衆議院

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第10号 平成29年4月14日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十九年四月十四日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君

   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君

   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    安藤  裕君

      井野 俊郎君    石川 昭政君

      石崎  徹君    奥野 信亮君

      門  博文君    菅家 一郎君

      城内  実君    鈴木 貴子君

      辻  清人君    野中  厚君

      藤原  崇君    古田 圭一君

      牧島かれん君    宮路 拓馬君

      山田 賢司君    吉野 正芳君

      若狭  勝君    枝野 幸男君

      階   猛君    山尾志桜里君

      浜地 雅一君    吉田 宣弘君

      畑野 君枝君    藤野 保史君

      松浪 健太君    上西小百合君

    …………………………………

   法務大臣         金田 勝年君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 白川 靖浩君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小川 秀樹君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  大口 善徳君     浜地 雅一君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     石川 昭政君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     宮川 典子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官高木勇人君、警察庁長官官房審議官白川靖浩君、法務省民事局長小川秀樹君、法務省刑事局長林眞琴君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君及び厚生労働省大臣官房審議官坂口卓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今野智博君。

今野委員 おはようございます。自由民主党の今野智博です。

 本日は、一般質疑の機会を賜りましたことを心から感謝申し上げます。二十分という貴重な限られた時間の中でございますけれども、私自身は、組織的犯罪処罰法の改正案に関連しまして幾つか質疑を行わせていただきたいと考えております。

 まず、今回の改正案、いわゆるテロ等準備罪の新設でございますが、条約、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約、いわゆるTOC条約と言われるものがございます。この条約の国内担保法としての必要性、そのための整備ということで新設が検討されているものでございます。

 このTOC条約でございますが、平成十二年十一月に国連総会で採択され、そして同年十二月、イタリアのパレルモで開催された署名会議において、我が国を含む百二十カ国が署名をしております。そして、平成十五年五月に、この条約について我が国は国会で承認をしております。

 当然のことながら、この条約の重要性に関して、当時の国会承認の段階でほとんど全ての会派が賛成をしたということでございまして、この条約は、その名のとおり、国際的な犯罪組織、この防止、そしてそこと闘うための条約として、全て四十一カ条から成る総合的な条約ということでございます。

 今回、私は、この組織的犯罪処罰法の改正案を審議するに当たって、残念ながら、我が国は、これを整備しない限り、TOC条約を批准はしたが締結することができない、当然のことながら、その効果に浴することができないという状況が長年にわたって続いているわけでございます。

 今国会でこれをもし成立させることができなければ、この状況がさらに長い間続いていくということが見込まれるわけでございますが、もし我が国がこのTOC条約を締結することができなければ、実際我が国に対してどのような不都合が生じるのか、それについて御答弁をお願いいたします。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、本条約を締結していない現状におきましては、例えば我が国が刑事共助条約を締結していない国に対して捜査共助を要請する場合、相手国にはこれに応じる国際法上の義務はございません。

 また、条約上、中央当局と言われている捜査当局、関係当局間で直接共助要請を行うのではなく、外交ルートを通じて行うことになりますことから、一定の期間を要することになり、迅速性に欠けるという問題が生じます。この点に関し、FATF、金融活動作業部会からは、我が国が本条約を締結していないことについて、国際的な共助要請につき外交チャンネルを通じてなされることが要求されていることは過度の負担である旨の指摘を受けたことがございます。

 次に、本条約を締結していない現状におきましては、例えば我が国が他国に対して逃亡犯罪人の引き渡しを請求する場合、相手国との間に有効な引き渡し条約が存在しないときは、外交礼譲に基づいて相手国に請求することとなり、引き渡しの実効性確保が必ずしも十分とは言えない状況になっております。また、相手国が、容疑者が自国の国民であることのみを理由として容疑者の引き渡しを行わない場合、相手国は当該容疑者を訴追するための手続をとる義務を負うこともないため、犯罪人が処罰を不当に免れるおそれがございます。

 さらに、現状では、我が国には、本条約が犯罪化を求めております重大な犯罪の合意罪に該当する罪は、重大な犯罪のごく一部の罪に設けられているにすぎないため、そのために、いわゆる双罰性の要件を満たさないことになり、重大な犯罪の合意罪に係る国際的な捜査共助や逃亡犯罪人の引き渡しの要請を受けても協力をすることができない場合があり得るという問題がございます。

今野委員 ありがとうございます。

 このTOC条約は、重大犯罪の防止、禁圧ということで、さまざまな国際間の取り決め等も規定しているわけでございまして、先ほど御答弁いただきましたような犯罪人の引き渡しに関する規定ですとか、あるいは捜査・司法共助に関する規定等、全てで四十一カ条の条約というふうになっております。

 それで、残念ながら、国連加盟国のうち、この条約を締結していない国は、平成二十九年三月現在で我が国を含め十一カ国。百八十七の国と地域においては、既にこの条約は締結されているということでございます。

 当然のことながら、昨今、至るところで、残念なことにテロの被害が起きている。もちろん、我が国においてもかつてテロ事案もございましたし、また近年、至るところで邦人の被害等も報告されているところでございます。そうしたものに対しても、しっかりと国内法を整備し、そしてまた、この条約に加盟することで、そうしたテロとの闘い、あるいは犯罪組織との闘いに我が国としても万全を期していく、私自身はそのような必要性について十分に痛感をしているところでございます。

 ただ、今回の組織的犯罪処罰法の改正案については、TOC条約に加盟するための国内担保法としての位置づけがあるわけですが、一方で、これを整備しなくても条約に加盟、締結することはできるんだというような見解も散見されるところでございます。

 ここについては、本当に条約の解釈というところに関連してくると思いますけれども、もし仮に、この国内担保法を整備しなくてもTOC条約に加盟することが可能なのかどうか、これについてまず御答弁をお願いします。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 国際組織犯罪防止条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけております。

 しかし、我が国には、現行法上、参加罪は存在せず、重大な犯罪の合意罪に相当する罪はごく一部にしか存在しておりません。また、現行の予備罪は、そもそも条約上の重大な犯罪に当たる罪の一部にしか規定されていない上、予備行為自体が客観的に相当の危険性を備えたものでなければ処罰できないとされておりますので、重大な犯罪の合意を犯罪化することを求める本条約第五条の趣旨に反するおそれが高いと考えております。

 したがって、我が国の現行の国内法では本条約の義務を履行できていないため、新たな立法措置が必要であり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することはできないものと考えております。

今野委員 このTOC条約においては、加盟国に対してさまざまな義務、重大犯罪の合意についての犯罪化等を義務づけているわけでございまして、我が国の現在の法制においては、新設する法案なしで加盟することはできない、締結することはできないということでございます。

 現実問題として、ここに関しては、それほど各党各会派において余り異論はないのかな……(発言する者あり)そんなことないという今言葉が上がりましたけれども、もし国内法の整備なしに締結することが可能なんだということであれば、恐らく私は、民主党の三年三カ月の政権時代に加盟していたのではないかなという気もしておりまして、それができなかったということは、裏返して考えれば、やはり国内法の整備が必要だということの証左ではないかなということも少し考えているわけでございます。

 ともかくとして、今回、国内法を整備しなければいけないということで議論を進めてまいりますが、では、このTOC条約について、締結するに当たって、一部留保を付して締結したらどうかということも間々見解としては散見されるわけでございます。

 例えば、かつて国会においても議論になりました国際性の要件、これについて留保をしたらどうか、あるいは、今回最も問題となっている重大犯罪の合意化の部分について、これに留保を付して条約を締結すればいいじゃないかというような見解もございます。

 そうした見解に関しては、外務省としてはどのように御答弁いただけるか、よろしくお願いいたします。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 本条約第三十四条には、第五条の重大な犯罪の合意罪等の犯罪について、各締約国の国内法において、国際的な性質とは関係なく定めると規定しております。これは、法の抜け穴を巧みに利用して行われる国際的な組織犯罪の実態に対応するため、その防止に特に有効である行為類型や、その取り締まりの必要性が特に高い行為類型について、国際的な性質の存在を要件とすることなく犯罪とすることを各国に義務づけたものでございます。

 そして、この規定は、国際的な組織犯罪への効果的な対処を目的とした本条約の中核をなす規定となっております。

 また、重大な犯罪の合意の犯罪化を規定する本条約第五条も、国際的な組織犯罪への効果的な対処を目的とした本条約の中核をなす規定でございます。

 したがって、これらの中核的な規定に留保を付すことは本条約の趣旨及び目的と両立せず、留保を付すことはできないものと考えております。

 さらに、手続上につきましては、本条約については、留保を付さずに締結することにつき、既に平成十五年に国会の御承認を得ており、政府としては留保を付さない形で締結することとしております。

今野委員 要は、先ほど私が申し上げた国際性の要件あるいは合意の犯罪化等については、まさにこのTOC条約の中核をなす、平成十五年の国会承認においても、その部分に関しては何ら留保を付さないというような合意がされているということでございました。

 ただ、かつては共謀罪と言われる法案の中で、対象犯罪は当時の段階で六百以上あったと思います。それはどこから来るかといえば、この条約、TOC条約の第二条の(b)というところで重大犯罪と。「「重大な犯罪」とは、長期四年以上の自由を剥奪する刑又はこれより重い刑を科することができる犯罪を構成する行為をいう。」というような定義がされておりまして、この部分から引っ張ってきて、当時の我が国の法体系の中でこれに該当するものを対象犯罪としてピックアップして、そこに盛り込んで規定したというような経緯だったのかなと思います。

 ただ、今回の改正案を見ますと、対象犯罪に関しては二百七十七ということで、かなりこれは絞り込みが行われております。私もそのときにいろいろ議論をさせていただきましたが、今回、半分以下にこの対象犯罪を絞ることができた。ここに関して、かつての国会答弁においては、この規定上、四年以上という縛りがありますから、六百から絞ることが難しいというような旨の政府答弁もいただいていたはずでございますが、そこに関して、今回、対象犯罪を二百七十七に絞り込むことができた。かつての政府答弁との整合性等も踏まえて、なぜこれがこのように限定が可能になったのかということをお答えいただければと思います。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の立案に当たりましては、過去の国会審議等において受けたさまざまな御指摘を踏まえ、政府として真摯に検討を重ね、その結果として、今回、一般の方々が処罰の対象とならないことを明確にするという観点等から、本条約が認めるオプションを活用するという新しいアプローチでテロ等準備罪を立案いたしました。

 すなわち、対象犯罪に関して申し上げますと、法文上、犯罪主体が組織的犯罪集団に限られることを明記した上で、対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪二百七十七に限定することといたしました。このような対象犯罪の限定は、本条約第五条1(a)(1)が、重大な犯罪の合意罪の対象犯罪を組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪に限定することを締約国にオプションとして認めていることを活用したものでございます。

 したがって、対象犯罪が二百七十七となっていることは、本条約の義務を履行する上で問題はございません。

 また、委員御指摘のとおり、政府は、平成十七年当時、過去の法案における組織的な犯罪の共謀罪について、「死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪を対象犯罪としているところであり、これを犯罪の内容に応じて選別することは、国際組織犯罪防止条約上できないものと考えている。」との答弁書を閣議決定いたしましたが、これは、過去の法案の組織的な犯罪の共謀罪において定められていた要件を前提として、その対象犯罪を死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている罪一般としていたことを踏まえ、そのような罪の中から、本条約の規定に基づかず、独自の判断で対象犯罪を選別することはできない旨を述べたものでございます。

 そのような見解に変更はなく、政府として条約の解釈を変更したものではございません。

今野委員 これは、TOC条約五条1の(a)の(1)に書かれている内容、合意を推進するための行為または組織的な犯罪集団が関与するものという部分の文言に絡めて今回主体を限定した、それに応じて、実際にその組織的な犯罪集団が関与するものが通常想定されるものに対象犯罪を絞ったというようなことかなと理解をいたしました。

 このTOC条約の必要性、重要性に関しては、先ほど一番冒頭にお答えをいただきました。昨今、至るところでテロ事案が発生している、そしてまた、国防においても北朝鮮のミサイル問題等が緊迫度を増している。私は、国防と治安を確保するということは国家の最も基本的な古来からの権能であるというふうに考えておりますし、また、そこに関しては私たち政治家がしっかりと国民に対して本当に責任を持った対応をしなければいけない、そうした対応に関しては、私は与党も野党もないんだろうと思っております。

 この国内法を整備するに当たっては、当初からマスコミ等においても大分大きな報道がされておりますし、また、論点に関しても与野党で鋭く対立するところもございます。ただ、いずれにいたしましても、この条約自体の必要性、重要性に関してはいささかも揺らぐことがないといいますか、むしろ、これから将来にわたってかなりその重要度は増す一方だと私は考えております。

 でありますので、今回、このTOC条約を締結するための国内担保法としての組織的犯罪処罰法案の成立に関しては、私自身、一生懸命これから汗を流してまいりたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 本日はありがとうございました。

鈴木委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 国会において与野党ともに共通した貴重な資源、これはいろいろあると思いますけれども、その大きな一つが私は時間だというふうに思っております。しかも、この質疑時間に関しましては、我々与党は野党の皆様に比べて時間がどうしても短くならざるを得ないということがありますので、その時間を無駄にすることなく有効に活用してまいりたいというふうに思います。

 そこで、きょうは、一般質疑ではありますけれども、いわゆるテロ等準備罪を創設する組織的犯罪処罰法の改正案について質疑をさせていただきたいと思います。

 先ほど今野委員から、いわゆるTOC条約に関する質疑がありました。私の方からは、本法案の構成要件、その中でもテロ等準備罪の主体である組織的犯罪集団に関してお伺いしてまいりたいと思います。

 かつてのいわゆる共謀罪は主体を「団体」にしておりましたが、本法案では、主体を結合の目的が重大な犯罪を実行する団体である「組織的犯罪集団」に法文で明確に限定しております。本法案に対する先日の私の本会議の質問におきまして、一般の民間団体、労働組合などはその対象に当たらない、さらには、自然環境や景観の保護など正当な主義主張をアピールするためにその手段として座り込みを行うことを計画しただけの団体も、重大な犯罪を実行することを結合の目的としていない以上、その対象に当たらないと金田大臣に答弁をいただきまして、このことを明確にさせていただきました。

 では、林刑事局長にお伺いいたします。

 一般の事業を営んでいる会社が毎年脱税を繰り返していたような場合、この会社は組織的犯罪集団に当たるのかどうか、答弁を求めます。

林政府参考人 前提といたしまして、まず組織的犯罪集団の定義でございますが、これは組織的犯罪処罰法の二条と六条の二で定義されることになります。

 この「組織的犯罪集団」とは、組織的犯罪処罰法上の「団体」、すなわち「共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われる」、こういったもののうちで、構成員の継続的な結合関係の基礎となっている共同の目的が改正後の組織的犯罪処罰法の別表第三に掲げる一定の重大な犯罪等を実行することにあるもの、これをいうことになります。

 したがいまして、国内外の犯罪情勢を考慮いたしますと、条文に例示しておりますテロリズム集団のほか、暴力団でありますとか薬物密売組織など、違法目的、違法行為を目的とする団体ということに限られることになります。

 そこで、御質問のところでございますが、あくまで一般論として申し上げれば、正当な事業活動を行っている一般の会社につきましては、通常、結合関係の基礎としての共同の目的、それは犯罪を実行することにあるとは認められませんので、御指摘のように、毎年脱税を繰り返しているというだけで組織的犯罪集団に当たるということはないと考えられます。

國重委員 一般論として、一般の生業を営んでいるような会社が毎年脱税を繰り返していたとしても、組織的な犯罪集団には通常当たらないという答弁でございました。

 一方で、政府の見解として、もともと正当な活動を行っていた団体についても、団体の結合の目的が犯罪を実行することにある団体に一変したと認められる場合には組織的犯罪集団に当たり得るという旨、政府は繰り返し答弁をされております。

 これに対して、一般の方たちも処罰対象になるんじゃないかとか監視の対象になるんじゃないか、こういった批判の声、また主張が出ております。一部報道もそうですし、民進党の議員の先生方の中にも、そのようなことをおっしゃる方がいたようにお見受けいたします。

 ただ、平成十八年の第百六十四回の通常国会におきまして、当時の民主党は主体を組織的犯罪集団とする独自の修正案を出されておりまして、その修正案提案者は、次のようなことを言っているんですね。何と言っているか。

 「団体が当初正当な目的で結成されたとしても、その団体の性質が一変して、その主たる活動が重大な犯罪等を実行することにある団体ということになれば、共謀罪の適用対象とされる」と、「一変して」という言葉を使って、正当な団体の性質が一変した場合には共謀罪の対象になる、このように国会で答弁、説明されているわけでございます。

 当時の民主党修正案は、一般市民が対象になることを想定していたのか。よもや、一般市民を対象にしようとは思っていなかったと私は推察をいたします。

 これ以上、この点についてとやかく私は言うつもりはありませんけれども、ここにいらっしゃる見識ある委員の皆様、理事の皆様と、この法務委員会で、私はぜひ建設的な議論をやっていきたいと思っております。

 そこで、盛山法務副大臣にお伺いいたします。一変というのは、どのように判断するんでしょうか。

盛山副大臣 國重委員の御質問でございますけれども、一般論としてのお答えになりますが、具体的な事案が起こった場合におきまして、ある団体が組織的犯罪集団に該当するか否かは、当該団体の活動実態等を総合的に考慮し、当該事案の時点において、構成員の結合目的が犯罪を実行することにあるか否かにより判断することになると考えております。

國重委員 今、盛山副大臣から御答弁をいただきました。

 つまり、一変したということで、変化のプロセス、ここに着目するのではなくて、犯罪の成否が問題とされる当該事案の時点で組織的犯罪集団に当たるかどうか、この判断をするということなんだと。プロセスではなくて、結果を重視しているんだというような旨の答弁をいただいたと思います。

 では、当該事案の時点で組織的犯罪集団に当たるかどうかを判断する際に、かつて正当な目的で活動していたということはその判断においていかなる意味を持つのか、これにつきまして林刑事局長にお伺いいたします。

林政府参考人 副大臣が答弁しましたとおり、ある団体が組織的犯罪集団に該当するかどうか、それが当該事案の時点で判断されることになるわけでございますが、その場合の結合関係の基礎としての共同の目的が何であるかということについては、個別事案の事実認定の問題でございます。

 それで、その場合には、例えば、その当該団体が標榜している目的でありますとか構成員らの主張する目的によってではなくて、継続的な結合体全体の活動実態等から見て、客観的に何が構成員の継続的な結合関係の基礎となっているかが社会通念に従って認定されるものと考えております。

 もっとも、その団体が以前に正当な活動を行っていたということが認められる場合には、なお、その場合にも、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪を実行することにあるかどうかを検討する上で、その団体が有していた正当な目的の活動の実態なども踏まえまして、より慎重な認定が必要となると考えられます。

 そういった意味で、ある団体が過去に正当な活動を行っていたという事実、これは、当該団体が組織的犯罪集団であるという認定をする上で有力な消極的な事情になろうかと考えます。

國重委員 ありがとうございました。

 今、林刑事局長から答弁をいただきましたけれども、かつて正当な目的で活動していたということは、組織的犯罪集団に当たるかどうかを判断する、また認定するに当たって、有力な消極的事情になるんだ、マイナス事情になるんだという答弁をいただきました。

 それでは、そのような有力な消極的事情がある場合でもなお組織的犯罪集団に当たるというのはどのような場合なのか、林刑事局長にお伺いいたします。

林政府参考人 一般的に申し上げれば、当該事案の時点において、構成員の結合の目的が犯罪を実行することにあると判断するためには、例えば、団体の意思決定に基づいて、それまでに犯罪行為を反復継続するようになっている、こういった事情が認められる。こういったような事情が認められない限り、組織的犯罪集団と認められないのが通常であろうかと考えております。

國重委員 今、犯罪を反復継続しているような場合ということが例示として挙げられたかと思います。

 それでは、さらに、林刑事局長、反復継続していれば必ずこの組織的犯罪集団に当たるのかどうか、これに関してお伺いをいたします。

林政府参考人 ただいま、団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続しているようになっているということを申し上げましたが、これ自体が組織的犯罪集団と認めるための要件ではございません。したがいまして、団体の意思決定に基づいて犯罪行為を反復継続するようになったとしても、そのことだけで常に当該団体が組織的犯罪集団と認められるものではありません。

 すなわち、組織的犯罪集団と認めるためには、まずはその団体の結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にあると認められること、このことのほかに、団体とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体でありまして、その目的または意思を実現する行為の全部またはその一部が組織により反復して行われるものということでございますので、共同の目的、すなわち犯罪の実行を実現する行為が組織により反復されるという性質を備えることが必要となってまいります。

 その意味におきまして、やはり、その団体の意思決定に基づいて犯罪行為が反復継続されているという事実については、これは組織的犯罪集団と認めるための有力な考慮要素であろうと考えます。

 しかし、それだけで当該団体が組織的犯罪集団と認められるものではなくて、やはりこれは、委員、冒頭、会社の例で質問されましたけれども、通常の営利活動を行っている会社において、会社の活動として反復継続して脱税を行っていたといたしましても、そのことで、当該会社の結合関係の基礎が、その共同の目的が脱税、すなわち犯罪の実行となるわけではございませんので、それだけで組織的犯罪集団と認められるものではございません。

國重委員 ありがとうございました。

 今、組織的犯罪集団を認定するに当たっての有力な消極的な事情、また積極的な事情、こういったものを絡めて御答弁をいただきました。

 では、次の質問に移ります。

 テロ等準備罪の捜査の端緒をつかむためには、捜査機関が常時監視していないとできないじゃないか、だから監視社会になる、一億総監視社会をつくりかねない、危険きわまりない法案だというような批判、主張がございます。

 一億総監視社会にするためには一体どれだけのマンパワー、コストがかかるのか。本法案、また現行法によってもそのようなことができるわけがない。私は余りにも非現実的で荒唐無稽な批判だと思っております。

 そこで、林刑事局長、実際には、実務上、どのようにしてテロ等準備罪の捜査の端緒をつかむことができると考えられているのか、答弁を求めます。

林政府参考人 今回の法案につきましては、捜査手法というものについて新たに定めるものでは全くございません。したがいまして、テロ等準備罪についても、他に多く、ひそかに行われる犯罪、密行的に行われる犯罪というのがございますが、その犯罪の場合と同様の方法で捜査の端緒を得るということになると考えられます。

 例えば、実際に行われた別の犯罪の捜査の過程で、計画についての供述でありますとか、あるいは犯行手順が記載されたメモのような証拠が得られることがございます。こういったことが端緒になったり、あるいは、計画に参加した者の自首、計画の状況を聞いた者からの情報提供、こういったようなことから、計画行為や、あるいはそれに続く実行準備行為の存在というものが明らかになり、テロ等準備罪の捜査の端緒が得られる、こういったことが想定されるところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 何か盗聴等をずっとやっていて、常時監視して捜査の端緒をつかむというのではなくて、別の事件の犯罪の捜査等からそのような捜査の端緒をつかんでいくというような答弁をいただきました。

 そして、そのような捜査の端緒に基づいてテロ等準備罪の嫌疑が生じたと認められた、その後にテロ等準備罪の捜査が開始される、これで間違いないかどうか、林刑事局長にお伺いいたします。

林政府参考人 委員御指摘のとおり、このテロ等準備罪につきましても他の犯罪の捜査と同様でございまして、捜査機関が犯罪の嫌疑があると認めた場合に初めて捜査を開始することとなります。例えば、特定の団体について、テロ等準備罪の嫌疑が生ずる以前から同罪の捜査の対象となることはございません。

 組織的犯罪集団というものが今回新たに定義されておりますが、これはテロ等準備罪の要件の一つでございまして、組織的犯罪集団であること自体が犯罪であるわけではございませんので、テロ等準備罪の嫌疑が生じていない段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否か、こういったことが捜査の対象となることはないと考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 つまり、捜査の端緒をつかむという点において、常時監視するということはない、一億総監視社会になるなどということはないということを申し上げまして、本日の私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 民進党、信州長野の井出庸生です。本日もよろしくお願いをいたします。

 きょう、共謀罪のお経読みがある、予定をされていると聞いておりますが、先日採決のあった民法、それから共謀罪に先駆けて法案提出されております性犯罪被害に関する法律、特にその性犯罪の罰則の下限の引き上げというものは、さまざまな当事者の強い声もありますし、その一方で、性犯罪の罰則の下限を引き上げるのみならず、強姦という罪名、それから強姦というものの中身、定義、そうしたものも含めれば、これは慎重な審議を要する、したがって、この法案を後に回してしまったということについては、極めて残念なことである、このことは冒頭申し上げておきたいと思います。

 きょう、今監視の話が出ましたので、ちょっと監視の話をさせていただきたい。

 通信傍受捜査はこの共謀罪を対象とはしない、そのことは何度も伺っておりますので結構です。それから、いわゆる監視的な捜査、それについても、その捜査手法の検討と共謀罪とは別である、そういうことも過去に答弁をいただいております。

 その前提に従って、きょう一つ伺いたいのは、共謀罪を成立させてTOC条約に入る、その際、そのTOC条約の第二十条、特別な捜査方法というものがございます。抜粋して少し読み上げますと、「締約国は、自国の国内法制の基本原則によって認められる場合には、組織犯罪と効果的に戦うために、自国の権限のある当局による自国の領域内における監視付移転の適当な利用及び適当と認める場合には電子的その他の形態の監視、潜入して行う捜査等の特別な捜査方法の利用ができるように、可能な範囲内で、かつ、自国の国内法により定められる条件の下で、必要な措置をとる。」

 次に、「締約国は、この条約の対象となる犯罪を捜査するため、必要な場合には、国際的な協力において1に規定する特別な捜査方法」、特別な捜査方法とは、今私が申し上げた監視つき移転の適当な利用ですとか電子的その他形態の監視、潜入して行う捜査のことでございますが、そうしたもの「を利用するための適当な二国間又は多数国間の協定又は取極を締結することを奨励される。」とあります。

 それから、二十九条でございますが、二十九条では、そうしたことに携わる「自国の法執行の職員(検察、捜査を行う」、警察も入るかと思いますが、そうした人たちの訓練計画それから技術援助、そうしたものを改善させると書いてあります。

 まず、このことについて、通信傍受の捜査対象としない、それから、新たな捜査手法の検討と共謀罪は別というのであれば、この条約を締結しても、この二十条、二十九条における、いわゆる監視的な捜査、アメリカやイギリスはこういったところは進んでおります、入ったからには当然そういうことを日本とやっていこうと言ってくる可能性も十分あります。そうしたものに対して、日本はそういうものに対して慎重である、やらない、そういうことをはっきり言えるのかどうか。

 これは、外務省は、この共謀罪の法案審議を見ておりますと、かつて六百七十幾つで満額回答をしようとした、それを新たな手法で二百七十七に絞った。外務省だけに頼っていると、恐らく、当然アメリカやイギリスの、締約国の言われる意を酌んでしまいかねない。ここをとめていくのは法務大臣のお役目であると思いますが、大臣にしっかりと、こういったものに加わらないと断言を、明言をしていただきたいと思います。お願いいたします。

井野大臣政務官 先生御指摘の点についてお答え申し上げます。

 先生御指摘の、まず条約に関するものでございますので基本的には外務省、条約二十条の解釈にかかわる部分と我々考えておりますので、基本的には外務省においてお答えすべき点かと思いますけれども。

 現時点で我々が考えているところでございますけれども、組織犯罪防止条約二十条1によれば、確かに、締約国は、自国の国内法制の基本原則によって認められる場合に、監視つき移転、電子的その他の形態の監視等の特別な捜査方法の利用ができるように必要な措置をとることとされております。

 この特別な捜査方法についてでございますけれども、あくまでも「可能な範囲内で、かつ、自国の国内法により定められる条件の下で」実施されるということとされておりますので、これはやはり、各国それぞれの法制のもとで、厳格な要件のもとに実施することで差し支えないというふうに解釈というか捉えているところでございます。

 そのため、テロ等準備罪においても、新たな捜査手法を導入するということは全く予定していないということでございます。

井出委員 可能な限り、自国の国内法の範囲においてということは、そもそも、共謀罪をこの条約に入るためにセットするか、参加罪をセットするか、そういった条文にも似たような表現はあるんですね。しかしながら、外務省は、いとも簡単に、十年前は六百七十幾つ、そして今回は、オプションを使って二百七十七と。当時の自民党は、さらに百二十ぐらいまで犯罪を絞るという努力もされたということは聞いておりますが、外務省に任せていたらだめなんですよ。外務省に任せていたら、政務官がおっしゃった、監視的な捜査はこの共謀罪と関係ないというものは、外務省に任せていたら崩されてしまう。

 これは、政務官とそして大臣が、先頭に立って、断言をして阻止をしなければならないと思いますが、大臣のコメントを伺います。

金田国務大臣 井出委員の御質問にお答えします。

 政務官がただいま申し上げたとおりでありますが、条約のことは、やはり外務省が責任を持って判断をし、お答えをすべきものと考えております。

井出委員 いや、だから外務省に責任を持たせたら、私は、日本の国内法がどんどん変わっていってしまうのではないか、そこは法務省としてそれを守っていただきたいと、むしろ応援をしているぐらいのつもりであるんですが。

 これは、監視型の捜査というものが共謀罪と関係ない、絶対大丈夫だということを政務官はおっしゃっておりますし、かつて大臣もそういうことを私に答弁されているんですけれども、監視型捜査というものは別に今に始まったことではない。かつて郵便が発達したときは、郵便物の中身を途中でチェックして、また入れ直して、そして送るというようなことは世界では行われて、大きな問題になりました。今問題となっているのはインターネット関係でございます。それは、もう私から申し上げるまでもなく、海外では進んでおります。

 私の問題意識としては、そうした監視型の捜査というものは、常にいつの時代でも、その時々の社会情勢、その時々の技術の進展に応じて起こり得るものだ、それに対していかにプライバシーというものを守っていくのかという厳しい覚悟で臨まなければいけない。

 ですから、政務官も大臣も大丈夫、大丈夫とおっしゃいますけれども、ちょっと私と危機感の次元が、ただ大丈夫、大丈夫と言われるだけじゃ信用できないんですね。もう一言、絶対大丈夫だと言っていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。

井野大臣政務官 当然、まずもって立法において、監視型社会というかそういう捜査手法を、現時点では通信傍受法で、限られた令状によって、厳格な要件のもとで認められておりますけれども、それ以外は基本的にはそういう捜査手法はとられておりません。

 まして、現在、三権分立で、当然裁判所において、違法な監視、違法な捜査手法、つい最近もGPS捜査が違法だというふうに断ぜられたということでございますけれども、きちっとした、そういう意味では、国民を守ると言ってはおかしいんですけれども、裁判所が機能しているという点でも監視型社会になることはあり得ないというふうに考えております。

井出委員 井野政務官がとんとん拍子に法務大臣になられたときに、恐らくそうした監視型の捜査というものが喫緊の課題を迎えていると思います。きょうの答弁をもとに、断固としてそうしたものと闘っていただきたいとお願いをします。

 きょうは、余り参考人も登録をしていないので、法案に深く入るつもりはないんですが。きょうは、人と、人の心、この二つについて取り上げていきたいと思います。

 まず、一般の方々という言葉がございます。共謀罪のみならず、通信傍受の拡大においてもそうですし、何か新たな捜査、新たな罪を、犯罪を立法するときに、一般の方々は対象にならないということはよく言われております。

 大臣に率直に、大臣の一般の方々と言うものは、一体どういうものをイメージされて、そのお言葉を繰り返されているのか、その点についてまず教えていただきたい。

金田国務大臣 お答えします。

 一般の方々をイメージしていただくには、端的に申し上げて、組織的犯罪集団とはかかわりのない方々、このように受けとめていただければよろしいのではないかと思います。

井出委員 この法案の前段、もっと前の段階の、観念的な話で受けとめていただきたいんですが、例えば外国人はでは一般の方々なのかどうか。外国人というものは、治安対策を考える上で一般の方々なのかどうか、大臣の御意見を伺います。

井野大臣政務官 当然、先ほど大臣が答弁申し上げたとおり、組織的犯罪集団に関係ない外国人の方は一般の方々であるというふうに考えております。

井出委員 組織的犯罪集団かどうかは、お経読みの後に聞いてまいりたいと思いますが、刑法犯罪対策、治安対策において外国人というものが一般の方々であるかどうか、もう一度大臣にお願いいたします。

金田国務大臣 先ほど申し上げましたように、組織的犯罪集団とはかかわりのない、そういう方々は一般の方々として受けとめてよろしいのではないかと考えております。

井出委員 組織的、法案の質疑をしているつもりはございません、その前の段階でございます。

 もう少し踏み込んで聞きますと、かつて、外国人犯罪が非常に多発した、それに対する対策をしなければいけない、そういう時期もございました。そういうことを言われると、正直、外国人の方を一般の方々と認識できるかどうか、私自身も率直なところ自信がないんです。

 大臣は、外国人という方々を一般の方々ときちっと言っていただけるのかどうか、そのことを伺います。

盛山副大臣 日本人であれ外国人であれ、いろいろな方がいらっしゃるかと思います。一くくりに犯罪に関係がある人というような捉え方はできないと思います。また、私たちが仮に外国に行った場合、我々がその国にとっては外国人ということにもなるわけでございます。

 外国人か日本人かということで区別をするというのはちょっと違うのではないかなと考えております。

井出委員 おっしゃるとおりだと思います。

 今副大臣のお話の中で、外国人が、いろいろな方がいて、犯罪にかかわりがあるかどうかというお話がございました。

 大臣にお伺いをしたいんですが、冒頭質問した一般の方々、一般の方々というものは、最大限抽象化すると、犯罪にかかわりのあるなし、それが一つの物差しになるのかどうか。犯罪にかかわりのない人が一般の方々、かかわりのある人は一般の方々でない、そういうお考えはあるかないか、伺います。

金田国務大臣 先ほど委員から、テロ等準備罪処罰法案の審議にまだ入っていないと言われましたので、組織的犯罪集団という用語は使ってふさわしくないというお話を伺いました。

 そういう意味において、今、きょうは一般質疑であるということを踏まえて申し上げれば、犯罪とのかかわりのない方々というのは一般の方々ではないか、このように申し上げたいと思います。

井出委員 犯罪にかかわりのない方々は一般の方々であると。

 もう一つ伺います。

 一度犯罪に手を染めてしまった方は一般の方々ではなくなってしまうのか。どうでしょうか。

盛山副大臣 罪を憎んで人を憎まずという言葉がございますけれども、我々は、政府を挙げて、一旦犯罪を犯した人ももう一度社会に復帰していただこう、受け入れていこう、そういうことを進めているわけでございます。そういうことによって、安全、安心な暮らしをつくっていきたい、形成していきたいと考えておるわけでございます。

 なかなか、気持ちの点で、その過去を知っていればちょっといろいろな思いが出てくるというのは事実でございますけれども、一旦刑を犯した方であっても、刑期を終えて出てこられた方は一般の方々になるのではないかと私は考えております。

井出委員 大臣はいかがでしょうか。

金田国務大臣 ただいま副大臣が申し上げたように、例えば、私たちは、法務行政の中で再犯防止という考え方を非常に大事にして取り組んでいる。罪を憎んで人を憎まず、まさにそういう思いで、この社会が明るくなることを目指しております。

 それはそれとして、この法案、御指摘の法案ですね、それに関連してお聞きだと思いまして、私は組織的犯罪集団という用語を使わせていただきました、それとかかわりがあるかどうか。しかしながら、犯罪と、あるいは組織的犯罪集団とかかわりのない方々は一般の方々であるというのは、先ほどから申し上げているとおりで、そういう概念で議論した方が国民の皆様にもわかりやすいのではないか、このように考えております。

井出委員 もう少し、その法案のことは脇に置いておいて、犯罪に関する立法をするときに、一般の方々とそうでない方を分けることについて話を伺いたいのですが。

 副大臣のおっしゃったことは、大変重要なことをおっしゃっていただいたと思います。一度犯罪に手を染めてしまった方、刑期を終えて出てこられる、再犯はしないと誓ってまた社会に復帰される方もいる、残念ながら、もう一度犯罪に手を染めてしまう方も多いというのもこれは厳しい現実であると私は思うんですが、副大臣も、本当に丁寧な言い方で、なかなか、過去を知ってしまったりというようなことをお話しになりました。それは、私もそうでありますし、社会全体がそうであるから社会復帰の妨げになっているという議論があって、再犯防止というものがあると思うんです。

 刑事的な立法をするときに、一般の方々という言葉を使うことは、私は、一般の方と、そうでない方を分ける、仮想の敵をつくるということなのではないかなと思うんですよ。今回は組織犯罪集団なんでしょうね、それを取り締まるということで。だけれども、その中にも、恐らくいろいろな方がいると思うんですね。

 一般の方々と、そうでない方で、そういうものを分けてしまう、敵をつくる、そういうことが私は余計な、本来、一度刑期を終えた方とか、そういう方に対する特別な見方というものは排除していかなきゃいけない。そういう中で、何か刑事立法するときに、一般の方々と、そうでない方々という、この言葉を乱用するのは、私はもうやめた方がいいんじゃないか。そういうことをまず大臣にお願いと、見解を伺いたいと思います。

盛山副大臣 井出先生がおっしゃっていることは、刑法というんですか、刑罰を決めるというところで大変基本的なことをおっしゃっておられるんだろうと思います。

 基本的には、刑法あるいは刑法体系というものは、何らかの犯罪、窃盗から殺人その他いろいろあるでしょうけれども、そういうものを犯した人、こういう人に対してどういうふうにするのかというのが、これがやはりベース、基本だろうと思います。

 しかしながら、それ以外の場合であっても、実際に犯罪というところに、今既遂ということになっていなくても内容によってはもう少し対象を広げていく、そういうような立法をこれまでもしているわけでございまして、今回のTOC条約であり、そしてそれを国内法化するための手段である今回のテロ等準備罪処罰法、こういったものにおいても、その範囲をどこまで広げていくか、こういうことだろうと思います。

 ですから、私たちは、一般の方々、これは、これまでの答弁その他の中で、そういうふうなことをお話ししているわけでございますけれども、実際に既遂の方ではない、もう少し広い対象の方、それを、しかも、どのように謙抑的に対象として今回のテロ等準備罪の対象にしていくのか、こういうことではないかなと思っております。

 そういう点で、我々は、できるだけ謙抑的にということで、組織的犯罪集団であり、そして計画があり、実行準備行為があり、そういうようなことをいろいろと組み合わせて、対象を極力絞っているつもりでございますので、一般の方々、そしてそれ以外というふうに、単純に、単純ではないかもしれませんけれども、二分をして、網を大きく広げるだとか、そういうようなつもりで私どもが今回の法案を準備したということではないと御理解いただきたいと思います。

金田国務大臣 ただいま副大臣から申し上げたとおりなんですが、つけ加えさせていただきますが、まだ法案の審議に入っているというふうにはおっしゃいませんでしたが、テロ等準備罪による処罰ということを議論するときに、あくまでも危険性の高い行為を行ったことを根拠とするものであって、組織的犯罪集団とかかわりがあることを処罰するものではなくて、あるいは、おっしゃっておられた社会の敵とかそういうことで処罰しようとするものではないということは申し上げておきたいというふうに思います。

 一般の方々がテロ等準備罪の対象となることはないと申し上げることが多かったわけですが、申し上げておりますが、これは、犯罪や組織的犯罪集団とかかわりのない方々がテロ等準備罪の処罰の対象となることはないということを述べたものであります。

井出委員 一般の方々と、そうでない方々と、犯罪全般論で議論をこれ以上してもちょっと抽象的なので、少しその法案の共謀罪の絡みで伺います。

 共謀罪は、今回、計画と、それから実行準備行為と、そして組織的犯罪集団と、そういう要件を政府の方で提案していただいておりますが、さはさりながら、犯罪の着手、実行、既遂それから未遂、そうしたものと比べれば、時間的にはるかに前の段階で逮捕をしていくことになる。既遂であったりその直前の未遂であれば、その人が、またはその人たちが一般の方々であるかどうか、その心情、そうしたものを確認する証拠、状況というものはたくさんあるのかなと思います。しかし、時間的に大分それより前にさかのぼって逮捕をすることとなれば、そうしたものを、確証を得ていくことというのは、これは、物理的に、時間的なものを見ても難しい。

 ですから、私は、根本的に、根本的にですよ、まあ、皆さんはそうならないようにと、法務副大臣が、謙抑的にと、大変いい言葉を使っていただいたと思うんですが、ただ、本質的に、そういう一般の方々、そうでない人、犯罪へのかかわりの意図の程度、有無、見きわめるのが難しいそういうものが計画、共謀罪、その本質である、そういうことを私は考えておりますが、その点について、大臣の考えを伺いたいと思います。

盛山副大臣 今、井出先生がおっしゃったことはそのとおりだと思います。

 何であっても、これが絶対に真っ黒で、これは絶対に真っ白でという、この間の辺というのが難しいわけでありますから、どこまでがどうかというところをどのように判断していくのかというのは大変難しいと思います。

 それで、刑法体系で既遂ということであればもちろんわかりやすいわけでございますけれども、ただ、重要な犯罪、例えばテロだとか組織的な暴力集団等が何かを行う、そしてこれが本当にもう目前に迫っている、そういうときに既遂まで待つべきかどうなのかということでできているのがこの条約であり、そしてその国内担保法である今回の法案ということになろうかと思います。だからこそ、今、井出先生がどこで判断するのか大変難しいとおっしゃいましたけれども、それは我々も同じように考えております。

 ただ、さはさりながら、既遂ではないものについて罰則の対象としていく、それに当たっては、我々としても十分に慎重な検討をしたつもりでございます。その三点が、先ほど先生がおっしゃった三点でございまして、ただ、そこを、実際の場合、具体的ケースの場合、今までもそうでありますし、今、なかなか一般論以上のことはお答えしづらいわけでございますけれども、実際にそれをどのように判断して適用していくのか、これは大変難しい課題であると思っております。

 そしてまた、先ほども政務官の方からお答えいたしましたけれども、我々行政の方である程度間違いのないように判断しているつもりではございますが、それでもなお判断の誤りがあった場合、例えば司法による判断というものも含めて、私たちは、国民の皆様に、間違いのないような、こういう国会の場等で行われたルールづくり、立法に対して、その立法に従った行政活動をしているかということを常に考えながら我々は向かっていくのではないか、このように考えております。

井出委員 一般の方とそうでない方、もう少しはっきり言ってしまえば、善良な市民、国民と、社会の敵とでもいいますか、そういう区分けというものは私はできるだけやはりするべきではない。法律は、本当に、さかのぼれば社会契約論みたいなところまで行き着くんですが、そういう中で、立場が入れかわるということもございますし、相手方の立場を想像する立法ということも、立法する上では必要ではないかと思うんです。

 少し具体的にそういう想像力を働かせていただきたいんですが、例えば、私と大臣と副大臣と後ろにいるお二方で、例えですから私が首謀者になりましょう、私が凶悪な犯罪を皆さんと計画します、そのときは、計画は私が全部提示します、皆さんは異論を唱えない。

 その中のお一人は、井出庸生なんか、やって捕まっちゃえばいいから、知らない、勝手にやって捕まれ、俺は参加しないよ、そう思っている方もいるかもしれない。もうお一方は、私がまさにいつもでかいことばかり言っているから、こいつも、そんな、本当にやったときは体を張ってとめようと思っている方もいるかもしれません。

 計画や準備行為、準備行為が何であるかというのは今後の議論にしたいんですけれども、私は余り金がないから大した準備行為もできないかもしれません、そこはちょっとおいておきますが、既遂や未遂というときに、例えば、私が申し上げたように、体を張ってとめる人がいるかもしれない、俺は全然やる気なかったよと言うかもしれない。体を張ってとまったら、犯罪はとまるわけですね。

 だけれども、計画や準備行為を入れたとはいえ、共謀罪というものをスタートさせれば、私が何か準備行為をしたら、やはり五人は捕まってしまう、不起訴にはなるかもしれないけれども捕まる、そういうことがこの法律の重要な本質部分だと思いますが、その点はどうでしょうか。

盛山副大臣 せっかくの例ではございますけれども、具体的なケースに即して総合的に判断するということになろうかと思いますので、なかなか、だからどうだというのを今ここでお答えするのは難しいと思います。

 それで、結局、組織的犯罪集団ということで、組織としていつもそういうような、反復継続という言葉も今まで御説明では使っておりますけれども、犯罪行為をしようということになり、そしてその計画を策定するメンバーが誰であるのかということ、そしてまた準備行為がどこまでかといったようなこと、そういうようなことを具体的に考えながらやはり判断をしていくということにならざるを得ないのではないか。

 井出先生の満足できる答弁ではないかと思いますが、私たちは今の時点ではそう考えております。

金田国務大臣 私からも、副大臣のただいまの答弁に加えて申し上げます。

 犯罪を実行することについて意思の合致があるかどうか。その場合、ない。こういう計画をしたとは言えないと考えております。それから、今の例はそもそも組織的犯罪集団でもないということは申し上げておいた方がいいのかな。

 その上で、まず、テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与します計画行為及び実行準備行為を行った者について、総体として危険性の高い行為を行ったことを根拠として処罰するものであります。先ほども、委員がテロ等準備罪の処罰法案の議論に入りましたので、そういうふうに申し上げておきたいな。組織的犯罪集団とかかわりがあることを理由として処罰するものでもありませんし、それから、ましてや、御指摘のように社会の敵といったような要素があるとして処罰するものでもありません。

 そうした危険性の高い行為を行った者を処罰することは、やはりテロ等の重大な組織犯罪を未然に防止するという観点からは重要である、このように考えて、テロ等準備罪を、防止するという考え方の法案を議論させていただきたい、こういう話になっているわけであります。

井出委員 実際に、実在する犯罪事件で、ある会社の役員が会社の社長を殺害した、有罪になった、会社の役員は部下とこれを共謀して計画してやったんじゃないか、部下も一人逮捕になった、その部下に話を聞いてみたら、役員が怖くて、その役員が殺害場所に事前に行った、そのときは事件のことは知らされていなかった、ただついてこいと言われた。その部下の方は結局無罪になったというケースがあるんですね。

 例えば三事例、テロの三事例、あれのほかにもたくさんあるというから、そこも議論していくことは重要ですし、その一方で、國重先生がおっしゃられた市民の活動、そういったものが対象にならないという議論も大事なんですが、その計画、それから計画準備行為、共謀、そういったものを、個別の具体例でやらなければいけないし、かつ、実態に即した例も出さなきゃいけない、法律の要件とわかっていただけるような例でやっていかなきゃいけないということで、少し具体的でもあり抽象的な例を申し上げて質問をしているんですが。

 少なくとも、結論として言えることは、計画や準備行為で処罰をする法律をつくるということは、実際に重大な行為が行われる前より、やはり物証とかは薄いと思うんですね。メモはあるかもしれない、計画者の自首はあるかもしれない、そういう中でやっていくというお話なんですけれども。ただ、逮捕する段階というものは明らかに時間的に前になる。そうすると、私は、不起訴になる人が結構ふえるんじゃないかなと思います。いずれにせよ、逮捕するというものが時間的に前になることによって、これまでの日本の刑法と比べて、やはり逮捕されるおそれというものは高まる、そう言わざるを得ないと思いますが、その点について、大臣、いかがでしょうか。

盛山副大臣 井出先生がおっしゃったことは、大変重要な御指摘だと思います。我々も、その辺は十二分に考えたつもりであります。

 つまり、新たな法体系というんですか、刑法体系の中でこういうものを加えるということ、そして、それに対してのメリット・デメリット、そのどちらが大きいかということを考えて、TOC条約を批准する、締結するためにもこういった法体系をつくるべきであると我々は考えているわけでございまして、仮に既遂のところまで待つことによる被害が大変大きいものに対しては、このような形で未然に食いとめるべきではないか。

 ただ、井出先生が御指摘されたように、では、何らかの理由で実際にやらないかもしれない、そういうようなこともあり得るわけでございますから、だからこそ、我々としては、三要件をつくって、できるだけその適用を、さっきも謙抑的にと申しましたけれども、そのような形で今回御提案をしている。そのように御理解をしていただければと思います。

井出委員 なるほどなと思う部分も十分あったかと思います。

 もう一つ伺いたいのですが、社会の敵を取り締まる対象とするのではなくて、あくまで危険性の高い、取り返しのつかないような、そういう犯罪を未然に防いでいくというお話もありましたが、この共謀罪の被害者というのはいるのでしょうか。共謀罪に被害者はいるか。

盛山副大臣 井出先生の御質問の趣旨が、済みません、私、十分理解できないわけでございますけれども、仮に実行された場合には、大きな、被害者がたくさん当然出てくるということは予見されるわけですね。それを防ぐためにということで、このような法案を御提案している、こういうことでございます。

 仮に、この法案が通って、そして逮捕その他という対象が広がるのではないかというようなことが、井出先生がおっしゃる、被害者がいるのではないかということであれば、我々としてはそういったことがないように、できるだけないように、人間のやることですから間違いはあるかもしれませんですけれども、できるだけないようにということで三つの条件を加えているわけでありますし、そしてまた、現実にそれに携わる者は、この法律の、あるいは法案の趣旨を十分理解しながら謙抑的に対応していくことになる、そんなふうに考えております。

井出委員 今、副大臣は、冤罪的な可能性も含めて被害者というものを解釈していただいたのかな、大変丁寧に先回りをしていただいたかなと思うんですが、そこまで至らず、ちょっと後ろの方にも考えていただきたいんですが、この共謀罪、テロ等準備罪というものは、何か特定の被害者はいるんですか。裁判に出廷するような被害者はいるんですか。

井野大臣政務官 今回のテロ等準備罪については、二百七十七の対象犯罪がございますので、恐らく井出先生がおっしゃるのは保護法益のことだと私も理解しました。処罰することで何を守るのかということだと思うんですけれども。

 当然、社会の秩序であったり、例えば組織的な殺人罪とかを計画している場合には、その先の被害者があったりということでございますけれども、あくまでも、仮にこの組織犯罪処罰法に基づいてテロ等準備罪の裁判になった場合には、共謀事実と、かつ、今言う三要件があるかどうかを裁判所において判断されるということでありますので、その先の被害者云々かんぬんというのは、基本的には裁判では関係ない部分になるかというふうに考えております。

金田国務大臣 テロ等準備罪の法案の審議にまだ入っていない段階ではありますが、どんどんそこに入っていくような御質問をいただいております。

 そこで、それに即してお答えしなければいけないんだろう、こう考えましたが、犯罪を実行することについて意思の合致があるわけですけれども、そういう、計画した犯罪の被害者を被害者であるというふうに考えることはできるのではないか、このように思うところであります。

 それから、副大臣、政務官からも答弁をいたしております、先ほど手を挙げたんですが、答弁をする機会がございませんでしたので、犯罪を実行することについて有罪とされるためには、合理的な疑いを入れない程度の立証がやはり必要なんだ、こういうふうに考えております。裁判所も捜査機関も、十分な証拠がなければ有罪としないであろうし、そして起訴もしないものと考えているということも申し上げなければいけないのかなというふうに考えて、先ほどの質問を聞いておりました。

井出委員 恐らく、計画した犯罪の被害者を被害者とすると。でも、計画した犯罪が実行されなければ被害者はいませんし、裁判に出廷する被害者というのはいないと思うんですね。

 犯罪を未然に防ぐということは大変大事だと私も思うんですよ、テロ対策とかもそうですし。今まで見ても、例えば、偽造したクレジットカードとかピッキングの道具とか、昔は持っていたら罪にならなかったけれども、やはり、持っても罪にするようにして、早い段階で被害を食いとめようみたいな、そういう流れというものはあると思うんです。

 ただ、いずれにしても、そうしたものも、個別の犯罪の種類を捉えて日本はやってきた。それを、今回二百七十七と法律に一気に広げる。まあ、起訴することはないとおっしゃいましたけれども、やはり、人間、逮捕されるだけでも一大事ですよ。逮捕されたら一生、名前、グーグルやヤフーに頼んだってほとんど消してもらえませんよ。

 副大臣は謙抑的にというようなお話をしていただきましたけれども、そうしたところがこの法案の恐らく間違いなく本質であって、では、それを何でテロ等準備罪、テロ等準備罪と言うのか。

 大臣にお願いしてあったんですが、私の思いも酌んだこの法案の名前というものを大臣に考えていただいたと思うので、御提案いただきたいと思います。

金田国務大臣 テロ等準備罪を設けることによりまして、テロを含む組織犯罪について、実行着手前の段階での検挙、処罰というものが可能となって、その重大な結果の発生を未然に防止することができるようになるということであります。テロ等準備罪はテロ対策に資するものである。

 それから、国内外の犯罪の実態を考慮した場合に、組織的犯罪集団の典型がテロリズム集団である。そして、テロリズム集団による重大犯罪の典型がテロである。

 また、テロ等準備罪は、計画行為に加えて実行準備行為が行われたときに初めて処罰するものである。

 このように、テロ等準備罪の呼称は罰則の実態を反映したものとなっておる、このように考えておるわけであります。

井出委員 私の思いを酌んだお名前はお考えいただけなかったということでよろしいのか、もう一度。

金田国務大臣 井出委員のこの法務委員会におけるこれまでの御指摘、常に真剣に受けとめて、そして次の法務委員会まで井出委員とお話しできることをまたありがたく思っているわけであります。

井出委員 まだ質疑時間は終わっていないので、勝手に次回とかと言われても困るのですが。

 まず、その名前を考えていただきたいというのは、私、前回申し上げました、御提案いたしました。議論を深める上で、ぜひ名前を次回、私の思いに立った名前ですよ、出していただきたいと思いますが。

 今、テロ等準備罪で、テロは組織犯罪の典型なんだと。典型という言葉はこの間も委員会でも伺ったんですが、その一方で、さきの本会議で、テロリズムの集団について、例示である、罰則の構成要件となるものではない、一つの例で、だからこそそれは定義しない、そういうお話をされていたと思うんですけれども、私は、その本会議の答弁というのがこの法律の本質であると。

 だから、テロリズム集団というのは一例にすぎないんだけれども、それを法律の名前に冠をかぶせているんですよ。これは、食品とかいろいろな商品でいったら表示違反みたいな話だと私は思うんですが、典型なのか一例なのか、そこをもう一度はっきりさせていただきたいと思います。

井野大臣政務官 組織的犯罪集団の例としてテロリズム集団ということを明示させていただいたということでございます。

井出委員 一例というのと典型というのとでは大分受ける印象も違いますし、私は、ずっと前半申し上げてきた、人の心ですとかそういうものについて法律というものは議論をしていかなければいけないと思います。それを、テロ等準備罪と名をつけて通そうとする。

 政務官から法益というものがありましたが、かつて、法律、刑法というものは、被害、例えば殺人でとか財産を奪われるとか、そういうものがはっきりしていた。しかし、最近は、社会の秩序とか平穏とかそういったものが立法目的となってきている。だからこそ、慎重な審議、そして個別の議論をしていかなければいけないし、でも、それでもいろいろな法整備をしてきたんですよ、個別に、少しずつ。そこまでは否定はしないんですけれども。

 今回の共謀罪というものは、犯罪の実行より時間的にかなり前にさかのぼるところを、起訴はしないかもしれない、少なくとも、しかし逮捕するチャンスというものをふやすことになる。だから、この法案というものが、名前で押し通そうというような法案ではない、しっかりと審議をしなければいけない。以前にも申し上げましたが、これが通るのであれば、本当に日本の刑法というものの考え方が大きく変わる、そういうことを申し上げて、今後の審議、また次回ですね。

 どうぞ。せっかくここまで演説をぶったので、ぜひ一言お願いいたします。

 では、また次回ということで、どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 本会議では、もう既に四月六日の日に、この共謀罪法案、審議入りということで、委員会では、きょうこの後、その提案理由の説明がされて、いよいよ本格的な審議に入るということになるわけです。ぜひ、日本の刑法の原則を大きく変える可能性の高いものでありますので、慎重な審議をお願いしたいということを冒頭に申し上げさせていただきます。

 そこで、昨日、実は、夕方の六時三十分から、参議院の議員会館でこんな集会がございました。「刑法性犯罪改正案」の国会審議を求める緊急院内集会ということがございまして、私も参加をしてまいりました。この「ご出席のお願い」という紙が、多分、衆参の国会議員の部屋に届けられていたかと思うんですが、参考までに、この「ご出席のお願い」の文章の一部を紹介させていただきます。

 性犯罪の加害者を処罰する刑法性犯罪はこの百十年間ほとんど改正されてこず、実態と乖離し、悪質な加害者が野放しにされてきました。私たちは十年近く要望を続けてきた改正が閣議決定、国会に上程され、いよいよ実現するものと、大きな期待を寄せていたところ、組織犯罪処罰法改正案の審議が刑法性犯罪改正案より先行され、組織犯罪処罰法改正案について、四月十四日から審議入りする予定との報道がありました。

 組織犯罪処罰法改正案は国民生活に重大な影響があるとされ、国会の場で十分な議論が求められている法案です。刑法性犯罪改正案の審議入りを求める私たちの声が組織犯罪処罰法改正案の早期制定を望むものであるかのような取り扱いとされることはあってはなりません。そうした誤解を生みかねない審議日程の決定に対し、私たちは怒りを禁じ得ません。

 今回の改正案には、親告罪の撤廃、監護者わいせつ罪、監護者性交等罪の新設、男性やセクシュアルマイノリティーへの対象の拡大等が盛り込まれています。これまで被害を訴えられなくさせられていた被害者を、これ以上放置し続けることは決して許されず、刑法性犯罪の改正は一刻を争う事案です。また、暴行脅迫要件の緩和等、改正に盛り込まれなかった重要課題についても、本当に当事者の心に沿った改正が求められております。

 立法に当たる国会議員の皆様におかれましては、改正を願う市民の声を受けとめていただき、法改正を実現していただくようお願い申し上げます。

 これが御案内文の一部の紹介でありますけれども、このように、ここの委員会の外では、性犯罪の厳罰化法案、これの制定を望む声が非常に強い、そして、それは一刻を争うことなんだというふうに言われているわけです。ぜひ、大臣を初め法務省の皆さんにもこの事実を受けとめていただきたいと思います。

 そこで、大臣にお伺いするんですが、これは質問通告しておりませんので、お答えにならなければならなくてもよいんですが、私は、国会でどの法案を議論していくのか、これはまさに国会が決めることだというふうに思っております。そしてまた、今回の共謀罪法案と性犯罪の厳罰化法案、どちらも閣法として出されていますから、どっちが重要かと言われても、それはなかなか答えにくい問題だと思います。どっちも重要だと言わざるを得ないんだと私は思っています。

 ただし、そうした前提を置いたとしても、今の私が御紹介した案内文でありますとか、あるいは国会内外の声、そういうものを聞いたときに、私は、性犯罪厳罰化法案、これをやはり早く成立させるということは相当多く求められていることではないかというふうに思うんですが、このあたりの認識について、大臣、いかがですか。

金田国務大臣 逢坂委員からのただいまの御指摘と御質問、私からお答え申し上げるわけですが、今おっしゃっておられたとおり、法案審議の順序といったものにつきましては、国会審議のあり方についてということでございますので、国会においてお決めいただく事柄でございますので、法務大臣として申し上げるべきことではない、このように考えていることは以前も申し上げたとおりであります。

 その上で、今二つの法案を比較されました。二つとも国民の安全、安心に密接にかかわるものとして極めて重要な法案である、このように考えております。

 性犯罪に関する刑法の一部改正法案は、御指摘がありましたように極めて重要な法案でございますし、明治四十年に現行刑法が制定されて以来初めて性犯罪の構成要件等を大幅に見直すという点においても非常に大きな意義がある大事な法案である、このように認識をいたしております。

 また、テロ等準備罪処罰法案は、内外の現状、テロ等の現状、そういうものを踏まえ、また、三年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を控えた中で、TOC条約の締結のための法整備として必要なものであります。テロ等準備罪を新設して、そしてTOC条約を締結することは、これも喫緊の課題であると認識をいたしております。

 私からは、いずれも国民の安全、安心に密接にかかわるものとして極めて重要な法案であることを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

逢坂委員 両方とも重要だということは、それは閣法で出しているから、そういう答弁になることは当然だと思います。どっちかが重要でなくてどっちかが特に重要なんだという言い方はなかなかしづらいものだというふうに思います。

 しかしながら、この性犯罪の厳罰化法案については、やはり国民の声が非常に強い。一方、共謀罪に関しては、逆に不安の声が非常に強い。賛成の声ももちろんあります、あります。でも、その実態を踏まえて大臣に、私は、どうお考えですかということを聞いたわけです。

 どっちも重要だというのは、それはそう言わざるを得ないのは当然だと思います。だけれども、その声を踏まえてどうお考えですかという大臣の個人的な感想を聞いたわけであります。いかがですか。

金田国務大臣 重ねてお答え申し上げますが、逢坂委員の御指摘に対しまして私が法務大臣として申し上げておりますのは、これは法案審議の順序というものにつきましてのお尋ねである、このように受けとめておりますので、国会審議のあり方につきましては国会においてお決めいただく事柄でございますので、御理解を賜りたい、このように思います。

逢坂委員 大臣の方から感想でも多少聞けるかなと思ったんですけれども、非常に残念であります。

 さて、それではこの問題をちょっと……(金田国務大臣「両方とも大事」と呼ぶ)いや、それはもう聞いております、両方大事だというのは聞いております。ただ、両方の法案を一緒に審議するというのはなかなか難しいわけでありますので、それで、採決も一緒にやるというのもなかなか難しいわけでありますから、やはりどちらかを審議に入ってしまうと、その審議をとめてまたやらなきゃいけないということになりますので。

 いずれにしても、ちょっとこれについては、私は、国民の要望も非常に強いわけでありますので、もし今後のこの共謀罪法案の審議の中で、大臣がなかなか答弁できないような場面があるとか審議がストップするなんということがあれば、この共謀罪の法案は審議しかかりであっても、性犯罪厳罰化法案の審議をすべきではないかなというふうに思っていますので、そのことは指摘をさせていただきます。

 そこで、前回の共謀罪法案の審議のとき、私は法務委員ではありませんでしたので、その審議の内容は余り詳しくは当時は承知しておりませんでした。しかしながら、今回、法務委員会で審議をするということになって、過去の議事録、全部集めまして、まだ残念ながら全ては読めていないんですけれども、少しでも時間のあるときは過去の審議、議事録も読もうということで、半分ぐらい大体読んだかなという感じがします。

 それを見て感ずるのは、当時の議論というのは、確かに与野党、随分激しいせめぎ合いがあったのは事実なんですけれども、私、与党の皆さんの議論を見ていて、すごいなと思うことがありました。

 それは、閣法で提出されている法案だから、閣法がいいんだ、いいんだ、正しいんだ、いろいろ説明することに対して、それは大丈夫ですねとかこれは一億総監視社会になりませんねとか、そういう目線で政府から確認のような答弁をとっているものばかりではないんですね、実は。結構厳しく、その閣法の内容あるいは国民から不安のある声について、この規定で大丈夫なのかとか、それはおかしいのではないかといったようなニュアンスの質問が与党からも相当多いというふうに認識をいたしました。これは、でも、私はすごい意味のある審議だなというふうに思うんですね。

 最近の国会議論を見ておりますと、何か閣法で出されたものをとにかく是認する、その理由をいっぱい並べるのが与党の議員の皆さんの仕事であるかのような側面が見えるところが多い。(発言する者あり)そういうふうに見える場面が私にはある。だから、今回のこの共謀罪の審議も、やはり、単にそれを通す、そういうベクトルを大きくするだけの質問ではなくて、批判的な見方、そういうものも含めた質問というのが非常に重要なんだろうと思っています。

 そこで、けさ、実は、私どもの法務部門会議に、当時の法務委員会での議論、与党の議論をどちらかといえばリードされた早川忠孝先生にお越しをいただいて、現在は弁護士をされておりますけれども、いろいろとお話を伺いました。非常に勉強になりました。

 早川先生は、やはりいろいろなことはあったんだろうと思いますけれども、わざわざ民進党の部門会議に来ていただいてお話をするというのは、非常に私は勇気、決断の要ることだったんだろうと思っています。しかし、それは、過去の議事録を読んだり、早川先生が当時の議論の中でやっていたことを思うと、やはりなるほどなという感じもするわけであります。

 そして、当時閣法で提出された法案について、自民、公明両党で修正試案というのを出されている。これを見ると、やはり今回出された閣法とは随分違っているような気がいたします。対象犯罪数ももちろんこれは少ないですし、しかも、これには、配慮規定でありますとかあるいは留意事項、こういったものまで載せていて、閣法で出された法案に対する不安、それを払拭するというようなことまで含まれているわけであります。まあ、全部払拭できるかどうかはわかりませんけれども、そういう試案が出されているということであります。

 与党の方がどういう質疑をするかということを私は制限、制約をする意味でこんな発言をしているわけではありませんけれども、過去の委員会ではそういう雰囲気もあったということを御紹介させていただいたということであります。

 そこで、大臣にお伺いしますが、今回の閣法を提出するあるいは立案するに当たって、過去のこうした国会議論というものを参考にされていたのかどうか。なぜそれを一つの出発点にしなかったのかどうか。しかも、これは、前回の議論のときは自公の修正案でありますから、それはある種の到達点だというふうにも私は思うわけですが、このあたりは、大臣、いかがでしょうか。

井野大臣政務官 今回のテロ等準備罪についてでございますけれども、過去三度廃案になったという過去の経緯、議論等を踏まえて、新たな要件を付した上で、かつ、対象犯罪も限定した上で提出したものでございますので、当然過去の議論を参考にさせていただいたということは間違いないと思います。

逢坂委員 過去の議論を参考にしたということでありますけれども、過去の議論、例えば私が今御紹介をしました自民党と公明党の修正案、平成十八年の六月十六日の会議録にこれをあえて添付したというふうに伺っておりますけれども、その修正案を見る限りは、この修正案と今回の閣法を比べると、やはり過去の議論の到達点には今回達していないのではないかというふうに思うんですね。

 だから、私は、前回、せっかく十二年前にある程度の議論を積み重ねてきて、ある一定の到達点に来ていた、でも今回の閣法は、その到達点よりも、ある種、山登りでいえば下の何合目かにいるというふうに思うんです。だから、これからまた議論を積み重ねていくというのは少し残念な気もするんですが、閣法をつくるときに、しかも与党の中でも議論されていたことですから、そのことも踏まえて今回法案を提出すれば、より閣法としても到達度の高いものになったのかなというふうに思っておりますけれども、そうされなかったのは非常に残念であります。

 きょう、早川先生から話を聞いて、早川先生、言葉は正確ではないかもしれませんけれども、こんなことを言っていました。やはり、刑法の大原則を変えることになるかもしれない、そういうことであるので相当に慎重な審議というものが必要だったんだというようなニュアンスのことを言っておられましたので、このことも合わせて御紹介をさせていただきます。

 さてそこで、きょうは、外務省からも武井政務官にお越しをいただきました。

 今回、論点の一つは、TOC条約に加入するに当たって国内法の整備が要るのか要らないのかというところが、これまでも何度もやりとりをされているわけであります。そのときに、外務省の答弁ではこういうふうになっているわけですね。「重大な犯罪の合意罪に相当する罪も、内乱罪等、ごく一部でございます。」、要するに、現行の国内法がです。だから重大な犯罪の合意罪は物すごく少ないんだ、だから国内法の整備が必要なんだというふうに言っております。

 それからもう一つが、「予備行為自体が客観的に相当の危険性を備えたものでなければ処罰できないというふうに我が国ではされております。」、だから、「重大な犯罪の合意を犯罪化することを求めております第五条の趣旨にこのままでは反するおそれが高いというふうに考えておりまして、」というふうに言っているんですね。

 だから、理由は二つ。予備罪では相当の危険がないと処罰できない。それから、仮に内乱罪のようなものはあっても、それはごく一部で、数が少ないんだというふうに言っているわけですが、TOC条約に参加するために国内法を整備する理由というのはこれでよろしいでしょうか。確認です。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 この国際犯罪防止条約の第五条でございますが、こちらでは、締約国に対し、重大な犯罪の合意または組織的犯罪集団への参加の少なくとも一方を、未遂または既遂とは別に犯罪化することが義務づけられているところでございます。

 その上で、先ほど委員より御指摘がございましたが、我が国では、現行法上、参加罪が存在しないわけでありますし、その上で、重大な犯罪の合意罪というものも、相当する罪のごく一部にしか存在しないわけであります。

 また、現行の予備罪は、そもそも重大な犯罪に当たる罪の一部にしか規定されていない上に、この予備行為自体が客観的に相当な危険性を備えたものでなければ処罰できないとされておりますので、この重大な犯罪の合意を犯罪化することを求める本条約の第五条の趣旨に反するおそれが高いというふうに考えております。

 したがいまして、現行の国内法では本条約の義務を履行できないために、新たな立法措置が必要であり、本テロ等準備罪を新設しなければ本条約は締結できないと考えているところでございます。

 以上です。

逢坂委員 確認的に話を伺わせていただきました。

 そこで、今回、二百七十七の犯罪をこの共謀罪の対象としたわけですが、二百七十七にした理由、それはどういう考え方で二百七十七にしたのか。これは法務省に聞いた方がいいんでしょうか。外務省ではないのかな、法務省でしょうか。大臣、いかがですか。

武井大臣政務官 では、条約についてでございますので、私どもからお答えをさせていただきます。

 本条約は、すなわち、各国の法律に基づいて定められている刑期の長さを基準として、長期四年以上の自由を剥奪する刑またはこれより重い罪を科すことができる犯罪を重大な犯罪の合意罪として対象とすることが義務づけられているところであります。

 したがいまして、各国は、当該条約を履行できることを前提に、それぞれの法制度の整合性を考慮しつつ、担保する法律であるわけでございます。そういう意味で、この対象犯罪のあり方についても、あくまでも、本条約を履行できる範囲の中で検討されたということでございます。

 以上であります。

逢坂委員 刑期の長さに着目をしているんだ、刑期四年以上だということ、それ以外に、今回二百七十七にした理由というのが何かあるはずなんですが、いかがですか。

武井大臣政務官 今回の法案のテロ等準備罪につきましては、さまざまな議論が過去あったわけでございます。

 一般の方々が処罰の対象にならないことが明確になるように、この法文上、犯罪主体を組織的犯罪集団に限られるということを限定した上で、この対象犯罪についても、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される犯罪、これが二百七十七と、今の委員の御指摘でございますが、限定したということになるわけであります。

 以上です。

逢坂委員 今回、二百七十七にした理由は、一つは刑期の長さ、それからもう一つは、一般の方々が対象にならない組織的犯罪性、そういうものが非常に高いものをこの対象にしたということでよろしいですか、整理をすると。うなずいていただいたので、それでいいですか。

武井大臣政務官 そのとおりでございます。

逢坂委員 例えば、そういう目で考えたときに、公職選挙法違反というものがあります。これは刑期五年以上というものも、公職選挙法の中には幾つかの公職選挙法違反があるわけですが、例えば、これが含まれない理由というのはどういうことなのか。

 あるいは、逆に言うと、例えば、この含まれている刑の中に、森林法の保安林区域内における森林窃盗というのがあるんですね。これは実は保安林区域内以外であれば森林窃盗は三年の刑だったというふうに承知はしているんですが、たまたまこれは五年以下の刑なので、保安林区域内における森林窃盗というものが含まれているわけであります。確かに刑期四年というのは、こっちは、森林法はかかっている。

 でも、森林法の中の窃盗と公職選挙法とどちらが組織性が高いのか、この判断というのは何か具体的なメルクマールはあるんでしょうか。

金田国務大臣 組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定しがたいことから、対象犯罪としないという扱いはあったわけであります。(発言する者あり)公職選挙法についてであります。

逢坂委員 組織的犯罪集団が実行する可能性が低いという意味だったんでしょうかね。(金田国務大臣「実行を計画することが現実的に想定しがたい」と呼ぶ)ありがとうございます。計画することが現実的に。

 なかなか、こちらからいろいろな、やじともつかない付随の御説明がいろいろ入るものですから、解説つきなものですから、副音声はちょっと消していただきたい。何かこっちからしゃべっている、後ろからも副音声が来るものですから、本当に困ったものでありますが。余り副音声は、チャンネルをちょっと私は副音声の方は切りたいと思いますので、主音声だけでよろしくお願いします。(発言する者あり)私どもは、割と大きな声でやじを飛ばして、余り解説はしないことにしておりますけれども。

 それで、武井政務官にお伺いしたいんですけれども、さっきの話からいくと、公選法がいいのかとか森林法がいいのかという議論は、さまざま理由はあると思うんですが、今回のこの対象犯罪が二百七十七でかっちりあらねばならない、これを一つでも減らすことはまかりならないのか、それとも、これは変更し得る、今の例にしてみれば、公選法が入るか入らないかというのは、組織的犯罪として計画しがたいだろうというような話があった。だから、そういう観点からいうと、もう少しふるいにかけられる余地というのはあるのかないのか、たった一つでも減らすことはまかりならないのかどうか、その点、いかがですか。

武井大臣政務官 この二百七十七の個別の内容につきましては、法務省にお尋ねをいただきたいと思います。

 以上です。

逢坂委員 それでは、個別の内容について、法務省、この二百七十七をただの一つも減らすことはまかりならないのかどうか、そのあたりはいかがでしょうか。

井野大臣政務官 条約の批准ができるかどうかについてはやはり外務省に聞いていただきたいところでございますけれども、我々としては、外務省からお伺いした条文解釈等を確認した上で、今回の対象犯罪二百七十七が最も適当であるというふうに考えております。

逢坂委員 最も適当であるということであれば、減らしても、それは最もではないかもしれないけれども、適当なものはあり得るという理解でよろしいですか。

井野大臣政務官 繰り返しになりますけれども、我々としては、今のが最も適当であるというふうに考えております。

逢坂委員 外務省では答えにくいという話でありましたけれども、今、法務省は最も適当だというふうに言われました。

 それじゃ、仮に国会議論の中で、最も適当ではないと……。

 例えば、今私が指摘したような森林法のようなもの、森林法の森林窃盗というのがあるんですけれども、これはどういうことかというと、保安林の中でキノコをとったりしても実は森林窃盗になるんですよね。保安林の中でキノコをとるというのはそんなにない話ではないような気もするのでありますけれども。

 しかも、通常の窃盗よりも保安林外の窃盗というのはちょっと罪が軽いんですよ。なぜ軽いかというと、森林というのはやはり普通オープンになっていて、所有者が誰であったにしても割と多くの人が山に入ることができる、そこで例えばキノコの類いをとってみても、いや、それは確かに犯罪ではあるんだけれども、通常の、どこか建物に入って物をとることに比べれば多少罪は軽微だろうという意味で、保安林外の窃盗というのは三年ということになっているわけですね。たまたまこれは保安林だから五年ということで、今回ここに入ったわけです。

 だから、そういう点からいうと、これを果たしてTOC条約加入の要件の罪としていいのかという議論が私はあってもおかしくはないと思うんです。そのときに、外務省、これを一つ外したらTOC条約は入れないという性質でしょうかね。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 この条約の基準というものは、あくまでも、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるか否かという基準で行うものであります。したがいまして、この条約解釈の基準から離れて、独自の、条約の規定に基づかず対象犯罪を限定することはできないというふうに考えております。

逢坂委員 組織的犯罪集団が関与するかどうか。それじゃ先ほどの話にまたもう一回引き戻しますけれども、公職選挙法違反というのは組織的な集団が全く関与しないというふうに断言できるでしょうか。これはどちらに聞けばいいでしょうか。どちらでも構いません。

井野大臣政務官 一応、我々の整理としては、公職選挙法はテロリズム集団等の組織的犯罪集団が現実的に関与するものではないというふうに考えたところでございます。

逢坂委員 では、逆に言うと、森林法の方は、森林内の窃盗、すなわちキノコをとるとかそういうことは、組織的犯罪集団が関与する必然性が公選法よりも高いということでしょうか。私は、キノコをとりに行くことの方が、個人の方が多いような気はするんですけれども、現実社会としてですよ。

 これは、私は価値判断の分かれるところだと思うんですよ。だから、どちらかだけが絶対この中に入れなければいけなくて、どちらは絶対この中に入らないというものではないような気がするんですけれども、そのあたり、いかがですか。明確な基準はあるんですか。

井野大臣政務官 基準というのは、先ほど武井政務官からもお話があったとおり、現実的に組織的犯罪集団が関与する犯罪かどうか、かつ、長期四年以上だったと思いますけれども、その対象犯罪のうちで現実的に想定し得るかどうかということで、我々がこれは現実的に想定し得るだろうということで法務省において仕分けをさせていただいた結果、二百七十七だということでございます。

逢坂委員 したがいまして、それは現在の政府としての仕分けであり、政府としてのある一定の考え方に基づいてやられたものだと私は理解をするわけです。だから、それはある種の政策判断だというふうにも思うわけです。

 だから、例えば、科学といいましょうか、自然科学のように、ある一定程度の数値基準があって、これを超えたら必ずTOC条約の対象犯罪にしなければならないとか、これを下回ったら必ず外すというようなものではないと思う。そこにはある種の政策的な判断、価値判断が入っていると思うんですね。

 だから、そういう観点からいうと、この二百七十七をふやすか減らすかというのは、まさに政策の判断ですから、そこに絶対的な基準がない。だから、私は、そういう意味では、この対象犯罪を減らしてもTOC条約に加入できるのではないかと思うんですが、それは全く無理なことですか。

武井大臣政務官 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたけれども、条約解釈に基づく基準、すなわち、今、井野政務官からもございましたが、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるか否かという基準におきまして外務省としては行うものでありますので、その基準から離れて、規定に基づかず対象犯罪を限定することはできないと考えております。

 以上です。

逢坂委員 ただ、その仕分けを、今おっしゃった基準に従って仕分けをする際に、それが絶対的な基準では必ずしもない、そこに判断の分かれるものも私はあるような気がする、組織犯罪に該当するかどうかというのは判断が分かれるようなものがあると私は認識するんですね。

 だから、それを一つ減らしたから、一つふやしたからといって、TOC条約に入れないという性質のものだとは思われないんですよ。日本政府が、これは組織的犯罪に非常にかかわりの強いものだから、これをそうしましたと言っていいんじゃないかと私は思うんです。そういう判断はないんでしょうか。

武井大臣政務官 繰り返しになりますが、具体的な法案の罪名につきましては、法務省の方で解釈をいただくものと考えております。(逢坂委員「法務省、いかがですか」と呼ぶ)

井野大臣政務官 本当に繰り返しになって恐縮でございますけれども、二百七十七個が現実に想定される犯罪でございまして、これが最適だと、最も適切だというふうに考えております。

逢坂委員 政府としては最適だというふうにおっしゃっておられる。だがしかし、それはほかの解、解というのは、二百七十八でも二百九十でも、あるいは百五十でもいいとは思うんですが、そういう解というのも考え方によってはあり得るというふうに私は思うんですが、その点はいかがですか。これは法務省でしょうか。(発言する者あり)副音声、ちょっと静かにしてください。

井野大臣政務官 今回のまず第一の立法目的というか趣旨がTOC条約に入ることでございまして、これについては、やはり先ほど外務省から答弁ありましたとおり、必要な法整備を我々がしなきゃ、それがまさにこのテロ等準備罪でございますので、かつ、それは、今我々が外務省から確認した上で条約解釈上最適な数が二百七十七というふうに判断しておりますので、これがまさに最も最適な数だというふうに考えております。

逢坂委員 外務省は個別の法律については判断はしないということのようでありますけれども、仮に、それじゃ外務省が、法務省の方で、あるいは国会議論の中で、いや、これはやはり組織性が薄いですよねという犯罪が国会議論の中であったとして、これからそういう議論を我々はしようと思っているんですが、そのときに、やはりこの犯罪はここから外した方がいいですねというふうになることは十分あり得ると思うんです。

 それは、なぜそういうことを言うかというと、かつての自公の修正案の中でも、あのときは対象犯罪数は百と少しだったわけです。二百を下回っていたわけであります。そういう案まで当時お考えになっていたことをすれば、二百七十七より下回るというケースが仮にあったとしても、それは条約に入れるのではないですかと私は思うんですが、いかがですか。

武井大臣政務官 繰り返しになりますが、実際の罪名については法務省が判断をするということでございますけれども、仮に、今の委員のお話ございました国内法が整備されたといたしましても、その国内法の規定する対象犯罪の内容では本条約の義務を履行できないという場合においては、我が国として本条約は締結できないということになるかと思います。

 以上です。

逢坂委員 私、武井政務官に大変失礼なんですけれども、ほとんど答弁になっていないような気がいたしました。なぜこれを減らして締結できないのかというのが、私はどうも明確に答弁されているようには思われないです。

 組織性がある犯罪かどうかというような判断はなかなか難しいと私は思うんです。それは、私は先日、決算の分科会で、百十という数字がマスコミで出ている、それは何か、テロにかかわる法案の対象が百十だというふうにマスコミが報道していたと、そのことについて金田大臣にお伺いしたら、いやいや、百十なんということは法務省は言っておりません、公式には言っておりませんということだった。

 それじゃ、百十と言われているんだけれども、それを列挙してくださいと言ったら、そういう時間のかかる、時間のかかると言いましたか、大臣はおもしろいことを言った。「時間がかかりながらお答えしていくようなプロセスはお許しください。」と言って、これは金田大臣の発言ですが、これは議事録がありますので、それはいいんですが、その発言がどうこうということではないんですが。

 これは、大臣はこのときにこうも言っているんですね。要するに、結論から言うと、なかなかそれは区分しがたいんだということを大臣はおっしゃっていたように私は思います。ここですね。「先ほども申し上げておりますが、五つのうちのどの類型に入るかというものが、ダブっていたり、それをどちらかにするというものが、非常にまだいろいろな議論があったりという部分はありますことを御理解いただきたい。その前提の上に立って、そういう状況になっているということであります。」と。すなわち、今回の二百七十七というのがどういう類型に該当するのかというのはなかなか答えにくいんだということを大臣はおっしゃっておられたわけであります。

 だから、今回の二百七十七以外の犯罪についても、入るか入らないかというのは、私は、なかなか答えがたいところがあるのではないかという気がするわけであります。

 だから、そういう観点からすれば、二百七十七が、これはもう完全に金科玉条で、ただの一つも変えられないという性質のものではないと私は思うんですけれども、大臣、いかがですか。

盛山副大臣 私も、決算行政監視委員会、同席しておりました。そのやりとりは覚えておりますが、大臣がお答えしたのは、区分についてお答えをしたわけでございます。

 それで、二百七十七がどうかという御質問かと思いますけれども、これにつきましては、外務省と我々、そしてさらには内閣法制局も交えまして、この批准のために何が必要で、そして十分であるかということを議論した上の結果でございます。そのように御理解をいただければと思います。

逢坂委員 盛山副大臣のおっしゃることは、それはそのとおりなんだと思います。外務省と法務省と法制局も入れて議論した結果が二百七十七なんだということだと思いますが、その中身を審査するのが国会の役割でありますから、その三者でやったから、それが妥当性があるという答弁には必ずしもならない。それはプロセスの話をしゃべっているだけでありまして、二百七十七の妥当性というのをちゃんとやはり論理的に説明してもらわなければ、これは納得することはできないわけであります。

 要するに、外務省の答弁で、いわゆる陰謀罪のようなものはごく少ないという答弁をされているわけですね。これは非常に論理性に欠けるというふうに私は思っていて、ごく少ない、ならば、どの程度ならいいんだということになっちゃうわけですね。そのときに、やはり明確な基準といいましょうか考え方といいましょうか、それが示されなければいけない。そのときに、組織的だという話と四年以上の刑期の話をされましたけれども、その組織的だというものを判断するときの基準、そこは私は分かれるものがあるというふうに思うんですよ。

 だから、必ずしも二百七十七、私はよいのではないか、いや、場合によってはもっと実はふえるんだということだってあるかもしれない。だから、このあたり、なぜ二百七十七からただの一つも動かせないのかというところが私はわからない。そういうものもあり得るよというのなら私はまだわかる。

 いかがですか。

武井大臣政務官 先ほど来申し上げておりますが、個別の罪名につきましてどうかという解釈につきましては法務省にお聞きいただきたいと思います。

 以上です。

逢坂委員 私は、個別の罪名のことを言っているのではありません。今回の二百七十七というのが、ただの一つも動かせないのかということなんです。

 その理由は何かというと、この犯罪の組織性というものについて、議論の分かれるものも中にはあるでしょうと。だから、そのことによって、つけ加わるものも場合によってはあるかもしれないし、減るものもあるかもしれない。だから、そういう、国会の審議の経過を踏まえて、例えばこれが二百九十になるとか二百六十になるとか、それは全く許容されないことなんですかということを聞いているんです。個別の罪名を聞いているわけではないんです。

武井大臣政務官 これからまた本委員会で御議論があるわけでございますが、この対象犯罪のあり方につきましての御検討も、これはあくまでも本条約が履行できる範囲で行われるということが必要であるというふうに考えております。

逢坂委員 履行できる範囲という言葉が出てきましたけれども、それはそれでまた難しい言葉でありまして、多分、条約が予定しているものより幅広い範囲でこれを対象犯罪にすれば、それで条約は多分履行できるんですね。ただ、刑法の原則からいけば、新たなこういう共謀罪のようなものをつくるというのはなるべく最小限にしなければならないという原則があるので、だから我々は、そこのところをぎりぎりぎりぎり言っているわけです。

 だから、二百七十七で入れるんだという外務省の考え方はわかります。だけれども、ただの一つも減らせないのかということについては、私は、きょうの段階では明確な答弁をもらっているというふうには思えません。

 きょう、もう予定の時間が来ましたので、これでちょっとやめたいと思いますが、最後に大臣、井出委員も最後に名前のことを言ったんですけれども、私は、名前、やはりこれは相当まずいと思っていまして。

 今回の法案の中にテロ集団という言葉が入りました、テロ集団。テロ集団は、これは例示であって、法文上、例示だから定義は要らないという言葉があったわけであります。

 参議院でも多分答弁されていると思うんですが、テロ集団という言葉を今回の法案から削除して、この法案の効果は変わりますでしょうか。

金田国務大臣 前もお答えをしたことがございますが、この点につきましては、例示、わかりやすくするための例示である、このように御理解をいただきたいと思います。

逢坂委員 そのわかりやすく示した例示、これを削除したとして、今回の法律の効果は変わるんですかと私は聞いているんです。

金田国務大臣 まあ、例示であります。それで、「テロリズム集団その他」がある場合とない場合とで犯罪の成立範囲が異なることはない、このように考えます。

逢坂委員 すなわち、単なる例示で、テロ等というのは、法律的な、罪に及ぼす効果は変わらないということだったかと思います。

 これから丁寧に議論をしていきたいと思います。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 質問に先立ちまして、政府は、この一般質疑が終わった後、組織的犯罪処罰改正法、いわゆる共謀罪法案の趣旨説明、審議入りを強行しようとしております。この法案は、過去三回廃案になったものであり、行為主義という近代刑事法の大原則を覆すだけではなく、日本国憲法が保障する思想、良心の自由、表現の自由、適正手続保障などを侵害する、まさに違憲立法そのものであります。私たち日本共産党は、当委員会での共謀罪法案の審議入りに断固反対したいと思います。

 そのことを申し上げた上で、私も、共謀罪にかかわって質問をさせていただきます。

 金田大臣は、この間、先日六日の衆議院本会議でも、一般の会社や市民団体、労働団体は対象にならない、つまり一般の方々は対象にならないと繰り返し答弁をされました。しかし、本当にそうなのか。

 きょうは、実際に起きた事件を踏まえながら、警察活動の実態というものを見ていきたいというふうに思っております。

 まず、二〇一三年から一四年にかけて岐阜県で、岐阜県警大垣署による市民監視事件が起きたわけですが、大臣、この事件のことは御存じでしょうか。

金田国務大臣 御指摘の事案につきましては、私どもの事務方から聞いております。

藤野委員 聞いていらっしゃるということで、私の方で少し説明しますが、これは、岐阜県警大垣署の警察官によりまして、平穏な市民運動のメンバー、あるいはそれと無関係な個人の情報が収集され、それらの方々と利害が対立する民間企業にその情報が提供されていたという事件であります。

 具体的に言いますと、当時、大垣市で計画されていた風力発電事業、これが大規模なものでありまして、これに関する勉強会などを開いていた住民の皆さん方の思想信条、学歴、病歴そして現在の病状など、通常では到底知り得ないセンシティブ情報を相当長期間にわたって収集し、しかも、その情報を当該事業、風力発電事業を推進していた企業、これは中部電力の子会社シーテック社というところですが、たびたび繰り返し提供していたという事案であります。

 人権上大変な問題であり、現在、国家賠償を求めて提訴中なわけですが、過去二回、国会でも問題になっております、質問されております。

 警察庁に確認したいんですが、岐阜県警大垣署が中部電力の子会社シーテック社と風力発電施設建設をめぐって情報交換をしていた、これは事実ですか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 今、議員御指摘の関係会社と岐阜県大垣警察署の警察官がお会いしていたということは、岐阜県警から報告を受けております。

藤野委員 どういった報告を受けているんでしょうか。具体的な中身を御答弁ください。

白川政府参考人 失礼いたしました。

 岐阜県警察からは、大垣署の警察官が関係会社シーテックの担当者と会っていたものということを報告を受けておりますが、それ以上の個別具体的な内容につきましては、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがありますので、差し控えさせていただきます。

藤野委員 これは幾ら聞いても出てこないんですね、支障が出るからという理由で。これはとんでもない話だというふうに思います。

 配付資料で見ていただきたいと思うんですが、これは、一方当事者であるシーテック社の方が作成した議事録であります。シーテック社は、朝日新聞の取材に対して、この議事録を作成したことを認めております。さらに、この議事録は、ぎふコラボ西濃法律事務所によって、裁判で使うために証拠保全されております。過去二回の国会審議でも紹介された資料でございまして、個人名も出ているわけですが、関係者の了解もいただいております。過去の資料でも同じような形で提出されておりますので、今回もこういう形で提出させていただきました。

 大垣署とシーテック社というのは、わかっているだけで四回会合しておりまして、きょう配付させていただいたのは、その第一回目の資料であります。実施年月日は二〇一三年八月七日、一時半から一時間。実施場所は大垣警察署別館三階。

 この「一」の「概要」のところを見ていただきますと、「大垣警察署警備課が「南伊吹風力の事業概要情報を必要としている」旨の連絡が当G」、グループだと思いますが、「に入ったので訪問した。」。

 警察庁にお聞きしたいんですが、これは大垣署の警備課からの呼びかけで行われた、こういうことで間違いないでしょうか。

白川政府参考人 お答え申し上げます。

 大垣署の警備課の警察官がシーテックの担当者と会っていたということは事実でございますが、ただいま議員お示しの議事録なるものにつきましては、報道等によりその概要は承知しているものの、私どもが作成したものではございませんので、これ以上の御答弁はちょっと申し上げかねるところでございます。

藤野委員 本当に答えないわけですね。本当にけしからぬと思います。

 その下の「二」の「打合せ内容」を見ていただきたいんです。これは、三角が大垣警察で、丸がシーテック社でありますが、黄色い線を入れておるところ、「同勉強会の主催者である三輪」「氏や松嶋氏が風力発電に拘らず、自然に手を入れる行為自体に反対する人物であることを御存じか。」ということだとか、本当にそういう、人物、価値観そのものにかかわる内容であります。

 一枚めくっていただきまして、同じく警察の発言としまして、「大垣市内に自然破壊につながることは敏感に反対する「近藤ゆり子氏」という人物がいるが、御存じか。」これも警察の側から、御存じかという情報を提供しているわけですね。しかも、「本人は、六十歳を過ぎているが東京大学を中退しており、頭もいいし、喋りも上手であるから、このような人物と繋がると、やっかいになると思われる。 このような人物と岐阜コラボ法律事務所との連携により、大々的な市民運動へと展開すると御社の事業も進まないことになりかねない。 大垣警察署としても回避したい行為であり、今後情報をやり取りすることにより、平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いする。」。ちょっと驚くべき内容であります。

 「大々的な市民運動へと展開すると御社の事業も進まない」、明らかに中部電力の子会社の側に立って、そういう事業を進める立場に立って、大々的な市民運動になる前に潰してしまおう、今の段階だと大々的になっちゃうかもしれないから、その前に潰そうという立場での発言であり、大垣警察署としてもそれを回避したいと言っているわけでありますね。

 いわゆる警察法二条には、警察の責務として、「不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」とあるわけですが、これにも明確に反しているというふうに思うんです。

 警察庁にお聞きしたいんですが、警察は一般的にこうした活動を行っている、通常業務の一環として行っていると認識していますが、間違いありませんか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 あくまで一般論として申し上げますれば、警察は、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を達成するため、関係者と意見交換を行うことはあり得るものと考えております。

藤野委員 そうした業務は通常の業務の一環として行っているということでよろしいですか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 警察は、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲において警察活動を行っておりまして、このような活動を通常の業務と表現したものではないかというふうに思います。

藤野委員 配付資料の2になるわけですが、二〇一五年五月二十六日参議院内閣委員会で、我が党の山下芳生議員の質問に対して、山谷えり子国家公安委員長は次のように答弁しております。「大垣署の警察官が公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環として事業者の担当者と会っていたものと承知しております」ということなんですね。

 ですから、これは通常の業務の一環ということになります。これは間違いありませんね。

白川政府参考人 お答えいたします。

 警察は、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲において警察活動を行っているところでございます。

藤野委員 これは通常の業務の一環として行っていたということでありまして、警察関係の大臣の言葉でこう語られたということは大変重要であります。

 配付資料の三枚目を見ていただきますと、それの三段目のところに、高橋参考人、当時、二〇一五年六月四日ですが、こういう情報収集というものは、あるいは情報提供はやっているんだということを繰り返しおっしゃっております。この高橋参考人は後に警視総監にもなられているわけですが、警察自身の言葉で、こうした活動が通常業務の一環だと語られているというのは大変重要であります。

 通常行っている業務の一環ということになれば、全国の警察で堂々とこうした活動が行われている、犯罪行為でも何でもない勉強会などに取り組んでいる市民の個人情報が、まさに警察の通常業務の一環として監視の対象になっている。

 警察庁にお聞きしたいんですが、なぜこうした情報収集や情報提供が通常行っている警察業務の一環になるんでしょうか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 一般論でございますけれども、警察におきましては、特に警察署にありましては、管内で発生するいろいろな事象について、例えば暴力団とのトラブルであったり、ある程度の規模の工事に伴うような騒音問題であったり、そういったことを見聞きすることはございます。

 もとより、情報収集に際しましては、先ほど申し上げた、警察の責務の達成に必要な範囲内で行っているものと考えております。

藤野委員 今、暴力団あるいは一定規模の事業とおっしゃいましたが、そうした事業に伴って生じ得るトラブルの可能性について関心を有している、そういうことですか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、あくまでも公共の安全と秩序を維持するという観点から、必要な責務を達成する上で、その範囲内で情報収集に当たっているものでございます。

藤野委員 曖昧な答弁をされますので、これは引き続きずっとやるつもりですので、逃げられないと思いますよ。

 配付資料の三枚目を見ていただきますと、二〇一五年六月四日、高橋参考人はこういうふうに答弁しています。

 一般に警察は、管内における各種事業等に伴い生じ得るトラブルの可能性につきまして、つまり各種事業というのはそういう風力発電事業でありますとか道路工事の事業とか様々な事業があると思いますけれども、そういう各種事業等に伴い生じ得るトラブルの可能性について、公共の安全と秩序の維持の観点から関心を有しておりまして、そういう意味で、必要に応じて関係事業者と意見交換を行っております。そういうことが通常行っている警察の業務の一環だということでございます。

こういうふうに当時の警備局長は答弁をしているということです。

 これは極めて重要だと私は思っております。なぜ通常の業務の一環か、その理由、論理が、つまり、道路工事など、道路なんて全国至るところにあります、道路工事などのさまざまな事業に伴い生じ得るトラブルの可能性、道路工事を初めとするさまざまな事業の、かつそれに伴い生じ得るトラブルの可能性、こういうことになってきますと、この論理ですと、本当に多様な、あらゆる生活に関する事象に、あるいは事業、それに伴うトラブルの可能性、こういったものが警察の関心の対象になるということになるわけです。そして、それに基づいて、この岐阜県大垣署のような情報収集あるいは利害関係者への情報提供、こういうものが通常業務の一環として行われる。

 こういう論理構造が当事者の口から語られている、実際の警察の口から語られている。これは極めて重大だと思うんです。私たちが言っているんじゃないんです。これは違法じゃないかとか、これはグレーじゃないかとよくあるわけですが、警察自身が、これは通常の業務の一環であり、なぜならこういう論立てだ、こういうことで来ているわけですから。

 これは、大臣、お聞きしたいと思うんです。今、一般的な話をお聞きしました。そういう論理構造になっております。こうなりますと、大臣、道路工事を初めとしてさまざまな事業に伴うトラブルがありそうだ、可能性がありそうだと警察が思えば情報収集、情報提供は可能になる、これは無限に広がっていくんじゃないですか。大臣、いかがですか。

金田国務大臣 藤野委員の御質問にお答えをいたします。

 お尋ねは、警察の活動内容に関する事柄でございます。法務大臣としては、お答えをする立場にはないものと考えております。

藤野委員 いやいや、共謀罪の審議のときに、対象にならない、対象にならないとあれだけおっしゃっているわけです。先ほどもそういうやりとりがありました。肝心のこういう話を聞いたら、それはもうお答えしませんと。これはとんでもない話だと思うんですよ。

 では、ちょっと具体例で聞いてみたいと思うんですが、例えば、静かな住宅街のそばに大規模マンション建設計画が持ち上がった。警察庁にお聞きしたいんですが、マンション計画というのはこの各種事業に当たるんですか。この事業、いろいろなさまざまな事業に当たるんでしょうか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 トラブルが生じ得る可能性とか、具体的などのような事例が当たるかにつきましては、個別具体的の事情により、一概に申し上げることは困難でございます。

 繰り返しになりますけれども、警察といたしましては、公共の安全と秩序の維持の観点から、必要な範囲で情報収集を行うものと考えております。

藤野委員 公共の安全とか言いますけれども、例えば大垣署の事件でいいますと、二〇一三年、一四年段階というのはまだアセスメント段階なんですね。建設計画はまだ始まっていないわけです。アセスメントが行われた段階で、住民の皆さんは勉強会をやっていた。だから、それに伴って何かトラブルが起きるとか建設現場で何か座り込みするとか、そんな話では全然ない段階であります。

 それを、例えば公共の安全と維持などと言って、こんな情報収集ができるとなれば、はるか前から公共の云々という理由づけでこういう行動が正当化されてしまうので、逆に、今、そう言ったということになりますよ。とんでもない話であります。

 結局、個別事案によると。個別事案によるということになりますと、結局警察が判断するということじゃないんですか。違うんですか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの岐阜県の事案につきましては、岐阜県警察より、警察法と岐阜県の個人情報保護条例の規定にのっとり適正に行っている旨、報告は受けているところでございます。

 どのような事例がそういう情報収集の対象になるかにつきましては、まさに個別的事情によると思いますので、お答えは甚だ困難でございます。

藤野委員 個別の事情というふうにおっしゃるわけですけれども、いろいろなことが事業に当たり得るということなわけですね。二〇一六年の答弁では、道路工事ということまで挙がっております。

 では、例えば競馬の場外馬券売り場とか、あるいは競艇の場外舟券売り場、こういうものは私の地元にも結構あるわけですが、そしてかなり問題になるわけです。こういうものはいわゆる事業、さまざまな事業には当たるんですか。

白川政府参考人 何度も同じ答弁で恐縮でございますが、トラブルが生じ得る可能性等、具体的な事情につきましては、個別具体の事情によりますので、一概に申し上げることは困難でございます。

 ただし、警察は、警察法二条第二項にございますけれども、「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」と規定されておりまして、私どもの活動はこのようなことに準拠して行っているものと考えております。

藤野委員 大垣署の事案でも、本当に、まだ勉強会あるいはチラシをつくるとか、そういう段階であります。それが、病歴含め、さまざまな情報収集の対象になっていた、こういう具体的な事案なわけですね。

 これが共謀罪というふうになったらどうなるか。

 今はいわゆる犯罪捜査ではありません。今といいますか、この大垣の事案は犯罪捜査ではないわけです。ですから、例えば盗聴という点でも、通信傍受の場合は対象犯罪が確定されておりますから、例えば犯罪捜査でそれに当たれば盗聴の対象になるわけですが、この大垣署の事件はまだ犯罪ではありませんから、そういう対象になってこない。

 しかし、今回、仮に、万が一共謀罪というものができた場合どうなるか。犯罪になるわけです、その計画あるいは準備行為、犯罪になってくる。それが盗聴等々あるいはさまざまな、今回以上に強力な強制捜査の対象になる可能性が出てくるわけです。

 大臣、お聞きしたいと思うんですが、共謀罪の新設というのは、今、こうして犯罪ではない、しかし情報収集の対象になっている、こういうものまで捜査の対象、任意捜査、強制捜査の対象にしてくる、共謀罪というのはそういうものだ、そういう認識でよろしいですか。

金田国務大臣 テロ等準備罪を例に出されましたので、これについてお答えをいたしますと、他の犯罪の捜査と同様に、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはありません。すなわち、テロ等準備罪に該当する行為が行われたという具体的な嫌疑がない段階からテロ等準備罪の捜査が行われることはないわけであります。

 まして、テロ等準備罪については、対象となる団体を、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織などの組織的犯罪集団に限定をしております。一般の方々や正当な活動を行っている団体がテロ等準備罪の適用対象となることはありません。

 したがいまして、御懸念は当たらない、このように考えておる次第であります。

藤野委員 いや、私の質問を全くわかっていらっしゃらないようなんですが、今の段階で、犯罪のはるか以前、犯罪どころじゃないんです、いわゆる勉強会の時点でもう既に警察はこういう情報収集をし、それが通常業務の一環だと言い、しかも、その論理を聞いたら、事業に伴うトラブルだというわけです。

 今の段階で、そういう論理のもとにいろいろな情報収集をやり、そして提供もしているこの警察活動が、共謀罪というものが広く犯罪化されるということに伴って、今は捜査という強力な手段を使わないものが、今度はそういう普通の活動まで捜査の対象になるんじゃないのか、任意捜査、強制捜査、これが私の質問なんです。いかがですか。

金田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、御懸念は当たらない。

 テロ準備罪に該当する行為が行われたという具体的な嫌疑がない段階からテロ等準備罪の捜査を行うことはないわけであります。そして、テロ等準備罪につきましては、対象となる団体を、先ほど申し上げた組織的犯罪集団に限定をしておりまして、一般の方々や正当な活動を行っている団体がテロ等準備罪の適用対象になることはない。加えて、犯罪の具体的な嫌疑がなければ捜査が行われることはないということで、御懸念は当たらないものと考えております。

藤野委員 いや、もう本当に、そういう答弁では全く今後答弁を維持できないというふうに思います。

 警察が各種事業をめぐってトラブルの可能性があると勝手に判断して、捜査のスイッチが入っていく、これは実態なわけですね。共謀罪が新設されれば、これがさらに大手を振って行われる。そうした共謀罪は絶対に許されない。今後の審議入りは絶対反対ということを申し上げて、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 きょうは、特に障害者総合支援法という、厚労省所管の法律ではありますけれども、私は、これはまさにこの法務委員会で取り上げるには非常にふさわしい課題だと思いまして、本日質問をするわけであります。

 といいますのも、私が見聞きしたケースでいいますと、ある知的障害者の施設で県の職員が立入検査を行ったわけであります。障害者を近くの公民館まで連れ出して、そして、法人の職員の立ち会いも県の職員は断って、そしてまた録音を強制してこれを行うということ、これ自身は私は法的に問題があろうかということで質問をするわけであります。

 障害者総合支援法というのは、もともと障害者、障害児の人権をしっかり守っていくべきものであると思いますが、もし取り調べに罰則等がかかるというのであれば、これは本末転倒な議論であろうと思います。

 そしてまた、障害者の皆さんに質問する、取り調べのようなことをするということについては、やはり特段の配慮というものがあってしかるべきであろうというふうに思うわけであります。

 そこでまず、特に知的障害、精神障害の方の取り調べについて、一般に、警察庁がこのような取り調べを行う場合にはどのような配慮を行っているのか、伺います。

高木政府参考人 障害者に対する取り調べに関しましては、国家公安委員会が定める犯罪捜査規範第百六十八条の二において、障害者の特性を十分に理解し、その障害の程度等を踏まえ、適切な方法を用いなければならない旨、定められているところであります。

 警察においては、こうした規定を受け、できる限り障害者手帳等により障害の種別や程度を事前に把握した上で、取り調べで何を求められているかを丁寧に説明するとともに、当該取り調べの流れや関係する刑事手続について丁寧に説明するなどして相手方の不安感を取り除くこと、平易な言葉で簡潔に説明することなどに留意して取り調べを行うこととしております。

 さらに、知的障害者については暗示的な発問を避ける、精神障害者については、殊さらに不安をあおり発言を誘導することのないよう、口調、声量について配慮するなどについても、都道府県警察を指導しているところであります。

松浪委員 これは別に通告はしていないんですけれども、厚労省の場合は、障害者の皆さんに質問等をする場合のこうした規範というのは存在するんでしょうか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの障害者総合支援法でございますけれども、同法の第四十八条の第一項の規定というものでございまして、委員の御資料の方にもございますけれども、都道府県知事または市町村長の指定障害福祉サービス事業者等に対する調査権限について定めている規定でございまして、具体的には、自治体の職員に、関係者に対して質問をさせることができる旨、定めておるところでございます。

 この質問させることができるという規定はございますけれども、委員お尋ねのような形での障害者に対しての配慮というような事柄に関しての規定というものはございません。

松浪委員 先ほど私が冒頭に申し上げたケースは、まさにこの第四十八条、これは余りにややこしい法律ですので、私みたいな新聞記者出身の人間であれば恐らくこれを四文ぐらいに分けるんですけれども、わかりやすいように色をつけてみました。

 都道府県知事または市町村長が報告、提示を命じるにはこの青い部分のO1、出頭を求めるにはO2、質問させるには、当該職員に対して「関係者」にこれをさせることができる、こういうふうに分かれているんですけれども、要は、県の職員なんかにもこうした立ち入り権限等で、まさに同列に、事業者とか、こうした人たちと同列に質問をする権限があるのかどうかということがやはり問題になるわけであります。

 そこで、伺いますけれども、「関係者」について、「関係者」というのはばくっとした書き方なんです。バランスが明らかに悪いですね。書類その他の物件の提出を命じるためには事細かにきっちりと定義がなされている、また、出頭を求める相手に対してもきっちりと定義がなされている。しかし、質問させ、検査させることができるんですけれども、質問は、第百十一条で罰則がかかるんですね。三十万円以下の罰金がかかるということをここに書かせていただいているわけであります。

 ですから、この「関係者」の定義というのが非常に大事になってくると思うんですけれども、この「関係者」の定義について、詳細な逐条解説等があるのかどうか伺います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの規定の中にある「関係者」につきまして詳細に解説したというものについては承知はしてございません。

松浪委員 では、もう一つ伺います。

 今詳細な逐条解説はないということでありますので、これが委員会質疑等を経て、障害者総合支援法も大変な法律でした、ですから委員会質疑なんかでも、この「関係者」ということ、どのような、これの規定に関する議論があったのかなかったのか伺います。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの障害者総合支援法の第四十八条の規定でございますけれども、制定時、他法令の例に倣って創設されたものでございます。その際に、お尋ねのような形でこの解釈について詳細に議論を行ったという事実については見当たらないものでございます。

松浪委員 他法令というのはどのようなものですか。例えば介護保険法とかそんなものですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、介護保険法でありましたり児童福祉法であったりというような規定でございます。

松浪委員 この関係者というものにどのような人が含まれるのかということですけれども、介護保険法等であれば、当然、もし高齢者の方が関係者として入るのであれば、痴呆でもない限りは、基本的に介護される方というのは責任能力はあるであろうということは推認をされるわけでありますけれども、当然ながら、この障害者総合支援法というのは障害者の方々を前提としているわけでありまして、各個人の能力や障害特性が多様であること、障害者には適切な判断能力を持たない者が多数いることは大前提であろうと思います。ですから、その意味で、先ほどの介護保険法とかとは法律の前提が全く違うと思うわけであります。

 また、この法の趣旨を考えれば、障害者総合福祉法の一条では、「障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、」云々とあって、まさに人権というものをしっかりと守っていくということが書かれているわけであります。

 そうしたことを考えれば、もし取り調べをするにしても、別条で、強制でないこととか立会人を義務づけるとか、本来は、もし話を聞くのであればこうした細やかな規定を決めていくという必要があると思いますけれども、警察では、取り調べるときはこのように、犯罪捜査規範においてしっかりと障害者の皆さんの特性に配慮するようなことが書いているけれども、坂口審議官が冒頭にもしっかりとおっしゃったように、配慮はないわけでありまして、こうした細やかな規定、本来は、もし話を聞くんだったら必要があると思いますけれども、その点はいかがですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今議員からるる御指摘いただいております規定でございますけれども、この規定は、指定障害福祉サービス事業者の指定等を行う都道府県知事等が、その業務を適正に行うために必要な調査を行う趣旨で設けられているものでございます。

 ですので、今御質問いただいておりますような、必要に応じて質問が行われる関係者としましては、例えば、指定のサービス事業者であったり、あるいは事業所の従業者や過去に従業した者というのが主に想定されるわけでございますけれども、ただ、やはり、サービスの適正さの判断に当たりましては、事業者から直接のサービスの提供を受けておられる障害者に対して質問をすることが必要な場合も想定されるということで、障害者も排除されていないものと考えておるところでございます。

 その中で、障害者に対しての質問を行う際に人権を侵害することのないようにということで細やかな規定を設けるということにつきましてでございますけれども、先ほどもありましたけれども、私どもとしましては、質問の対象者の方の立場あるいはその状態等に応じた質問が行われているということが通常でございまして、また、現行におきましても、成年後見制度等、障害者の権利擁護のための仕組みも設けられているということもございまして、現行制度の中で適切に対応させていただいているものと考えておるところでございます。

松浪委員 今、適切とおっしゃったんですけれども、私が冒頭申し上げた、知的障害者施設に県の職員が立入検査で、いきなり来て、その方々を外に出して、録音機も出して、言葉の話せない方もいらっしゃったということなんですけれども、では、これは全く問題は、この関係者に含まれるのであれば問題はないということなのか、それとも、それはやはり自治体でそれが適切に行われていなかったということなのか、どちらになりますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましてはお答えは差し控えさせていただきますけれども、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、質問対象者の立場、状態等に応じた質問というものが行われることが通常であると考えております。

 一般論として、私ども、監査、指導等に当たって留意すべき事項等については、関係会議等では指導ということの徹底についてはしっかり徹底をしてまいりたいと考えております。

松浪委員 では、この関係者には障害者の方々が含まれるというふうに解釈をした場合に、これは、答弁しなかったり、そして検査を拒んだりした場合は罰則がかかるということになっているわけであります。本来、この法の趣旨は障害者の皆さんを守る法律でありながら、そこに罰則がかかるという解釈でよろしいんですか。これは僕はおかしいと思うんですけれども。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、障害者総合支援法の第百十一条の規定に基づきまして、先ほどの四十八条第一項の質問に対して、答弁をせず、もしくは虚偽の答弁をした者には三十万円以下の罰金に処するということとされております。

 ただ、この規定の適用対象としましては、先ほども申し上げましたような趣旨等々も鑑みまして、指定の取り消し等の処分の対象となり得る事業者が主に想定されるものであるということで私どもも考えておりまして、直接の処分の対象となり得ない障害者に対して質問する場合にあっては、通常、罰則の規定の適用に至るような運用というものは考えにくいものと考えておるところでございます。

松浪委員 しかし、日本語が読めれば、これは障害者の皆さんも入って罰則もかかるというふうに読めるわけでありますから、本来であれば、別項でも立てて、別に、この人たちはかからないということを明確にすべきじゃないんですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 どういった状況に置かれているかという事案事案がございますので、規定としましては、百十一条の規定はこのような規定とさせていただいておりますけれども、実際の通常考えられる運用に当たりましては、先ほど申し上げましたようなことかと存じ上げます。

松浪委員 やはりちょっと現場との乖離があると思うんですね。

 私が幾つか聞いた自治体では、自治体の方は、この文章を読んだら、関係者の中には、当然ながら、こんなの、罰則もかかるんだから障害者の皆さんは入っていないだろう、そんなのを聞くのは普通こういう条文じゃあり得ないんだよなというふうな声が、幾つかの自治体に聞きますと、大体一般的な感じがするんです。

 自治体に対しては、これは皆さん、先ほどおっしゃったように、逐条解説もない、そして委員会での議論もない中で、どのように、これは障害者の方が含まれる、含まれない、厚労省は明確に周知をしていらっしゃるんですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 この規定につきましては、先ほど申し上げましたようなことで、実際のサービスの適正さの判断に当たりましては、事業者から直接のサービスの提供を受けている障害者に対して質問することが必要な場合も想定されるということで、その点につきましては、関係の都道府県、市町村に当たりましてもおのずから理解されているということかと承知しておりますが、今委員御指摘のような点もございますので、その点、あるいは、先ほどの一定の人権侵害にならないようにという点についての配慮、留意すべきということにつきましては、会議等で私どもとしても徹底をしてまいりたいと考えます。

松浪委員 話は違いますけれども、今この法務委員会で、捜査の手法について、GPSの捜査については、正直言って、最高裁の判決がばっと出たということで、警察庁の方は当面はこれは取りやめるということを周知していらっしゃるわけであります。

 特に、私が先ほどから質問していると、逐条解説もない、議論もない中で、関係者というのはまさに厚労省の胸先三寸、しかも関係者の中に障害者が含まれるのであれば、障害者の皆さんに対するこういう質問をするときも、警察庁のように明確な配慮規定もない、これは都道府県に任せていますよというのでは、私はやはり、この法律、非常に不備と言わざるを得ない。

 そして、冒頭指摘したように、提出させるとか、事業者の場合はこんなにきっちり書いているのに、質問させて罰則がかかるのに、その関係者に、事守られるべき障害者が入っている。これはやはり、この法律を次に改正、見直しするときには明らかに別項を立てるか、対応を細やかにしていくべきものだと思います。

 先ほど坂口審議官がおっしゃったように、これから自治体への通知というのを、こうした配慮も含めて行っていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁させていただきましたように、この規定の「関係者」に、まあ、関係者はいろいろ、やはり障害者のみならずということかと思いますけれども、障害者の方が含まれるということ、それから、その際に、実際に質問する際に一定の配慮、留意をするということについては、しっかり都道府県、市町村の方に会議等を通じて周知徹底をしてまいりたいと考えます。

松浪委員 ありがとうございました。

 その点についてきょうは実りがあったと思います。これから、こうした矛盾点、法律も完璧じゃないので、常に、我々立法府も含めて変えていくべき問題だと思います。こうした中で、中途でそうした不明な点を改善していただくことは私はすばらしいことであろうかというふうに思います。

 あと、きょうは通告でもう一問、DNAの親子鑑定、法務省にちょっとさせていただこうと思って、局長、お越しいただいたんですけれども、次にはしっかりやろうと思いますので、きょうは時間が参りました。申しわけありません。

 終わります。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、内閣提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。金田法務大臣。

    ―――――――――――――

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

金田国務大臣 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 三年後に東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控える中、世界各地で重大なテロ事犯が続発し、我が国もテロの標的として名指しをされ、邦人にも多数の被害者を出すテロ事件が発生をいたしております。また、こうしたテロを敢行する犯罪組織は、テロを通じ、組織の威力を誇示して賛同者等を集めるとともに、薬物犯罪や人身に関する搾取犯罪を初めとするさまざまな組織犯罪によって資金を獲得し、組織の維持拡大を図っている状況にあります。さらに、国内においても、暴力団等が関与する対立抗争事犯や市民を標的とする殺傷事犯、高齢者等に対する特殊詐欺事犯等の組織犯罪も後を絶たず、国民の平穏な生活を脅かす状況にあります。

 こうした中、テロを含む組織犯罪を未然に防止し、これと闘うための国際協力を可能とする国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約は、平成十五年五月に国会においてその締結につき承認をされ、既に百八十七の国・地域が締結済みでありますが、我が国は、この条約を締結するための国内法が未整備のため、いまだこれを締結しておりません。そこで、この法律案は、近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びにこの条約の締結に伴い必要となる罰則の新設等、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められている一定の罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの、またはテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益の獲得等の目的で行われるものの遂行を二人以上で計画する行為であって、その計画に基づき当該犯罪を実行するための準備行為が行われたものを処罰する規定を新設するものであります。

 第二は、死刑または無期もしくは長期四年以上の懲役もしくは禁錮の刑が定められております罪等に係る刑事事件に関し、虚偽の証言、証拠の隠滅、偽変造等をすることの報酬として利益を供与する行為を処罰する規定を新設するものであります。

 このほか、いわゆる前提犯罪の拡大など犯罪収益規制に関する規定、一定の犯罪に係る国外犯処罰規定等、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いをいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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