衆議院

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第2号 令和5年11月8日(水曜日)

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令和五年十一月八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 谷川 とむ君 理事 牧原 秀樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 池下  卓君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    伊藤 忠彦君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      高木  啓君    高見 康裕君

      中川 郁子君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    仁木 博文君

      平口  洋君    藤原  崇君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    山本 左近君

      鈴木 庸介君    中川 正春君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      美延 映夫君    日下 正喜君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         小泉 龍司君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   外務大臣政務官      深澤 陽一君

   文部科学大臣政務官    本田 顕子君

   国土交通大臣政務官    石橋林太郎君

   最高裁判所事務総局民事局長            福田千恵子君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小八木大成君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省保護局長)    押切 久遠君

   政府参考人

   (法務省人権擁護局長)  鎌田 隆志君

   政府参考人

   (法務省訟務局長)    春名  茂君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   石田  清君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月八日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     山本 左近君

  仁木 博文君     中川 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 郁子君     仁木 博文君

  山本 左近君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     中曽根康隆君

    ―――――――――――――

十一月八日

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小八木大成君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍君、法務省大臣官房司法法制部長坂本三郎君、法務省民事局長竹内努君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省矯正局長花村博文君、法務省保護局長押切久遠君、法務省人権擁護局長鎌田隆志君、法務省訟務局長春名茂君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、財務省理財局次長石田清君、文化庁審議官小林万里子君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君及び国土交通省大臣官房審議官宿本尚吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局民事局長福田千恵子君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。笹川博義君。

笹川委員 おはようございます。自由民主党の笹川博義です。

 本日は、質問の機会を大変ありがとうございました。

 法務委員会、七年ぶりに帰ってまいりまして、しっかりと務めていきたいと思いますが、ちょっと質問する前に、昨日の理事会でも、いわゆる柿沢副大臣の辞職の経緯についてという資料が配られました。これは、理事会の求めに応じて資料を出したわけであります。参議院の理事会には提示をされていたということであります。

 この問題については、事務方の手順、手続について非常に厳しい批判と指摘がありました。私も、当然のことだというふうに思っております。特に、大臣自身が陳謝をする事態にも追い込んでしまった、かかる事態を招いた事務方の責任は非常に重いというふうに思います。衆参共に両委員会にしっかりと対応してもらわなきゃ困る、このことはきつく事務方に申入れをしたいし、猛省を促したいというふうに思います。

 それでは、質問の方に入らせていただきたいというふうに思います。

 大臣におかれましては、先日も、所信ということの中で、法の秩序の維持、国民の権利擁護、出入国及び外国人の在留の公正な管理、法務行政における国際貢献、時代に即した法務行政に向けた取組などということで、大くくりで申し上げていましたが、その中でイの一番に、再犯防止に向けた取組について推進をしてまいりたいということを掲げてくれたことは、大変私は、国民にとっても、体感治安を改善するにおいても、平和な社会づくりにおいても非常に重要なことだというふうに思っていますし、そういった意味では、ある意味、国民を一人も取り残さないということになったときに、誤って道を踏み外した方をもう一度社会へ戻していく、そういう意味においての再犯防止推進というのは大変私は意義のあるものだというふうに思っております。

 特に、国、地方自治体、特に保護司の先生、それからまた各ボランティアの皆さん方、この協力のおかげで、今、再犯防止で掲げた数値目標について達成をしたということは、私は高く評価をしていいというふうに思っていますので、このいい傾向をどう維持していくかということだというふうに思いますので、引き続いて、一次そして二次ということで再犯防止推進計画を推進をし、再犯防止に取り組んでもらいたいということを改めて重ねて法務省にお願いをしたいというふうに思いますし、大臣にもその気持ちを強く持って取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 改めて、再犯防止についての大臣の決意を少し御披瀝をしてください。

小泉国務大臣 御質問の冒頭、柿沢副大臣の辞職について御指摘をいただきました。

 今般、副大臣が辞任する事態となりましたことにより、国民の皆様に不信感を与えてしまったことは大変遺憾でございます。法務大臣として厳粛に受け止めております。また、衆議院法務委員会において所信の御挨拶を申し上げる前という段階においてこのような事態となりましたことについて、委員長を始め理事及び委員の皆様方にも大変御迷惑と御心配をおかけしたものと承知しております。心からおわびを申し上げる次第でございます。

 十月三十一日の参議院予算委員会において、柿沢前副大臣が出席を要請されていたにもかかわらず出席しなかった件については、私自身、法務大臣として監督不行き届きを痛感しているところでございます。二度とこのようなことが起きてはならないと考えております。

 そこで、委員から今御指摘、御質問がありました再犯防止の問題でございます。

 先般の所信でも申し上げましたように、刑法犯として検挙された方の約半数が再犯だという状況は変わっておりません。全体の犯罪者数は減ってきているわけでございます、絶対数は減っていますが、比率が動かない。いろいろなことをやっているんですが、比率が動かない。非常に大きな問題だし、また、そこには大きなチャンスがあるんだというふうに私は思っております。

 再犯者率がゼロになれば日本の犯罪数は半分になるわけでありますので、何とか社会に戻ってもらえるように、また、そこで定着してもらえるように、ありとあらゆることを考えて手だてを講じて、もう一度スタートラインに立つ気持ちで、第二次再犯防止推進計画をしっかり踏まえながら、それに命を吹き込むような、そういう思いで取り組んでいきたいというふうに強く思っております。

 是非御指導いただきたいと思います。

笹川委員 今年も司法外交の中で非常に成果もあったわけでありますし、また、京都コングレスの中で京都保護司宣言が発せられて、我が国が誇る保護司制度を世界へと、高らかに世界に向けてアピールをしたわけであります。

 この保護司制度というのは、確かに我が国が世界に誇り得る制度でありますが、これは、国がある意味どや顔で言える制度かといえば、保護司の先生方のお一人お一人のお力添えでこの制度が成り立っているということであります。この保護司の制度をどう維持していくのかということがやはり大きな課題であります。

 もちろん、もう時代も、私は昭和生まれでありますが、昭和、平成、令和という形の中で、時代も移り変わってきます。やはり、それぞれの感性、国民の感性も変わってまいります。そういった中で、今までのような形の中で国の保護司の制度との関わり方というのがよろしいのかということも大きな課題になると思うんですね。

 定数についても、五万二千五百と言われる中で、今現在、約四万六千九百、約四万七千、充足率が約九〇ぐらいということでありまして、非常に高くは見えます。高くは見えます。しかし、平均年齢で考えればもう六十五歳をオーバーし、七十歳以上が約四〇%ということであります。社会的に見れば高齢者と言われる人たちがこの制度を支えてくれている。

 もちろん、人の人生を支えていく、サポートしていくということになれば、それなりの人生経験というのは必要だと思うし、その豊かな人生経験があるからこそ人を導くことも支えることもできるということが言えるわけでありますから、決して平均年齢だけで言えるのかというとそうでもない。

 しかし、バランスはやはり大事であるというふうに思いますので、これから少子高齢化の中にあって、この保護司さんを、どう人材を発掘し、また保護司の担い手として育てていくかということも大きな課題になることはもう間違いないというふうに思います。

 そういった意味では、これから保護司さん、例えば基礎的になる経費の問題を包括的にどうやって手当てをしていったらいいのかとか、そういった問題がありますよね。それから、更生保護の就労支援事業、それから更生保護の地域連携の拠点事業、それぞれ拡充をしていかなきゃならないと思うんですが、そういうことの一つ一つが私は保護司制度を支えていくことにつながるというふうに思うので、時代が変わってきた、変遷してきた、保護司の先生方をこれからやろうという人たちの感性も変わってきた、そういった中で、法務省として、国としてどういう形で支えていったらいいのかということをどういうふうに受け止めているのかということを是非お答えいただきたいと思います。

小泉国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思います。しかし、なかなか難問でもあるというふうに感じておりますが。

 地元の保護司の方々の活動を見ておりますと、まさに利他の精神、人間愛、地域愛、そういった大きな包容力、包括力を有した方々が一生懸命努力をされて、それが多くの方々に改善更生という形でいい影響を及ぼしているということを私も目の当たりにしてまいりました。また、その力の大きさも実感してまいりました。しかし、なかなか担い手の確保が進んでいかないということも、高齢化が進んでいるということも事実でございます。

 御承知のように、第二次再犯防止推進計画においては、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討、試行を行うという一項目が盛り込まれております。これに基づいて、今年の五月十七日に、法務大臣決定として、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会を設置し、今まさに検討を進めているところでございます。

 長年にわたり、これは日本独特の制度だと思うんですね、日本の中に芽生え、多くの方々が育ててきたこの制度を未来に向かってどういうふうに継承、発展させるべきか。本当に難しいんですが、重要な問題であります。簡単に答えが出せないけれども、何とか大勢の方々の知恵をおかりして、また、この議論を外に広めることによって多くの方々の御関心もいただきながら、その中に知恵を何とか見出したい、光明を見出したい、そういう思いで取り組んでいるところでございます。

 来年秋頃までに検討会の報告書をまとめますが、実施可能な取組がまとまってきた場合には、報告書の取りまとめを待たず速やかに実施をしたい、そのように思っております。

笹川委員 来年度予算、今粛々とやっていると思いますが、いずれにしても、保護司の経費的な問題、それから、もう一度申しますが、就労の支援事業、さらには連携拠点事業の拡充ということの中で、しっかりとした予算としての対処ができるように、省内での検討を是非進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、もう一つの大きな課題は薬物事犯に対する対応だというふうに思うんですね。

 今現在、残念ながら、若年層も含めて、薬物、いわゆる大麻も含めての事犯についてが、非常に国民の関心も高く、そして事犯も増えている傾向でありますので、そういった中で、私も現場の保護司の先生方からの話を聞いても、やはり薬物事犯に対する対応というのは非常に苦慮しているということだというふうに思います。

 この薬物事犯をどういうふうな形で捉えたらいいのか、これはやはり医療的ケアの方が主たるものにすべきではないのかというふうにも考えられるわけですね。ですから、なかなかどうして人の善意の気持ちだけで薬物事犯に対処できるかというと、非常に難しい面があるというふうに思います。

 私は、保護司の先生方の役割の中で薬物事犯というものはやはり少し引き離した形にして、別に国として薬物事犯の対処の仕方というものをもう一度制度として構築すべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、薬物事犯者への処遇においては医療的な措置が重要であり、薬物事犯の保護観察対象者に対しては、保護観察官が薬物依存等の問題を改善するための専門的処遇として薬物再乱用防止プログラムの受講を義務づけて実施するとともに、必要な医療等の措置を受けることができるよう、保健医療機関やダルク等の民間支援団体との連携を確保しつつ処遇を実施しているところです。

 一方、委員もよくよく御承知のとおり、保護司の方々には、保護観察対象者が地域において孤独、孤立に陥ることのないよう日常生活上の支援や見守り等をしていただいており、薬物事犯者を含めて保護観察対象者の再犯防止や社会復帰を促進する上で、こうした保護司による処遇は大変ありがたく、重要であると考えているところです。

 薬物事犯者に対する保護観察の実施に当たっては、薬物依存に対する専門的な処遇や医療的措置の確保について保護観察官が主体的な役割を担うなど、保護観察官の関与を強化しつつ処遇を実施しているところですが、引き続き、保護司の方々との適切な役割分担に十分配慮しつつ、薬物事犯者の再犯防止を図ってまいりたいと存じております。

笹川委員 特に薬物事犯については、いわゆる薬物の違反行為だけじゃなくて、他の刑犯にも波及する可能性が実は高いんですよね、窃盗にしても何にしても。また、凶悪事件に発展する可能性もあるんですよね。そのことを踏まえた上で、薬物事犯の再犯の防止というものがどれだけ大事なことかというのは考えていただいて、いま一度、しっかりとした検証をしつつ、体制を充実をさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっと局長、大変恐縮なんだけれども、地域の再犯防止推進計画策定、これについては、都道府県と政令指定都市については全く問題ないんだけれども、市町村の策定状況が余り芳しいとは言えない状況だというふうに思うんだよね。

 それともう一つは、地域の再犯防止推進事業、これも何とか採用してもらいたい。正直申し上げて、群馬県も何とか採用してほしいというふうには言っているんだけれども、なかなか、自治体の理解が進んでいるような進んでいないようなというところがあるんだけれども。

 特に推進計画策定の市町村、これについて、やはりいま少し頑張らないといけないんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、この点についてどう思いますか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、そういった点につきましては、地方自治体の御理解が非常に重要となっておるところでございます。

 現在、まだ計画を策定していただけていない地方自治体に対しては、我々からも直接働きかけるなどしてこの策定を進めていただいているところでございます。この先も引き続き努力をしてまいりたい、そのように考えております。

笹川委員 市町村の御理解が深まるように、市町村の役割は非常に大きいですからね、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 それでは、続いて、国民の権利擁護についてであります。

 多様な価値観を尊重する社会づくり、このことが、昨今、国民の間の中でも少しずつ少しずつ理解が深まっているような感がいたしますが、しかし、それとて我が国にとっては、多様な価値観というものを理解をするということは、欧米から比べればまだまだスタートのラインかなという感じがいたします。

 このことがやはり国民の間で深まることが、様々な制度をつくる上において非常に大事なことだというふうに思いますし、お互いに尊重がなければ溝ができて摩擦が起きる、摩擦が起きればこれは悲劇を招くこともあります。

 そういった意味で、非常に大臣のバランス感覚といいましょうか、この課題についてやはりバランスが非常に大事だというふうに思います。改めて、国民の権利擁護についての大臣の所見をお聞かせください。

小泉国務大臣 国民の権利擁護は、申すまでもなく、基本法制の維持整備、法秩序の維持と並ぶ法務省の主要な任務の一つでございます。

 今委員おっしゃいましたように、多様な社会をつくるためにはお互いを尊重する必要がある、お互いを尊重するためにはお互いの価値観を認め合う必要がある。そういう社会に近づけていくということが、大きく見れば法務省の任務の重要な一つとして今位置づけられつつあるというふうに認識をしております。

 個々の問題については、なかなか、賛成もあり反対もあり、また社会も複雑化しておりますので、一概に決め切るわけにはいきませんが、まさに、今御指摘いただいたように、バランス感覚、世の中全体を見て、その中でどうバランスを取るのか、よく国民の心を見て、価値観の動きを見て行政を進めていく、そのことが非常に重要な時代になったと思います。法務省の新しい任務と言っても過言ではないように思います。しっかりと取り組んで、適切に対応していきたいと思います。

笹川委員 多様な価値観を尊重する社会づくりということの位置づけを法務省として重く受け止め、大きなものだという認識を披瀝していただいて、大変ありがとうございました。大変重要な課題だというふうに私は思いますので、省内挙げてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 続いて、旧統一教会、今日も新聞で大きく見出しを飾っておりましたが、いわゆる旧統一教会などにおける宗教、例えば霊感商法などの問題、それから詐欺的商法、特に、災害があったときなんかは、屋根の修理をしましょうなんて言って、上がってみて何もしないで、でも法外な請求書が来る、そういうときにどこに相談したらいいんだろうというのが大方の国民の皆さんの気持ちであります。

 我々議員は、実は、弁護士と呼ばれる存在が近いところにありますから余り意識しないかもしれませんが、国民一人一人は、やはり、弁護士と言われたときに、敷居は高いし、身近にいないし、身内の中に弁護士稼業をやっている人がいれば別かもしれませんが、そういった意味では、弁護士は決して身近な存在ではないというふうに思うんですね。

 しかし、法というものはやはり国民一人一人を守るために法があるわけでありますから、それを近づける、そして法を武器に使える者はやはり弁護士さん、このことは非常に重要だというふうに思いますので、そういった中で、私は、今後の法テラスの役割というものは大きいものがあるというふうに思っております。

 今回、旧統一教会も含めての宗教絡みの課題というもの、このこともやはり大きな呼び水となっておりますので、国民の法律的な支援の充実というのは非常に喫緊の課題であるというふうに思っていますが、その点のところの法務省の御所見をお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 私が着任しましたときに総理からも御指示が複数ございましたが、その最初にいただいた指示は、身近で頼れる司法を形成してくださいということがございました。様々な困難を抱えた方々が法律による紛争解決に必要な情報、サービスの提供を受けられるよう、総合法律支援の充実を図ることは本当に重要な課題になりつつあると思います。

 特に、法務省では、旧統一教会問題に対してお困りな方々に対し、様々な問題の総合的解決を図るため、法テラスの霊感商法等対応ダイヤルにおいて相談を受け付け、弁護士、心理専門職等の知見を活用して、関係機関と連携しながら、適切な相談窓口等を紹介するなどしております。

 更に申し上げれば、民事法律扶助、これも法テラスの支援でありますけれども、子を養育する上で負担とならないよう、償還免除の要件を緩和するなど、一人親支援の拡充の実現に向けた準備を進めております。

 さらに、犯罪被害者やその御家族が被害直後から必要となる様々な対応について、早期の段階から弁護士による継続的かつ包括的な支援が受けられるよう、法テラスが行う犯罪被害者等支援弁護士制度の創設に向けた具体的検討も行っているところであります。

 総合法律支援の一層の充実に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

笹川委員 身近で頼れる司法、非常にこれは大切なキーワードだと思います。是非、法務省として、この実現化に向けて最大限の努力を傾注していただきたいと思います。

 実は、交通事故の被害者も弁護士を必要としているわけなんですね。交通事故で被害に遭われた家族が事案から置き去りにされているケースも見られるわけでありますので、そういった中で、司法というものがどう手を差し伸べることができるのかということだというふうに思います。

 ですので、私自身は、金銭的余裕があるから弁護士が雇える、しかし、金銭的余裕がない、だから弁護士は雇うことができない、これはどうかと思うので、先ほど大臣も答弁なさった弁護士の、いわゆる国選弁護人制度とでもいいましょうか、名称は別にいたしましても、そういった意味で、国の方として、しっかりと、弁護士を派遣をし支えてやれという制度があっても私はおかしくないというふうに思っていますので、そういった意味で、身近に頼れる司法ということが具体的に国民が感じられる制度の構築に向けて是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 それでは、最後になりますが、いわゆる矯正施設。

 今年の九月二十二日の日に栃木の女子刑務所に行かせてもらいました。端的に言えば、余りにも施設的には古過ぎる。刑務所のこの書類をちょっと見ても、なかなかどうして、昭和生まれが四十か所もある。私の生まれる前の施設もある。物もちがいいといえば物もちがいいかもしれません。

 しかし、これから、矯正施設の在り方を考えたときには様々対応しなければなりません。

 それは、受刑者の高齢化、それからもう一つは多文化への対応、それから薬物事案への対応、それから省エネ、再エネの対応。もちろん、熱中症、これも受刑者だからいいんだという話にはなりません。そして、いわゆる職業訓練と、日本国内の産業構造の変化に伴う、これにどう対応するんだということだというふうに思うんですね。

 それともう一つは、職員のモチベーションを上げるためには、やはり職員用の施設ですらきちっと近代化をしていく。個々の職員の心情にも配慮した施設の在り方も私は重要だというふうに思います。

 そういった意味において、この矯正施設、余りにも設計思想が古過ぎる。これはもうスクラップ・アンド・ビルドじゃないけれども一回ぶっ壊して、新しいものを建てた方がよっぽどいいんじゃないかと私はいつも言っている。

 だから、私は、群馬県の前橋刑務所、前橋市内への移転だったら問題はないんだから、あんな町中にある必要はないし、あんな古いものは必要ないし、新しいものを建てたらどうだということを申し上げているけれども、なかなか法務省というところは、そういうところは非常に苦手なところでありますね。物もちがよ過ぎる。

 このことについて、私は、非常に時代から取り残されているんじゃないかというふうに思うので、この矯正施設の今後の在り方についての評価について御所見をお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

小泉国務大臣 ありがとうございます。これも本当に大事な御指摘をいただいたと思います。

 法務省は五万五千人の職員を擁しますけれども、施設の数は八百に近い施設がございます。職員の数、また、矯正施設の数、様々なタイプもありますが、大きな施設官庁なんですね。あるいは、人が支える官庁なんですね。したがって、当然、その時代に即した施設の改善というものを意識していかなければ、いつの間にか取り残されてしまう。

 私も、まだまだ視察箇所が限られていますが、大変に古い宿舎も見てまいりました。昭和五十年前後に建てられた宿舎、まだ入っていますよ、人が。刑務所の中に住まう義務がありますので、自分で民間のアパートを借りる、マンションを借りるというわけにもいかない。

 今おっしゃったように、やはり職員の士気に関わるんですね。誇りに関わる部分があるんですね。ですから、着任してまず私は財務省にお願いに行きました。何がどうということではないけれども、是非重く見てくださいというお願いをしてまいりました。

 そして、世帯で考えれば約三千世帯が、老朽化という定義に当てはまってしまう世帯がまだ使われていますので、全体の二五%ぐらいだったと思いますが、それを五年、どんなにかかっても十年以内に全部解消するというスピードを実現できる計画を作ろうということで、所信の中でも、中長期的な視野を持って改善していきますということを述べさせていただいたわけでございます。

 また是非御指導いただきたい。

笹川委員 ありがとうございました。

 大臣、是非、法務省は人が支える官庁だということでありますから、働く人たちの気持ちにも寄り添って、そしてまた国民のそれぞれの気持ちに寄り添って、今後とも引き続き法務行政の指導として頑張っていただくことを心からエールを送って、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、日下正喜君。

日下委員 公明党の日下正喜でございます。

 小泉大臣となられて初めての質問に立たせていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず、性同一性障害特例法について御質問いたします。

 最高裁は、十月二十五日、性同一性障害特例法における生殖不能要件が憲法違反であると、十五人の裁判官全員一致で判決を下しました。

 生殖不能要件撤廃の流れは先進諸国における潮流でもあり、公明党も、生殖不能要件は人権侵害の観点から特例法の見直しを訴えてきたところであり、高く評価するものです。

 憲法は、誰もが自分らしく生きる権利を保障するものです。当事者がどのような苦しみを抱いてきたかをよく理解し、それを解消していくことが必要です。

 今回の判決で違憲と判断された以上、政府としても法改正を急ぎ進める必要があると思いますが、まず、法改正に向けた小泉大臣の御決意を伺います。

小泉国務大臣 御指摘の事件でございますけれども、本年十月二十五日、最高裁判所の大法廷で決定が出されまして、性同一性障害特例法第三条第一項第四号のいわゆる生殖不能要件は違憲であるとの判断が下されました。大変厳粛に受け止める必要があると思います。

 今後に向けての取組でありますけれども、法務省としては、まず立法府の動向、これも注視をしたいと思っておりますし、関係省庁との連携も深めていきたいと思います。そうした取組の中で適切に対応していきたい、こういうふうに思っております。

日下委員 今回の判決、また法改正を進めていく上で幾つか確認しておきたいことがあります。

 今回、外観要件は、高裁段階で検討されていないとして差戻しになりました。外観要件とは、その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていることとされています。

 三名の裁判官は、この外観要件についても憲法第十三条に違反するとの意見であり、今後、外観要件も違憲とされる可能性は十分考えられます。

 そうした場合、男女の区別が必要とされる公衆浴場やトイレ、更衣室などで混乱が生じる等々の声もございますが、それは戸籍上の性別を基準にするのか、性器、外観を基準にするのか、公衆浴場法ほか、その他の関連法令に個別に定めていくことで解決が図られるとも思うのですが、この外観要件も今後進める法改正に含めていくべきなのかどうか、御見解をお伺いいたします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の最高裁判所の決定におきましては、性同一性障害特例法第三条第一項第五号のいわゆる外観要件につきまして、憲法判断がされておらず、当該要件について審理するために高等裁判所に差し戻されたと承知をしております。

 そこで、今般の最高裁判所の判断を受けた今後の対応につきましては、立法府の動向を注視しつつ、関係省庁間で連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

日下委員 ありがとうございます。

 しっかり立法府としてもこれから検討を進めていくべきだと思います。性自認というのはやはり心の問題でございまして、必ずしも、性器、外観まで変えなければいけないという縛り、やはりこれは見直すべきだというふうに考えますので、しっかり検討してまいりたいというふうに思います。

 あと、法改正がされるまでの期間に性同一性障害と診断された方で、他の要件を満たし、生殖腺除去手術をせずに性別変更の申立て、申請を行った場合の対応についてでございますが、既に、判決の翌日、法務省から各法務局宛てに、また市区町村まで、家庭裁判所に性別変更の申立てがあった場合にはそれを受理するよう通知を行ったとのことでございますが、これは、広く当事者の皆さんに届くような周知、広報も大切であると思います。その点について確認させてください。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 法務省といたしましては、委員御指摘のとおり、本年十月二十六日付で、法律の改正までの間は、今回違憲とされた規定を満たしていない場合であっても、その余の要件を満たすとして性別の取扱いの変更を認める審判がされていることが明らかなときは、戸籍上の性別の変更を可能とするとの内容の事務連絡を発出し、法務局、地方法務局を通じ、全国の市区町村に広く取扱いを伝達したところでございます。

 委員御指摘のとおり、今般の事務連絡の趣旨を適切に情報提供することができるよう、必要な情報発信について検討もしてまいりたいと考えております。

日下委員 特に、こうした方々が、当事者の方が触れる関係団体であるとか関係医療機関に対してもしっかり周知を行っていただいて、そこから伝わるような、そういう仕組みも考えていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 次に、先ほどございましたけれども、柿沢法務副大臣の辞任についてお尋ねしたいと思います。

 先日、参議院予算委員会のさなか、柿沢未途法務副大臣が辞表を提出し、辞任に至りました。大変遺憾なことであり、残念なことだというふうに感じております。総理も任命権者としての責任を重く受け止めていると述べられていますが、今回の件を法務大臣としてどのように受け止め、国民の信頼を回復していこうとされているのか、お尋ね申し上げます。

小泉国務大臣 今般、柿沢副大臣が辞任する事態となりましたことにより、国民の皆様に不信感を与えてしまったことは大変遺憾でございまして、法務大臣として厳粛に受け止めております。

 引き続き、内閣の一員として、一層の緊張感を持って公平公正な社会の実現に向けて法務行政に取り組んでまいりたいと思っております。

日下委員 しっかりよろしくお願いしたいと思います。

 次に、改正入管法に関して、新たなガイドラインについてお尋ねしたいと思います。

 さきの改正入管法では、在留特別許可制度について申請手続が創設され、不許可の場合におけるような理由を付した書面による通知をするという手続保障が確保されました。さらに、在留特別許可が法律上明示されることになりました。これは大きな前進であったと思います。

 具体的には、当該外国人について、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することになった経緯、在留している期間、その間の法的地位、退去強制になった事案及び人道上の配慮の必要性を考慮するほか、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮することが規定されています。

 齋藤前法務大臣の答弁におきましても、「それぞれの考慮事情の評価に関する考え方を運用上のガイドラインとして策定し、明示することにより、退去強制事由に該当する外国人のうち、どのような方を我が国社会に受け入れるのかを明確に示す」と答えられ、新たなガイドラインは、改正法の施行日を踏まえた適切な時期に策定し、公表していきたいとされています。

 このガイドラインの検討状況、進捗、方向性について、小泉法務大臣にお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 在留特別許可に係る案件は様々でありまして、本当にそれぞれの事情があるわけでありますが、その中で、できる限り透明性を持つ、公平性を確保するという観点から、新たなガイドラインの策定とその公表は大変重要な施策だと私も考えております。改正入管法の施行日までにガイドラインを出す、公表するという目標に向けて、今まさに事務的に検討を進めているところであります。

 その考え方は、消極的な要素、逆に積極的な要素、こういったものを抽出しまして、全てそれが基準になるということではないわけでありますが、こういう要素をカウントする、こういう要素はプラス、こういう要素はマイナス、そして、最終的には総合判断という形になるのではないかと考えております。

 まさに今、その中に入って、いろいろなケースを見ながら、公平性、透明性を確保する形でのガイドラインの策定、一生懸命取り組んでいるところでございます。

日下委員 ありがとうございます。ガイドラインにつきましても、具体的で分かりやすい、そういう周知、広報をお願いしたいというふうに思います。

 次に、ウクライナ避難民の補完的保護への移行についてお尋ねしたいと思います。

 本年十二月一日の改正入管法の規定の施行後に予定されている補完的保護対象者に対する支援について、これまで受け入れられてきましたウクライナ避難民の皆さんについても、改めて補完的保護対象者認定制度に基づく定住支援プログラムを中心とした支援へ移行していくと伺いましたが、これは、避難民御本人が改めて申請するということでよろしいのか。これらの人には条約難民と同様に定住者の在留資格が付与されるということでよろしいのか、お伺いします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 補完的保護対象者は、難民以外の者で、難民の要件のうち迫害を受けるおそれのある理由が人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団構成員であること又は政治的意見という難民条約上の五つの理由であること以外の全ての要件を満たすものでございます。

 補完的保護対象者に該当するか否かは、申請者ごとにその申請内容を審査した上で個別に判断するものであり、ウクライナ避難民の方々を含む外国人の方々から申請していただくことが前提となります。

 また、補完的保護対象者と認定された場合には、その安定的な在留を図るため、原則として、条約難民と同様、在留資格、定住者を付与することとなります。

日下委員 また、申請に際しては、定住支援プログラムを受けるメリットについても説明の必要があると思います。どのような支援を受けられるのか、お尋ねしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 補完的保護対象者に対する支援につきましては、難民への定住支援事業と同程度の内容とする予定でございます。

 具体的には、五百七十二時限の日本語教育や、百二十時限の生活ガイダンスを受講できる六か月間の定住支援プログラムを行うなど、日本での自立促進に向けた支援を行うことを予定しております。

日下委員 ありがとうございます。

 この制度の移行につきまして、ウクライナ避難民、十月十八日時点で二千八十九人と伺っておりますけれども、周知はどの程度進んでいるのか。この申請はいつまでに行わないといけないのか。また、ウクライナ以外にも補完的保護対象者になり得る外国人が在留していると思いますが、ウクライナ避難民と同等な、公平な扱いがされるよう配慮をする必要があると思います。どのように周知を進めておられるのか、お尋ねいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 補完的保護対象者の認定制度につきましては、本年十二月一日から全国の地方出入国在留管理官署で申請を受け付けることとなります。御指摘のような、申請をいつまでに行わないといけないといった期限は設けてございません。

 制度の対象となる人数につきましては、補完的保護対象者に該当するか否かは申請者ごとにその申請内容を審査した上で個別に判断するものでございますので、その対象となる方の数について一概にお答えすることは困難な事情を御理解いただければと存じます。

 また、補完的保護対象者の認定制度や定住支援プログラムにつきましては、入管庁ホームページや地方出入国在留管理官署における情報提供などを通じまして周知を図っているところです。

 引き続き、ウクライナ避難民の方々を含め、外国人の方々に対するこれらの制度等の周知につきまして適切に取り組んでまいります。

日下委員 次に、送還忌避者のうち、本邦で出生した子供の在留特別許可をめぐる対応についてお尋ねします。

 日本で生まれ育ちながらも在留資格がない子供たちへの在留特別許可の方針が、八月四日、齋藤前大臣の下で示されました。今回の在留特別許可の対象は、日本で生まれ、改正法の施行時までに小中高校で教育を受けている子供たちでありまして、強制退去処分が出たものの、日本での生活を強く希望する場合、基本的に家族とともに在留を特別に許可するというもので、今回限りのものとして行うとされました。

 この方針についての小泉大臣の評価、そして、この方針を引き継がれるお考えがあるのか、また、日本では生まれていないものの、幼児期に日本に渡り、日本の教育を受けてきた子供たちについても同様の配慮が必要であると思いますが、こうした点について、小泉大臣にお尋ねいたします。

小泉国務大臣 齋藤大臣が示されました子供の在留特別許可に係る方針、これは適正な出入国管理行政を維持しつつ、でき得る限り子供の保護を図るというバランスを実現したものと考えております。齋藤大臣の考えをしっかり引き継いで、適切に在留特別許可の許否判断をしていきたいと考えております。なお、方針の対象となる子供や親に対しては、地方入管から連絡するなどして作業を進めているところでありまして、既に在留特別許可をした御家族もいらっしゃいます。

 また、御指摘の我が国で生まれていない子供については、今回の方針の対象とはならないわけでありますけれども、現行の在留特別許可の許否判断においても、相当期間、我が国の小学校、中学校又は高校に在学しているということは積極的に評価をする要素になっているわけでありまして、個別の事案ごとに、その点も含め、諸般の事情を総合的に勘案して在留特別許可の許否を適切に判断してまいりたいと思います。

日下委員 非常に積極的、前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 次に、再犯防止について大臣に伺います。

 公明党は、これまでも歴代の法務大臣に、再犯防止対策の充実強化を求める提言を申し入れてまいりました。満期出所者に対する就労や住居の確保、訪問支援事業の拡充、社会復帰を支える保護司への支援強化など、出所者が地域の中で安定した生活を営めるよう、十分な予算を確保し、息の長い支援を是非進めていただきたいと思います。

 九月十三日に法務大臣にあった総理からの具体的な指示の一つに、刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰について言及があったことを受けまして、再犯防止施策の推進に向けた法務大臣の意気込み、御決意を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 所信でも申し上げましたとおり、刑法犯の検挙者の約半数が再犯者だという状況が続いております。全体の犯罪者数は減少する中で、その比率は動かない。いろいろなことをやってきたわけですが、だけれども、その比率が動かない。非常に私も違和感を持ちました。何とかできるんじゃないか、何とかしなきゃいけないという思いを持ちました。

 そして、この第二次再犯防止推進計画をそういう思いの中で進めていくわけでありますが、今委員がおっしゃったように、就労、あるいは住居、あるいは保健医療、福祉、こういう、法務行政の本体ではないのですが、そこに接する様々な行政分野と連携を取ること、形だけじゃなくて、言葉だけじゃなくて、本当に連携を取ること、そこへ降りていって現場でしっかり連携を取ること、そこで救われる人がいる、そういう思いを強くしています。

 そのためには、更に現場に足を運んで、大勢の方のお話をよく聞いて、先生方の御意見もよく踏まえて、しっかりとこれを実現させるための取組を何としてもやりたい。約半数が戻ってこられてしまう、これを何とかしたい、そういう思いは強く持っております。

日下委員 ありがとうございます。本当に、地域、現場、非常に大切になると思いますので、しっかり協力して進めてまいりたいというふうに思います。

 次に、犯罪をした者等の社会復帰に携わる民間協力者である保護司に関してお尋ねいたします。

 保護司のなり手不足、高齢化等を踏まえ、第二次再犯防止計画において、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向けた検討会が本年五月に設置されており、議論の内容も公開されております。

 保護司の待遇や活動環境、推薦、委嘱の手順、年齢条件及び職務内容の在り方など、様々に関係者、有識者によって検討が進んでいると承知しておりますが、今後の検討スケジュールや見えてきた主な課題などについてお尋ねしたいと思います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、本年五月十七日に、法務大臣決定として、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会を設置し、検討を進めているところです。

 本検討会における主な論点は、第二次再犯防止推進計画に例示された、推薦、委嘱の手順、年齢条件、職務内容の在り方、保護観察官との協働態勢の強化、待遇、活動環境に加えて、これら実務的な論点を横断的に貫くものとして、保護司の使命についても新たな論点としました。

 これまでの検討会においては、例えば、推薦、委嘱の手順における公募制の導入については、保護司活動インターンシップ、保護司セミナーや地方公共団体の広報誌等を通じた広報、周知により保護司候補者を募集する公募の取組を試行してはどうかといった議論がありました。

 また、待遇における報酬制の導入については、報酬制にすると保護司活動が労働として捉えられることとなり適当ではないなどの意見や、幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには報酬制の導入に向けた門戸を閉ざすべきではないなどの意見がありました。

 このほか、いわゆる現役世代が早い時期からできるだけ長く保護司活動を継続していくことが重要であることから、仕事をしながらでも保護司活動が可能となるような環境の整備に努めるべきとの議論がありました。

 今後の検討スケジュールとしましては、本年度中に中間取りまとめを行い、来年秋頃を目指して一定の結論を得たいと考えております。検討会の論点には簡単に答えの出せない非常に難しいテーマもございますので、引き続き、多くの保護司の御意見も伺いながら、丁寧に議論を進めてまいりたいと考えております。

日下委員 ありがとうございます。しっかりと来年の秋に向けて進めていただきたいというふうに思います。

 次に、技能実習制度、特定技能制度の見直しについてお伺いします。

 当初、外国人技能実習制度は、国際貢献のため、開発途上国等の外国人を我が国で最長五年間受け入れ、OJTを通じて技術を移転する制度として平成五年に創設されました。しかし、実態は、国内の労働力不足が深刻化する中で、低賃金労働者の確保に利用され、一部、人権侵害行為が発生しているとの問題点も指摘されてまいりました。

 現在、特定技能制度も含めた両制度の見直しを検討する有識者会議において最終報告書の詰めの作業に入っていると思いますが、両制度に対する小泉大臣の現状認識及び今後の在り方、そして法案提出時期についての御見解を伺います。

小泉国務大臣 技能実習制度及び特定技能制度につきましては、技能実習制度の本来の制度趣旨と、同制度が人手不足分野における人材確保として活用されてきたという実態の乖離、これが指摘されてまいりました。

 また、技能実習生に対する人権侵害も指摘され、また、監理団体や登録支援機関の指導監督や支援体制が不十分だという指摘、高額な借金を負う技能実習生の失踪など、様々な問題点がかねてより指摘されてきているところでございます。

 こうした問題を含めて、有識者会議で検討が進められて、間もなく最終報告書の取りまとめが行われる、その一つ手前、たたき台までたどり着いたところでございます。

 十月十八日に有識者会議で提示されましたたたき台では、新たな制度の趣旨、目的を踏まえた転籍の要件、技能実習生の来日前の手数料の負担軽減策、監理団体の独立性、中立性の確保など、外国人の人権に配慮しながら人材確保と人材育成を行っていくという新たな制度の方向性が示されておりまして、現在も、最終取りまとめに向けて引き続き議論が行われているところでございます。

 最終報告書までまとめることができれば、その先へ進んでいく、法案作成を目指して進んでいくということになりますが、まだ具体的なスケジュールについて私から申し上げる立場ではありませんので、実りある議論をまずは期待したいと思います。

日下委員 ありがとうございます。

 この制度、大変重要な、これからの日本の産業がどうなっていくのかということまで決定してしまうような大きな制度でございますので、しっかりと議論を尽くして、いいものをつくっていきたいというふうに思います。

 今、この実習制度、監理団体から実習実施者に実習生をあっせんし監理するという形式が大半であると思います。労務管理という観点では、監理団体がその責任を負う形になります。それを技能実習機構が指導監督するという仕組みであると認識しております。

 実習実施者は、監理団体から見ると、ある意味、大切な取引先、お客様というか、そういう関係でございまして、また、実施者が監理団体の役員を兼務している場合もございます。監理が行き届くのか疑問が残ります。

 新制度では、人材確保、育成を目的とし、職種の分野もそろえ、特定技能へとつなげていくとの方針であると伺っています。これまで以上に外国人材の数も増えると思います。いよいよ労務管理、労働環境の整備が重要になると思います。私は、場合によっては、社会保険労務士のような専門家、第三者が関与し、客観的で適正な雇用、育成が図られるよう工夫すべきではないかと思うのですが、法務省の御認識を伺います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな制度の下での監理団体につきましては、有識者会議におきましては、受入れ機関と密接な関係を有する監理団体の役職員の監理への関与の制限や外部者による監視の強化、外国語による相談対応体制の確保など、監理団体の許可要件の厳格化を求める意見が示され、これらによって監理団体の独立性、中立性を強化すべきとの議論がなされているものと承知しております。また、一部の委員から、社会保険労務士、弁護士などを外部監査人として選任すべきなどの意見も出されているところでございます。

 いずれにしましても、政府としましては、今後取りまとめられる最終報告書も踏まえ、関係省庁とも連携の上、具体的な制度設計に取り組んでまいります。

日下委員 時間も少なくなってきましたので、ちょっと次の質問を飛ばさせていただきまして、もう一つ先の質問に飛ばさせていただきます。

 一つは、所有者不明土地問題、相続登記の申請義務化に関して、そういった状況を捉えて、無資格で登記参入をする事業者も現れているというふうに伺っている、そういう案件でございますが、今後、生成AIを含めIT技術の急速な発展は、高度な専門資格を必要とする士業にも影響が及ぶものと感じます。

 今回は司法書士業務についてお伺いしますが、代理申請業務を行う場合、個々に状況や相手が異なる人や法人の権利を守るためには、IT技術の欠点を補い、そうした技術を適正に活用できる専門知識や経験を有する者がそれを担うということが欠かせないと思います。

 国民の消費者被害の防止の観点から、有資格者と無資格者をどのように線引きし、適正な業務を担保していくのか、法務省の御所見をお伺いいたします。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 司法書士は、登記に関する手続等をその業務として行う資格者でありまして、司法書士等の資格を有しない者は、登記に関する手続等を業務として行うことはできません。これは、AIを使っても同じことであります。

 したがいまして、一般論として言えば、無資格者が司法書士の業務を行った場合には、司法書士法第七十三条第一項に違反するおそれがあるものと考えられます。

 法務省といたしましては、今後とも、様々な事業者により提供されるサービスの内容ですとか事業活動の実態を注視し、司法書士でない者が司法書士の業務を行うなど、司法書士法に違反する行為を認知した場合には、関係機関等と協力して適切に対処してまいりたいと考えております。

日下委員 時間も参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介と申します。

 大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最近、パレスチナ紛争が始まったことで、報道で見る機会も減っているウクライナでございますけれども、御案内のように戦闘は続いていて、今月に入ってからも、ザポリージャの式典にミサイルが飛んできて三十人近くが亡くなったりと、かなり泥沼化しているという様相を呈しております。

 そんな中で、御案内のように、今、二千人規模でウクライナ避難民が日本にいらっしゃる。間もなく二年で、毎月八万円を日本財団が支援を続けていて、この日本財団を中心に、ウクライナ避難民支援というのは、ここまではうまく回ってきていたと思うんですね。

 ただ、彼らのところにも、いろいろお話を聞くと、来年の二月で最初の方に申し込んだ人たちについては打切りを、これ以上支援ができませんよといったメールが来始めているということなんですね。そのほかの人たちについても大体四月ぐらい、遅くても五月ぐらいにはほぼ全て支援が終わる、そういった状況がほとんどであるという状況になっています。

 未曽有の事態に岸田総理大臣が全面受入れを決断して、それに努力を重ねられてきた法務省の皆様の御努力においては、心から敬意を表したいと思います。

 しかしながら、二年たって、日本財団の支援終了が間近に迫った今、日本として、初めてこのような形で支援した形になると思うんですけれども、全体の在り方については、やはり検証する必要があるのではないかなと思っております。

 残念ながら、世界で戦火が消されることはなくて、今もパレスチナで新しい戦争が始まってしまっています。人権国家として尊敬される日本であるために、今回蓄積された知見を次に生かすべきだと考えております。

 今日は、そうして日本に避難されてきたウクライナ人の皆さんの立場、仕事、展望などについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、先ほど日下委員の方からも質問ありましたけれども、彼らの身分について教えてください。

 短期滞在で受け入れて、特定活動に更新という形でやってきましたけれども、この先不安なのは、戦争が続くということでございますけれども、今後、この特定活動の在留資格についてはどのように扱っていく御予定でしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナから我が国に避難してきた方々には、本国情勢などを踏まえ、個々に置かれた状況等にも配慮しながら、その希望等に応じ、特定活動一年での在留を認め、ウクライナ情勢が改善しないと認められる間は、申請があれば在留期間の更新を認めることとしております。

 もっとも、これはあくまでも法務大臣の裁量による措置であり、真に保護を必要とする方々をより確実に保護するためには、それに適した制度を設けることが望ましいことから、難民条約上の難民に該当しないが、紛争避難民等の人道上真に保護すべき方々をより確実かつ早期に保護すべく、補完的保護対象者の認定制度を設けたところでございます。

 補完的保護対象者に該当するか否かは、申請者ごとにその申請内容を審査した上で個別に認定すべきものではございますが、一般論としては、ウクライナ避難民のように、戦争、内戦等に巻き込まれて命を落とすおそれがあるなど、迫害を受けるおそれがある者のその理由が人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見という難民条約上の五つの事由には必ずしも該当しない方は、補完的保護対象者に当たると考えられます。

 入管法等改正法が施行される本年十二月一日以降、ウクライナ避難民の方々が補完的保護対象者の認定申請をしてその認定を受けた場合には、原則として定住者の在留資格を付与され、より安定的に我が国に在留することが可能となります。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 期間なんですけれども、どれぐらいを想定されていますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 補完的保護対象者と認定した場合の定住者の在留期間としましては、原則として五年ということで予定しております。

鈴木(庸)委員 定住者を受けると、基本的にどんな仕事でもできるようになるわけであります。その状態で五年間という長期の身分保障があるというのは、世界的にも例がないなというのを私もいろいろ調べているんですけれども。こういった制度については今後いろいろなところから賛否もあると思うんですけれども、ただ、二千人という、比較的人数が少ないからできるんだろうという、そういった指摘もあるようですけれども、私は、来年の四月には暫定措置を終えようとしているEUと比べても大分踏み込んでいるなというのが、率直な印象として持っております。

 これによってどのような変化が起きるのかというところについても、今日は質問をさせていただきたいと思います。

 二年たって見えてきているのは、日本に来たウクライナ人二千人の皆さんも、おおむね三種類に分かれてきているなと思います。帰りたい人、残る人、そして残りたいけれども帰らざるを得ない人なんですね。

 一つ目のグループの帰りたい人なんですけれども、これは、日本財団の支援が終了次第、国に帰って日常生活に戻りたいという人になります。

 ウクライナ中央銀行の試算で、去年の失業率が二一・一%なんですね、僅か。今年の試算が一八・三で、来年は一六・五と減っていくんですね。この状況で意外に低いなと思っていろいろ調べてみると、実際、現地で働いている人に聞いてみると、例えば、給料を半分にしていいから会社に取りあえず籍を残している人、こういう人は、今、実際、日本にいる二千人のうちのかなりの人が、ウクライナの企業に籍を残したまま来ている方もかなりいらっしゃるんですね。あとは、取りあえず給料を半分にしてもいいという人とか、あと、勤務を週二回だけにしている人、それで、取りあえず籍を残している人。

 また、雇用統計の取り方も若干違うので一概には言えないんですけれども、これから、各国からの支援体制、援助体制の強化というのもこの失業率の改善に寄与していると、キエフ・ポストという現地の新聞は報じております。

 また、先日は、ウクライナ復興会議で六百億ドル相当のお金が今度復興に充てられるということが発表されましたけれども、つまり、大変厳しい状況で戦争は続きますけれども、まだ希望の明かりは残っているから日常を失いたくない、私も大変身につまされる話ですけれども、こうした人たちは、戦争の状況にもよりますけれども、春先に早々に帰国する、相当な数が減るのは間違いないかなと思っております。

 次のグループ。これはもうこちらで完全に仕事を見つけた人たち。あと、日本で共に生きていく人を見つけた人とか。まあ、日本の給料も安いんですけれども、それでもまだウクライナ人よりは高いということで、こういった人たちについては、特に政府が支援しなくても、もう自立して生きているなという方を結構散見されるようになりました。

 私が今日伺いたいことの中心に据えたいのは、第三のグループなんですね。日本に残る意思があるけれども、正社員になりたいけれども、日本語は下手だ。アルバイトのような仕事を結構見つけている人はいます。どういう仕事かというと、ホテルのフロントや客室清掃、倉庫管理といった、あとはお総菜ですよね、お弁当にお総菜を載せたり、そういった仕事を見つけている方が結構いらっしゃいます。こうした皆さんは、大体、収入が月に七万から八万ぐらいのレンジに入ってくるんですね。

 言い方を変えれば、今自治体から、東京都もそうですけれども、家とかを提供してもらって、家賃を免除してもらってようやく生活ができているというような方がほとんどで、学校に通いながら、資格外活動許可を取って二十八時間の枠で働いているという方も結構いらっしゃるんですけれども、逆に言えば、こういう人たちを何とか生かしていくことによって、日本の人手不足の解消の鍵があると私は考えております。

 公共住宅の提供とか、国が把握している範囲で結構ですので、二年たって、今の段階でまだどんな申出があるのか、教えていただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 本年十一月六日時点におきまして、地方自治体や民間団体等からウクライナ避難民の方々に対し、累計でございますが、千九百三十一件の支援申出をいただいているところでございます。

 その内容としましては、公営住宅等の住居の提供、就労機会の提供、就学支援、日本語教育機会の提供、衣服、食料、物資などの提供などがございます。

鈴木(庸)委員 そうなんですね。国というより各自治体の対応になってくると思うんですけれども、公共住宅をもう少し長く提供することで残れる人、働ける人がもうちょっと増えてくるなというのが見えておりますので、是非御検討いただきたいというところがございます。

 また、皆さん、例外なく言うのは、お掃除の仕事でもお総菜の盛りつけの仕事でも、それなりに日本語ができない段階で、全然働かせてくれないんです、働きたいんだけれども働けないんですというお話をかなりいただいております。

 先ほどの日下委員の質問ともちょっとかぶってしまうんですけれども、こうした人たちの日本語教育といった、補完的保護対象者になった人たちに対してはどういったサポートプランがあるのかを御説明いただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 難民と補完的保護対象者の差異は、迫害を受けるおそれがある理由が難民条約上の五つの理由であるか否かのみであり、要保護性は変わらないことから、補完的保護対象者に対しては難民と同様の保護を与えることが相当と考えております。

 そのため、補完的保護対象者に対する支援につきましては、難民への定住支援事業と同程度の内容とする予定でございます。具体的には、五百七十二時限の日本語教育や百二十時限の生活ガイダンスを受講できる六か月間の定住支援プログラムを行うなど、日本での自立促進に向けた支援を行うことを予定しております。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 昨日、質問取りのときも省庁の方とお話しさせていただいたんですけれども、五百七十二というと、何とかしゃべれるようになるかなというところ、教育のクオリティーにも関係してくると思うんですけれども、何とかしゃべれるようになれば何とか働ける人も増えると思いますので、是非、この教育をしっかり進めていただければとお願いを申し上げます。そうなんですね、やはり教育、日本語教育が結局大事になってきてしまう。

 同じような状況というのはヨーロッパでも起きております。本来、ヨーロッパにばあっとウクライナ人の皆さんが行ったときは、御案内のように、労働力不足からインフレが続いていたヨーロッパで、問題解決のチャンスになるんじゃないかと各国は実は最初は期待していたんですね。ウクライナ人労働者が入ってくれば、インフレで経済成長が妨げられていた国が、インフレが収まるんじゃないかと。

 だったんですけれども、多くのウクライナ人の皆さんが子連れでいらしたので、託児施設が足りなかったり、あと、EU諸国以外での学位や専門資格が認定されにくかったりとか、またさらに、東部の人は自分の学位とか資格を証明する必要な書類が全部なくなってしまった、こういった障害が起きてしまいまして、結局、人員不足は埋まらないままとなっています。

 皆さん、自分のスキルや教育水準に合わない仕事というのを続けざるを得なくなっていて、先ほど申し上げましたように、来年の四月には受入れの暫定措置も終わりますので、雇用する側にとっても、いつ帰るか分からない人たちを雇用し続けるのも大変難しいということになっています。

 これが、労働力をウクライナ労働者で解消しようとしたEUの政策にちょっと影を落としているんですけれども、日本は、こうしたEUが苦しんでいる事柄を反面教師にしながら、是非いいところを吸収していっていただければいいなと思っております。

 今申し上げたように、ウクライナに限らないで、今後、世界で戦争が起きて、日本に避難してきた人たち、補完的保護対象者の皆さんが自分の持っている資格とかで日本でも生かせることができれば、仕事を見つけやすいと思うんですけれども、ここは法務委員会なので、法務省に関連した資格について伺いますけれども、例えば、ウクライナの法曹資格を持っている人でも日本で弁護士活動はできるんでしょうか。

坂本政府参考人 我が国では、弁護士法の規定により、原則として、外国において弁護士となる資格を有する者であっても、我が国の弁護士と同様に報酬を得る目的で法律事務の取扱いを業とすることはできません。

 他方で、外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律の規定により、外国において弁護士となる資格を有する者が法務大臣の承認を受け、かつ日本弁護士連合会の名簿に登録を受けた場合には、外国法事務弁護士として一定の外国法に関する法律事務を取り扱うことができるとされております。

 したがいまして、一般論として申し上げますと、ウクライナ避難民の方につきましても、同法上、我が国の弁護士に相当する外国弁護士の資格を有している者が法務大臣の承認を受け、かつ日本弁護士連合会の名簿に登録を受けた場合には、我が国で外国法事務弁護士として活動することができることとなります。

 以上でございます。

鈴木(庸)委員 そうなんですよね、できるんですよね。

 今、法務委員会なので弁護士資格についてお伺いさせていただいたんですけれども、EUのように、ほかの国で取った資格を自国で使えるようにするといった柔軟な運用というのは、結果的に質の高い労働人口を増やすことにつながるなと思っておりまして、それぞれの省庁さんが所轄するいろいろな資格があると思うんですけれども、是非、それが日本で生かせるなら周知するというPR活動も避難民の皆さんに行っていただければなと思っております。

 ウクライナの例に限らず、本当に東京でよく見るのは、ほかの国でかなり収入の高い仕事をやっていたんですけれども、日本では最低賃金近くの仕事でも、それでも給料がその国よりは高いということで、ミスマッチな仕事を続けている人が多く見えるので、ウクライナ避難民に限らず、いろいろな外国人にそんなこともできるんだよということを周知していただけるといいのかなと思っております。

 またちょっとウクライナの労働市場の話に戻らせていただくんですけれども、ロイターの報道ベースなんですけれども、OECDのシンクタンクが、難民として最も新しいウクライナからの流入組をうまく社会に統合できれば、ヨーロッパの労働人口は〇・五%増大する、インフレの主因とされる労働力不足の緩和にもつながる可能性があるということなんですね。

 ただ、その一方で、ドイツ、ヨーロッパ随一の経済大国ですけれども、一番ウクライナ避難民を受け入れているのもドイツですけれども、求人件数は第二次世界大戦以降で最高の水準になってしまっております。数でいうと、これまで就職にこぎ着けた避難民は、何と五人に一人に満たないという状況が続いているんですね。日本についても、私の肌感覚ですけれども、五人に一人いるかな、どうかなというところでございます。

 ですから、ドイツも、むしろ短期の就労を諦めてドイツ語研修に今すごく力を入れて、ある程度ドイツ語ができないと滞在の条件が悪くなってくるみたいなことも始めているんですけれども、先ほど申し上げたように、日本の補完的保護対象者は五年という極めて各国的に見ても異例のケースだと思いますので、中長期でしっかり日本語教育をして、日本の労働力として吸収していくという成功例ができればいいと考えております。

 EUでもそうですけれども、暫定保護措置の終了は、ウクライナ難民がその後も在留できるかどうかを読めないから、難民を採用したいと考える雇用主の皆様を大変厳しい状況に置いているということもありますので、長期で滞在することを認めることで、これから日本でも、難民や避難民の皆さんだけじゃなくて、雇用する側にとっても大きな障害が取り除かれるなと思っております。

 補完的保護対象者の人たちを日本社会に吸収していく作業というのは、当然、生活支援を中心に、厚労省とかも巻き込む大変な作業にはなると思うんですけれども、ここは是非、EUに先駆けて、日本が腹をくくっているという、ある意味で長期で日本に残ってもよいという今回のメッセージの発信は、少なからずほかの国にも影響を与えるのではないかなと思っておりますので、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら、是非、法務省の皆さんには、停滞している日本を元気にする政策をつくっていただければと思います。

 その一方で、残念ながら、ウクライナ支援には、うまくいかなかったところについても検証するべきであると思います。

 例えば、外国人在留支援センターの作った避難民情報登録サイト、簡単な概要と現在の登録者数を教えていただけますでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナ避難民情報登録サイトにつきましては、ウクライナ避難民の方々に対し、国や地方公共団体などの支援情報を迅速に提供することなどを目的としまして、令和四年五月十四日に開設したところでございます。

 これまで、入管庁で、登録いただいた情報を基に、ウクライナ避難民の方々に対し、各種行政手続、日本語教育などに関する情報をメールなどで提供しております。

 本年十一月六日時点におきまして二千百一人のウクライナ避難民の方々が本邦に在留しておられますが、同日時点のウクライナ避難民情報登録サイトの登録件数は千七百五十九件となってございます。

鈴木(庸)委員 何か、千七百五十九件というと、僕が皆さんから聞いている話と全く違うんですけれども、まあ、いいでしょう。

 とにかく、ウクライナも、国内で今、戦争で作ったアプリを今海外に一生懸命売り込んだりしているんですね。失敗は失敗として反省していただきながら、日本も避難民受入れに頑張っていただきたいと思います。

 二〇三〇年代半ばに最低賃金千五百円というお話がありましたけれども、その頃には各国の賃金は数倍になって、特に勤勉な日本人は各国の出稼ぎ労働者獲得の草刈り場になってしまうんじゃないかと、私は大変危惧をしております。そんな中で、あえて日本にいてくれようとしてくださっているこの二千人程度の人たちに様々な政策を届けて、トライ・アンド・エラーを繰り返すというのは理にかなっておると思いますので、頑張っていただければと思います。

 次に、高度外国人人材の受入れに係るJ―Skip制度について伺います。

 まず、この制度の概要について教えてください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 特別高度人材制度につきましては、契約の相手方である本邦の公私の機関等から受ける報酬の年額の合計が、高度学術研究活動又は高度専門・技術活動をする者は二千万円以上、特に、また、高度学術研究活動であれば大学院卒業以上であるというような要件、また、高度経営・管理活動をする方については四千万円以上の収入があるといった要件などがございまして、この方たちに高度専門職の在留資格を付与し、また、様々な入管上の優遇措置というのを措置しているところの仕組みでございます。

鈴木(庸)委員 それで、この特別高度人材は、高度外国人人材の来日を促進することを目的に創設されたと理解するんですけれども、収入要件が二千万円若しくは四千万円がメインとなっていますよね。

 高度人材のQアンドAを見ると、転勤という形態であれば、この収入要件に海外における収入を算入できるということになっているわけですよ。ですから、理論上は、日本における収入を少なく設定して、ほとんど日本に納税することなく、一年程度で永住権を取得することができるということになりますよね。

 現在、多くの外国人がこの特別高度人材に注目しているわけですけれども、際限なく海外における収入、これを算入することができるようになってしまったら、日本の国益に資するんでしょうか。本当に大きな疑問を持ちます。

 伺いたいのは、日本での納税実態がほぼない申請者が永住権の取得後も納税先を海外に設定し続ける場合に、日本の社会インフラを使うわけですよね、国内で納税しながら永住権取得を一生懸命目指している外国人との公平性についてはどう考えますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁のホームページ等を確認したところ、居住者については、原則として日本国内及び国外において稼得した所得が課税対象となるというふうに承知しているところでございます。

 また、御質問の件でございますが、特別高度人材を含め本邦に在留する外国人が永住者の在留資格への変更許可を受けるためには、その者が納税などの公的義務を適正に履行していることなどの要件を設けておりまして、そこに適合する必要がございます。

鈴木(庸)委員 というと、前年度の納税を海外でしている場合は、今年度の納税、要は二年間を見て資格を与える、そういう理解になるんでしょうか。それとも、前年度を海外で納税して、例えば中国で一億円納税しています、その資料をこっちに持ってくれば永住権が取れてしまう、そういったような理解にも見えてしまうんですけれども、この場合、どういう整理でよろしいんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の永住許可を認めるかどうかということにつきましては、当然、我が国の国益に合致するかどうかを判断いたしますので、当然現時点でいろいろなお仕事もされ、収入がある、また、今後もそのような安定した収入が見込まれるというようなことも含めて判断するところでございます。

鈴木(庸)委員 ごめんなさい、ちょっと言っていることが分からないんですけれども、要は、認めるんですよね、海外の収入を。要は、去年の海外の一億円なり、十億円でも幾らでもいいんですけれども、海外に納税している、つまり、日本に納税がないけれども、その海外の納税をもって日本で永住権を取れる、そういうことになってしまいますよねということでよろしいんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件でございますが、外国の会社等から転勤によって日本の会社等に受け入れられる場合で、報酬が海外の会社等から支払われる場合には、外国の会社等から支払われる報酬が、ポイント計算において報酬に含めているところでございますので、納税状況につきまして、特によく実態を確認しながら判断することになります。

鈴木(庸)委員 ですから、そうなんですよ。海外で払っていても結局永住権を取れてしまう可能性があるということで、著しい不公平を示すのではないかなと私は思っております。

 今後も、永住権を取得するにもかかわらず、主な納税先が日本でなくてもいいのかというのは、これは大きな問題だと思うんですけれども、永住権を取得するというのは、この国の持つインフラを使う、この国の持つ制度を使う、この国で当然のことながら税金の利益を受けるわけですから、この国で払っていなくちゃいけないと思うんですけれども、余りここでしつこく言ってもなかなか制度がすぐに変わるということではないと思うんですけれども、海外で納税している人たちがすぐに日本で永住権を取れるような、こういったむちゃくちゃな仕組みというのは是非是非、改正も含めて検討していただきたいと思っております。よろしくお願い申し上げます。

 最後、パレスチナ人について確認をさせてください。

 今、パレスチナ人の皆さん、日本に何人いて、国ではないという彼らのステータスはどのような形になっているんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年、昨年末現在のパレスチナ人の在留者数は八十六人でございます。

 また、入管法上、国籍・地域というような形で整理しておりまして、パレスチナの方は、地域に当たるという整理をしております。

鈴木(庸)委員 それで、その国籍国というその補完的保護対象者の定義に当てはまらない彼らが、今後日本に滞在を希望したときには、当然それぞれのケースでという御回答にはなると思うんですけれども、可能性として、補完的保護対象者と認められることはあるんでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘ございましたとおり、パレスチナ人の方々につきましても、個別に申請をしていただいた上で、難民の要件のうち迫害を受けるおそれのある理由が人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見という難民条約上の五つの理由であること以外の全ての要件を満たすものと認められれば、補完的保護対象者として保護することとなります。

鈴木(庸)委員 ありがとうございました。

 とにかく、すぐにウクライナ人にしてもパレスチナ人にしても帰されることはないということが確認できましたし、制度全体としては、是非、うまくいく制度だなと思うので、頑張っていただければと思います。

 これで質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

武部委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党、衆議院議員の山田勝彦でございます。

 小泉大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、技能実習生の制度改革についてです。

 日本は、農業、介護、建設など、あらゆる分野で深刻な人手不足です。少子高齢化が加速する日本の経済社会において、外国人の方々の労働力は絶対に不可欠でございます。

 そのような中、有識者会議からの提言も踏まえ、政府は、現行の技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新制度の創設という大きな方向性を示されました。有識者会議は、今後具体的な制度設計について議論をし、今年秋をめどに最終報告が取りまとめられるという状況です。

 もう時代は変わり、発展途上国の外国人の方へ日本の技能を伝えるといった、そういった国際貢献を目的とした制度は今の現場の実態とは余りにもかけ離れている。こういった制度矛盾が解消されるということは、あるべき制度改革だと思っております。

 私たちの国が外国人の方々に選ばれる国であるために、様々な課題が現場にあります。

 私自身、今年七月、地元長崎県の農家さんを訪ねて、そこで働くベトナム人の技能実習生の皆さんから直接話を伺うことができました。今の日本の制度で変えてほしい点はありますかと尋ねたところ、ベトナムの私の友達は本当はもっとたくさん日本に来たいと思っている、しかし、最初に百万円くらいのお金が必要で、そのお金がなくて日本に来れないと。これこそ、まさに当事者の生の声ではないでしょうか。

 大きな借金を抱えて日本に来る実習生、また、その借金もできずに日本に来たくても来れない外国人の方々が多数存在しています。まず、最初の入口であるこのハードルを解消していかなければなりません。政府はどのような対策を行うのでしょうか。大臣、お聞かせください。

小泉国務大臣 御指摘の点でありますけれども、入管庁が昨年七月に公表しました技能実習生の支払い費用に関する実態調査によれば、技能実習生が母国で借金を抱えて来日するケースが一部に存在するということが明らかになりました。不当に高額な手数料を徴収するなどの不適正な送り出し機関等については、確実に制度から排除しなければならないと考えております。

 そのために、技能実習制度においては、現在、十四か国と二国間取決めを作成しておりまして、不適正な事案を把握した場合には、この枠組みを通じて、相手国に通報して調査を依頼し、その結果に基づき、送り出し機関への指導や認定取消し等を求めているところであります。

 そして、御指摘のように、有識者会議でも議論が重ねられております。様々な論点がありますけれども、外国人の負担の軽減を図るという観点からは、送り出し機関に支払う手数料を受入れ機関と外国人が適切に分担する仕組みを導入するなど、これが最終報告書のたたき台に掲げられておりまして、これを基に更に議論を進めていく、間もなく取りまとめが行われる、そういう状況でございます。

山田(勝)委員 資料一を御覧ください。これは、実際に、今大臣からもあったとおり、政府がアンケート、当事者の方々の実態調査を行っているということです。実に、送り出し機関に、日本に来る前に平均五十四万円も支払っている。相手国の送り出し機関と日本の監理団体と、本来、直接契約であるべきですよね。しかし、仲介者に費用を払っているケースが多数存在している、これがいわゆるブローカーの正体かと思われます。

 この場合、ベトナム人の方々は、送り出し機関に六十万円以上、さらに、こういったブローカーに四十万円以上、つまり百万円以上支払っているということになってしまいます。こういった仲介手数料を不当に取っている業者への取締り強化、これが大変重要な制度改革だと思っております。

 改めて、このブローカー対策、どのように行うのかお聞かせください。

小泉国務大臣 先ほどの答弁とちょっと重なりますが、技能実習制度において、十四か国との間で二国間取決めを作っております。そこにブローカーの勧誘という問題が出てきますけれども、不当に高額な手数料等を徴収するなど不適正な事案を日本側が把握した場合には、この枠組みを通じて、相手国政府に通報して調査を依頼し、その結果に基づき、指導や送り出し機関の認定取消し等を求めております。

 私も、関係各国の大使とできる限り面会をして、この問題を指摘し、協力を依頼をしているところでございます。各大使の認識も大変深いものがあります。状況を憂慮されている方も大勢いるわけでありまして、そうした各レベルで連携を取りながら、この二国間のスキームを十分に生かしたいというのが一点です。

 もう一点は、国内において、この制度を共管する厚生労働省や外国人技能実習機構との連携、国内での連携、これも強化する必要があると思っておりまして、相手国政府との協力関係をより緊密にし、不適正事案に対して厳正に、こうした関係機関と協力関係を深め、相手国政府とも協力関係を深め、一層密に不適正事案に対して厳正に対処していきたいと思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 外国人の方々から日本を選んでもらうためには、やはりこういった初期費用、また不要な支出、こういったことを抑えていかなければなりません。不正業者の排除、これは徹底して行っていただくよう改めてお願い申し上げます。

 書面アンケートへの取組、大変すばらしいことだと思います。私自身も直接話を聞いて感じたんですけれども、恐らくそのベトナム人の方々はブローカーなりに払っている可能性が高いなと思ったんです。書面だけで聞き取るんじゃなくて、例えば、書面アンケートに協力いただいた方々には個別にヒアリングをして、実際にどういった経緯で、どんな業者にそういった仲介手数料を払っていたのか、こういう追跡調査も有効ではないかなと思いますので、是非御検討いただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 昨年七月に公表した実態調査、それを更に深掘りをする、御本人まで到達するような形で情報を取る、確かに御指摘は一理、一理以上あると思います。大変大きな御示唆だと思いますので、実行できるかどうか適切に検討したいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 そして、もう一つ、そういった実習生の方々の負担ということからいうと、初期投資だけじゃなくて毎月毎月の監理費、こういったことも大変重くのしかかってきます。

 実際に、受入先企業の複数の経営者の方々から話を伺いました。本来であれば時給千五百円くらい支給している。しかし、実際には最賃くらいの時給になってしまうんだという話を聞いて、その理由を尋ねました。住環境、こういった初期投資を自分たちで行っているだけではなくて、毎月、監理費として一人当たり二万円払っている。また、別の経営者の方からは、監理費を三万円払っていると。こういった受入れ企業にとって、監理団体がその監理費をどのように使っているのかというのも不透明である、せめて半額ぐらいの水準になれば、実習生に対して、外国人の方々の日本での住環境をより充実させることができて、仕事のモチベーションが上がるんじゃないかという現場の御指摘をいただきました。

 つまり、日本人の方であれば社会保険料と給与、それに、外国人であればプラス監理費ということが加わってくるわけです。これはどうしても、企業経営者の方々にとっては、そういった外国人の労働者に対する賃金に影響するのは当然の話になってきます。

 こういった監理費、ばらつきがあるということも問題だと思っています。

 資料二に示してあるとおり、こちらもアンケートから、平均的な、毎月の監理費という平均値も算定されています。こういったことを踏まえても、国の方で単価を設定していくとか、また、技能実習生の処遇改善のために、こういった初期投資や毎月の監理費を全て受入れ企業に持たせるんじゃなくて、公的に支援していく仕組みが必要ではないでしょうか。

小泉国務大臣 技能実習法令上、監理団体は、実習実施者から、実費に限って、主務省令で定められた適正な種類及び額の監理費を、あらかじめ用途及び金額を明示した上で徴収することができるとされており、当該費用を技能実習生に直接又は間接的に負担させてはならない、ここだと思いますよね、先生が、委員がおっしゃるのは、ここに大きな問題があるのではないかという御指摘だと思います。

 こうした仕組みを実効あるものとするために、監理団体に対して年一回の頻度で実地調査を実施をしております。

 また、監理団体が保管する書類等を点検するなどして、監理団体が監理費をあらかじめ明示している、あるいは徴収される費用が実費の範囲内であるということを確認するなど、適正な運用が確保されるようしっかりと対応しているところでございますが、有識者会議での議論もやはりここに及んでおります。

 有識者会議の最終案の一つ手前のたたき台の段階では、こうした悪質な、適正ではない、適切ではない団体を排除するために、監理団体の許可要件等の厳格化も必要ではないかという議論が出されまして、そうした方向を向いて今議論が進められているところであります。

 しっかりその議論の経緯も踏まえながら、今後、我々ができることについての検討を適切に進めたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 受入先企業の負担を軽減するための公的支援はいかがでしょうか。

小泉国務大臣 その御議論、通告をいただいていろいろ調べたんですが、まだその裾野が広がっている状況ではないと思います。先生の御指摘もよく念頭に置いて、様々な方面からまた意見をよく徴して、そして検討したいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 多額の借金を抱えて日本にまず来る、最低賃金レベルの給与から借金返済を強いられて生活苦に陥っていく、そして、生きるために、より稼げる環境を求めて逃げ出してしまう、そういった方々がオーバーステイになり、在留資格がなくなり、入管庁へ収容される。この負のスパイラルを生まない有効な対策が、まず入口段階での実習生の受入れ、そして受入先企業の費用負担の軽減だと思っております。こういった改革なくしては、外国人との真の共生社会は実現しない。

 大臣も是非、私も当事者の声を聞いて大変学びがありました。大変公務でお忙しいとは思いますが、なるべく当事者、現場の方々の声を直接聞いていただけないでしょうか。大臣、いかがですか。

小泉国務大臣 もちろん、そのように努めたいと思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。これを御覧いただいている当事者や現場の方々、大変勇気づけられたと思います。是非お願いいたします。

 続いて、技能実習生とも大変大きく関係していきます日本語学校を推進していく、今年五月に新たな法律が成立しました。日本語学校のテーマは、以前も本委員会でも質疑させてもらったんですけれども、立ち上げの際に、今の制度上、告示許可、満たないと評価されたときに電話一本で済まされる、書面で提出するべきじゃないかということを質問させてもらいました。

 こういった日本語学校の設立に関する問題点、検討すると当時法務省に言っていただいたんですが、どうなっているでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現状におきましては、委員御指摘のとおり、告示掲載に関する事前の行政相談の結果については文書でお答えしておりませんが、口頭により結果の具体的な内容を丁寧に説明するように努めているところでございます。

 告示掲載に関する結果等の説明につきましては、現在、文部科学省と連携して検討しているところでございます。引き続き対応を検討してまいります。

山田(勝)委員 じゃ、文科省の方からもよろしいですか。

本田大臣政務官 山田委員にお答え申し上げます。

 前回の三月八日に衆議院の法務委員会でも御質問いただいておりまして、ありがとうございます。

 文科省の方の見解でございますけれども、来年四月より施行される日本語教育機関認定法では、文部科学大臣が定める認定基準等を満たす機関を認定することとしております。審査の結果、不認定とした場合には、その理由を電子システムを通じて記録に残る形で通知をする予定でございます。

 本制度では、独自の不服申立ての仕組みは設けてはおりませんが、年に二回の申請期間を設ける予定であり、不認定の理由を踏まえた改善を図った上で再度申請いただくことが可能となっております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。公平で、透明化されて、本当にいい改善がなされていると思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 政府は、デジタル社会を推進しています。日本語学校においても、オンライン又はオンデマンド授業を認めていくべきではないでしょうか。

本田大臣政務官 お答え申し上げます。

 本認定制度の認定基準につきましては、現在、文化審議会において議論が行われており、留学、就学、生活の三つの分野別に教育課程を審査し、日本語教育機関を認定する方向で検討が行われております。

 このうち、就労や生活の課程を置く機関については、仕事や生活との両立の観点から、各教育課程の四分の三を上限にオンラインでの授業を認めるべきとの方向性が示されております。

 他方で、留学の課程につきましては、基本的に、進学準備教育としての日本語教育を我が国で受けることを目的とした在留資格を得て入学する留学生に対して教育を行うものでございます。そうした対面での教育を望んで来日される留学生の希望や教育の質の観点から、原則としてオンライン授業は認めない方向性となっております。ただし、留学において、ゲストスピーカーがオンラインで授業に参加することや、感染症の拡大や災害時に臨時的にオンライン授業を活用することは可能とするべく、検討を進めているところでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 法改正によって、教育の質がより求められていきます。今後、この日本語学校、法務省から文科省へ所管が替わっていくに当たって、どのように日本語教育は変わっていくんでしょうか。

本田大臣政務官 済みません、先に、問い二の御質問の、今ほどの訂正を申し上げます。

 先ほど、私、留学、就学と申し上げたんですが、留学と就労の間違いでございます。大変申し訳ございません。

 その上で、今の御質問、教育の質についてのことでございますけれども、在留外国人が増加傾向にある中で、日本語教育につきましては、一つ、教育の質の確保のための仕組みが不十分である、また、専門性を有する日本語教師の質的、量的確保が不十分といった課題が指摘をされております。また、現行の法務省告示機関制度では、教員や教育課程の質等についての課題が指摘をされております。

 このため、日本語教育機関認定法においては、日本語教育機関を認定する制度を創設し、認定機関での日本語教育課程の編成のための指針を策定することや、認定日本語教育機関で日本語を指導することができる日本語教員の資格制度を設けることとしております。

 これらを通じて、日本語を学ぶ外国人が、それぞれが必要とする日本語能力が身につけられるよう、教育の質の確保を図る仕組みを実現してまいります。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 資料三を御覧ください。来日後、技能実習生は、現行、入国後講習というものを受けなければならないとされています。受講義務のある日本語授業は現在、無資格や無経験のボランティアの方が数多く実際行っている。さらに、資料四を御覧ください。その日本語の授業の時間数は任意とされています。つまり、今の制度上、無資格の人が教えられる上、授業時間のノルマもない。

 これでは、先ほど本田政務官が御説明いただいたように、法改正をして教育の質を上げていくんだと言われていますが、就労現場において大変重要です、日本語学校、最初に日本に来て学ぶ。このときに、やはりこういった内容では、ばらつきも出てくるし、スキルもなかなか身につかないのではないでしょうか。

 なので、日本語教育において、就労分野においても積極的に日本語学校の利用を推進していくべきだと考えておりますが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 現行制度では、日本語教育を行う者に対する要件として特に資格等を求めていないのは事実でございます。また、入国後、実習先での就業前に、座学による、対面による入国後講習の受講を義務づけておりますが、おおむね百時間程度のところが多いようでありますけれども、最低時間数というものも定めていないわけでございます。

 その他の措置もありますけれども、この有識者会議でも、この点についてやはり議論がありまして、必要最低限の日本語能力を有することや、その向上を図ることがますます重要になっているのではないかという議論が行われました上で、日本語能力の向上方策について議論が更に進められております。

 具体的には、最終報告のたたき台において、継続的な学習による、就労開始前、特定技能一号移行時及び特定技能二号移行時のそれぞれの段階において日本語能力の向上、具体的には試験あるいは能力相当の講習、こういったものを義務づけるべきではないかという提言が示されているところでございます。

 こうした提言をしっかり、また議論の進捗を踏まえながら対応していきたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。是非、これから地域に日本語学校がどんどん推進されていく流れの中で、積極的に技能実習生、外国人労働者の方々にも日本語学校を活用いただくように、どんどん進めていただければなと思っております。

 もう一つ質問したかったんですけれども、ちょっと時間が迫ってきたので、この日本語教員試験についてなんですけれども、質を確保するために今後資格制にしていくということは大変重要なことだと思っております。しかし、一方で、現場はすごく人手不足で、今現在、人手不足で大変な状況で、こういった資格制にすることのハードルが上がっていくと現場が混乱する可能性があります。なので、こういった試験のハードルというところは、現場の実態を踏まえて、必要な方々に日本語教育が提供されるような配慮を、合格基準も含めてですね、お願いしたいというふうに思っております。

 では、次のテーマに移ります。在留資格のない外国人の子供たちへの特別許可についてです。

 今年八月、齋藤前法務大臣は記者会見で、日本で生まれ育った在留資格のない外国人の子供について、親に国内での重大な犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば在留特別許可を与え、滞在を認める考えを示されました。大臣は、この中で、日本で生まれ育った在留資格のない子供について、子供自身には責任がないのに不便な生活を強いられており、何とか救えないかという思いで真剣に検討してきた、これから日本で安心して生活して夢を実現してほしいと述べられました。

 大変すばらしい御英断で、こういったことが進むことに多くの人たちが勇気づけられていると思っております。

 確認です。齋藤前法務大臣、このような言及がありました。小泉大臣もこの方針を受け継ぐということで間違いないでしょうか。

小泉国務大臣 齋藤前大臣が様々な考えを巡らせ、たどり着いた結論でございます。入国在留管理行政の維持、また一方で子供たちの幸せ、そのバランスの上に取られた大変大事な施策だと思いますので、私ももちろん引き継いでまいりたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 その上で、現在の進捗状況なんですけれども、これまでこうした子供たちは、住んでいる都道府県からの移動とかアルバイト、こういったことが制限されてきました。特別許可が与えられることによってその制限が大幅に緩和される。これは、一日でも早く、一人でも多くの子供たちへ、私たちの国で当たり前の自由を与えてほしいと切に願います。

 その上で、二百一人の対象者がいるということですけれども、今現在、どれくらい連絡が取れて、実際に面談もできて、在留特別許可を与える見込み、こういった現在の進捗状況をお知らせください。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの方針の対象となる御家族に対しましては、地方入管局から連絡するなどして順次作業を進めているところです。

 作業の進捗状況は個別の事案ごとに異なるものでございますので、まだ在留特別許可がされていない方々の心情に配慮する必要もあることから、作業の途中経過を明らかにすることは考えておりません。

 その上で、二百一の子供のうち実際に在留特別許可された人数については最終的に明らかにする方向で考えております。

山田(勝)委員 そういうせっかくいい取組をされているにもかかわらず、今の状況が全く見えていない、進捗が見えていないというのは私は問題だと思います。

 今どれくらい進んでいるのかということをむしろ公表していく方が、今、政府が進めようとしている取組に対して勇気を与えられている、もうすぐ不安な日々から解消されるんじゃないかと、この国で生活していけることにすごく希望を持っている人たちに対して、今のように、進捗状況は明らかにできないとか、最終的に報告するということではなくて、むしろ進捗状況を報告していく方が、進んでいるんだ、自分たちにもそういった声がかかるかもしれないというふうになると思うんですよ。

 大臣、これは政治決断だと思うのでお願いしたいんですけれども、そういった、隠すんじゃなくて、いいことをなさっているんですから、どんどん、これは多くの人が注目しています、オープンにしていくべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 まさにそこなんですよ、そこなんです。我々も部内で議論をし、検討しました。

 現実にもう、許可をしますということで、地方入管局から連絡を取っている、連絡が到達している御家族もいらっしゃいます。ただ、まだそこに到達されていない、手続、二百一名の方、同時進行じゃありませんので、順番がおのずとできてしまいます、早い遅いができてしまいます。その後ろの方にいらっしゃる方の心情を考えると、先頭がここですよということを申し上げることがどういう反応になるのか、そこを我々も苦慮しているところです。

 今日の時点では、到達した方がいる、そして速やかに作業を進めているというところにとどめたいと思います。お気持ちはよく分かります。

山田(勝)委員 私も大臣のお気持ちはよく伝わってきました。

 その上でなんですけれども、こういったことは、記者会見もなさっているので、積極的に広報すべきだと思うんですよ、今こういうことで取組を進めているということを。当事者の人たちは分かっているので、そういう人たちが手を挙げてもらえるようにすれば、一気に進むと思います。そういったことも踏まえて、一日でも早く子供たちに自由を与えてほしいと切に願いまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 立憲民主党・無所属の吉田はるみです。

 小泉大臣、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

 午前の質疑ももう終盤に入りまして、皆様はお疲れの頃かなというふうに存じますが、一言、大変僭越ながら、ちょっと苦言を呈させていただきたいと思います。

 午前中の審議の中で、私たちも全体を見回して、あれっ、自民党さんの方、席、随分空じゃないかということを何回も懸念したんです。この状況を国民の皆様が見たら、国会ってちゃんと議論する場じゃないのと、私、残念に思うと思います。特にこの法務委員会、あの柿沢前副大臣の一件があった後の委員会です。もっと緊張感を持つべきではないでしょうか。

 これは言うまいかと私は思っていたんですけれども、ちょうどあの参議院の予算委員会のときに、二時間半停止していましたよね。そのときにも、国会の状況がテレビに映っていたんですけれども、やはり自民党の議員の方々が談笑している姿もあって、私は大変な違和感を覚えました。

 これだけ大事な議論をして、国会は言論の府ですよね、意見の違う人も意見の同じ人も真剣に議論する、そういう委員会でなければ、法務省の方にも失礼です。事務方の方にも失礼です。これは私、一言申し上げて、質問を始めたいと思います。

 参議院の予算委員会で、小泉大臣はこのようにおっしゃっています。柿沢前副大臣の欠席に関してでございますけれども、私が委員会に出席中に辞表が提出され、直接確認していなかった、法務省として副大臣を委員会に出席させないという判断を法務大臣に諮らないまま事務方の独断で行ったことが確認された、いわば越権行為であり不適切なもので、私自身、監督不行き届きを痛感するとともに、二度とこのようなことが起きないよう厳しく事務方を指導するというふうに大臣はおっしゃいまして、私はテレビでその報道を見ていて、かなり厳しいおっしゃり方をしたなというふうに感じたんです。

 そのとき、岸田総理はこうもおっしゃっています。質問の権利を奪い、国会の権威を損なう行為であり、重大な行為だったと認識している、内閣として国会における責任をしっかり果たしていきたい。総理もこれだけおっしゃっているわけなんですが。

 ただ、私、そこで、はたと、何かちょっと違和感を感じていて、思ったんですよ。こうして政治家はメディアの前で発言できます。しかし、官僚の方は発言できない。本当は法務省の官僚の方にも言いたいこと、おっしゃりたいこと、あるんじゃないかなと。

 今日は、私はこの委員会でそれも含めてお伺いしたいなというふうに思うんです。事務方の方、官僚の方も是非、今日ここでお伺いしますので、お考えを、現状をしっかりお話しいただきたいと思います。

 まず、最初の問いです。法務省の事務方の一存と言われました。政府が予算委員会の出席に応じなかった、これは事務方の一存。真実ですか。真実か否かだけを教えてください。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点でございますが、柿沢前副大臣を委員会に出席させないという判断は、法務大臣に諮らないまま、法務省の事務方の独断で行ったものでございます。

吉田(は)委員 じゃ、真実ということですね。

 これは、もしこれが本当に真実だとしたら、大変な越権行為です。事務方の皆さんに、私は、これを押しつけるのではなく、本当に真実を話していただきたい、ここで。

 では、この事務方というのはどなたですか。

小泉国務大臣 国会対応の責任者である官房長が一次的に判断をしたということでございます。

吉田(は)委員 官房長が一存で決めたと。ほかの事務方の方と御相談があったのかもしれないけれども、明確に、全く大臣には聞かれていない。これで、まず大臣、よろしいですよね。

小泉国務大臣 はい。全く相談にあずかっておりません。

吉田(は)委員 では、審議官にお伺いすればよろしいんでしょうか。官邸からは指示がありましたか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 そのような御指示はございませんでした。

吉田(は)委員 ということで、まだ修正が利きますので、もし違うなら、そうおっしゃっていただきたいと思うんですが。

 官邸からも指示がなかった、大臣からも指示がなかった、官房長の決断でこれをやったということであれば、申し訳ないですが、私も厳しく追及せざるを得ません。

 この委員会に出席するか否か、これは、政治家、立法府の大きな権利であり、その質問権を奪うことは絶対あってはなりません。これは事務方の越権行為と言われても仕方がない。

 でも、私は、本当にそうなのかなとなぜ思ったかというと、自分自身も法務大臣秘書官をやっておりまして、秘書課の皆さんは、法務大臣、副大臣そして政務官と、同じ秘書課の中で、それぞれ、大臣を守ろう、守り立てようとして頑張っていらっしゃる、そういうお姿を見ているから、本当かなという思いが私はしたんですよ。これが冤罪であってはいけないなというふうに思うので、皆様に発言をしていただきたいというふうに思ったんですけれども。

 官房長が決めたとき、どちらにいらっしゃいましたか。法務省ですか、それとも国会内の控室ですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 官房長の正確な位置というのまで、ちょっと把握していないのが実情でございますが、参議院のいわゆる院内というところにいたものと承知しております。

吉田(は)委員 これは本当に、法務省として、副大臣を委員会に出させないことの重大性は分かっていらっしゃったはずで、やはり、私は、どうも、本当に事務方一存なのかというところは、まだ、ごめんなさい、納得できないところがあります。

 法務省としては、一方で大臣を守る、また一方で東京地検特捜部が動いているということで、ちょっと、大変複雑な状況かなというのはお察しいたします。

 大臣、今事務方の方からも答弁ありましたけれども、大臣に相談もなかった、それで決めたとなったら、私であれば、すごく軽んじられたなというふうに感じると思うんですよ。これはやはりあってはならない。国民から選ばれた国会議員であり、そして大臣であります。

 こういうことに対して、大臣は二度とこのようなことが起きないように厳しく指導するというふうにおっしゃいましたけれども、具体的に教えていただきたいんですが、実際、それからどんな、厳しく対応する、対処、何をなさったか。口頭での注意だけなのか、文書を出したのか、あるいはそれ以上の対処をお考えなのか、教えてください。

小泉国務大臣 本人の話をよく聞いた上で、二度にわたり厳しく口頭で注意を行いました。二度と、二度とこういうことがあってはいけないということを強く申し上げました。

吉田(は)委員 口頭で、二度厳しく注意されたということですが、それで、もうこういうことは起こらないと思いますか。また、国会軽視ではないかという声が上がっていますけれども、それで納得できるとお考えでしょうか。

小泉国務大臣 本人も非常に深く反省をしております。そして、自分が犯した過ちについて十分な認識とまた反省をしているわけでありまして、そこに二度私も厳しく指摘をし、何としても何としても駄目だ、こういうことが何としてもあってはいけないということをしっかりと指導しました。

吉田(は)委員 いろいろなお考えがあると思うんですけれども、実際やはり、今国民の皆さんが国会に向けている目というのは、政治家は結局、いいことは言うけれども行動していないじゃないかということなんですよ。しっかり指導しますとか頑張りますとか、こう目指しますみたいなことばかりで、いや、結局それを言えばスルーできちゃうのかなと思ってしまうところもあると思うんですね。これは、ちょっとそれだけでいいんだろうかというふうに思うのが、ごめんなさい、私の感想です。

 最後に、事務方の皆さんがこういう形で独断でやったということなんですけれども、これはちょっと私の気持ちとして最後申し上げたいというふうに思います。

 法務省そして司法は、真実そして公平公正を理念とする場所です。三権分立の本当にいわば司法は最後のとりでなんです。最後の良心なんです。司法が崩れれば、この国は崩れてしまいます。だから、その皆様に絶対真実を語っていただきたい。うそをつかせたり何かをカバーしたりさせることは、これは私は本当に心苦しいですし、そういうことが絶対あってはいけないというふうに思います。正義のために闘っている皆様だからこそ、私も一緒に闘いたいと思いますので、これからも本当に誠実な御答弁を求めたいと申し上げまして、この件に関しましては私からは以上とさせていただきます。

 次に、今日はたくさん質問項目があるので短く御答弁をお願いしたいんですが、今度は、旧統一教会の解散命令請求の審理体制に関しましてお伺い申し上げます。

 済みません、私も司法のいわば素人でありますので、改めて国民の皆様に分かりやすくお伝えさせていただきたいんですけれども、今、解散命令請求が出ていますけれども、これを審査するのは東京地裁でありますが、裁判官何名で担当するのか。まず人数だけ教えてください。

福田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 地方裁判所では、原則として一人の裁判官で事件を取り扱うこととされておりますが、例外的に、担当裁判官の判断により三名の裁判官の合議体で事件を審理することができるものとされており、御質問の事件につきましては、三名の裁判官の合議体で審理をされているものと承知をしております。

吉田(は)委員 続けまして、二つちょっと併せてお伺いします。

 三名ということで、今回、五千点に上る証拠が提出された、うわあ、五千点を三名の合議体の裁判官が見るのかなと思うとちょっと気が遠くなるような感じがするんですが、まず一点、この五千点の証拠、この三名の裁判官、誰に、例えば、この部分は見ててねということなしにこの三名の裁判官が五千点の証拠調べをするということで間違いないかという点と、もう一つ、今回、この裁判の担当になった三名の裁判官、ほかにも事件を扱いますか。それとも、旧統一教会の解散命令請求、これの専従になるんでしょうか。この二点に関して教えてください。

福田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 まず、証拠調べの点でございますが、三名の担当裁判官が行うということになります。それから、専従であるかどうかという点ですが、現時点では、担当裁判官が当該事件のみを担当するという専従の体制は取られておらず、ほかの事件も担当をしているものと承知をしております。

吉田(は)委員 今こうして最高裁の方にも御回答いただいたんですが、整理してみると、三名の裁判官で五千点の証拠調べをし、そして、その裁判官は、それだけ専従じゃないので、ほかの事件も担当していらっしゃる。

 いやあ、これだけでも相当時間がかかってしまうのではないかなというふうに感じるんですが、もう一つ、今、東京地裁でこれは審議が行われているわけですけれども、例えば、解散命令が地裁から出ました、でも、統一教会としては不服だといって、上訴、高裁や最高裁まで上訴できるというふうに理解をしていますけれども、この点に間違いがないかというのと、その間、高裁、最高裁まで不服申立てしている、何か月なのか、何年なのか、毎回この五千点の証拠調べもあるんでしょうから相当な期間になるなというふうに思うんですけれども、この間、宗教法人の財産保全はできないというふうに理解していますが、この点に関して確認させてください。

福田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 まず、不服申立ての件でございますが、法律上、解散命令請求に関する地方裁判所の決定に対しましては、当該宗教法人又は解散命令請求をした所轄庁等に限り即時抗告をすることができるというふうに定められております。法律上、即時抗告が宗教法人の解散を命じる裁判に対するものであるときは執行停止の効力を有すると定められておりますので、即時抗告によりその効力が停止されることになります。

 また、高裁の決定に対してでございますが、法律上、特別抗告や許可抗告の手続が設けられてございます。

 それから、財産保全の件でございますけれども、一般論といたしましては、財産の保全については、債権者が民事保全の手続を利用するという制度があるというふうに理解をしております。

 以上です。

吉田(は)委員 民事手続というのは、訴訟が起きている、既に被害が申告されている案件であり、法人全体への財産保全ではなく、その被害額、申告の被害額の保全というふうに理解をしています。

 やはり、ここで私、是非委員の皆様にも御理解いただきたいなと思ったのは、これだけ何層にも不服申立てができて、かつ、これだけ多くの証拠があり、その審査にも時間がかかる、この間にやはりこの法人の財産保全ができなければ流出するおそれがあるのは、これは明白ではないかと思います。なぜなら、会計のシステムも一般の企業とは違い、文化庁に会計、提出しますけれども、監査は必要ありません。そして、提出された先の文化庁が中身を精査するわけでもありません。これはもう確認しています。

 そういう中で、見えない、やはりたくさんの財産がどうなるのか。せめて被害者の皆様に救済措置としての財産保全、これは絶対に必要だと思いますので、是非この点を御理解いただいて、立法府としてこの措置に積極的に関与していただきたいということを御指摘させていただきたいと思います。

 まだ請求が出ている段階で、決まっていないんだ。もちろんそのとおりなんです。ただ、ポイントは、宗教法人は文化庁が認定します。その宗教法人を認可した、認定した文化庁が既に、これは不適切じゃないかということで五千点に及ぶ証拠を出して、解散命令請求しているわけです、認定した文化庁が。この点をやはり重く受け止めていただきたいなというふうに申し上げます。

 では、引き続きまして、済みません、ちょっとたくさん質問通告しているんですが、もう一つで時間切れになるかもしれません。ほかの質問項目につきましても、お手数をおかけしましたので、また別の機会に質問させていただきたいと思うんですが、順番を変えさせていただきます。

 四番の選択的夫婦別姓、そして同性婚に関する大臣のお考え、御姿勢に関してお伺い申し上げたいと思います。

 私も、これも立法府の責任、立法するか、あるいはどうするか、いかなる結論であっても議論をする、これは絶対に必要なことだと思います。様々な意見がぶつかり合いながらも、それでも議論をするのがこの国会の場だと思うんですが、ちょうど今年の二月二日の予算委員会で、まず、選択的夫婦別姓に関して、私、齋藤前法務大臣にこのように伺いました。

 選択的夫婦別姓に反対の方の中には、戸籍が壊れるんだ、日本の戸籍法上できないんだとかというお話があるので、いや、齋藤大臣、戸籍は壊れますかというふうに伺いましたら、齋藤前法務大臣は、仮に選択的夫婦別姓制度が導入された場合でありましても、その機能や重要性が変わるものではなく、そのことによって大きな問題が生じるとは考えていませんとおっしゃっていただいたんですね。

 ちょうどそのとき、小倉少子化担当大臣もいらっしゃいましたので、今度は小倉担当大臣にも伺いました。選択的夫婦別姓を導入すると、伝統的な家族が、日本の家族が壊れてしまう、本当ですかということで、小倉大臣に、家族は壊れますか、選択的夫婦別姓制度を導入したらというふうにお伺いしましたところ、小倉担当大臣はそのとき、人それぞれいろいろな考え方があると思いますけれども、一般的にそういうことはないというふうに思いますというふうにおっしゃってくださったんです。

 同性婚に関してです。これも、私、憲法審査会の委員でもありまして、二〇二三年三月二日の憲法審査会で、これを伺いました。

 よく、この同性婚、これは日本ではできないんだという論の方の中には、憲法二十四条で禁止されているからなんだという理由を挙げられる方もいらっしゃいますので、憲法審査会でちょっと伺いました。同性婚は日本ではできませんかということ、憲法二十四条で禁止されていますかということを伺ったところ、自民党の新藤委員はこのようにお答えされています。この問題は個別の立法政策に関する事柄になるわけでありまして、家族に関する法律を所管する法務委員会、ここで議論がなされると私は承知しております。この法務委員会で議論してくださいと憲法審査会からは言われました。

 そして、公明党の北側委員、同じ質問をしましたところ、北側委員は、同性婚を排除している、そのような憲法規定ではないというふうにおっしゃっています。

 やはり、立法府の責任として、私は憲法審査会でその話題を取り上げたわけですが、法務委員会で話してくれということなんですね。

 小泉大臣、この選択的夫婦別姓、そして同性婚に関して、やはりこの法務委員会がその議論の場になると思うんですが、大臣はどのようなお考えで臨まれるでしょうか。

小泉国務大臣 選択的夫婦別氏制度あるいは同性婚制度、国民の中で次第次第に関心が高まり、また、それだけに様々な議論も出てきているところだと思います。

 先生がおっしゃるように、オープンな議論を積み重ねていく中で、日本国民としての道筋を見出していければいい、そんなふうに考えております。国民の間に様々な意見があって、それがどうこれから交錯し、お互いに影響を与え合い、そしてそれが積み重なっていって、国民の大きな方向性としてそれが出てくるか、そういったものを見守っていく。

 国民の代表である国会議員、もちろんこの国会の場でもしっかりと議論していただくことが必要でありますし、法務省としては、引き続き積極的に情報の提供、今申し上げたような視点から情報の提供をしっかり行っていきたいと思っております。

吉田(は)委員 多分そうお答えになるんだろうなと思ったんですけれども、大臣、ちょっとこれと関係することで、私、いつも国会の答弁を聞いていて矛盾があるなと思うのが、こうやって国民のコンセンサスを取りながら、様々な意見を聞いて進めていきますというふうにおっしゃるんですが、例えばマイナンバー保険証のことなんかは、国民の意見、現状、それをある意味、踏まえた形で進めていない。まだ利用率四%だけれどもやっていくよというふうにやる一方、こうして同性婚はもう七割の方が世論では賛成です。もちろん一〇〇%というのはなかなか難しいかもしれないんですが、そういう、もうほぼ半数以上の方がもうやろうよというふうに言っている。パートナーシップ制度では、自治体がもう導入していまして、人口の六割を超えています。

 こういう大きな流れがある、時代の変化がある。岸田総理は時代の変化をつかみ取るというふうにおっしゃった。まさにこういうことをやはり議論すべきと思いますが、もう一度、法務大臣のやる気を是非見せていただきたいなと思います。

小泉国務大臣 これは経済政策の選択肢をどう取るかという議論とはちょっと次元を異にすると思うんですよね。

 そのお一人お一人の価値観、心の持ち方、家族関係というものに対する思い、深い思い、そういった、なかなか形にできない深い思いが交錯する中で議論をしていかなければいけない。ですから、やはりオープンに、そして繰り返し、深くやっていく、議論をしていく、それが一番大切なことだと思います。

 経済政策の手段をどうするか、そことは次元が違うと思います。

吉田(は)委員 今、法務大臣、深く議論していくというふうにおっしゃっていただいたので、是非、この法務委員会で、様々な意見を含めて、私、本当に議論したらいいと思うんです。その姿を今国民の皆さんは望んでいるんですよ。ただこの辺につるしておくんじゃなくて、今望んでいることをやはり国会でやっていく、これが私たち国会議員の責務だというふうに思います。

 最後に、時間が参りましたので、ちょっとこの点、小泉大臣に伺いたいんですが、二〇二一年の総選挙の際の大臣のアンケートでは、まずNHKアンケート、選択的夫婦別姓制度の導入をどう思いますかということに対して、大臣は、どちらかといえば賛成、同性婚を可能とする法改正をどう考えますかというところは回答なしなんです。でも、一方で、同じ前回の二〇二一年の総選挙のときの毎日新聞のアンケートでは、同性婚は認めるべき、そして、選択的夫婦別姓は賛成なんですね。これは、どうして二つ違うんでしょうか。

 私は、必ず自分の立場というのは同じように、どのメディアであっても同じように書きます。すごく、こんなことを言ったら失礼かもしれないんですけれども、例えば、毎日新聞の読者の方は、同性婚を認めるべきだ、また、選択的夫婦別姓に賛成している方、多いかもしれません。NHK、全国です。まあ様々な考えがあるでしょう。そういうことを、何というんでしょう、考えて回答しているわけではないんですよね。

 では、ここではっきりと、大臣、同性婚、そして選択的夫婦別姓、はっきりと大臣の御姿勢を教えてください。

小泉国務大臣 法務大臣としての私の考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。

 そして、二〇二一年ですか、同じ年で答えが違うという御指摘は、それはちょっと私も理由がよく分かりません。

 ベクトルが違っているわけではないと思います。その表現、三択なのか五択なのか、そういう中での丸つけですからね。ちょっと明確にその理由を今述べることはできないのでありますけれども、ベクトルは変わっていないですよ。

 ただ、法務大臣の立場から申し上げられることは、先ほど答弁させていただいたとおりでございます。御理解いただきたい。

吉田(は)委員 大臣、ありがとうございます。

 やはり、私たち政治家って、それぞれの考え方やいろんな立場があっていいと思うんです。でも、それはちゃんと明示した上で、そして真剣な議論をこの国会で行っていく。この法務委員会でも、みんなが真剣に一つのことを考えて、そして結論を出していく、コンセンサスを取っていく、そういう国会に、そしてそういう法務省、また法務委員会にしたいという御希望を申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して御質問させていただきます。

 今ほど吉田委員からの質問もあったんですが、やはり柿沢未途前法務副大臣の辞任について、これはもうちょっと詳しく聞かせていただきたいと思います。

 資料一を御覧ください。こちらは法務委員会理事会で配付された文書ということでございますが、これによりますと、柿沢前法務副大臣、九時二十分頃、事務方に辞職願を提出したとのことでございます。

 これは、当然、大臣のところにも、それは直ちにじゃないでしょうけれども、どこかでは連絡が行くはずだと思うんですよ。大臣は、一体、いつ、誰から、どのようにこれを伝えられましたか。

小泉国務大臣 ちょっと正確な時間は今思い出せないんですけれども、参議院予算委員会出席中に、私の政務秘書官から報告を受けました。事務秘書官から報告を受けました。

米山委員 そうすると、大臣、それは、じゃ、予算委員会中だったから、例えばメモか何かで聞いて、聞き流したというか、それに対して追加の何か、その事務秘書官に対して一切何の指示もしなかったということでいいんですか。ただ聞いただけということでいいんですか。

小泉国務大臣 その瞬間は、その報告を聞きました。

米山委員 瞬間はいいんですけれども、その後に、だって、法務副大臣が辞表を出した、しかも、それは病気で亡くなったとかそういうことじゃないわけですよ。いや、病気で亡くなったら出せませんけれども。病気とかじゃなくて、それは大変な不祥事で出した。そこまでは、それは当然書いてあるわけでしょう、メモにだって。書いてないわけないでしょう、幾ら何でも。その知らされているときに、理由だってちゃんと書いてあるわけでしょう。書いてないんですか。書いてあったわけですよね。そうしたら、それを聞いた後に一定の指示は出すでしょう、大臣なんだから。出さなかったんですか。

小泉国務大臣 その報告は、辞表が提出されたということのみでありまして、理由とかそういうことは付されていなかったわけです。

米山委員 大臣、聞かなかったんですか。ああそうかと思って、そのまま、じゃ、何にも指示もしなかったということでいいんですね。

小泉国務大臣 朝方あの報道があり、私も電話で御本人と話をし、深い反省の念を述べておられました。そういう脈絡の中で辞表を出したんだな、出たんだな、そういうふうに考えたわけです。受け止めたわけです。

米山委員 今、なかなか驚いたんですけれども。つまり、朝方もう電話で知らされていたわけですね。知らされていないんですか。でも、今のお話からいうと、だって、朝方に、もういろいろ反省の弁を述べられて、ほぼほぼどういう状況か言われて、そして辞表が来た、ああそうかと思って、特に理由も聞かなかった、指示もしなかったというなら、その朝方の電話で分かっていたわけでしょう。違うんですか。

小泉国務大臣 朝、登庁しまして、新聞を見て、そして本人に連絡を取りました。電話をしました。本人は、前日に取材を受けて、そしてその取材の内容が記事になっているということを認めたわけです。そして、大変深く反省しておりますと、そういう話をその時点ではしました。閣議前の限られた時間ではありましたけれども、そのことは確認をしました、その時点で。

米山委員 分かりました。ともかく、じゃ、朝方に本人ともお電話されて、しかも、何とそのときに本人は辞表を出すとはおっしゃられずに、でも大体の事情はもう確認していて、そして予算委員会中にメモが来た、辞表が出たと。

 大臣として、そのときに、だって、もう大体理由は分かったわけですよ、不祥事でなったと。そうしたら、指示出さないんですか。この辞表をどうするのか。だって、この辞表を受理するのかしないのかで、その人が副大臣か副大臣じゃないか変わるんですよ。副大臣がいなくなるんだったら、副大臣の職務を誰かが遂行するのを決めなきゃいけないんですよ。そういうことに対して、しばらく保留しておけとか、しばらくどうしろとか、何の指示もしなかったということでいいんですね。

小泉国務大臣 予算委員会開会中でありますので、そこでそういう指示をするいとまはありませんでした。

米山委員 私もいろいろあったので恥ずかしいんですけれども、知事をやったときがあるわけですよ。そのときに、県議会があって、突然、糸魚川の大火があって、メモが来ましたよ。そうしたら、普通にそれは中断できますよ。中断できるし、何も会議自体を中断しなくたって、その間、メモのやり取りとかでちゃんと指示は出せますよ。幾ら何でも、それで放置しましたというのは、それは事務方の責任じゃなくて大臣自身の責任でしょう。

 まあ、分かりました。でも、ともかく、大臣自身の御責任として、大臣はそれを放置されたわけです。

 放置された中で、先ほど吉田委員からのお話にもあったんですけれども、官房長が何か一存で、法務副大臣は出席するなと言ったと。いや、だって、まだ、この時系列を見ても分かるとおり、副大臣がちゃんと副大臣じゃなくなるためには閣議決定が要りますから、閣議決定があるまでは副大臣なわけですよ。閣議決定があるまで副大臣の柿沢さんに対して、官房長が出るなと言ったと。その事実はもうそれでいいです。

 そうしたら、そのとき柿沢さんは何と答えたんですか。だって、自分が上司でしょう。部下から出るなと、あなたは副大臣だけれども、官房長の私の命令に従って出るなと言われたわけなんですけれども、それに対して柿沢元副大臣は何とお答えになったのか。それを大臣は把握していらっしゃるんですか。把握しているかどうかを含めてお答えください。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省の事務方といたしまして、十月三十一日の午前九時二十分頃、辞職願が柿沢元副大臣から法務省の事務方に提出されたところでございます。この段階におきまして、辞職願という外形的な明白な形で、もはや副大臣として職務を遂行する意思がないということで表明されたもの、そういうふうに理解しているところでございます。

小泉国務大臣 今御説明申し上げたような本件についての判断は、対応に当たった大臣官房の担当者らによりなされたものでありますが、このような判断をした理由、その詳細については、担当者から柿沢前副大臣に対して伝えるということはしなかったと聞いております。

米山委員 質問に答えていないんですけれども。一応、だって、柿沢さんのところには、あした予算委員会に来てくださいね、そういうスケジュールがあるわけでしょう。ないわけないでしょう。しかも、辞表を出したときに、今おっしゃられたけれども、誰も指示しなかったんでしょう。そうしたら、柿沢さんは来るでしょう。だって、自分は予算委員会で答弁することになっているんだから。

 誰かが、だって、官房長がするなと言ったと言ったんだから、官房長が柿沢さんに出るなと言ったわけでしょう。出るなと言われて、はいと言って出なかったか、えっ、僕、出たいんだけれどもと言うのに、駄目だと言われて出なかったか、どっちかしかないじゃないですか。どっちなんですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問でございますが、副大臣が国会で答弁するということは副大臣としての職務として行うものでございますが、先ほども申し上げましたとおり、九時二十分の段階で、副大臣の方からは、辞職願という外形的に明白な形で、もはや副大臣としての職務を遂行する意思がないということで示されているところでございまして、御本人として出席する意思もないということで我々としては理解したところでございます。

米山委員 つまり、今の御説明は、柿沢未途さん御自身の判断で予算委員会をボイコットした、それでいいんですね。今の答弁、そうでしょう。事務方が判断したんじゃないよね。柿沢さんが自分で、もうそういう意思はないと言った。違うんですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しの答弁となりますが、副大臣の方から、辞職願という形で、副大臣としての職務を遂行する意思がないものと表明されたもの、そういうふうに理解しております。

米山委員 だから、それは聞いていないんですよ、もうそれは繰り返さなくていいんですけれども。

 辞職の意思は辞職の意思ですよ。これも僕は非常に恥ずかしいですけれども、僕も辞職したことがあるんです。辞職したら、それはもう公のところに出れませんよ。だって、そんな辞職の意思を表明した知事がのこのこ行っては困るでしょう。だから、ちゃんと代行者を決めるんです。でも、その間もいろいろな職務はあるから、どれは自分が決裁して、どれはしないか全部決めますよ。でも、その中でも、針のむしろでも、ちゃんと議会に行って弁明するんです。それは当たり前の義務ですよ。それを、だから、単に、辞職をしたから、もう出ない意思だったと。

 しかも、今のおっしゃりようは、柿沢さんは別に出ないとも言っていないでしょう。でも、あなたが勝手に、出ない意思なんだなと思った、そして、何にも言っていない、そういう主張なわけですよ。でも、何にも言っていないんだったら、柿沢さんは予定どおり行かなきゃいけないでしょう。

 もうみんなで、誰も何も言っていないのに、みんな忖度していましたという主張をしているんですけれども、そんなので二度と起こらないわけないでしょう。先ほど吉田委員の質問に対して、二度と起こさないようにとかと言いましたけれども、全部うやむやじゃないですか。誰が意思決定したのか、まるで分からない。

 でも、今のお話からすると、しかも、さっきのお話からすると、だって、官房長が一義的に決めたというんだから、少なくとも、柿沢さんは、僕は出ていいんですか、それとも出ちゃいけないんですかと聞いたに違いないんですよ。だって、聞かないわけないでしょう。誰かが言わなかったら、だって、辞表だけ出して茫然と立っているわけにはいかないんだもの。

 それで、官房長が、いや、出なくていいですと言ったとさっき答弁しているわけですよ。もしそうじゃないというんだったら、ちゃんと訂正してください。

 そうじゃないというんだったら、それは柿沢さんが自ら行かないと言って、少なくとも、いいですよ、じゃ、官房長は何も言わなかったと。でも、辞表を受け取った、柿沢さんも辞表だけ出してとぼとぼ自分で帰っていった。それは確かに御本人でボイコットしていますよね、口にしなくたって。そういうことですね、じゃ。誰も指示しないけれども、柿沢さんは何にも言われずに自分でとぼとぼ家に帰っていったということでいいんですね。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 この点、繰り返しの答弁にもなりますが、柿沢前副大臣を委員会に出席させないという判断は、こちらの、法務省の事務方の独断で行ったものでございます。

米山委員 つまり、じゃ、その独断を柿沢さんに伝えたんですね。伝えなかったら、だって、柿沢さんは出るでしょう、予定があるんだから。

 そういうふうに、事実を全部うやむやにして、何が二度と起こさないんですか。何が法治国家なんですか。ちゃんと事実を明確にしてくださいよ。言ったんですね。官房長は、出なくていいと柿沢さんに言ったんですね。

 大臣、答えてください。もう同じことを言われるのはいいですから。大臣は知らないんですか、それを。大臣、答えてください。もう同じことはいいですから。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、法務省の事務方の担当者において、柿沢前副大臣から辞職願が提出されるという外形的に明白な形で、副大臣としての職務を遂行する意思がないことが表明されたところでございます。この点から、副大臣として政府を代表する立場で答弁するという職責を果たすことは困難でございまして、客観的に見て適切ではないと判断し得る状況だったため、そのような判断をした理由やその詳細については、あえて柿沢前副大臣に伝えるまでの必要はないと考えたというふうに聞いているところでございます。

米山委員 じゃ、伝えていなくて、柿沢さんが一人で帰ったのね。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 法務省の方の判断として決めたものでございますが、その出席しないようにするという方針自体は伝えている、ただ、その理由の詳細までは言っていないものというふうに理解しているところでございます。

米山委員 方針は伝えたけれども実は伝えていないって、何それ。伝えたんでしょう。方針を伝えたら、それは伝えたんだよ。伝えたとちゃんと答えてください、大臣。もういいから。大臣、ちゃんと伝えたと答えてください。伝えたんでしょう。

小泉国務大臣 私が報告を受けていますのは、このような判断をした理由やその詳細については、担当者から柿沢前副大臣に対して伝えるということはしなかったと聞いております。(米山委員「あのね」と呼ぶ)

武部委員長 指名してから発言してください。

 米山君。

米山委員 十四分もここにかかっているんですよ。しかも、伝えたか伝えていないかという明白な事実関係について。

 しかも、大臣、あなたはさっき何度も何度も何度も、二度と起こさないと言いましたよね。それだったら、起こったことの事実関係をちゃんと確認して、誰が、どこに責任があるのか、確認しなきゃいけないじゃないですか。それを全部うやむやにして、いや、もう二度と起こしませんと。あれはうそだったんですか。ちゃんと、どっちかにしてください、どっちかしかないんだから。伝えたか、伝えないか。

 そして、もう事務方はいいです。大臣、もう一個答えを用意してあげます。伝えたか、伝えていないか、私は全然そんなことを今知りません。どっちか。この三つかしかないですから。答えてください。

小泉国務大臣 先ほど、方針は伝えたという答弁を事務方がいたしました。方針は伝えました。しかし、そういう判断をした理由やその詳細については副大臣に対して伝えることはしなかった。

米山委員 やっと分かりましたね。つまり、それは、だって、詳細なんか言いっこないでしょう、官房長が。いや、それはあなたが出ると物すごく国会であげつらわれて支持率が落ちて解散できなくなるからちょっと出ないでくれなんて、そんなことをわざわざ言うわけないですよね。

 でも、少なくとも、じゃ、官房長が出ないでくれと言ったわけですね、柿沢さんに。そこまではもういいですよね、認めたんだから。いや、今確認しないでください。そもそも、この事件がある前に、私は質問通告しているんだから、それ以前に、二度と起こさないと言っているんだから、とっくに確認しなきゃいけないことですからね。

 でも、それは伝えたと。そのときに柿沢未途さんは何と答えたんですかというのが最初の方、十分前の質問なんです。それを、いや、いいですよ、把握していないなら。

 でも、大臣、先ほど言ったみたいに、二度と起こさないと言うんだったら、だって、副大臣が官房長から出ないでくださいという方針を伝えられたら、それに対して異議を唱えたか唱えなかったかは重要なことですよ。そうでしょう。だって、それによって、越権に対して、副大臣というものは、自分の職務は、いや、それは俺の決定事項だから違うとちゃんと言ったか言わないかということを証明する事実ですから。

 だから、それを確認しているのかしていないのか、確認しているんだったらその内容を、確認していないんだったら確認していないと答えてください。

小泉国務大臣 確認しておりません。

米山委員 確認していないわけですよ。それでよくそんな、越権だとか、そもそもそれは一義的に決めたとすらちょっと言いづらいと思うんです。

 だって、官房長、部下が、そもそも越権というのは、別に部下が上司に進言したっていいわけですよ。知事辞職してくださいと副知事が僕に言ったっていいんですよ。でも、それに対して、辞職する、辞職しないと決めるのは自分なわけです。僕の辞表を副知事が出したらそれは越権ですけれども、別に進言するのは構わぬわけです。だから、それに対して柿沢さんが何と言ったのか。唯々諾々と従ったのか。それならむしろそれは柿沢さんの責任ですよ。それとも、柿沢さんはいやと言ったのに、駄目です、私が決めましたと言ったなら、それは官房長の責任ですよ。

 だから、それをきちんと調べてもらえますね。だって、二度と起こさないんでしょう。ちゃんと調べてこの委員会で報告してくださいますか。

小泉国務大臣 御指摘の点も含めて、事実関係を更に調査したいと思います。

米山委員 それでは、それを是非きちんと御調査いただきたいと思います。

 ちなみに、もし、柿沢さんが、いや、そうだねと言って自分でやったなら、それは柿沢さん自身の御責任だと思いますし、また、さらに、議院内閣制ですから、自民党の方の、自民党の副大臣のありようも問われると思いますよ。副大臣という重要な職責にありながら、官房長という部下に言われたら、ああそうだと言って帰っちゃう、それが自民党の副大臣のありようですかということは、それは問われるべきですよ。

 一方、逆に、柿沢さんは、いやいやいや、俺は出るんだよ、俺はちゃんと副大臣としての役割を果たすつもりなんだと言ったのに、官房長が、駄目です、私が決めました、事務方に従ってください、そう言ったなら、それは越権行為ですよ。

 その場合は、私は、ちゃんとこれは処分すべきだと思うんです。そんな、二回注意しましたとかじゃなくて、国家公務員法八十二条、職員が次の各号のいずれかに該当する場合は、当該職員に対して、懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる、職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合。なるでしょう。だって、職務上の義務、上司の、副大臣の指示には従わなきゃいけないんだから、副大臣の指示を無視したということは職務上の義務に違反するでしょう。

 もし柿沢さんが出たいと言うのに官房長が出さなかったなら、それは少なくとも戒告には該当するということでよろしいですか。御見解を伺います。

小泉国務大臣 今回の官房の担当者らの対応は、柿沢副大臣から辞職願が提出されるという外形的に明白な形で、もはや副大臣としての職責を遂行する意思がないということが表明されたことを受けたものでありまして、柿沢前副大臣の国会出席を妨害しようとした事案ではないことも踏まえて、先週のうちに、私から担当者に対し直接、報告等を徹底して二度とこのような事態が発生しないよう、厳しく、二度にわたり指導を行いました。

米山委員 大臣、まるで、さっきから、柿沢さんが自分でやったような話をしておきながら、事務方が悪いと言うんですけれども、それはおかしいんです。

 更に言うと、この資料一の時系列を見ると、そもそも、休憩時、だって、大臣は、もうあの予算委員会中には辞表が出るのは知っているわけですよね。さらに、事務方の指示によって柿沢さんが出席していないことも知っているわけですよね。それで、お昼に休憩になっているわけですよ。そこで、大臣、ちゃんとその場で、そのときに、今そんな官房長に注意するんじゃなくて、そのときに官房長に注意して、そのときに柿沢さんに言って出席させればいいでしょう。させなかったのは大臣の判断でしょう。大臣の責任でしょう。違うんですか。

 だって、大臣は知っていたんでしょう。予算委員会が休憩しているときには柿沢さんの辞表は出ている。官房長が出ないと言ったから柿沢さんはとぼとぼ帰ったのかどうか、そこは知らないけれども、ともかく官房長の指示でしなかった、それは分かっているんでしょう。何で大臣は出ろと言わなかったんですか。理由を教えてください。

小泉国務大臣 このメモによりますと、十一時五十分からの参議院予算委員会理事会において、法務省事務方が、辞職願を提出した副大臣が委員会において答弁することは適切ではないと判断し、大臣に諮らないまま出席要請に応じなかった旨発言をしたわけですよね。私は、この事実をこの時点では知りませんでした。

 そして、予算委員会が終わって法務省に戻り、そこで柿沢副大臣と面会したわけです。ですから、出席要請に応じないという発言が事務方からあったということを、直前ですけれども、知らないまま、柿沢副大臣とは面会をしています。

米山委員 済みません、まず、このとき、だって、予算委員会に大臣は出ていたわけですよね。大臣は予算委員会に出て、予算委員会中に辞表が出たと聞いたわけでしょう。柿沢がいないぞといって予算委員会は休憩に入ったわけです。そこで理事会があって、十一時五十分にその理事会において伝えられたわけです。

 その間、当然、大臣だって法務省なりなんなりで休んでいるわけですよね、だって、予算委員会は休憩なんだから、理事会が開かれているんだから。そうでしょう。それで、その間に、何と、法務省というのは、理事会に説明したことを大臣に説明しない省庁なんですか。それは超びっくりというか、理事会にこういう事情でありますと言うけれども、ずっと大臣には黙っていた、だから、大臣はその休憩の間中も全然それを知らなかった、何で柿沢君がいないのかなと思っていた、そういうことでよろしいですか。

小泉国務大臣 十一時五十分に法務省事務方が出席をさせないという発言をしたということは、私は聞いておりませんでした。そして、休憩中も委員会室におりました。十二時を過ぎて理事の方が戻ってこられて、そこで休憩になったわけですよね。その時点から法務省に向かったわけです。その間、報告はありません。

米山委員 それはもう官房長を処分でしょう。それは処分ですよ。だって、そんな重要なことを法務大臣に知らせない、それはもう完全に職務上の義務に違反していますよ。御処分いただけるんですね。

 そういうふうに、報告義務違反ということで、この官房長、だって、国会の対策は官房長がやっているんでしょう、そんな重要なことを大臣に知らせなかった、その官房長を放置するんですか。また口頭で注意して、二度とこんなことはしないでね、今度からそういうことがあったらちゃんと報告してね、それで済ませるんですか。処分するのかしないのか、ちゃんと答えてください。

小泉国務大臣 私としては、二度厳しく叱責をし、また、事実関係については本人も認め、反省をし、二度とこういうことが起こらないようにしますと。二度と起こらないようにしてくれ、こういうことをしっかりと伝えてあります。

米山委員 つまり、法務省においては、国家公務員法八十二条は使う気がない。皆さん聞いてくださいね、法務省においては、どんなに重要なことを大臣に報告しなくても、職務に違反しても、戒告も何にもされないそうです。どうぞ、そういう大臣ですから、この大臣の下では職務違反したい放題です。そういう法務省だということを御宣言されていますからね。そういうふうにやられるのは、それはそれで結構なんですけれども、それはそういう政権だというふうにこちらは取らせていただきます。

 じゃ、その後に閣議でちゃんと受理することを決定した、そのとき、やっと副大臣じゃなくなるんですけれども、今のお話だと、この持ち回り閣議中も誰もこの経緯を知らなかったということでいいんですか。柿沢さんから辞表が出されて、官房長が独断で出させなくて、そのことは誰も知らずに、大臣全員がそれを知らずに持ち回り閣議で受理することを決定したということでいいんですね。

小泉国務大臣 朝の段階で柿沢副大臣と話をしまして、そして、取材があり、取材の結果が新聞になり、記事になり、深く反省をしていますということは官邸に報告をしてあります。その先、どういう形でそれが流布されたのかは、申し訳ありませんけれども、存じません。

米山委員 答えていないんですけれども。でも、これ、すごいんですよ。副大臣が辞表を出したところまではいいですよ、それは。出すことはいろいろあるでしょう。でも、予算委員会に出なくて、しかも、それは法務省の職員の独断でやっていて、しかも、それを法務委員会の、理事会では一応説明しているのに、各大臣にそのことを誰も伝えずに、法務大臣も知らずに、総理大臣も知らずに、だって、ニュースになっているんですよ、予算委員会、柿沢さんがいなくて、それで休憩しているとニュースになっているのに、その理由を誰も知らずに持ち回り閣議でこれを受理した。それが岸田内閣だということでいいですね。もうそうおっしゃっているので、そういうことになるんですけれども、そういうことでいいですね。認めてください。

小泉国務大臣 ちょっとまだ状況が整理されていない部分があります。

米山委員 今、状況が整理。だって、先ほど来、二度とやらないように言ったんでしょう。じゃ、何にも整理しないで、漠然とぼやっと、二度とするな、それで終わったんですね。違うんですか。

小泉国務大臣 委員会への出席を拒否するという判断は官房長が当日行いました。

米山委員 それはいいんです。でも、そういう間違いが起こったら、それをちゃんと報告しなきゃいけないでしょう。しかも、それが問題になって、理事会でも問題になって、その次に、別に選択肢がないんじゃないんですよ、ちゃんと選択肢はあるんです。ああそうだったのか、官房長、それは間違っているねとその場でちゃんと正して、じゃ、もう休憩をやめて、午後からの予算委員会で、柿沢君、ちゃんと出て、ちゃんと答弁してね、それを法務大臣は言えたわけですよ、ちゃんと報告を受ければ。何か知らなかったらしいですけれども。

 だから、官房長は二度おかしなことをしているんです。一回は、越権をしているし、それをちゃんと、理事会で言いながら、それを大臣に伝えない。それはおかしいんです。

 さらに、大臣もおかしい。だって、こんなことが起こっていて、理事会が開かれているのに、その理由について、自分で、報告がなければ聞こうともしない、確かめようともしない。無責任の極みでしょう。しかも、持ち回り閣議になるんですよ、自分の所管の省庁の副大臣が。それについてちゃんとどういう事情かを説明もしない。だから、みんな何にも知らずに、ニュースにもなっているのに、その事情を知らずに、ただ判こを押しました。今、小泉大臣はそう答弁したんです。

 もう時間がないですから、次に任せてこれでやめますけれども、これは超無責任ですよ。

 しかも、そもそも、行政府としての体を成していない。そんな、あり得ないでしょう。むちゃくちゃですよ、言っていることが。通常、どう考えても、いや、一回やらかすのはいいですよ、それは。もしかして一回やらかすことはあったって、やらかしたらそれを全部ちゃんと報告しますよ、機能している省庁というのは、機能している行政府は。それをしなかったんです。

 しない上に、それが分かっているのに、誰もそれを、法務大臣から総理大臣から、大臣全部ががん首そろえて、理由を調べもせずに持ち回り閣議で判こを押したんです。そんな政府で、何で正義だの法治国家だの言えるんですか。何で二度と起こさないと言えるんですか。

 じゃ、手を挙げていらっしゃるのでお答えいただきたいんですけれども、これはきちんと事実関係を全部調べて、そして、問題のある方はきちんと処分していただけるかどうか、最後に答えてください。

小泉国務大臣 まだ幾つか状況がはっきりしない部分がありますので、それも含めて調査をし、整理をしたいと思います。

米山委員 以上で終わります。

武部委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

武部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。鎌田さゆり君。

鎌田委員 鎌田でございます。

 まず最初に、午前の米山委員の質疑の中での政府側の答弁、そのままでいいのかどうかをちょっと確認させていただきたいんですけれども、柿沢前副大臣が予算委員会の欠席をしたいという意思があったと政策審議官が答弁をされました。そのとき、私ももちろん、こちらから不規則発言をして、あったのというふうに申しましたけれども、その答弁はそのまま残してよろしいんですか、事実として。まず確認させてください。

上原政府参考人 私が申し上げましたのは、十月三十一日の午前九時二十分頃、辞職願が法務省の事務方に提出されたということで、柿沢副大臣としては、辞職願という外形的に明白な形で、もはや副大臣としての職務を遂行する意思がないことを表明されたということをお伝えしたものでございます。

鎌田委員 だから、先ほど、そのときに、併せて、柿沢氏が予算委員会欠席の意思があったというふうにも答弁されているんですよ。速記をひっくり返して見ていただければいいんだけれども、御自身でそう答弁した記憶はないですか、もう。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 私の答弁について、正確なことで私もちょっと記憶がはっきりとしないところがございます。

 私が申し上げましたのは、柿沢副大臣の意思として明白な形でいただいたのは我々は辞職願である、そういうことで、もはや副大臣としての職務を遂行する意思がないことが表明されたということを我々として受け止めたということでございます。

鎌田委員 今のお話、何度も同じ、繰り返しされるんですけれども、先ほど米山さんへの答弁の中で、柿沢前副大臣、予算委員会欠席の意思があったと、そういう答弁が私は聞こえましたので、是非、これは、至急、速記を確認をしていただいて、このまま残すのであれば非常に事実関係が変わってくる話なので、委員長の御采配の下で、御確認を急いでいただきたいと思います。できれば今日の委員会が終わるまでに、あの答弁はどうだったのか、それで、その答弁を残して、そのままでいいのかどうか、是非、委員長、お取り計らいをお願いいたします。

武部委員長 後刻、速記を調査をさせていただいて、理事会で報告、協議させていただきたいと思います。

鎌田委員 今日、私は、配付資料として、理事会で、それから参議院の法務委員会の理事会でも配付されました、十月三十一日の柿沢前法務大臣の辞職の経過についてというものを、私の手元で、改めて見やすく時系列にしたものをお配りをさせていただいております。

 まず、大臣に伺いますけれども、まず、十月三十一日八時前に、法務大臣から柿沢副大臣に、前副大臣に電話で報道の内容等について確認をしたというふうにあるんですけれども、このとき、柿沢前副大臣から辞意を表す言葉はありましたか。

小泉国務大臣 私から、新聞記事が出ていますねと経緯を聞きました。自分が取材を受けた結果の記事ですということを認めた上で、大変深く反省していますという言葉がありました。

 しかし、私の記憶では、その時点では、辞意の意思は聞いておりません。

鎌田委員 八時前の段階では、辞意は示されなかった、反省を述べたということでございました。

 ところが、また時系列で見ますと、九時二十分頃、もう僅か一時間二十分後に、柿沢前法務副大臣から法務省の事務方に辞職願が提出されています。この間、一時間二十分で、柿沢氏は副大臣を辞めるという意思を示されているわけです。ただし、それは大臣にじゃなくて、法務省の事務方になんですけれども。

 伺います。八時から閣議があったと思うんですけれども、八時からの閣議で、柿沢前副大臣の件について、大臣と総理と、何か会話はしていませんか。

小泉国務大臣 その時間はありませんでした。

鎌田委員 済みません、その日の朝に大々的に柿沢氏の報道があったにもかかわらず、閣議で総理とは何もその件について、しかも、その日の八時前に電話でしゃべっているけれども、その報告を総理にしたりとかはしていないんですか。

小泉国務大臣 電話のやり取りについては、事務方を通じて官邸には連絡を入れています。

 そして、閣議終了後、閣議後記者会見があり、予算委員会があり、その間の流れの中では総理とお話しする時間はありませんでした。

鎌田委員 通常、我々の、この永田町にいますと、新聞記事やら週刊誌記事やら早刷りを手に入れて、そして、今週何が話題になるかとかというのはあらかじめ知ることができるんですが、非常に重要な案件ですよね、結果としてなりました。それを、朝八時前に電話でしゃべって、その後、八時からの閣議で、内閣の方々がおそろいになっている、総理とも会っている、その場所で柿沢前法務副大臣の件について何も触れないというのは、私からしたらですよ、とても異常に感じます。

 前の前の葉梨元法務大臣のときには、閣議で岸田総理とお話をしたということをここで答弁されましたけれども、そこでなぜ話をしなかったのか。話題にする必要性がないと思ったんでしょうか。

小泉国務大臣 電話のやり取りについては、事務方を通じて官邸に速やかに報告をしてありますので、私は、その時点では、それ以上の報告をするという時間的余裕もありませんでしたし、そういう流れで対処したわけであります。

鎌田委員 そうすると、先ほど米山さんとのやり取りの中で、大臣が初めて柿沢氏のことについて知ったのは、参議院の予算委員会の最中に事務方からのメモが入って、そこで知ったという、先ほど御答弁がありました。何時だったかは記憶がもう薄れているという御答弁もありましたけれども。

 事務方としては、何時何分に大臣にそのメモを入れた、それから、そのメモには何と書いてあったのかは事務方としてちゃんと記録されていると思いますので、大臣に対して、参議院の予算委員会最中、何時何分、何と書いたメモを出したのか明らかにしてください。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御質問の件でございますけれども、ちょっと今、手元に正確なものについて持ち合わせはございません。恐縮でございます。

鎌田委員 メモを入れたのはどなたですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣に対してメモを差し入れさせていただいたのは事務の秘書官というふうに承知しております。

鎌田委員 事務の秘書官が自分で書いて大臣に渡したんですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 恐縮でございます。その点につきましても、正確なところをちょっと現時点で把握しているところではございません。

鎌田委員 済みません、十月三十一日の参議院の予算委員会の話です。しかも、非常に重要なメモです。大臣が初めて、この案件について大臣に情報を入れたわけですよね。そのメモを誰が書いて、事務方がメモを渡した。それは、今、手元に詳細が分からない。

 じゃ、法務省に帰れば分かるんですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点につきましてお答えできないことを非常に恐縮に思っているところでございます。

 この点につきまして、御指摘を踏まえまして、後ほど調べてみたいと思います。

鎌田委員 大臣、メモに何と書いてあったんでしたか、もう一度お伺いします。

小泉国務大臣 柿沢副大臣から辞表が提出されましたと書いてあったと思います。

鎌田委員 柿沢副大臣から辞表が提出されましたというメモですよ。それだけ重大な、重要なメモです。

 私からも申し上げます。米山委員と同じです。

 こんなに重大なメモが入ったそのときに、大臣は、それこそ事務官、秘書官を通じて、すぐ官房長官や総理に伝えるように指示は出さなかったですね、辞表が出ているということを。

小泉国務大臣 それは私に非があるかもしれませんが、その時点では、とっさに具体的な指示を出すには至りませんでした。

鎌田委員 私は、その時点で、やはりその重大性に鑑みて、すぐ事実関係の確認と、そして、官房長官若しくは総理大臣に対して、副大臣が今こういうことを、辞表を出したと、しかもそれは法務省の事務方を通してですから、事務方にですから、その旨を私は伝えるべきだったと思います。

 改めて伺いますが、小泉大臣は、柿沢前副大臣の今回の案件について、公職選挙法に触れているかもしれないという案件については、一番最初にその案件を知るに至ったのはいつですか。

小泉国務大臣 当日の朝七時過ぎであります。

鎌田委員 十月三十一日の朝七時過ぎということは、その記事が出た、でも、その前は全然、全然情報は入っていなかった、知らなかったということですか。

小泉国務大臣 情報は入っていません。

鎌田委員 今回の岸田さんの内閣改造が行われて、それで小泉大臣が御就任されて、政務三役も決まられて、私にとりましては、小泉大臣、お初にお目にかかる方でありますから、小泉大臣の情報をいろいろ調べたりしていました、ネットとかで。

 だから、それぞれ三役の方々が今どんな環境にあるのか、状況にあるのか、まさか、今、小泉大臣から、その当日の朝、新聞記事を見て、七時過ぎまで全く何も知らなかったというのは、個人的に非常に驚いております。

 それから、そこは事務方にも申し上げたいですけれども、なぜ、柿沢前副大臣の今置かれている状況について大臣に、秘書官の方々も大臣に対してそういう情報を上げなかったのか。上げる必要がないと思ったのか。本来なら、大臣にその情報を上げて、大臣も、柿沢副大臣が今そういう心境にあるということを共有しておくべきではなかったかと私は思いますけれども、もう過去の話になりますから、このことについては更に追及しませんけれども。

 そうすると、小泉大臣は、何時何分かは今分からないけれども、事務方、秘書官からのメモで、副大臣を辞職する意思がありますというメモをもらって初めて知って、予算委員会を欠席をするということは結局いつ知ったんですかね、欠席をすることになったということを。

小泉国務大臣 午前中の予算委員会が終わりまして、その後、休憩、お昼休み、休憩中に聞きました。(発言する者あり)

鎌田委員 済みません、先ほどの答弁と違うという声が上がっていますので、正確にお願いします。

小泉国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたのは、十一時五十分に予算委員会の理事会で、官房長から出席はしないということを伝えていますよね、理事会に。その時点で私は予算委員会の部屋におりましたので、その経過は知らないわけです。そして、休憩に入りました。そして、法務省にすぐ戻りました。そこで柿沢副大臣と会いました。また院内に戻りました。その段階で知った。

鎌田委員 今大臣、法務省に戻られたときに柿沢副大臣と会いましたとおっしゃいました。そのとき柿沢副大臣から、副大臣の辞意についてはもうメモが入っていますけれども、予算委員会を欠席をしたことについて、柿沢氏からはどんな説明があったんですか。

小泉国務大臣 本人から強い辞意の表明はありましたけれども、予算委員会出席についての特段のコメント、話は、記憶の限り聞いておりません。

鎌田委員 なぜ聞かなかったんですか。予算委員会であんなに問題になったじゃないですか。NHKでは、小鳥のさえずりの声か川のせせらぎの音か分からないけれども、ただいま予算委員会休憩中ですといって、国民の皆様には風景の映像が延々と流れたんですよ。なぜそこで聞かなかったんですか。

小泉国務大臣 その時点に遡ってみますと、私が受けた強い印象は、とにかく辞表を出した、また、辞めたい、そのことを強く彼は訴えました。私は、それを受けて速やかに手続を進める必要があると考えまして、その旨を官邸に上申という形で伝えたわけであります。

鎌田委員 私がお聞きしたのは、参議院の十月三十一日の予算委員会の午前中、議員の質問権を奪うに等しいことが起きた、とても重大なことが起きた。その原因が柿沢前副大臣なんですよ。その副大臣と、法務省に戻ったときに、会ったときに、なぜ、君、予算委員会に来なかったの、僕にも連絡が来ないじゃないのと。それよりも、大臣は、副大臣を辞めることの方が重大性、重かったから、予算委員会を欠席したことについては何でというのは聞かなかったと、私、解釈してよろしいですか。

小泉国務大臣 その時点で、十一時五十分に理事会で官房長からそういうやり取りをさせていただいたということは、私はまだ知らなかった時点ですよね。ですから、おっしゃるとおり、予算委員会に本人が姿を見せていないということにおいて、そこには一つの問題はあったと思いますけれども、私は、とにかく強い辞意があった、これを早く昼休みの間に官邸に伝えよう、そういう思いで動いたわけです。

鎌田委員 官房長がなさったということも私は問題だとは思っています。けれども、大臣と副大臣です、政務三役のお二人。その方が、十月三十一日に法務省の場所で会っている。そのときに、午前中予算委員会に出なかったことを、なぜその理由を聞かなかったのか。

 私は大臣にも重い責任があると思いますよ。そこはお認めになられて、事務方を処分、何らかの処分をすることも必要性があるかもしれませんけれども、私は、大臣として、自らを何らかの戒めというか、国民の皆さんに、ちゃんとお昼の時間に副大臣と会っておきながら、予算委員会に出なかったことの理由を聞かなかったことについて、きちんと説明すべきです。

小泉国務大臣 おっしゃる点は理解をいたします。私に至らない点があったということは事実だと思います。

鎌田委員 済みません、副大臣、それから事務方、大臣、至らなかった、ごめんなさい、二度にわたり強く叱責した、ごめんなさい、もう二度と起きないようにと言う割には、この時系列も出していただきましたけれども、分からないことがあり過ぎるんです。理解が及ばないことがあり過ぎるんです。普通だったら、ここの時点でこの行動をする、ここの時点でこういう行為をする、確認をするということが、なされずに、はっきり申し上げて、官房長のせいにして、そして副大臣はとっとと辞めて、そして大臣も、至らなかった、済みませんで終わりですか。

 これはちゃんと、先ほど米山さんの質問にもありましたけれども、徹底的に、今、審議官も本庁に帰らないと分からないとおっしゃっていましたから、それも含めて調査をしていただいて、結局のところ、いつ何が起きて、誰が何を指示して、何を書いて大臣にお知らせをして、このてんまつになったのかということを、きっちり最初から最後までの報告書をお作りになって、そしてこの法務委員会に明らかにしていただきたいと思います。委員長、そのお取り計らいをよろしくお願いいたします。

武部委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたします。

鎌田委員 最後。柿沢氏は、正式な手続上、法務副大臣でなくなったのは、十月三十一日の何時何分ですか。

小泉国務大臣 持ち回り閣議が開催され、内閣として副大臣の職を免ずることが決せられました、当日。副大臣の職を免ずる持ち回り閣議が終了したのは、十月三十一日の午後一時頃であると承知しております。

鎌田委員 つまり、その時刻までは柿沢さんは法務副大臣であったわけですから、少なくとも参議院の予算委員会には出席をしなければいけないし、答弁をしなければいけないし、それを大臣として疑問にも思わず、なぜ欠席したのかの確認もせずということは、大臣、是非心に刻んでいただいて、調査をする段階で、大臣のその行動、それも含めた報告を求めたいと思います。

 続きまして、今日、いろいろほかにも通告していたんですけれども、これが多分最後になると思います。

 お手元には資料で、裏面になりますけれども、入管の改善策、令和五年、今年の四月、改善策の取組状況というものが私たちに示されています。当然ですけれども、これはさきの通常国会で成立をした入管法の改定、それの立法事実の一部になっている資料です。令和五年四月一日現在と右上にあります。そして、入管収容施設の医療体制について、ここに書かれてあります。

 見ていただきたいのは大阪のところです。「一名」と書いてあります。ですが、私たちが大阪入管に視察に行きました時点で、大阪入管の所長は、令和五年一月、今年の一月の時点で、この常勤の医師は医療業務に就かせておりませんと発言をしました。じゃ、どこで勤務しているんですかと聞いたら、この入管施設内のどこかで勤務をしています、少なくとも、アルコールが検出されたので、医師としての業務はさせておりませんというふうにはっきり明言されていました。

 そうすると、この資料に書いてある大阪のところの一名、令和五年の四月一日現在です、この一名というもの、この資料をこのままにしておくと、虚偽、事実と違う資料になります。しかも、入管法の改定をするときの立法事実の一部です。これは即刻修正若しくは訂正をすべきだと思います。

 これは大臣に通告しております。大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

小泉国務大臣 御指摘の大阪局の常勤医師が酒気帯びの状態で勤務に臨んだ事案については、入管庁から説明を受け、承知をしております。

 入管収容施設の常勤医師が非違行為に及んだことは重く受け止めるべきであると考えております。

 御指摘の資料につきましては、公表時点において当該医師は常勤医師の立場を有していた、籍を置いていた、これは本人に様々な事実確認をし、訴訟へのリスクも踏まえながら調査を進めていく過程にありまして、その現場にはもちろん勤務していなかったんですけれども、籍は有していたわけであります。その旨を記載したものであって、虚偽の内容ではなかったと考えております。

鎌田委員 籍は有していたというのは、医師としての給料をもらっていたから籍があったというだけで、医師としての仕事はしていません、もう一月から。ですので、これは大至急訂正と修正をすべきです。

 私の時間も来ましたので、最後になりますが、今年の一月二十一日、大阪入管がこの酩酊医師についての報告書を作成して、本庁に送っているはずです。その報告書というものは、我々、この衆議院の法務委員会で目にしたことがございません。あわせて、この報告書をこの委員会に開示をすることを求めたいと思います。委員長、お取り計らいをお願いいたします。

武部委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

鎌田委員 終わります。

武部委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田です。

 大臣所信の時間、二十五分いただきまして、ありがとうございます。

 内容は、今までのこの法務委員会の中でやってきた性犯罪の問題と、あと、いわゆる法人登記に経営者の住所が載ってしまうという、身の危険を感じて、それをどうにか対処するべきだということを取り上げてやってきて、それの経過を聞くということをお伺いしたいんですが、るる同僚議員からもお話もありました柿沢前副大臣の辞任に係る諸問題について、私からも一言聞きたいと思っています。

 まず、様々な問題点が指摘されますが、やはり私は、立法府にいる者として、国会から呼ばれた副大臣が来なかったということは物すごく大きなことだと思っています。私も二十年近くここにおりますけれども、自分の知る限りにおいて、このようなことが起きたことはないなと。立法府としての権威及びその意義が担保される意味では、やはり政府に対して厳しく、要求があった場合には問うことができるということが我々の存在意義だと思っていますので、理事会で合意した副大臣の予算委員会での答弁の要求が実現しなかったということは物すごく大きいことだと思っています。

 問題点は、同僚議員が指摘されたのであれですが、私からお伺いしたいことは、まず、何でそういうことが起きて、それは誰が判断したのかということにやはり尽きます。

 皆さんいろいろ、大臣にせよ事務方にせよ責めていますが、ここを私は言及しておきたいのですが、最もひどいのは柿沢未途本人ですよ。そこの言及が全然ないまま来ていますが、いや、新人議員ならまだしもですよ、何年かやっている人間が、副大臣の職に就いて、自分が辞職をしたいと思ったときに、こんな、国会に迷惑と、国会の権威をおとしめるような辞め方は見たことないですよ。直前まで国対の幹部もやっておいて、自分がどのような国会に対する影響を与えるかを全く無視して、こんな予算委員会の最中に辞表を出すなんという暴挙に出たことは厳しく批判されるべきだとまず思います。柿沢未途のやったことは、私は、国会の一員として全く許されないような行為だと思います。

 その柿沢氏本人が、国会で呼ばれているにもかかわらず答弁をする機会が結果的になかったということも、先ほどから申し上げている問題だと思います。

 大臣としてどのようにお考えになっていたのかということを私は聞きたいんです。

 事実関係は今まで同僚がやっていたのであれですが、まず、八時前に、柿沢前副大臣に対して電話で報道の内容を大臣は確認されました。そのときのことについて、さきの予算委員会においては、本人に対して、説明責任をしっかり果たしてもらいたい、そういう指示を私からいたしましたと。朝の八時の段階では、御本人に説明責任を果たせということを指示されています。お気持ちはそういうお気持ちだったんでしょう。

 次のタイミングですが、九時二十分に柿沢前法務大臣から辞表願が法務省に提出されたということを事務の秘書官から伝えられました。

 大臣、聞きますが、このタイミングでも、大臣としては、柿沢当時は副大臣ですけれども、呼ばれていることも承知されておりましたので、国会で説明をするべきだ、そうお考えになられていましたか。

小泉国務大臣 朝八時前、御本人と電話で話をしたときに、いろいろ話をしましたが、最後に、とにかく説明責任をしっかり果たしてもらいたいということを申し上げました。その気持ちは、この九時二十分の段階でも同じ気持ちです、もちろん。

寺田(学)委員 なるほど。辞意を示された副大臣に対しても、しっかりと国会で答弁するようにというお気持ちを、辞表を出した、辞意を示した後も思っていたわけですよね。

 その後、官房長が、大臣に諮ることなく、辞表を出した人間だから国会に出るのはふさわしくないといって止めたことはありましたけれども、大臣として、昼の段階でお会いになりましたよね。既に辞意の表明は知っているわけです。その上で、なぜ国会に来てしっかり答弁してそれから辞めろと言わなかったのかということを私は気になっているんです。それが私は、結果的に、彼自身が説明する機会、もっと言えば、国会が呼んだ人間が答弁すること、その機会を奪われた原因はそこにあるからです。

 一回、午前中の段階で官房長が止めたとしても、リカバリーできたわけですよ。いやいや、受理はしない、一回ちゃんと呼ばれているんだったら説明しろ、説明して皆さんの前でしっかり答弁した上でそれは受理すると、それもできたわけです。その判断は大臣が握っていたんです。

 なぜ、九時二十分の段階で、辞意を知った瞬間にはまだ説明するべきだと思いながら、お昼、ステータスとしては同じ状態ですよ、会ったら、辞意を受け止めて、辞表を受理しちゃって、国会で説明する機会を奪ったんですか。

小泉国務大臣 それは、先ほども申し上げたように、私に非があると思います。ただ、そのときの私の気持ちは、強い辞意を彼が、本人が表しましたので、限られた時間の中でそれを早く官邸にも伝達をしたい、そういう気持ちで、彼を止めるということができなかったわけであります。

寺田(学)委員 辞職願を提出した副大臣が委員会において答弁することは適切ではないと思いますか。

小泉国務大臣 仮定の御質問にはお答えできません。

寺田(学)委員 起こるかもしれないことを仮定で言っているのではなくて、起きたことに対して聞いているわけですよ。

 御自身としては、九時二十分の段階で、辞表を出された柿沢副大臣に対してはまだ国会で説明せよと思っていると答弁されましたよね。その上で、直接会ったときに、同じ辞意を表明された人間に対して、受理をして、国会で答弁する機会を奪ったんですよ。

 もう一度お伺いします。辞表願を提出した副大臣が委員会において答弁することは適切ではないと思いますか。

小泉国務大臣 本人がその職責を全うしようという意思を既に失っているわけであります。したがって、法務省を代表する立場で国会において答弁するということは適切ではないと思います。

寺田(学)委員 これは官房長が言っている言葉そのものなんですよ。午前中の段階で、事務方が、なぜ国会に出さないかということに関しては、辞職願を提出した副大臣が委員会において答弁することは適切でないと判断したわけですよ。いや、厳しく怒っているのは分かりますよ。ただ、考えている内容は一緒だったんですよ。

 事務方が事前に、さっき言ったとおり、予算委員会中に辞表を提出してそれが外に漏れるとかという信じられないような光景が起きている中で、事務方としても困ったと思いますよ。辞表を提出するということを一報入れたけれども、受理するともしないとも言われないわけです。その中で、刻々と予算委員会が進んで、その質疑者の番になったときにどうしたらいいか分からなくなっているわけです。私はすごくかわいそうだなと思いますよ。こんなものは政治が判断しなきゃいけないのに。もしかしたら与党の国対側の方でいろいろな判断があったのかもしれませんけれども。

 ただ、いずれにせよ、しっかりと答弁をさせるかさせないかは大臣が握っていたわけです。辞表願を提出した副大臣が委員会において答弁することは適切でないと思っているとすれば、確かに午前の段階で大臣に諮らず判断をした事務方は責められるべきかもしれませんが、その判断内容は大臣と一緒で、正しかったわけですよ。それを事前に諮らずにやった、本来判断するべき人間が判断していなかったという意味での責はあると思いますが、結局のところ、もしそういうふうに事務方が判断していなくても、大臣は受理して、機会を奪っているじゃないですか。

 そういう意味で私は大臣に責任があるということを言いたいんです。こんなものを役所の人間の失態だなんといって終わらせるということ自体が、立法府にいる人間として私は承服できないなというのが私の感想です。

 御答弁があるなら御答弁していただいて結構ですが、なければ次に移ります。

小泉国務大臣 私の至らなかった部分については深く反省したいと思います。

寺田(学)委員 事務方を二回叱ったとか、今後やらないように強く指導したというよりも、御自身だって同じことをしたんですからね。そこをちゃんと分かってください。

 次の質問に移ります。

 性犯罪のことをこの間の常会の中で修正協議もして可決をしました。施行が始まって、様々、不同意性交罪、不同意わいせつ罪等ありますが、現場の方々、弁護士さんも含めていろいろ話を聞くと、やはりそういう事件がかなり表に出てくることになったので、結果としてワンストップ支援センターへの相談が増えていると。これは答弁は事務方で結構ですけれども。

 その上で、そこに被害に遭われた方が相談に行くんですが、その中で、様々相談して、もう本当に被害に遭った直後で様々心が揺れる中で、お話をして、励ましながら支援をしていくということをされているんですが、その後、事件化をするということで警察の取調べになると思うんですが、私自身としては、本当に被害に遭った直後、そういう支援センターの支援の輪の中で話すことと、立件するために警察側の方で客観的な事実を並べていくときに、多少の事実認識のずれ等はあるとは思うんですが、私が最近聞いて、なるほどな、それは問題かなと思ったのは、裁判をする際に、その支援センターで相談した内容を提出してほしいということが、刑事弁護をやられる方からの要求が増えてきているという話も聞きました。

 もちろん、様々な形で証拠を集めてやるのはいいと思うんですが、それ自体、支援センターで話した内容と警察側の取調べの中でお話しした内容が少しでもずれていることで、供述の正当性を争うことになりかねないのではないかということを私は懸念しています。

 この点に関して、刑事局又は他の省庁も含めて、問題意識、及び、改善が必要であればどういうところなのか、御答弁いただければと思います。

小八木政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県等に置かれております性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、ただいま先生の方からございましたけれども、におきましては、性犯罪、性暴力の被害者に寄り添って、被害者の意思を尊重しつつ、被害直後からの医療支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを可能な限り一か所で提供しております。

 センターでは、個々の被害者の状況を踏まえて適切な支援を提供できるよう、被害者から伺ったことなど、必要な記録を作成しているものと承知しております。

 センターのことについては、このような形でございます。

松下政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げますと、捜査機関が行う被害者の聴取は、事案の真相を解明するとともに、被害者の正当な権利利益を尊重するという観点から行われているものと承知しておりまして、ワンストップ支援センターにおいて行われている被害者からの聴取とは聴取の目的や把握している証拠、事実関係などが異なりますので、被害者がどんなことをお話しされるのかも含めて、聴取内容が異なったりするということはあると思います。

 その上で、それを刑事裁判というかその手続において使うことがあるかどうかということに関してですけれども、それは、機会としてそういうことはあり得ると思います。

 ただ、基本的には、捜査機関が刑事司法手続において被害者の供述内容を証拠化する方法としては、検察官自らが、あるいは警察官が被害者から聴取して供述調書を作ったり、法廷で証人尋問を行うといった方法で証拠化するわけですけれども、例えば、今御指摘のように、弁護人からの求めによってワンストップ支援センターにおける供述云々ということになった場合に、それを証拠として用いるかどうかということについては、個々の事案に応じまして、捜査機関、あるいは裁判の場合であれば裁判所が適切に御判断されることですけれども、一般論として申し上げれば、捜査機関においては、機関の立場、それから機関における相談業務等の趣旨、性質、被害者の意向、それからそのときの被害者の状況ですとか、そういったことを十分に踏まえて、証拠として用いる必要性ですとかその内容の信用性等を適切に検討、判断しているものと承知しております。

寺田(学)委員 そういう実態の中での様々な問題点や問題意識を十分刑事局としても、関係省庁としても把握しながら進めていただきたいと思います。

 もう一点、性犯罪についてです。余りこの話、国会でやりにくいんですが、多く声が寄せられたので。

 お手元の方に資料をお渡ししました。これは男性諸君、男性にしかできない性犯罪と私は思っていますので見てほしいんです。電車内で十代の女性のスカートに体液、これは精液の話です、容疑の世田谷区職員が逮捕という話です。

 私は、秋田で生まれて、男性ですし、そういう被害があるということは全く知らなかったんですが、こういうことがよく起きるという話を聞いて、周りの人間に聞きましたら、現職の国会議員の中にも被害者、電車の中で精液をかけられたという被害者もいますし、このことをちょっと自分のパーソナルな部分で話をしたところ、ある会社時代の同僚の男性の父親から、うちの娘はこの間その被害に遭ったと言われました。なので、こういう事案は少なからず起きているというのが私の感触です。

 この記事を読んでもらえるとあれなんですが、器物損壊の疑いで逮捕されたと。これは、西武線の中で、走行中の電車内で十代の女性のスカートに精液をかけたことに対して、こぼれただけでかけようとは思っていないと容疑を否認したと。

 器物損壊は過失がないでしょうから、故意じゃないという理由の立ち位置なのかもしれませんが、んなわけないじゃんと普通の発想で思います。唾とかだったら分かりますが、精液なんて性的な興奮の頂点に立たない限り出ないわけで、それが、こぼれただけでかけようとしていないと言っても、そんなものずっと出し続けているわけじゃないですから、もう明らかに性的な行為であったことは容易に想像はつくんだけれども、現行の法律の枠組みの中においては器物損壊に当たる場合が多く、かつ、それ自体に、自分自身のことを弁護することも含めて言うと、わざとじゃないんだという言い方があると。

 裏を返すと、これも私も信じ難いんですが、お渡ししたものの裏の方に、今度は、これは福井県だそうですね、自分の子供を連れて学校に行った教師が、一人でその学校内の部屋にこもって自慰行為をして、その出た精液を子供の帽子で拭ったという話で、県教委の中の取調べではわいせつな目的ではなかったよねということで、退職をしたんですね。

 先ほどの話もそうですけれども、今この先生の話でいうと、こういう辞め方をすると、現行の法律の中のわいせつなことをした人間として今後同じような職に就けないという枠組みにも入らないです。一番最初の話も、器物損壊で逮捕されて罪になっているんですかね、これも今後作るDBSの中において、性犯罪じゃないですから入らないわけですよ。

 この間のいわゆる刑法改正というのは、処罰範囲を変えない中において、本来捕らえるべき人間をしっかりと捕捉するために様々な要件をつけたということで、しっかり従前からの処罰範囲の中で適正に処罰されるようにしようと。

 今回、このケースも、私は精液を人にかけるという行為自体は性的な行為そのものだと思うんですけれども、現行の法律の枠組みの中では器物損壊だったり暴行というところで収まって性犯罪にならないというのは、私はすごく疑問があるし、こういう問題は、さっき言ったとおり男性しか犯すことができない犯罪ですので、男性諸君も含めて問題意識を持って、私は何かしらの正しい在り方への導きが必要だと思うんです。

 刑事局にお答えいただきたいんですが、こういう行為をしたことに対して、性的な自由、保護法益たる性的自由を侵害されないケースは想定されるんですか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのような行為が性的行為に関する自由な意思決定が困難な状態でなされた性的行為であるかどうか、これが性犯罪の本質なんですけれども、当たるかどうかということは、恐縮ですが、個々の事案におきまして、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございまして、法務省としてお答えすることは困難でございますけれども、最高裁判所の判例によりますと、わいせつな行為に当たるかどうかの判断を行うためには、行為そのものが持つ性的な性質の有無及び程度を十分に踏まえた上で、事案によっては、当該行為が行われた際の具体的な状況等の諸般の事情をも総合考慮し、社会通念に照らして、その行為に性的な意味があると言えるか否かや、その性的な意味合いの強さを個別事案に応じた具体的事実関係に基づいて判断するものとされておりまして、検察当局においては、このような判例も踏まえて、個々の事案ごとに、法と証拠に基づいて当該事案の内容や諸情状を考慮して適切に判断をしておりまして、個々の事案に応じた適切な訴因を選択、構成しているものと承知をしております。

寺田(学)委員 個々の事案を個々に判断するのは当然であって、別にそこは否定はしないですけれども、人に精子をかけておいて性的な自由を侵害されないケースというのが想像できないんですよ。実際、その場で自分の自慰行為によってかけた以外に、何かフィルムケースとかに持ってきてかけるケースとかあるらしいんですけれども、それだって、めちゃめちゃ性的な行為だと思いますし、自由を侵害していると思います。

 それで、聞きたかったのは、じゃ、個々のケースとはいいながら、どういうケースであれば、侵害されないというふうに捉えられるものが、こういう行為自体が僕は想像を絶していますけれども、判断できるんですか。性的な自由を侵害しないような精子をかける行為というのはあるんですか、人に対して。

松下政府参考人 お答えいたします。

 大変恐縮なんですが、どういう場合なら当たらないというようなことをこの場で法務省として申し上げるということはできかねるんですけれども、その理由といたしましては、個々の事案ごとに事実関係も違いますし、証拠関係も異なりますので、やはり、それは事案ごとに、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄であるというふうに考えておりますけれども、実際問題として、おっしゃったような事案において、器物損壊罪ではなく、改正前ですけれども、性犯罪として処罰される場合はあったものと承知をしております。

寺田(学)委員 先ほど申し上げたとおり、本来処罰されるべきであろうこと自体が法の構成によって処罰されないということは私は本当に不幸なことだと思うし、不備だと思うので、直していきたいと思うんです。

 今度、本当にDBSとか出てきたときに、こんな行為をする人間こそ、性犯罪をする人間に軽いも軽くないもないですけれども、異常行為ですよ。本当に怖いし、私に相談してきたその娘さんを持つ父親の心境というのはもう想像できないですね。そういう行為をされて帰ってきたと。聞くと、余りにも結構頻繁にあるもので、一般的に、女性の高校生の中では、またやられたみたいなぐらいで軽く受け流すようなことになっていたというふうにも聞きましたけれども、私はそんな軽い問題じゃないと思いますので、しっかりとここには着目をして、実態を把握し、改正されたわけですから、改正された上でどのようなことが考えられるのかを整理してほしいと思います。

 整理できることがあれば今御答弁いただきますが、ありますか。

松下政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、今般改正していただいた法律によりまして、要件を改めまして、「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という文言を用い、中核的な要件として規定して、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙していただきました。

 この改正によりまして、改正前の刑法の下で処罰できなかったものが新たに処罰対象として追加されたというわけでは御指摘のとおりないんですけれども、改正前の刑法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されることとなったと考えておりますので、このような改正の趣旨を踏まえて、個別の事案に応じて適切に運用がなされるものと考えております。

寺田(学)委員 頑張ってください。

 もう一分しかないので、最後、民事局ですけれども、これも、大臣も民事局長も替わっちゃったので、ずっとやってきたこと自体が本当に引き継がれるか、及び、結果的にどうなるかなんですが、私がやってきたのは、法人登記のところに経営者の住所が書かれる、これを元に週刊誌報道もされるし、私が知っている限りでは、ストーカーが来て、特に女性の経営者に対しては、それで調べて、簡単に調べられますから、ストーカーがその居住地まで来るということが起きていると。アメリカではそういうことに起因としたような殺人事件まで起きたという話まで言われています。

 もちろん必要性はあるとは思うんですが、何かしら登録しなきゃいけないことなんですが、こんなにプライバシーがだだ漏れになっている状態は改善しなきゃいけないということで、政府の中で取り組んでもらって、本年度中に見直しを行うところまで来ているんです。

 事前のレクで聞いていると、急にやはりトーンダウンしているというか、うやむやしている。ちゃんとやってくださいというのを、大臣か民事局長、どっちでもいいです。大臣が、ちゃんとやるんだ、この問題意識を引き継いでちゃんとやるんだというような御答弁をいただければ。

武部委員長 小泉法務大臣、答弁は簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 先生の問題提起、また時代に即した問題提起だと思います。

 我々も鋭意努力をしています。ヒアリングを重ねてきております。本年度中ではなくて本年中の実現に向けて、両方に配慮した、プライバシーの保護と会社代表者が有する社会的な役割、責務、そのバランスを取るための方策を今年中に実現するべく、先生のおっしゃる趣旨をよく踏まえて努力したいと思います。

寺田(学)委員 終わります。

武部委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 今回、初めて法務委員会の方に来させていただきまして、大臣また理事の皆様よろしくお願いしたいと思います。

 まず、本日も多くの委員の皆様からの御質問がありました柿沢元副大臣のお話について、ちょっと違う点から幾つかお伺いをしたいなという具合に思っております。

 そもそも、今回、副大臣の辞任に当たって、最初の報道にありましたのが、江東区の区長選挙におきまして、選挙期間中にユーチューブの有料動画、これが流れていた、それを副大臣が指南したのではないかということもありました。元区長さんの方からは、任意の捜査ということに協力したいということで、それに時間が取られるということもありまして、区政に影響を及ぼさないようにということで辞表を出されたと認識をしているわけなんですが、柿沢前副大臣が具体的にどういう理由で、辞任をされる理由ですね、それに対して詳細に承知しているわけではございません。

 幾つか質問したいところがあるわけなんですけれども、ただ、この三連休中に一部の報道の方から、この区長選挙に際しまして、区議さんであったり候補者の皆さんに対して、二十万から一万程度の資金の提供の申出であったり、実際に渡されたということもあったやに仄聞をしております。

 そこで、一般論としてで結構なんです、確認程度で結構なんですけれども、選挙の当選への協力を目的とした資金提供につきまして公職選挙法でどのように取り扱われているのかお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 公選法の規定についてお尋ねですよね。我が省の所管、恐縮ですが、それは総務省の所管だと思います。申し訳ありません。

池下委員 ちょっと最初の方に用意させていただいておったんですけれども、一問ちょっと飛ばさせていただいて。ただ、普通、金品であったり物品、供応接待等がありましたら、通常は買収であったりそういうところにも該当してくるという懸念があります。

 大臣、ちょっとお伺いをしたいんですが、もし万が一、この資金提供の問題というのが副大臣の辞任の原因になるということは万が一でもあったらもちろんいけないというのは承知はしているんですけれども、ただ、今までもちょっといろいろ議論の中であったように、大臣が副大臣からいろいろ報告を受けた、辞任の意思表示を受けた、そういういろいろタイミングがあったと思います。朝早くやられたりとか、委員会が終わってから、十月三十一日昼過ぎですか、その面会のときにお会いなされたということをお話しされていたと思うんですけれども、その辞任の理由について、辞任したいという意思表示じゃなくて辞任の理由について、具体的に詳細にお伺いされたという内容を教えていただきたいと思うんですが、よろしくお願いします。

小泉国務大臣 御本人が繰り返し言っておられましたのは、内閣に迷惑がかかる、国会審議にもまた迷惑がかかる、したがって職を辞したいということを言っておられました。その前段として、朝、電話で話をしたときには、大変深く反省をしていますということも言っておられました。

池下委員 内容について詳細は聞かれましたか。

小泉国務大臣 私が伺ったのは、内容といいますか、その経緯ですね。取材があり、新聞報道がなされ、こういう記事が出ているということについて、それは間違いありません、自分が受けた取材です、自分がインタビューに答えました、それが記事になっています、それを確認したわけです。

池下委員 当時でありますので、多分、恐らくユーチューブの有料動画の話なのかなという具合に推察します。まだこれから捜査もされるということで聞いておりますけれども、それはちょっと注視をしていきたいなと思っております。

 時間もありますので次に行きたいと思うんですけれども、とはいえ、今回の副大臣の辞任劇というのがありまして、大臣の所信、昨日行われましたけれども、本来はもうちょっと前にされるのかなと思っておりました。

 当然、委員会の日程というのは理事会等々で協議の上決まるというのは、私も理事ですので承知をしているわけなんですが、ただ、昨日大臣の所信があって、本日この質疑があるということは、非常に日程的にタイトでありますし、我々も昨日質問取りをさせていただきましたし、職員の皆さんはその後、答弁はどうするのかということで、大臣もレクをされて、非常にタイトな中で、仕事的にも非常にプレッシャーがあったのではないかな、負担があったのではないかなと推察しております。

 今回の騒動を踏まえまして、大臣として今後二度とないようにということで注意されたと言いますけれども、それ以外にも、非常にほかにも影響が与えられていますので、そこについての見直す必要ということも含めて、大臣にお伺いをしたいと思います。

小泉国務大臣 そこはおっしゃるとおりだと思います。昨日の所信表明、そして今日の所信に対する質疑の間がないわけです。大変大きな御迷惑をおかけしていると思います。

 また、それに伴って、先生御指摘のように、国会の職員、政府の職員にも大きな負担がかかっているのも事実ではございまして、そういう幅広い影響についてよく認識しながら、今後を期していきたいと思っております。

池下委員 波が高いとき、なぎなときと様々、国会もいろいろあるかと思います。臨機応変にということはもちろん理解はしているつもりではありますけれども、働き方改革等々もありますので、職員の皆様にできるだけ負担のないような形で運営を進めていただきたいなと思います。

 それでは続きまして、違う項目に行かせていただきたいと思うんですけれども、本日、日下委員の方からも御質問がありました性同一性障害の関係についてお伺いをしていきたいと思います。

 先日の二十五日に、戸籍上の性別変更につきまして、最高裁は、手術、これを事実上強制してきたのではないかということで、五つの要件のうち四番目の生殖不能要件を違憲ということで結論づけられました。また、五つ目の外観要件につきましても、議論が不足していますよということもありまして、高裁の方に差戻しをされたということは皆様周知のとおりかなと思っております。

 ただ、これは非常に影響が今後大きいのかなとも私考えておりまして、特例法の制定時からしますと、一定、やはり性同一性障害の方々であったりとか性自認を持つ方々であったりとかという方に対しての世間の認識というのは、少しずつですけれども、推進されてきたのかなと認識しております。

 ただ、今回の裁判の中で、三浦裁判官から、本件の規定については社会的状況の変化に応じて変わり得るものとされておりまして、その憲法の適合性については不断の検討を要するものということで評されているところであります。

 そこでちょっと資料の方を御覧いただきたいと思うんですけれども、こちらの家庭裁判所における性別の取扱い変更申立て事件の件数の一覧表であります。こちらは平成十六年から令和四年までということで一覧にしていただいているんですが、家裁に対しての戸籍上の性別変更の申立て件数が一万二千二百十七件ありまして、そのうち却下されたのが〇・四%で五十三件、ほとんど多くが認容されているということなんですけれども、こちらの方が一万一千九百十九件という状況が分かるかと思います。

 そこで、今回、特例法の三条にあります性別取扱い変更の審判、五つの要件のうち四つ目、生殖不能要件というのが違憲とされている中で、例えば、今回、女性から男性に戸籍の変更をしたいですよということで変更しました、ところが、変更はしたものの、実際、社会の中で生活をしてみたときに、やはりちょっと違うな、これは元の性に戻したいなというケースもあり得るかもしれません。いろいろなケースが考えられるかと思います。それは個人の観念、違和感、そういうところからなるかと思います。

 つまり、性別の再変更、これを希望された場合、家庭裁判所での審判の取扱いはどのようになるのかにつきましてお伺いをしたいと思います。

小泉国務大臣 余り前例のない大変難しい問題だと思いますが、そういった問題ももちろんこれから出てくる可能性は少なからずあるのかもしれません。

 まず、最初の性別変更、このときの条件の一つに、心理的な性別と生物学的な性別、これが持続的に一致する、一致することが持続性を持っているという確信を持つことという要件がございます。ですから、体の状態と心の状態が一致するということで最初の性別変更が起こり、またそれが元に戻るということになると、じゃ、本当にそれが持続できるのかと。また更に戻る可能性も出てきますよね。そういうところが大きな判断要素になっていくんだろうというふうに考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 大体、性同一性障害の方といいますと、一番最初、カウンセリングを受けられまして、心の問題ということでカウンセリングを受けられて、その後、ホルモン注射であったりとかいろいろな形をされた上で、最終的にいろいろな、外形的に手術をしたいとかという形になってくるかと思うんですけれども、ただ、今回の四番目の生殖不能要件、これは違憲ですよねということになりました。

 今度、五番目の方の外観要件、これはまだ結論が出ていないということですけれども、もし、外観要件も駄目です、違憲ですよねと仮になった場合ですけれども、規定の中では二人のお医者さんの判断に基づいて診断されるということになっていたかと思うんですけれども、そうなると、やはり、お医者さんの方も当然、心理的なカウンセリングとか、それはもちろんされてはいるんですけれども、外観的な判断というのは、これからなしになるかもしれないという状況の中で、判断というのは非常に難しくなってくるかと思います。

 ですので、そういうことも、今、仮にということでお話も先ほどさせていただきましたけれども、再変更等々ありましたら、しっかりと内容を検討していただければなということで思っております。

 次に、最高裁判決の生殖不能要件というのは、何度も言いますが、違憲とされているんですけれども、これも先ほどの日下委員と同じ趣旨の質問になるかと思うんですが、今回、違憲要件とされてから特例法が改正されるまでの間といいますのは、やはり、法律上はまだ法律として残っているわけですから、違憲状態がずっと続いているわけです。

 その中で、やはりその期間の中にでも性別の変更をしたいですよという方々も当然いらっしゃるかと思います。その中で、当然、今回、違憲の理由というのが出されている身体への侵襲ということがあるわけですけれども、政治の不作為によって身体への侵襲を余儀なくされた、こういうことが決して言われることがないようにしていかなければならないと思っております。

 当然、先ほどのお答えの中で、戸籍の変更ですから、市町村に対しては周知していますよということは申していただいていたかなと思うんですけれども、一方で、やはり医師会、医療機関というところを通じて、その方々、性別変更を希望される方々に寄り添うような形でしっかりと周知啓発、これも併せてしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の最高裁の御判断については厚労省も承知しております。

 御指摘の周知、広報ということにつきましては、様々な関係者の方がいらっしゃると考えております。幅広い関係者への周知を含めた今後の法務当局の対応を踏まえまして、厚労省としてもどのような協力が可能か、検討してまいりたいと考えております。

池下委員 今、厚労省さんの方からお答えいただきました。

 当然、性別変更、今回、戸籍ということも含めましてですけれども、様々、関連するところ、省庁、地方自治体、あるかと思いますけれども、そういうところに対しても丁寧にしていただければ大変ありがたいかなと思いますし、万が一、体への侵襲、非常に大きな問題でございますので、そういうことがなきようにしていただきたいなと思っております。

 それでは、この問いの最後について、お伺いをしていきたいと思います。

 今回の最高裁判決を受けまして、いわゆる刑法の堕胎罪であったりとか労働基準法上のいわゆる産休であったりとか、そういうところにつきましても関連法の改正というのが必要になってくるかと思っております。新聞報道でも、当初、法務省の幹部の方が言われていたという記事が出ていたのを私も見させていただきました。

 そこで、まず、影響が出るであろうと思われる関連法の改正の検討状況についてお伺いをしたいと思います。

 そして、もう一点。今回の特例法といいますのがいわゆる議員立法、議法ということはもちろん承知をしているところなんですけれども、やはり新聞でも大きく取り上げられていますし、先ほどは、変更された方が今、既に一万一千九百十九人ですか、これからも当然増えてくるということで、関心も高いところだと思いますので、非常に改正も急がないといけないかなと思っております。

 特例法自体も、議法であるというのは分かりつつも、閣法で改正も検討することができるのではないかなと思っているんですけれども、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 今般の最高裁判所の判断を受けた今後の対応についてでございますが、法務省としては、立法府の動向に注視しつつ、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

 その際の見直しの方法等、閣法なのか議法なのか、そういった問題についても、立法府の動向を注視しつつ、適切に判断してまいりたいと考えております。

 なお、具体的な関連法の検討状況については、現時点ではまだ申し上げられる段階にはございません。

池下委員 まず、関連法についてまだ検討状況をお伝えできる状況じゃないということでありましたけれども、昨日もちょっと質問取りの方でいろいろ、各省庁に打診をしているというところもお伺いをしております。当然、関係してきて、生活に密接するところでもあるかと思いますので、まず、関連法についても、法務委員会だけではない部分も多分にあるかと思いますので、これは是非大臣の方から総理以下各大臣の方にできるだけ速やかに検討していただくようお伝え願えたらと思います。

 そして、大臣も今言われましたけれども、立法府の方で御検討くださいということかと思いますけれども、かつて議法で出されたものでも閣法で改正された件もあると聞いております。当然、今、違憲状態ですので、まずは、四つ目の要件、これを削除するというのが先だと思うんですね、五つ目のやつも今検討中ということですが。まず、閣法の中で四つ目の要件を削除する。そして、その後に、議法の方でしっかりと、立法府の方で議論をしていただきながら、全体としての要件を見直していくということ、この二段構えということも私はありではないのかなという具合に思いますので、お答えはいただきましたけれども、是非そこも含めて御検討いただければありがたいなと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、次の問いに行かせていただきたいと思うんですけれども、次は家族法制の改正につきましてお伺いをしていきたいと思います。

 私も、これはいろいろと各関係者の方々とお会いさせていただきまして、今、我が党の中で、この問題につきまして勉強会も何回か、何度もさせていただいている状況です。そのような中で、先日、十月の三十一日に、法制審の家族制度部会の中で、このたたき台についての議論と検討、意見交換ですか、これがあったということで承知をしております。

 我々の維新の会におきましても、家族の制度、そして共同親権、これはマニフェストの中にも入れさせていただいているということなんですが、私は、夫婦が離婚をしたとしても、やはり親子の関係というのは切っても切れないものだと思っておりますし、離婚に際して、親子の断絶、これは決してあっちゃならないことだと思いますし、やはり子供のことを考えますと、お子さんが双方の親からの豊かな愛情を持って大きく育っていく、これが本当の意味での子供の利益、そういうところに私はつながっていくものだと信じております。

 それをちょっと踏まえて質問の方に行かせていただきたいと思うんですけれども、まず現状の確認をさせていただきたいんですが、現在の法制審における検討状況、そして、小泉大臣がこれからこの家族法制に対してどのような形で取り組んでいこうと思われているのか、その強い意思と、あと、これからどのようにしていくのか、目途ですね、目途についても併せてお伺いをしたいと思います。

小泉国務大臣 法制審議会の家族法制部会で検討してまいりまして、そして、具体案についてのパブリックコメントの手続を進めるという段階まで今来ております。国民の中でも親権の問題、家族法制の問題についての関心が徐々に高まってきているということも感ずるわけでございます。

 しかし、また一方で、様々な意見がございます。意見の一致をまだ見ていない論点も多々ございます。まだ見通すわけにはいきませんけれども、また私の立場、諮問する立場でどうだということは言えませんが、とにかくスピード感を持って熱心な議論を進めていただきたい、そういう立場から法制審の運営を預かっているところでございます。

 非常に重要な問題であって、余り先延ばしはできないと思いますけれども、かといって、無理やりのコンセンサスもできない。これから、そういう難しい作業ではありますけれども、一生懸命取り組みたいと思います。

池下委員 大臣の強い意思は感じさせていただきましたけれども、やはりこれは中身というものが非常に大事だと思っておりますし、当然、日本は今現在、単独親権というところでは、それを変えていきましょうという流れにはあるものの、やはり現在のハーグ条約であったりとか子ども権利条約であったりとか、そういうところからも、ちょっと日本は違うんじゃないのということで指摘はもちろんされているということは御承知かと思います。

 そういうところで、やはり他国に比べても引けの取らないような形で、この家族制度というものは当然日本のもの、家族というものの体系というのは非常に大事でありますけれども、そこも含めて、海外の部分も参考にしながらやっていただきたいなと思っているところであります。

 そこで、今の申し上げました現在の単独親権制度の中では、やはり養育費の問題であったりとか、若しくは面会交流の問題であったりとか、そういうところが問題が多いのではないかということは言われて久しいところであります。

 そこで、離婚された中で、やはり夫婦間は、元々は他人でありますから、離婚したら他人さんになるわけですけれども、当然、お子さんといいますのは、やはりそこの人格を尊重されながら、密接に親子として関わり続けられるという、これは非常に大事かと思っているところであります。

 そこで、大臣にお伺いをしたいと思うんですけれども、今検討されている中で、単独親権から共同親権へという中で、親権に、離婚後の共同親権における親権というのはそもそもどういうものが入ってくるのかということについてお伺いをしたいと思います。

小泉国務大臣 親権とは、一般に、子の身上監護を行う身上監護権と、子供の財産の管理を行う財産管理権がございます。この二つが含まれております。

 身上監護権には、子の身の回りの世話をすることや、子の教育について決定すること、子がどこに住むべきかを決定すること等が含まれていると理解しております。

池下委員 今、親権について、大臣の方から身上監護権というお言葉をいただきました。非常に、共同親権になっていく中で、この身上監護権というのも大事だと思っております。双方の親が、離婚をしたとしても、養育費だけではなくて、生活全般に関わって子供の面倒を見ていく、その中でできるだけ頻繁な親子交流というものができるような形で是非これは進めていかなければならないと思いますし、私はそのように理解をしています。

 ただ、一方、今、法制審の方で検討されている案の中の一文をちょっと御紹介したいなと思うわけなんですけれども、監護の定めがある場合の親権の行使方法等という項目がありまして、その中におきまして、父母が協議の上離婚するときは、子の監護をすべき者又は監護の分担については、父母の協議により定めるものとし、ここまではいいんですが、この協議が調わないとき又は協議をすることができないときは、家庭裁判所がこれを定めるものとする、そういう具合に、今、法制審の案の中で書かれております。

 後ほどからももう一回申し上げたいなと思うんですが、今現状、日本の離婚の在り方、在り方というか方法といいますのが、約九〇%が協議離婚であります。当然、父母の間で協議というか、市役所に紙で一枚出して離婚しますよということですので、離婚する父母間の中で、非常に問題があるから離婚するわけなんですけれども、なかなか次の、子供の養育、監護というところまでは協議が調わないという方が逆に多いかと思います、九〇%が協議離婚ですのでね。

 そこで、このままだと、現在の単独親権と、もし共同親権ですよという名前ができたとしても、どちらが原則なのかがはっきりと分かりにくいのかなと思います。

 逆に、もう一つ、共同監護する場合、この分担の基準ということについても特に明確なルールがあるわけではありませんし、諸外国、特に、先進国という言い方が正しいのかどうか分からないですけれども、そういう国におきましてもしっかりと基準を作られているやに聞き及んでおります。

 ですので、もし大臣の方も、法制審とかで、諮問されるということではありますけれども、その点につきましてもちょっとしっかりと御検討いただくように御指示をしていただければありがたいなと思います。

 そして、法制審の中で何度も、子供の利益という言葉が出てきます。もう何度も出てきます。これまでの国会審議の中でも子供の利益に対しての議論というのは何度も出てきたということは、当然、私、承知をしているんですけれども、私は、やはり、両親の離婚後も子供が双方の親に会うことができること、また監護してもらえること、この環境をつくることこそが子供の利益につながると考えています。

 そこで、子供の利益について、政府のお考えを聞かせていただきたいんですけれども、特に、子供が双方の親に会えることについても含めて、御見解をお伺いしたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在行われております法制審議会の家族法制部会におきましては、父母の離婚後の子の養育の在り方について、子の利益の観点から調査審議を進めておるところでございます。

 何が子の利益であるのかにつきましては、それぞれの子が置かれた環境によっても異なると考えられるため、一概にお答えすることは必ずしも容易ではないのですが、例えば父母の離婚等に伴って父母の一方と子が別居することになった場合において、適切な形で親子の交流の継続が図られることは、子の利益の観点から極めて重要であると認識をしております。

池下委員 今お答えをいただきました。ケース・バイ・ケースということにもなるかとは思うんですけれども、今言っていただきましたように、子供の利益というのは当然子供中心であり、子供ファーストというのは代え難いものだと思っております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、九〇%が協議離婚ですよという事実は変わらないわけでありますから、双方が、我が子の親権をどうするのか、監護をどうするのか、そこで当然意見がまとまらないということも多分に、もちろん、そういうケースが多いですので、あるかと思います。

 夫婦双方の不合意のケースの親権の取り合いがもし起こった場合の判断といいますのは裁判所で行われる、家庭裁判所の判断になるかと思いますけれども、そういうところでも、あらかじめ法律の中でルールを決めておくことも非常に大事だと考えておりますけれども、その部分についての御見解をお伺いしたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 父母の離婚後の親権制度につきましては、現在、法制審議会の家族法制部会におきまして、どのような場合に父母双方を親権者と定めるべきであり、どのような場合に父母の一方のみを親権者と定めるべきであるか、あるいは、家庭裁判所における考慮要素としてどのような規律が考えられるかといった論点も含めまして、子の利益の観点から調査審議が進められているところでございます。

 この論点につきましては、国民の間に様々な御意見がありまして、そうした様々な御意見に耳を傾けながらしっかりと議論していくことが重要であると考えております。

 現時点におきまして、特定の御意見の当否について具体的にお答えすることは差し控えさせていただきたいのですが、引き続き、法制審議会において充実した調査審議が行われるよう、事務当局として必要な対応に努めてまいりたいと考えております。

池下委員 私も、法制審の話を見させていただきまして、いろいろな御意見があるという、それぞれのお立場から御意見があるということは承知をさせていただいております。

 ただ、御意見はありつつも、現在もそうですけれども、子供の利益と称しまして、家庭裁判所の自由裁量の中で全て判断してしまっては逆に子供の利益が守れないという状況も当然発生すると懸念しているところであります。

 海外の事例も踏まえて、例えばADR、裁判外紛争解決手続ですか、これも、活用も視野に入れながら、柔軟な対応を、当然家裁もいろいろなお仕事を抱えているわけですし、これからは離婚の件数も増えていくと想像されますので、そういうADRの活用なんかということも含めてやっていただきたいなと思います。

 もう時間がありませんので、最後に一言だけ申し上げたいなという具合に思うわけなんですが、夫婦が離婚しても親子は親子でありますし、父と子、母と子、その関係は当然一生変わるわけではありません。そんな中で、いろいろな当事者の方々の御意見も聞かせていただくこともあるわけなんですけれども、やはり、密接な親子の交流、これを取ってしまいますと、排除してしまいますと、子供の健やかな成長というところにも大きな影響がかかってくると思っております。

 是非とも、そういうところも含めて慎重審議していただきたいと思いますし、共同親権という名前ですけれども、実際、大事なところが抜けてしまうと、まんじゅうがあって、その中のあんこがすぽっと抜けた、皮だけのような状況になっては当然いけないと思いますので、そこを含めて申し上げまして、私の方は質問を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 法務委員会に入らせていただいたのが今回初めてですので、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 それでは、早速質疑に移りたいと思います。

 昨日の大臣所信で技能実習制度の見直しについて言及されておりましたが、現在の技能実習制度を見直し、外国人材を適正に受け入れる方策が検討されています。

 先月の有識者会議において最終報告書のたたき台が示され、外国人の人権侵害の温床と言われてきた技能実習制度を発展的に解消し、それに代わる新たな制度を創設する等が盛り込まれました。新たな制度は人材確保と人材育成を目的としており、同一企業で一年を超えて働くことや技能検定、日本語能力検定の合格など一定の要件を満たせば別の企業への転籍が可能となることが柱となっています。

 現在の技能実習制度は、途上国への技術移転を通じた国際貢献を目的に掲げていますが、人材不足を補うための労働力を確保する手段になっているのが実際のところ実情だと思います。虐待などの人権侵害や低賃金で長時間労働をさせる事案も数多くあり、昨年は九千人以上の実習生が失踪したと聞いております。

 日本を始めとする先進国で人口減少が問題になる中、外国人材の獲得競争は激化しております。このような状況を踏まえ、新たな制度では、外国人材の処遇改善策に重点を置いているように見受けられます。有識者会議はこの秋にも最終報告書を取りまとめる予定だと承知しております。本日は、このたたき台について少し質問させていただきます。

 現行の技能実習制度の本来の目的は途上国への人材育成を通じた国際貢献ですが、先ほども申し上げましたように、実態は、人手不足の産業を中心に、人材を確保するという手段になっており、目的と実態が実際かけ離れているということが指摘されています。一部では、賃金不払いやパワハラなどが横行して、実習生が過酷な労働環境に置かれていることが問題となっており、これは国際社会からも非難を受けております。

 実習生に対する人権侵害が横行している技能実習制度の現状について、大臣の御所見をまず伺わさせていただきます。

小泉国務大臣 技能実習生に対する人権侵害行為、決してあってはならないものでありますが、一部の受入れ企業等において、制度の趣旨、今先生おっしゃった、人材の確保なのか人材の育成なのか、そこが整理されないまま人材確保に走り、十分制度の趣旨が生かされないまま、労働関係法令違反やハラスメントその他の人権侵害等の問題が発生してまいりました。この点は深く受け止めているところでございます。

 様々な厳正な対処をしてまいりましたけれども、今回の有識者会議の報告書においては、幾つかの主要な柱を立てて、外国人の人権に配慮した制度をつくろうということを提案をさせていただいているところでございます。

 その筆頭は、やむを得ない事情がある場合の転籍の範囲を拡大する、明確化する、手続を柔軟化する、労働者が、雇用者が動けるようにしてあげるということが一つ大きな柱にもなるわけでございます。また、監理団体の要件、受入れ企業からの独立性、中立性が確保されるよう監理団体の要件等を厳格化するということも考えていこうということでございます。

 幾つかまだ主要な点はありますけれども、人権侵害はあってはならないという、その原点を忘れずに制度設計に入っていければというふうに思っております。

美延委員 人権侵害、これは絶対あってはならぬことですから。

 今大臣言われました転籍制限の緩和なんですけれども、たたき台によると、新たな制度で、同一機関で一年以上就労すると転籍が可能ということなんですけれども、日本語や日本社会の仕組みを十分に理解できていない外国人材にとって、私はやはり転籍のハードルというのは非常に高いように思われます。転籍の意向のある外国人について、確実に転籍ができるような実効的な支援が必要ではないかなと思うんです。

 一方、転籍制限の緩和により、地方から賃金の高い都市部への人材流出が加速する懸念もあります。地方の企業さんにとっては、外国人材にそこで働き続けてもらっているというのが重要なことになってくると思うんですけれども、外国人材は地場産業を本当に支える重要な人材になり得ることにもなるわけですから、外国人材に地方で働き続けてもらえるような環境をしっかり整えるために、国が例えば支援金を支給するのも一つの考えだと思います。また、夢を持って日本に来る外国人材がその地域に愛着を持てるように、日本の文化を学び、そして地域住民との交流ができるような環境を整えることによって、賃金の高い大都市への流通もある程度防げるのではないかなと思うんです。

 そこでお伺いしたいんですけれども、転籍制限の緩和についてどのようにお考えなのか、そして、これのメリット、デメリットも含めて、大臣に伺います。

小泉国務大臣 私どもは有識者会議の場を設定している立場でございますので、こういう案だという、我々の、法務省の案を述べるわけにはいきませんが、たたき台の段階で、一年を超える就労があればその場から動けるという案が一応提示をされております。

 ただ、委員御指摘のように、大都市圏に人が集中してしまう、吸い上げられてしまうという懸念が地方を中心に意見として寄せられつつあるのが現状でございます。一方で、この一年というのが、日本語がしゃべれるか、しゃべれないかまで考えれば、かなりハードルは高いんだという見方もあるわけでございまして、実際のところ、どういう調整が取れるのか、今おっしゃった経済的な支援という問題も含めて、まさに今、関係者に多く意見を出していただきながらまとめていこうというところにございますので、まだ見通しを申し上げるわけにはいきませんけれども、非常に重要な論点の一つになっているということは間違いございません、転籍の問題。

美延委員 そうなんですよね。日本語の問題というのは、これは必ずあるんですけれども、実は、私、地元の介護施設を伺わさせていただいたときに、ある海外の方がいらっしゃって、その方が介護をされていました。介護をされていましたが、正直なところ、日本語はまだまだそんなにお上手ではなかったんですけれども、ただ、周りの介護を受けておられる方に伺ったら、すごい親切な方でということも聞きましたので。

 だから、いわゆる日本語ができるできないということが、それは日本でお仕事をしていただくわけですから、それが大切だということは言うまでもないことなんですけれども、ただ、それだけで判断してというのは私はどうかなと思っていますので、これはまた是非、大臣、御検討いただきたいと思います。

 次に、監理団体についてお伺いいたします。

 監理団体は、外国人材の受入れ役を担っており、受入れ企業に対する指導監査や実習生の支援、保護なども行うなど、重要な役割を担っています。今回のたたき台には、監理団体と受入れ企業を兼職する役職員の監理への関与の制限や外部者による監視の強化などによる独立性、中立性の担保に加え、監理団体の許可要件の厳格化が盛り込まれています。新たな制度の下での監理団体は、新たな許可要件に基づき、適切、厳格な審査を受けるとともに、独立的、中立的な運営に努めていくべきであると思います。

 本来、監理団体は中立的な立場で業務を行うべきだと思いますが、現実を申しますと、監理団体自身が受入れ企業から受け取る監理費を資金源として運営されているため、どうしても技能実習生さんよりも受入れ企業さんの方の立場を優先してしまうという構造的な問題があると思うんです。この問題を解決するために、国が中立的な組織をつくって外国人材の支援体制を充実させていくべきであると私は思います。

 現行の技能実習制度においては、外国人技能実習機構が、技能実習生に対する相談対応や援助に加え、監理団体の許可に関する調査や実地検査等も行っていますが、実地検査の回数が十分ではなく、内容も形骸化しており、本来の役割を果たせていないという指摘もあります。

 たたき台では、同機構が改組して、外国人に対する支援、保護機能を強化するとありますが、どのように実効性を担保していくのでしょうか。監理、支援体制の現状と新たな制度における展望について政府の御所見を伺います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘ございました監理団体の件でございますけれども、現在の有識者会議の検討状況は、今委員からも御指摘ございましたが、監理団体の現行制度におきましては、監理団体の役員等が受入れ機関の役員等を兼ねていることにより、独立性、中立性の点で、監理団体が本来持っている機能を十分に果たせていないというような問題点が指摘されているところでございます。

 これらの問題を踏まえまして、有識者会議では、受入れ機関と密接な関係を有する監理団体の役職員の監理への関与の制限や外部者による監視の強化などの案が検討されているところでございまして、監理団体の許可要件の強化、厳格化などによって監理団体の独立性、中立性を高めていくべきという議論がなされているところでございます。

 また、それを検査します機構の強化でございます。先ほど転籍のこともございましたけれども、転籍支援を含めた機構の強化ということも議論になっているところでございます。

 法務省としましては、今後取りまとめられる最終報告書も踏まえつつ、関係省庁の連携の上、政府全体で、具体的な制度設計に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

美延委員 よろしくお願いいたします。

 次に、悪質な送出機関の排除についてお伺いしたいんですけれども、先ほども質疑がありましたように、技能実習生の多くは多額の借金を抱えて来日しておられます。その中には、こんなことはあってはならぬのですけれども、悪徳ブローカーから要求される来日費用の手数料を工面するために家族が自宅を担保にして借金している、そんなケースもあると聞いております。このような状況で例えばもし実習生が失踪した場合、借金が返済できずに本国の御家族にまで影響が及ぶということが懸念されます。

 この点、たたき台では、新たな二国間の取決めにより、取締りを強化して、悪質な送出機関の排除の実効性を高めるとされています。しかし、二国間の取決めは現時点でも十四か国と締結されていますが、それでもなお悪質な送出機関を排除できているとは思いません。このような状況を踏まえると、新たな二国間取決めの締結がどの程度有効なのかも甚だ疑問であります。

 この点を踏まえて、悪質な送出機関をしっかり排除するためにどのような対応を行うのか、大臣の御所見をお伺いいたします。

小泉国務大臣 御指摘のとおり、現行の技能実習制度では、かねてから、高額な手数料等を徴収するなど、悪質な送り出し機関、送出機関が存在する、借金を背負った形で入国をする、大きな問題として指摘されております。

 まず、基本は、二国間で協力をして、そして、非違事項があれば、元の国へ情報を送って、当該国においてきちっと対応してもらう、そして、二国間の緊密な定期的な協議を行って、緊密な通報、情報共有、これをやっていくということがやはり基本中の基本だと思います。

 十四か国、少ないのかもしれませんけれども、しかし、ランキングから考えればかなりのエリアをカバーできるわけでございまして、私も、法務省に参りましてから、かねてから交流のある大使はほぼ法務省にお呼びしまして、この問題をお願いをしています。また、強い反応があります。もちろん、事務レベルでも一生懸命やっています。今日御指摘がありましたので、この十四か国との二国間協議の実効性、もう一回チェックしてみたいというふうに思います。

 その上で、有識者会議でも、この問題を何とか改善できないかという議論を今進めておりますので、少しお時間をいただいて、改善策を出したいと思っております。

美延委員 二国間協議、大使をお呼びしてお話もしているという話を聞きましたので、これは、改善策が出たときに、またいずれかの委員会で、どうなったかというのをお伺いさせていただきます。

 それから、次に、外国人労働者の日本語能力について、先ほどちょっと私、少し触れましたけれども、有識者の最終報告書のたたき台では、新たな制度における就労開始前に日本語能力試験の合格や日本語講習の受講を求めています。また、来日後も日本語能力試験の合格を転籍要件の一つとすることが検討されているほか、新たな制度から、特定技能一号への移行時や特定技能一号から特定二号への移行時にも、それぞれのレベルに応じた日本語能力試験の合格を求めることとしています。

 外国人が我が国で就労し日常生活を送っていく上で、日本語に習熟すること、これは重要であることは言うまでもないんですけれども、しかしながら、我が国での就労開始前からの一定の日本語能力を求めれば、日本で働きたい外国人にとっては来日のハードルが高くなり、そもそも我が国を選んでいただけないのではないかということが懸念されます。

 また、来日後に、外国人が新たな制度の下で働きながら日本語を学べる体制が整っているのでしょうか。報道によれば、日本語教室のない空白地域が二〇二二年の十一月時点で全市区町村の四四%を占めているそうです。だから、半分ないということなんですよね、ほぼ。

 日本語能力試験は決して易しい試験ではなくて、一番下のN5の合格率が四七・三%、特定技能一号への移行に必要なN4の合格率は四〇・七%となっており、半分以上の方が不合格となります。働きながら日本語を学べる環境を全国的に整えていかなければ、せっかく日本に来ていただいた外国人の方が帰国せざるを得ない状況になってしまうかもしれません。

 これまでの有識者会議における日本語能力の向上方策に関する議論について大臣はどのように受け止められているのか、御所見を伺います。

小泉国務大臣 まず、現行制度でありますけれども、技能実習生については、介護職種を除き日本語能力の要件を設けておらず、また、特定技能一号のいわゆる技能実習ルート、及び特定技能二号への移行についても、日本語能力の要件を課しておりませんでした。

 そこで、有識者会議においては、外国人労働者が日常生活、職業生活上必要最低限の日本語能力を有することやその向上を図ることの重要性から、日本語能力の向上方策について議論が行われております。具体的な案として、就労開始前、A1相当以上の試験を課す、合格又は相当講習を受講する、特定技能一号移行時、A2相当以上の試験を課す、また、特定技能二号移行時、B1相当以上の試験を課す、こういう具体案を出しまして、たたき台として出しまして、議論を進めております。

美延委員 これは、私も言いましたように、非常に難しい問題だと思うんですけれども、ここをしっかり議論して、もちろん、日本語を堪能に扱っていただくということは大切だということは言うまでもないんですけれども、ただ、そればかりを見ていると、結局、せっかくの人材がまた海外に帰国してしまうというか、もう御自身の国に帰ってしまうということにもなりかねませんので、そこをしっかり、それも踏まえて議論していただきたいと思います。

 次に、保護司制度についてお伺いしたいと思います。

 保護司は、その使命について、社会奉仕の精神をもって、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるとともに、犯罪の予防のための世論の啓発に努め、もって地域社会の浄化を図り、個人及び公共の福祉に寄与することをその使命とすると、保護司法第一条で規定されています。

 そもそも更生保護は、罪を犯した者に対する改善更生を助け、社会に戻るための支援を行うものですが、保護司制度では民間の一般人がボランティアで罪を犯した者の立ち直り支援に大きく関わっていることで、特殊であるとともに、意味を持っているものであると考えております。

 そこでお伺いしたいんですけれども、このような保護司の現状において、問題としては、人員の減少と高齢化の二つが挙げられると思うんです。保護司の定数は全国で五万二千五百人と定められておりますが、二〇二三年一月の時点では四万七千人しか確保できていないのが実情です。保護司の任期は二年で、再任できる上限年齢は原則七十六歳未満と定められていて、十年後には半数以上が退任を迎えると言われています。また、法務省さんの資料によると、全国四万七千人の保護司さんのうち、六十代が四〇・三%、七十代が三八・五%、合計すると、六十歳以上の保護司さんが八割近くを占めるということになっています。

 保護司さんの人員の減少と高齢化の問題は解決すべき喫緊の課題であると考えますが、この現状について政府はどうお考えでしょうか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 保護司の方々は、犯罪や非行した人の再犯防止及び改善更生に多大な貢献をしてくださっており、我が国の刑事政策になくてはならない存在ですが、委員御指摘のとおり、平成十六年の四万九千三百八十九人を一つのピークに減少傾向が続いており、本年は四万六千九百五十六人となっています。また、平均年齢は六十五・六歳で、六十歳以上が約八割を占め、高齢化も進んでいます。

 背景として、地域社会における人間関係の希薄化といった社会環境の変化に加え、保護司活動に伴う不安や負担が大きいことが指摘されています。

 こうした現状において、保護司の適任者確保は喫緊の課題であると認識しており、本年三月十七日に閣議決定された第二次再犯防止推進計画においても、時代の変化に適応可能な保護司制度の確立に向けて検討、試行を行い、二年をめどとして結論を出し、その結論に基づき所要の措置を講じることとされています。

 これに基づき、本年五月十七日に、法務大臣決定として、持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会を設置し、検討を進めております。検討会において、保護司活動の支障となり得る様々な課題やその対応策について検討を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 このような保護司の現状、しっかりこれはしていただかねばならないと思うんですけれども、保護司法第三条第一項で、保護司は、次の各号に掲げるような条件を具備する者のうちから法務大臣が委嘱するとなっております。時間がないので、ちょっとこの四つの事項は読みませんけれども、そして、さらに、委嘱は、保護観察所の長が推薦した者のうちから行うものとしているとなっていることから、これは他薦ということになります。

 さらに、無給となれば、保護司になる人材が本当に限られてきます。その限られた人材の中で新たな保護司を探すのは非常に難しい問題だと思います。また、昨今は、薬物やサイバーの関連の事件など犯罪の形態や要因が多様化しておる中で、保護司にも専門性が求められるようになっており、幅広い分野からの人材を集めるということが重要だと思います。

 このような現状において、保護司の安定的な確保に向けての政府のお考えをお聞かせください。そして、保護司を公募制にして、年齢制限を緩和して、熱意と能力のある方に広く門戸を開くことも重要だと思うんですけれども、併せて御見解を伺います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 保護司の適任者確保は喫緊の課題であり、これまで、保護司組織と協力して、保護区内で保護司候補者の情報収集、共有を行う保護司候補者の検討協議会の開催、地域住民等に保護司活動を体験してもらう保護司活動インターンシップの実施、地域の企業、団体等に保護司活動を紹介する保護司セミナーの実施、地方公共団体に対する保護司適任者に係る情報提供や適任者である職員の推薦の依頼などの取組を進めてまいりました。

 委員御指摘の年齢制限や公募制については、保護司の中でも様々な意見があるところであり、検討会においても、保護司の年齢制限を撤廃してはどうかといった議論に加え、保護司活動インターンシップ、保護司セミナーや地方公共団体の広報誌等を通じた広報、周知により保護司候補者を募集する公募の取組を試行してはどうかといった議論がなされています。

 法務省としても、保護司の安定的確保を実現できるよう、検討会等においてしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 これはよろしくお願いいたします。

 この保護司法というのは、一九五〇年に制定されております。法務大臣が委嘱する非常勤の国家公務員ということでありますが、実質的に無給の民間ボランティアで、保護司法は、社会奉仕の精神で業務を担うことと保護司の使命を規定しております。

 しかし、保護司法が規定された一九五〇年から七十年以上がたっている現在において、保護司を取り巻く環境も大きく変わっております。今年に入って法務省では有識者会議を開催して、今後の保護司制度の在り方について議論を始めたと聞いております。無給のボランティアという概念を改めて報酬制にすることや、保護司に支給されている実費弁償分が十分でないという声もあることから、保護司が負担している実費分の弁償金を充実するといった待遇面の改善も是非これは検討していただきたいと思うんです。そして、この待遇面の改善ができれば、さきに申し上げましたように、保護司さんの安定的な確保にもつながると思うんですけれども、待遇面の改善について政府のお考えを伺います。

押切政府参考人 お答えいたします。

 保護司法では、保護司には給与を支給せず、その職務を行うために要する費用の実費弁償を行うこととされており、これまで、保護司の活動の実情を踏まえ、保護司実費弁償金の充実に努めてまいったところです。

 待遇改善の一方策として報酬制の導入も考え得るところですが、検討会においても、報酬制にすると保護司活動が労働として捉えられることとなり適当ではないなどの意見や、幅広い年齢層から保護司の適任者を確保するためには報酬制の導入に向けた門戸を閉ざすべきではないなどの意見があり、保護司の間でも様々な御意見があるところであり、丁寧に検討を進めていく必要があると考えております。

 法務省としても、検討会等において、今後更に保護司の待遇についてしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 保護司を支援し、その負担軽減に向けて、いわゆる費用だけではなくて、例えば、自宅以外のところで面接できる場所を確保するとか、それから活動のデジタル化をするとか、活動に対してのサポートも私は必要だと思うんですよね。

 保護司の負担を少しでも軽減するために政府が取り組んでいる施策と、そしてその現状について、ちょっと教えていただけますか。

押切政府参考人 お答えいたします。

 保護司の負担軽減は、保護司適任者を確保する上でも重要であると考えており、これまで様々な取組を行ってまいりました。

 さきにお答えした活動の実情を踏まえた実費弁償金の充実のほか、保護司が保護観察対象者等と自宅以外の場所で面接できるよう、地域における保護司活動の拠点となる更生保護サポートセンターを保護区ごとに設置するとともに、地方公共団体に対しても、面接場所の確保について協力を求めてまいりました。

 また、保護司活動のデジタル化も進めており、令和三年度から、保護司が主に手書きで作成し郵送している報告書の作成や提出をウェブ上で行う保護司専用ホームページを導入し、保護司会へのタブレット端末の配備を進めてきたところです。

 そのほか、新任の保護司がベテランの保護司とともに保護観察等を担当する保護司複数指名も推進し、保護司会における会計などの事務処理を支援するスタッフを全国の保護観察所に配置するなどの取組を進めております。

 法務省としては、こうした負担軽減の取組を引き続き推進するとともに、検討会等においても、保護司の活動環境についてしっかりと議論を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 負担軽減を是非お願いしたいと思います。

 大臣、今まで聞いていただきまして、大臣に最後に伺いたいんですけれども、大臣は、九月十三日の記者会見で、岸田総理から七項目の具体的な指示があったとお話しされていました。その三点目に、関係大臣と協力し、世界一安全な国日本をつくるため、刑務所等出所者の再犯防止や社会復帰など、社会を明るくするための施策を総合的に推進するとの指示があったとされています。この文脈における保護司の果たす役割、位置づけ、保護司の重要性に関する大臣の認識を聞かせていただくとともに、総理からの具体的な指示の実現のために、制度改善に向けた具体的なスケジュール感などを教えていただけますでしょうか。

 それと、昨日大臣が表明された、京都コングレスの成果である京都保護司宣言を踏まえ、我が国が誇る保護司制度を世界へ発信、普及させる取組も推進しますと書いていますが、これはいいことだと思うんですけれども、これも踏まえて大臣の御所見を伺います。

小泉国務大臣 保護司さんの存在、また保護司さんを支える制度の存在、これは日本の社会を安定させるための非常に大きな、日本独自の大きな力だと思うんですね。我々はそれを当たり前のように感じているのかもしれませんけれども、では諸外国に同じような制度があるのかというふうに翻ってみると、そうそうあるものではない。でも、諸外国には宗教があり、教会がありますから、同じようには論じられませんけれども、我が国は、社会を支える大きな力としての保護司制度を守ってきたわけであります。

 そして、地域社会においても多くの尊敬を集め、また、保護司さんたちも様々なやりがいを感じ、それが一つの地域社会の規範力というんですか、私の造語ですけれども、規範を広める、規範を受け入れてもらえる、みんなで規範を遵守する、そういう規範力、そういうものの源泉になっている大きな要素の一つだと思います。

 来年秋頃までに検討会の報告書というふうに言っておりますけれども、刻々時間は過ぎていきますので、ここがタイムリミットとして、その手前の段階で何かいい案をしっかりとつかみ取りたい、総理の御指示にも沿いたいという強い思いでおりますので、是非また御指導ください。お願いします。

美延委員 ありがとうございます。これまたしっかり私も続けて議論をさせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、柿沢前法務副大臣の辞職の問題について質問させていただきたいと思います。

 本日の議論を聞いておりまして痛感をしておりますのは、誰よりも国会を軽視しているのは柿沢氏本人であるというふうに痛感をしております。

 大臣も先ほど来答弁ありますけれども、昨日の大臣所信の表明におきまして、小泉大臣は、柿沢法務副大臣の辞職について一言も触れておりません。一方で、同じように政務官が辞職をいたしました文部科学大臣の所信表明、山田太郎政務官が不倫と金銭を渡していたと報道をし、そして辞任をした問題で、文部科学大臣は、おわびと信頼回復、この点について述べております。

 法務大臣が所信で、公選法違反の疑いがある、そういう副大臣の辞任について一言も触れなかった、これはなぜでしょうか。

小泉国務大臣 申し上げます。

 私の配慮が足りなかったと思います。

本村委員 所信では、やはりこの点について、誠実さについて感じられず、非常に残念だというふうに思っております。

 資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは十一月六日に出しております法務省の資料で、十月三十一日の柿沢前法務副大臣の辞職経緯ということで書かれた文書です。その中に、八時前に法務大臣から柿沢前副大臣に電話で報道の内容等について確認と書かれ、そして、昼過ぎ、小泉法務大臣が柿沢前法務副大臣と面会とありますけれども、何を聞いたのかという点を詳しくお示しをいただければと思います。

小泉国務大臣 まず、十月三十一日午前八時頃、私から電話で、柿沢前大臣に電話をかけました。そこでお尋ねしましたのは、新聞記事が出ていますね、これはどういうものですかということをお尋ねしました。柿沢さんは、これは自分が受けた取材、取材を受けました、その結果こういう記事が出ています、大変反省をしていますということを話しておられました。

 また、昼休みに法務省で今度は面会をして、お会いしたときにも同じやり取りをしましたが、その際には辞意を固めておられて、本当に申し訳なかった、辞職をしたいという思いを強く訴えられたわけであります。

本村委員 報道では、柿沢氏は取材に対して、木村江東区長の陣営関係者にユーチューブ広告は効果があるからやった方がいいと勧めたと明らかにしたことが書かれております。これを大筋で認めたということでしょうか。

小泉国務大臣 取材に応じたということを彼は述べたわけであります。そして、その結果として、それが記事になっているというふうに述べておられました。

本村委員 柿沢氏は有料広告について何か言っていたでしょうか。

小泉国務大臣 特に何もお話しはされませんでした。

本村委員 大臣からは聞いていないということですね。

小泉国務大臣 私が問いかけましたのは、この記事が出ているという経緯について問いかけました。一つ一つの記事の中身については問いかけておりません。

本村委員 法令違反の疑いがあるにもかかわらず、法務大臣が聞いていないということでしょうか。

小泉国務大臣 そのためにも、本人に説明責任をしっかり果たすようにというふうに私は申し上げました。

本村委員 改めて、公職選挙法について総務省にお伺いしたいと思いますけれども、選挙運動の目的でインターネット、SNSに候補者名を記して有料広告を掲載することは公職選挙法ではどう書いてあるのか、選挙前と選挙中と違いがあるのか、お示しをいただきたいと思います。

笠置政府参考人 公職選挙法の規定ということでございますが、公職選挙法第百四十二条の六第一項におきまして、候補者の氏名や政党等の名称又はこれらの類推事項を表示した選挙運動のための有料インターネット広告の掲載につきましては、選挙運動期間中であるかあるいは期間前であるかを問わず禁止をされております。

 具体的にある行為が同項で禁止されるものに該当するかどうかは、一般論で申し上げれば、行為の態様、すなわちその行為のなされる時期、場所、方法、対象などを総合的に勘案をし、事実に即して判断されるものと考えております。

 いずれにいたしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断すべきものと考えます。

本村委員 選挙前、選挙中共に、インターネット等を利用する場合、選挙運動の目的で候補者名を記して有料広告というのをやってはいけないということですね。もう一度確認をさせていただきたいと思います。

笠置政府参考人 先ほど申し上げましたけれども、公選法の百四十二条の六第一項におきましては、候補者の氏名、政党等の名称を表示した選挙運動のための有料インターネット広告の掲載が禁止をされておりまして、これにつきましては選挙期間中あるいは期間前であるとを問わないということでございます。

 いずれにしましても、個別の事案が公職選挙法の規定に該当するか否かにつきましては、具体の事実に即して判断すべきものと考えております。

本村委員 柿沢元副大臣がやったことは、特定の犯罪の実行を決意させるようにする、刑法違反の教唆に当たるのではないかという問題だと思います。

 違法性の認識についても、大臣も答弁して、違法性の認識がなかったというようなことで、曖昧にしようとしていたのか分かりませんけれども、違法性の認識がなくても、違法性を意識する可能性があれば、故意は認められ、犯罪は成立いたします。過失だったなどと言い逃れはできないということだと思います。

 法の執行に最も厳格でなければならない立場にある法務大臣、法務副大臣ですけれども、この法務副大臣が公職選挙法違反の疑い、主導をした疑いということで、報道でも、行為について本人が認めているというふうに書かれていますので、やはり本来、副大臣を罷免するべきじゃなかったんですか。辞職願じゃなくて、罷免するべきだったのではないですか。

小泉国務大臣 個々の行為が犯罪に当たるかどうかは、証拠に基づいて、犯罪の成否については、捜査機関により収集された証拠に基づいて個別に判断されるべき事柄でございます。

 今回、私が柿沢さんと面会して強く感じたのは、強い辞意でありました。その辞意を内閣に早く伝達したい、伝達しよう、そういう形で上申を行ったものであります。

本村委員 大臣や副大臣や政務官こそ最も厳正に対応しなければいけないという存在だというふうに思います。

 柿沢前副大臣に関わって、別の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 十月三十一日の参議院予算委員会理事会におきまして、柿沢副大臣の出席要求を理事会として了承していたにもかかわらず、出席させなかった問題について、大臣は越権行為というふうに表現をされましたけれども、今回の事案、総合的に見て何が越権だというふうにお考えになっているのか、お示しをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 当然、事務方が判断するに当たっては私に相談をかけるのが通常の業務の在り方だという意味で、権限を越えているというふうに申し上げました。

本村委員 私は、この問題の大問題は、やはり、国会で決めたことを行政が無視し、議員の質問権を奪い、そして国会の権威を損なうということを行ったことだというふうに思いますけれども、そういう認識はないんでしょうか。

小泉国務大臣 国会に御迷惑をかけたことについては、重々、心からおわびを申し上げます。

 その上で、これは法務省部内の話でございますけれども、権限を越えた判断がなされたということも指摘をしているわけでございます。

本村委員 憲法六十三条には、「答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」とあり、これは大臣だけではなく、それに準ずる副大臣もそうした義務があるというふうに私は考えておりますけれども、そういうものはないというふうにお考えなんでしょうか。

小泉国務大臣 憲法六十三条前段では、「内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。」とし、同条後段は、「又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。」としている。同条の文言上、国会への出席義務を負うのは内閣総理大臣その他国務大臣とされているものと承知しております。

 よって、お尋ねの前副大臣の件に関しては、憲法六十三条との関係では直接の問題は生じないものと承知しております。

本村委員 こういう認識を聞いて、私は本当に驚いております。憲法を軽視している、この点も強く抗議をしたいというふうに思います。

 それで、事務方、事務方ということを言うわけですけれども、本当に事務方だけなのかという点、質問させていただきたいんです。

 十月三十一日の九時二十分頃、柿沢前副大臣から辞職届が法務省事務方に出され、九時三十五分頃、法務省から内閣総務官室に伝達をされたということですけれども、総理、官房長官、官房副長官、各大臣、副大臣、政務官、内閣総務官室の幹部、国会議員、誰にも相談せずに出席要請に応じないことを事務方だけで決めたのか、この点、教えていただきたいのと、国会に出席しないということについて、総理には何時に伝わったのか、官房長官には何時に伝わったのか、そして、官房副長官には何時に伝わったのか、お示しをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 今回の判断は、法務省の事務方として判断したものでございます。

 総理に、官邸に何時に伝わったかというのは、ちょっと今つまびらかではございません。

本村委員 是非、総理、官房長官、官房副長官など、内閣総務官室ルートの伝達ルート、時間ごと、どういうふうに報告されたのかという点についても調べて、是非この委員会に提出をいただきたいと思います。

 委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。

武部委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

本村委員 もう一つなんですけれども、柿沢元副大臣の出席要請に応じないことを決めた決裁は誰がやったのかという点、この点、全て名前をお示しをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 国会対応の責任者であります官房長が一次的に判断をしました。そして、事務次官の了解を得たものであると聞いております。

本村委員 その決裁文書を出してください。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お尋ねの点でございますが、口頭によるものであったと承知しております。

本村委員 引き続き、この問題については今後も追及をしていきたいというふうに思っております。

 次に、野宿の難民、避難民の方々の早急な救済についてお伺いをしたいと思います。

 今年の十二月ですけれども、第二回グローバル難民フォーラムが開催をされます。日本は共同議長国ということになっております。難民支援について日本の果たす責任は非常に大きいというふうに思っております。

 法務大臣はフィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官に面会をされ、そして難民条約の解釈について議論をしているというふうに記者会見でも弁務官がおっしゃっておりましたけれども、どういう指摘を受け、どういうふうに是正をしていくのかという点、お示しをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 まず、この第二回グローバル難民フォーラムでございますけれども、設立されて二回目の非常に大事なフォーラムです。一回目は三千人の難民に関わる方々が一堂に会して、大きな力をそこで発揮されました。それが大きく発展できるかどうか、この二回目の成否に懸かっていると思います。我が国は共同主催国として大変重要な責任を負っていると思います。法務省としても最大限のバックアップをしたいというふうに思っております。

 また、国連難民高等弁務官と通訳を交えて三十分会談をいたしました。様々な意見交換ができました。我々は、協力覚書を結んだり、あるいは、難民該当性の判断の手引を策定するに当たって弁務官事務所の方々とのやり取り、こういったものも続けておりますし、難民調査官の調査の在り方に関するケーススタディー、これについても直接調査官から事情を聴取する、相互交流を密に密に進めているところでありまして、こうした協力関係を引き続きやっていきましょうという話を大筋したわけでございます。

本村委員 記者会見を見てみますと、グランディ難民高等弁務官は、難民条約の解釈が厳しいという点や、認定の数が少ないということも言及していると思いますけれども、その点も話し合ったということでよろしいですね。

小泉国務大臣 お互いやり取りしましたのは、段階を踏んで、ステップ・バイ・ステップで、そして、できる限り前向きにと、そういうやり取りをしました。一歩一歩着実に、でも前向きに、そういうやり取りをしたわけです。

本村委員 今回、難民高等弁務官から、日本の難民条約の解釈が厳しいという指摘がありました。難民と本来認められるべき人が認められていないわけです。

 そういう中で、改悪入管法の難民認定の申請者が送還可能ということの施行が行われようとしておりますけれども、これは本当に深刻な人権侵害が起きてしまうということになってまいります。難民高等弁務官からそういう指摘があったんですから、まずはこの難民認定の仕組みそのものを変えて、やはり専門性のある第三者がやるべきだと私たちは思っておりますけれども、変えて、この改悪入管法の施行については一旦止めるべきだというふうに思います。

 緊急に、どうしてもやらなければならない質問がございます。

 外務省も人道上、人権上危機にあるというふうに認めている国の方々が、今、東京都内の公園で野宿をされておられます。雨の日も公園で傘を差して寝ております。お金がなくて、誰かが支援をしなければ食べることさえままならない状況です。

 私も、昨日、夜中に議員会館を出させていただいたんですけれども、本当に寒い状況にありました。こういう中、夜はどんどん寒くなる、地べたで寝ていると体調を崩す方もおられます。緊急宿泊施設の確保は緊急の課題だというふうに思います。

 まず、前提の話として伺いますけれども、法務省は、ウクライナの避難民の方々の支援、アジア福祉教育財団難民事業本部、RHQに委託をして、宿泊施設の借り上げですとか、生活費など支援を行っていると思いますけれども、まず、その点を御説明いただきたいと思います。

小泉国務大臣 政府では、官房長官を議長とするウクライナ避難民対策連絡調整会議を司令塔として、政府一体となってウクライナ難民の円滑な受入れと生活支援等を行っております。

 法務省、入管庁においては、身元引受先のない避難民の方々に対する一時滞在場所の提供、生活費や医療費の支給、受入先となる自治体、団体等とのマッチング、避難民の方々へ就労可能な特定活動一年への在留資格変更を迅速に進める措置、ウクライナ語での相談対応を可能としたウクライナ避難民ヘルプデスクの開設、地方自治体やウクライナ避難民の方々からの相談に対応するためのウクライナ避難民受入れ支援担当の地方入管への配置などの取組を実施しております。

 法務省も、支援官庁としてしっかりこれはやるべきだという考え方を取り入れて、今まで厚生労働省、総務省、そういうところが支援、我々も直接支援できるんです、します、そういう意気込みでこれは進めているところであります。

本村委員 ウクライナの方々への支援というのは非常に重要だというふうに私も認識をしております。そういう支援制度が法務省でできるというのであれば、都内で、出身国が人権上、人道上、大変危機にあるという方々が野宿で暮らしておられる、こういう方々を、一刻も早く、住居を確保して、保護して支援するべきじゃないですか。

小泉国務大臣 一度、実態をよくリサーチしたいと思います。

本村委員 是非、見ていただいて、早急に支援をしていただきたいと思います。

 そして、今、実際に宿泊施設の確保ということで様々やっているのは、外務省の方でもやっていただいているというふうに思っております。夜は本当に寒くなっておりまして、体調を崩す方もおられます。何十人もいらっしゃるわけです。

 今、民間支援団体の方々も、こういう困窮した外国人の方々が大変いらっしゃいまして、例えばシェルターですとかそういったところも満室になっているわけです。だから、受け入れることが難しいというお声があります。赤字の反貧困の団体の方々もいらっしゃいまして、本当に手いっぱいなわけです。

 そういうときに、やはり、RHQの、難民事業本部が行っております難民認定申請者への援助事業、緊急宿泊施設の確保という点で、今すぐ救済をしていただきたいと思いますけれども、今日は外務政務官に来ていただきました、よろしくお願いしたいと思います。

深澤大臣政務官 お答えいたします。

 外務省は、国際的な人道的責任として、難民認定申請者のうち生活に困窮する者に対して、事業の委託先であるアジア福祉教育財団難民事業本部、いわゆるRHQを通じ、生活費、住居費、医療費として保護費の支給を行っております。また、当面の住居を自力で確保できない者に対しては、緊急性と必要性などを総合的に判断した上で、難民認定申請者緊急宿泊施設を提供しております。

 今後も、適正な保護が実施できるよう、最大限の努力を続けてまいりたいと存じます。

本村委員 今、難民認定申請者が、大臣も把握されていると思いますけれども、申請者が急増しております。そういう中で、RHQの担当課というのはたったの七人しかいないわけで、緊急宿泊施設を探し出すところからやって、そこから事前に見に行って、当事者の方の面接をやったり、宿泊施設までついていって泊まってもらう手はずを取る、あるいは、一日千六百円という保護費があるわけですけれども、これ自体が適正ではないと思うんですけれども、通帳を持っていない方も多いものですから、現金で袋詰めをして、面接をして手渡すということなどもやっておりまして、電話で相談にも答えております。

 七人しかいませんから、朝の残業ですとか夜の残業ですとか頑張っても、なかなか支援したくてもできないという中で、体調を崩す職員の方も出ております。そして、辞めてしまう職員の方も出ております。

 今年度の予備費あるいは補正予算、ここでRHQの援助事業の予算を増やして、緊急宿泊施設の増室ですとか人員増員ですとか処遇改善、こういう点を是非早急にやっていただきたいというふうに思いますけれども、政務官、お願いしたいと思います。

深澤大臣政務官 お答えいたします。

 個別具体的な事例につきまして、また細かいことにつきましてこの場でお答えすることは少し差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、適正な保護が実施できるように最大限の努力を続けてまいりたいというふうに思います。よろしくお願いします。

本村委員 政務官は難民認定申請者緊急宿泊施設の予算が三百万円しかないということを御存じでしょうか。

深澤大臣政務官 はい、そのように存じ上げています。

本村委員 これを早急に増やすべきではないですか。

深澤大臣政務官 外務省といたしましては、そのような実態を少しでも前進させられるように、適正な保護が実施できるように、最大限の努力を続けてまいりたいというふうに思います。

本村委員 是非早急に対応していただきたいと思います。

 今、インバウンドの観光客の方々も増えたという影響もありまして、ゲストハウスですとかシェアハウスですとか、RHQの緊急宿泊施設の確保が大変難しくなっております。空いている国家公務員宿舎ですとか公営住宅ですとかUR住宅ですとか、そういったところが利用できるように、国土交通省そして財務省、是非お願いしたいと思います。

石橋大臣政務官 お答えを申し上げます。

 公営住宅でありますけれども、住宅に困窮する低所得者等の居住の安定を確保するために供給をされているものであります。こうした本来の目的に支障がない範囲におきまして、地方公共団体の判断により目的外使用することが可能となっております。

 目的外使用の対象として、今先生もおっしゃったような、例えばRHQが支援する避難民向けに活用するということも想定をされておるところでございます。

石田政府参考人 お答えします。

 国家公務員宿舎についてお答えします。

 公務員宿舎法の規定に基づきまして国家公務員に貸与するために設置されているものということで、国家公務員以外の方に利用させた例として、東日本大震災の被災者の応急仮設住宅としての活用事例がありますが、これにつきましては、災害救助法に基づく応急仮設住宅の供与主体である被災都道府県からの要請を受けて、国有財産法の規定に基づき、当該地方公共団体に対し使用許可を行ったところでございます。

本村委員 外務省が要請した場合は使えますでしょうか。

石田政府参考人 現状、宿舎をそのままというわけにはいかないんですけれども、外務省から一定の行政目的のために使用したいというお話がございましたら、国有財産法の規定におきまして、当該財産を現に使用している省庁との協議、それから、国有財産の総括機関である財務大臣に協議という規定、そういう規定がございます。

 仮に御相談があった場合には、具体的な事業の内容を踏まえて判断していきたいというふうに考えております。

本村委員 できないわけではないということが明らかになりました。本当に寒くなってまいりましたので、今すぐ生存権を保障していただきたいということを関係省庁全てにお願いをしたいと思います。

 そして、最後に一問お願いをしたいと思うんですけれども、大臣に再審法の関係についてお伺いをしたいというふうに思います。

 一九六六年、静岡県内で一家四人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さんの再審初公判が、十月二十七日、静岡地裁でありました。袴田さんの代理で出廷した姉の袴田秀子さんが、罪状認否の中で、五十七年にわたって紆余曲折、艱難辛苦がございました、弟に代わって無実を主張します、どうぞ、弟、巌に真の自由をお与えくださいと、声を震えながら述べられました。

 なぜ袴田事件は裁判がこれほどまでにかかっているのか、なぜ五十七年もの長い時間がかかっているのか、大臣の認識を伺いたいと思います。

小泉国務大臣 現在、再審公判係属中の個別事件に関する事柄でありますので、期間の長さの評価というのは難しいと考えます。基本的には裁判所において、個別具体的な事案の内容や訴訟関係者から提出される主張、証拠の内容や量、提出時期等に応じて、裁判所において適切に判断されるべき事項であるというふうに認識しております。

 したがって、繰り返しになりますけれども、法務大臣としては、手続に要した期間の理由やその長短に対する評価についてはお答えしかねることを御理解いただきたいと思います。

本村委員 いろいろ協議会でやっているというふうに言うんですけれども、三月以降、全然この再審に関わることはやっていないわけですよ。ですから、冤罪被害者も入った再審法の改正のためのワーキングですとか検討会ですとか審議会の部会ですとか、是非早急に大臣の決断でやっていただきたいと思います。

武部委員長 小泉法務大臣、簡潔にお願いします。時間が来ております。

小泉国務大臣 はい。

 改正刑訴法に関する刑事手続の在り方協議会を開催しております。そして、この中で再審請求審に関わる証拠の開示等について協議が遠からず行われます。

本村委員 終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 経産委員会と今日もかぶりましたので、武部委員長の御配慮をいただいて、一番オーラスの質問ということで、もう少しおつき合いをいただきたいと思います。

 大臣は所信で、法規範とそれを遵守する国民の意識が我が国の社会におけるあらゆる営みの基盤となっています、国民が互いを信頼し合える社会をつくり、維持することこそ、今日、国民が法務行政に求める最も大きな課題であると考えているというふうに述べているんですね。

 そうしますと、大臣から見た今の社会がどのように映っているのか、簡潔で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

小泉国務大臣 大変ありがとうございます。

 所信表明のその部分で私が申し上げたかったことは、まさにそこに書いてあるとおりなんですけれども、今日、あらゆる営みの、あらゆる経済的な営み、あるいは生活的な営み、あらゆる営みの基盤となるものは、国民が互いにお互いを信頼し合える社会であるという認識だと思うんですね。そのためには、法規範だけではなくて、それを遵守しようとする国民の側の意識、それが相まって初めて信頼し合える社会というのはできるのではないかなというふうに、しっかりした根拠があるわけではありませんけれども、私なりにそういう認識を持っています。

 そして、国民の遵法意識は、そういう法律を、法規範を遵守しようとする遵法意識はどこから湧いてくるかというと、それは、法規範自体が公平であり、公正であるということが最も重要な要素だというふうに私は思います。ルールが公平であれば、敗れてももう一度頑張ろう、うまくいかなくてもまた頑張ろう。大体、人生、うまくいかないことの方が多いわけじゃないですか。だけれども、また頑張ろうとするのは、ルールが公平であるから、公正であるから、透明であるから頑張ろう。そういうふうに社会は私は成り立っていっているのではないかというふうに思っております。

 そして、今の社会がどのように映っているかということでありますけれども、埼玉県北部という共通項の中であえて申し上げれば、我が国社会の、特に地域社会、大きくくくった地域社会、今申し上げた意味での高い規範力というもの、すなわち法規範を大切にしようとする姿を、要素をしっかりと持っているというふうに感じております。

鈴木(義)委員 これは過去にも質問するときに使ったんですけれども、ここ一、二年なんですかね、今の社会の風潮は、今だけ、自分だけ、お金だけなんだそうです。そういう人が増えているという。どのぐらい増えているか、何とも言えないんですけれども。

 やはり、一昔前といったときにどのぐらい前を指すのか分かりませんが、日本人のいいところというのは、寛容性があったというふうに言われるんですね。幅が広かった。多少のことはお互いさまだからよというんだけれども、もうお互いさまが今死語ですよ。だから、ちょっとへまをやるとああだこうだと、そればかりやって、何か、やればやるほど、だから、クレーマーも増えてきているし、モンスターペアレンツも増えているし。そういう社会があるわけですよね。

 それが認知できないと、今大臣がおっしゃったのは、強い心を持てば再チャレンジもできる、何もやっていくんだ、挫折してもまた立ち上がるんだと。そういう人ばかりじゃないような私は感じがするんですね。

 この間も、ちょっと地元の交通安全大会というのに呼ばれて挨拶に使ったんですけれども、道が、車がすれ違えられないようなトンネルが地元であって、十五年ぐらい前かな、そのぐらいが境だったと思うんです。五台ぐらい行けば、五台行かせてやる、五台行かせてやって、また五台。今は、十台でも二十台でも、前の車が進んだらどんどん突っ込んできて、そこが前が止まっていくと、もうすれ違いできないところまで止まるんです。手も挙げない。まあ、クラクションを鳴らすのは今はちょっと駄目だというんですけれども。なぜそうなっちゃったのかなというのがよく分からないんですね。先に、先に、先に、ちょっと空間があれば前に出て、前に出てと。そこに寛容性は見つけ出せないと思うんです。

 ただ、ああ、まだまだ捨てたものじゃないなというふうに思ったのが、内閣府の世論調査の令和四年版、今年の三月ぐらいに発表になっているんですね。それを見ていくと、設問の取り方でアンケートというのはいろいろな見方があるんですけれども、毎年同じような設問をして、国民の意識をかいま見ることができるんだと思います。

 一つ目は、国や社会との関わりについて、二番目が、社会の現状に対する認識、三つ目、国の政策に対する評価についての三項目。この中を、また項目ごとに、大きなくくりの三つをまた細分化したアンケートなんです。

 一番目のうちの、国を愛する気持ちの程度の問いかけなんです。強いというふうに回答した人が五一・二%で、令和三年版と大体変化がなかった。次に、社会志向か個人志向かの問いでは、国や社会のことにもっと目を向けるべきだというふうに答えた人が五八・四%。令和三年の五八・一%とこれも変わっていないんです。社会への貢献意識では、日頃、社会の一員として何か社会のために役立ちたいと思っているかという問いに、思っていると答える人が六四・三%いらっしゃる。令和三年度は六三・九%で、若干増加しているんですね。国民全体の利益か個人の利益かの問いかけでは、個人利益よりも国民全体の利益を大切にするべきだとする人の割合が五四・四%。令和三年、六〇・六%よりは若干落ちているんです。

 次の設問である二番目。二番というのは、社会の現状に対する認識。これはだから、今大臣に冒頭お尋ねしたことにつながってくるんですけれども、現在の世相で、明るいイメージを持っていますかという問いかけのうち、明るいイメージというのは、平和であるが五九%。令和三年では五九・一%。これも余り変化がないと思うんです。現在の世相で、暗いイメージの問いでは、ゆとりがないが四四・九%と最も高く、自分本位である、今例示に挙げた、車ですれ違うということにつながるんだと思うんですけれども、三七%。無責任の風潮が強いが三七・四%で、令和三年度の調査、ゆとりがないが四〇・一から少し上がっている。経済的なこともあるし、コロナのこともあったんだと思うんです。

 私たち政治家は、日々、国民、有権者と接して、いろいろな話をさせていただくんです。常々、岸田総理は聞く力というのを強調されますよね。この調査結果をどう捉えるかが私は大切なんだと思うんです。せっかく国の内閣府が調査した結果です。ポイント数が多い少ないはあったとしてもですね。このような結果を法務行政にどのように反映していこうというふうにお考えになるのか、お尋ねしたいと思います。

小泉国務大臣 先生の御指摘をいただいて、私も昨晩この世論調査を眺めてみましたけれども、確かに高いですよ、数字が。「あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。」。思っていると答えた人は六四%。個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだと答えた人も五四%。日本にはまだ、社会全体をよくしようとする、非常に貴重な国民の意識がかなり存在をしているということは事実だと思います。

 そして、それを法務行政に生かすというお問いかけに対して、私もまた一晩考えてみたんですけれども、法律とか法制度とか、そういう権力を及ぼすことによる秩序、安定ということのほかに、人の心の中に存在する、こういう力ですよね、社会全体を、あるいはみんなのことを、そういう心の中に存在する、こういう規範力というものを法務行政にしっかりと受け止めていく、又はそれを活用していく。

 抽象的ですけれども、先ほどから議論があった保護司制度も、まさにその典型だと思うんですよね。そして、第二次再犯防止推進計画の中に出てくる福祉分野との交流、そういうところに携わっていらっしゃる方々は、この五四%の中に入っていらっしゃる方だと思います。そういう方々の力を、目に見えないんですけれども、法務行政はしっかりと連携を取れるようにしていかなければいけないのかなというふうに思いました。

鈴木(義)委員 いろんな捉え方があると思うんですけれども、私は常々、やはり、正直者がばかを見ない社会、それと、あと、額に汗した人が少しは報われる社会、それがちょっと変節してきちゃっているんじゃないか。

 何か、うまいことやれば自分が豊かな生活ができると思えば、みんなそっちに流れていくし、でも、まだ、今大臣がおっしゃったようなパーセンテージの人が、日本国民の中に大半いらっしゃる。この人たちが心が折れ始めると、もっと社会は混乱していくと思うんですね。

 そこで、次の問いかけ。

 昨晩、この調査の結果を御覧いただいたんですけれども、もう一つの調査結果の最後の問いなんです。国の政策に対する評価についてのうち、全般的に見て、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うかの問いに、反映されていると答えた人が二六・六%、令和三年は三一・八%。低下しているんです。反映されていないは七一・四%、令和三年は六六・九%と、逆に上昇しちゃっている。

 私たち政治家も責任の一端を大いに感じて、反省すべきだと私も考えます。民意をどう酌み取るか、仕組みが硬直化して上がってこないのか、私たちのアンテナの感度が鈍いのか、少し考え直さなくちゃいけない結果かなというふうに私は思うんです。

 こう考えるのは私一人じゃないと思うんですが、これでまた、法務大臣なので、法務行政にこの問いをどう組み入れていく考えでいるのか、お尋ねしたいと思います。

小泉国務大臣 御指摘のように、内閣府の世論調査、国民の考えや意見が政策に十分反映されていないとする回答が、少なからずいらっしゃるわけです。これをまさに大いなる反省点として捉えて、法務省としては何ができるか、どうすべきかというお問いかけでございますが、法務省は、多岐にわたる行政分野の中で、直接国民に触れる、様々な施設、様々なインターフェースを持っています。地方自治体に仕事を委託する官庁ではなくて、自前で施設を持ち、五万五千人の職員を擁して、直接国民と触れ合いながら活動していく官庁でありますので、我々が、やはり国民の考えや意見を吸収する、国民に直接触れて意見を吸収するという努力もしなければいけないし、またできるんだというふうにも思うわけであります。

 小さい話なんですけれども、例えば、直近で、十一月十五日から二十一日まで、全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間を催します。SNSで発信するんですけれども、やはり、その一週間、二・五倍に増えるんです、相談件数が。小さいことなんですが、直接我々ができる、そういう国民との触れ合い、国民から返ってくるものを受け止める、そういう努力を、先生の御提案を一つのきっかけとして、もう一度、何ができるか深めたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 去年、一般質疑で保護司の方の処遇改善の話も質問に入れたんですけれども、やはり、今いる、今協力してもらっているいろんな制度の中で、一番国民に接している人たちの意見を聞くのがまず一番じゃないかと思うんですね。

 それは何かというと、法制審で審議したんだと。これも一番最初に、二年前に、大臣がこれを諮問してくれと言わないと法制審は審議しないんですかと尋ねた。いや、そういうことばかりじゃないと答弁があったんですけれども、でも、法制審がこれでどうでしょうかと出してきたんだから、それに基づいて。その間に国民は介在しないんです。

 だから、今みたいな、これは直接法務行政に対してアンケートを取ったわけじゃないので、ではどこがどうなのかというのはなかなか推測するのは難しいと思うんですけれども、今ある五万何千人、保護司の方を入れればもっと多いと思います。その人たちの意見を一回吸い上げようということをやらないと、その先に国民がいるということです。是非今後生かしていただけたらありがたいなというふうに思います。

 それと、これも難しいと思って去年質問したんですけれども、大臣が所信で、時代の変化を踏まえて何が国民の幸せにつながるかと述べられているんですね。私は、去年の予算委員会で岸田総理に、幸せって何ですかって、失礼なことを存じ上げていたんですけれども質問したら、答弁で、人生の選択肢があることが大事なんだと答弁されたんです。そのとき、私はそれをいただいて返したんですけれども、私たちが幸せというものを上げられるわけじゃないんだと思うんです。人それぞれ、幸せの感じ方、幸せの尺度も違います、奥行きも違うし。それを、一億二千万、外国人登録の方を入れれば一億三千万ぐらいの方が日本の中で暮らしているわけですよね、外国に行って仕事をしている人もいるだろうし。そういうふうになったときに、やはり自分で幸せというのはつかみ取れる、つかみ取らなくちゃいけないし、ただ、世の中にはつかみづらい人、つかめない人がいるって思うんです。その人たちがどうやってつかめるようにできるかというのを考えるのが私たち政治の役割じゃないかなと思うんですが、その点について、幸せって何ですかと尋ねられたときの、小泉大臣の率直な御意見で結構ですから、お答えいただければと思います。

小泉国務大臣 これは全くそのとおりだと思いました。私も質問いただいてよく考えてみたんですけれども、自助、自分の努力によって成果が得られる、でも、そういう人ばかりではない、そういう人たちをしっかりとまたカバーしていく、これは真実だと思います。

 しかし、それだけでは答弁になりませんので、私なりの幸せの要素というものを一つだけ申し上げたいのですが、それはやはりお互いを信じられるということなんです。

 こういう議論になりましたから、ちょっと大ざっぱな議論をお許しいただきたいんですが、例えば、山手線の中でつり革をつかまっていて、全然知らない人が隣に来る。まあ、通常起こりますね。その状況で、あなた、隣にいるつり革のこの人を信じられますかって聞くんですね。アメリカ人は二人に一人が信じる、日本人は十人に一人しか信じるという人はいない。そういう社会なんです、日本は。

 まあ、一面ですよ。一面の切取りかもしれないけれども、お互いが信じられる社会、私は、やはり、この職に就かせていただいたから余計そう思うのかもしれませんけれども、そこに日本のまだまだ進むべき、幸せを広げられる余地がある。信じられれば助け合えるわけじゃないですか、何か起こったときでも。あるいは、お互いを認め合うこともできるわけですよね。信じられなければ認められない。さっきの、車十台、三十台になっている、そういう社会の中に巻き込まれるか、立ち止まってもう一度それをつくり直すか、そんなような認識を持っております。

鈴木(義)委員 確かに、過去を振り返ってみて、私も県会議員のときに、平成十一年にスタートしたんですけれども、経済が疲弊していた時代ですから、何かといえばもう経済再生、成長、この二文字で、経済が発展すれば全部ハッピーエンドになるんだといいながらも、今大臣がおっしゃったように、十人に一人しか信じられないという社会がまだあるということは、経済が拡大するだけで幸せというのは与えられるかといったら、与えられないということなんですね。そこの今過渡期に来ているような気がするんです。

 確かに、先端を行かないと商売にもならないし、物を買ってくれないという現実があります。でも、それだけで本当にいいのかといったら、それ以外のところをちょっと議論しないで置いてきちゃったんじゃないかな、ここの二十年、三十年。だから、失われた三十年、三十五年というのは経済の話だけじゃないんだと思うんです。だから、人権だとか人格だとかいろいろなそういう話に、今クローズアップされていますけれども、そういう話になっていくのかなというふうに思っております。

 もう一点。大臣は所信で法務行政の具体的課題の取組の第一番目に挙げたのが、再犯防止の取組の推進であります。私の前任の方もこれを取り上げて質問された方もいるやに聞いております。

 犯罪白書の二〇二二年版の資料に基づいて、ここから数字を引っ張ってきたんですけれども、起訴人員中の有前科者というんですか、前科を持った人の一覧表を見ると、傷害、暴行、脅迫、窃盗などの再犯率が高いんですよね。四五%を超えている。それが、初犯の人が減っているものですから、二犯以上、五犯、六犯、それ以上やる人もいるんでしょうけれども、だから再犯率が上がったという、全体の分母が減っているわけですから、そういう数字が出るんですけれども、圧倒的に高いのが覚醒剤取締法と毒劇法、シンナーとかそういう類いのことを言っているんだと思うんです。これが七七・二%、七八・八%。群を抜いちゃっているんですね。だから、一回手を染めてしまって犯罪を犯すと、八〇%近い人が再犯をしてしまう。

 例えば、覚醒剤の刑罰のところを見ると、営利目的じゃない、ただ勝手に自分が使用したというだけだと十年以下の懲役なんですね。営利目的だと言えば、これは一年から二十年の懲役、又は情状により五百万円以下の罰金を科料する、併科すると書いてあるんですね。製造した場合は、営利目的じゃない、自分で勝手に使うのかもしれませんけれども、一年から二十年の懲役とか、営利目的、営利目的じゃないだけで刑罰が分かれるんです。

 私が何を申し上げたいかといったら、我慢できないんです、一回使っちゃうと。ということは、それを提供した側の人、営利目的であろうがなかろうが、もっと厳罰に処さない限り、この社会、一般社会に刑務所から出てきても、唆されるんじゃないけれども、いいのあるよと言われちゃうと、そっちに行っちゃって、もう一回使って検挙されれば刑務所の中にいるという人が、八割近い人がいるということですね。

 だから、一回使ったら、なかなかそこから抜け出せない。いろんなカウンセリングだとか、医療何とかっていろんなことを言いますけれども、使わせない、だから売らせないということ。売らせないということは、イコール、売ったら、罰則をもっと上げて、無期懲役ぐらいなことをやるぐらいなつもりでやらないと、この再犯率を下げるのは私はできないんじゃないかと思うんです。

 その辺の考え方、今すぐやりますとかやらないとかというのはなかなかお立場上できないと思うんですけれども、再犯率を下げるというにはどうすればいいかというのは、今までの矯正教育だけではもう限界に来ているんじゃないかと私は思うんです。

 そこのところを考え直さないで、また今までと同じように、地域社会とかいろんな団体と連携を取るだけで再犯率を下げるということは私は難しいんじゃないかと思うんですけれども、大臣の御所見をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 大変貴重な問題提起をいただいたと思います。

 再犯率がなぜ下がらないのか。五年、更にその前を遡ってみても、実数は減ってくるんですけれども、率は変わらないということが非常にずっと気になっていて、そこを掘り下げていこうと思っているんですが、おっしゃった薬の影響ですね、我々が体験したことのない、そういう力が働くんでしょうね、恐らく。だから、我々の中で、まだ手だてが足りない部分があるのかもしれないという思いを持ちました。

 しっかりと現状を分析して、そこにちょっと焦点を当てながら、具体策にたどり着けるような検討をしてみたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 私もそうですし、下手すれば毎日酒を飲みますよね。夜になると何か飲みたくなるんですけれども、だって、おなかが減れば御飯を食べたくなるじゃないですか。そういうふうにできちゃっているんですよね、ここが。ここが感じているわけじゃない。ここが感じているんです。だから、その辺もやはり、もう少し医療的にというのか、医学的にも踏まえて、なぜそういうことをやり続けちゃうのかというところも、やはり治療も必要だろうし、どういうふうにここの中の形態ができているのかというところも踏まえて矯正教育というのかな、やっていかないと、そこはなくならない。

 どうしても性根が悪くて、さっき挙げた暴力だとか、脅迫だとか、そういうのは再犯率はやはり高いんですよね。

 だから、そういうことをしてしまう人はどういう人なのかというのをもう一回分析し直して、それに対応する対策を考えないと、再犯率は下がっていかないんじゃないかなというふうに思います。

 時間がないので、一点だけ。

 訟務機能の充実強化という、今まで余り私も訟務機能というのを取り上げたことはほとんどなかったんですけれども、内閣官房では、過去に、「国を当事者とする訴訟の現状について」と題した情報を幾つか発信しているんです。これはホームページに載っていましたから、それで入手しました。国の政策等に重大な影響を及ぼす訴訟での敗訴が目を引くようになっている、いわゆる政策形成訴訟、裁判所では、行政に対する厳しい目、行政の法適合性について十分に説明を迅速に行うことを求める傾向にあり、訴訟が起きてから動き出すのでは遅い、訴訟を想定した法的検討、予防司法の観点が重要と内閣官房が指摘しているんです。私が指摘しているんじゃない。

 一年間に、私たちは国会に身を置く者ですから、今年はちょっと法律の成立自体は少ないと思うんですけれども、大体通常八十本から百本の法律の新法と改正があります。

 こういった訴訟機能の充実強化は、起きてからの対応じゃなくて、起きる前からの想定が必要なんだと思うんです。八十から百の法律が成立する、それがリスクがあるのかないのかということも、アドバイザーとしてできるのは、やはり法務省の仕事だと思うんですけれども、それについて大臣の御所見をいただきたいと思います。

小泉国務大臣 これは、ちょっと手前みそになるかもしれませんけれども、霞が関の各官庁からは、いろいろな法的視点についての検討依頼が来ております。それに的確に答える、それを続けているところでありまして、それがまさに事前の予防司法支援ですね。法律を作る、政省令を作る前に、それによってどういうことが法的に起こり得るのか、どういう問題があるのかということを御相談にあずかり、また、それにお答えをする。非常に評価されているというふうに私は認識をしております。具体的な件数等はちょっと今手元にはありませんけれども、我々が果たすべき重要な役割だというふうに思います。

 もちろん、訴訟が起こって、その訴訟の中身についてもいろいろ関係省庁とは連携を取っていますよ。現実に、国が百件ぐらいの訴訟を抱えていると思いますけれども、そうなる手前の、多分、もう一桁上の案件について、我々ができることはある。なかなかここには光が当たらないので、御質問いただいて非常にありがたく思います。

鈴木(義)委員 是非、そこのところ、事が起きてから何かをするんじゃなくて、事が起きないようにどうするかというのが今求められているような気がしますので、頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

武部委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小泉法務大臣。

    ―――――――――――――

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小泉国務大臣 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。

 これらの法律案は、政府において、人事院勧告の趣旨に鑑み、一般の政府職員の給与を改定することとし、今国会に一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出していることから、裁判官及び検察官についても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改定する措置を講じようとするものであり、改正の内容は、次のとおりであります。

 一般の政府職員について、令和五年の民間給与との均衡を図るため、俸給月額を引き上げることとしておりますので、裁判官の報酬月額及び検察官の俸給月額についても、これに準じて引き上げることとしております。

 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、令和五年四月一日に遡ってこれを適用することとしております。

 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時六分散会


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