衆議院

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第8号 平成30年11月27日(火曜日)

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平成三十年十一月二十七日(火曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 井野 俊郎君 理事 石原 宏高君

   理事 田所 嘉徳君 理事 平沢 勝栄君

   理事 藤原  崇君 理事 山尾志桜里君

   理事 階   猛君 理事 浜地 雅一君

      赤澤 亮正君    小倉 將信君

      奥野 信亮君    鬼木  誠君

      門  博文君    門山 宏哲君

      上川 陽子君    神田  裕君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小林 茂樹君    谷川 とむ君

      中曽根康隆君    古川  康君

      古川 禎久君    和田 義明君

      逢坂 誠二君    松田  功君

      松平 浩一君    源馬謙太郎君

      遠山 清彦君    黒岩 宇洋君

      藤野 保史君    串田 誠一君

      井出 庸生君    重徳 和彦君

      柚木 道義君

    …………………………………

   法務大臣         山下 貴司君

   法務副大臣        平口  洋君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 石田 高久君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  白川 靖浩君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         藤村 博之君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  和田 雅樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       渡邊 厚夫君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           大内  聡君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            島  雅之君

   政府参考人

   (観光庁審議官)     金井 昭彦君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     小倉 將信君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     赤澤 亮正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する井野俊郎君外五名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省入国管理局長和田雅樹君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官渡邊厚夫君、経済産業省大臣官房審議官大内聡君、国土交通省自動車局次長島雅之君及び観光庁審議官金井昭彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石原宏高君。

石原(宏)委員 おはようございます。自由民主党の石原宏高でございます。

 本日は、入管法等の一部改正案について質問をさせていただきたいと思います。

 早速、質問をさせていただきます。

 法務省にまずお伺いします。

 今回の新たな入国の資格の特定技能一号については、過半が技能実習生からの移行、そして残りが試験で入ってくるということなんですが、この試験についてちょっとお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、この試験を実施する実施主体というのは誰になるのか。そして、この試験について、政府がまとめる全体的な基本方針とか分野別運営方針に記載をされるのか。そして、その記載のイメージといったものはどんなものになるのか。また、ちょっとお伺いすると、日本語能力については、試験という形で記載されるのかわからないんですけれども、政府全体の基本方針にも記載がされるんじゃないかという話を聞いているんですけれども、この点、ちょっとまとめてお答えいただけますでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 今回の受入れ制度におきまして、外国人材に求める専門性、技能は、受入れ分野ごとに、業所管省庁が定める試験などによって確認されることとなっております。

 この技能試験の実施に当たりましては、業所管省庁におきまして、試験実施時の注意事項や会場の要件などを記載した試験実施要領を作成いたしまして、当該要領の中で、受験者規模に応じた試験監督者の配置など、試験の適正実施の条件などについて定めるということを想定しているところでございます。

 また、この試験は、原則として国外において実施することとしておりますが、業所管省庁が試験の実施全体にわたって責任を持って運用に当たる限りは、試験の実施に係る事務について、例えば業所管省庁が適当と認める民間団体等に委託すること自体は差し支えないものと考えているところでございます。

 また、この試験等に関しての基本方針等への記載についてでございますが、閣議決定を要する基本方針におきまして、特定技能一号に求める技能水準につきまして、一定の専門性、技能を有し、即戦力として稼働するに必要な知識又は経験を有することとし、事業所管省庁が定める試験等によって確認する旨、及び、特定技能二号に求める技能水準につきまして、在留中に事業所管省庁が定める一定の試験に合格するなど、現行の専門的、技術的分野の外国人と同様に、高い専門性、技能を要する旨などを明らかにする、こういうように予定しております。

 また、分野別運用方針におきましては、このような技能水準をはかる評価方法、すなわち試験などにつきまして、試験名でございますとか実施主体、試験のレベル、実施方法などを具体的に記載するということ、さらに、これを法務省令で定めることを考えているところでございます。

 日本語試験につきましては、今回の入管法改正において創設します特定技能一号の外国人につきましては、試験によりまして一定の日本語能力を求めるということにしておりますが、現在、外務省及び独立行政法人国際交流基金におきまして、事業所管省庁の判断により、共通に活用できる日本語能力判定テストの実施に向けまして、同基金を所管する外務省として必要な経費を平成三十一年度の概算要求に計上しているということを承知しているところでございまして、このような共通の試験制度の創設が新たな制度に基づく外国人材の円滑な受入れに資するものと考えているところでございまして、関係省庁と連携して、積極的にこの検討に参画してまいりたいと考えているところでございます。

石原(宏)委員 他省庁にも来ていただいていて、順番にちょっと答弁をいただきたいと思うんですけれども、十四業種を全部聞いていると短い時間なので聞けないので、自動車整備業と、そして外食業と産業機械製造業についてちょっとお伺いしたいんです。

 この試験なんですが、海外若しくは国内で行われるようなんですけれども、筆記試験のみなのか、それとも筆記試験と実技の試験が合わさっているのか、また、その試験が何語で書かれているかとか、そういうことをちょっとおのおの教えていただければと思います。

 外国だけなのか、国内もやるのか、そして筆記と実技があるのか、そしてその試験の内容が何語でやるのかというのをちょっと簡単に説明していただければと思います。

島政府参考人 お答えいたします。

 自動車整備業におけます特定技能一号の技能試験は、国外において、筆記及び実技により行うことを考えてございます。

 具体的には、自動車整備作業に必要な知識を問う筆記試験と、実際に整備作業を行わせる実技試験によりまして、自動車の基本的な点検整備が行えます国家資格でございます自動車整備士三級相当の水準の技能を有するか確認をすることを考えてございます。

 なお、筆記試験の言語は日本語とし、必要に応じてルビを付すということを想定してございます。

 いずれにいたしましても、技能試験の内容につきましては、今後、分野別運用方針に決めていく中で明確にすることとしてございます。

 以上でございます。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 外食業におきましては、技能実習生からの移行は見込んでおらず、試験の合格者が対象となることを想定しております。

 受験生としては、例えば、国内の飲食店等でアルバイトして経験を積んだ外国人留学生、それから海外の調理師学校の卒業生、それから海外のホテル、レストランの従業員及び海外の食品工場の従業員などを考えているところでございます。このため、国内外双方で試験を予定しております。

 また、お尋ねの技能試験につきましては、有識者の意見も踏まえて、今後、試験問題を策定することとしておりますが、現時点におきましては筆記試験及び実技試験を考えております。

 実技試験につきましては、例えば画像等を用いた試験などを想定しているところでございます。

 使用言語につきましては、基本的には日本語を想定しておりますけれども、出題範囲の一部を母国語とするということも含め、検討しているところでございます。

大内政府参考人 お答えいたします。

 産業機械製造業における特定技能一号の技能試験は、現時点では、国外において現地語で筆記及び実技により行うことを考えております。

 具体的には、産業機械の製造工程に必要な知識を問う筆記試験、それから実際の作業を行わせる実技試験から成る技能検定三級の内容も参考にしながら検討を進めております。

 いずれにしても、技能試験の詳細につきましては、関係業界や現地国のニーズも踏まえ、法務省等の関係省庁とともに、分野別運用方針の中で明らかにしていくことにしております。

石原(宏)委員 最後に、試験について法務省にお伺いしたいんですが、試験が実際に実施をされていて、その試験の内容が適正であるかどうか、若しくは、何人ぐらい受けているのか、そういう内容の調査とか中身の評価というのは、外注した場合は所管官庁がやるのか、それとも入国管理庁が行うのか。

 その試験の、多分この制度は、新しく試験についてのチェックということが新たに入ってくると思うんですけれども、どうなっているのか、それをお教えください。

和田政府参考人 御指摘のとおり、試験の適正を担保する、このことは非常に重要なことだと考えているところでございます。

 その担保する方法でございますけれども、まず、業種横断的な共通の考え方を政府基本方針において定めます。それから、各業所管省庁においてこれを具体化したものを、関係閣僚会議において分野別運用方針の一項目として決定していただく、こういうような予定にしております。

 その上で、技能試験の実施に当たりましては、業所管省庁におきまして、試験実施時の注意事項でございますとか会場の要件などを記載した試験実施要領を作成するということでございます。その中で、受験者の規模に応じて、試験監督者をどのように配置するかなど、試験の適正実施のための条件、これについても定めていただくということを予定しているところでございます。

 このように、試験実施要領等につきましては、基本的には業所管省庁において定めるものでありまして、また、これを民間団体等において実施する場合においては、業所管省庁において、当該実施者が適切に試験を実施していることを確認する必要があるものと考えておりますが、法務省といたしましても、この点について適正に行われているかどうかを関心を持って注目したいというふうに考えているところでございます。

石原(宏)委員 ちょっと論点を変えまして、技能実習生について、きのうの予算委員会でも野党の方が質問されていたんですが、新制度になって監理団体や受入れ機関の調査を行われていると思うんですけれども、トータルで、監理団体と受入れ機関で何件調査を行っているか。

 それで、おのおの、監理団体は何件、受入れ機関は何件かというのをまず教えていただきたいのと、あと、その調査項目なんですけれども、実際に失踪者の方の聴取票がありますが、給与の部分が税引き前なのか手取りなのかよくわからないところがあって、正確に最低賃金なんかを調査するためには、やはり受入れ元に入らないとわからないと思うので、実際に外国人技能実習機構が調査をされていると思うんですけれども、その調査項目で、例えば、実習生の給与や諸手当や、また労働時間、正規の時間と残業とか、また、恐らく技能実習生は雇用契約を結ばれていると思いますので、その雇用契約に書いてある賃金と実際に支払われている賃金がおかしくないのかとか、あと、先ほど言ったように、受入れ元に行けば、最低賃金も基本的には基本給と諸手当で、そして労働時間は残業を除いた時間で計算しますから、そういう最低賃金のチェックまでされているのかどうか。

 その調査項目についてちょっとお教えをいただきたいと思います、件数と。

和田政府参考人 お答えいたします。

 まず、件数についてでございます。

 本年九月末時点での速報値でございますが、外国人技能実習機構におきましては、これまで、約千百の監理団体及び約二千六百の実習実施者、これが受入れ機関に当たるものでございます、以上合計三千七百の団体等に対して実地検査を行っているものでございます。

 その際の調査項目でございますが、検査の項目は個々の事案に応じて異なる面がございますが、一般的には、技能実習生に対する賃金や割増し賃金の支払いや労働時間が適正であるか否か、技能実習計画に従った技能実習が実施されているか否か、賃金台帳等の必要な帳簿書類等が適切に保管されているかどうか、旅券等の取上げがないかどうか、暴行等の人権侵害行為がないかどうか、こういったことを検査しているものでございます。

 そして、最低賃金でないかどうかの確認でございますが、技能実習生の賃金につきましては、技能実習法上、日本人と同等以上の報酬を確保することを要件としており、技能実習計画の認定申請の際に、申請書類及び疎明資料とともに、賃金が同等報酬要件を満たしているか否か、また最低賃金を上回っているか否かをまず確認をいたします。その上で、実地検査におきましても、賃金台帳等の帳簿を確認するなどいたしまして、技能実習生の賃金が最低賃金を下回っていないかどうか、これを必ず確認することとしているところでございます。

石原(宏)委員 あと一分になりましたので、ぜひ山下大臣にお願いをしたいんですが、こうやって受入れ機関の調査をされています。それで、今回の審議の中で、失踪者の、旧制度における二千八百名の聴取票のことが話題になりましたけれども、私自身は、聴取票自身は、個人的な意見ですけれども、ふわっとした感じがしていて、そこに書いてある給与というのが本当に基本給なのか、労働時間も残業を含めているか含めていないのか、ちょっとわかりにくいところがあると思うんですね。

 それで、やはり受入れ機関を調査をして、できれば反面というか、技能実習生も、普通に働いている方の、失踪した人じゃない方のサンプル調査なんかもしていただいて、二つの受入れ機関の調査と、そして普通に働いている方、失踪者の両方を調査をしていただいて、両方あわせてしっかりと分析をしていただいて国会に報告していただくことが、私は技能実習生の実態をしっかりと把握することができるのではないかと思います。

 野党の方々は、技能実習生の実態が把握できない中でこの新たな枠組みをつくるのはいかがなものかという話がありますけれども、今、その報告がない中でこの議論を進めているわけでありますが、やはり国会としては、私は、この技能実習生の実態について、両面でしっかりと調査をしていただいて国会に報告していただくことが必要ではないかということを最後に述べまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で石原宏高君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠山清彦君。

遠山委員 おはようございます。公明党の遠山清彦でございます。

 本日は、当委員会で余りカバーされていなかった点について、私、短い時間ですが、質問させていただきたいと思います。

 大臣御承知のとおり、既に日本には既存の外国人受入れの制度がございます。技能実習については大分長い時間を割いて議論されてきているわけですが、その上に、専門的、技術的分野の枠組みで外国人の人材を受け入れる制度というのが既にあるわけでございまして、法務省の資料では、教授あるいは技術・人文知識・国際業務、介護、技能等で在留資格を得て受け入れられている外国人材がいるわけでございます。

 私、地元は沖縄でございまして、この沖縄の観光業、宿泊施設等では既に多数の外国人材の方々が既存の枠組みで受け入れられて、職場で、現場で働いているという実態があるわけでございます。

 今回、特定技能一号、二号というものが創設をされ、人手不足の十四分野の中に宿泊も入っているわけでございますが、沖縄の関係者に聞きますと、今回創設をされる特定技能一号、二号は将来的なものかもしれませんが、ここに当たる人材が既に受け入れた外国人材の中にいるのではないか、こういう指摘もあるんです。

 そこで、最初の質問は、既存の制度で受け入れている外国人人材と、これから創設される特定技能で受け入れる人材の違い、在留資格の違い、主なもので結構ですけれども、それをまずお示しをいただきたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 従来は、先ほど御指摘のような、例えば教授であるとか、そういったものにつきましては、専門的、技術的分野において在留資格を特定しておりました。

 今回の特定技能一号、二号は、現行の専門的、技術的分野における外国人受入れ制度を、大きく分けて二つの点で拡充しているというものでございます。

 一つは、分野の拡充でございます。

 現行の受入れ制度では、今の例えば在留資格、技能で受け入れる外国人については、産業上の特殊な分野の労働者に限って受け入れておりました。これは具体的には外国料理の料理人や宝石加工等、国内の技能労働者が基本的にもともと少数しかいない分野の労働者でありました。

 しかし、新たな制度では、こういった技能労働者につきまして、特殊な分野とは言えずとも、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野ということで外国人を受け入れることとしており、具体的には、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、当該分野の存続、発展のために外国人の受入れが必要と認められる分野において技能労働者を受け入れることができるという資格、これが二号でございます。

 そして次に、一号につきましては、これは技能水準の拡充ということでございまして、受け入れる外国人の技能水準について、従来は高い専門性、技能を有する者だけを対象としていた、これは特定技能であれば二号に当たるわけでございますけれども、新たな制度では、先ほど申し上げた、人材確保が極めて困難なため外国人による人材確保を図るべき分野に限って、産業上の特殊分野ではないものの、一定の専門性、技能を有する者にも拡充するということにしております。

 以上が、特定技能一号、二号ということでございます。

遠山委員 大臣、今御説明いただいたように、そうすると、既存の枠組みで受け入れた外国人材と、これから設ける特定技能で受け入れた人材は、いろいろなところで違いがあるということなんですね。

 そうしますと、この法律が、法改正が成立した後に、外国人材が雇用されている現場で起こることは、若干混乱的なものが予測されるんですね。つまり、既存の制度で受け入れた外国人人材と新たな制度で受け入れた外国人材が、同じ職場で混在して働くということになるんですね。

 そうすると、私が具体的にもらっている要望の一つを申し上げると、今ある制度で、通訳、翻訳という専門性に着目して受け入れた方々は、ホテル等においては通訳、翻訳業務をやるために在留資格を得ているわけで、ホテルのほかの業務はなかなかできない。ところが、この後観光庁にちょっと伺いますが、特定技能で受け入れられた外国人材は、大臣が今御説明になったように、いろいろな仕事ができるように拡充されていますので、そうすると、同じ職場で外国人材がいて、既存の枠組みで来た人にはいろいろな制約があるわけですね。ところが、新たな制度で来た人たちはかなり幅広に仕事ができる。それを同じ経営者が同じ職場で雇っているというのが一つの混乱の要因になり得るんです。

 そこで、次の質問なんですが、じゃ、例えば、既存の制度で受け入れた外国人材の方が、既存の在留資格から新たに設けられた特定技能の在留資格に途中で切りかえたいと。もしかしたら、これは雇用している雇用主の方もその方がすっきりするんですね。この議論は多分この委員会で一度も出ていない論点で、だから、既存の枠組みで受け入れた専門的な外国人材が、在留資格の途中で特定技能に自分は在留資格を変えたいと希望した場合は、これはどういう手続になりますか。

和田政府参考人 御指摘のような、在留資格が違いますので、そうしますと、在留資格の変更ということが必要になります。

 例えば通訳、通訳は今の技人国と言われるものの中では高い通訳の能力を持っておられるわけで、今回の特定技能一号にそのような高い能力までは求められないんですが、確かに仕事の幅が違う。そこで、こっちからこっちに移りたいということが起こるということでございます。

 そういうような場合には、ただ、特定技能一号は一号としての資格要件がございますので、この資格要件を満たすということを前提として、この資格要件を満たした場合には資格変更の手続をとっていただく、このようなことになるかと思います。

遠山委員 じゃ、和田局長、確認ですが、今のこの法律上、既存の枠組みで受け入れた外国人材が特定技能の方に在留資格を変えたいといった場合は、その手続はあるということでよろしいですね。

和田政府参考人 この新たな在留資格は、必ずしも新規入国だけの方に限っているわけではございませんので、在留資格変更の手続をとるということはございます。

遠山委員 わかりました。

 ちょっと話が前後しますが、観光庁にお伺いをしたいと思います。

 先ほど申し上げたように、沖縄は今インバウンドも三百万人近いところまで来ておりまして、全体で一千万人、ことし行くんじゃないかということで、ハワイを超えてきているわけであります。

 ホテルの従業員等の中にも、繰り返しになりますが、外国人材がふえているという中で、先ほど、通訳と翻訳と、わかりやすいので申し上げましたが、ホテルというのは、フロント業務から、料飲から、営業から、清掃から、いろいろな業務があるんですね。日本人の従業員の場合は、いろいろなホテル内の業務を経験することで、ホテルマン、ホテルウーマンとして育っていくわけですが、既存の制度で入れた外国人材は、いろいろな縛りがありますから、それができない。

 今回のこの特定技能で、当面は基本的には一号ですけれども、一号で受け入れる外国人材でホテルや旅館等に来る外国人材については、私が今申し上げたように、宿泊施設内にあるいろいろな部門の業務を幅広にこなすことができる、こういう理解でよろしいですか。

金井政府参考人 お答えいたします。

 宿泊業におけるいわゆるマルチタスク就労形態での外国人材の受入れにつきましては、沖縄の観光産業の団体から御要望いただいているところでございます。

 観光庁としましては、今般、宿泊業における新たな在留資格に関する検討を行っているところでございますけれども、外国人材の受入れに当たっては、良質な宿泊サービスの提供の前提となる心構えや接遇マナー等の基礎的な素養に加えまして、さまざまな業務に関する一定の専門性や技能をトータルで求めることを想定しております。

 具体的には、宿泊サービスの提供に必要なフロント、企画、広報、接客、レストランサービス等の業務をマルチタスクで従事できる能力を有する人材を受け入れることを想定しておりまして、引き続き、関係省庁や宿泊業界とも緊密に連携しながら検討してまいりたいと考えております。

遠山委員 つまり、今答弁にありましたように、この特定技能で受け入れる外国人材については、今、宿泊業に限ったお話ですが、マルチタスク就労形態を認めると。だから、今までの外国人材では認めてこなかったいろいろな仕事を、いろいろな業務を、作業をできるようにしているというところが私は最大の特徴の一つだろうと思いますし、その観点から、大臣、沖縄の観光業界、宿泊業界は、今回の特定技能の創設を大歓迎しているということは申し上げたいと思います。

 時間がないので答弁は要りません、聞いていただければいいんですが、今、この沖縄から、先日、観光庁長官に、業界を代表して申入れがありました。その内容は、この特定技能二号、一号じゃないですよ、二号。この一号の上の二号と、今、私がきょう申し上げている技術的、専門的分野の人材の能力とか資質、資格が、かなり近似性、類似性があるんじゃないかと。そこで、沖縄の業界としては、どんどんどんどんお客さんがふえている状態なので、既存の枠組みで受け入れた外国人材を、特定一号じゃなくて二号に横にスライドさせる、在留資格を切りかえる、こういうことを早期に認めていただきたいと。もちろん、法務省のこの委員会での答弁を聞くと、来年の四月からそれができるという状態にはないでしょうけれども、これは早期に、この既存の制度で入った外国人が特定二号で切りかえて滞在できるというようなことを、沖縄の方は実証実験的に沖縄県だけでまずやらせてくれというところまで言っておりますので、そういう要望があるということだけ御理解をいただきたいと思います。

 最後の質問になりますが、全く違う論点ですけれども、技能実習生で失踪者が多いという問題がこの委員会でも指摘をされてまいりました。

 私も、技能実習生を多数受け入れている団体の幹部と先日懇談した際に、最大の問題の一つは、技能実習生に高い賃金を餌に失踪を促して、失踪先まで手配をする、もちろん失踪先は違法就労の場所になるわけでありますが、この手配をする、悪質ブローカーと呼ばれたり、手配師、地面師のように手配師と呼ばれることもあるんですが、この手配師と言われる存在がほとんど取締り、検挙されていないのではないかという問題なんですね。

 技能実習機構の職員が、まさか警察のように捜査して、逮捕権もないのに捕まえるというのはなかなか難しいですけれども、一方で、警察の立場に立つと、技能実習生に失踪を促して違法な職場をあっせんするというのが一体何の罪に当たるのか、何の違法行為に当たるのか、どういう刑罰があるのか。ちょっときのう法務省の役人の方を呼んで話しても、何なんでしょうかねというありさまでしたので。だから、技能実習生に失踪を促して失踪先まで準備する手配師というのはどういう罪なんですか。それをちょっと明確に。じゃ、和田さんでいい。

和田政府参考人 お答えいたします。

 もとより、犯罪の成否につきましては個別具体的に判断されることでございますけれども、一般論を申し上げます。

 例えば、業として、外国人に不法就労活動をさせる行為などに関しあっせんした者、この者につきましては、出入国管理及び難民認定法第七十三条の二第一項に規定します不法就労助長罪などが成立するものと考えております。

 今申し上げました不法就労助長罪の法定刑でございますけれども、これは、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金、又はこの併科、こうなっているところでございます。

遠山委員 きょうは私、時間がないのでまた別の機会にお聞きしようと思いますが、要は、この技能実習生の失踪を手配している連中の罪は不法就労助長罪という罪なんですね。じゃ、この罪をもとにどれぐらいの検挙の数があったのかということは、また私の次の機会に確かめたいと思いますが、いずれにしても……(発言する者あり)いや、次の機会というのは私の次の機会、いつとは言っていませんが。

 いずれにしても、この不法就労助長罪でどれだけちゃんと検挙しているかというところが失踪者を減らすポイントなんです。警察もこれはしっかりやらなきゃいけないということを申し上げて、私の本日の質問は終わります。

 以上です。

葉梨委員長 以上で遠山清彦君の質疑は終了いたしました。

 次に、階猛君。

階委員 まず、委員長の職権で、本日、この質疑が終わり次第、質疑を終局して採決だということが決められました。甚だ問題だと思っています。

 重要広範議案であるにもかかわらず、総理入りの質疑も、また連合審査も、そして視察も行われていません。参考人質疑も、一回だけ行われましたけれども、直前になって決められたために、我々、ほかにも呼びたい方はたくさんいたんですけれども、急なお願いなので断られた、こんなこともありました。これで本当に充実した審議がなされたと言えるのでしょうか。

 委員長が職権で決められたわけですから、委員長から、きょう職権で決められた理由を明確にお答えいただきたいと思います。

葉梨委員長 私に対する質問でございますので。

 まず、総理入りの質疑、連合審査、視察ということでございます。

 先に、まず連合審査について申し上げます。

 この法律について、もう既に各省庁、関係省庁の副大臣、政府参考人等々を呼んでいただいて、質疑をさせていただいておるわけでございますけれども、その内容というのは、分野別の受入れの見込み数の算定根拠あるいはその試験のやり方等々、十分に副大臣以下あるいは政府参考人等で答えることができる技術的、細目的事項を中心としたものでございました。

 そして、法務省は、今回、入国管理庁が総合調整の権限、権能を持つということでございますので、必ずしも連合審査は必要ではなく、副大臣、政府参考人等に対する質疑で足りると私は判断させていただきました。

 総理入り質疑でございますけれども、昨日、予算委員会の場で、総理も入りまして、主に法務委員の方々から入管法の質疑がなされております。実質上、昨日の審議というのは総理入りの審議であるというふうに見られます。もちろん、委員会は予算委員会と法務委員会は違います。違いますけれども、実質上の審議という意味では、昨日も相当実質的な審議が総理入りでなされたというふうに認識をいたしました。

 また、視察につきまして、確かに、さきの技能実習法の制定時には視察を行いました。この視察先というのは、当時のJITCO、さらには入管局、そして、介護福祉士を入管法の介護の資格で入れることになりましたので、介護施設を回りました。

 けれども、今回の法案については、JITCOのような機構はございません。また、さらには、さきの介護という資格を創設するに当たって、技能実習生ではなくてEPAでございましたけれども、そこで働いている人のところを見る、そういうようなまた要件等もございません。

 入管局の視察ということであれば、それは入管局長に答えていただければ足りるということで、その三つについては、私は、必要性は特に感じられないというふうに判断をさせていただいた。昨日の充実した質疑を踏まえれば、本日、更に念のための質疑をぜひ政府に対してしていただいて、十分にこの法案の賛否を判断できる材料は調ったものというふうに私は認識をいたしました。

階委員 全く説得力がないと思います。

 あの総理入りの質疑、予算委員会でやりましたけれども、私は質問に立っていませんし、この場でもやっていただきたい。

 連合審査については、きのうの答弁の中でも、業務所管じゃないので答えられないということがありました。やはり連合審査は必要だと考えます。

 視察についても、技能実習制度がこの新しい制度の土台になっていますから、技能実習の現場がどうなっているのか、こういったことも見ていかなくてはいけない。また、外国人の割合が高い地域にも伺って、共生社会の取組がどうなっているのか、こういったことも見ていかなくてはいけないと思っています。

 また、委員長からは答弁がありませんでしたが、参考人質疑においても、先ほど申し上げましたとおり、私たちが呼ぶべきと考えているエコノミストあるいは女性の立場からの意見を述べる人、こうした方々からの意見も聞かなくてはいけない。

 こうしたことがないまま、なぜ審議を急ぐのか。私たちが見るところでは、例えば総理の外遊であったり、例えば十二月十日に会期が決められていたり、あるいは四月一日に法律の施行が決められていたり、こんなことが本音の理由として見てとれるわけです。

 そこで大臣に伺います。改めて聞きますけれども、なぜ施行を四月一日に急がなくてはいけないかということです。

 私、世論調査の結果も見てまいりましたけれども、各世論調査を見ますと、朝日新聞では、今国会でこの法案を成立させるべきか、その必要はないという人が六四%です。成立させるべきだという人は二二%。産経新聞、FNN合同では、今国会での成立にこだわるべきではないが、成立させるべきを上回り、八割を超えているということだそうです。毎日新聞では、同じように、今国会での成立にこだわらず議論を続けた方がよいが六六%。NHKでは、成立を急ぐ必要はないというのが六二%。

 このように、世論は、もっと慎重にじっくり審議をすべきだ、今国会の成立にこだわるべきではないというふうに言っている中で、なぜ四月一日の施行にこだわり続けるのか、この点についてお答えください。

山下国務大臣 お答えいたします。

 まず、昨今の人手不足状況、これがもう極めて深刻だということでございまして、産業上の分野によってはその維持が難しく、またさらには、例えば今、非常に、アベノミクスの進展によって景気回復の道筋にあるわけでございますけれども、そのボトルネックになっているというようなところもございます。

 そして、今、有効求人倍率が四十四年ぶりの高さとなる一方で、少子高齢化により、労働力となり得る生産年齢人口は毎年減少し、ことし初めて六割を切っているんです。

 そうした喫緊の人手不足状況の中で、我々政府としては、この課題に迅速に対応するために、来年四月から制度をスタートさせたいというふうに考えているものでございます。

 そして、審議においても、与えられた時間の中で、しっかりと誠実に答弁してきたつもりでございます。

階委員 生産年齢人口が減ることは、前々からわかっていたことなわけですよね。ずっと前からわかっていて、だから一億総活躍とか、女性活躍とか、地方創生とか、政府はいろいろやってきたわけじゃないですか。生涯現役とかね。

 なぜ今、急に、外国人を受け入れないと回らなくなるということになるんでしょうか。ということは、今までやってきた政府の取組は全て失敗だった、こういうことですか。

山下国務大臣 急にという御指摘でございますが、既に昨年、二十九年六月に未来投資戦略二〇一七というものがございまして、この中でも、経済社会基盤の持続性を確保していくため、真に必要な分野に着目しつつ、外国人材の受入れのあり方について、総合的かつ具体的な検討を進めるというふうなことが閣議決定で決められております。そして、それに先立っても、こうした外国人材受入れのあり方については政府内で共有されていたということでございます。

 そして、そういったことを検討しながら、ことしになってから、経済財政諮問会議、あるいはそれに基づくタスクフォースの設置、そしてことしの骨太の方針という形で検討を進めてまいったということでございます。

階委員 なぜ四月なのかということに対して、説得的かつ客観的、合理的なエビデンスが見られないわけですね。

 例えば、私たち国民民主党では、この法案の施行を六カ月延期してもいいんじゃないか、六カ月延期する中で、後で言いますけれども、地方の人材確保とか、適切な外国人労働の待遇を確保するための配慮とか、きのうも言いました、日本語教育を含めた教育制度のあり方、こうしたことなども考えていったらいいのではないか。半年おくらせても、私はそんなに影響はないと思っています。

 というのは、昨年から新しい技能実習制度が始まって、今まで三年だったのが、三号ということで二年延びるわけですよね。二年延びて、期限が来年の十一月なわけですよ。だから、なぜ四月じゃまずいのか。せめて、客観的、合理的な理由ということであれば、来年の十月とかいった方がまだわかりやすくて、四月にこだわる理由がよくわからないんですよ。

 四月にこだわる理由って、エビデンスを示してくれませんか。

山下国務大臣 これは先ほど申し上げたように、やはり喫緊の課題であって、それで、例えば先ほど申し上げたように、ことしになって生産年齢人口が六割を切っている。これは従前からわかっていたことだという御指摘ではございますけれども、しかし、現実的になってきているわけでございます。そして、人手不足の深刻化というのも進んでいるということでございます。

 また、六カ月施行を延期するということでございますけれども、その間に、やはりこの施行がおくれれば、万単位の、本来であればこの資格で日本国において特定技能一号で働けた方が帰国を余儀なくされる。それは、その外国人が、働きたいと思っていた外国人のみならず、その外国人を雇用しようとしていた、その万単位の事業所に対しても影響があるのではないか。そしてさらに、例えば六カ月施行を延期するということでございますけれども、では、六カ月後に確実に例えば成立するのかどうかということは、これはもう国会の御判断でございます。

 そうしたことから考えると、我々法務省としては、与えられた時間の中で誠実に御説明をして、そして御判断をいただきたいというふうに考えておるわけでございます。その中で、やはり喫緊の課題でありますから、四月施行ということでお願いしたいというふうに考えておるわけでございます。

階委員 外国人受入れが必要だという点では、我が党だって別に反対しているわけではありませんよ。ただ、丁寧にやるべきだというのが、世論もそうですし、我々も、こういう課題がある中で四月にこだわる必要はないんじゃないかと。

 万単位で帰国されるという話ですが、これは技能実習生のことをおっしゃっているんですかね。

山下国務大臣 これは、留学生など、ほかの在留資格も含むということでございます。

階委員 その内訳などはわかっていますか、万単位で帰国される内訳というのは。四月から施行がおくれた場合。

山下国務大臣 一つの論拠となり得るのが、先般、関係省庁によって、「新たな在留資格による人材不足・受入れの見込み数」というのが示されております。

 その中では、例えば人手不足の数、これは十四業種の中で相当な人数に上るということが示されているということ。そして、受入れの見込み数におきまして、制度導入初年度ということにおいて、ここで数値が示されているということでございます。それが例えば初年度を半年ということで考えてみると、やはり万単位ということが言えるのではないかというふうに考えております。

階委員 結局、技能実習制度の人をつなぎとめるために、これを四月にやらなくちゃいけないということなわけですよ。ということは、一つには、技能実習制度の趣旨、国際貢献、人材を日本で育てて本国で働いてもらうという趣旨には反しますし、また、大臣がこれまで答弁してきた、技能実習制度と今回の制度は別物だ、密接不可分ではないというところにも反しているわけですね。

 技能実習制度がこの制度の土台にあるということは正面から認めるべきだ、これを認めないので、私たちも、この議論というのが前に進んでいかないんだと思っています。その上で、私たちは、技能実習制度についてもっと実態を把握すべきだということを申し上げてきました。

 きのうも山尾さんが指摘していましたけれども、個票を精査することによって実態が見えてきたと。きのう、あの後もいろいろな党でやった作業を集計しますと、きのう終わった段階では千三十人分の個票を調べました。鹿児島県の最低賃金、これは全国で一番低いということなので、これをとって、最低賃金を下回る割合、きのう終わった段階では八六・二%という数字が出ています。

 この驚くべき割合が調査結果では出ているんですが、これは契約ベースで見ると、必ずしも最低賃金を下回っていないケースが圧倒的に多いんですね。契約ベースと実態が異なるということが、個票を見ていくと、見てとれるわけですよ。

 そういう中で、きのう私は、今回の新たな資格の監督制度、出入国在留管理庁というところで監督するという話で、本当に実効性があるのかという中で、山下大臣は、在留資格認定証明書交付の審査の際にしっかりと見るというふうにおっしゃっていましたけれども、幾ら労働条件を認定の際に見たとしても、実態は契約とは異なってくるわけですよ。

 このあたりをちゃんとチェックできないと、監督体制というのは全く意味をなさないと思いますが、この点についてはどうですか。

山下国務大臣 まず、監督体制につきましては、これは受入れ機関による雇用契約についてということだけではなくて、特定技能外国人の活動状況に関する届出、これを義務化しております。届出事項を拡充している。本法律案の十九条の十八等でございます。

 また、受入れ機関等に対する不適切な処遇等に対する助言指導、そして報告徴収や立入検査。こういった報告徴収や立入検査、あるいは改善命令違反については、罰則で担保しているということでございます。

 こうしたことを規定によりしっかりと運用することによって、実際にきちんと稼働しているのかどうかということは把握できるものというふうに考えております。

 先ほどの在留資格による受入れ見込み数をごらんになればわかるとおり、これは技能実習だけではないんですね。試験により受け入れるというものも多数記載されたものをこの法務委員会に提出しておりますので、それを付言しておきます。

階委員 私も指摘しましたけれども、経済産業省所管の三業種についてはほぼ一〇〇%技能実習生を活用するということですので、土台であるということは言えると思います。

 あと、きのうは日本語能力のことについてもお尋ねしましたけれども、大臣の答弁の中で、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを確認されることを基本とした上でというお話がありました。私は、それは具体的にはN4なのかN3なのかということもお聞きしました。

 私も、N4とN3、どっちが高いか低いかというところをちょっときのう言い間違えていたかもしれませんが、N4とN3では、N3の方がより高い能力ですね。

 それで、私の手元に、日本語能力試験の公式ウエブサイトというものから印刷したものがありますけれども、N3の方は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるというのが基本的な考え方。そして、N4の方は、基本的な日本語を理解することができるというのが基本的な考え方です。

 今回、大臣がきのうおっしゃられたことは、私はこれはどっちに当てはまるのかな、多分N3の方が近いのかなというふうな気がしましたけれども、その点についてどうですか。N3なのか、N4なのか。

山下国務大臣 このN4、N3と申しますのは、日本語能力試験、略称JLPTという試験の特定の指標でございまして、これを用いるのかどうかということではございますが、これによるということを今考えているわけではなくて、先ほど局長が石原委員に対して御答弁させていただいたように、例えば、現在、外務省及び独立行政法人国際交流基金において、事業所管省庁の判断により共通に活用できる日本語能力判定テストの実施に向けて必要な経費を概算要求に計上している、こういったものの動向もやはり見守っていきたいというふうに考えております。

 N3、N4というのは、特定の試験の特定の指標でございますので、これを直ちに利用するということは考えてはおりません。

階委員 先ほどの答弁の中で、海外でも試験を実施されるということで、そこで日本語能力も見るわけですよね。その場合に、ある程度客観的な基準がないと、ある国の日本語能力の試験と別の国の日本語能力の試験でレベルが違ったら、問題じゃないですか。

 きのうも言いましたけれども、現場では、日本語能力がある程度ないと安全面でも問題が生じるということで、これは、やはり客観的な基準で、ある程度、N3なのかN4なのか決めていくということが政府としてやるべきことだと思いますけれども、どうなんですか。

山下国務大臣 今般求めているのは、私が答弁させていただいたように、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが確認されることを基本とした上で、受入れ分野ごとに業務上必要な日本語能力を考慮して、具体的に確認することにより測定するというものでございます。

 繰り返しになりますが、そのN3、N4というのは特定試験の特定の指標でございまして、それを直ちに活用するというのではなくて、今、関係省庁、外務省の協力も得ながら検討しているというところでございます。

階委員 技能実習二号を終えた方は試験を受けなくても特定技能一号に移れるということなんですが、参考人の坂本さんがおっしゃっていましたけれども、これは、過去に二号を終えられた方は全員対象になるんじゃないかということを言っていました。それで間違いないですか。

葉梨委員長 山下法務大臣。(階委員「とめてください」と呼ぶ)

 じゃ、速記とめて。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こして。

 山下法務大臣。

山下国務大臣 済みません。事情はよく承知しておりますが、通告がないものですから、ちょっと済みません。手間取ることをお許しください。

 先ほどのお話につきましては、技能実習を修了した、それが、例えば、今回新たな人材の受入れ制度で認められる人材不足が深刻な産業上の分野ということであれば、それは受け入れられる可能性はあるということでございます。ただ、ほかの要件はしっかり満たしていただく必要があるということです。

階委員 それだと、日本語能力も本国に戻って衰退しているかもしれないということで、本当に現場のニーズに応えられるのかという問題があると思います。

 それで、通告がないとかおっしゃいますけれども、我々だって、きのうの夜にいきなり決められて、通告どころじゃないですよ。連日ですよ、しかも。皆さんの都合のために我々が質疑をやっているわけではないんですよ。

 国会は、ちゃんと準備をして質疑をするところだと思います。きょう、私がきのうの議事録をチェックしたのはけさですよ。これを見ないと質疑なんかできるわけないじゃないですか。何言っているんですか。通告がないのは皆さんの責任ですよ、政府と与党の責任。それを言っておきたいと思います。

 それで、最後に、地方のことについてお尋ねします。

 地方で人材不足が解消できないのではないかという問題意識に立たれているということは評価しますけれども、果たして、今回修正案が提出されていますけれども、二条というところが今の点にかかわるところですね。特定技能外国人が大都市圏とかに集中して就労することとならないようにするために必要な措置を講ずるよう努めるということで、努めるということで、まず法的な義務になっていないということは実効性に欠けると思っていますけれども、それはおいておくとしても、大都市とかに過度に集中して就労することとならないようにするために必要な措置って、具体的にどういうことを考えていらっしゃるんですか。修正案提出者にお尋ねします。

井野委員 今回の附則による修正についてでございますけれども、これは、あくまでも我々としては、分野別運用方針とか、政府のそういう方針に対して、できるだけ配慮するようにという努力義務となっておりまして、それを受けて政府がどのように運用していくかということでありますので、そういった具体的な運用方針の、更にどういうふうに地方に配慮していくかということは、あくまでも政府の運用方針によるものだというふうに理解をしております。

階委員 結局政府に丸投げということで、この修正案が通っても、問題の解決につながるかどうかは、ふたをあけてみないとわからない。

 私たちは、その前に、国民民主党の対案では、地方の人材確保への配慮ということもちゃんと法案に盛り込んだ上で、この国会で通して実行していくべきだ、そのために六カ月ぐらいの猶予は当然設けられるだろうというふうに考えております。

 以上で質問を終わります。

葉梨委員長 以上で階猛君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 冒頭、この外国人材受入れというのは大変重い課題であるがゆえに、特に技能実習生の聴取票の吟味にも時間を使ってきましたが、今までの入管行政を振り返りながら、今、ようやく現状の分析に入ってきた。そして、これから法案内容によって、これから近い将来、近未来にどのような産業構造や雇用状況をつくっていけるのか、こういう議論のまだ途中でありますので、まだまだ、きょう二時間で終局というのはあり得ないということを冒頭申し上げさせていただきます。

 それでは、まず山下大臣にお聞きしますが、外国人材の受入れの見込み数ということで、議論がようやく始まってきたところです。

 そこで、この受入れ見込み数というのは三つの数字の足し算、引き算で確定します。まずは、五年後の人手の不足数、これは概括的に、精緻に出てくる。これに対して、生産性の向上で穴埋めできる人数がこれだけです、加えて、国内の人材確保でこれだけの人数が穴埋めできますと。

 人手不足からあとの二つを引いた数字が受入れ需要数、これがニアリーイコール受入れ見込み数になるということで、この三つの数字はかなり精緻にはじかない限り、何せ三つの数字の足し算、引き算で出てくる数字ですから、この三つが、土台が揺るぐと、出てくる需要数も受入れ見込み数も、この土台自体が緩んでしまうというこの前提において、一個一個の数字がどうかという吟味をしたいんですが、そこまで時間がないので、きょうは、国内人材の確保について、この数字を具体的にお聞きしたいと思います。

 農業分野です。農業分野において、これは大臣、法務省と各担当省庁がしっかりと吟味をして、そして数字を出したと、これは私の質問にも答えていますので、当然、所管省庁の法務大臣として答えてください。

 農業分野は、不足数が二十一万人だ、そして生産性の向上で一・一万人穴埋めできる、そして国内人材確保で八万人穴埋めできるとありますが、この八万人の数的根拠を教えてください。

和田政府参考人 お答えいたします。

 農業分野におきましてもさまざまな取組をするということで御説明をいただいているところでございますけれども、具体的な根拠につきましては農林水産省の方にお問合せいただければと思います。

黒岩委員 大臣、いいですか。入管局の人間と各省庁でしっかりと吟味したとこの法務委員会で答えているんですよ。和田局長、冗談じゃない。

 では、この法務委員会で八万人の、今、皆さん、わかりますか、法務省も、何にも根拠もないということでいいんですね。和田局長、すぐ答えてください。

葉梨委員長 和田入国管理局長。(黒岩委員「とめてとめて、こんなもの」と呼ぶ)

 答えてください。(黒岩委員「冗談じゃない。これで終局か」と呼ぶ)

 答えて、和田局長。

和田政府参考人 失礼いたしました。

 農業のところで我々がお伺いしているところでございますけれども、農業現場におきましては、生産性の向上のためにはスマート農業というものを実現するということで聞いているところでございます。

 そのために、農業現場にICT機器を導入するでございますとか、センサーデータとビッグデータの解析による栽培管理等の最適化を図ることでございますとか、AIによる熟練者の作業ノウハウを伝承することでございますとか、ロボット技術などによる無人化、省力化などに取り組むこと……(黒岩委員「もういいです、いいです、委員長」と呼ぶ)

葉梨委員長 では、終わりね。

 黒岩君。

黒岩委員 今のでわかるとおり、数的根拠なんかないんですよ。私どもがいただいた根拠はこうですよ。二〇二三年までに四十代以下の農業従事者を四十万人に拡大するという目標の実現に必要となる数字が八万人だと。

 山下大臣、聞いてくださいよ。数的根拠も何にもない。四十万人という目標のために必要なのが八万人です、たったこれだけですよ。こんなことで、いいですか、農業の受入れ人数が今決まろうとしているんですよ。委員の皆さん、こういうことなんですよ。冗談じゃない。

 今の局長の答弁でもわかるように、数的根拠ゼロ。いいですか、十四の分野、一つも、国内人材の確保については数式及び積算根拠はどれも書いていない。ほとんどが、高齢者の活用とか女性の活用とか、そんなことが書いてあるだけ。冗談じゃない。

 だったら、聞きますよ、介護分野。山下大臣、答えてくださいよ、十四分野しかないんだから。

 国内人材確保、これは最初に委員長に聞きますよ。委員長に聞きますよ。覚えておると思いますよ。

 十一月十三日の本会議質問までにあらあらの受入れ数が、数字が出せないと。翌十四日に出てきましたね。委員長はよく覚えているはずだ、明晰な頭脳で。そのときに、介護分野においては三十万人足りなくなる、五年間で五、六万人必要だという数字が出ていた。内訳を出せと。そうしたら、十六日の午前中にこの数字が出てきて、そうしたら、生産性向上で二万人だ、国内人材確保で二十万人だと。二十万人と二万人を足すと二十二万ですから、不足数の三十万から引くと八万人じゃないか、五、六万人と合わないんじゃないかと、その場で階さんから質問が出て、そうですよね、委員長もこれはおかしいと。そうしたら、十六日の夕方に出てきた数字は、今度は国内人材確保は、いきなり二、三万人、三万人もふえた。二十二万から二十三万にふえたという数字が出てきた。これは事実ですね。

葉梨委員長 理事会の場のお話は必ずしも公開されているわけではございませんけれども、厚生労働省から出てきた資料、こちらの資料でございますが、これについてはちょっと数が合わないのではないか、つまり、受入れ見込みの需要数とそれから受入れの充足されるであろう数が合わないのではないかという指摘があって、再度、こういった総覧性のある表をちゃんとしっかり提出するようにということを理事会として申し上げたことはあります。

黒岩委員 これは、平沢筆頭、みんな持っていると思います。午前中もらった数字は国内人材確保は二十万人と書いてあって、これまで何にも修正もされていない。だけれども、夕方出てきた一覧表には国内人材の確保が二十二万から二十三万と。皆さんよく覚えていてください。朝から晩までの間に三万人も変わっちゃう、そんな積算なんですよ。

 今、予算委員会でも、受入れ見込み数、何人なんだとぎりぎりやっている。積算根拠が、朝の段階では二十万人の人材確保、夕方になったら二十三万人と、そして何の修正もされていない。数字だけが二十から二十三に変わったという。これで今、受入れ見込みが何万人かなんということをやっているんですよ。冗談じゃない。これで受入れ見込みの上限だとか、ましてや今後停止するだとか、出せるわけないじゃないですか。

 では、大臣、これは総理も、雇用情勢の変化によってはこの五年間で受入れの上限数が変わることがあると、きのうの予算委員会でも答弁している。だったら、山下大臣、何によって雇用情勢の変化がわかるんですか。本来、数式で求人数と求職数の差とかいうのも入れておけば一目瞭然で雇用状況の変化がわかるけれども、こんな単なる文章、文学的なものだけで、大臣、答えてください、雇用情勢の変化をどうやって我々が客観的につかむことができるんですか。

葉梨委員長 高階厚生労働副大臣から既に答弁はあるんですが、山下法務大臣。

山下国務大臣 御指摘につきましては、まず外国人受入れというのは、生産性向上そして国内人材の受入れを目いっぱいやってもらう、そういったことで、それでもなお人材不足なものについて、ぎりぎり絞って少な目に入れていただくということでございまして、先ほど御指摘の国内人材の活用、これが二十万から二十二万にふえたということでございますけれども、それは、当該省庁において国内人材の確保をしっかりやっていただくということでございます。

 その上で、今般示された見込み数は、各省庁が精査の上、法務省に提出した数字でございます。そして、今後、この法律が成立した暁には、この見込み数、これから精査して、具体的には絞り込んでいって、それで幾らになるかということで判断させていただく、外国人の受入れの規模数、そういったものはしっかりと、成立後に分野別運用方針などで明示させていただくということでございます。

黒岩委員 これはもう皆さん、聞いていてわかるでしょう。農業の国内人材確保は幾らといったら、五年後に四十万人、四十代の人を確保したい、これもまだ目標ですよ。それにあと八万人足りないから八万人という数字を掲げただけですよ。

 介護については、朝、二十万人じゃおかしいと言われたら、夕方に二十三万人と持ってくる数字ですよ。

 生煮えと言いましたけれども、大臣、これは素材として使う、まさにそうですよ。素材自体が、料理も何もしていない、煮込みも始まっていない。こんな状況で、とてもとても、この重要な法案を終局として了とするわけにはいかない。

 このことを重ねて申し上げて、私の委員会質問を、再度あると思いますけれども、きょうの委員会質問を終わらせていただきます。

葉梨委員長 以上で黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私も、委員長の職権で、この審議後の終局、採決が決定されたことに強く抗議したいと思います。まだ審議が始まったばかりであり、終局自体認められない、徹底した審議をやることが当委員会の責務であるということを申し上げたいと思います。

 きょう私は、この間、政府が、この法案によって事態は改善するんだと言っている点について質問したいと思います。

 まず、政府は、この間、特定技能一号外国人に対する支援の実施、そして、その具体的中身としまして、届出事項の拡充、関係機関と連携した調査、指導助言、立入検査、改善命令といった措置を講じることとしていますという答弁を総理や大臣が行っております。これが実際の改善につながるのかということであります。

 まず初めに、届出事項の拡充ということをよく言われるんですが、これは、同じ土台となっている技能実習生でいいますと、二年前の法改定で、監理団体については届出制から許可制に変わったわけであります、御存じのとおり。しかし、許可制に変わっても、実際としての人権侵害や最賃法違反などの法令違反というのはなくなっていないということが、先日参考人質疑でも言われました。

 もちろん、新たに設立された機構の方々の努力というものを私も伺ったケースもあります。努力は承知しておりますが、しかし、許可制になった場合でも、実際の取組としては実効性が上がっていないということであります。

 これが、許可制ではなく、更にそれより緩い届出制になってしまった。これで一体実効性があるのかということなんですが、大臣、これで実効性があるんでしょうか。

山下国務大臣 まず、技能実習制度と新たな受入れの特定技能については、制度が違うということでございます。

 技能実習制度は……(藤野委員「そんなこと、いいです。届出制の実効性」と呼ぶ)いやいや、要するに、監理団体というのは、これは実習計画をしっかり管理していただくというオンゴーイングなところがございます。そして、この受入れ機関については、これは要するに、就労資格としてそこで働いていただくということでございます。ですから、まず届出時点でそういった受入れ機関について明示していただくということ。

 そして、それに対して、さまざまな、例えば指導助言であるとか立入検査も含めてやっていくということ、そして改善命令も出せるということでございますので、そうしたことを通じて、運用を通じて、しっかりと、不正な行為、労働法違反のようなことがないようにしっかりと見ていきたいというふうに考えております。

藤野委員 ですから、そうしたことも技能実習生ではずっとやられて、でも届出制ではだめだねということで許可制になった。しかし、許可制でも実態としては変わっていないということを踏まえていないということは、今の答弁でも如実に示されたと思います。

 先日の参考人質疑でも、普通の届出制というのは、大前提として、ほかの法令、例えば農協法とか協同組合法とか、そういうほかの法律で既に許可を受けているから、ほかで許可を受けているから、この事業については届出でいいですよ、こういうたてつけになっているわけですね。

 しかし、今回のこの法案の届出制は、全くそういう、ほかの法令での許可とか関係なく、まさに純粋に届出でいいということでありますから、これは本当に、非常に緩いものだと言わざるを得ないと思います。

 そして、もう一点お聞きしたいんですが、先ほど与党の質疑の中でも、いわゆるオリパラ関係の外国人建設就労者受入れ制度、これにつきまして、失踪が少ないとかいう指摘もありました。

 先日の質疑でも、私は、それはなぜなのかということも検証する必要があるというふうに言ったんですけれども、私はこの受入れ制度、単純にいいとは思っておりません。いろいろ、四割、賃金支払いに問題があるとか、報告書も出ておりますので、これはしっかりした検証が必要だと思います。しかし、技能実習制度に比べて大きく違いがあるのは、私は、建設業法などの業法が適用されているということだと思うんです。

 この業法の適用によって、いわゆる監督官庁が直接責任を負う仕組みもあるし、そして、元請企業が下請企業に直接責任を負う仕組みもあるということになっております。これが一定、技能実習制度とは異なる労働環境をつくり出して、例えば失踪のデータの低下という形にあらわれているのかもしれない、そういう面もあります。

 支援団体の方からは、やはり業法の適用で、受入れ機関とか、今でいう監理団体とかにお任せではなくて、監督官庁がしっかり見る、元請企業もしっかり見る、こういう、やはり全員がしっかりと労働者を守る一員となっていく仕組みが重要だという指摘があるんですね。

 大臣にお聞きしたいんですが、現時点で結構です。現時点で、本法案で業法を適用するような、現時点の外国就労者受入れ制度で取り入れているような制度を取り入れるお考えはあるんでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 先ほど、建設就労者についてを例に、引き合いに出されましたが、業法の適用というのは、その労働者が従事する、その業に適用される業法でございまして、これは、特定技能一号においても、その労働者が従事する分野が業法の適用対象であれば、業法は、適用は排除されないということでございまして、そうしたことで、その業法の適用対象としても見ていく。

 一方で、やはりこれは、この特定技能に関しまして、出入国在留管理庁、認めていただけるのでありましたら、そこがしっかりと、指導助言、あるいは報告徴求や立入検査、必要があれば改善命令等をやっていくということでございます。

藤野委員 今、業法の適用があるという答弁があったのは、恐らく初めてではないかと思います。これは、しっかり検証していただきたいと思います。

 実際、受入れ制度の方でも賃金未払いの問題も起きておりますので、これは検証しつつですが、しかし、やはり業法の適用というのは非常に重要だと思うんです。監督官庁自身が当事者になって指導や監督を行っていくわけですから、単に受入れ団体あるいは登録支援機関にお任せということにならないという点では非常に重要だと思います。

 その上で、もう一点聞きたいんですが、監督機関との連携という点でいいますと、労基署というのは、やはり強制権限も持っております。実際、帳簿が正しいのかどうかを調査できる、強制権限を持っているわけです。

 この間、いわゆるよく言われるのが、技能実習生を使っている事業所で、七割、労基法違反が摘発されたということがよく言われるんですけれども、先日、厚労省の提出した資料によりますと、この七割も実は氷山の一角であると。

 つまり、七割というのは四千二百二十六事業者なんですが、その母数になっているのは五千九百六十六事業者なんです。ここに検査が入りましたよという報告なんですが、じゃ、その五千九百六十六以外に技能実習生を受け入れている本当の母数となる事業所は何事業所ですかとお聞きしたら、これはずっと聞いても出てこなかったんですけれども、先日、厚労省が、二十九年度で四万八千三十三事業所だというふうに答えてまいりました。四万八千三十三、そのうち五千九百六十六だけ労基署が入れた、一二・四%です。そのうち七割で見つかった、こういう関係になっているわけでありますね。

 ですから、関係機関との連携という場合、労基署そのものの体制、これも重要だと思うんです。大臣は、総合調整の立場として、これをどう充実させていくのか。

 今、労基署の実態を見ますと、労働基準監督官自身は、人はふえているんです。人はふえている。ただ、それを補佐する事務官の方、この数字がもう激減しているわけですね。実態としては弱まっている。だから、事務官の方がやっていたような仕事を基準監督官がやっているというのが実態で、全体としてのマンパワーが落ちているということになります。

 こうした問題も含めて、大臣、どうやって改善していかれるのか、答弁をお願いします。

山下国務大臣 お答えいたします。

 これは、労基の問題については厚労省所管ということで、その上で、法務大臣としてお答えできるのは、そうした我々の入管業務、ですから、在留管理等において把握できた情報につきましては、必要に応じて、そういった労働基準監督署などと共有しているというふうに聞いております。また、労基においては、それに基づいて、さまざまな権限に基づき行っているというところでございます。

 こういった情報共有ということはしっかりやってまいりたいということと、今般、この法律案の修正案におきまして、政府は、法律公布後、速やかに、本邦に在留する外国人に係る在留管理、雇用管理、社会保険制度における在留カードの番号その他の特定の個人を識別することができる番号等の利用のあり方について検討を加えるということが附則で入っておりますけれども、こうしたことがもしお認めいただけるのであれば、そういったことも活用しながら、しっかりと状況把握をし、必要な情報交換を行っていきたいというふうに考えております。

藤野委員 もう終わりますが、やはり、業法の適用や関連省庁の体制も含めて、やるべきことは山積みである。審議すべきことはまだまだある。引き続き充実した審議を求めて、私の質問を終わります。

葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官石田高久君、警察庁生活安全局長白川靖浩君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長藤村博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。

 第二次安倍内閣がスタートして以降、年々歳々、国会の権威がおとしめられているということで、私は相当な強い危機感を持っております。

 安保法制のときもひどいものだったと思いますけれども、あのとき政府はまだ、とにかく必死になって答弁しようという姿勢があったように思います。共謀罪の法案のときもひどい審議状態でした。あのときは、政治家がほとんど答弁できませんでしたが、役所の政府参考人は立て板に水の答弁をしておりました。

 ところが、今回のこの入管法の改正、いかがですか。安保法制に比べても共謀罪に比べても、ほとんど審議をさせてもらえない。基本的事項が全く決まっていない。政治家も政府参考人も、決まっていないことを平気で言いながら、先送りをしていることを、平然として、後になって決めるんだということを言う。こんなばかなことはあり得ない。

 国権の最高機関であり唯一の立法機関、憲法四十一条に照らし合わせても、今回のこの入管法の審議というのは異常な状態だ。まだまだ議論しなければならないことは山積している。にもかかわらず、委員長が職権できょうの採決を決めている。絶対に許すことはできない。そのことを強く申し上げさせていただきます。

 さて、幾つか聞きたいことはあるんですが、まず最初に、お手元に資料が配付されていますでしょうか。これはけさ、私の手元に私の知り合いが届けてくれたものなんですが、香川県警察本部作成とされる、こういうチラシが配られました。私、この内容を見て、ちょっと愕然としました。

 資料、来ていますか。(発言する者あり)

 では、委員長、時計をとめてください。

葉梨委員長 では、配っている間、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 逢坂君。

逢坂委員 今お手元に配付した資料が、けさ私のもとに届けられた、香川県警察本部作成とされる資料であります。

 まず、警察庁にお伺いします。

 この資料は香川県警察本部が作成したものなのか、作成したものであるとするならばどういう意図を持ってこれを作成したのかを説明いただけますか。

白川政府参考人 お答えいたします。

 今お示しの資料は、香川県警察本部において作成されたものと報告を受けております。平成七年ころからこのような広報活動を行っていると報告を受けているところでございます。

 経緯といたしましては、六月に政府において外国人労働者問題啓発月間というものがございまして、それに合わせまして、香川県警察におきましても、不法就労、不法滞在防止のための理解と協力の確保を呼びかけるということで作成をしているものと承知しております。

逢坂委員 さて、そこで大臣、この今香川県警察本部が作成した資料ですけれども、問題点があると思いませんか。

山下国務大臣 これは香川県警察本部がその責任において作成したものでございまして、まず私の方からは、ちょっとそれに対してコメントをするというのは差し控えをさせていただきたいと思います。

逢坂委員 なぜですか。

山下国務大臣 まず、そのポスターのどこがということについて、これは香川県警本部がその文責において作成したということであるというふうに、第一次的には、この紙を見ただけではということでございますので、御指摘があればお答えいたしますけれども、これを見て、一見でということについては、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

 もし委員が問題だと思うところについて御指摘いただければ、そこについて私の見解を申し上げるということはできようかと考えます。

逢坂委員 これは、大臣が所管している技能実習に関する、香川県警察本部が今作成したものなわけですよね。だから所管大臣に聞いているわけですよ。それで、これを見て何か問題のあるところはありませんかと聞いているんだよ。

 指摘されたらそれについて答えるなんて、何でそんな傲慢なことを言うんですか。これを見て何か問題があるところはないのかと聞いているだけですよ。いかがですか。問題ないんですか、それじゃ。ないならないと言ってくださいよ。

山下国務大臣 まず、これは、香川県警本部が作成したものについて、全般的に私が問題のあるなしをコメントするのは適当ではないというふうに考えております。

 それですので、委員から具体的な御指摘があれば、その御指摘のことについて、入管行政にかかわる観点から御答弁をさせていただきたいということでございます。

逢坂委員 では、これを見て大臣は、指摘を受けない限りはこれは問題があるものだとは思わないということでよろしいですか。

山下国務大臣 問題の有無ではなくて、これは香川県警察本部がその責任においておつくりになられたものというふうに考えます。それに対して、一般的に、ここが問題だ、あれが問題だというふうなことを言うのは、法務大臣としては適切ではないのであろうと思います。

 そこで、委員が問題意識を持っておられるところを御指摘いただければ、それについて法務省所管のものがあれば、そこについてお答えするというふうにさせていただきたいということでございます。

逢坂委員 それでは、これは、人権を所管している法務大臣として問題ありませんか。

山下国務大臣 できれば、これはやはり他の官署がつくったものでございます。そして文責は、この他の官署においてつくっているということでございます。そうした上で、一般的に、この書面を見て、書面審査でどこが不適当云々ということに関して、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 そして、委員の方で御指摘をいただければ、それに対して法務省所管の観点からお答えできることがあれば、誠実にお答えしたいというふうに考えております。

逢坂委員 技能実習制度を所管する大臣として、技能実習生の失踪の理由については、これは問題ありませんか。

山下国務大臣 この「技能実習生が失踪する理由としては、」という、その記載についてお尋ねでしょうか。(発言する者あり)いや、今質問の趣旨が、クラリファイしていただきたいのですが……(逢坂委員「日本語で言ってください、何ですか、それは」と呼ぶ)済みません。明確化していただきたいんですが。(逢坂委員「だから、技能実習生が失踪する理由として、これは適切ですかということです」と呼ぶ)わかりました。

 ここの「技能実習生が失踪する理由としては、「待遇(給料)の良い仕事を求めて」が、主たる理由となっています。」という表現につきまして、これについては、これは香川県警察本部が作成したものではありますけれども、ただ、こういった、待遇のよい仕事を求めてということに関して、これは今般、「失踪技能実習生の現状」ということで、低賃金を理由に失踪する者が六割を超え、最も多いというふうに示させていただきましたけれども、そういった現状認識を踏まえたものではないかとも考えられます。

逢坂委員 低賃金という現状認識を踏まえて、待遇のよい仕事を求めてと、この理由が適切だと言うんですか。これまでのこの法務委員会の議論と全く違うじゃないですか。これまでの法務委員会で、この点についてどれほど議論したと思っているんですか。これは適切な表現ではないというのが大臣の認識じゃないんですか、違うんですか。

山下国務大臣 これは繰り返し申し上げますが、これは警察本部がつくったものですので、せっかく警察の方が来られているので、ぜひ経緯についてまずお尋ねの上、その上で、法務大臣としてお答えできるのであれば、ぜひやっていただきたいと思います。(発言する者あり)

葉梨委員長 それでは、白川生活安全局長。(発言する者あり)

 質疑に資するために、経緯をクリアにしなさい。

白川政府参考人 では、お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、この文書につきましては、平成七年ころから、香川県警察におきまして、広報啓発のために、同様の文書を作成しているものと承知をしております。

 趣旨といたしましては、例えば、外国人雇用企業あるいは団体等に対する指導、啓発を強化する、つまり不法就労を助長するようなことのないようにというような趣旨で、このような広報を実施しているものと聞いております。

 なお、同じこのホームページの中でございますけれども、技能実習生が安全な技能実習生活を送るためにということで、防犯教室とか、交通安全の、防止教室とか、そういったこともあわせて行っている、そういうような記載もされているところでございます。

葉梨委員長 逢坂君、質問を続行してください。

 平成七年から使っているということです。

逢坂委員 繰り返し、同じ質問をします。

 技能実習生が失踪する理由として、待遇のよい仕事を求めてという理由が記載されている。これは大臣の今の立場として、適切だと思いますか。

山下国務大臣 これにつきましては、まず大前提として、これは香川県警本部が平成七年に作成してそのまま使っているということでございまして、それについて個別にコメントするというのはいかがなものかと思います。

 そして、この待遇のよい、給料のよい仕事を求めてという表現ぶりにつきましては、これはあくまで県警本部の文責によるというものでございます。

 ただ、それに関しまして、例えば今般、技能実習生の現状について、改めて一覧表と失踪の原因について提出させていただきましたが、それにつきましては、低賃金を理由に失踪する者が六割を超え、最も多いということを指摘しております。この指摘と必ずしも矛盾するものではないのではないかというふうに考えております。

逢坂委員 大臣、この間の法務委員会の質疑の中で、個別の、個票の聞き取りの結果を取りまとめた、あれについて謝罪したんじゃなかったでしたっけ。それで、これは必ずしもその謝罪のこととは関連しないんだ、待遇のよい仕事を求めてというのは、これはこれでいいというふうに判断しているんだ。全然考えが改まっていないじゃないですか。

山下国務大臣 ここのまず記載ぶりについては、文責は香川県警本部ということで、そこを繰り返しお尋ねになっても、なかなか一般論としてお答えできるのは難しかろうという部分はございます。

 そして、もとより、先般のデータについて、失踪技能実習生のデータの集計において、この聴取結果の内容として、例えば、聴取結果の項目にない、より高い賃金を求めてという項目で取りまとめたこと、さらには、この数値について、集計処理のミスから、本来は六七・二%というべきところを八六・九%というところにしたという点については、これは誤ったデータ、あるいは表現ぶりの不適当なものを提出したということで、真摯に反省しているところでございます。

 他方で、失踪の原因につきましては、改めて、低賃金を理由に失踪する者が六割を超えて最も多いという事実、これは個票の分析結果のみならず、さまざまな、入管局が入手している調査等の結果に基づいて、このように指摘させていただいているというところでございます。

逢坂委員 私が大臣の立場だったら、これまでの議論を踏まえて、この表現は必ずしも適切ではないと思われる、警察とも相談しながら、もっと適切な表現になるように協議したいと思うぐらいのことは、私なら言いますよ。これが当たり前の姿だと私は思いますよ。詭弁ですよ、今大臣が言っているのは。

 ただ、私は、きょう、この紙でこんなに時間を食うと思わなかったんですけれども、あと、それから、「コンビニ等で、荷物をどこかに送っている」とか「スマートフォン等による外部との連絡が増加」とか、こういうことを例示に挙げて、あたかも監視をすることを奨励するかのような、これは、そういうことは一言も書いていませんよ。でも、人によってはそう見るわけですよ。人権上の観点からも問題があるのではないかというふうに私は感じました。

 そういうことも大臣はお感じにならない。法務大臣にとどまっている資質がない、私はそう思わざるを得ません。

 さて、それじゃ、私はきょう、もっと別な話を実はしたいんです。技能実習制度、まさに、なぜこんなに失踪が多いのかとか、なぜこんなに課題が指摘されているのか、この点について大臣はどう考えますか。

山下国務大臣 まず、技能実習制度全体につきましては、例えば、技能実習生として入国している外国人の全体像から見ると、統計のとり方にもよりますが、失踪しているという者についてはわずか数%ということでございます。

 しかしながら、この数%といえども、失踪し、あるいは技能実習計画から離れる者がいるということ、これはやはり我々は看過できないわけでございます。

 そうした前提の上で、その調査、内容を把握しているわけでございますけれども、その原因としては、先般、技能実習生の現状ということでお示ししたように、失踪の原因として、低賃金、低賃金(契約賃金以下)、低賃金(最低賃金以下)を理由に失踪する者が六割を超え、最も多いということ。しかしながら、一方で、労働時間が長い、暴力を受けた、帰国を強制されたなど、受入れ側の不適切な取扱いによるものも一定数存在しますし、又は、二割に近い数が日本での稼働を継続したいというふうなこともございます。

 そういったさまざまな事情について、今般新たに門山政務官をヘッドに設けられました運用に関するプロジェクトチームでしっかりと検討、把握して、今後の運用について万全を期したいというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 私は、いろいろな新たな制度設計をするときに、個別具体的な制度の細部、これについてもさまざま議論することが大事だと思っているんですが、俯瞰をして、その制度全体の基本的な考え方、それが正しいかどうかというところもよく見る必要があると思っています。

 今回、技能実習の制度について、私なりにつらつらつらつら思いをめぐらせているんですけれども、どうもやはり政府の関与、かかわりが少な過ぎるのではないか。民間に委ねている部分が多過ぎる。もっと卑近な言葉で言いますと、民間に丸投げしている部分が多過ぎるのではないか、もっと政府が関与する部分をふやさなければこれはなかなか厳しいのではないか、そう思うんですね。だから低賃金の状況も生まれる。なぜそれでは低賃金の状況が生まれるんだ。それはやはり、民民の中で自由にやっているというところがやはり非常に多いわけです。

 だから、そういう意味で、私は、制度設計全体としてもう少し政府のかかわりを強くする、そういう制度設計にしていくことが非常に大事なのではないか、そう思っております。

 それは、送り出し機関と受入れ機関との関係も、政府は、二国間の取決めを結んでしまえば基本的には自由にやらせているわけですよね。私は、自由にやるということは、それは尊重すべきだとは思いますけれども、事この問題に限っては私は政府の関与をもう少し強める制度設計というのをやるべきではないかと思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。まず、技能実習です。

山下国務大臣 技能実習につきましては、今般導入しようとする新たな人材受入れとは別の問題ということでございます。

 そして、平成二十八年十月二十一日の法務委員会では、逢坂委員御自身でこの修正案、これを提案されて、そして、それが与党のみならず野党の幅広い、民進党の皆様の御了承も得て、賛成も得てこの法務委員会で可決されたというふうに認識しております。そうした与野党を超えた、そうした技能実習について、これをしっかりとやっていこう、この運用をしっかりやっていこうということが今の我々のスタンスでございます。

 そうしたことで、さまざまな監理団体に対して……(逢坂委員「本質的な議論ができないじゃないですか、そんな答弁をしていたら」と呼ぶ)いやいや、逢坂委員みずからが提案されたところでございますよ。

葉梨委員長 いいから答弁を続けてください。

山下国務大臣 そして、今後……(逢坂委員「本質的な議論が何もできないじゃないですか、そんなこと言っていたら」と呼ぶ)それでは、まず……

葉梨委員長 簡潔に願います。

山下国務大臣 これにつきまして、技能実習生……(逢坂委員「政府の関与を強めるべきかどうかと私は聞いているんですよ」と呼ぶ)

葉梨委員長 簡潔に願います。

山下国務大臣 済みません、座ったまま質問をされないでください。

 これにつきましては、今般、この出入国管理難民認定法の法律案に対する修正案要綱、これができております。それに対して、例えば、在留カードの番号……(発言する者あり)

葉梨委員長 山下法務大臣、質問に簡潔に答えてください。

 委員に対して何か言われるのは、ちょっと失礼ですから、やめてください。

山下国務大臣 わかりました。

 それにつきましては、申しわけございません、答弁の途中でございましたので、つい御指摘申し上げたこと、御無礼、おわび申し上げます。

 そして、この把握についてしっかり運用上やっていく必要があるのではないかということで、例えば、今般、修正案要綱の中に、政府は、この法律の公布後、速やかに……(逢坂委員「技能実習について聞いているんです」と呼ぶ)

葉梨委員長 簡潔に、技能実習について答えてください。

山下国務大臣 本邦に在留する外国人に係る在留管理、雇用管理、社会保険制度における在留カードの番号その他の特定の個人を識別することができる番号等の利用のあり方について検討を加える、こうしたところもしっかりと利用しながら、しっかりと把握をしていくというふうに考えております。(発言する者あり)

葉梨委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 山下大臣、政府の関与を強めるべきだという質問について簡潔にお答えください。

山下国務大臣 わかりました。

 技能実習法に基づいて、既にさまざまな対応はとっております。そして、さらに今般、例えば立入検査の権限であるとか、実地検査、これはもう既に三千七百回、実地検査を機構などが行っているわけでございますけれども、今後、この技能実習制度の運用について、門山政務官をヘッドに、法務省でもプロジェクトチームを設けております。その中で、しっかりとした政府の対応、これも検討しながら対応していきたいと思っております。

 そういった中で、修正案にあります、例えば在留カードなど、識別できる番号等の活用によって在留状況もしっかりと把握していく、そういったことも検討していきたいと考えております。

逢坂委員 答弁が全然かみ合わないんですけれども。

 例えば、私は、韓国も日本と同じように技能実習制度のようなものを持っていたけれども、いろいろトラブルがあって、それを見直したということを承知しております。その際に韓国は何をやったか。各国に出先機関を置いて労働者の受入れに当たる、相手国も、その信用のもとで労働者を送り出している。要するに、政府が積極的に相手国へ出向いていって出先機関をつくって、そこで労働者についても、この人は大丈夫かといったようなことをやっている、あるいは、労働者の募集や送り出しの段階まで政府機関が責任を持っている。こういうことなんだそうです。私も全て現地へ行って見ているわけではありませんので、いろいろな資料によりますとね。

 だから、そういうような意味で、日本の政府も、今回のこの技能実習についても、もっと私は具体的に政府の関与を強めるべきではないかと。そういう制度設計の根本のところが十分ではない、だからさまざまなトラブルが起きているのではないか。

 私は、民間の方々が自主的にやることは、それはそれで尊重すべきだと思いますよ。だけれども、もっと政府の関与を強める、指導や助言といったレベルではなくて、直接やるんだという部分も場合によっては必要なのではないか、私はそう思いますけれども、いかがですか。

和田政府参考人 制度に関しましては、新しい技能実習制度で許可制度そのほかを設けているほか、諸外国との関係でございますけれども、二国間協定を順次結んでいるところでございます。三十年の十月時点におきまして十カ国との二国間協定を結んでおりますので、政府といたしましては、この二国間協定によりまして、送り出しが適正に行われるよう図っているところでございます。(発言する者あり)

葉梨委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 山下大臣から答弁の訂正がございます。

山下国務大臣 申しわけございません。先ほど修正案について引用した部分については、こうした指摘があるということも踏まえて運用に努めたいということで答弁したものでございまして、この修正案を前提としたものではなかったわけですが、その旨誤解を与えるような答弁をしてしまったことについては、これは訂正しておわび申し上げます。

 その上で、逢坂委員の御指摘について、やはり政府がしっかりと体制についてやり、運用も検討すべきだということについてはしっかりと重く受けとめて、法務省としてもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

逢坂委員 重く受けとめてというのは、今後やはり政府の関与を強める方向でいくということでしょうか。今、民民のやりとりですね、これが技能実習は中心ですけれども、そうではないと。場合によっては韓国のように、私は韓国の例を今出させていただきましたけれども、政府が前面に出るというような部分もあるということでしょうか。いかがですか。

 これは、政治家として大きな方向を決めて、制度の詳細は、事務方が詳細のところはつくっていくというのが大きなやり方だと思いますので、大きな方向感はやはり政治家が示さなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。

山下国務大臣 今般、出入国在留管理庁ということで、在留の管理についても……(逢坂委員「技能実習の話をしています」と呼ぶ)いや、それはもう外国人全般でございます。そうしたことから、しっかりと管理していきたいと思いますし、また……(逢坂委員「質問をどうして勝手に変えるんですか」と呼ぶ)

 失礼しました。技能実習法についても、やはりこれは不断の運用の見直しをやっていきたいというふうに考えております。

逢坂委員 私、技能実習制度の全体像を俯瞰して眺めていて、やはり政府の関与が足りないというふうに感じております。

 その観点で、ここからは、今度は新しい在留資格の拡大ですが、今まさに大臣がおっしゃられた、これは政府が配っている資料でありますけれども、出入国在留管理庁と外国人材との関係というのは、技能実習制度より以上に政府の関与が薄いのではないかと私には感じられるんですよ。

 それで、大臣は繰り返し、技能実習と今回の新しい在留資格の拡大というのは全く別のものだという答弁をされておりますので、これがひとり歩きをしたら、私は、もっと技能実習よりも課題、問題がふえるのではないかという気がしてしようがないんですね。私は、今の法務省の体制、新しい出入国在留管理庁をつくるとはおっしゃっておられますけれども、法務省の今の体制の中で、これまで出入国の管理しかやっていなかった、そういう人たちに、その人たちの能力の問題と言っているわけではないんですよ、マンパワーを含めて、さまざまなことが今やれるとは思えない。

 だから、この制度全体の中で、国がどこをどうグリップするのかというところをもっと明確にしておくということが私は必要だと思う。このままではやはり全体の制度設計が不十分だと私は感じるので、大臣、いかがですか。細かいところはいいですよ。大臣の全体的な思いとして、どう思われますか。そういう危険はないですか。

山下国務大臣 法務省においては、従前から本邦に在留する全ての外国人の公正な管理を行っていたところでございます。また、そういったところで、今般、出入国在留管理庁、これが認められますれば、また、増員要求も、概算要求ベースではございますが、五千四百人の体制になるということでございます。

 そうした出入国在留管理庁一丸となって、しっかりと、技能実習生も含めた在留管理をやってまいりたい。在留管理がまず、これは外国人の管理の基盤ということでございますので、それをまずしっかりとやらせていただきたいというふうに考えております。

逢坂委員 繰り返しますけれども、この制度設計で、大臣は全体の大枠、枠組み、これは十分だというふうに感じておられますか。私は、技能実習と比べても国の関与が少ない、そういう観点からいって、危うい、大丈夫なのかという思いを本当に思うんですよ。そういう懸念は、大臣、ございませんか。

 例えば、私は先ほど韓国の例を出させていただきましたけれども、ああした取決めをしている国もあるわけですので、それと比較してみて、本当にこれで混乱は起きないでしょうか。大丈夫ですか。

山下国務大臣 まず、技能実習と比べられているということでございますが、技能実習というのは、技能実習計画に基づいて技能実習を実施していただくということで、継続的な管理が必要ということで、監理団体というものがあるわけでございます。

 そして、新たな受入れにつきましては、これは就労資格でございます。

 就労資格については、従来、そういった監督とか立入りとか、そういったものが必ずしも十分ではなかったんですが、新たな人材受入れの制度に関しましては、受入れ機関に対して、例えば契約段階から特定技能雇用契約あるいは特定技能外国人の活動状況に関する届出を義務化するということ、そして、届出事項を拡大すること、あるいは受入れ機関について、不適切な処遇等に対する指導助言、報告徴収や立入検査、そして、これらについては罰則で担保した改善命令等もするということで、就労資格に対する例えば管理ということからすると、これは相当強化しているということでございます。

 ということで、この特定技能につきまして、これが十全になるように、しっかりとこれを、成立が認められますれば、運用を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。

逢坂委員 それじゃ、大臣、この枠組みの中で、国の関与も、技能実習よりも有効に機能する仕組みにしているので大丈夫だという答弁でよろしいですね。

山下国務大臣 技能実習よりもというか、技能実習とは別の仕組みでございまして、技能実習は、定められた技能実習計画をオンゴーイングでやっていただくということでございます。そして、これは、新たな特定技能は就労資格でございますので、就労資格として、働く労働者として認められた外国人について、その保護をどうやって図っていくかということにおいて、就労資格に基づいて働く外国人の保護という点においては、今般の制度設計において対応をされているものというふうに考えております。

逢坂委員 他人事ですね、対応されているものって。対応していこうとかということではないのかと思いますけれども。

 私は、今回の入管法の改正、やはり政府が関与しているのは、業種、それから受入れの人数、ここは関与していますね。でも、そのほかはどうなのかというと、政府の関与はここまでなのではないか。あと、現場へ来てトラブルがさまざま起こる、そのときに指導や助言はするけれども、それ以外のところは、余り具体的な政府の関与というのはないのではないか。

 大枠として、受入れ人数と業種、ここについては政府は関与しているわけです。だけれども、あとは、試験に通ったら来てください、あと雇用契約もちゃんとやってください、やっていなかったら指導、監督、助言はありますよ、こういう仕組みなんですね。

 私は、そういう意味で、政府がもっと入り口の段階から関与をする。入り口というのは、入国の段階から、入国前の段階からと言ってもよいかもしれませんが、そこを単に数だけではなくて、もっと政府の関与を強める。国内へ来ていただいてから、トラブルが起きてそれに対応するということでは、私は問題は遅いのではないかという気がするんですね。

 入る前にもっと政府が関与をするということ、それをやる必要があるのではないかと思うんですが、いかがですか。

和田政府参考人 今回の制度で在留資格の認定証明書を交付するわけでございますが、この交付をするかどうかという認定申請の段階におきまして、受入れ機関との契約が適正なものであるかどうか、受入れ機関がその要件を満たしているものであるかどうかということを審査いたしますので、そういう意味におきまして、入り口において国もきっちりと関与してまいるということでございます。

逢坂委員 私の問題意識を改めて言っておきますけれども、たくさんの例を私は知っているわけではありませんけれども、カナダの例やオーストラリアの例や韓国の例などを見ると、やはり政府の関与というのはもっと明確だというふうに思います。

 外国人材の方々に来ていただいて、この国の中で活躍してもらうことは、私は重要だと思っていますし、それが必須なことだと思っています。だけれども、やはりそれによって国内に混乱が起こる、そうすれば、来ていただいた方にもそれはつらいことになってしまいますので、だから、この点、政府の関与をもっと強める方向に私はすべきだろうと。制度設計全体を見てですね。

 細かいところは、それはまた、技術的な細目のところはお役所の皆さんがいろいろと詰めていただいて、それを見て、また我々が、これがいい、あれがいいという議論をすべきだとは思うんですが、全体的な方向感として、やはり民に委ねているところが多過ぎるのではないかという気が私自身はしていますので、その点、大臣は多分もう同じ答弁しかされないと思いますので、この答弁はよろしいですので、私はそういう考えを述べさせていただいて、次の話に移りたいと思います。

 私、この話をするかどうか迷っていたんですが、大臣は、なぜ技能実習法の改正のときの話をあえて持ち出すんですか。私、ああいうことを言うというのは、責任ある立場の人として資質に欠けると思いますよ。あのとき、あなたたちも賛成したじゃないか、あのとき、あなたたちだって修正したじゃないかって、それであなたは一体何を言いたいんですか。(発言する者あり)

葉梨委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 ただいま山下法務大臣に対する不信任案が、立憲、国民、無所属の会、共産、社民、自由各会派共同提案、辻元清美君外六名の不信任決議案が提出されました。

 委員会は、暫時休憩することとし、不信任案、決議案処理後、再開をいたします。

    午前十一時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時十分開議

葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、門山法務大臣政務官及び山下法務大臣より発言を求められておりますので、順次これを許します。門山法務大臣政務官。

門山大臣政務官 私といたしましては、参議院の農林水産委員会に質問通告がありまして、そちらの方に出ていて、ちょうど、藤田先生そして森ゆうこ先生、質問が終わったのが二十四分ころだったと思うんですけれども、それが終わって、その直後に一言、森先生から声をかけられて、十秒ぐらいしゃべった後、こちらが立っているということをその直後に聞きまして、おトイレに行った後、急いでここに駆けつけたというのが事実の経緯でございます。

 皆様方が非常に怒っているという状況も、非常に、私の方は認識しておりませんでして、廊下のときにはちょっとびっくりして、失礼なことを言ったことは本当におわび申し上げますけれども……(発言する者あり)

葉梨委員長 御静粛に願います。(発言する者あり)御静粛に。

門山大臣政務官 こういうことがあったということを……(発言する者あり)

葉梨委員長 御静粛に願います。

 発言を続行してください、門山政務官。

門山大臣政務官 私があそこで、外で言ったことに関しては、私は秘書官に、そもそも、国会の方の審議はどうなっているんだ、出席ができるのかということはずっと心配して問い合わせながらやったところでございます。それが伝わっていなかったという事実も私はそこの最後のところで聞いたわけでございまして、それについて、失礼なことがあったことについてはおわびを申し上げます。

葉梨委員長 山下法務大臣。

山下国務大臣 先ほど門山政務官がお伝えしたとおり、参議院農水委員会の審議、これが二十四分までかかったということでございます。

 委員の皆様に対して連絡が不十分であり、そのことに関して、皆様をお待たせする結果になりました。そのことに関して、心からおわび申し上げます。

葉梨委員長 以上で門山政務官及び山下法務大臣の発言は終了いたしました。(発言する者あり)わかりました。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 門山法務大臣政務官より再度発言を求められておりますので、これを許します。

門山大臣政務官 今回のような事態を招いてしまったこと、私の方からしっかりと連絡が行かなかったことについて、これは法務省の問題でありますし、私もそこの責任者として深くおわび申し上げます。(発言する者あり)

葉梨委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 再度、門山法務大臣政務官より発言を求められておりますので、これを許します。門山政務官。

門山大臣政務官 私といたしましては、本来であれば、これについてしっかりと皆さんに連絡して、会がおくれないようにしなければいけなかったところでございますけれども、参議院の方の委員会が遅くなってしまいまして、それで、こちらに間に合わなかったという次第でございます。

 それについては、本当におわびを申し上げます。(発言する者あり)

葉梨委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 再々度、門山法務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。門山政務官、手を挙げて言ってください。

門山大臣政務官 はい。たびたび本当に申しわけございません。

 私の方がしっかりと連絡をしなかったことが今回の原因でございます。本当に申しわけなく思っていますし、今後こういうことがないように、しっかりと対応させていただきたいと思います。

 申しわけございませんでした。

葉梨委員長 それでは、質疑を続行いたしたく存じます。

 この際、逢坂誠二君の残余の質疑を行います。逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二です。

 私も国会へ来て十年以上たちますけれども、こんな経験、初めてです。前代未聞です。

 大臣、お伺いします。

 法務省の中では、こういう委員会がダブルブックしている、重なっている、こんなもの、内部で調整しないんですか。何で今、政務官のせいだけにするんですか。法務省の中で調整していれば、こんなこと、済むことじゃないですか。法務省の中、グリップできていないんじゃないですか。これは、大臣の責任じゃないですか、いかがですか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 参議院に門山政務官が出られた、それが十六時五分に終わるということで、それが長引いた。その長引いた段階で、やはり、委員の皆様にお伝えするように、そういったところをするべきであったということでございます。そうした体制、これはやはりしっかりと整えるべきであったということでございます。

 参議院の農水委員会、これは十六時五分に終わるということで、こちらではダブルブッキングにはならないという判断であったんですが、そういったダブルブッキングのおそれが出てきた段階で速やかに委員の皆様には周知すべきであった、その体制ができていなかったことについておわびを申し上げます。

逢坂委員 これは、私は、門山政務官が確かに悪い部分もあるとは思いますけれども、法務省全体の問題ですよ。連絡調整、ちゃんとできていない。これは猛省してもらいたい。一番の責任者は大臣ですよ。大臣にも、これからしっかりやってもらわなきゃならない。

 大臣、私は先ほど、午前の質疑の中で言いかけたんですが、その話をこの五分の中でしようと思いましたが、それはやめます、もう時間ありませんので。

 今回の入管法の改正、私は、午前中、国の関与をもっと強めるべきだという話をさせてもらいました。

 もう一点、出入国在留管理庁なるものができるということであります。ただ、これまで、法務省の入管局は、入管行政に主に特化した仕事をしているわけですね。今回、いわゆる共生政策あるいは多文化共生といったような観点からの政策というのは、ほとんど法務省はやっておりません。その意味でいうと、私は、法務省が入管行政と共生政策、両方うまく担えるということはなかなか難しいのではないかというふうに思うんですね。

 なのに、なぜ法務省に、この出入国管理在留庁を設置したのか。私は、もっと総合的な、統合的な横串を刺す組織をつくるべきだ、そういう印象を持つんですが、いかがでしょうか。こうした議論はほとんど行われていない。いかがですか。

山下国務大臣 これは、外国人の受入れ、そして共生に関することにつきまして、その大きな基盤をなすのは、これはやはり出入国の管理、そして在留の管理でございます。法務省は、その出入国管理、そして在留カード等の発行もございました。そういったことで、在留管理も行ってきた。また、法務省におきましては、人権擁護局ということで、例えば外国人に対する差別であるとか、そういったことについても取り組んでまいったことがございます。

 そうした基盤の上に、もとより法務省だけでできることではございません、ただ、そういった在留管理と人権擁護という基盤を持っているがゆえに、七月に閣議決定で、外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について、この司令塔機能を担うということになったというふうに承知しております。

逢坂委員 これは、今まさに大臣言ったとおり、法律事項じゃないんですね。閣議決定の中で決められていることでありまして、その点からも私は弱いと思っていますよ。法律の中で対等に位置づける、入管行政もしっかりやるし、多文化共生行政もやる、その車の二つの両輪でやっていくんだというなら、法律上そうなっているんならまだしも、片方は閣議決定ですから、私は、これは将来、大きな心配をしているところであります。

 もう時間がありません。

 私はきょう、お昼にニュースを見て、ちょっと飛び上がるほど驚きました。今回のこの入管法の改正は、本当に飛び上がることが多い。隣にいて大変恐縮ですが、平沢勝栄与党筆頭の言葉であります。

 この問題は議論したら切りがない、幾らでも問題点は出てくる。この問題というのは何のことか。今まさにここで議論されている入管法改正のことです。この問題は議論したら切りがない、幾らでも問題点は出てくる、報道でこういう発言をしたということを承知しました。

 一体これはどういう発言なんですか。議論すれば議論するほど問題が出てくるんだったら、ここで審議なんて打ち切れるはずがないじゃないですか。(発言する者あり)いやいや、この言葉に矛盾がないというのであれば、それはきちんと説明したらいいですよ。でも、まさに議論すればするほど問題が出てくるじゃないですか、この問題は……(発言する者あり)

葉梨委員長 静粛に存じます。

逢坂委員 この問題は議論したら切りがない、幾らでも問題点は出てくる。だったら、問題を議論しようじゃないですか。(発言する者あり)

葉梨委員長 静粛に願います。

逢坂委員 ここで採決をしたら、与党筆頭の言葉、これはまさに矛盾に満ちたものになってしまいますよ。(発言する者あり)

葉梨委員長 不規則発言はお慎みください。

逢坂委員 こんなことで採決をするなどということは絶対認めるわけにはいかない、そのことを申し上げて、終わらせていただきます。

葉梨委員長 以上で逢坂誠二君の質疑は終了いたしました。

 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 我が党は修正協議に応じたわけでございますけれども、苦渋の決断でございました。

 今、国民の間で、この法案を通すべきかどうかという世論があります。しかし一方で、今の人手不足のままでいいのか、あるいは人手不足のまま倒産していいのかという質問があれば、これはまた違った結論になるのではないかというように思います。そして、いろいろな議論の中で、私は、技能実習制度というものが少々ちょっと曖昧な状況に置かれているということも素直に認めなければいけないと思っているんです。

 例えば前の部分、これはちょっと確認させていただきたいんですが、「失踪技能実習生の現状」という中に、「技能実習を出稼ぎ労働の機会と捉え、」という文言があります。これは、技能実習制度は出稼ぎ労働の機会と捉えてはいけないという趣旨なのかどうか。こういったところからちょっとスタートしたいと思っているんです。こういったところを確認していかなきゃいけないと思っているんです。これはいかがでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 技能実習制度は、外国への技能の移転を目的とするものでございまして、出稼ぎの機会として本来捉えるべきものではない、そういうような趣旨でございます。

串田委員 一方で、技能実習制度が終わって、もう少し国内で働きたい、特定技能一号に入るということでございます。そうすると、特定技能一号に入るには、技能実習制度から入る場合と試験で入る場合とがある。特定技能一号に技能実習制度から入っている人間は、出稼ぎという気持ちで入っては気持ちとしてはいけないということなんですか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 特定技能一号に技能実習から入られる方といいますのは、技能実習を三年修了することによって特定技能一号の求める能力、これに達している、こういうようなことでございまして、それで純粋な雇用であります特定技能一号に移られる、そういうような方がいらっしゃるということは別段否定するわけではございません。

 能力面において一定の能力を持っていることを担保しなければいけない、そういう意味で、技能実習三年修了の方はその能力が担保されているということを見るというのが、今回の制度で技能実習の方を受け入れるという、そういうような趣旨でございます。

串田委員 私、聞いたのは、特定技能一号の中にテストで入った人、これはもう仕事として入ったということで私はいいと思っているんですよ。ところが、技能実習制度というのは仕事として、出稼ぎという気持ちであってはいけない、そういう制度ではないんだと言っておきながら、特定技能一号の中には混在するということになるんだと思うんです。

 ただ、例えば、ベトナムの人が技能を学んで、そして資金を集めて、そして母国に帰って企業を起こす、こういった人もたくさんいらっしゃる。出稼ぎというのを辞書で調べたらば、本拠地から所得を持ち帰る労働形態、労働者といっている。

 私は、技能を学びながらそして資金を集める、そういうことであって、これは全然否定する必要がないと思うんです。そこの部分が、労働者としての認識がないから、私は労働者としての労働法令に対する遵守というのが甘いんだと思うんですよ。どうして技能実習制度は出稼ぎという気持ちであってはいけないのか。私は、技能を学びながら資金を集めて母国に帰るという考えがあっても全然いいと思うんです。大臣、どうでしょうか。

山下国務大臣 ありがとうございます。

 まず、技能実習につきましては、まずスキルを身につけてもらう、そのスキルを持って、母国に持ち帰ってもらって国際貢献をするという目的でスタートしたところでございます。

 ただ、技能実習が三年終わった段階で、既に身につけたスキルがございます。それを持って母国に帰るのか、あるいは、このスキルを使って、まだまだこのスキルを磨く、あるいは日本でしっかりと働きたいというニーズも実はあります。そうしたところを特定技能一号ということで受け入れようというところであります。

 もとより、技能実習生の中には、真意として、いずれこの日本でスキルをつけてという部分はありますし、それに対して対価が支払われるわけですから、そのお金、賃金をという部分はあるのかもしれません。それに対して、やはりしっかりした労働法制、これをしっかりかけていく必要はあると思います。

 ただ、技能実習のやはり目的と申しますのは、スキルを身につけてもらって、それを国際貢献ということで考えているわけでございます。

串田委員 技能実習制度の法の趣旨がそういうようなことから始まったわけですけれども、現実は、やはり資金を集める、そして対価を得たいという気持ちでやってくるということもあるわけです。それをやはり受け入れる側とか、あるいは、今の現状というのは、そういったような側面というのが非常に強くあるんじゃないか。それを正面から認めていかないと、やはりこれは労働者としての扱いというのが非常に曖昧になるのではないか、私はちょっとそんなような気がしております。

 次に、在留期間についてお聞きをしたいと思うんですが、特定技能一号は、最長五年ということの中で一年から二年、三年といろいろあるということなんですが、これはどういうふうにして一年の人もいるのか、二年の人もいるのか。ここら辺は、ちょっとどういうふうな分け方になっているんでしょうか。

和田政府参考人 お答えいたします。

 今までの、今現在ございます就労資格等々につきましても、在留期限を一年ないし三年、五年というような形で区切って在留期限を与えているところでございます。

 この在留期限の長短につきましては、我が国における生活の安定性でございますとか、その際の活動状況でございますとか、そういうようなことを見ながら判断をしてまいるわけでございます。

 今回の特定技能一号で入られる方も、初めはやや短い期間で、その活動状況を見ながら次の在留期間を決める、そのようなことで考えているところでございます。

串田委員 世間では今景気がいいですけれども、ずっと続くという保証はどこにもないわけです。特に、二〇二〇年のオリパラが終わった後は景気が悪くなるんじゃないかというようなこともある。その中で、やはり外国人が入ることによって日本人の雇用が競争になるのではないか、そういう不安もいっぱいあると思うんです。

 そういう意味では、在留期間というのをなるべく短くして、そして、例えば、都市部に移行するという問題がありましたけれども、合理的な理由もないのに都市部に移行するような状況が判別した場合には在留資格というものを与えない、そういうような扱い方でこの偏在というものを解決することもあり得るのではないかと思うんですが、このような運用の仕方、いかがでしょうか。

山下国務大臣 貴重な御提言をいただきました。

 やはり地方における労働力の偏在というものは、これは政府を挙げてやらなければならない。そういった中で、今回の新たな受入れ政策においても、業種によっては地方偏在が非常にあるものもあり得るということで、分野別運用方針の中でそういったことが盛り込んでいけないか、そういったことも含めて検討していきたいと考えております。

串田委員 最後に、いろいろな、マイナンバーカードというようなことも提案しておりますけれども、その「等」という中に、私としては銀行口座、外国人に対する給与の支払いは銀行口座に振り込みという形にしたらどうか。いろいろな意味で、セキュリティーでカメラで撮られるということもありますし、場合によっては口座を凍結をするということもできるわけですから、そういったような形の中で在留管理というものを考えていただきたいと思っています。

 終わります。ありがとうございました。

葉梨委員長 お諮りいたします。

 本案及び修正案について質疑を終局するに賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者、離席する者あり)

    〔賛成者起立〕

葉梨委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

葉梨委員長 討論の申出がありますので、これを許します。串田誠一君。

串田委員 入管法改正に対し、原案及びこれに対する修正案に賛成する立場から討論いたします。

 今般の入管法改正に関しては、日本人の労働環境が悪化するのではないかという懸念があります。特に、転職が認められるということで、都市部へ移ってしまい、就職争いが日本人との間で繰り広げられるのではないか、地方の人手不足は解消されないのではないかという懸念はあります。また、技能実習生の失踪は後を絶たず、治安の面からもゆゆしき状況です。しかし一方では、我が国の九七%が中小企業であり、その人手不足は深刻で、倒産寸前となっているという現状もあります。

 このさまざまな問題に直面したとき、日本維新の会としては、単に賛成、反対を表明するのではなく、問題点を改善することを目指すことにし、修正協議を重ねました。その結果、運用方針に地域偏在に関する条項を明記し、在留管理に関しては個人識別番号の検討をすること、制度のあり方に関する検討を三年から二年にして、きめ細かな対応をすることができること等の修正が行われるということで、賛成することに決断しました。

 今後とも修正の趣旨に即した運用がなされることを強く要望しまして、賛成討論といたします。

 以上です。(拍手、発言する者あり)

葉梨委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 採決いたします。

 井野俊郎君外五名提出、修正案について、賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

葉梨委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

 修正部分を除く原案について採決いたします。

 賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

葉梨委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

葉梨委員長 本案及び修正案について附帯決議が提出されています。

 井野俊郎君外二名提出、附帯決議案について、趣旨の説明を求めます。浜地雅一君。

浜地委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。(発言する者あり)

葉梨委員長 静粛に願います。

浜地委員 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 特定技能外国人の受入れに当たっては、生産性向上や国内人材の確保のための取組を十分に行ってもなお人手不足の状況にある分野であることを客観的データ等を用いて適切に判断し、かつ、所要の技能を有することを試験等により正確に判定し、制度の趣旨を踏まえた人材の受入れを行うこと。

 二 分野別運用方針に記載する受入れ見込み数は、本法律案の審議に当たり政府が答弁で明らかにしたとおり、当該分野の雇用情勢全般に関わる事項についての大きな変化が生じない限り、受入数の上限として運用すること。

 三 特定技能二号の在留資格については、既存の専門的・技術的な就労資格と同様の高い水準の技能を求めるものとし、我が国の産業、雇用及び国民生活に与える影響に十分に配慮しつつ、熟練した技能を有する人材を外国人により確保することが真に必要な分野に限って受入れを行うなど、厳格な運用に努めること。

 四 特定技能外国人の送出国における悪質なブローカーの介在等を防止しつつ有為の外国人材を受け入れるため、国内外における所要の広報・説明を含め、実効性のある方策を講ずること。

 五 特定技能外国人が適正な賃金の支払を受け、公正な処遇を受けるよう、特定技能雇用契約の適格性を厳正に審査し、特定技能所属機関及び登録支援機関に対し、賃金の支払状況や支援の実施状況等についての監督を十分に行うこと。

 六 特定技能外国人を含む中長期在留者について、今後取りまとめが予定されている外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づき、日本語教育の充実や関係地方自治体への支援を含め、共生のための取組を積極的に推進すること。

 七 在留外国人に対する社会保障制度の適正な適用を確保するために、関係機関の連携を強化し、効果的な方策を検討すること。

 八 技能実習制度について、平成二十九年十一月に施行された新法に基づき、技能実習生の保護を適切に行い、失踪者の減少に努め、実習実施機関や監理団体に不適正な行為があるときは厳正に対処するほか、法務省において、新法の運用状況を速やかに検証し、その結果に応じて必要な措置をとること。

 九 不法滞在者や失踪技能実習生を含む在留資格に応じた活動を行わない外国人を不法に雇い入れる雇用主の責任が重大であることに鑑み、関係機関の連携を強化し、不法就労助長行為の防止及び厳格な取締りに努めること。

 十 我が国に適法に在留する外国人労働者の権利利益が十分に保護されることの重要性に鑑み、関係機関の連携の下、法令違反、不正行為に対する厳格な対応を行うとともに、ワンストップ型の相談窓口を設けるなどして、外国人労働者が相談をしやすい仕組みの構築を検討すること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手、発言する者あり)

葉梨委員長 本附帯決議案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

葉梨委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

 山下法務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。山下法務大臣。

山下国務大臣 ただいま可決されました出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。(拍手、発言する者あり)

    ―――――――――――――

葉梨委員長 ただいま修正議決された本法律案についての委員会報告書の作成については、委員長に御一任いただきたく存じます。賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

葉梨委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、散会いたします。

    午後五時四十一分散会


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