衆議院

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第6号 令和5年4月5日(水曜日)

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令和五年四月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 谷川 とむ君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石橋林太郎君    岩田 和親君

      上杉謙太郎君    奥野 信亮君

      加藤 竜祥君    熊田 裕通君

      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君

      高見 康裕君    鳩山 二郎君

      平口  洋君    平沼正二郎君

      山下 貴司君    鈴木 庸介君

      堤 かなめ君    中川 正春君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      漆間 譲司君    日下 正喜君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         齋藤  健君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君

   最高裁判所事務総局刑事局長            吉崎 佳弥君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 佐野 裕子君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 河合  暁君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  鎌田 隆志君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  鳩山 二郎君     平沼正二郎君

  深澤 陽一君     上杉謙太郎君

  吉田はるみ君     堤 かなめ君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     深澤 陽一君

  平沼正二郎君     鳩山 二郎君

  堤 かなめ君     吉田はるみ君

    ―――――――――――――

四月五日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(中川正春君紹介)(第六八三号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(中川正春君紹介)(第六八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官佐野裕子君、警察庁長官官房審議官小林豊君、消費者庁審議官真渕博君、総務省大臣官房審議官河合暁君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省矯正局長花村博文君、法務省人権擁護局長鎌田隆志君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君及び厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局民事局長門田友昌君、刑事局長吉崎佳弥君及び家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 まず最初には、障害のある方を含めた賠償の問題ということで、前回もお話をさせていただいたんですけれども、通告を受けている大臣御承知のとおり、通告をいっぱいしておいて一つしか聞けなかったので、ちょっとその問題を再度やらさせていただきたいと思います。

 その上で、ちょっとかぶってしまうんですけれども、皆さんもお忘れだと思いますので御説明させていただきますと、聴覚支援学校に通っていた女児、当時十一歳が重機にはねられて死亡した事件をめぐりまして、遺族が運転手らに計六千百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、被告側は、週三十時間以上働く聴覚障害者の平均月収は全労働者平均の約七割というデータを基にして逸失利益を算出すべきだと主張した。要するに、一般の人よりも安く算出すべきだと言ったわけです。

 これに対して、もちろん、原告側といいますか、御遺族の御両親は、いや、それは同じにしてくださいというふうに主張して、結局、判決になったんですけれども、こちら二月二十七に大阪地裁の判決で、女児が将来得られたはずの収入である逸失利益について、様々な手段や技術で聴覚障害によるコミュニケーションへの影響を小さくできたとして、そこまで言ってくれたんですけれども、やはり全労働者の平均年収の八五%に相当すると判断して、三千七百七十万円の支払いを命じたというふうに報じられております。

 七割のデータというのが、実測値といいますか、現在のデータ、統計値を使うというのが従来の判決なので、そういう意味では、そこから八五%に増えたのは、それは確かに画期的ではあるんですけれども、親御さんにしてみれば、当然一〇〇%であるべきだと。しかも、本当のところ、一〇〇%になる可能性だって多々あるわけですよね。別に、必ず平均になるなんてことは分からないわけで、その子がちゃんと生きておられたら、それこそ全く聴覚とは関係ない、画家さんになられてという、若しくは絵を使う御職業に就かれて、全く同じ年収というか、もっと高い年収を得るかもしれないのに、必ず低く見積もられるというのはいかがなものかというふうに思うわけです。

 これは、別に聴覚に限らず、視覚だって、運動障害だって、知的障害だって、みんな同じでして、あらゆる障害はちゃんとそれを克服する手段があるにもかかわらず、しかも、現在の平均で算定されてしまうという現在の民事訴訟、これは判例の部分も大きいんですけれども、この運用についての大臣の御所見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 個別の裁判について答弁は差し控えますけれども、民法第七百九条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めていて、一般的には、ここで言う損害には、治療費などの積極損害のほか、不法行為がなかったとすれば得られたであろう財産上の利益である逸失利益が含まれると理解されているところであります。

 そして、このような理解を前提に、現在の裁判実務では、逸失利益の額の算定に当たっては、将来収入の見通しを基礎とするということとされているところであります。そのため、障害があることが逸失利益を低減させる方向で考慮されることがあり、その結果、障害のある方の損害賠償額が低くなることがあるものと承知をしています。

 他方で、近時においては、将来の障害者雇用に関する社会状況の変化等をも考慮して、障害があっても全労働者の平均賃金に近い額を基礎として逸失利益を算定する裁判例が複数現れてきているというふうに承知をしています。

 このように、損害額の認定の問題となるのは、加害者に賠償させる逸失利益をどう考えるかということでありまして、法務省としては、引き続き、裁判所における判断の動向等を注視をしていきたいと考えています。

米山委員 まさにおっしゃるとおりで、まさにすばらしい答弁でといいますか、そのままの答弁で、でも、その中に解決の何か糸口というのがあると思うんですよね。

 というのは、これは、あくまでやはり将来年収を推計しているだけなので、別に今そうだというわけじゃない。それは、今、そうだなんて分からないわけですよね、将来年収なんというものは分からない。分からない推計方法として、恐らくこれは時代的なものもあって、かつては、やはりある程度将来年収というものは想定できた。少なくとも、インフレ率は利率だと、ほぼほぼ等しいとして。みんな、現在の状況が同じように続く未来というものがあったからこういうものであったと思うんですけれども、実は、やはり、もう未来なんて分からないですよねという状況だと思うんですよ。

 そんなときの年収というものを、若年者だと三十年後とか五十年後までの年収が想定されるわけですよね。にもかかわらず、現在の状況で、しかも、なぜか障害が特にみたいな話でされるということが問題なんだと思います。

 ちなみに、これ、同じ問題がございまして、これは今の御答弁にあったので御答弁なくていいんですけれども、私が言うだけで、もう先ほどの御答弁に答えが含まれているので。これは若い方も実は同じなんですよね。若い方なんかが、もう実際に働かれている若い方が二十代で亡くなったときに、一応、今、日本というのは、さはさりながら、年功序列は色濃く残っているわけです。そうすると、二十代で亡くなったときには、そのときの年収が極めて低いので、平均余命は長いんだけれども、やはり賠償額は低くなってしまう。

 これは、言い方は、誤解を恐れずにということで言うんですけれども、亡くなってしまえば、正直、御本人にはある種関係ないといえば関係ないというか、もはや自分でお金を使うわけじゃない、使えないですから。

 ところが、御本人が障害が残った場合に、若くして障害が残ると、その障害とは一生つき合わなきゃいけないんですよ、にもかかわらず、若くして障害が残ると、若い賃金のままずっと、一切賃金が上がらない状態の補償しか受けられないというか、その状態になるわけです。特に、もはやなかなか通常勤務ができないみたいな障害を負った場合に、若いときには、もう賠償金でほぼほぼ生きていかなきゃいけないみたいな状態になるのに、それが極めて小さい。

 ほぼほぼ同じことが起こっているのに、なぜか五十代の部長さんだと大層な額がもらえる。それは、もらっていいというわけじゃないんですけれども、やはりすごい額になったりして、一体何なんだということがあるんだと思います。それはまあ、もう御答弁は先ほどの答弁のとおりで、そういうところが背景にあるんだと思います。

 ちなみに、次の問題は、これは実は立法的に解決できる部分も大きいと思うんですが、同じ問題が、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律による給付金の算定においても同じことが、ほぼ同じ問題が生じ得ます。同法九条で、「遺族給付金の額は、政令で定めるところにより算定する遺族給付基礎額に、遺族の生計維持の状況を勘案して政令で定める倍数を乗じて得た額とする。」と定めます。微妙には、それは、民間の民事賠償とこちらで定められているものというのは、微妙にといいますか、それは数字は違うんですけれども、話としては同じ哲学に基づいた計算方法になっています。

 そうすると、何が起こるかというと、同じ犯罪被害を受けたときに、さらに、これはその犯罪被害を受けた瞬間の年収で決まるので、そのときにたまたま失業していると、全く、全くでは、最低額はあるので最低額はもらえるんですけれども、最低額が三百二十万で最高額が二千九百六十四万ということでございますから、全く無職で、誰も扶養していない状態で殺されると、まあ殺されると言ったらなんですけれども、亡くなってしまいますと、三百万とか、何ならそのぐらいの額になってしまうわけです。ところが、そこそこ稼いでいらっしゃる方で扶養家族がいると結構多くなるということになります。

 これも、もちろん、御遺族の扶養ということを考えるなら、扶養家族が多い方に多くするのは、それはいいんだと思うんですよ。御家族の生計の維持という意味でも、それはある程度高い方に、その生計を維持するためにはある程度高くなるというのは分かるんですけれども、さすがに現在の運用の、たった今無職なら無職、ゼロという算定はひどいのではないか。

 それはさすがに、一定の範囲の平均である、例えばここ直近三年の平均とかだって、別に合理的な、そんなに誰も不合理に思うような話じゃないと思うんです。さらに、何であれば、別に賃金センサスの平均値をここで使ったっていいじゃないですか。特に犯罪の被害者みたいな、特には何の落ち度もない方に対して、あなたは今は無職なんだからなんて言う必要はあるのか、直近二年、三年、稼いでいなかったからなんて言う必要があるのかと。ここでこそ、何であれば賃金センサス。だって、殺されなかったら、一年後には就職して平均値を稼ぐかもしれないわけでしょう。ということで、平均値にすればいいんだと思うんですね。

 これはもう法律の中で決められている話なので、実は、大臣がその気になって、これは計算方法を、しかも今言ったみたいに、そんなに突拍子もないことではない。現在の年収というものを、例えば三年でとか、例えば賃金センサスでとしたらいいんじゃないという改正を、お諮りしていただいて、それこそプロセスを踏んでいただけるとできる話だと思うんですけれども、こちらについての御所見を伺います。

佐野政府参考人 お答えします。

 犯罪被害給付制度は、殺人、傷害等の犯罪行為によって重大な被害を受けた方やその御遺族に対し、社会の連帯共助の精神に基づき、国が給付金を支給するものでございます。

 同制度における遺族給付金等の支給額につきましては、これまで、専門家や犯罪被害者等の方々の御意見などを伺いながら、犯罪被害者等に対する経済的支援をできるだけ手厚いものとするため、数次にわたって引き上げてきたところでございます。

 同制度における遺族給付基礎額は、犯罪被害者がその勤労に基づいて通常得ていた収入の日額を基に算定しており、労働者であれば直近三か月の平均賃金の例により定めることとなりますところ、これは、労働災害補償制度等、他の公的給付制度を参考にしたものでございます。それ以外の方であれば、一年間の収入を基礎として一日当たりの額を定めることとなります。また、遺族給付基礎額には収入や年齢層に応じた最低額と最高額の定めがございまして、これは、賃金構造基本統計調査、いわゆる賃金センサスを勘案して定めているところでございます。

 今後とも、犯罪被害者等の思いに寄り添いつつ、犯罪被害者等の権利利益を保護するという犯罪被害者等基本法の理念にのっとり、同制度の適切な運用に努めてまいる所存でございます。

米山委員 官僚の答弁としてはそうなると思うんです。でも、私の言っているのは、まさにおっしゃられたことは、今の運用というのはそうなんですということだと思うんですね。今の運用は、確かに、現在の職業、現在の収入であるとか、それを基にして、かつ賃金センサス等を基にしてやると。でも、先ほど来、問題点として言っているのは、それがいろいろな不平等を生み得ると。判例みたいなものに対して、行政がなかなか、すぐにできる、交代できるものではない、判例、学説の背景もある話なのでできるものではないんですけれども、犯罪被害者保護法、この給付金に関しては、実は行政が率先してその部分を変えていけるじゃないかという問題提起なわけなんです。

 なので、御答弁としては、それは、今までどおりに、今の判例どおりの制度にしていますで、それはいいんですけれども、そこは志高く、やはりこういったところからそこを変えていく、それがだんだんと世の中へ伝わっていくかもしれないので、それを提起させていただきたいと思います。

 次に、ちょっと方向性が変わるんですけれども、名誉毀損の損害賠償裁判、全然方向性が変わるんですが、というのもございます。

 名誉毀損の損害賠償というのは、名誉を毀損された損害を賠償するわけです。当たり前なんです、そのままなんですけれども、でも、一体名誉を毀損された損害って何だという話に必ずなるわけですね。

 ちなみに、このときには、そのときの収入とかというのは明示的には出てこないんです。明示的には出てこないんですけれども、個人名を出して恐縮だけれども、妻だからいいと思うんですけれども、私は私の妻の損害賠償裁判をしたんですけれども、あなたの妻の損害は、名誉毀損は認められたんですよね、認められたけれども、一体全体どのぐらい損害があったのか立証しろとか言われて、いや、なかなかその立証というのはと。何なら、妻が気分が悪くなって食事に行った代金とか、それを請求していいんですかねみたいなところで、非常に困惑するわけですよ。

 ところが、判例を見ると、非常に高い金額を、いや、この政治家の方はそんな百万円も、そんなに、このぐらい言われたら傷つくんですかねみたいなのがある一方で、うちの妻とか、へえ、十万円ですかみたいなものがあって、非常にこれは分からないんです。

 ちなみに、これも、何というか、笑い話でもなくて、今からデジタル化が進むということになって、いろいろな判例が、我々、恐らくですけれども、それは最高裁のやり方にもよるんだと思うんですけれども、いろいろ検索ができて、比較ができるようになると思うんです。日本の判例というのは、実はそういう横比較が非常に難しい。出ているものが、有名判例は出ているんだけれども、無名判例を大量に比較して、大体どのぐらいの相場かというのをやるのが非常に難しかったので、今言ったみたいな、うちの妻が十万円で、あの政治家は百万円かみたいな話が、理不尽で何かもやもやした思いを抱えながらも、それを具体的におかしいと言えなかったわけです。

 それが、恐らくはそうあるべきだと思うんですけれども、デジタル化の進展によって、いや、やはりおかしいだろう、幾ら何でもばらつき過ぎるだろう、ばらついてい過ぎるだろうということが出かねないんだと思うんですよね。だから、やはりこれに関しても、一定の対応といいますか、対処というものはあってしかるべきだと思うんですが、ちょっとこれは質問通告から質問のやり方が変わってはいるんですけれども、まず大臣の御所見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 これも当たり前なんですけれども、一般論で言えば、名誉毀損の不法行為による損害の賠償額は、名誉毀損行為によって名誉が損なわれたこと、すなわち、人がその品性、徳行、名声、信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価が低下させられたことによる損害を回復するに必要な額、こういうふうに理解されているところであります。

 そのような理解を前提に、裁判実務では、名誉毀損により被害者が受けた損害の額の算定に当たっては、加害行為の態様や被害者の社会的地位の低下の程度等の諸事情が勘案されているものと承知をしています。

 そのため、損害の額が被害者の社会的評価に応じて個別に算定される結果、損害賠償額に差異が生じることは法の予定するところでもあるわけでありますので、そういう考えで積み重なってきているんだろうと思います。

米山委員 これも先ほどと同じような話でして、現在の判例からそういうお答えになるのは、それはしようがないといいますか、そうなんでしょうと思うわけなんです。

 でも、現実に多くの人が、やはりかなりもやもやしたものを抱えているわけです。しかも、それがデジタル化の進展によって恐らく白日の下にさらされて、やはりおかしいだろうという話になると私は予想します。やはり、この判例とこの判例を見ておかしいなというのだってありますからね。

 そうすると、これもやはりある種志高い提案ということで、現状は現状として分かるんですけれども、しかも、やはり名誉毀損の損害みたいなはっきりしないものに関して物すごく明確な基準を定められるものでもなくて、一定の基準があった上で、その上で裁判官の裁量が残っている、それは分かるんです。でも、それを、何であれば、例えば最高裁の方でそれなりの基準を作っていただいて、別に公開する必要もないと思うんですよ、それをきちんと内部で共有していただいて、もちろん、個別の裁判官の法と良心に従った裁量はもちろん尊重した上で。しかし、それをきちんと判例として分かりやすくデジタルデータで示していただければ、それは世の中を先導していけるわけじゃないですか。今の判例がこうです、まあ、それはしようがないですというだけじゃなくて、やはりそういうふうに世の中を、ちょっと問題を先に解決していく。

 しかも、それはちゃんと今の整合したやり方でできる、今言ったようなやり方をすればできると思うんですよ、一定の基準を作った上で、そこは内部で持っていただいた上で。しかし、判例としてきれいなデータで出していただければ、我々、我々って、私、衆議院議員ですけれども、弁護士でもあるのでね。弁護士で、法曹界の人も非常に助かって、かつ、皆さん納得がいくというふうに思うのですが、これに関して、今度は最高裁の方の御所見を伺います。

門田最高裁判所長官代理者 済みません、突然のお尋ねですので。

 今、種々御指摘あったところも踏まえながら考えていくというところになろうかとは思うんですけれども、やはり裁判所としては、個別の事案の積み重ねということになりますので、なかなか一朝一夕には難しいかなというふうに思いながら伺っていたところでございます。

米山委員 これはもちろんそうだと思うんです。それはそうだと思うんですよ。でも、できることは非常にあって、それは、判例をきちんと分かりやすく整理して示してくれることです。

 しかも、これも、きっとまた、私、いつもの感じで、通告を山ほどしているけれども最後のところまで行かないと思うんですけれども、伺ったところで、最後の質問のところで、名誉毀損裁判が非常に増えている、月間二百件、三百件出ているということですよね、発信者情報開示が楽になっているから。そうすると、判例はかなり積み上がってくるわけですよ。そうしたら、最高裁の方がきちんとそのデータを出してさえくれれば、それは大分、無理をせずに一つの基準を示していけるということになりますので、しかもそれはできることだと思いますので、是非していただきたいということを申し上げたいと思います。

 今度は、今二つ御提案をさせていただいたんですけれども、最後に戻って、障害児の損害賠償の話というところ。これは、ではということで、私は、これも言いっ放しじゃなくて、やはりちゃんと解決したいと思っておりまして。

 それは、最初のは行政でできるし、次のは裁判所でできるし、最後は立法である。ここにいらっしゃる与党の先生方も含めた方々を是非巻き込んで、議員立法でいけるのではないかと思っているのですが、これは通告していないので、聞いていただいて最後に所見だけいただければいいんですけれども、思っているんですけれども。

 それは、先ほど来のお話であるように、結局、将来の収入なんてものは推定なわけですよね。特に未就学、未就労の児童については、それは推定なわけです。ところが、これって別に、健常児という言い方はよくないのかもしれないけれども、障害のないお子さんだって同じなんですよ。

 これも例としていいのかどうか分かりませんけれども、例えば大谷選手とか、子供の頃を知りませんけれども、さすがにリトルリーグに入った頃には、栴檀は双葉より芳しで、絶対この子はプロになるなと思われていたと思うんですよ、あの御体格、御才能で。でも、そういう子だって、もし亡くなられていたら、やはりそれは平均なわけですよ。

 逆に、お子さんのことを悪く言うつもりは全然ないですが、現実問題として、いや、この子、一体大きくなって大丈夫かな、道を踏み外さなきゃいいけどなみたいな子だって、それは現実として世の中にはいるわけですけれども、そういうお子さんが亡くなった場合も、それは別に平均なわけです。なぜか障害だけは、その属性だけは取り立ててその平均でなければいけないというわけですよね。

 これは論理としても正しくなくて、もしそんなふうに言うんだったら、僕はそうしたいという意味ではありませんけれども、例えば運動能力で分けて、だって、運動能力って小学生の頃には分かるんだから、運動能力ごとの平均値をちゃんと取って、運動能力が高い子には高く賠償しろとか、何であればIQで取って、その平均値の統計を取って、それで賠償しろとかという理屈にならないとちょっとおかしいと思うんです。なぜか障害というものだけが取り立てて平均から外されてやられている。

 これは実は、それこそ立法的に、未就学、未就労の児童の将来年収というものは、そこは少なくとも賃金センサスの平均値に基づいて推定する。しかも、法律上の推定規定であれば、特例的に破ったっていい。それはまあ、どう考えても極めて重い病気で、ほぼほぼ全例、全症例が一年後に亡くなるんですみたいなときには、それは推定を破っていいんだけれども、そうでない限りは、基本的には平均賃金で推定するのであるという、議員立法なりなんなり、それは恐らく閣法とかというよりは、立法的にできることだと思うんです。

 そういったことを私自身がやりたいと思っておるのでございますけれども、そのときには是非、大臣を含め法務省の皆さんに御協力をいただきたいと思っておりまして、御所見を伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、現行の損害賠償制度は、不法行為がなかったとすれば得られるであろう財産上の利益を逸失利益として加害者に賠償させる、そういう制度になっていて、今、米山委員のお話を伺っていて、なるほどなと思うところがないわけではないのでありますが、じゃ、どうやって計算するのがいいのかという点につきますと、非常に難しい問題があろうかと思いますので、やはり個別に判断していくということの積み重ねの中で、我々としては、裁判所における判断の動向等を注視をしていきたいというふうに思っています。

米山委員 そこは、ですので、議論が分かれるところをきちっと決めてしまうのが法律なわけです。ここはもう大臣に対する質問じゃなくなっちゃっていますけれどもね。そこは我々議員が、立法として、いや、それは議論は分かれるんですけれども法律でこう決めましたと。それはもちろん、法律というのは全て、現実を別に示しているわけじゃないですよね、社会としての決め事ですから、社会として、未就学、未就労児童の将来の賃金をどう推定するかというものはこう決めるんですと決めてしまえばいいことだと思うので、そこは是非御検討いただきたいと思います。

 いつもどおり、通告した三問中の一問で、あと五分ですという紙が来たのですが、また同じ感じで、二問目の触りをやって、また次に最後までやろうと思うんですけれども。

 今度は特定技能制度について、お手元に資料を配付しているんですけれども、特定技能制度について御質問させていただきたいと思います。

 特定二号は、御承知のように、建設業と造船、船用工業だけに認められているのですけれども、なぜこの二種類だけに認められているのか、その理由をお伺いしたいと思います。また、そうなったときのプロセスですね、どういうプロセスを経てそうなったのか、それも含めて御説明をお願いいたします。

西山政府参考人 現状、特定技能二号の対象になっているのが、建設分野と造船・舶用工業分野の二分野となってございますけれども、この特定技能二号の対象分野を定めるに当たっては、政府基本方針というものがございますが、まず、分野の所管省庁におきまして、現場の意向や業界団体などの意見を踏まえるなどして検討を行った上、その結果を受けて法務省が、制度関係機関でございます法務省、それから厚生労働省などとともに、定めるのが適当かどうかというのを更に検討を行った上で、その上で、適当と認めた場合には閣議決定を求める、こういうプロセスを経るものでございまして、今、二分野であるということにつきましては、この特定技能制度の検討の際に、所管省庁がこの二分野について二号とすべきという判断をして決定した、そういう経緯でございます。

米山委員 ちょっと私が最初に聞いたときのと違うんですけれども、全く違うわけでもないんですが、いろいろ業界にヒアリングしたときに、これを求めた業界がこの二つであって、業界として手を挙げたのがこの二つであって、かつ、それを検討して所轄が決めましたというふうに伺ったんですけれども、そういうことでいいんですか。基本的には、まず業界からの御希望があって、それを法務省で取りまとめて、かつ、それぞれの、さらには担当する省庁にコンサルトして、その上で決まったのがこの二つですということでよろしいですか。

西山政府参考人 細かく申し上げると、まずは分野の所管省庁において手を挙げていただいて、それを法務省等の制度関係機関において更に検討する、そういう手順でございます。

米山委員 分野の所管省庁が手を挙げていただくのは、じゃ、どういうふうに、それはどんなプロセスが、それはうちの担当じゃないから分からぬということでよろしいんですかね。

西山政府参考人 その所管省庁でどのようなプロセスを経て二号に手を挙げようというふうに定めるかは、所管省庁それぞれの御判断かと思います。

米山委員 そういう御回答ならいいんですけれども、でも、私が伺うところでは、やはりそれは各業界の方が、その当時、もう五年とか六年とか前だと思うんですけれども、手を挙げた業界がそこで、業界が手を挙げてそこそこ省庁に働きかければ、省庁としてはそれをやってくださいよと言うというプロセスを経たというふうに伺っております。

 何でそんなことを聞いたかというと、これはやはり、それは五年前はこの二つでよかったかもしれないんですけれども、時代もたって、多くの方々が、一号で終わった方々というのが帰る帰らないという話になっているわけです。

 御承知のように、一号では五年で帰らなきゃいけないんですけれども、二号は事実上その年限がない。もちろん二号の性質自体を変えたいというんじゃないですよ。もちろん、日本にしっかりなじんでいて相当程度に技能がある方で、そういう方が二号なんですけれども、実は一号の方はもっと多職種にわたっていますよね。介護であるとか宿泊であるとか農業も含めて、非常に多職種にわたっていて、そこで五年間しっかり働いた人たちが、こういう人たちを二号にしてもいいんじゃないのかと。何というか、二号にしてもいいんじゃないかという言い方はなんですけれども、二号で定めている一般的な要件、つまり、非常に高度な専門性を持っていて日本になじんでいる方というのに、二号の分野には入っていないけれども、この人たちだってそういうような人たちにもうなっているじゃないかと。しかも、その人たちをわざわざ帰して、それで、一回帰ったら、今度どこに来るかというのは、それは彼らが今度選ぶわけですからね。何も日本に来てくれるとは限らない、韓国かもしれない、台湾かもしれないわけですよ。

 そのときに、一体全体どうやったらこの二号のことをできるのかということを私は確認したかったわけなんですけれども、時間が来ましたという紙も配られたところでございまして。

 これは、でも、今ほどの御答弁から勘案すると、やはりそれはきちんと、各業界が手を挙げて各省庁にきちんと言うと、それは法務省の方でしっかりと対応していただいて、しっかりとこの二号は増えていくのであるというふうにお伺いいたしましたので、これも我々、しっかりと取り組んで、地域の要望に応えて、地域というよりも日本全体の要望に応えてまいりたいということを申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 おはようございます。立憲民主党の中川正春です。

 今日は、やがて出てくる、難民を中心にした入管法の改正に先駆けて、ちょっと大所高所からというか、総合的な入管法の在り方について質疑をしていきたいというふうに思います。

 そのキーワードというか、ポイントになる言葉というのは、私は移民という言葉なんだと思うんですよね。基本的には、移民政策として、トータルで、総合的に入管法というのを見直していくということ、これがないと、いつまでもそれぞれの分野で矛盾を抱えたまま、外から見ても、日本のどの入口で日本に入っていったらどういうことになるのかということが分からない、そういう状況にあるんだということ、これが前提なんです。

 そういう意味で、改めて聞きたいんですけれども、この移民という言葉、これまで政府は入管政策には移民という言葉を使ってこなかった。それはどうしてなのかということと、これからも、そうした意味では、移民という概念というか、そういうものは入管政策にないんだというような基本姿勢でいっていいのかどうか。大臣の所見を、お伺いをまず入口でしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、移民という言葉は様々な文脈で使われていまして、人によって思い浮かべるものがかなり幅があるというふうに思っておりまして、明確に定義することは困難だなと思います。

 その上で、政府としては、言葉そのものの使用はともかくとして、国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人及びその家族を期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこう、そういった政策を指して、いわゆる移民政策という表現をすることはありますけれども、現状、政府においてこのような政策を取る考えはないということでございます。

中川(正)委員 私は、これまで移民という言葉を避けてきた政府の思いというのは、やはり、日本の社会に一部、外国人に対する偏見というか、そうした拒否反応みたいなものがコアとしてあるとか、そのベースの上に立って一般的に見ていくと、今、非常に大きな人の流れといいますか、移動というか、これが世界的に起こってきているわけで、日本だけの現象じゃないということだと思うんですが、そういうことに対しての認識不足というか、こういうことがベースにあって、その言葉を使うということを避けてきたというふうに見ているんです。

 しかし、時代は相当変わってきていまして、入国管理行政が、このままでいくと、私は、世界から取り残されていくような、そんな危機感もあるんですけれども、その上に立って、ここ数年、日本の人口減少とともに労働不足が深刻になって、外国人労働者が必要だという認識、これはさっき特定技能の議論の中でも出ていましたけれども、各業界から様々な要望があって、その要望に従って、パッチワーク的に各省庁が反応して、取りあえずこういう形で人を入れるというような枠組みを、特に技能実習なんかの大義と、それから本音の部分を使い分けながら制度設計をしてやってきたということ。そうした流れを見ていると、このままトータルな、いわゆる永住ということを前提にした政策ということを考えていかないと、様々にいびつな状況が生まれてくるというところまで来ているんだろう、現実はという認識を私はしているんです。

 それに伴うデータといいますか、基本的な流れを、私、お手元にあるだろうと思うんですが、このグラフ、ここで認識をしていくということを一緒にやっていただきたいというふうに思うんです。

 このグラフを見ていただくと、左端、左の大きなグラフ、上陸許可時の在留資格。これは入口なんです。外国人が日本に入ってくるときにどういう種類のビザで入ってきているかということを示しています。

 これは二〇一三年から二〇二二年の十年間をトータルで表しているんですけれども、定住者というのは、ブラジルやペルーの皆さんを中心に日系というポジションで入ってきた人たちですよね。就労目的というのは、これは、専門職であるとか、あるいは技能を持った人たちが様々な領域の中で就労目的で入ってきている、高度専門職は言うに及ばずですが。短期滞在は三か月で入ってきている。青が留学を中心にしたところ。あとは、日本人と結婚したり、家族滞在であったりというようなことで、こういう形になってきています。

 実は、この入口というのは、日本に永住化するというよりも、まずは取りあえず日本に入ってきて、ある一定の期間が来たら、期間内でビザが切れてくるから帰っていくという前提で設計されているというふうに私は理解しています。

 ところが、それが、何年かするうちにということは、永住許可時の在留資格、右側の円になるんですけれども、この右側の円で、何年かするうちに、これは大体十年を目安にということで考えているようですが、十年ぐらいたったら、こうした形で永住許可というものが発行されて、この人たちは期限なしで日本に永住していくということができるという人たち。さらに、もっといけば、その人たちが、帰化という形で、日本の国籍を取って日本人になっていくというプロセスもあるということ。

 一つ確認したいんですけれども、現在、永住許可で日本に生きている人たち、これは何人ぐらいいるかということと、それから、帰化で日本人になって、日本人として生きている人たち、これが何人あるかということ、これを確認をしたいと思います。

西山政府参考人 永住者の人数についてのお尋ねについてお答えしますと、永住者の在留資格で本邦に在留する者については、令和四年末時点で八十六万三千九百三十六人となっております。

金子政府参考人 帰化者数についてお答えします。

 現在御存命で日本にいらっしゃる方についての統計を持ち合わせていないんですが、昭和二十七年四月二十八日から令和四年末までの帰化許可者数の累計が五十九万二千二百十二人ということで、直近五年間だと、大体毎年七千人から九千人程度の帰化が許可されております。

中川(正)委員 八十六万のその人たちというのは、特別永住は入っていないんですよね。これは、在日の人たちを中心にした部分、これは入っていないんですね。だから、それを除いて八十六万人。

 さっき、帰化ということで、相当昔からトータルになっていますけれども、現在生きている人たちというか、今生活している人たちというのを合わせると、百万人以上の人たちがこういう形で日本に永住してきているということなんです。

 ところが、政策としては、日本に永住していくんだという人たちを前提にした政策ではなくて、これまでの入管というのは、この一番最初の入口の部分の入管管理をしていくということだけで終わっているということが基本的には問題なんだということ。だから、総合的にということになると、永住していく部分、あるいは帰化していく人たちというのは、こうした形で年々増えてくる、恐らくこれからもまだ増えてくる可能性というのがあるわけで、それを、この入口の部分で、前提として、多文化共生であるとか、あるいは社会統合であるとか、そうしたものを設計を仕組んで、その中に総合化するということが必要なんじゃないかというのが私の観点なんです。

 特に、定住と言われる皆さんは、ブラジルからこちらへ来たときには、恐らく出稼ぎ的なところで、しっかり金をためて帰っていこうと、それが一番最初の、彼らの動機でもあったんだろうと思うんだけれども、三年で更新をずっとしていくうちに、日本に永住していく選択肢になって、子供が育って、日本人になって。しかし、その間に、例えばですよ、言葉自体もどこまでマスターできるのか、子供たちの教育がどこまで、日本の中で、ちゃんとした可能性を、彼らのタレントというか持っている能力というのを開いていくような制度の中で受け入れているのかということになると、これが全く、最初、特に最初はひどかったんですが、全くなかったんですよね。それをぼちぼちと組み立ててきて、今になるんですけれども、今も、そういった意味では、全く観点としてはないんです。

 だから、私が言い続けてきたのは、これをやはり法律の中で、そうした視点から仕組みづくりをしておくということ、それが総合的な移民政策ということを意味するんですけれども、そういう観点からの移民政策というのは必要なんじゃないか、こういうふうに思うんですが、今の現状の認識と、そうした問題意識、どのようにお持ちでしょうか。大臣に伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 委員御指摘のように、日本の人口も減りますし、高齢化も進みますし、外国の方々の力をおかりしながら活性化をしていくということは、時代の流れとしてそういう方向にあるんだろうと思っていますが、一方で、国民の中にも様々なお考えの方もおられるということでありますので、大きなコンセンサスの中で進めていくということが大事なんだろうと思っています。

 それで、現状につきましては、外国人材の受入れに関しては、御案内だと思いますが、専門的、技術的分野の外国人につきましては、我が国の経済社会の活性化に資するという観点から、積極的に受け入れていく。それ以外の分野につきましては、ニーズの把握や、受入れが与える経済的効果の検証のほか、日本人の雇用への影響ですとか、産業構造への影響ですとか、教育、社会保障等の社会的コスト、治安など、幅広い観点から国民的コンセンサスを踏まえつつ政府全体で検討していく。こういう考え方に基づいて外国人材を受け入れるということにしているわけであります。

 法務省におきましては、入った後の話も大事だと思っていますので、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップを策定をしておりまして、関係省庁等と連携しながら、外国人との共生社会の実現に向けて、受入れ環境整備を着実に進めているということでございます。

中川(正)委員 基本的な姿勢というのは、そうした方向性、私はそれなりに評価はしたいというふうに思うんですが、具体策になっていくと、てんでばらばらなんですよ。

 例えば、さっき申し上げたように、高度人材なり専門性を持った人たちということになると、じゃ、定住外国人はどうなの。この人たちは、ただ日本に入ってきて、恐らく彼らの気持ちからしたら、元々、働くということを目的に入ってきた。大義名分は違うんですよね。日系というステータスに基づいて、入ってきてもいいよという話なんだけれども、産業界も、それから具体的な私たちの受け止めも、また彼らの気持ちも、働くということを目的に入ってきた。その人たちがそのまま定住して日本人になっていくというプロセス、ますますそういう形になっていくんだろうというふうに思うんですよ。

 私は、それはそれでいいと思う。それはそれでいいと思うんだけれども、さっきの話で、専門性を持った人たちだけが移民の対象ですよという話で政策が終わっていると、この定住した人たちに対して、最終的には永住していくんだという前提でどのような準備をしていったらいいのかという、その議論ができないんですよ。できないというよりも、していないんですよ。

 だから、そうした意味で、そのまま放っておいたら、日本で自分の能力を開発する機会を失ってしまって、ある意味では社会の底辺を向いて張りついてしまうというふうな結果になってしまうのではないか。そういうことが欧米でも様々に起こってきていて、それが社会の分断に重なってきているということなんです。

 なので、抽象的な目標は分かるんだけれども、具体的にそれを施策にしていくのは、これはやはり法務省が横串を刺して、各省庁にそうした意味での設計を組み込んでいくという発想が必要なんだろうというふうに思うんですよね。それを法務省に頑張ってもらいたいという意味で、一つ例を取って、様々に、多文化共生施策なり、あるいは永住に持っていく移民政策なりというのはあるんだろうけれども、それぞれの国、いろいろなことをやっていますけれども、一つ基本になるのは言葉、日本語の学習ということだと思うんですね。

 これについて、これは共通インフラだと思うんです。だから、さっきの入口の中の、どんなビザで入ってきても、この日本語教育というのは共通インフラとして、将来その人たちの一部が永住してくるという前提になっていても、日本語は基本として使えるというような形で持ってくるべきだというふうに思うんです。

 そういう意味で、議法でこれは成立をさせることができたんですけれども、日本語教育の推進法の法律に基づいて様々実行計画みたいなものは立てておられますけれども、具体的に今、法務省として、あるいは入管として、この日本語教育の推進、どのように取り組んでおっていただくか、それを確認をまずしていきたいと思います。

西山政府参考人 まず、現在、一定の日本語能力を求めるという場面がございまして、御紹介しますと、特定技能、あるいは介護職種に係る技能実習、留学等の一部の在留資格に係る在留資格認定証明書交付申請時、それから、日系三世等の定住者の在留資格で最長在留期間である五年を決定する場合、それから、日系四世の入国時あるいは入国後一年及び三年を経過した後の在留期間更新許可申請時などにおきまして、活動内容に応じた必要な日本語能力を求めているということでございます。

 その上で、先ほども大臣から答弁ございました、外国人との共生社会の実現に向けたロードマップでは、日本語教育の充実につきまして、市区町村が都道府県等と連携して行う日本語教育の支援、日本語教育機関の認定制度及び日本語教師の資格制度整備などの様々な施策が取り込まれているところでございます。

 入管庁といたしましても、外国人の受入れ環境整備に関する総合調整機能を発揮しながら、関係省庁との連携を一層強化し、ロードマップ等に基づき外国人との共生社会の実現に向けた取組を着実に進めてまいりたいと考えております。

中川(正)委員 それぞれの省庁頑張れよというのは分かるんだけれども、法務省自体ができる施策というのがあるんですよね。例えば、さっきの定住外国人であるとすれば、彼らが日本語を勉強しなければならない、あるいは勉強したいというインセンティブをつくる。

 さっきお話のあったものというのは、勉強ができる環境づくり、特に、日本語教育機関の法律が今回出てきますけれども、勉強できる環境づくりで、質の保証を、それぞれの学習機会につくって準備をする、ここまでなんです、今。それに対して、それぞれ外国人が日本語を勉強するのだ、あるいはしなければならないんだというふうなインセンティブをつくり上げていくという政策をつくらないと、彼らはなかなかそれを学習するというところまで来ないということもはっきりしているので、それをつくるために、例えばビザの更新であるとか、あるいは入国時の条件であるとかというのに横串を刺して、それで、日本に入ってくる人たちについてはここまでのことは準備してくださいよ、ちゃんとできていますかというふうな確認の下に仕組みをつくるというようなこと、こういうのはできるんですよね。

 だから、そういうところまでしっかり踏み出していくということ、これが大切だというふうに思います。そのことを指摘をしておきたいというふうに思います。頑張ってください。

 次に、単純労働という観点から、もう一つ切り口をつくっていきたいというふうに思うんですが、さっきのお話のように、高度人材とか専門性を持った人たちという、永住へ向いて糸口をつくっていくということなんですが、もう一方で、出稼ぎということを前提にした単純労働の受入れ、この仕組みもはっきりとしたものにしていかなきゃいけないんだろうと思うんです。それの最たるところは、技能実習というものがあるんだと思うんですね。

 ところが、制度設計を見ていると、よく言われる大義名分と本音が違うじゃないかというところなんですが、国際的な協力の中で技能を修得するためにということが一つ、もう一つが日本で働くということ、この二つを加味しているんですが、日本で働くということを前提にして、出稼ぎだという気持ちで、恐らく海外から日本に入ってくる技能実習生というのは気持ちは整理されているんだろうというふうに思うんですよね。それであるとすれば、働くという部分で、どこまで法的に彼らの労働環境というのが保障されているかということが、これが課題になってくる。ところが、海外から見ていると、日本のこの制度というのはそこのところが全く欠けているんじゃないか。だからいろいろな問題を起こしている、人権侵害もあるというふうに指摘をされるということなんですが。

 現状、どのような制度の下でそれを保障しようとしているのか、どんな仕組みの中で、運用ですね、これが一つと、それから、最終的に誰を管理しようとしているのか。

 恐らく、私、見ていると、外国人の管理を中心に制度設計がなされていて、実際、本当に管理しなきゃいけないのは雇用主、そこのところを管理しなきゃいけないんだけれども、ここについては監理団体任せなんですよね。ところが、監理団体というのは事業主の総合体で出ているわけだし、そこから監理資金ももらっているわけで、なかなかそれへ向いてしっかりとした管理をしていくということではない。どっちかというと、雇用主の味方をするような形の監理団体が見られるんじゃないかという、この構造的な部分が問題なんですよね。この構造的な部分をどう解決していくかということも、ひとつしっかり今のところで議論をしておかないと、この中途半端がいけば、また同じ問題を繰り返すということだと思うんです。

 私、ちょっと提案なんですが、そういう意味では、職業安定所であるとか、あるいは、労働基準局なんかを運用主体にして、事業者に対する認定制度というか、あなたの会社は、これまでの実績と様々な整備、労働に対する整備ということから考えていって、外国人を雇用してもいいよという意味の認証制度、こんなものをつくり上げていく。これが職場環境を、役所が直接管理していく、監督していくというところへ向いて持っていけるんじゃないかというふうに思うんですが、こうした提案、どのように受け止めていただけますか。

齋藤(健)国務大臣 技能実習制度は、御指摘のように、技能等の移転を通じた国際貢献を目的とする制度であるんですけれども、労働力の確保を目的として受け入れている実態があるという御指摘があることはもちろん承知をしております。私としても、技能実習生を受け入れるに当たっては、受入れ基準の明確化とか労働者としての権利が保障される仕組みや運用の確保などは重要であると認識しています。

 現状ですけれども、技能実習生の権利を守る、そういう取組としましては、監理団体による三か月に一回の頻度で実施する実習実施者の監査、これは受入れ企業ですね、それから外国人技能実習機構による定期又は臨時の実地検査や技能実習生からの母国語相談対応などを通じて、労働関係法令違反の疑いを把握した場合には、外国人技能実習機構が労働基準監督機関に通報するなどして制度の適正化や技能実習生の保護の取組を進めてきているところであります。

 それで、今、委員御案内だと思いますが、この技能実習制度につきましては、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議というのを開催をして、技能実習の制度目的と実態を踏まえた制度の在り方や監理団体の監理の在り方も含めまして幅広く御議論をいただいている最中でありまして、こういう中で、よりよい制度になるように、まずは御議論いただいた上で、法務大臣として具体的対応策を判断をしていきたいというふうに考えています。

中川(正)委員 これまでやってきたことがなかなか効果的に働いていないという前提で物を考えていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。なもんですから、さっき申し上げたように、やはり監督官庁が直接事業者を管理するという方向へ向いて、是非切り替えていくということを考えていただきたい、そのことを指摘をしておきたいと思います。

 さらに、もう一つ課題があるんですが、これは職業選択の自由です。

 これは様々にこれまでも議論が出ていますけれども、親方とけんかして飛び出したら、もうそれで不法在留になってしまうんですよね。こんな矛盾はない。日本人だったら、職場が気に食わない、あるいは給料が低いといったら、職を替えるということ、これは当然の権利なんですが、それがこれだけ限定されている。ここのところを海外からも批判される部分なんです。これの工夫をやはりしていかなきゃいけないというふうに思うんですよね。よく言われるのは、全く自由にしたらみんな東京へ集まってくるじゃないかというような話になるので、そこのところをうまく調和しながら、職業選択の自由はそれなりに保障をしていく。

 それのキーになるのも事業者の方の監督なんですよ。認定を受けたところについては自由に選択できますよというふうなくくりの中で、地域的にもこの範疇でとかいうふうなこともできるんです、制度的に。今のようながちがちでは、これはもう続かない。

 監理団体へ向いて、移動したいというときには相談に行って、監理団体の方で次を見つけるということ、これも限界がある。さっき申し上げたように、監理団体が機能していないということがある。ということからすると、さっき申し上げたような思い切った取組というのが必要なんだろうというふうに思うんです。

 そこについてはどういう問題意識を持っておられますか、職業選択の自由。大臣。

西山政府参考人 まず、現状として、技能実習生につきましては、限られた期間内に計画的かつ効率的に技能等を修得するという観点から、一つの実習先で行うことを原則といたしておりますので、基本的には変更を認めていないというところではございますが、やむを得ず技能実習の継続が困難になった場合で、かつ本人が技能実習の継続を希望する場合には、実習先の変更が可能となっております。

 具体的には、例えば、実習実施者による人権侵害行為があった場合はもとより、実習実施者の経営上、事業上の都合のほか、実習実施者における技能実習計画の認定の取消し、労使間の諸問題、対人関係の諸問題など、現在の実習実施者の下で技能実習を続けさせることが実習の適正な実施及び実習生の保護という趣旨に沿わない事情がある場合には、相当程度柔軟に実習先の変更を認めているところではございます。

 ただ、その上で、委員御指摘がございましたような問題意識につきましては、先ほど大臣からも御答弁ありました有識者会議におきまして、論点におきましても、技能実習の転籍の在り方というものが論点として掲げられておりまして、私どもとしても有識者会議の議論を注視したいというふうに考えております。

中川(正)委員 恐らく有識者会議の議論も、さっき答弁にあったように、これは実習制度なんだという前提の中でしか議論していないんだと思うんです。一番のガンはそこなんですよ。

 だから、これも移民と一緒で、単純労働は認めないんだという前提があるので、だから実習制度だ、こういう二枚舌みたいな方策でこれを入れているということが、基本いろいろな矛盾を生み出しているということなので、まずは、これは政治判断の中で、単純労働は労働として、いわゆる出稼ぎ労働を受ける施策として枠組みをつくるんだという、そこから出発しないとこの問題は解決をしないということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 大臣、どうですか。総合的に、そこまで踏み込んで、しっかり事の立て直しを今していくときだというふうに思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、単純労働を現時点で受け入れるべしという御議論については、なかなか現時点で国民的コンセンサスが得られるとは私は思えない。

 ただ、一方で、御指摘のように、現行の技能実習制度及び特定技能制度には様々な御指摘があります。有識者会議でも、御案内の転籍、転職についても大議論が実際に行われております。まずはそこの中できちんとした議論をしていただいた上で、その上で考えていきたいなと考えています。

中川(正)委員 是非、時代に合ったというか、現場が対処しやすいような、今のままでいったら日本の行政そのものが国際的にも批判されますし、現場もいろいろな矛盾の中で苦労するという、そんなことになっていますから、これは政治判断なんですよ。だから、そこのところをしっかり指摘をしておきたいというふうに思います。

 あと、ウクライナのことをやりたかったんですが、時間がなくなってしまいました。またの機会に。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鎌田さゆり君。

鎌田委員 おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。

 大臣、今日は期せずして同じ色合いで、もしかしたら質問にも同じ気持ちでなどというかすかな期待を持ちながら、質問に臨ませていただきたいと思います。

 まず、刑事再審に関する刑事訴訟法等について伺っていきます。

 いわゆる刑訴法なんですけれども、皆様も御存じのとおり、現行刑訴法の中で再審に関わる法律、これは全体の刑訴法、五百を超える条文のうち、再審に関する規定は十九か条にしかすぎないことは広く知られています。

 そこで、まず大臣に、この再審の目的、理念について、憲法三十九条、これとの兼ね合い、いわゆる無実の人の救済という認識、これが再審の中には含まれているんだという認識は共有していただけますでしょうか。伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 再審制度は、確定判決の存在を前提として、主として、事実認定の不当を是正し、有罪の言渡しを受けた者を救済するための非常救済手続である。その制度の趣旨、在り方については、三審制の下で慎重に審理が尽くされた確定判決による法的安定性の要請と、それから、個々の事件における是正の必要性との調和といった観点から理解すべきものであるというふうに考えています。

鎌田委員 ほぼ同じ認識ということで、よかったです。ありがとうございました。

 資料一を御覧いただきたいと思います。

 この資料一ですが、これは、平成二十八年に成立しました刑訴法等の一部を改正する法律の附則の第九条三のところを御覧をいただきたくて、事務所の方で下線を引いております。「政府は、この法律の公布後、必要に応じ、速やかに、再審請求審における証拠の開示、起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置、証人等の刑事手続外における保護に係る措置等について検討を行うものとする。」とあります。これは平成二十八年でございます。

 そこでなんですが、伺いますが、再審法改正にもつながるこの再審請求手続における全面的な証拠開示の制度化及び再審開始決定に対する検察官による不服申立ての禁止などについての議論の進捗、実情を伺いたいと思います。あわせて、その議論、今後の見通しも伺います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 まず、再審請求審において証拠開示制度を設けることにつきましては、かつて、法制審議会の部会において議論がなされたことがございます。その際、再審請求審における証拠開示について一般的なルールを設けること自体が困難である、また、再審請求審は通常審と手続構造が異なるので、通常審の証拠開示制度を転用することは整合しないといった問題点が指摘されたところでございます。

 また、再審請求審における証拠開示制度を設けるということにつきましては、これらの指摘を踏まえ慎重に検討する必要があると考えておりますが、この点については、御指摘のとおり、検討を行うことが求められております。

 そこで、平成二十九年三月から、この検討に資するよう、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する刑事手続に関する協議会を開催し、協議が行われてまいりました。

 そして、令和四年七月からは、同法附則第九条により求められている検討に資するため、刑事法研究者等の有識者、法曹三者、警察庁及び法務省の担当者によって構成される、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を開催しておりまして、同協議会においては、取調べの録音、録画制度や、合意制度など、平成二十八年の改正法によって導入された各制度に加えて、再審請求審における証拠開示についても協議が行われる予定となっております。

 法務省としては、附則の趣旨を踏まえ、充実した協議が行われるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。

 次に、再審開始決定に対する検察官の抗告につきましては、これをなし得ることは公益の代表者として当然のことであって、これによって、再審請求審における審理、決定が適正かつ公正に行われることが担保されるものと考えております。

 検察官の抗告権を排除することについては、違法、不当な再審開始決定があった場合にこれを是正する余地をなくしてしまうという問題がございまして、また、司法制度全体の在り方とも関連するものでございまして、慎重な検討を要すると考えております。

鎌田委員 今後の見通し、スケジュールは立っていないですか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げたとおりでございまして、改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会におきまして今後議論されることとなると承知しておりますが、いつといったことについてはまだ確定しておりませんで、この構成メンバーの方々との協議の上で進めていくことになると考えております。

鎌田委員 協議会の主催主体者は、主体になっている主催者はどこですか。

松下政府参考人 法務省が事務局を務めているものでございます。

鎌田委員 大臣、これは、協議会の主催者は法務省なんですね。令和四年七月から協議会もできて、いわゆる議論するところが、お話を伺っていると、二つあるんですよ。令和四年七月からのこの協議会、始まっている、そして証拠開示についても議論されている。検察官については、今、全然前向きではない答弁だったんですけれども。でも、その論点整理を行って、そしてこの協議会できちんと定期的に、最低でも年に二回、そういうスケジュールをちゃんと持って議論をしていく必要性があると思うんですね。この協議会の主催者は法務省なんです。大臣、この協議会というものを定期的にきちんと議論の場として設けていく必要性があると思うんですが、お考えはいかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、本件は非常に重要なテーマでありますので、十分な議論がスピーディーに行われるということに事務局は努めていかなくてはいけないということはそのとおりだと思うんですけれども、一方で、協議会の運営自体については、やはり構成員の方々の意見も伺いながらということもあると思いますので、私、ちょっと最近の状況は分からないので、確認をしたいなと思っています。

鎌田委員 大臣、是非確認をしていただきまして、この協議会はきちんと定期的に議論が進むように、今大臣の御答弁にも、きちんと議論が充実して、そしてスピーディーにという御答弁もございましたので、この協議会の開催、そして議論の進捗については、是非この委員会にも公開をしていただきまして、進捗状況などの情報を提供していただきたいと思います。大臣の今の答弁を重要と捉えていただきたいと思います。

 具体的に、再審法の改正というものがいかに必要かということを私なりにちょっと指摘をしてまいりたいと思うんですが、そしてただしていきたいと思います。

 これは最高裁に伺います。

 確定判決に関与した裁判官や過去の再審請求に関与した裁判官が当該事件の新たな再審請求で担当裁判官として審理や決定に関与した事実、これは存在しているのでしょうか。伺います。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御指摘のような事実があるものと承知しております。

鎌田委員 具体的に、事件名で結構ですから、おっしゃっていただけますか、承知しているものを。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 公刊物に公開されているもの以外につきましては、事務当局として、統計データ等は取ってございませんので、具体的にお答えすることは差し控えさせていただきます。

鎌田委員 いわゆるダブっている、関与している裁判官が再審でもダブってしまっているということは、最高裁としては承知はしているけれども、具体的な事件名は、答えは差し控えたいということだったと思うんですけれども、これは、飯塚事件、日野町事件、大崎事件というところまでは私も確認を取りました。

 最高裁にもう一回伺いますけれども、こういうふうに、確定判決に関与した裁判官が、過去の再審請求に関与した裁判官などが、再審請求でまた担当裁判官として審理あるいは決定に関与するというのは、裁判所の判断の公正さですとか適正さですとか、これは疑念を抱かせることに私はなると思うんです。これはきちんと、いや、それは、私、過去にやっていますのでということで、除斥あるいは忌避ができる事由としてこの再審法の中に明文化しておかないと、また同じようなことが起きる可能性はあるんです。

 最高裁に伺いますけれども、これがもし、仮定の話で恐縮なんですけれども、再審法の中に、裁判所の判断の公正さ、適正さを維持するために、除斥、忌避事由として明文化されていたら、このように裁判官が再審でまたやるということは起きないですよね、法律でちゃんと明文化されていれば起きないですよね。ちょっと、済みません、確認させてください。

吉崎最高裁判所長官代理者 法制面に関する点でございますので、仮定の御質問について具体的に答弁することは難しゅうございますけれども、そういうふうに法的に整理されればそうなるというふうに承知しております。

鎌田委員 これも、大臣、再審法の改正が必要な点と私は認識をしております。確定判決に関与した裁判官が、今度、再審の請求で担当裁判官としてまたやるんですよ、ダブるんです。

 特に、大崎事件などは、再審請求を何度も行っていますけれども、懲役に服した方三名はもう既にお亡くなりになり、そのうちお一人は自死をされ、残ったお一人の方は九十という年代でもまだ再審請求しているんですけれども。このダブっている案件の中に、飯塚、日野町、大崎事件という三件、これは多くの方が調べれば分かる話なんですね。ですから、これも再審法の改正の中にきちんと盛り込むべき案件だと思います。

 今、最高裁は、これが明文化されていれば、これは忌避したり除斥ということで対応できるという最高裁からの答えがありました。

 続きまして、伺います。

 再審請求手続における審理の在り方については、裁判所の広範な裁量に委ねられていることが原因で、これによって、裁判所ごとのいわゆる再審格差が生じていることは承知しているでしょうか。伺います。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 御質問の再審格差というものがどのようなものを指しているかにつきましては、今、私としては、証拠開示の問題を指しておられるのではないかと想定しておりますけれども、その点に関しまして統計データを持ち合わせてございません。

 いずれにしましても、個別事件の進行に関する評価につきましては、事務当局としてお答えを差し控えさせていただきます。

鎌田委員 統計データがないということで承知していないということだったと思うんですけれども。

 現行刑訴法の四百四十五条、ここで、事実の取調べを受命裁判官又は受託裁判官によって行うことができる旨は定められています。ただ、これだけなものですから、実際のところ、事実の取調べも証拠開示に向けた訴訟指揮もしない裁判所があったり、それから、進行協議期日すら設定しないで放置したり、事前予告なしのまま再審請求棄却決定を再審請求人や弁護人に送達する裁判所も実際にあります。そういった情報は、最高裁は把握できない仕組みになっているんですか。把握しようと思えばできるんですか。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 現時点ではそのような仕組みは備わっていないということでございます。

鎌田委員 ですので、大臣、お耳だけかしていただければ結構ですけれども、現行刑訴法、十九か条しかないこの再審法、刑訴法の中の再審法、これがもたらす様々な不合理性というものがたくさんあるんですね。最高裁も、そういうものを、システムがあれば、仕組みがあれば把握できるけれども、この再審格差が生じていることを把握する仕組みもないんだから承知をしていないと。

 これは、我々国民にとって、司法で裁判を受ける権利を有する国民にとって、余りにもこの再審法、不備が多過ぎます。七十年間、何にも手つかずなんです。改正されていないんです。だからこそ私は再審法の見直しの必要性を訴えているわけでありますので、最高裁には、是非先ほど申し上げた事例などを把握していただきたいなということを申し述べておきたいと思います。

 資料二を御覧をいただきたいと思います。資料二はカラー刷りのものであります。

 これは海外における再審法制の改革状況が紹介されているものです。特に、一番下のイギリスのところを御覧をいただきたいと思うんですが、海外では、冤罪があってはならないということで、改革が進んでいます。七十年たっても改正されていない再審法を持っている日本は、これは参考にすべきものだと思います。

 このイギリスなんですが、一九九五年の時点で、政府から独立した強大な調査権を持つ公的機関、刑事事件再審委員会というものが設置されて、類似の機関はスコットランド、カナダ、それからノルウェーなどでも見受けられます。

 こういった海外の調査などは、再審法を所管をする法務省として調査したことというのはあるんでしょうか。いかがですか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 済みません、突然のお尋ねで、正確な調査結果等は持ち合わせておりませんけれども、調査したことはございます。

鎌田委員 海外の調査をしたことがあるかというのは確かに通告項目に入れていないんですが、じゃ、調査したことがあるということで、何かまとめられたもの、ペーパーでまとめられたものとか、皆さんで議論したことなどはあるんでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 再審制度について様々な御指摘があり、それについて検討したことはいろいろございますし、先ほど申し上げたように、再審制度についての、海外で制度がどのようになっているかというのを調査したこともございますが、どういったものが今資料としてあるのかについては私はちょっと把握しておりません。申し訳ございません。

鎌田委員 法務省刑事局さんを中心に、海外の調査もし、それから議論もしているという御答弁でありましたので、是非、過去の、海外のことをどういうふうに調査して、そして再審法、特に証拠開示等など、どのように議論したかの結果を委員会の理事会に提出をしていただきたいということを考えております。委員長、お取り計らいのほどお願い申し上げます。

伊藤委員長 では、理事会で相談をさせていただきます。

鎌田委員 そこで、更に伺いますが、現行刑訴法での再審請求手続における審理の在り方について、再審請求人に対する手続保障、再審請求手続への関与の保障、これが欠けていると私は思います。

 再審法自体があれだけ脆弱なものですからなんですけれども、再審の審理の手続は、再審請求手続と再審公判手続の二つの手続から成り立っていますけれども、再審請求人にとって決定的に重要な意味を持つのは第一段階目の手続なんですね。

 この手続なんですけれども、現行刑訴法の再審法の中では、再審請求手続における審理の在り方について規定がほとんどありません。私の見解が間違っているなら、逆に、訂正を、御指摘をしていただきたいんですが、この再審請求手続における審理の在り方についての規定がほとんどないので、ここも私は、冤罪被害者の救済という再審制度の意義、目的に照らしても、絶対に法改正は必要であって、この整備は欠いてはならないと思いますが、いかがお考えになるでしょうか。どなたかお答えいただけますか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 再審制度の在り方について様々な御意見があることは承知しておりますけれども、再審請求審における手続につきまして、現行法の規定に直ちに手当てを必要とするような不備があるとは認識しておりません。

 再審請求事件にも様々なものがございまして、様々な事案に応じて適切に対処がされているものと承知をしております。

鎌田委員 今御答弁の中で、改正の必要性はないと考えているとおっしゃいましたか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 必要がないと申し上げたわけではなく、現行法の規定に直ちに手当てを必要とするような不備があるとは認識していないというふうに申し上げました。

鎌田委員 同じでしょう、同じですよ。直ちに見直さなきゃいけない不備があるとは承知していないというのと、法改正は必要ないというのと、同じじゃないですか。駄目だよ、それじゃ。駄目ですよ。

 大臣、刑事局長はこう答えているんですけれども、刑事局長が法務省を代表して今の答弁、大臣、いいんですか、容認して。

齋藤(健)国務大臣 局長の答弁のとおりでございます。

鎌田委員 じゃ、大臣におかれましても、証拠開示手続等、今の再審法に定められているものだけで不備はないというお考えですか。

齋藤(健)国務大臣 今、再審請求審における証拠開示の在り方につきましても、さっき申し上げたように、刑事手続の在り方協議会の中で協議が行われる予定というふうになっておりますので、先ほど申し上げたように、充実した協議が行われるように、事務方として、まずは協力していきたいと思っています。

鎌田委員 この再審法は、十九か条しかないし、再審の手続をされる方というのは当事者の方々であって、弁護人だったり代理人だったりで、なかなか余り広く世間一般には知られていない一面もあります。だけれども、無実の人を間違った判決で裁かないための救済の法律なんですよ。それが七十年手をつけられないで今のままあって、この間、袴田さんはああいう状態にあります。

 だから、私は、今この機会に再審法を見直すべきだということで論点を提示しているわけなんです。なのに、全くこの改正というものに前向きと取れる答弁みたいなものがない。とにかく協議会で議論しているからという一辺倒では、大臣、これは私はいかがなものかと思います。

 そこでなんですけれども、再審において無罪判決が確定した、皆様、刑事局の方々、最高裁の方々も御存じだと思いますが、湖東事件、ここの再審公判の段階になって、警察から検察庁に送致されていなかった無罪方向の証拠が新たに開示されて、これが起因して再審無罪判決が言い渡されたという事実は御存じだと思います。大臣も御存じだと思いますけれども。

 このとき裁判長がどのように言い渡したか。聞きません、大丈夫、私が言います。このとき、湖東事件のときの裁判長は、本件再審公判の中で、十五年もの歳月を経て初めて開示された証拠が多数ありました、そのうち一つでも適切に開示されていれば本件は起訴されなかったかもしれませんと裁判長が述べているんです。

 何で最高裁も刑事局もうなずいてくれないのかな。そうだ、そういうことがあったんだよなとうなずいていただけたらと思ったんですけれども……(齋藤(健)国務大臣「ありました」と呼ぶ)ありましたよね、大臣。

 この裁判長の言葉なんですけれども、つまり、これは、通常審で公判に提出されなかった裁判所への不提出記録、これを再審請求人に利用させること、それから、再審における証拠開示が極めて重要なんですけれども、これも現行再審法では明文化されていないために起きたということを背景として、裏返してしゃべっている言葉なんですよ。

 証拠開示の基準も手続も明確じゃないというのがこの再審法の今の現状なんです。全ては裁判所の裁量に委ねられているんです。だから、裁判所の訴訟指揮のいかんによって再審の行方が全く違うものになってしまう可能性があるんです。先ほど申し上げました、放置していたり、期日を直前に言ったり、裁判官の当たり外れですよ。これは国民にとって平等な裁判を受ける権利と言えるでしょうか。私は、とても言えないと思います。だからこそ、再審法の整備をきちんとやらなきゃいけないと考えています。

 大臣に改めて伺いたいんですけれども、先ほどから聞いているとおり、ほぼゼロ回答に等しいのかなと思いますので、ちょっと飛ばして質問していきたいと思いますが、例えばなんですけれども、再審開始決定があった場合、死刑の確定者に対する拘置の執行停止、これも明文されていません、明文の規定がありません。

 大臣、これ、再審法改正の議論に値すると私は考えますが、いかがお考えになりますか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 現行刑事訴訟法第四百四十八条第二項は、「再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。」と定めておりますけれども、ここに言う刑の執行の停止につきまして、実務においては、死刑確定者について再審の開始を決定した場合、同項により拘置の執行を停止することができると解されておりまして、これに基づいた運用がなされているものと承知をしております。

 したがって、御指摘のような法改正を行うまでの必要はないものと考えております。

鎌田委員 いや、運用じゃなくて、私は法律に明文化すべきだというふうに考えているんです。大臣、いかがですか。

齋藤(健)国務大臣 ちょっと突然の御質問なので十分にお答えできるかどうか分かりませんが、今局長が答弁したように、現行刑事訴訟法第四百四十八条第二項は、「再審開始の決定をしたときは、決定で刑の執行を停止することができる。」と定めているところ、ここで言う刑の執行の停止については、実務においては、死刑確定者について再審開始を決定した場合、同項により拘置の執行を停止することができると解されておりまして、これに基づいた運用がなされているというものと承知をしておりますので、御指摘のような法改正を行うまでの必要性はないと考えております。

鎌田委員 運用で片づけるんですか。再審法の中できちんと明文化しないと駄目ですよ。

 じゃ、ちょっと済みません、そもそもなんですけれども、何で七十年、何にも手をつけられないんですかね。大臣、御所見ありますか。突然で申し訳ないんですけれども。

齋藤(健)国務大臣 申し訳ありませんが、そういう重要な質問をされる際には、事前に御質問いただければきちんとしたお答えができると思います。この七十年間を振り返って、私にここですぐ答弁しろと言われても、ちょっとそれは酷ではないでしょうか。

鎌田委員 酷な質問をして申し訳ございませんでした。

 では、大臣に伺います。これは通告しております。

 白鳥決定。ここで、現行刑訴法の四百三十五条六号、無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したことを再審の理由として定めていますけれども、この明らかなという文言が証拠の明白性を厳格に解釈するよりどころとなっています。無罪を推測するに足る高度の蓋然性が求められていますため、これは、疑わしいときは被告人の利益にという白鳥決定、この原則の適用の壁になっていると私は考えています。

 ですので、再審法を改正をして、この白鳥決定、疑わしいときは被告人の利益にというこの原則を明文化する必要性があると私は考えます。ここについて最後に、この再審について、大臣の考えを聞きます。

齋藤(健)国務大臣 ありがとうございます。この質問は事前にいただいていたので、しっかり私も検討してまいりました。

 刑事訴訟法第四百三十五条第六号は、有罪の言渡しをした確定判決について無罪等を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したときを再審開始事由として定めております。

 御指摘の二つの決定は、同号の再審開始事由の有無の判断に関するものであるところ、その判示するところは、その後の裁判においても踏襲をされ、実務上確立したものとなっており、あえてその趣旨を条文化する必要はないと考えています。

鎌田委員 大臣、非常に残念です。これは非常に重い白鳥決定です。きちんと再審法を改正するという議論を進めていって、海外にもきちんと追いつけるような再審、無罪の人、無実の人は罰しない、冤罪を防ぐという観点から私は取り組んでいただきたいということをこの再審に関しては最後述べておきたいと思います。

 残りの時間でもう一つのテーマについて伺っていきます。

 死刑制度に関連するものなんですけれども、済みません、憲法上の地位については後でということで、時間があれば。

 私が今日是非お聞きしたかったのは、資料三を御覧をいただきたいと思います。

 この資料三なんですけれども、これは平成十九年のものです。時の法務大臣の訓令です。各矯正管区長に宛てた、刑事施設の長に宛てた、被収容者に係る物品の貸与、支給及び自弁に関する訓令というものが出ています。下の方に私の方でちょっと印をつけさせていただいたんですが、筆記道具、文具道具ですね。鉛筆、貸与する、鉛筆又はシャープペンシルのいずれかを貸与するに足りる、シャープペンシルは芯は黒色に限る。何で黒色に限っているんでしょう。

花村政府参考人 お答え申し上げます。

 今の筆記具、シャープペンシルというようなところでございますけれども、黒色に限るというふうにありますけれども、委員のお尋ねは、なぜ黒色に限るのかというのは、例えば、私どもとしては、以前であれば色鉛筆を使うこともできましたし、鉛筆も使うことができたというようなところで……(発言する者あり)

伊藤委員長 ちょっとマスクを外して。

花村政府参考人 申し訳ありません。

 これは、被収容者に係る物品の貸与、支給、自弁に関する訓令の中で、シャープペンシルについては芯を黒色に限るというふうに書きまして、筆記に用いるためというふうなところでございます。

鎌田委員 済みません、私、時間がもう来ちゃったんですけれども、今の御答弁だと、私は何で黒に限っているんですかという質問をしたんですね。だから、言いたいのは、色を用いて、贖罪の気持ちを込めて作画をする死刑確定囚もいるんですね。そういう人の権利さえも奪うのかということ。

 それから、もう時間が来たので続けて伺いますが、自弁あるいは差し入れで、拘置所ごとによって差があるというふうに私は承知しています。昨日確認したところ、私の地元の仙台の拘置所は、飲食物、口にするもの、これは差し入れは一切NG、駄目。でも、福岡の拘置所は、十五種類まではオーケー。何でこれは拘置所ごとに自弁あるいは差し入れに差別が生じているのか。私、そのような権利までも死刑の確定囚の方々に差異を生じてしまっていることに非常に疑問と、あと憤りも覚えております。

 ここは矯正局長の御答弁をいただきつつも、大臣、最後に大臣にそのお考えをお聞きしたいと思います、おかしいと思うか、思わないか。

花村政府参考人 お答えします。

 刑事収容施設法では、死刑確定者から飲食物等を購入したい旨の申出があった場合、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上支障を生ずるおそれがある場合などを除きましてこれを許すことというふうにされております。

 お尋ねの点につきましては、施設の実情に応じまして取り扱っている具体的な商品等におきまして差異が生じている事実は承知しておりますが、今申し上げた法の規定に則した対応をしておりますので、引き続き適切に運用してまいりたいというふうに考えております。

 また、もう一件の色鉛筆の件でございますけれども、お尋ねの件は、保安上の課題などを検討した結果、令和二年十月に大臣訓令の改正を行いまして、カラーを含むシャープペンシルで代替手段を講じた上で、死刑確定者に自弁のものの使用を許す品名から鉛筆削り、鉛筆及び色鉛筆を削除することに伴うものでございます。

 以上でございます。

齋藤(健)国務大臣 今局長が答弁しましたように、施設の実情に応じて多少商品の取扱いに差が出ても仕方がないと思うんですが、私、今どういう差が生じているかの現状を承知しておりませんので、それを調べたいと思います。

鎌田委員 以上です。終わります。

伊藤委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 国の様々な免許、資格というものは、いろいろございます。例えば医師免許のように、業務を独占する、あるいは名称も伴うわけでございますが、あるいは、名称独占の資格もあります。実質的に業務独占になっていくところでございます。

 さて、運転免許というのは、国が定める免許制度の中では、恐らくその数が七千万人近くですから、非常に多い免許制度だというふうに思います。例えば、公道上で何らかの違反を起こした場合には、点数を減点されたり、あるいは罰金を払ったり、そして、時には刑事罰のために裁判になることもあるわけでございます。

 でも、先ほど言いました、私は厚労省にいましたので、先ほどの名称独占や業務独占の資格、法律の中に欠格条項というのがもちろん書いてありますので、何らかの欠格条項を犯した場合には、その資格が取消し、あるいは、医師免許では一時その資格を停止するということが定められております。刑事罰を科したりする場合、あるいは欠格条項を犯した場合には、当該省の官房長から来るんですかね、官房長から、官房長宛てに通知が来まして、その結果、当課で様々な資格について処分があるわけでございます。

 そういう資格の取消しはあるんですが、資格の復活については、取消し事由がなくなった場合に、資格が誤って取り消された場合にそれを復活するというのがなかなか今の霞が関の法制度では定められていない。そういう事案が起きたことがあるのではないかということで、一般的な議論としてお尋ねいたします。免許、事件で業務上過失傷害、その方がもし裁判で無罪になった場合には、免許取消しなどは、処分取消しというのは自動的には行えないということでございますかね。

小林政府参考人 お答えいたします。

 一般的に、交通違反の刑事処分は、過去の違反行為に対する制裁として行われるものであるのに対し、行政処分は、将来における道路交通上の危険を防止するという行政上の目的を達成するために行われております。

 このように、刑事処分と行政処分はその性質、目的及び主体を異にするものであり、刑事処分がなされなかった場合等であっても、処分庁において違反事実を認定できると判断する場合には、当該交通違反等に対して行政処分が維持されることとなります。

 したがって、刑事裁判において無罪判決が確定したとしても、直ちに行政処分が無効等となるものではないものと承知しております。

阿部(弘)委員 総務省管轄の行政手続法というのが当然あるわけでございまして、そういう裁判が確定したら、行政手続法に従って取消処分を取り消すことがすぐできるのかなと思ったら、実は違うんですね。

 総務省の方、行政手続法の解釈をお願いします。

河合政府参考人 お答えいたします。

 資格を取り消す処分などの不利益処分につきましては、事前手続といたしましては、意見陳述の機会を与えるということで聴聞を行うとか、あるいは不利益処分を行う際に理由の付記ということをいたしておりますが、行政処分が既に行われておりまして、それを再検討するというような場合につきましては、当該処分の根拠となる規定の趣旨あるいは当該処分に係る事実関係に基づきまして個別に判断をされるべきものでございまして、このために、一般法である行政手続法におきましては、一律に規定することは困難ということで、特段の規定が置かれておりません。

阿部(弘)委員 勉強会では、もう裁判になった事例については行政手続法の範囲外でありますよというお話もあったわけでございます。ですから、本来、そういうものが、取消し事由とか、なった理由がなくなるということは想定外でございますし、また、裁判になるというのは、もう裁判で話し合ってくれということでございますから、国民の利益からすると、私も新法を作ったときの、資格法を作ったときには、欠格条項しか条文がありませんで、不服手続はもちろんありますけれども、それが復活するということを想定は余りしていないものですから、復活のために裁判を行われて、そして免許取消しが無効になったということがあるやに聞いておりますので、是非とも、速やかな、今日は最高裁も来ていないけれども、手続が進むようにお願いしまして、この質問は終わります。

 次は、成年後見についてお尋ねします。

 私は、数日前に、国連の障害者人権委員会がこの差別的な制度を廃止してくれと、廃止するようにという勧告を受けたという話をしましたが、実は、局長といつもこの議論をしたいなと思って楽しみにしているんですが、成年後見ができて二十年余り、この制度がどんどんどんどん利用されなくなっているんですよ。だから、恐らく制度自体が国民にとっては使い勝手がよくない。高齢者はどんどんどんどん増えているのに、利用者は全然増えない。

 その理由は様々ありますよ。私が大臣にお話ししましたように、おはぎが食べたい、お彼岸に行きたい、墓参りに行きたい、お金は後見人が管理していますから行けませんよと。法的能力が、権利能力については十分保たれていますが、こういう行為能力を制限するというのは大問題だと思っております。

 まず、この後見人が、様々な類型がある、後見人類型、保佐人類型、補助人類型。非常に努力を最高裁もしてあるとは思いますが、後見人ばかり増えて、そして親族はほとんどもう除外されてしまった、この二十年間で。いかがでございますか、その件について。

馬渡最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、お尋ねは、この三類型のうち、成年後見、後見が多いという理由についてということと理解いたしますが、成年後見制度におきましては、先ほど委員御指摘の三類型がありますが、その三類型に応じた申立てに基づいて、裁判所が当該申立てが民法上の要件を満たすと判断した場合に開始の審判をするということになっております。

 その上で、お尋ねにつきましては、申立ての多くが後見開始の申立てであるということから、結果として成年後見人が選任される割合が多くなっているものと考えられるところでございます。

 以上でございます。

阿部(弘)委員 これは私の想像ですよ。成年後見を申し立てるという法的手続を誰かに相談するんですよ。どなたかに、詳しい方に相談する。そうしたら、後見人を申請してくださいと、後見人のところに丸をつけるわけですよね。保佐人や補助人のことについては、その相談をする人が余り説明をされないものですから、みんな後見人。

 じゃ、なぜ、こんなに、高齢化社会、一千万人は認知症を患ってある方がいらっしゃると思いますが、どんどんどんどん後見申立てが減ってきている。そして、おまけに、都道府県、市町村には、第二次計画で後見人制度を普及させましょうということをうたってある。どこに問題点があると思いますか。

金子政府参考人 この点につきましてはいろいろな御指摘があるということを承知しております。

 御指摘でよく伺うのは、一旦後見が開始してしまいますと、基本的には、判断能力が復活するということが少ないものですから、終身にわたって後見人がついたままになる。特に、親族でない方の場合は報酬もそこに発生するというようなこともあるように聞いております。

 そのほか、人それぞれ判断能力の程度が違うのに対し、今、基本的には、御指摘のとおり、三つのカテゴリーに分けた対応というようなこと、それから、後見の場合は、意思決定を代行するという制度があって、これは国連の委員会の勧告でも、廃止も含めた検討ということが総括所見で勧告されているわけでございますが、本人の意思とか自主性とか、そういうものにきちんと合わせた、あるいは、自主性あるいは意思あるいは好み等を発揮できる能力が残っているけれども代行という形で後見の場合はされているというような御指摘があるように伺っております。

阿部(弘)委員 私は、精神医療の現場で認知症の検査をよくやります。一番簡便な方法は、皆さんがよくやられる長谷川式でございます。引き算を三つぐらいできないと点数がぐっと下がるんですよ。

 ですから、今日この場にいらっしゃる方々も、いずれ高齢化になって、その三つの引き算ができなくなったらお小遣いが使えなくなるんですよ。だから、誰でも認知症になるんだから、この制度についてはしっかり使いやすい制度に、もう二十年たっていますから、皆さんで真剣に議論するというのが僕は必要だと思いますよ。

 もう一度言いますよ、統計学的に。高齢者がどんどん増えている。百歳の方が何万人にもなっている、何十万にもなっているのに、後見制度なんか使っていないですよ。だから、制度自体を見直さなきゃいけない。国連が言うように、支援付意思決定制度をもっともっと、数学は引き算が三つできなくても、認知症の方は何がしたいということはおっしゃられますよ。ただ、今は、この経済社会の中で生きていますから、お金が必要なんです。ほとんどの、何がしたい、じゃ、それを買ってこようねというところができなくなっちゃう。だから、その制度の見直しはしっかりと、早く、もう二十年もたっているから議論をし始めた方がいいと思います。

 私は、今の現行制度なら、奥さんや家族を任意後見に指定して、任意後見制度の運用の方がはるかにいいのかなと思ったりしますが、任意後見制度を、ちょっと、事前に通告していませんけれども、局長、御説明いただけますか。

金子政府参考人 任意後見制度は、幾つか使われ方があるように聞いておりますけれども、典型的には、御本人の判断能力がまだ十分あるといううちに、将来自分の判断能力が低下した場合に備えて、自分でこの人に後見人になってもらいたいという人を選んでおいて、将来、自分の生活とか療養看護、あるいは財産管理に関する事務をその人に委託をしておく、こういう契約を先に結んでおいて、その後、判断能力が低下した場合は、家庭裁判所に任意後見監督人というのを選んでいただいてその契約の効力を発生させる、こういうものです。

 ですから、自分の将来、老後を見据えて、自分の意思に基づいて、自分の後見人になってもらう人を自分で選んでおく。それから、将来、その人にはどういうことをしてほしいということの思いも託せるという、本人の意思の尊重という観点から、そういう趣旨にかなうような制度であるというふうに思っております。

阿部(弘)委員 実際は、手続としては、本人が公証人の前で、そういう遺言にも似た、任意後見人でどなたかを指定する。実際は、奥さんが同年代であれば、お住まいの息子さんや家族になってくる。

 本来は、この民法改正のときは、当時、僕もうろ覚えで覚えていますけれども、やはり家族が後見人になるんだということだったんですが、いつの間にか家族の比率がどんどんどんどん下がってしまって、他人である専門職の頻度がどんどんどんどん高くなっている。後見人を使って、おじいちゃんが死んでしまったら、あんな制度はよくないよと集落でお葬式のときに家族に言ったら、誰も使いませんよ、そんな制度。

 それが今の現状で、高齢者は増えるけれども、後見制度を申し立てる人、おまけに、後見制度という名前がどんどんどんどん有名になっているから、保佐人とか補助人とかそういう名前が全然出てこない。だから、制度自体もよくないし、おまけに行為能力については全然制限されてしまうものですから、国連から、こんなものは廃止してくださいと。私は言いましたよ。障害者というのは、障害者の権利全てを制限しちゃいけないんですよ。

 この後見人制度は、私は、投票権はあるのかなと思ったりもするんですけれども、投票権は、局長、お答えできますか。

金子政府参考人 所管外ではございますが、投票権は、現在はございます。

伊藤委員長 ちょっと聞きづらいので、もう一回きちっと。

金子政府参考人 投票権はございます。

阿部(弘)委員 当然でしょうね。

 認知症となったきっかけは、例えば長谷川式が根拠になったら、三つの引き算ができなかったらほぼ認知症になってしまいますから、それで投票権がないというのは人権侵害も著しいところで、お金の計算ができなくなったというのを引き算三つぐらいで決められたら、僕は大変だなと思っているところでありますが。

 この制度について、私はやはりちょっと見直すべきじゃないかなというふうに。でないと、この先二十年になると、使う人が、葬式の場で家族にどんどんどんどん、この制度はよくないよ、家族がけんかしてしまうよ、他人が入ってきておじいちゃんのお金をどんどんどんどん使ってしまうよと。使うという言い方はいけないけれども、後見人はもちろんお金を払うわけですから、お金がなくなっていく。そうすると、利用もどんどんどんどんなくなってしまう。お墓参りも行けないよ、おはぎも食べられないよということが広がっていくと、この制度自体の根幹に関わってくる。国民がこの制度を利用しないということになってしまいますけれども、大臣、いかがでございましょうか。

齋藤(健)国務大臣 昨年三月に、第二期成年後見制度利用促進基本計画、これが閣議決定をされまして、様々な指摘を踏まえて、成年後見制度の見直しに向けた検討を行う、こうされているところであります。

 それで、昨年六月には、成年後見制度の見直しについて検討する研究会が立ち上げられておりまして、法務省からもこの研究会に参加をさせています。

 したがいまして、法務省としては、まず、現在開催されているこの研究会における議論に積極的に参加し、制度の見直しに向けた検討を深めていきたいと考えています。

阿部(弘)委員 法改正というのは、統計学というのが非常に重要でございます。統計的に国民がどんどん……

伊藤委員長 時間が参りましたので。

阿部(弘)委員 はい。

 利用しないという制度は本当に私は何らかの問題があると思いますので、是非ともよろしくお願いしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、沢田良君。

沢田委員 日本維新の会、埼玉の沢田良です。

 本日の質疑も、前回に引き続き、刑事施設について伺いたいと思っております。

 齋藤大臣、伊藤委員長を始め、関係省庁の皆様、委員部の皆様、本日もよろしくお願いいたします。

 先月、法務委員会で、名古屋刑務所、名古屋出入国在留管理局を視察させていただきました。そこでは担当の方々より様々なお話を伺いました。私にとっても、この前も言いましたが、今まではテレビや新聞の上で知っていたことが、この日を境に身近なこととして考えるきっかけになった大きな出来事でした。

 前回の質疑では、刑務官の労働環境や待遇などをテーマにしましたが、今回は、被収容者について幾つか伺いたいと思います。

 まずは、食事について伺います。食事とは、生命や健康の維持に必要なものであるということが原則となります。

 質問です。

 被収容者には、食事及び飲料が支給されるそうですが、成人の受刑者一人当たりの一日の食費、予算額について教えてください。また、高齢者や妊産婦、体力の消耗が激しい作業に従事している者や、宗教上の理由等から通常の食事を摂取できない者等に対しては何か配慮があるのでしょうか。それも併せて教えていただければと思います。

花村政府参考人 お答えします。

 成人受刑者の食費につきましては、令和五年度予算におきまして、一人一日当たりの単価が約五百四十三円と計上されているところでございます。

 この予算の枠の中で、例えば高齢の受刑者でございますとか、そしゃくが難しいというふうなことがございますので、食材を細かく切り刻んだりというふうなところもございますし、外国人受刑者であれば宗教に配慮した食材の中身というふうなことで工夫をしておるというところでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 一日当たり五百四十三円ということで、配慮についても、私個人もちょっと調べさせていただいたんですけれども、先ほど言った以外にも、例えばクリスマスや年越しなどのイベントのときは少し御飯が豪華になるとか、クリスマスの日は夕食にケーキとチキンが出てくるという話もお伺いしました。ローストチキンやケーキは、ショートケーキではないそうですが、甘いものが出てくるので受刑者は楽しみにしているそうです。年越しのときにはカップ麺でどん兵衛の年越しそばが出て、正月にはお節が出たり、そういうのもあると思います。

 また、刑務所では作業と身長によって主食、御飯やパンの量が違います。作業での食事差は、ランクが特A、A、B、Cと分かれて決まっているようでして、例えば特A、これは除雪作業や造林作業などで主食が五百グラム、作業しない人、懲罰中、入病中などはCになり、二百八十グラムというふうにも分かれております。そして、身長によっても、体が違いますから、量も当然変わります。百八十センチ以上の人は、五センチ単位で増量されていくといいます。

 もちろん、予算の範囲内で運営していくべきだと理解をしていますが、また、国民の生活水準をはるかに上回るものを出すと、それを目的に犯罪が起こってしまうという可能性が出るという概念があるのも存じ上げております。もちろん、生活水準をはるかに上回る必要はないんですけれども、私個人的に、視察のときに見た食事は随分寂しいというふうに感じたのが私の個人的な意見です。

 この五百四十三円という価格設定については、どのような意味であったり目的によってその予算が決められているんでしょうか。教えてください。

花村政府参考人 お答えいたします。

 刑事施設は、委員御指摘のとおり、被収容者の生命及び健康の保持に必要な食事を給与するという必要がございますので、各刑事施設におきましては、被収容者食糧費予算の範囲内で、適切に工夫を凝らして必要な食事を給与しているというふうなところでございます。

沢田委員 どうもありがとうございます。

 ただ、私的には、昔からテレビや新聞で見ているような刑務所というイメージが、全く同じような雰囲気であったものも含めると、何かやはり、元々刑務所に人が入るということ自体が強い議論があったのかなと、過去から。そういうところにちょっと疑問符を持っている次第でございます。

 例えば、二〇〇五年の六月に食育基本法というものが施行されております。この法律は、近年における国民の食生活をめぐる環境の変化に伴い、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むための食育を推進することが必要な課題となっていることに鑑み、食育に関し、基本理念を定め、現在及び将来にわたる健康で文化的な国民の生活と豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的とするとあります。

 孤食であったり栄養バランスの偏りという、現代における偏っていく問題というものへの提起というものもありますが、健康的な暮らし、精神面、情緒の安定、協調性の後押し、学力や体力向上、食事マナーが身につく等、こういったことを推進している方も大変多くいます。

 こうやって立法されていることも考えると、食の可能性を政府も認めていると私は感じています。

 刑務所にはいろいろな方がいらっしゃいます。特に受刑者の方々にとって、罪を償い、更生をし、前向きに一般社会に出て活躍できることを目指していると私は考えております。そのために我々は一体何ができるのか、何をしなければいけないのかというのを、今の時代、今の技術、今の科学に合わせて追求するということを私はやっていただきたい。それにおいて、刑務所における食を生かした更生、又は前向きに一般社会に出ていく後押しということは追求すべき事案と私は考えております。

 大臣にお伺いいたします。

 今は、私、客観的に見ると、予算ありき、又は過去からの前例踏襲、今までの当たり前というものを踏襲しているように感じます。これを一度見直して、受刑者が罪を償い、更生し、前向きに一般社会に出て活躍できることを、食というものを通して後押しするためにどんなことをすべきなのかということを、本当に今の最先端の科学と技術と知識を、こういう意見を、専門家も交えて一度法務省内で議論をしてみてはどうでしょうか。やっていただけないでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、刑事施設においては、受刑者を法律に基づき強制的に拘禁していることから、国の責務として、生活に必要不可欠な物品等を支給することが求められておりまして、受刑者に対する食事の給与についても、被収容者の生命及び健康の保持といった観点から、必要な食事を出させていただいているところだと。

 私は、御指摘のように、受刑者の生命及び健康の保持というのは、改善更生と円滑な社会復帰を目指した受刑者処遇の実施の基盤として重要なものであると認識しておりますので、今後とも適切な食事の給与というものに努めてまいりたいと考えております。どういう形で努めるかについては、ちょっといろいろ考えたいと思っています。

沢田委員 是非、大臣の実行力、お願いしたいなと。私も正直、自分が逮捕されたことがないので、ああいう場に行ったことがないときに、やはり私もおなかがすくといらいらして妻とけんかをしてしまったり、食の恨みは一生の恨みなんという言葉もあると思うんですね。

 それだけ何か御飯というものがやはり私たちの暮らしに大きく影響して、感情に影響して、そして逆を言えば、マイナスもあるけれどもプラスもある。やはり、苦手な先輩と一緒にお酒を飲んだり食事を交わすだけですごく仲よくなったり、家族と一緒に行くと、夫婦げんかをした次の日に焼き肉を食べたら何か元気になれたとか、そういうことも考えると、食の可能性というものは、まさにこういう一度罪を犯してしまった方々、この最底辺のところから、一度科学的な知見と最先端の日本の全ての英知を結集して更生していくところにつなげていくということができれば、私たち、やはりもっともっと違った可能性を訴求できるんじゃないかなというふうに考えております。

 限られた税金の中でありますので、当然制限はありますが、是非とも、社会にとって長期的なメリット、まさに再犯率を下げたり、そういった中で、明るい未来ということにもつながると考えておりますので、御議論、大臣、よろしくお願いします。

 続きまして、今度は入管施設についてお伺いいたします。

 先日、名古屋入管を視察させていただきましたときに、個人的にこちらが感じたことは、収容施設という名前で、私、正直ちょっとどきどきして、刑務所と同じようなイメージを、よく分からなかったもので、思っていたんですけれども、こちらはある程度自由が許されて、少し手厚い部分もあるというように、やはり比較としても感じました。手厚いというと何か語弊があるのかもしれませんが、名古屋刑務所を同じ日に視察をしましたので、あくまで個人的な意見というふうに感じております。

 食という点においても、宗教的な背景、先ほども、刑務所の方でもやっていただいているということなんですけれども、多数の種類が用意され、ハラル食であったり、そういったものも、私、あるんだなということを初めて知りました。

 一食大体七百円ぐらいの原価がかかっていますよという話であったり、大盛りなども希望によって認めているという説明も、教えていただきました。刑務所と入管施設、もちろん役割、目的、全く違います。ただし、どちらも国民からお預かりした税金で運営されていることに変わりありません。

 質問させていただきます。

 先ほどは刑事施設の食事について伺いましたが、入管施設について、収容者一人当たりの食費、予算的なことも含めて教えていただければと思います。

西山政府参考人 お尋ねの一人当たりの一日の食費、支出で申し上げますと、令和元年度から令和三年度まで御紹介をいたします。令和元年度は平均しまして一千二百八円、二年度は一千百七十八円、令和三年度は一千五百五十二円となっております。

沢田委員 ありがとうございます。

 七百円というのは、多分一般食という形で、一日当たり、大体、最近では千五百五十二円ぐらいと。一応、役所の方とお話ししたとき、最近上がっている傾向というのが、コロナで収容施設にいらっしゃる方が少ないということで、予算の中で割るとこれぐらいの金額になるということで、増やしているということではありませんという説明も受けました。

 確認なんですけれども、入管の収容施設というところにはどのような方が収容されているのでしょうか。教えてください。

西山政府参考人 入管収容施設における収容には、退去強制事由に該当する疑いがある外国人を収容令書により収容する場合と、違反審査等によって退去強制事由が存在し我が国から退去すべきことが確定した外国人を退去強制令書により収容する場合がございます。

 これらの収容の目的は、退去強制手続における容疑者の出頭を確保して、容疑事実に係る審査を円滑に行い、さらに、我が国から退去すべきことが確定した者につきましては、送還を確実に実施するとともに、本邦内における在留活動を禁止するため、送還可能のときまでその身柄を拘束しておくというところにございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 要は、そういった決められた方々がいらっしゃる場所というふうになっていると思います。

 被収容者は、定められた時間内、居室以外の収容エリア内では、自由に入浴、洗濯、運動等ができるほか、多目的ホールに設置された公衆電話で外部の者と話すこともできます。食事に関しては、収容所内の厨房施設において被収容者の食事が用意されます。栄養士による栄養バランスの取れた献立により調理され、特に被収容者が属する国の食習慣、宗教上の戒律等に留意した特別食や病人等に配慮したものとなっております。ホームページには食事の例も載っているのですが、朝は、パン、チョコレート、ゆで卵等、昼夜は、主食に、副菜は三から五種類、サラダやスープもつきます。刑務所と比べるというのはちょっと違うとは思うんですけれども、これは明らかに違うなというふうに感じている部分がございます。

 刑務所と入管施設が、意味合いが全く違うのは存じてはおります。刑務所に収容されている大部分の受刑者は、刑事施設で更生を図り、出所をして、改めて日本社会に貢献してもらうように、所管省庁、刑務官の皆様は、一生懸命、日々公務に励んでいただいております。でも、大事なポイントは、刑務所に入っている皆さんは、日本社会に再度戻って貢献をしていただくという意味では、我々の未来につながる部分にあると思います。他方、入管施設に収容されている方々は、何かしらいろいろな理由で国外退去を命じられている方が大部分です。

 もちろん、そこの間、待機をしているという方もいますが、日本の信用の上で、必要なコストとしてそういった部分であるのは理解しておりますが、私は国会議員です。国会議員として、私は、日本人のために、日本人の利益のためにやっていかなきゃいけないというふうに常々考えておりまして、改めて、日本の未来のために、刑務所の方がやはり日本の未来につながっていると考えると、このような差異を感じているというところは、是非とも、今日いらっしゃる委員の皆様、そして大臣、委員長を含めて、皆さんの中に一度考えていただいた上で、先ほどの食の部分、是非刑務所の部分は日本の未来につながるというところで考えていただければと思います。

 ここまで、収容施設における被収容者の処遇について、食事の観点から議論をしてまいりましたが、もう一点気になっていますのが、性別による集団管理が原則とされている刑務所での処遇について、性的マイノリティーの方々の扱いというものがどうなっているのかということです。

 特に、自分の認識する性別と身体的な性別が異なるトランスジェンダーの方の中には、戸籍上、また外形的な変更の有無など、様々な処遇上の配慮が必要となる場合もあるかと思います。自分の認識する性別と違う収容者たちと集団生活や刑務官による監視は、幾ら罪を犯して収容されているといっても、当該収容者の心身に無用な悪影響を与えることは想像に難しくありません。それは、先ほど来話題に上がっております矯正の本分からしても、私、決して望ましいとは思わないです。

 調べてみますと、法務省矯正局は、平成二十三年に、性同一性障害等を有する被収容者の処遇方針についてという通知を発出し、その後、平成二十七年に改正を行っております。先日、鎌田委員からも御指摘がございましたように、トランスジェンダーと性同一性障害は厳密には意味するところが異なりますが、性同一性障害や同様の傾向を有する者として包括的に処遇指針を定めており、現状のルールの中で処遇上有益な配慮がなされるよう周知がされているところであると感じております。

 そこで、法務省にお伺いいたします。

 刑務所における性的マイノリティー、特にトランスジェンダーの方の処遇についてどのように取り組まれているのか、できるだけ具体的な例を挙げて御説明をお願いします。

花村政府参考人 お答え申し上げます。

 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律では、被収容者は性別により互いに分離することとされており、性同一性障害を有する者につきましても、戸籍上の性別に応じた刑事施設又は区域に収容しておるところでございます。

 その上で、性同一性障害を有する被収容者に対する処遇につきましては、その羞恥心などに配慮する観点から、医療上の措置や処遇上の配慮を行うこととしております。

 具体的には、入浴や身体検査に関しまして、生物学的な性別は男性でありますけれども、心理的には女性である者で、例えば外形的変更がなされた方に対しましては、入浴等の着衣をつけない状態の監視及び直接接触して行う身体検査につきましては、特段の事情が認められない限り、女性職員による対応とすることなどの配慮を行っております。

 性同一性障害を有する被収容者の処遇に当たりましては、各刑事施設におきまして、先ほど述べた収容の方針を標準としつつ、個別の事情を踏まえまして、可能な範囲で必要な措置を講じているものと承知しておりますけれども、引き続き適切な処遇に努めてまいりたいというふうに思っております。

沢田委員 ありがとうございます。

 ただ、この問題、やはり答えを出さないと、ずっと現場が大変混乱をしていくということが続く一つの問題でもあると思いますので、やはり政治の側でしっかりと決断をしていく、時代に合った提案をしていくということが私は必要かなと思います。

 続きまして、刑務所の年間コストについてお伺いいたします。

 まずは、一人当たりどのくらいの経費がかかっているのか、また、施設設備なども含めるともっと金額は増えると思うんですが、そちらも併せて教えてください。

花村政府参考人 お答えします。

 刑事施設の被収容者の食事、衣類、入浴等、収容に直接必要な経費の一人年間当たりの経費は、令和五年度予算では約八十二万円でございます。

 また、この収容に直接必要な経費に刑務官等の人件費、警備機器等の整備経費、光熱費、維持費等を加えました予算の総額を同年度に収容が見込まれる人員で除して算出した被収容者一人年間当たりの経費は、約四百八十六万円となるところでございます。

沢田委員 ありがとうございます。

 これは、私はすごい大事な数字だと思うんですね。というのも、国民の平均のお給料というのを調べると、たしか四百三十八万円だったと思うんですね、昨年度か何かが。それで比べると、国民の一般的な平均給与と同じぐらいのコストをかけて、いわゆるそういった罪を償うための方々を我々は支えているんだというのを国民の皆さんが知っておくというのはすごく大事だなというふうに思っております。

 アメリカなんかは、年間でとてつもない金額がかかっておりまして、三十三万七千五百二十四ドルかかっているところもある。三千六百七十万円ですね、為替で計算すると。一日当たり十万円近くかかっているという場所もあるということを考えると、まだ本当に日本のこういう施設はすごく頑張っていただいているということになります。

 ただ、先ほどの質問で言わせていただいたんですけれども、やはりこういった新しい価値観又は性的な自認、こういったところも含めたり、あと、この前の、刑務所を回ったときに、暴力団関係者は施設を分けなきゃいけないとか、あとは年齢的にも対応が変わっていくということを考えると、施設の在り方というのを抜本的に考えていく必要がどこかで出てくるのではないかなというふうに個人的にも考えております。

 あくまでコストという部分なんですけれども、こうやって、新しい価値観であったり、刑務所の在り方をこれから一気に変えなきゃいけないような議論というのは今後出てくると思うんですけれども、齋藤大臣の任期の間に、こういった部分も考えるというか、議論を進めていくところというのは、あくまでコスト面で構わないです、どれぐらいかかるのだろうという試算を出していくという考えはあるんでしょうか。これは最後の質問です。

齋藤(健)国務大臣 被収容者の処遇に当たっては、その人権を尊重しつつ、それぞれの被収容者の特性に応じた適切な処遇を行うことが必要であると認識しています。

 適切な被収容者処遇の実現のためには、不断に施設運営の見直しを行うとともに、そのために必要となる予算の確保に努める。一人当たりどのくらいかかるかとかいうものをきちんと検証しながら、再犯防止や改善更生につながるような刑事施設の運営に取り組んでまいりたいと考えています。

沢田委員 大臣、御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 是非、刑務所の皆さんの食、最後、よろしくお願いしますとお伝えして、質問は以上とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 一般質疑ということで、全般的な問いかけをしていきたいと思います。

 まず、一問目。

 例えば、もう十数年前だったと記憶しているんですけれども、埼玉県でも、私の地元の三郷市でも、空き缶のポイ捨て条例というのを、全国的にブームになって、いろいろなところでポイ捨て条例、禁止という条例を作ってきたんです。そのときに、たしか罰金三万円という罰則までつけて条例を制定したんですけれども、いまだに、道路や河川だとか、ちょっと裏路地に入っていたり、コンビニの植え込みのところにいろいろな容器が捨ててあったりするんですけれども、これは全然改善されていかないなというふうに思うんですね。

 こういったことに関して、条例というのは地方自治が制定するものですから、直接的な物言いはできないのかもしれないんですけれども、実効性を担保するなり後押しをするような考えはあるのか、お尋ねしたいと思います。

高見大臣政務官 お尋ねの条例の実効性の担保につきましては、基本的には、それを制定する地方公共団体において確保されるものであると認識をしております。

 法務省としましては、地方公共団体からの求めがありましたら、引き続き適切な協力を行ってまいりたいと思っています。

 また、基本法制の維持整備を任務とする法務省としましては、引き続き、必要に応じて、地方公共団体に関するものも含む情報の収集を行ってまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 いろいろな条例が全国から上がってきて初めて法律として制定されるということも起こったわけですね。

 例えば、いじめ防止に関する法律が今制定されていると思うんですけれども、これも、都道府県とか市町村で条例を作って、それならやらざるを得ないだろうということで法律化しているんですけれども、そういった形で、実効性を上げていくために、やはり国が先頭に立ってやってもらわなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 では、二点目、お尋ねします。

 先ほども高齢者の認知症の話が出たんですけれども、私の応援者の方で、もう他界はしているんですが、自分が認知症という自覚がなくて、近所のスーパーに買物に行ったんですね。籠の中に自分が欲しいものを入れて、レジでお金を払うことなく外に出ようと思ったら、店員に呼び止められて、万引きだということで、まあ、自宅が、すぐそばにいて、お嫁さんなる人が迎えに行って、お金を払って事なきを得たんですけれども、そのときに初めて認知症というのが外形上分かるだけの話で、これはまずいなと。でも、お店の方からすれば窃盗罪になっちゃうんだと思うんですね。

 今、要介護三以上じゃないと施設に入所できないようなルールになっていますから、私たちの生活の中に、要支援者や要介護の人が一緒に共存して生活を送っているというのが現実だと思うんです。だから今みたいな話になるんですけれども。

 例えば、認知症の方や要支援、要介護に当たる方がスーパーで窃盗行為をしてしまった場合に、刑事責任を問うことができるのか、まず最初にお尋ねしたいんですが。

松下政府参考人 お答えをいたします。

 刑事責任能力につきましては、刑法第三十九条第一項で、「心神喪失者の行為は、罰しない。」また、同条の二項で、「心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。」とされておりますところ、この心神喪失、心神耗弱は、いずれも純然たる法律概念でございます。

 認知症の症状が認められたり支援や介護を要したりする方の責任能力の程度につきましては、事案によって様々な場合がございまして、その責任能力の有無や程度につきましては、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断される事柄でございますので、一概に成立するしないということをお答えするのは難しいことを御理解いただきたいと思います。

鈴木(義)委員 じゃ、そうしましたら、今日、厚生労働省の担当の方も来てくれていますよね。

 そうすると、例えば運転免許証、七十五歳以上になると、認知症の検査をして技能実習をしてくれ、こういうルールになっているんですね。じゃ、そこで得られた情報を、免許の更新できる人もいれば、ちょっとこれは駄目ですよという方も中にはいらっしゃると思うんです。じゃ、その人の情報を、そこで終わってしまうのか、厚労省なら厚労省なのか、市なら市なのか、県なのか分かりませんけれども、情報を共有することにならないと、やはり対応ができないと思うんですけれども、その辺が今どうなっているのか、お尋ねしたいんですけれども。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢化の進展に伴いまして、認知症への対応は重要な課題となっていると認識しております。

 こうした中で、政府といたしましては、認知症になっても希望を持って生活できる社会を目指しまして、認知症施策推進大綱を策定いたしました。この大綱に基づきまして、関係省庁が連携して、認知症バリアフリーの推進等の施策を推進しているところでございます。

 いずれにいたしましても、それぞれの地域において支え合いの仕組みを構築することが重要だと考えておりまして、地域包括ケアシステムの構築に向けた自治体の取組を支援してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 私を応援してもらった人も、亡くなっているんですけれども、家族がそばにいたから、まだサポートできたんですね。

 今、どんどんどんどん、独居で高齢者の方が増えてきている。近くに身内もいないという状況がどんどん増えてきている中で、地域で支え合うといっても、地域が今度、崩壊し始めている。自治会に入らない。結局、じゃ、誰が支えるの。市の職員なんですか、町の職員なんですか。マンパワーは決まっています、予算もあるわけですから。ということで、外部に委託します、NPOなのか支援団体か分かりませんけれども。

 じゃ、万引きしてしまった。自分は全然自覚症状がない。警察に通報した方がいいのか。お店の人が、その人がどういう人なのかというのを分かっている人間関係があるんだったら、じゃ、ちょっと家族を呼ぶとか、誰々さんを呼んで対応してもらうとかというふうにできるんでしょうけれども、それが成り立たない社会になってきているということなんですね。

 先週も申し上げたように、法律を作って、社会規範があって、モラルがあって、道徳があって、それを何とか重んじれば何とかなってきた時代があったんですけれども、今、それ以外のことが起きちゃっている現状があるわけです。

 じゃ、誰が対応するといったときに、地域で支え合うんだときれいごとは言ったって、じゃ、誰がやってくれるんだという話なんです。そこのところをどう捉えるかというのを考えて制度設計できるかというのは難しいと思うんですけれども、お考えになっているところがあったら御答弁いただきたいんですけれども。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 大変難しい課題ではございますが、政府といたしましては、認知症に関する正しい知識を持って、地域や職域などで、認知症の方ですとかその御家族を手助けする認知症サポーターの養成を推進しております。こういった認知症について正しい理解を持っている方々を増やすことによって、そういった地域での支え合いの基礎となる人々をつくっていきたいと考えております。

 また、認知症の方の意思決定支援あるいは権利擁護という点でいきますと、第二期成年後見制度利用促進基本計画に基づきまして支援を行っております。

 さらに、市町村におきましては、地域包括支援センターを設置していただいておりまして、こちらで、認知症の方ですとか、あるいは単身の御高齢者を含めて、支援を必要とする高齢者に対する相談、あらゆる相談の受付を行っております。それを個別の事案に応じた支援につなげるような、そういった活動を行っております。

 また、民生委員、ボランティア等の地域のネットワークを活用した見守り支援なども行っているところでございます。

鈴木(義)委員 例えば、民生委員の制度があって、いろいろ地域の方をサポートしてくれていると思うんですけれども、民生委員のなり手がいなくなってきちゃっている、これが現実。自治会の役員もやりたがらない。後の質問がそこにかかっていく話なんですけれども。

 だから、これはなかなか難しいと思うんですけれども、じゃ、刑法に問えるのかといったらケース・バイ・ケースで、その人の責任能力があるかどうか、みんなばらばらな、百人いれば百人違うんですという答弁なんだと思うんですけれども。

 でも、ある程度のジャンル分けみたいなのをしていかないと、お店側は、出入り禁止にしちゃって、物は売れませんよ。それは家族と一緒に来たときは別ですよ。そうじゃない、今言ったように、独居の人が増えてきているというふうになってきたときに、どうやって生活すれば。まあ、支援をしてくれる団体にサポートしてもらえばいいんでしょうけれども。

 でも、厚労省の要支援一、二とか、要介護一、二、三、四、五と分かれていると思うんですけれども、三以上になると、一、二、三が一番厳しくて、四、五は寝たきりになっちゃうから余り動き回るということをしないというのも現場の人から聞いたことがあります。

 一、二でまだらの認知症の人、それで本人は自覚がない。そういった方が、なかなかこれは難しいとは思うんですけれども、地域で支えるといったら、どこかに情報を出さない限りは支えられないと思うんですね。その辺をこれから制度化していかないと、同じことを繰り返してしまった場合に、どうしてもこれは警察に通報、じゃ、どうするという話になって初めて認知症だということが分かる場合もあると思うんですね。

 最初から分かっていれば、後見人制度を使うとか何をするということができるんですけれども、私もいずれ、あと十年、二十年たって、もっと早い時期に認知症になるかもしれません。そうなる人が増える可能性はなきにしもあらずなので、是非制度をつくってもらいたいし、刑事局で全部対応できるわけじゃないんだと思うんですけれども、やはり、厚生労働省と法務省である程度基準づくりみたいなのを、つくらないと厳しいのかなと思うんですけれども、その辺は連携は取っておられるものなのか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 委員の問題意識と必ずしも合うかどうか分かりませんけれども、御指摘のような、認知症の症状が認められたりですとか支援や介護を必要としたりする人で、様々な責任能力の程度はあるということは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、検察官が、高齢又は障害等によって福祉的支援が必要だというふうに判断した者について起訴を猶予する場合には、検察庁において、関係機関や団体と連携して、身柄釈放するときに、福祉サービス等に橋渡しをするなどの入口支援という取組を行っております。

 具体的には、例えば、各庁、地域の実情に応じまして、保護観察所などと連携をして、釈放される見込みの被疑者などにつきまして、釈放前に検察庁から一定の情報を、もちろん本人の同意を得てですけれども、保護観察所等に提供するなどして、対象者の特性に応じた更生緊急保護の措置が適切に講じられるように取り組んでいるものと承知しております。

 また、各庁の実情に応じまして、検察庁におきましては、社会福祉士を非常勤職員として雇用し、あるいは、検察外部の福祉や医療の専門家と連携をして、福祉医療サービス等に関する助言を受けたり福祉機関の受入先の調整を行ったりするなどの取組はしているものと承知をしております。

鈴木(義)委員 是非、連携を取って、誰もが安心した生活が送れるようにというふうに、大上段でそういう目標を掲げるのであれば、それに対応するような制度をつくっていくしかないんじゃないかと思います。

 ちょっと時間がないので、一問飛ばしていただいて、四番目のところで、先ほど、冒頭ちょっと申し上げたように、自治会への非加入を理由に地域のごみ捨場の利用を禁じられたのは違法だということで、地元自治会に慰謝料とごみ捨場を利用する権利の確認を求める訴訟が起きているんだそうです。今、最高裁にそれが進達されたというんですかね、上告されて、これからいろいろやって、最終的に判決が出るんだと思うんですけれども。

 こういったごみ捨場をめぐるトラブルは各地で起きていて、今回、訴訟、最高裁に持ち込まれている。訴訟は氷山の一角にすぎなくて、自治体によって対応がみんなばらばらです。

 国立環境研究所が二年前に全国調査した結果、七割もの自治体で自治会への非加入者が地域のごみ捨場を利用できない問題を抱えていたというふうに報告書で出しているんですね。研究員は、自治会加入者が減少傾向にある中、要するに、そこにお住まいにはなっているけれども、自治会には入らない、町会にも入らないという方が増えてきている。場所によって、私の選挙区でもそうですけれども、駅に近い、本当にいろいろな御縁があってその地域にお住まいになった人で、自治会の組織率が四〇%ぐらいになっちゃっているとも、出てきているんです。

 昔はもう一〇〇%に近い、みんな誰でも自治会なり町会に加盟してくれたんですけれども、それを、今度、ブロック割りにしたり班割りにして、例えば、戸建ての家に住んでいれば、八軒、十軒あれば、それが一つの班で、いろいろ助け合いをしてやってきたんですけれども、私は共働きだし、そういう手伝いはできないから自治会には入りません、でも、ごみのステーションにごみを出す権利は私にあるでしょうというのがこの裁判の例なんだと思うんですね。

 だから、自治会が、加入する人が減ることによって、要するに掃除をする当番が回ってくるわけです。一週間に一回なのか、十日に一回なのか分かりませんけれども、それをやりたくないんだと思うんですね。まあ、何の理由か分かりませんけれども。そうすると、使うことはそこを使うけれども、でも、手伝いはしたくないよという人がどんどんどんどん増えてきてしまって、じゃ、どうするのという素朴な疑問なんです。

 それが、社会規範と言っていいのか、モラルと言っていいのか分かりませんけれども、国はどんどんどんどん多様な働き方を推進していくんだと。例えば、本業があって、副業も認めます、兼業も認めます、労働時間の制約はあったとしてもですね。どんどんどんどんそういう形で、どうぞ好きに働いてください、でも、こういったことは一切問いかけない。地域の住民同士で摩擦が起きて、最後は裁判沙汰になって、今年なのか、来年なのか、もう少し先なのか分かりませんけれども、最高裁でもし判決が出たら、それに右倣えになるところがどんどん出てくると思うんです。それでまた住民でトラブル。もうやっていられないから、自治会なんかやめちゃえとみんなやめちゃったら、どうなっちゃうんですかね。

 根本的な問題がやはり内包されているのかなと思うんですけれども、こういった、何というんですかね、住民のトラブル、法律でいえばどうだということはなきにしもあらずなんでしょうけれども、そういったことが増えていく中で、行政はこういった問題に及び腰で、住民同士で話し合ってくれしか言わないんですね。

 こういった事態に対してどういう対応を取っていこうとお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 個別の訴訟について申し上げることは控えたいと思いますけれども、御指摘は大変私も同感なところが、地元を見ているとあります。

 一般論として、社会が健全なものとなっていくためには、先日も御答弁しましたが、法律による規律のみならず、互いに譲り合ったり協力し合う関係性や慣習、道徳、そういったものも相まって健全なものになっていくんだろうと思います。社会の変化が目まぐるしくて、世の中で生起する一切の事象を予見して、その全てを制定法をもって規律するということは実際上不可能でありますし、また、事柄によっては、慣習等によらしめることがかえって社会生活の秩序を維持する上で必要ないし便宜なこともあるように思います。したがって、法律による規律とそういった慣習との両方が相まって健全な社会が築かれていくのだろうと思います。

 その上で、今御指摘のような事態が、私は実感として増えてきていると思っていますので、基本法制を維持整備する法務省のトップとしては、引き続き、感度を高くして、世の中の事象等に関心を持ちながら、適切な法務行政の在り方を考えていきたいというふうに考えています。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 難しい課題だと思うんですけれども、逃げることなく取り組んでいってもらいたいと思います。

 終わります。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 子供の命と人権の問題について、まずお伺いをしたいというふうに思います。

 今年の一月四日、名古屋駅の前のビルから中学生の方が飛び降り、亡くなりました。また、この委員会でも取り上げさせていただきましたけれども、昨年十一月、名古屋市の児童相談所から転落をし、十五歳の女性の方がお亡くなりになりました。心から哀悼の意を申し上げたいと思います。

 全国で子供たちに関わる本当に悲しい事件が相次いでおります。小学生、中学生、高校生の方が自ら命を絶っている。自ら命を絶った子供たちの人数は過去最高の五百十四人というふうに二〇二二年の確定値でなっております。これを私は見過ごしていい問題ではないというふうに思っています。子供の数は減っているのに、自ら命を絶っている子供たちの数は増えている。これは、この国にとって重大な問題だというふうに考えております。

 そこで、厚生労働省にお伺いをいたしますけれども、自ら命を絶っている子供たち、原因について、お示しをまずいただきたいというふうに思っております。

本多政府参考人 お答え申し上げます。

 自ら命を絶つことはあってはならないことであり、令和四年の児童生徒の自殺者数が五百十四人と過去最多となったことは、大変重く受け止めております。

 自殺には様々な要因が複合的に関わっていると考えられますが、警察庁の自殺統計によりますと、自殺の原因、動機としては、小中高生ではいずれも学校問題が最も多く、中でも学業不振、進路に関する悩みが多いところでございます。

 今後も、子供の自殺等の詳細な調査分析について更に推進、強化していきたいと考えております。

本村委員 国連のユニセフが、日本の子供たちの精神的な幸福度を各国と比較をしているわけですけれども、日本の子供たちの精神的な幸福度は、先進国三十八か国の中で三十七位となっています。私たち、この国の子供たちを幸せにしていないというふうに痛感をしております。生活の満足度が低い、そして、自ら命を絶つ子供たちが多い、そういう中で、国際社会の中で三十八か国中三十七位ということになっております。

 法務省は、これまで、子供たちからの相談を、様々、窓口を広げていただいたり、そうした取組をしておりますけれども、しかし、過去最高に自死をされる子供さんが多くいらっしゃるということも重く受け止めなければいけないというふうに思っております。

 子どもの人権一一〇番、あるいは子どもの人権SOSミニレター、こうした取組をやっていただいていると思うんですけれども、それぞれの相談件数と主な相談内容についてお示しをいただきたいと思います。

鎌田政府参考人 法務省の人権擁護機関が設置するフリーダイヤルの専用相談電話、子どもの人権一一〇番に寄せられた最新の相談件数は、令和四年、暦年ですが、一万六千八百二十四件、これは速報値として把握しているものでございまして、確定したものでは必ずしもございません。

 また、全国の小中学校の児童生徒に配付している子どもの人権SOSミニレターによる最新の相談件数は、令和三年度、これは年度でございますが、一万一千百九十四件となっております。

 そして、寄せられた相談の概要でございますが、これらの方法により子供から寄せられた相談の概要といたしましては、例えば、同級生からいじめを受けているにもかかわらず、担任の先生に相談しても十分な対応をしてくれないという相談が寄せられ、法務局の関与により、学校側が学校全体での見守り体制を構築し、いじめの把握に努めるようになったというような事案、また、家族からたたかれるなど虐待を受けているという相談が寄せられ、法務局の関与により、児童相談所に情報提供するとともに、法務局、学校、児童相談所の三者で見守り体制を構築するに至ったといったような事例がございます。

本村委員 このほかにも、子どもの人権一一〇番、そして子どもの人権SOSミニレターのほかにも、子供の人権Eメール、LINEということで広げていただいているわけですけれども、十分これだけでは機能していないということだというふうに思います。

 法務省は、膨大な量の子供たちの生の声を持っているわけです。やはり、その生の声や相談を分析をして、そして子供たちの精神的な幸福度を上げていく、そうした具体的な施策、提言を是非つくっていくべきだというふうに考えていますけれども、法務大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 法務省の人権擁護機関は、所掌事務上、関係省庁に対して子供に関する施策の提言を行うというそういう機能、立場にはないわけでありますので、一定の限界はあるんですが、私は、事柄の性格上、自分も子供を育ててまいりましたので、もう本当にこれ以上の悲劇はないというぐらいのことなんだろうと思っています。

 したがいまして、法務省として、人権擁護機関において子供から人権相談を受けた場合は、関係機関等ときちんと連携をして、個別の事案に応じた適切な措置をきちんと講じていかなくてはいけないと思っていますし、努力をしているところです。

 今後とも、先ほど、宣伝になっちゃうんですけれども、子どもの人権SOSミニレター、御紹介いただきましたけれども、私はこれは非常にすばらしいものだと思っていまして、是非ここの委員の皆さんにも見ていただきたいと思うんですけれども、子供がレターを、気づいたことを書いて出す、それも人権擁護機関に、先生じゃなくて、出すということになっていまして、非常に意見が言いやすい仕組みだなと思っていますので、それで、先ほど局長からも答弁したように、相談件数が一万件を超えるようなことになっているということでありますので、この生の声をしっかり生かして努力をしていきたいというふうに思っています。

本村委員 先ほども厚生労働省の方から、自死をされている原因、複合的な原因はあるわけですけれども、一つは学業不振だというお話がありました。やはり、今、過度に競争的な教育のシステム自体を見直さなければいけないのではないかということも痛感をしております。

 いじめに関しても、どうやったらなくせるだろうかということを教職員の方にお伺いしますと、子供のストレスをなくしていかなければいけないというようなお話もお伺いをしております。そのことを教育システムそのものも見直していく端緒にしていかなければいけないというふうに思っております。

 また、それだけではなく、虐待のお話もありましたけれども、私、児童相談所の所長さんに、性的虐待をいかに早期に発見をし、いかに早く救済をしていくか、それにはどうすればいいですかということをお伺いをいたしましたら、日々子供たちが通う学校ですとか保育園ですとか、そういったところで子供たちの声をじっくりと聞くことができる環境をつくることが必要ですというふうにおっしゃられました。

 そうしますと、今こども家庭庁の方で議論をしているわけですけれども、保育士の配置基準の見直し、これは加算でいこうと今言っているようなんですけれども、加算でいきますと、加算を利用しない保育所が出てまいりまして、そうしますとこぼれ落ちてしまう子供たちが出てくるわけです。

 ですから、保育士の配置基準の見直しこそ必要だというふうに思いますし、学校の先生も、少人数学級で子供たちの声をもっともっと聞くことができる、そういう環境を、子供に関わる施設では、あちこちでそうした体制強化をしていかなければいけないというふうに考えております。

 法務省には、子供たちの生の声、先ほどのレターもそうですけれども、たくさんの子供たちの声があるわけですから、それを本当に十分に国の施策に生かしていただきたい。法務大臣には、その声を持っている大臣として、こども家庭庁にも是非御提言をいただいたり、連携をしたりしていただきたいと思いますけれども、もう一度、御答弁をお願いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 先ほど申し上げたことに尽きるんですけれども、こども家庭庁とは、子供をめぐる様々な問題に関し連携をもちろん図っていく必要があると思っております。

 例えば、例として挙げれば、令和三年十二月に閣議決定されましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針においては、子供のいじめ及び不登校対策に関し、こども家庭庁は、法務省の人権擁護機関の活動との連携を推進することとされておりますし、引き続き努力をしていきたいと思います。

本村委員 是非、過去最高の人数、子供たちが自ら命を絶っているというこの現状を重く受け止めていただいて、そうしたことがないように、国の施策として強力にやっていただきたいというふうに思っております。

 次になんですけれども、国籍法の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 昨年の臨時国会で成立をいたしました改定国籍法に関しまして、三条の三項の部分です。認知が事実に反する場合、子供さんの国籍の問題が出てくるわけでございます。全ての子供たち、成人を含む全ての子供たちを救済できるフローチャートなどを作っていただきたいということを当時の大臣に申し上げました。子供たち、成人を含む子供たちが無国籍となることがないように、支援されている弁護士の方々や支援者の方々と膝詰めで話し合ってほしいという質問をさせていただきました。

 当時の法務大臣は、「昨日も私、近藤先生のお話を拝聴いたしましたけれども、必要があれば、私自身もお会いすることは全くやぶさかではございません。また、そういったフローチャートも、しっかり検討していきたいと思います。」というふうに答弁をされました。

 この衆議院の法務委員会の近藤博徳弁護士の参考人質疑も是非大臣に読んでいただきまして、是非、齋藤大臣が、実際に支援をされている弁護士の方々ですとか支援者の方々と会っていただき、窓口に置く、救済するための実効あるフローチャートを作っていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 令和四年十一月九日の衆議院法務委員会において、前日の参考人質疑を踏まえ、当時の葉梨法務大臣が御指摘のような答弁をされたということであります。また、同日の法務委員会において委員からも、国籍法第三条第三項の改正によって日本国籍が認められないこととなった方を救済するべく、フローチャートを作成して、取りこぼしのないように取り組んではどうかとの御指摘をいただいたと認識しています。

 無国籍状態の解消に向けた取組におきましては、弁護士や関連団体の専門的な知見を活用することも重要でありまして、必要に応じて情報を収集した上で、マニュアルを作るなど可能な取組を行っていきたいと考えています。

 また、日本弁護士連合会など、専門的知識を有する関連団体の皆さんとは様々な場面において意見交換を行っておりまして、無国籍状態の解消に向けた取組におきましても、弁護士等の方々に会うこと、この要否を含めて、いろいろと検討していきたいと考えています。

本村委員 かなりきめ細かい、レアケースも含めて皆様方は持っておりますので、そこからこぼれ落ちる方がないようにということで、是非やっていただきたいと思っております。うなずいていただいているということで、やっていただけるということでよろしいでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 無国籍者の解消に向けて取り組んでいきたいと思います。

本村委員 是非、直接会って、お話を聞いていただきたいと思います。

 次に、統一協会の深刻な被害があり作られました、法人等による寄附の不当勧誘防止法の処分基準等案について質問をしたいというふうに思っております。

 法律の中では配慮義務というものがあるわけですけれども、その配慮義務違反に関する、案では1の(3)ということになっておりますけれども、報告徴収についてですけれども、処分基準案では1の(1)に掲げた要件が全て満たされていると考えられる場合に行うということで、かなりハードルが高くなっております。

 昨日も関連で質疑したわけですけれども、要件を満たすおそれがある場合に報告を求めることができるようにするべきじゃないかというふうに考えますけれども、消費者庁、お願いしたいと思います。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 今、処分基準案のお尋ねの箇所につきましては、不当寄附勧誘防止法第六条第三項の報告徴収の要件につきましてですけれども、参議院の質疑におきまして修正案の提出者が、報告徴収がなされる場合につきまして第六条第一項の勧告の要件を挙げた上で、更に勧告をするのに必要となる場合に必要な限度において報告徴収をすることになると御答弁されていたこと、さらには、同条の趣旨として、原則としては、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当であると御答弁されていたことを踏まえております。

 すなわち、第六条第三項の規定による報告徴収は、同条第一項の規定による勧告をするために必要な限度において、法人等に対し、法第三条各号に掲げる事項に係る配慮の状況に関して行うものとし、勧告の要件が全て満たされていると考えられる場合に行う旨を処分基準の案に記載しております。

 また、委員御指摘のように単におそれがある場合と記載するのでは、原則としては、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がされるのが相当との第六条の趣旨とも整合的ではないことから、処分基準に記載することは適切ではないと認識しております。

本村委員 配慮義務違反に関わる報告徴収でさえかなりハードルがあるわけです。報告を受けることさえハードルがあるというのでは、被害者の救済がままならないというふうに私は思います。

 この間の消費者庁の御答弁あるいは大臣の御答弁の中では、消費者担当大臣の答弁ですけれども、その不遵守があったとしても、謙抑的、慎重に行政権限の行使がなされるのが相当であるというふうに御答弁されているんですけれども、法律を遵守していないのに救われない、法律を遵守していない場合、どうやって、じゃ、被害者を救うおつもりなんでしょうか。

真渕政府参考人 お答え申し上げます。

 不当寄附勧誘防止法に基づく行政措置につきましては、同法の規定を踏まえて着実に運用してまいりたいと考えております。

 また、今委員御指摘ございました被害者の救済でございますけれども、法第三条の配慮義務規定があることで、不当な寄附勧誘行為についてより広く包括的に捉えることができ、配慮義務を遵守していない場合には、裁判において民法上の不法行為の認定やそれに基づく損害賠償の請求が認められやすくなると考えております。

 そのような配慮義務の規定は、霊感等による知見を用いた告知に係る取消権などとともに、本年一月五日に既に施行済みでございます。

 さらに、国民センター法の改正でADRの迅速化も盛り込まれておりまして、裁判以外にこのADRも被害救済に御活用いただけるものと考えております。

 既に、不当寄附勧誘防止法の配慮義務ですとか取消権などについてQアンドAや逐条解説等を作成、公表するとともに、政府広報などを活用して不当寄附勧誘防止法の周知、広報に努めているところでありますけれども、引き続きしっかりと周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

伊藤委員長 本村伸子君、時刻が参りましたので、手短にお願いします。

本村委員 はい。

 被害者の救済が実効あるものになるようにということで、一層努力をしていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊藤委員長 次に、内閣提出、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。齋藤法務大臣。

    ―――――――――――――

 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤(健)国務大臣 刑事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 刑事手続においては、起訴状謄本の送達等の手続を通じて、被害者の氏名等が被疑者、被告人に知られることがありますが、性犯罪の事件等においては、それにより被害者等の名誉や社会生活の平穏が著しく害され、あるいはその身体、財産に対する加害行為がなされるおそれがある場合があるため、刑事手続全体を通じて被害者の氏名等の情報を保護するための措置を講じることが必要です。

 この点に関しては、平成二十八年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律の附則や、平成二十九年に成立した刑法の一部を改正する法律に関する国会の附帯決議においても、起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置について検討を行うことが求められています。

 また、近時、保釈中の被告人や刑が確定した者等の逃亡事案が相次いで発生しています。こうした逃亡事案は、国民の間に多大な不安を生じさせるだけでなく、公判審理の遂行や刑の執行を危うくし、ひいては刑事司法制度に対する国民の信頼を損ないかねないものであり、これを防止し、公判期日等への出頭及び裁判の執行を確保することが喫緊の課題となっています。

 そこで、この法律案は、刑事手続全体を通じて被害者の氏名等の情報を保護するとともに、保釈中の被告人や刑が確定した者等の逃亡を防止し、公判期日等への出頭及び裁判の執行を確保するため、刑事訴訟法、刑法その他の法律を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、検察官は、性犯罪の被害者等の個人特定事項について、必要と認めるときは、公訴の提起において、裁判所に対し、起訴状とともに、被告人に送達するものとして、当該個人特定事項の記載がない起訴状抄本等を提出することができ、その提出があったときは、裁判所は、被告人に対し、起訴状謄本に代えて、起訴状抄本等を送達することとするとともに、当該措置により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあると認めるときは、被告人等の請求により、当該措置に係る個人特定事項の全部又は一部を被告人に通知する旨の決定をしなければならないこととするものであります。

 第二は、保釈等をされた被告人が、召喚を受け正当な理由がなく公判期日に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処することとするなど、公判期日への出頭等を確保するための罰則を新設するものであります。

 第三は、裁判所は、保釈を許す場合等において、必要と認めるときは、適当と認める者を、その同意を得て監督者として選任することができ、監督者は、監督保証金を納付した上で、被告人の監督を行わなければならないものとし、監督義務に違反したときは監督保証金を没取し得ることとするものであります。

 第四は、裁判所は、保釈を許す場合において、被告人の国外逃亡を防止するためその位置等を把握する必要があると認めるときは、被告人に対し、位置測定端末をその身体に装着することを命ずることができることとし、位置測定端末装着命令を受けた者が飛行場の周辺等の所在禁止区域内に所在すること等が確認されたときは、勾引や保釈の取消しをすることができることとするものであります。

 第五は、拘禁刑以上の実刑判決の宣告を受けた者等について、裁判所の許可を受けなければ本邦から出国してはならないこととした上で、許可を受けないで本邦から出国しようとした場合等においては、検察官の請求により、又は職権で、勾留等をすることができることとするほか、出国の制限を受けている者についての出国の確認を留保することができることとするとともに、出国の制限を受けている間は、退去強制令書の執行を停止することとするものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いいたします。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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