衆議院

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第4号 平成29年3月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十九年三月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    伊東 良孝君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      小里 泰弘君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    金子万寿夫君

      工藤 彰三君    笹川 博義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      津島  淳君    中川 郁子君

      中谷 真一君    西川 公也君

      古川  康君    古田 圭一君

      細田 健一君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    福島 伸享君

      宮崎 岳志君    村岡 敏英君

      中川 康洋君    真山 祐一君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      吉田 豊史君    仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         山口 英彰君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)

   (農林水産技術会議事務局長)           西郷 正道君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            佐藤 速水君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 柄澤  彰君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     青山 周平君

  笹川 博義君     中谷 真一君

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  武部  新君     津島  淳君

  前川  恵君     古田 圭一君

  村岡 敏英君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     勝沼 栄明君

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  津島  淳君     武部  新君

  中谷 真一君     笹川 博義君

  古田 圭一君     金子万寿夫君

  福島 伸享君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     前川  恵君

    ―――――――――――――

三月二十三日

 農業競争力強化支援法案(内閣提出第二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農業機械化促進法を廃止する等の法律案(内閣提出第二二号)

 主要農作物種子法を廃止する法律案(内閣提出第二三号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農業機械化促進法を廃止する等の法律案及び主要農作物種子法を廃止する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官山口英彰君、大臣官房技術総括審議官・農林水産技術会議事務局長西郷正道君、生産局長枝元真徹君、農村振興局長佐藤速水君、政策統括官柄澤彰君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。

池田(道)委員 おはようございます。本日のトップバッターを務めさせていただきます自由民主党の池田道孝でございます。よろしくお願いをいたします。

 三月の末になりますと、全国でも、早いところでは田植えの準備が始まります。ましてや、もう既に田植えをしているところもございます。

 ことし限りで、半世紀にわたります減反政策が終わります。最近は生産調整でございますけれども、米価の維持ということで、あの厳しい減反政策が始まりました。その当時は、地域内でも、そしてまた地域外でも、いろいろなあつれきが生じました。そういう経験をした方々が、いまだに米づくりをやっておられます。そうした生産調整というたがが来年からは外れます。いかに米価の維持とはいえ、いろいろな形で農家の方々が苦労して減反に協力をしてまいりました。そして、その影響を含めて、この二、三年で何とか米価も上がってまいりました。

 そうした生産調整というものも、今は、小口の農家の方々が、担い手等の大規模農家の生産調整によって何とか生産数量が達成をされておるという状況でございますが、新年度からの、生産調整がなくなった後の米価について、農家の方々は非常に危惧を覚えております。

 今までの減反政策の、いわゆる農業政策として農家の方々に、農業経営に与えた役割、意義、そしてまた、これからの農業所得の向上を踏まえた米づくりについての明るい展望等を、まず冒頭、山本大臣にお尋ねをいたします。

山本(有)国務大臣 実際に農家でありました池田委員からの御質問でございます。私も、農家が将来、明るい未来が獲得できる、そういう米政策であってほしいと念願しておるところでございます。

 まず、残念なところでございますが、主食用米の需要というのは、毎年八万トン程度減少しております。これは、いかんともしがたいトレンドでございます。

 そうした意味におきまして、需給のバランスで価格が決まるというところであると、どうしても主食用米の生産を何とかそこで歩どまりしてもらいたいという意味で、水田のフル活用を図るということに踏み込みました。そのため、麦、大豆、飼料用米等は需要がございますので、そうしたものに転換をお願いしたところでございます。

 また、経営感覚あふれる農業者が消費者ニーズに合ったきめ細かい米の生産をしていただければ創意と工夫で農業者が所得を獲得できるという環境も整えなきゃならぬというように思っております。

 二十五年十二月に米政策の見直しを決定いたしましたが、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、生産者みずからの経営判断で需要に応じた生産が行える、そういうように見直されたわけでございます。繰り返しになりますが、水田のフル活用を図って、食料自給率と食料自給力を向上させていくというような考え方でございます。

 実際、二十七年産、二十八年産の状況を見ますと、二年連続で全国の過剰作付が解消されております。そこで、この過剰作付が解消されることによりまして、米の価格は、いわゆる下落することなく、むしろ、やや高どまりするというような程度に推移しているわけでございます。

 そんな意味で、取り組みが自主的に行われる三十年産以降の姿は、この二十七、八年の予行演習があるというような位置づけのもとに、三十年産以降におきましても、引き続きこの取り組みを進めるというように方針を考えているわけでございます。

 生産者が需要と無関係に生産するのではないというのが肝でございますし、みずから需要動向を見きわめて生産に取り組むという、主体的な経営ということをお願いするわけでございますが、今後、きめ細かな情報提供や水田フル活用のための支援、これを努力してまいりたいというように考えるところでございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣の答弁の中にもございましたが、今は、飼料用米あるいはWCS、順調に作付がなされております。しかしながら、主食米の米と同じように、WCS、飼料米につきましても、供給と需要の関係がございます。既に地域によりましては、WCSにつきましては作付を制限しているというような地域もございます。せっかく国が、そして農家の方々がその政策にいわゆる呼応して、二つの作物をつくっているわけでございますけれども、それも頭打ちになるということになりますと、逆に、飼料用米についても同じようなことが言えるのではなかろうかなという危惧を覚えておられます。

 それとあわせて、来年度から、本当に農家の方々は、今出しております、毎年、作付の面積を含めたものを市町村に出しておりますけれども、そうしたいわゆる従来の生産調整、一筆ごとのお米の種類、あるいは飼料用米、WCS、大豆であるとか、そうした観点から、農家の方々はどういうふうに変わっていくのか、従来どおりなのか、もうそういうこともなくなってしまうのか、その点についてお尋ねをいたします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、我が国におきましては、主食用米の需要が毎年おおむね八万トンずつ減少しておりますが、食料自給率あるいは食料自給力、飼料自給率の向上を図るために、主食用米から飼料用米、あるいは今御指摘ございましたWCSなどへの転換による水田のフル活用を進めていくことが重要でございます。

 この先の見通しとしましては、私どもとして、二十七年三月に閣議決定いたしました食料・農業・農村基本計画におきまして、平成三十七年度の飼料用米の生産努力目標を百十万トンということで、政府として明確に掲げているところでございます。

 他方、今御指摘ございました需要の面でございます。

 飼料米の需要の面について見てみますと、飼料業界の主要四団体から、昨年二十八年産について百二十万トン程度の受け入れが可能であるので、安心して生産に取り組んでほしいというような、全国レベルで今後とも十分な需要があるというメッセージをいただいております。

 飼料米については、このように需要がかなり十分確保される見通しでございますので、このような需要に応じた生産拡大を図るということが必要だと思っております。

 政府としましては、水田活用の直接支払交付金による支援、多収品種の開発導入や新たな栽培体系の実証、畜産農家への供給に至る流通の効率化などの取り組みを行っておりまして、飼料米の生産量は、基本計画の基準年度であります平成二十五年度は十一万トンでございましたが、足元、平成二十八年度は四十八万トンに達する見込みでございます。

 今後とも、飼料米などの本作化、生産努力目標の確実な達成に向けまして、生産コストの低減や、飼料米を給与した畜産物の高付加価値化を通じた販売価格の向上等に取り組んでまいる所存でございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 ただ、今の御答弁は、飼料用米については当然そのことが言えますが、WCSにつきましては、刈り取り専用機であるとか、ローリングの三百キロ、五百キロの大きなものでございます。輸送等に問題があるということもあってそういう現状があろうかと思いますが、その点についても今後御検討をいただきたいと思います。

 続きまして、農業は、昔は手作業で田植えあるいは稲刈りをしておりました。現在で手作業でやっておるとマスコミに取り上げられるぐらい、農業機械は発展をしてまいりました。そうしたものは、全て民間の農機具メーカーが開発したものでございますけれども、とりわけ、種子の開発、米あるいは麦、大豆等につきましては、都道府県の農業試験場等の公的機関が開発をしてまいりました。

 そのいわゆる研究機関が、ここで一部撤退、全て撤退かどうかわかりませんが、撤退をされるということになりますと、従来、試験場でやっておられました開発というのがなくなるということでございます。

 従来のそうした公的機関が地域農業に果たした役割、意義というものにつきまして、まず冒頭、お尋ねをいたします。

細田大臣政務官 本日審議されております主要農作物種子法に関する御質問であるというふうに理解しておりますが、今般廃止を提案しております主要農作物種子法については、戦後、食糧増産を行わなければならない、特に優良な主要農産物を生産、普及させなければならないということが国家的な課題であった昭和二十七年に制定されて以来、稲、麦、大豆について、全ての都道府県に対し、原種等の生産や、普及すべき優良な品種、これは奨励品種と言っておりますが、奨励品種を指定するための試験等の義務づけを行ってきたところでございます。

 品種の開発については、この農作物種子法の中に規定はございませんけれども、今御指摘があったとおり、これまで都道府県の農業試験場等は、それぞれの産地の戦略のもとで品種開発を実施し、稲、麦、大豆の単収の増加、病害虫や災害への抵抗性の向上等、優良な品種の供給に重要な役割を担ってきたというふうに認識をしております。

 この法令の廃止後も、このような都道府県の農業試験場等の重要性は何ら変わるものではなく、地域のニーズあるいは産地のニーズを踏まえながら、都道府県の御判断により、品種開発の体制が維持されるものというふうに私どもは考えております。

池田(道)委員 今まで公的機関が開発をしてこられた種子等につきましては、御承知のように、例えば、減反政策が始まった当時からいうと、ほとんどの銘柄が変わってきております。そしてまた、倒伏しにくい、あるいは抜群の食味、そして病害虫の発生が少ない、そうした品種を次々と開発してこられました。

 そうした今までの公的機関が持っておるノウハウと、これから民間の方々が開発をしていかれる、そうした中におきまして、ほとんど民間の方々はそういうものを開発してきておられないわけでございますから、今後のそうした公的機関が持っておるノウハウを含めた交流等につきましてはどういうふうになるのか、まずお尋ねをいたします。

西郷政府参考人 先ほど細田政務官からの答弁にございましたとおり、農作物種子法は品種開発について規定したものではございませんので、都道府県における稲、麦、大豆の品種開発体制には直接的な影響は生じないと考えております。

 先生御指摘のとおり、都道府県の試験場は、これまで、地域のニーズや特性を踏まえて、それぞれの戦略のもと、独自のブランド品種の開発だとかを行ってきており、今後も、この法律の廃止後も、都道府県の御判断に基づきまして、品種開発体制が維持されるものと考えております。

 その上で、今御指摘のように、例えば中食、外食向けの米を取り扱う事業者や規模拡大を目指す生産者等の品種開発ニーズは非常に多様化してきているということもございます。これらの市場のニーズを機敏に捉えて対応できる民間事業者の方々の特徴を生かして、それから、今度別途お願いしております農業競争力強化支援法案にも触れてございますように、公的研究機関の有する知見を提供しながら多様な連携を生み出す、オープンイノベーションと言っておりますけれども、今後、民間事業者と公的機関がそれぞれの強みを生かした形で品種開発を進めてまいるということでやってまいりたいと思ってございます。

池田(道)委員 御承知のように、種子の開発というのは一年や二年ではできるものではありません。すぐにどうのこうのということにはならないと思います。

 今までは、農家の方々は、種子の注文というのは、刈り入れが終わった秋に、新年度はどうしようかなというのは、JA等から種子の注文書が回ってきて、それによってどの品種を何キロという形で注文をしておったわけでございますが、今後は、そうしたいわゆる種子の購入というものはどういうふうな形になるのか。従来どおりなのか。それとも、今でも一部農家の方々は直接肥料等は一般の会社と契約して安く仕入れておるという状況でございますけれども、そうした肝心の種子の購入等については、今後はどういうふうな方向でなされていくのか、まずお尋ねをいたします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、基本的に、種子法が廃止されましても、国、都道府県の主要農作物種子の生産、流通等における基本的な役割というものは従来までと変わるものではないと考えております。ただ、今後は、民間のノウハウを一層活用して、広域的、戦略的に種子の開発、生産等を進めていくということになると考えているところでございます。

 具体的には、まず、種子の生産面でございますけれども、ほとんどの都道府県におきましては、これまでと同様に、奨励すべき品種の原種、原原種を生産し、必要に応じて民間企業に業務を委託するというようなことになるかと思います。また、一般種子の生産につきましても、これまでと同様、各都道府県の種子協会がございますが、種子協会が見積もった生産量を踏まえて圃場を指定して、協会などの指導のもとで種子生産農家が種子を生産するということになろうかと思います。

 一方、民間企業は、多くの場合、みずから原種、原原種を生産し、一般種子は、民間企業が農業者を選定した上で生産を委託して、民間企業の技術者による指導のもとで生産するということに相なろうかと思います。

 また、流通面でございますけれども、各都道府県の種子協会などは引き続き存続いたしますので、そこにおきまして、各地の種子の需要供給量の把握、あるいは種子供給量の調整等を実施し、そして、最終的な農業者への種子販売につきましては、多くの場合、引き続きJAなどが行うこととなります。

 一方、民間企業が生産した種子につきましては、民間企業が直接農業者に販売する場合もあることになろうかというふうに考えているところでございます。

池田(道)委員 そういう方向、一部その答弁の中で、例えば今の野菜の種のように、ホームセンターへ行って、ニンジンならニンジンでもいろいろな種類がございますが、そういうことになったのでは、ちょっと、後の乾燥、いろいろな形で、精製等で不都合が生じると思いますので、その点、農家のためにということでよろしくお願いを申し上げます。

 最後、時間がなくなりましたが、もう一点だけ。

 もみ種も、案外、農家の支出の割合の中では高うございます。疎植の植え方等でもみ種を減すという方法もございますが、逆に、鉄コーティングのように直まきをすればもみの量もふえてまいります。

 そうした中で、今後、民間等へいろいろな形で種子開発をお願いするという方向になった時点で、値段的にはどういうふうな形で、当然、安くなるのが本来だろうと思いますけれども、そのあたりの見込みはどういうふうにお考えか、お尋ねをいたします。

柄澤政府参考人 私ども、各都道府県に聞き取りを行っておりますけれども、大半の都道府県におかれましては、種子法が廃止されても引き続き種子の生産、普及に関与するというふうにおっしゃっておられます。今後とも都道府県におきまして同様な体制で種子生産が行われることを前提とすれば、都道府県の生産、普及する種子の価格自体が高くなるということは想定されないところでございます。

 逆に、種子法の廃止や、あるいは農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置などを通じまして、民間企業の種子生産への新規参入が促進され、都道府県のコスト削減も図られることになれば、種子価格の引き下げにつながる可能性もあるというふうに考えております。

 一方、民間企業の品種の中には都道府県が生産に関与する種子と比較して価格が高いものもございますけれども、こういった場合には収量も高くなっておりまして、栽培する農業者の所得を見た場合には、むしろ従来の品種と比べて遜色ない水準というようなデータもございます。そういうことで、現に、現在も一部の生産者によってそういった品種が使われているというふうに理解しております。

 いずれにしましても、法律の廃止によりまして都道府県と民間事業者の連携による種子生産が促進されれば、結果、供給される品種が多様化し、農業者にとって選択肢がふえるというメリットになると考えているところでございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

北村委員長 次に、中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきましたこと、心からお礼を申し上げます。

 昨年夏、北海道、東北地方を襲いました連続台風でございますが、十勝地域の被害に対して迅速な対策を講じていただきましたことに深くお礼を申し上げさせていただきたいというふうに思います。省庁の壁を乗り越えて復旧復興に取り組んでいただいたおかげで、例えば、河川の掘削土、ダンプ三万一千台分、十七万立米の被害農地周辺への移送が既に完了しているところでございます。その結果、流失した農地のうち四五%はことし作付が可能であるということが報道されるなど、急速な復旧復興が図られつつあります。関係各位の御努力に改めてお礼を申し上げるところでございます。

 主要農作物種子法を廃止する法律案についてお尋ねをいたします。

 当該法律第一条の「目的」に、「この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とする。」とされていることなどから、本法律を廃止することにより、国内において主要農作物の優良な種子を育種、生産することが停滞し、遺伝子組み換え作物を育種している海外の会社の種子の流入が促進されるのではないかと誤解をしている生産者がたくさんおられます。

 私に対しても、外圧に屈するな、法律を廃止することを阻止してほしいと、けさもこういうファクスが入っていたところでありますけれども、たくさんの誤解が生じている、このように思います。

 こういった誤解を解くために、広く生産者の皆さんに、なぜ今、種子法を廃止しなければならないのか、また、廃止することによって国内の主要農作物の生産にどのように資するのか、わかりやすく、丁寧に説明をお願いします。

柄澤政府参考人 種子法廃止の考え方につきましてお尋ねがございましたので、整理して丁寧に御説明申し上げたいと思います。

 まず、主要農作物種子法につきましては、戦後、食糧増産が国家的課題でありました昭和二十七年に制定されたわけでございますが、それ以来、稲、麦、大豆につきまして、全ての都道府県に対し、原種、原原種の生産、普及すべき優良な品種、奨励品種を指定するための試験などを義務づけることによりまして、主要農作物の優良な種子の生産及び普及に寄与してきたところでございます。

 一方、近年に至りまして、実需者のニーズを踏まえた民間企業の品種も開発されてきております。しかしながら、こういった品種につきましては、都道府県の奨励品種にはほとんど指定されている品種がないというような状況でございますので、制度として都道府県と民間企業がイコールフッティングに立っていないということでございます。

 今後、都道府県のみならず、民間のノウハウも活用して、より広域的、戦略的な種子の生産、普及を進めていく上で、問題が生じてきているというふうに認識しているところでございます。

 具体的には、種子法が都道府県中心の法制度となっておりますので、どうしても都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種に指定されることが避けられないということでございますので、現行の仕組みを前提とする限り、民間企業が開発した品種の奨励につながりにくいという問題。

 また、各都道府県内の利益にとどまらない、都道府県の枠を超えた広域的、戦略的な種子生産が求められます輸出用米ですとかあるいは業務用米というようなものに適した品種は、ニーズがあったとしても奨励品種に指定されにくい。

 さらには、種子の供給や品質が安定しているにもかかわらず、必ずしも米麦等の主産地でない都道府県も含めまして、全ての都道府県に対し、原種、原原種の生産、奨励品種を指定するための試験などを一律に義務づける必要性は低下している。

 こういう課題が明らかになってきているというふうに認識しているところでございます。

 そこで、今般、種子法を廃止するとともに、別途の農業競争力強化支援法案等によります民間企業の新規参入支援措置を講ずることによりまして、民間事業者の参入を一層進めて、都道府県が開発した品種のみならず、民間企業が開発した品種も含めて、結果として農業者の選択肢が拡大するという効果があるものと考えております。

 なお、委員御指摘の外資等の問題でございますけれども、種子法自体によりまして外資の参入あるいは遺伝子組み換え作物の種子の参入を防止しているわけではございませんので、種子法の廃止自体によって外資や遺伝子組み換え作物の種子の参入が進むということにはならないものと理解しております。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 種子の育種に関連すると思うんですけれども、お米の消費拡大についてお尋ねしたいというふうに思います。

 毎年約八万トンずつ消費が減少しているところでありますが、静岡のある米穀店の取り組みです。米が本来持つ甘み、うまみをしっかり残すすぐれた精米技術によりまして、良質の無洗米を供給し、対前年比一〇%増の好成績を上げておられます。供給している小学校の児童、そして先生方は大変おいしくなったということで感想を述べて、消費がふえたということであります。

 このように、同じお米でも加工技術の差によって食味がよくなるということがありますので、ぜひ、消費者、特に小学生のような将来を担う消費者、そして特に味覚が完成する時期の子供たちに国産米をよりおいしく食べていただくという対策は極めて重要だと考えています。

 このような技術改善等による消費拡大に取り組んでおられる関係者に対する支援策について、説明をお願いいたします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 大変残念なことでございますけれども、米の需要量は、長期的なトレンドとして見ますと毎年八万トン程度減少している状況にございますが、何とかこの米の消費減退を食いとめ、また消費拡大させていく必要があるというふうに認識しております。

 このため、農林水産省としましては、国内外における米の消費拡大の取り組みとしまして、まず、次世代の消費の担い手であります児童を対象とした米飯学校給食の推進、そして、健康面からの御飯食の効用発信や企業等と連携した朝食欠食の改善、米を中心とした日本型食生活の推進、さらには、主食用米の消費の約三分の一を占めます中食、外食等向けの業務用米の安定取引の推進、そして米、米加工品の輸出の推進という、いろいろな角度で取り組みを進めているところでございます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 私の地元は北海道十勝でありますけれども、早々に畑作に切りかえて、現在は酒米をわずかに生産しているだけでありますけれども、五穀米などに使用する穀類は地元十勝でも供給できますので、無洗米技術などと組み合わせて、お米をよりおいしく食べていただくことにより、米の消費拡大につながればというふうに思っています。

 そして次に、小麦の育種についてお願いです。

 私の地元十勝では、小麦の新たな品種の収穫量が年度によって大きく変動しております。また、昨年夏は台風災害があったということで、気候風土に適した種子の育種の重要性を多くの生産者が改めて再認識したところであります。ぜひ小麦の育種をしっかりやっていただきたい。小麦農林十号、映画で「NORIN TEN」というのがありましたけれども、富山県南砺市出身の稲塚権次郎さん、平成の稲塚権次郎さんに活躍していただきたい、このように思っています。

 生産性向上に資する育種を引き続き強化していくという農林水産大臣の御決意を聞かせていただきたいというふうに思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、農家、農業の生産性向上に育種は極めて大事なものでございます。収量性の高い品種を開発すること、あるいは地域の気候風土に適した安定的な生産ができる品種を育成すること、こういったことは大変重要でございます。

 また、御地元の北海道、気象の影響あるいは病害虫の発生、さまざま作柄や品質が不安定になるケースがございます。それを考えていきますと、まずは、湿害として問題となる穂発芽が発生しにくい品種、また、しま萎縮病や赤カビ病に抵抗性の強い品種、こういった品種の改良を進めていかなければなりません。

 今後も、国及び都道府県による品種開発を進めつつ、民間事業者の活力も生かしながら、官民の総合力を発揮して品種開発に取り組んでまいりたいというように思っております。

中川(郁)委員 大臣、ありがとうございました。

 続きまして、農業機械化促進法を廃止する等の法律案についてお尋ねをいたします。

 戦後の食糧増産という国家的要請を背景に制定されたこの法律でありましたけれども、型式検査制度、高性能農業機械の開発、導入制度が役割を終えたということは理解ができます。

 ただ、後ほど述べますけれども、農業機械の性能は日々向上していることから、高性能で省力化に資する農業機械の研究開発の重要性、研修の必要性はますます高まっているというふうに認識しているところであります。

 二月に、北海道札幌で自由民主党政調主催の宇宙利用セミナーを開催させていただきました。これは、昨年末、宇宙関連二法が成立をしたことからこのセミナーを行ったわけでありますけれども、国内の宇宙利用関係者が一堂に会し、有意義な意見交換が行われたものであります。その際、衛星画像などを利用した高精度な農業の実践や、小型衛星を頻回打ち上げる射場の整備に高い関心が集まったところであります。

 御承知のように、平成三十年までに四基の準天頂衛星が整備されるということから、無人運転可能で低廉なトラクターの開発普及を背景として、一人のオペレーターで数台のトラクターを操作する農業生産システムの構築、これが二、三年のうちに実現できる状況になっているというふうに思います。

 このように、高性能で省力化に資する農業機械の研究開発の重要性が高まっておりますので、今般、農業機械化促進法が廃止されたとしても、農業の生産性向上に不可欠な高効率な農業機械の研究開発がおくれることがないことを明確に御答弁いただきたいというふうに思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 大規模な経営を行います農業者が増加している中で、ICTまたロボット技術などを活用いたしました高効率なスマート農業に資する農業機械の開発が求められております。

 現在、こうした先端分野の研究開発を効率的、機動的に進めるために、農林水産省が進めております研究開発プロジェクトにおきまして、民間企業や大学とのコンソーシアム等を形成いたしまして、異分野の技術導入も積極的に進めてきているところでございます。

 今般、農業機械化促進法は廃止するということでございますけれども、同法に基づきまして農研機構がこれまで行ってまいりました農業機械の研究開発を引き続き実施できるように農研機構法に位置づけるとともに、国が農研機構に対して業務内容等の目標を示す中長期目標におきましても、農業の生産性向上に不可欠な高効率な農業機械を研究開発していくことを改めて明確化していくこととしておりまして、例えば衛星を活用した無人運転可能なトラクターの開発など、効率的な農業機械の研究開発がおくれることがないように、着実に進めてまいりたいと存じます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 私の地元、北海道十勝は、大規模経営が増加しているところであります。農業の生産性向上を目的として、衛星リモートセンシング画像の活用が図られております。衛星リモート画像を生産者へよりきめ細やかに提供するために、新たに起業をされている方もいらっしゃいます。

 衛星リモセン画像を農業で積極的に活用するためには、圃場データと正確に重ね合わせることが不可欠でありまして、農地のジオマッピングを推進することが必要であると考えております。

 農地のジオマッピングの整備の現況がどのようになっているのか、また、その現況を踏まえて今後どのように整備を図っていくのか、農林水産省のお考えを聞かせてください。

西郷政府参考人 御指摘の衛星情報の活用につきましては、既に北海道では、リモートセンシングによる小麦の生育把握とか収穫適期の判断において実用化をされております。農業の省力化あるいは効率化をもたらす技術として期待されているところでございます。

 農林水産省では、さらに、衛星情報を活用した小麦のたんぱく含量の見える化など、収量や品質の向上を実現するための研究開発並びに実証などに取り組んでいるところでございます。

 現在のところは、こうした取り組みにあわせて、御指摘の地図情報でございますが、圃場の地図情報の整備などにつきましても進めているところでございまして、今後、研究開発をさらに進めまして利用を拡大して、地図情報に関する取り組みについても検討してまいりたいというふうに考えております。

中川(郁)委員 整備された農地のジオマッピング、正確なマッピングは、これからも予想されます大規模災害、この災害からの迅速な復旧復興に大きく寄与するものだというふうに考えられますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 最後の質問になります。

 農業機械化の高度化に伴う研修の重要性についてです。

 例えば、現在実施されている新技術農業機械化推進研修、精密農業・自動化ハイテクコースについては、農村の高齢化、農家人口の減少等の課題に対するため、ロボット技術やICTを活用した超省力生産技術に対応できる人材を育成することを狙いとして実施されているんだというふうに思っています。先ほど述べた無人トラクターの実用化などを背景に、女性のオペレーターの増加など、農業地帯においても女性の働き方改革が進むものだというふうに考えています。

 その際、農業地帯における関連技術の高度化が安全に着実に進むよう、人材育成や研修の充実強化についてどのように考えておられるのか、農林水産省のお考えを聞かせてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農業機械の高度化に対応できる人材を育成することは、担い手の一層の規模の拡大、省力化や低コスト化を図っていく上で非常に重要と考えております。

 このため、農林水産省では、農林水産研修所におきまして、御指摘がございましたロボット技術ですとかICT等の最新技術を学びます新技術農業機械化推進研修を行ってございますし、御指摘のとおり、これらの技術は労働負荷を軽減することが可能となりますので、農業現場での女性の働き方改革にも貢献できるものと期待をしております。

 また、このような高度化の進展を機に、女性農業者の活躍できる場も広がっていくものというふうに考えておりまして、今後、平成二十七年度から同研修所におきまして実施しております女性農業者を対象といたしました研修のさらなる拡充も予定しているところでございます。

 今後とも、研修の強化等を進めまして、生産現場での人材育成が円滑に進むように取り組んでまいりたいと存じます。

中川(郁)委員 大変どうもありがとうございました。

 時間になりましたので、質問を終了させていただきます。

北村委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 農業機械化促進法そして主要農作物種子法を廃止する法律案につきまして、順次質問してまいります。

 初めにお断りをさせていただきますけれども、既に自由民主党のお二方の議員の方からも質問がありまして、私の質問が一部重複すると思います。しかしながら、会派を代表して、また確認の意味を含めて質問をさせていただきますので、御理解をいただきたいと思います。

 昭和二十八年に制定されて今日に至る農業機械化促進法、これは、型式検査制度の必要性の低下ですとか、それから高性能の農業機械の開発、導入が進展をして、国あるいは都道府県中心の開発、導入制度の必要性が低下をしたということで、今般廃止をすることとして法案が提出をされております。

 それから、主要農作物の種子法についても、種子の品質が安定をしてきているということ、それから、多様なニーズに応えていくためには民間ノウハウを活用して品種開発を図るとして、今後は都道府県とそれから民間企業との連携によって種子の開発や供給をするということで、廃止法が提出をされている、このような状況でございます。

 そこで伺ってまいりますけれども、まず農業機械化促進法について伺います。

 現在の我が国の農業の状況を踏まえていきますと、これは課題を含めた解決ということで、担い手不足、それから高齢化、労働力不足、これが喫緊の課題であって、そのために、ロボット技術ですとかICTの技術の導入、このことによる農作業の省力化それから低コスト化、これらのことを進めることが大変重要な施策となってきているというふうに承知をしております。

 実際に、私の選挙区であります岩見沢市におきましては、GPSと気象システムを使いまして、トラクターの自動運転など、省力化に取り組んでおります。先般は、このことが大変評価されまして、総務省のICT地域活性化大賞二〇一六、こういうのがありまして、ここで奨励賞を受けて、GPS機能を導入する農家も現在岩見沢市で百戸を超える、こういう状況になってきております。

 それからもう一つ、これは非常に大事な視点だと思うんですけれども、野菜ですとか、特に漢方薬の原料となる薬草栽培、ここについては、最近、そうした生産農家あるいは法人がふえてきています。しかしながら、各種の移植機械とか収穫機械の開発が十分とは言える状況になっていないという現実がありまして、特に、今私が申し上げました、近年、国内での生産を強化している原料生薬の生産現場、ここでは薬用作物に利用できる農業機械が極めて少ない、こうした喫緊の課題があるということも、ぜひこの機会に皆様にも御理解いただきたいと思います。

 そこで伺いますけれども、こうした現場のニーズ、こういうことに対して、政府として、農水省としてどのように対処しようとしているのか。それから、本法が廃止後に農業機械の開発とか実用化、このことに対してどのような体制で取り組まれようとしているのか。この点についてお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 岩見沢の例のように、現場ニーズは極めて大事でございます。省力化、低コスト化、農業機械に対する期待は高まっているというように思います。

 しかし、農業機械化促進法については廃止をするわけでございまして、その意味で、担い手等のニーズを把握しながら、そうした期待に応えるということが大事だろうというように思います。

 この法律に基づきまして、農研機構が行っております研究開発を農研機構法に位置づけます。そして、担い手等のニーズを踏まえた農業機械の試験研究が機動的に進められるように措置するということにしております。

 また、国が農研機構に対して業務内容等の目標を示す中長期の目標、これにおきまして、担い手等のニーズを踏まえた農業機械あるいは農業用ロボット、そういうものの研究開発をすべき内容を明確化するということにしております。

 こうしたことによりまして、農業機械の開発、実用化を着実に進めてまいりたいというように思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 大臣、ぜひよろしくお取り組みをお願いしたいと思います。現場のニーズに即した機械の開発等々について、中長期的にしっかり位置づけるというお話をいただきましたので、安心をさせていただいた次第でございます。

 次に移りますけれども、先ほど私が申し上げましたように、農業、農村を取り巻く環境は、時代の変化の中で、特に高齢化それから担い手不足、こうしたことが大変顕著になってきている。

 そこで、繰り返しになりますけれども、生産現場では、作業の効率化、それから労働負担に資する高性能な農業機械の導入が進められてきた。一方で、この農業機械の開発促進の中で出てきたもう一つのテーマとして、高額な農業機械の導入が農家の大きな負担を伴って一部経営を圧迫している場面も見受けられます。

 このような中で、現場が大変心配しているものの一つとして、今般、この農業機械化促進法を廃止することによって、農業機械の価格に影響が出て、もっとはっきり言うと価格が上がるのではないだろうか、こうした不安の声もあります。このことについての見解をお伺いしておきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農業機械化促進法につきましては、良質かつ低廉な農業生産資材の供給を進めていく観点から、今回廃止することとしたところでございまして、これによりまして農業機械の価格が高くなるようなことはないというふうに考えてございます。

 また、農業生産資材の価格の引き下げによりまして、我が国の農業の競争力の強化を図るために、農業競争力強化プログラムに基づきまして、民間企業、研究機関、農業者等が連携いたしまして国際競争性を有した農業機械の開発を促進することとしておりまして、最低限必要な機能、装備のみを備えたシンプルな農業機械の研究開発、建設作業機械等の異分野メーカーの新規参入による競争の促進、メーカー間の部品や仕様の共通化の促進などの取り組みも進めまして、農業者が少しでも安く農業機械を購入できるように取り組んでまいりたいと存じます。

稲津委員 以上、農業機械化促進法を廃止する法律案につきまして、二点質問をさせていただきました。

 引き続き、主要農作物種子法を廃止する法律案について、数点伺っておきたいと思います。

 この法律は、先ほど来説明もありましたけれども、食糧生産が国家的な課題だったそのときに、まさに都道府県における稲、麦、大豆、こうした原種の種子生産の普及をしっかり義務づけていくということでこれが取り進められてきて、以降、六十二年間にわたってこの制度が維持をされてきました。私は、この間、優良な種子の開発、生産、普及ということが進んできた、そのことによって、我が国における食料の安定供給や、ひいては農業、農村の発展に寄与してきた、このことは大変大きいものである、このように受けとめております。

 こうしたことを背景に、育種や種子生産について、この法律の廃止により、都道府県の基礎研究とか原種の管理体制、こうしたことが縮小するのではないか、こういう一部懸念の声もあります。引き続き都道府県が役割を担うべきじゃないのか、こうした声も一部あります。

 そこで、本法廃止後における主要農産物種子の開発、生産、流通、管理体制、これがどのようになっていくのかということ、改めてここを確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 種子法の廃止をいたしましても、国と都道府県の種子の開発、生産、流通、管理、こうしたものにおける基本的役割は変えないでおきたい。そして、さらに加えて、今後民間の力を活用できないものか、さらには、そのことにおいて、都道府県のエリアから超えて、広域的なそういう取り組みやあるいは戦略的な取り組みが種子の分野でも開発、生産が行われるということになってもらいたい、こう思っております。

 まず、御指摘の開発でございますが、これは、国はこれまでと同様、戦略的な品種開発に必要な遺伝資源の収集、育種技術の開発を行います。また、都道府県は、農業試験場を中心に独自ブランド品種の開発を行います。

 さらに、生産の段階では、これは原種、原原種を生産していただき、必要に応じて民間企業に業務を委託するなどしていただき、一般種子の生産も、これまでと同様に、種子協会が見積もった生産量を踏まえて圃場を指定していただき、協会等の指導のもとに種子生産農家が種子を生産する。さらには、民間企業が原種、原原種を生産していただき、一般種子は、農業者を選定の上で生産を委託し、民間企業の技術者による指導のもとで生産するということになる。

 さらに、御指摘の流通でございますけれども、種子協会等が引き続き存置されますので、各地の種子需要、供給、それの把握や供給量の調整をしていただく。さらに、農業者への種子販売は引き続きJA等が行っていただく。民間企業が生産した種子は、民間企業が直接農業者に販売する場合もございます。

 そして、品質の管理でございますが、種苗法の基準に沿って、現行の種子法と同様の規定を追加しまして、都道府県が品質を確認していただくということになるわけでございます。

 加えて、都道府県の負担を軽減するための地方交付税、これは予算編成でございますけれども、各省に働きかけをいたしまして、これをしっかり位置づけたいというように思っております。

稲津委員 今大臣から大変丁寧に御答弁、御説明をいただきました。非常に大事なことで、これがこの廃止法の一番肝になるところであったというふうに思っております。

 そこで、このことに関連してもう一点お伺いしておきたいと思うんですけれども、都道府県では、地域の特性とかニーズを踏まえて、新品種の育成に力を注いでまいりました。例えば、主要農産物のうち、稲ですけれども、この奨励品種の約四割がそれぞれの自分の県で開発されたものとなっております。

 ここに着目して、一つ例を挙げたいと思うんですけれども、北海道においても、北海道農業試験場で育成されたきらら三九七、それからゆめぴりかとか、最近では大変注目を浴びておりまして、これらの奨励品種が開発をされて、食味のよさから大変売れ行きのいいお米になっております。

 かつては、北海道のお米というのはなかなか食味がよくないということで人気がありませんでした。そして、道民が道産米を食べる食率が四割ぐらいという、そういう時代もありました。今は八〇%を優に超えている、こういう状況になりまして、道民はもとより、国内外でも大変人気の高いお米になってきたということがあります。

 この前も、品種開発というのは、御存じかと思うんですけれども、幾つもの過程を経て進められてきているということ、育成の、育種の期間は少なくとも十年余り、最近少し早くなってきていますけれども。ただ、果樹、果物ですね、そこに着目すると、果樹関係は二十年から三十年ぐらいかかる、こういう状況です。

 それから、特に基礎研究、これはなかなか利益につながりにくくて、民間が乗り出しにくいという面もある、このようにも承知をしておりまして、こうした品種の開発における都道府県の機関の現状と、今回の本法廃止の影響をどのように見ているのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。

西郷政府参考人 現在、都道府県におきましては、御指摘のとおり、地域のニーズや特性を踏まえてそれぞれ戦略をお立てになって、独自のブランド品種等の開発を行ってきているところでございます。

 二〇〇一年、平成十三年以降の品種登録の出願状況を見ますと、稲では三十四道県で二百四十七品種、それから、麦では九道県で三十四品種、大豆では七道府県で二十七品種が開発されているところでございます。

 今般廃止される主要農作物種子法は、品種開発については何ら規定しているものではございませんので、これが廃止されても、都道府県における稲、麦、大豆の品種開発の体制に直接的な影響は生じないものと考えております。

 農林水産省といたしましては、これまでも、都道府県の試験研究機関に対して、我が国の農業の発展に資する新規性や有用性の高い品種の開発につきまして、委託研究や競争的資金というスキームを使いまして支援をしてきたところでございます。引き続き、今後もこのような取り組みを推進する考えでおります。

稲津委員 最後にもう一点だけ確認をさせていただきたいと思います。

 この法律の廃止による懸念の声で最も象徴的なのは、供給が不安定になるんじゃないだろうか、種の価格が高騰すれば経営に影響が出る、それから、国内での供給が減退するのではないか、こうした声も一部あります。このことについてどのようにお応えをいただくのか、この点についてお示しください。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもが各都道府県に聞き取ったところによりますと、大半の都道府県におかれましては、種子法が廃止されても引き続き種子の生産、普及に関与するという回答が得られているところでございますので、今後とも同様な体制で種子生産が行われることを前提とすれば、都道府県の生産、普及する種子の価格自体が高くなるということは想定されないところでございます。

 逆に、種子法の廃止や農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置などを通じまして、民間企業の種子生産への新規参入が促進され、都道府県のコスト削減も図られれば、種子価格の引き下げにつながる可能性もあるというふうに考えております。

 一方、種子の生産については、ほとんどの都道府県は、これまでと同様に、各都道府県に設置された種子協会が把握する需要に基づき生産量を見積もった上で、種子生産圃場を指定し、種子協会や普及指導員などによる種子生産農家への技術指導を行うということでございますので、そういった中で種子の安定供給に影響が出ることは想定されないところでございます。

稲津委員 これで終わらせていただきますけれども、きょうの私の質問の趣旨というのは、今回の二法の廃止に伴って、現段階でやはり生産現場での不安の声を少し代表させて質問させていただきましたが、今それぞれ御答弁をいただきました。こうしたことが現場にしっかり伝わっていくようなことを省としても今後取り組んでいただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わります。

北村委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民進党の福島伸享でございます。

 きょうは、森友学園の問題じゃなくて、表番組で盛大に証人喚問をやっておりますので、農産物種子法等の農政の課題について質問させていただきます。このような時間をいただきましたことを感謝させていただきます。

 まず、昨年の臨時国会以来議論しておりますSBSの米の話でありますけれども、資料一にありますように、調整金を禁止して以降、主力の米国産中粒米で、この赤い上の線でありますけれども、売り渡し価格で見ると二割ぐらい下落しております。

 この間、国産米は、平成二十七年産米から二十八年産米を見ますと、上のブルーの線ですけれども、値段が上がっておりますし、特に、SBS米と競合する業務用米というのは、この低価格帯の米が、飼料用の米に作付が転換されたことによって値段が上昇しているというように言われております。

 通常であれば、業務用の値段が上がっているのにつられて上がってもおかしくないわけでありますけれども、需給によって価格が決まるというわけですから、ずっとそう答弁していたので、逆に下がっているということであります。

 大臣は、一月十三日の記者会見では、二回の入札結果でありまして、今回の契約内容の改善による影響を評価するというにはまだ少し資料として十分ではないとおっしゃり、二週間後の一月二十七日には、金銭のやりとりの禁止で価格が下がったと判断できる状況にはないと言い、二月十日の記者会見では、要因が複雑多岐でございますので、一概に何が原因とは言えません、三月七日の閣議後会見では、上がったものもあれば下がったものもあって、その価格変動の要因は一概に言えない。

 ずっと評価を避けておりますけれども、これは誰が見たって一目瞭然ですよね。調整金をなくしたから値段が下がったんですよ。もうそろそろそのことを正直にお認めになってはいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 昨年の九月七日に第一回のSBS入札を行いまして、その後、調整金の問題等ございましたので、十二月十六日までSBS米の入札を控えておりまして、それ以降、計五回入札をしました、三月三日まで。平成二十八年の累計落札数量は、SBS枠が十万トンに対しまして、七万三千三百十四トンでございました。

 この入札再開前、第一回の一般米の平均は、一キログラム当たり百八十二円、再開後五回の平均で百六十七円、確かにここが価格が下がっておるわけでございます。

 入札再開前と再開後を比較するとそういうことが言えようかとも思いますが、例えば、米国産の短粒種につきまして申し上げれば二十五円、タイ産長粒種につきましては四十九円上昇しているわけでございます。

 ですから、この価格変動というのは単に調整金だけではない要因があるというように思っておりまして、その意味におきまして、今後とも、SBS米の制度の適切な運用、これが大事であろうというように考えておるところでございます。

福島委員 役所が影響ないといって説明するために一生懸命やった資料、それを信じない方がいいと思いますよ。

 例えば、米国産の短粒種は上がっていると言いますけれども、次のページを見てください。緑の一番上の線が米国産短粒種なんですけれども、二百三円から始まって、ひととき三百十六円に上がって、結局、百八十七円まで直近は下がっているんですよ。先ほどおっしゃったように、この五回の平均をとれば三百十六があるから上がったように見えるけれども、もともとこれは、そもそも米国産短粒種というのは量が少なくて、一回一回で振れ幅が多いんですよ。圧倒的な多くは、米国産の中粒種がほとんどなんです、SBSというのは。それは、平均で見なくても、トレンドとしても下がっているんですね。

 タイ産の長粒種も言いましたけれども、大体これはタイ料理店で出されるチャーハンとかのお米であって、日本の業務用とは全くかぶらない別の品種なんですよ。一番日本の米に影響があるのは米国産の中粒種ですよ。現に業務分もそうなっているんですよ。

 これは、そもそもなぜこう下がっているか、実態をちゃんと調査しましたか。業者にヒアリングなどをして調べていますか。

柄澤政府参考人 今御指摘がございました米国産の中粒種でございます。ことしの入札におきまして中粒種のウエートが高いわけでございますが、実は、米国産中粒種につきましては、国産のものに比べますと、かたい、ぱさつく、あるいは冷めたときの食感が悪いというようなことで、一般的に国産米にまぜてブレンドとして使用され、主に丼物やチャーハン用等の用途に限定されているということでございます。

 そういった中で、米国産中粒種につきましては、国産米との品質格差を反映しまして、従来より、一キログラム当たり五十円から百円の価格差が存在しているところでございます。(福島委員「聞いていないことに答えないでください。答えていないじゃないか、質問に。答えてください、質問に」と呼ぶ)

北村委員長 柄澤統括官。

柄澤政府参考人 今御指摘の米国産中粒種の価格の状況あるいは品質の状況について調査した結果を今申し上げたところでございます。

福島委員 なぜこう下がったかを調査しているかと言っているんですよ。ちゃんと答えてください。私はこの委員会で対決なんてしたくないんですよ。誠実に質問に答えてくださいよ。

柄澤政府参考人 米国産中粒種につきましては、昨年、米国でかなりの豊作でございまして、米国における現地価格自体が低下しているというようなこと、さらに、先ほど申し上げましたように、そもそもクオリティーとして、非常に、丼物、チャーハン用等に用途が限定されているというようなことで、実需者の用途も限定されるという中で、今回の入札におきまして政府売り渡し価格が若干下がってきているというふうに認識しているところでございます。

福島委員 これも今まで政府が言ってきたことと違うんですよ。輸入米と国産米はほぼ価格は同じだ、多少はそれは低いかもしれないですよ、同じだと言って、しかも、価格決定の要因は国内の需給とか品質によって決まると言っているんですよ。今、需給は、業務用米は逼迫しているんです。それにもかかわらず、下がっているんですよ。この間、トレンドとして下がり続けているということは、結局、ちゃんとヒアリングをしていないんですよ。

 私は業者から聞いていますよ、関係の業者から。ほぼ口をそろえて、調整金が禁止をされたからこうした値段になっている、今までの値段は調整金があったから高かったというのが多くの輸入や卸の人の声ですよ。こうやって、ああでもない、こうでもないと都合のいいことだけ言ってやってはいけないです。

 なぜそのことを言うかというと、国産米よりも価格が、今、この段階で米国産中粒種は四割も低いわけですよ。TPPの試算も全部狂うんですよ。これから仮にトランプ大統領が二国間の交渉で、米の、SBS米の輸入をふやせと言ったら、今のように四割値段が下がったら、これを拡大すれば必ず国産米の値段は下がります。影響はないと言えないんですよ。

 だからこそ、ちゃんと分析をしてほしいんですよ。いつまでも大臣が毎月毎月記者会見でよくわからないと言うんじゃなくて、実態の、取り扱っている商社だって卸だっているわけだし、農業経済学者だっているわけだから、今その要因を誠実に調査することが、これから始まるであろうアメリカとの、二国間との間でも大きな影響があるんですよ。

 大臣、もうちょっと誠実に。この話は、秋から真面目にやろうとしていない。国益がかかっているんですよ。これから交渉も始まるんですよ。しっかりと要因を分析すべきであると思いますけれども、大臣の御認識はいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 柄澤統括官が申し上げましたように、かなり、農林省の中でも、プロが何人もおりまして、その方々がSBS米について、現地の凶作か豊作かというようなことから始まって、流通して日本に到着するというようなところまでウオッチをきちっとしていると私は考えておりますし、また確認もさせていただきました。

 その意味において、調整金が主たる要因であるかどうかについて、私自身がそれを断言はできないというように思っているものですから、柄澤統括官が答弁したというようなことが主なこの中粒種の下落要因であるというように思っております。

福島委員 甘いと思いますよ。今まで、TPPの試算のときに何度も議論してきたんですよ。輸入米は国産米と価格は変わらない、輸入米の価格は需要と供給の関係によって決まってくると何度も答弁してきたじゃないですか。その結果、四割の差があるんです、値段で、価格で。このSBS米をふやしたら、当然、国内の価格や需給に影響を与えるのは当たり前じゃないですか。だから、こういう事態になったからちゃんと調査をしろと言っているのに、調査をしない、するつもりがないということがよくわかりました。

 大臣が思っているより多くの人がこのSBS米のことは心配しておりますよ、現場の生産者や関係団体の方も含めて。ちゃんと私は理論武装すべきだと思いますよ、これからトランプさんが二国間の交渉を言うのであるとするならば。今のような不誠実な対応では、到底、我が国の主力である水田農業は守れないということを申し上げたいと思っております。

 次に、きょうの議題の主要農産物種子法の廃止に移りたいと思っております。

 政府は、種子の品質は安定しているとか、都道府県と民間企業の競争条件が対等になっていなくて、公的機関の開発品種が大部分になっているとか、民間企業との連携により種子を開発、供給することが必要だ、だからこの種子法を廃止すると言っております。

 まず、大臣にお聞きしたいんですけれども、こうした米とか麦とか大豆といった種、主食用のものの種というのは、単なる一商品なのか、一商品であるものを超えた公共財としての性質を持つものなのかどうなのか、どう御認識でしょうか。

山本(有)国務大臣 委員御指摘のとおり、単なる物ではありません。農産物イコール生命の糧という意味もあります。公共財的色彩の強い商品であるというように思っております。

福島委員 おっしゃるとおりだと思います。

 ですから、これはもともと、今の種苗法のもとになる法律になるときに、米とかを外して、別にして、別の枠としてこの法律で手当てをするようにした。むしろ、食糧法、昔の食糧法の中でやっていて、それは、法制定時は食糧増産という国家的要請があったとしているわけですけれども、今後ともそういう事態が全くないとは言えないと思いますよ。

 国の役割というのは、危機管理、緊急時にどうやるか。最後に、食料の安定供給、国民のおなかをしっかり満たすことができるのかというのを責任を持つのは国の役割だと思うんですよ。

 昭和二十七年の国会審議、参議院でも、東畑四郎さん、東畑精一さんの弟さんで後に事務次官になる方、この方も、従来、食管制度に基づいて主食用の種の管理というのは取り扱われてきたんですけれども、予算制度上の問題とか普及の実務を考えると別の法律にしなけりゃならないんだということでこの法律をつくっているというのが国会のやりとりであります。小倉武一農政局長、後の次官も、食料自給度を高めることをこの法律の目的としていると言っておりまして、現代でも、種子、種を制する者は世界の食料を制すというふうに言われていて、誰が種の主導権を握るかというのは非常に大事なんですよ。

 そのために、この法律というのは、民間参入の阻害とか阻害じゃないという以前に、食料安全保障とか危機管理という問題として、主食用の米はほかの野菜とかとは別にきちんと公的に管理しておいて、いざというときに供給できる体制をつくるためにあるものだと思うんですよ。それが、この法律がなくなったらできなくなっちゃうんじゃないですか、どうですか。

山本(有)国務大臣 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律には、政府は、米穀の供給が大幅に不足し、または不足するおそれがあるため、米穀の適正かつ円滑な供給が相当の期間極めて困難となることにより、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、または生ずるおそれがある場合において、閣議決定を経て告示する。その上で、農林水産大臣は、米穀の出荷、販売の事業を行う者に対する命令、あるいは、米穀の生産者に対する命令、米穀の割り当て、配給というような制限を行うことがあり、そうした緊急時における法体系という中に米あるいは穀物というのがしっかりと位置づけられております。

 そして、今回の種子法につきましては、危機管理についての条項は必ずしもこれに置いておるわけではありません。むしろ、食糧の増産、不足時における種子のあり方というようなものを規定しているというように認識しておるところでございます。

福島委員 今の新食糧法のもとのところにはどう書くんですか。もし、もみがない、種子がないというときに、どういうふうな命令をかけるんですか。具体的にお答えください。

山本(有)国務大臣 もう御承知のとおりでございまして、もしこの種子を種もみとして使うとするならば、仮にでございますけれども、国内の全ての水田の作付をするのに七万トン必要でございます。これを上限といたしまして、主食の食用としての生産をするということは今でも可能でございます。

 そんな意味で、私ども、主要農産物は食用としての生産物であるし、また種子としての利用というものが可能ということで、大変この面におきましては安定的に推移できるというように確信を得ているところでございます。

福島委員 いや、そうならないおそれがあるんですね。

 皆さんが大好きなみつひかりという米がありますけれども、これはF1ですよね。F1の品種だから、普通のコシヒカリとかだったら、今のことしのもみをまけば発芽するし、また続けて増殖できるんですよ。

 仮に、そういうのがなくなって、都道府県も圃場を持たなくなって、みんなF1の種をどこかの会社の企業が持って、なおかつ、種の生産自体は日本でやる必要はないんですよ。例えばベトナムに種の農場をつくってそこから輸入するということだって、今でも可能と言ったけれども、それはこの法律があるから今は可能なのであって、将来、みんなF1のもみになって、しかもそのもみの生産が国内で行われなくなったというときに、さあ、ではもみを下さいって、どうやって危機管理できるんですか。お答えください。

柄澤政府参考人 先ほど来答弁申し上げておりますが、各都道府県は、現状の生産体制、普及体制は基本的に継続する意向をお持ちでございますので、今委員御指摘のように、我が国の種子が全て民間企業のF1になってしまうというような想定はできないところでございます。

福島委員 それは全然違います。今はそうですよ。しかも、皆さんがヒアリングしているのは都道府県の農政部局です。都道府県は必ず毎年予算の査定を受けて、私も地元で聞いてきましたけれども、こういうのを一番真っ先に削られるんですよ、農政と関係のない人に。そのときに頼りになるのがこの種子法なんですよ。

 例えば、第六条とかに、都道府県は、「主要農作物の優良な種子の生産及び普及のために必要な勧告、助言及び指導を行わなければならない。」というふうに、都道府県に義務づける規定があるから今はやっているんですよ。そして、都道府県の農政部局は、この法律を根拠として、知事部局などが予算を削れと言ったときに、いや、これはもう都道府県の役割として法律にあるからと言っているんですよ。その根拠をなくすんじゃないですか。

 今までの議論を聞いていると、今できているから大丈夫というのはこの法律があるからであって、法律がなくなったらこの先どうなるかわからないじゃないですか。危機管理ができるかもわからないし、都道府県が今後やり続けられるというのは、何をもって担保されるというんですか。大臣、お答えください。

山本(有)国務大臣 都道府県は、地域の経済振興、地域振興等について極めて関心が深いわけでございますし、農政についても、これは言をまちません。その意味において、必要な勧告、助言、指導、こういったものは、法に書かなくても、私は、十分その権能で行い得るものだろうというように思っております。

福島委員 そんなことを言ったら、あらゆる法律が要らないじゃないですか。

 そもそも、そんな指導、助言をやるような立場に国と地方の関係はあるんですか。私は、地方自治の趣旨に照らしてもおかしいと思いますよ。農水省から口頭で、あるいは紙でもいいですけれども、そういう指導を受けたからやらなきゃならないんですというほど、私は、今の地方の役人たちというのは堕落していないというふうに思いますよ。

 今までの説明というのは、これがあったから、この法律があったからうまくいったという説明にしかならないのであって、これを廃止する理由にはならないと思います。

 そもそもこの話は、規制改革推進会議などでは議論されましたけれども、こうした農政的な観点から、農水省の今の次官以下の賢いお役人さんたちの中だけの議論じゃなくて、専門家の議論をやっていますか。主食の安定供給という観点からですと、例えば食料・農業・農村政策審議会食糧部会というのがありますけれども、私のところにも多くの学識者の人が懸念の話を言ってきていますよ。みんなで話を聞きましたよ、我々も。一応私も農学部なものですから、いっぱい先輩がいるわけですよ。非常にこれは危惧をしておりました。

 ちゃんとそうした審議会などの手続を経て農水省として意思決定をされたかどうか、その点についてお答えください。

柄澤政府参考人 時系列的に経緯を申し上げたいと思います。

 まず、この問題、出発点としましては、TPP大筋合意直後の平成二十七年十一月に取りまとめられました総合的なTPP関連政策大綱におきまして、生産者の努力では対応できない分野の環境の整備を通じた我が国農業の構造的問題の解決が重要であるという認識のもとで、いわゆる継続検討項目というものが掲げられまして、その継続検討項目を、平成二十八年秋を目途に具体的内容を詰めることとされたところであります。

 その後、二十八年八月に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策におきまして、検討継続項目に掲げられました生産資材価格の引き下げや、流通、加工構造の改革などの施策につきまして、平成二十八年内を目途に競争力強化プログラムを取りまとめるということとされました。

 これを受けまして、平成二十八年九月以降、政府並びに与党の中におきまして、精力的にいろいろな検討、議論が行われ、その結果、平成二十八年十一月に、農林水産業・地域の活力創造本部、これは閣僚レベルの会合でございますが、そこにおきまして、農業競争力強化プログラムとして取りまとめられたところでございます。

 このプログラムの中におきまして、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進める。」ということが明確にうたわれたところでございます。

福島委員 統括官、本当に答えてくださいよ、長い答弁はいいから。

 結局、農水省の審議会などの農業の観点からの専門家の話をちゃんと公的に聞いているんですか、聞いていないんですか。イエスかノーかでお答えください。

柄澤政府参考人 今、法案の提出に係る経緯を申し上げましたが、今委員御指摘の、私どもの食料・農業・農村政策審議会の関係につきましては、例えば、審議会の企画部会におきまして、審議会の権限に属せられております白書の作成ですとか基本計画の策定、変更、また、食糧部会におきまして、審議会の権限に属せられております米穀の需給及び価格安定に係る基本指針等の審議には該当しないということでございますので、議論はされておりません。

福島委員 何か長い答弁をしたけれども、結局していないんじゃないですか。

 私は、こういう大きな話は、昭和二十七年から連綿と続いてきて、今まで政府側が答弁したように、この法律があったからこそ維持できていたものがいっぱいあるわけですよ。皆さん、この法律を廃止する理由を今まで言ったんじゃなくて、この法律があったからうまくいった理由を一生懸命説明してくれたわけですよ。それを、専門家にも決めないで閣僚レベルでやったとか、まさに森友と同じ、そんたくになっているかもしれないんですよ。何か一本、規制改革で廃止法案をつくって、農政改革は前に進んだと示すためにやっているとしか思えないような、これは悪口を言うようになっちゃうけれども、もっとちゃんと専門家の話を聞いた方がいいと思いますよ。私、農政オタクだから言っているわけじゃないんですけれども、みんなそういうストレスが物すごくたまっているんですよ。

 しかも、何か農水省は、この法律があるから、奨励品種に指定されれば都道府県はその種子の増産、審査に公費を投入しやすくなる、公費を投入してみずから開発した品種を優先的に奨励品種に指定しているとかなんとか言っていますけれども、何でそう言えるんですか。何か事実はあるんですか。今まで、そういうのを邪魔したとかなんとかという事実はあるんですか。具体的な事実があったらおっしゃってください。

柄澤政府参考人 今まさに委員御指摘のように、試験を行って、普及すべき優良な品種、いわゆる奨励品種に指定されますと、都道府県はその種子の増産や審査に公費を投入しやすくなるということから、都道府県が開発した品種は優先的に奨励品種になっておりまして、例えば稲で見た場合に、純粋な民間企業が開発した品種で奨励品種に指定されているものはございません。

 具体的な例を申し上げますと、例えば、委員も御指摘のみつひかりという品種について見ますと、一部の県で、奨励品種に指定するための調査の対象とされるところまでは行ったということはございますが、結果、奨励品種となっていないという事例がございます。

福島委員 今の事例は、なぜそれが、県が公費を投じてみずからほかの品種を開発したからそれをはじいたということが言えるんですか。何の具体的な証拠も何もないじゃないですか。なぜそう言えるんですか。

 そもそも、民間が開発した品種で奨励品種になる、これは米だけじゃないですよ、麦とか大豆もあるんですけれども、それがなる割合と、都道府県も、いっぱいいろいろな品種を開発して、奨励品種にならないものの方がいっぱいありますよ。その違いに有意な違いがあるというのは調べていますか。

柄澤政府参考人 各都道府県におきまして、調査の対象が、私ども必ずしも全て把握できませんので、御指摘のような数字としては把握しておりません。

福島委員 だから、具体的なデータに基づいて言っているんじゃないんですよ。思い込みとか特定のイデオロギーに基づいてそう言っているだけなんです。

 私、一応、種のメーカーとかにも聞きましたよ。米とかは、まあ、みつひかりのような例もあります。しかし、そもそも、研究開発のコストに比べて、得られる利益が少ないんですよ。だからやらないだけなんです。別にこれが邪魔をしているわけじゃないんです。

 現に、参入障壁があるから日本の米というのは品質が悪いんですか。日本の米の種は、国際的に見ても劣るものなんですか、どうですか。お答えください。

柄澤政府参考人 稲の種子の品質自体、決して劣るものではないと存じます。

 ただ、私どもの問題意識を申し上げますと、民間企業にとりまして、制度として、都道府県中心の制度になっておりますので、事実上、長い歴史の中で、都道府県の奨励品種になることが非常に困難だということは間違いない事実でございます。

 そういった中で、奨励品種の道を選ぶよりも、むしろ、みずから大手外食チェーン等と連携しましたり、農村部に入ってみずから販売努力を行うというようなことで、わずかでございますが開発した例があるということだと理解しております。

福島委員 だから、それは奨励品種になる方法を改善すればいい話であって、種子法を廃止するという理由にはならないと思うんですよ。

 県はいろいろ頑張っているんですね。うちの県でも、例えば陸稲、水田じゃない栽培をする稲作というものが盛んです。そこでは、陸稲用のひたちはたもちという品種を開発して、これはおかきの原料になるんです。うちは市町村ごとにおいしい煎餅屋が多くありますから、それにこれをまぜると非常においしくなるというので、ひたちはたもちというのを開発しております。

 私の地元水戸は納豆で有名で、しかも、それは小粒の納豆なんですね。大豆というと大きくなるんだけれども、納豆用の、そのままずばりの納豆小粒というのを開発して奨励品種にしているんですよ。

 これは、逆に都道府県間で競争させて、それが、日本が、世界でも類いまれなる多様な地域ごとのおいしい品種になる、そうした結果を生んで成功している事例なんですよ。そして、そこに民間が入ろうとしたら、県だけの品種なんかの種を開発したって民間の投資に合わないから入らないだけなんです。そこは県に任せればいいんです。

 民間が入るとしたら、グローバルな視点で、どこの国でもできるようなF1品種みたいなものだったら、それは民間が開発しますよ。そういうのをやるんだったらいいんです。でも、それは主要種子法とは全く関係ない話であります。モンサントと戦って勝てるような種をつくりましょうというのはどんどんやればいいですよ。でもそれは、主要種子法が扱っている都道府県の、先ほどのひたちはたもちとか納豆小粒とか、そういうものと競争しようという話ではないんですよ。

 皆さん方は、単純に、競争すれば何かいいことがあると、高校生レベルの教科書のようなことをおっしゃっていますけれども、それは違うんですよ。競争のレベルが違う。主要種子法は主要種子法で都道府県間の競争も促してきたし、今のところそれで失敗しているところはないんですよ。それ以外のマーケットでグローバルに広がるような種をつくる会社があるんだったらそれはどんどん応援すればいいけれども、それは主要種子法とは無縁の話なんですよ。

 だから、もうちょっとちゃんと分析して、与党のPTも大事ですよ、次官以下の省内の検討も大事ですよ、閣僚レベルのお墨つきも大事だけれども、何を目的として何をやるのかというのを明確にしないと、私は、主要種子法の廃止の害悪の方が多いんじゃないかと思うんですよ。

 その点について、大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 これまでの品種改良やこの国の食料の安定供給、特に主要食糧、そしてさらには品種改良による大きな食味が向上して世界一の米ができたという成果は、これはもう絶対、揺るぎない事実でございます。それを大切にしつつ、さらに飛躍、発展し、農家が選択的に種子を選ぶことができる、さらに飛躍するためには、広域的、戦略的な考え方というのがどうしても必要になってくるだろうというように思います。

 特に、世界の市場は巨大でございますので、高知県産、茨城県産という区切られたエリアだけではなくて、日本産のおいしい米というような感覚で戦略的に種子が開発されるというようなことも十分あり得る今後ではないかというように私は思っております。

 その意味において、どうかひとつ、新しい試みにさらに委員のお力を加えていただき、そして新ジャンルを、米の市場の新たな開拓だとか、そういうようなことにつながるように、ひとつ御指導をいただきたいというように思っております。

福島委員 全く理解できませんね。

 メジャーな種子会社というのは、日本は競争、太刀打ちが残念ながら今できないんですよ。医薬分野とかこういうバイオの分野というのは、非常にグローバルな企業や巨大企業でありまして、資本力も膨大なんですよ。もしそれを目指すんだったら、主要種子法の廃止なんていうちまちました的外れなことじゃなくて、本質的なことをやらないとできません。それは農林水産省だけの力ではできないかもしれません。もっと本質的なことを考えていただきたいと思います。

 もう一つちょっと確認したいんですけれども、農業競争力強化支援法で、都道府県の有する種子生産に関する知見の民間事業者への提供促進とありますが、これは何をやろうとしているんですか。

 というのは、茨城県で、例えば、いばらキッスというイチゴとか、イバラキング、ネーミングのセンスはどうかなとも思うんですけれども、メロンなど、手塩につけて開発したものをやって、茨城県内だけで栽培させるようにしてブランドを守っているんですよ。民間に知見を提供しちゃってそれが全国にばらまかれちゃったら、価値がなくなっちゃうんですよ。

 これは何をやろうとしているんでしょうか。ぜひお答えください。

柄澤政府参考人 今までの経緯の中で、稲、麦、大豆の種子のほとんどにつきましては、独立行政法人の試験研究機関ですとか都道府県の試験場が中心に開発を行い、また、県が指定した原原種圃、原種圃で原種が生産され、そして、県が指定した採種農家で一般の種子の増殖が行われるというようなことで、大宗、やはり都道府県の知見が非常に厚いという実態は紛れもない事実でございます。

 したがいまして、今般の農業競争力強化支援法案におきまして、民間事業者による種子生産への参入を促進するために、そういった今までの歴史の中で得られております都道府県などの知見、すなわち、原原種圃、原種圃を設置する技術ですとか、高品質な種子を生産するための栽培技術ですとか、あるいは種子の品質を測定するための技術などの知見につきまして、民間事業者に提供を促進していくという考え方でございます。

福島委員 ですから、そんなものを提供してもらわなければならない企業は、さっき大臣がおっしゃるようなグローバルに流通するような米なんて開発することはそもそもできませんよ、そんなの。そんな会社に対して支援をするんですか。これは競争力強化法でも議論しますけれども、本来、そんな企業は退出すべきなんですよ。そんなところが品種改良してもいけないし、その程度の技術があるところにマーケットは研究開発資金を供給いたしません。

 この条文は何をやるかわからなくて、むしろ、今まで都道府県が一生懸命研究開発をして、まさに知的財産として蓄えていた価値のあるもの、それであれば民間は欲しいと思いますよ。ただし、それを渡しちゃったら都道府県の価値が失われてしまうんですよ、税金を使ってやってきたことの。一見この条文はもっとものように見えるんですけれども、何の意味もないどころか、百害ある条文と言わざるを得ないと思うんです。

 何が言いたいかというと、種の市場というのは幾つかに分けて考えた方がいいんですよ。

 地域ごとに、その特産に応じてニッチな市場で生きていくべきところ、これは私は、やはりこれからも公的なものが中心となってやる。ただ、ここの分野も国が一律にやってやると競争が失われるから、まさに種子法のようなもので都道府県間の競争をさせるようにやって、うまくいってきたのが日本のこれまでの技術開発です。

 一方の、グローバルに活躍できるような種をつくるというのは、これは相当腰を据えてやらなきゃだめで、今回の競争法とか種子法の廃止でやる話と全く無関係な話なんですよ。それはちゃんとおやりになればいいと思いますよ。二つの土俵の競争というのを混同しているから、このようなけったいな話に、おかしな話になっているわけであります。

 この種子法をもとに、各都道府県は予算を確保して、この何十年もの間やってきたことは事実なんです。それは、この法律の中の条文が、都道府県が何々しなければならない、優良な品種を決定するための試験を行わなければならないとか、何々をしなければならないと書いてあるからなんです。今は別に廃止しても問題ないと言うかもしれないけれども、三十年後、四十年後、皆さん方だって生きていないかもしれない、そのときに裏づけとなる法的根拠もなければ廃れるかもしれないんですよ。

 日本の農業の一番の財産は、多種多様な品種をそれぞれのところで開発して、それぞれが高品質にあることです。これは今までうまくいったと評価しなければならないんです。その一つの要因が主要農作物種子法だとするのであれば、規制改革推進会議のようなところの意見を黙って聞くんじゃなくて、私は、きちんと専門的に検討した方がいいと思いますので、この法案を廃止することには大反対をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、もう一つの農業機械化促進法廃止についてです。

 これは、農業機械化促進法が時代的な役割を終えたというのは、そのとおりかなというふうに思っております。なくてもそんなに支障がないかもしれないので、この法律を廃止するということは理解をいたします。

 ただ、私、元役人で、そこの前に二人、私の先輩がいらっしゃいますけれども、条文オタクなもので、つい条文を見てしまうんですけれども、この法律に規定されている農業機械の開発、安全性の検査について、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の業務として引き続き行うためにこの機構法を変えるという改正を行っております。

 今度新しく法律に規定する検査というのは、具体的にどのような検査を行うことなんでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが考えてございます、これまで農研機構が行ってきた農業機械の検査を行うことを予定してございます。(福島委員「これまで行ってきたのは何を行ってきたんですか。これまで行ってきた検査は何。どういう検査なんですか」と呼ぶ)農研機構がこれまで農業機械化促進法に基づいて行ってきた農業機械……(福島委員「じゃ、それはどういうものですか」と呼ぶ)

北村委員長 もう少し明確に。

枝元政府参考人 これまで農業機械化促進法に基づいて農研機構が行ってきた農業機械の検査を、今後、農研機構法のもとで行うということでございます。

福島委員 だから、それが何ですかと聞いているのに、えらい不親切な答弁なんですけれども、具体的に何の検査ですか。

枝元政府参考人 型式検査の中で今ニーズがあるのは安全検査でございますので、安全検査でございます。

福島委員 それを最初から答弁して。

 型式検査のうちの安全検査というのは今後もニーズがあるから、それを行うという法律の規定をする、そういうことでよろしいですよね。ありがとうございます。

 今の、昔の第十四条、この規定の第十四条第一項一号では、農業等に関する技術上の試験、研究、調査、分析、鑑定並びに講習を行うこと、次項に規定する業務に該当するものを除くと書いてあって、その次の項で、研究機構は農業機械化促進法第十六条一項に規定する業務を行うといって、ちょっと複雑な、テクニカルな書き方をしていますけれども、農業機械化促進法第十六条一項に規定する業務を農研機構は行うとなっているから、これが廃止されちゃったら根拠条文がなくなるということですね。

 農業研究機構法、十六条第一項というのは何が規定されているかというと、法制局みたいで恐縮なんですけれども、農研機構の農機具の改良に関する試験研究等の業務といって、農機具の改良等に関する試験研究及び調査並びに農機具についての検査といって、ずらずらずらっと七号、限定的に業務が列記をされております。

 ところが、改正条文を見ると、新旧対照表がある方がいらっしゃれば見ていただきたいんですけれども、新十四条は、農研機構は次に掲げる業務を行うとなっていて、農業等に関する技術上の試験、研究、調査、分析、鑑定に、検査を行うことという、検査という一文字を入れます。

 そうするとどうなるかというと、農研機構は農業等に関する技術上の検査を何でも行えることになっちゃいますから、この条文だと、農研機構は新たに、例えば、農機具以外の、農産物の品種の検査とか食料品の検査とかまで行えるような条文になっておりますけれども、条文の解釈上、そうなっていると考えてよろしいですか。

枝元政府参考人 今回の改正の趣旨は、先ほど申し上げたとおり、農業機械の検査を行えるようにするものでございまして、これまでの農研機構法の法技術的な整理に従って改正案を作成したものでございますけれども、今先生おっしゃったように、農業等に関する検査という意味ではそう読めるということだろうと思います。

福島委員 読めるということなんですよ。

 私は、これは焼け太りだし、焼け太りする意図もないと思うんですね。私は、ここはちゃんと正確にやるのがこの立法府の権威を守るためにも必要だと思っておりまして、我が党から修正案を出させていただいています。

 それは、検査の中に、農機具についての検査に限ると。なぜなら、もともとの改正前の農業機械化促進法第十六条第一項に「農機具についての検査」と書いてあるから、私は、それをそのまま移すのが廃止法案に当たっての誠実な法律の条文の処理だと思っていますけれども、この修正案を、大臣、受け入れていただけませんか、どうですか。

山本(有)国務大臣 委員おっしゃるように、表題が国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構法とあって、十四条が「業務の範囲」となって、一項で、「農業等に関する技術上の試験及び研究、調査、分析、鑑定、検査」となると、流れからすると、農機具に限るというようにはなかなか限定がされておりません。

 その意味において、この法の趣旨からすると、限定というのも、大きな貴重な御意見であろうというように思っております。

福島委員 大臣から前向きな答弁をいただきました。ぜひ、この後、我々は修正案を提出させていただきますので、真摯に議論をいただきたいと思っております。

 なぜこれを細かい話のように申し上げたかというと、私、最近の農水省の行政は粗っぽ過ぎると思うんですよ。SBSの話もそうですし、種子法の話もそうですし、この改正条文の話もそうなんですけれども、理念ばかりが先走っちゃって、きちんと事実を検証しながら、影響を分析しながら、それを法律や政策の体系にちゃんと丁寧に落とし込むということがなくなっちゃっているんじゃないかなと。

 私は農林水産省の出身ではないけれども、隣で見ていた農林水産省というのは、頑迷、かたくななまでに農家と農村を守っていたんです。それは、時には守旧派と批判されることがあったかもしれない。しかし、それがいたから日本の農業や農村が守られてきたのは事実であって、そこのお二人の先輩や私のような通産省は、はやり物を追いかけるところなんです。それはそれでいいんです。でも、しっかりと事実に基づいた政策の吟味を行うというこれまでの農林水産省の誠実な姿勢をぜひ取り戻していただきたい、そのことを最後に申し上げまして、質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 民進党の小山展弘です。

 早速質問に移らせていただきたいと思います。

 まず最初に、きょうは文部科学省から樋口政務官にもお越しいただいておりますので、このことから。この質問が終わりましたら、退席していただいて結構ですので。

 昨年十二月に、ドイツが申請してユネスコに認められた無形世界文化遺産、共通の利益の実現のために協同組合を組織するという思想と実践、これは、日本の農協や漁協、あるいは生活協同組合なども日本にありますが、そこは世界遺産に該当するんでしょうか。

樋口大臣政務官 お答えいたします。

 二〇一六年の十一月の三十日に、ユネスコの第十一回無形文化遺産保護条約政府間委員会において、ドイツが申請をいたしましたドイツの国内の協同組合に係る提案が無形文化遺産の基準に該当するとして登録をされたものでございまして、これには日本の農協や漁協などの協同組合は含まれておりません。

小山委員 実は、前回、一般質疑のときにこれを聞こうかどうか迷って、多くの協同組合の方は、農業新聞にも一面トップで出て、こういう話は私自身も質問するのは非常に嫌だったんですけれども、ただ、そういう文化庁の認識ということと、それと、ユネスコという制度がそうなっているんだと。ですから、和食の世界無形文化遺産というのも、外国へ行ったらどうなっているかわからないですよね、日本の和食ということになるわけですから。

 ですから、ここのところは、ユネスコがそういう制度なんだということなんでしょうけれども、だからこそ、私は、ドイツの協同組合がユネスコに文化遺産として登録されたということをきっかけにして、日本の国内でも協同組合に対する振興していく動きをやはり起こしていかなきゃいけないんじゃないだろうかということを思っております。

 実は、これはきょうの種子法の審議に関係ないと思っていたんですけれども、大変関係があることがわかったんですね。先ほどの柄澤統括官のお話とか答弁なんかも伺っていると、種子の開発をしたのは、あるいは種子の開発に参入できないと言っているのは民間企業なんですね。民間は入っていますよね。個人農家の方と全農が入っていますよね。全農が入っているのに、なぜ民間の開発を阻害しているという言い方になっているのかと、さっきびっくりしました。

 実はきのう、打ち合わせのときにこの話をしたら、国や県以外の種子の開発、民間開発の種子が奨励品種になったものがあるかと言ったら、ないと言うんですね。これはよくよく聞いたら、民間企業のものがないんだ、奨励品種になっていないんだと。

 でも、JAは、民間出資一〇〇%で、それなりのイコールフッティングの状況の中で競争をしてやっているんです。これは何かというと、官か民かという二分類の中で、協同組合を民間セクターに含めないということなんです。これは、いかに協同組合に対する認識が低いか、理解が低いかということが、僕はこの二文字に集約的にあらわれていると思う。

 だから、私は、教科書からも協同組合の記述が消えて久しいですけれども、新自由主義的な考えが強まる中で、だからこそ、全国の協同組合の組合員とか役員さんとか職員さんが自信と誇りを持って日々の業務に取り組んでいけるように、協同組合の世界遺産、これはドイツですけれども、登録を機に、議会から与野党を超えて協同組合について理解を深めていく、そういう動きを起こしていきたいなと。そのために自分も微力を尽くしていきたいと思っております。

 済みません、長々話してしまいましたが、どうぞ御退席ください。

 それでは、種子法について伺いたいと思いますけれども、種子法を廃止することによって、今回の一連の法案提出のお題目というか目的となっていた農家の所得向上にどのようにつながっていくんでしょうか。農村にどのような影響を与えると政府は認識していますか。

山本(有)国務大臣 各都道府県にヒアリングをさせていただきました。大半の都道府県から、主要農作物種子法が廃止をされましても、引き続き種子の生産、普及に関与する、その業務を担うという回答が得られているところでございます。

 今後とも同様の体制で種子生産が行われることを前提として、都道府県の生産、普及する種子の価格自体が高くならないようにしつつ、逆に、種子法の廃止や農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置等を通じまして、民間企業の種子生産への新規参入が促進されることによりまして、都道府県のコスト削減も図られるということになるならば、種子価格の引き下げにつながっていく可能性が大いにあります。

 一方、民間事業者が種子生産を行っている品種につきましては、現状におきましても、都道府県が生産に関与する種子と比較して価格が高いものがございます。収量性も高く、栽培する農業者の所得が従来の品種と比べて遜色がないなどによりまして、現に一部の生産者によって活用されているところでもございます。

 いずれにしましても、種子法の廃止によりまして、都道府県と民間事業者が連携する、そして種子生産が促進される、そして供給される品種が多様化する、そして農業者のニーズに合わせて所得を高くする選択ができるというようなメリットが出てくることに期待をかけているわけでございます。

小山委員 多分、山本大臣にも答弁しづらいような質問をしてしまったのかもしれないですけれども、最後に大臣が、期待をかけているとか可能性があるとかという言葉を多用されておられました。ここに多分、農水省の中でもいろいろなお考えの職員さんがいらっしゃるでしょうから、あるんだろうと思いますけれども、やはり、種子法が農家の所得の向上というのは、少なくとも直接的にはなかなか結びつきにくいんじゃないんだろうか、別のところの論点ではないかなと思うんですね。

 それと、今大臣からもまさにお話がありましたとおり、収量性が高いけれども、高い種が入ってくるということは、県のコストが削減されて、県の方の種が下がるという効果が出てくるとか、あるいは、これはさっきの福島さんの話じゃないですけれども、仮定の話ですけれども、民間の種がもっと多くなったときに、そこで公正に競争が働かないと競争原理が働かないですから、かえって高い種を売りつけられるというようなことも可能性としてはある。それは公正な競争ができるということが前提条件だと思うんですね。

 そういうことがいろいろあると、必ずしもこれは農家のコスト削減ということにも結びついていかないのじゃないだろうか。

 それともう一つ、ぜひこれは伺いたいと思うんですけれども、特に通告ということじゃなく、今の更問いで伺いたいんですが、高い種だけれども収量が多いと。でも、そういうものを生産することが日本の農業の目指すべき姿なんでしょうか。あるいは、今、輸出ということをおっしゃっておられます。これは高品質で高付加価値な農産品をつくって輸出をするんだということなんですけれども、それは、種が高くても収量が多いんだ、そういうような米をつくるということが日本の農業のビジョンなんですか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 もとより、米政策全般の中で、コスト低減というのは極めて重要な課題でございます。

 コスト低減を図るときに、いろいろなやり方がございますけれども、収量をふやすということが極めて有効な手段だということは申し上げるまでもございません。

 そういった中で、いろいろな資材の価格の中に種の価格もあるわけでございますけれども、全体としてコストを下げる努力をする中で、即物的に種の値段だけ見た場合に、若干高い面もあるかもしれませんが、全体として収量を確保し、そして全体としてのコストを低減する中で、結果、収入引くコストの所得を極大化していくということは望ましい姿ではないかと考えております。

小山委員 どうも、コストを下げて食料を、とりあえず、安かろう悪かろうとは言いませんけれども、とにかく量を確保するということを目的にしているのか、むしろ、日本の狭小な国土だけれども、今までの積み重ねてきた技術のもとにある、おいしいお米で、いい農産品を、高付加価値のものをつくっていこうというものなのか、もちろん分け切れるものではないところもあろうかと思いますけれども、どうも方向性がはっきりしないと私は思いますし、必ずしも、高い種ということが、後でまたお話しできればと思いますけれども、本当にコスト削減にストレートにつながるのかどうかというのは、今の御答弁では、私はまだ怪しいと思っております。

 それと、さっき私も、ちょっと自分の質問が来るのでトイレに行っている間に、福島議員からかなり近い質問がありましたので、重複したら恐縮ですが、種子法の廃止に関連して、審議予定の農業競争力強化法第八条四号についてお尋ねしたいんですけれども、ここで「独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」との記載がありますけれども、この「知見の民間事業者への提供」というのはどういうことを意味しているんですか。

柄澤政府参考人 稲、麦、大豆の種子のほとんどにつきましては、これまでの間、独立行政法人の試験研究機関や都道府県の試験場が優良な品種の開発を行い、都道府県が指定した原原種圃、原種圃において増殖した原原種や原種をもとに、都道府県が指定した採種農家がさらに種子の増殖を行うというようなサイクルで一般の農家に供給されてきたところでございます。

 こういったサイクルの中で、当然のことでございますけれども、独立行政法人や都道府県の知見が厚みを増してきておりますので、そういったところと民間事業者との間での知見のギャップが生じてきているのは事実でございます。

 このため、今般の農業競争力強化支援法案におきましては、民間事業者による種子生産への参入を促進するために、品種開発などの知見はもとより、今申し上げました原原種圃、原種圃を設置する技術ですとか高品質な種子を生産するための栽培技術、あるいは種子の品質を測定するための技術など、都道府県などが得られてきておりますそういった知見を、民間事業者に提供を促進するという考え方でございます。

小山委員 では、それをどういう民間事業者に提供するんですか。

西郷政府参考人 例えば、育種の素材となる品種でございますとか育種技術などの知見を国立研究開発法人及び都道府県から民間事業者へ提供するに当たっては、それによって研究成果が速やかに国内生産者に普及することが見込まれる場合など、我が国農業の発展に貢献すると考えられる民間事業者に対して提供していくことが適切であると考えております。

小山委員 その民間事業者の中には、国内企業のほかに外資系企業も含まれるんですか。

齋藤副大臣 今、累次お答え申し上げているように、近年、多くの県で独自のブランド品種が開発されております。そして、需要の方も、例えば健康志向あるいは食味志向、多様化をしてきておりますし、生産者の方も規模拡大を目指すということで、さまざまな品種開発ニーズというものが高まってきているんだろうと思います。

 民間事業者は、こうした市場ニーズに的確に対応できる、そういう要素も持っておりますので、参入をふやしてそういうニーズに応えられるような体制をつくっていくということが大事なんだろうと思っております。

 そういう意味で、民間事業者の参入を促進して、国立研究開発法人や都道府県の公設試験場との多様な連携が生まれるということが大事だろう、マーケットイン型の品種開発につながっていくんだろうと思っておりますので、本法律におきましては、国内企業、外資企業を問わず、提供された知見というものを活用して、そういったニーズに対応した品種開発が進められるように手当てをしているところでございます。

小山委員 海外の種子生産企業に、日本の今まで積み重ねてきた種子の技術とかあるいは知見といったものが流出することによって、例えば、今後政府は、僕は篠原イズムを割と信奉しているものですから、余り輸出、輸出というのはフードマイレージから考えてもどうかとは思うんですけれども、ただ、高品質で高付加価値のものをつくって、そして国内で消費できない分を輸出するというようなことは、確かに誇らしいことだと思います。ただ、その高品質の農産物の比較優位にも影響を与えるんじゃないか、そういう懸念に対して、農水省はどのようにお答えになりますか。

山本(有)国務大臣 国立研究開発法人とかあるいは都道府県の公設試験場がこれまで育成しました品種を民間事業者に提供する際に、我が国の農産物の品質の優位性が損なわれるというようなことであれば、本当にこれは残念なことであって、絶対にそれは許してはなりません。

 したがって、これらの研究成果を提供する場合、提供先の民間事業者と知的財産に係る契約を締結していただくということがまずは必要でございます。この中で、契約に基づかずに育種素材等が海外に流出することを防止するというような条項も盛り込む必要がございます。そして、我が国のすぐれた品種開発に係る技術が守られるような、しっかりとした体制は組みたいというように思っている次第でございます。

小山委員 契約を交わすということでございますけれども、今、大臣の答弁を伺って、私も、ジャストアイデアというか、それでお話しするので、ちょっと違う、ずれたようなことを申し上げるかもしれないですけれども、ことしというのは、東芝ココム事件が起きて三十年なんですね。あれは、機微技術ですね、軍用転換技術、軍民両用技術といったものの規制をかけていたココムというものに対して、東芝のスクリュー研磨機を過ってソ連に輸出してしまった。ただ、これは実は使われていなかったそうですけれどもね。そんなことで、実害ということではなかったんですけれども。

 技術というのは非常に流出して、また、ほっておいたって伝播していくものなんですね。だけれども、この種については、原種、原原種ということでしっかり管理をして、そして、それが流出をしないようにしていかなきゃいけない。契約書をたとえ交わしたとしても、そういった知見というものを提供していくということは、やはり、生産技術あるいは種といったものの品種が拡散していってしまう、流出してしまうことに私はつながっていきかねないと思います。

 それと、外資の中でも、例えば、これはそれこそ外為法のことにも関連しますけれども、ダミー会社みたいなのをつくって、そのダミー会社なりが例えば農水省と契約をして、親会社がその情報を持っていってしまう、こういうことも考えられ得るわけですね。

 ですから、私は、契約書を交わせば大丈夫ということだけではやはりまだまだ心もとないですし、もっとその対策はとっていくべきであると。その前に、私どもの立場としてはこの種子法をやはり維持すべきだということでございますけれども、そのことは申し上げたいと思っております。

 次に、種子法について別の角度から質問させていただきたいと思いますが、種子法が存在するために民間開発の種子が指定されていないということですけれども、これはちょっと最初に柄澤統括官に伺いたいんですが、民間の開発で奨励品種になったものがありますよね。

柄澤政府参考人 先ほど委員御指摘のように、例えば全農が指定されている例はあるかと思います。

小山委員 ほかに、個人の方のがもう一つ、もう一種類ありますけれども。

 それで、実際に種子法が理由で民間開発の種子が奨励品種に指定されなかったとか、門前払いになったというような事例というのはあるんでしょうか。

柄澤政府参考人 現状を申し上げますと、今の制度上、先ほど来申し上げていますように、都道府県が開発した品種がどうしても優先的に奨励品種になっているという事実の中で、民間企業は、むしろ、奨励品種になる道を目指すよりも、みずから大手外食チェーン等と連携する、あるいはみずから農村部に入って生産者に対して販売活動を行うというような行動をとっているわけでございます。

 それと、奨励品種となるために、そもそも、民間企業が県に対して申請や要望を行うという枠組みになっていないということがございます。

 ただ、そういった中で、事例という御指摘でございますので調べましたところ、例えば、申請とか要望という行為はないわけでございますけれども、一部の県で、例えば先ほど来話題になっております、みつひかりというような品種を奨励品種にするかどうかの調査をするというプロセスまで至ったものの、結果、奨励品種とならなかった事例があるというふうに承知しております。

小山委員 今、県の受け付ける制度がないというところ、そこはむしろ種子法を改正すればいいんじゃないでしょうか。

 それと、みつひかりの話ばかりがきょうは話題になっていますけれども、私は、それ以上に注目したいのは、全農の育成品種のはるみです。全農、民間出資一〇〇%の事業体によって開発されたものが奨励品種になっているじゃないですか。むしろ、こちらの事実の方をもっと注目すべきだと思います。現行の種子法のもとでも民間開発の品種が奨励品種に指定されているんですね。だから私は、今回やはりこれは立法事実がない、むしろ法律の改正で考えていくべきではないんだろうかということを指摘させていただきたいと思います。

 それと、種子法が廃止されることでどういう効果が出てくると政府は見込んでいらっしゃるのでしょうか。ちょっと重複するかもしれないですが、民間事業者が開発した品種がより普及するんですよね。そうすると、一方で、県とか国が開発してきた品種の普及割合が、普通に考えればこれは低下するということだと思うんですけれども、民間事業者による種子生産というものが進むんですよね、そういうことをシミュレートしているんですよね。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 まず、先ほどの福島先生からの御質問で議論にございましたが、先ほどから種々御指摘ございますが、近年、実需者のニーズを踏まえた全農あるいは民間企業の品種が開発されておりますけれども、これは都道府県の奨励品種にほとんど指定されている品種がないというような現実がございます。

 これについて、私どもとしては、主要農作物種子法が都道府県中心の法制度となっていることから、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種に指定されることが避けられず、現行の仕組みを前提とする限り、民間企業が開発した品種の奨励につながりにくい。あるいは、各都道府県内の利益にとどまらない、都道府県の枠を超えた広域的、戦略的な種子生産が求められる輸出用米や業務用米に適した品種は、ニーズがあっても奨励品種に指定されにくい。あるいは、種子の供給や品質は安定しているにもかかわらず、必ずしも米麦等の生産地ではない都道府県を含め、全ての都道府県に対し、原種等の生産、奨励品種を指定するための試験、生産物審査や証明書の発行事務等を一律に義務づける必要性が低下しているという認識がございます。

 このために、私どもとしては、政策的判断として、種子法を廃止するということで提案をさせていただいているということでございます。

 その効果でございますが、先ほど大臣からも御答弁を差し上げたとおり、民間企業の種子生産への新規参入が促進され、都道府県のコスト削減も図られれば、種子価格の引き下げにつながる可能性もあるというふうに認識をしております。

 いずれにいたしましても、種子法の廃止によって、供給される品種が多様化するなど農業者にとって選択肢がふえる、ニーズに合わせて所得をふやす可能性が広がるという効果があるというふうに考えているところでございます。

小山委員 この私の今の質問に対しては、公の種子の比率が当然下がっていくということを見込んでいるし、だから今回のこの廃止法を出されたということだと思うんですね。

 それと、今、細田政務官のお話の中で、実際に、現実として、この種子法によって民間企業のものが入っていない、あるいはほかのものを含めても二品種だけであるということは、それは事実だと思います。だけれども、そこのところは、裏を返して言えば、民間企業の努力が足りないんじゃないですか。そういう観点もあるんじゃないでしょうか。だって、実際に全農さんがやったのは入っているんですから。

 そういうことと、それと、確かにおっしゃるとおり、各都道府県で、米の生産地じゃない県まで一律に義務を課している。そうしたら、その部分を改正すればいいんじゃないかな、そんなふうにも思いますけれども、済みません、時間もだんだんなくなってきちゃったので。

 この種子法に対して農水省さんの見解が変わっていまして、この後、岡本議員からも平成十年の政府参考人の答弁もありますし、また、前回の一般質疑のときに共産党の畠山先生から、規制改革会議に対する回答が変わっているということで、回答と今回の種子法廃止法案の理由というものが違うんじゃないかということで質問もございました。

 これは、過去の規制改革会議に対する回答とか平成十年の政府参考人の答弁から、現在の見解あるいは廃止法案を出すに至ったというふうに、私は種子法に対する位置づけとか解釈というものが変わったと思うんですけれども、これは、いつ、どういう根拠で変わったんですか。

柄澤政府参考人 今委員御指摘がございました、平成十九年当時、規制改革推進会議のヒアリングがございまして、その時点で御指摘のようなやりとりがあったかと思います。

 その当時の考え方を申し上げますと、当時、十年ほど前でございますけれども、主要農作物種子法の枠組みは前提とした上で、奨励品種を指定する都道府県に対しまして、民間事業者の開発した品種も積極的に奨励品種に採用するように促す、通知などを出して促すという政策をとっていたわけでございます。そういった奨励品種の採用が進めば、民間事業者の参入の妨げには必ずしもならないという考え方をその当時述べていたわけであります。

 しかし、その後十年ぐらいたっているわけでございますけれども、その後、わずかな例はございますけれども、やはり民間事業者の開発した品種は都道府県の奨励品種にほとんど採用されていないのは事実でございます。

 その要因を今日考えてみますと、奨励品種を指定するための試験などを法律上都道府県に義務づけておりますので、そういった枠組みの中で、都道府県が開発した品種がどうしても優先的に奨励品種になってしまう。いわば、現行制度に構造的な問題があるのではないかという判断に至ったということでございます。

 そこで、今回、農業競争力の強化に向けまして、生産者の所得向上につながる生産資材、流通全般の見直しを行う中で、今般、主要農作物種子法を廃止するという判断になったということでございます。

小山委員 いや、昨年からのいろいろな一連の検討の時期に判断が変わってきたということだと思いますが、むしろ私は、十年前の、奨励品種に制定するように政令がどれだけ出てきたのか、農水省がそのことについてどれだけ取り組んできたのか、そのこともしっかり検証すべきじゃないんでしょうか。

 決して、役人の方々が仕事をしてこなかったなんということは僕は思いたくありませんけれども、しかし、ちゃんと適切に指導してきたんだろうか、そのことも私は検証すべきだと思いますし、まだまだこの種子法については、畠山先生おっしゃっていますけれども、審議の時間、議論が足りないと思います。

 それと、種子法が廃止されて民間企業開発の種子が出回るようになると、農家の種子の購入平均価格というのが上がるということも考えられますけれども、これについては先ほどちょっと山本大臣から、別の質問をしたときに少し答弁があったんですが、改めてこの点をもう一度伺いたいんですが、どういうふうに種子の価格については考えていらっしゃいますか。

細田大臣政務官 ありがとうございました。

 先ほどの答弁と一部重複する可能性がございますが、一つは、民間企業の種子生産への新規参入が促進され、また都道府県のコスト削減も図られて、種子価格の引き下げにつながる側面があるというふうに考えております。

 他方で、民間事業者が種子生産を行っている品種については、現状においても、都道府県が生産に関与する種子と比較して価格が高い、価格が高いけれども収量性も高いというものもございます。ただ、これらについては、栽培する農業者の所得が従来の品種と比べて遜色がないということにより、現に一部の生産者によって活用されているというものでございます。

 いずれにせよ、高収益、もうかるものでなければその種子は使わないという判断を農業者はすると思っておりますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、農業者の選択の幅がふえて、より農業所得の増大につながる可能性があるというふうに認識をしております。

小山委員 一概に比較はできないかもしれないですけれども、最初はいいと思うんですね。例えば、アメリカの種子生産の業者なんかは、あるいはほかの農産物の輸入輸出に関しても、最初は安い値段で入ってくるんですね。それで、いよいよ市場を席巻できる、流通も押さえた、ある程度プライスリーダーになったというところになったら、ぼんと上げるんですね。こういうことが、日本の国内でもレモンに対してもそういうことがありましたし、また、アメリカとメキシコの間のトウモロコシでもそういうことがあったということで、これは解釈もあるかもしれないですけれども。

 ですから、公正な競争が前提とされているのであればいいんですけれども、先ほどの質問のとおり、公のところはどんどんどんどん恐らく縮小していくし、それが目的でしょうから、そうすると、民間企業がかなりな市場占有ということになってしまったときに、利益目的ですから、種の価格を上げるということも将来考えられ得ると思うんですね。しかも、それがF1だったらどうなるかということも含めると、食料安全保障という観点からも、私は、今回、この主要農作物種子法、やはり維持すべきではないかということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 昨日、私は、私の地元の福島県伊達市梁川町にあります山舟生の羽山生活改善グループの皆様方の、二〇一六年度農山漁村女性・シニア活動表彰の受賞祝賀会に行ってまいりました。今回、優秀賞の農林水産省経営局長賞を受賞されたということでございます。

 もともと、地元の女性農業者の皆さんが、三十年前でありますけれども、地元の農産物でおいしいお料理をつくり、多くの方々に召し上がっていただきたいというような思いで始まったグループでありますけれども、現在、地元の産業伝承館では農家レストランも運営されているということであります。地元の女性農業者の皆さんの知恵で、農業を中心とした地域おこしが三十年続いているということでありまして、今回の受賞を町を挙げて、あるいは地域を挙げて喜び合ったところでもあります。

 地元のおいしい野菜を漬物にして、加工して、羽山漬けというものを販売するということであるとか、大臣も御存じでいらっしゃいます、地元のあんぽ柿でありますけれども、これを使いましていろいろなお料理を考案いたしまして、あんぽ懐石というものを、試食会をして、多くの方々にお集まりいただくというような、そういう取り組みもしているところであります。

 三十年前は農業の六次産業化という言葉はなかったわけでありますけれども、それでも、やはりこのような生活改善グループの活動というのはまさに元祖農業の六次産業化ということではないか、そう言っても過言ではないなというふうに私は思っているところであります。

 私は、このような地元の皆さんの活動というのをこれからもしっかりと進めていかなくてはいけないというふうに思っておりますし、やはり、全国各地で頑張っていらっしゃるこういう方々をしっかり支える仕組みというのはとても重要だというふうに思っておりまして、農業を基幹産業とする地域では、農業を単なる利益を追求する産業であるということの以前に、やはり農業は地域のきずな、そしてまた生活文化そのものであるというふうに思うわけであります。

 その地域の中で、農業者の方々は、自分たちの知恵で営農を行い、そして自分たちの判断で農業経営を行っているわけであります。

 しかし、残念ながら、ここのところ、規制改革推進会議の提言から生まれた上から目線の改革というものがあって、それに関して、農業者のプライドを極めて傷つけたということで批判的な声が届いているところでもあります。

 現在、政府が目指す農業というものはどういうものでしょうか。そしてまた、農業者に対してどのようなものを求めているのか、お伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 委員御指摘の、女性が農業に参入することの意義は大変重要でございます。女性の経営参画によります販売が二千万円以上であるところでは、大体、女性の参加者がほぼ九割になっている、九割参加したところが売り上げが高くなっているというような、そんな事実もございます。

 その意味におきまして、我が国の農業が、今後、生産者の高齢化、耕作放棄地の増大、そういったものが山積しておるわけでございますが、新たな活性化の萌芽もあちらこちらにございます。

 このような課題を解決し、その萌芽をさらに育むためには、二十七年三月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画、こういったものに書かれておりますとおり、競争力があり、産業として持続可能な農業、これを目指したいというように思いますし、さらに、農業者が創意工夫を発揮してみずからの判断で消費者ニーズの変化に対応するというような農業が好ましいというように考えておるところでございます。

金子(恵)委員 もちろん、農業者の方々の主体性そして自立性、そして多様性、こういうものをしっかりと尊重していくことが重要でありますが、本日の審議の対象とはなっていませんが、今後審議されます農業競争力強化支援法の農業者の努力規定というのは、今申し上げましたそういう農業者の方々の主体性、自立性、多様性を本当に尊重しているのかどうかということが懸念されるところであります。

 「有利な条件を提示する農業生産関連事業者との取引を通じて、農業経営の改善に取り組むよう努めるものとする。」ということなんですけれども、先ほど来申し上げているように、例えばJAを選択するかしないかに限らず、農業者はもうみずからの経営判断で営農を続けている。そこには、経済的な損得勘定だけではなく、信頼や地域的なかかわりとか将来など、個々の経営ごとにさまざまな判断基準もあるということだというふうに思っています。

 特に、私も今例に挙げさせていただきました伊達市梁川町というところでは、中山間地域でいかに、条件不利地域ではあるけれども頑張っていけるかというようなことで、地域のきずなというのはとても重要な力になっています。競争原理とか効率化の追求ということではなくて、支え合いを大切にして、そして地域社会、経済を守っているという状況でありまして、やはり、そういう地域を守ることこそが、農政というのは単なる産業政策ではなく地域政策なんだということでありまして、そこの部分についてもしっかりと見ていただきたいというふうに思っているところであります。

 残念ながら、今回は、二本の重要な法を廃止にするというようなことでございまして、まず最初に、主要農作物の種子法の廃止法案について御質問させていただきたいと思います。

 もう既に、先ほど来、私が申し上げたかったことを質問されていますが、ちょっと再度、重なりますけれども、質問させていただく部分については、先ほど来大臣も、そしてそれぞれの皆さんも御説明をしていらっしゃいますが、民間企業との連携により種子を開発、そして供給することが必要というふうに言っている、特に連携ということを強調されているようであります。

 先ほどお話もありましたけれども、農業競争力強化支援法案の第八条の第四項には、「種子その他の種苗について、民間事業者が行う技術開発及び新品種の育成その他の種苗の生産及び供給を促進するとともに、独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進する」としているんですが、これは、端的に言えば、国や都道府県と民間事業者が連携するという視点ではなくて、民間に委ねるという内容ではないんでしょうか。もし誤解があれば、そこをしっかりと御説明いただきたいということ。

 そして、連携と言いつつ民間に委ねる内容になっているわけなんですが、もし連携というのであれば、今回の種子法の廃止ではなくて、行政と民間が連携しやすくなるような法律に改正すべきではなかったのかなというふうに思うんです。なぜ廃止なんでしょう。

山本(有)国務大臣 まず、廃止の理由でございますけれども、昭和二十七年、食糧不足の時期に、全て漏れなく各都道府県に、原種、原原種の生産、普及、優良な品種、奨励品種を指定するための試験等を義務づけました。主要農作物の優良な種子の生産、普及に多大な寄与をいただいた都道府県でございますけれども、各都道府県において、この種の事業についての濃淡がございます。

 一方で、近年、実需者のニーズを踏まえた民間企業の品種も開発されております。そして、都道府県の奨励品種には、ほとんど指定されている品種が、現在、民間企業開発では、ございません。また、都道府県に奨励品種への申請の手続等の手続ルールも決まっておりません。

 そういうようなことからすると、民間もかなり農家に貢献しておるわけでございますし、県と連携しつつさらに有力なものを生み出してくれるのではないかというように私どもは期待しておりまして、今後、都道府県のみならず、民間のノウハウも逆に都道府県に活用をいただきたい。そして、広域的な、戦略的な種子の生産、普及、こういったものを実現していただくことができるのではないかというように思っております。

 現行の仕組みを前提としておる限り、民間企業が開発した品種の奨励につながりにくいものでございまして、奨励品種に指定されるメリットというのは、種子の分野ではかなり有利に展開するわけでございますし、全ての都道府県にこうしたものを一律に義務づけるという必要性が今日低下したわけでございますので、こうしたたてつけ自体がこの法律の大きな枠になっておりまして、それをまず廃止させていただいて、新たな種子の市場や研究開発等に進んでいっていただきたいな、こう思っております。

 そして、支援法の八条四号の御指摘がございました。

 民間がどんどんやって、公的部門が後になってくるのではないかという御指摘でございますけれども、稲、麦、大豆の種子のほとんどは、これまで独立行政法人の試験研究機関あるいは都道府県の試験場が優良な品種開発を行いました。そしてまた、都道府県が指定した原原種圃、また原種圃におきまして増殖した原原種、原種をもとにしまして、都道府県が指定した採種農家がさらに種子の増殖を行ってまいったわけでございます。

 一般の農家にこれが供給されてきたわけでございますが、この結果といたしまして何が言えるかといいますと、品種開発から種子増殖に係る知見の集積につきましては、独立行政法人や都道府県と民間事業者との間で少し乖離、ギャップが生じているわけでございます。

 この乖離、ギャップを私どもは放置することは非常にもったいない話でございまして、品種開発において育種素材となる品種や遺伝情報の提供、そういったものをうまく連携するために情報の共有ができないのか、そして、種子の品質を測定するための技術、こういったものもお互いで共有できないのか。そのことにおいて、私は、農家がさらに優良な作物を栽培するということにつながっていくのではないかなというように期待するわけでございます。

金子(恵)委員 連携というふうにおっしゃるのであれば、改正でいいんじゃないですか。

 種子法廃止の趣旨として、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害しているというふうに言っているんですが、この間も、種子法改正によって、民間企業が参入できるよう規制というのが緩和されてきたというふうに私は受けとめていますので、改正の経過、民間の意欲を阻害しているという実態が本当にあるのかどうかということです。

 それが明確に私は実際に示されているとも思っていませんし、そしてまた、実際はやはり、日本の米、麦、大豆の品種開発、育種技術は極めて優秀なわけです。国や都道府県の研究機関による研究開発技術が高い農業生産技術の基盤であって、そして、重要作物である米、麦、大豆の品種開発、育種、種子生産、供給は農家のいわゆるよりどころになっているということであります。

 このことから、公的な試験研究機関の研究技術、種子、種苗の生産、供給の上に民間の活力を生かすために連携ということであれば理解ができることでありますけれども、主要作物である米、麦、大豆の種子の開発、生産、供給を全て民間に委ねるということにはならないはずですが、もしそうなってしまえば、食料安全保障の根幹が揺らぐことになります。

 実際に、先ほど来おっしゃっている連携ということであれば、今までの種子法が担ってきた役割ということが重要であるということもおっしゃっていただいているわけですから、繰り返し申し上げますが、廃止ではなくて改正でいいんじゃないですか。いかがですか。

山本(有)国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、この種子法は、二十七年の食糧不足のときに、都道府県にお願いしたわけです。そういうときの事情と余りにも変化がございます。

 また、都道府県、特に、例えば北海道と民間事業者でございますホクレン、これが稲のほしまるというのをつくりましたが、これによって寒さに強く食味が進んだいい稲ができたというようなこともあったり、あるいは農研機構と東洋ライスというのがビタミンB1が豊富な品種を生み出したとかいうところは今までもございますけれども、双方が刺激し合って、さらに新しい分野で、農家により有利な、農家がより期待するものをつくっていただきたい、ひたすらそう思うわけでございます。

 また、先ほど申し上げましたように、都道府県の一律な義務づけについては、余り意欲のない地域もございます。その濃淡があるわけでございますので、義務づけというところについて私どもはやや心苦しい面を持っているわけでございまして、総合判断いたしますと廃止が適当ということになったわけでございます。

金子(恵)委員 地域によって濃淡があるということであれば、今回の種子法が廃止になることによって、法的根拠をもう持つことがなくなり、都道府県とか公的研究機関に対しての予算というのはもう出せなくなるということが反対に懸念されるんじゃないかというふうに思うんです。

 先ほどお話がありましたように、そもそも、種子法に関する補助金は平成十年に一般財源化されていて、必要な地方交付税は確保されてきたということでありまして、その根拠法である種子法があるとかないとかというのは関係ないということは先ほど来ちょっと御答弁があるんですけれども、反対に、地域によっての濃淡もあり、もしかすると、地方交付税でこれからも財源確保がなされたとしても、それを地方自治体側がそうすると活用しない可能性があるということをおっしゃっているんですか。

山本(有)国務大臣 この予算についてでございますが、都道府県の重要な役割というものに鑑みますと、財政的な措置というのは十分我々も考慮しなければなりません。

 種子法に関する事務を対象に措置されている交付税ということでございますが、これは引き続き、種苗法あるいは農業競争力強化支援法、こういったものに移しながら、それを根拠として予算編成過程において交付税が措置されるようにしたいというように思っております。

 また、都道府県の濃淡というものに合わせて、事業実施においてこれは算定される交付税であろうと思いますので、その点においては、私ども、都道府県のいわゆる自主性というものも尊重しつつ、こうしたことを進めなきゃならぬというように思っております。

金子(恵)委員 先ほども御答弁でありましたけれども、都道府県等の調査によってしっかりと予算を獲得すればやるというふうにおっしゃっているということですよね。

 ですので、そうであれば、繰り返し申し上げさせていただきますが、きちんとこの事業をまた進める、継続していくような予算の獲得というものをしっかりと進めていかなくてはいけないというふうに思っているところでありまして、そういう懸念が払拭されないままで、やはり、根拠法である種子法を本当に廃止していいのかと考えるところもあります。

 そしてまた、これまで積み上げてきた経緯があって、今までの研究の成果等を見ていきますと、やはりこれは公共財産なんだというふうに思います。それを営利目的とする民間企業に無償で提供するということがあってはならないというふうにも思います。

 この種子自体公共財産であるという認識のもと、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

山本(有)国務大臣 国立研究開発法人及び都道府県から民間事業者に知見の提供を行うということになりました。研究成果が速やかに国内生産者に普及ということが望まれるわけでございます。我が国の農業の発展に貢献すると考えられる民間事業者に対して知見を提供するというのは適切ではないかと思っております。

 その上で、実際に民間事業者に知見を提供する、具体的に有償か無償かということでございますが、国立研究開発法人におきましては、これまでも有償でございます。今後も有償でございます。また、都道府県については、全ての取り扱いを承知しているわけではございませんけれども、各都道府県の事情を踏まえて、個別の御判断に基づいて対応がなされているものと考えております。

 いずれにしましても、公的機関による研究開発の成果が我が国農業の発展のために有効に利用されるということが大事であろうというように考えておるところでございます。

金子(恵)委員 全ての本当に重要な我が国の公共財産を民間に売り渡すとか、そういうことになっていかないように、しかも格安で売り渡すというようなことがあってはならないというふうに思います。

 また、その民間事業者でありますけれども、種子法が廃止されますと、民間企業が自由に主要農作物の種子開発をすることになるだろう。そうなりますと、外資系企業も参入しやすくなってくるということであります。

 実際に、世界を見ていくと、穀物メジャーやアグロバイオ企業が巨大化、寡占化し、食料、種子、農薬の世界的な支配が拡大しているという状況にあります。そういうことを考えたときに、やはり今回の種子法の廃止は、我が国の基幹作物である米、麦、大豆の種子開発、生産、供給をそれら巨大企業に売り渡すことになる、そういう懸念というのがますます増幅しているということでもあるんです。

 民間事業者の外国資本による買収防止策などを明確にしない限り、真の意味での国益は維持できないというふうに考えますが、いかがでしょう。

山本(有)国務大臣 国内の知見をいたずらに外に流出ということは、絶対避けなければならない、やってはならぬというように考えております。

 この主要農作物種子法におきまして、知的財産権の保護あるいは外国資本の参入防止、そうした規定は、今御議論いただいているこの法律にはございません。現状におきましても、外国資本が主要農作物種子産業に参入ということは事実上可能でございます。しかし、現実に、我が国の市場にはほとんど参入をしておりません。

 海外の穀倉地帯等の均一な気候条件下で大ロットの種子販売を前提に種子生産を行っている多くの外資、いわゆる種子の多国籍企業と言われるものでございますが、こういうところは、巨大市場と巨大資本、そして一定の方向性というものが見られるわけでございますが、地域ごとに我が国は多様な気候条件がございます。また、多品種でなければそのうまみがございません。その販売単位が比較的小ロットになっている現在の我が国の主要農作物の市場の現状からすると、我々の行っている種子開発に参入する外資は、これまでもなかったように、これからもなかなかないのではないかというように想像しております。

 また、野菜等の種子と同様に、引き続き種苗法に基づく知的財産の保護というものをしっかり行っていきたいと思っておりますし、公的機関というものは、育成されたすぐれた品種が不用意に海外に流出するということのないように、対応をしっかりと講じるようにしていかなきゃなりません。今後とも優良品種の知見は保護されるということが必要でございます。

 また、知財のマネジメントを踏まえた民間事業者との連携によりまして、我が国における種子の開発、供給が活性化して、我が国の種子の優位性をさらに高めることで、逆に、外資との競争力においてまさるものをつくり上げたいというように考えておるところでございます。

金子(恵)委員 しっかりと対策をしていただかなくてはいけない。守るということでありますけれども、外資系企業が参入してくることによって、やはり供給が不安定になるとか、そして、主要農作物の品種の減少とか、遺伝子組み換え作物が拡大することというのが懸念されるわけですので、しっかりとした対応をしていただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので、農業機械化促進法の廃止法案についても質問させていただきたいというふうに思うんです。

 そもそも、農業競争力強化プログラムにおいては、時代のニーズに合わなくなっているから廃止するための法整備を進めるというふうに言ってきていたんですが、どのように合わなくなっているのかということで、この法律の中にあります高性能の農業機械の導入について言えば、実際には、担い手の高齢化や労働力不足等の課題の解決のために、ロボット技術とかICT技術の先端技術の導入というのは進められているわけです。ですので、これについて言えば、ここで、ニーズに合わなくなっている、だから、国、県中心の開発、導入制度の必要性が低下しているんだということが言えるのかということであります。

 私は、反対に、高性能農業機械の中に、ロボット技術、そしてICT技術等が含まれるということであり、スマート農業も含めて、国が今進めている革新的技術開発・緊急展開事業とか、あるいは内閣府の予算でも、戦略的イノベーション創造プログラムの次世代農林水産業創造技術等でいろいろ進めているわけですが、こういうことをやっているわけですから、農業機械化促進法も、もしニーズに若干合わない部分が出てきているのであれば、これはやはり廃止でなくて改正ということもあったのではないかというふうに思うんですけれども、その辺のところはどうなっているのか、お聞かせいただきたいと思います。短目にお願いします。

山本(有)国務大臣 二十八年に導入しましたのですが、高性能農業機械というのは、いわゆる試験研究、実用化の促進、導入を図るわけですが、国が強く関与しなくても、いわば技術革新が速くなってきておりまして、例えば、審議会で意見を一定期間置きに聞いておるわけでございますが、聞く前にもう開発が進んでいるというようなことになっております。

 また、型式検査でございますけれども、安全検査以外についてはほとんどニーズがありませんし、申請もありません。

 そんなことを考えていきますと、十分、私ども、高性能機械というのは、これからも開発していくその周辺技術が、環境が整っているというように思っているところでございます。

金子(恵)委員 関連してなんですけれども、農林水産業におけるロボット技術安全性確保策検討事業というものがありますが、スマート農業を推進する上で、導入ステージ、環境整備等では安全のルールづくりも必要とするということであります。

 こういうことも含めて、安全性の調査、分析、評価ということもしっかりと進め、そして、最終的には、ガイドラインを更新して策定するということを伺っているところでもありますけれども、これについてはどのように進められるのか、最後にお伺いしたいと思います。

 そしてまた、福島県では、イノベーション・コースト構想の中で、やはり農林業を中心といたしましてのロボット技術の開発というのが進められているわけなんですけれども、今後、もしこの法律が廃止になり、そして農研機構にまた移行した形で、いろいろな安全性の検査とか、そういうものがなされるということだというふうに思うのですけれども、そういうことも含めて、今、福島で開発されているそのロボットは、福島復興再生特措法にロボットという言葉がもう盛り込まれておりまして、それが法的根拠になっているような形ではありますけれども、しかし、ここから発信した技術というものは全国あるいは世界に行くわけであります。

 そういうことで考えますと、やはり今後、国としてしっかりとしたサポート体制をつくり上げなくてはいけないわけですが、そのことについてのお考えを聞かせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、スマート農業の実現に向けた研究会というのが、経済界、学識経験者等で立ち上げられました。ロボット技術やICTを活用した農業の将来像、取り組み課題を整理し、技術開発や現場実装に向けた取り組みを推進してきていただいております。

 他方、そうした動きの中で、平成二十八年から、農林水産業におけるロボット技術安全性確保検討事業というのも立ち上がっておりまして、自動走行のトラクター等のロボット技術の安全性の検証、あるいは安全性確保策のルールづくりを進めているわけでございます。

 御指摘のように、福島県というのはこうした動きに敏感に対応していただいておりまして、福島イノベーション・コースト構想の一つの柱でございます農林水産プロジェクトにおいて、先端農林業ロボットの開発を行っていただいております。具体的に申し上げれば、トラクターの自動走行技術、のり面用除草ロボット、そして農業用アシストスーツ、苗木植栽ロボット研究開発及び現地実証を進められております。

 平成二十八年に福島県が行った現地での公開実証には、農業関係者を初め多く期待をかけているわけでございまして、福島県の動きが世界を変えるという時代を私どもも期待しておるところでございます。

 以上でございます。

金子(恵)委員 終わります。ありがとうございました。

北村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。

 きょうは、種子法の廃止の課題についてから聞いていきたいと思います。

 まず、お手元にお配りをしております資料の方にもありますが、主要農作物種子法の第一条、目的のところで、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するためこの法律があるわけですが、これを廃止するという今回の政府提案であります。種苗法に包含されるんだ、こういう御説明をされていますが、その六十一条では、優良な品質の指定種苗の流通を確保するため法律があるわけでありますが、今お話をした、優良な種子の生産及び普及を促進する目的と、優良な品質の指定種苗の流通を確保するための措置は、当然違うはずであります。

 したがって、今回政府が説明をしている、種苗法に含まれていくんだという話は、これは厳密に言うと違うのではないかということを確認したいと思いますが、それについて、違う部分があるということでよろしいでしょうか。

柄澤政府参考人 委員御指摘のとおりでございまして、種子法に現在規定されている内容が全て種苗法に移行するということではございません。

岡本(充)委員 例えば、今、種子法の八条の優良な品種を決定するための必要な試験などは、都道府県に試験してくれというお願いをしていますが、これはなくなりますね。

 例えば、こうした検査に必要な費用は交付税で今見ていると思います。一括交付金になって交付税で見ていると思いますが、これについては、今、実際に幾らというふうになっているんでしょうか。

柄澤政府参考人 平成九年度までは、私どもの種子に関する補助金というものがございましたが、地方分権の推進を図る観点から、平成十年の段階で一般財源化され、補助金は廃止されたということでございます。一般財源化された際、地方交付税の単位費用算定基礎のうち生産流通振興費という費目がございますが、今、この大きな費目の一部に組み込まれているところでございます。

 したがいまして、この生産流通振興費の中で種子部分の額が幾らということは明らかになっていないところでございます。

岡本(充)委員 これは、平成十年のこの法改正のときの三月十八日の国会質疑の中で、農林水産省の方からだと思いますけれども、主要農作物対策費は、標準団体で、これは都道府県の標準団体ですけれども、主要農作物対策費は七百十万円増額ということでございます、その中で、主要農作物種子法の一般財源化に伴う増額分は三百五十万円ということでございますということで、三百五十万円と答弁をされておりますが、これは事実じゃないんですか。

柄澤政府参考人 大変恐縮ですが、その当時の経費について現在承知はしておりませんが、現在、足元で、平成二十八年度の、さっき申し上げました標準団体の生産流通振興費を見てみますと、標準的な団体で、生産流通振興費全体としては八億八千万程度が積算根拠に組み込まれているというふうに承知しております。

岡本(充)委員 一般財源化されても交付税措置で国から支援を受けているということは事実でありますね。

柄澤政府参考人 交付税の積算根拠の中にこの事務の内訳が組み込まれているということは事実でございます。

岡本(充)委員 今回、これが廃止になるということになると、この分のお金は、法律がなくなるわけですから、当然国から行かなくなるということになると、お金が行かない中で、本当に都道府県は、こうした検査なり、優良な種子のいわゆる生産及び普及を促進していくという、こうした観点の取り組みをしてくれるのかというと、していただくようにお願いしていくベースでしかない、こういうきのうの話でした、大臣。

 やはり残念ながら、お金がなくなるとこうした検査が十分行われなくなる例は過去にたくさんあるわけでありますから、こうした観点で考えると、こうした交付税措置が減り、今回、種子法で取り組んできた優良な種子の生産及び普及の促進がされなくなるということがないようにするために、農林水産省として何らかの措置をとるべきだと思いますが、いかがでしょう、大臣。

山本(有)国務大臣 平成十年に、この補助金につきましては一般財源化ということになってしまいました。私ども農林水産省がお願いするときにおいて、補助金という形で行わせていただければ、その消化ぐあい、決算等々如実にわかるわけでございますけれども、一般財源化されたということになりますと、勢い都道府県の自主性に既に今でも任されているわけでございます。

 ただ、こうした一般財源化の地方交付税、これがなくなってしまうということになりますと、これはゆゆしい問題で、先生の御指摘のように、いわゆる種子の開発あるいは圃場の維持等が賄われないということになりかねません。

 そこで、私どもとして、根拠法はあくまで種苗法あるいは農業競争力強化支援法というものに置きまして、関係省庁、予算編成過程においてしっかり地方交付税を確保するということに取り組みたい、こういうように思っておる次第でございます。

岡本(充)委員 いや、大臣、そう言いますけれども、これは種子法の八条で、優良な品種を決定するための試験を行わなければならないと義務をかけていたわけですからね、これまで。これがなくなるわけですから。

 そういう意味では、この部分のお金を色がついていない一般財源で見ているんだ、だけれども、これがどこから出ているかわからないから、法律がなくなってもそれぞれの都道府県の取り組みでやっていくというのはまさに理想論であって、では、逆に聞きますけれども、交付税の算定要件であるこうした法律がなくなって、実際に国からの支援がない中で、それまで国が義務をかけていて義務を外した結果、一年、二年とたつ中で、それでも全県で行われている、もしくは全市町村で行われている、そうした農林水産省関連の事業というのはどういうものがあるのか。これは聞いていますから、通告していますから、お答えください。

柄澤政府参考人 例えば、一例で申し上げますと、現在の地方交付税の中に、麦作転換の指導ですとか農作物の生産改善に関する事務というような積算のものがございますが、こういった事務につきまして特段法律の根拠はございませんし、各県が各県の農業振興上必要だという御判断で自主的に実施されているというふうに理解しております。

岡本(充)委員 違います。

 義務をかけていたのに義務を外した結果と聞いています。お金の話だけじゃない。法律で義務をかけていたのに義務を外した、もしくは通知等で義務をかけていたのに義務を外したもので、その後も行われているものは何があるのか。

柄澤政府参考人 恐縮でございますが、個別の事務事業で御指摘のような事例は、承知しているところではございません。

岡本(充)委員 ということで、たくさんある事務事業の中で、これまでないんですよ、そんなの。義務をかけていて義務を外して、その後もやってくれと頼んだらみんながやっているなんていう話はない。今言ったとおりなんです。

 したがって、大臣、交付税を確保してまいりますというのは、これは役所が書いた答弁ですよ。きちっと優良な種子をどうやって確保するか、改めて施策として打ち出すべきだ。今回、法律廃止はするけれども、こういう施策をやるんだという決意をぜひ御答弁いただきたい。

山本(有)国務大臣 すぐれて、種子の農業に位置する立場は極めて重要であるということは言をまちません。その意味で、いわゆる主要農作物種子法が廃止されることにおいても、種子における農業の位置づけというのは変わるものではない。

 したがいまして、地方公共団体が開発やあるいは圃場の維持や研究等について手を緩めることのないように、万全の財政的措置が行われるよう私も決意を新たに頑張っていきたいというように思っております。

岡本(充)委員 ぜひ、万全の措置をとっていただく内容を早目に公表していただきたいです。

 それでもう一つ。これは過去の法改正のとき、これも平成十年三月十八日の国会答弁で、政府として、いわゆる全国種子計画で、過剰な種子の生産に伴って種子の価格の下落を防止するというのはこの法律の重要な意味合いの一つだ、目的の一つだと言っているんですよ、答弁しているんです。

 この機能はなくなりましたね、今度法律を廃止すると。どうですか。

柄澤政府参考人 現在、関係通知に基づきまして、各県に種子協会というものが設けられておりますし、全国ベースでは、全国主要農作物種子安定供給推進協議会、全国協議会が設けられておりますが、こういった仕組みは引き続き法律廃止後も存続するというふうに考えております。したがいまして、各地の種子の需要供給量の把握や、種子供給量や都道府県間の種子流通量の調整等をここで実施することになりますので、御懸念のような種子の需給や価格の安定は引き続き図られるのではないかというふうに考えております。

岡本(充)委員 四ページを見てください。これは議事録に残っているんですよ。私がラインを引いているところ、各県で都道府県の種子計画、どの程度需要があるかということを生産の計画で策定していただく、これは法律の事項なんですね。そして、全国種子計画ということで国において調整をさせていただきまして、都道府県別の種子の生産の、面積でこれは示しますけれども、上限を設定するということで、計画的な生産供給を図っているわけでありますがと。

 この上限はなくなりますね。これは確認させてください。

柄澤政府参考人 現在の種子法に基づきまして、御指摘のとおり、種子の生産圃場の上限というものと、それから、そもそも種子生産圃場を指定するという枠組みがございます。

 これは、法律制定当時におきまして、対象となる圃場を優良な種子の生産が十分に可能なものに限定するということによりまして、圃場の審査や生産物審査を効果的、効率的に実施する、あるいは、都道府県が種子生産圃場を把握することで種子生産農家への指導等を円滑に行うという、当時の事情の中で設けられております。

 しかし、今日におきましては、昭和二十年代と比べますと種子の供給や品質が安定しておりますので、全ての都道府県に対して御指摘のような種子生産圃場の上限あるいは指定というものを法制度として規定する必要は低下しております。

 ただ、先ほど申しましたように、各県の種子協会におきます需給の把握等の仕組みは存続いたしますので、引き続き種子の需給や価格の安定は図られるものと考えているところでございます。

岡本(充)委員 長いですよ。

 上限がなくなるかどうかだけ。上限設定はなくなるんですよね、それだけ答えてください、最後の質問に行きたいので。

柄澤政府参考人 法律上の規定はなくなりますけれども、各県が自主的に行うということは考えられるということです。

岡本(充)委員 結局、これも各県の自主的な話なんですよ。

 やはり都道府県をまたいでの調整を国としてやっていく必要があると、これは平成十年に言っているんです。昭和二十年代の話をしているんじゃないんですよ、平成十年でもこう言っている。それをやはり今回廃止をするということの問題を私は指摘しておきたいと思います。

 もう一つ。機械化促進法ですが、この資料で見ると、型式検査は一体どんな推移かと見てきたら、ごらんのように、受検件数と、うち安全キャブ、安全フレーム検査、これを差し引いた、いわゆる今回ほとんどニーズがなくなっている、こう言っている検査は、実は平成十二年を機にがくっと減るんです。

 平成十二年に一体何があったのかというのを調べたら、実は、その次のページを見ていただきますと、通知が出ている。平成九年に出ていた通知では、いわゆる補助事業によって購入する機械は、型式検査合格機の中から選定するものとするとしていたのに、十二年に通知が出たら、型式検査に合格したものまたは生研機構により安全である旨の鑑定が行われたものの中から選定する、こういうふうに変わったんです。これは、実質的に法律の骨抜きをしたんじゃないか。

 二ページ目を見てください。これは、法律ではきちっと農機具の検査を国が行うと書いていた。にもかかわらず、検査を行わない抜け道を通知でつくってしまったというのは、これは本来、法改正をこのときしておくべきじゃなかったか。

 ニーズがなくなってきたんじゃないですよ、ニーズをなくすような通知を出したんですよ。であれば、これはきちっとこのときに、十二年に法改正をするべきではなかったかと考えるんですが、これについて見解を求めて、私の質問を終えたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました十二年の通知でございますけれども、国が補助事業によって導入します農業機械については、それ以前は、御指摘のとおり、型式検査の合格機だけを対象にしてございました。ただ、その後、製造技術も向上して性能も安定してまいりましたということもあって、補助事業の効果の発揮の観点からは、必ずしも型式検査の合格を要件とする必要性は低下したということで、補助事業の観点からは、型式検査の合格のみを要件とするという部分については緩和をしたわけでございます。ただ、御指摘のとおり、それも要因となって型式検査の数が減ったということはそのとおりだろうと思います。

 ただ、型式検査自体は、その補助事業のあるなしにかかわらず、農業機械メーカーから依頼を受けまして実施するものでございますし、現に当時は受検ニーズもございましたので、その補助事業の要件として外す、外さないという話と、農業機械化促進法の型式検査そのものを改正するという話は別のことだろうというふうに考えてございます。

岡本(充)委員 時間が来ましたので終わりますが、きちっと私は審議をされるべきだと思います。

 以上です。

北村委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十九分開議

北村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民進党の佐々木でございます。

 主に種子法について、きょうは与えられた時間、議論をさせていただきたいというふうに思います。

 午前中、それぞれの皆さん方がかなり議論をして、ほとんどちり一つないぐらい議論をされているわけでありますが、少し視点を変えながら議論をさせていただきたい。裏番組と戦いながらしっかり頑張りたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。

 種子法に関して農水省さんがしっかりとQアンドAをつくっていただきましたので、このQアンドAに沿って優しく質問をさせていただきたいというふうに思うんですが、この順番に沿って質問させていただきます。

 種子法の廃止に関して、競争力強化支援法に都道府県の役割を位置づけますというふうになっているわけでありますが、まずはその廃止の経過をお伺いしたいと思うんです。

 今回の八法全てについて言えることなんですが、ほとんど何か農業者のために改革をしたという印象がないんですね、八法とも。

 私も原種、原原種をつくっている農家の皆さん方にもお会いをしてお伺いしましたが、一度もこのことについて聞かれたことはないと言っておりました。

 先ほど統括が言われておりましたが、現場の声というのは一体いつごろ、どのようにして聞かれたのか、そして、どんなニーズがあったのかということについて、まずお伺いをしたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 いま一度、法案提出に至る経過を御説明させていただければと思います。

 まず、一昨年、平成二十七年の、TPPの大筋合意直後の十一月でございますが、総合的なTPP関連政策大綱がまとめられたわけでございます。この大綱におきましては、いわゆる体質強化対策ですとか経営安定対策の充実とあわせまして、生産者の努力では対応できない分野の環境の整備を通じた我が国農業の構造的問題の解決が重要であるという認識のもとで、いわゆる継続検討項目が掲げられまして、これについて、二十八年秋を目途に具体的内容を詰めることとされたところでございます。

 その後、二十八年の八月に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策におきまして、農業者の所得向上を図るためには、生産コスト削減と農産物の有利な条件での販売が重要であることから、先ほどの継続検討項目に掲げられました生産資材価格の引き下げですとか、あるいは流通、加工構造の改革などの施策について、二十八年内を目途に競争力強化プログラムを取りまとめるということが決定されたわけでございます。

 それを受けまして、平成二十八年九月以降、政府あるいは与党の中で精力的に議論、検討が行われまして、最終的に、二十八年十一月に至りまして、閣僚レベルの農林水産業・地域の活力創造本部におきまして、農業競争力強化プログラムとして取りまとめられたという経緯でございます。

 そして、この競争力強化プログラムの中におきまして、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進める。」ということが明確に記述されたところでございまして、現在提出させていただいていますこの廃止法案につきましては、このプログラムの内容を踏まえたものだということでございます。

 そして、この間、政府あるいは与党での検討の中で、関係業界の方などもお越しいただいて御意見をお聞きするというようなことを含めまして、いろいろな検討、議論がなされたというところでございます。

佐々木(隆)委員 今の統括官の答えの中に、一個も農民ということが出てこないんですよね。要するに、これは農民のためにやると言っていながら、農民に聞いていないんですよ。だから、誰のための改革だと。これは常に、前段もずっといろいろな人からそういう質問があったと思うんですが、本来、農民のためにやるんだと言っていながら、農民の声を一個も聞いていないというのがこれまでの経過なんですよ。

 そういう状況の中で、関係団体の声は聞いたようですけれども、農民の声を聞いていないというところに大きな問題があるというふうに私はまず思っています。これは八法全てについて言えることです。

 先ほども、これは金子議員だったかな、種子は公共財だというお話がありました。野菜の種子については、今ほとんど民間がやっているわけですよね。稲、麦、大豆については、この種子法の中で、都道府県がやるということになっている。なぜそうなのかということを少しやはりちゃんと、多分分析はされたんだと思うんですが、野菜の種は、御案内のように、一袋何千円というような種ですよ。下手すると一粒何十円もするような種なわけですよ。これは民間がやる意味があります。

 米、麦、大豆、これは一俵一万円とかという単位ですよ。一俵単位ですよ、取引は。だから、大量につくって、しかも安く提供するということを担っていたわけですよね、ある意味で、都道府県は。だからこそ、種子法に基づいてそのことをやっていた。民間が入ってこられたのに入ってこなかったのはそのコストの差であって、だから、別にこれをやったからといって、今の民間の種屋さんが米や麦をつくるとは到底考えられません。

 そこで問題なのは、この米、麦、大豆、いわゆる主要穀物ですよ。主要穀物というものは、これは行政が責任を持って、もっと言えば国が責任を持って確保しなければいけないから、都道府県にその義務を課していたわけですよ。公共財、言いかえれば主要穀物というものについて、ほかの野菜と全く同じ考え方でいいのか。アメリカでさえ、麦や大豆は州がちゃんと責任を持っていますよ。

 だから、そういう意味での主要穀物というものに対する農水省の考え方というもののコンセプトがよくわからない。そこをまず大臣にお伺いしたいと思います。

山本(有)国務大臣 昭和二十七年に制定されたこの法律は、委員おっしゃるように、稲、麦、大豆、我が国の土地利用型農業における重要な作物、その生産における基本的資材が種子である。そして、これは国民的な大変重要な、当時食糧不足という背景もありまして、絶対的に量産しなければならない。この種子のいわば品種改良等々は、多くの国民が享受できる、そういうサービスとしての、食料安全保障等、そういうものにも資するわけでございまして、公的色彩が極めて高い時代でございました。

 しかし、都道府県中心の制度となっているために、奨励品種というようなものだけに限って見ますと、奨励品種になりづらい、民間の皆さんが奨励品種をとろうとしましても手続も定まっていないというようなこともありまして、全体として、我が国の今の現状を見ますと、都道府県のみならず、民間のノウハウも十分、非常に高いレベルにあるのではないか。もしそれがコラボレーションして、さらにより高みを目指すことができるというようなことになれば、さらに農業者に非常にいい、戦略的なあるいは広域的な、種子が提供されることにつながるのではないか。

 そういう観点から、このたてつけについて抜本的に改革を行って、種子法から、新しい時代、特に官民が共同していいものをつくる。午前中も申し上げましたように、ホクレンが北海道と一緒になってつくった稲作の品種が非常に寒冷地で受けているというようなことからしましても、新しい農業のジャンルを開いていくというような、非常に力強い、将来的な、非常に希望にあふれた、そういう境地が見出されるのではないかという期待もありまして、こうしたことを進めさせていただいているという認識でございます。

佐々木(隆)委員 いや、そうであれば、今回二つの法律が出されているんですが、機械化促進法は利用価値がなくなったから廃止します、これはわからぬわけでもありません。種子法は民間の利用を活性化したいために廃止します。片っ方は要らなくなったから廃止します、片っ方は需要が多いから廃止します、全く違う話なんですよ、これは。

 だとすれば、これは本来、活性化のためというなら改定をすべきであって、なぜ廃止をしなければならないのかというのが全くわからないんですよね。廃止をしたらどうして活性化するのか。今の大臣のような答弁であれば、これは改定をして、民間の人が一緒に。

 そして、もう一つ言わせていただきますが、知見の提供と書いてあるんですが、何で提供なのかというのもよくわかりません。知見は共有するというならわかりますよ。知見は一方的に提供するという話ですよね、これは。何で共有しないのか、ここもよくわかりません。

 この二つでどうして活性化につながるのか、もう一度お願いします。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも申し上げましたように、昭和二十七年からの経緯がございます法制度でございますけれども、この法制度はどうしても都道府県中心のたてつけになってございますので、単に要らなくなったからということではなくて、今の時点でこの法制度を見た場合にどういう問題があるかというふうに考えた場合に、三つほどの問題があるというふうに考えております。

 まず一つは、都道府県が開発した品種を優先的に奨励品種に指定することが構造上避けられないということでございますので、現行の仕組みを前提として改正をしたとしても、現行の構造的な仕組みを前提とする限り、民間企業が開発した品種の奨励につながりにくいというような問題。

 それから二つ目としまして、各都道府県内の利益にとどまらない、都道府県の枠を超えた形での広域的、戦略的な種子生産が求められるものがございます。例えば、輸出用のお米あるいは業務用のお米、県の範囲に必ずしも限定されないようなニーズはあるわけでございますけれども、そういったものは、ニーズがあったとしても奨励品種に指定されにくい。

 さらには、今日、種子の供給や品質が安定しているにもかかわらず、必ずしも米麦等の主産地でない都道府県もあるわけでございますが、そういうような都道府県も含めまして、全ての四十七の都道府県に対して一律に、原種、原原種の生産をしなさい、奨励品種を指定するための試験をしなさい、生産物審査や証明書の発行事務を行いなさいというような義務を法律上課しているということは、やはり課題でございます。

 そういった課題が明らかになったことから、法律の構造的な問題でございますので、改正してもこれは直りませんので、廃止をするという判断に至ったところでございます。

 一方、廃止をしたらどうなるかということでございますけれども、廃止をいたしますと、まず一つは、都道府県に対する優良な品種を決定するための試験ですとか、原種、原原種の生産の義務づけが廃止されますので、都道府県がいわばフリーハンドで、身軽になって、民間企業が開発した品種も含めて奨励品種を指定しやすくなるというようなことがあろうかと思います。

 また、都道府県中心の種子生産、普及を裏打ちしておりますこの法制度の廃止とあわせまして、別途、農業競争力強化支援法案等によりまして、民間事業者の新規参入支援措置を講ずることとしておりますので、こういったこととあわせまして、民間企業の参入が一層進み、都道府県が開発した品種のみならず、民間企業が開発した品種も含めまして、結果として、一番大切でございます農業者の選択が拡大する、そういうメリットを期待しているというところでございます。

佐々木(隆)委員 統括官、今、身軽になると。そういう声があったんですか、どこからか。それは民間の種業者にはあったかもしれないけれども、府県とかあるいはJAとか、何かそこに身軽にしてくれというような要望があったということなんですか、今のお答えからすると。私はそんなふうには全然聞いていないんですけれども、もう一度お願いします。

柄澤政府参考人 先ほども申し上げましたように、法律の構造上、四十七の都道府県に一律に義務づけを行っておりますので、この仕組みを改めますと、都道府県がいわばフリーハンドの形で、民間企業が開発した品種も含め、奨励品種を指定しやすくなるというようなことは、日ごろ私どもいろいろな業務をやっている過程でそういう判断に至ったということでございます。

佐々木(隆)委員 私たちの業務で判断に至ったといっても、要するに、誰かのニーズがあったり、どこかに非常に不便が生じたというときに法律というのは改正するわけであって、今のでは全然、自分たちはそう思ったから改正しました、いや、改正じゃないですよね、廃止しましたという話ですから、私はやはり説得力が非常にないというふうに思うんですよ。

 先ほどもお話がありましたが、確かに、府県によっては、そこに義務づけられても、それだけのことに応えられないという県もあるのも事実だと思いますし、広域でやった方がいいというものもあると思います。

 私は北海道ですけれども、北海道でいえば振興局というのがあるんですが、振興局同士で争って、それぞれ別な品種をつくってというぐらい競争してやっているわけです。三つの試験場で三つの品種をつくって、それぞれがトップ銘柄になって今頑張っているし、その一方で、これは三品目ではありませんけれども、北海道でやることは非効率だというところは他の県にお任せしているものもあります。

 だから、実際には、そういう県でまたがって調整できるというような仕組みは、今は都道府県に義務を課している、都道府県という行政同士だからそのことがやれるわけですが、これはそこを改正すればいい話であって、それの義務を取っ払うことによってそのことが進むという理屈につながるというのが私には、いまだ理解しておりませんが、答弁をお願いします。

柄澤政府参考人 大変繰り返しで恐縮でございますが、都道府県みずからが奨励品種を指定する、その際、法律上、都道府県に奨励品種を指定するための試験を義務づける、こういう仕組みの中で、どうしても現行の仕組みを前提とする限り、民間企業が開発した品種の奨励につながりにくいということは、理論的な話のみならず、この十年間の経過を見て明らかだ、事実として明らかだということだと思います。

佐々木(隆)委員 役所が判断したことがとやかくという話を今しているのではなくて、何で廃止をしなければこのことが実現できないのか。改定をすればいいんですよ。一県で全部やらなければいけないというようなシステムを変えればいいだけの話であって、少なくとも、いわゆる主要穀物、稲、麦、大豆というものを行政から手を離すということが非常に問題だ。ほかの野菜と同じになっちゃうわけですよね、ある意味で。

 野菜がけしからぬと言っているわけではありません。野菜も重要ですが、主要穀物という考え方が農水省にもしかしたらなくなってしまったのかという心配をしているんですが、これは誰か三役、お答えください。主要穀物について、農水省としてはどう考えているのかということについて。

山本(有)国務大臣 再度申し上げますけれども、主要穀物についての種子というのは、かけがえのない、いわゆる公的色彩の強い商品というような位置づけでございまして、この種子法があろうがなかろうが、その農業における位置というのは私は不動のものだろうというように思っております。

 ただ、私自身の個人の体験ですから全部に言えるかどうかわかりませんが、今、高知県の普通米の品質が随分高くなってまいりまして、それで、ここ数年、高知県産の水稲がグランプリをとっております。

 ちょうど日曜日に、グランプリの方のお祝い会があったので、私が出席させていただきますと、まず、このことについて、種子についての御意見がございました。グランプリは、仁井田米と天空の郷というのが連続してグランプリでございます。しかも、高知県産の普通米でございます。皆さん共通に言われたのが、それは、九州沖縄農業研究センターのにこまる、これがあったからできたんだと。一般的な県単位で改良されている品種で、県をまたぐことができなければ、我々はこうしたグランプリをとることができないというようなお話を伺いました。

 それだけで全てを語るわけにはいきませんけれども、グランプリをとらせていただいたそのおかげが九州沖縄農業研究センターのにこまるだったということに対して、私は非常に勇気づけられたわけでございますし、また、他方、これは主要農作物ではありませんけれども、隣のJA愛媛の紅まどんなという果樹がございます。このミカンの価格は、今、大体六個で五千円以上しているわけでございますので、そうしたものをつくらせてもらえないかなと相談がありました。しかし、これは絶対難しいんです。

 その逆に、高知県のミョウガ、これは主要農作物ではありませんけれども、このミョウガも、ほかの県がしばしば、つくらせてもらえないかということを言います。

 そうした、四十七で非常に競い合っているといういい面もありますけれども、全体として、これからさらに付加価値をつけ、その付加価値が多くの農家の皆さんに均てん化され、配分されるということを考えましたときに、県の単位が、今のところこれでいいのかどうかについては、むしろ狭過ぎるのではないかというような意見もあり、私どもは北海道と違って狭い耕作をしているところでございますので、そういうような意見もあるということは、ぜひ佐々木委員にも御理解いただきたいというように思う次第でございます。

佐々木(隆)委員 だから、今大臣がお答えになったようなことを、改正をすればいいんじゃないかと僕は言っているんですよ。要するに、一県では何か奨励品種をつくっていくのが難しいというのであれば、今は行政と行政なんですから、そこが協力をしてやっていくような改正をすればいいのではないのかということを言っているのと、もう一つ、やはり果樹も、これは品種改良するのに年数がかかりますから、ほとんどこれも県がやっていますよ。それは、ミョウガのように一年草のものはどんどんと変えていける。だから、全部同じ仕組みで考えちゃだめなのであって、今だって野菜は民間が中心でやっています。

 しかし、主要穀物がなぜ稲と麦と大豆なのかというと、それは代替がきかないからですよ。日本人の主食として代替がきかないから、この三つはちゃんと行政が責任を持って育種をし、種を保存していかなきゃいけないということで、この三つを限定しているわけですよね。その考え方を捨てちゃったんですかということを私は聞いているんですよ。その三つが重要だと言うんだったら、行政はどこかに責任を持っていないと、国民の食料の基本中の基本を捨てちゃうことになるんですよ、農水省が。そこについてどう思っているんですかということを今お伺いしています。

齋藤副大臣 大臣の御答弁と重複するところがありますけれども、稲、麦、大豆が我が国の土地利用型農業における重要な作物であって、その生産における基本的資材である種子が重要な戦略物資であるという認識、この基本的認識は今後とも一貫して変えるつもりはありませんし、この稲、麦、大豆につきましては、むしろ佐々木委員もお詳しいと思いますけれども、この種子法に限らず、さまざまな政策で手厚い手を打ってきているところでございます。この点は御理解していただきたいと思います。

 それで、法律を改正した方がいいのではないかという御意見でありますけれども、今は、野菜と同じとは言いませんけれども、この三種の種子につきましても、先ほど来御答弁申し上げましたように、例えば健康重視の品種ですとか食味重視、あるいは輸出に向けたもの、さまざまなニーズというものが多様化をしてきているわけであります。その多様化するニーズに応えていくためには、やはり民間の参入というものも一つの方法であろうということであります。

 民間の参入を促していく上でいろいろなことがあるわけですけれども、今の法律のもとでは、都道府県が国によって、法律によって、こういうことをしなさいということになっております。そのためには県の税金も恐らくつぎ込んで、奨励品種までたどり着いているんだろうと思います。そして、それともしかしたら競合するかもしれない、そういう民間のものが奨励品種として掲げられてくるということはなかなか考えにくい。

 だから、そういうことを考えますと、なるべく市場ニーズに適した品種改良が、民間の参入も含めて進んでいくようにするためには、今、都道府県がやっていることをやめろというわけじゃありません。ただ、国が法律で強制をする必要はもうなくなったのではないかという考えで、こういう提案をさせていただいているところでございます。

佐々木(隆)委員 それは少し違うと思います。

 強制という言い方、義務ですから強制といえば強制なんですが、それが外れるということは、やはり種子開発が行政の責任としては相当薄くなることは間違いありません。また、それを狙っているから民間参入というものを求めているんだと思いますし、そうなったときに、本当に、奨励品種というものが、ある種なくなるわけですよね。奨励品種に民間が入りづらいからこの種子法を廃止するということは、奨励品種そのものがどんどんなくなっていくということをある意味で意味しているわけですよ。

 そうなったときに、本当にこれからの、それと、ここのQアンドAでいう二つ目の、農産物の検査で種子の品質を担保すると言っているんですが、そうしたものが一体どうやって担保されていくのか。開発の責任が弱まっていくことが見えているのに、ここをどうやって担保するのかということについてもつながっていく話だと思うんですよ。それを、何で廃止するとそうなるのかということも、これもつながらない話なんですが、これは統括官、お答えください。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、前段、奨励品種がなくなってしまうという御指摘がございましたが、この点につきまして申し上げますと、現在、奨励品種の指定自体は、厳密に法律に基づいてやっているわけではなくて、法律に書いてありますのは奨励品種を指定するための試験ということでございます。

 したがいまして、奨励品種の指定自体、直接種子法の廃止とリンクする話ではございませんで、現に私どもが各都道府県に聞き取りを行ったところ、大半の都道府県は奨励品種に関する業務は基本的に継続していくというような御回答でございますので、法律の廃止イコール奨励品種の廃止ということは実態とは違うということを申し上げたいと思います。

 それから、品質の確保の観点のお話でございます。

 種子の品質の確保の観点で、現在、種子法におきましては、都道府県による圃場審査と生産物審査という仕組みが組み込まれているわけでございます。具体的には、種子の遺伝的な優良性を圃場審査で確認し、また、発芽率等の品質を生産物審査で判定するという仕組みでございますが、品質の関係につきましては、種苗法の指定種苗の生産等に関する基準というものに、今後、稲、麦、大豆について、ほぼ現行の種子法の圃場審査並びに生産物審査に係る規定と同様の規定を追加することを考えております。したがいまして、都道府県域の事業者が生産する種子については、これまでと同様、生産地の都道府県がその品質の確認を行うということに相なるわけでございます。

 さらに加えまして、米、麦、大豆につきましては、農産物検査法という仕組みがございますので、農産物検査法に基づく農産物検査というものも引き続き行われます。農産物検査によって、種子の水分等を含めた流通上必要な品質は引き続き担保されるということでございますので、こういったことを含めまして、品質の確保について、今後とも問題がないように措置してまいりたいということでございます。

佐々木(隆)委員 問題ないようにしてまいりたいではなくて、奨励品種というのは実質担保されなくなりますよね。別に、やめろと言っているわけでもないし、今までの法律にもなかったかもしれない。しかし、それをやる意味がなくなってくるわけですから、担保されなくなるわけですよ。ということについては、今の答えの中では明確でありません。

 続いて、三つ目のところにかかわりますが、種というのは、農家側の方から見ますと、採種圃場というところで種がつくられていて、その手前に原種圃場というのがあって、その手前に原原種圃場というのがあるわけですよね。この体制というものは、種子法がなくなった中でどうやって担保されるのかということについてお伺いします。

柄澤政府参考人 重ねて申し上げますけれども、各都道府県に聞き取りを行ったところ、今御指摘の原種、原原種の生産に関する業務につきましても、多くの都道府県は継続するというふうにお答えになっておられます。

 この原種、原原種というものは、まさに委員御指摘のとおり、農業生産における出発点でございますので、本当に基本的な資材、一般に使われる一般種子の品質に大きな影響を及ぼすものでございます。したがいまして、優良な種子生産のためには、厳格に生産管理された形で原種、原原種を使用することが特に重要だというふうに認識しております。

 現実の状況を見ますと、この生産につきましては、普及員などの人材を有しておられます都道府県の農業試験場等を中心に行われているという実態がございます。各地域の農業振興の観点、各県それぞれお考えでございますが、その農業振興の観点から、今後とも種子の生産、普及に関与すると言っておられますし、当然必要な原種、原原種生産も行われるというふうに認識しております。

 そういった中で、種子の普及の面につきましても、県の種子協会なども存続いたしますので、基本的に、県の生産あるいは普及の体制というものは現状と同様の仕組みが維持されるものと考えております。(発言する者あり)

北村委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

北村委員長 速記を起こしてください。

 会議を続けます。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 今、統括官の答弁をいただいたんですが、原種、原原種の確保や供給体制は普及員などを通じてしっかりやっていきたいと言っていたんですが、今は都道府県に義務を課しているからそれができているわけですよ。義務を外した中でそれはどうやって担保できるんですかということと、もう一つ言えば、府県からのお話も伺ったと答弁をされたんですが、府県の声というのはどんな声があったのか、いつごろ聞いて、どんな声があったのか、少し具体的にお話をいただきたいというふうに思います。この二点。

柄澤政府参考人 まず、どのような形で原種、原原種の供給体制を担保するのかという御下問でございます。

 先ほど申し上げましたように、各都道府県はそれぞれの都道府県の農業振興の観点から種子の生産、普及に関与しておられますので、種子法が廃止された以降も、各都道府県の判断に基づき、多くの都道府県におきまして、引き続き原種、原原種の供給も含めた種子の生産、普及に関与されるということをおっしゃっておられます。

 国といたしましては、こうした都道府県の取り組みを後押しするために、一つは、別途御提案申し上げております農業競争力強化支援法案におきまして、種子生産に都道府県の知見を活用するということを条文上規定させていただいております。これによりまして、都道府県が種子生産において重要な役割を担っているということを法文上位置づけているわけであります。また、種子に関係する事務を対象として現在措置されています地方交付税につきましても、引き続きこれが確保されるように関係省庁と調整を行う。さらには、種子生産における都道府県と民間事業者との連携の促進を図るというようなことで、都道府県の原種、原原種の体制を後押ししてまいりたいと存じております。

 それから、都道府県の御意向ということでございますけれども、今般この法案を提出させていただいた以降、いろいろな御意向を事務的でございますがお聞きしたところ、大きく言いまして、今、種子法で義務づけられている事項に関連する仕事、ざっくり言いますと、原種、原原種の生産、それから奨励品種の関係、それから圃場審査、生産物審査の関係と三つほどあろうかと思いますが、このいずれにつきましても、大半の都道府県は、現状と同様、引き続き行うというふうにおっしゃっておられるということでございます。

佐々木(隆)委員 今の統括官の答弁だと、この法案が決まってから聞いているんですね。決まってから聞いたら、それはこれから守りますと言いますよ。こういうのは、法案をつくる前に都道府県の意見を聞いたとか農民の意見を聞いたというのでなければいけないんですよ。決まってから聞いたら、それは何とかして頑張りますと答えるのは当たり前の話であって、何か今の答弁からすると、どうも決まった後に聞いたというようなニュアンスなので、それはバックデータとしては余りよろしくないバックデータだと思います。

 もう一つは、そういう答えが多いという答弁だったんですが、であれば、この法律を改正じゃなくて廃止をしたいと皆さん方は言っているんだから、私は廃止することには反対ですけれども、廃止をするなら何かで担保してあげないと、そうなるだろう、そう言っていますでは、それでは何も担保にならないわけで、ちゃんと担保してあげるということも同時に提案をしていただかないと、法律をただ廃止しますというだけの話になってしまうのではないかということを、これは後ほど三役の方からお答えいただきたいと思います。

 別の質問に入ります。

 そこで、先ほど原種、原原種の話を申し上げましたが、この栽培計画というのがあって、それに基づいて、来年はどのぐらいの種が必要だから、それを採種圃でどのぐらい植えつけてもらうかということ、それに基づいて逆算をして原種、原原種もつくっていくわけですが、その栽培計画みたいなものは、今度は誰がそれを担っていくことになるんですか。今までは都道府県が担ってきたけれども、種子法がなくなった時点で誰が今度はそれを担保していくんでしょうか。

柄澤政府参考人 現在、各地におけます種子の需要供給量の把握ですとか、都道府県間の種子流通量の調整などにつきましては、都道府県が開発した品種のみならず、民間企業が開発した品種も含めまして、関係通知に基づき各県に設けられましたいわゆる種子協会と呼ばれるところ、あるいはその全国団体であります全国主要農作物種子安定供給推進協議会、この全国協議会によって担われているところでございます。

 種子法の廃止後におきましても、この各県の種子協会あるいは全国協議会の仕組みは引き続き存置されるということになりますので、今後新たに開発される品種も含めまして、現行の仕組みと同様、各県の種子協会などによって種子の需要と供給が調整されるということになろうかと思います。

佐々木(隆)委員 その種子協会、協議会というものは、恐らく都道府県とJAなんかが中心になってやっておられるのかなというふうに思うんですが、これは、種子法で今まで都道府県に義務づけていた段階とは大きく変わるわけですよね。

 その段階で、今後も、都道府県とJAかどこかが中心になっていた協議会は、これはそのまま残れ、こういう結構虫のいい話をしているんですが、ここはどうやってその協議会はこの先続けることができるというふうに皆さん方は考えたんでしょうか。

柄澤政府参考人 現行の仕組みのもとでありましても、この種子協会なり全国協議会の仕組みは法律に基づくものではございませんで、事実上、私どもの通知もございますけれども、県の御判断によって設置されているところでございますので、その状況は、法律の廃止によって変わらないということでございます。

佐々木(隆)委員 いや、それは制度は変わりません。制度は変わりませんけれども、今までは義務づけされていて、そこに奨励品種というものがあって、その一連の流れの中で、その協議会も、そこにそういう担保があるから協議会というものが機能してきたわけで、そこのあれがなくなっちゃうんですから、それが今後とも続けられるって、それは、続けられるという希望的観測で今お答えいただいているようですが、それだけでは十分な担保とは全然言えないわけです。ここはやはりしっかりお考えいただきたいというふうに思います。

 そこで、時間が何か途中あれしていたものですからよくわからないんですが、あと五分だというのが入ってきましたので。

 もう一つは、先ほど申し上げましたが、野菜の種というのは、極めて少量、しかもF1がかなりあったりするわけですよね。この三品目については、一俵単位で物事が動いていて、だからある意味で民間が入ってこなかったのではないかと私は先ほど申し上げましたが、実は、そこに参入する価値のあるところが一カ所だけあります。それは超大手の外資ですよ。日本の民間はほとんど入らないと思います、これがなくなったからといって。しかし、大手の外資だけは、ここに参入する道が開いちゃったんですよ。先ほど本会議の中でも、国内外の市場に開くというようなお話がありましたけれども、まさにこれは国内外に開いちゃうわけですから。

 ですから、外資が入ってくるということは、この中ではもうとめられない事実だということの認識でよろしいですか。

山本(有)国務大臣 外資参入についての問いでございます。

 現在の主要農作物種子法、ここには、知的財産権の保護、あるいは外資資本の参入規制、こうした条文は明記されておりません。現状におきましても、外国資本が主要農作物種子産業に参入するということは十分可能でございます。

 しかし、海外の穀倉地帯等の均一な気候条件下、大ロットの種子販売を前提に種子生産を行っているいわゆる多国籍企業の大資本の外資、こういったものにとって、それでは日本の主要農作物種子について御興味があるのかというと、現在ではほとんど参入がないわけでございます。

 将来、都道府県の義務を解除して種子法を廃止した場合、入る可能性というものが、今と市場の色彩が大幅に変わるということは予想できない以上、我が国の市場は、逆に考えれば、海外の大手多国籍企業にとってやはり魅力的ではないのではないかというように考えておる次第でございます。

 また、野菜等の種子と同様に、引き続き種苗法に基づく知的財産権の保護というものはしっかりやっていっていただきたいと思っておりますし、公的機関が育成したすぐれた品種が不用意に海外に流出することがないという対策もとらせてもらいたいと思っております。

 今後、知財のマネジメントを踏まえた民間事業者とそうした連携によりまして、我が国における種子の開発、供給が活性化することによって、逆に、この分野での種子の優位性、特に、全く外資を許さないというような競争力をつけていただくということを念願しているところでございます。

佐々木(隆)委員 最後の質問にしたいと思いますが、先ほど本会議場でも大臣は答弁になられているように、このことによって、今、農薬なんかは、かなりな分野、外国の製品なわけですよね。最も多く日本の輸入の農薬会社と提携しているのは、アメリカの超有名な遺伝子組み換えをやっている農薬会社です。遺伝子組み換えはF1ですから、常に一回ごとに買わなきゃいけないし、極めて多収なわけですよね、多収だからやるんですけれども。そこの道も、今おっしゃられたように、全くそれをとめる手だてはないわけですよ。今でもない。

 加えて、この遺伝子組み換えとセットで入ってきたときに、それをとめる手だてはないんですよ、今。種子法もなくて、そこに道を開く、農薬の方でも道を開く、両方で道を開いていけば、当然そこを心配しなければならないんですよ。にもかかわらず、種子法を廃止しながら、そこの歯どめは何もかけないというのは、私は非常に危ない選択を今しているんじゃないかと思うんです。

 そこについて、何らか、やはり、そこをとめるための手だてというものを一緒に、規制緩和するときは必ず強化を一緒にやらなければ、規制緩和の本当の意味はなさないんです。そういった意味でも、ここを絶対に守るための何らか担保をするんだということをぜひ聞かせていただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。

山本(有)国務大臣 多国籍企業で遺伝子組み換えと農薬とのセットで売り上げをかなり上げている国、アメリカがございます。その隣のカナダでは、それを、遺伝子組み換えの農産物の食品流通については許しておりません。というようなことも非常に参考にしながら、食の安全、安心というものを図り、かつまた、種子における研究開発がさらに進むというようなことを念願していきたいと思っております。

佐々木(隆)委員 終わります。

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党の斉藤和子です。

 質問が重なることもあるかとは思いますが、御理解をいただければというふうに思います。

 まず、主要農産物種子法の廃止法案について質問をいたします。

 今までも議論がありましたとおり、種子は人類共有の公的な財産です。最も基本的な農業生産資材。種子の供給の過不足が農業生産を直接左右する。種子の品質のよしあしがそのまま農産物の生産性や品質のよしあしに直結するわけです。だからこそ、主要農産物の種子は、その優良な種子の生産、普及及び品種改良を、国、都道府県の公的機関が責任を持って行うことで農民に良質な種子を安定的に供給してきた、そういう法制度と言えます。その種子法を、率直に言って、廃止すべきではありません。

 そもそも、大臣にお聞きしたいんですけれども、これまで主要農産物種子法が果たしてきた役割、これをどう認識されていらっしゃるでしょうか。

山本(有)国務大臣 昭和二十七年に制定されて、原種、原原種の生産、そして種子の普及及び優良な品種改良、そして奨励品種の指定、また、試験あるいは手続を義務づけるというようなたてつけの法律でございますが、これは、二十七年から今日まで、大変具体的に、我が国に大いに農業の分野で貢献できました。

 特に単収の増加、これがございました。そして、品種数の増加、これもございました。また、病害虫、災害、これらの抵抗性の向上、こうしたものが著しいわけでございます。こうした農業者の経営の安定とか消費者ニーズへの対応、食料の安定供給、こういったものに大いに貢献してきたわけでございます。

 ただ、もう何度も申し上げますとおり、都道府県だけでこの分野を担っていただく、それでは今後、大丈夫な面と大丈夫でない面を感じるわけでございます。

 特に、今後、民間が参入して、さらにコラボしながら、連携しながらさらに強い、いい種子開発というものが望めるならば、ぜひ、この種子法の大きな立場を維持しつつも、都道府県の主体による、都道府県に限定されたものを外しながら、国家的にこの種子が開発、供給できるというようなものを目指したい、こういうように思っているところでございます。

斉藤(和)委員 大臣から、種子法が果たしてきた役割というのは非常に大きい、大いに貢献してきたというお話がありました。私もそのとおりだというふうに思います。

 種子を制する者は農業を制すと言われているとおり、種子は食料を生産する上でなくてはならないものです。だからこそ、種子の生産、普及を促進するために、国が、そして都道府県が責任を持って行ってきた。

 農業は、言うまでもなく自然が相手です。日本列島は、北から南まで、気候も風土も四季の変化も違います。平地もあれば中山間地もある。だからこそ、それぞれの土地に合った、気候に合った、そして病気に強い品種もたくさんつくられてきた。それぞれの場でこうした品種改良が繰り返される中で、優良品種が数多くつくられてきた。それは、まさしく今大臣がおっしゃったとおり、この主要農産物種子法があったからこそできてきたことなわけです。

 それが廃止されたもとで、こういうふうに都道府県が果たしてきたこれまでの役割、そして体制、これが崩れるのではないか、こういう懸念がたくさん出されているわけですけれども、いかがでしょうか。

齋藤副大臣 累次の御答弁と重複をいたしますけれども、この主要農作物種子法の廃止後も国や都道府県の主要農作物種子の開発、生産、流通、管理における基本的な役割は従来までと変わるものではないと認識しておりまして、今後はむしろ、民間のノウハウが一層活用されて、広域的、戦略的に種子の開発、生産等が進められていくのではないかと考えております。

 もう繰り返しになるので申し上げませんが、私の経験だけちょっと一言申し上げますと、私はある県で副知事をやっておりまして、農林部も担当しておりました。そして、そのときに、誰も言ってくれないのであえて宣伝しますと、彩のかがやきというお米を開発いたしまして、それを大々的にその県の農家の人たちに生産をお願いしてまいりましたが、これが主要農作物種子法に基づいて行っているという認識は全く当時ございませんでした。

 やはり、県といたしましては、自分たちの農家にとってプラスになるようなことでブランド化を進めていこうということでやってきておりますし、これが、この種子法が廃止されたからといって、直ちにマインドが変わるというふうには、私の経験上は考えられないなと思っておることをつけ加えさせていただきます。

斉藤(和)委員 そのとおりだと思います。

 私も、農林総合研究センターに行って話を聞いてきました。皆さん方、やはり、少しでもおいしい米を、そして病気に強いお米をといって、現場で必死になって品種改良をやって頑張っているわけです。

 しかし、その品種改良というのは簡単にできるものではありません。先ほどもありましたとおり、早くても八年から十年、十五年という長期にわたるものです。しかも、稲、麦、大豆は、生命を維持するために必要な基幹作物だからこそ、その種子の生産というのは失敗が許されないわけですね。品質のいい種子を安定して供給することが求められてきた。だからこそ、それを都道府県の試験場がそれぞれ担ってきたわけです。

 国は、一九九八年、平成十年までは、圃場の審査などに要する都道府県の経費を国が補助金という形で出しているという、まさに国の責任としても主要農産物種子をちゃんと生産していこう、普及していこう、こういうことをやっていた。しかし、九八年の改正で、補助金から一般財源にし、都道府県の判断に委ねるということをやったわけですね。

 そもそも、種子法があるからこそ、一般財源であっても予算確保の主張の根拠になってきたのではありませんか。種子法がなくなったもとでも予算が確保されると。

 都道府県は、確かに、種子法というよりは、もう一般財源化していますから、色はついていません。だから、それぞれの試験場は、必死になって自分たちがやっている役割を県当局に伝えて、自分たちの予算確保のために頑張っていますよ。だけれども、それは、やはり国がちゃんと、色はついていないけれども、一般財源の中で予算を確保してきたからですよ。

 これは、種子法がなくなって、どうやって予算を確保するか、その担保を国は考えているんですか。

齋藤副大臣 今委員御指摘のように、この主要農作物種子法に基づく補助金そのものは、地方分権の推進を図るという観点から平成十年に一般財源化をされておりまして、当該補助金に相当する部分は、地方交付税の単位費用算定基礎のうちの生産流通振興費に上乗せされるという形で手当てをされてきているところでございます。

 その手当てで、交付金を確保していく上では、確かに法律があるということはプラスに働くのは委員がおっしゃるとおりだろうと思いますけれども、ただ、今般の種子法の廃止が、都道府県による種子の生産、普及に係る取り組みそのものを否定するものではありません。

 したがって、都道府県は、今後は、各都道府県の判断におきまして、引き続き種子の生産、普及に関与する。先ほど申し上げましたように、私は、この法律が廃止されたからといって、それぞれの都道府県が今やっている、一生懸命自分たちで開発したものを奨励していくということが直ちに大きく変わっていくとはとても思えないわけでありますので、引き続き、都道府県の判断の中で、重要な政策として位置づけられていくというふうに思っております。そして、ヒアリングでもそういうことが確認をされているわけであります。

 ただ、それだけでは担保が弱いというふうに思いますので、種子法に関係する事務を対象として現在措置されている地方交付税につきましては、引き続き、農業競争力が根拠として措置されることが望ましいと我々も考えておりますので、今後、平成三十年度予算編成過程において、この法律が廃止されてもしっかりと位置づけられるように、関係省庁に働きかけてまいりたいと思っております。そういう意味で、御懸念に対応してまいりたいと考えております。

斉藤(和)委員 ある意味、都道府県の判断に任せて国は手を引く、こんなことは絶対に許されないわけで、法律がなくなったとしても、やはり予算を確保するという話がありました。それは必要です。しかし、やはり、種子法をなくすという意味は、財政当局との交渉の上でも非常に大きいウエートになるということですよ。それをなくしてしまうことの意味。

 それから、もう一つは、競争力強化の中で位置づけるとありました。これも問題なんですね。

 先ほども出ましたけれども、競争力強化支援法案の第八条の四のところに、「独立行政法人の試験研究機関及び都道府県が有する種苗の生産に関する知見の民間事業者への提供を促進すること。」この知見を有しているから、都道府県の種苗に対する、種子に対する知見を都道府県は持っていないといけないので、これを担保に予算を確保するというようなことを聞きましたけれども、そもそも、この民間業者への提供する知見とは何なんでしょうか、具体的に。

 それから、この文章を真面目に読めば、都道府県みずからが今までやってきた業務を継続して知見を深めたり拡大するということには読めないわけですね。むしろ、都道府県が持っている知見を民間に開放しなさい、提供しなさいというふうに読めるわけですけれども、いかがでしょうか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 今までの経緯を見てみますと、稲、麦、大豆の種子のほとんどにつきましては、まず、独立行政法人の試験研究機関ですとか都道府県の農業試験場が優良な品種の開発を行い、そして都道府県が指定した原原種圃あるいは原種圃において増殖した原原種や原種をもとにしまして、都道府県が指定した採種農家が一般種子の増殖を行うということで農家に供給されてきております。

 この一連のサイクルの中で長年やってまいってきておりますので、どうしても独立行政法人ですとか都道府県の有する知見が非常に厚くなっております。民間事業者との間で知見のレベルにギャップが生じているというのが現実でございます。

 今般の農業競争力強化支援法案におきまして御指摘のような条項があるわけでございますけれども、この内容としましては、民間事業者による種子生産への参入を促進するために、必ずしも品種自体の遺伝情報というようなものだけではなくて、今申し上げました一連のプロセスの中の、原原種圃あるいは原種圃を設置する技術ですとか、あるいは高品質な種子を生産するための栽培技術、さらには種子の品質を測定するための技術というようなものにつきまして民間事業者に提供を促進するということでございますけれども、これはあくまで、都道府県等に対してその提供を強制するといった趣旨のものではございません。

斉藤(和)委員 強制するものではないというお話がありました。

 都道府県は、農家の皆さんと一緒になって、農林一号というのがありますけれども、それ以来ずっと品種改良が積み重ねられてきたわけです。少しでもおいしい米をつくろうと積み重ねてきた。そういう中で、ノウハウが都道府県のそれぞれ試験場の中にある。それを民間に開放する。

 もし、こういう種の、まさに地域の共有財産、これを開放して、例えば育成者権を盾に民間に独占されるという危険はないのか。都道府県の種子の改良、生産、普及を推進し、財源を確保するどころか、むしろこうしたシステムを壊すことになるのではないか。都道府県がこれまで改良してきた品種の扱いというのはどうなるんでしょうか。そもそも、それも含めて民間に開放するということなんでしょうか。

西郷政府参考人 都道府県が開発した品種の取り扱いはどのようになるのかというお尋ねでございますが、それらを全て民間事業者に開放してしまうのかというお尋ねでございます。

 農林水産省といたしましては、研究成果が速やかに国内生産者に普及していく、都道府県の生産者に普及していくということなど、我が国の農業の発展に貢献すると考えられる民間事業者に対して研究成果を提供していくということが適切であると考えております。

 都道府県に対しましてもこのような考え方をお伝えしまして、こういった点を考慮した上で研究成果の提供の適否あるいは提供の方法等についても判断していただくよう促してまいりたいと存じております。

斉藤(和)委員 つまり、研究成果を提供する。これは重大な問題だと私は思うわけです。民間に開放するということは、開発に投入したコストに見合う利益を上げなければならない、これは当然です。品種改良には時間もコストもかかります。それが全て種子の価格に上乗せされることはないのかということが問われるわけです。

 農水省が作成された資料でも、都道府県が開発したコシヒカリ、二十キログラム当たり七千九百二十円、ヒノヒカリは七千六百七十円です。その一方で、民間企業のとねのめぐみは一万七千二百八十円。業務用は、きらら三九七が七千百円、まっしぐらが八千百円、民間企業のみつひかりは二十キログラム八万円です。

 種子法を廃止しても種子の価格が値上がりすることはないと言い切れるでしょうか。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 私どもが各都道府県に聞き取ったところによりますと、大半の都道府県は、種子法が廃止されても引き続き種子の生産、普及に関与するとおっしゃっておられますので、今後とも都道府県の体制が同様で推移することを前提とすれば、県の生産、普及する種子の価格自体が高くなるということは想定されないところでございます。

 一方、種子法の廃止と同時に、農業競争力強化支援法案の新規参入支援措置等も講じますので、民間企業の種子生産への新規参入が促進され、また一方、都道府県のコスト削減も図られるというようなことになれば、種子価格の引き下げにつながる可能性もあるということだと思います。

 今委員御指摘の、民間事業者が種子生産を行っている品種について、現状で、確かに都道府県の品種よりも高いものもございます。しかしながら、そういったものについては、かなり収量が高いというようなことで、種子の値段を収量でカバーするということで、結果、農業者の所得が従来の品種より高くなるというようなデータがございまして、そういうことが農家も実感されている関係で、現にそういった品種が生産者によって活用されているということでございます。

 いずれにしましても、種子法の廃止によって、県と民間事業者の連携による種子生産が促進されることによりまして、供給される種子のバラエティーが多様化するということで農業者にとって選択肢が広がる、メリットになるという考え方でございます。

斉藤(和)委員 種子の価格は上がらないというような話ですけれども、先行投資で種子を買って八万円払えというのは、それ自体が、自分のうちで米をつくってというふうに考えている人にとってはできないわけで、やはり、多様な農家の人たちを、物がつくりたいと思っている農家の人たちをしっかりと支えていくという観点からいったら、都道府県が今まで果たしてきた、種子を安定的に、安価に供給するということは、絶対欠かせないわけです。

 私がおかしいと思うのは、農業力強化支援法でも、要は、農業資材や飼料、農薬は高いから下げろと言っているわけですよね。その一方で、種子の価格は上がっても構わないというのはおかしいんじゃないかと思うわけです。

 安倍政権が掲げている農業改革というのは、先ほどもありましたけれども、農家の声を聞いているのかと。聞いていないわけですよね。農家のためなのかと、本当に。民間企業に今までの蓄積を開放すると言っているように、民間企業のためなんじゃないんですか。いかがですか。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、政府を挙げて農業競争力強化を図らなきゃならぬわけでございますし、都道府県の枠というものに必ずしもとらわれずに、種子の生産、普及、これを進めたいというように思っております。

 ですから、法制度として、都道府県と民間企業がさらに協力し合って、農家のためになる、そういう種子の開発、研究、そういったものができないかということがこの法律の廃止の趣旨でございますが、委員御指摘のように、民間企業のためにやっているというお叱りは、私ども全く考えるところではありませんで、優良な品種を決定するために試験や原種、原原種の生産の義務づけというものを廃止して、そして、奨励品種が民間でも指定されることによって、さらに民間の力を今まであった都道府県の力に加えさせてもらうということが必要なのではないかというように思っております。

 こうした取り組みが、農業者の選択肢を拡大して、大いに将来的な所得向上のメリットになるというように思っております。

斉藤(和)委員 農業者の選択肢が拡大されて、いわば選択肢をふやすというのは、今までの体制で、多様な品種が、それぞれの都道府県、地域に合ったものが開発されている、種子法のもとだからこそ私は選択肢があるというふうに思うんです。

 民間企業には、もちろん外国資本も入ってくるわけですね。既に世界では、今まで中小を含む多くの種子会社が遺伝資源管理の一端を担ってきましたが、そうした種子会社がモンサントなどの多国籍企業によって世界じゅうで囲い込まれて、国際的な問題になっているわけです。

 二〇一四年、商品種子市場は、世界全体で約四百億ドルと言われています。モンサント、デュポンなど上位四社の占有率五八%、上位八社の占有率は七三%とまで言われているわけですね。

 こういうことが、今まで日本は種子法があったから、米、麦、大豆では遺伝子組み換えも含めて入ってきませんでしたけれども、それさえも脅かされかねない、そういう状況になる懸念はありませんか。

山本(有)国務大臣 繰り返しになりますけれども、主要農作物種子法というものの中に、知的財産の保護あるいは外国資本の参入防止というような規定がございません。したがいまして、現在でも外国資本が参入する可能性がございます。

 また、御指摘の多国籍企業、特にアメリカの大資本の企業が種子についての大きなシェアを持っているというようなお話でございまして、先ほど佐々木委員にもお答えをさせていただきましたけれども、私の大きな思い違いが一つございました。カナダで栽培できない、あるいは流通していないということを申し上げましたけれども、遺伝子組み換えの作物、カナダは今現在ではその栽培や流通が認められているそうでございまして、訂正させていただきます。

 しかしながら、こうした大きな企業の餌食になるような、そんな農業を目指すわけではありませんので、特に、現在でもこれを規制されていないわけでございますが、入ってきていないということにおいて、いわゆる日本のマーケットに対しては、さほど多国籍企業の興味が、あるいは魅力がないというように我々は考えるところでございます。

斉藤(和)委員 そういう認識でいいのかというふうに思うわけです。

 米ではありませんけれども、世界の遺伝子組み換え作物の栽培状況、二〇一五年の資料を見ますと、遺伝子組み換え品種の作付割合、大豆では八三%とも言われています。要は、作付面積の八三%はもう既に遺伝子組み換えになってしまっていると。こうした結果、世界的に、この二十年間で遺伝子組み換えの大豆の種代は四倍に上がったというようなことまで言われているわけです。

 こういう脅威から、ある意味、種子法があったからこそ、米、麦、大豆は守ってこられたわけですよね。そういうことに対して、余りにもこれを廃止するということに対する危機感がないのではないかということをちょっと指摘しまして、次に、農業機械化促進法廃止法案について聞きます。

 農業機械化促進法に基づいて、農業機械の検査業務、鑑定業務は極めて重要です。私も現場に行ってお話を聞いてきましたけれども、話を聞けば聞くほど、なぜ廃止なのかというふうに疑問に思いました。

 そこで、二〇一六年六月に変更された農研機構の中長期計画で、「11 農業機械化の促進に関する業務の推進」、(4)に「農業機械の検査・鑑定」というのがあるんですけれども、ここにはどのように機械の検定、鑑定が位置づけられているでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました、二〇一六年六月に改定いたしました中長期計画の中で、農業機械化促進法に基づいて行います農業機械の検査につきましては、安全性評価の充実を図りつつ、効率的かつ効果的に実施すると位置づけまして、具体的には、農業機械の安全性の向上に向けまして、国内外の規制、基準の動向等を踏まえ、事故防止や被害低減に向けた安全性評価に資するような評価試験の充実を図ること、また、型式検査合格機の情報について、検査成績の内容等をウエブサイトを通じて広く一般の用に供すること等が掲げられてございます。

 また、鑑定につきましても同様の位置づけをいたしました上で、環境性能評価の充実を図りながら効率的、効果的に実施するという、環境面の評価の充実も記載してございます。

斉藤(和)委員 つまり、充実を図り、型式検査のところでも、その情報を広く一般の人が利用できるようにウエブサイトで公開するような、そういうことが必要じゃないかとまで言われている。廃止なんてことはないわけですね。むしろ充実させる必要がある、そういうふうに中長期計画では定められているのに、なぜ型式検査の制度を廃止しなければならないんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 今回の農業競争力プログラムの策定の中で、型式検査について必要性を点検いたしました。そうしますと、製造技術が進展をしておるために、検査によって性能をチェックする必要性というのは極めて低減、低下しております。そしてまた、十六年度以降は安全性に係る検査を除きましては受検実績が一件もないということでございました。

 したがって、いわば農業機械の製造技術がおくれているから何とかしてほしいというような、念願の、この法の趣旨というのは没却されてしまった、こういうことでございます。

 安全性の検査につきましては、農作業の安全確保をするために、農研機構法に位置づけることにおいて引き続き実施することになっておりますし、この法案の廃止後の農研機構に、中長期の目標とかあるいは中長期の計画をお願いしてやっていただくということに改正することになるわけでございますが、安全性の検査については、その中にしっかり位置づけさせていただくわけでございます。

 そんな意味で、中長期計画、これに、この検査を廃止するということとの整合性を持たせていただいたということでございます。

斉藤(和)委員 検査の成績内容、機種の特徴等を容易に検索、比較できるデータベースを充実させ、ウエブサイトを通じて広く一般の人が利用できるようにしようじゃないかというのが中長期計画に書かれていたわけですよね。むしろ、要は、廃止するということをいろいろ言われましたけれども、では、お聞きしますが、今の農業機械の安全確保は、農業者の高齢化の進展の中で、死亡事故も増大しています。ある意味、至上命題なわけですね。

 二〇一五年八月に、農業資材審議会農業機械化分科会が開かれます。農業機械の安全確保が審議をされ、そこにおいても、提出された資料には、農業機械、農作業の一層の安全確保に向けて、メーカーへの型式検査受検、安全鑑定受験の促進というのが書かれているんです。なくせではなくて、安全確保のために型式検査の受検を促進しようじゃないかと書かれている。

 さらに、これらの議論を進めてきた農業資材審議会農業機械化分科会への農業機械化促進法廃止法案について説明したのが三月の十七日です。要は、もう法案が提出された後に審議会に出されている。まだ議事録も公開されていません。どんな意見が出たのかも見ることができません。

 こんな、審議会もすっぽ抜けて、意見も聞かずに、農業機械促進こそが必要だ、安全性を担保するために必要だと言っているのに、余りにもこれは乱暴なやり方なのではないですか。いかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 農業機械化促進法につきましては、先ほど大臣からも御答弁いたしましたけれども、今回の生産資材に関します各種の法制度等総点検していく中で、社会的な必要性が低下していることから廃止するということをしたところでございます。

 ただ、農作業の安全自体は、これ自体は、この法律で、機械化促進法で担保しているものではございませんけれども、安全性の検査また鑑定というのは非常に重要でございますので、これは同法の廃止法の附則の方で、農研機構法で明確に規定をして、これからも安全性検査また鑑定はやっていくということございます。

 なお、審議会につきましては、農業資材審議会の農業機械化分科会で機械の関係は審議いたしますけれども、この法案そのものの改廃自体は審議事項ではないので、事前の御審議はいただいてございませんけれども、閣議決定いたしましてから、御指摘ございましたとおり、三月十七日に分科会を開催いたしまして、委員の方々に御説明をいたしました。

 委員の方々からは、同法の廃止についての御意見は特段ございませんでした。ただ、今後の機械開発に当たっての農業者の声をよく聞くべきだとか、部品の共通化とか標準化とか、そういうふうな前向きの御意見を多々いただいてございますので、そういう御意見をまたしっかり受けとめまして、今後の農業機械の開発、農作業安全対策の充実に生かしてまいりたいと存じます。

斉藤(和)委員 種子法にしても機械化促進法にしても、現場の意見から上がってきたものではない、しかも、やり方が非常に乱暴過ぎる。こういうやり方は改めるべきだし、これは廃止させるべきではないということを最後に強調して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 種子法廃止法案の立法事実と経過にかかわって質問します。

 お手元に資料が配られているかと思いますが、種子法廃止への懸念の声が広がっています。北海道新聞、三月十九日付のものからの引用です。論説委員が交代で時事問題を解説する欄なんですが、表題は「種子法の廃止は拙速だ」。この方は、民間の活力重視は理解した上でというふうな立場ではありますが、二段落目ぐらいでしょうか、このように書いています。「道立の農業試験場をはじめ各地の研究機関は、種子法に基づいて質の高い種子を提供している。農業にもたらしてきた成果は数多い。 そうである以上、法の廃止に当たっては生産現場の声に十分耳を傾けるのが当然だ。」と書いています。もっともな指摘だと私は思います。

 そこで、確認します。

 さまざま審議会など公式な場面などもあるかと思いますが、専門家あるいは採種農家、農業試験場職員などなど、どれだけ関係者から意見を聞いたのか。加えて、大臣に、通告していませんが、このような声が広がっていることへの受けとめもお聞きしておきたいと思います。

山本(有)国務大臣 この北海道新聞、主要農作物種子法について高い評価をいただいております。

 ただ、平成二十七年十一月に取りまとめられました総合的なTPPの関連政策大綱において、体質強化とかあるいは経営安定対策とか充実させよう、そういう政策に加えて、生産者の努力では対応できない分野の環境整備、これを構造的問題として掲げ、検討の継続項目というものを記しております。それが、二十八年秋を目途に具体的内容を詰めるということにされました。

 二十八年秋ではありませんが、二十八年八月に閣議決定されました未来への投資を実現する経済対策におきまして、農業者の所得向上を図るためには、生産コスト削減と農産物の有利な条件での販売が重要である、そういう観点から、先ほど申し上げました検討継続項目に掲げられました生産資材価格の引き下げ、流通、加工構造の改革、この施策に加えて、二十八年内を目途に、競争力強化プログラムというのが取りまとめられたわけでございます。

 さらに、二十八年九月、政府・与党で検討を行った結果、十一月に農業競争力強化プログラムというものが策定され、この中で、主要農作物種子法の取り扱いにつきまして、民間事業者へのヒアリングなども行いながら検討が行われて、同プログラムにおきまして、「地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止するための法整備を進める。」というように位置づけられております。

 種子法は、八条ある中で、第一条以外は全部主語が「都道府県は」ということになっておりまして、いわば今の時代に、国が一々都道府県を指図するというようなたてつけは今はとり得る時代ではないという観点もありまして、主要農作物種子法の廃止法というものがこのプログラムの内容に含まれたというように考えているところでございます。

畠山委員 今の答弁の中で、私が聞きました専門家や採種農家、農業試験場職員などの生産側に係る言葉は出てきませんでした。

 それで、TPP対策にかかわってから出されてきた経過を大臣は今述べられましたが、だって、生産者に聞いたら廃止するという意見など出るはずもないのは当然でして、規制改革会議などがこの分野においての規制緩和を求めていたのではないかと前回私は質問をいたしました。それで、農水省が、民間の阻害にはなっていないという立場であったはずでした。

 それで、私、もう少し調べてみようと思いまして、規制改革会議の議論をずっと改めて読み直してみたんですよ。それで、規制改革会議でも種子法について出てくるのは二〇〇七年五月三十日、前回私が指摘したその年のものですが、規制改革推進のための第一次答申、ここで出てくるんですね。公的機関と民間企業の品種開発力に差があることから、民でできることは民へと促していました。

 しかし、ここで、具体的施策としての結論は、規制改革会議においても、種子法の廃止ではなかったんです。民間企業の育成品種が奨励品種として積極的に採用されるよう、改めて効果のある措置を講じるべきであると、運用改善を求めていたんですね。その後に規制改革推進会議となって、種子法の廃止が議題に登場するのが昨年の十月六日で、農水省側の配付資料で突然出てくるわけです。

 それで、内閣府にこれは確認したいと思います。二〇〇七年から昨年、約十年間で、規制改革会議農業ワーキング・グループで、種子法にかかわる廃止の議論が一回でも出たことがあったんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 主要農作物種子法につきまして、規制改革の会議でどういう議論があったかという御質問でございますけれども、直近十年間の中では、平成十九年四月に、当時の規制改革会議のもとのタスクフォースにおきまして、この問題について農水省からヒアリングを行ったという経緯は、委員御指摘のとおりでございます。

 その後、昨年九月二十日の規制改革推進会議農業ワーキングにおきまして、農林水産省からこの問題についてのヒアリングを行い、その後、十月六日に、意見におきまして、地方公共団体中心のシステムで、民間の品種開発意欲を阻害している主要農作物種子法を廃止する旨の提言を行ったという経緯でございます。

畠山委員 ですから、十年間においても、規制改革会議では、廃止まで含めた議論というのは全くないんですね。出発点は、先ほどあったように、十年前に出ています。

 私はすごく不思議だったんですよ。生産者の側などからも廃止の意見は出ていない、当然です。規制改革会議からも、十年間、廃止ということがまともに言われていないけれども、昨年唐突に出てきた。一体何でこんなことになっちゃったんだろうということなんです。一体誰から何か要望されて、政府は、多様なニーズに応えるためとかいろいろ言いますけれども、きょうも朝から議論を聞きましたが、全く説得的な答弁になっていないと私は思いました。

 ですから、農水省の立場に立つつもりはないですが、農水省としての理論武装も全然成り立っていないと思っています。

 例えば、ことし一月三十日の規制改革推進会議第九回農業ワーキング・グループ、これは規制改革の方の総括審議官なんですけれども、山口審議官が、廃止理由の説明に、稲の奨励品種に民間企業がほとんど対象になっていない、きょう議論されてきたことですが、そのことを挙げて、このように言うんですね。「もう少し民間企業に対しての配慮というものが必要ではないかということで、今回この法律自体は廃止とさせていただきたい」。

 配慮という言葉は、言葉尻で言うつもりはありませんが、政治的にも行政的にも配慮という言葉を使いますけれども、それを廃止に結びつけるというのは行き過ぎではありませんか。

 前回の委員会で、私は、民間との連携を言うなら、法律の改正で済むはずだと述べました。

 一体、省内でどういう検討をしてこういう廃止や廃止などの理屈になってきたんですか。どんな検討をやってきたのか、ちょっとはっきり述べてください。

山本(有)国務大臣 繰り返しになりますけれども、この種子法の枠組みを前提として、都道府県に対して、民間事業者の開発した品種も積極的に奨励品種に採用するよう通知を発出するなどして、参入促進を図ってまいりました。しかしながら、民間事業者の開発した品種は都道府県の奨励品種にほとんど採用されていないという現実が長く続くことになりました。

 その根本的な要因が、奨励品種を指定するための試験等を都道府県に義務づけることによって、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種に指定されるという、一種、みずから頑張ったことに対するみずからの褒美、そういう意味での奨励品種に指定されておりまして、現行の法制度そのものにこうした構造的な問題が内在しているというように判断させてもらいました。

 したがいまして、現行法のもとで奨励品種の決定方法等に関して法改正を行ったといたしましても制度そのものの構造的問題を解決し得ないことから、今般、種子法を廃止するというようになった次第でございます。

畠山委員 時間が私は余りないので、昭和二十七年、一九五二年の種子法の最初の議論のとき、これはもともと議員提案の法案だったんですね。坂田英一議員が次のような提案理由を説明していることを最後に、今日にも通じる部分ですので、紹介しておきたいと思います。「優良な種子を生産するためには、特別の技術と管理が必要とされ、その生産費が一般の米麦と比較しておのずから高くなる」、途中略しますが、「ここに国または地方公共団体がその生産と普及について特別の指導ないし助成を行う必要が生じて来る」、こういうふうに提案理由を説明しています。

 公的機関が優遇されているかのように主張されますが、優良な種子生産のためであることは今日も変わりはありません。この根本はなくすものでなく、民間の活力も使うというなら、その範囲で運用改定すればいいだけではありませんか。

 最後に、この種子法に込められた公的な責任は後退することにならないのか確認して、私の質問を終えます。

山本(有)国務大臣 この種子法で位置づけられております原種、原原種の生産、あるいは奨励品種の決定のための試験等を義務づけたということが、品種開発や奨励品種の決定自体につきまして、各都道府県の農業振興を目的として、法律によらず、各都道府県の自主的な判断により今日まで実施されているという認識でございます。

 農林水産省が各都道府県に聞き取りを行いましても、大半の都道府県から、主要農作物種子法が廃止されても、現行の種子法に規定されております奨励品種に関する業務、あるいは原種、原原種の生産に関する業務、圃場審査、生産物審査に関する業務、これらを都道府県の責任において継続する見通しと回答されておられます。国はもとより、都道府県の公的責任は後退するようなことではない、こう考える根拠になったわけでございます。

 そして、農業競争力強化支援法におきまして、民間事業者の参入促進のため、都道府県の知見を活用することも規定しておりますけれども、これは、今後とも都道府県が種子生産に関する取り組みを行うことを前提としたものでありまして、この規定をもって、都道府県が種子生産に関係する取り組みを行っていく上での根拠として位置づけることも十分可能であるというように考えるところでございます。公的責任は後退いたしません。

 以上でございます。

畠山委員 時間ですので、終わります。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 維新の吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。

 朝からの議論を聞いておりまして、本質的なところになると、種子というものは、本当にこれからのさまざまなことの種まきにかかわる問題ですから、非常に考え方もさまざまですし、そして、皆さん共通しているのは、これは本当に大事なものなんだ、これをどうやって次につなげていくのか。その考え方が、一つの法案を廃止するという形でさまざまなお考えが出てくるということを私自身も勉強しながらお聞きしておりました。

 富山県の出身でございまして、それこそ大先輩の宮腰さんが向かいにいらっしゃいますけれども、きょうも、自民党の方の、与党の質問の中に、中川委員の方から富山のコシヒカリの話を御紹介いただきましたし、実際のところ、この富山県というのは全国の種もみの受託生産の六割を担っておる、そういうところでございます。そういう意味からしましても、きょうのこの法案というのは非常に大きなことだなと思いながら、改めて幾つかのことを確認して進めていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、種子法の概要、そして廃止に至る経緯について、簡単にわかりやすく、なぜ今なのかということも含めて、細田政務官の方にお聞きしたいと思います。

細田大臣政務官 御質問いただきまして、ありがとうございました。

 午前中から御説明をしているところでございますが、主要農作物種子法は、戦後、食糧増産が国家的課題であり、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を行わなければならないという状況であった昭和二十七年、これは今から六十五年前でございますが、その六十五年前に制定されて以来、稲、麦、大豆について、全ての都道府県に、原種、原原種の生産や、普及すべき優良な品種、これを奨励品種と言っておりますが、奨励品種を指定するための試験等の義務づけを行ってきたところでございます。

 一方で、近年、実需者のニーズを踏まえた民間企業等の品種も開発されておりますが、都道府県の奨励品種にはほとんど指定されることがないという実態がございます。これは午前中にも小山先生の方から問題提起がございました。例えば、全農さんがいかに優秀な種子を開発したとしても、それが奨励品種には指定されにくいという実態がございます。

 この実態について、私どもといたしましては、なぜこういうことが起こっているかということを考えますと、この種子法が都道府県中心の法体系ということになっておりますので、都道府県が開発した品種が優先的に奨励品種に指定されることが避けられず、現行の仕組みを前提とする限り、まさに、全農あるいは民間企業が開発した品種の奨励につながりにくいという側面がある。

 また、各都道府県内の利益にとどまらない、都道府県の枠を超えた広域的、戦略的な種子生産が求められる輸出用米や業務用米に適した品種は、ニーズがあっても奨励品種に指定されにくいという問題がある。

 あるいは、これも先ほどから御説明をしております、種子の供給や品質は安定しているにもかかわらず、必ずしも米麦等の生産地でない都道府県を含めて全ての都道府県に対して一律に、原種等の生産、奨励品種を指定するための試験、あるいは生産物審査や証明書の発行業務等を義務づけているといった問題がございます。

 このような問題に鑑みまして、それこそ生産者あるいは関係団体等との意見も聞いた上で、今回、総合的な判断として、この法律を廃止させていただくという提案を行わせていただいているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの御説明で、公的機関というか、都道府県の農業試験場を含めた、そういう名前だと思うんですけれども、こういうところが六十五年前からずっと綿々とつくってきたわけですね、種子を守ってきた。何を重視して、そして品種開発、育成をしてきたという、この根本のところを改めて確認させていただきたいと思います。

西郷政府参考人 稲、麦、大豆の品種開発につきましては、現在、消費拡大や生産コストの低減のため、消費者、実需者、生産者のニーズに対応した強みのある品種を効率的に育成し、速やかに普及するということが大事でございます。

 具体的には、公的機関で、例えば稲につきましては、まず、国立の研究開発法人におきましては、品種開発の基盤となりますような国内外の遺伝資源の収集、それから優良な形質のもととなる遺伝子の同定だとか、育種素材としての都道府県への御提供とか、また、これまでにない、例えば温暖化に耐えられるような性質とか、あるいは超多収性のような先導的な形質を持つ品種の開発などをしております。

 それから、都道府県の試験研究機関におきましては、それこそ各県、地域の特徴を生かした独自ブランドの品種といったものの開発と普及をしているということでございます。それぞれ、機関の特徴を生かした品種開発が進められてきているところでございます。

吉田(豊)委員 今答弁をお聞きしていまして、ニーズという言葉が出てくるわけですね。くしくも、ニーズは英語では「needs」、そして種は「seeds」ですから、非常に、ニーズがあってシーズがあってというのは、実は、関係ないようで本当はこれは大事なところだと思うわけです。

 ニーズをどう捉えて種を大事にしていくのかということを考えたときに、民間の参入、このことを考慮したいという考え方だと思うんですけれども、これはどういう背景があって、今このようなところに来てこの法案が廃止に向かっているのか、そこを改めて政務官に確認させていただきたいと思います。

細田大臣政務官 まさに、今回の廃止の理由といたしましては、農業者の皆さんの多様なニーズに応えるというためでございます。

 これまでも、各都道府県において、いわゆる産地の要求に対してさまざまな優良な種子の開発が行われてきており、これは先ほど齋藤副大臣から御説明をしたとおり、この法律が廃止されても、引き続き、必要なところではそういう開発が続くというふうに私ども認識しておりますが、それに加えて、近年では、いわゆる全農さんを含め、全農さんあるいは民間企業が優良な種子を開発するという事例も出てきております。

 こういうことを後押しすることによって、農業者の方の選択肢をふやす、農業者の方のニーズに応える選択肢をふやすことによって、農業生産をさらに多様な、豊かなもの、そして農業者の所得向上にもつながるものにするということが、今回廃止を提案させていただいている理由でございます。

吉田(豊)委員 いつも、政務官の方には、お顔を見るたびに、私は、米のことでは新之助のことを思い出すんですね。

 それで、きょうも改めて、新潟米新之助というのはホームページを持っていらっしゃって、これを見てみますと、非常にわかりやすいし、力が入っているというのがよくわかります。

 僕はずっと、富山のことはコシヒカリしか言えなくて悔しいなと思っていたんですが、ちょっとニュースがありまして、富山の方も一生懸命頑張っていて、富山八十六号という新しいブランドを今つくっている。これに、今週末に名前をつけて発表する、やっとそういうタイミングが来ました。今度の委員会のときには、どんな名前になったかというのは、新之助に負けない名前だということは確信しておりますけれども、そういうところで御紹介したいなと思いますし、実際、これは、新之助の開発の経緯とかいろいろなことを見ていましても、これだけの努力があってそしてここに来ているんだなというのは本当にすばらしい例だろう、こう改めて感じるわけです。

 そこでもう一つ、観点として、今回は民間の参入ということに着目、重点を置きたいということなんですが、今までの実態として、民間企業が米について品種開発、育成してきたという経緯は、どういうことがあって、そしてどれぐらいの種類があるかということを改めて確認させていただきたいと思います。

柄澤政府参考人 二十六年度に農産物検査法の検査対象となっているウルチ米の品種は全てで三百五十七ございますけれども、この内訳を見ますと、国が開発した品種が五十二品種、都道府県が開発した品種が二百六十一品種、それから民間企業、全農あるいは個人などの方々が開発した品種が四十四品種ございます。

吉田(豊)委員 今ほどの数を紹介いただいて、国が五十、そして都道府県が二百五十強、そして民間が五十弱ということなんですけれども、長い歴史ですから、経緯があったところだとは思いますけれども、こういうことについて、今後、この種子法が廃止されることによってこれがどのように動いていくかということについての予測、お持ちであればお聞きしたいと思います。

柄澤政府参考人 お答えいたします。

 種子法が廃止されますと、都道府県に対する奨励品種のための試験というようなことですとか、あるいは原種、原原種の生産というようなことの義務づけが廃止されますので、都道府県がいわばフリーハンドで、民間企業が開発した品種も含めて奨励品種を指定しやすくなるというふうに見ております。

 また、今般のこの法制度の廃止とあわせまして、別途、農業競争力強化支援法案等で民間事業者の新規参入の支援措置を講じますので、こういったことで民間企業の参入が進み、また、都道府県の開発した品種のみならず、民間企業が開発した品種も含めて農業者の選択肢が拡大していく、そういう効果を期待しているところでございます。

吉田(豊)委員 選択肢がふえていくということに期待したい、その気持ちはもちろんわかりますし、それが法案を廃止してまでやるという一つの大きなことの目的なんでしょうけれども、これは実際のところ、大きく言えば、さまざまな農家というものは、きちっとした都道府県、国なりの大きなサポートのもとに、種子については安心して品種を選んで、そして実行してきたということがあると思うんです。ここに来て、新たに方向性が変わるからということで種子法が廃止されますとなったときに、積極的に、そのことについてみずから自覚するという状況は自動的に生まれるのかどうなのか。やはりそれは私はケアが要ると思うんですね。

 そこについての次の段取り、それをどう考えていらっしゃるかをお聞きしたいと思います。

柄澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、二つの方向があるかと思います。

 一つは、県がフリーハンドで、県の奨励品種に指定されやすくなるという面と、別途の新規参入支援措置で、奨励品種にならずとも普及する道も広がってくるというような両面から民間企業のインセンティブが増しまして、品種の開発、品種の生産、そしてそれを農業者が選ぶオプションがふえていく、そういう考え方でございます。

吉田(豊)委員 細田政務官にお聞きしたいんですけれども、今ほどの御答弁をいただいて、こうやって種子法が廃止されて、それから新しい展開を狙っていく、それはそれでチャレンジだから、私はやってみればいいことじゃないかなとは思っているんです。

 けれども、本当にしつこいようで済みませんが、新之助というすばらしい例も、これもきちっと新潟の農業試験場、ここが中心になって、そしてこれだけのことをやったわけですよね。こういうような形というものが、今後、本当に民間の方だけの形で進んでいくことになるのかどうなのか。それはやはり、私はそんな簡単にいかないだろうと思うんです。それについてのお考えを確認させていただきたいと思います。

細田大臣政務官 新之助について何回も言及をいただきまして、本当にありがとうございました。ことしの秋の刈り入れの時期が来ましたら、また、先生が御紹介いただいた富山県の新品種とともに食べ比べの機会をぜひつくらせていただければと思っております。

 その上で申し上げますが、今、例えば新潟県において非常に問題になっておりますのは、いわゆるコシヒカリを中心に生産してきたところでございますけれども、本当にコシヒカリだけで大丈夫なのかというのは、これはもう非常に大きな課題になっております。これは本当に県政の大きな課題でございまして、誰が県知事になろうとも、あるいは県議会で誰が主導権を握ろうとも、非常に大きな新潟県政として課題でございます。したがって、そういう切実な声が新潟県内の農家としてありまして、これに対しては、やはり県としてきちっと対応していかなければならないという状況がございます。

 こういう状況が変わらない限り、この種子法が仮に廃止されたとしても、少なくとも新潟県としては、優良な品種の開発を引き続き行っていくということは、私としては間違いないことであろうというふうに思っておりまして、これは先ほど齋藤副大臣も同じ趣旨の御答弁をされたと思いますが、そういう米の主要な産地ではほぼ同じ状況があるのではないかというふうに考えております。

吉田(豊)委員 そうしたら、都道府県の農業試験場についてどのような影響があるかということをもう少し確認していきたいと思います。

 それだけの今までの活動をしてきた各都道府県の農業試験場があるということなんですが、本法案での種子法が廃止された場合、それらの今までの大きな役割を担っていた方々がどういうふうなことになっていくのか、その見通しを確認したいと思います。

西郷政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律、主要農作物種子法は、品種開発について特に何ら規定しているものではなく、ですので、同法が廃止されても、都道府県による稲、麦、大豆の品種開発の体制の構築に直接影響があるものではないというふうに考えております。

 これまでも、都道府県は、地域のニーズやその特性を踏まえた独自のブランド品種等の開発を行っております。同法廃止後も、これまでどおり、都道府県の判断に基づきまして、品種開発体制を維持する方向にあるというふうに考えております。

 農水省といたしましては、これまでも、都道府県の試験研究機関に対しましては、我が国の農業の発展に資するという新規性あるいは有用性の高いといった品種の開発につきまして、委託研究だとか、あるいは、競争的資金と申しておりますけれども、そういったスキームによりまして支援をしてきたところでございまして、今後ともこのような取り組みを推進していく考えでございます。

吉田(豊)委員 直接、短期的な影響はそんなにないというようなことの話だと思いますけれども、でも、私はやはり、都道府県の農業試験場ということの一番大きな役割、多くの方々が理解しているのは、何か研究して新しいものを開発するんだという、そのための研究だろうというふうには思うんですね。

 ですから、それが今後民間のところに役割を担っていただくという形になっていくとすると、やはり、その位置づけ、役割が縮小していくんじゃないかな、こういうふうに思うんですけれども、それについて、改めてもう一回確認したいと思います。どうでしょうか。

西郷政府参考人 お答えします。

 都道府県では、これまでも、地域のニーズ、特性といったことでそれぞれ戦略をお立てになって、独自のブランド品種の開発を行ってきていらっしゃるということでございます。

 ですので、そういった戦略、育種の戦略とか地域のブランド振興の考え方に基づいて、今後とも必要な体制が維持されていくというふうに考えております。

吉田(豊)委員 そして、農業試験場の役割はいろいろあるということだと思いますけれども、今までここが、原種や原原種、あるいは新品種開発にかかわるさまざまなデータ、そして現物を保存、そして管理してきた、そういう役割もきちっと担ってきたというふうに私は理解しているわけですね。これは、実は非常に重要な、地道だけれども重要な作業でして、さまざまなものを開発していくときに、オリジナルのところへ戻っていくということの重要性というのはより強く認識しておかなくちゃいけないと思うわけです。

 今回、種子法が、法が廃止されるということで、別に種子が廃止されるわけではないんですけれども、イメージとすれば、何か種子というものの重要性さえ廃止していくんじゃないか、そういうふうに捉えられかねない、そこが私は一番大きな問題点じゃないかな、こう思っているわけです。

 ですから、農業試験場のみならずですけれども、国としてきちっと、この原種あるいは原原種、その重要性ということを認識しているんだという話、それから、今回の、きょうの委員会の質問の中にも、さまざま、今海外のところで、種子に対する、これが非常に戦略的な、非常に大きな要素を持っているということも言ってきたわけですから、このことについて、今この法案が一つ廃止されるということの影響がもしかしたら本当に大きいかもしれないわけですね。

 このことを含めて、改めて、この原原種の保存管理について、我が国としてどのように今対応しているのか、法令があるのかないのかも含めて、確認させていただきたいと思います。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねがありました原原種や遺伝資源の保存管理について、それのみについて規定する法律あるいは省令は存在しないということでございます。

 ただ、研究を進めていく上で、基盤というのは重要なことでございますので、当然のことながら、こういったことにつきましては一生懸命やっていかなくちゃいけない分野だというふうに理解しております。

吉田(豊)委員 一生懸命やっていかなくちゃいけないのは本当は当たり前の話でして、ちょっと私も、ここについては技術的なことが正しいかどうかわかりませんが、原種、原原種というこれからの開発の素材になるもの、そしてこの国のオリジナルのもの、そういうものについてきちっと我が国として守っておくということは、私は当然、さまざまなことをしていく上でベースになることだと思うわけです。

 これが今、法律がないということなんですけれども、これについて、私は、なければつくるべきだろうと思うし、それから、このことの重要性を改めて感じていくべきだと思うんですけれども、大臣、お聞きしてよろしいでしょうか、お考え。

山本(有)国務大臣 これは、単に都道府県の試験場の話ではなくて、日本の農業、特に米農業についてのベースになる貴重な資料であります。それが散逸するとか、保管がずさんだとかいうようなことがあってはならないと思います。そのために法律というものが必要であれば検討したいというように思います。

吉田(豊)委員 ありがとうございます。

 素材としての重要性というと、抗生物質ですとか、それを探しに山奥にまで、本当に秘境を探して行くという、これはよく皆さん御存じだと思いますけれども、やはり世の中に見つけられていないもの、あるいは古くてそのときには必要ないと思ったものが実は物すごい力を持っている、オリジナルだからこそ力を持っている、そういうこともあるわけですね。

 交配ということから考えていけば、種子というものの原原種、それをきちっと残しておくことの重要性ということは、今大臣からも必要性を改めて、また必要性を考えて進めていかなくちゃいけないということをいただきましたので、ぜひこれはまた検討していただいて、そしてきちっとした確保をしていく、その方向に進めていただきたいと思います。

 続いて、農業の研究機構や遺伝子研究の機関などですけれども、今申し上げたような原原種保存について管理を少なくとも委託する、あるいはそこで保存する、このような方向性ということについて今の段階で検討できないか、あるいはしているかどうかについて確認したいと思います。

西郷政府参考人 主要農作物の原原種の保存管理につきましては、原則、当該原原種の開発者が実施すべき事項であると考えております。

 ただ一方で、農研機構におきましては、さまざまな特性を有する遺伝資源でございますが、これは国内外から収集してきたものを保管して、育種用の素材として民間企業や地方自治体等に提供する、ジーンバンク事業と呼んでございますけれども、これを昭和六十年度から実施しているところでございます。

 このジーンバンク事業では、原原種も含め、開発者がジーンバンクへの提供とかいろいろな配布について同意していただけた場合については、農研機構が受け入れまして保管をするということをしております。この事業を通じまして、都道府県で開発した品種の遺伝資源の保存管理にも貢献できると考えております。

吉田(豊)委員 しっかりそれを進めていただきたいと思います。

 次に、この法案についてですが、実際のところ、現場のことについて確認したいんですが、種子法において都道府県の推奨を行うというのがベースでしたけれども、廃止になった場合に、法的な根拠を持った推奨という行為あるいは言葉がなくなるというふうに思うんですけれども、我が国の国民性といえばいいか、特に農家はそうでしょうけれども、先に一歩出るということはなかなかやらないで、みんな横並びでいろいろなことをやっていく、そういう性格が基本的にはあるわけですね。

 やっと今ここに来て、攻めの農業、開発していかなくちゃいけない、危機感を持った人が一歩進むという状況には見えてきてはおりますが、大方のところは、やはり自分自身でさまざまなことを判断していくほどの自信があるかというと、決してそうではないというのが現状だろうと思うわけです。

 ですから、この推奨という言葉があったというのは、実際の農家が種を選んで、そして栽培していくに当たっての大きな安心であったろう、情報だったろう、こう思うわけですけれども、これがなくなっていくことの影響についてどのように考えていらっしゃるか確認させてください。

柄澤政府参考人 今御指摘がございましたいわゆる奨励品種の関係でございます。

 奨励品種の決定自体、実は種子法を根拠にしているわけではございませんで、各都道府県の農業振興の観点から、各都道府県の自主的な判断によって行っていただいているということでございます。

 したがいまして、種子法が廃止されたといたしましても、多くの都道府県におかれましては、引き続き、現行と同様の奨励品種の業務は継続されるというふうにお聞きしているところでございます。

吉田(豊)委員 現行の奨励業務が継続されるということと、一方で、民間の参入を求めるための法案の廃止を行うことも含めた新しい試みだというところ、ちょっと私は何か矛盾するように聞こえるんですけれども、そのあたりはどんなふうに考えていらっしゃるんですか。

柄澤政府参考人 奨励品種の仕組みは継続する中で、現状の種子法の仕組みの中では、種子法の法制度として、都道府県に奨励品種の決定のための試験を義務づける、あるいは原種、原原種の生産を義務づけるというような構造的な仕組みがございますので、そういった中で、奨励品種の中身として、どうしても都道府県の品種が優先的に指定されることが避けられないという判断をいたしまして、今回、種子法を廃止するということでございます。

吉田(豊)委員 何でもチャレンジですから、やっていくときに、きちっと現場にまで、そういうふうに変わっていきますということを、あるいはベースが新しく変わっていますという、このことをきちっとお伝えするということが僕は何よりも大事だと思って、だから、やっちゃいけないとかそういう話ではないわけです。そこのところをぜひ現場の方まで伝わるような努力を今後一層していただく、そこに力を入れていただきたい、こう思います。

 次に、今後の展開ということなんですが、民間重視ということを今おっしゃっていますので、今までも、当然民間が、品種だけでも四十幾つとか出てきていましたから、提携あるいは現存の都道府県の試験場との連携ということはやってきたと思うんですけれども、非常にいい例があってほしいんですね。ぜひ紹介いただきたいと思うんですけれども、どうでしょうか。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 民間と都道府県の農業試験場が連携した優良事例ということでございますけれども、例えばビール大麦につきまして、ビール会社が自身で高品質なビール大麦の品種を開発されて、その加工の適性の評価をしている。これに乗じて、今度は北海道が、ビール会社が開発した品種について、地域の気候や土壌への適応性を検定するといったような連携を行った例などがございます。

 また、稲につきましても、例えば愛知県が、御飯あるいは米粉パンに加工したときにかたくなりにくい品種の開発を行って、コンビニエンスストアあるいは製パン会社が、この愛知県が開発した品種につきまして、おにぎりや米粉パンに加工したときの加工の適性というのを評価するといったような連携が図られております。

 ですので、こういった連携があるわけでございますけれども、やはり民間の方々は市場のニーズを機敏に捉えて対応できるということでございます。ですので、公的研究機関の有する知見を提供しながら、多様な連携を生み出す、オープンイノベーションと呼んでございますけれども、によって、今後とも、民間事業者と公的研究機関がそれぞれの強みを生かした品種開発を促進してまいりたいというふうに存じております。

吉田(豊)委員 そして、やはり今回のこの法案で気づきますことは、いかに種子というものが今の現代の国際社会において戦略的に重要かということになろうと思うわけです。

 しつこいですけれども、法の廃止であって、種子を大事にしないということでは決してないわけですから、改めて世界の中で種子というものを、重要性、それをこの機会により積極的にアピールもしていっていただきたいわけですね。このことについての、齋藤副大臣にお考えをお聞きしたいと思います。

齋藤副大臣 御指摘のとおり、国際的にも種子は戦略物資と捉えられております。

 平成二十八年十一月に取りまとめた農業競争力強化プログラムにおきましても、種子、種苗を戦略物資という表現で呼んでおりまして、国家戦略、知的戦略として、民間活力を最大限に活用した開発、供給体制を構築するというふうに記述されているところでありますので、この趣旨に沿って努力をしていきたいと思います。

吉田(豊)委員 そういう趣旨に沿って活動していただくときに、私は、やはり何よりも大事だなと思いますのは、日本というこの国の中の政府があって、それぞれ省庁が幾つにも分かれておりますけれども、どこが一番このことについて、種の大切さを感じなくちゃいけないかということでいえば、それは間違いなく農水省だと思うんですね。

 でも、今副大臣からお話がありましたように、そこだけでさまざまなことが進むのかというと、決してそうではない。だから、このことこそ、きちっと連携を図って、種というのは、種をまけば根が張って、そして上に成長していくという、つながりを求めていくというところが私は本質的なよさだろう、こう思うわけです。

 ですから、今回の種子法の廃止ということについて、一つの契機として、やはりこれから、より我が国は種子というものについて重要性を感じていく、私は、それが重要だろう、ここから得ていくものじゃないかな、こう思うわけですけれども、改めて大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 今後、御指摘のように、農林水産省としましては、国家戦略、知財戦略、こうした中で、関係省庁と連携をしながら、GIや地域団体商標を活用したブランド化支援、植物新品種の権利保護の強化、海外における侵害対策の強化、こういったことを戦略的に推進しようというように決意するところでございます。

 以上でございます。

吉田(豊)委員 よろしくお願いします。

 終わります。

北村委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

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北村委員長 この際、内閣提出、農業機械化促進法を廃止する等の法律案に対し、宮腰光寛君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。岸本周平君。

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 農業機械化促進法を廃止する等の法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

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岸本委員 ただいま議題となりました農業機械化促進法を廃止する等の法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 政府原案は、高性能農業機械について国及び都道府県が主導して開発、導入を進める制度と、近年、安全性の検査を除き実績がない農業機械の型式検査を廃止するとともに、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が農業機械に関する試験研究や安全性の検査等の業務を引き続き実施できるよう措置する内容となっており、その基本的方向性は賛成いたします。

 ただし、政府原案においては、研究機構が実施する検査の業務に関して、本来想定される農機具についての検査以外の検査も実施できるかのような規定ぶりとされており、適当でありません。

 そこで、研究機構が実施する検査が農機具についての検査に限られることを法文上も明確にする本修正案を提出した次第であります。

 以上が、この修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

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北村委員長 これより両案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。小山展弘君。

小山委員 民進党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました農業機械化促進法を廃止する等の法律案に対する修正案、農業機械化促進法を廃止する等の法律案、そして主要農作物種子法を廃止する法律案のうち、主要農作物種子法を廃止する法律案につきまして、反対の立場から討論をさせていただきます。

 稲、麦、大豆は、国民の主食であり、農業生産における基本的作物であります。我が国農業にとって、食料安全保障にとって、重要不可欠な作物であります。

 昭和二十七年に制定されて以来、種子法によって、主要農作物の優良な種子が研究開発され、原種、原原種が保存され、安定的に優良な種子生産が確保されてきました。そして、農家も種子の供給に心配することなく、安定的な価格で種子を購入し、生産活動を行ってまいりました。まさに種子法は、日本の食料の安定供給の基礎となってきたのであり、その意義は現代でも失われてはおりません。

 政府は、種子法が地方公共団体中心の制度であり、奨励品種の仕組みが民間企業の品種開発意欲を阻害しているから廃止するとしております。

 しかしながら、現行においても、民間出資一〇〇%で、純然たる民間事業体である全農の開発による種子、はるみや、他の一品種も奨励品種に指定されており、種子法によって民間の品種開発意欲が阻害されているとは言い切れません。一方で、主要農作物種子法のために奨励品種から除外されたという具体的事例も存在しません。

 また、都道府県における基礎研究や原種管理の体制が縮小される懸念が指摘されておりますが、その対策も不十分です。法律を廃止する際には、その機能を後継する法律を制定するべきですが、今回は一方的に種子法を廃止するものであります。種子法に代替する法律がない中で、県が今後も種子生産するだろうと見込んでおりますが、その機能維持は担保されたとは言えません。

 主要農作物種子法が廃止され、今後、民間開発、民間生産の、例えばF1のような種子の比率が向上していくこと、あるいは長期的には超大手の外資による種子が日本国内に大幅に流通することも想定され、今後、食料安全保障上、懸念される事態が発生しないとは言い切れません。

 各国、各企業の穀物戦略が交錯する中で、主要農作物以外にも、原種、原原種の管理について国が関与すべきではないかとの、検討すべきではないかとの意見もあります。食料安全保障の観点から、この主要農作物種子法の果たす役割はむしろ重要度を増しているとも言えます。

 仮に主要農作物種子法に問題があるのであれば、廃止するのではなく、改正することで対応すべきではないでしょうか。

 以上の理由から本法案に反対することを表明して、私の討論を終わります。(拍手)

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党を代表して、主要農作物種子法廃止法案及び農業機械化促進法廃止法案の反対討論を行います。

 まず、主要農作物種子法は一九五二年に制定され、我が国の基本的、基幹的作物である稲、麦、大豆の優良な種子の生産、普及を都道府県に義務づけることで日本の食料自給を支える重要な役割を果たしてきたものであり、廃止は容認できません。

 反対の第一は、都道府県と関係者が積み上げてきた安全性と公共性を持つ種子の生産、普及体制を崩壊させ、外資系多国籍企業のもうけの場として独占させるおそれがあるからです。

 第二に、必要な予算の確保の担保がなく、現状の都道府県の体制が継続される保証はありません。農業競争力強化支援法案では都道府県の知見を民間に提供することが盛り込まれ、遺伝資源の開放につながる懸念さえあります。

 第三に、現在でも民間による育成品種が奨励品種となるなど、民間に不利とは言えず、むしろ民間の開発コストの上乗せが種子の価格高騰につながる危険さえあります。

 以上の理由から、本法案に反対するものです。

 次に、農業機械化促進法を廃止する等の法律案についてです。

 型式検査制度は、今後も農業機械の高度化が進む中で、安全のための制度的な担保として必要です。型式検査はアメリカやフランスなどの欧米主要国、OECD諸国でも行われており、廃止は容認できません。しかも、現場から廃止の要望があったわけでなく、農業資材審議会の意見も聞くことなく、拙速で強引な進め方にも重大な問題があります。

 なお、民進党提出の修正案は型式検査の廃止をやめるものではないため、賛成できません。

 以上、二法案に反対を表明し、討論を終わります。

北村委員長 これにて討論は終局いたしました。

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北村委員長 これより採決に入ります。

 初めに、内閣提出、農業機械化促進法を廃止する等の法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、宮腰光寛君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、主要農作物種子法を廃止する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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