衆議院

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第2号 平成28年10月19日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年十月十九日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君

   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君

   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    安藤  裕君

      井野 俊郎君    井上 貴博君

      江崎 鐵磨君    小倉 將信君

      奥野 信亮君    勝俣 孝明君

      門  博文君    神田 憲次君

      菅家 一郎君    木村 弥生君

      斎藤 洋明君    白須賀貴樹君

      鈴木 貴子君    瀬戸 隆一君

      田畑  毅君    辻  清人君

      長尾  敬君    野中  厚君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      山田 賢司君    吉野 正芳君

      枝野 幸男君    階   猛君

      山尾志桜里君    大口 善徳君

      吉田 宣弘君    畑野 君枝君

      藤野 保史君    木下 智彦君

      上西小百合君

    …………………………………

   法務大臣         金田 勝年君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   最高裁判所事務総局人事局長            堀田 眞哉君

   最高裁判所事務総局経理局長            笠井 之彦君

   最高裁判所事務総局刑事局長            平木 正洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡田  隆君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房独立公文書管理監)        佐藤 隆文君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           斉藤  実君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 長谷川 豊君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 白川 靖浩君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小山 太士君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    富山  聡君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    畝本 直美君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  萩本  修君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 藤城  眞君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (観光庁次長)      蝦名 邦晴君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   法務委員会専門員     矢部 明宏君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十九日

            補欠選任

             田畑  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     江崎 鐵磨君

  城内  実君     勝俣 孝明君

  藤原  崇君     小倉 將信君

  宮川 典子君     白須賀貴樹君

  山田 賢司君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     神田 憲次君

  小倉 將信君     藤原  崇君

  勝俣 孝明君     城内  実君

  白須賀貴樹君     斎藤 洋明君

  瀬戸 隆一君     長尾  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     奥野 信亮君

  斎藤 洋明君     木村 弥生君

  長尾  敬君     山田 賢司君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岡田隆君、内閣府大臣官房独立公文書管理監佐藤隆文君、警察庁長官官房総括審議官斉藤実君、警察庁長官官房審議官高木勇人君、警察庁長官官房審議官長谷川豊君、警察庁長官官房審議官白川靖浩君、総務省自治行政局公務員部長高原剛君、法務省大臣官房司法法制部長小山太士君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君、法務省矯正局長富山聡君、法務省保護局長畝本直美君、法務省人権擁護局長萩本修君、法務省入国管理局長井上宏君、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、財務省大臣官房審議官藤城眞君、文部科学省大臣官房審議官浅田和伸君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、観光庁次長蝦名邦晴君及び防衛省防衛政策局次長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局人事局長堀田眞哉君、経理局長笠井之彦君及び刑事局長平木正洋君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうはまたお世話になりますけれども、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)与党席から声がかかると、何か緊張いたします。

 さて、それでは早速、まず、きょうは一番目に、司法修習生の経済問題について先にお話を聞かせていただきたいと思います。

 司法修習生につきましては、二〇〇四年にそれまでの給費制から貸与制にするんだということが決められて、その後、二〇一一年にいわゆる貸与制というものがスタートしたわけであります。しかしながら、この貸与制がスタートしてみると、司法修習生の皆さん、経済的に随分厳しいという声が各方面から上がりまして、現在、例えば日弁連、あるいは若手の法律家を目指そうとする皆さんがビギナーズ・ネットなるものを組織して、随分いろいろな場面でこの給費制を復活させてほしいということを言っているわけであります。

 私も、幾度もこれらの集会に出席をさせていただきましたし、先般も、札幌市でありました、地元でありました集会にも出席をし、若手の法曹を目指す方々からいろいろな話を聞かせていただいたところであります。

 これらの取り組みの中で、現在、国会議員が七百十七名、定数がいるわけでありますけれども、四百名を超える国会議員が、この給費制を復活させる、何らかの形で司法修習生を応援する、そういったことについて、このビギナーズ・ネットの皆さんのところへメッセージを寄せたり、いろいろなコメントを寄せたりしているということであります。

 この点について、まず三人の政務三役の方にお伺いしたいんですけれども、ビギナーズ・ネットの取り組みについてメッセージを寄せたり、応援の声を出したりといったようなことを過去にやっているのかどうか。七百十七分の四百を超えているわけでありますので、もしかしたらお三人ともやっているのか、やられていないのか、そのあたりをちょっとお伺いしたいと思います。

金田国務大臣 逢坂委員の御質問にお答えしますが、私は、ただいまの御質問にあった院内の意見交換会にメッセージを寄せるということはありませんでした。そしてまた、これに出席をしたこともありません。

 でも、そういう場において与野党の複数の先生方から司法修習生に対する給費制の実現が望まれる旨の意見が寄せられたということもございます、お聞きしておるということですね。そして、司法修習生などからも経済的負担が重いとの声が寄せられたというお話は聞いております。そうしたさまざまな御意見は真摯に受けとめているところであります。

盛山副大臣 逢坂先生御指摘のように、私も、今のポストにつく前には、ビギナーズ・ネットの会合に出席したことはございませんですけれども、前向きに検討すべきである、そういうような趣旨のメッセージは出しております。しかしながら、副大臣につきましてからは、政府側に入ったということもございまして、その後、メッセージを出したりしていることはありません。

 ただ、今法務省の方でいろいろな方とお目にかかり、そして現状についてのお話その他はしっかりと承っております。(発言する者あり)

井野大臣政務官 デビュー戦、ありがとうございます。

 私自身弁護士出身ということもありますので、知り合いの弁護士等から頼まれてメッセージを出したということは過去ございます。しかし、院内集会等に出席したかと言われると、記憶では、なかったのかな、いろいろ予定が忙しくて、なかなか出席することはかなわなかったのかなというふうに思っております。

逢坂委員 それぞれお三方、メッセージを出す出さないはともかくとして、しっかりそういった司法修習生あるいは若手の皆さんの声に耳を傾けるということだったかというふうに思います。特に、副大臣と政務官におかれてはメッセージも出しているということでありますので、この問題、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思うんですね。

 それはなぜかといいますと、いろいろな理由はあるんですけれども、例えば司法修習生のアンケートなどの結果を若干紹介させていただきますと、修習辞退を考えたことのある人がいるかということで、二割程度の方が司法修習の辞退を考えたことがあると、修習生自身がアンケートに答えているんですね。その理由は何か。貸与制に移行したことによる経済的な不安、六三%の方がそのことによって修習を辞退しようかと思ったというふうに答えておりまして、ほかの項目も幾つかあるんですが、この経済的な不安というのが一番大きい理由になっております。

 それから、もう一つですが、司法修習生の債務負担の重さということについてどの程度なのかということ、これも司法修習生への実態アンケートの結果なんですけれども、司法修習生の半数近くの方が、修習資金と奨学金を合わせて四百万円以上の債務を負担しているということであります。だから、修習生の時点でもう相当な借金を抱えているんだということだろうと思います。

 一方、さらにでありますけれども、貸与制になってどんな影響が出ているかということでありますけれども、まず一つ、影響があると答えた修習生は、修習生全体の九割、八九%に上っているということ。どのような点で影響が出ているか。まず一番目に出るのが、生活費を節約する、七八%の人がそう答えている。さらにもう一つ、同じぐらいの比率で、書籍代等を節約する、こういうこと。それから三番目に、交通費のかかる勉強会などへの参加を控える、こういうこと。さらに、遠方での就職活動に支障が生じる。こういったことに影響が出ているんだということを言っているわけであります。

 さらに、私は弁護士でも法律の専門家でもありませんけれども、一般国民から見ると、弁護士さんというのは高額所得の方が多くて、悠々自適の生活を送っているかは別にしても、とにかく高額所得の人が多いのではないかというふうに一般的に思われているわけでありますけれども、全弁護士さんの所得の中央値、これは日弁連で会員にアンケートをとった結果でありますけれども、所得の中央値、二〇〇八年が一千百万円であったものが、二〇一四年には六百万円になっているということでありまして、随分減っているんですね。

 それから、若手法曹の所得の動向でありますけれども、登録一年目の所得、これも中央値でありますが、これは二〇〇七年でありますか、これが六百五十九万円。それが二〇一四年では三百十七万円ということで、相当減っているということなんですね。

 だから、こういう実態を見ますと、司法修習のときに四百万円ぐらいの借金をもう全体で持っていて、さらに、かつてのように、実際に仕事を始めてからも、たくさんの収入が得られる実態にはないということなんですね。

 こういう実態を受けて、私は、二〇一〇年まで行っていた給費制に全てを戻せ、そういう思いは必ずしも持っておりませんけれども、だがしかし、真に困っている修習生の皆さんには何らか手を差し伸べる必要があるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、この点、いかがでしょうか。

金田国務大臣 ただいまお話がございました司法修習生の経済的な状況、そしてまたその支援のあり方については、そういう実態をよく今お聞きするところではございます。

 したがって、そのあり方については、法曹養成制度改革推進会議という会議の決定において、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、それから司法制度全体に対する合理的な財政負担のあり方といったものを踏まえて、司法修習生に対する経済的支援のあり方を検討するというふうにされているところであります。

 また、ことしの六月のいわゆる骨太の方針、それからことしの八月のいわゆる経済対策においても、司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実強化を推進していかなければならないということが言われているわけであります。

 ですから、こういったことをるる踏まえて、最高裁判所等ともよくその辺を連携しながら引き続き検討していきたい、こういうふうに思っている状況でございます。

逢坂委員 今大臣に御紹介いただきましたとおり、平成二十七年に法曹養成制度改革推進会議が司法修習生に対する経済的支援のあり方を検討するというふうに言っている。それから、ことしになりましてから、いわゆる骨太の方針の中で、司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実強化を推進すると言っている、これが六月。さらに、ことしの八月になって、未来への投資を実現する経済対策の中で、司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実強化等の推進というふうに言っているわけでありますので、検討から推進に変わったんだということで、関係者の皆さんは非常にこれを期待しているんですよね。

 大臣には、今これを御紹介いただいて、文言をお読み上げいただいたわけでありますけれども、検討から推進に変わっているわけですから、具体的にそれではどう推進するんだ、検討の段階から推進の段階に入ったんだというふうに関係者の皆さんは非常に期待感を高めているわけであります。具体的にどういうふうな日程感で検討されるのか、もし今の時点で何かあれば、加えて御答弁いただければと思います。

金田国務大臣 ただいまの御指摘に対しては、私ども法務省としましては、関係機関というのは御承知のとおり最高裁判所でございますし、そしてまた、その最高裁等との連携協力のもと、やはり法曹の経済状況の調査といったようなものを、所要の調査を実施して、そして、先ほど申し上げた文部科学省と共催をする協議会の場を通じて、あるいは最高裁や日弁連といったところと必要な連絡協議を進めているという状況にある、このように認識をしております。

逢坂委員 この間、若手の法律を勉強する皆さんと話をしていて、こんな話が出ました。国会議員は七百十七名いる、そのうち四百名を超える皆さんがこの給費制の復活、何らかの形で司法修習生を応援するということについて賛同している、国会議員の半数以上が賛成しているのに、なぜこれが動かないんですかという話をされたんですね。国会議員のしゃべっていることというのは、その場しのぎでまやかしなんですかというふうにも言われるわけです。やはり、そうならないように、具体的な取り組みを検討します、推進しますと、言葉では確かに進化しているように見えますけれども、きょうの答弁の中では具体性が必ずしも感じられないわけでありますので、具体性のある取り組みをしていただきたいというふうに思います。

 この問題は、多分、私だけではなく、ほかの委員からも指摘があろうと思いますし、これまでもあったのも、私もこの法務委員会で聞いておりますけれども、やるやらないをいつまでも生煮えのままにしておくことが非常にやはり私は問題だと思いますし、真に困っている方もおられるわけです。

 私、全部に、かつてのように、かつては七十億か八十億の予算規模だったかと思いますけれども、それで全員に復活せよということは必ずしも必要ではないのかもしれないと思っていますが、本当に困っている人に何とか手を差し伸べるということをしなければ、法曹人材が育っていかないのではないかと思いますし、私は、法律家になる人はいろいろな境遇の人がいることが大事だと思いますので、これで私の質問、この問題についてはやめますけれども、もし、さらに大臣の方から付言することがあれば、おっしゃっていただければと思います。

金田国務大臣 逢坂委員の御指摘はしっかりと受けとめております。ただ、関係する機関もございます。そしてまた、今、検討しているその努力の中にあるというところを御理解いただきたい。

 したがって、最高裁等とも連携協力しながら、引き続き検討を続けていきたい、このように思っております。

逢坂委員 この問題については、ぜひ、多くの国会議員が賛同しているという現実も踏まえて、積極的に取り組んでいただきたいということを重ねて申し上げさせていただきます。

 それでは、次の問題に移らせていただきます。

 大臣所信の中のことについて幾つかやりたいと思っているんですが、まず、入国する外国人が今非常にふえているということでありまして、それに関して大臣も、「必要な人的、物的体制の充実強化に計画的に取り組んでおり、」ということをおっしゃっておられます。本年十月から上陸審査において顔画像照合を実施する、それから、同じく十月からはバイオカートなるものを導入するということで、「入国審査の高度化に努めてまいります。」ということを言っておられますが、この顔画像照合とバイオカートの導入の状況、そしてその内容、さらには今後どういう方針でいるのか、ちょっと事務方の方から教えていただければと思います。

井上政府参考人 最初に、顔画像照合の方から御説明させていただきます。

 この顔画像照合というのは、テロリスト等の入国阻止を確実に行うというような目的で導入してございます。

 この仕組みは、現在も審査ブースで、外国人の入国に際しましては指紋と顔写真の提供をお願いしておるわけでございますが、そこで提供いただいている顔写真のデータを使いまして、新たに、入国を阻止すべき顔写真のブラックリストをつくりまして、そこの写真の照合をすることによりまして、入国させてはならない者につきまして入国を阻止する、そのような仕組みを導入したということでございます。

 こちらにつきましては、特に専用の機械を入れるということではございません。現在使っております審査端末の機能を拡充してやるものでございますので、施行と同時に全国の空海港の審査ブースでこの機能が稼働し始めているところでございます。

 したがいまして、今後につきましては、ハードというよりソフトの面の充実、つまり、照合対象となるブラックリストの中をよりよく、それをさらに充実させていくことによりましてこの機能を一層効果あるものにしていきたい、そのように進めていきたいと考えております。

 続きまして、バイオカートでございますが、こちらはむしろ円滑化のための措置でございます。

 これも、現在、外国人の入国に際しましては、空港の審査ブースでいろいろな審査をする中で、顔写真と指紋という個人識別情報の提供をいただいている。その採取の時間というものが相当程度かかりますので、その部分を、審査を待つために並んでいただいているその間に提供していただいて、それを電波で審査の方の機械に送りまして、審査ブースにおける審査時間の短縮を図るという、そのような構想に基づく措置でございます。

 したがいまして、これは新しい機械を導入してまいりますので、まず最初に関西空港、高松空港、那覇空港の三空港に導入いたしまして、この十月から運用を始めてございます。

 今後の展開につきましては、まず二十八年の補正予算におきまして、成田空港等十二空港に導入するための措置をいただいておりますので、できるだけ速やかにこれら空港に配備していく所存でございます。

 その他の空港につきましては、既に導入済みの空港における運用の状況でございますとか、今後の各空港における外国人の入国者数、審査待ち時間の状況、全体的な人的体制の整備等々との中で、いつ導入していくべきか検討を進めてまいりたいと存じております。

逢坂委員 入国の審査というのは、海外から来られた方にとってみると、日本のまず最初、第一印象、そこでどうなるかということが非常に大きいと思います。その一方で、しっかり審査をしなければ、おかしな方が入ってくるということでも困るわけであります。

 昨年、実は私、ウズベキスタンという国に行きまして、ウズベキスタンという国は、非常にいい国ではあるんですけれども、入国審査に物すごく時間がかかって、もう相当長い間立たされて、しかも余り整然とした対応でもなかったということで、国は非常によかったんですが、ウズベキというとすぐその入国審査のことを思い出してしまうわけであります。

 したがいまして、そういうことのないように、これからもしっかり入国審査、円滑化と同時に厳格化ということ、両方を追求していただきたいと思います。

 あわせまして、入国の際に問題になるのは税関でありますけれども、先般、税関の職員の方と意見交換をさせていただきました。そうすると、年々外国人の方が増加しているのとあわせて、輸出入の関係も相当変化が起きているということで、人が非常に足りないんだということを言っておられました。

 私の地元函館にも税関があるわけですが、北海道内のいろいろなところへそこから出向いていって検査、審査をしなければならないということでありますので、財務省に来ていただいておりますが、税関の職員の推移について御説明いただけますか。

藤城政府参考人 お答えをいたします。

 税関を取り巻く環境につきましては、御指摘のように、訪日外国人の旅行者というものがことしに入りましてからも増加が続いている状況でございます。

 また、海外でのテロ情勢が深刻化する中で、テロへの対応というのも一層求められている、こういう非常に厳しい状況にございます。

 こうした中で、本年九月には、七十九人の緊急増員というものを実施いたしました。また、エックス線の検査装置ですとか不正薬物、爆発物探知装置、こういった検査機器を効率的に活用するなどいたしまして、増加する業務量に対応するように最大限今努力をしているところでございます。

 今後も訪日外国人旅行者の増加というものが見込まれる中で、平成二十九年度の定員要求では、今、プラス百四十人、こういう純増要求を行っております。

 あわせまして、検査機器などの予算要求も行うことによりまして、計画的にこの体制の整備というものをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 私自身も、総務省で定員管理の仕事に携わらせていただいたとき、当時は、海上保安庁、それから刑務官、それから出入国の関係者、こういったところは、定員を減らせ減らせという風潮のある中で、これは絶対減らしてはいけない、ふやさなきゃいけないんだということで、随分頑張ってやらせていただいた経験もあります。

 ぜひ、出入国管理のところ、あるいは税関、ここについては定員がしっかり確保されて、漏れのないように、現場は相当困っておりますので、取り組みをお願いしたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは次に、大臣所信のことをまだ続けてやりたいんですが、時間の関係もありますので、順番を変えまして、ちょっと毛色の違った話を一点させていただきます。

 交通違反の事案にかかわる案件なのでありますけれども、交通違反をした際に、本人は交通違反をしたかしないかよくわからない、でも、現場では警察から、あなた、交通違反ですねと言われる。でも、いやいや、したかしていないかわからないんだけれどもなと言って、そこで反則金の切符が切られる。そうしたときに、本人は、いや、したかしないかわからないのに反則金の切符を切られたのはちょっと腑に落ちない、納得できないということでそれに対応しない、それで放置をしておく。そうなると、最終的には検察に送られるということになろうかと思うんです。

 検察に送る際に、本人から事情を全く聞かない、そういうことで検察に送るということは実際にあり得るのでしょうか。これは、警察庁が来ておりますので、ちょっとお伺いしたいと思います。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 交通反則通告制度は、大量に発生しております車両等の運転者の道路交通法違反事件を迅速かつ合理的に処理することを目的といたしまして、一定の違反行為について、反則金の納付により、刑事手続に移行することなく処理するものでございます。

 当該違反行為であっても、交通反則切符の受領拒否ですとか、あるいは反則金の不納付の場合には刑事手続に移行することとなり、その際には、違反者から事情聴取をするのが通例ではございます。

 ただ、呼び出しに応じない場合などは、違反者からの事情聴取をすることなく、検察庁へ事件送致することもございます。

 以上でございます。

逢坂委員 ただいまの答弁からすると、呼び出しに応じないというケースの場合は事情聴取などはそもそもできないわけでありますから、それは多分そうだと思うんですが。

 それでは、重ねてお伺いですが、呼び出す行為、あるいは、その当事者と接点を全く持たない中で検察庁へ送るということはあり得ないということ、通知も何もしないで検察庁へ送るということはケースとしてはあり得ないという判断でよろしいでしょうか。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、あり得ないということでございます。

逢坂委員 それで、次になんですが、今度、検察に送られた場合、起訴猶予となる、あるいは起訴される、いずれかのことになるわけでありますけれども、不起訴、起訴、どちらかの判断になるわけですが、起訴猶予が事由となって不起訴になった、こういう場合は、私なんかは、違反したんだけれども不起訴になった、ああ、よかったなと内心思うような感じもするわけでありますけれども、ただ、起訴猶予で不起訴になった場合、それに不満がある、いやいや、そうはいうものの、私も弁明の機会が欲しいんだよなというようなときに、当事者がこれについて弁明する機会というのは保障されているんでしょうか。これは法務省でしょうか。

林政府参考人 一定の事件の捜査を終えて起訴猶予という形で不起訴処分にした場合、その場合の弁明の機会ということでいきますと、一つには、捜査の段階での取り調べという場合があるかと思います。

 ただ、これについても、取り調べにつきましては、刑事訴訟法の百九十八条第一項で、検察官は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができるという形で規定しておりまして、結局、取り調べを行うかどうかというものについては、個別具体的な事件の捜査処理の中での必要性の判断に応じて行うことになります。

 したがいまして、個別の事件におきましては、被疑者の呼び出しの要否なんかについて適切に検察が判断した上で、事案によっては呼び出しをしないで、取り調べをしないで処分を行う、御指摘の点でいえば起訴猶予という形で不起訴、こういうふうに処理する場合もあるものと承知しております。

逢坂委員 重ねてでありますけれども、そうなった場合、起訴猶予になった場合に、被疑者がその処分について、自分は不満である、一般的にはなかなかそういうケースは少ないのかもしれませんけれども、そういう場合に、不満を申し立てる方法というのはあるんでしょうか。

林政府参考人 実務上、まず上級検察庁の長に対しまして不服を申し立てて、そこの監督権の発動を促すということは可能でございます。この場合、このような不服の申し立てがあったときには、その上級検察庁におきまして、それについての処分の当否を検討することとなります。

 ただ、法制度といたしまして、例えば公訴については検察官が行うということにされておりますので、現在、その例外というのは、例えば検察審査会における強制起訴とか、あるいは一定の犯罪について準起訴手続というような形がございますが、いずれにしても、それは告訴、告発を行った者が不起訴処分となったことについて不服があり、そういう方向からの請求あるいは申し立てによって発動される制度でございますけれども、委員御指摘のように、不起訴処分となった被疑者の方からの申し立てによって、例えば検察官の公訴ではなくて別の公訴提起がなされる、このような制度は存在しておりません。

逢坂委員 制度的には存在しない、だがしかし、実務上、上級検察庁の長に対して不服を申し立てることは可能だ、そういう理解でよろしいわけですね。はい、わかりました。ありがとうございます。

 それから、もう一つ同じような種類の話なんですけれども、検察に事件を送致して、起訴するか起訴しないか、これは検察官の専権事項というふうに私は理解をしておりますけれども、ただ、起訴された案件の有罪率、これも幾度もいろいろな場面で言われているところですが、起訴された案件の有罪率は九九%を超えている。

 このことについて、過去の国会質問などを見ておりますと、起訴されて、ほとんどが有罪になってしまうわけだから、これが犯罪であるかないかということを決めているのは、裁判所、司法ではなくて、行政府で決めているんじゃないか。だから、それは三権分立に反するのではないか。裁判所は、これが犯罪であるかないかを決めているのではなくて、あらかた検察の側によって決められた犯罪についての量刑、刑の重い軽い、それだけを判断しているのではないかといった趣旨の指摘も過去にあったようでありますけれども、まず一つ、三権分立に反しているのではないかという点について、どうお考えでしょうか。

平木最高裁判所長官代理者 裁判所は、検察官が起訴した個々の事件につきまして、それぞれの裁判体が、証拠に基づいて誠実に、有罪、無罪について審理、判断しております。有罪率は、そうした個々の事件におけます裁判体の判断の積み重ねでございますので、有罪率が高い、あるいは低いということにつきまして、事務当局といたしましては、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

逢坂委員 法務省の事務方はいかがでしょうか。

林政府参考人 確かに、有罪率の数値というものは、個別具体的な事件の判断の集積でございます。ですから、それが高いことによって三権分立に反しているかどうかということについてはお答えすることは困難でございますけれども、いずれにしましても、検察当局におきましては、必要な捜査を尽くして、収集して得た証拠を最終的に総合的に検討して、起訴するしないという判断をいたします。

 その上で、起訴された場合におきまして、裁判所におきましては、まずは無罪推定の原則のもとで、慎重な審理を尽くした上で有罪判決を言い渡すわけでございますので、このような状況のもとで、有罪率の高さというものから、現在の我が国の状況が三権分立に反するということにはならないものと考えております。

逢坂委員 多分、実際に実務に携わられている皆さんは、個々の事案について、精いっぱい、一生懸命捜査をしたりさまざまな証拠を積み重ねた結果、結果として九九%を超える有罪率になっているんだ、あるいは検察の方も、さまざまな事実を積み重ねた結果、起訴するしないを決めて、それが結果として高い有罪率になっているんだ、そういう話なんだろうと思います。

 ただ、こういう指摘、こういう指摘というのは、裁判所が判断をしないで、検察が全てのものを判断しているのではないかというふうに疑われるようなことというのは、やはり必ずしも好ましいことではないのかなというふうにも思うわけです。

 実際に現場でこの仕事に当たっている皆さんの言い分は、それはそれで筋が一つ通っているんだとは思いますけれども、政治の立場として、こういう現状について何らか考える必要があるのかないのか、もし大臣にこの点について何かお考えがあれば、お知らせいただければと思います。

金田国務大臣 委員御指摘の点につきましては、ただいま法務省の事務方、林刑事局長から申し上げたとおりだと私も思っております。

 一般論として、検察当局というのは、必要な捜査を尽くして、収集し得た証拠を総合的に検討して被告人を起訴して、裁判所におきましても、無罪推定の原則のもと、慎重な審理を尽くした上で有罪判決を言い渡しているということだと私は承知をしておりますので、三権分立に反しているという考え方にはならない、私はこのように考えている次第であります。

逢坂委員 この問題、結構奥が深いような気がしますので、きょうはこれにとどめさせていただきますが、これからも、あるべき検察と裁判の姿を探っていくために、またいつかの時期にやらせていただきたいと思います。

 それでは、また大臣所信の方へ戻らせていただきますが、大臣所信の中で、今回、私の読み落としかもしれませんけれども、選択的夫婦別氏制度、これについての記述がなかったように思っております。

 御案内のとおり、先ごろ、最高裁の方でも、これは国会で議論すべきものだというような指摘もされたわけであります。前々国会においても、私から、それでは国会で議論するにはどういう方法があるんだということを言わせていただきまして、一つは、政府が閣法として法律を出すというのも一つの手だろうし、あるいは国会みずからがこの問題を考える場を設定するというのも一つの手だろうし、またほかにも手があるかもしれないというふうに、私からこの委員会の中で言わせていただきました。

 そこでまず、所信質疑でありますから、大臣に、この選択的夫婦別氏制度についてどのように大臣はお考えなのか、御所見をお伺いできればと思います。

金田国務大臣 ただいま御指摘の選択的夫婦別氏制度につきましては、その導入をめぐる問題については、国民的な議論の動向というものを踏まえて慎重に検討していく、対応していく必要がある、このように考えております。

 申し上げるまでもなく、平成八年に、法務大臣の諮問機関であります法制審議会から選択的夫婦別氏制度の導入を内容とする答申をいただいております。しかしながら、夫婦の氏の問題というのは、単に婚姻時の氏の選択にはとどまりませんで、夫婦の間に生まれてくる子の氏の問題を含めて、我が国のやはり家族制度、家族のあり方に深くかかわる問題だ、このように受けとめておりまして、国民の間にもさまざまな意見がある、このように受けとめております。

 したがいまして、この問題については、やはり国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応していく必要がある、このように考えておるところであります。

逢坂委員 今大臣から御紹介いただきましたとおり、平成八年、法制審議会がこれについて答申をしている。それを受けて、政府の方も平成八年に改正法案の準備をしたという経過もあるわけですね。二十二年にも改正法案の準備をしたという経過があるわけですが。この問題について慎重に検討するというのは、私もそうだとは思うんですが、大臣御自身として、この制度をどう思われますでしょうか。

 といいますのは、現に今、国会の中にも、事実上、選択的夫婦別氏的なる、的なるといいましょうか、戸籍名を使わずに仕事をされている方もいらっしゃるように認識しております。ただ、その方が大臣などになられたときに、公文書として発出される名前を見ると、あれ、大臣がかわったのかなと思うと、いや、実はこれが本名なんです、ふだんは別の名前を使っているんですというようなケースもあるわけですね。

 だから、そういう観点からしてみますと、慎重に審議をするというのはいいわけでありますけれども、大臣自身のお考えというのは、どちらかといえば賛成なのかとか、どちらかといえば問題ありなのかといったようなあたりはいかがでしょうか。

金田国務大臣 委員の御指摘につきましては、私としましては、やはり我が国の家族のあり方に深くかかわる問題であるということでありますし、また国民の間にもいろいろな御意見があるというふうに受けとめておりますので、やはり、国民的な議論を踏まえながら、検討、対応していく必要があるという思いを申し上げさせていただきます。

逢坂委員 これでこの問題の最後の質問にしたいと思いますけれども、国民的な議論を待ちたいというようなこと、それから、いろいろな議論があるんだということ、私もそうだと思います。

 夫婦の間だけのことを思えば、割とすんなりいくこともあるのかなという気もするんですが、それでは子供はどうするんだとかということになると、そこはまた一つハードルが上がるだろうというふうにも思いますので、簡単ではないというふうには感じます。しかしながら、社会の中では、事実上、選択的夫婦別氏的なる振る舞いをしている人が相当ふえているわけですし、最高裁からも指摘をされているということもありますので、議論を待つということ、慎重にということよりも、もう一歩踏み込む時期に来ているのではないかと私は思うわけです。

 今の大臣の答弁を聞いていると、明言はいたしませんでしたけれども、どちらかといえば、これについては後ろ向きなのかなという印象を受けざるを得ないのでありますけれども、私は、後ろ向きは後ろ向きでいいと思うんです、そういう考えもあるということでありますから。大臣の考えを明確にしておくことの方が私はよいのではないかというふうに思いますけれども、改めていかがでしょうか。

金田国務大臣 今さまざまな御意見があるということを委員もお認めいただいております。私もそうしたさまざまな意見をしっかり受けとめて、自分の考えというものをまとめていきたいな、このように思っております。

逢坂委員 これから考えをおまとめになるということでありますので、またいずれかの機会に、私以外の人も多分やると思いますので。結構これは、与党の中にも、この制度についてもっと深く考えたらいいんじゃないかなとおっしゃっている方もおられるように私は感じておりますので、大臣、ぜひ、早目におまとめいただいて、また御表明いただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは次に、もう一つでありますけれども、これも大臣が就任されると必ず聞かれる問題かと思いますが、死刑制度についてどう思うかということであります。

 死刑制度について、廃止論者の方もいるのもこれはそうでありますし、また、廃止してはならないという方がいるのもこれも事実でありますけれども、ストレートに、大臣は死刑制度についてどうお考えですか。

金田国務大臣 ただいまの御指摘に対しましては、ストレートにというお話ですが、私は、やはり考え方と一緒に申し上げざるを得ないと思います。

 やはり、死刑制度の存続、廃止というその点につきましては、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる重要な問題である、このように受けとめております。したがって、国民世論に十分配慮しながら、社会における正義の実現といったようなさまざまな観点から、やはりこれも慎重に検討していかなければいけない課題であるというふうに思います。

 一方で、国民世論の多数が、極めて悪質で凶悪な犯罪につきましては死刑もやむを得ないというふうに考えているデータもございます。多数の者に対する殺人や強盗殺人といった凶悪犯罪がいまだ後を絶たない、こういう状況に鑑みました場合には、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しましては、やはり死刑を科することもやむを得ないのであって、私としては、死刑を廃止することは適当ではない、このように考えております。

逢坂委員 死刑を廃止することは適当ではないという考え方、私はそれも一理あるというふうに思います。犯罪被害に遭われた方々の心情を思うと、やはり、これはもう、死刑ということをもってしても、そのつらい気持ちを補うといいましょうか、それを乗り越えるということはできない、そういう本当に悲しい、悲惨な思いをされている方々がいる、これは私は事実だと思います。したがって、死刑を廃止すればそれでいいんだということでは必ずしもないのだろうというふうに私は考えております。

 しかしながら、片や一方で、冤罪事件、これがあるのもまた事実であります。冤罪事件に巻き込まれ、仮にその方が死刑になった、これはもう絶対に復活させることはできないわけでありますので、その意味で、死刑というのは非常に厳しい制度であることも事実だろうと思います。そして、人が人を合法的に殺してしまうことそのものの悲惨さということも大きいのだというふうに思います。

 したがいまして、いろいろな考え方があるということでありますけれども、世界的な趨勢を見ると、必ずしも死刑を選択している国ばかりではないというのも現実だと思います。

 そこで、大臣、これはさまざまな議論があるんだ、慎重に対応してまいりたい、大臣としては死刑制度の廃止の考えはないということでありますけれども、国民世論を、いろいろな考えを引き出すためにも、あるいは国民の皆様にも理解していただくためにも、これは実は必ずしも通告はしておらなかったのでありますけれども、今後この問題に、大臣、どのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。

金田国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、先ほど申し上げました私の思いに加えて、やはり死刑の判決というのは、極めて凶悪、重大な罪を犯した者に対して、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものであるということも考えなければいけないというふうに思っております。

 したがって、その執行ということに思いをめぐらした場合には、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処することも必要なのではないか、こういうふうに思っておるところであります。

逢坂委員 今、死刑の執行そのものについてのお考えだったかと思いますが、私は、この死刑制度をこれからどう考えていくのか、どのように国民的なさまざまな議論を引き出し、かつまた、この死刑制度に対する、将来に向かってのあり方をどう考えていくのかという意味で質問させていただきましたけれども、よろしいですか、それ。(金田国務大臣「もう一回」と呼ぶ)それでは。

金田国務大臣 委員の御指摘がそちらに重点があったというお話でございますので、補足させていただきます。

 死刑のあり方というものは、先ほども申し上げたので言わなかったんですが、我が国の刑事司法制度の根幹にかかわる問題であるということがありますので、やはり国民の間でさまざまな観点からの議論が行われるということが非常に重要だというふうに考えております。それを踏まえて考えていく必要があろうかと思います。

逢坂委員 必ずしも明確な方向感が見えたわけではない答弁だったと認識をいたしましたけれども、これからもまた、この問題、機会を改めてお話しさせていただきたいと思います。

 それでは次に、これも大臣の基本姿勢にかかわるところでありますけれども、戦没者への追悼というようなことについて、大臣はどのようにお考えかということであります。

 私自身も、実は、私のおばが樺太からの引き揚げのときに、国籍不明の潜水艦に引き揚げの船が撃たれて、北海道・留萌の沖で海底に沈んでしまったというおばがおります。それからさらに、樺太にいたおばといとこが、これは明らかにわかっているわけでありますけれども、ソビエトの機銃掃射によって御主人の目の前で殺されたというようなこともございます。それから、戦争に行って亡くなっているというおじもいます。

 そういうようなことで、私は、戦没者あるいは戦争の中で亡くなった方々に対する慰霊の気持ちといいましょうか、それは誰が強いとか弱いとかということではないのでありますけれども、私自身も常にそのことを忘れないで日々暮らしております。

 東京で開催される戦没者追悼式には、必ずしも出席は、私も地方に住んでおりますので、さまざまな都合でできないわけでありますけれども、地元で開かれる戦没者追悼式でありますとか、あるいは地元の護国神社の例大祭でありますとか、そういうものにも私自身足を運ばせていただいているわけであります。

 大臣は、この戦没者を追悼するということについて、どのような基本姿勢をお持ちでしょうか。

金田国務大臣 私は、ことしの八月十五日、戦没者追悼式に出させていただきました。

 やはり、さきの大戦でお亡くなりになられた皆様が国のためにということでその命を失われたことに対しては、心から追悼の思いを持つものであります。しかしながら、そういう尊崇の思いといいますか、そういう思いを持って、御冥福をお祈り申し上げる思いで追悼式典には出ておるところであります。

逢坂委員 それで、もう一点ですけれども、これも、大臣に就任されるとあらゆる大臣が聞かれる問題かと思いますけれども、靖国神社に対しては大臣はどのようにお考えでしょうか。ここに参拝されるという御意向があるのかないのか、この点などについてお伺いできればと思います。

金田国務大臣 やはりその点については、個人として適切に判断をしていくという基本的な考えを持っております。

逢坂委員 この問題はこれ以上は言及いたしませんが、やはり私は今の時代を見ていて、特に若い方というふうに言ってよいかどうかわかりませんけれども、さきの大戦を初めとする戦争の悲惨さがどんどんどんどん風化していっていると思います。

 私も四、五年前から、戦争に関する小説でありますとか書き物でありますとか、あるいは映画、ビデオ、これを集中して今見ております。それを見れば見るほど、いかに悲惨であったのかということがよくわかりますし、特に戦後すぐにつくられた映画、これはやはり今以上に戦争に対する危機感があったんだというふうに思います。

 五十年前、六十年前につくられた映画、非常によい作品もあるわけでありますので、戦没者を追悼する気持ち、あるいは、さきの大戦を初めとする戦争に対する絶対に起こしてはならないという気持ちをぜひ多くの皆さんと共有しながら、平和な社会を維持していきたいというふうに思っておりますので、大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、次であります。

 時間が少なくなってきましたので、大臣の所信の中にあった無戸籍の問題について、法務省としてどう取り組んでいるか、御紹介いただきたいと思うんです。

 私の印象では、無戸籍については、戸籍のない方の問題については、政府はどちらかというと取り組みが必ずしも進んでいたわけではないというふうに認識をしているんですが、大臣の所信の中で、無戸籍となっている方々について、実態の把握を行う、常時相談を受け付ける、それから無戸籍の方に寄り添った取り組みを行っておりますということを書いているわけですが、これらの実態、現状について、まず事務方から教えていただけますか。

小川政府参考人 お答えいたします。

 無戸籍者の問題につきましては、これまでも、その実態についてきめ細やかに把握するように努めるとともに、全国各地の法務局において相談を受け付けて、一日でも早く戸籍をつくるために、一人一人の無戸籍者に寄り添い、懇切丁寧に手続案内を行うなど、その状態の解消に取り組んでまいりました。

 また、関係府省を構成員といたします無戸籍者ゼロタスクフォースというものを設けまして、関係府省などとも連携をし、無戸籍者であることによる不利益状態の解消にも努めておるところでございます。

 特に、現在行っている取り組みを御紹介したいと思いますが、長期間無戸籍が解消されない原因に関する情報の共有を、これは日本弁護士連合会もいろいろと相談活動などをされておりますので、そういった観点から行っております。また、無戸籍者のプライバシーに配慮した上で、個々の事案について、その詳細な情報を集約して分析し、全国の法務局において、統計資料などをとりまして情報共有を図るなどして、一人一人に寄り添いながら無戸籍の状態の解消に取り組んでおります。

 今後も引き続き、このような取り組みを通じまして、無戸籍者問題の解決に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 追加して教えていただきたいんですが、政府の方では無戸籍の方の人数はどれぐらいいるというふうに見ているのかということと、ここ何年かでいいんですけれども、それがどの程度解消という、一年間にどの程度無戸籍でない方に復帰しているのか、それを教えていただけますか。

小川政府参考人 平成二十八年十月現在、これは、無戸籍者の問題が取り上げられるようになって、平成二十六年の九月十日時点から統計をとったものでございますが、九月十日現在で把握した数字から現在までの数字ということで、累計で申し上げますと、二十八年十月十日現在で千百七十七名の無戸籍者の方を把握いたしまして、そのうち四百八十三名について、先ほど申し上げましたようなことによりまして、戸籍に記載されるに至っております。

逢坂委員 無戸籍の方々の現実、実態についてはきょうは深くは申し上げませんけれども、相当悲惨な状況であることは事実でありますし、国民の皆さんも、実はそういう方がいることはほとんどわからない。この間も、あるお店で、そのことを知ったという奥さんから、逢坂さん、こんなひどいことってあるんだねというような話を聞かせてもらったわけでありますけれども、この問題についてぜひ積極的に取り組んで、戸籍のない方の解消に努めていただきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、枝野幸男君。

枝野委員 久しぶりに法務委員会で質問させていただきます。

 相変わらず、私から言わせれば、ほれ見たことかなんですが、司法試験改革の失敗について問いただしていきたいと思います。

 まず、司法試験の最終合格者の中に占める予備試験合格の資格で受験した者の数、最終合格者数と予備試験組の数と、その前者に対する後者の比率、トレンドでいいので、平成二十四年度、二十六年度、二十八年度と三つ、政府参考人の方からお答えください。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、平成二十四年の司法試験についてでございますが、合格者数は二千百二名、うち予備試験合格資格での合格者数は五十八名、合格者数の比率は二・七六%でございます。

 続きまして、委員御指摘の平成二十六年の司法試験についてでございます。合格者数は千八百十名、うち予備試験合格資格での合格者数は百六十三名、合格者数の比率は九・〇一%でございます。

 最後に、平成二十八年司法試験についてでございます。合格者数は千五百八十三名、うち予備試験合格資格での合格者数は二百三十五名、合格者数の比率は一四・八五%でございます。

 以上でございます。

枝野委員 明らかに急激に予備試験組がふえている。実数でいって、この五年で四倍、しかも、最終合格者数が減っている中です。比率でいうと七倍弱、六倍を超えているのかなという状況でございます。

 それぞれ今申し上げた年度において、法科大学院別の最終合格者数が最も多い法科大学院の最終合格者数、合格率の最も高い法科大学院の合格率、それぞれ今の三つの年度について確認をいたします。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、平成二十四年の司法試験についてでございます。合格者数が最も多かった法科大学院、これは中央大学の法科大学院でございまして、合格者数二百二名でございます。続きまして、この二十四年でございますが、合格率が最も高かった法科大学院、これは一橋大学の法科大学院でございまして、合格率五七・〇四%。ちなみに、受験者数は百三十五名、合格者数七十七名ということでございます。

 続きまして、平成二十六年の司法試験についてでございます。合格者数が最も多かった法科大学院、これは早稲田大学の法科大学院でございます。合格者数百七十二名でございます。この年、合格率が最も高かった法科大学院でございますが、こちらは京都大学の法科大学院でございまして、合格率が五三・〇六%。これは受験者数が二百四十五名で、合格者数が百三十名ということでございます。

 最後になりますが、平成二十八年の司法試験についてでございます。まず、合格者数でございます。合格者数が最も多かった法科大学院、こちらは慶応義塾大学の法科大学院でございまして、合格者数が百五十五名でございます。それで、合格率の方でございますが、この年、合格率が最も高かった法科大学院でございますが、こちらは一橋大学の法科大学院、合格率四九・六一%。受験者数百二十七名、合格者数六十三名と把握しております。

 以上でございます。

枝野委員 もう一つ確認したいと思います。

 予備試験合格資格で受験した者の司法試験における合格率、これはこちらから言いますので、間違いないかどうか確認させてください。

 平成二十四年度が六八%余り、平成二十六年が六七%弱、平成二十八年度が六一%余、これで間違いないですね。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございまして、平成二十四年司法試験につきまして、司法試験予備試験合格資格での受験者数八十五名、合格者数五十八名でございまして、合格率は六八・二四%。

 平成二十六年の司法試験でございますが、司法試験予備試験合格資格での受験者数二百四十四名、合格者数は百六十三名、合格率は六六・八〇%でございます。

 平成二十八年司法試験についてでございます。司法試験予備試験合格資格での受験者数が三百八十二名、合格者数は二百三十五名でございまして、合格率は六一・五二%ということでございまして、委員御指摘のとおりでございます。

枝野委員 まず、予備試験組の最終試験の合格率は六割前後で推移をしています。これは、もともと法科大学院という制度を設計したときに、出たら五、六割の人は合格する、法科大学院を卒業した、修了した程度の資格を予備試験で確認しているということなので、この六割程度の合格率というのはある意味当然であるし、適正な水準だというふうに私は理解していますが、これでよろしいでしょうか。

金田国務大臣 ただいま委員が御指摘になりました点につきましては、まず、予備試験というものは、法科大学院修了者と同程度の学識、能力等を有するかどうかを判定することを目的として行われる、こういうふうになっております。予備試験の合格者については、予備試験考査委員の合議による判定に基づいて司法試験委員会が決定するものとされているわけであります。

 したがって、予備試験の合格者というものは、実際の試験結果に基づいて適正に決定されているわけですが、法科大学院修了者と同程度の学識、能力を有するかという観点から司法試験委員会において決定されているんだ、このように承知しております。

 そして、予備試験の合格者については、その判定は、試験の独立性、中立性を確保する見地から、先ほど申し上げたように考査委員に委ねられておるわけでありまして、その判定に基づいて司法試験委員会が決定するということになっておりまして、法務大臣として、予備試験の合格者数の当否について論ずることは差し控えたい、このように思っております。

枝野委員 なるほど。法科大学院を修了した程度の能力があるかどうかを予備試験で判定していると。

 平成二十四年においてならば、法科大学院別で一番合格率が高かったのが五七%でありますので、わからないではないかな、予備試験組が六八%ですね。ところが、直近、平成二十八年度は、一番合格率の高い法科大学院でも四九%なんですね、合格率が。予備試験組は六一%で、差が開いているんです。

 つまり、実は、予備試験は法科大学院修了者よりも高い合格率を誇っている。実は、ずっとトップなんですよね、合格率。しかも、差が開いているということは、これは実は予備試験が厳しくなっているんじゃないか、予備試験組がふえていくことに対して警戒心を持って、厳しくなっているんじゃないかという疑いが持たれます。

 確かに、考査委員が考査をするので、政治的にどうこうという話じゃありませんが、これは政府参考人でいいので、国会でこういう指摘があった、これは資格水準試験だから、予備試験合格組の合格率がせいぜい法科大学院別の合格率の一番高いところと同じぐらいの合格率になるレベルまでレベルを下げないと筋が通らないよねと国会で枝野が言ったというのを、必ず考査委員のところに伝わるようにしてください。

小山政府参考人 委員の御指摘でございますので、考査委員の方にお伝えするように配慮したいと思います。

枝野委員 そして、その上で、制度論です。

 法科大学院別で一番多いところでも今百五十五人の合格者を出しているのに、予備試験組が二百三十五名になった。もはや予備試験が司法試験の王道であると位置づけていいですね。これはどちらでもいいです、大臣でも政府参考人でも。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 王道かどうかというのは評価にわたるところでございまして、こちらの事務方として答弁するのは差し控えさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

枝野委員 いや、いい答えをいただいた。王道ではないと言われない答えが大事なことでありまして、それは受験者あるいは社会が決めることだろうと僕は思います。

 法科大学院を出て司法試験に受かって法曹になる道もあるけれども、一番オーソドックスなのは、予備試験を受けて予備試験に早く受かって司法試験に受かる方が、これが法曹になる道としては一番オーソドックスだよねと私は思っていますし、弁護士になりたいと言っている若い人から相談を受けたらそう答えていますが、間違っていないですよね。

小山政府参考人 済みません、重ねてになりますけれども、事務当局として、この点についての答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

枝野委員 僕は、そもそも司法試験制度改革のときに、法科大学院は機能しないんじゃないかということを厳しく指摘しました。参考人でおいでいただいた佐藤幸治先生とも激しくやり合いました。予備校がけしからぬみたいなことを言っていたので、予備校の実態を知っているのかと言ったら、いや、知らぬとそのとき答えながら、これを強行したんですよね。

 案の定、法科大学院へ行くよりも予備試験の勉強をした方が司法試験に受かりやすいと思われても仕方がない結果が現に出ているし、どの法科大学院の出身者よりも、法曹の中で多数派を占めるのは予備試験組というところにもう入ってきている、こういう実態にあるということを、今のこの合格率、合格者の数、予備試験組と法科大学院組との数や比率について、これは大臣に通告していたと思います、これについての認識、どう考えていらっしゃるか、お答えください。

金田国務大臣 予備試験の合格者、そして法科大学院の修了者、同程度の学識、能力等を有するかどうかを判定する目的の予備試験でございます。そして、その結果、このような形で出ているというデータの御指摘がございました。

 予備試験の合格者というのは、実際の試験結果に基づいて適正に決定されているものと承知をしておるところでございますし、先生の御意見はそのように受けとめておきたいと思います。

枝野委員 何をお答えになったか、よく意味がわからない。

 私は、要するに、司法制度改革の中で司法試験制度改革をして、法科大学院をつくったのがうまくいっていないんじゃないかという指摘をしているんですが、これは制度の問題ですから、大臣、うまくいっていると思っているのか、それとも、どうも問題が大きいと思っていらっしゃるのか。今の、予備試験組が合格率が高くて、数も非常にふえている、この現状についてどう思っていらっしゃるのか教えてくださいということです。

金田国務大臣 有為な人材が法曹を希望して、質の高い法曹が多数輩出されるということが重要であります。法曹養成制度改革推進会議決定というものもございます。そういうものを踏まえて、さまざまな取り組みをしているわけでございます。

 法務省としても、文部科学省と連携を図りながらこの課題には臨んでいきたいと思いますけれども、その会議におきまして、平成三十年度までを法科大学院集中改革期間と位置づけて、文部科学省においては、法科大学院の抜本的な組織見直し、教育の質の向上を図るための取り組みを進めていくこととされたところであります。

枝野委員 別に改革しなくていいんですよ。みんな予備試験を受けて法曹になってくれればいいんだから。

 そもそもが、これは文部科学省にも来ていただいていると思いますが、法科大学院に行くと、国立で入学金が二十八万円余り、年間授業料が八十万円余り、年間百万円以上かかる。私立は幅があるけれども、初年度納付金で百二十万から二百万円ぐらいで、初年度納付金で百五十万ぐらい、授業料で百二十万ぐらい。こういう授業料を、二年ないし三年、法科大学院の学生から取っているわけですよね。間違いないですね。

義本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、平成二十八年度において、法科大学院の初年度納付金、この中には入学金、授業料等が含まれますけれども、国立大学につきましては平均約百九万円、私立大学については平均約百五十三万円となっておるところでございます。

枝野委員 もう何年前だろう、三十五年ぐらい前かな、私が司法試験を受けるためにはこんな金は取られませんでした。大学の法学部を卒業すればというか、厳密に言えば教養課程を修了すれば、それ以上学費を払わないといかぬというルールになっていなかった。あとは受かるかどうかという問題だけでした。

 それぞれの個々人の負担が、国公立で二年コースでも二百万以上負担をさせているわけですよ。

 しかも、これは、数字はこちらで言いますが、法科大学院には、国立大学の場合でも運営費交付金、私立大学であれば私立大学等のいわゆる助成金が行っているわけですよね。もちろん、大学が法科大学院をつくるときにいろいろなものを組みかえて、だから、厳密に、そこに今行っている金が、法科大学院制度がなければ行っていない金かということになるとまた違いがあるから、これは厳密には詰めませんが、法科大学院という仕組みをつくったことで、例えば国立大学であれば年間二十七億円、おおむね法科大学院に回っているだろうと思われる税金が行っているわけです。私立の法科大学院では二十七年度で二十三億円、国費が行っているわけですよね。これは、昔の制度だったらこんなものは要らなかったということですよね。

義本政府参考人 お答えさせていただきます。

 法科大学院につきましては、御指摘のとおり、法科大学院の運営に充てるということで、国立大学については国立大学運営費交付金の中から、私立大学については私立大学等経常費補助金の中から一部補助をさせていただいているところでございます。

枝野委員 しかも、法科大学院、二百万、三百万という金を取っておいて、法科大学院を修了しながら司法試験に最終合格をしていない人が全体の四五%ぐらいに及んでいるのかな、一万人を超えていると聞いているんですけれども、これで間違いないでしょうか。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 司法試験につきましては、いわゆる五年五回ルールがございますけれども、受験資格が満了しました平成二十三年度までの修了者につきまして、二万九千七百六十三人おりますけれども、司法試験を一回でも受験したにもかかわらず最終合格に至らなかった者につきましては、一万三千四百四十五人でございまして、御指摘のとおり約四五%になっているところでございます。

枝野委員 二百万、三百万お支払いをされて、昔の制度と違って受かりやすいよというふれ込みだったはずなのに、五回受けても、全部が五回受けているわけじゃないかもしれないけれども、四五%は法曹資格を取れなかった。

 その人たちがどうしているのか調べたんですかとお尋ねをしたら、就職しましたとか、もともと社会人をやっていて法科大学院に入ったのでもとの職場に戻りましたとかという人は二割強、何と進路不明が七割に及んでいるということなんですが、これで間違いないですか。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省が各法科大学院に対しまして毎年実施しております調査によりますと、受験資格を満了した者、平成二十三年度までの修了者で司法試験最終合格に至らなかった者のうち、就職または前職へ復帰した者が約二二%、進路不明の者は約七〇%となっているところでございます。

 なお、不合格者につきましては、各法科大学院がその後の進路の把握をやっておりますけれども、回答が得られなかった場合が多くなりました結果として多数が進路不明になっているところでございます。

枝野委員 そもそも、法科大学院をつくることについて、百歩譲って一理あるとすれば、マスプロ教育じゃなくて少人数で、実務にも役立つような教育をしてみたいな話だったはずなんですよ。

 ということは、アンケート的なものはともかくとして、みんな弁護士か裁判官か検事になれるつもりで入ってきて、高い金を払って、でも受からなかった人を、法科大学院やそこの教員とかが、いや、それで受からなかったのは残念だけれども、では、あなたが学んだこういうことを生かしてこういうところで働けるよみたいなことをちゃんとフォローしてあげないと。この制度設計をして高い金を取って、そして青春、多くの人は若い時期をそのことに費やして、でも受かりませんでしたという人を一万何千人も出しているわけですよ。

 それは義本さんの責任でも小山さんの責任でもないけれども、皆さん方の職の何年か前の人たちがこういう制度を仕組んでしまったせいでそういう人たちを出しているんだから、それは相当きちっと追跡調査をするべきではないか、そして法科大学院にもさせるべきじゃないか。ちゃんと教育していたんだったら、教官と学生との間に一定の人間関係がなかったよでは何なんだという話ですらあるんだから、やるべきじゃないでしょうか。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 法科大学院につきましては、残念ながら司法試験に合格しなかった方につきましても、例えば国家公務員ですとか民間企業も含めて就職するケースはございまして、進路指導については各大学において取り組んでいただいているところでございます。

 一方、先生御指摘のとおり、しっかりその進路を把握するということは非常に大事な課題でございますので、私どもに何ができるかについて、法科大学院関係者と話しながら、進路の把握についてさらに精度を上げるべく努めてまいりたいと思います。

枝野委員 率直に申し上げて、例えば、ロースクールを出ました、法科大学院を出ました、司法試験は運悪く受からなかったけれども、民間企業の例えば法務部みたいなところで、そういう経験、勉強しているんだから即戦力で役に立つから、普通に入社するよりも、就職するよりも高い給料で、ちょっと年齢はいっているけれどもというようなことの社会であるならば、そういう社会にするならば、前提であるならば、僕はロースクールという話は一理あったんだと思うんですが、少なくとも私はそういう実態になっているという話は聞かない。

 あるいは、国家公務員はともかくとしても、皆さん司法試験に合格してもおかしくないような人たちがやっているからともかくとしても、例えば市役所とか町役場とかで、そういう人、つまり、弁護士を一人雇うと地方ではなかなか大変だし、法曹資格を持っている人は雇えないけれども、それにかわるような人ということで採用してというようなことが一般的に広まっているならともかく、あるいは広まりつつあるならともかく、そういう話は聞かないんですけれども、これはむしろ法務省じゃないかな、そういう話を聞きますか。

小山政府参考人 お答え申し上げます。

 今ちょっと手元に資料はございませんけれども、法務当局といたしまして、あるいは文部科学省と開催しております法曹養成制度の連絡協議会におきましても、法曹の有資格者等の活動領域の拡大などは議論しております。

 ただ、その際、現に司法試験に受からなかった方のところまで、今、つまびらかに、どのようになっているかという資料は手元に持っていない状況でございます。

 以上でございます。

枝野委員 率直に言って、私はかなり、これは機能しないよとこの場でも申し上げたつもりなので、予想どおり機能しなくなっている。なおかつ、それで結局被害に遭う、つまり高い金を払って長い年月を費やして、それでも受からなかったら、その先どうしたらいいんだろう。結局それは、従来の旧司法試験制度でも、長く受験浪人していて結果的に受からなかった人とほぼ同じような状況じゃないか、何かよくなっているのかと思います。

 逆に、旧制度であるならば、それは私も予備校には金を払いましたよ。だけれども、国立大学と比べてもずっと安い授業料で、自分の必要なところだけ選択すればよかったのでずっと安い学費で済みましたよ。私の場合は卒二ですから、法科大学院に行ったのと同じぐらいの年限ですけれども、もし優秀なら、もっと若く、短い期間で受かれたかもしれないという話であって。

 要するに、法科大学院に金を払わせるということだけの結果しか今のところ出ていないという制度であって、法科大学院を改革するんだったら、もうやめていく方向で、現実に、経営が成り立たなくて、合格者が出せなくて、やめているところがたくさんあるんだから、もう制度自体やめても困らないと僕は思う。もとの制度に戻した方がよっぽど合理的だし、よっぽどフェアだしと私は思いますが、大臣、どうでしょう。

金田国務大臣 ただいまの委員の御指摘、正直なところ、私もいろいろと教えていただくところが多いなというふうに感じました。

 法科大学院については、私ども法務省の所管ではないんですけれども、文科省さんがいらしております。法曹志望者の減少を結果として招来する事態を生じさせるような多くの課題が指摘されているのも事実でございますので、やはり私どもは、これから、委員御指摘ございましたことを踏まえながら、いろいろと法務省としても、法曹養成制度改革連絡協議会を通じて、文科省の取り組みの進捗状況とかそういうものを把握しながら、連携を図りながら対応をしていく、そういう課題だと私は思いました。

枝野委員 念のため、これはいただいた資料をもとに申し上げたいですけれども、同程度の予備試験をしているけれども、それでも、法科大学院で学んだことは実務につながるようないい教育をしているから、だからやはり法科大学院は意味があるんだという答えは成り立たないと僕は思っています。今でもそうだろうと思いますが、裁判官は、研修所の中でも優秀な人しか採用してくれない。裁判官の任官者の中に占める予備試験組の比率というのは合格者の比率とそんなに変わらない。つまり、優秀な人しか採っていないはずの裁判所が法科大学院組も予備試験組も余り変わらないというのは、採用で結果を出していると私は思います。

 先ほど、逢坂さんが給費制についてお尋ねをされました。

 全体の制度の立て方なんだというふうに思いますが、今のように、法科大学院で高い金を取るわ、その上、せっかく受かっても、また研修の間は副業は基本的にできないはずだし、それで食っていかなきゃならないわ、こういう二重三重に、将来にわたって食っていけない、金がかかるという構造では、僕は正直言って、今から四十年ぐらい前の我が家の家庭の経済状況で、今の制度だったらちょっと司法試験はやれなかったなと思いますよ。

 法科大学院に行かなくても予備試験で受かるよ、それはもうあとは自己責任ですよね。そして、今法科大学院に突っ込んでいる税金、いろいろな計算の仕方はあるけれども、それをそっくり給費制に回せば、受かるところまではいろいろ苦労するかもしれない、バイトしながら、いろいろなことをしながらとかという仲間もたくさんいました、苦労するかもしれないけれども、受かったらそこから先はとりあえず食っていけるからという制度にしてあげた方が、それは意欲のある人がこの試験にチャレンジをするという道に広がると思いますので、法科大学院に対してもう国費を出すのをやめる、その分の金で、受かったら給費制でちゃんと食えるようにする、こういう制度にすることを強く求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、階猛君。

階委員 民進党の階猛です。

 今、枝野委員から、私が常々司法試験制度や法科大学院制度について思っていることをほぼそのとおり代弁していただきましたので、きょうはその点については私からは触れることはしません。しかし、先ほどの枝野委員の御意見、本当に大事なことだと思いますから、大臣にはぜひ真摯に取り組んでいただければと思います。

 さて、私の方は、まず共謀罪についてお尋ねします。

 共謀罪法案について、報道ではいろいろと言われておりました。今国会で提出するのではないかなどという報道も目にしましたけれども、今回の大臣所信ではこの共謀罪法案について一切言及されていません。これはなぜでしょうか。大臣にお尋ねします。

金田国務大臣 ただいま委員御指摘の件でございます。

 私は、まず、既に百八十七の国・地域が締結しております国際組織犯罪防止条約、いわゆるTOC条約と言われるもの、この条約を締結し、国際社会と協調して、テロを含みます組織犯罪と闘うということは非常に重要な課題であるというふうに考えております。その条約の締結に伴う法整備を進めていく必要があるとは考えております。この重要性については、私もこれまで記者会見等で繰り返し述べてきたところでございます。

 他方、かつて、組織的な犯罪の共謀罪に関して、平成十五年から十七年までの国会審議等で示された、内心が処罰されることになる、通常の活動を行う団体も対象となるといったような不安や懸念が指摘されたのも事実であります。したがって、そういう不安や懸念を踏まえながら、犯罪の成立要件を厳格なものとすることができるかできないかとか、そういうことを含めて、そのあり方を慎重に検討しているところであります。

 したがって、検討中でございますので、具体的な方針が定まっていないことから所信の御挨拶では明示的に言及することを差し控えたものでございます。

 とはいうものの、組織犯罪そしてテロへの対策というものは、法務省にとりましても我が国にとりましても極めて重要な課題であるという認識がございます。所信の挨拶でも、その対策の重要性と、積極的な取り組みに努めるということについては言及をしたところであります。したがって、重要な課題である、そして法整備を進める必要性、そういうものはあるというふうに考えておる、そういう状況でございます。

階委員 一方で、性犯罪については、「必要な法整備を進めてまいります。」ということがきっちり言われているわけですね。ところが、共謀罪については、記者会見などではおっしゃられているかもしれませんけれども、大臣所信では触れられていなかったということで、まだ迷いの最中にあるのかなというふうに考えております。

 私も、改めて、大臣がおっしゃる国際組織犯罪防止条約、資料を配らせていただいておりますけれども、一ページ目に、この中で重要部分を抜粋しております。

 それで、この第五条一項の(a)の(1)のところでいわゆる共謀罪について書かれているわけですけれども、そもそもこの第五条一項の柱書きを見ると、「締約国は、故意に行われた次の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。」という文言になっております。つまり、立法だけではなくて、その他の措置でもいいですよということになっているわけでありまして、共謀罪の法定というのは必ずしも必要でないように読めるわけですね。

 また、日弁連の方でも、過去に、この点についてかなり詳細な意見書を出しております。これは二〇〇六年だったと思いますけれども、現在の日本の法制度の中で予備罪、共謀罪等が存在するであるとか、共謀共同正犯理論が我が国には存在するとか、テロ行為に対する処罰規定の存在もあるとか、そういったことを挙げて、「総合的に見れば、」今言ったような「第五条第一項(a)(1)の選択肢を採用し、同条第三項の求めている組織犯罪集団の関与する全ての重大な犯罪について、合意により成立する犯罪を未遂以前の段階から処罰する立法は、既に我が国においてなされており、同条約を締結するために新たな立法は必要ない」ということが、まとめとして意見が出されているわけです。

 私もその意見に賛成でございまして、必ずしもこの国際組織犯罪防止条約を締結するために共謀罪法案の成立は必要ないのではないかと思いますが、この点について大臣の御所見をお願いします。

金田国務大臣 ただいま委員御指摘の点についてお答えいたします。

 条約の解釈につきましては、本来外務省が所管する事項でございます。国際組織犯罪防止条約第五条につきましてなんですが、締約国に対して、重大な犯罪の共謀または組織的な犯罪集団の活動への参加の、少なくとも一方を犯罪とすることを明確に義務づけている、このように私は受けとめております。

階委員 それが、立法という措置、立法という方法によらなくても、「その他の措置」でもいいということを明記されているわけですね、条約の中に。

 「その他の措置」が今現在あるかどうかということについてなんですけれども、先ほど言ったように、既にそれは存在しているということで、もはやこれ以上のことは必要ないのではないかというのが日弁連の見解ですね。

 私もそう思います。「その他の措置」ということが明記されている以上、これからあえて共謀罪というものを成立させる必要がないのではないかと思いますけれども、もう一度大臣の御見解をお願いします。

金田国務大臣 御指摘の点については、先ほどちょっと、初めに触れましたが、条約の細かな部分に及ぶと受けとめており、外務省の所管として、私の立場からは発言を差し控えさせていただきたいと思います。

階委員 でも、条約に基づいてどういう法律をつくるかというのは、法務省の、大臣のところで所管するわけですから、大臣が法律を出すか出さないかは判断する。それが、冒頭での私の質問に対して、法整備を考えているということの意味ではないかと思うんですね。法整備をするかどうかは大臣の手に委ねられているわけですよ。

 ですから、今の点についてちゃんと慎重に考慮して、法は必要なのかどうかということを大臣のところでしっかり検討していただいて答えを出す必要があると思うんですが、どうですか。

金田国務大臣 先ほど申し上げましたが、まあ、本来外務省所管事項だということはそのとおりですが、国際組織犯罪防止条約第五条について、締約国に対して、重大な犯罪の共謀または組織的な犯罪集団の活動への参加の、少なくとも一方を犯罪とすることを明確に義務づけているものと受けとめております。

 したがって、ただいまの御指摘については、今後も引き続き慎重に検討の中で、そういう点も検討をしていくのではないかと思います。

階委員 何を検討するかちょっとよくわからないところがありますけれども、立法するかどうかも含めて検討ということでよろしいですか。

金田国務大臣 それとはちょっと違いまして、委員御指摘の、まさに「その他の措置」で十分だという部分をどのように解するかという部分を私は申し上げたつもりであります。それも当然に、まあ所管は外務省でございます、しかし、私どもの検討の中ではその点も検討の対象には入っている、このように私は思います。

階委員 それでは、委員長にお願いしたいんですが、「その他の措置」ということがなされているかどうかについて検討すると法務大臣はおっしゃられましたので、その検討結果をなるべく早期にこの委員会に提出するよう、お取り計らいをお願いしたいと思います。

鈴木委員長 この件につきましては、後刻理事会にて協議いたします。

階委員 それから、テロ対策の一環として国際組織犯罪防止条約を締結する必要があり、かつ、その条約を締結するためには共謀罪が必要なんだというロジックがよく言われます。

 例えば、さきの本会議、参議院の本会議でしたけれども、安倍総理がテロ対策について山口公明党代表の質問に答えられているくだりがございますけれども、「G7では、我が国のみが締結していない国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と協力してテロ組織による犯罪と闘うことは極めて重要な課題であると認識しておりますが、同条約を締結するための法整備については、これまでの国会審議における議論を踏まえ、国民の理解を得る努力を行いながら取り組んでまいります。」ということで、テロ対策の一環として法整備を進めていく、その法整備の中に、今までの議論を踏まえますと、この共謀罪というものも含まれ得るということになっていると思うんですね。

 ところが、これは、条約をもう一度ちゃんと見てみますと、先ほどの資料一ページ目ですけれども、先ほど来、共謀罪の根拠として五条一項(a)の(1)というのを指摘させていただいておりますけれども、この(1)の冒頭には、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」ということで、テロ目的ということではなくて、経済目的を持った重大犯罪について共謀罪を定めなさいというふうに読めるわけですね。

 テロ対策と言われると、何となく、世間一般の方々も我々立法府にいる者も、早期な法整備が必要ではないかというふうに思いがちなんですけれども、もともとのこの条約の成り立ちを考えてみますと、テロ対策というか、むしろ経済的な組織犯罪を取り締まるための条約ではなかったのかと思うので、テロ対策のために条約締結が必要だとか共謀罪が必要だというのはミスリーディングではないかと思うんですね。

 この点について、私は、テロ目的の共謀罪というのは条約とは関係ないのではないかと考えておりますけれども、大臣の所見を伺いたいと思います。

金田国務大臣 ただいまの御指摘の点につきましては、テロ組織が実行することが想定されるテロ行為というのは典型的な組織犯罪であると考えられますとともに、そのような組織が活動資金を得るために国際的な組織犯罪を行うといったように、国際的な組織犯罪とテロ活動との間にはやはり関連性があるのではないか、こういうふうに考える次第であります。

 現に、本条約を採択しました二〇〇〇年の国連総会決議におきましても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大していることを指摘しつつ、国連の加盟国に対し、本条約を、その規定に従ってあらゆる形態の犯罪と闘うに当たって適用するということを求めている、このように承知をしております。

階委員 国際的な犯罪組織とテロが全く無関係だということを言うつもりは私もありません。

 ただ、そもそもの条約の成り立ちについて、日弁連の方でも、「経済的な組織犯罪を対象とするものであり、テロ対策とは本来無関係である。」といったような見解も最近出しておりますが、私もそのとおりだと思っていまして、本来、条約は経済的な組織犯罪を取り締まるものであるということは認識した上で、でもテロ対策も必要なので、ではテロ対策をどのように考えていきますかということで、多少ここは切り分けて議論した方がミスリーディングにならなくていいのではないかと思いますが、私の、今申し上げたこの条約のたてつけに関する認識について、大臣、御同意いただけますか。

金田国務大臣 国際的な組織犯罪とテロ活動との関連性ということに鑑みれば、この条約、条約の細かな部分に及べば、先ほど申し上げたとおり、外務省の所管として、発言は差し控えさせていただくわけでありますが、私の思いとしては、私自身、個人の思いとしては、やはり、条約を締結するための国内担保法というのがあるとすれば、それはテロの防止に効果的なものとなるのは必要であって、テロ組織にこういった種の犯罪を効果的に防止することが可能になるための対応ということを言っているのではないかと私自身としては考えております。

階委員 大臣の思いを述べられて、私はやはり、条約の本来の意義に立ち返ってあるべき法制度はどうなのかという議論と、テロ対策を効果的に進める上で必要な法制度はどうなのかというのは、分けて論じた方が、共謀罪について、条約を根拠に何が何でもというような発想を回避するためにも必要なのではないかと思っています。

 その上で、報道を見ますと、資料の二ページ目、三ページ目にありますとおり、もう既に、これから出されるであろう政府案なるものが大きく報じられております。これは朝日新聞の八月二十六日の記事ですけれども、同じ趣旨の記事が同じころの東京新聞にも掲載されています。

 こうした新たな共謀罪の法案というのは実在するのかどうか、大臣にお伺いします。

金田国務大臣 ただいまの御質問につきましては、先ほどから申し上げておりました国際組織犯罪防止条約を締結するための法案についてということになりますから、そのあり方を慎重に検討しているところでございまして、現時点で政府として成案を得ているものではございません。

階委員 ということは、こうした案は今は存在しないというふうに受けとめてよろしいですか。

金田国務大臣 そのように受けとめていただいて結構だと思います。

階委員 先ほど言いましたように、私は、そもそも、こういう共謀罪法案が条約を締結する上で必要なのかどうかというところにも疑問を持っていますし、仮にこれが必要であるとしても、今までの、二〇〇五年の政府案についてはさまざまな問題が国会でも指摘され、当時の民主党からもいろいろな意見が出ておりました。そういった国会審議を踏まえれば、まかり間違っても二〇〇五年と同じような政府案が出てくるということは許されないと思っております。

 この点について、新たな政府案はないということはお答えいただきましたが、今までの政府案、二〇〇五年の政府案も、これに固執するものではないということで理解していいのかどうか、二〇〇五年の政府案を今手元に置いているのかどうかということをお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

金田国務大臣 先ほども申し上げましたが、そのあり方を慎重に検討している法案については、検討しているところでございまして、現時点で成案を得ているものでもございません。

階委員 では、今は白紙の状態である、どういう法案になるかはこれから決めていくことであって、今手持ちの案というものはない、過去の政府案も含めて全く今手持ちのものはないということで受けとめてよろしいですか。

金田国務大臣 たびたび同じお答えをして申しわけありませんが、あり方を慎重に検討しているところであります。

階委員 検討しているということは、まだ案には到達していないということでよろしいですよね、検討中ということは。

金田国務大臣 そのように受けとめていただいて、現在は成案を得ているのではありません。

階委員 そうすると、今の時点でそのような状況だということであれば、今国会はもとより、次期国会、ここにおいても法案を提出するのは厳しいのではないか。だから、私は、次期国会においてもこういった共謀罪の法案は提出される可能性はないと考えますけれども、それでよろしいですか。

金田国務大臣 現時点で成案を得ているものではない。何度も同じお答えをして申しわけありません。(発言する者あり)

階委員 今、質問に答えていないという発言がございましたけれども、私もそう思います。

 私がお尋ねしたのは、今現在検討中で成案を得ていないということを伺ったので、それでは次期国会には間に合わないんじゃないですか、次期国会でも出さないですよねということを確認したわけです。その点についてお答えください。

金田国務大臣 国際組織犯罪防止条約を締結するための法案をいつ国会に提出するかにつきましては未定であります。

階委員 未定ということは、これは我々は声を荒げなくちゃいけなくなりますけれども、これまでも、選挙の前に公約に掲げていなかったこと、あるいはほとんど触れられていなかったこと、特定秘密保護法案であったり安保法案であったり、これが選挙の後になると突如出てきて、どんどん審議が進められ、成立させられるということを我々は経験してきたわけですよ。

 今の未定だということは、我々としての受けとめは、次期通常国会に出されることもあり得るというふうに理解して警戒感を強めなくてはいけませんが、それでよろしいですか。

金田国務大臣 公約については、私の立場からはそのような発言は差し控えたいと思います。

 もう一つ、ただいまの御質問については、少しつけ加えて言いますと、かつて組織的な犯罪の共謀罪に関して国会審議等で示されました、内心が処罰されることになるとか、あるいは通常の活動を行う団体も対象となるといったような不安あるいは懸念というものを踏まえながら、犯罪の成立要件をより厳格なものとすることができるかできないかを含めてそのあり方を慎重に検討しているところでありまして、その法案をいつ国会に提出するかについては未定であります。

階委員 重ね重ね未定ということを強調されましたので、次期国会にもこの共謀罪法案は出されることはあり得るというふうに我々は受け取りました。

 これは本当に、選挙がもし、偏西風がいつでも吹いているという官房長官の発言もありましたけれども、いつ解散風が吹き荒れて、そして総選挙になるかもわかりませんけれども、我々としては、今の大臣の答弁をちゃんと受けとめて、これは、未定ということは次の国会にも共謀罪法案は出るんだという理解で、街頭あるいはいろいろな場で訴えていかなくてはいけないということを申し上げます。

 さて、もう一つ私が取り上げたいのは、隠しカメラの事件というのが、これは警察の方ですけれども、ありました。大分の別府警察署だったと思いますが、きょうは警察庁からも来てもらっています。

 この今回の隠しカメラの事件について、法的にどのような問題があるかということをまず御説明していただけますか。

高木政府参考人 お尋ねの事案は、本年七月施行の参議院議員通常選挙の違反取り締まりに当たっていた大分県別府警察署において、公示日より前に、公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物がこれに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手し、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取する目的で、別府地区労働福祉会館敷地内にビデオカメラ二台を設置し、同敷地内の駐車場及び会館への出入り口を撮影したものであります。

 今回の事案において、他人の管理する敷地内に無断で立ち入りビデオカメラを設置するという行為は刑法の建造物侵入罪に該当する違法行為である、その上、他人の敷地内を撮影するだけの必要性及び相当性も認められず、不適正な捜査であったものと認識をしております。

階委員 まず一点目として、建造物侵入罪という犯罪を警察官みずからが犯した、これはとんでもない問題です。

 それとともに、刑訴法百九十七条には任意捜査の原則ということで、強制処分、すなわち、個人のプライバシーとか権利を侵害する態様の捜査については、令状など、法律の定め、手続にのっとってやらなくちゃいけないという、刑訴法百九十七条一項にも反しているというふうに私は今の御説明でお聞きしました。

 必要性、相当性に反していて不適切というふうにおっしゃられたというふうに今お聞きしましたけれども、これは、不適切というんじゃなくて、百九十七条一項に反するということではないんですか。もう一度お願いします。

高木政府参考人 大分県別府警察署では、別府地区労働福祉会館駐車場において、選挙運動が禁止されている特定の人物による選挙運動が行われる可能性があると判断したとのことでありますけれども、今回の事案では、そのような可能性が高いとは認められないことから、証拠収集を目的としてビデオカメラを設置する必要性は認められないものと考えております。

 また、今回の事案の捜査における証拠収集の方法としても、公道上における違法行為を現認するなどの代替手段が考えられるところでありまして、他人の敷地内を撮影したことは相当性に欠けるものと考えております。

 したがって、今回の事案については、撮影する必要性、相当性が認められない、不適正な捜査であったものと考えているところでございます。

階委員 不適正かどうかということじゃなくて、私は違法だというふうに考えますけれども、違法か合法かという点ではどうですか。(発言する者あり)

 委員長、ちょっと時計をとめてください。

高木政府参考人 任意捜査につきましては、必要性、相当性の認められる範囲内で行うことが認められている、必要性、相当性が認められる限りにおいて許されるものと理解をしておりまして、それに反した不適正なものであるというふうに考えております。

階委員 ちょっと語尾が。

 さっきから言っているんですけれども、不適正かどうかじゃなくて、違法かどうかということを聞いているんですね。

 私の質問通告も、法的な問題点を挙げてくださいと言っているので、今の点はちゃんと通告していますよ。つまり、不適正ということを主張して、違法ではないということを言いたいのであれば、これは法的な問題点ということにはならないということになりますので、法的な問題点だと私は思っていますけれども、法的な問題ではないというふうなお考えということでいいんですか。

高木政府参考人 今回の事案の捜査活動については、刑事訴訟法百九十七条に抵触する事案であったものと考えております。

階委員 それで、大臣、戻ってこられましたけれども、よく今の答弁をお聞きになってほしかったんですけれども、今回の隠しカメラの事案は、実体法でいえば建造物侵入罪、それから、手続法でいえば刑訴法の任意捜査の原則に反するという、二重に法律を犯している、捜査機関としてあるまじき行為をしているわけですね。

 我々は、こういった事案を目にしたときに、これはかなり根の深い問題ではないか、ほかにも同じような事案はあるのではないかというふうに疑いを抱かざるを得ません。

 この点について、ほかにこうした事案はないというふうに言えるのかどうか。特に、建造物侵入罪についてはここでは捨象しますけれども、刑訴法百九十七条に抵触する事案はほかにはないと言えるかどうか、この点について、警察庁、お答えください。

高木政府参考人 警察庁といたしましては、捜査活動の適正確保については、各種会議や巡回業務指導の実施などさまざまな機会を捉えて都道府県警察を指導しているところでありますけれども、今回の大分県別府警察署における事案以外については、捜査用のビデオカメラの不適正使用については把握をしておらず、刑事訴訟法第百九十七条に抵触する事案についての把握もしていないところでございます。

 いずれにいたしましても、捜査活動に用いるビデオカメラの使用の適正確保のため、都道府県警察の指導を徹底してまいりたいと考えております。

階委員 刑訴法百九十七条に抵触するかどうかというのは、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」というのが百九十七条一項の文言なんですね。つまり、これに抵触するかどうかというのは、判例法理などで確立されている問題でして、私も一応弁護士ではありますけれども、非常にこれは微妙な判断を要するところで、私は、現場の捜査官がこれを適切に運用できるのかどうか、かなり難しい問題だと思っていまして、具体的な基準を示す必要があるのではないかと思っています。

 必要性、相当性がありということで百九十七条一項に抵触しないよということを判断し得るための具体的基準を定めるべきではないかと思いますが、この点について、いかがですか。

高木政府参考人 任意捜査の許容性の判断につきましては、個々の事案における具体的な状況に即した判断が必要となるところでありますけれども、今回の事案を受けて発出をいたしました通達におきましても、具体的な考慮事項といたしまして、当該場所の性質、現行犯の立証や既に行われた犯罪の犯人の特定等、撮影等の具体的目的、事件の重大性、嫌疑の程度等の、撮影等の必要性、第三者が撮影対象に含まれるか否か等、撮影方法の相当性といった事項を掲げておりまして、これらを具体の事件の具体的状況に即して子細に検討すべき旨を指示したところでございます。

 警察庁といたしましては、この通達の趣旨を徹底いたしまして、判例に照らして適正と認められる捜査が行われるよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。

階委員 今申し上げたのがもし具体的な基準と考えられているのであれば、私は、極めて不十分だと思います。

 お手元の資料に、今答弁の中でありました通達、四ページ目に掲げておりまして、一から三まで項目が挙げられている中の一番目の項目の二段落目です。「捜査幹部は、捜査用カメラを用いて撮影等しようとするときは、当該場所の性質、撮影等の具体的目的、撮影等の必要性及び撮影方法の相当性について、対象事件の具体的状況に即して可能な限り子細に検討した上で実施するとともに、撮影等の継続の必要性についても随時検討する」ということなんですが、「検討した上で実施する」というふうに書いていますけれども、検討した上で、どういう場合に実施してよいかどうか、ここまで言わないと判断基準にはならないと思っています。

 何を言いたいかといいますと、この後、死刑についても御質問することにしていますけれども、例えば、最高裁の、死刑が許されるかどうかという判断基準については、犯行の罪質、動機、態様、殊に殺害手段方法の執拗性等々各般の情状をあわせ考察したとき、その罪責がまことに重大であって、罪刑の均衡の見地からも一般予防の見地からも極刑がやむを得ないと認められる場合ということで、大事なことは、考慮事情を挙げるだけではなくて、その上でどういうふうに判断できる場合にやっていいのかということをちゃんと明記する、これが大事なんですね。

 このどういう場合にというのが抜けていると思うんですが、こういったことをちゃんと明記した具体的な基準を定めてほしいんですが、いかがですか。

高木政府参考人 考慮事項を勘案した上で、必要な範囲で相当な方法である、必要性、相当性が認められるというふうに判断された場合に適法なものとして認められるというふうに理解をしておりまして、そういった趣旨につきましても、我々、一線を指導してまいりたいと考えております。

階委員 トートロジーになっていまして、必要性、相当性の判断基準を具体的に定めろと言っているのに、必要性、相当性が認められた場合に実施するでは、全く意味をなさないですよね。

 大臣にちょっと問題意識を持っていただきたいと思っていまして、大臣の方も所信の中ではやはり法務行政ということについて冒頭触れられていまして、「法務行政が身近で頼りがいのあるものであると国民の皆様に思っていただけるよう努めてまいりたい」。

 この法務行政の中には刑事事件の捜査も含まれると思うんですね。だから、私は、こうした問題が起きたことを法務大臣としても真摯に受けとめるべきだと考えておりますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

金田国務大臣 御指摘の事案につきましては、大分県警の別府警察署の警察官四名が正当な理由なく私有地に不法に侵入した事実について、検察当局が建造物侵入罪によって略式命令請求をして、裁判所において略式命令を発付した事案であるというふうに承知をしております。

 当然のことながら、警察官が正当な理由なく私有地に不法に侵入することは、任意捜査として許容されないものであると受けとめております。

 以上です。

階委員 同じく捜査機関である検察庁を指揮する立場にある法務大臣として、他山の石として、このようなことが二度と起きないようにすることを真剣に考えていくべきだと思いますが、再発防止のために何かお考えになっていることはございますか。

金田国務大臣 検察当局におきまして御指摘の事案、事実については略式命令請求したものだということで、それ以上の詳細については、個別具体的事件の証拠の内容にもかかわる事柄でございますから、お答えは差し控えたい。

 いずれにしても、一般論として申し上げれば、捜査は適正になされなければならないということは当然と受けとめております。

階委員 具体的な再発防止策まで検討していただきたいと思うんですね。

 と申しますのは、大臣が就任される前のことですけれども、検察の不祥事が相次いで、検察改革にずっと取り組んできた経緯があるわけですね。検察の不祥事というのは、まさに違法、不当な捜査があったということであります。

 そこで、我々は、法務大臣として、やはり今回の事件を他山の石として、再発防止策にしっかり取り組んでいただきたいと思っております。その決意をしっかり述べていただきたいんですが、いかがですか。

金田国務大臣 委員の御指摘にかかわるお気持ちについては理解を申し上げたいと思いますが、一般論として申し上げれば、捜査が適正になされるための努力を引き続き私どももして、対応していきたい、このように思っております。

階委員 検察が過去にどういうことをやられてきたのかというのもちゃんとこの機会にもう一度振り返ってみて、同じようなことが検察で起きないとも限らないと私も思っていますから、ぜひそこは気を引き締めて再発防止に取り組んでください。

 死刑のことについてもちょっと伺いたいんです。

 先ほど逢坂委員への答弁の中で、大臣は死刑について賛成の立場というふうに伺いました。

 ある著名人が最近、ネットなどで炎上したというふうに報じられていますけれども、死刑に賛成する立場の人たちについて、殺したがるばかどもというような表現を使われたそうなんですが、この点について、大臣、感想はいかがですか。

金田国務大臣 死刑の存続、廃止につきましては、先ほども御質問がございました。

 また、国内外においてさまざまな御意見があることも承知をしております。個々の御意見に対しましては私の所感を申し上げるということは差し控えたい、このように思います。

階委員 そういうような厳しい意見もあるわけですね。

 私も、個人的には、やはり、被害者の心情を思うとき、死刑制度というのは軽々に廃止すべきではないと思っています。ただ、死刑執行について、どういうふうにやるべきか、先ほど、冤罪の可能性がある死刑囚についてどう対応するかという問題提起もありましたけれども、そこについては我々も慎重に考えていくべきだと思っています。我々もというか、私も慎重に考えていくべきだと思っています。

 ところで、先ほどの逢坂委員への答弁あるいは記者会見の中でも、たびたび大臣は、死刑執行について、法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処するといった表現を使われております。慎重かつ厳正にというのは、私ちょっと理解に苦しむところなんですが、慎重かつ厳正という意味を教えていただけませんか。

金田国務大臣 死刑の執行について、死刑の判決がございます、その死刑の判決は、極めて凶悪かつ重大な罪を犯した者に対して、裁判所が慎重な審理を尽くした上で言い渡すものであるということ、これを受けとめて、法務大臣として、裁判所の判断を尊重しつつ、法の定めるところに従って慎重かつ厳正に対処すべきもの、このように考えているわけであります。

 申し上げるまでもなく、死刑は人の命を絶つ、極めて重大な刑罰であります。その執行に際しては慎重な態度で臨む必要があるということ、それから同時に、法治国家においては確定した裁判の執行が厳正に行われなければならないということも言うまでもないところだ、そういうことを踏まえての私の考えを申し上げております。

階委員 今の厳正にというくだり、あるいは、法の定めるところに従ってということも大臣言われますけれども、そうしたことを踏まえると、刑訴法四百七十五条二項という法文には、確定してから六カ月以内に法務大臣が執行するというような趣旨の定めがありますけれども、この刑訴法四百七十五条二項という法の定めも厳正に守るというようなことも含んでいるのかどうか、この点についてお答えください。

金田国務大臣 刑事訴訟法の第四百七十五条の第一項につきましての御指摘でございますが、死刑の執行について、刑事訴訟法第四百七十二条の例外規定がこれだというふうに思いますが、その趣旨につきましては、死刑が人の命を奪う極刑であって、一旦執行されると回復が不能であるということを踏まえて、その執行手続を特に慎重にしたものであると理解をいたしております。

階委員 死刑執行については、冤罪の方がまかり間違っても死刑になることがあってはならないと思っていますので、法の定めるところ、あるいは厳正にというところを余りに強調し過ぎると、そこがないがしろにされるおそれがあるのではないかということで、一応確認のために聞きました。よろしくお願いしたいと思います。

 そこで、犯罪被害者の立場でよく問題になるのは、名前も含めて被害者のプライバシー情報、典型的には、この間、障害者の福祉施設で大量殺人事件が起きたときに、被害者の名前を実名で報道すべきか匿名で報道すべきかといったことが問題になりました。

 こうした犯罪被害者の個人情報の公開基準がどうなっているのかということを警察庁にお尋ねします。

斉藤政府参考人 お答えいたします。

 犯罪被害者の個人情報の公開となりますと、典型的なのが、警察といたしましては、事件、事故に係る報道発表の場面がございます。

 警察といたしましては、犯罪被害者の情報も含め、事件、事故に係る報道発表につきましては、都道府県警察において、犯罪被害者等関係者のプライバシー等の権利利益、公表することによって得られる公益、公表が捜査に与える影響等を個別の事案ごとに総合的に勘案をして、発表の適否、またその内容等について判断、決定をしているところでございます。

階委員 要は、被害者側のプライバシーの権利と、あと報道側の権利、報道することによる知る権利に奉仕するという、国民の権利、こういったことを比較考量するということを県警の方で定めているという例は私も承知しています。

 ただ、私はやはり、この問題は、そういう比較考量の問題で、ケース・バイ・ケースで捜査機関が判断するというよりは、一義的には被害者側の意思に委ねるべきだ、今回の障害者の大量殺人の事件でいえば、やはり被害者の意思で、公開したいと考えるか公開したくないと考えるか、ここに委ねればいい話であって、捜査機関が何も事細かに比較考量して判断する必要はないのではないかと思いますが、その点いかがですか。

斉藤政府参考人 お答えいたします。

 犯罪被害者等基本法に基づく第三次犯罪被害者等基本計画におきまして、「警察による被害者の実名発表、匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見と、マスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるよう配慮する。」とされているところでございまして、警察といたしましては、先ほど申し上げましたような点を個別の事案ごとに総合的に勘案をして判断しているところでございまして、その際には、犯罪被害者等の御意向についても考慮させていただいているところでございます。

 引き続き、適切な発表内容となりますように配慮をしてまいりたいと考えております。

階委員 法務大臣も、犯罪被害者に寄り添うということを所信の中で述べられていますので、本当に寄り添うのであれば、この問題については、捜査機関側が判断するんじゃなくて、被害者側に判断を委ねるべきだと私は考えます。

 この点について大臣の所見を伺います。

金田国務大臣 御指摘の御意見については、私も、個人として非常にそのように思う部分はございます。

 なお、検察当局においては、個別の事案における被害者の氏名を公表するか否かということについては、被害者そして御遺族の正当な権利利益を尊重するという立場に立って、被害者や御遺族の意思を十分に考慮して適切に判断をしているというふうに私は承知をしておるつもりであります。

階委員 適切に判断していると言いますけれども、逆に、その判断権が捜査機関にあることによって、障害者については情報を公開しないとか、健常者については同じような事件であれば公開されるのに、公開しないのは差別ではないかみたいな批判も起きるわけですね。この件について、私は、そんな議論を招かないようにするためにも、被害者側に一義的に判断を委ねれば、今後、こうした問題、差別かどうかといった議論は生じないのではないかと思います。

 それで、何で被害者側に判断を委ねないのかという、そこの不都合が私はないと思いますけれども、何かそれで不都合があるんでしょうか。大臣、先ほど、個人的には賛同し得るようなこともおっしゃっていましたけれども、この機会にもう一度その点を考え直していただけませんでしょうか。

金田国務大臣 刑訴法の第四十七条ただし書きの趣旨に従って、検察当局では、個別の事案ごとに、公益の必要性とともに、関係者の名誉、プライバシーへの影響、そして捜査、公判への影響の有無、程度を考慮して、公表するか否か、するとしてどの程度の情報を明らかにするかということを判断し、相当と認められる範囲でその公表を行っているものと受けとめておるわけであります。

 したがって、ただいまの御指摘に関しては、被害者や御遺族のお立場を十分に、そして被害者、御遺族の意思を十分に考慮して適切に判断しているものと受けとめております。

階委員 いや、もう時間が参りましたけれども、全然私の問題意識に答えていないですね。

 判断権が捜査機関にあると、先ほど申し上げたようないろいろな問題も生じかねない。被害者に判断を委ねるのが私は一番いいのではないかと思っていて、それで何も不都合はないような気がします。だからこそ、その判断権自体を被害者に預けて、被害者が情報を出していいと言うならば出せばいいし、出さないでほしいと言うなら出さない、これを徹底するということで、私は、極めて明快ですし、無用な混乱も招くことはないと思っていますので、ぜひそれを御検討いただきたいんですが、最後に一言いただけませんか。

金田国務大臣 被害者の氏名の公表をどうするかという点については、ただいまの委員の御指摘も十分お聞きをしてまいりましたが、その点を踏まえながらも、やはり被害者や遺族の正当な権利を尊重する、そういう御遺族の意思、被害者の意思を十分に考慮するという中で適切に判断をしていく必要があるというふうに思っております。

階委員 これで終わります。

 適切に判断をするのは捜査機関ではなくて、被害者に委ねた方がいいということを改めて申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。

 今国会も法務委員会になりました。鈴木委員長を初め各理事、委員の皆様、よろしくお願いいたします。また、大臣それから政務官、御新任ということで、政務官はもう通告しなくても大丈夫そうですので、またよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 きょうは、午前と午後に分けてお話をさせていただきます。午前は特定秘密の問題、十二日の水曜日、予算委員会の集中審議をさせていただいたんですが、その件について伺いたい。午後からは結婚された方の旧姓の使用、選択的夫婦別姓の議論にかかわりますが、短い時間ですが、国民的議論のほんの一部をしたいというふうに思います。

 早速、特定秘密の方から入ってまいります。

 きょうお配りしております資料の二枚目からちょっと見ていただきたいんですが、特定秘密は、平成二十七年末現在、四百四十三件、そこに特定秘密の記録された行政文書、記録というものが二十七万二千二十点あるということが言われております。

 この資料二の特定秘密指定管理簿綴りというものを一枚おめくりいただきますと、例えば、この二十四ページ、警の十九から警の二十四まで書いてありますが、警の十九があって、その二つ隣に日付がありまして、例えば一番上、平成二十七年に警察が収集、分析をしたことにより得られた云々と、ここの項目が、特定秘密、その四百四十三の一つに相当する。実際、こうした情報の中で、記録された文書がそれぞれあるというようなたてつけになっております。

 さきの予算委員会で、特定秘密は平成二十七年末、四百四十三件だったと。そのうちの五件、きょうの資料をめくっていただくと左端の方にチェックをつけてある五件が出てくるんですが、その五件については、特定秘密の指定をしてあったものの、それに該当する情報が記録された文書がなかったということで、また、その五件とも、平成二十七年の間ですとか二十七年度までに情報が集まるということを前提にしておりまして、もはや情報は入ってこないということで、この五件が解除をされております。

 私がきょう改めて伺いたいのは、この五件は期限を区切ってあったから、情報がなかった、では解除しましょうという話になったんですが、そのほか、期限の区切られていない指定をされている特定秘密というものもたくさんあります。そこに、現状として記録された文書がゼロのものがあるのかないのかというその一点を、きょう、もう一度改めて伺っていきたいのです。

 金田大臣は、先日の十二日予算委員会の集中審議で、まず、私の質問につきまして、「確認はしております。そして、現時点では、ありません。指定を解除すべき特定秘密は承知しておりません。」と。

 指定を解除すべき特定秘密は承知をしていないことはわかるんですが、その確認をしておりますというものを、これは特定秘密四百四十三件について網羅的に調べをされているのか、その点を伺いたいと思います。

金田国務大臣 委員ただいま御指摘の、去る十月十二日の衆議院予算委員会集中審議において、私の答弁として申し上げました。該当する具体的な情報が現存せず、今後もこれが出現する可能性がないことが確定したことにより指定を解除すべき特定秘密について、承知していないという答弁を申し上げたところであります。

 一方、該当する具体的な情報が出現する可能性がないことが確定していないものも含めてお答えをいたしますと、現在指定されている特定秘密の大半には具体的な情報が存在をして、そして、現時点で具体的な情報が存在しない特定秘密の件数も若干はあるというふうに聞いております。

 正確な数字については改めて精査する必要がある、このように認識をいたしております。

井出委員 今の御答弁で、特定秘密の大半に記録された行政文書はある、ただ、行政文書がないものもまだ若干あって、そこを精査していると。

 この若干というものがどのくらいなのか、精査をしているということなのでわかりかねるのですが、この問題を本当にわかりやすくお話ししますと、例えば、私は娘はいませんけれども、娘がいて、そこに結婚を前提とした彼氏がいて、その方が両親のところに来て、結婚させてくれ、お給料の通帳がここにある、結婚資金をためる口座をつくりました、結婚資金をしっかりためますと。そういうことで、よしということになるんですけれども、その後、いつまでたってもその結婚資金口座に金が入っているか入っていないのかわからない。これは、誠実な方だったら、例えば、では平成二十七年度中に結婚資金をためますのでと言って、そのときに見せてもらってゼロだったら、どうなっているんだという話になるんですよ。

 それが、私が問題としているのは、結婚資金はあるんです、あるんですと言って空っぽのまま、そのままでどうなのかという。それについて、若干あるというようなお話であったと思うんですが。

 これは、特定秘密は何件ですかと言われたら、特定秘密というのは四百四十三件という、まずそれが出てくるわけですね。通常であれば、そこに当然、特定秘密に該当する記録されたものがあるというのが前提になるんです。ですから、特定秘密の具体的な記録のない特定秘密が存在しているということは、件数のカウントにおいてやはり大きな疑義があると言わざるを得ない。

 特定秘密というものは、そもそもまず、貯金をするんだったら、お金があるから口座をつくって貯金をするわけですよ。口座をつくるときに一万円でも千円でもお金がなきゃつくれないわけですから。ですから、特定秘密の具体的な情報がゼロなのに特定秘密立てを、最初に項目として立てるということは、そのやり方というのは果たしてどこまで認められるべきものなのか。

 特定秘密というものは、毎年政府の方から国会に報告がされて、件数が、二十六年、二十七年、ふえまして、今、二十七年で四百四十三、恐らく二十八年中もふえていると思うんですが、情報が出現したから特定秘密に指定していくという流れが自然であって、ゼロ状態のものを放置しておくとかそういうことというのは、私は運用を改めるべきではないかなと思うんですけれども、大臣の見解をいただきたいと思います。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房作成の特定秘密保護法の逐条解説でも、秘匿の必要性に照らして、現存しないが将来出現することが確実であり、かつ、完全に特定し得る情報は、特定秘密の指定の対象となるというふうにされております。

 この背景でございますが、保全の必要性から、特定秘密とすべき情報を入手しましてから初めて特定秘密として指定する場合には、非常に手続に時間がかかる場合があり得るということでございますので、情報の入手というものが事前に確実に見込まれているものについては、あらかじめ特定秘密として指定しておくということで、保全に万全を期そうという考え方があるということでございます。

 このように、対象情報の性質によりましては、あらかじめ特定秘密を指定することもやむを得ない場合があるというふうに考えております。

 他方、独立公文書管理監の方からは、本年の四月にも、特定秘密に当たる情報が出現する前にあらかじめ特定秘密を指定する場合には、当該情報の出現可能性について慎重に判断することという意見をいただいております。

 こういった御意見を踏まえまして、あらかじめ特定秘密を指定する場合には、当該情報の出現の可能性については慎重な判断を行うように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

井出委員 今のお話を少し具体例に即して伺います。

 お配りしている資料をめくっていただいて、ここに九十三ページと出てくるところがございます。そこにチェックをしてある防の二百六十五という情報は、ことしの八月に、情報がないということで指定解除になっているものなんですが、ざっくばらんに申し上げますと、平成二十七年度の間に云々かんぬん、省略をしますが、情報本部が作成する統合中期情報見積もりだと。

 これは、聞きましたところ、毎年度作成してきた、だから、あらかじめこれをつくっておいても、毎年作成するんだったらいいんじゃないかと。ただ、これがどうしてなかったかというと、昨年法律改正があって、それによってこの見積もりをつくらなくなったからここに入る情報はなくなったというような話でした。これは私は半分理解をしているんですね。

 その一方で、一枚手前に戻って、九十一ページの防の二百五十三。こちらは、平成二十七年度の間に防衛省・自衛隊が防衛に関して収集した誘導武器に係る技術情報等なんですね。見れば入ってくるような気がするんですけれども、入ってこなかったから指定を解除になっているんです。

 この防の二百五十三について防衛省に伺いますが、これは、二十八年以降もこうした項目をあらかじめ指定して、また情報が入ってくるだろうという思いでもう情報指定をされているかどうか教えてください。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のこの六月に指定解除した特定秘密に関連して、平成二十八年度以降についてどうかという御質問でございますけれども、平成二十八年度につきましては、情報提供の可能性が現時点では見込まれていないことから、特定秘密には指定しておりません。

井出委員 二十七年はあらかじめ指定をしたけれども、一年間やって入ってこなかった。二十八年は、今のお話ですと、入ってきてから指定をされるということになると思うんですけれども、二十七年と二十八年で運用を変えて、何か不都合はございますか。

岡政府参考人 平成二十八年度につきましては、現時点ではそういった情報が出てくるということが見込まれないということで、現時点で指定していないということでございます。入手なり、そういう情報を得てからこれを指定しようということで申し上げたわけでは必ずしもございません。

井出委員 この防の二百五十三は、平成二十七年四月一日、年度の初めに指定をされているんですね。だから、二十七、二十八と毎年こういうものが想定はされていると思うんですけれども、二十七年の方はこの情報が入ってくる確率が高くて、二十八年は現時点でその確率は認められないんだという違いは説明できますか。

岡政府参考人 今おっしゃられたのは、防の二五三、誘導弾関係の方だと思いますけれども、これは、違いと申しますか、二十七年度にそうした状況があったことも踏まえて慎重に判断をして、今の時点ですぐに情報が得られるということが見込まれていないという現時点での状況を踏まえて、まだ指定はしていないということでございます。

井出委員 その二十七年にそうした状況があったことを踏まえてという最初のお話は、二十七年度の情報は結果として空だったということを踏まえてということだと思うんですね。ですから、そこは、その運用をより慎重にしていただいたと思うんですけれども、私は基本的には情報が入ってきてからの運用でいいと思うんですよ、今みたいなケースですね。

 先ほど、大半の特定秘密は情報があって、若干情報がないものがあって精査をしているというお話がありますが、その若干というものがどのぐらいなのか、ちょっと教えてください。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 情報監視審査会の審査の中で、関連する情報については関係省庁から御説明させていただいているところだというふうに理解しております。

 その詳細につきましては、審査会における議論の中身に立ち入ることになってしまいますので、お答えは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

井出委員 情報監視審査会で基本的に非公開の議論ですので、今の御答弁はもっともだなと思うんですが。

 情報監視審査会というところは、私はその委員をやっておりますが、毎年報告書を我々も出します。そのときに公開するべきものは公開をする。もう既に一冊、昨年分については報告書を出すんですが、本当に若干という表現がふさわしいかどうか、その点についてもう一度。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 若干という言葉につきましては、各個人によって受けとめ方がいろいろかというふうに存じます。ただ、申し上げたいことは、大半の特定秘密については現に情報が存在するということでございます。

 正確な数字については、また改めて、それぞれにおいて精査中でございますので、若干というものがどれぐらいの数字を意味するのかということについては、ちょっと御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

井出委員 まさに若干時間がかかるということで、その若干の時間も個人差があると思いますので、私は早期に調査を尽くしてほしいと思うんですが。

 今回、大半は情報があって、若干情報がない状態になっているというお話を大臣はされたんですが、その確認というものは、大臣が担当で、内調の方の事務方としてみずから責任を持って把握されたかどうか、その確認の手法について教えてください。

金田国務大臣 委員がただいま御指摘されました内閣保全監視委員会の委員長をやっておりますので、私が知る限りは、内調の事務方から各省にそれを確認するということ、それから、独立公文書管理監からの情報の提供といいますか、その状況、それをいただいて確認をするということになろうかと思います。

井出委員 内調の方で確認をされて、独立公文書管理監からもというお話があったんですが、独立公文書管理監は、大半の特定秘密には情報がある、ただ若干情報が存在しないものもあるというきょうの話について、今どのように認識されているか。

佐藤政府参考人 私どもの任務である検証、監察の役割あるいは機能ということに鑑みますと、なかなかお答えがしにくい質問ではございます。しかし、あえてお答えいたしますと、私どもの納得、検証、監察をした上での納得という意味では、現時点では、指定を解除すべき、いわゆる先生がおっしゃるような空指定といいますか、そういったものはないと考えております。

 他方、監察の手法という点でいいますと、全ての指定について文書を確認するなどして突き詰めて確認しているわけではございませんので、先ほど来問題にされているような、そうした指定があるということを否定するものではございません。

井出委員 独立公文書管理監は、その若干についても指定を解除する必要はないと御判断されているんですか。

佐藤政府参考人 どのような指定について解除すべきかということについては、我々といたしましては四月の時点で意見を述べているところでございまして、その考え方は今も変わるところではございません。

 それは、指定された特定秘密に当たる情報が現存せず、今後もこれが出現する可能性がないことが確定した場合ということでございますが、そのような条件に当てはまり、現時点で解除しなければならない指定があるとは、我々としては把握しておりません。

井出委員 今、そういう判断、解除すべきと判断すべきものはないとおっしゃって、その一方で、その前の答弁で、突き詰めて確認はされていないとおっしゃっています。これはどちらが正しいんですか。

佐藤政府参考人 どちらが正しいかという御質問に対しては、どちらも観点によっては正しいといいますか、正しく答えているつもりでございます。

 つまり、我々の検証、監察の目的なり、判断をするという過程で、必要なことを調査して必要な情報を集めて、その上で判断するという限りにおいては、先ほど述べたように、結論に至ったことが全てでございます。

 それ以外の点についても把握しておられるかという御質問と理解いたしましたので、それは、我々が把握している限度でお答えした次第でございます。

井出委員 どちらの観点でも正しいというのであれば、きょうの御答弁をぜひ集中審議のときにいただきたかったですね。自分たちの調査した部分に対する見解と、あと、突き詰めた確認をしていないと。突き詰めた確認をしていないというところは前回の集中審議では答弁がなかった。きょう、ようやく。私は、多分突き詰めて確認していないだろうという思いで聞いていたんですけれども、答えがいただけなかった。

 独立公文書管理監は、文字どおり独立なんですよ。それは政府の中のチェック機関ではあると思うんですけれども、独立性を高めるために、わざわざ独立という名前を、冠をつけているわけですね。その重みをしっかりと受けとめていただいて、両方正しい、そういう事実関係を認識されているのであれば、やはりきちっと両方答弁をしていただきたかったですし、その独立性について、いま一度思いを新たにしていただきたいと思いますが。

佐藤政府参考人 まさに委員御指摘のとおり、私どもは、独立した公正な立場で、特定秘密の指定等に関する実効的な検証、監察に取り組むことを任務としているものでございます。そのような職責の重要性を今後とも自覚して、職務に邁進してまいりたいと思っております。

井出委員 独立公文書管理監には大変精緻にやっていただいている部分もありますので、きょうのお話を踏まえてまたやっていただければと思います。

 それと、情報が入っていない問題なんですが、これは、もともとは警察庁、外務省、それから少し時期はおくれて防衛省の二件というものが出てきて、本来、そもそも、特定秘密の運用基準を見ますと、各省庁において指定の解除の理由とかについてしっかりと点検をして記録をしろと。ですから、本来であれば、自発的にそういうものが出てくるような運用基準というものがなされているわけなんです。

 防衛省に伺いますが、防衛省は二件指定の解除があって、一件目は自発的に見つかるに至って、六月に解除された。二件目の中期見積もりの方は八月の解除に至ったと。中期見積もりの方は、十月一日に法律が変わって中期見積もりは作成されないということは皆さん御存じだったと思うんですけれども、ですから、点検をしっかりしていれば早期発見できたんじゃないかなと思うんですが。

 運用基準に書かれている点検というものを平成二十七年はいつおやりになったのか、伺いたいと思います。

岡政府参考人 点検を実施した時期でございますけれども、平成二十七年につきましては、十一月から十二月にかけて指定の点検を実施したところでございます。

井出委員 そのときに、十月の法律改正の観点からのチェックというものはなぜなされなかったのか、教えてください。

岡政府参考人 法律とおっしゃっておられるんですが、これは、部内の情報業務の実施に関する訓令を改正して、これがなくなったということなんでございますけれども、御指摘のとおり、十月一日に統合中期情報見積もりというものが廃止をされております。ただ、これは年度途中の廃止でもありまして、情報は存在しているという認識のもとに、独立公文書管理監による検証を受けたというような状況でございました。ただ、その後、独立公文書管理監による検証が進み、慎重に調査した結果、該当する情報が存在せず、今後も発生する見込みがないということが確認されたということでございます。

井出委員 十一月から十二月に点検をされて、そのときは情報があるという認識で、その後、独立公文書管理監から指摘を受けたと。点検をされているのであれば、しっかりやっていただければいいかなと思いますし、防衛省は特定秘密が多いですから、別にそれを、殊さらこの一件で、何か天地がひっくり返るような問題では私もないと思っておりますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 この特定秘密の運用基準、各省で点検をするという運用基準につきましては、これは大臣に伺いたいんですが、これは内調の方でその運用基準をつくって、ちゃんと点検をして記録をしなさいと。それを受けて、各省庁の規則、内規の中で運用されていると思うんです。この運用基準をつくっているんですから、その点検の状況がどうなのかということも、やはり責任を持って把握をするべきだと思いますし、その点、五月に法務委員会で議論させていただいたときに、参考人の方からは、その必要性があるかないかも含めてというようなお話だったんです。

 各省の点検状況をきちっと内調の方で、大臣の責任を持って把握されるということについての見解をいただきたいと思います。

金田国務大臣 ただいまの御指摘、まさに、特定秘密を指定した省庁において十一月から十二月にかけて点検を実施したものと、平成二十七年中については承知をしておりますし、二十八年中の点検の実施状況についても確認をするつもりでおります。

井出委員 点検の方は、二十七年度把握をされて、これからもやって把握をしていただく、そういう御答弁を今いただきました。

 参考人にちょっとお尋ねをしたいんですが、特定秘密保護法というのは、各省庁の秘密の中でも特にその要件を満たすものを指定していく。そういう意味におきまして、各省庁にとっても、それぞれ各省庁の判断でこれまで秘密を管理していたものが、ある程度横串を刺すといいますか、そういうことになって、逆に、その負担ですか、いろいろな作業をしなければいけないところがふえていると私は感じているんですけれども。

 この見込み指定のゼロの問題ですね。ゼロの問題で、私、もう一つ心配しているのは、特定秘密を指定しているときにその記録はあった、だけれども、その記録した文書の保存期間が過ぎて、その文書を廃棄して、最初は具体的な記録はあったんだけれども、廃棄したことによってなくなる、そんなことも十分想定されるんじゃないかと思います。これはいろいろな、膨大な事務作業の中の一例ですけれども、そういうことに対する御認識というのがおありかどうか、教えてください。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のような、一つの情報が特定秘密として指定され、ただ、それが保存期間を過ぎたということで廃棄され、結果として、その特定秘密のもとでの具体的な情報というものがゼロになるといった状況は、可能性としてはあり得るというふうに思います。

 この指定のもとでの情報の有無と申しますか、指定というものが、そもそも、まずは、あらかじめ指定する場合には、そういった指定を設けるのがよいのかどうかということについては、独立公文書管理監からの指摘も踏まえて、これは慎重に検討すべきということにしております。

 それから、指定をしたけれども、具体的には情報が現出しないままそれが一定期間そのままになっていたという事態を受けまして、これについてはきちんと見直しをするようにということで、内閣情報調査室の方から関係省庁にきちんと指示をしているところでございます。

 こういう、今御指摘のような可能性もあるということも踏まえまして、特定秘密保護法の適正な施行には一層努力すべく、また、関係省庁間におきまして斉一的な対応がとられるように努めてまいりたいというふうに思っているところでございます。

井出委員 時間もなくなってまいりましたので、少し大臣の方にまとめ的な意味合いで伺いたいんです。

 きょうやっている議論というのは、特定秘密の管理の問題なんですね。本来であれば、国会情報監視審査会、国会で特定秘密について何か議論をするときは、特定秘密の中身、その情報が本当に特定秘密としてふさわしいのかとか、その情報をもとに何か重要な政策決定がなされて、それがどうだったのかとか、本来であればそういうことを、ほかの海外なんかはやっているわけです、イラク戦争の参戦の可否、そういう検証をしたりですとか。

 ただ、私は、この管理の問題は、この間、集中審議のときに委員の方から、その質問はどこに向かっていくんだみたいな、意味があるのかみたいなことを言われたんですが、私は、少なくともこの管理の問題を突破できなければ当然その先はないと思っておりますし、それでその作業をふやして大変申しわけないなと思うところもあるんですけれども、それはそういう法律ですから、本当に我々がチェックすべきものをチェックするためにここは乗り越えていかなきゃいけないと思います。

 きょうは本当にごく一部の話なんですけれども、多分管理も大変だと思いますし、国会議員の多くは目が届いていないだろうという思いもあるんですが、やはりその管理に抜かりがあっては困るんですよ。管理の問題だから本質じゃない、大した問題じゃない、多いか若干かだ、大半か若干か、そういう問題ではないと。

 管理についても、私は、全力でチェックをして、本質的なところに入っていきたいと思いますし、それについて、その管理をしっかりやっていくというところを御答弁いただきたいと思います。

金田国務大臣 委員御指摘のとおりだと私は思っております。

 それは、私も、内閣保全監視委員会の委員長として、例えば、ある省庁で個別の問題が発見されたりした場合には、全ての行政機関において、この法律の施行に責任を負う立場から、やはり斉一的な是正を行っていく、必要な場合にはそういう運用基準の見直しを検討するとか、そういうことも含めて、行政各部の統一を図ること、これが私たちにも非常に重要な課題となっていると思いますので、御指摘の管理という面は非常に重要だ、このように考えております。

井出委員 隣の部屋での第二ラウンドはあるんですが、法務委員会の特定秘密の質問はきょうは午前までとさせていただいて、午後、旧姓使用について伺います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。安藤裕君。(発言する者あり)

安藤委員 ありがとうございます。自民党の安藤裕でございます。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入りたいと思います。

 大変残念なことに、大臣がきょうこの時間は御不在ということで、大臣の所信の中で、大変思いのこもった御挨拶ですごく私も感動しまして、その中で特に印象に残ったのが、「公的なものへの献身」という言葉を金田大臣がおっしゃっておられました。その思いを大臣からぜひお聞かせいただきたいなというふうに思っておったんですけれども。

 やはりこの「公的なものへの献身」、これは、私たち国会議員、議員のみならず各官僚の皆さんもそうだと思いますし、それから全ての日本国民のそれぞれの皆さんが、公的なものにはどうやったら自分が役に立つことができるんだろうか、そういった思いを共有することができたら、間違いなくこの国はすばらしい国になっていくだろうと思います。

 最近、そういったことを語ると、何となく自民党は説教臭いとか、そういう考え方を強制するのか、あるいはまた、昔のときのようにお国のために尽くせということを言うのかみたいなことを言われる方もおられますけれども、そうではなくて、自分がこの世の中に生まれてきて、どうやって役に立つことができるか、またあるいは、いろいろな場面でお世話になった方々がいるわけで、その方々にどうやったら恩返しができるか、そういった思いを共有することが何よりも大事なのではないかと思っておりました。

 そんな中で、大臣の就任挨拶の中でこういった言葉が出てきたというのは本当にいいことだなと思いますし、ぜひこれから法務行政をそういった思いで前に進めていただきたいというふうに思っております。

 それで、次、質問に移りたいと思います。

 最近は、観光立国推進に向けた各種の取り組みが進められております。

 私の選挙区も、京都ですけれども、外国人の観光客も大変ふえてきております。先日も私の娘が伏見稲荷に行って千本鳥居のところに行ったら、物すごく中国人の方が多くて、これは一体どこの国なんだろうというふうな印象を持ったと。翻って、近くに東福寺というお寺もあるんですけれども、東福寺に行ったら誰もいなくて、これはすごく癒やされたと言っておりましたけれども。本当に地域によっても行く人が多いところ、少ないところがあると思います。

 私も先日、夏休みに少し大阪の空気をちょっと吸ってみようと思って大阪の方に行ってみたら、日本橋とか道頓堀周辺、これも本当に中国の方が物すごく多くて、今でもあそこで爆買いをしているのかなというふうな状況でした。うちの地元にはJR奈良線という、京都から奈良の間を走っているJRがありますけれども、これも本当に外国人観光客の方でいっぱいです。

 そんなふうに、外国人の入国者も本当にふえてきておりますが、お聞きをしたいのは、直近十年間の外国人入国者数の推移と、特にここ五年間激増していると思うんですけれども、その理由について政府の方で分析をしているところを教えていただきたいと思います。

井上政府参考人 外国人の入国者数でございます。昨年、平成二十七年は、千九百六十九万人となり、過去最高を更新したところでございます。

 過去十年間の推移を見ますと、平成十八年、十年前は八百十一万人でございました。その後、増加の傾向がございますが、ただ、途中、平成二十一年は新型インフルエンザの流行の影響がありまして、また、平成二十三年には東日本大震災の影響がありまして、この二カ年につきましては対前年で大きく減少したところでございますが、その後、特に平成二十三年以降は一貫して増加傾向にございます。

 その伸びはかなり急激なものでございまして、前年比の数字を申し上げますと、平成二十四年は対前年比で約二九%の増、平成二十五年は約二三%の増、平成二十六年が約二六%の増、平成二十七年に至っては対前年比で約三九%の増ということで、その数はほぼ二千万人に届くところまでに達したところでございます。

 国別に申し上げますと、中国につきましては、平成二十四年には百六十三万人であったものが、平成二十七年には四百五十万人と二・八倍になっております。同様に、タイは、二十八万人であったものが八十二万人と約二・九倍と、大幅に増加しておるところでございます。

 これら急増の理由でございますが、さまざまな要因が複合しているということであろうと思いますけれども、一つには、円安の傾向が継続していたということがあると思います。また、政府において、訪日外国人旅行者数の目標を掲げまして、タイ、マレーシア及びインドネシア向けの査証免除措置でございますとか中国向けの査証発給要件緩和等の、ビザの戦略的な緩和を実施するなど、政府一丸となって観光立国の推進のための各種の取り組みを行ってきたことがその増加の要因であると考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 目標どおり順調に観光客等がふえているというのは喜ばしいこととも思いますけれども、他方で、今世界じゅうで問題となっているテロリズムをいかに防ぐかということもこれから大きな課題として考えていかなくてはなりません。特に、これから、二〇一九年にはラグビーワールドカップがあり、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催をされるということになっております。世界が注目をするこういう大きな大会でテロを発生させてしまうということは、大会のホスト国としては許されないことであると思っております。

 そこで、警察庁にお聞きをしたいと思いますけれども、これらの国際大会の開催が予定される中で、国際テロに対する備えを今後どのようにしていく予定なのかをお答えいただきたいと思います。

白川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会は、厳しい国際テロ等の情勢のもと、国際的に最高度の注目を集める行事でありまして、開催国としての治安責任を果たす必要があると考えております。

 警察では、昨年六月、警察庁国際テロ対策強化要綱を策定した上、外国治安情報機関との緊密な連携等による情報収集、分析の強化、関係機関と連携した水際対策や、官民連携の強化、各種部隊の能力向上等による国内におけるテロ等発生時の事態対処能力の強化等の施策を推進しているところでございます。

 こうした取り組みを着実に推進し、テロ対策に万全を期することにより、テロを防止し、治安対策の面から二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の成功に貢献してまいりたいと考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 なかなかこういった国会の場でつまびらかに今どういう対策をしているというのは言えないという場面もあるとは思いますけれども、ぜひ万全の対策をしていただいて、本当に安心、安全に世界じゅうの人が楽しめる大会を開いていただければというふうに思っております。

 それから、もう一つ、外国人旅行者がふえていく中で、質問したいのが、最近、民泊というものが大変注目をされるようになってまいりました。

 この民泊についてもいろいろな意見があるところでございます。普通に住んでいる自分の家の隣の家が民泊で貸し出されることになると、いつも誰だか知らない人がそこに泊まっていて、日本ではない生活習慣のもとに行動されると平穏な生活が乱されるのではないかというような不安をお持ちの方もいるでしょうし、また、実際に自分の家の隣近所でそういった民泊で貸し出されているところがあって、実際にそういった不安を直接感じている方もおられると思います。これは、京都市内でも少し問題になってきているようです。

 翻って、私の選挙区は郡部なものですから、郡部は民泊をもうちょっとふやしてくれへんかというふうな声もあるんですけれども、これは地域によってやはりいろいろな捉え方、いろいろな考え方があって、いろいろな問題があるんだろうと思います。

 まず、こういった普通に住んでいる方の持っている不安についてどのように今観光庁の方でお考えなのか、お答えいただきたいと思います。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 民泊につきましては実態が先行しておりまして、適正な管理、安全性の確保、あるいは地域住民などとのトラブルに留意したルールづくりが必要であると考えております。

 御指摘の点につきましては、まず住宅提供者に対しまして、民泊を実施する場合に行政庁へ所在地等の届け出を課すとともに、利用者の確認あるいは必要最小限の衛生措置、近隣トラブル防止のための管理責任を課していく。その一方、住宅提供者が不在であるという民泊もございますけれども、こういう場合には、これらの管理を行政庁に登録された管理者に委託するということを必要とする、さらに、行政庁によります報告徴収や立入検査、あるいは、違法民泊を提供した場合の罰則などを整備する。こういうことを通じまして民泊の適正な管理を確保することが、厚生労働省と私ども観光庁との合同の有識者検討会で方向性として取りまとめられたところでございます。

 これらの点を踏まえまして、観光庁といたしましては、関係省庁とともに関係者間の意見調整に努めつつ、次期通常国会に法案の提出を進めていきたいと考えております。

安藤委員 ありがとうございます。

 もう一つ、民泊に関連して質問したいと思います。

 現行のいろいろな法律のまま、例えば旅館業を営もうとすると、消防設備とかあるいは避難設備などを備えなくてはなりません。これは当然設備投資が必要となります。その設備投資を回収するためには、それなりの、ある程度の金額の宿泊単価をもらわなくてはならない。そうすると、当然競争も厳しくなるので、いいサービスも提供しなくてはならない。こういったことをやっていくと、実はこれは経済の好循環につながっていって、お金も使っていって、泊まる人もお金をきちんと出すし、それに伴っていいサービスが提供される。そうすると、日本の経済に対してはいい循環が出てくるんだろうと思うんですね。

 宿泊者が来ていて需要が追いつかないから、ではホテルや旅館を建てようか、建築しようかという建設需要にも結びつけば、こういった外国人旅行者がふえていくことによって国内の建設需要を呼び起こすことになる。これも経済の好循環につながると思います。

 もし、今のまま野方図に民泊というものをどんどん進めてしまうと、例えば一泊二万円払うだけの余力がある人が、だったらもう払わなくてもいいや、民泊で五千円の宿があるからこっちに泊まったらいいやというふうなことになってしまうと、結果として日本国内に払う単価が下がってしまう。そうすると、プラスでいっぱい払ってくれる人がいるのに、わざわざこれを小さなプラスの幅にしてしまって、さらにホテルや旅館の建設需要というもの、設備投資需要というものも減らしてしまう、そういったマイナスの効果があるのではないかということも私は少し心配をしているんですけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

蝦名政府参考人 民泊につきましては、非常に多様化する旅行者のニーズへの対応ということで、観光立国の観点から新たな宿泊モデルであるということで期待をされているところでございます。特に、富裕層の方々からあるいはバックパッカーのような方々まで、訪日外国人の観光客の方々は非常にさまざまな宿泊ニーズを持っておりますので、そうしたことの環境整備をしていくということも必要であろうと考えております。

 また、大勢いらしていただいて、宿泊することのみならず、飲食や交流、体験を通じた消費額全体をふやすという形で地域経済の活性化を図っていくという必要もございます。

 もちろん、委員御指摘のように、いわゆるホテルや旅館、こういったことも整備をしていく必要もあると思いますけれども、今のような多様なニーズにも応えられるそうした受け入れ環境を整備し、それによってさまざまな方々にお越しいただくことによりまして、結果として、いろいろな、飲食や交流、体験などを通じて全体として消費額をふやしていく、こういうようなことに取り組んでまいりたいと思っております。

安藤委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたのでそろそろ終わりにしたいと思いますけれども、多様なニーズに応えるというのも確かに必要なことだろうと思いますけれども、やはり、今までのきちんとした、安全に対して投資をしている業者の皆さん方が決してこれはばかばかしいなと思うことがないようにということと、それと、このように供給をふやしていくことによって単価を下げるということが、全体としてまたデフレの状況に行ってしまうのではないかということも私は心配をしております。

 やはり、供給をふやすというものも、需要をしっかりと見きわめながら供給をふやしていかないと、単に値下げという方向に走ってしまうと日本経済全体に対してはマイナスの影響になってしまいますので、そういったこともしっかりと考えながらこれからこの民泊等は進めていただきたいと思っております。

 質問を終わります。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、門博文君。

門委員 自由民主党の門博文でございます。

 このたびも質問の機会を頂戴いたしまして、まことにありがとうございます。

 金田大臣におかれましては法務大臣御就任まことにおめでとうございますと、原稿は用意したんですけれども、大臣がちょっとほかの委員会に御出席ということで、大臣にかわってその部分は盛山副大臣が御答弁いただけると聞いておりますので、盛山副大臣も御就任まことにおめでとうございます。大変御苦労さまですけれども、よろしくお願いいたします。

 それでは、大臣の所信の内容に基づいて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、お手元に、観光庁の資料を用意していただきました。出入国管理についてお尋ねをさせていただきます。

 安倍政権が掲げます成長戦略の中でも最も期待が寄せられている分野の一つが観光であります。近年、訪日外国人の数は予想をはるかに上回るペースで順調に推移をしております。昨年は、念願の年間二千万人をほぼ達成する実績を残しました。ただ、このペースに特に入国審査の実務が追いつかず、審査時間に長時間の待ち時間が発生し、御来日いただいたお客様に迷惑をかけたこともあったようであります。

 法務省も、人材の増強や、それから機械化など、積極的にお取り組みをいただいておりますが、改めて、ことしの訪日客の実績や今後の見通しについて、まず観光庁から御答弁を賜れますでしょうか。お願いいたします。

蝦名政府参考人 お答え申し上げます。

 訪日外国人旅行者数につきましては、先生御指摘のとおり、昨年千九百七十四万人に達したところでございます。本年も堅調に推移しておりまして、ことし一月から八月までの合計は前年比二四・七%増の千六百六万人となっております。

 このため、本年の訪日外国人旅行者数の見通しにつきましては、特段の外的要因がなければ、遅くとも十一月半ばまでには二千万人を超えるものということを見込んでおります。

門委員 ありがとうございました。

 近年、本当にすごいペースで訪日外国人の数がふえてきておりますけれども、法務委員会の委員の皆様とも、本年の状況については今の答弁で状況を共有させていただいたと思います。

 その上で、いよいよ、二〇二〇年、東京オリンピック・パラリンピックの年には、訪日外国人客が実に四千万人を達成するであろう、達成していこうという目標が掲げられております。

 私は、我が国が十分な受け皿を各分野で準備できれば必ずこの数字は二〇二〇年に達成されるものと思っておりますけれども、例えば、航空機の受け入れ容量であったり、そしてまた、先ほど安藤委員の関連の御質問にもありましたけれども、民泊等も含めて宿泊施設の整備、そしてまた、今、出入国管理の能力など、そのような要素が十分受け皿として用意ができれば四千万人達成、できなければ難しいこともあるのではないかと思います。

 私の地元には関西空港がありまして、昨年、ここも予想をはるかに上回る訪日外国人が利用されまして、さっき申し上げたように、入国審査に長時間を要することもありました。そんなに多くの事例じゃなかったのかもわかりませんけれども、近距離便、韓国、中国から飛んできたお客様が、自分たちがフライトで費やした時間の倍ぐらい空港の中で待たされたというようなメールも届けられたと聞きました。

 それで、昨年はそういうことで、法務省それから当時の関空会社などが機動的に対応くださったおかげで、現在は随分と改善され、安定していると聞いています。

 その上で、最近のトピックスとしましては、この十月から、新しい方法、システムとしてバイオカートなるものが導入されたと聞いております。この導入以降半月が経過していますけれども、バイオカートの概要と現状について法務省からお答えをいただきたい、御説明をいただきたいと思います。

井上政府参考人 委員御指摘のように、関西空港は大変混雑して御迷惑をおかけしていたところでございますが、本月、この十月の一日から、関西空港、あと高松空港、那覇空港の三つの空港でございますけれども、いわゆるバイオカートを導入いたしました。

 このバイオカートは何かといいますと、外国人の方が上陸審査をするに際しまして指紋と顔写真の提供をいただいておるのでございますが、それを、今まではブースでとっておりましたけれども、そのブースに行くまでお待ちいただいている行列の中で、審査待ち時間を利用して指紋と顔写真の個人識別情報を提供していただく、そのための機械がバイオカートでございます。

 これを、今月一日から運用を開始しておりまして、これまでのところ、上陸審査場における混乱もなく、順調に運用されてきておるところでございます。

 審査待ち時間にどのくらいの効果があったかということでございますけれども、実は、審査待ち時間自体は、入国者数でありますとか、入国審査官の増員の程度でございますとか、また、審査ブースがそもそも大分増設されてきたというようないろいろな影響の要因がございますが、単純に前年同時期と数字的に比較することをいたしますと、バイオカートを導入した関西空港の第一ターミナルの上陸審査場について言いますと、本月の一日から十五日までと短期間の数字ではございますけれども、最長審査待ち時間のその期間平均した数値を昨年の同時期と比べると、四割以上の短縮効果が出ております。

 バイオカートの利用につきまして外国人観光客のお客様からの反応でございますけれども、とても早くて便利になったなどという好意的な反応が得られていると現地から報告を受けているところでございます。

 また、入国審査を行う私どもの職員の側からのことになりますけれども、バイオカートを使用して個人識別情報を事前に取得することで上陸審査ブースにおける手続が省力されまして、審査ブースにおける一人当たりの審査時間は従前よりも三割以上短縮されることになりましたし、審査官にいたしましても、その場で個人識別情報を的確に取得する負担が軽減して、その分、ほかにチェックすべき事項の審査、上陸審査により集中することができるようになった、そのような効果も出ているようでございます。

 今後、他の空港へも、平成二十八年度補正予算で成田空港等十二空港にバイオカート導入の予算措置がなされておりますし、法務省といたしましては、これらの空港へまずは可能な限り早期に導入して、的確、適切に運用してまいりたいと考えております。

門委員 ありがとうございました。

 現在のところは極めて順調に導入の成果が出ているということですので、今御答弁ありましたように、全国にあります国際空港にも、できるだけこのような同等な設備、システムの導入を図っていただきたいと思います。

 その上で、観光立国が成功していくためには、霞が関の役所それぞれの役割分担があって、先ほど御答弁いただきました観光庁のみならず、法務省も今までの役割以上に観光立国成功のために大変新しい能力が求められていると思いますので、盛山副大臣から政務の方の決意を聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

盛山副大臣 観光に大変お詳しい門議員から大変鋭い御質問をいただいているわけでございます。

 いろいろな取り組みをしております。

 先ほど門委員の方から御紹介のありましたビザの緩和、そういったところもそうでございますが、今、入管局長から御答弁を申し上げました出入国管理の部分での人的体制の整備ということで、入国審査官の増員を継続してやっているところであります。今年度、平成二十八年度は、入国審査官百六十二名増員をしていたわけでございますけれども、さらに九月に六十二人の緊急増員、こういったものも認められています。

 それから、先ほど来、門委員からの御紹介もありましたように、我々だけでは不十分でございますので、国土交通省とも連携をとりながら、まずは空港を中心として、審査ブース、これは物理的なスペースを国交省の方で広げてもらわないといけないものですから、そういったこと、あるいはクルーズ船が来たときの旅客船のターミナル、あるいは、我々の方では、簡易な手続で上陸を認める船舶観光上陸許可制度の開始、それから今申し上げましたバイオカート、その他、そんなことでいろいろな対応をしているところでございます。

 今後の取り組みとしては、出入国管理上のリスクが低く、信頼できると見られる渡航者、トラステッドトラベラー、そんなふうに我々は言っておりますけれども、そういう方に対しての自動化ゲートの対象、これを十一月一日から開始したいと思っております。また、先ほど入管局長からも話がありましたが、関空以外の成田その他の空港にバイオカートを可能な限り早期に導入していきたいと思っております。

 とりあえずは二千万ということにほぼ来たわけでございますけれども、二〇二〇年に向けてこれが四千万ということにもなります。そして、二〇三〇年にはさらに六千万ということでございますので、ほかの各省とも御協力をさせていただきながら、四千万、六千万に向けての円滑な受け入れ体制の整備、こういったものに今後とも取り組んでいきたいと考えております。

門委員 ありがとうございました。

 ぜひ積極的なお取り組みをよろしくお願いいたします。

 次に、人権問題等への対応についてお尋ねをしたいと思います。

 大臣所信の中で、いじめ、インターネットを悪用した名誉毀損、プライバシーの侵害などの人権問題に対応するため、特に人権啓発、調査・救済活動等に取り組む旨を表明されております。また、ヘイトスピーチについても、さきの国会にて成立した法律をもとに具体的な施策に取り組んでいかれるとお伺いをいたしました。

 人権問題、差別についても、インターネットの影響などで差別の形態が変化してきているのではないかと思います。私も提出者の一人ですが、部落差別の解消の推進に関する法律案を目下御審議いただいておりますけれども、部落差別についても、インターネットを使ってさまざまな誹謗中傷がなされており、また、部落地名総鑑なるものを発刊、そしてネット上で販売しようとしている動きもあるようでございます。

 私も、この法律の立法過程でいろいろな方の御意見や知見に触れました。先人のさまざまな努力と取り組みのかいがあって収束に向かっていたいろいろな差別が、インターネットのような表現や伝達の仕方の変化によって逆にぶり返したり、また新しい形の差別が生まれていっているのではないかと心配をしております。

 そこで、特にこのようなインターネットを悪用した新しい人権問題について、副大臣の御懸念、そして対策への意気込みについてお尋ねをさせていただきたいと思います。

盛山副大臣 今御指摘いただきましたとおり、我々、人権局ということで、差別のない社会ということを目指しているわけでございますけれども、インターネットは、情報の発信、情報収集が容易である反面、匿名性ということで、今までとは違う形での人権問題が発生しております。委員御指摘のとおりかと思います。

 そんな中で、インターネット上の人権問題についても、我々法務省として、人権に関する正しい理解を深めるための啓発活動、あるいはプロバイダーなどに対する削除要請、こういった調査や救済活動にこれからも取り組んでいきたいと思っております。

 特に、今、門先生が取り組んでおられる同和の関係の議員立法の関係にもなるわけでございますけれども、特定地域の地名等を同和地区であるとして掲載する復刻全国部落調査というような書籍がインターネットの通販サイトで販売されるといったようなことを我々も承知しております。

 個別の案件に対してはなかなかお答えできないわけでございますけれども、一般論として言いますと、不当な差別的取り扱いを助長、誘発する目的で特定の何らかの情報が出るということは人権擁護上問題であると私たちは考えておりますので、そのような当該情報が出るならば、削除をプロバイダーに要請する、そういったことにこれまでも努めてきたところでございますが、今後とも引き続き、偏見や差別をなくすための啓発活動に取り組んでまいりたいと考えております。

門委員 ありがとうございました。

 もう時間がなくなりましたけれども、あと一問、本当は矯正施設の老朽化対策も質問をさせていただきたかったんです。また次の機会にさせていただきたいと思いますが、矯正施設は、古くなっても、そこに入られている受刑者が署名活動か何かをやって、要望活動なんかできる施設じゃありません。なかなか職員の方からもそのことを訴える機会がないので、ぜひともそこはおもんぱかって、受刑者ですから劣悪な環境でいいということではないということはもう多分ここにいらっしゃる委員の方々は御理解いただいていると思いますので、またその面についても今後御対応いただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

鈴木委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 まず、この場にはいらっしゃいませんが、金田法務大臣、そして井野政務官の御就任、本当におめでとうございます。また、盛山副大臣におかれましては御留任ということで、引き続きよろしくお願いいたします。

 私も、当委員会の与党の理事の一人といたしまして、古川筆頭理事、また逢坂筆頭理事のもと、鈴木委員長をしっかりとお支えして、充実した審議をこの委員会で行ってまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 本日は、大臣所信に対する質疑ということですけれども、ほかの特別委員会の質疑に応対せざるを得ないということで、大臣不在のまま質疑をさせていただくことになります。これは本当に残念ではありますけれども、きょうは、盛山副大臣に、金田大臣に成りかわって、また、その思いを受けて、しっかりと御答弁いただきたいというふうに思います。

 きょうは、大きく三点お伺いしたいと思っております。いずれも大臣所信で出たものに関連する質疑でございます。まず、一点目が司法修習生に対する経済的支援、これが一点目。二点目が再犯防止の最前線にある更生保護施設に対する支援、これが二点目。三点目はヘイトスピーチの解消に向けた取り組みの推進。この大きく三点についてお伺いしたいと思います。

 まず、一点目の、司法修習生に対する経済的支援について伺います。

 本年六月二日に閣議決定されました骨太の方針、この中に、司法修習生に対する経済的支援が盛り込まれました。

 まず、盛山副大臣、これは文言だけで結構です、確認の意味で、骨太の方針に盛り込まれた修習生に対する経済的支援の内容、これについてお答えいただけますでしょうか。

盛山副大臣 本年六月のいわゆる骨太の方針におきまして、「法科大学院に要する経済的・時間的負担の縮減や司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実・強化」云々を推進するとされております。

國重委員 ありがとうございます。

 今副大臣に御答弁いただいたとおり、修習生に対する経済的支援の充実強化を推進する、これが文言として盛り込まれました。

 ただ、政府が出してきた当初の政府案には、修習生に対する経済的支援、これは全く触れられていなかったんですね。それで、政府が同席してでの党内の会合におきまして、こんなのはだめだということで強く訴えまして、それで、これを受けて政府が出してきたのがどうなったかというと、今のものじゃなかったんですね。次に出てきたのが、司法修習生に対する経済的支援のあり方の検討を含む法曹人材の確保云々というようにこれが修正されたわけでございます。

 ただ、これでも、経済的支援のあり方の検討を含むということで、支援の方向性というのがどっちに行くんだということで、極めて曖昧だ、これもだめだということで再度強く主張しまして、今、盛山副大臣におっしゃっていただいた、最終的に、司法修習生に対する経済的支援を含む法曹人材確保の充実強化を推進するというような文言で閣議決定となったわけでございます。

 政治決断として、このように修習生に対する経済的支援の充実強化を推進するとなったことは、私は非常に政治決断として重い意味があると思っております。

 なぜ、修習生に対する経済的支援が重要なのか。これに関しては、先ほど午前の部で、逢坂筆頭理事の方からも種々お話がございました。私も簡潔にお話しさせていただきたいと思いますけれども、お配りした資料一をごらんいただけますでしょうか。

 まず、これを見ていただいて、副大臣、法曹志願者の数というのが年々減っております。激減しております。平成十六年度の志願者数、この志願者数というのは法科大学院に入学願書を出した人の数ですけれども、平成十六年度、これは七万二千八百人。これが、平成二十年度になりまして四万人を割りました。平成二十四年度になりまして二万人を割りました。そして、本年度、平成二十八年度、本年の入試における法科大学院の志願者数、これは八千二百七十八人ということで、ついに一万人を割りました。

 この大きな一因としまして、ロースクールに行くのにもお金がかかる、また、修習専念義務のある修習生に対する、これまで給費制だったものが貸与制に変わった、こういったことで、経済的要因が大きいこととして挙げられます。

 もともと、経済的に裕福な人もそうじゃない人も、多様な人に、いろいろな人に法曹になってもらおう、また、国民に身近な司法を実現させていこうというのが司法制度改革の理念であって、また法曹養成制度の改革の主眼であったはずです。もちろん、改革した結果、いい成果が出た面もこれはあると思います。

 ただ、やはり、司法といっても、その土台となる、もととなるのは人であって、特に法曹三者でございます。改革したがゆえに、法曹への道を経済的事情等によって断念する人が出たり、また、法曹への道を目指すこと、これが希望とか魅力が失われていっているのであれば、当初の目的が阻害されているのであれば、本末転倒であって、これは一体何のための改革なのかということになります。

 司法試験合格者三千名、これを想定して給費制から貸与制に変わったわけでございますけれども、しかし、昨年六月三十日の法曹養成制度改革推進会議の決定では、合格者は三千名じゃなくて、この半分である千五百名程度は合格者を輩出されることを目指すべきであるというふうにうたわれております。現に、ことしの司法試験の合格者は千五百八十三名です。

 当初想定していた前提、立法事実、これが変わっている以上、これに伴って修習生に対する経済的支援を見直していくということも私は当然のことだと思います。

 そこで、このような状況、また、今回の政治決断として、司法修習生に対する経済的支援の充実強化ということが盛り込まれたことを受けまして、修習専念義務のある修習生に対して、何としても、この予算編成の過程の中で、経済的支援の充実強化をなし遂げていただきたいと思いますけれども、盛山副大臣の決意をお伺いいたします。

盛山副大臣 今、國重委員からいろいろ詳しく御説明いただきました。

 私どもとしましても、まずは、ロースクールに対する、法科大学院に対する志望者が十分の一近くに減ってきている、これも大変ゆゆしきことだと思っております。

 なぜ法曹に対する人気がなくなっているのか、その背景には、あるいはいろいろな法曹以外の道の方がひょっとするといいということもあるかもしれませんが、それ以外に、國重委員御指摘のとおり、まずは大学の教育、そしてロースクールで三年間、それでさらにその上で、通る可能性がどうであるかということと、それから司法修習生になってからの専念義務、こういったことでの特に経済的負担が大変大きいのではないかということが背景にあると思います。午前中の当委員会の審議でもいろいろ議論されたところでございます。

 そんな中、先ほど國重委員の方からいろいろ過程についてのお話もありましたけれども、いわゆる骨太の方針、ここのところに、先ほど私が読み上げたような文言にどういうような形で、どういう経過でなったのかということを、國重委員の方から御説明があったところでございます。我々法務省だけでは余り力がなかったところを、國重委員を初めとする与党の先生方のお力によってああいうような文言になったんだと我々は承知しており、その結論を重く受けとめていきたいと思っております。

 現在、予算の折衝中というところでございますけれども、法務省としましては、國重先生初め与党の先生方、あるいはここにおられる野党の先生方、皆さんの御支援をいただきながら、司法修習生に対する経済的支援のあり方につきまして引き続きしっかり検討し、そして結論を出せるようにしていきたい、そんなふうに考えております。

國重委員 今回、新たに法務大臣になられました金田大臣も、主計官としてのキャリアもあるということですので、しっかりと力を合わせて、私どもも応援をしてまいりますので、ぜひ力を合わせてこれをなし遂げてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、二点目、再犯防止の最前線でかなめの役割を担っている更生保護施設に関してお伺いいたします。

 我が国における犯罪の約六割、これは再犯者によるものです。年々この割合は増加しておりまして、再犯防止の強化待ったなしということで、政府におかれても、この対策については今種々講じられているところと承知をしております。

 再犯防止の鍵になる二大ポイント、これは住居と仕事の確保でありますけれども、より重要なのは、やはり生活基盤となる住居、これがなければ安定した職業を得ることもできないということで、やはり一番の肝は住居になってくると思います。

 お配りした資料の二、ごらんいただけますでしょうか。これは本年度の六月八日付の産経新聞の記事でありますけれども、要は何を書いているかといいますと、振り込め詐欺など特殊詐欺の犯行グループのメンバーとして誘い入れるリクルーターというのが暗躍していると。

 「生活費に困る人を巧みに見つけ出しては犯行グループに引き込み、刑務所の出所者も狙うというリクルーター。」ということでリード文で書いておりますけれども、この一番最下段の行のところにも、「リクルーターとみられる六十代の男は、刑務所前で待ち構え、出所してきた男性らに声を掛けて犯行グループに誘い込んでいた。勧誘されたのは五十〜六十代の男性ばかりで、出所した後の生活に悩む人にターゲットを絞っていたとみられる。」ということで、こういった記事からも、いかに帰るべき場所があるのか、帰住先があるのか、ここが再犯防止のためにも重要なんだということがわかると思います。

 続きまして、もう一枚めくっていただいて、資料三、ごらんいただけますでしょうか。これは、平成二十七年版の犯罪白書をもとにつくらせていただいた資料でございます。

 これを見ていただきますと、刑務所を出所する場合に、仮釈放と満期釈放がありますけれども、年間、仮釈放の方が約一万四千人、満期釈放の方が約一万一千人いらっしゃいます。出所後、親とか配偶者等のもとに帰れればいいんですけれども、そういった頼る人がいなくて、帰るべき場所がないという出所者も当然います。こういった方たちを受け入れるオーナー、受け皿となっているのが、国が委託をして民間が運営をしている、この右側にある更生保護施設でございます。

 この更生保護施設の年間の入所者数、ここでも書かせていただいていますけれども、年間約八千四百人の受け入れをしております。そして、この更生保護施設というのは、行き場のない方たちを受け入れて宿泊場所、また食事も提供する。また、それだけではなくて、社会適応できるようにしっかりと支援をして、その再出発を支えております。まさに、行き場のない出所者の住居確保のかなめ中のかなめ、再犯防止の最前線が更生保護施設と言っても過言ではありません。

 適当な帰住先等がない場合というのは、仮釈放できないんですね、満期釈放になります。満期釈放になった場合のうち、書かせていただいております、帰るべき場所がない人というのが年間約五千七百人もいます。さまざま努力をしておりますけれども、今現在でも約五千七百人いるということです。

 そこで、まず、保護局長の畝本局長に伺います。

 帰るべき場所がない出所者を半数以上含む満期釈放者と住居引受人が調整されている仮釈放者の再犯率の違い、また、帰るべき場所がない者の再犯のリスクの高さ、これを示すデータがあればぜひ教えていただきたいと思います。

畝本政府参考人 平成二十六年に出所した受刑者の二年以内の再入率を見ますと、満期釈放者は二七・三%、それに対しまして仮釈放者は一一・八%となっております。

 また、平成二十三年の調査になりますが、出所後三カ月未満で再犯をした者の内訳を見ますと、帰るべき場所のない満期出所者が五一・四%を占めております。この調査時における帰るべき場所のない満期出所者の数は出所者全体の約二三%であることに照らしますと、これらの者は、出所後、短期間で再犯に及ぶリスクが高いことがうかがわれます。

國重委員 ありがとうございます。

 今るる御説明いただきましたけれども、今の答弁からも、いかに再犯防止のために住居を確保することが重要かということがうかがえたと思います。

 では、引き続いて畝本局長にお伺いいたします。

 更生保護施設、これは全国に百三施設ありますけれども、入所可能な、定員に対する実際の入所者数、入所率、収容率、これは何割程度、何%程度なのかお伺いいたします。

畝本政府参考人 平成二十七年度に全国の更生保護施設が受け入れた者の合計数は八千四百三十八人でありまして、平均収容率は七五・三%となっております。

國重委員 そうなんですね。

 この入所率、収容率というのは大体七割五分ぐらい、七五%程度ということで、これはマックスまでは行っていないということです。ここをいかに伸ばしていくかということも極めて重要なことになると思います。

 我が党の中で、再犯防止対策強化プロジェクトチームというのがありまして、私もその一員でありますけれども、それでさまざまな更生保護施設の現場にも行きました、視察にも行きました。また、そういった方から議員会館にお越しいただいてヒアリング等も行いました。その中で、収容率をいかに上げていくのか、この方法、いろいろあると思うんですけれども、私どもが大きく感じた一つとして、やはりマンパワーの不足というのを強く感じたところがございました。

 更生保護施設で働かれている職員の方というのは、これはもう非常に使命感が高い、ある意味自己犠牲の精神で働かれている方もいるように私は受けとめました。定員二十四名、これが標準的な施設でありますけれども、その中で、職員の方、常勤の補導職員の方が四名配置をされている。この四名で、二十四時間三百六十五日対応するということでございます。これは、もう非常に過酷な勤務体制で働いております。

 済みません、ちょっと私、資料を用意していて、それを、つらつらと具体例を言おうと思っていましたけれども、ちょっと今手元に資料がありませんので、記憶の範囲で言います。

 例えば、性犯罪をした人であれば、それをまた犯さないように相当なかかわりをしないといけないとか、また、知的障害がある方、これで、ハローワークに同行して、なかなかそれでも決まらないけれども繰り返し行かないといけないとか、また、門限の時間ですね、ここまでになかなか帰れない方もいて、一晩じゅうずっと起きて待っていないといけないとか、また、暴走族の元特攻隊長とかがいて、指導もなかなか聞かないような方もいて、この指導も大変だとかいうような、処遇をしていくことが難しいようなさまざまな方もいて、その中で、使命感に燃えて頑張っているけれども、非常に過酷な中でやられているのが実態でございます。

 しかも、更生保護施設で働かれている職員の方は平均年齢約六十歳ということで、体力的にも大変なんだと。この中で七五%しか受け入れていないというのか、この状態の中でよくぞ七五%も受け入れていただいているというのか、私は後者の方が大きいんじゃないかなというふうにも思っております。

 私どもが行かせていただいた中で、例えば東京都の文京区のステップ竜岡という更生保護施設に行かせていただきました。

 その中で、いろいろな大変なことも伺いましたけれども、その一方で、七十五歳でこの更生保護施設に入られて、この方というのは、もう人生の大半を刑務所で暮らしている、IQも、数値も具体的に教えていただきましたが、かなり低い方で、知的障害も持っている、出てきたら再犯をして、すぐに刑務所に入っちゃうという人でしたけれども、この方が更生保護施設に入った後にある病気で入院をされまして、職員の方がその病院にお見舞いに行ったんですね。そのお見舞いに行ったことで、その高齢の入所者の方が優しさに触れて非常に感動しまして、涙を流してこれを喜ばれたんですね。

 その後、この更生保護施設から福祉につなげまして、一カ月程度で更生保護施設は出ることになったんですけれども、それ以降も、やはりうれしかったんでしょうね、その方にとっては、人の温かさに触れたということで。それからも毎日その更生保護施設にお礼に来るらしいんです。いつもだったら出所しても一カ月ぐらいで再犯をして刑務所に入っていたけれども、今でも頑張って入所していないということで今やっている例も聞きました。

 適切なタイミングで福祉につなげれば、また居場所を見つければ刑務所に入らなくてもいい方たちがこのようにいます。

 職員の皆さんの使命感、熱意を生かして、更生保護施設という再犯防止の最前線のかなめであるこの施設を最大限生かすためには、やはりマンパワーをしっかりと強化していく、職員数をふやしていくことが重要だというふうに思います。

 そこで、これは私個人じゃなくて、党のPTといたしまして、本年五月三十日に再犯防止対策の強化に関する提言というのを、このときは岩城前法務大臣でありましたけれども、申し入れまして、その中で、「過酷な状況にある更生保護施設職員の負担を軽減し、施設の受入れ機能及び処遇機能を高めるため、職員数を増大させること。」と、更生保護施設の職員体制の強化を、あまたある再犯防止対策の中で真っ先に掲げさせていただきました。

 また、視察させていただいた更生保護施設は築六十年以上たっておりましたけれども、例えば塗装が剥げ落ちたり、古びたトイレとか、また修繕もままならない老朽化した更生保護施設というのは全国に多くあります。入所率一〇〇%を目指すのであれば、地域社会の御理解も得ないといけないですし、居住環境を改善していく必要があります。

 そこで、これも党PTといたしまして、施設運営に必要不可欠な経費については、収容実績にかかわらず定額措置をすることについても訴えさせていただきました。

 そこで、来年度の予算の概算要求の中で、今申し上げた我が党の提言がどのように反映しているのか、まずこれについて盛山副大臣にお伺いいたします。

盛山副大臣 國重委員から大変いいお話を伺わせていただきまして、まことにありがとうございました。

 我々法務省といたしましても、再犯の防止ということを実現するために、特に、帰るべき場所のない刑務所出所者を二〇二〇年までに二千人以上減少させるという数値目標を犯罪対策閣僚会議で決定しているわけですから、これをどうやって達成するかということにおきまして、先ほど来、國重委員が御説明くださいました更生保護施設、ここが大変重要であると我々も考えているところであります。

 公明党のプロジェクトチームからいただいた御提言、これの第一が更生保護施設の職員体制の強化等についてということでございました。

 こういったことも踏まえまして、我々は、更生保護施設関係の平成二十九年度予算、この主な要求事項について、施設運営費の定額支弁ということで、二十八年度比一億一千五百万円ふやした定額支弁についての要求をしております。それから、補導職員の増員ということで、二十八年度比二億三千六百万円ふやした予算要求もしているところでございまして、定額支弁そして補導職員の増員、こういったことを少しでも充実させていきたい、そんなふうに考えております。

國重委員 概算要求にどのように反映されたのか、また、それを踏まえて、ぜひこれを現実のものとしていただきたいということで、その決意を含めてお話をいただいたかと思います。

 きょうは金田法務大臣がいらっしゃいませんけれども、これはもう政務一体となっての答弁だというふうに私は思っておりますので、ぜひこれを現実のものとしてやっていただきたい。

 こういったことをすれば、一見ここでお金を使っているようであったとしても、トータルで大局的に見た場合は、やはり日本の財政というのもよくなるものだと思います。ある研究者の資料を読みますと、刑務所に入れば、年間当たり一人の収容者について三百万ぐらいかかっているというようなこともございました。しっかりとこういうところに手を打っていくことが大事だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 大きな三点目の質問に参ります。

 ヘイトスピーチ対策についてお伺いいたします。

 このヘイトスピーチの問題につきましては、盛山副大臣よく御存じのとおり、本年五月二十四日、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律が成立して、六月三日から施行されました。私も、党のPTの事務局長として、これについては、実態調査また法案の成立に向けて汗を流してきたところでございます。

 今回の法律、さまざま憲法が保障する表現の自由との兼ね合い等もありまして、でも、その中で、これは理念法ではありますけれども、不当な差別的言動が許されないんだということを明確に宣言した法律でございます。

 そのことによって、この法律施行後、川崎市で計画されていたデモについて、市が公園の使用を不許可とする判断をいたしました。また裁判所も、これは一定の場所でありますけれども、デモを禁止する仮処分決定を出しました。その後も、市内の別の場所で計画されたヘイトデモ、これについて、これは市でも裁判所でもありませんけれども、市民の抗議によって、この理念法というのは、国民の力によってなくしていくんだというのが根底に流れる精神ですけれども、市民の抗議によって中止を余儀なくされました。法律が成立され施行されて、効果が早くもあらわれつつあるものと思います。

 また、法務省においても、関係省庁、また関係地方公共団体、地方自治体が参加した専門部会を開催しまして、こういった取り組みを既に実施して、今後もやっていくというふうに聞いております。

 ただ、この法律ができても、まだヘイトデモというのはなくなっていない、さまざまな課題があることも事実です。その課題の一つを言いますと、法務省の人権擁護機関の組織、人的体制、これは十分とは言えません。これはマンパワーをしっかりしないと対応できないということで、多分一生懸命やられていると思うんですね、私も何度もやりとりしていますけれども、でもやはりマンパワーが足りないというところがありますので、これはしっかりと整備していく必要がある。

 そのような観点から、我が党のヘイトスピーチ問題対策プロジェクトチームで、本年五月三十日に、法務省の人権擁護機関の組織、人的体制の充実強化等を求める要望書を菅官房長官と岩城前法務大臣に提出させていただきました。

 この要望が来年度の概算要求にどのように反映されているのか、また、この実現を含めたヘイトスピーチの解消に向けた取り組みの推進、これに対する盛山副大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わります。

盛山副大臣 國重委員のおっしゃったとおりでございまして、プログラム法案ということだったかもしれませんが、理念法ということだったかもしれませんが、ヘイトスピーチの議員立法ができてこれだけ大きく世の中は変わってきたのか、私自身、そんなふうに強く感じているところでございます。

 ところで、御指摘の、我々法務省での組織、人的体制の整備ということでございます。先ほどの更生保護施設もそうでございますし、この人権に関しましても、我々法務省、お金の予算そして体制ともに不十分であるというのは御指摘のとおりでございます。

 委員の御指摘も踏まえまして、法務局、地方法務局、人権擁護局、本省を合わせまして合計三十名の増員の要求を行っているところでございます。

 今後とも、必要とされるお金、あるいは組織、人的体制、こういった整備にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 再び信州長野の井出庸生です。

 午後は気分を変えまして、一新しまして、午前中に少しほかの先生方と議論のあった選択的夫婦別姓、特に旧姓使用のことについて伺いたいと思います。

 まず大臣に少しお考えを伺いたいんですが、選択的夫婦別姓は、法制審の答申はありながらもさまざまな議論があるというのは、午前中お話があったとおりです。

 その一方で、旧姓使用、日本の場合、その多くは女性が旧姓使用の対象であると思うんですけれども、その趣旨は、選択的夫婦別姓の法制度であろうとも、選択的とついているぐらいですから選択の自由を法制度で認めようというもの。法制度に今は至っていないんですけれども、旧姓の使用というものは法制度じゃないんだけれども、さはさりながら、結婚された方の意思を尊重できる選択の自由ができるようにしようと。

 個々人の選択の自由を尊重するという趣旨が旧姓使用そして夫婦別姓法制化の声の根底に共通意識としてあると私は思っているんですけれども、その辺は共感をしていただけるかどうか。まず、ちょっとそこを伺いたいと思います。

金田国務大臣 ただいま委員の方から選択的夫婦別氏制度の導入についてのお話があったわけですけれども、私としましては、この問題については、やはり国民的な議論の動向を踏まえながら慎重に対応していく必要があると認識をする次第であります。

 と申し上げるのは、やはり、単に氏の選択にとどまらず、夫婦の間に生まれてくる子供の、子の氏の問題を含めて、我が国の家族のあり方に深くかかわる問題である、そしてまた国民の間にさまざまな意見があるということを踏まえまして、慎重に対応する必要があるという認識を持っております。

井出委員 慎重対応は私もおっしゃるとおりかなと思うんですが、それを法制化しようという声、私などもそうですけれども、その一方で現状として旧姓使用を認めようというあり方、その根底には、結婚された方がどちらの氏を名乗るかということのやはり選択の自由を与えようという、その趣旨については両方ともそうだ、そんなようなお考えを共感していただけるか、そこのところだけお願いします。

金田国務大臣 私がちょっとお聞きしておりますのは、選択的な夫婦の別氏制度に対する世論調査みたいなものがございます。そういう中ではやはり賛成と反対が全く拮抗しているような数字をお聞きしている面もあるもので、そういうふうに両方のお立場にそれぞれの、これを進めたい、あるいは、もっと慎重にとかいう、そういう御意見の背景があるのではないかなというふうに感じるわけでありまして、委員御指摘の思いというのはわかるつもりもあります。もあります。

井出委員 もありますということで、私も、別にきょうの十五分で法制化してくれ、しなさいというわけではないので、議論を進めていきたいと思うんです。

 きょうのお配りした資料の一番最後のところにつけさせていただいているんですが、旧姓の使用をめぐった裁判がありまして、学校の先生、女性の方が結婚をされて旧姓を名乗り続けたい、ただ、それは学校側からいかぬと言われて、裁判をした結果、学校側が戸籍名の氏をその女性に名乗らせる、旧姓使用を認めないことに合理性、必要性があるという理由だということで、このきょう持ってきた毎日新聞は「実情を理解しない判決」だと厳しく批判をしている。同じもので、日本経済新聞もこの判決について「旧姓使用認めぬ判決への疑問」という記事。割合批判的な記事が多かったかなと思っているんです。

 判決の是非はきょうは議論をしないんですが、毎日新聞で「実情を理解しない」ということがありまして、果たしてその実情とは何なのかなと。私も最初この判決に接したときは、毎日新聞や日経新聞のように、あれ、とかと批判的に思ったんですが、でも、よくよく考えてみると、その実情を理解していないんじゃないかなと。旧姓使用が一体どの程度浸透しているのか、その趣旨が伝わっているのか、その実情を少し解いてみたいと思いまして、きょう伺うんです。

 まず、そもそも国は、旧姓使用を平成十三年七月十一日の「国の行政機関での職員の旧姓使用について」の申し合わせで認めている。ですから、国家公務員は認められている。そこで、法務関係ということでお聞きをするんですけれども、裁判官、裁判所職員の方は旧姓の使用というものが認められるかどうか、教えてください。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所におきましても、行政府省と同様に、男女共同参画社会の実現に向けての社会情勢の動き等に鑑みまして、平成十三年の十月から、職場での呼称や一定の文書等につきまして旧姓使用を認めてきております。

 その後、順次、旧姓使用が認められる文書の範囲を拡大してきているところでございます。

井出委員 認められる範囲が、恐らく職場での呼称ですとか座席表ですとか出勤簿とか、多分国家公務員と似たようなつくりかなと思いますが、だんだん広がってきている。

 旧姓を使っている裁判官についてお尋ねするんですけれども、その裁判官が判決文を起草したりするときは、旧姓使用は認められていますか。

堀田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官について、判決等でございますが、判決、令状等、国民の権利義務に重大な影響を及ぼすそういった裁判書等、あるいはそれに関連する裁判関係の文書につきましては、作成者の作成権限を明確にして、当事者に混乱が生じることなどを避けるといった意味から、旧姓使用の対象としておりません。

井出委員 少し大臣にも考えていただきたいんですが、旧姓使用をしている裁判官が、判決文、その裁判官の仕事の結晶、象徴、そこで旧姓が使えない。今、理由はおっしゃっていただいたとおりなんですが、果たしてこれで旧姓使用を認めていると裁判所は言えるのか。

 また、国家公務員も法務省もそうだと思うんですけれども、恐らく、職場での呼称ですとか出勤簿、休暇届、電話番号表とか、そういう幾つかのところに限定をされていて、本来、ここぞというときに国家公務員も職務上その身分を明らかにしなければいけないから、そこは旧姓使用だめ、そういうものがあるとするならば、これは旧姓使用を認めているとそもそも言えるのかなと。このことを、この裁判所の事例というものは我々にストレートに問いかけていると思うんですけれども。

 旧姓使用というものは、これまで法務省も進めてきていると思うんですよ、広がってきているというようなお話もかつて話をされていると思うんですけれども、果たして、それはそのとおり受け取っていいのかというところの疑問なんですが、それについての見解をいただきたいと思います。

金田国務大臣 裁判官のお話もございましたが、それは所管外でございまして、コメントを差し控えます。

 法務省としましては、確かに御指摘のように、職員による旧姓使用については、平成十三年七月、各省庁間で申し合わせがなされたことを受けて、平成十三年九月に官房長通知を発出して、その十三年の十月から、職員が、職場での呼称や文書等において、戸籍上の氏にかえて旧姓を使用することを認めてきたところであります。

 そしてまた、法務省としては、これまでに、商業登記簿における旧姓の併記を可能とするという措置も講じてきております。

井出委員 旧姓使用を公務員に認めているということで、私も広がっているなという認識でいたんですけれども、例えば、今の裁判官の話というのは、テレビのキャスターは、取材とかそういう社内のことは旧姓を使用して、ではテレビでしゃべるときだけ本人確認をきちっとしなきゃいけないから戸籍名で出てくれというような、旧姓使用を認めていると言いつつ、ちょっとその実態というものはかけ離れているんじゃないかなという疑問を今持っております。

 さきに述べました平成十三年に国家公務員に出された通達なんですけれども、これについて総務省に伺いたいんですが、これは、地方の公務員さん、学校の先生とか警察とかそういう地方の公務員さんにも何か準用されるような考え方でいいのか、もしくは、これを地方でもやってくれというような通知が行っているのかどうか、総務省に伺いたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方公共団体における職員の旧姓使用につきましては、平成十三年七月、国において旧姓使用に関する各省庁の申し合わせがなされたことを受けて、総務省から各地方公共団体に対し、この申し合わせを参考にして旧姓使用にお取り組みいただくように要請をしているところでございます。

 以上でございます。

井出委員 今、要請をしているというところの声が少し小さかったようなんですが、要請をしているという答弁をいただきました。ただ、その実態はどうかというと、これは結構大変なんですよ。やはり職務上認められないというところもありますし。

 私の地元は十七市町村あって、人口十五万人の市もあれば人口一千人の村もありまして、その調査結果というものを次回お示ししたいと思うんですが、この判決は、旧姓使用がそこまで広がっているとは言えないと。その結論の導き方に私は大きな疑問も持っているんですけれども、ただ、きょうお話しした観点からすると、旧姓使用がそこまで広がっているとは言えないという観点の検証が必要なのではないかなと。

 ここまでやって時間になりましたので、続きは金曜日にまたお願いしたいと思います。

 終わります。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、法務委員会では初めて質問をさせていただきます。充実した質疑に向けまして、大臣にも真摯な御答弁をお願いしたいと思います。

 私は、きょうは、いわゆる共謀罪について、先ほども質疑がありましたけれども、お聞きをしたいと思います。

 共謀罪は、二〇〇三年、二〇〇四年、二〇〇五年、三回にわたって国会に提出されて、いずれも強い反対の世論と運動が起こりまして、廃案となりました。それはやはり、この共謀罪が、法益侵害の危険性のある具体的な行為を処罰するという近代刑事法の大原則、これを根本的に覆す、そして思想、良心の自由の処罰につながっていく、そういう危険性を持っているからだというふうに思います。

 そこで、刑事法の基本原則をちょっと確認したいんですけれども、刑罰の対象、刑罰というやはり重いものの対象というのは、人の生命、身体、財産を侵害する行為に限られる、これが近代刑事法の大原則だというふうに思います。さらに、もう少し詳しく言えば、一つの角度としては、内心でいかに悪いことを考えていても処罰の対象にはならない、やはり外部に客観的に行為としてあらわれて初めて刑罰の対象となる、こういう側面と、さらにもう一つは、外部に客観的に行為があらわれたとしても、法益侵害ないしその可能性、それがなければ処罰の対象にはしない、こういう原則であります。

 だからこそ、日本の刑法は、既遂というものを原則として処罰の対象として、未遂については限定的に、そして予備などについてはさらに限定的に規定をしているということになります。

 大臣にお聞きしたいんですが、例外については後で聞きますけれども、大原則として、この近代の刑事法、行為主義というのが大原則だ、そういう認識でよろしいでしょうか。

金田国務大臣 委員のただいまの御指摘に対しましてお答えをいたします。

 我が国の刑事法においては、行為が犯罪として規定されている。その意味におきまして、行為の存在が犯罪の前提とされておりまして、行為を伴わない思想が処罰の対象とされることはないものと承知をしております。

藤野委員 つまり、行為主義というのが大原則だということでよろしいですか。ちょっと確認で、もう一回お願いします。

金田国務大臣 そのように考えております。

藤野委員 共謀罪といいますのはこの行為主義に根本的に反してくると私は考えております。

 第一に、先ほどおっしゃいましたように、思想信条あるいは内心、これを、限りなく処罰に近づいていくということが問題になります。具体的な行為にあらわれる前の段階で処罰の対象にしようということが一般的になるわけですから、そうなると、やはり、その人が何をしたかではなくて、何を話したかとか、どういう団体に所属しているかとか、そういうことが端緒になってくるわけで、これは、限りなくその本人の内心や思想信条に近いところまで踏み込まざるを得なくなってくるという問題であります。

 そして、私は先ほど、法益侵害ということ、あるいはその危険性ということを言いましたけれども、既遂でも未遂でもない、予備でもない、さらにその前の段階ということになるわけですし、共犯者の実行の着手がなくても、いわゆる共謀が成立すればもうそれは処罰の対象になってしまうということで、かなり広いわけですね。

 日本は、判例上、これは争いはありますけれども、共謀共同正犯という類型がかなり広く認められている国でありますけれども、これでも共犯者の実行の着手が大前提になるわけですが、ここでも、共謀罪ならばこの着手すら要らなくなってくるということで、本当に無限定。

 しかも、共謀が成立した途端に既遂になってしまいますから、前の日の夜に、何かいろいろな犯罪で共謀して一応成立した、けれども、一日、夜考えて、やはりやめておこうと、みんなで、着手には至らないことになった。法益侵害を全くしていないわけですが、このときも共謀罪としてはもう成立している。そういう意味では、これはもう本当に大変なことになってくる。

 現行法にも、例外的に共謀罪、予備罪というのがあるわけですけれども、それはあくまで極めて例外なわけですね。共謀罪というそれとは別に、一般的に共謀罪というものを新設していくとなりますと、これはもう行為主義と根本的に矛盾してくるというふうに言わざるを得ないと思います。

 一般的にはというか普通の用語というか、法律の話になりますと、罪という言葉がついていますので、共謀罪というと、何か、そういう罪が一つできるだけなのかなとか、あるいは、何とか処罰法という、ある特別の法律が一個できるだけなのかな、こう感じられる方もいるかもしれないんですが、とてもじゃなくて、そんなことじゃなくて、行為主義という大原則を、刑法を変えずに変えてしまうことになるわけで、これは到底認められないというふうに思うんですね。

 そこで、これをもうちょっと詳しくといいますか、別の角度からお聞きしたいんですが、行為主義というのは、ある意味世界で共通する原則であります。しかし、とりわけ日本の刑事法にとって特に重い意味があるのではないかと私は考えております。

 大臣にお聞きしたいんですが、日本国憲法というのは、思想、良心の自由というのを十九条で規定しております。欧米の、ほかの国の憲法を見てみますと、信仰の自由とか表現の自由、結社の自由、こういうのはあるわけですが、思想、良心というものを明記してわざわざ保護している憲法は少ないというふうに私は認識しておりますが、なぜ日本国憲法は思想、良心の自由を特別に保障しているのか、大臣、どのように御認識でしょうか。

金田国務大臣 思想、良心の自由の保障ということの御指摘であります。

 思想、良心の自由及びその適正手続の保障というのは、いずれも憲法上保障された重要な基本的人権であるというふうに考えております。人の内心における精神活動の自由であるというふうに説明がなされているものと承知をしております。

井野大臣政務官 ちょっと補足というか。

 十九条、憲法上、思想、良心の自由、これは絶対的に保障されています。これは、そもそも論として、内心の自由である限りは他者との権利侵害等衝突がないという前提でございますので、その限りにおいては絶対的に保障される。

 その上で、先ほど来、階先生、藤野委員の方からいろいろな、共謀罪について、内心を処罰するおそれがあるんじゃないかという御指摘がありますけれども、そもそも、我々はまだ成案もない状況なので、藤野先生がおっしゃっているその共謀罪というものが、認識が多分ずれているというか、我々が考えているものと藤野先生が考えているものと何となく全く違うんじゃないのかなと思うところでありますので、それを前提に我々は答弁はしにくいのかなというふうに思っております。

藤野委員 私が今聞きましたのは、共謀罪じゃなくて、憲法十九条の解釈なんですね。

 大臣は内心の自由とおっしゃいましたが、それは世界共通であります、ある意味。しかし、日本国憲法が、ほかの国の憲法にない思想、良心の自由をわざわざ規定している。

 これは多数説でいいますと、例えば芦部信喜先生の本などによりますと、これはやはり、「わが国では、明治憲法下において、治安維持法の運用にみられるように、特定の思想を反国家的なものとして弾圧するという、内心の自由そのものが侵害される事例が少なくなかった。」、このことに鑑みてわざわざ「とくに保障した」というふうに規定しているわけですね。

 大臣、やはり、一般論ではなくて、日本独自の、そういう戦前の痛苦の教訓を踏まえて日本国憲法がこの十九条で保障している、こういう認識でよろしいですか、大臣。

金田国務大臣 ただいまの御指摘につきましては、解説書等では、明治憲法においては思想、良心の自由を特別に保障した規定は存在しなかったけれども、特定の思想信条に対して弾圧が加えられるなどしたことを踏まえて、日本国憲法においてはその保障が明示的に規定されたと説明されておるところであります。そのように私は承知をしております。

藤野委員 これは、解説書じゃなくて、やはり大臣にそういう認識を持っていただきたいわけです。

 では、もう一個聞きますけれども、同じ日本国憲法十八条で人身の自由、そして三十一条から四十条で刑事手続上の人権を細かく規定しております。これも世界ではまれなんですが、これもやはり戦前の、まさに人権がじゅうりんされたその経験に基づくものだ、大臣、そういう認識でよろしいですか。

金田国務大臣 ただいまの三十一条の適正手続の保障、そういったものは、法律の定める手続によらなければ刑罰を科せられることはないというものでありまして、法律で定められた手続が適正でなければならないことのみならず、法律で定められた刑罰の内容も適正でなければならないことを意味していると解されている、このように承知をしております。

藤野委員 いや、ですから、中身まで適正でなければならないというのは、まさに戦前の教訓なんですね。手続だけ踏めばいいというんじゃなくて、まさに人権を保障する中身でないといけない。それが戦前の教訓に基づくから、わざわざ憲法はこれだけ詳細なものを規定している。

 衆議院の憲法調査会、二〇〇四年五月二十七日に参考人として出席いただいた田口守一さん、早稲田大学法学部教授ですけれども、このようにおっしゃっています。「日本の憲法は三十一条から四十条まで十カ条にわたって刑事手続の規定を設けている。およそ百カ条の憲法規範のうちの一割を占めているということになりまして、比較法的に見てもかなり珍しい、恐らくほかにはないのではないかというような仕組みになっているかと思います。日本国憲法というのは刑事手続規範を非常に重視している」「このように、人権規定が憲法の一割を占めるということをどう見るか、こういうのが根本問題としてあるかと思います。」こうおっしゃっております。

 まさに根本問題としてあるというふうに私も思うんですね。

 戦前は、特高警察などによって人権侵害の捜査、逮捕、拷問が横行しました。プロレタリア作家の小林多喜二、あるいは、私は北陸信越ブロック選出なんですが、そのうちの県の一つである長野県の諏訪地域、ここの出身の伊藤千代子という若い女性も、逮捕され、拷問され、死に至る、二十四歳で死に至るという事件も起きております。ですから、そういう戦前の教訓からこういう規定を設けているわけです。

 つまり、日本国憲法の立場からすれば、まさに、行為主義、思想や信条、良心というのを弾圧した歴史から学んでつくられた憲法、この憲法を持つ日本として、行為主義というのは特別に厳格に解釈しなければならないのではないかと思うわけですが、大臣、いかがでしょうか。

金田国務大臣 法務大臣としてお答えするに当たりましては、憲法の個々の条文の成り立ち等につきましては、やはり意見を差し控えさせていただきたいと思います。

藤野委員 いや、私は個々の成り立ちなんて聞いておりません。成り立ちはもうはっきりしているんです。

 そのもとで、その憲法の立場からして、行為主義という、これはほかの、一般の、世界のいろいろな国よりも、日本の場合はとりわけ厳格に解釈しないといけないんじゃないですか、こういうことなんです。大臣、もう一度お願いします。

金田国務大臣 我が国の刑事法におきましては行為が犯罪として規定されているのは申し上げたとおりでありますし、その意味において、行為の存在が犯罪の前提とされており、行為を伴わない思想が処罰の対象とされることはないものと承知をしております。

藤野委員 私の質問はそういうことではなくて、その今おっしゃったことを厳格に解釈しないといけないんじゃないのかということです。もう一度お願いします。

井野大臣政務官 当然、さっきの憲法三十一条、デュー・プロセス・オブ・ローという、手続保障の原則は、私が勉強している限りでは、どの国の憲法にも共通する部分だというふうに理解をしています。

 ましてや、基本的人権の保障というものが憲法上多々列挙されておりますので、三十一条だけが上位にあるというふうな認識では我々はなくて、全ての人権保障は平等で、全てが大事だというふうに考えております。

藤野委員 全く質問の趣旨をわかっていただいていないと思いました。

 ちょっと時間もあれなので先に進みますけれども、行為主義というのを厳格にやらないとどうなるか、穴をあけてしまうとどうなるかというのを具体例で見たいと思うんですね。

 戦前の治安維持法、これには、第二条で実行協議罪というものが規定をされておりました。共謀と似ているんです。協議なんですね、協議を罰する、こういう規定があったわけです。

 この法律が対象とする団体について制定当時の政府は何と説明していたかというのを、配付資料一でお配りをさせていただいております。治安維持法は、一九二五年、第五十回帝国議会に上程されたわけですが、そのときの若槻礼次郎内務大臣の答弁であります。

 ちょっとこの資料は読みにくいと思うので、読ませていただきますが、

 世間ニハ此法律案ガ労働運動ヲ禁止スルガ為ニ出来テ居ルヤウニ誤解シテ居ル者ガアルヤウデアリマス、此法律ガ制定サレマスト、労働者ガ労働運動ヲスルニ付テ、何等カ拘束ヲ受ケルト云フヤウニ信ジテ居ル者ガアルヤウデアリマス、斯ノ如キハ甚シキ誤解デアリマス、労働者ガ自己ノ地位ヲ向上セシメルガ為ニ労働運動ヲスルコトハ何等差支ナイノミナラズ、私共今日局ニ当ッテ殊ニ内務省ハ其所管ノ省デアリマスガ、左様ナ事ニ向ッテハ何等拘束ヲ加ヘルト云フ考ヲ持タヌノデアリマス、唯々此問題ハ前ニ申上ゲル如ク無政府主義、共産主義ヲ実行セントシテハイケヌト云フ取締法デアリマス、労働者ニシテ無政府主義ヲ唱フルニ非ズ、共産主義ヲ唱フルニ非ザレバ、彼等ガ労働運動ヲスル上ニ於テ此法律案ニ何ノ拘束モ与ヘルモノデナイノデアリマス 此事ハ世ノ中ニ誤解ガアルヤウデアリマスカラ、星島君ノ御質問中ニハアリマセヌケレドモ、此際之ヲ述ベテ本案ノ趣旨ヲ明瞭ニ致シテ置キタイト思ヒマス

こういう答弁なんですね。

 つまり、政府は、治安維持法が労働運動には関係ない関係ないということを明言というか、繰り返し答弁している。レッテル張りしないでくれとよく言われていますけれども、それに似ているわけですね。

 しかし、実際はどうだったか。実際は、労働運動、宗教団体、自由主義の団体、もうあらゆる団体が、政府批判をしたら全て弾圧の対象になった。この協議罪に限って言っても、例えば、学内で学生運動の方針を協議した行為とか、社会科学研究員の研究だとか、いろいろな新聞の読者をどうやって獲得するかとか、そういうものを協議した行為が処罰対象になっているわけですね。

 大臣、こういう歴史的経過を見ますと、一たび行為主義の原則を逸脱する法律をつくれば、これはやはり際限なく拡大解釈されて、人権がじゅうりんされる、これが歴史の教訓じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

金田国務大臣 治安維持法については申し上げる立場にはございません。

 が、一般論として申し上げますと、法案を提出するに当たりまして、日本国憲法が保障する、思想信条の自由、適正手続の保障といった基本的人権を不当に制約することがないものとすることは当然のことである、このように考えております。

藤野委員 やはり、こういう憲法の趣旨や実際の歴史から学んでいくことが必要だ。ですから、共謀罪という法案を、まだ今から質疑するわけですが、検討中と言いますけれども、検討すること自体がやはり問題だ、それも今から見ていきたいと思います。

 今、政府は、この共謀罪を新設しようとしております。配付資料の二、先ほども配付された資料でありますけれども、朝日新聞の八月二十六日付。共謀罪を新設する法案を九月に召集される臨時国会での提出を検討していると。この臨時国会ですね、この臨時国会に提出するんだという報道であります。

 大臣は、先ほど、階委員の質疑に対して、現時点で成案を得ていないとおっしゃいました。ただ、一方で、報道を見ておりますと、九月二日に自民党の二階幹事長は、TBSの番組で、まさに、この法案について、臨時国会に提出するかと聞かれて、準備が整えばそういうことだと思うということで、できるなら早く結果を出した方がいいというような発言をされておりまして、ですから、この臨時国会に向けてという話なんですね。

 それで、自民党の幹事長がここまでおっしゃっているということで、もう出せるぐらいの成案があるのではないかというふうに思うんですが、大臣、成案について、もう一度お答えください。

金田国務大臣 ただいま御指摘ございました、御発言の中の二階幹事長の発言については、私としては差し控えさせていただきたい。

 そして、国際組織犯罪防止条約締結のための法案ということについては、そのあり方を慎重に検討しているところでありまして、政府としては成案を得ているものではないということを御理解いただきたいと思います。

藤野委員 これにつきましては、そもそも、先ほども指摘がありましたけれども、参議院選挙のときは、共謀罪について全く自民党の公約には触れられていないわけですね。「治安・テロ対策」として、国内の法制のあり方について検討を不断に進めと書いてあるだけでありまして、それが、参議院選挙が終わったら途端に、臨時国会という話が幹事長の口から出てくる。

 これはやはり、金田大臣も、記者会見等で法整備の必要性について国民の皆様の十分な御理解が得られるように努めていくと繰り返されているわけですが、これで、全く選挙のときにしゃべらずに、国民の皆様の十分な御理解、到底これは得られないと思うんですね。選挙が終わったら、だまし討ち的に法案を出そうということは許されない。

 これは委員長にお願いしたいんですが、やはり、こういう重大な法案が政府内で検討されている、私、レクでお聞きしましたら、法務省案と外務省案があって、それぞれ協議をしているという話でした。一部、検討資料とされているペーパーも、そういう意味では出回っております。その意味で、やはりこれは審議していく上で極めて重要な資料ですので、提出を求めるよう、お取り計らいを求めたいというふうに思います。

鈴木委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたします。

藤野委員 この法案がまだできていないというもとで、検討中、検討中ということで、はっきり言って、議論が深まっていかないと思うんです。

 先ほど条約とおっしゃいました。政府は、共謀罪を新設する理由として、国際組織犯罪防止条約というのがあって、その担保法が必要なんだ、こう繰り返されるわけですが、しかし、同条約の趣旨に照らせば、私は、共謀罪の新設は必要ないというふうに思うんですね。

 同条約三十四条一項について、「締約国は、この条約に定める義務の履行を確保するため、自国の国内法の基本原則に従って、必要な措置をとる。」と規定していますが、外務省にお聞きします。ここに言う「自国の国内法の基本原則」というのは何でしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 「自国の国内法の基本原則」とは、各締約国の国内法制におきまして容易に変更することのできない根本的な法的原則を指すものだと解しております。

 本条約に定めます義務を実施するに当たっては、かかる根本的な法的原則に反しない限りにおいてこれを行うことを定めたものであると理解をしております。

 我が国の場合は、適正手続の保障あるいは罪刑法定主義等がこれに当たるものと考えております。

藤野委員 ですから、条約も、適正手続だとか罪刑法定主義、そういう根本的な法的原則については国内法が優先するというふうに言っているわけですね。さきに見たように、行為主義と全く相入れないというのが共謀罪であります。

 かつて、日本政府も、この条約の初期の交渉では、全ての重大犯罪の共謀と準備行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しないと主張されていたわけで、私は、このかつての主張の立場に政府は立ち返るべきだというふうに思うんですね。日弁連も自由法曹団も、条約締結に共謀罪の新設は必要ないんだ、条約を締結すればいいじゃないかというふうに主張しております。

 これもちょっと外務省に確認したいんですが、国連が各国の国内起草者向けに作成した立法ガイドというのがあります。これは、条約の締結や実施に当たって各国が参考にするようにつくられたものでありますが、例えばその四十三パラグラフには、国内法の起草者は、単に条約文を翻訳したり、条約の文言を一字一句、逐語的に新しい法律案や法改正案に盛り込むよう企図するよりも、むしろ条約の意味と精神に主眼を置くべきである、法的な防御や他の法律の原則を含め、新しい犯罪の創設及び実施は各締約国に委ねられている、したがって国内法の起草者は新しい法が国内の法的な伝統、原則及び基本法と合致するものとなることを確保しなければならない、こういう趣旨だと思うんですが、外務省、間違いないですか。

水嶋政府参考人 今委員の御指摘のありました立法ガイドでございますが、これは二〇〇四年に国連の薬物犯罪事務所、UNODCが作成をいたしたものでございます。

 今御指摘のございましたパラグラフ四十三でございますが、これは、本条約に従って定められる犯罪につきまして、国内法において具体的にどのように規定をするのか、ほかの国内法の規定等との整合性に配慮しながら締約国の国内法により定められることなどを説明するものだというふうに理解をしております。

藤野委員 ですから、そういう意味で、先ほどの三十四条一項と同じ趣旨なんですね、国内法を優先する。基本原則にのっとっていれば。

 その上で、同じガイドの五十一パラグラフ、何と書いてあるか。ちょっと長くなるので、最後の部分だけ読みますけれども、第五条1(a)(1)及び(a)(2)の二つの選択的なオプションは、このように、共謀の法律を有する諸国もあれば、犯罪の結社の法律を有する諸国もあるという事実を反映するために設けられたものである、これらのオプションには、関連する法的な概念を持たない国が共謀罪及び結社罪のいずれの制度も導入することなしに組織犯罪集団に対して有効な措置を講ずることを認める余地がある。

 要するに、共謀罪及び結社罪のいずれの制度も導入することなしに組織犯罪集団に対して有効な措置を講ずることを認める余地がある、こういう趣旨のパラグラフだと思いますが、間違いありませんか。

水嶋政府参考人 御指摘のパラグラフ五十一でございますが、この記載は、少なくとも、共謀罪または参加罪のいずれかを犯罪とすることを明確に義務づけております第五条1(a)の規定を前提として、共謀罪に関連する法的概念を有していない国が参加罪を選択した場合には、ほかのオプションである共謀罪を導入する必要はない、また、参加罪に関連する法的概念を有していない国が共謀罪を選択した場合に、ほかのオプションである参加罪を導入する必要はないということを明示的に確認したものにすぎないと理解をしております。

 念のため、このガイドを作成しましたUNODCに対して、趣旨につき確認をいたしましたところ、UNODCからは、このパラグラフは共謀罪及び参加罪の双方とも必要でないということを意味するものではないというふうな回答を得てございます。

藤野委員 ですから、今のはその解釈を聞いたわけじゃないんです、五十一パラグラフに何と書いてあるかを私は聞いたわけです。

 そこには明確に、いずれの制度も導入することなしに有効な措置を講ずることを認める余地があると書いてあるわけですね。その当てはめを何か今おっしゃいましたけれども、それをずっとこの間も言ってきているわけですが、しかし、五十一パラグラフ自身で、要するに国連の立法ガイドがそういう余地を認めている。

 先ほど五条の話もありました。本体である五条でも、「必要な立法その他の措置」とあるわけですね。

 ですから、これは大臣、先ほど検討ということもおっしゃいましたけれども、何か、二つしかないみたいなことではなくて、その他の措置あるいは有効な措置というものを考えていく。つまり、条約は共謀罪の新設を不可欠なものとしていないというのが私は大変重要なところだというふうに思います。

 実際のところもお聞きしたいんですが、先ほど大臣は百八十七カ国とおっしゃいました。この百八十七カ国のうち、条約の締結を受けて、その後共謀罪を新設した国というのはどれぐらいあるんでしょうか。

水嶋政府参考人 政府としては必ずしも網羅的に把握をしているわけではございませんけれども、本条約を締結するに当たりまして、いわゆる共謀罪に関して新たに国内法を整備した国としましては、ノルウェーあるいはブルガリアがあると承知をしております。

藤野委員 ですから、百八十七やったというとえらくたくさんに聞こえるんですが、わずか二つだけなんですね、共謀罪を新設したのは。だから、ほかは全部、締結しているんだけれども、そういうのをつくっていないわけで、ですから、日本だって共謀罪をつくらずにこの条約を締結したらいいんですよ、直ちに。そして、いろいろな措置を具体化していけばいい。

 まさにこの実例こそが、わざわざ共謀罪をつくらなくてもこの条約は締結できるということを示しているというふうに思いますけれども、大臣、いかがですか。

金田国務大臣 ただいま御指摘ありました条約の解釈については、本来外務省が所管する事項ではございますけれども、国際組織犯罪防止条約を締結するためには、同条約の第五条に従って、重大な犯罪を行うことを一または二以上の者と合意すること、組織的な犯罪集団の目的及び一般的な犯罪活動または特定の犯罪を行う意図を認識しながら組織的な犯罪集団の活動等に積極的に参加する個人の行為の一方または双方を犯罪化することが必要であると認識をしております。

藤野委員 解釈の話じゃなくて、百八十七とおっしゃったけれども、実際に二カ国しかつくっていない。しかも、もう一つ紹介しますと、例えばセントクリストファーネービスというのは、越境性と言われる、日本が要らないんだと言っている要件をつけた共謀罪というのも、そういう例もあるわけですね。ですから、非常に限られている。だから、つくらなくても締結できるわけですから、直ちに締結すべきだ。これも、日弁連も自由法曹団もずっと言っていることであります。

 そしてもう一点、テロということもおっしゃいました。先ほども議論がありましたけれども、私もちょっと聞きたいんですね。

 立法ガイドを聞きますと何だか独自の解釈を入れられるので、こちらで紹介しますけれども、二十六パラグラフというのもありまして、ここには何と書いてあるか。原則としてという話なんですけれども、組織犯罪防止条約の対象としている組織的な犯罪集団、これにテロリストが含まれるのかどうかということについて、国連立法ガイドの二十六パラグラフはこう言っております。金銭その他の物質的利益を得ることをしない集団は含まれず、目標が純粋に非物質的利益にあるテロリストグループや暴動グループは原則として組織的な犯罪集団には含まれないであろう、こう言っているわけですね。

 もちろん、例外はいろいろあると思います。その区分けは難しいと思うんですが、ただ、原則としてこの条約が対象としている、それはテロリストは含まないんだと。組織犯罪集団です、条約が結ばれたのはパレルモです、イタリアです、マフィアなんです。マネーロンダリングとかが主に問題となっていた。そういう条約でありますから、テロリストは本来対象ではない。

 では、テロリストを本来の対象にした条約はないのかということなんですが、外務省にこれはお聞きしたいと思います。テロ防止などを目的とした条約はどれぐらいあって、日本はどれぐらい締結しているんでしょうか。

水嶋政府参考人 国際社会におきまして、いわゆるテロ防止関連条約については画一的な定義があるわけではございません。我が国として締約しておりますテロ防止関連諸条約は十三本でございます。

 例えば爆弾テロ防止条約締結の際には新規立法する等、国内法で担保できないものについては法改正を行う等をして条約の締結に当たっているということでございます。

藤野委員 今十三あると御答弁いただきました。

 配付資料をお配りしている三枚目がその十三条約のリストであります。すべて日本は締結しております。かつ国内法整備も進めていると今御答弁もありました。そういう意味では、テロ防止条約、いわゆる本来のテロ防止のための条約、日本は着々とやっているわけですね。

 ですから、これを本当に実施していくことが本来の意味でのテロ防止に資する対策になっていくわけですから、テロ対策を理由に、もともと関係のないこの組織犯罪防止条約をやる、あるいはそれを共謀罪の根拠にするというのは、これは全く成り立たないというふうに言わざるを得ないと思うんですね。そういう意味で、そうしたことを口実にして共謀罪を導入していく、目指すということはやはりやめるべきだというふうに思います。

 私たち日本共産党としましても、テロをなくしていくというのは大変重要な課題だと考えております。しかし、そのためには、国連安保理決議に基づいてテロ組織への人、金、武器の流れを断つことや、そもそもの温床である、土壌となっている貧困と格差の問題、民族的な宗教的差別、こうした問題でやはり日本が役割を果たしていく。シリア、イラクなどの内戦、ますます悪化しておりますけれども、こうした地域の平和と安定を図ることや、難民の問題、これへの人道的な支援の強化という問題、いずれも大変大きな困難を伴う仕事ですけれども、だからこそ、憲法九条を生かして日本がこういう非軍事の政治的、外交的な対応に力を尽くすことが今求められているというふうに考えております。

 そして、最後になりますけれども、この共謀罪、必要性がそもそも全くないと私たちは思いますが、今の日本の犯罪論、冒頭申し上げた行為主義のみならず、捜査のあり方、あるいは訴追、裁判のあり方、そして社会のあり方全体に本当に根本的な変質をもたらすものだというふうに思っております。

 例えば捜査でいいますと、大臣にお聞きしたいんですが、犯罪が成立していないわけですから、第三者から見たらわからない、行為を見てもわからない。これを摘発していくということになりますと、通常の捜査方法では難しいと思うんですね。いわゆる盗聴や密告に頼らざるを得なくなってくるんじゃないか。これは、捜査のあり方として、特定の手法に頼るということがどうしても多くなるんじゃないかと思うんですが、大臣、この点はいかがでしょうか。

井野大臣政務官 捜査のあり方については、刑事訴訟法百九十七条一項、任意捜査の原則、それができない場合、それによる証拠収集が難しい場合には強制捜査、裁判所の令状を得てやるということでございますので、この原則はしっかり守っていく。特定の捜査手法によるということはないと思っております。

藤野委員 いや、それはもう大前提なんですが、その百九十七条を初めとして、行為主義が大原則なんですね。それを着手とみなして捜査の端緒にしていくというわけですが、共謀罪というのは、予備行為もない、はるか前の段階から捜査の対象にしていこうということですから、それはいろいろな捜査のやり方はありますよ、しかし、その中で、特定の、盗聴とかおとり捜査とか自白とか、こういうことに頼らざるを得ないんじゃないですかというのが私の質問の趣旨なんです。

 大臣、今度はお願いします。

金田国務大臣 国際組織犯罪防止条約を締結するための法案ということで、そのあり方を慎重に検討しているところでありまして、いまだ成案を得ていない段階でありますから、具体的な法律案を前提としてお答えすることは適当ではないと考えております。

藤野委員 いや、特定の法律案ではなくて、そもそも、予備よりも以前の共謀という、一般論として、これを捜査しようと思ったら、今までの行為主義を前提にした捜査手法は使えませんよね、こういう話なんです。ですから、これは、別に法律案があろうがなかろうが、十分答弁いただけると思います。

 ちょっと時間の関係で、同じような話ではありますけれども、そういう意味では、これは裁判の問題にも関係してくるわけです、訴追の問題。

 構成要件そのものが非常に抽象的になってくる。予備行為もないわけです。共謀、あるいは準備行為という話もありますが、その準備行為も非常に広範になると言われている。構成要件が非常に広範になりますと、証拠も必然的に非常に緩和されざるを得なくなってくる。

 実際、アメリカでは、共謀罪についてはいわゆる伝聞例外。伝聞法則というのがありまして、それが証拠に認められるためには大変厳しい要件が普通はあるんですが、アメリカでは、この共謀罪につきまして、コンスピラシーの例外という法理が確立しております。そのもとで伝聞例外が非常に広範に認められて、共犯者の発言であればかなり証拠として採用される。通常の裁判では見られないような証拠採用の状況になっているということであります。

 よくアメリカでは訴追側のダーリンという言い方をするんですが、これの意味は、ダーリンというのは寵児と訳されたり愛人と訳されたり秘蔵っ子と訳されたりいろいろしますけれども、検察側にとってはそれだけありがたいというか重宝なものがこの共謀罪だということで、捜査段階、訴追段階、裁判段階、訴追側、捜査側に相当有利だということを示しているわけですね。

 そういう意味で、この点でも、共謀罪の導入というのは、単なる犯罪体系あるいは犯罪論にとどまらず、捜査のあり方、裁判のあり方、これをも根本的に変えていく大変危険な中身だというふうに思います。

 そして、何よりも、やはり社会全体に与える影響。

 この点でいえば、安倍政権のもとで盗聴法の対象範囲が拡張されました。現在では、通信傍受の実績を私がお聞きしましたら、二〇一五年で、十事件について四十二の盗聴、通信傍受が行われていた。他方で、刑法犯の受理件数をお聞きしましたら、主な犯罪で二〇一五年で十八万千五百六十件なんですね。盗聴がこれを全部カバーしているわけじゃありませんけれども、まさにその対象範囲が拡大される。秘密保護法も成立しました、司法取引制度も導入されております。仮に共謀罪というものができますと、これらと一体になって人権侵害を頻発させる。異常な監視社会をつくり出すことになるというふうに思います。

 そういう意味では、だからこそ、これまで三回法案が出されましたけれども、世論と運動の力によってこれは廃案になったわけで、通常国会への提出そのものを断念することを強く求めて、質問を終わります。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 質疑を続行いたします。木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日は、大臣におかれましては、TPPの特別委員会で御答弁の可能性があるということで、流動的な中で私どもの質疑におつき合いいただきまして、本当にありがとうございます。また、今回、きょうが初めての質疑ということになりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 また、委員の方々にも、これからよろしくお願いいたします。

 それでは、きょうは大臣の御所信に関する質疑ということで進めさせていただきたいと思います。

 まず一つ目なんですけれども、大臣が最初のところで言われたのが、厳格な水際対策の徹底と円滑な入国審査の両立、こういったことをまず頭の方で述べられておりました。その中で言われていたのが、ラグビーのワールドカップ二〇一九年、それから二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックで求められるような水際対策の強化というふうなことを言われていました。

 ここで、最後の方にちょっと書いてあるんですけれども、個人識別情報を取得するバイオカートを新たに導入してと。これは先ほど門委員の方からも同じような質疑があったかと思うんですけれども、大臣はいらっしゃらなかったので、もう一度ちょっとこの辺、お話をいただきたいんです。

 私の方から聞かせていただきたいのは、先ほど事務方の方から御答弁あったのが、関空で十月の一日から十五日まで、まだ短い期間ですけれども、導入されて効果がありましたと。効果を今聞いていると、大体、入国審査の待ち時間が四割短縮されたというふうな話でしたか、それか三割か、どっちかちょっとあれだったんですけれども、効果はそういうふうな形で出ているというふうな話をされていたんです。

 では、この導入によって、もしくはこの導入のほかで、一体、入国審査でどれぐらいの時間をターゲットとして想定されているか、入国される外国人、一人頭、大体どれぐらいで、言葉はあれかもしれませんが、処理時間何分ぐらいというふうなことを想定されているかということを教えていただけますか。

井上政府参考人 バイオカートの導入の効果でございますが、先ほど四割と申しましたのは昨年の同時期との比較でございまして、実はその間、入国者もふえているんですが、ブースもふえておりまして、そういう意味で、単純な比較は困難なんですが、あえて比べると、最長待ち時間としては四割減りました。

 三割と申し上げましたのは、ブースの方で一人当たりを審査する所要時間が三割ほど減った、短縮されたということでございます。

 つまり、今までブースの中では、旅券をいただいて読み取って、いろいろほかの審査項目をチェックしつつ指紋をとって、写真を撮って、それを照合して最終的にオーケーを出す。大体、案件によっていろいろでございますけれども、一番シンプルな短期滞在の形態でありますれば、六十秒から、もう少し、七十秒くらいで通過できるケースが多うございます。

 そのあたりにつきまして、指紋と顔写真を前もってとってしまうということで、大体三割程度、審査時間が短縮していく、そのようなことになっております。

木下委員 ありがとうございます。

 先ほど、私の前の答弁でもあったんですけれども、二〇二〇年には四千万人ほどの外国人の方々が来ていただくようなことを想定されていると。二〇一五年でいうと、これは門さんの資料を見せていただいたんですけれども、二〇一五年で千九百七十四万人。これはどんどんふえていきます。ターゲットとして、二〇二〇年は四千万人、二〇三〇年は六千万人というふうにおっしゃられたかと思うんですけれども、これはターゲットをやはりちゃんと定めているわけですね。

 ということはどういうことかというと、一人当たりの処理時間というものも、今はこういう効果が出ていますということと、一人頭大体何十秒ぐらいですね、何分ぐらいですねと今おっしゃられていたんですけれども、これは、一人当たりの処理時間というのもしっかりやっていかなきゃいけないと思うんです。ターゲットをやっていかなきゃいけない。

 そもそも、これが、文句をつけたらいけないところなのかもしれないんですけれども、えてして役所のやることでは、そういったことを、言葉はあれかもしれませんが、マーケティングがなかなかうまくできていない部分があるんじゃないかなと思っているんです。だから、今どういう状態にあって、何分ぐらいで処理ができて、総数で何人ぐらい処理できるんだ、これをしっかり計画を立てていく必要があるというふうに思っているんですね。

 ちょっとここから長々と私の経験でお話をさせていただきたいんですけれども、午前中も逢坂委員の方から、ウズベキスタンに行かれた、ウズベキスタンという国はすごくいい国だったというふうにおっしゃられていたんですね。ただ、入国審査に一時間か二時間か、二時間とおっしゃられたんでしたっけ、言われたと思うんです。それにはちょっと辟易としたというふうな感じのことを言われていたんです。

 実は私、サラリーマン時代、二十年ほどサラリーマンをしていたんですけれども、住んでいたところがイスラエルとロシア。その当時、同時期にオランダという形で、拠点をオランダにしながら、モスクワとイスラエルを毎週行き来しておりました。

 そうなると、入国審査はとんでもなく大変なんです。特にイスラエルはどういうふうにしているかというと、まず最初に、イスラエル行きの飛行機に乗る際に、これはちょっとリスクの管理の観点もあって、私は、オランダから直接行かずに、よくドイツ経由で行ったりしていたんですね。そうすると、ドイツの空港にトランジットで入ると、ゲートが違うところにあるんですよ、イスラエル行きの飛行機は。まだ入国じゃなく、そこはドイツなんですけれども、ドイツのその飛行機に乗る前に、大体三時間ぐらい前にそのゲートまで行っていなきゃいけないんです。

 そのゲートの入るところで、航空会社の社員がインタビューをするんですね。こういう感じの斜めの机がありまして、そこに私のパスポートであるとかそういうものを全部、ありったけ出させられるんです。どういうものなんですか、どういう仕事をしますかというふうな話をします。名刺も当然、あなたの持っているビジネスカードを全部見せてくださいであるとか、あとは、あなたの持っている携帯電話をここに出してください、そういうふうな話をされるんです。ちょっと長くて申しわけないですけれども。

 そうしたら、私がどういう仕事で行っていたかというと、携帯電話関連の仕事をしていたんですね。日本の商社で働いていたんですけれども、日本の商社でありながら、日本の大手の携帯電話事業者から業務委託を受けて、まずオランダに行きまして、オランダにあるその携帯電話会社の現地法人の社員扱いとして、今度は、イスラエルの会社であるとかロシアの携帯電話会社にコンサルテーションをしている。

 コンサルテーションをしているということは、そこの会社の名刺も持っているんですね、あたかも所属しているように。そうなると、違う肩書の名刺を四つ持っているんです。しかも、携帯電話は、最新式の、まだ販売していないような携帯電話を十個ぐらい持っているんですよ。これを説明するのはめちゃめちゃ大変なんです。

 もっと言うと、携帯電話の中のメモリーを全部見られます。全部見ます。その中から順番に説明していくんです、これは誰、これは誰と。イスラエルに行く場合は、イスラエルのお客さんのメモリーとかが入っているわけですね。そうしたら、その人に今からここから電話していいかと。ドイツから国際電話をかけていいかというふうに言うんですよ。

 ただ、私は、四つぐらい名刺があって、契約関係を相手方に明かしていない場合もあって、しかも何十億という契約をしているわけです。それを言われたら困ります、おまえ、もしもこれで契約破棄になったらどうしてくれるんだというふうに言っても、大丈夫、大丈夫とか言ってぱっと電話しちゃうんです。

 電話しても、イスラエルの国の普通に働いている方々は、そんなのは日常茶飯事らしくて、はいはい、ああ、知っていますよ、彼はどこどこに住んでいます、どういう仕事をしていますというふうに言って、はい、じゃ、通っていいよとやるんですけれども、これがまあ大変です。

 あともう一つ。ロシアの場合は、入国します、入国をして、パスポートにまず最初に判こをついてもらって、ホテルまで行きます、アパートだったりする場合もありますけれども。そうすると、まず最初にホテルのフロントにパスポートを預けるんですね。パスポートを預けたときに、空港でもらったこういうカードも一緒に渡して、しばらく返ってこないんです、半日、一日ぐらい。返ってきたらそこにホテルの判こが押してあったりして、結局、どこに泊まっているのか、この人が何日間滞在しているのかということを管理するということをやられているんです。イスラエルの場合なんかは相当リスク管理が大変だから、そういうふうなこともあるかもしれませんが、ロシアもそういうことをやられている。

 これは通常でそういうことをやられているんですけれども、ここで大臣も含めてちょっと御見解を聞きたいなと思っているんですけれども、果たして、ラグビーのワールドカップ、それから東京オリンピック、どこまでそういう管理をしていくのかということなんです。

 というのは、先ほど、一番冒頭に聞きましたけれども、処理時間は大体何分ぐらいにすることをターゲットにしていますかと。リスクと、それから、海外の方々から、来やすい、そして安全で安心だと思ってもらえる、これはもろ刃の剣だと思うんですね。両方をどういうふうにしてやっていくか、これをマネジメントすることこそが一番重要なことだと思っているので、もしもこれがターゲットとするものが何かと明確に決まっていないのであれば、今すぐにでもこういう話の議論を始めてほしい、そういう思いがありまして、大臣にその辺も含めて御所見をいただければと思います。

金田国務大臣 ただいまの委員のお話を伺って、まあそうなんだろうなという思いを持ちました。本当に、その国々によって、入国管理それから入国審査、そういうものはやはり厳格に行う、それから円滑に行う、それをどこで調和させるか、そういう課題を非常に真剣に対応されているのはどの国も同じなんだろうと思います。

 特に、我が国の場合は、年間八百万人ぐらいだった、そういう入国者は今や二千万人になり、そしてまた、二〇二〇年を控えて四千万人という考え方も出ている中で、どこまでどういうふうに厳格な入国管理と円滑な入国審査を調和させるか、そこのところは非常に大きな問題になるなということを、今お話を伺っていて感じた次第であります。

 ですから、その点は私どもも入国管理局とともにしっかりと議論もしていきたいな、こういうふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。突然の御見解を求めたところで、大臣は本当に自分のお言葉でお答えいただいたと思うんです。

 これは恐らく、入管だけでは済まない話だと思うんです。今もうなずいていらっしゃいます。これはやはり日本の政府が横断的に取り組んでいかなければならないし、そうやることによって最大限の効果が生まれると私は信じております。私がこういうことを言うのもなんですけれども、そういったところも含めて、大臣、政府の中でイニシアチブをとっていただいて、御意見をどんどん入れていっていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 そうしましたら、次の話題に行きます。

 次は、ちょっと後ろの方へ飛びまして、外国人材の受け入れというふうな話も大臣の方からお話がありました。

 最初、ここでちょっと中身を読ませていただきますと、「外国人材の受け入れについては、日本再興戦略等に掲げられた施策の実現により、日本経済の活性化に資する外国人の受け入れの促進に努めてまいります。」というふうにまず言われております。その後に、技能実習制度についてというところで、前国会で審議を大分尽くした話についてしっかりとやっていかれるというふうな形。これはちゃんと段落を分けてお話をされていたかというふうに私は思っているんですね。

 ただ、ここで、大臣がいらっしゃらなかった、前国会のときは岩城前大臣だったので、ちょっとおさらいをさせていただきたいところがあるんですね。それは何かというと、まず最初に、外国人の技能実習制度。

 これから採決を衆議院の中でもやっていこう、この委員会でやっていこうという話なんですけれども、この技能実習制度の一番の目的は何か、どう御認識されているかということを大臣にいま一度お聞かせいただきたいというふうに思います。

金田国務大臣 技能実習制度の一番の目的という御質問でございます。

 私は、技能実習制度は、今回の法案によりまして適正化を図りつつ、やはり開発途上国への技能移転を通じました国際貢献ということが制度の趣旨に沿ったものとして一番言えるのではないかな、こういうふうに考えております。

木下委員 ありがとうございます。予想していたお答えをいただいたと思います。

 そうなんですね。外国人技能実習制度は、言うまでもなく、ここにいらっしゃる方々、たくさんの方々が御認識のとおり、国際貢献が一番大きなことだということです。ただ、いろいろな問題があって、外国人の技能実習制度自体に問題があるから改正していこうという話になったんですね。

 そうすると、何が問題だったかと私が再三再四前国会で言わせていただいたことは何かというと、そもそもの政府の、今、働き手の不足を補う部分に対してこの外国人技能実習制度をあたかも活用しよう、そういうふうにするものであってはならないんじゃないか、そもそものその考え方がいろいろな制度の問題点というものの根幹になっているんじゃないかというお話をずっとさせていただいたんです。ですから、大臣に一度御所見をいただいたということなんですね。

 なぜそういうことを言うかというと、これも前回からのお話の繰り返しになるんですけれども、大臣の、外国人材の受け入れというところの第一パラグラフで言われている日本再興戦略、これは毎年、閣議決定が大体最近はされております。その中で、二〇一五年まで、昨年までは、日本の人材不足について、例えばあたかもこの外国人技能実習制度を活用してであるとか、抜本的に見直して活用するというようなことを文脈として捉えられるような、そういったことが散見されていたんですね。

 それだけではなくて、もう一つありまして、同じように閣議決定されているところで、産業競争力の強化に関する実行計画、これもここ数年、毎年閣議決定されていますが、その中でも同じような表現がありました。

 ここをやはり分けていかなければこの制度は成り立っていかないだろうということを再三言わせていただいたら、これは私が言ったからやったのかどうかは知りません、ただ非常に喜ばしいことだなというふうに私は思っているんですけれども、二〇一六年度版、ことしの六月二日に日本再興戦略、出てきました。そこでは、外国人技能実習制度というのが人材不足にかかわる中から、そういう表現じゃないようにされている、私はそういうふうにして認識しているんですけれども、それで間違いないですか。これはどなたにお答えいただけばいいかあれですけれども、私の解釈で間違いないかどうか。

井上政府参考人 お答えいたします。

 再興戦略の記載は毎年少しずつ微妙にずれてきておりますけれども、最初から技能実習制度につきましてはその制度趣旨を徹底するために適正化するんだという位置づけで、ただ、記載場所についてちょっと委員の方から疑義を抱かれていたと思いますけれども、少なくとも今回の法案におきましては、法案の中で基本理念として「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」と明記してございまして、その辺は明らかにさせていただいているところでございます。

木下委員 そういう形でうまく明らかにしていっていただきたいんです。

 そうはいいながら、先ほど言いました産業競争力の強化に関する実行計画、これは大体二月ごろ、一月、二月、年を越えたところで出ますので、まだこの指摘させていただいたことが反映されていないというふうに私は思っているんですね。私が言ったからどうこうという話じゃないのかもしれませんけれども、次年度産業競争力の強化に関する実行計画が出てくるときには、こういったところをしっかりと明確に分けていただくように大臣の方からも御指導いただきたいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。うなずいていただいたので、御答弁なくてもいいかと思います。

 そうしたら、最後、あと数分になりましたので、もう一つ、きょうもいろいろな方々からお話があった件で、これは時間がないので、また今度続けてやりたいと思っているんですけれども、死刑制度のあり方について。

 きょうもお二方ぐらいですか、質疑されておりましたけれども、大臣が御就任されて、八月三日、記者会見の中で、大体趣旨としては、罪責が著しく重大な凶悪犯罪には死刑を科すこともやむを得ないと考える、廃止は適当ではない、そういう趣旨のことをおっしゃられたというふうに言っているんですね。

 大臣としては、そういうことをしっかりと言われるということは、死刑制度がどうか、その是非についてということは別としても、非常に必要なことなんだろうと私は思うんです。

 というのは、ちょっとここが残念かなというふうに思っていたんですけれども、前回、岩城前大臣、これは比べると本当に申しわけないんですけれども、岩城前大臣が言われていたのは、法秩序の厳守というような感じの言葉をよく使われていたんですね。先ほど金田大臣の方からも、ほかの方の質疑に対する御答弁で、裁判では特に慎重かつ厳正に対処すると。まあ、同じような形。ただ、私は思うんですけれども、法秩序を厳正に守っていくというような形にしてほしかったなというふうに思っているんです。

 なぜそう言うかということなんですけれども、これも前国会で私が話をさせていただいたことなんですけれども、ちょっとこれは事務方の方にお聞かせいただきたいんですけれども、死刑の確定判決が出て未執行の件数、これは今現在何件というふうになっておりますでしょうか。

林政府参考人 昨日現在で法務省において把握しております死刑判決の確定者は、百三十名でございます。

木下委員 これは、確定判決が出て、法律上は六カ月以内に刑を執行するというのが基本的には決まっています。そのうち六カ月を超過している件数は、百三十件中何件でしょうか。

林政府参考人 同じく昨日現在、当局において把握している限りで申し上げますと、判決確定後六カ月を経過している者は百二十六名でございます。

木下委員 百二十六名。前回聞いたときは、未執行の件数と、それから六カ月を超えているものが全件だったんですね。今回はその間に判決されたものがあるからということだと思うんですけれども、こういう状態なんです。法律で定められている六カ月以内に執行されていない件数がほぼほぼ全数だということ。

 ただ、そうはいいながら、なぜそういうふうなことが起こるかということなんですけれども、実質的に、法で定められた期間を超過するのは、これは訓示規定としてよしとしていると。よしとしているという言葉があれかもしれませんが、訓示規定だというふうに言われているんですね。

 この訓示規定というのは何なんですか、これをちょっと教えていただきたいんですけれども。

林政府参考人 訓示規定と申しますのは、各種の手続を定める規定のうちで、専ら裁判所でありますとか行政機関への命令の性格を持って、これらの機関がそれに違反しても行為の効力自体には影響がないような規定である、このように理解されております。

木下委員 効力に影響がないとおっしゃられているんですけれども、これは逆の意味があると思うんですね。

 逆に、結局、何でこの期間、何を大事にされているのかと前にも聞いたことがあるんですけれども、人の生命にかかわることだから、もしくは、冤罪の可能性云々があるから慎重に対処しなければいけないというふうにおっしゃられているんですけれども、それが、法律に定められているけれども影響力がないというふうに言ったら、死刑の確定判決が出た人は実際どう考えればいいんですかね。これは、私は結構、非常に問題だと思っているんです。

 現実問題として、法律の中で六カ月以内というふうに書いていながら、六カ月以内に刑が執行されているという人がほぼほぼいないという状態に、この法律の意味合いというのが何なのかということなんです。

 これは別に死刑制度がどうこうという問題ではなく、法律が実質的に効力がないというふうに今おっしゃられました。そういう法律のもとに裁かれているということになってしまうんじゃないかと思うんですけれども、大臣、この辺も考えて、法の秩序という意味でどう思われているかということの御見解をいただきたいと思います。

金田国務大臣 刑事訴訟法の第四百七十五条第二項本文におきましては、死刑の執行の命令は、判決確定の日から、御指摘のように六カ月以内にしなければならない旨が規定されておりますが、これは一般に訓示規定ということで解されているわけであります。

 六カ月以内に死刑の執行の命令がなされなくても、裁判の執行とはいえ、人の命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に関することであるため、その執行に慎重を期していることによるものであって、違法であるとまでは考えておりません。

木下委員 慎重になるというのはわかるんですけれども、では、裁判とは何なんですか。確定した判決に対して大臣が慎重にと言うと、大臣の考え方がそこからその後の部分に挟まっていくのかと、刑の執行されるまでの間に。ここの部分が明らかにならないわけですよ。大臣も、これはこれ以上は聞かないですけれども、多分いろいろ思われている部分もあると思うんです。そういうことを考えると、この法律を今こそ真剣に見直すべきなんじゃないかな、見直しを検討していくべきなんじゃないかなと思うんです。

 というのは、もう最後になりますので、ここから先は御答弁を求めませんけれども、私の思いなんですけれども、今回、日弁連から死刑制度廃止の話がありました。きょうは、その話をほとんど皆さん具体的にはされていないのであれなんですけれども、廃止だと宣言されているんですね。これは私はおかしいと思うんですよ。なぜならば、弁護士の方々は全員、各地の弁護士会に所属されているんですよね。ということは、日弁連の組織の中に皆さんいらっしゃることになるんです。

 犯罪被害者の人たちも、刑事事件じゃなく民事の方になるのかもしれませんが、弁護士の方々にいろいろと頼むわけですよ、厳正に処罰してほしいであるとか。それとか民事裁判なんかも、相手を、犯罪者を懲らしめてやりたいという感情があってやるんです。でも、その頼む弁護士さんが全員日弁連の組織の中にいる。そういう日弁連の人たちが組織として、死刑制度は反対だ、廃止するんだというふうな宣言をするというのは、私はこれはおかしいと思っているんです。

 弁護士の方々の中にも、当然、死刑制度廃止ということに反対とおっしゃられる方もいらっしゃる中で、そうなれば、この弁護士の制度、全員が日弁連に入らなきゃいけないとかそういうことも含めて、もう少しこれは真剣に、こういった委員会の中でも考えていく、討議するべきだというふうに思っておりますので、この辺についても、以降、大臣も交えて御討議させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十二分散会


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