衆議院

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第4号 令和5年11月24日(金曜日)

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令和五年十一月二十四日(金曜日)

    午後一時五分開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 谷川 とむ君 理事 牧原 秀樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 美延 映夫君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    伊藤 忠彦君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      高見 康裕君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    仁木 博文君

      藤原  崇君    三ッ林裕巳君

      宮路 拓馬君    山田 美樹君

      鈴木 庸介君    長妻  昭君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      堀場 幸子君    日下 正喜君

      國重  徹君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    田中  健君

      本村 伸子君

    …………………………………

   議員           小倉 將信君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           山下 貴司君

   議員           長妻  昭君

   議員           西村智奈美君

   議員           山井 和則君

   議員           吉田 統彦君

   議員           阿部  司君

   議員           青柳 仁士君

   議員           大口 善徳君

   議員           日下 正喜君

   議員           西岡 秀子君

   法務大臣         小泉 龍司君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          坂本 三郎君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  中川 正春君     長妻  昭君

  池下  卓君     堀場 幸子君

  中川 宏昌君     國重  徹君

  鈴木 義弘君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  長妻  昭君     中川 正春君

  堀場 幸子君     池下  卓君

  國重  徹君     中川 宏昌君

  田中  健君     鈴木 義弘君

同日

 理事池下卓君同日委員辞任につき、その補欠として美延映夫君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出、衆法第一〇号)

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出、衆法第一一号)

同月十四日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(枝野幸男君紹介)(第一一号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一二号)

 同(小川淳也君紹介)(第二七号)

 同(荒井優君紹介)(第四〇号)

 子供の性虐待・性搾取被害悪化に鑑みG7サミット議長国として子供の尊厳と人権を守る国際連携の強化と国内法規改正に関する請願(大河原まさこ君紹介)(第一三号)

 同(石破茂君紹介)(第四一号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(枝野幸男君紹介)(第一四号)

 同(西村智奈美君紹介)(第一五号)

 同(小川淳也君紹介)(第二八号)

 同(荒井優君紹介)(第四二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出、衆法第一〇号)

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出、衆法第一一号)


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に美延映夫君を指名いたします。

     ――――◇―――――

武部委員長 柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。柴山昌彦君。

    ―――――――――――――

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柴山議員 ただいま議題となりました自由民主党・無所属の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブ提出の特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 今般、宗教法人世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会に対し、政府から、宗教法人法に基づく解散命令の請求がなされましたが、解散命令請求が、著しく公共の利益を害すると明らかに認められる行為をしたことを理由として、所轄庁等の公的機関により行われたものである場合は、その被害者の迅速かつ円滑な救済が図られるようにする必要が特に高いものと考えられます。そこで、こうした被害者について、民事手続全般を通じた救済を後押しすべく、本法律案を提出した次第です。

 以下、本法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、対象宗教法人及び特定不法行為等を定義しております。対象宗教法人とは、著しく公共の利益を害すると明らかに認められる行為をしたことを理由として、所轄庁等の公的機関により解散命令の裁判の手続が開始された宗教法人をいい、また、特定不法行為等とは、解散命令請求等の原因となった不法行為、契約申込み等の取消しの理由となる行為等及びこれらと同種の行為であって、対象宗教法人又はその信者等によるものをいうものとしております。

 第二に、法テラスは、特定被害者法律援助事業として、対象宗教法人の被害者については、資力を問わず、民事事件手続の準備、追行のために必要な費用を立て替えるなどとともに、これらの償還、支払いについて、猶予や必要かつ相当な範囲での免除を行うことができることとしております。

 第三に、対象宗教法人について、被害者が相当多数存在することが見込まれ、財産の処分及び管理の状況を把握する必要があると認められる場合には、これを指定宗教法人として指定できることとし、不動産の処分等に当たり所轄庁への通知を要すること、所轄庁からその処分等を公告することとしております。通知を行わずになされた不動産の処分等は、無効とされます。さらに、指定宗教法人のうち、財産の隠匿等により被害者の権利を害するおそれがあると認められる場合には、特別指定宗教法人に指定できることとし、財産目録等の作成及び所轄庁への提出を四半期ごとに行わせるとともに、被害者がそれを閲覧できることといたしました。なお、これらの指定に際しては、あらかじめ宗教法人審議会の意見を聞くこととしております。

 最後に、本法律案は、法テラスの業務の特例に関係する部分は公布後三月以内、それ以外の部分は公布から十日を経過した日から施行することとし、法律は、施行の日から三年を経過した日に失効することとしております。なお、法律の施行後三年を目途として、この法律の延長を含め検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

武部委員長 次に、西村智奈美君。

    ―――――――――――――

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西村(智)議員 ただいま議題となりました立憲民主党・無所属及び日本維新の会提出の解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一教会の問題については、昨年来、国会においても大きく取り上げられています。国会での審議等を通じ、旧統一教会が行ってきた社会的に許容し難い悪質な行為、とりわけ、悪質な寄附勧誘の被害の深刻さとともに、被害者による個別の民事手続による対応は困難を極めることが浮き彫りとなりました。

 そして、十月十三日に、旧統一教会に対して解散命令請求が行われました。解散命令請求が行われると、宗教法人の財産の隠匿や散逸のおそれがあることから、今後、被害者の救済に万全を期すためには、そのような行為を防止することが何よりも肝腎であると考えます。

 このような状況等を踏まえ、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関し特別の定めをすることにより、当該宗教法人による不当な寄附の勧誘を受けた者等に係る被害の回復に資し、もって消費者の利益の擁護に寄与するため、この法律案を提出した次第です。

 以下、本法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと等を理由として、宗教法人の解散を命ずる裁判の請求等があった場合において、当該宗教法人が、当該宗教法人による不当な寄附の勧誘等によって生じた損害の賠償に係る訴訟、示談の交渉及び国の行政機関等に対する相談に係る状況等に照らし、その行為によって、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれること、当該宗教法人の財産の構成、国内から国外へ向けた多額の送金その他の当該財産の第三者への移転に係る状況その他の事情に照らし、当該財産の隠匿又は散逸のおそれがあることのいずれにも該当すると認める相当な理由があるときは、裁判所は、所轄庁等の請求等により、当該宗教法人の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分その他の必要な保全処分を命ずることができることとしております。

 第二に、前述の宗教法人の財産に関する保全処分について、弁護士法に倣い、会社法の所要の規定を準用することとしております。

 最後に、本法律案による措置は極めて異例かつ特別なものであり、決してこれを前例とするものではないことを付言させていただきます。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願いいたします。

武部委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武部委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長坂本三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 自由民主党の牧原でございます。

 この議員立法二法が今回提出をされておりますが、最大の問題点は、信教の自由、財産権の保障、こうした憲法上の基本的な人権保障、これと被害者救済の必要性とのバランスだと考えます。憲法への理解、これをどう考えるかでまさにこの両案が対立をして、それが反映をされていると私は見ております。

 この憲法のいわゆる人権保障というのは、十一条で、侵すことのできない永久の権利として国民に与えられると、かなり憲法の中でも強い口調でその保障をうたっております。これは、戦前の全体主義の中で多くの人権、特に少数派の人権が抑圧をされていた、これの反省に立ってこの戦後の日本国憲法が制定をされている、こういうことにあります。だからこそ、基本的人権の保障というのは憲法の中核であって、私も、日本の弁護士そしてまたアメリカの弁護士資格を持っておりますけれども、この憲法上の自由と人権を守るということ、そこに人生と命を懸けたい、こういう思いで活動をさせていただいているところでもあります。

 今日、資料をお配りをさせていただきました。一枚目なんですけれども、公益財団法人日本宗教連盟というところがございます。これは仏教、キリスト教等々、ほとんどかなりの宗教の皆様が入っているところでございまして、この法案の審議が始まる前に声明を、十一月二十二日付で出されております。

 ここでは、まさに、被害の方の救済が必要だし、それから、宗教が本来の宗教活動を逸脱してむやみに人々の不安をあおって寄附や献金を募るような行為は厳に慎まれるべきだと考えている、こういうことをうたった上で、この与野党の被害者救済に関する法案に対して言及がなされております。

 一部の法案では会社法の準用が議論されていると聞き及んでいますけれども、そもそも会社法は利害関係人の権利利益の保護に基づいて制定されたものであって、信教の自由という憲法に定められた基本的人権を最大限尊重し、公益法人の一つとして存立している宗教法人とは、その根拠法も含め、全く根幹が違うと言っています。

 その上で、信教の自由を含めた精神的自由は最大限保障される権利であるとされていて、このような精神的自由に何ら配慮することなく、会社法の保全の規定を宗教法人に乱暴に当てはめることはあってはならず、また、利害関係人の解散命令請求を受けた利害関係人による保全申立てを認めることは濫訴による混乱を招きかねないと危惧をしているというふうに言っています。

 最後に、この制度を必要最小限の範囲にとどめ、健全な宗教活動に努めている多くの宗教法人に不要な不安を招かないように御配慮いただきたいと書いています。

 実は、憲法上の人権、いろいろありますけれども、精神に関する、内心の自由に関するもので一番大事なのは、この最後の、まさに不要な不安を招いてはいけないということです。どんなに我々がここで、これは憲法適合的だとか適合的じゃないとか言ったとしても、それを実際に感じる側、つまり基本的人権を保障されている側の人が不安に感じるようなことは、私は、憲法上の基本的人権にもとるのではないか、こういうふうにも考えます。

 こうした一方で、被害者の救済が大切だということはもう言うまでもありません。私も、被害者救済、柴山先生もそうですが、今までなかなか刑訴法上とかで保障されていなかったので、これを拡大するということは一期目のときから取り組んできました。被害者というのは、本当に、刑法上の被害者、交通事故の被害者、そして大規模な詐欺事件の被害者、これまでも様々な被害者の方がいて、それぞれの事件ごとにその犯罪の被害者の方をできるだけ救済したいと思うのは一緒ですし、今回もそう思います。しかし、このバランスというのはやはり考えていかなければいけないというふうに思います。

 与党の法案責任者にお伺いをしますけれども、今回の与党案の作成に対して、この両方のバランス考慮をどのように考えて、今回の立法について、我々は憲法適合的だと考える考えがもしあれば、そのお考えをお伺いしたいと思います。

柴山議員 牧原議員にお答え申し上げます。

 牧原議員が初当選以来、犯罪被害者救済のために多大な尽力をしてこられたことに、まずは敬意を表したいと思います。

 その上で、今の御質問のとおり、信教の自由を始めとする憲法上の人権保障の要請から、宗教法人の財産の管理に対して制約を加えるということは慎重にも慎重を期したものでなければならないというように私どもも考えております。

 宗教法人の財産は、信者の信仰の表現でもある寄附などの結果として形成され、主として宗教的活動のために用いられるものでありまして、この財産の管理を制約することは、取りも直さず、この財産を用いて行う宗教活動に対しても場合によっては幅広い制約が及ぶことともなり得るためであります。

 ここで強調したいのは、財産保全の必要性は私たちも十分理解しているということであります。財産保全の方法は、個別財産に対する保全がありまして、管理人などを置くなどして包括する保全もあります。私ども法案提出者といたしましては、民事保全を含めた民事事件手続による救済への支援を強化することによって、これまで一般的に使われてきた民事手続を十分に機能させることによって、より確実な財産保全を図ることができ、それこそが被害者救済に資するということであります。

 なお、包括保全制度では、これまで前例がなく実効性に疑問があり、先ほど申し上げた憲法上の問題も懸念されることから、今回は採用しなかったところであります。

 この点に関して、先ほど牧原議員の方から御紹介をいただいた、二十二日付で、全宗教法人の約九〇%が加盟、関係をし、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、神社本庁などとも連携して活動している公益財団法人日本宗教連盟が、先ほどのような懸念を示されているところからも明らかかと思います。私どもといたしましては、こうした宗教界の懸念もよく念頭に置く必要があると考えています。

 さらに、本法案では、対象宗教法人の中でも、要件を絞り込んだ上で、現行宗教法人法にもある措置を実効性ある被害者救済のために活用できるような特例を設けております。すなわち、被害者が相当多数存在し、財産の状況を把握する必要があるものについて、指定宗教法人の指定をして、財産処分等の通知、公告の特例を設けております。さらに、被害者の権利を害するおそれがある場合には、特別指定宗教法人の指定をして、財産目録等の作成及び提出の特例を設けるなどしております。

 また、それぞれの指定に当たっては宗教法人審議会への諮問を経ることとなっておりまして、こうした厳格な要件の下で、現行宗教法人法にもある措置の特例を設けることで、本法案の合憲性も担保されている、このように考え、委員御指摘のような、バランスを十分取ったものになっているというふうに自負しております。

 以上です。

牧原委員 自民党の議論の中では、法律資格を持っている弁護士の議員から、この与党案ですら私は憲法違反だと思うという意見が出されたことも私は目の前で見ておりました。やはり、信教の自由、内心の自由に関することというのは、私たち国を預かる者としては、極力抑制的であるべきだというふうに思います。今、憲法適合性であるという議論は聞きましたけれども、そこは私はやはり、とにかく慎重に考えられた結果だと思いますが、なおそうしたことには配慮をしていかなければいけないと思っています。

 この与党案に対して、被害者の救済に足りないという声が出されております。まず、被害者の救済に足りないのは、いわゆる野党の案のように包括的に財産を保全するということがないからだということだと思いますけれども、実際の問題として、この事件が今どのぐらい被害者という方がいて、どういう状況であるということを前提に考慮されたのか、そしてまた、野党案よりも被害者救済にはむしろ資するという主張もあるかと思いますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。

 なお、関連する、法テラスの業務の概要とか、それから法テラスによる民事保全手続に関する援助、それから民事法律扶助業務と特定被害者法律援助事業との比較、こうしたところを添付をさせていただいておりますので、あとは、被害者の司法的救済に関する与党案と野党案の比較という表もこの法案に基づいて作らせていただきましたけれども、幾つかこういう違いもありますので、野党案との違いもちょっと言及しつつ、被害者救済に足りなくないというところについておっしゃっていただきたいと思います。

大口議員 提出者の大口でございます。

 今、牧原議員からお話がございました、与党案について被害者救済がどういう点で実効性があるのか、そして野党案との比較というお話がございました。

 現在、民事保全の申立てや民事訴訟の提起に至る事例が極めて少ない状況が起きております。現在係属中の民事訴訟は数件であり、安倍総理の事件以後、新たに提起された訴訟は把握されている限りは一件、そして、民事保全についても把握されていない、こういう状況でございます。もちろん、弁護団の方々は本当に被害者のために御努力をしていただいてはおりますけれども、現状、こういうことであります。

 その原因は、被害者への法律相談体制が十分でないこと、そして、訴訟や保全を行うための費用を捻出することが困難であることなどと認識をしております。

 そこで、私たちは、牧原委員御指摘の法テラスの業務の拡充によって、まず資力を問わない、資力は収入要件と資産要件がありますが、これは問わない。そして、被害者であればまずは法律相談、これは無料の法律相談というふうに考えています。そして、さらに、訴訟、また、保全というのは、法テラスと金融機関が支払い保証契約を結んで、支払い保証をしていただく。そして、強制執行についても、民事事件手続全般にわたって法テラスの業務の拡充を行う。

 これによって、ちゅうちょなく法律相談や、また民事事件手続全般にわたって法テラスの民事法律扶助を活用して進んでいただける。そういう点で、これによってまた掘り起こしもしっかりしていただくということが大事だ、こういうふうに考えておるところでございます。

 こういう点については、野党案さんの方では今回は提案はされていないわけでございますけれども、与党としては、この部分が極めて大事である、こういうふうに考えておるところでございます。

 そしてまた、宗教法人法の特例を今回設けさせていただきました。指定された宗教法人の財産の透明性を高める、そして、その動向を被害者が随時適切に把握することにする。こういうことによりまして、被害者の司法手続を通じた救済を促進しようと考えているところでございます。

 それこそ、指定宗教法人につきましては、不動産の処分、また担保の提供の少なくとも一か月前に所轄庁に報告、通知をしなきゃいけない。そして、その通知を受けた所轄庁は速やかにその通知に係る要旨を公告する。

 処分する一か月前に所轄庁に通知をして、そして広く公告されることによりまして、また被害者の方々がそういう動きをキャッチをして、そして民事保全等の手続、民事訴訟の手続というものにつながっていくという点で非常に大事なことでございます。

 そして、この通知をせずに不動産の処分、担保の提供をした場合は無効とするということも、実効性を担保するために、しっかり通知をしなければならないということのために、こういう形になっております。

 また、特別指定宗教法人という指定を受けました場合には、これは、現行法の宗教法人法ですと、貸借対照表は作成義務がないものですから、財産目録や収支計算書について、通常、一年ごとに宗教法人が所轄庁に提出することになっておるんですが、特別指定宗教法人と指定された場合には、四半期ごとに計算書類、これは財産目録、収支計算書だけじゃなくて貸借対照表も作成義務がある。これを所轄庁に提出することによって、宗教法人の財産の内容ですとか貸借対照表の資産、負債についても見ることができ、しかも、年に一回であるものを年に四回見ることによって、宗教法人の財産の動きについて把握をして、そして財産の処分等の動きに対してしっかり随時見ていくことができる。これによって対応をしていく。こういうことでございまして、被害者の方は、提出された財産書類の写しを所轄庁は被害者に閲覧させなきゃいけない、こういうふうになっておるところでございます。

 それに対して、野党案につきましては、実例がない会社法の準用をしておるわけですが、会社法における保全、これは包括的な保全でありますが、そういう例がない。そういう点で実効性に疑問があります。また、信教の自由に関する問題も懸念される包括保全よりも、民事保全手続を十分に機能させることによって、より確実な財産保全を図られ、被害者の迅速かつ円滑な救済に資するものと考えておるところでございます。

牧原委員 実務を考えますと、私は、法テラスによる支援というのは非常に重要だというふうに思います。やはり、弁護士にお願いしようと思うときに、弁護士費用が高いんじゃないかとか、あと、弁護士側も、受けてもなかなか払ってもらえないんじゃないかと考えると、そこに壁があるということは実際事実だと思います。

 改めて、法テラスによる支援の特例、これは保全とそれから普通の相談と係っておりますけれども、具体的にどういうことをこの法案で拡充したのか、ここについてもう一回だけ説明をお願いします。

大口議員 説明させていただきます。

 一つは、被害者の資力を問わないでやるということでございます。これは、東日本大震災の特例法もそうでございました。それから、費用の償還そして支払いについて一定期間の猶予ができるということであります。そして、その償還についても、必要かつ相当な範囲で免除できるということでございまして、免除の範囲を拡大する。

 それから、保全手続につきましては、担保を立てなきゃいけない。これは支払い保証という形になりますが、これについてはしっかり御支援をしていく。

 こういう中身になっております。

牧原委員 是非、この法案がもし成立した後は被害者救済が拡大されるということを私としても期待をしつつ、そして、一方で、憲法のことを侵害しなかったというふうにしなければいけないので、その両方のバランスが取れることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 いわゆる旧統一教会問題、金銭的トラブルを抱えながらも心理的なものなど様々な原因から被害救済を求められずにいらっしゃる方が数多くいる、こういった御指摘を重く捉えまして、私ども与党、なかんずくプロジェクトチームは、民事事件手続を通じた権利実現を促進するために必要な法整備、これとともに被害者に寄り添った社会的支援を一層強化していくことで、声を上げられない方々に寄り添い、一人でも多くの被害者の迅速かつ円滑な救済に向けて全力を尽くす覚悟で、この問題の解決に取り組んでまいりました。

 一方で、民事事件手続は当事者間の紛争を司法的に解決する場でありまして、そこには法と証拠のルールがあります。このルールを踏まえない制度や運用は、一方当事者に著しい不利益を与えかねません。制度の要件が不明確なままこれを避けようとしますと、裁判実務は機能不全に陥って、結局のところ、被害者の迅速かつ円滑な救済を実現することはできません。

 また、ルール化するにしても、財産散逸の懸念という立法事実に対して、管理人を置いて包括管理が可能な規制を置くことは、宗教法人に対する過度の干渉を認めかねないことになるのではないかといった懸念、危惧も指摘をされております。

 こういった観点で、立憲、維新案の提出者にお伺いをいたします。

 まず、提出者は、全国弁連の方たちなどから旧統一教会による被害額などについて具体的にヒアリングをされていると思いますが、立憲、維新案が成立すると、旧統一教会問題では現状でどのような財産保全が可能と考えているのか、まずこの点についてお伺いをいたします。

阿部(司)議員 國重委員にお答え申し上げます。

 十月十三日に旧統一教会に対して解散命令請求が行われましたが、この解散命令請求を受けて、財産の散逸や隠匿のおそれがあることから、今後、被害者の救済に万全を期すためには、このような行為を防止することが何よりも肝腎であると考えております。

 本法案は、被害者の救済に万全を期すために、必要な範囲での財産の保全を可能とするため、弁護士法人の例に倣い、必要に応じて会社法を準用しつつ、所轄庁等の請求等の下、極めて厳格な要件を満たした場合に、当該宗教法人の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分、そして、その他の必要な保全処分を命ずることができることといたしております。

國重委員 ちょっと私の質問に答えていないわけですね。現状でどのような財産保全が可能かと聞いています、もう一度。

阿部(司)議員 繰り返し申し上げますけれども、まず、被害者の救済に万全を期すために財産の散逸、隠匿を防がなければならない、そして、本法案では、しっかり弁護士法人の例に倣いつつ、必要に応じて会社法を準用しつつ、所轄庁等の請求の下、極めて厳格な要件を満たした場合に、当宗教法人の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分、そして、その他の必要な保全処分を命ずることができるとしております。

國重委員 私、そのような質問をしていないんですね。今、全国弁連の先生方からいろんな事情を聞いて、それを基に、現状で、立憲、維新案に基づいて現状どのようなことが可能と考えているんですかと聞いたんですが、全く質問と問いがずれていますので、分からないんだったら分からないと答えていただいたら結構なんですけれども、ちょっともう時間の関係で質問の問いの立て方を変えます。

 次、当てはめではなくて規範をお伺いいたします。

 立憲、維新案は、対象宗教法人に対して包括的な財産保全も可能にするものですが、三条の一号、二号の要件を満たすのは前提として、具体的にどのような場合に包括的な財産保全が必要と認められるのかということで、ちょっと問いの立て方を変えて、今、当てはめ、現状どこまでかと言えないのであれば、その包括的な財産保全が具体的にどのような場合であれば必要と認められるのか、この規範について答弁を求めます。

西村(智)議員 お答えいたします。

 本法案第三条では、宗教法人の解散を命ずる裁判の請求があった場合等において、当該宗教法人等による不当な寄附の勧誘等によって生じた損害の賠償に係る訴訟、示談の交渉及び国の行政機関等に対する相談に係る状況等の事情に照らし、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれること、当該宗教法人の財産の構成や当該財産の第三者への移転に係る状況等に照らし、当該財産の隠匿又は散逸のおそれがあることのいずれにも該当すると認める相当な理由があるときは、裁判所は財産の保全処分を命ずることができるとしております。

 すなわち、本法案は、旧統一教会の悪質な行為による被害の深刻さに鑑み、被害者による個別の民事手続による対応がなくても、一定の厳格な要件の下で保全処分を認めるものであります。

 したがって、裁判所が保全処分の判断をする際に、損害賠償請求権の行使が可能であることが明確な被害のみが、多額の損害が生じている事情として考慮されるというわけではありません。

國重委員 今の答弁も、何か次の質問の答えも交えて答弁されたような気がして、ちょっと質問と答弁がずれているような気がします。

 私は、財産保全処分一般ではなくて、その上限、マックスの包括的な財産処分が認められる場合というのはどのような場合ですかというふうに聞いたわけであります。

 現行法でも、民事保全制度はあるんです。でも、それでは足りないということで、包括的な財産保全を可能にする法案を作って、今提出者として答弁に立たれているというふうに理解をしています。

 では、その上限となる包括的な財産保全が認められるのはどのような場合なんですか。条文は分かっているんです、三条一号、二号を満たすことは前提にと先ほど聞きましたので。その当てはめではなくて、規範を聞いている。

 こういった基本的なことを整理せずに、迅速な被害救済のためといって、二年の時限立法を作ったのか。法案の提出者が具体的なことが分からなければ、申立てをする人はどうやって的確、迅速に申立てをするのかということになります。

 では、また次の質問に行きます。

 先ほどお答えになられた部分がこの質問に当たるかもしれませんけれども、立憲、維新案では、保全処分を判断するに当たって、何のアクションも起こしていない、将来、権利行使できるか否か不明のものまで潜在的被害として考慮に入れるべきと考えているのかどうか、これについてお伺いします。先ほどの答弁と少しかぶるかもしれません。

西村(智)議員 潜在的な被害も含まれるのかという御質問だと受け止めております。

 潜在的な被害も考慮対象として含まれ得るということであります。

 どのような被害が含まれることとなるかについては、当該事案の内容に応じて、裁判所が適切に判断することになります。

 以上です。

國重委員 裁判所が適切に判断するということでありました。

 会社法上の解散命令には、その要件のうち、法務大臣の警告を要するものがあったり、申立人に担保を立てることが求められることがあり得る規定がありますが、宗教法人法にはそのような規定はありません。

 この前提で、宗教法人に対して包括的な保全処分を命ずることができる制度を導入することは、三条一号、二号の要件があったとしても、より厳しい制度になるという側面もあることなどから、信教の自由などとの関係で問題、懸念があるとの指摘があります。

 こういった中で、裁判所で合憲性が争われることになれば、迅速な保全処分を命じることができない、かえって保全処分に時間がかかって、導入した制度の目的を達し得ないと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。

西村(智)議員 信教の自由との関係が問題になるとの御指摘は当たらないと考えております。(國重委員「それは今回の質問から飛ばして。今」と呼ぶ)よろしいんですか。

 繰り返しになるかもしれませんけれども、本法案では、御指摘のとおり会社法の規定を準用しておりますが、これは、通常の会社並びの規制を導入しようという趣旨ではございません。

 裁判所による解散命令の制度がある各法人法を一べつしてみますと、例えば、宗教法人と同じく、団体の自主性を尊重すべき要請があろう弁護士法においても、会社法上の裁判所による解散命令の規定に加えて、財産の保全命令に係る規定が準用されております。つまり、本法案は、どの法人にも共通してあってしかるべきと思われる制度を宗教法人にも導入することとしたものでございます。

 その上で、本法案では、御指摘のような担保の求めなどこそないにしても、法律の目的が被害者の救済という世俗的なものであることを明示するとともに、会社法にはない対象法人の限定や財産保全処分の要件の絞り込みを明記し、さらには二年間の時限立法とするなど、信教の自由にも配慮した法制度設計としたことでございます。

 なお、それでも御懸念があるならば、こちらが提出した法案の修正も含め、柔軟に対応したいと考えております。互いに被害の救済に資するためという思いは共通するものと思っております。

長妻議員 今の答弁のとおりなんですけれども、ちょっと補足いたしますと、会社法と今比べていただいているんですね。会社法を準用はしているものの、もちろん、法律の構成は全く違うんですね。

 会社法は、解散命令請求が出て解散命令が出るまでの間、基本的には、裁判所が判断すれば財産保全ができるということになっているんですが、我々、その間に、二つの要件を更にかませているんですね。

 つまり、宗教法人に対して解散命令請求が出たと。出たからすぐに財産保全命令請求を出すということではなくて、その当該の団体において、二つの要件、一つは、その宗教法人等が、不当な寄附の勧誘等によって生じた損害の賠償に係る訴訟、そして示談の交渉及び国の行政機関等に対する相談に係る状況等の事情を吟味するわけですね。吟味するわけです。そして、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれるということを裁判所が判断するということになるわけですね。そしてもう一つは、散逸ですね。当該財産の隠蔽又は散逸のおそれがあると。

 こういうようなことをきちっと判断をして、そして、それでまるっと包括的に財産が押さえられるわけではなくて、よく御存じだと思いますが、まずは地方裁判所に財産保全の申立てをして、その後に、今度は、争いがあれば高裁になって、次は最高裁になるというようなことになって、最高裁が判断するわけですよ、最終的には。

 そして、管理人がその財産の処分を任されるわけですが、管理人の判断で全ての財産を処分するとかそういうことではなくて、裁判所の指導を受けた管理人が適切に処分する、こういうことになっているわけですから。

 何しろ、解散命令請求を受けた宗教法人を対象にして厳格に制限をつけているということを申し上げます。

國重委員 ちょっと、質問に答えていただきたいんです。(発言する者あり)答えていない。

 私は、今聞いたのは、ちゃんと議事録を後で見ていただいたら分かりますけれども、要は、合憲性が争われたらかえって時間がかかるんじゃないですかと聞いているものを、長々と前段のところで話されるわけですよ。

 私は、この二十分という限られた時間だから、構成をして、ここのところを一まとまりにしたわけですよ。それにもかかわらず、前段をだらだらだらだら言われると、時間稼ぎ以外の何物でもないということになりますし。

 今、長妻議員が言われたことを一言だけちょっと申し上げますと、私、憲法論議をここで長々するつもりはなかったわけです、時間の関係で。

 ただ、裁判所が判断するからいいんだ、違憲じゃないんだというのはちょっと違うと思うんです。法令違憲と適用違憲は違います。要は、例えば、一見過度に広範な規制で、これが法令違憲に当たるような場合に、いや、裁判所が合憲限定解釈をするからそれでいいんだというのは、立法府としての責務の放棄だと思います。これは無責任だと思います。

 その上で、ちょっと端的に質問にだけ答えてください。時間がかかるかどうか。

山井議員 合憲性が争われれば速やかに保全処分を命じることができず、結局時間がかかるのではないかということですが、新しい法制度を導入する以上は、与党案も合憲性が争われる可能性が私たちはあると考えております。

 その上で、与党案についてはともかくとして、野党案については、信教の自由にも十分に配慮し、十分に合憲的なものとして制度設計したものであり、合憲性が争点となって機能しないとか、時間がかかるという結果に終わってしまうということは考えておりません。

 私たちは、この一年二か月の間、三十数人、ヒアリングや会議は七十回、延べ百人の被害者の方々、今日も弁護団の方、被害者の方が来られていますが、延べ百人の方々の声を聞きながら、個別の財産保全の裁判はできないという強い、そして切なる思いで財産保全の法整備をしてほしいという声を踏まえて、この法案を作らせていただきました。

國重委員 被害者救済のためにいい法律を作っていこうというのは共通だと思うんです。私も真剣であるから、この限られた時間の中でできるだけ問いに対して真正面から答えていただきたい。しっかりとそこで議論をしていくことが大事だと思っていますので、しっかりと質問内容を聞いていただきたいと思います。

 時間の関係で一問飛ばします。

 立憲、維新案について、財産保全の要件を緩やかに解釈することになりますと、対象宗教法人の宗教活動や、その信者の信仰の自由といった憲法上の権利への過大な制約になり得ます。としますと、立証が難しい場合には、裁判所は保全処分について積極的な判断がしづらいんじゃないかと考えますが、この点、どうでしょうか。

吉田(統)議員 國重委員に端的にお答えするようにいたします。

 前提として、制度そのものの合憲性については、野党案では信教の自由にも十分に配慮し、十分に合憲なものにして制度設計をしております。その合憲性を宗教法人側で争うことがあるとしても、それが保全処分を行うに当たっての大きな争点になるとは考えておりません。

 そもそも、保全処分は、会社法上の規定は旧商法の時代から存在するものであり、適用事例の蓄積は少ないとしても、本邦の法体系の中に全くなかった新規の法制度のものではないということを申し上げた上で、仮に被害の立証ができない場合にも無理に財産保全をしようとするならば、先生御指摘のように憲法上の問題になるおそれもあるのかもしれませんが、実際に保全処分が命じられるか、具体的な保全処分がどのような内容になるかは、個別具体的な事案ごとに、裁判所において、各宗教法人の財産状況等に応じて適宜必要な保全処分がなされるものと想定しているところであり、御心配には及ばないと思います。

 それでもなお先生御懸念があるのであれば、こちらが提出した法案の修正も含め、柔軟に対応したいと考えておりますので、お互いに、先生の思いと一緒だと思いますが、被害の救済に資するためという思いは共通していると思っております。

 以上です。

國重委員 じゃ、済みません、最後の質問をさせていただきます。

 立憲、維新案は、裁判所が必要な財産保全処分の内容を考えて命じることができると定めておりますけれども、どのような場合に、何が必要な財産保全処分として可能なのか、明文上規定されておりません。しかも、被害者救済の迅速性が求められるから二年間の時限立法を作って対応しようとされている割には、その運用に関する提案者の答弁も曖昧に私には聞こえます。

 また、管理命令が命じられた場合の管理人について、管理処分権が専属する規定、調査権限に関する規定がありません。管理人の権限や裁判所の命令に従わずに、対象法人が無断で財産を処分した場合の効力に関する規定もありません。さらに、立憲、維新案が参考にした会社法上の財産保全処分については、実例が一件も今把握されていないわけですね。

 これで包括的な財産保全処分が可能になるから実効的な救済につながる、迅速に保全ができるようになる、そう言われても、何の明文もない、基準もない、実例もない、実務で確立したルーティンもない、こういった中で裁判所や管理人はどう対応したらいいのか判然とせず、判断に困ってしまうことは明らかではないか、裁判所や管理人に何か丸投げのような印象も受けます。

 結局のところ、立憲、維新案は、迅速かつ円滑な被害者救済につながらないようにも思いますけれども、この点はいかがでしょうか。

武部委員長 山井和則君、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

山井議員 お答えいたします。

 会社法上の保全処分のような制度よりも個々の被害者が別々に財産保全のために手続を行うのに委ねる方が適切な被害救済につながるとの認識の下での御質問と受け止めます。

 しかし、繰り返し申し上げますが、被害者の方々は、身ぐるみ剥がれて、家庭も崩壊し、メンタルもぼろぼろ、自殺未遂をされた方もおられます。そういう崩壊状態ですから、そのような方々に、幾ら支援をするといっても、個別に財産保全をしろといっても、これはほぼ不可能なんです。このことは私たちも、一年二か月、先ほども言いましたように、三十数人、約百人の人の声を聞いてまいりました。

 つきましては、会社法上の保全処分についての御指摘の点は、こちらも承知はしております。しかし、提案者としては、現に多くの被害を生んだ宗教法人に対して解散命令請求がなされる場合の財産保全としては、個人による財産保全に委ねるよりも、個人による財産保全は残念ながらほぼ不可能だ、無理だと被害者の方々は声をそろえておっしゃっておられます。

 ですから、個人による財産保全に委ねるよりも公益維持の目的による財産保全の処分という手法の方がより効率的で、結果的に被害者の救済につながると考え、本法案のような提案をしたところであります。

 しかし、私も、申し上げますが……

武部委員長 簡潔にお願いします。

山井議員 これは新法ですから、國重先生の御懸念も、私たちもそれは受け止めております。ついては、実効性が低いから要らないじゃなくて、実効性が向上するように、私たちの立憲案を修正させていただくこともできますから、是非、立憲案を採決で阻止して成立させないとかということはやめていただいて、我が党案も柔軟に修正しますので、我が党案も是非成立をさせていただければと思います。

國重委員 済みません、一言だけ。短く終わります。

 私は、最後に被害者に寄り添うことを、考えていたんですが、ちょっと答弁が、やり取りが非常に長々となりましたので、簡潔に最後に言わせてください。

 被害者それぞれの債権を確定するのは難しいとおっしゃいます。ただ、解散命令が確定した場合、その後の清算手続において個々の被害者が弁済を受けるには、それぞれの請求権の存在及びその額を明らかにする必要があります。だからこそ、我々の案では、これまで使われてきた、実務が確立をしている民事手続を十分に機能させることによって、より確実な財産保全を図り、迅速かつ円滑な被害者救済につなげていこうとしています。

武部委員長 時間が経過しております。

國重委員 このことを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。

 今、るる質問を聞いておりまして、違和感があるんですね。特に自民党の質問者、権利、権利、権利とおっしゃったわけで、私はてっきり旧統一教会の被害者の権利の話だと思ったら、旧統一教会の権利ばっかりおっしゃるじゃないですか。相当、今、私はそういう違和感を受けたわけですね。

 いろいろな懸念があるというふうにおっしゃいましたけれども、我々も、いろいろな懸念を受け止めて、そしてこの二年間の時限立法を作ったわけです。懸念を相当受け止めて、いろいろな知恵を絞って、専門家にも話を聞いてこれを作った。なぜかというと、やはり被害者の方の本当の悲惨な実態をよく把握していただきたいと思うんですね。

 過去、実はオウム真理教で大きな失敗があったわけですよ。教訓があるわけですね。これは弁連が作った資料でございますけれども、オウム真理教は、一九九五年の六月三十日、東京地裁に解散命令請求が出た。請求が出たらば、その夏に、オウム真理教名義の主な不動産十物件などが関連会社、信者名義に移転された、こういうことがあるわけです。その後に、一九九五年の十二月十九日に東京高裁が解散命令決定ということで、その間にこういうことがなされたわけですね。前例があるわけですよ。そして、今の時点でも、多くの被害者へお金が未払いになっている、今も。という弁連の資料があって、これは役所にも確認したらば、役所が持ってきた弁連の資料ということで説明をいただいたわけでございます。

 そういう意味で、与党案にちょっと質問したいんですが、与党案は、不動産については、今までも、一か月前に、不動産を売る場合は、公告といって、その不動産の建物の前に看板を出せばというようなルールはあった、ところが、それじゃ周知できないということで、同じことなんですけれども、一か月前に、不動産を売る場合は、ただ看板を立てるだけではなくて、所轄庁に連絡して、そしたら所轄庁はそれをホームページに載せると。基本的には報告の中身は変わらないわけですよね。

 例えば、そういうことをした後に、というか、そこの中にはどこに売ると書いてあるわけですから、第三者に売却するということの報告を受けた、あるいは信者名義にその不動産を変えますよという報告を受けたら、そのまま指をくわえて見ているだけなんですか。何らかの措置はできるんですか。

山下議員 まず、長妻委員の日頃からの御見識には敬意を表する次第ですが、我々与党が統一教会の権利ばかりを考えているというのは大間違いでありまして、先ほど牧原質問者からもありました、宗教法人の九割が所属あるいは関係する日本宗教法人連盟が憲法上の懸念を言っているわけです。我々からすれば、立民案は、こうした宗教団体、これは憲法上の人権でございます、これに全く寄り添わずに前のめりになっているのではないかと。この間違いを我々は戦前やってしまったわけです。ですから、そうしたことを我々は踏まえてやっているのが一点でございます。

 そして、二点目。財産保全につきまして、これは二通りあります。我が党は、財産保全については、確立した実務があり、そして日常的に使われている民事保全をしっかりと活性化させることによって個々の被害者の権利を充足しようとするものであります。

 そして、その上で、御質問に答えますけれども、公告については、現在の宗教法人法二十三条は、公告の方法については宗教法人の裁量にある程度委ねられております。しかし、それでは、幅広い、全国に広がる被害者に周知が行かない。だからこそ、この解散命令請求の対象となった宗教法人が国に対してしっかりと通知をする。そして、その通知に基づいて、国はしっかりと幅広く全国的に公告をする。こうしたことで被害者が知ることになり、そして、法テラスの業務の拡充によって民事訴訟あるいは民事保全の準備も充実、促進されると思いますから、そうしたことで被害救済ができるだろう、実効性があるだろうと思っているところでございます。

長妻委員 これは、ただ指をくわえて見ているだけじゃないですか。

 だって、報告が来て、この不動産、相当な不動産があると言われていますよね、それを第三者に売りますよというのを、所轄庁に、売りますという報告を一か月前にする。それを見て、それはホームページに載せるとか周知するんでしょう。それで止められないじゃないですか。どうするの、それ。止めないで、逆に、アリバイというか、報告したから売ります、報告どおり売りますと。止められないわけですよね。

山下議員 現行法上、民事保全で確実に保全ができる、そうしたことができる。我々はその方法を取っているわけです。

 長妻委員は提案者でもありますから、あえて聞きたいんですが、裁判所が必要な措置を取るということが……(発言する者あり)では、ちょっと答弁を変えますが、実は、この立民案では、具体的にどのような保全の措置を取るかが全く規定されていないんです。そして、準用した会社法においては、どういう保全措置を取るか、あるいはその保全に反した場合の効果、全く記載されていないんです。ですから、その意味では、より確実な民事保全、これを取るべきだと私は考えております。(発言する者あり)

武部委員長 質問に答えてください。

長妻委員 苦しいですね。いや、だから、これは皆さん、自民党の皆さんも分かると思うんですよ。一か月前に、不動産を売る前に報告しなきゃいけない。じゃ、この不動産を第三者に売りますよ、こういう報告があった。何にもできないじゃないですか。

 かつ、もう一つ。財産目録というのを報告する、これは預金も含めて、これが今まで一年に一回だったんですよ。それを三か月に一回にする、頻度を高くして、閲覧も所轄庁などでできるように、閲覧が容易にできるようにすると。これも少しよく、何度も提出するということなんですが、これにしても、じゃ、その預金が、三か月ごとに報告したときに減っていた、激減していた。これは止められないわけですよ。つまり、アリバイになっちゃうんですよ。不動産を第三者に一か月後に売りますよ、ああ、そうですかと。

 民事保全というのは、個別の債権債務が確定して、それでこの不動産とか押さえられないですよ。全体の、まるっとした統一教会の資産の中から例えば一億円なり、一億円を押さえるわけですから、この不動産を押さえてください、こういうことは、民事保全、弁護士だからよく分かっておられる、できないわけです。

 それで、さっきいろいろ、信教の自由を侵しているみたいなことをおっしゃいましたけれども、これは相当我々、衆議院法制局も予算委員会で答弁しました。そういうことはないという答弁がありました。詳細には議事録を見ていただければと思うんですが。そして、宗教法人全体を弾圧する戦前みたいな話、極端ですね。これは、解散命令請求が出ている宗教法人なんですよ。そこで、かつ、二つの厳重な要件をかませているわけですよ、会社法とは違って。

 これは、皆さん、真面目にやっている宗教法人は全く対象じゃないですよ。解散命令請求が出た宗教法人。それなのに何でそんな極端な物言いをするんですか、戦前に戻るみたいな。おかしな話だと思います。

 そして、次の質問に行きますけれども、これは私はちょっと疑うんですね。いい議論ができて、いい法案が作れればいいと思うんですが、自民党の三人の法案提出者にお伺いしますが、三点、端的にお答えください。

 これは私はびっくりしたんですが、旧統一教会から自民党の方々にファクスが来ているようなんですね。ここにはこういうことが書いてあるんです。財産の保全に関する特別措置法等の立法措置が取り上げられていますが、立法措置等がなされないようお願い申し上げますと。これはうちの法案の名前ですよ。そして、違憲、違法な立法措置がなされないようお願いしますと。そして、本件法案は違憲であり、同法案を国会に提出することは厳に控えていただきますようと。

 こういうようなことが来ているので、三点お伺いします。まず、このファクスが三人の皆さんのところに来ているのか来ていないのか、それでどういう対応をしたのか。二番目は、旧統一教会と接点が、関係団体でもいいんですが、あったかなかったか。三番目は、それをもって旧統一教会の影響を今受けているか受けていないか。その三点だけ端的にお答えください。

柴山議員 お答えの前に、ちょっと誤解があると思うんですけれども、長妻委員が先ほど、要は、公告をし、不動産の取引が通知がなされたからといって、それは止められないじゃないかという御指摘があったんですが、まさしく、当該対象となる不動産が当該宗教法人の所有から脱する危険があるということが明らかになった時点で、その不動産に対して民事保全とか差押えができるようになりますから、そのためのきちんとした通知を出そうということを我々は言っているわけでして、そこで、つまり、公告することそのものが最終目標になるというわけではないということは是非明確にさせていただきたいと思います。

 その上で、今の御質問ですけれども、統一教会から一連の御紹介のようなファクスが全衆議院議員宛てに送られてきたということは、一か月ほど前に私の事務所にも送られてきたということを秘書から聞いております。ただし、これは、提出者を対象にしたものというよりは、衆議院議員宛てにファクスが来たということを秘書から聞いておりますけれども、それについて、何か大量のファクスが来たけれども中身がどんなものかは分かりませんということで、私も全くその内容については吟味もしておりませんし、ましてや、それが今回の私どもの作業の参考になったという事実は一切ございません。

 旧統一教会との関係につきましては、これは、私もマスコミあるいは党の調査でも答弁をさせていただいておりますけれども、私が地元の旧統一教会との関係団体の集会に十分精査をすることなく出席をしたことは過去に二回ほどありました。ただ、これについては真摯に反省をし、今後そのような関わりを持たないということは、党に対しても、またメディアの取材に対してもお答えをしております。

 以上です。(長妻委員「三番目は。影響」と呼ぶ)

 影響は一切受けておりません。

山下議員 私、今朝確認しましたけれども、私の事務所で、そういうファクスが来たということは確認されておりません。

 接点については、これは真摯に党に報告しているところでありますが、例えば、西日本豪雨災害の被災者が多く集まるので来てほしいと言われて行って、それで挨拶もせずに紹介だけされて帰ったこと、あるいは、ピースロード、これはたしか毎日新聞も取り上げておられたと思うんですけれども、自転車でいろいろやるという会に行ったということは、これは後で分かったんですが、あると思います。

 私も、これに対して何らかの状況を与えたことがあるとすれば、大変じくじたる思いでございます。そのじくじたる思いは、旧民主党の皆様もお持ちだと思っていて、民主党政権当時、私は法務省におりましたが、その当時、世界日報に、民主党の幹部の方が多くインタビューに応じておられました。加えて、解散命令あるいは調査申立ての最大のチャンスであった刑事事件、新世事件は二〇〇九年十一月でございます。そのときは長妻先生は大臣でおられたと思いますが、そのときに解散命令請求もせず、調査もせず、そうしたことをしていた。

 しかし、今我々が考えなければならないのは……

武部委員長 答弁は簡潔にお願いします。

山下議員 過去をあげつらうのではなくて、長妻先生と同じように、どうやれば実効的な救済ができるのかということでございます。そうしたことをしっかりと与野党を通じてやるべきだということが私の考えでございます。(長妻委員「三番目は。影響は」と呼ぶ)

 全くございません。

武部委員長 小倉將信君、答弁は簡潔にお願いします。

小倉議員 まず一点目でございますけれども、いろいろな方から大量に来るファクスの中で一つあったということでありますけれども、私は中身を読んでおりませんので、三点目の質問につながりますけれども、私も全く影響を受けておりません。

 接点でございますが、昨年の大臣就任記者会見のときにも申し上げたとおりでありますけれども、私に関して申し上げれば、知り得る限り、当該団体との関係はないということを明確に申し上げております。

 以上です。

長妻委員 もうこれで質問は終わりますけれども、小倉さんは、これは全くないですか、接点。報道等でもないんですかね。もう一回、ちょっとお答えください。

小倉議員 報道を全て確認したわけではないので、私がどのように報じられているかというのはつまびらかにこの場では申し上げられませんけれども、知り得る限り、当該団体との接点はないということは明確に申し上げております。

長妻委員 これで終わりますけれども、さっき柴山さんからお話があった、民事保全で、売ろうとしている不動産は止められるという話なんですが、例えば百億の旧統一教会の資産があった、五億円不動産だ、百五億を民事保全で押さえようとしていたときに、その五億円の不動産がなくなると押さえられないから、それは止められますよ。ただ、多くの資産があって、一億円を民事保全で止めたときに、その不動産が多くの資産がある中の一部で、別に不動産を止めるということはできないわけです、どの金で払ってもいいわけですから。

 ですから、誤解を与えるような答弁は控えていただきたいということで、終わります。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、吉田はるみ君。

吉田(は)委員 衆議院議員の吉田はるみです。

 ちょっと、今までのやり取りを聞いていて、長妻議員じゃないですけれども、違和感を感じます。

 というのは、与党案を審議されているときに、民事訴訟の話ばかりで、結局、被害者は、訴訟にならないと被害者と思っていらっしゃらないんでしょうか。これはおかしいですよ。解散命令請求が出ている宗教法人に対する法案を審議しているところです。文化庁がその宗教法人を認定し、その文化庁が解散命令請求を出している、大変重大な局面にあることに際しての法案だと私は思いますので、その点、冒頭、申し上げておきたいと思います。

 では、早速ですが、立憲民主党そして維新案に対してお伺いいたします。

 再三、信教の自由、これは憲法二十条、ここに配慮した形で当然ながら立法していなければいけないわけですが、憲法上どのように留意して立法されましたでしょうか。

西村(智)議員 吉田委員にお答えいたします。

 憲法の保障する信教の自由については最大限尊重すべきであるということは、当然承知いたしております。他方で、旧統一教会のように、公益侵害その他著しく問題があり解散命令請求を受けた宗教法人については、相当多数の被害者がおり、被害に遭われた方々が損害賠償を請求したときに、その賠償資金が既になくなっているという事態は防がなければなりません。

 本法案では、このような目的のために必要な極めて限定された場面だけに適用されるよう要件を絞り込んでおります。具体的には、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、かつ、専ら世俗的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的、宗教的側面に関わる意図によるものではないこと、対象法人の限定や財産保全処分の要件の絞り込みなどがなされていること、包括的財産保全の必要性とその範囲、すなわち、広く包括的に保全するのか、特定の財産に限るのかといった、法令の適用の場面における合憲性を担保するため、裁判所自身が法と証拠に基づいて判断することとしていること、近年の宗教法人をめぐる社会状況に鑑みた措置として二年間の時限立法としていること等としているところでありまして、信教の自由に抵触するものではないと考えています。

吉田(は)委員 ありがとうございます。

 予算委員会の中でも法制局長が明確に答弁されていらっしゃったと思うんですけれども、精神的なところは一切侵さないというところ、大変重要だと思います。信教の自由はしっかり守った形での立法という形で理解させていただきました。ありがとうございます。

 続いてお伺いします。財産保全の必要性に関してです。

 今ありましたように、与党案だと、民事訴訟にならないと被害者と認定していない。これでは、今まで本当にいろいろな方が声を上げてきている中、救われないと思うんですけれども、財産保全の必要性、もう少し詳しく教えてください。

山井議員 旧統一教会に限らず、宗教法人法に基づく解散命令の請求等がされた宗教法人は、類型的に、解散命令が出るまでの間に財産が隠匿され、また散逸するおそれがあります。

 旧統一教会は、数百億円にも及ぶ海外への送金を毎年のように行ってきたという報道もあるところであり、また、関係弁護士団体によりますと、これまで数十年にわたり、約千五百五十人の被害者と約二百四億円もの賠償金、解決金が生じたとされております。また、最近では、教団本部がある韓国へ信者が現金を持参しているという報道も見受けられます。

 このような状況等を踏まえ、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関し特別の定めをすることにより、当該宗教法人による不当な寄附の勧誘を受けた者に係る被害の回復に資するよう、公益維持の目的の観点から、財産の保全の処分の規定を整備することとしたものであります。

 先ほど長妻委員からも違和感があると言いましたが、私もちょっと、与党の話を聞いていて、結論からすると、私たちは、先ほども言いましたように、三十数人の被害者から一年二か月にわたって話を聞いてこの法案を立ち上げましたけれども、与党案というのは、何回ぐらい、何人の被害者の方々に話を聞いてこれを作られたのか。

 もっと言えば、この内容を見せて、野党案より与党案の方が被害者は救済されるということを被害者の方々、主人公は被害者の方々ですからね、確認をされて出されているのか、そこがちょっと弱いような気がするので、与党案もいい面は私はあると思いますので、是非、野党案も、これは被害者の願いでありますから、通していただきたいというふうに感じております。

武部委員長 吉田はるみ君、申合せの時間が来ておりますので、御協力をお願いします。

吉田(は)委員 じゃ、一言。やはりこの法案、与野党を超えて議論をし、今、立憲民主党案、是非、与党の方々も協力いただきながら、いい法案を作っていただきたいということを申し上げたいと思います。

 もう時間が来て、もう駄目ですか。

武部委員長 質問を終了してください。

吉田(は)委員 申し訳ございません。

 どうもありがとうございました。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 統一協会による被害に遭った方々を救済するための財産保全に関わる法律案について質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、国民民主党の提案者である西岡提案者がほかの委員会での御質問があるそうですので、最初に伺いたいと思います。

 この被害者救済のための法案、二法案出ておりますけれども、やはり真摯に与野党修正協議を行うべきだというふうに考えますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。まず西岡さんからお願いしたいと思います。

西岡議員 本村委員の質問にお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、被害者の救済という目的は与野党問わず共有されているものと認識をいたしております。

 その上で、提案者といたしましては、立憲、維新案には合憲性や実効性の観点から懸念があると認識をしておりまして、実効性のある三党共同提出の本案につきましても真摯に是非御検討いただきたいと考えております。

 本日審議入りしたところでございますけれども、委員会での議論を通じて理解を深め、被害者の皆様の確実な救済を図っていきたいというふうに考えております。

本村委員 それは、修正協議に応じないということなんですか、西岡さん。

西岡議員 今御答弁させていただいたとおり、本日審議入りをいたしましたので、この委員会を通じて真摯な議論をしながら、被害者の救済につながる、このことにしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

本村委員 御退席いただいて構いませんので。

 自民党、公明党、国民民主党の法案について、統一協会の被害者救済のための財産保全が入っていない。全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆様方からも、被害の実態や救済の困難さを十分理解していないという指摘がございます。

 改めて、法案について被害当事者の方々やあるいは全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆様から意見を聞き取る必要があるのではないかというふうに思いますけれども、自民党の提案者、お願いしたいと思います。

山下議員 本村委員にお答えいたします。

 与党のPTのヒアリング過程で、被害当事者から、また全国統一教会被害対策弁護団から、それぞれ二時間以上にわたり聴取させていただいたところ、被害者がワンストップ型で相談できる体制が十分でない、あるいは民事訴訟、保全における費用負担が被害者にとって大きい、そして権利を疎明、証明するための証拠が乏しい、あるいは時効又は除斥期間が成立していることもあることなどが確認できました。

 こうしたヒアリングの結果に応え、司法的救済と、それと、司法的救済によっても救えない方々がおられるということが明らかになりました。

 そして、司法的救済においては、牧原秀樹委員がお配りになった与党案と野党案の比較のように、与党案では、先ほど民事訴訟にならないと駄目なんじゃないかと吉田委員からの誤解がありましたけれども、違います。与党案では、法律相談の場面からしっかりとサポートする、そうして被害の掘り起こしをさせていただきたいということでございます。そしてまた、全般にわたってやる。この手続が実は野党案にはない。

 そして、被害者の声をしっかり聞くということにおいては……(本村委員「委員長、整理してください」と呼ぶ)

武部委員長 答弁は簡潔にお願いします。

山下議員 PTで聞かせていただきましたし、また、今後、我々の提言の中で、司令塔機能を持つ内閣官房に被害者対策関係連絡協議会をつくるということで、しっかりと聞いていただくということで、両輪でしっかりと被害対策をしていきたいというふうに考えております。

本村委員 被害当事者の方々や全国霊感商法対策弁護士連絡会の皆さんは、長年、この問題で苦しみ続けているわけです。その声をこの立法に反映させるために、声を聞くべきじゃないですかということを申し上げているんです。

小倉議員 私ども、先ほど申し上げたように、被害対策弁護団、そして被害者などからも、それぞれ二時間以上にわたりましてヒアリングを行いました。

 被害者弁護団からも、立担保手続が非常に困難である、こういう声をいただきましたので、まさに、担保に関する援助も含めた特例措置を今回議員立法に盛り込んだわけでございますし、先ほど山下提案者からもありましたように、司法的な救済だけでは解決できない問題も被害者からはたくさんお聞きをいたしました。したがいまして、私どものPTにおきましては、社会的、福祉的、精神的な支援を拡充をする、こういったことも併せて政府に対して求めているわけでございます。

 したがいまして、まずは、この議員立法に関しまして、ここで御審議をいただいて、そしてしっかり各党に御理解をいただくよう努力することがまずは先決なのではないかというふうに考えております。

本村委員 まず、被害当事者の方々や、被害者の方々を支援をしてきた弁護士の方から御意見を聞くのが先決だと思いますけれども、自民党の皆さん。

山下議員 被害者の皆様に関しましては、例えば、去年の悪質、不当寄附の場面でもいろいろ被害者から承ってまいりました。そして、今回も改めて、例えば、来れないという方に対してはオンラインでもお話を伺って、様々伺った。そして、被害弁護団は二時間と申し上げましたけれども、実は非公式に、私も弁護士でありますから、様々な形で聞いているということがございます。非公式ですからカウントしませんでしたけれども、実態は、そうした弁護団のことを聞いている。その上で、やはり、民事訴訟の、あるいは民事の相談すらできない、こうした方々を助けるべきではないか。それを全く担保しない野党案にはなかなか賛成できない部分があります。

 野党案は、包括保全のみ見て、その民事的な手続、相談についての救済については全く法律上考えておられない、この点は非常に残念だと思いますので、今後、どのように救済されるのかということも併せて検討してみたいと思います。

本村委員 今日は、資料の方に、弁護士連絡会の皆さんの「与党PTによる提言及び法案概要について」という声明を出させていただいております。その三ページ目を御覧いただきたいんですけれども、法テラスによる民事法律扶助業務、そして民事保全手続のことが書かれております。

 そこには、統一協会を相手とする民事訴訟は、過去の例を見ても最低五年はかかり、数千ページから時には数万ページに及ぶような膨大な量の書面、証拠提出が必要になり、被害者の負担は極めて大きい、被害者に早期に民事訴訟又は民事保全手続を講じることを求めることは余りに酷であり、極めて困難と書かれています。また、民事保全手続の限界というところには、被害者に過大な負担を強いるものであって妥当ではないと書かれています。継続的、組織的不法行為によって多数の被害者が発生している以上、個別の民事保全手続ではなく、包括的な財産保全ができる制度が必要不可欠であるというふうに書かれております。

 長年被害者救済のために取り組んできた弁護士の皆さんのこういう声を真摯に受け止めるべきじゃないですか、自民党の方。

山下議員 私も弁護士でありますので、お答え申し上げます。

 確かに、民事訴訟一般で訴訟が非常にかかるということでありますが、だからこそ、法テラスによって、相談段階、そして訴訟、あるいは保全、執行まで包括的に御支援申し上げよう、これをしっかり強化すべきだということであります。

 数千ページから時に数万ページに及ぶというところでございますが、これが一般的なものではなくて、例えば、民事保全は疎明で足りるわけですから、その疎明のために、個々の被害者が、自らの権利の疎明、そして保全の必要性の疎明をすればいいわけですから、この数万ページに及ぶという部分についてはいかがなのかという部分がございます。いずれにせよ、法テラスによる支援をさせていただく。

 そして、数年から数十年かかることさえあるということですが、実は、この野党の包括保全をやった後、仮に、私は、この保全はなかなか裁判実務上難しいと考えています、私も実務家ですから。ただ、万一この包括保全ができたとして、個々の被害者にどのように被害額が渡されるのかということを考えた場合に、個々の被害者の被害額と、それと権利が確定されていなければ駄目なわけです。だからこそ、我々は、その権利の確定を早期にやらなければならない。時効や除斥期間もございます。だからこそ、我々は法テラスの支援を法律相談の段階からしっかりやるということを言っているわけでございます。それが野党案にないのは大変残念でございます。

本村委員 それが被害者に過大な負担を強いるものなんだ、酷過ぎるんだというふうに書かれているわけです。

 私も、いま一度確認をさせていただきたいんですけれども、自民党の提案者の方。

 今日は、本当は法務大臣政務官も答弁をしていただきたかったんですけれども、理事会でお認めいただけませんでした。今日ここに出席しているのに答弁していただけないというのは抗議をしたいというふうに思います。

 統一協会や統一協会関係団体とはいつからどのような関係を持ってきたのかということを伺いたいというふうに思います。そして、統一協会や統一協会団体の行事に参加、挨拶、電報などをしたかどうか、代理出席させたかどうか、写真の掲示などを認めたかどうか、このことを述べていただきたいと思います。そして、統一協会や統一協会関係の信者などから選挙の応援を受けたことがあれば、全て述べていただきたいと思います。

 自民党の提案者の柴山議員、そして山下議員、小倉議員、お願いしたいと思います。

柴山議員 先ほど長妻議員にも答弁をさせていただいたとおり、私に関して言えば、過去二回ほど、地元集会での、地元の関係団体からの挨拶依頼があったものですから、旧統一教会との関係の検証を十分行わないまま出席をした事実はございます。

 しかし、そのほかの、祝電とかメッセージとか講演とか会費等の支出ですとか、寄附やパーティー券の購入を依頼したりとか選挙で応援依頼したりとか、その他の関係は一切ありませんですし、この問題が報じられて以降は、党の方針に従って関係は持っておらず、今後についてもその決意は変わることはありません。

 チェック体制が不十分であったことも含めて率直に反省しておりますし、その思いも込めて、今回、被害者救済法案の提出者とならせていただいた次第でありまして、先ほど委員が御指摘になったような、あたかも、これについて私どもが何か手心を加えているような、そういう物言いは是非やめていただきたいというふうに考えております。

山下議員 先ほど私が長妻委員の質問に答えたとおりであります。そして、もとより、旧統一教会に対して、私自身が教団による組織的な選挙応援を依頼したことはないのであります。

 また、そうした、何らかの形で信者に対して影響を与えたとすれば、これはじくじたる思いである。これは、先ほど申し上げたように、民主党の議員の方も同じなんですね。本村委員は公平な方ですから、民主党の委員には聞かずに、自民党の委員だけに聞かれるということについて、例えばこれを是非……(本村委員「不十分な案を出しているからですよ」と呼ぶ)いやいや、そこの点については、我々は、こうした、立法府同士でやる、我々は立法府の政治家でございます。我々がやるべきは、お互いに立法、法律案を出して、そして被害者の救済をするための案を考えるということでございますので……

武部委員長 答弁は端的にお願いします。

山下議員 その点に御考慮いただきたいと思います。

小倉議員 先ほどの繰り返しになりますけれども、知り得る限り、当該団体との接点はないということを明確に申し上げております。

本村委員 山下議員にお伺いしたいんですけれども、鈴木エイトさんの「自民党の統一教会汚染 追跡三千日」によれば、二〇一八年六月に全国弁連は議員会館で緊急院内集会を開き、政治家の皆さん、家庭連合、旧統一協会から支援を受けないでください、そして、政治家が同教団の式典へ来賓参加し、祝電を送る行為は、教団にお墨つきを与え、反社会的な活動を容易にするものであり、その連携がどのような社会的弊害をもたらすか考えるべきというふうな声明が全ての国会議員に配られて、届けられているんですけれども、その後に山下議員は、二〇一八年七月二十二日、二〇一八孝情文化ピースフェスティバル・イン岡山に参加をしております。

 これは自民党の調査には載っていないんですけれども、どういうことでしょうか。

山下議員 それは、恐らく、出席はしたけれども、先ほど長妻委員にも申し上げたとおり、挨拶をせずに退席したからだと思います。

 そして、なぜその会合に出たかというと、それは、本村委員も御承知のとおり、平成三年の西日本豪雨災害の関係だったんです。西日本豪雨災害の被災者が多く集まるから来てくれということで、当時、岡山では大きな被害がありました、なので、私は、西日本豪雨災害の被災者に役に立つことであればというふうに考えて伺ったわけでありますけれども、結局、挨拶もせずに退席したということでございます。

本村委員 ということは、自民党の調査というのは、統一協会の主催、あるいは関係団体の主催の会合の出席については全員書いていないということですね。

山下議員 それは全くの誤解ですね。私も、先ほど長妻委員に申し上げたとおり、党の報告に関しては真摯に、党に対して報告をしておる、こういうふうに書いております。

本村委員 全体発表があったときに山下議員の記載はないわけですから、そこは報告されなかったんだというふうに思います。

 多くの自民党議員が統一協会や統一協会関係者、関係団体と関係を持ち、そして、政治家が同教団の式典へ来賓参加し、教団にお墨つきを与え、反社会的な活動を容易にする、社会的弊害をもたらすという問題に実際になってきたわけです。こういうことを本当に反省するのであれば、この法案については与野党で真摯に、やはり財産保全をする責任が自民党にはあるというふうに思うんですね。真摯に修正協議に応えていくべきじゃないですか、与野党で。

山下議員 お答え申し上げます。

 まず、財産保全については二通りあるということを申しました。そして、実効的な財産保全というのは、これは実例も実績もある民事保全だと我々は考えており、それを法律相談の段階から強化しようというふうに考えております。

 そして、野党案の包括保全、これは実際に適用された例は一例もありません。そして、会社法の解散命令請求と宗教法人法の解散命令請求を比べてみれば分かりますが、実は、会社法の解散命令請求の方が要件が厳しく読めるんです。すなわち、会社法の解散命令請求は、利害関係人が請求したときには担保を立てさせることができる、あるいは、法務大臣の書面による警告、そしてなお違法行為を反復累行することというのがあるんですが、立憲民主党あるいは維新の案よりは、宗教法人法にはそういう解散命令請求の縛りがありませんので、実はより緩やかにそうした保全ができるというふうに考えられます。

 そしてまた、保全の結果、個々の被害者にどういうふうに被害、損害をお届けするのかということについても、裁判所に任せていれば何とかなるだろうというふうな形ではあるんですが、全く規定も効力に関する判断もない中で、これはなかなか実効性がないのではないか、そのように我々は思っておるわけです。

本村委員 済みません、時間がないので。

 自民党、公明党、国民民主党案では被害を小さく見ているのではないかというふうな疑問がございます。統一協会や統一協会関係団体による被害総額というのをどのように見ているのか、これは自民党と立憲民主党の提案者それぞれにお伺いをしたいと思います。

柴山議員 済みません、被害総額については小倉議員の方から答弁をいただくとして、先ほど法案修正協議についての御質問がありましたので、私の方から自民党としての立場についてお答えをいたします。

 修正協議なんですけれども、本日審議入りしたばかりでもありますし、先ほど来、提案者としては、野党案には、憲法上の問題があるほか、その実効性にも疑念があるというふうに認識してはおりますけれども、是非、野党においても、我々の法案についても真摯に検討していただきたいですし、御指摘のように、被害者の救済という目的は与野党問わず共有をされているということは理解をしておりますので、もっと詳しく野党案についての御説明を伺う機会も設けたいと思っておりますし、お声がけをいただければ、我が方の法案の御説明をさせていただく、そういう機会は持つにやぶさかではございません。

小倉議員 被害総額についてであります。

 文化庁が解散命令請求を行うに当たりまして公表した数字によりますと、把握している限りで、旧統一教会に対する民事判決の認容金額と訴訟上の和解や訴訟外の示談における解決金等の総額は約二百四億円とされておりますが、これらはいずれも既に被害の回復がなされたものと承知をしております。

 他方、現在、全国統一教会被害対策弁護団が行っている第一次から第五次までの集団交渉の対象者が求めている損害賠償請求額は約三十九億円となっていると承知をいたしております。

 具体的にどれぐらいの額ということはお示しをできませんが、民事事件手続を利用することをためらい、訴訟や集団交渉を断念しておられる方もいらっしゃるのではないかというふうにも考えております。

 以上です。

武部委員長 山井和則君、答弁は簡潔にお願いいたします。

山井議員 はい。

 今の答弁を聞いても、何か被害を小さく見ておられるんじゃないかと思うんですけれども、十一月十七日付の弁連の声明でありますと、そこについては、文化庁宗務課の調査では二百四億円ですけれども、しかし、統一教会は過去数十年にわたって組織的に不当な手段で献金を集めてきたわけでありまして、統一教会が集めた献金額は年数百億円に上り、累計の金額は計り知れないわけですが、これらの事実からすれば、統一教会による潜在的被害は、被害者本人の経済的被害だけでも優に一千億は下らないと推測されております。これが十一月十七日付の弁連の声明文であります。

 以上です。

本村委員 適正な財産保全の法制が必要だということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

武部委員長 次に、堀場幸子君。

堀場委員 日本維新の会の堀場幸子です。

 法務委員会は初めての質疑となるんですけれども、今日、ちょっとこの雰囲気に非常に驚きを隠し切れていないというか、これで本当に真摯な議論で、本当に救済できるのかなという、ちょっと懸念を持っているところです。

 ここにいる皆さんは、絶対にみんなを助けたいという思いでやっているんだと信じておりますし、それならば、やはりもう少し冷静な議論が必要なんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 我々日本維新の会も、一年以上前ですね、被害者救済法から始まりまして、私、そのときからずっと担当させていただいております。ですから、被害者救済のために何かをしたいという思いは非常に強く持っておりますし、そのために一歩ずつ前進させてきたという思いもあります。

 私たちは、今回、通常国会で宗教法人法の改正案を出させていただきまして、その中にも財産保全の問題を入れさせていただいておりました。そして、この臨時国会で、私たちは宗教法人法の改正案、そして立憲民主党さんは今回の特措法という形で出されておりました。でも、国対とかいろいろな状況の中で一緒にできるか分からないかもしれないと思いましたけれども、やはり被害者を助けるためなんだという思いが一致して、一緒に法案を提出させていただいたというところが事実だと思います。

 そして、この委員会を通して、質疑の中で修正協議ができるのであれば、やっていただきたいなというふうに思っております。ここにいる人たちが一致すればできるんじゃないかなと思います。

 そして、我々が出した法案にもかなり課題があることもいろいろ言われているところでございます。先ほど山下先生がおっしゃっておりました、会社法よりも弱いんだよと、立担保の課題、あると思います。そういった課題もやはりしっかりと議論をして組み立てていくことができるのは、皆さんと一緒にやっていくことだと思います。

 國重先生がおっしゃっていた管理人の問題、これも我々も非常に、もう少し細かく規定していく必要があるんじゃないかという議論もあったということを先に申し上げさせていただきたいと思います。

 それで、ちょっと確認をしたいので、少し質問の順番を変えさせていただきまして、三番目の財産保全についての方からやらせていただきたいと思います。

 まず、与党案では、解散命令請求がなされた宗教法人、宗教法人法八十一の一の一だと思いますが、その事由で解散命令請求がなされた宗教法人が不動産の処分等の通知や財産の目録等の作成、提出を行えば、不動産等の財産処分や他団体への資金移動をさせること等の資産の散逸ができるという理解でよろしいですか。

小倉議員 お答えいたします。

 法人の財産処分の透明性を高め、処分の前に誰もが知り得る状態とすることは、不当な財産処分を未然に防止する効果が十分にあると考えております。

 他方で、現在、民事訴訟や保全手続に至っている事例が余りにも少ない原因を踏まえまして、被害者の方々が保全手続を含む民事事件手続を幅広く利活用できるようにするため、法テラスの業務の拡充を図ることといたしております。

 仮に財産を保全しても、実際に被害に遭われた方にその給付がなされるには、確定した権利があることが必要であり、民事手続の支援は実効性があると考えております。

 我々の法案は、これらの措置を併せて講じることによりまして、法人の財産の透明性を高め、適切に民事保全を行えるよう、被害者の疎明を助けることで、委員御懸念の資産の散逸を防ぐことができるもの、このように考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 長妻さんの御質問と一緒なんです。できるかできないかといえば、できるということでよかったですか。

小倉議員 できるかできないかというよりも、散逸を防ぐための手続を講じるということでありますから、繰り返しになりますけれども、第一に、法人の財産の透明性を高め、そして第二に、実際に民事保全手続に入るときに、しっかり財産の中身が明らかになることによりまして、実際に被害者の疎明を助けることによって、実効性のある、財産の散逸を防ぐための方策になり得る、このように考えております。

堀場委員 できるかできないかという質問なので、できるかできないかじゃなくてじゃなくて、いろんな方法があるのは存じ上げているんですが、これとしてはできるんですよね、できてしまいますよねということを聞いております。お願いします。

柴山議員 先ほど私が申し上げたんですけれども、最後、長妻議員がちょっと御意見だけおっしゃって……(発言する者あり)だから、ちょっと、きちんと答弁を聞いてください。

 要するに、財産目録への記載をすれば、散逸をするおそれのある財産というものは特定ができるわけです。現在、例えば野党が提出している包括的保全命令を、管理人が仮にしたとしても、実際に当該不動産の移転がいつどこで行われるかということが必ずしも保全管理人に明らかになるわけではありませんし、実効性を確保ということからいえば、今おっしゃったように、不動産が特定されれば、法テラス等の支援によって、その財産の保全をピンポイントで行うということができるわけです。

 もちろん、資力要件とかいろいろありますけれども、まさに、先ほど山井議員がおっしゃったように、統一教会が過大な請求にさらされているということであれば、その保全の必要性というものは容易に認められるというふうに私どもは考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 要約すると、できてしまいますよねというところなんですけれども。

 確かに、分かるんです。私たち、法テラスもすばらしいと思っています。これもやった方がいいと思います。ないとできないこともたくさんあるし、これもやった方がいいと思いますし、こういった目録を見せていただくこと、公告していただくこと、これもやることだと思います。私たち、そこが抜けていたんだったら、そこを足せばいいと思うんです。だけれども、包括的な支援というのはあるべきじゃないかなというふうに考えているところでございます。

 そもそも、これと信教の自由が重なるというところなので、ちょっと行って来たりで申し訳ないんですが、二の信教の自由についてというところで、解散命令請求の内容の精査、対象の絞り込みを通して信教の自由に抵触されないようにしているんだよということを自民党さんの案でされているという理解でよかったですか。

山下議員 お答えいたします。

 分かっていただきたいという思いが募る余り、ちょっとありましたけれども、まず、対象法人の絞り込みにつきましては、これは結局、今、野党案では、利害関係人であれば誰でもできるようになっているんですね。それは幅広過ぎやしないかというふうに思っております。その意味で、国あるいは公的機関によって解散命令請求を受けた、しかもその理由が、公益侵害を理由としたということに限定をするということでございます。

 信教の自由を守るというのは、これは別の観点でございまして、宗教的行為の自由を含む信教の自由というのは、歴史的にも精神的自由権の中核でございまして、経済的自由権とは異なって、より厳格な合憲性審査基準が適用されたところである。同様のことを日本宗教法人連盟も述べているというところでございます。

 そうした中で、包括保全ということを考えると、包括保全については、実は、手続とか、指示に反した場合の効果は一切規定されていないんですね。ですから、裁判所の命令によって、例えば、管理人が選ばれた、管理人の指示に反して何か財産処分をした、そのことの効果が全く不明なんです。ですから、これも止められないということなんですね。

 さらに、そういった包括保全で全部止めるということは、財産権の行使を伴う宗教的行為がフリーズするということになりますので、これは信教の自由に反するのではないかというのがもう一つ。

 そして最後に、この包括保全が万一成功したとして、包括保全から個々の被害者にどう分配するのかというのは、個々の被害者の権利が確定していないと駄目なわけですね。それが、そのときに時効が成立してしまっていたり、そうした場合になると救済されないということになってしまいます。

 そうしたことを考えると、やはり、なかなか野党案ということについては厳しいのではないか。与党案がそういった、より制限的でない事由、抑制的な措置で、保全、あるいはそうした民事保全によるフリーズができるのであれば、そちらを優先したということでございます。

堀場委員 ありがとうございます。

 だから、管理人さんの管理に及ばないところがあったり、若しくは、例えば、全部駄目だよといったときに、宗教活動に使うのに、電気をつける電気代はどうするんだとか、水道代はどうするんだ、そういうところまで全部差し押さえるというか、保全するのかという課題が出てくるよねという問題意識だと思います。

 それは私どもも実は共有していまして、そういったものは主務省令若しくは、もう少し細かく規定していくべきじゃないかという議論もさせていただいています。

 でも、これが信教の自由に抵触するからという理由で駄目だというふうに言われるのは、ちょっとどうかなと思っています。もちろん、信教の自由は最大限に考えているところなんですけれども、信教の自由というのは、公共の福祉に反しない限り、立法その他国政上で最大の尊重を必要とするというふうに理解をしておりまして、公共の福祉に反したから解散命令を請求したわけですね。だから、そういったところを加味した場合に、この法案自体が信教の自由を侵害しているというふうに言えるのかなというふうに考えているんですが、どうでしょう。

山下議員 お答えいたします。

 あらゆる行政訴訟でそうなんですが、行政機関がそうと認定したからといって、これを裁判所が認めるかということは限らないわけでございます。

 そして、解散命令請求、解散命令が確定していない段階において、そういった事実が裁判所によってまだ認められていないわけですから、それに対する措置というのはやはり抑制的にならざるを得ないというふうに考えております。

 信教の自由等精神的自由権に関しては、過度に広範、余りに広過ぎるので無効、そういう法理もございます。そうしたことも加味すると、余りに広過ぎる、裁判官の裁量、あるいは管理人の裁量が広過ぎるということに関しては、これは違憲無効と判断される可能性もあるというふうに考えているところです。

堀場委員 ありがとうございます。

 では、管理人のやはり限定というのは非常に重要なポイントなんだなと思いながら、我々野党は、さっきちょっと同じ質問があったので恐縮なんですが、野党法案において信教の自由に抵触しないと言っている理由を教えてください。

阿部(司)議員 先ほど西村議員からも御説明がありましたが、重要なポイントですので、もう一度御答弁申し上げます。

 憲法の保障する信教の自由については最大限尊重すべきであるということは、当然承知しております。他方で、旧統一教会のように、公益侵害その他著しく問題があり解散命令請求を受けた宗教法人については、相当多数の被害者がおり、被害に遭われた方々が損害賠償を請求したときに、その賠償資金が既になくなっているという事態は防がなければならないと考えております。

 本法案では、このような目的のために必要な極めて限定された場面だけに適用されるよう要件を絞り込んでおりまして、専ら宗教法人の世俗的側面を対象とし、かつ、専ら世俗的目的によるものであって、宗教団体や信者の精神的、宗教的側面に関わる意図によるものではないこと、そして、対象法人の限定や財産保全処分の要件の絞り込みなどがなされていること、包括的財産保全の必要性とその範囲、すなわち、広く包括的に保全するのか、特定の財産に限るのかといった、法令の適用の場面における合憲性を担保するため、裁判所自身が法と証拠に基づいて判断することとしていること、近年の宗教法人をめぐる社会状況に鑑みた措置として二年間の時限立法としていることなどとしているところでありまして、信教の自由に抵触するものではないと考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 さっき吉田はるみさんがし切れなかった質問があるので、ちょっとそれもさせていただきたいなと思います。

 旧統一教会の事案に対して、民事保全法では財産保全の手続が困難であると考えた理由を教えていただけますか。

阿部(司)議員 お答え申し上げます。

 旧統一教会に対する被害者は、その全財産を寄附したことにより困窮している場合もあるため、個人で民事保全手続を利用する際に求められる担保をあらかじめ用意することが困難な場合もあると考えております。したがって、今回の事案に関して民事保全法に基づく保全手続は困難であると考えております。

 以上です。

堀場委員 ありがとうございます。

 だから、自民党さんの案でも、私たちが出している案だけでも不足がたくさんあるということが今分かっていると思うんですね、今日の質疑を通して、皆さん。なので、これは、やはりもう一回しっかりと協議をして、修正協議なり、何かもう少しいい案ができるんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 一番課題なのは、やはり包括的なものができるのか。前例がない、実効性がない、憲法に抵触するおそれがあるという、これが三つ課題なんですけれども、私たちは、信教の自由についてというのは対象を限定することで何とかクリアできるんじゃないか。それは、宗教法人法の八十一条の一の一で解散命令請求が出ているとか、様々な限定、かつ、被害が大きいとか、今、自民党さんもかなり限定されているようなものをやっていくということ。前例がないというのは、前例がないことが起きているので、これはやるしかないと思っております。実効性がないということに関しては、るる今話してきたことを一つ一つ解決していって、実効性があるものを作ればいいんじゃないかなというふうに考えています。

 やはり、個別に民事保全を行うことができる人はたくさんいるんですけれども、それができない方もどうしてもいらっしゃるんだなというふうに思っているんです。だから、個別の民事手続を行うことができる被害者のみが救済されやすくなるということが、与党法案の第一条に定める「被害者の迅速かつ円滑な救済に資する」ということなんですかと。そうじゃなくて、やはり、ちゃんと実際に、安心感というか、ちゃんと担保されていることが必要なんじゃないかなというふうに思っております。

 ちょっと、野党案の包括的な財産保全とした理由、これを教えてください。

阿部(司)議員 お答え申し上げます。

 旧統一教会に対する被害者は、その全財産を寄附したことにより困窮している場合もあるため、個人で民事保全手続を利用する際に求められる担保をあらかじめ用意することが困難な場合もあると考えております。

 他方、解散命令請求がされている宗教法人には、その法人に対する財産保全の規定が整備されていないため、解散命令を見越して宗教法人が財産を隠匿、散逸させるおそれがあり、その被害者の不安が高まっている状況にあります。

 被害者に安心してもらうためには、個々の債権に係る民事保全の拡充では足りず、まずは、救済を受けるための資金が散逸することがないよう、公益維持の目的の観点からの保全の規定を整備する必要があります。

 上記の観点から、解散命令に係る宗教法人の財産に関する保全処分の規定を設けることとしたものであります。

 以上です。

堀場委員 これが、我々が包括的な支援が必要だと言っている大きな理由なんですね。やはり被害者の方の声を聞くとか、そういうことももちろん重要ですし、そういうことを自民党さんもやってこられたと思います。私たちもやってきたし、立憲民主党さんも、みんな各々それをやってきた上で、被害者救済をやりたいという思いで今ここの場が設定されているわけですから。

 であるならば、何が一番大切なことかというと、被害者の皆さんに安心して個別の民事保全でも何でもやっていただける環境をつくるということですよね。だから、さっき言った法テラスも私は必要だと思います。この間の被害者救済法のときも、法テラス、やりましたし、ほかの性被害の方々の救済とかというところでも、私はこの法テラスの課題、遡及でお金かかるんだよね、被害がある人がお金ないよね、こういった課題をずっと取り上げていますので、法テラスの充実と特例というのは非常に重要だということも重々承知しています。だから、これもやった方がいい。

 そして、様々な網をかけて、それに反した人たちの財産目録を出していくとか、不動産のときはちゃんと一報入れてねとか、こういったこともないとオープンにならないので、何を保全するか分からないよね、これも当然そうなんだと思います。

 そして、こうやって限定されていったその先に包括的な財産保全があるということは、やはり、人々、皆さんに、安心感、安心して個別の保全の裁判ができるようにするということの大きな一助になるというふうに思うんですね。法テラスでお金を使って被害を訴えても、財産がなくなっちゃったり、隠されたりしたり、どこか行っちゃったりしていたら、最終的にお金はもらえなかったなということに、お金が戻ってこなかったなということになったら元も子もないですし、やれるべきことは全部やった方がいいのではないかなというふうに思います。

 最後に一問。よく、先ほどから信教の自由は出てきたんですけれども、やはり、財産権の方の侵害ということもあると思います。野党法案が財産権の侵害に抵触していないという理由を教えてください。

阿部(司)議員 お答え申し上げます。

 宗教法人に対して解散命令請求が行われますと、その財産の隠匿や散逸のおそれがあることから、被害者の救済に万全を期すためにはそのような行為を防止することが必要であります。

 本法案では、このような目的のために行われる保全処分の要件について、極めて限定された場面だけに適用されるよう絞り込んでおります。具体的には、公益侵害を理由とする解散命令請求等があった宗教法人に対して、当該宗教法人による不当な寄附の勧誘等によって生じた損害の賠償に係る訴訟、示談の交渉及び国の行政機関等に対する相談に係る状況等に照らし、その行為によって、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれること、そして二つ目に、当該宗教法人の財産の構成、国内から国外へ向けた多額の送金その他の当該財産の第三者への移転に係る状況その他の事情に照らし、当該財産の隠匿又は散逸のおそれがあること、いずれの要件にも該当すると認める相当な理由があるときは、所轄庁等の請求により裁判所が必要な保全処分を命ずることができることとしていることから、憲法上許容される財産権の制約であるとの説明は可能であると考えております。

堀場委員 ありがとうございます。

 私たち、宗教というものは、心の安寧とか文化の礎とか、耐えられないぐらいの理不尽から立ち直るための大切な心の救いだと思います。こういった宗教の課題と、そして、被害者の方がいる、これを救出するんだというものをこの会で皆さんと一致して作っていければと思いますので。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いいたします。

 今日、これまでの委員会の質疑を聞いておりまして、やはり、それぞれの案、いいところもあれば足らざるところもあると思いますので、是非、今何ができるのか、そして、皆さんが言っておりますが、被害者の救済をどのように前に進めていけるかという視点で、私、法律の条文から質問をさせていただければと思っています。

 まず、自民、公明、国民案についてお伺いします。

 第十条の第三項について、宗教法人法の第二十四条の規定では、宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反した行為は無効とするとありますが、今回はそれとは異なり、その境内建物又は境内地以外の不動産の処分等についても無効とすることとしておりますが、まず、その趣旨について伺います。

山下議員 お答えします。

 御指摘の規定は国民民主党の提案を踏まえて盛り込んだ内容でございまして、宗教法人法第二十四条により無効となる不動産の処分等は、境内建物若しくは境内地である不動産に限定されている。これは、宗教法人やその信者にとっては重要な意義を持つ境内建物、境内地といった宗教財産の流出の防止を図る目的であるということでなっております。しかし、本法案は、被害者の迅速、円滑な救済に資するための法律でございまして、これは、対象は特定解散命令請求等がなされた宗教法人に限っているということでございます。

 そうだとすると、第十条三項による無効化の対象とする処分というのは、被害者の救済のために、より幅広い規定として、境内建物等に限定しないこと、通知なく行われた全ての不動産の処分を対象としたというものでございます。

 また、こうした法人においては、結局、財産が宗教用の施設か、あるいは個人の、要するに教祖と名のる方々の個人資産が混在している場合もあるので、そうした区別が難しいという観点もございました。

 そうしたことで、被害者救済のために財産保全の実効性を高め、被害者救済に資するということで、こうした修正をさせていただいたものであります。

田中(健)委員 これまでの規定ですと、その不動産、かなり限定したものだったということで、私も統一教会がどれほどの財産を持っているのか分かりませんけれども、やはり、救済のためにあらゆる財産をしっかりと把握し、そしてそれが救済につながるために、していかなければならないと思っておりますので、是非、これによって財産を可視化していくということにつなげていってほしいと思っています。

 引き続きまして、三年間の時限立法に今回はしたんですけれども、この施行期日の目標を、附則の第六条の中では検討項目を入れております。この検討項目を入れた理由についてお聞きします。

柴山議員 この御指摘の規定も、全ての被害者が救済されるまで当該措置を続けるべきという国民民主党の御提案を踏まえて盛り込ませていただいた内容でございます。

 すなわち、附則第五条第一項によって、この法律は、今御指摘になられたとおり施行後三年で失効してしまいますことを踏まえて、附則六条で、施行後三年をめどとした検討条項を設けさせていただきました。すなわち、この附則第六条では、この法律の延長を含めこの法律の規定について検討を加えることとし、そこでしっかりとした状況を確認をさせていただく機会を設ける、そういうことでございます。

田中(健)委員 これまで解散請求、命令を出された宗教団体におきましては、オウム真理教、これは七か月であったというんですけれども、もう一つあります明覚寺は三年を要したということで、三年ですとこの実効性が担保できないんじゃないかということで、提案をさせていただき、また、今回の法律に検討事項として附則を盛り込ませていただいたんだと思っています。

 おっしゃってもらったように、やはり全ての人が救済されるまでがこの法案の意義だと思っておりますし、必要性だと思っておりますので、是非この期間というものもしっかりと考えた上で実効性を持っていただければと思っています。

 引き続きまして、第三条の第四項においてです。

 これは先ほど来議論が出ている法テラスについてでありますが、この利用に当たっての費用等の償還、支払いを必要な範囲で免除できるものとしていますが、通常に比べてこの免除の範囲というのをどれくらい拡大するというか、認めていくのかということについてお聞きをしたいと思います。

大口議員 田中委員にお答えいたします。

 本法案では、被害者の迅速かつ円滑な救済を図るために、被害者が将来の償還への不安から民事事件手続の利用をちゅうちょすることがないように、必要かつ相当な範囲で償還を免除することができるようにしたものでございます。免除について言いますと、実費とか弁護士費用、これについての支払いの猶予とともに、免除ということが考えられるわけでございます。

 これにつきましては、今後、法務省、法テラスにおいて、被害者の迅速かつ円滑な救済を図るための特例であることを踏まえてしっかり検討していくことになると思いますが、これは、与党として、また、国民民主党さんも入れての共同提案でございますので、しっかり予算を確保していくということを、本当に、これまでの免除の範囲よりも広げていきたい、こう思っています。そして、ちゅうちょなくこれが使えるようにしていきたい、こう思います。

田中(健)委員 先ほど来の議論の中でも、訴えたくても訴えられない、その費用が心配だという声がやはりありました。法テラスを使えると言ったとしても、実際に使えないのでは意味がありませんし、これまでも法テラスは何度も拡大やまた充実ということを図ってきたんですけれども、それでも足りないということで今回この法案に盛り込まれているかと思いますので、是非、今、予算の件については言及がありましたけれども、しっかり確保できるような対策を取っていただきたいと思います。

 さらに、この法テラスの中では、第三条の第一項第二号において、民事保全手続に附帯する担保の提供とあります。これについても、担保金を用意できないんじゃないかと、皆さん、苦しくてそんなことをやれる余裕がないという声がたくさんありました。実際そうだと思っています。

 この立担保の上限については、現時点の運用というのは実際どうなっているのか。さらにまた、今回の制度を入れることでどの程度拡大することが可能なのか、又は予定をしているのかということについて伺いたいと思います。

大口議員 田中委員にお答えしたいと思います。

 今、担保を立てるに当たっては、被保全債権の一、二割、あるいは不動産の二割とか、こういう担保を立てなきゃいけない、こうなっているわけでございます。

 そうしますと、今、現状はどうかと申し上げますと、立担保の援助の保証限度額、これは金融機関との保証の委託をするわけでありますが、それは、申立て一件について二百万円であり、同一人が複数申し立てた場合は一人につき合計一千万円までの援助ができる、こうなっているわけですね。更にこれを超える場合でも、援助の実施が必要かつ相当と認められる場合は援助が可能である、現行法でもそういうふうになっています。

 しかし、今回、この特例制度が導入されましたので、民事保全手続についての援助を受ける特定被害者であれば、その資力の状況にかかわらず立担保援助を受けることが可能であり、そういう点では資力要件は要求されなくなるわけでありますが、さらに、立担保の上限を超える場合の援助についても、法テラスにおいて、被害者の迅速かつ円滑な救済という本法案の趣旨を踏まえて、被害者に寄り添い適切に運用を図っていきたい、こういうふうに考えております。

田中(健)委員 今おっしゃっていただいたものが全てできれば、今までの議論の中で、民事保全上の懸念事項、また、対応困難だと指摘をされておりました、仮差押えできるのは限られた不動産である、また、財産の散逸を防ぐということもカバーできると思いますし、さらには担保金の不足というのも、二百万ではとても、被害の額が大きいですから、これまでと同じような感じではできないと思いますけれども、それよりも上の立担保を定めるということでありますから、実際、実効性というのを確保できると思うんです。

 でも、それは実効性が伴うかどうかということで、今日政府の参考人にも来てもらっておりますので、実際今どのような状況なのかというのをお聞かせていただきたいと思います。

 これまでも、被害者救済に向けた方策として、法テラスの抜本的な充実強化というのを図られてきました。そして、霊感商法等ダイヤルもつくって被害者の相談業務を受けてきました。直近の一年間の旧統一教会に関する相談というのは千二百二十八件、また、金銭トラブル七百二十件という大きな数でありますが、これで十分に成果を果たしてきたと言えるのかどうかであります。また、そのうち、今の法律であれば民事法律扶助ですね、これを使って裁判の費用を負担してもらえるという制度が法テラスにあるかと思うんですけれども、これを使って、民事訴訟ないしは民事保全を起こしている件数というのはあるのか。さらに、今回の、弁護士費用等の猶予、免除業務というのは、これらの応援に対して、統一教会への適用に当たって更に有効な手段と言えるのかどうか。これら三点についての見解を伺いたいと思います。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 法テラスの霊感商法等対応ダイヤルでは、旧統一教会問題に関する相談に対し、関係機関等と連携しながら、全国統一教会被害対策弁護団を始めとする適切な相談窓口などを紹介するなどしてまいりました。

 金銭的トラブルにつきましては、主に弁護団を紹介しておりますけれども、現在、弁護団におきまして、旧統一教会に対し集団交渉の申入れや民事調停の申立てを行うなどして、被害救済に向けた手続を着実に進められておられるというふうに承知しております。

 また、件数ということのお尋ねでございましたけれども、弁護団による集団交渉事案のうち十一件につきましては民事法律扶助が利用されているものと承知しておりますけれども、民事法律扶助を利用して訴訟提起に至った事案というものは把握しておりません。

 また、与党案についてということでございますけれども、議員提出法案の内容につきましては法務当局としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、法務省といたしましては、こうした相談対応や民事法律扶助の活用などによりまして、引き続き被害者の実効的救済を図ってまいりたいと考えております。

田中(健)委員 やはり、私たちは足りないということで、今のままでは不十分だということで今回法案を出しているんですけれども、法務省としては十分に成果を果たしているという認識なのかなと今、初めて聞いて思いました。

 今、十一件、民事法律扶助を使って裁判の進行中ということでよろしいんでしょうか。もう一度お願いします。

坂本政府参考人 十一件の件数ということでございますけれども、それは、今、訴訟に至る前の集団交渉という形でやっておられるものというふうに承知しております。

田中(健)委員 是非、法テラスの更なる充実によって、訴訟の方が十分に進むように向けて取組を進めていきたいと思っていますが、さらに、これをお聞かせいただきたいと思います。

 今回の弁護士費用等の猶予、免除においては、事前に被害者からの回収できる金額の把握というのは難しいことが予想されます。過去五年間の法テラスの支出を見ても、民事法律扶助を使った事業費というのは減少傾向にあります。増えているのかなと思いきや、減少しています。つまり、法テラス、予算がかなり少なくなっているわけですけれども、この中で、免除においての予算というのはどのように積算していくのか、相当な額が必要になるとも考えられますけれども、そして、今のままでは、これだけ、十分に法テラスを拡充する、そして誰もが心配なく弁護を受けられるようにするというのでは足りないんじゃないかといった懸念もあるんですけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。

坂本政府参考人 議員提出法案の内容を前提とした事項について、法務当局としてお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、法テラスの業務に必要な予算につきましては、過年度の利用実績や社会経済情勢などを踏まえまして、適切に積算を行うこととしております。

 今後、国会における御議論を注視しながら、必要に応じて適切な対応ができるよう、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 認識をお聞かせいただきたいんですけれども、今の法テラスに必要な予算というのは、今、十分だという認識でよろしいですか。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 法務省といたしましては、法テラスの業務運営に必要な予算措置が十分講じられるように、引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 いや、足りないなら足りないと言ってもらった方が、私たち、この法テラスの拡充と充実に向けて法律を作って、これを何とか、先ほど大口先生から答弁もありましたように、応援していくということで、これはどの党も、先ほども法テラスについては必要だと言っていただいているように、必要だと思うんです。私が昨年の消費者特別委員会で話したときも、法テラス、足りないという中で議論が進んでいたんですけれども、今の話ですと、十分機能もしているし、予算も足りるということで私は捉えたんですが、もう一度聞きます、それでよろしいですか、その認識で。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 必要な予算額につきましては、国会で御議論いただいて措置されているというふうに承知しております。

 以上でございます。

田中(健)委員 それ以上聞いてもあれかと思いますので、しっかりとこの法テラスの充実というのは、今後、法案の中で明記して取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、立憲と維新案の提出者にお聞きをさせていただきます。

 先ほど来話が出ております保全処分の件でありますけれども、この対象となる財産の範囲について、これはなかなか確定するのが難しいといった議論がされておりましたけれども、実際、提出者の皆様としては、どのようにこの保全の範囲、財産範囲というのを捉え、考えているのか、お聞きをしたいと思います。

青柳(仁)議員 お答えします。

 十月十三日に旧統一教会に対して解散命令請求が行われましたが、解散命令請求が行われると、宗教法人の財産の隠匿や散逸のおそれがあることから、今後、被害者の救済に万全を期すためには、そのような行為を防止する立法が求められています。しかし、他方で、財産保全処分のように包括的な財産規制となり得る制度については、憲法の保障する信教の自由に鑑みて、慎重な上にも慎重な検討が必要であると考えられます。

 このため、本法律案では、解散命令請求の対象となった宗教法人について、不当な寄附の勧誘等によって、相当多数の個人において多額の損害が生じていることが見込まれること、財産の隠匿又は散逸のおそれがあることのいずれにも該当すると認める相当な理由があるときに限り、裁判所による保全処分命令を認めることとしております。

 保全処分の対象となる財産の範囲については、金銭、不動産、動産などの財物が含まれ得ることにはなりますが、今述べました信教の自由の観点から、当該保全処分について憲法上の疑義が生じることのないよう、裁判官が憲法尊重擁護義務の下で適切に判断されるものと考えております。

田中(健)委員 もちろん、それは今回の法案の説明でも聞いておりまして、よく分かっておるつもりであるんですけれども、もう実際に一日も早くやらなきゃならないという中で包括的に今回保全をすべきだということをおっしゃっておりましたから、どのような、対象も決め、範囲というのも細かいところを考えながらこの法案を作ったんじゃないかなというふうに、聞いて思ったものですから、もちろん、その手続というのはしっかり踏むということと、また、信教上の自由について、しっかりそれも担保しながらというのは分かるんですけれども。

 今、提出者として、この範囲のことですね、つまり、先ほどの議論の中では、なかなか難しい、裁判においても、債権の額を決め、そして確定するのはなかなか難しいんじゃないかという議論がこの委員会でされてきましたので、それを踏まえて、どのようにこの範囲というものを考えていらっしゃるのかということがもしもあれば、お願いします。

青柳(仁)議員 御質問の財産の範囲に関しましては、今申し上げたとおり、金銭、不動産、動産などの財物が含まれ得ることにはなりますけれども、信教の自由の観点から、当該保全処分について憲法上の疑義が生じることのないよう、裁判官が憲法尊重擁護義務の下で適切に判断されるものというふうに考えております。

 この場で今回の法案に書き込まれていないことを私の方から答弁するというのは控えなければならないというふうに考えております。

田中(健)委員 どうしても、やはり具体的に話を聞いて、お互い納得した上でこの法案審議を進めていきたいと思っておりまして、是非、もちろん、法案に書いていないからということでありますが、しっかり立法して今回提出をしてまいりましたから、保全処分、私は実際難しいという立場でちょっとお聞きをさせてもらったんですけれども、議論をまた深めさせていただければと思います。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

武部委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の両案に対し、文部科学委員会から連合審査会開会の申入れがありましたので、これを受諾することとし、また、消費者問題に関する特別委員会から連合審査会開会の申入れがありました場合には、これを受諾することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、お諮りいたします。

 連合審査会において、最高裁判所から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、来る十二月一日金曜日午前九時から開会いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十四分散会


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