衆議院

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第5号 令和5年12月1日(金曜日)

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令和五年十二月一日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 谷川 とむ君 理事 牧原 秀樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 池下  卓君 理事 美延 映夫君

   理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井出 庸生君    伊藤 忠彦君

      英利アルフィヤ君    奥野 信亮君

      高見 康裕君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    仁木 博文君

      平口  洋君    藤原  崇君

      三ッ林裕巳君    宮路 拓馬君

      山口  晋君    山田 美樹君

      鈴木 庸介君    中川 正春君

      長妻  昭君    西村智奈美君

      山田 勝彦君    吉田はるみ君

      米山 隆一君    阿部 弘樹君

      日下 正喜君    國重  徹君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   議員           小倉 將信君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           山下 貴司君

   議員           長妻  昭君

   議員           西村智奈美君

   議員           山井 和則君

   議員           柚木 道義君

   議員           吉田 統彦君

   議員           阿部  司君

   議員           青柳 仁士君

   議員           金村 龍那君

   議員           大口 善徳君

   議員           日下 正喜君

   議員           西岡 秀子君

   法務大臣         小泉 龍司君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   政府参考人

   (法務省民事局長)    竹内  努君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 梶川 光俊君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月一日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     山口  晋君

  中川 正春君     長妻  昭君

  吉田はるみ君     西村智奈美君

  阿部 弘樹君     青柳 仁士君

  中川 宏昌君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     三ッ林裕巳君

  長妻  昭君     中川 正春君

  西村智奈美君     吉田はるみ君

  青柳 仁士君     阿部 弘樹君

  國重  徹君     中川 宏昌君

同日

 理事美延映夫君同日理事辞任につき、その補欠として池下卓君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出、衆法第一〇号)

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出、衆法第一一号)


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     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事美延映夫君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に池下卓君を指名いたします。

     ――――◇―――――

武部委員長 柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長竹内努君、財務省大臣官房参事官梶川光俊君及び文化庁審議官小林万里子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武部委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮路拓馬君。

宮路委員 自由民主党の宮路拓馬でございます。

 質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。

 私からは、全て、自公国法案の提出者の方に御質問させていただきたいと思います。

 先週の法務委員会での、当委員会での質疑、そしてまた午前中の連合審査において、相当幅広い論点について、与野党を問わず、全ての委員の皆様方から既に論点が提示されているというふうには思いますが、改めまして、自公国案について確認をさせていただきたいと思っております。

 本委員会のみならず、全ての立法者にとって、被害をしっかりと回復させる、救済する、ここに意見の一致はもう間違いなくあるというふうに思っております。その手法としていかなる法案を提出しているかというところだと思いますが、一刻も早く、被害者を迅速かつ円滑に救済しなければいけないという点において相違はないと思います。

 その認識の中で、自公国案こそが被害者救済に資するということで自公国案を提出されたものと理解しておりますが、そのように至ったこれまでの検討経緯、あるいは思いについて聞かせていただければと思います。

小倉議員 お答えいたします。

 旧統一教会の被害については、現在、民事保全の申立てや民事訴訟の提起に至る事例が極めて少ないという状況が起きておりまして、この原因は、被害者への法律相談体制が十分でないこと、訴訟や保全を行うための費用を捻出することが困難であることなどと認識をしております。

 こうしたことを受けて、我々の法案では、法テラスの業務の拡充によりまして、資力を問わず、被害者であれば法律相談から訴訟、保全、そして執行までの民事事件手続全般を迅速に利用できるようにすること、そして、宗教法人法の特例を設けることで、指定宗教法人の財産の透明性を高めるとともに、その動向を被害者が随時適切に把握できるようにすることなどにより、司法手続を通じた被害者の救済を促進しようとするものであります。

 そして、我々は、こうした司法的な救済も重要だと思いますが、同時に、非司法的な救済もしっかりやることが、被害者の救済において実効性あらしめることになるのではないかというふうに思っております。

 実際に、霊感商法の相談ダイヤルの相談件数を見ますと、金銭トラブル以外の相談が増えてございます。こういった精神的なケアにも力を入れていかなければいけない。午前中の議論にも、大きな教団に対して信者の方が一人で立ち向かうのは大変だ、教団にも仲間がいる、そういう話がございました。そういった御意見、被害者の方々からの意見も我々で聞いておりましたので、そういった御意見を踏まえて、元信者や宗教二世、三世の方々の知見などを活用した相談支援体制の構築を含めた、政府に対しては、より非司法的な被害者救済も充実をさせてもらえるような、そういう提言も出したところであります。

 なお、野党案につきましては、これも午前中議論がありましたように、実例がなく、実効性に疑問があり、宗教の自由に関する問題も懸念される、こういう包括保全だというふうに認識しておりますし、民事保全手続を十分に機能させることによって、より我々の法案は確実な財産保全が図られ、被害者の迅速かつ円滑な救済に資するものと考えております。

 なお、野党の皆様方からも建設的な御提案をいただきましたので、そういったものにつきましては、我々は、それをしっかり踏まえて、法案の修正案も提示をさせていただいているところでございます。

 以上です。

宮路委員 私は、今回、この委員会、国会において、いわゆる救済法、あるいは財産保全法というんでしょうか、が議論されている、そして与野党を問わず真摯な意見が闘わされている、このこと自体、非常に意義があるというふうに思っております。

 これまで、宗教団体による財産的被害を受けた方は、今答弁にもあったとおり、強大な、いわばかつて信者であったわけですから、いまだにその影響下にある方も、ケースも多いかと思います。そうした中で、そうした巨大な教団に対して一人で立ち向かうのではないかという、そういう不安や恐れがどうしても拭えないという中で、これだけ国権の最高機関であるこの立法府において与野党を問わず真摯な意見が闘わされているということ、決して被害者は一人ではないんだと、全国民の代表である我々がしっかりそこを議論して、様々な論点についてもきっちりと結論を出していっているということは、被害を受けられた方にとっても大きな勇気につながるのではないかと思っていますし、そうしたものをしっかり作って、そして実際にワークさせていかなければいけない、結果を出していかなければいけないというふうに思っております。

 私、最初、この救済法、あるいは保全法の話を勉強するに至ったときに、しかし、最終的には、債権債務関係、こういったものを確定させなければ、結局、被害の救済、財産的被害の回復には至らない、債権を行使できないというふうに思いましたので、やはり、そこをいかに迅速かつ円滑にやっていくかに尽きるんだろうというふうに思っております。

 もちろん、保全ができたら、それはなおさらいいことかもしれませんが、結局は債権債務関係の確定をしなければいけませんし、そして、これは、被害を受けられた方が多数に及ぶとすれば、ある意味、限られた教団の財産を、被害者同士でまたどのように被害の回復を図っていくか、その被害者同士の関係もまた生じてくる話ですから、やはりそこは、可及的速やかに、そうした個別の民事保全の手続を行うことによって債権債務関係を確定していくしか、ほかにないというふうに思っておりまして、そうしたこともあって、自公国案が提出をされるに至ったというふうに理解しております。

 本法案は、東日本大震災の際の特例法を参考にして立案されていったというふうに理解をしております。我々が多数にわたる被害者の救済をしっかり行っていくというに当たって、まずやはり思い浮かぶのが東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故を受けての被害救済のケースだったことは、これは論をまたないと思います。

 その経験を経て、それを参考にした本法案だというふうに理解しておりますが、そのときからまた十年以上の時が経過をして、様々な被害救済に関する、ある意味、実例、そして知見がたまっていったんだろうと思います。そうしたものも参考にして今回の自公国案が立案されたというふうに聞き及んでおりますが、どういった点が今回いわば進歩したのかについてお答えをいただきたいと思います。

小倉議員 まず、我々の提出した法律案におきましては、御指摘の特例法、いわゆる震災特例法を参考に、被害者の資力にかかわらず弁護士費用の立替え等の援助を行うとともに、費用の償還、支払いを一定期間猶予することといたしております。加えて、本法律案におきましては、震災特例法には規定されていなかったものといたしまして、被害者が支払う償還金等について、原則として免除できるものとしなければならないと明記をいたしておりまして、現行の運用よりも免除の範囲を拡大することといたしております。

 すなわち、本法律案におきましては、免除しない例外的場合として、まず、弁護士費用等については、被害者が一定以上の資力を有する場合等に限定をしております。また、民事保全手続における立担保の援助費用については、被害者が当該民事保全手続に関し故意又は重大な過失により相手方に損害を与えた場合等に限定をしております。

 このように、免除の範囲を拡大をすることで、将来の償還等への不安から被害者が民事事件手続の利用をちゅうちょすることがないようにいたしまして、被害者の迅速かつ円滑な救済を図るものと考えております。

宮路委員 まさに、迅速かつ円滑な救済を図るためには、ちゅうちょなく、ためらいなく訴訟手続に乗ることが非常に大事だと思っております。そういう意味では、様々な点を考慮して、東日本大震災の特例法に加えた、上乗せの措置を講じられたということは非常に意味あることだと思いますし、そういう手だてが講じられているんだということをしっかり伝えることによって、可及的速やかに本法案を成立させ、そして可及的速やかに被害者に奮い立っていただいて、そしてしっかり手続にのっとっていただいて救済が図られることを期待しております。

 そうした中で、とりわけこの自公国案については、これまでの裁判実例等も踏まえて、実務上使いやすいものでなければ、やはりためらいなく訴訟を提起できない、時間がかかってしまうんじゃないか、大変な思いをするんじゃないかということで、そこも念頭に立案されたものだというふうに理解しております。

 まさに、実務的に結果を出すためには使いやすい制度でなければいけない、それは、被害者のみならず裁判に関わる方々についても使いやすいものでないといけない、つまり明確でなければいけないというふうに思っております。あるいは、これまでの実例にのっとったものでなければ使いやすいとは言えない。裏返して言えば、そうでなければ、時間がかかり、コストがかかり、そして、そんなに面倒であれば、複雑であれば、なかなかためらいが生じてしまうというふうに思っております。

 そういう意味では、繰り返しになりますが、使いやすい制度でなければいけないと思っておりますが、この点について自公国案はどのようになっているか、お伺いをしたいと思います。

小倉議員 私どもも、今回の法案を作成するに当たって、被害者や大変御尽力をいただいております弁護団を始めとする関係者にお話を伺ってまいりました。特に被害者の方々からは、大変悲惨な過去ですとか現在の境遇、こういったことを伺って胸が締めつけられる思いもいたしましたし、何としても、そういった被害者の方々に一刻も早く救済をもたらすような、そういうことを考えなければいけないということは、これは立民、維新の皆さんもそうだと思いますけれども、我々も強く感じながら議論してきたところであります。

 そうした中で、我々のポイントというのは、迅速かつ円滑ということでありまして、円滑という点には、議員御指摘のとおり、やはり、実務としてある程度実例があって、法が成立した暁には速やかに実行に移せるものということだと思います。

 したがいまして、我々の法案では、被害者の方々が、経済的負担によりちゅうちょすることなく、民事保全手続を含めた一連の民事手続を利用しやすくすることができるよう、法テラスの特例を定めておりますが、これはいわゆる震災特例法においても今申し上げたような実績のある制度でありますので、法施行後スムーズに円滑に運用できる制度になっているもの、このように認識をいたしております。

宮路委員 今般、被害者をいかに救済するかが最も大きなテーマですが、やはり、我が国が法治国家であり、かつ立憲主義であることに鑑みれば、基本的人権の尊重、それは、もちろん被害を受けた被害者の方の人権を守らないといけない、財産権を守らないといけない、被害を回復しないといけない、一方で、物事にはやはり二面性があるわけでありまして、その加害側の人権を全く無視していいのか、それは立憲主義にもとる考えだというふうに思っております。

 そういう意味で、自公国の立案者も、そして立民、維新の立案者の皆さん方も、様々な苦悩を抱えながら、思いを巡らせながらそれぞれの法案の立案に向かわれたと思いますが、自公国案につきまして、今般、解散命令請求がなされた後とはいえ、まだ確定してない段階であります、宗教法人側の信教の自由、これは大変重要な基本的人権でもありますので、に配慮をしなければいけない、そうしたものとしたというふうに理解しておりますが、その制度設計上、工夫した点、配慮した点について、最後にお伺いできればと思います。

小倉議員 宗教の自由を始めとする憲法上の人権保障の要請から、宗教法人の財産の管理に対しては制約を加えるということは慎重にも慎重を期したものでなければならないということは先ほど申し上げたとおりであります。

 宗教法人の財産は、信者の信仰の表現でもある寄附等の結果として形成され、主として宗教的活動のために用いられるものであり、この財産の管理を制約することは、この財産を用いて行う宗教活動に対しても幅広い制約が及ぶことになり得るためであります。

 我々は、信教の自由への配慮を反映した法制度設計とするため、宗教法人の財産を包括保全するのではなく、民事保全を含めた民事事件手続による救済への支援を強化することによりまして、これまで一般に使われてきた民事手続を十全に機能させることにより、より確実な財産保全を図ることとしているものであります。

 さらに、本法律案では、対象宗教法人の中でも、要件を絞り込んだ上で、現行宗教法人法にもある措置を実効性ある被害者救済のために活用できるよう特例も設けております。すなわち、被害者が相当多数存在をし、財産の状況を把握する必要があるものについて、指定宗教法人の指定をし、財産処分等の通知、公告の特例も設けております。

 この指定に当たりましては、宗教法人審議会の諮問を諮ることともなっておりまして、こうした厳格な要件の下で、現行宗教法人法にもある措置の特例を設けることで、本法律案の合憲性はしっかり担保しているものではないか、このように考えております。

宮路委員 時間となりました。

 憲法を尊重する中で、基本的人権を尊重する中で、しかし、被害者の救済を一刻も早く、迅速かつ円滑に図るため、本法案の早期成立を望んで、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹です。

 午前に引き続いて質問をさせていただきます。

 午前の連合審査における答弁におきまして、宗教法人は、信教の自由として、宗教的結社の自由に加え、宗教的行為の自由などへの配慮も求められることから、会社や弁護士法人などと同列に論じられるものではない、こういったことが示されました。

 また、会社法等の財産保全の実例は、これまでの審議でも出ておりますとおり、これまで一件も把握されておりません。宗教法人法の解散命令請求では、会社法における担保措置なども外されております。

 こういった中で、仮に立憲、維新案が成立したとしても、裁判所が適用違憲にならないような管理命令を出すためには、相当詳細な疎明を求めることになると思われます。旧統一教会側も、憲法適合性を含め、保全処分の発令に慎重になるべきだという主張をしてくるものと思われます。

 さらに、報道などによりますと、旧統一教会の資産は一千億円程度、不動産に限っても、松濤の教団本部という動かしにくい施設を始め、百億円程度の不動産を所有しているとされております。

 一方で、係属中の民事訴訟は僅か数件、保全を行っているものも把握されていない。

 こういった事情を基にした主張を旧統一教会側が裁判所で展開してきた場合、裁判所が果たして包括保全処分を出せるのか。包括保全、包括保全といっても、実務の適用場面において、包括保全を前提とした実効性が果たしてどこまであるのかと懸念があります。

 だからこそ、自公国案では、これまで使われてきた、実務が確立している民事手続を十分に機能させることによって、より確実な被害者救済を図ろうとしております。

 その上で、自民、公明、国民案の提出者としても、この審議の中でありましたとおり、どうすれば少しでも被害者救済につながっていくのかという、これは当然考えていかないといけないことでありますし、この審議、また関係者からのヒアリング、様々なものを踏まえて、検討、協議を重ねてきたものと思います。

 このことにつきましては後ほどお伺いすることといたしまして、まず、財務省にお伺いをいたします。

 旧統一教会の被害者救済について、財務省としては、現行法上の制度を活用して、どのようなことに取り組むのか、答弁を求めます。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

 旧統一教会の被害者救済については、現行法上のあらゆる制度を活用し、最大限取り組んでいくという政府方針の下で、財務省としましては、外為法に基づいて、同法上の規制の履行状況について、今後とも更に情報収集、分析に努めるとともに、外為法五十五条、これは支払い等の報告ですけれども、これに基づいて、旧統一教会より提出された海外送金に関する報告書について、所轄庁からその必要性を明らかにした上で提供の求めがあった場合には、外為法の保護法益に密接に関連すると認められるときは所轄庁に共有することとしております。

 引き続き、関係省庁と連携しつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

國重委員 今、海外送金に関する報告書については、外為法の保護法益に密接に関連すると認められるときは所轄庁に共有すると。今回のようなケースでは文化庁に共有するということでしたけれども、この所轄庁、文化庁からの提供依頼があれば応じるんでしょうか。外為法の保護法益と密接に関連すると認められるとき、この意味も含めて、答弁を求めます。

梶川政府参考人 お答え申し上げます。

 海外送金に関する報告書の共有についての具体的な判断は、これは依頼を受けて行うことになりますけれども、その上で申し上げますと、今後、所轄庁では、資産流出の状況を含む法人の財務状況を把握する取組等が進められていくものと承知しております。

 そうした取組におきまして、所轄庁に対して外為法に基づく海外送金に関する報告書の情報を提供することにより、違反の有無も含めて、外為法の報告義務の履行状況についても、有益な情報を把握することが考えられます。

 外為法の規制が適切に履行されることは外為法の重要な保護法益でございまして、その履行状況について有益な情報が把握されることは、外為法の保護法益に密接に関連するものと考えてございます。

國重委員 要は、所轄庁である文化庁が必要性を明らかにして海外送金の報告書について提供を求めれば、財務省としては応じるという答弁だったと思います。

 ちなみに、この海外送金の報告書には、いつ、誰に、幾ら、どの銀行、金融機関を通して送ったのかが記載されていると思いますけれども、こういったことを通じて、このような海外送金についても文化庁が把握していくというようなことになると思いますけれども、念のため、重ねて、それで間違いないかどうか、答弁を求めます。

梶川政府参考人 それで間違いございません。

國重委員 こういったことによりまして、海外送金の報告書を財務省が文化庁と共有する、もちろん、これは文化庁の求めがあってですけれども、それによって、共有をすることによって、旧統一教会、旧統一教会というよりも対象宗教法人ですね、当該宗教法人に対しての財産の移動等をより把握できるようになるということであると思います。

 その上で、状況に応じて民事保全をするためには、対象となる宗教法人の財産の状況が適時に把握をされて、その情報に被害者がアクセスできるようにすることが必要になります。

 このような観点から、自公国案の提出者にお伺いします。

 この間も様々な審議がされてまいりました。指定宗教法人、特別指定宗教法人の指定についても、もうちょっとこうすべきじゃないか、このような意見も、この審議でもありましたし、審議外のところでも指摘もいただいたところであります。こういった、指定宗教法人、特別指定宗教法人の指定も、対象宗教法人の状況に応じて、今原案があるわけですけれども、もう一歩これを工夫をして、迅速に行っていく必要があるように考えますけれども、提出者はどのように考えているのか、答弁を求めます。

大口議員 國重委員にお答えをいたします。

 今御指摘ありましたように、原案、今の自公国の案におきましては、まず指定法人の指定を受けて、そして要件が整えば特別指定法人の指定を受ける、そこに時間的な間隔がある、もっと個々の被害者の皆さんが自ら権利を実現するため、対象となる宗教法人の財産の状況を適時適切に把握することが不可欠である、そういう点で、御指摘のとおり、指定に当たっても適切なタイミングで行う必要があると。

 そこからですね、最初から特別指定宗教法人の要件に該当していると認められる宗教法人については、指定宗教法人に指定してからでないと特別指定宗教法人に指定できないという原案はやや慎重過ぎるのではないか、こういう指摘もありますので、例えば、指定宗教法人の指定を経ずとも特別指定宗教法人に指定することも考えられるところであります。

 また一方で、迅速な観点からそうした工夫を行う場合であっても、宗教法人審議会の意見の聴取という手続は欠かせないものと考えます。

國重委員 もちろん、憲法また宗教法人法、こういったところの整合性、これは取らないといけないですけれども、より被害者救済につながるような工夫、私もしていくべきだと思います。

 また、今回の審議、また関係者の聞き取りなどの中で、立担保、これが一つの大きな負担になっている、障害としては重いというような御指摘もございました。

 これにつきましては、現在の自公国案、原案ですね、自公国案では立担保の援助を行う想定をしておりますけれども、これを明記をして援助をよりしっかりと明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

大口議員 國重委員にお答えいたします。

 御指摘のとおり、財産保全をしようとする方にとって立担保は、これは弁護団からもありますけれども、立担保というのは大きな負担あるいは弊害になっているわけです。

 その援助は重要だと考えておりますので、我々が提出する法案については、東日本大震災の法テラス特例法よりも償還免除の範囲を拡大し、必要かつ相当な範囲で免除できるものとしているわけであります。

 さらに、立担保の拡充を明記をすべき、こういうのがございますので、この担保の提供に関する援助については、原則として、これは法テラスが銀行に支払い保証を委託する方法によって行うものであり、援助の利用者が直ちに金銭を返済する義務を負うものではありませんし、また、援助の利用者が、今回、本案事件で敗訴し、かつ宗教法人が損害賠償請求訴訟を提起して利用者が敗訴した場合にあっても、銀行が担保額の範囲で相手方に支払い、法テラスが銀行に立替え払いをしたとき初めて援助の利用者に償還を求めることになるわけでありますけれども、これについては、例えば、特定被害者が民事保全手続に関し故意又は重過失により相手方に損害を与えた場合などについて免除をする、こういうことを考えておるということでございます。

國重委員 こういったことも非常に大事なことだと思います。

 最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、最後に、自公国案が被害者の円滑かつ迅速な救済に資する法案であるかどうかについて提出者に伺います。よろしくお願いします。

大口議員 ちょっと、先ほどの答弁ですが、故意、重過失がない場合に免除するということでございます。

 それから、自公国案につきましては、それこそ被害者の救済を迅速、円滑にするということで目指してきました。そういう点で、民事保全という今しっかりある制度を、本当に、民事法律扶助というものを拡充して、ちゅうちょなく民事法律扶助を利用していただいて、そしてまた掘り起こしをしていただいて、民事保全でしっかりやる。そして、債権額を明確にして、そして債権届にも対応できるようにする。こういうことによってしっかり被害者を救済していくということが大事だということが一点。そのために法テラスの要件も拡充をしたところでございます。

 さらに、やはり指定宗教法人の財産の透明性を高めるということが大事でございますので、今回、それについて、二十三条あるいは二十四条の特例を設けたところでございます。これによって指定宗教法人の状況というものをしっかり把握した上で、民事保全の手続を確実にやることによりまして被害者の権利の実行に資する、こういうことでやらせていただいているところでございます。

 いずれにしましても、包括保全につきましては、憲法上の疑義、そしてまた、これまでに実例もない、そして、管理人の権限等、あるいはそれを無視した場合の行為についても、指摘がありましたように、無効ではないというようなこともございますので、そういう点で、自公国案について、我々は提案しているということでございます。

國重委員 以上で終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、鈴木庸介君。

鈴木(庸)委員 立憲民主党・無所属、鈴木庸介です。よろしくお願い申し上げます。

 立憲、維新案に絞って今日は質問をさせていただきます。

 まず、十一月七日の毎日新聞の引用から始めさせてください。

 旧統一教会が公表している全国の関連施設二百九十六か所の土地と建物について不動産登記を確認したと。教団が少なくとも土地九十九か所、建物九十一棟の所有権を持っていると判明していて、同じ月の二十一日の毎日新聞でも、渋谷の一等地にビルと建物を所有しているということなどが新たに判明したとされています。この総額なんですけれども、毎日と専門家の独自試算ですけれども、権利関係が複雑な一か所を除いて九十二億六千六百万と。

 これは、実際に登記を見た方に聞いたんですけれども、ここ二年程度、あの事件以降の権利関係について、彼が調べた範囲では、財産の散逸と呼べるような動きは確認はできなかったと。しかし、どのような経緯かは、同じく確認できないんですけれども、一部寄附行為が行われていたと言っていらっしゃいました。

 また、一部の報道では、旭川の方で教団が不動産を購入していたりということで、やはり、資産について様々な動きがあるというのは間違いないことかと思います。ジャーナリストの鈴木エイトさんも、隠し資産は相当持っていると断言しているところでございますけれども。

 こうした中で、被害者救済のために原資が必要だというのは与野党一致した見解だと思うんですけれども、改めて、立憲、維新案では、財産の包括的な保全をしなくてはならないという考えに至った経緯と理由について教えていただけますでしょうか。

山井議員 鈴木議員にお答え申し上げます。

 今、解散命令請求が出た段階で、被害者の方々の大きな願いは、もちろん、被害が救済される、つまり賠償金が支払われることであります。これは当然です。

 しかし、一番恐れているのは、オウム真理教のときもそうでしたけれども、解散命令が出る前に、高裁で確定する前に、財産が移転される、隠される、散逸するのではないかということなんです。ですから、これは解散命令、いずれ、半年後か二年後か分かりませんけれども、必ず出ると私は期待し、確信しておりますけれども、そのときに、蓋を開けたら財産がなかった、せっかく解散命令が出たのに賠償金は返ってこなかったということになったら、これは与党、野党、政府関係なく、本当に国会も政府も何をやっていたんだということになると思います。

 そういう中で、私たちは、一年二か月、七十回、三十人の被害者の方々、延べ百人の被害者の方々や、阿部弁護士を始めとします弁護士の方々からも、約七十回の会合にお越しをいただいて、話を聞いて、その被害者や弁護団の方々の総意が包括的な財産保全、裏返せば、一人一人が裁判するのは無理だということなんです。

 私が持っておりますのは、十一月二十九日、旧統一教会の被害者(一世、二世、親族)有志一同、宗教二世ネットワークの方々の要望書ですね。これについても書いてあるんですけれども、結局、統一教会に対し、被害者個人の自助努力に任せた前提で救済することは非常に酷ですということをおっしゃっております。

 具体的な事例として、ここにもう一つ、被害者の方で、お母様が一億円以上被害を受けられた娘さんでございます仮名の中野容子さんという方も、私たちのヒアリングで訴えてくださいました。被害者救済には財産保全法は必須であると。

 その理由なんですけれども、どう書かれているかといいますと、結局、この裁判の経験を通して、やはり実際、中野容子さんは裁判をされたんですけれども、その経緯の中で、つまり、どんどん長く長く続く裁判で消耗をしていきましたと。そして、これは中野容子さんが書いておられる、私たちのヒアリングで配付されて、発言されたメモ、その資料ですけれども、私に対する誹謗中傷と罵詈雑言が統一教会から加わります、このように不誠実極まりない言葉を繰り返し、訴えを受け止めて応答しようとしないだけでなく、被害を訴える者を攻撃してくる統一教会相手に、被害者一人一人に交渉させたり、さらには裁判をして被害回復せよと言うのでしょうかと。

 ですから、そういう意味では、中野容子さんだけじゃなくて多くの方が、統一教会と裁判をするのは、一言で言うと怖いということをおっしゃっているんですね。この場におられる与党、野党の皆さん方も、御自分あるいは御自分の家族が、解散請求が出ている、政府が公共の福祉に著しく反する、そして悪質性がある、継続性、組織性があると言う団体と財産保全の訴訟をすると。ここにおられる方、誰か、御自分、御家族、やりますか。ここに書いてありますように、長期化して、攻撃され、もしかしたら誹謗中傷、罵詈雑言も受けるかもしれません。

 ですから、これは、単なる訴訟の手続とかお金の問題ではなくて、言いづらいですけれども、怖いという話なんですよ。怖いという話なんですよ。だから、もし与党の皆さん方が応援するといったときに、与党案も私たちも必要だと思っておりますけれども、やはり個別の財産保全というのは限界ではないかというふうに思って、私たちは被害者と弁護団の声を踏まえて、包括的な財産保全の法整備が必要だというふうに考えております。

 長くなって申し訳ございません。

鈴木(庸)委員 ありがとうございます。

 私も先日、被害者の方のヒアリングに参加させていただいたときに、一億六千万円献金したけれども、蓋を開けてみたら三千万円しか戻ってこなかったというような話、悲惨な話を伺って、胸を痛めました。御案内のように、仮差押えの場合は、訴訟と比べて、単独で申立てをしなければならない、複数名での申立ては認められていないので、被害者一人一人が各地の裁判所に申し立てるしかなくなっちゃうわけですよね。被害者側の負担というと、与党案をベースにすると、法テラスのサポートがあるとしても非常に大きくなって、ほかの被害者の方々との調整などについても大変大きな作業になると思います。

 また、先ほどから度々言及されている膨大な書類の提出に加えて、領収書もろくに出さない団体なわけですから、どこまで証明を個人でできるのかということについても大変大きな疑問が残ります。

 何よりもやはり、今、山井議員がおっしゃったように、怖いというところに配慮が必要なんだと思っております。

 更に申し上げると、仮差押えをするにも、いわゆる担保が、担保金が必要で、その額も一五%から三〇%が一つの基準とはされていますけれども、ぼろぼろになった被害者の皆さんがこれを準備できるんですかという話も被害者の弁護士から指摘されていますね。これを国がといった案も出ているとは承知しているんですけれども、その場合、全体にすると国の負担額は一体幾らになるんだろうと。そういった試算についても出ていない中で、余りにも先行きが不透明だなという感覚を持っております。

 これも繰り返しになっていますけれども、オウムのときも、解散命令請求が出された後、先ほどの山田委員の資料にもありましたけれども、財産が散逸して被害者にまだ約十億円もの返済ができていないという厳しい状況もありまして、是非、与党の皆さんには、被害者救済という原点に改めて立ち戻っていただいて、自公国案と立憲、維新案を併せた実効性のある被害者対策をお願いしたいと重ねてお願いを申し上げます。

 そこで、お伺いしたいんですが、自公国案には財務書類についての規定があるんですけれども、立憲、維新案では財務書類の閲覧については規定を置いておりません。この理由と、また、保全処分を行う場合でもこのような制度を併存させるということは有意義だと考えますけれども、どのようにお考えになりますでしょうか。

吉田(統)議員 鈴木委員にお答えいたします。

 自民、公明、国民案では、財産の隠匿等により被害者の権利を害するおそれがあるときは、特別指定宗教法人に指定し、三か月ごとに財産目録、収支計算書、貸借対照表を所轄庁に提出させ、それを被害者に閲覧させる措置を講ずることとしています。

 被害者の救済に万全を期すためには、我々の案のように財産保全を可能とすることが何よりも肝腎でございますが、自民、公明、国民案のこのような制度は、法人の財産の透明性を高め、財産の動向を被害者が随時適切に把握できるようにし、民事保全等の対応を円滑に行えるようにするものと考えられ、我々の案と両立させることでより実効的な被害者救済策を講ずることができると考えております。

鈴木(庸)委員 解散命令請求訴訟が二年間を超えて係属した場合に、法律の延長ということについては想定をされていますでしょうか。

吉田(統)議員 お答えいたします。

 旧統一教会に関わる解散命令請求訴訟がどのように進展していくかは、現時点で予見することが難しいと考えます。

 仮に当該訴訟が二年を超えて係属した場合に被害者の救済が図られなくなるという事態は当然避けなければなりません。したがって、当該訴訟が二年を超過する見込みとなった場合には、本法案の期限の延長を検討すべきと考えます。

鈴木(庸)委員 また、これは二年間の時限立法としているんですけれども、時限立法としている理由というのは一体何なんでしょうか。

吉田(統)議員 お答えいたします。

 旧統一教会の悪質な行為による被害の深刻さに鑑み、本法案を提出したところでございます。

 しかし、憲法の保障する信教の自由及び財産権に配慮して対象法人の限定や財産保全処分の要件の絞り込みを明記することと併せて、二年の時限立法とすることにしたものでございます。

鈴木(庸)委員 ありがとうございました。

 先日のヒアリングでも、本当に、大変な思いをされた方々、被害に遭われた方々が勇気と力を振り絞ってカメラの前に立ってくださいました。心から敬意を申し上げたいと思います。

 そして、何とかこの人たちを救わなくてはいけない、救いたいという思いを新たにしたところでございますけれども、私自身も、例えば自分の人生がうまくいっていないときとか心の弱っているときに同じような形で近寄ってこられたら、断固として断ることができるのかどうなのか、本当に他人事じゃないなと感じます。

 本当に血の通った救済策が必要だと思うんですけれども、最後に、多くの被害者の方からのヒアリングを行ってきた立憲、維新案の提出者の方に、この法律への立法の思いと必要性についてお伺いをさせていただきたいと思います。

山井議員 ありがとうございます。

 簡潔にお答えしますが、先ほど言いましたように、この議論は答えが出るんです、解散命令が出たときに。そのときに、賠償金が払えない、財産が韓国や他団体に移されているということになれば、これは私は本当にただでは済まないと思います。政府、与党、私たち野党にも責任は来ます。

 ここまで、やはり四十年間この統一教会を残念ながら放置をしてしまってきたことの責任は国会にも政府にもあるわけですから、せめて与野党協力し、与党案も私は必要だと思っておりますので、超党派で与野党協力し、政府と力を合わせて、やはり絶対に、解散命令を出したときに、財産がなくて賠償金が支払われません、被害者が救済されませんということにならないように、与野党協力していきたいと考えております。

 以上です。

鈴木(庸)委員 是非、与野党協力して救済に道筋をつけていただければと思います。

 終わります。

武部委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 いろいろな議論がございますけれども、特に、我々の案に対して信教の自由という観点から与党からも指摘がございましたけれども、これは言うまでもないことでございますが、法律の構成を見ていただきますと、裁判所が判断するわけですね、また条文の詳細は繰り返しませんけれども。ということは、基本的には地裁、恐らく東京地裁になると思いますが、財産保全の請求を出す。地裁がいろいろ審議をして、いろいろな方の意見、先方の意見も聞く。争いになれば高等裁判所に上がる。そして高等裁判所で決着が基本的にはつくということになりますので、裁判所がその保全の範囲とか保全の種類、そういうことを判断して決定するわけでありますので、裁判所が違憲の決定をするはずがございません。

 そういうような意味で、最終的には憲法違反にならないというような裁判所の判断をかませているということも繰り返し繰り返し強調していきたいというふうに思います。

 その上で、与党に質問させていただきますが、これは、与党案でありますと、解散命令が下るまでの間、財産が散逸して賠償に充てる資産がなくなっちゃった場合、押さえる保全というのが、一般保全ができないわけですけれども、もうなくなっちゃった場合、解散命令が出たときに既に賠償するだろう財産がなくなっちゃった場合、これはどうするんですか。

山下議員 長妻委員にお答えいたします。

 まず、財産が散逸して賠償に充てる資産がなくなる、こういったことを防ぐために与党案を出させていただいているところでございます。

 だからこそ財産保全をやるための法案ということで、まずは、やはり財産保全というのは民事事件手続によるということが王道であります。そして、実務も重なっている、確定した実例もあるということで、これを促進するために、法テラス業務の拡充により、資力を問わず、被害者であれば法律相談、訴訟、保全、執行までの全般を迅速に利用できることとしております。

 そしてまた、宗教法人法の特例を設けて、通知のなき不動産の処分につきましては無効とするということをしております。また、今、特別指定法人に関しまして、指定された場合には四半期ごと、まあその要件を緩和しようともしておりますが、そういったことも考えて、透明性を増すということでございます。

 なお、オウムの事件について御指摘がありましたけれども、オウム当時は、不動産の関連会社への売却において、我が方が提案しているような通知なき処分、これについての無効というのがなかったわけでございます。その意味でも、与党案というのはそうしたところも踏まえてやっているということは御指摘しておきたいと思います。

長妻委員 逆に言えば、通知すれば幾らでも処分できるわけじゃないですか。

 今、質問にお答えいただいていないんですね。つまり、民事保全法に基づく財産保全、これは従来のスキームを全く変えていないわけですね。しやすくなる、法テラスとかの支援はありますが、従来のスキームは全く変えていないわけですよ。

 ということは、足りなくなる可能性は大いにあるし、オウムの場合でいうと、配付資料にしておりますけれども、解散命令請求が出た後、主な不動産十物件が関連会社等の名義に移転されている。今現在でも十億円以上がなお被害者へ未払いになっちゃっている。これは桁が違いますからね、旧統一教会の被害総額というのはオウムの比じゃありませんから。こういうことが起こる。確かに、民事保全でも、当時のこの読売新聞によると、おっしゃったように、民事保全法の個別の法案を駆使して、一部は押さえていますよ。でも、大部分は押さえられなかったんですよ。

 そういうような教訓があるので、我々としては、何とかこれは一般保全をしなければいけないと。しかも、裁判所をかませて、裁判所の命令ですから憲法違反の命令を出すはずがありませんので、そういう担保も取っているわけで。

 いろいろ、オウムについても詳しく、今回の旧統一教会の被害者弁護団の声明がおとつい出ましたけれども、ここにも明確に書いてあるんですね。当弁護団は、被害者救済の実効性ある法律とするためには、財産保全の特別措置法により、少なくとも旧統一教会の財産を一定の範囲限度において保全することが必要不可欠だというふうに評価いただいているんです。その次のパラグラフには、それを被害者による民事保全手続に委ねることは、被害者一人一人にとって過大な負担となり、余りにも酷だと。

 るるここでも議論が出ているわけでございますので、是非、柴山筆頭提出者に聞きたいんですが、我々が考えているコアの部分というのは一般保全なんですね。それを取り入れていただくというためには、例えば管理人の権限をもう少し明確化するとか、いろいろな提案があれば我々も真摯に受け止めたいと思うんですが、どういうような修正をすればコアの一般保全というのを受け入れていただけるのか、それをちょっと端的に教えていただければ。

柴山議員 連合審査のときの答弁でもお答えをしたとおり、包括保全規定というのは、端的に言えば、破産法ですとか会社更生法のような非常に厳しい要件とそれから強力な効果を持つものしか実務では恐らく使い勝手がよくないということではないかというように思います。

 とすれば、やはり債務超過などの厳格な要件がなければ恐らくこのような強力な手続というものは難しいだろうというふうに思いますし、とすれば、まだ解散命令の請求段階にあってそのような要件を設けるということが事実上難しいし、また、効果においても、例えば、管財人あるいは管理人の同意がなければ財産の移転については効果を生じない、あるいは否認をされるというようなところまではやはりなかなか難しいのであろうというように考えております。

 とすれば、特に御党の具体的な修正についての方策ということは、済みません、私どもとしては持ち合わせていないということで、申し訳ありませんが、答弁とさせていただきます。

長妻委員 今、できないというのは、恐らくというような推定でおっしゃっておられるわけですよね。信教の自由を侵害することは、裁判所の判断ですから、これはないわけでありますので、衆議院法制局もこの法律についてはそういうことをおっしゃっておられますので、是非前向きに修正の案を出していただきたいと、これは被害者が、弁護団も期待をしております。

 そして、もう一つは、ちょっと端的に聞きますと、これはお配りした年表ですね、オウムの。じゃ、与党案では、仮にこのときに与党案が成立していれば、この財産の散逸というのはオウムにおいて防げたんですか。

柴山議員 ありがとうございます。

 今委員が御指摘をされたオウム真理教についての年表において見た場合に、要するに、解散命令請求がされた後に、非常に大きなというか、主要な不動産十物件が関連会社の名義に移転をされてしまった、それを防ぐことができなかったということであります。

 もし私どもの法律の定めがあれば、例えば、関係書類の所轄庁への提出、これは平成七年のオウムの事件を受けた対応で導入をされたものですけれども、それによって、こういう不動産があるんだなということを確知することができます。

 また、今回、私どもの法案の提案では、指定宗教法人に指定された場合には、これら不動産についても、その処分に先立って一か月という期間を設けた形で処分を通知をさせる。通知されなければ無効となりますから、その後、それに強制執行ができるわけですけれども、じゃ、通知をされた場合には有効となってしまうのではないかというところなんですが、まさに有効となってしまう、すなわち、財産を保全する必要性がある、保全の必要性があるということになれば、それは個別的な仮差押えの対象になるので防げる。少なくとも、その時点で明らかになっている権利を基に仮差押えができるというふうに私どもとしては考えております。

長妻委員 昨日、与野党協議会で被害者の弁護団が来ていただいて、お話では、一か月では到底間に合わないと。つまり、信者個人なのか教団の責任なのか、これをまず争って、そして民事保全まで持っていくには相当な時間がかかるし、民事保全は一人でこれをやらなければいけないなどなど、事実的に不可能だということが出たわけじゃないですか。そして、通知がないと無効というのも、条文を見てみますと、善意の第三者についてはこれは無効にならないということで、やはり実効性が非常にないわけですね。

 一か月前に不動産というのは通知があるということでありますけれども、それも実効性が低いと思いますが、じゃ、預金の場合はどうなのか。財産目録を、今までは一年に一度のものを、与党案ではこれを三か月ごとに公開させましょう、今までも一年に一回は公開ということだったんですが、これを三か月ごとということで、じゃ、財産目録で預金がどばっともうなくなっていたといった場合、これは事前にも察知できないし、どうやってこれを止めるんですか。

山下議員 まず、海外送金等の場合には、先ほど財務省からもお話がありましたが、必要な協力ということを文化庁にしていただくということがございます。また、こうした我が方の法案に基づいて公告、閲覧等の仕組みを設けて、増減について早期に察知するということは可能であろうと思います。

 他方、野党案におきましては、管理命令が命じられた場合の調査権限は規定がない。そしてまた、管理人に無断でなされた法律行為は無効とするといった規定もありません。

 裁判所がやるから違憲がないということであるんですが、これは、裁判所が管理人を選任するという手続で終わって、その管理人が事実上憲法違反の行為を行った場合に、例えば裁判所が止めていない場合、実際にそういった信教の自由に対する干渉が行われ得るので、これは憲法二十条を受けた宗教法人法八十五条の、いかなる形においても干渉してはならないというところに抵触する可能性がある、そういうことを申し上げているわけでございます。

長妻委員 結局、三か月ごとに分かる、きめ細かくとおっしゃるんですけれども、じゃ、預金が三か月前に比べて、相当な預金が第三者に移転していたと分かった、でも、移転した後じゃないですか。移転した後に分かるわけですよね、三か月置き。移転した後、第三者に預金が移転されたら、もう取り戻せないわけですよね。

山下議員 預金を動かすことを事前に察知して押さえるという部分については、野党案でもできないというふうに私は思いますよ。そのためには、物すごく高いハードルの保全の必要性の疎明が要るわけです。

 そして、保全の疎明の必要性のハードルが高いという御指摘があって、それで民事保全ができないんじゃないかということを言われているわけですけれども、これまで実例もないし、手続規定も整備されていない。一般保全というふうに言っていいのかどうか分かりませんけれども、野党案においても、やはり同様あるいはそれ以上の預金が移転する危険性はあろうかと思います。

長妻委員 ちょっと指をくわえて見ているということしかないのではないかというふうに思います。

 もちろん、我々の案でも、裁判所が判断しますから、条文を一々全て読み上げませんけれども、厳格な縛りの下、裁判所が憲法に抵触しないように判断するときに、全財産をまるっと保全しなさい、こういうことにならないケースもあると思いますよ、種類を選別して。ただ、もちろん、預金を押さえる、預金を保全することもできるスキームになっているわけでありますし、我が党の案は、解散命令が下る前に財産を保全するということで、その財産をどこか処分するとか、管理人はそんな権限はありませんから、保全をして押さえる、こういうところにとどまるわけですね。

 そういう意味では、信教の自由のことを与党はよくおっしゃるんですが、青春を返せ訴訟というのがあったわけですよ。ここでは、旧統一教会の勧誘活動が相手方の信仰の自由等を侵害するおそれのある違法行為だと、裁判所が、信仰の自由等を侵害するおそれのある行為を旧統一教会はやっていると認定しているわけですね。

 信教の自由を始めとする憲法上の人権保障の要請から、通常、宗教法人に対する規制は必要最小限でなければならないというのは我々も承知していますが、しかしながら、旧統一教会については、過去四十年以上にわたって組織的に行われた不正行為により、少なくとも被害者千五百五十人に対して総額約二百四億円に上る被害を与えたこと等を理由に解散命令請求がなされているわけです。こういうような悪質な行為により解散命令請求がなされた宗教団体だけの話なんですよ。

武部委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。

長妻委員 について、信教の自由に配慮しながら、被害者保護の観点からこういう規制を課す、こういう法案を課すというのは、決して私は憲法に疑義があることではないと思いますので、是非、建設的な議論、決着をお願いをしたいと思います。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 旧統一教会の問題については、一九八〇年代以降明らかになってまいったわけですが、政治の対応は私は極めて鈍かったというふうに思っております。我が党でも、有田芳生前参議院議員など一部の方々を除いて、私も含め、政治の取組がこの間不十分であったということは、国会に籍を置く全員が実は反省をしなければいけない、大変申し訳ないことだったと私は思っております。

 また、この中で、政治と旧統一教会との関わりも明らかになりました。関わりのあった国会議員について、私たちの党にも何人かはおられまして、全て公表いたしておりますが、関わりの多くは自民党の議員でいらっしゃいます。国会全体の責任として、だからこそ、この反省を基に、解散命令請求も十月に出されましたので、被害救済のために立ち向かっていかなければ、何のための国会かということで、国会全体の責任が問われる事態だと私は思っております。

 そんな中で、私たちは、やはり民事保全よりは、一般的な、包括的な保全が必要であろうという考え方の下に、憲法の定める信教の自由や財産権の保障にも十分に配慮して慎重に法案を作り、そして提出をさせていただきました。

 自公国の法案については、実務が積み重なっているからということで民事保全の仕組みを使われているんですけれども、私はやはり、この民事保全、確かに仕組みとしては使えるところはあると思うんですけれども、入口のところで、旧統一教会によってマインドコントロールに遭っている人たちが、この民事保全というある意味世俗的な手続に入っていくというのは実は結構ハードルが高いということは、もうこれは多くの被害者の方がおっしゃっているとおりでありますし、また、全国弁連を始め、関わってこられた弁護士の先生方も指摘をされているところだというふうに思っております。

 ですから、ここは、実務として確立している民事保全が全ての人に使えるということではない、やはり、一歩踏み出すためには、とにかく何か、献金をしなければ地獄に落ちるというふうに言われている人たちに、本当に旧統一教会を相手に民事保全を申し立ててもいいのかどうか、そういう心理状態にある方々に対して、本当にそういったことが可能なのかという、違う観点から是非法制度の議論に臨んでいただきたい。これは自公国の皆さんにも心から願っているところでございます。

 とはいいましても、民事保全の仕組み、これは本当に使えるのであれば有用であるという面も、私はそのとおりだというふうに思います。今日は、与党の案に対しまして幾つかの疑問点がありますので、そこを質問していきたいというふうに考えております。もちろん、併せて私たちの法案も一緒に成立をさせていただき、車の両輪として被害者救済に資するように是非お願いをしているというところです。

 まず一点目、指定までのプロセスについてです。

 対象宗教法人から指定宗教法人、そして指定宗教法人から特別指定宗教法人に指定される、二段階で指定が進んでいくということになっているようであります。このプロセス、それぞれどのくらいの期間を見込んでいるのか、そこについてまず伺いたいと思います。

柴山議員 我々の法案は、解散命令請求等がなされた宗教法人について、財産処分、管理の状況を所轄庁が把握をして、そしてその情報を被害者などに提供することによって、財産隠匿などを抑止しつつ、個々の被害者がその情報を基に適時の民事保全等の対応を行えるようにするということであって、今御指摘になった期間についても、そういった対応をきちんとできるような形にすることが必要だというふうに考えております。

 まず、最初の対象宗教法人、これは、特定解散命令請求がなされ、そして特定不法行為に係る被害者が相当多数存在することが認められるような宗教法人であるということであれば、一般的な処分、管理の状況の把握の必要性が認められるということになりますので、対象宗教法人から指定宗教法人については、今言った要件が認められれば速やかに指定がされるということになろうかというふうに思います。

 そして、これまで私どもが提出していた、そこから先、すなわち特別指定宗教法人に指定されるまでの期間でありますけれども、指定宗教法人の財産の内容、額、あるいは指定宗教法人の指定を受けた後のその財産の処分や管理の状況などを考慮して、被害者を害することですとか、あるいは財産の散逸のおそれみたいなものを判断するというふうにしておりましたけれども、それですと、この指定から特別指定への期間が長ければ、その間に必要な財産の流出がなされてしまう可能性があるという何人かの委員からの御指摘を受けて、この二つの要件が満たされれば、これを同時に行うことができ、かつ、その時期の年度のみならず、その前の時期の財産目録の提出も求められるようにするというふうに、私どもとしては法案の修正をして、委員の御懸念にお応えする準備がございます。

西村(智)委員 速やかにと言っていただいたり、長ければというふうに言っていただいたり、一体どのくらいの期間なのかというのは依然として明らかになっていない。対象宗教法人から特別指定宗教法人に一回で指定されるということはあるということで、手続の簡略化、それはいいことだと思うんですけれども、この期間が余りに長いと、またこの間に財産の隠匿や散逸が起きかねないということですから、ここはやはり、どのくらいの期間なのかということは想定として明らかにしていただきたいなというふうに思っております。ちょっとお答えがないということであれば、また後でお聞かせいただきたいと思うんですけれども。

 次に、財務書類の閲覧について伺いたいと思っております。

 これまでもいろいろ議論がありましたけれども、財務書類に仮に虚偽の記載が行われていた場合、これは文化庁の方にお尋ねすることになりますが、どのような罰則が科せられているんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 宗教法人法第八十八条第四号の規定によりまして、宗教法人が財務書類等の備付け書類に虚偽の記載をしたときは、その法人の代表役員等は十万円以下の過料に処されることとなっております。

西村(智)委員 百億円を供託しようかと言っていた団体に対して十万円以下の過料というのは、ちょっとどのくらいの意味があるのかなというふうに言わざるを得ません。今回、宗教法人法の特例というのを設けているわけですから、この罰則についても、その中で見直しをするということについては検討されなかったんでしょうか。

柴山議員 確かに、先ほど答弁があったとおり、法人の代表役員等の十万円以下の過料というのは、それだけ見れば大したことのないペナルティーだというふうに思われるかもしれませんけれども、一年分の財務諸表の虚偽記載が、元々、宗教法人法上、代表役員等に対する十万円以下の過料となっている以上、四半期ごとの財務諸表の虚偽記載について、それより重い罰とすることは妥当でないものと考えているのが一つと、それからあと、実効性のことについて言えば、これも先ほどちょっと答弁しましたけれども、過料となる処分、かつ被害者の請求権を困難ならしめるようなことを当該宗教法人が行うというのは、これは解散命令請求に当たって極めて悪い情状になるというふうに考えておりまして、それは解散命令の判断に非常に悪影響を与えるという、そのこと自体が当該法人に対する抑止力となるのではないかと私は考えております。

西村(智)委員 後段の部分については、私、理解できるところがあります。ただ、四半期ごとだからそっちの罰則の方を重くするのはいかがかということについては、それはそういう考え方だけではないんじゃないかなというふうに思います。ここも是非検討していただきたいと思っています。

 また、閲覧ですね、財務書類の閲覧を、いわゆるかぎ括弧つきの被害者という方ができるようになるわけなんですけれども、どういった方々が具体的に閲覧することができるようになるのか。被害者の証明というのか、それはどのように行って、その方が被害者であるというふうに認められて閲覧することができるようになるのか。この辺りの実務についてはどうでしょうか。

山下議員 被害者と申しますのは、対象宗教法人に対して、解散命令請求の原因となった不法行為等やこれに類する行為により損害を被ったということで、自らの権利の実現のためにするということでございます。そうしますと、結局、自らの権利が侵害された、これは、法律上でいえば、要するに債権ですね、不法行為に基づく債権が典型的でございますけれども、それを疎明する資料が必要になってくるであろうというふうに考えます。

 例えば、疎明ということでありますと、大体この時期にこれぐらいのお金を払ったということ、これは個別具体的な状況によりますから、そこはまさに、だからこそ司法の民事手続によることが必要だということになりましょうけれども、そうした書類を見せるということで所轄庁に判断してもらうということになるんだと思います。

西村(智)委員 所轄庁が判断をされるということなんですけれども、私も、被害を受けた方にお伺いをしますと、つまり、献金とかをしたときに領収書を取っていないというのがほとんどでありますし、また、ですから記録が手元に残っていないというケースが多いと聞いています。

 例えば、通帳から多額のお金が一気に引き出されたようなときは、もしかしたらこの時期のこのお金ということである程度の疎明ができるかもしれませんけれども、そうじゃない、本当に手元に何も残っていない、ノートの切れっ端に書いたのが残っているぐらいのことであっても、これは疎明たり得るということでよろしいでしょうか。

山下議員 どのようなものが疎明に当たるかということについては、本当に個別具体的な事例によるんだろうと思います。ですので、書類においてもいろいろな証拠が、資料があり得ると思います。そうしたものを総合考慮して認められる場合もあると思いますので、それはもう個別具体的な判断だということになろうと思います。

西村(智)委員 個別具体の判断というのは、私たちの法案についての答弁でも個別具体の判断と言っているので、結局、与党さんの案も個別具体の判断なんだなというふうに思わざるを得ないところでございました。

 やはり財務書類でいろいろなことが分かってくるということは私も期待しているところです。四半期ごとの書類の閲覧、できればもうちょっと頻度を上げて分かるといいというふうには思いますけれども、例えば、その財務書類の中で、通常とは思えない、通常とは異なる大きな変動があった場合、隠匿の様相を呈している場合、どういった対応が実際に可能になりますか、差し押さえるということについて。

山下議員 まさに御指摘いただいたとおり、与党案というのは、そういった大きな変動を、四半期ごと、ある程度早期に、適時に把握できるというところに眼目があろうというふうに考えております。

 そして、さらに、この民事事件手続、これに対する支援を行っているということにおいて、そうした大きな変動があった場合に、例えば保全をそもそも検討されている方であれば、これは保全の必要性がいや増すというふうな資料に使われるということで、民事保全の実現が、疎明がより容易になるだろう。そうした様々な形で保全をしていくということになるんだろうと思います。

西村(智)委員 保全がしやすくなるという意味においてはいいんですけれども、最初に私申し上げましたけれども、通常の民事保全であれば、そのように実務として確立しているプロセスに普通に入っていくことができると思うんですけれども、とにかくこの旧統一教会の問題というのは、やはり違うんです。違うんです。だから、スタートラインというかベースが違うというところから制度についてはやはり考えていただく必要があったんじゃないかというふうに指摘をしたいと思います。

 ちょっと時間が限られてきましたので飛ばさせていただいて、法テラスの問題だけ先に聞かせてください。立担保の問題です。

 今回、担保などについては援助をするということで書いていただいています。それは、お金のない中で、場合によっては弁護士さんが担保のお金を立て替えるなどということもあったというふうにもちょっと伺ったんですけれども、そういったことにならないというためにも非常にいいというふうには思うんです。

 ただ、例えば、高額の土地がある、七億円もすると一般で言われている。担保、仮にここに二割だというふうに想定いたしますと、一億四千万円の担保が必要になってくるということなんですね。そうしますと、とても個人で払えるような額ではありません。法テラスは、この一億四千万円も立て替えていただけるんでしょうか。伺います。

柴山議員 まず、前提として、当該仮差押えの申立てをする際に、七億円の土地しかないのか、あるいは、より容易な不動産、つまり、もっと手頃価格でも債権保全をするというだけの実益がある不動産なのかということを判断して、より容易な不動産があればそれを仮差押えできますし、また、移転をするということが一か月前に分かっていれば、当該不動産が流出の危険があるということで、それを押さえるということになろうかと思います。

 まず、それを前提とした上で、今の上限額についてのお答えをさせていただくと、これは、今おっしゃった、一般の担保の想定額を超える場合でも、必要かつ相当と認められる場合には援助を実施するということにしております。これは、現在の法テラスで既にそういう実務になっております。

 次に、本法律案では、その当該援助についての立替金の償還、この償還について常に猶予することとしているほか、仮に、民事保全手続で、いや、この保全は実は間違った保全だよということで、相手方、すなわち宗教団体方に損害を与えた場合であっても、それが故意又は重大な過失による場合を除いては、この援助費用の償還を免除することが原則としてできるということなど、償還、支払いの免除については、原則として免除することができるというふうに、私どもの修正案では明示しております。

西村(智)委員 つまり、一億四千万円でも立て替えていただけるということでよろしいでしょうか。答弁してください。

柴山議員 先ほど申し上げた要件を満たせば、つまり、原則として免除できるということであります。

西村(智)委員 そのように活用できればいい仕組みだというふうには思うんですけれども、あっ、終わっていました、済みません。ちょっとほかにも質問を残していたんですが、くれぐれも、両案、車の両輪として成立をさせるように引き続き御努力をお願いしたいということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 今回、宗教法人に関する二法案が提出されているところなんですけれども、私、先日まで国際会議の方に出させていただいておりましたので、前回の法務委員会の方はちょっと欠席をさせていただきました。ただ、議事録の方を見させていただきましたし、そして、本日、今朝の連合審査会の方も、皆さんの御意見、そして今日の午後の委員会の御意見の方もるる聞かせていただきました。

 非常に専門的なお話の方を聞かせていただいたのかなということで思っておりますけれども、ただ、やはり、今回の被害者救済のための財産保全、そして包括保全、民事訴訟の支援、様々、与党、自公国案、そして立憲、維新案、様々あるかと思います。専門的なことも当然必要なわけですけれども、国民の皆様にできるだけ分かりやすく、これまでどのような協議がなされてきたのか、そして今後どのような形で歩み寄れるのか、そして、被害に遭われた皆様に関しても、どうやって寄り添っていけるのか、こういうことにやはり国民の皆様の関心があるのではないかなということで考えております。

 そして、私、今回、質問の通告の方をさせていただいたんですけれども、非常にざっくりとさせていただいていますのでちょっと答えにくい点もあるかと思いますけれども、まず与党の提出者の方からお伺いをしていきたいと思います。

 まず、これまで二回修正の協議がなされてまいりました。その中で、いろいろ課題があったかと思います。歩み寄りもあったかと思いますけれども、ちょっと国民の皆様に分かりやすいような形で、これまでの二回の修正協議の内容につきまして教えていただきたいと思います。

柴山議員 これまでの修正協議の概要について御説明を申し上げます。

 我々といたしましては、既に、法案の提出というか、これはお示しをしていたわけなんですけれども、我々として、もし及ばない懸念点があればそれについては修正をさせていただきたいということを申し上げ、そして、今回の理事会に至るまで、二回ほど集中的に、合計三時間以上でしょうか、野党、つまり立憲、維新案との間のすり合わせというか協議を行った形で提出をさせていただいております。

 一方で、野党提出案につきましても、私どもといたしまして、既に答弁をさせていただいているとおり、いろいろと問題を指摘をさせていただくとともに、ではどのような形ならば受け入れられるのかということの御下問をいただいていたものですから、それについて我々としてはちょっとなかなかこうすればよいというアイデアが浮かばなかったものですから、それは是非、野党の皆様にも御提案があるならば提案をお願いしたいということを申し上げ、実は、つい先ほど現時点における野党案における修正の方向性を私どもはペーパーとして受け取りましたので、この後、また、この法務委員会終了後、再度協議をさせていただければというふうに考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 私、野党案、与党案それぞれ当然見させていただいておりますけれども、それぞれ、与党案の方は、民事訴訟、民事保全、これを訴えられた方々がしっかりと救済されるような形で、法テラスからの支援であったりとか財産保全の支援を受けられるような仕組みであるという具合に認識しております。

 一方、これだけでは足りないと思うわけですよね。やはり被害を受けられた方といいますのは、本当に、先ほどからもありましたけれども、心身がぼろぼろになって自殺未遂をしそうな方であったりとか、若しくはまた宗教二世の方であったりとか、そういう方々もいらっしゃるわけです。そういう中で、やはり、財産を、その対象となる宗教法人の財産をまるっとまずは保全することによりまして、安心感を与えるということが非常に重要なのかなと。

 ですので、結局、自公国案、そして立憲、維新案、どっちも大事なわけですよ。その両立をできるような形で私は歩み寄りを是非していただきたいなということで思っておるわけなんですけれども。

 昨日ですか、二回目の修正協議があったという具合に聞いております。その中で、今日のお話の中でもあったので繰り返しになりますけれども、被害者の弁護団の方から御意見も聞かれた。当然、世論のお声も聞いていただいているかと思います。与党、野党両方が聞かれているわけなんですけれども、やはり、同じ話を聞いていても、捉まえ方が変わってくれば当然考え方も変わってくるわけだと思っているわけです。

 そんな中、やはり国民の皆さんが聞いて納得できるような形で、被害者の声はこんなのだよということを、それぞれ、与党、野党の口から一度聞かせていただきたいと思うんですけれども、被害者弁護団からのお声をどのように捉まえられたのか、与党の提出者、そして野党の提出者にお伺いをしたいと思います。

山井議員 先ほど池下議員からも少し言われておりましたので、お答えさせていただきます。

 昨日、紀藤弁護士、木村弁護士、阿部弁護士、三人のお話を修正協議の場で約一時間お聞きをいたしました。この後与党の方からも御報告があると思いますが、私は一番印象に残りましたのは、包括的な財産保全の法整備、これが必要不可欠であると。与党案である個別の財産保全も必要ですね、しかし、セットでやはりこの包括的な財産保全の法整備は必要不可欠であるということを一番強く強調しておられました。

 特に、この問題に四十数年取り組んでおられます紀藤弁護士からは、与党からは、包括的な法整備というのは難しいんじゃないか、実効性が低いんじゃないかということを言われていることに対して、紀藤弁護士は、包括的な財産保全の法整備について、駄目だと言わずに土俵だけでも認めてほしい、駄目かどうかは裁判所が認めること、せめて被害者に土俵を設定してほしい、是非与党に検討してほしいということを、繰り返し言いますけれども、弁護士連絡会の方々も、与党案も必要、野党案も必要、超党派で頑張ってくださいという趣旨の中で、やはりその中でも包括的な財産保全の法整備、実効性があるかどうかというのは初めてのことなので分からない部分もあるものの、やはり土俵だけは認めてほしい、その枠組みだけ、法整備はやってほしいということを三人の弁護士の先生方はおっしゃっていました。

 それについては、是非、与党さんとも協力して実現していきたいな、そう感じました。

 以上です。

柴山議員 今、山井先生から御説明があったとおりでありますけれども、ただ、ちょっとつけ加えさせていただくと、やはり被害者が個別申立てができないという今御紹介をいただきましたけれども、その理由は、この後の御質問ともかぶるかもしれませんけれども、被害者が、精神的な傷ですとか、あるいは教団や教義への恐怖、あるいはマインドコントロール、こういったものを乗り越えられずに、なかなか、解散命令請求が申し立てられた現時点においては、司法的解決を図ることにちゅうちょされているという点、それが一つ。

 それから、これまで実務を担ってこられた方のお話の中には、教団の行為ということを立証するのに、個別の、自分に対して声をかけてきた信者の方、この方の行為というのが本当に教団の責任という、その使用者性というか、そこの部分のやはり疎明というものがなかなか難しかった、そういう御指摘もありました。

 ただ、いずれにしても、私が先ほど申し上げたとおり、解散命令請求が確定をした後には、もう清算手続、教団の財産の分配手続がいやが応にも実施されるわけですから、そこに向けては、やはりしっかりとした債権手続のための書類を整えていただかないと、せっかくの分配手続にあずかれなくなってしまいます。是非、そこは、何らかの形で被害者弁護団の皆様にも御協力をいただいて、工夫をして、できるところまではやはりしっかりとやっていただかなければいけない。そして、それをやることが我々の個別、法的手続のやはりプラスにもなっていくんだということはしっかりと弁護団の皆様との話合いの中でも認識をさせていただいたところであります。

池下委員 ただいま両法の提出者の方々からお話を聞きました。テレビ等々、インターネット等々で聞かれている国民の皆様も、やはり、同時に被害者の声を聞いた提出者の生の声を聞くことによりまして、どっちがどうなんだという理解はしやすくなるのかなということで思っております。

 ただ、今後の修正、今日三時半からですかね、先ほど理事会でも聞いたんですが、三時半からの修正協議があるということなんですけれども、いずれ我々は判断しないといけないです、ここにいる法務委員会のメンバーが判断しないといけなくなるということ、これは間違いないわけなんですけれども、ただ、今、自公国案そして立、維新案、両方出ているわけなんですけれども、どっちか片一方だけを賛成して、片一方だけを反対するのか、若しくは両方賛成するのか、若しくは両方下ろして、がっちゃんこして上げるのか、いろいろな手法があるかと思います。

 私は、先ほども申し上げましたように、足らざるところは足らざるところで補完し合う、これはやはり被害者の方々に救いの手を差し伸べるというのは共通な意識だと思っておりますので、そこで、再び与党、野党の法案提出者にお伺いをしたいと思うわけなんですけれども、今後の修正可決に向けた思い、もううちらの案だけでいいんですよとか、相手の案ものみますよとか、いろいろあるかと思うんですけれども、そこにお伺いをちょっとしたいと思います。

柴山議員 御指摘のとおり、我々は、様々な御提案を踏まえつつ被害者の救済に何が最も資するかという観点から検討した上で、我々の案がベストだという考えから提出をし、そして、先ほどおっしゃったように、与野党協議やあるいは被害対策弁護団の方々の御意見も踏まえて我々として必要な修正をさせていただいて、今日の理事会に提出をいたしました。

 その上で、じゃ、野党案についてどのように考えるかということでありますけれども、現時点においては、私どもは、宗教法人や信者がその財産を用いて許される範囲の宗教活動を行うことですら制約になり得ることから、憲法が保障する信教の自由との関係で慎重な検討が求められるということ、また、実効性の観点からしても、管理人による解散命令が命じられた場合における、例えば調査権限をどうするのかですとか、管理人に無断でされた法律行為はどのような効果になるのかですとか、あるいは常時管理人が法人の財産の処分をどのような形で把握するのかですとか、あるいは会社法で認められたような法務省が警告処分を行わなければいけないということをどう考えるかですとか、あるいは包括保全でも担保についての考え方というものはやはり必要になるのではないかとか、そういったことをいろいろと巡らせますと、やはり破産とか会社更生のような形での実効性のある包括処分というのはなかなか想定ができないということで、私どもとしては修正については提案をできませんでした。

 ただ、先ほど野党の皆様が項目案ということでお渡しいただきましたので、この後、この委員会終了後、これについて野党の皆様と協議をする準備はございます。

青柳(仁)議員 お答えします。

 我々の立場としては、先ほど来から申し上げているとおり、やはり様々な課題を野党案に対してもいただいておりますが、それらに対してはしっかりとお応えをしてきていると考えております。

 一方で、与党案の方にも足らざる点があるというふうに認識、今までの質疑等でも指摘させていただいておりますので、被害者救済という思いが一緒なのであれば、これはやはり、両案修正の上、両案成立させるか、一つの形にまとめていくということが最も望ましいのではないかというふうには考えております。

 その上で、両案をまとめる一つの方策として、先ほど私の質疑の中でも申し上げましたが、例えば特別指定宗教法人に対して包括的な保全の措置を行うということは可能でありましょうし、また、その他の様々なアイデアはあろうかと思います。

 一方で、維新の会としては、今の与党案に対しての足らざる点、これは立担保の件であるとか、それから財産の散逸、隠匿のおそれをより的確に止めていくというような方向については御提案をさせていただいているところではあります。

 それから、憲法違反であるということの御指摘を野党案についていただいているんですけれども、これは繰り返し申し上げているとおり、法律の目的は今回被害者の救済という世俗的なものであるということを明示しておりますし、それから対象の法人の限定、そして財産保全処分の要件の絞り込み、これも明記しております。さらには、二年間の時限立法である上に、今回は会社法準用ということを言われていますけれども、それも、準用という、言葉の上ではそうなんですが、一般的にあらゆる法人にとって必要な措置を設けているわけであって、宗教法人に特定したことを申し上げているわけではない、必要最小限の公益的な規制を設けているということです。

 こういった中で、何度も申し上げているんですけれども、様々な見解はあろうかと思いますが、昨日の被害者弁護団に関しましても、また、そこで参照されておりました宗教法学会の代表の方の見解でありましても、これに関して、憲法違反であるというそういった見解はございませんので、その点は明確に申し上げておきたいというふうに思います。

池下委員 与党、野党、両方から御答弁いただきました。もう時間がなくなりますので、一言だけ申し上げたいなと思っております。

 今お伺いをさせていただきましたけれども、自公国案の方は、自公国の、与党の案がベターだということで、それでやっていきたいと。当然、立憲、維新の案につきましても、足らざるところは足らざるで、しっかりと補完し合っていったらいいのかなという御意見だったのかなという具合に私は思います。

 私、国民は見ていると思います。どういう具合に採決に運んでいくのか。強硬にこれはがんとやっちゃうのか、それとも本来の被害者の方のために国会が突き進んでいくのか。それは今後の動きだと思いますけれども、私、修正協議に入っているメンバーではありませんけれども、しっかりと議論の推移を見させていただきまして、そして採決を迎えたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

武部委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 午前中に引き続いて、同じ質問をもう一度確認したいと思います。先ほども議題になりました宗教法人法の八十八条について、中途半端な討論になってしまったものですから。

 だから、過料を科した団体の名前を公表するということをしなければ、同じことが繰り返されるんです。それを今後、まあ、今できるか分かりませんけれども、やる気があるかどうか、文化庁にまずお答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 午前中の御質問の続きとなりますけれども、大変恐縮ですが、内容的には同じような御回答になりまして、やはり、宗教法人法の趣旨や情報公開法も踏まえまして、宗教法人から所轄庁に提出されている書類のうち法人の非公知の事実に関する情報を含むものや、あるいは行政内部の意思形成過程に関する資料については不開示としております。

 また、統一教会につきましても、報告徴収、質問権の行使によりまして資料を得ておりますけれども、宗教法人審議会の申合せに従いまして非公開とさせていただいております。

 また、現在、非訟事件手続法に基づき非公開で行われております解散命令事件に係る手続もございますので、そういった観点からも非公開というふうにさせていただいております。

鈴木(義)委員 私の選挙区の地元に、オウム真理教の別団体の施設があるんです。今でも公安調査庁の対象地域になっている。だから、解散命令が出て、宗教法人自体が解散したとしても、信者の人たち、教義、教典は変わるかもしれませんけれども、そこで活動しているんです、いまだに。

 難しいところは、宗教団体に信者として加盟した人方が、幾ら、これはまずいよな、自分の人生を壊されるよなといっても、そうじゃない人たちも残るということです。全員が被害者意識を持つかといったら、持たない。だから、きちっとやるところとそうじゃないところとを日頃から宗教法人法に基づいて管理監督をしていれば、こういうことが起こらないだろうということを言っているんです。

 それを、一万円、二万円の過料で、先ほどもありましたけれども、億以上の金を集めているところが一万円払って、財産目録だとか収支計算書を出さなくても、一万円過料です、ああ、分かりましたと納めるんだそうです。そういう団体が日本にどのぐらいあるのかきちっと情報公開しないで、このまま新しい法律を作ったとしても、それをやらない限り、第二、第三の統一教会みたいな団体が出てきたときに、また同じ、被害者、解散請求がされない限りは誰も救えない、そういうことになるんじゃないかという懸念なんです。

 じゃ、質問をさせていただきたいんですけれども、次に、自公国の案では三年でこの法律が失効するとなっているんです。立維案では二年としているんです。

 被害に遭ったことが分かるか、まず、被害に遭ったというふうに認識が自分自身があるかというのを、昨年の法律を改正するときに、我が党案でも、マインドコントロールが解けているかどうか自分じゃ分からないんだよ、それが信者ですよ。じゃ、そういう外形的には判断がつかない、救済をしなくちゃいけない人たちに、民法の不法行為に基づく損害賠償請求権の時効が、損害及び加害者を知ったときから三年以内であり、かつ不法行為のときから二十年。去年、法律の改正がありましたよ、三年の、二十年。これで十九年と十一か月二十九日たっちゃった人に、あしたがその時効の日ですと言ったときに救えるかという問題です。だって自分はマインドコントロールを受けちゃっているんだから。

 それについて両案提出者から御答弁いただきたいと思います。

西岡議員 鈴木委員にお答えをいたします。

 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者が損害及び加害者を知ったときから三年、又は不法行為のときから二十年が経過したときは時効によって消滅するとなっております。

 そして、三年の消滅時効の起算点である損害及び加害者を知ったときとは、被害者が加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度にこれらを知ったときを意味することとされており、加害行為が不法行為であることを知ることも必要であるとされております。

 したがって、委員御指摘のように、被害者がマインドコントロールされていたために不法行為による損害を受けたと認識することができない場合には、その間は三年の消滅時効期間の進行は開始しないと考えられます。

 マインドコントロールの特殊性については十分認識をいたしているところでございまして、法テラスによる十分な支援を通じて早期の訴訟提起を促したいと考えております。

阿部(司)議員 鈴木委員にお答え申し上げます。

 今し方御説明ありましたとおり、被害者がマインドコントロールされていたために不法行為による損害を受けたと認識することができない場合には、その間は三年の消滅時効期間の進行は開始しないと解釈されております。

 その上で、我々の案におきましては、裁判所が保全処分を命ずるための要件の一つとして、相当多数の個人において多額の損害が生じていると見込まれることと規定をしまして、マインドコントロールによる被害のような潜在的な被害を考慮した上で、裁判所において保全すべき財産の範囲が適切に判断されるものと考えます。

鈴木(義)委員 先ほど最後に申し上げた十九年と十一か月と二十九日目にマインドコントロールが解けて、あと一日しか時効期間がない人は救えないということですね。そういうことですよね。

 結局、マインドコントロールを受けているかどうかは自分で自覚できないところが一番の問題なんだと思うんですよね。それをなぜ三年とか二年で切るのか、そこがよく分からないんだよね。同じ答弁しかしないんでしょうから、次にもう一つだけ。

 自公国案の七条の一項の二号における把握する必要があると認められる場合とか、十一条の一項のところに、財産の、何がしの特定不法行為に係る被害者の権利を害するおそれがあると認められるときというのは、この認められるときという言い方をするんですけれども、これは法律用語だから私はよく分からないんですけれども、誰が認めると言ったらこれが該当するんですか。どういう状態だったらそれが該当するのか、状況にある場合ですね、それを最後にお尋ねして、終わりにしたいと思います。

西岡議員 鈴木委員にお答えいたします。

 二点についてお尋ねがございました。

 第七条第一項第二号の規定は、本法案第三章の特例が対象宗教法人の財産の処分、管理の状況を把握できるようにすることを趣旨とするものであることから、同章による特例措置の対象となる指定宗教法人の要件規定としてもこれを明記したものでございます。すなわち、解散命令請求等がなされた法人は、解散命令を予期して財産隠匿などを行うおそれがあることから、本法案では、これら法人における財産処分、管理の状況の把握を可能とし、その透明化を図ることにより、財産隠匿等を抑止しつつ、個々の被害者が適時の民事保全等の対応を円滑に行えるようにしております。

 こうした本法案の趣旨から、特定解散命令請求等がなされており、かつ、特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれるような宗教法人であれば、一般的には財産処分、管理の状況の把握の必要性が認められ、第七条第一項第二号に該当することとなると想定されております。例えば、被害者が、更なる賠償請求等が行われる見込みが全くない場合などには、状況把握の必要がないものとして当該要件には当たらないこととなると考えられます。

 第十一条については、第十一条第一項において、特別指定宗教法人の指定要件として、被害者の権利を害するおそれがあるときは、例えば、当該指定宗教法人が財産隠匿や無償の供与等の行為を積極的に行い、その保有財産を減少させている状況があり、被害者に対する損害賠償等の弁済にも影響が生じることが懸念される場合が当該要件に当たるものと考えられます。

鈴木(義)委員 時間が来たので終わりますけれども、宗教法人の指定というより、認可を受けていなくても活動している団体が世の中いっぱいあるんですってね。今のオウムから分かれたのも、宗教法人を取っていない、それでも活動はしているんです。そういったところは、じゃ、誰が監督するんですか。誰も監督しない。そこも必ず問題になってくるんじゃないかと思います。

 ありがとうございました。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子です。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 統一協会の問題、端的に御答弁いただければというふうに思っております。

 統一協会なんですけれども、韓国の統一協会本部から要請があれば日本の統一協会本部は財産の所有権の移転などを行う組織であるというふうに考えるか、自民党の提案者、そして立憲民主党の提案者の方に伺いたいと思います。

山下議員 これについて、今後、旧統一教会の日本本部が韓国に財産の所有権の移転などを行うかどうかというのは、我々が申し上げる立場にはないということでございます。

 ただ、我々としては、提出した法案を十分に活用することにより財産の散逸を防ぐことが可能であるというふうに考えております。

山井議員 お答え申し上げます。

 過去の大規模消費者被害を発生させた企業の行動を振り返ると、破産に至る直前まで、通常の企業活動を行っているように装いながら被害者を生み出し、破産したときには全く資産が残されていないとの状況は多く見受けられます。

 提案者としては、旧統一教会が、解散命令請求のための質問権行使で明らかになったとおりの利益の獲得を目的とする団体である限り、韓国からの指示の有無にかかわらず、日本で得た利益を確保するためその財産の処分が行われるものと危機感を持っております。

本村委員 今、山井議員が危機感を持っているという御発言がありましたように、被害者の方々も、統一協会にずっと苦しみ続けてきた、そういう状況から、もっと警戒してほしいというお声が上がっております。

 今日、資料に、十一月二十九日、旧統一教会の被害者(一世、二世、親族)有志一同、宗教二世問題ネットワークの皆様からの要請書を出させていただいておりますけれども、その中にも警戒心がよく表れております。そして、その上で、両案の双方を可決するよう求める要請書が出されております。でも、ここで注意するべきは、与党案だけでは財産保全は極めて不十分なのだという指摘なんです。

 資料二には、全国統一教会(世界平和統一家庭連合)被害対策弁護団からの声明も出させていただいておりますけれども、ここには建設的な修正内容も提案されております。

 是非こうした内容に真摯に応えていくべきではないかと思いますけれども、与党の方、お願いしたいと思います。

 できないならいいです、時間がないので。じゃ、いいです。済みません。

 それで、自民党の皆さんを中心に、統一協会に対する解散命令請求をされるに至った被害の実態をどう認識しているのかということが問われてまいります。解散命令請求の文書を見ても、大変深刻な、長期的な、悪質、継続、反復、こうしたことが書かれておりますけれども、先ほども御指摘がありましたように、青春を返せ訴訟では、正体を隠して勧誘する統一協会の勧誘手法そのものが信仰の自由を侵害しているおそれがあり違法というふうに認定をされております。

 この統一協会を通常の宗教法人などと同じと扱っていいのかということが問われるというふうに思いますけれども、これは自民党の提案者、立憲民主党の提案者にお願いしたいと思います。

小倉議員 旧統一教会は、過去四十年以上にわたりまして組織的に行われた不法行為によりまして、少なくとも被害者千五百五十人に対し総額約二百四億円に上る被害を与え、また、家族を含めてそれらの方々に看過できない重大な悪影響を与え、甚大な被害を及ぼして全国的な社会問題として扱われるまでに至り、だからこそ、文化庁において解散命令請求がなされたもの、こう承知しております。

柚木議員 お答え申し上げます。

 重複を避けて、先ほどの自公国提案者からもありましたように、そのような、まさに四十年以上にわたり、千五百五十人、総額二百四億円にわたる被害を与えたこと等を理由に解散請求がなされている中で、このように悪質な行為によって、まさに今、この瞬間、解散命令請求がなされているような宗教団体については、当然、信教の自由は配慮しつつではありますが、被害者保護の観点から、まさに他の宗教団体とは異なる制約を及ぼすことも許されると考えまして、本法案を提出したところでございます。

本村委員 小倉議員が言われました約二百四億円というのは、既にもう支払い済みの、解決金などの既払いされたものの額でございます。更に被害額は増えるだろうというのは火を見るよりも明らかだというふうに思います。

 立憲民主党さん、日本維新の会の二政党の法案は、衆議院の法制局からも憲法違反ではないというふうに答弁をされ、私たちもそう思っております。憲法違反でもないですし、日本宗教連盟の皆さんが心配されている、会社法の保全の規定を宗教法人に乱暴に当てはめる法案でもないというふうに思いますけれども、これは立憲民主党の提案者の方にお伺いをしたいと思います。

柚木議員 お答え申し上げます。

 まさにおっしゃっていただいたように、我々の法案については、法律の目的が被害者の救済という世俗的なものであることを明示するとともに、対象法人の限定、そして財産保全処分の要件の絞り込みなどを明記をしておりまして、加えて二年間の時限立法とするなど、憲法が保障する信教の自由及び財産権に十分配慮し、憲法に違反しないものとして制度設計をしたものである。

 宗教連盟の団体のことをおっしゃっていただきましたが、まさに宗教法学会の幾つか言及がありましたが、例えば、規制するのは財産処分であって、宗教活動を直接規制するものではない、よって信教の自由を侵害するには当たらない、そう各学者の先生方も述べていただいているものと承知しております。

 そして、本法案における会社法の規定の準用については、文字の上では会社法を準用しておりますが、弁護士法人など一般の法人とは別の配慮が必要な法人の仕組みを参考に立案をしておりまして、例えば株式会社にも宗教法人にも共通するような必要最小限の公益的な規制を設けたものでありまして、問題ないものと考えております。

本村委員 ですので、日本宗教連盟の皆さんにもそうした安心をしていただける案であるということが確認されたというふうに思います。

 次に、オウム真理教に対する解散命令請求の前後に起こった現金の散逸、不動産名義移転などをどういうふうに認識をされているのか、二度とこうしたことを起こしてはいけないというふうに思いますけれども、これは公明党の提案者の方にお伺いしたいと思います。

大口議員 本村委員にお答えをいたします。

 与党PTでヒアリングをいたしました全国統一教会被害者弁護団から配付をされた資料によりますと、幾つかのオウム真理教名義の不動産が関連会社や信者の名義に移転した事案があり、破産後、破産管財人による否認権行使訴訟が行われたとされています。

 当時も宗教法人法二十三条があったんですが、これは不動産等の処分を信者等の利害関係人へ境内に掲示をするということだったんですが、今回、与党案におきましては、所轄庁に通知をして、所轄庁から広く公告をするという形にしまして、財産処分一か月前にそういう公告をすることによって民事保全を機能させるということでございます。

 また、二十五条の四項は、オウムの事件を受けた後、平成七年に改正をされまして、そして財務諸表の所轄庁への提出ということになったわけでありますが、今回、自公国案におきましては、三か月に一回これを提出させて、そして特別指定法人の場合における閲覧、これを被害者にしていただくということで、バージョンアップを更に今考えておるということでございます。

本村委員 バージョンアップをしていただく際には、統一協会の被害に長年苦しみ続け、恐怖の中で、それでもやっと被害を訴えることができるまで、そして、解散命令が出されるまで、債権債務、これが確定するまでの間、しっかりと、財産が散逸しないように、隠蔽されないように、包括的な財産保全をすることを、改善するよう協議を求めて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三分散会


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