衆議院

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第2号 平成29年2月15日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十九年二月十五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      岡下 昌平君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    笹川 博義君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      田畑  毅君    武部  新君

      中川 郁子君    西川 公也君

      古川  康君    細田 健一君

      前川  恵君    宮路 拓馬君

      森山  裕君    八木 哲也君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    宮崎 岳志君

      村岡 敏英君    中川 康洋君

      真山 祐一君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    吉田 豊史君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   内閣府副大臣       松本 洋平君

   外務副大臣        岸  信夫君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   内閣府大臣政務官     田野瀬太道君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          佐々木康雄君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   政府参考人

   (林野庁長官)      今井  敏君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十五日

 辞任         補欠選任

  笹川 博義君     八木 哲也君

  武部  新君     岡下 昌平君

  西川 公也君     田畑  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     武部  新君

  田畑  毅君     西川 公也君

  八木 哲也君     鈴木 憲和君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     笹川 博義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、大臣官房総括審議官水田正和君、大臣官房統計部長佐々木康雄君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、林野庁長官今井敏君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 きょうは、お時間を四十分間いただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、きのう大臣の所信がありましたので、大臣の所信に対する幾つかテーマを質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、きのう大臣所信で、五ページ目に、食の安全、安心の面で消費者の関心が高まる中、科学的知見に基づく安全性の向上等に万全を期し、安全で良質な農林水産物、食品の供給に努めてまいります、こういった大臣からのお言葉がありました。

 最近、報道で、仮に事実だとすると、国民の食、その安心、安全に対する信頼が揺らぎかねない、そういった報道がありましたので、まずはこの件について事実確認をさせていただきたいと思います。

 きょう、委員の皆さんにお配りをさせていただいた資料が、最新号の週刊ダイヤモンドで報じられた、米の産地偽装疑惑に関する記事であります。

 これは、端的に大まかな内容を申し上げますと、JAグループ京都が五五%の株を持っている京都の米卸、京山という会社が販売をしたお米を同位体研究所という研究所に検査を依頼した結果、「滋賀こしひかり」の中に、十粒中六粒、中国産米がまぜられていたという疑惑、これが一つ目の疑惑であります。二つ目が、「魚沼産こしひかり」の中にも、十粒中四粒が中国産米だったという疑惑、これが二つ目です。そして三つ目が、「京都丹後こしひかり」の中にも、十粒中三粒、中国産米がまぜられていたという疑惑。そして四つ目の疑惑が、「魚沼産こしひかり」のうち、国産と判別された米も他府県産である可能性が高いという疑惑。

 まだあるんですが、今、現状として、こういった報道を受けて、農水省としての対応状況を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

今城政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員からございました配付資料の中にある報道、私どもも承知しております。

 農林水産省といたしましては、この報道がなされるということを知った時点、実は二月十日の金曜日でございますけれども、その後、直ちに、当該、報道されております京都の米卸売業者に対して立入検査を開始したという状況でございます。

 現在も当然調査は続いておりますが、委員おっしゃられたとおり、仮に報道が事実であるとすれば、極めて食の安全、安心、消費者の信頼を損なう重大な問題でございますので、農林水産省としては、しっかりと事実関係を調査してまいりたいということでございます。

小泉(進)委員 今、今城局長から、しっかりと調査をしてまいりたい、もう既に農水省挙げて立入検査をやっているということですから、その調査結果をしっかりと見ていきたいと思いますが、今回、この報道では、京山が販売をしていた滋賀県の「滋賀こしひかり」は滋賀県愛荘町産の米でJA東びわこから仕入れている、そして、「魚沼産こしひかり」は南魚沼市産でJA魚沼みなみから仕入れている、そういったことが書かれています。

 これは、米トレサ、米トレーサビリティーですね、これをやると言っているわけですから、当然、米の仕入れ先を含めて明らかにするのが農水省の調査だと思いますが、改めて、そういったところも含めた調査をやるということでよろしいでしょうか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 事実関係の調査には、米がどういうところから仕入れられて、どういうところに販売されて、またどういう調製をされたのかというようなことにつきましてしっかりと、立入検査に入っておりますので、そこの書類等の資料に基づきまして逐一トレースをしていきたいということでございますので、当然、しっかりと、委員の御指摘のような内容も含めまして調べてまいりたいということでございます。

小泉(進)委員 これはあくまでもまだ疑惑の段階ですから、疑惑をかけられた側には、疑惑は疑惑であって事実ではないとすると、それを証明するという立場にもちろんあるわけです。

 そこで、この株式会社京山は、二月の十三日に、ホームページ上に「関係各位」という形で、「雑誌「週刊ダイヤモンド」二〇一七年二月十八日号に掲載された記事について」という、そういったリリースをしています。その中に、こういった書きぶりがあります。

 当社が産地偽装を行い、中国産の米をブレンドした米を国産米として販売したことはなく、かかる記事は事実に基づいておりません。また、当社が、輸入米を新たに包装し、あるいは加工して販売するということはなく、当社は、現在、輸入米を取り扱っておらず、過去に輸入した米についても、輸出国で袋詰めされたものをそのまま販売しており、輸入米が当社の精米工場に搬入されることはなく、輸入米が精米、袋詰めの過程で混入することもあり得ません。本件記事の検査結果については、その検査方法や検査機関の実績などから正確性が強く疑われるものです。ということで書いてあります。

 今回、この検査機関、これは同位体研究所という研究所ですが、これは今まで農水省の行政検査などでも利用しているということを伺っていますが、そのとおりで結構なんでしょうか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、常日ごろから、食の安全、安心という観点から、表示につきまして、適宜、市場から物を購入して調査をするということをやっております。

 その前提として、いわゆる産地につきまして、それを無差別に抽出するよりは一定の前提を置いて抽出するという方が効率的でございますので、その調査の端緒とする場合に、このいわゆる同位体研究所というところにお願いをして、その調査をした上で、一定程度疑義がありそうだというものを対象に私どもの正式な調査に入るという、その端緒として使っているという事実はございます。

 ただ、この事実だけをもって全てが特定されるわけではございませんので、先ほど来申し上げておりますとおり、実際に立入検査をするなど行い、その上で、書類等で全ての米の出入りをトレースするということをもって事実関係を特定していくということをやっているところでございます。

小泉(進)委員 今、今城局長からも御答弁あったように、この研究所は農水省も利用しているということです。

 それで、先ほどの京山からのプレスリリースによりますと、こう書いてあるんですね。先ほど読んだところからの続きなんですが、現在、農水省に調査を依頼しており、いずれ事実が明らかになると考えております。

 そこで、農水省にお尋ねをしたいと思います。この株式会社京山が農水省に調査を依頼したという事実はありますか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 委員おっしゃるとおり、この株式会社京山の方からホームページにそのような文書が掲載されているということも私たちは承知しております。そのため、今御指摘がございました、農水省に調査を依頼しておりという文言がその文書の中にあったものですから、これは私ども全く依頼を受けた事実はございません。したがいまして、この会社に対しても、それは事実と違うのではないかということで申し入れをしたところでございます。

 また、いずれにしましても、先ほど申し上げたとおり、二月十日に立入検査を行ったのは、これは無通告の強制立入検査でございますので、そういうことでございます。

小泉(進)委員 今おわかりになったと思いますが、これは、私、わからないんですよね。この記事は事実ではないと言いながら、発表した文書の中には、農水省に調査を依頼していないにもかかわらず、農水省に調査を、しているということを発表するんです。

 だから、今回この記事が事実かどうかというのは私もわかりません。ただ、現時点でわかっているのは、農水省に調査を依頼していないのにもかかわらず、農水省に調査を依頼したということを発表するという、私はこれは一体どういうことなんだろうかと思うんですが、大臣、いかが受けとめておられますか。

山本(有)国務大臣 一般論で申し上げますと、食品の産地偽装、こういうものは許されるものではありません。特に、国民生活、食の安全、こういったものに不安を与えてしまいます。子供を抱える親、あるいは親を抱える家族、そういった人たちに、社会的にも不安を与えていくものでございます。そんな意味で、食の信頼、これを損なってはなりません。徹底した調査を行う必要があるというように考えております。

 報道内容を知り得た後、強制にわたる立入検査、これを開始しております。もとより、これは食品表示法、トレサ法等で最終的には刑事責任を問うべき、法のもとによる立入検査でございます。そんな意味で、徹底的に調査をし、真偽を明らかにしていくということを行いたいと思っております。

小泉(進)委員 大臣がおっしゃったとおり、仮にこれが事実だとすると、消費者の皆さんへの裏切りはもちろんでありますが、農家の皆さんからしても、自分がつくったお米がまさか中国の米とまぜられていたということは到底予想もしていないでしょうから、これは農家の皆さんへの裏切りでもあるわけです。

 そして、今回、仕入れ先がJA東びわこ、JA魚沼みなみということが書いてありますから、これはJAグループの中でも頑張っている農協に対する裏切りでもあるわけで、これを放置しますと、私は、当然出てくる議論だと思うのは、京山という会社が販売した米だけではなくて、流通している米が大丈夫か、そういった不安になることが当然だと思うんです。

 なので、今、もう既にさまざま、これは中食、外食業界も含めて、自分が扱っているところの米は大丈夫なんだろうか、そういったことが声としては上がっているということも耳に入ってきますが、そういったことを速やかに断ち切って、この信頼を回復していくためには、スピード感を持った速やかな調査が私は不可欠だと思いますが、今、既に立入検査等調査に入っているという段階だと思いますが、どれぐらいの期間、調査に時間をかけるというつもりですか。

今城政府参考人 委員御指摘のとおり、この件にとどまらず、ほかの米等の食品に対してまで不安感が広がるということは非常に問題があることになるという認識でございます。

 したがいまして、私ども農林水産省では、ふだんから食品表示に関する監視等を行っておるところでございますが、また、今回の報道を受けまして、さらなる消費者の不信感が高まることのないよう、行政による監査、監視、これをしっかり行っていかなければならないということとともに、本件についても、事実関係の究明ということについて、徹底的に、なるべく早くやっていきたいというふうに考えております。

小泉(進)委員 なるべく早くという言葉がありましたが、これは、時間をかければかけるほど、その間に増幅していく国民の食への不安、不信感、そういったものがあると思いますから、大臣、改めて、この調査、一日も早く、スピード感を持って調査結果をしっかり公表する、そういった旨の御意向というか、お気持ちの方を述べていただけたらと思います。

山本(有)国務大臣 この種の事案につきましてはスピード感が必要でございまして、特に、証拠を隠蔽される可能性が極めて高いということもありまして、立入検査は極めて早急な、迅速な形で行われました。その流れの中で、明らかにするべきはできるだけ早く明らかにしていくという覚悟で臨んでいきたいと思っております。

小泉(進)委員 この問題、また行政の調査結果を待たなければいけないので、一日も早くその結果が出ることを待っていますが、ぜひ消費者の信頼を裏切ることのない結果を早く出していただきたいと思います。またこれはほかの議員からも、もしかしたら他党の皆さんからもあるかもしれませんが、ぜひ大臣、よろしくお願いします。

 それでは、ちょっと重いテーマの次は、将来に希望を感じる、そんな話に移りたいと思います。

 大臣所信で、食の安全、安心というところに移る前に大臣が触れたのは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの食の問題でありました。多くの国産食材や国産木材が東京大会に供給され、大会終了後も輸出拡大につなげていけるように、農畜産物のGAP認証の取得等の取り組みを進めてまいります。きょうは、二つ目のテーマに、このGAP、国際認証のテーマを扱いたいと思います。

 まず、きょうは、オリンピック・パラリンピックの事務局にもこの委員会には来ていただいているので聞きたいと思いますが、来月、このオリンピック・パラリンピックの食の調達の基準が正式に決まるということを伺っています。方向性はもう既に出ていると思いますが、この国際認証が不可欠だということは方向性としては間違いないのか、そこをお答えいただきたいと思います。

田野瀬大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘のように、オリンピック・パラリンピックの大会におきましては、例えば、直近リオ大会であったり、もしくはその前のロンドン大会におきましても、食品等々は持続可能性に配慮されたものを調達するということとなっておりまして、食品安全、環境保全等の観点から国際的に通用する水準の認証が食材調達基準の中でそれぞれ採用されてきております。

 そういう経緯を踏まえまして、東京大会の食材調達基準におきましても、委員がおっしゃいましたように、本年度内を目標に組織委員会が決定する予定で検討が進められております。

 例えば、農産物につきましては、委員おっしゃったとおり、グローバルGAP等が基準案に位置づけられるものと私ども承知をいたしておるところでございます。

 生産者が東京大会を契機にこうした認証を取得することは、農産物の今後の輸出促進等につながると期待されております。東京大会のレガシーとなると考えておるところでございます。東京大会に国産の食材をできる限り多く提供できるよう、我々も、関係省庁、関係機関が連携して認証取得をぜひ支援してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

 ありがとうございます。

小泉(進)委員 田野瀬政務官、ありがとうございます。

 認証取得を後押ししていきたいということですが、残念ながら、日本にこの国際認証というのは全然進んでいません。

 これは、農水省に聞いてみたいんですけれども、今のところ私が把握している数字でいうと、グローバルGAP取得件数は約四百、そしてJGAP取得件数は日本で約四千。これを全農家数のうちの何%かということを見てみると、一%以下です。つまり、国際認証が基準であって、国際認証を取っていればオリンピック・パラリンピックに食として調達をされますよ、出せますよということですから、今のままだと日本の国産の農産物はほとんど出せない、そういったことになります。

 農水省にお伺いしたいのは、なぜここまで日本は国際認証というものが農業の中に進んでこなかったと分析をしていますか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、まだまだ国際的に通用するGAPの認証取得は進んでございません。

 その理由でございますけれども、これまで国産農産物の大半が国内向けに流通をする中で、国内の流通関係者からも、そういうGAP認証の取得、そういうものが特に求められてこなかったこと、また、日本の農産物輸出の主なところでございます、香港、台湾、東南アジア等におきましては、欧米と違いましてGAPの普及が進んでおりませず、輸出に際してもそういうGAP認証が求められることが少なかったこと等から、GAP認証のコストに見合ったメリットを生産者が認識してこなかったということだろうというふうに思っております。

 欧米への輸出等もふえている中で、その重要性がますます高まっていることで、今、一生懸命その取得の推進をしているところでございます。

小泉(進)委員 そういった中で進んでこなかったわけでありますが、そういう国際化への対応がおくれたことで、三年後に迫っているオリンピック・パラリンピックで、国内で開催されるにもかかわらず、日本のものはほとんど出せないという、こういった事態に陥るわけであります。

 嘆いていても仕方ありませんので、とにかく今からふやしていくしかありません。

 そこで、きょうお配りをした資料は、この国際認証、グローバルGAPを日本の農林高校の中で唯一取得をしている青森県五所川原農林高校の資料であります。これは、自民党の農林部会でも一月に視察に行きまして、生徒さんから説明を受けました。そして、きょうお配りをした資料は、この学校の校長先生から当日お配りいただいた資料の一部であります。

 めくっていただくと、グローバルGAPの青空の写真のところにある文字は「世界の常識知らずして日本農業の未来はない」と力強い言葉があります。

 私たちがこの五所川原農林高校に行って、本当にわくわくしたんですね、ああ、こういう子たちがいれば日本の農業は将来大丈夫だと。それは、たまたま視察に行った日は、翌日からグローバルGAPを取得したリンゴを高校生たちが中国に持っていって、中国のイトーヨーカドーで輸出販売実習をやる、その壮行会の日に私たちは行ったんです。そうしたら、代表の女の子がスピーチをして、グローバルGAPの取得を勉強したおかげで目指すべき農業の方向性がはっきりしましたと。その子は実家が農家なんです。将来私は世界一の農業法人をつくりますというスピーチをしたんですね。もう見ていてわくわくしましたよ。

 そこで思ったことは、残念ながら、このグローバルGAPの話をしても、今までの慣行農法をやっている、慣行農業をやっている、今までのやり方をやっている方は、そんなこと言ったって無理だよと言うんです。無理だと言う方には申しわけないけれども、まあ無理だと言うんですから、できると言う人たちを頑張って応援しようということで、ちなみに、この五所川原農林高校の皆さんはお米とリンゴでグローバルGAPを取っています。どれぐらいの期間で取ったのかと聞いたら、四カ月です。高校生が四カ月でできて、今まで何年もやっている農家の皆さんはできないんですかね。私はそんなことないと思うんです。

 だから、ここへ視察に行って思ったのは、グローバルGAPや国際認証が当たり前だという農家さんをこれから若いときから生んでいけば、将来の日本農業を支える人材はみんな国際認証が当たり前という発想を持って農業をやってくれる、これが最大の農業改革だと思ったんです。

 だから、きょうは文科省から樋口政務官、田野瀬政務官も文科省なんですけれども、担当は高校は樋口先生だということなので、両名にお越しいただきましたが、このグローバルGAP、五所川原農林高校だけではなくて全ての農林高校で取得を実現するべきだと思いますが、文科省の今後の取り組み方針、農水省との連携、いかがお考えですか。

樋口大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 小泉先生御指摘のとおりでございまして、まずは現状でございますが、農業高校においては、農業現場で必要となる知識、技術を取り入れた実践的な職業教育の充実を図ることが重要であります。このため、現行の高等学校学習指導要領では、安全な食品の供給に関する学習活動を充実するという観点から、GAP、農業生産工程管理について、作物、野菜、果樹、そして草花の科目に取り上げているところでございます。

 農業高校においては、これらの科目において各学科の特性に応じてGAPに関する学習に取り組んでおり、こうした学習の成果として、御視察をいただきました青森県立五所川原農林高等学校においては、農業高校で初めてグローバルGAPの認証を取得したことを承知しております。さらに、JGAPは三校ございまして、各都道府県のGAPの認証は三校取得をしているところがございます。

 これから、文部科学省といたしまして、農業に関する学科を設置している、三百六校ございますけれども、この三百六校について、全ての農業高校においてグローバルGAPの認証を取得することについて、まず認証の取得の費用の負担、そして認証取得に向けたノウハウの提供等の農業高校に対する支援について、これは農林水産省の経営局そして生産局さんと今相談をしているところであります。両省が連携をして、そして学科の特色に応じて、全てのこの三百六校の農業高校がグローバルGAP認証取得に取り組んでいけるように努めてまいりたいと思います。

小泉(進)委員 前向きな御答弁ありがとうございます。三百六校全てで国際認証取得が実現をする日を楽しみにしていますので、しっかりと農水省と文科省、役所の垣根を越えて連携をしていただきたいと思いますし、各委員の皆さんの地元の農林高校でもこういった取り組みが広がるように後押しをお願いしたいと思います。

 今、樋口政務官からは、農林高校の国際認証取得のコストの支援を含めたお話もありましたので、そのコストのところで少し聞きたいと思います。

 平成二十八年度の補正予算によって、今国際認証を取得したいと手を挙げれば、一年目にかかるコストは全部国が見るというふうになっています。残念ながら余り知られていなくて、二月のきょうは十五ですけれども、締め切りは二月の十七、あさってです。ただ、このままでいくと、二月十七で予算が使い切られることなくこれが繰り越しとなって、そこで消化ができるんじゃないかという今の状況らしいですけれども、仮にそうだとしても、では、この補正が繰り越しで使われても、二十九年度の後半には切れるんですね。

 これから予算の審議がありますけれども、本予算のところでこのGAP含め国際認証の取得支援の予算がどれぐらい入っているかというと、約六千万円ぐらいしか入っていないということを聞いています。

 一方で、三年後のオリンピック・パラリンピックに国際認証は不可欠なのに、もう一方では予算の切れ目が生じてしまう。この切れ目のない取得支援の予算的な面もこれから不可欠だと思うんですが、これはどのように考えて対応していくつもりか、農水省からお答えください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、今、GAPの取得に関して、ほぼ全額について、二十八年度の補正予算で、国際水準GAP認証取得支援事業によりまして、集中的にGAPの取得を進めているということにしているところでございます。国際的に通用するGAPの取得をこれからも拡大していくことが必要だろうというふうには思ってございます。

 補正予算による取得状況ですとか、GAPの取得に向けましたさまざまな環境整備、そのような進捗を踏まえつつ、切れ目のない支援が可能となるように努力してまいりたいと存じます。

小泉(進)委員 ぜひ、このコスト負担というのは、現時点でやはり高いですから、何とか取得加速につなげていくためには、やはりブースターとなるような最初の支援というのは私は不可欠だと思います。ぜひ、切れ目なくこれが実施されるように、大臣含めて省内で対応していただきたいと思います。

 それと、この国際認証の取得の加速においては、私は、JAの力も大事だと思うんです。

 昨年、福岡県のJAくるめに視察に行きました。このJAくるめは今サラダ菜が好調で、サラダ菜をやっている農家さんが集まっているサラダ菜生産部会というのがあって、この生産部会の皆さんは、今、全員、全農家がグローバルGAPの取得をしています。その後押しをしているのが、単協であるJAくるめなんです。

 このように、一人で取るのは大変だけれども、JA挙げて、仲間で一緒に取ろうと言えば、途中で心も折れないで、みんなで切磋琢磨して一緒に頑張ろうということが生まれやすいんですね。

 私は、JAの持っている力の一つは、やはりこの全国ネットワークと、何かをやろうといったときの結集力、これはJAは持っていると思います。その結集力を何かの反対行動で使うのではなくて、こういった前向きなところで結集力を生かすべきだと思うので、ぜひ、JAとの連携、農水省としては大変重要だと思うんですが、大臣、どのようにお考えですか。

山本(有)国務大臣 GAPを取得し、かつ取り組んでいくというのは、これからの農業については絶対に必要なツールだというように思います。

 JA全中、全農、あるいは各都道府県段階のJAグループに対して今直接働きかけを行っているところでございます。さらなる理解を求め、かつ拡大をしていくというときには、御指摘のように、JAグループと連携することが何より不可欠だというように思っておりますので、これも御理解をいただきながら促進をしていくという方向で取り組んでいきたいというように思っております。

小泉(進)委員 連携というと、大事なのは、流通や小売の方とも連携する必要があると思っているんです。

 JAくるめ、福岡に視察に行った際に、実は、西鉄ストアというスーパーの売り場にも視察に行ったんです。それはなぜかというと、その西鉄ストアは、売り場の中に、国際認証を取得した農家の皆さんのものを扱う専用の売り場を持っているんです。

 こういった形で、やはり流通側、小売側がしっかりとそれを理解して後押しをしていくという行動が不可欠でありまして、農家の皆さんでグローバルGAPを取った方と意見交換をしたら、西鉄ストアは理解をしてくれているけれども、東京のデパ地下のバイヤーにGAPと言っても何も通用しません、こういった声もありました。

 ですので、今後、例えばデパ地下関係とかでいえば百貨店協会になるんでしょうか、また、流通関係とかで、小売とかでいえばチェーンストア協会など、業界団体がありますから、今後この三年の間にしっかりと輪が広がっていく後押しをするためには、そういった業界含めた連携が不可欠だと思いますので、そういった業界にも呼びかけをしながら連携をするということをお考えになってはいかがかと思うんですが、大臣、いかがですか。

山本(有)国務大臣 これからの農業というのは、おっしゃるとおり、生産、流通、加工、そして消費者への手元という全体を見据えた形が必要だろうというように思います。

 特に、委員御指摘のGAPは、グッド・アグリカルチュラル・プラクティス、防ぐべき危害、食中毒とかカビ毒中毒だとか、あるいは環境汚染だとか、こういったものに対する対抗措置でありますので、非常に消費者が信頼を寄せていただける大きな力になります。

 そんな意味で、販売の現場でこれを理解していただくことが消費者に信頼を得ることという理解をしておりまして、徹底的にここも、広報、宣伝、あるいは普及に努めていきたいというように思っております。

小泉(進)委員 さまざまGAPに対して論点を触れました。

 実は、もう一つ論点がありまして、このGAPの問題、何が難しいかというと、グローバルGAP、JGAPアドバンス、JGAPベーシック、その中で、GとJという言い方をよくしますが、何を取るべきなのかとか、そういったことの農家さんの思いというのはさまざまあるんですね。

 そして、その中で、グローバルGAPというのは、GFSIの認証が得られる、要は世界でも通用する。このランクに行くために、今、農水省としても、JGAPアドバンスをGFSIの認証が取れるような働きかけ、外交的な働きかけですよね、そういったこともやっているということを聞いているんですが、私は、どうもそこには不安があるんですね。

 これは本当に、外交交渉ですから、そういったところに日本のJGAPアドバンスが認証されるかどうかという取り組みは、戦略的に、省内でしっかりとチームを組んで、どのように働きかけをして、誰に言って、そういったことを含めてやらなければいけないと思いますが、今、果たして省内でそういった体制と戦略があるんだろうか。思いは伝えれば通じるような世界じゃないですから。

 そこを含めて、大臣、これからそういった、日本がルールメーカーとなっていく上で必要な組織内の体制、特にこの国際認証について、これは今どう考えておられますか。

齋藤副大臣 今、小泉委員が御指摘された点は、非常に重要なテーマだというふうに認識しています。

 JGAPアドバンスについては、これから正式なGFSIの審査基準改定、公表を待って承認申請をやっていくということになっているわけでありますけれども、ここでは、恐らく、GFSIにはグローバルな小売業者、食品メーカー等さまざまな団体が加わっているので、この承認に当たっては、こういった企業、団体が求める高いレベルの食品の安全が確保されているということが最大のポイントになってくると思いますが、それに加えて、いかにうまく戦略を組んで説明をしていくかということもあわせて大事になってくるんだろうという認識を強く持っております。

 このため、農林水産省は現在、国際交渉と同様の体制ということで、国内部局と国際部局が連携して、日本GAP協会とともに、JGAPアドバンスの内容がGFSIの求める食品の安全の基準と同等であることをいろいろな機会を通じて説明をして説得をしていくということでありますが、委員おっしゃるように、通商交渉と同様の強い体制で臨んでいく必要があると認識をしております。

小泉(進)委員 通商交渉同様の体制で臨むという力強い答弁、ありがとうございました。

 今、農家さんの中では、農水省がよく言うように、もうすぐJGAPアドバンスもグローバルGAP並みに扱われるようになりますからという言葉を信じて、JGAPアドバンスでいいかなと思っている人がいることも事実なんです。だけれども、私からすると、果たしてどうかなと思っています。では、いつそうなるんですかと言っても、誰も答えてくれませんから。

 なので、そういったことを含めて、今副大臣がおっしゃったような力強い体制でやっていただいて、将来、これは東南アジアを含めて、今後の海外への農林水産業の輸出戦略にも大きくかかわる話ですから、まさに、副大臣の言葉をかりれば、通商交渉同様の覚悟で臨んでいただきたいと思います。

 それと、最後に、このGAP、きょう私が触れたのは、幾つか論点があったんです。農業高校、これは若者です。そして予算。そしてJAや小売や流通を含めた連携。そして最後に、外交交渉を含めたこと。これは、考えてみますと、これらを統括してしっかりグリップするような、そういう体制が不可欠じゃないかと思うんです。

 特に、今後三年、オリンピック・パラリンピックで少しでも国産のものを出せるようにということで、この取得を後押ししなければいけないわけですから、私は不可欠じゃないのかと思うのは、では、今のグローバルGAP約四百という数字をこの三カ年で一体幾つまでふやすつもりなのか、この数値目標。JGAPは今四千だとすると、これをこの三年でどれだけふやしていくのか。

 そしてまた、最近も、お会いをしたある農家さんが言っていましたが、東京オリンピック・パラリンピックに向けてグローバルGAPを取りたい、だけれども、オリンピック・パラリンピックでどの品目が求められるのかがわからない中で、どの品目でグローバルGAPを取ったらいいかがわからない。

 だから、この残された期間は、今が二〇一七ですから、二〇一七、二〇一八、二〇一九ですよ。二〇一九年に取っていなかったら間に合いませんから。だとすると、一日も早くどの品目で必要なのかということも発表しなければ、現場の生産者が対応できないと思うんです。

 そういった、まずは数値目標、この三カ年計画、それを出した上で、さっき言った農業高校の支援や予算や連携などをしっかりグリップをしていくという、そういったことについて大臣はどう思うかということと、そして、あわせてオリパラの事務局関係の皆さんには、品目、これはいつ農家の皆さんにはわかりますか。最後、それをお二つお答えいただいて、時間も来ましたから質問を終わりたいと思います。

齋藤副大臣 大変重要な点を御指摘いただいていると思います。

 今、私の方からお答えをするというよりも、これからお答えがあると思いますけれども、この東京オリンピック・パラリンピック競技大会で、例えば穀類がどのくらい必要なのかとか野菜がどのくらい必要になるのかという、その供給の量につきましては今検討されていて、そして夏ごろにはその必要量、具体的に幾らというのが出てくるというふうに聞いております。

 それが明らかになった時点で、我々の方も目標についても検討していきたいというふうに考えております。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 非常に大事な観点かと思います。

 例えばロンドン大会におきましては、大会の約三十カ月前に策定された飲食提供の基本戦略におきまして、例えば選手村における食材の規模といたしまして具体的な数字が出ております。例えば、二万五千斤のパンであったりとか、二百三十二トンの芋類であるとか、八十二トンを超える海産食品、三十一トンの鳥肉といった具体的な、ロンドン大会においては調達目標が三十カ月前に示されておるというところでございます。

 今回の東京大会におきましても、今後、これは組織委員会が取りまとめることになっておるんですけれども、検討会議を設置させていただきまして、調達基準に基づいた、先ほど答弁させていただいた基準に基づいた国産食材の活用などを含む飲食提供基本戦略を策定することとしておりまして、先ほど副大臣が申しましたけれども、夏ごろまでには有識者等の意見を踏まえた案を取りまとめる予定、そのように聞いておるところでございます。

 私どもといたしましても、国産食材を最大限活用するためにも、大会関係施設などで必要とされる品目などの情報ができるだけ早期に公表されるよう、しっかりと協力をしてまいりたい、そのように思っております。

 以上です。

小泉(進)委員 時間が来たので終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。

 今回は、通常国会初めての大臣の所信に対する質疑ということで、山本大臣初め農水省の皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 最初に、農業現場の要望からということで、平成二十九年の一月十四日からの大雪による農業被害に対する対応について、まず冒頭、お伺いをしたいというふうに思います。

 ことしはいつになく雪が多い印象を持つ年ですが、今も山陰地方の鳥取市などにおいては、近年まれに見る降雪があり、市民の生活に支障を来すほどの影響が続いております。

 また、先般の一月の十四日から十六日にかけましても、私の地元であります三重県を初め、京都府、さらには滋賀県や兵庫県など、いわゆる日ごろは余り雪が多くない地域においても二十数年ぶりの大雪が観測をされまして、ビニールハウスなど農業施設や農畜産物などに甚大な被害が発生をいたしました。

 これら被害を受けた府県などからは、既に二月初旬に農水省に対して緊急要請がなされておりますが、例えば、具体的には、三重県では、県内北中部を中心に、農業用施設では花卉花木用やまた野菜用のハウスが百四十五棟、さらには畜産施設では鶏舎や堆肥乾燥用のハウスが十五棟、被害が確認されておりまして、被害額は約二億四千万円に上っております。

 また、京都府では、これも府内中北部を中心に、農業用ビニールハウス八百八十五棟や畜産用施設十四棟など、ここ二十年で最大規模の被害となる深刻な影響が出ているのとともに、兵庫県では既に四億円、また、滋賀県でも一・二億円に上る甚大な被害が報告をされているところでございます。

 これら被害を受けた各府県からは、今回の被害対策として被災農業者向けの経営体育成支援事業が活用できるように、今回の大雪を同事業要綱に規定する対象となる気象被害に指定することなどが要請をされておりますが、私は、今回の大雪による被害が日ごろは余り雪が降らない地域に集中をし、また、地域の予想を超えた被害が出ていること、さらには、その被害額が各府県合わせて既に二十二億円を超える額になっていることなどを考慮すると、この被災農業者向け経営体育成支援事業を初め、この支援事業に類似したあらゆる支援について国は機動的かつ柔軟な対応を検討していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。御見解を伺います。

齋藤副大臣 この冬の大雪では、日本海側を中心に、現在把握している範囲では、農業用ハウス、畜舎等に二十億円を超える被害が生じておりまして、被災された農業者の皆様には心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 現在は、農業用ハウスなどの被害について、農業共済の迅速な損害評価と早期の共済金の支払い、それから日本政策金融公庫の農林漁業セーフティーネット資金等の長期、低利の融資での対応を基本としているところであります。

 特に、園芸施設共済については、被災した園芸施設の確実な再建が図られますよう、平成二十七年二月から、耐用年数の見直しや補償価額の引き上げといった補償の拡充を行っているところであります。

 今、中川委員御指摘の被災農業者向け経営体育成支援事業につきましては、過去に例のないような甚大な気象災害が発生した場合、これに限って発動をされているものでありますけれども、まずは今般の大雪における被害状況の把握をしっかりとさせていただきまして、その状況に応じて必要な支援策を総合的に検討していきたいと思っております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私も三重県でありますが、本当に二十数年ぶりの降雪に見舞われまして、やはり日ごろ余り対応がされていない地域なものですから、大きな被害が出ているわけでございます。

 確かに、今の支援事業、規模の部分とか、さまざまなまだ検討すべき課題があると思いますが、類似な制度も含めて、やはり現場のその思いに応えていただくような農水省としての対応、体制をよろしくお願いしたいと思いますので、そのことを改めて私の立場からも御要望を申し上げたいというふうにも思っております。

 次に、農林水産物の輸出促進策についてお伺いをいたします。

 これは、これまでも何度か私は提案を、また指摘をさせていただきましたが、農水省が二月十日に発表いたしました二〇一六年の農林水産物、食品の輸出額の速報値、これは今回七千五百三億円となりまして、四年連続で過去最高を更新いたしました。これは、海外での健康志向の高まりで和食用の食材の需要がふえた。一方、この伸び率については、前年比〇・七%増と、実は小幅な伸びにとどまっております。

 具体的には、東日本大震災での東京電力福島第一原発事故後に各国で導入された日本産食品の輸入規制、これが徐々に緩和、撤廃されている、そういったいい方向もあれば、一方で、この一六年の伸びが小さかったのは、円高とか、特に悪天候によるホタテガイの不漁、これが大きな要因というふうに挙げられております。

 一六年の輸出額の内訳を見ますと、菓子など加工食品も含めた農産物が三・七%増の四千五百九十五億円、さらには木材などの林産物が一・九%増の二百六十八億円、さらには水産物、これは四・二%減ですが、二千六百四十億円となっております。

 政府は、現在、農林水産物の輸出額を一九年までに約一兆円にするという目標を掲げており、海外需要に向けた攻めの農業への取り組みを進めておりますが、今回の輸出額の速報値、額においては過去最高を記録したわけですけれども、この伸び率の、〇・七%という小幅な伸びにとどまったところを見ると、政府が掲げている一九年までに輸出額一兆円達成、この目標、少し心配な面が私はあるのではないかなというふうにも思っております。

 そこで、私は、農林水産品の輸出については今後もぜひ頑張っていただきたい、こういった思いから伺うわけですけれども、今回の輸出促進策、改めての今後の見通し、さらには具体的な方策につきまして大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、伸び率が鈍化いたしました。その背景も御指摘のとおりでございますけれども、全体の貿易額を見てまいりますと、鉱工業製品を含む我が国の輸出総額、これが前年比七・四%減でございます。そういう数字からしますと、農産物は善戦、健闘しているということが言えようかと思います。農産物の多くの品目で輸出額が過去最高も更新しておりまして、オール・ジャパンでの取り組み、今までと違う取り組み、これの成果があったというように思っております。

 さらに輸出を拡大するということでございますが、昨年の五月でございますけれども、農林水産業の輸出力強化戦略を取りまとめました。

 その具体的な例といたしましては、海外市場のニーズ把握、需要の掘り起こしをする、また、国内の農林漁業者、食品事業者の販路開拓のための相談体制の強化や商談会出展等の支援をする、あるいは、コールドチェーンの整備などの生産物を海外に運ぶ物流の高度化への支援をする、さらに、輸出国・地域の輸入規制の緩和、撤廃に向けた交渉を加速させていく等の取り組みを考えております。

 加えまして、昨年十一月に農林水産業・地域の活力創造本部で決定されました農林水産物輸出インフラ整備プログラム、ここにおきまして、ハード面、空港や港湾に近い卸売市場や生産物の流通加工施設の輸出拠点の整備をする、ソフト面といたしましては、オール・ジャパンでのプロモーション、ブランディング、輸出事業者へのサポートを担う新たな機関の創設、こういったことがございまして、各都道府県の知事さんも大いに協力するというような約束もいただいておりますので、これを加速することによって輸出は必ず促進できるというように思っております。

中川(康)委員 ありがとうございました。今、大臣から丁寧な御答弁をいただきました。

 二〇一五年までの伸び率をずっと見ますと、一九年に一兆円を前倒ししても大丈夫だなと私も見ておったわけですけれども、一六年の速報値が出る中で、やはりその角度が非常にぐっと弱くなっているというところで、少し心配になったところはあります。

 今回、水産のホタテが大きな影響になっているわけですけれども、そういった意味においては、一つの、単品に委ねて輸出を伸ばしていくというのは、やはりこれはリスクがあるのかな。ですから、ハード面、ソフト面、さまざまな対応をとっていただきながら多品種の中で強みを持たせていく、これがこれからやはり必要になってくるのかなというふうに思いますので、一九年に一兆円の目標、ここに向かってしっかりと伸ばしていくような、そういった方策をお続けいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 そうしましたら、三点目に、今回、林業の分野も御指摘をさせていただきたいと思っております。

 持続可能な森林経営を目指した緑の循環、具体的には、植え育て、切って使ってまた植える、この循環の推進についてお伺いをいたします。

 国内の森林の多くは、人工林を中心に本格的な利用期を迎えておりまして、国内の豊富な森林資源を循環利用することが重要な課題となっております。

 政府は、十年後の木材自給率五〇%以上を目標に掲げていただいておりますが、私の地元であります三重県においても、間伐とともに、主伐の促進、ここに鋭意現在取り組んでいるところでございます。

 本来、森林経営においては、植栽や下刈りなどの初期経費が森林経費の全体の約七割を占めるというふうに言われております。しかし、木材価格の低迷に加えて獣害対策の費用の増加、そういったところから、森林の経営者は、植栽とか再造林のための経費が捻出できずに結果的に主伐を控える傾向にございます。

 一方、木材の需要を見ますと、例えばCLTとかの木材の新用途の開発、さらにはバイオマスのエネルギー利用などが増加傾向にあるために、需要と供給のギャップを解消する、そのことの必要性が出てきており、そのための緑の循環を活性化すること、これも重要な課題となってきております。

 また、加えて、地球温暖化対策といたしましても、二酸化炭素吸収能力などの公益的機能、これは成長のよい若い森林の方が効果が高い、またさらに、木材製品の使用によって炭素貯蔵量の増加が評価されるために、森林の若返りや木材の利用など緑の循環を推進していくこと、これはこれまで以上に重要な課題であるというふうに私は認識をしております。

 国は、現在、森林整備事業において、従来の間伐等に加えて、主伐後の再造林を支援する施策を行っていただいてはおるわけですけれども、前述のように、森林の持つ公益的機能の発揮や持続可能な森林の確保のためには、私は、これまで以上に主伐や主伐後の再造林、これをやはり確実に、着実に進めていくこと、このことが非常に重要な課題であるというふうに思いますが、そこに対しての御見解をお伺いします。林野庁の皆さんによろしくお願いいたします。

今井政府参考人 お答えいたします。

 我が国におきましては、戦後造成した人工林が本格的な利用期を迎えておりまして、委員御指摘のように、まさに切って使ってまた植えるという森林資源の循環利用のサイクルを確立するためにも、また、森林の有する多面的機能の維持増進を図るためにも、御指摘のように、主伐後の再造林を確実に行っていくことが重要な課題になっていると認識しております。

 このため、農林水産省におきましては、主伐後の再造林に対しまして、森林整備事業により、国と都道府県を合わせて約七割の補助を行っているとともに、伐採と造林の一貫システムの導入などによりまして、森林所有者の負担軽減にもつながるようなコスト低減対策、そういうことにも取り組んでいるところでございます。

 さらに、平成二十九年度の予算案におきましては、これまでのこうした支援策に加えまして、鹿などによる被害に対応するための防護柵の改良、あるいは、苗木を低コストでかつ大量生産できる施設の整備への支援、こういった拡充策についても盛り込んでいるところでございます。

 今後とも、こうした取り組みによりまして、主伐後の再造林を確実に進めていきたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私は、この委員会で林業の分野というのは実は初めて提案をさせていただいたんですけれども、私は三重県でありまして、非常に林業の盛んなところでありました。中には、今でも、若い方で、しっかりと林業経営を担って頑張っていきたい、そして、若い方がそこで家庭を持ってしっかりと所得を得て生活をしていける、こういった思いを持って頑張っている方がおられるんですね。そんな中で、今、人工林が本格的な利用期を迎えている、こういったものがたくさんあるわけです。

 確かに、主伐とか伐採、これは個人資産にかかわる部分ですから、そこに直接予算を投入できない、この課題は私もわかるんですけれども、しかし、今言ったように、切って使ってまた植える、そしてまた育てるという、この循環を果たすには、主伐のところで物事がとまっていてはいかぬ、こういった思いがあります。

 今、本当に、林業経営者は、体力がなかなかなくなっていく中で、獣害対策等の新たな課題も出てきて、やはり、思いはあっても、この循環ができるような主伐にいけない、そしてさらには再造林につながらないというところがありますので、ここは非常に創意工夫というか知恵が必要なところではありますけれども、ぜひともそれがうまく循環していって、そして、林業経営が、若い方も含めてしっかりとそこで担っていける、こういった状況をおつくりいただきたいと思いますので、きょうは、そういった期待とお願いも含めながら、あえてこの林業の分野の質問を入れさせていただいたわけでございます。

 最後、残った時間で、国土強靱化に関連して一点お伺いをいたします。国土強靱化地域計画に基づき実施される取り組みに対する農林水産省の支援についてお伺いをいたします。

 国土強靱化地域計画については、平成二十五年の十二月に国土強靱化基本法というのが制定されまして、この十三条に基づきまして、現在、都道府県並びに市町村でその策定が進められております。それで、一月一日現在で、都道府県では、全四十七都道府県が計画策定中あるいは計画策定済み、また、市町村では、二十五の市区町村が策定済み、また三十二の市町村で策定中であります。

 政府は、今後、この国土強靱化を実効あるものとするためにも、地方がこの地域計画を策定した場合、国土強靱化に関する具体的な支援を行うというふうにされておりまして、具体的には、国土強靱化に資する九府省庁が所管する二十九の交付金さらには補助金について、交付の判断時に一定程度配慮するというふうに明記をしていただいております。

 具体的に、農林水産省においては、農村地域防災減災事業、さらには水産基盤整備事業、また農山漁村地域整備交付金を初め、二十九のうち十一の補助金、交付金ということで、最も多くの所管をしておるところでございます。

 そこで伺いますが、この十一の農水省所管の交付金、補助金については、当該地方自治体が国土強靱化地域計画を作成し、この計画に基づき申請がなされた場合、一定程度配慮すると明記されておりますが、具体的にはどのような配慮、支援が講じられるのか、これは地方も聞きたがっていますので、ぜひお願いしたいと思います。

 確かに、内閣官房の国土強靱化推進室の資料には、一定程度配慮すると文言は書いてあるんです。しかし、この表現だけでは、本当に何らかのインセンティブがあるのかないのか、正直わからぬ部分もありますので、ここでは、より具体的に、わかりやすく、また地方がさらにやる気になるような御答弁を願いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省では、国土強靱化地域計画に位置づけられました農業水利施設等の整備、治山対策、漁港施設の整備等の取り組みを支援するために、関連する補助金等につきまして一定の配慮を行っているところでございます。

 具体的には、補助事業におきまして、地区採択の際に、国土強靱化地域計画に位置づけられた地区を優先性の高い地区として評価するといったようなことを実施しております。

 例えば、農村地域防災減災事業について申し上げますと、新規地区の採択に当たりまして、事業の効率性ですとか有効性といった評価項目に加えまして、国土強靱化地域計画への位置づけの有無、こういったことを確認することとしておりまして、国土強靱化地域計画に位置づけられている場合には採択時の優先度が高い地区となるような、そういう評価を行っているということでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これは内閣官房が一応グリップしているんですけれども、内閣官房が予算を持っているわけじゃないんですね。やはり、それぞれの省庁が予算を持っているわけです。

 それで、二十九の交付金、補助金のうち十一が農水省所管で、いろいろと中身を見ると、やはり防災、減災、国土強靱化に関連するものが多いんですね。当然、関連しているから入っているんですけれども。

 それで、これは、これから各市町村は策定に入っていくわけですけれども、やはり策定したことによる実感というか意味が感じられないと、幾ら一定程度配慮すると書いても余り波及していかないと思うんですね。

 ですから、そこは、限られた予算なのでなかなか難しいところもあるかもしれないですけれども、やはりこれを、一定程度配慮するということによって、各地方、地域が、よし、この計画をつくろうというインセンティブにならないかぬと思いますし、さらには、それを申請したことによって実感が感じられる、そして最終的には、やはりこの国土強靱化地域計画があることがこういった補助金、交付金を申請するためのスタンダードなんだ、これがなければ、またこれに基づいてやることが、いわゆるスタンダードスタイルとして、申請の前提なんだ、そういうところまで持っていくことが、結果的にやはり各地域の国土強靱化、防災、減災の実質的な強化につながっていくと思いますので、そのことを最後に提案を申し上げ、公明党を代表しての質問を終わります。

 大変にありがとうございました。

北村委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 民進党、秋田県出身の村岡敏英でございます。

 我が党では、この通常国会、各委員会でネクスト大臣が初めに大臣に聞くということになっておりまして、政府の法案に対しての質問もありますが、我々も法案をきちんと出しているということの中で質問をしていきたい、こういうふうに思っております。

 それと、委員長にちょっと申し上げたいんですが、先ほどは定数が切れるような状況になっている。やはり、通常国会の始まりのときにほとんど人がいなくなるというのは、委員会として、委員長からしっかりと伝えていただきたい。特に与党がいないということは、やはりしっかり、これは問題だと思っておりますので、委員長に申し入れておきます。

北村委員長 はい。

村岡委員 さて、我々の法案を説明する前に、先ほど小泉議員が米偽装疑惑のことをお聞きしました。私も引き続きちょっとお聞きしたいんですが、予算委員会、TPP特別委員会でSBS米のことを大臣とやりとりいたしました。大臣初め総理は、七百万トン、八百万トンの中の十万トンだから価格には影響がない、調整金も結果的には価格に影響ない。しかし、もしこの疑惑、この偽装が仮に真実だとすれば、国産米にSBS米をまぜたりそういうことをやっていれば、これは多大な影響があるということになります。

 そういう状況の中で、先ほど小泉議員になるべく早くということをおっしゃっていましたけれども、まず、少なくとも全国の農家が田植えをする前にこれはしっかりしなきゃいけない。もう二カ月ぐらい、早いところでは四月から始まると思います。どのぐらいのなるべく早くなのか、お答え願いたい、こう思っております。

山本(有)国務大臣 報道がありまして、直ちに立入検査、強制にわたる検査でございますし、また御承知のとおり、刑事罰もあり、捜査関係者と相談しながらやる立ち入りでもございます。

 そんな意味では、我々としては極めて早期にこの調査あるいは質問等のそうした成果を上げるという以上のものではございませんので、その点においてお含みいただきたいというように思っております。

村岡委員 大臣、これは本当に重要な問題ですよ。

 そして、特に米卸の問題で、いろいろSBS米の中で、私は予算委員会、TPP委員会で言いましたけれども、中には悪い人がいる、江戸時代から米問屋といえば越後屋というような人もいるかもしれない、そういうのを取り締まらなきゃいけない。それが農家の安心であり、消費者の安心であり、その中でこういう偽装する人たちはやはり排除、偽装しているのかどうかまだわかりませんが、もし偽装していたとすれば排除していかなければ、日本の食が安心だ、安全だなんて、これは言えないですよ。これは、恥ずかしい話にならないようにしっかりと調査する。

 そしてさらには、京山という会社が、これは農協、全農が出資しているんですね。これはやはり、まさに農家のためにある組織がもしやっていたとすれば、本当に全国の真面目にやっている農協や全農、農家の方々、そして日本の食を信じている消費者の方々への裏切り行為になるわけです。そういう意味合いを持ってぜひ調査していただきたい。

 それとともに、もう一つ、ここまで、もし疑惑がどういう形で結果が出たということになれば、私は、真面目な農協、全農やしっかりとした米卸の方々がたくさんいると思うので、これは自主的に調べるぐらいの覚悟がなきゃいけない。そのぐらい、もしこれがうやむやにされたり、また本当に疑惑がそのとおりだとすれば大変な問題だという認識をしっかり持っていただきたいんです。

 これは自主的に検査するぐらいを促すぐらい、大臣からも全国の農協に、こんなことはあり得ないだろうということをぜひ指導するということも必要なんじゃないか、指導といいますか、これをぜひ自主的にやってほしい、こういうような発言もあっていいんじゃないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。

山本(有)国務大臣 御意見のとおり、食の安全の確保というのは不断に努めなければならないテーマでございます。

 このような重大な疑いのある事案があるとするならば許されないわけでございまして、そうしたことも視野に入れながら、御意見のとおり、各都道府県、特に真面目に生産に当たる米農家の不安を払拭するということを大事に考えていきたいと思っております。

村岡委員 ちょっと熱意が感じられないんですが、小泉議員とここの部分は一緒ですので、しっかりと調べていただきたい、こう思っています。

 もう一つ、一緒のことがあるんです。五所川原高校のグローバルGAPの件ですけれども、これはこれで、ぜひ高校生たちに取っていただきたいんですが。

 林農林大臣のときからずっと言い続けているんですが、文科担当がもういないんですが、各農業高校を回ると、農業機械とかそういうのが、昭和の初めのころ使っていた農業機械があるんですよ。歴史の勉強をしているような感じなんですよ。それでは、農業高校を卒業して上の大学に行く方もいらっしゃいますけれども、いまだに農業高校卒業生の二%しか就農していない、こういう状況が続くんですよ。

 これは文科省の担当だと言わずに、大臣がしっかり農業の担い手をつくっていくということであれば、グローバルGAPを目指す若い人たちも大切です、プラス、機械また経営の部分でのいろいろなノウハウというのをしっかり教えていくような形をとっていただきたいと思うので、これは文科省にぜひ連携してやっていただきたいんですが、その点をお聞きいたします。

山本(有)国務大臣 特に、あしたの農業を担う若手、それが日本の農業高校から生まれ出るという理想からすると、やや現在の状況は問題がある、こう思います。

 そこで、文科省の農業高校担当者を私のところに呼びまして、どうなっているんだというヒアリングを重ねてまいりました。そこで、今までは農林水産省と連携をしていなかったということでございました。そこで、特に農業実習、こういったものでは確実に連携をするように要請をいたしました。

 そして、全国の農業高校の学校の先生の集まりもございます。そこへも私も出向きまして、そうした実態の中から現場ではどう考えているんだと。そうすると、実習の時間が余りにも少ない。少ないところでは年に二日だとかいうようなこともお伺いしました。

 やはり農業というのは土との関係でございますから、土をいじりながら、そして作物に触れながらやっていただかなければ農業の実態がつかめないのではないかという焦燥感を私も覚えておりますので、そうしたことの要請を重ねているところでございます。

村岡委員 農業には限りないチャンスがあり、広がっていく成長産業だというふうにうたっているわけですから、未来の農業を担う高校生たちに、ぜひその方針の中で連携をしていただきたい、こう思っております。

 本当は週刊ダイヤモンドのパートツーもお聞きしたいわけですけれども、パートツーをお聞きしても答弁者がいないので、パートツーはやめておきます。

 我々、まずは、今、継続審査とか、また新しくこの国会で提出した法案を読み上げていきます。

 農業者戸別所得補償法案で、これは百八十国会から継続審査になっております、審議されていないわけですけれども。また、ふるさと維持三法案というのも出しております。そしてまた、国有林野事業に従事する職員の労働関係を円滑に調整するための法律も出しております。また、国有林野事業に従事する職員の給与等に関する特例法案も出しています。そして、この通常国会、議員立法第一号として、畜産物の価格安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案。このように、対案も出しながら審議していきたい、こう思っています。

 なかなか審議してくれないんですね。これはぜひ審議しましょう。思いは、農業を、そして農村社会を、そして食の安全をということで、大臣はまずこの法案を読んでいただけましたか。

山本(有)国務大臣 全部を全て理解しているわけではありませんが、読んでいるつもりでございます。

村岡委員 ぜひ全部読んでください。もし中身の説明ならお伺いしますので、ぜひよろしくお願いします。

 まず、この戸別所得法案の中で、農家の方々、政府の方が、一万五千円の直接支払いが七千五百円になりました。七千五百円が三十年度からなくなって、生産調整がなくなる。これは相当な不安を持っています。というのは、この政策の中で、一万五千円だ七千五百円だというのを、経営の中でもうそれがお金の予算の中に入っていたわけです。入っていたものがなくなるわけですから、この説明が本当にまだ足りていない。我々はもう一回戻すべきだと思っていますが、これをゼロ円にするという中で、現場の実態はどう把握していますか。

山本(有)国務大臣 米農家の皆さんにとりまして、この七千五百円というのは期待感の多い、そういう予算のありようであったというように思っております。

 しかしながら、この直接支払交付金というのは、平成二十五年末の経営所得安定対策の見直しの中で、全ての販売農家を対象とすることは農地の流動化のペースをおくらせる面があるということ、あるいは、潜在的生産力が需要を上回っているという状況下にある現在、米農家についての支援が、自助自立を考えていくときに必ずしも適切な予算措置ではないのではないかという反省等々ございまして、やめることになったわけでございます。

 この間、強い農業の実現に向けまして、農地集積バンクによる担い手への農地集積、あるいは需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興を図るというような水田のフル活用の予算、こういったものでカバーをさせていただいて、日本の自給力を維持したいというように思っております。

 特に、先生の抱える農業者戸別所得補償法案、これについての理解や推進の熱意というものは買っているところでございますけれども、今後、せっかくこうした新しい取り組みもありますので、推移を見ながら御検討をいただきたいというように思います。

村岡委員 現場に即して、本当に意見を聞きながら新しい政策に行っているのかなという不安は感じています。まあ、考え方が違うということはしっかりわかりました。

 その中で、これは七千五百円で、予算的には七百三十億ぐらいですか、これはこれからどうするんですか。

山本(有)国務大臣 三十年度から廃止される、そうすると、二十九年度で七百十四億円、こうした財源について今後どうなるのかという御質問でございます。

 これにつきまして、行政ニーズに応じて各施策の予算額を増減するという作業が毎年ございます。そのときに考えるところでございますけれども、三十年度の農林水産予算の編成過程において、この予算の廃止を踏まえまして、こうした予算のあり方についても検討をこれからさせていただきたいというように思っているところでございます。

村岡委員 まだ何も決まっていないということのように受けとめました。

 例えば飼料米政策なんかも、農林省の方では進めていく、総理も進めていくというようなことを言っていますけれども、一方、同じ政府内で財務省は、飼料米なんという政策はやはり財政に負担をかけるということで、反対の姿勢、こういうようなことを話しておられますけれども、そこに対しては、同じ政府の中でどんな話を財務省とされていますか。

山本(有)国務大臣 水田フル活用の交付金について、懸念のないような形で将来像を形づくりたいというこちらの考え方を常に披瀝しておりまして、また、財政審はそれに対する反対論的な意見も出ているようでございますが、財政当局からはそうした財政審のような意見を頂戴しておりません。

 したがいまして、今の予算の仕組み、水田フル活用のスキーム、これで私どもは長期的に水田の食料自給力を維持できるというように考えておりますし、今後、懸念のないように、また御意見も頂戴しながら、しっかりとした予算の組み方を考えていくという方針でございます。

村岡委員 ちょうど三十年度が、生産調整に政府がかかわらなくなる、さらには七千五百円がなくなる。そして三十一年度からは収入保険だ。いろいろなのが複雑に絡んでいるのが三十年前後なんです。これはもう間もなくなんです。相当な不安を抱えているということをしっかり認識していただかないと、農家に混乱が起きます。

 そして、生産調整を協議会なんかである程度生産量を決めて各都道府県でやるということになっていますが、実際に、今までは生産調整をしていたわけですから、早場米と言われる九州や西の方の側の部分はある程度量を抑えてきたはずです、生産調整に参加していれば。しかしながら、今度はそれがなくすという場合になれば、やはり新米の方を食べたいというのが消費者の気持ちです。そこで新米が売れるとなれば、西の方はどんどんつくっていく、生産調整の廃止ですから。

 そういう部分はどういうふうに状況をつかんでいらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 私の地元も早場米の地元なのでありますが、この生産数量というのは非常に限定的でございます、年間二十万トンそこそこでございますので。その作付余力があるかといいますと、ほかの園芸作物等のそういう労働の配分の見方からしましても、土地のあきもないし、また労働集約をするといいましても限度がございますので、その意味において、作付や生産数量が上がるというような考え方は持っておりません。

 しかし、御懸念でございます交付金がない後についてでございますが、二十七年産、二十八年産におきましても、各地における主食用米から飼料用米を初めとする作物への転換によって、二年連続で全国の過剰作付が現在解消されるという状況にあります。需要に応じた生産が進められているという、こうした転換が自主的に行われるという姿そのものが、今現在のやや米価格が上昇基調になっているということに反映されているのではないかというように思っております。

 いずれにいたしましても、自助自立、財政負担によらずに産業として成り立つような米政策が確立されることを目指して頑張っていきたいというように思っております。

村岡委員 委員長、比較的楽観的に早場米のことを、余り余力がないということですけれども、それならば、そういう数字を調べてみてください、安心していただけるために、西側の方で、早場米のところでどのぐらいの収量をもしつくるかの。もうないんだということであれば、それを安心させてください。

 生産調整の廃止を決めた以上、そういうデータもやはりなければ、農家の人たちは安心できません。それはぜひ農林省でやっていただけますか。

山本(有)国務大臣 早場米の私の地元で会う農家の皆さんの意見からそうした演繹的な話をさせていただいたわけでございますが、知り得る限り、あるいは調査できる限りのデータは皆さんに公表したいというように思います。

村岡委員 大臣の地元は余力がないかもしれませんが、ほかにはあるのかないのかということをぜひ農林省で農家の方々にデータとして出していただきたい、こう思っていますので、お願いいたします。

 そして、我々の、先ほど言った、今回議員立法として第一号の牛・豚マルキンなんですが、中身は、政府が出して、そしてTPP特別委員会で成立したのと同じものです。施行日が違います。TPPが発効しない限り政府の方は牛・豚マルキンは施行しない、こういうことになっていますが、我々は、これからいろいろな貿易関係や、それからまた畜産の方々のいろいろな今の状況を考えたときに、いち早く牛・豚マルキンを通すべきだと思っていますが、大臣は、あのTPP特別委員会では、TPPが発効した日でなければ、そのためにつくった法律だということで、発効しなければやらない、こう言っていましたけれども、それは今でも変わらないですか。

山本(有)国務大臣 牛・豚マルキンの補填の引き上げにつきましては、TPP協定の発効による関税削減の影響に対応する、つまり、生産環境が激変するというようなことに対応する経営安定のためのものでございますから、協定発効日から実施するという考えに変わりはございません。

村岡委員 これは新聞紙上ですけれども、自民党、与党も、いや、これはTPPの前にもやった方がいいというような意見が漏れ伝わってきていますけれども、そういうことではないと。TPPがもう永久離脱なんですけれども、ということは、これはもうやらないということでよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 内閣といたしましては、永久離脱と考えておりませんし、粘り強く、TPPというのは、日米におきましても、やがては御納得いただける方向に、多分、水が上から下に流れるような形で落ちつくのではないかというような、二国間あるいはマルチ、さらに将来を考えますと、ここに逢着するというように考えるところでございまして、この政府方針に変わりがない以上、協定発効日から実施するということで御理解を頂戴したいと思います。

村岡委員 現場はそう思っていないですよ。そのところをやはりしっかりともう少しお聞きした方がいいと思います。何か、農林省は冷たいというような考えが、もう農家の方の、畜産農家の方は特に思っていますよ。

 私は、TPP特別委員会で総理に言ったときに、今何でTPPを急ぐんだ、この日本が急いだら、トランプ大統領前でしたけれども、多分、離脱の方に後押しするだろうという発言をしました。いや、そんなことはないと。まさに後押ししちゃったような。

 決まっていない中で二国間でやっては、陥ってはだめだと思っていますけれども、もっと厳しくなる可能性がある。そういう意味では、まだ日本も、いろいろな農家の方々や国内の事情があって厳しい状況がある、ですから、大統領就任してから一緒に相談する、こういうのが何でとれなかったのか。これは、農林大臣は農業担当ですから、全体のことで大臣にはお聞きしませんけれども、私は、そこは今でも疑問に思っています。まだ決めていないうちに一緒に相談するのはいいですけれども、一方的にもう永久離脱だと言われてしまって、そこを説明するということはなかなか難しいことだった、こういうような実感を持っております。

 そして、これもまた、TPP発効じゃなきゃやらないと言った砂糖に関してもお聞きします。

 加糖調製品の、これもTPPの特別委員会で成立しています。これもやはりTPPが発効しない限りはやらないということでよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 政府としましては、輸入加糖調製品からの調整金の徴収について、TPP発効による関税割り当ての設定等の影響に対応するためのものでございますので、協定発効日から実施するということで御理解をいただきたいと思います。

村岡委員 我々は、この砂糖の件、加糖調製品の件は、党内で話し合って、しっかりこれも国会に提出したい、そして、先ほどの牛、豚も砂糖もぜひ審議していただきたい、こう思っております。

 それは委員会が決めることというふうに大臣は答えるでしょうから、大臣には聞きません。しかしながら、これは、審議することが農家の方々の実態をしっかりとわかることになると思いますので、それを望んでいきたい、委員長にもお願いしたい、こういうふうに思っております。

 そして、先ほど林業の話も出ました。やはり法律を通したときに、どうしても法律で足りないということで、委員会で附帯決議をつけます。ところが、この附帯決議というのは、なかなか現実には附帯決議の努力の跡が見えないというのがあります。

 まず一つには、昨年、森林・林業基本計画の改正があって、森林法の一部が改正されたところですけれども、造成された人工林が一千万ヘクタールに及び、その半数以上が本格的な利用期に入っていて、豊富な森林資源をいかに循環利用していくかが課題であり、森林法改正に係る附帯決議にあるように、「森林資源の循環利用の推進のためには、主伐後の確実な再造林が必要である。」。しかし、これに予算とかそういう面ではやはり足りなくて、なかなか進んでいない現実があるんですけれども、今後、予算とかそういう部分ではどのように考えておられますか。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、戦後造成した人工林が利用期を迎えておりまして、森林資源を循環利用していくために、主伐後の再造林を確実に行うことが重要でございます。

 これに対しまして、森林整備事業におきまして、国と都道府県を合わせて約七割の補助を実施することになっております。また、伐採と造林の一貫作業システムの導入など、森林所有者の負担軽減にもつながる施業の低コスト化などに現在取り組んでおります。

 二十九年度予算では、鹿等による被害に対応するための防護柵の改良とか、あるいは苗木を低コストでかつ大量生産できる施設の整備、こういったものへの支援が盛り込まれているわけでございます。

 今後とも、主伐後の再造林の確実な実施のために、森林資源の循環利用に努めてまいりたいというように考えるところでございます。

村岡委員 森林という貴重な資源をしっかりと日本の財産としていくためには、予算をやはりつけていかなきゃいけない。その部分の確保には大臣に頑張っていただきたい。

 それで、もう一つあるんですが、森林の中で、森林経営計画をつくるために地域林業を指導するフォレスターとか森林施業プランナーとかあるんですけれども、実際には、市町村でも本当に人が少ない。全国で三千人程度、そして、市町村では職員が一人とか、またゼロのところもある。こういう状況では、今度は予算を確保しても人がいない、そういうような状況。こういう実態もしっかりつかんでいらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 各地の森林組合の皆さんや森林施業に携わっておられる団体の方々から、人の問題、人材の問題というものはつぶさにお聞きをいたしておりまして、これに対する政策について、これは難儀でございますけれども、ぜひこれからも、何かいいアイデア、そしていい取り組み、こういったものを展開するべく研究をしてまいりたいというように思っております。

村岡委員 そして、やはり森林・林業に関してですけれども、地球温暖化対策ということがあります。大臣の所信の中でも多少触れておりますけれども、この森林の環境税みたいな形は、これからどういうふうに農林省としても取り組んでいきたいというふうに思っておりますか。

山本(有)国務大臣 森林の環境税におけます一つの物の考え方は、これは、我々にとりまして、今の林野の予算というのは新規の事業を受け入れられるぐらい余裕のあるものではない。そうすると、各山の水系ごとにさまざまな創意工夫等々ございましても、予算面でそれに対応することがなかなか困難になっております。

 そんなアイデアや人のやる気、これを無にしないためには、どこかで財源がいただければというように思っておるわけでございまして、現在、与党の税制大綱で、市町村が主体になって実施する森林整備等に必要な財源に充てる森林環境税、仮称の創設に向けて、三十年度税制改正において結論を得るとなっていることに期待をかけているところでございます。

村岡委員 税負担をまた国民にお願いすると、いろいろな議論があるとは思いますが、やはり森林というのは、地球温暖化対策の中で、日本も国際的に約束しているわけですから、これはぜひ検討しながら、我々もその中の部分で賛成するべきは賛成しながらやっていきたいと思うので、ぜひ農林省としても取り組んでいただきたい、こういうふうに思っております。

 そして、次の質問に移りますけれども、先ほど、牛・豚マルキンの話を出しました。トランプ大統領と安倍総理大臣とお会いしたときには話はなかったんでしょうが、トランプ政権に対して、アメリカの牛、豚の肉の業界が、TPPが永久離脱となったわけで、その中で、アメリカの政府に対して、FTAを進めてくれ、このようなことを言っています。この基本が、漏れ伝わるので実際わかりませんが、TPPの基準よりももっと踏み込んでというような意見が出ているように聞いておりますが、そのアメリカの業界のいろいろな御意見はつかんでいらっしゃいますか。

山本(有)国務大臣 アメリカの牛肉あるいは豚肉の団体も日米FTAを求めているということは理解をいたしております。

 今般の日米首脳会談におきましては、まずは日米間の対話と協力、これを深めるという意味で、麻生副総理とペンス副大統領のもとで経済対話を立ち上げることが決定されております。

 この経済対話の中身でございますが、一つは経済政策、マクロ的な話であろうと思います。二つ目にはインフラ投資、エネルギー分野での協力。三番目が貿易・投資ルール。この三つが包括的に議論されるというようにお聞きしております。

 その具体的な進め方については現時点では決まっていないわけでございまして、今後とも、この麻生・ペンス会談のもとに、我々としても、農林省にありますセンシティブをしっかりと守りながら、これを注視していきたいというように思います。

村岡委員 これは、TPPのときの、三八%から九%まで十六年で落ちるときのこの部分でも、これでは日本の畜産農家はもう経営していけない。特にセーフティーガードに関しては、もう十六年後は、今百万トンの需要しかないものが百万トンぐらい輸入できるようになる。この基準よりももっと踏み込まれると、全くできないようになってしまう。そこはしっかりと、畜産の農家の方々にわかるような形で、この交渉が方向性が見えた上で、その人たちが安心できるような形で交渉事も進めていただきたい、こういうふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきますけれども、農業競争力強化法が出ております。新聞紙上で見ると、法案提出前は、「農業者は、その農業経営の改善のため、農業資材の調達や農産物の出荷、販売に関して、必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるものとする」から今の文言に変わっているんですけれども、どうして変えたんでしょうか。

山本(有)国務大臣 農業者の努力規定、これでございますが、当初は、農業者は、その農業経営の改善のために、農業資材の調達または農産物の出荷もしくは販売に関して、必要な情報を収集し、主体的かつ合理的に行動するよう努めるというようにしておりました。

 この規定では農業者の経営まで踏み込むのではないか、この考え方はいかがなものかという反省や、こうした規定は重要であるというさまざまな御意見をいただいたわけでございますが、原案を見直させていただきまして、農業者が農業経営を行う上で通常取り組む内容となりますように、有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて、農業経営の改善に取り組むよう努めるというように修正しておるところでございます。

村岡委員 言葉は少しやわらかくなったというだけで、非常に国が直接的に農家の経営に踏み込んでいくんだという受けとめ方をされています。

 農協法の改正のときに修正案で、前に言いましたけれども、私が修正案を出して、自主的な取り組みというので、安倍総理と同じ答弁者になって参議院ではやったんです。そこの法律の根本があるのに、何かこういう国が経営に全て入っていくような、また、国が経営に入っていったってうまくいかないですよ。国が経営して大体だめになったものがいっぱいこれまであるわけですから。

 ここの部分は農家の方々は、非常にこの農業の競争力強化法というのは、何か国が全ての指導をしていくみたいな、それから経営の根本にかかわるような、ここには大きな問題があるということは指摘しておきたい、こう思っております。

 そして、その中で、生産資材の引き下げをいろいろ考えていくということで、肥料メーカーや資材メーカーの集約とかそういうのがありますけれども、基本的には、これは民間企業で、それぞれがこの資本主義経済の中で淘汰されたり何かする。ここの踏み込む意味を教えていただきたい。

山本(有)国務大臣 我が国農業の競争力強化、これは必要なことでございます。今般の競争力強化支援法におきまして、農業者の努力だけでは解決できない構造的な問題にメスを入れるという考え方をとっております。

 例えばでございますが、飼料、肥料、こうしたものについては、装置産業でございますが、メーカー工場の稼働率が現在低うございまして、こうした高コストな生産構造というようなものをいずれは改めていくことがこうした業界自体のメリットにもつながるわけでございまして、その意味で、メーカーの自主的な判断に基づく業界再編、これを推し進めていくという立場にございます。

 その際、第九条で、国は、良質かつ低廉な農業資材の供給を実現するために、適正な競争のもとで高い生産性が確保されることになりますように必要な措置を講ずる。寡占状態となって資材価格が上がるようなことにならないような仕組みでこれを進めていきたいというように思っておるところでございます。

村岡委員 もちろん肥料や資材も大事です。しかしながら、これは民間企業の中にどこまで、また先ほどの農家の経営に踏み込むのと同じように、国が踏み込んでいってやれるのかな、やっていいのかなという思いがある。

 そして、本当はこの中で一番大きな問題と考えているのは農業機械ですよ。高いんですよ、農業機械が。この農業機械は逆に寡占ですよ。農業機械に関してはどのような踏み込みをしたいと思っていますか。何も考えていらっしゃらないということでいいですか。

山本(有)国務大臣 農業機械については、他の業界、建設業等から比較いたしましてもいわば競争が少ない、こう言われておりますし、また逆に、建設機械の業界が農業機械に踏み込んでこられるというような考え方も持っていらっしゃいまして、現場現場の作業の能率をよくしていくという考え方のもとでは、さまざまな分野の業界の皆さんが農業に注目していただいているわけでございます。

 そんな意味で、農業機械のメーカーの業界再編というようなこと、そして適切な、健全な競争というものも、やがてはそういうときが迎えられるような、そうした取り組み、自主改革になるようなことを望んでいるわけでございます。

村岡委員 農業機械だとすれば、再編したら一社ぐらいになるので、その再編はないというか、それは市場の中ではいろいろあるかもしれませんけれども、やはり、ここの部分ももう一つ、この法案が出てきてからしっかり審議したいと思っています。

 もう一つ疑問なのが、何で韓国と比較したんでしょうか。それが全く理解できない。韓国と日本と全て同じだという感じに思っているんでしょうか。韓国の方が農業は進んでいるということなんでしょうか。ちょっとそこがわからないんです。

山本(有)国務大臣 我が国の農業生産資材価格を国際水準まで引き下げていくことによって農家収入を上げるという考え方がまず一つございます。他国と比較することによって、逆に我が国の生産資材のコスト構造、課題が分析できるというような考え方ももう一つとっております。

 韓国と比較することにおいて、気象条件が非常に近似している、それから水稲などの水田農業が中心でございます、また肥料等の原料を他国に依存しております、こうした条件が我が国と比較的似通っておって比較しやすいというようなことから、大変重要な参考としてお示しすることになったというように考えております。

村岡委員 比較するところに関しても、これから審議の中で考えて質問していきたいと思っております。

 ちょっと時間がなくなってきたので移らせていただきますけれども、収入保険制度のことがあります。収入補填で、米単作経営体ではナラシ対策に加入した方が得だという試算も出ているんですけれども、需給にかかわらず作付拡大した生産者が補填の対象となることが想定される。極端な話をすると、収入保険に加入しているだけで全面積作付するなど大規模に全部作付しちゃって、この中で、価格が下がったときにはもらえるからとどんどんつくっちゃう。モラルハザードが起きる可能性がありますけれども、この部分に関してはどういうふうに農林省では考えていますか。

山本(有)国務大臣 まず、御指摘は、生産拡大するお米の生産者、これは収入保険の制度で対象になるわけでございますので、三十年産以降でも、行政による生産数量目標の配分がなくなって逆に収入保険で補填されるという矛盾が生じないかというお問いだろうというように思います。

 これは、全国の需給見通しに加えて、各産地における販売や在庫状況などに関するきめ細かな情報の提供をさせていただきます。そして、麦、大豆、飼料用米等の戦略作物の生産に対する支援を行わせていただきます。こうした中での収入保険でございまして、この収入保険で、主食用米について、需要に応じた生産が行われる中で導入するものでございまして、米の過剰生産を誘発することにはならないわけでございますし、補填率が高くても九割でございますので、せっかく作付をして、しかも損失をこうむるということを予測しながら作付拡大をする、生産拡大をするという者はほとんどいらっしゃらないというように思いますので、この収入保険が過剰生産を誘発することにはならないんだろうというように考えております。

村岡委員 いろいろな組み合わせで考える人ばかりなんです。先ほどの、卸売業者でもし悪い人がいたらと同じようにこういうことがあり得るので、そういう部分はしっかりとそういう想定もしながら仕組みを考えていかなきゃいけない。

 例えば、生産調整がなくなると、実際に協議会である程度の生産枠を決めるんですけれども、もう今から始まっているんですが、卸売業者が各農家へ行って、このぐらい必要だ必要だというのを集めていて、それが需要だと勘違いするときがあるんですよ。そういうのは実態であるんですよ、現場では。各地区の農家に行って、このぐらい欲しい、あきたこまちがこのぐらい欲しい、コシヒカリがこのぐらい欲しい、どんどんどんどん卸業者は回るんです。そうすると、再生協議会の言っているのとまた違う需要が出てくる。今までは生産調整できちんとやっていたわけですけれども、そういう部分の想定もしっかりしていただきたい、こう思っています。

 もう時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、一ついい記事がありましたので。

 フラワーバレンタイン、大臣は奧さんに何の花をプレゼントしましたか。

山本(有)国務大臣 私は、贈るつもりは余りなかったんですが、農林省の幹部から贈ったらどうかと言われて、バラとカスミソウを贈りました。

村岡委員 ぜひこのフラワーバレンタインは農林委員会、大臣を含めて進めていきましょう。

 どうもありがとうございました。

北村委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 村岡敏英、私ども民進党のネクスト農林水産大臣、農林水産部門会議座長の後に引き続きまして質問をさせていただきます。

 私は、ちなみに、民進党の中の農政改革研究会というところの座長をしておりまして、これは村岡座長のもとで取り組んでおるんですが、私の前任が玉木雄一郎議員でございます。これは主に農協さんの関係の政策について検討していくというようなことを趣旨としているわけですけれども、我々は、農政と地域政策は一体である、そういう考え方をもとにして、農協のみならず、協同組合の総合性、地域性の維持こそが大事であり、地域のための農協、この文言を農協法に書き加えるべきである、こういう農協法の改正案を今求めております。

 また、これから人口減少の社会に、むしろ今後の地域を支えていくというのは協同組合間の協同ではないだろうか。これは私の個人的な考えになりますけれども、人口減少の社会でも地域を維持していく、そして地域が維持されることで食料生産を確保していく、こういう考え方に立っております。またこういった考え方でぜひ議論できる場があればと思っております。

 ところで、きょうは私、初めて、いつも上下一緒のスーツを着てくるんですけれども、ありがとうございます、大臣も注目してもらって。下だけ普通のスーツで、上は、これはジャケットはコールテンという、私の地元の磐田市というところの福田という地域で大変特産品であります。なかなかいいでしょう。またぜひ委員の先生方も買っていただければと思うんです。回し者ですね、回し者みたいなことを言って、まあ、地元なので回し者なんですけれども。

 今は大変繊維産業も廃れてしまっているんですが、ちなみに、委員の先生方に話しかけると委員会の規則を破っちゃいますので、そういうことはできないんですが、委員の先生方でも多分、このコールテンとか、あるいは別珍といったものもあるんですが、こういったものを、ジャケットとか服をお持ちでない方の方が多分多いと思うんですね。

 何が申し上げたいかというと、もちろん買ってくださいという回し者としてのお願いもあるわけなんですが、品目によっては、今、輸出、輸出ということばかり目が行きますけれども、まだまだ足元にマーケットがあるんじゃないだろうか。もちろん、生産する側、売る側の方も、販売の努力であるとか、デザインであるとか、新商品の開発ということは必要ですけれども、もっともっと我々、足元に目を向けていくべきではないか、足元にマーケットがあるんじゃないだろうか。

 そして、地産地消というとこれは農産物のことだけ取り上げられますけれども、それだけではない、ほかの工業製品、繊維製品、こういったものも皆、地産地消の考え方、もっともっと注目していくべきではないかな、今、輸出とかそういうことばかり注目されますけれども、そんなことも考えております。

 きょうは余りこういうよた話ばかりしていてはいけませんが、最初に、きょうは大臣所信に対する質問ということですので、ちょっと大きな話からしたいと思いますが、アメリカではトランプ大統領が、複数の業種にまたがって、特に日本の某輸送機器メーカーもやり玉に上がったやに聞いておりますが、米国内外の企業経営に対して、その経営判断や投資行動に影響を及ぼす発言を行っております。

 このトランプ大統領のさまざまな発言、経営に影響を及ぼすような発言は政府による介入であるとの批判がさまざまな新聞からあるわけですが、私もそのとおりだと思います。

 一般論として、自由主義経済国において、国家が、民間出資一〇〇%の、しかも黒字経営を行っている企業の経営に対して、あるいは経営判断、投資行動に対して、特定の発言によって影響を可能な限り及ぼすべきではないと私は考えておりますが、この点についての日本政府の考えをお聞きしたいと思います。

高木副大臣 ただいま御指摘をいただきました、トランプ大統領が国内外の企業に言及していることは承知しておりますし、日本市場の開放性や日本企業による米国経済への貢献につきましても、正しい理解を得られるように、さまざまなレベルで主張すべきは主張し、率直かつ有意義な意見交換を行ってまいりたいと思っています。

 その上で、あくまでも一般論として日本政府の行動について申し上げれば、大前提として、自由主義、資本主義にのっとり、自由な経済活動が我が国では保障されておりますので、ひいては、そうした活動が企業の利益となり、国富となると承知しております。

 一方で、法的根拠に基づいて告示、ガイドラインを定めることなどにより民間企業に対応を求めることや、一定の政策目標の実現を図るため、政府の方針を表明し民間企業の協力を要請することは否定されるものではないと考えております。

 いずれにしても、政府は政府の立場、民間企業は民間企業の立場があるものであり、十分な対話を経て相互理解を深める努力を怠らないで、国益を増進させることに努めてまいりたいと政府としては考えております。

小山委員 確かに、法律だけで、全ての民間の経営活動、自由な経済活動、何をやってもいいというわけではないということはそのとおりでありますし、一定の行政指導というものがあるということはそのとおりでありますけれども、しかし、やはり原則は、自由な経済活動、そして、企業の経営判断に影響をなるべく及ぼさずにやっていくというのが、自由主義経済、資本主義経済の基本原理だと私は思っております。

 ところで、ちょっと質問の視点を変えまして、昨年、二〇一六年十二月、ドイツの提案によりまして、協同組合というシステムがユネスコの世界遺産に登録をされました。これについては、日本の農業協同組合だけでなく漁協も生協もみんなそうなんですが、農協も紛れもなく協同組合でありますけれども、ですから農協は世界遺産なんですね。世界遺産です。

 農協を所管する農水省は、この協同組合の世界遺産登録につきまして、どのような認識、評価をしておりますでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、ドイツからの申請で、昨年十一月、国際連合教育科学文化機関、ユネスコ、ここが、共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践、これを無形文化遺産に登録することを決定いたしました。

 この登録内容にありますとおり、協同組合は組合員の共通の利益を実現するための組織でございます。農林水産省としましても、その所管する農業協同組合等がその本来の趣旨に即して健全に発展いただくということが重要であろうというように改めて感じた次第でございます。

小山委員 ちなみに、和食の世界遺産登録のときには、これは和食ということなので農水省でしたけれども、今回、この協同組合の世界遺産登録に当たって、政府として、これは内閣府の方になりますが、今後、協同組合の振興を図るキャンペーンとかあるいはそういう施策について、何かお考えになっていることはありますでしょうか。

武村大臣政務官 お答えいたします。

 我が国におきましては、農業協同組合、消費生活協同組合、信用金庫、信用組合等さまざまな組織が存在し、事業内容ごとに個別の法律で組織が規定されているところでございます。

 内閣府では、ともに助け合い支え合うという共助社会づくりを推進しております。

 委員御指摘のいわゆる協同組合につきましては、直接の担当ではないものの、共助社会の担い手には含まれているというふうに考えておりますので、各協同組合を所管する省庁が、それぞれの組合が抱える課題等に適切に対処されることを期待しているところでございます。

小山委員 実はきのう、協同組合が世界遺産に登録された、どういう政策を考えているのかということで、答弁する部署が、政府の中でどこが担当なんだろうと。今も正式な担当ではないというお話もありましたが、そのぐらい日本政府の協同組合に対する認識というのは低いんですね、残念ながら。

 これは、民主党政権のときにも僕は責任があると思います。ただ、私どものときには、新しい公共というところで、内閣府の中でこの担当をさせていただいていた。あのときに協同組合憲章を閣議決定するとかということまで踏み込んでやっていればよかったんですが、野田さんはそれをやらずに解散しちゃったから、僕は残念だと思っております。私は、総理と語る会のときにも、これは閣議決定やってくれと頼んでいたんですが。

 それで、それは大変残念な話なんですけれども、私、おととしの二月に予算委員会分科会で質問しまして、今お話しいただいた、共助社会創造本部、こちらでこういった協同組合政策については受け継ぐということで、甘利当時の大臣から御答弁をいただいております。それがだんだんだんだん縮小されてきたということだと思うんですけれども、協同組合年のときに、韓国もイギリスも協同組合基本法というものを定めているんですね。

 済みません、きょうちょっと時間がないので質問を飛ばしますが、リーマン・ショックのときにも、協同組合は売り上げを伸ばしている。そしてまた、政府の資本注入といったことも経ずに、むしろ健全な経営を続けて、損を出しても、ほかの都銀とかに比べれば損も、比較的、見方によっては少なくて、そして、世界経済の回復に寄与した、こういう評価をしているのが世界なんです。

 ですから、日本の常識が世界の非常識、世界の常識が日本の非常識になっていると言われないように、ぜひここは、協同組合共通の部門として設置を、内閣府さんの方で拡充をしていただきたいなということもお願い申し上げた上で、午前中最後の質問になります。僕は、また午後十五分、またがりますので。

 国際協同組合同盟、ICAが、昨年、日本政府の農協改革と言われているものに対して、独立した民間組織である協同組合の機能に対する不当な干渉であると強く非難をしております。懸念を表明しております。新聞報道によれば、フィリピンやインド、韓国のICAの理事たちからも強い批判と懸念の声が上がっております。

 まさに、トランプさんのことなんか笑えないんです。日本政府は、一歩日本の国外に出たら、政府が民間出資一〇〇%の黒字経営をしている団体に対して不当に介入している、こういう非難をされているんですね。

 このことについて、日本政府の認識、農水大臣の認識をお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 昨年の十一月十一日、農協改革に関する意見というものに対しまして、国際協同組合同盟、ICA、この事務局長から、独立した民間組織である協同組合の機能に対する不当な干渉であるという懸念を示す書簡が発出されました。このことについては認識しております。

 しかしながら、その後、政府といたしましては、昨年の十一月二十九日、このことを受けて、農業競争力強化プログラムを取りまとめた上で、全農と合意の上、自己改革の原則のもとで、生産資材の購買、あるいは農産物の販売、この役割の大きい全農の改革について取りまとめ、合意したところでございます。

 その意味において、JAグループみずから、自己改革をより一層後押しする内容であるという評価もいただきましたし、現在、全農におきまして、同プログラムに基づく年次計画策定に向けた検討も始めていただいております。

 こうした、政府と全農あるいは全中との関係、この中において、独立した民間組織である協同組合の機能を大事に、大切にしながら、お互いがこの競争力強化プログラムの実現を図っていきたいというように考えておるところでございます。

小山委員 もう午前中の時間もなくなりますが、この非難声明は、日本政府全体というよりも、規制改革会議の十一月十一日のコメントに対して主に行われておりますが、内閣府はこのことについてどう認識されていますか。

松本副大臣 規制改革推進会議におきましては、平成二十六年六月の答申以来、農業の競争力を高める上で農協の役割が重要であるとの認識から、農協改革に関し、議論、提言をしてきたところであります。

 昨年におきましては、農業者の競争力を強化する上で、資材の購買や農産物の販売に役割の大きい農協、とりわけ全農の改革が重要であることから、その目指すべき姿を検討し、提言をさせていただきました。

 農協が農業者の発意により設立された民間組織であることは理解をした上で、その役割が極めて大きいことから、農協に対し、真に農業者に資する組織となるよう、その自己改革を求めたものであり、取りまとめた意見にもその旨を明示させていただいているところであります。

 規制改革推進会議の提言を踏まえて取りまとめられました農業競争力強化プログラムに基づきまして、農協改革集中推進期間中にある全農が、現在、改革の実現に向けた年次計画などを策定中と承知をしているところでもありまして、独立した民間組織である協同組合の機能に対する不当な干渉であるとの指摘は当たらないものと考えております。

北村委員長 小山君、時間が来ております。

小山委員 午前の質疑時間がもう終わりますので、ぜひ、こういう批判、非難声明が出るようなことがないように。

 それと、また機会があれば質問したいと思いますけれども、総理は施政方針演説の中で、下請企業の経営環境改善にも発言しているんですね。こういったことについて規制改革推進会議さんが、例えば、大企業で下請企業さんの価格をもっと上げていけば、下請企業さん、中小企業さんはもっと収益が上がっていくわけです。そういうところには全然規制改革会議は目を向けないんですね。例えば某大手輸送機器メーカーにもっと下請価格を引き上げろなんて、下請企業の収益が上がるようになんということはやらないわけです。なぜ農協だけにやるのか。

 僕は、これは、今お話もありましたけれども、この計画を出させて改革姿勢が足りないとか、だけれども、改革姿勢が足りないか足りるかと判断する規制改革会議のメンバーの中には協同組合の専門家の学者さんはいらっしゃらないわけですね。

 ですから、こういったことを考えても、ぜひ、トランプさんが企業に対して発言をした、おかしいじゃないかというような感覚も持ち合わせた上でこれから進めていただきたいと思いますが、また午後に、法案のことについて質問させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

北村委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小山展弘君。

小山委員 午前中に引き続きまして、よろしくお願いいたします。

 午後は、今回予定されております閣法の概要について質問させていただきたいと思います。

 まず、報道等でなされておりますけれども、指定生乳生産者団体制度の変更について伺いたいと思います。

 今後、現行制度で言う指定団体以外の事業者にも補給金を出していくということが検討されていると報道されております。

 ほかの団体にも補給金が出るということで、指定事業者に対する出荷が、例えば、農家の側から出荷が減少して指定団体の生乳取扱量が減少することで、指定団体と乳業メーカーとの価格交渉力が弱まるんじゃないかとか、あるいは、生乳の一部を指定団体以外に出荷する部分委託によって、単価の高い飲用乳に過度に出荷が集まって、需給調整が崩れるんじゃないか、こういう懸念、不安の声が聞かれるわけなんですが、今回、法制度を変更して、今後も生乳の需給バランスを保っていくことができるんでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘の、今回の農業競争力強化プログラムにおきまして、生産者が出荷先等を自由に選べるようにするという観点から、指定団体に出荷する生産者のみに補給金を交付するという制度を改めるところでございます。

 まず第一に、指定団体以外に出荷した生産者にも補給金を交付する、第二に、全量委託だけではなくて、部分委託でも補給金を交付するという制度改革でございます。

 しかし、この制度検討に当たりましては、補給金の交付対象に関して、年間の販売計画の仕組みが飲用向けと乳製品向けの調整の実効性を担保できるものであるという前提を置いております。次に、部分委託に関しましては、現場の生産者が不公平感を感じませんように、また、場当たり的利用を認めないルール等、これを確立することが条件でございます。三番目に、条件不利地域の対策に関しまして、条件不利地域の生産者の生乳が確実に集乳され、不利な生産条件を補えるというものであること。こういうような観点を考慮しつつ、今検討をさせていただいております。

 加工原料乳生産者補給金制度につきましては、現在、このプログラムに基づきまして、意見を関係者からお聞きしているところでございまして、基本スキームの設計を今行っているという段階でございます。今回の制度見直しを契機にいたしまして、現在の暫定措置法というものから恒久措置という法に改めたいというように考えております。

 以上でございます。

小山委員 お配りをしました資料をごらんいただきたいと思うんですが、今大臣も冒頭でお話のありましたように、酪農家の自由な販売を支援する。この政府広報にも、「生産者が自由に出荷先を選べる制度に改革。指定団体以外・部分委託にも補給金を交付。」と大変短い言葉で出ているんですが、一方で、補給金を交付するところは計画を出さなきゃいけない。また、この部分委託でも場当たり的なものにならないようにしなきゃいけない。

 一方で自由というような表現で政府広報にもこういうふうに載っているんですけれども、もう一方では計画をしっかり出させて、そこにしか出さない。また、指定団体以外のところでも、今でもある程度は酪農家の方が自分で販売をしたりということもできるようになっていて、自由と言いながらも、かなり、計画を出すところで規制があると思うんですね。

 今後、指定団体以外の団体にも、計画を提出させて、その計画が妥当であると認定すればそこにも補給金を支給する、支援を行うという法制度にしていくんだ、このことで需給バランスが崩れないようにやっていくんだというような方針ということで伺っているんですが、例えば、出してきた販売計画で、飲用乳でもあるいは加工乳でも、どちらかにぎゅっと集まってしまう、そういうことが出してきた各計画から懸念されたときに、強制力を持って計画の変更を迫るということまで農水省としては考えて、需給バランスをとっていこう、そういう意思でやっていらっしゃるんでしょうか。それとも、もう計画をとにかく出したらそのまま判こを押していくということなんでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のような、この補給金を強制的に加工向けに仕向けることができるかというお問いでございますが、補給金の交付対象が年間の販売計画を作成して、その仕組みが飲用向けと乳製品向けの調整の実効性が担保できるものというようにこの計画案ができておりますれば給付するというスキームでございます。

 本プログラムに基づきまして、現在、関係者の意見を聞いておる段階でございまして、基本スキームの設計を行う現在の段階で、その中で販売計画に関する仕組みについて今現在検討中でございます。

 したがいまして、強制的に加工向けに調整するというような案に対しまして、各関係者、団体からいろいろな御意見を頂戴した上でこれを図りたいというように考えております。

小山委員 今検討中ということです。

 きょうは、この法案の細かい話ということではないんですが、ただ、なかなか漁業なんかでも、一時期安い魚が輸入で入ってきて、漁師さんたちは、自分の家計の収入を確保したいということで、どんどん魚をとってこれを売って、さらに市場が供給過剰になって値が崩れていった。結局、資源管理ということで、これを規制して生産調整をしていく、需給調整をしていくということによって、まだ漁業が回復したところまではいかないとは思いますけれども、少し落ちついてきた。

 ですから、全部全部これを市場に任せておけばいい、神の手なんぞはなくて、過当競争になってみんなが不幸になるということになってしまわないように、私は、この需給バランスに対する、今までバターの話とかありましたけれども、総じてうまくやってきたと思いますので、今あるものについてのいい部分の評価ということもぜひ忘れないでいただければと思っております。

 それから、次にお話を伺いたいと思うんですが、農業競争力強化法について、再編、あるいは先ほど村岡議員からもありましたが、これは農機具については新規参入ということを促すということかと思いますが、これは、各業界、肥料業界とか農機具業界とか米卸の業界からそれぞれ、こういう農業競争力強化法をつくってほしいというようなニーズとか要望というのはどのぐらいあったんでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 肥料業界におきましては、生産業者の数が多くて、これまでも自主的な再編に取り組むなど、再編のニーズが十分にあるというふうに承知をしてございます。昨年十一月には、再編に伴う設備投資ですとか廃棄に係る税制、金融支援の要望を国の方で受けているところでございます。

 また、寡占状態にございます農業機械業界におきましては、建設機械メーカーが水稲の直まき栽培用のICTブルドーザーを開発するなど、異業種からも新規参入についての関心が寄せられてございます。

 このように、事業再編、参入に向けたニーズがあることから、本法案による支援措置が有効なものと考えてございます。

柄澤政府参考人 米卸業界についてお答え申し上げます。

 米卸売業界におきましては、例えば、米の流通量から見て米の卸売業者数が過剰ではないかとか、あるいは、量販店や外食、中食業界が大規模化されている中で、米の卸売業者も販売力の強化が必要ではないかとか、さらには、金融、税制などで国が支援をしてくれれば、再編によりコスト削減や精米工場の稼働率を向上させることができるのではないかといったような意見がございますので、こういった意見に基づく法律制定に向けたニーズがあるものと理解しております。

小山委員 今お話を伺った中では、肥料業界からは実際にニーズや要望があったということで伺いました。これは、法案審議の際には、またもうちょっと細かく伺っていきたいと思います。

 農機具メーカーから、少なくとも既存の業界からはないということですね。米卸についても、今、ニーズがあるものと理解しておりますということで、具体的な要望書をいただいているとか、そういうことではないのかなというふうにも思いました。

 これは、産業競争力強化法を参考にされていると思うんですね。産業競争力強化法のときには、これはもう再編する力がない、合併する余力すらない、そういうところが何とか、肥料についてはちょっとそういうニーズがあったということですが、支援をしてくれということで、またそういうことも勘案して経産省が制度をつくったわけですけれども、少なくとも農機具メーカーにとっては大きなお世話なわけですよ。

 一方で、そういう支援の制度をつくっておいて、農家の人たちも努力しなさいということで努力義務を課す。これは、見方によっては、極めて上から目線の、上からの改革じゃないか、こういう批判も受けているのではないかなと、私自身もそう思っておりますが、これは閣議で決定をされたと伺っていますけれども、これから法案審議の中でいろいろまた伺っていきたいと思っております。

 それから、いろいろ報道等で出ているところですが、この法案の中で、農業競争力強化法、農業者の組織する団体であって農業生産関連事業を行うもの、農業者の組織する団体であって農業経営の改善のための支援を行うものにも、支援や農業者の所得増大に最大限の配慮をするよう努力義務を課すことが、今、これはもう事実上、私もそれとなく見ましたが、法案に書かれている、閣議決定されている。

 また、五年ごとに農業資材の供給及び農産物流通の状況に関する調査を行って、国が必要な措置をとることが検討されている、書かれていると報道されております。

 この辺は産業競争力強化法にはない内容でございますけれども、そもそも、調査の主体も、調査の結果を評価する主体も、農水省の行政なんです。だとすると、これはいかようにも評価可能になるんじゃないだろうか、評価基準をつくるのも、評価するのも。それを、評価が正しいかどうかということを判定する第三者機関というのはないんですね。

 ですから、これは、農業者の組織する団体、恐らく、この関連事業を行うものというのは、農協がその中に入ってくることは間違いないと思われるんですが、その農協に対して、この法律を根拠にして、ますます、きょうの最初のテーマではないですけれども、介入をしていく、計画を出させて介入をしていく、そのための根拠法にするためにこの法律をつくったのではないかというような懸念があります。

 特に「選択」という雑誌に、「後戻りできないように改革に向けた自走メカニズムをビルトインする」と農水省幹部が発言をしたと、どなたかわかりませんが、そんなことも書かれているんですが、この部分の、義務を課すということについてどういう認識であるのか、農水大臣の御見解を伺いたいと思います。

山本(有)国務大臣 この競争力強化支援法でございますが、過剰介入の根拠法とするものでは決してありません。

 良質で低廉な農業資材の供給、農産物の流通、加工構造の改革、この促進のために、第一番に国の責務をうたいまして、二番目に国が講ずべき施策をうたいまして、三番目に事業者の自主的な、あくまで自主的な判断による事業再編あるいは事業参入、この取り組みを後押しする支援措置を決めていく、そういう構造になっております。

 こうした趣旨の法案でございまして、全農を含め民間事業者に対して何か国が強制するというつもりもありませんし、そういう規定も設けてはおりません。

小山委員 きょうは、午前と午後にまたがって、ありがとうございました。

 いろいろと、政府と国家の関係、そして規制や行政指導と自由な経営活動の関係、ここのところが、それぞれ民間団体と政府、あるいは主体同士で認識が違うのかなと思いますが、ぜひ、そういうところから不安や不満が出ないように、意思疎通を図りながら取り組んでいただければと思います。

 以上で終わります。

北村委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民進党の佐々木でございます。

 大臣所信に関連してきょうは質問をさせていただきたいというふうに思います。法案については、後日また、提案をされた時点で議論の機会もあろうかというふうに思いますので、きょうは、所信に関連して、大枠だけちょっと議論をさせていただければというふうに思っているところであります。

 最初に、最初の小泉議員の質問の中にあったJAグループ京都の米偽装の関係でありますが、それと、小泉議員からは、GAPについてもお話がございました。

 私たちの、農業という側から見て今必要なのは、生産の履歴であるGAPと、それから加工の履歴であるHACCPと、それから全体の流通の履歴であるトレサ、この三つがセットなわけですよね、ある意味で。いずれも履歴という意味で、いわゆる追跡調査が可能になるという仕組みであります。

 ただ、ちょっと議論の中で私は視点として必要だと思うのは、JGAPもHACCPもトレサもそうですが、決してこれは輸出のためにやるわけではなくて、消費者のためにやるんですよね。それが基本です、農水としての。その延長線上に輸出というものもあるということで、消費者にどうやって安心を提供できるかということをやはり踏み出してはいけないというふうに思っております。

 それで、その中で、これはSBSのときもそうだったんですが、せっかく米のトレーサビリティーを持っていながら、これが何かうまく作用していないのではないかという懸念を持たざるを得ない。

 トレサがあるということは、行けば履歴があるわけですから、立入調査も既に終わったということでありますが、履歴があるんですから、その履歴から疑わしいところはわかるはずですよね、すぐ。そこで今度は食品表示に検査をしっかりしてもらう、こういう流れになっていくわけですから。

 SBSにしても今度の京都の偽装にしても、やはりトレーサビリティーをもうちょっと、せっかくつくった米トレーサビリティーが十分に生かされていないのではないのか。先ほどのやりとりをずっと聞いていてちょっと心配になったんですが、米トレサというのは一体どのぐらいちゃんと機能しているのかということについて、まず最初にちょっと教えてください。

山本(有)国務大臣 今回の米偽装のそうした疑いがあるとして直ちに農政局が立入検査に入った根拠法は、トレサ法でございました。

 したがいまして、このトレサ法がなかりせば、直ちに食品表示法でやるということでございますが、二日して京都府がこの食品表示法で立入検査に同時に入り、一緒にこれを、疑惑の解明に臨んでいるわけでございまして、その意味におきましたら、私は、トレサ法も食品表示法もともに相まって、お互い相互補完し合いながら機能しているというように思っております。

佐々木(隆)委員 いや、もちろん法律ですから機能しないと困るんですけれども。

 要するに、先ほどの答弁を聞いていると、できるだけ早い時期に報告をさせていただきたいとかという、それはできるだけ早くやってほしいんですが、直ちにわかるはずなんです、少なくともトレサの段階は。その後で表示法の科学的検査を受けるという話になるわけで、何か先ほどのは少し、そういった意味では余りにも慎重過ぎる答弁だったのではないかなという気がしたので、あえてそこを触れさせていただきました。

 限られた時間でありますので、一つ目は、TPPについてお伺いをいたします。

 私も特別委員でありましたので、議論はいろいろさせていただきましたが、トランプ大統領が永久離脱と言ったわけですけれども、これについてまずお伺いしたいと思うんです。

 これは、トランプ大統領が言ったというと、あの人の人格、いろいろあるものですから、信憑性が大分薄れてくるんですけれども、しかし、大統領選挙を思い出していただくと、トランプだけが言ったわけじゃないですよね。相手候補のクリントンも言った。そして、クリントンの相手候補であるサンダースも言った。サンダースあたりが最初にいろいろな書き物を出しているんですが。ということからいうと、別に、アメリカは誰が大統領になってもこういう結果になったのではないかというふうに思うんです。

 問題はその理由ですね。何でTPPがだめだと言ったのかということを我々はもうちょっとしっかり認識しなきゃいけないと思うんですが、現在の経済連携は投資家が中心になっているということが一つ。もう一つは、自国の雇用が失われて失業者が増大するということ。結果としてそれは何かというと、格差が拡大をする、だからTPPはだめだと言ったわけですね。三人とも同じような理屈です。

 と言ったんですが、これは私は、結構真っ当な理由だと思うんですね。その真っ当な理由でトランプは永久離脱と言ったわけでありますが、これについて、大臣としてはどういう所感をお持ちでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘の、一月三十日、米国がTPPの締約国となる意図がない旨の通知を行いました。

 我が国としましては、TPPが持つ戦略的、経済的意義、これについて私は否定しているというまでには思っておりません。

 今後も、安倍総理は、二国間の首脳会議を終えても、米国に対して腰を据えて理解を求めていく旨の発言をされておりますし、また、関係各国と緊密に意思疎通を図っていくともしております。また、ペンス副大統領あるいは麻生副総理等の経済対話でさらに具体的に進めるというように言っておられまして、マルチの面でも二国間でも、経済連携の重要性、これは失われていないという認識をしております。

佐々木(隆)委員 ということは、先ほど私が申し上げましたように、今、このことによって格差が拡大するからだめだとアメリカが言ったのは間違いだったということですか。日本は諦めていないというんだから、そういうことになるんですけれども。

山本(有)国務大臣 佐々木委員御指摘の格差拡大という、いわゆる自由な貿易をレッセフェール的な扱いをしますと、そうした場面に遭遇するかもしれません。しかし、日米首脳会議、安倍総理とトランプ大統領との間でのいわゆる対話は、私は、そうしたことを是正しつつ、そして、そのようなことがないように、各国の貿易がさらに円滑に行われることの大事さというものを強調されたものではないかというように思っております。

 したがいまして、国内対策を万全にするという意味での、そうした貿易の条約締結前後における国内の生産者に対する不安、これを払拭するというのは両国とも同じ立場に立ち、かつまた、その貿易ルールというものは、さらに推進すればするほどそうした国内対策も精緻なものになっていかなければならないというような意味では、私は、佐々木委員の御指摘と矛盾するものではないというように思っております。

佐々木(隆)委員 今の大臣の説明で国民の皆さん方がかなり安心したかというと、私はそうは思えない。

 片一方で、保護主義がまた復活するのではないかという言い方があります。私たちは、やはり今、少し立ちどまって考えなきゃいけないところに来ていると思うんです。

 かつて、保護主義であり、ブロック経済になって、それが戦争に結びついて、その反省で、もっと世界的なルールが必要だねといってガットができた。ところが、そのガット以降、WTOとずっと進んできて、今度はグローバルになり過ぎちゃった。しかも、さっき言ったように、今、投資家が中心の貿易交渉になっている。だから今、逆にグローバルになり過ぎたことへの反省だと思うんですよ。だからアメリカのああいう行動というものがあるのであって、そこをちゃんとやはり反省しなきゃならない。

 経済連携そのものを私は否定しているわけではなくて、何でもかんでもグローバルにすればいいのかというところに、今ちょっと立ちどまるべきではないのかというのが、言いようによっては保護主義だという言い方をされるんですが、マスコミの論調なんかも含めて、私は、ちょっとやはり立ちどまって、そこは行き過ぎたグローバルだというふうに考えなければ、我々のこれから先の道を間違ってしまうのではないかというふうに思うんです。

 時間が限られていますので、その中で、今、日・EUなどが進んでおります。日米についても何かFTAでもやるんだというような話も報道されていますが、私は、アメリカの今の主張からすると、FTAよりももっと分野別に入ってくるのではないかということだって想定しなきゃならないと思うんですね、FTAというくくったものではなくて。そのぐらいの備えをやはりしておく必要があるのではないかということがあります。

 そこで、日・EUでありますが、これにはTPPのような保秘義務はかかっておりませんので、できるだけ公開をしていただきたい。交渉は政府かもしれませんが、決めるのは国会が決めるわけですから、そういった意味では、決める国会が情報が何もない中では決めようもないわけで、そういった意味で、これの進捗状況を教えていただきたいと思います。

細田大臣政務官 御質問ありがとうございました。

 日・EU・EPA交渉については、平成二十五年の春から開始をされ、これまでに十七回の交渉会合が開催されているところでございます。交渉は、首席交渉官以下さまざまなレベルで、電話会議等々も活用しつつ行っております。その一環として、直近では、去る一月十七日から二十日まで、首席交渉官会合がブラッセルで行われました。

 現在交渉中でございまして、この個別具体的な内容をお答えすることは差し控えたいというふうに考えておりますが、首席交渉官会合においては、農林水産分野も含め、日・EU間の意見の差を狭めるべく最大限の努力を行いましたが、この意見の差が埋まらず、引き続き交渉が継続されることになったという報告を受けております。

 私ども農林水産省といたしましては、引き続き、農林水産品について、貿易、生産流通実態等々を一つ一つ勘案して、それぞれの品目のセンシティビティーに十分配慮しながら交渉に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 先ほども申し上げましたが、TPPというのが極めて特殊で、保秘義務などという不思議なものがかかっていたんですが、これは、差し控えるのではなくて、知っていることは差し支えのない限りできるだけ出すという姿勢を示していただかないと、何か初めから差し控える、差し控えると言って表現をされると、やはり何か出していないんだなというイメージになりますので、そこはできるだけ国民的な全体の合意のもとに進めるという姿勢をぜひ見せていただきたいと思います。

 本当はRCEPについてもお伺いしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので、これはちょっと申し上げておきたいと思うんですが、今までのTPPとか、あるいは日・EUとか、あるいは二国間のFTAのようなものとRCEPは、私はちょっと違うのではないかと思うんですね。

 要するに、東アジア地域包括という名前がついておりますので、東アジアのところの新しい枠組みをどうするかというところから入る話であって、そういった意味では、今までのように二国間の対等な交渉というよりは、日本がリーダーシップをとって新しい枠組みをつくっていくんだというのが私はRCEPにおいては非常に重要だというふうに思いますので。

 しかも、これについてはほとんど報道されないんですね。今度、神戸で十七回目の会合があるんですよね。にもかかわらず、ほとんど報道がないということも含めて、ぜひ積極的に政府としては公表していただきたいということを、ここはお願いをしておきたいと思います。

 そこで、農業競争力強化プログラムについてお伺いをしたいというふうに思います。

 まずは、このプログラム、どこから出てきたのかというのがよくわかりません。ある日突然、農業競争力強化プログラムというものが出てきて、そして、しかもこれが何か農政の中心みたいに今なっちゃっているんですが、これの位置づけ、どこからどういうふうにしてこれが出てきて、どういう位置づけになっているのかということについてまずお伺いをします。

齋藤副大臣 少し整理してお話ししたいと思います。

 まず、平成二十七年十一月に取りまとめられました総合的なTPP関連政策大綱、これは政府間で合意がなされた後に取りまとめたものでございますが、ここにおきまして、体質強化対策や経営安定対策の充実とあわせて、生産者の努力では対応できない分野の環境の整備を通じた我が国農業の構造的問題の解決が重要である、そういう認識のもとに検討の継続項目が掲げられまして、それを平成二十八年秋を目途に具体的内容を詰める、これが平成二十七年十一月に取りまとめられました。

 そして、昨年八月に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策、ここにおきましては、農業者の所得向上を図るためには、生産コスト削減と農産物の有利な条件での販売が重要であることから、先ほど申し上げました検討継続項目に掲げられました生産資材価格の引き下げや流通、加工構造の改革などの施策について、今度は年内を目途に競争力強化プログラムという形で取りまとめていこうということになりました。

 これらを受けまして、昨年の九月以降、政府・与党で精力的に検討を行った結果を、昨年の十一月に農林水産業・地域の活力創造本部におきまして農業競争力強化プログラムとして取りまとめた、こういう経緯でございます。

佐々木(隆)委員 今副大臣から説明がありました農林水産業・地域の活力創造プラン、後ほどちょっとまたそこもお伺いしたいんですが、これの位置づけも実はそんなにきちっとしていなくて、極めて曖昧なんですよ、これも。

 その中で、しかも今は、TPPの対策のときに出てきた中長期な分野だけ引っ張り出してきて、これが競争力プログラムになった。何かTPPのついでに出てきたものがいつの間にか主役になったみたいな話になっていて、そこのところのちゃんと組み立てとか説明とかがきちっとなされないまま、今日、今の、ことしの農政の目玉みたいになっちゃっているんですが、僕は、そこはやはりもう少し丁寧な手順というものが必要だったのではないかと思うんですね。

 ということを申し上げつつ、その中の一つでありますが、一番最初にある競争力強化の中に、いわゆる全農の改革のところが最初に出てくるわけでありますが、私は、その目的が非常に、こんな目的でいいのかなと思うのは、農業者が自由に経営展開できる環境を整備するとともに、農業者の努力では解決できない構造的な問題を解決すると。

 農業者の経営が何か自由に展開されていないという、それは農業者に対して私は大変失礼な目的になっているのではないか、農業者はそんなに何かに縛られて経営をやっているわけではないと思うんです。何か自由な環境で経営展開できるなどという表現は、僕は余り適切な表現だとは思えないんですが、これで農協に何を求めて、そして、その改革は最終的には農民の利益に結びつかないと何の意味もないんですが、このままでは、これはそこのところがどうも曖昧です。

 農協に何を求めているのか、そしてその結果、農民にはどんな利益になるのかということについて、できれば短くお答えをいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 この改革は、プログラムに沿ってはおりますけれども、あくまで、先ほど答弁させていただきましたように、全農の自己改革に沿って、我々としては協調して農家所得を上げるという立場でございまして、農業者の立場に立った共同購入のメリットを最大化するという観点で、生産資材の買い方が見直されるんじゃないか、あるいは、実需者、消費者への直接販売中心にシフトする観点から、農産物の売り方も見直していただければ農家所得が上がるんじゃないか、関係業界の再編も促すことを応援するわけでございます。

 こうしたことで、農業者が生産資材を直接、より安く購入し、安定的に逆に生産物を高く売るというようなことにつながっていくということを期待した改革でございます。

佐々木(隆)委員 今さら申し上げるまでもありませんけれども、共同購入、共同販売というのは、農協だけではなくて、協同組合の原則です。

 今、大臣の答弁の中に、共同購入のメリットという言葉と、新たな事業者の参入ということが、これは何か矛盾するものが一緒に答えとして述べられていたような気がするんですね。だから、農協には、共同購入のメリットが生かされたいのか、それとも新たな事業再編みたいなものを目指したところに向かってほしいのかというのが、どっちだかよくわからない。その結果として、農家に、こういう再編が起きればこういうメリットがありますというところがどうもこれは伝わってこないんですね。

 もっと言えば、農協がやっている共同購入、共同販売というものを見直すという手段が農家の利益に結びつくという目的、この目的と手段がどうもごっちゃになっているというか入れ違っているというか、手段が中心になって、手段が目的化したというのはこういうことを言うんじゃないかと私は思うんですが、どうも手段の方だけに何か重きが置かれていて、そのことが最終的に農家の利益にこういうふうに結びつくんですという説明にはどうも不十分過ぎるというふうに思うんですが、もう一度お願いいたします。

山本(有)国務大臣 共同購入すれば、ロットが大きくなることによって、一個当たりの単価の利益を少なくすることができる、だから購入メリットがある、安くなるというようなことがポイントでございました。

 その中で、飼料あるいは肥料、そうした、小分けになって、銘柄が、品種が多様になり過ぎた嫌いが少しあるのではないか。

 例えば、高知県のA地区から県境を越えて愛媛県へ行く、そうすると、もっと安い同じ肥料があった。さらに香川県へ行く、あるいは徳島県へ行く、さまざまな値段のものがあった。これが自由に往来し、自由に競争し、自由に販売されるということにおいて農家が納得できるし、買うことによるメリット感がさらに進んで、いい生産物につながっていく。

 それによって、また、農家のやる気を起こすことができたり、あるいは、直売所に出す方がいいのか、系統出荷の方がいいのかというような選択肢もあわせ販売の再編をすることによって、自由な選択をする、経営管理ができる、そして、将来子供たちが就農する意欲に結びつくというようなことを目指して今回取り組んでいるわけでございます。

 決して、そうした、何か団体に対する圧力をかけたり団体を嫌ったりというようなことではなくて、ともに農家中心の農政でありたいという願いの中で自己改革を進めていく、そしてそのお手伝いをするという立場であります。

佐々木(隆)委員 それほど農家の人が縛られているとは私は思えなくて、自分で自由にある程度選んでいるというふうに思うんですが。

 あの一覧表の中で、さっきもちょっと出ていましたけれども、農機具なんかはもうある種再編されちゃっているわけですよね。片方はまだちょっと多いので再編をしなきゃいけない。私は、そこが本当は問題なのではなくて、農機具のところでいうと、にもかかわらず、農協利用は五割あるわけですよ、こっちの方が問題なんだと思うんですよ、四社で五割ですから。

 農協のメーカーはないんですよ。ということは、手数料だけであなた方は暮らしているのかいというところの方が本当は問題にすべき点であって、こっちの業界をどうかすれば何とかなるという話とは、だから少し視点が私はずれていると言わざるを得ないというふうに思います。そこはもうやめます。

 それで、先ほどの活力プランの話ですが、この活力プランに位置づけられたというのが今度の強化プログラムだという説明をいただきました。しかし、農業基本法に基づく農業基本計画とは全く関係ないんですよね、これは。だから、本来、農政というのは、農業基本法に基づいた農業基本計画の一環としていろいろなプログラムが出されて、そこで農政というものが進んでいくというのが農政の本来のあり方のはずなんです。ところが、基本計画には創造プランなんて一言も出てきませんし、それに位置づけられたものでもない。そういうものが今農政の中心になっている。これはやはり僕はおかしいと思うんです。

 基本計画の中にきちっと位置づけられて、そのもとでこういう方向に農政を進めていくんだという中にプランやプログラムが出てきたというんだったら、きちっとした体系の中にあるから、それはそれで正しいと思うんですけれども、途中から出てきたとまでは言いませんが、途中から出てきたプランとかプログラムが今農政の中心になっているというのはどうもおかしいなと思うんですが、ここをお伺いします。

齋藤副大臣 佐々木委員御指摘のように、食料・農業・農村基本計画、これが御案内のようにまさに基本計画でありまして、今後十年程度先までの施策の方向性というものを大いに議論して策定をしてくるという大変重要なものであります。そして、それはおおむね五年置きごとにその時々の情勢に応じて見直しをする、こういう性格のものでございます。

 今ある基本計画は平成二十七年三月に改定をされておりますので、二年ほど前じゃないかと思いますが、そして、平成三十七年を見通したそういう計画になっているわけであります。

 そして、そこで示されている方向性というものは、今、佐々木委員が御指摘になった農林水産業・地域の活力創造プランが行おうとしているものと方向性は一致をしているわけであります。ですから、その意味では、基本計画で定めた施策の方向に沿って、今、この瞬間やらなくちゃいけないものということでプログラムで定めさせていただいたものというふうに理解をしているところでございます。

佐々木(隆)委員 時間が来ましたのでやめますけれども、農政審のメンバーからも不満が出ていますよね。だから、位置づけられていないということなんですよ。だから、もう一回位置づけ直すべきだと思います。これはやはり、方向性は同じだという話とは違いますよ。ちゃんと体系づけられたものにするということが必要なんだと思いますので、ここはぜひお願いをしておきたい。時間がなくなりましたからやめますけれども。

 その中で、きのう、副大臣が予算の提案をいただきましたけれども、枕に何と書いてあるかというと、創造プランに基づいて、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の政策について推進するといって予算を説明されました。それ以降の副大臣の説明の中に、美しく活力ある農山漁村の政策というのはほとんどありません。二つ枕にしておきながら、一つはほとんど出てこないんですよ。これはやはりおかしいと思います。

 やはり、その二つを同等に並べるのであれば、村づくりですよ、要するに。村づくりについて、農山漁村について、予算を含めてもうちょっとやはりしっかりとした提言がなければ余りにも偏った話になるのではないかということを質問したいんですが、時間がありませんので、申し上げて、質問を終わらせていただきます。

北村委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 きょうは、森林環境税、まだ仮称でありますが、と、それから農産物の輸出、とりわけお茶の輸出について議論をさせていただきたいと思います。

 大臣は、所信表明におきまして、森林環境税について次のように述べられております。国民的な理解のもとに森林環境税(仮称)が創設できるよう、森林の有する公益的機能、森林整備の必要性などについて広く周知するとともに、制度設計を進めますと述べられました。

 そこで、制度設計の現時点での状況や考え方についてお伺いしたいと思います。

 資料でもお配りしておりますけれども、平成二十九年度税制改正大綱が、自民党、公明党、与党から昨年末に出されております。その中で森林環境税について取り上げられておりますけれども、「平成三十年度税制改正において結論を得る。」と与党の方で言っていただいていますので、そういう意味では、これからのタイムスパンは、ことしじゅうにきちんとした結果を出さなきゃいけないということだと思います。

 ただ、新しい税金を導入するという話ですから、大変重要な税制でありますが、課題もたくさんあると考えております。特に、すみ分けをちゃんとしないと、今まで三十七府県におきまして、地方税、県税として、あるいは、横浜市だけは市税として森林環境税を既につくっておりますので、そこと今度の新たな税がどういう関係にあるのか、ここもきちんとすみ分けないと、国がやるならもう県はやらなくていいのかとか、いろいろな議論が出てきてしまうと思うんです。

 そこで、幾つかポイントを申し上げますので、現時点でのお考えをお尋ねしたいと思います。

 まず、この森林環境税(仮称)は、県税として導入するということはさすがにないと思うんですが、では国税なのか、あるいは、この与党の大綱にもありますように、「個人住民税均等割の枠組みの活用を含め」というふうに書いてありますので、市町村税ということになるのかどうか。

 それから、徴収したら今度は配分するということになるんですが、主な目的は間伐を進めて森林を守るということであれば、都市部で取った税金も、基本的には森林面積なんかに応じて配分するということによって、要するに山に行くのか。そうなると、特に市町村税というような設計をしますと、うちの市内には森はないというところもたくさんあると思いますので、そういうところとの兼ね合いでいろいろな議論が出てくるんじゃないかなと思います。

 そして金額ですね。例えば私の愛知県の方でいうと、あいち森と緑づくり税というのがあるんですが、これは、県民税均等割超過課税として個人に五百円、それから法人均等割として五%分、これは千円から四万円ということになるんですけれども、そのぐらい課されています。

 県によっては、五百円じゃなくて千円を個人に課していたり、あるいは、法人に対しても五%じゃなくて一〇%、こういうところもあるんですが、この金額について、多ければ多いほどいいというものではないし、少な過ぎたら機能しないし、こういうこともあると思いますので、お考えをお尋ねしたいと思います。

山本(有)国務大臣 まず、国税か市町村税かという点でございます。現在ある、森林整備あるいは環境に使われているとする三十七府県で導入されている超過課税でございますが、これは地方税、府県民税であるというように承知しております。

 与党税制改正大綱に位置づけられたいわゆる仮称森林環境税、これにつきましては格別の定めがありません。

 したがいまして、今後、この大綱の内容も踏まえつつ、各省庁と連携しながらさらなる検討を深めてまいりたいというように思っております。

 次に、この新税の配分ルール、使途、これにつきましてのお尋ねでございます。

 面積割りなのか、間伐のためなのか、都市緑化のために使えるものなのかという御質問であろうと思いますが、まず、大綱におきましては、第一に、「自然的・社会的条件が不利であることにより所有者等による自発的な間伐等が見込めない森林の整備等に関する市町村の役割を明確にしつつ、」というくだりがございます。第二に、「市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため、個人住民税均等割の枠組みの活用を含め都市・地方を通じて国民に等しく負担を求めることを基本とする」、こうされているわけでございます。

 これらも、さらに、関係各省庁と連携しながら検討を要する事項であろうというように思っております。

重徳委員 与党の大綱を引用されながらということで、ほかの手がかりというか、政府としての考え方というのを余りお述べにならなかったと思うんですけれども、これからこれからというようなことであります。

 実際、先ほど言いましたように、税としての制度設計上も、国税なのか市町村税なのかということ一つとっても大変難しい問題をはらんでいますので、十分な検討が必要だということは論をまたないと思いますが、何せことしじゅうに設計しないと、少なくとも与党がおっしゃるところの期限には間に合わないということになりますから、これは、各県、導入しているところも三十七あるんですけれども、例えば、個人と法人と両方課しているところもありますが、法人に課していないところもあるんですね。神奈川県、京都府、大阪府は個人にしか課していないとか、府県によってもそういうさまざまな制度があるわけなんです。

 したがって、地方税が先行するというのは決して悪い話じゃありませんけれども、これを国として制度化するに当たって、大変多くの関係者との協議、調整が必要になってくると思いますから、相当なスピードアップが必要だと思っています。

 一点、今申し上げました、法人にも課すことにしていくべきかどうか、このあたりについて大臣の御見解を教えてください。

山本(有)国務大臣 現在のこの森林整備に使われている三十七府県の税といいますものは、御指摘のように、個人については三百円から千二百円の定額で地方住民税、人頭割でございます。法人につきましては、均等割額の五から一一%、一番大きい一一%は滋賀県でございますが、これが県民税均等割で上乗せされているわけでございます。

 こうしたことからすると、現在ある、納得感をいただいて徴税をしていることからすると、法人にも課税し得る話なのではないかというように思っておりますが、これも将来の課税になるわけでございまして、関係省庁とよく連携しながら、納得感のいく税でなければならないというように思っております。

重徳委員 法人にも課税し得るという現時点でのお考えであることがわかりました。

 いずれにしても、どういう設計にしても相当大きな額の税となると思うんですが、これをいかに有効に使うかが、税に対する納得性にもつながるというふうに思うわけなんです。

 今、全国の山林、日本は七割が山林なわけですから、大変多くの関係者というか、関係する地域が大変広がっているわけなんですが、今、どこの自治体あるいは森林組合、林業家の方々、そして所有者の人も悩んでいるのが、境界が確定されていないとか、あるいは、所有者の意向を踏まえなきゃいけないものだから、その所有者の方によっては、間伐をやっちゃだめだとか林道をつくることを許さないとか、条件つきでということでしょうが、いろいろなことを言われる方が当然おられるわけです。でも、もう所有者の方がどこに行っちゃったかわからないようなケースもありますし、そういったことに一つ一つの、事務的なようなことも含めて大変多くのコストがかかっているわけであります。

 ぜひ、こういったことに対して森林環境税の使途として財源を充てていくべきだと思うんですが、林野庁のお考えを教えてください。

今井政府参考人 お答えいたします。

 昨年末に決定されました与党税制改正大綱におきましては、森林所有者等の特定が困難なこと、あるいは境界が不明だといった森林現場の根本的な課題の対応に当たって、森林現場に近く、所有者に最も身近な存在である市町村の果たす役割が非常に重要である、そういう基本認識が示された上で、市町村から所有者に対する間伐への取り組みの要請などの働きかけの強化、あるいは、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるための税として総合的に検討すべきという考え方が示されたところでございます。

 このように大綱にも示されておりますとおり、また、委員の方から御指摘がありましたとおり、森林所有者への働きかけや境界の特定などは制度の仕組みに当たっての大変重要な論点でありますので、農林水産省といたしまして、この大綱の内容を踏まえ、森林環境税の使途を含めた具体的な仕組みについて検討を進めていきたいと考えております。

重徳委員 ぜひ前向きに、積極的に検討していただきたいと思います。

 大臣にもう一つ、法律関係でお伺いしたいと思いますが、今の話と関連して、やはり、所有者の中にはいろいろなことをおっしゃる方もおられますし、公益的な、山を守る、森林を整備するということに対しても、異論があったり、さまざまあると思います。あるいは、所在が不明でなかなか所有者の了解をとることそのものが、まず相手が見つからないというようなこともあったりして、間伐作業が一つも進まないという状況がある中で、これも税制大綱の中にも書かれておりますが、結局、そういう意味でいうと所有者の私権が相対的に強過ぎるという問題があるわけでありまして、これに対して、市町村に役割を期待するのであれば、市町村にそれなりの権限が必要である、市町村が間伐を代行する、こういうことをやはり制度的に法律で定めていく必要があると思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

山本(有)国務大臣 何度も引用して恐縮ですが、税制改正大綱、この創設に向けた検討項目の中に、必要な森林関連法令の見直しの検討という項目がございます。

 その際、施策の具体化を進めるべき事項の一つとしての例示で、所有者が不明の場合等の市町村による間伐の代行というのが位置づけられております。

 現在、森林現場におきまして、御指摘のとおり、森林所有者の特定困難、境界不明、担い手不足等、課題が山積しております中で、所有者による自発的な間伐等が見込めない森林におきまして、円滑な森林整備、これを、大綱の内容も踏まえまして具体化できればと、こう考えておりますので、間伐の代行というのは、今後の森林整備の大変重要なポイントになろうというように思っております。

重徳委員 重要なポイントという言及がありましたので、大切なポイントだと思いますから、ぜひこの点についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 もう一点、大臣にお伺いしたいんですが、やはり、人の確保というものが大変重要です。林業に携わる人そのものもそうでありますが、特に近年、国では、国の資格として森林総合監理士という制度をつくりまして、人材育成に努めておられるわけですね。ドイツではフォレスターなんという制度があるわけで、いろいろな重要な役割を果たしているということなんです。

 こういったことも含めて、市町村にいろいろ役割を課していくというような方向性がある中で、市町村はやはり、ただでさえ単位が小さいということもありますが、市町村合併をしたことによって、逆に、私の地元でいうと愛知県岡崎市というところが、もともと三十数万人の都市、そこが八千人の額田町というところと一緒になって今岡崎市になっているわけですが、額田町はやはり、山に対する思いを持ち、山とともに生きる方々がそもそも役場職員であり、もちろん専門的な方もおられたけれども、大きな合併した町になったことによって、そのウエートが相対的に薄まる、こういう状況も相まって、人材がなおさら今不足している。こんな現象も、恐らく全国いろいろ起こっていると思うんですね。

 そういったマンパワーの確保、専門的な人材の確保、こういったことにも財源が必要であれば森林環境税を活用するということになると思いますが、こういった人材の確保、育成についてのお考えをお聞かせください。

山本(有)国務大臣 御指摘のとおり、市町村におきまして森林・林業に関するマンパワーが不足しているという実態がございます。

 例えば森林総合監理士、フォレスターというのが、現状で、都道府県の職員が八百十七人、国有林の職員が百二十六人、その他で三十九人でございまして、千人そこそこでございますが、目標を二千人として、今後この人材を確保しなきゃならぬ、こう考えております。

 大綱の中で市町村の体制支援の必要性も指摘されておりまして、今後、森林・林業の施策の推進に当たりましては、最前線での行政実務を担う市町村への人的、財政的支援、これができればと思っておるところでございます。

 先ほどの、フォレスターとして育成したり、市町村の技術的支援や指導助言、こうしたことができる人材をあわせ、この大綱の中に指摘したことも踏まえて、市町村への支援のその大きな財源になるようなことも重要であろうというように思っております。

重徳委員 今の一連の御答弁の中で、与党の大綱に沿った形で森林環境税の検討を進めていくという方向性が理解できましたが、各県との間でどこまでそういった協議、調整が進んでいるのかという、そちらもちょっと気になるところなんですが、どうですかね、この一年間で具体化していかなくちゃいけない中で、相当たくさんの課題もある中で、現時点で、自治体や県あるいは関係者との調整というのはどんなぐあいなんでしょうか。

今井政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十二月に与党の税制改正大綱が決定されました。年が明けましてから林野庁の方では、与党税制改正大綱の中身がどういうものとして決まったのかということを、県あるいは市町村等に対しまして、あらゆる機会を通じて説明等を行っているところでございます。

 また、先ほどから大臣の方からいろいろ答弁させていただいておりますけれども、これから関係省庁とも連携をしながら具体的な施策の枠組みを制度設計をしていかなければいけませんけれども、それも、意見交換を通じて制度設計をし、制度設計ができたものをどこかの時点で具体的に提示をし、意見をいただくというようなプロセスも必要かなと考えているところでございまして、現在、そのような作業を進めている段階でございます。

重徳委員 私は、森林整備、環境保護のためにも、森林環境税、基本的には推進する立場でありますが、しかし、最終的に負担するのは国民でありますので、国民にとって唐突に、何のために急に増税するんだということになってしまっては元も子もありません。

 それから、各県においても森林税があるわけですが、大体五年ごとに見直しとかそういうことになっていますから、今度見直すに当たって、国で税金を導入したんだから県はもうやめようかとか、いろいろな議論があり得ると思うんですね。

 ですから、最初に言いましたように、すみ分けをきちんとやるとか、もちろん国民に対しての説明をきちんとやる、そして制度設計も、先ほど申し上げましたように、市町村税とするのであれば、うちの町の中には山がない、森がないのに取られるばかりじゃないか、こういうことに対しても相当深い理解をいただかないと、難しい課題だと思うんです。

 したがって、ぜひこの点、何となくスピードが遅い感じがしますよ。もっともっとテンポをアップして、この税の必要性、使途などなどについても広く周知をしながら議論を深めていただきたいと思っております。

 それでは次に、農産物の輸出についてでございます。

 これは資料の二枚目にあるんですが、農産物は全部で一兆円を目指すということで今は取り組んでおられて、少しずつふえてきている。ちょっと伸びが十分じゃなくなってきているという報道もありますけれども、これも一例として、私の地元でいうと愛知県西尾市というところがあって、抹茶で有名なんですね。お茶の生産で大変有名なところでありますが、宇治茶にちょっと押されているので、西尾の抹茶のブランドをもうちょっと上げなきゃいけないというのが地元においては大変重要な課題になっているわけですが、それもこれもやはり、たくさん世界に売って何ぼだというふうに思うわけなんです。

 そのときの障壁として一つ重要なのが、輸出先の国における残留農薬基準がある、あるいは、基準がないから受け入れてくれない、こういう問題があるわけなんです。

 お茶に関して言えば、ヨーロッパの方は紅茶をたしなんでおられる、もうしょっちゅう飲んでいるというイメージがあるわけですが、実は生産はしていないんですね。インドとかそっちの方の、セイロンとかダージリンとか、全部アジアの地名でありますので、そういう相手国においては、お茶を生産していなければ、そのために使う農薬もないし、そこにつく病害虫もいないわけですから、基準が設定されていない。

 こういう意味で、日本から輸出したものがちゃんと、農薬の残留基準がまずあるという状況に持っていかなくちゃいけない。そのために、残留基準を設定してほしいという申請をしなきゃいけない。これがインポートトレランスというものなんですけれども、これに対して国を挙げて支援をするという取り組みがここのところ始まっているわけでございます。

 そこで、特にお茶に関して言いますと、二〇一六年に百十五億円の輸出額になっているようですが、その四割以上がアメリカ、あとは、EU、とりわけドイツ、そして台湾が多いようですが、この三カ国におけるこのインポートトレランス申請の状況、そして、その結果がいつどんなふうに出てくることになるのか。これについて御説明をいただきたいと思います。

 あわせて、この資料にあります、農薬の国際共同評価という仕組みもあるんですが、生産していなければ農薬も使っていないでしょうから、ちょっとそういう意味では国際共同評価というのがお茶に関してはできるのかどうかわかりませんが、そのあたりについて御説明をいただければと思っております。

山本(有)国務大臣 残留農薬の基準の設定状況の違い、これが輸出障壁になっているんじゃないかという御質問に対してでございますが、まず、平成二十八年の緑茶の輸出は、お地元の西尾市も貢献されておられまして、随分伸びております。前年度比で一四%でございまして、百十六億円になったところでございます。さらなる輸出の拡大、これを目指しておりますので、輸出相手国ごとに異なる残留農薬基準をクリアするということが現在の課題でございます。

 そこで、農林水産業の輸出力強化戦略を示しまして、輸出相手国に対して日本と同等の残留農薬基準の設定申請、インポートトレランスの申請をすることといたしております。

 そして、国際共同評価、これも、農薬基準を活用することともいたしております。

 また、輸出相手国の残留農薬基準をクリアするための防除体系の確立、導入、これにも取り組んでいこうと思います。

 こうした残留農薬基準の設定申請、これまで台湾、そしてアメリカ、EU、これに対しまして加速をさせておりますので、申請後、早期の基準設定がなされるよう、さまざまな機会を捉えて相手国に働きかけていこうというように思います。

 さらに、茶を輸出する際に、相手国の残留の基準に対応するための防除体系の確立等に関する病害虫防除マニュアル、これを公表いたしました。これをもとに、奈良県や愛知県や、複数の茶生産県におきまして、産地独自の防除体系の確立に向けた取り組みを進めていただいているところでございます。

 引き続き、これらの取り組みを進めることによりまして、お茶の輸出拡大に向けた環境整備、これが進んでまいると思っておりますので、さらにこれに力を入れていきたいというように思っております。

重徳委員 ちょっと今大臣、働きかけをということはいいんですけれども、具体的な数字について御説明いただければと思うんですよ。

 農水省からいただいている資料ですから、この資料の中にも、お茶については、産地から設定要望が強い薬剤約三十剤のうち、約半数の申請を目標として、二十七年度は三剤申請しているということであります。まだ三つしか申請していないのかとか、いつ結論が出るのかとか、こういったことについても御答弁いただきたいんですけれども。

 できるだけ早期にやらないと、設定すれば済むだけの話といえば、だけの話であります。よろしくお願いします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今のインポートトレランスのお茶の関係の申請でございますけれども、まず、アメリカにつきましては、今、申請件数が五件でございます。審査中五件。この後、申請を予定している件数が四件でございます。また、台湾につきましては、三十四件申請をいたしまして、既に設定されているものが十七件。審査中が十七件でございます。EUにつきましては、申請を予定している件数は一件でございます。

 期間につきましては、国によりまして大分違いまして、台湾はそれなりに短くできております。また、アメリカは大体二年平均ぐらいと承知をしております。

 ただ、EUはなかなかちょっと長くかかるというような状況でございますので、その、相手国に申請したもの等で長くかかるようなものについては、さまざまな機会を活用していろいろな働きかけなどを行っているところでございます。

重徳委員 きょうはお茶を一例に取り上げましたけれども、各農産物、相通ずる部分もあると思いますし、つくっていない、生産していない国ではそもそも基準がないわけでありますから、言ってみれば、こっちの基準をやってくれ、こっちの基準でいってくれと言っていくことじゃないかと思うんですね。こんなことが輸出の障壁になっているのは大変もったいない話でありますから、ぜひ、強く強く各国に働きかけをお願いしたいと思います。

 最後に一点だけ。地理的表示保護制度というのがあるんですね、GI。これを国できちんと認める制度があるわけでありまして、現時点で二十四産品が国内で登録されているということですが、これも、国内販売ももちろんですが、輸出戦略上も重要なブランディングといいましょうか、確かなものだということを証明するものとしては重要な一つの方策だと思うんですが、輸出戦略とあわせて、ぜひともこのGIについても積極的に、スピーディーに進めていただきたいと思うんですが、政府のお考えをお示しください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の地理的表示制度でございますけれども、これは、ブランドを守りながら模倣品や類似品と差別化が図れるということで、輸出を含めました販路の開拓に非常に有効な仕組みでございます。

 これまでに二十四の産品が登録をされておりますけれども、百以上の申請をいただいておりまして、この制度の活用、普及を一層図ってまいりたいと考えてございます。

重徳委員 どんどんこの分野は、日本の食そして食文化を広めるために国を挙げて取り組んでいくべき点だと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で終わります。

北村委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民進党の岸本周平でございます。

 きょうは、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 きょうは、午前中から所信質疑ということで、各委員から活発な御議論がありました。私は、午前中の小泉委員の国際認証の件について、JGAPそれからグローバルGAP、その辺の質問で補足をしたいと思います。

 私も、昨年の四月、この委員会で国際認証の重要性を質問させていただきまして、小泉委員と全く同じ考え方を持っております。そういう意味では、齋藤副大臣も国際認証をお進めになる立場だと聞いておりますので、超党派で国際認証を日本の農業に導入していく、その立場で応援演説をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 ただ、小泉委員はオリンピック・パラリンピックのことを中心に御質問されていました。これは、本当にきっかけとしてはとても大事なことなんですけれども、オリンピック・パラリンピックで日本の農産物を供給することが目的ではないわけでありまして、あくまでも、輸出をふやす。輸出をふやすために、つまり、バイヤーが買うためには国際認証を取っていないと買ってくださらないわけですよ。そのためには、輸出をふやすという目的のためにパラリンピック・オリンピックをきっかけとして使う、そういうことだと理解をしております。

 中川委員からも輸出の話が最初ございました。全くそのとおりでありまして、二〇一六年の輸出が七千五百億円ということで、目標の一兆円に対して四分の三まで来ているわけでありますが、伸び率はなしということで、横ばいなわけであります。この内容についても中川委員から御指摘がありましたけれども、実は、安倍総理が、特に農林水産物の輸出について至るところで胸を張っておられますけれども、ここは、農林水産物の輸出と言ったときのイメージ、全く中身と違っているということは我々は認識しなきゃいかぬと思うんですね。

 恐らく、グローバルGAPのような国際認証が必要な農水産物は、今政府が統計で言っている農林水産物の輸出のわずか五%ですよ、五%。

 上から十位を言うと、一位がホタテガイ。これは国際認証を取っているからなんですね。今回、低温で減っていますけれども、また伸びてくるでしょう、国際認証を取っていますから。二位はアルコール飲料ですから、これは農林水産物じゃないですよね。アルコール飲料ですよ。四百三十億円、ナンバーツー。次は真珠、これは水産に近いかもしれません。四位、ソース混合調味料、ソースですから。五位がたばこ。六位が清涼飲料水。特に中近東向けがふえているんですよ、清涼飲料水。これはちょっと農業とは関係ないですね、菓子。八位でサバが入ってきます。水産物は頑張っています。そして、九番が種。これもいいでしょう。

 そして、二〇一六年の注目すべきは、何と十位に牛肉が入ったことです。これは頑張っていると思います。牛肉がついにベストテンに入りました。これは伸び率も二三%ですので、これは褒めてしかるべきだと思いますが、ほとんどが、工業品とは言いませんけれども、いわゆる農林水産物のイメージとは全然違うものが七千五百億円の九五%なんです。ここをちょっと我々は考えていかなきゃいけないと思っておりますが、このうち農林水産物をふやすためには国際認証が必要だということだと考えております。

 そこで、このグローバルGAP、あるいはHACCPという、これまでも議論に出てきましたけれども、こういうものをきっちりと推進していかなければいけないということでありますけれども、先ほどの午前中の議論にもありましたが、日本でもいわゆるJGAPというのがございます。JGAPも、いわゆるJGAPベーシック二〇一六というものと、JGAPアドバンスというのが、二つあるわけでありますが、これは審査の工数等が随分違います。一・五倍ぐらい違います。つまり、JGAPアドバンスの方が難易度が高いわけであります。

 それはなぜかというと、何とか国際認証を取りたい、まずはJGAPアドバンスを取ってもらう。今、五十三事業者が入っておりますけれども、わずか五十三であります。JGAP四千のうち、アドバンスはわずか五十三でありますけれども、このJGAPアドバンスで、国際的な認証機関である、もちろん民間ですけれども、GFSIとこれから交渉していただくということであります。

 まさにこれから始まる中で、特にGFSIはヨーロッパ中心ですので、自然環境は違いますし、農法も違います。この後JGAPアドバンスの中身も聞きますが、いわゆるJGAPアドバンスを掲げて、五十三の実績もある中で、これが承認を受けていく可能性、今、向こうの基準が二月ごろに改定されるそうですから、それを受けてということだと午前中に齋藤副大臣からも答弁がありましたが、そのロードマップについて、ぜひ、どんなロードマップをお考えになっているのか、そして、その際に、GFSIの認証をクリアしていくための日本側の課題、どこが問題点なんだ、直すべきところは何なんだろうということについて、齋藤副大臣から御答弁をいただきたいと思います。

齋藤副大臣 今、岸本委員から御指摘ありましたように、これから、まずはオリンピック・パラリンピック、ここでできるだけ日本の農産物が使われるようにしていく、そして国際的に輸出で十分評価を受けながら売れるようにしていくということが、今、段取りとして重要だろうというふうに思っております。

 そして、今おっしゃいましたように、JGAPがどうやってGFSIから認証を受けるかということの課題につきましては、これは、まだ向こうの基準が正式に決まっているものではありませんから、それを見て申請をしていくということに段取りとしてはなってまいります。

 その際、我々が考えておりますのは、まず、GFSIの審査の基準、この基準の中には、特定の農法や自然環境によって差が出てくるというような性格のものは入っておりません。ですから、こういうものが要因で審査に影響を与えるということは考えられない。

 一方で、実は、GFSIがグローバルな小売業者あるいは食品メーカー等から成る団体であるということを考えますと、こういった企業が求める高いレベルの食品の安全が確保されているということが恐らく最大のポイントになってくるんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、我々は、そこをクリアするために、申請するのは日本GAP協会が申請することになりますけれども、GFSI及びその会員企業に対しまして、JGAPアドバンスの内容が、まだ正式には決定しておりませんが、その審査基準が求める食品の安全の水準と同等であることを、いかにさまざまな機会を捉えて説明し、御理解をいただくかということだろうと思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ともかく、これから申請をされて、そのプロセスでやってみないとわからないということだろうと思いますけれども、これは少し時間がかかるかもしれませんが、ぜひしっかりと国際承認を取っていっていただきたいと思うわけです。

 その一方で、国内にもGAPと言われるものがたくさんたくさん実はありまして、それこそ、なんちゃってGAPみたいなものがたくさんあって、ほとんど何だこれはみたいな話になっているわけであります。

 そんな中で、一番の基本、これは政務官にお聞きをしたいんですけれども、基本的なことでありますが、もともと農林水産省として農業に対する一つの指針を数年前におつくりになって、これは農業生産工程管理(GAP)の共通基盤に関するガイドライン、こういうものをおつくりになっています。私も全部ホームページで読ませていただきましたが、根拠法律とか、割と抽象的な、さはさりながら、生産性とか安全性とかいろいろな項目があって、それが一つのガイドラインになっているということですが、この農林水産省がつくったガイドラインと、それから、いわゆるJGAP、さらにはJGAPアドバンスの関係はどうなっているのかということについて、概略を御説明いただきたいと思います。政務官に質問通告していると思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 午前中の質疑から話題になっておりますが、先ほどからお話がありますように、農林水産品の輸出の振興、あるいは消費者に対する安全、安心の観点から、GAPを生産者に取得していただくということは非常に重要であるというふうに考えておりまして、私どもとしては、農業経営者がぜひ主体的、合理的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 グローバルGAP等国際的に通用するGAPは、食品安全、環境保全、労働安全、人権保護等について定めておりますが、具体的な管理方法については、農業経営者として主体的、合理的に取り組むということを求めるものでございます。

 一方で、農業生産工程管理の共通基盤に関するガイドラインでございますが、これは、食品安全、環境保全、労働安全等々について、国内の関係法令等を遵守し生産していることを県等が確認する仕組みという位置づけでございまして、JGAPとは直接的に関連づけられているものではない、こういうふうに私どもは考えております。

 先ほどから申し上げたように、グローバルGAP等国際的に通用するGAPの取り組みというのは、小泉先生からも御指摘がありました農業人材の育成を通じた我が国農業の競争力強化を含めて極めて有効な取り組みであり、その取得を進めるために私どもも各般の支援措置を含めて取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

岸本委員 そういう意味で、もう一度聞き直します。

 農水省のガイドラインというのは、法律の根拠があって、この法律に対応してという、まさに割と役所的なガイドラインなんですが、それの難易度というのも難しいと思うんですけれども、私もちょっと素人なので、難易度というのは難しいんですけれども、その基準とJGAPが求める基準とどういう相違点があるのか。はっきり言うと、農家にとってはJGAPの方が難しいですよと言うのか。

 それから、さっき言いましたように、JGAPよりはJGAPアドバンスの方が、当然ですけれども、求められる工数が全然違います、一・五倍近いので。難易度は当然JGAPアドバンスが高い。それは、JGAPが四千、JGAPアドバンスが五十三ということからわかるんですけれども。

 これは変な質問かもしれません、農水省のガイドラインとJGAPの難易度みたいなものはどう考えればいいですか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 このガイドラインに基づくものというのは、先ほど申し上げたように、あくまでも既存の法令がきちんと遵守されているかどうかというのをチェックする事項でございまして、そういう意味では、基礎的な最低の遵守事項というのを求めているということであるというふうに認識をしております。

 一方で、GAPといいますのは、まさに消費者に高度な安全を提供する、ないしは輸出に当たってのある種の高い基準をクリアするということを想定しているものでございまして、その意味で、さらに高い、まさに農業者がプラスアルファで達成していただく基準というものを想定しているというふうに理解をしております。

岸本委員 よくわかりました。

 その上で、齋藤副大臣にお聞きしたいんですが、今お聞きいただいたように、日本の国内でいろいろな基準があるわけです。あえて農林水産省はJGAPにこだわって、国内の農家にJGAPを推奨して、国際認証を取らせるという大変なお手間をとっておられるわけです。それは一つのやり方かもしれませんが、これは買ってもらって何ぼですから、国際的なバイヤーが買うときに、なんちゃってJGAP(国際認証はもらっています)を買うのか、いやいや、我々はふだん使っている何万という例のあるグローバルGAPを買うのか。

 輸入ですから買い手の方が強いですから、いや、うちはやはり、頼むよ、グローバルGAPを取ってよと言われちゃうと、これまで日本でやってきた手間が二度手間になっちゃうということで、何となく、海外の連中とつき合っている感覚からいうと、齋藤副大臣も御経験があると思いますけれども、そうなかなか、日本の認証で一応国際認証はもらっていますからというのが本当に通用するのか、これはわかりませんが、その辺、どうお考えですか。

齋藤副大臣 まず、岸本委員に御理解いただきたいのは、喫緊の課題としまして、オリンピック・パラリンピック、ここでどれだけ日本の農産物が調達していただけるかという一つのハードルがあります。しかし、その先に、輸出でどれだけ売り込めるかという話があります。

 まず、オリンピックでせっかく世界から多くの方が来られる、しかも、国に帰って発信力のある方がたくさんおられるということを考えますと、ここでなるべく日本のものが入るようにするということで、今、調達のための委員会でもう間もなく正式にその基準が決まる。

 その基準の中には、さっき岸本委員がおっしゃいましたように、農林水産省のガイドラインに基づいて第三者機関が確認するという仕組みで、確認されたものについてはオリンピック・パラリンピックで出せるようになる、そういう流れが一つございます。

 これは、先ほど細田からも答弁させていただきましたように、できるだけ多くの農家が取りやすい形になっているわけでありますので、まずオリンピック・パラリンピックの機会を逸しないように、できるだけここを拡大して調達できるように持っていきたい。

 その上で、JGAPそれからグローバルGAPの話が出てくるわけでありますけれども、グローバルGAPを直ちにすぐ日本の農家が取れればこれが一番いいことでありますけれども、一方で、JGAPとグローバルGAPでは違うところがやはりあるわけであります。

 一言で言えば、グローバルGAPの方も、ヨーロッパを中心に発展してきたものでありますので、例えば水の管理については、向こうは水不足のものですから、非常に厳しいものが要求をされる。ところが、JGAPの方では、そこまでセンシティブに水についての管理をしなくてもJGAPは取れるということになっていますので、農家から見てどっちがアクセスしやすいか、どっちが取りやすいかというと、日本の農家にとってはJGAPの方が取りやすいということになります。

 問題は、次の、先ほど御答弁申し上げましたように、JGAPがGFSIの方で認められればこれが一番いい道になると思っておりますので、そこを何とか挑戦をして、そこで国際的に通用するJGAPにしていく。そして、そこから先、JGAPが国際的に通用するとなった後でも、グローバルGAPと同じように買ってもらえるようにするための努力をその上でやっていかなくちゃいけない、そういう段取りではないかなというふうに考えております。

岸本委員 さすが齋藤副大臣、御答弁が大変お上手なのでありますが、基本的には、表面上はそのとおりだと思います。

 それで、あくまでも輸出のために、しかも、全ての農家が取る必要はないんですよ。輸出しない農家が取る必要はないんですね。もちろん取った方が、経営管理のためには、いろいろなものが記録が残るので、実は取っていただいた方が、経営体としての農業が強くなるというのは私もわかっていますが、輸出する気のない農家にまで取らせる必要はないと思います。輸出したい農家が取るんだという前提で考えていく。

 もう一度言うと、オリンピック・パラリンピックはきっかけでしかない、目標は輸出です。ただ、それを徐々に、ならし運転しながらという齋藤副大臣の論理もわからないわけではありませんが。

 そこで、少し観点を変えて御質問したいんですが、実は、オリパラの食材の調達というのは各オリンピックごとに大変シビアなものがあります。例えば、先進国でいうとロンドン・オリンピックが参考になると思うんですけれども、ロンドン・オリンピックでは水準が二つあるんですね。一つは、意欲的な水準、やれたらやった方がいいですねというのがグローバルGAPなんですね。特に輸入のものは、当然グローバルGAPであった方がいいですよと。だけれども、別にグローバルGAPでなくても、トレーサビリティーが完全に確保されていればいいですよ。

 その意味で、イギリスは、国内のものはレッドトラクターという国内認証があるんです。これは物すごくよくできた認証でして、農産物の大体八割がカバーされています。結構きちんとした認証で、これがイギリス国内の農産物の流通を保証しているわけです、安全性から始まって。ロンドン・オリンピックでは、このレッドトラクター認証が必須なわけです。農産物の八割が対象となっている非常にしっかりした国内の認証が必須なんです。その上でグローバルGAPを取っていただく分にはいいですよという考え方なんですね。

 では、日本はどうか。

 さっき、午前中に内閣府の政務官が来られて、もう何かグローバルGAPしかないみたいな答弁をしていましたけれども、違うんです。グローバルGAPでもいいですよ。五十三しか取っていない、JGAPアドバンス。四百しか取っていないグローバルGAPで、組織委員会が認める。これは一つの基準ですけれども、多分、これはふやしたいと思います、私も。

 だけれども、これがふえなくても大丈夫なようにと言うと言い過ぎですが、役人のやることですから、逃げ道ができているんですよ、逃げ道が。この逃げ道が、農林水産省がつくったガイドラインに準拠したGAP、これはなんちゃってGAPというんですね。なんちゃってGAPかつ都道府県等公的機関による第三者の確認したものならいいですよと。物すごく甘いんです。

 さっき政務官も答弁したように、このガイドラインは甘いんです。JGAPとは全然違うんです、要求水準が。この甘いガイドラインに基づいて、しかも、この甘いガイドラインでも、これをやれている県というのは四十七都道府県で幾つあるか御存じですか、皆さん。今四つだけなんですね。この甘いガイドラインができているのが現時点でわずか四県しかない。ここに逃げ道がある。

 だから、私は役人をやっていましたので、オリンピック・パラリンピックの一年前になって、いや、なかなかJGAPアドバンスが取れていないよね、グローバルGAPが取れていないよね、ここだ、徹底的にここをふやして滑り込みセーフにするんです、日本の役人は優秀ですから。それは志が低くないですかと私は思うのであります。(発言する者あり)はい。これは志が低過ぎますよ。

 本当に役人というのはひどいんだ。逃げ道をつくっているんですね。政務官が、いかにもグローバルGAPでやるんだみたいなことを文部科学省の人が来て言っていたけれども、あれは、本人は役人に言わされているんだ。本当にこれはおかしいと思いませんか、齋藤副大臣。

齋藤副大臣 調達基準そのものについて我々がコメントするというのは、これまた役人的だと言われるかもしれませんが、控えたいと思うんですけれども、いずれにしても、さっき小泉委員からもお話がありましたけれども、五所川原の農林高校におきましては、非常に高い志で、いきなりグローバルGAPを取る。でも、その話をすると、そんなのは無理ですと言う人もいるというのが現実でありますので、できるだけ日本の農産物がオリパラで調達されるようになるよう、農林省としては努力をしていくということに尽きるんじゃないかと思います。

岸本委員 まあ、いいでしょう。齋藤先生、いいでしょう。そういう御答弁はしようがないかもしれませんが。

 それでは、ちょっと政務官にお聞きしたいんですけれども、今言いましたように、あと三年でオリンピック・パラリンピックが来る中で、いわゆる農水省のガイドラインに準拠したGAPで、これを第三者の機関が認めないといけないんですね。今言ったように、一応そういうガイドラインを認めた県が四つあるんですが、群馬県、群馬県はすごいですね、島根県、徳島県、長崎県、この四県はこれをやって、今、岩手県も一生懸命やっているようであります。

 これは逃げ道というようなひどい言い方をしましたけれども、しかし、日本の農産物は使ってもらった方がいいわけで、その際に、今この時点で、農林水産省として、この要件のうち二つ目のものについて、現状把握はどうされているんですか。今、この四つ、さらに、プラス岩手は多分これでいけるでしょう。残りの都道府県の農産物はどうなるのか、現状についての把握の状況を政務官に、これは質問通告しています。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 役人の先輩としての岸本委員には、また引き続き御指導いただきたいというふうに考えております。

 今御指摘にありましたとおり、御指摘の四県についてはGAPガイドラインに準拠しているということを私どもとしても確認したところでございまして、ほかの策定されている全ての都道府県のGAPについても、ガイドライン準拠の確認作業を現在行っているところでございます。

 そしてさらに、調達基準を満たすためには、これは御指摘のとおり、都道府県等公的機関による第三者の確認体制を整える必要がございますが、この調達基準案が示される以前から、島根県など五県では第三者確認が行われております。今般の調達基準案を受け、現時点で新たに十四の都県で第三者確認の導入を検討しているというふうに承知をしているところでございます。

岸本委員 ぜひ、最低限の仕事として、私は、さっき言いましたように、オリンピック・パラリンピックはきっかけであって、輸出を伸ばすために何としても国際認証を取っていただきたいという中で、頑張っていただいていると思いますし、さらに頑張っていただきたい。

 その上で、次善の策として、日本の農産物がオリンピック・パラリンピックで取り上げられるように。というのは、さっき言いましたように、イギリスの国内認証は八割対象になっているわけです。多分、申しわけないが、農林水産省のガイドラインの対象はまだまだ少ないと思うんですね、それは。物すごく少ないと思うんですよ。それが次善の策として使われるというのはとても情けない話であって、そうだとするならば、国際認証を取りに行く三年間の努力プラス、少なくとも農水省のガイドラインの農産物をふやす努力も、それは七割、八割を目指してほしいんですよ、数値目標としては。それはぜひお願いしたいと思います。

 ちょっと残された時間で、今は農産物の話をしましたが、林産物というか木材の調達について。

 これは、木材については国際認証も割と進んでいると思いますので、木材の国際認証の現状と、それからオリパラについて、農水省としては木材の調達についてどのようにお考えになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 森林認証制度は、第三者機関が、森林経営の持続性や環境保全への配慮等に関する一定の基準に基づき森林を認証し、さらに、その上で、認証された森林から産出される木材及び木材製品を分別し、認証材として表示管理するという仕組みであると認識しております。

 国際的な森林認証制度としては二つございます。一つは、WWF、世界自然保護基金が中心になって一九九三年に設立したFSCというもの、もう一つは、欧州十一カ国の認証組織が一九九九年に設立したPEFCというものでございます。

 我が国においては、二〇〇三年から我が国独自のSGECという認証制度を運用しておりますが、昨年六月にPEFCとの相互承認が認められたところでございます。これにより、SGECは国際的な認証制度として位置づけられることとなったというふうに私どもとしては考えております。(岸本委員「オリパラとの関係」と呼ぶ)

 オリパラとの関係でございますが、失礼しました、木材の調達基準については、基本的にはその施設等の整備主体が定めるというのが原則でございます。

 例えば、新国立競技場の事業主体としては、日本スポーツ振興センターが先ほど申し上げましたFSC等々の認証制度を活用して、木材、木材製品の合法性、持続可能性が証明された木材を使用するということとしているというふうに認識しております。

 また、有明アリーナなど恒久的な競技施設は東京都が整備いたしますが、東京都の基準によって、FSC、あるいは東京独自の多摩産材認証というのがあるようでございますが、この多摩産材認証等による認証制度を活用して、合法性や持続性が証明された木材が使われることになっているというふうに認識しております。

 いずれにいたしましても、それぞれの調達基準についてはそれぞれの施設の整備主体が決めるというのが原則でございまして、その基準に沿って必要な木材の調達と整備が行われる、こういうふうに考えております。

岸本委員 そういう意味では、木材の認証の方は少し一歩進んでいるということであります。

 水産物の方は、さっき言いましたように国際認証が取れていますものは、ホタテガイ、カレイ、そして遠洋のビンチョウマグロ、三つだけなんですね。これもぜひ農水省として頑張っていただきたいと思います。

 何より、午前中の小泉委員と全く同じ思いでありますので、国際認証を取っていく。オリパラをきっかけに、一層さらに、わずか五%分じゃなくて一兆円にする、ふえる分は全部いわゆる国際認証を取れるような、農水産物でお取りいただくような、超党派で応援しますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 日米首脳会談にも関連をして質問をさせていただきます。

 二月十日の共同声明には、「日本及び米国は、両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長及び高い基準の促進に向けた両国の継続的努力の重要性を再確認した。この目的のため、また、米国が環太平洋パートナーシップ(TPP)から離脱した点に留意し、」というふうになっています。

 つまり、これは、日本政府としてトランプ政権に対しTPPに復帰するという働きかけはもうやめて、TPPが発効しないことを日本政府としても認めたということでよろしいでしょうか。

越智副大臣 まず、トランプ大統領には、これまでさまざまな機会に、去年の十一月の大統領就任の前の会談ですとかあるいは電話会談等々におきまして、TPPの経済的また戦略的な意義について総理から説明をしてきたわけでございます。

 米国がすぐさまTPPに対する立場を変えるということではないわけでありますけれども、我が国がTPPを推進する意図について、十分に理解を得たというふうに考えています。

 その結果、先日の首脳会談の議論の中では、日米が主導してアジア太平洋地域に自由で公正な経済圏をつくる必要性について意見を一致するということができた、そしてその上で、日米主導で、自由で公正な市場を世界に広げていくという日米共通の目標のもとで、今後あらゆる選択肢について考えていこうということになったわけであります。

 今、共同声明の該当部分前半をお読みいただいたわけでありますけれども、米国は、日本がTPPを含む既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することについても了解しているというふうに考えていまして、安倍総理は、昨日も答弁しておりますけれども、米国の離脱表明の後も、日本がTPPにおいて持っている求心力を生かしながら、今後どのようなことができるのかを米国以外の各国とも議論していきたいということでございます。

斉藤(和)委員 今、トランプ大統領が立場をそう簡単には変えるわけではない、ただ、日本が推進する意図は伝わったというお話がありました。

 ただ、アメリカが離脱を表明したもとでTPPが発効することは、ほぼないというか、もうないわけですね。それはTPP協定の発効規定からも明らかなわけです。TPPが発効するためには、加盟十二カ国のGDP、国内総生産の八五%を占める、少なくとも六カ国以上が国内手続を終える必要がある。では、アメリカが全体のGDPのおよそ六〇%を占めている、このもとでトランプ政権がTPPから離脱を決めたということは、発効のめどが立たないということは明らかだというふうに思うわけです。

 共同声明で、TPPから離脱した点に留意というふうに書かれているわけですね。いろいろおっしゃられたんですけれども、こういうTPPの発効規定からいっても、TPPの発効はできないということを認めた、それが「離脱した点に留意し、」という言葉に込められているのではないかというふうに思うんですけれども、もう一度、いかがでしょうか。

越智副大臣 まず、「留意し、」というところでございますけれども、ここは英語で言いますとノーティング・ザットという言い方をしているんですけれども、この点は、米国がTPPから離脱する意思を表明したという事実関係を述べたものでございます。

 その上で、先ほど発効規定の話がございましたが、一月二十日の米国のTPPの脱退宣言は、実は国際法令上は特に有効なものではございません。

 ですので、米国が去年の二月の十二カ国の原署名国の一員である、この事実には何ら変わりがないものでございまして、そういう意味では、国際法令上、TPPの原署名国の立場がなくなったわけではございませんので、これからあらゆる選択肢について、日米両国、また、あるいはそれ以外の国といろいろと検討を進めていく中で、TPPが排除されるものではないというふうに考えています。

斉藤(和)委員 要は、トランプ大統領が言ったことは、TPPの条文に基づいて、もう発効しない、要は離脱するということを表明されているというふうに思うんですが、ちょっとその辺は次回に持ち越したいと思いますけれども、いずれにしても、発効の見通しがない中で、唯一日本だけがそれを推進するという立場というのが、はっきり言って、世界から見てもちょっと特異な状況にあるのではないかというふうに思うわけですね。

 TPPの協定で、当面はアメリカが、トランプ大統領が早々に立場を変えるというふうには考えていらっしゃらないというふうに先ほど答弁されたとおり、TPPで約束された農産物の関税引き下げということは行われないということになると思いますが、大臣、その確認と、もう一つは、この関税引き下げが行われないということになったことに対する大臣の認識と御感想をぜひお聞かせ願えればと思うんですが。

山本(有)国務大臣 TPP協定が発効しない場合、TPP交渉において合意されました関税引き下げ等の関税分野の措置、これは実施されないということでございます。

 そして、我が国といたしましては、TPPが持つ戦略的、経済的意義、これについては今後も米国に対して腰を据えて理解を求めていくとともに、関係各国と緊密に意思疎通を図っていくことでございまして、決してTPPが全て終わったという認識はしておりません。

斉藤(和)委員 TPPが発効されなければ実施はされないということは確認しました。

 同時に、腰を据えて引き続きTPPはやっていくんだという立場だというふうに言われましたけれども、共同声明では、先ほど来言っているとおり、アメリカが環太平洋パートナーシップから離脱した点に留意し、これは事実として認められたという御答弁がありました、両首脳は共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約したと。そして、何と言っているかというと、日米間で二国間の枠組みに関して議論を行うことというふうに続きで書かれているわけですけれども、この二国間の枠組みには、日米FTA、これは含まれているということでしょうか。

岸副大臣 共同声明で記載されております二国間の枠組みにつきましては、今まだ具体的な形式について現時点で何ら予断をするものではないということでございます。今後の日米間の経済対話の中で、どういった枠組みが日米間、日米経済にとって最善であるかということを含めて、しっかり議論していくことになる、このように承知をしておるところでございます。

斉藤(和)委員 形式は定まっていないと。何が最善であるかということですけれども、昨日の共同通信によりますと、アメリカ側が、日米自由貿易協定、FTAの締結を目指すとの文言を共同声明の中に入れるよう要求したというような報道があります。

 もう一度確認しますけれども、形式は定まっていないけれども、この最善の策の中に日米FTAは含まれるということでよろしいでしょうか。

岸副大臣 お答えもまた繰り返しになる部分もありますけれども、現時点で何ら予断をするべきものではないということでございます。

 また、FTA、二国間の貿易協定については具体的な要請はなかった、このように私は承知をしておるところでございます。

斉藤(和)委員 具体的な要請はなかったということですが、最善の策をとるということで、アメリカ側からは要は文言に入れるように要求があったというようなことが日米関係筋から明らかになっているという報道がされているわけですけれども、さまざま言われましたけれども、結局は、形式は何とも今の現時点では言えない、つまり、日米FTAは排除しないということになるというふうに思うわけです。

 今、アメリカの政府に対して、アメリカ国内の米だとか豚肉、牛肉の生産者団体から、先ほど午前の審議の中でもありましたけれども、この日米FTA、ぜひやるべきだというような要請がアメリカ政府に出されているというような報道がされています。

 具体的に農林水産省としてどういう情報をつかんでいるのか、ぜひ明らかにしていただけないでしょうか。

山本(有)国務大臣 トランプ大統領がTPP離脱を発表した後、二国間交渉に言及している書簡を発出したアメリカの農業団体がございます。それは、豚肉と牛肉の二つの団体でございます。

 この書簡では、まず、日本を手始めにアジア太平洋地域の国々との間のFTA開始を求める、こう記載されておりまして、かつまた、TPP離脱には同意できない、ただ、アメリカ政府の立場は尊重すると書かれております。三番目に、日本等アジア市場へのアクセス確保が優先課題であるという主張でございました。

 こうした書簡が団体から米国政府に到達したということは承知しているところでございますが、TPPが持つ戦略的、経済的意義、そして、今後もアメリカに対して我が国が腰を据えて理解を求めていくという方針、こうしたものには何ら変わりはありません。

斉藤(和)委員 アメリカ国内で、豚肉、牛肉の団体からFTA開始が求められている。そして、今大臣からもありましたけれども、日本等アジアへのアクセスが大事だということで、日本は牛肉、豚肉業者にとって最も価値が高い海外市場だというふうに指摘がされているという報道もあります。

 また、日本と経済連携協定を結ぶオーストラリアなどと比べて、要は、このままいけばアメリカは出おくれてしまう、そうなるわけにはならないんだというようなことも言われているということが報道されています。アメリカの生産者から見れば、日豪EPAでオーストラリア産の牛肉の関税が大幅に下げられているもとで、アメリカ産の牛肉の競争力を失っていると受けとめているともとれるわけです。

 問題は、日豪EPAですけれども、当時、甘利担当大臣が二〇一四年四月二十五日の内閣委員会で次のように述べています。

 日豪EPA、これはTPP交渉の加速材料になったか減速材料になったかという二者択一でいえば、それは当然、加速材料になったと思います、なぜならば、アメリカの、具体的に言えば牛肉と、オーストラリアの牛肉は、ある種、全てではないでしょうけれども競合関係にあるわけですから、オーストラリアは少なくとも、発効次第、それ以上の現状が変わらなかったらアドバンテージを持つわけでありますから、そういう、何とかしなきゃという気持ちになるだろうと推測をしますというふうに述べ、さらに、二〇一四年の十月二十九日、これは外務委員会、農林水産委員会の連合審査のときの外務大臣の答弁にも、やはりこういうふうに答えているんですが、日豪EPA締結がTPPを含む地域の経済連携の活性化に寄与すること、こういったことは期待したいというふうに述べているわけです。

 要するに、日豪EPAは、七年間かけて交渉をし、一時は絶望的というようなこともありましたけれども、電撃合意をした背景には、ある意味、TPPの交渉の対米交渉カードのためにオーストラリア産の牛肉の関税を大幅に引き下げたともとれるわけです。

 しかし、TPPが破綻したもとで、今度は逆に、TPPを推進するために日豪EPAだったのが、日豪EPAがあるがゆえにアメリカからより高いレベルの要求が持ち込まれることになりかねない状況になっている。こうした日本の貿易政策というのは私は過ちがあると思うんですけれども、御認識はいかがでしょうか。

岸副大臣 日豪EPAは、日豪間の経済関係をより一層発展させるために、TPP協定とは別途締結したものでございます。ですから、今委員が御指摘したようなことは当たらない、このように考えておるところです。

 本年一月の安倍総理のオーストラリア訪問時にも、ターンブル首相との間で、日豪EPAの成功は、開かれた市場に対する両国の決意と、貿易・投資により自由な流れが両国にもたらす利益を示している旨、確認をしているところであります。

 また、今後のEPA戦略に関しましては、TPP協定については、米国の離脱表明後も、日本がTPP協定において持っている求心力を生かしながら、今後どのようなことができるかを米国以外の各国とも議論していきたい、このように考えておるところでございます。

斉藤(和)委員 当たらないということだったんですけれども、現に、国会の答弁の中で、推進、加速材料になっているというふうに答弁されていたわけですね。

 日豪EPAとTPPには連動規定があり、TPPによって日豪EPAより牛肉の関税が下がった場合は、それに準じて関税を引き下げるということになっていました。もし、これは仮の話なんですけれども、今後、日米FTAが始まって、今の日豪EPAより牛肉の関税率を日米FTAで下げるというふうになった場合、オーストラリアはもちろん当然のように日本に圧力をかけてくるのであろうと思うわけです。

 つまり、日本は、TPPを加速させるために日豪EPAをまとめた結果、今となってみると、それがあだとなって、アメリカとオーストラリアという、まさに巨大農業輸出国の間に挟まれて、自由貿易交渉が求められてしまうという条項がつくられかねない状況をつくってしまったというふうに思うわけです。

 日本の農畜産物、農家の方々にとってみれば、自分がこれから本当に畜産を続けられるのかという思いになるような最悪な事態を招きかねない、そういうふうにも見えるわけですけれども、その辺はどういうふうに受けとめていらっしゃるんでしょうか。

山本(有)国務大臣 牛肉について、TPP協定の中に、日豪EPAの税率の方が低い場合、TPP参加国に対して日豪EPAによる税率が自動的に適用されるという旨の規定がございます。

 しかし、両協定とも、第三国との国際協定によって特恵的な市場アクセスを与えた場合、同等の待遇を与えられる観点から見直しや協議を行う旨の規定も設けられております。これからしますと、協議というものが大事でありまして、この協議が調わなければ合意内容の変更の必要はありませんので、第三国向けの低い税率を両協定の締約国に自動的に供与するということを約束したものではないと解釈しております。

斉藤(和)委員 協議が大事だ、それは当然だと思います。その協議もやってTPPもやってきたんだけれども、農家の方々や、国会決議の、重要五品目は排除する、除外または再協議としていたものにも違反するような中身がTPPで出てきたわけですよね。

 やはり本当に、農家の人たちの代弁者となって日本の畜産を守っていくんだという構えで日本政府が協議していく構えがあるのかということが今問われているんだということをちょっと改めて強調しておきたいというふうに思います。

 ちょっと時間もありませんので次に行きたいんですけれども、TPP交渉参加国と交わした交換文書についてお聞きします。

 TPP交渉参加国との交換文書には、物品市場アクセス関連文書、金融サービス関連文書、一時的な入国関連文書、知財関連文書、法的・制度的事項関連文書、日米並行交渉関連文書と六つありますが、TPPが発効しないもとで、この交換文書はどのような扱いになるんでしょうか。

岸副大臣 今御指摘の、TPP協定に関しての我が国が交渉参加国との間で作成した文書、いわゆるサイドレターでございますけれども、この中に、国際約束を構成する文書と、そうでない文書、国際約束を構成しない文書、大きく二つに分けておられると思いますが、国際約束を構成する文書のうちで、日米間で交わされた酒類の表示の保護に関する交換公文につきましては、その交換時に発効するということでございますから、二〇一六年二月四日に既に発効しております。

 それ以外の国際約束を構成する文書については、TPP協定発効時に発効するということですので、TPPが発効していない現在では発効していない、こういうことであります。

 国際約束を構成しない文書の部分につきましては、そもそも法的な拘束力は持っておりません。双方の理解を確認することなどを目的として作成されたものであるということでございます。

斉藤(和)委員 サイドレターの件で、TPPが発効することを前提で当然交わしたものだというお話が今ありました。

 そこで、農林水産大臣にお聞きします。

 このサイドレターの中にある米のアメリカ向け国別枠の運用やオーストラリア向けの国別枠の運用は、「TPP協定の効力発生の日に効力を生ずるものとする」とありますから、効力は生じない。つまり、米の別枠輸入はされないということでよろしいでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、TPP協定に基づきましてアメリカとオーストラリア向けに設定される国別枠、関税割り当ての運用、これにつきましては、交換公文で発効時に効力を生ずると明記されております。このため、TPP協定が発効しない場合は、当然、当該交換文につきましても発効しないもの、そう解釈しております。

 いずれにせよ、我が国としては、TPPが持つ戦略的、経済的意義について、大事に考えていくつもりでございます。

斉藤(和)委員 効力は有しない、つまり国別枠は入ってこないということで確認しました。

 もう一つ。

 法的拘束力がないというふうにありました。それはお互いの国との理解の中でというお話がありましたけれども、サイドレター、交換公文は二十一あります。そのうち法的拘束力がないものが十三あるわけですけれども、例えば保険等の非関税措置に関する日米並行交渉にかかわる書簡はどうなるのかということがあるわけです。

 これも、よく読んでみれば、TPP協定の関連規定の円滑かつ効果的な実施のために必要な措置をとることとした、透明性のところや知的財産権のところでも、両国政府はTPP協定の関連規定の円滑かつ効率的な実施のために必要な措置をとると。

 つまり、この書簡は、TPP協定とリンクしているわけでありますから、当然、TPP協定が発効していない以上、効力は有しないということではないでしょうか。

岸副大臣 今御指摘の、書簡に記載されました非関税障壁、非関税措置等は、そもそも我が国のこれまでのとってきた取り組みやあるいは今後自主的に行う取り組みを確認したものであるということを踏まえまして、今後とも適切に進めていくという考えでございます。

斉藤(和)委員 我が国が自主的に取り組んできたと。

 何で自主的に取り組んできたかというふうにいえば、そもそもこの書簡を交わすことになった理由が、TPP参加表明の二〇一三年二月二十二日の日米共同声明で盛り込まれた日米事前協議が出発点になっていたはずです。この日米事前協議というのは、アメリカ議会で日本のTPP交渉参加を承認してもらうためにやったものですよね。

 要は、認めてもらった先のアメリカがTPPから離脱するというわけですから、この書簡の出発点、取り交わした書簡の出発点そのもの自身が意味をなさないものになっている。つまり、イコールそれは、書簡そのものも意味がなくなっているということになるのではないでしょうか。すなわち、効力を有しないものになっていると言わざるを得ないと思いますが、いかがでしょうか。

岸副大臣 繰り返しになって申しわけないわけですけれども、今御指摘の書簡でございますけれども、その中に書いてあります非関税障壁、非関税措置等につきましては、先ほどからの繰り返しになりますが、これまでとってきた措置、あるいは今後の自主的に行う取り組みというものであります。また、これらの措置につきましては、我が国の企業や投資家にとっても有益なものであるというふうに思っております。

 ですから、一方的に米国に都合のいい形で取り決められた、こういうことではないというふうに考えておるところでございます。

斉藤(和)委員 有益なものもあるというふうに言われましたけれども、私は非常に危険なものもあると。

 例えば、最後の章にありますSPSのところではこんなことが書かれています。収穫前及び収穫後に使用される防カビ剤について、農薬及び食品添加物の承認のための統一された要請、審議の過程を活用することにより、合理化された承認過程を実施する。つまり、これは防カビ剤などをもっと認めろということですし、2に書いてある、我が国における未指定の国際汎用添加物について、原則としておおむね一年以内に我が国の食品添加物として認めることを完了する。つまり、TPPに入るためにアメリカから要求されて約束したもので、これは国民の健康から考えたっていかがなものかというのは、TPPの審議の中でも出てきたわけですよね。

 そのアメリカがいなくなったわけですから、これを自主的にやる意味がないと思うんですね。むしろ、自主的にやってはいけないというふうに思うわけです。

 時間が来ましたので、ちょっと一言、いかがでしょうか。

岸副大臣 そもそも、このTPPにつきましては、お互いに自由で公正な市場をしっかりつくっていこう、こういう認識の上に関係国が集まって協議をしてきたことでございます。

 そうした点から考えましても、今、TPPをアメリカが承認するかどうかも、これは少し時間がかかるかもしれませんけれども、我が国としては、我が国として自主的に取り組んできたことにつきまして今後も適切に進めていく、こういうことでございます。

斉藤(和)委員 アメリカが撤退すると明確に言っている中で、何かしがみつくようにすり寄っていくということは、逆に言うと、日米の二国間交渉になったときにもっとすり寄るというようなことになりかねないわけです。しっかりと、やはり農家の方たち、消費者の方たち、食の安全、この立場で頑張り抜いていただく、TPP、すり寄らないし、日米FTAもあり得ない、この立場で頑張っていただきたいということを最後に強調して終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 本題に入る前に、京都の米卸業者による米偽装疑惑について一言述べておきたいと思います。調査結果を待ちたいわけですが、それ以前にも一つ提起したいことがあります。

 食品偽装は、繰り返し繰り返し発覚してきたたびに農水省としてさまざまな対策も講じてきました。事故米の不正規流通事件が起きた後は米トレサが成立しましたけれども、当時の議事録を読むと、売買事業の実態把握が議論されていました。

 二〇〇九年四月十四日参議院の農水委員会で、これは我が党の紙智子参議院議員の質疑ですが、その点について質問をし、石破大臣が、事業者捕捉の規模要件は二十トン以上と答えています。それ以下の販売業者は無届けということで、意図を持った事業者が入れば同じことが起きないかということを重ねて質問したときに、米の取扱規模にかかわらず、巡回調査などを把握して行う省としての必要性を当時石破大臣が答えておりました。

 対象の業者に対する今行っている調査自体はもちろん厳格に進める必要があると思いますが、足元の農水省の行政機能や体制についても、結果次第によっては考えることがあるのではないかと思いますし、組織の長としての大臣の頭の中に入れておいていただきたいということが提起です。

 コメント、通告していませんが、ございますか。

山本(有)国務大臣 再発防止において重要な点であると思いますので、十分検討させていただきます。

畠山委員 調査を待ちたいと思います。

 本題に入ります。

 大臣は、所信表明で、生乳の生産、流通について、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保等を図るため、生産者補給交付金等の交付対象となる事業者の範囲を拡大する等の措置を講ずることを述べました。この点にかかわってきょうは質問いたします。

 私は、昨年十二月十三日の本委員会で、補給金支給の交付対象を拡大することについて、それでは生産者側がばらけてしまうことにならないかと提起しました。もちろん、今、法案にかかわっては検討中ということを踏まえた上でお聞きします。

 当時の質疑で、私は、「指定団体制度が乳価の交渉においても大きな役割を発揮していると思います」と大臣の認識を伺いましたが、山本大臣からは、改革の意義については述べられましたが、これまでの乳価交渉力の意義については触れていなかったと思います。そこで、私、重ねて答弁を求めたわけですが、そこで大臣からは、今後ともその機能を適正に発揮していただけることが生産者にとっての重要なウエートを占めるという答弁でした。

 まだはっきりしないんですが、この答弁に基づいて、改めて指定団体の認識についてもう一度伺います。「その機能を適正に発揮」と当時言っていた、「その機能」というのを具体的に御説明いただきたいわけです。これまでの指定団体制度が乳価の交渉において重要な機能を持っていたという理解でよろしいのでしょうか。

山本(有)国務大臣 この暫定法ができる以前、昭和四十一年までのいわば生乳の集荷や販売、また乳価の交渉力というのはばらばらの感があり、酪農家が安定的、永続的経営が難しかったのではないか、こう思っております。

 その意味において、今の指定生乳団体が行われます乳価交渉力、一元集荷、多元販売、こういった機能は、十分、その後、四十一年から満たされることになったというように評価をしております。

 しかし、長い経過がございます。その中で、市場で要求される話、あるいは酪農家がまた将来にわたって希望する話、さまざまな要因が重ね合って今日まで来たということも理解しておるところでございます。

畠山委員 今大切な答弁があったと思います。現指定団体の制度が始まる前にばらばらであったことから、その乳価交渉力を高めるために現制度として必要性があったということをお認めになった発言で、大事にしたいと思います。

 農水省の生産局が出している資料にも、この団体制度の機能について、やはり乳価交渉力の確保を掲げているんですよね。それで、つまり、なぜこのことを繰り返し聞いているかといえば、指定団体が果たしてきた役割や機能について、今の制度を、ではどこを変える必要があるのかないのかという根本にかかわる問題だから、繰り返し聞いていたというわけです。

 もう一つ、今大臣がちょっと触れていましたが、角度を変えて、この点も確認しておきます。

 ですから、指定団体の持つこの乳価交渉力というのは、全量委託の共販を背景に、一元集荷、多元販売が確保されているからこそだ、この点は否定されませんね。いかがですか。

山本(有)国務大臣 昭和四十一年の立法事実の中では、それが大きな要因でございました。

 しかし、今回、そうした中にありまして、指定団体以外でもその生産者が補給金を交付したいというときに、現在、排除をする、そういう要因はむしろなく、公平感を持って平等に取り扱わなければならないのではないか。あるいは、全量委託ではなくて部分委託で酪農経営をやっていきたいというニーズがある方々に対しても、そうした何らかの措置を講ずべき時代背景もあるというように考えております。

畠山委員 きょうは時間が私は短いので、そこから先については今後の議論に委ねたいと思うのですが、二〇〇七年前後に輸入飼料などで価格が上がったときに、生産コストが大幅に上がりました。多くの酪農家が、これでは経営できないと大変苦しまれました。そのときにやはり乳価引き上げに指定団体が果たしてきた役割は大きかったと思っているんです。それは、繰り返しになりますが、生産者がばらばらでなくて全量委託も担保されてきたことで、乳価交渉力の強さが証明されたことではないかと私は思います。

 言いたいことは、政府は農家の所得向上ということを常に言うわけですが、指定団体の乳価交渉力が弱まるような改革では逆行になってしまう。ですから、内容についてこれからもちろん議論したいと思いますが、その点を指摘して、次の点を伺いたいと思います。

 畜産農家の支援にかかわって、マルキン事業について、事実をまず確認しておきたいと思います。

 昨年、TPP関連法の一つとして、牛マルキンと豚マルキンの法制化が提出、可決されました。これによりまして、牛・豚マルキンとも補填率は八割から九割に引き上がり、豚マルキンは国庫負担水準を、国と生産者が一対一から、国と生産者が三対一と引き上がることとなります。

 そこで、事務方で結構ですので、事実を確認します。

 来年度予算において、このマルキン関連予算は幾らで、それは補填率を何割と見込んでのものでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年度の予算案におきまして、牛のマルキンで八百六十九億円、豚マルキンで百億円を措置しているところでございます。また、粗収益が生産コストを下回った場合に、その差額に対する補填率は八割、その補填財源の国庫負担割合は、牛マルキンで国三、生産者一、豚マルキンで国一、生産者一というふうになっております。

畠山委員 九割にせっかく引き上げたものでありますが、今言ったように、来年度予算は補填率は八割ということです。

 わかって聞くわけですけれども、その理由を改めて述べてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの臨時国会におきまして成立いただきましたTPP整備法におきまして、牛・豚マルキンの法制化、またそれに伴います補填率の引き上げ等につきましては、TPP協定の発効日に施行されることとされてございます。

 二十九年度の予算案におきましては、TPP協定の発効時期が具体化していないため、現行の補填率及び国庫負担水準としているものでございます。

畠山委員 TPP発効日が施行日となるからであります。

 ということは、政府の認識は、少なくとも来年度はTPPは発効されないということなのでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの臨時国会で成立いただきましたTPP整備法で、法制化は発効日に施行ということでございます。

 この協定の発効につきましては、各参加国が国内手続を完了する場合など、参加国の国内手続の進捗に依存してございますので、ある程度確実に発効が見通せた時点で予算措置することが適当と考えておりまして、その際には必要な予算を措置してまいりたいと考えてございます。

 仮に年度途中に協定が発効いたしまして追加の予算額が必要となる場合には、政策大綱におきまして、「既存の農林水産予算に支障を来さないよう政府全体で責任を持って毎年の予算編成過程で確保する」というふうにされているところでございまして、その際にはまた適切に対応してまいりたいと存じます。

畠山委員 御存じのようにアメリカ大統領が離脱を署名したわけですから、もう諦めて、新しい枠組みを考える必要があると思います。

 そこで最後に、だから大臣にお伺いします。

 TPPが発効してもしなくても生産基盤の強化が必要であることは、大臣も常々口にしてきました。そのために生産費の補填策が必要であることも、また誰も否定はできないと思います。だから、これまでマルキン事業については、拡充の要望はあれ、当然ですが廃止の議論などもありませんでした。

 先日、二月八日に、ALICから昨年十、十一、十二月の牛マルキン補填金の単価が公表されました。とりわけ乳用種で、十月は四万五千三百円、十一月で五万一千五百円、十二月六万一千百円と、一昨年以来の高い水準となりました。これは素畜費がさかのぼるところの時点で高かったことによるものだと思いますが、こういう背景があれば、やはりマルキン拡充の要望が出るのは当然だと私は思います。

 さらに、改正法の第一条では次のように目的を定めています。「交付金の交付又は価格の安定に関する措置を講ずることにより、畜産経営の安定を図り、」というのが新たに挿入されて、「もつて畜産及びその関連産業の健全な発展を促進」することが改正法の目的です。

 TPPが発効しない現実と、畜産農家の現状と、そしてこの改正法の目的を実現する立場に立つなら、施行期日を変更すべきではありませんか。

山本(有)国務大臣 畜産農家の将来の経営安定についての認識は私も同じものだと考えておるところでございますけれども、このTPP整備法により法制化されて、TPP協定の発効日に牛・豚マルキン、これを補填率の引き上げ等を行うというように、法律のスキームはあくまで経営安定、そして輸入に対する経営環境の激変、これに対応するものであるというように、依然、私の方ではしっかりとそれを位置づけておるものでございます。

 その意味におきまして、この施行日というようなことはあくまでTPP協定の発効日でございますので、どうかひとつ御認識いただきたいというように思っております。

畠山委員 残念ながら認識できません。

 野党四党では、施行期日を公布の日から起算して三カ月を超えない範囲内において政令で定める日を施行とする改正案を提出しております。委員会での審議と賛同を心から呼びかけて、私の質問を終わります。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田豊史です。本国会も頑張ってまいりますので、御指導よろしくお願いいたします。

 きょうの委員会の中で、民進党の村岡委員のさわりというかはしりのところで、民進党ではネクスト大臣というのをつくっていらっしゃるというのがありました。私は黙って聞いていましたが、万が一我が党でそういうことをやったときには、私一人しかいないのでと思うと恐ろしいなと思いながら聞いておったんですけれども、一層勉強してまいりたいと思います。

 今国会も変わらず、私は、攻めの農業、この攻めるというテーマで質問していきたいと思います。

 振り返ってみますと、私の質問は全て、攻めるということは、結局は、それぞれの農林水産業をブランド化していくという話だなと改めて思っておるんですけれども、このブランド化、きょうも質問させていただきますが、きょうの委員会の流れの中で幾つか気になりましたところがありますので、まずそこのところをお聞きしたいと思います。

 きょうのテーマの一番大きいところの一つにGAPがありました。

 このGAPというのは、私は地元の県議会議員もしばらく務めておったものですから、その当時、富山県でも、GAPというものを導入したらいいんじゃないかという話がありました。

 GAPは、まず、英語ですから、GAP、これはグッド・アグリカルチュラル・プラクティスなんですね。このPがプロダクツじゃなくてプラクティスになっているというところが非常に私はGAPの大切な考え方じゃないかな、こう思うわけです。

 GAPを、今回、この国会においても、この委員会においても取り上げられているんですけれども、GAPというものは何のために今必要なのかというところを改めて確認したいんですが、齋藤副大臣にお願いしてもよろしいでしょうか。

齋藤副大臣 いろいろな意味を持つと思うんですけれども、一つは、自分の生産工程というものをしっかりと見きわめるということで、経営マインドといいますか、そういうマインドが養成される。それから、それが国際的に認められるようになれば輸出にも有効である。それからまた、そういう管理を見詰めることによって人材育成にも貢献する。さまざまな観点があると思います。

 また、もちろん、消費者の安全、安心を高めていくという意味がありますので、いろいろな意味で力を入れて推進していく必要があるものだろうと思っております。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。

 このGAPというものは、副大臣おっしゃいましたように、特に安心、安全という、その部分に係って私は地方ではスタートしてきたと。富山県での認識もそうでございました。

 ここからすると、きょうは、このGAPというもの、特に、東京オリンピック・パラリンピックがあるということで、あるいは農業自身が輸出に向けてという機運を今高めておるところですから、そのための大きなツールになるということはもちろんわかるんですけれども、でも、このGAPの根本は実はそこではなくて、全ての農林水産業にかかわる方々がどうやって安心、安全なものをつくっていくか、そのためのGAPだということを私は改めて確認したいなと思うわけです。

 それができてこそ、次に、きょう幾つかお聞きしてまいりますけれども、ブランディング、ブランド化をしていく。ブランド化するためには、まず、最初のところの前提がきちっと整っていないことにはブランドの話でもあるまいというのが、私はGAPというものをどう使うかということのベースではないかなと思うので申し上げました。

 質問に入っていきますけれども、ブランド化をするということは、実はこれは生産者だけが考えればいい問題じゃないということが、きょうまた、よくわかる事件と言えばいいか、問題が起こったわけです。

 これは、生産者がもちろんブランド化しようと思って、そして、日本において、例えば米でいえば一番のブランドになった、そういう心を込めてつくったものが最終的に消費者のところにブランドとして届いているのか届いていないのかというところが、今回の、今大きな事件になりつつある全容だろうと思うわけですね。

 そうすると、このブランド化というものは、やはり、生産、それから流通、加工、そして消費、ここを一貫してきちっと見ていく必要があるというふうに私は思うんですけれども、今回の、米のブランド商品の信用を本当に大きく損ねることになりかねないというこの案件について、山本大臣は今、本当に急いでやるというふうにおっしゃっているんですけれども、やはりこれは、流通、特に、生産者のみならず、流通、加工のところ、加工という言葉が、簡単に言えばこれはまぜただけですから、まぜるということも加工だと位置づければ、最終的には消費者のところに行く手前のところにいろいろな問題が起こりかねない。そういう意味での全般的なことについての調査を行っている、そういう認識でいいかどうかを確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 この調査は、産地偽装という疑いでございます。しかもこれは、食品表示あるいはトレサ法、両方における調査で、かつ、報道内容を知り得た後、迅速に立入検査という形で強制に及んでいるわけでございまして、その意味において、全容解明に全力を挙げて取り組んでまいりたいというように思っています。

吉田(豊)委員 よろしくお願いいたします。

 このブランド化ということですけれども、ブランドをどうやってつくっていくのかというときに、私が申し上げた、生産者、流通、加工、そして消費、それぞれがブランドというものを意識していただかないと全体としてのブランドの力が出てこないということだと思います。

 その中では、まず生産者の方々に私は考えていただきたいと思うんですが、流れというものがあって、自分はそれぞれこの生産から消費の中でどこの役割をしていて、そしてそこの何でブランド化しようとしているのか、このことをしっかりと私は把握していただくということが大切だろうと思うわけです。

 そういう生産から消費までの流れというところを、農村白書というものを見ておったんですけれども、そこには非常にわかりやすく図示化されておるわけですね。こういう流れの中で、私は、改めて、生産者あるいは流通の方々、特に今回は流通、そして加工の方々もだと思うんですけれども、全てかかわっているんだぞということを認識していただきたい、こう思うんですけれども、把握されているというふうにお考えかどうか、それを私はまずお聞きしたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 食料・農業・農村白書は、我が国の食料、農業及び農村の動向等に関する報告書でございまして、これは毎年国会に提出しているところでございます。

 平成二十七年度の白書におきましては、生産された農産物が消費者に届くまでの間にさまざまな流通ルートで付加価値がついていくという状況を紹介しておりまして、こうした情報を、農業者、また、お話のございました流通加工業者、こういった方に知っていただくことで、農業所得の向上に向けた取り組みにもつながっていくものと考えているところでございます。

 農林省といたしましては、より多くの農業者を初め国民の皆様に白書を読んでいただけるようということで、まずは、白書の内容を簡潔にまとめた概要版を作成しております。また、メールマガジンを通じた情報発信を行い、さらに、地方ブロック別に説明会の開催も行っているところでございます。

 今後とも、さまざまな広報媒体を通じて、積極的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 概略版をつくるということは非常にわかりやすくていいと思うんですけれども、例えばよく出てきますJAなんかは、白書はきちっと読み込んでいる、そう認識していらっしゃるんでしょうか。

山口政府参考人 JAに関しましても、ブロック説明会の場に来ていただきまして、各農協の皆さんにも広く白書の内容についてはお知らせしているところでございます。

吉田(豊)委員 この白書、結構分厚いものですから、本当に、そういうものについては、農家の方々の手元に届くような、そういう考え方も私はぜひしていただきたいな、こう思います。

 続いて、平成二十七年度の産業連関構造調査というものがあるとお聞きしております。これは、平成二十三年の農林業及び関連産業を中心とした産業連関表というものをもとにしてつくられているということなんですが、今、非常に消費というものはタイムリーで、そしてその動向が動くわけですね。そうすると、今回私がテーマとしたいのは、さまざまなデータというもの、これを、一番新しいところを関係者の方々にお届けするということが重要なことじゃないかなと思うわけです。

 そのことからして、西暦でいうゼロの年それから五年の年と、五年ごとにやるわけですから、そのタイミングのところなのかもしれませんけれども、二〇一五年の産業連関表というものがあると思いますけれども、これが今どういうふうな状況にあるか、改めて確認させていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の二十七年の産業連関表でございますけれども、これは、十の府省庁が共同で作成をするということで、現在、鋭意準備作業を進めているところでございますけれども、既存の統計調査だけではどういうふうな経費が投入されたかといった詳細な構造がわからない面もございまして、そういった詳細な中身を把握するために、関連する省庁で二十七年度から二十九年度にかけまして補足的にさまざまな調査を実施しているというのが実態でございます。

 まさに現在、その準備作業のさなかであるということでございまして、私ども農林水産省におきましても八つの調査を本年度実施しておりまして、それらの結果を本年の秋ごろには取りまとめたいというふうに思っております。そういった結果を十の府省庁が持ち寄りまして、二十七年産業連関表の取りまとめの作業を行うということでございます。

 それで、その産業連関表が取りまとまる時期といたしましては、現在のところ、平成三十一年の春ごろを目指して作業を進めていこうということに相なっているところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のように、できる限りタイムリーなデータを広く関係方面にお届けしていくということが極めて大事でございますので、鋭意作業を急いでやってまいりたいというふうに思っております。

吉田(豊)委員 三十一年の春と今おっしゃったと思うんですけれども、やはり、調べて、そして分析をして、それから結果を外に出していくということが時間がかかるというのはわかりますが、答弁の中にもありましたけれども、三十一年春というのは、そういうスケジューリングというかタイミングでいいというふうにお考えなんでしょうか、もう一度お願いします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まさに、先ほども申し上げましたように、二十七年度から二十九年度にかけまして補足的な調査を実施して足らざるデータの把握に努めている、そういう状況でございますけれども、それらのデータが取りまとまり次第、関係する十の省庁共同で作業を急いでまいりたいというふうに思っております。

吉田(豊)委員 本当に、データができて、それから活用という話になるので、やはり極力早く出していただかなくちゃいけない、こう思います。

 次に、きょう申し上げています全体像、まず、農林水産業関係のそれぞれの現場の方がどこの場所にいらっしゃるかということを感じていただく、意識していただく、そこから全体としてのブランディングの作業を行っていくということになると私は思うので、改めて、それぞれの現場が、場所がどこにあるかということを感じていただくという、それをどのように提供すればいいかということを考えていただきたいわけです。

 それについて、さまざまな機会はあると思うわけですね。例えば、大臣、副大臣、政務官の方々初め多くの方々がいろいろなところで今の農林水産業の方針を示していく、そういう場所があると思います。実際の生産者、加工者、流通者、消費者、こうあるわけですけれども、そういう方々にやはり機会を捉えて何かをしていただきたい、こう思うんですけれども、今の私の考えに対してどうお思いか、お考えをお聞きしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 吉田先生におかれましては、引き続き、攻めの農業の実現のためにさまざまな御支援をいただければというふうに考えております。

 まさに先生御指摘のとおりでございます。先ほどの白書の話も含めて、正確でわかりやすく情報を提供していくということが、農業の生産者の皆様方、あるいは流通に係る事業者の皆様方がよりよい判断をしていただくために本当に必要なことであるというふうに考えております。

 この観点から、私どもといたしましては、例えば、地方支分部局を通じてフェース・ツー・フェースの説明会を開催する、これは例えばTPPの関連でありましたら昨年一年間で一千回を超える説明会を開催しておりますし、また、その他、地域に出向いて個別の案件で説明をさせていただいた回数は二万回を超える回数というふうに把握をしております。また、それ以外にも、例えば私どもの役所のホームページを通じた情報提供でありますとか、あるいはメールマガジンを発行するというような取り組みを行っております。

 このような取り組みを通じて、今後とも、積極的な情報発信に努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 この一連の流れを意識することを学ぶということで、学ぶ方、学ぶことからすれば、きょうも農業大学校が出てきておるんですけれども、あるいは農業経営塾、こういう全体像を把握する場所、こういうものを企画されて、今動かしていらっしゃる。

 これらの実際の農業大学校であれ経営塾のカリキュラムの中にそういう考え方が導入されているのかどうか、これを確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、農業の成長産業化というものを図る上で、生産から流通、加工、消費、一連の流れを意識して農業経営を実践できなければ、担い手を育成するということにはつながりません。

 そのため、農林水産省としましては、全国四十二道府県に設置されております農業大学校におきまして、次世代の農業者を育成する観点から、農産物の生産や加工はもとより、マーケティングや消費者ニーズに至るまで総合的に学ぶことができる教育内容、カリキュラムの指導を行っております。

 既に就農している農業者の学び直しの場として平成二十九年度から新たに開講を予定しております農業経営塾、ここにおきましても、経営感覚を備えた担い手を育成するという観点に立ちながら、経営管理やマーケティング等について重点的に学ぶことができるよう、カリキュラムの指導をこれまた行っているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほど大臣から農業経営塾と学び直しということの御紹介をいただきまして、本当にそこが一番私は大事だと思うんです。

 今までの農業の一番の問題点は、生産している人たち、それから流通、加工、まあ消費は別としても、その三つがほぼそれぞれ独立して、こういうものだという既成概念が大きいんですね。そのことが農業というものが新たにチャレンジするべき産業だということを妨げているとも私は思うわけです。

 ですから、具体的に、例えば農業経営塾の指導に来る方というのはどういう方々をイメージされているんでしょうか。

山口政府参考人 お答えいたします。

 農業経営塾といいますのは、今大臣からもお話しいたしましたように、既に農業を経営しておる、営農しておられる方々に対しまして、学び直しの場として設置するものでございます。

 したがいまして、経営感覚を備えたような担い手になってもらうために必要な講師陣というものを考えているところでございまして、税理士や公認会計士、また、農業の経営アドバイザーというものも、今、資格認定がございます、そういった方々、また学者の方々も含めて、これは経営塾を設置いたします各都道府県において適切な講師を選んでいただくということで考えております。

吉田(豊)委員 済みません、もう少しだけ突っ込ませていただきたいと思うんですけれども、今のお話の中に、私は、流通というところでいうと、やはりJAというのは、一番大きな、流通を一手に担っている存在だと思うんですね。こういうものをどういうふうな存在として説明するという方針はあるのか、それとも、それも含めてそれぞれの地域によって指導するという形をとっているか、それがわかるようでしたらお教えいただきたいと思います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 経営塾での講義の内容等につきましては、今申しましたように、各都道府県に裁量があるところではございます。

 ただ、おっしゃるように、流通や加工の面、マーケティングの面の勉強といいますのがやはり農業者にとっても今後の所得向上のためには必要でございますので、まずJAの役割なり、そのものを含めて、私どもとしましては、そういうことも学べるような場になればというふうに考えております。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりだと思います。ありがとうございます。

 次に行きます。

 この分析というところから考えますと、今、農林業センサス、それから地域の経済分析システムというのに力が入っていると私は認識しておるんですが、RESASというものです、地域経済分析システム。

 これは内閣府の方で提供しているという形になっていますけれども、農業というものが地方で非常に強い、都市部以外のところですね、というふうな認識はあると思いますけれども、それぞれの地域で、やはり、経済の全体の中において農林水産業がどのような位置づけになっているのかということを知っておくことも、これは本当に生産者の方々に直接求める話ではないと思うんですけれども、そういうことを知った上で、さまざまな地域としての戦略を練っていくということが私は必要だろう、こう考えます。

 具体的にこのRESASを私は見てみましたけれども、見える化が上手にできているんですね。さまざまなデータというものを非常に一元的に体感的に感じることができる。それは、ほかと比べることができるというのはやはり判断の一番強い材料だ、こう思いますので、これをぜひ生かしていただきたいと思うんです。

 攻めの農業、私の言葉で言うとそうなりますけれども、このRESASをどう生かせるのかということについてお考えをお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、RESASは、さまざまな観点から、地域の現状と課題の分析、あるいは今後の対策の検討というものに大変有効なツールとして認識をされておりますし、御活用いただいているところだと認識しております。

 内閣官房が中心となって提供しているものなわけでございますけれども、このシステムに対しまして、当然、私ども農林水産省といたしましても、いろいろなデータを提供して掲載していただいているというところでございまして、農林業センサス等で把握しております農業経営体数でありますとか、あるいは農産物の販売金額、経営耕地面積等のデータを順次掲載していただいているところでございます。

 これらにつきまして、さらに最新のデータを、内閣官房と連携を密にして、今後とも引き続き積極的に提供して、農業者の方々やあるいは地方自治体の関係の方々に御活用いただけるように取り組んでまいりたいというふうに思っております。

吉田(豊)委員 そのとおりなんですけれども、やはりデータは、最新、一番新しいものじゃなくちゃいけないと思うんですが、私の見た限り、この農林業センサスについては二〇一〇年のところが一番最新じゃないかな、こう思うわけです。やはり新しいものを載せていただきたい、こう思います。そのあたりはどのように認識されているかということをお聞きします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 二〇一五年農林業センサスのデータにつきましては、私どもの方から内閣官房の方にお渡しをしておりまして、現在、データベースに載せるべく、内閣官房の方で手続を進めていただいているところと認識しております。

吉田(豊)委員 先ほどの前の質問でも、やはりいろいろな省庁が連関してやると時間がかかるというのは当然のことだと思いますけれども、それぞれお客さんが待っているわけです。その情報を知りたいという方がいらっしゃるわけですから、ぜひ、そこにまたアピールしていただいて、一日でも早くそれがアップされて利用されるようにというふうに努力していただきたいと思います。

 次に、地域ブランド、その本体のところに入りたいんですけれども、農水省の地域ブランドのホームページの方を見ますと、地域ブランドというものがどういうものかということはなかなかはっきり書いてないというふうに私は認識しているんです。まず、地域ブランドというもの自身が何か、どういう考えかということについてお考えを確認したいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 地域ブランドにつきましては明確な定義がないわけでございますけれども、いずれにしましても、ブランドの産品につきましては、ブランドの名称でありますとかあるいは品質の特性が保護され、また、それをアピールの材料に使えるということが必要と思っておりまして、その例といたしましては、一つは、地理的表示に登録をされている産品、あるいは地域団体商標として登録をされている産品といったものがあろうかと思います。

吉田(豊)委員 地域ブランドの定義がないというのは本当に大事なところじゃないかなと私は思うんです。

 それで、なくていいのか、それとも、つくりようがないのか、定義しようがないのかというところなんですけれども、私の考えですが、何のためにブランド化するのかということは、それは明らかに差別化をするということだと思うわけです。ですから、そこについてはやはり踏み込んでいただいて、どういう考え方がブランディング化で、そしてそれがどのように、生産の方、流通、消費とかかわりますけれども、それぞれの方にとってプラスになるのか、簡単に言えば利益が出る可能性が出てくるのかというところが、私は本当に、ブランディング化ということの一番大事な、施策の根本にかかわっているんじゃないかな、こう思いますので、今の答弁は確かにそのとおりなのかもしれないけれども、そのような状況で、実際の生産者の方々のところに行って、ブランド化しましょうよというふうな話はなかなかやはり難しいだろう、こう思うわけですね。

 もう一度、ブランド化するということが私たちの農林水産業をいかに産業として力強いものにしていくかというところを関係者にわかってもらって、そしてそれをどう進めていくかというところは練り直す、あるいはもう一度組み上げる、しっかりとしたものを組み上げる必要があるんじゃないかなと私は今感じています。

 続いて、ホームページのところでもう少しだけお聞きしたいと思いますけれども、農水省のホームページに、地域ブランド関係で見ていますと、「美味の国日本」というのが出てきます。外部リンクが張られているということなんですけれども、この「美味の国日本」というところのホームページについて少しお聞きしたいなと思います。

 私は、これは非常にすばらしいホームページに仕上がっていると思うし、何でいいかなというと、やはり消費者に対してこれをアピールしていく力になるというふうに思うわけです。今の農林水産業も、新しい担い手を求める、それは具体的には若者であったり女性であったりとかするわけですけれども、そういう方々に農林水産業という産業自身に魅力を感じてもらうときは、やはり新しいツールでやっていくのが一番だろうと思います。

 そういうことで、またぜひここにもっともっと力を入れていただきたいと思いますけれども、具体的に、「美味の国日本」というところでも、何をもって美味とするのかというところはやはりわかりにくいんですね。こういうところの根本的な考え方、ぜひこれをわかりやすくしていただきたいんですが、今現状、このホームページ、どういうふうにして活用されているか、あるいはつくったけれどもどうなっているか、そこら辺のところの認識をお聞きしたいと思います。

井上政府参考人 委員御指摘の「美味の国日本」でございますけれども、これは、平成二十六年に地理的表示法が公布された、そういう状況の中で、候補となるような産品の掘り起こしと情報発信を目的として、平成二十六年度、二十七年度に農林水産省の補助事業として実施をしたものでございます。

 この情報サイトにつきましては、農林水産省の補助事業としては今申し上げましたように二年間の事業ということで終了しておりますけれども、引き続き補助先の企業におきまして運営をされておりまして、情報発信に活用されているということでございます。

 なお、このサイトの中から、現在、地理的表示として登録をされている二十四の産品の中にも、地理的表示として登録されたものが生まれてきているということでございます。

吉田(豊)委員 そうすると、この場合は、補助事業がしっかりと根を張って活用されている例と私は捉えさせていただきますけれども、やはり、こういうさまざまな方法で日本の農林水産業をきちっとブランド化していこうとしている、そしてそれが消費者に対して伝わってこそ一番重要なことだと思うわけです。

 改めて、消費者にどうやってブランド力というものを伝えていくかという、その最後のところまで、一連の流れというところに力を入れていただきたい、この思いをお伝えして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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