衆議院

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第2号 平成29年12月6日(水曜日)

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平成二十九年十二月六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中山 泰秀君

   理事 小田原 潔君 理事 木原 誠二君

   理事 新藤 義孝君 理事 鈴木 貴子君

   理事 山口  壯君 理事 末松 義規君

   理事 寺田  学君 理事 遠山 清彦君

      小渕 優子君    神山 佐市君

      神田  裕君    木村 次郎君

      黄川田仁志君    国光あやの君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      佐々木 紀君    杉田 水脈君

      鈴木 隼人君    辻  清人君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      細田 健一君    堀井  学君

      山田 賢司君    阿久津幸彦君

      篠原  豪君    山川百合子君

      小熊 慎司君    吉良 州司君

      岡本 三成君    岡田 克也君

      穀田 恵二君    森  夏枝君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   外務副大臣        佐藤 正久君

   経済産業副大臣      武藤 容治君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   法務大臣政務官      山下 貴司君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   外務大臣政務官      堀井  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  鈴木 達也君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       宮川  学君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 川村 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 牛尾  滋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 鯰  博行君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   中前 隆博君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            岡   浩君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    相星 孝一君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    山名 規雄君

   政府参考人

   (水産庁次長)      山口 英彰君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      村瀬 佳史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           馬場崎 靖君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        石川  武君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     神山 佐市君

  辻  清人君     国光あやの君

  山田 賢司君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     神田  裕君

  国光あやの君     木村 次郎君

  細田 健一君     山田 賢司君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     黄川田仁志君

  木村 次郎君     辻  清人君

    ―――――――――――――

十二月一日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一五七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二五六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二五七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二五八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二五九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第二六一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二六二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二六三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二六四号)

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一七二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一七四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一七五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一七七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一七八号)

同月四日

 オスプレイの飛行中止と配備撤回に関する請願(本村伸子君紹介)(第三四五号)

 東京・横田基地へのオスプレイ配備計画の撤回、普天間基地のオスプレイの飛行中止に関する請願(宮本岳志君紹介)(第三四六号)

 辺野古新基地建設工事の中止と普天間基地の無条件撤去に関する請願(志位和夫君紹介)(第三四七号)

 沖縄県民の民意尊重と、基地の押しつけ撤回に関する請願(穀田恵二君紹介)(第三四八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三八三号)

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(山尾志桜里君紹介)(第三八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

中山委員長 これより会議を開きます。

 この際、佐藤外務副大臣、岡本外務大臣政務官及び堀井学外務大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。外務副大臣佐藤正久君。

佐藤副大臣 おはようございます。このたび外務副大臣を拝命いたしました佐藤正久でございます。

 北朝鮮の核・ミサイル開発、力による一方的な現状変更の試み、保護主義の台頭、テロ、暴力的過激主義の拡大など、世界は、国際秩序を揺るがすさまざまな課題に直面しております。こうした中、国家国民の安全、安心を守るため、職務を果たしてまいります。

 特に、担当であります北米、中南米、中東、アフリカ諸国との関係強化に努めます。また、国連外交、安全保障、戦略的対外発信や文化外交に注力するとともに、在外邦人の安全確保、国際的なテロ対策にも全力で取り組んでまいります。

 中山委員長を初め理事、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。(拍手)

中山委員長 次に、外務大臣政務官岡本三成君。

岡本大臣政務官 おはようございます。外務大臣政務官の岡本三成です。

 平和主義、人間主義を高く掲げて、対話によって諸外国との信頼関係を構築するとともに、経済交流を進める中で、諸外国とよきパートナーとなるため、尊敬し合える関係を構築してまいります。

 特に、担当であります北米、中南米諸国との関係強化に努めます。また、軍縮・不拡散、科学技術及び経済分野の課題に注力するとともに、在外邦人の安全確保、国際的なテロ対策にも全力で取り組んでまいります。

 私、議員になりまして五年間、一貫いたしましてこの外務委員会に所属をさせていただきまして、この委員会の中で、委員お一人お一人が外交には与党も野党もないという姿勢で真摯に議論されていらっしゃる姿に心から感銘をいたしまして、私自身、この外務委員会のメンバーであることを最大の誇りとしております。今回、政府の一員として働かせていただけることに本当に心から感謝をしております。

 中山委員長を初め理事、委員の皆様方の御指導を今後ともよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。(拍手)

中山委員長 次に、外務大臣政務官堀井学君。

堀井(学)大臣政務官 おはようございます。外務大臣政務官を拝命いたしました堀井学でございます。

 国民の安全、安心が第一とのビジョンのもと、総合的な安全保障を確立し、国民の生命と財産を守るべく、必ずや成果を出し、国民の負託に応えてまいります。

 特に、担当である欧州、中東、アフリカ諸国との関係強化に努めます。また、国連外交、安全保障分野の課題に積極的に取り組むとともに、法の支配の強化に努めます。

 なお、三人の政務官の中で、私が特に本委員会を担当することとなっております。

 中山委員長を初め理事、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。(拍手)

     ――――◇―――――

中山委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房国際文化交流審議官宮川学君、大臣官房審議官大鷹正人君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官川村博司君、大臣官房審議官宇山智哉君、大臣官房審議官牛尾滋君、大臣官房参事官鯰博行君、中南米局長中前隆博君、中東アフリカ局長岡浩君、領事局長相星孝一君、内閣官房内閣参事官鈴木達也君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、国税庁課税部長山名規雄君、水産庁次長山口英彰君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長村瀬佳史君、国土交通省大臣官房審議官馬場崎靖君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛装備庁装備政策部長中村吉利君及びプロジェクト管理部長石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。

末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。

 ちょっと、五年間のブランクがございますので、何かと失礼があったらお許しをいただきたいと思います。

 私の方は、きょうは北朝鮮の核・ミサイル開発について質問をさせていただきます。

 まず、立憲民主党の、今、外交部会長もやっておりますので、外交政策について、立憲民主党は専守防衛を旨として、平和的外交をあくまでも追求していくということを、まず申し上げたいと思います。そして、河野外務大臣におかれましては、一回生の議員のときに一緒にアメリカに出張させていただいた、そういう懐かしい思い出がございます。

 さて、では、時間も少ないので、質問をさせていただきます。

 今、私、北朝鮮について非常に危機感を強めております。それは皆さんと一緒だと思うんですが。

 特に、アメリカのティラーソン国務長官が今更迭されるかされないかというような情報が出てきている。ティラーソンさんというのが、元エクソン・モービルの会長であって、ロシアとも太いパイプを持っている。そして、ロシアの外交もにらみながらやっているんでしょうか、非常に平和的な外交交渉にこだわってきている人でございます。それが、トランプ大統領と仲たがいをしているような、こういった報道も出てきている中、更迭ということで、平和的外交をトランプ大統領が変えようとしているのかという気がするわけでございます。

 一方、トランプ大統領につきましては、フリン、日本人には覚えやすい名前かもしれませんけれども、フリン元大統領補佐官が司法取引を行って、大統領のロシア疑惑で決定的な証言をするんじゃないか。そうすると、大統領の弾劾ということも現実的な形で秒読み段階になってくると言われている。こう考えますと、トランプ大統領として、国民の目を戦争ということに引きつけていくという動機も十分考えられるな、こういう報道もなされておりますが。

 そういった意味で、今、北朝鮮に対して、国際社会を挙げて、特に日本、アメリカが音頭をとって、経済的圧力を加えていくという、安倍総理の言い方をかりますと、最大限の圧力を北朝鮮に加えていくんだ、こういう、対話から圧力、一挙に段階が変わってきた、それを進めていくということでございます。

 そういった、アメリカの武力行使というような、こういう事態も想定され始めている中で、外交交渉として、圧力というのは基本的には北朝鮮を経済的に締め上げていく、こういうことでございますが、まず、外交圧力、最大限締め上げていくという、これについて、河野外務大臣にその政府のお立場をお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 まず最初に申し上げたいのは、今回の北朝鮮の危機は、北朝鮮が一方的に国際社会を挑発してきたということでございます。

 誰も朝鮮半島で紛争を起こしたいと思っている人は国際社会の中にいないのにもかかわらず、北朝鮮が一方的に挑発を繰り返しているということを、まず申し上げなければいけないと思います。

 そして、この北朝鮮に関して言えば、一九九四年でしたか、米朝枠組み合意がございました。二〇〇五年には六者会合の共同声明というのがございました。いずれも北朝鮮はほごにしてきた。そして、核、ミサイルの開発を続けてまいりました。そういうことを振り返ってみると、さあ、お話をしましょうといって話をしても、恐らくこの危機に何ら変わりはないということなんだろうと思います。

 今、国際社会がやらねばならないことは、朝鮮半島を非核化する、それがこの危機のいわばゴールでなければならないというところは、日米韓中ロ、いずれも当初から一致をしておりますし、この五カ国だけでなく、国際社会、ゴールが朝鮮半島の非核化というところは、ぶれたことはないんだろうというふうに思っております。

 そのためには、北朝鮮が核、ミサイルを放棄するということを明白に意思表示することがまず大事なんだろうと思います。そのための方策として、国際社会は安保理で経済制裁のための決議をやりましたので、この安保理決議を国際社会が完全に履行する、これが北朝鮮に対して圧力をかけることになる。本来、北朝鮮は、勤勉な労働力もありますし、豊富な資源もありますから、方向性を間違わなければ経済的に繁栄することができる国なんだろうと思います。

 北朝鮮の今の体制に対して、現在北朝鮮がとっているコースを続けていっても北朝鮮に明るい未来は来ないということを認識させ、このコースを変更させる、そのための圧力をかけ続ける必要があるというふうに認識しております。

末松委員 今の大臣のお言葉は、私たちもそこは是認できるわけでございます。私ども、武力の行使というのは当然避けなければいけないと思っておりますけれども。

 その中で、今、北朝鮮の対応を見てみますと、大臣からもございましたように、譲歩をする意思が見えない。きのうも衆議院でも決議がございました。この決議の中にも書いてございましたけれども、北朝鮮の反応として、金正恩氏が国家核武力完成の歴史的大業というようなことを言って、全く妥協あるいは譲歩する気がない。この選択がないとすると、では、経済的圧力を最大限まで持っていくと、二つのシナリオが浮かび上がってくる。一つは北朝鮮の暴発、二つ目は、暴発の前か後かは知りませんけれども、アメリカを中心とする国々あるいは国家が、今度はそれを、プリエンプティブにか、あるいはリタリエーションか、どちらかで武力行使をしていくということになるわけでございます。今、我々として、日本としてぎりぎりの段階に差しかかっているんだなという認識を、少なくとも政治家は持っていなきゃいけないと思うわけでございます。

 そういった中で、河野外務大臣も、さきの安保委員会でこの話をしておられましたけれども、国益を守るために全力でやる、これはもう当然ですけれども、その国益、これを再度私は確認をしたいんですね。

 私なんかが思うには、何が国益かと。一番、北朝鮮との関係でいけば、核、ミサイルが飛んでくる、そして大きな被害を受ける。あるいは、核ではなくても、バイオあるいはケミカル、こういったミサイルを受けるかもしれない、あるいは原発の被害を受けるかもしれない、あるいはテロで原発がいろいろと混乱させられるかもしれない、あるいは難民が押し寄せてくるかもしれない、さらに、テロという、一般的にテロが出てくるかもしれない。こういう避けるべき事態というのがあると思うんですが、その辺はどういうふうにお考えになっておられますか。

河野国務大臣 国益と言う場合に、大きく三つぐらい柱があると思います。

 一つが、自由と民主主義を基調とする我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするということ。さらには、経済発展を通じて繁栄を実現し、我が国の平和と安全をより強固にする。それと、もう一つは、基本的価値あるいはルールに基づく国際秩序を維持していくということなんだろうと思います。

 この危機の中にあっては、まず我が国の国民の生命、身体、財産、その安全をしっかりと守っていくというのが何よりも大事なことになってくるんだろうと思います。

末松委員 具体的な形で、一番の大きな、私が申し上げたような、そういったことについてはコメントはございますか。

河野国務大臣 済みません、ちょっと質問の趣旨がよくわからないんですけれども。

末松委員 一番我々が、一般の国民の皆さんが心配しているのは、要するに、核ミサイルが飛んできてどこか日本に当たると、これは物すごく大きな被害がありますよね。いわゆる、具体的には、そういったことを避けなきゃいけない、こういうことがありますよねということを申し上げているんですよ。原発がミサイル攻撃を受けるとか、北朝鮮の暴発ですよ、あるいはテロが起こるかもしれないとか、そういったことを当然外務大臣として、国益、今、一般論じゃなくて北朝鮮との関係で想定される事態、そこについて御認識を伺ったんです。

 別にそんなに難しい話じゃないと思いますけれどもね。

河野国務大臣 申し上げましたように、我が国の国民の生命、身体、財産、これをしっかり守るというところに尽きると思います。

末松委員 そこで具体的な話がないということであれば、私の方で先に進めさせていただきます。

 経産省も来ておられると思いますから。

 原発へのテロとか攻撃、これがもし、北朝鮮の工作員とかいう話も報道でよくなされています、そういった意味で、原発で何かあったら、福島のような事態が生じることは二度とあってはならないと思います。そこについて、経産省の方から、そういった予防あるいは対応について、よろしくお願いします。

武藤副大臣 おはようございます。私の方から答弁させていただきます。

 今、委員の先生がおっしゃられたように、ミサイルやテロといった不測の事態から原子力発電所を守ることは、我々経産省にとっても極めて重要な課題であると認識しております。

 原子力発電所へのミサイル攻撃に対しては、政府としてはですが、海上自衛隊や航空自衛隊の迎撃を組み合わせて、多層防衛により対処することとしております。

 また、いわゆるテロに対しましては、関係法令に基づき、原子力規制委員会が事業者に対して、例えば、テロリストの侵入を阻止するためのさまざまな防護措置を求めることによって対処をされております。

 その上で、武力攻撃事態などに該当すれば、事態の状況に応じて、国民保護法等の関係法令や国民保護計画等に基づき、警報の発令や住民の避難等の措置を迅速かつ的確にとることとしております。

 並行して、原子力発電所については、こうした事態に至れば、原子力規制委員会が、これら関係法令や同計画等に基づきまして、原子力発電所の運転停止を原子力事業者に命ずることとしております。

 加えて、平素より、さまざまな事態を想定しまして、関係機関が連携をして国民保護のための訓練等を実施するもので、いかなる事態に対しても国民の安全を守るために備えをしておるところであります。

 経済産業省としましても、これまでも、関係機関及び事業者との連携を密にしながら、こうした事態に際しまして事業者が迅速に対応できるように指導をしてきております。また、万が一原子炉の運転停止等が生じた場合には、直ちに電力の安定供給の確保に必要な対策を講じてまいりたいと思っています。

末松委員 とにかく、そこは万全を期して、そして、アラートといいますか、警戒の度合いをぜひ高めていくということで、よろしくお願いしたいと思います。

 それから、引き続き河野外務大臣に申し上げたいんですが、あってはならないことだということですけれども、もし米国が北朝鮮に対してプリエンプティブな攻撃、武力行使に踏み切るというような事態の場合、日本としてとるべき対応というのはどういうふうに想定しておられるでしょうか。

河野国務大臣 もとより日本として北朝鮮を含む他の国の体制を力により変更することを目標として掲げたことはございません。米国がどのように今後対応するか、予断をすることは差し控えたいと思いますが、日米間、今この北朝鮮をめぐる問題、緊密に連携をしているところでございますので、これからもしっかり対応できるようにしてまいりたいと思います。

末松委員 私も、外務省にいるときに湾岸危機、一九九一年だったんですけれども、アメリカが攻撃をするといったときに、未明でしたけれども直前にアメリカからも連絡があって、それを外務次官等に、手分けしてみんなで幹部をたたき起こした、そういう経験がありますものですから、そういった中、ぜひそこはしっかりと万全の形でやっていただくという形なのかなというのを私は想定しているわけでございます。

 もう時間がありませんので、この点についてはこれ以上言いません。また別の機会に言いますけれども。

 防衛省の方にも御質問を申し上げます。

 先ほど言いました核、あるいはケミカル、あと生物、ABC兵器と言われる、これが弾道ミサイルによって日本に北朝鮮から飛来する、こういったことがやはり一番国民が恐れていることでございます。

 それに対してどのような対応ができるのか。迎撃ミサイルというのがまず最初に考えられます。今現在、SM3とかあるいはペトリオットとか、こういうことで迎撃体制をやっているということですけれども。

 私の方でいろいろと調べてみると、北朝鮮が、ロフテッド軌跡というんですか、高高度からミサイルを発射して、四千キロとか、あるいは三千五百とか二千五百とか、そういう非常に高高度、宇宙に一回上げて、そして落として、マッハ十五とか二十とか、そういうミサイルで仮に我が国を攻撃するというような場合、例えば東京に落ちてくるとか、こういった場合、迎撃能力で、どうもSM3とかその辺は、ジェーン年鑑なんか見ますと、大体七十キロから五百キロ程度までしか高度が上がらない、こういうことを聞くと非常に不安に思うわけですよ。

 迎撃なんかできないじゃないか、こう思うわけなんですけれども、そこら辺について、どうでしょう、防衛省。

山本副大臣 おはようございます。お答え申し上げます。

 我が国の弾道ミサイル防衛は、海上自衛隊のイージス艦による上層での迎撃、加えて陸上での航空自衛隊のPAC3による下層での迎撃を組み合わせた多層防衛というシステムになっておりまして、北朝鮮による弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産を守るべく、万全の体制をとっているところでございます。

 具体的には、大気圏外で迎撃を行うSM3ブロック1Aミサイルを搭載したイージス艦については、現在、日本全国を防護するためには三隻必要であるという状況であります。また、PAC3については、一個高射隊でおよそ半径数十キロの範囲を防護することができます。

 その上で、現在、北朝鮮によるロフテッド軌道による攻撃等が委員御指摘のとおり懸念をされていますが、我が国の弾道ミサイル防衛システムについては、我が国に飛来する弾道ミサイルへの対処能力を有しており、現在進めているSM3ブロック2AやPAC3MSEといった能力向上型迎撃ミサイルの取得により、ロフテッド軌道をとるものも含め、弾道ミサイル攻撃への対処能力は向上するものと考えております。

 引き続き、これらの迎撃ミサイルの取得も含め、防衛省・自衛隊として、我が国の弾道ミサイル防衛に万全を期してまいります。

 また、お尋ねの、迎撃ミサイルの個別的な、具体的な性能については、我が国の手のうちを明かすことになりますのでお答えは差し控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、ロフテッド軌道をとることにより迎撃を回避することを企図して発射された弾道ミサイルについては、迎撃がより困難になるとは考えております。

末松委員 答弁をお読みになるのはいいんですけれども。本当に、SM3でも五百キロしか飛ばないよ、届かないよと。今言われたSM3のブロック2Aですか、これも二〇二一年配備ですよね。まだ配備されていませんよね。だから、今、喫緊が非常に危険だということ。

 この最新のSM3ブロック2Aにしたって、これは報道によれば、届く距離は、高度は一千キロが限度と言うじゃないですか。それだったら、今、山本副大臣が言われた、要するに、困難になるということだけ言ったって、国民は不安になるだけなんですよ。まあ私がこう言ったからといって、では事態が改善するかということはないんですけれども、本当にちょっとそこは、国民の不安を、要は、ロフテッド軌道で来たら困難ですという一言だったら、これはちょっと無責任じゃないですか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 確かに、難易度が上がるという意味合いでは、より困難でありますよという答弁を申し上げましたけれども、それをもちまして迎撃できないと言っているわけではございませんし、先ほども申し上げましたとおり、個別具体的な性能を我が方から明らかにするということは、相手を利することにもなりますので答弁は差し控えさせていただきますが、我々防衛省・自衛隊は、二十四時間三百六十五日、国民の生命と財産を守るというかたい決意のもと職務に精励しておりますので、御安心をいただきたいと思います。

末松委員 決意はいい、決意はいいんですよ、それは。私は何も文句を言っていない。能力がどうなんだということを本当に問題視しているわけですよ。

 時間もありませんので、もうちょっと。

 例えば、ケミカルのサリンとかあるいはよく天然痘のウイルスなんかを北朝鮮が持っているという話で、この前の北朝鮮のあの木造船が漂流したとき、みんな、こちらは防護服に身を包んで日本側は対応していましたけれども。こういった、弾頭にそういうのを積んでやってきた場合とか、多弾頭で来た場合、たくさんです、一挙に来た場合、こういった能力はどうなんですか、対応できるんですか。

山本副大臣 お答え申し上げます。(末松委員「答弁短くしてくださいね」と呼ぶ)

 委員御指摘の生物兵器、化学兵器等々を搭載した弾道ミサイルが飛んできた場合ですが、弾道ミサイル、見た目で何が搭載されているのかというのはわかりませんので、どの弾道ミサイルが飛んできても、先ほど申し上げたとおり、イージス艦あるいはPAC3で迎撃をする。

 一般論から申し上げますと、迎撃した段階の爆発、そういった熱等々によって生物化学兵器等々は無力化されるものと承知をしております。

末松委員 無力されればいいなと、期待だけ申し上げておきますよ。

 実際にアメリカ等で実験をやっていると思うんですね、SM3にしたってペトリオットにしたって。これを聞くと、成功したときだけアメリカは報告しているとか、心もとない実験結果しか聞いていないんですけれども、アメリカの実験結果というのは、さきに質問していたとおり、教えてくれますか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねの件ですが、アメリカのミサイル防衛庁の発表に基づきますと、SM3シリーズは迎撃試験をこれまで三十七回行っておりまして、そのうち二十九回命中をしている。パーセンテージで申し上げれば七八・四%成功をしている。

 また、イージス・アショアなどは、二〇一五年十二月にハワイで最初の迎撃試験を実施して成功していると承知をしております。

末松委員 ちなみに、ロフテッド軌道で来たミサイルの実験というのはやったことはあるんですか、アメリカは。

 もしわからなければ政府委員の方で。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げた回数等も含めまして、あくまでもアメリカのミサイル防衛庁が発表したデータを参考に我々はお答えを申し上げている状況でございまして、全ての実験のデータが公表されているわけではありませんので、どういう弾道の軌道で実験をしたという詳細までは把握をしておりません。

末松委員 そういうのは把握してくださいね。防衛省さんが把握せずに、つまり、すぐに調べますというならいいんですけれども、知りませんと胸を張って言われると、国民は困っちゃうわけですよ。そこはぜひきちんと本当に調べて。

 ロフテッドという高高度で来た場合に、そうじゃないと、今、現実は、北朝鮮はそれを飛ばしているんでしょう。だから、我々としては、不安なきように防衛省に期待しているわけですよ、迎撃を。そこはぜひお願いしますよ。

 あと、時間ももうほとんどなくなってきたんですけれども。今、ちょっとこれは問題提起をさせていただきたいんです。

 今、防衛省の山本副大臣からお話がありました。SM3にしたって、どのくらい高度があって届くのといったときに、全て防衛の機密なんですよ。それは確かにわかりますよ。私も外務省にいて、いろいろ、イラン・イラク戦争のときのイラクの大使館をやってきたので、そういったことは軍事的にもいろいろとわかりますけれども、これを、議員なんかには当然全く知らせられないんですね、防衛省の立場として。でも、予算は、これで兵器を買うから理解してくれとよく言われるわけです。

 そういった場合、よく言われるイージス・アショアなんかも、これもいろいろと、報道によれば、レーダー機能はいいんだけれども実際のミサイルを飛ばすというのが本当に連動しているのかと、いろいろな報道もあるわけですよ。

 だから、実際にしっかりと迎撃を確実にするようなものを買ってもらわないと、役に立たないものを幾ら高価なもので買っても、日本の税金が無駄に使われるだけなんですね。ただ、そのときの技術が全くないというのはもっと深刻な話ではあるんですけれども。

 その意味で、北朝鮮の対応を考えていかないと、我々政治家として、本当に国民の安全を考えているのかと言われたら、何か知らないけれども人ごとのように考えているんじゃないかと言われないように、ぜひそこはやってほしいと思うんです。

 まだ若干時間があるので。

 この前、小野寺防衛大臣が安保委員会のときに言っておられました。何を言っておられたかというと、十一月二十九日のミサイルが来たときに、こう言っていたんですね。我が国に飛来するおそれがないと判断したので、だから撃ち落とさなかったということを言っているんですね。

 北朝鮮から日本に、例えば東京に来るとき、私、前、ずっとこの安保委員会とか、あるいは外務委員会とかに属していたときに、大体七、八分と聞いているんですね。ですから、その七、八分の中で、御苦労ですけれども、その仕組みというんですか、わずか七、八分の間に、日本に飛んできているのか、あるいはほかに行くのか、全部これを判断して国民に知らせなきゃいけない。かなりの無理があるよねと。Jアラートですか、といっても、国民として何も逃げ場がないし、逃げる時間もない。こういうことを、きょうは時間がありませんのでまたにしますけれども、そこをぜひ、防衛省としても大変なことはよくわかっておりまして、そこは感謝を申し上げますけれども、ぜひ、国民の安全を守るためによろしくお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 立憲民主党・市民クラブの阿久津幸彦でございます。河野大臣の所信表明演説を受けまして、質問をさせていただきたいと思います。

 河野大臣は、六つの重点分野を特定された上で、所信表明演説の中で、軍縮、環境、女性の活躍推進、人権といった、地球規模課題への取り組み、その文脈の中で、持続可能な開発のための二〇三〇アジェンダの着実な実施、いわゆるSDGsの達成に向けて国際社会と協力し積極的に貢献しますと述べました。

 持続可能な開発目標、SDGsとは、このままでは世界が立ち行かないという強い危機感のもとで作成された、二〇一五年九月の国連の特別サミットにおいて全会一致で採択された二〇三〇年までの目標でございます。環境を守りつつ、経済を持続可能な形で発展させ、公正で安定した社会をつくっていくために、さまざまな問題を根本的に解決することを目指す、世界共通の十七の目標であります。

 例えばどんなものがあるかといえば、貧困をなくそう、あるいは飢餓をゼロにとか、全ての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、ジェンダー平等を実現しようとか、あるいは、安全な水とトイレを世界じゅうになど、私たちにとっては当たり前のことと思われる内容も含めて掲げられた十七の目標であります。

 しかし、世界の多くの国々では、この当たり前のことが当たり前になっていないという現実もあります。一方で、この十七のSDGsの目標を達成するということは、私たち日本にとっても先進国にとっても大きなメリットがある。このことは、もう大臣よく御理解されていることだというふうに思います。

 そこで、質問をさせていただきたいと思います。

 河野外務大臣が所信表明の中でSDGsについて明確に述べられたことを私は評価しておりますし、立憲民主党も、一緒にこの目標に向かって進んでいきたいというふうに考えております。河野大臣のお言葉で、SDGs、持続可能な開発目標について、その達成に向けての意気込みをお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 委員おっしゃいましたように、日本にとっては当たり前のことが、一歩外に出てみると当たり前でない、むしろ、そういうところで生活をしていらっしゃる方の方が多いというのが今の現状だと思います。

 そういう中で、日本は、小渕総理のとき以来でしたか、人間の安全保障という考え方を理念として打ち出しまして、このSDGsには、日本が国際社会に示してきた人間の安全保障という考え方が反映をされております。また、国際社会が直面する共通の社会課題というものに対応して、誰一人取り残さないという世の中をしっかりとつくる、そして、それが持続的な成長につながるんだというふうに思っております。

 今、政府としては、総理が本部長を務め、私が副本部長を務めておりますSDGs推進本部というものを設置いたしまして、政府一丸となって、国内でやるべきこと、国際協力、両方において取り組みを少し加速していきたいというふうに思っております。

 特に、国際協力の分野でいきますと、保健、教育あるいは防災、女性、こうしたSDGsの分野の中で積極的に国際貢献をしてまいりましたし、私はあいにく出席できないかもしれませんが、今月半ばにUHCフォーラム二〇一七というものを開催し、保健の分野でしっかりと貢献をしてまいりたいと思っております。

 今申し上げた主要分野だけでなく、このSDGsが掲げている目標を達成すべく、国際社会におけるSDGsの推進、主導的立場をとってまいりたいというふうに思っております。

阿久津委員 ありがとうございます。

 二〇三〇年までの世界の新たな目標となったSDGsのキーワードは、先ほど大臣がおっしゃったとおり、誰一人取り残さないということだというふうに考えております。格差をなくし、最後の一人まで貧困や暴力から解放し、人権の守られる世界の実現、これは、日本の理想とするODAのあるべき姿に世界の方から近づいてきたというふうに言えなくもないと私は考えているんですけれども。

 そこで、ちょっと質問させていただきます。

 大臣にお尋ねします。

 SDGsの時代のODAのあるべき姿とNGOの戦略的活用について、大臣の御見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 今委員がおっしゃいました、日本が掲げてきたさまざまな目標に世界の方が近づいてきたというのは、なかなかいいなと思っておりますが。人間の安全保障の理念というのは開発協力大綱の柱の一つでもございますし、その中で、保健、女性、防災、教育あるいは食料という、日本が積極的に行ってきたことがこのSDGsの中にきっちり反映されるようになってきたというのは、まさに委員おっしゃったとおりなんだろうと思います。

 我が国の開発協力大綱に従ってODAをより戦略的に効果的に活用しながら、このSDGs達成に向けて引き続き努力をしてまいりたいと思いますし、このSDGsの達成は、政府だけが頑張ってもできるものではございません。民間企業あるいは市民お一人お一人、もちろんNGO、そうした多様な担い手との連携がなければ、このSDGsの達成はできないわけでございます。

 先ほど申し上げました政府のSDGs推進本部のもとにSDGs円卓会議というのを設置いたしまして、こうした多様な担い手と定期的に協議をする場を設けまして、それを通じて、この官民の英知を寄せ合って連携を強化し、SDGsの目標達成に向けて努力する必要があると思いますので、そこは、NGOの皆様にも積極的にお力をおかりし、また、政府としても、日本を初めNGOに積極的に支援をしてまいりたいと思います。

阿久津委員 大臣おっしゃったとおり、SDGsは、国、企業、地域コミュニティー、そして個人の力も必要ですし、いわゆるソーシャルインパクトというんでしょうか、さまざまな影響を及ぼすものが、ある意味では与野党一体となって政治的には取り組んでいかなくちゃならないし、その中の一つのステークホルダーとして、当然、NGO、NPOもあるんだと思っております。

 大臣の非常に積極的な発言を評価しつつ、言わずもがななんですが、NGOは、現場の事情や情報に精通して、高い専門性を持った、開発援助における不可欠なパートナーです。

 米国は、過去数十年間にわたってというからかなり前からですけれども、人道支援や開発援助のパートナーとして、NGOを極めて戦略的に活用してまいりました。例えば、米国は、政府がみずから介入できない紛争地や被災地で一体何が起こっているのか、現地の最新の情報の入手にNGOを活用しております。それから、もちろんNGOの独立性を担保した上で、これは大事なことなんですが、たとえ政府政策と足並みをそろえていなくとも、対等なパートナーとして認め対応することが中長期的に米国の国益につながると理解しているようでございます。

 米国政府は、NGOが徐々にその能力を高めていくことができるように、その成長に合わせて助成金の額をふやしてきました。長い年月をかけてふやしてきたと理解しています。その成長に合わせて助成金の額をふやす上で、紛争地や被災地など危険な環境の中で活動するNGOには、セキュリティー能力向上など、そのキャパシティービルディングに一定の資金的支援が必要だということを米国もよく認識しているからだと思います。

 そこで、外務省に質問なんですが、NGOの連携無償資金の増額についてどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

牛尾政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省は、日本の国際協力NGOを、顔の見える協力を行う上で不可欠なパートナーとして重視しております。NGOが行う事業への資金協力、組織力強化、人材育成等の能力向上支援等を行って、連携を強化しているところでございます。

 御指摘の日本NGO連携無償資金協力、N連と言いますけれども、予算を含めて、NGOが事業を行うに当たって必要十分な支援を行うべく最大限努力していきたい、こういうふうに思っております。

阿久津委員 次に、その中身についてもう少し踏み込んでお話をしたいと思うんですけれども。

 日本政府の資金と異なり、米国の政府資金では、人道支援、開発援助の活動において必要かつ十分な間接経費が提供されています。これは、政府資金援助による事業を、追加の外部資金を必要とせずに可能な限り安全かつ持続的に実施できるように企図されているからであります。加えて、米国の指導者は、NGOが広範なプログラムの実施に携わることができる高い能力を保持することに戦略的価値を見出しているからであります。この間接経費により、個別のプログラムの直接経費ではカバーできない本部運営費、管理部門スタッフの人件費や、そのほかの運営諸経費を賄うことができます。

 アメリカでは、各NGOは状況に応じて間接経費に関して政府と直接交渉するため、主要人道支援組織の間で、その規模は若干幅があるようなんですけれども、大体、直接経費の一五%から三〇%ぐらいを計上しているというふうに聞いております。

 いずれにせよ、我が国の五%とは大きく隔たりがあるわけなんですが、そこで、質問をさせていただきたいと思います。NGOの一般管理費のさらなる割合の向上についてどのように考えるのか、伺いたいと思います。

牛尾政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、開発や緊急人道支援の現場で多様なニーズを細かく把握し、状況に応じて迅速に対応できるNGOとの戦略的な連携は、我が国ODAのより効率的な実施にも資するものだというふうに考えております。

 一方、日本のNGOが今後さらに活動の場を広げていくためには、欧米NGOに比べて脆弱な組織力や財政基盤の強化が不可欠な状況でございます。

 このため、昨年度、日本NGO連携無償資金協力及びジャパン・プラットフォーム、JPFですが、双方の事業について、事業経費のうち現地事業経費の五%を一般管理費として計上することを認めました。

 現在、NGO側の協力を得ながら、昨年度行った一般管理費拡充の成果と課題を検証しているところでございます。一層の拡充については、その検証の結果を踏まえて前向きに検討していきたいと考えております。

阿久津委員 米国も、日本と比べてNGOと政府機関等との連携に長い歴史があるわけなんですけれども、初めのうちはやはりほとんど政府資金に負っている時代があったというふうに聞いています。一九九〇年代は七五%ぐらい政府資金に頼っていたと聞いております。しかし、今現在、NGOが成長する中でアメリカがどうなっているかというと、民間の寄附が大半を占めるようになって、政府資金はわずか三〇%にとどまっていると聞いております。

 これは、頑張って政府で応援していただいて、しかも密接なコミュニケーションをとっていくとそれなりの効果があるという、アメリカの一つの実例だと思いますので、そこのところをぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次の質問の方に移らせていただきたいと思います。

 難民問題についてです。

 難民問題は、先ほど末松委員の方から北朝鮮の問題が話されて、これは難民発生というところまでつながらなければいいなという思いでいっぱいなんですけれども、今最も心配されている難民問題の一つが、ロヒンギャの問題だと言われています。

 ミャンマー・ラカイン州では、ことし八月以降のロヒンギャ掃討作戦によって六十万人を超えるロヒンギャ住民が隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされ、避難者からはミャンマー国軍による深刻な人権侵害が報告をされています。

 いろいろな報道を通じて皆さんも御存じだと思うんですけれども、ちょっとスピードが速い、急速に悪化しているという懸念が一つあります。それから、もう一つは、難民の多く、六〇%以上とも言われているんですが、子供たちであるということも認識されています。私はこのことについて非常に心配をしております。

 そこで、お尋ねをしたいと思うんですが、ロヒンギャ難民に対する人権侵害について、政府はどのように認識しているのか、お尋ねします。

堀井(学)大臣政務官 お答えいたします。

 日本政府として、ミャンマー・ラカイン州の人権、人道状況、住民殺害の疑惑、大量の避難民が流出していることに対し、深刻な懸念を有しているということであります。

阿久津委員 今の答弁では、ちょっと私は納得できません。

 いろいろなNGOも入り、そしてメディアも入り、ジャーナリストが入り、現状を伝えている中で、深刻な懸念というだけでは、人道的な立場からも日本政府がしっかり取り組んでいないというふうにみなされてしまうのではないでしょうか。

 実際、国連、欧米、イスラム諸国は、人権侵害を明確に非難しております。明確に非難している。

 それから、大変残念なことだったんですけれども、本年の十一月十六日に国連総会第三委員会で採択されたロヒンギャの迫害を非難する決議でも、百三十五カ国が賛成する中で、欧米は賛成したんですけれども、日本は棄権をしてしまいました。

 ちょっとこの問題について、人権侵害という言葉は使えないですか。

堀井(学)大臣政務官 お答え申し上げます。

 国連等から、住民殺害を含む人権侵害の報告がなされていると承知をしております。

 日本政府は、累次にわたり、ミャンマー政府及び国軍に対し、責任ある調査を実施し、国際社会に説明することの重要性を強調し、必要な場合には処分を行うように働きかけを行っているところであります。

 また、十一月十六日の国連総会第三委員会での決議、我が国の棄権票を投じたことについてのお答えですが、我が国は、問題の解決に資するべく、幅広い支持を得て国際社会の一致したメッセージを発出できるよう、決議案に対し建設的に意見を提出しましたが、残念ながら、本決議の文言はそれらを十分に反映したものとは言えないことから、棄権票を投じさせていただきました。

 いずれにいたしましても、我が国は、現地の人権、人道状況につき、深刻な懸念を有しており、引き続き、ミャンマー政府にこのことを働きかけていく所存であります。

阿久津委員 堀井政務官も、本心のところでは私はわかってくださっているんじゃないかなというふうに考えるんですが。

 日本政府は、歴史的にもミャンマー政府と大変いい関係を続けています。いろいろトップがかわっても、いい関係だと思うんですね。アウン・サン・スー・チーさんが国家最高顧問になっているわけですけれども、決して盤石の体制というわけではない。それから、今回のロヒンギャの問題は、単なる宗教対立ではなくて、さまざまな複合的な問題が入り組んで積み重なった非常に難しい問題だということも、私は承知しているつもりです。

 その中で、日本と友好関係があるからこそ、ミャンマー政府に対して日本政府は、国際社会からの非難をもっと明確に正しく伝えて、平和的な事態の収拾に向けて、いや、こういうふうに動いたらいいよというようなアドバイスが、されているとは思いますけれども、もっともっと積極的に、メディアにも伝わるようにしても、私は何ら矛盾することはないと思います。

 私は、アウン・サン・スー・チー政権を日本政府が支える、応援する、これからも応援し続けるということを明言しつつロヒンギャの問題については厳しく非難するということは、両立し得ると思います。その点、いかがでしょうか。

堀井(学)大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本政府として、ミャンマー・ラカイン州の人権、人道状況、住民の殺害の疑惑、大量な避難民が流出していることに対し、繰り返しになりますけれども、深刻な懸念を有していると考えております。その懸念を、ミャンマー政府及び国軍に対して、累次にわたり直接お伝えをさせていただいております。

 同時に、日本政府は、法に従った治安の回復、人道支援アクセスの拡大、避難民の帰還のための取り組みを進める働きかけを行っているところであります。そのためには、必要な最大限の支援を行っていくことといたしております。

阿久津委員 本当は河野大臣に一言いただければありがたいんですが、私からは、人権侵害の部分についてもうちょっと踏み込めないかと思うんですけれども。極めて深刻な人権侵害疑惑まで踏み込めないですか。

河野国務大臣 委員は、日本とミャンマーの関係について、もうよく御存じだと思います。日本とミャンマー、欧米諸国とは違った関係がございまして、それは、歴史的にも少し違うポジションにあるという。我々としては、ミャンマーが軍事政権から民主化された、まだまだ基盤は脆弱な中で、ミャンマーが民主国家として我々と同じ基本的価値観を持った国になってもらいたいというふうに思っております。

 その一方で、今回のラカイン州の人権の問題というのは極めて深刻な状況であるというふうに認識をしております。

 その状況をミャンマー政府に伝えるときに、公に伝えたというのか、あるいは、公には言わないけれども日本として懸念を持っているぞということをきちんと申し上げる、そこはさまざま、やり方があるんだろうというふうに思っておりまして、欧米はむしろ公に物事を言っていくというようなやり方ですし、国連の決議その他でもそういうやり方でありますが、日本がそこと一緒になってしまって、ミャンマーの今の民主政権の逃げ場が、我々と基本的価値観を同じにするところでなくなってしまうのも我々は避けたいというふうに思っております。

 まず、我々としてやらなければいけないのは、バングラデシュ側にもともといた二十万人に加え、六十万人の方が避難民として出ていかれ、この方々をいかにして元の状況に戻し、この困難な生活状況を立て直すかというところをしっかりと支援しながら、ミャンマーに対して、ラカイン州の状況をどのように是正していくのか。必要なところには手も差し伸べますし、ミャンマーに対して言うべきことはきちんと言う。しかし、それは、追い詰めるのではなくて、脆弱な民主化されたミャンマー政府を、ある面支えながら、そこがしっかりひとり立ちして対応していけるようにするというのが、アジアで起きている難民問題に対する日本の政府としての立場であるべきだというふうに思っております。

阿久津委員 大臣の真意と私の思いがそれほど変わるとは思わないですけれども、言葉の問題は非常に重要ですので、今後、ぜひ、さらなる検討をお願いしたいというふうに思っております。

 最後に、もうちょっと敷衍化した形での難民問題についてお尋ねしたいと思います。

 SDGsの流れの中で、SDGsの観点から考える難民問題について、中長期的支援にNGOをどう活用するのか、大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、よろしくお願いいたします。

河野国務大臣 最近の難民をめぐる状況は極めて深刻で、第二次大戦後、恐らく難民の数というのは今が最も多い時期になってきているのではないかと思います。

 そういう中で、中長期的にどう対処していくか。先ほど委員からもお話がありましたように、戦略的に政府が手を出せないところも難民が行ける、あるいは非常にきめ細やかな対応をできる、そういう意味で、NGOをどう活用していくかというのは非常に大きな課題だというふうに思っておりますが、日本のNGOの課題として、もう一つは、NGOってボランティアでしょうみたいな感覚がまだまだあります。NGOが雇用のセクターとしてもきちんと確立されていない。NGOとしてしっかり雇用ができて、しかもそこにキャリアパスを見出すことができるような状況になっていない。

 むしろ、NGOというのが、単なるボランティアではなくて、そこに専門性を持った人たちが集まっていて、そこでキャリアパスが形成される、そういうNGOセクターを確立していかないと、中長期的に難民のためにNGOが何ができるかという前に、日本のNGOセクターが中長期的にもたないということになってしまうと思いますので、私としては、NGOセクターをいかに確立するかというところにもう少し外務省として心を砕いてまいりたいというふうに考えているところでございます。

阿久津委員 大変いい答弁をありがとうございます。

 NGOは、実は、海外だけではなくて、東日本大震災や熊本地震など国内でも活躍をしております。NPOと一緒に力を合わせて、例えば、コアヒューマニタリアンスタンダードとか、あるいはスフィアの災害支援のときの基準などをいち早く導入して、その基準に基づいて、トイレの数は男性と女性、一対三とか、細かい、世界では当たり前のことを日本でも普及していく、そういう大きな役割も果たしております。

 今後とも、ぜひ、外務関係の中でもNGOをきちっと位置づけていただければありがたいと思います。

 終わります。

中山委員長 次に、篠原豪君。

    〔委員長退席、新藤委員長代理着席〕

篠原(豪)委員 立憲民主党の篠原豪でございます。

 昨年の通常国会以来ですけれどもこの委員会に戻ってまいりまして、また頑張らせていただきたいと思っていますので、どうぞ先輩方、よろしくお願いいたします。

 きょうは、我が国の周辺の地域でどういったことが起きているのか、幾つか、通常国会が終わってからしばらくたっておりますので、大きな問題になっているところであるとか、時代がどんどん変わってきていますので、その辺で我が国がどういうふうに対応していっているのかというところを、基本的なところを少し確認させていただきたいと思っていますので、河野大臣、何とぞよろしくお願いいたします。

 私たちは神奈川県でありますので、私のそばには、本当に家から数キロのところに横須賀の米軍の基地もございます。そして、座間と厚木の基地もあって、我々、神奈川県というのは外交も防衛も本当に非常に重要な地域だと思っていますので、この外交問題を大先輩であられる河野先生とお話しさせていただけるというのは本当に光栄と思っていますので、御指導よろしくお願いします。

 では、時間がないので進めさせていただきますけれども、最近、この十一月十五日からだけでも、北朝鮮の木造船が十三隻、そしてかなりの数の遺体、十七人の遺体が確認されているということで、漂着をしているということが問題になっています。

 先ほど我が党の末松委員もお話をさせていただきましたけれども、白い防護服を着て対応しているというのは、これは連日報道でも取り上げておりまして、国民の皆さんに対しましても、非常に関心の高いところであるというふうに思います。

 北朝鮮の漁船の問題は、私が思うに、我が国にはこれまで拉致問題というのがあって、北朝鮮の工作船、不審船という問題がずっとありました。こういった経験がありますので、やはり北朝鮮から船が漂着すれば心配になるのは当たり前の話だというふうに考えています。

 その中で、心配である中で、安倍総理は、この問題に対して毅然と対応するという話をおっしゃっているんです。その内容がどうかということをやはり伺わなきゃいけないなと思っていますので伺いたいと思うんですが、その前に、我が国の、三百キロ、EEZですね、排他的水域の中で外国の船が例えば漁業をやっているというようなことがあったりしますけれども、無許可操業で、一般的な対応として、どういうふうな取り締まりを我が国としては実情で今やっているのかということをまず確認させてください。

    〔新藤委員長代理退席、委員長着席〕

山口政府参考人 お答えいたします。

 水産庁の漁業取り締まりは、我が国周辺水域の水産資源の保存、管理と漁業操業秩序の維持を目的といたしまして、我が国漁船に対する取り締まりのほか、韓国、中国等の外国漁船を対象として、操業許可内容の確認や違法設置漁具の押収、越境操業防止のための監視などを行っているところでございます。

 このような取り締まり活動によりまして、外国漁船に対して、昨年一年間で八十六件の立入検査、十四件の違法設置漁具の押収などの対応を行い、我が国漁船が安定操業できる環境の整備に努めているところでございます。

篠原(豪)委員 その立入検査等でやられたというのは、北朝鮮籍の船に対してということは、これはどういうふうになっているんでしょうか。

山口政府参考人 立入検査につきましては、今申しましたように、操業許可の出ている船、したがいまして、この場合は、日本海でいいますと韓国、中国、こういった船に対しての立入検査を行っているところでございます。

 一方で、北朝鮮漁船による無許可の操業、これにつきましては、今、違法であることは当然ですが、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなって極めて問題だということでございまして、現在、水産庁の漁業取り締まり船と海上保安庁の巡視船を重点的に配備いたしまして、放水等の厳しい対応によって我が国排他的経済水域から退去させる、こういう方法をとっております。

篠原(豪)委員 そうですね。七月、夏前ですか夏ぐらいですか、八百隻からの船を放水でどんどん外に出していくということをやってきたと思うんですけれども、この点の問題の難しさは、私が思うに、北朝鮮が我が国と国交を持っていないですし、あと、国連の海洋法条約を批准しているのかどうかというところで、これはしていないわけでありますから、先ほどおっしゃった中国であるとか韓国であるというのは、きちっとしたルールにのっとって我が国も対応できるんだというふうに思っています。

 ところが、北朝鮮に関しましては、そこが適用されるのかどうかというのがよくわからない。批准していないわけですから、北朝鮮がどういうふうに言ってくるかわからない。ですが、こういった問題が起きていて、今いろいろと漂着をし、白い防護服を着て検査をしている状況があるということが実態で、遺体も上がっていまして、この問題に対して、本当に我が国としてはどういうふうに今の北朝鮮の船に対応していけるのかということを考えることが大事だと思っているんです。

 そこで、これは外交交渉にもかかわるところでありますので、大臣に、今後どういうふうに対応していくということを考えられていることがあれば、教えていただければと思います。

河野国務大臣 大和堆というんでしょうか、大和堆を含む日本海の我が国の排他的経済水域において、北朝鮮の漁船と思われる多くの船舶が違法な操業を行っている、これを確認しております。

 こうした状況を受けて、北京の大使館ルートを使って、北朝鮮に対して違法操業の停止、退去を指導するよう強く申し入れをしております。ことしだけでも四回申し入れをいたしました。七月十日は、水産庁の取り締まり船に対する威嚇行為があったということで、さらに加えて北朝鮮に対して厳重に抗議をしているところでございます。

 政府として一体となって、この北朝鮮の漁船と見られる船舶の違法操業に厳正に対処してまいりたいというふうに思います。

篠原(豪)委員 本当に毅然とした対応をどうするか、その具体的な内容ということで、今おっしゃった他国を通じてやっていくというのは大事だと思いますし、ただ、今ふえているのは事実なので、これはやはりもう少ししっかりと対応してくださいということを、なかなか難しい状況かもしれませんが、これは強く言っていただくことをお願い申し上げます。

 先ほど申し上げましたけれども、北朝鮮の船が来ると、これは不審船で、工作船じゃないかということの不安がやはり一番大きいんだと思います。

 絶対に許しちゃいけないのは、我が国には拉致問題という本当にもう悲惨な、本当に家族が引き裂かれるような問題があって、この問題を想起させるということを先ほど申し上げましたけれども、所信表明で、今国会の冒頭に安倍総理も、拉致被害者の方々が再びふるさとの土を踏み御家族と抱き合うその日まで私の使命は終わらないということをお話しされています。まさにそのとおりだと思いまして、一刻も早い解決を我々としても望んでいます。

 しかし、それをどうやって本当に実現していくのかというところが何よりも大事だと思っております。これだけ安倍さんも私の使命であるというふうにおっしゃっているわけですから、それを具体的に、ではその使命をどう実現していくのかというところをやはり聞きたいというふうに思っている国民の皆さんは多いと思いますし、誰よりも拉致被害者の家族の方々は、本当にどうするんだろうということを、もう横田めぐみさんは四十年です、四十年前、十三歳で拉致をされ、そして、それからずっと戻られていない、こういうときであります。そのことについて、我が国の交渉がどうなっているかということをいま一度お伺いしたいと思うんです。

 ストックホルム合意というのがあったと思います。このストックホルム合意で、拉致被害者の家族の方々は、三年前に本当に期待されたというふうに思っています。しかし、調査が続いて、調査はまだしている最中だ、している最中だということで、水面下での交渉があるのかどうかわかりませんけれども、そういう話で、一向に進んでいるように見えないと思っています。

 我が国が制裁をしたことによって、向こうは、これはもう破棄だというような報道も出ていまして、このことについて、我が国は、ストックホルム合意についてどういう立場を今とっていて、今後どういうふうに対応されていくのかということについて、大臣にお伺いできればと思います。

河野国務大臣 我が国は、北朝鮮が拉致問題は解決済みとしていたわけですが、この交渉の扉を開いて、平成二十六年五月ですか、ストックホルム合意で、北朝鮮側に拉致被害者を初めとする日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明させました。この点において、ストックホルム合意には大きな意味があると思っております。

 北朝鮮は、昨年の二月、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張し、全ての日本人に関する包括的調査の全面中止及び特別調査委員会の解体を宣言いたしましたが、このようなことは我が国としては全く受け入れることができないわけであります。

 日本といたしましては、北朝鮮の一方的な主張を受け、大きな意味を持つストックホルム合意を向こうが一方的に破棄すると言っても、破棄を受け入れる、破棄をする考えはございません。

 しっかりと北朝鮮を対話に引き出すための圧力をかけ、核、ミサイルと並んで、この拉致問題を解決するための交渉の場に最大限の圧力を北朝鮮にかけることによって引き出し、引き続き、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早く全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注してまいりたいというふうに思っております。

篠原(豪)委員 同じ所信の演説の中で、トランプ大統領に被害者の御家族の方に会っていただいて、写真を見ていただいて、真剣なまなざしでというふうなところがあったように記憶しています。

 これは、圧力をかけるという意味でそういったことも大事だと思うんですけれども、ただし、横田早紀江さんに関して言えば、アメリカの大統領にお会いされるというのはたしか三回目ですか、ということがあって、では会って解決をしたのかというと、実際なかなかそこにはつながっていないんじゃないかというふうに思います。

 そうなると、圧力だけでやっていって本当にできるのかというと、拉致被害者の家族の方々は、それは安倍さんもおっしゃっていたと思いますけれども、日本が主体的に解決をする道を目指していく、そしてその方向をきちっと模索していくということがやはり大事であって、そのことがどういうふうに、これは表向き、裏向きの話というのは外交ですからわかりませんけれども、実際に拉致被害者の方々が全員、河野大臣がおっしゃるように、最後の一人が帰国するまで本当にあらゆる手段で力を尽くしていかなければいけないというふうに思っています。

 もう今そのことをやはりやらなければいけない状態だと思っていますので、圧力をかけてやるというのは一つでしょう、だけれども、ほかにも、対話のテーブルに引き出すということも、それは順番かもしれませんけれども、想定される、今御説明した以外の、本当にあらゆる、何のどういう方向があるのかわかりませんけれども、全て考えて、これは一日も早い帰国をぜひとも。御年配になられている御家族の方がいらっしゃいますし、やはり子供に御家族は会いたいですよ。ですので、それを何としても。

 もうこれは三年前の、もう一度申し上げますが、ストックホルム合意が今おっしゃったような状況で、我が国はその破棄は認めないと言ったって、向こうが言っている中で、でも実現させなきゃいけない。これは、国民の生命を守る、そういうことでありますから、日本国民の生命を守るということにつながりますので、本当にぜひよろしくお願いをしたいと思っています。

 何かもう一言ございましたら、ちょっと御所見を伺いたいと思います。

河野国務大臣 トランプ大統領に拉致被害者の御家族と面会をしていただいたというのは我々の努力の一端でございまして、北朝鮮に対して影響力を有する中国あるいはロシア、総理が習近平、プーチン両首脳との会談の中でもこの拉致問題の解決について訴えをいたしました。ASEANあるいはASEM、その他の会合でも、首脳レベル、外相レベルで国際社会にこの問題の早期解決に向けた理解と協力を呼びかけております。また、日本を含む九カ国の安保理の理事国が安保理議長宛ての書簡を発出し、人権状況を含む北朝鮮の状況を議題とする会合の開催を要請したところでございます。

 こうやって国際社会が一致して強い懸念を示し、北朝鮮に対して状況改善を求める明確なメッセージを示しているというのは極めて重要だというふうに思っておりますが、やはり最後は、北朝鮮が問題を解決する意思を持って対話に臨むというのが大事なんだろうと思います。

 対話のための対話では問題は解決しないというのは核、ミサイルと全く同じでございますから、我々としては、北朝鮮に対してしっかりと最大限の圧力をかけ、北朝鮮の今の体制が、このままでは北朝鮮に明るい未来は来ないんだということが認識できた上で、核、ミサイル、そして拉致問題を解決する、そういう意思を持って対話のテーブルに着かせるというのが我々として何よりも大事だというふうに考えております。

篠原(豪)委員 政府のお考えは変わらないということだと思います。

 そうはいっても、核、ミサイルの問題もあります、それは大きな問題です、しかし、拉致被害者の問題も、ここの部分は、きちっとこの部分も大事に切り離して考えないと、本当に帰ってくるかどうかわからないということもあるんじゃないか、そういう指摘もありますので、しっかりと御検討いただき、最後は外交ですから、あらゆる手段を通じて一刻も早く、本当にお願いをできればと思います。

 今、米国そして中国のお話が出ましたので、その辺の関係でちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 先月十三日、フィリピンのマニラで、安倍総理がアメリカとオーストラリアのターンブル首相にお会いをし、そして、インドから西太平洋にまたがる広い地域で、民主主義や法の支配に基づく、そういった秩序を構築しようとするインド太平洋戦略を前に進めようということで話されたと思います。

 このことについて、本当に簡単で結構でございますので、現状の確認と今後の方向性についてお伺いします。

河野国務大臣 法の支配に基づいた自由で開かれた海洋秩序というのが国際社会の安定と繁栄の礎になってきたという厳然たる事実があると我々は思っておりまして、特に、世界の人口の半数以上を担っているインド洋から太平洋にかけての地域、ここで自由で開かれた海洋秩序を維持するというのは、いわば沿岸国を初め世界経済を繁栄させるための国際公共財というふうに認識をしております。

 総理は、二〇〇七年のインドの国会での演説で、インド洋と太平洋の二つの海の交わりという演説をされて、ここで、インド、太平洋の自由で開かれた海洋秩序の重要性を初めて強調されたわけですが、これを少し具体化したのがここで言う自由で開かれたインド太平洋戦略でございます。

 具体的に申しますと、航行の自由あるいは法の支配などの基本的価値の普及、定着、インフラ整備を通じた連結性を強化することによって経済的繁栄を追求する、そして海洋法の執行能力の向上支援あるいは防災といったものを含む平和と安定のための協力をやっていこうというのがこの戦略の具体策でございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 法の支配にのっとって自由な航行であるとか海洋の秩序を守っていく、そのために、同じような、まさに民主主義であるとか、先ほど、もう二回目ですけれども、法の支配に基づく秩序でやっていこうという大事な取り組みであるんだろうと思います。

 一方で今、きのうの、安倍さんが日中経営者会議ですかに行かれて、一帯一路について、これは中国が主導して今まで提唱をし、そしてAIIBも、これを車の両輪として中国が主導でやってきていて、そこに対しまして、まあ六月ぐらいだったと思いますけれども、たしか、この一帯一路についても前向きに検討していくという話をされたと思っています。

 私も、報道で、大臣が御地元でも、どういうふうな話をされたかというのは詳しくはわかりませんけれども、チャンスがあるんじゃないかということをお話しされたと思っています。

 大臣の前の岸田大臣が、私ちょっと答弁をいろいろ読ませていただいたんですが、このAIIBに関しましては非常に慎重な姿勢をずっと示されていまして、やはり国際金融機関のガバナンスが本当にちゃんとしたレベルに達しているのかどうか、そして、参加すれば安く見積もっても一千億円ぐらいの出資金が必要であるとか、慎重に対応しなければいけないということをずっとおっしゃってきています。

 そこに対して、まずは、その一帯一路について、今のインド太平洋戦略と、もともとは、それこそ海洋秩序ということであれば、中国がやっていることは、東シナ海と南シナ海に出てきて権益を拡大しようという動きの一つにもやはり国際的には見られている、そういうことがあると思います。我々はそれをインド太平洋戦略でもって食いとめていこうというのも、国際的にそれはまた違う価値観でもって法の支配でやっていこうというふうな対立になっていると思うんですね。

 なので、今までの政府の対応と態度と、今回、最近変わってきていることについて、今、河野大臣として一帯一路構想についてどういうふうに思われているのかということ。

 今もう時間がないので、三十五分までですので、AIIBについて、これまでの岸田外務大臣がおっしゃってきた、多分平成二十六年ぐらいから議論になっていると思うんですけれども、そのあたりから最近まで、本当に探したんですけれども、ではやりましょうということは一言も書いていなくて、あったと思います。ですので、その辺について、河野大臣、新しく御就任なさっておりますので、いろいろと御発言もされているようですので、教えていただければと思います。

河野国務大臣 一帯一路については、例えば、インフラ投資をしたときにそれが万人に対して開放されるのか、開放性の問題、それから、それが透明性を持って行われるのか、経済合理性があるのか、それから、少し前に散見されたように、融資をするけれども、実はその融資を受け入れた国の財政の健全性が損なわれたというようなことがありますので、インフラの開放性、透明性、経済性それから受け入れ国の財政の健全性、こういうものをきちんと、国際スタンダードを十分に取り入れるという前提でこの一帯一路の構想が行われていけば、アジア、インド洋の地域あるいは世界経済の繁栄に十分貢献することができるというふうに思っております。

 そういう意味で、もしこういう観点に合致するならば日本として協力をしていこうではないかというふうに、今一帯一路については思っております。

 AIIBにつきましては、公正なガバナンスを確立することができるのか、それから、重なりますが、借り入れた国の債務の持続可能性がきちんと担保できるのか、あるいは環境や社会に対する影響への配慮がなされるのかなど、その運用面を引き続き注視していかなければいけないというところについては、今までとそう変わっておりません。

篠原(豪)委員 そうですね。一帯一路も、我が国の経済活動をやっている方々にとってみれば、既に現地に法人を出しているような会社は幾らでもありまして、そういった方々から現実の声というのを聞いて、我が国の経済にいい影響をやっていただくというのは、現実的な外交というのはやはり必要だと思っていますので、イデオロギーばかり振りかざしてやっても何か結果が生まれないんじゃこれは違うのかなというところは思っていますので、その辺はしっかりとチェックをしていただきながらやはりやっていかなければいけないんだろうと思います。

 もし仮にそうやれるのであれば、やはり参加するのであれば、それこそ、自民党の二階幹事長が、早く参加するんだったらした方がよかったみたいなことを発言されたようなことも、私も報道に接しておりますし、そこのところは、やっていくんだったら、しっかりとここで見てそれで切りかえていくのであれば、これは十分な体制とそして姿勢できちっと、当たり前ですけれども、我が国の立場が曲がらないようなことでやっていただきたいと思うんです。

 AIIBに関して言えば、我が国が最大に出資をしているADBがあります。そのADBとAIIBの関係を、中身としてどうなっていくのかということも、これは恐らくこれから議論になっていくんじゃないかと思います。

 ADBについて、この一帯一路、ずっと向こうまでですから、それは我々も、これまで、アジア諸国の発展支援については、我が国が最大出資国でありますアジア開発銀行、ADBが中心的な役割を果たしてきました、ADBに加えてAIIBが必要かどうかも慎重な検討が必要ではないかと認識している、そして、既存の国際金融機関と比較した場合に遜色ない基準が求められていてというのはさっき申し上げたとおりですけれども、そういったことを今まで岸田さんはこの委員会とか国会の答弁でおっしゃっているんですよね。

 なので、ADBのこともやはり考えなければいけない、どういうふうにしていくのかということなので、ちょっと最後に、その辺についてのお考えがあれば教えていただければと思います。

河野国務大臣 インド、太平洋の地域におけるインフラの需要というのは極めて旺盛でございまして、その需要に見合った供給が行われているかというと、そこは若干ギャップがあります。それをどういい形で埋めていくかということは、我々としても考えていかなければいけないというふうに思っておりまして、そのギャップをどのような形で埋めるのか。それは、AIIBがきちんとしたガバナンスを確立することによって埋めるのか、あるいは世銀やら何やらの枠組みをもう少し使えるような形にしていくのか、そこはこれから少し考えていかなければいけないというふうに思っておりまして、これは日米の外相の話し合いの中でも、そういう話題は出ております。これから少しそうした問題にも取り組んでまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 最後になりますけれども、一言ですが。

 これまでオバマ政権のときには、アメリカは積極的じゃなかったんだろうというふうに思います。トランプさんになって、今回の外交もそうですけれども、ここに対してやはり旺盛な今のインフラ投資があるとか、そういうことがあったのでということもあって、もともとビジネスをやられている方ですから、それは現実的に考えたのかもしれません。

 我が国も独自の外交が大事ですから、決してアメリカが言ったからということでやっていくんじゃなくて、これは我が国としてどうするんだということを一番にどんと旗を立てていただいて、しっかりと我が国の国益につながるようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 残余の質問につきましては、時間の関係で失礼いたします。

 ありがとうございます。

中山委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 希望の党の吉良州司です。

 きょうは主に、ロシア関係、北方領土関係について質問させていただきます。

 まず、河野大臣、先日のロシア訪問、そして日ロ外相会談、お疲れさまでございました。その外相会談を含む訪ロの成果について、まず、簡潔にお答えいただければと思います。

河野国務大臣 十一月の二十四日、ラブロフ外務大臣と、マニラ、ニューヨークに次いでだったと思いますが、三回目の外相会談を実施いたしました。

 平和条約の締結に関する問題に関しましては、北方四島における経済活動に関して、双方の法的立場を害さない形で、来春に向けてプロジェクト候補を具体化するべく、プロジェクトの内容に関する局長級作業部会及び人の移動に関する局長級作業部会の全体会合を十二月中旬に、そして、日ロ次官級の協議を来年一月後半から二月の間に開催しようということで一致をいたしました。

 また、元島民のための人道的措置は、私からラブロフ外務大臣に対しまして、飛行機を利用した墓参りの来年以降の継続についても協力の働きかけをいたしまして、さらに、追加的な入出域地点の設置を含む、御高齢になられた元島民の方のお墓参りについて、次官級協議の中で全体的に議論しようということにしてございます。

 また、国際情勢につきましては、北朝鮮それからシリアといった課題についても議論をいたしまして、特に北朝鮮については、国連の安保理の常任理事国であり六者会合のメンバーであるロシアが、この北朝鮮の問題について建設的に役割を果たしていくことを強く求めたわけでございます。

 今後、来年の三月に大統領選挙が予定をされておりますが、それを経て、総理が五月にロシアを訪問する予定をしておりますので、その準備のために、春、日本で外相会談を開催しようということで一致をいたしました。

吉良委員 幅広く議論をされたんだと思っていますし、後段にあった北朝鮮やシリア問題等は、また機会を改めて話をというか議論をさせていただきたいと思っていますけれども、きょうは、今大臣からあった中での、共同経済活動を初めとする北方領土問題の解決ということに焦点を絞って話をさせていただきたいと思っています。

 大臣、非常に大上段に掲げた質問になりますけれども、北方領土問題の解決と日ロ平和条約の締結に向けての我が国としての基本的な考え方、哲学、戦略、そして道筋、道程というものをどう考えておられるのか、大臣の見解をお聞きしたいと思います。

河野国務大臣 北方領土の問題については、もう半世紀以上前に私の祖父がかかわってまいりましたので、私としてもこの問題は非常に重視しておりまして、安倍、プーチンの間にしっかりとやってまいりたいというふうに思っておりますが、日本といたしましては、日ロ関係を国益に資するようなものにしていくように二国間を進めていかなければならないというのがまず大前提でございます。その中で、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するというのが基本方針で対ロ外交を進めてまいります。

 昨年末の日ロ首脳会談で、安倍総理、プーチン大統領は、平和条約を解決するという真摯な決意をお互いに表明するとともに、北方四島において、双方の法的立場を害することがない形で共同経済活動を実施する、その交渉を開始するということで合意をいたしました。

 まず、日ロがともに北方四島の将来像を一緒に描いていく、その中で、双方が受け入れ可能な解決策を見出していくという未来志向の発想により、北方領土の問題の解決、そして平和条約の締結にたどり着くことができるというふうに今我々は思っているところでございます。

 そこに向けて全体として重要な一歩を踏み出したというふうに今認識をしておりますので、まず、この共同経済活動に関する官民の現地調査の派遣等が実現をしてまいりましたので、それを着実に進展させることによって平和条約の締結を目指してまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 今、共同経済活動等を含めて足下に関する方針、考え方というものを示していただいたんですが、私はもう少し深いところで哲学的な話も聞きたかったんですが、それはまた後ほど、共同経済活動をもう少し深掘りする中でお話を伺いたいというふうに思っています。

 北方領土問題に関して日ロ交渉を行うときに、アメリカとの関係をどうするのか。一時、安倍総理がこの北方領土問題の解決に向けて、ウクライナ後の制裁が強化された時期にでも、安倍総理としては非常に意欲を持ってこの問題の解決に当たろうとした。そのときに、米国が必ずしもおもしろく思っていないというような報道もなされた時期もありました。

 この北方領土問題に関する米国の基本的な立場というものを外務大臣としてどう捉えておられるのか。もちろん、外国の立場について日本の外務大臣が軽々に語れないということは十分承知した上での質問であります。大臣として言える範囲でお答えいただければと思います。

河野国務大臣 米国政府は、一九五六年九月七日の日ソ交渉に対する覚書の中で、「択捉、国後両島は(北海道の一部たる歯舞群島及び色丹島とともに)常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ、正当に日本国の主権下にあるものとして認められなければならないものである」、これが米国の公式見解でございまして、北方領土に関する我が国の立場を支持してきております。

 ことしの八月にワシントンで行いました日米の外相会談の中でも、私の方から、ロシアの外務大臣、ラブロフさんとの会談で平和条約締結を含む日ロ問題について議論したことなどをティラソン国務長官に申し上げて、国際社会がウクライナにしろ何にしろ非常に困難な状況にある中で、日本とロシアがきちんと対話を継続し、問題を解決していくことの重要性という認識を共有できたというふうに思っております。

 もちろん、同盟国のアメリカと緊密な連携をする、意思疎通をするというのは当然の前提ではございますけれども、北方領土問題に関しては、日ロ二国間で交渉し、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、そういう基本方針のもと、ロシアと交渉を粘り強くやってまいりたいというふうに思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私も、民主党政権時代に外務副大臣、政務官をやらせていただきましたので、外交における米国の重要性というのは、これは当然のこととして認識をしております。そういう意味で、大きな外交方針を立てていくとき、または実際に交渉を行っていくときに、基本的には米国の了解を得たい、理解を得たいというのが基本だというふうには思っています。

 ただ、この北方領土問題に関する限りでは、かつてはダレスの恫喝というようなこともございましたし、今の大臣のお話、一九五六年の九月の米国の覚書というんですか、書簡というものが出されてはいますけれども、米国が積極的に日本の立場を支持して、何か国際舞台においてとか米国とロシアとの交渉においてそれを支持するといったようなことはかつてなかったというふうに了解をしています。

 その背景の一つに、私は、やはりヤルタ会談があるというふうに思っています。

 ヤルタ会談というのは、御承知のとおり、米国、それからイギリス、そして当時ソ連で、ほかもいろいろな取り決めがありましたけれども、ソ連の対日参戦について促したという会談でありました。

 今の日米関係を考えたときに、今の米国の立場というのは、もうそのとおりだと思います、日本の立場を完全に支持している、理解も完全に理解している。

 ただ、では、一九四五年の、ヤルタ会談は二月十一日だったと思いますので、そこに時間軸を戻したときにどうなのか。仮にアメリカが歴史的理解として千島列島には北方四島は含まれない、北方四島は日本の固有の領土だということを知っていたとしても、ロシア側が知らずか、または意図的に北方四島まで千島だ、クリル諸島だとする可能性はあったと思っていますし、それを米国は知っていた可能性もある、というか理解していた可能性もあると思っています。

 今言ったように、今だと考えられないことですけれども、一九四五年の二月、この時期というのは、まだドイツも降伏していません、そして沖縄戦もない、まだ東京大空襲もない、広島も長崎もないという中で、どうやって日本に降伏を迫るか、そのことをやはり連合国首脳が真剣に考えた時期だと思いますので、そういう中にあっては、共産主義国という、米国にとっては極めて脅威であるソ連ではありますけれども、それよりは日本。当時でいえば、日本がまさに敵国として、日本を何とか早期に降伏させたいと思っていた時期。

 それを考えると、アメリカが、今言ったように、千島列島には北方四島は含まれないと思っていたとしても、ソ連が勝手に曲解する、誤解する可能性も知っていた上でヤルタ会談で合意したのではないかというふうに私は個人的には思っています。そういう後ろめたさがあるために、米国としては北方領土問題について余り深く首を突っ込まない、その可能性もあるのではないかと思っているところです。

 日本が降伏して以降、東西冷戦が始まったので、アメリカとしては当然プロ日本であり、反ソ連という対応をするのは当然でありますので、アメリカとしては、今言った後ろめたさもあって、余りこの問題に深く突っ込んでこない。

 私、何が言いたいかといいますと、先ほどこの発言の冒頭に言いましたように、日本としては、基本的には、やはり米国の意向をできれば確認しながら、理解を得ながら諸問題を解決していきたいというのが基本だと思いますけれども、この北方領土問題については、今大臣が後段でおっしゃられたように、まさに日ロの間で、日本の国益に照らして交渉していくべきだ、このように思っておりまして、選択肢は広げるだけ広げて、早期の帰属問題の解決、そして平和条約締結に結びつけていくべきなんだろうというふうに思っています。

 こういう私の見解に対して、河野大臣、何か所感がありましたら、お願いします。

河野国務大臣 ヤルタ協定、その他いろいろ過去はあったんだろうというふうに思いますが、ソ連も崩壊しロシアになり、プーチン、安倍、この両首脳の信頼関係は相当深いというふうに思っておりますので、少なくとも、この二人の首脳の任期の間というのが、懸案であります北方四島の帰属の問題を解決する本当にいいチャンスだというふうに認識をしておりますので、そこは日ロでしっかり議論をして、平和条約の締結までしっかりこぎつけていきたいというふうに思っております。

 また、アメリカも、そういうことについては、これはしっかり理解をしてくれるものというふうに私は考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 その上で、先ほどこれから深掘りをしていきたいと申し上げた、今回の共同経済活動についてであります。河野大臣、これは質問通告をしていませんけれども、率直にお答えいただければと思いますが。

 この共同経済活動について、今、当然内閣の一員として、これを全面的に支持して推進していく立場だと思いますが、大臣になられる前、この共同経済活動について積極的に評価する立場であったか、それとも何らかの疑問なりを持っておられたか、その辺についていかがでしょうか。

河野国務大臣 それについては、後ほど回顧録の中で書きたいというふうに思います。

吉良委員 わかりました。

 私がなぜこういう質問をしたかというと、実は、私、ことしの七月五日から十日まで、ビザなし交流の一環で、というか団員として、国後、択捉に行ってまいりました。

 実は、その訪問をする前というのは、この共同経済活動というのは、一言で言うならば、ロシアにいいとこ取りされてしまうと。いわば、帰属の確認なく、日本の主権を相手に認めさせることなく、実質的にその四島において経済活動、ODAではないですけれども、ある意味経済協力をしていくことになる、それでいてロシアは容易にその帰属について認める立場にはなかろう、であれば、今言った、いいとこ取りされるだけではないかという見解を私自身は持っていました。

 ただ、実際に島に行って、そして現地を視察し、ロシア側からのいろいろな説明も聞き、当然、日本の側からも聞き、そして島民一世、島民二世、島民の子孫からも話を聞くに及んで、私自身は、実は、この共同経済活動というものを積極的に支持するという立場に変わりました。

 ですから、これまでも、北方領土問題にかかわる、特にこの共同経済開発については、ロシアが新たなミサイル基地をつくったこともこれありで、相当批判的な意見も出ておりました。ですから、それも含めて、私自身も懐疑的な部分はあったわけですけれども、今申し上げましたように、これはまさに新しいアプローチとして、急がば回れで、結局は、帰属問題の解決と平和条約締結に一番早く結びつくのではないかというふうに思うに至りました。

 私自身はそう思っているんですけれども、そのことを前提に、この共同経済活動の意義について、大臣または、これは事務方からでも結構ですが、お聞きできればと思います。

河野国務大臣 今、急がば回れとおっしゃっていただきましたが、回りたくなくても余り近道はないというのがこの問題なんだろうと思います。近道があれば、五十年間こういう状況にはなっていなかったんだろうと。

 やはり、昨年末の日ロ首脳会談で、両首脳が、平和条約の締結問題を解決する、みずからで解決しようという真摯な決意が表明されたというのがやはりベースになっているんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、この共同経済活動を通じて、日ロ両国、元島民の方、今四島に住んでいらっしゃる方、あるいは周辺地域の両国民が、北方四島の未来像みたいなものを少しずつ描けるようになってきたというのは非常に大きいことだというふうに思っておりますし、その未来像というのは、どういう形になるにしろ、お互い協力し合ってつくっていくとこういうことになるよねという、それをまず共有する、それは今と比べればはるかにいいものになる、そこへお互い行こうじゃないか。そのためには、平和条約を締結する、平和条約を締結するためには帰属の問題を解決する、そしてステップを踏んで、両国で描いている未来像をつかもうじゃないかという極めて未来志向な考え方を共有することができるようになっているというのがやはり一番の意義ではないのかなと。

 ただ海を見ながら、どうするんだと言うだけではない。やはり、先に何があるのかということをお互いが確認し、この道をとったらこうなる、今のままだとこうだ、その差が顕著だよねという、これを両国、両国民が理解し合えるような形に進めていきたい。その先に、やはり両国でいいものをつくっていこうよ、いい未来を共有していこうよという思いにつなげていきたいというふうに思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 今大臣が答弁されたことに加えて、先ほど冒頭に、日ロ外相会談でどういうことが話し合われたかという中で、飛行機による元島民の墓参ということがありました。

 北朝鮮問題の拉致被害者の御家族ではないですけれども、私自身も島民一世の方と同行しましたけれども、その方も、島に住んでいたのは七歳までということでありました。そういう意味では、本当に高齢になられていて、まさに一世の方々が自由に出入りできる、墓参ができるというのも、これも急がなければならない、そういう思いでそのことも実現する、それに加えて、今大臣がおっしゃった未来像をともにつくっていく、未来をつくっていく、そういう意味があるんだろうというふうに思っています。

 先ほど言いました、私自身が現地に行って結構意外だったのは、ロシア側というのは、この領土にかかわる歴史というのは正確に知っているんですね。日露通好条約、そして千島樺太交換条約、ポーツマス条約、そしてサンフランシスコ平和条約、全部正確に知っていて説明ができる。ただ、最後のところだけ違って、第二次世界大戦の結果こうなったんだから、これはもう自分たちのものだという、ここだけは全く揺るがない。事実関係は一緒だけれども、そこの認識が違うということを確認しました。

 そういう意味では、新しいアプローチということをやはり一歩踏み出さなければ平行線のままで、今言った、島民一世の墓参もままならないという状況だったんだろうというふうに思います。

 そういう中で、共同経済活動について、私自身が評価すると同時に、今後のありようについて大臣にお聞きしたいというふうに思っているんです。

 まず、共同経済活動の意義は、先ほど言った、未来を志向するということに加えて、現実問題として、四島のもろもろの雑貨品、衣類だとかはもうほとんど中国製でした。そして、四島のいろいろなインフラ整備は中国企業がかなり請け負っている。そういう、今後、日ロで領土の帰属問題を解決していく、ともに未来を構想していくときに、余りにも関係のないと言うとなんですけれども、今のロシアの占有を前提にして、ほかの国々も自由に経済活動ができるようになっている。これが続いて、第三国の利権がこの四島においてどんどん深まり確立していくようなことがあっては、これはややこしい話になってくるという思いもあって、ある意味、日本が積極的に経済活動を行うことによって、実質的に日本とロシア以外の第三国を排除していくような方向に持っていかなければならないんだろうというふうに思いました。

 恐らく、日本の商品が入っていく、そして日本が、形はいかであれ、事実上の投資をする、またはインフラ整備の協力をする。日本の領土ですから、自分の国のインフラを整備するということになるわけですけれども、それをやることによって、一方では第三国を排除しながら、一方では日本さすがだな、日本の商品が欲しい、日本に協力をしてほしい、日本と一緒にやりたい、ついては、ロシアから見たときの、クリミアの住民投票ではないですけれども、将来的には、住民投票をやったら、そこに住んでいるロシアの島民はみんな日本がいいと選択するようなぐらいまで持っていくような活動をしていかなければならないんだろう、このように思っているところであります。

 今私が申し上げたような見解について、大臣としてどう受けとめられるか、お答えいただければと思います。

河野国務大臣 おっしゃるように、この北方四島は日本の固有の領土でありますから、あたかもロシアの管轄権を前提に、第三国の企業なり国民がそこで経済活動に従事するというのは日本の立場と相入れないわけでございますので、そこは、委員おっしゃるように、まず、この共同経済活動を中心に、日本とロシアで北方四島をしっかり経済活動ができるようにしていくというのが大事なんだろうというふうに思います。

吉良委員 続いては、私は、経済活動が進んでいく段階、そしてそれが続いた後に領土問題の、帰属問題の解決があって、そして平和条約があって、そして、恐らく私が想像するに、その間またタイムラグがあって、最終的な、全面的な主権回復、こういう道のりになっていくんだろうというふうに思っています。その間、かつて樺太であったような共同統治というような段階を想定しておられるのかどうかについて、ちょっとお聞きしたいと思っています。

 そして、私自身が、さっき言いました、最終的には当然ながら日本の主権の完全回復ですけれども、途中経過というのはいろいろな選択肢があるなと思ったのは、その島民一世の方々の、方々というか、私が深く話を聞いたのはお一人でしたけれども、その方の深く重い話でありました。

 その方は、ロシアが八月九日以降、といっても実際は八月後半になるわけですけれども、北方領土に入ってきたときの恐怖を経験されている。しばらく恐怖の中で暮らしながら、その後数年間、ロシア人と実は生活をともにして、楽しい思い出も残しているんです。一緒にロシア人と平和な暮らしをしていた時期がある。そして、その後、日本人は樺太経由で強制送還をさせられる。そのときのまた大変な、厳しくつらい経験も持っておられる。

 そういう方が言っておられたのは、自分もこのふるさとを追われたときに大変つらい思いをした、そしてこの間、ここにいるロシアの人たちが既にもう何十年と住みついている、そして、あのつらい経験をした自分としても、このロシアの人たちにもまたつらい思いをさせたくない、したがって、日本に完全帰属して、日本の主権が回復されたときでも、ロシア人出ていけというようなことがあってはならないということを島民一世の方がおっしゃられていました。

 私は、それを聞いたときに、本当にいろいろな意味で胸が熱くなって、日本人の美徳だと思いますけれども、つらい目に遭ったときに、このやろうと仕返しをするのではなくて、次はそういうことが絶対ないようにしようという強い思いがある。

 そして、もう一つ言っていたのは、だから、ここにいるロシアの人たちは、自分たち島民一世なりその子孫なりが島に戻ったときに、よき隣人になる人たちなんだ、だからこそこのロシアの人たちも大事にしなければいけない、こういうことを語ってくれました。

 そういう中で、今言いましたように、私自身は、タイムラグがありながら、共同経済活動、そして相互理解、相互信頼、そして日本大好きという環境をつくった上で、帰属問題を解決し、そして平和条約、そして先ほど言いましたように主権の完全回復がある。その間に、今言った共同統治のようなことを考えておられるのかどうなのか。多分答えられないとは思うんですけれども、先ほど言ったように、今の経済活動についても双方の立場を害さないということが前提になっていますので、共同統治という仮定があり得るのか、その辺についてはいかがでしょうか。

河野国務大臣 我が国政府の立場は、この北方四島は日本固有の領土であるというのが政府の立場でございますので、どのようにこの四島の帰属の問題を解決して平和条約の締結をしていくか、まだ少し時間がかかるかもしれませんが、我が国の立場はそういうことでございまして、その間にいろいろなことがあり得るかもしれませんが、仮定の問題についてこの場で今お答えをするのは差し控えたいと思います。

吉良委員 最後になりますけれども、ロシアとの間で八項目にわたる経済協力をやることになっております。そして、今も議論してきましたこの共同経済活動というものがあります。これらに共通するものは、できるだけ民間ベースで、民間のプロジェクトとして成り立つように持っていこう、こういうことであります。

 私自身は、その志やよしだと思っていますが、実際北方四島に行ってみて、四島というか、まあそのうちの二島ですけれども、これは民間で全てを成り立たせるというのは極めて難しいと思いました。これが率直な感想です。

 かといって、さっき言いましたように、我が国の領土でありますから、ODA、経済協力というわけにはいかない。けれども、実質的には、さっき言った日本の経済活動を進めていかなければならない、でも民間だけでは成り立ち得ないプロジェクトになるだろう。そのときに、どういう形で政府が関与していくのか、そこのところを最後にお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

相木政府参考人 お答えを申し上げます。

 北方四島におきます共同経済活動の実現に当たりましては、双方の法的立場を害さない形で、経済的に意義のあるプロジェクトを可能な限り早期に実現できるよう、政府として精力的に取り組んでおるところでございます。

 そういった考え方を踏まえまして、現地調査も二回行ったところでございますし、先般の日ロ首脳会談、また外相会談で一致をしましたとおり、来春に向けて、政府として、五件のプロジェクト候補を具体化するための検討を進めているところでございます。

 このために、外務大臣を座長とします共同経済活動関連協議会という、関係省庁が参加する協議会をつくって会議をしておりますけれども、そういった関係省庁間でよく連携をしながら、政府として取り組んでいるところでございます。

吉良委員 今回、十月二十六日から三十日まで、団員五十四名で、まさに共同経済活動に対する官民現地調査団が派遣されたわけでありますけれども、団員五十四名のうち、政府関係者二十名、そして北海道関係の方が二十三名、そして近隣の一市四町関係者が十三名参加されたということであります。

 私自身は、北海道の一部として、北海道を国が支援し、北海道が地域活性化の一環として北方領土を支援していく、そういう形で、民間だけでは補えないところをある程度政府が北海道を通じて関与していく、そして、今言った共同経済活動を実効あらしめん形にしていく、これが極めて重要じゃないかということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 まず初めに、国際的な租税回避問題についてやります。

 昨年、パナマ文書、そしてバハマ文書、ことしに入って、先日はパラダイス文書。租税回避、タックスヘイブン絡みの文書が、情報が公開されて、さまざまな衝撃を与えました。私の記憶だと、河野大臣はそこには入っていなかったとは思いますが。

 パナマ文書が出たとき、当時のオバマ大統領は、ほとんどが合法的ではあるが、やはりこれは問題だという発言もされておりますし、日本人の個人の名前、法人などもそこに入っていたこともあり、合法的であったとしても、やはり不公平感というのが国民の間、また世界じゅうに駆けめぐったところでもあります。

 今、さまざまな経済取引が電子商取引になり、ICTが発展をして、こうした租税回避、租税回避だけではなく資本投資といった問題も出てきています、また複雑な状況になってきている中で、こうしたものをしっかりと対応していかなければ、納税者の意識というのも高まっていかない、正直者がばかを見るといったような感覚が世界じゅうに蔓延をしてしまうことになっていきます。

 こうしたものをしっかりと対応していくためには、やはり国としても取り組んでいく、また、国際的な連携もしているといいながら、やはり専門の部署をしっかりと設けて対応していかなければならない、ましてや、ICTが発展している中では、より専門性、技術的なものも含めて、きちっとした能力のある人を配置していかなければいけないというふうに私は考えるところです。国際的な税務の専門官を専門的に設置をして対応していくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、経済取引の国際化、ICT化等により、税務行政が複雑困難化している状況にあり、国際課税の分野への対応が税務行政における重要な課題となっております。

 そのため、国税庁といたしましては、国際課税に係る調査等を専門的に担当する国際税務専門官の設置を積極的に進めておりまして、平成二十四年度から平成二十九年度までの五年間で二十二人増員し、現在三百七十二人となっております。

 また、来年度予算、平成三十年度におきましても、必要な体制整備を進めていくため、国際税務専門官の増員要求を行っているところでございます。

 今後とも、経済取引の国際化等による税務行政の複雑困難化に対応するため、必要な人員を確保し、国税庁の執行体制の強化を進めていくことが重要であると考えております。

小熊委員 実際、現場の声を聞くと、ちょっと定員としても足りていないというふうにもお聞きしているんですが、現実に追いつくという意味では。今対応はしているけれども、実際、定員は足りていないんじゃないですか。充足されていないでしょう。それで十分間に合っているとは言えないんじゃないですか。現状、どうですか。

山名政府参考人 引き続き、厳しい定員事情でございますけれども、その充足に努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 そこで、先ほど言ったとおり、これは、ICTの進展、電子商取引が進展しているという中で、ちょっと実態をお聞きしましたら、もう帳簿のレベルじゃなくて、コンピューターソフトの言語レベルでいろいろいじって租税回避したり抜いたりしている、こういう悪知恵がすごく発達しているわけですよ。では、こういうコンピューターを見られる人ってどうなのと聞いたら、実際に専門官になってもらってからこのスキルの研修をするというんですよね。

 でも、今、大学でいえば法政大学とか、あと、私の地元の県立会津大学もコンピューターの単科大学で、そこから専門的な能力を持っている人を直接雇えばいいけれども、そういうふうにはなっていないと。新しく国税庁に入った方で何人か選んで研修をしていくというのでは、追いつかないですよ、それは。

 今後、そういうICT化はもっと進展していくわけですし、そういう中では、入庁してもらってから研修ではなくて、もうそのものずばりの人材を発掘していくということにならないと、ちゃんと対応していますよ、定員もなるべく確保していますといっても、充実化していかない、質が。

 今後、直接そういう電子商取引に対応していくための専門的な人材を登用していくという対応については、どうですか。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、専門性の高い人材を確保していくことは大変重要な課題だと考えております。

 国税庁でも、近年、社会人採用といった取り組みなども進めておりまして、そういった取り組みも含めまして、努力していきたいと考えております。

小熊委員 社会人採用も含めて今専門家を雇っているというのは、私、聞いていませんから、現場の実態を聞いて。対応していくと言っているわけですから、しっかりこれは人材確保も含めやっていただきたいと思うし、定員の増員についても、どんどん進展していますから、今までのスピード感ではなくてやっていかないと、限られた予算の中で定員も確保していくという、非常に厳しいところであると思いますけれども、それはしっかり財務省なんかとも話してやっていただきたいというふうに思います。

 どんどんこういう、去年パナマ、バハマで、ことしパラダイス文書でしょう。もっともっと多分あるわけですよ、こういうのは。全然追いついていないというのが実情だと思いますから、これは与党の木原さんなんかも多分こういうのは詳しいと思うので、しっかり予算を確保して、定員そして質の充実化に対応していただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 次に移りますので、委員長、国税庁はもう退席していただいて結構です。

中山委員長 国税庁、どうぞ。

小熊委員 次に、風評被害についてです。

 これは河野大臣が就任する前に起きた問題で、前の復興大臣がちょっと失言でやめられたときに、安倍総理が、安倍内閣は全ての大臣が復興大臣だというつもりでやっていますと。

 それは大事なことだなと思って、その発言の後にこの外務委員会で、では、しからば、外務省、どうだったんだと。前は、飯倉公館であったレセプションとかいろいろなところで被災地のいろいろな産品を提供して、風評被害対策や被災地の情報発信に努めていたんですが、ことしの春に聞いたときは一年間一切なかったというんですよね。

 そのときに、前の岸田大臣は、いや、自分もそういうつもりで復興大臣としてやっていますと言った後で、では、具体的にどうですかと。やっていなかったというのがありました。

 それから外務省はちゃんと対応すると言っていましたが、この間、この春からこれまでの間、反省してしっかり対応しましたか。現状、どうなっていますか。

河野国務大臣 東日本大震災からの復興は、政府の最重要課題の一つであり、外務省としてもしっかりやっていきたいと思います。

 飯倉の別館がございますが、飯倉別館にて開催するレセプションにおいては、料理の材料及び飲み物には被災地産品を必ず含めることという会計課長からの通達を出して、飯倉では必ずそれを使う、具体的には岩手、宮城、福島、それから熊本県などをしっかり使っていこうということをやっております。

 また、在外公館においても、被災地の日本酒を初め、使えるものは積極的に使っていく、PRを努めるということにしてございますし、第三者を通じた情報発信も、中立性の観点からは非常に効果的である、そう考えて、海外の報道関係者を招聘して被災地の視察や関係省庁との意見交換を行ったり、関連の国際機関との関係強化を行う、これは特にFAOの事務局長などと関係強化を行っております。

 また、各国の輸入規制についてあらゆる機会を捉えて働きかけを行っておりまして、ことしはカタール、ウクライナ、パキスタン、サウジアラビアで規制が撤廃され、レバノン、ロシア、アメリカ、EUなどで規制が緩和されました。

 私も、国連でボリス・ジョンソン、イギリスの外務大臣と会ったときにこの話を提起しましたら、それじゃ僕がカメラの前で福島の桃を食べてあげようと言ってくれたんですが、桃のシーズンが終わっていたので桃ジュースを贈りましたけれども、そういうことを一つ一つしっかりやってまいりたいというふうに思っております。

小熊委員 教科書どおりの答弁、ありがとうございました。

 これは、足りていない。だから戦略的じゃない、今のは。皆さん、わかりましたか。福島、宮城、岩手、あと違う被災地の熊本。輸入規制の話を大臣からしていただきました。これまで努力をして、いろいろな国が撤廃していますが、残念ながら、近くの国である中国、韓国、そして台湾もいまだに規制がかかっています。

 これは、輸出入だけじゃなくてインバウンドを考えれば、今二千万人を超え、もう三千万人まで多分現実を帯びてきている中で、日本に来ているこの二千五百万人、六百万人、七百万人の観光客の七割が中国、韓国、台湾ですよ。そうすると、これはインバウンドも含め、こういった国の輸入規制にしっかり対応していかなければ、風評被害というのはなくならないんですよね。

 実際、震災前と今のこの二千万人を超えた観光客数を比べれば、都道府県ごとのデータは入国ではなくて宿泊数で都道府県ごとにとるしかないので、この委員会でも何回も言っていますけれども、平均すれば二・五倍にふえています。福島県は〇・八ですよ。戻ってもいないし、全国的な平均からすれば、もう三倍もおくれている。秋田も、なぜかマイナスの状況なんですけれども。それ以外は全部ふえているわけですよ。

 これは対応するといったら、実際、外務省、戦略的にやってくださいというのは、では、台湾がどの県を輸入規制していますかといったら、福島県と北関東ですよ。だったら、そういう交流をするときには、茨城とかそういうところのだって、千葉県のだって使っていかなきゃいけない。だから、戦略的じゃないんですよ。だから、心が入っていないんです。被災地に寄り添いますよとか風評被害払拭、こうした輸入規制も撤廃していますよといっても、全然戦略的じゃないじゃないですか。大臣、どう思いますか、こういう現象。

 大丈夫ですよと理解してもらうのに、それは福島、宮城、岩手のものを使ってもらうのはいいけれども、もちろんやってもらわなきゃいけない、被災地の情報発信ですから、だけれども、実際、輸入規制撤廃のためにやっていくべきといったら、はめられているところのものも使わなきゃいけないんじゃないですか。どうなっているんですか、これは。

 ちゃんと考えてやっていますか。やっていないじゃないか。言われたからおざなりに。しかも、一年間やっていなかったんだよ。それで、全大臣が復興大臣のつもりですよと。つもりだもの、結局。言葉だけ。今、春に指摘した後、対応しているといったって、結局、全然戦略的じゃないじゃないですか。どうなっているの。

河野国務大臣 政府としてしっかり対応してまいります。

小熊委員 そういう中で、今言った三カ国、それぞれ背景が違います。

 中国は、ことしの八月末に、遠山団長を先頭に中堅、若手の超党派の日中の友好進展を図る議連があって、いろいろな形で毎年行っています。その中でも、いろいろなテーマについて中国政府の要人と会談をしてきますが、この問題も私も毎回出させてもらっていて、実際、科学的根拠をしっかり示すといいますけれども、外交のいろいろな総合的な中での政治問題だというふうに中国はなっています。

 台湾は、七月に、いろいろある前の民進党の中の、規制をかけられている県の同僚と台湾に行ってきましたら、台湾も政治問題で、野党の国民党がぎゃんぎゃん騒ぐので、昨年、蔡英文さんは規制撤廃をしようとしたんだけれども、そういう国会のいろいろな政局的な絡みで今諦めてしまっているところがあるので、我々も国民党本部にも行ってきました。

 例えば、台湾についていろいろやってもらっていますけれども、そうした状況の中で国民党幹部との交渉とかはしていますか。どうですか。

鯰政府参考人 中国、韓国、台湾に対する外務省の取り組みの御指摘でございます。

 まず、中国につきましては、中国政府に対しまして、食品の安全性等に関する各種の情報提供を行いつつ、さまざまな機会を通じて規制の早期緩和や撤廃を働きかけているほか、中国各地での食品見本市や日本紹介イベントの機会等を通じまして、日本産食品、食材のPR等の取り組みも積極的に行ってきております。

 台湾につきましては、日本台湾交流協会を通じまして、早期撤廃に向けた働きかけやイベントを通じたPR等を行ってきております。

 韓国につきましては、平成二十七年九月にWTOの紛争解決小委員会が、パネルでございますね、設置され、現在パネルの手続が行われているところでございますけれども、我が国といたしましては、WTOにおける結論を待つことなく、一刻も早く規制を撤廃するよう、韓国政府に働きかけているところでございます。

 これらの国、地域を含めまして、委員の御指摘も踏まえまして、引き続き、政府一丸となり、輸入規制の撤廃、緩和に向け、粘り強く取り組んでいきたいと考えております。

小熊委員 今、台湾は、だから国民党が騒いでいるんですよ。国民党本部に行ったら、ポスターがあって、食の安全みたいなことで党のポスターをつくっていて、これを材料に蔡英文さんをやり込めている部分があって、大々的に。だから、国民党のところに行かないと。そういうふうに台湾の政局の材料に使われているんです。

 国民党とも折衝していかなきゃいけないと思うんです。やっていますかという話なんですけれども、どうですか。

鯰政府参考人 外務省といたしましては、基本的には、日本台湾交流協会を通じていろいろ働きかけを行っているということでございますけれども、台湾の内部のいろいろな御指摘につきまして、委員御指摘いただきましたので、こうしたことも踏まえながら、引き続き考えていきたいと思います。

小熊委員 総務大臣が、いろいろな関係で台湾に行って、また、被災地の情報発信もしてもらいましたけれども、そのときに国民党幹部と接触している形跡がなかったんですね。

 だから、国に応じて、何で規制を撤廃しないかというのは、もう今や科学的根拠なんてみんなわかっているわけです、違う形で、それが撤廃されていないというのは政治的な背景がありますから、その政治的な背景そのものにさわっていかなければ、通り一遍に、これは大丈夫ですと科学的データを示したって、そんなものは改善をしないので、しっかり、そういった、現実に戦略的にやっていただきたいと思うし。

 大臣も言っていただきましたから、今後のさまざまなイベント関係では、単純に東北三県ということじゃなくて、規制のかかっている、もっと広域で規制がかかっていますから、そういったところの県の産品もしっかりと使っていただいて、対応していただきたいなというふうに思っています。

 結局、言われたからやり直したし、やり直したって、とりあえず言われたからやるみたいなところで、全然主体的じゃない、能動的じゃないというところが本当に悲しいところではありますが、こうしたことも被災地の我々がずっと言っていかないと風化していくというのも、これは世間相場でもありますし。

 我々、東北の中でさえ風化しているんですよ。きのう、東北七県、新潟を入れて七県の国会議員と東北経済連合会との懇談会が都内のホテルでありましたけれども、被災地のものを自分たちでさえ使っていなかったから、ちゃんとこれは使うようにと挨拶の中で言ってきましたけれども。

 ただでさえ、我々でさえもうどこか常に意識しないとだめなので、とりわけ、外務省、心構えだけじゃなくて、しっかり行動で示さなきゃいけないし、それもやっつけじゃなくて、実態を見てやらなきゃいけないですよ。

 風評被害というのは東北三県だけじゃないですよ。福島だけじゃないですよ。茨城だって千葉だって栃木だって、いろいろありますから。規制の状況に応じてどうやって情報発信していくかというのが必要であります。

 あと、大臣、私、ずっと言ってきたのは、いろいろな映像を誘致してもらっていますが、報道じゃなくて。これまでの間に科学的な根拠とかいろいろなことは、政府初め地元自治体、また民間団体を含め、情報発信はされています。ソフト的なアプローチが必要だということをずっと言ってきました。ぜひ、報道機関の誘致だけじゃなくて、映画とかいろいろな、旅番組とかバラエティーみたいなものを、さらっと来ていただいて、先ほど大臣に言っていただいたように、桃を食べてもらうとか、そういうアプローチが必要だというのも言ってきていますから。

 ぜひ、映像誘致に関しても、報道の部分だけではなくて、幅広く情報発信がなされるようにぜひ対応をとっていただきたい、今までのをまたさらに発展していただきたいと思っています。

 次に移ります。

 北朝鮮問題、これまでもやってきました、それでも北朝鮮の暴挙はとまらない。

 そういう中で、先ほど言った遠山団長を先頭に訪中してきたときに、ちょうどミサイル実験が行われて、その中でも中国の政府要人とは会えましたけれども。いろいろな形で意見交換させていただいたら、やはり北朝鮮問題に対しては、これまで多くの皆さん、また政府においても認識しているとおり、アメリカ、韓国はもちろんのこと、やはり中国、ロシアとの連携もとりわけ重要視していかなければいけないんですが、やはりアメリカ、韓国と日本、また中国、ロシアというのはちょっと溝があるというのを感じるのも事実であります。

 中国政府の要人の言葉として言えば、要約して言えば、経済制裁しても、経済問題でも何でもないんだと。北朝鮮の安全保障上の問題なので、北朝鮮政府は今の政権維持に、すごくそこに中心的に重きをなしているので、やはり、アメリカ政府が今の政権を維持していくということを担保しなければとまらないというような感じの発言が中国政府からもなされていました。そういう意味で、政権維持のために外交上の交渉カードとして核開発をしているというのがまた一つの側面かなというふうに思っています。

 そういったものを踏まえてやはり交渉していかなければいけないと思いますし、対話に引き出すために、圧力、さまざま、国際的連携をとってやっていますけれども、対話に出てきていません。そういう意味では、具体的に本当にどうやってやっていくんですか。

 中国政府の認識は、まさに安全保障上の問題で、政権維持が担保されるのであれば話し合いに応じるんじゃないかというような意味合いのことを発言していましたから、そういう視点からちょっと答弁いただきたいと思います。

河野国務大臣 我々は、北朝鮮に対して最大限の圧力をかけることによって、今の北朝鮮の体制が、このままのコースを続けていっても北朝鮮に明るい未来は来ないということを認識することによって、核、ミサイルを放棄し対話をする、その用意があるという意思を明確に表明し、具体的な行動をとれば、国際社会として北朝鮮と対話をする用意がございます。

 北朝鮮のこの危機の最終形は、北朝鮮が核を放棄しなければならないということは、日米韓中ロ、そして国際社会、合意をしていることでございますし、この安保理決議を中国も今厳格に履行するだけでなく、中国独自の経済制裁を始めているところでございます。

 経済制裁というのはきょうあす効果が出るものではありませんが、しっかりと国際社会で連携をしてこの圧力をかけ続けていくということが大事だと思っております。

小熊委員 方向性はそれでいいと思うんですけれども、明るい未来を示す、そんなことをやっていたら明るい未来はないよと。大臣の言う明るい未来と北朝鮮の考える明るい未来がずれていれば、何ぼ言ったってそれは引きずり出せないと思います。

 北朝鮮自身が考える明るい未来というのはどこにあるのかといえば、中国政府が感じているとおり、政権の維持です、今の体制の。そこにどうコミットしていくかということがこの鍵になるというふうに思います。

 北朝鮮の言うとおりにする必要はありませんけれども、そうしたことで、やはり、我々が想像し得る明るい未来と彼らの明るい未来というのがずれがあれば、その方向性というのはなかなか結実していかないというふうに思いますので、これは方向性としては私は大事だと思いますから、その方向でしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。

 時間がないので次に移りますけれども、その中で、核セキュリティーについてです。

 先日、中東イエメンの反政府組織のフーシが、UAEの建設中の原発に向けて巡航ミサイルを発射したというのを流したんですけれども、UAEとしては、即座に、そういった事実はないということを発表しています。ただ、反政府組織が流した映像でいうと、巡航ミサイルが飛び立っている映像はありますので、本当にやって、途中で墜落したのかどうかはわかりませんけれども。

 現状を把握しているかどうかというのは、もうそこは飛ばしますから。

 このときに、私、このニュースを見てふと思ったのは、原発施設に対する安全というのはどうなんだろう、改めて振り返ってみたいなというふうに思いました。

 核セキュリティーサミットとか行われていますし、日本も国際的にもそれなりに対応はしているんですけれども、まさに北朝鮮の核開発の脅威というのもありながら、ある意味、東電の福島での事故を契機に、原子炉そのものを壊さなくても大変な事態に陥るということが明らかになったわけです。となると、原発施設の管理、防御といったものはもっとハイレベルにしていかなければいけない。

 でも、現状は、核開発の脅威というのもありますけれども、北朝鮮が普通のミサイルで核施設をやっただけで大変なことになるわけです。この対応、Jアラートとかになって大変だ大変だといって、今、各地方の自治体でも訓練が行われていますが、では、核施設が攻撃されたときの訓練は、ない、やっていません。それを想定しちゃったら今の避難計画というのはもっとレベルアップしなきゃいけないから、実はやっていないんですね。

 何が問題かというのは、これは民主党政権のときも私は指摘してきましたが、いろいろなところでエリートパニックというのがあるわけです。事実を教えてしまったら一般の人たちがパニックになって収拾できなくなるから情報を隠すというのがエリートパニックと言われていますけれども。今回、北朝鮮の脅威もある、そしてUAEでこういったことが起きたというかニュースが流れたという意味では、核施設に対する安全保障上の問題というのをしっかり考えて対策をとり、しかも、国民の皆さん挙げてJアラートで訓練しましょうとやっているのでありますから、そういう中では、これが襲われた場合ということも踏まえて対応をとらなければいけないというふうに思います。

 とりわけ、この原発問題に対しては河野大臣は専門家でもありますから、こうした点についてどうですか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、ある意味原子力施設に武力攻撃があったときの対応というのは、委員御案内のとおり、国民保護法に基づいて防護措置を講ずるという仕組みになっているかというふうに承知をしております。

 なお、一般的なテロ対策につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、原子力規制委員会が原子力発電所に対して、IAEAの国際的な基準に整合した各種の防護措置を講ずることを義務づけてございます。

 こうした事業者による自主的な警備とともに、原子力発電所には警察の部隊が二十四時間常駐をしている、あるいは、海上におきましては、海上保安庁の巡視艇が周辺海域を監視するといったような体制がとられているというところでございます。

 原子力規制委員会といたしましては、いずれにしても、関係省庁と連携をとりながら、しっかりとした防護措置を講じていきたいというふうに考えてございます。

小熊委員 対策をとっているのはわかっているんですが、言いたかったのは、原発事故のときの避難計画にこれが想定して入っていないということと、あとは、今Jアラートとかで北朝鮮の脅威を、今までと違うぐらいに報道もされている、政府もその情報を発信している中で、北朝鮮は脅威だ脅威だ、ミサイル、核兵器が飛ぶだけの脅威ではなくて、では北朝鮮の暴走によってそういうことが、襲われてしまったらということの対応が、実際ベースでは、マスコミも含め、その脅威については論じられていないんですね。

 今、警察が常駐していると言ったけれども、あえて言いませんが、核施設においてその常駐の度合いなんというのは全然少ないですよ。国際的には、ほかの国によっては軍隊が守っているというのもありますし、かつて私も事故のある前の東電の福島原発に行ったときも、装甲車が一台置いてあるだけですから、それは脆弱となっています。ミサイル対応もなっていません。

 そういう意味では、この北朝鮮の脅威を契機として、もう一段階、二段階しっかり対応を上げていくべきだというふうに思いますし、今、北朝鮮の緊迫した状況の中においてはそこも想定に入れて、避難訓練等初め、対応初め、今海上でもいろいろやっていると言っていますが、そういったことも含めてもう一度見直しを図らなければいけないというふうに思いますし、安倍政権においては、北朝鮮の危機をあおっている一方で、核施設に対するテロに対しての危機感を喚起するといったことが実は抜け落ちています。

 このことについては、北朝鮮に対する危機をあおっていくのであれば、もっとこの点に関してもしっかりやらなければいけないというふうに思いますが、そういった方向性について、大臣、最後、御答弁があれば。

河野国務大臣 商業用原子炉の防護についてお答えする立場にございません。

小熊委員 これは、そうであれば、でも、原発の専門家ですから、また違うところでいろいろ議論をしていきたいというふうに思いますし、国民の生命財産を守るというのが我々の役割ではありますから、そうした縦割りではなく、お答えをいただきたかったというふうに思いますので、今後ぜひ対応をしっかり、役所の方ももう一度見直しを図っていただきたいというふうに思います。

 以上です。

中山委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 無所属の会の岡田克也です。

 私は、まず、非核三原則について大臣と議論したいと思っています。

 非核三原則の中の核の持ち込みということですけれども、密約調査の中で、密約が具体的にあったかどうかは別にして、米国政府が核兵器を搭載した艦船の一時寄港は持ち込ませずに該当しないと考えていたことを知りながら、米国政府が何も言わないから持ち込みはないと、国民に対してうそを言い続けてきたということが明らかになっています。

 この点について、歴代の総理大臣や外務大臣が国会で答弁されているわけですけれども、河野大臣、そういった、国民に対してうそをつき続けてきたことについて、どういうふうに受けとめておられますか。

河野国務大臣 いわゆる密約問題について、民主党政権、岡田外務大臣のもとで調査を行われて、その結果を「いわゆる「密約」問題に関する調査報告書」として公表されました。この調査は極めて有意義だったと私は思っておりまして、現政権として、この報告書の内容を踏襲しております。

 この問題がこれほどの長期間にわたり国民に対して明らかにされてこなかったことは遺憾であると思います。政府として、今後は、国民とともに歩む外交を実践し、国民の負託に応える外交の実現に努力していきたいと考えております。

岡田委員 国民に明らかにされていなかったことが問題なのではなくて、明らかにアメリカの解釈と日本政府の解釈が異なるにもかかわらずうそを言い続けてきたことが問題なんだ、私はそう認識していますが、いかがですか。

河野国務大臣 当時の岡田外務大臣がそのような認識で調査をされたんだろうと考えております。

岡田委員 私も、歴代の総理や外務大臣を一方的に責めるつもりはないし、そういった発言はしておりません。

 それから、これは自民党政権時代のこととはいえ、事実が明らかになったということで、国民に対して外務大臣としておわびをしているし、例えば佐世保や横須賀の市議会に対しても、外務省はずっと同じことを毎年毎年、確認があったときに、いやいや、問題ありません、アメリカが何も言ってこないんだから問題ありませんと言い続けたわけですね。だから、私は、佐世保や横須賀まで行って、市議会の議長や市長におわびも言いました。私が言う必要があったのかどうかはわかりませんが、やはりそれは、外務大臣という職を担う者として当然必要だと思ったからです。

 私が河野大臣に聞いているのは、それ以前の歴代の総理や外務大臣が、当時のそれぞれの外務次官から、総理になったときに、外務大臣に就任したときに報告を受けながら、つまりアメリカの解釈と日本の解釈が違いますということを報告を受けながら、いやいや、持ち込みはありませんというふうに言い続けたことについてどう考えているかということです。

河野国務大臣 当時の状況について簡単に判断できるものではないと思いますが、当時の国際環境その他、日本国民全体の利益、国益に照らしてそういう判断をされたんだろうというふうに思っております。

岡田委員 いろいろな国益判断はあると思いますけれども、本当にそれが必要なことだったのか。

 私の理解では、歴代の閣僚の中で、この持ち込みに関する密約の問題で、こういう状態はまずい、国民をだましていることになるということで動こうとしたのが、田中内閣のときの大平蔵相と木村外務大臣。しかし、これも、田中内閣が短命に終わってしまって、結局形にはならなかった。だから、そういう人もおられたわけですけれども、多くの外務大臣、総理大臣は、国民に対してうそを言うということがわかっていながら、問題ないと言い続けた。やはりこれは、私は決して褒められることではないというふうに思うんです。

 もう一度、河野大臣に聞きたいと思います。

河野国務大臣 さまざまな立場から国益、国民全体の利益を考えて、それぞれの政治家の御判断があったというふうに思います。

岡田委員 大臣は、二〇一〇年一月のパネル討論会で、持たず、つくらずは変える必要がないが持ち込ませずという原則を変えるというのはどうだろうかと発言されていますね。一方で、非核三原則は堅持すると、外務大臣就任時に述べておられます。

 どちらが本当なんですか。

河野国務大臣 政府として、非核三原則を堅持するというのが方針でございます。

岡田委員 もし、非核三原則を堅持する、私もそれは必要なことだと思いますが、しかし、現時点でそれが本当に堅持できるのかというところについてはどうでしょうか。

河野国務大臣 意味がよくわかりませんが、非核三原則を堅持するという政府の方針に変わりはございません。

岡田委員 大臣は、二〇一〇年三月のブログの中で、アメリカは核兵器の存在を否定も肯定もしないのだから日本側としては確認のすべがないということになってしまう、非核三原則を堅持するということは日本政府が国民にうそをついてきた状況がこれからも続けられるということになるというふうに述べられています。

 非常に正しい認識だと思いますが、この発言をどう思われますか。

河野国務大臣 今の日本政府として、米国に対して非核三原則が我が国の国是であるということを説明し、同盟国たる米国に対してこの方針を理解してもらうというのが、我が国の非核三原則に合った米国の行動をしてもらうということに尽きるんだろうと思います。

岡田委員 そうすると、大臣は、日本政府の持ち込ませずの解釈には一時寄港も含まれているんだということは、アメリカ政府とは共通の認識に今至っているということですか。

河野国務大臣 これまで、日本政府として、我が国の非核三原則の説明を米国政府にしてきたんだろう、そして、米国政府がその方針を了解して今の日米同盟があるというふうに考えております。

岡田委員 一つ、途中でアメリカの政策転換があった。つまり、従来、過去においては多くの米国艦船に核兵器が積まれていた、しかし、もうそれを限定しようというアメリカの政策転換があって、基本的には航空機、戦略爆撃機、今でいうとB2爆撃機かB52爆撃機、それからもう一つは戦略原潜、ここにしか核兵器は積まないというふうにアメリカは政策転換した。その転換を受けて、非常に限定されるわけですから、そういったものが日本に来なければ持ち込みはないというふうに考えられるわけですね。

 逆に言うと、戦略原潜やB2やB52戦略爆撃機は日本として受け入れられません、一時的に寄港したり、あるいは日本の領土内の飛行場に着陸するということは認められませんということは、ちゃんとアメリカ側に通知をして理解を求めるべきじゃないですか。

河野国務大臣 我が国の非核三原則の立場というのをアメリカはよく理解しておりますので、現在までのところ、それに反することはなかったというふうに認識しております。

岡田委員 現在までのところはそうだと思います。戦略原潜が韓国には行くことはあっても、日本に寄港することはない。

 しかし、では、戦略爆撃機、このB2やB52はどうなのか。今までは来ていませんけれども、しかし、これから来るかもしれない。だから、それは受け入れられませんということは明確にしておいた方がいいんじゃないでしょうか。

河野国務大臣 少なくとも、核を搭載した戦略爆撃機が国内に来ることは受け入れられないということはアメリカ政府も理解をしているわけでございます。そうでない場合は、搭載が可能であっても、核そのものがなければ、これは日本に来ることは可能だというふうに認識しています。

岡田委員 従来は、核を積んでいるかどうかアメリカは明確にしない。それが前提としてあって議論しているわけですから。

 そうすると、戦略爆撃機に核が積まれているかどうかはアメリカが責任を持って明確にするというふうに大臣はお考えなんですか。

河野国務大臣 アメリカ政府は日本政府の非核三原則の立場を理解しておりますので、それを損なう形で戦略爆撃機が来ることはないというふうに日本は理解をしております。

岡田委員 結局、従来のことと余り変わらない。アメリカは理解しているから積んでいないと。しかし、日本政府としては、それを確認するすべはないということになるんじゃないですか。

 むしろ、B2やB52、核兵器を搭載することが可能なものは日本に入れないというところで線を引くことが、非核三原則の堅持だというのであれば、具体的に必要なことだと私は思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 極めて緊密な関係にある同盟国として米国は日本の政府の方針を理解しておりますから、それをあえて破るようなことは同盟国としてないというのが日本政府の理解でございます。

岡田委員 私が非常に気になっているのは、このB52やB2の話が最近聞かれるからです。

 B52については、八月二十二日に航空自衛隊のF15二機が編隊航法訓練をB52二機と実施したということが明らかになりました。防衛大臣は、日米の対処能力をさらに緊密にする、向上を図ることが北朝鮮に対しての圧力につながるというふうに発言されたわけですが、訓練をしたということは、実戦でもB52戦略爆撃機に対して航空自衛隊がそれを護衛するというか、同じ編隊の中で、編隊を組んで護衛するということがあるということでしょうか。

河野国務大臣 きょう防衛省が来ていないようでございますので断定的なことは申し上げられませんが、後ほど防衛省に確認をしたいと思います。

岡田委員 訓練するということは、やはり実戦でもそういうことがあり得るからこそ訓練していると思うんですね。もちろん、そのB52が日本に一旦着陸するのかどうかはわかりません。逆に言うと、核を積んだB52、それを日本の自衛隊が支援する、こういうことがあり得るということになりますね。

 もう一つは、本会議の代表質問でも指摘したんですが、航空自衛隊の観閲式にB2戦略爆撃機が参加する方向で調整されていたということは日本政府も、総理の答弁の中でも認められているわけです。これなども、観閲式にB2、戦略爆撃機が来る、そこにさすがに核は積んでいないというふうには思いますが、核兵器を積んだ戦略爆撃機が日本に来るということにかなり近い状況が今生み出されているんじゃないかというふうに思うわけですが、いかがでしょう。

河野国務大臣 政府として非核三原則を見直す考えはございませんし、アメリカ軍も米国政府もそれをよく理解しておりますので、状況は変わっていないというふうに思います。

岡田委員 そこまでおっしゃるのであれば、米国政府からちゃんと文書で、そういったことはないんだということを確認すべきじゃないですか。

河野国務大臣 さまざま日米間で緊密な連携をしておりますが、そうしたことについて対外的に公表するかどうか、これは米側との関係もございますので、差し控えたいと思います。

岡田委員 要するに、非核三原則が国是である、そして、それを堅持するというのが内閣の方針であると。

 そこまで言われるのであれば、そのことをきちんと担保する、そういった明確なものが必要ではないかと思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 日米間の緊密な同盟関係というのがその担保の役割を果たしているんだろうと思います。

岡田委員 私には到底理解できないわけですね。

 ですから、河野大臣も、大臣になる前には非常に正しく認識して正しく発信しておられたと思いますが、もちろん大臣の立場でいろいろな限定がかかることはわかりますが、しかし、非常に限定された、B2とB52それから戦略原潜という、もう限られたものになっているわけですから、そこをきちっと対処すれば非核三原則の堅持は可能なんですね。

 そういう意味では、今までとは状況は違うわけなので、そこは大臣が御努力されればもっと国民にとって明確になるのではないかと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 今、岡田委員がおっしゃったことは、よく理解できることでございます。

 繰り返しますが、政府として非核三原則を堅持するというのが今の方針でございますので、外務大臣としてそういう答弁をさせていただきます。

岡田委員 日米間の核をめぐる対話というのもかなり進んできているというふうに思います。そして、日本として、持ち込ませずがどうしても重要なことであるというのであれば、そのことをきちんとアメリカ側に理解させるということは、私は、同盟国のきずなを弱めるとかそういうことには全くならないというふうに思うんです。そのための努力をぜひ大臣にしていただきたいと思いますが、もう一回答弁をいただけますか。

河野国務大臣 岡田外務大臣当時に、密約について調査をされ、きちんと国民の理解を得る形にされたというのは私も大変評価をしておりますし、我が国のこの非核三原則という国是が、世界で見てきちんと機能しているんだということが世の中に伝わるようにするというのは、これは大事なことだと思いますので、最善の努力をしてまいりたいと思います。

岡田委員 午前午後に分かれていて非常にやりにくいんですが。

 次に、北朝鮮の問題で、ティラソン国務長官は、米国は北朝鮮の敵ではなく、体制転換や体制の崩壊を目指さないというふうに八月一日に明言されました。

 このティラソン四原則について、どう評価されていますか。

河野国務大臣 日米両国を含め、いずれの国も北朝鮮の体制を転換することを目標として掲げてはございません。

岡田委員 目標として掲げるという話と体制転換を目指さないということには、かなりニュアンスの違いがあると思うんですね。体制転換を目指さないという理解でいいですか。

河野国務大臣 体制転換を目指す。北朝鮮が核、ミサイルを放棄して国際社会と対話をする、そして拉致問題を解決しようという意思を明確にするということができれば、体制変換を目指す必要はないんだろうというふうに思います。今、日米を含めどの国も、目標として北朝鮮の体制を変換するということをこの時点で掲げている国は一つもございません。

 我々としては、北朝鮮に対して圧力をかけることによって、北朝鮮が、核、ミサイルを放棄し拉致問題を解決する、そういう明確な意思を表示し具体的なアクションをとることによって国際社会と対話を始める、それができるように努力をしているところでございます。

岡田委員 あとは午後やります。

中山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。岡田克也君。

岡田委員 午前中の続きをやりたいと思いますが、我が国が体制転換を目標として掲げたことはないというのが政府の説明ですが、これは事実を述べたもの。しかし、体制転換を目指すことはない、これは政権の意思を明確にしたもの。意味合いが異なりますね、全く。

 体制転換を目指すことはないということを明言されますか。

河野国務大臣 今のこの状況で北朝鮮の体制変換を目指すことはないと申し上げてもよろしいかと思います。

岡田委員 今のこの状況はというのは、話し合いが、まだ可能性があるという状況で体制転換を求めることはないと。

 しかし、北朝鮮から見れば、話し合いに応じることについて、体制転換を求められる可能性があるのであれば、それだけ話し合いに応じる余地は少なくなるということだと思うんですね。だから、ティラソン国務長官は、体制転換を求めないというふうに言ったと思うんです。

 国務長官がこれからどうなるかという話は別にありますが、このティラーソン長官の言われたことに、そこまでは言えないということですか。

河野国務大臣 ティラソン国務長官がさまざま御発言をされているのは理解をしておりますが、まだ米国政府の方針としてそうなっているということではないだろうと思います。

 日米できちんと連携をして、この北朝鮮の情勢には当たってまいりたいと思っております。

岡田委員 今の発言は、米国国務長官の言っていることは米国政府の考えと同じではないというふうに外務大臣が認められたということになりますよ。いいですか、それで。

河野国務大臣 別に、違うと言っているわけではございません。米国政府の確固たる方針であるというふうにはまだ認識をしていないということでございます。

岡田委員 むしろ日本政府としては、体制転換を求めないというふうに明言すべきだというふうに私は考えていますが、現時点では大臣にその気はないということはよくわかりました。

 いま一つ。全ての選択肢がテーブルの上にあるというトランプ大統領の立場について、日本国政府あるいは安倍総理は、一貫して支持をする、そして、かつては、四月二十四日の日米首脳電話会談の後の会見では、高く評価するというふうに言われました。

 一貫して支持するとか高く評価するというのは非常に強いメッセージだというふうに思いますが、この点について御説明いただけますか。

河野国務大臣 言葉どおりで、全ての選択肢がテーブルの上にあるということを日本として支持しているということでございます。

岡田委員 全ての選択肢がテーブルの上にあるということの実際の意味は、武力行使も辞さない、それが全ての選択肢がテーブルの上にあるということだと思うんですね。そうとしか考えようがないわけです。

 もちろん、武力攻撃を受けたときにそれに反撃するということまでは否定する必要は全くないわけですけれども、先制攻撃をする、あるいはしない、これは非常に重要なところです。

 トランプ大統領が先制攻撃の可能性を排除していない、それを高く評価する、あるいは一貫して支持する、それが本当に日本国政府の立場としていいんでしょうか。

河野国務大臣 我が国の政府は、アメリカが全てのオプションがテーブルの上にあるということを支持すると同時に、国際法違反の武力行使を支持することはしないというのが我が国の立場でございます。

岡田委員 先制攻撃の可能性を否定しないことが、北朝鮮が対話に応じることになぜつながるのか、私、どうしても理解できないんですが、説明いただけますか。

河野国務大臣 繰り返しますが、政府は、全ての選択肢がテーブルの上にあるということを高く評価すると同時に、国際法違反の武力行使については支持しないというのが我が国の立場でございまして、その選択肢の中に何が含まれているか、個別に論評することは差し控えたいと思います。

岡田委員 これはトランプ大統領だけではなくて、過去のアメリカの政権のやってきたことを見れば、国際法に場合によっては違反するかもしれない先制攻撃というのも、必要なときにはやりますというのが米国政府の基本的な立場じゃないですか。そのことも含めて全ての選択肢とトランプ大統領が言っているときに、それを高く支持すると言うことは、国際法はきちんと守りましょうと言っていることと私は両立しないと思いますよ。

河野国務大臣 そもそも、米国が国際法違反の武力行使を行うということを我が国は想定をしておりません。

岡田委員 それでは、先制攻撃で、国際法に違反しない先制攻撃というのはどういうものが考えられますか。

河野国務大臣 岡田委員は、何かアメリカが先制攻撃をするかのように決めつけていらっしゃいますが、必ずしもそうだとは認識をしておりませんし、全ての選択肢がテーブルの上にあるということを高く評価をしておりますが、選択肢一つ一つについて論評することは差し控えます。

岡田委員 過去の米国政府のやってきたことを見ても、アメリカの理解は、国際法上、たとえ違反であっても、必要なときにはやるというのがアメリカ政府の考え方です。全ての選択肢があるというふうに言っている、それを無条件に、今、国際法違反のものまで認めるわけではないとおっしゃったけれども、しかし、一貫して支持するとか、高く評価しているんですよ。これはやはりおかしいと思いませんか。

河野国務大臣 繰り返すようですが、そもそも、米国が国際法違反の武力行使を行うということを我が国は想定をしておりません。

岡田委員 想定をしていないと言いながら、現実にはそういうことは起こり得る。必ず起こると言っているんじゃないですよ、起こり得ると。それを無条件に高く評価してしまっているのは、私は問題だというふうに思います。

 韓国の大統領は全く違ったことを言っています。それが正しいかどうかは別にして、やはりそういった先制的な攻撃がなされたときに、それに対して反撃がなされるとすれば、それは韓国や日本であるわけですから、アメリカの議会調査局の報告書でも、ソウルだけでも、通常兵器の攻撃でも多くの人命が失われるということが言われているわけです。日本にだって、さまざまな攻撃があるでしょう。

 そういうことを考えたら、やはり国民の命と平和な暮らしを守るという、日本国政府として最も重要なこと、したがって、武力行使という事態に、あるいは武力衝突という事態にならないようにするということが最大の日本国政府の責任じゃないですか。

河野国務大臣 そもそも、この北朝鮮危機は、北朝鮮が国際社会を挑発して起きていることであって、誰も朝鮮半島で紛争が起こることを望んでいるわけではないんだと思います。

 米国は、北朝鮮が何か事を起こしたときに、韓国あるいは日本を守るために、持てる抑止力全てを使うということを明言しているわけでございまして、我々はそれを高く評価したいと思います。

岡田委員 もちろん、この問題は北朝鮮側に基本的な責任がある。核開発を進めるその北朝鮮に問題があるということは、これは全くおっしゃるとおりであります。しかし、その北朝鮮が暴発しないために話し合いで解決していく、そのためにはもちろん圧力を高めていくことは私は重要だと考えていますけれども、武力行使ということになると、先制的な武力行使ということになると、これは全然局面が違ってくるというふうに私は考えております。

 安全保障委員会でも河野大臣は同じような答弁を繰り返されましたが、私は、政府として高く評価するとか一貫して支持するとかいうふうに言われるのであれば、きちんとそこのところを説明する責任があると思うんですね。場合によっては、これは日本あるいは韓国に大きな被害が及び得る、そういう話ですから、きちんと説明していただけませんか。

河野国務大臣 繰り返すようですが、この危機は、北朝鮮の挑発によって起きている危機でございます。

 日本として、我が国を守るために、独自の力そして日米同盟で我が国を守っていこうとしているわけで、米軍がその持てる抑止力全てを使うと明言していることを我々は高く評価したいと思います。

岡田委員 きょうはこの辺にしますが、米軍があらゆる抑止力をと言うときに、先制攻撃というのは抑止力ということにはならないでしょう、かえって武力行使の可能性に道を開くことになってしまうんじゃないかということを私は申し上げているわけです。

 終わります。

中山委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 私も、北朝鮮問題に対する政府の対応について質問をいたします。

 繰り返しこの問題が議論されているその前提は何か。それは、北朝鮮が核実験と弾道ミサイル発射を繰り返していることについては、世界と地域の平和と安定にとって重大な脅威であって、累次の国連安保理決議などに違反する暴挙だということであります。私たち、我が党もそうですが、北朝鮮の暴挙を厳しく糾弾し、これ以上の軍事的挑発を中止するとともに、核・ミサイル開発を放棄することを厳重に求める、これは何ら変わらない。

 そこで、今危惧されるのは、米朝の軍事的緊張が高まるもとで、偶発的な事態や誤算から軍事衝突が引き起こされる現実の可能性が生まれ、強まっていることではないでしょうか。

 今回の弾道ミサイル発射を受けて開かれた国連安保理の緊急会合で、アメリカのヘイリー国連大使は、全ての加盟国に北朝鮮との関係を断絶するよう求め、これが実行されなければみずから事態に対処すると軍事行動に踏み込む可能性を示唆しています。同時に、共和党の重鎮であるグラム上院議員も、先日、米国のCBSテレビで、先制攻撃の可能性が近づいているとの見方を示しています。

 戦争の回避というのは、国民の命と安全を守るべき政治に課せられた責務であります。アメリカによる先制的な軍事力行使は絶対にさせてはならないと考えますが、いかがですか。

河野国務大臣 繰り返しますが、この問題は、北朝鮮が一方的にこれまでの米朝枠組み合意をほごにし、六者会合の共同声明をほごにし、核実験を繰り返すことによってNPT体制に挑戦をし続けて、北朝鮮が一方的に起こした危機でございます。

 我々は、誰もこの朝鮮半島で紛争を起こすことを望んでいる人間はいないということをまず確認しなければならないと思いますし、この北朝鮮危機は、単に北朝鮮が、核実験をやらない、あるいはミサイルの発射をしないと言って終わるものではないということを確認しなければならないと思います。

 既に、日本、韓国、アメリカ、中国、ロシアを初め国際社会は、この北朝鮮危機の終わり方は、朝鮮半島を非核化する、つまり、北朝鮮の核をやめさせることがゴールだということは、国際社会、揺るぎなく合意をしているわけであります。

 そのためには、北朝鮮に政策を変えさせるために圧力を最大限かけて、北朝鮮の方から核、ミサイルを放棄するという意思を明確に表明させ、具体的な行動をとらせることによって国際社会との対話を始めようというのが国際社会の方針であります。

穀田委員 誰も望んでいない。それは各国望んでいませんよ、それは当たり前の話なんです。問題は、何が起ころうとしているかということについて、事実を見る必要がある。

 先ほど述べたグラム氏は、事態が変わらなければ、我々は戦争に突き進むことになる、北朝鮮の核・ミサイル開発をとめるために戦争をしなければならないのなら我々はそうする、こういうことを言っているわけであります。

 そして、軍事力行使の現実の危険性が高まっているから聞いているわけですよ。しかも、衝突を起こしたのなら、これは当たり前の話であって、問題は、偶発的に起こる可能性もある、そこに対しても手を打たなきゃならぬということを世界が心配しているわけであります。

 だから、橋本内閣で防衛事務次官を務めた秋山さんは、米朝対立のエスカレーションがこのままさらに進めばそれだけ誤解や誤算による偶発的な軍事衝突の可能性が高まる、そうなれば第二次朝鮮戦争に発展し韓国のみならず日本にも悲惨な戦禍をもたらす、少なくとも米側から軍事力を行使すべきでないという考えを日本としても明らかにすべきだと強調しているわけであります。私は、真っ当な意見だと思うんですね。

 単に、それだけじゃなくて、つまり、大臣は誰も衝突は望んでいないと言うんだけれども、そういう動きがあり、偶発的な可能性があるという問題が一つの焦点になっているわけですよね。

 だから、今回のミサイル発射を受けて、韓国の文在寅大統領は、十一月二十九日に、北が状況を見誤り、我々を核で威嚇したり、米国が先制攻撃を念頭に置く状況になることを防がなければならないと表明しているんですね。

 アメリカでも、大統領が議会の承認なしに北朝鮮を先制攻撃することを阻止する法案が十月末に提出されるなど、やはりトランプ大統領による先制的な軍事力行使への懸念が広がっている。

 こういう状況を踏まえて、米国に対して、そういう先制的な軍事力行使はやるべきでないと提起すべきじゃないのかというのが私たちの考えなんです。

河野国務大臣 繰り返しますが、危機をつくり出しているのは北朝鮮であって、北朝鮮がさまざまな軍事行動をとらないように、米軍が持てる抑止力の全てを使うということを明言していることを我々は歓迎したいと思います。

穀田委員 話がかみ合うてませんな。

 つまり、危機をつくっているのはそうだというのは、誰もそれは一致して言っているんですよ。その危機が新しい段階に入ろうとしているんじゃないのか。しかも、それを、いわば北朝鮮が挑発をやめなさいということは誰も言っているわけですよ。問題は、そのときに、アメリカが先制的軍事攻撃をやる、そういう形の動きが強まっている事実を見なくちゃならぬということを私はまず言っている。その上で、そういうエスカレートが、いわば偶発的なそういう形を招きかねない危険性がある、この問題を言っているわけであります。

 私は、この間、うちの笠井議員やまた超党派の議員の方々と、日韓議連、さらに韓日議連の合同役員会に行ってきましたよ。ちょうどそのときが、韓国は訓練の日でもありました。その方々が異口同音に言っておられるのは、韓国側が言っているのは、やはり、米国がまず北への攻撃を開始することが不安だというふうに述べていたのは非常に特徴的だったと思います。

 そこで、ではアメリカの世論はどうなんだと見てみますと、十月二十四日に発表されたワシントン・ポスト紙とABCニュースの世論調査では、北朝鮮に対する米国の先制攻撃に反対するとの回答が六七%にも上っているんですね。そして、二三%が賛成するということを大きく上回っている。ですから、やはりアメリカでもそういうことについての議論が行われていて、その多くの世論が、あかんでと言っているというところに我々は着目する必要があるんですね。

 結局、私は、今、河野さんが何度も同じ答弁ですがと言ってやっていることが、支持しているということで容認するということが、朝鮮半島有事への軍事的対応を加速化させることになりやしないかということを言っているわけであります。

 例えば、米国の軍事専門サイト、ディフェンス・ワンは、十月下旬に報じていますが、米空軍のゴールドフィン参謀総長は、核兵器を搭載できるB52戦略爆撃機について、二十四時間態勢で運用できるよう命令を受ける可能性があるとして、準備を進めていることを認めたとあります。

 さらに、そういう点では、そこからなんですけれども、防衛省に今度は聞きたいわけですが、小野寺防衛大臣は先月二十一日の記者会見で、ことし八月、北朝鮮に対する圧力につながるとして、米空軍のB52爆撃機が日本列島上空を横断飛行した後、日本海の空域で航空自衛隊のF15戦闘機と共同訓練を行った事実を認めたわけであります。

 このときの訓練の目的、参加部隊、訓練項目は何か、簡潔にお答えください。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 八月二十二日、航空自衛隊は、日米共同対処能力及び部隊の戦術技量の向上を図るため、日本海上の空域において、米空軍の戦略爆撃機B52との共同訓練を実施いたしました。

 具体的には、航空自衛隊の戦闘機F15二機が、米空軍の戦略爆撃機B52の二機と編隊航法訓練を実施しました。

 防衛省としては、この共同訓練を実施した結果として、日米同盟全体の抑止力、対処力を一層強化し、地域の安定化に向けた我が国の意思と、高い能力や強固な日米同盟関係を示す効果があるものと考えております。

穀田委員 まあ高い効果がある。先ほど他の委員からもこのB52の話がありました。結局、実戦があるからそういうことをやっているんだろうという話があって、私もそうだなと思うんですけれども。

 結局、では、そこで、山本さん、B52とはどういう爆撃機かということだと思うんですよ。さらりと言っているわけだけれども、先ほど述べたように、核兵器を使う任務につく可能性がある長距離爆撃機だ、ここが肝心な点なんですね。このような爆撃機と航空自衛隊が、北朝鮮への圧力につながるなどと共同訓練を実施していたということは、私は驚くべきことだと思うんですよ。

 小野寺大臣は記者会見で、今回の訓練を報道されるまで公表しなかった理由を問われ、聞かれたら状況については答えることで一致していたと弁明していますが、言いかえれば、外部に知られるまで隠しておきたかったということではありませんか。

 そして、そういうことの理由は何かというと、B52というのはどういう飛行機かということで、これまでの政府見解でいうならば、性能上専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためのみ用いられる攻撃的兵器であって、日本の防衛力に役立つということではなく、他国に侵略的な脅威を与えるもの、こうされてきた見解が防衛省のホームページにも載っています。

 だから、そういう性格を持っている、しかも、先ほど他の委員からお話があったように、核が積める、そして、そういうことでいえば、実戦は核は当然積むわけだから、そういうことを含めてやっていたんじゃないのかという質問もありましたけれども、やはり今回の訓練を公表したくなかったのは、そういう意味での極めて重大な爆撃機の性格を持っているからではないのかということについて、どうお考えですか。

山本副大臣 お答え申し上げます。

 共同訓練の公表につきましては、個々の訓練ごとに、相手国との関係を初めとするさまざまな要素を総合的に考慮し、公表の有無、時期等を判断しております。

 今回の訓練につきましては、米側と調整した結果、積極的に公表しないということになったものであります。

穀田委員 だから、言うている意味が、この爆撃機が核を搭載できる、しかも、そういった内容をアメリカ側がオーケーしたら公表する。それで、実際は何をやっているかわからぬ。ということは、公表しないということはあるということでしょう。そういうことですわな。アメリカ側と調整したからオーケーだ、調整してノーと言ったら公表しないということを言っているにすぎないんですよ、今の発言は。

 そうしますと、報道によると、外務大臣に聞きたいんですけれども、政府はB52が核爆弾を搭載しないことを訓練前に確認したと言うけれども、どうやって確認、検証したのか、外務大臣、お答えください。

河野国務大臣 米国は、我が国の非核三原則に係る立場をよく理解しているわけですから、米国が核兵器を搭載している戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは、現状において想定をされておりません。

穀田委員 先ほど前委員の質問に対して答えたものと同じ答弁をしているだけなんですよね。

 そうすると、結局のところ、こういう理屈なんですよね。先ほど、もうちょっと前の方があって、非核三原則を理解してもらっている、こう言って次しゃべっているんだけれども、今はそれなしでしゃべっているんだけれども、理解をしてもらっている、だからアメリカ側はそういうことをしていないということなんだということですね。それでは、どないして信用するのかと。

 先ほど、国際武力紛争の問題について、アメリカ側はそういうことをやったことはないと。そんなことはないですよ。そんなもの、ベトナム以来、ずっと無法な戦争をやってきて、反省したことは何回もありますよ。だから、余り、そういうことで、アメリカが理解しているから積んでいないという話は成り立たないと。

 それは、日本の中でいいますと、例えば非核の港ということもありますね。神戸なんかはずっとそういう方式をやっていますよ。それを一々確かめるかと。確かめないけれども、逆に入らないということでそういう担保がされているんだろうというのは、これは逆の真理ですよ。

 しかし、積んでいるか積んでいないかということについて言えば、それを積むことを一つの事実として実戦に配備される可能性があるものを、訓練と称してやっているときに大丈夫かと聞くのは、日本国民として当然の権利じゃないですか。

河野国務大臣 緊密な同盟国として日ごろ日米は連携をしておりますので、米側は日本の非核三原則の立場をよく理解し、先ほど申し上げたように、核兵器を搭載したような戦略爆撃機を我が国に飛来させたり領空を通過させたりするようなことは想定されていないということでございます。

穀田委員 想定されていないと。しかし、かつてはそういうことをやってうそをついていたこともあったということは、外務大臣が一度明らかにしたことでもあることは御承知のとおりです。

 私は、結局、核兵器を搭載した訓練だった可能性があるということは否定できないと思うんですよ、客観的には。確かめていないんだから。そういうものだと言っているだけで。これは、非核三原則をじゅうりんする本当に大事な、重大な答弁だと言わざるを得ないと私は思います。そういうことについてさえも白黒をつけることができないということは難儀だなと率直に言って思います。

 では、もうちょっと聞きますけれども、防衛省、今回の訓練以外にも航空自衛隊の戦闘機が日本の空域でB52爆撃機と共同訓練した事実はあるのかということについてお答えください。

山本副大臣 お答えを申し上げます。

 これまでも、米空軍B52爆撃機との間で今回と同様の訓練を実施したことはございます。ただ、何回やったのか、それをいつやったのかという詳細につきましては、相手国との関係上、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

穀田委員 私は、それはおかしいと思うんですよ。

 何月何日、何機来た、どうしたと、そこまで詳しいことを全部言えとは言いませんけれども、核兵器を搭載した訓練だった可能性をある意味では問う立場にある、例えば行政府に対しての立法府がチェックするという前提さえ、明らかにしないということになるじゃないですか。しかも、その訓練を国民に秘密にしなければならないほどの内容であるかどうか、それさえも確かめるすべがない。そういうことについて言うならば、私はいかがかと思います。きちんとした報告を求めたいと思います。

 ですから、大臣、今ありましたように、今回のほかにも日本の空域でB52との訓練が国民には知らされない形でやられているというのは、私は問題だと思うんですね。そうすると、そのような訓練が繰り返されれば、訓練中に米朝間で偶発的な衝突が起こったり、国民も国会も知らないうちに戦争に発展する事態も起こりかねない、そういう危険性について考えを及ぼすことはありませんか。

河野国務大臣 なかなか想定しにくいのではないかと思います。

穀田委員 どうも、アメリカが核を積んでいることについては想定しにくいと。国民がそういうことについて疑問に思うことの方をまず想定したいなと私は思います。

 なぜそんなことを言っているか。これは、もし軍事的衝突が起こればどんな事態になるかを考える必要があると思うんですね。

 先ほども、私の前の質問で、委員は、米議会調査局が十月末にまとめた報告書を指摘していました。膨大なものですから、これですけれども、それを全部やれといったら大変な資料ですよ。

 結論的に言うと、アメリカが軍事力を行使した場合、北朝鮮から反撃を受ける公算が高く、甚大な犠牲が不可避だと警告しているということですね。朝鮮半島の人口密度を勘案すると、軍事衝突が起きた場合、核兵器が使用されなかったとしても、最初の数日の戦闘で三万から三十万人の犠牲が想定されると分析しています。それで、十万人の米国人を含む二千五百万人以上に影響が及ぶおそれがあると指摘しています。さらに、中国、日本、ロシアなどの周辺国が直接的、間接的に介入することで、事態は朝鮮半島を超えて急速に拡大し、戦死者が一層ふえる可能性があると予測をしています。

 だから、私は、米国の軍事力の行使を支持、容認することがどれほど危険であるかは明白だと思うんですね。こういう事態が予測されることについては認識を共有しますか。

河野国務大臣 何度も繰り返して恐縮でございますが、この危機をつくり出しているのは北朝鮮でございまして、北朝鮮が核の開発、ミサイルをやっていることがこの危機をつくり出している。

 誰も、紛争を朝鮮半島で起こしたいと思っている人間はいないわけでございます。ですから、今、国際社会は、安保理決議を加盟国全てが完全に履行することによって北朝鮮に圧力をかけ、北朝鮮が核とミサイルを廃棄する、そのように政策を変更するように各国が努力をしているところでございます。

穀田委員 私の質問に余り答えていない。何度もそのフレーズを繰り返されておられることは、それこそ想定済みということになるんでしょうかね。

 私、今の問題は、こういう事態がもし起こったらどうなるかという話をしているわけですね。本当に大変なことになる。それを、原因の話をしているんじゃなくて、原因がそうだとしても、もし事態が軍事的衝突へ発展したらどないなるかということの危険性を言っているわけですよ。

 そして、すぐ大臣は国連安保理決議、こう来ますわな。私どもも当然、国連安保理決議が実行されることを望みますよ。

 そこで、では聞きますけれども、国連安保理決議二三七五号は、経済制裁の強化とともに、全ての加盟国に、事態の平和的かつ外交的な解決、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を呼びかけている。これは御承知ですよね。

河野国務大臣 安保理決議二三七五は、北朝鮮に対する制裁を一層強化し、格段に厳しい制裁措置を科すものと高く評価しております。

穀田委員 制裁措置を言っていることも事実なんだけれども、今述べたのは、私は、事態の平和的解決、外交的な解決、対話を通じた平和的かつ包括的な解決を言っているということを言っているので、それはそのとおりだと思うんですよね、それは事実なんだから。余りそっちの方は言わはれへんけれども。

 そこで、私は、前回の八月の決議二三七一号と比較しても、このフレーズというのは、前段、前の方に来ていまして、位置づけが高められている。国際社会が一致結束して今力を傾注すべきはこのことだと私は思います。

 大臣は、また総理もですが、対話のための対話は意味がない、こう言いますけれども、今、対話は、北朝鮮の軍事的挑発をとめさせる、やめさせる、ストップさせるために行うのであって、今日の緊迫した状況のもと、それ以外の対話などあり得るんですか。

河野国務大臣 この北朝鮮危機の出口は朝鮮半島の非核化だということは、国際社会が合意をし、委員も恐らく合意をされているんだろうというふうに思っております。

 北朝鮮はこれまで、一九九四年の米朝枠組み合意、二〇〇五年の六者会合の共同声明をほごにしてきた、そういう歴史があります。我々はそれを振り返って反省をし、北朝鮮が核、ミサイルを放棄するという明確な意思、そして具体的な行動に出る、その上で国際社会は北朝鮮と対話をする、これが今の国際社会の根本的な考え方でございまして、ただ対話のための対話というのは、ただ北朝鮮が核やミサイルの開発をするための時間稼ぎに使われるだけだというふうに思っております。

穀田委員 対話のための対話って、報道によれば相手の方は七、八回言っているそうですけれども。

 私、九四年の問題についてとそれから二〇〇五年の話を必ずされますよ。しかし、それはその後の経過の中でほごにされたという話をしているだけで、その時点で、いわば対話への関与という点では、トランプ氏もオバマ氏も変わらないんですよ。戦略的忍耐といって対話を事実上拒否してきた。だから、九四年以後の、その間の後が問題であって、では問題の中心は何かと。やはり私は、九四年のあの危機から何を教訓として学び取るか、それがすぽっと抜けているのがあなた方の理論といいますか、発言の特徴なんですね。

 そこで、私は逆に、九四年の北朝鮮の核兵器をめぐる危機の際の教訓を学ぶことが大事だと思っています。

 当時の当事者だった米国防長官のペリー氏は、マスコミのインタビューで、日本の指導者は外交の失敗がもたらす帰結を理解する必要があります、外交の不在や見境のない発言は戦争に、非常に壊滅的な核戦争に突入する条件を醸成していますと述べて、実行可能な軍事オプションは存在せず外交と対話以外に解決策はないと強調しているわけであります。

 ペリー氏は、当時の北朝鮮の核危機の際に、必要があれば軍事行動をとる用意があるとの声明を出し、寧辺の核施設を巡航ミサイルで破壊する軍事計画を実際に作成したと言っているわけですね。だから、そういう事態の中で起きた回避、それの教訓を学ぶべきであって、そちらの方はさっぱり言わずにやっているということは、私は、はっきり言って政府の対応はええかげんやなと思うんですね。

 だから、このように、軍事的攻撃を本格的に検討しながらも最後は直接対話に踏み切った元国防長官のこの発言を重く受けとめるべきではないでしょうか。いかがお考えですか。

河野国務大臣 九四年の枠組み合意、二〇〇五年の六者会合の共同声明、北朝鮮が危機をつくり出すたびに対話による事態の打開の道というのが探られてきたわけでございますが、いずれの場合も、北朝鮮は核やミサイル開発を諦めるつもりはまるで持ち合わせず、この対話の努力を時間稼ぎの口実に使い、核、ミサイルの開発を進めてきたわけでございます。

 一九九四年には核兵器も弾道ミサイル技術も成熟にはほど遠かった北朝鮮が、今やその技術を進歩させてきたというわけでございますから、我々としては、対話のための対話ではなく、北朝鮮の今の体制の政策を変えさせるための圧力というのを、国際社会挙げてきちんとやっていかなければいけないと思っています。

穀田委員 私も、制裁を強化して全世界としてやっていくということについては当然だと思っています。

 最後に、六カ国協議で日本団長を務めた薮中元外務事務次官も、圧力一辺倒では北朝鮮は暴発してしまい、結果的に武力行使と同じ結果になりかねないとして、解決のためには交渉の道に踏み出すべきだ、安倍総理はトランプ氏に対して北朝鮮を説得し交渉に参加させるための道筋を提案すべきだと指摘しています。私は、対話否定、また軍事力行使容認というのはやはり改める必要がある、対話と交渉による問題の解決、これは国連の安保理決議でも言われていることだ、この方向に進むべきことを改めて提起し、質問を終わります。

中山委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 このたびの総選挙により初当選をさせていただきました日本維新の会の森夏枝でございます。

 今回、初めての国会質問でございます。人生で忘れられない一日になるかと存じます。政治家を志してからの七年間の思いを込め、これから精いっぱい頑張りたいと思う所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、貴重なお時間をいただきましたことに心より御礼申し上げます。それでは質疑に入らせていただきます。

 まず、北朝鮮問題についてお伺いをさせていただきます。

 北朝鮮による核実験や弾道ミサイルの発射が相次いで実施され、近年その攻撃能力を飛躍的に高めていることは、我が国にとってこれまでと全く異なる次元の脅威となっており、断じて容認することはできません。

 北朝鮮は先日も、ICBM級の新型ミサイルを発射したばかりです。政府には、国際社会と緊密に連携しながら、断固たる態度とさらなる圧力を引き続き継続していただきたいと思います。

 十一月六日に開催された日米首脳会談でも、安倍総理とトランプ大統領の間では、今は対話のときではなく、北朝鮮に政策を変えさせるため、国際社会と連携し、圧力を最大限に高めていくこと、そして全ての選択肢がテーブルにあることが確認されております。

 しかし、国際社会では、中国やロシア、韓国などの国が対話による解決を強く主張しているほか、米政権内でも、ティラーソン国務長官やジョセフ・ユン対北朝鮮政策特別代表などが、これまでしばしば北朝鮮と対話を行う可能性やその条件に言及をしています。以前は、対話は時間の無駄と対話の可能性を一蹴していたトランプ大統領も、十一月の米韓首脳会談の際には、北朝鮮が対話の席に着くのは理にかなっていると、対談の可能性に言及をしています。

 今は圧力のときという日本政府の姿勢については基本的には賛同いたしますし、北朝鮮との対話といっても容易ではないことは重々承知しております。国際社会が北朝鮮と対話を行っていく必要性について、また北朝鮮と対話を行う条件等についても、日本政府としてのお考えをお伺いいたします。

河野国務大臣 初めての質問の機会の初めての質問にお答えできることが大変光栄でございます。

 北朝鮮がつくり出したこの危機を紛争なく解決したいと世の中誰もが思っているわけでございます。そのためには、最終的には北朝鮮を対話のテーブルに着かせる必要があるというのは、恐らく多くの人が合意をしているんだろうと思います。

 ただ、そこで問題になるのは、ただ対話をするから出ていらっしゃいといってテーブルに座ったとしても、それは何も生まない。北朝鮮がさらなる核やミサイルの開発を繰り返す時間を与えるだけになってしまう。

 ですから、国際社会は、日本、アメリカ、韓国、中国、ロシアを中心に、この北朝鮮危機のゴールは朝鮮半島を非核化することだ、これは国際社会が一致しております。全ての国がそれが目標だというところは一致をしております。

 そして、国連の安全保障理事会で、日本あるいはアメリカ、中国、ロシアといった現在の安保理のメンバーが全て賛成をして、北朝鮮に対して今まで以上に厳しい経済制裁をやっていくということを合意いたしました。

 その目的として、この北朝鮮の現在の体制に、このまま核やミサイルの開発を続けていっても北朝鮮に明るい未来は来ないということを今の北朝鮮の体制にしっかりと認識をさせ、そして、北朝鮮には勤勉な労働力もあれば豊富な資源もある、やりようによっては経済的に繁栄をすることもできるわけですから、そういう方向に政策を転換すべきだということを認識させるために、今は国際社会が一致して圧力をかけていこうということで一致をしております。

 全ての安保理のメンバー国、それ以外の国、今きちんと北朝鮮に対して安保理決議を履行することによって圧力をかけている。日、米あるいは韓国、中国は、国連の安保理決議だけでなく、独自制裁もそれに加えている。そうやって北朝鮮の体制に政策転換を迫った上で、最終的に対話をすることが必要なんだろうというふうに認識をしております。

森(夏)委員 丁寧な御答弁をいただき、ありがとうございます。

 日本国民また周辺諸国を脅かす北朝鮮の非核化に向け、日本政府にはあらゆる外交交渉をお願いしたいと思います。

 次に、拉致問題についてお伺いいたします。

 拉致問題に関しましては、ことし九月、米国トランプ大統領が国連総会一般討論演説において、横田めぐみさんを念頭に、日本の十三歳の少女を拉致したと北朝鮮を非難するなど、本問題への国際社会の理解を得るために長年努力してきた政府や関係者の方々の努力の成果と言える前向きな動きもありました。

 しかし、ことし十一月五日には横田めぐみさんの拉致から四十年を迎え、既に拉致被害者の御家族は高齢化という現実に直面しており、拉致被害者の一日も早い帰国が望まれます。

 そこで、本日お伺いしたいのは、二〇一四年五月末に成立したストックホルム合意についてです。

 同合意では、北朝鮮が拉致被害者を含む全ての日本人の調査を行う、また、我が国が対北朝鮮政策の一部を解除することで合意をし、我が国は二〇一四年七月に対北朝鮮制裁の一部を解除しました。しかし、その後、北朝鮮側からは調査結果が示されないまま時が経過し、二〇一六年二月には、北朝鮮の核実験を受けて我が国が対北朝鮮制裁措置を復活、強化すると、北朝鮮側は特別調査委員会を解散すると一方的に表明して現在に至っております。

 このような経緯を振り返って考えますと、北朝鮮側には果たして二〇一四年の五月の合意当初から拉致問題についてきちんと調査する気があったのだろうかと疑念を生じます。

 午前中の篠原委員の質疑に対する御答弁の中で、河野外務大臣は、ストックホルム合意を破棄する気はない、北朝鮮に履行を求めていく、あらゆる努力をしていくとおっしゃられておりましたが、合意から三年以上経過した今、ストックホルム合意とその後の経緯についてどのように総括されていらっしゃるのか。また、政府がストックホルム合意から得た教訓があれば御答弁いただきたく、よろしくお願いいたします。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ストックホルム合意につきまして、平成二十八年二月、我が国は北朝鮮に対する新たな独自措置を発表しましたけれども、これは、拉致問題がいまだ解決に至っていない中、北朝鮮が安保理決議等に明白に違反して核実験及び弾道ミサイル発射を強行したことを受けたものでございます。

 これに対し、北朝鮮は、我が国がストックホルム合意の破棄を公言したことになると一方的に主張いたしまして、全ての日本人に関する包括的調査の全面中止及び特別調査委員会の解体を宣言いたしました。このことは、我が国にとって全く受け入れられないことでございます。

 ストックホルム合意を破棄する考えはございませんけれども、私どもは引き続き、北朝鮮に対してこの合意の履行を求めつつ、一日も早い全ての拉致被害者の帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注する所存でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐり朝鮮半島情勢の緊張が高まる中、拉致問題に関しても、被害者の一日も早い帰国に向け、真摯に取り組んでいただきたいと思います。改めて、河野外務大臣の決意をお願いいたします。

河野国務大臣 核、ミサイル、そして拉致問題を解決するというのが我が国政府の基本的な立場でございまして、この日朝平壌宣言の立場から変更はございません。マニラで北朝鮮の外務大臣と接触をした際に、そういう我が国の立場に変更はないということを申し上げました。

 日本政府として引き続き、核、ミサイルの問題を解決し、そして拉致に関して最終的な解決をしていくということで、しっかり頑張ってまいりたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 日仏関係の回顧と展望及びジャポニスム二〇一八の準備状況についてお伺いいたします。

 来年、二〇一八年は、日仏修好条約締結から百六十年目の年となります。フランスでは、パリを中心に、数カ月の予定で、我が国政府主催により、日仏友好百六十周年を記念して日本文化を大規模に紹介するイベント、ジャポニスム二〇一八が開催され、その中で、歌舞伎、能、茶道、浮世絵などの伝統文化や、アニメや漫画、コスプレなど、いわゆるクールジャパンのイベント開催も検討されているとお聞きしております。

 そのため、我が国では政府を挙げて準備を進めており、関係府省連絡会議では外務省が全体を総括し、河野外務大臣は総合推進会議の一員として尽力されていると承知しております。

 ジャポニスム二〇一八を中心とする行事が大成功をおさめ、それらが二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの追い風となり、パリ、フランスのみならず、欧州全体からの訪問者増加につながることを期待いたします。

 そこで、河野外務大臣に日仏関係の今後の展望をいただき、あわせて、ジャポニスム二〇一八の概要と重要性及びその準備状況をお伺いいたします。

河野国務大臣 日本とフランスは、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する戦略的な特別なパートナーであります。日仏関係は近年さまざまな分野で飛躍的に発展を遂げていると言ってもいいのではないかと思います。そんな中で、来年は日仏友好百六十周年という節目の年に当たりますので、パリを中心に、今世紀最大規模の日本文化紹介事業となりますジャポニスム二〇一八を実施します。

 政府としては、今後とも、文化、政治、経済、安全保障を含む幅広い分野での日仏の特別なパートナーシップをさらに強化してまいりたいと思います。

 ジャポニスムの概要については、事務方から答弁をさせます。

宮川政府参考人 ジャポニスム二〇一八に関しましては、二〇一八年七月から二〇一九年二月にわたって実施を予定しております。日仏両国の政府、地方公共団体、企業と協力しつつ、事務局を務める国際交流基金と関係省庁と連携しまして、これまではフランスでは本格的に紹介されておりませんでした琳派、若冲の美術品の展示であったり、先生御指摘の、伝統文化から現代演劇、美術等々、五十に上る企画を準備しております。

 この事業を通じまして、日本の魅力を世界の人と文化が行き交うパリから世界に発信して、インバウンド観光の促進、日本産品のさらなる海外展開にもつなげてまいりたい所存でございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 二〇一八年とパリといえば、私の選挙区でもあります京都市も、来年、二〇一八年にパリとの姉妹都市提携六十周年を迎えることとなります。文化庁を初め皆様方の御協力のもと、記念行事等の準備を進めております。私も微力ながら携われればと思っております。

 なぜ外務委員会で姉妹都市提携の話題を持ち出すのかとお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、私は、姉妹都市提携は、うまく活用できれば、政府が進める外交を草の根で支える重要な役割を果たすことができるものと信じております。

 外務省も、近年は、グローバルとローカルをかけ合わせたグローカル外交に力を入れているものと推察いたします。外務省のホームページ、グローカル外交ネットの説明には、「「地球規模で考え地方から行動を起こす」皆さんを支援していく」と書かれてあります。また、グローするローカル、成長する地方、伸び行く地方という意味も持たせたいと書かれてあります。国が地方の行動をサポートする体制はまことにありがたいと思っております。

 そこで、まず、国の外交を預かる河野外務大臣から、日本の外交における姉妹都市提携の位置づけ、姉妹都市提携に対する期待をお伺いいたします。

河野国務大臣 地方公共団体による国際交流の取り組みは、かなり幅広く、活発に行われていると認識をしております。我が国の多くの地方公共団体が世界各国の都市と交流を推進していると承知しております。

 一般論として申し上げれば、地方公共団体が外国の地方公共団体と姉妹都市などの枠組みのもとで交流を深めているということは、それぞれ市民の皆さんにとっても有益でありますし、我が国の外交の深みを増すということにもつながるんだろうと思います。

森(夏)委員 来年の京都市・パリ市姉妹都市提携六十周年記念行事に対し、政府、とりわけ外務省がどのような支援をされているか、また今後されるのかを伺うとともに、同事業の成功に向けて、河野外務大臣からエールをいただければ幸いです。

河野国務大臣 済みません、京都、パリの提携について、外務省として特にやっていることはないようでございます。

森(夏)委員 グローカル外交ということで、地方の行動を支えるということがありますので、ぜひ政府からの御支援もいただければと思います。

 最後の質問に移らせていただきます。

 サンフランシスコ市セント・メリーズ公園の慰安婦像と碑文の寄附の受け入れについてお伺いさせていただきます。

 本件に関しましては、既に、先日、二十一日の本会議におきまして我が党の馬場幹事長が、また、二十八日の予算委員会では下地政調会長が質疑をさせていただいておりますが、安倍総理からは、日本政府からもサンフランシスコ市長に対し拒否権を行使するよう申し入れを行ったとの御答弁をいただきました。

 しかし、吉村大阪市長や日本政府の申し入れにもかかわらず、リー・サンフランシスコ市長は、十一月二十二日、慰安婦像の寄贈を受け入れる決議案に署名をし、慰安婦像及び碑文は正式にサンフランシスコ市の公共物となりました。サンフランシスコ市と大阪市の両市は、ことしで六十周年という記念すべき節目の年でした。

 そこで、河野大臣にお伺いいたします。

 この問題が、単に一地方自治体の問題ではなく、外交上の問題だという御認識はおありでしょうか。また、この問題に対して今後政府としてどのような対応をとっていくおつもりなのか、お考えをぜひお聞かせください。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪市とサンフランシスコ市との間の姉妹都市関係のあり方に関しまして、委員御指摘のように、大阪市長が御発言を行っております。これについて、外務省として当然承知しております。

 ただし、基本的に、これは地方公共団体の長の御発言のことでございますので、国としてコメントすることは差し控えたいと存じます。

 その上で、サンフランシスコ市を含めアメリカ等における慰安婦像の設置は我が国政府の立場と相入れない極めて遺憾なことであるというふうに考えております。

 大阪市長の御発言も、サンフランシスコ市と姉妹都市関係を続けてきた地方自治体の長として慰安婦像の設置が極めて遺憾であるという点が根底にあるのではないかというふうに受けとめております。

 そして、委員御指摘のとおり、十一月二十二日に、サンフランシスコ市長は慰安婦像の市への寄贈を承認いたしました。この承認の後におきましても、我が方サンフランシスコ総領事館から市の関係者に対し、慰安婦問題に関する我が国の立場を改めて説明の上、本件は我が国政府の立場と相入れない極めて遺憾なことであるということを伝えております。

 今後とも、引き続き、効果的な働きかけやアイデア、手法について不断に検討を重ねつつ、取り組みを続けてまいります。

森(夏)委員 地方自治体では限界のあるものに対してはぜひ政府の御支援もいただきたくお願いを申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 河野外務大臣におかれましては、日本が直面する外交の諸課題が大変多い中で八面六臂の御活躍をされていることを大変頼もしく思っております。

 私自身、十一年前に外務大臣政務官をさせていただいておりました。その後、公明党の国際局長を九年やらせていただき、最近、国際委員長に就任をさせていただきました。外務省の職員の皆様には内外で大変お世話になっておりますこと、この場をおかりして感謝を申し上げたいと思います。

 大臣、きょう、お時間がもうあと六分、七分しかおられないということですので、簡潔に二問お伺いをしたいと思っております。

 まず一つは、公明党も、山口代表を先頭に、党独自の外交活動を積極的に展開しております。本年も、山口代表を中心に、韓国、中国、そしてその前にロシアへ行かせていただきました。昨年は、キューバ、コロンビア、パナマへ行かせていただきました。

 そしてまた、私は、先ほど小熊委員からもお話がありました、超党派の若手中堅議員で日中次世代交流委員会という議連を五年前に立ち上げまして、本年まで五年間欠かさず中国を訪問してまいりまして、一定の成果を上げてきたという自負がございます。

 河野外務大臣は、みずからも大臣御就任前から積極的に中東などで議員外交を展開されてこられた方でありますし、また、今外務大臣というお立場になられて、改めて、この議員外交の重要性というものについて所感をまずお伺いをしたいと思います。

河野国務大臣 グローバル化が進展する中で、また国際情勢が急激に変化をする中で、議員外交というのは、オール・ジャパンで何かやらなければいけないというときに非常に深みを持たせるものだというふうに思っております。

 また、その一方で、政府と違う立場で立法府の人間が外国を訪れ意見交換をする、あるいは人脈をつくるということは、日本の外交に幅を持たせるという意味で、これも極めて重要なことだと思っております。

 ぜひ、外務委員会のメンバーの皆様におかれましては、それぞれのお立場、それぞれの考えで積極的な議員外交に努めていただけたら外務省としても幸いでございますし、御支援するところはしっかり支援させていただきたいと思います。

遠山委員 ありがとうございます。

 早速二問目ですが、私も河野大臣も、日本の国際協力事業という分野における日本のNGOの役割については、これは肯定的というよりも高く評価をする立場で一致しているというふうに私は考えておりますが、日本のNGOも、二十年前と比較をすれば格段にその能力を向上させてきておりまして、大きな貢献をしている団体もございます。ただ、一方で、欧米諸国と比較をいたしますとまだまだ伸びる余地がある、このように私は考えております。

 一般論として前提を申し上げておきますと、私は、日本のODA予算から、ODAに対する支援、財政支援ですね、これをもうちょっと今の数字よりも強化すべきだというふうに思っております。

 ただ、その上で本日お伺いをしたいのは、今のODA予算の、特に無償資金協力と技術協力分野の中で、日本のNGOに振り分けられている予算というのが年額九十億円ございます。これは年々ふえてきているわけでありますけれども、この予算の使途につきまして、NGO側から、新規プロジェクト予算のうち一般管理費として使える割合が低いという指摘がなされてまいりました。

 私も調べてみましたら、平成二十七年度までは何とその割合はゼロ%でありました。その後、外務省の努力もありまして、平成二十八年度、昨年度から、新規プロジェクト予算全体の五%まで一般管理費として認められるようになって、これは改善だったと思います。ただ、諸外国の例に照らすとまだ低いと言わざるを得ません。例えば、USAID、米国国際開発庁は、NGOに対して予算を交付する際には、一般管理費等に自由に使えるオーバーヘッド比率が最低一〇%、最大二五%となっております。

 NGOの役割を高く評価してこられた河野大臣の決断で、現行の五%を倍増して、このUSAIDの最低基準と同じ一〇%まで早期に上げるべきだと私は考えておりますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

河野国務大臣 おっしゃるように、日本のNGOは非常に頑張っていただいておりますし、能力も格段に向上してきたというふうに思っておりますが、欧米のNGOと比べると、財政基盤とか組織力あるいはキャリアパス、そういったところはまだまだ整備しなければならないところがあるというふうに思っております。

 おっしゃられたように、幾つかの事業ではありますけれども、昨年度から一般管理費として五%計上してもよろしいということをスタートしたわけでございます。これがどういう成果を上げているかというのを今NGOの協力をいただいて調査しているところでございますので、これは拡充する方向でやりたいというふうに思っております。

 財政当局を説得するためにも、この五%、これがよかったんだ、もっとさまざまな事業でも展開をすべきであるし、おっしゃるように、何%がいいのか、これはいろいろな御議論があると思いますが、きちんとした、NGOが足腰を強くできるような、財政基盤を強くできるようなやはり予算の使い方にしてまいりたいと思っておりますので、いつまでもぐずぐず調査をするつもりはございませんが、基礎的なデータをとった上できちんと対応してまいりたいと思います。

遠山委員 前向きな御答弁だったと理解をしております。ぜひ早期に、国際標準の一〇%のオーバーヘッド、一般管理費として使える割合をふやしていただきたいということを申し上げて、大臣、御退室いただいて結構でございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 先月二十三日、私は、山口代表とともに韓国を訪問いたしまして、大統領府で文在寅韓国大統領と会見をいたしました。約四十五分間にわたりまして率直な意見交換をいたしましたが、特に時間を割きましたのはやはり北朝鮮問題でありまして、韓国も、北朝鮮に対して最大限の強度の圧迫、韓国政府は圧力というより圧迫という言葉をよく使うわけですが、圧迫をかけて北朝鮮の現在の政策を変えさせなければならないという認識で一致できたことは大きな成果だったと考えております。

 他方、中韓関係、中国と韓国の関係が、率直に申し上げて、THAAD問題をめぐって本年の春から冷却をして、それが、日中韓サミットが事実上開催がおくれる原因の一つになったという印象を持っております。

 この日中韓サミットの議長国は現在も日本でありまして、今後のこの北朝鮮危機、これへの対処の喫緊性などを考慮いたしますと、この日中韓サミットを早期に開催することが極めて大事だと思っております。文在寅大統領も、この我々の主張にその場で同意をいたしまして、これは日本が議長国ですから日本で開催されることになりますので、そうなると文在寅大統領も大統領になってから初めての来日ということになりますので、大統領の方からも、ぜひその日中韓サミットの開催に合わせて初来日をしたいという意向を我々の前で示しました。

 また、韓国としては、そのことを契機として、二月中旬から始まる平昌冬季オリンピックの成功につなげていきたいという意思も私なりに感じてまいりました。

 そこで、これは佐藤副大臣にお伺いをしたいと思いますが、この日中韓サミットの議長国である日本として、どのようなスケジュール感でこのサミットを開催されようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。

佐藤副大臣 お答え申し上げます。

 先ほど外務大臣からありましたように、議員外交という形で、山口代表初め委員、韓国の方に行かれて、今のような前向きなお話し合いをされた、非常に感謝しております。

 その上で、やはりトップ同士が実際に会って北朝鮮問題を初めいろいろな問題で話し合うということは極めて有意義なことだというふうに思っております。

 今、日本は、サミットの議長国としていろいろ調整しておりますけれども、まだ開催の時期というのは正式に決まったわけではありませんが、御指摘のとおり、できるだけ早いタイミングで開くべく今調整をしているというところでございます。

遠山委員 政府の立場だとそういう答弁になるんだろうと思いますが、平昌の冬季オリンピックはたしか二月九日が開会式でございますし、また、報道によりますと、文在寅大統領が今月、中国に行って大きな関係改善を図るということも聞いております。そうしますと、今月末というのはなかなか難しいかもしれませんが、少なくとも一月中にはこのサミットのめどをつけていくことが、さまざまなことを考えたら私は妥当だと思っておりますので、これは私の個人的な意見として申し上げておきたいと思います。

 次に、関連ですけれども、御指摘いただきました山口代表と文在寅大統領の会談は非常に友好的な雰囲気で行われまして、韓国政府の日韓関係改善への意気込みも私自身強く感じることができる内容でありました。また、実は、その山口・文在寅会談の前の週に、私、単独でも韓国に参りまして、知日派の李洛淵国務総理にお会いをしてまいりました。その総理と私の会談の中でも後ろ向きな内容は一切なくて、とにかく両国関係を改善したいという強い印象を受けました。

 その上で、きょうもほかの委員からの質問が出ていましたが、両国間には幾つか懸案がございます。個人的には、その最たるものはやはり慰安婦問題であります。二年前に非常に重要な日韓の合意があったわけでございますが、今、これが、韓国で見直す見直さないでタスクフォースができて検証が行われている最中でございます。

 私が韓国側に一貫して申し上げてきたのは、たとえ政権交代があったとしても、国家間の約束、これを簡単にほごにするのは国際社会のルール違反であって、すべきではないということでございます。韓国の心ある方々は、この私の意見に同意をしていただいております。

 さらに、私と韓国の政治家の間では、来年二〇一八年が、一九九八年に発出されました小渕総理と金大中大統領の日韓共同宣言、未来パートナーシップ共同宣言と通称されておりますが、これから二十周年の節目に当たります。よって、来年、この契機を使って新たな宣言を出して、二十年前に同じことを言っているわけですね、未来志向の関係でいこうと。

 ですから、改めて真剣に、日韓の関係が未来志向になるような新たな宣言を、二十周年ということで出して、進めていくことが大事なのではないか。もちろん、その前提として、慰安婦問題について韓国政府から妥当な結論と対応をしていただかなければいけないのは当然でございます。

 この日韓関係の改善に外務省はどのように臨もうとされているか、副大臣の御見解をお願いします。

佐藤副大臣 御指摘のとおり、日韓関係は戦略的にも極めて重要な関係にあり、特に北朝鮮問題においては、その連携というのが不可欠だというふうに考えています。

 そういう中で、今、河野外務大臣は、康京和外務大臣との三回の外相会談を既に行うなど、非常に信頼関係をつくるということもやりつつ、この日韓関係の発展に尽力しているという最中でございます。

 その中で、今御指摘にありました日韓の慰安婦問題に関する合意、これは最終的かつ不可逆的な解決、まさに御指摘のとおり、政府間で合意したものでありますから、これは極めて重たいものだという認識を持っておりますので、韓国側の検証の結果がどうなるかについては予断を持ってコメントは差し控えますが、我々としては、その合意に基づき、粘り強く解決に当たるという姿勢を今後とも貫いていきたいというふうに思っております。

 そして、来年がパートナーシップ宣言から二十年ということを踏まえての新たな宣言をつくるべきではないかという御指摘でございますが、今、関係を深めていく上でどういうものが適当なのか、まさにこれからの話についてはこの場で答弁をすることは差し控えますが、極めて大事な年であるということは間違いありませんので、いろいろなことを考えながら韓国側と調整を進めてまいりたいというふうに思います。

遠山委員 ありがとうございます。

 次の質問は、二つの質問をまとめて、外務省と、あと法務省から山下政務官に来ていただいているので、両省にお伺いをしたいと思います。

 先ほど阿久津委員からもありましたロヒンギャ難民問題、これは今大きな国際社会の注目を集めております。

 私は、公明党の難民問題プロジェクトチームの座長をもう十年以上やらせていただいておりまして、実はこのロヒンギャ難民の問題には十年前から関心を払っておりました。今から七年前、私、浪人中でございましたが、実はバングラデシュへ参りまして、河野外務大臣が先般訪問されたコックスバザールという町の郊外にあるUNHCRが直営している難民キャンプとその周りに広大に広がる非公式の避難民キャンプ、現地で私が説明を受けたら、この地平線のかなたまで十万人が住んでいると言われましたけれども、とてもじゃありませんが、言葉で表現できるような環境ではありませんでした。それが七年前であります。

 今般は、既に二十万人以上そういう非公式の避難民がいると言われていた状態に、さらにプラスして六十万人バングラデシュに入ってきたということでございますので、現地の状況というのは相当悲惨、言葉は正しいかどうかわかりませんが、悲惨な状況じゃないかなと思っております。

 そこで、外務省は最近、堀井巌大臣政務官もミャンマーとバングラデシュを訪れられた。また、河野外務大臣御自身がバングラデシュで現地訪問をされたということでありますが、日本政府として、このロヒンギャ難民、避難民の問題に対してどういう対処をしていくのか、どういう支援をしていく方針なのか、お伺いをしたいと思います。

 また、あわせて法務省には、私、調べましたら、現在既に、ロヒンギャ難民と言われている方々が、正確ではありませんが二百人から二百五十人日本に居住していると民間団体から指摘をされております。調べたところ、認定難民も十九人いらっしゃって、今申請中も二十人いらっしゃる。それから、人道的配慮の在留特別許可を得た者が八十人ということになっております。

 これは、最近の六十万人以上の難民の前の段階でこういう方々は来ておりますので、これから日本に庇護を求めるロヒンギャ族の難民申請者はふえるのではないかと私は予想をしておりまして、それも念頭に、日本としてどういう対応をされているか、難民政策を所管している法務省の大臣政務官にお伺いをします。

佐藤副大臣 日本政府といたしまして、ミャンマーのラカイン州の人権、人道状況は深刻に懸念をしておりまして、その一環として、大臣あるいは政務官が現地の方に実際訪問したところでもございます。

 我が国政府といたしましては、バングラデシュ政府、ミャンマー政府、両方に対する支援を行うというスタンスでございます。

 バングラデシュ政府については、難民を寛大に受け入れていただいており、人道的な配慮もしてもらっているという観点から、緊急人道支援という形で支援を継続していきたいと思っております。

 また、ミャンマー政府に対しましては、懸念というものを伝えながらも、法に従った治安回復等を働きかけていっているところでございます。さらに、ミャンマー政府は、ユニオンエンタープライズ、連邦組織を立ち上げて、人道支援アクセスの拡大、避難民の帰還のための取り組みを進めておりますので、そのための必要な支援、これも緊急支援に加えてまた最大限やっていきたいと思っております。

 十一月二十三日に、バングラデシュ、ミャンマーの間で避難民帰還に向けた合意がなされたということについては歓迎をしたいと思います。この合意に基づいて避難民が着実に帰国できるということについても支援をしていきたいというふうに思います。

山下(貴)大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 法務省としては、ミャンマー難民の庇護に関しましては、これまで、難民認定制度や第三国定住事業などにおいて庇護を図ってきたところでございます。

 そして、御指摘のいわゆるロヒンギャを含む方々から難民認定申請が行われた場合には、法務省において、例えば、御指摘のような、あるいは外務省から説明がございましたような、それまで居住していた地域から移動せざるを得なくなったことなどの本国の客観的な事情に加えて、申請された方の個別的事情も考慮して、難民条約上の難民に該当するか否かをまず審査し判断しております。

 そして、条約上の難民と認定できない場合であっても、御指摘のような本国の情勢等も踏まえ、人道上の配慮が必要と認められる場合には、その他の庇護対象者として在留特別許可等により我が国への在留を認め、適切に保護を図っておるところでございます。

 また、ミャンマー難民については、政府において閣議了解された定住許可条件に合致するか否かを検討した上で、いわゆる第三国定住事業として受け入れを行っているところであります。

 このように、法務省としては、いわゆるロヒンギャと呼ばれる方々も含め、ミャンマーから逃れて難民認定申請をされた方々の主張に耳を傾け、迅速かつ適切な保護に今後も努めてまいりたいと思っております。

遠山委員 副大臣と政務官、大変すばらしい御答弁をいただきました。しっかり対応していただきたいと思います。

 私、最後に一言申し上げますが、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンという世界的なNGOが発出している、ロヒンギャの人々に関する報告書の抜粋がございますが、相当痛ましい内容です。十代の女性が数時間にわたってレイプをされ続けて気を失った話とか、妊婦さんに兵士がガソリンをかけてその場で燃やして、ほかの赤ちゃんは、赤ちゃんだけ奪って炎の中に入れたのを目撃した女性の話とか、そういう類いが数百、数千とあると言われておりますし、六十万人の難民のうち三十万人は女性と子供だと聞いております。

 相当ひどい状態だと思いますので、シリア難民のときも、ともすると、政府というのは、最初冷たくて途中で支援を決めるということが日本は多いわけでありますが、このロヒンギャはアジアでございますし、しっかりと日本政府として現状を把握して、できることは最大限やっていただきたいということを申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

中山委員長 次に、木原誠二君。

木原(誠)委員 自民党の木原誠二です。

 この外務委員会で質問させていただくのは大分久しぶりでありますので、お伺いしたいことは多々ございますが、時間も限られております。きょうは、その中でも三つに絞ってお伺いをしたいと思います。

 一つは北朝鮮の問題、もう一つは国連の安保理改革について、そして三つ目は、河野大臣、これから国連へ行かれた後、イギリス、フランスと行かれるというふうに承知をしておりますが、日英の関係について、この三つについてお伺いをしたい、このように思っております。

 まず、北朝鮮の問題について確認をしたいというふうに思います。

 今回、ミサイル、ICBM級、級というものがついた形で発表されているというふうに承知をしておりますが、十一月二十九日発射をした。四千キロの高度を超えるような、そして飛行時間も五十分を超える。かなり能力が高まっている状況だというふうに思います。

 開発の段階をどういうふうに、今、日本の政府として認識をしているか。米国の国防情報局は、二〇一八年には核を搭載したICBMが発射できるというふうに予想しているという報道もありますが、今回の発射を受けて、どういう段階にあると承知をしているか、まずお伺いをしたいと思います。

佐藤副大臣 御指摘のような、アメリカの一部で、二〇一八年までに開発がされるというような分析があるというのは承知しておりますが、日本政府として、現段階においてその評価というものをしているわけではございません。

 ただ、今回の発射というものは射距離が延びる可能性が高いものを撃った、しかも、約二カ月間のブランクがあったということなどの発射と考えれば、執拗に開発は続けているということで間違いありませんので、我が国にとっても国際社会にとっても重大かつ深刻な脅威というふうに認識しております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 政府のお立場ではなかなか答えにくいかなというふうに思います。そういう中で非常に努力をされたというか、苦労していただいたというふうに思います。ありがとうございます。

 時間的には非常に限られている状況にあるんだろうというふうに思います。

 そういう中で、政府も、そして我々議会、国会も協力をしながらこの問題に対処していかなければいけないなというふうに思うんです。

 今回の発射を受けて河野大臣が発せられた言葉で、今回、私自身は非常に印象に残る言葉がございます。それは、北朝鮮側に自制の意思が全くないということが明らかになったという言葉であります。私の拙い経験でも、強く非難するとか、極めて遺憾であるとか、抗議をするといったことは多々あるというふうに思いますが、この自制の意思が全くないという言い方は極めて異例かなというふうに、率直に私は思います。

 というのも、私どもは、自制を求めて制裁を科したりあるいはさまざまな行動をとっているわけでありますが、その一方で、自制の意思が全くないと断言をされたということで、やや私自身は、今回の発言、違和感と言ったら大変失礼ですけれども、少し強い言葉だなと思って受けとめたわけであります。

 今回そういう言葉をあえて使われた背景、本来ならば大臣に直接お伺いすべきことだというふうに思いますが、外務省としてどういうふうに捉えられているか、御答弁いただければと思います。

佐藤副大臣 昨年あるいはことしに入ってから、北朝鮮のミサイル開発というものは、射程が延びて、あるいは精度が向上し、奇襲効果が上がったり、あるいは撃ち方も、通常軌道あるいはロフテッドとか、さまざまな活動をやっている中での今回の十一月二十九日の発射というものは、今までと比較しても、射距離が最大、あるいは我々が今まで予想だにしないミサイルだったという、一部に指摘があるように、そういうことを考えただけでも、彼らは執拗にミサイル開発を続けている、まさに北朝鮮は一貫して核、ミサイルの開発を続けている、進めていく、これは明白な証拠であろうというふうに思っています。

 さらに、今回の発射を受けて、北朝鮮の声明を見ますと、新しく開発された大陸間弾道ロケット、これを火星15型というふうに称しまして、この試験発射に成功した旨宣言したことは、まさにこれは国際社会への新たな挑発行為というふうに考えられますので、そういう背景を受けて、大臣は、北朝鮮に自制の意思がないことが明らかになったというふうに発言されたものと承知をしております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 副大臣の答弁の中に幾つかキーワードがあるんだと思います。それは、今の御答弁の前の答弁の中で、七十五日間空白の期間があったということと、そして執拗に開発を続けてきたという、二つのことがキーワードなのかなというふうに思います。

 私どもは、ともすると、この二カ月半、沈黙が続いたがゆえに、何かいい方向に向かっているのではないか、あるいは、中国の共産党大会がある中でそれに配慮をしつつ、宋濤中連部長も行かれたりしていましたから、何か改善の方向に向かっているのではないかといったような誤解を国際社会も持っていたのではないかな、私自身はそう思っております。その結果として、この二カ月強も、例えば、ダブルフリーズするべきじゃないかといったような議論もありました。あるいは、仲介の労をとろうというようなことを言った国があったというような報道もありました。

 私自身は、今回、七十五日間空白があった、いや、しかしこの空白は、まさに副大臣がおっしゃったように、そういう準備をしてきた、そのことを河野大臣は、自制の意思が全くないという表現で話されたのかなというふうに思います。

 冒頭申し上げたように、この言葉、私自身はかなり強い言葉だというふうに思います。つまり、ノー・インテンション・オブ・セルフコントロールというのは結構強い言葉だというふうに思いますので、ぜひこれから国際社会とさまざま連携する中でその背景、考え方を丁寧に御説明をしていっていただきたいな、こんなふうに思っております。

 いずれにしても、現に、ダブルフリーズ、例えばダブルフリーズについては北朝鮮側に全く意思がないということは、今回、十二月四日から始まった米韓の空軍の合同軍事演習、まさにその前にこのミサイル発射をぶつけてきたことから見ても明らかだというふうに思いますし、宋濤部長が行かれた後で、まさに顔に泥を塗る形でこういうミサイル発射を強行したことから見ても明らかなんだろうというふうに思います。

 したがって、私どもは、ぜひ、きょうもずっと議論になっておりますけれども、圧力をしっかりかけ続けていくということを真剣にこれからも続けていく必要があるであろうというふうに思います。

 改めて、私も、安保理決議の二三七五を今回読み返してみました。上限規制ではありますけれども原油あるいは石油の精製品、あるいは繊維、かなり網羅的に強い決議になっているというふうに思いますが、外務省として安保理決議の効果を現状どこまで把握しているか、どう分析しているか、お答えをお願いいたします。

佐藤副大臣 御指摘の安保理決議二三七五号でございますけれども、御指摘のとおり、累次の決議と比較しましてもかなり厳しい制裁の内容となっております。

 大事なことは、これをいかに履行するかということが大事でございますので、政府としましても、河野大臣や私あるいはまた政務、手分けをしまして、各国にこの履行というものを働きかけているという状況でございます。

 現在、特に鍵となるのはやはり中国でございますけれども、中国が北朝鮮との貿易の九割を占めるという重要な国でございます。その中国も、今回、累次の制裁等を受けて、北朝鮮からの石炭、海産物、繊維製品の輸入禁止等、安保理決議の履行ということを実行しているというふうには伺っております。

 実際、その成果としまして、ことしの十月には輸出、輸入双方とも減少しております。これは九月も、八月に比較して減少しております。九月、十月と輸入が減少しておりますので、制裁という意味では形ができつつあるのかなというふうに考えておりまして、十月について、輸出、輸入合わせまして前月比約二割が削減されたという統計もございます。

 引き続き、我々としても、全ての加盟国に対して、安保理決議の履行をともに、特に中国に対しても、関係国と連携しながら働きかけをしていきたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 中国のことについてお答えをいただいて、ありがとうございます。

 先ほど、別の委員の質疑の中に、国連の安保理の緊急会合で、米国のヘイリー大使の発言を引かれた部分がございました。その発言のくだりとともに、米国のヘイリー大使は、各国に独自の制裁を科すことを求めるということも発言をされているというふうに承知をしております。

 安保理で各国に独自制裁を要望するというのは比較的異例のことかなというふうに思いますし、中国に対しても同様に、独自制裁を科すようにということを要求したというふうに承知をしております。それはもう、とりもなおさず原油、パイプラインで供給されている原油だというふうに理解をいたします。

 これから冬場に向かって、総理も河野大臣も、この冬場が一つの山だ、厳しい冬、どういうことになっていくかということをおっしゃっているわけです。もちろん、人道的な見地は十分配慮をしなきゃいけないと思いますが。

 中国が、パイプラインの原油の供給、どういうふうに、絞るのか絞らないのかわかりませんが、河野大臣、先ほどは、中国も独自制裁を少しやっているという答弁もございました。今回のヘイリー大使のこの独自制裁を求めるという発言に対して、日本政府の受けとめと、そして、日本政府としても、私は中国に対してそういうことをしっかり求めていくべきだというふうに思いますが、御見解を賜りたいと思います。

佐藤副大臣 御指摘のとおり、ヘイリー大使は、国連の安保理の場で、中国の原油の停止というものも表明しております。

 第三国間のやりとりについては一々コメントは差し控えますが、十一月二十九日のミサイル発射を受けた後の日米首脳会談、この場において、日米両国が北朝鮮に圧力をかけていく上で中国がさらなる役割を果たすことが必要だということでは一致をしております。

 また、先般の安倍総理と習近平国家主席との会談では、安倍総理から、やはり北朝鮮に対して圧力を最大限まで高めていくことが必要だということを述べて、中国に協力を求めているというところでございます。習近平国家主席からは、安保理決議を厳格に履行していくという決意の表明がありました。

 さらに、十一月二十九日のミサイル発射を受けて、中国は北朝鮮の関連するミサイル開発活動に重大な関心と反対を表明している旨を述べており、中国が北朝鮮の政策を変えさせる上で責任ある建設的な役割を果たすよう、引き続きさまざまなレベルで働きかけをしていきたいというふうに思います。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、さまざまなハイレベルの交流がスタート、大分円滑化されてきているというふうにも思いますので、さまざまなチャンネルで中国側に対して働きかけをしていただきたい。

 先ほど、遠山委員の議員外交の中で、韓国との間の大変すばらしいやりとりというか成果というか、御披瀝がありました。

 日中韓、中国も、胡錦濤さんの時代も江沢民さんの時代も、やはり、最初の五年を終えて、二期目に入って初めて日本に来られる、来る環境が整うということは一致しているというふうに思います。習近平さんも、共産党大会を経て、これで五年間の二期目に入った今が日本に来やすい、また来るタイミングになろうかというふうに思いますので、先ほどの文在寅さんの話も含めて、ぜひ日中韓の首脳会談を早期にやっていただきますよう、私からもお願いをしたいというふうに思います。

 答弁は、求めても同じ答弁だというふうに思いますので求めませんが、ぜひ対応していただきたいというふうに思います。

 そして、私は、河野大臣、十二月中盤、中東に行かれて、ヨーロッパ、そして国連と、かなり重要な外交日程かなというふうに思っております。

 その中で、十二月の十五というふうに承知をしておりますけれども、国連の安保理の議長国として会合を開催されるということは既に発表されていると承知をしております。そして、この機会を利用して北朝鮮の問題に対応をするということであります。非常任理事国として貴重な機会だというふうに思いますので、ぜひ有効に活用していただきたいというふうに思います。

 とりわけ、閣僚級会合でありますので、間違っても各国の大使級が代理出席するといったことがないように、ぜひ外務省、総力を挙げて閣僚級の出席をしっかりと確保してもらいたい。ティラーソンさんももちろんそうでありますし、ロシアを含め、しっかり確保していただきたいということが一つと、ぜひ具体的な成果目標を持ってやっていただきたい。

 北朝鮮に対してどういう具体的な対応を求めるのか、ぜひ具体的に対応していただきたいと思いますが、現在の準備状況と、これから取り組むに当たっての心構えをお知らせいただければと思います。

佐藤副大臣 御案内のとおり、十二月から、日本は安保理における議長国を務めております。そういう意味におきまして、御案内の十五日に予定しております北朝鮮に関する閣僚級会合、これを開催する予定であります。

 まだ河野外務大臣の出席は決まったわけではありませんが、私としては、やはり各国に閣僚級の参加を呼びかける以上は河野大臣の参加というのは大事だと思っておりますので、それに向けて今努力をしている最中でございますし、各国にもやはり閣僚級ということで参加を求め、しかも、大事なことは、中身が、国際社会が北朝鮮の政策を変えさせるための圧力を高めるための方策を話し合うという面でも極めて大事な会合でございますので、御指摘も踏まえまして、中身を詰めていきたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 きのう、総理が、衆議院で非難決議をやった後の意見表明というか、その後の発言を求められた中にも、十二月十五日、非常任理事国議長国として閣僚級会合を開催しますと総理自身がおっしゃっておりますので、私は河野大臣が行かれるというのは前提だというふうに思いますけれども、ぜひ、これだけ貴重な機会を無駄にしないように、事務方もしっかりと準備をしていただきたい、このように思います。

 この関連で、安保理改革についてお伺いをさせていただきます。

 今回の十二月の会合をもって、日本は、非常任理事国としての二年間の任期がこれで切れるということであろうというふうに思います。非常任理事国として安保理のメンバーでいることのメリットはやはり非常に大きい。ステートメントの発出一つとっても、あるいは、今回も緊急会合を招集するに当たって、ちょっと実態はわかりませんが、反対する国、反対する常任理事国もあったであろうと思いますが、非常任理事国として動くことも可能であったと思いますし、さまざまな決議も、文案の調整を含めて、早い段階で対応ができるという面でも非常にメリットが大きいというふうに思います。

 このタイミングで非常任理事国から外れるというのは非常に残念だなというふうに思いますが、いたし方ないと思いますが、他方で、ここで外れますと、次に手を挙げられるのは恐らく早くて二〇二〇年代前半、恐らく二〇二〇年代の半ばまではなかなか非常任理事国の椅子は回ってこないんだろうというふうに思います。これは現行のルールですから仕方ないと思いますが、その関連で、ぜひ、私は、安保理改革、真面目に今こそ議論をして、成果を上げていくときじゃないかなというふうに思います。

 発足当初五十一カ国だった加盟国が今百九十三、百九十以上になっているというふうに思いますし、当時との地政学的な変化を見ると、ヨーロッパからアジア、そして今いよいよアフリカに、こういう時代でありますから、常任理事国、拒否権つきが五カ国固定をされている、しかも非常任理事国の椅子も極めて地域的には変動がないというのは、明らかに、国連の民主化、民主的な国連、機能する国連ということからすると、私はいびつだと思っております。

 そこで、安保理改革に向けた現在の取り組みと決意をまずお伺いしたいと思います。

佐藤副大臣 木原委員におかれましては、外務副大臣当時からこの安保理改革については精力的に動いていただき、その延長線上に私も今動いているという状況だというふうに考えています。

 ことしの九月に、ニューヨークにおきまして安保理改革に関するG4外相会合を開催し、やはり、その中でも、早期に安保理改革をする必要があるということで一致をいたしました。

 委員御指摘のとおり、アフリカ等にも私も実際に行きまして、安保理改革に対するアフリカの意見もいろいろ聞いてまいりました。多くの意見はございますけれども、やはり皆さんが言っているのは、七十一回の、前回の総会までにかなり論点は出尽くした、いよいよテキストベースで次からやるべきだという意見が多くあります。これについては、我々も、次はテキストベース交渉に行くんだという決意で取り組んでいきたいというふうに思っております。

 また、その安保理改革の進め方でございますが、G4という枠組みを中心に今やっておりますけれども、大事なことは、やはり多くの国から広範な支持を得るという形が大事でございますので、G4を中心としながらも、いろいろな可能性を探りながら改革を進めていきたい、取り組んでいきたいというふうに思います。

木原(誠)委員 非常に前向きな御答弁をいただいて、ありがとうございます。私が指摘することも多分事前にきちっと理解をいただいた上で御答弁いただいたかと思います。

 私は、この安保理改革があたかも周年事業のようになっていまして、前回盛り上がったのが二〇〇四年から五年にかけて、国連が創設されて六十周年というとき。前回、近いところで盛り上がったのは二〇一五から一六年、日本の安保理加盟六十年、あるいは国連創設七十年。十年ごとに何となく気分は盛り上がるんだけれども、それが終わるとしゅうっとおさまっていくということに非常に懸念を持っております。

 それから、今副大臣はG4について、G4だけではなかなかという御答弁をいただいたので、それはそれで大変ありがたい御答弁だというふうに思いますが、G4という枠組みも、二〇〇四年、二〇〇五年のときにうまくいって、決議案を提案する直前まで行けた、そのある種の盛り上がりを今享受しているだけで、本当にこれが有効な枠組みかと、私は非常に懐疑的であります。つまり、ドイツはEUという中で盟主として大きな発言力を持っています。インドも非同盟諸国という中で大きな発言力を持っている中で、必ずしも国連安保理改革にそこまで熱意があるのかどうか、私自身は非常に疑わしく思っております。

 そういう意味で、今、他の枠組みというお話もありましたけれども、ぜひ積極的に新たな枠組み、G4を捨てろということではありませんけれども、新たな枠組みを模索していただきたいというふうに思いますし、私の理解するところ、佐藤副大臣はアフリカも担当されているというふうに思います、アフリカの中で、日本のというか、安保理改革に強硬に反対していたのは、まさにジンバブエの前大統領ムガベさんだったというふうに思います。今回退任をされたということもありますから、アフリカも含めて前向きな動きをとっていただきたいというふうに思いますが、もう一度だけ、テキストベースのこれからの政府間協議についてどういう方針で対応されるか、御決意をもう一言いただければというふうに思います。

佐藤副大臣 ありがとうございます。

 国連改革にはいろいろなモデルがございます。それぞれについて一長一短あるのは委員御案内のとおりでございまして、大事なことは、その案が多くの加盟国の支持を得るということが改革にとっては非常に大事だというふうに思っておりますので、御指摘を踏まえながら進めていきたいと思います。

 踏まえた上で、一方で論点はもう出尽くしたという感がありますので、やはりそこは今度は文書ベースで、テキストベースでやるという段階だというふうに思っておりますので、七十二回の総会では、まさにテキストベースで交渉するという強い決意で臨みたいと思います。

木原(誠)委員 こだわるようで恐縮ですけれども、私は、事務方はこの国連安保理改革にそんなに熱意は入らないと思います。それは、やはりこれだけ多くの日々の外交課題がある中で、外務省の中でアセットも限られていますから、本当に実現するかわからない、それから長期的な課題でもあるこの安保理改革というものに事務方が最大の精力を挙げてアセットを投入するというのはなかなか難しいというふうに思います。

 そういう意味でいいますと、やはり政務三役、大臣、副大臣、政務官がリードをしないとこの問題は絶対進まないと思います。テキストベースの交渉というのは事務的な交渉になるのはやむを得ないというふうに思いますが、このテキストベースの政府間交渉も、ぜひ副大臣あるいは大臣、リードをしていただいて、しっかりとウオッチをしていただきたい、そのことをお願いしておきたいというふうに思います。

 先ほど、新たなフロントを広げていくというか、新たな枠組みというお話が副大臣からもございました。それとの関連で申し上げますと、十二月の河野大臣の出張の中でもう一つ大きなパートが、私はイギリスだというふうに思っております。

 既にメイ首相と安倍総理大臣の間でも日英関係の重要性ということについてはかなり合意ができていますし、河野大臣の最近の発言を見ますと、日英、パートナーから実質的な同盟へというような、これも非常に重みのある言葉だというふうに思います。私は、その考え方は非常に重要だなというふうに思います。太平洋を挟んで日本とアメリカ、ユーラシアを挟んで日本とイギリス、この三角関係、非常に重要だと思いますし、同時に、オーストラリア、インド、今、自由で開かれたインド太平洋構想ということを考えたときも、イギリスの存在感というのは非常に大きいというふうに思います。

 ACSAも締結されました。今回の出張は2プラス2ということだと理解をしておりますが、今回の出張に当たって、日英関係、どういう高みを目指して取り組まれていくか、御所見をいただければと思います。

佐藤副大臣 御案内のとおり、日英両国は、アジア、ヨーロッパにおける最も緊密な安全保障上のパートナーであると考えておりまして、これはイギリスがEUを離脱しても変わらないと思います。それはいろいろ今安全保障協力が進んでおりますし、今御指摘ありましたインド太平洋戦略、これを進める上でも極めて大事なパートナーだというふうに認識しております。

 ことし八月のメイ首相の訪日の機会に、日英両首脳は日英関係を新たな高みに引き上げることで一致をした。やはりそのものの一つが安全保障関係でございますので、今後、そういう安全保障の分野あるいは法の支配に基づく国際社会秩序をつくるという意味でも、チャレンジングな動きもありますので、そういうものに対しても日英協力して対応していきたいというふうに思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 私、一九九九年から二〇〇一年までイギリスの大蔵省で仕事をいたしました。当時を思い出しますと、日本人は私一人でしたけれども、さまざまな国からそのイギリスの役所には人が働きに来ておりました。聞けば、多くの人はコモンウエルスの諸国というステータスで仕事に来ているよという方が多数おられたことを今も記憶しております。これが本当にイギリスの外交あるいはイギリスの強みだなということを当時感じたことがあります。

 改めてこのコモンウエルス諸国というのを眺めてみると、私たちにとって、アジアでも大変重要な国、先ほどまさに副大臣がおっしゃっていただいたような、開かれた、そして自由なインド太平洋構想という中においても重要な国が多数ございます。

 ぜひ、日英同盟、日英関係の後ろにはこの五十三カ国というコモンウエルス諸国が同時にあるということも認識をしていただきながらこの関係を深めていただきたいというふうに思いますし、先ほどの安保理改革との関係でいえば、こういった国々と連携を深めていく、そういう道筋も深めながら、安保理改革についての理解も全世界的に深めていっていただきたいなというふうに思っております。

 特に答弁は求めませんけれども、引き続き、十二月の河野大臣の御出張が有意義なものになりますように御祈念しながら、ぜひ、国連改革、そしてこの日英の問題は河野大臣ともまた質疑をしたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 これで終わりにします。ありがとうございました。

中山委員長 次に、佐々木紀君。

佐々木(紀)委員 自由民主党の石川二区選出の佐々木紀でございます。

 きょうは、大臣がいらっしゃらないので、大臣所信についてお伺いをしたいなと思ってはいたんですが、後半に回させていただいて、まず、大和堆問題について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 先ほど来、委員からも同様の質問があったわけでありますけれども、私は、これは単なる違法操業、漁業の問題ではなくて、やはりこれも北朝鮮問題の一つだというふうに捉えて、外交案件だというふうに思っております。やはり毅然として対応していただきたい、そのように思っているわけでございます。

 この能登半島沖の大和堆の違法操業についてこれまでどのように対応してこられたのか。現場の漁師の方からは、もっと強く出てほしい、臨検や拿捕も視野に入れてしっかりやってほしいという声が届いているわけでございますけれども、これまでの対応について御説明をいただければと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船等による操業は、違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっておりまして、極めて問題であると考えております。

 このため、我が国漁業者が安全に操業できる状況を確保することを第一として、海上保安庁と連携しつつ、漁業取り締まり船を大和堆周辺に重点配備するとともに、現場において放水等の厳しい対応によって我が国排他的経済水域から退去させているところでございます。

 今後とも、我が国排他的経済水域内での外国漁船による違法操業の防止に努めてまいる考えでございます。

佐々木(紀)委員 先ほどの委員のやりとりの中でも、北朝鮮が相手だということですとルールがないということで、なかなかやりにくいというお話もありました。

 ただ、韓国や中国がもしそういう違法操業があれば、漁業協定等々に基づいて臨検、拿捕までやられるんだというふうな答弁もございました。北朝鮮に対しても、臨検、拿捕を視野に入れて、もちろん漁民、漁船の安全確保を第一に考えながらも、今後そういった強い態度で臨むんだというところも視野に入っているということを、ちょっともう一度御答弁いただければというふうに思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 我が国といたしましては、我が国漁業者が大和堆周辺水域において安全に操業できる状況を確保することが第一であるとの認識のもとで、どのような対応が最も効果的かという観点から不断に対応を検討しておるところでございまして、現在は退去警告を中心とした対応を行っているところでございます。これまでの粘り強い取り組みによりまして、外国等の漁船を我が国排他的経済水域から退去させている実態がございます。実際に漁船の数は今減少しているところでございます。

 今後とも、政府全体として、状況に応じて最善の対策を講じてまいりたいと考えております。

佐々木(紀)委員 相手が北朝鮮だということで、確かに、おっしゃるとおり、本当に漁業目的で来ているかもわからない、武装しているということもあったわけでありますから、簡単にそういった、ルールに基づいてやるということが難しいという事情もわかりますけれども、これはやはりあくまでも北朝鮮問題ですので、毅然として対応していただきたいというふうに思います。

 そして、今ほどの答弁の中にもありました、確実に排他的経済水域の外側に追い出しているんだというようなことでありますけれども、現場の漁師さんにすると、そんな状況じゃない、いやいやいや、まだまだやはり大変だというような声があるんです。ですから、水産庁や海上保安庁の方の説明と現場の漁師さんの意見が、やはりちょっと認識が違うんですよね。

 彼らは今、現状、大和堆で操業していますから、これが一月になりますと、船頭さんとかが戻ってまいります。ぜひそういった方の意見も聞いていただいて、今後適切に対応していくということをしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山口政府参考人 お答えいたします。

 水産庁といたしましては、この大和堆周辺における北朝鮮等の違法漁船への対応状況につきましては、本年十一月に水産庁のホームページでその状況を漁業関係者等に周知するということをやったところでございます。

 さらに、これまでも要請等の場で漁業関係者からいろいろ御意見を伺っていたところでございますが、本年十二月四日には、水産庁の漁業取り締まりの責任者が、石川県に赴きまして、政府の対応状況を地元のイカ釣り漁船の船主さんたちに説明し、また意見をお聞きしたところでございます。

 今、先生御指摘がございましたように、来年一月には漁船が港に戻ってきますので、今度は漁船の船頭さん、いわゆる漁労長さんたちとの意見交換をする場を設けるとともに、今後とも、いろいろな機会を通じて漁業関係者の意見をお聞きしたいと考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 そして、最近は木造船の漂着というのも目につくようになってまいりました。木造船の漂着というのは毎年あるようなんですけれども、乗組員が生存したまま発見されるというケースは近年珍しいというふうに聞いております。先月二十三日も秋田県でございましたし、二十八日は北海道でもございました。秋田県のケースでは八人の乗組員がいらっしゃったということで、取り調べた結果、遭難と判断して、人道的な見地から帰国をさせるということを決めたようでありますけれども、こういった木造船に対する対応についてちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 これは本当に遭難であればいいわけでありますけれども、もしかすると工作員かもしれないということもあります。きょうの新聞にもそのような懸念の記事が出ております。「北朝鮮工作員 紛れ込み懸念」という記事が出ております。

 やはり地元の皆さんにすると、ちょっと不安なわけなんですね。簡単に帰すと、本当にちゃんと聞き取り調査をやっているのかというような声も聞こえてきます。特に、先月十五日、石川県能登半島沖で転覆した北朝鮮籍の小型船、三名の乗務員を保護、送還したケースでも、やはり地元の方からは、現場の対応がやや弱いんではないか、ちょっと早く帰し過ぎじゃないか、できれば、こんな情勢なので北朝鮮の情報をもっともっと聞き出したらいいんじゃないか、あるいは交渉の材料として使ってもいいんではないか、こんなような声も上がってきているわけでございます。

 やはり、現場に任せず、国が先頭に立って、政府が先頭に立って省庁横断的にきちっと対応していく、遭難だけじゃなくて、工作員かもしれないという懸念も含めて対応していく必要があろうかと思いますけれども、現状、どのような対応をされているか、御説明いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のような北朝鮮からと見られる船舶の漂着事案があった場合には、関係機関が多岐にわたりますことから、内閣官房を中心に関係省庁が緊密に連携し、情報の共有と対応の協議を行っているところでございます。

 御指摘の秋田県由利本荘市の事案につきましては、漂着した八人は警察等関係機関の調査に対しまして、一貫して、北朝鮮から漁のために来たが船が故障して漂着したと供述しているところでありまして、また、禁制品の所持などの違法行為も認められなかったところでございます。関係機関の調査の結果、漁民の遭難と認められましたことから、警察から法務省に引き渡し、入管法に基づく遭難による上陸許可を行ったところでございます。

 今後とも、政府一体となって、関係法令に基づき適切に対処してまいりたいと存じます。

佐々木(紀)委員 ぜひ政府がしっかりとその辺の情報をコントロールしながら適切に対応していただきたい、あらゆる可能性を考えた上で対応して、現場に任せないで、政府がしっかり対応していただきたいというふうに思います。

 この大和堆の問題もそうでございますし、木造船の漂着という問題もございますし、これは問題の性質は違うにしても、やはり核・ミサイル開発や拉致といった一連の北朝鮮との対応の問題であることは間違いないわけでございます。

 こういった一連の対応、こういったことも含めて、政府は北朝鮮に対して今後どのように対応していくのか、強い決意をお伺いしたいと思います。

鯰政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、大和堆の違法操業、北朝鮮船による違法操業の問題につきましても、漂着事案につきましても、北朝鮮がかかわり、外務省もかかわっているところでございまして、先ほど内閣官房から答弁がございましたけれども、関係省庁の一員として外務省も加わっているところでございます。

 そして、北朝鮮については、委員も御指摘のとおり、核の問題、ミサイルの問題、拉致の問題もございます。北朝鮮に政策を変えさせるため、あらゆる手段を使って圧力を最大限まで高めていくことが必要であると考えております。先般のトランプ大統領訪日の際に、あらゆる手段を使って圧力を最大限にすることで首脳間で一致しております。あるいは、河野大臣も、御就任以来、ASEAN関連の御出張、アフリカ訪問、中東訪問、国連総会、その他さまざまな機会に各国に対して働きかけを行っております。

 我が国といたしましては、今後とも、日米、日米韓三カ国で協力し、あるいは中ロといった関係国と緊密に連携しながら、安保理決議の完全な履行等を通じて、北朝鮮の核、ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決に向けて全力を尽くしていく所存でございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、この大和堆や木造船の漂着の問題も、ローカルな問題のように見えますけれども、これはあくまでもやはり対北朝鮮問題の一環だというふうに捉えて、毅然と対応していただきたいというふうに思います。

 それでは、大臣所信の詳しい中身について、少しお伺いをしていきたいというふうに思っています。大臣から直接、その意気込みをお聞きしたかったわけでありますけれども、いらっしゃらないわけでありますから、ちぐはぐな対応になると申しわけないんですけれども、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 所信によりますと、八月八日に就任して以来、この四カ月間、世界を駆けめぐって、その職責の重さと重要性を痛感したというふうに書き出しがあるわけでございます。先ほどの遠山委員のお言葉をかりれば、八面六臂の活躍といった状況なんだろうなというふうに思っております。

 実際、就任四カ月で世界を駆けめぐったと言われているわけでありますけれども、これまでの活動の実績について御説明いただければと思います。

佐藤副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、まさに世界を飛び回っているという御指摘がありましたけれども、外国訪問を九回これまで実施し、十二カ国を訪問したほか、国内では、広島、長崎、沖縄にも足を運んでおります。

 着任直後のASEAN関連外相会議に始まり、中東訪問、トランプ米大統領訪日、APEC閣僚会議、ロシア訪問など、これまでに外相会談を七十回以上、その他の多国間会合等を含めれば百六十回以上の会合を実施しております。

 特に、各国の外務大臣等とお会いする中で、外務大臣は英語が堪能ということもあり、自分の言葉でしっかりと意思を伝え、特に人間関係、これを構築することが非常に大事だという考えのもと、いろいろなネットワークの構築、あるいは信頼関係というものをつくっていきたいというふうに申されております。

 所信でありました六つの重点分野、これを中心に、積極的に外交に取り組んでいきたいというふうに申されております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 もう既に、就任四カ月で九回、外国を訪問されたということでございます。選挙もあったことを考えれば、ほぼ毎週、海外に出かけていらっしゃるということでございまして、本当に精力的にこなされている印象がございます。本当に頼もしい限りでございます。

 岸田前大臣は、在任期間およそ四年半で千六百八十一日ということで、戦後歴代二位、専任の大臣としては歴代最長ということでございました。外国の訪問回数も五十九回で、訪問国数も五十一カ国、延べ九十三カ国ということでございますので、ぜひ河野大臣にもこれを目指して頑張っていただければというふうに思っています。

 本当に、ただ外国を訪れるというだけではなくて、日米関係はもとより、やはり中国や韓国、ロシア等の近隣諸国との協力関係強化、中東の平和と安定への貢献強化を所信にもうたわれているわけでありまして、こういったところをもう既に御訪問されているということでございますので、所信に基づいて着実に成果を出そうとしている意欲も感じるわけでございます。

 また、十二月一日、二日には沖縄も訪問されているということでございまして、沖縄の基地負担軽減にも取り組んでいこうという姿勢も感じられるわけでございますので、本当にこの意欲的な取り組みをぜひずっと続けていっていただきたいというふうに思います。

 今お話がありました、デビュー戦となったフィリピンでのASEAN関連外相会議での中国外相とのやりとりとか、あるいはサンフランシスコの慰安婦像に対する発言なんかも聞いておりましても、言うべきことははっきり言う外相というイメージがございます。ぜひ世界の外交の舞台で、得意の英語を駆使して、言うべきことははっきり言う外相として、我が国の主張を堂々と伝えていっていただきたいというふうに思います。ぜひ佐藤副大臣には、私のこの旨を大臣にお伝えいただければというふうに思います。

 次に、大臣所信を読んでいきますと、後半の方になるんですけれども、外交の実施を支える足腰を強固にしていくということも出てきます。「主要国並みの外交実施体制の実現や総合的な外交力を強化する」ということでございますけれども、この具体的な内容について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 恐らく、大使館数やあるいは職員数をふやしていくということであったりとか、新たな外務審議官というポストを新設する、組織の強化をしていくということをおっしゃっているのではないかなというふうに思うわけでございますけれども、大使館数もやはり海外と比較しても不足していますし、職員もそうです、不足していると思います。最近はやはり在外公館の果たすべき役割が、外交だけじゃなくて、民間企業の支援とか、多岐にわたっております。邦人保護なんかももちろんでございますけれども、二十四時間年中無休で対応していかなきゃいけないということで、本当に職員の方も充実をしていかなきゃいけない。本当に大事なことだと思います。また、外務審議官も、私はこれは大変お仕事がお忙しいのではないかなというふうに思うんです。

 安倍総理が地球儀を俯瞰する外交を唱えられて、首脳外交をやられているわけでありますけれども、それを支えていく事務方、各国のハイレベルと十分に協議する体制をつくっていかなきゃいけないわけでございますけれども、こういったことも踏まえて、大臣所信に書かれた具体的な中身について御説明をいただければと思います。

佐藤副大臣 先ほど来の委員からの御指摘にありますように、北朝鮮問題を含め日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している中で、外交体制の強化というものは不可欠であるというふうに認識しております。

 そういう中におきまして、今政府としましても、御指摘ありましたような、在外公館をふやすとか、あるいは人員の拡充というのはやっておりますけれども、ほかの国と比べてもまだ十分とは言えないという状況でございますので、そういう面で、人とかあるいは公館数、あるいは兼轄をしている国、旅費がなければなかなか兼轄国に行けませんので、そういう旅費を含めた、そういう足腰という部分を強化していきたいというふうに思っております。

 また、御指摘のありました外務審議官につきまして、今二名でございますけれども、地球儀を俯瞰する外交というものを行おうと思った場合、御指摘のように、ハイレベルでの協議というのがなければ実際に調整も進まない部分もございますので、委員の御指摘も踏まえながら、外交体制の強化、これに尽力をしてまいりたいと思います。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 大使館も、もうスクラップ・アンド・ビルドなんていうのはもってのほかでありまして、ビルド・アンド・ビルド、単に数をふやせばいいというものでもないですし、やはりその中身も充実させていかなきゃいけないので、ビルド・アンド・インクリースも、ぜひそういった概念を今後取り入れていただいて取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 次に、外交においては人間関係が重要であるということも書かれております。これは恐らく外相同士の信頼関係のこと、あるいは外相、河野大臣御自身のこれまでに築かれた人脈を駆使して外交成果を上げていこうということを御指摘なんだろうなというふうに思うわけでありますけれども、国としても、やはりそういう、日本と関係のある人との人脈というのは大事ですし、こういったことを駆使して、手繰っていって、日本の外交成果につなげていくということも私はすごく大事だというふうに思っています。

 日本人人脈、例えば邦人企業であるとか在外教育施設、日系人や日系社会、特に中南米なんかですと、日系社会が大変たくさんいろいろな各地にありますもので、やはりこういったところ、海外で活動する日本人や親日、知日派の人脈を活用していくということが私はすごく重要だというふうに思っています。

 まずは、世界各地にいらっしゃるそういった活動する日本人や日本人人脈、そういった人たちの安全、安心を守るといったことについてどのように取り組まれているか、御説明いただければと思います。

相星政府参考人 お答えいたします。

 海外におられます在留邦人の安全確保は政府の重要な責務でございまして、外務省といたしまして、各国の治安情勢を初めとする邦人の安全に関する情報を収集し、外務省の海外安全ホームページあるいは大使館のホームページ、たびレジ、領事メールといった手段を通じて、適時適切な情報発信、情報提供に努めてきております。

 また、邦人への支援が必要となった場合には、迅速かつ円滑な対応が可能となるように、在留邦人や現地の治安当局との連絡体制を構築し、意思疎通を図ってきております。

 特に、昨年、ダッカでのテロ事件を受けまして、在外の邦人安全対策を再点検いたしました。その上で具体的な政策を実施してきておりますが、その一環として、例えば、在外の教育施設のために、安全対策強化の実施、あるいは安全面での施設強化の工事への支援、あるいは安全対策マニュアルの策定、警備員の配置に関する支援等を行ってきております。

 また、日本企業の海外での活動を安全対策面から支援する上で、企業の海外進出に関する組織、機関が参加する安全対策ネットワークを立ち上げるとともに、ゴルゴ13の中堅・中小企業向けの安全対策マニュアルを製作、配付するといったことや、あとは企業向けの海外安全対策セミナーを実施してきております。

 引き続き、邦人が海外で安心して活躍できるように必要な施策を講じてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 私も、ゴルゴ13のそのマニュアルに従って、メールで登録をして海外に行くようにしております。

 そしてまた、在外教育施設も、いわゆるソフトテロというんですか、こういったところがやはり一番狙われやすいわけなんで、ぜひこの辺の安全確保についても強化をしていっていただければというふうに思っています。

 最後になりますけれども、そういった日本人人脈を活用して日本の外交成果につなげていくといったことについてもどのようにお考えか、御説明いただければと思います。特に、中南米にあるそういう日系社会をどう活用していくかということについて、御説明いただければと思います。

中前政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員ただいま御指摘いただきましたように、中南米地域には現地の人々から信頼を集める世界最大の日系社会がございまして、日本と中南米各国のかけ橋となっておられます。

 外務省といたしましては、毎年本邦で開催される海外日系人大会を後援し、外務大臣主催レセプションを開催するなど、日系人の方々との関係強化や人脈構築に努めてきたところでございますが、さらに本年は、中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会を立ち上げ、五月には外務大臣に対してこの報告書の提出をいただいたところでございます。

 この報告書に指摘のありますとおり、中南米の日系社会においては、活動の中心世代が新しい世代に移行しておりますが、若い世代の日系人であっても、日本に関する情報や体験機会を得られれば、みずからのルーツへの意識や日本への関心が高まる、そういうことが把握されております。

 このような有識者からの提言も踏まえまして、日系社会とのさらなる連携強化に向けた施策を検討してまいりたい。具体的には、各種招聘・研修事業や日系社会の行事、事業への参画や支援を通じて、若い世代の日系人の方たちを含め、各国の日系社会のネットワークを広げ、知日派、親日派をふやす取り組みを進めてまいりたい、かように考えております。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、河野大臣を先頭に、日本外交が世界の外交の中心で活動できるようにお取り組みをいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十分散会


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