衆議院

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第20号 令和5年5月31日(水曜日)

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令和五年五月三十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤 忠彦君

   理事 谷川 とむ君 理事 藤原  崇君

   理事 牧原 秀樹君 理事 宮崎 政久君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 沢田  良君 理事 大口 善徳君

      青山 周平君    東  国幹君

      五十嵐 清君    石橋林太郎君

      岩田 和親君  英利アルフィヤ君

      奥野 信亮君    加藤 竜祥君

      熊田 裕通君    鈴木 馨祐君

      田所 嘉徳君    高見 康裕君

      土田  慎君    平口  洋君

      平沼正二郎君    深澤 陽一君

      山下 貴司君    渡辺 孝一君

      鈴木 庸介君    中川 正春君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      市村浩一郎君    漆間 譲司君

      日下 正喜君    平林  晃君

      浅野  哲君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         齋藤  健君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   法務大臣政務官      高見 康裕君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官)          榊原  毅君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原  典久君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          竹内  努君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    金子  修君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  鎌田 隆志君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 西山 卓爾君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           原口  剛君

   法務委員会専門員     白川 弘基君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     渡辺 孝一君

  熊田 裕通君     青山 周平君

  鳩山 二郎君     平沼正二郎君

  阿部 弘樹君     市村浩一郎君

  鈴木 義弘君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     熊田 裕通君

  平沼正二郎君     土田  慎君

  渡辺 孝一君     岩田 和親君

  市村浩一郎君     阿部 弘樹君

  浅野  哲君     鈴木 義弘君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     鳩山 二郎君

    ―――――――――――――

五月三十日

 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六〇号)(参議院送付)

同月二十九日

 民法・戸籍法の差別的規定の廃止・法改正に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一二四〇号)

 同(櫛渕万里君紹介)(第一二四一号)

 子供の性虐待・性搾取被害悪化の現状に鑑み子供の尊厳と人権を守るための国際的連携の強化と国内関係法規の早期改正に関する請願(寺田学君紹介)(第一二六五号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(荒井優君紹介)(第一二九二号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一二九三号)

 同(大石あきこ君紹介)(第一二九四号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第一二九五号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第一二九六号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第一二九七号)

 同(櫻井周君紹介)(第一二九八号)

 同(寺田学君紹介)(第一二九九号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一三〇〇号)

 同(山岡達丸君紹介)(第一三〇一号)

 同(米山隆一君紹介)(第一三〇二号)

 同(安住淳君紹介)(第一三二五号)

 同(石川香織君紹介)(第一三二六号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一三二七号)

 同(金子恵美君紹介)(第一三二八号)

 同(神谷裕君紹介)(第一三二九号)

 同(佐藤公治君紹介)(第一三三〇号)

 同(白石洋一君紹介)(第一三三一号)

 同(たがや亮君紹介)(第一三三二号)

 同(徳永久志君紹介)(第一三三三号)

 同(柚木道義君紹介)(第一三三四号)

 同(湯原俊二君紹介)(第一三三五号)

 同(渡辺創君紹介)(第一三三六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一三五六号)

 同(小沢一郎君紹介)(第一三五七号)

 同(菅直人君紹介)(第一三五八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三五九号)

 同(福島伸享君紹介)(第一三六〇号)

 同(道下大樹君紹介)(第一三六一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三六二号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一三二二号)

 民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(鈴木敦君紹介)(第一三二三号)

 同(古川元久君紹介)(第一三二四号)

 同(前原誠司君紹介)(第一三六三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六〇号)(参議院送付)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局審議官榊原毅君、内閣府大臣官房審議官原典久君、警察庁長官官房審議官友井昌宏君、こども家庭庁長官官房審議官野村知司君、総務省自治行政局長吉川浩民君、法務省大臣官房司法法制部長竹内努君、法務省民事局長金子修君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省人権擁護局長鎌田隆志君、出入国在留管理庁次長西山卓爾君及び厚生労働省大臣官房審議官原口剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 この際、裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査検討結果について最高裁判所当局から報告を聴取いたします。小野寺総務局長。

小野寺最高裁判所長官代理者 裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査検討の結果につきまして、御報告を申し上げます。

 最高裁判所は、神戸連続児童殺傷事件等、社会の耳目を集めた少年事件の記録を二項特別保存に付さずに廃棄していたことなど、記録の保存、廃棄をめぐる一連の問題を重く受け止め、有識者委員会を立ち上げて調査、検討を行ってまいりました。昨年十一月二十五日に第一回の会合を開催し、以降、去る五月二十三日まで合計十五回の会合を重ね、同月二十五日、有識者委員会において了承いただきました調査報告書を、最高裁判所事務総局として公表した次第でございます。

 最高裁判所は、これまでの記録の保存、廃棄の実情や、特別保存に付さずに廃棄した原因等を明らかにするため、報道機関から問合せのあった少年事件や憲法判例百選に掲載された民事事件など、合計百四件の個別事案について、当時の関係職員に対するヒアリングを行いました。また、全ての高地家裁を対象としたアンケート、神戸連続児童殺傷事件の被害者御遺族である土師守さんを始めとした関係者、専門家の方からの御意見の聴取なども行いました。

 これら調査の結果からは、令和二年の運用要領策定前の問題として、裁判所組織の中で、歴史的、社会的意義を有する記録の国民の財産としての価値に目が向けられることなく、保存期間が経過した記録は原則として廃棄するとの考え方、特別保存に付するのは極めて例外的な場面であるという消極的な姿勢が醸成、定着していたことが明らかとなりました。また、二項特別保存について、安定的、確実な判断を行っていくための認定プロセスや、具体的かつ客観性を持った認定基準がなかったことなど、認定プロセスや基準の在り方に問題があったことも影響しておりました。

 これらの問題は、平成四年の運用通達発出の頃からの最高裁判所の不適切な対応に起因しております。当時、最高裁判所は、特別保存の記録の膨大化の防止に取り組むべきとの強いメッセージを各庁に発するなどしており、これにより、裁判所内にあった原則廃棄の考え方や特別保存への消極的な姿勢を強めることとなりました。その後も、最高裁判所は、認定プロセスや基準の整備など、運用の適正化を図るための指導等も行っておりませんでした。下級裁判所を指導監督する立場として、最高裁判所の対応は誠に不適切であったと考えております。

 令和二年に、各庁で認定プロセスや基準を定めた運用要領が整備され、二項特別保存の件数が大幅に増加するなど、運用は相当程度改善されたことがうかがえます。

 他方で、運用要領の策定後においては、本来、既に終局している事件の記録について遡って運用要領の基準を当てはめること、これを私どもは遡及適用と呼んでおりますけれども、そのために必要となる過去の日刊紙への掲載状況を確認する作業等が積極的に講じられておりませんでした。

 このような遡及適用の問題について、最高裁判所は、問題意識は持っていたものの、各庁に対して明確に方針を示すなどの対応をせず、その結果、多くの庁において、既に終局している事件の記録について、運用要領の日刊紙二紙掲載基準に該当するか検討することなく漫然と廃棄されてしまいました。このように、遡及適用の問題についても、最高裁判所の不適切な対応に起因したものであります。

 ただいま申し上げた問題点や原因を踏まえまして、今後の記録の保存、廃棄の在り方について御説明をいたします。

 裁判所は、歴史的、社会的意義を有する記録を二項特別保存により適切に拾い上げる枠組みを改めて構築し、裁判所自らによる安定的、確実な判断に加え、常設の第三者委員会を通じて国民の意見や専門家の知見を取り入れて、適切な運用を確保していくことを目指してまいります。

 そのための取組ですが、組織に定着した考え方、姿勢を改善すべく、第一に、記録を保存する意義を組織的に共有してまいります。記録の中には、歴史的、社会的意義を有し、国民共有の財産として後世に引き継ぐべきものが含まれております。このことを組織的に共有するための方策として、規程に、記録を保存する意義を明記した理念規定を追加したいと考えております。

 第二に、常設の第三者委員会を設置するということであります。歴史的、社会的意義を有する記録を適切に二項特別保存に付し、後世に引き継いでいくためには、裁判所の判断を国民の意見や公文書管理等の専門家の知見等も取り込んだものとしていく必要がございます。そこで、法曹関係者や法学者、報道関係者等の有識者のほか、アーカイブズ学の専門家などにより構成される常設の第三者委員会を立ち上げ、国民目線での意見を反映していくことを想定しております。

 第三に、国立公文書館への移管の拡大です。現在は民事訴訟事件の記録など一定の範囲で移管しておりますが、民事、家事、少年という事件種別を問わず、歴史的公文書として速やかな移管が可能となるよう、移管対象の拡大等を検討することとし、内閣府や公文書館との協議を進めてまいります。

 また、認定プロセスや基準につきましては、可能な限り全国一律のものとなるよう見直していくことを予定しております。その際には、認定プロセスについては、二項特別保存に付すべきものは保存期間の満了を待たずに直ちに認定を行う形に改め、基準については、日刊紙の地域面を含めた掲載状況を確認することや、事件担当部申出の範囲を拡大することを検討してまいります。

 以上申し上げた取組のほか、特別保存の適切な運用の確保に向けて、体制の整備や支援等に取り組んでまいります。

 まず、令和二年の運用要領策定時には、遡及適用の問題に対する対応が不十分でありましたことから、最高裁判所においてしっかりと指針を示していくことを予定しております。

 また、外部からの特別保存の要望を促進するための取組として、裁判所のホームページからの容易な申出を可能とすることや、特別保存の判断結果について要望申出を行った方に通知をすること、広く国民の皆様に継続的な広報活動を行っていくことなどを検討してまいります。

 さらに、職員に対する職責に応じた研修等を継続的に行い、理解を深めていくことも行ってまいります。

 今回の一連の問題は最高裁判所による不適切な対応に起因しており、後世に引き継ぐべき記録を多数失わせてしまったことについて、深く反省をし、事件に関係する方々を含め、国民の皆様におわびを申し上げます。

 有識者委員会からは、補足的な意見として、今回の問題は、裁判所の記録管理に対する国民の信頼を大きく揺るがせたものであること、過去を検証し、そこから得られた教訓を生かし、特に組織に存する構造的な問題を改善していくことが信頼回復のために不可欠であること、今後は、新たに設置される第三者委員会の意見を参考にしつつ、最高裁が先頭に立って、関係職員においても現場の視点から改善に努め、これらの取組が実を結び、同様の問題が再発しないことを心から望むものであるなどと指摘を受けているところであります。

 最高裁判所としましては、このような有識者委員会からの意見を重く受け止め、現在保存に付しているものを含め、歴史的、社会的な意義を有する記録を後世に確実に引き継いでいくために、将来にわたって記録の保存、廃棄の適切な運用が確保されるよう、関係諸規定について速やかに改正作業を進めていくとともに、裁判所における体制の整備等を行ってまいります。

 また、今後の運用状況を踏まえ、更なる改善点がないか等、不断の見直しをしてまいりたいと考えております。

 報告は以上でございます。

伊藤委員長 これにて報告は終わりました。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 今、最高裁判所からの謝罪をしっかりお伺いさせていただきました。ここに至るまで、最高裁の方でも、様々な調査、そして葛藤もおありになったんだろうというふうにお察しを申し上げます。

 そこで、私が、これから先、こういったことが二度と再発しないように、私なりにいろいろ考えました。持ち時間も限られていますので、具体的にお伺いしていきたいというふうに思います。

 まず、令和二年まで特別保存の具体的、客観的基準がなかったということなんですけれども、過去のことではありますが、これは私、ちょっと民間出身者としては信じられなかったです。これだけ全国に裁判所がある中で、かつ、司法といえば、三権分立、民主主義の基盤である大切なところだと思うんですね。

 考えてみると、裁判所の裁判官を始め、職員さんが全国にいらっしゃると思うんですが、誰からも声が上がらなかったんでしょうか。これはちょっとおかしいなとか、このまま機械的に廃棄していいのかなと。民間では、改善という形で、あれ、おかしいと言ったら、現場から声が上がり、常に改善の努力をするんですけれども、裁判所の場合、こういった声は上がらなかったんでしょうか。お伺いします。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員から御指摘をいただきました件につきましては、下級裁から特別保存に対する意見があったかどうか把握しておらず、明確にお答えすることはできませんが、いずれにいたしましても、令和二年に各庁において運用要領が策定されるまで、最高裁において特別保存の基準を更に具体的かつ客観性を持ったものにするための具体的な検討がされたことはないものというふうに認識しておるところでございます。

 このことの背景には、報告書にも御報告したとおり、裁判所組織の中で、歴史的、社会的意義を有する記録の国民の財産としての価値に目が向けられることなく、保存期間が経過した記録は原則として廃棄するという考え方、特別保存に付するのは極めて例外的な場面であるという消極的な姿勢が醸成、定着していたことにあるものと考えているところであり、このような状況を生んだのは、最高裁の不適切な対応に起因するものと考えているところでございます。

 委員から、組織の硬直化というような御懸念もいただいたというふうに理解しているところでございますけれども、私どもといたしましても、御指摘の点を含めて問題意識を持って、しっかりと裁判所内部での取組を行い、将来にわたって記録の保存、廃棄の適切な運用が確保されるよう積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

吉田(は)委員 裁判所の中にもおかしいなというふうに思う方が、心ある方がいらっしゃると思います。そういった現場の声をしっかり酌み上げることに取り組んでいただきたいんですが、今、小野寺総務局長もおっしゃいました、国民の財産という意識が欠けていたのではないかということなんですけれども、これは、二〇二二年十一月二日の衆議院法務委員会で寺田委員が、この廃棄された事件記録というのは誰のものですかということを問うたときに、まさに小野寺総務局長が、裁判所が保有しております記録は国のものでありまして、それはすなわち国民のものであるというふうに理解しておりますと、こう明言していただいたところから、私は今回の謝罪につながる大きなきっかけになったというふうに理解をしています。是非ここの点は全裁判所の中で共有していただきたい、そのようにお願いを申し上げます。

 そこで、令和二年、これが出てからもまだ廃棄された書類がありましたよね。もう一歩ちょっと踏み込んで伺います。

 裁判記録の廃棄の際、これは伺ったんですけれども、元帳ですね、元々こういう記録がありますという元のデータと、そして、今記録してある、紙のものですので、書庫というんでしょうか、そこにあるものと突き合わせるというふうに聞きました。ここにそごはありませんか。一つも紛失していないと言えないと、私、聞いたんですけれども、ちょっとこれは聞き逃すことができないなというふうに思ったんですが、保存期間中に失われた書類、そのほかにも、この元帳とそれから現物と突き合わせたときのそごはありますか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁判所として、保存期間中に記録の所在が不明となったことが判明したような場合に、各庁において、必要に応じて上級庁の方に、高裁などに相談をしながら対応するということになってございますが、最高裁に対して全ての報告が来るという仕組みにはなっていないものでございますので、具体的にどれだけのものが所在不明になっているのかということについて把握しているわけではございませんけれども、そういう事例がないわけではないというふうに理解しております。

吉田(は)委員 やはりこれは、私、とても問題だと思います。どういう意図か分からないですけれども、裁判記録が破棄されるのか、あるいは、その書庫から持っていかれるのか。なくなっているということは、これは私はやはり大問題だと思うんですね。もう一度調査していただきたいというふうに思うのですが、是非、そこに取り組んでいただけるかどうか伺います。

 今、高裁の方には連絡が行っているけれども、最高裁の方には来ていないということでしたが、これは国民の財産ということがはっきりしたわけですから、やはり、せっかく謝罪まで、最高裁、ここまでやってくださったわけですから、今、この現物の元データとそして保存の書類の間にそごが、そごというか、失われたものがあるかもしれない、これは盗難なのか廃棄なのか分かりませんけれども、私は、これも含めて、まさに今、ここに取り組んでいただきたいと思うのですが、調査を実施していただけないでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 各庁で保存中の記録につきましては、事件記録等保存規程やその運用通達に基づきまして、適切に保存を継続していかなければならないものであり、保存期間中に記録の所在が不明となった事案の把握の在り方につきましては、委員の御指摘の点も踏まえまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。

吉田(は)委員 小野寺総務局長、期待しています。本当に、これが私は司法への信頼回復になっていくのではないかなと思うんですね。

 私、気になりました。今回、まさに小野寺総務局長が国民の皆様に対して謝罪するそのニュースを見て、うわあとちょっと思ったんですね。こんな形で最高裁の謝罪を見るというのは、私は初めてかななんて思ったんですよ。

 改めてちょっと、これまで最高裁が、何度というんですかね、謝罪したのか調べてみましたところ、一九八一年安川事件、一九九四年印鑑偽造事件、二〇一四年裁判所職員採用試験における採点処理のミス、二〇一六年特別法廷問題、二〇二一年最高裁判所判例集の誤記、欠落という形で謝罪をされています。

 これをちょっと改めて私は見てみて、一九八一年から十三年後の一九九四年、それから二十二年後、ここは間が空いているんですね。しかし、ここから、二〇一六年から二〇二一年の謝罪の間までは五年、そして二〇二一年から二二年の謝罪の間までは一年、そして今回の件です。ちょっと私、あら、こんなに謝罪されているのかと逆に驚いたんですけれども、特に近年、大変頻発しているように感じます。

 これは、済みません、質問通告していないんですけれども、この状況を、小野寺総務局長、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 突然のお尋ねでございますので、過去の状況についてつまびらかに承知しているところではございませんけれども、最高裁といたしましては、問題が生じたときには、きちんとその点について御説明を国民の皆様に差し上げ、反省すべきところは反省するという姿勢で臨んでいるというふうに承知しております。問題があれば、しっかり御説明をして、そして判断をしていくという姿勢で今後とも……(吉田(は)委員「頻発していると思われますか」と呼ぶ)

 そこが、頻度がどうかというのについて私の方からちょっとお答えするのは差し控えさせていただきますが、いずれにいたしましても、しっかりと問題があればお応えをしていくという姿勢で臨んでまいりたいというふうに思っております。

吉田(は)委員 明らかにちょっとこのところ、五年、一年、また一年以内という形で、私はちょっと頻発していると。これは客観的な見方ですね。

 問題が発生したらということを今おっしゃっていただいたんですけれども、問題が発生する前に是非それを防ぐような、先ほど私、申し上げました、組織が硬直化していないか。私のような者が申し上げるのは甚だ僭越かもしれませんけれども、これはやはり、司法への信頼、本当に大事だと私は思います。三権分立、そして民主主義の本当に基盤であり、司法に対して絶対的な信頼を是非つくっていただきたいという思いで、私は、先ほどの元帳と現物の書類、ここにそごがあることも、是非この際全て調べていただいて明らかにしていただいて、そして国民の皆様に御報告をいただきたいということをお願い申し上げます。

 このようなことで、ちょっと時間が押してきましたので、最後に一つだけ法務大臣に伺います。

 こんなことが発生しているのも、紙ベースで保存されているわけなんですけれども、もう普通に国民の皆さんが、そんなの電子保存にすればいいでしょうというお声があります。

 実際、裁判記録の保存、これは電子保存が有効であるというふうに思いますが、その一点だけ、法務大臣のお考えを伺います。

齋藤(健)国務大臣 最高裁判所が五月二十五日に公表した報告書においても、事件記録の中には、歴史的、社会的な意義を有するものも含まれており、そのような記録については、事件処理の必要性を超え、国民共有の財産として保存し、後世に引き継いでいく必要がある、そういう指摘があるわけであります。

 委員御指摘のとおり、事件記録の保存、廃棄の適切な運用を確保するための方策として、事件記録を電子保存すること、これも考えられることだと思っています。もっとも、現在紙媒体として保管されている事件記録をデジタル化することについては、その作業に伴う事務負担は多分膨大なものになろうと思いますし、電子化した記録と紙の記録との関係性等、様々な検討課題があると考えられるということであります。

 こうした課題があることから、報告書の中では、事件記録の管理の適切な運用を確保するための方策として、常設の第三者委員会の設置ですとか、国立公文書館への移管対象の拡大などに言及がされているというふうに承知をしています。

 私としては、最高裁判所は、今回の一連の記録廃棄の問題について、事件関係者の方々を含む国民の皆様におわびをし、今後、将来にわたって記録の保存、廃棄の適切な運用の確保に向けた取組を進める旨を明らかにされていると承知をいたしておりますので、法務大臣としては、その取組を見守ってまいりたいというのが申し上げられるぎりぎりのところかなというふうに思っています。

吉田(は)委員 是非、法務大臣としてということをおっしゃっていただいたんですけれども、当然、裁判の内容とか、そういうことに政治家が全く口出しするべきではないと私は思います。ただし、こういった事務的なものであり、この裁判記録は国民の財産というところですので、そこは法務大臣も、一政治家として国民の利益、財産を守っていただくよう動いていただきたいなというふうに思います。

 必要ならば、私は、これはきちんと予算をつけて電子化すべきというふうに考えております。来年度の予算要求に入れていただきたいなと思っているんですが、これを聞いているとちょっと時間がなくなりますので、八月、概算要求になるかと思うんですが、是非この点は入れていただきたいということをお願い申し上げます。

 限られた時間、残りの時間で、今度はちょっと、今日は人権局に関してお伺いしたいと思います。

 私、司法の専門家でもなく、一国民として感じたのが、法務省には人権擁護局があるんだ、積極的に人権擁護に取り組んでくださっているんじゃないかというふうに感じていた一人なんですけれども、数字だけ教えてください。昨年一年間の法務省の人権擁護機関に寄せられた人権相談件数及び人権侵犯事件数、つまり相談件数と事件になったもの、何件か教えてください。

鎌田政府参考人 令和四年に法務省の人権擁護機関に寄せられた人権相談件数は十五万九千八百六十四件であり、新規に救済手続を開始した人権侵犯事件の件数は七千八百五十九件となっております。

吉田(は)委員 すぐ聞きます。この中に、入管に関する人権相談はございますか。ありましたら件数を教えてください。

鎌田政府参考人 統計上、入管職員の職務執行に伴う人権侵害に特化した項目は設けておりません。入管職員の職務執行に伴う人権侵害に関する人権相談件数及び人権侵犯件数につきましては、統計上どうなっているかと申しますと、公務員等の職務執行に関するもののうち、警察官等の特別公務員、教育職員、刑務職員等を除いた、その他の公務員関係の、国家公務員の統計項目に含まれ得るところでございます。

 ちなみに、当該項目の令和四年の人権相談件数は八百三十件、人権侵犯事件の新規救済手続開始件数は十七件となっております。

吉田(は)委員 私、ちゃんと、今回入管法でも注目されましたウィシュマさんの事件もありました、人権擁護局がこの入管の中での人権侵害のことを、本当に私は真剣に捉えていただきたい。

 人権擁護局の方も、ちょっと私、職員の方を調べてみましたら、本省で二十八人、現場で二百七十三人、合計三百一人の方が、先ほどお話しになりました十五万件の人権相談、そして人権侵犯事件という意味では七千八百五十九件、この人数で対応して、一体どのぐらいの時間を一つの相談に費やしてくれているんだろうと、ちょっと不安になりました。相談は寄せられるけれどもスルーされているということがとても多いんじゃないかなというふうに思いました。

 今日はちょっと時間がないので、引き続き、質問の機会がいただけたときに、ここをちょっともう少し深掘りしていきたいんですが。

 私、まず、人権侵害に関するところで、ある方にお声を聞いたので、ちょっとこの点だけは今日御質問させていただきたいというふうに思います。

 その方は、政治活動をスリランカでやっていて、弾圧を受けられて、そこから逃げるということで来日したスリランカ人の方です、その方と結婚した日本人女性の方なんですが、結婚までに十一年間の交際を経て結婚されて、結婚して七年目の日本人女性の方からお話を伺いました。

 この方が、このスリランカ人の旦那さんが仮放免にあるということで、その仮放免の延長申請に入管に行った際にこう言われたそうです。結婚しているだけでは配偶者ビザは認められない、せめて実子がいれば別の話なんだけれどもねというふうに入管職員に言われたそうです。

 私は、まず、結婚というのは、子供のありなし、関係ないと思うんですね。婚姻する二人というのは、両者の合意によってのみ成立する結婚です。年齢上の理由からあるいは健康上の理由から子供を持ちたくても持てない人もいますし、逆に、子供を持たないという選択をする御夫婦だっているはずなんです。それをこの基準に出してくるということは、私は大変な問題発言だというふうに思うのですが、これは、法務大臣、今入管局に聞いてもあれですので、これは一般論としてしか多分お答えになれないと思うんですが、短く、こういうことは私はあってはならないというふうに思うんですが、法務大臣の御意見を伺います。

齋藤(健)国務大臣 個別の件について私がお答え申し上げているというふうに受け止めないでいただきたいんですけれども、在留特別許可にはやはりそれぞれ考慮事情があるわけでありまして、結婚していることについて、子供がいるかいないかについて、区別をしているわけじゃなくて、在留特別許可に考慮事情があるということでありまして、それについて職員が説明をするということ自体に問題があるとは私は考えていないわけであります。

 その上で、出入国在留管理行政に携わる職員は、当事者の方に対して、その方の状況に応じて適切な接し方をすべきであることは当然でありまして、従来からこの点については研修等を通じて徹底を図っているところでございます。

吉田(は)委員 入管施設の中でも、私、今回質問にはできなかったんですけれども、研修プログラムがあるということは伺いました。でも、こういうことをやはり軽々に言ったり、そのことによって在留許可の基準が設けられているとすれば、そもそも結婚というのは何なんだ、夫婦というのは何なんだ、私はそこの大きなところに立ち返ります。相手がどんな人であれ、結婚するとき、その二人が合意をして結婚し、一緒にいたいというふうに願うのは、これは私は当然の人権だと思っています。

 それで、このスリランカ人の男性なんですけれども、難民申請二回目です。今回の入管法の基準でいくと、もう三回目申請で強制送還になるかもしれないんですよ。この旦那さんも、うつ病になり、自殺未遂までして、かつ、その診断書もある、精神障害の二級の手帳もあるということで、こういう状況である方を強制送還するというのは、まさに人権侵害になる、人道に私は反するものだというふうに思います。

 最後に一つ聞きます。

 このように、二回目以降の難民申請の際、私、ちょっとびっくりしました、配偶者の欄がない書類だというふうに聞いたんですね。一回目の申請書類は結構詳しいもの、二回目は簡易なものというふうになっています。

 二つ聞きます。二回目の申請の審査のとき、きちんと一回目の審査の書類、内容を見ますか。また、一回目の審査のときの参与員と違う人がまた別の目で一回目、二回目の書類をしっかり審査しているのでしょうか、この点、お答えください。

西山政府参考人 まず、二回目の難民認定申請の審査につきまして、一回目の審査に用いられました資料は当然精査するということにはなります。

 それから、一回目の審査と二回目の審査で参与員を分けて、区別しているかというのは、順次配点するという関係もございますので、必ずそのように配慮をして分配しているというわけでもございません。

吉田(は)委員 配偶者の欄はないということでよろしいですよね。

 ちょっと今、やはり、二回目申請している人、これはすごい思いで二回目申請していますよ。最初の参与員と違う人でないと多分納得できないです。

 同じ人だったら、もうどうせ一回目、見たから、二枚目の方だけ見てさっとやりますよ。今、参議院の方でも、一人何件審査しているのかというのが問題になっていますけれども、私、これはちょっと問題だと思います。是非、別の参与員の方にやっていただかなければ納得できません。

 この点、ごめんなさい、最後に一つだけ質問させていただきますけれども、この二回目申請者のうち、私、以前の法務委員会で、日本人配偶者のいる方は何人いますかと聞いたら、分かりませんというふうに聞かれたんです。

 これは質問通告もさせていただいたんですが、この二回目以降で日本人配偶者のいる方、夫婦として一緒にいたいと思っていらっしゃる方が結構いらっしゃると思うんですが、何人いますでしょうか、何組。

西山政府参考人 私どもとしては、お尋ねのような数字につきましては、業務上統計を取っておりませんので、お答えは困難でございます。

吉田(は)委員 それはやはりおかしいですよ。どんな苦しい思いをして、自分のパートナーと引き裂かれるというのはどれだけの苦しみでしょうか。私は、これを真剣に取っていただきたい。御自分の、ちょっと西山次長がどうか分かりませんけれども、やはり自分の大切なパートナーと引き離されるというのは非常な苦しみですよ。

 紙ベースでこの申請書類があるということだったんですけれども、データベース化もしていないのかなとか、やはりそこに注目していないのかな、今、この入管法の中で、どうなるんだろうという、震えていらっしゃる方々の気持ちを、是非、西山局長、分かっていただけないでしょうか、調べていただけないでしょうか。

伊藤委員長 西山次長、時間が来ていますので。

西山政府参考人 委員のお話しになること、理解はできるんですけれども、一つには、申請書等の記録を一件ずつ一から精査して見なければならないことと、それによっても、現在、現時点において日本人の配偶者がおられるということを確認できるかどうかというのは、記録上の精査になりますので、なかなか正確にお答えすることも難しいのかなということは御理解いただきたいと思います。

吉田(は)委員 ごめんなさい、それは理解できないです。

 紙で全部見直すとか、ちょっと、やはり法務省も、電子管理、そういうこともなさった方がいいと思いますし、紙ベースで、参与員の人にコピーを渡して、またその紙をどうしているんだろうとか、ちょっと管理上の問題が私はあるんじゃないかなというふうに思います。

 是非、この思いは、もう本当に、今、この委員会の外にいらっしゃる方々、持っていらっしゃいますので、改めましてお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、中川正春君。

中川(正)委員 先ほどの話の続きなんですけれども、素直に、もっと、この問題だけじゃなくて、しっかり背景を調べるような形で調査をしますというふうに答えたらいいんですよ。すぐにそういう、できない、あるいはするのが難しいというような姿勢でここに臨むものだから、だからあなた方が誤解されるんですよ。そのことを指摘しておきたいというふうに思います。

 一般質疑の時間をいただいて、ありがとうございます。

 まず、さっきの裁判所の記録の保存に関連して、少し、一つだけ私もお話をしたいと思うんです。さっきの吉田委員との関連もあるんですけれども、デジタル化です。

 調査報告を見ていますと、考え方と姿勢の改善で三つほど、こういうふうにやっていきますよという形で提起をされていますけれども、国民の資産として保存をしていくという考え方、これが一つあると思うんですが、もう一つ、確実に欠けているのは、これをどう活用して更に正しい判決に結びつけていくかという部分。そのための保存なんだと思うんですよね。だから、社会的に騒がれたからということだけではない。もっと大事なことというのは、これを遡って見ていきながら、正しい判決につなげていくということなんです。

 どっちかというと、最高裁判所のマインドそのものが、ここが全く欠けていて、逆に、過去のことを余り掘り出してくれるな、もうそっとしておいてくれというような、そういう意識が働いているんじゃないかということを勘ぐりたくなるぐらいに、実はそこの部分については触れられていないということ、これはどうしたことか。

 それの関連で、その意識があるとすれば、当然、デジタル化の話がしっかり出てきて、デジタルアーカイブとして活用をこんな形でしていきますというような、いわゆる姿勢の改善というか考え方というのが出てきていいと思うんだけれども、それが全くないということ。ここの基本というのをしっかり掘り下げていかないといけないんじゃないかというのが、この報告書を見た私の感想です。

 そういう意味で、どんなふうにこれを説明して、これからの、特にデジタル化、あるいはデジタルアーカイブへ向けての姿勢というのをつくろうとしていますか。答えてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 委員の方から、記録のデジタル化に関する御質問を頂戴いたしました。

 今回の報告書といいますのは、そもそも、過去の紙媒体で行われていた記録の保存、廃棄の事案を対象として調査して、今後の改善点について検討していったというものであります。

 また、裁判所におきましては、今後も当分の間は紙媒体の記録の保存、管理を続けていくということになりますので、喫緊の課題として、紙媒体の記録を前提とした記録の保存、廃棄の適切な在り方を検討してきたという次第でございます。

 今般、民事訴訟法の改正によりまして、民事訴訟手続が全面電子化されるということになっておりまして、現在、その検討、準備を進めているところであります。その中で、デジタル化後の記録の保存等の在り方につきましても、電子化された記録の特性やシステムの維持管理に関するコストの問題、あるいは記録に表れる高度な個人情報を保有し続けることに関する問題等も踏まえながら、速やかに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

中川(正)委員 すぐにそういう障害となる話が前に出て、これをいかに活用するかということがやはり何も出てこないということ、ここなんですよ。

 実は、昨日の新聞に、アメリカでなんですけれども、チャットGPTで裁判の弁論を書いて出した弁護士がいた。ところが、よくよく検証してみると、このチャットGPTが実在しない判例を引っ張り出してきて、そのことが判明をして、どうもこの弁護士は罪に問われそうな状況になっているということなんです。

 世界の現実というのはもうそこまでいっているんですよ。テキスト化して、それで過去の判例というのがしっかり電子的に活用されることはもう大前提になっているんです。にもかかわらず、皆さんの意識というのが全く違ったところにあるということに対して私は警鐘を鳴らしていきたいというふうに思いますし、このままでは駄目だということを指摘しておきたいと思います。

 これは、答弁しろといったって、前向きの話は出ますか。出るんだったら出てきてください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 判決につきましては、これまで全ての判決書が保存されており、そして国立公文書館の方に順次移管がされているところでございます。

 御指摘のデジタル化との関係で申しますと、今、裁判所のホームページにも、最高裁の判例集等登載判決について情報提供しているというようなこともございます。引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

中川(正)委員 頑張ってください。予算もしっかりつけてやってください、大臣。ということを指摘しておきたいというふうに思います。

 私のこだわりのテーマに次は移っていきたいというふうに思います。

 外国人の受入れの制度全般にわたって様々にこれまで問われてきたことを、改めて、個々の受入れ制度に関連して聞いていきたいというふうに思います。

 一つは、やっとのことで、今かという思いがあるんですけれども、技能実習制度の見直しについて、中間報告が出されてきました。これまで様々な問題点が指摘されてきたにもかかわらず、根本的な改善がなされなかったために、日本に憧れてきた多くの外国人、出稼ぎ労働者ということだと思うんですが、人権侵害という犠牲を強いてきた、これに悔いが残ります。それだけに、思い切った改革に結びつけていくべきだと思っております。

 今日は、技能実習生の問題と同時に、定住外国人、主にブラジルを始め、南アメリカからの日系三世の人々などを中心に受入れをしてきた、入管制度全般について質疑をしていきたいというふうに思います。

 基本的には、本当は日本で働くことを目的に入ってきた、本人の意識からすれば出稼ぎなんだということなんですが、その外国人が、日本の受入れ制度の前提が働くということでない形、いわゆる本音と建前が違うということ、これで設計をされていることから様々な矛盾が出てくる、そうした視点から問題点を指摘していきたいというふうに思います。

 まず、定住外国人から行きたいと思うんですが、これは今、どのように評価されているか。あるいは、日系三世の受入れに関して、その目的と条件、これはこちらサイドの目的と条件なんですけれども。

 もう一つは、日系人の本人自身の実際の意識というか、どういう目的で日本に入ってきているか。あるいは、本人の訪日に関する動機と、それから、日本での生活の実態といいますか、これをどう評価しているか。これをちょっと総合的に、まず答えていただきたいと思います。

西山政府参考人 定住者として受け入れる日系三世についてのお尋ねと存じます。

 日系三世の方は、日本に親類の方も多いなど、日本人の子孫として日本社会と特別な関係にあることから、日本人と一定の身分関係を有する者として、定住者の在留資格で入国、在留を認めているところでございます。

 日系三世の方に認められる定住者の在留資格については、日本人との身分関係及び素行が善良であることが要件として設けられております。定住者の在留資格につきましては、我が国での活動に制限がないため、就労が可能であるほか、家族の帯同も可能でございます。

 それから、日系三世の訪日目的についてのお尋ねがございました。

 日本人との一定の身分関係を有する者として定住者の在留資格を許可される日系三世の方につきましては、当該在留資格は我が国での活動に制限がございませんことから、個々の訪日目的を把握することは困難でございますが、一般的には、家族との同居や就労などの訪日目的があると考えているところでございます。

    〔委員長退席、藤原委員長代理着席〕

中川(正)委員 いわゆるステータス、日系というステータスに応じた定住ということだと思うんですが、日本の社会がそれを受け止めるときに、日系だからといって特別に何か負荷がかからないかというと、現実はそういうことじゃない。

 私の三重県の鈴鹿市、あるいは四日市市なんですが、ここで、やはりもう二十年以上前から、定住外国人の割合というのは相当の部分でありまして、それを地方自治体に全部投げているものだから。国としては、この人たちに、例えば言語をどういうふうに教えていくのか。あるいは、安定した形で就労に就いていけるのか。さらに、もっと問題だったのは、子供の教育をどうするのか。これは全部、家族帯同ですから。

 こういう社会の負荷というのは、一般の外国人をいわゆる労働者として受け入れる社会の負荷と同じだけ、日本の社会ではかかってくるんですよね。それを全く無視して、日系だからという形で、門戸だけ開いた。その世話というか、そのケアを地方自治体に振った。だから、地方自治体は集住都市会議を開いて、国は何て勝手なことをしてくれるんだ、我々が全部やっていかなきゃいけないというこの仕組みは何なんだというようなことで問題化されてきたというのが、この日系の問題なんです。

 今度は、彼らの生活については、何を目的にしているかといったら、親戚に会いに来るからというんじゃないんですよ。日本で働きたい、出稼ぎしたい。実際に、出稼ぎで日本に来て、自由に働けるから、そこでしっかりお金をためて、国に帰って新しい家を建てて、あるいはそれを原資にして商売してというので、一時、いろいろな報道機関でこれが取り上げられたりして、日本というのは、ブラジルの中でもいわゆる憧れの国になっていたということがありました。

 ところが、その過程で、これは三年ごとあるいは五年ごとにビザ更新していって定住ということになるんですが、帰国するよりも日本で生活を継続していく方が豊かな生活ができるということになってきて、定住から永住への道、これは行けるわけですから、永住への道。あるいは、中には、帰化という形で日本人になっていく、そういうような人々というのが増えてきています。もう二十年、三十年選手という皆さんで、子供自体も、もう大学から、自立してきている子供たちが育ってきている、こういうコミュニティーになってきているんです。

 その現実を見て、ちょっと統計的にあれば教えてもらいたいんだけれども、どれほどの人々がいわゆる出稼ぎとして帰国して、どれほどの人々が今、日本にそういう意味で定着しているのか、つかんでいますか。

    〔藤原委員長代理退席、委員長着席〕

西山政府参考人 まず、前提としての在留資格、定住者の在留外国人数を五年間で見ますと、平成三十年末で十九万二千十四人、令和元年末で二十万四千七百八十七人、令和二年末で二十万一千三百二十九人、令和三年末で十九万八千九百六十六人、令和四年末で二十万六千九百三十八人でございます。

 それから、令和三年の永住許可の件数の総数は三万六千六百九十一人となっております。

 お尋ねの日系人の方についての在留資格に関しましては、日本人の配偶者等、あるいは定住者、永住者、あるいは永住者の配偶者等など、様々な在留資格で本邦に在留されておりますので、日系人の方を特定した統計を整理して今御紹介することは難しゅうございます。

中川(正)委員 一度そういう分析もしっかりしておくべきだというふうに思います。

 そうした意味からいくと、このルートというのは、確実に移民ルートというか、それぞれ、日本に定着をしていくことが前提の受入れルートということを言っていいんだというふうに思うんです。ところが、制度そのものがそういうふうになっていないものだから、職場、言葉、あるいはさっきの子供の教育について問題が堆積、累積してきているということがあったということだと思うんですね。

 少なくとも、職業は自由に選択できるということにはなっています。しかし、言葉の障壁はある。だから、多くは外国人専用の派遣会社を通じて職を得ています。これは不安定な非正規でありますから、思い出していただくと分かるように、リーマン・ショックのときにこれが顕在化して、日本でそのまま失業者としているということは日本を不安定にするからというので、国が負担をして帰国の奨励までしなければならなかったということがありました。しかし、彼らは母国に帰って職に就けるかというとそうでもなくて、困窮状態になった。これもテレビの特集で取り上げられて、ブラジルの状況というのが我々に知らされたということでもありました。

 実は、コロナ下でも今問題が起こっているんです。私、地元の現場に行ったんですけれども、社協の方でやっている生活支援資金、この窓口で、大体全体の七割から八割、人口比率としては五%から一〇%もないようなところなんですけれども、いわゆる社協の生活支援資金に集まってきている人たちの七、八割が外国人、いわゆる定住外国人なんです。経済が落ち込んだときには外国人から首を切られて、そして雇用調整の犠牲になってきた、これはよく言われることでありますが、コロナ下でもそれがあった。

 それからまた、子供の教育については、さっきから何回も申し上げているように、自治体任せで、いまだ、必ずしも日本人並みの高等学校や大学の進学率まで及ばないということであります。

 私が心配するのは、あるいは社会全体で今感じ取られているのは、子供も含めて、彼らの日本での安定した生活を求めることに限界がある。そういう手だてをしていないわけですから、日本語教育もやれ、いわゆる日本語自体の習得もやれというような話は全くないわけですから。ただただ働いて働いてということですから、社会の中でいわゆる階層化が進んで、社会の分断の一要因になりかねない、もうなり始めているということであります。

 定住者は最終的には日本人になっていくんだということでありますから、これを正面から受け止めて、最初の時点から、言い換えれば移民ということを正面から受け止めて、これに対する制度設計というのをしっかりしておくということをやらないと、次は技能実習をやりますけれども、どういう受入れ方をしても、こうした社会自体の不安定に結びついてくる可能性があるということを指摘しておきたいというふうに思います。

 もう一つ言えば、最終的に日本人になっていくんだ、あるいは永住していくんだというこの道筋を社会全体としてどう受け止めるかということをしっかり議論して、ある意味では、社会が受け止められる範疇というか範囲というのはどれなんだというような、総量規制みたいな発想の中で輪っぱをかけておいて、日本に入ってきた人たちは、自己実現というか、自分の持っている力というのを日本の社会でもしっかり発揮ができるんだという制度設計というか、そういうことを真っ向からやらないと。

 大臣、改めて言いますけれども、移民というのは考えていないんだとか、あるいは単純労働というのも駄目なんだとかいうようなことを言い続けていたら、これはいつまでたっても根本的な部分というのは改善されないということに結びついていくのではないかというのが、私がつくづく、身近なところから発想して持っている問題意識なんです。

 ここで、大臣、ひとつ答えていただけませんか。

齋藤(健)国務大臣 私も以前からお話し申し上げているように、これから日本も人口が減りますし、高齢化も進みますし、外国人の皆さんの活力を日本の社会で生かしていくという共生社会の実現ということは避けて通れないし、選ばれる国というふうにならなくちゃいけないという意識も随分日本の国内で高まってはきていると思うんですが、委員の御指摘は、ちょっとまだその百歩先ぐらいを行っておられるのかなという印象を正直に持っています。

 やはり国民全体に関わる話でありますので、一つ一つ前に進めていくということを今政府としてやっているということは申し上げておきたいと思います。

中川(正)委員 そこで、技能実習に話を移していくんですが、ちょっと時間が限られてきたので。

 私が言いたいのは、技能実習制度も、いろいろなへ理屈をつけていないで、あるいは本音と建前というのをつくらないで、真っ向から、出稼ぎということを目的に入ってくる人たちに対してどのようにシステム、制度をつくっていくかという議論に立ち戻らないと駄目だということだと思うんです。

 そんな中で、中間報告が出ていますけれども、これには、技能実習制度は廃止をしますということが前提になっている。

 私は、これはうれしかったんです。廃止をして、恐らく、単純労働というのを真っ向から受け入れて、そこから彼らが日本の社会の中でしっかり自分の能力を発揮していくシステム、人権の擁護ということも考えてつくっていくにはどうしたらいいかというような、そういう議論に立ち返っていくんだろうということを期待したんだけれども、廃止というのはどういう意味なんですか。

 中間報告を見ていると、どうも何かこれまでと同じ土台の上で、ちょっと幅を広げた、いわゆる職業選択の幅を広げたというだけのことにとどまっているんじゃないかということ、これを感じるんですけれども、どのように考えていますか。

西山政府参考人 御指摘の有識者会議における中間報告書で、検討の方向性として、現行の技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献を制度目的とし、労働力の需給調整の手段としてはならないという基本理念を掲げているにもかかわらず、技能実習生が国内の企業等の労働力として貢献しており、制度目的と運用実態の乖離が指摘されていることに鑑み、今後も技能実習制度の目的に人材育成を通じた国際貢献のみを掲げたままで労働者として受入れを続けることは望ましくないことから、現行の技能実習制度は廃止して、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設、すなわち、実態に即した制度への抜本的な見直しを検討することが示されているところでございます。

中川(正)委員 これは国際貢献と、もう一つ新しく入ったのが、働くということについても制度を設計しましょうということです。

 しかし、中身を見ていると、職業選択の自由度というのを広げましょうというところで止まっていて、やはり基本的な部分で、単純労働を彼らにとっての職場として生かしていく、そこについて言及がない、そこまでいっていないということ、これは基本的に問題だと私は思います。

 このままの中間報告の方向でいけばまた同じことを繰り返すという懸念が大いにあるということ、これを指摘して、大体時間が来たようでありますので、終わりたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属の鈴木庸介です。今日もよろしくお願い申し上げます。

 裁判所の記録の保存・廃棄の在り方に関する調査報告書について幾つか伺わせてください。

 報告書の九ページで、最高裁は、二項特別保存に付されている記録の件数の調査や憲法判例百選掲載事件の記録の保存状況等の調査を行ったものの、具体的な保存、廃棄の状況に関する調査までは行わなかったとあります。また、それ以前の二項特別保存の運用や記録の保存、廃棄の在り方について、全国的な調査、検証も行わなかったとありますけれども、こうした措置が行われなかったのはなぜなんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 最高裁は、平成三十一年当時、不適切な運用の背景として、特別保存を適切に行うための仕組みが整備されておらず、規程、通達の趣旨に沿った適切な運用がされていたとは言い難い状況にあったと判断をするとともに、保存期間が満了した全ての事件記録等について、廃棄の留保を指示したところでございます。

 その上で、最高裁としましては、各庁において運用要領を策定し、二項特別保存の認定プロセスや、具体的かつ客観性を持った基準を定めるということによって適切な運用を確保することができるというふうに考えて、各庁に運用要領の策定を促すなどして対応したところでございます。

 最高裁といたしましては、当時としては必要な対応を行ったものというふうに考えまして、過去に遡って、具体的な保存、廃棄の状況に関する調査でありますとか、二項特別保存の運用や記録の保存、廃棄の在り方について全国的な調査、検証は行わなかったというものでございます。

鈴木(庸)委員 一年後にいろいろ対策ということになったわけですけれども、確認なんですが、その一年間については、資料は廃棄されなかったというような理解でよろしいんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 申し上げましたとおり、当時、一度、保存している全ての事件記録等についての廃棄の留保を指示したということがございました。

鈴木(庸)委員 それで、当該記録の記載事項及び事件管理システム等の入力事項を確認し、日刊紙二紙に掲載していれば直ちに二項特別保存に付する手続を行うとあるんですけれども、これは、二紙といっても、地域面も含めると膨大な量になると思うんですね。また、新聞も早版と遅版があったりと、全ての紙面が一致しているわけではございません。またさらには、すごく小さな囲み記事で裁判記事が出ているところもあると思うんですけれども、こういう中で、具体的に、誰がどのようなフローで、責任を持ってこの対策を行うんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 終局に関する記事の主要日刊紙への掲載状況につきましては、これまでも、各庁におきまして日常的に新聞の紙面を閲読するという方法により確認をしてきたところでございまして、令和二年の運用要領策定後は、そのような情報を活用いたしまして二項特別保存の判断を行ってきているものというふうに承知しております。

 具体的な事務フローにつきましては、各庁の実情に応じて各庁で定めていると承知しておりますけれども、一般論として申し上げれば、各庁の担当者が日常的に新聞記事を閲読いたしまして、その内容を記録を管理、保存する部署に情報提供した上で、その部署の職員が記録の抽出作業を行っているというものと承知しているところでございます。

 したがいまして、対象として各紙の地域面が追加されたといたしましても、これによってその確認作業が過大になるということにはならないのではないかというふうに考えているところでございます。

 申し上げましたように、各庁各部署において責任を持って事務を行っているというふうに承知しておりますけれども、最高裁といたしましても、日刊紙二紙掲載基準に該当する事件の抽出が漏れなくできるよう、事務フローを更に検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 そうなんですよ。御答弁いただいたように、各庁で対応はまちまち。かつ、細かく見る方だったらいいと思うんですけれども、私のように大ざっぱな人間だと、不適切な人員配置になってしまうこともあり得るかと思うんですけれども。

 例えばネットで定期的に記事数を検索するとか、もっと具体的な、人のマンパワーに頼らない対応というのはできないんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 各事件につきまして、例えば、記事が掲載されたかどうかをデータベース等を用いて確認していくというような考え方もあろうかとは思うのですけれども、逆に、膨大な量の事件が裁判所はございますので、事件単位で、記事が掲載されたかどうかをデータベースを拾っていく作業というのは難しいのではないかというふうに、今のところは考えているところでございます。

 現在行われている作業と申しますのは、事件が係属する前の段階から、広報対応の側面などから報道状況を注視しているという中で、日常的に行う日刊紙の掲載状況の確認の中で終局に関する記事を見つけ出して、そして記録の保存へと結びつけていくということでございまして、これ自体は今までも行われている作業でございまして、比較的容易にされているというふうに承知しております。現在までの検討におきましては、申し上げましたように、職員が紙面を閲読するという方法が合理的ではないかというふうに考えております。

 最高裁といたしましては、二項特別保存に付すべき記録の抽出に漏れが生じないように、複数の部署、職員が基準該当性の確認に関与する等、適切な仕組みをまた引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 重ねてになるんですが、先ほど吉田委員からの御指摘もありましたけれども、マンパワーで、そこでみんな頑張っていって対応するのだと同じような失敗が起きてしまうのではないかなと心配しておりますので、マニュアル化と徹底をお願いしたいと思います。

 調査報告書の二十一ページに、これら関係職員の認識や行動をもたらした要因としては、これまでの最高裁による不適切な対応があるのであり、あくまでその責任は最高裁にあることを付言しておくとありまして、私も、この法務委員会で、最高裁事務総局の強大な権限やそれに対する多くの批判については度々紹介させていただいておりますけれども、一般組織で責任となると、それがポストに関することであったりするんですが、最高裁では、具体的に、誰がどのようにこの責任を取ったんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 報告書にも報告をさせていただきましたとおり、運用要領策定前におきましては、最高裁は、平成四年の運用通達発出の頃に、特別保存の記録の膨大化の防止に取り組むべきとの強いメッセージを各庁に発するなどしておりました。これにより、裁判所内にあった原則廃棄の考え方や特別保存への消極的な姿勢を強めるということになり、その後も、運用の適正化を図るための指導等を行ってこなかったものでございます。

 また、運用要領策定後におきましても、最高裁は、遡及適用の問題につきまして、各庁に対して明確に方針を示すなどの対応をしてこなかったものでございます。

 このように、一連の問題はいずれも最高裁による不適切な対応に起因しており、その責任は最高裁にあるというふうに考えております。

 したがいまして、後世に引き継ぐべき記録を多数失わせてしまったことについて、最高裁として深く反省をし、事件に関する方々を含め、国民の皆様におわびを申し上げたところでございます。

 最高裁といたしましては、報告書を取りまとめて公表したというところでございますが、今後、報告書に記載した種々の方策の実現に向けて、関係諸規定について速やかに改正作業を進めていくとともに、裁判所における体制の整備等を行っていくことにより、将来にわたって記録の保存、廃棄の適切な運用が確保されるよう努めていくということによりまして、最高裁の責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 要は誰も取らないということですよね。人、人、人、チェックするのも人、責任を取るのも人。大変、これは度々御指摘させていただいているように、事務総局の強大な権限で、日本全国の裁判所の皆さんが大分忖度をしているというような、そういった指摘もある中で、また最後、誰も責任は取りませんということになると、また同じようなことが起こってしまうのではないのかなと大変不安に思っておりますので、是非是非、重ねてマニュアル作りについては徹底をしていただきたいとお願いを申し上げます。皆さんもサラリーマンなので、余り責任、責任と僕も言いたくないんですけれども、やはりどこに責任があるかということははっきりと示していただきたいとお願いを申し上げます。

 では、具体的に、認定プロセスの整理と見直しはいつから始まるんでしょうか。最高裁の方から判例集登載事件を周知するのはいつからになるんでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 前提として申し上げさせていただきたいのですが、今回も、現在、保存期間が満了した全ての事件記録等につきましては廃棄の留保を指示しているというところでございます。

 それを前提といたしまして、今回の報告書にありますとおり、認定プロセスの整理、見直しを含む今後の記録の保存、廃棄の在り方の実現に取り組んでいくこととしておりますけれども、これには規程や通達の改正等を要するもの、あるいは第三者委員会の設置を要するもの、内閣府や国立公文書館との協議を要するものなど、多岐にわたることから、それぞれの検討のタイミングについて具体的にお答えすることは困難でございますけれども、できるだけ速やかに進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、委員から御指摘をいただきました判例集登載基準に該当する事件の周知につきましては、各庁に運用要領の策定を促した令和二年に、最高裁から過去十年分の判例集登載事件を一覧表にして各庁に周知するということを既にしておりまして、その後も、毎年一回、判例集登載事件を同様の方法により各庁に周知してきているところでございます。今後も同様の周知を行い、各庁を支援していくことを予定しております。

鈴木(庸)委員 どうぞよろしくお願い申し上げます。

 そうすると、どんどんどんどん資料が蓄積されていくということで、蓄積されていく資料は国立公文書館に移管していくということなんですけれども、報告書の中ではそれぞれの裁判所のキャパシティーは結構あっぷあっぷで大変なことになっているとあったんですが、公文書館のキャパシティーというのはどの程度あるんでしょうか。

原政府参考人 お答え申し上げます。

 国立公文書館の書庫は、現状はほぼ満架の状況となっておりますけれども、これに対応するため、新たな国立公文書館を建設することとしており、今年度から工事を開始し、令和十年度末に開館を予定してございます。

 新館開館後の書庫、修復作業室等の保存機能施設は、新館、北の丸本館、つくば分館の三館合計で、現状の約一万五千平方メートルから約二万五千平方メートルへと大幅に増加することを予定してございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 少年事件等の保存、廃棄の在り方について伺ってきたんですが、一応、ここで、刑事参考記録の保存と廃棄の在り方についても確認をさせてください。

 裁判の確定された後の刑事事件参考記録の中にも、当然、この報告書の中にあるように、歴史的、社会的意義を有する国民の財産は含まれているという理解でよろしいでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 刑事確定訴訟記録は、刑事確定訴訟記録法などに基づいて適切に管理をされておりまして、保管期間の経過後も、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であると思料されるときは、同法の規定によりまして、法務大臣が刑事参考記録として指定して保存を継続するものとされております。

 このように、刑事参考記録の中には、御指摘のような歴史的、社会的意義を有するものも当然に含まれていると理解しております。

鈴木(庸)委員 保管している刑事参考記録、文書の件数は何件になりますでしょうか。

松下政府参考人 令和四年十二月三十一日現在、刑事参考記録は千三十九件指定されております。

鈴木(庸)委員 千三十九件ということなんですけれども、検察庁におけるこの廃棄と保存の基準はどこになりますでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 刑事確定訴訟記録は、先ほども御説明いたしましたとおり、刑事確定訴訟記録法に基づいて、被告事件の第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管するものとされております。

 そして、その保管期間でございますが、これも刑事確定訴訟記録法によって定められておりまして、例えば死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に処する確定裁判については、裁判書は百年、裁判書以外の記録は五十年、また、有期の懲役又は禁錮に処する確定裁判につきましては、裁判書は五十年、裁判書以外の記録は言渡し刑に応じて五年から三十年の期間保管するものとされております。

 そして、保管期間が満了した場合は原則として廃棄することになりますが、その保管期間の経過後も、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であると思料される記録につきましては、先ほども御説明いたしましたとおり、法務大臣が刑事参考記録として指定して保存を継続するものとされております。

 刑事参考記録として指定すべき事件としては、例えば、死刑に処する裁判により終結した被告事件、国政を揺るがせた犯罪に係る被告事件、犯罪史上顕著な犯罪に係る被告事件、重要な判例となった裁判がなされた被告事件など法令の解釈適用上特に参考となる被告事件などといった類型に該当する記録を対象としているところでございます。

鈴木(庸)委員 社会の耳目を集めた事件というところについても、当然、かなりあると思うんですけれども、具体的にこの事件の何がなくなっているとかというところまでは今日は時間がないので踏み込まないんですけれども、是非、検察庁においても、こういった事件が起きないように適切に対応していただければと思います。

 ちなみに、確認なんですが、保管先について、第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁とありますけれども、こちらのキャパシティーは足りているんでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 刑事確定訴訟記録は、先ほども御説明いたしましたとおり、記録法に基づきまして、被告事件の第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の検察官が保管するものとされておりますけれども、保管検察官においては各地方検察庁の記録の保管庫などにおきまして刑事確定訴訟記録を保管しておりまして、現状においては保管場所のキャパシティーについて問題はないものと承知をしております。

鈴木(庸)委員 引き続き適正な管理をお願い申し上げます。

 次に、ウクライナ避難民について伺わせてください。

 今、ウクライナ国内にいる人に聞くと、ウクライナでは、この夏、キエフで物すごい数のハエが発生していると。言うまでもなく、このハエがどこから来たというのは御案内のとおりかと思うんですけれども、ロシアの侵略開始から一年以上たちましたけれども、残念ながら、彼らが部隊を撤退する気配は今のところございません。戦争の先が見えなくなっています。

 法務省と厚生労働省それぞれに伺いたいんですけれども、法務省における現在のウクライナ避難民に対する支援状況について御説明いただけますでしょうか。

西山政府参考人 御指摘のように、ロシアによるウクライナ侵略から一年が経過いたしましたが、日本での避難生活が長期化するウクライナ避難民の方々に対して、自立促進に向けた支援を充実していくことが課題であると考えております。

 その中でも、特に就労や日本語教育に係る支援を行うことが重要であり、個々のニーズも踏まえ、入管庁や関係省庁において必要な支援を行っております。

 就労に係る支援としましては、入管庁に寄せられた就労機会の提供に係る申出の情報をハローワークに共有しているほか、一時滞在施設に滞在中の方々に対して、避難民向け就労支援セミナーを実施しております。

 日本語教育に係る支援としては、一時滞在施設に滞在中の方々に対する日本語教育のほか、受入れ先の自治体において日本語教育の機会を提供することが困難な場合には、入管庁が委託するアジア福祉教育財団難民事業本部、いわゆるRHQがオンライン日本語教育を実施しているところでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 同じ質問を厚生労働省さんにもお願いしたいんですが。

原口政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、我が国で就労を希望されるウクライナ避難民の方々に対しまして、それぞれのニーズを踏まえまして、受入れ先の地方自治体等と連携しながら、ハローワークにおきまして就労支援を行ってきているところでございます。避難民の方々の置かれた状況により様々な就労ニーズがあるものと承知しているところでございますが、柔軟な働き方を選択される例が多いと認識してございます。

 なお、本年四月十九日時点のデータでございますが、ハローワークで把握しているデータでございますが、就労支援の状況につきましては、職業相談件数が延べ千二百七十八件、就職先が決定された方々でハローワークが把握している方は延べ五百十四名、うちハローワーク経由で就職先が決定した方は延べ百五十九名という形になってございます。

 厚生労働省といたしましては、ウクライナの避難民の方々に、ハローワークの活用方法であるとか日本の労働慣行などを御理解いただくことが就労支援の促進に資すると考えておりまして、ウクライナ語でまとめた動画を順次作成、公表するなど、ウクライナ避難民の方々への積極的な情報提供に努め、引き続き、地方自治体等との連携を図りながら、ウクライナ避難民の方々への就労支援を積極的にやってまいります。

鈴木(庸)委員 ウクライナ人についてのポーランドの雇用統計を見ると、大体七割ぐらいが言葉を使わなくていい仕事に就いているんですね。例えばホテルのクリーニングとか、ほとんど言葉を使わなくていい仕事、あと、工場のラインとかですよね。ですから、是非、ウクライナ支援については、なかなか日本語のハードルが、皆さんおっしゃるのは、日本語を話せないから私は仕事ができなかったみたいな方が多いんですけれども、日本語が話せなくてもできるような仕事をどう見つけてくるかという工夫についてもお願いできればと思います。

 次に来る局面というのが、日本財団の支援が終わる一年半後だと思うんですね。先日、日本財団の方ともお会いしたときに、五十億円だった支援金を百億円に引き上げたけれども、その百億円ももうなくなるということで、この百億円がなくなると、基本的には日本国内にいるウクライナ人の皆さんの生活は全て、全てと言っていいと思うんです、ほぼ成り立たなくなると僕は思っています。

 そこで、齋藤大臣に伺いたいんですけれども、今後の日本財団の支援が終了した後にこの人たちをどうするかというのは、やはり世界が見ていると思うんですよね。どんなイメージで彼らの生活支援をしていくイメージを持っていらっしゃいますでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 日本財団による支援を含めまして、まず、地方自治体や関係団体等の皆さんが、ウクライナから避難された方々に対して様々な御支援をしていただいていることに敬意を表したいと思います。

 私は、今後もいろいろな団体の方が恐らく御協力をしてくれるということも出てくるんだろうというふうに思っております。

 その上で、私どもは、まず、ウクライナから避難された方々に対しては、特定活動一年での在留を認めているんですが、御指摘のように、なかなかウクライナ情勢が改善していないということでありますので、改善していないと認められる間は、申請があれば、在留期間の更新を認めたいというふうに思っています。

 また、現在参議院で審議中の入管法改正案では、紛争避難民等の、人道上、真に庇護すべき方々をより確実かつ早期に保護すべく、補完的保護対象者の認定制度を設けることとしています。そして、その補完的保護対象者は、ウクライナ避難民のように、戦争等に巻き込まれて命を落とすおそれがあるなど、迫害のおそれがあるものの、その理由が難民条約上の五つの理由に必ずしも該当しない者を想定していまして、補完的保護対象者、これが法案が通って制度化された場合、この補完的保護対象者に対する支援の具体的な内容については、関係省庁と今調整をしているところでありますので、いずれ具体化してくるんだろうと思っています。

 日本での避難生活が長期化するウクライナ避難民の方々が自立して安定した生活を送れるようになるというのが、今の局面ではますます重要になってきているんだろうと思っていますので、そのための制度や支援の在り方については、引き続き、政府全体としてしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(庸)委員 補完的保護対象者にどこまでの権利を与えて、どこまでの権利を与えないかというのが、かなり世論の大きなテーマになってくるのは間違いないと思いますので、是非、そこは与野党問わず、一生懸命取り組んでいかなくてはいけないところなのかなと考えております。弱者を見捨てない、尊敬される人権国家ということで、是非、全力で取り組んでいただきたいと思います。

 次に、J―SkipとJ―Findについて教えていただければと思います。

 高度人材ポイント制度と比べて、年収要件や大学面の要件を更に狭めている印象なんですけれども、これで高度専門職の外国人を呼び込めるとする根拠というところと、ちょっと時間もなくなってきたので、それぞれ、人数の想定ができるのかどうなのかというところを教えてください。

西山政府参考人 今委員から御指摘がありました特別高度人材制度、これは高度外国人材の中でもトップレベルの能力のある者の受入れを促進することを目的としているため、高度人材ポイント制と比べて対象者の要件が高い水準となっております。

 一方で、特別高度人材制度は、高度人材ポイント制よりも要件がシンプルである上、家事使用人の雇用や配偶者の就労等に関して拡充した優遇措置を取っているため、日本に魅力を感じ、日本での生活を希望する方はもとより、日本に関心がある方にも、この制度を使って日本に来てみたいと考えるきっかけになることを期待しているところでございます。

 それから、特別高度人材制度、未来創造人材制度、それぞれの見込み数についてお尋ねがございましたけれども、この点につきましては、社会経済情勢の変化等、様々な要因が影響すると考えられるため、なかなか一概にお答えすることは困難でございます。

鈴木(庸)委員 こうしたトライ・アンド・エラーを繰り返しながら、何とか高度人材を日本に持ってこようという取組については高く評価させていただきたいと思いますし、どんなものが高度人材にひっかかってくるのかというところも分からないところもちょっとあるので、是非、今後も積極的にメニューを出していただきたいと思うんですね。

 ただ、元々日本に興味を持っている人たちについては、この制度ができたら、おお、申請できるなという感じで来るんだと思うんですけれども、この制度が持ってくるべき高度人材というのは、どこの国で起業したり働いてもいいけれども、日本は面白そうだなとか、条件がいいなといった、相対的な条件で来る人たちをできるだけ持ってこなくちゃいけないシステムだと思うんですね。

 私も大学院は海外だったんですけれども、放課後とかにいろいろな部屋でインフォメーションセッションというのがありまして、そこで、例えばCIAで働きたい人とか、そういう人たちがいろいろ説明を受けるんですね。

 今求められているのは、日本にこんな制度があって簡単に来られるよという積極広報ではないのかなと思うんです。ジェトロとかJICAとか在外公館とか、いろいろ、本当に横のつながりで、日本にこういう制度があって、すぐに来られるよと。

 もっと申し上げると、これはちょっと時間がないので提案になっちゃうんですけれども、例えば経産省と協力して、このビザを持っている人たちには創業者融資を受けられるようにするとか、また、こうした大胆な創業者融資は、みんな結構、私も起業したときは本当に助けられたので、創業者融資をやるとか、本当に大胆な政策をお願いしたいと思うんですね。起業する人たちが、この条件で日本に来たけれども、どんな仕事もできて、かつ創業者融資まで受けられるということになれば、一定の需要はあると思っております。

 繰り返しになりますけれども、是非是非、トライ・アンド・エラーで、失敗を恐れず、いろいろなメニューを、各省庁、横のつながりでつながっていただいて、引っ張ってきていただきたいなというお願いを申し上げます。

 引っ張ってくる上で、一つよく聞くのが、親の呼び寄せなんですね。これは御案内のように、七歳までは両親とかを呼んでこられますけれども、その後、なかなか親と同居するのが日本にいると難しくなってくるということがよく聞かれるところなんですけれども、その辺りは入管庁としてどう考えていらっしゃいますでしょうか。

西山政府参考人 高度外国人材に対する優遇措置として、高度専門職の在留資格を持って在留する外国人の七歳未満の子の養育を行うなど、当該高度外国人材の親が、在留資格、特定活動に係る法務省告示に該当する場合に、特定活動の在留資格による入国、在留を認めているところでございます。

 他方、現状においては、高度外国人材に対する優遇措置を除き、外国人の親であることを理由として付与される在留資格はございません。その上で、外国人から在留諸申請があった場合には、申請人の行おうとする活動、申請人の状況、在留の必要性等の具体的な申請内容を踏まえ、個別に判断した結果として、外国人の高齢の親について、特定活動に係る法務省告示に定める活動に該当しない場合であっても、命に関わる問題を抱えているなどの人道的配慮から、極めて例外的にではございますが、いわゆる告示外として特定活動の在留資格を付与する場合がございます。

 引き続き、入管庁としましては、申請人の個々の申請内容を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。

鈴木(庸)委員 高度人材の親御さんについては、ほとんど日本の社会福祉に対する負荷はかからないで、皆さん、自分たちで完結すると思いますので、それが高度人材が日本に来る一つのインセンティブとなっている昨今においては、是非積極的にそこについても御検討いただければということをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村でございます。二十分いただきます。

 今日の話は二十分ではとても尽くせない内容でございますが、とにかく今、今日の議題で、自殺に追い込まれている人がいるということがありますので、一刻も早くその状況を改善しなければならないということで質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私が今日こうした質疑をさせていただくに至った経緯として、かいつまんで申し上げますと、たまたまフェイスブックで友達になった方が、たまたま私が誕生日におめでとうございますと送らせていただいたら、市村先生、是非とも共同親権を早くやってほしい、今国会中にやると聞いているので、あなたもちゃんとやりなさい、こういう話でした。私も、共同親権の話も含めて多少は興味を持っておりました、興味というか関心はありましたけれども、そこまで私が国会議員として踏み込む話ではないかなと思っておりましたが、それは、分かりましたということで、その方に御連絡を申し上げたんですね。

 なぜ御連絡申し上げたかというと、大変ちょっと不安な言葉があったのでお電話を申し上げました。そうしたら、病院に今いるんです、実はうつを発症していますということで、早く共同親権をやってほしい、私もそれを願っていますということでした。

 そのときはそこで切れたんですが、その後、その方を支援されている団体の方から御連絡をいただきまして、実はその方は非常にもう、自殺を考えているんだということでありまして、ただ、私が電話させていただいたことで少し希望が持てたということで、また頑張るということを言っていただいております。

 ちょっとさっきのに戻りますけれども、電話をしたときに、その方は、実は、自分もちょっとうつを発症しているんだけれども、先月、そういう同じ思いをしている人が北海道で自殺をしましたということもそのとき話があったんですね。一体何が起こっているんだろう、こういう思いに至るわけであります。

 そこで、法務省の方にも来ていただきまして、共同親権について教えてほしい、本当に今国会でできるのかと。そこはなかなか難しいかもしれないけれどもできるだけ早期にということでお話がありましたし、月曜日に決算行政監視委員会で、私も出ておりましたが、齋藤大臣、松原代議士が質問されたときに、共同親権について、私も経験者だというお言葉もありながらお話しされていました。

 今日は共同親権の話では実はないんです。実は、私が今日問題提起をしたい話は、共同親権が実現したとしても、これは解決しない話であるということなんですね。というのも、じゃ、なぜ共同親権を求めなくちゃいけないような状態になっているかというと、結局、ありていに申し上げると、偽装DV若しくはでっち上げDV被害というものがその背景にある、私はこう思っております。

 どういうことかといいますと、結局、なぜ共同親権を求めるかというと、要するに、離婚をするということになります。婚姻生活である間は、当然、共同親権でありますので、離婚した場合に、今の場合、日本は共同親権ではないということが問題になっていますが、実は、今、離婚する前にもかかわらず、共同親権であるにもかかわらず、子供と引き離されて、子供と会えなくなるという、しかも、ある日突然という状況があるということで、それで心を病んでいく。

 警察に相談しても、自治体に相談しても、裁判所に、はっきり言って、調停を起こされ、民事裁判を起こされるわけですね。そして、相談しても、裁判所も、どちらかというと、言った者勝ちなんですね、早く訴えた者勝ち、言った者勝ちの世界になってしまっています。特に、自治体の支援措置というのも悪用されているんですけれども、結局、これも先に言った者勝ちという感じで、早く連れ去った方がいい。

 ただ、もちろん何の理由もなく連れ去っても駄目です。そうなると、どうなるか。結局、連れ去り事由というか、離婚をしたいという事由をつくらなくちゃいけないわけですね。そのときにどういう事由をつくられているかというと、今日申し上げている偽装DV、でっち上げDVというようなものをつくり上げていく。さらに、そういうことを指南している弁護士もいるというところで、今日も、ちょっとここに来る前に、ユーチューブで一分半ぐらい、その指南をしている弁護士の録音テープがユーチューブで流されていまして、それも聞いてきましたが、もうひどいものです。

 結局、とにかく、普通、単に別居しただけでは離婚できないから、別居する理由をつくりなさいと。そうすると、どういう指南をしているかというと、わざと相手を怒らせなさい、そして、怒ったら、多分、相手はいろいろ強い口調で言うだろうから、それを録音しなさい、そのときに、わざとこけてみせなさい、こけると危ないからとか、そういうふうにして、すごく相手を追い込むんですね。例えば、この場合は暴力夫と言っていましたが、暴力夫に仕立てなさい、仕立てた上で、そして警察に通報しなさい、こういう指南をするんですね。

 その一回じゃないですね、そういうのを警察に通報したり、例えば児童相談所に行って、普通は、夫婦げんかは犬も食わないと昔から言われているように、児童相談所の対応も、警察の対応も、よくある話だなというところで聞いていると思うんですが、それを積み上げていくわけですね。何回も通報しました。そうすると、弁護士が、これぐらい積み上げれば、裁判所は、ある種、暴力夫として、この場合、妻もいるんです、特に今の場合、八割方男だと言われていますから、暴力夫に仕立て上げられるわけですね。つまり、DV夫に仕立て上げられるわけです。それを指南している弁護士がいる、もう本当に情けない。

 私は、弁護士の皆さんとも、たくさん友人もいますし、弁護士会の皆さんとも親しくさせていただいていますし、多くの弁護士の方はそんな人道にもとるようなことはしていないと思いますが、一部の弁護士には、そういう人道にもとるようなことをされている方がおられる。

 そうして、結局、ある日突然、子供と妻若しくは旦那が、夫が消えてしまうわけですね。突然消えてしまって、そして居場所も分からない。支援措置を使えば、シェルターにそのまま持っていかれますから、そうすると、それこそ居場所どころじゃないわけですね。シェルターですから、保護されます。

 私は、だからといって、DV被害がないということを言っているわけじゃありません。実際に、女性の四人に一人、男性の五人に一人はDV被害を受けているという内閣府の調査結果もあります。だから、それはそれとして、DV法とか児童虐待防止法とかはできているわけですから、それは刑法としてしっかりとやっていただければいいんです。

 ただ、私が問題にしたいのは、民事の世界でそうやってでっち上げて、そして、精神的に参るわけですね。どこに相談しても誰も聞いてくれない。特にこの場合、男が被害に遭うと、男の話は聞かれないんですね。ある意味で、女性は性善説、男は性悪説でなっていますから。DV法も、たしか条文の中に、女性の方が被害が多いという一文が入っているぐらいです。

 ですから、それはそれでやってほしいんです、DV被害はDV被害としてしっかりやってほしいんです。しかし、民事裁判の中で、でっち上げて人を追い込んで、挙げ句の果てにはうつにし、そして自殺にまで追い込まれている人がいるという現状があるということを、私は今日はどうしても訴えたい。そして、今現在もそれに苦しんでいて、自殺を何とか今思いとどまっている人もいれば、本当にこれからしっかりしていかないと、自殺にまた追い込まれている人も出てくるということで、これを一刻も早く止めなくちゃいけないという思いで、今日、お時間をいただいているところでございます。

 もちろん、そういう虚偽DVとかでっち上げDVによる子供連れ去り被害というのは、一番の被害者は子供さんです。子供です。これはもう言うまでもないんです。ただ、今日は、この話は、さっき申し上げたように二十分ではとても尽くせない話でありますから、一刻も早く、そういう自殺に追い込まれているような、これは女性ももちろんいらっしゃるんです。だから、男女、特に今の場合、この場合は男性が追い込まれているというところに対して、齋藤大臣、大臣としての御見解をいただいて、この状況で、とにかく、一方しか言い分が聞かれないというのが一番問題だと思っているんですね。

 例えば、自治体の支援措置の、今日は総務省さんに来ていただいておりますので、後で御見解をいただきますが、じゃ、まず総務省さんからちょっと御見解をいただけますか。支援措置についてどうお考えなのか。

 齋藤大臣、後でゆっくりとお話をお聞きしたい。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 まず、住民基本台帳事務におけるDV等支援措置におきまして、虚偽の申出があったと主張する訴訟や、行政不服審査法に基づく審査請求が提起されていることは、このことにつきましては、総務省としても承知をしているところでございます。

市村委員 それに対して何か訴訟が起こされているケースもあるんでしょうか。

中川大臣政務官 国が被告となっているケースもございます。

市村委員 一つの例としては、半田市というところでは、和解し、謝罪を半田市がしたというケースがあるというふうに聞いています。

 そのように、実は一つの例であって、しかも、今表に出ているケース、NPOがいろいろ実態調査というか聞き取り調査もしていまして、百件以上の回答が来ているということで、これを読むと心が痛みます。さっきの弁護士の録音も一つですけれども、本当にもう何ということが行われているんだ、この国でということですね。法の名をかりて、これは、法制度の濫用、悪用としか言えないものだと思います。

 そこで、大臣、ちょっと今までの私の話について、大臣の心からの御見解をいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、今日、じっくりお話を伺えてよかったなと思っていますし、私も今まで、法務大臣になってから、いろいろな方々の意見を直接大臣室で伺うということも機会がありました。

 父母の別居や離婚後の子の養育をめぐっては、おっしゃるように様々な事案がありまして、その事案ごとにいろいろな対応が異なる、そういう複雑な問題であると思っています。

 御指摘のように、父母の一方が子を連れて別居するケース一つ取ってみましても、もちろん事案によって異なるんですが、例えば不当な子の連れ去りという見方もあれば、DVや虐待からの避難という見方もありまして、これは一刀両断でこうだと決めつけるわけにはなかなかいかない問題だろうと思っています。

 ただ、離婚などの裁判手続において、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でDVを受けたかのように偽装して主張する場合もあるとして、そのような当事者や弁護士等の対応を批判する意見もあることも承知していますし、私も実際に聞いているということであります。

 今後については、御案内のように、もう御承知の上で御質問されていると思うんですが、今、法制審議会において、まさにパブリックコメントをやったり、御関係の方からヒアリングをしたりして調査審議が進められているところでありますので、今この段階で、諮問をした私の立場で言えることは、できるだけスピード感を持って法制審議会での審議を進めていただいて、そのために必要なお手伝いは最大限していきたいということに残念ながら尽きるということでございます。

市村委員 是非とも、法制審議会での迅速な、共同親権も、今、パブコメもして迅速に御議論をいただいていると。今国会に間に合うとは残念ながら今の段階では思えないですが、早期に共同親権もそれは実現をしなければならないと私は思います。こんなの当たり前だと思うんですが、それを実現しなくちゃいけない。

 ただ、先ほども申し上げましたように、私が今日問題提起をしていることというのは、共同親権が成ったとしても、これで解決する問題ではないんですね。要するに、刑法におけるDVではないけれども、じゃ、DVというのは何なのかという話になってくるんですが、例えば、夫婦げんかもDVだというふうに言われたという、さっきの調査、アンケートに答えている方の声を読んでいますと、警察に行ったら、夫婦げんかもDVなんだと警察に言われたということもあるぐらいで。ある意味で、警察だって、元々警察は民事不介入でしたから、ただ、ストーカー事件とかが起こって、そうは言っていられないということで、ストーカー行為とかDV行為とかそれから児童虐待行為とか、特別に刑法から切り出して、特別に枠をつくって、範疇をつくって、そして一つの社会喚起、社会に注意喚起というのもあったと思いますので、それはよかった、それはそれでやるべきだと思います。

 そういう世の中の、何となく、世の中そんな暴力夫とか暴力何とかがいるのかとか、そういうふうに国民の皆さんが思う中で、もしそう思っているとしたら、ひょっとしたら、DVと名づけられるだけで何かとても悪い人なんだろうというふうに印象づけをされてしまうようなところに人を追い込むということが今行われているというふうに私は思っているんですね。とにかく、ある日突然、前触れもなく、まさに青天のへきれきのような形でこれが起こるわけです。それを指南しているわけですね、とにかく何か事由をつくりなさい、ただ単に別居じゃ駄目よと。何か事由をつくって、その事由をつくる指南をしているわけです。さっき申し上げたように、わざと怒らせるとかして、そして相手の反応を録音するとか。

 それで、何度も繰り返しになりますが、児相に行ったり警察に通報したりということで、それの積み重ねをもってして家庭裁判所に離婚調停とかいうのを起こすわけですよね。そうしないと、子供を連れ去ったということになってしまうわけですね。一方的に子供を連れ去ったということになってしまう、理由もなく連れ去っていけば。それは、たとえ夫婦であっても、一方の親が勝手に子供を乗せていった、これは罪ですから、理由が要るわけですね。そうすると、相手が暴力で、だから、私も子供も被害者だから、それはすぐ逃げなくちゃいけない、支援措置を使って、あなた、それは、DVに耐えられるの、じゃこっちに来なさいというような形で、何かそういう状況を一方的につくられてしまって、結局どんどんどんどん追い込まれる。何のことだか分からないわけですね、こちらというか、その受けた方としては。これは、女性のケースもありますからね、別に男性だけと言っているわけじゃありません。女性もそれで苦しんでいるケースもあります。さっき言ったように八対二ぐらいだと聞いていますが。

 だから、そういう状況の中で、追い込まれて、そして、誰も聞いてくれない、こっちの意見は全然通らないということ、特に男性側の意見は通らない、こういうことがあって、自殺に追い込まれているということですから。

 大臣、法制審議会の審議は是非とも待ちたいと思います。迅速な審議を是非とも大事にしていただきたいと思いますし、また、お聞きしたら、法制審議会でも、今日私が申し上げたようなことも、そういう意見をお話をされている審議委員のメンバーもいらっしゃるというふうにお聞きしています。ですから、今日国会でこうして私も話をさせていただきましたし、また、恐らく今日は別の方もそういう話をされるんじゃないかなというふうにちょっと伺っていますが、こういう、本当に死者が出ているということを是非とも深刻にお受け止めいただきまして、これは法制審議会のメンバーの方にもですね。

 だから、本当にDV被害があるということを私は否定していませんので、そこは是非誤解なきようお願いします。これは刑法でびしっとやってほしいわけです。本当にDV被害を受けている人、また加害者がいるというのも、私は事実だと思っていますので。しかし、そういう、何か印象を悪用して、法制度を濫用して、そして、DV、暴力夫だ、暴力妻だみたいな形で追い込んでいくという現実がある、そしてそれを指南している人たちがいる、しかもそれが、一部の法の専門家がそういうものを指南しているということで、本当に人道にもとる、何度も繰り返しになりますが、人道にもとることだと思っています。

 いま一度、大臣の心の声をちょっと聞かせていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。あと二分ありますので。

齋藤(健)国務大臣 心の声はいろいろあるんですが、ここは法務大臣としての御答弁をさせていただいています。

 問題の所在、それから問題の深刻さは、私は人並み以上に理解をしているつもりではあります。そして、法制審議会におきましても、本当に様々な議論をしっかりされているというふうに認識をしています。

 そして、私自身が法制審議会に検討を依頼した立場でありますので、その人間が結論が出る前にこうだああだということを言うのはやはり避けるべきだろうと思っておりますので、先ほど申し上げましたように、できるだけスピード感を持って調査審議が進むように、我々としてはしっかりお手伝いをしていきたいというふうに考えています。

市村委員 いわゆる、今、政府は、こども家庭庁もつくられて、子供ど真ん中、子供一番だということであります。だから、基本的には、また改めて議論したいと思いますが、子供一番だ、子供ど真ん中だということなんですが、一刻も早く止めていただきたい現象が、状況があるということを申し上げました。

 今日は、本当に、貴重な時間をいただきまして、ありがとうございました。これにて私の質問を終了させていただきます。どうも失礼します。

伊藤委員長 次に、漆間譲司君。

漆間委員 日本維新の会の漆間と申します。

 前回の一般質疑に引き続いて、オンラインカジノに関連する質問をさせていただきます。

 オンラインカジノについてこれまで質問して、私もインターネットだとかでオンラインカジノというものを検索したりしますと、いわゆるインターネットのマーケティングによって、スマートフォンを利用したりパソコンを利用すると、様々なところでオンラインカジノの宣伝があふれるようになってしまいました。その原因がアフィリエイトという仕組みにあるというふうなことを、私も調べていくうちに分かりました。

 オンラインカジノに誘導する広告だとか宣伝を多くしてしまうアフィリエイトという仕組みについて、まず、基本的な認識と御説明について、法務省の方にお伺いさせていただきます。

松下政府参考人 恐縮ですが、法務省はアフィリエイトサービス事業やアフィリエイト広告規制については所管しておりませんので、アフィリエイトについて一般的に御説明をするということはなかなか困難でございます。

 一般論としまして、アフィリエイト広告というのが成果報酬型のインターネット広告で、何かクリックをしますとそれに対して広告費用が生ずるというか、そういうものであるということは理解をしておりますけれども、済みません、それ以上の答弁はちょっと困難でございます。

漆間委員 成果報酬型ということで、自分が宣伝サイトを作って、その宣伝サイトを通じてオンラインカジノ、海外の事業者なんですけれども、オンラインカジノをお客さんがやると、そのお客さんから取った、もうけたお金をオンラインカジノ業者が広告をやってくれた人に配分することができるというのが、アフィリエイトの仕組み、成果報酬型の仕組みだと思っております。

 これが爆発的に増加したことで、オンラインカジノをやる方も、前回の質疑で申し上げましたように、この三年間で百二十倍ぐらいのアクセス数があるというような感じになっているんじゃないかと思うんですけれども、法務省か、どこでもいいんですけれども、国としては、このアフィリエイトがオンラインカジノの爆増の原因になっていると認識しているかどうかということについてお伺いしたいんですが、これはそう思っておりますでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、アフィリエイトサービス事業やアフィリエイト広告規制等について法務省は所管しておりませんで、詳細について御説明できる立場にはないということを御理解いただきたいんですけれども、インターネット上のアフィリエイト広告が利用者をオンラインカジノに誘導している旨の指摘があるということは承知をしております。

漆間委員 ありがとうございます。

 誘導しているだけで、それが原因でこんなに増えているかどうかは分からないというお答えでありました。

 あともう一つお伺いしたいのが、オンラインカジノは、海外でやっているその事業者自体は、海外のその国が合法であれば合法であって、日本で取り締まることはできないんですけれども、そこに、日本で違法な賭博行為をすることを誘導するそのアフィリエイトの事業自体は違法なんでしょうか。そこをお伺いしたいんですが、いかがでしょうか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のアフィリエイト広告によって利用者を賭博というかに誘導する行為というところ、前提とする事実関係がどういったものであるかということが必ずしも明らかではありませんし、また、御指摘の行為も含めまして、犯罪の成否といいますか、違法性ということですけれども、は捜査機関の収集した証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でありますので、お答えすることは困難ではございます。

 その上で、一般論として申し上げれば、捜査当局においては、オンラインカジノにおける賭博やオンラインカジノにおける賭博に誘導する行為について、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、必要に応じて国際的な捜査協力のための枠組みも活用して外国にある証拠の収集にも努めるなど、法と証拠に基づいて適切に対処するものと承知をしております。

 また、海外において合法なものが日本でオンラインで参加するとどうかというお尋ねもあったかと思いますけれども、これは前回の御質問でもお答えしましたとおり、犯罪行為の一部が日本で行われれば日本の刑法の適用はあるということでございます。

漆間委員 犯罪行為があれば日本の刑法の適用はあり得るということでお答えいただきましたけれども、実際に、この宣伝サイトだったりアフィリエイトに関して、これが危ないのかどうか、捕まるのかどうかということに関して、これも検索してみますと、たくさん情報があふれております。そういった情報で言われていることが、警察の捜査には限界がある、検察は起訴できない、起訴しないよ、だから全然問題ないよといった情報が山のようにあふれています。

 これに関して、まずは警察の方から、そんなことはないんだ、俺はしっかり取り締まるぞという意気込みがあるのであれば、あと、もし難しいのであれば、ちょっと今、実はお手上げ状態ですみたいなことも含めて、現状認識と意気込みについてお伺いしたいと思います。

友井政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねの事業者につきましては、その広告の対象や方法などが様々であると考えられることから、一概にお答えすることは困難ではございますが、賭博の共犯となるものなど刑事事件として取り上げるべきものについては、個別具体の事実関係に即して取締りを行うこととなるものと承知をしております。

漆間委員 冷静に静かにお答えいただきましたけれども、ここは法務委員会でありますので、次は法務省の方に、検察は起訴できないんだ、だから全然大丈夫なんだという情報があふれております。検察は、言ってみれば、ちょっとあおるかもしれませんが、なめられているような状況でございます。これに対しての改めて現状認識と意気込み、アフィリエイトと、オンラインカジノも含めて、同じように言われておりますので、そこをお伺いしたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 あくまで一般論として申し上げますけれども、捜査当局におきましては、オンラインカジノにおける賭博ですとかオンラインカジノにおける賭博に誘導する行為につきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、必要に応じて国際的な捜査協力のための枠組みも活用して外国にある証拠の収集にも努めるなど、法と証拠に基づいて適切に対処をするものと承知をしております。

漆間委員 ちょっと質問の順番を変えまして、最後の大臣の意気込みをここでお伺いしたいと思うんですけれども。

 アフィリエイトサイトでオンラインカジノに誘導する文句としてよく使われている言葉が、還元率の話が使われております。これは、いろいろな賭博行為をしたときに、どれだけ胴元がもうかって、お客さんの元にどれだけ返ってくるか、いわゆる賭けにおいてどれだけ勝ちやすいかということを、全ての賭け事を比較して、オンラインカジノは一番勝ちやすいよと。例えば、オンラインカジノは九七%の還元率がある、パチンコは八〇%です、競馬は七〇%、totoは五〇%、宝くじは四〇%しか勝たないんですよ、こういう文句を使ってどんどんどんどん今宣伝が行われています。こういうことがどんどん宣伝されているうちに、時間がたてば、みんな、公営競技だったりtotoだったり、そういったところからオンラインカジノに行ってしまうんじゃないかということもあり得るのかなと思っております。

 公営競技だったりそういったものも今スマートフォンでできるようになっておりますけれども、やる方の立場からすると、スマートフォンを通じてやる賭け事として、公営の例えば競馬だったり競輪だったりというものとオンラインカジノは、ほとんど同じ立場で比較しているような感じだと思います。そして、公営競技と違って、オンラインカジノは国がもちろん管理をしておりません。海外に事業所があります。日本で管理ができないことで、賭博の有罪性を没却しないような、前回いただいた御答弁なんですけれども、配慮をやることもできないような状態になっております。

 オンラインカジノ、そしてアフィリエイト、これを含めてしっかりと対処していかなければならないと思うんですけれども、警察の方と法務省の方から意気込みは聞いたんですけれども、今、利用する方々からすると、検察は起訴できない、警察は捜査をしない、全然問題ない、そんな認識で皆さんがおられる中で、先ほどの還元率のような文言であおって、皆さんがどんどんどんどん海外のオンラインカジノをやったり、それによって依存症になってしまうことは、国家の危機にもつながるのではないかと思うんですけれども、改めて、齋藤大臣に、このアフィリエイト、そしてオンラインカジノに対処する意気込み、法務省だけでできることではないと思うんですけれども、お伺いしたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のオンラインカジノに関するアフィリエイト対策については、各関係省庁がその所管する分野についてそれぞれ対策を講じているという現状にあります。

 そして、オンラインカジノへの対策につきましては、政府全体の取組として、令和四年三月に閣議決定されたギャンブル等依存症対策推進基本計画におきまして、オンラインカジノに係る賭博事犯を含む違法なギャンブル等についての取締りの強化、これがしっかり盛り込まれていると承知をしていますので、法務省としても、同計画を踏まえ、引き続き、政府の一員として、関係省庁と協力してしっかり取り組んでいきたいと考えています。

漆間委員 ありがとうございます。

 これはやはり事業者が海外にあるというところが本当に問題を複雑にさせて、取締りだったり検察の起訴だったり、こういったことを難しくさせていると思うんですけれども、これは、いわゆる技術の発達に法がもしかして追いついていないかなという側面もあるかなと思うんですけれども、法であったり国際的な協調であったり、そういったことに関して、ちょっとこれは更問いになるんですけれども、何か法でここがこうあればもっと取り締まりやすくなるのになといった御意見などもしありましたら、おっしゃっていただけますでしょうか。なければ大丈夫です。

松下政府参考人 お答えいたします。

 現状でございますけれども、あくまでも一般論として申し上げますと、捜査当局におきましては、我が国において刑事事件として取り上げるべきものについては、必要に応じて国際的な捜査協力のための枠組みも活用して外国にある証拠の収集にも努めるなど、法と証拠に基づいて適切に対処するものと承知をしております。

漆間委員 今の枠組みの中でしっかり頑張るということで、ちょっと更問いで通告にないようなことを聞いて済みませんでした。

 まだちょっと、あと一分ぐらいあるんですかね、お伺いしたいんですけれども、この前お伺いしたときの、公営競技、公営賭博がなぜ合法かというところを聞いたときに、刑法が賭博を犯罪としている趣旨を没却しないような制度上の配慮、これがあるから公営競技は大丈夫なんだというお答えを答弁でいただきました。

 没却という意味、私も、初めてじゃないですけれども、余り使い慣れない言葉だなと思って調べますと、すっかりなくしてしまうこと、全然無視してしまうことという意味だということが書いてあったんです。

 没却ということは、犯罪と規定している趣旨がちょっとぐらいあったとしても、それを忘れないように配慮していれば大丈夫だという意味だと理解していいのかどうか。国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害して、副次的な犯罪を誘発し、国民経済の機能に障害を与えたとしても、それをなくそうとする配慮さえあれば公営競技はオーケーなんですよという意味なのかどうかというのを、ちょっとお伺いしたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる公営賭博につきましては、それぞれ関係省庁が所管する法律に基づいて実施されておりまして、法務省はそれらの法律を所管していないのでお答えする立場にはございませんけれども、賭博の罪を定める刑法を所管する立場から申し上げますと、前回申し上げたとおりですが、理論的に賭博の罪の構成要件に該当する行為であっても、法律に従って行われるということで、刑法三十五条による法令による行為として違法性が阻却されます。

 そして、公営賭博の根拠となる法律において、刑法が賭博を犯罪と規定している趣旨を没却しないような制度上の配慮がなされているということを申し上げましたけれども、これは程度問題というよりは、事業の公正性や公益性といったような様々な要素があるわけですけれども、そういったことをしっかり担保するような制度ができているという上での立法がなされていて、それに基づいて運営されているということにおいて違法性が阻却されるということでございます。

漆間委員 時間となりましたので、これで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、浅野哲君。

浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私も今日十五分間の間で、先ほど維新の市村委員がいわゆるでっち上げDVを取り上げられておられましたけれども、私もこれをテーマに今日は質疑をさせていただきたいと思います。

 といいますのも、先ほども市村委員が御説明をされていましたが、やはり私の下にも、親権を保持するために、一方の親が子供を連れ去った上でDV等支援措置を申請し、もう一方の親、この方はDV加害者として扱われることになりますが、このもう一方の親が子供から引き離された挙げ句、子供の所在地を知ることができないという事例というのが確認をされています。それが訴訟であったり、面会交流調停といったところにつながるわけですけれども、私が伺いたいのは、このDV等支援措置の手続が適正にまずは取られているのかどうか、これを総務省にまず伺いたいと思います。

 DV等支援措置の手続は、申出者が相談機関等に相談をする際に申請書にその必要性を記載してもらう方法であったり、あるいは市区町村から相談機関等に対して必要性の記載を依頼する方法などがあるようです。こうした一連の手続の中で、相談機関等あるいは市区町村は、虚偽申請の対策をどのように現在行っているのか。また、虚偽申請をしますと、先ほどもお話が出ていましたように、大変な苦痛を虚偽申請された側は被ることになります。にもかかわらず、罰則規定を設けていないということが、ある種抑止できていないんじゃないか、こういう懸念もありますので、虚偽申請対策、そして罰則規定を設けない理由、この二点について伺いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳事務におきましては、DV等の加害者が住民票の写しの交付等の制度を不当に利用して被害者の住所を探索することを防止するため、被害者とされた方からの申出により、自己の住民票の写しが加害者へ交付などされないよう制限する措置を設けております。

 本措置の実施に当たりましては、専門的知見を有する警察、配偶者暴力相談支援センター等の相談機関から、申出の内容に相違がなく、支援の必要性があると認めるかなどについて、相談機関の職名及び公印を付して意見を提出していただくとともに、必要に応じて市区町村から相談機関に内容を確認することなどにより支援の必要性を判断することとしております。

 加えまして、本措置につきましては、被害者に係るDV等被害の状況がケースごとに様々に変化し得ることから、期間を一年と定め、延長の申出があれば、改めて相談機関の意見を聴取すること等により、その時点での支援の必要性を確認した上で延長することとしておりまして、この旨、本年三月に総務省から各地方公共団体に対し、改めて周知をしております。

 また、DV等支援措置の実施を求める被害者からの申出につきましては、仮に虚偽であった場合には刑法犯に当たる場合もあると考えられますし、また、DV等支援措置は、住民基本台帳法に規定されたものではなく、事務処理要領に基づき市区町村において受け付けているものであることから、住民基本台帳法においては虚偽の申出に対する罰則は設けておりません。

 総務省といたしましても、DV被害に関する虚偽の申出により本措置が濫用されるようなことがあってはならないと考えており、引き続き、本措置の適正な運用に努めてまいります。

浅野委員 ちょっと確認ですが、虚偽申請をした場合に刑法等で罰せられる可能性がゼロではない、否定できない、そういう答弁だったと思いますが、それを確認させてください。

 あわせて、ちょっと二問目も併せて伺いたいと思いますが、住民基本台帳法第十二条六では、市町村長は、第一項の規定による請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる、つまり、不当な目的で請求された場合には住民票を出すのを拒むことができる、出さないようにできる、そういう法律になっていますが、先ほど答弁の中で、相談機関の担当者の職名や公印を押す、それだけしっかりした文書を作ってもらったりだとか、必要に応じて相談機関等に市区町村から再度問合せをするというプロセスをされるというふうにおっしゃいましたけれども、ただ、平成十八年の総務省通達の中では、最終的な判断は市区町村長が責任を持ってやる、やらなければいけない、このような趣旨もあります。

 相談機関からの意見以外に、不当な目的かどうかというのを市区町村はどのように判断をしているのか、どこを見ているのか、どのような確認をしているのか、これも併せて伺いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 刑法犯に当たるという答弁につきましては、あくまでも一般論でございますが、その可能性があると認識しております。

 次に、住民基本台帳法十二条六項のお尋ねでございますけれども、DV等支援措置の実施に当たっては、判断の客観性を担保するために、専門的知見を有する警察、配偶者暴力相談支援センター等の相談機関の意見を聴取すること等により支援の必要性を確認することとしておりますが、支援措置の実施に関する最終的な判断は、市区町村長において主体的に行うことが必要と考えております。

 支援の必要性の確認に当たりましては、相談機関の意見を聴取するだけでなく、各市区町村のDV等被害者の相談に対応する部署の長の意見により確認を行うこと、また、他の市区町村で支援措置を受けていた被害者の方が当該市区町村に転入した場合には、支援措置に必要な確認を、先に支援措置を行っていた市区町村の長に対して行うことなどの手段も考えられるわけでございまして、市区町村において実情に応じて判断されているものと考えております。

    〔委員長退席、牧原委員長代理着席〕

浅野委員 ありがとうございます。

 今の答弁を聞いていますと、ちょっと気になるのは、相談機関等以外に市区町村の担当部署の責任者の意見も聞くということなんですが、肝腎な、当事者に対する意見の聴取ですとか、いわゆる相談機関にいる方、あるいは市町村の中でそれを担当している職員、これ以外の方々への客観的な検証であったりとか必要性の認定プロセスというのが取られているのかどうか、ちょっと今の答弁からだとそこまで分かりませんでしたので、もう少しその部分についても付言していただければと思うんですが。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 DV等支援措置につきましては、DV等被害者の方への配慮ということをまず考えなければいけないということから、余り調査対象を広げるということは慎重でなければならないというふうに思っているところでございます。

浅野委員 おっしゃることは私も一定程度理解できます。DV等支援措置、安全に関する極めて緊急性の高い状況において判断をしなければいけないということですから、必要最小限の確認作業で効力を発揮させる、この緊急性というのは一定程度重要だと思うんですけれども、これまでそこが重視されてきた中で、それは必ずしも否定はされないと思うんですが、先ほど市村委員がおっしゃっていたように、いわゆる親権を保持することを目的にこのDV等支援措置を悪用するようなケースが、今、数件、数件というか複数件確認をされているということでありますから、ここについては是非、緊急性を勘案して迅速な対応というのはこれからも継続していかなければいけないと思うんですけれども、虚偽の申請に対してどう対策をするかということについては、今の現状のプロセスでは十分にその対策を取れていないのではないかということを少し懸念しておりますので、是非総務省内でも今後この件については検討していただきたいというふうに思います。

 次の質問なんですが、DV等支援措置が適用されてしまうと、その申請内容が正当であれ不当であれ、とにかく、加害者とされた側の方は、相手の住所を見られなくなるし、子供を連れ去られた場合には子供の居場所も分からなくなってしまう。非常に苦しい状況になるわけですね。

 今、そんな状況下においても、両者が望む場合に面会をする機会というのを創出できないのか、やはりこの声が多いわけであります。

 DV等支援措置を適用されて相手の住所が分からない立場にある方が自分の子供と面会を希望する場合、面会交流調停というのを申し立てて面会をするという方法が考えられるんですが、やはり調停の相手方の主張がどうかということもありますから、一定程度時間を要する。場合によっては数か月とか一年単位の時間がかかるということで、もう少し早く面会できる方法はないのか。これについて、まずは法務省に伺いたいと思います。

    〔牧原委員長代理退席、委員長着席〕

金子政府参考人 お答えいたします。

 DV等支援措置がされておりますと、お子様と一緒にいらっしゃる相手方がどこに住んでおられるのかを住民票からは知ることができないということで、御案内のとおり、親子交流のために調停手続をするということは制度上予定されていますが、では、それをどうやって進めるのかという問題がございます。

 申立人の方で相手方の住所を把握していない場合には、調停の申立てを受けた裁判所の方で、事案に応じてになりますけれども、市町村に対して相手方の住所に関する調査嘱託を行うということにより、相手方に連絡をすることが可能になるということを承知しております。

 親子交流に関する調停手続において、父母間の協議が調うというような場合は、その調停の手続を開始することができれば、早期に親子交流の実施をすることが可能になっていくと一般的に言えると思いますが、協議が調わないということになりますと、その裁判手続に要する期間等については、一概にお答えすることは困難ですが、比較的長くなっていくんだろうと思います。

 いずれにしても、事案に応じてということで適切な手続を裁判所の方で進めておられるものというふうに思っております。

浅野委員 要するに、調停が、結論が出るまでは会うことができない、そういうことなんですが、最後、ちょっと、もう時間もあれなので、法務大臣にお願いと併せて伺いたいと思います。

 現在、家族法制部会では、親子交流に関する事項が検討されていると聞いています。特に、中間試案第五の三、ここでは、今日の配付資料にも載せておりますけれども、調停成立前又は審判前の段階でも親子交流ができるようにする仕組みについて検討するというふうに明記されています。

 是非この検討を進めていただいて、今、虚偽申請の問題もありますので、今後の部会においてこの結論を早期にまとめていただき、できることなら、できることならというか、必ず、こうした不当な申請に基づいて引き離された親子が早急に面会できるような仕組みを構築していただきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、父母の離婚等に伴って父母の一方と子が別居することになった場合において、適切な形で親子の交流の継続が図られることは、私は、子の利益の観点から極めて重要であると認識しています。

 離婚後の親子の交流も含めて、父母の離婚後の子の養育の在り方については、御指摘のように、現在、法制審議会家族法制部会において調査審議中であります。その中で、委員の御指摘の点も含めて、安心、安全な親子交流の実現に向けた裁判手続の見直しについても議論がされています。

 今、法制審議会において調査審議が進められている段階でありますので、諮問した立場である法務大臣として具体的な意見を述べることは差し控えたいと思いますが、かねがね申し上げておりますように、法制審議会において、子の利益の観点から、充実した調査審議がスピード感を持って行われるように、我々も精いっぱい協力をしていきたいというように考えています。

浅野委員 終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 重大少年事件の記録が廃棄をされ、信頼を大きく損ねる事態となりました。

 最高裁が調査報告書を公表いたしました。しかし、そこには欠けている視点がある。被害者の側の意見も聞いてほしいという声がございます。調査のための有識者会議にも、そうした被害者側の委員はいない。

 そして、資料の一ページ、二ページに出させていただいておりますけれども、この調査報告書の中で新たにつくられるというふうに言われております第三者委員会にも、被害者側が入らないのではないか、軽視をされているというふうに批判がございます。この声を真摯に受け止め、被害者の視点を入れるべきだというふうに考えます。

 常設の第三者委員会の委員のメンバーには被害者側の委員を入れるべきだ、そして、公平で、多様な委員が確保される委員会にするべきだというふうに思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 特別保存に付することを求める旨の要望につきましては、弁護士会や学術研究者のみならず、被害者の御遺族や事件当事者の方々を含め、どなたからでも行うことができ、このような要望を通じて御意見の提出をいただくことが可能なようになっております。

 裁判所といたしましては、裁判所のホームページから、入力フォームにより特別保存の要望の申出を行えるようにするなど、そのような要望、御意見を容易に出していただけるような取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、第三者委員会の具体的な構成等につきましてはまだ決まっていないところではございますが、第三者委員会に担っていただく役割としては、個別の事件の保存の適否に関する客観的、第三者的なレビューをしていただくということが大きいものでございます。

 また、国民共有財産としての事件記録の保存の在り方を大きな目線で助言をいただくなどを想定していることから、その委員としては、報告書に記載いたしているような、法曹関係者や法学者、報道関係者、アーカイブズ学の専門家等にお入りいただくことを考えているというところでございます。

 事件に関係する方々に対しては、これまで以上に広く二項特別保存の御要望や御意見をいただけるよう、継続的な広報活動等の取組を行ってまいりたいというふうに考えております。

本村委員 被害者の軽視をやめていただきたいというふうに思います。被害者の方々の声をしっかりと聞く最高裁であるべきだというふうに思います。

 特別保存に関する基準の中で、資料の三に出させていただきましたけれども、日刊紙の二紙というふうにございます。全国で毎日発行されている全国紙二紙ということですけれども、沖縄タイムスですとか琉球新報、中日新聞、東京新聞、北海道新聞、信濃毎日、西日本新聞、まだ言えていない地方紙があるというふうに思いますけれども、やはりその地方では主要な新聞であるという新聞も、業界紙もあるかもしれません。こうしたこともしっかりと入れるべきだというふうに思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 運用通達におきましては、当該地方における特殊な意義を有する事件で特に重要なものを特別保存に付することとされておりますところ、地域版を含めた複数の主要日刊紙の掲載状況を確認することで、当該基準を満たすものを対象とすることができるというふうに考えたところでございます。

 地方紙に掲載された事件につきましても、先ほど申し上げた主要日刊紙の掲載状況のほか、外部からの要望に基づきまして、要望の中でいただいた御意見を踏まえ、二項特別保存をするかどうかを判断していくことになりますところ、そのような外部からの要望につきまして更に促進されるように取り組んでまいるというのも、今回の報告書の中で申し上げているところでございます。

 今後、このような外部からの要望の状況も踏まえつつ、更に必要があれば、申し上げました第三者委員会での議論も踏まえて、更に検討していくことになるというふうに考えております。

本村委員 地域の視点も是非入れていただきたいというふうに思います。

 そして、何を保存したのか分かるリストは公表するべきだというふうに思います。そして、保存するための予算も確保が必要だと考えますけれども、御答弁いただきたいと思います。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 外部からの特別保存の要望を促進するための取組といたしまして、裁判所のホームページからの容易な申出を可能とすることや、あるいは特別保存の判断結果について要望申出を行った方に通知することなどの検討を予定しておりますけれども、二項特別保存に付した記録のリストの公表につきましても、裁判所においてどのような記録を二項特別保存に付し、あるいは保存していないのかということを明らかにすることを通じて、外部からの要望の促進につながる面があるというふうに考えておりますので、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、最高裁といたしましては、将来にわたって記録の保存、廃棄の適切な運用が確保されるよう、報告書に掲げました種々の改善の取組を行ってまいる所存でございますが、これらの取組に向けて、必要な人的、物的体制の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 次に、刑事事件なんですけれども、過去には、最高裁で逆転無罪となりました日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の事件なども、東京地検が捨ててしまったということがございました。こうしたことがないようにしていかなければいけないというふうに思います。

 法務大臣の訓令に、刑事参考記録を解除したり、廃棄する規程がある、今もあるというふうに聞いておりますけれども、やはり、重要な刑事事件については、記録の保存がしっかりとなされるためにも、第三者の目も入れた保存の仕組みが必要だというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 歴史的、社会的意義を有する刑事裁判記録の保管、保存については、刑事確定訴訟記録法等に定めがありまして、通常の保管期間経過後も、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料である場合は、刑事参考記録として指定して保存を継続することとされているところです。

 その指定に際しましては、判断基準を具体的に設定するとともに、国立公文書館長が認証したアーキビストの方を含む、刑事参考記録アドバイザーの方の御意見を伺う仕組みも設けているところでありまして、今後とも、保存されるべき記録が確実に保存されるように、適切に対処してまいりたいと考えています。

本村委員 是非、貴重な資料が残るようにということで、最高裁も、そして法務省も努力をしていただきたいというふうに思います。

 次に、難民認定申請書の関係で伺いたいと思います。

 資料の七のところで資料を出させていただいておりますけれども、この申請書に、もしあなたが本国に戻った場合に、迫害を受ける理由は次のどれですかという質問項目があります。

 その他にチェックを入れた人の中にも、難民保護条約の難民認定事由に当たる人がいると思いますけれども、法務大臣、お答えをいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、難民認定申請書において、申請者がその迫害理由をその他にチェックした場合でも、直ちにそのことをもって難民ではないと判断することはありません。

 例えば、申請者が自らの迫害理由について、条約上の迫害の理由である、人権、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、政治的意見のいずれに該当するか分からずに、その他を選択する場合もあるわけであります。そのため、申請者の置かれた立場に配慮しながら、事情聴取を行いながら、申請者の主張内容を十分に確認して、その結果、条約上の理由のいずれか又は複数に該当することが判明するケースもあるというふうに承知をしています。

 したがって、その他を選択した申請者の方についても、適切に難民該当性を判断しなければならないと当然認識をしております。

本村委員 五月二十五日の参議院法務委員会で、難民審査参与員の浅川参考人が、その他にチェックを入れている難民認定申請書は、申請者の方が条約の難民認定事由に該当しないと自ら認めているということもあるというふうに認識を示されました。

 こういう方が大量の難民認定の審査を行っているということで、本当に一人一人、慎重に審査をしてもらえているのかということを大変私は疑問に思いました。やはり、今の難民認定の仕組み自体に疑義が生じているというふうに思います。入管法は廃案にするべきだということも、この場で申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、今日は、内閣府の副大臣に来ていただきました。

 みえ施設内暴力と性暴力をなくす会の皆様と、この間、ずっと要請をしてまいりまして、その際に、児童養護施設などの職員の方々の労働実態、労働条件の実態調査をしてほしいということを要望してまいりました。

 今年度、児童養護施設などの職員の方々の実態調査をやることになりました。やはり、その実態調査が、現場の改善につながる調査にしなければいけないということも痛感をしております。

 例えば、児童養護施設のショートステイのユニットに急遽子供さんが短期で入所するということがございます。一時保護所も足りないという中で、そういうことがございます。職員不足の中で、職員の方も対応に追われる。そして、ほかの子供さんの落ち着きもなくなってしまう。新規に入所される子供さんにとっても、居心地という面で大変心配でございます。ですから、短期入所の場合は別施設、別の部屋、担当職員をつけるということにしてほしいなどの声も現場から出されております。

 また、児童養護施設などを退所された若い方々からは、退所をされた若者の支援に関して、希望する場合は、これまで担当していた職員が引き続き支援をすることで、やはり相談しやすい関係があるんだというお話も伺っております。そうしますと、やはり配置基準の抜本的な改善というのはどうしても求められるというふうに思います。

 こうした子供さんや若者、職員の方々のきめ細かな御要望を酌み取る、そうした実態調査にするべきだというふうに思います。処遇の改善、配置の改善、労働条件の改善、人員の確保、予算の確保、そうしたことにつながる実態調査に是非していただきたいと思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 令和三年度末の社会的養育専門委員会の報告書を踏まえ、ただいま委員からも御指摘のありましたとおり、今年度、具体的には夏頃でありますけれども、児童養護施設職員の方々の勤務実態等についての調査を行うことにしております。

 具体的には、児童養護施設等に対し調査票を送付し、職員の業務実態を明らかにするために、勤務実態の可視化、定量化を行い、現状課題の抽出、論点整理等を行うとともに、各施設における職員の配置、雇用形態、賃金等の状況や施設の決算に関わる情報の収集などにより、職員の給与の状況や施設等の経営状態について分析を行うことにしております。

 また、調査や分析に当たっては、必要に応じて有識者等の専門的な知見を有する方々から助言をいただくことともしており、今後の施設の在り方の検討の有用な資料となるよう、きめ細かく取り組んでまいりたいと思います。

本村委員 是非お願いしたいと思います。

 今、児童養護施設の職員の方々からお話を伺っても、本当に人が来ないということが切実な実態となっております。児童養護施設、社会的養護施設などの職員の確保は、本当に緊急の、喫緊の課題だというふうに思います。本当に、欠員が出てしまっておりまして、泣きながら職員の方が働いているという実態がございます。予算を増やして、仕事の魅力なども発信をして、職員の確保に国も全力で、強力に進めていくべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、児童養護施設等において必要な人材を確保できるような環境づくりを進めていくことは、重要かつ喫緊の課題だと認識をしております。

 そのため、令和三年度に給与を三%相当、月額九千円程度引き上げるための措置を実施するなど、累次の処遇改善を行うとともに、働く場所としての児童養護施設等の魅力等を発信するため、学生向けの広報啓発活動や各施設等での職場体験など、また、施設職員の就業継続を支援することなど、人材確保に関する取組を進めてきたところでございます。

 今後も、こうした取組の活用を含め、引き続き、各施設における人材確保の支援に全力を尽くしてまいります。

本村委員 本当に緊急事態だというふうに思いますので、更に強力に推進をしていただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

齋藤(健)国務大臣 申し訳ないです、お時間をいただきまして。

 先ほど、難民条約上の迫害の五つの理由のうちの一つ、人種と申し上げなくちゃいけないところを人権と申し上げてしまったそうで、おわびして訂正させていただきます。

本村委員 終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

伊藤委員長 次に、内閣提出、参議院送付、民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。齋藤法務大臣。

    ―――――――――――――

 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

齋藤(健)国務大臣 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。

 この法律案は、民事関係手続等の一層の迅速化及び効率化等を図り、国民にとって民事関係手続等をより利用しやすいものとする観点から、民事訴訟以外の民事関係手続等に関する法律の一部を改正しようとするものであります。

 その要点は、次のとおりであります。

 第一に、この法律案は、民事執行法等の一部を改正して、インターネットを利用した申立てを一律に可能とするとともに裁判所からの送達についてもインターネットを利用してすることを可能とすることや、当事者等から提出された書面や裁判所において作成する裁判書等を含め事件記録を電子化し、閲覧等も情報通信機器を利用して行うこと、ウェブ会議等を用いて裁判所における手続を行うこと、民事執行の手続において電子判決書等に係る記録事項証明書の提出を省略することを可能とすることなど、民事執行手続等において情報通信技術を活用等するための規定の整備を行うこととしております。

 第二に、この法律案は、民事訴訟費用等に関する法律の一部を改正して、民事執行手続等の手数料の納付方法の見直し等の措置を講ずることとしております。

 第三に、この法律案は、公証人法の一部を改正して、公正証書を電子化するとともに、その作成に当たりウェブ会議を用いることができるようにするなど、公正証書の作成に関して情報通信技術を活用等するための規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の趣旨でございます。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十八分散会


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