはどうでしょうか。

神田(憲)委員長代理 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

神田(憲)委員長代理 速記を起こしてください。

 辺見部長。

辺見政府参考人 保険診療につきましては、事前に御連絡をいただいておりませんので、現在、お答えをすることは困難でございます。

塩川委員 関連してお聞きしたところなんですけれども、是非この点についても検討を求めたいと思っております。

 そこで、今、このような加齢性難聴、高齢者の方への自治体レベルでのいろいろな支援策が進んできているところであります。厚労省として、難聴高齢者に対する自治体での補聴器購入補助制度の広がりについて、その現状をどのように把握をしておられますか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年度に実施いたしました調査研究事業におきまして、千七百四十一の自治体を対象に、難聴の高齢者の補聴器購入に係る助成でありますとか、難聴である高齢者の早期発見のための施策の実態等について調査をしてございます。

 これによりますと、回答を得ました九百四十の自治体のうち、その時点におきまして補聴器購入の公的助成を行っている自治体は三十六、聴力検査を行っている自治体は四という結果が出ていたと承知しております。

塩川委員 補聴器の購入補助を行っている自治体、九百十の回答ですので、そのうち三十六という話がありました。

 厚労省の答弁での実施の自治体数は少ないんですけれども、例えば、日本年金者組合などが全国の自治体の調査を行っておられまして、そうしますと、全国で百二十を超える自治体において補聴器の購入補助制度を実施しているということであります。

 今御紹介いただいた研究におきましても、高齢期の難聴は介護予防や生活の質を維持していく上でも重要であり、このような聞こえにくさを補うために、本人の状況に応じた補聴器の利用が重要、自治体の施策としても、介護予防や高齢者等の社会参加の観点から、適切な補聴器利用のために、難聴高齢者の把握の仕組みや、把握後の補聴器利用等につなげる仕組みを整備していくことが重要であると指摘をしております。

 この研究においては、難聴高齢者早期発見のための自治体の取組強化について五つの提言を行っておりますが、その内容を紹介していただけますか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の調査研究事業におきましては、各自治体における課題と今後の自治体における取組強化の検討が必要なものとして、難聴を早期発見する仕組みの構築、難聴が疑われた際の医療機関への受診を勧奨できるような耳鼻咽喉科医との連携の仕組みの構築、受診勧奨から適切な補聴器利用のために補聴器相談医や認定補聴器技能者の周知、補聴器装用後、装用を継続するために難聴高齢者のフォロー、難聴高齢者への戦略的な支援スキームの検討などの提言が出されているというふうに承知しております。

塩川委員 補聴器の購入補助制度の話には触れていないんですけれども、やはり、そもそも難聴の早期発見という点が極めて重要であります。そういった五つの提言を自治体に対して求めることが大事だという調査研究ですけれども、この調査研究の提言に関連をして、自治体に対して、国、厚労省としては、どのような支援を行っているのでしょうか。

斎須政府参考人 ただいま申し上げました調査研究の提言を踏まえまして、厚労省におきましては、補聴器の適切な利用に向けて、まず、補聴器販売者が適切な補聴器の選定ですとか、あるいは、その使用の指導等を的確に行えるように、技能向上研修等の事業を実施しております。また、高齢者に対する補聴器のフィッティングの留意点を補聴器販売従業者のための手引として取りまとめて周知しております。さらに、今年度におきましては、難聴高齢者の早期発見、早期介入等に向けた関係者の連携に関する調査研究事業を行う予定としております。

塩川委員 そういう取組を進めると同時に、やはり補聴器の購入補助制度というのは実際の装用を促していく取組につながっていくわけで、今、地方議会におきましては、加齢性難聴者などへの補聴器購入助成制度を求める意見書採択が、既に二百六十五の自治体に上っております。

 是非、国として、こういった自治体の取組を応援するような、国の制度として補聴器の購入補助制度をつくる、そういったことに踏み出していくときではないかと思いますが、その点についてお答えください。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 御高齢になりますと、聴力でありますとか、あるいは視力の低下でありますとか、様々な身体機能が低下するということが生じます。ただ、こうした問題の対応一つ一つにつきまして公費による助成を行うことについては、慎重な検討が必要ではないかと考えております。

 こうした中で、厚労省におきましては、先ほど申し上げました補聴器販売店向けの技能向上研修でありますとか、それからまた、身体障害者手帳を持っている方については、障害者総合支援法に基づく補装具費支給制度による補聴器の購入費用の助成を行っている、こういった状況でございます。

塩川委員 難聴の場合に、やはり認知症になり得る危険なリスクの一つといった認識はあるわけで、この早期の発見とともに、補聴器の装用を促すような、そういう支援制度、背中を押すような取組というのは極めて重要だと思っております。

 是非、大臣の方からも一言いただきたいんですけれども、こういった高齢者の加齢性難聴者支援において、自治体の取組を促していくということも極めて重要ではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

小倉国務大臣 高齢者の加齢性難聴者はコミュニケーションに支障が生じやすいことが考えられ、こうした方が孤独、孤立の問題を抱えることのない環境づくりが大事であるということは、先ほど答弁申し上げたとおりであります。

 加えまして、こうした環境づくりにおきましては、委員御指摘のとおり、地方自治体の役割も重要と考えております。今国会で提出しております孤独・孤立対策推進法案におきましても、地方自治体における関係者の連携、協働の促進の規定を盛り込んでございまして、今後は、各地域において、孤独・孤立対策に関係する機関等がお互いの活動を共有し、地域内の課題について議論するなど、連携基盤の構築を推進することとしております。

 こうした連携基盤の活動を通じて、加齢性難聴者も含め、地域における孤独、孤立の問題について必要な取組が進みますように、国としても地方自治体の取組を後押しをしてまいりたいと考えています。

塩川委員 我が党の地方議員も、加齢性難聴の高齢者への補聴器購入補助制度の実現ということで、地方議会で議論もし、また、行政の方からもそういった取組への前向きな動きもある中で、取組も広がってきているところであります。

 東京都の補助制度などを使って、二十三区を始めとして一定程度の規模で市区町村で実施が広がっているということもあるので、自治体としての独自の取組というのを背中を押していく、そういう支援を行うと同時に、国の取組を大きく前に進めていくときだと。

 補聴器の購入補助制度を国の制度として設けるということも含めて実現を求めて、質問を終わります。

神田(憲)委員長代理 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。

 本日は、一般質疑ということで、約三十分間、よろしくお願いいたします。

 今日は、高市大臣にお越しをいただきまして、最初に取り上げさせていただきたいのは、特許の非公開制度についてでございます。

 先般の経済安全保障推進法案の成立以降、この特許の非公開についても検討が進められてきていると承知をしているんですけれども、全く新しい制度ということもありまして、やはり現場から様々な疑問やあるいは相談というのが私の元にも来ております。私自身も、前職、一般企業に勤めていたときには研究職をしておりましたので、その中で特許を書いたこともございましたし、また、出願手続についてもかなり専門家に助言をいただきながらやってきたという経験がございます。

 今回、非公開制度が始まるに当たっては、やはり、その手続の内容についてしっかりとはっきりさせておかなければいけないな、こういうところもございますので、今日は、前半、この非公開制度について、少し技術的、手続的な部分も含めて、政府にやや細かく確認をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 その間、大臣には質問をすることはありませんので、後段の宇宙政策のときに質問させていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、施行まで一年程度に迫りました特許出願の非公開制度について、経済安全保障の観点からは必要性は十分にあるというふうに我々考えております。一方で、この非公開制度は、特許出願人に一種の負担をかける制度でもあるわけでありまして、また、違反すると刑事罰が科されるという大変厳しい制度内容もございます。特に、特許出願人には、社内に多数の弁理士を擁する大企業だけではなく、特許制度に詳しくない中小企業やスタートアップ企業も含まれております。

 先日公表された基本方針案においては、「特許出願人の手続負担への配慮」ということで、「政令等の制定や本制度の運用に当たっては、特許出願人が手続を円滑に行うことができるように配慮することが必要である。すなわち、保全審査等に関する手続が特許出願人にとって過度な負担とならないよう留意するとともに、保全審査の対象とならない特許出願も含めて、現行の特許制度の手続に遅延等の支障が生じることのないよう、留意が必要」とされました。

 これらのことを踏まえて、まず最初に政府にお伺いします。

 この非公開制度において最終的に保全指定される特許というのは、実際には、かなり対象が絞り込まれますので、数としてはそれほど多くはならないというふうに思うんですけれども、ただ、保全審査の対象になる出願というのは、最終的に保全指定される数よりも多い数になります。それなりの数になると想定されています。

 特許出願人に制度内容を周知あるいは理解して適切な手続を取っていただくことが必要不可欠だと思うんですけれども、そのために政府が具体的にどのような方策を打つのか、まず、その概要について答弁を求めたいと思います。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問のございました特許出願の非公開制度は、安全保障上機微な技術の発明の出願について、国が公開の是非を審査した上で、仮に安全保障上のリスクが認められる場合には、保全指定を行い、非公開の措置が取られるものでございます。

 そのため、この制度を適切に運用していくためには、産業界、大学、研究機関などの特許出願を行う方々に、この制度の趣旨や手続を理解していただくことが不可欠でございます。

 このため、これまでも、この制度につきまして、産業界や学術界の方々などへ個別に説明をしてきたほかに、経済安全保障法制に関する有識者会議で御議論をいただきまして、その資料や議論の要旨はホームページにおいて公表してきたところでございます。

 今後につきましても、このような制度の趣旨や内容、また、今後、政省令などを定めることとなりますので、その中で、具体的な手続などについて特許出願人や特許出願に携わる方々に理解を深めていただけるよう、QアンドAの公表や説明会の実施など、この制度の周知、広報及び情報提供に努めてまいりたいと考えております。

浅野委員 まず、今答弁の中にもありましたが、これまで、いわゆる大学や大口の出願人、これに対しては説明をしてきたりだとか、あるいはホームページでの公表もしているということなんですが、やはり気にしているのは、中小、ベンチャー、個人で特許出願をする方々。

 安全保障に関する部分ですから、そういった発明をされる方々というのは、一定程度大きな企業であったりあるいは大学機関であったり、何らかの組織に属しながらそういう活動をしている方も想定されるわけですけれども、ただ、ホームページ公開ですとか、じゃ、大口の大学とか大企業だけに説明すればよいのかというと、やはり行政としてはそれでは私は不十分だと思いますので、よりきめ細やかな周知というのは重ねてお願いしたいと思います。

 続いての質問ですが、今日の配付資料一を御覧いただきますと、法律の条文を幾つか抜粋をしてございます。中段に、第六十七条、内閣総理大臣による保全審査というのがございまして、これを読んでいただきますと、特許を出願する場合には、通知を受けた日から十四日以内に書類を内閣総理大臣に提出しなければならないというふうに規定されております。十四日以内に提出しなければならない、明確に規定をされているんですけれども、もし間に合わなかった場合には出願が却下されることになりまして、大変重要なプロセスとなります。

 ただ、十四日以内に書類を作り提出をする、どこに提出をすればいいかどうかも含めて判断をしなければいけない。私も実務をやっていた経験からすると、何回もやっている方にとってはそれほど難しくないことではあるかもしれませんが、中小企業や初めてやる方々にとっては本当にこれは難しい作業になると思います。

 どのようなサポート体制があるのか、特に、中小企業やスタートアップ企業が十四日以内にしっかりとここに規定された内容に対応できる、そのためのサポート体制というのはどのように考えているのか、御答弁いただきたいと思います。

    〔神田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

飯田政府参考人 お答えいたします。

 保全審査につきましては、基本方針において、保全審査の初期の段階から、特許出願人との意思疎通を図ることとしております。

 このため、内閣府といたしましては、法第六十七条第九項に基づく特許出願人への通知の前の段階から、すなわち、保全審査を開始した段階から特許出願人と随時意思疎通を図ってまいりたいというふうに考えております。

 また、今御指摘のありました、通知を受けた特許出願人が十四日以内に提出する書類につきましては、今後、内閣府令で定めることとなりますが、基本指針において、保全審査に関する手続が特許出願人にとって過度な負担とならないよう留意するとしておりまして、この点も踏まえて、今後の制度設計を行ってまいりたいと考えております。

 こうした対応を通じまして、特許出願人の皆様、特に、今御指摘のございました中小企業、スタートアップ企業につきまして、保全審査に関する手続を円滑に行うことができるよう、内閣府として丁寧に対応してまいりたいと思います。

浅野委員 是非よろしくお願いいたします。

 言ってみれば、できるだけ伴走型の支援に近い形でその辺りはサポートをしていただきたいということを要望させていただきます。

 続いての質問ですけれども、資料にまた目を戻していただきまして、六十六条にございます、ここでは、特許庁長官は、規定に基づく送付をしたときは、特許出願人に通知するものとするというふうに書いてあるんですね。これは第六十六条の三項ですね。特許出願人に特許庁長官が通知をするというふうに書いてあるんですが、発明活動を行っている方々の慣例的なものとして、特許庁長官から出願人本人が直接通知を受けるということは基本的に余り多くなく、通常、代理人を通して手続をしますので、代理人の元に通知が行くことが多いんですね。

 ただ、代理人を通さずに出願をしようとしている方々であったり、あるいは、中小企業、スタートアップ、個人の方というのは、通知が来ても、それが重要な通知であるということを認識せずに、そのまま放置をしたりということは余り考えにくいのかもしれませんが、通知が来たらすぐにそれに対応しなければいけないんですね。ただ、これがどこに届くのかが、法律の条文上だと出願人に通知するとなっていますが、実際の現場では代理人に通知されることがほとんどである。法律の規定と実際の姿というのが差異がある現状がございます。

 改めて、どうやって出願人に通知を知らせるのか、また、中小企業やスタートアップ企業が通知の意味をしっかり理解をして迅速に対処できるように、特許庁あるいは政府としても何らかの工夫が必要ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、まず実態面で申し上げますと、特許出願につきましては、ほとんどのケースで専門家である弁理士が手続を代理しております。このようなケースにおきましては、御指摘の通知は弁理士に送付をされることになります。もちろん、弁理士が代理をしていない場合もございます。そのため、通知文につきましては、制度に精通していない出願人の方であっても、通知の内容でありますとか通知受領後に予定をされる保全審査の手続の概要を容易に把握できることが重要だと承知をしております。その記載を内閣府とともにしっかりと検討してまいりたいと思ってございます。

 通知の送付方法につきましては、通知を確実に受け取っていただき御理解をいただくということのため、書留郵便で送付する方向で検討してございます。

浅野委員 ありがとうございます。大変具体的な答弁で、安心をいたしました。

 続いての質問ですが、同じく第六十六条の第二項について伺いたいと思います。

 資料を見ていただきますと、条文を読むと少し分かりづらいところもあるんですが、要するに、内閣府令や経済産業省令で定めることによって、発明が公になることによって安全保障上の支障を来すおそれが大きいものかもしれない場合、特許出願と同時に、これは本当に保全審査にかけるべきではないか、保全審査にかけてくださいというような申出をする場合があるということなんですね。少し分かりづらいかもしれません。

 ただ、特許出願と同時に、これを保全審査にかけてくださいという申出をしなければいけないということなんですが、申出の方法については、法律の条文上からは読み取れない、今のところ政府としても具体的な方針が出されていないということで、これがとても大事な手続、まず最初のスタートの手続になると思うんですけれども、これがよく分かりません。実際に保全審査をお願いするときの申出というのはどのようにすればいいのか。

 一般的には、出願書類の備考欄などに、何かしら連絡事項がある場合にはそこに記載をして出願手続をするんですけれども、それを読んで特許庁の方がそれを参考にするというようなことが一般的なんですが、保全審査をお願いします、やってくださいというための申出を、備考欄に一筆書くだけでいいのか、それとも、しっかり書類を準備する必要があるのか、この辺りを是非教えてください。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 保全審査に付することを求める旨の申出の具体的手続は、法六十六条第二項におきまして、内閣府、経済産業省の共同省令にて規定をされることとなってございます。当該申出のための申出書の様式は、保全審査に付することを求める理由を記載するものとすることを検討しておりますが、出願人にとりまして過度な負担とならないよう、内閣府と検討してまいりたいと思ってございます。

 先ほど、出願願書の備考の中にその意思を表示すれば、こういうことの御質問がございました。

 当該申出は、国の安全保障の観点から保全審査を希望するという極めて重要な意思表示でございます。特許手続のための願書とは別の書類を作成していただくことで、申出の意義を十分に理解をした上で明確な意思を示していただきたい、現時点ではこのように考えてございます。

浅野委員 ありがとうございます。

 続いての質問です。

 続いては、第七十九条、資料の一番下に書いてあるところなんですが、保全指定をされる場合、外国出願をする前に、我が国に出願しなければいけないということになりますが、そうなると、本当に、特許出願をする立場からすると、最近は第一国出願を日本にする場合もあれば、例えば中国だとかアメリカだとかヨーロッパに出願する場合もあります。保全審査される可能性があるとなると、最初にどこに出願するかというのが、非常に判断が重要になってきます。

 外国出願が禁止される可能性があるかどうかについて事前の確認を求めることができるような規定になっているんですが、これは本当に大変重要な判断になります。もし違反すると罰則がつくものになりますので。

 具体的に、どのようにその確認を求めればいいのか。判断をするためには、やはり特許の内容をしっかりと確認をした上で、これは保全指定される可能性があって他国への第一国出願はできませんというふうに判断しなければいけないわけですから、ある程度詳細な書類を添付しなければいけないと思うんですが、事前の確認でそれだけの労力、そして確認にどれくらいの期間がかかるのかも含めて現場は大変関心が高いです。ここについて是非御答弁をいただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 外国出願の事前確認におきましては、申請された内容に沿って外国出願の可否を応答することになりますので、申請書類は、外国出願に際して提出される特許請求の範囲、明細書及び図面の内容が把握できるものとする必要があると考えてございます。

 申請手続の詳細につきましては、今後定める内閣府、経済産業省の共同省令にて定める予定でございますが、当該手続の重要性を踏まえつつ、また、迅速に返答、回答するということも含めまして、内閣府と検討をしてまいりたいと思ってございます。

浅野委員 ありがとうございました。

 非公開制度については最後の質問になりますが、今までの議論にありますように、かなり、非公開制度が始まることによって、事前の確認作業であったり手続が少し複雑になりますし、それぞれの手続で作成しなければいけない書類も重要性が高いということから、それなりにしっかりと書類を準備して、それぞれの事前の確認だったり申出書類というのを出さなければいけなくなります。

 そうなりますと、当初の趣旨でもありました出願人に過度な負担をかけないという部分については、やはり、よりこれまで以上に配慮をしていく必要があると思います。

 現状、私も過去よく助けていただいたんですが、弁理士の皆さんが代理人として、その辺りのカバーをしていただいています。政府としては、各種手続にやはり弁理士の方々の関与も一定程度認めて、認めていないわけではないでしょうけれども、認めて、しっかりその活用を奨励して、手続にミスがないように働きかけていく必要もあるかと思うんですが、この弁理士の活用についてどのように考えていますでしょうか。

飯田政府参考人 お答えいたします。

 この制度を特許出願人に周知し、円滑に運用していくためには、御指摘のとおり、特許出願人をサポートする弁理士の方々にまずはこの制度について御理解をしていただくことが重要であるというふうに考えております。

 その上で、本制度において内閣総理大臣に提出する書類の作成につきましては弁理士が業として行うことはできないわけでございますけれども、他の法令に抵触しない範囲であれば弁理士にサポートしていただくことができるというふうに考えております。

 具体的には、基本指針に記載のとおり、弁理士は、保全審査において、特許出願人からの相談に応じたり、審査担当官と特許出願人の意思疎通の場に同席するなどの形で特許出願人をサポートいただけるものと認識しております。

 また、先ほど、失礼しました、先ほどの答弁の中で基本指針と言うべきところを基本方針と申し上げたようでございます。基本指針ということで御理解いただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

浅野委員 ありがとうございます。

 私も特許を書いていた側の立場として、今本当に技術競争が激しくなってきまして、過去に私自身が発明した、特許を書いた技術が一月後ぐらいに他国の技術者が特許出願をしていたなんということもありましたので、やはり、スピード感、そして、どういう分野でどういう技術を特許化していくのか、知財化していくのか、この辺りの戦略面でのアドバイスというものもこれから弁理士の皆様には求められていますし、それと併せて、この非公開制度の効果的な運用というのを考えれば、弁理士の方々の活躍というのはこの国の競争力にとっても望ましいものではないかというふうに思いますので、是非、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 では、残りの時間は、宇宙政策について伺いたいと思います。

 本日の資料の二にも少し客観的なデータを示させていただいたんですが、アメリカやフランスでは航空宇宙工業生産高というのが増大しているんですが、日本では官需が九割であり、生産高も横ばいの状態が続いております。これは、言いますと、図表の二というものにそれが表れております。

 また、官需の割合が高い日本の宇宙産業においては、宇宙ベンチャーの活動というのはJAXAと協力する企業にとどまっておりまして、欧米に比べると、その数はとても少ないというふうに認識しています。日本の宇宙ベンチャーは、投資家からの認知度も低く、投資家も少ないため、資金調達に苦労しているという現状もあるというふうに聞いております。

 その上で、まず最初、大臣に伺いたいと思いますが、三月七日に行われたH3ロケット試験機一号機の打ち上げの失敗や、あるいは、先日、ispace社の月面軟着陸の試みが残念ながら失敗してしまったことについては、私自身も、期待していた分、大変残念に思った一方で、これで諦めるわけにはいかない、是非また再挑戦をしていただきたいというふうに強く期待をしております。

 これら二件の結果に対する大臣の所感をまずはお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 まず、三月にH3ロケット試験機一号機の打ち上げが失敗に終わったことは、非常に残念に思っております。

 宇宙政策担当大臣としては、JAXAや文部科学省と連携して、まだ原因を究明しているところでございますので、その上でしっかりと対策を講じてまいります。

 そして、このH3ロケットというのは、我が国の宇宙活動の自立性確保と国際競争力強化のためには重要な基幹ロケットでございますので、これから、打ち上げの成功、それから我が国のロケット打ち上げ能力の抜本的強化に取り組んでまいりたいと思っております。

 また、先日、四月二十六日、我が国のスタートアップ企業であるispace社が、民間企業として世界初となる月面軟着陸を試みられましたが、当初の計画全てを達成することはできませんでした。

 しかし、今回のようなスタートアップ企業による果敢な挑戦というのは、我が国の宇宙産業への参入や投資の促進など、宇宙産業の発展を促す好循環を生み出すと考えております。

 ispace社は、もう既に、挑戦を続けるということを表明していただいておりますが、特に、今回得た貴重なデータをしっかりと生かして、次に成功していただくことを期待いたしております。

 スタートアップも含めて、しっかりと応援をしてまいりたいと存じます。

浅野委員 ありがとうございます。

 今のような大臣の宇宙ベンチャーに対する前向きな発信というのは、今、我が国の宇宙産業、市場というのがまだ十分に発達していない中においては、私は大変重要だと思います。

 その点で、ちょっと次に政府に確認をしたいんですが、実は、これら二件の実験の失敗が起こった直後に、毎回、高市大臣名で談話が発表されております。先日、ispace社の月面軟着陸の試みがうまくいかなかった場合も、同日に、この談話が、私の手元にあるんですけれども、談話が出されました。

 政府に確認したいのは、この談話へのアクセス数が今どのような状況なのかというのを教えていただけますか。

河西政府参考人 お答え申し上げます。

 高市大臣からは、令和五年三月七日、H3ロケット打ち上げ失敗の当日と、四月二十六日、ispace社の月面軟着陸の失敗の当日に談話が発出されてございます。

 これらの談話は、当日に内閣府のウェブサイトに公開、掲載しているわけでございますが、そのアクセス数につきましては、昨日、四月二十七日までの累計で、H3ロケットの件が七百八十六件、ispace社の件が四百八十四件となっているところでございます。

浅野委員 このispace社についての談話へのアクセス数が約五百件弱ということで、なぜこれを今日取り上げさせていただいたかというと、宇宙ベンチャーにとっては、まだ市場がない中で、メディアでどのように情報が流れるかというのが自社の株価あるいは資金調達にも非常に影響を及ぼしますし、本当に、ベンチャー自身の力でこの事業を継続するというのが非常に難しい環境の中で頑張っていただいている、そのように思いますので、大臣がこうした談話を発表していただくのは私は大変結構だと思いますが、出すのであれば、五百件ではなくて、例えば二桁、三桁上の方々に見ていただけるような形でしっかり出して、市場に対してもポジティブなメッセージを国が出していく必要性というのがあると思うんですね。

 幸いなことに、ispace社の株価も見ておりますと、実験が失敗した後も上昇基調にはあるということで、市場からの期待というのがまだあるんだということで安心をいたしましたが、やはり、こういう環境を整えることで宇宙ベンチャーの新規参入というのがより促されるようになると思いますので、ここは更なる創意工夫を大臣及び政府には期待をさせていただきたいと思います。

 では、今日は時間が来てしまいましたので、宇宙政策については引き続きこれからも議論させていただくことを申し上げて、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

大西委員長 次に、大石あきこ君。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 大阪・夢洲地区特定複合観光施設区域の整備に関する計画、いわゆる大阪IR計画の認定についてです。

 四月十四日に、国土交通大臣は大阪IR計画を認定しました。このプロセス、それから審査内容としても不適合であるにもかかわらず、あからさまに政治判断により認定してしまった計画であり、このまま突き進むのは行政の破壊であり、社会を壊します。だから、撤回を求めます。

 一つ目、先日、IR事業者の重大なコンプライアンス違反事案が、認定の直後に発覚しました。アーティストの奈良美智さん、現代美術家の村上隆さんの作品を、利用許諾を得ずに大阪府の認定審査資料に盗用したといいます。これは、奈良さん御本人がSNSで、自分が許可していないのに使われていると指摘したことで明らかになったものです。

 四月の十七日、大阪府の発表によると、著作者等からの利用許諾を得ていない動画、画像が大阪府の資料に使用されていた、この資料が認定審査に付されたというのです。

 それに対して、吉村知事が翌日の十八日、謝罪の言葉を述べたものの、こうも言いました。ただ一方で、何らかの奈良さん本人ではない方とのやり取りというものも実はあったんじゃないかという話も聞いていますと。こんな曖昧な、しかし、印象操作とも取れる発言、これが事実なのかということで、即日、市民が情報開示請求をしておりますが、二十六日の時点で、調査中との大阪府の回答。これは、知事がそう言った根拠を言うだけなのに、一週間以上何を隠匿しているのか。

 この盗用された作品、「あおもり犬」という犬なんですけれども、が展示されている青森県立美術館は、十九日に、見るに見かねてか、「画像使用許可等の問い合わせの事実はありません。」と、わざわざホームページで公表しております。

 この時点で、IR認可をしたままというのは、これは日本の恥ではないんですか。日本の恥かどうか以前に、明確に基準違反なんです。

 伺います。このコンプライアンス違反の件、IRに求められる要求基準七に虚偽があったことになりますが、その認識でよろしいでしょうか。イエスかノーかで、一言でお答えください。

西田大臣政務官 お答えをいたします。

 大阪府市において、事案発覚後、早期に報道発表を行い、関係資料等利用停止や、当該著作物の作製者側への解決を図るべく連絡を取るとともに、再発防止にしっかりと取り組む姿勢が示されたと理解をしております。

 デザインに関する著作権等の取扱いについては重要な問題であると考えており、大阪府市において詳細な事実関係を調査中であることから、府市等による今後の対応を注視してまいります。また、しっかりと再発防止対策を図っていきたいと考えております。

大石委員 これは非常に悪質なケースでして、そしてまた、この要求基準というのは、求められる項目、必要条件で、点数式の項目ではないんです。これを満たさないものはまず認定されないので、これは取消し相当なんです。

 この件、再発防止がとかおっしゃっていますけれども、IR事業者は非常に悪質なんですね。そもそもこれは、今回の発覚より二年前の二〇二一年十月にも、第三者から同じ指摘があったんです。大阪府がその事業者に確認したら、利用許諾を適切に取得しているとメール回答したと。わざわざ、指摘されて、事前にうそをついているので、極めて大胆で悪質なんです。

 そして、これは認定基準だけではなくて大阪府のIR事業者募集要項にも反していて、運営事業の資格がないんですね。どのようなものかというと、募集要項でこのように定められています。知的財産権に関して、当たり前のことですが、「提案書類の作成・提出等に当たっては、知的財産権を含むいかなる第三者の権利利益も侵害してはならない。」と。これは思い切り侵害していますから。しかも、悪質なうそまで事前についております。今回認定したIR事業者は無資格者です。この方々に何をやらせるのか。取消しすべき。

 そして、この認定プロセスの公表が全くなされていないんですね。政府は、認定審査の透明性を確保する観点から、認定後速やかに公表するとある。認定に至るまではいろいろなことがあるので非公開だという。しかし、その後はすぐに公開するとおっしゃっていたんですけれども、四月十四日に、ある程度、審査結果の概要は公開されているんですが、必要なものは全然公開されていないんですね。例えば、審査委員会の議事内容とか審議された資料、ヒアリングした内容などは全く公開されていない。

 先週に国交省に情報提供を求め、昨日もまだかと確認したんですけれども、情報提供はありませんでした。いつ公開するんですか。伺います。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどの件について、しっかりと再発防止対策を図っていただきたいと考えておるということを、訂正をさせていただきます。

 また、今の件についてでございますけれども、審査委員会における認定審査の評価の過程については、IR推進本部で決定した特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針において、認定審査の透明性を確保する観点から、区域整備計画の認定後速やかに公表することとされております。

 現在、観光庁において、審査委員会の議事内容や審議資料の公表に向けた調整を行っているところでございます。

大西委員長 申合せの時間が経過しております。質疑を終了してください。

大石委員 まとめますね。

 つまり、公開するということですね。もう直ちに公開してください。これは政治的関与がないと国交省自体が答弁されているんです。根拠がないんですね。だから、説明責任、立証責任があるので、直ちに公開してください。

 今、公開されている内容からしても、認定はあり得ないんですよ。経済効果も盛っているというのが委員会の指摘でしたから……

大西委員長 持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

大石委員 まとめますね。

大西委員長 あなた、いつも、質問、経過時間、オーバーしているじゃないですか。

大石委員 これからも認定の取消しを求めます。

 終わります。

大西委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時十分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時三十九分開議

大西委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。本庄知史君。

本庄委員 立憲民主党の本庄知史です。

 千葉八区、柏市、我孫子市選出です。よろしくお願いいたします。

 今日は、危機管理、安全保障、そして天下り問題についてお伺いをしたいと思います。

 まず、危機管理、安全保障について御質問していきたいと思います。

 最初に、岸田総理の襲撃事件についてお伺いをしたいと思いますが、谷国家公安委員長、四万十のウナギはおいしかったですか。私の地元の我孫子もウナギが大変有名でして、今度是非ゆっくりと御賞味いただきたいと思います。

 報道はこのウナギの話が随分盛んですが、私は、もちろんこれは本質的な問題だとは思いません。問題は、総理が襲撃されるという、そういう事件が起きたときに、そのまま四万十での視察を続行した。東京に戻るという選択肢も私はあり得たと思いますが、そういう判断をせずに視察を続行した、その判断の理由、どういったことでそういう視察の継続という御判断をされたのか、御説明をお願いします。

谷国務大臣 お答えいたします。

 私は、国家公安委員長ではありますけれども、併せて防災担当大臣、国土強靱化担当大臣などもさせていただいております。

 当日、防災担当大臣として高知に出張をしておりました。昼食時に、昼食の前でございましたけれども、電話で和歌山の事案の報告を受けたところであります。

 いろいろやり取りはございましたけれども、事案の概要として、総理は危害は加えられなかった、現場から安全に退避した、また、その時点で、一般の聴衆の方で大きなけがをなされた方は確認できない、また、被疑者はその場で確保された、身柄を拘束した、そういう状況を踏まえまして、そして必要な指示を出しました。

 つまり、事件の動機、背景などは全く分かりませんので、できる限り早くそれを解明して、そして引き続き警備に万全を期してほしいという指示をした上で、防災大臣としての仕事、公務を継続しても大丈夫だと判断したわけであります。

 高知も、御承知のとおり、南海トラフで最大津波高は三十四メートルも予想されている、大変な状況でありますし、また、南海トラフによる被害も、今までの、最近の東日本大震災などをはるかに上回る被害が想定されている折で、しっかりと現地を見て、そしてお話を聞く必要があると判断したところであります。

 もちろん、再開した後も、警察庁から逐次電話で報告を受け、場合によっては指示もし、特段の支障はなかったのではないかと考えております。

本庄委員 ちょっと今の御答弁、驚いたんですが、特段の支障がなかったのは結果論じゃないんですか。

 今御答弁ありましたけれども、事件の背景が全く分からないとおっしゃいました。つまりは、この犯行者の動機、一人なのか複数なのか、組織的な犯行なのか、何も分からない、こういう状況の中で、なぜ、滞在する、とどまるという判断をされたのかということを伺っているんです。

 防災大臣としての仕事が重要であるということはもちろん論をまちません。ただ、事の緊急性や重大性を考えれば、警察を所管する大臣として、私は、東京に戻るという選択肢はあってしかるべきだったと思いますが、もう一度御答弁をお願いします。

谷国務大臣 事件の動機、背景等は現時点でも不明であります。まだ判明しているわけではありません。

 本庄委員御指摘のように、そういう緊急の連絡を受けて東京に戻るという選択も確かにあり得たかと思います。しかし、私の判断として、その状況を様々お聞きして、それらを判断して、必要ならば、また、現に電話連絡や追加の連絡もあったことでありますし、午後には、その後、警備局長ともいろいろ連絡を取り合ったことでもありますし、それで、結果論かも分かりませんが、特段の支障はなかったということは事実であろうかと思います。

本庄委員 危機管理の担当大臣として、結果論かも分からぬという御答弁は私はいかがなものかと思います。

 現場で今の御判断をされるに当たって、官房長官とは御相談をされましたか。

谷国務大臣 お答えさせていただきます。

 直接、官房長官とは当日お話をしたわけではございませんが、本庄委員御承知のとおり、こういう場合はそれぞれの秘書官を通じて連絡を取り合うというのが通常でございます。ですから、私の秘書官を通じての連絡ではございましたけれども、最終的に私の防災担当大臣としての公務を継続することとしたということでございます。

本庄委員 随分のんきなことだと思いますが、恐らく大臣、第一報を知ったのはNHKの速報か何かだったんじゃないですか、秘書官からの連絡ではなくて。

 これだけの、総理が襲撃されるというこんな重大時に、もちろん通常業務であれば秘書官を通してというのは分かりますが、官邸の官房長官と一言もやり取りせずに滞在するのかどうするのかの判断などをされたというのは、私は非常に驚きです。

 指摘をさせていただきたいと思いますが、安倍総理の銃撃事件からまだ一年もたっていないんですよね。一年もの間に総理経験者と現職総理が襲撃をされるというのは、これはかなり私は危機的な状況じゃないかと思います。

 安倍総理の事件の後、警察庁が主導して改善策を取りまとめていますけれども、今回の和歌山の事案だけ見ても、警護の計画策定に警察庁が関与してもこの状況です。結局、前回の見直しというのは功を奏していないんじゃないかと言わざるを得ません。

 爆発物を持った人物が容易に集会に、演説会に入ってきている。しかも、その人物が爆発物を所有し、投擲も許している。そして、爆発に当たって、映像を見る限り、総理を逃がすことと、そしてこの人物を、容疑者を取り押さえることにいろいろな人の手や目が行っていて、恐らく、集まっていた聴衆や爆発する前の物に対しての対応というのはほぼ放置の状態だったと思います。

 結果、爆発の規模も小さくて破片も人には当たらずで、死傷者も出ていませんが、これが大きな爆発物だったりあるいはサリンのような薬物だったり、そういうことであれば大きな惨事になったと思うんですが、私、谷委員長からそういった危機感が全く見えてこないんですが、いかがですか。

谷国務大臣 危機感が全く見えてこないというお話でございましたけれども、そういうふうに受け止められるのは大変残念であります。

 私も、安倍総理が襲撃されたときは一国会議員でありましたけれども、これは大変な事態だということで、大臣に就任する前から、国家公安委員会で何度も激しい議論を重ねながら、新しい警護要則というのを決めた。それが今回、一年以内にまた起きたんじゃないかという批判は、それは謙虚に受け止めなければならないと思います。

 したがって、統一地方選挙の後半が終わった二十四日から、和歌山県警では、今御指摘の様々な件、例えば、何も総理、警護対象要人だけではなくて、その場におられた聴衆の方の避難誘導は適切であったかどうか、そういうことも含めて幅広く、今、もう一度検証し直しているところでありまして、そして、それらをしっかり受け止めて、警察全体として不断の見直しをしっかりと行ってまいりたいと思います。

 ましてや、五月の十九日からG7のサミットがあるところでございますので、しっかり行ってまいりたいと思います。

 なお、今更私が言うまでもございませんが、今回、選挙のさなかであります。選挙は、通常の大会とか、それと違って、屋内でやるのではなくて屋外で、政治家の立場としては一人でも多くの方に訴えたい、そして、握手あるいはグータッチをしたい、触れ合いたい、そういう民主主義の根本に関わるものでありまして、そのことと警備をどうバランスを取っていくのかというのも、大変難しい課題でありますけれども、それも含めて、また、今回の事件を踏まえて、警察としての対処をまとめなければならないと思っております。

本庄委員 これは和歌山県警だけの責任ではなくて、警察庁もこれだけコミットして起きた問題ですから、警察庁そして国家公安委員長である谷大臣、全ての責任と、そして当時の対応について問われるべきだと思いますので、そういう観点から、そして、二度目だという重大な危機感を持って、不断の検証とか、そういう当たり前の言葉ではなくて、もっと危機感を示して取り組んでいただきたいというふうに思います。でないと、必ず三回目が私は起きると思いますので、是非その点はよろしくお願いをいたしたいと思います。

 谷委員長はここまでで結構でございます。ありがとうございました。

 関連して、官房長官にお伺いします。

 この襲撃事件の発生時に、松野官房長官は官邸にはいらっしゃらなかったということで、官邸にその後駆けつけたということですが、十一時二十五分頃、事件が発生したということですけれども、その後の時系列について事実関係を教えてください。いつ、どこで、誰から、どういう方法で報告を受けて、そして官邸に入ったのは何時ですか。

松野国務大臣 本庄先生にお答えをさせていただきます。

 当日は、土曜日であり、都内におりました。秘書官から事件発生直後に連絡を受けました。その後も、秘書官から随時電話報告を受け、総理及びその周辺に負傷者がいないことなどは承知をしたものの、更なる状況の把握と連絡調整の効率化のために、官邸に出邸をすることといたしました。

 正確な時間を記録しているわけではございませんが、正午を超えていたと記憶しております。官邸に出邸し、警察庁等から報告を受け、また指示を行い、その後、十四時過ぎに官邸内で記者会見を行ったところであります。

本庄委員 揚げ足を取るつもりはありませんが、事件発生が十一時二十五分、そして、危機管理を担当する官房長官の官邸到着が正午を超えている。三十分以上、下手したら四十分あるいはそれ以上かかって到着しているというのは、幾ら土曜日だからといっても、それは私は言い訳にはならないんじゃないかというふうに思います。

 これに関連して、今回の事件に限らないんですが、指摘をさせていただきたいことがございます。

 安倍政権以降、総理と官房長官が同時に官邸や二十三区を離れないという、それまでの危機管理の官邸内のルールが守られていない、正確に言えば違うルールで運用しているということなんですが、例えば、一昨年の衆議院選挙、二〇二一年、期間中に十日間総理と官房長官が東京を離れた、そして去年の参議院選挙でも四日間そういう状況がありました。今回の総理が襲撃される、あるいは総理経験者が襲撃されるというような事案を見ても、やはり私は、このいずれかが官邸なり二十三区にいるというルールをきちっともう一回取り戻していくべきではないかと思います。

 政府の説明は、副長官がいるからいいんだとか、電話でやり取りできるからいいんだということです。それは一面そうですが、しかし、それはベストな状態とは私は言えないと思うんですね。

 やはり危機管理、国民の安全に最も責任を負う立場として、この総理と官房長官が同時に二十三区から離れないというルールについて、改めて見直して適用すべきだと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 まず申し上げますと、政府では、二十四時間三百六十日体制で運用されている官邸危機管理センターで情報収集に当たるとともに、事務方として危機管理部門全体を統括する内閣危機管理監を中心に関係省庁が迅速に連携できる体制を常に整えています。

 その上で申し上げますと、総理が外遊する場合には私が在京することとしているほか、総理が国内におられる場合でも、都内を離れるときには、私の離京については慎重に検討した上で対応しています。

 さらに、総理と私が同時に在京しない場合であっても、私が指名した政務の副長官が在京して職務を代行するとともに、総理も私も、いかなるときにも連絡、報告を受け、緊急時には自衛隊機等を活用して直ちに東京に戻れるよう、必要な体制を取っており、政府としての危機管理に支障がないように万全を期しております。

本庄委員 万全かどうか分かりません。ただ、私はベストだと思いません。総理や官房長官がいないと決められない問題も多々ある、特に緊急時や危機状況においてはですね。事務方がいろいろな仕事や情報収集はできると思いますが。

 その意味でも、私は、きちっとそのルール、しかも、選挙が理由ですからね、選挙が理由で総理と長官が同時にいないということは幾らでも避けることができる対応だと思いますので、私は是非ここを改めていただきたいと思います。

 それから、松野長官にもう一つ申し上げたいんですが、松野長官は内閣法九条に基づく総理大臣の臨時代理第一位ですね。第一位です。ということは、総理に何かがあったときは総理の代わりとして仕事をしなきゃいけないんですね。私は、そういう人が同時に外に出てしまっている、出張している、選挙の演説をしている、こういう状況はやはり望ましくないと思うんですね。

 いかがでしょうか、官房長官。

松野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、まず、危機管理体制につきましては万全を期しているところでございます。そして、総理若しくは私の方で常に判断ができる状況に置いてあるということも申し上げさせていただきたいと思います。

 あとは、その上で、どういった形の危機管理体制になるかは、その官邸を離れている事案の重要度等々も鑑みまして、その都度適切に判断をしているということでございます。

本庄委員 万全でもなければベストでもないというふうに思います。繰り返し指摘をしておきます。

 このテーマはここまでとさせていただきたいと思います。

 続きまして、天下りの問題について、いわゆる天下りというふうに言わせていただきますが、まず、河野大臣にお伺いしたいんですけれども、国家公務員法第百六条の二、あっせん規制、他の職員や職員OBの情報提供や再就職依頼の規制、この法条文の趣旨、目的は何でしょうか。

河野国務大臣 国家公務員法第百六条の二、再就職等規制の趣旨は、予算や権限を背景とした現役職員による再就職のあっせん等の不適切な行為を禁止することで、公務の公正性や、それに対する国民の信頼を確保することであります。

 一方、こうした不適切な行為をしっかりと規制した上で、法令に違反することなく再就職し、個人の能力や経験を活用して社会に貢献することは意味があると考えております。

 この不適切な行為の規制と社会における人材の有効活用の両立を図るため、特定の団体などへの再就職を一律に禁止するのではなく、国家公務員法において、各省庁による再就職あっせんの禁止などの厳格な規制を設け、第三者機関である再就職等監視委員会がこれらの規制の遵守状況を監視するとともに、管理職職員であった者に離職後二年間の再就職情報を届け出させ、これを公表し、透明性を確保することとしております。

 今後とも、再就職等監視委員会による監視の下、再就職等規制の遵守徹底を図ってまいります。

本庄委員 今御答弁ありました、公務の公正性、国民の信頼の確保、これが一つの目的だということ、そして、そのための様々な措置が取られていて、再就職等監視委員会による監視や二年間の再就職の届出、こういった措置がなされているということであります。

 さて、そういう中で、元国土交通事務次官本田勝さん、私も存じているので大変驚きましたが、人事介入ということでニュースになりました。そして、この間、国会でも様々議論がなされ、国土交通省においても聞き取り調査が行われております。

 ただ、この聞き取りは省内の内部調査にとどまること、そして、OBについては、本田元次官、そして空港施設株式会社の山口副社長の二人からの聞き取りにとどまっていて、有力OBだと言われたほかの次官その他についての聞き取りは行われていない、あるいは裏取りも行われていない、要は、言い分をそのまま調査結果としてうのみにしているというものだと私は承知をしておりますが、ここはやはり、調査の信頼性を高めるためにも外部の第三者による検証といったものが必要ではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 空港施設株式会社の件につきましては、一般論として、法規制の対象に当たらないOBの行動について、国土交通省としては調査する立場になく、またその権限も有していないところでありますが、国土交通省が関与しているという誤解を招きかねないものであることから、国土交通大臣の指示の下、本田元国土交通事務次官及び山口元東京航空局長の両名に対し具体的かつ詳細な聞き取りが行われ、その結果、現役の職員の関与が疑われる事実は確認できなかったものと承知をしています。

 さらに、関係する部門の幹部職員に対して確認を行った結果、現職職員による空港施設株式会社への再就職のあっせん、OBから国土交通省に対する働きかけのいずれについても確認できなかったと聞いています。

 また、国家公務員法の規定による再就職等規制については、今後とも、第三者機関である再就職等監視委員会による厳格な監視の下、遵守徹底を図っていくところであります。

 いずれにしましても、本件につきましては、このような枠組みの下で、引き続き、国土交通省において適切に対応していくことが重要であると考えています。

本庄委員 河野大臣にお伺いしたいんですが、河野大臣、今、資料をお配りしておりますが、配付資料1ですね、かつて予算委員会で国家公務員の再就職について質問をされていて、いろいろなことをお述べになっているんですが、これは、松野官房長官が文科大臣のとき、文科省の天下り問題が発生をいたしまして、それについて、河野大臣が当時予算委員として松野文科大臣やあるいは山本幸三国家公務員制度担当大臣に質疑をされたというものなんです。

 その中で、その文科省の調査に対して、霞が関の問題を霞が関が調査しただけでは世の中の信頼は得られない、外部の目がきちんと調査をしなかったら国民の信頼を得ることはできない、役所と相談してもよくならない、大臣のリーダーシップでやっていただきたい、こういうことをお話しになっています。

 私は全く共感をする御発言ではあるんですが、今回の国土交通省の調査について、大臣はどのようにお考えになっていますでしょうか。

河野国務大臣 今御指摘いただいた予算委員会は、文科省の天下り、ぐるみ事件だったんだと思います。直接現役がやると法令違反だから、OBがハブの役割をして、文部科学省とつるんでやっていたということで、これはかなり悪質と言わざるを得ない。だから、そこはやはり外部の目を入れてきちんとやらなければいけないんだろうと思います。

 今回の国土交通省の事件については、そういう案件かどうかということをまず国交省が調査をして、どうもそうではないという報告が上がってきております。

 ただ、国家公務員制度を担当する大臣としては非常に強い関心を持っております。現時点では、国交省が調査をされたわけでございますから、それを最初から頭から否定するつもりもございませんが、何か新しい要素が出てきたときには、これは新たな対応をしなければならぬというふうに思っております。

本庄委員 ちょっと残念な御答弁ですね。

 河野大臣、このとき、泥棒に泥棒の見張りをさせても意味がない、そこまでおっしゃったんですね。私は国交省が泥棒だと思いませんが、しかし、もし何か法令違反を犯していたとすれば、その当事者である国交省の中で調べても、事実関係が容易に出てくるとは思えません。

 それから、OBとの関係についても、本田さんと山口さんにしか聞いていないし、その二人が言っていることを事実だと認定をして公表をされています。私は、調査として極めて不十分だというふうに認識をしております。御答弁は求めません。

 今回の事件、事案のやはり一つの大きな問題は、OBによるあっせんをどのように考えるかという問題だと思います。

 現行の法律において違法ではない、これは私も理解しているつもりでございますが、しかし、退職したOBが事実上、人事ブローカーのような役割を果たして現役の再就職先をあっせんしているとすれば、やはり、元々の国家公務員法百六条の二の趣旨である公務の公正性や国民の信頼確保という観点から、脱法行為というふうに言われても仕方がないし、法律の趣旨に反しているというふうに思います。

 そこで、河野大臣、所管大臣にお伺いしたいんですが、国家公務員OBに対するあっせんの規制ですが、結局、役人OBによるあっせんが抜け道になっていて、現職の役人のあっせんは禁止されているものの、OBのあっせんは禁止をされていないということだと思いますけれども、この際、役人OBのあっせんも禁止をする、規制をする、そういった措置が私は必要じゃないか、あるいは検討すべきじゃないかと思いますが、河野大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 職員のOBの再就職に関する規制については、もうOBは既に公務を離れた、予算や権限を有していない民間人であり、その活動に関して規制をすることは極めて慎重であるというのが今の政府の立場でございます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、何か新たな要素があれば、そこは新たな対応を考えなければならぬと思います。

本庄委員 これもまたちょっと驚きの答弁なんですが。

 配付資料1を御覧いただきたいんですが、その二、国家公務員OBに対する再就職規制という項目で書いています。これは、河野大臣、河野議員御本人の御発言を私は質問したんですね。つまり、役人OBによるあっせんが抜け道になっております、役人OBのあっせんも禁止する、そういった措置を取る必要があるのではないかと大臣はおっしゃっているんです。同じことを私は聞いたんですが、今、全く違う御答弁ですね。立場が変わったから御答弁も変わったということでしょうか。

 あわせて、今、予算や権限を有しないというふうに言われました。ただ、この法律の元々の説明は、これは松野大臣、文科大臣のときもおっしゃっていますが、予算や権限を背景としたなんですね。背景。直接持っていなくても、それをちらつかせたり、それをにおわせたり、あるいは、それを念頭に相手の対応に影響が出る、こういったことはいかぬよ、そういう精神で成り立っている法律、規制ではないんでしょうか。有しているかどうかという問題ではそもそもないと思うんですが、二点お伺いします。

河野国務大臣 この当時は、明らかにこれは文部科学省とOBがつるんでやったわけですから、あの時点では相当なことをやらなければならないという問題意識でございました。しかし、それに懲りて霞が関も襟を正してまいりましたから、現時点ではこういうことで今政府は対応しております。

 ただ、今回の国交省の案件、あるいはこのほかで、そうではないということが明らかになれば、それはまた別な対応を当然考えなければならぬと思います。

本庄委員 二点目の、権限、予算を有しているというのは狭過ぎるんじゃないか、背景ということではないのかという私の問いについてはいかがですか。

河野国務大臣 特に何か政府で考え方が変わったということはございません。

本庄委員 であれば、今の御答弁はおかしいですよね。民間人になったとはいえ、元々いた役所の予算、権限を背景にしていれば、私は、全くのらち外だというふうには言えなくなってくると思うんですね。有すると言ってしまうと、それは確かに有していません。私は、それは悪意のある歪曲だというふうに思います。本当に意図がないのであれば、きちっとその言葉の使い方について、大臣、是非精査していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 民間人でございますから、予算も権限もないわけでございまして、そこは変わりはないんだろうと思います。

本庄委員 私、今、そう言いました。予算あるいは権限はないが、しかし、背景にしている可能性はありますよね、そういうことなんですが、いかがですか。

河野国務大臣 民間人ですから、予算や権限に何のあれもないというのは皆さん分かっていることだろうと思います。そこで、もしそうではないということであるならば、そこは新たな対応をしなければならぬということを申し上げております。

本庄委員 有していると背景というのは全く違うし、背景にしているOBというのは私は幾らでもあり得るというふうに思います。今回の調査は、さっきも言いましたけれども、当事者の言い値ベースの調査なんですね。だから、何も出てきていないからいいんだという話には私はならないというふうに思います。そのことを繰り返しておきたいと思います。

 関連して、河野大臣、このとき、いろいろないいことをおっしゃっていたんですが、一定期間の再就職禁止ということも考えるべきではないかと。これは配付資料1の三ですね。役所と関係しているところに再就職を何年してはいけないという行為規制のようなものを入れなければ抜け道を防げない、再就職に関して何らかの規制をする、行為規制そのものをやらなければ抜け道は防げない。この心は、結局、再就職監視委員会があるものの、それが一々通報がないと分からないということでは機能しないんじゃないか、こういう文脈の中から出てきている話なんですが、この点について、今、担当大臣としてどのようにお考えですか。

河野国務大臣 この当時と比べて、相当霞が関も襟を正してよくなったというのは先ほど申し上げたとおりでございます。また、再就職等監視委員会も様々やっております。再就職等監視委員会が不十分であるというならば、そこはまた何か考えなければならぬと思います。

本庄委員 それでは、ちょっと時間がありませんので、日証金の問題、一つの事例として御紹介をしたいと思います。日本証券金融株式会社ですね。

 配付資料2、大きいサイズの紙を配っておりますが、これは、日証金の会社発足時以降、今日に至るまでの天下り状況、再就職状況です。

 それで、まず日銀がずっと社長を務めているということなんですが、私もこれを知って驚きましたけれども、一九五〇年から今日に至るまで七十年間ずっと日銀のOBが社長なんですね、切れ目なく。十人です。日銀は、国家公務員法の適用にはなっておりません。日銀の内規で、日銀に口座を持っている金融機関や企業に対して天下りをしてはいけない、こういう内規がありますが、そういう中においても、これだけ露骨な、まさに相続とも言えるような社長就任が続いております。

 財務省はどうかということですが、一九六〇年から今年の三月まで、十人連続、切れ目なく、天下り、再就職しております。これも法令違反はありませんよということなんですが、しかし、これは子供が見てもおかしいと思うし、ここにおられる皆さんも、これを天下りと言わずして何を天下りと言うんだというふうにお感じになるんじゃないかというふうに思います。

 そこで、官房長官にお伺いをしたいんですけれども、今、立憲民主党から、次官級経験者、退職後十年間の再就職先について、予備的調査ということで、国会から調査を依頼しております。五月下旬までにということで要請をしているかと思いますが、これは政府自身が本来調べるべきだと思いましたけれども、それをしないということなので、党として、国会として要求をしております。

 これについて、きちっと調査をして、報告をしていただけますでしょうか。御答弁をお願いします。

松野国務大臣 国会の先生方からのお話でございますので、制度にのっとりまして適切に対応してまいります。

本庄委員 民間に天下ったというか再就職してしまったから関係ない、そして二年間しか報告義務がないというのは、かなり今、法の抜け穴、抜け道になっているというふうに私は思います。公正な行政、そして国民の信頼を確保していくというために、私は、今回の国交省の案件を一つの機に、制度の見直しについても検討すべきだと思いますが、河野大臣、この制度の見直し、例えば、OBもあっせん規制の対象にするとか、一定の期間再就職を禁止するとか、こういった制度の見直し、法律の見直しについてどのようにお考えになりますか。

河野国務大臣 今委員に御提示をいただきました資料を見ると、これはやはりちょっとなんだなという気がいたしますので、まずはちょっと、こういうケースがどれぐらいあるのか、事実関係を調べてみたいと思います。

本庄委員 まさにこういうことなんですね。なので、私たちは十年に遡って再就職先を調べてくださいというふうにお願いをしております。

 最後に官房長官に一つお伺いして終わりたいと思いますが、政府自身はこの再就職調査をしないということでありました。ただ、私の知る限り、各省官房には有力な退職者のその後の履歴についてしかるべき文書の形で残してある、記録があるというふうに私は理解しております。私も見たことがあります。政府として、そういった退職者の再就職先の履歴、記録、文書として作成、保存されていないんでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 職員OBの再就職先に関しまして、国家公務員法に基づき再就職の届出の対象となっているものや、大臣が任命等を行うもの以外の各省庁における取扱いについては承知をしておりません。

本庄委員 まあ個人メモだということなんでしょうか。じゃ、今後そういったものが公にならないことを期待したいと思います。

 ありがとうございました。

大西委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 最後、十六分、よろしくお願いいたします。

 まず、内閣官房・内閣府スリム化法についてお伺いしたいと思います。

 二〇一五年にでき上がって、これまで八年近く運用してきたわけでありますが、スリム化法の後、どれだけの権限、事務量そして定員が増えてきたのかということについて、まず官房長官にお伺いしたいと思います。

松野国務大臣 緒方先生にお答えをさせていただきます。

 平成二十七年九月の内閣官房・内閣府見直し法の成立以降に施行された法律によりまして新たに追加された事務については、内閣官房においては、例えば国際博覧会推進本部に関する事務など七件、内閣府においては、例えば重要土地等調査法の施行に関する事務など三十四件と承知をしております。

 また、定員につきましては、内閣官房の平成二十七年度末定員は千七十七人、令和五年度末定員は千三百三十二人を予定しており、内閣府の平成二十七年度末定員は二千三百四十五人、令和五年度末定員は二千四百六十六人を予定していると承知しています。

緒方委員 ありがとうございました。

 これは不断の努力をしていかないと、内閣官房と内閣府というのはどんどんどんどん肥大化していく傾向にあるので、常に行革の目線を持っていただきたいし、できれば、内閣官房・内閣府スリム化法、あの考え方をもう一回バージョンアップすることを提案させていただきたいと思います。

 そして、特に内閣府を見ておりますと、スタッフ制の下、各部局が物すごくタコつぼ化をして、似たような事業をやっているところが散見されるんですね。実は、私の知り合いであります内閣府の幹部からもこの指摘がありました。総合調整の役割を果たすはずが、最も縦割り、タコつぼ化が進んでいるのが内閣府であるというふうに見えることがございます。これは解消すべきだと思いますし、官房長官の方から全体を見て、似たような事業をやっているところがあるのであれば、それをしっかりと行革で解消していくことが重要ではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 内閣府において、内閣の重要政策について行政各部の施策の統一を図るための企画立案及び総合調整を担っており、これらの観点から、必要な体制整備を行いつつ、その時々の政策課題に対応をしています。

 内閣府では、内閣総理大臣のリーダーシップの下、複数の特命担当大臣が所掌を分担する体制となっており、委員御指摘のように、いわゆるタコつぼ化しない意識を常に持つことが重要であると考えております。

 このため、内閣府においては、複数の部局が連携し、そのアウトプットにつき実質的な調整を図ることができるよう、関連する司令塔会議を統括する仕組みも設けているところであります。

 引き続き、各部局及び特命担当大臣間の連携の下、そして最終的には内閣総理大臣の統括の下、施策間における連携を適切に図ってまいる所存であります。

緒方委員 これは昨年の骨太の基本計画でも問題になったんですけれども、各地方自治体に基本計画を作れ、基本計画を作れということで、全国知事会から抑制してほしいということで話がありました。

 ただ、手がつかないのが、実は議員立法であります。議員立法によって、基本計画を作れとか、地方に負担が下りていくものは物すごく多くて、実は骨太の方針でも、行政としてはやれるけれども、確かに、国会の意思として議員立法でやってくるときというのは、これはなかなか手がつけ難いというのはよく分かります。別に我々が議員立法を作っちゃいけないということでもないし、それを批判的に言っているわけでもないんですが。

 比較的こういうものは内閣府に落ちていくものが多いと思うんですけれども、内閣府にとどまらずだと思いますけれども、議員立法で権限が創設される際、何か調整メカニズムを置くべきではないかなというふうに思うんですが、官房長官、いかがでしょう。

松野国務大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、議員立法によって新たな業務が各府省に追加されることはあります。

 ただし、このような新規立法に基づき単純に新たな事務を純増させるのではなく、既存の組織で実施している施策と親和性のある部局に所掌させ、例えば、計画等の策定において、既存の類似の計画等に統合する可能性を検討するなど、より効率的な業務の在り方を追求することは重要であると考えています。

 なお、業務の肥大化に対しましては、平成二十七年の閣議決定、内閣官房及び内閣府の業務の見直しの趣旨を踏まえ、内閣官房及び内閣府が本来の役割を十分発揮できるよう、事務の進捗に応じ、既存の事務の不断の見直しを行い、可能な限り組織を効率的なものとしていく観点から、組織の統合や廃止等の対応を行ってきているところであり、引き続き努めてまいる所存であります。

緒方委員 それでは、質疑を移していきたいと思います。

 次は、叙勲についてお伺いいたします。

 先日の孤独・孤立対策推進法審議の際、参考人、みんなのいばしょの理事長から、NPO法人関係者はなかなか叙勲で報われないという話がございました。

 叙勲は所管官庁から推薦が必要ですが、見ていると、今叙勲されている方が悪いと言っているわけじゃないんですけれども、対象者が比較的固定されているような印象を受けるんですね。社会で地道に頑張る方をくみ上げるルートが少し弱いのではないかというふうに思いますが、改善を求めたいと思います。官房長官、いかがでしょうか。

松野国務大臣 お答えをさせていただきます。

 栄典の授与については、時代の変化に対応するため、平成二十八年九月に栄典授与の中期重点方針を策定し、実施しているところであります。

 この方針では、公益法人等の公益的な活動を行う民間団体において功績を上げた者への授与についても取り上げており、これを踏まえて、公益法人やNPO法人で功績を上げた方に対して栄典授与に努めています。また、人目につきにくい分野において真に功労のある方や、多数の分野で幅広く活躍し功労のある方など、これまでの各府省からの推薦では十分把握し切れなかったものを把握するため、平成十五年秋から一般推薦制度を運用しています。

 引き続き、公益法人やNPO法人など、人目につきにくい分野で功績を上げた方に対しての栄典授与につきまして取り組んでまいりたいと考えております。

緒方委員 官房長官、ここまでで結構であります。ありがとうございました。

 続きまして、TPP、日米貿易協定についてお伺いしたいと思います。

 英国との間で実質的な妥結が行われたということで、後藤大臣、本当にお疲れさまであります。

 ただ、TPPというのは、トランス・パシフィック・パートナーシップということで、環太平洋パートナーシップなんですが、英国が太平洋に持っている領土というのは絶海の孤島ピトケアン諸島だけであります。環太平洋パートナーシップとはおよそ無縁の場所だと思います。それでもTPPに入れるということは、TPP加盟には地理的要件は求められていないということでよろしいでしょうか。後藤大臣。

後藤国務大臣 CPTPPは、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広めていくという意義を有する協定でありまして、市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの内容となっております。

 今回、英国とのCPTPP加入交渉、実質的に妥結いたしましたけれども、英国の加入が実現すれば、環太平洋地域にとどまらず、大きな意義が、自由貿易、開かれた競争的市場、ルールに基づく貿易システム及び経済統合ということであるというふうに考えています。

 お尋ねの件については、このCPTPPに地理的な範囲の制約はありません。

緒方委員 続いてお伺いしたいと思います。

 現在、中国、台湾から出ている加盟申請の扱い、今どのようにお考えでしょうか。後藤大臣。

高木大臣政務官 お答え申し上げます。

 CPTPPは、自由で公正な経済秩序を構築するという戦略的意義を有し、市場アクセスの面でもルールの面でも高いレベルの協定でございます。

 中国の貿易慣行に関しては様々な意見があると理解しておりまして、中国が協定の高いレベルを完全に満たすことができるかについて、まずはしっかりと見極める必要がある、こう考えております。

 台湾についても同様にしっかりと見極める必要がございまして、我が国にとって、基本的な価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナーである台湾は、加入申請に向けた様々な取組を公にしてきておりまして、我が国として、そのような台湾による申請を歓迎しているところでございます。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いについては、他のCPTPP参加国ともよく相談する必要がございますが、我が国としては、戦略的観点や国民の理解も踏まえながら対応していく所存でございます。

緒方委員 台湾について歓迎しているという表現がありました。

 中国については歓迎していないということでよろしいですか。政務官。

高木大臣政務官 そういう話ではございませんので、とにかく、それぞれの今の経済状況や様々な申請の状況というのを厳しく、厳しくというか、きちんと見ていくということでございます。

緒方委員 いや、言葉というのは大事でありまして、歓迎しているという表現を台湾に使って中国に対して使わなかったということは、中国の加盟申請は歓迎していないということなんでしょうかと、もう一回お伺いさせていただきたいと思います。

高木大臣政務官 台湾は、かねてからCPTPPへの加入申請に向けた様々な取組を公にしてきていると承知をいたしております。そのような台湾が加入申請を提出したことを我が国として歓迎をいたしております。

 いずれにいたしましても、我が国としては、加入申請を提出したエコノミーがCPTPPの高いレベルを完全に満たすことができるかどうかを、まずはしっかりと見極める必要があるということでございます。

緒方委員 苦しいということはよく分かりました。

 続きまして、TPPから一回脱退して、その後、日米貿易交渉ということで、FTAの関係に立つアメリカとの貿易交渉についてお伺いしたいんです。

 私、日米貿易交渉の際、当時は落選中でしたが、ずっとフォローしていたんですが、官邸での総理と関係省庁次官級協議に、必ず防衛審議官が入っていたんですね。そこでやはりどうしても思ってしまうのは、外務審議官、経済産業審議官、農林水産審議官が入って明らかに日米貿易協定について協議していると思われる総理の動静の中に、必ず防衛審議官と、もう一つ言うと国土交通審議官が入っていたんですけれども、ここでお伺いをさせていただきたい。

 防衛装備品の購入というのは、日米貿易交渉を含む日米関係全体のディールのバランスの中に入っていたという理解でよろしいでしょうか。外務省。

高木大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘のディールの意味でございますが、これは定かではないものの、日米では、首脳や閣僚級を始め様々なレベルで、幅広い事項について日頃から緊密に意思疎通を行ってきております。

 御指摘の、日米貿易協定交渉の時期において、防衛装備品の扱いが日米貿易協定に係る交渉の対象になったという事実もございません。

緒方委員 いや、そういうことを聞いているんじゃないんです。貿易交渉の中で防衛装備品が自由化される、されないとか、そんなことを聞いているんじゃなくて、日米関係というのはもっと広いものなので、そのディールの中で、日米貿易交渉というのはそのパーツの一つですよ、その別のパーツのところで防衛装備品の購入というのは、全体の日米の関係のバランスの中に入っていましたかということを聞いているんです。政務官。

高木大臣政務官 日米貿易協定は、二〇一八年九月の日米首脳会談における日米共同声明に従って二〇一九年四月から交渉が開始され、二〇一九年九月の日米首脳会談における日米共同声明において最終合意が確認をされました。

 その間、御指摘の関係者が総理に面会したことは事実でございますが、いずれにせよ、当該時期において、防衛装備品の扱いが日米貿易協定に係る交渉の対象となった事実はございません。

緒方委員 言葉、すごく、日米貿易交渉の対象でなかったとは言っていますが、それでは今の答えになっていなかったんですけれども、苦しいということはよく分かりました。

 最後に、後藤大臣に、日本学術会議についてお伺いしたいと思います。

 日本学術会議に対して菅総理が非常に厳しく出て、今回断念されましたけれども、法律改正まで踏み込もうとしたのは、普通に考えると、同会議が防衛関連の研究にことごとくノーを出してきたことがあるのではないかと私は思っております。

 今後の検討に際して、日本学術会議に対して、どの程度の防衛研究であればオーケーを出してくれるのかというようなことを議論してはどうかと思うんです。国民は恐らくその議論を見たいと思っていると思いますし、それによって、その回答によって日本学術会議自体が評価されるべきだ、そう私は思っています。後藤大臣の見解を求めたいと思います。大臣。

後藤国務大臣 御指摘の軍民、汎用性のある研究、いわゆるデュアルユースにつきましては、昨年七月、政府からの質問に対しまして、梶田日本学術会議会長名で、用途の多様性、両義性を有する今日の先端科学技術、新興科学技術に関しては、従来のようにデュアルユースとそうでないものとに単純に二分することはもはや困難であり、研究対象となる科学技術をその潜在的な転用可能性をもって峻別し、扱いを一律に判断することは現実的ではないといった考え方が示されたところです。

 現在、学術会議から国公私立の各大学関係機関、研究機関等に説明しつつ、意見交換を行っていると承知をしています。

 さらに、学術会議においては、用途の多様性、両義性を有する先端科学技術、新興科学技術に係る研究が大学等研究機関で円滑に実施される方策について、関係者と意見交換を行いながら、引き続き検討を進め、本年九月末までに取りまとめを行うものと承知しています。できるだけ速やかに取りまとめられ、大学等研究機関の理解が進むことを期待いたしております。

 デュアルユースの問題については、これは日本の科学技術の将来の位置づけにとって非常に重要な点だと思って、関心を持って見守っております。

緒方委員 最後の一言、ありがとうございました。

 終わります。

     ――――◇―――――

大西委員長 次に、内閣提出、参議院送付、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小倉国務大臣。

    ―――――――――――――

 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小倉国務大臣 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、最近における配偶者からの暴力等の実情に鑑み、国が定める基本的な方針及び都道府県が定める基本的な計画の記載事項の拡充、関係者による情報交換及び支援内容の協議を行う協議会に関する規定の創設等の措置を講じるとともに、接近禁止命令等の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大、保護命令の期間の伸長等の保護命令制度の拡充等の措置を講ずるものであります。

 次に、本法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、被害者の保護に被害者の自立を支援することを含むものとし、国が定める基本的な方針及び都道府県が定める基本的な計画の記載事項について、国、地方公共団体及び民間の団体の連携協力に関する事項を追加することとしております。

 第二に、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する協議会を法定化し、協議会の事務に関する守秘義務等を設け、被害者の保護を図るために必要な情報の交換等を行うこと等としております。

 第三に、保護命令制度の拡充等です。

 まず、接近禁止命令等について、申立てをすることができる被害者に、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫を受けた者を追加するとともに、その要件を更なる身体に対する暴力等により心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときへ拡大するほか、接近禁止命令等の期間を一年間へ伸長することとしております。

 次に、いわゆる被害者への電話等禁止命令の対象行為に、緊急やむを得ない場合を除き、連続して文書を送付し、又はいわゆるSNS等により通信文等を送信すること、性的羞恥心を害する電磁的記録を送信すること、被害者の承諾を得ないで位置情報記録・送信装置によりその位置情報を取得すること等を追加することとしております。

 三点目に、いわゆる子への接近禁止命令に加え、被害者と同居する未成年の子に対して、緊急やむを得ない場合を除き、連続して電話をかけること等を禁止する命令を創設することとしております。

 四点目に、退去等命令について、被害者及び配偶者が生活の本拠として使用する建物等の所有者又は賃借人が被害者のみである場合であって被害者の申立てがあったときは、当該命令の期間を六月間とする特則を設けることとしております。

 さらに、保護命令違反に関する罰則を加重することとしております。

 このほか、所要の規定の整備等を行うこととしております。

 以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

大西委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十一分散会


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