衆議院

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第11号 平成29年4月19日(水曜日)

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平成二十九年四月十九日(水曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 淳司君

   理事 今野 智博君 理事 土屋 正忠君

   理事 平口  洋君 理事 古川 禎久君

   理事 宮崎 政久君 理事 井出 庸生君

   理事 逢坂 誠二君 理事 國重  徹君

      赤澤 亮正君    安藤  裕君

      井野 俊郎君    石川 昭政君

      石崎  徹君    大岡 敏孝君

      岡下 昌平君    奥野 信亮君

      加藤 鮎子君    加藤 寛治君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    城内  実君

      國場幸之助君    助田 重義君

      鈴木 貴子君    辻  清人君

      長尾  敬君    野中  厚君

      鳩山 二郎君    藤原  崇君

      古田 圭一君    堀井  学君

      宮川 典子君    宮路 拓馬君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      若狭  勝君    枝野 幸男君

      階   猛君    山尾志桜里君

      浜地 雅一君    吉田 宣弘君

      畑野 君枝君    藤野 保史君

      松浪 健太君    上西小百合君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   法務大臣         金田 勝年君

   法務副大臣        盛山 正仁君

   外務副大臣        岸  信夫君

   財務副大臣        木原  稔君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   法務大臣政務官      井野 俊郎君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高木 勇人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 白川 靖浩君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    吉田 尚正君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    林  眞琴君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     岡下 昌平君

  辻  清人君     大岡 敏孝君

  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君

  吉野 正芳君     石川 昭政君

  若狭  勝君     石崎  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     加藤 寛治君

  石崎  徹君     若狭  勝君

  大岡 敏孝君     助田 重義君

  岡下 昌平君     山田 美樹君

  鳩山 二郎君     加藤 鮎子君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     宮路 拓馬君

  加藤 寛治君     長尾  敬君

  助田 重義君     國場幸之助君

  山田 美樹君     門  博文君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     神山 佐市君

  長尾  敬君     堀井  学君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     辻  清人君

  堀井  学君     吉野 正芳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、政府参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 まず、本案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長林眞琴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

 次に、本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官高木勇人君、警察庁長官官房審議官白川靖浩君、警察庁刑事局長吉田尚正君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君及び原子力規制庁次長荻野徹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより質疑に入ります。

 内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮崎政久君。

宮崎(政)委員 おはようございます。自由民主党沖縄県第二選挙区、宮崎政久です。

 本日より、いよいよ、テロ等準備罪の創設を含みます組織犯罪処罰法改正案の、この法務委員会での実質審議が始まるわけであります。

 国民の皆様の関心も高いこの法案の審議に当たりまして、きょう、この委員会審議の冒頭に、極めて異例のことではありますけれども、安倍総理にも御出席をいただいてこの審議が始まるわけであります。充実した審議を尽くしてまいりたいと思っております。

 ただいまの政府参考人に関する件、これらも全て、これまでの経緯を踏まえて充実した審議をしていこうという思いでありますので、委員長、そして与野党理事、委員の皆様の御協力を何とぞお願い申し上げるものでございます。

 さて、総理に御出席をいただきましての、この法務委員会の最初の質疑の、しかも最初の質問でございますので、まずは、今国会にこの法案を提出したことの意義をお尋ねしたいと思います。

 すなわち、我が国においては、組織犯罪の脅威に対処をする必要があります。記憶の中でも、オウム真理教のテロ行為は、地下鉄サリン事件で十三名もの犠牲者を出し、六千名もの負傷者を出しております。国際社会を見渡しても、最近でも、ロシアの第二の都市でありますサンクトペテルブルクでの地下鉄爆破の自爆テロ、十四名の死者、多数の負傷者を出しているわけであります。

 我が国で海外の犯罪組織によるテロ行為が起こり得ないという保証はないわけであります。テロ行為が一旦行われた場合には、多数の国民の生命身体に深刻な被害をもたらすことになるわけでありまして、そのような行為を事前に抑圧する手段を講じることは極めて重要です。

 わけても、我が国は、二〇一九年のラグビーワールドカップ、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックも控えております。

 けさの新聞報道によりますと、総理は、昨日、犯罪対策閣僚会議を開催されて、改めてこの法案の成立を指示されたとあります。

 そこで、テロ等準備罪を創設すること、また、テロ等準備罪を含めた組織犯罪処罰法を改正することの意義、目的、そして何よりも、今国会にこれを提出して成立させることの必要性について、安倍総理からそのお言葉でこの必要性をお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 テロが世界各地で発生し、その中で残念ながら日本人が犠牲となる中、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを三年後に控える中において、テロ対策は喫緊の課題であります。

 テロを初めとする国内外の組織犯罪と闘うためには、犯罪人の引き渡し、捜査共助、情報収集において国際社会と緊密に連結をしていくことが必要不可欠であります。既に百八十七の国と地域が締結をしている国際組織犯罪防止条約の締結は、そうした協力関係を構築し、そして、我が国がテロ組織による犯罪を含む国際的な組織犯罪の抜け穴となることを防ぐ上において極めて重要であると考えております。御承知のように、G7においてこの条約を締結していないのは日本のみであります。

 また、国際組織犯罪防止条約の国内担保法の整備は、テロ等準備罪の新設により、組織的に行われる重大な犯罪の未然防止に資するとともに、犯罪収益規制等を含め、組織犯罪への対処を強化するものであり、このように、テロ等準備罪を新設するなどして国際組織犯罪防止条約を締結することは、テロを初めとする国内外の組織犯罪への対策として高い効果を期待できるものと考えており、テロ等準備罪処罰法案を成立させ、本条約を早期に締結することは極めて重要であると考えております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 その必要性について、また、さまざまある疑念の払拭についても、この委員会で十分な審議をして、国民の皆さんに御説明して、今国会で成立を図らん、その決意を申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、いわゆるテロ等準備罪を創設する組織的犯罪処罰法の改正案について質疑をさせていただきます。

 先ほどの宮崎委員の質疑におきまして、本法案を早期に成立させる必要性について、安倍総理にるる御答弁をいただきました。

 私も、TOC条約の早期締結のために、その国内担保法である本法案を、丁寧な審議の上、早期に成立させねばならない、このように思っております。

 一方で、国民の命と安全を守るための本法案によって、罪のない人たちが処罰をされたり、その人権が不当に侵害されるようなことがあっては絶対になりません。本法案のテロ等準備罪は、従前政府が提出をし廃案となった共謀罪に比べて、構成要件を厳格化し、対象犯罪も限定しております。今後、この法務委員会の審議で、テロ等準備罪の構成要件の内容、適用範囲など、一つ一つ明らかにし、国民の皆様の不安や懸念を払拭していくことが極めて大切になってくると思っております。

 その上で、総理、さまざまな報道を見ますと、テロ等準備罪を創設する本法案固有の問題というよりは、法に基づかない一部の違法捜査の事例に照らして、運用上の課題として、捜査権濫用による不当な人権侵害を懸念する声が出ております。

 そこで、国家公安委員長や法務大臣もそうでありますけれども、行政府、内閣の最高責任者である総理には、ぜひ、こういった国民の懸念の声を真摯に受けとめていただきまして、違法捜査の再発を防止し、捜査権が適正に運用されるように、より一層の力強いリーダーシップをとっていただきたい、こう強く思いますけれども、総理の見解、決意をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 いかなる犯罪についても捜査が適正に行われなければならないということは、言うまでもないわけであります。

 テロ等準備罪処罰法案の成立後においても、国民の皆様に御指摘のような不安や懸念を抱かれることのないよう、引き続き、捜査の適正確保に向けて、政府としてしっかりと取り組んでまいります。

國重委員 適正な運用に向けた力強いリーダーシップ、総理、ぜひよろしくお願いいたします。

 国民の不安、懸念を払拭すべく、私も、私の責任として、その運用の前提となる本法案固有の議論を中心に、当委員会で真摯な審議をしていくことをお約束申し上げまして、私の総理に対する質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 民進党の山尾志桜里です。

 きょうは、私は、安倍総理と、この共謀罪がテロ対策の役に立たないじゃないか、この共謀罪をつくってもテロを防止できないじゃないか、こういう証拠を一つ一つ明らかにしようと思って質問の準備をしてまいりました。

 そうしましたら、この冒頭、本来は質問者の判断で、質問者が登録した場合に刑事局長などを登録するというルールを無視して、自民、公明両理事、この法務委員会の委員どころか、本来、公正中立であるべき法務委員長までが大事な審議のスタートからぐるになって、数の力で刑事局長を無理やり呼んで、私は本当にこんなこと聞いたことありませんよ。どれだけこの法案の審議に自信がないんですか。申しわけないけれども、失礼を承知で言いますけれども、答弁能力に欠ける法務大臣の発言で、この共謀罪がテロ対策の役に立たないということがばれてしまうことをどれだけ恐れているんですか。

 まずは、言語道断の強行採決でスタートしているということそのものが、この法案にいかに政府が自信がないかということの証拠のその一だということをお伝えし、断固抗議をしたいと思います。

 その上で、総理にお尋ねをします。

 総理から、テロ対策のためにこの共謀罪が必要だという内容の説明を聞くたびに、私は大変疑問に感じていることがございます。なぜ、そうであれば、第一次安倍政権のときにはこの共謀罪を提出されなかったのですか。

 第一次安倍政権の一年間でも、アメリカのバージニア工科大学で銃を乱射するという事件が起きました。この日本でも、長崎の市長が拳銃で撃たれて死亡し、暴力団員が逮捕されるということがありました。そして、私の地元、鈴木委員長の地元でもあります愛知県長久手市では、発砲立てこもり事件というのが起きて、対テロ特殊部隊隊員一人の死亡を含めて死亡事故が起きました。さらに、安倍政権の中では、百七十八万人の人出を出した第一回東京マラソンというのもありました。

 国内事情を見ても、国際情勢を見ても、今と負けず劣らずテロ対策が切望されていたときにあなたは総理をやっていました。テロ対策のために共謀罪が不可欠だと言うなら、なぜ第一次安倍政権で共謀罪を提出されなかったのですか。説明をお願いします。

安倍内閣総理大臣 テロに対するいわばしっかりとした備えをするためには条約を締結しなければならないのは、これは恐らく、山尾さんも同じ考え方にのっとって質問されておられるんだろうと思います。でなければ、第一次政権でなぜやらなかったのかという質問がそもそも成り立たないわけでありますから。

 やらなければいけないこと、第一次政権でそれをなし遂げることができなかったことは大変残念であります。第一次政権の一年の間にできなかったからといって、では第二次政権、第三次政権でやらないという理由には、山尾さん、ならないんですよ。

 政治というのは、常に大きな責任を持っております。残念ながら、第一次政権においては、私の体調悪化もありまして一年で政権を閉じることになりました。その間、テロ等準備罪のような、条約を締結する上において担保となる法律を成立することができなく、そして条約を締結できなかったことは残念であります。だからこそ、だからこそ、今、政権が四年を経過する中において、しっかりとした基盤の上にこの法案を成立させるという責任を私たちは負っているんだろう、このように思いますし、その責任を果たしていきたい。そのために、この委員会においてしっかりとした議論を行っていただきたい、こう思っている次第でございます。

山尾委員 今、体調や、一年だった、そういう御説明がありました。

 これは、共謀罪を提出して、トライをして、しかしやはり時間切れで成立できなかった、そういうことならわかるんですね。実際、総理が、次の福田総理にかわる前日の会見で、総理自身が、このままではテロとは闘えない、こういうことをあえて国民の皆さんにお話しされております。

 そうであれば、その一年の間に、それほど、途中で総理をやめる、その理由としてテロを挙げるほどテロ対策を重視していた安倍政権が、もし本当にこの時点からテロ対策のためにこの法案が必要なんだということを知っていたのなら、なぜトライすらしなかったのか。今の説明はその説明には全くなっていないというふうに思います。

 そして、次の話ですけれども、それだけじゃないんですよ。第二次安倍政権、確かに、今、安倍総理はこの法案を出されています。しかし、この国会での総理の共謀罪に対する発言のぶれ、今までまだ二カ月、三カ月ですけれども、総理の発言のぶれが物すごくたくさんあるんです。この幾つかをきょうお話しします。

 何が言いたいかというと、テロ対策のために共謀罪が絶対必要だ、こういうふうに、もし第一次安倍政権から今もなお思っていて、ぶれない方針のもとに真面目にテロ対策を考えていたら、発言にこれだけのぶれは生じないというふうに私は思うからです。

 例えばぱらぱら発言というのがありますね。一月二十六日の予算委員会で、安倍総理はこうおっしゃいました。一語一句申し上げますね。私とのやりとりです。「前の共謀罪との違いにおいては、共謀罪というのは、まさにここで、例えば、そんな組織的なものでなくても、ぱらぱら集まって今度やってやろうぜという話をしただけでこれはもう罪になるわけでありますが、」こういうふうにおっしゃっています。

 一方で、先日の決算行政監視委員会、我が党の階委員に対する答弁で、かつて政府が提出した法案における共謀罪においても、不当に処罰範囲が広がる危険があったとは考えていない、こういうふうにおっしゃっています。

 どちらが正しいんですか。組織的でなくても、ぱらぱら集まって今度やってやろうぜという話をしただけでこれはもう罪になる、これは不当に処罰範囲を広げている以外の何物でもないと思うんですが、どちらが正しいんですか。

安倍内閣総理大臣 まさに今山尾委員が言われた点が、今回我々がテロ等準備罪を提出させていただいた、その中で二百七十七に限ってきた、明示的に限ってきた点と大きな違いである、こう思うわけでございます。

 私が最初に予算委員会で答弁をさせていただいたのは、当時、我々は、まさに解釈によって、いわば組織犯罪集団というオプションをとってはいたわけでございますが、明確にそれを、罪を限ってはいなかったわけでございます、そのことを明示的に書いてはいなかったのでございまして、今私の発言を引用していたような、そういう印象を与えたのは事実でございます。

 そういう中において、まさに我々が、階委員とのやりとりで申し上げさせていただいたように、今回は、組織的犯罪集団ということを明確にさせていただき、明確にする中において、この犯罪の対象を絞った、明確に絞ったということでございます。

 前回においては、これはオプションとしてとっているわけでございますから、結果として、捜査の対象にする、適用する範囲は実態としては絞られていたということについては、これは同じことになるわけでございますが、しかし……(発言する者あり)ちょっと静かにして聞いていただきたいと思います。よろしいですか。そこで、実際は絞られるわけでございますが、その中において、これを実際に絞っていくという発想、いわば明示的に絞っていくという発想には至らなかったわけであります。実態としては捜査対象としての適用範囲は狭まって、今回と同程度絞るということにはなるわけでありますが、今回の違いにおいては、まさにそれを明確にさせていただいた、こういうことでありまして、国民のそうした不安を払拭することにもなったのではないか、こう考えている次第でございます。

山尾委員 総理、言い繕いにもならない言いわけを弄するのはやめていただきたいと思います。

 今総理は、今回は明示的にしたとおっしゃいました。そうであれば、前のときは明示的になっていなかったので、ぱらぱら集まっても罪になるというふうな誤解を生じる、不安を生じる、そういうことがあるから今回変えたんだ、こういう答弁になるはずですね。

 私も何度も議事録を読みましたよ。まさに総理は、「ぱらぱら集まって今度やってやろうぜという話をしただけでこれはもう罪になるわけであります」と言い切っているんですね。余りにも言い繕いが過ぎると思いますよ。

 もう一つ、ぱらぱら発言に続いて、そもそも発言というのがございます。

 平成二十九年一月二十六日、私との同じ予算委員会でのやりとりです。「かつての共謀罪は、いわば、共謀して何人かが集まって合意に至ったらそこで共謀罪になるわけであります。今回のものは、そもそも、犯罪を犯すことを目的としている集団でなければなりません。これが全然違うんです。」こういうふうにおっしゃっていました。「そもそも、犯罪を犯すことを目的としている集団でなければなりません。」こういうふうに言っていたんですね。

 その三週間後、予算委員会で私と何回もやりとりしていただきましたので、また私とやらせていただきました。そのとき変わりましたね。オウム真理教を例に出して、「当初はこれは宗教法人として認められた団体でありましたが、まさに犯罪集団として一変したわけであります。」「一変したものである以上それは対象となる、」こういうふうにおっしゃいました。

 そもそも発言を前提とすれば、オウム真理教はそもそもは宗教法人でありますから対象外ですね。でも、一変したら対象になるとおっしゃっています。どちらが正しいんですか。

安倍内閣総理大臣 そもそも、そもそもという言葉の意味について、山尾委員は、初めからという理解しかない、こう思っておられるかもしれませんが、そもそもという意味には、これは調べてみますと……(山尾委員「調べたんですね」と呼ぶ)辞書で調べてみますと、辞書で念のために調べてみたんですね。念のために調べてみたわけでありますが、これは基本的にという意味もあるということもぜひ知っておいていただきたい。

 そもそもという意味においては、私ももちろん、それは最初からという意味もあれば基本的にと、これは多くの方々はもう既に御承知のとおりだと思いますが、山尾委員はもしかしたらそれを御存じなかったかもしれませんが、これはまさに基本的にということであります。

 つまり、基本的に犯罪を目的とする集団であるかないかがまさに対象となるかならないかの違いであって、これは当たり前のことでありまして、つまりそういう、先ほど宮崎委員からオウム真理教の例が挙げられたわけであります。これは当初は宗教法人として東京都から認められたわけであります。その段階においてはまさに宗教法人としてこれは資格を備えている、こう認定をされたわけでございますが、しかし、それが途中から、ある段階において一変をしたのは事実、結果を見ればこれは明らかでございまして、つまり、最初からそうでなければ捜査の対象にならないという考え方そのものが大きな間違いであり、いわば基本的に変わったかどうかということにおいて私はそもそもという表現を使わせていただいた次第でございます。

山尾委員 今回も詭弁を弄して必死にごまかすわけですけれども、今まさに総理は笑っちゃいましたね、自分で。馬脚をあらわしたわけです。調べてみましたと。もし本当に最初から、そもそもは基本的にという意味である、そして、そもそもというのは初めからという意味で使っていない、そういうことをわかっていたなら調べる必要はないんですね。私がこのことを以前にも一回指摘をさせていただいたら、総理、答弁できなかったんですよ。総理が調べたのか、後ろの方が調べたのか知りませんけれども、調べて今メモも出していましたね。そもそもというのにはこういう意味があるよというメモがあったのかどうか知りませんけれども。総理、自分で笑っちゃっているじゃないですか。調べてみたんですよと。

 オウム真理教、サリンの事件、私たちも、これは対処すべきだと思っていますよ。そして、実際にその一カ月後にできたサリン等の法律でしっかりと処罰をできるという話を私はさせていただきました。

 もう一つ、三つ目の総理の矛盾発言、なりわい発言というのがございます。これもオウム真理教にかかわる発言ですね。

 二月二日の予算委員会、藤野委員とのやりとりの中で総理はこうおっしゃっています。質問は、趣旨は、組織的犯罪集団と絞ったふりをしても一般市民が対象になってしまうんじゃないですか、こういう趣旨の質問に対して総理自身がこういうふうに言っていますね。「組織的にまさにそれで生計を立てている、なりわいにというのはそういう意味」でありますと。

 でも、一方で、オウム真理教のようなものは対処しなくていいんですかと言う。オウム真理教は、テロ、犯罪で生計を立てていたわけではなくて、ほかの手段でお金を集めてそのお金を使ってテロに及んだというのが、これが実態じゃないですか。犯罪で生計を立てていた、テロでなりわいを立てていた、そういうことではないんじゃないですか。総理の答弁を前提にしたら、オウム真理教は組織的犯罪集団に当たらず、共謀罪の対象外となってしまいます。

 総理、どのように説明されるんですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど私が笑ったのは、私自身ではなくて、そういうことを聞かれたことについて思わず苦笑してしまったわけでございまして……(発言する者あり)今、失礼というやじがありましたが、まさに今私の笑いについて解説をされましたが、それが違うということを申し上げさせていただいたわけでございます。

 それと、そもそもというのは、私は基本的にという意味で使ったわけでございますが、一応、初めにということだけでおっしゃっていたので、念のためにこれを調べるということはあるわけでございまして、念のために、これは丁寧なやりとりが必要でございますから、調べさせていただいたら、やはり私が言ったことが正しかったということが証明されたなということで御紹介をさせていただいたわけでありまして、それが正しいのは事実でありますから、それでどうのこうのというのは、これはちょっとどうかと思うわけでございます。

 そこで、なりわい等についてでございますが、そのとき私はどういうやりとりをしたかは、事前に通告をしていただかなければ、そこの文脈全体を今私がもう一度確かめて答弁することができないわけでございますから、中身のある丁寧な議論が必要というのであれば、そうした形でいきなり当時の委員会でのやりとりを例として挙げられても、正確な答弁を期すためには、そのときのやりとりを、私ももう一度、全部文脈としてこれはあらかじめ確認をさせていただかなければ答弁はできないわけでございます。

 いずれにせよ、では、テロ集団と、いわば資金を集めるためにさまざまな犯罪を犯していくとの関係においては、つまり、テロ集団というのは、テロそのものをやっていくことにおいては、これを利益とする、ここから利益を上げて生計の足しにすることは当然できないわけであります。テロを専門的にやっていく上においては、その資金源を獲得して、そうしたテロ行為を行いながら、生活を立てていく、糧も得ていく必要がある、こういうことではないか、こう思う次第でございます。

 その中において、いわばテロ行為を行う集団と、さまざま組織的に法を犯しながら資金を集めている行為が合体する、あるいはその中において資金を集めつつテロ行為を行っていくということは十分にあり得るのではないか、こう思う次第でございます。

 そこで、そのときの私のやりとりについて今正確な答弁を求めるのであれば、これは簡単なことなんですよ、事前に通告をしていただければいいな、このように思います。

山尾委員 一月前の答弁ですよ。では、今もう一回読みましょうか。しっかりとそのまま一言一句読ませていただいていますよ。

 結局、その答弁のぶれだけじゃないんですね。今まさに総理自身がおっしゃいました、テロの活動の資金源、これを断たなきゃいけない、そして過程もしっかり捜査をしなければならない、こういう趣旨のことをおっしゃったと思います。

 答弁のぶれだけではなくて、本当にテロ対策なのというふうに、犯罪リストを見ると、ずれているというのがおとといから私が申し上げさせていただいているところですけれども、総理、今ちょうどその資金源も断たなきゃいけないというふうに御自身の中でおっしゃっていただいたので、総理にお伺いしたいと思いますが、これは、おととい、保安林でキノコをとってもテロ対策で共謀罪、こういう話がございました。

 一つ聞きたいんですけれども、キノコとか竹とか山の幸を無許可でとってもテロ対策の資金源だから共謀罪、では、海産物、海の幸をとったら、これは入っていないんですけれども、なぜ入っていないんでしょうか。もう一つ言いましょうか。ここには墳墓発掘死体損壊等というのがあります。お墓を荒らしてお墓の中のものをとる。これは何でテロが予防できるんでしょうか。無許可廃棄物処理業等というのがあります。無許可でごみ収集する、なぜそれを取り締まることによってテロが予防できるんでしょうか。どうぞ。

林政府参考人 今回の組織的犯罪集団……(山尾委員「局長、登録していないので、答えなくて結構です。局長、登録していません。私は呼んでおりません」と呼ぶ)

鈴木委員長 議決をしました。(山尾委員「委員長が中立な判断をしていません。局長は私は呼んでおりません」と呼ぶ)

林政府参考人 対象犯罪の選択に当たりましては、組織的犯罪集団が現実的に行う可能性のある犯罪を選んでおります。その場合の組織的犯罪集団の中にはテロリズム集団も含んでおりますが、一般に、この条約は、組織的犯罪集団が関与するもの、この対象犯罪を選ぶことになっておりますので、その観点から、今のような、挙げられたもの、廃棄物の問題であるとか、そういったものを選んでいるわけであります。

山尾委員 呼んでいないのに答えた局長の答弁も答えになっていないんですね。今、答えになっていないということは、聞いていただいても皆さんわかったと思いますね。キノコ狩りやお墓を荒らす、ごみを収集する、これがテロリストの資金源になるから厳しくしてテロを防ぐ、圧倒的なリアリティーの欠如、現実味のなさに国民の皆さんも、私も含めて大変驚いているし、ひっくり返っているわけですよ。

 私は、ここ、こういう細かいことは俺に聞くなというようなことかもわかりませんので、少し大きな話を聞かせてくださいね。

 そういったリアリティーのない、現実感のないこんなテロ対策じゃなくて、本当に現実味のある効果的なテロ対策を私たちはやりたいと思っているんです。おとといから提案をしております。

 未批准の五条約、なぜ締結を検討されていないんですか。そしてまた、水際対策の責任、これは今、航空会社の責任になっています。でも、九・一一を契機にアメリカではその責任主体を国に移行しようというふうで物事が動いている。なぜ、そういった、国がもっと責任を持って、予算措置やあるいは権限、前面に立って負っていこう、こういうことをされないんですか。

 私たちは、こういう方針のもとで、去年、議員立法も出していますけれども、皆さんに審議に応じていただいていません。こういった検討をやることこそ真面目なテロ対策だと私たちは思っているんですけれども、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 一番最初の御質問の論理でいえば、それは、皆さんが政権をとっておられるときに閣法で出されればよかったんじゃないですか。そのときは全く、これは全く最初に山尾さんが私に言われたことをお返しをさせていただきたい。ですが、それは余り意味のない議論ですから、私はあえてそれはしませんけれどもね、そういう批判はしませんが。

 そこで、今の御質問も通告にはございませんし、本来であれば、条約の解釈にかかわることでありますから、有権解釈をする外務大臣あるいは国際法局長を呼んでいただくことが、これは皆さん、実りある議論になるわけであります。

 そして、法律そのものがどうかということについては、先ほど、刑事局長を呼んでいる、呼んでいない、これはまさに委員会においてルールにのっとって決めていただいたことでありますが、まさに犯罪捜査実務について、詳細について、経験の上において、説明できる立場にある局長が答弁することが、むしろ、私が質問者だったらそれを望みますけれども、経験の上に立った答弁をさせたくないと思うこと自体がどうかと思うわけでございます。

 質問において、事前に質問通告がございませんでしたが、お答えをさせていただきますが、テロ防止関連条約のうち、我が国が未締結である五つの条約の内容及び締約国数は次のとおりであります。

 国際民間航空についての不法な行為の防止に関する条約は、これはいわゆる北京条約と言われておりますが、これは未発効であります。人の殺傷や財産等の損壊目的による航空機の使用等を犯罪化するものでありますが、締約国数は十八カ国にとどまっております。

 次に、航空機の不法な奪取の防止に関する条約の追加議定書、これも北京議定書と言われておりますが、これも未発効であります。ハイジャック行為に係る教唆等を犯罪化するものであり、締約国数は十九カ国にとどまっております。

 そして、東京条約改定議定書は、これも未発効であります、機内犯罪の取り締まりに係る東京条約に機内保安官に係る規定等を追加するものであり、締約国数は八カ国にすぎないわけであります。

 そして、あと二つでありますが、海洋航行不法行為防止条約二〇〇五年議定書は、生物、化学、核兵器等の船舶上での使用等を犯罪化するものであり、締約国数は四十一カ国であります。

 大陸棚プラットホーム不法行為防止議定書の二〇〇五年議定書は、固定プラットホームにおける生物、化学、核兵器等の使用等を犯罪化するものであり、締約国数は三十五カ国であります。

 これらの五つの条約については締約国数が少ないわけでありまして、現時点で発効に至っていないものが過半数であります。また、発効済みのものに関しても、それぞれの締約国数は少数にとどまっており、既に百八十七の国・地域が締結をしている国際組織犯罪防止条約を優先して締結することは、これは火を見るよりも明らかであろうと思うわけであります。

 また、本条約は、二〇〇〇年の国連総会においてコンセンサスで採択され、二〇一四年十二月の国連安保理決議では、テロ組織と国際組織犯罪との関連性に言及しつつ、各国に対し本条約を含む関連条約の締結及び実施を優先的に行うよう求めているわけでありまして、国際社会から我が国による締結を求める声が強いのも事実であります。

 テロとの闘いが我が国を含む国際社会にとっての喫緊の課題となっており、我が国としても、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止し、そのための国際協力を促進することが急務であります。したがって、我が国として早期に国際組織犯罪防止条約を締結することは極めて重要であろう。

 かてて加えまして、いわばG7において、我が国以外は全ての国が既に締結をしているのは本条約であると申し上げておきたいと思います。

山尾委員 百八十七といっても、TOC条約はテロ対策のための条約ではないんですね。だから私は、テロ対策のための条約に、テロ対策ということをおっしゃるならしっかり入ることを検討すればいいということを申し上げています。

 そしてまた、今、中身のことについて検討して何か問題があるということは一切出なかったわけですけれども、しっかり検討していただいて、中身に問題がないのであれば率先して日本が入っていってテロ対策の国際協調をリードすべき、そういう立場にあるのが我が国日本ではありませんか。

 そして、五条約のうち二条約は、アメリカを含めてG7も入っておりますし、既に発効もしております。そういったものをしっかりと検討すればいいけれども、外務省の方に聞いたら、ほとんど検討が進んでいない、これに入るとして国内法をどれだけ担保すればいいのかということも明らかでない、こういうお話でありました。(発言する者あり)

鈴木委員長 静粛に願います。

山尾委員 私たちは、実効的でリアリティーのあるテロ対策をやるべきだと申し上げています。水際対策も、責任主体を民間の航空会社から国にしっかり移行していこう、こういう現実的な具体的な提案もしております。それに対しては今御答弁がなかったんですけれども、要するに、テロ対策にどこまで本気なのですかということをきょうずっと申し上げているわけです。

 そしてまた、きょうの話を聞いていて、共謀罪、さっき出しました、あの共謀罪がテロの役に立つんだ、テロ抑止になるんだという説得的な説明は一つもなかった。では、共謀罪をつくったときに何が起きるのかということなんですね。私は、捜査機関の監視が強まると思っています。テロ対策にならなくて監視が強まるなら百害あって一利なしだから、廃案にすべきだと思っています。

 総理は四月六日に、この新設によって捜査機関が常時国民の動静を監視する監視社会にはなりませんとおっしゃった。

 最後の質問です。それでは、安倍政権において、常時ではないけれども国民を捜査として監視をしているのかしていないのか、どちらですか。

安倍内閣総理大臣 先ほど、この条約の必要性については委員も認めておられるわけでありますから、いわばまずこの条約を締結するための担保になるこの法律についてしっかりと中身のある議論をしていただき、賛成をしていただきたいと切に願うわけでございます。

 そこで、監視、監視という意味はどういう意味で使っておられるかということをちょっとお伺いさせていただかないと……(山尾委員「御自身が使っていますよ、言葉を」と呼ぶ)いやいや、今委員がどういう意味で使われたかということについては……(山尾委員「どういう意味で監視と使ったんですか、自分が使ったでしょう」と呼ぶ)いや、ちょっと今私が、手を挙げてちょっと説明していただきたいと思います。

鈴木委員長 申し合わせの時間が参っておりますので、お願いします。

山尾委員 御自身が使ったんでしょう、監視社会にはなりませんと。何でそれをこっちに聞くんですか。おかしいでしょう。

 安倍政権においてもGPS捜査がなされていました。最高裁判例が出ております。

鈴木委員長 既に持ち時間が終了しておりますので、質疑を終了してください。

山尾委員 最高裁判例が出ております。GPSは違法である、そういうことであります。

鈴木委員長 時間です。

山尾委員 まさに安倍政権において違法な監視捜査がなされていたわけです。これを、広く二百七十七以上も違法な捜査を合法化したら、これはまさに監視権限が強まるんじゃありませんか。

鈴木委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

山尾委員 私はそういう意味で大変危惧をしているわけです。

 TOC条約二十条では、監視をしてくれということを求めています。この条約も守るんですよね。

鈴木委員長 時間が経過しております。

山尾委員 百害あって一利なしだということで、私たちはこの共謀罪の廃案を求めております。

 総理大臣、答弁から逃げずにしっかりと答弁してくださいよ。最後にそれをお願いして、私からの質問とします。

鈴木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 共謀罪審議入り、この初日に、その委員会の冒頭で、まさに数の力で刑事局長の出席を強行したことに強く抗議したいと思います。しかも、公正中立であるべき委員長がこうした提案を行ったということにも強く抗議したいと思います。逆に言えば、これは、金田大臣がやはりまともに答弁できないということを与党みずから認めたものだと言わざるを得ないと思います。

 私は、共謀罪についてお聞きをしていきます。

 本法案について、総理は、テロ等準備罪であって共謀罪ではないと繰り返してきました。その理由として、実行準備行為などの要件を加えたからだと説明していらっしゃいます。

 そこで、私は、実行準備行為を規定した法案第六条の二を見てみました。そこには、さまざまなことと同時に「関係場所の下見」という文言が規定されております。

 そこで、桜並木を歩いている人がいるとして、それが犯罪の下見なのか、花見なのか、どうやって区別するのかと質問をいたしました。それに対して金田大臣は、犯罪のために散歩をしているのか、花見をしているのか、あるいはそうではなくて、その下見のために歩いて散歩をしているのか、目的が違うという状況を踏まえて、それを慎重に受けとめて、しっかりとそこを調べると答弁されました。

 これは総理にお聞きしたいんですが、目的をしっかり調べるという答弁、なぜ目的を調べるのか。これは本法案が、計画、合意、すなわち共謀を処罰しようとするものだからそうなってしまう、そうならざるを得ないんじゃないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 今の御質問は、まさにこれは犯罪捜査実務にかかわることでございますので、刑事局長から答弁させます。

林政府参考人 テロ等準備罪の実行……(藤野委員「いいです、要りません、求めていません。貴重な時間を潰さないでください。あなたに聞いていない」と呼ぶ)

鈴木委員長 委員長の議事整理です。(藤野委員「時間潰しだ、これは。要らない、戻ってください」と呼ぶ)

 答弁をお願いします。

林政府参考人 テロ等準備罪の実行準備行為は、計画とは別の行為でありまして、計画をした犯罪を実行するために、計画に基づいて行われる準備行為をいいます。これに当たるか否かは、計画において合意された内容に照らして客観的に判断されるべきものと考えられます。(藤野委員「ちょっと、やめてください。貴重な時間を潰さないでほしい」と呼ぶ)

 この実行準備行為は、計画に基づいて行うことを要しますので、計画をした者たちにとっては計画の内容は明らかでありますので、いかなる行為が実行準備行為に該当するかは十分に認識可能でありまして、実行準備行為の内容は曖昧なものではございません。(藤野委員「委員長、質問潰しのためですか。これは深まらないじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり)

鈴木委員長 金田法務大臣。

金田国務大臣 指名をいただきました。(藤野委員「委員長、いいです、求めていません」と呼ぶ)いや、委員長から指名をいただきました。

 私からもお答えをいたします。

 ただいま刑事局長も申し上げましたとおり、テロ等準備罪の実行準備行為とは、計画とは別の行為であって、計画に基づいて行われる、計画をした犯罪を実行するための準備行為をいうのであって、これに当たるか否かは、計画において合意された内容に照らして客観的に判断されるべきものと考えられます。

 加えて、実行準備行為は、計画に基づいて行われることを要するものであって、計画をした者たちにとっては計画の内容は明らかであるから、いかなる行為が実行準備行為に該当するかは十分に認識可能であって、実行準備行為の内容が曖昧ということはありません。

 それから、一点つけ加えさせていただきます。

 今までは成案が出ていなかった。成案が出ていない法案を出すに当たって、まだ中身が確定していない状況の中では、答弁ができない部分というのはあるわけであります。これは先生方もよく御存じのとおりであります。どんな法案でもそういうことはある。

 しかし、基本的な考え方については、誠意を持ってこれまで答弁に努めてきたわけであります。四十項目がもしあるとするならば、メディアに出ておりますが、そういうものについて、成案が出たら答弁するということであるならば、いつでも聞いてください。その四十項目をやってください。

 加えてもう一点。(藤野委員「いや、もういいです。中身がありません」と呼ぶ)いや、これは大事なことです。先ほど言われたことです。非常に私について触れられたことであります。それに対して私が答弁するのは当たり前であります。

 私が答弁が不十分だという話がありました。誠意を持ってやってきたのはそのとおり。しかし、いいですか、霞が関の各省が提案した法案であるならば、その実務に詳しい責任者が答弁を重ねるということは非常に重要なのであります。それは……(藤野委員「質問内容には全く関係ありません」と呼ぶ)(発言する者あり)

 以上、しっかり、よろしくお願いいたします。

藤野委員 全く質問内容に関係のない、要するに、自分の思い、こうしてほしいという思いだけを答弁される。時間の無駄だと思います。

 要するに、目的を調べると言わざるを得ない。なぜなら、実行準備行為は外形からは全く違法性がないわけです。日常の行為なわけであります。だから、目的を調べないといけない。限りなく内心の処分に近づいていかざるを得ない。これは、内心の自由を保障した憲法に真っ向から反する違憲立法であります。

 そしてもう一点、総理は、組織的犯罪集団であるということも今度新しく加えた要件だと説明されています。この間の審議で、組織的犯罪集団についてもさまざまな審議が行われてきました。結局、それを判断するのは警察であるということになります。その警察が何をやっているのかということをきょうは御紹介したい。

 先日、当委員会で、岐阜県大垣市での風力発電事業をめぐって、岐阜県警大垣署が、住民の個人情報を収集し、事業を進めている企業に提供していた事件を取り上げました。犯罪でも何でもない、風力発電の勉強会を開催している住民たちを監視し、警察が勝手に過激派呼ばわりする。しかも、警察は、こうした業務は通常業務の一環だと言っているわけですね。

 配付資料を見ていただきたいと思います。

 この一枚目は、岐阜県警、岐阜県警察本部長が弁護団の「抗議・要求書」に対して行った回答書であります。ここには、こう書いてあります。「大垣警察署員の行為は、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環であると判断いたしました。」。資料の二枚目は、岐阜県公安委員会の回答であります。これについても同じ中身であります。「通常行っている警察業務の一環である」。

 総理、組織的犯罪集団でも何でもない人たちを監視と情報収集の対象にする、それを通常業務の一環だと、つまり、当たり前の業務なんだと主張しているわけですね。堂々と言っている。許しがたいと思うんです。

 総理、ここに共謀罪が新設されたらどうなるか。通常業務としてのそうした監視や情報収集、そうやって集められ、普通の方々、犯罪組織でも何でもない人たちの情報が集められ、それが共謀だと認定されれば犯罪捜査の対象になっていく。つまり、こうした通常の業務と犯罪捜査が一体化し、境目がなくなって、警察の目が私たちの生活隅々に及んでくる。これはまさに監視社会じゃないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 一般論として申し上げますと、警察においては、テロ対策や犯罪、トラブルの未然防止など、公共の安全と秩序の維持という警察の責務を果たすため、必要な情報収集を行っていますが、もとより法令に基づき適切に職務を遂行しているものと承知をしており、テロ等準備罪処罰法案が成立後においても、こうした活動が法令に従って適切に行われるものと承知をしております。

 なお、テロ等準備罪の対象となる団体については、テロ組織、暴力団、薬物密売組織、振り込め詐欺といった重大な犯罪を行うことを目的とする組織的犯罪集団に限定されており、市民団体等一般の方々が適用対象となることはありません。

藤野委員 今でも警察は、通常業務の一環として、組織的犯罪集団でも何でもない人たちを実際に監視の対象にしているわけです。そこに共謀罪ができれば、通常業務と犯罪捜査が一体化して、普通の人たちの日常の行為が監視や捜査の対象になっていく。

 大垣警察署事件の弁護団の一人は、こうおっしゃっています。

 公権力による監視は、市民運動という表現活動に対する事前抑制以外の何物でもなく、自由と民主主義に対して重大な萎縮効果を生じさせる、仮に共謀罪が成立したなら、このような監視に法的根拠が与えられ、共謀の疑いというだけで犯罪捜査名目での監視が可能となってしまう、大垣警察市民監視事件はその現実的なあらわれである、共謀罪は絶対に許してはならないと痛感する。

 まさにそのとおりであります。自由と民主主義に対する重大な萎縮効果を生み、文字どおりの監視社会をつくる。共謀罪法案は絶対に許されない、このことを強く主張して、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太であります。

 冒頭、先ほどの刑事局長の件でありますけれども、昨日の理事懇談会は八十分にも及びました、実は、刑事局長をずっと置いておくべきではないかという提案は私自身がさせていただいたものであります。

 これまでの質問を伺っていても、余りに空回りをした、枝葉末節というか、まあ我々でも、家のことは嫁の方が知っている、事務所のことは秘書の方がよく知っているということは多々あるわけでありますけれども。こうしたことで、先ほどの議論を聞いていても、キノコの話、竹の話を総理や法務大臣に、そんな枝葉末節な話を聞く国会のあり方というのは、私はこれはやはり問題があると思うわけでありますけれども、衆議院規則第四十五条の三には、委員会は政府参考人の出頭を求めることができるとありますけれども、やはり、採決までするのであれば、筆頭理事に今回刑事局長を置くことを周知させるというような前提をもう少し丁寧にすべきではないかと思いますので、私は冒頭、与野党ともに苦言を申し上げたいというふうに思います。

 先ほどキノコの話をいたしましたけれども、やはりキノコの話をしていても国は守れないと私は思います。

 きょうは、一覧をつくらせていただきました。この一覧を見て、テロ対策と我々は申し上げております。今回の法案については、我々、その趣旨は大変大事だと思っております。ですから、これから我が党は、まあ公明党さんはよく憲法の話で加憲とおっしゃいますけれども、我々はこの法に加えていこう、加法という考え方で維新はやっていくというのがこの法務委員会を預かる私の法案であります。

 その中で、これをまず見ていただいて、逮捕に伴う場合を除いて無令状で捜索をする、海外ではそういうことが、先進国を見ても、これは一覧を見たら、ここまでのことができるのかというぐらいのことができるわけであります。

 おまえは怪しいぞということが明確になればそれで捜索ができるとか、司法傍受、よく盗聴、盗聴と言って通信傍受の話がありますけれども、昨年も、我が国の発付件数も四十件で、アメリカは四千件を超えていて、フランスに至っては五万件を超えている。そして、行政傍受については、これは発付も何も要らないわけでありまして、我が国はこれは絶対にだめでありますけれども、各国はこういうふうにほとんどが行っているということでありまして、諜報機関のあり方等もあるわけでありますけれども。

 そして、GPSの件もさっき出ていました。我が国は現行これは使えなくなりましたけれども、捜査機関の手足を縛って、この法律ができただけで、我々はテロに対策ができるとは思いません。

 そして、これに加えて、やはり被疑者も自白偏重になるので、我々としてはこれから、録音、録画の義務づけ、可視化はテロ等準備罪の要件に当たるものについては義務化をしていくべきだというふうなのが、これが我々のこれからの提案の骨子になってこようと思います。

 まず総理に伺いますが、この表、一覧を見ていただいて、日本のテロ対策はこんなにがんじがらめになっていて、これに対して比較をして、感想でよろしいんですけれども、総理、これをごらんになって、いかが思われますか。

安倍内閣総理大臣 各国の刑事訴訟手続は、それぞれの国の犯罪情勢や刑事政策等を踏まえ、さまざまな制度が全体として機能するように成り立っているものであり、そのような制度全体のあり方から離れて、個々の制度の相違点のみに着目して単純に比較することは必ずしも適当ではないと考えておりますが、我が国の刑事手続についても、諸外国の法制度を参考にしつつも、犯罪捜査の実情等も踏まえ、そのあり方を検討すべきものと考えているところであります。

 また、御指摘の組織犯罪に対処するための捜査手法としては、昨年の通常国会で成立をした刑事訴訟法等の一部を改正する法律において、証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度や刑事免責制度の導入などが行われたところでありまして、今後、それらの施行状況も踏まえて、引き続き検討が行われるべきものと考えております。

 なお、テロ等準備罪は通信傍受の対象犯罪ではなく、テロ等準備罪をその対象犯罪に追加する法改正を行うことは予定はしておりません。

松浪委員 被疑者の方を守る、そして捜査機関に武器を与えていくというのが、テロがこれから広がっていくというのであれば、当然、政府の方針でなければならないと思います。

 今回の議論が非常に空虚だなと思うのは、皆さん、口には出さないけれども、組織犯罪防止法という条約に加盟をするというのが一番の目的であって、そして、これによって捜査機関も各国と協力体制の基本がやっとそろうという、これだけの話であります。

 ですから、その先の話は私はまだ長い話だと思いますけれども、なかなか国民の皆さんにわからないのは、今回の法案を通さないとこの条約に加盟できないんだということを言われる、そう言われるとそんな気もするけれども、でも不思議なんですね、我が国よりも百数十カ国が加盟しているといっても、北朝鮮まで加盟をしているわけであります。

 ですから、後で私、国連立法ガイドのパラグラフ五十一についても質問をいたしますけれども、北朝鮮ですらTOC条約に加盟しているのに、なぜ、これだけ先進国で犯罪も非常に低い我が国の法制で、この法改正がないと条約を批准できないのかということを、これは総理に伺うということになっていますので、総理、一言。

安倍内閣総理大臣 北朝鮮は、二〇一六年六月十七日付で国際組織犯罪防止条約を締結したものと承知をしていますが、北朝鮮における本条約の担保法の整備状況については不明であります。

 本条約第五条は、締約国に対し、重大な犯罪を行うことの合意または組織的な犯罪集団への参加の少なくとも一方を、その未遂または既遂とは別に犯罪化することを義務づけています。

 重大な犯罪の合意罪について、この条約を締結するに当たり新たに国内法を整備した国としてはノルウェー及びブルガリアがあると承知をしておりますが、米国や英国等は重大な犯罪の合意罪を、そしてドイツやフランス等は参加罪を、この条約の締結以前よりそれぞれの国内において法制化していたため、新たに国内法を整備する必要がなかったと承知をしております。

 しかし、我が国においては、現行法上、参加罪は存在しない上、共謀罪、陰謀罪が設けられているのはごく一部の犯罪にすぎないわけでありまして、これに加えて、予備罪は予備行為を処罰するものであって合意を処罰するものでない上に、客観的な相当の危険性がなければ処罰の対象とはならないところであります。

 このように、我が国では、現行法が本条約第五条が定める犯罪化義務を満たしていないことは明らかであり、テロ等準備罪を新設しなければ本条約を締結することができないと考えております。

松浪委員 先ほど総理もこの表を見て、刑事訴訟法、その国の状況によって違うんだとおっしゃるので、これを見るだけでも、私は、日本の捜査機関はこれで大丈夫かなという思いである一方、北朝鮮も入っているんだからという国民の思いはあるし、先ほど与党の方からも、これは不思議だなという声も聞こえているわけでありまして、みんな言っていますけれども、外務省、北朝鮮がTOC条約に批准した経緯について、通告を出していますけれども、手短に一言。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮は、国連のウエブサイトによりますと、先ほど総理から御答弁ありましたとおり、二〇一六年六月付で国際組織犯罪防止条約を締結しておりますけれども、その過程……(松浪委員「中身」と呼ぶ)中身については、担保法等の整備状況については不明であります。

松浪委員 まあ、ええかげんな話でありますよ。これで各国との情報のやりとりができるというのであれば、やはり国民としてわかりにくいので、北朝鮮を例に出しましたけれども、各国の状況というか加盟の状況がどういうふうになっているかというのを言わずして、我が国だけこうじゃないとだめだというのは、なかなか納得いかない話だと思います。

 総理には、先ほど、今回の法改正、非常に微妙な問題ですから、やりにくいのはわかるんですけれども、今回、通信傍受法なんかも我々出しましたけれども、サリンによる人身被害の防止とか化学兵器の禁止とか、こういうものが一切入っていない。内乱罪とかは、我々、あえて入れていません、内心の自由に踏み込むことはしませんけれども、こういう準備行為のものが全く触れられていない。通信傍受法でも、改正はあったけれども、こういうものが抜け落ちているんです。ハイジャックもできない。

 こうしたことは、我々、これから野党として、しっかりと与党の方に提案をさせていただきたいと思っておりますので、しっかりと可視化で安心感を得る、そして、現実的にこうしたテロに対しては厳しい姿勢で、捜査機関には捜査手段を、当たり前のことを与えるということは、総理にも与党の方に御指示をいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。(発言する者あり)

 質疑を続行いたします。階猛君。(階委員「時計をとめてください」と呼ぶ)階猛君。(発言する者あり)

 質疑を続行します。階君。(発言する者あり)

 階猛君、質疑を続行してください。(発言する者あり)

 質疑を続行します。階猛君。

階委員 冒頭、委員長にまず抗議を申し上げます。

 今回のような、職権で政府参考人の出席を認められた事例というのは過去にない、衆議院規則にもないというふうに聞いております。こういうあり方は極めて問題だと思います。(発言する者あり)静かにしてください。

 そこで、大臣にもお尋ねします。

 大臣は基本法を所管しておられます。憲法六十三条、どのような条文か、知っていますか。

金田国務大臣 階委員の御質問にお答えをいたします。

 知っているつもりであります。

階委員 どういう趣旨の条文ですか。知っているんだったら、おっしゃってください。

金田国務大臣 国務大臣の一人として承知をしているわけでありますが、憲法六十三条の中には、議院から、議院、衆議院から答弁や説明を求められた場合に国会に出席する義務を定めたものであると承知をしております。

階委員 「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」ということで、我々は答弁を求めて出席してもらっているわけです。それにもかかわらず、自分が答弁されないということは、職責放棄ですよ。

金田国務大臣 その点について意見を求められましたので答弁を申し上げますが、私は答弁を、誠意を持って、これまでもずっとこの委員会において努めて、やってきたつもりであります。答弁に努めてきたつもりであります。

階委員 大臣には極めてゆゆしき問題が二月六日にありました。繰り返しますけれども、予算委員会における「テロ等準備罪」に関する質疑についてという文書を出したわけです。これを撤回された。そして、撤回するに当たって、私どもからもちゃんと、この文書を撤回するということは、今後は、政府参考人の有無にかかわらず、我々の質問に対して大臣はきちんと答えられるという理解でよいかということを、私も二月の二十三日、予算委員会の分科会で質問しました。それに対して、ちゃんと対応するというふうに答えておられますよね。違いますか、大臣。

金田国務大臣 その点について階委員にお答えをいたします。

 私は誠意を持って、そのとおりに努めているつもりであります。答弁は努めております。

 ただし、私の思いを、あの紙を出したときのお話をお出しになりましたので、私はそのことにつきまして……(階委員「いいですよ、そこは聞いていません。時間がもったいない。聞いていません」と呼ぶ)関連があります、関連があります。それは、それを言わなければ、聞いていらっしゃる方がわからない。だから、申し上げているんです。

 だから、それについて三点申し上げた、あのときは。しかし、それは、それまでの予算委員会の審議の中で私がるる申し上げてきた内容であります。(階委員「あなたの頭脳では対応できないんじゃないですか。頭脳では対応できないということを言っているんだ」と呼ぶ)その話は今回の御指摘にかかわることだから申し上げているんです。かかわることだから申し上げているんです。(階委員「じゃ、こっちも言いますよ。頭脳では対応できないということを言いますよ、私も。それを言うなら」と呼ぶ)いや、そういうふうに見るかどうかは先生の方の御判断でしょう。(発言する者あり)

鈴木委員長 静粛にお願いします。

金田国務大臣 私が申し上げているのは、成案ができるまではなかなか、いろいろな議論がありますから、一定しない。その説明をするのは、成案ができたときに説明をするんだという点が一点。

 それから、私たちの議論を深める、この問題が重要な課題であるとするならば、この議論を深める、深めるためにはどういう努力が必要かというときに、私一人でお答えするのに加えて、全員で全力を挙げて議論をしていくためには、私どもの、要するに、例えば捜査実務とかいろいろなことに詳しい方を呼んで、責任者を呼んでその意見や答弁を聞いてもらうことも必要だということを入れてあります。

 そういうことをしたためた紙を申し上げたわけでありまして、私は、きょう問題になっておりますことに対しましては、誠意を持って今答えを申し上げているつもりであります。

階委員 全然関係ないことを答えていますよ。

 私の質問は、政府参考人の有無にかかわらず、大臣がきちんと答弁できるかということに対して、大臣は答弁しますという答えだったんですよ。(金田国務大臣「いや、答弁しているつもりです」と呼ぶ)

 では、これからも大臣は、政府参考人を、私が指名したら別ですよ、私が指名しない場合は、きちんと大臣、自分で答えてください。よろしいですね。(発言する者あり)

鈴木委員長 委員長で判断します。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 ただいまの御指摘に対しましては、委員会における議事というものは委員長が整理するものと承知をいたしております。それにのっとって答弁を行うべきものと考えておりますことを申し上げております。

階委員 ただし、私は、政府参考人を今回も呼んでおりませんし、大臣に基本的なことを聞きたい。それを私が申し上げるのは、指摘しましたとおり、二月の二十三日で、政府参考人の有無にかかわらず答弁しますと答えているからですよ。撤回ですか。あれはうそだったということになるわけですか。

 大臣、御自身の言ったことですよ、責任を持ってください。責任を持てないんだったら大臣の資格はないですよ。自分で答えてください、基本的なことしか聞かないんだから。

金田国務大臣 先ほども申し上げましたが、委員会における議事というのは委員長が整理するものと承知をしております。したがって、それにのっとって、私は、必要な部分の答弁に努力をしていきたい、こういうふうに考えております。

階委員 ただし、委員長の議事整理権も、憲法六十三条のもとでのものだと理解します。説明を求める権利はこちらにあります。求める権利はこちらにあって、それを履行するために大臣は出席しているわけだから、大臣は、説明を求められたら答える義務があるんです。これは憲法の当然の帰結ですよ。こんなことも知らないでよく法務大臣が務まるなと、私は先ほどの答弁を聞いていて感じました。

 私は二月のこの分科会での答弁を前提にして質問しますから、もし関係のないところで政府参考人が出てきたら私は質疑はできないと思っていますので、委員長、よろしくお願いします。よろしいですか。

鈴木委員長 続行してください。階猛君。

階委員 おととい、決算行政監視委員会で、私は総理に尋ねたんですね。今回の法案は従来の共謀罪法案で問題となった部分を改善したのかという問いに対して、総理は、はっきりした答えがなかったんですけれども、正確には法務大臣に答弁させますということをおっしゃっていました。

 そこで、法務大臣に正確な答弁を求めます。

 今回の法案は、従来の共謀罪法案で問題となった部分を改善したものという理解でよろしいですか。

金田国務大臣 ただいまの質問にお答えをいたします。

 かつて政府が提出しました法案における組織的な犯罪の共謀罪というのは、国会審議等において、正当な活動を行う団体も対象となるのではないか、あるいは対象犯罪の数が多過ぎる、あるいは内心が処罰されることとなるといったような不安や懸念が示されたと思います。

 これらの指摘を重く受けとめて真摯に検討を重ねた結果、今回提出した法案のテロ等準備罪におきましては……(階委員「結論だけ言ってくださいよ。時間がもったいない」と呼ぶ)対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定することによって、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が適用対象となることはあり得ない……(階委員「改善したのかどうかと聞いているんですよ。イエスかノーかでお答えください」と呼ぶ)そういうことで一層明確にいたしました。(階委員「同じことを何回も言っている。繰り返しは要らないです」と呼ぶ)

 それから、先ほど申し上げた二点目は、対象犯罪についても、長期四年以上の懲役、禁錮を定める罪のうち、組織的犯罪集団が実行を計画する……(階委員「ちょっと長過ぎる。質問に答えていない。質問に直接答えてくださいよ。そんなこと聞いていないよ。結論を答えてくださいよ」と呼ぶ)ちょっと、質問者の質問に私は答えているつもりで申し上げています。(階委員「イエスかノーかで答えればいい話でしょう」と呼ぶ)組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものをリスト化し、対象犯罪を明確化いたしました。

 それから三つ目は、また、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることによりまして、内心を処罰するものではないことについても一層明確にするとともに、処罰範囲も限定をしているのであります。

 このように、テロ等準備罪というのは、犯罪の主体、その対象犯罪、処罰対象となる行為のいずれについても、法文上、今回は明確に限定をすることによりまして、国民のかつてありました不安や懸念を払拭する内容となっておりますことから、共謀したことで処罰されることとされておりましたかつての共謀罪とは大きく異なるものと受けとめております。

階委員 いや、異なるかどうかじゃなくて、改善されたのかと聞いているんですよ。結論だけ答えてください。

金田国務大臣 不安や懸念を払拭し、そういう意見に対して結果としてお応えする内容になった、このように考えております。

階委員 では、従来の法案は不安や懸念があったので問題があった、つまり、それを改善するものだということでいいんですよね。

 いいですね、大臣。確認です。結論だけでいいです。

金田国務大臣 国会の議論の中で不安や懸念があったということを申し上げました。したがって、その不安や懸念を払拭する内容となったというふうに私は受けとめております。

 過去の法案においても厳格な要件によって処罰範囲が十分に限定されていたということは考えているわけであります。

階委員 では、仮に、この審議の中で不安や懸念がなお残るということであれば、この法案は撤回せざるを得ないということになりますか。どうですか、大臣。

金田国務大臣 先ほど申し上げました、一層明確になった、不安や懸念を払拭することができたということが一層明確になったということを申し上げたとおりであります。

階委員 だから、それが、実は、皆さんはそうおっしゃるけれども、審議の中でやはり不安や懸念が払拭されないということが明らかになったら、これはもう法案は撤回せざるを得ないですよね。

 だって、従来の法案はそういう理由で出し直していないんでしょう。出し直せないというものが、同じ理由で不安や懸念があったとしたら、やはり今回も成立させられないでしょう、撤回せざるを得ないでしょう。大臣、違いますか。

金田国務大臣 お答えをいたします。

 この法務委員会において実りある深い議論が行われることを期待いたしております。

 したがいまして、その中での議論を経て、またいろいろと先生からも御指摘があるのかな、こういうように思いながら、今聞いておりました。

階委員 今、含みを持たせた御発言だったと私は受けとめました。

 やはり、不安や懸念が審議の中であったら、これは検討せざるを得ないということです。(発言する者あり)いや、そういう趣旨でお答えになっていました。

鈴木委員長 御静粛に願います。

階委員 そこで、まず主体、犯罪の主体についてですけれども、組織的犯罪集団という概念は、従来の政府案ではありませんでした。今回ではこの概念が新たに設けられましたけれども、総理大臣はおとといの答弁で、従来のものにおいても、いわば犯罪を結社の目的とする組織的な組織に限る、原文のまま読んでいますけれども、組織的な組織に限る事実上のオプションをとってきたということを答弁されていました。

 だから、今回はそれを明示的に書いたものだということなので、結局、組織的犯罪集団という概念がない従来の共謀罪法案でも、犯罪が成立する主体の範囲は今回の法案と同じではないかと考えますが、確認ですけれども、大臣、それでいいですね。結論だけ。結論だけでいいですよ、総理が言ったことだから。

鈴木委員長 まず、法務省林刑事局長。(階委員「ちょっと待って、総理が言ったことだから。ちょっと待ってくださいよ、それは違うでしょう」と呼ぶ)その後で、まずそのまま……

林政府参考人 かつての法案と今回の法案についての考え方、両者の、かつての法案と今回の法案、これについて、組織的な犯罪についての合意を処罰するという点においては、基本的にはその考え方は同じでございます。

 しかしながら、かつては、それを解釈によって、団体のうち、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うものに限定しておりました。今回は、同じように組織的な犯罪の合意というものを絞るのに、明文によりまして、団体のうち、犯罪行為を行う、目的とする組織的犯罪集団に適用対象を明文をもって限定したところに異なる点がございます。

金田国務大臣 かつての組織的な犯罪の共謀罪の適用対象は、解釈によって、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うものに限定しておりました。それから、これに対して、テロ等準備罪は、法律の明文によって、団体のうち、犯罪行為を行うことを目的とする組織的犯罪集団に適用対象を限定したものであります。

 その基本的な考え方は異なるものではありませんが、テロ等準備罪は、解釈ではなく、法律の明文で適用対象となる団体を限定した点で、かつての共謀罪とは重要な違いがあると考えております。

階委員 条文で明確化したということは、改善と言えば言えるかもしれませんが、内容においては従来と変わっていない、内容においては特に改善ということではないという理解でいいですね。イエスかノーで、大臣、お答えください。

金田国務大臣 死刑または無期もしくは四年以上の罪、そういう限定で考えております。(階委員「何を言っているんですか、全然答えていませんよ。答えていません、今の。ちょっと、全然答えになっていないですよ。質問をわかっている。時間をとめてください」と呼ぶ)

鈴木委員長 時計をとめてください。ちょっと整理してください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 長期四年以上の罪の実行を行う、その団体に限定をしているわけであります。

階委員 今の説明は意味がわからないので、もうちょっと説明してほしいのですが。

 その前の答弁では、解釈で行われていたものを明文化したという話だったわけですよ。明文化したということにとどまるならば、内容は従来と変わっていない。だから、内容面においては従来と変わっていないだろうということを指摘しましたが、それでよろしいですか。内容面において変わっていないかどうか、イエスかノーで答えてください。

金田国務大臣 組織的犯罪処罰法上の団体について、犯罪を目的とする団体に限定しようとするものであって、基本的に同一ではあります。

 しかしながら、テロ等準備罪は、解釈ではなくて法律の明文で適用対象となる団体を限定した点で、かつての共謀罪とは重要な違いがある、このように考えております。

階委員 だからそれを、何度も確認しますけれども、今回、組織的犯罪集団という概念が新たに設けられましたけれども、それは今まで解釈で行われていたものを明文化しただけであって、内容は従来の政府案と変わっていない、犯罪の成立主体は変わっていないという理解でいいかということを繰り返し聞いています。結論だけでいいんです。この話は、もう今の答弁から、論理的に言えばそうなると思いますけれども、違いますか、大臣、お答えください。

金田国務大臣 先ほど申し上げましたように、犯罪を目的とする団体に限定しようとするもの、基本的に同一であります。しかしながら、テロ等準備罪は、解釈ではなくて法律の明文で限定した点におきまして重要な違いがあると考えております。

 このことによって、かつての共謀罪に対して示された、一般の団体まで適用対象となるのではないかといった不安や懸念を払拭し得るものと考えております。(階委員「いや、だから、答えていませんよ。内容は変わっていないかという問いです。答えてください。ちょっと、とめてください。早く答弁してください。内容は変わっていないかどうか、早く答弁してください。同じことを何回も聞かせるな」と呼ぶ)

 法務委員会では、同じことを聞かれて同じことを答弁することが多い、このように私は、過去の経験上もいろいろとあります。でも、このケースは同じ答弁になります。(階委員「なぜですか」と呼ぶ)

 以上、さっき申し上げたことによりまして、かつての共謀罪に対して示された、一般の団体まで適用対象となるのではないかといった不安や懸念を払拭し得るものと考えている部分が違うわけであります。(階委員「答えていない」と呼ぶ)答えています。(階委員「同じことの繰り返しですよ。重要なんですよ、これを答弁に残すことが大事。とめてください」と呼ぶ)

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 金田法務大臣、再度お願いします。(階委員「端的に答えてください」と呼ぶ)

金田国務大臣 端的に答えているつもりでありますが、もう一度申し上げます。

 かつての共謀罪に対して示された、一般の団体まで適用対象となるのではないかといった不安や懸念を払拭し得るものと考えておりますから、この点が変わっているということであります。

階委員 それを明文化することで懸念や不安を払拭するということを先ほど来おっしゃっているわけですが、結局、明文化したということであって、内容的には従来とは変わっていないということでよろしいですよねということを確認までに聞いているんですよ。

 今の大臣のお言葉からすると、変わっていませんというのが論理的な帰結だと私は考えますが、そうではありませんか。私の考えと違うのであれば、そうおっしゃっていただければいいですし、そのとおりというのであれば、そのとおりだとおっしゃっていただければいいですし、これ以上時間を浪費するわけにはいきませんので、端的にお答えください。

金田国務大臣 同じことになるんですが、法文上、明確にしたということであります。

階委員 だから、それは変わっていないということですね。内容は変わっていないということですよね。内容は変わっていないということでいいですね。

金田国務大臣 これを変わっていると受けとめるか、変わっていないと受けとめるかの考え方につきましては、私のお答えが委員が期待されているそれとは違っているのかもしれませんけれども、私としては、その変わっている部分は申し上げた点でありまして、委員の御質問にはきちんと答えているつもりであります。

階委員 だから、解釈上は今までも組織的犯罪集団に限るというのが政府の考え方だったんだけれども、それを明文化しましたよ、だから内容においては変わっていませんよということをおっしゃっていただければ、それでいいんですよ。別に、今の大臣の答弁と私は何ら矛盾していることを言っているつもりはありませんし、内容自体は従来の政府案で解釈でやられていたものを明文化しただけであって、内容的には変わっていないということだと思いますが、違いますか。

金田国務大臣 お答えをいたします。

 これまで答弁を申し上げたとおりであります。(階委員「期待どおりじゃなくて、私の考えがどうかと聞いているだけですよ。とめてください」と呼ぶ)

鈴木委員長 階君、続行してください。

階委員 何で、これで、内容は今までと同じですと答えられないんですか。だって、総理はそう言っていましたよ。総理とは違うんですか。総理は従来もそういう考え方だったということを言っていましたよ。総理はそこは同じだということは認めていましたよ。法務大臣、同じでいいんでしょう、内容的には。どうですか、大臣、総理と違うんですか。

金田国務大臣 今までお答えしたとおりなんですけれども、そこまでおっしゃっていただいて、申し上げられるといたしますと、両者の基本的な考え方というのは異なるものではないんですけれども、テロ等準備罪は、解釈ではなく法律の明文で適用対象となる団体を限定した点で、かつての共謀罪とは大きな重要な違いがあると考えているということであります。

階委員 だから、明文化したということだけが違いであって、内容的には変わりがないという帰結になると思うんですが、それでいいですよねと確認しています。大臣、いかがですか。

金田国務大臣 答弁を申し上げたとおりであります。(階委員「答えていないですよ。答えていないですよ、私の問いには。とめてください。今のはとめてください。とめてください。大事なところなんだから。入り口のところなんだから」と呼ぶ)(発言する者あり)

鈴木委員長 金田法務大臣、再度答弁をお願いします。

金田国務大臣 非常にデリケートな部分の議論になっていると思います。

 かつての組織的な犯罪の共謀罪の適用対象については、解釈により、組織的犯罪処罰法上の団体のうち、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うものに限定しておりました。これに対してテロ等準備罪は、法律の明文によって、団体のうち、犯罪行為を行うことを目的とする組織的犯罪集団に適用対象を限定したものであります。

 したがって、その両者の基本的な考え方は異なるものではありませんが、テロ等準備罪は、解釈ではなく法律の明文で適用対象となる団体を限定した点で、かつての共謀罪とは重要な違いがある、このように考えておりますことを先ほどから申し上げております。

階委員 はっきりお答えにならないので、では質問をちょっと変えてお尋ねしますけれども、以前の法案であれば、犯罪の主体になり得た団体で、今回は、組織的犯罪集団という概念が加わったことで主体になり得なくなったもの、こういうものはあるんですか、ないんですか。そこだけお答えください。

鈴木委員長 法務省林刑事局長。(階委員「大臣ですよ」と呼ぶ)(発言する者あり)その次に答えます。

林政府参考人 基本的に、かつての組織的処罰法の改正案での組織的犯罪の共謀罪、これについては、解釈によって、その犯罪を目的とする団体に限定される、このような説明を、その考え方に立って法案を提出いたしました。しかしながら、それは国会において十分な理解を得られなかった。やはり、それでは犯罪を目的とする団体に限定される、されないということが十分に理解を得られなかったので、今回、その点について不安と懸念を払拭するために、法文の中で、明文で犯罪主体としての組織的犯罪集団に限定をしたということでございます。

鈴木委員長 階猛君、時間が参りました。御協力お願いします。

階委員 時間が来たのでここで終わりますけれども、刑事局長みずから、ルール違反を犯していますよ。衆議院規則第四十五条の二、「委員会が審査又は調査を行うときは、政府に対する委員の質疑は、国務大臣又は内閣官房副長官、副大臣若しくは大臣政務官に対して行う。」、第四十五条の三、「委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的又は技術的事項について審査又は調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出頭を求め、その説明を聴く。」となっております。

 きょうの私の質問は、組織的犯罪集団という概念は加わったけれども、従来の政府案と犯罪の成立する主体は同じなのか違うのか、極めて基本的なことを聞いています。

 明確に衆議院規則に違反しているということを申し上げまして、私の質疑を終わります。

鈴木委員長 次に、宮崎政久君。

宮崎(政)委員 自由民主党の宮崎政久です。

 先ほど総理に質問させていただきました。引き続きまた質問させていただきたいと思います。

 ちょっと、冒頭一点、確認をしたいと思います。

 昨日報道に接したものがございましたので、確認でちょっと法務省にお尋ねしますが、この報道によると、衆議院調査局法務調査室の調査でテロ等準備罪の対象犯罪数が三百十六とされていて、法務省の説明する二百七十七と異なっているという見出しがあったわけであります。

 端的にお伺いしますけれども、この報道にある三百十六と二百七十七の相違というのはどういうことなのか。

 それと、テロ等準備罪の対象犯罪の個数の数え方はどのようにしているのか、御説明ください。

林政府参考人 衆議院調査局法務調査室がどのような考え方に立って数え方をしているかということについては承知しておりませんけれども、法務省におきましては、基本的に、犯罪行為の態様に着目して、犯罪行為が規定されている条や項ごとに数えております。その際、犯罪行為の態様が共通しており、細分化することが適当とは言いがたい罪については、条や項が異なっても一個と数えるようにしております。

 今回の罪の数え方でございますが、平成十七年当時の組織的な犯罪の共謀罪の際の数え方と比べると、犯罪行為の態様に着目し、条や項ごとに数えているという点では、これは同一でございます。

 もっとも、平成十七年当時は、例えば同一の項の前段と後段について、例えば航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律第四条では、この前段と後段を別個のものとして計上しておりましたけれども、一方で、刑法百七十六条強制わいせつでは、両者合わせて一個の罪として計上している点がございました。また、刑法第二百三十六条第一項と第二項の強盗におきましては、行為の態様が共通しており、まとめて計上しておりましたけれども、一方で、刑法第百二十五条第一項と同条第二項の往来危険では、行為の態様が共通しているにもかかわらず、これを細分化して計上しておりました。

 このように、犯罪の個数という観点から見て、平成十七年当時の数え方は、その計上方法に必ずしも一貫していない面がございました。そこで、今回は、犯罪行為の態様に着目し、より適切と考えられる数え方というものを採用したわけでございます。

 以上のような数え方に基づきまして、平成二十九年一月一日時点で効力を有する罪について、法定刑が長期四年以上の懲役または禁錮の刑等が定められているものの個数を数えたところ、その個数は六百七十六でございました。

 その上で、国際組織犯罪防止条約の解釈に従い対象犯罪をリスト化して明確化することとして、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定される罪を選択した結果、その個数は、本法案により新設することとしている証人等の買収罪を除きまして、二百七十七ということになったものでございます。

 いずれにしても、この六百七十六という数字と二百七十七という数字については、同じ数え方の考え方を持って数えているものでございます。

宮崎(政)委員 この報道の中では、いかにも法務省がアンフェアな数え方をして、対象犯罪数を少なくするような印象操作をしているかのような記載もあったわけでありますが、事実は、今のように適切に数えているというわけであります。

 もちろん、野党の皆さんが一つ一つを取り上げてさまざま議論するということについて何も制約をするというものではありません。ただ、報道機関も含めまして、こうやって冷静に一つ一つ御説明をさせていただいて、ぜひそのことも国民の皆さんに御理解いただいて、このテロ等準備罪を含めた今回の法律についての議論を国民の皆さんと一緒になって確認をしていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 それではまず、本日から実質審議でありますので、少し前提になる事柄についても網羅的に聞いてまいりたいと思っております。

 先ほど安倍総理からお話しいただきましたとおり、我が国ではテロ対策が喫緊の課題であるということであります。今回国内担保法を整備してTOC条約を締結するということは、我が国のテロ対策にとって重要な取り組みの一環であるというふうに理解をしておりますが、まず、この条約を締結する必要性、意義、改めてちょっと、簡潔に外務省の方から御説明をお願いします。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 既に百八十七の国・地域が本条約を締結し、本条約に基づく国際協力を実施しておりますところ、未締結国は、我が国を含め、わずか十一カ国となっております。

 また、関連する国連の決議やG7サミット等におきましても、繰り返し、各国に対して本条約の締結が要請されているところでございます。先週発出されましたG7ルッカ外相会合共同コミュニケにおきましても、G7として、国際組織犯罪防止条約を含む関連する国際文書の完全な履行を支援すること、及び同条約の締約国となるために日本が現在行っている努力を歓迎する旨の表現が盛り込まれております。

 本条約の締結に必要な法整備には、テロを含む組織犯罪の未然防止に資するものが含まれております。二〇一九年のラグビーワールドカップや二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会を控え、我が国に対する国際社会の注目が高まる中で、テロを含む組織犯罪を未然に防ぎ、これらの国際大会を安全に開催することが必須かつ極めて重要と認識しております。

 また、本条約を締結することによって、外国との間における捜査共助や犯罪人引き渡しがより迅速で充実したものとなり、情報収集も含め、より一層効果的に、国際社会と協力をしてテロを含む国際的な組織犯罪に対処することが可能になるものと考えております。

 以上に加え、本条約を締結するまでは、我が国は本条約を補足する人身取引議定書や密入国議定書も締結することができておりませんが、国際社会と協力して人身取引や密入国に関する犯罪と闘う上でもこれらの議定書を締結することが重要な課題であると認識しております。

 そのために、まずは我が国が本条約の締結に必要な国内法を整備し本条約を締結することによって、我が国自身が国際社会における法の抜け穴にならないようにする必要がございます。その上で、国際的な組織犯罪の防止のための国際協力を促進し、深刻化するテロの脅威を含む国際的な組織犯罪に対する取り組みを強化していかなければならないと考えております。

宮崎(政)委員 次に、テロなどの凶悪な組織犯罪や国際犯罪、先ほど、例えば国内の事例でいえばオウムの例があった、最近の国際的な事例であればサンクトペテルブルクの自爆テロのようなものがあった、こういったところが報道からわかるわけであります。

 我が国における国際的な組織犯罪の現状、政府としてはどのように認識をしているのか、御説明をお願いいたします。

金田国務大臣 宮崎委員からの御質問にお答えをいたします。

 国際的な組織犯罪の現状についての認識をお尋ねでございます。

 近年、国境を越えて大規模かつ組織的に敢行される国際的組織犯罪の脅威というものは非常に深刻化をしていると受けとめております。我が国におきましても、外国人犯罪組織や、これらの外国人犯罪組織と連携をした暴力団等の犯罪組織による、海外銀行の偽造カードを利用したATMからの多額の引き出し事犯やマネーロンダリングの事犯、それから偽装結婚や不法就労助長等の事犯、あるいは覚醒剤といった違法薬物の密輸密売事犯、それから量販店の物品、自動車、重機等を窃取する、そしてこれを売りさばく大規模窃盗事犯、そして、国外への不正送金を行う地下銀行事犯といった、悪質で巧妙な各種の犯罪が多発をしているものと認識をしているところであります。

宮崎(政)委員 今のような、我が国における国際的な組織犯罪の現状の認識に対応しようということになりますと、テロ対策も含めて国際協力が不可欠であるということになってくるわけでありまして、当然、テロ等の組織犯罪の計画や国際組織犯罪を未然に防止するという観点からすれば、計画や準備の段階で取り締まる、また未然防止のための策をとっていくということになっていくわけでありますが、TOC条約を締結すると、我が国のテロ対策、また、今いろいろさまざまな現状認識を金田大臣から御説明いただきましたが、治安対策、犯罪対策、こういったことでどのような意義があるというふうに御説明いただけるのでしょうか。

金田国務大臣 お答えします。

 近年、イスラム過激主義に基づきます国際的なテロ組織が勢力を増しております。そして、世界各地で大規模なテロが続発をしている。我が国もそうしたテロ組織からテロの標的として名指しをされたり、平成二十八年七月でございました、バングラデシュにおいてダッカ襲撃テロ事件というのもございました。邦人にも多数の犠牲者を出すテロ事件も発生しております。我が国においても、甚大な被害をもたらし得る組織的な国際テロ事件の発生を未然に防止すべき必要性が高まっているものと考えております。

 他方、国内を見た場合にも、暴力団によります組織的な殺傷事犯、外国人犯罪組織や、これと連携をした暴力団等の犯罪組織による海外銀行の偽造カードを利用したATMからの多額の引き出し事犯、先ほど申し上げましたが、マネーロンダリング事犯、あるいは偽装結婚、不法就労助長等の事犯、覚醒剤といったような違法薬物の密輸密売の事犯、量販店の物品、自動車、重機といったものを窃取してこれを売りさばく大規模窃盗事犯、悪質巧妙な各種の組織犯罪は多発をしている状況にありまして、平穏な市民生活を脅かす状況にある。

 もう一つ申し上げると、国際的な犯罪集団によりますサイバー空間を利用した犯罪も大きな脅威になっておりまして、その被害は国内外を問わずさまざまな機関や事業者等に及んでいるのであります。

 このような組織的な犯罪は、計画性が高い、そして組織の指揮命令等を利用して行われるために、実際に犯罪が実行されるおそれも高い上に、これが実際に行われた場合に重大な被害が発生する。その前に犯人を検挙し処罰することが可能になるという意味、我が国における組織犯罪に対して一層効果的に対処することがこれによってできることになるというのであれば、国民の生命や財産を保護し、安全と安心を確保する上で重要な意義があるのではないか、このように考える次第なのであります。

 以上です。

宮崎(政)委員 重大な犯罪の未然防止また国際協力という意味でいいますと、捜査共助であるとか犯罪人の引き渡しも含めたさまざまなことが、我が国の治安対策、犯罪対策という意味で国際的な組織犯罪に対しても非常に有効であるということは、やはりTOC条約の条文、各条項に記載のところからも明らかでありますので、ぜひ、私は、こういうさまざまな側面からも国内担保法の整備によってTOC条約の加盟が必要であるというふうに国内的に考えております。

 この点で、テロ対策という点についてさまざまな意見があります。

 政府は、例えばTOC条約の起草の段階、これはたしか平成十二年であったと思いますけれども、TOC条約の起草段階においてテロ犯罪を含めることに反対していたという指摘があったり、また、TOC条約というのは本来経済犯罪をターゲットとしているのだからTOC条約をもってテロ対策というのはミスリードであるとか、テロ対策に有効でないなどの意見もあるところであります。

 TOC条約の締結がテロ対策に有効であるのかどうなのかということについて、改めて外務省から説明していただきたいと思います。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般論として、国際的な組織犯罪とテロ活動との間には強い関連性があるということが指摘されております。

 本条約の起草段階における我が国の発言につきましては、テロリズムという、国連において、定義が困難な言葉について規定をしようとすると条約の交渉自体がまとまらなくなってしまうかもしれない、こういう状況の中にありまして、本条約をまとめようという立場から提案したものでございます。結果として、本条約にはテロリズムに直接言及する規定は設けられませんでしたが、テロ組織が行うテロを含む組織犯罪は本条約の対象とされております。

 本条約を採択した二〇〇〇年十一月の国連総会決議におきましても、国際的な組織犯罪とテロ犯罪との関連が増大しており、本条約がこのような犯罪行為と闘うための有効な手段であることが指摘されております。

 また、本条約はマネーロンダリングの犯罪化も義務づけており、テロ行為それ自体への対処のみならず、テロ組織の資金源となっている犯罪行為にも対処ができ、テロの根本を断つことができるものとなっております。

 加えて、本条約を締結することによって、テロを含む国際的な組織犯罪について、外国との間における捜査共助、犯罪人引き渡し等がより迅速で充実したものとなるほか、情報収集におきましても国際社会と緊密に連携することが可能となります。

 このように、本条約は、テロを含む幅広い国際的な組織犯罪を一層効果的に防止するための枠組みと言うことができるかと思います。

宮崎(政)委員 今御説明いただきましたとおり、TOC条約は国際的な組織犯罪に対処するためのスタンダードと言えるわけでありまして、国連加盟国百九十三カ国のうち、既に御説明があったとおり、百八十七カ国がもう既に批准をしているというわけであります。

 この中を見ますと、条約を締結いたしますと、例えば、犯罪収益の被害回復のための配慮、これは十三条にあります。犯罪人引き渡しに関する協力、これは十六条。捜査、訴訟手続などにおける相互援助、これは十八条。共同捜査は十九条。法執行のための情報交換及び情報の共有というのが二十七条、二十八条にございます。組織犯罪対策のための締約国会議への参加、これは三十二条、などなどがございまして、国際的な組織犯罪対策のネットワークを享受し得る地位を確保することができるというわけであります。それゆえ、この条約の締結は、我が国にとっても、テロ対策はもとより、国内外の組織犯罪対策として極めて有用であるわけです。

 こういった広範なところがある、そういった意味で、TOC条約を締結するための国内担保法としては、こうやって今話題になっているテロ等準備罪だけではないわけでありまして、それが今回の組織的犯罪処罰法の改正でもあります。ちょっと説明のような形になるかもしれませんが、外務省の方からになるんでしょうか、テロ等準備罪以外にも国内法整備としてどのようなものが要請されているのかということを御説明いただきたいと思います。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が本条約の義務を履行するため新たな立法措置が必要となるものとして、テロ等準備罪の創設のほか、主に次のようなものがございます。

 まず、本条約第六条に基づき、資金洗浄罪のいわゆる前提犯罪として、本条約に言う重大な犯罪及び本条約に従って定められる犯罪、重大な犯罪の合意、腐敗行為及び司法妨害を含めることがございます。

 次に、本条約第二十三条は司法妨害行為の犯罪化を義務づけておりますところ、現行法では担保されていない部分の義務を履行するものとして、証人等買収罪を創設することがございます。

 第三に、このほか、本条約の規定に従い、犯罪収益及び犯罪供用物件の没収及び没収保全並びにその共助に関する規定を整備するとともに、一定の罪につき国外犯処罰規定を設けることがございます。

 以上のようなものが、テロ対策以外に本条約において求められております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 そういった意味で、条約締結のための国内担保法の整備ということで、テロ等準備罪の新設、これは今回の六条の二というところになるわけですけれども、それ以外にも証人等買収罪を新設したり、犯罪収益の前提犯罪の拡大などをされていくわけでありまして、こういったことを踏まえて、国際的な組織犯罪への対処能力を我が国にも、先ほど言った、ネットワークを享受し得る、国際的な地位を確保するということによってなされてくる大きな意味があると私は思っております。

 ただ、テロ対策ということだけを取り上げますと、TOC条約を締結するということは重要な取り組みであります、重要な取り組みの一環でありますけれども、もちろんテロ対策がこのテロ等準備罪の創設ということだけで足りるわけではなくて、条約締結でテロ対策がそれで全て完結するというわけでないことは改めて言うまでもないと思いますけれども、この辺の、テロ等準備罪の創設とテロ対策との位置づけについて法務省から御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 テロ等準備罪を設けること、これは今回のTOC条約を締結するため、その実施の担保法として、それを行うことによってこの条約の義務を果たす、履行するということで位置づけております。

 テロ等準備罪自体は、テロを含む組織犯罪の未然の防止ということに直接に寄与するわけでございますが、これを創設することによって条約を締結することによって、先ほどございましたような国際的な逃亡犯罪人引き渡しでありますとか捜査共助、こういった国際社会との緊密な連携が可能となる、これ自体もテロ対策ということになろうかと思います。そのように、テロ等準備罪を設けることは、一つには未然防止、一つには国際的な協調を促進する、こういう大きく二つの側面においてテロ対策に寄与するんだろう、こう考えております。

 もっとも、テロ対策はこれだけで十分であるというわけではございませんので、現在、政府におきましては、官邸直轄の国際テロ情報ユニットを新設して、国際社会と緊密に連携して情報収集、分析を強化したり、あるいは水際対策の徹底、あるいは重要施設やソフトターゲット等に対する警戒警備の強化、サイバーセキュリティー対策の強化、こういったことの総合的なテロ対策は一方で強力に推進しておるところでございます。

 その中の一環としての今回のテロ等準備罪の創設であろう、このように位置づけております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 この機会に、あわせて、きょう木原財務副大臣にも御出席をいただいておりますので、FATFの勧告の実施の関係についてもお伺いしたいと思っております。

 G7のもとで政府間会合として設立をされた金融活動作業部会、FATFから、我が国を含めたTOC条約の未締結国に対して、国際金融取引上の懸念の表明がされているわけであります。TOC条約を締結することが、このFATF勧告の実施に当たってどういった意義があるのかを御説明いただきたいと思います。

木原副大臣 宮崎委員御指摘のように、マネーロンダリングやテロ資金対策の各国の政府間会合として設立されたFATF、フィナンシャル・アクション・タスク・フォースといいますが、それによる勧告、いわゆるFATF勧告において、参加国はTOC条約の締結国となることが求められております。

 FATF勧告では、マネロンやテロ資金に関する捜査、犯罪人引き渡し等、より広範な国際協力を提供することが求められておりまして、TOC条約を締結することによって、条約に参加する多国間でこれらの国際協力が可能となり、FATF勧告の履行状況が改善することになります。このように、TOC条約の締結によってマネロン対策等に係るFATF勧告の履行状況が改善することで、国際金融取引における信頼の維持に向けた日本の取り組みを国際社会に示すことができるということになります。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 改めて申すまでもないわけでありますが、経済のグローバル化というのもずっと進展をしておりますし、これがどんどん進展をしていくわけであります。

 今、木原副大臣からも御指摘いただいたように、国際金融取引におけるマネーロンダリングやテロ資金対策が重要であるということは国際的にも注目を受けているわけでありまして、我が国が諸外国と連携をしてテロ資金対策に取り組んでいくことはもちろん必要であるわけでありますが、あわせて国際金融取引というマーケットとの関係という観点からも、TOC条約の早期締結が必要であるという御指摘もさまざま続いているところであります。

 この国際金融取引の観点からTOC条約の早期締結の必要性ということについて、改めて副大臣の方から御説明いただきたいと思います。

木原副大臣 平成二十六年に公表された日本に関するFATF声明においては、重要な不備事項の一つとしてTOC条約の未締結が指摘をされ、迅速な対処を求められた経緯がございます。その後、マネロン、テロ資金対策に係る三法が施行されるなど、FATFが指摘した重要な不備事項に対処してきたものの、TOC条約の締結はいまだ達成されておりません。国際金融取引における日本の高い信用を損なわないためにも同条約を速やかに締結する必要があると思っております。

 TOC条約が未締結である場合、今後のFATFの審査において厳しい評価を受ける可能性があるのみならず、国際的な連携が求められるマネロン、資金対策において、国際基準に合った制度や運用整備ができていないと見られまして、そのことが、日本がマネロン、テロ資金対策の抜け穴として利用される可能性があります。

 財務省としては、こうした事態を防止する観点からもTOC条約の速やかな締結が必要と考えております。

宮崎(政)委員 我が国が先進国として世界に範を示していくことの必要性、私たちの国の国際社会における信用、もちろん、憲法の中には国際協調主義もうたわれているわけでありまして、そういった観点からも改めてTOC条約というのは早期締結が必要である、また少し別の角度からもあるわけでありまして、ぜひ、担保法の整備というものが急がれるなというふうに思った次第であります。

 財務の関係は以上でございますので、木原副大臣、ありがとうございました。退席をしていただいて結構でございます。

 我が国がTOC条約を締結していないことの不都合、ふぐあい、今御指摘いただいた点ですが、もう一つ伺いたいというか指摘をしておきたいというふうに思います。

 実は、私ども自由民主党では、先日、司法制度調査会というのを開催いたしました。私も事務局長をさせていただいております。TOC条約の締約国会議にも出席をされておられました、前のウィーン代表部大使をお務めでおられた小澤俊朗教授から、今、転身をされて大学の先生になられておるんですけれども、ウィーンの代表部の大使でありましたので、在任中の締約国会議における状況とか、さまざまな状況をお聞かせいただきました。

 我が国は国連の最大の資金拠出国でありまして、国連の各種会議では、最前列などで、非常に名誉ある地位を保持して会議等に参加し、また、その議論などでもしっかりとした発言をして国際社会に貢献し、またリードをしているという自負があると思います。ところが、このTOC条約、国際組織犯罪防止条約の締約国会議では、締約国になれていないわけでありまして、我が国は、イランなどの非締約国と並べて会議場の最後列に座らせられていて、発言権はないわけではないんだけれども、最後列にいるということもあって、事実上発言はできる余地もない、もちろん名誉ある地位というようなことも全くないということもある。

 また、我が国では、先ほど来出ているように、例えばテロに関するオウムの事案の経験があったり、また、英語でもヤクザと言うそうでありますけれども、やくざなどの組織犯罪の対処の実績や経験知などで貢献することもできず、外交における存在感も大きく低下をしていると言わざるを得ないような状況がこの締約国会議の中に見えるというふうなお話がございました。

 我が国がTOC条約の非締約国であることによって、今ちょっと申し上げたことなども踏まえて、締約国会議などでどういった扱いになり、またどういった不利益があり、またどういった改善がされるべきだというふうに思われているか、外務省の方から御説明いただきたいと思います。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国は、本条約に署名をしましたけれども未締結でありますことから、締約国会議にはオブザーバーとして招待されており、議論自体への参加は認められておりますものの、議決権は認められておりません。このため、我が国の意見が締約国と同等の重きを置かれているとは言いがたい状況になっております。委員御指摘のように、オブザーバー参加の署名国の席は締約国の席の後ろとなっておりますため、我が国の席は会議場の後方に準備されるという事情もございます。

 本条約の締約国会議は、組織犯罪対策における実質的に唯一の包括的かつ国際的なフォーラムでございまして、本締約国会議における各種の決議を通じて国際的なルールづくりが進められております。我が国は、このようなプロセスに積極的に参加して発言をすることによってできる限りその存在感を示そうとしておりますけれども、オブザーバー参加にとどまっておりますことは、みずからの発言力と影響力には制約を受ける状況になっていると言わざるを得ない状況かと思います。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 さまざま、TOC条約の早期締結の必要性があるということを、少し違う側面から御説明いただいたものと思っております。

 次に、きょうは冒頭の質疑でありますので少し網羅的にと最初に申し上げましたので、テロ等準備罪について、少し網羅的に、これまでの質疑と少し重複するところもあるかもしれませんが、御説明いただくような形も含めて、テロ等準備罪のまず構造から伺っていきたいというふうに思います。

 まず最初に、端的に伺いますけれども、かつての組織的な犯罪の共謀罪とされていたものと、今回提出をされている組織犯罪処罰法のテロ等準備罪、どこがどう違うかというところを端的に御説明いただきたいと思います。

盛山副大臣 これまでにも大臣からいろいろ御説明があったところでございますが、かつての組織的な犯罪の共謀罪は、団体の活動としてということ、そして当該行為を実行するための組織によりということ、そして長期四年以上の懲役等に当たる罪を実行すること、これらについての共謀を処罰することとしておりました。

 これに対しまして、国会審議等において、正当な活動を行う団体も対象となるのか、対象犯罪の数が多過ぎる、内心が処罰されることになるなどの不安や懸念が示されたところであります。

 これらの指摘を重く受けとめ、真摯に検討を重ねた結果、今回提出した法案のテロ等準備罪におきましては、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定することにより、一般の会社や市民団体、労働組合などの正当な活動を行っている団体が適用対象とはならないことを一層明確にいたしました。

 次に、対象犯罪についても、長期四年以上の懲役、禁錮を定める罪のうち組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものをリスト化し、対象犯罪を明確化しました。

 また、犯罪の計画行為だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにより、内心を処罰するものではないということについても一層明確にするとともに、処罰範囲を限定いたしました。

 このように、テロ等準備罪は、犯罪の主体、その対象犯罪、処罰対象となる行為のいずれについても法文上明確に限定することにより、国民の不安や懸念を払拭することができる内容としたものと考えております。

宮崎(政)委員 ありがとうございます。

 今の御説明も踏まえて、今回法案を提出していただきまして、テロ等準備罪の創設を含むというふうになっているわけです。この点で、しばしば議論も既にありましたが、テロ等準備罪というのは不適切な名称だ、印象操作をするものではないかというような指摘があることも承知をしております。この点についてどのようにお考えか、御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 テロ等準備罪という呼称は、罰則の実態を反映したものと考えております。

 すなわち、この法案の六条の二は、テロリズム集団を含む組織的犯罪集団による重大犯罪の実行着手前の段階での検挙、処罰を可能として、こうした犯罪による重大な結果の発生を未然に防止しようというものでございます。

 そこで、国内外の犯罪実態を考慮いたしますと、組織的犯罪集団の典型がテロリズム集団であります。そのテロリズム集団による重大犯罪の典型がテロであります。そして、このテロ等準備罪は、計画行為に加えまして、実行準備行為が行われたときに初めて処罰するものでございます。

 テロ等準備罪という呼称は、こうした罰則の実態を端的に反映しているものと考えておる次第でございます。

宮崎(政)委員 今御説明いただいたとおり、さまざまな限定を付しているので、ちょっと幾つかの点に、従前の、平成十七年提出法案との相違部分を、重複しても、少し御説明をいただきたいと思います。

 まず、主体、組織的犯罪集団という限定、これはどういう考え方から限定しているのか、従前は団体という表現であったわけでありますが、その相違について、法務省から説明いただきたいと思います。

林政府参考人 従来の法案におきましても、組織性のない犯罪の合意、共謀、こういったものを処罰しようとしていたものではなくて、あくまでも組織性のある合意、共謀を処罰しようと考えておりました。その際、組織的犯罪処罰法の「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により」という要件を加えておりました。これは、組織的犯罪処罰法の要件を使ってそのような組織性の要件を加えていたものでございます。そして、そういう意味で、かつての法案につきましても、組織的犯罪の共謀罪の適用対象というものについては、犯罪行為を行うことがその共同の目的に沿うような団体、これに適用が限定される、このような説明をしていたわけでございます。

 ただ、これにつきましては、法文の明文によって限定を加えたわけではなくて、法文の解釈によって、適用の解釈によってこの団体の範囲を限定される、そういうものとして法案を提出しているという説明をしていたわけでございますが、これについては、国会においても、やはり、正当な活動を行っている団体も対象となるのではないかといった不安、懸念が示されたわけでございます。さらに、その法案は可決されるに至らなかったわけでございます。

 そこで、今回、テロ等準備罪の立案におきましては、そのような正当な団体が適用対象とならないことを一層明確にするため、解釈ではなく法律の明文で組織的犯罪集団を定義いたしまして、こういうことによりまして対象となる団体を組織的犯罪集団に限定したということでございます。

 したがいまして、適用対象の限定という方向では基本的な考え方は異なるものではないわけでございますけれども、やはり、解釈ではなく法律の明文で適用対象となる団体を限定した点でかつての組織的な犯罪の共謀罪とは大きな違いがございまして、かつて示されていた不安、懸念は払拭できるものと考えている次第であります。

宮崎(政)委員 この点、先ほど階委員との質疑でも出てきた点でありますけれども、今のような形できちんと説明していただければと思っております。

 実は、十七年提出法案も、その本文部分は「団体」という言葉を使っている、「団体の活動として、」というふうになっているわけですが、法文には当然その見出しがついておりまして、「組織的な犯罪の共謀」というふうな形になっておりますので、当然、その「団体」の後の部分も含めて読めば先ほど刑事局長が説明したようなことになるということだったかと思いますけれども、いずれにせよ、このような形での限定を付していったということで懸念の払拭に努めているということは御理解いただければと思っております。

 もう一つ、共謀ではなくて計画という形になっているわけであります。この点についても、このようにした趣旨を御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 まず、通常、共謀という概念については、現在、現行法である共謀とか陰謀とかいうことについては、組織性の要件は基本的にはございません。また、世界におけるこういった合意を処罰する形での共謀罪というものも、必ずしも組織性の要件があるわけではございません。

 それを前提といたしまして、かつて政府が提案していたのは組織的な犯罪の共謀罪であったわけでございます。その場合における共謀という意義、あるいは今回のテロ等準備罪における計画という意義、これはいずれも、TOC条約の五条が求める合意の犯罪化の義務を担保するものでございまして、特定の犯罪を実行することについての具体的かつ現実的な合意を意味する点においては、基本的にその点だけは同じでございます。

 しかし、かつての組織的な犯罪の共謀罪については、条文上対象となる団体を限定していなかったことから、やはり正当な活動を行っている会社であるとか労働組合などもその対象になるのではないかといった不安、懸念がございましたし、また、本来組織性を持たない意義である共謀という言葉、広く悪事をたくらむことを指す言葉を用いていたわけでございまして、そのようなことから、居酒屋で会社の同僚が上司を殴ろうとするなどとすると、実行するつもりもない表面的な言葉の合致もこれに含まれてしまうのではないか、こういったような懸念もなされていたわけでございます。

 そこで、テロ等準備罪については、このような批判、懸念を払拭するために、まず、先ほど申し上げました、明文において適用対象となる団体を組織的犯罪集団に限定いたしますとともに、組織的犯罪集団による犯罪の実行の合意として、指揮命令や任務の分担も含めて具体的かつ現実的に合意することが必要であることが条文上も明確になるように、それにふさわしい用語として今回は計画という言葉を用いるということにいたしました。

 このように、計画という言葉を用いることによりまして、テロ等準備罪における合意というものは、例えば現行法上の共同正犯の成立要件である共謀とは異なって、犯行に関する指揮命令や任務の分担も含めて具体的かつ現実的に合意することが必要であるというような意味内容が明らかになるものと考えております。

宮崎(政)委員 丁寧な御説明をありがとうございました。

 もう一点、TOC条約五条一項のオプションを用いた形になりますが、実行準備行為というもので限定を付していった趣旨についても、改めて御説明をお願いいたします。

林政府参考人 かつて政府が国会に提出していました組織的な犯罪の共謀罪につきましては、国会の審議の場において、内心が処罰されるのではないか、あるいはそれと紙一重ではないか、こういったような批判、懸念がなされたわけでございます。

 そこで、今回、テロ等準備罪の立案におきましては、TOC条約の五条で、「国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為」を伴うもの、五条の義務にはこういったオプションがあって、それを国内法上必要であるときには付すことができるという形の条文がございますので、これを採用して、今回、実行するための準備行為との要件を計画に付加することとしたものでございます。

 これによりまして、一定の重大な犯罪の計画行為に加えまして実行するための準備行為が行われて初めて処罰されることとなって、処罰範囲が限定されるとともに、先ほどの、内心を処罰するものではないというようなことが一層明確になるものと考えております。

宮崎(政)委員 ありがとうございました。

 懸念等の払拭という意味でいいますと、例えば、その犯罪を計画した者のうち一人が実行準備行為を行えば、そのほかの者も全員処罰ができるということであれば、それは共謀罪のときと変わらないのではないかというような指摘があるわけであります。

 さまざま説明の仕方はあると思いますけれども、今の点について、刑事局長の方から、国民の皆さんの懸念を払拭するという意味で、考え方を御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 先ほど申し上げました条約のオプションというものを採用することによって、今回、実行準備行為がなければ処罰ができないという形での構成要件としたわけでございます。

 テロ等準備罪は、計画をした者のうちの一人が実行準備行為を行った場合、その計画に加わった者全員を処罰することが可能になるわけでございますけれども、計画行為に加えて実行準備行為が行われなければ犯罪が成立しないわけでございますので、かつての組織的な犯罪の共謀罪におきましては、共謀の段階、共謀のみで処罰し得るものであったこと、これとは大きく異なるものと考えております。

宮崎(政)委員 そのほかにも、よくある御指摘の中では、我が国の刑事法の原則を大転換するものだという御指摘もあるわけで、つまり、既遂処罰を原則としており、それ以前の行為を処罰するのは例外であるのに、多数の犯罪について計画を処罰する規定を設けることは刑法の基本原則に反するのではないかというふうな御指摘もあるわけであります。

 ただ、もう既にこれは実体法上ある話であります。例えば、既に現行法においても、共謀罪については、爆発物取締罰則の四条、国家公務員法の百十条、自転車競技法の六十五条等々、さまざま規定が既にあるところであります。また、陰謀罪に関しましては刑法に規定がありますが、七十八条の内乱、八十八条の外患誘致、外患援助等々あるわけであります。予備罪につきましても、たしか、これはちょっと、冒頭数え方の質疑をしましたけれども、私が数えた限りで三十七個だと思いますけれども、先ほど言った内乱、外患誘致、外患援助、あとは現住建造物放火等々、殺人もそうでありますけれども、さまざま規定があるというようなところであります。

 こういった現行法の体系もあるということも踏まえて、刑法の基本原則、刑罰の基本原則に反するという指摘に対して、法務省の所見を聞かせていただきたいと思います。

林政府参考人 我が国の刑事法における原則というのは、やはり、法益侵害が起きるかどうか、あるいは発生するかどうか、あるいはその危険性がどの程度にあるのか、この危険性の程度に応じて処罰規定を設けていると考えます。したがいまして、法益侵害の発生の危険性が非常に低いものに対しては処罰規定を置かない、これは一貫した考え方だと思います。

 それで、現在も、今御指摘のありましたように、我が国の法体系の中では、その危険性というものに着目しまして、未遂罪であるとか危険犯の処罰規定がございます。重大な犯罪については、予備罪とか、先ほど委員御指摘の共謀罪等、実行の着手以前の行為をも処罰する規定を持っております。

 要は、実行の着手前の段階で処罰する必要性、これは、その程度の危険性があればそれについては処罰規定を置くというのは、何ら我が国の刑事法の原則を破るものではないと考えております。

 その点で見ますと、テロ等準備罪は、全ての犯罪の計画を広く一般的に処罰するものではございません。あくまでも、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画及びその実行準備行為を処罰するものでございます。こういった組織的犯罪集団が関与する計画及び実行準備行為というものは、その結果発生の危険性が非常に高い、結果に向けての実現可能性が高い、こういったことに着目しまして、ここにおいては、一たび実行されると重大な結果や莫大な不正利益を生じることが多くて、特に悪質で違法性が高いので未然防止の必要性が高く、結局、実行着手前の段階であって処罰する必要がある、こういった考え方において今回のテロ等準備罪を創設しているものでございまして、我が国の刑罰法規の基本的な定め方と相反するものではないと考えております。

宮崎(政)委員 もう一点、水道毒物混入罪に象徴されるように、既遂のみが処罰されている犯罪がありますね、未遂罪も予備罪もない。ここにテロ等準備罪を新設して、それよりも前の計画行為を処罰するというのは不合理だ、こういう指摘に対しては、法務省はどのようにお考えですか。ちょっと簡潔にお答えください。

林政府参考人 今の点については、主体が一般の者、逆に言えば、組織的な犯罪集団という限定を付することなく、未遂あるいは予備等も全く処罰されていないのに、それを合意の段階で処罰する、これは基本的に考え方がこれまでの刑事法の考え方と異なると考えますけれども、今回のテロ等準備罪は、組織的犯罪集団というものを定義して、その組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪の計画行為及び実行準備行為を処罰するものでございますので、その危険性に着目してこれを処罰するものでございますので、これまでの考え方と相反することではないと考えます。

宮崎(政)委員 私は、このテロ等準備罪、きょう、少し概括的に説明していただきましたけれども、TOC条約の許容する範囲で構成要件に厳格な縛りをかけて、例えば、合意は、指揮命令、役割分担やスケジュールの具体化を内実とする計画というふうに定めている、そして、犯罪の主体は組織的犯罪集団に限定をしている、さらには、計画とは別に、計画に基づいて行われる具体的に顕在化した実行準備行為がなければ処罰ができないといった形で、厳格な制約を課しているということは御理解いただきたいところだと思います。

 実は、我が国には、例えば組織犯罪対策の立法としては、暴対法があります。そして、今回改正法の前提となっている組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律が存在していまして、実は、これらの法律が制定される当時も、濫用の危険性というのは声高に指摘をされましたけれども、現実には、これが濫用されて労働組合に適用されたというような例はないわけであります。

 また、しばしば治安維持法を取り上げてする批判というのが聞こえてきます。しかし、治安維持法というのを皆さん御承知でしょうか。治安維持法は、「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者」を処罰するとしていて、国体の変革という曖昧な要件で結社を処罰の対象としていたという法律でありまして、これまで説明をしてきた厳格な要件を立てているテロ等準備罪とは異なるものであります。そればかりでなくて、治安維持法の濫用においては、当時の刑事訴訟制度の欠陥というのもあわせて指摘されるべきものでありまして、あの当時と現代とで、我が国の民主主義の状況や刑事司法制度の整備やレベル、社会意識は、私は格段に異なっているというふうに思います。

 こういった杞憂とも言えるような濫用の危険性を抽象的に述べて、他方、組織犯罪対策やテロ対策に資する立法、国内担保法の制定によるTOC条約の加盟に反対するということに終始するのは、私は、憲法に定める国際協調主義に反して、国民の生命や身体や財産を組織犯罪の脅威から守るという姿勢に反していると言わざるを得ないと思っております。(発言する者あり)

鈴木委員長 静粛に願います。

宮崎(政)委員 こういったことも含めまして、この法務委員会の中でしっかりとした審議をして、冷静な議論をこれからも進めてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わらせていただきます。

鈴木委員長 次に、國重徹君。

國重委員 本日二度目の質問に立たせていただきます。公明党の國重徹でございます。

 テロ等準備罪を創設する組織犯罪処罰法の改正案について質疑をさせていただきます。

 先般の本会議質問におきまして、私は、本法案について広く全般的な質問をさせていただきました。また、先週の当法務委員会におきまして、これは一般質疑ではありましたけれども、その中で、テロ等準備罪の構成要件のうち、主として組織的犯罪集団、これについて質疑をさせていただきました。

 先ほど総理に対する質疑でも私述べましたけれども、構成要件の内容、適用範囲等を一つ一つきちっと明らかにしていくということが、国民の皆様の不安や懸念を払拭していくという観点からも、また人権保障の観点からも、私はこれは極めて重要であると思っております。

 そこで、きょうは、テロ等準備罪の構成要件のうち、計画と、計画に基づく準備行為、これを中心に質問させていただきたいと思います。

 まず、計画について伺ってまいりたいと思います。

 本法案の「二人以上で計画した」という文言は、他の刑罰法規には使用されていない文言だというふうに認識をしておりますけれども、今回のテロ等準備罪において「計画」と使われておりますけれども、この計画は具体的にどのような意味なのか、林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 テロ等準備罪における計画といいますのは、組織的犯罪集団の構成員らが、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って特定の犯罪を実行することについて、具体的かつ現実的な合意をすることを意味しております。

國重委員 今、刑事局長の方から、具体的かつまた現実的な合意が必要なんだという旨の答弁がありました。

 それでは、テロ等準備罪の計画とは一体どの程度の具体性、現実性が必要なのか、林刑事局長に答弁を求めます。

林政府参考人 この場合のテロ等準備罪の計画でございますが、単に漠然と犯罪の実行を考えるだけでは足りず、計画をした犯罪の実行の可能性が高いものであって、かつ、組織的犯罪集団の構成員らが指揮命令や任務の分担なども含めて具体的に合意する必要がございます。

 こういった具体的かつ現実的だと言えるかどうかということについての判断は、個別の事案においての具体的な事実関係に基づいて、総合的な考慮で判断されることになろうかと思います。

國重委員 かつては、居酒屋で上司を殴ってやろうと意気投合したような場合もこれは犯罪に当たるというような批判がありましたけれども、やはりこの計画というのは具体性、現実性ある計画でなければいけないので、これは全く当たらない、このことは私は明白だと思います。

 それでは、例えば著作権法違反の罪、よく著作権とかいうのもいろいろなところで取り上げられたりすることがあるかと思いますけれども、この著作権法違反の罪を対象犯罪としたテロ等準備罪の場合、著作物が特定されなければ計画の具体性、現実性がないと私は考えますが、これについての見解、答弁を求めます。

林政府参考人 やはり、具体的に何が計画に当たるのか、特に具体的かつ現実的な合意と言えるかということにつきましては、個別具体的な事案に応じて判断すべきものと考えますけれども、一般的に、著作権法の著作権等の侵害等の罪につきましては、通常、権利の侵害の対象である著作物、こういったものが特定されていることが求められるものと考えております。

國重委員 今刑事局長から、著作物が特定されていることが必要なんだという答弁がありました。

 私はこれは当然のことだと思います。この罪は親告罪ですので、告訴人が特定できる程度に計画がなされていなければ、親告罪である以上告訴ができない、処罰することがそもそもできないということになりますので、著作物が特定できていなければ計画に当たらないということは当然だと思います。

 こういったことを確認させていただいて、次に、テロ等準備罪の計画をより明らかにするために、共謀共同正犯の共謀について、この比較との関係で伺ってまいりたいと思います。

 共謀共同正犯の共謀者は、共謀内容の実行行為があって初めて処罰されることになります。共謀した事実というのは犯罪の実行行為ではありません。こういったことから、実務上、共謀共同正犯においては、起訴状に記載される罪となるべき事実としての共謀の事実は、単に共謀の上と、この四文字だけ記載されることもあると思われます。

 そこで、共謀共同正犯における共謀の事実については起訴状でどの程度特定されなければならないのか、林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 委員から、共謀共同正犯における共謀のことについてお尋ねでございますが、最高裁判例によりますと、共同正犯における共謀の事実は、判決の罪となるべき事実におきまして、共謀が行われた日時、場所またはその内容の詳細、すなわち実行の方法、各人の行為の分担、役割等について一々具体的に判示することを要するものではない、このようにされております。したがいまして、起訴状の公訴事実におきましても同様のものとして解されているものと承知しております。

國重委員 ありがとうございました。

 今、練馬事件判決ですか、最高裁判決のリーディングケースについて御答弁いただきました。共謀共同正犯の共謀については、起訴状に日時とか場所とかまたは内容の詳細を一々具体的に特定して記載する必要はないということでした。

 こういうことから、私も弁護士をしていた時代、実務上、検察側、検察官が共謀の内容を明らかにせずに、共謀の上、たったこの四文字しか起訴状に書かれていない場合が間々あったわけでございます。そうしたことから、起訴状を朗読した後とか冒頭陳述の後に、共謀の上、この内容が明らかになっていない場合に釈明を求めたということもあったわけですけれども、それでもその内容を明らかにしなかった場合もあるわけでございます。

 これに比べて、テロ等準備罪の計画というのは実行行為でございます。起訴状に記載する罪となるべき事実である訴因、また逮捕状などに記載される被疑事実は、共謀共同正犯の共謀とは異なって、被告人の防御権の保障の観点から、私は、計画をした日時とか場所等が当然具体的に特定されている必要があると考えます。これについての見解を林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 テロ等準備罪は、一定の重大な犯罪の遂行を計画することに加えまして実行準備行為が行われた場合に処罰するものでございます。したがいまして、計画行為はテロ等準備罪の構成要件そのものでございますので、これに該当する事実は、被疑事実または公訴事実として記載する必要がございます。

 その上で、一般論として申し上げますと、被疑事実または公訴事実につきましては、いずれも、当該の刑事手続の段階におきまして、他の事実との識別を可能とする程度に、できる限り日時、場所及び方法等により特定しなければならないものとされております。

 このため、テロ等準備罪におきましても、計画行為について、それぞれの要請を満たす程度に、できる限り日時、場所及び方法等により特定をする必要があるものと考えております。

國重委員 確認ですけれども、先ほど、共謀共同正犯においては起訴状に共謀の上と書くことだけで足りていたわけですけれども、テロ等準備罪においては、計画の上というようなものは許されないということでいいですね。

林政府参考人 先ほど申し上げましたように、被疑事実におきましても、また公訴事実におきましても、他の事実との識別を可能とする程度に、できる限り日時及び場所及び方法等によって特定しなければならないとされておりますので、単に計画の上という形だけでは他との識別ができないということになりますので、やはり、できる限り日時、場所及び方法等によって特定をしていく必要があると考えております。

國重委員 訴因の特定につきまして、テロ等準備罪の計画は共謀共同正犯の共謀に比べてより具体的に特定しなければならない、このことを確認させていただきました。いろいろな御意見はあるかもしれませんけれども、私は、こういった構成要件の中身を一つ一つやはりきちっと確認していくことが大事だと思っております。

 次に、実行準備行為についてお伺いをいたします。

 テロ等準備罪は、従前のいわゆる共謀罪とは異なって、本法案で実行準備行為を要件としております。先ほど宮崎委員の質疑でもあったかもしれませんけれども、改めてこの趣旨をお伺いいたします。

林政府参考人 かつて政府が国会に提出しました組織的な犯罪の共謀罪については、国会審議の場などにおきまして、内心が処罰されるなどの批判や懸念が示されたところでございます。

 そこで、今回、テロ等準備罪の立案に当たりましては、TOC条約五条で許容されている要件を採用いたしまして、計画に加えて実行するための準備行為という要件を付加することとしたものでございます。これによりまして、一定の重大犯罪の計画行為に加えて実行するための準備行為が行われて初めて犯罪が成立し、処罰されるということになりますので、処罰範囲が限定されるとともに、テロ等準備罪が内心を処罰するようなものでないということが一層明確になるものと考えております。

國重委員 今回、実行準備行為をつけ加えたことによって、内心を処罰するものでないことがより一層明確になったというようなことも今おっしゃられました。

 では、この実行準備行為というのは一体何なのか、その意味について林刑事局長にお伺いいたします。

林政府参考人 テロ等準備罪におけます実行するための準備行為とは、まず、計画行為とは別の行為であること、それから、計画に基づいて行われること、そして、計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させるもの、これを内容とすると考えております。

 つまり、実行するための準備行為は、「計画をした犯罪を実行するための準備行為」という文言から、計画行為とは別の行為である必要がございます。また、実行するための準備行為は、条文の中でも「計画に基づき」と書いておりますので、計画に基づいて行われるものである必要がございます。さらに、実行するための準備行為は、組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪の計画という、それ自体、高い危険性を有する行為に付加する要件であるとともに、条約の五条の「合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い」という条約のオプションを利用したものでございますので、合意の内容を推進する行為であれば足りるということから、三つ目の要件でございますところの、計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させるものであれば足りるということになろうかと思います。

 こういった要件の中で考えられる実行するための準備行為の例としては、資金または物品の手配、関係場所の下見などがこれに当たり得ると考えております。

國重委員 今、実行準備行為とは何なのかということについて詳細にるる答弁をいただきました。その中で刑事局長が触れられました、「その計画に基づき」ということを今その一つのファクターとしておっしゃいましたけれども、では次に、この実行準備行為は「その計画に基づき」となっておりますけれども、この「基づき」の内容について、これはどのような意味なのか、林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 「計画に基づき」というのは、計画を基礎としているという意味でございます。

 計画において合意がなされた内容、例えば具体的な犯罪の態様や準備行為、あるいは犯行後の罪証隠滅行為などの内容を踏まえまして、客観的にそれを基礎として行われたと認められるものであることを要するものと考えております。

國重委員 今、「その計画に基づき」というのは、計画において合意された具体的な内容を踏まえて、客観的に、それを基礎として行われたものが必要であるという旨の答弁だったと思います。

 それでは、具体例として、例えば、ある者を毒殺する計画を立てたところ、計画を立てたメンバーのうちの一人が刺殺のためのナイフを購入したというような場合、テロ等準備罪の計画の射程外ということで罪を問われないことになるのかどうか、明快な答弁を求めます。

林政府参考人 具体的な犯罪の成否は、もとより証拠に基づいて個別に判断されるものでございますが、一般論として申し上げますと、例えば、テロ組織が毒殺計画を立てた場合において、計画者の一人がナイフを買った、こういった事案におきましては、ナイフによる刺殺が計画の中で想定されていないのであれば、これは計画に基づくものとは言えず、実行準備行為に当たらないと考えられます。そのような場合にはテロ等準備罪は成立しないということになります。

 他方で、毒殺が奏功しない場合には刺殺に切りかえたり、あるいは逃走時に逮捕を免れるためにナイフを用いることなどが計画の内容に含まれているような場合であれば、これは計画に基づいて行われ、かつ、先ほど申し上げました、計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させるものといたしまして実行準備行為に当たり、テロ等準備罪が成立する場合があると考えます。

國重委員 今、刑事局長から具体的に答弁をいただきましたが、実行準備行為というのはその計画との関係で決まってくるんだ、計画と実行準備行為との関係性が極めて重要なんだという旨の答弁をいただいたかと思います。

 次に、この実行準備行為の法的性質についてお伺いいたします。

 この実行準備行為は構成要件なのか処罰条件なのか、いずれなのか、林刑事局長にお伺いいたします。

林政府参考人 実行するための準備行為は、計画行為とともにテロ等準備罪の成立要件でございまして、したがいまして、同罪の、テロ等準備罪の構成要件でございます。

國重委員 今の林刑事局長の答弁で、このテロ等準備罪の実行準備行為が構成要件であるということを明確に示していただきました。

 このように、実行準備行為が構成要件であるという以上、実行準備行為がなければ逮捕や捜索、差し押さえなどの強制捜査はできないということと思いますけれども、これで間違いないか、刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 テロ等準備罪についても、他の犯罪とその捜査と同様に、捜査機関が犯罪の嫌疑があると認めた場合に初めて捜査を開始することができるわけでございます。そして、テロ等準備罪が成立するためには、組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪の計画行為に加えまして実行準備行為が行われることが必要でございます。

 したがって、例えば、計画がなされてまだ実行準備行為が行われていない段階ではテロ等準備罪は成立していないわけでございますので、その段階では罪を犯したとは言えないわけでございますので、テロ等準備罪を理由に逮捕や捜索、差し押さえ等の強制捜査はできないと考えます。(発言する者あり)

國重委員 今、当法務委員会の委員のうちのお一人から、じゃ、これは任意捜査はできるんじゃないかというような声も上がりました。

 私、質問としてこれは用意しておりませんでしたけれども、任意捜査の大原則として、犯罪の嫌疑がなければ任意捜査であっても捜査はできないというふうに私は理解をしておりますけれども、それで間違いないかお伺いいたします。

林政府参考人 先ほど申し上げましたように、捜査というものは、その犯罪がなされた嫌疑というものがあって初めて捜査を行うものでございますので、それは任意捜査においても当てはまる原則でございます。

國重委員 それでは次に、本法案の実行準備行為のところは、法文でこのように書いているんですね。「計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、」というふうに書かれてあります。

 この「その他の」の文言を捉えて、処罰範囲がこれは無限定に広がるじゃないか、このような批判、主張がございます。しかし、刑罰法規自体、この「その他の」という文言は結構多く使っているわけでありますので、「その他」、この文言のみをもって無限定だと言うのはやはり適当ではないんだろうというふうに思います。

 では、本法案の実行準備行為に言うこの「その他」というのは、そこに例示をされている「資金又は物品の手配、関係場所の下見」、これらに準じる行為と解釈してよいのかどうか、林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 御指摘の例示のうちで、「その計画に基づき資金又は物品の手配、」という例示がございます。これは、計画した犯罪をその計画に基づいて実行するために必要となる資金または物品を準備する行為や、入手に向けて働きかける行為をいうわけでございます。また、「関係場所の下見」というのは、その計画した犯罪の実行に関係ある場所に赴いてあらかじめ確認をするという行為でございます。

 こういった行為が例示されておるわけでございますが、これらの例示によって示されるとおり、その他の実行準備行為も、一つには、計画とは独立した行為でなければならないこと、もう一つには、その計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させる行為でなければならないこと、こういった意味において、「その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」は、例示されているこれらの行為と共通性を持つものでなければならないと考えております。

國重委員 この実行準備行為に関して法文で「その他」と書かれているものについては、この例示されている行為と共通性を持つものでなければならないということがわかりました。決して無限定に実行準備行為に当たるわけではないということを確認させていただきました。

 それでは、この実行準備行為には、法文で「資金又は物品の手配、関係場所の下見」ということが例示をされておりますけれども、それ以外の具体例、この「その他」に当たる具体例というのはどのようなものが考えられるのか、林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 先ほど申し上げました例示にありますところの、計画とは独立した行為であって、その計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させる行為、こういった観点で共通性を持つほかの例といたしましては、例えば、その計画後において、犯行手順の訓練をすること、あるいは犯行の標的の行動監視を行うこと、こういったことなどが考えられると考えます。

國重委員 今、実行準備行為の具体例として、犯行手順の訓練とか、また犯行の標的の行動監視、こういったものが当たるんだという答弁をいただきました。

 それでは、改めて、実行準備行為に該当するかどうか、これはどのように認定をするのか、林刑事局長に答弁を求めます。

林政府参考人 先ほど、実行するための準備行為とは、計画行為とは別の行為であって、計画に基づいて行われ、かつ、計画が実行に向けて前進を始めたことを具体的に顕在化させるもの、このように申し上げました。これに当たるか否かということについては、個別具体的な事実関係のもとで、特に計画において合意された内容に照らして客観的に判断されるものと考えます。

國重委員 これは最後の質問になりますけれども、いわゆる計画からの離脱をお伺いいたします。

 従前の共謀罪と違って、本法案のテロ等準備罪では、実行準備行為がその構成要件に付加されたことによりまして、計画後、実行準備行為前に翻意する、つまり犯行の意思を翻すケース、これも考えられるようになります。このような場合、計画後、実行準備行為前に翻意をして、その旨を他の計画者に伝えたような場合、その者は、他の計画者が実行準備行為を行っても、その者についてはテロ等準備罪が成立しないのか、いわゆる計画からの離脱が認められるのか、認められるとして、どのような場合に計画からの離脱が認められるのか、林刑事局長にお伺いします。

林政府参考人 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大な犯罪を遂行する計画行為に加えまして実行準備行為が行われた場合に処罰されるものでございます。したがいまして、計画行為が行われた後に実行準備行為が行われる前にその計画に係る合意を解消したと言えるような場合には、テロ等準備罪は成立しないと考えます。

 どのような場合にその計画に係る合意の解消が認められるかどうか、これにつきましては、やはり個別具体的な事案に応じてさまざまであると考えますが、一般に、当該行為者が計画において果たした役割を考慮いたしまして、計画関係の解消に向けてどのような行為が必要なのかということを検討することとなると考えます。

 少なくとも、計画は特定の犯罪についての具体的かつ現実的な合意でありますことから、計画関係の解消が認められるためには、みずから実行準備行為を行うことを中止するだけではなくて、他の計画をした者に離脱の意思を伝えて、この了承を得て計画に係る合意を解消することが必要であろうかと考えます。

國重委員 ありがとうございました。

 前回の法務委員会では、いわゆるテロ等準備罪の構成要件のうち組織的犯罪集団について質問いたしまして、きょうは、計画また実行準備行為について質問をさせていただきました。

 今後の議論の土台となるようなものを今質問させていただいたと思いますので、各委員におかれましては、これをさらに深掘りして充実した審議をしていただきたいと申し上げまして、本日の私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。枝野幸男君。

枝野委員 本題に入る前に、委員会運営について二点、申し上げたり問いただしたりしなきゃならないことがあります。

 まず、外務大臣。まず前提として、きのうの理事懇談会では、与党側からも、要求があれば外務大臣はいつでも出すというふうに話があったと聞いております。きのう、質疑が決まったのは十七時ちょっと前です。私は、十五時過ぎには遅くとも外務大臣を含めた通告をしています。なおかつ、昨夜の段階で、念のため、もう一度、私は逢坂筆頭にも連絡をとらせていただきまして、逢坂筆頭からも、与党の理事としては外務大臣に来てもらうように要請すると答えがあったと報告をしております。(発言する者あり)

 ところが、来ていません。なぜですか。政府、国務大臣に聞きます。国務大臣、答えてください。

鈴木委員長 外務大臣の出席ですか。(枝野委員「なぜ来ていないのか。国務大臣、答えください。時計をとめて」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 金田法務大臣。

金田国務大臣 枝野委員からのただいまの御質問、私を御指名でございますので。

 私としては、要求があって外務大臣が出席しない件についてお尋ねでございましたが、これは委員会においてお決めになることではないかなと私は思いますので、私の意見は差し控えさせていただきたいと思います。

枝野委員 だから先ほど説明したんですよ。

 きのうの理事懇ではこのことが話題になって、そして、なおかつさらに申し上げます、きょうになってから外務大臣が出ないという話があって、筆頭においていろいろ話をしていただきましたが、与党の筆頭からは、委員会としては来てくれと言っているので、本人が直接交渉しろというふうに私のところには返ってきました。

 つまり、これは政府が出さないんです。委員会としては要請した。しかし、委員会運営の話じゃありません。政府を代表して国務大臣として答えてください。なぜいないんですか。

金田国務大臣 お答えできる立場に私がおらないというふうに受けとめております。

枝野委員 出ると。いや、なかなか法務委員会で他の大臣を呼ぶのは難しい、慣習、慣例として。知っていますよ。にもかかわらず、きのう、わざわざ与党側から、呼ばれたときには出すという話があり、きょうの時点でも、委員会としては要請すると。(発言する者あり)要請をすると、きょうの午前中も言っている。こういう状況ですから、委員会運営の話じゃなくて、政府が出してこなかったんです。

 しかも、外務省、外務大臣は出せませんという話、うちの事務所に一言もないですよ。きょう、法務省の副大臣と政務官、別にいてもいなくても一緒なんですが、きょうはほかの委員会があるから出られませんとわざわざ法務省の方は私の部屋に説明に来られました。各役所、例えば文科省も、副大臣ですか政務官ですか、おいでになると、この方を出しますけれどもいいですかと。そういうことをちゃんと確認するのが慣習、慣例、当たり前じゃないですか、マナーじゃないですか。外務省は一言もないんですよ。

 一言もないで、理事間のところではきのうまでは大臣を出すと言いながら、何で副大臣がいるんですか。外務省はどういう対応をしたんですか。

岸副大臣 大臣の出席については、先ほども金田大臣からもございましたとおり、委員会でお決めになることと承知をしておるところでございます。

枝野委員 ですから、私は、きょうの午前中、えっと言って、筆頭に何度も確認しました。委員会としては要請するので、後は本人同士でやってくれと。こんなことを言われたわけですから、委員会運営の話じゃなくて……。(発言する者あり)

 ちょっと、理事同士で言っていることが違う。ちょっと、休憩をとって、理事同士、ちゃんと事実関係を確認してください、理事会を開いて。(発言する者あり)

鈴木委員長 冷静にお願いします。御静粛にお願いします。(発言する者あり)御静粛にお願いします。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 本件につきまして、改めて理事会の中でしっかりと協議をいただいて、その経緯も含めて確認したいと思いますので、質疑を続けてください。枝野幸男君。

枝野委員 今の説明じゃ。もうちょっとちゃんと説明してくださいよ。(発言する者あり)

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 理事会のやりとりを超えた外の、理事会のやりとりの外での協議、話し合いでありましたので、これは少し確認のとりようがありません。

 これは、後日、しっかりとその辺は検証しながら、委員会の質疑は続行したいと思います。

 枝野幸男君。

枝野委員 いいですか。外務大臣は要求があれば呼ぶと言ったかどうかというのは、これは筆頭間、両筆頭で全然言っていることが違う。これはこれで、別途きちっと理事懇、理事会でしっかりと整理してもらわなきゃならない。

 これは意見が分かれているからおいておいても、きのう、私は、外務大臣を要請して、通告をきちっと、五時までではありませんでしたが、委員会の設定が五時ですから、そこから二時間ほどできちっと通告しました。私は、ルールにかなっているというふうに思います。

 そこからこの議場に来るまで、私のところには、直接外務省から何にもありません。外務大臣は出られないんだとか、こういう事情で出られないのだとか、かわりに誰を出すとか、何の報告もありません。これは、きょうの質疑の中でも外務省だけです。法務省はもとよりですけれども、文部科学省も警察庁も、きちっと、こういう質問が来ているので、それに対してはこういう政府参考人で対応しますとか、こういう政務で対応しますと。これが当たり前のルールじゃないですか。

 総理は、通告がないとかなんとかいつも言いますけれども、野党が質問を通告するのと同じように、求めた答弁者が答弁できないときには、こういう事情だと言うのは当たり前じゃないですか。それが全然ないまま、なぜか副大臣が座っている。これに納得しろと言ったら、これは、委員会運営、この委員会だけじゃなくて、こんな外務省を許したら、成り立たないじゃないですか。だから、委員長として適切な対応をしてくださいと言っているんです。

鈴木委員長 きのうの理事会では、原則は副大臣、ただし、法案の性質上、大臣の出席を阻むものではない、引き続き努力をする、こういう話だったと思います。

枝野委員 だから、そのとおり、私はきょうの質問の最初に申し上げましたよ。法務委員会だから、所管の委員会じゃないところに大臣が出るというのはなかなか普通では難しい、よくわかっていますと。もし、外務大臣がこういう理由で出られないから副大臣にしてくれと言われたのに対して、外交日程を飛ばしてやれとか私がむちゃを言ったんだったら、また話は、いろいろな議論はあると思います。

 何にも連絡がないんですよ。努力をするとは言ったんでしょう。要請があれば努力をすると。努力をしたけれどもだめでしたという話もどこからもないんですよ。おかしいじゃないですか。これで納得しろと。努力したけれどもだめでしたとか、外務省から、これこれこういう理由で、要請されたけれどもだめでしたと、何にもないんですよ。来たら、副大臣が座っているんですよ。副大臣に聞いたら、委員会運営のことだからわからないと、外務省としての対応について何にもしゃべらない。納得しろと言う方がどうかしていますよ。

鈴木委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鈴木委員長 速記を起こしてください。

 岸外務副大臣。

岸副大臣 委員会への大臣等の出席については、先ほども申し上げましたけれども、基本的には委員会のお決めになることというふうに承知をしておるところでございます。

 その上で、昨日からの、枝野委員からの質問に関しましては、質問の要旨の通告がファクスでございましたが、そこには問い合わせ不可というようなことがございました。その上で、きょうの理事会での結果を受けてというようなお話になっていたと私は承知をしておるところでございますが、いずれにいたしましても、その間で意思疎通にそごが生じてしまったということであれば、今後改善するように努力をしてまいりたいと思います。

枝野委員 今のお話には納得いたしかねます。

 僕、ちゃんと質問通告、二ページにわたってきちっと細かく通告していますし、ほかの役所に対しても問い合わせは不可と。問い合わせ、事実上不可能なので。なぜかといったら、五時に委員会を決められて、七時過ぎで、七時半からの会合が僕はあったのを、場合によったらおくれるかもしれないというのをぎりぎり何とか間に合って、それで通告していったんですから、問い合わせなんか不可に決まっているじゃないですか。

 ほかの役所だって問い合わせ不可だけれども、ちゃんと誰々を出しますと、どこの役所だって、どの委員会だって毎回やっているじゃないですか。なぜ外務省はそういう当たり前のことをやらないのか。

 これは、与党としてもこんなものを認めちゃだめですよ。なぜこんなことを申し上げるかといえば、国会で円滑に議事が進むかどうかということについては、一義的には政府・与党が努力をする、これが国会の当たり前の前提じゃないですか。その結果、意見が折り合わなくて、いや、どうしても大臣に来てほしいけれども大臣が来ないということで、最終的に意見がぶつかることはあるかもしれないけれども、その前提としての合意形成のための努力というのは、政府・与党の責任、役割じゃないですか。

 なぜ私がこれを強調するかというと、私は、野党自民党にさんざんそのことを言われて、関係のない委員会に行って、理事会に行っておわびをすることを何度もやったからですよ。本当は、これは官房長官にここに出てきてもらっておわびしてもらうような、野党自民党の時代の前例からすればそういう性質のものだということを申し上げておきたいと思いますが、委員長、必ず善処してください。

鈴木委員長 理事会で協議いたします。

枝野委員 その上で、呼んだ人が一言も挨拶もなく来ない一方では、先ほどの午前中の質疑、階さんなどが呼んでいない刑事局長が強引に来ているという話であります。

 私たちは、ちゃんと衆議院規則などに基づいて、基本的なことについては大臣に伺いたいと。刑事局長なんか呼ぶと、しゃしゃり出て、大臣が答えるべきことまで答えてしまう、そのことを危惧しているから、だから刑事局長については要求しない、来なくていい、来るなと言っているわけですよ。

 きょうの午前中の質疑だって基本的なことですよ。午前中の國重さんの質疑のように、いい質疑をされたと思いますよ、共謀共同正犯の共謀と今回の共謀はどう違うのか、一緒なのか。この共謀共同正犯の実務なんて話は、それは刑事局長に聞く細目的事項、まさに衆議院規則に書いてあるとおりですよ。だから私は、刑事局長を通告して、刑事局長の登録を認めているんですよ。

 だけれども、一方で、こんなに、副大臣、政務官、皆さんポジションについているのは、副大臣や政務官の数をふやしたのは、基本的に、国会の答弁は政務が行う、官僚に委ねない、そのことで副大臣、政務官の数もふやし、そして、国会のルールも変えたんじゃないですか。

 にもかかわらず、基本的な事項を答えられずに、答えられなくて心配だからといって、呼ばれてもいないのに刑事局長を座らせて、そしてしゃしゃり出て答弁する。大臣、みっともなくないですか。

金田国務大臣 お答えをいたします。私に対する質問と受けとめましたので。

 国会のあり方というのは非常に大事だと思います。したがいまして、この法務委員会も含めて、あらゆる委員会においてしっかりとした議論が行われるということが望ましい、それはもう枝野委員と全く同じ考えである、このように思っております。

 その際に、例えば法案をお出しする、それが議員立法であったり閣法であったりいたします。そのときに、私たちも十分な説明に心がけて、そしてできるだけの努力をするというのは当たり前のことである、こういうふうに思っております。

 そのときに、例えば、基本的な事項がどこからどこまでなのかという明確な区分というのはなかなか難しいんだろうと思います。

 もし、関係者の中で、関係者というのは、閣法の場合はその役所の役人も入ります。したがって、実務の専門家もおります。そういう法案作成の責任者の限界においてどう考えるかという議論はあろうと思います。その議論が入れば、私は、委員会での質疑というのは深まるのではないか、議論が行われた意味がますます国民の皆様に御理解してもらえるようになるのではないかという思いもあることは申し上げざるを得ないと思います。

 したがいまして、私たち、大臣、副大臣、政務官、力を合わせて、皆様と議論するのに加わって頑張っていきたい、こういう自覚は持っております。

 しかしながら、一方で、例えば、今回のテロ等準備罪の法案について申し上げれば、その細目的な部分あるいは実務的な部分、これを仕切ってこの法案を提出するように閣法で頑張られた事務方の責任者の方がいらっしゃるのであれば、そういう方のコメントも聞くというのは、私は、議論を深める上で全く問題はないことではないか、こういうふうに考えております。

 ただ、ここはどこからどこまでが基本的な事項とはわかりません。基本的な事項に関してはここまでなんだという思いが常に一致すればよろしいですが、これがお互いに違う場合もある、それもあろうかと思います。ですから、お互いに国民のために議論を深める、深めるという思いを持ってどうか臨ませていただきたい、こういうふうに思う次第であります。

 よろしく御理解をいただきたいと思います。

枝野委員 だから、僕は深めたいから、ちゃんときのうのうちから、私のところは細目的事項をやるから、刑事局長、来てくださいと言ったんですよ。階さんや山尾さんのところは細目的事項なんか聞いていないですよ。百歩譲って、それは自分は細目的事項だと思うから自分は答えられないと答えりゃいいんですよ。要は答えられる部分がないんじゃないですか。

 そして、今の理屈、どこからが細目的事項で、どこまでが政務が答える基本的な事項かという線引きは、人によって判断基準は分かれるでしょう。そう言って、政府参考人をつけさせてくれという話を言ったのに対して、野党自民党は一切応じませんでしたよ、野党自民党は一切そのとき応じませんでしたよ。私たちは、そのとき、強引に押し切ってまで政府参考人をつけるだなんということをしませんでした。みっともないですもの。大臣に答弁能力がないということを全国民に知らせることだから。だから、恥ずかしくないんですかと聞いたんですよ。

 それどころか、野党自民党は何をやったかというと、国務大臣に対して、おまえに聞くと聞かれないときは手を挙げるな、答弁するなと。野党自民党はそういうことをやったんですけれども、知っていますか。覚えていますか。

鈴木委員長 質問を続けてください。(枝野委員「覚えているか、認識を聞いているんです」と呼ぶ)

 金田法務大臣。

金田国務大臣 政治家というのは、私が考えておりますのは、常に、常に話し合っていい方に持っていく、これが私は努力の方向ではないかな、このように考えております。

枝野委員 認識を聞いているんですけれども。知らなかったら知らないと答えればいいじゃないですか。参議院でのことですし。

 私は、参議院で、おまえに聞いていないから手を挙げるなと、答弁することを、国務大臣ですよ、しかも法令解釈担当というのをつけられて、個別の省庁を超えた所管を持っていたんですよ、だけれども、野党自民党は、質問する側に権利があると言って、答えるなと国務大臣の答弁まで制限したんですよ。

 衆議院規則に基づいて、質問する側がこれは大臣に聞く、基本的に当たり前のことじゃないですか。だから怒っているんですよ。

 しかも、先ほども申したとおり、いや、そんな細かいことは答えられません、政府参考人がいないときに細目的事項を聞かれたらそう答えればいいだけなんですよ。にもかかわらずこんな前例のないことをやったというのは、本当に恥ずかしくないのかな、みっともないと私は思います。

 その上で、刑事局長までみっともない。先ほどの答弁、階さんとのやりとり。今回の法律の、犯罪の主体について、従来の、何度か廃案になった案でも限定はされていたんだ、でも今回はそれを明文化したんだと。ということは、もともと廃案になった過去の案と今回の案で内容的には対象は一緒ですねと言うのに、答えていないですね。刑事局長。

林政府参考人 従来の法案において、組織的な犯罪の共謀罪という形で、組織性の要件を付しておりました。その組織性の要件を付する場合に、組織的犯罪処罰法というものを使って付与したわけでございます。そのときに、団体というものについて、法文上は限定を加えておりませんでしたが、組織的な要件を付している、その団体の活動としてということと、組織により行われる、この二つの要件で犯罪の実行を目的とする団体が適用の対象となる、このように解釈において説明をしておりました。

 しかしながら、その解釈による限定、説明というものが、国会においては不安、いろいろな懸念、批判がありまして、それに理解を得るには至らなかった。

 そういったことから、今回のテロ等準備罪の立案に当たりましては、その団体というものを、さらに法文の中で、従来目指していた限定を法文の中で明文化して限定しようとした、このようにお答えしたものでございます。

枝野委員 だから、その答えは先ほど聞いているんですが。

 ということは、限定の範囲というものは、廃案になった過去の法案における解釈と、今回明文で明確にした限定とは一緒ですねという問いに対して、専門家なんだから、きちっと専門的に答えてください。

林政府参考人 適用の対象として限定を加えている、このような、対象として限定を加えようとしていたことについては、その範囲としては同じでございます。

 しかし、その条文のつくりでは限定がなされないという批判があったものですから、今回はそれを法文の中で限定したということでございます。

枝野委員 先ほど階さんと何回やり直しましたか。今の前段のところをちゃんと答えればいいんですよ。専門家だったら、最初の大臣の答弁を聞いたところでわかる話を、ぐだぐだぐだぐだ。

 そうなんですよ、違いはないんですよ。違いはないけれども明確になったということは、限定の対象が違っていなくても明確になったということは意味があるんですと。何でそちら側の模範答弁をこっちが教えなきゃいけないんだか、わからないですけれども。あるいは、百歩譲れば、もしかすると、そんな間違った解釈は、警察も、検察も、裁判所もしないとは思うけれども、法文上明確にしたことで間違った拡大解釈のリスクはより小さくなりました、だけれども、限定の対象は一緒です。こんなもの、すぐ答えてもらわなかったら、審議が煮詰まらないですよ。専門家として来ているんだったら、専門家らしく答えてください。

 その上で、組織的犯罪集団の目的、本改正案の六条の二に書いてあります。括弧書きの中に書いてありますね。「組織的犯罪集団(団体のうち、」云々かんぬん、結合の基礎としての共同の目的が。

 この「共同の目的」というのはどういう意味なんですか。専門家として答えてください。

林政府参考人 六条の二第一項の「共同の目的」とは、結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために構成員が結合している目的をいいます。

枝野委員 では、もうちょっと具体的に聞きましょう。

 その目的が当該団体にとって唯一の目的である必要はありますか。

林政府参考人 目的については、さまざま複数ある場合がございますが、ここで言う「共同の目的」とは、結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために構成員が結合している目的をいうということでございます。

枝野委員 では、複数あると言ったんだから、唯一でありません、唯一でなくてもいいんですとお答えになればいいじゃないですか。せっかく深めようと思って刑事局長に聞いているんですから。

 では、主たる目的である必要はありますか、その団体にとって。

林政府参考人 主たる目的であるかどうかということでございますが、その結合をしている目的というもので、結合体の構成員が共通して有して、その達成または保持のために構成員が結合している目的という場合には、当然、その目的が、多くの場合の目的があると仮定したときには主たる目的である必要はございますが、その主たる目的だけでこの結合の目的とされるわけではないと思います。

枝野委員 言っていることが最後よくわからなかったです。

 主たる目的以外の目的が別表三に当たる犯罪を犯すことである場合も入りますね。

林政府参考人 主たる目的であればこれが共同の目的になるかと申しますと、そうではないと思いますが、共同の目的、すなわち構成員が結合している目的というためには、それは主たる目的である必要はあると思います。必要条件ではあると思います。

枝野委員 なるほど、そうですか、そういう解釈ですか。主たる目的である必要がある。いい答弁をいただきました。

 現行法の二条にも「共同の目的」という文言があるんですが、現行法二条に書いてある「共同の目的」と改正案六条の二にある「共同の目的」はイコールですか。そうでないなら違いはどこにあるんですか。

林政府参考人 組織的犯罪処罰法、今回の改正法の六条の二の「共同の目的」と、現行組織的犯罪処罰法第二条第一項の「共同の目的」、これはいずれも、結合体の構成員が共通して有し、その達成または保持のために構成員が結合している目的を意味しております。

枝野委員 実際の運営上イコールになるんですか。つまり、二条の「共同の目的」が複数ある場合もある。二条に言うその団体の「共同の目的」の中のどれかが別表三の犯罪である場合には組織的犯罪集団になる、こういう理解なんですか。それとも、二条に言う「共同の目的」とは違う目的が六条の二で「共同の目的」になり得るんですか。

林政府参考人 六条の二の第一項、これはいずれもその二条の「団体」の要件を引いておりますので、ここで言う「共同の目的」というものは同一でございます。

枝野委員 では、外務副大臣、せっかくおいでいただいたので。

 いわゆるTOC条約の二条の(a)では、「組織的な犯罪集団」を定義しています。そこでは「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」と目的を限定しています。どういう趣旨ですか。

岸副大臣 テロ等準備罪におけます「組織的犯罪集団」の「結合関係の基礎としての共同の目的」は、本条約二条の(a)に規定する「組織的な犯罪集団」の「目的」に対応するものでございます。

 他方、本条約五条の1の(a)の(1)に規定する「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的」は、本条約が犯罪化を義務づける合意の対象となる行為の目的として規定をされているところでございます。

 したがいまして、本条における「組織的犯罪集団」の「目的」と、五条1の(a)の(1)に規定される「目的」を単純に比較することは必ずしも適当ではございません。

 その上で、この組織的犯罪集団の結合の目的は、別表第三に掲げております罪を実行することにあるということでございます。

枝野委員 さっきの最初の話に戻りますけれども、だから何で相談しないんだ、外務省は。外務大臣が求められたけれども、大臣が出られる、出られないという話だけじゃなくて、専門的なことに及ぶかもしれないから、政府参考人も、外務省もつけさせてくれと普通相談するものでしょう。だから答えにならないんですよ。

 いないから聞きますよ、しようがないから。

 TOC条約、五条一項(a)の(1)には、要するに、これを国内法で実施するために今回の法案を出しているというんですが、ここには「重大な犯罪」の前に、先ほどと基本的には同じ文言、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」と書いてあるんですが、この「目的」と、先ほどの二条(a)の「目的」、「得るため」という「目的」は、一緒ですか、違うんですか。

 本法との関係、法案との関係は話さなくていいですから、まずは。

岸副大臣 二条に規定します「目的」、先ほど申しましたけれども、「組織的な犯罪集団」の「目的」に対応するものでございます。二条と五条は、これは同一のものであると考えております。

枝野委員 そもそもTOC条約は、だからテロ対策じゃないとちゃんと書いてあるわけですよ。「この条約の目的は、」「国際的な組織犯罪を防止し」と書いてあるわけで、「組織的な犯罪集団」については、「物質的利益を直接又は間接に得るため」の団体が対象にされているんですよ。そして、今回、国内法を整備して罪を重くしろと、政府の立場に立てばそういうふうに読める五条のところも、重大な犯罪というのは「直接又は間接に関連する目的のため」なんですよ、経済的利益を得るという。

 だから、経済的な利益を得るための国際的な犯罪組織を取り締まることが目的の条約だ。それを国内法で担保するのが何でテロ対策なのかということを申し上げたいんですが。

 次、法務省刑事局。先ほど申しましたが、主たる目的なのがマストだと。テロ集団、テロ集団というのは目的は何なんですか。この法案でテロ等と言っています、テロ等の犯罪集団の目的というのは何なんですか。

林政府参考人 今回のテロ等準備罪の構成要件であるところの組織的犯罪集団の目的は、別表の第三に掲げる重大な犯罪の実行を目的とすること、これが結合関係の基礎としての共同の目的となっている団体を言います。それに当たるテロ団体であれば、基本的に、別表第三の罪を実行すること、これが目的となるわけでございます。

枝野委員 刑事局長自身が、主たる目的の一つであることはマストである、必要条件であるとお答えになったんですよ。

 一般的に、普通の皆さんが、テロ対策は必要だ、本当にテロ対策なら、いろいろ問題があっても通さなきゃならないと思っているのは、それこそ爆弾テロとかをやって多くの人を殺傷する、その目的は、要するに自分たちの政治的な主張あるいは宗教的な主張を暴力的な手段によって実現しよう、これが多くの皆さんの考えるテロリスト集団だと思うんですね。

 だけれども、この法律では、組織的犯罪集団、著作権法違反するのが主たる目的であるようなテロリスト集団なんてあるんですか。

林政府参考人 今回のテロ等準備罪の対象団体、これは組織的犯罪集団と考えております。組織的犯罪集団の中にはテロリズム集団が含まれます。ただ、テロリズム集団以外のものも、組織的犯罪集団と、要件を満たせば認められるわけであります。

 そういった場合において、今回、テロリズム集団というものが持つ目的というのは、社会的実態としてのテロリズム集団、さまざまな目的があろうかと思いますが、そのような中でも、結合の関係の基礎が別表第三に掲げる重大な犯罪の実行を目的とする、これが共同の目的となっている場合において、そういったテロリズム集団を組織的犯罪集団として適用の対象としようということでございます。

枝野委員 今、大事な答弁をしていただきました。

 ということは、今回の対象で入る組織的犯罪集団の中には、いわゆる一般用語としてのテロリスト集団以外の団体も入り得る、これは認めるわけですね。今、そうお答えになりました。いいですね。大事なことです。

林政府参考人 TOC条約自体は、やはり組織犯罪、組織的犯罪集団との闘い、こういった形での条約が採択されたわけでございます。

 その中には、こういったテロリズム集団というものは組織的犯罪集団の典型ではございますけれども、それ以外に我々として考えているのは、暴力団とか薬物犯罪の集団、こういったものが含まれるということでございまして、テロリズム集団に限られるわけではございません。

枝野委員 でも、一方で、先ほど外務副大臣がよくわからない答弁をしていましたけれども、そもそもこのTOC条約の方では、その「組織的な犯罪集団」の定義も、「物質的利益を直接又は間接に得る」ことが目的に限定されているんです。それから、いわゆる共謀罪というか、ここの文言をそのまま使えば合意罪ですね、ここで国内法をつくれよと言われている合意罪も、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」と書いてあるんですが、いわゆる典型的なテロリズム集団は、金もうけが目的じゃないでしょう。金もうけが目的の人が自爆テロしませんわね。死んじゃったら、金もうけたってしようがないんですから。政治的あるいは宗教的な意見を実現するためにテロリスト集団はあるので、この条約の対象から外れるんじゃないですか。

 刑事局の認識、法務省の認識。

林政府参考人 ここで言う、その五条の中での、正確に申し上げますと、「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的」、この概念というのは非常に広い概念であると考えられております。

 したがいまして、ここでこれが除かれるとすれば、純粋に精神的な利益のみを得ることを目的とするような場合、これが除かれるに過ぎないと考えます。そういったことについては、組織的犯罪集団、組織的犯罪の実態からしますと、現実的にはそういったものがあるとは想定しがたいと考えております。

枝野委員 これは外務副大臣だね。では、何でこんな条文を置いているんですか。「組織的な犯罪集団」の定義のところに、「三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、」というならわかりますよ。それに、「金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため」という限定をわざわざ文言で置いているんですよ。五条の一項(a)の(1)も、わざわざ、「物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」と書いてあるんですよ。

 組織的犯罪集団は一般的にそういう目的があるというんだったら、こんな限定をするのはおかしいじゃないですか。わざわざ文言を置いたということは、一般的な組織的な犯罪集団は、従たる目的では経済的な利益を上げて、そのことによって政治的なテロをやろうとかそういうことになる。そんなことを言ったら、当たり前のことですから、わざわざ国際条約にこんな文言を入れたのはおかしいじゃないですか。

 違いますか、外務省。

岸副大臣 今のお問い合わせにお答えをいたしたいと思います。

 先ほどの繰り返しの部分もございますけれども、本条約の第五条が規定するところの「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」という要件は、大変広い概念であるというふうに解されておるところでございます。

 一般的に、テロ組織が行う活動には、組織の活動のために必要な資金等の資源を獲得することが必要です。このことを目的とした行為がここに含まれている。また、テロ活動自体が宣伝効果を生んで、これによりテロ組織が資金等の資源を獲得することもあるわけでございます。

 そういう意味で、テロ等準備罪の要件を満たす場合には、通常、第五条に言うところの犯罪の目的が認められるもの、こう承知をしているところでございます。

枝野委員 刑事局長、目的という部分だけ、前後にくっついているところは別にします、目的という日本語だけ、この条約に言う「目的」と、法律、法案にある「目的」はイコールですか、それとも違いますか。

林政府参考人 目的という言葉だけで比較するとなれば、その目的という言葉は同じでございますが、どの文脈で、国際法の中で使われている、この条約の中で使われている「目的」と、このテロ等準備罪の中で考える「目的」というものについて、その異同については、それは厳密な検討が必要かと思います。

枝野委員 外務省に戻ります。

 今のような話、解釈だったら、この文言は要らないじゃないですか。組織的犯罪集団は、組織で継続することが前提になっているわけですね、この物質的利益のところを除いても。団体組織として継続しようと思ったら、それを維持するために金もうけしなきゃならない。こんなのは絶対必ずくっついてくるわけだから、全ての組織的犯罪集団、継続性を持った組織的犯罪集団は、経済的な利益、物質的な利益を得ることの目的は常に伴っている。違いますか。

岸副大臣 先ほどの繰り返しにもなるわけですけれども、テロ活動には、そのための、継続するための資金も必要であるということでございます。

 ですから、先ほどの金銭的利益その他の物質的利益、直接でも間接でも関連しないという意味では、純粋に精神的な利益のみを得る目的の犯罪ということになると思うんですが、テロ活動、テロ組織が行う活動については、先ほど申しましたけれども、資金獲得という目的も入ってくるということでございます。

枝野委員 だから、継続性を持った組織なら、組織を継続するためにお金もうけしなきゃならないのは全ての組織がそうじゃないですか。お金もうけしなくて、もう継続できないわけですよ。だから、組織的な犯罪集団の定義にしても、今の組織的な犯罪集団による重大犯罪を処罰するにしても、限定をつけなくても一緒でしょう。

 物質的な利益のためにということを、テロリスト集団だって、間接的には、テロを実行しようと思ったら、金もうけしないとできないわけですから、材料を買わないとできないんだから。テロリスト集団が食っていかないと継続的にテロリストでいられないんだから。

 全てが入っちゃうのに、何でこんな限定をつけているんですか。全てが入るなら限定をつける意味はないんだから。私も若干ですけれども、国際的な条約等の文言をつくるところ、要らない文言なんか入れませんよ。入れるということは、何らかの意味でこれで限定しようとしたんですよ。何をどう限定しようとしたんですか。

岸副大臣 これは、条約の交渉の過程での議論で、イデオロギー上の目的のように純粋に非物質的な目的で行われた共謀をこの犯罪に含めるということについて、そのことが合意を得られない、こういうことがあったというふうに承知をしております。これを取り除くことを明確にするための規定であるというふうに考えております。

枝野委員 そんなものは存在しないでしょうと言っているんですよ。存在しないものを取り除く文言をわざわざ国際条約に入れるというのは普通はあり得ません。

 本法に戻ります。

 主たる目的でなければいけない。テロリスト集団は、主たる目的なんですか、普通名詞としてのテロリスト集団、お金もうけするのが主たる目的のテロリスト集団は僕は想像できませんけれどもね。政治的な主義主張や、あるいは宗教的な立場、これをごり押しするために暴力的手段で他者に強要しようとする、これが唯一の目的であって、ほかはその目的のための手段なんじゃないですか。

林政府参考人 条約で掲げられている「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」というもの、これが次の「重大な犯罪を行うこと」ということに係っておるわけですが、ここで、条約で掲げられている「目的」というのは、先ほど申し上げたように非常に広い概念であって、実際に純粋に、このような目的に外れるもの、いわゆる純粋に精神的な目的のみで行われるようなものは現実的に想定しがたい、このような解釈のもとで、今回この条約の規定を国内法に落としたときに、この「金銭的利益その他の物質的利益を得ることに直接又は間接に関連する目的のため」というものは、国内法に採用していないわけでございます。

 そうしますと、今回のテロ等準備罪における組織的犯罪集団の定義の中での「共同の目的」というのは、「重大な犯罪を行うこと」、これ自体を要件といたしまして、この要件に当たるか当たらないかによって組織的犯罪集団に当たるかどうかを考えるというふうに考えておるわけであります。

枝野委員 よくわからないな。

 よくわからないのは、先ほど、本案における「目的」は主たる目的である必要があると言いました。条約の「目的」はどうなんですか。主たる目的である必要はあるんですか、それとも従たる目的でもいいんですか。

岸副大臣 お問い合わせは、国際的な犯罪集団ということの「目的」ということですね、条約上の。

 これは、主たる目的である必要はございません。

枝野委員 ここまでで、条約上の「目的」と本法の「目的」とで対象範囲がどうもずれている。わざわざ条約は物質的な利益という限定を加えているのに、本法は広げている。明らかにおかしい。

 論点はこれだけじゃないので、またさらに、きょうの答弁を精査して詰めたいというふうに思います。

 では、法務省にこう聞きましょう。

 今回の法案は暴力団なども対象にしている。もともとの法律がそうなんですから。改正案ですから組織犯罪防止法は暴力団対策の法律、それに無理やりテロとくっつけてきていて、テロだけを前に出しているから混乱をするんですが。

 先ほどの話に戻りますよ。

 テロリスト集団は、基本的には、先ほど申しましたような、政治的な主義主張を実現する、あるいは宗教的な何らかを実現する、これが主たる目的で、金もうけ自体が主たる目的だと、テロリスト集団を装っている暴力団というのはあるかもしれないけれども、いわゆるテロリストというのは、経済的利益を目的とするというのは主たる目的ではあり得ませんよね。

林政府参考人 先ほど、主たる目的である必要があるというのは、目的が複数いろいろある場合において、今回の共同の目的、結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪実行の目的にある、こういうふうに認定するためには、少なくとも主たる目的である必要はあるということを申し上げたわけです。それだけで足りるということを申し上げたわけではございません。

 そうしますと、主たる目的が何かということをこの法案で問うているわけではなくて、あくまでも、この六条の二項の第一項で「組織的犯罪集団」と認められるためには、その団体の構成員の結合関係の基礎の共同の目的が犯罪の実行の目的である、こういうことが認定されなければならないということを申し上げたわけであります。

枝野委員 さっきと答弁が変わっちゃっている。

 ここで言う「目的」というのは主たる目的と先ほど答弁されましたよね。六条の二で書いてある「共同の目的が」の「目的」、主たる目的でないといけない、主たる目的が別表三に掲げる罪である。

 だけれども、暴力団は金もうけだから、金もうけが共同の目的なんでしょう、主たる目的なんでしょう。あるいは、そのことによって何か社会的な名誉みたいなものがあの世界ではあるのかもしれない、そういうのはわからないけれども。だけれども、主たる目的としてお金もうけが含まれているというのは社会通念としてわかりますよ。

 でも、テロリスト、一般的に普通名詞で言われるテロリストというのは、お金もうけは目的じゃなくて手段であって、そこで稼いだお金で、それを手段として、政治的あるいは宗教的ごり押しをする、それが主たる目的なんでしょう。

 六条の二の「共同の目的」が主たる目的である必要があるということは、少なくともテロリスト集団については、経済犯について書いてある別表三は全部当てはまらない、そういう必然になるんですけれども、違いますか。

林政府参考人 先ほども申し上げましたが、ここで言う「結合関係の基礎としての共同の目的」が主たる目的であるということは申し上げておりません。御質問の中で、主たる目的あるいは従たる目的、こういうふうなものが仮に併存するとしたときに、今回の結合関係の基礎の共同の目的という場合に、少なくとも従たる目的のものが結合関係の基礎となることはないですよということを申し上げたわけです。

 目的の中にも、例えばその主従を、社会的実態の中では、主たる目的、従たる目的、あるいは、主たる目的が何%ぐらいあって、割合で従たる目的は何%ぐらいあるか、こういったことで今回のものが決められるわけではなくて、さまざまな目的がある中でも、結合関係の基礎の共同の目的が犯罪の実行の目的であるというところまで認定できなければ組織的犯罪集団に当たらないということを申し上げているわけです。

枝野委員 だんだん近づいてきてくれていますね。

 わかりやすいように、一般の方も聞いているので、主たる目的と従たる目的とか申し上げましたが、そこは、今刑事局長は専門的にそれを一生懸命修正しようとしていますが、確かに、「結合関係の基礎としての共同の目的」と法案の文言上あります。だから、同じことを聞きたいんですよ。

 世間の皆さんがいわゆるテロリスト対策は必要だと思う。我々も思う。それに役に立つんだったら、ちょっとぐらい不安があってもと思っていらっしゃる方もいるかもしれない。でも、テロリスト集団とみんなが思っているものは、政治的あるいは宗教的、そうした自分たちの主張をごり押しするために人の命まで奪ってしまうような暴力的なことをする、これが一般的にみんなが思っているテロリスト集団だと思うんですね。

 そうした集団を想定したときには、結合の基礎としての共同の目的が金もうけなんてあり得ますか。金もうけは手段でしょう。だから、先ほども言いましたよ。暴力団が、暴力団であるということを隠すために何かもっともらしい政治的な主張をかぶせる、こういうことはあり得るかもしれませんよ。でも、テロリストは何らかの主張をごり押しするための集団なんだから、結合の基礎としての共同の目的に経済的な理由が入るというのはあり得ないんじゃないですか。

林政府参考人 私どもが想定しておりますテロリズム集団、例えばそれが崇高な主義主張の実現を対外的に掲げていたといたしましても、その主義主張に基づいて、例えば暴力的な破壊活動という犯罪行為を行う、これが共同の目的になっている、こういった場合に組織的犯罪集団に当たる、このように考えております。

枝野委員 そこも実は厳密に読んでいくと微妙なんですけれども、政治的な主張の実現、何らかの自分たちの主張の実現が結合の基礎たる共同の目的なので、そのために破壊活動をする、人の命をあやめるというのが本当に結合関係の基礎とまで言えるのか、そこも私は疑問があるんですが、そこはおいておきましょう。

 もしかすると、政治的主張を実現するといっても、平和的、民主的な手法でやろうという集団と、それをテロで暴力的にやろうという集団ではやはり結合関係の基礎としての目的が違うという、そこまでは、私は、まあ、ありかなと認めましょう。

 でも、まさに政治的な主張をごり押しするために暴力的な行為をやりましょうということが結合の基礎となっている集団にとっては、それを実行するためには金を稼がなきゃいけない、それを実行するためには実際にテロ活動をするような人を抱え込まなきゃならない、そいつらを食わせなきゃならない、それは全部、経済的な目的は手段でしょう。違いますか。

林政府参考人 今委員の言われたものを十分に理解できるか、ちょっと留保いたしますが。

 いずれにしても、テロリズム集団というものが、かなり崇高な主義主張が仮にあるとしても、それと暴力的破壊活動の犯罪行為を行うということが共同の目的にまで高まっている、このようなものがあったといたします。その場合に組織的犯罪集団という認定ができる場合があろうかと思います。

 ただ、今度は、組織的犯罪集団が今回のテロ等準備罪を、何の犯罪を計画するかという対象犯罪の問題になってきますと、それは、委員が言われるような、テロリズム集団も組織の維持拡大といったものをするためには資金を獲得しなければならない、こういった場合がございますので、そういった資金源を獲得するような犯罪、こういったものも今度の組織的犯罪集団が行う計画の対象になるということでございます。

枝野委員 だけれども、そこまで結合関係の基礎としての共同の目的としてしまったら、対象になる犯罪は限定されているけれども、全く対象となる組織は限定されないことになります。

 なぜかというと、先ほど外務副大臣が御答弁くださいました、組織を維持していくためには何らかの形で直接、間接的に物質的な利益を得る目的はみんな持っている。そうですよ、組織ならみんな持っていますよ。維持継続していくためにはお金を稼がなきゃならない。お金を稼ぐために何らかの犯罪を行うということであるならば、あらゆる組織が、お金を稼いで組織を維持するということ自体が結合の基礎としての共同の目的になり得ますよ。

 それが別表三の犯罪であるかどうかということが問題になるわけだけれども、別表三の犯罪は、それを目的としてその犯罪を犯すことだから、トートロジーに近いような話で、実際にそれを計画していれば、その目的があるということになってしまいますよ。違いますか。

林政府参考人 組織的犯罪集団という今回の計画の主体の問題と、ある団体がどのような犯罪を計画するか。

 この問題は、やはり、ある団体がどのような犯罪を計画するかというのはその時点での一回の行為でございます。しかし、組織的犯罪集団というのは継続的な結合体でございますので、そのときの犯罪実行の共同の目的というものは一回限りで認定されるものではございませんので、そういった共同の目的は、継続的な結合体として、継続性のあるものとしてその団体を維持する場合の共同の目的、それが結合関係の基礎として犯罪実行にある、別表第三に掲げる重大な犯罪の実行にある、こういうことが言えなければならないので、決してそれがトートロジーになるわけではないと考えます。

枝野委員 何を言っているんだか、よくわからないんだけれども。

 二条の「共同の目的」と、六条の二の「共同の目的」は一緒だと言っているんですよね。二条には、「多数人の継続的結合体」、その目的が「共同の目的」、これがまさに結合の基礎としての目的じゃないといけない、主たる目的じゃないと、マストである。同じ「共同の目的」が六条にあって、やはり、結合の基礎としての「共同の目的」。

 それで、経済的な利益を上げるということは、あらゆる団体について共同の目的になっちゃうじゃないですかということを申し上げています。

 今回の別表には、いわゆる凶悪犯罪だけではなくて経済事犯がたくさん入っています。保安林に入ってキノコをとる、タケノコをとる、対象になっています、共同の目的に。こんなもの、あり得ますか。

 逆に言ったら、そんなことを言ったら、全ての活動、全ての団体が犯罪を犯すかどうかという線のところで対象になるかどうか。だけれども、みんな経済的な利益を目的としているんだから、それが法に触れた瞬間に全部、あらゆる組織は組織的犯罪集団になるということになりませんか。

林政府参考人 ある団体が資金を獲得するために、あるいは利益を上げるために違法な行為、犯罪行為を計画した、こういったことをした場合であっても、それは、その団体は具体的な資金獲得の犯罪を行うことを共同の目的としているのかどうかということについては、必ず、資金源を獲得する犯罪を繰り返すからといって、その団体が資金源獲得の犯罪を結合関係の基礎としている、あるいは、その資金源獲得の犯罪をしないような場合には自分たちはこの団体から離れる、このような関係にはならないと考えます。

 この結合関係の基礎としての共同の目的というのは、団体で集まっている目的、それでございます。今、その中で、その団体が時に違法な資金源獲得のための犯罪を犯すことはございます、団体として行うことはあるかもしれませんが、その場合でも、その団体は、ではその犯罪、資金源獲得の犯罪を目的とするためにその構成員は集まっているのかということが問われるわけでございます。その場合に、その犯罪を犯すために集まっている、結合しているということを立証できなければ、今回の組織的犯罪集団という認定はできないということになります。

枝野委員 そうすると、一番警戒しなきゃならないテロリスト集団は対象から外れるということになってしまいますよ。だって、最も警戒しなきゃならないテロリスト集団というのは、まさに、現世利益のことはどうでもいい、お金のこととかはどうでもいい、とにかく自分たちの主義主張を実現するために自爆テロまでする。こういうテロリストが一番怖いわけですよ。

 こういうテロリスト集団は、結合関係の基礎としての共同の目的は、まさに他のあらゆることを捨ててでも自分たちの主義主張を通したい、これこそが唯一の、結合関係の基礎としての目的になるじゃないですか。よりピュアであればこそ。その限りにおいては。

 その手段としていろいろな犯罪をやる。同じような犯罪を繰り返せば、そうはいっても結合の基礎となるかもしれないけれども、あるときは内乱をやろうとした、あるときは外患誘致をやろうとした、あるときは単なる爆発物を爆破させようとした、あるときは山に入ってキノコをとろうとした、その都度手法が違ったら対象になりませんよ、今の答弁だと。まずいですよ、それ。

林政府参考人 今いろいろ列挙された部分については、やはり暴力的な、破壊活動的な犯罪行為というものがありますので、そういったものを行うこと、今委員の指摘でいえばピュアに行うこと、これを目的としている団体であれば、当然今回の組織的犯罪集団に当たると考えます。

枝野委員 なるほど、この別表三に掲げる罪というのは一個一個見るわけではない、こういう解釈ですね。

林政府参考人 別表で掲げて限定的に列挙しているわけですので、そのどれにも当たらない、どれの目的もないということは、当然この組織的犯罪集団から外れます。したがいまして、それはだから一つに限る必要はございません。

 でも、この組織的犯罪集団というものに当たるということを立証する場合には、どの犯罪、どの犯罪を実行すること、これが共同の目的になっているか、こういったことが特定され立証される必要があると思います。

枝野委員 だから先ほど言ったじゃないですか。一つの罪に当たるような手法は一回ごとしか使わない、いつも同じ手法、同じ罪に当たるような手法は使わない、そういう場合には結合の基礎となる目的にならないでしょう。何とかの罪を犯すこと、内乱罪を犯すこと、内乱という手法は一回しか使わない。違いますか。

林政府参考人 それは目的でございますので、そういったものが、内乱なら内乱、あるいはその他の破壊活動、破壊的な暴力活動、こういったものを条文は罪名の形で列挙しておりますので、それを特定して立証できれば組織的犯罪集団ということに該当いたします。

枝野委員 それはおかしいじゃないですか。あるときはみんなで内乱をやろうと思った、あるときはみんなで殺人をやろうと思った、あるときはみんなで著作権法違反をやろうと思ったというのは、その結合の関係の基礎としての共同の目的とは認定できないでしょう。

 では、どこからどこまでは同一種類の罪だから、別々の犯罪だけれども共同の目的と認定するんですか。そんな限定も、そういう選択をするということも条文のどこにも書いてないですよ。暴力的な犯罪行為を行おうとする、その暴力的な犯罪行為というのは別表に掲げるものだという規定の仕方なら、百歩譲って今の話はあり得るかもしれません。規定は、別表三に掲げる罪を実行することが結合の基礎としての共同の目的と書いてあるんですよ。それぞれ一罪ずつ見なきゃだめじゃないですか。しかも、犯罪が全然違う種類、経済事犯から暴力事犯までいろいろなものが入っているんですから。今の答弁はおかしいですよ。

林政府参考人 さまざまな社会的な実態のある集団、この中での組織的犯罪集団、これを認定する場合においては、当該具体的な犯罪集団の構成員あるいはその掲げている目的、こういったもので、当然その証拠収集をいたします。その収集した証拠の中で、この別表第三の中での目的というものが認定できる場合があると思います。

枝野委員 実態的に、先ほどから、結合の基礎となる共同の目的でなければいけないんだと。主たるという言葉の使い方についてはいろいろと修正されました。結合の基礎となることでなきゃいけないんだと。たまたま、結合の基礎となっている目的のための手段として、一回や二回やる話というのはたまたまなので、それはこの六条とかの「共同の目的」で組織的犯罪集団には認定されないと局長がおっしゃったんですよ。違いますか。

 ちょっと、きょうの議事録をきちっと精査して、答弁、整理してきてください。言っていることがころころ変わるし。

 ちょっと具体的なところ、せっかく文科副大臣も来ていただいているので、具体的なところと絡めて、今の話、ちょっとさせていただこうと思うんですが。

 著作権法の百十九条一項、二項が別表三に書いてあります。いいですね、別表三、別表四にも書いてある。刑事局長、いいですね。

林政府参考人 著作権法違反、別表に掲げてございます。

枝野委員 百十九条一項の違反というのはどういう罪ですか。文部科学省、答えてください。

義家副大臣 著作権法第百十九条が定める著作権侵害罪等は、著作権法第百二十三条第一項により、親告罪とされております。

枝野委員 それは次に聞こうと思っていたんですけれども。

 親告罪なんですね。親告罪の共謀罪って何ですか、刑事局長。親告、ないですよね、法益侵害がないというのは。何ですか、それ。

林政府参考人 親告罪、告訴をもって論ずる罪でございますけれども、今回のテロ等準備罪の保護法益というものは、本犯である、例えば著作権法違反の保護法益でございます。その保護法益である本犯が親告罪であれば、その実行の着手前の段階での、今回の処罰の対象となりますテロ等準備罪も親告罪となる、解釈上当然になると考えております。

枝野委員 だから、共謀だけして、準備行為はあるけれども法益侵害されていないので、侵害行為がなされていないので、被害者は被害に遭ったと認識しようがないと思うんですよ。

 それとも何か、どこかがあなたの著作権を侵害することを共謀して準備行為に着手している、まだ著作権は侵害されていないけれども、告訴状を出してくれと捜査機関がやるんですか。

林政府参考人 例えば未遂罪であっても当然親告罪というものがございます。基本的に、法益侵害が発生していなくてもあるわけでございまして、今回のテロ等準備罪においても親告罪というものを観念することは当然可能でございます。

枝野委員 観念的にあるけれども、どうするのと聞いているんですよ。

 だって、未遂罪の場合は、法益侵害のための危険性が発生しているから未遂罪ですからね。法益侵害の可能性が発生しているというか、その客観的な行動があるわけですからね。いわゆる親告をするべき被害者の側も、未遂だったけれども、俺のこの権利が侵害されているかもしれないとかという認識は、可能性があるわけですよ。

 何で共謀の段階で、被害者が、どこかが私の著作権を侵害しようとしているなんて親告できるんですか。

林政府参考人 どのような場合に親告、告訴があるかというのは、それはもちろん基本的に、さまざまな事象の中でその告訴がなされるかなされないか、さまざまであろうかと思います。

 いずれにしましても、この場合の親告罪というものは、それがなければ起訴ができない、処罰されない、こういった意味での親告罪でございますので、その過程で捜査というものがなされることはございます。

枝野委員 これは、普通の人が常識的に考えた方がわかりやすいと思うんですけれども、共謀だけして、自分が被害者だと気づいていない、そんな状況で、親告罪どうするのという話は、ちょっと普通の人が普通に考えていただければわかる話を、無理やり専門家が専門的にこじつけをしていて、私は、もう率直に、あっ、うっかりしましたと直した方がいいと思いますけれどもね、せめてこういうことは。

 文部科学省、JASRAC、日本音楽著作権協会と音楽教育を守る会で、今意見が対立しています。できるだけコンパクトに説明してください。

義家副大臣 日本音楽著作権協会においては、二〇〇三年から楽器使用の大手運営事業者等と、楽曲の演奏権にかかわる著作権使用料について徴収、回収のための交渉を行ってきたが、いまだ決着を見ておらず、徴収、回収に至っていないと聞いております。

枝野委員 副大臣、ありがとうございます。あとは副大臣はありませんから、もしあれだったらお帰りいただいても結構です。

 今の話を少し解説すると、いわゆる、ピアノ教室などの音楽教室、ヤマハとかカワイがやっています。あそこに対してJASRACが著作権料を払えと言い出したんですね、去年の暮れから。それに対して、そんなの払えるかと言って、関係者の皆さんで音楽教育を守る会というのが結成されています。

 あっ、ごめんなさい、義家さん、もう一問あった。これは、著作権料を払わなかったら著作権法違反だと思うんですけれども、どうですか。

義家副大臣 音楽教室は、個人レッスンとかグループレッスンなどいろいろな形式がありますが、個々の事案における楽曲の利用行為に演奏権が及ぶかどうかについては最終的に裁判所が判断するものでありまして、御指摘のような行為が著作権侵害罪となるか否かについて文部科学省が判断する立場にはないと承知しております。

枝野委員 ありがとうございます。それを答えてもらうために来てもらったんです。そうなんです、最終的には裁判所が決めるんです。

 意見が対立しています。JASRACは、これは著作権料を払わなければ著作権法違反だ。

 組織的にやっていますよね、音楽教室は。結合の基礎ですよね、各音楽教室で楽譜を使って演奏するのは。組織的犯罪集団に、これが著作権法違反ならば当たりますね。普通の団体、普通の人たちも組織的犯罪集団に当たり得るんです。

 最終的には裁判をやってみないと。個人的には、私の解釈では、音楽教室が楽譜を使っても一般的には著作権侵害にはならないと僕は解釈しますけれども、それは所管省庁も、最終的には裁判所で決めてくれと。だから、わからない。もしかするとこれは著作権法違反かもしれない。

 これは、もしかすると対立が激化していって、そんなの払えるかと。物すごい影響が大きいですからね、全国各地で音楽教室をやっている人たち、そこで学んでいる人たち、学んでいる人たちも共犯かもしれませんね。違いますか。

林政府参考人 音楽教室というものが、著作権法違反を行うことを実行すること、そのために結合しているとは到底認められないと考えます。したがいまして、その意味でも、共同の目的、結合関係の基礎が著作権法違反の目的であるというふうには認定できないと思いますし、また、そのためには、組織的犯罪集団と言うためには、著作権法違反のために指揮命令をつくり役割分担をする、そういった組織が構築されていなければなりません。そういったことも通常想定されないと思います。

枝野委員 ということは、今の答弁だと、六条の二の「目的」、これはその別表三に掲げる罪を犯すということについての違法性の認識を要件とするんですか。今の答弁はそういうことですよ。著作権法違反という違法性の認識は多分ないと思います、音楽教室をやっている人たち。

 でも、構成要件該当性の認識は、もしこれが著作権法違反ならあります、演奏行為をするんだから。演奏についての専属権を作曲家は持っているわけです。それを了解なく、金も払わず、勝手に演奏するというのは、構成要件該当性については認識はあるんです。それをみんなでやるといって、音楽教室、組織的にヤマハとかカワイとかはやっていますから、そこについては、一定のまさに組織的な体制があるんです。それを否定するんだったら、違法性の認識は要らない、そういう答弁ですか。

林政府参考人 私が申し上げたのは、著作権法違反という犯罪行為、これを行うことが結合関係の基礎となっていなければならないということを申し上げたわけでございます。

枝野委員 いいですか、音楽教室は楽譜を使って子供たちに楽器とか何かを教える、楽譜を使うということ自体がまさに結合の目的なんですよ。楽譜を使って、それで子供たちにピアノを教える、これはまさに結合の目的ですよ。

 それが著作権法違反に当たるのかどうか、それは裁判所の判決を見ないとわからない。当然、違法性の認識はみんなないでしょう。でも、まさに著作物を使って、でも、これは著作権法の例外、私的利用に当たるから、だから大丈夫だとみんな思っているかもしれないけれども。

 でも、まさに結合の目的は、楽譜を使って他人の著作物を演奏する、演奏させる。まさに結合の目的じゃないですか。

林政府参考人 社会的実態としての音楽教室が、何の目的でその構成員が集まっているのか、ここを問うときに、やはり著作権法違反という犯罪行為を行うために結合をしているんだ、そこの団体に集まっているんだ、こういったことが立証しなければならない事項でございます。

枝野委員 だから、違法性の認識が要るんですか、要らないんですか。要らないんでしょう。要るなんて言ったら、これは全然、対象、全部外れちゃいますよ。

 違法性の認識、要るんですか、要らないんですか。

林政府参考人 組織的犯罪集団自体は、客観的にそのように認定されるかどうかということでありまして、委員が御指摘になる違法性の認識というのは、故意があるかないか、こういった場合に問題とされるものでございます。そういった点で問題となるものでございますので、基本的に、その故意の問題でも必要とされる違法性の認識というところまでは必要はないと考えております。

枝野委員 そうなんですよ、違法性の認識は必要ないんですよ。

 テロ集団だって、違法でもやろう、違法だからやろうとしているのは、それこそ爆破テロとかそういう話は、違法でも、違法だからやるのかもしれないけれども、その資金のために何か人をだまして金を集めようだなんて話は、それについては、それが違法だから罪を犯すということで結合したりとか犯罪を犯すわけじゃないですよ。

 音楽教室だって、これが著作権法違反だから、だからやろうとしているわけではもちろんないんですよ。だけれども、客観的な行為が、まさに多くの意見は分かれると思います、JASRACという公的な機関は、著作権料を払わなければ著作権法違反だと言っているわけですからね、現に。だから、そちらの方が多数説なのかもしれない。という、その著作権法違反になる客観的な行動を行っているんでしょう、継続的に、組織として、楽譜を使って演奏するという行動は。

 それは、評価としては、著作権法違反の行為になるかどうかというのは、最後、裁判所が決めること。でも、行われている行為自体が著作権法違反であるならば、それは実際に、結合のまさに目的じゃないですか。これを外しちゃったら、ほかは何にもならないですよ。テロリスト集団の金もうけなんか、一つも入らなくなりますよ。違いますか。

林政府参考人 実際の、その団体の結合関係の基礎が犯罪の実行が目的であるということを言うために、全く著作権法違反について認識していない者が、そのためにその団体に集まっている、そのためにその団体を構成しているということは社会実態上考えられないと考えます。

枝野委員 すごい、従来の刑法体系とかからするとめちゃくちゃな答弁をしているんですよ。

 犯罪を犯すことを目的としないといけないんです、これは。別表に掲げる罪の行為を犯すことを目的としているんじゃないですか、六条の二の「目的」というのは。

 罪を犯そうという集団でなければ、別表三に掲げる行為を目的としていてもいいんですか。今の答弁はそういうことになりますよ。別表三に掲げるような行為をすること、別表三に掲げられた法律等によって犯罪とされる行為を行うことを目的とする集団はだめでしょう。これが犯罪なんだ、俺たちは犯罪をするんだとみんなで結合した場合以外は対象にならないんですか。そういう答弁ですよ。違いますか。

林政府参考人 その犯罪についての違法性の認識があるかないかということがここで問われているものでないことは申し上げたとおりであります。

 その上で、この犯罪の実行が結合関係の基礎となっているかどうか、この認定をする際に、やはりそれが、著作権法違反ということの行為をしている、そしてそのために、それを知った上でこの結合関係を維持している、あるいはそのためにこの団体に加わっている、こういったことが立証できなければ結合関係の基礎としての共同の目的が犯罪の実行にあるということは言えないということを言っております。

枝野委員 時間になりましたので、今後詰めたいと思いますし、まだ十ぐらい用意していたテーマの一つ目も終わっていないんですが、今のお話だと、この六条の二で「組織的犯罪集団」に認定されるかどうかというのは、要するに、悪いことをするつもりで集まっていたやつは組織的犯罪集団だ、だけれども、例えば音楽教室は別に著作権法違反をやろうと、悪いことをやろうと思って集まっているわけじゃないんだから違うんだ、そういう答弁でしょう。そんなことは条文上どこに書いてありますか。条文上どこから読めるんですか。条文上ない要件を出して皆さんは大丈夫ですよなんと、こういうごまかしで普通の人たちは対象にならないと。

 音楽教室が著作権法違反に当たらないと私は解釈しますが、JASRACの見解によると、このまま対立が続けば、組織的犯罪集団にどうこの条文を読んでも当てはまるし、それを否定する答弁はできていない。明らかに法の欠陥だということを申し上げて、きょうの分は終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

鈴木委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 冒頭、私からも、けさの運営、参考人を決議によって決したことに強く抗議を申し上げたい。

 委員長に申し上げますが、政府参考人を登録するかどうか、お読み上げられた衆議院の規則というものは、もともとは政治主導で政治家同士で議論を深めていこう、それまで常時いた政府委員というものを廃して、政府参考人という制度にこれは全党一致で制度を変えた、その際、技術的、細目的項目については政府参考人を登録すると。

 その立法の趣旨は明らかに政治家同士の議論を深めていくというものであり、それを委員長みずから、政府参考人を終日、常時、質疑者の要求にかかわらず登録するということは、私、理事会で、例えば与党の筆頭ですとか、理事会の席であればまだ委員長の御発言もよしかと思ってまいりました。しかし、それをこの委員会で決をとるということは、政治家主導で議論を深めていこう、それを、立法府の法務委員会の長たる委員長がみずから、立法府の矜持、立法府の自負、それをゆがめてしまったと言わざるを得ない。強く抗議を申し上げます。

 前例がないというお話がありましたが、これはもう本当に委員長の、委員長としてふさわしいかどうかも問われるべき重大な事態である、そういう思いで私はおりますので、今後の議事の運営についてもう一度、立法府の、そして政治家同士で議論を深めていく、そのことをお考えいただきたいとお願いを申し上げます。

 それから、鈴木委員長にここまで参考人登録を強行させるその背景にあるのは、やはり私は金田大臣にその原因があると。金田大臣の委員会の答弁がなかなか心もとない。それを鈴木委員長が、穏やかな方ですよ、最大限そんたくされた結果だと私は思います。

 二月の八日に、私は金田大臣に辞職を求めました。そのときに私は、この法案の魂を語ることができなければ、根幹を語ることができなければ大臣たる資格はないと申し上げました。この法案の魂をお話しください。

金田国務大臣 井出委員からの御質問にお答えをいたします。

 このたび御審議をお願いしておりますこのテロ等準備罪、適用対象団体を組織的犯罪集団に限定して、そして対象犯罪をリスト化し明確化するとともに、計画行為に加えて実行準備行為が行われて初めて処罰が可能となるものであって……(井出委員「何のためにこの法律をつくるのか」と呼ぶ)従前の共謀罪、いわゆる共謀罪と言われるものとは別物であるという中で、この不安や懸念といった過去の議論においてあったものをしっかりと払拭するという……(井出委員「法律の目的を聞いているんです。立法事実を聞いているんです。仕組みは聞いておりません」と呼ぶ)

鈴木委員長 続けてください。

金田国務大臣 いや、そこまでお話しするつもりですよ。(井出委員「そこだけ答えてくれればいいんですよ」と呼ぶ)

鈴木委員長 大臣、続けてください。

金田国務大臣 いやいや、そこだけといっても、もう話を始めましたので聞いてください。

 このような不安や懸念を踏まえて検討した結果、今回提出のテロ等準備罪におきましては、対象となる団体を明文で組織的犯罪集団に限定することによりまして、一般の会社や市民団体、労働組合といったような正当な活動を行っている団体が適用対象にはならないことを一層明確にしたということ。

 それから、対象犯罪についても、長期四年以上の懲役、禁錮を定める罪のうち、組織的犯罪集団が実行を計画することが現実的に想定されるものをリスト化し、対象犯罪を明確にしたということ。

 それから三つ目が、これまた重要なんですが、また、犯罪の計画だけでは処罰されず、実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることによって、内心を処罰するものではないことについても一層明確にするとともに、処罰範囲も限定することができた。

 このように、テロ等準備罪の法案は、共謀したことで処罰されることとされていた従前の共謀罪とは別物となったわけでありまして、これは、重大な犯罪の合意または参加罪を犯罪化することを求めるTOC条約を担保するために設けたわけであります。

 これに、その必要性を説明しろというお話がございましたのでそれも申し上げますが、私どもは、現在の国内外の情勢の中で、現在の国内法の現状、そして条約との対比も考えて、現行法が条約第五条の定める犯罪化義務を満たしていないという事実、この辺は外務省も説明をしているところでありますが、この事実によって既に十分な立法事実が示されているわけでありますので、それを踏まえて、国民の安全、安心のためにテロ等準備罪をしっかりと皆様に御審議いただいて、そして早くこれを可決していただきたいもの、それがこの必要性であることを申し上げておきたいと思います。

井出委員 政府の説明をまとめますと、この法案を提案する目的はTOC条約に入ることだ、TOC条約に入って国際的に組織犯罪を防止していく、それが、その資金源というものが、回り回ってテロ集団の力を弱めることにもなる、それから、テロもふえてきていると。だから、TOC条約に入ることとテロ対策と両方を打ち出しているんでしょう。もう何度も聞いてきて、私はそらでも言えるようになった。主張は違いますけれども。

 私の主張は、条約に入ることは、回り回ってテロ対策になるのかもしれません、そこはこれから議論したいと思います、しかし、なぜ、条約に入るために必要な共謀罪という法案をテロ等準備罪と名づけるのか。条約に入るための手段の部分にテロ等準備罪という名前をつけて、それを大々的にぶち上げるのか。国民をだましているに等しい。

 それから、テロ対策というものは、これもいずれ外務省が来たときに徹底的にやります、国際条約でテロ対策が本当に万全なのか。警察庁が今まで日本型のテロ対策というもので何を言ってきたか。その中に、この条約はもとより、国際的な協調の必要性は書いてありますよ、でも、ほかにも優先順位の高いものはもっといっぱいあるんです。ですから、私は、テロ対策はテロ対策、条約に入ることは条約に入ること、別で考えようと。

 そして、もっと言えば、共謀罪を二百七十七つくると日本の刑法体系を変えることになる、だから、できるだけ現行法に近い形で条約に入ることはできないのか。これも外務省がいなければ、外務省の外交姿勢も問われる、そういうことをこれから申し上げていきたいし、これまでも再三にわたって申し上げてまいりました。

 法案の魂を端的に語っていただけないのであれば、先ほどほかの委員の方がおっしゃいましたが、基本的なこと、大事なことを大臣に聞く、政府参考人に聞くのは、その後のもっと細目、技術的な話。基本、根幹と、応用と。基本がなければ、応用問題に答える人を呼んでもしようがないんですよ。違いますか。

 大臣、私は、これまでの質疑で林刑事局長を呼んできませんでした。その分、私の質問は結構説明が長かったと思います。だから、私の答弁に関しては、参考人を呼んでくれ、専門家を入れてくれと大臣から殊さら言っていただいた記憶はございません。しかし、ほかの委員に対して、参考人、専門家を呼べと。そうではなくて、もっともっと大臣自身がしっかりと答弁をする努力を。どうして野党の一議員の私が、政府の側に立って法案の魂を述べ、この間は、政府の側に立って、それでもテロ等準備罪という名前に異論があるから、私みずから名前を提案しましたよ。大臣も少し努力をしていただきたい。

 答弁を願います。

金田国務大臣 井出委員からの御指摘をいただきました。

 この法務委員会での議論は非常に重要でございますから、法案を出して御審議いただくとき、あるいは法務行政全般にわたって審議をいただくとき、いろいろな機会があります。でも、そういう中で、私は私なりに、議論を深めてもらいたい、そして自分もそれに参加していることを誇りに思う、こういう思いで私は今日までやってまいりました。恐らく、それは井出委員も同じなのではないかと思います。

 したがいまして、私は、この委員会の審議が実のある形になる、そして深めることもできる、そして国民の皆さんに、その成果というんでしょうか果実というんでしょうか、これが行き渡る、そういうケースが実現できるのであれば、それが最も大事である、こう確信を持っております。

 私は、自分ながらに申し上げて恐縮ですが、公的なものへの献身という思いで四十四年間公務に携わってきた誇りがあります。そういう誇りをどうか御理解いただいて、一緒に結果を出すという思いを井出委員にも共有していただければ非常にありがたい、このように思っておる次第であります。

井出委員 何でも同じと言われても、どこが同じなのか、少し考えてみたいと思いますが。

 審議に入ることに誇りを持っている、それは井出委員も一緒だろうとおっしゃいましたが、私は誇りなんぞ持っておりません。日々の審議対応に追われて、ただその日の審議を一生懸命やる、次の審議をどうすると寝る間を削ってやっているだけですよ。同じことをやるというなら、それをやってくださいよ。

金田国務大臣 ただいまの指摘、私も同感でありますので、その思いでやっているつもりであります。

井出委員 前回の質疑では言いそびれましたが、大臣に辞職を求めるというスタンスはきょうもこれからも変わらないということを強く申し上げて、先に進んでいきたいと思います。

 きょうは、少し日本の歴史を振り返りながら、このテロ等準備罪、共謀罪について考えてみようと。最終的に議論をしたいのは、前回の続きでございます。一般の人々とそうでない人、組織犯罪にかかわりのある人とない人、そういうものが簡単に決められるのか、そういうことについて議論をしていきたい。

 きょう、資料に漫画をお配りしております。その三枚目をごらんください。この漫画は、小学館の「学習まんが 少年少女日本の歴史」十四巻。この三ページ目は、いわゆる一揆の一シーンであります。

 一揆とは、今さら申し上げるまでもありませんが、高校の参考書、山川出版「詳説日本史B」などによれば、平安時代の末期から、寺院の僧兵や農村の百姓らが共同の行動をとろうとするときに、しばしば一味団結を神仏に誓った、その際、一味神水といって、神に誓った文書、起請文を神前で焼き、水にまぜて回し飲みをする、それによって一味による決定は神の意思であると確信し、通常では無理であると考えられるような問題の解決に向かって行動することができた。広く広がったのは鎌倉時代、それから戦国、江戸と一揆が続いたことは、もはや今さら述べるまでもございません。

 きょうの漫画で一部を紹介しておりますのは、一七六一年、上田騒動と呼ばれる長野県青木村の件でございます。

 この件にこだわりませんが、一揆には当然計画がある。漫画を見ても、ここでおじいさんが冒頭のせりふで、どうやら計画はうまく進んでいると。計画がございます。それから、そのちょっと下に行きますと、唐傘連判状、氏神様に誓ったと。一味神水ということをさっき申し上げましたが、誓いも立てた、それから実行に移していく。

 一揆というものは、この漫画も後に出てくるんですが、参加をしなければその家に帰りに火を放つ、それから、利益を上げている庄屋、そういったところにはその建物を壊しに行く。中には水や肥だめを建物にぶっかけて破壊するようなケースもある。その態様を見れば、二百七十七の別表三の中にそうしたものに該当する犯罪はある。

 そうしますと、私は余り考えたくもないんですが、この一揆というものはテロ等準備罪の例に当たるのではないか、そういう疑問を、残念ながら悲しくもそういう思いを持ちまして、きょう、その件についてコメントを伺いたいと思います。

林政府参考人 御指摘の一揆というものについて、これが今回のテロ等準備罪との関係でどのようになるかということにつきましては、やはり、具体的なその一揆というものを起こしたときの組織の構造の問題でありますとか、そもそも、その組織が継続的な結合体であると仮定いたしましたときに、その結合の目的が何であるかということ、そういったことが具体的な事案の中で検討されなければ、お答えすることは困難だと考えます。

井出委員 私も子供のころに読んだ漫画の本なので、専門家に聞くのも恥ずかしいですが。

 一揆には、当然、計画があります、誓いも立てます、道具の準備もします。この上田騒動に至っても、きょうは一ページしか持ってきませんでしたが、峠を越えて城下に出る役目、それから各地域、あっちの集落へ行け、こっちの集落へ行けと、役割分担もしている。

 そこで、一揆の目的というのは、言うまでもなく、生活に困窮した農民がその改善を求めて訴え出るものです。訴えが聞き入れられなければということで、建物を破壊したりするわけでございますが、計画それから準備行為、私は、この二つは、一般的に一揆というものはとりやすいと思う。

 それと、一番の問題は、恐らく刑事局長おっしゃった組織性だと思うんですが、その組織性の話も、これまでの答弁をしていれば、その時点において判断をすると。過去に犯罪をしたことがあるか、その回数は関係ない、その時点においてその組織が何を目的にしているかということは再三答弁をされてきた。

 ですから、一揆というものは、大変残念ですが、テロ等準備罪に当てはまってしまうのではないか。林さん、いかがですか。

林政府参考人 テロ等準備罪の認定はその当該計画の時点において判断するというのは、そのとおりでございます。

 その上で、その際に組織的犯罪集団というものが認定できるかということが一つの要件でございます。そして、組織的犯罪集団となりますと、これは、いっときの存在ではなくて継続的な結合体である必要がございます。その継続的な結合体である結合関係の基礎が、犯罪を実行することを目的とするということが認められなければなりません。

 その上でさらに、この継続的結合体というものの中に、犯罪実行という共同の目的を実現するための組織というものが存在しなくてはなりません。その組織というものは、指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って一体として行動する人の結合体ということをいいます。さらに、その組織というものは、組織によって犯罪実行の目的が反復して行われる、こういう組織構造が認められなきゃなりません。

 そういったこと、その計画の時点においてそれが認められるかどうかということを認定するということになります。

井出委員 これまでのやりとりの中で、前回、私が、一般の人とそうでない人、大臣は、組織犯罪集団にかかわるか、かかわらないか、そんなやりとりもありましたが、私は、そういう区分けは難しいんじゃないか、やめた方がいいんじゃないか、そういうことを申し上げました。その際、それでも、甚大な被害、高度な危険性、計画や準備、そういうものを見て、高度な危険性があるんだったら、やはり時間を前倒しにしてやらなきゃいけないんだと。

 この一揆の事例というものは、要求がかなって暴力沙汰にならなかったケースもあるのかもしれませんが、我々が教科書で学んできた一揆というものは、大体、そういう大きな騒動を起こして、それと引きかえに願いを遂げ、そしてまた首謀者は刑に服して死罪になる、そういうものを典型として学んできましたが、やはり、騒動、騒乱というものは、今議論されている高度な危険性の典型例になってしまうんじゃないですか。大臣、いかがでしょうか。

金田国務大臣 私どもの刑事局長の方から先ほど申し上げたとおりだと私も思っておりますが、なお、つけ加えれば、ただいまのこの資料として用意していただいたもの、これをベースにお尋ねの事件というのは過去の歴史上の出来事でありまして、その事実関係や歴史的な評価について、法務当局として、私ども当局ですからね、法務省としてお答えすべき立場にはありませんので、要件の該当性についてお答えすることは非常に難しい、このように考えております。

井出委員 一揆というものは、当時も犯罪とされ、厳しく罰せられました。そういう意味では、当時、地域を支配する人たちにとっては最重要の、その人たちの立場に立てば最も懸案事項になっていたのではないかと思います。そういう意味では、現代、今、テロ等準備罪だ、共謀罪だと、私は、大変残念なんですけれども、一揆というものがテロ等準備罪の対象になり得る典型例ではないか、そう思います。

 では、一揆というものは取り締まらなくてもいい、そういうお考えなんですか。

盛山副大臣 今、井出先生の御指摘でございますけれども、一揆が起こった時代背景と現在と、これをちょっと一緒に比較するのはうまくないんじゃないかなと私は思うんですね。

 農民というか住民にとって、時の権力者から弾圧されていて、そういう中で、やむにやまれず、生活の状況を改善するために訴える手段として行ったのが当時の一揆だろうと私は思います。

 ただ、今、少なくともこの日本の中で、法治国家というものが守られていると私どもは考えておりますので、そんな中で、いろいろな形のルールにのっとって、つまり、裁判ですとか、あるいは警察に話をして違法行為をやめてもらうだとか、そういうようなことなしに、こういうところが大変けしからぬからといって暴力行為その他をもって相手にそれを訴えかけるというのと、同じ次元で比較をすると、ちょっと間違っているんじゃないかなと私には思えるわけでございます。

 我々は、現在のこの法治国家の体制、これに対して逆らう、そういうような暴力その他の行為をする者に対して、今回、TOC条約を批准し、テロ等準備罪というのをそのためにつくって、諸外国とも連携をとり、そして、日本の中の、あるいはほかの国との、世界との関係でも安全、安心な世の中をつくっていくために資するものにしたいというのが私たちの気持ちでございます。

井出委員 一揆というものを例にとったときに、法治国家の中でというお話もありましたが、もう一つ、一揆に重ねて、法治国家という中で大臣にお尋ねをしたいのは、抵抗権という考え方ですね。抵抗権、一揆も抵抗権の形態の一つであると言われておりますが、抵抗権というものを金田大臣はどのように認識をされ、お認めになるのかどうか、見解を伺いたいと思います。

金田国務大臣 抵抗権、これは一般に、国家権力が人間の尊厳を侵す重大な不法を行った場合に、国民がみずからの権利、自由を守り人間の尊厳を確保するために、ほかに合法的な救済手段が不可能となったときに実定法上の義務を拒否する抵抗行為をいうものだと解されておりますし、憲法における講学上の概念である、このように承知をしておる次第であります。

井出委員 この法律にテロと、テロをこの法律にくっつけて大々的に宣伝をされている、テロを入れてもらわなければこの話はしなくて済んだんですが、やはり、テロが入ってくれば、抵抗権との兼ね合い、テロと抵抗権の違いというものについて御説明いただきたいと思います。

林政府参考人 抵抗権というのは、先ほど大臣からございましたように憲法における講学上の概念でありまして、この抵抗権というものが、さまざまな状況のもとで実定法上の義務を拒否するなどの抵抗行為というものを認めるか認めないか、こういったことの憲法における講学上の概念であろうかと思います。

 それで、テロとの関係と申されても、テロリズムというのは、一般には、特定の主義主張に基づき国家等にその受け入れ等を強要し、または社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいう、このように私どもは承知しておるわけでございますが、これが抵抗権との関係でどのようになるのかということについては、抵抗権自体が、先ほど申し上げた、その内容についてもさまざまな見解がございますので、一概にお答えすることは困難であろうかと思います。

 一方で、テロリズムというものを、特定の主義主張を国家等に受け入れを強要する、あるいは社会に恐怖等を与える目的、このことをいう、人の殺傷行為ということで考えますと、先ほどの抵抗権の中での一つの理解といたしましては、国家権力が人間の尊厳を侵す重大な不法を行った場合に、国民がみずからの権利、自由を守り人間の尊厳を確保するために、他に合法的な救済手段が不可能となったときに認められる権利だということとは、随分とテロリズムの定義とは距離があるかと考えておりますけれども。

井出委員 この一揆の例をとりましたのは、長野県の青木村というところは、現在、義民の里と言われております。圧制に屈せず声を上げる行動をするということを、その先人の思いをたたえております。

 副大臣は先ほど時代が違うというようなことをおっしゃいましたけれども、刑法というものは、私、前も申し上げましたが、明治十五年から旧刑法は始まっております。これだけ共謀罪がわっと広がるのは百三十五年間なかった。その間に日本が食うのに困った時代はあったと思いますし、これから百年、百三十五年間の間に日本が食うものに困らないとは言い切れない。

 そういう大きい話で考えてほしいと思いますし、大臣、私が申し上げたいのは、一揆も後世で義民としてたたえられている。もちろん、目の前にある脅威、だから当時、地域を治めている人たちがテロを取り締まる、そういう理屈も私は十分に理解をしているんです。だけれども、やはりその立法に当たって、組織犯罪にかかわりがあるかないか、一般の人かどうか、しかも、それはこの間やりましたけれども、副大臣とやりましたので大臣に伺いますけれども、白か黒かグレーか、運用というものは大変難しいんですよ。そういうことを考えたときに、私は、組織犯罪か、それと関係のない人です、一般の人は全然関係ありません、そういう言葉をやはり使ってほしくない、簡単に繰り返してほしくない、そういうことを強くきょう改めてお願いをしますが、答弁を求めます。

金田国務大臣 組織的犯罪集団と、組織的犯罪集団にかかわりのない人の違いに言及されたと思うんですが、テロ等準備罪は、その適用対象となる団体を組織的犯罪集団に限定しております。

 組織的犯罪集団は、組織的犯罪処罰法の団体のうち、一定の重大な犯罪等を行うことを結合関係の基礎としての共同の目的とするものをいうことでありますから、国内外の犯罪情勢等を考慮いたしますと、条文上例示しているテロリズム集団のほか、暴力団、麻薬密売組織など、違法行為を目的とする団体に限られることになるわけであります。

 このような限定によりまして、組織的犯罪集団とそれ以外の団体との区別というものはおのずと明らかであるというふうに考えております。

井出委員 全然おのずと明らかじゃないんですよ。全くおのずと明らかじゃない。

 では、具体的にどの集団がそういうものに該当するかという個別の事例は次回やりますが、一般の人とそうでない人、組織犯罪とかかわりのない人、そういうことを軽々に言うということは、前の議論で皆さんからも出ましたけれども、社会の敵を取り締まる法案ではないとおっしゃいましたけれども、一般の方とそうでない方とか、あと、きょう総理に質問する機会はありませんでしたけれども、総理はかつて、そういう集団を一網打尽にできるとまで言い切った、そういう感覚でこういう重要な法律を検討していいのか。その大前提の今の政府の意識に私は大きな疑問を持っております。

 この問題を、また次回、別の具体例をもってお話しさせていただきたいと思いますので、大臣の方にも答弁に臨む一層の努力を求めて、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。

 まず冒頭に委員長にお尋ねをいたしますが、きょうこの委員会の冒頭で、政府参考人招致をめぐって与野党の合意がない、そういう中で、委員長の方から、職権でという言い方が正しいのかどうかわかりませんけれども、半ば強行的に政府参考人を、刑事局長を呼ぶということの提案があり、起立採決が行われたわけであります。

 私どもは、この与野党の合意がない中での採決そのものに反対をさせていただきまして強く抗議をいたしましたが、委員長にぜひお答えをいただきたいのでありますが、今回のこのようなケース、これは今までの国会運営の中であったことなんでしょうか。委員部に確認された上で、もしおわかりになれば御答弁いただきたいと思います。

鈴木委員長 なかったと承知しております。

逢坂委員 これまで、私も国会に何年か籍を置く者として、こんなことは本当に初めてなんですよ。そして、やはり質疑する側がこの方に答えていただきたいというふうに言っているのがこれまでの通例であります。それをあえてたがえて、こういうことをする。しかも、我々は政府参考人の答弁を否定しているわけではありません。先ほどの枝野委員の質疑を見ていただいても、細目にわたってはそういうふうにやるんだということを言っているわけであります。

 したがいまして、今後このようなことが絶対にないように、委員長にはお願いを申し上げたいと思います。冒頭、そのことを、強く抗議とともにお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 金田大臣、私は、これまでの質疑の中でも余りぎりぎり最後詰めるようなことはしていなかったというふうに、いや、大臣にしてみると、そうじゃない、随分厳しかったなと思われているかもしれませんが、最後いつも、ではそこはこの程度にとどめて、次回また聞きますというような言い方をしているケースが多かったのではないかというふうに思っております。その意味で、多分、委員長から、それは政府参考人を呼んでということは、私の質疑に対しては余りなかったような記憶をしているわけであります。したがいまして、きょうも、私は大くくりなところを大臣から話を聞かせていただきたいと思っています。

 それから、外務省に対しては、この間、政務官にもぎりぎり、多少ぎりぎりやらせていただきましたけれども、きょうは政府参考人にもお越しいただいて、条約の中身についても若干聞きたいと思っておりますので、政府参考人の方にもよろしくお願いしたいと思います。

 それでまず、大臣、改めての確認なんですが、初歩的な確認なんですが、これはレッテル張りだとか何だとかかんだとかといろいろなところで言ったり、イメージ作戦だとかと言ったりしているわけでありますけれども、私は、今回のこの共謀罪、政府が言うところのテロ等準備罪でありますけれども、これも繰り返し言っていることですが、ことしの一月の官房長官の記者会見、あるいは総理がそのほかの場で言ったこと、今度のテロ等準備罪というのは今までのものと全く違うんだ、そして一般の方々は対象にならないんだ、こういう幾つかの場での発言、これに非常に強い問題意識を持って、正式に閣議決定する前から、この問題をやはり取り扱わざるを得ないということでやらせていただいているわけであります。

 そこで、改めての確認でありますけれども、これは先般も答弁いただきましたが、もう一回はっきりと明言をいただきたいわけであります。

 今回の法案の中に、法文上、テロ集団等の言葉がある、だけれども、これは単なる例示でしかない、だからこの言葉には定義がないんだ、そしてさらに加えて、この例示であるテロ集団等という言葉を削除したとしても、この法律が決める対象犯罪の範囲や量刑等が変化するものではないということで、大臣、よろしいですね。

金田国務大臣 ただいまの逢坂委員の御質問にお答えをいたします。

 改正後の組織的犯罪処罰法第六条の二の「テロリズム集団その他の」は、組織的犯罪集団の例示であります。いかなる団体が組織的犯罪集団に該当するのかをよりわかりやすくするためのものであります。したがいまして、そのように理解をしてもらいたい、このように思っております。

逢坂委員 そのように理解をしてもらいたいというのは、私が言ったとおりの理解でよいという意味でしょうか。そのようにの理解とはどういう意味でしょうか。

 私は、単なる例示であるから、法文上テロ集団等の言葉があるけれども、これも単なる例示であり、定義もない、仮にこの文言を削除しても対象犯罪の範囲や量刑等が変化するものではないという理解でよろしいですねと聞いたんです。

金田国務大臣 改正後の組織的犯罪処罰法第六条の二の「テロリズム集団その他の」というのは、組織的犯罪集団の例示となります。これがある場合とない場合とで犯罪の成立範囲が異なることはありませんが、いかなる集団が組織的犯罪集団に該当するのかをよりわかりやすくし、本罪の対象を明確にして、一般の方々がテロ等準備罪の対象とならないことを明確にするものであって、そのような観点から、「テロリズム集団その他の」という文言は必要であると考えております。

逢坂委員 文言が必要であるかどうか、どの例示を出すかは、それはまたいろいろ価値判断が分かれるところだと思いますけれども、いずれにしても対象となる犯罪の範囲は変わらない、この言葉を抜いても変わらないんだということを改めて確認させていただきました。

 よく組織的犯罪集団の例として、テロリズム集団とあわせて暴力団という言葉が出てまいりますけれども、大臣、この場合はいかがですか。仮にテロリズム集団等という言葉を削除して、暴力団その他の組織的犯罪集団というふうに例示を変える、暴力団というふうに例示を変える、その場合も犯罪対象範囲は変わりませんね。

井野大臣政務官 変わらないと思います。

逢坂委員 まず一点、私が申し上げたいのは、やはり国民の皆様は、テロだテロだと言えば、それは大変だな、テロを防がなきゃいけないな、そういう気持ちになるのは、私自身も一緒ですよ。だけれども、今回の法律の目的が、この間ずっとあるように、テロを防ぐためなんだ、テロを防ぐためなんだと言っているけれども、法文上はこれは単なる例示にすぎない。確かに、組織的犯罪集団の一つの例示ではあるでしょう。だがしかし、この法律の本質をあらわしているものではないということをこれは明確にしておかなければいけないというふうに思います。

 そこで、私はきょうこの言葉にこだわりたいと思うんですが、今回の新しい共謀罪が、一般の方は対象にならない、こう言い切っているわけであります。この理由を私はこれまでも何度も尋ねてまいりましたけれども、どうもよくわからない。

 まず一つ、大臣、一般の方はというのはどういう定義ですか。この間、井出委員のときもおっしゃっておられたようでありますけれども。

井野大臣政務官 以前、大臣が井出委員に御答弁したとおり、組織的犯罪集団とはかかわりない方々を一般の方というふうに考えております。

逢坂委員 組織的犯罪集団にかかわりのない方が一般の方であるということで、大臣、よろしいですね、今、井出政務官が答弁いたしましたけれども。

金田国務大臣 同じように考えております。

 組織的犯罪集団というのは、組織的犯罪処罰法の団体のうち、一定の重大な犯罪等を行うことを結合関係の基礎としての共同の目的とするものをいうということでございます。国内外の犯罪情勢等を考慮すれば、条文上例示しておりますテロリズム集団のほか、暴力団、麻薬密売組織など、違法行為を目的とする団体に限られることになります。

 したがいまして、先ほど申し上げたとおりであります。

逢坂委員 先ほど、井出、井野、名前を取り違えて本当に申しわけございません。

 組織的犯罪集団とはかかわりのない方々、それを一般の方々というふうにいうと。我が党の井出委員は、そういう言葉は使わない方がいいのになという言い方をしておるわけですが、ただ、そこを否定してしまいますと、今回、政府が出してきたテロ等準備罪、一般の方々は対象にならないんだという言葉そのものがもう全部消えてなくなってしまいますので、多分、この言葉は皆さんはやめるわけにはいかないんだというふうに思っております。

 そこで次にお伺いしますけれども、今回、組織的犯罪集団ということについて、先日、これは四月十四日の國重委員に対する林政府参考人の答弁の中にこういう言葉があります。

 「組織的犯罪集団というものが今回新たに定義されておりますが、これはテロ等準備罪の要件の一つでございまして、組織的犯罪集団であること自体が犯罪であるわけではございません」、「テロ等準備罪の嫌疑が生じていない段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否か、こういったことが捜査の対象となることはないと考えております。」。

 要するに、嫌疑が生じていなければ、組織的犯罪集団であっても捜査の対象にはならないというふうに言っているわけであります。

 これは、大臣、よろしいでしょうか。

井野大臣政務官 捜査というのは、当然、犯罪嫌疑があった上で行われるものでございますので、テロ等準備罪の成立がない、ないというか、そういう嫌疑がない段階では捜査を行うことはないというふうに思っています。

 他方で、警察というのはさまざまな活動をやっておりますので、行政警察活動だとか、そういった活動自体は犯罪の嫌疑がなくても行える場合もあるというふうに承知しております。

逢坂委員 ということであれば、嫌疑が生ずればこれは捜査をするんだということですね。組織的犯罪集団であるか否かの嫌疑が生ずれば、特にテロ等準備罪の嫌疑が生じる、そうしたら、その団体が組織的犯罪集団になるか否か、それをやっと捜査するんだという順番ですよね。

 テロ等準備罪の嫌疑が生ずる、そうして、その団体が組織的犯罪集団であるか否かをやっと捜査をするという意味でよろしいわけですよね、順番としては。

井野大臣政務官 捜査の順番等は、当然、それぞれ個別的な事情に応じますので、どれが先にかどうかは、ちょっと、現場現場のというか、個別具体的な事情によるということでございますので、絶対それが先だ、テロ等準備罪の、例えば実行準備行為ですか、実行準備行為が行われないとテロ等準備罪が成立しないわけでございますけれども、まあ、いろいろな捜査の段階で、とにかく、絶対それが先にあるとか、これが後だとか、そういう関係にはないというふうに思います。

逢坂委員 絶対どれが先だとか後だとかという要件はないというふうに言っていますが、これは事実ですよね、テロ等準備罪の嫌疑が生じていない段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否か、こういったことが捜査の対象となることはない。これは事実でいいですよね、林刑事局長、答弁しているわけだから。

林政府参考人 委員の御指摘のとおりでございまして、組織的犯罪集団が今回主体であり、かつ、その計画があり、また実行準備行為があるということをもって犯罪が成立するわけでございます。

 そういった犯罪の嫌疑があること、これが捜査が開始される要件でございますので、例えば、ある団体が組織的犯罪集団になるかどうかということ、そのことだけを捜査するということはないということでございます。

逢坂委員 そこで、これは大臣に前御答弁いただいて、そのまま答えが出ない状況になっているんですが、今回の共謀罪は、いわゆる計画、以前で言う共謀、プラス、条約で言うところの共謀を推進する行為、法律で言うところの実行準備行為、この二つが処罰の要件であると。これは、私は説明を聞いて、ああ、そういう決めにしたんだなということは理解をするわけであります。

 ただ、処罰はこの二つがそろわなければいけませんけれども、捜査はどの時点で開始をするんですかということを前にお伺いしたことがありました。計画だけで捜査をするんですか、あるいは実行準備行為が入って捜査ができるんですかということを言ったわけでありますけれども、この点について、大臣、以前に御答弁なさったことを覚えておられますでしょうか。いかがですか。そのときの答弁をもう一回言っていただければと思います。

金田国務大臣 お答えします。

 捜査は個別具体的な事実関係のもとで行われるものであり、その開始時期について一概にお答えすることは困難でありますが、テロ等準備罪につきましても、他の犯罪の捜査と同様に、捜査機関が犯罪の嫌疑があると認めた場合に初めて捜査を開始することができるということであります。

逢坂委員 それでは、犯罪の嫌疑というのはどの段階で生ずるのか。これについても私はそのとき質問したような気がするんですが、計画段階で生ずるのか、あるいは実行準備段階で生ずるのか、あるいは、個別事例によって違うから、どこの時点で嫌疑が生ずるかは具体的にはこの段階では言えないということなのか、それはいかがでしょうか。

林政府参考人 基本的に、犯罪の嫌疑が生じたとき、このときに捜査が行われるわけでございます。

 犯罪の嫌疑というのは、例えば、常に捜査というものはリアルタイムに全ての事象を把握しているわけではございません。したがいまして、組織的犯罪集団が計画を行い、そして実行準備行為を行った、こういった過去の事実について、これが何らかの情報で、あるいは資料を端緒にしてその嫌疑ありと考えて捜査が行われることがございます。

逢坂委員 平たく、国民の皆様にわかりやすく言えば、計画段階であろうが実行準備段階であろうが、どの時点で嫌疑が生じてどの時点で捜査が行われるのかは、それは個別、ケース・バイ・ケースだということで、大臣、よろしいですよね。

金田国務大臣 よろしいかと思います。

逢坂委員 大臣、これぐらいのことは、横を向いて確認しないで、大臣みずからお答えいただければと思うのでありますけれども。今目くばせで確認をしておりましたけれども、大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、さっきの話に戻るわけであります。

 大臣は、一般の方々というのは、組織的犯罪集団とはかかわりのない方々を一般の方々というふうに言っておられました。片や一方で、テロ等準備罪の嫌疑が生じない段階では、組織的犯罪集団になるか否か、こういうことが捜査の対象になることはないというふうに言っているわけであります。この二つをつなぎ合わせると何が生まれるのかなということなんであります。

 テロ等準備罪の嫌疑が生ずる、生じた段階で初めて、先ほどの林刑事局長の答弁によれば、組織的犯罪集団になるか否かを判断するために捜査をするわけであります。

 となると、この時点では、テロ等準備罪の嫌疑が生じた段階では、先ほどの林刑事局長の答弁によれば、この段階では組織的犯罪集団ではないというふうに私には思えるんですよ。大臣、これはいかがですか。

盛山副大臣 その段階ではグレーになる、こういうことだと思いますね。

 つまり、私たちが言う一般の方、組織的犯罪集団に属している方が黒だとして、それ以外の方が白ですよね。ただ、何らかちょっと嫌疑が少し出てきたというところでグレーになって、そしてそれが本当に組織的犯罪集団に当たるかどうかをそこから検討する、こういうことになると考えております。

逢坂委員 大臣、今、副大臣は非常に上手な答弁をして、グレーになるんだという言い方をしましたけれども、大臣の答弁では、組織的犯罪集団とかかわりのない、そういう方々は一般の方々として受けとめてよろしいというふうに言っておられる。でも、テロ等準備罪の嫌疑が生じた段階で、その団体が組織的犯罪集団であるか否か、嫌疑が生じた段階で初めて捜査を始めるわけですから、捜査の手は、大臣の言うところの一般の人々に及ぶのではないですか。

金田国務大臣 嫌疑がなければその捜査が行われることはないということは何度も申し上げております。したがって、捜査が行われるときに嫌疑が存在するということでございますから、一般の方々にそれが及ぶという考え方ではないと思っております。

逢坂委員 大臣、御自身の発言を冷静に整理していただきたいんですが、テロ等準備罪の嫌疑、我々の言うところの共謀罪の嫌疑が出る、嫌疑が発生する。嫌疑が発生して初めて、当該団体が組織的犯罪集団であるか否か、この捜査が始まる。嫌疑が生じない段階では捜査はしないと林刑事局長は明言している。嫌疑が発生して初めて組織的犯罪集団であるか否かを捜査するんですよ。大臣の話によれば、組織的犯罪集団にかかわりのない人が一般の人々なんですよ。そうなればどういうことになるんですか。一般の人々を捜査しなければ、当該団体が組織的犯罪集団であるかどうかわからないということじゃないですか。違うんですか。

金田国務大臣 私が申し上げましたのは、テロ等準備罪の嫌疑があって初めて捜査が行われるということでありますから、組織的犯罪集団とはかかわりのない人を対象として捜査が行われることはない、このように申し上げたつもりであります。

逢坂委員 組織的犯罪集団であるか否か、これを捜査するのは嫌疑が生じて初めてなんですよ。嫌疑が生じた段階では、当該組織が組織的犯罪集団であるかどうかはわからない。それが組織的犯罪集団であるかどうかわからないところにかかわっている人を捜査しなければ、それが組織的犯罪集団であるかどうかがわからないということじゃないですか。だから私、何度も何度も確認しているんですよ、大臣の言っていることを。組織的犯罪集団とはかかわりのない、そういう方々は一般の方々として受けとめてよろしいと言っている。でも、捜査の手が一般の方々に及ばなかったら、これは組織的犯罪集団かどうかわからないじゃないですか。

金田国務大臣 私が申し上げておりますのは、組織的犯罪集団が関与していることについての嫌疑が必要であるということであります。

盛山副大臣 多分、ちょっとやりとりがうまくないのは、捜査というのが、捜査令状をとっての捜査というものと、それから、グレー、私さっきグレーと言いましたけれども、そういうときに、その人たちが本当に組織的犯罪集団かどうかということを捜査令状の前に調べる、そこで捜査という言葉のニュアンスがちょっと違うんじゃないかな、そんなふうに思います。

 我々が申し上げているのは、そういう点では、グレー、私が言うグレーの人に対して、その人が黒かどうか、これを我々が判断するためそういった捜査を行うことはありますけれども、それは、真っ白である限りいわゆる捜査はしない、そういうことでございます。

逢坂委員 真っ白だったら捜査はしないって、何か全く意味がわからないんですよ。真っ白かどうかは捜査しなきゃわからないんです。(発言する者あり)

鈴木委員長 静粛に願います。

逢坂委員 笑い声が出るぐらい、今の答弁はおかしいですよ。

鈴木委員長 金田法務大臣。

逢坂委員 いや、まだ何も質問していません。

 そこで、私はもう一つ伺いたいんです。この問題はちょっと脇へ、一旦置かせていただきます。

 一般の方々は対象にならない。対象にならないというのは、これはどういう意味なんでしょうか。

林政府参考人 テロ等準備罪は、組織的犯罪集団が関与する一定の重大犯罪の計画行為に加えて実行準備行為が行われた場合に成立するものでございます。

 テロ等準備罪の対象とならないという意味は、文字どおり、テロ等準備罪が適用される対象である団体には当たらないということでございます。

逢坂委員 要するに、林刑事局長、せっかく御答弁いただきましたので、重ねての確認でありますけれども、処罰の対象にならない、そういう理解でよろしいですか。

林政府参考人 テロ等準備罪は、もちろん刑事の実体法でございます。それは、どういう場合に処罰されるかということを定めている刑事の実体法でございます。

 したがいまして、こういった対象とならないというのは、テロ等準備罪が適用される対象である団体に当たらないということは、それは処罰の対象とならないということでございます。

逢坂委員 一般の方々は処罰の対象にはならない、これは多分、大臣の定義からいってもそうなんだと思います。組織的犯罪集団に関係のない方々は処罰の対象にはならない、私は、それはそれでいいのだろうという気がしています、もう少し整理はしますけれども。

 ただ、私が指摘したいのは、処罰の対象ではないんですよ、捜査の対象にどこでなるかなんですよ。

 これは、これまで繰り返し政府が言っているのは、処罰の対象にはならない、処罰の対象にはならないと繰り返して言っているんですけれども、捜査の対象になるだけで、実はこの共謀罪という罪は非常に複雑な要素を生んでくると私は思うんですよ。

 一般の方々は捜査の対象になり得る、その余地があるということで、大臣、いかがですか。

林政府参考人 先ほど申し上げたように、これは刑事の実体法でございますので、処罰の対象あるいは処罰の範囲を定めるものでございます。これが、捜査の段階におきましては、捜査機関によって、犯罪の嫌疑があるかないかということが具体的に集められた資料に基づいて判断されるわけでございます。

 したがいまして、処罰の対象を定めるこの刑事実体法の範囲というものは、当然、捜査機関においてそれを前提に捜査が行われるということでございます。

逢坂委員 林刑事局長、今の答弁は私はわかりますよ、だけれども、私が言ったのは、いわゆる組織的犯罪集団に関係のない方々が捜査の対象になり得るという可能性はただの一%もないということですか、そうじゃないですよね。

 組織的犯罪集団に関係のない方々が、嫌疑の状況やいろいろな事案の状況に応じて、場合によっては捜査の対象になり得るということでよろしいですか。

林政府参考人 捜査というものは、犯罪についての犯人を確保する、あるいはそのための証拠を収集する、犯罪を前提としておるわけでございます。

 したがいまして、組織的犯罪集団であること自体が犯罪ではございませんので、まず最初に申し上げたように、一般の団体が組織的犯罪集団になるかどうか、こういったことは捜査の対象ではございません。

 そういった意味において、一般の団体、組織的犯罪集団に当たらない団体、これらがその捜査の対象となることはないということでございます。それだけで捜査の対象となるわけではないということであります。

逢坂委員 それでは、もう少し。

 これは、先ほどの林刑事局長の、前の答弁でありますけれども、テロ等準備罪の嫌疑が生じていない段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否か、こういったことが捜査の対象となることはないというふうに答弁をしている。ということは、この答弁を裏返せば、テロ等準備罪の嫌疑が生じた段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否か捜査の対象になる、こう読めるのではないですか。

林政府参考人 犯罪の嫌疑と言う場合に、組織的犯罪集団の存在、それから計画の存在、それから実行準備行為の存在、こういったことが合わさって犯罪の嫌疑があるわけでございます。そのときの、犯罪の嫌疑がある場合の捜査の対象事実は、今言った、大きく分ければ三つの要件、これについて当然捜査を行うということになります。

逢坂委員 だから、大臣、今の林刑事局長の答弁をよく聞いておいていただきたかったんですが、テロ等準備罪の嫌疑が生じなければ組織的犯罪集団になるか否かは捜査しないんですよ。テロ等準備罪の嫌疑が出て初めて組織的犯罪集団になるか否かの捜査をするんですよ。そして、捜査の段階ではまだ、組織的犯罪集団、白か黒かわからないんですよ。白か黒かわからないということは、組織的犯罪集団とかかわりのない方々が、一般の方々と大臣が言っている人が、当該嫌疑がかけられている団体になる可能性があるんですよ。ということは、一般の方々が捜査の対象になる可能性は否定できない、そういうことじゃないですか。(発言する者あり)

金田国務大臣 捜査については犯罪の嫌疑がある場合に開始されるものであるということは申し上げたとおりでありますし、この点はテロ等準備罪においても同様であります。

 テロ等準備罪は、対象となる団体を組織的犯罪集団に限定し、一定の重大な犯罪、別表第四に掲げてある犯罪を遂行することを計画することに加えて実行準備行為が行われた場合に成立するものであります。

 したがいまして、テロ等準備罪の嫌疑があると認めるためには、組織的犯罪集団が関与していることについての嫌疑が必要となってまいります。

 そして、国内外の犯罪情勢等に照らせば、組織的犯罪集団と言えるのは、テロリズム集団、暴力団、薬物密売組織等に限られるわけでございまして、犯罪の計画をしたことについて嫌疑があったとしても、そのような組織的犯罪集団が関与していることについての嫌疑がなければ、テロ等準備罪について捜査が行われることはないということであります。

逢坂委員 たくさんおっしゃっていただきましたけれども、まず一つ、きょう明らかになったのは、一般の方々が対象にならない、今度の新しい共謀罪、対象にならないと言っているのは、犯罪の対象にならないというふうに言っている、このことは明確になったと思います。

 やじで、そんなの当たり前だろう、そんなものは全ての犯罪がそうだと。当たり前なんですよ。だから、政府がこれまで声高に言っていたことは、単に当たり前のことを言っていただけなんですよ。殺人を犯さない者は殺人罪の対象にならないと言っているに等しいんですよ。これは、私は誤った印象を国民に振りまいていると思いますよ。(発言する者あり)

鈴木委員長 御静粛に願います。

逢坂委員 それからもう一つ。先ほど刑事局長からも答弁ありましたとおり、テロ等準備罪の嫌疑が生じなければ、これは当該団体が組織的犯罪集団であるかどうかは捜査はしないと明言しているわけですよ。その段階では当該団体が組織的犯罪集団であるかどうかはわからないわけですよ。だから、大臣の言う意味での、組織的犯罪集団にかかわらない人々が一般の方々という定義でいうならば、嫌疑が生じた段階での当該団体は、そこにかかわっている人は一般の方々なんですよ。

 大臣、よく考えてみてください。この可能性がただの一%でもないと、要するに、大臣が言うところの一般の方々を捜査の対象にしない、犯罪の対象にならないのはそれはもう明確ですよ、だけれども、組織的犯罪集団にかかわりのない一般の方々は捜査の対象にならないと、それじゃ、大臣、そう言い切れますか、逆に。

金田国務大臣 組織的犯罪集団とかかわりがないのであれば、組織的犯罪集団の構成員であるとの疑いが生じることはないわけでありまして、捜査の対象とはならないものと考えております。

逢坂委員 ちょっと、大臣、もう一回言っていただけますか。大変恐縮です、もう一回。

金田国務大臣 組織的犯罪集団とかかわりがないのであれば、組織的犯罪集団の構成員であるとの疑いが生じることはなく、捜査の対象とはならないものと考えております。

逢坂委員 最後に、大きくそごを生ずる答弁だったというふうに思うんですが、であるならば、林刑事局長の、テロ等準備罪の嫌疑が生じていない段階で、ある団体が組織的犯罪集団になるか否か、こういったことが捜査の対象となることはない、この答弁と大きく私はそごがあるような気がするんですが、もう時間が来ましたので、きょうはこの問題はこれでやめますけれども、少なくともきょうここで明らかになったのは、一般の方々は対象にならないと言っているのは罪の対象にならないと言っているにすぎない、捜査の対象になる可能性は全く今の段階では否定できないということだと思います。

 それで、最後、済みません、政務官、来ていただいて。

 政務官にお越しいただいたのは、政務官は、この間、条約の基準、二百七十七の法律を読むときの基準、これはどういう基準なのかというふうに言ったところ、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定されるか否かという基準で行うものでありますというふうにおっしゃったんですね。それで、これは条約の根拠はどこにありますかということだけを、せっかく来ていただきましたので、事実だけ教えてください。

武井大臣政務官 お答えいたします。

 計画がされることが現実に想定されるものというところでございますが、これは、国際組織犯罪防止条約の第五条の1の、組織的犯罪集団が関与する、また重大な犯罪というものの規定を踏まえたものであります。同条では、重大な犯罪の合意の犯罪化というものにつきまして、国内法におきまして、組織的犯罪集団が関与するということを要件とすることが認められているわけであります。

 この組織的犯罪集団が関与するものの要件を国内法で付した場合は、犯罪化が義務づけられる合意の対象というものが組織的犯罪集団が関与する重大な犯罪ということになるわけでございますので、本条約の義務を履行するには、組織的犯罪集団が関与することが現実的に想定される重大な犯罪の全てを重大な犯罪の合意罪の対象にする必要があるというふうに考えておるところでございます。

逢坂委員 時間になりましたので、これで終わりますけれども、武井政務官、本当に申しわけございませんでした。今度また十分にやらせていただきたいと思います。

 終わります。

鈴木委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 私は、日本共産党の藤野保史です。

 まず、本日の理事会冒頭で鈴木委員長の発議によりまして、政府参考人の出席を与党の賛成多数で一方的に決定いたしました。これは前代未聞のことだと先ほどお話がありました。先ほどは前例がないということですが、ちょっと確認したいんですが、この法務委員会だけでなく、国会全体としてもこうしたことはなかった、委員長、こういうことでよろしいですか。

鈴木委員長 なかったと承知しております。

藤野委員 まさにこれは前代未聞なんですね。憲政史上始まって以来の異常事態だ。一九九九年に国会法が改正をされまして、政府委員制度が廃止をされました。これは我が党は反対したわけですけれども、ここにその議事録も持ってまいりました。政府委員制度が廃止されて現在の政府参考人制度になって以来、多数決で参考人の出席を決めたのはまさに初めてだったということであります。

 この法改正は、政治家同士の議論を活性化するということで、内閣法制局長官ら五人の政府特別参考人以外の政府職員の国会出席は原則認めない。原則認めないということであります。

 衆議院規則四十五条の二にはこう書いてあります。「委員会が審査又は調査を行うときは、政府に対する委員の質疑は、国務大臣又は内閣官房副長官、副大臣若しくは大臣政務官に対して行う。」これが原則であります。そして、この例外として、第四十五条の三で、委員会は、前条の規定にかかわらず、行政に関する細目的または技術的事項について審査または調査を行う場合において、必要があると認めるときは、政府参考人の出席を求め、その説明を聞く、こうなっているわけです。

 まさにこの原則と例外のもとで、例外として政府職員の出席が認められるのは、質疑者の要求、求めがあったときであります。ですから、今までも、質疑者の要求に基づいて、質疑者の要求があったときに政府職員の出席を求める運営が九九年以降やられてきたわけであります。

 質問者が求めてもいないときに政府参考人の出席を決める、委員長、これはこの規則に反するんじゃないですか。

鈴木委員長 四十五条の三は、委員会の決定でございます。

藤野委員 私は委員部にお聞きしておりますし、今申し上げたのは、具体的な解釈というのはないわけですね。委員会前の理事会において、この間ずっと、要求があったときに、政府参考人を理事会で了承を得たという形で慣例が続いてきたということであります。

 そもそも、委員会が決めたとおっしゃいましたが、「求め、」という文言が規則にあるわけですけれども、今回の刑事局長の出席は誰が求めたんですか。それは私は求めておりません。民進党は求めていないわけです。これは誰が求めたんですか、委員長。

鈴木委員長 委員会の多数決です。

藤野委員 これは本当に、そういうやり方自身が私は規則に反するものだというふうに思います。そして、今までの長年の慣例にも反している。

 そもそも、刑事局長に、委員会としてどういう事項についての説明を求めて出席を求めたんですか。

鈴木委員長 細目的、技術的事項についてでございます。

藤野委員 これも本当に、私たちは全く納得していないということであります。

 理事会で配られたつづりの別紙二という出席者等を見ますと、初めのものには、私のところには、政府参考人は何の印もないわけです。ところが、後で配られたものには、勝手に、私のところに、刑事局長のところに丸がついている。こんなことが許されるのか。私は、私の質問に手を突っ込まれたような、本当に強い怒りを感じております。私は決してこのことは忘れないというふうに思います。強く抗議したいと思うんですね。

 これは、委員会の運営の基本中の基本だと思います。今後の審議にもかかわる大問題だというふうに思うわけですね。ですから、そうしたことをきちんと説明し、全体の納得を得ることなく審議を続けることなど、これはできないと思うんですけれども、委員長、いかがですか。

鈴木委員長 委員の意向を配慮しながら議事整理権を使っております。

藤野委員 いや、全く意向は聞かれておりません。

 朝、突然発議され、すぐに委員会で一方的に採決をされる、こんな委員会をやられたら、国会が国会でなくなってしまう。これが、法務委員会の先例が全委員会に広がったらどうするんですか、委員長。こんなのは続けられないですよ。いかがですか。

鈴木委員長 指名においては、委員の意向を配慮しながら指名しております。

藤野委員 指名ではありません。委員会をどう運営していくのか、理事会で、あるいは委員会で、根本にかかわる問題です。

 朝、一方的に通告し、提起、発議をし、それを強行に採決する、これは、委員会運営の土台、基盤にかかわる問題です。

 私は、委員会を休憩にして、きちんと整理すべきだと思います。いかがですか、委員長。

鈴木委員長 これまで、再三再四、政府参考人の出席要請を、そうした要求をお願いしましたが、一切なかったです。そうした中で、細目の質疑に当たりましたので、今回は、いわゆる充実した審議のために政府参考人が必要と判断をして、委員会で決議しました。

藤野委員 いや、野党は、細目にわたる場合にはきちんと政府参考人を要求しております。私も、きょう、原子力規制庁にも来ていただいております。

 問題は、要求がないにもかかわらず、一律に、こういう形で、質問権にかかわるような形で、手を突っ込むような形で委員会を運営していいのかということなんです。

 委員長、こんなことが許されるんですか。

鈴木委員長 質問権は封じておりません。

藤野委員 これは、憲法六十三条にもかかわる問題だと思います。

 国会が国会である、その大前提として、委員会をしっかり運営していく大前提として、こういうやり方は絶対に許されない。私は、休憩すべきだと思うんですが、いかがですか。休憩して整理すべきです。

鈴木委員長 しっかり理事会で協議します。

藤野委員 この憲政史上例がない極めて異常なやり方というのは絶対に容認できないということを指摘したいと思います。

 こんな異常なことをやらなければこの法案を審議することができない、金田大臣がまともに答弁できないということを、与党みずからも態度で示したということでもある。

 いずれにしろ、こうした委員会運営は絶対に許されないということを強く指摘したいというふうに思います。

 その上で質問に入りますが……(発言する者あり)

鈴木委員長 御静粛に願います。

 続けてください。

藤野委員 共謀罪の質疑というのは、まさにきょう実質審議入り、初めてなわけですが、初めからこういうやり方で強行してくるということを本当にやるべきじゃないというふうに思います。

 私は、今回の質疑では、先ほど来問題になっております警察の捜査、あるいは犯罪の嫌疑がない前の段階の問題について質問したいと思っております。

 なぜなら、我が国の刑法学界の中心を担っていらっしゃる百六十一名の刑事法学者がことし二月に反対声明を出されているんですが、その中でこうおっしゃっています。共謀罪の新設による捜査権限の前倒しは、捜査の公正性に対するさらに強い懸念を生みます、極めて広い範囲にわたって調査権限が濫用されるおそれがあります、こう指摘をされています。私も、この指摘どおり、共謀罪法案というのは警察の捜査活動を大幅に前倒しするものだと思っております。それが私たちの暮らしにどういう影響を与えるのか。

 この間、私は、大垣署の市民監視事件を聞いてまいりました。きょうも、午前中も総理にもお聞きをしましたが、それはなぜかといいますと、それは、この事件が、共謀罪が普通の市民に何をもたらすのか、その先行事例だと言われているからであります。

 改めて事件の概要を紹介させていただきますと、二〇一三年から一四年にかけて、大垣署警備課が、大垣市で計画されていた風力発電事業に関する勉強会などを開いていた住民たちの思想信条、学歴、病歴、病状など、通常では知り得ない情報を相当長期間にわたって収集し、その情報を当該事業を進めていた中部電力の子会社シーテック社にたびたび提供していたという問題です。

 先日、十四日の当委員会では、配付させていただいている資料の3という資料を紹介したわけですが、きょうはそれ以外の会合、先日は第一回目の会合だったんですが、第二回、第三回、第四回の会合も行われておりますので、それについて質問したいと思います。

 配付資料の4というのを見ていただきますと、これは第二回目の会合、二〇一四年三月四日のものであります。

 時間の関係もありますので、もう一枚めくっていただきますと、「今後の進め方について」という項目がありまして、警察からこういう提案がされております。三角は警察なんです。「上石津町役場と相談しながら、具体的な進め方を相談されたらいかがでしょうか。」警察から、役場と相談して、今後の進め方を相談したらどうだ、こういう提案をしているわけですね。

 それに対してシーテック社は何と言っているか。丸がシーテックなんですが、「法アセスの準備書は上鍛治屋地区を除き順次進める。交渉可能地区や役場等から話を進め、周囲を固めることにより上鍛治屋地区を孤立化させる。周りの地区から、「なぜ賛成できないか」の声が上がるよう仕向けたい。」こう言っているわけですね。

 警察から、今後の進め方を役場と相談したらどうかと言ったら、シーテック社は、役場とも相談して当該地区を孤立化させる、そう仕向ける、こう言っているわけですね。本当に驚くべき状態であります。こんなことは許されない。

 警察庁は、十四日の審議で、私への答弁で、この活動は警察法と岐阜県個人情報保護条例の規定にのっとり適正に行われていると答弁をいたしました。

 そこで、見ていきたいんですが、警察法二条には何と書いてあるか。警察の責務として、警察は、犯罪の予防、捜査、その他公共の安全と秩序の維持に当たる、その責務の遂行に当たっては、不偏不党かつ公正中立を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあってはならない、こう規定しております。

 警察庁に聞きたいんですが、先日は第一回目のところで紹介しましたけれども、大々的な市民運動に展開すると御社の事業も進まないことになる、それは大垣署としても回避したい行為だと言ったり、今回の第二回目の会合では、具体的な進め方を協議したらどうだと言って、孤立化させると。そして、その後、シーテック社は、今後も地元交渉を精力的に継続する予定である、大垣署からいただける情報があれば連絡をお願いしたい、それに対して警察は了解したと。この対応は、明らかに中部電力子会社の側に立っている。これの一体どこが不偏不党なんですか、公正中立なんですか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 シーテック作成に係る議事録なるものについては、報道等によりその概要は承知しておりますけれども、当該議事録なるものは警察が作成したものではないため、その内容等について答弁する立場にはございません。

藤野委員 いや、内容じゃなくて、あなたがおっしゃったんです、適正だと。不偏不党かつ公正、この二条もあなたは挙げられました。その上で適正だとおっしゃった。適正じゃないじゃないかという質問です。中身を聞いているわけじゃありません。何で適正だと評価したのか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 岐阜県警察からは、公共の安全と秩序の維持の観点から、必要な情報収集を適正に行っていたものと報告を受けておるところでございます。

藤野委員 ですから、これは全く、ある意味で警察活動の実態をあらわしているものだと思うんですね。

 配付資料の、次の5を見ていただければ、これは第三回目の会議録であります。二〇一四年五月二十六日。

 これに何と書いてあるかといえば、「五月二十日に上石津町上鍛治屋地区から風力発電中止の嘆願書が大垣市長あてに出された」、要するに、市長宛てに要望書が出された「旨の新聞報道がなされた。」市長宛てに要望書を出すということはよくあるわけですよね。それを受けて行われた。

 何と書いてあるか。「元来、過激な運動を起こす可能性のある上鍛治屋地区であり、今回のような行動を危惧し大垣警察署警備課との話し合いの場を設けている。」と。市長に要望書を出すことが過激な運動、今回のような行動を危惧していたというふうにされているわけですね。それに対する警察の反応も、それに呼応しております。「今後、過激なメンバーが岐阜に応援に入ることが考えられる。身に危険を感じた場合はすぐに一一〇番して下さい。」と。

 何で、市長に要望書を出したら、それを事業者が過激な運動だと言い、それに対して警察が、過激なメンバーが全国から岐阜に入ってくる、身に危険を感じたら一一〇番。市長に要望を出すことが過激な運動だということが大前提になっているわけですね。これはまさに市民を敵視するものであって、不偏不党、公正中立でも何でもない。明らかにこれは警察法二条違反であります。

 加えて、先ほど、十四日の答弁では、警察法と並んで岐阜県個人情報保護条例も挙げたわけですけれども、これとの関係でも問題があります。

 配付資料の5では、ある女性の方の病状についての記述があるわけです。この5―2の方ですけれども、現在、船田伸子さんは気を病んでおり入院中であるので、即、次の行動に移りにくいと考えられると。まさに病状についての情報提供であります。この方は、風力発電の問題はほとんど知らなかった、関係のない方であります。警察が自分の名前を挙げたことに驚いたとおっしゃっている。そんな方の情報がなぜ警察に渡っているのか。この方は、誰が警察に漏らしたのか、あるいは自分が病院に行ったことが警察に監視されていたのか、疑心暗鬼に陥ったと言っております。

 住民の皆さんは、自分たちの情報がどう収集されているのか疑問に思って、岐阜県個人情報保護審査会に開示請求を行ったわけでありますが、これは非開示となった。

 これは警察庁にお聞きします。この非開示になった理由、これはどんな理由なんでしょうか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 岐阜県警察におきましては、そのような開示請求を受けて、議員の御指摘のような回答をしたものとは聞いておりますけれども、岐阜県の個人情報保護条例等に基づいて非開示にしたものと聞いております。

藤野委員 いや、ですから、その保護条例に基づいて非開示決定にした理由を聞いているわけです。時間の関係で、もうこちらで言いますけれども、二〇一五年でも答弁しております。

 岐阜県警察では、当該開示請求にかかわる個人情報が存在しているか否かを開示することにより、警察が特定の個人に係る情報を収集しているか否かが明らかとなり、警察の情報収集活動に支障を及ぼすおそれがあるため、条例第十五条の二に該当するものとして非開示とした。これが答弁なんですね。情報収集活動に支障を及ぼすおそれ、こちらの方が優先されているわけです、個人情報保護よりも。

 これは、二〇一五年に改正された個人情報保護法の趣旨にも反する。なぜなら、二〇一五年の改正で、同個人情報保護法には、要配慮個人情報の規定が新設をされております。そこでは、病歴、人種、信条など、そうした要配慮個人情報について特に慎重な取り扱いを求める改正が行われた。この法改正に基づいて、各県で条例も改正されているわけですね。民間事業者だけでなく公的機関にも共通の要請があると、国会で当時、山口俊一大臣も答弁されております。

 今回の警察による病歴などの情報収集、情報提供は、この個人情報保護法や同条例の趣旨に真っ向から反するものです。ですから、これはもう、警察法から見ても、個人情報保護条例から見ても、本当に違法な、許されざる情報収集であり提供であったというふうに思います。

 そして、もう一点指摘したいのは、警察は、要するに、あらゆるきっかけをスイッチにして監視と情報収集をスタートさせて、しかも長期間にわたって継続しているというのがこの会議録からも読み取れます。

 配付資料の6を見ていただきますと、これは第四回目の会合の記録なんですが、近藤ゆり子氏という、第一回目の会合のときに出てきた方が「動き出す気配がある」ということで持たれた会合であります。「動き出す気配がある」。何かといいますと、「弁護士法人「岐阜コラボ」が毎年五月三日(憲法の日)に主宰する「西濃憲法集会」が一息ついたので、」この近藤ゆり子氏が「風車事業反対活動に本腰を入れそうである。」、あるいは、近藤ゆり子氏は、「徳山ダム建設中止訴訟を起こした張本人である。」、いろいろなことが書かれているんですね。「反原発・自然破壊禁止のメンバーを全国から呼び寄せることを懸念している。」。

 今まで四回の会合を紹介してきたわけですが、気配とか懸念とか、そういう言葉がたくさん出てくるんですね。今も出ました。「反原発・自然破壊禁止のメンバーを全国から呼び寄せることを懸念している。」と。懸念、気配。この懸念、気配のきっかけは、この議事録にあるように、新聞記事だったり憲法集会が終わったことだったり、あるいは、別の会ですけれども、株主総会での近藤ゆり子氏の発言だったり、あるいは統一地方選挙だったり、もう何でもありなんですね。

 しかも、第一回のところで紹介したメナードゴルフ場建設は三十年前の話であります。それで徳山ダム建設中止訴訟というのは二十年前であります。相当長期間にわたって情報を収集し蓄積し管理していないと、こういう情報は出てこない。

 警察は、先ほど適正にやっているとおっしゃいました。ある意味そうなんでしょう。私が午前中、配付資料の1、2にお示ししたように、こう言っているんですね。「大垣警察署員の行為は、公共の安全と秩序の維持に当たるという責務を果たす上で、通常行っている警察業務の一環であると判断いたしました。」これは岐阜県警察本部長の回答であります。文書で出ている。岐阜県の公安委員会からも文書で同様の回答が寄せられているわけであります。こういうことを通常業務の一環としてやっている、何だかんだ。

 この通常業務の一環というのを今回言わないわけですが、二〇一五年の国会では国家公安委員長自身が言っているわけですね。なぜ今回言わないか。それは、やはり私は共謀罪だと思うんです。共謀罪とこの警察が通常行っている業務が極めて連動し一体化する、そういうものだから、今回、そこをあえて避けて答弁しているというふうに思うわけです。

 そして、この警察の活動についてもう一点お聞きしたいと思っております。今のは民間企業への情報提供でありましたが、いわゆる行政機関との関係でも、警察の類似の行動が行われております。

 配付資料の最後の七枚目を見ていただきますと、これは原子力規制委員会から麻布警察署長に対して行われた警備派遣要請であります。

 規制庁にお聞きしますが、こうしたことは、警察署に対する要請というのはやられているわけですね。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会の事務局であります原子力規制庁といたしましては、庁舎の維持管理をする、また原子力規制委員会の会合の円滑な遂行を進めるという意味から、庁舎のいろいろな警備を行うわけでございますけれども、基本的には規制庁の職員、あるいは契約をいたしました民間のガードマンによる自主警備が原則でございます。ただ、状況によりましては、不測の事態ということも予想されることから、所轄の警察署にお願いをしているわけでございます。

 この文書は、派遣の要請とありますけれども、不測の事態がありましたら来てくれることあり得べしということのお願いでございまして、原則は私どもが自主的に警備をしている、ただ、万一の場合に来ていただくことがあるということで、必要な連絡はしているということでございます。

藤野委員 万一の場合とおっしゃいましたが、今までこうした要請は何回やられていますか。

荻野政府参考人 連絡自体は、定例会議等が開かれる都度、この日に何時から開かれますという連絡をしております。定例会議につきましては二百十八回の連絡をしておりますが、具体的に警察官の方が来られるということは普通極めてまれであるというふうに認識しております。

藤野委員 これは、二百十八回、毎週毎週水曜日、会合のたびにやっているわけですね。極めて異常であります。私、大体の省庁に聞いてみました、一般の方が傍聴に来られるような会合で警察に警備を要請するようなことをやっていますかと聞いたら、ほとんどやっていない。聞いたところ、全部やっていませんでした。

 原子力規制委員会は、何か万一の場合とかおっしゃっていますが、保安院時代からずっとやっているわけです。二百十八回全部やっているわけです。そして、不測の事態とおっしゃいますが、そういうことは今まで全くないわけですね。

 ちょっとお聞きしますけれども、これは、要請しているわけですね。要請した。それで、どこの署から何人の警官が来て実際に何をしているのか、これは報告を受けているんでしょうか。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、不測の事態が生じた場合には可及的速やかに来ていただけるようにということのお願いでございますので、最近の例で申しますと、一部、若干物を投てきするというような事案もありましたけれども、警察官の方が実際に来られるということはございませんでした。

 したがいまして、恐らくは近傍の適切な場所で待機をしている等の活動をされているということでございましょうけれども、結果的に、実際に警察官の方が来られるということは最近ではございませんので、したがいまして、警察官の活動について個別に伺うということはございません。

藤野委員 要請しておいて、来なかったということを確認されたということですか。毎回要請して。

荻野政府参考人 繰り返しになりますけれども、警備は自主警備、私どもが自分で、あるいはガードマン等を雇ってやるのが原則でございまして、それでは足りないときに来ていただくということでございます。

 したがいまして、必要がなければお越しにならないわけでございまして、無事に終わりましたという御連絡等をすることはあろうかと思いますが、いわば空振りに終わったことについて、その中身について伺うような必要もございませんし、確認等はしておりません。

藤野委員 これは、事前に伺った話とも違いますし、毎回毎回この資料のようにちゃんと要望項目を書いているわけです。忙しい警察の方に来てもらっているわけですね。それが、実際に来たのかどうか、実際、要望項目に対する結果、どうだったのかという報告を受けていない。

 警察に聞いてもいいわけですが、ちょっと警察に聞きますけれども、報告しているんですか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 警視庁からの報告によりますと、麻布警察署におきましては、あくまで原子力規制委員会からの警備要請がなされ、それに応じる形で警察官を派遣しておりまして、警備のその都度、平穏等に終わった場合には一々報告あるいは結果等の連絡等はしておりません。

藤野委員 ですから、要請は毎回毎回やっている。しかし、誰が来て何をしているのか、来ていないときもあるかもしれない。しかも確認はしていないわけですね。これは非常に気持ちが悪い。一般の傍聴者が来られるわけですね。しかし、そこに警察官とわからないような形で警察官が来ていて、何をしているかもわからない、警備内容もわからない、二百十八回もそれが繰り返されている。何のために来ているんだという話になるわけですね。

 これは要するに、かつて、二〇一二年には、保安院時代に、傍聴者のリストを警察に渡したということも報道されました。それについて、当時の原子力災害対策監は、その情報提供は目的の範囲内だと言ったということも報じられているわけですね。

 ですから、民間だけではない、私が申し上げたかったのは、こういう事例、すなわち、警察のいわゆる情報収集活動は今でも網の目のように広がっているということなんですね。

 こうした状態で共謀罪が新設されたらどうなるのか。

 大臣、先ほど私は、大垣署の資料で、懸念という言葉が多いということを指摘いたしました。懸念が多い。いろいろなことを、新聞記事とか集会とか選挙とか株主総会、何か気配があるとか懸念がある、それが一つのきっかけになってスイッチが入っているわけですね。

 先ほど、嫌疑というお話がずっと議論されておりました。懸念と嫌疑、どれほど違いがあるのか。いわゆる懸念に基づいて行われている通常の業務と、いわゆる嫌疑がなければ動かないとおっしゃっている捜査。私は、共謀罪ができることによって、犯罪になるわけですから、極めてこの嫌疑あるいは捜査の部分が国民の生活の隅々に近づいてくる、こういう認識をしております。

 そこで、ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、大臣は、四月六日の本会議で、私の質問に対して、こう答弁いただいております。「実行準備行為に当たるか否かは、個別具体的な事実関係、特に、計画において合意された内容に照らして客観的に判断されるべきものと考えております。その際、行為の目的などについても捜査が行われることはあり得るところであります」、こう答弁されているんですが、大臣、これは間違いありませんよね、行為の目的。

金田国務大臣 藤野議員のただいまの御質問ですが、具体的に事前に通告をいただいていなかったものですから、ただいまそれを確認することができませんので、お時間を頂戴したい、このように考えています。

藤野委員 基本的な通告はしているわけですが、答弁については今私が紹介しましたので、もう一度ポイントだけ言いますと、実行準備行為に当たるかどうか判断するときに、行為の目的などについても捜査が行われることはあり得ると。

 ここで言う捜査というのは、大臣、強制捜査も任意捜査も両方含む、こういうことでよろしいですか。

金田国務大臣 実行準備行為とは、計画とは別の行為であって、計画に基づいて行われる資金または物品の手配、関係場所の下見その他の、計画をした犯罪を実行するための準備行為をいうわけであります。

 そして、実行準備行為に当たるか否かは、個別具体的な事実関係、特に、計画において合意された内容に照らして客観的に判断されるべきものであります。

 その際、行為の目的などについても捜査が行われることはあり得るところでありますが、いわゆる目的犯の目的など、現行の刑罰法規におきまして行為者の主観が構成要件の一部となっている場合と同様に、その認定に当たりましては客観証拠や供述の裏づけ証拠の有無、内容が重視されるものと考えられます。

藤野委員 いや、私が聞いたのは、任意捜査、強制捜査、これは両方含まれるんですね、こういうことなんです。

林政府参考人 今大臣が答弁した内容の捜査というものについては、当然、任意捜査であろうが強制捜査であろうが、両方含んでいるわけでございます。

藤野委員 任意捜査も含まれるという答弁でありました。

 これは、実行準備行為に当たるかどうかということのメルクマールとして目的についての捜査が行われることがあり得る、任意捜査もあり得るということなんですが、大臣、これは実行準備行為が行われる前でも、任意捜査であれば行われる可能性がある、そう理解してよろしいですか。

林政府参考人 まず、テロ等準備罪についても、嫌疑がなければその捜査が行われることはございません。この場合の嫌疑というのは、犯罪がなされたということの嫌疑でございます。

 そのことを前提にいたしまして、まず個別具体的な事実関係の中で犯罪を検挙するための必要性が認められる場合には、手段の相当性が認められる範囲において任意捜査が許容され得るものと考えます。したがいまして、テロ等準備罪におきまして実行準備行為までが行われている、そのような事案であれば、これについては当然、嫌疑があるという場合には捜査が行われます。

 一方で、個別具体的な事実関係のもとで、例えばテロの計画が行われ、それが実行される蓋然性があって、犯罪の嫌疑がある、こういった意味での捜査の必要性があると認められる場合には、その手段の相当性が認められる範囲において任意捜査を行うことが許されると考えております。

藤野委員 つまり、大臣にちょっと確認したいんですが、実行準備行為が行われる前の段階でも任意捜査があり得るんだ、こういうことでよろしいですね。

林政府参考人 犯罪の嫌疑というものが、個別具体的な事実関係のもとでどのような場合に起きるかということにかかわる問題でございます。

 例えば、今申し上げたのは、テロの計画が行われて、さらにそれが実行される蓋然性がある、そういったものについての資料があるということについては、そのような場合には、犯罪の嫌疑がありということで捜査の必要性があると認められる場合には、その手段の相当性の範囲で任意捜査を行うことが許されると考えております。

金田国務大臣 テロ等準備罪におきましては、実行準備行為が行われていない段階でありましても、個別具体的な事実関係のもとで、例えば、テロの計画が行われ、それが実行される蓋然性があって、犯罪の嫌疑があり、捜査の必要性があると認められる場合におきましては、手段の相当性が認められる範囲において任意捜査を行うことが許されるものと考えられます。

藤野委員 率直に言って、同じ答弁ですから、初めから大臣がやられたらいいと思うんです。時間が無駄になってしまいます。

 その上で、これはやはり非常に重大だと思うんですね。実行準備行為が行われる前の段階で任意捜査が行われるということになりますと、これは本当にもう、先ほど、初めに行為の目的について捜査が行われることがあり得るということも確認しましたが、目的についての任意捜査ということになってくるわけですね。

 そうなってくると、もうどんどん、行為だとおっしゃいますが、その目的、実行準備行為というのは外から見てもわからない、外見上は、花見と下見、わからない、だから目的を調べるんだと答弁を大臣もされていますけれども、それが実行準備行為が行われる前の段階からあり得るということになれば、これは本当にあらゆる段階からできることになるんじゃないですか。大臣、そういうことですね。

林政府参考人 今申し上げましたように、犯罪の嫌疑がいつ生ずるかということにかかわりますので、あらゆる前の段階でそのような犯罪嫌疑が生ずるわけではございません。

藤野委員 私は、嫌疑がいつ生じるかなんということは聞いておりません。

 要するに、実行準備行為を調べるには行為の目的を調べないといけない、それは実行準備の前から行為の目的を調べるんだ、となれば、あらゆる段階から任意捜査が行われるんじゃないか、大臣、こういうことなんです。次は、大臣、お願いします。

林政府参考人 犯罪の嫌疑が生じて捜査が始まりますと、各犯罪の成立要件について、それぞれを捜査で証拠を収集してまいります。

 そのときの収集の対象としては、行われた実行準備行為がどのような目的で行われたのか、特に計画との関係で、どのような計画に基づいて行われたのかどうか、こういったことも当然証拠収集の対象でございます。そういった意味で、捜査の対象となるということであります。

藤野委員 大臣、私が聞いていますのは、実行準備行為の前から任意捜査があり得るとお認めになったわけですね。しかも、それは行為の目的にかかわる、それもやるんだということになってくるわけです。

 そうなってくると、内心、その行為の外形ではわからないわけですから、内心、この捜査に近づいていくじゃないかということなんです。大臣、そうなりますよね。

林政府参考人 犯罪の嫌疑ありと思料するときに捜査が開始されますけれども、その捜査においてどのような捜査が可能になるのかというのは、これは刑事訴訟法が規律しておるわけでございます。

 今回のテロ等準備罪を創設するのは刑事実体法でございます。刑事訴訟法のあり方に何ら影響を与えるものではございませんので、捜査ができる場合、どのような範囲でできるのか、またどのような手続で捜査を行うことができるのか、こういったことは全て刑事訴訟法の定めるところでございまして、今回、テロ等準備罪ができることについて、何らそれに影響を与えるものではございません。

藤野委員 とんでもない話であります。冒頭紹介したように、刑事法学者の多数が、捜査権限が前倒しされる、そのことによって公正性がゆがめられると指摘しているわけですね。何ら変わることはないなんということは、そんなことはあり得ないわけであります。

 そして、実際、実行準備行為の前から任意捜査が行われるということになれば、しかも、それは目的に関する任意捜査が行われるということになるわけです。大臣、そういうことですよね。

 局長はいいです。もう嫌というほど聞いています。

林政府参考人 まず、捜査の場合に、先ほど申し上げたのは、計画が行われて、その次に実行準備行為が行われる蓋然性が認められる場合、こういった場合に犯罪の嫌疑が認められるわけでございます。

 そういったことで行われる犯罪捜査は、例えば、現行法の世界におきましても、例えば薬物犯罪等が頻繁に同一場所で行われている場合には、そこに捜査官を派遣して、実際の薬物犯罪が行われることを現認する、こういった捜査は任意捜査の範囲として認められておるところでございます。

 ただ、その場合も、その場所で薬物犯罪が行われるという極めて蓋然性がある、そういった資料があること、そのことに基づいて初めて犯罪の嫌疑がありと思料して任意捜査ができるという形で、限定的に認められているわけでございます。

金田国務大臣 ただいま局長から申し上げたとおりでありますが、私からも、今回の法整備は、刑事の実体法の法整備でありまして、手続法の改正ではありません。したがいまして、捜査のあり方に変更はないのであります。

藤野委員 本当に、これほど答弁に基づく簡単な質問にも、大臣の答弁に基づく質問にも答えられない。同じことを、五回も六回も局長が出てくるというのは、私も一回目、二回目は我慢して聞いていましたけれども、そんな何回も出てきて同じことばかり言うということなんて許せませんよ、委員長。こういうことは絶対に許されない。

 そういう意味で、今回の、私が明らかにしたのは、実行準備行為以前に、つまり、計画段階で任意捜査が行われる。外形からもわからない、実行準備行為以上にわからない、計画段階ですから。そんな段階で任意捜査をやる。つまり、これは本当に国民の内心に捜査という形でも踏み込んでいく、こういう共謀罪は絶対に許されないということを指摘して、質問を終わります。

鈴木委員長 次に、松浪健太君。

松浪委員 日本維新の会の松浪健太です。

 きょう二度目の質疑に立たせていただきますが、改めまして、きょうの、刑事局長を張りつけるというか、こちらに、私は最初から指名はしているわけですけれども、今回の件なんですが、私も、円満にこの委員会がこれから進んでいくことを望んでいるものであります。

 朝も申し上げましたけれども、理事懇で特にこの問題を提起したのも私だということであります。まさにこの衆議院規則第四十五条の三にある「細目的又は技術的事項」については、私はやはり政府参考人の方が望ましいとは思います。

 しかしながら、きょうのこの運びで、毎回採決をするというようなことではなかなか委員会ももたないとは思いますが。

 まず確認でありますけれども、けさ、刑事局長をこちらにお呼びするということを採決いたしましたけれども、この採決の効力というのはいつまででしょうか。委員長に伺います。

鈴木委員長 理事会において協議します。

松浪委員 恐らく、これは理事会で協議されることなのかということを、ちょっと委員長もよく委員部と話が進んでいないんだろうなということを私は感じましたけれども、大体これは、朝議決すると、ほかの政府参考人の皆さんと同列で、その日限りと。最初にきょうは刑事局長を採決して、その後、我々はほかの政府参考人の皆さんにも、政治家の皆さんとは別にやっているんですから、大体これは一日と考えざるを得ないというのが常識であろうと思いますので、そのあたりはしっかりと協議をいただきたいと思うわけであります。

 また一方で、この細目的、技術的事項というのは、必要があると認めるときは政府参考人の出頭を求めるということでありますけれども、私も朝申し上げましたけれども、総理大臣やそれから法務大臣にキノコの話を聞きたくはないなというふうに思ったわけでありますけれども。

 委員長からごらんになって、けさのキノコの議論は、これは細目的であるのか、技術的事項であるのか、認識を伺います。

鈴木委員長 まあ、細目的、技術的な項目だと思います。

松浪委員 常識的な線でこれからも委員会の運営をお願いしたいと思います。

 七時間で、この時間にもなってきますと、大体皆さんお疲れであります。民進党の場合は、理事一人ということで、もうほかの皆さんはいらっしゃいませんので、僕の時間は大体こうなんですけれども。ちょっと寂しいね。(発言する者あり)あなただけじゃないですか。

 朝も申し上げましたけれども、我が党のスタンスを申し上げました。我々は、この法案については必要性は認めますものの、やはり、実際これがテロ対策に役立つのかというと、大変心細いものがあります。

 朝の、我々でつくらせていただいた表、これはもう随分、法務省の皆さんにも、国会図書館の皆さんにもいろいろな協力をいただいて、情報を集めて、確かにまだ調査中という部分も残っているわけでありますけれども、これを見ると、王様は裸だなと。今ここでやっている議論でテロから本当に国民を守れるのかというと、私はこれは甚だ厳しい状況にあろうかと思います。

 そして、我が党も当初は、この法律については、我々、提案型の野党ですから、一からつくろうじゃないかという意見もあったんですけれども、この必要性も認めながら、この必要性をこの法律に加えていこうということで、午前中申し上げました、法案を、条項を修正するのではなくて、条項を加えていって、加法という形でこれをよくしていこうということを我々としては今方針として考えているわけであります。

 そこで、この加えていくことなんですけれども、やはり、我が党の中で実は法案をつくろうとしたときに、当初、今回の法律というのは、やはり一番の立法事実はこの条約に加盟をすることであろうということで、この部分については組織犯罪防止法でいいんじゃないかと。もう一個、テロを別法にして、テロに本当に有効に効く手だてというのは何なのかということを別の法律でまとめて、それこそテロ防止法とそれから組織犯罪防止法を一緒にやれば私はこの課題は明確になったのではないかなというふうに、我が党の中ではそういう当初の意見もあって、今こうやって議論をやってきていると、なかなか先見の明があったんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 朝もちょっと申し上げたんですけれども、このTOC条約の加盟というのは実態的にはどういうメリットがあるかと捜査機関の皆さんとお話をすると、大体、皆さんは、情報の共有が円滑になるんだぐらいの話ですねというのが実際の相場観かなというふうに思います。

 ですから、TOC条約の締結というのはその程度なんですけれども、この条件。朝、私も北朝鮮の話も出しましたけれども、まずこの条件について、もう一度そこを確認したいんですけれども、外務省、いかがですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 本条約の第五条1(a)は、犯罪行為の未遂または既遂に係る犯罪とは別個の犯罪として、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとることを義務づけております。

 したがって、本条約を締結するためには、重大な犯罪の合意罪または参加罪の少なくとも一方を犯罪化しなければならないと承知しております。

松浪委員 もともと共謀罪を出したときには、私、三月二十一日でしたか、委員会で一度この議論をさせていただいて、国連が出しました立法ガイドのパラグラフ五十一というもの、きょうは、外務省のページから、それを参考にこちらの方に載せさせていただいたわけでありますけれども。

 この条約については、特に二つの主要なアプローチということで共謀罪と参加罪ということになっていて、二つの主要なということは、主要ですから、第三の道があるというふうに読むのは、これは日本語で読んでも、英語で読んでも普通だと思います。ツー・メーン・アプローチズというふうに書かなくても、ツー・アプローチズで十分なわけでありまして、ここは私は、ある種のアローアンスがあるんだろうな、普通に英語力があればこう読むというふうに思います。

 そしてまた、その下に行きますと、これは共謀罪のある国もあれば参加罪のある国もあるといいながら、この共謀または犯罪の結社の概念のいずれか一方、これはアイザーという書き方をされていますけれども、いずれかについてはその概念の導入を求めなくとも、組織的な犯罪集団に対する効果的な措置をとることを可能とするということで、これも私は、ある種、参加罪、共謀罪のこの文章だけを読むと、別に日本も、暴対法もあるわけですし、そこをしっかりとやっていれば、十分第三の道というのは探れたのかなというふうに思うわけであります。

 これについては、その後、外務省とやりとりをさせていただきました。外務省の担当者と議論しました。僕は、英語力は大してないですけれども、日本語力があれば、これはやはり、メーンの二つともう一つの第三の道が細い道としてあると読めるしかないんですけれども、外務省としてはそうじゃないとおっしゃる。どうしてそうじゃないとおっしゃるか。国連に確認をしたとおっしゃるけれども、では、どうやって確認をしたんだというと、口頭だとおっしゃいました。

 そこで議論して、私のところに外務省の方がいらっしゃって、向こうから今ペーパーでしっかりしたものを取り寄せているということですけれども、私がそれを外務省と議論して、随分迅速でしたよ、我々が党で議論した翌日にそういうアプローチをしてこられて、大変迅速だったんですが、その後がまだナシのつぶてなんですけれども、その経緯、今どのように作業は進んでいるんですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の記載は、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加の少なくとも一方を犯罪とすることを義務づけております本条約第五条1(a)の規定を前提としたものであると承知しております。

 すなわち、この記載は、重大な犯罪の合意罪という法的概念を有していない国がもう一方の参加罪を選択した場合に重大な犯罪の合意罪を導入する必要はなく、また、参加罪という法的概念を有していない国が重大な犯罪の合意罪を選択した場合にはもう一方の参加罪を導入する必要はないということを明示的に確認したものというふうに理解されております。

 この立法ガイドを作成しました国連薬物犯罪事務所、UNODCに対して御指摘のパラグラフ五十一の趣旨について確認をいたしましたところ、UNODCからは、同パラグラフは、重大な犯罪の合意または組織的な犯罪集団の活動への参加のいずれをも犯罪化しなくてもよいことを意味するものではないとの回答を得ております。

 その上で、UNODCとの書面等のやりとりにつきましては、現在、所要の調整を行っているところでございます。

 なお、さらにこの立法ガイドのパラグラフ五十五におきましては、第五条1(a)の規定に基づき、締約国は同項(1)及び(2)に定める一方または双方を犯罪としなければならないということが述べられており、ただいま申し上げました理解と整合的になっております。

松浪委員 やりとりですから、訳もしないといけないというのはあるんですけれども、当然英語でやりとりしていると思うんですけれども、まずこちらから、私が聞いているのは、この五十一だけじゃなくて、あと何条かコントラバーシャルなところについては、皆さん、何件かやります、この五十一条に加えてという説明を私は受けているんですけれども、向こうから戻ってきた英語の答えというのはいつ来ているんですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 UNODCとの書面等のやりとりにつきましては、所要の調整が完了次第、しかるべき形で、御指摘の点も含めまして御説明をさせていただきたいと思います。

松浪委員 はっきり言って、さっきから調整とおっしゃるんですけれども、調整自体おかしな話でして、向こうに質問する、返ってくる、その書面を私にいただく、もしくは、何点かとおっしゃっているので、それを一覧表にしていただければいいわけで、調整ということは、日本ではちょっと、松浪健太の解釈だとややこしいので、こういうふうに書いてくださいよというようなやりとりをやっているということなのか、それとも一回こっきりの往復なのか、どちらになるんですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 当方からは、委員御指摘の問題意識をUNODC側に投げて、その回答について取りまとめているところでございます。

松浪委員 私、さっき申し上げた、多分これは一往復で普通済む話だと思うんですけれども、いまだに、僕が発案というかお願いをして、そっちはそのようにやりとりするという話になったんですけれども、その一覧表というのは、まだ私にはもらえないんですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、所要の調整が完了次第、しかるべき形で御説明をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

松浪委員 僕ら、別にこの法案を潰そうとしているわけじゃないので、余り、ちょっと、野党の皆さんを、火に油をくべるような答弁もいかがなものかと思うんですけれども。

 本来であれば、この審議が始まる前に持ってきていただいて、ここで表にして、これはこうでしたねと示せば、話は落ちつくなという話だったんですけれども。僕は、政府がせっかくしっかり通そうと思っていらっしゃるんだったら、逆に、この時期にもなって僕に対してそれだと怠慢だと思いますので、でき次第速やかにこれはお持ちをいただきたいと思います。

 そして、あと、五十一パラグラフのほかに何点か向こうに解釈を投げていると思うんですけれども、あとはどのパラグラフについて投げているか。通告していませんけれども、すぐわかると思うので。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 立法ガイドのパラ十二それからパラ四十三、六十八等についても、あわせて照会をかけておるところでございます。

松浪委員 それもあわせて、いただきたいというふうに思うわけであります。

 この問題をやっていれば一時間でもたってしまうので、もう次の問題に行きますけれども、次の問題に行く前に、朝も申し上げました、この条約自体、本当にそんなにハードルの高い条約なのかな。

 北朝鮮が加盟できるということ自体、もしかしたら、ああいう国ですから、参加罪も共謀罪も大変な内容なのかなと思いますけれども、いまだに北朝鮮に対して何ら、クレームが出たとか、二〇一六年ですから、そんなにたっていないとは思うんですけれども。

 こうした各国が批准する内容については、北朝鮮に限らず、外務省は把握はしていないんですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、他国が条約を国内で実施するに当たっていかなる立法措置を講じているかにつきまして、我が国として必ずしも網羅的にその詳細を承知しているわけではございませんので、本条約の担保法の内容等について、各国ごとにお答えすることは困難でありますことに御理解を賜りたいと思います。

松浪委員 ですから、象徴的に北朝鮮の話をしているんですけれども、多分、こんなの、調べ出したら、幾らもやはり穴が出てくる問題だと思いますので、やはりそれが今回のこの法律を大変わかりにくくしているということは指摘をしておかなければならないなというふうに思います。

 これから、私は、今の日本は裸の王様だという言い方をしておりますけれども、先ほど私がつくらせていただいた表でも、日本がいかに厳格にさまざまな捜査等が行われているか、いろいろな懸念があると言っているけれども、キノコの話をしていられるだけ、やはり平和なんやなと実に思いますよ、僕はね。

 それは、無令状捜索なんかも、私も、今回、法務省の皆さんとか国会図書館にお力をいただいて、びっくりしましたね。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、どの国でも、例えば身柄を押さえられたら、その瞬間に、家から遠くても、その家まで簡単に無令状で捜索できるとか、日本では考えられないようなことが広く広く認められている。このプレーンビュー法理とか、こういうものを広く求められているわけですけれども。

 これは全然通告していないんですけれども、ちなみに、刑事局長、プレーンビュー法理というのはどういうものですか。すぐ出なければいいですよ。出ない。ごめんなさい、ふだん、現場の人と話をしているので。いいです、いいです、ごめんなさい。

 それから、通信傍受についても、我が国では盗聴法とか言われて随分と議論はあったわけですけれども、盗聴法と言われながら、実施件数は、ほぼ十年ぐらいになって、一覧表もいただきましたけれども、非常に各国と比べれば抑制的と言わざるを得ない。

 司法傍受、まあ行政傍受はもちろん入れずに、単なる司法傍受ですら、日本の場合は昨年も四十件とか、アメリカなんかはやはり百倍で四千件、フランスなんかにいくと五万件。さらに、全く許可の要らない、自由にできるような、行政傍受については広く各国とも認められていて、イギリスに限っては司法傍受と行政傍受の区切りさえないというのが現状であります。

 我々も先進国、先進国と言っておりますけれども、もし法務省が今ヨーロッパやアメリカに行ったら、この法務委員会が行ったら大変なことになるなというふうに思うんですけれども。

 国内捜査で行われた今までの通信傍受の内訳について伺います。

林政府参考人 犯罪捜査のための通信傍受法、これが平成十二年に施行されておりますが、その平成十二年から平成二十八年までの間、通信傍受が実施された事件数は合計で百二十件でございます。その結果の逮捕者は合計七百一人ということになっております。

 通信傍受を実施した事件の内訳、これについては国会に報告しておりますけれども、拳銃所持等が十九件、拳銃所持等及び組織的殺人が四件、組織的殺人だけが六件、それから薬物密売が九十件、電子計算機使用詐欺が一件となっております。

松浪委員 細かい資料もいただいていますが、令状請求が三百六十五件で、発付件数が三百六十三件、認められなかったのは二件だけということであります。これだけの数でよくやってきたなと思うんですけれども、しかしながら、この中でテロにかかわるものというのは果たしてあったんでしょうか。

林政府参考人 この通信傍受の実施状況については国会に報告をしておるわけでございますが、先ほど申し上げた事件の種別で、罪名のみ報告しております。

 その具体的な内容につきましては、捜査機関の具体的な活動内容に関する事柄でありまして、常にお答えを差し控えさせていただいておるところでございます。

松浪委員 差し控えるのはいいんですけれども、大体現場の皆さんと話をすると、テロという概念がないんだ、だからテロをこの中から出すというのも、こういうのは難しいんですよなんという本音の話を僕たちは聞くわけでありまして、それはきれいに言うと、そういうふうに報告できないものだとは思いますけれども、これはやはり、テロの概念というのがはっきりしていない。例示だといっても、テロの概念というのが法律用語ではないのが問題じゃないかなと思うんですけれども。

 今回、例示ということでありますけれども、刑事局長に、このテロというものの我が国における概念というのはどのようになっておりますでしょうか。直接通告していないので、関連で。

林政府参考人 テロリズムという概念につきましては、法務省としては、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れ等を強要し、または社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいう、このように理解しております。

松浪委員 それであれば、オウム真理教事件なんというのは、これはテロに当たるという考えでよろしいんですか。

林政府参考人 オウム真理教が行った事件については、テロであったと考えております。

松浪委員 大分古くなりますけれども、我が産経新聞が、我がと言うとおかしいですが、私がおった産経新聞が特だねをとった、昔、連続企業爆破事件なんというのもあったんですけれども、あれもテロになるんですか。今、特に答えられなかったら別にいいですけれども、無理、では、そこまではいたしません。

 これは、抑制的だといっても、あくまでテロというものを防ぐためにはどうするのかということで、警察庁の外事情報部長をされた松本光弘さんという方が、テロ対策には三つの原則があると。絶対阻止の原則、事前介入の原則、法律枠内の原則だということをおっしゃっております。なるほどなと、この三つの原則を聞いて思いました。

 というのは、例えば、我が国で千人、殺人事件が毎年あっても、これはそんなに問題にならないけれども、十数人のテロ事件は、これは絶対に阻止しないと、我が国の政府が揺らぐ。

 そして、事前介入の原則。普通の通常犯罪とは違って、普通であれば事前逮捕なんというのはあり得ないんですけれども、こういうことも行っていく。各国の場合は先制的殺害も選択肢に入る。これは事前介入の原則。

 そして、法律枠内の原則。あくまでテロを犯罪として抑止する。

 この松本さんは、なるほどなと思ったのは、九・一一以降、アメリカはこの法律枠内の原則からは外に出ている、まさにテロとの戦争を行うという戦争行為に入ってくるから、テロリズムは犯罪者ではない、しかしながら戦闘でもないので、このテロリストには、戦争をしても、軍人として認められる捕虜の権利とかそういうものもない、大変な、プロの戦闘、軍人を相手にする戦争ではない戦争に広がってきているというのが、これは我々も共有しないといけない新しい認識だと思うんです。

 きょうは、この法務委員会でも余り語られていないであろう行政傍受というものについて、この表でもありますように、各国、広く認めているものでありますけれども、我が国では認める状況にない。

 私が心配しますのは、我が国は、やはり振り子が振れやすい。もし一回テロがあると、今度はテロ撲滅だといって極端な通信傍受とかをやりかねないので、やはりこういうものは、北朝鮮の問題もありますけれども、今は一応我が国は平和ですから、平和なときにしっかりと議論をしていく問題だと思います。

 余りかりかり、こんな場合は、こんな場合はと、きょうは僕はキノコづいていてキノコの話ばかりしますけれども、キノコの話をしているようでは国会の議論として話にならないと僕は確信をしているんですけれども。

 そこで、行政傍受の定義もしくは認識について、政府としてどのように捉えているのかということを伺います。

白川政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる行政傍受につきましては、必ずしも一義的な定義があるものとは承知しておりませんが、一般的には、犯罪捜査以外の、テロ防止等の行政目的達成のために行われる通信傍受を指して使用されているものと考えております。

松浪委員 この行政傍受なんですけれども、先ほど、三つのテロ対策の原則のうち二つ目に挙げました事前介入の原則というのは、まさにこういうものがないと、先般のパリでのテロもこういう行政傍受によって抑止をされたということが多々あるということで、もし我が国でこういうものが頻発し出すと、非常に我々としても緩いルールをつくるのは嫌ですけれども、こういうものをつくっていかざるを得ないということになると思います。

 先進国において行政傍受がどのような役割を果たしているのか、また、テロ対策についてどのように活用されているのか、同じく認識を伺います。

白川政府参考人 お答えいたします。

 欧米諸国等におきましては、行政傍受を含めましてテロ対策等のための法制が整備されているものと承知しておりますが、それがどのように実務的に運用され、テロ対策上どのような効果が上がっているかについては、お答えすることは困難でございます。

松浪委員 こうやって公の場でつまびらかにしていただく必要は全くないとは思うんですけれども、幾つかの国においては行政傍受の形がどのような形でどれぐらいの数行われているのかということを、こういうふうに公式な場で言う必要はありませんけれども、非公式にはそういうものは把握していらっしゃるのかどうか、伺います。

白川政府参考人 例えば、米国では、連邦職員は、外国諜報監視裁判所という特別な裁判所の命令を得た場合、外国政府や国際テロ組織等による国際テロや諜報活動等に関する情報を得るために通信傍受を行うことができるものと承知しております。

 また、英国の例でございますけれども、警察官等は、所管の国務大臣の許可に基づき、国家の安全保障や重大な犯罪の防止または探知等を目的とした通信傍受を行うことができるものと承知しております。

 かようなぐあいに幾つかの外国の例については承知しておりますけれども、具体的な数字等については、年々のことでございますので、網羅的に把握しているということはございません。

松浪委員 捜査機関として、今回、テロ等準備法ですか、この共謀罪法案が通った場合には、こういう各国の捜査機関と警察の捜査機関、各国はそれぞれ諜報機関があるわけですよ、しかし日本の場合は目立った諜報機関もないということであります。公安調査庁という法務省の外局はありますけれども、昔は都道府県ごとにあったのに、どんどん数が減ってきて、破壊防止法にしても、オウム真理教にすら破防法もかけられないというのが我が国の現状でありますので、私は、やはり警察の役割は大変重いものがあると思いますけれども、この法律が通れば、組織犯罪防止条約に加盟をして、こうした捜査機関と警察庁の連携というのはかなり進むのか否か、伺います。

白川政府参考人 本条約を締結することによりまして、国際協力が促進され、鋭意捜査機関同士等の情報交換等も促進されるものと考えております。

松浪委員 せめてその程度のことがないと、なかなか今回法律を頑張って通す意味もないとは思うんですけれども。

 きょうは、ほぼ、この表で、捜査側の視点から持ってきましたけれども、やはり民進党さんもいろいろ質問されておりますように、国民の皆さんの不安をどういうふうに解決していくか、不安感を取り除くというのも、与党の皆さんには大変重要なことだと思います。

 そこで、我々は、取り調べの可視化、これ自体は昨年六月の刑訴法の改正において、まだ公布された段階で施行に至っていないものでありますけれども、我々も、法律をどういうふうに変えるすべがあるのかなということも法制局等と研究をして、これを可視化するためには、今回の本則に刑訴法改正法の改正規定を追加すれば、まさに加法すれば、これを義務化することもできる。

 これから、今回の法律で予想される構成要件を入れるためには、やはり自白が随分重要になるので、実際問題、義務化される前にも録音、録画は行わざるを得ないだろうという現場の声も伺っているわけで、これを義務化するということは全く非現実的なこととは私は思いません。

 特に、現在は、裁判員裁判制度と検察官独自捜査事件、これで義務化の方向に向かっているわけですけれども、これについては、正直言って、法務省に伺うと、現行三%程度ということであります。全事案のうち義務化されるのが、公布から三年以内だと思いますけれども、三%程度と。仮にテロ等準備罪が適用される対象犯罪を加えても、私はっきり言って、大して、これが一〇%、二〇%になりましたというほど事犯は多くないと思うんですね。

 ですから、これは非常に僕は現実的な提案だと思うんですけれども、対象犯罪がどんとふえると思うのか、さほどふえずに、その相場観を聞くのは、なかなかお答えは難しいと思うんですけれども、どんとふえるのか、それとも数%程度の少ないイメージで済むであろうか、そういう御認識を、はっきり言って難しい予測ではないと思うので、伺いたいと思います。

林政府参考人 テロ等準備罪が創設されて施行された後に、実際にどの程度の事件が検挙されて、あるいは逮捕、勾留されるかを想定することは困難でございますけれども、テロ等準備罪自体が厳格な要件が定められていることから、仮にテロ等準備罪が対象事件に加わったといたしましても、録音、録画制度の対象事件が直ちに大幅に増加するとは考えにくいと考えます。

松浪委員 大変率直な、こうした抽象的な質問にも誠実にお答えをいただいたと思います。

 つまり、これを今回義務化しても、与党の皆さんにも御認識いただいたのは、これをやっても大してふえません。技術的には十分できることでありますし、法的にも難しいことではないので、ぜひとも、きょうこちらにいらっしゃる与党の皆さんには、国民の不安感を取り除くためにも、この点の提案は、また党内に持ち帰って、修正ではなくて加法でありますので、加えるだけですので、皆さんには御認識をいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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