衆議院

メインへスキップ



第3号 令和5年3月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 谷川 とむ君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    岩田 和親君

      奥野 信亮君    加藤 竜祥君

      熊田 裕通君    小森 卓郎君

      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君

      高見 康裕君    鳩山 二郎君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      古川 直季君    山下 貴司君

      階   猛君    鈴木 庸介君

      中川 正春君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    漆間 譲司君

      金城 泰邦君    日下 正喜君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         齋藤  健君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局行政局長            門田 友昌君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         役田  平君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省訟務局長)    春名  茂君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     小森 卓郎君

  鳩山 二郎君     古川 直季君

  中川 正春君     階   猛君

  日下 正喜君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     岩田 和親君

  古川 直季君     鳩山 二郎君

  階   猛君     中川 正春君

  金城 泰邦君     日下 正喜君

    ―――――――――――――

三月十日

 再審法改正(刑事訴訟法の一部改正)を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二〇九号)

 選択的夫婦別姓の導入など、一日も早い民法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二一四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二一五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二一七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二一八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二一九号)

 国籍選択制度の廃止に関する請願(西村智奈美君紹介)(第二四二号)

 同(小川淳也君紹介)(第二五一号)

 同(柚木道義君紹介)(第二五二号)

 同(荒井優君紹介)(第二六八号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(西村智奈美君紹介)(第二四三号)

 同(小川淳也君紹介)(第二五三号)

 同(柚木道義君紹介)(第二五四号)

 同(荒井優君紹介)(第二六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局次長役田平君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君及び法務省訟務局長春名茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君、人事局長徳岡治君及び行政局長門田友昌君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。深澤陽一君。

深澤委員 おはようございます。自由民主党の深澤陽一です。

 本日、質問の機会をいただきました理事の皆様、心から感謝を申し上げます。

 それでは、早速でありますが、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 今回の法改正についての参考資料を拝見させていただきました。平成十三年に、最高裁判所は、裁判の迅速化、専門化への対応ということで、地方裁判所の民事訴訟について、裁判官の手持ち件数を減らすこと、合議率を約五%から一〇%程度まで増やすこと、審理時間を一年以内に短縮させることを目標に設定され、その目標の達成のためには十年間程度で約五百人の増員が必要であるという考えを示され、それに基づく増員が行われてきたものと承知をいたしました。

 そして、十年を経過した後も、社会情勢の変化、国民意識の高まり等を背景に民事訴訟事件は複雑化、困難化し、平成十三年当時は予想していなかった問題が多くなってきたため、特に判事を中心に更なる増員が行われてきたと承知をいたしました。

 そして、今回の法案は、昨年もそうでありますが、成年後見関係事件の一部の事件を除いては増加に歯止めがかかり落ち着いてきているという状況を鑑み、政府からの協力要請も受けまして、判事補の定員数及び裁判官以外の職員数を減らそうというものであると理解をしております。

 今お話しいたしましたように、社会情勢に応じて増やして減らしてきたというのが、その時々の判断ということはよく分かりましたが、冒頭述べました、最高裁判所が目標として設定していた、例えば一人当たりの手持ち数、合議率、審理時間は、それぞれ数字の上では平成十三年当時から目標に近づいてはおりません。このことについてどのように受け止めているのか、その点についてお伺いしたいというふうに思います。

 まずは、そもそも、数字だけを見ると裁判官の増員が必要な状況とも見て取れますが、裁判官を増員しないで事件処理に支障は生じない状況なのか、お答えをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員から御指摘をいただきましたうち、審理期間につきましては、令和三年の民事訴訟事件の平均審理期間は十・五月ということになっております。審理期間が二年を超えて係属する事件は依然として約一万三千五百件に及んでいるところでございます。

 また、合議率についても御指摘がございましたが、従前から一〇%を目標に取り組んできたところでございますが、令和三年の合議率は五・五%、行政事件を含めた訴訟事件全体の合議率として見ますと七%というようなことになっております。

 御指摘のように、目標は達成されておらず、一層の運営改善の努力が必要であるというふうに認識しているところでございます。

 裁判所は、これまで事件動向等を踏まえまして着実に裁判官を増員してきたところであり、司法制度改革以降の平成十四年から令和二年度までの間に、合計で約八百三十人の増員をしてきたところでございます。

 これまでの増員の結果、平成十三年に掲げた目標の達成には至っていないところではございますが、中長期的に見てみますと、例えば、専門訴訟の審理期間が短縮したりとか、あるいは民事訴訟事件の合議率の上昇、成年後見関係事件における後見人による不正件数の減少といったような効果が出てきたところでございます。

 また、近年の事件動向につきましても、成年後見関係事件などの一部の事件を除きまして増加に歯止めがかかり、落ち着きが見られるようになってきているところでございますので、令和五年度につきましては、これまでの増員分を活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと考えており、昨年度に引き続き、判事の増員を求めずとも事件処理に支障は生じないものというふうに認識しております。

深澤委員 御答弁ありがとうございました。数字は、平成十三年当時の目標は達成していないけれども、様々効果は出ているということだというふうに思います。

 後ほどまた意見をまとめて言いますけれども、引き続いて、もう一点お伺いしたいと思います。

 平成十三年当時に最高裁が設定された目標についてでありますが、改めて、それに基づいて増員を図られてきた背景があったということであります。その後、社会情勢が大きく変わり、また、裁判官の現状を踏まえると、定員数の増減と裁判官一人当たりの事件の手持ち数の減少や合議率の上昇というものが必ずしも目標として結びつかない状況になっている点については、一定理解できるところはあります。

 一方、現在は、適正かつ迅速ということをいわゆる目標として定員の増減を決めておられるんだというふうにまた認識をしているんですけれども、審理時間の短縮は、継続して重要な目標となっていると思います。この審理時間の短縮についてどのような取組をされているのか、お伺いしたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、充実した審理を行うことにより審理期間が短縮されていくものというふうに認識しております。そのためには、審理の運用手法を改善していくことが重要であるというふうに考えております。

 審理の運用手法の改善に向けまして、複雑困難な事件につきましては、合議体による審理を活用することにより適正かつ迅速な処理が可能になると考えられますところ、複雑困難事件等の合議体で審理すべき事件を適切に合議に付して、訴訟関係人の理解と協力を得つつ、争点中心型審理の実践に努めるとともに、裁判官が適切な訴訟指揮権を行使して終期を見通した計画的な審理を実践できるよう、争点整理や合議の充実、活用について各種協議会等を通じまして議論を重ねているところでございます。

 また、裁判の迅速化に関する法律に基づきまして、外部有識者による検証検討会における意見等も踏まえながら、制度面、運用面を含めた多角的な検討を進めていきたいというふうに考えております。

深澤委員 ありがとうございます。

 今、それぞれ、二問質問して、それを御答弁いただきましたけれども、現時点で、定員の増減と目標というものが必ずしも、昔とは、平成十三年当時とは違うということでありますが、ただ、やはり合議率の部分に関しては少なくとも大変重要なことだというふうに答弁では感じましたので、また、そこの数字自体と定員について、やはりどう関連させて考えるのかということは非常に重要なことだと今後も思いますので、その点はしっかりと受け止めていただきたいと思っております。

 また、今回の定員法についての質問に関しましては、適正かつ迅速ということが今後も大きな柱なんだろうというふうに自分なりに理解をしております。

 一方で、最高裁判所として、裁判官の確保のために、またさらに、男女ともワーク・ライフ・バランスを強く意識した取組をしていたり、転勤がつきものの職業ですから、配偶者との関係とか子育て事情などが配慮が必要な方には、ある程度経験を積まれた方には一定のエリアで勤務できるようにもう既に配慮されたりと、必ずしも裁判の質だけではない取組を今現在されているというふうに理解をしております。

 そのようなことを考えますと、やはり一人当たりの手持ち数などというのは、現在、指標から少し外れているといいますか、意識していないということでありますが、今後、裁判官一人一人の意見を把握して、是非、今後そういったものに、定員数の反映にも、意識することが必要ではないかというふうに推察いたしますので、今後、質、量共に満たされる法案にしていただけることを、来年以降もあると思いますので、期待をしたいと思います。

 続きまして、冒頭でお話をいたしましたように、平成十三年当時は十年間で五百人程度の裁判官の増員が必要と予想されておりましたが、社会情勢が大きく変わってしまったために十年以降も更なる増員が図られてこられたのだというふうに思います。

 そして最近は、事件数は減ってまいりましたが、複雑困難な事件は減少傾向にはないものと先ほどの答弁でもございました。合議率の向上も含め、審理時間の短縮のためには、この複雑困難な事件への対応の改善が必要であるというふうに思われます。

 複雑困難な事件の中身としましては、高度な専門性を有する産業に関連した事件や国際化の事件等があると思いますが、裁判所としてそのような事件に対応するためにどのような取組をされているのか、改めて伺いたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員御指摘の点につきましては、例えば、特許権事件等の知的財産権関係訴訟、医療関係訴訟、建築関係訴訟等の専門的知見を要する民事訴訟につきましては、一部の大規模庁にこれらを専門的、集中的に処理する部を設けておりますほか、特に知的財産権関係訴訟につきましては、知的財産高等裁判所を設置するなど、それぞれの分野における知識経験が豊富な裁判官による審理を実施するための体制を整備しているところでございます。

 このほか、知的財産権関係訴訟など専門性の高い事件におきましては、各分野の専門家を裁判所調査官や専門委員といった形で事件に関与させ、専門的な知見を要する事件にも対応しております。

 さらに、国際化への対応という観点では、毎年、多数の裁判官を海外の大学や研究機関等に派遣をいたしまして、海外の司法制度や裁判実務の状況等について調査研究を行わせているほか、知的財産権に関する国際会議、シンポジウム等に裁判官を派遣するなどしております。

 裁判所といたしましては、以上のような取組を今後も継続していくことにより、高度な専門性を有する産業技術の高度化、国際化の事件が増加した場合にも適切に対応していくことができるものというふうに考えております。

深澤委員 御答弁ありがとうございました。様々な人材を育成という意味で更なる期待をしていきたいというふうに思います。

 いわゆる高度な専門性を有する事件、複雑困難な事件に関しては、先ほど合議率という話も出しましたけれども、合議率について、先ほども、ちょっと全体的に包括して意見を申し上げますけれども、やはり、三人で合議をすることによって事件の真相をしっかりとつかむ、スピーディーにつかむということができているということなんですけれども、一方で、本当に単純な話ですけれども、物理的に三人のスケジュールを合わせるのが難しいということで延びている、プラスマイナスで延びているというようなこともありますので、今回、定員法のことに絡めますと、やはりそこの点は、今後、定員について増やす、減らすというところでは、必ずしも今足りているということではないのかなというふうにも推察されますので、うまくこの数字を活用して、指標を活用して、裁判の質、量とも満たしていただきたいというふうに思っております。

 それでは、最後の質問ですけれども、複雑困難な事件への対応に関しましては、高度な専門知識を持った人材の確保が大変重要だというふうに思います。他方で、そういった人材を輩出する法科大学院の志望者数は、設立当初より大幅に減少してきている。おとといの大臣所信に対する質疑で我が党の牧原秀樹衆議院議員が、もう既に司法志望者の減少というところについては触れられました。

 そこで質問ですけれども、司法志望者の回復に向けて早急な対応が必要だというふうに思われますが、取り組んでおられることについてお答えいただきたいというふうに思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 質の高い法曹人材を輩出するためには、より多くの有為な人材が法曹を志望するような環境整備を図ることが喫緊の課題だと認識をしております。

 法科大学院教育の充実や、法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減を目的といたします、いわゆる法曹養成制度改革法が令和四年十月に全面施行されたところでございまして、本年の司法試験からは、新たに法科大学院在学中の者にも一定の場合に司法試験の受験資格が付与され、また、法学部三年と法科大学院二年のルート、いわゆる3+2の制度でございますが、でこの受験資格を得た者の受験も始まるところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き関係機関等とも連携をしながら、この3+2の制度の更なる周知等に努め、より多くの有為な人材が法曹を志望する環境づくりに向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

深澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属の鈴木庸介です。よろしくお願い申し上げます。

 まず、この質疑をする上で知見を頂戴いたしました明治大学の西川伸一教授と、あと、地方裁判所の現職の裁判補の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 最高裁に伺います。

 最高裁判所の予算は、三権分立と言われておりますけれども、国家予算の約〇・三%から〇・四%。全国の弁護士会からも裁判所の予算を増やすようにと多くの声が上がっておりますけれども、なぜこんなに最高裁の予算というのは少ないんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所の予算について今御質問をいただいたところでございます。

 私どもとしては、裁判所の人的、物的体制を確保するべく必要な予算をいただいている、要求をして、いただいているというふうに認識しているところでございます。

 引き続き、適正迅速な審理の実現に向けまして、体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 今回の法案について思うのは、構造的な問題が全て先送りにされてきた結果、裁判官補の増員が必要にもかかわらず、全くその補充ができていないという厳しい現実が今後も続いていくだろうという認識です。毎年毎年、コピー・アンド・ペーストだろうかという附帯決議がついているんですけれども、それだけ毎年問題が解決されていないということの証左でもあると考えております。

 そんな中で、二〇二三年の判事補任官は僅か七十六人。十年後には単純計算で七百六十人ということで、定員との大幅な乖離が更に進んでいくという現状がこの先ある中で、複雑困難事件、合議など、人数を増やさなくてはいけない局面で一方的に減り続ける見通しとなっております。今後どうするつもりなのかというところを今日はお伺いさせていただきたいと思います。

 まずは、先ほどコピー・アンド・ペーストと言った附帯決議について、幾つか教えてください。

 去年もおととしもその前も、審理期間が長期化している近年の状況を検証し、審理の運用手法、制度の改善等に取り組む、また、産業の高度化や国際化に対応できるよう裁判官の能力及び職責の自覚の一層の向上に努めるとありますけれども、これは、具体的にはどういった取組をされていますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 審理期間が長期化している近年の状況の検証につきましては、裁判の迅速化に関する法律第八条第一項に定められました裁判の迅速化に係る検証として、公正で適正な手続、充実した審理を行いながら、裁判をより迅速に進めるため、事件類型別の統計の分析等により長期化要因を考察するとともに、地方裁判所及び単位弁護士会に対する実情調査により審理の現状と課題を把握するなどしております。その上で、学識経験者や弁護士等により構成されている検討会を設けまして、その御意見を踏まえて、その検証結果を二年ごとに報告書にまとめるなどしておるところでございます。

 また、審理の運用手法等の改善や裁判官の能力の向上等への取組につきましては、争点整理の在り方や合議の充実、活用について各種協議会等を通じて議論を重ねておりますほか、産業の高度化や国際化への対応という点では、専門的知見その他必要な知識、技法の習得及び力量の向上のため、裁判官を対象とする研究会を実施するなどしております。例えば、金融経済分野の研究会におきましては、大学教授や企業の法務担当者を講師として、企業活動に関する法的問題について講演や意見交換を行っているところでございます。

鈴木(庸)委員 なかなか達成の数値化も難しいところだと思うんですけれども、もう一点伺わせてください。

 同じく、現在の法曹養成制度の下で法曹志望者の数について顕著な改善傾向が見られないことを踏まえ、そのことが法曹の質や判事補任官者数に及ぼす影響につき引き続き必要な分析を行い、そして国会に示すとあるんですが、この必要な分析というのは一体どういった分析で、それについてはどういった評価をされていらっしゃいますでしょうか。

高見大臣政務官 お答えをいたします。

 鈴木委員から御指摘をいただきましたこれまでの附帯決議を踏まえまして、法務省では法曹の質に関する検証を行い、令和四年三月にその結果を公表したところであります。

 この検証は、法的支援等が必要とされる主要な各分野、具体的に申し上げれば民事訴訟、法律相談、企業法務、児童福祉、高齢者福祉、教育行政、こうした六分野につきまして、法曹の資質、能力や活動状況について利用者等からの評価を中心に調査し、分析をしたものです。いわば満足度評価のようなものだとお考えいただけたらと思います。

 その結果、いずれの分野におきましても、若手法曹一般とそれ以外の法曹との間で、法曹としての資質、能力やその活動の内容に対する利用者等の評価に顕著な差は認められなかったものであります。

 ただ、法務省では、先般の検証に対する様々な御指摘、御意見も踏まえながら、参考となる視点、また調査の方法につきまして、更なる検討を進めているところであります。

 今後も、必要なデータ集積、検証を行うとともに、法曹の魅力等の情報発信を積極的に行うなどして、より多くの有為な人材が法曹を志望し、質の高い法曹を輩出することができるように必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 質の高い法曹の確保には全力で取り組んでいただければと思います。

 なかなか大変なところがある一方で、うまくいっているところもあると思うんですね。まず伺いたいのは、訟務分野において国の指定代理人として活躍する裁判官出身の検事の数を縮小する、昨日、牧原筆頭理事からも質問がありましたけれども、これについての具体的な経過を教えていただけますでしょうか。

春名政府参考人 お答えいたします。

 国の指定代理人として活動する裁判官出身者の数及びその割合につきましては、平成二十二年四月時点で五十五名、五七・九%であったところ、令和四年四月時点では四十一名、三三・六%でございまして、必要な取組を進めてきたところでございます。

鈴木(庸)委員 三三%ということで、順調にいっているのかとも思いますけれども。

 もう一点、裁判官以外の裁判所職員の労働時間をどうやって把握しているのか、現状を教えていただければと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官以外の裁判所職員の超過勤務につきましては、職員が事前に管理職員に申告して、管理職員が超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断し、実際の超過勤務の状況を現認することを基本として、また、管理職員が不在となる場合は、執務室の鍵の授受簿による確認や事前申告の内容を踏まえて事後に実績を確認するなどの方法によりまして、その適切な把握に努めているところでございます。

 これに加えまして、最高裁では、勤務時間管理をより一層充実させるため、令和四年四月から、業務端末の使用時間を記録し、これを超過勤務把握の資料とする運用も開始したところでございます。

 ちなみに、令和三年度における、行(一)六級以下の職員等の一人当たりの一月の平均超過勤務時間は、下級裁判所全体で五時間程度、最高裁判所で十六時間程度となっております。

鈴木(庸)委員 裁判官の方は別としても、職員の方の労働は通常の勤務の範囲内だということなんですけれども。

 あと、裁判官をずっと増員してきたんですけれども、ここも審理時間の短縮といった分野で一定の成果があったということで伺っているんですけれども、そこについて御説明いただけますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所は、これまでも事件動向等を踏まえまして着実に裁判官を増員してきております。司法制度改革以降、平成十四年から令和二年までの間に、合計で約八百三十人の増員をしてまいりました。この中で、中長期的に見れば、専門訴訟の審理期間の短縮、成年後見関係事件における後見人による不正件数の減少といった効果が出ております。

 具体的に申し上げますと、専門訴訟事件の審理期間につきましては、平成十二年と令和三年を比較いたしますと、例えば、医事関係訴訟の平均審理期間は、平成十二年が三十五・六月でございましたが、令和三年は二十七・五月というふうに約八か月短縮しております。また、知財関係訴訟の平均審理期間につきましては、平成十二年が二十一・六月でありましたところ、令和三年は十六・二月というふうに約五か月短縮しているところでございます。

 一方で、社会経済情勢の変化等を背景といたしまして、民事訴訟事件の複雑困難化等の要因もございまして、近年、民事訴訟の第一審の平均審理期間が長期化しているというような状況も見られるところでございます。

 裁判所といたしましては、審理の運用手段の改善等に向けまして議論を進めているところでございます。今後も、これまでの増員分を生かしつつ、審理運営の改善を通じて迅速な裁判の実現に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 この八か月短縮というのがすばらしいものなのかどうかということを一概に評価する知見は持ち合わせていないんですけれども、少なくとも時間が短縮されたという事実については評価できるかと思います。

 今回の法案について、もう少し細かいところについても二点教えてください。

 一点目が、裁判所の事務を合理化し、及び効率化することに伴い、技能労務職員を七十人減員するということなんですが、これはどういった職務に就いている人をどのように減員するんでしょうか。

 また、事務官への振替の五人についてはどのような職責の変化があるんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今回の減員は、技能労務職員及び裁判所事務官を対象とするものでありまして、その他に裁判所速記官を事務官に振り替えるというものでございます。

 技能労務職員と申しますと、庁舎の清掃でありますとか、警備、電話交換といった庁舎管理等の業務や、自動車の運転等の業務を行う職員でございます。

 技能労務職員につきましては、定年等による退職に際しまして、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かを判断いたしまして、後任を不補充ということにして生じた欠員について定員合理化をしているというものであります。

 裁判所事務官は、司法行政に関する各種の事務のほか、裁判に関する補助事務を行っておりますところ、既存業務の見直し、例えば庁舎新営の終了に伴う事務の減少分等について、合理化による減員を行うというものでございまして、事件処理等に影響が出るものではございません。

 裁判所速記官につきましては、裁判所の事件に関する速記及びこれに関する事務を行っておりますが、速記官から事務官への振替と申しますのは、養成を停止しております速記官の退職後には欠員が生じるということになりまして、その欠員分を裁判手続等のデジタル化の推進を始めとする事件処理の支援を行う等の体制強化を図るために事務官に振り替えるというものでございまして、現に在籍する速記官が事務官に転官する等の、そういった職責の変化が生じるというものではございません。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 ちょっと資料の方なんですけれども、御案内のように家庭裁判所の事件数というのは一貫して増加しているんですね。でも、その一方で、家庭裁判所の調査官や調査官補の定員というのは千五百九十六で続いていて、去年、千五百九十八になったんですけれども、事件数が増加しているのに働いている人の数が固定されているというのは、何か仕事が増えちゃうんじゃないかなと思うんですけれども、これについてはどう御説明されますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、家庭裁判所における事件動向について御説明させていただきますが、家事審判事件につきましては、主に後見関係事件の増加によりまして増加傾向が続いているところでございますが、家事調停事件につきましては、近年はおおむね横ばいというふうになっております。また、少年事件につきましては、長期的に減少傾向が続いているところでございます。

 家庭裁判所調査官につきましては、その特色であります行動科学の知見等に基づく専門性を十分に発揮して的確な事件処理を図れるよう、これまでも、事件動向や事件処理状況等を踏まえまして、事件処理体制の整備に努めてきたところでございます。

 近年増加傾向にあります後見関係事件におきましては、家庭裁判所調査官の関与は限定的でございます。また、少年事件の事件数がこの十年だけでも三分の一程度に減少しているということなどを踏まえまして、近年は現有人員の有効活用によって引き続きその役割を果たすことができるというふうに判断をいたしまして、家庭裁判所調査官の増員をしてこなかったというところでございます。

 なお、昨年度につきましては、職員のワーク・ライフ・バランス推進という観点から、二名の増員をしたところでございます。

 今後とも、引き続き、事件動向及び事件処理状況等を踏まえまして、必要な人的体制の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 是非よろしくお願いいたします。

 では、今日一番お伺いしたいところに行きたいと思います。判事補の人員の確保について伺わせてください。

 直接的な質問なんですけれども、最高裁さんとしては、判事補は何で増えないと思っていますか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してほしいと考えているところではございますけれども、新任判事補の採用数が伸び悩んでいるという理由といたしましては、判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少していることに加えまして、弁護士として活躍する分野が広がっているだけでなく、大規模法律事務所等との競合が激化していることや、大都市志向の強まり、配偶者が有職であることの一般化に伴って転勤への不安を持つ司法修習生が増えていることなどが理由となっていると考えているところでございます。

鈴木(庸)委員 五大法律事務所の採用傾向、これはロースクールから予備試験組を重視しているという明確な方針があるとされています。高いお金を出してロースクールに行って権利を与えられた学生よりも、予備試験をくぐってきた人たちの方が一般に優秀であると各弁護士事務所が判断をしているということの証左だと思うんですね。

 これはある意味、制度の先祖返りを起こしているような気もしておりまして、司法制度改革の一連のパッケージの中にはいいものも悪いものもあると思うんですけれども、こういう状況、いわゆる五大法律事務所が、予備試験組の皆さん、この皆さんにシフトしていることというのは、ある意味、司法制度改革の一つの失敗であるという認識はございますでしょうか。

竹内政府参考人 予備試験の制度についてのお尋ねである、こういうふうに理解をいたしました。

 予備試験の合格者の数の多寡、あるいは法科大学院修了者の合格者をどうするかというようなところも含めてだと思いますけれども、とにかく、予備試験の合格者につきましては、実際の試験結果に基づきまして、法科大学院修了者と同等の学識を有するかどうかという判定をするという観点から、予備試験考査委員の合議により判定をされまして、これに基づいて司法試験委員会において決定されているものと承知をしております。

 このように、予備試験の合格者の判定につきましては、試験の独立性、中立性を確保するという見地から、予備試験考査委員に委ねられておりまして、その判定に基づいて司法試験委員会が決定するものとされているところでございますので、法務当局といたしまして、予備試験の合格者の多寡、あるいは予備試験の制度の当否等について評価を述べるのは難しいということで御理解いただきたいと思います。

鈴木(庸)委員 この傾向は今後も続いていくわけなんですが、一つの問題の解決の方法として、法曹の一元化という、これはもう戦後からずっと議論されてきたことで、アメリカやドイツ、最近では韓国も導入しています。法曹の一元化というところについて、是非御検討いただきたいということを申し上げたいと思います。

 これは、自分も零細企業を経営してきたので、自戒の意味も込めて申し上げたいんですけれども、人が定着するには、やはり報酬かキャリア形成か、どちらか一つはないといけないんですね。

 例えば、法曹一元をやるとしても、弁護士で培ってきた顧客とかこういうのを、突然つながりを全て捨てて、転勤が多く、かつ給料も減ってしまう、こうした裁判官になるという、お給料の問題があります。ある地裁の判事補は、イメージとして、五大法律事務所の皆さんというのは自分の倍もらっていると言っているんですね。また、これも御案内のように、地方裁判所や家庭裁判所の所長に弁護士任官でなった方はいらっしゃいます。でも、最高裁の判事とか高裁の長官とかに弁護士任官でなられた方はいないんですよ。こういうキャリア形成についても、弁護士任官の場合は就職する前から限界が見えてしまっている。お給料とキャリアと、両方の部分でやはり先が見えないから増えていかないと僕は思っているんです。

 私も、秋の臨時国会から、最高裁総務局の在り方については様々な御批判があることを御紹介させていただいておりましたが、なかなか、今みたいな話がある中で、こうした組織で働きたいという弁護士の方も少ないんじゃないかと思います。最高裁は、もっと裁判官に希望を見せる努力を、予算を取ってくるなりして見せていただいて、そうしないと、この問題は永遠に悪化し続けると思うんですね。これは、我々一般国民に対する正当な判断、裁判官による正当な判断というところにしわ寄せが来るわけです、当然のことながら。

 私は、政治家というのは将来的にはAIでやった方が、嫉妬や思い込み、派閥とか、こういった判断が入り込まないので、最終的には、今の時代を生きる我々よりも正確な判断をすると思うんですよ。この議論というのは、多分裁判官についても出てくると思うんですよね、将来的に。

 それはそれで一つの方向性だと思うんですけれども、最高裁については、この国の裁判官不足を、不足を補うという視点だけではなくて、どうしていくのかという視点で、毎年毎年の附帯決議でお茶を濁すんじゃなくて、今そこにある危機として取り組んでいただきたいと思います。

 これは最高裁の話ですけれども、是非、齋藤法務大臣に御意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 私自身も、法曹の質の確保ということに最終的にはなっていくんだろうと思っておりますので、それにつきましては様々な取組もされてきているところでもありますし、先ほどの、政務官の方から、質に関する検証をやって、公表したということもあります。

 それにとどまることなく、更なる視点や、調査の方法も検討を加えて、しっかりした分析をして、質の高い法曹を輩出することができるような取組については引き続き努力していくべきだと思っています。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 最後に、合議制について伺わせてください。

 合議制の割合について、現在の一〇%、なぜ一〇%なのかという基準と、また、なぜ今基準を満たすことができていないんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 司法制度改革審議会意見におきましては、裁判制度に対して、迅速な審理、専門性の対応等についてこれまでとは異なる水準の機能の充実が求められ、裁判所といたしましては、専門訴訟を始めとする複雑訴訟に対応するため、当時の合議率でありました五%から、倍増となる一〇%へ大幅に上昇させるという目標を示したところでございます。

 この目標を踏まえまして、近年、民事訴訟事件の複雑困難化への対応として、合議体による審理を進めるなどを目的といたしまして、相当数の裁判官を増員し、着実に人的体制の整備を図ってきたところでございます。その結果、全既済事件の合議率は緩やかながらも上昇するなど、一定の効果は表れているところではございますが、御指摘のとおり、合議率一〇%の目標というのは達成できておりません。

 合議体による審理は、様々な経験、知見を持つ三人の裁判官が議論を尽くして多角的な検討を行う中で紛争の実相をつかみ、適正な判断を実現しようとするものでございます。そのためには、三人の裁判官が相応の時間と労力を投じて、訴訟関係人の協力も得て、争点中心型審理の実践に努めるなど、終期を見通した計画的な審理運営方針の作成などが必要となります。

 裁判所といたしましては、これまでの増員分も活用しまして、審理運営改善、工夫等も引き続き行いながら、複雑困難化する民事訴訟事件について適切かつ迅速な処理に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 終わります。

伊藤委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 この裁判所定員法、毎年変えています。法曹出身者ではない一般人の私は、その意味がうまく理解できませんでした。ちょっと、今日は、一般の人が抱くような疑問を率直にお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、この人員、他省庁は、上限を決めて、その範囲内で柔軟に人員配置をしているそうです。なぜ、裁判所の定員だけ、毎年こうした法改正が必要なのでしょうか。裁判所だけが毎年法律を変えないといけないのは煩雑だと思いますし、他省庁と同様に幅を持たせた人員配置を法律で認めることはできないのでしょうか。法務省。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 裁判所職員の定員について、法律上、定員数の上限を定めた上で、具体的な定員数の定めを例えば最高裁判所規則等に委任するといった立法形式を取ることにつきましては、定員の計画的、弾力的な運用や機動的な対応が可能になるといった長所も認められるところと考えております。

 他方で、御指摘のように定員数の上限を定めるといたしますと、ある程度中長期的な事件動向を予測して、必要な人的体制の見通しを立てるということが必要になるものと考えられまして、そうしたことの可否について、まずは裁判所において検討がされるべきものと考えておるところでございます。

 法務省といたしましては、御指摘の立法形式の導入につきましては、裁判所の判断を尊重しつつ、裁判所関連の法律を所管する立場から必要な対応をしてまいりたいと考えております。

吉田(は)委員 当然ながら裁判所は立法はできないわけで、それで法務省の方がこういった形で対応していると。

 今のお話を伺うと、上限を決めてやれば毎年法律を変えなくてもよいというふうに理解をいたしましたが、そこで、最高裁の方にお尋ねします。

 こういうような、今、毎年毎年変えなくてもいいように上限を設定し、その中で中長期計画を立て、柔軟に対応していくというようなことは可能でしょうか、検討できますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今後の裁判官の定員につきましては、事件動向、事件処理状況や、社会経済情勢の変化、あるいはこれに伴う事件の質的な変化、法改正の状況など、その時々の諸事情を踏まえて行っていく必要がございます。

 中長期的な視点からの検討ということには私どもも努めてはおるところではございますが、いずれの要素も正確に予測するというのは難しい面がございまして、定員の減少見込みを含めまして、なかなか計画としてお示しするというのは困難なところがございます。この点について御理解をいただきたいというふうに思います。

 いずれにいたしましても、裁判所としては、今後の事件動向や事件処理状況等を踏まえつつ、必要な人員体制の整備に検討を努めてまいりたいというふうに思っております。

吉田(は)委員 やはり裁判所でありますので、一つ一つ正確にというところは大変理解できるんですけれども、やはり、その時々というのは、どうしても私は、計画がないのかなとちょっと心配になってしまうところです。

 事件数が減少傾向なので裁判官を減らすという説明を受けました。民間企業なら、人員配置や採用に関しては中長期ビジョンを立てます。やはり、一年しか予想を立てないというのは、ちょっと行き当たりばったり感が否めないかなというふうに思うんですが、今後の見通しで裁判所定員は減少するというふうに見込んでいますか。その点だけでもお答えいただければと思うんですが。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今般、判事補の員数を減少するということにいたしましたのは、事件数が安定的に推移しているということもございますけれども、判事補の充員が困難であるという状況が続いていることも踏まえまして、減員が相当としたものでございます。

 先ほども申し上げましたとおり、なかなか予測というのが難しいところがございまして、今後も定員が減少をするのかどうか、させるのかどうかというところについて、直ちにこうだということを申し上げることはちょっと難しいというのが現状でございます。

吉田(は)委員 法曹を目指す人たちがちょっと減っているというか、なかなか、以前ほど魅力ある法曹になっているのかというところを考えると、これはやはり、中長期ビジョンを持って、こういう未来だぞというのを私は示していただきたいなというふうに思います。

 先ほどの鈴木庸介委員の質問にもありましたけれども、やはりその点を、十年、二十年スパンで計画していくというのは、私は、とても必要なことであり、これから本当に裁判官になりたいという方への強いメッセージになりますので、是非ちょっとそこを考えていただきたいです。

 先ほどの鈴木庸介議員の、AIという言葉が出てきて、思わず、あっ、私もそれを言おうと思っていましたというところなんですけれども、これを言うとびっくりされるかもしれないんですけれども、私は、今後、AIやビッグデータの波が裁判所にも波及するかもしれないというふうに考えます。

 例えば、裁判官は立派な判決文を書く高度な能力を求められていると思いますが、現代、チャットGPTが世の中を騒がせている時代です。判決文を書けるようになるまでAIが学習するのにそれほど時間はかからないのかななんというふうにも思うんです。

 考えてみれば、グーグル翻訳、これだって、一番最初、出たときは、何これ、こんな訳、変だねと笑っていたんですよ。ある意味、ちょっとばかにしていたところもあったと思います。でも、今ではどうでしょうか。もうかなりいい線いっている翻訳が出ていますし、本当に、十年、いや、五年ぐらい前まででしょうか、世界のホームページ、これを英訳する業者さん、結構その仕事をしてもうかっていました。でも、今はどうですか。英語だけではなく、あらゆる言語をその場で、そのホームページがすぐに日本語で見られる時代なんです。今や本当にテクノロジーの進化は目をみはる時代なんですけれども。

 裁判官が若いうちに任官した方がいいというのは、独り立ちできるまで、判事になるまで五年から十年というふうに言われていました。人を育てるのに時間がかかるということだったんですけれども、裁判官は人を裁く大変な重責であり、ヒューマンエラーが許されないと思うんです。

 ということは、裁判官によって本来なら判決に大きな差が生じてはならないというふうに理解するんですけれども、だからこそ、今の時代のビッグデータから、法律から判例、そして訴訟記録など、あらゆる情報を網羅してより正確な仕事をする可能性のある、こういったテクノロジーの進化を受けるのではないかと想像するんです。これもやはり中長期ビジョンの中に本来なら私は入ってくるところだと思うんですが、この辺りは御検討されたことはございますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今委員から御指摘をいただきましたAIとか、様々な科学技術の発達というのはございます。現在、私ども、裁判手続のデジタル化ということが、最大のテーマとして検討を重ねているところでございます。デジタル化の中でどういうことを取り込んでいくのかというのは、様々な要素があろうかと思います。

 御指摘のAIといったような意味でのデジタル技術ということについて、今直ちに具体的な検討をしているというところに至っているわけではございません。ただ、裁判手続にAI等のデジタル技術を導入するということになるかどうかというと、導入できる部分もあればできない部分もあるというようなところを見極めていくことになるんだろうなというふうに思っております。

 いずれにしましても、申し上げましたとおり、デジタル化というのは、私どもの今最大のテーマと考えております。様々な点から検討してまいりたいというふうに思っております。

吉田(は)委員 是非そこを考えていただきたいなと思います。

 今後、裁判官に求められる資質というのが、いわゆる機械化できない部分で何があるんだろう、ちょっと私は専門家ではないのですぐにぱっとは思いつかないんですけれども、やはり時代とともに変わっていくというところは何かあるんじゃないかと思いますので、是非、その辺りの分析はお願いしたいなというふうに思います。

 かつては手仕事で作っていたものが機械化され、自動化され、人の力が少なくて済むようになりました。今、銀行のリテール部門、縮小されています。ファミレスでは、もう機械がお食事を運んできます。このように、人の手が、今、機械に既に置き換わっていて、次の時代は、これはビッグデータの解析など、今度は情報処理が発達して、人の頭で考えていたものがAIに取って代わられる時代に私は現実入っているのではないかなというふうに思うんです。

 済みません、ちょっと通告していないんですけれども、ここまでの議論で、法務大臣、何か御所感がありましたらお伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、裁判所の人的体制の在り方について私の方からコメントするのは差し控えたいと思っていますが、本当にAIの進展というものは様々な分野に大きな影響を及ぼしていくので、その在り方については本当に真剣に検討していかなくちゃいけないなと思っていますし、私の友人の一人が、国会答弁も変わるんじゃないかということをおっしゃる人もいましたので、様々な影響がこれからいろいろな分野に出てくると思いますので、裁判の分野においても、裁判所の方でしっかり検討すべきかなとは思っています。

吉田(は)委員 私がかつていました大学の方でも、研究者の論文なんかも、チャットGPTのクオリティーがすごい高いということで、いやあ、ちょっと私も、怖いなと。今まで本当に人の手でしかできなかったような、アートの世界まで進んでいるということに私はちょっと注目しているので、あえて申し上げさせていただきました。

 では、引き続きお尋ねします。

 これまでの裁判記録のデータは進んでいるのでしょうか。

 やはり私はどうしても忘れられないのです。一九九七年に起きた神戸連続児童殺傷事件、少年A、酒鬼薔薇事件の裁判記録が廃棄された問題です。

 それを思い起こさせたのが、最近起こりました戸田市の事件になります。これは、三月一日、埼玉県戸田市の中学校に十代の少年が刃物を持って侵入、六十代の教員を切りつけて大けがをさせ、警察に逮捕されるという事件がありました。逮捕後、少年は、近隣で発生していた猫の殺害についても関与を認めているということが明らかになっているんです。

 この事件に先立って何匹もの猫を殺しているわけですけれども、神戸の少年Aと大変類似していないでしょうか。あの少年事件の記録は大変貴重な資料だったと思います。これからの少年の更生にも、そしてまたこういった類似性に関しても、大変貴重な少年犯罪の記録が失われたというふうに思うんです。

 だからこそ、それを教訓に、過去の裁判記録、これをデジタル化して、そして決して廃棄されないようにということを私はお願いしたつもりなんですけれども、いかがでしょうか。

 というのは、これも二〇二二年十一月二日の法務委員会で、寺田筆頭理事が、裁判記録は誰のものかというふうに問いましたところ、小野寺最高裁判所長官代理は、裁判所が保有しております記録は国のものでありまして、それはすなわち国民のものというふうに理解しておりますと答弁されています。

 その国民の財産を守るのが私たち国会議員の仕事です。全ての廃棄を止め、過去の裁判記録をデータ化して保存すべきであるということを御提案させていただいたかと思うんですが、現状、いかがでしょうか。そして、今回の定員法の中に、その人員の配置、これも入っているというふうに理解してよろしいでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員から御指摘をいただきました神戸連続児童殺傷事件の記録の廃棄等につきまして、最高裁として、このことについては重く受け止めて、これまでの特別保存の運用の在り方等、適切であったのか、これからどうすべきかということについて、外部の有識者委員の意見を踏まえながら、今、調査検討を行っているところでございます。

 これまでの事件記録を全てデータ化するということになりますと、今膨大な紙媒体として保存されている記録を電子化していくということになりますと、これは膨大な作業になるということになりますし、そのデータ量も膨大なものになるというような問題がございます。

 また、さらには、そのような紙媒体の事件記録等を電子化して保存するということになりますと、現在の紙媒体の事件記録等との関係性というのをどのように考えていくのかということなど、検討すべき課題は多いというふうに考えております。

 例えば、令和三年に地方裁判所において判決等によって既済となった第一審民事通常訴訟事件というのは、約十三万九千件あるわけでございます。これに限らず、少年事件、家裁の事件など様々な事件がある中で、今既に紙であるものをデータ化していくということの難しさというのを感じているところでございます。

 引き続き検討してまいることになりますけれども、現時点において、今までの記録の電子化ということについてなかなか課題が多いというふうに考えているところでおりまして、今回の定員法改正において、そのための増員ということを見込んでいるわけではないということになります。

吉田(は)委員 見込んでいるわけではないという、最後、結論が出ましたけれども、いや、ちょっとそれはお願いしたいなというところなんですね。やはりあれは衝撃ですよ、あの記録がなくなるということは。

 これは膨大な作業がある、そうだと思います。でも、どこかでやらなきゃいけないわけです。それとも、今取りあえず廃棄をやめたものを、何を保存するか、何をまた紙で捨てるか、これから決められるんでしょうか。ちょっとその方向性も、私、今お伺いしていて見えないなと思ったんですけれども、これは、今おっしゃったその外部の有識者の方が、いつまでに決められるというようなものでしょうか。ちょっと短くお答えくださいませ。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 有識者委員の皆様の御意見を踏まえながら、最高裁の方で調査検討を進めているところでございます。今までの保存の在り方を検討して、特別保存の在り方というのを更に今検討してございます。これまでの基準でよかったのかどうか、これからどうするのかということを考えております。

 このような調査を遂げまして、本年の四月をめどとして、今努力をしております報告に結びつけたいというふうに考えております。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 是非、四月の御報告を待ちたいと思うんですけれども、やはりこういったところには、国民の財産ですので、それを守るための予算というのは私はしっかりつけなきゃいけないというふうに思います。今回入っていないのは大変残念です。本当にそう思います。

 では、ちょっと視点を変えまして、もう一つの重要な側面であります司法制度改革に目を向けたいと思います。

 司法制度改革の重要な目的の一つは、裁判の迅速化です。平均審理期間の変化を見てみたいと思うんですが、直近、二〇二〇年の平均審理期間は、司法制度改革が始まった一九九九年頃と比較して短縮されているのか、具体的な数字のみを、済みません、教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 民事訴訟事件、民事第一審訴訟事件の平均審理期間は、令和三年は十・五月ということになっておりまして、平成十二年の八・八月より増加しております。

 他方で、専門事件、専門訴訟事件におきましては、例えば、医事関係訴訟の平均審理期間は約八か月短縮、あるいは知的財産権関係訴訟の平均審理期間は約五か月短縮するなどの数字も出ているところでございます。

吉田(は)委員 それぞれ特徴があるんだというふうに思いますが、平均審理期間は司法制度改革が始まった八・八か月から十・五か月に延びている、目標とはやはり逆の結果が出ているということであると思います。

 委員の皆様にお配りしました資料を御覧ください。この折れ線グラフが裁判官の総数です。御覧のように、裁判官総数は増加をしています。一方で、事件数は減ってきています。

 そこで、裁判官一人当たりの事件数を見てみると、司法制度改革が始まった一九九九年の裁判官一人当たりの事件数は千八百二十九件です。これが、二〇二〇年になりますと八百六十五件。つまり、一人当たりの事件数は半分以下に減っています。

 しかしながら、平均審理期間が八・八か月から十・五か月に延びているという、この目的と、人員配置したけれども結果がそれに伴っていないということを、私、もう少し深掘りして分析してみるべきだと思うんですけれども、最高裁判所はこれはどのように分析されていますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員から御指摘をいただきましたように、全ての事件との関係で見ますと、一人当たりの単純平均を取っていくとそういうような数字が出てくるということではございますが、第一審の民事訴訟事件ということで、今まで私ども、そこを中心に議論してきたところでございまして、そこの部分が延びてきているという現状がございます。

 それは、やはり訴訟事件の複雑困難化、あるいは様々な対応が必要になってくるというような中で審理期間が延びているというところがあるのではないかというふうに考えておりまして、様々な形で、審理運営の改善ということで、協議会等を通じて議論を重ねているというところでございます。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 やはりそういうことで、家事も増えているわけですが、もう一回、しつこいようですけれども、中長期計画の中に、人口の変化、経済の変化、社会の変化、テクノロジーの変化、いろいろなものが関係してくると思いますので、やはり中長期の計画を、是非、方針を持っていただきたいというふうに私は感じるのですが、法務大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 裁判所の人的整備の話でありますので、私からのコメントは差し控えたいと思っております。

吉田(は)委員 人的なところに法務大臣が何もおっしゃれないというのは、お立場上ということで理解はするんですけれども、では、法務大臣、今、法務省もこういったいろいろな変化の中にいらっしゃると思うんですが、法務省自体は、法務大臣、そういう方向からの御検討というのはされますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 法務省におきましては、毎年、定員と組織の見直しということを、そのときの時代の変化に応じてやっているわけでありますので、それは引き続きしっかりやっていくということに尽きると思っています。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 なかなか、裁判所は独立性もあります、そして政治的なもちろん圧力もあってはいけない、その点、私も強く思います。

 ただ、先ほどの裁判記録に関しては、やはり、これは国民の財産ということであれば、私たち国会議員が、それを失われないように、大切な国民の財産を守るという観点からこういったデジタル化をお願いすること、私、これは間違いではないのではないかなと思うんですけれども、是非その点ももう一度考えていただいて、また一年先になってしまいますので、そこも是非裁判所として御検討いただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、階猛君。

階委員 立憲民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 判事補の定員を十五人減少させるということなんですが、昨年の附帯決議、私も加わって策定しましたけれども、現実的な実員の増減見通しも踏まえて更なる削減等も含め検討というのが附帯決議の三項目めにありました。現実的な実員の増減見通しを踏まえてのマイナス十五人なのかどうか、私は疑問を持っていますけれども、マイナス十五人の根拠を教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 直近の事件動向、判事補の充員が困難な状況が続いていること、昨年の法務委員会での附帯決議等を踏まえて総合的に検討して、今般、昨年度に引き続き十五人の減員をするということとしたところでございますが、具体的に申し上げますと、判事補の充員にこれまで努めておりまして、令和五年の任官者数というのは、令和三年が六十六人でございました、それが令和四年七十三人、そして令和五年七十六人というふうに、ややではありますが増加してきたところでございます。

 もっとも、令和六年一月の段階での欠員の見込みとして、現在の定員を前提といたしますと、七十六期の司法修習生の採用時点での判事補の志望者数などを鑑みますと、百七十とか百八十とか、そういうなお欠員が多い状態になるのではないかということも考えられるところでございまして、そのようなことを検討した結果、今般十五人の減員ということにしたものでございます。

階委員 だから、現実的な充員の見込みになっていないんじゃないかと。今御答弁あったとおり、十五人減らしても、なお百五十人ぐらい欠員が出る、今の答弁を前提とすればですよ。十五人、今回減らしても、なお百五十人ぐらい欠員が出る状況なんですよ。あと五十人ぐらい減らしても全く問題なさそうな状況だと思いますけれども、なぜ十五人なんですか。教えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 採用数でありますとか、あるいは、行政官庁への勤務による出入り等、常に同じ数ではございません。欠員が全くない状態ということになりますと、人事上問題が生ずることもあり得るということになりますので、まず、ある程度の欠員を抱えておく必要があるということについては御理解をいただきたいと思っております。

 その上で、裁判所といたしましては、できる限り充員に努めておりますけれども、欠員がなお多い状態であるということは認識しているところでございます。

 ただ、判事補は将来の判事の給源になるものでもございます。将来の事件処理体制への影響についても考慮する必要があるというふうに考えております。令和四年度の大幅な減員を含む近時の減員の影響を見ながら、慎重に検討していく必要があるというふうに考えているところでございます。

階委員 状況を見ながら対応するために、毎年この法案を審議しているわけですよ。我々だって、別に、減らすことを目的にしているわけじゃないんです。現実に合った定員にすべきだということを言っているわけです。現実に合っていないでしょう、百五十人欠員もあるなんて。おかしいじゃないですか。

 その隣にある判事なんか、欠員二十人ですよ、直近で。何で、判事補だけ百五十人も欠員を抱えていて、それでよしとするんですか。今年七十六人、若干増えているとはいっても、これがいきなり五十人も六十人も増えるんですか。増えるわけないでしょう。現実的な見通しということを附帯決議で言っていますから、現実的な増減見通し、これを踏まえた数字にしてくださいよ。全く合っていないじゃないですか。それは認めますか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所といたしまして、欠員がなお多い状態であるということについては認識しているところでございます。他方で、繰り返しになりますけれども、昨年も減員をしたというところがございます。

 そういう中で、今後の判事補の採用や志望への影響でありますとか、あるいは今後の事件動向ということを踏まえた事件処理状況等を考えますと、慎重に検討していく必要があるというふうに考えて、今回は十五人の減員ということで判断したものでございます。

階委員 欠員を多くしていると、事件処理にはプラスになるんでしょうか。欠員を多くするのを、欠員を見直して減らすと事件処理に影響が出るんでしょうか。

 要は欠員の話ですから、現に人がいないわけですよ。人がいないところを現実に合った定員にしましょうと言っているだけであって、今言っていることは全く意味を成さないと思いますよ。

 それで、こんなに欠員が多い状況がなぜ生じたかということを、やはり我々は真摯に受け止めなくちゃいけないと思うんですよ。

 今日お配りしている資料の三ページ目なんですけれども、先ほどからも議論が出ておりますとおり、司法試験の受験者が激減しているわけですね。ちょうどロースクールが始まったのが平成十六年ですけれども、その直前の平成十五年ぐらいがピークなんですね。司法試験、四万五千人。今、司法試験の受験者は三千八十二人、これは去年の数字で、今年はまだ出ていません。これほど激減していれば、さすがに受かる人も少なくなるし、その中で裁判官を目指す人も少なくなるということなんですよ。

 元々、法曹養成制度改革で三千人受からせるという話でしたよね。今でも、合格者は少ないけれども、五%の人は裁判官を目指すんですよ。これは昨日いただいた資料にも書いていました。五%目指すから、七十人から八十人ぐらいの方が裁判官になっているわけですね。もし、今の合格者、千四百人ぐらいじゃなくて、三千人だったら、五%だったら百五十人裁判官に採れているわけですよ。

 だから、結局は、法曹養成制度改革が失敗したことが裁判官の欠員の激増につながっているんですよ。これは認めますか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所といたしましては、申し上げましたとおり、直近の事件動向あるいは判事補の充員が困難であるという現状、あるいは、法務委員会での附帯決議等を踏まえて、昨年度に続いて十五人の減員ということにしたところでございます。

 減員によって定員数が減少するということになりますけれども、これは毎年の状況を踏まえながら増減員を検討してきた結果ということでございます。

 したがいまして、定員数の増減をもって司法制度改革あるいは法曹養成制度についての評価をするということはできないものというふうに考えております。

階委員 政治家として、大臣、志願者の激減と裁判官の判事補の欠員の増加、この因果関係についてどう捉えているか、教えてください。

齋藤(健)国務大臣 まず、お尋ねの判事補の欠員の原因、これにつきましては、最高裁判所による司法修習の運営ですとか判事補の採用に係る事項であり、法務省として見解を述べるのは差し控えなくちゃいけないと思っていますけれども、法曹を希望する人、これが激減をしているということは、そのグラフを見ても明らかであります。

 法務省としても様々増えるような取組もやってきているわけでありますが、いまだ十分になっていないという現実があるということはそうなんだろうと思っています。

階委員 人ごとのようなお話をされても困るわけで、これは何とかしなくちゃいけないんですよ。私はずっとこの場で言い続けているんですけれども、何ともなっていないんですよ。もう失われた二十年ですよ。二〇〇四年にロースクールが始まってから減る一方じゃないですか、受験者。減る一方ですよ。

 他方で、三ページ目のグラフをよく見ていただくと、途中から紫の折れ線グラフが出てきていますね。これは右肩上がりです。これは何の数字かというと、予備試験、これを通って司法試験を初めて受けられるという予備試験の受験者の数なんですけれども、こちらは右肩上がりなんですよ。

 予備試験の方は増えているということは、ひょっとすると、予備試験をなくして全員が司法試験を受けるような仕組みにすると、また元のように司法試験の志願者は増えてくるかもしれない、こういうふうに思うわけです。この点について、大臣、お考えはどうですか。

齋藤(健)国務大臣 近年の司法試験におきまして、予備試験の合格者が非常に率が高くて増えているということは事実でありまして、私はこれは真摯に受け止めていかなくちゃいけないと思っています。(階委員「まず志願者の方を」と呼ぶ)はい。志願者の方ですね。

 それで、今、法科大学院を中核とするプロセスについての法曹養成制度、これについては、司法試験という点のみによる選抜の方法によって指摘されていた様々な問題点、これを克服するために当初導入されてきたものと私は理解をしているところでありますし、この点に関しては、現在もなお、その重要性は失われていないのではないかと思っていますが、ただ、現行の法曹養成制度については様々な課題があるということも認識をしております。

 そして、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定に基づいて制度改革を進めて、今、法科大学院教育の一層の充実や、法科大学院の時間的、経済的負担の軽減などにも取り組んでいるところであります。ただ、いまだそこは、おっしゃるように、数字の大きな改善がないというのも事実だと思っております。

 ただ、こうした取組で、近年、法科大学院修了者については、いわゆる累積合格率が七割程度というふうになっていまして、司法制度改革審議会意見において想定されていた合格率には達しつつあるのかなというふうには思っております。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたけれども、私は、より多くの有為な人材が法曹の世界に入ってくるということは大変重要な課題だと思っていますので、御意見を伺いながら取り組んでいきたいと思っています。

階委員 司法試験の受験者を増やさなくちゃいけないということは、問題意識として共通だと思うんですね。

 ところで、この予備試験は、司法試験の受験者を減らす方向に作用しているんじゃないか、そして質を下げる方向に作用しているんじゃないか、こういう問題意識があります。

 五ページ目を御覧になってください。

 一番上の表は法科大学院の受験者数とか入学者数、そして、真ん中が予備試験の受験者数と合格者数です。一番下が司法試験の結果ということです。

 法科大学院の受験者、これ、併願している人が多いので、この九千三百九十三人中千九百六十八人が合格したというふうには単純には考えられないということで、かなりの方が法科大学院には受かるという前提です。ところが、予備試験については、三・六三%しか、直近、受かりません。

 この受かった人が司法試験にそれぞれ臨むわけですけれども、法科大学院に入って修了して、そして司法試験を受けた人がどの程度、最後、司法試験に合格するかというと、済みません、細かい数字で恐縮なんですが、五ページ目の右下あたりに、三七・六五%、令和四年ですけれども、三七・六五%の人が、法科大学院を終えて司法試験に受かった割合です。一方、予備試験を受かって司法試験を受けた人は、何と九七・五三%、ほぼ一〇〇%受かっているわけですね。これは、母集団が四百五人で、落ちたのはたった十人ですよ。

 そもそも、予備試験を受けて、なおかつ司法試験を受けさせる意味がないと思うんですよね。もう予備試験に受かった段階で司法試験に受かっているようなものじゃないですか。嫌がらせのようなものですよ。予備試験に受かったのにまた司法試験を受けさせる。こんなことをやっているから志願者は増えないわけですよ。だから予備試験なんかやめた方がいいというのが一つ。

 それから、合格率の差が激し過ぎますよね。何ですか、この三倍の差は。

 ところで、皆さんのお手元の七ページ目、これは閣議決定です。平成二十一年の三月三十一日ですから、民主党政権になる前ですね。このときに何を閣議決定しているか。下線を引いた部分です。「予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする」。明確に書いていますよね。

 現実と全く矛盾していませんか。大臣、お答えください。

齋藤(健)国務大臣 平成二十一年三月の御指摘の閣議決定におきましては、法科大学院修了者と予備試験合格者との司法試験における公平な競争を確保するための考慮要素として、両者の司法試験合格率を均衡させるということが挙げられています。

 近年の司法試験においての状況については今委員御指摘のとおりでありまして、予備試験の場合は御指摘の九七・五三%、それから、法科大学院修了は三七・六五%ということですので、この閣議決定の趣旨からいえば、大変大きな差異が生じているということでありますので、私は、これは真摯に受け止めていかなくちゃいけないと思っています。

階委員 真摯に受け止めていただくのは大変いいことですが、それで何をするかですよ。

 さっき言いました、予備試験を受かっている人って、もう司法試験なんか受けさせる必要がないと思うし、逆に、予備試験を受けさせずに司法試験だけを受けさせる、つまり、司法試験の受験資格を昔みたいにフリーにするという解決策もあると思います。これで志願者は一気に増えると思います。

 先ほど共通認識だと言った、志願者を増やすために、予備試験をやめて、法科大学院を終えていようがいまいが受けさせる。現に、3+2が始まって、法科大学院を終えていないのに司法試験を受けられる人がいるわけですよ。これもおかしな話だなと思うんですけれども、そういうふうになし崩し的に法科大学院修了が司法試験の前提じゃなくなっている。

 これを捉まえて、もはや予備試験を経なくてもオープンに司法試験を受けられる、こういう仕組みにすべきではないか。お答えください。

齋藤(健)国務大臣 階委員の御意見のスタートのところは、私も共有するところであります。

 そして、先ほど申し上げたように、この乖離というものについては真摯に受け止めると申し上げましたけれども、政府は、平成二十七年六月の法曹養成制度改革推進会議決定に基づいて、法科大学院の集中改革に今取り組んでいるところで、御案内のことではあるんですけれども、令和元年六月、いわゆる法曹養成制度改革法が成立をして、令和四年十月に、昨年十月に全面施行されたという段階であります。

 この改革法によって、法科大学院在学中の者にも、一定の場合に司法試験の受験資格が付与され、また、御指摘もありましたが、法学部三年と法科大学院二年のルートが制度化された、いわゆる3+2が行われることになっているわけです、今年の七月の司法試験からでありますけれども。

 そういう意味では、この法律に基づいて改革が今始まってきているところでありますので、法務省としては、引き続き関係機関等とも連携をしながら、法科大学院教育等を一層充実するための支援ですとか、3+2の制度の更なる周知を行うとともに、法曹の魅力や幅広い分野での活躍についての積極的な情報発信など、法科大学院志願者の増加に向けた環境づくりに向けて全力で取り組んでいくということであります。

 このような取組により、私は、差異が解消される要因にはなっていくんだろうと思っていますが、引き続きよく注視をしていきたいと思っています。

階委員 あと、司法試験法五条にも違反していますからね。予備試験は法科大学院修了者と同等のレベルにするというのは司法試験法五条にあるわけで、だとしたら、法科大学院修了者と予備試験合格者で合格率がそんなに違わないはずです。この五条も守られていないということも、これも毎年指摘しておりますけれども、改めて指摘させていただきます。

 それから、決して文科省から出ない不都合な真実をお伝えさせていただきたいと思います。

 六ページ目を御覧になってください。これもちょっと細かくて恐縮なんですが、先ほど来言っていますとおり、予備試験の人は、約四百人受かって、ほぼ全員受かる。去年でいうと、合格者千四百人なので、残りの千人は法科大学院から受かっているということですから、千人対四百人、合格者の比率ですね。ですから、大体、合格者でいうと、千四百人のうち四百人だから、二八%ぐらいだと思います。それが全体に占める予備試験合格者の割合です。

 ところが、合格者を更に細かく見ていきますと、合格上位の一〇%に占める予備試験合格者の合格率は五八%です。合格上位二五%だと六〇%です。合格上位五〇%で初めて、四三%で予備試験組が下回ってきますけれども、これほど母集団の数が違うのに、上位の方に受かっている割合、これは予備試験組の方が圧倒的に高いわけです。

 さっき、就職時点で予備試験組が優遇されるみたいな話もありますけれども、これは当然ですよね。これほど成績が違うんです、同じ合格者でも。だから、法科大学院の教育って、全く役に立っていないとは言いませんけれども、非常に、この数字を見ても、法科大学院何やっているんだというふうに思うわけですよ。それが、特権を与えられて、ここを終えないと司法試験を受けられないとか、途中でも司法試験を受けられるとか、そういう特権を与えられる。これは非常におかしいわけでして。

 今日は文科副大臣が来ていますけれども、なぜこんなに法科大学院というのは予備試験に負けているんですか。情けなくないですか。何か、合格率が上がっているみたいなことを八ページ目にも書いていますけれども、合格率が上がるのは当然ですよね。千四百人とか千五百人採ると最初から決めていて、でも予備試験から受かる人は四百人ぐらいにとどめておいて、残り千とか千百人は法科大学院から必ず受かる、必ず採る。その中で、法科大学院に入る人は、人気がないので、レベルが低いので、どんどん下がっていく。法科大学院に入る人が少なくなっていく中で、受かる人数は千とか千百人、あらかじめ枠が決まっていたら、合格率が上がるのは当たり前じゃないですか。なぜ合格率を上げることをKPIにしているのか。全く現状と乖離していますよ。

 むしろ、私が指摘したように、予備試験組との合格率を近づける、そういうこととか、合格者の中で上位の合格者を増やすとか、そういうところをKPIにすべきじゃないですか。こんないいかげんな目標を立てているから、いつまでたっても法科大学院は予備試験に負けてしまうんですよ。

 どうですか。お考えをお願いします。

簗副大臣 お答えいたします。

 司法試験そのものにつきましては、法務省が所管する事務でございますので、文科省がお答えする立場にはありませんけれども、法科大学院の教育に関する数値目標、御指摘のありましたこのKPIにつきましては、平成二十七年の法曹養成制度改革推進会議決定や中央教育審議会における議論も踏まえて、累積合格率を全体で七〇%以上にすることなどを設定しております。

 文部科学省といたしましては、法科大学院教育の質の向上を図り、合格率を向上させていくことが重要であるというふうに考えております。

階委員 KPIは見直しますか、見直しませんか。お答えください。

簗副大臣 今、このKPIの設定の経緯については御説明をしたとおりでございまして、繰り返しになりますけれども、平成二十七年の法曹養成制度改革推進会議の決定、それから中央教育審議会における議論を踏まえて、累積合格率を全体で七〇%以上にすることなどを設定をしておるという経緯がございますので、この場で私の方から軽々に申し上げることはできません。

階委員 すぐ決定できるかどうか、権限がないのでできないということなんだけれども、この議論を聞いていたら、いかに今のKPIがおかしいかという問題意識は持っていただけると思うんですが、それはありますか、問題意識は。お答えください。

伊藤委員長 簗文科副大臣、時刻が来ております。

簗副大臣 お答えいたします。

 令和十一年度のKPIについては、令和六年度の達成状況に応じて必要な見直しを行うということが、このKPI設定に当たっての公表された資料でこれは明示をしておりますので、今の段階でははっきりとしたことはお答えはできませんけれども、様々な御指摘を踏まえて、必要があれば様々な検討は進めてまいりたいというふうに思います。

伊藤委員長 階猛君、これで終わってください。

階委員 様々という言葉、総理の口癖がうつったかのように思いました。

 質問を終わりますけれども、附帯決議の五番の、判事が国の訴訟代理人になるという問題も解消されていないということを御指摘しまして、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 通告に従い質問をさせていただきます。

 まず、今回の法案によれば、裁判官以外の裁判所の職員を三十一人減員するということですが、その減員の理由について説明をしてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員のワーク・ライフ・バランス推進のため、裁判所事務官を三十九人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を合理化、効率化することに伴い、技能労務職員等を七十人減員し、以上の増減を通じまして、裁判官以外の裁判所の職員の員数を三十一人減員するというものでございます。

 なお、七十人の減員のうち、五人については、逐語録作成事務について録音反訳方式を導入するとともに、速記官の養成を停止したことなどによる裁判所速記官の減員でございますが、同数について、事件処理の支援のための体制強化のための裁判所事務官への振替を行うというものでございます。

 そのほか、六十五人の減員につきましては、政府の定員合理化の方針に協力する形で減員するというものでございまして、事務局部門の合理化を中心として、アウトソーシングを始めとした事務の合理化等が可能な部門等の定員を合理化する形で、政府の定員合理化の方針に協力しているところでございます。

漆間委員 技能労務職員を減員するという御説明がありましたが、技能労務職員とはどのような業務を行っている方なのでしょうか。また、技能労務職員の減員によって裁判所の業務に支障は生じないのでしょうか。お伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 技能労務職員と申しますのは、庁舎の清掃や警備、電話交換等といった庁舎管理等の業務や、自動車の運転等の業務を行っている職員でございます。

 今回削減する技能労務職員の定員につきましては、既に欠員となっているものでございまして、庁舎管理業務等は必要に応じて既に外部委託等による代替が行われていることから、技能労務職員の定員を削減することによって裁判所の事務に支障は生じないものというふうに考えております。

漆間委員 技能労務職員が担っていた業務をそのまま外部委託するとすれば、結果として経費の削減にはならないようになることもあると思われます。この点については裁判所ではどのような対応をしているのでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 定員合理化によって技能労務職員の減員を行うに当たりましては、既存業務の見直しでありますとか事務統合による業務の最適化等により業務の合理化を行っております。その上で、合理化された業務につきまして外注等を行っており、できる限り外部委託経費の増加を抑制するよう努めているところでございます。

 例えば、清掃業務を行う技能労務職員を減員するという場合におきましては、その職員が行っていた業務をそのまま外部委託するということではなく、その業務の合理化、効率化を行って、なお残存するものについて外部委託を行うなどしているところでございます。

漆間委員 政府の定員合理化への協力という形で六十五人の減員を行い、外部委託経費の増加の抑制にも努めているということで、このような総人件費の抑制に向けた取組は継続していただきたいと思います。

 他方で、先ほど、増員の理由として、事件処理の支援のための体制強化というものが挙げられました。これは具体的にどのようなことでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所は、裁判部門において実際の事件処理を行っておりますほか、事件処理には直接関与しないものの、司法行政部門におきまして、裁判事務の合理的あるいは効率的な運用を図り、事件処理が円滑に進むよう裁判部門の支援を行っているところでございます。

 具体的には、裁判手続等のデジタル化の検討、準備、裁判手続に関連する各種法制の検討への関与、庁舎新営等に伴う事務などを行う必要がございます。

 そこで、こうした事務に対応し、適正迅速な事件処理を支援するための体制強化を行うため、裁判所事務官を増員するということにしたものでございます。

漆間委員 事件処理の支援のための体制強化の中身として、裁判手続等のデジタル化の検討、準備というものがありました。デジタル化には、これまで吉田委員や鈴木委員からの議論にもありましたように、AIの活用だったりマイナンバーとの連携などがあると考えますが、裁判所においては、裁判手続等のデジタル化の推進につきましてどのような取組を予定しているのでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所における裁判手続等のデジタル化の取組状況でございますけれども、まず、民事訴訟手続のデジタル化の実現に向けた取組を更に進めていく必要があるというふうに考えております。

 具体的には、改正民事訴訟法のうち早期の施行が予定されておりますウェブ会議を用いた口頭弁論の運用に向けた準備に取り組むとともに、デジタル化後の民事訴訟手続の本格的な運用開始、これはオンライン申立てでありますとか訴訟記録の原則電子化というようなことがございますけれども、これらに向けてシステム開発や規則改正の検討を着実に進めていくことになります。

 また、これ以外の分野につきましても、民事非訟手続、あるいは家事事件手続、刑事手続のデジタル化の実現に向けた取組を更に進めていく必要があるというふうに考えております。

 このようなデジタル化への取組を通じまして、より一層適正迅速な裁判の実現に向けた必要な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

漆間委員 ちょっと再質問なんですけれども、例えばマイナンバーカードとの連携などはどんなことを考えているのか、もしありましたらお願いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 今、委員の方から御指摘いただきましたマイナンバーカードにつきましては、申し上げましたとおり、現在、裁判所において民事訴訟手続のデジタル化などのシステム開発を進めているところでございます。その中で、アカウント登録に関しての本人確認方法としてマイナンバーカードを活用するといった方法も含めまして、適切な本人確認方法について検討を進めているところでございます。

漆間委員 裁判手続等のデジタル化の推進に向けた取組を進めていくに当たり、デジタルに関する専門的な知見を取り入れていく必要があると思います。裁判所において、このようなデジタルに関する専門人材を活用していく予定はあるのでしょうか。また、デジタル人材の確保策についても併せてお伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所といたしましても、デジタルに関する専門的な知見や経験を取り入れていくということは有用であるというふうに考えております。

 令和三年度から、いわゆる転職サイトを利用いたしまして採用募集を行っているところでございまして、令和三年度には合計三名、令和四年度に合計三名のデジタルに関係する専門的な知見を有する方を職員として採用することができました。現在も、裁判所のデジタル化に向けた検討において、その知見を発揮してもらっているところでございます。

 裁判所といたしましては、デジタルに関係する専門的な知見を有する方を採用することは、デジタル化の検討に向けて有意義であるというふうに考えており、今後も、更なる人材確保を含めて、デジタル化の検討等に必要な体制を確保できるよう検討してまいりたいと考えております。

漆間委員 今回は裁判手続等のデジタル化の推進のための増員ということですが、裁判手続等のデジタル化が進んでいくと、事務が合理化されて、中長期的には人員を減員するということになるのでしょうか。お伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判手続のデジタル化が進んでまいりますと、これに伴って、事務処理のやり方、在り方ということが、それ自体が変わっていくことになります。ある場面におきましては、業務の合理化が図られていくということが予想されるところでございますが、他方で、これまで以上に注力すべき業務も生じ得るところでございます。

 現在、最高裁判所におきまして、裁判手続等のデジタル化に伴って合理化、効率化される事務処理の在り方について鋭意検討を進めているところでございますが、デジタル化による合理化、効率化等の状況のほか、その時々の事件動向や、デジタル化以外の事務処理状況も総合的に考慮いたしまして、どのような体制を整えるべきか、慎重に見極める必要があるというふうに考えております。

 現時点において、今後の減員ということとの関係を申し上げるというのはなかなか難しいということについて御理解をいただければというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、引き続き、裁判手続のデジタル化の状況などを踏まえまして、必要な人的体制の整備に努めてまいりたいと考えております。

漆間委員 今回、判事補については十五人減員するということですが、その減員の理由について、先ほども議論があったところでありますが、説明、お願いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 判事補につきましては、平成二十九年から令和二年までの間に、判事定員への振替をすることにより定員を減少させてきたところでございます。

 成年後見関係事件など一部の事件を除きますと、事件の増加ということにつきましては、歯止めがかかって、落ち着きが見られるようになっております。また、判事補の充員が困難であるという状況が続いているということもございます。

 令和三年三月の衆議院法務委員会附帯決議等も踏まえまして総合的に検討した結果、令和四年度には判事補の定員を四十人減員したところでございます。

 そして、今般、令和五年度も、欠員状況が高水準となっているという状態である見通しであることから、そしてまた、直近の事件動向、すなわち、民事訴訟事件あるいは刑事訴訟事件につきましてはいずれも減少傾向になっている、あるいは、家事事件については、全体としては増加傾向ではありますけれども、成年後見関係事件、これは高齢者人口の増加に伴うものというふうに考えられますが、これにより累積的に積み上がっていることによる増加、少年保護事件については引き続き大幅な減少傾向が続いているといった状況、そして令和四年三月の附帯決議等を踏まえまして、判事補について十五人減員するということにしたものでございます。

漆間委員 判事補の減員の理由について、判事補の充員が困難な状況が続いているとのことです。過去に多くの判事補を採用できていた時期もあったかと思いますが、なぜ判事補の充員が困難な状況が続いているのでしょうか。また、判事補の充員に向けてどのような取組をしているのでしょうか。お伺いいたします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してほしいと考えているところではございます。ただ、新任判事補の採用数が伸び悩んでいる理由といたしましては、判事補の給源となる司法修習終了者の人数が減少していることに加えまして、弁護士として活躍する分野が広がっているだけでなく、大規模法律事務所等との競合が激化していることや、大都市志向の強まりや配偶者が有職であることの一般化に伴いまして転勤への不安を持つ司法修習生が増えていることなどが理由になっていると考えているところでございます。

 判事補の充員に向けてどのような取組をしているのかという御質問でございますが、判事補の採用を増やすための方策といたしましては、これまで、実務修習での指導担当裁判官あるいは司法研修所の教官から司法修習生に対しまして、裁判官のやりがいや魅力を伝えるほか、異動の希望や負担にはできる限り配慮していることを伝えるなどしてきたところでございます。

 また、最高裁修習プログラムを設けましたり、司法研修所教官が例えばウェブ会議を活用するなどして司法修習生からの相談に応じたりもしております。また、若手裁判官にその仕事内容や司法修習生へのメッセージを話してもらう企画を実施するなど、裁判官の仕事の実情とその魅力が司法修習生に伝わるよう努めているところでございます。

 今後とも、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してもらえるよう努力をしてまいりたいと考えております。

漆間委員 判事補の採用が十分にできていない要因の一つとして、司法修習終了者が減っているという御答弁がございました。

 司法修習生が減っているという点は、そもそも、法科大学院制度導入以降に法曹志願者数が減っていることが原因だと考えられ、先ほど来、階委員からの御指摘もありましたとおり、同様の問題意識を持っております。

 法務省として、法曹志願者増加に向けた取組はしているのでしょうか。お伺いいたします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、近年の法曹志望者数の減少については重く受け止めているところでございます。一層高度化、複雑化する法的需要に的確に対応し、国民にとって身近で頼りがいのある司法を実現するためには、より多くの有為な人材が法曹を志望するような環境整備が重要であるというふうに考えております。

 そこで、法科大学院教育の充実や、法曹資格取得までの時間的、経済的負担の軽減を目的といたします、いわゆる法曹養成制度改革法が令和四年十月に全面施行をされたところでございます。本年、令和五年でございますが、本年の司法試験からは、新たに法科大学院在学中の者にも一定の場合に司法試験の受験資格が付与され、また、法学部三年と法科大学院二年のルート、いわゆる3+2の制度でこの受験資格を得た者の受験も始まるところでございます。

 法務省といたしましては、引き続き関係機関等とも連携しながら、法科大学院教育等を一層充実させるための支援、3+2の制度の更なる周知を行うとともに、法曹の魅力や幅広い分野での活躍についての積極的な情報発信など、より多くの有為な人材が法曹を志望する環境づくりに向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

漆間委員 今回の減員を通じて、人件費の削減額は幾らになったんでしょうか。お伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回、裁判所事務官を三十九人まず増員をしたいというふうに考えておりますが、これに必要な経費は約二億一千八百三十万円でございます。他方で、技能労務職員等六十五人の定員合理化のほか、速記官五人の振替による減員、あるいは判事補十五人の減員ということを考えているわけでございまして、これらによりまして約五億三千二百五十万円の人件費の減ということになります。したがいまして、差引き合計で約三億一千四百二十万円の減ということになります。

漆間委員 ちょっと通告にはないんですけれども、吉田はるみ委員から御質問があったことと同じ問題意識を私も持っておりまして、この定員について毎年決めていることの必要性を、ちょっと私もこの法案の審議に当たって感じております。

 他省庁のように上限を決めて機動的にやった方がいいかと思うんですが、先ほどの御答弁ですと、事件動向を見ながら中長期的な計画を立てていくのは難しいという御答弁であったと思うんですけれども、毎年でなく、せめて三年ごとであったり五年ごとであったりというのは方法としてはあり得るんじゃないのかと思いますけれども、これについて何か御意見などありましたら、よろしくお願いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、事件動向あるいは事件処理状況等々、様々な状況によって裁判所の人的体制というのを考えていかなければいけないというふうに思っているところでございます。

 委員の御指摘のように、少し短い期間であっても何か計画性をという御指摘というふうに承りました。私どもとしても、そういうことを考えることを努めておるところではあるのですけれども、やはりなかなか、その時々の状況というのが読めないというところもあり、また変化が大きいというところもございます。引き続き検討してまいりたいと思いますけれども、なかなか、こうという形で申し上げることが難しいというのが現状というふうに申し上げさせていただきたいと思います。

漆間委員 是非よろしくお願いいたします。

 もう一点、これもちょっと通告にないんですけれども、先ほど、同じく吉田はるみ委員から、裁判記録の電子化についての御質問がございました。

 電子化というのは、やはりかさばらないという点ですごくメリットがあると思います。先ほど、十三万九千件の過去の様々な記録を持っていて、これを電子化するのが大変だというお話がありましたけれども、十三万九千件を、そもそも、しっかりと保存して、紙ですから、恐らく長期的に見ますと劣化もしていきます。劣化をしないように、そのスペースもしっかり確保していくことのデメリットと、電子化のメリット、これを考えますと、電子化もやはりやるべきではないのかなと。電子化というのは、かさばらないですし、劣化もしないですし、しかも共有が簡単で、国民の皆さんが見たいと思ったときにインターネットなどを通じていつでも見られるメリットがあると思うんですけれども、そういうメリットを勘案しても、やはり電子化というものは難しいんでしょうか。お伺いいたします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、将来に向けてということについて申し上げますと、ただいま裁判手続のデジタル化ということについての検討が進んでいるところでございます。この中では裁判記録の原則的な電子化ということが進められていくことになりますので、それに向けた、今、検討というのが随時、鋭意進められているところでございます。今回の事務官の増員の中でも、その点については、そういう検討も必要なことでありますことから増員をお願いしているというようなところでございます。

 他方で、現在既に紙で保存している事件記録というものにつきましては、申し上げましたとおり、非常に膨大な数のものがあって、そして、いろいろな記録がその中には含まれているということになります。それらを全て電子化していくということの負担、あるいはその電子化した記録と紙のものの記録の関係性等、様々難しい問題があるというふうに考えているところでございます。

 いずれにしましても、今回、記録を廃棄してしまったという事態を踏まえまして、どういう記録をしっかり保存していくのか、それをきちんと保存し続けていくのかということについて検討を進めているところでございますので、また引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

漆間委員 少し早いんですが、以上で質問を終わらせていただきます。是非、御検討をよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 大変恐縮なんですけれども、先ほど経産委員会で質問に立ったものですから、ほかの方の御質問をお聞きしていなかったので重複するところが出てくると思いますが、御容赦いただきたいと思います。

 先日の大臣所信についても少し質問させていただいたんですけれども、先ほども、今答弁を聞いていて、いろいろな資料も今日もお出しになられたと思うんですけれども、事件動向及び判事補補充の状況を踏まえてということで、今回、十五人の定数を下げるという話なんです。

 昨日も電話で少しやり取りさせてもらったんですけれども、去年は四十人、今年は十五人、その数字の根拠を示してくれと言ったら、今私が述べたことをベースにして言っているんだということで、じゃ、この十五とか四十というのは何の根拠で言っているのといったら、よく分からないんですね。

 これを毎年毎年やっていくのかということに、前任の委員の御指摘があったように、私は通告書に出しておりますけれども、定員の増減を法案として出さなくてもいい仕組みをつくった方がいいんじゃないかということです。これは、三番目に大臣にお尋ねしなくちゃいけないんですけれども、毎年毎年これをやる意義がどこにあるのかといったときに、余り建設的な話じゃないんじゃないかと思うんです。

 今日も二時間半かけて委員会が開かれているんですけれども、もうそろそろ違うやり方を取ったらどうですか。法案もたくさんありますから、法務省が出してこられるやつ。そっちに時間を割いた方が私はいいんじゃないかと思うんですけれども、ちょっと前後しますけれども、大臣に御決意をお聞きしたいんです。

齋藤(健)国務大臣 思わずちょっとうなずきかけちゃったんですけれども。

 裁判所職員の定員につきましては、法律上、定員数の上限を定めた上で、具体的な定員数の定めを最高裁判所規則等に委任するといった立法形式を取れば、定員の計画的、弾力的な運用や機動的な対応が可能となるといった長所も確かに認められるところだと思うんです。

 ただ、一方、御指摘のように上限を定めるとすると、ある程度中長期的な事件動向等を予測して、必要な人的体制の見通しを立てるということが必要になるということでありますので、そうしたことの可否、できるのかできないのか、ありていに言えば、につきましては、まずは裁判所においてやはり検討がされるべきものだろうと考えています。

 法務省としては、立法形式をどうするかにつきましては、裁判所の判断を尊重しながら、裁判所関連法律を所管する立場から、必要があれば必要な対応をしていくということだと思います。

鈴木(義)委員 一つ確認をしたいんですけれども、今、裁判所から法務省に出向している人が何人いるのか、それと、法務省以外のところに出向している人がどのぐらいいらっしゃるんですかね。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 ただいま御質問いただきましたので、取り急ぎ今手元にある数字を申し上げますと、令和四年十二月時点で行政府省に勤務している裁判官の数につきましては、百五十八人というふうに承知しております。

 また、例えばこのほかに、民間企業等の長期研修に派遣されている裁判官などもおりますが、これは十四という数字になっております。

鈴木(義)委員 私は県会議員が長かったんですけれども、お世話になったときに、国から埼玉県に来る職員さんがいると、給料は県持ちなんですね。県から市町村に出向させると、市持ちなんです。

 じゃ、今述べられた百五十八人が裁判所から行政職の方に出向されたときの給料は、どっちが持つんですか。

竹内政府参考人 行政府省庁への出向の場合には、裁判官から行政府の職員に転官をすることになろうかと思います。直接的には、検事に転官をしてということになろうかと思いますので、法務省に出向すれば法務省が給料を支払う、こういうことになろうかと思います。

鈴木(義)委員 そうすると、昨日もお尋ねしたら、定数が八百幾つあって、実際、そのギャップが百七十ある。今回、十五減るから百五十五ですよね。百五十五というのはどこから来るのって、何でそのギャップを縮めようとしないのかということなんです。十五人減らすというところの根拠もよく分からない。

 今御説明いただいたように、去年の十二月現在で百五十八人、民間で十四人。それは行った先で給料をもらえるんでしょうね。その人たちが戻ってきたときには、上限を下げちゃうと戻れないというのがあって。

 先日もお尋ねしたときに、高度、複雑化している社会だからといったときに、国民に一番近いところの行政に携わっている中で、法務省に出向させていろいろなトレーニングをして、また裁判所に戻っていくんだというのを昔聞いたことがあるんです。民間も同じようにしていると思うんですね。科学技術も含めて、そういったところに出向されていると思うんですけれども。

 だったら、そこのところを弾力的に運用すれば、別に裁判官の数が減ったからといっても、出向している先から戻して、事件動向に応じて、私は五年一つの区切りでいいと思うんですけれども、一年、二年で上がったり下がったりするのを弾力的にやれというのは難しいんです。でも、出向した先から戻してもらって、裁判業務に携わってもらえれば、そこのところはフレキシブルにできるんじゃないかということです。

 だから、上限を決めるんだったら決めて、その中で人事を、トレーニングする先に出せばいいだけの話で、毎年毎年、定数を幾ら減らします、上げますということをしないで、上限なら上限を決めて、その中での人事交流というんですか、トレーニングする先を出す、そこを弾力的にやれば、毎回毎回法案として出す必要性がどこにあるのかということに行き着いてしまうと思うんです。

 それについて御答弁、副大臣ですか。

齋藤(健)国務大臣 人事交流は、私も、ある役所で、出す側もやれば、埼玉県に出されることもあったわけでありますが、それぞれの、そのときの状況に応じて判断をしながらやっていくわけであります。

 ですから、恐らく、裁判所側の事情がこういうことでありましたといっても、また先方の事情もあるものですから、多分、裁判所側の事情だけで、じゃ、全部引き揚げますとか、そういうことはなかなか難しいんだろうということは一般論として分かるわけであります。

 その中で、どういう定員にしていくかということを考えていく、これは裁判所において考えていくんだろうと思っております。

鈴木(義)委員 今大臣からそういう御答弁いただいちゃったんですけれども、裁判所として、じゃ、どう考えるかって尋ね返されたら、今日のスタッフの皆さんで答弁できる方はいらっしゃいますか。今、ボールを最高裁の方に投げ返されちゃったんですよね。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 急な御質問なところもございますので、答えられる範囲でお許しいただければと思うのですが、御指摘のとおり、裁判所から各行政府省などに出向という形で出ている中には、例えば、若い裁判官が、研修といいますか、外部経験を重ねるという意味で、出向というような枠組みを使って経験を深める、高めるというようなこともされているところでございますし、あるいは、ある程度経験を積んだ裁判官が出向して、そちらの省庁等で業務を行っているというようなものもございます。

 このように、様々な形で出向しているというところがございますので、その中で、やはりそういう外部での経験を積んでいくということの重要性というのも私ども重視しているところでございますので、それ自体もやはり意義がある、裁判官としての経験を積んでいく中では意義があるというふうに考えております。

 また、御指摘もありましたような、出向先との関係ということもございますので、私どもの方の戦力ということももちろん踏まえながらではございますが、いろいろ考えながら検討してまいりたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 検討していただけるということは、来年は定数の削減の法案は出さないということでよろしいんですか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所の定員、これは、裁判官もそうですし、裁判官以外の職員もそうですけれども、繰り返しになって恐縮ですが、その時々の事件動向等を見ながら体制を考えていくということになります。ですので、いろいろ考えていく中でということにはなりますけれども、その中で、また来年度の体制を考える中で定員をどうしていくかということは検討していくことになりますので、来年どうなるかということについてはまた改めて考えたいというふうに思っております。

鈴木(義)委員 しつこいようになっちゃうんですけれども、今、八百何人の定数があって、ギャップが百七十人。結局、今回十五人減らしますといいながら、今いただいた資料でいくと、百五十八人というと、合わないんですよね、数字上。合っていると思うんですけれども。一番最初に、冒頭、人数は何人ですかと言って、そこと、こっちは百五十五人で、百五十八人、外に出していますよというと、三人多いんですけれども。

 だから、そんな一人、二人、三人の話をするんじゃなくて、結局、アッパーを決めておいて、その中で五年刻みぐらいで状況をどう判断するかということで。毎年毎年、来年どうしよう。今回法律を出しているということは、去年の十二月時点ぐらいで最低でも、どうしようか来年はという協議はしているんだと思うんですよね。それを毎年毎年やっていくのか。その間にもっといろいろな事件とか事象が多くなった、もっと減ったといったときに、じゃ、それに対応してまたがたんと減らすのか。でも、行った先の人間は戻せませんよとか戻しますよというのを協議してやらなくちゃいけない。それは分かるんですけれども、それを毎年毎年同じような形でやっていった方が効率的なのかといったら、私は違うんじゃないかと思うんですね。

 トレーニングの仕方だって、官庁に行って、十四人は民間に行っているんですけれども、民間のどこに行っているかといったときに、これはなかなか教えない方がいい場合もあるんでしょうけれども、そこで戻ってきたときの職員さん、県でも市町村でもよく聞くんですけれども、戻ってきたら全然違う部署に回されちゃう。十年ぐらいたったら、その自分が行った先で教わってきたことを担当できるような部署に回される。おかしいんじゃないのというのは昔から言われているんですけれども、なぜそういうことをやっちゃうのかということなんですね。

 その辺もやはり考えた人事異動なり交流をしていくのには、五年刻みぐらいで定数の見直しを図っていった方がいいと思うんですけれども、最後に、大臣、御決意を。

齋藤(健)国務大臣 これは先ほど、冒頭申し上げたことになるんですけれども、法律上、定員数の上限を定めた上で、五年とかおっしゃいましたけれども、その中で、具体的な数はその都度決められるように最高裁判所の規則なんかに委任していくという立法形式を取ることは、おっしゃるように、確かに、計画的、弾力的な運用や機動的な対応が可能となるという長所も認められるんですが、一方で、定員の上限を定めるという点に関しては、繰り返しになるんですけれども、ある程度中長期的な事件動向等を予測して、必要な人的体制の見通しを立てるということが前提になっているわけでありますから、その前提が本当にできるのかどうかというところについて、これは裁判所の実務に関わる話になりますので、裁判所において検討をされ、そして、必要が出てきたら我々も御協力するということなのではないかと思っています。

鈴木(義)委員 分かりました。

 以上で終わります。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今回の定員法案では、判事補を十五人減員し、そして裁判官以外の職員についても三十一人減員するというものになっております。

 例えば、刑事事件の裁判官でいいますと、裁判員事件があったりすると、本当に休む間もないという状況もあるそうです。そして、準抗告というものがあれば、土日も出勤、妊娠中の裁判官も駆り出されるということで、裁判官が倒れるのではないかという現場の心配の声もございます。

 現場にしっかりと裁判官を増員していただくということが必要だというふうに思いますし、職員の方々の増員も必要です。予算も増額していただく必要があるというふうに考えております。

 職員の方の問題なんですけれども、昨年の質疑では、事務を一部見直し、合理化、効率化することで減員が可能なんだという御答弁がありましたけれども、しかし、職場の、現場の皆様からは、繁忙で増員要求がございます。NAVIUSというシステム化によって事務は逆に煩雑になったという声もございます。

 定員を純減する、そういう根拠がないというふうに思いますけれども、御答弁いただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 裁判所といたしましては、これまでも、事件動向や事件処理状況を踏まえまして、必要な人的体制の整備に努めてまいりました。

 近年、裁判手続のデジタル化の検討、準備、裁判手続に関する各種法制の検討への関与、庁舎新営等に伴う事務等への適切な対応を図るために必要な事務官を増員し、適正迅速な事件処理を支援するための体制強化に努めてきたところでございまして、本年も同様でございます。

 他方で、裁判所も、国家公務員の定員をめぐる情勢が厳しさを増す中で、国家の一機関として、他の行政官庁と同様に、事務の効率化等、必要な内部努力を行う必要があるというふうに考えているところでございます。これまでも、裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、政府の定員合理化の方針に協力をして減員をしているものでございます。

 このように、裁判手続等のデジタル化を含む事件処理の支援体制強化のための増員を図りつつ、合理化等につきましては、担当する事務の内容、裁判事務への影響などを考慮した上で検討したものでございまして、今回の定員削減によりまして裁判所の事務に影響が生じることはないものというふうに認識しております。

本村委員 政府の定員合理化に協力するのではなく、やはり、憲法が保障している国民、住民の皆さんの権利が守られるかどうかという観点から考えていただきたいというふうに思います。

 もう一つの問題は、客観的な労働時間の把握もなく減らすと言っている問題です。

 客観的な労働時間の把握については、昨年の質疑で、最高裁の職員の方々の業務端末の使用時間を記録し、これを超過勤務把握の資料とする運用を四月に開始するという答弁でした。

 そこでお伺いしますけれども、昨年四月から今年二月の実績をお示しください。また、パソコンのログイン、ログオフではない従来の労働時間管理の手法と労働時間の違いをお示しください。

 また、全国の裁判所においても、業務端末の使用時間を記録し、超過勤務を把握するシステムの導入の計画を持つべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和四年四月以降、最高裁におきまして、職員の業務端末のサインインの時刻及びサインアウトの時刻を記録しまして、これを超過勤務状況の把握のための補助的な資料の一つとして用いる取組をしております。

 現在把握できている令和四年十二月までの状況につきましてお答えをいたしますと、最高裁における行(一)六級以下の職員一人当たりの月平均の業務端末の正規の勤務時間以外の使用時間でございますが、二十八時間四十分、超過勤務時間は十七時間五十八分。したがいまして、これらの差は十時間四十二分でございまして、勤務日一日当たりでは三十分程度の差があったということでございます。

 もう一つ、御質問として、全国の裁判所で業務端末の使用時間を記録するシステムを導入するべきではないかという御指摘だったと思いますが、その点でございますけれども、最高裁では、行政府省と同じように、他律的な業務が多く、繁忙な状況となっておりますため、勤務時間管理をより一層充実させるため、職員の業務端末の使用時間を記録し、これを超過勤務把握の資料とする運用を令和四年四月から開始したところでございまして、まずはこの運用を着実に軌道に乗せていくことに注力してまいりたいと考えております。

本村委員 先ほど、差があるというふうにおっしゃったんですけれども、現場からは、十七時以降残るのが難しい、例えば子育て中の女性が朝一時間早く出勤すること、土日勤務、持ち帰り仕事など、サービス残業の実態があります。特に、朝の申請が通りにくい、上司の了解を得ることが困難などの声がございます。

 実態を把握しているんでしょうか。サービス残業にならないようにちゃんとつけていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所職員の超過勤務につきましては、職員が事前に超過勤務について申告し、管理職員が超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断し、所要見込み時間と実際の超過勤務時間が異なった場合には、職員に事後報告してもらい確認するなどの方法によりまして適切な把握に努めているところでございます。また、管理職員からは、事前の申告等について職員に対し声かけ等も行っているところでございます。また、始業時刻前の超過勤務につきましても、終業時刻後の超過勤務と同様に適切に把握する必要があり、先ほど述べた方法により適切な把握に努めているところでございます。

 今後とも、職員の超過勤務の適切な把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 適切に判断されていないからこそ、客観的な労働時間の把握が必要なのだというふうに私は申し上げているわけでございます。

 東京地裁と名古屋地裁の超勤の分布についても求めましたけれども、最高裁にデータがなく、集計できないという回答でございました。

 今、平均値だけの把握をしているそうですけれども、全く不十分だというふうに思っております。下級裁ごとに、資料の一を出しておりますけれども、こうした資料も作り、基データも分析し、実態に見合った人員配置をするべきだというふうに考えますけれども、御答弁いただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員から御指摘の超過勤務の把握につきましては、各庁において、職員が事前に管理職員に申告をして、管理職員が超過勤務の必要性や緊急性を個別具体的に判断し、実際の超過勤務の状況につきましても管理職員が現認することを基本として、適切な把握に努めているところでございます。

 最高裁におきましては、各種協議会や下級裁との意見交換の機会などに、このような職員の実情を把握するよう努めております。

 これまでも、各庁におきましては、事件動向、事件処理状況に加えて、こうした種々の要素を考慮した上で事務量を見極め、比較的事務処理状況に余裕のある部署から繁忙な部署へ人員をシフトするなどして柔軟な対応を行ってきているものというふうに承知しておりますが、引き続き、こうした手法も含めて、実情の把握に努めてまいりたいと考えております。

本村委員 現場の声がまだまだ届いていないからこそ、こうした質疑をさせていただいているわけでございます。

 裁判所の職員の方、女性の方も多いということもございますし、子育て真っ最中の職員の方も多いというふうに伺っております。子育て、介護などで勤務時間を短縮しているケースで、職場に残っている、カバーする職員の方々の負担を増やさないためにも、やはりその短時間勤務の方の分の代替の職員も必要だというふうに思っております。職場に時短の勤務の人がいたらその分一人増員するなど、配慮するべきだというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御指摘のありました家庭の事情のある職員につきましては、そのことを踏まえて配置をいたしましたり、あるいはまた、必要に応じまして、部署内の応援、あるいは他部署からの応援などによりましてサポート体制を構築したりするなど、適切に対応しているものと認識をしております。

 引き続き、男女を問わず両立支援制度を利用しやすい職場環境の整備に努めていきたいと考えております。

本村委員 是非、職場の皆さんの声を聞いて、働きやすい職場にしていただきたいというふうに思っております。

 次に、障害がある方々の雇用について伺いたいと思います。

 職員の非正規割合と、障害がある職員の方々の非正規割合についてお示しをいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、障害者を対象とした選考により採用した職員の中での常勤と非常勤の割合ということで申し上げますと、障害者を対象とした選考により採用した職員、この中に占める常勤職員の割合は、令和四年度において約九%でございます。

 なお、障害者を対象とした選考により採用した職員以外にも、相当数の障害のある常勤職員がおります。

本村委員 資料を出させていただいたんですけれども、一般職の職員の方の場合、非正規の方は二・三%、そして、障害がある方だと九一%が非正規ということに、非常勤ということになっております。やはりこの違いは私は不平等だというふうに考えます。

 障害がある職員の方が安心して、安定して働くことができるように、正規採用を大幅に増やす必要があるというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたとおり、障害者を対象とした選考により採用した職員以外にも、相当数の障害のある職員が常勤職員として勤務しているところでございます。

 今後とも、適切な障害者雇用の推進に努めてまいりたいと考えております。

本村委員 正規採用を増やしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今後とも、先ほど申し上げたとおり、正規、非正規を問わず、適切な障害者雇用の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 障害がある方の九一%が非常勤ということで、非常勤の方の労働条件が大変悪いわけでございます。

 資料の五を見ていただきたいというふうに思うんですけれども、病気休暇ですね、常勤の方は九十日以内で、有給なんですけれども、非常勤の方は十日で、無給ということになっております。障害がある方の健康面への配慮が必要であり、これは有給にするべきだというふうに考えております。また、そのほかにもかなり、常勤と非常勤の格差がひど過ぎると私は考えております。無給のところが、この表を見ていただきますと、保育時間も無給ですし、生理休暇も無給ですし、非常勤の方は無給というふうになっております。

 やはり均等待遇に向けた取組をもっとやるべきだというふうに思います。これは人事院にも関係しておりますし、最高裁、両方お答えをいただきたいというふうに思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官以外の裁判所職員には、一般職の国家公務員と同じ制度が準用されております。

 したがいまして、常勤と非常勤の均等待遇に向けた取組につきましては、人事院における検討を注視してまいりたいというふうに考えております。

役田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般職の国家公務員の休暇につきましては、従来より、情勢適応の原則の下、民間における普及状況や社会的な要請を踏まえて、必要があれば適宜見直しを行っているところでございます。

 非常勤職員につきましても、民間の有期雇用従業員の休暇の措置状況等を踏まえつつ、必要な措置を行っております。

 なお、非常勤職員は、業務の必要に応じて、その都度、任期や勤務時間が設定されて任用されるという面がございますので、休暇の対象となる職員の範囲や休暇の付与日数等について、常勤職員との間で異なる取扱いとしているものがございます。

 他方で、非常勤職員の休暇については、非常勤職員の特性を踏まえつつ、民間の状況等も考慮し、必要な改善を行ってきております。ここ数年の措置を挙げさせていただきますと、新設した休暇としまして、結婚休暇、夏季休暇、出生サポート休暇、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇、また、有給化したものとして、産前休暇、産後休暇などがございます。

 今後、人事院が実施します民間企業の勤務条件制度等調査などを通して、引き続き、状況等を注視し、必要に応じて検討を行っていきたいと考えております。

伊藤委員長 本村さん、時刻が参りました。

本村委員 はい。

 是非、障害がある方が働きやすい労働条件を整えていただいて、働きやすい職場にしていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、裁判所職員定員法改定案に反対の討論を行います。

 本法案は、判事補を十五人減員し、裁判官以外の職員についても三十一人減員するものです。

 本法案の提案の理由は、事務を合理化、効率化することに伴い、職員の員数を減少する必要があるとしています。ところが、職場からは、簡素化、効率化が進んだという実感はなく、新システム導入により逆に煩雑になったとの声が聞こえてまいります。

 事務官は、デジタル化推進のために下級裁から最高裁へ人員シフトが行われています。

 本法案は、現場の増員要求の声に応えず、職場の疲弊を招くものです。

 人員配置の前提である客観的な労働時間把握が行われていないことも質疑の中でも明らかになりました。職員の方々の命や健康を守り、出産や育児、介護など、性別に関係なく、家庭的な責任を果たしながら働き続けられ、障害がある方が安心して働き続けられる人員確保が必要です。

 とりわけ、女性の多い職場であり、産休、育休、育児短時間勤務等を取得する職員も多く、増員が求められます。また、メンタルヘルス不調を訴える職員の増加や欠員が出た際の周囲の職員の負担増など、職場に深刻な影響を及ぼしています。

 裁判所定員数の削減ではなく、労働時間の客観的把握を行い、職場実態に見合った抜本的な人員配置こそ必要です。

 最高裁が、国民、住民の皆様の権利保障の機能の後退を招く政府の定員合理化計画に協力する姿勢を改め、憲法が保障する国民、住民の権利を守るという本来の重要な役割を果たすために、裁判所職員の増員、裁判所予算の増額を強く求め、討論といたします。

伊藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、宮崎政久君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。鎌田さゆり君。

鎌田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

 一 民事訴訟手続の審理期間及び合議率の目標を達成するため、審理期間が長期化している近年の状況を検証し、審理の運用手法、制度の改善等に取り組むとともに、産業の高度化や国際化に対応できるよう裁判官の能力及び職責の重さの自覚の一層の向上に努めること。

 二 裁判所職員定員法の改正を行う場合には、引き続き、判事補から判事に任命されることが見込まれる者の概数と判事の欠員見込みの概数を明らかにし、その定員が適正であることを明確にすること。

 三 平成二十五年三月二十六日、平成二十八年三月十八日、平成二十九年三月三十一日、令和二年四月三日、令和三年三月十二日及び令和四年三月九日の当委員会における各附帯決議等を踏まえ、最高裁判所において、引き続き、判事補の定員の充足に努めるとともに、判事補の定員の在り方について、現実的な実員の増減見通しも踏まえて更なる削減等も含め検討していくこと。

 四 現在の法曹養成制度の下で法曹志望者の数について顕著な改善傾向が見られないことを踏まえ、そのことが法曹の質や判事補任官者数に及ぼす影響につき引き続き必要な分析を行い、その結果を国会に示すとともに、同制度や法改正の趣旨を踏まえた更なる法曹養成機能の向上、法曹志望者の増加等に向けた取組をより一層進めること。

 五 裁判手続等のデジタル化の進捗状況を踏まえ、合理化・効率化が可能な事務と注力すべき事務をそれぞれ考慮した上で適切な人員配置を行うよう努めるとともに、裁判官以外の裁判所職員の労働時間を把握し、適切な労働環境を整えること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。齋藤法務大臣。

齋藤(健)国務大臣 ただいま可決されました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

 また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.