衆議院

メインへスキップ



第8号 令和4年4月13日(水曜日)

会議録本文へ
令和四年四月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 馨祐君

   理事 井出 庸生君 理事 熊田 裕通君

   理事 葉梨 康弘君 理事 山田 美樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 階   猛君

   理事 守島  正君 理事 大口 善徳君

      五十嵐 清君    石橋林太郎君

      尾崎 正直君    奥野 信亮君

      国定 勇人君    小森 卓郎君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      中野 英幸君    西田 昭二君

      野中  厚君    八木 哲也君

      山田 賢司君    伊藤 俊輔君

      鈴木 庸介君    藤岡 隆雄君

      山田 勝彦君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    前川 清成君

      日下 正喜君    福重 隆浩君

      鈴木 義弘君    本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         古川 禎久君

   法務副大臣        津島  淳君

   法務大臣政務官      加田 裕之君

   最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   法務委員会専門員     藤井 宏治君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     小森 卓郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     東  国幹君

    ―――――――――――――

四月十二日

 選択的夫婦別姓制度導入の民法改正を求めることに関する請願(大口善徳君紹介)(第九四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 この際、古川法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古川法務大臣。

古川国務大臣 今般、名古屋局における死亡事案の調査報告書の令和三年三月三日の記載について、ウィシュマさんが自ら発言していない言葉を自ら発言したかのような虚偽の記載があるのではないかとの御指摘があると承知をしております。

 この点に関しては、私自身も調査報告書の記載とビデオ映像の双方を確認しておりますが、その上で、これまで、調査報告書は客観的な資料に基づくものである旨を答弁してきたところです。

 もっとも、当該記載がそのような認識を生じさせ得る表現となっているとの御指摘があることは理解できるところであり、真摯に受け止めたいと考えております。

 ついては、今国会の会期中に、調査報告書がこのような記載となった理由について整理し、委員長のお許しをいただいた上で、入管庁から補足説明の書面を理事会に提出させたいと思います。

 また、国会へのビデオ映像の全面的な開示を求める御意見があることも承知をしており、法務省としてはこれに応じることは困難であるとの見解をお示ししてきましたが、この点についても改めて検討をし、法務省としての考え方を整理の上、今国会の会期中に書面を理事会に提出させたいと思います。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 内閣提出、民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君及び出入国在留管理庁次長西山卓爾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局民事局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石橋林太郎君。

石橋委員 おはようございます。自由民主党の石橋林太郎でございます。

 昨年十月の衆議院総選挙において中国比例ブロックで初当選をさせていただいて、国会に地元の皆さんのおかげで送り込んでいただきました。本日、少し緊張しながらの質問でありますけれども、何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 本題の質問に入らせていただく前に、一点、確認をさせていただきたいことがございます。

 三月九日、当委員会におきまして、山田委員の質疑の中で、大村入国管理センターの庁内医師の契約関係についての質疑がありまして、その際の当局の答弁の訂正をしなければならないというふうに聞いているところであります。

 この点について、回答をいただきたいと思います。

西山政府参考人 三月九日、当委員会における御指摘の質疑におきまして、大村入国管理センターと庁内医師との契約関係につき、私は委託契約と答弁をいたしましたが、これは誤りであり、正しくは非常勤の国家公務員として採用していたものでございます。

 おわびの上、訂正をさせていただきます。

石橋委員 委託契約ではなかったということでありまして、今後も正確な答弁を心がけていただきますように、一点、お願いをさせていただきたいというふうに思うところであります。

 そしてまた、本題の質問に入らせていただく前ではありますけれども、今般のウクライナ情勢に関しましてでありますが、私の方からも、ロシアに対し最大級の非難を表明させていただきたいと思っております。

 私が申し上げるまでもないわけでありますが、今般のロシアの一連のこの軍事行動というものは、国際ルールを全く無視して、暴力による一方的な現状変更を試みるものであり、決して許すことのできない蛮行であると私自身怒りを覚えております。

 しかしながら、国内で、残念なことに、この問題に関して、外交上のことでもあり、ロシアにも言い分はあるのだというような、あたかもロシアを擁護するような論調を耳にすることもあるわけでありますけれども、先ほど申し上げたとおり、ルールを無視して、民間人、学校、病院、そうした民用の施設までも標的にした無差別攻撃を実施しているロシア政府を擁護する必要など私自身は全くないと感じているところでありますし、また、今般明らかになってきている無辜の民間人の虐殺に至っては、全くもって言語道断であります。

 岸田内閣、古川法務大臣、皆様におかれましては、引き続き、毅然とした態度で厳しくロシアに対し対処をしていただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、今、自分たちの国は自分たちで守るという、当たり前のことでありますけれども、しかしながら大変厳しい、難しいこの現実にもう一か月以上も立ち向かっているウクライナの方々に、私は心から敬意を表すものであります。

 そうしたことも踏まえて、大変恐縮ながら、質問に入らせていただく前に、今般のウクライナ情勢に対し、古川大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

古川国務大臣 ロシアによるウクライナ軍事侵攻は、重大な国際法違反でありまして、無辜を殺りくする重大な戦争犯罪であるというふうに言わざるを得ません。断じてこれを許すことはできないというふうに強く非難をするものであります。

 これまで、第一次世界大戦、第二次世界大戦という惨禍を経験する中で、国際社会は、不戦条約、国連憲章、あるいは国際人道法といった、戦争は違法であるという法理を一つ一つ着実に積み上げてまいりました。今回のロシアによる蛮行、非道は、この努力を真っ向から否定し、踏みにじるものであります。国際社会は、連帯をして、この人類の積み上げた努力を後退させることのないように結束をしなければならないと考えております。

石橋委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 今おっしゃった、人類が積み上げてきた努力というものを踏みにじってはいけない、その点に関しまして私も同感であります。今後も、大臣にも、内閣、政府の一員とされて、本当に毅然とした態度でロシアに立ち向かっていただきたいということもお願いを申し上げたいと思います。

 また、今般のウクライナからの避難民の方の受入れ等でありますけれども、重ねて、法務省として、避難民の受入れ及び支援体制の現状についてと、そしてまた、今後どのように進めていかれるおつもりか、御見解をお示しください。

古川国務大臣 政府では、官房長官をヘッドといたしまして、ウクライナ避難民対策連絡調整会議を設置をし、ここを司令塔として、政府一体となってウクライナ避難民の円滑な受入れと生活支援等を行っていくことといたしております。

 法務省では、これまでに、避難民の方々の在留資格についての柔軟な対応、それから、自治体や企業などからの支援申出を一元的に把握するための窓口の開設、そして、自治体が運営する相談窓口におけるウクライナ語通訳に係る支援などの取組を実施してきたところでございます。

 また、身元引受人のいない避難民の方々への一時滞在場所の提供や生活費の支給、医療費の支給、カウンセリング、日本語教育、就労支援など、受入れ後の各場面に応じた具体的な支援策を実施することといたしております。さらに、関係省庁と連携をして、自治体や企業、NGOなどによる支援とのマッチング等も進めていく方針であります。

 引き続き、政府全体として、避難民の方々にしっかりと寄り添った支援に努めてまいりたいと考えております。

石橋委員 御答弁ありがとうございました。

 先ほど来話もありますが、法の支配や自由、民主主義、そうしたものを私たちは大切にする国民であり、大切にしている国なんだということを、今の御答弁にもありましたけれども、言葉だけでなく、そうした態度で、形にして示していくことは本当に大切だろうというふうに思っております。

 私たち日本人が今このウクライナの方たちに寄せている思いというものを、是非、政府におかれましても、財政措置も含めて形にして、続けていっていただきたいということを心からお願いを申し上げる次第であります。

 それでは、改めまして、民事訴訟法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきたいと思います。

 本法律案でありますけれども、民事訴訟手続のIT化を大きく前進させる法律案であるというふうに理解をしております。

 そこで、まず初めに、今般の法改正に盛り込まれている内容、そしてその意義と目的につきお示しをいただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正法案は、民事訴訟手続等の一層の迅速化及び効率化等を図り、民事裁判を国民がより利用しやすくするために、民事訴訟手続の総合的な見直しを行うものでございます。

 具体的には、オンラインによる訴えの提起や、訴訟記録の電子化、ウェブ会議を活用した口頭弁論期日等を実現するための所要の規定の整備をしており、これによって、自宅や事務所からも訴えの提起等が可能となるなど、当事者の利便性が向上するとともに、訴訟手続の迅速化、効率化が図られ、社会全体のコストが低減するメリットがあると考えられます。

 そのほか、当事者の申出により一定の期間内に審理を終えて判決を行う手続の創設等の措置を講ずるとともに、犯罪被害者等の一層の保護を図るため、被害者の氏名等の情報を相手方に秘匿したまま民事訴訟手続を進めることができる制度を創設するなどとしております。

 改正法案により創設されたこれらの制度を適切に実施、運用することで、民事訴訟手続等が一層迅速化、効率化され、国民がより利用しやすいものになるものと認識しております。

石橋委員 ありがとうございます。

 この中で、私は、手数料の納付のことでちょっとお伺いをしてみたいことがありまして、手数料等の納付を原則ペイジーという決済方法での電子納付にしていくということでありますけれども、私が現場にまた詳しくないもので教えていただきたいんですけれども、このペイジーによる電子納付にすると、現状と比較をして、具体的にはどのように手続の負担軽減があるのかを教えていただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のペイジーによる納付でございますが、申告所得税ですとか法人税等、公金等の簡易迅速な決済手段として幅広く活用されておりますところ、その利点といたしましては、まず、裁判所に赴くことなく、インターネットバンキングや郵便局等のATMを利用していただいて、原則としていつでも納付することが可能となること、次に、裁判所から提示された納付番号等を入力いたしまして、口座振替又は現金振り込みを行うという簡便な方法であること、さらに、基本的には利用者が決済手数料を負担する必要がないことなどの利点がございまして、現行の収入印紙による納付と比較いたしますと、当事者の手続上の負担は大きく軽減すると考えております。

石橋委員 ありがとうございます。

 利便性の向上が今回の改正法案の一つの狙いというふうに思っておるんですけれども、今のお答えですと、ペイジーしか使えないということではありますが、例えば、私もふだん、クレジットカードであるとか、何とかペイのような、モバイル決済というんですか、そういうのを使っております。国民の利便性の向上ということでありますと、ペイジー以外の決済方法というものも使えるとより利便性は高くなるのかなと思うところでありますけれども、その点についての御検討はされているのでしょうか。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法制審議会におきましては、先ほど申し上げましたペイジーによる納付に加えまして、クレジットカードですとか、あるいは電子マネー等による納付の方法を導入することが当事者の利便性を高めるという観点から望ましいという御意見もございました。

 しかしながら、これらの方法を導入するには、例えば詐欺的請求の防止など、消費者保護のための仕組みの構築ですとか、あるいは、複数の納付方法を導入する場合におけるシステムの構築や運営費用の増大等といった課題も指摘されているところでございます。

 ペイジー以外の支払い方法を新たに導入することの是非につきましては、改正法施行後の運用状況を踏まえつつ、将来の課題として検討を進めていくべきものと考えておるところでございます。

石橋委員 分かりました。今後、またいろいろと社会情勢も変わってくる中で、様々な、その他の、ペイジー以外の決済方法も検討いただいてというふうに思うところであります。

 続きまして、ウェブ会議による手続についてお伺いをしたいと思います。

 私たちは、新型コロナウイルスの社会を経験する中で、以前よりもはるかに、こうしたオンラインでの会議や打合せというものに大分慣れてきたところであるというふうに思っています。

 こうして広く社会全体にウェブによる会議等が浸透した中での今般のこの改正というのは、時宜にかなったものではないかなというふうに思っておるところですが、ウェブ会議での手続を拡充していくことの重要性を法務省としてどのように認識をされているのか、また、本法案に盛り込まれている具体的な改正案についてお伺いをしたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 当事者は、ウェブ会議の方法を用いることにより、裁判所に出頭するための時間や場所の制約を受けることなく裁判所の手続の期日に参加することができ、当事者の利便性の向上に資すると考えられます。また、IT技術の進歩等により、ウェブ会議の方法を用いれば、当事者の現実の出頭を求めなくても当事者の主張等を的確に把握することが可能になったというふうに考えております。

 このように、ウェブ会議の方法を用いることによる当事者の利便性向上やIT技術の進歩等のウェブ会議を取り巻く環境を踏まえますと、ウェブ会議での手続を拡充していくことが重要であると認識しているところでございます。

 そのため、改正法案では、口頭弁論の期日にウェブ会議の方法で出席することができるようにすることや、当事者に異議がない場合にウェブ会議の方法で証人尋問をすることができるようにするなど、ウェブ会議の手続を拡充しているところでございます。

石橋委員 御回答ありがとうございました。

 おっしゃるとおりで、大変利便性が向上していくんだなと思うわけですけれども、先ほど、時間や場所の制限がないというふうにおっしゃいましたけれども、しかしながら、ウェブ会議というのはいつでも認められるというわけではなくて、改正案におけますと、裁判所が相当と認めるときにおいて、ウェブ会議で例えば口頭弁論が行えるというふうにしてあるというふうに理解をしておりまして、そこで、どのような場合に裁判所が相当と認めるのか、お答えをいただきたいと思います。

金子政府参考人 具体的にどのような場合に相当と認めるかにつきましては裁判所の判断に委ねられておりますが、裁判所は、個別の事件ごとに、事案の性質や、その期日において予定される手続の内容、当該当事者のウェブ会議を利用して手続に参加するための環境、現実に出頭することの容易性の程度、各当事者の希望等の諸事情を総合的に考慮してこの点の判断をすることになるものと考えられます。

 いずれにしましても、最終的には事案ごとの判断ではございますが、当事者の双方がウェブ会議の利用を希望しているケースや、現実に出頭することが容易でないケースなどでは、ウェブ会議の利用が認められるものと考えているところでございます。

石橋委員 総合的な判断ということでありますので、こちら側として、すぐに認めていただけるのかどうか分からないところではありますけれども、ウェブ会議の実施というのは利便性が大きく向上されていくものだと思うので、私としては是非積極的に活用していただきたいというふうに思うところであります。

 その中で、ウェブ会議を実施する際に、どうしても、本人確認がきちんとできているのかというところは大変気になるところであります。現在も既にウェブ会議は一部の審理で使われていると聞いておりますけれども、現状の本人確認の方法、それから、その方法でこれまで問題等がなかったのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 現在は、地方裁判所の本庁全てで争点整理手続においてウェブ会議を用いた手続が行われておりますけれども、これらは基本的には弁護士が訴訟代理人に就いている場合に利用されているものでございまして、本人確認につきましても、現状はそれを前提に適切に行われているものと承知しております。

 そのような中で、これまでの段階では、ウェブ会議に参加している方の本人性をめぐって問題が生じたという事例は承知しておりません。

 本法案が成立しまして施行されますと、ウェブ会議を用いて実施可能な手続が拡大することになりまして、弁護士以外の一般の方がウェブ会議を利用する場面、局面も増えることになると考えられます。

 ウェブ会議に参加している当事者等が本人であることを確認する方法につきましては、各裁判官がそれぞれの事件に応じた適切な方法で行うことになると考えられますので一概には申し上げにくいところですけれども、例えば、ウェブ会議の画面上で、写真つきの身分証明書と顔を照合するなどの方法で本人確認を行うといったことが考えられるところでございます。

石橋委員 カメラ上で写真つきの身分証明書と本人さんの顔を照らし合わせるという方法で今までは問題なかったということでありますけれども、先ほども申し上げましたとおり、オンラインに逆に私たちの方が慣れてきているということは、その分、うがったことはいけませんけれども、もしかして何か不正が起こり得るのかなというような気もしておりますので、そうした本人確認の手続というのは厳に進めていただきたいと思うところであります。

 時間がもう迫っておりますので、最後に一点だけ聞かせてください。傍聴についてであります。

 今回、ウェブでの裁判が多く実施されるようになると、技術的にはネット上での傍聴ということも可能になってくるのだろうというふうに思っています。しかしながら、プライバシーを保護するような観点からも、ネット上での傍聴というものは私は少し慎重にするべきではないかなというふうに思うわけでありますけども、その点についての今後の見通しというか方向性を教えていただきたいと思います。

金子政府参考人 お答えいたします。

 現行法の下では、口頭弁論の公開の要請は現実の法廷を公開することによって確保されております。改正法案におきましてもこの点についての見直しはしておりません。

 そのため、ウェブ会議により口頭弁論が行われる場合でも、口頭弁論の公開は裁判官が所在する法廷を公開して行われ、傍聴人は現実の法廷で傍聴することができることに変わりはないということになります。ウェブ会議により口頭弁論の期日に参加するというような場合は、その当事者の様子をモニターを通じて視聴するということができるようにすることを想定しているところでございます。

石橋委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 まず冒頭、ロシアによるウクライナ侵略について断固抗議をしたいと思います。そしてまた、無辜の人々を無差別で殺りくする、国際人道法違反であり、許されない行為であると思います。

 また、法務省におきましても、ウクライナの避難民の方が日本に来られています。万全の体制でしっかり対応していただきたいと思っております。

 それでは、民事訴訟法改正案についてお伺いをさせていただきます。

 今回のこの法案について、訴状等のオンライン提出を一律に可能にし、裁判所からの送達をオンラインによって行うことができる、弁護士、司法書士等についてはオンライン提出等を義務化する、これが一つ。そしてまた、口頭弁論にウェブ参加が可能な期日を拡充し、要件を緩和するということ。そしてまた、判決書や期日調書、訴訟記録を電子化し、当事者等はインターネットで裁判所のサーバーにアクセスして閲覧、ダウンロードすることができることになったということで、自宅等から訴え提起等の申立てができる。期日への現実の出頭に要した物理的な移動に制約がなくなり、期日も入りやすくなる等々、利便性が高まっているということでございます。

 そしてまた、この法案では、DV被害者や性犯罪被害者等の住所、氏名等の秘匿制度が創設され、また、離婚訴訟、調停での和解、調停の成立をウェブ会議で可能とするということで、これも利便性を極めて高めることになっています。

 今回の法案で、やはり裁判を受ける権利の保障の観点から、オンラインの申立て等が義務化されるのは弁護士や司法書士といった訴訟代理人に限られますが、将来的には全ての当事者等がオンライン申立て等を行ってもらい、裁判手続の迅速化や効率化が図られ、裁判利用者が利便性を享受し、裁判手続へのアクセスが向上することを目指すべきだと考えますが、その点どうなのか、そしてまたそのための環境整備について、法務大臣にお伺いします。

古川国務大臣 本法律案では、弁護士等については裁判所に対する申立てをインターネットを用いて行うよう義務づける一方、弁護士等以外の者についてもインターネットを用いて行うことができるようにしております。

 裁判所に対する申立てがインターネットを用いてされることになれば、これによって自宅や事務所からの申立てが可能となるなど、当事者の利便性が向上し、また、訴訟手続の迅速化、効率化が図られ、社会全体のコストが低減するメリットがあるというふうに考えられます。そのような観点からは、弁護士等以外の者においても広くインターネットを用いて裁判所に対する申立てが行われるようになることが望ましいと考えます。

 法務省としても、インターネットによる申立てが広く行われるよう、関係機関等と連携して必要な環境整備に努めてまいりたいと存じます。

大口委員 令和二年の司法統計によれば、地方裁判所は約五五・五%、簡易裁判所では約九三・三五%、かなりの高い割合で、双方又は一方が本人による訴訟が行われている状況にあります。

 本人訴訟を選択する方にも、オンライン申立て等を活用することでIT化の利便性を享受してもらうことが必要であり、本人訴訟へのサポート体制を構築することが極めて重要だと考えております。

 令和二年三月に、民事司法制度改革推進に関する関係府省庁連絡会議の取りまとめにおいて、「民事司法制度改革の推進について」では、民事裁判手続等のIT化に当たって必要な社会的基盤の整備として、民事裁判手続の利用者の望むサポートは、単なる書面の電子化等のITリテラシー支援、形式的サポートにとどまらず、個別具体的な事案についてどのように民事訴訟を追行するかという点に関する法的助言を含めたサポート、実質的サポートである場合が多いとしているところでございます。

 そこで、この本人訴訟でオンライン申立て等を選択してもらうために、まず最高裁が、簡易かつ分かりやすいシステム、障害者の方々にも配慮した仕組み、UI、UXに優れたシステムを構築し、技術の進歩に合わせ絶えず改善していくべきと考えますが、利用者、障害者の方々の意見を聞く機会を設けたり先進的な諸外国のシステムを研究するなど、システムの構築に当たってどのように今取り組んでいるかお伺いしたい。また、裁判所にパソコンやスキャナー等のIT機器を設置し、裁判所の中立に反しない範囲での操作補助等の無料サポートが考えられますが、最高裁の御所見をお伺いします。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、システムの構築についてのお尋ねですけれども、裁判所としましても、IT機器に習熟していない当事者本人の方々のサポートは重要であると考えておりまして、御指摘のように、一般の方々にも利用しやすいものとなるよう、簡易かつ分かりやすいシステムの構築に努めたいと考えております。

 例えばですけれども、今般の民事訴訟法改正に先行しまして、裁判書類の一部の電子提出を一部実現するために、民事裁判書類電子提出システムというものを開発したところでございます。このシステムでは、電子データのアップロード等の操作を直感的に行うことができるよう、画面や操作方法が非常にシンプルなものになるように設計したところでございます。また、障害のある方への配慮という点では、同システムにアップロードされたファイルの内容は、音声読み上げ機能を用いることで視覚障害のある方にも認識していただくことも可能となっております。

 こうした現在までの対応に加えまして、今委員からも御指摘をいただきましたので、そうしたことも踏まえまして、よりよいシステムの構築に努めてまいりたいというふうに考えております。

 それから、裁判所内におけるサポートについてのお尋ねですけれども、裁判所としましても、御本人が自ら書面を電子化することができるよう、裁判所内にパソコンやスキャナー等のIT機器を設置するなど、必要な環境整備に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

 御指摘のとおり、裁判所の中立性に反しない範囲に限られるという限界もございますけれども、その範囲内で機器の操作の補助等、これは無償で行うことを想定をしておりますが、こうした対応についても適切に行ってまいりたいと考えております。

大口委員 次に、法務省にお伺いします。

 法テラスにおいて、本人訴訟サポートとして裁判所のシステムにアクセス可能な機器を設置すべきじゃないか。

 また、今回の法改正で法テラスによる民事法律扶助の書類作成援助に電磁的記録作成援助も加わることになりますが、これらの拡充をするために、その前提となる、書類作成に関する相談、電磁的記録の作成に関する相談を法テラスの業務に含めることについて検討すべきと考えますが、どうか。

 またさらに、身近な地方自治体等による本人サポートについてどう考えるかもお伺いします。

竹内政府参考人 まず、御質問のうち、法テラスにおける本人サポートについてお答えいたします。

 法テラスにおきましては、本人サポートの一環として、特定の拠点に裁判所のシステムにアクセス可能な機器を設置して利用者に提供するということを検討しているものと承知をしております。

 その設置場所ですとか台数、あるいは具体的な活用方法等につきましては、IT化の範囲や導入されるシステム等の具体的な内容ですとか人員配置の見込みなどを踏まえて引き続き検討していくものと考えております。

 また、委員御指摘の書類作成援助等につきましてですが、法テラスにおきましては、司法書士による書類作成援助の積極的な活用に向けた取組といたしまして、書類作成援助の利用が適していると考えられる事案につきましては、利用者に対して書類作成援助による利点等を説明するなどして利用を促しているところでございます。

 また、一部の地方事務所におきましては、法テラスが実施する法律相談として、司法書士のみによる法律相談枠を設けるなどの取組も実施しているところでございます。

 このような書類作成援助、あるいはこの度設けられます電磁的記録作成援助とは別に、これらに関する相談を新たに民事法律扶助の対象とすることにつきましては、総合法律支援法の改正が必要となってまいりますところ、その際には、先ほど申し上げましたような司法書士による書類作成援助等を促進するための法テラスの取組状況を検証しつつ、様々な観点から民事法律扶助の対象とすべき必要性等につきまして検討していくことが必要と考えております。

 その際、今般の民事裁判のIT化によりまして、訴訟手続や本人訴訟における本人の負担等が変化するなどの新たな事情がありますので、そのようなことも考慮して、引き続き検討してまいりたいと考えております。

金子政府参考人 地方自治体等による本人サポートについてもお尋ねでしたので、補足させていただきます。

 地方自治体による本人サポートにつきましては、行政機関である地方自治体等の実情や、地方自治体が私人である当事者の裁判所への申立てについてどのような関与の在り方が考えられるかといった点も踏まえながら検討されるべき事柄であると認識しております。

 いずれにしましても、法務省としては、環境整備として、まずは、本法律案の内容や意義につき、国民一般や関係機関等に対しても広く周知をする必要があると認識しておりまして、地方自治体に対する情報発信の在り方についても併せて検討してまいりたいと考えております。

大口委員 次に、当事者本人の意向を尊重し、弁護士、司法書士が訴訟代理人として受任していないものの、本人によるアカウント取得の補助や、システムへの書面アップロード、受領等の補助、代行の形式的サポートに限らず、自己の主張が認められるための法的助言その他を組み合わせた包括的なサポートを弁護士、司法書士に担ってもらうことが重要だと考えています。

 さらに、関係機関等及び日本弁護士連合会、日本司法書士連合会等と連携して、そのような弁護士、司法書士等に支援を受けられる環境整備をする必要があると考えますが、どうか。

 また、関係機関等及び日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会等と連携して、制度の広報はもちろんのこと、それに加えて本人サポートの様々な取組について広く周知し、本人サポートへのアクセス数を向上させる必要があると考えます。参考人質疑で山本参考人からも、国に必要な支援、資金面の援助等も求めたいという発言もございました。

 これらの点について、法務大臣の御所見をお伺いします。

古川国務大臣 御指摘のとおり、国民の司法アクセスの向上の観点からは、弁護士や司法書士が訴訟代理人とならない場合であっても、こうした専門家によるサポートの在り方を検討する必要がございます。

 具体的には、本人が弁護士や司法書士を通じて書面の電子化等のIT支援と法的助言とを組み合わせた総合的なサポートを受けることができる機会を確保することが重要だと考えております。

 現在、日本弁護士連合会や日本司法書士会連合会におきまして、サポート体制の整備などの取組を検討されているということを承知しております。

 また、法テラスにおいて、こうしたサポート体制や支援窓口等に関する情報を提供することや、法律相談の際に、法的助言に加え、必要に応じ書面の電子化等に関する助言も行うなどを検討しているというふうに承知をいたしております。

 いずれにしましても、法務省としては、このような関係機関や関係団体と連携をし、本法律案の改正内容やこれらの取組の周知に努めるなど、必要な環境整備に努めてまいりたいと存じます。

大口委員 しっかりそこをつなげていくといいますか、弁護士、司法書士のサポートにつなげていくことをよろしくお願いしたいと思います。

 次に、ウェブ会議の運用について、第三者の不当な影響についてどう排除していくかということが論点としてあります。

 裁判所において口頭弁論を行う場合と違い、ウェブ会議においては、画面の範囲内でしか参加している相手方の状況を把握することができない。そうすると、例えば、被告の範囲に第三者が存在していたとしても、それを裁判所が把握することが困難であるという場合がある。現在もウェブ会議を利用した争点整理手続が実施されていますが、その際の実務なども踏まえ、第三者からの不当な影響を排除する方策について、最高裁に問います。

 また、そのような事態が特に問題となるのが証人尋問の場合でありまして、この改正案では、ウェブ会議を利用した証人尋問については、出頭困難な場合や当事者に異議がない場合などで、裁判所が相当と認めるときに行うことができるとしています。証人が第三者による不当な影響を受けないようにするための対策として、証人の所在場所の要件についても、どのように定めるのか、最高裁に伺います。

門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、現在実施しておりますウェブ会議による争点整理手続において、どのように第三者による不当な影響を排除しているのかについてのお尋ねがございました。

 現在の運用としましては、ウェブ会議の冒頭で、ウェブ会議に参加している者が当該事件の当事者であること及び同席者について確認をしまして、場合によっては、カメラを動かして室内を撮影するよう指示するなどしまして、裁判所が傍聴を許可していない第三者がウェブ会議に不当に関与していないことを確認しておるという状況でございます。

 また、法律上、ウェブ会議を行うのは裁判所が相当と認めたときでございますので、第三者による不当な関与のおそれがあるような場合には、そもそも、ウェブ会議の利用が相当でないとして、現実の出頭による手続が行われるものと認識しております。

 本法案が成立し、施行されますと、ウェブ会議の方法が利用できる場面が広がりますけれども、このような方法も参考にするなどして、第三者による不当な関与が生じないよう適切な運営に努めてまいりたいと考えております。

 それから、ウェブ会議等により証人尋問を行う場合における証人の所在場所の要件についてお尋ねをいただきました。

 本法案では具体的な要件は設けられなかったものの、法制審議会の答申におきましては、証人の所在場所を裁判所に限定しております現在の最高裁判所規則を見直して、部会における議論を踏まえた要件を定めることとされたものと承知しております。

 その上で、民事訴訟法(IT化関係)部会におきましては、当事者やその代理人の在席する場所でないことや、証人の陳述の内容に不当な影響を与えるおそれがあると認める者の在席する場所でないことといった要件が議論されていたものと承知しております。

 どのような内容の最高裁判所規則を定めるかにつきましては、本法案が成立した場合に、成立した法律の内容を踏まえて検討を進めるべき事柄であると考えておりますけれども、先ほど申し上げた部会における議論内容も踏まえつつ、適切に検討を進めてまいりたいと考えております。

大口委員 次に、法定審理期間訴訟手続についてお伺いします。

 これにつきましては、現行の民事訴訟法では審理期間を定めた制度がない、当事者において審理終結、判決の時期の見込みが立たないことが裁判の利用をちゅうちょする一要因であると指摘されている、選択肢を提供するということで創設されたということでありますが、そもそも立法事実があるのか、審理期間を法定しなくても、早期に終わるべき事件は早期に終わるのではないか、また、審理期間が限定されるため、事実上、主張や証拠が制限されてしまい、不十分な、審理がなされないのではないかとの慎重な意見もあります。

 この制度を創設する理由と種々の懸念に対する制度対応について、法務大臣にお伺いします。

古川国務大臣 現行法には民事訴訟手続の審理期間や判決までの期間に一定の期限を設ける規定はなく、当事者において裁判所の判決がされるまでの期間を予測することは困難であり、それが訴訟による紛争の解決をちゅうちょさせる要因となっているとの指摘がございます。

 そこで、当事者の審理期間や判決の時期に関する予測可能性を高めるため、一定の要件の下で、その手続の開始から五か月以内に争点の整理等を終え、六か月以内に口頭弁論を終結し、七か月以内に判決の言渡しをする制度を設けることとしております。

 もっとも、審理期間が法定されることにより訴訟の当事者に不当な弊害が生じないようにするため、当事者双方がその利用を希望している場合に限りこの手続を開始することとしております。また、一旦この手続が開始された後も、判決後であっても、当事者の一方は、相手方の同意を要することなく、通常の手続での審理を求めることができることとしております。

 さらに、事案によっては、法定の期間内に必要な主張や証拠の提出がされておらず、訴訟が裁判をするのに熟していないとの判断がされることもあり得なくはありませんが、そのときは、裁判所は、通常の手続により審理及び裁判をする旨の決定をすることができるものとされております。

 このように、この手続におきましては、御指摘のような問題が生じないよう、制度的に様々な配慮をしているところでございまして、御懸念には及ばないものと考えております。

大口委員 質問時間が終了しましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

鈴木委員長 次回は、来る十五日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.