衆議院

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第3号 令和5年11月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年十一月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 谷川 とむ君 理事 牧原 秀樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 池下  卓君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    伊藤 忠彦君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      高見 康裕君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    仁木 博文君

      平口  洋君    藤原  崇君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      山田 美樹君    鈴木 庸介君

      中川 正春君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    美延 映夫君

      日下 正喜君    中川 宏昌君

      山崎 正恭君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   法務大臣         小泉 龍司君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   最高裁判所事務総局総務局長            小野寺真也君

   最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君

   最高裁判所事務総局経理局長            染谷 武宣君

   最高裁判所事務総局家庭局長            馬渡 直史君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 伊藤 哲也君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       上原  龍君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 柴田 紀子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    松下 裕子君

   政府参考人

   (法務省矯正局長)    花村 博文君

   政府参考人

   (法務省訟務局長)    春名  茂君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁次長) 丸山 秀治君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           泉  潤一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       青木 健至君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  中川 宏昌君     山崎 正恭君

同日

 辞任         補欠選任

  山崎 正恭君     中川 宏昌君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官伊藤哲也君、総務省自治行政局選挙部長笠置隆範君、法務省大臣官房政策立案総括審議官上原龍君、法務省大臣官房審議官柴田紀子君、法務省大臣官房司法法制部長坂本三郎君、法務省民事局長竹内努君、法務省刑事局長松下裕子君、法務省矯正局長花村博文君、法務省訟務局長春名茂君、出入国在留管理庁次長丸山秀治君、厚生労働省大臣官房審議官泉潤一君、厚生労働省大臣官房審議官斎須朋之君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君及び防衛省大臣官房政策立案総括審議官青木健至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局総務局長小野寺真也君、人事局長徳岡治君、経理局長染谷武宣君及び家庭局長馬渡直史君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高見康裕君。

高見委員 おはようございます。自由民主党の高見康裕でございます。

 政務官を退任して初めての質問の機会をいただきました。このような機会をいただいたことに感謝を申し上げ、早速質疑に入らせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、今回の法案審議のトップバッターでございますので、改めて、今回の二つの法案の背景及び経緯等、その概要について参考人から御答弁をお願いいたします。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 本年八月七日、人事院は、国会及び内閣に対し、本年四月時点における官民の給与較差に基づく俸給表の水準の引上げを内容とする一般職の職員の給与改定を勧告いたしました。

 本年十月二十日、政府は、一般職の給与につき人事院勧告どおりの改定を行うこと、特別職の職員の給与につき同改定の趣旨に沿って取り扱うことを閣議決定いたしました。

 この二法案は、裁判官、検察官の報酬、俸給月額についてもその対応する一般の政府職員の俸給表の改定に準じまして引き上げることを内容とするものでございます。

高見委員 ありがとうございます。

 法務省は、私は、一言で言えば、人で支える官庁、省庁だというふうに思っています。人件費が全体の予算の七割近くを占めるという省庁はほかにはないのではないかと思います。つまり、それは、ほかの省庁以上に人の、人材のパフォーマンス、それがそのまま組織のパフォーマンスにつながると言っても過言ではないと思いますし、法務省にとって人材の確保、育成というのがどれだけ重要かということだと思っています。

 そのような思いで、今日は人材育成について議論をさせていただきたいと思っています。特に、国際舞台で活躍できる人材の育成が急務だと思っています。

 今、ロシアによるウクライナ侵略が長期化をして、先行きが見通せない状態が続いています。今ほど法の支配が重要な意味合いを持つ局面はないというふうに思っています。国際法を無視して力で現状を変更しようという暴挙に対して、法の支配を信奉する私たちの国々が有為な人材を結集して、この戦争犯罪の捜査であったり、この先の復興支援であったりに当たらなければいけないと思っています。その中心を担っているのが国際刑事裁判所、ICCであります。

 そこで、次の質問ですけれども、この国際刑事裁判所に対して我が国は人材面でどのような協力をしているのか伺います。

柴田政府参考人 お答えいたします。

 まず、国際刑事裁判所、ICCの活動は、法の支配に基づく国際秩序の維持強化という観点から極めて重要と考えています。

 我が国はこれまでICCとの協力を進めてきましたが、法務省におきましては、令和四年夏以降、オランダ・ハーグにあるICC本部に検事二名を派遣しています。そのほか、国連との協定に基づき法務省が運営する国連アジア極東犯罪防止研修所とICCとの間の協力合意書に基づきICC職員に講義を実施するなど、ICCの活動を支えています。

 今後も引き続き、これらの取組を通じてその活動を支援していきたいと考えています。

高見委員 ありがとうございます。

 ICCの支援について協議をする大臣会合が今年の三月にロンドンで開かれて、私も出席をいたしましたけれども、今御答弁がありました、日本から派遣している二名の検事、そして研修に対する協力に対して、各国から、特にウクライナからはコスチン検事総長がお見えでした、また各国の法務大臣、司法大臣の皆様から多くの評価の声、感謝の声というのを私自身もたくさん聞かせていただきました。

 今は代表的な例としてICCを取り上げましたけれども、そのほかにも、法務省は、多くの国際組織や在外公館等に法務省から多くの人材を派遣をしています。

 そこで、次は、門山副大臣にお答えをいただきたいのですが、副大臣御自身も、昨年来、何度も国際会議等に御出席をされていますけれども、世界各国からの我が国に対する期待の声また評価の声、このようなものをどのように感じていらっしゃいますでしょうか。また、そうして国際経験を積んだ人材が法務省全体にもたらす効果というものをどのようにお考えなのか、御答弁をお願いします。

門山副大臣 私自身、昨年十一月にベルリンで開催されましたG7司法大臣会合や、本年七月の司法外交閣僚フォーラムなどの国際会議に参加させていただきまして、G7諸国やASEAN諸国が法務、司法分野における日本の貢献を高く評価し、日本のリーダーシップを大いに期待していることをまさに肌で感じました。

 このような評価や期待は、法務省がこれまで、特定の価値を一方的に押しつけるのではなく、相手の実情に応じた寄り添い型の法制度整備支援等に地道に取り組んできたことや、近年、これらを土台に司法外交を展開し、国際社会において法の支配等の推進にリーダーシップを発揮していることが各国に評価されていることの表れであると認識しております。

 このような法務、司法分野における日本のリーダーシップを支えているのは、海外及び国内で国際業務を担っている法務省職員でございます。国際業務は、我が国と異なる法制度や社会慣習があることを前提に、自らと異なる多様な価値観やバックグラウンドを有する人々を相手に業務を遂行することが求められることから、様々な課題に対し多角的にアプローチする幅広い視野、相手の立場を尊重しつつ柔軟かつ粘り強く説得する交渉力、調整力等を培う非常に貴重な機会となります。

 このような国際業務で培った経験、能力を持った人材が法務省の他の業務においてもリーダーシップを発揮していくことにより、組織全体にとっても、多角的な検討力、既存の常識や慣習にとらわれない課題解決力等が増強され、組織のパフォーマンスの向上に貢献すると確信しております。

高見委員 ありがとうございます。

 全く同感でありまして、日本の強みと期待されていることというのは、価値を押しつけるんじゃなくて、それぞれの事情が違う、それに寄り添ってくれるのが日本だということ、本当にたくさんの方から私も聞いてきました。法制度整備支援などはその日本の真骨頂だと思っています。

 インドネシアなんかでは、法令同士が、法律同士が、Aという法律とBという法律が互いに矛盾をしたまま放置されている、こういうのを日本の検事が現地で見つけてその整合性を取るようなプロジェクトを実行したりとか、ラオスでは、司法修習というものがそもそもなかったので、そのカリキュラムからつくったりとか、こういう、歴史も経緯も事情も発展の度合いも全く違いますので、やはりそれぞれの事情に寄り添って活躍できるのが我が国だというふうに思っています。

 これからウクライナの支援、復興支援が始まると、これはもっと大変な局面になると思います。司法試験もまだないと聞いていますし、そもそも法の支配という概念がまだ国民の間に定着していないということで、息の長い取組になると思いますけれども、この中でも我が国が中心的な役割を果たすことを強く期待をしています。

 もう一つ、御答弁いただいた国際人材が法務省全体に与える影響というのも非常に大事だというふうに思っています。

 私は九月まで政務官をさせていただきましたけれども、法務省の職員の皆さん、本当に献身的で優秀だということを毎日実感をしていました。こんな仕事人集団がいるんだというのが一番の感想でした。ただ、一つだけ難しいと思ったのが、やはり自分を相対化、他と比較して自分を認識するのが難しい職場環境だなということも感じました。無理もないことで、裁判所も刑務所も同業他社がいない仕事でありまして、比較対象があるとすればやはり外国ですので、そういう意味でも、比べて見られる唯一の教材が外国、この国際的な視点が非常に大事だというふうに思いました。

 外国に派遣されて二、三年、人脈もできますので、何か仕事に行き詰まったときに、あなたの国ではどうしているんだというふうなアドバイスを求められるような人材が、国際課だけにいればいいというのではなくて、やはりそれぞれの部署にそういう人材が散らばって存在するというのが組織としての強みだと思っています。

 このように、国際経験は職場全体に広い視野をもたらすと思いますので、キャリアの中でもっと評価されていいと私は思っていますし、優秀な人材を発掘して積極的に送り込むぐらいの感覚を特に幹部職員の皆さんには持っていただきたいなというふうに思っています。

 次の質問に移りますけれども、法務省は、外国の幹部候補になるであろう人材の育成にも長年取り組んできました。その舞台の一つが、国連アジア極東犯罪防止研修所、アジ研といいますけれども、このアジ研で学んだ卒業生というのが、どのような国にどのぐらいいるのか、親日的で優秀な人材というのは日本にとって大きな財産になると思いますけれども、こうしたものをどう生かしているのか、中野政務官に伺います。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 法務省が運営をする国連アジア極東犯罪防止研修所、いわゆるアジ研では、長年にわたり、主にアジア、アフリカ等の発展途上国を対象とした刑事司法分野の人材育成を行ってまいりました。

 アジ研の過去の六十年以上にわたる国際研修への参加は、百四十四の国及び地域に達しており、令和五年十月十二日時点で参加総数は六千四百四十六名であります。アジ研の卒業生の多くは自国の刑事司法分野において指導的な役割を果たしており、中には法務大臣、最高裁判所長官、検事総長等に就かれた方もおられ、強力なネットワークを構築いたしております。

 犯罪のグローバル化が著しい今日では、国境を越えた刑事司法関係者による人的ネットワークは、経験や情報を共有する上で極めて貴重であり、国際協力の円滑化にもつながっております。

 法務省においては、例えば、こうしたネットワークを生かして、本年七月に史上初となる日・ASEAN特別法務大臣会合の開催という成果を上げることができました。

 また、今後、我が国に理解がある優秀な人材育成を一層力強く展開すべく、法務省では、ASEANとG7の法務、司法省等の若手職員を対象とした、法の支配の推進等について協議し、相互理解と信頼構築を目的としたネクスト・リーダーズ・フォーラムを定期的に開催をいたします。このフォーラムは、本年七月にASEANとG7の法務閣僚を招いて開催したASEAN・G7法務大臣特別対話で合意された取組であり、双方から大きな期待を寄せられております。

 我が国がこれまで培ってきた知見を生かし、ASEANとG7の懸け橋となって人材育成に取り組むことで、我が国のプレゼンスを国際的に発信するとともに、我が国に理解ある優秀な人材の確保にこれからも努めてまいりたいと存じます。

高見委員 ありがとうございます。

 本当にすばらしい取組をしてきておられるということだと思っています。いわば、明治維新の後に日本がヨーロッパから学んだようなことを、今度は日本が後に続く国々に長年してきたということだと思います。これは、これからグローバルサウスとの関係でも物すごいアドバンテージだと思いますので、しっかりこの財産を活用できるように、よろしくお願いいたします。

 最後に、法務省の人材育成に戻って、大臣に伺います。

 私の問題意識は、法曹を志そうという有為な人材に対して、今回の給与法ですが、きちんとした待遇を整えるのはもちろんのことですけれども、それだけではなくて、能力を磨いて、意欲次第でチャレンジをどんどんできるという職場環境、これを併せて整えることが急務だと思っています。

 法曹の担い手が十分に確保できなければ、今日、明日にすぐ成果が出るわけじゃないという国際人材から先に削減されてしまうと、非常に諸外国から評価の高い司法外交のプレゼンスが低下して国益を損ねてしまう、こんなことがあっては決してならないというふうに私は思っています。

 最後に大臣に伺いますが、国際的で多角的な視野を持つ人材の育成に向けた意気込みを伺います。

小泉国務大臣 今日は大変すばらしい視点からの御指摘、御示唆をいただきまして、ありがとうございます。法務省にとって一番大事な問題点の一つだと思います。

 我々は、これから共生社会をつくっていく、国を開いていくという一番重要なスタートラインに今立っているわけでありますし、また、その中には、ウクライナの難民支援といった問題も当然入ってくるわけでございます。また、司法外交、これも、委員おっしゃったように、基本的人権あるいは法の支配、それが揺らぐ中で支えていくという大きな課題に直面していますが、そういう問題に対応していくことができる、担える職員のやはり厚みを持たなければ、それは言葉だけで終わってしまうというふうに思います。バランス感覚、法的思考能力、国際感覚、そういったものを備えた人材を広く育成していきたいというふうに思います。

 また、日常の法務行政においても、今申し上げたような能力を持つ、交渉力、調整力、視野の大きさ、そういったものを持つ法務職員が増えることが、直接、今度は国内業務ではありますけれども、国民に大きな利益をもたらすということも事実でございます。

 ではどうするのかということでございますが、語学研修もあります。もう一つ、国際機関や在外公館への法務職員の戦略的な派遣ですよね。これは足りないと私も思います。ほかの省庁に比べてもっと積極的であるべきだと思います。主要な国の在外公館には行っていますよね。だけれども、我々は、国を開く中で、共生社会をつくる中で、司法外交をやる中でもっと幅の広い国々の方々の真意を知る必要があるわけでございまして、法務省の職員がその国に駐在したことがあるのかないのか、それは大きな政策判断に関わる要素だろうというふうに思います。

 かといって、限られた予算で世界中に派遣できるわけではありませんので、より実効的な方法としては、在京の大使館、東京にある各国の大使館、立派な大使がおられるわけです。様々な情報もあります。様々な要望もあります、意見もあります。そこと法務省が直接、もちろん外務省と連携しますけれども、法務省が直接在外公館とネットワークを張り、そこに様々な人材育成のまたチャンスがあるんだろうというふうに思っているところでございまして、今日は大きな課題をいただいた思いでございます。全力で取り組みたいと思っております。

高見委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

武部委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 当委員会では初めての質問となります。よろしくお願いいたします。

 現在、我が国の経済環境は物価高が加速している中で、我が国の大きな課題の一つが、この物価高を上回る賃金を上げていくということであります。物価高の影響は公務員を含む全国民に及ぶもので、裁判官、検察官、あるいはその周辺で働く常勤、非常勤の職員もまたしかりです。

 また、公務員給与につきましては、物価高の対応もさることながら、人材確保の点からも重要であります。

 国家公務員の給与につきましては、昨年ようやくプラスの改定がなされましたが、近年は国家公務員への就職希望者が減少傾向であります。理由は様々あるかと思いますが、給与面や、また業務負担の面で、それが要因の一つとなっているところもあるかと思います。

 裁判官、検察官につきましても同様で、優秀な人材を確保するためには、重い職責や業務に見合った給与を保障し、また、働き方改革の流れの中で、執務環境を改善していくことも重要と考えられます。

 このような観点から、裁判官、検察官の給与、待遇についてお尋ねしたいと思いますが、まず、今回の二法案の改正の趣旨、概要につきまして大臣にお伺いしたいと思います。

小泉国務大臣 本改正案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬及び検察官の俸給を改定することを内容とするものでございます。

 本年八月、人事院は、本年四月時点における官民の給与較差を踏まえ、俸給月額の引上げ等を内容とする一般職の職員の給与改定を勧告いたしました。

 本二法案は、この人事院勧告を踏まえた一般の政府職員の給与改定に準じて裁判官、検察官の報酬、俸給月額を引き上げるものでございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 この二法案の改正では、裁判官の報酬と検察官の俸給について、一般の政府職員の給与改定に準じて引上げ改定が行われるということであります。また、裁判所や検察庁で勤務されている裁判官や検察官以外の常勤職員の方々は、人事院勧告に従った一般給与法の改正により処遇の改善が図られます。

 そこで、裁判所や検察庁では非常勤職員の方々も従事しておりますが、その方たちの処遇の改善はどのようになっているのかお伺いしたいと思います。併せまして、裁判官や検察官、一般の政府職員は今年の四月まで遡って改定がなされるわけですが、非常勤職員の方々はどのような扱いになっているのか、以上二点につきましてお伺いしたいと思います。

松下政府参考人 お答えいたします。まず、検察庁の方でお答えをいたします。

 検察庁で勤務する非常勤職員の給与につきましては、一般職給与法等に基づいて適切に支給されているものと承知しております。

 具体的には、非常勤職員の基本となる給与については、原則として一般職の国家公務員の俸給月額を基礎として決定しておりまして、人事院勧告を受けてそれが改正されれば、常勤職員の給与決定に係る取扱いに準じて改定され、改定の時期につきましても、常勤職員が四月に遡って給与改定される場合には、非常勤職員についても四月に遡って日給等を改定する取扱いとしているものと承知しております。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘の非常勤職員の処遇改善につきましては、裁判所としても重要な課題であると考えております。

 人事院におきまして、一般職給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて改定するよう努めるべきとの指針を示しているものと承知しておりまして、裁判所におきましても、常勤職員の給与改定に準じて非常勤職員の給与改定を行うこととしております。

 また、今般の一般職給与法等の改正について申し上げますと、常勤職員の給与が本年四月に遡って増額改定された場合には、非常勤職員の給与につきましても、本年四月に遡って、常勤職員に準じた増額改定を行うことを予定しております。

中川(宏)委員 それぞれ確認をさせていただきました。

 二〇一八年に働き方改革関連法案が成立をしまして、国家公務員の場合には、人事院規則により時間外勤務の上限が決められております。社会的には、コロナを経験する中で、DXを活用し、リモートワークが普及したわけでございますけれども、裁判所や検察庁での働き方については今現在どのような取組がされているのか、DXという観点からはどのような取組がなされているのか、この点につきましてお伺いさせていただきます。

松下政府参考人 お答えいたします。

 DXを活用した検察官における働き方改革の取組状況につきましては、法務省全体の取組に基づきまして、職務の性質に照らし、セキュリティーに配意したテレワーク環境の整備も含めまして、可能な範囲でテレワーク推進にも柔軟に取り組んでいるものと承知をしております。

 また、現在、法務省におきましては、刑事手続のデジタル化として、書類の電子データ化ですとか、捜査、公判手続の非対面、遠隔化などを可能とすることにつきまして、法整備及びシステム整備の在り方の両面から検討を進めております。

 刑事手続のデジタル化は、手続に関与する国民の負担軽減、手続の円滑、迅速化に資するものでございまして、安心、安全な社会を実現するためのものではございますけれども、副次的に、手続を執り行う関係機関の業務の合理化に資する側面もあると考えられ、その観点からも、刑事手続のデジタル化を推進することは重要な課題であると考えております。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、働き方改革を進めることは重要な課題と考えております。そのような観点から、裁判所におきましては、育児や介護を担う男女を含めて、組織全員の力を最大限発揮できるように、長時間労働の是正、業務の合理化、効率化の推進、育児休業等の仕事と家庭生活の両立支援制度の利用促進などの取組を通じまして、働きやすい職場環境の整備に取り組んできているところでございます。

 なお、裁判官につきましては、日々の職務遂行がそれぞれの自律的判断に委ねられておりますところ、従前から、非開廷日においては、必要に応じて自宅で記録の精査や判決の起案等を行うという働き方をしている者もいると承知をしているところでございます。

 また、裁判所では、オンライン申立てを一般的に可能とするなどのデジタル化後の民事訴訟手続の本格的な運用に向けまして、現在、システム開発等を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、裁判手続のデジタル化の状況も見据えながら、引き続き職員の働き方改革に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。可能な範囲で様々取組が進められているということを確認させていただきました。引き続きお願いしたいというふうに思っております。

 今回の報酬、俸給法の改正では、特に若年層が在籍している俸給ほど引上げ額が大きくなっているという点について、評価すべきことだと思っております。一方で、裁判官、検察官の待遇については、今回の報酬、俸給法の改正やテレワークの活用などによって解決できない課題もあると感じております。それは、地域手当の支給の有無、金額によりまして給与格差が生じてしまうという点であります。

 これは大変驚いたわけでございますけれども、地方の方は、東京二十三区で働く方に対して、月額で、報酬、俸給の最大で二〇%も給与支給額が低くなってしまうということであります。例えば、同期の裁判官同士、検察官同士でも、働く場所が都市部か地方かということだけで給与支給額に大きな差が出てしまっているわけであります。

 ここで危惧されますことは、地域手当の支給の有無によって、働く場所について都市部志向になっていってしまうのではないかということであります。地域手当の支給の有無によって、地方で働くのはちょっとという、こういった風潮が助長されてしまうのではないかと考えてしまうところであります。

 裁判官、検察官につきましては、その仕事の性質上、全国満遍なく配置をされております。国民の皆様に対して公正で均質な司法サービスを提供するためには、今後もそうした配置が必要であるということは間違いありません。

 当然、地域手当の在り方につきましては、第三者機関として人事院が専門的見地から判断していくものと承知をしているところでありますが、働く方のモチベーションという部分に焦点を当てまして、ある程度納得のいく方向へ考えていくことも大事な視点ではないかと思っております。

 そこで、このような裁判官、検察官の給与格差と都市部志向について法務省の御見解をお伺いしたいと思います。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 現行法の下でも、地域手当にはいわゆる異動保障の制度が設けられておりまして、給与額の地域格差を一定程度縮減、緩和する措置が講じられておりますけれども、御指摘にあるような懸念が存在することもまた否定できないところでございます。

 全国の裁判所における均質な裁判、あるいは全国の検察庁における均質な捜査、公判をそれぞれ実現し、国民の安全、安心な暮らしを確保するためには、地方都市を含め、全国各地にひとしく優れた裁判官、検察官を配置することが必要不可欠でございます。

 そのため、御指摘にあるような懸念を払拭すべく、引き続き適切な人事上の施策を実施、研究してまいりたいと考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 今の答弁によりまして、地域手当による給与格差の課題については、引き続き適切な施策、また実施について研究をしてまいりたいと、少し前向きな答弁をいただいたところであります。

 全国どの地方の国民の皆様にも公正で均質な司法サービスを持続的に提供していくためには、優秀な裁判官また検察官を全国満遍なく配置していくこと、これは必要不可欠なことでございます。そうした観点から、政府、最高裁に対しましては、今後とも様々な角度から裁判官、検察官の処遇改善に是非努めていただきたい、そういった中で、魅力あるそういった環境をつくっていただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、米山隆一君。

米山委員 それでは、会派を代表して質問いたします。

 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。

 まず、この法律案、今ほど来もお話ありますけれども、裁判官、検察官等の給与を上げるものなんですが、〇・二四から三・五二%上げるものと承知しておりますが、中身を見ますと、資料一を御覧いただけますと分かるんですが、一%を超えるのは六号俸の判事補、十一号俸の簡裁判事、十四号俸の検事、九号俸の副検事からで、二%を超えるのは九号俸の判事補、十四号俸の簡裁判事、十七号俸の検事、十二号俸の副検事から、三%を超えるのは十七号俸の副検事のみということになります。ほかの方はみんな一%以下という給与上昇率になります。

 まず、単純な計算を伺いたいんですけれども、今回の法改正では、対象となる人の給与の総額が幾らで、それが一体幾ら、何%上がるのか、これをお伺いできればと思います。これは基本的には全体の加重平均になるかと思いますので、こちらの数字を教えてください。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 検察官の給与総額は、この法案による改正前については、俸給及び諸手当を含みまして約三百十三億七千二百万円であるところでございますけれども、この法案が成立した場合には約三百十七億四千九百万円となり、金額といたしましては約三億七千七百万円、パーセンテージといたしましては平均約一・二%の増額となります。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 今回の法改正で対象となる裁判官の報酬及び諸手当は、約四百六十六億七千四百万円でございます。それが約四百七十二億二千二百万円になる見込みでございます。したがいまして、約五億四千八百万円の増額でございまして、それを割合にいたしますと約一・二%ということになります。

米山委員 では、資料二を御覧ください。

 この物価高、これはずっと、まあ、法務委員会ではそれほどではないですけれども、国政全体の問題になっているわけなんですが、政府、日銀は二%の物価を達成するためにより一層粘り強く頑張るとか言っているんですけれども、実は昨年の八月から、表は九月しかないですけれども、八月から三%を超えているわけなんですよ。

 今ほど、お二人、検察の方からも裁判官の方からもお話があったんですけれども、給与総額として一・二%しか上がらないんです。これはつまり、裁判官の方も検察官の方も、実質賃金が一・八%下がるんですよ。政府は、物価と賃金の好循環、つくる、つくると自分で言っておいて、自分の部下の方々の実質賃金を自分で下げているわけです。それは幾ら何でもおかしくないですか。

 どうですか、小泉法務大臣。これだと皆さん、もう明日から、今まで仕事が終わったら一杯飲めたのが一杯飲めなくなるんですが、これでいいんですか。御所見を伺います。

小泉国務大臣 先生御承知のことだとは思いますが、本改正は人事院勧告を踏まえた一般の政府職員の給与改定に準じて裁判官、検察官の報酬、俸給月額を引き上げるものでございます。裁判官や検察官も国家公務員でありまして、その給与については、職務、責任の特殊性、これを反映しつつ、人事院勧告の重要性を尊重し、国家公務員全体の給与体系の中でバランスの取れたものにする必要があるという考え方から、このような改定方法を取っているわけでございます。

米山委員 もちろん承知しておるわけです。

 確かに、国家公務員法第三条二項で、人事院は、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する等々の事務をつかさどる、こういう条文がございます。そして十八条には、人事院は、職員に対する給与の支払いを監理する、職員に対する給与の支払いは、人事院規則又は人事院指令に反してこれを行ってはならないとありますので、国家公務員は確かに人事院勧告に従わなきゃいけません。

 ところが、本裁判官の報酬等に関する法律そして検察官の俸給等に関する法律にはそういう規定はないんです。ないんです。今、大臣、準ずると言いますけれども、それはあくまで慣例というか慣行というか、それは準じなきゃいけないだろうと思って準じているだけで、実は何と裁判官と検察官は上げられるんです。上げて構わないんですよ。

 しかも、政府の方針として、いや、だって、物価と景気の好循環をつくれと言って、しかも、一年間も三%物価は上がっているんです、それをしかも政府がやっている、小泉大臣も参加している閣議決定で、二%以上上げましょうねといって三%上がっているのに、しかも、所信では、法務職員、五万人を超える職員が働く、人が支える官庁である、そして、ワーク・ライフ・バランスの実現にもしっかりと取り組むとおっしゃられているんですけれども、そもそもワーク・ライフ・バランスの最大なものというのは、実は給与です。

 だって、給与が上がったら、それは、先ほど言いましたけれども、仕事がすごくつらくて大変でも、ちょっと帰り道に一杯飲んだり若しくは御家庭に何かケーキを買っていったりして、バランスが取れるわけですよ。ところが、給与が三%減っちゃったら、その分だけ切り詰めにゃならないから、全然ワーク・ライフ・バランスは確保できないんです。

 大臣、できるんですよ、法務大臣は。なぜなら、裁判官と検察官は国家公務員法の規定外だから。大臣、ここでちゃんと、三%を超えろとは言わないですよ、三%の給与アップを約束すると、皆さん、喜びますよ。御所見を伺います。

小泉国務大臣 これも先生よく御理解いただいていると思いますけれども、給与がワーク・ライフ・バランスの全てではもちろんないし、中心ではないと私は思います。やはり働き方です。働きがいです。その中の一つの要素として給与水準というものももちろん入ってくるんだろうと思いますが、私が大切にしたいと所信で申し上げたのはその全体像です。バランスを取りながら、法務職員の働きがい、ワーク・ライフ・バランスを向上させたいという思いを申し上げたわけであります。

 そして、今、法律上の規定がないというふうにおっしゃいましたが、これはやはり、政府全体の組織の中で国家公務員というくくりがあるわけでございまして、条文がどうであれ、国家公務員であるという地位においてバランスを取らなければ、他の一般職の方々とのバランスを取らないわけにはいかない。ですから、それが毎年の改定の前例、慣行でしょうか、そういう取扱いが続いてきている、一番重要なポイントだと思うんですよね。

 経済政策のこの部分を切り出せばという御議論だと思いますけれども、国家は全体で成り立っているわけでございまして、そのバランスを崩すわけにはいかないということも是非御理解をいただきたいと思います。

米山委員 今、国家全体のバランスを崩すわけにはいかないとおっしゃられたわけなんですけれども、ところで、総理大臣の御給与、これは二百一万円が六千円上がって二百一万六千円になるんですけれども、そう報じられているんですけれども、これは、六割る二百一は〇・二九で、済みません、二・九ですか、これをほぼほぼ、違うな、ごめんなさい、間違えました。では、これは結構です。失礼しました。ちょっと勘違いしました。

 それはおいておいて、今ほど大臣、ワーク・ライフ・バランスだ、働き方だと言いましたけれども、それは、私、質問ではないですが非常に残念なお話で、いや、働き方も大事ですけれども、みんな本当にそれは、大臣、職員さんに聞いたらいいと思いますよ。一番大事なワーク・ライフ・バランスは何ですかと聞いたら、大概の人は給与と言うと思いますよ、それは。

 やはり給与を随分アップしてもらえれば多少働いたって我慢できるけれども、それは給与が少ないからいけないわけで、そして、大臣のお仕事はちゃんと給与を確保することですから、もちろん全体のバランスもあるでしょうけれども、その中で、法務省というところの予算をきちんと取ってくるというのは大臣のお仕事ですので、それはきちんとやっていただければと思います。

 さて、その次の質問に移りますけれども、では、やはり資料一を見ていただきますと、改正したとして、判事補、検察官の初任給は、改正後においても何と二十四万四千円となります。年収としては、初任給調整手当等が入るので、これの単純な十二倍じゃなくて、六百万円弱ほどになるということではございますが。

 一方、では資料三を御覧ください。資料三を見ていただきますと、判事補は、令和四年度の定員八百五十七人に対しての欠員が百七十六、何と二〇%もの欠員が生じていることになります。

 これは何でかと、私は、裁判官定数法といいますかね、そちらの方のときに聞きましたら、最高裁判所は必ず、適任者がいないとお答えになるんです。それで、私は、それは裁判官、最高裁の採用基準の要求水準が余りに高過ぎるからだということで、採用者の出身大学と採用年齢を聞くと、京大、東大を始めとして、いわゆる一流大学がメジロ押しになる、しかも、ほとんど法科大学院からのストレートで合格した、若しくは予備試験を合格した若い人になるということになります。

 ところで、そういう成績が優秀な若い人がよく採用されるいわゆる四大法律事務所では、初任給は大体一千万を超えるわけです。一方、大臣先ほど勤務状態と言いましたけれども、四大はめちゃめちゃ、ブラックとは言わないまでも、ひたすら勤務時間は長いわけですよ。

 実際どうですか。皆さん、勤務時間は長いけれども、一千万をもらえる四大に行くわけですよ。そして、勤務時間は恐らくそれほど、四大ほどは長くない裁判官は、何と二〇%もの欠員が生じているわけなんです。

 このまま裁判官の欠員が続きますと、国民に対する司法サービスの低下という大きな不利益を招きますので、これも先ほど来申し上げていますけれども、何せ、裁判官の給与と検察官の給与は、国家公務員法と別に決められますから、普通に八百万ぐらいにしたらいいんじゃないですか。だって、別に、ほかのところで一千万もらう人を雇うんですよ。それは八百万ぐらいにしていいじゃないですか。御所見を伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。

 裁判官の報酬は、その職務と責任の特殊性を踏まえたものではございまして、その職責にふさわしい適材確保の必要性を満たすべきものであること等を考慮しつつ、民間企業の給与水準とのバランスを踏まえて決まる国家公務員全体の給与体系の中でのバランスにも配慮をして、法により定められているものと承知をしているところでございます。

 裁判官と弁護士とでは、その所得を得る態様でありますとか職務内容が大きく異なりますので、裁判官の初任給と弁護士の初任給とを単純に比較して給与水準を論ずることは困難であろうかというふうに考えているところでございます。

米山委員 今ほど、ちょっと矛盾しているなと思うんですけれども、人材を確保するために必要だというなら、だって、一千万の人材を採りたいわけでしょう。それなら、さすがに一千万を超えろとは言わないですけれども、八百万ぐらいにしないと無理だと思うんですよ。

 一方、いや、どうしてもバランスを取って六百万だというならそれはそれで、次の資料を御覧いただけますと、実は弁護士みんながそんなにもうかっているわけじゃないです、私もよく知っていますけれども。全然、若い弁護士さんが非常に増えちゃいましたから。一昨日も、昨年よりも三百七十八人増えた千七百八十一人が合格していますので。いや、増えちゃったという言い方は正しくないですね、増えましたから。別に増えていいわけなんですけれども。五年未満の方の平均年収で四百七十万円なわけですよ。これなら、裁判官の六百万円の方が高いわけですから、しかも、二割も、二〇%も欠員がいるんですから、埋められるわけなんです。

 先ほど申しましたとおり、そうじゃないと言いますけれども、実際聞いてみれば、本当に、若い、一流大学卒ばかりが裁判官になっているんですけれども、別に、それこそいろいろな経験を積んで、いろいろなキャリアをやってきて、そして弁護士になって、正直、今の弁護士市場においては余り、五百万ぐらいしかもらえないなみたいな人を雇えば普通に欠員は埋まると思うんですよ。それで司法サービスを皆さんに、日本全国津々浦々に提供した方がいいじゃないですか。

 何でこの欠員二〇%をほっておくんですか。御所見を伺います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所としては、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者に任官してほしいと考えておりまして、下級裁判所裁判官指名諮問委員会におきましても、そのような観点から審議、答申がされているものと承知をしているところでございます。

 現在の複雑で多様な事件に裁判所が適切に対応するためには多様な人材を確保することが重要であると考えておりまして、今後とも、裁判官にふさわしい資質、能力を備えている者にできる限り任官してもらえるように取り組んで、多様な人材の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

米山委員 これでもう質問はしませんけれども、やはり、さすがに国家公務員の働き方は給与を含めて考えないと、それはむちゃなんですよ。一千万の人材を六百万で雇おうとしたり、六百万で穴が空いたら今度は五百万の人は雇わなかったり。しかも、物価はどんどん、政府主導で物価を三%以上上げておいて、いや、給与は一・二%しか上げませんって、誰が国家公務員になると思いますか。誰が裁判官になるのか。誰が検察官になるのか。それで優秀な人材を確保するなんて、それは絵に描いた餅が過ぎるわけです。だから、それはちゃんと考えていただかなきゃならないということを言わせていただきます。

 次の質問に移ります。

 現在、全国に二百三の家庭裁判所の支部があり、七十七の家庭裁判所出張所というものがあります。出張所って余り聞いていない、知らないという方も多いとは思うんですけれども、これはやはり裁判所の合理化というか人員削減だと思いますよ、事実上。今まで支部だったものが、その機能を縮小して出張所になっちゃっているわけなんですよ。

 私の住む新潟県では、新潟家庭裁判所に新発田、三条、長岡、高田、佐渡の五支部があり、村上、柏崎、南魚沼、十日町、糸魚川の五つの出張所があります。元からの出張所だったのは十日町だけで、村上、柏崎、南魚沼、糸魚川につきましては、元々は支部だったのが、出張所に格下げと言ったらなんですけれども、ともかく出張所になっちゃった、支部が出張所になっちゃったわけなんです。

 ところで、出張所では、とはいいながら出張調停というものができる。家事調停というのがありまして、基本的には、夫婦関係の調停みたいなことをするわけですよね。これは、やはり裁判官に調停してほしいなという人は多いわけです。もちろん、今どきIT化というのもありますけれども、これは非常に機微に触れる話なので、やはり対面でと思うわけです。規定上はちゃんと出張してくれるというはずなのに、ところが、全然全然出張してくれません。資料五を御覧いただけますと、村上とか柏崎とか六日町とか糸魚川とか、これはちょっと古い資料なんですけれども、家事調停ゼロじゃないかという状態が続いているわけなんです。

 ちょっと新しい統計をお伺いしたいんですけれども、昨年全く出張調停が行われなかった出張所の数をその都道府県と併せて、例えば北海道三、新潟四のようにお示しください。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 全国で七十七庁ございます家庭裁判所出張所のうち、このうち五十七庁につきましては、家事審判及び家事調停などの事件を当該自庁で処理するということになってございます。残り二十庁につきましては、事件の受付に関する事務及び裁判官又は調停委員会の判断により当該出張所に出張して行われる家事審判又は家事調停に関する事件のみを取り扱うということとされているところでございます。

 自庁で事件を処理しております五十七庁につきましては、事件の申立てがあれば、当該庁において調停等が実施されておるものと承知しております。他方、残りの二十庁につきましてでございますが、令和四年に出張調停が行われなかった庁は十庁でございます。その内訳は、長野県一庁、新潟県二庁、富山県一庁、山口県一庁、岡山県一庁、島根県一庁、大分県一庁、熊本県一庁、北海道一庁でございます。

 出張審判又は出張調停を行うか否かというのは、事案の性質と当事者の意向を踏まえて裁判官又は調停委員会が判断するものであり、調停出張等が行われなかった理由につきましては、事務総局としては承知していないところでございます。

米山委員 理由は、最高裁に聞くと、それは事案によるんだと言うと思うんですけれども、しかし、現場の弁護士に言わせると、いや、こっちは希望しているのに、裁判官があれこれ言ってやってくれないと。今ほどの、今ゼロだったところ、私の新潟もありましたし、北海道もありましたし、富山も山口もあったと。やはりそこは、基本的には地方ですよねということなんですよ。

 結局、特に地方において、例えば知っている新潟で話しますと、南魚沼市の人が調停に出席するために長岡まで行くと、片道一時間ほど車でかかります。車に乗れればまだ一時間ですけれども、公共交通機関を使いますと、もう全然不便ですから、多分二時間ぐらいかかっちゃうことは多々あると思うんです。そうすると往復で四時間ですから、一日仕事を休むことになるということですので、やはり出張所の機能不全といいますか、人がいないということは非常に、地域の人にとっては司法サービスを受けられないということになっております。

 これは是非、出張所にきちんと裁判官に来ていただいて、出張調停できるようにお願いしたいと思うんですが、御所見を伺います。

馬渡最高裁判所長官代理者 御指摘のいわゆる出張調停につきましては、事案の性質、当事者の意向等を踏まえて、調停委員会の判断において判断されるべき事項であると考えておりますが、その上で、最高裁事務総局としては、現時点におきまして、基本的には、各事件の調停委員会の判断で、必要な事件において適切にいわゆる出張調停が実施されるものと認識しておりますが、他方で、昨年出張調停が行われなかった庁があることも事実でございます。

 今後も、出張調停の実施状況を踏まえ、各調停委員会が適切に出張調停を実施することができるよう、必要な対応をしてまいりたいと考えております。

米山委員 また話を戻すんですけれども、そうするにはやはり裁判官の数がちゃんと必要なわけですよ。だって、二〇%欠員していたら、それは二〇%分できなくなるでしょう。それはそうです、働き方改革もあるわけですからね。二〇%欠員しているのに、二〇%、いる人の、ほかの人の仕事を増やすわけにはいかないんだったら、結局二〇%サービスが提供できない状況になっているわけなんです。

 ですので、是非ともそれは、特に大臣にもお願いしたいんですけれども、きちんと予算を確保していただいて、さらに、やはり何だかんだ言って特に法務は人ですから、きちんと給与体系も、それは人事院の体系に合わせるのもいいですけれども、この法務業界、だって、法務業界はやはりある種の特殊性はあるわけですよ。というのは、それは裁判官の皆さん、辞めたらとっとと弁護士になれるという、ちゃんと御自分で開業できちゃうというのがあるわけですから、弁護士業界との一定のバランスというのは、それは必要なわけなんです。だって、法曹の資格は共通なんですから。そういう特殊性も考えて、きちんと予算の確保に努めていただければと思います。

 それでは、この質問はここまでにして、次の質問に移らせていただきます。

 さきの国会、六月九日に成立して、令和六年六月十五日までに施行することとなっております改正入国管理法について質問いたします。

 改正入管法第六十一条の二の九第四項の第一号は、既に二度の難民申請をした者に対して、いわゆる送還停止効の例外を定めたものでございますが、この括弧書きの中で、「第六十一条の二第一項又は第二項の申請に際し、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を行うべき相当の理由がある資料を提出した者を除く。」とされております。

 これに対して、私は、四月二十一日のこの委員会の質問で、この判断については、いつまでに誰がどう判断し、どう伝えられるのか全く分かりません、これらの点についてどうされるのか、御所見を伺います、また、それが定まっていないなら法令や規則等で定めるべきじゃありませんかと質問したところ、出入国管理庁の次長が、入管庁本庁とも協議の上、当該事案を担当する地方局全体で判断する、どのように判断するかについて、具体的詳細はこれから詰めていくところ、相当の理由がある資料に該当するか否かについては、提出された資料の内容に、外観上真実らしく、その事実によれば難民等認定をするべき事情が含まれているかどうかを個別に検討した上で判断すると。

 正直、何の基準にもならない。それはそうでしょう。要するに、適切にしますと言っているだけですからね。そうじゃない。こういう点、こういう点、こういう点を考慮しますというのをきちんと示すべきではありませんかというふうにこちらは聞いているわけなので。そこから、もう五か月がたちました。

 十一月八日の法務委員会での日下委員への質疑で、在留特別許可についてガイドラインを詰めているというふうに大臣がお答えになっておりますので、この送還停止効の例外についても、判断のプロセス及び判断基準、判断が本人の分かる言語で本人に告知されるのか、されるならばその方法について、一定程度詰められていると思いますので、その内容をお伺いいたします。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 入管法等改正法においては、退去強制令書の発付後、早期に、当該外国人を直ちに送還することができない原因となっている事情を把握した上で、退去のための計画を定めることとしております。

 この退去のための計画の作成に当たっては、通訳人を介すなどして適切に意思疎通し、当該外国人の意向の聴取等を行うこととしており、また、計画の作成後にも、計画の内容に変更がある場合などには改めて意向の聴取等を行うことも予定しております。

 こうした退去のための計画の作成等に当たっての意向聴取等の過程において、必要に応じ、当該外国人に対し適時に説明を行うことにより、当該外国人は自らが送還され得る立場にあるか否かを適切に認識できるため、御指摘のような告知を行ったり、仕組みを設けることは考えておりません。

 なお、相当の理由がある資料の提出の有無は、三回目以降の難民等認定申請者が退去強制が確定した者である場合において、その送還の可否を検討するに当たり、地方局の送還担当部門と難民等調査部門とが連携しながら、また入管庁本庁とも協議した上で、地方局全体で判断することとしております。

米山委員 いや、それじゃ分からないでしょうと言っているわけですよ。だって、さきの委員会の質疑でも、送還停止効、それは結構大きな効力なわけですよ、それに対する最後の助けみたいなことで、この例外規定が決められているのに、そこに何を、どんなことを言ったら相当の資料になるかは全く分かりませんということをずっと答弁されているので、それはさすがに、ちゃんと一定の基準、大体こういうことを言ってくださいと言うべきだと思いますよ。これからもまた取り上げさせていただきますが、是非きちんとそれは固めてください。言うべきです、幾ら何でも。

 じゃ、その更に前の段階で、さらに、資料のフォーマット、これも分からぬわけです。

 大体、相当の資料と言われると、それは弁護士がきちんとまとめた日本語の資料を想像してしまうんですけれども、難民申請者や補完的保護対象者がこれを作ることは時に困難だと思いますので、また、送還停止効が適用されるかどうかは一刻を争う事態であることも鑑みれば、本人が母国語で作成したものでよくて、かつ、日本語の提出は求められないというふうに考えるべきだと思いますが、これでいいのか。

 また、仮に、訳を求めるということであれば、翻訳を提出するまでは送還停止効の例外規定の判断は猶予されるということでいいのか。

 また、資料の形態として、証拠の部分は音声やビデオ、画像も含まれ得るのか。これは結構現実的な話ですよ。だって、スマホで撮りましたというような画像をそのまま出すということだって大いにあり得るんですけれども、それでいいのか。

 これを確認させていただきます。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点におきまして、相当の理由がある資料につきましては、基本的に母国語で作成したものでよいと考えており、日本語訳の提出までは求めることは想定しておりません。

 相当の理由がある資料につきましては、資料の形態や形式に制限はなく、申請者の陳述や申請書自体もこれに該当し得るものと考えております。

 入管庁としましては、保護すべき者を送還することがないよう、適切な運用に努めてまいりたいと思います。

米山委員 これは結構な御答弁で、ありがとうございます。

 最後の質問ですけれども、参議院では、この送還停止効の例外規定の適用状況について、施行後五年以内の見直しを行うとの附帯決議がなされております。この見直しを行うには、当然考える資料が必要だと思いますので、既に二回難民申請をされて認められなかった人の資料の提出状況やそれに対する入管庁の判断の状況、さらには、実際の送還件数や難民申請の回数別内訳や難民認定件数など、必要な統計が取られて、公開されなきゃならないんですけれども、そういう理解でいいのか、ちゃんと公開してくださるという理解でいいのか、また、そうであるなら、その準備がなされているのか、御所見を伺います。

丸山政府参考人 入管法等改正法では、三回目以降の難民認定申請者などは、難民認定申請中であっても、法的地位の安定を図る必要がないことから、送還停止効の例外としております。

 他方で、法案審議において、送還停止効の例外については、本来保護すべき者まで送還してしまうおそれがあるとの指摘もございました。

 そこで、法施行後、送還停止効の例外規定の適用状況について、必要な見直しを検討するという附帯決議事項が設けられたものと認識しております。

 したがって、まずは、送還停止効の例外規定の適切な運用を図ることが重要であると認識しており、現在、着実に法施行の準備を進めているところです。

 その上で、送還停止効の例外規定を適用して送還を実施した事例が十分に積み重なった後に、その適用状況について必要な見直しを検討し、その結果に基づき、措置が必要か否かを検討することを考えております。

 その上で、送還停止効の例外規定を適用して送還を実施した事例が十分に積み重なった後に、その適用状況について必要な見直しを検討することとしておりますが、その際には、数値的な分析も必要になるものと考えております。

 どのように数値的な分析を行い、お示しするかは今後検討してまいります。

米山委員 これで終わりますが、しっかりと御検討お願いいたします。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 国家公務員の賃上げ、大いに行うべきです。しかし、その対象に岸田総理や小泉大臣も入るのには違和感しかありません。

 内閣委員会で審議されている特別職給与法の改正によって、総理大臣、大臣以下政務三役、その月額、期末手当、こういったものが引き上げられることになります。今回の法案が成立すれば、総理が年間約四十六万円の賃上げ、大臣が約三十二万円の賃上げとなります。また、こういった改正内容が、私たち国会議員の期末手当も自動的に引き上げられることになります。

 松野官房長官は八日午前の記者会見で、賃上げの流れを止めないためにも、民間に準拠した改定を続けていくことが適切と考えると述べ、法案成立に理解を求めました。

 しかし、今、多くの国民の皆様が物価高に対して十分な所得が得られない中、生活に困窮されていらっしゃいます。その責任を負う立場である政治家の所得を引き上げたり、膨張する万博費用の関連経費の増額を許容したりするようなことは、社会の公平感を損なうものだと言わざるを得ません。

 私たち立憲民主党は、人事院勧告を尊重する立場であり、一般職や自衛隊員、検察官や裁判官、審議会委員などの引上げには賛成です。しかし、政務三役及び国会議員、万博政府代表については、国民の理解が得難いと考えます。

 この点について、小泉大臣も約三十二万円の賃上げとなりますが、まず、どのようにお考えでしょうか。

小泉国務大臣 お尋ねは、特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に関する事柄でありまして、所管外であります法務大臣として、お答えすることは差し控えざるを得ないことをまず御理解をいただきたいと思います。

 その上で、あえて申し上げれば、昨日の記者会見において、官房長官が、国会において法案を成立していただいた場合には、政治家である内閣総理大臣、国務大臣、副大臣及び大臣政務官について、今回の給与増額分を全て国庫に返納する旨を申し合わせることにした旨公表されたと承知しております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 今の御説明、国庫に返納するというお話なんですけれども、それはあくまで、今年度に限ってはそうかもしれません。しかし、来年以降も必ずしもそうかということは不透明です。

 私たち立憲民主党は、当面の間、このような政務三役及び国会議員、万博政府代表については、現在と同額、同率とする修正案を内閣委員会に提出します。是非その法案に賛同いただけるよう、心からお願い申し上げます。

 それでは、裁判官の処遇について御質問させていただきます。

 三権分立の観点から、裁判官の報酬決定、これは政治性から排除されなければなりません。

 配付資料一を御覧ください。裁判官に定められている人事評価の規則です。そして、資料二がその報酬になります。

 民間企業であれば、人事評価に基づいて報酬が決められていく、これは当たり前、通常の在り方です。裁判官の報酬はどのように決められていくのでしょうか。お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官の昇給につきましては、任官後、約二十年の間は、同期の裁判官がおおむね同時期に昇給するという運用を行っております。これは、裁判官の職権行使の独立を給与面から担保する必要があること、全国で均質の裁判を実現するため、全国各地の裁判所に異動して職権を行使するという職務の特殊性などを考慮したものでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 今の御説明のとおり、裁判官になっても二十年間は、勤務年数とともに一斉に昇給される制度になっているということです。つまり、裁判官は、現行制度において、人事評価者によって報酬を決められるシステムではなく、一定の独立性が確保されると言えます。事前のレクでもお聞きしました。

 しかし、米山委員も指摘したとおり、驚きました。この資料二、初任給が、この十号の月額三十一万九千八百円に当たる。これは支給額なので、ここからまた社会保険料が引かれるということを考えれば、手取りで三十万を切る。

 これだけ裁判官の重責を担うお仕事でありながら、やはり、このスタートラインの報酬というのが、私も違和感を感じた次第です。十年経過すれば一千万を超えてくるということなんですが、この辺りは検討が必要ではないでしょうか。

 次に、職場環境についてです。

 昨年、立憲民主党の鈴木委員がこの法務委員会で質問をされて、衝撃を受けました。裁判官の執務室、午後五時になると、どんなに暑かろうが、どんなに寒かろうが、エアコンが自動的に止められてしまうと。驚きました。今もそういう環境でお仕事をされているんでしょうか。

染谷最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 エアコンの運転につきましては、裁判所の利用者そして職員の健康確保はもちろんのこと、裁判官その他の職員の執務環境の整備という点でも重要であると認識しているところでありまして、勤務時間内の稼働を前提とした上で、裁判官等の職員から申請があれば運転を延長するなど、各庁の実情に応じて適切に運用されているものと承知をしております。

 例えば、最高裁におきましては、午前八時から午後六時までエアコンの運転を行っており、午後六時以降も、執務の必要がある部署から延長の申請があれば、延長して運転をしております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 つまり、鈴木委員の指摘によって改善されているということが分かりました。しかし、申請しないといまだにエアコンが自動的に切られてしまうという状況のようです。徹底したコスト意識の表れかと思います。こういったエアコンは、あくまで象徴的な一例です。

 資料三を御覧ください。

 最高裁判所は、行政府から独立した組織でありながら、行政府である内閣へ、毎年毎年、概算要求を行う仕組みとなっています。今年度、三千二百九十八億円の要求に対し、三千二百二十二億円の予算となっており、約七十六億円も削られています。

 裁判は、当事者にとってはとても大きな出来事であり、時にその人の人生を変えます。その判断を示す裁判官の職責は、とても重いものだと思います。裁判官がその職責を全うする上で、現状の予算は十分なのでしょうか。最高裁判所、お答えください。

染谷最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、財政法上の規律に基づきまして、毎会計年度、概算要求書を最高裁判所から内閣に送付しているところでございますが、裁判所といたしましては、適正迅速な裁判を実現するための人的、物的体制を確保するのに必要な予算を要求しております。そして、毎会計年度必要な予算額を確保できているものと認識しております。

 今後も、引き続き、適正迅速な裁判の実現のため、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 正直、レクのときから違和感を感じているんですが、皆さん、予算は十分に足りていると、満足しているかのような言いっぷりなんです。そういうことであれば、なかなかこれ以上言いづらいところでもあるんですけれども、司法の独立を考えた場合に、冒頭触れたように、裁判官の人事権や報酬決定権は確かに行政府から切り離されています。一方、その大本である裁判所の予算権は、いまだ行政府に握られている構造であることは明らかです。しかも毎年、これは今年度だけじゃありません、資料に示しているとおり、毎年毎年、必ず要求した予算額より削られているという状況です。

 こういったところで、本当に、三権分立、司法の独立が担保されているのか、この辺りは、引き続き他の先進国の事例なども調査研究していきたいと思っております。

 次に、選挙についてです。

 衆議院総選挙時に国民が最高裁判所の裁判官を審査する、こういった選挙、必ず投票が行われるんですけれども、この趣旨、目的を教えてください。

笠置政府参考人 お答えをいたします。

 最高裁判所裁判官の国民審査、これは憲法の第七十九条に規定をされておりまして、「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。」と規定をされておりますが、この趣旨といたしましては、書かれているのは、審査のための特別な投票を行う機会を別個に設けることを避け、総選挙の機会を利用するといった趣旨であります。

 このことによりまして、国民の皆さんの投票の負担といったものが軽減され、また、投票あるいは開票といったことを総選挙の事務と一緒に行えるということで、事務の効率化、経費の節減といった趣旨があろうかというふうに思っております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 国民が裁判官を審査することは、国民主権の観点から重要な意義を持つことは理解できます。しかし、よく言われるんですけれども、全くその裁判官についての情報が有権者にとって余りにもなさ過ぎる。審査をするための判断基準となるその裁判官の情報が不足していると感じます。

 現在、政府や最高裁判所は、そういった、最高裁判所、国民に審査をしてもらう上で、どのような広報に取り組んでいるのでしょうか。

笠置政府参考人 お答えをいたします。

 国民審査の情報提供というか周知ということでございますが、まず、総務省におきましては、従来より、国民審査の投票方法のほか、その意義、目的等についてホームページなどの広報媒体を活用し、制度の周知啓発に努めております。

 また、最高裁判所におきましても、ホームページには、各裁判官ごとに略歴でありますとか裁判官としての心構えなど、また、最高裁において関与した主要な裁判などの情報が掲載をされておりまして、その判例の内容についても検索することができるようになっていると承知をいたしております。

 また、実際の、総選挙と一緒に行われます審査の際には、審査に付される裁判官の氏名、生年月日、経歴、最高裁において関与した主要な裁判などを掲載をいたしました審査公報、これは裁判官から提出のあった掲載文を原文のまま印刷をしているものでございますが、これを発行するとともに、都道府県の選挙管理委員会のホームページにも掲載をすることといたしております。

 以上でございます。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 私も、実際にそのホームページを見てみました。確かに、最高裁判所の裁判官お一人お一人のプロフィール、これまでの主な裁判、閲覧できるようになっていて、十分な情報が掲載されているというふうに見ました。

 しかし、これはあくまで一覧になっていて、実際に誰がその総選挙時に審査の対象者なのかということが分かりません。せめて総選挙中は、ホームページのトップ画面に固定して、審査対象者を明確に特出ししていくべきではないかと思いますが、御検討いただけないでしょうか。

小野寺最高裁判所長官代理者 お答えいたします。

 国民審査法で求められております審査公報に加えて、最高裁判所としてどのような情報発信ができるかにつきましては、国民審査法の趣旨も踏まえて検討していくべきものというふうに考えております。

 先ほども御指摘いただきましたけれども、裁判所ウェブサイト、様々な情報を載せております。各最高裁判所裁判官の情報についても充実させていこうというふうに思っているところでございます。

 このようなことを踏まえつつ、審査対象の裁判官を含む一般的な情報発信の充実について今後もよく検討してまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 是非、広報体制の強化、よろしくお願い申し上げます。

 次に、今回の法改正で裁判官、検察官の賃上げがなされること、本当に大いに結構なことですし、私も賛成しております。

 しかし一方で、司法修習期間中に給与又は修習給付金を受け取ることができなかった二〇一一年から二〇一六年のいわゆる谷間世代の不平等はいまだに、このように検察官や裁判官の賃上げがなされるこの国会においても、いまだに谷間世代の不平等は放置されたままです。

 資料四を御覧ください。

 国の政策に翻弄され、不利益を被り、給付ではなく借金を背負わされた多くの弁護士が悲痛な声をこのように上げています。年三十万円の返済原資確保のため生活が苦しい、経済的不安が大きいため、結婚や子供を持つことをちゅうちょする。

 そして、この谷間世代による不利益を被ったその対象は、弁護士だけではありません。裁判官や検察官も同じです。今、公務員という立場から、声を上げたくても上げれない方がたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 国民の人権と正義を守るため、最難関とも言われる司法試験に合格し、優秀で志高き日本の若い人たちへ三百万円もの借金を背負わせて、アルバイトもさせずに司法修習に専念させていたこと自体、こんな理不尽をもういつまでも許し続けるわけにはいきません。

 小泉大臣、是非、小泉大臣は現場主義であられて、現場のお一人お一人の声を大切にされる政治家だと信じております。まず、法務大臣として、当然官僚の方々からいろいろな情報を伺うことは大事だと思います。しかし、国民から選ばれた政治家であられる大臣、その大臣がまずこの谷間世代の当事者の方々の声、直接お聞きいただけないでしょうか。

小泉国務大臣 そういう問題が生じ、また、様々な御意見があるということもよく承知をしております。

 具体的なやり方あるいは時期についてはこれから検討しますけれども、そういう機会をつくる努力をしたいと思います。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 今御覧いただいている、この問題に熱心に取り組んでいる弁護士会の皆さん、大変勇気づけられていると思います。本当に感謝申し上げます。是非実現をいただきたいと心から願っております。

 給費制を廃止した後、給付金を復活させたので、いわゆる谷間世代が生じています。つまり、もう答えは出ていて、政府が明らかな政策ミスを行ったから復活させているわけです。

 岸田総理は、所信で、コストカット経済から脱却すると力強く述べられました。この点は、私、強く共感しております。国民の利益のためにも本来とても大切な投資である司法修習生への給付金をコストカットしてしまった。すると、司法試験の出願者が減少してきた。焦った政府は、この傾向に歯止めをかけるために、二〇一七年から給付金を再開させているのです。大臣、大いなるこういった反省、停止期間が誤りだったと私は認めるべきだと思っています。

 そして、もう一つ御指摘させていただきたいのが、私も含めて就職氷河期と呼ばれるロスジェネ世代です。こういった何々世代というのはほかにもあります、谷間世代だけじゃなくて。

 ロスジェネ、就職できなかったり、正社員を希望しても非正規でしか働けなかった人たちが多数存在しているんです。事前の政府のレクでは、当時の経済状況とか財政事情でやむを得なかったという表現がありました。しかし、こういったコストカット経済によって、派遣労働を拡大したり、企業の利益を最大化しようとした誤った経済政策により、多くの犠牲者が現れました。そのことを国は認めて、ロスジェネ世代に対しては様々な支援事業が現在なされています。

 谷間世代も、コストカット経済により当時の若者が犠牲になった。同じだと私は思います。ロスジェネは救済して、谷間は救済しない。私には理解できません。是非、大臣、こういったことも踏まえて救済に当たっていただきたいと思っておりますが、御見解をお願い申し上げます。

小泉国務大臣 いわゆる就職氷河期世代、ロスジェネ世代の方々、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができずに、現在も不本意ながら不安定な仕事に就いている方がいるなどの指摘がございます。

 これへの対応は社会全体で受け止めるべき重要な要素であるというふうに認識しておりますが、これに対して、いわゆる谷間世代の方々でありますが、既に法曹となっている方々であり、その救済のために相当の財政負担を伴う金銭給付等を行うことに国民的理解を得ることは困難であるというふうに認識しております。

 したがって、立法的な措置ということは困難でありますが、法曹としてより活動を広げていただけるように、より収益が上がるような活動をしていただけるような情報収集、調査、環境整備、これはもう全力で取り組みたいと思っております。

山田(勝)委員 今大臣からあった国民的理解を得られないという表現、これは本当に誤りだと思います。むしろ、政府の政策のミスによって谷間世代は生じているわけです。政府が、法務省が、法務大臣が、積極的に国民に理解を求めるべきではないでしょうか。

 裁判所法六十七条により、司法修習生には、法律によって修習義務を負わされているんです。公務員扱いで、兼業が禁止されているんです。つまり、谷間世代に対しては、無給でフルタイムの研修を強制しておきながら、生活費は三百万円の借金を背負わせる。その融資にたくさんの財政出動をしたんだという話なんですが、とてもとても、それで納得できる話ではありません。これは大変な人権問題だと思います。なぜなら、裁判官や弁護士になるために一年間義務づけられた研修で、兼業ができないんですよ。生活費は借金なんですよ。おかしいじゃないですか、どう考えても。こんな理不尽を本当に放置していいんでしょうか。

 お聞きします。改めて確認なんですが、この谷間世代の人たちは、このように無給で兼業が禁止された状態で生活ローンを組まされていたんでしょうか。

小泉国務大臣 裁判所法第六十七条第二項は、司法修習生は、その修習期間中、最高裁判所の定めるところにより、その修習に専念しなければならない旨が定められておりまして、この修習専念義務はいわゆる谷間世代の司法修習生に対しても課され、原則兼業が禁止をされていたわけであります。

 その後、経済的支援としての貸与制が取られ、また、貸与制の導入後、経済的支援を更に拡充するため、最高裁判所において兼業許可を緩和する運用が開始されたわけでございます。

山田(勝)委員 資料五を御覧ください。

 ホームレス、精神障害者、子供に対する援助など、弁護士の皆さんは全国各地で様々な公益的活動をされています。

 その中の一つである難民認定に関する援助、まさに私、さきの国会で、入管法の問題で取り上げました。入管から強制送還を命じられたウガンダ人女性が裁判によって難民認定されたんですが、その裁判を担当した弁護士が、まさにこのボランティア事業、日弁連の特別会費から必要な経費が充てられていた。公的支援は全くなかった。もしこのような日弁連の法律援助事業がなければ、ウガンダ人女性は、恐らく、迫害されるおそれのあった母国へ強制送還されていた可能性が非常に高いと思われます。

 こういった、弁護士が行っている社会貢献活動、様々な困難を抱える方々に対しても司法へのアクセスが保障されている社会、私はとても大切なことだと思います。大臣はいかが考えるでしょうか。このような法曹人材を育てるのは一体誰の役割なんでしょうか。

 先ほど、融資をして、さらに谷間世代は特別にアルバイトを認めたという話ですけれども、フルタイムで研修して、アルバイトは一体何時間させるんですか。相当ブラックな生活を強いているわけじゃないですか。弁護士の皆さんはただ利益目的で弁護士業をやっているわけじゃないんです。こういった、地域の、公共のためにも一生懸命尽くされている、その弁護士の皆さんに対して、谷間世代の救済は法務大臣の責務だと思います。お答えください。

小泉国務大臣 先生おっしゃるように、複雑でまた多様化する現代社会、多くの法曹の方々が、様々な分野で法的ニーズに応えるため、公益的活動を含め多岐にわたる活動をしていただいていることは十分承知しておりますし、また、非常に重要な役割を果たしていただいていると思います。

 その中で、何とかそれを支えたいという気持ちも我々はあります。具体的には、いわゆる谷間世代を含む多くの法曹の方々が、その資質、能力を存分に生かしていただく、その道、活躍の場をつくる。その道を真剣に、我々も努力して、情報を提供し、また、コミュニケーションを取り、必要な環境整備も行っていきたい、そういう気持ちでいることを御理解いただきたいと思います。

山田(勝)委員 お気持ち伝わりました。ありがとうございます。

 資料六を御覧ください。最後の質問になります。

 司法も国会に期待をしています。二〇一九年五月三十日、給費制廃止違憲訴訟において、司法修習生に対する経済的支援の必要性については、決して軽視されてはならない、他の世代の司法修習生に比し、不公平感を抱くのは当然のことであると判決文に明記されています。さらに、事後的に救済することは、立法政策として十分に考慮に値するとも述べられており、立法府、私たち国会への期待が高まっています。

 これを受け、昨年十一月に開催された院内集会では、国会議員が多数参加し、この問題は国の司法に関わる問題、超党派でやっていきましょう、制度変更により谷間世代を生み出してしまったことに対し政治家として責任がある、事後的措置により谷間世代が抱えるひっかかりが取れるよう尽力することをお約束しますなど、大変力強い挨拶が数々なされました。

 そして今現在、こちらにあるんですけれども、三百八十人もの国会議員が弁護士会へこの問題への応援メッセージを寄せています。私も含めてこの法務委員会の委員の皆さん、与野党関係なく多くの皆さんが既に寄せています。そのお一人である武部法務委員長のメッセージを紹介させてもらいます。

 これからの司法を担う谷間世代との院内意見交換の開催に当たり一言激励を申し上げます。皆様の御尽力で修習給付金制度が新設されましたが、制度の谷間で無給で修習を受けられた方々がいらっしゃいます。安定した社会の実現に向けて活躍される、法曹界の中核を成す谷間世代の先生方を応援できるような環境整備に努力してまいります。

 これが立法府の意思だと思います。大臣、いかがでしょうか。

小泉国務大臣 御指摘の判決は、付言として、事後的救済を行うことは、立法政策として十分考慮に値するのではないかと感じられるというふうに述べております。一方で、そのためには、相当の財政的負担が必要となり、これに対する国民的理解も得なければならないと述べているわけでございます。

 いわゆる谷間世代への救済措置は、先ほども申し上げましたように、既に法曹となっている方々に対する相当の財政負担を伴う金銭給付を行うということでございますので、まさに今の経済状況の下で国民的な理解を得ることは困難であるというふうに現状は認識をしているところでございます。

 その上で、環境整備を図る、様々な収益源を見つけていく、法曹ニーズを掘り起こしていく、そういう努力を全面的にやっていきたいと思っているわけでございます。

山田(勝)委員 ありがとうございました。

 引き続き、この問題、全力で取り組んでまいります。

武部委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 今国会では初めての質問をいたします。

 まず、検察官と裁判官の給与の改定ということでございますが、それぞれの改正の意義について質問いたします。お答えください。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 この二法案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、裁判官の報酬及び検察官の俸給を改定するものでございます。

 本年八月七日、人事院は、国会及び内閣に対し、本年四月時点における官民の給与較差に基づく俸給表の水準の引上げを内容とする一般職の職員の給与改定を勧告いたしました。

 本年十月二十日、政府は、一般職の給与につき人事院勧告どおりの改定を行うこと、特別職の職員の給与につき同改定の趣旨に沿って取り扱うことを閣議決定いたしました。

 この二法案は、これらを受けまして、裁判官、検察官の報酬、俸給月額についてもその対応する一般の政府職員の俸給表の改定に準じて引き上げるものでございます。

阿部(弘)委員 最高裁は。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 先ほど法務省からお答えのあったように、最高裁といたしましても、検察官と同様に、一般の公務員の改定に準じて引上げをお願いするものでございます。

阿部(弘)委員 これは大変異なことをおっしゃる。憲法では、裁判官の報酬額は、定期的に、相当な生活を維持するために支給するとある。いつから人事院勧告に従うようになったんですか。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁にもございましたとおり、裁判官、検察官の俸給につきましては、裁判官、検察官も公務員であるということから、全体のバランスの中で、一般の公務員の方々、その俸給に準じて改定させていただくということでやらせていただいているところでございます。

阿部(弘)委員 全く答弁になっていないですよ。

 あなたは山口良忠さんを知っていますか。事前に通告していますよ。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 戦後間もない時期、山口良忠判事という方がいらっしゃって、その方の出来事がいろいろ報道されたということは承知をしております。

阿部(弘)委員 ちょっと聞こえないからはっきり言ってください。事前通告していますよ、最高裁には。

徳岡最高裁判所長官代理者 改めて申し上げます。お答え申し上げます。

 戦後の間もない時期に、山口良忠判事、委員御指摘の方がいらっしゃって、その方の出来事が報道されたということは承知をしております。

阿部(弘)委員 法務大臣、突然ですが、食糧管理法で、闇米を食べない、闇市で買わない、そして、その結果、栄養失調になり、子供たちには配給食糧を差し上げたけれども、本人は栄養失調になり、結核になり、結果的に餓死された。ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズで大きく報道され、マッカーサーが、占領下、検察と裁判官の給与を上げなければいけないと、憲法にも明記される出来事になった事件を御存じですか。

小泉国務大臣 記憶しております。

阿部(弘)委員 最高裁、事前通告しておりますから、しっかりとその事件について語ってください。いたという事実では私は質問しておりません。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、山口良忠判事という方、裁判官、戦後、食糧難の時期に、報道によると、食糧管理法に沿った配給食糧のみを食べ続けて餓死したというような報道がされたということは承知をしております。

阿部(弘)委員 おかしいな、おかしいですよ。当時の記録、本を読むと、その山口判事というのは、経済犯の判事、東京地裁、今で言う東京地裁の判事ですね。七十歳の女性を摘発して、そして、その方を取り調べて、刑に服したときには、お孫さんが二人とも餓死していたと。ですから、社会を非常に震撼、衝撃を与えた事件ですよ。

 それがきっかけで、当時、身分が、社会的な評価が低かった検事や裁判官の給与を上げなければいけないと、ワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズを読んだマッカーサーがそう指令したから、給料は上がって、そして、憲法にもそのように、裁判官の給料は相当な生活を維持するための定期的な支給だと書いてあるじゃないですか。

 その解釈についてお答えください。最高裁ですよ。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、裁判官は、憲法において、「すべて定期に相当額の報酬を受ける。」とされております。一般的には、この相当額というのは、社会通念上、裁判官の職務と責任に相応するものというふうに理解されるものと考えられるところでありますが、法の解釈にわたる事項ですので、具体的にお答えすることは差し控えたいというふうに考えます。

阿部(弘)委員 国会で答えなかったら、どこで答えるんですかね。そのあなたの答弁は、有名な憲法学者が、本の中に、勉強するために本の中で書いている文言じゃないですか。今の解釈を聞いているんですよ。

 だから、昭和二十二年の、生活をするに相当な額を支給するというのは憲法制定時の話。今はどうなんでしょうか。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 裁判官の報酬につきましては、その職務の内容、あと責任に応じまして定められているところでございます。

 他方で、また、国家公務員であるというところから、国家公務員全体とのバランスの中を見ながら、裁判官の報酬は定められているものと理解しております。

阿部(弘)委員 全く答弁はかみ合わないですけれども、その山口良忠さん、本当に、マッカーサー、GHQ統治下でしたので、GHQが食糧統制を維持するということで決めていたものですから、なかなか、司法当局もそれを守らなきゃいけない。でも、そうやって配給物資だけで暮らしてきた検察官や裁判官の多くが飢える寸前だった。

 この山口判事の死をきっかけに、「暮しの手帖」の編集長は、自分の家で産まれた卵五十個を最高裁長官のところにお預けして、裁判官の方々が食べていけるように、そして、全国から寄附が集まったそうなんですよ。だから、それほど国民は司法関係者に非常に信頼を寄せていたということを、今も私もそう思いますよ。

 ですから、いつから裁判官が人事院勧告と。憲法にはこのように書いてありますよ、裁判官の報酬は減額してはならないと。どういうことですか。最高裁、お答えください。

坂本政府参考人 委員御指摘のとおり、裁判官の報酬につきましては、それを減額することは禁止されているところでございます。

 裁判官の報酬に関しましては、憲法七十九条におきまして、「この報酬は、在任中、これを減額することができない。」というふうに定められてございます。その趣旨は、報酬の減額が個々の裁判官又は司法全体に何らかの圧力をかける意図で行われることを防ぎ、司法権の独立を担保することにあるものと承知しております。

阿部(弘)委員 では、お聞きします。

 私も国家公務員を経験しておりますが、人事院勧告がマイナス勧告であったときがあります。そのときも報酬を下げたんですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 人事院勧告により報酬が引き下げられたときは、全体の公務員の俸給が下がるということでありまして、裁判官につきましても同様の取扱いをされたものと承知しております。

阿部(弘)委員 憲法違反やないですか。勉強会のときには、特定の裁判官だけを下げることを禁止した明文だとおっしゃってありますが、裁判官の報酬を下げるなんというのは憲法違反じゃないですか。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど憲法七十九条の趣旨について御説明したところでございますけれども、国家公務員全体の給与の引下げに伴いまして裁判官の報酬月額について引き下げる、こういう場合につきましては、裁判官の権限行使の独立に影響を及ぼすもの又は司法全体に何らかの圧力をかけることを企図したものとは言えないというものでございまして、憲法に違反するものではないと考えてございます。

阿部(弘)委員 三権分立ですからね。何で人事院勧告に従っているんですか、そもそも。いや、いいですよ、同じような答弁をされると思いますから。

 では、次のことをお聞きします。

 裁判官というのは育休を取ってあるんですか。育休取得率をちょっと教えてください。検察官もお願いします。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 男性裁判官の育児休業の取得率でございますけれども、令和三年度は五五・〇%、令和四年度は四一・八%ということになっております。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 検察官の育児休業の取得状況について、過去三年間の検察官の育児休業者数を申し上げれば、令和四年度は六十五人、令和三年度は六十三人、令和二年度は六十八人であったものと承知いたしております。(発言する者あり)

阿部(弘)委員 再度お答えください。

坂本政府参考人 男性の育児休業者の取得率という形で申し上げますと、令和四年度は七〇・八%、令和三年度は六五・一%、令和二年度は六三・二%でございます。

阿部(弘)委員 先ほども定数充足率が二〇%の欠員になっているという話、もちろん、弁護士さんの給料の方が高いというような、以前は高かったというようなうわさも聞きますし、戦後間もない頃は、本当に、食糧統制法もあって、食べていけない検察官、食べていけない裁判官が非常に多かった。それで、みんな弁護士になって、国家の基本を成すこういう検察官や裁判官の数が圧倒的に少なかったために、逆に働き過ぎでまた体を壊す人たちも多かったと聞いております。

 今は、本当に裁判官や検察官がブラックな職場になっているんじゃないですか、その点はいかがですか。法務大臣もおられるから、働き方改革についてはどのようにお考えですか。

小泉国務大臣 国民の司法へのニーズが高まってきております。様々な新しい業務も増えています。しかし、限られた人員でございます。これまでにも無駄があったとすれば、それは直さなければいけないし、なお大きな業務がこれから増えていきますから、なお一層、働き方改革、無駄を省いて、効果を持った結果を出せるように努力をしているところでございます。

阿部(弘)委員 最高裁の皆さんは。お答えください。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判官につきましても、裁判官あるいは裁判官を含めた裁判所職員につきましても、働き方改革を進めることが重要な課題であるというふうに考えております。

 組織全員の力を最大限発揮できるように、長時間労働の是正、あるいは業務の合理化、効率化の推進、あるいは育児休業等の仕事と家庭生活の両立支援制度の利用促進などの取組を通じまして、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいきたいというふうに考えております。

阿部(弘)委員 餓死された判事さんの話ばかりしていますけれども、その方が亡くなる前、京都帝国大学の法学部を出て、判事の任命を受けて、そして様々な経済事犯とか。それで、栄養失調から結核になられて、そして郷里の佐賀に。聞くところによると、八坂神社という神社の宮司さんの長男さんだそうで、私も、小さい頃、そういう方がいらっしゃるという、要するに、法は悪法でも守ってこそ悪いと言えるんだということを倫理学で習いまして、そういうことを貫かれた人かなと思って、そして、七十歳のお年寄りの方が闇市にたまたま通りかかって逮捕されて、帰ってみたらお孫さんが餓死していた、そういう社会があってはいかぬといいながらも、闇米に手を出さなかったから死んでしまったという。

 その方が亡くなって五年後に、最高裁で奥様の絵の個展を開かれたんですよ。個展を開かれて、最高裁の長官の指示でしょう、八点の絵を最高裁がお買い求めになっております。御存じですか。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 恐縮です、私個人は承知しておりませんでした。申し訳ございません。

阿部(弘)委員 今度、私の仲間と一緒にその絵を見に行きたいと思いますので、委員長、是非とも、最高裁に見に行きたいということを委員が言っているということをお伝え願えないでしょうか。見たいと思います。委員長、お取り計らいをお願いします。

武部委員長 これは委員会でということですか。

阿部(弘)委員 いいえ、それじゃ、いいです、いいです。委員会じゃなくてもいいんですけれども、私は見に行きたいと思いますので、是非とも、個人で見たいと思いますので、よろしくお願いします。

 では、次の質問をさせていただきます。

 先ほどから、公務員の給料は人事院勧告に従って上がっていくということでございますが、民間給与以外に、様々な社会保障制度というのがあるわけでございます。

 そうだそうだ、聞いておくのを忘れた、もう一つ、その前に聞くのを忘れていました。法務省と最高裁には労働組合というのはあるんですか。

上原政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員につきましては、国家公務員法第百八条の二に職員団体というのが規定されているところでございますが、法務省職員が加入している職員団体として、全法務省労働組合及び沖縄国家公務員労働組合の二団体がございます。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 裁判所職員臨時措置法により準用する国家公務員法におきまして、職員は、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体である職員団体を結成することができるとされておりまして、現在、裁判所における職員団体として、全司法労働組合がございます。

 全司法労働組合は、裁判所と別個独立の団体であり、その運営や活動は職員団体が独立して行っていることから、その活動内容の詳細をお答えすることはできませんけれども、国家公務員法に定める適法な交渉の申入れが職員団体からあった場合には、当局はその申入れに応ずべき地位に立つとされていますことから、裁判所職員団体との間で交渉を行うという活動をしているところでございます。

阿部(弘)委員 個別の交渉内容には踏み込みませんが、やはり、よりよい職場になるためには、いろいろな、働いていらっしゃる方々、管理職の皆様方が共につくり上げていく姿勢というのが大切じゃないかなと思うわけでございます。

 さて、今般の物価高は、国民全ての皆さんに、ある意味じゃ平等に起きておる現象でございます。例えば、公務員以外で、国民年金を主たる収入源としてある方がいらっしゃるわけですが、国民年金は、この度の二・五%の物価高に従って、増額の仕組みというのはどういうふうになっているんですか。

泉政府参考人 お答えいたします。

 公的年金制度につきましては、毎年度、前年の物価などの変動に応じて年金額を改定しております。

 具体的には、前年の全国消費者物価指数、二年度前から四年度前までの三年度平均の賃金変動率、これを用いまして、将来世代の負担が過重にならないよう、マクロ経済スライドによる調整を行っているところでございます。

 令和五年度の年金額は、法律の規定に基づきまして、六十七歳以下の方は、名目手取り賃金変動率プラス二・八%からマクロ経済スライドによる調整分マイナス〇・六%を差し引き、プラス二・二%の引上げとなり、基礎年金の満額は月額で六万六千二百五十円となったところでございます。また、六十八歳以上の方につきましては、物価変動率プラス二・五%からマクロ経済スライドによる調整分マイナス〇・六%を差し引きまして、プラスの一・九%の引上げとなり、基礎年金の満額は月額六万六千五十円となったところでございます。

阿部(弘)委員 そのほか、障害年金も国民年金に連動していくわけでございますよね。

泉政府参考人 委員御案内のとおりでございまして、障害基礎年金も老齢厚生年金の満額と同額の水準でございます。一級の場合は、更にその一・二五倍という水準になります。

阿部(弘)委員 別建ての心身障害者の共済年金については、また別途質問をいたします。

 では、生活保護の増減の仕組みについてお聞かせ願います。

斎須政府参考人 お答え申し上げます。

 生活保護基準につきましては、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られるよう、五年に一度の頻度で、社会保障審議会生活保護基準部会におきまして、全国家計構造調査等のデータを用いて検証を行っているところでございます。直近におきましては、昨年十二月に基準部会の報告書が取りまとめられました。

 具体的な検証作業といたしましては、まず、検証のモデル世帯としております夫婦子一人世帯におけるこれまでの基準額と消費実態を比較いたしまして、消費実態が二%程度高いということを確認いたしまして、また、基準額が年齢、世帯人員、級地別で異なることから、それぞれの要素につきまして基準額と消費実態の階級間の較差を比較検証して、その乖離状況の確認を行いました。

 その上で、本年十月からの基準額の見直しにおきましては、基準部会の報告書で示された留意点を踏まえまして、検証結果の反映を行うことを基本としながら、我が国の経済が足下におきまして物価上昇等の影響を受けて変動していることから、なかなか見極めが難しいということも勘案して、令和五年度、六年度における臨時特例的な対応を取ることといたしました。

 具体的には、一人当たり月額千円を検証結果に加算する、それから、加算を行ってもなおこれまでの基準額から減額となる世帯については、これまでの基準額を保障するということといたしました。

 したがいまして、今般の改定によって、これまでの基準額との比較においては、引上げか据置きということになりまして、引下げとなる世帯が生じないようにしているところでございます。

阿部(弘)委員 なかなか国民年金や生活保護世帯の方々、物価変動率がプラス二・五%上昇している時代では、所得の実質的な減という姿は本当に厳しい世界だと思っております。

 そうした中、大臣、今度幾らアップされますか、年収で。

小泉国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、現在国会で審議されています特別職の職員の給与に関する法律及び二千二十五年日本国際博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に関する事柄でありまして、所管外であります。

 しかし、あえて申し上げれば、現在提出されている法案がそのまま成立した場合には、国務大臣の俸給月額、期末手当について増額をされます。お尋ねについて、おおむね一年当たりの増額金額を試算いたしますと、三十二万円程度になります。

 その上で、あえて更に申し上げれば、官房長官が昨日の記者会見において、国会において法案を成立いただいた場合には、政治家である内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、大臣政務官について、今回の給与増額分を全て国庫に返納する旨を申し合わせることにした旨公表されたところでございます。

阿部(弘)委員 ちょっと予告にないんですけれども、分かったら教えてください。副大臣も、大体どのくらいの額になりますか。時間かかって結構ですよ。

坂本政府参考人 申し訳ございません。お答えいたします。

 今、所管外であるので、正確な資料を手元に持ち合わせておりませんので、ちょっと、申し訳ございません。

阿部(弘)委員 予告していなかったから答えなくてもよかったんですけれども、要は、ここの法務副大臣もこの前、替わっちゃったんですよ。我々に、委員会にも一回も出席せず。そして、ほかの省庁でも副大臣のスキャンダルが話題になっている。その副大臣の方ももちろん、職責があるから、年収が、大臣までとはいきませんが、事務次官と相当ぐらいの給与アップになるんですねということをお答えいただきたかったけれども、もう時間がなくなりましたので、やめます。

 またよろしくお願いします。ありがとうございました。

武部委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 おとといに引き続きまして、また質問に立たせていただきました。

 県会議員のときに、平成十一年に県会議員になって、当選して以来、やはり役所というのは、市役所でも県庁でも国でも、一つしかないんですね。民間の企業と違いますから。当たり前の話をします。そうすると、競争の原理というのは働かないんです。何か届けを出します、何か許認可申請を出します、市町村でも都道府県でも国でもそうですね。それ以外のところに出すすべがない。今、若干ちょっと、規制緩和の一環で、木造の場合は民間で建築確認を受けるようにはなりました。ただ、ある程度大きなものとか構造が違うものは、今までどおり同じように役所に建築確認を出す。競争の原理が働かないんです。

 だから、民間の企業の場合は、やはり切磋琢磨しながら、相手を見て、この価格なら商売になるかな、もう少し値上げさせてもらおうかな、値引きしようかな、いろいろ日々考えてやるわけです。でも、役所の場合は、何一つ競争しなくてもできちゃう。入札という制度は、業者に競争はさせているけれども、自分たちのことは一切ない。だから内部に競争の原理を入れた方がいいんじゃないかというのが、私は人事評価の一つの目的だと思うんですね。競争しないから。

 株式会社法務省というのがあったら、どっちがサービスがよくて、どっちがスピーディーに仕事をしてくれるか、競争すればいいんじゃないか。だから内部に競争するような、まあ競争すればいいというわけじゃないですけれども、それをどう評価するか。

 それで、最終的な目標は、例えばボーナス、期末・勤勉手当、今回も法律の改正で上程されているんですけれども、期末手当はいいとしても、勤勉手当というのは、何で、どういう意味合いで勤勉というふうにしているのかということです。

 これを、県議会の中で六年かかりました。当時は、課所長以上にA、B、C、D、Eの五段階評価をつけて、ボーナス、勤勉手当の部分ですね、そこを上下させてもらうようにした経緯があります。そのときに、知り合いの職員さんから文句を言われたこともあります、俺のボーナスが減らされたとかですね。でも、それでまた次に、まあ人を評価するというのはなかなか難しいというのは分かるんですけれども、難しいからやらないんじゃなくて、難しいけれどもやっていくということで、最終的には、モチベーション、向上心を高めてもらって、効率のいい行政を進めるとか、コストをなるべくかけないような行政をどうつくり上げていくかというところに私はつながっていくんじゃないかというふうに思うんですけれども、この勤勉という言葉の意味合いを述べていただければと思います。

坂本政府参考人 勤勉手当の勤勉というのがどのような考えなのかということでお答えさせていただきますけれども、検察官の諸手当につきましては、検察官俸給法第一条により、一般の政府職員の例により支給することとされておりまして、勤勉手当につきましても一般の政府職員に準じて支給されております。

 具体的に申し上げますと、一般の政府職員に準じて、基準日以前における直近の人事評価の結果及び基準日以前の六か月以内の期間における勤務の状況に応じて適切に支給されているところでございます。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 勤勉手当につきましては、一般の公務員については勤務成績を活用して支給額を決めるというのが一般だろうと思います。

 裁判官の勤勉手当につきましては、裁判官の職務の独立性に鑑みますと、いわゆる業績評価の結果を反映させることにはなじみにくいというところがありますので、人事評価を直接反映させない形で支給をしております。

鈴木(義)委員 今御答弁いただいたんですけれども、事前のレクのときに検察官調査表というのを頂戴したんです、A3のやつで。ここに能力評価とか幾つか項目があって、検事さんの働き具合を評価して、それについて勤勉手当を上下させているという話なんです。

 裁判所の方は、今の御答弁でいくと、私が入手した資料だからどこまでの信憑性があるか分かりませんけれども、裁判官の人事評価に関する外部情報提供制度というのがあるんだそうですね。人事評価者というのが高裁長官とか地裁所長とか家裁の所長さん、それで、情報提供周知依頼というのを弁護士会に依頼して、そこから、弁護士会員から報告書をもらって、その裁判官の方を評価する。

 こういう制度が今あるのであれば、それに基づいて、やはり検察と同じように多少上下させないと、勤勉手当というのがなじまないと今答弁をもらったんですけれども、そうじゃない、こういう制度があるんだったら、その制度に基づいて適正に評価したら、プラスの人はプラスをしてあげればいいし、もうちょっと頑張ろうという人にはマイナスをするような形でモチベーションを上げていかないと、私はなかなか向上心は上がっていかないんじゃないかと思うんですけれども、その点について、もう一回御答弁いただきたいんですが。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、裁判官の人事評価に関する規則というのがございまして、そこで、評価権者は、多面的かつ多角的な情報の把握に努めなければならず、この場合には、裁判所外部からの情報についても配慮するものとされております。弁護士を含む裁判所外部からの情報につきましては、当該裁判官が所属する裁判所の総務課において受け付けることになっております。

 また、御指摘のとおり、裁判官に関する外部情報の多くは弁護士からの情報でございまして、質の高い的確な情報を広く寄せてもらうため、各弁護士会に対し、このような外部情報収集の仕組みを弁護士に広く周知していただくようお願いをしているところでございます。

 このような寄せられた評価も取り入れて、評価権者は裁判官の能力、資質を評価するということになっておるわけでございますが、勤勉手当の関係で申しますと、先ほど申し上げたとおり、そこのところは、勤勉手当それ自体については人事評価を直接反映させないという形をしておりますけれども、人事評価自体は、人事の基礎になりますので、配置等の関係で利用しているというところでございます。

鈴木(義)委員 国民に与えられている裁判をする権利というのがあるわけですから、弁護士さんだけに評価の、何というんですか、この判事さんがこうだああだと、自分がもし裁判を受ける側にすれば、やはりそれも意見として上げられるような制度が私は必要なんじゃないかと思うんです。

 前任の方が、衆議院の選挙になると、判事さんの優劣を、丸をつけろとかバツをつけろとか、たしかそういう投票の仕方だったんですけれども、そのとき、この人が何をやっていた人なのか全然分からない。だから、制度自体が形骸化しちゃっているんじゃないかということなんですね。

 だから、冒頭申し上げましたように、能力があって一生懸命やってくれている人もいれば、ちょっと頑張らなくちゃいけないよなという人を、どこでそれを気づかせるかという一つの方策が人事評価制度であるだろうし、なおかつ、それが自分の報酬に跳ね返ってくるというのは、民間では当たり前にやっていることを行政がやっていないだけの話だと思うんですね。

 だから、確かに、崇高な理念を持って判事さんになる、検事さんになるというのは承知するんですけれども、でも、同じ人間ですよ。御飯も食べれば酒も飲むし、同じところで生活しているし、同じ空気を吸っているわけですから、職責は違っていたとしても、やはりちょっとやり方を、随分昔とは違う形を取っていかないと、次につながっていくんですけれども、結局、このままのやり方で、例えば人口が八十万ずつ減少しているところに入ってきています。昨年の子供が生まれた出生者数、七十七万人です。この人たちが、あと二十年、二十五年たっていって仕事に就いていったときに法曹を志願してくれるかどうか。五十年、百年先の話じゃないんです。二十年ちょっとのスパンしかない。

 だから、それに見合うような仕事の働き具合、それで、何か資料を出してくれと言って事前にレクをすると、そういうものはありませんと。どれだけのボリュームで、何をやっているのか、では例えば一人当たり年間どのぐらい裁判を受け持っているのか、検察の方でも、事件を担当しているのか。その辺のデータがないと、人員を増やしてくれといっても、ただ数字が出てくるだけで、私たちはそれを、いいか悪いか、最終的には判断しなくちゃいけない。それをずっとこれからも続けていって、本当に国民のための司法行政を継続的にできるかというと、私はちょっとこれからは心もとなくなっていくんじゃないかなと。

 要するに、弁護士で仕事をしていた方が、平均的な給与は検察だとか判事さんよりも高いという現実もあります。いや、そうじゃない、崇高な理念を持って職務に当たっているんだと言われればそうなんですけれども、では、そのときになって、さあどうしましょうと言っても、私は遅いんだと思うんですね。

 だから、そこら辺の考え方を踏まえて、令和三年のときに、この法務委員会でも附帯決議に付されていた、法曹の質の向上という文章が入っています。これに基づいて、令和三年に成立した裁判所職員定員法の一部を改正する法律に附帯決議がついて、その中に、法曹の質。これもなかなか難しいと私は思うんですけれども、法曹の質の検証について法務省がペーパーを出しているんですね。その中に、平成十四年三月十九日に司法制度改革推進計画が閣議決定をされて、法曹養成制度改革がスタートしたという記述なんです。

 そこでは、司法を担う法曹に必要な資質として、豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的な法律知識、柔軟な思考力、説得、交渉の能力などに加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力、職業倫理など、新たな法曹養成制度を整備することといって、もう今から二十年ぐらい前にこれを出してきているんです。

 それで、こういう羅列してある文言を全て、全部できる人って本当にいるのかなと思うんですけれども、約二十年間、スタートしますと言ってから来ている中で、法曹の質が上がったのかどうか、それを先に法務大臣にお尋ねしたいと思います。

小泉国務大臣 まず、法曹に必要な資質でございますけれども、今先生からも経緯を御指摘がありましたけれども、ややダブりますが、平成十三年六月の司法制度改革審議会の意見書におきまして、法曹に必要な資質として、豊かな人間性や幅広い教養等の基本的資質に加え、先端的法分野の知見等が一層求められるとされており、これは、平成十三年の意見書でございますけれども、現在においても大きくは変わらないのだと思います。

 しかし、そもそも論として申し上げれば、多様な法曹の活動内容等がございまして、それによって求められる資質も様々であり、一律にこの基準でと、評価する基準を示すことは難しいだろうという議論が続いています。

 そこで、令和に入りまして、令和四年の三月に公表しました法曹の質に関する検証、ここで踏み込んだのは、法的サービスの利用者等からの評価を中心に調査分析が行われました。そして、法曹の質の検証については、様々な御指摘、御意見がその後もございます、いただいております。法曹の質を検討する上で参考となる視点や調査の方法等について更なる検討を進めているところです。

 どこで検討しているのかといえば、法曹養成制度改革連絡協議会というものを設けまして、法務省、文部科学省が主宰をいたします。最高裁、日本弁護士連合会、法科大学院協会などから参画をしてもらいまして、法曹の質を検討する上で参考となる視点や調査の方法について鋭意検討を進めているところでございます。

鈴木(義)委員 時間が来たので終わりますけれども、二十年も前に、当時、はやった言葉が説明責任と情報公開なんですよね。アカウンタビリティーと、あとはオープンにしろということなんだと思うんですけれども、だから、説明責任ができないと、評価された側もやはり納得感がないんだと思うんですが、是非御努力いただければと思います。

 終わります。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今回の裁判官の報酬と検察官の俸給等の改定については、幹部の方々以外の方々については、物価上昇率に対して極めて不十分だというふうに考えております。また、最高裁長官、最高裁判事、高裁の長官、検事総長、次長検事、検事長などの俸給、報酬に関しましては、政府の特別職に準ずるといいますけれども、私ども日本共産党は、内閣総理大臣あるいは大臣などの特別職の給与の引上げについては反対をしております。もちろん、国会議員の歳費を上げるということにも反対をしております。しかし、幹部の裁判官あるいは検察官は、先ほど来御議論がありましたように、別に考えなければならないということで、この点については反対をいたしません。法案に対する考え方は、そのようなことでございます。

 今日は、国民、住民の皆さんのニーズに応えて公正な裁判をできる、この裁判所の体制についてお伺いをしたいというふうに思います。

 資料の1、今日、大量の資料を出させていただいたんですけれども、資料の一ページ、見ていただきたいというふうに思います。

 日本弁護士連合会の第六十五回人権擁護大会シンポジウム第二分科会の基調報告書の提言の中で、読まさせていただきますけれども、家庭裁判所の人的整備、子供さんや高齢者、障害者の方々、社会的弱者を含む地域の住民が、必要なときにきちんと家庭裁判所を利用できるようにするために、とりわけ裁判官や家庭裁判所の調査官の増員は急務であるというふうに書かれております。

 裁判官、判事、判事補の定員は、現在、判事が二千百五十五人、判事補が八百四十二人となっている。なお、判事、判事補とも相当数の欠員があり、二〇二二年十二月一日現在で、判事は八十九名、判事補は百七十六人の欠員がある、欠員を充員するだけでも相当な人的基盤の改善になる。

 さらに、本基調報告書で述べているように、裁判官非常駐支部四十四か所を解消し、全ての独立簡易裁判所に家庭裁判所出張所を新設し、現在、家庭裁判所出張所が併設されていない該当箇所は百八か所、その他事件数が多い家裁において、民事事件、刑事事件等と家事事件との兼務を解消させ、裁判官の執務体制を充実させる等、裁判官を増員して対応すべき諸施策を行うために、できるだけ速やかに、数百人単位の裁判官、判事、判事補の増員が不可欠であるというふうに書かれております。

 この提言につきまして、法務大臣は、この報告書、分厚い報告書がありますけれども、この報告書と提言についてどう受け止めておられるのか、お示しをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 御指摘の日弁連第六十五回人権擁護大会シンポジウム第二分科会基調報告書の提言の中で、裁判官の増員が不可欠である、数百人単位の裁判官の増員が不可欠であるという提言がなされております。そのことは承知をしております。

 一般論として申し上げれば、司法権を担う裁判所において、事件を適正かつ迅速に処理するため、充実した人的体制が構築されることは重要であると思います。

 ただ、具体的にこれを実現するに当たっては、裁判所の人的な体制整備の在り方について、事件の動向等、裁判所を取り巻く様々な状況等を踏まえ、最高裁判所において必要な検討がされるべきものと考えております。

 法務省としては、裁判所関連の法律を所管する立場から、引き続き、最高裁判所の判断を尊重しつつ、適切に対応していきたいと思います。

本村委員 今申し上げましたように、家庭裁判所の裁判官の数が足りないというのが現実でございます。国民、住民の皆様のニーズ、そして弁護士の皆様のニーズに応えられていないというのが現実です。

 裁判所がお考えになるというふうにおっしゃるんですけれども、法務省の要求に基づいて、最高裁は裁判官を出向させているのではないですか。

小泉国務大臣 いわゆる判検交流の御指摘です。

 裁判官の職にあった者から検察官への任命及び検察官の職にあった者からの裁判官への任命を始めとする法曹間の人材の交流を行っております。

 この交流は、法務省が所掌する司法制度、民事、刑事の基本法令の立案、訟務事件の遂行等の事務において、裁判実務の経験を有する法律専門家である裁判官を任用する必要があることから、その都度、適材者による交流を求めているところでございます。

本村委員 法務省の求めに応じて最高裁が出向させているわけです。

 家裁などは裁判官が足りない状態なのに、法務省が人を取っていく。法務省が独自に人をちゃんと育成をしていくということが必要だというふうに思うんです。

 今、どのくらいの裁判官が中央府省庁に行っているのか。二〇二二年十二月に中央府省庁に出向している判事、判事補、裁判官、何人いるのか、お示しをいただきたいと思います。

徳岡最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。

 令和四年十二月一日時点で行政省庁等に勤務している裁判官は、合計百六十八人でございます。判事九十四人、判事補七十四人でございます。

本村委員 十ページから二十八ページの資料を見ていただきたいんですけれども、直近十年間の裁判官の行政府省庁への出向の人数が、そして部署が書かれております。

 二〇一三年は百四十六人でした、全体で、出向が。しかし、二〇二二年は百六十八人と増えております。十年間で見てみますと、増えております。

 そして、法務省だけを見てみますと、二〇一三年、八十九人。そして、二〇二二年は百人というふうに、これまた増えております、十年間で見ますと。

 さらに、大臣所信の中で、大臣は訟務機能の強化というふうにおっしゃいましたけれども、まさか裁判官を、また出向を増やそうとしているということではないのか。増やすのか減らすのか、この点、お示しをいただきたいと思います。

小泉国務大臣 大臣所信をしたためましたときに、私が、出向者を増やす、減らす、そういう検討をした上で書いた表現ではございません。様々な訴訟ニーズが増えているので、それに対してしっかりと訟務機能を強化して対応していくべきだという趣旨で申し上げたわけでございます。

本村委員 裁判官の出向の求めは、増やすのか、減らすのか、どうしていくおつもりでしょうか。

小泉国務大臣 国を当事者等といたします訴訟、これは増加傾向にあります。これらの訴訟に迅速かつ適正に対応していくために訟務の体制を充実強化していくことは重要なことであると認識しております。

 そのような中にあって、国を当事者等とする訴訟において、法律による行政の原理を確保して、適正な訴訟追行を行う観点からは、訟務部局に裁判官出身者をも人材として配置することも重要な意義を有していると考えております。

 令和五年四月時点で、訟務検事に占める国の指定代理人として活動する裁判官出身者の割合は約三割でございますが、その数や割合を減らせば減らすほどよいとは考えておりません。様々な観点から見たバランスを重視して、適材適所に人材を配置していくことが国民のニーズに応えていくためにも相当であると考えております。

本村委員 行政にとって複雑な案件というのは裁判所にとっても複雑な案件であり、そうした人を取っていくというのはあり得ないというふうに思います。

 また、大臣は、裁判所の独立性の重要性についてどう考えているのか、時の権力から人権を守る上でも、この独立性というものは非常に重要であり、人権を守る上でも、権利と自由を守る上でも、裁判所の独立性というものは物すごく大切な問題です。

 資料の3を見ていただきたいんですけれども、三十二ページになります。

 これは、東京地裁の民事二部裁判長の春名茂裁判官、今の訟務局長ですけれども、昨年二〇二二年九月一日に、間を置かずに、前日まで裁判官をやっていた、その翌日には訟務局長になっているという異例な人事が行われました。

 これに対して、二〇二二年十月三十一日、三百人を超える弁護士、三十五の弁護団、十の弁護士団体などから連名で、裁判の公正、裁判所の独立を害するなどと、最高裁判所、そして法務省に対して抗議の声明が出されております。これをどう大臣は受け止めておられるんでしょうか、反省しているのでしょうか。

小泉国務大臣 お尋ねの申入れ書の送付がありましたことは、承知をしております。

 ただ、個別の人事に関することでございますので、お答えは差し控えたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、法曹は、法という客観的な規律に従って活動するものであり、裁判官、検察官、弁護士のいずれの立場においても、その立場に応じて職責を全うするところに特色があると思います。

 したがって、裁判所において国を当事者等とする訴訟を担当していた裁判官が訟務局長に異動し職務を行うことについて、直ちに職責上問題があるとは考えておりません。

本村委員 資料の三十三ページ、上から四行目の部分から、弁護士の皆さんの御指摘を読まさせていただきます。

 本件人事案件によって、現時点で、係争中の行政事件について裁判官合議体が行ってきた評議の内容を訟務局長が知っているという、異常な事態が生じています、評議内容を口にすることはもちろん、評議内容を踏まえて国側の訴訟活動に関与し得るだけで、裁判所法第七十五条が定める評議の秘密保持との関係で問題があることは明らかだと。

 最後の行ですけれども、私たちは、同行政部で、前裁判長の異動前後に判決を言い渡された事件や、現在同行政部に係属している事件を、原告訴訟代理人として直接担当し、又は行政訴訟、国を相手とする訴訟に関わる弁護団、弁護士団体、弁護士として、本件人事案件が裁判所の独立と裁判の公正に悪影響を及ぼすことを危惧しています、私たちは、本件人事案件に関与した最高裁判所事務総局と法務省に対して抗議し、同行政部で前裁判長が関与した裁判の評議の秘密が害されないことが保障される措置を求めるとともに、裁判所の独立と裁判の公正の確保のため、今後は行政訴訟分野における人事交流についても廃止することを求めますというふうに語られております。

 裁判所の独立性、先ほども申し上げました、人権を守る上でも非常に重要です。国会と行政府と、そして裁判所、三権分立という権力の集中を防ぐ制度に対して、大臣は矜持を持つべきではないですか。

武部委員長 申合せの時刻が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

小泉国務大臣 まず、法曹は、先ほど申し上げましたとおり、立場に応じて職責を全うするものであることから、職責上問題があるとは考えておりません。

 もっとも、国を当事者等とする訴訟の遂行に当たっては、裁判の公正性や職務の中立公正な遂行に疑問が抱かれることのないよう、適切に対応しているところでございます。

 三権分立とは一般に、国家の作用を立法、司法、行政の三権に分けて、各々を担当する機関を相互に分離独立させて相互に牽制させる統治組織の原理をいうものであると承知しております。

 その上で、繰り返しになりますが、法曹は、裁判官、検察官、弁護士、いずれの立場であれ、その立場に応じて職責を全うするものでございます。

 したがって、法曹間の人材交流は、三権分立の意義を損なうものではないと考えております。

本村委員 裁判の公正性が問われております。こうした人事交流はやめるべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

武部委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより両案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 私は、日本維新の会を代表し、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の二案について、反対の立場から討論を行います。

 公務員の処遇の確保は、国民福祉の向上を進める上で重要です。中でも裁判官、検察官の皆さんは、人権と正義を貫く法治国家である我が国にとってかけがえのない人材であり、その職務における日々の奮闘に、この場をおかりして感謝を申し上げます。

 一方、国民の生活は、今、異常とも言える物価の急騰により、厳しい困窮の最中にあります。我が党は、国民負担の軽減のために、緊急経済対策の申入れや国会論戦を通じて、社会保障料の負担軽減を中心とする施策を繰り返し提案してきました。

 また、目下、喫緊の課題として、全国的な賃上げの実現が強く求められているところであり、我が党も、国民、労働者の賃上げの実現に全力を尽くす決意です。こうした賃上げのムーブメントの中で、公務員のベースも民間連動させていこうという発想そのものは一定理解できます。

 しかし、問題なのは、その根拠となっている人事院勧告自体の計算方式です。人事院が調査対象としている民間企業は、事業規模五十人以上という大きな企業だけであり、中小零細企業に雇用されている人や非正規、パート、アルバイト、フリーランスの方々の給与水準は全く考慮されていません。競争力があり、不況の中でも収益を確保できる大きな企業だけを比較対象とした結果、人事院勧告は、多くの国民の生活実態とかけ離れたものになっています。

 賃上げは重要ですが、公務員の給与を上げれば、中小・小規模企業はそれに倣って従業員の給料を引き上げるわけではありません。全ての国民の生活実態の向上が実現したときこそ、公務員給与を引き上げるべきです。

 また、一般の公務員の給与の引上げに連動して総理大臣を始めとした閣僚の給与までもが引き上げられようとしていますが、これも国民を顧みない不当な便乗です。我が党は、総理や閣僚にこうした便乗給与アップできないような法案を策定し、早急に提出する方向で準備を進めているところです。

 裁判官、検察官の報酬、俸給においても、国民の理解の下に公正公平を貫くことが法治国家の本来の在り方であることを申し添えて、私の反対討論といたします。

 ありがとうございました。

武部委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武部委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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