衆議院

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第9号 平成31年4月10日(水曜日)

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平成三十一年四月十日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 葉梨 康弘君

   理事 石原 宏高君 理事 田所 嘉徳君

   理事 平沢 勝栄君 理事 藤原  崇君

   理事 宮崎 政久君 理事 山尾志桜里君

   理事 階   猛君 理事 浜地 雅一君

      赤澤 亮正君    井野 俊郎君

      奥野 信亮君    鬼木  誠君

      門  博文君    門山 宏哲君

      上川 陽子君    神田  裕君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      小林 茂樹君    中曽根康隆君

      古川  康君    古川 禎久君

      穂坂  泰君    和田 義明君

      黒岩 宇洋君    松田  功君

      松平 浩一君    山本和嘉子君

      源馬謙太郎君    遠山 清彦君

      藤野 保史君    串田 誠一君

      井出 庸生君

    …………………………………

   法務大臣         山下 貴司君

   法務副大臣        平口  洋君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   最高裁判所事務総局総務局長            村田 斉志君

   最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君

   最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君

   政府参考人

   (警察庁刑事局組織犯罪対策部長)         藤村 博之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小出 邦夫君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    小野瀬 厚君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    小山 太士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 高橋 克彦君

   法務委員会専門員     齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     穂坂  泰君

同日

 辞任         補欠選任

  穂坂  泰君     奥野 信亮君

    ―――――――――――――

四月八日

 共謀罪法の廃止に関する請願(藤野保史君紹介)(第七五一号)

 共謀罪(テロ等準備罪)を即時廃止することに関する請願(藤野保史君紹介)(第七九一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第七九二号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(井出庸生君紹介)(第七九三号)

 もともと日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(井出庸生君紹介)(第七九四号)

は本委員会に付託された。

四月九日

 共謀罪(テロ等準備罪)を即時廃止することに関する請願(第七九二号)は「宮本岳志君紹介」を「穀田恵二君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

葉梨委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局組織犯罪対策部長藤村博之君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省刑事局長小山太士君及び外務省大臣官房審議官大鷹正人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長村田斉志君、民事局長門田友昌君及び家庭局長手嶋あさみ君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。

田所委員 おはようございます。自由民主党の田所嘉徳でございます。

 質問の時間をいただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 締めくくりの質疑ということで、順次、法の趣旨を確認してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、債務者財産の開示制度の実効性の向上についてお伺いしたいと思います。

 権利の実現を図るために訴訟を提起し、勝訴をしても、債権の回収ができないのでは、裁判の最終的な解決策としての役割が果たせないということになってしまいます。そこで、まず、債務者がどれだけの財産を持っているのかを把握しなければなりませんが、現在の財産開示制度では、債務者を裁判所に呼び出しても、期日に出頭しなかったり虚偽の陳述をしたりして、適切な開示がされないといった問題がありました。

 そこで、本法案において、債務者財産の開示制度の実効性向上のために刑事罰が設けられたわけでありますが、これで素直に財産の開示をしてもらえればいいのですが、差し押さえられることがわかっていながら債務者が全て正直に開示するかというと、若干疑問もあります。五十万円という罰金なら、もし見つかって罰金を払ったとしても、より高額の差押えを受けるよりも得であると考えて、みずからの財産の隠匿をしようと考える者がいても、これは不思議ではありません。

 財産開示手続の実効性を向上させるという点から、この刑事罰の強化の内容は十分なものであると言えるのか、その点をまず聞いておきたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この法律案では、開示義務者であります債務者が、正当な理由なく財産開示期日に出頭せず、又はその財産に関する陳述をしなかった場合などにおける罰則を強化して、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処することとしております。

 このように、この法律案では、債務者に対する罰則として自由刑を含めた刑事罰を導入しておりまして、相応の抑止的効果があるものと考えられます。

田所委員 次に、本法案によって新設される第三者からの情報取得手続によって、債務者以外の第三者から債務者の財産に関する情報を取得できるようにすることは、債権の回収を確実なものにするために重要であるというふうに思っております。

 そこで、第三者の一つとして金融機関に、債務者の有する預貯金債権の情報提供義務を課しています。強制執行の対象となる金融資産としては、そのほかに生命保険契約の解約返戻金請求権、暗号資産、仮想通貨等でありますが、そういったものの中で、なぜ預貯金債権についてだけ情報提供義務を課したのか、大臣にお伺いしておきたいと思います。

山下国務大臣 お答えいたします。

 預貯金債権は、個人及び法人が広く一般的に有しており、換価が容易かつ確実で現金類似の性質を有しているため、金銭債権の債権者にとっては、まず強制執行の対象とするのに適した代表的な財産であります。

 ところが、現在の執行実務においては、預貯金債権に対する差押命令の申立てをするためには、差押命令の対象とする預貯金債権の取扱店舗まで具体的に限定しなければならないとされているために、債権者において具体的にどこの取扱店舗なのかというような情報をあらかじめ取得する必要性が特に高いということが言えます。

 そこで、本法律案では、債務者の預貯金債権に関する情報を銀行等の金融機関から取得する手続を新設することとしております。

 他方、御指摘の生命保険契約の解約返戻金請求権や暗号資産、いわゆる仮想通貨につきましては、債権者は、これは執行の段階で、例えば生命保険であれば、保険契約者の氏名、生年月日、住所等を記載して特定すれば、執行自体、探索的な形で強制執行の申立てをすることができるといったことから、各保険会社や各暗号資産交換業者からの情報取得手続を設けたとしても大きなメリットはないだろうと考えられます。

 こうした議論を踏まえて、本法律案では、生命保険契約解約返戻金請求権や暗号資産については情報取得手続の対象とはしなかったということでございます。

田所委員 現在の銀行業務等におけるオンライン化の状況を見れば、支店を特定しなければならないということ自体が不合理だったので、この改正は当然だろうというふうに思っております。

 それよりも、その他の金融資産について、探索的な差押えが許容されているから情報提供義務を課さなくても大丈夫じゃないかというようなことが今言われたわけでありますけれども、あまたある金融資産、例えば未公開株式とか、今言ったような生命保険の解約返戻金の請求権などについて、何の手がかりもなくやはり探索的差押えをすることは現実的にはなかなか難しい面もあるので、今後の課題として、これらについてもどう対応するのか考えてもらいたいというふうに思っております。

 次に、不動産について、これらについては、債務者に対する財産開示手続を行った後に第三者からの情報取得手続を行うという財産開示手続の前置主義が採用されておりますけれども、なぜ預貯金債権についてはこれを省略することができることとしているのか、法務大臣にお伺いしたいと思います。

山下国務大臣 まず、預貯金債権等以外について財産開示手続の前置を原則とした理由につきましては、今回設ける情報取得手続によって情報の提供を求められる第三者というのは、いずれも、当該情報について債務者に対して守秘義務を負っているものと考えられます。

 そういったことなどを考慮すると、本法律案では、債務者の個人情報の保護にも配慮する観点から、基本的に、先に財産開示手続が実施されて、債務者が自己の財産を秘匿する正当な利益を有しないと考える場合に、初めて第三者からの情報取得の手続の申立てを認めるということにしております。

 ただ、一方で、預貯金債権等は、先ほども申し上げたように、現金類似の性質を持って、不動産や給与債権と異なり、その処分が非常に容易であるということから、財産開示手続の前置を要求すると、その間に債務者によって預貯金の払戻しがなされてしまう。そういったことで、その金銭が隠匿されるおそれがあるということで、特別な配慮が必要なんだろうということでございます。

 そこで、本法律案は、預貯金債権等に関する情報を取得する手続では財産開示手続の前置を不要としたということでございます。

田所委員 債務者は、裁判を通じて、敗訴すればみずからの預貯金債権が差し押さえられることはもう十分理解しているはずなので、財産開示を求めない、前置しないことで預貯金の隠匿が防止されるとは限らないというふうにも思うんです。

 むしろ、第三者からの情報と照合するために、あるいは不正な移動を監視するために、債務者みずから先にその財産を開示させた方がいい場合もあるというようなことを言っておきたいというふうに思います。

 次に、第三者が債務者の財産について裁判所に情報提供をした場合に、本法案では、債権者とともに債務者にも通知をしなければならないこととしているが、これでは、預貯金債権など移動が容易なものは、みすみす債務者をして隠匿の機会を与えるようなものであるけれども、この対応をどんなようにするのかお聞きしたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、預貯金債権に関する情報取得手続におきましては、その手続中に債務者が預貯金の払戻しをしてこれを隠匿することがないように制度を仕組む必要があると考えられます。

 そこで、この法律案では、銀行等に対して預貯金債権に関する情報提供命令を発令した場合におきましても、直ちに債務者に対してその旨を通知すべきこととはせずに、執行裁判所が情報の提供を受けた後の適宜の時期に通知をすることをもって足りることとしております。

 その上で、債務者への通知の具体的なタイミングでございますけれども、これは最終的には執行裁判所におきます運用に委ねられているところでございますが、今申し上げました趣旨に照らしますと、債権者が強制執行の申立てをするのに相当な期間が経過した後とするのが相当であるというふうに考えられます。

田所委員 情報を提供する第三者が金融機関である場合に、当該債務者との取引において融資をしていることも多いと考えられます。

 そうであれば、債務者の預貯金情報を提供することによって差押えの対象となってしまえば、みずからの取立て分が減少あるいは不能になることもあります。そうしますと、金融機関は、みずからの債権回収を優先することにもなるのではないかというふうに思うんです。それでは、せっかくの第三者からの情報取得制度が、債権者の利益にならないばかりか、むしろ不利益に働くことになってしまいますが、これをどう防止するのかお伺いをしたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 金融機関といたしましては、基本的に、執行裁判所からの情報提供命令に応ずると考えられ、この情報の提供を求められた第三者が回答を拒むこと、あるいは虚偽の回答をすることは想定されないものと思われます。そのため、この法律案では、回答拒絶や虚偽回答に関する制度の規定は設けておりません。

 もっとも、例えば、情報の提供を求められた金融機関が、債務者の利益を図る目的で執行裁判所に対して回答しない、あるいは虚偽の回答をするなどした結果、債権者が債務者の財産に対する強制執行をする機会を失ったような場合には、一般論としましては、その金融機関が債権者に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負う場合もあり得るものと考えられます。

田所委員 不法行為を構成する場合があるというんですけれども、そこまでに至らない場合、これは、営利を目的とする金融機関が債権回収の機会を見逃すことはできないはずだというふうに私は思います。これは株主との関係もあるでしょう。

 また、銀行取引の実務においては、預貯金が差し押さえられた場合に、貸金における期限の利益を喪失させるという契約がされていることが多く、第三者たる金融機関に情報提供を求めることで、預貯金等が差押えの対象となることを知らせることにもなって、これを契機として金融機関が債権回収に働けば、これは債務者の不利益になるばかりか、債権者の利益にもならないケースがあることも考えなければならないというふうに思います。今後の課題として考慮してもらいたいというふうに思っております。

 次に、差押債権の範囲変更の手続について聞きたいと思います。

 裁判所によって債務の額が決定すれば、それに従って債権者が債権を回収し、債務者が債務を負担するというのは当然ですけれども、そうであるにもかかわらず、事後的に差押禁止債権の範囲変更の制度が設けられていることの意義について、まず聞いておきたいと思います。

小野瀬政府参考人 済みません、先ほど、回答拒絶や虚偽回答に対する制度と申し上げましたが、済みません、制裁の規定は設けていないの誤りでございました。

 その上で、お答え申し上げます。

 現行の民事執行法では、給料等につきましては、その四分の三は差押えをすることができないこととされておりますけれども、例えば、個別の事案によりましては、給料等の四分の一であっても、これを差し押さえられると債務者の生活が困窮するおそれがあるような場合もございます。

 差押禁止債権の範囲の変更の制度は、個別具体的な事案に応じて、債務者及び債権者の生活の状況等を考慮して差押禁止債権の範囲を変更する、こういうことを認めるものでございます。

田所委員 先日の質疑の際に、平成二十九年の東京地裁本庁における実情の紹介として、給与債権が差し押さえられた場面で、差押禁止債権の範囲変更の申立てがされた件数は一年間にわずか五件であり、そのうち認容されたのはゼロだということが説明されました。このような状況から、東京地裁の運用が債務者保護になっていないのではないかとの疑問も出されていました。

 そこで、東京地裁が差押禁止債権の範囲変更の申立てを却下した事案は、具体的にはどういった内容であったのか、わかる範囲で説明してもらいたいと思います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、平成二十九年の東京地裁民事執行センターにおける差押禁止債権の範囲変更の申立ての中で、差押債権がいわゆる給与等の債権であるものは五件ございました。そのうち、基本事件の取下げによる終了の一件を除きますと、残りの四件が却下となっております。

 それで、却下された四件の事案ですけれども、二件は、請求債権が扶養義務等に係る債権のものでございました。残りの二件ですけれども、こちらは給与の手取り額が二十万円以上というものであったというふうに承知しております。

田所委員 差押禁止債権の範囲変更において、債務者保護が必要なことは当然でありますけれども、債権者の持っている債権が、例えば養育費であるような場合、あるいは交通事故に遭って仕事ができなくなってしまってその賠償を受けるような場合、むしろ債権者の保護を厚くすべきということにもなります。これは、この制度が債務者保護のみではないことを理解しなければならないというふうに思っております。

 一方で、この差押禁止債権の範囲変更の制度が十分に理解されていないから、真に必要な場面で利用されていないのではないかということが言われております。そういう中で、今度の法案の中では、裁判所書記官が債務者に差押禁止債権の範囲変更の手続があることを教示するとされております。この見直しで利用が促進されるのか。

 私は、ここでもう一つ疑問を持っているのは、今言ったように、債権者のためでもあるということを考えれば、この法律が債務者にのみ教示するということはちょっとバランスが悪いのではないかということを含めて、お聞きしたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この差押禁止債権の範囲変更の制度につきましては、現状では活用されておらず、ほとんど機能していないとの指摘がされているところでございます。その原因としては、そもそもこの制度の存在が知られていないことなどが指摘されております。

 そこで、この法律案におきましては、裁判所書記官が、差押命令を債務者に送達するに際し、差押禁止債権の範囲変更の申立てをすることができる旨を、債務者に対して教示する旨の規定を設けることとしたものでございます。

 このような改正によりまして、債務者において差押禁止債権の範囲変更の制度をより利用しやすくなり、制度の利用が進むものと考えられます。

田所委員 次に、子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化について質問をいたします。

 そもそも、子の引渡しの強制執行が行われるのは、家庭裁判所が子を一方の親から他方の監護権者たる親に引き渡すことがその子供にとって最良であると判断されたからであり、これを確実に実現する必要があります。しかし、子の引渡しの強制執行を試みても四割は失敗に終わっているということが現実のようであります。その原因は、子と債務者が一緒にいる場面でなければ強制執行することができないという同時存在の原則がとられていることが言われております。

 そういう中で、この同時存在の原則を不要とすることに本案でなったわけですけれども、どんな効果を得ようとしているのか。さらには、不要とすることによって、直接の確執が回避されるという利点がある反面、債務者にとって不意打ちとなって、場合によっては、その子に不安を与え、あるいは債務者に恨みが残るような形になって終わる、そういうおそれがあります。穏便に子の引渡しができる当事者である場合には、そのような恨みが残るような形での解決はこれは避けるべきであると思います。

 したがって、子は人であって物ではないので、執行官において事案に応じた適切な対応が必要であるというふうに考えますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 現在の国内の子の引渡しの直接強制における実務におきましても、いわゆる同時存在というものを要求するという運用がされているものと承知しております。

 しかしながら、そういった実務では、債務者が子を祖父母に預けるなどして意図的に同時存在の状況を回避しようとする事案、あるいは、債務者側が執行の現場で執行官による説得等に応じずに激しく抵抗するといったような事案が少なからず存在しております。また、執行の現場で、子が債務者からどちらの親と生活したいか意見を述べるように迫られるなど、この同時存在の要件が子の心身に過度な負担を与えるような状況を生じさせているとの指摘がされております。

 この法律案では、子の引渡しの強制執行についてこの同時存在の要件を不要とすることとしておりますが、これによりまして、今申し上げましたような理由で執行不能となっていた事案において強制執行の実効性が相当程度高まるものと考えております。

 また、御指摘の点、穏便な引渡しという点でございますが、この法律案では、子と債務者がともにいる場合でなければこれを実施することができないこととはしておりませんが、他方で、債務者が執行の現場にいた方が円滑に執行を実現することができる場合には、執行官の判断により、子が債務者とともにいる場面で執行するといった運用も許容されておりまして、個別の事案に応じて柔軟な対応がされるものと考えられます。

田所委員 人である子の引渡しを強制執行するというのは大変難しいことだと思いますが、子の利益の最大化を図れるような、そういう運営をしてもらうことを心より願いまして、御質問を終わります。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で田所嘉徳君の質疑は終了いたしました。

 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 私も二十分、時間をいただいていますので、早速質問したいと思います。

 前回の委員会では参考人の方に来ていただきまして、大変我々も勉強になりました。特に子の引渡しについて、実際に実務を経験された弁護士の先生のお話でありますとか、また、特に多重債務に苦しむ、特に所得の低い方への対応をしている弁護士の先生方のお話もいただきまして、大変参考になったところでございます。

 そこで、そういった参考人の方のお話を聞く中で、やはり私は、法律援助、法テラスの援助の充実というものが一つ必要ではないかなというふうに感じた次第でございます。

 そこで、まず冒頭、簡単にお聞きしますが、子の引渡しの強制執行におきまして、これを申し立てる場合、裁判所に納める申立て手数料や印紙代や、また予納郵券等あるわけでございますが、いわゆる執行補助者として、執行官に払う費用以外に、児童心理学の専門家の方を例えば立会人にする場合に、これは、予納金の方からそのお金を支弁しなければならないわけでございますけれども、まず、裁判所に納める、子の引渡しの強制執行における予納金は法テラスの援助の対象になっておるのか、端的にお答えいただきたいと思います。

小出政府参考人 お答えいたします。

 法テラスでは、総合法律支援法に基づきまして、民事法律扶助として、資力が一定基準以下であるなどの要件を満たす者に対して代理援助を行っているところ、子の引渡しの強制執行の申立てにつきましても、法テラスの代理援助として、弁護士等の代理人に支払うべき報酬及びその代理人が行う事務の処理に必要な実費が立てかえの対象となっております。

 この代理人が行う事務の処理に必要な実費には、委員御指摘の、手続に先立って裁判所に予納する費用も含まれているという扱いでございます。

浜地委員 そうなりますと、まず、申立ての前に予納金を納めて、子の強制執行がようやく開始される。いわゆる執行官の手当も含めた費用になるわけでございます。

 これは、実務を経験された弁護士の先生は、大体八万円というのが平均的な金額じゃないかとおっしゃっていました。その中から、さまざま、執行官に対する報酬、そして必要とあれば児童心理学の専門家を立会人として呼んでくる場合、この場合、一万円から二万円というようなお話を聞いております。

 今回、まだまとまってはおりませんが、附帯決議の中でも、前回のお話を聞きまして、やはり、特に子の心身に配慮する観点から、執行補助者として児童心理学の専門家を積極的に活用するようにというような附帯決議が用意される予定でございます。

 そうなりますと、私は、単純に考えて、昨年、年間八十二件しかない子の強制執行におきまして、わずか一万円から二万円の児童心理学の先生方の日当でありますと、なかなか引き受けていただく人が少ないのではないかというような危惧を持った次第でございます。

 そこで、予納金から支弁される日当の金額自体を引き上げるべきではないかというふうに私は思っています。仮に引き上げても、先ほどの御答弁のとおり、資力のない方については、これは予納金の一部になりますので、予納金は法テラスで手当てがされるわけでございますので、そういう意味におきますと、最高裁判所に対しまして、日当の引上げということについてぜひ検討いただきたいと思いますが、御意見はいかがでありましょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 子の引渡しの強制執行における予納金につきましては、執行官が、個々の事案における具体的事情に応じて、手続に必要な費用の概算額を予納させておりまして、その際には、専門家の関与の必要性やその報酬についても適切に判断しているものと承知しております。

 法の改正後におきましても、改正法の趣旨等を踏まえまして、適切に運用されるものと考えております。

浜地委員 確かに、こういった事例がまだこれからふえれば、またさまざま実務を見ながら検討いただきたいと思っています。まだそういう段階でないのでそういう御答弁だったというふうに理解をしていますが、ぜひ、問題提起として、今質問させていただきました。

 次に、給与債権等の差押禁止債権の範囲の変更、先ほど田所委員からも御質問がございましたが、今回、この制度がいわゆる債務者に教示されることになりますので、これの利用というのは、これまでわずかな申立て件数でもあったわけでございますが、ふえてくる可能性があるわけでございます。

 前回の参考人の先生方の中で、やはり、給与の低い方に対しては最低限差し押さえられる金額というものをもっと下げるべきだ、そういう法改正をすべきだというような御意見がございました。しかし、私は、まずはしっかりとこの差押禁止債権の範囲の変更を教示することによって、どれだけ周知されるかという運用状況を見るべきだと思っております。

 そこで、先ほど法テラスの話を聞きましたけれども、まず、裁判所に納める費用として、この差押禁止債権の範囲の変更を申し立てる場合にはどのような費用が必要になるのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 差押禁止債権の範囲変更の申立てにつきまして、申立て手数料は不要でございます。

 申立て手数料以外の費用につきましては、個別の事案に応じて異なりますけれども、一般的に申しますと、裁判所の判断を告知するなどするために必要な額の郵便切手を納めるのみであると承知しております。

浜地委員 今御答弁ありましたとおり、差押禁止債権の範囲の変更については申立て手数料はゼロ円でございますので、そういう意味でいうと、資力のない方でも、郵便切手は多少は納めなきゃいけないんですが、裁判所に納める費用の面ではそんなに負担はないのかなと思っております。

 しかし、参考人の先生と話す中で、そうはいっても、自分たちの弁護士費用も当然いただく中で、法テラスを使う場合に、法テラスの援助決定が出るまで待っていると、毎月毎月給与が差押えをされる、どんなに早くても法テラスの援助決定は二週間か三週間かかるということで、だから、差押禁止債権の範囲を、もっと減額してくれというようなお話がございました。

 そこで、仮に弁護士の先生方が、債務者がどんどん少ない給与を差し押さえられている、じゃ、先にもう、申立て費用もゼロ円だし自分が請け負いましょうと、その手続をしながら、後に法テラスを申し込んで自分の報酬をいただく、そういう運用はできるのか、御答弁をいただきたいと思います。

小出政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁させていただいたとおり、法テラスの民事法律扶助の対象については、資力が一定の基準以下であることが要件とされております。

 そのため、法テラスでは、この代理援助の実施に当たりまして、事前に援助申込みを受け、援助要件を満たすか否かについて審査を行った上で援助開始決定をいたしまして、その後に事件処理がなされることを原則としております。

 もっとも、この援助要件の審査には、先ほど委員から御指摘ございましたように、相応の期間を要するところでございまして、事案によりましては、援助開始決定前の早急な対応が必要となる事案も存在いたします。

 そのため、法テラスにおきましては、事前に援助申込みがなされ、かつ至急の処理を必要とする特段の事情がある事案については、援助開始決定前に事件処理がされた場合であっても代理援助の対象とする取扱いをしているものと承知しております。

 したがいまして、委員御指摘の差押禁止債権の範囲変更の申立てに係る事案につきましても、援助開始決定前に範囲変更の申立てがなされた場合、このような事情があるときは援助の対象とすることが可能であると考えられるところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 援助開始決定後にいわゆる手続をとらなくても、そういった急を要する場合には、まず、代理人の弁護士の先生が申立てをし、手続の中できちっと法テラスに申込みをすれば自分たちの報酬もいただけるということでございますので、まずは、この運用を迅速にできるように見守りたいと思っています。

 ただ、まだこれも決まっておりませんが、附帯決議の中では、給与債権等の差押範囲の変更について、最低限度額を更に設けるべきだというような指摘もございますので、ここがやはり私は一つの実例になるだろうと思っています。まずは、しっかりと債務者に教示をし、その運用がしっかりと図られるかどうかということでございますので、ぜひまた法テラスの方も、恐らく活用になると思いますので、しっかりと対応をいただければと思っています。

 次に、一問だけ、ハーグ実施法についてお聞きをしたいと思っています。

 今回、国内における子の引渡し及びハーグ実施法においても、債務者の同時存在を要件としないかわりに、債権者の出頭というものを要件とされました。国内であれば債権者が出頭するのは比較的容易だろうと思っておりますが、ハーグ実施法におきましては、当然、国外から債権者がやってくることになるわけでございます。そうなりますと、やはり時間の関係、費用の関係で、なかなか債権者の方が出頭するということは難しいんじゃないかという問題意識を私は持っております。

 そこで、これまでのハーグ実施法において債権者が不出頭のまま執行が行われた割合というのはあるのかどうか、その割合について御答弁いただきたいと思います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 ハーグ条約実施法が施行されました平成二十六年の四月一日から、昨年、平成三十年の三月三十一日までの四年間に申し立てられた解放実施の事案は七件ございますけれども、債権者が解放実施を行うべき場所に出頭しなかったものはなかったと承知しております。

浜地委員 一件も、債権者が出頭しないまま執行したケースはないということでございますので、逆に安心をいたしました。

 やはり自分の子を、海外からでも引き渡してもらうというときには、債権者の親というのは、ほとんどが親でしょうけれども、やはり日本に来られているということの現状でございますので、そういった点では、私のいわゆる疑問というのは恐らくないのであろうと思っております。今後は、ただ、そうはいっても債権者の出頭が義務化されておりますので、そういったふぐあい等があれば、また実務の面でさまざま御指摘いただければと思っております。

 最後に、第三者からの財産情報取得手続について、数問、聞きたいと思っています。

 先ほど、田所委員からも御質問がございました。前回の参考人の質疑の中でも、やはり第三者からの財産情報取得手続と債務者の財産開示制度の関係、いわゆる前置すべきかどうかということについても御議論があったわけでございます。

 当然、今回の法案では、預金債権等を除き基本的に財産開示制度を前置としておりますが、まず、その趣旨、その理由について、ここはちょっと詳しく山下法務大臣に改めて御答弁いただきたいと思います。

山下国務大臣 まず、預貯金債権を除いて財産開示制度を前置している趣旨につきまして、これは、そもそも情報取得手続によって情報提供を求められる第三者は、いずれも当該情報について債務者に対して守秘義務を負っております。その守秘義務を解除するためには、守秘義務を負っているので、原則として、本来の目的と異なる目的で他者に当該情報を提供することが制約されております。ただ、その第三者が債務者に対し守秘義務を負う実質的な理由が既に失われたと評価し得る場合、これについては、第三者に情報提供義務を負わせても不当ではないというふうに考えられております。

 そして、今回、財産開示手続の前置を求めましたのは、先行する財産開示手続において債務者が既に自己の財産の開示義務を負うというふうに判断された場合には、これはもう債務者はその財産に関する情報を債権者に対して秘匿する正当な利益は有しないものと考えられます。したがって、その第三者が債務者に対する関係で守秘義務を負う実質的な理由が既に失われたと評価し得るのではないかというふうに考えられます。

 そこで、本法案では、まず先に財産開示手続を実施する、それがされている場合には、原則として、第三者に対して債務者の財産に対する情報提供義務を課することができるという段階を踏んでいるわけでございます。

 預貯金債権について、これについては、処分が容易であるということから特別な配慮ということで、これらの財産開示手続を先行することによって隠匿されてしまうという危険性に鑑みて特別な配慮をさせていただいた、前置を要求しないということとしたということでございます。

浜地委員 非常にロジカルな趣旨の説明だったと思っています。

 財産開示制度によって債務者自身がこれを、要は開示しなきゃいけないということになりますと、それを持っている第三者も守秘義務というのがおのずと消えるというロジックですので、非常に理解しやすいところでございますが、そうなりますと、不動産情報は誰でも登記簿を取得できるので、どちらかというと登記所はこの守秘義務を負っていると私は逆に思わないんですね。ですので、財産開示を前提としなくてもいいんじゃないかと、先ほどのロジックでいうと思いますが、それをなぜ前置としているのか、法務省に御答弁いただきたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、不動産の登記事項証明書につきましては、誰でもその交付を請求することができますが、その際には、不動産所在事項ですとか、あるいは不動産番号を特定してこれを行う必要があるとされております。

 これに対しまして、第三者からの情報取得手続におきましては、債権者は、債務者の氏名等の情報をもとに、所有権の登記名義人が債務者である土地又は建物の情報を取得することができるものとしておりまして、債務者が所有する不動産を網羅的に調査することが可能となります。したがいまして、債務者のプライバシーに対する影響が大きいというふうに言えるものでございます。

 また、不動産の方は、不動産は通常、必ずしも容易に処分、隠匿することができる財産ではございませんので、預貯金債権等と異なり、そういう隠匿といった行為を防止する特別の配慮をする必要はないと考えられます。

 以上のようなことを考慮いたしまして、この法律案では、不動産の情報の取得につきましても、まず財産開示手続が実施されている場合に限り、第三者に対して情報提供義務を課すことができることとしたものでございます。

浜地委員 よくわかりました。

 確かに、登記簿等は誰でも見られますが、当然、所在はわかっても、誰が持っているかわからないので、いわゆるオープンになっているのは土地であるということです。

 ただ、今回の制度では、この債務者がどれだけ財産を持っているかということでございますので、確かに一般の不動産登記をとるのとは状況が違うのかな、よりプライバシーの保護というのは高いのかなというふうに私も理解をしましたので、そういった意味では、法務局も、債務者、この人がどれだけ持っていますかというような情報については守秘義務を負っているということになるんではないかなというふうに私は理解をするところでございます。

 だからこそ、新しい制度は、いわゆるシステムを整えるのにも二年程度かかるということで、施行がおくれるということもあるわけでございますので、そこは理解したところでございます。

 次に、いわゆる前置を置かなくても取得できる預金債権についてでございますけれども、先ほど山下法務大臣も御答弁されておりましたが、やはり、これまでは、銀行だけではなくて、支店まで特定しなければならない。その上で、当然、まずそこに口座があるかどうかというのが一つのチャレンジなんですけれども、その後、そこに幾ら口座に残っているか、残高が残っているかもわかりません。結果、わずか数百円の預金しか残っていないということになるわけでございます。

 そこで、そういったデメリットを解消するために、今回、第三者からの財産情報取得手続における預金債権においては、これは銀行の残高まで開示されるという理解でよろしいのか、御答弁いただきたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この法律案では、情報提供を求められました銀行等の金融機関が回答すべき情報の具体的な内容につきましては最高裁判所規則で定めることとしておりますが、この最高裁判所規則で定めるべき事項としましては、例えば、債務者の預貯金債権の存否のほか、その取扱い店舗、預貯金債権の種類及び額などの情報が想定されておりまして、御指摘の預貯金債権の残高に関する情報も開示されることになるものと考えております。

浜地委員 最終的には裁判所の規則で決めるということですが、民事局長が御答弁いただきましたので、これは残高まで開示されるんであろうと思っております。

 これは大分、実務においては助かることになるわけでございまして、探索的に、まず、そこの支店にあるかどうかわからないのに、わざわざやる。あったとしても、やる意味のないような口座残高であれば、やらなきゃよかったなというところなんですが、それが、ちゃんと残高が幾らあるということで、しっかりと狙っていけるということでございますので、これは非常にいい制度であるというふうに思っています。

 ちょっと質問が残っておりましたが、もう時間になりましたので、ここで私の質問は終わらせていただきます。ありがとうございます。

葉梨委員長 以上で浜地雅一君の質疑は終了いたしました。

 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。

 私、十五分の時間をちょっといただきまして、前回、参考人質疑で、ちょっとみんなが驚いたり対応が必要だなというふうに思った、やはり子の引渡しの強制執行における児童心理の専門家の関与状況、それと女性の執行官というのがいないというこの二点について、少し数字を委員会で共有して、今後、さまざまな解決の礎にしていきたいというふうに思って、時間をいただきました。

 まず、子の引渡しの強制執行における児童心理の専門家の関与状況、皆さんのお手元の資料をごらんください。

 平成二十九年で既済の百七を分母にすると、立会人であれ補助者であれ、児童心理の専門家が関与した件数が七十四なので、ざっくり言うと七割。うち、前回の質疑で、やはり立会人というのは適正をその場で担保するだけで、ちょっと具体的なアドバイスとか事前の打合せとかには関与されていないということが明らかになったので、執行補助者に限って見ると、百七分の五十七で、ざっくり言うと約六割ということになっております。

 平成三十年ですけれども、本当にざくっと計算すると、八十三を分母にして、分子を児童心理の専門家が何らか関与したとすると四十七で、大体六割。そのうち、執行補助者に限ると、これが四割から五割ぐらいに減っていくということであります。四五%ぐらいですか。

 最高裁判所の民事局長にお伺いをしたいと思いますが、子の専門家の関与状況、必ずしも、おおよそ関与しているとは言いがたい状況にあるんですけれども、関与されていない事案についての原因について、人的資源が少ないのか、偏在なのか、それとやはり経済的負担の問題なのか、おおよそどんなところにあるというふうに認識していらっしゃいますか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 必ずしも分析的に見れているところではございませんけれども、さまざまな理由があるかと思います。

 一つには、専門家をそもそも関与させる必要がないというふうに判断される場合というのもあるかと思いまして、具体的に申し上げますと、対象となるお子様が乳児であって、心理的な影響を考慮する必要がなかったという場合ですとか、債務者に積極的な拒絶反応がないことが予想される場合などが考えられるかと思っております。

 そのほかに、専門家がそもそも確保できなかったという先生の先ほどの御指摘の点ですとか、あるいは経済的な事情ということもあるんだと思われますが、債権者が費用を予納されないということで選任できなかったというような事案もあるように承知しております。

山尾委員 人材確保の問題と予納ができないというような経済面の問題、両方、混在もしているんでしょう。

 ちなみに、専門家ではなくて、いわゆる執行官そのものが一定程度の児童心理の専門性を有しているというふうに認められる方というのは、人数あるいは割合でいうと、どんなものなんでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 その点に関しましては、最高裁においては把握しておりません。

山尾委員 今後、やはり子の引渡しの強制執行というのは執行官がやっていくわけですから、その研修と現状の把握というのはやっていただきたいと思います。

 その上で、今、喫緊の課題としてはやはり専門家の関与をできるだけ担保していこうという方向性だと思うんですけれども、経済面のことについて考えていくと、まず、執行官の手数料というのは、最終的には誰が負担をし、おおよそどれぐらいの金額になるものなんでしょうか、子の引渡しについて。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 執行官はその職務につきまして手数料を受けることとされておりまして、その具体的な額は、執行官の手数料及び費用に関する規則において定められております。

 個別の事件の手数料は、その規則の定めに従いまして計算されることとなっております。執行が完了した場合の手数料ということになりますと、二万五千円ということになります。

 執行官の手数料ですけれども、債権者に予納義務があるということになっておりますけれども、最終的には、執行費用ということで債務者の負担になると考えられます。

 以上でございます。

山尾委員 なるほど。

 じゃ、同じ質問で、執行補助者の手当についてはいかがでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 執行補助者に対する手当は実費の額というふうにされておりまして、具体的な額につきましては、執行官と執行補助者との間の個別の合意により定められるということになっております。

 個別の合意に係るものでございますし、それに関する統計等もございませんけれども、旅費も含めて、おおむね一万円から二万円の範囲が多いというふうに聞いておるところでございます。

 執行補助者に対する手当ですけれども、これは職務の執行に要する費用ということで、債権者に予納義務があるということになっておりますけれども、最終的には、執行費用ということで債務者の負担になると考えております。

山尾委員 ありがとうございます。

 今の話でいくと、おおよそ、執行補助者、一万から二万、旅費も含むのがスタンダードと考えると、よくも悪くも、そんなに高くないのかなという印象を持ちました。

 そうすると、子供の引渡しを願うというか、その権利を持つ債権者の側としては、例えば、最初の段階で、執行補助者という専門家をつける制度があるんだよ、最後は債務者負担になりますよ、その上で、打合せとか、現場でアドバイスを受けることも可能なんですよ、それについてはおおよそ、執行官、執行補助者、合わせて今言っていただいたような金額ですよね、五万に満たないぐらいなんでしょうか、それぐらいの金額になりますよ、予納額はと。こういうことを最初の段階で債権者がしっかり告知を受ければ、少しその制度というのは使われる割合がふえていくのかなという気もするんですけれども、それはきちっと伝わっているんでしょうかね。

門田最高裁判所長官代理者 きちんと御説明しているものと認識しております。

山尾委員 制度としてきちっと担保されているのかどうかということだと思うんですよね。

 誰が制度上はそれを伝える役目を担うことになるんですか。

門田最高裁判所長官代理者 執行官に対して予納していただくことになりますので、執行官からお伝えすることになるかと思います。

山尾委員 子の引渡しを担当する執行官の皆さんには、今言ったような事柄をきちっと債権者に伝えて、望む場合には、あるいは、望む望まないにかかわらず、必要と考える場合には、執行補助者をつけるという選択肢がいいんだよと、そういうようなことは執行官の皆さんにはきちっとした形で伝わっているんでしょうか。ちゃんと債権者の方に今言ったようなことをお伝えしなさいよ、お伝えするのはあなたの役目なんですよということがですね。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 そのような運用が望ましいということでは伝えておる、執行官に対してそのように伝えておるところでございます。

山尾委員 ごめんなさい、運用が望ましいというか、ちゃんと債権者に対してそういう選択肢があるんだよということを伝えるというふうに、きちっと執行官の皆さんに告知をしているんでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 伝えることが望ましいという意味でございます。

山尾委員 ちょっとこれを機会に、ぜひ、私が言った項目で全てかわからないんですけれども、今言ったような事柄、やはり事前に、専門家をつけることができて、打合せも含めてアドバイスを受けることができて、おおよそこれぐらいの金額の予納になるけれども最終的には債務者からきちっとそれを償還されるんだということが、具体的に債権者の皆さんにイメージできるような形で、しかも適切なタイミングで執行官から伝わるということを、きちっと担保をこの機会にしていただきたいというふうに思います。

 この金額であれば、やはり債務者の立場に立っても、自分が受けとめている子供を引き渡すに際して、執行補助者の分も含めて最終的には債務者負担ということには私は一定の合理性があるのではないかなというふうに思いますので。

 もう一つ。それでも、前回、参考人の皆さんの話を聞いていると、例えば、旅費を含めた執行補助者の一万、二万のお金が出てこないというようなことで、実際につけられなかったという事案もありました。そういう予納ができないということについて、ちょっと今後、何らか裁判所としても検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 ケース・バイ・ケースというところはあるかとは思うんですけれども、一応制度上は訴訟救助の制度もありますので、その申立てを検討していただくということになろうかなと思います。

山尾委員 この件で最後にちょっと大臣に伺いますけれども、やはり執行打合せに専門家の関与を担保していくということが子は動産じゃないよということの本当の具体化だと思いますので、ちょっとその点について、今後どうしていきたいというような哲学をお願いいたします。

山下国務大臣 お答えいたします。

 先ほど来、御指摘がありました。確かに、子の引渡しの強制執行においては、お子さんの精神面も含め、やはり慎重なケアが必要であろうと思います。

 今、最高裁がお答えさせていただいたように、一定程度の配慮がなされているとは思いますけれども、今回の新法をお認めいただきましたら、更に実務の運用上もしっかりと配慮していただくということ、先ほどおっしゃった予納の教示も含めて、そういった実務を見守っていきたいというふうに考えております。

山尾委員 それでは、最後二分で、最高裁にお伺いをいたします。

 過去から現在に至るまで、女性の執行官というのは存在したんでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁において把握しております限りでは、これまで、女性が執行官に採用された例はございません。

山尾委員 ないんですね。

 では、ちなみに、応募した女性はいるのかということが今度聞きたくなるわけで、例えば平成二十九年や三十年、この二年間での女性の応募状況はいかがでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 平成二十九年の執行官の採用選考の受験者総数は八十三人でございまして、そのうち女性は一人でございます。

 また、平成三十年の受験者総数ですが、こちらは八十九人でございまして、そのうち女性は四人ということでございます。

山尾委員 その応募者が不採用ということになったわけですけれども、女性の不採用になる原因を幾つか定型化できると思うんですけれども、どんなところにあると認識していらっしゃいますか。

門田最高裁判所長官代理者 定型化というのはしておりませんで、採用の選考ですけれども、これは、各地方裁判所におきまして筆記試験と面接試験によって行われておるところでございます。このうち、筆記試験におきましては法律的な知識を問いまして、面接試験におきまして受験者の人物あるいは適性及び専門的能力について評定するということになっております。

 もとより、合否の判定は男女の別なく行っておりまして、女性は採用しないという方針があるとか、あるいは女性であることを理由に不利益な取扱いがされるなどということはないものと承知しております。

山尾委員 質疑時間が終わりましたので終えますけれども、ちょっとこの件、これまで応募した全ての女性が何らかの理由があって全員落ちているということなんですけれども、ちょっとその適否も含めて、さらに、今後はそういった子の引渡しの執行ということも、実際もう既にあったし、これからもあるわけですし、そういったことも含めて、少し最高裁の方で、この事実というのがかなり衝撃的な事実とも受けとめられるということを踏まえて、少しちょっと内部でも検討していただきたいというふうに思います。

 私も、もう少し深掘りをして、原因と、そして解決としていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

葉梨委員長 以上で山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。

 次に、黒岩宇洋君。

黒岩委員 立憲民主党・無所属フォーラムの黒岩宇洋でございます。

 済みません、今の山尾さんの質問のところで、ちょっと門田民事局長にお聞きしたいんですけれども、その八十三人とか八十九人の受けた方の、執行官の合格率はどのくらいなんですか。

門田最高裁判所長官代理者 済みません、突然のお尋ねですので、手元に数値がございません。

黒岩委員 後で教えてください。というのは、仮に六割とか七割受かる試験で、それで女性が一人も受からないというと、いかがなものか。一人か二人しか受からない執行官の試験だったら若干はうなずけるかなんですけれども、いずれにしたって、ちょっとその合格率との関係性は抜きにしても、かなり特殊な状況だということはさっき山尾さんの質問でよくわかりましたので、合格率の数字もまた後で教えてください。

 私も、きょうは、子に関する強制執行、前回質問をする時間が限られていたので、残りの分を少し質問しますけれども、まず、国内の子の引渡しと国際的な子の返還で、現状では、国際的な子の返還は間接強制が前置だ、実務上、国内の子の引渡しはこれは前置ではないということなんですが、改めて確認ですけれども、前置ではないわけですが、債権者は、これは選択的に間接強制を申し立てることは可能なんでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 民事執行法におきましては、ある請求権について複数の執行方法が認められている場合には、債権者がそのいずれかを自由に選択して申し立てることができることとされておりますので、そこは、あるいは、直接的な強制につきましては明文の規定はありませんが、基本的に、動産の引渡しの強制執行について定めた規律を類推適用してやっております。ですから、そちらの方法でいくのか、あるいは間接強制でいくのかという点につきましては選択できるという状況でございます。

黒岩委員 それでは、実情をお聞きしたいんですけれども、年間約百件近く、その直近の国内の子の引渡しにおいて間接強制を選択した事例がどのくらいなのか、教えてください。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 子の引渡しを目的とする間接強制の申立て件数につきましては、司法統計の数値はございませんけれども、平成二十三年度から平成二十五年度まで実情調査を行ったものがございまして、この調査の結果によれば、一カ年度当たり二十五件から四十件程度で推移しておるところでございます。

 一方、平成二十三年から平成二十九年までにおける家庭裁判所に対する間接強制の申立て件数、これには子の引渡しを目的とするもの以外のものも含まれますけれども、その総数は年間百五十件から二百件程度で推移しているところでございます。

 これらの数値から大まかな推計をしてみますと、それぞれの数値が異なる統計に基づくものであるため、一概には申し上げられませんけれども、家庭裁判所における間接強制の新受件数全体の約二割が子の引渡しを目的とするものであると推計することができるのではないかと思います。

黒岩委員 わかりました。わかりづらい表現ですけれども、大体、今の推計ですと、二つの統計がありますからそこを単純には比較できない、そういう前置きでしたけれども、一年間で子の引渡しの間接強制が三十件ぐらいだと。そうすると、全体で百件と考えると、三十件というのは三割ぐらいだな、そんなイメージをいたしました。

 それで、ちょっとそこまで通告していないんですが、では、間接強制で実際に引き渡しされた数というのはどんなものかわかりますか。

門田最高裁判所長官代理者 申しわけございません、突然のお尋ねですので、数値がございません。

黒岩委員 いわば間接強制をかけて、間接強制で返ってこなかったらその後直接強制をかけることになると思うんですけれども、間接強制だとどのくらい返る。間接強制をかけて、時間が一定程度たっちゃいますので、今度は直接強制でもなかなか子の返還がしづらくなると聞いています。要は、その子供が、時間をかければかけるほど、その状況にある意味なれてしまう、だからなかなか返還しづらい。

 ということで、間接強制を前置にするのとしないのというのは、すごく、時間との微妙な兼ね合いで、どっちが子の利益になるのかというのが悩ましいところなんですね。ですから、そこのやはり数値をとっておいてもらって、間接強制をかけましたと。

 中には、だって、間接強制をかけず、百件のうち七十件は直接強制に行くわけですよ。この返還の率と、間接強制をかけた後に直接強制での返還の率、これは違いが出るはずなんですよ、最高裁の説明だと。間接強制を先にかけちゃうと、ともすれば、何カ月か、一年ぐらいかかっちゃう、その後直接強制に移行した場合だと子が戻りづらい、こういう御説明を受けていますので、それを裏づけるバックデータを私は示していただきたいと思っています。

 今時点で、直接強制が全体百件で、返還される子が四割と聞いていますけれども、多分、この四割には、間接強制をかけたけれどもだめだった、そして直接強制をかけて戻った子なんかも含まれちゃっていますから、ここは分けて、間接強制を前置にした場合としない場合でどれだけ子の引渡しの割合が違うのか、これは立法事実としてつかんでおかなきゃいけないと思うんですよ。

 というのは、今回、実務では間接強制は前置ではないわけだけれども、この子の引渡しに関しては、今までと違って、今まで選択制ですから、何の要件もなく、債権者の判断で直接強制申立てができたわけですよ。でも、今回は要件が加わった。この要件をクリアしなければ直接強制に行けないわけですね、間接強制を先にしなければいけない。すなわち、この二つの要件、間接強制では引渡しの見込みがあるとは認められない場合と、又は子の急迫の危険を防止するために必要がある、この場合に限って直接強制を申し立てられるわけですから。

 そうすると、お聞きしたいんですけれども、改めての確認ですけれども、今までは選択制ですから、今まではこの要件はかかっていなかったわけですよね。今まではこんな要件がなくてもそのまま、間接強制をせずとも直接強制に進むことができたわけですよね。

小野瀬政府参考人 御指摘のとおりでございます。

黒岩委員 そうすると、先ほどの話とダブるようになりますけれども、国際的な子の返還であろうと国内の子の引渡しだろうと、裁判所のお墨つきを得て債権者のもとに速やかに返すことが、これが子にとってのまさに利益の最大化だということが一つの大きな建前なんですよ。そうなると、この国内の引渡しに関して言えば、今までは間接強制をかませずとも直接強制に行けたけれども、今回の法改正によって、すごく厳しい要件でない限りは間接強制をかませなきゃいけなくなった。

 そうすると、この改正によって、今回の本改正によって、国内の子に関して言えば、直接強制がかけづらくなったわけですね。時間的に速やかに子を引き渡す、債務者から債権者に引き渡すということにおいては矛盾が生じると思うんですが、いかがでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、子の引渡しの強制執行につきましては、これは実効性を確保するということも一つ重要な要素でございます。

 ただ、他方、子の引渡しに関しましては、強制執行が子の心身に与える負担を最小限にとどめる、こういう観点から、できる限り債務者に自発的に子の監護を解かせる間接強制の方法によることが望ましいとも考えられるわけでございます。

 このため、今回の改正案におきましては、先に直接強制の方法を選択するのは相応の必要性が認められる場合に限るべきであるというふうに考えられるわけでございます。

 そこで、この法律案では、先ほど委員の御指摘のとおり、間接強制を実施しても債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき、あるいは子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行する必要があるときのいずれかに該当するときでなければ、間接強制を経ずに直接的な強制執行の申立てをすることはできないとしたものでございます。

黒岩委員 一つ確認しますけれども、今、国内でもいいんですが、国際的な子の返還でもいいんですけれども、間接強制をかけて、結局それで返還ないしは引き渡されないで、直接強制に切りかえる、これまでの期間、この期間は時間的に大体どのくらいと捉えればいいですか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 ハーグ事案におきまして、実情といたしましては、二、三カ月程度というふうに承知しております。

黒岩委員 ハーグの場合ですと、今まで積み重なったのが、この強制執行の事案が十三でしたかね。ちょっと微妙で、多分十三かな。間接強制で返還されたのは五でしたか。それをちょっと教えください。

 直接執行に進んだのが幾つで、直接執行によって返還された子の数、それをちょっと端的に教えてください。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年四月から平成三十年の十二月末までの間に強制執行が申し立てられた件数は全十六件でございます。

 このうち、間接強制の後に、代替執行にまで至らないで帰国が実現した事案は五件でございます。

 間接強制の決定後、代替執行にまで至った件数は七件でございまして、この七件につきましては、一件は取下げ、六件は執行不能という状況でございます。

黒岩委員 要は、間接強制では返還されました、ただ、その後、代替執行、直接強制に行った場合は返還した例がない。

 これは何でですかと聞いたときに、やはり、間接強制が前置であると、それによって時間がかかると。二、三カ月というのはちょっと私がレクで聞いたときより短いような感じがするんですけれども、ただ、子供というのは、かなり多感な時期ですから、二、三カ月もその場所にいると、友人関係だとか、言語だとかいうことでなじんでしまう。国内の場合は言語はちょっとともかくとして。ですから、やはり時間がたてばたつほど、今言ったように、代替執行は、分母が少ないといっても、戻った例はゼロですから。

 それで、要は、この話、突き詰めて言えば、あくまでも、国内の子においても債務者から債権者に速やかに戻すべきだ、これは大前提ですよ。ただ、速やかに戻るんだったら、直接強制に比べれば間接強制で、執行官に踏み込まれるよりはいいでしょうと。そうなんですよ。ここまでは私も、全くもって異論はないんですね。

 ただ、問題は、この微妙な間接強制を置くことによって、ずっと民事局も主張していた、時間がたつことによる、結局は戻れなくなっちゃう、この微妙なところですよ。

 私からの意見として聞いておいてほしいんですけれども、やはり、間接強制から直接強制に二、三カ月、これを一週間でも二週間でも、とにかく間隔を狭くして、間接強制で戻るか戻らないのか。というのは、今回の国内の場合も、間接強制で見込みがありそうだから間接強制をかけるわけですよ。逆に言うと、見込みがない人に直接強制なんだから。見込みがある人だったら、実際にその見込みが当たっているかどうかを早目に、速やかに判断していただきたい。

 それと、今回の直接強制まで行ける二つの要件ですが、この要件については、運用においてはある程度柔軟に考えていただきたいんですね。子の急迫の危険を防止するため、これは具体的には何ですかと聞くと、虐待だと。確かに、命にもかかわるような虐待だということで要件をハードルを上げちゃうと、なかなか直接強制に踏み切れませんよ。命の危険までといったら、そこまで予見ができるかどうかわかりませんから。

 ただ、例えば、国内においても、じゃ、居場所をどこかに変えようかとかいった場合は、これは子の急迫の危険の防止ではないけれども、でも、そういう場合だったら間接強制では返せる見込みがないよねと、こっちの要件に絡めて、身の危険じゃなくて、この場合は、逃げようとしているぐらいなんだから間接強制では見込みがないじゃないかと、要件をこちらの方に振りかえてというような柔軟な対応をしていただいて。

 それで、今後、裁判所の方においては、間接強制した場合、かけない場合、その後の子の引渡しの率、こういったものをきっちりと統計立てしていただいて、今言った微妙な間接強制の入れ方が、何が一番まさに最適か、そういったものを我々としても検証できるようにしていただきたい。これは私の方からのお願いとさせていただきます。

 それでは、次に、暴排、暴力団の排除の方に行きますけれども、ちょっと時間がなくなってきたので、少し飛ばしていきます。

 警察の方、来ていますよね。

 暴力団であるのか否かということも、非常に暴力団排除においてこの今回のスキームでは重要ですので、まず、暴力団の構成員の定義と準構成員の定義を教えてください。

 特に、構成員も、これは構成員かどうか、さまざまな捜査段階で客観的、総合的に判断すると聞いていますよ。でも、それでは我々はイメージできないので、もうちょっと具体的に、例えば事務所の出入りだとか、事務所から報酬を得ているとか得ていないとか、もう少し客観的に、プロの捜査官の目だけでしかわからないんじゃなくて、我々が、この人は構成員だな、それまでいかないからこの人は準構成員だなと。

 というのは、今回の法律は準構成員が排除の対象になっていないので、だから、なぜ構成員までが排除の対象なんですか、準構成員はなぜ入らないんですか。これも先追いすると、法律の定義で準構成員が示されていないからという答えが返ってくるんだけれども、我々はもうちょっと、事実行為として反社会的勢力をどうやって競売から排除できるのかということを議論したいので、繰り返しになりますが、構成員の定義、準構成員の定義、準構成員かどうかのメルクマール、これをわかりやすく教えてください。

藤村政府参考人 お答えいたします。

 まず、暴力団員の定義でありますけれども、改正案中の暴力団員とは、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員でありまして、同号では暴力団の構成員とされております。この暴力団は、同法第二条第二号で、その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれのある団体とされております。

 次に、準構成員の定義でございますが、警察では、暴力団又は暴力団員の一定の統制のもとにあって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為等を行うおそれがある者又は暴力団若しくは暴力団員に対し資金、武器等の供給を行うなど暴力団の維持若しくは運営に協力する者のうち暴力団員以外のものを準構成員として捉えているところであります。

 それから、暴力団員の認定の基準についてお尋ねがございましたけれども、警察においては、暴力団の構成員であるか否かについて、犯罪捜査その他の活動を通じて得た客観的な事実を総合的に勘案して判断しているところであります。

 その具体的なもの、なかなか、捜査上の手のうち的なものもございまして、詳しく申し上げることはできませんけれども、例えば、その者が暴力団の地位やその団体名を記載した名刺を使用しているとか、あるいはそういったことを認めるような書状が発出されておる、あるいは取調べ等においてその者が暴力団員であることを自認している、例えばそういったものに基づいて認定をしているところでございます。

黒岩委員 手のうちまでは、国会の場ですから、踏み込まないことにしますよ。ただ、名刺ぐらいだったら簡単に刷れちゃうから、これは決定的なのかどうかというのはなかなかわかりづらいと思います。やはり報酬とかそんなところが絡むんじゃないかと思うんですが。

 というのは、準構成員の定義で、今おっしゃった、暴力団又は暴力団員の統制下にあって、暴力団の威力を背景に暴力的不法行為を行うおそれ。これは、僕らのイメージする暴力団の威力というのは、まず、組の威力、組を背景に暴力的不法行為を行うって、これはまさに我々からいうと組員そのものなんですよね。俺は何々組の何々だ、何々組の舎弟だと。でも、これだけ見ると、これだと準構成員になる。そんな人が、今回、競売では堂々と参加できちゃうわけですよ、排除されていない。僕は、やはりせっかく排除するなら漏れなく排除してほしい。

 部長にお聞きしますけれども、暴力団員は全て、各都道府県警、もっと言えば警察庁に名簿がファイルされている。準構成員はファイルされていますか。

藤村政府参考人 お答えいたします。

 そのような名簿はございません。

黒岩委員 事前の説明だと、準構成員の数も全国で四千二百人で、それで、今回、暴力団員が、構成員が競売に関与した場合は、各都道府県警に照会をするとそれが暴力団の構成員かどうかわかるということも聞きましたし、準構成員が競売に関与したかどうか、これも照会するとわかるという説明を聞いているんですけれども、名簿とかファイルがなくても照会してわかるんですか。

藤村政府参考人 お答えいたします。

 準構成員については情報を有しておりますけれども、名簿のようなものは有していないということでございます。

黒岩委員 ちょっと待って、いい。

 今まで、暴力団の組事務所、約二百件が競売の履歴があったんですよ。そのうち、暴力団員が直接関与したものが三六%で、準構成員は一%だって警察から説明を受けているんですよ。この一%ってどうやって出したんですか。

藤村政府参考人 警察では、犯罪捜査その他の活動を通じて得られた準構成員に係る情報も保有しているところでありますが、具体的にどのような情報を保有しているかについては、今後の組織犯罪対策上支障を来すおそれがあるので、答弁を差し控えさせていただきます。

黒岩委員 だって、準構成員の警察の定義があって、人数も把握していて、今回の競売物件の二百のうち一%なんて数字まで出して、名簿があるもないも、それを答えることによって今後の捜査に支障なんて来すわけないじゃないですか。

 もう、そんなことをやっているから。もう時間がないから先に進むんだけれども、それで、暴力団でない人間が競売で買い受けて、その後転売、転売はあらかじめの転売はアウトなんだけれども、譲渡はオーケーなんですか。譲渡はオーケー。

 準構成員の定義で、さっき言った、組の威力をかりて不法行為、暴力を行う者の次に、暴力団に対して資金や武器などを供給する者とあるんですよ、準構成員って。まさに暴力団に資金や武器等の、暴力団の組運営を維持するための資金を供給する者とあるんですよ。

 そうなると、今回、準構成員が全部、準構成員は省かれていませんから、ともすると、準構成員が競落してそれを譲渡した場合は、全くもって、このスキームでは排除されないんですね。しかも、今言ったように、準構成員の定義のうち、二つのうち一つはまさに資金提供なんですよ。

 だったら、ここを使うようになっちゃう、こういう抜け道があるからそこにピンどめをしておいてください、そのために準構成員の名簿があるかというのを事前確認したら、あると言うから、ピンどめのしようもあるんですねと建設的な議論をしようと思ったのに、部長、こっちを見てくださいよ、目をそらさずに。

 今提案しておきましたから、だから、今後、やはり準構成員についてもしっかりと、今言ったように、この法では、参加して、なおかつ、結局組に提供できちゃうから、そういったものを防ぐような法改正もしていきたいと思いますし、それを見据えた実務の運用についても、どんなケースがこの後出てくるのか、そういったことも綿密にお聞かせいただきたいと思います。

 それでは、私の質問を……

葉梨委員長 最後に答えさせていいですよ。

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

葉梨委員長 速記を起こしてください。

 ちゃんと、しっかり答弁して。藤村部長。

藤村政府参考人 失礼します。お答えします。

 警察においては、暴力団準構成員についての情報も保有しております。ある者について準構成員かどうかということを尋ねられれば、それについては判明するような情報は保有しております。

黒岩委員 だから、情報を有しているということは名簿があるということですから、ありがとうございます。

 心強く思いましたので、これで終わらせていただきます。

葉梨委員長 以上で黒岩宇洋君の質疑は終了いたしました。

 次に、松平浩一君。

松平委員 立憲民主党、松平浩一です。どうぞよろしくお願いします。

 きょうは、財産開示手続についてお伺いしたいと思います。

 前回、前々回かな、政府参考人からの御回答で、財産開示の申立て数として、平成二十九年の数字で六百八十六件という数字が挙がりました。

 ドイツとか韓国の数字を見ると、同様の制度があるんですけれども、それぞれ年間どのくらい利用実績があるのかというと、ドイツでは年間百万件、それから韓国では年間十二万件以上ある。日本が六百八十六件という、もちろんさまざま制度面が異なることもあるとは思うんですけれども、かなりの差があるなというふうに思ったんですが、この差というところについてどういうふうにお考えか、お聞かせ願えますでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 なかなか、その差につきまして正確な原因分析というのは難しいところがございますが、我が国の財産開示手続の利用が低調である原因の一つとしては、やはり、この手続に対して、債務者の不出頭に対する制裁が弱いということが一つ挙げられるのではないかと思います。

 例えば、今御指摘ありましたドイツの財産開示手続では、開示義務者であります債務者の不出頭や陳述拒絶の場面におきまして、裁判所が債権者の申立てにより債務者の拘禁命令を発令することができることとされておりますし、また、債務者が故意に虚偽の陳述をした場合には三年以下の自由刑又は罰金が科されることとされております。

 また、韓国におきましても、債務者の不出頭に対して身体拘束の制裁が科されることとされておりますし、虚偽陳述に対して懲役刑や罰金刑が科されることとされております。

松平委員 なるほど、制裁が弱いというところで差があると。ですので、今回、制裁の部分、懲役を科すですとか罰金を五十万円に引き上げるですとか、そういった改正をなされたんだと思います。その意味でいうと、今後、利用もふえるかもしれない。

 ただ、私としては、もうちょっとほかにも障害となっている要件というのがあるのかなというふうに思っています。一つが、先に実施した強制執行の不奏功の要件、そういった要件であるのかなというふうに思っています。

 民事執行法の百九十七条一項一号なんですけれども、「申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。」という要件がございます。あと二号でも、「強制執行を実施しても、申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があつたとき。」、こういう要件がありまして、これは不奏功の要件というふうに俗に呼ばれているんですけれども、今回の法改正はこの要件はそのままになっていますということで、私、この要件が結構、債権者の負担になっているのかなというふうに思えるんです。それで、負担になっているので、この財産開示手続というものが、利用が妨げられているんじゃないかなというふうにも思うんです。

 この点、中間試案に寄せられた意見をちょっと見てみました。意見として、ちょっと紹介させていただきます。

 まず、日弁連であるとか東弁の意見として、財産開示要件ですね、財産開示手続が金銭債権の強制執行を奏功させるための準備手続であるという性格に合致しないので、債権者に極めて大きな負担を課すものであるというふうにもコメントがありました。

 それから、大阪の弁護士会、財産開示手続は強制執行の準備として行われるものであるので、強制執行をするための一般的な要件が備わっていれば足りるはずであるというコメントもあります。つまり、要らないんじゃないかということですね、不奏功の要件は。

 それから、東京第一弁護士会ですけれども、国は、自力救済を禁止し、債務名義の執行力を担保するインフラとして財産開示制度を置いているのですから、債務名義が成立した以上、財産開示手続を実施するための追加的な要件を課すことは合理的でないと。追加的な要件というのは、この不奏功の要件ということだと思うんです。

 という、さまざまな、さまざまというか、要らないんじゃないかという意見がパブコメに寄せられています。私も、この強制執行の不奏功の要件というのは、理論上も別に要らないんじゃないかなとも思いますし、これがなければ、やはり利用数がもっともっとふえておかしくなかったんじゃないかなというふうにも思います。

 そういう意味でいうと、この点について、四月二日の質疑で小野瀬政府参考人から、債務者のプライバシーあるいは営業秘密を保護するために必要でありますと、この要件についてですね。また、現在の裁判実務において、その要件の審査に関して特段の問題は生じていないと考えられたことから、そのまま維持しているのでございますという御答弁がありました。

 ここで、債務者のプライバシーあるいは営業秘密を保護という観点で述べられましたけれども、そもそもこの情報開示手続は、裁判に負けました、じゃ、強制執行しますという、そのために、強制執行ができるようにするための準備の手続なので、プライバシーがあるからといって情報を隠して強制執行の実効性がなくなるんだったら、裁判の意味がなくなるわけで、余りプライバシーとか営業秘密への配慮というのは強調すべきではないんじゃないかなというふうに思っています。(発言する者あり)はい。

 そういう意味でいうと、ごめんなさい、今反応しちゃいました、この強制執行不奏功の要件について、いかがお考えでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 現行法のもとで御指摘の不奏功等の要件が必要とされておりますのは、先ほど御紹介もありましたけれども、債務者のプライバシーや営業秘密に属する事項の開示をこの財産開示手続といいますものは強制するものでありますために、この手続を行う必要性が高い場合に限って手続を実施するのが相当であるというふうに考えられることでございます。

 ただ、法制審議会における議論におきましては、この不奏功等の要件の疎明が必ずしも容易ではないというようなことを前提として、その緩和を求める意見もあったのは事実でございます。

 しかしながら、現在の裁判実務におきましては、債務者の住居所在地の不動産登記事項証明書の提出等によりまして債務者名義の不動産が見つからないことなどが確認できますればそれで足りるとされている例が多いとされるなど、この要件の疎明が容易ではないという評価は必ずしも現在の裁判実務の状況を正確に反映したものではないということが明らかになったということがございます。

 そのため、この不奏功等の要件につきましては、今回のこの改正案では見直しをしないこととしたものでございます。

松平委員 なるほど。つまり、疎明が容易ではないことはないということは、疎明が容易であるので、審査として緩い、緩いという言い方をしていいのかどうかわからないんですけれども、余りこの要件は厳格ではないので大丈夫だというような意味なのかなというふうに理解しました。

 実態として問題がないのであれば支障がないのかなとも思ったりもするんですが、それならばやはり改正すべきが筋なのかなというふうにも思います。ちょっと一言、意見させていただきました。

 あともう一つの、私が要件としてやはりなくしてもいいんじゃないかなと思っているものが、民事執行法の百九十七条三項のいわゆる再実施制限と呼ばれる要件でして、これは、前の財産開示期日から三年以内は利用できないことというふうになっている要件です。

 これについて、先日の本委員会で合間参考人も、三年間の間に勤務先をかえないかと言われると、そんなことはないと思うんですね、今の社会で、では、ずっとそこの同じ場所に勤め続けるかというと、そういうことの方が少なくなっている時代ですので、やはり少しずつ転職をしていくということもあるので、できるだけ使いやすい形にしていってほしいというのは私の考えでもありますとおっしゃられております。

 この三年という期間、合間参考人も反対というような意見ですし、中間試案も、パブコメを見ましたけれども、日弁連は一年とすべきと期間短縮を述べられていますし、あと、札幌弁護士会も廃止すべきという意見も寄せられています。

 今回、やはりこの要件も残されたということですけれども、それについて詳しく教えていただければと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 まず、現行法におきます財産開示制度でございますけれども、御指摘のとおり、過去三年以内に財産開示期日においてその財産について陳述した債務者については、原則として、財産開示手続を実施することができないこととしております。

 これは、財産開示手続の実施に伴う債務者の負担をできる限り少なくする、こういう観点から設けられている規律でございます。

 ただ、この点につきましても例外はございまして、債務者が財産開示期日において一部の財産を開示しなかったときのほか、債務者が財産開示期日の後に新たに財産を取得したとき、あるいは、財産開示期日の後に債務者と使用者との雇用関係が終了したときは、当該期日から三年を経過する前であっても、再度の財産開示手続を実施することができるとされております。

 その上で、今回の改正に当たっての議論の中で、この財産開示手続の再実施が制限される期間の見直しの点につきまして、近年では資産状況の変動の頻度が高まっている、こういうことから、その期間の見直しを求める意見もございました。

 しかしながら、財産開示手続の再実施が必要とされる場面は、先行する財産開示手続において判明した財産に対する強制執行をしても債権者の債権が満足されなかった場面でございまして、主として債務者が十分な資産を有していない事案が該当すると考えられますけれども、そういった十分な資産を有していない債務者が頻繁に新たな財産を取得するということは考えがたいのではないかということも議論されました。

 また、先ほど申し上げましたとおり、現行の規律におきましても、新たな財産を取得した場面では例外的に手続の再実施をすることができるものとしております。

 こういったことから、この法律案では、財産開示手続の再実施の制限に関する規律については、見直しの対象としなかったものでございます。

松平委員 なるほど。債務者の負担も考えてということですし、それはそれで、そのとおりだと思うんです。

 ただ、御意見でも、今おっしゃられたように、審議会の意見があったということをおっしゃられたように、現在では財産変動の頻度が高まっているという話もありましたように、この立法ができたのは平成十五年ということで、結構前なんですよね。そういう意味でいうと、私も、資産変動の頻度が高まっているという意見には、もっともかなと。

 平成十五年から結構時代がたっているので、この現代社会においてはやはり時代の変化というのはますます激しくなっていると思うんです。なので、平成十五年当時と前提が違ってきている。立法時と前提が違ってきている。投資信託など金融商品もふえていますし、暗号通貨も当然出てきていますし、多重債務者だった人が、暗号通貨が出てきて、急に億り人になったりとか、そういうことも考えられるわけですので、期間短縮というのは、私も、短くした方がいいのかなというふうに、こちらも、私、意見させていただきたいと思います。

 それから次、罰則の強化というところですね。こちらについて質問したいと思うんです。

 これは、ちょっと詳しく言うと、財産開示期日に出頭しなかった場合ですとか、あと、宣誓を拒んだ場合、正当な理由なく陳述しなかった場合とか、こういったときに、三十万円の過料というものを変更して、六カ月以下の懲役又は五十万円以下の罰金と、重くしたという内容だと思うんです。

 これは、冒頭でも申し上げたように、これをすることによって利用の実効性を上げるという意味で、利用頻度を上げるということにつながるのかなとも思うんですけれども、五十万円以下の罰金というところなんですね、ちょっと心配もありまして。

 それはなぜかというと、罰金というのは、債務者からお金を取ることになるんですね。つまり、債務者の責任財産を減少させてしまう。だから、こういう罰金を取っちゃうと、より返済しにくくなっちゃって、債権者が害されちゃうんじゃないかなというふうにも思ったりもするんです。

 だから、自分たちが裁判でお金を返してもらいたいというときに、債務者がここで罰金を科されちゃって、五十万円、本来返してもらえるはずだったお金を国の方に取られちゃったみたいな事態になっちゃうと大変なのかなと思って。

 その観点からいうと、今も三十万円の過料は科されていると思うんですけれども、それについて、現状、三十万円の過料というのが債権者を害する運用とかになっていないかどうかというところを確認したいと思うんですけれども、その辺、どうでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、過料の制裁によって債務者の一般財産を減少させる可能性がございまして、過料の制裁を科すことがかえって債権者の利益を損なう結果になる場合もあり得るところでございます。

 そうしたことから、現行法下の運用では、債権者からの上申により、制裁を求める債権者の意思が明確な場合に立件することとしているものと承知しております。

松平委員 なるほど。そういった確認をされているということですね。了解しました。

 同じことはやはり起訴するときにも言えると思いますので、起訴するときも、債権者の意向というものをなるべく害さないような形でお願いできればなと思っています。

 ちょっと、質疑時間が短くなってきましたので、飛ばさせていただきます。

 もう一つのトピックとして、第三者の情報提供義務についてお聞きしたいと思います。

 情報提供義務、こちらが課せられる第三者、例えば銀行ですね。情報提供するという事務的な負担だけじゃなくて、顧客に対する守秘義務に反するような行為というふうにも見られてしまうおそれもあるわけで、そこで、この第三者が情報提供しなければならないという根拠について整理して明らかにしておくことが、やはり銀行さん、情報提供する銀行さんにとっても有意なことだと思うんです。

 したがって、ちょっと明らかにさせていただきたいんですが、銀行に対して、この第三者提供義務の根拠は何なのか、義務を課すことはなぜ実質的に正当化されるのかといったところを整理してお聞きしたいと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 情報提供を命じられます金融機関等の第三者は、債権者と債務者との間の紛争の直接の当事者ではございませんで、当然には債権者の権利実現に協力する義務を負うわけではないと考えられます。

 しかしながら、現行の民事訴訟法におきましては、裁判官の判断に必要な事実を明らかにするため、証人として証言する義務というものがございます。また、そういう点からしますと、この第三者からの情報取得手続も、債権の差押えをするのに必要な事実を明らかにする手続である。

 こういうことに照らしますと、民事訴訟手続における証人の証言義務と同様に、債務者の財産に関する情報を知っている第三者に対して、その情報を陳述させる義務を負わせることも許されるというふうに考えられます。

 そしてまた、金融機関について申しますと、現行の民事執行法におきましては、債権が差し押さえられた場合には、その債権の存否等について、第三債務者に陳述義務が課せられております。金融機関からの情報取得手続は、いわばこの義務を時間的に前倒しするものと理解することも可能でございます。

 さらに、現在では、金融機関の情報管理体制の整備が進んでおりまして、本店に対して債務者の預貯金に関する照会をしますれば、その金融機関の全ての支店で取り扱われている情報を包括的に検索することができるようになっていることから、金融機関に対して預貯金債権の情報提供義務を課したとしても、過度な負担を課すことにはならないものと考えられます。

 以上の点を考慮して、この法律案では、金融機関に対して情報提供義務を課すこととしたものでございます。

松平委員 次の質問に行かせていただきます。

 今回、この第三者による情報提供なんですけれども、情報提供者というのは、銀行等というような形で限定されています。

 それで、先日の階議員、源馬議員の質疑にもありましたけれども、暗号資産についてはどうなのかという御質問がありまして、政府参考人からは、暗号資産の交換業者が対象となっていないのは、この制度を利用して情報取得するまでもなく、探索的な形で強制執行の申立てをすることが考えられるため、情報取得手続を設けたとしても大きなメリットはないという御回答なので、つまり、情報取得手続を設ける必要がないということだったんですね。

 そういう意味でいうと、もう一つちょっとお聞きしたかったのは、電子マネーについてはどうなのか。

 金融庁の資料では、前払い式支払い手段、未使用残高というのが、平成二十九年で二千五百六十五億円ある。もう本当に相当な金額なんですね。しかも、電子マネーは円建てが多いので、もう現預金と同等の資産になっているんですね。

 そこで、ちょっと電子マネーについてもお聞きしたかったんですが、事前にお聞きした限り、やはり現時点では暗号資産と同じ扱いをするという御回答をいただいていますので、ちょっとそこは飛ばさせていただいて。

 ただ、ちょっと私が言いたいのは、暗号資産交換業者は今、日本で十九業者でして、それでももう結構多いと思うんです。探索的にやろうとすれば、できなくはない。ただ、電子マネーについては、資金移動業者か前払い式支払い手段の発行業者になるので、これは二千者ぐらいあるんです。だから、これは結構大変なんです、探索的にやろうとしたら。空振りする可能性は結構高くて、そうなると時間も手間もお金も弁護士報酬もかかってくるので、ちょっとその辺は、何かいい方法がないかなと考えることはやはり重要なのかなと。

 そういう意味では、今、ファイナンスの分野というのはどんどんどんどん進展して、フィンテック等もあって、多くの財産的価値が生まれていて、その管理の仕方も、ウオレットサービスとかカストディーサービスとかいっぱい出てきて、どんどん進化している。

 そういうことでいうと、もちろん金融庁との調整も必要となってくると思うんですけれども、大臣がぜひリーダーシップをとって、時代に即した差押えであるとか情報収集のあり方というのを検討すべきなのかなと思っています。

 その辺、最後に所感をお願いいたします。

山下国務大臣 本法律案は、民事執行法制をめぐる最近の情勢に鑑みて、今日の重要な課題にも対応するために整備させていただいた改正案と考えております。

 ただ、委員御指摘のとおり、技術の進歩には目覚ましいものがあって、民事執行法制を時代に即応したものにするためには、これらの社会情勢の変化や民事執行手続をめぐる裁判手続の運用状況を踏まえた上で、関係機関等の協力を得ながら、引き続き、必要な見直しについては検討していく必要があると考えております。

松平委員 済みません、どうもありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 これにて私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

葉梨委員長 以上で松平浩一君の質疑は終了いたしました。

 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 おはようございます。国民民主党の源馬謙太郎でございます。きょうもよろしくお願いします。

 政策的なことをお伺いしたくて、副大臣と政務官に主にお伺いしたいと思っていたんですが、いらっしゃらないということで、大臣中心になりまして、済みません、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、子の引渡しの強制執行について伺っていきたいと思います。

 これまでもいろいろとこの委員会で議論をされておりますが、今回、間接執行の前置が不要となったということでありまして、これにはいろいろと議論があったと思います。例えば、間接強制がなくなることによって実効性を高めていくということもある一方で、いろいろな議論の中では、間接強制だからうまくいったという例もあったということが紹介をされております。一方で、子供の福祉の観点から考えても、やはり間接強制というステップがあった方がいいのではないか、こういう議論もあったかと思います。

 一方、子の引渡しの強制執行について、子供の心身に与える影響を最小限にとどめながら、可能な限り債務者がみずから進んで子供を引き渡すことが望ましい、こういう意見もありました。

 つまり、間接強制というのがやはりあった方がいいのではないかという意見もありましたが、これは重ね重ねになりますけれども、今回、間接強制の前置を不要とした理由を改めてお伺いをしたいと思います。

山下国務大臣 子の引渡しに関しては、委員御指摘のとおり、基本的には間接強制によることが望ましいと考えております。強制執行が子の心身に与える負担を最小限にとどめる必要もありというところでございます。

 もっとも、間接強制を実施しても債務者が子を返還する見込みがあるとは認められない場合や、あるいは、子の急迫の危険を防止するため直ちに強制執行する必要がある場合にまで一律に間接強制の前置を要求すると、運用が硬直的になると考えられるため、本法案においては、このような場合については間接強制の前置を不要とするということにしたわけでございます。

源馬委員 つまり、間接強制を置かないことによって、引渡しに応じないようなケースなんかに対応するためにも、そういったケースに限って不要とするということだというふうに、今、御答弁ありましたけれども、例えばそういったケースで、これまでの議論を見ていると、間接強制を不要にするといったケースであっても、裁判所が債務者を呼んで、そこで、本当にこの間接強制が意味をなさないかということを確認してから判断して、それで強制執行するというような手順があるというような議論を聞いております。

 そうすると、結局、債務者をそこに呼んで話を聞く、そうすると、その間に、例えば子供の居場所を動かしてしまうとか、あるいは祖父母の家に預けてしまうといったようなことも出てくるのではないかと思いますが、間接強制は要らないといいながら、債務者を呼ぶという一つの手続を踏むことによって、実効性が本当に上がるのかどうか、少し疑問に思うところがあるんですが、このあたりについて、いかがでしょうか。

山下国務大臣 お答えいたします。

 今お話がありましたのは、債務者に対する審尋、これを原則として求めるというところでございますけれども、この審尋につきましても、子供に急迫した危険があるときその他、審尋をすることにより強制執行の目的を達することができない事情があるときには行わなくてよいということになっております。

 そうしたことを総合考慮した上で、執行裁判所の判断がなされるのであろうと考えております。

源馬委員 もちろん、子供の身に危険が迫っているようなときというのはこの審尋がなくてもというのはそのとおりだと思うんですが、そうでない場合、例えば間接強制に応じないという、そういったケースの場合は、審尋をしても、結局、それによって実効性が高まったり執行までの期間が短くなるようなことは想定しにくいのではないかと思いますので、このあたりも、実効性を高めるためにこの間接強制の前置を不要としたというふうに思いますので、そこは、子供の心身、福祉へのバランスもとりながら、実効性を高められるようにしていただきたいなというふうに思います。

 続いて、債権者の不在の場合について伺います。

 債務者の同時存在が不要になって、これでより強制性を高めていると思いますが、一方で、債権者の同時存在が必要とされることになった。これは子供への配慮だというふうに思います。

 ただ、債権者が必ず立ち会うことができるかといえば、そうではないということで、代理人も認められるということになっていると思うんですけれども、この債権者の代理人が、これまでの答弁をちょっと拝見していると、参考人からの答弁もありました、一定の精神的なつながりがある者というような、そうなるであろうというような答弁がありましたが、それは、例えば養育を一緒にしてきた親族であったりとか、そういった子供と一定の精神的なつながりがある者であるのが一般的だろうというような答弁がありましたけれども、それを超えることはないんでしょうか。

 子供への心身の負担を考えて、子供と例えば面識があったり親しい者に限られるのか、それともそうではないのか、伺いたいと思います。

山下国務大臣 まず、本法律案において、債権者本人の出頭を原則とした理由につきましては、子が債務者とともにいるということの要件を不要とすることとした一方で、債務者もいない、そして債権者もいないということになると、執行の現場で不安を覚えてしまうということで、債権者本人の出頭を要件とすることとしております。

 他方で、債権者が病気や事故に伴う入院等のやむを得ない事情により執行の現場に出頭することができなくなった場合に、一切、強制執行することができないこととすると、かえって子の利益に反する場合もあり得るということで、これを認めるものでございます。

 したがって、代理についても基本的に子の利益ということを最優先で考えていただいて、子と同居していた債権者の親族のように、子との間に一定の精神的なつながりがある者、例えば同居していたおじいちゃん、おばあちゃんとか、そういった者が想定されているということです。

 実際、最終的には裁判所の判断に委ねられるというふうに考えておりますが、養育実績のある親族、おじいちゃん、おばあちゃん、あるいはおじさん、おばさん、そういった者が選ばれることが多くなるのではないかと考えております。

源馬委員 最終的には裁判所の判断という御答弁でしたけれども、例えば、身内がいなかったり、同居していたおじいちゃん、おばあちゃんというのがいなかった債権者のケースもあると思うんですが、そういった場合、どうなるのか。

 また、この代理人を認められる要件の中で、当該代理人の知識及び経験その他の事情を加味して認められるというふうになっていると思いますが、具体的にどのようなことを指しているのか、改めて伺いたいと思います。

山下国務大臣 本法律案においては、子供が執行の場面で不安を覚えることがないように、代理人の適格性について、当該代理人と子の関係、当該代理人の知識及び経験その他の事情に照らして子の利益の保護のために相当と認めるときという要件を設けているところでございます。

 この代理人の知識及び経験についても、執行の現場において子を安心させるために必要な知識及び経験、例えば、子供の好きなものについての知識や、これまでに子供と接触してきた経験などを有しているかどうかを考慮するということが想定されております。

 また、その他の事情については、これはまさに個別の事案における個々具体的な事情によりさまざまなものが考えられますが、例えば強制執行の対象となっている子の年齢や理解能力といった事情を考慮することが考えられます。

源馬委員 ありがとうございます。

 やはり最終的には個々の判断になると思うんですけれども、いろいろなケースがあって、子供もいろいろですし、債権者の事情もいろいろあると思うので、どちらにも配慮するというのは非常に難しいと思うんですけれども、子供の精神的なダメージが余り出ないように、しかも実効性が高められるような、そういう運用の仕方をぜひしていただきたいなというふうに思います。

 重ねてになりますけれども、政策の中身の細かい話まで大臣に伺って申しわけないですけれども、よろしくお願いします。

 それから、実効性を高めていくための法改正であって、一方で、子供の心身の健康、これも大事にしていかなくてはいけないということでございまして、子の引渡しに際して、子供の年齢や発達の程度、それからその他の事情を踏まえて、児童心理の専門家などによる専門的知見や協力も得ながら、当該強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないようにというようにありまして、子の福祉に最大限配慮すると明記をしていただいているわけでございます。

 子供はやはり、これもさんざん議論が出てきましたけれども、親の所有物でもなく、一人の人間として人格や人権を持った主体であるということを鑑みると、やはり、執行の実効性だけに重きが置かれるということは問題であるなというふうに思います。

 例えば、引き渡しされる子供も、ゼロ歳児のケースもあれば、五歳児のケースもあれば、十歳、いろいろなケースがあると思います。それぞれによって、子供がそのことによって受ける心の傷とか感情、こういったことも変わってくるというふうに思います。

 年齢が、例えばゼロ歳児だったら、何も、引渡しをされているかどうかというのはわからないから、余り子供の心理にそんなに配慮しなくてもいいのではないかというような意見も私は聞いたことがあるんですけれども、年齢が小さいからといって、何もわからないからいいんだということではなくて、その年齢に応じて、またその子供の状況に応じて、その子供の気持ちや考え方に配慮する必要があると思うんですけれども、これは児童心理の専門家で本当に担保できるのか。やはり子供はそれぞれでありまして、児童心理一般の知識と、やはりそれぞれの年代もあり、家庭環境もあり、そういった中で子供が受ける気持ち、これは十分担保できるのかどうか、見解を伺いたいと思います。

山下国務大臣 子供が小さいとしても、年齢に応じて、引き渡される子供の気持ちや考えに配慮する必要があるというのは御指摘のとおりでございます。

 御質問について、児童の心理の専門家だけで足りるのかという御指摘でございますが、本法案におきましては、だからこそ、親であると思われる債権者の存在というのを原則的にしているというところで、その債権者、親たる債権者によってしっかりと心理状態を見てもらうというところでございます。

 そして、さらに、本法案では、委員御指摘のような視点も踏まえまして、執行裁判所及び執行官の責務として、子の引渡しを実現するに当たっては、子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、できる限り、当該強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないよう配慮しなければならないというふうに新設して規定しているところでございますので、この規定の趣旨を踏まえて、どういった人間が立ち会うのが必要なのかといったことも、執行裁判所あるいは執行官にしっかりと検討していただくということが期待されます。

源馬委員 その趣旨は本当にそのとおりだと思いますし、ぜひ運用でそうしていただきたいと思うんです。

 藤野委員からの質問の御答弁の中で、たしか執行官の研修も受けるというのがありましたけれども、それが非常に短い、本当に、九十分と、何でしたっけ、細かくちょっと忘れちゃいましたが……(発言する者あり)そうですね。

 非常に限られた研修を受けているということでしたので、やはり今の趣旨に照らすと、例えば、執行官、もっと研修をふやすとか、それから、専門家の協力を得ているケースも、現状、半分のケースしか得られていないというような委員会でのやりとりもありましたので、もっと積極的に関与してもらえるように、趣旨ではそうなっていると思いますが、運用面できちんと見直していっていただきたいなというふうに思います。

 これもたびたび議論が出ておりますが、ハーグ条約について、米国から条約不履行国というような分類をされたということがたびたび指摘をされております。

 今回の法改正が、そのまま、ハーグ条約の不履行国であるというふうに言われたことへの対策ではないと思いますけれども、今回の法改正によって、どの程度それが改善をされて、また、条約不履行国とされた原因をクリアすることになるのか。あるいは、これからも何らかの方策、改正を重ねていって、こうした不名誉な分類から脱却できるのかどうか。

 今後の対策と、これで十分だとお考えなのか、あるいは、もっと更に必要な改善があるのかどうか、大臣の御認識を伺いたいと思います。

山下国務大臣 まず、この報告書について申し上げますと、これは、アメリカの国務省が、アメリカの国内法の定めに基づいて一方的に作成する年次報告書でございまして、その中において、御指摘のとおり、我が国がハーグ条約について不履行のパターンを示す国ということに、ことし初めてなりました。

 他方で、ハーグ条約実施法が施行された平成二十六年四月から本年三月末までの五年間の間に、既に、我が国から外国への子の返還が実現した事案が三十四件あるものと承知しておりまして、御指摘の報告書においても、我が国の取組について、米国から我が国への子の連れ去りの件数が減少したなどの改善があったという評価がされており、例えば、重要な前進があったというふうな記載もあるわけでございます。にもかかわらず、こうした評価がことし初めてなされたということについて、その具体的な理由は明らかではないというところでございます。

 そうしたステータスであることを前提にお答えすると、報告書においては、我が国における子の返還の強制執行について、効果的な手段がないとの指摘がなされております。他方で、本法律案は、代替執行をするための要件として、間接強制の前置について一定程度緩和したり、あるいは、執行の現場に子が債務者とともにいること、いわゆる同時存在を不要とするなどの見直しを行うものであるということでございます。そうすれば、個別の事案に応じて、債務者の抵抗や妨害等を受けることなく、より迅速に代替執行を実施することも結果として可能となるであろうと考えております。

 そうしたことから、結果として、このアメリカの国務省による指摘にも応えられるのではないかと考えております。

    〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕

源馬委員 私も、必ずしも、他国の報告書に書かれたから、それによって何かしなくてはいけないということはないと思います。やはり我が国独自で、我が国のやり方でやればいいんだと思いますが、事子供と親の関係については、やはりちょっと他国の現状とずれているところが確かにあるのではないかなと思います。この子の引渡しもそうですが、児童の権利条約なんかでも、うたわれていることと、やはり少し、我が国の状況というのはおくれをとっているところもあるのではないかなというふうに思います。

 例えば、共同親権についても、串田委員も予算委員会で取り上げられていらっしゃいましたけれども、やはりほとんどの、今、OECDの加盟国であるとか、それから中国や韓国なんかでも共同親権が認められているというような状況の中で、安倍総理からも、子供としては、やはりお父さんにも会いたいしお母さんにも会いたい、そういう気持ちということは理解しているという御答弁もありました。

 今回の法案によって、両親が離婚した子供をどうするかという視点はもちろん入っているんですが、更に踏み込んで、この共同親権のあり方について、改めて法務大臣の御認識を伺いたいと思います。

山下国務大臣 まず、委員御指摘のとおり、離婚後も父母の双方が子の監護、教育の責任を負うべきであるということで、離婚後も父母がともに親権者となることができる制度を導入すべきであるとの意見があることは承知しております。

 他方で、離婚後の共同親権制度を導入すると、親権というのは、要するに、親が子供のために何かを決める、決定するという権利でございますが、これについて、父母の関係が良好でない場合に、その親権の行使について、父母の間で適時に適切な合意を形成することができないということで、子の利益を害するおそれがあるとの指摘もなされているところでございます。

 また、離婚後の共同親権の導入に際しては、例えば、DV被害の拡大を懸念する意見もございます。

 そうした中で、国民の間にもさまざまな意見があるものと認識しております。

 そうしたことから、離婚後の共同親権制度は、慎重にその採否を検討すべき課題と認識しておりまして、法務省においては、これまで外国法の調査等も行ってきたところであり、さらなる調査についても検討しているところでございます。

 この問題については、国会を始め、超党派の議員連盟など、さまざまなところで検討がなされているものと承知しておりまして、それらの議論の状況等を踏まえながら検討を進めてまいりたいと考えております。

源馬委員 親権のうちの監護権については、どこの国でも同じだと思うんですよね。やはり、別居した夫婦であればどちらか一方しか監護できないので、それはどこの国でも同じで、今御答弁ありましたとおり、重要な事項を決めるときにどうするかという意味での親権についての議論だと思いますが、今大臣御答弁いただいたことというのは、やはりどこの国でも同じだと思います。

 共同親権を認めているどこの国でも、やはり、一度は破綻をして離婚をした夫婦ですから、関係がよくなければ重要事項を決定するのは難しいというのはどこの国のケースでも同じであって、そういった場合、難しかった場合は、じゃ、裁判所が介入して、どういうふうに解決していくかというような決め方をされているというふうに思いますので、そういう難しいケースがあるから共同親権にはすぐには行けないというのは、少し議論の方向が違うのではないかなと思います。

 やはり、子供にとって、会いたいというのは面会交流なんかがあってかなえられると思うんですけれども、子供にとって、親権、重要事項決定権ということはわからないにしても、自分にはお父さんとお母さんがいたんだけれども、今、親権がお母さんになったということは、何かお父さんを失ったような感情にもなると思うので、それが共同親権、お父さん、お母さんは別れたけれども、僕にはまだお父さんもお母さんもちゃんといるんだということがやはり子の福祉にはかなうのではないかなというふうに思いますので、ぜひ前向きな議論を進めていって検討していただきたいなというふうに改めて思います。

 それから、不動産競売についてお伺いをしていきたいと思います。

 これは、警察庁から参考人に来ていただきまして、伺いたいと思います。

 二〇一八年末の時点で、全国の暴力団勢力というのは前年比で四千人減った、三万五千人になって、過去最少になったというふうに伺っております。先ほど議論も出ました構成員や準構成員も少なくなっているということでございます。

 これは、暴力団の最盛期であった一九六三年から比べると六分の一程度になったということですが、この一方で、新たな勢力が出てきているという指摘もあります。

 いわゆる半グレという人数が増加、暴力団の構成員や準構成員の人数が減っている裏で、半グレの人数がふえているのではないかという指摘もありますけれども、この半グレに流れているような可能性というのをどう警察庁は捉えているのか、御見解を伺いたいと思います。

藤村政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のいわゆる半グレについては、警察においては、暴力団に準ずる準暴力団対策の一環として、実態解明や違法行為の取締りを行っているところであります。

 準暴力団の中には、暴力団等の犯罪組織とのかかわりを有するものもあり、委員御指摘のような可能性も含め、暴力団や準暴力団等の犯罪組織の実態について解明に努めているところであります。

源馬委員 済みません、時間が来ましたけれども、階先生の時間を少しいただきまして、済みません。

 これから実態を把握できるように、実態の把握に努めているということだったと思いますが、いろいろ新聞報道でも、この半グレが起こす事件というのは報道されていまして、そして、実は、半グレのグループの人たちが毎月暴力団にお金を実際に払っていると。これは、実態としては準暴力団と言ってもいいのではないかと思います。

 ただ、暴力団を定義づけたり構成員を定義づけたりすることによって、どんどんどんどん、グレーな部分に新たな緩やかな組織体みたいなのが出てきて、結果的に犯罪というのはそちらが肩がわりをするだけであって、全然本来の目的を達成できていないのではないかというふうに思いますが、この半グレ対策について、現状の警察庁の方針それから取組を教えていただきたいと思います。

藤村政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる半グレ等と呼称される集団については、これらに属する者らが、繁華街、歓楽街等において、集団的、常習的に暴行、傷害等の暴力的不法行為等を敢行したり、特殊詐欺や組織窃盗、闇金融、賭博、みかじめ料の徴収等の不法な資金獲得活動を行っている例も見られるところであります。

 こうした集団の実態を把握していくことは組織犯罪対策を推進する上でも重要であると考えており、警察として、引き続き実態解明等に努めてまいりたいと考えております。

源馬委員 つまり、なかなか実態がやはり把握し切れていないということだと思います。

 今回のこの法案で、暴力団が競売に参加しにくくなるようにする。これも実効性がどれぐらいあるかわかりませんけれども、しかし、一方で、その代替として半グレを使って、あるいは半グレが単独で競売に参加するということが想定されると思うんですけれども、このことについての法務省の見解を伺いたいと思います。

山下国務大臣 半グレの定義にもよるのですが、まず、二つございます。

 一つは、いわゆる半グレというのが元暴力団員であったというような場合には、暴力団であった後から五年以内というのは暴力団員等に含んでおりますので、これは買受け禁止の対象になります。

 もう一つは、半グレというのが周辺者で、いわばダミーとして買い受けられるというような場合には、これは第三者を利用した買受けの制限をしておりまして、暴力団員など買受けを制限された者の計算において買受けの申出をした者について、暴力団の買受けを制限するということにしているところでございます。

 現段階では、この法案において、こういった計算においてというところの運用等をしっかり見ていただくということであろうと考えております。

 いずれにしても、暴力団員の不動産の供給源、これは絶たなければならないということは、委員と全く同じでございます。

源馬委員 この法案によって、そもそも、暴力団が競売に参加しないようにするということが目的なのか、それとも、反社会的勢力がこうした競売に参加できないようにするということが目的なのかによって変わってくると思うんですね。

 ダミーとして半グレを使うのであれば、確かに、暴力団からの指示を受けて半グレの集団が競売に参加して、これは防がなきゃいけないということで、今回の法案でも、虚偽の陳述があった場合、刑事罰を設けるなどして、これはもしかしたら担保できるかもしれません。先ほどあった、組を抜けて五年以内の者が半グレだった場合も、これで担保できるかもしれません。

 しかし、半グレそのものが、別に暴力団と関係なく、みずからの犯罪意図のために競売に参加をして、そして、例えばオレオレ詐欺の、タイでもありましたけれども、ああいう拠点に使うということも起こり得ると思うんですね。これは今回の法案では担保されないと思うんです。

 暴力団と関係ない半グレ集団であれば、また、指示を受けていない者であれば関係ないと思うんですが、これを防ぐ手だては今回の法案では入っていないと思うんですけれども、今後そういったところにも広げていくつもりなのか、あるいは、あくまでも暴力団だけ、ほかの半グレやその他グレーな犯罪組織が競売に参加することは、これは排除できないというようなお考えなのか、最後にお伺いしたいと思います。

山下国務大臣 まず、この買受け規制につきましては罰則で担保するということになりまして、刑事罰の対象ということになると、主体がどういうものであるのか、あるいは内容がどうであるのかという、やはり規定の明確性が必要でございます。そうしたことで、暴力団というのは、暴力団の不当な行為の防止に関する法律などで一定、定義されておりますので、規定の明確性を持って、今回は暴力団員の買受けということにしたということでございます。

 他方で、反社勢力によるこういった競売の乱用については、今後ともその運用実態については注視してまいりたいと考えております。

源馬委員 いろいろなグレーな存在も出てきて、半グレも今社会問題になっていますが、イタチごっこになってしまうこともあるかもしれませんけれども、ぜひ、そういった勢力にも対応できるように今後も検討を進めていっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

石原(宏)委員長代理 次に、階猛君。

階委員 国民民主党の階猛です。

 私、昔は金融機関の社内弁護士をしておりまして、財産開示手続ができたばかりのころに一度利用したことがあります。しかし、私が申立てをした相手方も、出頭せずで終わりました。なので、それ以降は二度と使うことはありませんでした。

 今回は、その実効性を高めるべく、新たに第三者からの情報取得手続、これは非常に私は期待できるものだと思っています。

 期待できるのは、財産開示手続はあくまで本人の自発的意思に基づくものですけれども、第三者から情報を得るということであれば、まず間違いなく情報は出してくれるだろうし、正確性にも疑いがなかろうというふうに思うわけです。だから、そういう観点から、この第三者からの情報取得手続、評価はしたいと思うんですけれども、なおちょっと疑問に思う点がありますので、最後に、この点を幾つかお尋ねします。

 まず一点目なんですが、二百六条一項というところに、債務者の給与債権に係る情報取得手続の要件として、身体の侵害による損害賠償請求権、これを持っている人じゃないと申立てができないということになっていますね。この身体の侵害による損害賠償請求権、参考人質疑でも問題になったんですが、性被害による損害賠償請求権が含まれるのかどうかということが、どうも参考人の答弁を聞いていても、いま一つはっきりしませんでした。

 恐らく、性被害で体に傷害を負わされて、それに基づいて損害賠償請求権を行使する場合は、これは当然含まれる、含まれないとおかしいと思うんですが、そうではなくて、性被害によって精神的苦痛をこうむった人が慰謝料の請求権を行使する場合、これは含まれるのかどうか、この点についてお答えをいただければと思います。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 被害者が有します損害賠償請求権が身体の侵害によるものに該当するかどうかについては、個別具体的な事案における裁判所の判断に委ねられるものでございますが、例えば、人の身体への有形力の行使が行われなくても、精神的苦痛を与えるような加害者の行動により被害者にPTSD等の精神的機能の障害や精神状態に基づく体調不良が生じた場合については、身体の侵害に含まれるものと考えられます。

 また、生命身体の侵害による損害賠償請求権については、逸失利益等に限定されるものではなく、お尋ねのような慰謝料を求めるものも含まれるものでございます。

階委員 そうしますと、前に井出委員の質問で、振り込め詐欺の被害者は対象にならないという御答弁がありました。ただ、振り込め詐欺の被害者はお年寄りだったりしますよね。なけなしの、ため込んだ老後の資金をだまし取られました、精神的苦痛をこうむった、慰謝料を例えば十万円請求し、かつ、奪われた現金一千万円も合わせて請求する、そういう裁判を起こして、十万プラス一千万、一千十万円の損害賠償請求権が認められたとします。この一千十万円の損害賠償請求権に基づいて給与債権に係る情報取得手続の申立てはできるのか、お答えください。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この法律案では、生命又は身体の侵害による損害賠償請求権について債務名義を有する債権者でありますれば、その請求権の金額いかんにかかわらず、第三者からの情報取得手続において債務者の給与債権に関する情報を取得することができることとしておりますので、お尋ねのように、慰謝料請求権と他の請求権を合計した金額について執行力のある債務名義の正本を有する債権者も、この給与債権に関する情報取得手続の申立てをすることはできるということになります。

    〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕

階委員 これは極めて重要で、井出さんが、情がないとこの間、答弁に対して言っていましたけれども、情はありますよ。振り込め詐欺の被害者も、慰謝料請求権を組み合わせることによって被害金額の損害賠償請求もできますから、これは重要な答弁だと思います。

 それで、また引き続き情報取得手続なんですけれども、申立て権者というのは、今の犯罪被害者の方とか養育費などを支払ってもらいたい方ということで、迅速かつ確実に救済する必要性が高いんだと思うんですね。ところが、財産開示手続が前置されなくちゃいけないということで、少し迂遠な作業を要するわけです。

 やはりこの前置主義というのをやめて、財産開示手続を経なくても給与債権に関する情報取得を認めるべきではないかと思うんですが、この点について、これは大臣にお尋ねします。

山下国務大臣 まず、この情報取得手続によって情報の提供を求められる第三者、これは市町村等でございます。これは、当該情報について、やはり債務者に対して守秘義務を負っているというふうに考えられます。したがって、原則として、その本来の目的とは異なる目的で他者に当該情報を提供することが制約されているという関係にあります。

 他方で、第三者が債務者に対し守秘義務を負う実質的な理由が既に失われたと評価し得る場合であれば、この手続により第三者に情報提供義務を負わせても不当ではないと考えております。

 したがって、先行する財産開示手続において債務者が自己の財産の開示義務を負うと判断された場合においては、債務者はその財産に関する情報を債権者に対して秘匿する正当な利益を有しないものと考えられる。したがって、第三者が守秘義務を負う実質的な理由が既に失われたと評価し得るという関係にあります。

 したがって、本法律案では、第三者に対して債務者の給与債権に関する情報提供義務を課す前提として、先に財産開示手続が実施されていることを要求することとしたものであります。

階委員 先ほどもお聞きしました。極めてロジカルな答弁ではあるんですが、私もロジカルに反論したいと思っています。

 守秘義務というのは、相手方である債務者が、私の情報は開示していいですと言ってしまえば、守秘義務を解除されるというものだと思います。

 今回の制度、条文をよく見ておりますと、今問題になっているのは給与債権に関する情報の取得ということで、二百六条に書いていますね。

 二百六条の二項というのを見ますと、二百五条の三項、四項を準用しているわけです。二百五条の三項、四項、こちらは不動産に関する情報取得の条文なんですが、この準用されている条文を見ますと、裁判所が情報提供命令を出す場合は、まず債務者に送達されて、債務者には異議申立ての機会が与えられているわけですよ。

 執行抗告という機会が与えられていて、債務者は、その場面で文句があれば言えるわけですね。これは開示しないでくれと言えるわけですよ。そういうことがある以上、あえて財産開示手続でもって債務者の保護を図る必要はないんじゃないか。私は過剰保護だと思いますよ。

 この二百五条三項とか四項を準用していなければまだわかるんだけれども、こういった債務者保護のための手続が別途ある以上、今の大臣のロジックは必ずしも的を得ていないんじゃないかと思います。この点、どうでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この法律案におきましては、第三者から情報が開示されてしまう、そういったような利益、債務者の利益を保護するために、一定の手続的保障として執行抗告というものを認めているわけでございます。

 したがいまして、そういった抗告手続保障があるからといって、直ちにそれが守秘義務を解く同意と同視できるかどうかというのは、そこはまた議論があるところではないかと思っております。(階委員「いや、議論があるじゃなくて、説明してください」と呼ぶ)そこは必ずしも同視はできないのではないかなというふうに考えております。(階委員「なぜですか」と呼ぶ)

 この情報取得手続につきましては、こういった、先にやることによりまして、一定の期間、合理的な時間を要することとなりますけれども、これは先ほども申し上げました、第三者からの守秘義務を解除するために必要なものであるというふうに考えられるところでございます。

階委員 肝心のところを議論がありますで逃げないでくださいよ。執行抗告で債務者の言い分は聞けるわけですよ。それで十分じゃないですか。なぜだめなんですか。答えてください。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 結局、執行抗告することによりまして、これは、第三者からの情報提供、情報取得手続のいわば手続的な要件が満たされているかどうか、そういう点について債務者の方が争う、そういう手続保障が認められることになろうかと思います。そういったことが直ちに守秘義務の解除ということの同意というふうにはみなすことは難しいのではないかなというふうに思っているところでございます。

階委員 いずれにしても、その段階でちゃんと、情報取得される相手方には、不意打ちではなく、ちゃんと本人に知らしめた上で情報の開示はされるわけで、もし問題があれば、そこのところで争うことはできる。だから、私は、財産開示手続は必要ないというふうに思います。

 他方で、今の点もそうなんですけれども、債務者の情報を出す前に、あるいは情報を出して債権者側に知らしめる前に、そういう債権者側が情報を探しているということが債務者に知られるようなたてつけになっているわけですね。

 特に私が問題だと思っているのは、預貯金の話ですよ。預貯金については、まさに、事前に察知されると隠匿されるおそれがあるということで、こちらについては、事前に財産開示手続を必要とせず、いきなり情報取得が認められるようになっているわけですね。

 ところで、今回、条文を見てみますと、これは二百八条の二項というところですね。情報取得の対象となった情報の提供が裁判所にされたときは、裁判所は、申立人にその情報提供された書面の写しを送付し、かつ、債務者に対して、同項に規定する決定に基づいてその財産に関する情報の提供がされた旨を通知しなければならない、こういうものがあるんですよ。

 ということは、せっかく知らないうちに情報を取得して、知らないうちに差し押さえして隠匿を免れようと思った債権者、これは結局、意味がないということになりませんか。差し押さえる前にこの情報が債務者に行ってしまえば、自分の財産、差押えがかかりそうだということで隠匿されちゃうでしょう、預貯金についても。どうなんですか、これは不備じゃないですか。

葉梨委員長 小野瀬民事局長、質疑時間が終了していますので、簡潔にお願いします。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 この法律案では、債務者への通知の時期といたしましては、発令して直ちにということではなくて、情報が裁判所に届いてから後ということになります。さらに、これは裁判所の運用の話でございますが、裁判所にその情報が提供されてから債権者の方が強制執行の申立てをすることができる期間、こういったことを考慮して、しかるべき相当な期間を置いた上で通知する運用が考えられるところでございます。

階委員 では、これで終わりますけれども、給与債権についても、事前に財産開示手続をしゃくし定規に求めるんじゃなくて、一度に、情報取得の手続もやらせておいて、財産開示手続が行われるや否や、すぐ給与の支払い先の情報が債権者側に来て、すぐ差し押さえられる。それをやることによって、そのタイムラグを短くすることによって、財産開示手続を経た後……

葉梨委員長 まとめてください。

階委員 給与の支払い先を変えるようなことが避けられると思うので、そこもぜひ検討してください。

 終わります。

葉梨委員長 以上で階猛君の質疑は終了しました。

 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 私は、まず、第三者から給与債権に関する情報を取得する制度についてお聞きをいたします。

 四月二日の質疑で、山下大臣も、給与の差押えについては、その生活を維持するのに困難を来すことになるなど、債務者に与える影響は非常に大きいと答弁されました。

 第三者からの情報取得につきましては、中間試案の段階では、全ての債権者が市町村など第三者から情報制度を利用できるということだったと思うんですが、しかし、その後の法制審の議論を経て、養育費等の債権、生命身体の侵害による損害賠償請求権を有する債権者のみが利用できる制度として限定をされたということであります。

 法務省にお聞きしますが、これはなぜ限定されたんでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 給与債権に関する情報が第三者に開示され、債権者が給与債権を差し押さえるに至った場合には、一般に債務者の生活に与える影響が大きいと考えられますことから、第三者から債務者の給与債権に関する情報の取得を求めることができるのは、その必要性が特に高い場面に限定するのが相当であると考えられます。

 このような観点から、この法律案では申立て権者を限定することとしておりまして、近年では、養育費の履行確保の必要性が非常に強く認識されておりますし、また、犯罪被害者等の保護の観点から、生命身体の侵害による損害賠償請求権についても、その履行確保の必要性が強く認識されているところでございます。

 そこで、この法律案では、こういった養育費の債権ですとか生命身体の侵害による損害賠償請求権を有する者に限定したものでございます。

藤野委員 今おっしゃられたような、債務名義を持つ債権者が養育費等の債権を持っているという場合は認める、それ以外は認めないということなんですが、やはり一方で、債務名義の保有者というのを見てみますと、多くは、いわゆる消費者金融といいますか、銀行系を含めた、そういうところになってくるわけであります。

 かつて東京地裁民事第二十部の部総括判事を務めた園尾隆司氏は、判例タイムズ等で何回もこういう趣旨のことをおっしゃっております。債務名義取得者の圧倒的多数は消費者金融業者であるとか、今も簡易裁判所の督促手続やいわゆる業者事件の欠席裁判などにおいては小口高利金融業者の債権取立てのための債務名義取得が多数存在するということでありまして、地裁でこの問題に長年取り組んでこられた判事の肌感覚といいますか、そういう指摘なんですね。

 実は、これは事前に、データはないのかということで、債務名義に占める内訳、どういう債権者がいるのかというデータをくれと言ったんですが、なかなかないそうでして、破産に関する、破産した後のものだとかは若干あるんですが、ぴたりと当てはまるようなものがなかなかないので、今、判事の発言を紹介させていただいたんです。

 いずれにしろ、今回、民事執行を実効あらしめようと、これはこれで私は大事なことだと思うんですが、一方で債務者、そういう執行されるべき財産ももうないような債務者の生存権を侵害するような過酷な取立てになってはいけないという要請も、これはこれで法制審でも議論になっております。

 そこで、今答弁いただいた趣旨、今回はほかにも、大臣、先ほども山尾委員に対しては、子の引渡しに関して今後の運用状況を注視していくとおっしゃいましたし、源馬委員に対しては、暴力団、半グレの実態について運用状況を注視していくと答弁がありました。

 このいわゆる第三者の情報についても、やはり今言った、限定された趣旨を踏まえて、今後の実際の運用がこの趣旨に沿って行われるかどうかも注視していく必要があると思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。

山下国務大臣 今回の見直しにおきまして、給与等の債権に関する差押えの範囲に関して、一定額に満たない部分を一律に差押禁止ということはせずに、債務者が差押禁止債権の範囲の変更手続を利用しやすくするための方策を講ずることとしたというところでございます。

 他方で、委員御指摘のとおり、給与債権等を過当に差し押さえられることによって、生活を維持することが困難となるような事態が生じないようにすることは重要であると考えております。

 したがって、本法律案をお認めいただきまして、施行されましたならば、関係機関等とも連携しながら、差押禁止債権の範囲の変更の手続の運用状況、これもしっかり注視しながら、必要な検討をしてまいりたいと考えております。

藤野委員 そういう立場で、この趣旨を踏まえて運用に当たっていただきたいと思います。

 次に、差押禁止債権の範囲変更の手続の教示制度についてお聞きをします。

 先日の質問で、二〇一七年の一年間で、給与の差押えに対して範囲変更の申立てが五件、申立てが認められたものはゼロだったという答弁がありました。先ほどその中身についても御質問がありましたけれども、認められなかった理由を先ほど答弁いただいたんですけれども、逆に、この書面で申立てをして認められたという債務者が一人でも二人でもいらっしゃったんでしょうか、最高裁。

門田最高裁判所長官代理者 給与債権の関係でお尋ねかと思います。

 前回の質疑におきまして、東京地裁の執行センターにおけます平成二十九年の差押債権の範囲変更の申立て件数のうち、差押債権が給与債権であるもの、これは五件ございましたが、認容された件数はゼロでございます。(藤野委員「それ以外」と呼ぶ)

葉梨委員長 それ以外で一件でもあるかということ。

 今答えられないんだったら、後で調べてとか。

門田最高裁判所長官代理者 済みません、これ以外の年度のデータということになりますでしょうか。失礼しました。

 平成二十九年以外の数字については把握しておりません。失礼しました。

藤野委員 把握されていないわけですね。ですから、私、これは立法事実にかかわる問題としてお聞きしたんですけれども、ないということでありました。

 やはり、先日も指摘したんですけれども、変更に要する書類というのがかなり詳細で、ハードルが高くて、そういうことも一つではないかと問いかけはしたんですが、それも含めて、認められたというのがもしあるのであれば、それはそれで検証できると思うんですが、それも把握されていないということになりますと、書面のあり方も含めて、教示だけでいいのかという問題も関係してきますので、そういう意味では、ぜひそこは引き続き調べていただいて、認められなかったのは何かと先ほどありましたけれども、では、認められた場合は何なのか、あった場合ですよ、あった場合。

 参考人からもそういう指摘もありましたので、ぜひそこはやっていただきたい、検証していただきたいというふうに思います。

 今回、教示の制度を新設するということで、先日、参考人からはこのような指摘があって、余り教示で、申立てに誘導する、大事なんだけれども、今いわゆる生活保護でやられていると言われているような水際作戦のような形になってしまって、教示が逆効果になってしまっては本末転倒だという指摘もあったと思うんですね。

 ですから、ちゃんと申立てができるように、具体的に三上参考人がおっしゃっていたのは、初めの一回目は不備であってもいいからとりあえず出して、後は追記で補っていくというようなやり方もあるんじゃないかという指摘があったと思うんですが、ぜひ、運用上、そういうことも検討していただきたいというふうに思います。

 その上で、最高裁に確認したいんですが、そうした教示制度が新設されたもとで、その制度によって申立て件数がどれだけふえたのか、その教示との関連性、どこまでやるかはあれですけれども、きちんとちゃんと調べていって積み上げていくべきだと思うんですが、ちゃんとそういう作業もしていただけますね。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 改正法が成立した暁には、運用状況について注視してまいりたいと考えております。

藤野委員 参考人からはちゃんと新制度のもとでの効果検証をすべきだという指摘がありましたので、それはやっていただきたいと思います。

 これはやはり、大臣、根本的には、債務者の生存権にかかわるかもしれない問題を、その債務者のみずからの申立て変更に委ねていいのかという問題があると思うんですね。申立てに委ねている現状では、ゼロとか、数字がわからないとか、そういう状況になっております。

 ですから、大臣、これは今後の運用状況もあるんですが、やはりしっかり検証していただいて、その上で、今度の制度でも、やはり教示制度でも申立てがふえないということであれば、今度こそ、私も指摘しましたし、先ほども指摘がありましたが、いわゆる給与差押禁止の下限。これは日弁連も指摘がありましたし、法制審でもありました。下限を設けることも今後やはり検討課題の一つだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

山下国務大臣 まずは運用を見守りたいというふうに考えております。

藤野委員 それはそうなんですが、ただ、やはりその結果、国税徴収法も、四分の一というのは乗り越えて、十万円と一人頭四万五千円というところに変えたわけであります。その趣旨は、四分の一というやり方だと低所得者には重くて高所得者には甘いからだ、こういう非常に合理的な立法改正趣旨から最低限でやろうというふうに国税徴収法も変えたわけですから、そういうことも踏まえて、しっかり早期の改正を求めたいと思います。

 次に、今回、財産開示手続がそういった形で強化されたわけですが、強化されたことに伴って、開示請求がふえることが当然要求されるわけであります。現場の地裁の方にお聞きをしますと、かなり負担がふえるんじゃないか、現在の執行係の人員で対応が困難になる、増員がセットにならないと危険だという声も寄せられております。

 最高裁にお聞きしますが、今回の改正に伴って人員の増加は必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回の法改正を踏まえた人的体制の整備につきましては、今まさに行われておりますこの国会での御審議の状況を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えておりまして、改正法が成立した際には、御指摘の新たな制度等の円滑な実施に向けて、現有人員の有効活用を図るほか、必要な人的体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

藤野委員 いや、現有人員の有効活用はもう限界に来ておりまして、ぜひこれは増員に向けていただきたいんですね。

 現場からは、例えば、勤務先や預貯金口座の探索のために作業が増加すると。あるいは、不動産における暴力団の買受け防止のための方策もありました。これが実効性あるためには、警察への問合せというのも、そういう答弁もあるんですが、警察への問合せ、ちゃんとスムーズにいくのかと、照会ですね。実態をお聞きしますと、現状では、いろいろな調査の期間が一週間以内にやらなきゃいけないということを伺っております。今回、それが新たに警察への照会というのがまた加わってきまして、それが一週間以内におさまるのは大変だ、おさまらないのではないかというので、先ほど言った、増員とセットじゃないと危険だというところまで、現場から声が来ております。

 ですから、そうした点も踏まえて、ぜひ増員を検討していただきたいと重ねて求めたいと思います。

 次に、子の引渡しの強制執行についてなんですが、今回、今規定がないもとで、物ではなく人に対する強制執行だということを明記する改定が設けられたということであります。やはりそういう点も踏まえて、子供は強制執行の客体ではなくて、あくまでも権利の主体であるということを今回の運用上もどのように確保していくかという点がやはり大事だと思っております。

 その点で、やはり子供のことが非常によくわかっている家裁の調査官というのが、参考人のときも最適だという指摘も、最適というか非常に重要だという指摘が松浦参考人からもありました。松浦参考人は、執行に際して調査官の報告が非常に有益だという指摘や、お子さんの発達段階だとか性格だとかも記載しております、記載というのは調査報告書ですが、しておりますので、執行に直結して役立つという表現もありました。

 ですから、子供の発達段階というふうにいいますと、やはり子供を主体としてちゃんと位置づけてやっていく上でも、私は、家裁の調査官というのはなるほどなと、改めて大事なんだなというふうに思いました。

 最高裁にお聞きしたいんですが、最高裁もこの家裁の調査官の役割は大きいという点で、同じ認識ということでよろしいでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、子の引渡し事件におきましては、事件の適正迅速な解決を図っていくため、心理学、社会学、教育学等の行動科学の専門的知見を有する家庭裁判所調査官がその役割を果たすことが重要というふうに考えております。

 強制執行の段階におきましても、いわゆるハーグ条約実施規則八十七条により、子の返還を命ずる終局決定をした家庭裁判所は、解放実施に関し、執行官に対し情報の提供その他の必要な協力をすることができるとされておりまして、その際、家庭裁判所は、家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができるものとされております。

 この規定を踏まえまして、ハーグ条約実施法に基づく解放実施におきましても、また、国内の子の引渡しの強制執行におきましても、執行官と家庭裁判所とで事前ミーティングを行いまして、その際に家庭裁判所調査官も参加して、債務者や子の性格、生活状況等、執行に当たって特に留意すべき事項を情報提供するなどしていることが多いものと承知しております。

藤野委員 今答弁があったとおりでありまして、ハーグ条約実施の規則八十七条で、そうした、家裁が執行官に対して解放実施に関し必要な協力をすることができる、その協力をするに際し家裁調査官に意見を述べさせることができるということで、事前のミーティング等々をできるということになります。

 これは現状でありますが、今回の法改正に当たりまして、執行官の責務として、子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮する、あるいは子の利益の保護、配慮という規定が、責務が加わったわけでありまして、最高裁に重ねて聞きたいんですが、現状も重要だけれども、今回の法改正を受けて、やはり家裁調査官の任務というのは、役割というのは更に重要になるんじゃないかと思うんですが、この点、いかがでしょう。

手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の法改正により、執行官の責務として、強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮しなければならないとの規定が設けられる場合には、先ほど御説明しましたハーグ条約実施規則八十七条に規定されているような役割、すなわち、執行官に対して情報提供等を行う家庭裁判所の役割も重要になるものと認識をしております。

 家庭裁判所におきましては、これまでも執行官に対し必要な情報提供等をしてきたところと認識しておりますけれども、成立後の改正法のもとでの家庭裁判所の役割の重要性も踏まえまして、引き続き、家庭裁判所調査官も参加する事前ミーティング等によりまして、執行官に対し必要な情報提供等がされるように支援してまいりたいというふうに考えております。

藤野委員 ぜひそこは運用していただきたいと思うんですが、実際お聞きしますと、いわゆる執行官は地裁に所属している、地方裁判所。家裁調査官は当然家裁ということで、やはり制度上、なかなかその連携等々で制度上難しいみたいな話が先日参考人もあったんですが、今のお話だと、必要な協力ということですから、事前のミーティング等はやっているということであります。

 これを、執行への参加そのものが難しいという事前の説明もいただいたんですが、そこら辺は実際どうなのか、制度上どうしてもだめなのか、そこら辺はどうなんでしょうか。

手嶋最高裁判所長官代理者 さきに御説明いたしました規定、いわゆるハーグ条約実施規則八十七条では、家庭裁判所は、執行官に対して情報提供を行う際に、家庭裁判所調査官に意見を述べさせることができるとされているところでございます。

 家庭裁判所調査官は、基本的には家庭裁判所等の家事事件の手続における調査等を行うものとされておりまして、この意見を述べるという役割は例外的に、特別に認められたものとされております。

 したがいまして、意見を述べさせる以上に、家庭裁判所調査官を執行の現場に臨場させるということは認められていないものと承知しております。

藤野委員 そこはこの解釈ということでありまして、そこはいろいろな合理性等もあるのかもしれません。

 ただ、今回新しい執行官の責務が加わったもとで、先日質疑で、八十三件中四十七件ですか、数字としてはまだ専門家が立ち会えていないという実態もあるわけでありまして、どのように子の利益を実現していくかということを考えた場合に、専門家たる家裁調査官がどのような役割を果たせるのかというのはぜひ検討していただきたいと思うんですね。

 八十七条の規定上も、三項では、解放実施に関し、その他必要な協力なんですね。解放実施に関しですから、別に現場とは書いていない。解放実施に関しという規定でありますし、執行官規則十二条でも、執行を行うについて必要があるときはということで、これは補助者の規定かと思うんですが、必要があるときはということで、現場でとも書いていないわけでありますので、そこは、これまでの運用はあると思うんですが、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 その上でなんですが、そういうことをやる上においても、やはり家裁調査官の体制というものが非常に重要になってくるというふうに思います。

 前提として一つ紹介したいのは、法制審の民事執行法部会で、第二十一回議事録、二〇一七年七月二十日、読みますと、家裁調査官のOB等でつくっていらっしゃるFPICの下坂節男事務局次長が出席されていまして、こうおっしゃっているんですね。

 この方もOBであって、補助者として行かれているんですが、だから、家裁調査官そのものの事前のミーティングとちょっと局面は違うと思うんですが、ただ、こうおっしゃっております。

 執行官との打合せは二回は最低やりたいのですが、実際問題としては、二回はできていないのが実情です。一回目は記録読み、この事例の問題点は何であるのか、債務者を説得するとすれば、ここら辺に重点を置いて説得してはどうかと思うということを考えます。二回目のときには、執行官と、執行官は債務者の説得をどのように行うつもりかを確認しますというふうにおっしゃっているんですが、しかし、二回がなかなかできていないという問題意識なんですね。そういった上で、事前の準備にもう少し力を入れるべきではないかというふうにこの下坂さんはおっしゃっております。

 最高裁に聞きたいんですが、事前の準備が十分できていないという指摘なんですが、なぜなんでしょうか。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 子の引渡しの強制執行に当たって、児童心理の専門家に執行補助者として関与をしていただく場合には、執行官と執行補助者が事前に打合せをするという運用がされているものと承知しております。

 もっとも、子の引渡しを命ずる債務名義につきましては審判前の保全処分が多い実情でございまして、そのような場合には、債権者に債務名義が送達されてから二週間を経過したときは保全執行をしてはならないというふうにされておりまして、現在は、債権者に債務名義が送達されてから二週間以内に執行官が執行に着手することを要すると解されております。

 このように、債務名義が審判前の保全処分である場合には、時間的な制約がございますことから、執行官と執行補助者との間の打合せが十分にできなかった例があるとの指摘があるというふうに承知しております。

藤野委員 今御指摘があったのは民事保全法四十三条の二項で、確かに二週間と書いてあるんですね。だけれども、これもやはり物を前提とした世界といいますか、これはこれで、こういう法律があるのは認識しているんですけれども、やはり子供ですし、事前の準備が非常に重要だということでありますので、仮にその時間的制約があるということであれば、そこはぜひ考えていただきたい、新たな法律をつくられるわけですから。

 その上で、時間の制約もあると思うんですが、私はやはり体制の問題、これは大きいと思うんです。

 最後になりますけれども、最高裁に、もともと子の引渡しにおける家裁の調査官は重要、今回の法案ができて更に重要になったということでありますので、ぜひ家裁調査官の増員、二〇〇九年以降、もう実に十年間増減がないということでありますので、ぜひ今回の法律を契機に増員にしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

葉梨委員長 村田総務局長、簡潔に願います。

村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 家裁調査官の人的体制につきましては、これまでも、家事事件及び少年事件の動向や事件処理状況に照らして検討してきているところでございますが、今回の法改正がなされた際には、今後の事件動向や事件処理状況に加えまして、今御質疑の間にも触れられておりました家裁調査官が果たすべき役割といった点も踏まえまして、必要な人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

藤野委員 終わりますが、今回の法改正は第一歩にすぎないということで、今後の検証と改善、これをしっかり求めて、質問を終わりたいと思います。

葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官高橋克彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

葉梨委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田です。

 今、藤野議員から家裁調査官の増員というのがありましたけれども、いろいろと夫婦間の争いというのは感情的になると、今、大臣もちょっとお話しされていました。私もちょっと耳にすることもあるんですが、調査官が非常に危険を伴う状況になることもあるらしいんですよ。いろいろな調査をしているときに、そうじゃないだろうとか、ちゃんとしっかり見てくれとか言いながら、やっている中で非常に危険な状況になることもあるわけですので、時には複数で行くとかいうようなことも考えていただかないといけないんじゃないかなと思うので、そういう意味からも増員を御検討いただくことは本当に大事なことではないかなと思っています。

 ちょっと質問に戻りますが、ハーグ条約の実施法ということで、ハーグ条約って何だろうという部分もしっかりと理解していないと、実施法というだけでいいんだろうかというのは、私もちょっと疑問に思っております。

 そこで、子どもの権利条約で、共同で養育をする、これがやはりハーグ条約の原点。この原点を侵害するからこそ、ハーグ条約で連れ戻すということなんですね。そこで、この子どもの権利条約の、共同の養育を受ける子供の権利というのは、これは人権なんでしょうか。

大鷹政府参考人 お答え申し上げます。

 児童の権利条約の位置づけという質問というふうにお受けとめいたしますけれども、児童の権利条約そのものは、十八歳未満の者を児童と定義いたしまして、国際人権規約等において定められている権利を、さまざまな権利を児童について敷衍して、児童の権利の尊重及び確保の観点から必要となる詳細かつ具体的な事項を規定したものでございまして、御指摘のとおり、児童に対する人権の保障に関するものであるというふうに考えております。

串田委員 ユニセフにも子供の基本的人権というふうに書かれています。基本的人権というのは、憲法があるかないかにかかわらず、普遍的なものであって、子の人権というのはしっかりと守られなければいけない。そうだとするならば、これは法律婚であろうがそうでなかろうが、子の権利というのは守られなければいけないと私はずっと思っているので、ずっと前から質問させていただいているんです。

 法律婚の子供は、双方の親から共同で養育を受けることができる、これは基本的人権という話でした。法律婚でない子供は、双方の親から養育を受けることができなくなる。法律婚であるかないかによって、子供の基本的人権がここまで差別をされる合理的な理由は何なんでしょうか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 児童の権利条約は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために締約国が最善の努力を払うことを規定したものにすぎず、婚姻をしていない父母による子供の共同養育の制度の導入を求める明文の規定は存在しないものと承知しております。

 また、民法では、父母が婚姻をしていない場合でも、子供を監護していない側の親には養育費の支払い義務があるほか、子の利益のために面会交流をすることが認められている。このようなことからしますと、我が国の法律は児童の権利条約に適合しているものと考えられるところでございます。

 我が国の民法におきましては、離婚後につきましては単独親権ということになっているわけでございますけれども、婚姻のときは共同親権、離婚後の場合には単独親権、こういうことについての理由ということにつきましては、これは、離婚後に共同親権制度を導入いたしますと、父母の関係が良好でない場合に、親権の行使について父母の間で適時に適切な合意を形成することができないことで、子供の利益を害するおそれがあるとの指摘がされている、こういったことに基づくものでございます。

串田委員 今の回答は全く回答にはなっていないと私は思いますよ。

 一番最初に、基本的人権なのかと確認したのは、これは法律があろうがなかろうが、普遍的な権利として守られているわけですから、この守られている権利が守られていないことに対して、合理的な理由があるかどうかという質問をさせていただいているんです。

 そのときに、父母が会話ができない、感情的になる、それは、源馬議員が話をしてくれたように、ほかの国だってみんな同じなんですよ。みんな同じなんだけれども基本的人権だから守ろうとしているのに、我が国だけが、感情的で子供の人権さえも守られない野蛮な国なんですか、何度も聞いているんですけれども。

 どういうデータがあって、ほかの国は子供の人権を守っているのに、我が国だけは守られない、そういう感情的な国であるというデータがあるかどうか、確認させてください。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 感情的な国かどうかということを例えば数値的なようなものであらわす統計的なデータというものはございませんが、先ほど申し上げましたような、適時適切な監護ができるかという点についての指摘があるということでございます。

串田委員 子供の相続権に関しては、嫡出関係でいろいろと憲法問題が争われた。やはり基本的な人権に関して合理的な理由があるかどうかというのは、憲法訴訟でもすごく議論されているわけですよ。

 そうだとすると、共同の養育を受けるというのが基本的人権であるというならば、その基本的人権を制限するならば、その合理的な理由というのは、例えば、憲法でいえば、公共の福祉と書いてあります。その公共の福祉というものの内容はしっかりと吟味されなければいけないわけなのに、そこの吟味というのは本当になされているというふうな理解でよろしいんですか。どういうことでこの基本的人権が制限できているのか、その合理的な理由を教えていただきたいんです。憲法上、いろいろな議論がなされている中で、何で基本的人権が侵害できるのか。

 男女共同参画社会基本法の第六条で、男女は子を養育をすると書いてある。そこに事実婚が入るかどうかという質問をしたら、わからないというのが最終的な答えでした。だけれども、これは男女が、夫婦、それが法律婚であろうとなかろうと、男女が子供を養育するのは、私は当たり前だと思いますよ。

 この点、大臣、これに事実婚は入るんですか、入らないんですか。

山下国務大臣 御指摘の第六条に関しまして、先般の四月二日の本委員会において内閣府の政府参考人が答弁したとおり、この男女共同参画社会基本法第六条に言う家族については、婚姻、血縁、縁組などを基礎として生活上の関係を有する社会の自然かつ基礎的な集団単位をいうと解釈されており、これに含まれる男女が、広く同条に言う家族を構成する男女に該当するものと解されます。

 他方で、先日の委員会において、所管省庁である内閣府の政府参考人が、この家族を構成する男女の中に事実婚をしている男女が含まれるのか否かについては、明言することができないと答弁していたものと認識しております。

 したがって、この男女共同参画社会基本法第六条に言う家族を構成する男女に事実婚をしている男女が含まれるか否かについて、この法律を所管していない法務大臣として答弁することは差し控えさせていただきたいと考えております。

串田委員 与党の皆さんも、本当に考えてくださいよ。子供の権利をどうだという議論のときに、内閣府が答えられないから法務省の大臣も答えられない。そんな縦割りでいいんですか、本当に。いやいや、悲しいですよね、それは。

 だって、今、七百六十六条、これは法務省が管轄しているんでしょう。法律婚であるかないかということを議論するから、七百六十六条の改正をする必要があるかと議論しているわけで、そのときに内閣府の男女社会基本法を、この部分がどうであるのか、法務省がわからなかったら、七百六十六条、解釈できないじゃないですか。ちょっと時間がないので、またそれは質問させていただきますが。

 アメリカの子供が日本に連れ去られてきたときに戻すというのが、今回、ハーグ条約実施法です。じゃ、日本の夫婦のうち一人が、今度、条約締結国に連れ去っていった場合には、その条約締結国は日本に連れ戻してくれるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ハーグ条約は、子がいずれかの締約国に不法に連れ去られ、又はいずれかの締約国において不法に留置されている場合に、当該子の迅速な返還を確保することを目的としておりまして、締約国は、この目的の実現を確保するために全ての適切な措置をとる旨規定しております。

 他方、ハーグ条約の個別の事案については、それぞれの事情に応じて当事者間の話合いや裁判手続等を通じて解決されるため、子の返還又は不返還という結果について一概にお答えすることは困難でございます。

串田委員 いずれにしても、資料はきょうはありませんけれども、現実に、日本の夫婦の一方が、外国に、条約締結国に連れ去られたときには、その条約締結国がしっかりと遵守して連れ戻しているという事実があるんです。日本はそれをやっていないから、アメリカは、日本だけ何で不履行なんだということで議論されているわけですよ。じゃなかったら、日本だけ不履行国になるわけがないんです。

 問題は、外国に連れ去られても、連れ戻されるんですよ。ところが、日本の国内は、例えばこの東京から埼玉や千葉や神奈川に連れ去ったときに、その連れ去られた親が申立てをしたときには連れ戻してくれるんですか。

小野瀬政府参考人 お答えいたします。

 同居していた父母の一方が、その相手方の承諾を得ずに子を連れて別居を開始した場合に、これが民事上違法になるか、あるいは子供の引渡しが認められるかどうか、これは、具体的なケースに応じて、その具体的な経緯、態様あるいは子供の年齢や意思等々の事情に照らして、子の利益という点から考えられることかと思います。

 ハーグ条約の場合には、これは、どちらが監護者として適切なのかということではなくて、とりあえずまずはその常居所地国に連れていく、そこで、いわばどちらが監護者として適切なのかを判断する、そういう意味でございますので、そこは、日本において子供を戻す、いわば監護者についての解決をする場面とは少し違う要素があるものと考えております。

串田委員 いや、違うどころか全く一緒なんですね。今、とりあえずとおっしゃった。これが大事なんです。

 民法七百六十六条は、協議をして決めるとなっているんです。ですから、協議をするところに戻すというのがハーグ条約でしょう。日本の場合だってそうなんですよ。国内で連れ去ったときにはとりあえず戻して協議をするから七百六十六条があって、この七百六十六条の改正の中の国会の審議でもそれが行われているんですよ。だから、海外に連れ去ったときには戻すんだったら、国内で連れ去っても戻すのが基本じゃないですか。違いますか。原則を言ってくださいよ。

小野瀬政府参考人 ハーグ条約の場合には、常居所地法で、まずそこの法令、あるいはそこの機関といいますか、そういったところで判断されるというのが子供の利益にかなう、そういうことでございますので、日本の国内の場合に子供を引き渡すかどうかというのは、やはり、判断する場面というか舞台をどうするかというところとはまた違う要素があるものだと考えております。

串田委員 時間になりましたが、アメリカにいようと日本にいようと、子供の利害は同じなんですよ。だから条約を締結しているんですから。

 そういう意味で、ハーグ条約に関するアメリカだけの不履行ではなくて、今、全世界を、ほとんどの国を敵に回しているというふうに思っていただいて結構だと思うので、ぜひ法務大臣、頭をかいていらっしゃいますけれども、一緒に考えていきましょうよ。お願いします。

 ありがとうございました。

葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。

 次に、井出庸生君。

井出委員 よろしくお願いします。

 先般の質問の中で、民事局長に情がないと私は発言をしましたが、階委員の極めて理論的な質問によって情のあることが判明をいたしましたので、きょうはまず、刑事局長にも情があるやなしやを少し、一問、性犯罪に関して伺いたいと思います。

 先日の四月二日の法務委員会なんですが、その議事録の中で、答弁の中で、強姦罪の本質が、委員から、委員というのは私なんですが、強姦罪の本質が、委員から、同意のない姦淫にあるという見解についてお尋ねをされて、そのような見解が成り立ち得る、つまり否定できないということをお答えしたと承知していると。

 この、つまり否定できないというところなんですが、その前に、一昨年の刑事局長答弁と同様に、見解が成り立ち得るとおっしゃっていることを踏まえれば、つまり否定できないではなくて、つまり肯定し得る、そう言っていただくことが正鵠を得ているのではないかと思いますが、改めて答弁を求めたいと思います。

小山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の四月二日の当委員会におきまして、委員から、強制性交等罪等の本質が同意のない性行為にあるとの見解が十分に成り立ち得るとした過去の林刑事局長答弁についてお尋ねがございまして、見解が成り立ち得る、つまり否定できないということをお答えしたものと承知している旨をお答えしたところでございます。

 御指摘の過去の林刑事局長の答弁につきましては、罪の本質という言葉の意味するところが必ずしも明らかではなかったことや、委員が当時の質疑において引用された資料、これは明治十三年制定の旧刑法に関するものでございまして、御指摘の見解を積極的に否定する資料も、積極的に肯定する資料も見当たらなかったことから、「十分に成り立ち得る考え方かなと思います。」と述べたものと認識をしてございます。

 その意味で、積極の否定も肯定もできないということでございますが、そういうところも踏まえまして、否定できないというお答えをしたところではございますが、論理的な関係もございまして、委員御指摘のとおり、肯定し得ると申し上げることも可能だろうと考えております。

井出委員 一つよかったのは、私の当時の、明治十三年のいろいろな当時の文献をもとにしたことについて、積極的に否定する資料はないと今お話があったかと思います。その部分は大変またいい答弁をいただいたなと思いますので、また次回の質問の種にしてまいりたいと思います。

 次に、法案関係について伺いたいのですが、山下大臣、これも二日の話なんですが、私は、今法改正で少し、養育費の支払いですね、日本は少し低調であるということがずっと言われてきておりますが、多少の改善が期待できるのではないか、しかし、ただ、根本的に、養育費の支払いというものが離婚をしてもきちっと義務であるというところがもう少し社会通念上浸透しなければいけないのではないかと思っておりまして、山下大臣がさきの答弁で、離婚をめぐる法制についてさまざま各国ありますが、あるいは家族をめぐるあり方でございます、そういうお話がありました。

 離婚をして、それでも養育費をきちっと払っていく、それからまた面会交流もしていく、そこには、離婚をしたとはいえ、両親の信頼関係、人間関係というものもあろうかなと思いますが、そうした、養育費等を通じて、特に子供を大切にしていこう、そういう、両親、子供、離婚をしているとはいえ、そういうものは大臣の念頭に置いている家族という言葉が果たして当てはまるのかどうか、少し大臣に考えを伺いたいと思います。

山下国務大臣 先般の私の答弁で申し上げました家族、この家族自体は、民法上は家族という文言は用いられておらず、また、その定義というものもございません。ですから、一般用語として申し上げたところでございまして、その家族の範囲について民法の観点からお答えするというのは困難ということになります。ただ、家族のあり方、一般的な意味としての家族のあり方が多様化し、かつ変化している現状のもとでは、人によってその捉え方にも差異があるんだろうと考えております。

 他方で、民法上は夫婦や親子といった個別の関係についての規律が設けられておりまして、離婚という形で夫婦関係が解消された場合であっても、父母と子の間の親子関係は法律上も存続するわけでございます。

 実際にも、父母が離婚した後に、父母の双方が子の養育のために必要な費用を分担するとともに、子との交流を維持することは、子の心身の健やかな成長のために重要なものであるというふうに考えておりまして、そういったことも踏まえて、民法七百六十六条が規定されているのであろうと考えております。

井出委員 夫婦というのは、民法の七百五十二条で、同居それから協力、扶助の義務がありますので、離婚をして、そうした義務の関係になければ、夫婦ということについては、夫婦ではないとなるのかなとも思うんですが、別居をしているとはいえ、親子ですね、その子供ですね、今、法律上、親子関係は存続すると。

 そういうことであれば当然、民法に家族の定義はございませんが、そうした養育費をきちっと払っていく、そういうことをきちっと進めていく上で、串田委員のおっしゃる共同親権というのも一つの考え方かもしれませんし、養育費の支払いがきちっと進むような行政のあり方というのを考えていかなければいけないのかなと思います。

 それと、もう一つ伺います。

 これは事実婚についてなんですが、事実婚の場合は、同居、それからまた子供がいる、で、扶助、協力義務を果たしているケースがあろうかと思います。近年では、ずっと議論ありますが、選択的夫婦別姓の問題、夫婦別姓を維持したいから事実婚にしているというケースもあると聞いております。

 事実婚、まあ選択的夫婦別姓も一つの理由なんですが、事実婚というものは、大臣が、この夫婦別姓についても、家族のありよう、国民的議論といつもおっしゃるんですが、事実婚というものは大臣のおっしゃる家族に入るのか、伺っておきたいと思います。

山下国務大臣 まず、民法からすれば、民法では家族という文言は用いられていないということは先ほど申し上げたとおりでございまして、その定義がない家族の範囲について、民法の観点からお答えするのは困難であると思います。

 ただ、今日の社会においては、御指摘のように、事実婚を選択する方がいるなど、一般的な用語としての家族のあり方が多様化しているものと承知しております。事実婚を選択した方についても、相互の親愛の情や信頼関係等がその基礎にあるものと考えております。

 ただ、そのような方々を、民法において、法律上どのように扱うかという点については、その権利義務、あるいはその終期、終わるために、法定の解消事由がなければ解消できないであるとか、さまざまな規制がございます。そういったものも含めて、法律上どのように扱うかということについては慎重に検討する必要があるものと考えております。

井出委員 民法で家族を定義するということは、私も、極めてこれは慎重な、家族というものの多様性を考えれば、慎重を要するのではないかなと思います。

 ただ、先ほどの男女共同参画の話もありましたが、それぞれいろいろな法律によって家族というものが定義をされていまして、例えば、育児休業、介護休業する、家族介護を伴う労働者の福祉に関する法律、この対象家族というものは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)。

 それから、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の家族、これは家族等なんですが、当該精神障害者の配偶者、親権を行う者、扶養義務者。この扶養義務者というものは、事実婚であったり、それから、離婚した、で、離れている親子関係でも扶養義務者に当たるかと思います。それと、後見人又は保佐人。

 民法は、家族法ですね、夫婦と親子の関係、それから相続の関係について定めておりますので、法律の趣旨によって家族の定義がいろいろ出てくるのは、法律の趣旨上あろうかと思うんですが、民法における家族、夫婦、親子関係、それから相続の関係というものは、やはりその一番大きな概念と申しますか、家族というものの根幹にかかわってくる、だからこそ定義をしない方がいいという議論もあろうかと思いますが。

 ただ、定義はしないにせよ、例えば、養育費の支払いが進むように、それからまた、選択的夫婦別姓というものが事実婚と婚姻の妨げになっているのであれば手だてをしなければいけないのではないか、そういう方向でいろいろ慎重な検討が必要であるということはもう何年来にわたって言われてきているんですが、やはり、方向性としては、家族の多様性というものを包摂していくことが法務大臣の慎重な検討の方向性だと思いますが、最後、いかがでしょうか。

山下国務大臣 家族のあり方につきましては国民的な議論があろうかと思います。そういったものも注視しながら、国会の御議論もしっかり踏まえながら考えていきたいと考えております。

井出委員 国民的な議論に、法務大臣のその包摂的な、寛容な意見提起もしていただければと思いますので、そのことをお願いして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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