衆議院

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第15号 令和5年5月10日(水曜日)

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令和五年五月十日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 谷川 とむ君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      石井  拓君    石橋林太郎君

      岩田 和親君  英利アルフィヤ君

      奥野 信亮君    加藤 竜祥君

      熊田 裕通君    鈴木 馨祐君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      鳩山 二郎君    平口  洋君

      深澤 陽一君    山下 貴司君

      鈴木 庸介君    中川 正春君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      漆間 譲司君    日下 正喜君

      平林  晃君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         齋藤  健君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   文部科学副大臣      簗  和生君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君

   最高裁判所事務総局刑事局長            吉崎 佳弥君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大橋 一夫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           押切 久遠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    宮田 祐良君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (公安調査庁次長)    田野尻 猛君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 林   誠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 松尾 裕敬君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           西條 正明君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     中原 裕彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     石井  拓君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     熊田 裕通君

    ―――――――――――――

五月九日

 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案(内閣提出第五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)

 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案(内閣提出第五九号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官友井昌宏君、警察庁長官官房審議官大橋一夫君、こども家庭庁長官官房審議官野村知司君、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍君、法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官押切久遠君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省矯正局長花村博文君、法務省保護局長宮田祐良君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君、公安調査庁次長田野尻猛君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房参事官林誠君、外務省大臣官房参事官松尾裕敬君、文部科学省大臣官房審議官西條正明君、文化庁審議官中原裕彦君、厚生労働省大臣官房審議官原口剛君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局民事局長門田友昌君及び刑事局長吉崎佳弥君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。東国幹君。

東委員 質疑の機会をいただき、ありがとうございます。早速ですが、質問させていただきたいと思います。

 地域の中で寄り添ってくれる方もおらず居場所もない刑務所出所者の方々なんですが、やはり、精神的にも、様々な角度からも、立ち直りには保護観察終了後も含めた息の長い支援が必要であると考えております。特に、仕事面、就労という面では、生活基盤を再建して社会復帰を果たす上で重要なものであると考えますが、保護観察終了後も見据えた継続的な就労支援についてどのような取組を行っているのか、まずお伺いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、刑務所出所者らが地域社会の中で孤立することなく立ち直っていくためには、刑事手続を終えた後も見据えて、就労支援を始め、息の長い支援を実現することが非常に大事だというふうに考えております。

 この点、法務省では、保護観察所から委託をしました民間事業者が、適切なマッチング、それと職場定着のために、刑務所出所者らと雇用主の双方にきめ細かな寄り添い型の伴走的な支援を行う更生保護就労支援事業というのを全国二十七か所で実施をしているところでございます。

 また、保護観察が終わった後も、様々な課題を抱える刑務所出所者らが必要な支援につながり続けることができるよう、昨年十月からは、全国三か所の保護観察所におきまして更生保護地域連携拠点事業に取り組んでいるところでございます。

 この事業も委託事業でありますけれども、専任のコーディネーターを配置いたしまして、福祉や医療、就労など、地域における多様な支援者のネットワークを構築するとともに、その後方支援、いわゆる支援者支援を行うものでございます。

 例えば、三つの保護観察所のうちの一つ、旭川保護観察所でございますけれども、ここではハローワークもネットワークに参画いただいておりまして、保護観察を終えた者に対しましても就労支援を実施できる仕組みづくりに努めているところでございます。

 引き続き、これらの取組を充実させるなどしまして、刑事司法手続が終わった後も含めた、息の長い支援を実現して、刑務所出所者らの再犯防止に一層取り組んでまいりたいと考えております。

東委員 就労支援という面では、大変大事な生活の基盤なものですから、是非、鋭意取り組んでいただきたいと思います。

 令和元年の一部猶予者を除いた仮釈放出所者というのは一万四百四十二人というふうに承知しておりますけれども、そのうち、保護観察終了時の就労状況が明らかにできる者は二千五百七十五人、そして、それらの職種を調査してみると、建築関係が八百三十一人で一番多くて、そして二番目に五百五十四人の無職というふうに続くわけなんですけれども、実はそこで、農業、林業、この分野なんですけれども、これは全体の十三番目で、僅か四十人ということになっております。しかし、多くの刑務所では農業研修を実は実施しているんですね。私は北海道だから調査しやすかったんですが、特に帯広市、旭川市、網走市などは農地などもしっかり確保して、本格的なものと認識しているんですけれども、しかし、結果が、就労状況がさきに述べたような状況になっております。

 法務省としては、農業、林業になかなか定着していない、そういう要因はどのように認識しておりますか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 農業、林業分野で就労する人が少ない原因についてですけれども、詳細な分析は行っておらないんですが、刑務所出所者らの就労先を確保するために不可欠な存在であります協力雇用主さん、この主な業種別の内訳が、建設業が五六・三%、サービス業が一六・〇%、製造業が九・〇%と、この三事業で八一・三%、八割を超えている状況にございます。その一方で、農林漁業について見ますと一・九%にとどまっておりまして、保護観察対象者が農林漁業で就労を希望したとしても、希望や適性に応じたマッチングを実現することが難しいというのが現状であろうかと思っております。

 しかしながら、農林漁業の登録をいただいている協力雇用主さんの数は、平成二十五年頃、つまり十年程度前から比べますと二倍以上に増加しておりますし、一部の保護観察所におきましては、先進的な農福連携の取組を行っている事業所と連携をいたしまして、保護観察対象者の就農を促進する方策について意見交換を実施するなどの取組も行っているところでございます。

 今後とも、御指摘の農業、林業分野を始め、多様な協力雇用主さんの開拓に努めますとともに、保護観察対象者が希望した就労先に確実に就労できるように取り組んでまいりたいと思っております。

東委員 例を挙げた三つの刑務所というのは、刑期の長い方々、それぞれ個人の諸事情がある、おっしゃったとおり、希望もあるかもしれません。ただ、就労先で居住しながら働ける見込みのある人材、これは農業なんかはすごくやはり適しているんですけれども、全国から希望者等々を選抜して、そういうシステムというのは構築できないものなんでしょうか。お伺いします。

花村政府参考人 お答えいたします。

 刑務作業として農作業を行っている刑事施設は、令和四年十二月末現在、二十庁であり、受刑者二百六十六人が就業しております。その中でも、令和元年度から、北海道東部に所在する施設、帯広刑務所、網走刑務所及び旭川刑務所に、農業に適していると認められる受刑者を移送し、作業や職業訓練を通じて、農業に関する資格や技能を取得させるとともに、帯広刑務所の施設内の農場から、段階的にこれら三施設の施設外の農場に作業場所を移行し、あるいは近隣農家等における援農等を行いながら出所後の就農を目指す、北海道東部所在刑事施設における農業モデルを実施しているところでございます。

 北海道東部所在刑事施設における農業モデルを始めとする、農作業に受刑者を従事させていくことは、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資することはもとより、地域貢献にもつながるものと捉えており、今後ともその充実を図ってまいりたいと考えております。

東委員 今現状では、基本的には作業専門官、つまり法務職員が指導に当たっているわけなんですね。外部の営農者が指導に当たるということはないというふうに認識しているんですが、これでは採用する側からすると、研修内容のニーズとギャップが生じるのに加えて、出所者の人柄が分からないので、採用の心理的なハードル、そういったところも高くなるのではないかというふうに思います。

 そこで、研修指導者に外部の農業人材、これは実際に雇ってくれることを検討してくれる人も含めて活用するべきと考えますけれども、見解をお伺いします。

花村政府参考人 お答えします。

 先ほど御説明した北海道東部所在刑事施設における農業モデルにおきましては、現在、外部講師の指導により農業機械の取扱いについての講義や操作訓練を実施しているところ、委員御指摘のとおり、受刑者の出所後の就農に結びつけていくには、出所者の雇用を検討していただける事業者、事業主の方を外部講師としてお招きし、実際に受刑者の指導を行っていただくなどして刑事施設の取組や受刑者の実情等を理解していただくことは重要であると認識をしております。

 他方、刑事施設では定期的に、出所者の雇用を検討している事業者の方をお招きして就労支援説明会を開催しており、説明会では、受刑者に対し企業の情報等を説明していただいたり、刑務作業や職業訓練の見学を実施した上で改善点等の意見をいただいたりして、刑事施設や受刑者の実情等を理解していただく機会を設けております。このうち、北海道東部所在刑事施設における農業モデルについて見ると、旭川刑務所では、令和四年度に開催した就労支援説明会において、農業派遣業を営む参加企業から受刑者の出所後の受入れについて承諾が得られたところでございます。

 今後とも、農作業を実施している刑事施設におきまして、必要に応じて、出所者の雇用を検討いただいている農業関係の事業主の方を作業や職業訓練の外部講師としてお招きしたり、就労支援説明会への参加を依頼したりするなどして、農作業に従事した受刑者を就農につなげていく取組を推進してまいりたいと考えております。

東委員 御答弁の中に、いろいろコーディネートしていただいている、そして外部への就職先等々もいろいろ取り組んでいただいているということなんですね。

 ただ、例えば農水省では農福連携など担い手対策を実施しておりまして、職業訓練のカリキュラム作成、指導者の確保、受入れ先の確保、それぞれのノウハウも豊富であるという農水省との連携なども考えていくべきだと思うんですけれども、見解をお伺いします。

花村政府参考人 お答えします。

 矯正施設における農福連携に関しましては、令和元年六月に取りまとめられた農福連携等推進ビジョンにおいて、犯罪や非行をした者の立ち直り支援に向けた取組を推進することとされたことを踏まえ、令和三年度から、刑事施設に農福連携に携わる団体等を招聘し、相互理解促進のための意見交換会を実施する取組を開始して、カリキュラム作成や受入先の確保に向けた体制づくりを進めているほか、令和四年度からは被収容者に就農意欲を喚起させるための指導も実施しております。

 さらに、令和五年度は、農林水産省が実施する農福連携技術支援者育成研修に少年院において農業を指導する職員を参加させ、指導者確保を図ることとしております。

 今後も、委員御指摘のとおり、農林水産省とも連携しつつ、矯正施設における農業を通じた更生の取組を充実させてまいりたいと考えております。

東委員 これは実のところ、農業というものは本当によいものなんですよ。自然と触れ合って、何よりも命を育む、そういう職種であること、それ自体、更生には非常に効果があるというふうに私は確信しているんですけれども。

 そしてまた、受刑者の、出所者の皆様方からすれば、対人関係が苦手な方でもなじみやすい。そして入所中から作業がしやすくて、スキル向上がしやすいなどの多くの利点があるものと考えますが、農業を通じての更生事業、これについて法務大臣はどのように考えているのか、認識をお伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 私も東委員と同様の認識を長いこと持ってきております。犯罪をした者等の改善更生を図るに当たり、農作業に従事させることは極めて有効であると考えておりまして、刑事施設や保護観察所の一部において、農作業の実施と就農に結びつけることを目的とした取組を行っています。

 具体的に申し上げますと、刑務所出所者等の就労支援と再発防止に農業を取り入れる取組といたしまして、例えば、法務省では、茨城県ひたちなか市及び北海道雨竜郡沼田町において、就業支援センターを設置、運営しています。

 ひたちなか市のセンターでは主に刑務所仮釈放者を、沼田町のセンターでは主に少年院仮退院者で農業に従事する意欲のある保護観察対象者を全国から受け入れて、保護観察官による指導の下で農業実習等を実施し、就農を含めた就労支援を通じ、その自立を図っています。

 ちなみに、このひたちなか市のセンターでは、平成二十一年九月の開所以来、令和三年度末まで、退所者が百八十四名いるんですけれども、そのうちの四六%に当たる八十四名が退所時に農業関係に就職をしておりまして、一定の成果を上げてきているのかなと思っています。

 今後も地域の御理解と御協力を得ながら、私も農林大臣経験者でありますので、刑務所出所者等の受入先となる就農先の確保に努めるなど、農業を通じ更生を図る取組を充実させていきたいと考えています。

東委員 ありがとうございます。

 全国津々浦々、農業というところでは農業資源がかなりあるものでありますので、是非、積極的な取組を御期待を申し上げたいというふうに思います。

 ちょっと残余の質問があったんですけれども、時間でございますのでこれで終了させていただきたいと思います。

伊藤委員長 次に、平林晃君。

平林委員 公明党の平林と申します。

 本日は質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。大臣を始めまして答弁いただける方、皆様、よろしくお願いをいたします。

 まず、闇バイトと呼ばれている部分に関してお聞きできればと思います。

 昨年五月から今年の一月まで、日本全国で発生した連続強盗事件では、フィリピンに滞在する指示役がSNSで実行役を募り、九か月間、少なくとも十数件の事件を起こしたというようなことが考えられている。また、一昨日、銀座の高級時計店に強盗が押し入ったという、これも、これに限らず連続して起きているということがございまして、闇バイトの関与がうわさされています。先ほどの報道でも、今回の実行犯はお互い知り合いではなかったということも報道されておりました。

 こうした犯罪発生が継続しておりまして、より一層の対策が必要と考えます。政府の見解を伺います。

大橋政府参考人 お答えいたします。

 警察では、強盗等の犯罪の実行者を募集するインターネット上の投稿につきまして、都道府県警察のサイバーパトロール等により把握に努め、取締り、サイト管理者等への削除依頼や返信機能を活用した警告等を行っております。

 また、議員御指摘の強盗事件の発生を受けまして、本年二月には、この種情報の収集強化を都道府県警察に指示するとともに、警察庁が委託するインターネット・ホットライン事業及びサイバーパトロール事業の体制を強化し、その取扱い範囲に強盗の勧誘等に関する情報を追加したところであります。

 また、本年三月に犯罪対策閣僚会議で決定された緊急対策プランに基づき、現在、両事業の取扱い範囲に著しく高額な報酬の支払いを示唆した犯罪の実行者の募集情報を追加すべく所要の調整を行っているほか、情報収集を更に強化するため、AIを始めとする先端技術の活用にも取り組んでいるところであります。

 引き続き、民間事業者等とも緊密に連携し、この種情報への対策を推進してまいります。

平林委員 ありがとうございます。

 二月、三月からですかね、この対策を進めていただいているというふうに、当初、三月から始める予定が、それを二週間前倒しをしたというふうに認識をしておりますけれども、その二月中旬から見ても、相変わらずこういった犯罪が起きているということを考えまして、やはり、より一層の対策をしていただくということが重要ではないかなというふうに思います。

 憂慮される事実といたしまして、本年二月、警察庁から発表された令和四年の犯罪情勢によれば、刑法犯認知総数について、平成十五年、二〇〇三年以降一貫して減少してきたところ、令和四年は暫定値で六十万、戦後最少となった令和三年を上回っており、今後の動向について注視すべき状況にある、このように述べられておりました。

 本来、日本のような少子高齢化、人口減少の社会においては、犯罪件数も減少してしかるべきということで、ずっと下がってきたわけですけれども、今、このような状況が見られるというのは、やはり、こういったインターネットを使った犯罪ということも関係しているのではないかなと、コロナも関係していると思いますけれども。国民は非常に不安に思っていると思いますので、徹底した対策を引き続きお願いできればと思います。よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、話は大きく変わりまして、連日、本当に連日ですけれども報道をにぎわせています生成AIに関しましてお聞きできればと思います。

 私、前職、信号処理とか画像処理という分野で研究を行っておりまして、二〇一四年に今までにない考え方が提案されて、それに基づいて画像が自動生成できるようになったんですね。非常に驚きました。私も、この考え方を応用して、楽曲を生成するみたいなことも取り組んだことがありました。

 今話題のチャットGPT、これは言語系の生成AIでありまして、私の専門分野と若干手法が異なっているようではありますけれども、自然な文章を自動で生成できる高い能力には本当に驚くばかりであります。

 一方で、事実に反する内容を生成することや、プライバシー、著作権の侵害、あるいは教育への影響など、様々な懸念が論じられているということであります。それらは当然重要な観点でありますが、だからといって、規制のみではなくて、適切に利用することもやはり重要なのではないかなというふうに考えているところであります。

 西村経済産業大臣は、四月二十一日の記者会見で、生成AIに関しまして、活用の可能性があるというようなことをおっしゃられました。また、四月三十日のG7デジタル相会合では、各国の姿勢に隔たりがあるものの、民主主義的な価値観に基づく、信頼できるAIの普及を目指すという大枠では各国が一致をしたということであります。

 こうした流れがある中で、法務省として生成AIにどのように向き合っていくことを検討しておられるのか、法務大臣の見解を伺います。

齋藤(健)国務大臣 法務省としての生成AIに対する向き合い方ということで、現時点の考えをお話ししたいと思いますが、今、政府では、行政機関等におけるサイバーセキュリティーに関する対策の基準を定めておりまして、チャットGPTなどの生成AIは、当該基準において約款型の外部サービスとして位置づけられています。

 当省におきましても、生成AIの利用に際しましては当該基準に従う必要がありまして、要機密情報を取り扱う場合には、原則としてこれら外部サービスを利用することはできないというふうにしています。

 その上で、他方で、要機密情報を取り扱わない場合には、一定の要件の下で外部サービスを利用することはできるとしておりまして、例えば、公表されている国内外の文書の要約などに生成AIを利用することで、職員の事務効率を高められる可能性が考えられるところであります。

 いずれにいたしましても、生成AIに限らず、約款型の外部サービスを利用する場合には、セキュリティー対策等が課題となり得るところでありまして、現在もいろいろあるわけでありますが、法務省として、生成AIを含む最新技術の適切な活用の検討、これは絶えず進めていきたいと考えています。

平林委員 ありがとうございます。

 適切に利用していくということで、セキュリティー等も考慮しながら検討を進めていただけるということであったかと思います。

 G7で言われた信頼できるAIという意味では、今の技術はまだまだとてもそんなものではないというふうに思うわけですけれども、ある意味、やはりこれは、汎用過ぎるとどうしても信頼性は低くなると思うので、専用性といいますか、そういったものを考えることも必要なのではないかなというふうに思っております。法務省専用AIみたいなものを開発していただくとか、そういった方向性もあるのではないかなというふうに考えているところでございます。

 続きまして、外国人材の受入れ制度に関しましてお聞きできればというふうに思います。

 本年四月から、先月ですけれども、高度外国人材受入れ制度が新しくスタートしたというふうに認識をしております。

 この件は、昨年九月、岸田総理大臣から、世界の人材獲得競争に負けないよう人材受入れ制度を世界に伍する水準に改革していく、このような御発言がなされ、十一月には齋藤法務大臣も、また、松野官房長官も同趣旨の御発言をされ、その後制度がまとめられて、先月から運用が開始されている、このように認識をしております。

 その内容ですけれども、現行の高度人材ポイント制は維持しつつ、その上に特別高度人材制度及び特定活動(未来創造人材)という、この二種類の制度を創設をされているということと理解をしております。

 これら二種類の中で、まず前者、特別高度人材制度についてお伺いできればと思います。

 その中には三種類の類型がございまして、高度学術研究活動と高度専門・技術分野活動、研究系ですね、あともう一つは経営系ですけれども、この技術系の二種類においては、修士号以上を取得し、年収二千万円以上、このような要件を満たせば高度専門職(一号)が付与されるということになっているかと思います。

 高度学術研究活動に着目するのであれば、想定されるのは大学教員であると思います。であるならば博士号取得者が想定されますけれども、修士号以上とされているこの意図がどこにあるのか。また、年収二千万円以上であれば海外でも定職に就いていることが想定されますけれども、そのような人材が日本に来る意図をどのように想定されているのでしょうか。この二点について政府の見解を伺います。

西山政府参考人 委員御指摘のとおり、特別高度人材制度では、高度学術研究活動に該当する活動を行う者について、修士号以上取得又は職歴十年以上であり、年収が二千万円以上となることを要件といたしております。この要件につきましては、在留資格、研究又は教授で入国する者に上陸時に求める水準以上の設定としたところでございます。

 特別高度人材制度は、現行の高度人材ポイント制よりも要件がいわばシンプルである上、家事使用人の雇用や配偶者の就労等に関して拡充した優遇措置を取っており、日本に魅力を感じ、日本での生活を希望する方はもとより、日本に関心がある方にも、この制度を使って日本に来てみたいと考えるきっかけになることを期待しているところでございます。

 今後も、高度外国人材の受入れを促進していくため、本制度について、運用状況を踏まえ、要件の見直し等必要な対応は行ってまいりたいと考えております。

平林委員 更に踏み込んで伺えればと思いますけれども。

 海外の研究者がある程度の期間日本に滞在してもらって研究活動をしてもらうには、何かしら動機づけが必要だと思います。日本国内研究者が海外研究者と共同研究をするなど、取りあえず短期でもいいので日本に来ていただいて、その上で、次の段階として日本への長期滞在を考えてもらうといった段取りが現実的ではないかと思っておりまして、例えば、JSPSが実施している外国人招聘研究者制度などとの連携など、呼び水的な施策が必要と考えます。

 また、海外研究者が日本に滞在していれば様々な困難に日常的に遭遇すると思います。私、短期でしたが、スイスのローザンヌというところにおりまして、フランス語圏で、僕はフランス語なんて全然しゃべれませんので、本当に、全く意味が分からず苦労いたしました。

 こういったことに対するサポート、コンシェルジュ機能を提供するとか、こういった施策も必要と考えますけれども、検討状況を法務省に伺います。

西山政府参考人 ただいま委員に御指摘いただいた点も踏まえまして、引き続き、関係省庁等と連携して、高度外国人材の受入れ促進に努めてまいりたいと考えております。

平林委員 続きまして、二種類の新制度の中で二番目の特定活動についてお聞きしますが、要件がありまして、三つあります。一つ目が卒業後五年以内、二つ目が初期生活費二十万円の所持、これらはいいんですけれども、三つ目ですね、三種類の世界大学ランキングの二種類以上において百位以内にランクインしている大学ということがございます。この三番目の条件は非常に厳し過ぎるように感じております。

 三種類のランキングは、QS、THE、あとは上海なんですけれども、このいずれかに百位以内で入っている日本の大学は、東大、京大、阪大、東北、名古屋、東工大の六校のみでありまして、二つ以上入っているのは、条件どおりです、東大、京大のみということになっております。

 ここまで絞り込まなくても優秀な人材は幾らでもいると思います。そうした人材の取り込みも極めて重要と考えますが、政府の見解を伺います。

西山政府参考人 未来創造人材制度は、イギリスが令和四年五月三十日に導入した、世界的に活躍するイノベーション人材を呼び込むためのハイポテンシャル・インディビジュアル・ビザ、いわゆるHPI制度を参考に、これと伍するような制度としたところでございます。

 イギリスのこのHPI制度においては、三つの世界大学ランキングのうち二つ以上で五十位以内の大学等を卒業等したことを要件としているところ、より多くの優秀な人材を我が国に呼び込むために、未来創造人材制度では、百位以内の大学等の卒業等を要件としているところでございます。

 未来創造人材制度は、本年四月二十一日から運用を開始したところでございまして、制度の活用状況を踏まえつつ、委員御指摘のような問題意識も含め、要件の見直しも含め、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

平林委員 イギリスと日本は地理的にも言語的にも状況が全く異なりますので、やはり、それに伍するというよりも、それを凌駕するような制度を創設するということが重要じゃないかなと思います。総理の御発言も、冒頭に、世界の人材獲得競争に負けないようにとあるとおり、目的は人材獲得であって、まだまだ創設したばかりの制度でありますが、不断の見直しをしていただき、熾烈な人材獲得競争に勝っていきたい、このように申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。

 今回は、中国で拘束された日本人のことを中心に伺わせていただければと思います。

 御案内のように、二〇一五年以降、十七人もの日本人が拘束されていて、拘束された直接の理由については明確になっていないケースが多いです。現地にいらっしゃる日本人の方も大変不安に思っていらっしゃるというお話を聞いております。

 さらには、今年七月一日からは、中国で改正スパイ防止法が施行される。拘束される範囲や根拠について、更に拡大することも危惧されております。

 今回の質疑では、日本政府の姿勢や万が一拘束された際の対応などについて確認することで、現地に駐在する皆さんやこれから行く皆さんに少しでも現況を整理した情報が伝わればと思っております。とにかく、何としても邦人を守る、邦人保護を徹底していただきたいというお願いとともに始めさせていただきたいと思います。

 まず、三月に拘束されたアステラス製薬の社員の方について伺わせてください。

 今、現況はどのようになっていますでしょうか。お答えできる範囲で教えてください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 本年三月、中国当局から在中国日本国大使館に対し、北京市で五十代の邦人男性一名が、中国の国内法違反があったとして中国当局に拘束された旨の通報がありました。

 政府としては、本件拘束事案が判明して以降、中国側に対して当該邦人の早期解放を強く求めてきており、四月一日及び二日の林外務大臣の中国訪問の際にも、中国側に対して抗議し、当該邦人の早期解放を含め、我が国の厳正な立場を強く申し入れたところであります。

 その後、四月四日には、当該邦人に対し、在中国日本国大使館が領事面会を実施いたしました。

 政府としては、邦人保護の観点から、中国側に対し早期解放を強く申し入れるとともに、領事面会や、御家族など関係者との連絡など、できる限りの支援を行ってまいります。

鈴木(庸)委員 アステラス製薬さんにも直接連絡させていただいたんですが、まず、現状では起訴されたという情報は入っていないと聞いております。

 中国の場合、居住監視等々、拘束後の手続が日本と違うということですけれども、一般論で結構です、一般論として、中国の拘束後の手続について教えてください。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 事柄の性質上、個別事案に係る詳細についてお答えすることは差し控えさせていただきますが、中国で邦人が拘束された場合、日中領事協定の規定に基づき、我が国領事機関に通報されることとなっております。その後、政府としては、邦人保護の観点から、御家族等関係者との連絡や、領事面会の実施、求めに応じた弁護士のあっせんなど、できる限りの支援を行うことになります。

鈴木(庸)委員 済みません、昨日、質問取りのときに、居住監視の話をちょっといただけるというお話だったんですが。

秋本大臣政務官 我が国として、中国の国内法について有権的にお答えする立場にはございませんけれども、中国の刑事訴訟法上、住居監視とは、通常の逮捕前に執行される、公安機関による被疑者に対する最長六か月に及ぶ居住地における拘束措置でございます。また、逮捕とは、人民検察院の承認又は人民法院の決定を経て、公安機関が留置場で執行する拘束刑でございます。

 これらの措置を含めまして、起訴までの拘束期間は最長六百二十二日に及び得るというふうに承知しております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 お配りした図を見ていただきたいんですけれども、これは二〇一五年から中国当局に拘束された人々の一覧ですが、ほぼ懲役刑となっている中で、日本地下探査の社員の方々や北海道大学の教授といった方々は、拘束後、そこまでの月日を経ないで解放されているケースがあるんですね。中国で拘束された、引用させていただいた「中国拘束二千二百七十九日」という本の鈴木英司さんの言葉をかりると、居住監視の間ならば解放への交渉がまとまる可能性を示唆していると思うんですね。

 これはTBSの報道なんですけれども、二〇一九年九月に北海道大学の教授の男性が拘束された際には、およそ二か月後に解放された。TBSが情報公開請求で得た情報では、二十回にわたる、当時の安倍総理大臣と中国側のトップによる会合が開かれたと言われております。その一方で、早期解放が実現しなかったものの中には、大臣や事務方の方も含めて七回程度の交渉が行われていた。そういったようなことも、情報公開で出てきたということが明らかになっております。

 これは蓋然的に見れば、早期解放には、やはりトップである岸田総理が積極的に習近平国家主席に働きかけていただくことではないかと思うんです。

 今現在、林外務大臣が交渉に当たっていると把握しておりますが、やはり居住監視の間に何とか解放するよう最大限の努力をしていただくことが肝要かと考えていますけれども、この件について、外務省の見解を伺いたいと思います。

秋本大臣政務官 政府といたしましては、本拘束事案が判明して以降、中国側に対して当該邦人の早期解放を強く求めてきております。四月一日及び二日の外務大臣の中国訪問の際にも、中国側に対して抗議をし、当該邦人の早期解放を含め、我が国の厳正な立場を強く申し入れたところでございます。

 海外に渡航する、又は滞在する邦人の保護は、政府の最も重要な責務の一つでございます。引き続き、政府といたしまして、中国側に対し、様々なレベルや機会を通じて、当該邦人の早期解放を強く申し入れていきます。

鈴木(庸)委員 解放されるかどうか、御家族の皆さん、駐在員の皆さん、そして国民の皆さんが見ております。政治の責任において解放に導くことを強くお願い申し上げます。

 次に、万が一拘束されたときに、どのような手続で家族や関係機関に情報が行くのかについても教えてください。

 まず、拘束されてから家族にその旨の情報が伝わるまでの流れについてはどのようになりますでしょうか。

松尾政府参考人 先ほどの答弁の繰り返しとなってしまいますけれども、中国で邦人が拘束された場合、日中領事協定の規定に基づき、我が国領事機関に通報されることとなっております。その後、政府としては、邦人保護の観点から、御家族等関係者との連絡や、領事面会の実施、求めに応じた弁護士のあっせんなど、できる限りの支援を行うこととなっております。

鈴木(庸)委員 もちろん、その都度都度のケースではあると思うんですけれども。

 先ほどの日中領事協定についてお伺いしたいんですが、この日中領事協定の第八条一項の(b)というところに、接受国の権限のある当局は、領事機関の領事管轄区域内で、派遣国の国民が逮捕された場合、留置された場合、裁判に付されるため勾留された場合又はそのほかの事実により拘禁された場合には、当該国民の要請があるか否かにかかわらず、そのような事実及びその理由を、遅延なく、遅くともこれらの逮捕、留置、勾留又は拘禁の日から四日以内に、当該領事機関に通報するとあるんですけれども、この四日以内にというのは、具体的にどの日から起算することになるんでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘がありましたように、日中領事協定第八条第一項(b)では、逮捕、留置、勾留又は拘禁の日から四日以内に、当該領事機関に通報する旨規定されております。

 御指摘の点につきましては、派遣国の国民が逮捕、留置、勾留又は拘禁された日から起算して四日以内と解釈されております。

鈴木(庸)委員 その起算の日にちについても、ちょっといろいろ、本当に四日がちゃんと守られているかというような、そういった懸念もあるかと思うんですけれども、もう一つ聞かせてください。

 この文書には、ただし、通信上の障害のために当該領事機関に通報することができない場合には、接受国の権限のある当局は、派遣国の外交使節団に通報するとあるんですが、この通信上の障害というのは、どのような場合を想定していらっしゃいますでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のございました通信上の障害につきましては、一例として申し上げれば、領事通報の受取側のファクスの故障等が想定されていると理解しております。

鈴木(庸)委員 今、デジタルの時代に、まだファクスというのもなかなかというふうに思うんですけれども、できるだけ正確な通報をお互いにして、一刻も早い情報の把握に努めていただきたいとお願いを申し上げます。

 やはり、これまでのケースを見ると、拘束された理由が分からないで、対策を立てようがない。こういう段階では、拘束された方々からヒアリングをして、できるだけ情報分析とマニュアル的な対策集を作るべきだと考えるんですね。

 聞きたいのは、外務省として、拘束されて戻ってきた方々からヒアリングをしたことはありますでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的な対応については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、中国で拘束された後、帰国された方々については、当該人物からの要望に応じて、政府関係者が面会などを行っております。

鈴木(庸)委員 その後全く連絡がなかったというようなことをおっしゃっている方も散見されますので、理由については更問いはいたしませんが、是非、傾向と対策のために、こうした取組についても進めていただくことを心よりお願い申し上げたいと思います。

 次に、公安調査庁についてお伺いをさせてください。

 まず最初にお伺いしたいのは、公安調査庁はスパイ組織なんでしょうか。

田野尻政府参考人 ただいま公安調査庁がスパイ組織であるのかというような御質問がございましたが、それにつきましては、その定義が明らかではございませんので、お答えすることは困難でございます。

鈴木(庸)委員 あえてスパイ組織かと申し上げたのは、鈴木英司さんの本でも、中国の彼に対する判決文には、明確に公安調査庁が日本のスパイ組織だと書いてあるんですね。

 こちらの本に判決文も出ているんですけれども、中国はスパイ組織として公安調査庁を認定している。そう認定されているということについては把握されているでしょうか。

田野尻政府参考人 お答えを申し上げます。

 そのような報道等があるということにつきましては承知をいたしております。

鈴木(庸)委員 もう一つ聞かせてください。

 同じ中で、公安調査庁の職員の顔写真を中国当局に鈴木英司氏が見せられたという話があるんですが、それについても把握はされていますでしょうか。

田野尻政府参考人 ただいま御指摘がありましたような報道があるということにつきましては承知をいたしております。

鈴木(庸)委員 では、一般論として伺わせてください。

 公安調査庁の身分証明書というのは、どうやって管理されていますか。

田野尻政府参考人 お答え申し上げます。

 当庁におきましては、かねてから情報保全対策の徹底に努めているところでございまして、身分証の取扱いにつきましても、慎重を期すよう指導し、厳正に管理しておるところでございます。

鈴木(庸)委員 実際、本を読まれた方は、その記述があったことは御存じかと思うんですけれども、公安調査庁の方の写真がずらっと並んでいるものを中国当局に見せられたというような記述がございます。

 スペインを拠点とするセーフガード・ディフェンダーズという組織の発表によりますと、中国の警察の出先機関は、世界五十か国以上で合わせて百二か所ある、このうちの二か所は日本にあると。さらに、一部報道では、国内に五か所あるという報道も今あるんですね。

 実際、例えばアイルランドは、首都ダブリンに開設された出先の事務所を閉鎖するよう中国側に要求したり、アメリカの検察当局は、ニューヨーク市の中国系男性二人を警察出先機関を運営した疑いで逮捕したりしております。

 また、ここからが問題なんですけれども、鈴木英司さんによると、中国に拘束された日本人の中には、日本で公安調査庁の職員の方と情報交換や勉強会などの名目で接触した、こういったことがある方もいると言っています。

 私は、こういう仮説を立てています。日本人が公安調査庁の調査官や分析官の方と会うときというのは、例えば外で待ち合わせするとか、公の場所で会うことも多いということを聞いております。勉強会だから、ある意味、当然だと思うんですけれども。しかし、そうした調査官に接触した人たちが実際に中国で拘束されたケースがあることを考えると、日本で公安調査庁の職員が、例えば尾行などをされていて、接触した日本人について中国当局の方で情報を持っている可能性も否定できないのではないかと考えてしまうわけです。

 もちろん、鈴木氏が懸念するように、公安調査庁の職員の中に大物スパイが紛れ込んでいるとは思いたくないですし、当然、そうしたことについては調査をされていると思うんですけれども、これまでの調査手法の主体だった、中国に行く人に、ちょっとこの件を○○さんに聞いておいてもらえるといった感じでお願いする、こうした手法が、やはり時代の流れとともに使いにくい手法になってきているのではないかなと私は考えております。

 是非、ヒューミントから、公開情報を使ってアプローチするオシントの強化に向けて、齋藤大臣に大胆に予算をつけていただきたいとお願いを申し上げます。これは調査官の皆さんの安全も含めて、こうした形にしていくのがいいのではないかと私は考えております。

 そういう中で、二〇二一年、経団連で行われた講演の中で、公安調査庁の当時の和田長官は、テロリズムや大量破壊兵器拡散の問題に加えて、経済安全保障に関する情報収集も強化している、企業は経済安全保障の最前線にいる、公安調査庁では引き続き情報収集、分析を行って適切に周知を行っていく、企業からは懸念点を共有していただきたい、我が国企業などが標的となり得る技術流出の未然防止には官民連携が不可欠であるということをおっしゃっております。

 ただ、こうした今の状況では、企業側はどこまで踏み込んで官民連携をしていいのか分からなくなってきている部分もあると思うんですが、こういう状況について、改めて、経済安全保障の分野における公安調査庁の位置づけについて教えてください。

田野尻政府参考人 お答えを申し上げます。

 公安調査庁は、我が国の情報コミュニティーの一翼を担う行政機関として、政府における情報の収集、集約、分析の一層の充実強化に寄与していくよう努めているところでございます。

 我が国を取り巻く国際情勢が複雑多様化している現下の情勢に鑑みまして、当庁といたしましては、経済安全保障等の関連情報につきましても収集、分析に努めているところでございます。

鈴木(庸)委員 細心の注意で集めていただきたい、本当に頑張っていただきたいとお願いを申し上げます。

 ここで、国際テロ情報収集ユニット、CTU―Jについて伺わせていただきたいと思います。

 こちらはどのような体制で、活動状況はどのようになっておりますでしょうか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のCTU、国際テロ情報収集ユニット、これは、国際テロ事案を未然に防止し、また、発生した場合の有効な対処のため設立された、テロ情報に特化して情報収集を行う組織でございます。

 CTUは外務省内に置かれておりますが、情報関係各省庁の要員で構成されており、その発足後、官邸を司令塔として、政府一体となって、官邸等の情報関心を踏まえた情報収集を精力的に行っております。

 CTUが収集した情報は、速やかに関係省庁等に共有され、即座に官邸による意思決定に反映されるとともに、関係省庁による分析、国際テロ対策に有効に活用されているところでございます。

鈴木(庸)委員 このCTU―Jについては、海外に人を送っているというような報道等もあるんですけれども、法的にはどういった根拠でこの収集ユニットが形成されているんでしょうか。

石月政府参考人 お答え申し上げます。

 CTU、国際テロ情報収集ユニットは、先ほど申し上げたとおり、国際テロ事案を未然に防止し、また、発生した場合の有効な対処のため、外務省に設置されたものでございます。

 CTUは、外務省設置法等で定められている外務省の任務及び所掌事務の範囲内で、国際テロに関する情報収集を行っているところでございます。

鈴木(庸)委員 特に特例法というよりも、外務省の中でやっているということですよね。

 でも、今後、いわゆる経済安全保障の広がりにつれて、当然、海外で情報を取らなくてはいけないという局面も出てくると思います。こうしたときに、現在の法体系だと、外務省やCTU―Jの皆さんなどは外交旅券を持って海外に出るので、仮に、ロシアとか中国とかで拘束された方もいらっしゃいますけれども、外交旅券を持っていれば、ぎりぎり守れるとは思うんですね。ただ、それ以外の人たちについては、仮に海外で邦人が拘束された場合には、日本国家としてその人を取り返す強力な手段というのは持っていない、交渉で持ってくるしかないという状況なのかと思います。

 だから、改めて申し上げたいのは、スパイ防止法なんですね。スパイ防止法というのは、もちろん、国内の外国勢力を取り締まるための法体系ではありますけれども、仮に双方でスパイとして拘束されている人がいれば、これは交換が成り立つ。つまり、スパイ防止法の制定というものが、これから海外で拘束された邦人を救うために最も効果的、かつ、こちら側の対策であり、防御法なのではないかなと私は考えております。

 例えば、二〇一八年、中国の通信大手、ファーウェイの副会長がカナダで逮捕されました。その後に、中国でカナダ人二人が逮捕された。そして、副会長が釈放されたタイミングでカナダ人も釈放されていますよね。

 日本でも、法律が国家に恣意的に運用されないように監視していくのも、当然、この法務委員会の仕事ではあると思うんですけれども、日本でのスパイ防止法の制定について、齋藤大臣の見解を伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 いわゆるスパイ防止法の必要性につきましては、今委員御指摘のように、拘束者の交換など様々な議論があるわけでありまして、なかなか難しいわけでありますが、我々としては、国の重要な情報等の保護を図るということは極めて重要であると考えていますので、委員とは問題意識を共有しながら、引き続き、関係機関と連携して、必要な取組をしっかり行っていきたいというふうに考えています。

鈴木(庸)委員 是非、検討についてもお願いを申し上げたいと思います。

 中国については、先ほども申し上げたんですけれども、七月一日から改正スパイ防止法が施行される。これはグーグル翻訳で読んだんですけれども、国家の安全に危害を及ぼす行為であると当局がみなす全ての行為が対象となっていて、これが自らの行為なのか、それとも他人の行為への協力なのか、中国に関するものなのか、第三国に関するものなのか。もっと言えば、それが犯罪に問われるべき内容かなどについて、明確な解釈が難しいんですね、やはり。今後、更なる拘束者が増えてしまっていくのではないのかなということを大変危惧しております。

 実際、何人かの学者さんとかにも伺ったんですけれども、ビジネスマンの方も、いつか拘束されてしまうのかとか、大変不安に思っているという方が多かったです。その一方で、隣人である大国と真っすぐ誠実につき合っていかなくてはいけないという側面もあるかと思います。

 齋藤大臣にお伺いしたいのは、なかなかこれとおっしゃるのは大変だと思うんですけれども、改正スパイ防止法施行後の日中交流について、どうあるべきか、どう向かっていくか、見解を伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 日中交流の在り方について、法務大臣としてお答えするのはなかなか難しいんですけれども、ありていに言えば、外国政府の法執行に関する話ですとか民間分野における日中交流について私がお答えするのは控えなくちゃいけないと思っていますが、法務省としてやれることは、国際社会において、法の支配ですとか基本的人権の尊重ですとか、そういった普遍的価値がしっかり国際社会に浸透していくというような努力をするということは、我々の仕事として一生懸命やっていきたいと思っています。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 アステラスの社員の方が拘束された同じ日に、アメリカの企業調査会社ミンツ・グループというのがあるんですけれども、ここの中国事務所も家宅捜索を受けて、中国人の社員の方が五人拘束されています。先月にはアメリカのベイン・アンド・カンパニーの上海事務所も捜索を受けて、コンピューターを押収されている、電話も押収されている。

 さらに、これは昨日のニュースなんですけれども、ウォールストリート・ジャーナルによると、中国国営中央テレビ、CCTVが、複数の国家安全保障機関が外資系コンサルティング企業の中国法人によるスパイ行為を確認している、こうした報道もございます。大変緊張が高まっているなというのを感じるんですが、各国が、これからやはり中国に投資を続けていくべきかといった、同じ悩みを今共有しているのではないかなと思います。

 といっても、続けていくしかない中で、是非、こうした件についても、国際的な枠組みの中で、中国でのビジネスを少しでも皆さんが安心して前に進めることができるように政府として取り組んでいただきたい、法務省と外務省さんと連携を取って取り組んでいただきたいとお願いを申し上げるところです。

 最初の繰り返しになるんですけれども、何としても邦人を守る、海外にいる邦人、政務官からもお話しいただきましたけれども、外国にいる邦人が安心して活動できる、何としても邦人を守るという強い覚悟で、この情報戦争、取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

秋本大臣政務官 海外に渡航、滞在する邦人の保護は政府の最も重要な責務の一つでありますので、しっかり取り組ませていただきます。

 そして、前半の方の先生の質問に、逮捕の部分で、私、中国の公安機関が留置場で執行する拘束刑であるというふうに申し上げましたが、拘束措置の間違いでございます。大変申し訳ありません。おわびして、修正させてください。

鈴木(庸)委員 終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞ本日もよろしくお願いいたします。

 まずは、保護司制度についてお伺いいたします。

 保護司とは、保護司法、更生保護法に基づき、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員で、犯罪や非行に陥った人の更生を任務とされています。大変な重要な役割を担っていらっしゃいます。

 先日、私の地元長崎県で、実際に保護司としてこの任務に当たっている方々から貴重な現場のお話を伺いました。求められる仕事内容に対して処遇が余りにも見合っていない、一人を担当することになれば一か月に二回の面接を行う、そして面接では一回五時間かかる場合もある、さらにその内容を報告書として提出する義務まである、本業の仕事の時間が取られることも多々ある、そしてその手当ては月額五千円弱しかない、せめて対象者を登録している期間中は最低限の保障をしてもらいたい、このような切実な声を頂戴いたしました。

 圧倒的に、非常勤国家公務員としての任務と報酬が全く見合っていません。さらには、各地にある更生保護協会の事務局の運営費を捻出するために、現場の保護司さんの会費が徴収されている、賄われている、こういう実態まで分かりました。

 公的な仕事を法務大臣自らがお願いしておきながら、余りにも現場のボランティア精神に依存しているのではないでしょうか。これでは、現場でなり手不足に陥るのは当然のことだと思います。

 そこで、大臣に伺います。

 保護司の大幅な処遇改善が必要ではないでしょうか。そして、各地にある協会に対し、国からの助成金をもっと増額していくべきではないでしょうか。お答えください。

齋藤(健)国務大臣 まず、私の地元にも、お世話になっている保護司の方、たくさんおられまして、彼らの活動には本当に頭が下がる思いでずっと来ているということであります。

 それで、前提として、保護司法では、保護司には給与を支給せず、その職務を行うために要する費用の実費弁償を行う、保護司法でそうされているということです。

 安全、安心な地域づくりにおける保護司の果たす役割の大きさに鑑みますと、委員御指摘のような課題があるということは認識をしています。保護司の待遇を含め、保護司活動の支障となる要因の軽減等について検討を進める必要があると考えています。

 このような課題認識を踏まえて、実は、本年三月十七日に閣議決定されました第二次再犯防止推進計画におきまして、保護司の待遇や活動環境等について検討を行い、二年を目途として結論を出し、その結論に基づき所要の措置を講ずるというふうに閣議決定でされておりますので、法務省といたしましては、今後、保護司や有識者の御意見を伺いながら、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討を進める、そういうことといたしておりますので、委員御指摘の点も含めてしっかり議論していきたいと考えています。

山田(勝)委員 大臣から前向きな答弁、本当にありがとうございます。

 まさに今法務省としても、現場の問題意識を共有していただいており、具体的に改善に向けて動き出しているということでした。是非現場の声に耳を傾けていただき、二年と言わず、なるべく早い段階で改善策を打ち出していただきたいと心から願っております。

 そして、もう一点、大臣からもあったんですが、保護司法第十一条では、「保護司には、給与を支給しない。」とあります。非常勤の国家公務員でありながら、法律上、給与を払ってはいけないとわざわざ明記されています。このような規定は明らかにおかしいと感じます。保護司は、地域の人々や、犯罪、非行を行った人々に対し大きく貢献をされています。このような公務を担う保護司に対し、国は給料を支払うべきだと考えます。

 大臣、これは昭和二十五年に作られた法律です。時代も大分変わっています。もうそろそろ改正する、そういう時期に来ているのではないでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 保護司は、法務大臣から委嘱される非常勤の国家公務員ということで、給与は支給されず、その職務を行うために要する費用の全部又は一部を実費弁償金として支給をしている、これが現実です。この点は、委員のような御意見もある一方で、保護司の方々の中にも実は様々な御意見があるんですね。

 例えば、保護司は、地域における信頼や豊富な社会経験を背景に、社会奉仕の精神をもって、その活動に対する報酬を受けることなく保護観察対象者等の内面に働きかけてきたからこそ、その改善更生の成果を上げられてきたという指摘も一方であるんですね。

 先ほど御答弁したとおり、いろいろあるんですけれども、本年三月十七日に閣議決定された第二次再犯防止推進計画におきましては、保護司の待遇や活動環境等について検討を行うということになっておりますので、しっかり議論をしていきたいというふうに考えています。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 いろいろ御意見があるのも分かっております。ただ、これだけは理解いただきたいのは、もうボランティア精神では限界に来ているということは、現場の声を聞いていただければ大臣もすぐ理解いただけると思いますので、是非必要な法改正まで踏み込んで御検討いただきますことをお願い申し上げます。

 続いて、入管行政について質問をさせていただきます。事前の通告、入替えをさせていただいて、三番目から質問をいたします。

 まさに保護司をテーマにお話をさせてもらったんですが、次に、刑期を終えた外国人は犯罪者なのかというテーマで大臣と議論をさせていただきたいと思っております。

 法務省は、社会を明るくする運動を推奨しています。「すべての国民が、犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。」ホームページでこのように法務省も発信されております。

 「犯罪や非行をなくすためには、どうすればよいのでしょうか。取締りを強化して、罪を犯した人を処罰することも必要なことです。しかし、立ち直ろうと決意した人を社会で受け入れていくことや、犯罪や非行をする人を生み出さない家庭や地域づくりをすることもまた、とても大切なことです。」このような発信がなされており、大変すばらしい理念だと共感いたします。

 齋藤法務大臣、念のために確認させてください。

 この国民運動、当然、国内にいる外国人の方々も対象になるという理解でよろしいでしょうか。

西山政府参考人 在留外国人も含まれるというふうに理解をしております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 当然のことだと思っております。

 今回の入管法の法案審議を通じて、あたかも入管施設内に収容された方々の多くが犯罪者であるかのような、また、テロリストは収容されていないにもかかわらず、テロリストを送還できないことは問題だという不正確な発言が与党から繰り返されています。

 そのような政府・与党のミスリードによってか、SNS上では、外国人の方々による、偏見や差別に満ちた、心ない投稿があふれてしまっています。これは、かねてより政治家として外国人の人権問題に取り組んでこられた齋藤法務大臣の真意ではないはずです。私たちとは立場は違えど、外国人との共生社会を望む目的は同じはずです。ですので、大臣から、国民の皆様に、正しい情報を是非ともこの国会の場で発信していただきたいと心から願っております。

 大臣にお聞きします。

 入管施設に収容されている前科を有する方々は、基本的には刑期を終えてから収容されています。刑期を終えた人は犯罪者なのでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 犯罪者というところの意味するところは、多分、人によって随分いろいろあるんだろうと思うので、ちょっとお答えに窮するところがあるわけでありますが、入管収容施設における収容には、まず一つは、退去強制事由に該当する疑いがある外国の方を収容令書により収容する場合と、それから、違反審査等によって退去強制事由が存在をして我が国から退去すべきことがもう確定をしている外国の方を退去強制令書により収容する、この二通りがあるわけであります。

 被収容者の中には、不法入国者や不法残留者のほかに、例えば、刑事裁判において薬物関係法令に違反して有罪の判決を受けたことのある方とか、それから、一年を超える懲役に処せられた刑罰法令違反者などもいる可能性があるわけであります。

 そういう意味でいえば、犯罪者の意味がちょっと人によって違うところがあるので難しいんですが、前科を有しており、入管法上の退去強制事由などに当たる場合の方がおられることもあり得るということであります。

山田(勝)委員 次に、外国人が増えると犯罪が増えるとか、日本社会の治安が悪くなるとか、政府案に賛成する方々、このような意見も散見されています。本当なのでしょうか。

 資料を御覧ください。

 法務省の犯罪白書によれば、外国人の検挙件数、平成十七年の四万三千六百二十二件をピークに減少しており、令和元年一万四千七百八十九件、前年比四・九%減。一方、この間、在留外国人の数は大幅に増加しております。令和四年六月末で二百九十六万千九百六十九人、前年比七・三%増という統計データがあります。これが真実なのではないでしょうか。外国人の方々が増えている、一方で検挙件数は減っている、これが法務省が出しているデータ。

 大臣に伺います。

 外国人の方が増えれば、治安は悪くなってしまうのでしょうか。私たちの社会は不安におびえないといけないのでしょうか。お答えください。

西山政府参考人 大臣に御答弁いただく前に、前提となる事実について、ちょっとこの資料のみで判断するのはいかがなものかということで御説明をいたします。

 委員のお示しされたものは、令和二年犯罪白書に記載された令和元年までの外国人の刑法犯全体の検挙件数等の推移をお示しと思いますけれども、刑法犯であっても、粗暴犯罪である傷害、暴行、重大性犯罪である強制性交等、強制わいせつの検挙件数は、逆に増加傾向にあるものと承知しております。

 また、同じ白書に記載された令和元年までの外国人の特別法犯の検挙件数につきましては、平成二十八年から四年連続で増加しているものと承知しております。

齋藤(健)国務大臣 大変重要な御指摘だと思います。

 私自身は、受け入れる外国人の方の数の増加と治安の関係性については、出入国在留管理や治安対策の在り方によるところもあるわけですので、一概にこうだというふうに決めつけることは困難だと思っています。

 すなわち、法務省としては、これまで外国人の受入れ数が増えた場合であっても、地域における多文化共生の取組の促進支援や、外国人児童等の教育の充実など、受入れのための各種の取組の拡充を進めてきているわけでありますし、他方で、治安対策も重要ですので、不法滞在者等の対策を含む犯罪防止に向けた取組についても、警察等の関係機関と連携して的確に進めてきているわけであります。

 我々としては、こうした両面の取組を通じて、外国人を、我が国社会を構成する一員として受け入れていく、そういう視点に立って、外国人との共生社会の実現に向けて、関係府省庁と協力しながら関連施策の推進に努めてきたつもりでありますし、今後もそうしていく所存であります。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 また、今回の法案審議を通じて様々な意見があるんですが、その中で、難民に対する誤解、これが大変気になっております。

 あたかも難民認定が増えれば私たち国民が税金で生活保護をさせないといけないかのような発言がSNS上で散見されております。こういった誤解もしっかりとこの場で解消していかなければならないと思っております。

 資料二を御覧ください。

 「働くことは生きること」、コンゴ出身のシャバニさんのストーリーについて紹介をされております。実際に、このように六か月の外務省の支援プログラムを受けた後は、難民認定された方々のほとんどが就労を希望し、実際に就労されている。その間、生活保護など受けずに自立して働いていらっしゃいますし、そうなれば、納税者として、むしろ私たちの社会経済活動に貢献いただいているわけです。こういった難民ということに対する誤解をしっかりと晴らしていかなければならないと思っております。

 その上で、次の質問に入ります。難民の定義について伺っていきたいと思っております。

 今月二日放送のBS―TBSの報道番組「報道1930」で、日本の難民認定率の低さが指摘されました。今、この番組が話題になっています。番組出演された自民党の宮崎議員は、日本の難民認定率の低さの理由として、難民として来る人々の分母の少なさを挙げ、日本は島国であるから飛行機に乗ってこないといけない、地続きとなっているヨーロッパ諸国、例えば歩いて避難している皆さんの映像がニュースとかで出てくるが、そういうところと違いがあることは理解してほしいと述べられました。一方、共に番組に出演した指宿弁護士は、飛行機に乗ってくる人は難民ではないというのはただのイメージ、実際には、政治難民としてその国にいられなくなって、飛行機などで来る人は大勢いると指摘されました。これは大変重要な議論だと思っております。

 そこで、齋藤大臣に伺います。

 わざわざ飛行機に乗って島国日本へ入国する人のほとんどが難民には該当しない、これは大臣も同じような認識なのでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 私は、難民かどうかは、御指摘のように、一律で決まるものではなくて、一つ一つの難民申請の審査の過程において結果が出されていくものであると思っています。

 その上で、せっかくの御指摘ですので申し上げますと、テレビ番組で宮崎議員の御発言についてありました。難民認定率の違いについて尋ねられた際に宮崎議員が、難民の七三%は隣国に避難して保護されているというUNHCRの客観的な統計など、こういったものに触れた上で、地理的条件などの前提条件の違いがあることを説明する一環として、我が国が、難民を多く発生させる国と地続きになっている国と異なり、島国であり、飛行機への搭乗が必要であることに言及されたにすぎず、委員御指摘のように、飛行機で入国する者は難民でない、そういうことはおっしゃっていないというふうに私は理解をしているわけであります。

 ただ、いずれにしても、一人一人の申請に基づいて、参与員を含めて申請手続の中において判断をしていくということに尽きるんだろうと思っています。

山田(勝)委員 間違いなく、島国だから日本に難民として来る人が少ないという趣旨の発言であることは、どう見ても明らかです。

 その上で、難民鎖国と呼ばれ、国際社会から批判されている我が国、その圧倒的な理由は難民認定率の低さにあります。各国の難民認定率、二〇二一年の一次審査、日本は一・一%に対し、やはり、同じように海で隔てられ、紛争地から遠いオーストラリアでも認定率は一三・七%、アメリカ二八・八%、イギリスは六七・二%です。

 今改正の最大のポイントである難民認定について、この国会で政府・与党による重大な認識違いが明らかになりました。難民認定の独立性を訴えてきた私たち野党の提案に対し、現行の難民認定の正当性を主張し続けた政府・与党の立法事実を根底から揺るがす大きな問題です。

 このような発言、幾ら数の力で上回るからといって、この審議内容で強行採決を進めていくのは問題ではないでしょうか。一度立ち止まるべき、政府案は一旦白紙に戻して、現場の声を基に作られた私たち野党案を軸に一緒に協議し、再提出、検討いただけないでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 この法務委員会で既に御審議をされて皆さんの中で結論が出た話につきまして、今この段階で政府としてコメントをするのは控えるべきなんだろうと思います。

山田(勝)委員 大変残念です。

 さらに、政府・与党の立法事実を根底から揺るがす問題、まだまだ続きます。

 入管庁の資料に引用され、政府案の根拠となっている難民審査参与員の柳瀬さんの発言についてです。

 四月十三日の朝日新聞に、難民審査参与員の柳瀬さんの見解として、難民認定すべきだと意見書が出せたのは約四千件のうち六件にとどまる、審査では本人にインタビューする機会があるが、この権利を自ら放棄する人が四割ほどいるというコメントが掲載されています。

 この内容は、本委員会においても、政府・与党は再三にわたり引用し続け、現状の難民認定制度の正当性を訴えてきました。

 二年前、本委員会で参考人として柳瀬さんは、それまでに担当したのが二千件以上だとおっしゃっていました。その後の二年間で二千件を処理するのは、通常、物理的に不可能です。

 四月二十一日、本委員会で参考人として安冨さんは、審査件数は年間約五十件だと答弁されています。

 二年間で二千件の審査を本当に行ったのか、その信憑性に対し疑念の声が国会内外で上がっています。唯一可能だとすれば、早期処理のための臨時班に設置された場合のみです。

 柳瀬参与員の発言は、現在国会で審議中の入管法改正案の立法事実とも言える重大な発言です。

 入管行政の最高責任者である齋藤法務大臣に伺います。柳瀬参与員は臨時班に配置されていたということでよろしいでしょうか。

西山政府参考人 特定の難民審査参与員の事件処理件数については集計していないので把握していないところでございますが、一般論として申し上げると……(発言する者あり)

伊藤委員長 静かに。

西山政府参考人 難民審査参与員は、あらかじめ定められた三人の難民審査参与員によって構成された常設班に所属しているところ、口頭意見陳述を実施しないことが見込まれる事件等迅速な審理が可能かつ相当な事件を重点的に配分している臨時班にかけ持ちで入ることに御協力いただける場合には、書面による審査を行うことが多くなることもあり、ほかの難民審査参与員よりも相当する事件処理数が多くなることが通常であるというふうに承知をしております。

齋藤(健)国務大臣 質問に次長は、この柳瀬さんが臨時班に入っていたかどうか、それについてお答えをしていなかったと思うんですけれども、私もちょっと、事前にその質問があったというふうに認識をしていなかったもので、今この場では答えられないのはちょっとおわびを申し上げたいと思いますが。

 ただ、柳瀬さんの名誉のために一言申し上げますと、二年間に二千件の審査ではなくて、御指摘の参与員は、令和三年の法務委員会において、平成十七年からの十七年間で二千件以上の案件を三対一で対面審査したというふうに述べておられるというふうに聞いております。

山田(勝)委員 いや、それは大臣が間違っています。二年前の時点で二千件だったんです。そして、最近、四千件と言われたので、この二年間、二年前からこの現在において二千件ということなんです。

 その上で、あり得ない答弁だと思うんです。大変重要な指摘にもかかわらず、このように答えを出してくれない。

 聞き方を変えたいと思います。

 臨時班に所属されると審査件数は大幅に増える、このような理解でよろしいでしょうか。

西山政府参考人 先ほども御答弁申し上げたように、臨時班に入っていただける場合には、書面による審査を行うことが多くなることもあり、ほかの参与員よりも担当する事件処理数が多くなることが通常であるというふうに承知しております。

山田(勝)委員 そういうことで、臨時班に所属されていた可能性が非常に高い。柳瀬さんが参与員として四千件中六件の難民認定を行ったと、国会で発言されていること、インタビューに答えられていること、これはもちろん事実であるというふうに当然思っております。

 しかし、この分母だけを強調しておきながら、早期処理のための臨時班なのかどうか明確にお答えいただいていないことは、大変な問題だと思います。

 二〇二一年四月、参考人として柳瀬さんは、「入管として見落としている難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができません。」と答弁をされました。実態を説明しないまま、自分の班にどれくらい難民がいたのかという発言は、大きな誤解を生んでしまうと思います。この答弁、入管庁の現行入管法の課題という資料にも引用されており、柳瀬さんの発言がこの法案の立法事実となった責任は非常に重いのではないでしょうか。

 私たち国会議員がこのように国会で質問しても、公正な情報が与えられません。一体どうやって審議したらいいのでしょうか。飛行機で来る人に難民は少ない、このような政府・与党の誤った難民イメージと同じく、四千件中六件しか難民を見つけ切れなかったという発言の実態が把握できず、政府案の立法事実自体が揺らいでいます。答えないのなら、この法案の審議を継続するに値しないと思います。

 大臣、至急入管庁へ指示をしていただき、この柳瀬さんの発言について、実態把握を急いでいただけないでしょうか。

西山政府参考人 まず、柳瀬さんのお話について御指摘がございましたけれども、御指摘の柳瀬参与員におかれては、令和三年の法務委員会において、対面審査を行って、慎重な審査を行った案件を前提として、難民認定申請者の中に難民と認められる人がほとんどいないということを答弁されたというふうに承知しておりますけれども、この方の御経験等に照らして、我が国の難民認定制度の現状を的確に表していると考えております。

 また、立法事実についての御指摘がございましたが、ほかにも、例えば、令和三年末の統計でいいますと、送還忌避者三千二百二十四名の約三五%が刑事事件で有罪判決を受けており、その中には、殺人や強姦致傷等の重大犯罪での服役後に難民認定を複数回申請するなど、難民認定制度の濫用とうかがわれる事案があること、また、仮放免許可後に逃亡し当局から手配中の者が年々増加し、令和四年末には速報値で約一千四百人になったことなどに照らしますと、改正法案はその必要性を根拠づける社会的事実に基づいているものと言うことができると考えております。

山田(勝)委員 このように、再三指摘しているんですが、立法事実が揺らぐような政府答弁が散見されています。引き続きこの入管行政の課題については追及をしていかなければならないと思っております。

 また、昨日、私の地元長崎でもニュースになりました監理人制度について伺います。収容代替措置として、法改正の柱の一つです。

 被収容者の監理人には、入管庁への報告や、逃走した場合には保証金を没収されることになってしまいます。この長崎でのニュース、地元大村入管の支援者の皆さんが強い懸念を示したということでニュースに取り上げられております。私も実際に、地元の入管の支援者の方々と、改めてこの法改正に当たって、監理人措置制度が導入された場合、皆さんどうされるかと伺いました。皆さんは、絶対に監理人にはならないと怒りの声を上げていました。支援者と被収容者の人間関係は、信頼関係の上で成り立っています。入管に報告を求められるような制度は、これまでの信頼関係を著しく壊してしまうひどい内容です。特定非営利活動法人なんみんフォーラムが実施したアンケートによれば、九〇%が監理人になりたくないと答えています。

 大臣、この法案が仮に成立したとしても、柱である監理人制度のなり手がいない、これは確実です。法律の運用ができません。なり手が確保できないのであれば、廃案にすべきではないでしょうか。

西山政府参考人 監理措置は、監理人による監理の下で、逃亡等を防止しながら、収容しないで退去強制の手続を進めることを可能とする措置でございまして、監理人の存在は前提といたしておりますし、また、このような制度の趣旨からして、監理人に一定程度の報告を求めることは、やむを得ないといいますか、必要であるというふうに考えております。

 監理人になる者としては、典型的には、本人の親族や知人、元雇用主など、本人に身近な人を想定しておりますけれども、これに限るものではなくて、支援者やいわゆる士業に従事する者など、候補となり得る者は幅広く想定できると考えております。

 また、本法案におきましては、報告義務について軽減をするように修正を施しましたし、また、入管庁長官による情報の提供や助言などの援助も更に規定したところでございまして、私どもとしましては、適正にこの監理措置制度を運用していくために、その担い手となる方々に対して、制度について広く御理解をいただくことが重要と考えておりまして、引き続き丁寧に説明を尽くしてまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 このように、全国の支援者から懸念の声が上がってくることは確実だと思います。このような運用が怪しい状況で強行採決を繰り返すことは絶対にあってはならないと強く指摘して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問いたします。

 時間に関しましては、今ほど少しオーバーした分は、私の方で調整いたします。

 それでは、お手持ちの資料の一ページ目ということで、非常にホットな話題なので、ホットというか直近の話題なので、余りそれは分かりませんと言われるのかもしれないんですが、とはいえ、やはり重要といいますか。

 実は私、昨日、反対討論をし、今日も質疑に立っておりまして、昨日来から法務省、入管庁のホームページを、一生懸命資料を探していたんですけれども、なかなか接続できない。何が起こっているのかなと思っておりましたら、これは、何とアノニマスという集団からサイバー攻撃を受けたというふうに報じられております。

 私の実体験といいますか、実際に感じたところでもあるので、実際そうなんでしょうと思うんですけれども、こちら、分かっているところで、どのようなことが起こったのか、御教示ください。

押切政府参考人 お答えいたします。

 五月八日の夜から九日の朝にかけて、法務省ホームページへのアクセス数が何らかの原因で急増したことにより、想定以上の負荷がかかり、その結果、閲覧障害が発生いたしました。九日の午前八時二十分頃には閲覧可能となったものの、その後も一時的にアクセスしにくい状態が生じることがございました。

 現在、法務省ホームページへのアクセス数が急増した原因について調査中であり、その原因を現段階でお答えすることは困難でございますが、必要な対応を行っているところでございます。

米山委員 そうしましたら、これは単にアクセス数が増えただけという可能性もゼロじゃないんだと思うので、その場合には犯罪もくそもないということだとは思うんですけれども、そうではなくて、ここの、一応犯行声明も出ていることでございますので、アノニマスというのはある種有名なところではあるので。

 そうすると、単にアクセス数を増やすだけでホームページ等へのアクセスを妨害するという行為は、DDoS攻撃といって、よくある話だと思うんですが、このような行為が意図的にやられている場合、これは日本の現在の刑法で何か犯罪が成立いたしますでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 まず、犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、刑法二百三十四条の二に電子計算機損壊等業務妨害罪というものがございまして、こちらは、人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した場合に成立し得るものと規定しておりまして、また、一般論でございますが、刑法二百三十三条の偽計業務妨害罪というものがございまして、こちらは、虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した場合に成立し得るものと規定をしております。

米山委員 そうお答えになるんだろうとは思うんですけれども、DDoS攻撃というのは何が困るかというと、要は、ホームページを見ようとしているだけなので、何一つデータも損壊していなければ、何か誤った動作をしているわけでもないわけなんですよ。

 要するに、正しい動作をさせようとしているという理屈が完全に成立してしまうので、今ほど、条文は承知はしているんですけれども、それは成立しないんじゃないですかという趣旨なんです。それに対して、いや、個別だから答えられませんというのは、それは果たして法務省としていいんですか。

 というのは、だって、要は、DDoS攻撃というのは最もありふれた攻撃なわけですよ。最も犯罪にならなそうであり、しかも、虚偽の風説も何もしていない、ホームページを見ているだけですということが成立しちゃうので、それは何か対策しなくていいんですかという趣旨なんですけれども。

 これに対して御答弁いただける方がおられれば御答弁いただきたいんですが、どうですか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 先ほど冒頭で申し上げましたとおり、犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄と申し上げた意味でございますけれども、先生がおっしゃっているDDoS攻撃というものが具体的にどういうもので、それが、この場合でいえば、恐らく、法務省の業務にどのような影響、あるいは法務省の電子計算機等にどのような影響を与えたかというのは、事案によって、収集された証拠によって違ってまいりますので、そういった趣旨で、個別に判断されるべき事柄であるというふうに申し上げたところでございます。

米山委員 非常にかみ合わないんですけれども。

 いや、そういうことを言っているわけでは、だから、個別の案件に関しては、そもそも法律がないのを無理やり処罰はできないわけなので、それはそれでいいし、個別の案件について個別に考えるのは当たり前なんですよ。でも、そうじゃなくて、今後あり得るわけでしょうという話をしているわけです。今後あり得る攻撃類型じゃないですか。

 今後、それこそサイバーセキュリティー課なんというものをつくっていらっしゃるんだから、政府のシステムに対してあり得る攻撃であり、しかも、それが悪意でないなら、世界中の人が日本の入管行政というものに対して興味を持ってアクセスしたなら、それはもうしようがないという話だと思うんですけれども、悪意を持ってやられるんだったら、そういう犯罪類型に対して、犯罪というか、今のところは犯罪じゃないですけれども、そういう悪意行為の類型に対して処罰できる法律みたいなものを作るということを考えるのは、法務省のお仕事だと思うんですよ。

 それに対して、いや、犯罪は個別の案件にするからというのは、御答弁になっていない。もちろん、私、これは通告していますからね、御答弁になっていないと思う。確かに、通告自体は、犯罪が成立しますかという質問だったから、それを超えている、想定を超えている更問いなのかもしれませんけれども。

 やはり悪意を、しかもこれは古典的かつ一般的な話じゃないですか。だから、要は、これは今の刑罰法規では恐らく、処罰の対象にするのは結構難しい話なんですよ。そのままホームページを、単に見るだけというのを、ひたすら数をやるというのは。

 それは、その他に当たるから大丈夫だと言われればそうかもしれませんけれども、基本難しいわけなので、それは多少なりとも、今後、直ちに刑罰法規を作れという意味じゃないですけれども、検討すべきことじゃありませんかという質問なんです。

 それに対して御見解を、どなたでもいいんですが、いただけますでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のとおり、処罰類型を検討して新たに作るということはまたなかなか時間のかかることでございまして、私どもとして、今後、やはりDDoS攻撃等のサイバー攻撃を防ぐために、いろいろと考えていかなければならないというふうに考えております。

 後ほど御質問で、いろいろな、CDNとかそういった仕組みが効果的と言われているが、そのことについてはどうかということで御質問いただく予定でございましたが、その件につきましては、例えば委員御指摘のCDN、コンテンツ・デリバリー・ネットワークは、コンテンツを構成するデータの管理サーバーをインターネット上に分散配置することでインターネット回線の負荷を軽減する仕組みと承知しており、いわゆるDDoS攻撃を含む、アクセス数の急増による閲覧障害に対する有力な手段の一つであると考えております。

 先ほど述べましたとおり、法務省ホームページへのアクセス数が急増した原因について現在調査しているところではございますが、今回のような障害が発生すれば、利用者に影響を与えかねないものと承知しております。今後、NISC等の関係省庁とも連携の上、当省のサイバーセキュリティーの強化について、様々検討してまいりたいと存じております。

米山委員 せっかく齋藤大臣も手を挙げてくださったので。

 そういったシステム対応とともに、私も別に、次々と刑罰を増やすということが好きなタイプでもないんですけれども、しかし、いろいろな悪意を持った行為、まだ犯罪じゃないですけれども悪意を持った行為が次々と出てくる現状においては、それに合わせて刑罰もまた作っていかなければならないと思うんですが、御所見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 まず、今回の件についてはまだ原因が分からないということですので、その原因を踏まえて、少なくとも、今回のような障害は、利用者に影響を与えるということは間違いないというふうに思っています。

 この原因がはっきりした上で、今後どうするかということにつきましては、我が省だけということよりも、ほかの省庁にも大きな、同じような問題が起こり得るわけでありますので、NISCなどの関係省庁とも連携をしながら、今回の事案を踏まえて、サイバーセキュリティーの強化について検討していくということは必要なんだろうと思っています。

米山委員 それでは次に、技能実習制度及び特定技能制度についてお伺いいたします。

 今度は、お手元の資料三ページ目で、私が特定技能二号について質問したときには、余り、いや、普通にやってくださいという御答弁をいただいた後に、この後、政府・与党にはこのように、しっかりこれから拡充する方針だというのをおっしゃられたということで、野党議員が聞くと御答弁はいただけないけれども、与党にはこういうふうに方針を言われるのだなと、なかなかちょっとショックなところであったんですけれども。

 一応、さはさりながら、そんなことを言ったってしようがないので、この方向についてお伺いいたしたいんですけれども、私の質問も、特定技能を広げるべきじゃないですかという質問で、実際に広げる方向だという報道なので、それ自体はいいんですけれども、それに当たっては、やはり技能実習制度というものに関しての、まずは総括というのが要るんじゃないですかと思っております。

 これは今の御紹介した報道とはまた別な話で、技能実習制度は有識者会議において廃止方針が決定されたと報道されております。そして、これに代わる制度をつくる予定だと伺っているんですけれども、例えば、有識者会議の中身などを見ますと、正直、技能実習制度を焼き直すつもりなのかなというふうに見えます。

 ただ、この技能実習制度は、国連自由権規約委員会において、技能実習制度下で強制労働が存続しているとの報告を引き続き懸念しておりますと指摘されていたり、米国務省人身取引報告書においてティア2の監視リストに入っているということで、今までこんな制度を維持してきたこと自体に対して、それは反省というものが要ると思うんですが、大臣の御所見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 まず、どっちからお話しすべきかということなんですけれども、私は、技能実習制度は、技能の移転等を通じた国際貢献を目的とする制度でありまして、これまで多くの外国人や企業に活用され、一定の役割を果たしてきていると思っています。

 ただ一方で、一部の受入れ企業等においては、この制度趣旨が必ずしも十分理解されずに、労働関係法令違反ですとか技能実習生の失踪等の問題が生じているということももちろん認識をしておりますので、厚生労働省や外国人技能実習機構と連携しながら、運用の適正化のための取組を進めてきてはいるわけであります。

 一方で、技能実習制度につきましては、そういう両面の指摘もあるんですけれども、この際、見直すべきだろうということで、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において、まさに技能実習の制度目的と実態を踏まえた制度の在り方を始めとして、幅広く御議論が今行われているところであります。

 私は、いずれにいたしましても、これは大事なテーマだと思っていますので、有識者会議での御議論を見据えつつ、関係省庁もありますので、連携しながら、政府全体で、この流れの中で、しっかりと検討していきたいと考えています。

米山委員 建前としてはそういう御答弁になるんだと思うんですが、しかし、御指摘させていただきたいんですけれども、技能実習制度の全てが悪いと言うつもりもないですし、制度開始当時において確かに技能移転というものが行われたのはそうなんでしょうけれども、もうここ十年じゃないと思うんです、ここ二十年ぐらいは、それは誰がどう見たって、実態として、技能実習なんかしていなかったでしょう。誰がどう見たって、あれは単なる安価な労働力であった。その事実は、それは建前として言えないところはあり得るとして、やはりきちんと認めて反省すべきだと思うんです。

 それは、法令違反のような実態がなかった、普通にきちんとお給料を払って、そこまでひどい状態じゃなかったという事業者が大半だと思いますよ。法令違反なんというのは少なかったと思うんですけれども、しかし、地方で、大臣だってもちろん地元の企業があられるでしょうし、私だってもちろん地元企業があるわけですけれども、そこで技能実習を使っていらっしゃる社長さんたちにどう話を聞いたって、それは安い労働力だったわけですよ。いや、僕は絶対そうだと思いますけれどもね。そこを頑強に否定し続けるというのは、余りに実態に反している。

 だって、どんな技術を教えるんですか。教えるんだったら、そもそも、教える技術として、最初の一か月や二か月教えたのは分かりますよ。でも、一か月や二か月教えたら終わるような技術だったじゃないですか。そんな二年も三年も教えるような技術じゃなかったでしょうというのは、それは実態としてそうでしょう。やはりそこはきちんとお認めいただきたいんですけれども。

 せっかくですから、大臣の御見解を伺います。

齋藤(健)国務大臣 私が経験した分野というのはたまたまなのかもしれませんが、いわゆる技能実習で、企業も非常にいいコミュニケーションを取りながら、技能を学んでもらって、それで帰って、それでまた引き続き次の人が来てもらってといういい連携の下で、実習生も雇った人も感謝をしているというケースも私はよく知っているものですから、一刀両断で米山委員のように切るというふうには、ちょっと私の気持ちはついていけないところがあるということであります。

米山委員 そこはもう、あとは押し問答になるのでいいんですけれども。

 これは、もちろん、何せ給料が高かったわけですから、そういう意味では、実習生の方々が、たくさん給料をもらってうれしかったという方が少なくないことは、別に私も否定しないわけです。最初の一か月や二か月習ったことも否定しないし、その技術を向こうに持って帰って、よかったことも否定しない。

 しかし、実態としては、残りの一年半以上はそれは労働力だったということは私は認めるべきだと思うし、逆に言うと、今後の制度設計において、実のところ、やはりそういう労働力として、特に日本はこれから生産年齢人口が減るわけですから、必要なんだということは正面から認めた制度にしないと、また本音と建前が乖離したようなことになってしまうということは御指摘させていただきたいと思います。

 ちなみに、この技能実習制度について、さらに、技能実習に限らずなんですが、特に技能実習がということだと思うんですけれども、外国人労働者につきまして、日本人の賃金低下の原因となっておる、特に日本人の実質賃金が低下しているということに関して、その原因は外国人だというような言説が見当たります。

 私はそれは非常に間違っていると思っておりまして、きちんといろいろ調べれば、そんなことはない、賃金水準にはほとんど影響を与えないんだというような調査もなされているところなんですけれども、担当は多分厚生労働省だと思うので、厚生労働省におきまして、調査などがありましたら、データをお示しください。

原口政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のような実証的な調査分析につきましては、厚生労働省といたしまして行ってございません。

米山委員 これはなかなか、それでいいんですかということだと思うんですよ。民間の調査はあるわけですよ、もちろん。別に、何も厚生労働省の人がそのまま自分で調査しなくたって、委託調査研究をしたらいいじゃないですかということだと思うんです。

 しかも、この手の調査というのは、恐らく、結構官庁が関与してくれないと、元データが得られないわけですね。分析は研究者の人ができるとしたって、いろいろな事業所に、一体どのぐらいのお金、賃金を払っているんですかみたいなことは、なかなか一研究者ができることではないと思うんですよ。

 だって、これから、それこそ先ほど言ったとおり、日本は多くの外国人の方を、それは意見は分かれるとしても、もはや実態としてそれは必要になるわけだし、外国人技能実習制度に代わる新しい制度をつくる上でも、必要な立法事実になるんだと思うんですね。

 そうしたら、それこそ法務省と厚労省と共同してそういった調査をきちんとして、もし仮に、本当に下がるというんだったら、また下がらないような制度設計をきちっとしなきゃいけないでしょうし、逆に、いや、それは下がりませんというんだったら、そういった外国人を増やしたら困るんだというような声に対してきちんと広報をすべきだと思いますし。だから、そこはきちんと調査をしていただきたいということは申し上げさせていただきたいと思います。

 ちなみに、次の質問に移りますけれども、もうあと五分なので、本当にまた質問を大分積み残すんですけれども、外国人労働者、技能実習制度を含めた外国人労働者なんですけれども、これは今非常に減少している。

 特に、今まで何となく、外国人労働者の、今はもうベトナムというイメージかもしれませんけれども、例えば、皆さんもフィリピンの方というのは多いというイメージだと思うんですね。フィリピンの人がどこの外国に行くか、フィリピンの場合は外国に行く人が多いわけですから、というのを調べると、これはもう基本的に中東やヨーロッパが中心になって、日本に来る人は非常に減っているという状況になっています。それはその他の東南アジアの国々でも同じ。

 ところが、ベトナムに関しては、かなり日本がいまだに多くて、だからこそ、我々のイメージでも、もはや外国人労働者といえばベトナム人というイメージがあると思います。

 これは報道ベースの話なんですけれども、この原因として調べたところで、それはベトナムの方にしたって、別に日本語とベトナム語は同じじゃないわけですから、中東やヨーロッパに行くインセンティブがあるのになぜ行かないかというのは、実は、外国人実習制度における送り出し機関というものがもう完全に現地において確立していて、そこに対するキャッシュバックみたいなものがもはや制度化してしまっている。だから、もう向こうの利益として、そういうことがビジネスとして確立してしまっているからベトナム人が来るんだというような報道がなされているわけなんです。

 これは、先ほど大臣おっしゃられた、皆さんしっかり勉強していって、いいことだというお話があると同時に、やはり負の側面として言われていることであり、また、恐らく現実としてある部分であると思うんですね。ですので、この現状に対する大臣の御所見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 委員御指摘のキックバック等は、その実態把握が正直困難ではあるんですが、現実に存在するのではないかと認識をしておりまして、技能実習生が負担する費用に影響し得るものでありますので、来日する技能実習生の多額の費用負担ですとか借金ですとか、ひいては失踪の原因にもなりかねないということでありますので、私は解決すべき課題なんだろうと考えています。

 御指摘のキックバック等については、技能実習法において、監理団体が、監理事業に関して、関係者から、監理費を除いていかなる名義でも手数料又は報酬を受けてはならないと定めてはいます。

 そして、キックバックを含めて、監理団体が監理費に該当しない金銭を送り出し機関等の技能実習関係者から受け取った場合は、監理団体の許可取消しの対象となるところであるので、これまでも監理団体に対し注意喚起を実施してきている。

 また、キックバックを含め不適切な行為を行う送り出し機関につきましては、我が国として確実に制度から排除すること、これが大事だと思っておりまして、外国人技能実習機構による技能実習計画の審査において確認を行っている。

 また、そのほか、外国人技能実習機構の実地検査や技能実習生からの相談等により不適正な事案を把握した場合には、二国間取決めの枠組みを通じて相手国政府へ通報して調査を依頼した上で、その結果に基づいて、送り出し機関への指導や認定の取消し、そういったものを求めているところであります。

 法務省としては、大変実態把握が難しい問題ではあるんですけれども、引き続き、制度を共管する厚生労働省や外国人技能実習機構との連携強化とともに、相手国政府との協力関係も重要ですので、そういうところから不適正事案に対して厳正に対処していきたいと考えています。

米山委員 もう時間なので、あと一つだけお伺いいたしますけれども、おっしゃるとおりやっていただきたいんですが、その根本的な解決は、そもそも送り出し機関は要らないんじゃないですかという話だと思うんですね。

 送り出し機関、昔は必要だったというのは、それはそうだろうと思うんです。昔は、だって、ベトナムの方だって日本の情報なんて分からないでしょうし、こちらだってベトナムの事情なんてよく分からない。送り出し機関というのは、恐らくはそういう時代の名残だと私は思います。

 今はもう、本当にどの国に行ったって、皆さんスマホを持っていらっしゃって、しかも、さらに、言語の壁すら、自動翻訳で全然見られますという状態になっているわけですよね。何もこっちでベトナム語で書かなくたって、翻訳しちゃうわけですよ。だから、もうそういうものはほとんど要らないんじゃないか。ですので、かつ、今回、まさに制度を変更するわけですから、なるべくそこに依存しない制度にすべきだと思います。

 ところが、四月二十八日に行われた政府有識者会議の議論を見ますと、相変わらず送り出し機関や監理団体に依存した、基本的に技能実習の焼き直しのような制度をつくろうとしているように見えます。

 私は、是非そうでない制度をつくっていただきたいと考えておりますが、大臣の御所見を伺います。もう、あと時間がないので、本当に簡潔で結構です。

齋藤(健)国務大臣 時間も迫っているようですので。

 ただ、委員御指摘の点については、有識者会議の中で、管理監督や支援体制の在り方、これが一つの大きな論点として議論をされているところでありますので、今の時点で私の方からこうすべきだ、ああすべきだというようなことは差し控えたいと思っておりますが、しっかり議論を見守りながら、適切に対応していきたいと思っています。

米山委員 ありがとうございました。

 以上です。

伊藤委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 今日は、テーマは、小児性愛それと小児性犯罪者、ペドフィリアとチャイルドマレスターということについてお伺いしたいと思っております。

 ちょっと専門的な話ですのでなかなかお答えづらいとは思いますが、この法務委員会で是非とも、今度新しい法改正を提案するわけでございますから、御審議いただきたいと思っております。

 児童性愛、イギリスなどは、十三歳以下の子供に対する愛情を感ずるということですが、最初にこれについて、「性的精神病理」という本の中で、ウィーン大学のリヒャルト・フォン・クラフト・エビング先生が一八八六年に論文を発表してあります。あわせて、一九〇五年、「性理論に関する三つのエッセイ」ということで、ジークムント・フロイト先生も同じような発表をしてあります。結論から申しますと、小児性愛について、大人が純粋な愛情を感ずることはまれであり、精神疾患として、異常であるという結論でございます。

 もちろん、これについては矯正可能であるわけですから、実は、この矯正可能という理論について、今まで法務省が取り組んでこられました、あるいはこれからも取り組むべき課題があるのではないかということをお話ししたくて、質問に立っておるわけでございます。

 実は、以前にもお話ししたことがあると思いますが、東京、埼玉で、ある青年が四人の女児、幼女を誘拐して殺害した事件が起きております。この方は、裁判においては、結果的には死刑判決を受けて死刑を執行されたわけでございます。幼児に対する愛情、それと死体陵虐、性行為を行ったということなどから、当時、様々な議論があって、私もその担当をさせていただきました、精神保健課の中で。

 本当にこの人は小児性愛者であったかということについての議論が、裁判の中でも精神鑑定医の鑑定書を基にいろいろ議論されてきたわけでございます。手に不自由があったわけでありまして、成人の女性との恋愛がなかなか成就しない、成人に対する代替行為として子供を殺して、そして辱めをしたのではないかという議論もあるわけでございます。一方で、解離性同一性障害という、多重人格という言葉で皆さん方は御存じかもしれませんが、そのとき、行為を及ぼすときだけ人格が変わったのではないかという議論ももちろんあったわけでございますが、結論としては、裁判所の鑑定の中で、人格の障害であり、そして責任能力があるということで、このような死刑判決が出たんだというところでございます。

 しかし、フロイト先生がおっしゃったように、ペドフィリア、あるいは児童性犯罪者、チャイルドマレスターについては矯正が可能であると、百年前にもそのようにおっしゃってありまして、司法精神医学の司法家、法律家においても、その治療が可能であるということを百年前にも御指摘してあるわけでございます。

 さて、私もそんなに質問時間はありませんけれども、では、児童性犯罪者、チャイルドマレスターは、児童買春、あるいは児童ポルノを撮影、所持するということが様々取り締まられておりますが、海外に行ってそういうことを行うこともあるわけでございます。そういったことの実情あるいは取締りについては、警察庁はどのような認識をお持ちでございましょうか。

友井政府参考人 お答えをいたします。

 児童買春事犯の過去三年の検挙件数を紹介させていただきますが、令和二年は六百三十七件、令和三年は六百二十七件、令和四年は六百三十件となっております。

 また、お尋ねの児童ポルノ事犯につきまして、過去三年間の検挙件数を御紹介いたしますと、令和二年は二千七百五十七件、令和三年は二千九百六十九件、令和四年は三千三十五件であり、厳正な取締りを推進しておるところでございます。

阿部(弘)委員 勉強会では、強制わいせつについては、被害者の年齢についての、特段、十三歳以下と十三歳以上ということは統計ではないということでございますが、ただ、強制わいせつ罪については年々増加傾向にあるということを勉強会でお話をいただいております。

 児童性愛については、アメリカの精神医学会、APAで、DSM―5という、我々でいうと教科書みたいなものがこの学会から出されておられます。児童性愛の障害については、基準は、十三歳以下のお子さんに六か月以上何らかの性的興奮を常に感じ続けるということ。私の病院にも、刑務所から、そういう児童性愛の方々が何人か入院されてこられます。

 それは、異性に対する愛情、性欲の発露だけではなくて、同性、例えば男の人であれば男児に対してもそのような興奮を覚えるわけでございます。その興奮を覚えるだけなら、それは犯罪ではありませんが、あるいはポルノを見て興奮を覚える、夢想する、夢想を行うことは犯罪ではありませんが、実際に行為に及んだ場合には、やはりそれは犯罪であるわけでございます。

 先ほど警察庁からも話があったように、多々問題になる方が、裁判を経て、私の病院にお見えになるということでございます。治療は施します、認知行動療法や薬物療法など。でも、原因が様々でありますから、なかなか治療ができないなということも感じておるわけでございます。

 では、矯正施設、裁判で有罪になって、刑務所からお見えになる方がほとんどでございますから、そういう方々の治療というものは、あるいは社会復帰の後の治療というものは、どういうふうになさってあるか、お聞かせください。

花村政府参考人 お答えします。

 刑事施設におきましては、強制性交等、強制わいせつなど性犯罪を行った者の中で、性犯罪の要因となる考え方に偏りがある者あるいは自己の感情や行動を管理する力に不足がある者等に対して、再犯につながる問題性の大きさを判定し、その度合いに応じて、刑事施設の職員や処遇カウンセラーが認知行動療法に基づく性犯罪再犯防止指導を行っております。

 具体的な内容としては、受刑者にグループワークの中で性犯罪につながる要因を検討させるとともに、その要因に対処するための知識やスキルを身につけさせ、それらを出所後の生活で実践するための再発防止計画を作成させるなどしております。

 刑事施設における性犯罪再犯防止指導につきましては、その効果検証を行った結果、一定の再犯抑止効果があることが統計的に認められております。

 当局におきましては、この結果等を踏まえ、再犯抑止効果がより一層高まるよう、処遇プログラムの内容等を一部改訂し、令和四年度から実施しているところであり、今後も引き続き、同プログラムの充実に努めてまいりたいと考えております。

宮田政府参考人 社会内での処遇につきまして、お答え申し上げます。

 保護観察所におきまして、性犯罪を行った保護観察対象者に対しましては、認知行動療法を理論的基盤とした性犯罪再犯防止プログラムというのを実施してございます。

 具体的な内容としましては、例えば、性加害を肯定するような認知のゆがみに気づかせ、これを別の認知に変えていくための課題に取り組ませるなどしまして、性犯罪に結びつくおそれのある認知のゆがみ、また自己統制力の不足などの問題性に気づかせ、これらを改善し、再び性犯罪をしないようにするための対処方法を身につける、習得させるというものでございます。

 プログラムの効果検証も行っておりまして、プログラムを受けた人の再犯率の分析におきまして、非受講者、プログラムを受けなかった人よりも、統計上有意に再犯率は低く、性犯罪再犯の抑止効果が確認されております。この分析等を踏まえまして、プログラムを一部改訂して、昨年四月から実施しております。

 保護観察所におきまして、引き続き、このプログラムの着実な実施に努めてまいりたいと思います。

阿部(弘)委員 非常に努力してあるという点は勉強会でも分かったわけでございますが、ただ、これは性犯罪についての一般的なプログラムであるわけです。ペドフィリアについては、それに特化したものが現在のところない、それが現状ではないかと。

 厚労省、お見えでございますから、治療法というのはどういうものがありますか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 小児性愛につきまして、小児への性的愛好やわいせつ行為を完全になくすことができるという効果的な治療方法は、海外においても現時点では確立はされていないと認識をしておりますが、一部の国等において、性衝動の制御を目的とした薬物療法や認知行動療法などの治療が行われているという例がある、これは一部の国に限らず、我が国における治療においてもそういったことが行われ得ると認識をしているところでございます。

阿部(弘)委員 部長さんはそういうペーパーを用意してありましたけれども、是非とも頑張っていただきたいですよ。ペドフィリアについては実際は何もやっていなくて、やっている病院も、拠点病院さえ多分ないと思います。ペドフィリアと、ほかの、性的欲求が強くなる、犯罪まで起こす方々というのは、違うカテゴリーで治療をした方がいいと思います。

 時間も迫ってきましたが、十三歳未満の児童に対しては性的合意能力が認定されないというふうにアメリカ精神医学会もしております。そして、その年齢差が五歳という、今国会でも議論になるところも出てきているわけで、性的合意がない、五歳以上年の離れた異性に対する性行為というのは犯罪である。ペドフィリアなんですね。

 だから、ペドフィリアについての議論が、やはり、法務省やあるいは政府、対策がまだまだ不十分だと。一般的な性犯罪者と、ペドフィリアを、チャイルドマレスターと呼ばれる人たちとをしっかり区分しながら治療をしっかり行っていく。先ほどの、東京、埼玉で四人の女児を殺した方はそれに該当するかどうかは分かりませんが、非常に世間を震撼させる事案であったことには間違いないわけでございます。

 児童性愛、性的合意能力がもちろんないわけでありますから、ほとんど全てが強制性交罪やあるいは様々な強制わいせつ罪などの犯罪の適用になっていくわけでございますけれども、論文の発表から百四十年もたって、あるいは、司法精神医学の、ウィーン大学、私が留学していたまさにその教室であるわけですが、それから百四十年たっても、まだ日本はそのことについて取組がない。

 アメリカのある州では、メーガン法、ミーガン法とも読むかもしれませんが、様々な性犯罪者の情報開示、あるいはGPSの装着など、その罪の重さによって様々な法律が制定されているわけでございます。

 この度、刑法の一部改正で、GPSを装着することを初めて我が国でも提案されたということでございますから、是非ともこのことについても、海外、特にアメリカや韓国の事例を今研究してあるやに聞いております。このことについてももっと真剣に取り組んでいただいて、もちろん、児童性愛の方が他の異性に対する性的犯罪に及ぶこともあるわけでございますから、是非とも御検討を願いたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 まずは、昨年の十一月に本委員会で、海外サーバーを通じて日本で行われている違法行為、例えば、人権侵害の書き込みやオンラインカジノ、スポーツベッティング、殺人依頼や、先ほど質問にもありました闇バイトの募集掲示板などに関して、海外捜査機関との協力の枠組みについてお伺いしたところでございます。

 答弁としまして、各国間の相互主義の下での捜査共助、二国間、多国間における刑事共助条約による協力の重要性について確認をさせていただきました。

 その上で、今国会で審議が行われ、先日衆議院を通過したサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書について、これが承認された場合における日本の国際捜査に与える影響について法務省の受け止めをお伺いいたします。また、議定書承認による捜査が強化されることが見込まれる具体例などもございますれば、説明をお願いいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の議定書は、締約国間においてサイバー犯罪に関する協力及びあらゆる犯罪に関する電子的形態の証拠の収集を更に強化するため、締約国の権限のある当局間の協力、他の締約国の領域内に所在するドメイン名の登録サービスを提供する団体などとの直接の協力に関する追加の手段等について定めているものと承知をしております。

 この議定書を締結することにより、例えば、他の締約国の領域内に所在するドメイン名登録サービス提供団体から、直接又は他の締約国の中央当局を通じて、被疑者を特定するための情報や通信記録などをより迅速かつ円滑に入手することが可能になるなど、締約国間で電子的形態の証拠をより迅速かつ円滑な手続で収集することを可能にするものであると承知をしております。

 その上で、この議定書の締結が国際捜査に与える影響と、これを踏まえた今後の捜査手法等ということでございますけれども、捜査手法の具体例につきましては、捜査機関の活動内容に関わる事柄でございまして、お答えは差し控えさせていただきたいと存じますけれども、あくまでも一般論として申し上げれば、捜査当局におきましては、刑事事件として取り上げるべきものについて、必要に応じてこうした国際捜査のための枠組みも活用しながら、法と証拠に基づいて適切に対処をするものと承知をしております。

漆間委員 先ほど御答弁の中で、円滑かつ迅速にいろいろと捜査を進めることができるという答弁がございました。

 であるのであれば、私が十一月に質問しました、海外サーバーを通じたオンラインで行う日本での違法行為、こういったことへの摘発に関しても、迅速にそして円滑に進めることができるという認識でよろしいんでしょうか。お伺いいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、オンラインを利用した海外からのというようなことにつきまして、様々な仕組みのものが考えられますので、この議定書の締結によってこれらの取締りに対してどのような影響があるかについて一概にお答えすることは難しいんですけれども、あくまでも一般論として申し上げれば、この議定書を締結することによりまして、締約国間で電子的形態の証拠をより迅速かつ円滑な手続で収集することが可能になるということで、それが見込まれるものだと考えております。

漆間委員 円滑、迅速に進めることが、一般論としては言えるという御答弁をいただいたと思います。

 海外のサーバーを通じて行われる様々な違法行為のうち、特に、地元でも多くお声をいただいているオンラインカジノについて特化して、これから質問をさせていただきます。

 オンラインカジノに関してなんですが、インターネットのアクセスを分析している会社の調べによりますと、日本国内からオンラインカジノサイトへのアクセス数は、二〇一八年十二月には月におよそ百万回であったが、二〇二一年九月にはおよそ一億二千万回に及んでいるとの調査結果もあるとされております。

 この三年間で百二十倍に増加していることに関しまして様々な原因があると思うんですけれども、一方で、公営ギャンブル、例えば、競輪だとか競馬だとか、そういったものも、インターネットで今、スマホで簡単にできるようになっております。

 それと、オンラインカジノも、やる人からしたら、ほぼ同じように取れるのではないのかなということも考えられると思うんですけれども、ここで、賭博行為がなぜ違法なのか、そして、公営賭博がなぜオーケーなのか、大丈夫なのかということに関して、改めてちょっと法務省の見解をお伺いしたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 まず、刑法上賭博が犯罪とされておりますのは、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情によって財物を獲得しようと他人と相争うものでございまして、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるなど、社会の風俗を害する行為であるからだというふうにされております。

 いわゆる公営賭博に関してでございますけれども、これはそれぞれ関係省庁が所管する法律に基づいて実施されているものでございまして、法務省はそれらの法律を所管していないのでお答えする立場にはないのですが、賭博の罪を定める刑法を所管する立場から申し上げますと、理論的には賭博の罪の構成要件に該当する行為でありましても、法律に従って行われるものであれば、刑法第三十五条による法令による行為として違法性が阻却されるということになります。

 そして、既存の公営賭博の根拠となる様々な法律があるわけですけれども、それぞれの法律におきましては、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮がなされておりまして、例えば事業の公正性ですとか公益性を担保するような制度についての配慮がなされているものと認識をしております。

漆間委員 今御答弁で、賭博がなぜ禁止されているかということに関して、詳細に御説明いただきました。

 その上で、公営賭博が大丈夫な理由としては、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮がなされているからと。配慮がなされているから、公営上の賭博は大丈夫なんだというお答えでありました。

 その上で、海外のサーバーを利用した、海外の事業者によるオンラインカジノ、これがなぜ違法なのかということについて、違法だと思っておるんですけれども、違法性について、改めて法務省の見解をお願いいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねいただいた角度がちょっと難しいんですけれども、お答えが難しいんですけれども、オンラインカジノと言われるものにも様々な仕組みがあり得ると考えられるところではありますけれども、オンラインカジノを利用した賭博ということについていいますと、先ほど私が申し上げた、公営賭博についての御説明を申し上げた中で、一応、法律で規定されている賭博については、法令による行為、刑法三十五条による法令による行為として違法性が阻却されるということをまず申し上げたと思うんですが、日本国の国内の法令に基づいて認められている賭博であれば違法性が阻却される、その上で、それぞれの法律については、賭博を犯罪としている趣旨を没却しないような配慮がそれぞれの仕組みでなされておりますという御説明を申し上げたと思うんです。

 オンラインカジノに関しては、まず海外で設定されているものであれば日本国内でそういった法律がないというところもございますし、当然、法律もないので、申し上げたような、賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮というものもないということなんだろうと思うんですが、その上で、なぜ違法なのかという話ですよね。

 オンラインカジノの様々な仕組みの中で、これが賭博だと評価されるものがなぜ違法なのかということに関して申し上げると、行為の一部が海外であるとしても、日本国内でオンラインカジノを利用して賭博行為を行ったということでありますれば、刑法の、日本国内において罪を犯した全ての者に刑法を適用するという条文が一条にございますけれども、犯罪行為の全部又は一部が日本国内で行われておりますれば日本の刑法が適用になりますので、そういった意味で、これは日本の賭博罪の適用の対象になり得るということでございます。

漆間委員 賭博が違法である理由というのは様々におっしゃっていただきました、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあると。これをしっかりと配慮して行うから公営賭博は大丈夫なんだと。

 一方で、オンライン賭博に関しては、これを配慮しているかどうかは日本国で恐らく制御することができないから違法なんだという認識なのかなと私は理解しているんですが、そういうことでよろしいんでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノについての法律上の根拠がないということと、法律上の根拠がなくて、かつ、趣旨を没却しないような制度的な担保もないということと御理解いただければと思います。

漆間委員 じゃ、もし海外でこういったことにすごく配慮している事業者がいれば、それがもし法で認められれば、海外のオンラインカジノもオーケーだということになるのかなとも思うんですけれども、それはいいとしまして、問題はやはり、日本国で制御できない中で、多くの方々がオンラインカジノにはまっているという現状を、多くの国民の方々からいただいている。

 それに当たって、今回、もう一つ御答弁の中でいただいたのが、オンラインカジノを日本国内でやっている人は違法性があって、それはしっかりと取締りできるという御答弁もいただいたと思うんですが、その認識でよろしいですかね。イエスかノーかだけでも大丈夫です。

松下政府参考人 お答えいたします。

 正確を期しますと、オンラインカジノを利用した賭博というふうに言えるものであれば、日本国内においてその賭博行為の一部を行ったものについては犯罪となるということでございます。

漆間委員 実は、警察庁のホームページでも、オンラインカジノは犯罪ですといったようなことがしっかりと周知されているような現状もしっかりとあるところです。

 今回、この条約を議定されたことで、より取締りが迅速に、円滑に進むことになるかとも思うんですけれども、今、オンラインカジノにはまっている人がたくさんいる、何とかしろという声をたくさんいただいているにもかかわらず、オンラインカジノによる取締り件数、警察庁のホームページを調べましたところ、ここ三年で、令和二年中十六件、令和三年中十六件、令和四年中十件とされておりまして、月に一億二千万回のアクセス数があると言われている中で、これは非常に少ない取締り件数なのかなと思うんです。

 今回、この条約が結ばれて、円滑かつ迅速に捜査ができるというところでありますので、この取締りに関しても、しっかりと取締りによる抑制が必要かと思うんですけれども、しっかりとこれはやっていくべきなのかなと思うんですけれども、大臣の意気込みみたいなもの、これは通告でありますかね。無理であれば。

 じゃ、この取締りに関しまして是非意気込みを、意気込みといいますか、しっかり取り締まって抑制してもらいたいんですけれども、その意気込みについてお伺いいたします。

松下政府参考人 お答えいたします。

 オンラインカジノへの対策につきましては、令和四年三月に閣議決定されておりますギャンブル等依存症対策推進基本計画の中におきましても、オンラインカジノによる賭博も含む違法なギャンブル等についての取締り強化ということが盛り込まれているものと承知をしております。

 法務省も当然この関係省庁となっておりまして、法務省といたしましても、その計画を踏まえて、引き続き関係省庁と協力をしていきたいと考えております。

漆間委員 岸田総理大臣も、昨年六月の予算委員会で、オンラインカジノ、これは違法なものであり、関係省庁が連携をし、厳正な取締りを行わなければならないと思いますと述べ、また、資金の流れの把握、実態把握、これをしっかりと行うことは重要であると思いますと述べられておりますので、ここから一年近くたとうとしておりますので、是非しっかりとした取組をしていただきたいと思います。

 ここでちょっと厚生労働省の方に質問なんですけれども、オンラインカジノに限らず、オンラインを通じた様々なギャンブル依存症に関するお声を実は地元の方からかなりたくさんいただいております。コロナ禍もあって、そしてスマートフォンの普及もあって、皆さんの周りでも、恐らく、子供が親のクレジットカードの番号を盗んでスマホのガチャをいっぱいやって、そこにはまって何十万も請求が来たというような声は多分聞いたことがあるのかなと思います。それだけでなく、先ほどお話で申し上げましたオンラインでの公営賭博にも物すごくはまっている人がいる。オンラインカジノももちろんそうです。

 こういったことがスマートフォンを通じてこっそり、手軽に、いつでもできるというところでお声をたくさんいただいている中、この連休前ぐらいに、予算委員会の分科会で、厚生労働省の方にこういったオンラインのギャンブル依存症について体系的にしっかり対策をやるのかとお聞きしたところ、必要かと思うといったような前向きな御答弁がありました。関係省庁と連携もしてやっていくという御答弁もいただいたところです。ところが、実態調査に関しては、まだ余り、積極的な御答弁というか、把握していないような感じでありました。

 これは、しっかりオンラインギャンブル依存症に取り組むのであれば、今後、オンラインによるギャンブル依存症について実態調査、これをしっかりやっていくべきかと思うんですけれども、いつまでに、どのように行うかについてお伺いするとともに、今回、法務省がこのように海外の事業者に対してもしっかりと取り組むという御答弁もいただいたところですので、各省庁と連携して取り組むという御答弁もこの前の分科会でいただいたところですので、どのように法務省と連携して取り組んでいくのかについても、併せて最後にお伺いさせていただきます。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル等依存症問題の実態把握につきましては、ギャンブル等依存症対策基本法に基づきまして、三年ごとに必要な調査を実施することとされております。

 これを踏まえまして、厚生労働省の補助によりまして、国立病院機構久里浜医療センターにおいて平成二十九年度と令和二年度にギャンブル等依存症についての実態の調査を行っているところでございますが、委員御指摘のオンラインという観点については、これまでの調査結果には必ずしも含まれていないところでございます。

 令和二年度から三年たちますので、令和五年度におきましては実態調査を行う予算を計上しているところでございまして、これまでの調査結果、また現下の課題等も念頭に置きながら、調査の対象項目など、具体的な調査内容について今後検討してまいりたいと考えております。

 法務省を含む関係省庁とも連携を図りながら進めてまいりたいと考えております。

漆間委員 しっかりお願いいたします。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 お疲れさまです。国民民主党の鈴木義弘です。

 今日は、二点に絞ってお尋ねしたいと思います。

 私も勉強が足らないんだなとつくづく思ったんですけれども、六年前か七年前に、予算委員会で、手形をやめたらと麻生大臣に質問したことがあったんですけれども、経産省の所管なのか、決済をするということですから、金券と同じ扱いになるので財務省の所管かなと思っていて、よくよく調べていったら法務省なんですね、これは。

 法律自体が昭和七年に制定されていて、約九十年たっている法律です。原文を引っ張ってきたら、昔の片仮名字で書いてあったのでよく内容が読み取れないんですけれども、もう一度いろいろ資料を引っ張っていくと、これじゃちょっと簡単にやめられないのかなと思ったんですけれども。

 一九九〇年に、約束手形の交換高というんですか、それが、四千七百九十七兆二千九百六億円使っていたんだそうです。これが、ちょっと古いんですけれども、二〇二一年の交換高が百二十二兆九千八百四十六億円なんだそうです。それでいくと、ピーク時から見ると九七・四%減というふうに、大幅に減ってきているのが実態です。

 二〇二二年度中の、一般社団法人全国銀行協会パブリック・リレーション部というところが発行している手形交換高を見ていきますと、六十兆五千二百九十一億交換しているんですね。これだけ減ってきたということです。四千七百兆から六十兆に下がってきた。

 結局、私は、幾つかの要因があって、結論から申し上げれば、手形をやめた方がいいというふうに思っている一人なんです。私のところも小さい会社をやっていますけれども、まだいまだに手形が。特にメーカーさんあたりは、会社によって、十万円を超えると手形を切るんです。九万円とか八万円のときはキャッシュで、振り込みでくれる。十万を超えると、九十日の手形を切ったりする。

 これも、経産委員会で聞いても、なかなか難しいんですという答弁しかしないんですけれども、一応、法律上は百二十日の手形しか切れないことになっているのに、地域で聞くと、百五十日だとか百八十日の手形を切っているんですね。何とかそれで資金繰りを回していこうという考え方なんですけれども。

 そもそも、説明を昨日聞いたら、東南アジアの国で一部この手形制度を使っているところがあるというんですけれども、世界的に見てもほとんど、日本と数か国しかないんだと私は思うんです。

 だから、もうそろそろ、デジタル化の時代だとか電子システムで、経産省が挙げてやろうとしているのは、キャッシュレス社会にしていくんだとかといって旗を振っているわけですね。だったら、手形制度そのものを、これは来年やめるとかというのは難しいと思うんです、でも、五年先にきちっとやめる。

 今、経産省が打ち出したのは、二〇二六年に紙の手形はやめましょう、電子の方に移行していきましょうといって、今、旗を振り始めたんですね。私が質問して六年もたった後です。去年その方針を出しているんです。だから、経産省は運用の面でおやりになっているんでしょうけれども、基の法律を所管している法務省が動かなければ、これは廃止できないと思うんです。

 議員立法で廃止法案を出せばいいじゃないかといえば、私は法務委員会で一人しかいないものですから、半数の議決権を持っていないので、やはり法務省が動いてくれないと、この手形の制度というのはなくせないんじゃないかと思うんです。

 一つの理由で、昨日も御説明申し上げたんですけれども、一〇〇%手形で入金をしている会社があったとします。でも、一年に四回、消費税を納入しなくちゃいけない。特に、労働集約型の産業、仕事をやっているところは、結局、人件費は仮払い消費税として見てくれませんから、消費税を納める金額がすごく大きいんですね。でも、現金がないものですから、銀行なり手形の方を回せればいいんですけれども、割って消費税を納めるといったときに、自分のもうけの中から三分とか四分とか手数料を払って、税金を納めるんです。

 だから、中小零細企業のキャッシュフローを楽にさせるのにも、やはり手形制度というのは早く廃止した方がいいんじゃないかというふうに思うんです。

 特に、手形のいろいろな説明というふうに、資料箋を見ますと、実際に流通をしているところで、圧倒的に多いのは東京です。地方に行けば行くほど、ない。これはおかしいな、埼玉県の名前が出てこないんですけれども。一つの資料を見ますと、埼玉県、ないんですよ。千葉県もないんです。東京都だけなんです。東京が圧倒的なんです。

 だから、周知期間だとか中小企業のサポートというのは大事だと思うんですけれども、私は、思い切ってやめてもらったらどうかなと思うんですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 私も中小企業庁勤務がありますので、この約束手形の問題については、長いこと意識はしてきているんですね。

 確かに、満期までの期間が長いじゃないですか。それから、手数料の負担もあるといった取引慣行上の課題がやはりあるわけでありますので、政府としては、現状、約束手形の利用の廃止に向けた自主的な取組ということを産業界や金融界に要請をしているという段階です。

 他方で、約束手形には、単に支払い、決済の手段となるだけでなくて、信用取引の手段としてまだある一定の機能を果たしているのも、そういう現実もまだあるんですね。そこをどう考えるかということなんだと思うんです。

 したがって、約束手形の利用の廃止に向けた自主的な取組、これを要請するということはやっていけばいいと思うんですけれども、それを超えて、手形制度そのものを廃止するということになりますと、まだその約束手形の機能を、特に信用取引の手段として利用する機会というものを今奪ってしまうということになるのはどうなのかなという考えも一方でありまして、私は、だから、まだ慎重な検討が必要じゃないかというふうに思っています。

鈴木(義)委員 御商売されたことがないとなかなか決断ができないんだと思うんですけれども、仕事をやってお金がもらえないのは、一番割に合わないんです。

 去年うちでもちょっとチョンボがありまして、仕事をしたんですけれども、はめられたんでしょうね、何百万か回収できないんです。集金に行ったら、もう会社は倒産しちゃって、今、法的手続を踏むと。それがもう一か月もない中での話だから。まあ、うちの方の管理が悪いんです。半金半手でやればいいんだろうし。だから、手形でも、もらっちゃって裏判でも押してあれば、それは、現金化するなら両方に、債権としての回収、支払い義務が出てきますから、それは確かにいいんですけれども。

 そもそも、結局、手形を百二十日も百五十日も百八十日も切ること自体が、だから、ずるずるずるずるやっているだけの話なんです。タコの足を食っているようなものなんです。だから、それはどこかでやはりけじめをつけないと、やめられないと思うんです。

 だから、大臣が今答弁されたような形で、信用力があるんだと。いや、信用があるから取引が始まるんですよね。契約書を交わしてあろうが何しようが、仕事をやってお金をもらえない、これは現実の世界でありますから。だから、そのためにも、やはりきちっとしたルールを作って取引をしていくんですけれども。

 やはり、五年先とか七年先でいいからやめるというふうな、その間に、ではどうしていくかというふうにしないと、ずるずるずるずる、これは今もう九十年近くたっていても、百年、百五十年たっても、やめると言わない限りはやめられないと思いますよ。では、どこの段階まで取引交換高が下がったら決断するのかという話になっちゃうから。

 だから、そこのところは、中小企業対策といっていろいろおやりになるんですけれども、やはりキャッシュフローを楽にしてあげるというのが一番じゃないかと思いますので、是非御決断をいただきたいなというふうに思います。

 もう一点、裁判員制度について。

 二〇〇九年五月からこの制度がスタートしたというふうに聞くんですけれども、最近のコロナ感染の事情もあり、裁判自体が開かれないとか、いろいろ工夫されてこの三年間やってこられたと思うんです。

 制度の話が、ほとんど最近、コロナもあって、聞こえてこなくなったんですけれども、国民が裁判の過程に参加することによって、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを目的としている。これで制度がスタートして、もう十四年たちました。いろいろなコメントを読んだんですけれども、この目標が達成されたのかということなんですね。

 まず最初に、それをお尋ねしたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、裁判員制度は、国民の皆様が刑事裁判に参加し、その感覚が裁判の内容に反映されることによって、国民の皆様の司法に対する信頼や支持が深まり、司法がより強固な国民的基盤を得ることができるようになるという重要な意義を有していると考えておりまして、平成二十一年五月に施行されてから、これまでおおむね順調に運営され、国民の皆様の間に定着してきておりまして、司法に対する国民の理解は相応に深まってきているものと認識をしております。

鈴木(義)委員 深まってきたというふうに今御答弁いただいたんですけれども、裁判員裁判の制度が、導入するに当たって最初から懸念されていた件があったらしいんですけれども、裁判員の精神面の負担が大きいこと、五日ぐらいで一人の人生を左右する事情を裁くには短過ぎるんじゃないか。これは相反しているんです。例えば、裁判員の方に負担を過度に求めないようにすれば短くした方がいいだろうし、でも、短くすればしたなりに、今度はジャッジをする側、もし私が裁判員になっていれば、それが負担になってくるというのが言われているんですね。

 この十四年間の間にそれは解消されたのかどうか、お尋ねしたいと思います。

吉崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、裁判員の精神的負担への配慮の必要性につきましては、裁判所としましても十分に認識してございまして、各裁判体が行った配慮の実例を最高裁判所から全国の裁判所に広く周知をしたり、また、臨床心理士を講師に招いた裁判官の研究会を開催するなどの取組を行ってきたところでございます。

 あわせて、各裁判所におきましては、評議や休憩時間などに裁判官などが裁判員などの方に適宜お声がけを行ったり、裁判員の方から個別に事情をお聞きするなどの配慮も行っているものと承知しております。

 最高裁におきましても、メンタルヘルスサポート窓口を設けて、職務従事期間中のみならず、判決言渡し後もこれを利用できる対応を取ってございます。

 続きまして、審理期間の点、委員御指摘でございましたが、裁判員裁判の審理計画につきましては、各裁判体において事件ごとに判断されるべきもので、事務当局としてお答えする立場にはございません。

 もっとも、一般論としましては、裁判員裁判では、公判前整理手続におきまして、検察官、弁護人の御意見を踏まえた上で適切な審理計画を立てているものと承知しておりまして、事案に応じて必要十分な審理期間が確保されているものと考えております。

 いずれにしましても、裁判所としましては、引き続き、裁判員の方の負担の軽減、また、適切な公判審理の実現に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 それで、幾つか解消に向けて取り組まれていると思うんですけれども、これは運用が始まってから幾つかの問題点が指摘されているんですけれども、一つ目は、二〇〇九年の時点で、辞退者というんですかね、いや、私はちょっといろいろ事情があって、家庭のことだとか仕事のことで、五三%の人が辞退者。それが二〇一八年には六七%。ちょっと古いデータなんですけれども、増えちゃっているんですね。いろいろ対策は打っているんだけれども、辞退者が増えているということは、いや、裁判員にはなりたくないですよという意思表示をされているということですね。この増加について、解決策が図れるのか。

 もう時間がないので、最後に、こういったことも踏まえて、大臣、少し見直しをする時期に来ているんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 裁判員制度に関しましては、御指摘のように、制度や運用の在り方について様々な御意見、御指摘があることは承知をいたしていますが、裁判員制度の施行状況等に関する検討会の取りまとめ報告書、これにおいて、裁判員制度について、検討会の構成員の総意として、おおむね順調に運用されている、そういう評価がされたところでもございます。

 法務省としては、裁判員制度について法改正を要する点は現時点においてないと考えているところでありますが、裁判員制度が引き続き我が国の司法制度の基盤として重要な役割を果たすことができるように努めてまいりたいと考えています。

鈴木(義)委員 終わります。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、子供たちの在留特別許可について伺いたいというふうに思います。

 四月二十八日の衆議院法務委員会で、法務大臣、そして西山次長共に、入管庁では、御指摘のような、両親が帰国することを条件に子供に在留特別許可をするような運用は行っておりませんというふうに答弁をされました。

 しかし、現実には、例えば、難民審査参与員が、両親は難民として認定されないが、一緒に幼少期に入国をした子供には在留特別許可を付与するべきという意見を出したケースで、入管職員から、親が帰ることが参与員の意見を履行する条件と言われたケースがあります。また、子供を置いて国に帰りなさいと子供さんの目の前で親御さんが言われたケースがあります。

 現場では、親が帰国することを条件に子供に在留特別許可をするような運用が行われているわけで、大臣の方針が届いていないのではないか、法務省の方針が届いていないのではないかというふうに考えております。二度とこうしたことがないように現場に是非徹底をしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 繰り返しますけれども、両親が帰国することを条件に子供に在留特別許可をしますというような運用はまず行っていないと再度確認させていただいた上で、私は、かねがね申し上げているように、個別の事案ごとに、未成年の子が置かれた状況に寄り添って、今言ったことも含めて、在留特別許可制度を適切に運用していきたいというふうに考えています。

本村委員 未成年の子が置かれた状況に寄り添って在留特別許可制度を運用したいということで御答弁いただいているんですけれども、やはり、子どもの権利条約、自由権規約に照らして、今すぐ子供に在留特別許可を出すということと同時に、親御さんと共に暮らせるように、家族に在留特別許可を出すべきだということも強く求めておきたいというふうに思います。

 次に、児童養護施設など社会的養護施設の退所後の若者支援について伺いたいと思います。

 私も、愛知県内の当事者の若者、学生の皆さんからお話を伺っております。先日は、虐待された経験のある七十人の若者たちと作り上げたドキュメンタリー映画、「リアルボイス」という映画を見せていただきました。これは、監督の山本昌子さんが、命懸けのお願いだということでフェイスブック上で書かれておられまして、一人一人の声を聞いてほしいということで、私のところにも、私のお友達になっている方がシェアをしてくださって、私も見ることができました。当事者の若者の方が、誰かに気づいてほしかったという声を、言葉を述べられておられましたけれども、そのことをとても深く受け止めさせていただきました。

 子供に関わる学校や保育園、児童養護施設など全てのところで、じっくりと話を聞くことができる、一人一人に関わることのできる環境、人員配置、質的向上が必要で、とにかく今の質や量では全く足りないんだということを痛感させていただきました。

 誰かに気づいてほしかったというこの思いに応えていくためにも、法務省として最大限取り組んでいくべきだというふうに思います。虐待という深刻な人権侵害に対して早期に救済を図ることについて、早期救済、その後の法的サポートなど、法務省としても一層取り組むべきです。障害がある方の支援も含めて、是非お答えをいただきたいと思います。これは法務大臣にお願いをしております。

齋藤(健)国務大臣 私の地元に千葉県野田市がありまして、あそこで悲惨な児童虐待死がありましたものですから、この問題はずっと自分の頭の中心にあると言っても過言ではない話になっていますが、私は、児童虐待は決してあってはならず、そう考えておりますので、政府を挙げてその根絶に取り組んでいかなくちゃいけないと思っています。

 ですから、議員連盟なんかにも入って活動してきたところでありますが、法務省との関係でいいますと、関係省庁と連携しつつ、児童虐待の発生の防止、早期発見、そして児童虐待発生時の迅速的確な対応、これに取り組んでいるところでありまして、例えば、人権擁護機関における子どもの人権SOSミニレター等の人権相談等を通じた児童虐待の早期発見、早期対応、これも相当多くの子供にレターを書いてもらっているという実態がありましたので、私はなかなかいい政策じゃないかと思っていましたが、法務少年支援センターにおける地域の子供やその保護者等への支援、それから、法律のお話もありましたが、法テラスにおける児童虐待事案等の被害者を対象とした資力にかかわらない法律相談援助、これなども実施をしているところであります。

 引き続き、政府の一員として、関係省庁や児童相談所等の関係機関と緊密に連携しながら、児童虐待防止、しっかり取り組んでいきたいと考えています。

本村委員 ありがとうございます。

 この間、学生の皆さん、若者の皆さんと一緒に、まだこども家庭庁がないということで、厚生労働省と交渉もしてまいりました。その中で、本当により一層の支援が必要だということでございます。

 現在十八歳まで、最大二十二歳までの支援の年齢上限を撤廃する児童福祉法の改正案が二〇二二年の六月八日に成立しましたけれども、今後それが施行するということで、今後の支援の在り方について、まずしていただきたいのが、実際に当事者からの声を十分に聞くということ、そして拡充をしていただくということ。

 そして、資料にもありますように、社会的養護自立支援事業等ということでありますけれども、これは自治体がやるかどうかを判断するというメニュー事業になっております。このメニュー事業の中身全てが、やはり対象となる若者にとっては必要なことだというふうに思っております。やらない自治体が出ないように、措置費と同等な、措置費でもいいんですけれども、同等の予算措置が、全ての自治体でできるようにするべきだというふうに考えますけれども、これはこども家庭庁の副大臣にお願いをしたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 昨年の通常国会で成立しました改正児童福祉法におきまして、社会的養護経験者等の実態把握や援助を都道府県の業務として位置づけた上で、児童自立生活援助事業について、実施場所や一律の年齢制限の弾力化、すなわち二十二歳を超えても必要に応じて行うということを決定いたしました。また、社会的養護経験者等が相互に交流する拠点を開設し、通いや訪問で相談支援等や必要な支援へのつなぎを行う事業を創設することとしたところでございます。

 今後、この具体的な制度設計につきましては、社会的養育・家庭支援部会において具体化していくこととしておりますが、当事者の方にも委員として参画をしていただき、議論いただくこととしております。

 加えまして、社会的養護自立支援拠点事業等については、改正法の施行を待たず、安心こども基金を活用して、一部の自治体には先行して取組を進めていただいているところでございます。

 この基金事業の実施状況や部会での御議論を踏まえ、自治体にしっかりと取り組んでいただけるよう、改正法の施行に向けて取り組んでまいります。

本村委員 今日は文部副大臣にも来ていただきましたけれども、社会的養護出身の方で、例えば、美容系の専門学校に通っていた方が、様々な美容系の教材というのがすごく高くて、とても給付奨学金や授業料の減免制度では足りない状況になりました。結局、苦しくなって、専門学校を途中でやめることになりました。そうしたら、給付奨学金も授業料減免制度もなかったことにされまして、結局、借金を背負うというふうになってしまいました。それで、風俗営業で働くということになってしまったわけですけれども。

 進学した後に進学を変えたい、こういう場合もあるかというふうに思います。別の大学ですとか専門学校などに入学できるように支援をするということが必要ですし、また、性虐待などを受けている子供たちもいるわけで、体調を崩すということもございます。留年などもあり得るというふうに思います。そういう当事者を追い詰めないように、継続的な支援が必要だというふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

簗副大臣 お答えいたします。

 文部科学省では、令和二年度より、真に支援の必要な低所得世帯の学生等に対して大学等の授業料等の減免と給付型奨学金の支給を行う、高等教育の修学支援新制度を実施しております。

 これらの支給額の設定に当たっては、授業料減免については、国立大学の場合は、その授業料相当額を世帯年収に応じて減免することとし、私立学校の場合は、国立大学の授業料相当額に加え、私立の平均授業料の水準を勘案して、減免額に一定額を加算しています。

 また、給付型奨学金については、教科書等の購入も含む生活費や、施設整備や実習費等の様々な名目で授業料以外に学校に納付する費用も加味して支給をしております。

 また、低所得世帯の学生等が大学等でしっかりと学んで、社会で自立し、活躍することができるよう、事情に配慮した措置を実施しており、例えば、進学後に異なる学校種間を移動する編入学や、同一学校種間の移動である転学などをする場合であっても、最大七十二か月までの支援を行うことを可能とするとともに、留年等の支援が打ち切られる事由に該当する場合でも、災害、傷病等のやむを得ない事由がある場合には支援を継続する特例を設けております。

 文部科学省としましては、意欲と能力のある者が、家庭の経済状況にかかわらず、希望する質の高い教育を受けられるよう、今後とも教育費負担の軽減に努めてまいります。

本村委員 是非、無償化も含めてやるべきだというふうに思っております。

 資料の給付型のところで、住居費支援、生活費支援、学習費等支援というふうにあるのですけれども、この生活費支援のところで、学生さんになられた方が額が五万円ということで、生活保護の基準よりも低い状況がございます。

 やはり増額することが喫緊の課題ですし、学生などが民間の賃貸住宅を借りた場合には、借金、貸付けということになってしまうものですから、全額家賃を支援するべきだというふうに思いますし、医療費やカウンセリング代をどうするんだといったら、では、貸付けですというふうにおっしゃっていまして、それでは、いろいろ困難を抱えている方々ですから、国が医療費、カウンセリングの費用も出すべきだというふうに思いますけれども、こども家庭庁副大臣、お願いしたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 児童養護施設等を退所した方への支援として、社会的養護自立支援事業を実施しているところでございます。

 本事業は、生活費支援として一人当たり月五万円、御指摘のあったとおりでございますけれども、支援を行っておりますが、これに限らず、施設等が施設退所者の安定的な住まいを確保するための費用の支援、就職することとなった方が就職に際して必要なものを購入する費用の支援等を行っており、施設退所者の状況に応じ、生活全般の総合的な支援が受けられることとされております。

 本事業について、今年度より、住居費支援、生活費支援について年齢要件を緩和するなど、拡充しているところであり、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 また、児童養護施設退所者等に対する自立支援貸付事業におきましては、生活保護制度における当該地域の住宅扶助額を上限とした家賃相当額の貸付けや、医療機関を定期的に受診する場合の医療費の実費相当額の貸付けを行っており、これらの貸付けは、五年間の就業継続を行うことで返還が免除になるというふうにしております。

 施設退所者への生活費支援については、当事者のニーズ等を踏まえつつ、引き続き、適切な支援体制の整備に向けて、しっかりと取り組んでまいります。

本村委員 様々な被害に遭い、精神的な困難を抱えている方々もいらっしゃいますので、五年間の就業ということが難しいケースもございます。是非、貸付けではなく給付で支援をしていただきますことを強く求めたいと思います。

 引き続き、この問題については質問させていただきたいと思います。

 今日は、ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊藤委員長 次に、内閣提出、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案及び性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。齋藤法務大臣。

    ―――――――――――――

 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案

 性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤(健)国務大臣 まず、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 性犯罪は、被害者の尊厳を著しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける悪質、重大な犯罪であり、厳正に対処することが必要です。

 平成二十九年には、刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の構成要件を見直すなどの改正が行われましたが、同法の附則において、性犯罪における被害の実情や改正後の規定の施行状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加えることとされており、性犯罪について、被害の実情や事案の実態に即した規定とすることが求められています。

 そこで、この法律案は、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、この種の犯罪に適切に対処できるようにするため、刑法及び刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、性犯罪の罰則規定が安定的に運用されることに資するため、強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪並びに強制性交等罪及び準強制性交等罪をそれぞれ統合した上で、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態でのわいせつな行為又は性交等であることを中核とする要件に整理し、不同意わいせつ罪及び不同意性交等罪とするものであります。

 第二は、若年者の性被害の実情に鑑み、現行法上十三歳未満とされているいわゆる性交同意年齢について、十六歳未満とした上で、その者が十三歳以上であるときは、行為者が五歳以上年長である場合に処罰することとし、これにより、十三歳未満の者に対してわいせつな行為又は性交等をした者に加えて、十三歳以上十六歳未満の者に対し、わいせつな行為又は性交等をしたその者より五歳以上年長の者についても、不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪として処罰することとするものであります。

 第三は、若年者の性被害を未然に防止するため、わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、威迫、偽計、利益供与等の手段を用いて面会を要求する行為等を処罰対象とする罪を新設するものであります。

 第四は、性犯罪の被害申告の困難性等に鑑み、性犯罪についての公訴時効期間を五年延長するとともに、被害者が十八歳未満である場合には、その者が十八歳に達するまでの期間に相当する期間、更に公訴時効期間を延長するものであります。

 第五は、被害状況等を繰り返し供述することによる心理的、精神的負担を軽減するため、いわゆる司法面接的手法を用いて被害者から聴取した結果等を記録した録音、録画記録媒体について、一定の要件の下、反対尋問の機会を保障した上で、主尋問に代えて証拠とすることができることとするものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 続いて、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 平成二十九年には、刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の構成要件を見直すなどの改正が行われましたが、同法の附則において、性犯罪における被害の実情や改正後の規定の施行状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加えることとされています。

 近時の性的な姿態の撮影行為等をめぐる実情に鑑みると、性的な姿態を撮影する行為や、こうした撮影行為により生成された記録を提供する行為等は、撮影対象者に重大な権利利益の侵害を生じさせかねないものであり、こうした行為等に厳正に対処し、そうした撮影行為により生成された記録等の的確な剥奪を可能とすることが喫緊の課題となっています。

 そこで、この法律案は、性的な姿態を撮影する行為等の処罰規定を整備するとともに、そうした撮影行為により生成された記録等の剥奪を行うための手続等を整備し、もって性的な姿態を撮影する行為等による被害の発生及び拡大を防止するため、所要の法整備を行おうとするものであります。

 この法律案の要点を申し上げます。

 第一は、性的な姿態を撮影する行為、これにより生成された記録を提供する行為等について、罰則を新設するものであります。

 第二は、性的な姿態を撮影する行為等の犯罪行為により生じた物を複写した物等の没収を可能とするものであります。

 第三は、検察官は、その保管している押収物が性的な姿態を撮影する行為等により生じた物又はこれを複写した物等である場合において、当該押収物が電磁的記録を記録したものであるときは、その記録状況等に応じて、当該押収物に記録されている電磁的記録を消去し、又は当該押収物を廃棄する措置を講ずることができるものとし、当該押収物が電磁的記録を記録したものでないときは、これを廃棄することができるものとするなどの仕組みを設けるとともに、これらの措置等について聴聞手続や不服申立て手続等に関する規定の整備を行うものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、これら法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに可決くださいますようお願いをいたします。

伊藤委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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