衆議院

メインへスキップ



第6号 令和5年12月5日(火曜日)

会議録本文へ
令和五年十二月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武部  新君

   理事 熊田 裕通君 理事 笹川 博義君

   理事 谷川 とむ君 理事 牧原 秀樹君

   理事 鎌田さゆり君 理事 寺田  学君

   理事 池下  卓君 理事 大口 善徳君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      伊藤 忠彦君  英利アルフィヤ君

      小倉 將信君    奥野 信亮君

      勝目  康君    柴山 昌彦君

      高見 康裕君    中曽根康隆君

      中野 英幸君    仁木 博文君

      平口  洋君    藤原  崇君

      柳本  顕君    山下 貴司君

      山田 美樹君    鈴木 庸介君

      中川 正春君    西村智奈美君

      藤岡 隆雄君    山田 勝彦君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      阿部 弘樹君    青柳 仁士君

      美延 映夫君    日下 正喜君

      中川 宏昌君    鈴木 義弘君

      本村 伸子君

    …………………………………

   議員           小倉 將信君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           山下 貴司君

   議員           西村智奈美君

   議員           柚木 道義君

   議員           阿部  司君

   議員           青柳 仁士君

   議員           金村 龍那君

   議員           大口 善徳君

   議員           日下 正喜君

   議員           西岡 秀子君

   法務大臣         小泉 龍司君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   法務委員会専門員     三橋善一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     勝目  康君

  井出 庸生君     山下 貴司君

  高見 康裕君     柳本  顕君

  三ッ林裕巳君     柴山 昌彦君

  宮路 拓馬君     小倉 將信君

  山田 勝彦君     藤岡 隆雄君

  吉田はるみ君     西村智奈美君

  阿部 弘樹君     青柳 仁士君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     宮路 拓馬君

  勝目  康君     東  国幹君

  柴山 昌彦君     三ッ林裕巳君

  柳本  顕君     高見 康裕君

  山下 貴司君     井出 庸生君

  西村智奈美君     吉田はるみ君

  藤岡 隆雄君     山田 勝彦君

  青柳 仁士君     阿部 弘樹君

    ―――――――――――――

十二月四日

 国籍選択制度の廃止に関する請願(近藤昭一君紹介)(第二一八号)

 元々日本国籍を持っている人が日本国籍を自動的に喪失しないよう求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第二一九号)

 治安維持法犠牲者に対する国家賠償法の制定に関する請願(谷田川元君紹介)(第二七〇号)

 選択的夫婦別姓の導入など、民法・戸籍法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三一号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三三四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三三六号)

 同(宮本徹君紹介)(第三三七号)

 同(本村伸子君紹介)(第三三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案(柴山昌彦君外五名提出、衆法第一〇号)

 解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出、衆法第一一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

武部委員長 これより会議を開きます。

 柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 この際、柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案に対し、柴山昌彦君外五名から、自由民主党・無所属の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。柴山昌彦君。

    ―――――――――――――

 特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柴山委員 ただいま議題となりました特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本委員会における二回の審議及び法務委員会文部科学委員会消費者問題に関する特別委員会連合審査会の審議においては、法テラスの償還等の免除の範囲を明確にすべきであるとの指摘や、指定宗教法人の指定を経ないで特別指定宗教法人の指定を行うことも認めるべきであるとの指摘等がありました。

 このような指摘等を踏まえ、被害者の迅速かつ円滑な救済に資するため、本修正案を提出することといたしました。

 以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、日本司法支援センター、いわゆる法テラスの業務の特例における償還等免除の範囲に係る「必要かつ相当な範囲」の内容について、これを条文上具体的に明記し、法テラスの償還等免除の範囲を明確にすることといたしました。

 第二に、特別指定宗教法人に適用される特例について、四半期ごとの財産目録等の作成、提出と被害者の閲覧の二つがあるところ、これを分離し、四半期ごとの財産目録等の作成、提出の特例を指定宗教法人の特例とし、特別指定宗教法人についての特例は、被害者の閲覧の特例のみとすることといたしました。

 また、財産目録、収支計算書、貸借対照表の作成及び提出について、指定を受けた日の属する四半期の翌四半期分から義務づける規定を改め、当該指定があった日の属する四半期分から義務づけるものとすることといたしました。

 第三に、特別指定宗教法人の要件を満たす対象宗教法人については、指定宗教法人の指定の手続を経ずとも特別指定宗教法人として指定できるものとすることといたしました。

 また、特別指定宗教法人の指定の要件について、指定宗教法人の指定の要件に該当することに加えて、財産の内容及び額、財産の処分及び管理の状況その他の事情を考慮して、対象宗教法人について、その財産の隠匿又は散逸のおそれがあると認めるときとすることといたしました。

 そして、特別指定宗教法人に係る財産目録等について、特別指定宗教法人の指定前又はこの法律の施行前に所轄庁に提出された前年度の財産目録等についても、被害者が閲覧できるようにすることといたしました。

 第四に、検討条項の内容について、財産保全の在り方を含めてこの法律の規定について検討を加えるものとすることといたしました。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

武部委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより両案及び修正案に対する質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 おはようございます。立憲民主党、西村智奈美でございます。

 旧統一教会の被害救済に向けては、いよいよ本当に重要な局面に入ってきたというふうに考えております。

 昨年七月以降、改めて、我が国において旧統一教会の被害実態がこれほどまでに深刻で、かつ長く続いていたということが明らかになってまいりました。

 それと同時に、旧統一教会と政治との関わりも明らかになっております。特に深く長い関わりがあったのは自由民主党の方々でおられます。私たち立憲民主党としては、旧統一教会被害対策本部を早急に立ち上げ、全国会議員に調査、全てを公表いたしましたけれども、自民党の方々におかれては、点検ということが行われたのみで、申告したのに公表されていない方々がいらっしゃる、そもそも点検の対象にすらなっていない議員の方もおられました。

 その後、いわゆる悪質寄附規制法が成立をいたしまして、その後の課題として、解散命令請求や財産保全の問題があるというふうに指摘されておりました。

 この間、私たちは、被害者の方、あるいはこれまで旧統一教会の問題と闘ってきた弁護士の先生方からも何十回もヒアリングを行い、延べ百人を超える被害者の方々からのヒアリングを行ってきたところでございます。

 昨年の十一月二十二日には初めての質問権が行使され、今年十月十三日には解散命令請求が文化庁から東京地裁に対して行われております。

 こういった状況の中で、私たちは臨時国会の冒頭の初日に特別措置法案ということで包括的な保全を可能にする法案を提出、日本維新の会の皆さんは宗教法人法の改正案を国会に提出されたわけですけれども、十一月の二十一日、私たちの提出から一か月たってやっと自公国の三党の法案が国会に提出された。極めて自公国の対応は遅いということはまず申し上げなければなりません。

 その後、私たちは、それぞれの法案を取り下げまして一本に取りまとめ、改めて国会に提出をいたして、そして、提出者会議というものも行われる中で、十二月の一日に修正案の概要が示されて、そして今、柴山提出者の方から修正案についての質疑があったということでございます。

 私は、やはりまずは、被害者の救済のために、旧統一教会の財産を散逸させないということ、このことを最優先に、最速で行うべきだというふうに考えておりまして、私たちの法案が必要だということは、これはもう最初から最後まで訴えをしなければなりません。

 他方で、民事保全、今ある仕組みを拡充するという点におきましても、これは評価できるところがあるというふうに思っております中で、今日示された修正案の中での、特に附則の部分でございます、この附則の解釈について私は伺いたい。

 まず一点は、この附則の修正案ですと、法施行後、三年後を目途にということですので、随分悠長な構えだなというふうに見えるわけです、読めもするわけです。ここはどういう意味なのか。

 多額の財産の散逸あるいは隠匿の兆候があったり、実際に散逸や隠匿が行われた場合などにおいては、やはり、施行後三年と言わずに、例えば施行後一週間であっても一か月であっても、二か月、三か月、半年、一年、必要があれば、財産保全に向けた法制上の措置を講ずることに向けていつでも検討に入るということは私は必要だと思っておりますけれども、そのとおりで相違ないでしょうか。

柴山議員 お答え申し上げます。

 附則第六条の規定に基づき、この法律の施行の状況等を勘案した結果、具体的に検討するべき課題が生じた場合においては、三年を待たずに、財産保全の在り方を含めこの法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他所要の措置を講ずることとなります。

 ただし、今の段階で対応の時期をお答えすることは差し控えます。

西村(智)委員 三年を待たずにということで御答弁ありました。

 旧統一教会の被害者の皆さんからのお話を伺いますと、やはり普通の民事保全とは違うという大前提に立たなければいけないということも、私たちは改めて確認をしてきたところでございます。

 一つには、この委員会の中で、先日、吉田統彦委員が指摘をされたように、例えばジャパンライフの問題、これは、実際に救済された方々、あるいは金額が僅か全体の被害額の一・二%なんですよね。大規模な消費者災害については、個別の救済あるいは損害賠償ということではなくて、やはり公益的な取組があらかじめ必要ではないかという議論も、今、消費者庁の方で始まっているというふうに伺っております。

 やはり、財産が散逸して救済できないということを防ぐためにも包括保全が必要であるということ。

 また、オウムの経験もありました。オウムに関しては三割ぐらいしか救済がされていない。実際に、解散命令請求から随分多くの不動産などが散逸をしているという状況もありました。

 また、民事保全の申立ても実は時間がかかるんだという弁護士の先生方からのお話、私たちも一緒に、提出者の皆さんとともに伺ったところでありますし、そもそも、信者さんから、疎明をするということは実はこれが一番難しいんだと。領収書は取っていない、マインドコントロールに置かれている。また、裁判官の方も、地域によっては、いろんな地域でやっている方がいらっしゃるし、同じ方々にいつも当たるわけではないというようなことですとかですね。

 やはり、こういうふうに手をこまねいていると、私は、本当に、法テラスでいざ裁判をやったとしても、実際に返すお金がなくなっていた、そういった事態を招きかねないというふうに思っております。

 ですから、これ以上そのような散逸を防ぐためにも、次の質問について、包括的財産保全について伺いたいと思っております。

 多額の財産が散逸や隠匿するおそれがある場合、あるいは実際にそういったことが行われている場合など、必要があると認めるときは、包括的な財産の保全について講ずることは必要だというふうに考えております。この点について提出者の答弁を求めます。

柴山議員 私どもの修正の附則六条において、財産保全の在り方を含めという文言を加えさせていただきました。

 この法律の施行の状況等を勘案した検討に委ねられることとなりますけれども、その検討がなされる時点において実効的な財産保全の方策が検討の選択肢となり得るものと考えられます。

 ただし、今の段階で具体的な選択肢についてお答えすることは差し控えます。

西村(智)委員 実効的な財産保全の第一歩は包括的な財産保全であるということを強く申し上げたいと思います。

 それでは、次に、今朝も報道がありました、岸田総理、当時自民党政務調査会長が、二〇一九年の十月四日に、世界平和統一家庭連合、旧統一教会の友好団体のトップと面会をされていたという報道、問題について柴山提出者にお伺いをしたいと思っております。

 二〇一九年十月当時、柴山提出者は政務調査会長代理だったのではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

柴山議員 その立場にはおりました。

西村(智)委員 柴山当時政務調査会長代理は、十月四日のこの面談に同席しておられましたか、あるいは、この件について関与しておられましたか。

柴山議員 同席しておりませんし、今朝の報道を見て初めてそのときの状況について知った次第です。

西村(智)委員 これは、私たちも党内でいろいろ調査をいたしましたけれども、自民党におかれても、点検ということではありますが、全国会議員に自己申告での報告を求められていたわけです。

 柴山提出者御自身も、二〇二一年と二〇二二年、二回、関連団体の会合に出席をされたということを自己申告されて、それは自民党の方から公表がされました。党内のそうした議員さんなどに対してはいろいろ点検が求められ、そしてこのように公表されているわけですけれども、岸田総理御自身が、承知していないというこの一言で済ませようとしているということについて、柴山提出者は、御自身が二回あったというふうに申告し、公表されたことについてどういうふうにお考えでしょうか。

柴山議員 今申し上げたとおり、私、その場に同席をしておりませんし、今御指摘になられた面談については、当時の岸田政調会長がギングリッチ元米国下院議長とお会いになったということでありまして、その同行者についての質問に対して、岸田総理がおっしゃるような答弁をされたということ以外に私どもとしてお答えする立場にはありません。

西村(智)委員 ただ、今日も新聞一面に写真が出ておりまして、並んで写っている写真があるんですよね。私、これはやはり岸田総理に、機会がありましたら御本人に伺いたいと思っております。このような、承知していないというような答弁を総理がされればされるほど、総理御自身が旧統一教会の被害についてその事態を小さく見て、そして御自身の関わりについてもできるだけ小さく見せようとしている、何か逃げようとしているというふうに映ってしまうんですよね。

 この映ってしまうという中で、今回、財産保全についての法案がこうやって議論されているわけですけれども、ここできっぱりとした態度を示していただくことが、私は、この問題について自由民主党の皆さんも真っ正面から向き合って、そして解決をしていこうというその意思の表れになっていくと思うんです。

 ですから、是非総理にもそのことをお伝えいただけるのかどうか、ありますけれども、是非そこは伝えていただいて、ここは逃げることなくきちんと説明をすること、それが私は被害者の皆さんに対する誠意だというふうに思っております。

 その意味においても、私たちは、包括的な財産保全をやって、バケツの穴をまずはしっかりと塞いで、そして民事保全という土俵に立てるように環境を整える、これが立法府としての責任だというふうに強く思っております。

 ですから、私たちの今回の法案の成立を最後まで強く求め、私の質問とさせていただきます。

 終わります。

武部委員長 次に、青柳仁士君。

青柳(仁)委員 日本維新の会の青柳仁士です。

 我が党の立場は、これまでの質疑でも何度も申し上げてきたとおりでありまして、今ここに至る経緯というのも西村議員の方からお話がありましたので、重ねて説明することはいたしません。

 我が党としては、引き続き、我が党として提出させていただいた法案、そして自公国の案、両方がやはり被害者救済には必要なのではないかという立場でありますので、その点をまず強調させていただいた上で、少ない時間ですので質問に入らせていただきます。

 まず、日本維新の会としてこれまで、実務者の協議、それからこういった委員会の中で、特に、十一月三十日の提出者会議、それから十二月一日の連合審査、その他の様々な協議において、三点提案をさせてきていただいております。これらについて、法案の中で、どのように修正案の中で御検討されたのかということについてお伺いできればと思います。

 一点目は、民事保全の利便性の確保ということで、民事保全について、合理的な理由に基づいて担保を立てた後、万が一、立担保に関する損害賠償訴訟で敗訴した場合に、生活に窮した被害者が負担することがないようにできないかということ。

 二点目は、対象法人の財産状況の早期把握ということで、我が党の財産保全に近い措置として、管理人が財産状況の把握を行うことと同様の措置を取れないか。例えば、対象宗教法人の財産状況を所轄庁及び被害者が可能な限り早期に把握できるよう、特別指定宗教法人による財産目録や財務諸表等の提出と閲覧について、より早期にできないかということ。

 三点目は、立憲、維新案の中でずっと言ってきております包括的な保全の必要性ということについて、附則に盛り込むことができないか。

 この三点を繰り返し申し上げてきたところですけれども、今回、修正案の中で一定程度措置されているというふうに理解しておりますが、改めて、どのような形で検討していただいたのかお答えいただければと思います。

山下議員 青柳委員にお答えいたします。

 青柳委員始め維新の皆様におかれては大変建設的な御議論をいただきまして、共同提出者としても真摯に対応させていただいたところでございます。

 私からは、附則に関しましてちょっとお答えをさせていただきたいと思いますけれども、御指摘がございました附則については、これは三年間何もしないということではございませんで、附則の規定は、この法律の施行の状況等を勘案した結果、具体的に検討するべき課題が生じた場合においては、これはやはり三年を待たずに、財産保全の在り方を含めこの法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他の所要の措置を講ずることになるというものでございます。

 ただ、今の段階では、やはり本法の施行、これに全力を挙げて被害者の実効的な救済をさせていただきたい、これに全力を挙げたいと思いますので、具体的な内容についてはお答えは差し控えさせていただきたいのですが、そうした財産保全の在り方を含むというふうな文言を盛り込ませていただいたのは、青柳先生始め御党の御提言、これをしっかりと真摯に受け止めたものと承知しております。

大口議員 青柳委員に対してのお答えをさせていただきます。

 日本維新の会の先生方から、保全手続の立担保に係る負担の軽減、そして、指定宗教法人の指定を経ずに特別指定宗教法人に指定することができるようにすること、財産の散逸、隠匿の防止に資するため財産目録等を早期に閲覧できるようにすること、こういう御提案をいただきました。

 まず、保全手続の立担保に係る負担でございますが、十二月一日の審議において青柳議員から御指摘があったところ、保全手続の立担保に係る負担について、当初の案においては、被害者が支払う償還金等は必要かつ相当な範囲で免除できるとしておりました。修正案では、その内容を具体的に明記することとしまして、このように、現行の運用より免除の範囲を拡大することとしたものでございます。

 具体的には、免除できない例外的な場合として、弁護士費用等について、被害者が一定以上の資力を有する場合等、また、民事保全手続における立担保の援助費用について、被害者が当該民事保全手続に関し故意又は重大な過失により相手方に損害を与えた場合等を掲げ、このような場合以外は免除できるものとしたところでございます。

 また、指定宗教法人の指定を経ない特別指定宗教法人ということで、当初案では、段階的に、指定宗教法人の指定の後に特別指定宗教法人となる流れを想定していましたが、この点につきまして、指定から特別指定の期間が長くなれば、その間に必要な財産の流出がなされてしまう可能性があるという御指摘もありましたので、そこで、当初から特別指定宗教法人の要件が満たされている場合には、指定宗教法人の指定を経ずとも特別指定を行うことができるとしました。

 また、三番目に、指定宗教法人が不動産の取引について申告し通知しなければならないということと特別指定宗教法人の財産目録等の作成の間に時間的な間隔があることについて問題提起をいただきました。これにつきましては、特別指定宗教法人に適用される特例であった四半期ごとの財産目録等の作成、提出との特例を指定宗教法人の特例として再整理して、所轄庁で情報を把握できるようにするとともに、特別指定宗教法人の指定があった際に、被害者が閲覧できるようにする書類の範囲を拡大する修正をしたところでございます。

青柳(仁)委員 そういった様々な、与党案の中で足らざる部分というのを修正案ということで示していただいたことに関しては、我が党としては評価しているところであります。

 別の質問をさせていただきたいんですが、附則の第六条で盛り込まれております、ちょっとこの条文をそのまま読みますと、「政府は、この法律の施行後三年を目途として、その施行の状況等を勘案し、この法律の延長及び財産保全の在り方を含めこの法律の規定について検討を加え、」というふうにあるんですけれども、ここで言っている財産保全という言葉については、提出者協議の中でも再三にわたり、これは法律用語であるというふうなお話があったんです。

 例えば、会社法の第八百二十五条、会社の財産に関する保全処分というところに、「会社の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分その他の必要な保全処分」、こういう言葉が出てまいります。ここで言うところの、これは法律用語なわけですけれども、この附則第六条で言っている財産保全という言葉の中には、会社法で言うところの会社の財産に関する保全処分というものは当然含まれるという理解でよろしいでしょうか。

山下議員 青柳委員にお答えいたします。

 附則六条は、これは法律の文言でございまして、法律に記載されているとおり、この法律の施行の状況を勘案した検討に委ねられるということでございます。

 その検討がなされる時点において、やはり一番大事なのは、実効的な財産保全が何であるのか、どうあるべきかということでございます。これを財産保全の在り方という、まあ、財産保全という言葉自体は、財産の保全ということで、法律用語としていろいろなところに書いてあるものでございますから、それをさせていただいたということでございますが、ただ、例えば実効的な財産保全の在り方がどうあるべきかということについて検討の対象となるというふうには考えております。

 ただ、今の段階で具体的に、どういった財産保全の在り方といったもの、あるいはそれも含めて、具体的な検討内容についてお答えするのはちょっと差し控えをさせていただきたいと思います。

 我々としては、御党の御提言もいただきながら修正を加え、そして、これが成立いたしましたら、実効性ある被害者の救済に全力を挙げる、このことにしっかりと全力を挙げていきたいというふうに考えておるところでございます。

青柳(仁)委員 先日からずっと申し上げているとおり、自公国案は、修正されて一定程度より強力にはなっているものの、財産の隠匿、散逸ということのおそれがやはり否定できないのではないかと私は思っております。

 こういった法案が仮に成立したとして、もしそのような事態になれば、立法者として国民の世論という形で審判を受けることになりますので、そういったことになれば、三年を待たずに、すぐにこのやり方について再検討するというのは当然であると思いますし、その中で、今、否定はされなかったと思うんですが、財産保全の在り方は実効性のある方策の中でベストな、最善のものを選ぶ、これは当然のことだと思います。その選択肢の中には、会社法の中に言う保全処分というのは、法律に明記されている財産保全の在り方ですから、これは当然含まれるものと理解しておりますし、その点についてはやはり、今の御答弁にありましたように、否定するのは難しいのではないかというふうに思います。

 また、今回の立憲、維新の方で出させていただいた法案に関しても、そういった会社法の保全の仕方を準用しているわけですから、それらの保全の仕方というのは否定されないものであるというふうに考えております。もしこれが否定されるものであるなら、ちょっと追加の御答弁をいただきたいと思うんですが。

 そういった中で、我々もずっと申し上げてきたのは、被害者救済というふうに考えたときに、今、自公国案だけだと、被害者の方が御自身で旧統一教会に対峙しなきゃいけなくなるわけですね。裁判という形で、当事者は被害者対旧統一教会。でも、それはなかなかやはり怖いんじゃないかと。再三ほかの委員の質疑でもありましたけれども、怖いですし、ハードルが高いですし、心理的になかなかそこに踏み出すことはできないんじゃないかと思うんです。

 ですから、やはり国対統一教会という形をつくってあげる、それが我々の法案なわけですけれども、そういう形をつくった上で、国の後ろから被害者の方々が旧統一教会と対峙できる形をつくってあげるのが、これがやはり本当の意味での実効性というものにつながるのではないか。これは、これまでの協議や委員会でもずっと申し上げてきたことであります。

 こうした我々の、やはり国対統一教会という構図をつくってあげるということが重要なのではないか、この点について、改めて与党の提出者の方にお伺いできればと思っております。

小倉議員 青柳委員の御指摘、非常に重要な点だと思っておりますし、被害者の方がたった一人で立ち向かっているというような、そういった心理的な障害、これはしっかりとなくしていかなければならないと思っています。

 我々の法案の提出者一同、だからこそ国が被害者に対しきめ細やかな支援をすることが大事だと思っておりまして、党PTでは被害者の声を真摯に聞き、訴訟のハードルを下げる支援だけではなく、非司法的な支援についても多様なニーズがあることも伺ってまいりました。

 例えば、マインドコントロール下にあったり、また、脱会できたとしても精神的に深い傷を負っていたり、現実的な不安にさいなまれる状態にある被害者の方々の精神的なケアに加え、生活の困窮や孤立への支援、就学、就労等を支援していくことも重要であると考えております。

 こうした中で、御指摘のように、国が被害当事者を全面的にサポートすべく、与党PTにおきましては、元信者や宗教二世、三世の方々の知見等を活用した相談支援体制の構築でしたり、関係省庁が連携したワンストップ型相談支援体制の強化など、社会的、福祉的、精神的支援を拡充するため、司令塔機能を持つ内閣官房に関係省庁連絡会議を設けるべきである旨を含めた緊急提言をまとめたところであります。

 こうした私どもの提言がしっかり機能するかどうか、我々も今後の政府の取組を注視をしてまいりたいと思いますし、是非、御党におかれましても、こうした観点から政府の取組について御意見を賜れればいいのかな、このように思っております。

青柳(仁)委員 今お話の中にありました非司法的な支援、こういったものも重要であるということを認識されていると思います。また、国が全面的に支援を行っていると、これは是非明示していただいて、被害者の方に、ただ後ろから応援するから頑張れと言っているわけではなくて、国が先頭を切って支援をする、全面的な支援をする、全面的に前に立つ、こういう形をやはりしっかりと持つということが極めて重要であると思います。

 与党案に関してはそういった点が欠けていると思いますので、是非、執行のところでしっかりとその辺を担保していただくということと、それから、最後になりますが、改めて、両案は対立するものでもありませんし矛盾するものでもないと思っておりますので、両案は補完するものとして、両案の成立をお願いをさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 まず、統一協会による被害者の方々や弁護団の方々を参考人としてお呼びをし、そして声を聞くべきだったというふうに思います。そのこともせず採決ということには、私は反対です。

 修正案が出されましたけれども、与党を含む三党案の修正、財産保全の在り方検討条項の部分では、政府が施行後三年をめどとして検討を加えるというふうに書かれておりますけれども、三年を待っておられないというふうに思います。今すぐ包括的な財産保全規定を実現するための検討、協議を与野党で行い、一刻も早く包括的な財産保全規定を盛り込むことが必要だと考えますけれども、自民党の提案者にお伺いをしたいと思います。

柴山議員 ちょっと整理をして御答弁をさせていただきたいと思います。

 まず、私どもといたしましても、これまでPTをつくって何度も被害者の方々ですとか、あるいは弁護団の方々とお話をさせていただきました。そして、私どもといたしましては、まずは現時点において既に実務的に確立した救済方法を強化する形の法律案を一刻も早く成立をさせていただき、そしてその上で、その施行状況をきちんと見極め、また野党の皆様や弁護団の皆様にもその周知等にも全力を尽くしていただくということが重要だと考えております。

 そして、その上で、すぐにでも財産保全を実現するための協議に入るべきだというお話なんですけれども、私どもの附則第六条におきましては、今申し上げた、法施行の状況等を勘案した結果、具体的に検討するべき課題が生じた場合においては、先ほども答弁したとおり、三年を待たずに、財産保全の在り方を含めこの法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他所要の措置を講ずることとなるというように申し上げました。また、その検討の内容については、この法律の施行の状況等を勘案して、その検討がなされる時点において実効的な財産保全の方策が検討の選択肢となるというように申し上げております。

 それから、先ほど青柳委員からの御質問にもありましたけれども、検討条項の主語が政府となっていることについて問題意識があるというふうに感じておりますけれども、御指摘の検討条項の主語につきましては、この法律の施行後、その施行の状況等を適切に把握することができる、あるいは、必要な課題への対策について法律上の措置に限らず必要な措置を講ずることが必要である、こういった、要するに具体的な手段を持っている政府を主語とすることが適切であるということから、このような文言とさせていただきましたけれども、私ども立法者としては、当然のことながら、被害者に対する実効的な救済の観点から、今後も施行の状況を注視してまいりたいというように考えております。

本村委員 ということは、三年を待たずに、提案者を含めて与野党、私どもは全党で協議をするべきだというふうに思いますけれども、そのことはお約束いただけるんですね。

柴山議員 先ほども申したことの繰り返しでありますけれども、立法者、つまり今回の提案をさせていただいた私どもといたしましては、被害者に対する実効的な救済の観点から、今後も施行の状況を注視し、そして必要な場合には適切な対応を取らせていただくということをお約束申し上げます。

本村委員 与党は、被害者の皆さんの声を聞いているというふうにおっしゃるんですけれども、被害当事者の方や弁護団の方から言わせれば、圧倒的に時間は足りないというふうに指摘をされているんです。野党の皆さん、提案者の皆さん、国対ヒアリングなどを行って、本当にもう何回も何回も繰り返し被害者の声を聞いてきたのに比べて、圧倒的に被害者の声を聞くことが少なかったというふうに指摘をせざるを得ないというふうに思っております。

 昨日も被害者の方からお話を伺いましたけれども、十年かかってやっと脱会できたというお話をお伺いをいたしました。被害を訴えるまでに時間がかかるという認識は、与党の提案者の方にはあるんでしょうか。

山下議員 本村委員の御質問にお答えします。

 私自身、司法修習生、もう三十年以上も前ですか、そのときにオウム弁護団に修習生として入ってお手伝いをしたことがございますし、また、検事の時代にオウム公判を担当し、そういった状況も経験したことがございます。

 そしてまた、今回の被害者に関しましても、もちろん直接伺うということは当然やっております。私の岡山の弁護士会の先生でも、こうした被害者の声をいろいろ聞く、そして、そうした形で直接、間接に聞く、また、一年前の不当寄附防止法案の審議の際においても、我が同僚議員が何度も何度も公式、非公式に聞いておるということでございます。そしてまた、我々、政府・与党でございますから、政府において、例えば文化庁において相当詳細に被害の実態について伺っておる、そういったことを踏まえて今回させていただいたところでございます。

 これは、被害者の皆さんも今日審議を聞いておられますから、やや丁寧に御説明すると、例えば不法行為による損害賠償の請求権、これは時効がございます。しかしながら、改正前であれば、三年の消滅時効の起算点である損害及び加害者を知ったとき、ここから始まるわけでございますけれども、これは、被害者が加害者に対する損害賠償請求が事実上可能な状況の下に、その可能な程度にこれを知ったときを意味することとされておって、加害行為が不法行為であることを知ることも必要であるということが指摘されておるところでございます。

 でございますので、被害者がマインドコントロールされていたために不法行為による損害を受けたと認識することができない場合には、その間は三年の消滅時効期間は進行は開始しないというふうに考えておられる。

 ただ、他方で、マインドコントロールから解けた状態において、不法行為による損害を受けたと認識することができたというふうに認定された場合には、時効の進行ということがあり得るわけでございます。

 この時効が成立してしまうと、これは財産権の強制的な請求ができないものですから、だからこそ、我々は、一刻も早く、こうした被害者の方に法的救済の相談に行っていただきたい。だからこそ、これまで実績のある、東日本大震災においても、法律相談だけでも四十五万件以上の実績があり、かつ代理補助においても一万二千件以上の実績がある、こうしたことについてしっかりとやっていただきたい。また、マインドコントロールを解くために、先ほど来小倉委員が申し上げたような非司法的な救済もさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

本村委員 丁寧というならもっと質疑時間を取っていただきたいというふうに思います。

 与党の提案者は、通常の民事保全手続で財産保全すると言いますけれども、統一協会による被害の救済に、対等な当事者が権利関係を争うことが想定されている民事保全のルールのみを用いること自体が私どもは問題だというふうに思っております。

 統一協会と関係を続けてきた自民党には、全ての被害者救済の責任があるわけです。包括的財産保全を国会で可決することで被害者救済への責任を果たすべきだというふうに思っております。

 十二月一日の宮本徹衆議院議員の質問に対して、質問が、解散命令が出た段階での被害救済が与党を含む三党案でできるのかという質問に対して、柴山議員は、満足を得られないかもしれないというふうに答弁をしております。そのことが分かっているのに、自民党、公明党、国民、三党案のみを押し通すというのはひどいというふうに思います。

 昨日、被害者の方、別の方ですけれども、お伺いしたら、被害者の声の抹殺だというふうにおっしゃっておりました。この被害者の声を無視するんでしょうか。

柴山議員 ちょっとお願いなんですけれども、私の答弁を切り取って紹介するのはやめていただきたいと思います。

 きちんと説明しますけれども、御指摘の答弁、私の十二月一日の連合審査会における答弁だと思うんですけれども、私の答弁は、当該具体的な保全財産からは満足を得られないかもしれませんけれども、流出されていない教団の財産に対して強制執行することはその段階ではできるわけですというものでありまして、結論としては、必要があれば教団の財産に対してきちんと満足を得られる強制執行を行うことで被害の回復をすることができるという文脈の中でこういう発言をしたわけであります。

 いずれにしても、我々の法案は、PTにおいて、被害当事者の方々や全国統一教会被害者対策弁護団からそれぞれ丁寧なヒアリングを受けながら取りまとめをさせていただいたところでありまして、要は、逸失、流出、その危険性が高いものについてしっかりと仮差押えをする、そしてその上で、そういったおそれが必ずしも認められない財産においては別途また強制執行においてきちんと満足を得るということで、被害者の満足を十全に行っていく、そして、そのためのしっかりとしたサポートを法テラスなどで行っていく、資力の要件というものを緩和してでもこれを行っていくということは申し上げたいと思います。

本村委員 統一協会の被害者の救済、全ての被害者の救済が終わるまで財産保全がしっかりとできるように包括的な財産保全の法整備が必要だということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

武部委員長 これにて両案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

武部委員長 速記を起こしてください。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。鎌田さゆり君。

鎌田委員 立憲民主党の鎌田さゆりです。

 私は、立憲民主党・無所属を代表して、ただいま議題となりました自由民主党、公明党、国民民主党提出の特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案、被害者救済法に賛成、立憲民主党、日本維新の会提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案、旧統一教会財産保全法に賛成の立場から討論を行います。

 立憲民主党では、昨年七月の安倍元総理の銃撃事件以降、旧統一教会被害対策本部及び国対ヒアリングにて、約七十回、延べ百名の方々から、いわゆるマインドコントロールによる被害の訴えや支援の必要性をお聞きしてきました。

 旧統一教会による被害の拡大及び深刻化は、多くの議員の密接な関係と、三十年以上にもわたる行政府、立法府の不作為によるものです。だからこそ、政治として責任を持ち、被害救済を実現しなくてはならないと考えています。

 昨年、悪質高額寄附等への対策として不当寄附勧誘防止法の成立の後、解散命令請求が現実味を増す中、被害者の皆さんが必要だと訴えてきたのは財産保全についてでした。

 旧統一教会は、数百億円にも及ぶ海外への送金を毎年のように行ってきたという報道があります。また、政府の解散命令請求では、これまで数十年にわたり、約千五百五十人の被害者と約二百四億円もの賠償金、解決金が生じたと報告されています。こうしたことから、救済前に財産が失われてしまうおそれは、現実的な強い懸念でもあります。

 財産が散逸し被害救済できないことは何としても避けなければならない。そのため、私たち立憲民主党は、日本維新の会と共同で旧統一教会財産保全法を提出しました。

 自公国案は、確かに、法テラスの拡充や不動産の処分、財務書類の確認ができることで被害者の救済に役立つツールとなり得ます。しかし、同時に、旧統一教会への解散命令が決定したときに財産が失われている状況を回避するため、包括的な財産保全は必ず必要です。

 立憲民主党、日本維新の会で提案した旧統一教会財産保全法案の否決は残念ですが、個人個人が民事保全を行う自公国案が不十分と分かれば速やかに協議して対処するとの答弁が得られました。真に求められている財産保全の実現のための礎があることを確認し、賛成します。

 本法律案の可決をもってこれで終わりにするのではなく、被害者の方々に寄り添い、継続的な情報収集、必要な法整備についての検討を行うべきであることを申し上げ、私の賛成討論とさせていただきます。(発言する者あり)

武部委員長 鎌田さゆり君。

鎌田委員 発言をお許しいただき、ありがとうございます。

 先ほどのところで、最後の段落を読み直させていただきます。

 自公国案は救済に役立つ内容もある一方、被害者の方が一番に求めている包括的な財産の保全については三年後を目途とした検討条項にとどまりました。これはむしろ、三年後にしか検討しないと言っているも同然です。少しでも前向きな答弁を求めましたが、残念ながら全く中身の伴わない答弁であったため、自公国案に反対します。

 本法律案の可決をもってこれで終わりにするのではなく、被害者の方々に寄り添い、継続的な情報収集、必要な法整備についての検討を行うべきであることを申し上げ、私の反対討論とさせていただきます。

武部委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 私は、会派を代表して、修正された特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及び我が党と立憲民主党提出の解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案の双方について、賛成の立場から討論を行います。

 旧統一教会に解散命令請求がなされ、被害者救済のために新たな法律が必要であることは論をまちません。日本維新の会は、教団の財産が解散命令が発出される前に隠匿されたり、散逸したりすることを防ぐために、包括的な財産保全が必要であることを早い段階から一貫して訴えてまいりました。

 さきの通常国会では、他党に先駆けて宗教法人法改正案を提出、そして、今国会では、旧統一教会に対して解散命令請求がなされたことから、財産保全の項目のみを取り出した法案を国会開会初日に提出をして、財産保全について議論をリードしてまいりました。

 包括保全を含まない与党案は、財産の散逸を防ぎ、また財産保全に国が責任を負うことで被害者の心理的な不安を減らすという目的を達成することができず、課題が多いものと認識しています。

 一方で、与党案にある民事訴訟や民事保全手続における被害者の負担軽減、支援をする内容は、訴訟や保全手続を行う被害者にとって意味のある内容です。三回の修正協議において、我が党から、被害者弁護団の要望も踏まえた具体的提案を行い、民事訴訟における担保の負担を更に軽減することや、対象法人の財産状況をより早期に把握するための修正がなされたことは評価をしています。

 包括的財産保全が必要であるという考えに変わりはありませんが、今回の修正案の中には、検討条項として、包括的な財産保全を含む財産保全の在り方についても検討を行う旨が明記されたことも踏まえ、法案成立後も、財産の散逸を防ぎ、被害者の負担が軽減されるよう、三年を待たずに早期に検討が行われることを期待し、一歩前進として与党案にも賛成をするものです。

 これまでるる述べてきたように、与党案と野党案は対立するものでなく、双方が成立することで、より効果的な被害者救済が期待できます。今も、悪質な手段で被害を被り、その救済がなされずに苦しむ人々が存在します。当事者も弁護団も、立法府の役割に望みを託しています。是非とも我が党提案の法案にも賛成していただきたいと強く呼びかけまして、賛成討論といたします。

 以上です。ありがとうございました。

武部委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、統一協会の被害者救済に関する二法案、修正案を含む二法案に対する討論を行います。

 統一協会は、半世紀以上にわたり、正体を隠し不安をあおった勧誘により信仰選択の自由を奪った状態で、統一協会の教義を信仰させ、違法な霊感商法、高額献金で人々の財産を収奪し、一人一人の人生を壊すなど、被害を広げてきました。これを放置してきた政府、とりわけ自民党の責任は重大であり、被害者救済のための法整備は国会の責務です。

 十月十三日、政府が、一年間の調査を踏まえ、統一協会について、全国で相当甚大な規模での被害を確認し、その悪質性、継続性、組織性を認定し、解散命令請求を行ったことは極めて重要です。

 この下で、今回の法案に求められているのは、統一協会の解散命令が確定するまでの間の財産の散逸を防ぎ、被害者の救済を実効あるものにしていくことです。被害者や被害救済に取り組む弁護団からは、包括的な財産保全を可能とする特別措置法を超党派で成立させるよう求める声明が繰り返し出されています。

 日本共産党は、国対でも与野党全党の協議を呼びかけてきましたけれども、全党協議を行わず、包括的財産保全にも極めて消極的な自民党の姿勢からは、長年にわたって統一協会と癒着し被害を拡大してきたことへの反省があるのかと言わざるを得ません。

 野党法案に盛り込まれた包括的な財産保全は、被害者救済の要です。財産の隠蔽、散逸があっては、被害者を救済することはできません。今後、統一協会に対する解散命令が確定した段階で初めて脱会を決意し、ようやく被害者として声を上げられるようになる方が出てきても、その時点で財産が散逸していては、一切救済されないことにもなりかねません。全ての被害者の救済を行うためには、包括的な財産保全措置は必要不可欠です。

 自民、公明、国民案の提案者は民事保全手続による救済を言いますが、日本共産党の質問で、それだけでは救われない人々が出てくることを認めました。それなら、包括的財産保全に踏み出すべきではありませんか。

 しかも、被害者は、宗教的虐待や脱会後の精神疾患の問題など、様々な事情によって今も苦しみ続けています。その被害者個々人が自助努力で個別に財産保全の手続を講じなければならないというのは、被害者に過大な負担を強いるものです。

 与党などの法案の、法テラスの制度を拡充し、対象宗教法人の財産監視制度によって民事訴訟の提起や民事保全の申立てを支援し、利用しやすくなることは、一定の意義はありますが、これだけでは被害者の実効的な救済にはつながるとは到底言えません。全国被害対策弁護団や被害者有志の方々は、積極面を生かし、両案成立を求めています。我が党は、こうした被害者や弁護団の声も踏まえ、野党案と修正案に賛成の態度を取ります。

 同時に、与党に対し、包括的な財産保全の検討のため、全党会派による協議を速やかに行うことを求めます。また、新たに発覚した岸田総理の疑惑を始め、自民党と統一協会との癒着関係を徹底究明することが、被害の拡大を防ぎ、被害者を救済する上で不可欠であるということを厳しく指摘をし、討論といたします。

武部委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

武部委員長 これより採決に入ります。

 初めに、西村智奈美君外七名提出、解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武部委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、柴山昌彦君外五名提出、特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、柴山昌彦君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武部委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

武部委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.