衆議院

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第15号 平成29年5月25日(木曜日)

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平成二十九年五月二十五日(木曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 北村 茂男君

   理事 江藤  拓君 理事 小泉進次郎君

   理事 斎藤 洋明君 理事 福田 達夫君

   理事 宮腰 光寛君 理事 岸本 周平君

   理事 小山 展弘君 理事 稲津  久君

      伊東 良孝君    伊藤信太郎君

      池田 道孝君    小里 泰弘君

      加藤 寛治君    勝沼 栄明君

      金子万寿夫君    笹川 博義君

      瀬戸 隆一君    武部  新君

      中川 郁子君    長尾  敬君

      西川 公也君    古川  康君

      細田 健一君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    森山  裕君

      簗  和生君    山本  拓君

      渡辺 孝一君    岡本 充功君

      金子 恵美君    佐々木隆博君

      重徳 和彦君    宮崎 岳志君

      村岡 敏英君    中川 康洋君

      真山 祐一君    斉藤 和子君

      畠山 和也君    吉田 豊史君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       山本 有二君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   農林水産副大臣      齋藤  健君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 大塚 幸寛君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    吉井  巧君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            井上 宏司君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部長)           大野 高志君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           西郷 正道君

   農林水産委員会専門員   石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     長尾  敬君

  森山  裕君     金子万寿夫君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     森山  裕君

  長尾  敬君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

北村委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官水田正和君、消費・安全局長今城健晴君、食料産業局長井上宏司君、生産局長枝元真徹君、生産局畜産部長大野高志君、農林水産技術会議事務局長西郷正道君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣府大臣官房審議官大塚幸寛君、大臣官房審議官緒方俊則君、消費者庁審議官吉井巧君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 おはようございます。民進党の佐々木でございます。

 朝早くからの質疑で、大臣その他の皆さん方も朝早くからの勉強会でお疲れだというふうに思いますが、私も経験ありますが、前の晩までずっと質問をとりに行って、朝早くから答弁の準備をしなければいけないというのはよくわかっておりますが、これは私の都合ではありませんので。

 きょうは、畜安法についてでありますが、今までかなり議論も尽くされているというふうに思いますので、そんなに難しい質問をするつもりはありません。しかし、確認をしておかなければならない点が何点かありますので、そのことをきょうは質問させていただきたいということと、その前に、TPPについて何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。

 先日、ハノイで、合意といいますか、閣僚声明が、議長声明が発表されたわけでありますが、ここの声明では、包括的で質の高いTPPの早期発効に向けた選択肢を評価する作業を始めると。評価する作業を始めるという内容ですね。十一月のAPECまでに間に合わすということなんでしょうけれども、一部報道によると、漂流をやっと回避したというような表現もありますけれども、ここに参加をしたということは、これはTPP11を政府として位置づけたということだというふうに思うわけですね。今まであらゆる選択肢とかいう答弁が繰り返されていたわけでありますが、その一つとしてTPP11も位置づけたということだというふうに思うわけであります。

 これは、きょう澁谷さんにもおいでいただいておりますが、ずっとこのことで私も論議をさせていただいてまいりましたが、その場合、アメリカ抜きということになると、TPPとは相当影響試算なんかは大きく変わってくるわけでありますが、そうした内容などについて、これからどうやって新しい枠組みの中で取り組もうとしているのか、まずその点、お伺いしたいというふうに思います。

澁谷政府参考人 御説明をさせていただきたいと思います。

 先生御指摘のとおり、この週末、ハノイに行ってまいりまして、TPP閣僚会合が開催されました。十一カ国の結束が重要であるとともに、モメンタムを維持する必要があるということで一致をいたしまして、閣僚声明を発出するに至ったところでございます。

 閣僚声明、なかなか複雑な書きぶりをしているわけでございますが、声明のポイントは、出席した各国、すなわち十一カ国が、TPPの意義を再確認して、TPPの早期発効を目指すということでございます。そのための選択肢の検討を事務方に指示したということでございますけれども、十一カ国がTPPの早期発効を目指して実際の具体策の検討に入る、こういう内容でございます。

 また、我が国のイニシアチブを期待している国も多かったということで、我が国で七月に首席交渉官クラスの高級事務レベル会合を開催することも決定されたところでございます。

 十一カ国が結束を維持してTPPの早期発効を目指す、これが閣僚声明でございますので、我が国も、この閣僚声明に沿いまして、各国と緊密に連携して、十一月のAPECまでに結論を出すということでございますので、それに向けた準備を進めていきたいということでございます。

佐々木(隆)委員 早期発効を目指すということになれば、十一カ国での早期発効ですから、それは当然内容は異なってくるというふうに思います。大臣も定例の会見で、内容が異なってくるだろうという記者会見をされているわけでありますが、真っ当な判断だというふうに思うんですね。

 合意内容の見直しも必要というふうにも触れておられるわけでありますが、当然これは関連法とか予算とかということも含めて見直しが必要という意味でおっしゃっているんだというふうに思うんですが、いかがですか、大臣。

山本(有)国務大臣 まず、TPPの今後でございますが、ハノイでのTPP閣僚声明におきまして、先ほどのお話のように、今後の選択肢の検討を行うこととされております。今後の推移を見ながら、予断を持って考えるのではなくて、幅広に、さまざまな対応に備えたいというように思っております。

 その上で、あえて一般論として申し上げれば、仮にTPPについて昨年末に国会で承認されたTPPとは別個の国際約束となる場合には、その関連法につきましても改めて検討する必要が生じる場合があるというように考えております。

 また、一昨年十一月に決定いたしました総合的なTPP関連政策大綱におきまして、農林水産分野について、TPP発効を見据え、それに備えることをきっかけとして、協定の発効を前提とせずとも取り組むべき農林水産業の体質強化を加速する対策予算、あるいは、TPP協定発効後に必要となる、関税削減等の影響に対応するための経営安定対策の充実等の二種類の対策予算を行うこととしているところでございます。

 これまで、平成二十七年度補正予算及び平成二十八年度補正予算に計上したTPP大綱を実現するための予算は、全て前者の体質強化を加速する対策となっております。

 これらの予算は、いずれも協定の発効を見据えたものではありましたけれども、発効を前提としたものではありませんでした。また、毎年度の通常の施策とは別に、追加的な措置を講じて、農林水産業の体質強化を加速しようとするものでございました。

 着実にこうしたことを実施していく必要があるというように考えるところでございまして、簡単に申し上げれば、別の国際約束の場合には、新たな検討が必要だというように考えております。

佐々木(隆)委員 このイレブンについても、先ほどの澁谷さんの答弁でも早期発効を目指すと言っているわけですから、別個なものになる可能性が極めて高い、仮定といえば仮定ですが、そういう状況だと思うんですね。

 そのときに、予算には二種類あるのは承知をしておりますが、関連法も変わってくるわけですよね、当然のことながら。そういうことになれば、もう一度やはり、後ほどちょっと触れたいと思いますが、当然そこも含めてもう一回議論をし直すということが必要になってくるんだろうと。

 先日、畠山委員の質問もありましたけれども、どうもあのとき曖昧なまま終わっていたものですから、少し追加で質問をさせていただきました。

 そこで、ポストTPPという言い方がいいかどうかわかりませんが、経済連携の戦略、もっと言えば、あり方自体が問われているときに私は来ているのではないか。

 きょうは政務官にも来ていただいてございますが、日・EU、RCEP、各国とのFTAなどなど、複層的に今進んでいるわけでありますが、十一月にAPECが開催されるということに向けて、さまざま、そうしたことがAPECの場所でも議題になるんだろうというふうに思います。

 それで、今までのTPPのときは、政府全体としての体制みたいなものがきちっとできていたわけでありますが、いわゆるアメリカはUSTRというところでしっかり取り組んでいる、それから比べると、このTPP以外のものについて、どうもしっかりとした体制ができているとはどうも思えないのでありますけれども、今後、その点の戦略についてどう取り組もうとしているのか、お伺いをいたします。

小田原大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、御質問の戦略でありますが、我が国は、自由貿易の旗手として、自由で公正な市場をアジア太平洋地域を初め世界に広げていくことを目指しています。特に、世界的に保護主義の風潮が高まる中で、さまざまな経済連携協定を通じて自由貿易を推進していくことが重要だと考えています。

 数年間の交渉を経てTPPに結実した新たなルールは、今後、通商交渉におけるモデルとなり、二十一世紀のスタンダードになっていくことが期待をされています。この成果を基礎として、日・EU・EPAのできる限り早期の大枠合意を目指すとともに、RCEP、日中韓FTAなどの交渉においても質の高い協定の実現を目指し、精力的に交渉を進めてまいります。

 これら経済連携交渉の推進に当たっては、関係省庁間で緊密に連携し、政府一丸となって取り組んできています。例えば、日・EU経済連携協定交渉については、岸田外務大臣を総合調整担当大臣とするとともに、主要閣僚会議を立ち上げるなど、政府全体で万全の体制を構築しているところであります。

 今後とも、複数のEPA交渉を戦略的かつスピード感を持って推進し、自由貿易の推進に主導的役割を果たしていきたいと思います。

 また、USTRに言及され、体制についての御質問がありました。

 経済連携交渉の推進に当たっては、これまでも、官邸の指揮のもと、関係省庁間で緊密に連携をし、政府一丸となって取り組んでいます。今後とも、官邸の指揮のもと、複数のEPA交渉を戦略的かつスピード感を持って推進していく考えであります。

佐々木(隆)委員 先日のハノイには同僚の村岡委員も出席をしておりますが、あの中身を見ても、大変、それぞれの各国の思惑というのはいろいろ、一つアメリカが抜けたということだけでも大きく変わってきているわけであります。

 そこで、今政務官からお答えいただきましたが、保護主義の台頭というものにしっかり対抗していかなきゃいけないという趣旨なんですが、本当にそうなのかということを、もう一度やはり少し立ちどまって考えるべきではないかというふうに思うんです。

 経済をグローバル化していくということは、限りなく競争をしていくということであって、そのことが必ずしも国民の、あるいはそれぞれの各国の利益に結びつくかどうかということは、今いろいろなところで取り沙汰されているわけで、これを単に保護主義とかポピュリズムとか言って片づけるというには私はちょっと早計過ぎるというか、もう少し分析をする必要があるのではないかというふうに思っております。

 御案内のように、アメリカがなぜTPPを離脱したのかというと、それは、一つには、今の経済連携の枠組みというものが投資家が中心になり過ぎているということが一つ、もう一つは、そっちが主体になっていて、あとはお互いに強い者がせめぎ合うわけですから、当然失業が拡大するということが二つ目、三つ目には、そのことによって国内の格差が拡大する、そういう理由なわけですよね、離脱をした理由は。これはトランプだけが言っていたわけではなくて、あの人が言ったというと、ちょっといろいろ人格的な問題もありますから説得力が薄れるんですけれども、候補者であった三人とも言っていたわけですよね。

 では、イギリスはそうではないのか、あるいはフランスはそうではないのかというと、移民なども含めて同じような現象が今起きていて、ここ自体を少し見直さなければいけないのではないかというような動きも片方に出てきている。それがたまたまああいう形で出たので、保護主義だというような言い方で片づけてしまうわけですけれども、大体、テレビや何かに出てくるコメンテーターはほとんど貿易でもうけているような人たちに近い人たちが多いので、あれは必ずしも私はあのコメントというのは正しい判断ではないというふうに思うんです。

 現に、グローバル化によって各国の賃金というのはどんどん下がっているわけです。これは、アメリカも日本も中国もドイツも、全く同じ現象が今起きているわけで、必ずしも、最終的には一人一人の賃金にそれが転嫁されないと、配分されないと、何のために貿易を拡大しているのかというのは何の意味も持たないわけですから、そういった意味では、私は、WTO、ちょっとその資料をきょう持ってこられなくて申しわけなかったんですが、WTOは生産刺激的なものはやめましょうということを既に合意しているわけですよね。そういう枠組みの中で、それぞれの国が何らかの仕組みをつくりましょうよというところがWTOの基本的な考え方ですから、私はこちらの方が少し進んでいるんだと思うんです、考え方としては。

 ですから、そういうことを含めて、経済連携、せっかく体制をつくろうとしているのであれば、そういうことも含めたあり方そのものをやはりちゃんと検討できるような仕組みにしなければならない。一つ一つの現象のために各省連携するのは当たり前ですけれども、そうではなくて、全体の戦略を組むというようなものが必要なのではないかというふうに思うんですが、そこまで外務政務官に、どこまででもいいですからお考えと、それから、農水の方で三役でもしそのことにコメントがあればいただきたいというふうに思います。

小田原大臣政務官 お答え申し上げます。

 体制の考え方、さらに突っ込んだ御質問でありますが、あくまでも、それぞれの状況に応じ、適切な形で経済連携協定の輪を広げ、自由貿易の推進に全力を尽くしていくということであります。

 我が国としては、片方で広域の経済連携協定交渉を進めています。また、それと同時に、例えばコロンビア、トルコとの二国間の経済連携協定にも積極的に取り組んでいるところであります。

 先ほどのお答えにも触れさせていただきましたが、引き続き、関係省庁間で緊密に連携をし、政府一丸となって取り組んでいくところでございます。

齋藤副大臣 政府全体としては、WTOが停滞をしつつある中でどうするかということで、TPP十二カ国で、アジア太平洋で、世界のGDPの二割を占める経済圏をつくろう、それからRCEPで、東南アジア十カ国、日中韓、インド、オーストラリア、ニュージーランド、十六カ国で、今度は中国、インドを含めた経済圏をつくっていこう、それからヨーロッパとやっていこうということで、日本の通商戦略というものは組み立てられているんだろうなというふうに理解をしています。

 一方で、我が省といたしましては、さはさりながら、食料安全保障の問題もあります、地域を守っていかなくちゃいけないという問題もあります、それから、農業そのものもむしろこれから成長産業にしていかなくちゃいけないというのはありますので、それをしっかり腹に据えて、政府の中できっちりと議論していきたいと思っているところです。

佐々木(隆)委員 畜安法の質問もありますので、TPPはこれぐらいにしたいと思うんですが、経済連携協定という名前からして、成長を求めるというのは宿命なのかもしれませんが、WTOはやはりそれで行き詰まったんだと思うんです、成長だけ求めたがゆえに。だから、地域の環境だとか集落だとかというものにもう少し注目したところにシフトしようとしたわけですよね。そこで相当大きく変わるものですから、そこで頓挫したというのが私は本当のところではないかというふうに思っておりますので、今、集落の問題も出していただきましたけれども、そういうことも含めて、政府全体として検討するべき、何らか組織も含めて、私はぜひお願いをしたいということを申し上げておきたいというふうに思います。

 そこで、畜安法について幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そもそもこの畜安法の中の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法といういわゆる暫定法、今までの制度ですが、これがなぜできたのかというと、それは、今さらここは皆さん承知のところで、申し上げる必要もないんですが、三十年代後半だと思いますが、いわゆる乳価戦争というのがありました。

 済みません、外務政務官、どうぞ退席いただいて結構でございます。

 要するに、農家と乳業メーカーが直接取引をする中では、どんどんとそういう状況の中で生産者が買いたたかれるという中でのいわゆる乳価戦争が頻発していた。

 そこで、政府はそのときに原料乳の安定基準価格というものを設定したわけでありますが、ところが、安定基準価格を設定しますと、結局、生乳に合わせますと、乳製品の方がそのまま高くなってしまうという結果を招くわけでありまして、結果として、そのときの畜産振興事業団、今のALICの前身ですが、これが常時乳製品を買い入れるという事態を招いた。これも余りうまくいかなかった。結果として、昭和四十年に今の暫定措置法ができた。

 これは、不足払いというものと乳価、輸入の一元化という二本柱で成り立っているわけでありますが、私は画期的な改革だったというふうに思うんですね。これを評価する人はたくさんいますが、これに不満だという声は余り聞いたことがありません。

 暫定措置法というものについての評価、指定団体の果たしてきた役割、なぜ改正が必要だったのか、関係者の意見はいつどのように聞いたのかなどについて、これは参考人で結構ですが、お答えいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、指定団体が設立されました昭和四十一年当時でございますけれども、牛乳・乳製品の需要が将来にわたって増加をし、特に飲用向けの消費が大幅に増加するというふうに想定される一方で、先ほどお話もございましたとおり、小規模な生産者団体が多々ございまして、乳価交渉力が弱く、生産者と乳業者との間の乳価紛争が頻発していたという状況でございます。

 そういう中で、暫定措置として、乳価の低い加工原料に限りまして、指定団体を通じて生産者補給金を交付することを内容とする加工原料乳生産者補給金等暫定措置法を制定いたしまして、この法律に基づいて指定団体制度を適切に運用すること等によりまして、我が国の酪農は着実な発展を遂げてきたものというふうに考えてございます。

 しかしながら、近年、我が国の飲用牛乳の需要が減少傾向にある一方で、生クリームやチーズなどの乳製品の消費は今後も増加が見込まれており、消費者ニーズに対応すれば酪農経営は発展の可能性がある、そのためにも、特色ある牛乳ですとか乳製品の生産による付加価値の向上など、酪農家が創意工夫を生かせる環境の整備が重要な課題になっているというふうに思ってございます。

 こうしたことを踏まえまして、御審議いただいております本法案で、一点目としては、補給金の交付対象を拡大する、あと二点目としては、現在の暫定措置法に基づく制度を恒久措置として位置づけ直すというふうにしたところでございます。

 この改正法案の検討に当たりましては、昨年十一月に、関係団体の理解を得まして農業競争力強化プログラムを策定いたしまして、そこに方向性を書きました。これに沿いまして、指定団体ですとか農業者団体等々関係の方々と個別、断続的にさまざま意見交換を行って、閣議決定に至ったという状況でございます。

 今回の制度改正によりまして、需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保ですとか、畜産経営の安定を図ることができると考えておりまして、引き続き、関係者の意見を聞きながら、新しい制度が適切に運用できるように進めてまいりたいと存じます。

佐々木(隆)委員 今の話だと、乳製品の需要増が見込まれるというためにこれが必要だった。恒久法にすることにはそんなに意味がないと思うんですね、暫定法で今日までやってきたわけですから。

 だから、クリームとかチーズとか乳製品の需要がふえていることは確かでしょうけれども、そのためだけにこの法律を改正する必要があったのかというのは、ちょっと今の説明では、それで農家の皆さん方が、うん、そうだというふうにはなかなかならないと思うし、JAの皆さん方から、単協ですが、単協の皆さん方から、ぜひこれは推進してくれなどという声を聞いたことはありませんので、先日の参考人の質疑でも四人のうち三人が、これはおかしいという陳述をしておりましたので、そういった意味でもいま一つ納得できないところがありますが、少し具体に聞いていきたいというふうに思います。

 まずは、年間販売計画についてですが、結局、過度な市場化と言ってもいいんだと思うんですが、イギリスがかつてそれをやって、いわゆるミルクマーケティングボード、MMB、何かいかがわしい名前ですが、MMBというところが結果、解体をしてしまうわけですね。

 こうしたことを見ても、いわゆる補給金の要件として、年間販売計画を提出する、一定の基準に適合すると認めた場合、交付対象数量を通知する、対象数量は需給状況を考慮して加工原料乳の上限を算出する、通知を受けた事業者は事業の実績、経費を報告するというふうになっているんですが、現行制度では、国が全体の交付数量というものを示して、そして、飲用向けあるいは加工向けという調整は指定団体の方がやっていたわけですね。

 ですから、今度はそれを全部国がやるような仕組みにある意味で変わるわけです、全部ではありませんが。そのときの、一定基準というふうになっているんですが、一定基準というのが余り明らかではありません。それから、需給状況というのはどういうふうに判断するのかということも余り明らかではありません。

 だから、そういう状況のまま法が施行されるということは、酪農家の皆さん方にとっては大変不安になってしまうというふうに思うんですが、法の施行前にぜひこの判断基準、判断要件というものを明らかにする必要があるというふうに思うんですが、これについて明らかにしていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からもお話ございましたとおり、本法案では、飲用向けと乳製品向けの調整の実効性を担保できるものとするために、事業者に対しまして、月別、用途別の販売予定数量等を記載した年間販売計画の提出を義務づけまして、農林水産省令で定める基準に適合するものであると認められる場合には交付対象数量を通知するということとしております。

 その具体的な基準といたしましては、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であること、生産者補給金の交付業務を適正に行えること、用途別取引を行っていることを定めることを考えてございます。

 この中で、例えば年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引とならない場合として、具体的には、短期間のみの乳製品向け販売をするような場合ですとか、集送乳に当たって生乳の品質が適切に確保できていないような場合、こういう場合を念頭に置いてございますけれども、法案成立後、省令を定めるに当たりまして、関係者の方々とも調整の上、できるだけ速やかに定めていきたいというふうに思ってございます。

佐々木(隆)委員 それは説明に書いてあるのと何も変わらないわけで、もう少し、その一定の基準というのは何をもって基準としているのか、需給状況の変化というのは、どの程度の変化、どういう変化というものを需給状況の変化というふうに判断しようとしているのか、何か全然何もないままそれを決めたわけではないと思うんですね。一定基準というんですから何らかの基準というものはあるはずなんですが、それも全く今ないまま法の施行に入ろうとしているんでしょうか。もう少し詳しく聞かせてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 ポイントとしては、年間を通じた用途別の需要に基づく安定的な取引であることということだろうと思います。先ほど申し上げましたとおり、ごく短期間のみに乳製品向けの販売をするような場合ですとかそういう場合には、当然ながら安定的な取引になりませんので、そこはちゃんと年間を通じて、用途別に、月別に計画をきちっとつくっていただくということでございます。

 あとは、そこの需要の変動というものをどういうふうに見ていくかということについては、これからまた関係者とも調整の上、決めていきたいというふうに考えているところでございます。

佐々木(隆)委員 年間計画を出すのは、ある種当たり前といえば当たり前でしょう、今度の制度の中では。そのときの、例えば変動で三〇%だなんという話がいつかどこかで出ていましたけれども、酪農家にとって三〇%も上下したらそれは死活問題でありますので、もう少しやはりきちっとした制度をできるだけ早く、今のでは不十分です、不十分ですが、できるだけ早く酪農家の皆さん方に示してあげなければいけないというふうに思います。

 それともう一つ、現行制度でも、地域内全ての生乳生産者が直接、間接に加入できる、員外利用は制限されないというふうになっているわけですね。ですから、これで十分だったのではないかというふうに思うんですが、これでは何が足りなかったんでしょうかね。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと御質問の趣旨を十分にあれしているかわかりませんけれども、今回の改正の一つのポイントは、やはり需要の変化に対応して酪農家が創意工夫を生かせるような環境の整備をしていきたいということで、現在、指定団体のみを通じてしか補給金が出ないということを、それ以外の方でも計画的に加工向けに仕向ける場合には、そこに補給金を出していくということでございます。

 そういう意味からすると、先ほど先生おっしゃった員外利用というのは指定団体、農協の世界でございますので、必ずしも指定団体を通すだけじゃない、そういう創意工夫のあり方、そういう加工のあり方、そういうものに対しても推進をしていきたいという趣旨でございます。

佐々木(隆)委員 農協の員外と、それから全体の員外とは必ずしも違うという判断にはならないわけで、いずれにしても員外は員外ですから。

 ちょっとこの後、部分委託についてお伺いしたいんですが、私は、今回の改正の一番隠れた問題点は、要するに、新規に入ってこられる事業者の皆さん方が買い取り方式で入ってくるというところに実は大変な問題があるんだというふうに思うんです。

 今までは、指定団体に全量委託ですから、そこで全体数も掌握ができたし、中での調整もきいた。ところが、今度は、新規に参入してくる方は買い取りで入ってきますから、どこにどういうふうに回したかということを掌握すること自体、その後聞きますけれども、大変難しい話になると思うんです。

 流用が全くないのか、防げるのかということについても、非常に不安があるのは、わずか三%だというふうには言われても、これが将来どうなるかわからぬわけですし、ここのところにしっかりとした規制をきちっと加えないと、この制度自体が壊れてしまうことになると思うんですね。

 そこを前提にしてお伺いをしたいんですが、部分委託についてでありますが、現行制度ではいわゆる原則全量委託というふうになっていて、事業者は委託または売り渡しの申し出を拒んではならないというふうになっていて、「正当な理由がある場合を除き、」という条件がついておりますので、逆に言うと、この理由が確定できない限り自由になるということも意味しているわけであります。

 いわゆるいいとこ取りと言われているものがどこまで排除できるのかということが非常に大きな問題でありますので、いわゆる正当な理由というものがどこまで徹底できるのか、ここを明らかにしていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず最初に、買い取りの関係でございますけれども、現状は、先ほどイギリスのMMBのお話がございましたが、イギリスの場合は、全てMMBに対して渡さないといけないという義務がかかっておりました。日本の場合は、全て指定団体に生乳を渡しなさいという義務はございませんので、今の制度というのは、加工に対して補給金を出す、それを指定団体を経由させるということによって、ある意味、指定団体に集めていこうという思想でございました。逆に言いますと、三%の方々は、我々は全く掌握ができていないという状況ですし、それがここ近年増加しているという状況でございます。

 今回、そういう方々が、ちゃんと年間の計画をきちっとつくっていただいて、加工も取り組んでいただけるとすれば、一つには、特に不需要期の廉価販売等を加工の方に仕向けることができますし、計画もさることながら、後の実績報告とかそういうことによって私どもも掌握ができるということになりますので、そういう面も一つの改正のポイントだろうと思っております。

 その上で、正当な理由でございますけれども、改正法案では、指定事業者が生乳取引を拒むことができる正当な理由というのを省令で定めることにしてございます。

 この十条一項二号の、委託または売り渡しが年間を通じて安定的に行われる見込みがない場合というのを例示いたしまして、具体的な、今考えていることといたしましては、夏場に減少して冬場に増加するという生乳生産の季節変動を超えまして委託または買い取りの申し出の数量が変動する取引である場合、あと、例えば年末年始のみ指定事業者へ委託等を行うような短期的な取引であるような場合、あと、例えば自分の生乳は飲用向けだけに売ってほしいとか、そのような特定の用途仕向けへの販売を条件とするような場合、あと、生乳の品質が指定事業者が定めます統一基準を満たさないようなものである場合、あと、生産した生乳のうち売れ残ったものを持ち込むような取引を求められる場合には、生乳受託販売を拒否することができることとしたいというふうに考えてございまして、法案成立後に、関係者の方々ともさらに調整の上、できるだけ速やかに定めていきたいというふうに考えてございます。

佐々木(隆)委員 ここもある意味で政省令任せみたいになっていて、不明な点の一つであります。

 季節変動の話とかが出ましたけれども、先ほど一番最初にお答えをいただいた、加工原料乳がふえている、消費がふえているからそういうものにも対応したいといった話と、この季節変動があるので、そこのところを新規事業者も加工に入りたいという話が何か妙に符合してしまうものですから、余計少し無理があるのではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。

 先ほど申し上げたように、そうした季節変動とか特定用途、今でも、部分委託という中では、一部、六次化だとかそういった意味で、既にそういうのは行われているわけでありまして、そこにいわゆる今度は買い取りの皆さん方が入ってきて、季節変動だとかあるいは特定用途だとかというものが、一体どこまでそれが掌握できるのかという話は、項目としてはわかりますが、何かもう少しちゃんとした基準がなければ、ここをちゃんと制限できるのかということは、項目としてはわかります、しかし、もう少し具体にこれを示していただかないと、それは取引をする農家の皆さん方は安心できないと思いますので、もう一度お願いします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 申しわけございません。ちょっと説明が悪かったかもしれませんけれども、まず、部分委託というものに関して言いますと、これはまさに部分の委託でございますので、例えば買い取りをする事業者の方にはそういう概念というのはないと思います。

 それで、部分委託というものが問題になりますのは、今の指定団体が、これは法律的にそういうことはできませんし、また、強制をいたしますと当然独禁法違反になるんですけれども、生産局長が示しております契約の例で、一応、全量の委託というのが書いてございまして、それをもとに各指定団体は農家との契約を全量委託という形でやっていて、これが事実上全て適用されているという状況になってございます。

 そこについては、先日参考人の方もおっしゃっておりましたけれども、さっき先生がおっしゃったとおり、三トンとか、その部分委託的なものはございますけれども、それが非常に制限的であるということで、そこを緩和する声というのは、指定団体の中の方々の話が部分委託の話でございます。

 だから、買い取りをされる方というのは、そういう部分委託という問題が買い取りの事業者の中で起こるということではないというふうにまず理解をしてございます。

 そういう意味で、指定団体は、指定団体といいますか、法制度的には指定団体を代表とする指定事業者ですね、集送乳調整金をもらう方々、そういう方々は受託を拒んではいけないということにしてございますので、それが何でもかんでもいいということであれば、当然ながら、不公平感だとかいいとこ取りだとか、そういう話になってくるので、そこについては、正当な理由がある場合には拒否することができるということにしようとしているということでございます。

佐々木(隆)委員 いや、そうではなくて、今まで買い取りをしていた人たちも、今度は指定団体になる、取引相手になるわけですよ。だから、そのときに同じようなシステムで入ってきた場合に別な問題が起きないかということを申し上げているんですが、ほかもちょっと質問したいので、そこはもう少し検討いただきたいというふうに思います。

 集送乳の調整金について、ここも一定の基準というふうになっているんですが、ここもいわゆるプール乳価と言われているもので調整されてきたんですけれども、ここも一定の基準というふうになっていて、これもいわゆる新規参入をされる皆さん方が、本当にこれを守っていただけるためのある種の制限として一定の基準というものを持っているんだというふうに思うんですが、これもそういう場合でも大丈夫だという仕組みになっているのかどうかということに少しまだ明らかでない点がありますので、この点についてお願いをいたします。

枝元政府参考人 集送乳調整金を受け取る指定事業者の要件でございますけれども、十条一項四号において、その業務規程で、集送乳に係る経費の算定方法等が農林水産省令で定める基準に従い定められていることというのを要件としてございます。

 この基準は、農業競争力の強化プログラムにも記載されてございますけれども、この集送乳調整金というのは、条件不利地域の生産者の生乳が確実に集乳されて、不利な生産条件を補えるという集送乳調整金の趣旨がちゃんと果たされるように基準を定めるということが必要だというふうに考えてございますので、具体的に申し上げますと、集送乳経費がかさむ地域の生産者の負担について、その経費が少ない地域の生産者が一定程度負担するような仕組み……(佐々木(隆)委員「そうではなくて、新規に入ってくる人たちがちゃんと守られる仕組みになっているか」と呼ぶ)新規に入ってくる方々も、こういういわゆるプール処理がされるということでないと指定されないということでございます。

佐々木(隆)委員 ですから、この人たちが全量委託で入ってくるのなら余り問題は起きないんですが、買い取りで入ってきたときにはそこが曖昧になっちゃうわけですよ。どこに流してもよくわからないということになっちゃうので、それで一定の基準などというだけでは誰も安心できませんよということを私は申し上げているので、そこはさらに示していただきたいというふうに思います。

 済みません、時間がなくなってきたので、国がこれ全体を指導助言、評価をしなければいけないということになっていますので、ここについて本当は決意を聞きたかったんですが、ちょっともう一つどうしても聞きたいところがありますので、時間がなくなってきましたので、お伺いします。

 それは、第二次安倍内閣になってから、農政の基本であります農業基本法や今回でいえば酪肉近計画というものが農水の柱となってあるわけでありますが、ところが、それよりも農林水産・地域の活力創造本部だとか規制改革会議だとかの農政が何か農政の中心になっているような気がして、大変疑問というよりは大変憤りを持っております。

 そこで、あえて酪肉近計画では、法人経営でなく家族経営についても継続的な強化を図ることが重要というふうに書いてあります。大型化だけを目指してきたこの酪農、あるいは肉牛もそうですけれども、これは私は限界にある程度来ているんだというふうに思うんです。ですから、国産粗飼料の生産、利用拡大とか、あるいは放牧酪農とかも含めて、家族の経営というものがちゃんと成り立つ仕組みというものをむしろこれからは考えていかなければならないんではないかというふうに思います。

 具体なところは少し参考人にもお伺いしたいんですが、大臣にまず酪農振興の将来展望みたいなものを、酪肉近計画をつくられた立場で、ぜひそこのところを聞かせていただきたいのと、時間がありません、参考人の皆さん方に、ぜひ、この中で、私は、酪農の家族経営が成り立つような所得補償とか、あるいはヘルパー制度は今大変酪農家の皆さん方にとって、特に家族経営の皆さん方にとっては必須であります。これらのこれからの展開についてぜひお伺いをしたいと思いますので、よろしくお願いします。

山本(有)国務大臣 酪農における家族経営の割合は現在九五%でございますし、各農家の分類的に女性が参画している一番多いのも酪農経営でございます。その意味における家族経営の重要さというのは十分これからも位置づけて認識していかなきゃならぬ特徴だというように思っております。

 国民への新鮮な飲用牛乳の供給を担う、多様な消費者ニーズに対応した乳製品生産を支えていただく、また、地域の基幹的な産業としての地域経済社会の維持に重要な役割というように、酪農家の皆さんは頑張っておいでます。

 こういう大規模経営に限らず、家族経営におきましても生産性の向上を図り、生乳生産を拡大していくということは重要でございます。いわゆる酪肉近、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針におきましても、「法人経営、家族経営が共に地域の担い手として発展することを目指す。」というように、委員御指摘のように書かれているわけでございます。

 今後、農林水産省では、搾乳ロボットや自動給餌機など省力化機械の導入支援、あるいは酪農ヘルパー、コントラクター、TMRセンターといった外部支援組織の育成強化に対する支援などによりまして労働負担を軽減して、家族経営も十分効率化し、さらに永続できるような取り組みを推進しております。

 今後とも、多様な経営体が主体性と創意工夫を発揮しながらその経営を発展させることができるよう取り組んでまいりたいというように思っております。

大野政府参考人 所得補償と酪農ヘルパーについてお答え申し上げます。

 まず、酪農の経営安定対策でございますけれども、乳製品向けに補給金を交付いたします加工原料乳生産者補給金制度、それから乳製品向け乳価の下落に備えます加工原料乳生産者経営安定対策事業、いわゆるナラシでございます。それから、飼料作付面積に応じて交付金を交付します飼料生産型酪農経営支援事業、こういった施策によりまして、家族経営を含めた酪農経営の安定を図っているところでございます。

 こうした中で、最近五年間の酪農におきます家族経営の所得を見ますと、全国ベースで一戸当たり六百万から七百万で推移しており、ここのところちょっと、御案内のように、増加傾向でございまして、二十七年には九百万、こういうことになっております。

 私どもとしまして、所得補償というよりは、これらの経営安定対策を通じて、家族経営が主体性と創意工夫を発揮しながら経営を維持発展していかれることができるように必要な対策を図ってまいりたいと考えております。

 それから、酪農ヘルパーの件でございますけれども、酪農家の戸数の減少に伴い、酪農家一戸当たりのヘルパー要員数が増加しております。ただ、酪農家の方のライフスタイルの変化とか高齢化に伴う傷病時利用の増加によりまして、酪農ヘルパー一人当たりの出役回数、これも増加傾向で推移しているところです。

 このために、平成二十九年度、今年度から、ヘルパー事業におきまして学生インターンシップを創設させていただきまして、地域の人材にとどまらず、都市部も含めて要員確保が図られるような、こういった取り組みですとか、就業前に業務を体験する、このことでミスマッチの少ない雇用を図る。

 あるいは、ヘルパー要員の育成に関する支援につきましても、非農家出身者の方の増加とか、多様化、高度化する飼養形態に対応できるように研修の支援期間を一年から二年に延長する、また補助金の上限単価も引き上げる、こういった支援内容を拡充させていただいております。

 今後とも、酪農現場におきます需要に対応できますように、地域の関係の方々と連携しながら取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

佐々木(隆)委員 済みません。時間でありますので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、小山展弘君。

小山委員 おはようございます。民進党の小山展弘です。

 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 佐々木委員からの今の質疑にもありましたけれども、先週からかなり充実した審議が行われていると思いまして、先日の参考人質疑も、非常にいろいろないい意見がいろいろな角度からなされたのではないかなと思いますが、それでもなお、特に生産者の方、あるいは今の団体の現場でお勤めの方、この点をもう少し、細かいけれども明らかにしてほしい、こういう御意見や、あるいは自分自身もそう考えるところがありまして、ちょっと細かいようなことをお尋ねするかもしれませんが、ぜひお願いしたいと思っております。

 最初に、年間販売計画について、あるいは実績確認ということについてお尋ねしたいと思うんですけれども、今、佐々木議員からの質問にもありましたけれども、国は、補給金交付を受ける団体や業者に対して年間販売計画の提出を求めて、その計画が用途別、あと月別でということで、今、枝元局長からも答弁がありましたけれども、安定取引であるかどうかということをこの計画を見て補給金の交付を検討していく、そして国が需給調整ということにある程度責任を持つんだということだと思っております。

 しかしながら、参考人の意見にもありましたけれども、出した販売計画と実績が当然ずれてくることも考えられるわけですけれども、国の方も、実績もまた、補給金を受けた団体、組織、株式会社は提出をするということになっているんですが、どのように実績確認をしていくのかということをもう少し明確にしていただきたいと思っております。

 第五条の八項で、省令で定めるところにより実績や経費を報告するとなっておりますけれども、どういう省令を定める予定であるのか、あるいは実績確認のポイント、どういう点で実績を確認していくのか、この点についてお尋ねしたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案におきましては、補給金の対象となります加工原料乳数量を認定するに当たりまして、その確認をしていくということになりますけれども、やり方としては、毎月、年間の販売計画を提出いただいた事業者から、乳業工場に搬入された生乳の実績、あと乳業工場におきます用途別の使用実績、乳業工場から出荷された乳製品の製造実績等について報告をいただくこととしております。その報告の整合性があるかどうかというのを突合、検証し、その上で、認定ということになりますと、四半期ごとに加工原料乳数量の認定を行う、そういう仕組みを考えてございます。

小山委員 局長に更問いでちょっと確認をさせていただきたいと思うんですが、実績を出して、もしも仮に、もともと当初出していた販売計画と実績が著しく異なっている、こういうケースが出てきた場合には、四半期ごとに実績と計画を確認していくということがありましたけれども、指定そのものについても、指定に値するかどうか、指定取り消しといったようなことも検討すべきだと思いますけれども、これについてはいかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず年間販売計画を、実績を確認いたしますけれども、飲用牛乳ですとか乳製品の需給動向に応じて、実際の加工原料乳に仕向けている量を、当然変動が出ますので、計画より少ないのであれば交付対象数量を削減するということになりますし、計画より多いのであれば交付対象数量を増加するというようなことを考えているところでございます。

 それが極端に少ない場合どうするかというのは一つの課題で、前回もいろいろ御指摘をいただきましたけれども、補給金そのものは生産者に行く部分でございますので、加工に回った部分についてはちゃんと生産者にお支払いをするということだろうと思いますけれども、例えば、先ほど指定とおっしゃいましたが、補給金の対象とするような事業者であるかどうかというのを次の年以降どうするかということについては、前回もいただいた御指摘も踏まえて、これから検討していきたいというふうに考えてございます。

小山委員 いろいろなことが、今想像できないようなことも、想定できないようなことも考えられますけれども、かなり今回自由化するということになっていくかと思いますので、やはり性悪説にも立っていろいろなことを考えていかなきゃいけないと思います。大きく計画と乖離する場合には、やはり指定の取り消しといったことも含めて、そうしないと、需給動向、需給調整ということを国が責任を持つということになるわけですから、この需給調整の意図というものを徹底する意味でも、余りにも乖離が生じる事業者に対しては指定の取り消しということも私は検討すべきだと思っておりますし、ぜひその方向でこれからも検討を進めていただきたいと思います。

 それと、先ほどもちょっと不需要期の話がございましたけれども、年間販売計画について、今もお話がありましたが、月別、用途別で計画を検討していくということでございました。

 この不需要期、ゴールデンウイーク、夏休み、特に年末年始ですね、冬場で、ただでさえ牛乳の飲用乳としての需要が少ない、こういうようなときに、しかも学校が冬休みに入る。例えば十二月を例にとってみますと、同じ月の中でも、学校が休みに入る後半の十二月二十日以降はほとんど加工に回して、前半の方は飲用に回す。同じ月内でも、不需要期に当たって、制度の趣旨を踏まえずに、ある意味、制度を利用する、悪く言えば悪用に近いような形の利用をする、こういうことも考えられようかと思っております。特に飲用の方でも、廉売をしたりとか、需給が崩れるようなことをやりかねない。

 ですから、私は、三百六十五日全て日々管理をするというのは、これは大変な手間がかかりますから難しいですけれども、しかし、不需要期については、週単位であるとかあるいは一日単位のこういった実績確認も必要じゃないかなと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 今回の制度改正におきまして、乳業者との契約書の写しが添付された年間販売計画を提出していただくことになっております。交付対象数量を通知した上で、実績を確認して補給金を生産者に支払うという形をとります。事業者と乳業者との取引価格にこれを左右されるものではございません。

 また、今回の制度改正によりまして、これまで補給金をもらえないために、飲用向け一辺倒で、年末年始などの飲用不需要期に廉価で販売せざるを得なかった者を乳製品向けにも販売する方向に誘導できるものというように考えておりまして、なお、今回の制度改正におきましては、生産者に対する事業者の説明責任が果たされますように、改正法案第五条第八項及び第九条三項及び第四項に基づきまして、対象事業者から農林水産大臣及び生産者に対して、価格や数量といった販売実績や販売コスト等の報告を義務づけることとしたところでございます。

 そのようなことにおいて、御指摘の廉売を行う事業者というものは排除されていくだろうというように考えるところでございます。

小山委員 今、多分、大臣の答弁は、次にお尋ねするところをお答えいただいたんじゃないかと思います。

 確かに、不当廉売も、廉売を許せば酪農家の所得も下がってしまいますから、酪農経営の安定を図ることを目的とした本法律の趣旨と異なることになってしまう。ですから、廉売についても、実績を確認して、程度が甚だしい場合については、例えば提出計画よりも二割も三割も安く売るというような場合には、やはりこれも指定取り消しの検討対象にすべきじゃないか。

 価格もちゃんと、これは計画も実績も確認をしていただきたいということで、次に御質問しようと思っておりましたものですから、今御答弁いただきましたので、ぜひここは価格のこともしっかり見ていただきたいと思っておりますし、廉売はやはり許してはいけない、需給調整全体も崩れちゃいけないと思いますので、それはお願いをいたしますし、ありがとうございます。

 今申し上げたのは、不需要期の日々管理とか週単位で、この辺のところについては、月単位ではなくてもう少し細かく、これは大臣でなくても結構ですけれども、実績確認をしていくべきじゃないかということで問うたんですけれども、いかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 二点、側面があると思います。

 一つは、そういう計画を認めるかどうかということについては、これからの検討ではございますけれども、先ほども答弁いたしましたとおり、本当に年末年始だけしかつくらないとか、そういうのは安定的な取引ではないだろうということで、そういうのはやはり認めるべきではないんじゃないかというふうに考えています。

 では、その後どういうふうに実績を確認するかということでございますけれども、当然ながら、先ほど申し上げたような、月ごとに事業者、乳業等々からさまざまな情報をもらうということになりますけれども、一般的に、生乳取引というのは月単位で生産する状況がございますし、実際の生乳生産の動向ですとか、日々の需要とか、販売の予測とか、貯乳タンクですとか、ラインの稼働状況とか、そういうことで、さまざま調整した結果を取りまとめて月ごとに確定するというのが通常でございます。

 そういうことからいたしますと、やはり実績の確認がきちっとできるのは月単位であろうというふうに考えているところでございます。

小山委員 余りここのところで時間を使ってもいけないんですけれども、基本的には月単位ということだろうと思います、それは局長のおっしゃるとおりです。

 ただ、この不需要期については、先ほど申し上げましたのは、特に年末年始なんかは、学校が休みのときには余り使わずに、学校が休みじゃないときに回すというようなことも、同じ月の中でも著しく使い方を変えてしまうというようなこともあろうかと思うんですね。

 ですから、基本的には、全体、月単位でチェックをしていく、それは毎日毎日とやったら変動も大きいですし、これはマンパワーもたくさんかかってしまいますので。ですけれども、こういった不需要期については、抜き打ち、金融検査なんかも、山本大臣は金融大臣でしたから、毎月毎月定期的な検査のほかに抜き打ち的な検査もやりますね。

 だから、こういったことも含めて、不需要期については少しきめ細かく管理をすべきではないか、週単位とか日にち単位、特に年末年始ですね、ゴールデンウイークとか夏休みなんかは週単位なんかも必要じゃないかというような問いなんですけれども、どうでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 性善説と言われるかもしれませんけれども、基本的にはやはり乳業も急に持ってこられても困るわけなので、そういう意味からすると、一定の契約に基づいてやっているということでございますので、そこが年間安定的にやられているということであれば、きちっと加工の方に回していただけるのであれば、そこに補給金を出すんだろう。それをチェックするのは、実務的なことも含めてやはり月単位というのが基本ではないかというふうに思っているところでございます。

小山委員 今、性善説にという、必ずしも、もちろん性悪説ばかりに立っていても制度が成り立たなくなってしまうとは思いますが、性悪説的な考え方も含めて、ぜひ両面からこれからも検討を進めていただきたいということを御要望申し上げたいと思います。

 それと、これも確認ですけれども、今大臣からもお話もございましたが、飲用乳の価格と加工乳の価格というのは連動、影響し合います。販売計画の提出に当たっては、用途別ということの提出を求めるということですので、今から私が申し上げることも既に入っているのかもしれませんけれども、あえて確認させていただきたいと思いますが、飲用向けの取引についてもこれはしっかりと計画を提出させて、取引の全体像を把握していく、そしてまた価格についてもしっかり把握をしていく、こういうことで確認をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

枝元政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

小山委員 それでは、次は大臣に伺いたいと思います。

 先日の参考人質疑の際に、参考人の意見にもございましたけれども、ALICによる調整保管の発動といったことがこれから行えるということになっていきますけれども、このALICの調整保管の発動基準について、やはり、どういう場合に発動されるのかということについてもっと明確に知りたいというような声もあるんですけれども、これについては、基準はどのように考えていきますでしょうか。

山本(有)国務大臣 御指摘のように、生乳の需給というのは、天候、あるいは景気、あるいはブーム、ヒット商品の出現等、さまざまな要因の影響を受けるわけでございます。その時々の需給状況を踏まえながら、柔軟に対応することが不可欠であると考えております。このために、農畜産業振興機構が畜産業振興事業として実施しています調整保管、その時々の需給状況に対応できるように、具体的な発動基準をむしろ逆に定めていないという形で柔軟性あるいは即応性、これを持っているわけでございます。

 この農畜産業振興機構による調整保管というのは、これまで六回発動されております。例えば、昭和五十四年に生乳生産が過剰となったことを背景にしまして、五十五年にバター、脱脂粉乳の価格が下落いたしました。この場合に発動いたしました。また、平成五年度の冷夏による牛乳消費の低下、これを背景といたしまして、平成六年のバターの在庫量が消費量の七カ月分を上回ったときがございました。こういうときにも発動いたしました。

 さまざまな要因に柔軟に対応して発動する、価格と需給の安定を図るという目的のためにこの制度を持っているという認識でございます。

 今後とも、生乳や乳製品の価格、また、その時点の需給の動向等を総合的に判断しまして、酪農家の経営の安定を図る観点から、柔軟に実施するということが適当だというように考えているところでございます。

小山委員 今までの法定の調整保管の制度はございましたけれども、少なくともそれは一つの基準になり得るんでしょうか。それよりもさらに踏み込んで、もっと機動的に対応していくというような我々の理解でよろしいんでしょうか。

山本(有)国務大臣 あえて申し上げるならば、発動基準として、メルクマールとして採用する数字を挙げれば、指定乳製品の価格が直近三年間の平均価格を八%下回るというようなところ、あるいは、在庫が消費量の七カ月分を上回り三カ月以上の継続の見込みというような、そういうことが考えられるかもしれませんが、確実にこの基準というわけではございません。

小山委員 ぜひ、需給調整に向けて機動的に対応していっていただきたいと思っております。もちろん、こういうものが発動されずに所得が安定していって需給も安定するというのが一番望ましい姿だと思っておりますけれども、デフレもおさまったというようなことを総理もお話しになっていても、なかなかこのデフレ状況から脱していない。今回も物価の下落ということもあって、なかなかやはり、この日本経済の構造的な要因というものはこれからも続くと思いますので、ぜひ、酪農家の方々が希望を持てるような機動的な対応を、発動されないのがもちろん一番いいんですけれども、お願いしていきたいと思っております。

 次に、これも佐々木先生からもお話がございましたが、集送乳調整金のことについてお尋ねしていきたいと思います。

 法律に今回書かれている要件では、経費のかさむ地域を含む都道府県単位以上の区域内で集乳を拒否しない、それから、集送乳経費の算定方法等を基準に従い規定する、こういった条件が提示をされております。

 しかし、これでやっていますよといいながら、実際に集乳をしているところでは、例えば大型トラックで行けるところだけをやっている、どういう背景かはともかく、本当に細かい、小型トラックで行かなきゃいけない本当の条件不利地のようなところには実際の実績として行っていない、こういう団体も集送乳調整金をもらえちゃうということになってしまうと思います。

 ですから、むしろ私は、今後省令や政令で定めていくときに、そういう小型トラックでもう本当に集送乳の条件不利地にもちゃんとやっている実績のある団体にこそ、この調整金の交付を行っていく、こういうことが必要ではないかと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 今先生から御指摘がございましたとおり、集送乳調整金の交付を受ける指定事業者の指定について、本法案においては、定款等で、正当な理由なく一または二以上の都道府県の区域において生乳の委託または売り渡しの申し出を拒んではならない旨が定められている、業務規程において、集送乳に係る経費の算定方法等が基準に基づき定められている等の要件を満たす事業者を、その申請によりまして指定事業者と指定した上で、加工原料乳を対象に補給金とあわせて集送乳調整金を交付するということとしているところでございます。

 もちろん、指定に当たっては、例えば集送網を十分に確保できているかなど、当該事業者の能力等を十分に確認することとしておりますけれども、これは新規参入の場合というのを想定しておりまして、実績を要件とする場合、事実上新規参入を阻むということになりますので、先生御指摘にあるような、実績があるということは要件としておりません。

 ただ、当然その指定後に、先ほど来、累次答弁を申し上げておりますように、いわゆる指導監督の権限でありますとか、また、必要に応じて立入検査の権限等がございますので、これは当然のことながら、いわゆる、先ほど申し上げたように、正当な理由なく拒否していないか等々を含めて、私どもの方できちんと拝見をさせていただくということになろうか、こういうふうに考えております。

小山委員 確かに、新規参入の際に、実績がないといって、昔、そういったことで、ほかの省庁のことでかかわった案件がありましたけれども、文化庁か何かの重要文化財の試験を受けたい、だけれども実績がないから試験を受けちゃいけませんと。いや、資格がないから実績がないのであって、これはひどいんじゃないかというようなことが、信じられないような話がありまして、これは自分の一期目のときですけれども。

 ですから、それは確かに政務官のおっしゃるとおりですけれども、認可を受けた後、やはり実績の確認というのは、私も性悪説に立ち過ぎてきょうは発言をしているかもしれませんけれども、そこは行っていっていただきたいなというふうに思っております。

 それと、従来、これまでは、この集送乳合理化や用途別の需給の安定とか、あるいは公正な取引の確保といった、さまざまな局長通知や政省令といったものがございました。

 特に、この集送乳についても、今までは、いわゆる今までの指定団体に対して、なるべく合理化を図っていくようにということで局長通知なんかも出てきていたところがあったかと思いますし、ここは、合理化は合理化で、できる限り、集乳をしていくに当たっては、ルート、こういったところもコストがかからないようにというような努力もしてきたと伺っております。また、こういった合理化の努力というのは、一方で、現行指定団体にとって、もっともっとこれは進めていかなければいけないという意識を持っているところもあるようでございます。

 ただ、一方で、今までは補給金の中に含まれていたものが、集送乳調整金ということで分離するわけですね。そうしますと、配送業者さんからしてみますと、集送乳調整金ができたじゃないですか、だからそんな、合理化というと、これはなかなか時にはつらいような場面もあろうかと思うんですね、配送業者さんにとっては。そうしますと、集送乳の調整金があるから、だからそういう合理化要求に応じなくてもいいんじゃないかというようなことも、現場ではそういう事案も発生する可能性がないとも言えないんじゃないかと思うんですけれども、今後もこういった省令、局長通知というものはやっていくべきではないか、しっかり合理化をしなさいと。

 またこれは、全ての指定団体に対して、集送乳のことで新規参入はいきなりそういうことは出ないかもしれませんけれども、この新規参入の事業者も含めて、公正な取引確保とか、用途別需給の安定といったことは守りなさいということも含めて、局長通知や省令、政令というものはこれからもやっていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 おっしゃるとおり、農家所得を高めるためにコストを下げるというような観点がどうしても必要でございますので、今まで省令や局長通知で定めてきたところでございます。

 改正法案におきましても、畜産物の需給の安定等を通じた畜産経営の安定を図ることを目的にまず位置づけておりますとおりでございますし、補給金の対象事業者に対しまして、五条、九条で、事業の実績等につきまして報告することを義務づけております。このことによりまして、公正な生乳取引や集送乳の合理化を図る材料になるところでございます。

 今後とも、集送乳の合理化等は酪農家の所得向上の観点から重要でありますことから、法の趣旨に従いまして、指定団体を初め指定事業者等に必要な省令、通知を定めていくものでございます。

小山委員 時間も迫ってまいりましたが、もう一問、どうしてもお尋ねさせていただきたいと思います。

 やはり多くの、確かに、酪農家といってもいろいろな方がいらっしゃいます。かなり頑張っていらっしゃって、それはそれで大変自助努力も、これはとうといことだと思いますけれども、この間、参考人の、赤城の麓の、立派にやっていらっしゃる、四十年やっていらっしゃるような方もいらっしゃれば、そうはいっても、家族経営でそれなりに一生懸命頑張っている酪農家の方もいらっしゃいます。そういった、全体として今ある多くの酪農家の方の所得安定や経営継続というものを考えた際に、私はやはり、今ある、いわゆる今までの指定団体だった共販体制、これが崩れていくことがないように、また、過当競争のようになってしまって需給が崩れていくことがないようにしていかなければいけないと思っております。

 そういった際に、この指定団体は、需給安定の取り組みに著しく支障を来す場合とか、指定団体の方針に著しく反する生産者の方については取引を拒否できるということも、これは一方で、全て申し出を拒否はできませんということは書いてあるんですけれども、著しく反する場合には取引を拒否できるということも、やはりこれはあわせて省令等で今後明確にしていくべきじゃないかということも考えます。

 これは重複になるかもしれませんが、ある生産者は、そのまま全量委託で、例えば今、北海道でホクレンさんに出している。ホクレンさんで八対二で、八が加工に回して、二が飲用に回している。ところが、部分委託の方は、では、半分はホクレンさんに出しますよ、半分は別の事業者さんに出しますよと。別の事業者さんのところは九対一で、九が飲用に回っているということになりますと、今の需給調整全体の恩恵は、全量委託をしている人たちの努力の上に成り立っている部分も結果として出てくるんじゃないか。

 そうしますと、部分委託と全量委託のところで、部分委託を全部否定するわけではないんですけれども、余り著しいものが出てきてしまうと、かえって公平の不公平というような問題も、済みません、時間が少ないのではしょってしまって、出てくるんじゃないかと思いますが、この点、この指定団体の取引を拒否できるということ、契約の自由ということも省令に定めるということについてはいかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 公平の不公平があってはならぬというように思います。

 軸は全量委託でございます。部分委託は例外と考えております。そして、その人たちが正確にその基準がわかるような正当な理由を省令できっちりと定めて、あらかじめわかるようにしていきたいというように思っております。

小山委員 ぜひ、今お話しいただいた大臣の趣旨に沿って省令を定めていただきたいと思いますし、できれば、こういう場合には取引が拒否できるんだというようなことも明確に書いていただければというふうに思っております。

 ちょうど時間が参りましたので、ほかにもきょうは、江藤先生からとにかく法案審議に徹底するようにということで、一問だけちょっと別の質問も、きょうは農水の人しか僕は呼んでいませんから、考えてはおりましたんですけれども、またそれは別の機会にお尋ねしたいと思っております。

 以上で質問を終わります。

北村委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 民進党の岡本です。

 きょうは、畜産経営の安定に関する法律及び独法の農畜産業振興機構法の改正案の審議ということでありますので、その中でも、まず冒頭は、いわゆる脱脂粉乳の現状について少し聞いていきたいと思います。

 きょうの脱脂粉乳の話は、これも資料で一番目ですけれども、そもそものスタートとして、海外から入ってくる脱脂粉乳が、さまざまな形態がある中で、きのうも大分話を聞きましたけれども、関税がかなりさまざまあってややこしい、どういった形で入ってくるかということは、それぞれの事業者さんが工夫をされているということであります。

 まず、この一枚目の、確認をしていきたいんですけれども、農林水産省の事務方で結構です、今現状で、機構の買い入れ価格、機構の売り渡し価格、これは入札で決まっているということでありますが、おおよそ、大体幾らぐらい、こういうような状況でしょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 直近の数字でございますが、ALICによります需要者への脱脂粉乳の売り渡し価格、二十九年、ことしの二月で七百三十三円、三月で七百三十三円、こういうふうになっております。

岡本(充)委員 これはキロ当たりということでいいですか。もう一回ちょっと確認、いいですね、キロ当たりですね。

 価格がこうやって決まる中で、このマークアップ分の輸入差額が、いわゆる畜産をやっている皆さん方のところに対するさまざまなお金に、補給金なりになっている、こういう仕組みでよろしいですか。うなずかれて、いいですね。

 その上で、こういう形でやっている、いわゆる民間取引の脱脂粉乳の輸入の形態がある一方で、この真ん中、これがちょっとよくわからなくて、無税で入ってくる脱脂粉乳がある。つまり、先ほどお話をしたマークアップ分も関税もかからないという意味でありますから、これについてはどういった使途で、どういう規模感で使われているのか、お答えいただけますか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の関税割り当て制度でございますが、これはWTOウルグアイ・ラウンド農業合意に基づくものでございまして、例えば、学校等給食用脱脂粉乳で七千二百六十四トン、それからそれ以外で、飼料用で七万三千三百九十トン、脱脂粉乳についてはこの二つでございます。済みません、あと沖縄用が千五百八十二トンございます。

 以上でございます。

岡本(充)委員 餌用というのはわかるんですが、きょうは、その中でも、できるだけ国産を使っていってはいかがか、そういう趣旨で少し聞いていきたいと思っているんですが、大臣、どうでしょう、脱脂粉乳の今の状況、少し後で事務方からフォローしていただいても結構ですけれども。その前に、では事務方に聞きましょうか。今、脱脂粉乳の在庫、国産の在庫というのはどのくらいある、そういう理解でしょうか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 脱脂粉乳の国内の在庫量でございますけれども、平成二十八年度末時点で四万八千二百トンとなっておりまして、うち国産が四万四千六百トン、こうなっております。

岡本(充)委員 結構在庫があるものだなと思いました。もちも、数年もつということでありますから、先を見据えて安定的に確保しておくという考え方もあるでしょうが。

 では、国産の需要をもっと高めていく、そういう取り組みをすることについて、大臣、賛成ですか、それとも、価格が安ければ輸入産を使ってもらおう、こういうようなお考えですか、いかがですか。

山本(有)国務大臣 基本的には、国産を使用していただきたいという基本はございます。

 しかしながら、あくまで消費者の皆さんの購買意欲は価格にも当然要因があります。その意味におきまして、国産で賄えない分を輸入に頼るという仕組みというのは、私は合理性があるというように思っております。

岡本(充)委員 要するに、価格と、オーダーする商品の品質というか、商品の中身によってはもちろんそうだという話なんだと思いますね。そのとおりだと思います。一方で、可能であれば国産に切りかえていっていただきたい、そういう気持ちはあるでしょう。

 そこで、お伺いしたいのは、今、では実際に大手の取引で二十五キロの脱脂粉乳は幾らで取引をされている、そういう数値を農林水産省はお持ちですか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 卸売価格でございますが、国産の大口需要者向けで、これは私、今手持ちの数字、キログラム当たりでございますが、七百一円、二十五キロですとこの二十五倍ということでございます。

岡本(充)委員 大体、キロ当たり七百一円、こういう話をいただきました。

 ここから少しお伺いをしていきたいのは、キロ当たり七百一円ということは、二十五キロ、二十四キロにすると幾らになるということか、もう一回だけ確認させてください。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 一万七千五百二十五円になると思います。

岡本(充)委員 ちょっとこれをもとに少し議論をしていきたいんですね。

 では、一体、学校給食用というのは本当に国産にすることができないのか。きょうは文科省と厚労省にもお越しをいただいていますが、おめくりいただいて、私がちょっとメモを書いてしまっていますので恐縮でありますけれども、三ページ目、幼稚園等での学校給食脱脂粉乳の供給量の実績。結構使っているな、先ほどのお話ではありませんけれども、結構な数を使っているな、七百五十一トン、こういうことが二十七年度。

 一方で、これは徐々に減ってきているんですが、文部科学省として、この減ってきている要因は何だというふうに理解をしているのか、そしてまた、海外産の脱脂粉乳を使っている理由というのはどういうところにあるとお考えなのか、お答えをいただきたいと思います。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 減少してきている理由について、正確な分析というのは、大変恐縮ですが、できておりません。一番大きな原因の一つは、児童生徒、幼児等の減少によるところが大きいのではないかと考えております。

 また、なぜ使っているかということでございますが、戦後のさまざまな援助の経緯もございまして、現在、この仕組みの中で、非関税で輸入できる枠をいただいている中で給食にも使わせていただいている、そういう経緯があるということを承知しております。

岡本(充)委員 そのさまざまを調べてくれということをきのう僕は通告したんですよ。何で使っているのか。要するに、国産に切りかえることが難しい理由は何なのかということを教えてほしい、こういうことをお願いしたんですが、それは価格ということではないんですか。先ほどの大臣の話でいうと、価格で相当程度差がある、こういう理解ではないんですか。どうですか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 価格については、私ども、この仕組みの中で、公益財団法人の学校給食研究改善協会、委員からも、先ほど資料に出ていた団体でございますけれども、こちらが輸入をして販売をしている価格が、一キロ当たり単価が三百六十五円ということでございますので、この価格についても一つの大きな理由であると考えます。

岡本(充)委員 一キロ当たり三百六十五円で売っていますというのは話としてわかりました。

 では、厚生労働省は、保育園に同じように販売をする団体を、四ページ、児童育成協会、持っています。この児童育成協会、これも若干減ってきてはいるんですが、こっちは桁が大きいですね、保育園ということもあるんでしょう、一千トンを超える脱脂粉乳を提供している。

 これはそもそも、一者から随意契約で買っている、これは間違いないですね。

堀内大臣政務官 はい、間違いございません。

岡本(充)委員 そして、その販売価格は、幾らで保育園に卸しているんですか。

堀内大臣政務官 調べましたところ、二十四キログラム当たり一万九千八百円という数字で輸入させていただいております。

岡本(充)委員 ここでやはり不思議が出てくるんですね。

 先ほどの話で、三百六十円で学校給食に出しているという、文部科学省は、安いから外国産を使うんだと。先ほどの大臣の話で、一つの理由になるだろうと思っている一方で、厚生労働省が販売しているのは、むしろ高いんですよ。二十四キロで一万九千八百円。先ほどの一般的な取引は、一万七千円程度で販売されている。これは、関税もかかって、なおかつ、さっきのマークアップのお金も乗せて、それで一万七千何ぼで売っているものがある一方で、厚生労働省は、無税にもかかわらず、一万九千八百円で保育園に卸している。これはちょっとやはりおかしな話じゃないかと思うんですね。

 では、これは一体、どこにその差額のお金が消えているんですか。この財団法人の児童育成協会が無税で安く脱脂粉乳を買ってきて、そして、むしろ市場価格より高い価格で保育園に千トン以上の脱脂粉乳を出しているとなったら、この差額はおよそ幾らになるんですか、堀内政務官。

堀内大臣政務官 金額を今計算しているところでございますけれども、理由といたしましては、厚生労働省におきましては、個包装がございまして、一キロ単位で包装しているという、小分け包装になっております。また一方、配送料も込みということで、販売先が、全国約七千ある保育園に販売している。そういったさまざまな要因があって、このような値段になっているというふうに伺っております。

岡本(充)委員 これは文科省が来ているから、そんな話をしたら、文科省にもう一回聞いちゃいますよ。

 文科省は、そんなトン単位で売っているんですか、学校に。学校は、そんな一校や二校じゃないでしょう。数千の学校に卸しているんじゃないんですか。どうですか、そこは。配送料も入っているでしょう、この価格。

瀧本政府参考人 失礼いたします。

 文科省の場合ですと、先ほどの委員のデータでいうと、幼稚園以外の小中学校、それから一部は特別支援学校や定時制等の高校にも行っておりますが、多数は小中学校でございます。

 小中学校については基本的には市町村でございますけれども、各都道府県に、給食用の物資を大量に購入して卸すという、低価格を目指すための給食会といいましょうか、そういう団体がございますので、ほぼ全ての都道府県については、その団体を通じてかなり大量の量で販売をしているというのが現実、実態でございまして、保育所のように七千カ所に配送するとか、そういう形にはなってございません。

岡本(充)委員 箇所数はちょっと通告していないから今答えられないんだと思いますが、しかし、そんな一カ所や二カ所じゃないと思いますよ。各都道府県のそれぞれの給食センターに出しているはずですから。

 何が言いたいかといったら、こういう仕組みになっているのを長年ずっと続けていて、大臣、これは農水省からもやはり要請するべきですよ。農水省から要請がないんですよね。国産を使ってくださいということを、枝元局長でも部長でもいいです、農林水産省から要請したことがありますか。WTOの枠組みでこれだけの脱脂粉乳を輸入したいという要望を、厚生労働省や文科省から集めてきた情報を得ていますね。得て、学校給食に使っているというけれども、これを国産にできないかな、そういう相談をしたことがあるんですかね。

枝元政府参考人 私が承知している限りはございません。

岡本(充)委員 ということなんですよ。

 先ほどの話で、価格で見ると、計算できましたか。要するに、輸入価格と販売価格との間の差を見ると、かなりの金額のお金が、実際は、非課税にもかかわらず、非課税の枠を使って安く提供するといいながら、むしろ高く提供しているという実態を見ると、きのうも私、こういう議論があったから、ある売り場に行って、よつ葉のスキムミルクを見てきましたよ。二百グラムの非常に小さい小分けになっているもので三百五十円でした。個包装になって、デパートの地下に売っているものを私は見てきましたけれども、それは確かに高いでしょう、小さいものは。ただ、二百グラムだとかで売るけれども、一定の規模感で使うところはそんな規模では買いませんからね、保育園だって。

 だから、先ほどの理由は理由にならないし、これだけ大きな価格差になる。先ほどの話で、キロ当たり三百円台で売ることができる学校給食と、保育園はキロ当たり、単純に割り戻したって八百円を超えるような価格になるということは、ほぼデパートの価格と変わらないような、そんな価格になるようなものとあるのはどうかということなんです。

 それを踏まえた上で、そこはぜひ、どういうふうにしていくかも踏まえつつ、一体、幾らの差額があり、そして、これからどういうふうにしていくつもりなのか、まずは政務官に聞いた上で、その後、農水大臣にお話を伺いたいと思います。

堀内大臣政務官 価格差につきましては、一キロ当たり、文科省の入れていらっしゃるお値段と比べまして、四百六十円と計算させていただきました。

 これからにつきましては、よく調べさせていただいて、どうしてこのような価格差が、状況の違い、条件の違いはあるにしても、生まれているのか、きちっと調べさせていただきたいと思っております。

岡本(充)委員 これは、厚労委員会にも私は所属していますから、あした、児童福祉法の改正があって、質問のチャンスがあれば質問しますので、ちゃんと、通告しておきますので、あしたまでに調べてください。

 その上で、大臣、お伺いしたいんですけれども、こういう状況になっていて、千トンを超える脱脂粉乳、しかも、WTO枠とはいえ、枠は七千トン、全然、枠がでかくて、そこまで達していない。もちろん、千トンでも二千トンでも、WTO枠で入ってくることは、それは、貿易相手国にすればメリットかもしれないけれども、我が国の畜産を考えていく上では、やはり国産を、もっと需要をふやしていくという方向にかじを切るべきだということで、これまで要請していないそうでありますけれども、大臣、どうですか。一度、この二省と協議をしながら、少しでも国産に切りかえていく手だてがないか、相談をしてみるお考えはありませんか。

山本(有)国務大臣 まずは、厚労省の政務官から、この事情について調査し、また検討するというお答えがございました。またさらに、文科省の皆さんも、低価で、低い値段で供給できれば親御さんの負担も軽く済むというような趣旨の御発言もございました。

 農林水産省としましては、大口需要者、年間購入量五十トン以上の需要者であれば一万七千五百二十五円であるということからしますと、こうした値段以下にできないか、まずは検討をいただきながら、国産の脱脂粉乳の利用について、その中で可能性があるかどうかを見きわめていきたいというように思っております。

岡本(充)委員 ぜひ、可能性を見きわめるのは農林水産省単独ではできませんから、ちゃんと協議をしていただきたいと思いますし、もう一つ、最後に、この話でちょっと気になったのが、沖縄の枠があるというんですね。

 私、内閣府の沖縄水産部ですかね、ちょっとホームページがあったので見させてもらいました。

 何で沖縄だけ脱脂粉乳をWTO枠で入れなきゃいけないのか。いや、入れるのなら、中途半端な、三百トンですか、三百トン程度の数字ではなくて、広く沖縄に供給をする。いや、ほかの仕組みであるんですよ、それは。沖縄のさまざまな離島の要因に勘案して若干価格が違うもの、例えば揮発油とかでもあったと思いますが、こうしたものと比較して、何か三百トンというのが中途半端ですし、いや、そうでなくて、本土並みにもう生乳も供給ができるんだ、飲用も供給ができるんだというのであれば、これはやはりそろえていく話だと思います。

 ちなみに、その内閣府のホームページを見る限りでは、乳牛の分布と牛乳工場の紹介というのが、沖縄県内のがずっと並んでいます。宮古島市や石垣市なども含めて、沖縄のさらに離島でもこうした乳牛の飼養頭数が一定程度いて、そして牛乳工場もある、こういう紹介がなされているわけでありまして、そもそも、こうした過去のいろいろな政策を引きずっているということではあろうかと思いますが、これを機会に少し整理をしてみてはいかがかと思うんですが、そこら辺はどうでしょう。

枝元政府参考人 経緯と現状等について御説明いたします。

 まず、沖縄への脱脂粉乳は、一九七二年、沖縄返還の際に輸入割り当てとして設定されまして、これはもう、まさに沖縄の方々の豊かな住民生活の実現に寄与することを目的として、沖縄向けの還元乳製造、要は牛乳がわりということでございますし、乳児等の粉ミルク用ということで脱脂粉乳を輸入してございました。

 あと、その後の、今、関税割り当てになった経過というのは、UR合意におきまして脱脂粉乳も関税化された際に、そのUR合意におきまして、基準年、一九八六年から八八年の平均の脱脂粉乳の輸入アクセス機会を維持するということが義務づけられたので、当時輸入割り当てだった沖縄用脱脂粉乳についても、関税割り当てとされたところでございます。

 今先生がおっしゃったように、沖縄につきましても酪農が随分発展をしてきて、相当頑張られておられまして、県内の酪農家によって生乳を供給できるという状況が出てきてございます。

 きのう、先生から御質問いただきましていろいろ調べたんですけれども、ただ、まだ、三百トンというのは、たまたま平成二十七年は三百トンなんですけれども、例えば平成二十二年は約五百トンとか、平成十九年は百四十九トンとすごくばらつきがあって、ちょっと調べてみますと、やはり沖縄の場合、夏場は気温がすごく高くて、生乳の生産が、減少ががっとくるそうでございます。そういうことで、なかなか夏に県内の生乳生産だけでは需要が満たされないということで、現在でもこの脱脂粉乳を提供する方法としての関税割り当ては必要な状況だというふうに理解をしてございます。

岡本(充)委員 またチャンスを見つけてこれは議論したいと思います。

 時間がありませんのであれですけれども、これは、内閣府のホームページを見る限りでは、沖縄の乳牛の飼養頭数はふえてきて、そして牛乳工場も整備されてきているという話が出ている話ですし、先ほどの話じゃないですけれども、できたら国産という思いがある中で、沖縄でどれだけ脱脂粉乳が在庫があるのかということも調べて、本当に国産に切りかえることができないのかということは、もう一度私は考えていくべきタイミングなのではないかというふうに思っていますので、大臣、ここはぜひ指導力を発揮していただきたい、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 国産の需要を伸ばす、そういう大きな目標、これに従って検討していきたいと思っております。

岡本(充)委員 よろしくお願いします。

 堀内政務官、あしたは、きょうお配りをした一ページ目の、この輸入価格と実際の販売価格の間のその差額のトータルが幾らなのかということをきちっと計算してください。文科省との差額ではありません。輸入、買い付けている価格とそして販売価格の差です。いいですね。それでお願いしたいと思います。

 その上で、次の話に行きます。

 チーズに関してですけれども、これはいろいろなチーズがあるんですが、これから先、EUとの議論の中で、大臣、どうでしょう、ここら辺は絶対に譲れないというライン、チーズだけではない、乳製品全般でも結構ですけれども、どの辺だというふうにお考えになられていますか。

山本(有)国務大臣 それぞれ特徴のある乳製品が各国で生産されているわけでございますが、日本でつくることができて、また、日本国内で消費できる、そういうものについてはできるだけ我が国で生産し、消費していただくという意味におきまして、フレッシュチーズ、あるいはソフトチーズ、カマンベール、あるいはプロセスチーズ、こういったものに対しては国内で賄いたいという希望を持っております。

岡本(充)委員 これから先、やはり日本でできるチーズ、今、例えばブルーチーズは、国産の製品についていま一つ評価が高くなかったとも聞いていますが、研究開発しているわけでしょう。研究開発していったら、我が国のチーズにより人気が高まるかもしれない。

 一昔前、何年かは忘れましたけれども、ここの委員会でもやったと思うんですが、小麦で、需要がないんだ、こういうお話をした。何の需要がないんだ、うどんにもできないし、パンにもならないしと言っていた。だけれども、研究開発が進めば、今ではもう、うどんにもなるわけだし、日本の小麦がパンになるのは当たり前の話の時代になりました。

 そういう意味で、ブルーチーズはいいんだというような話ではなくて、やはり我が国の畜産の可能性、研究開発、現状はどうなんですかね、事務方の方からでも結構ですけれども。

西郷政府参考人 お答えいたします。

 国産チーズの振興のための研究開発は非常に重要だと認識しております。

 このため、農水省では、平成二十八年度の補正予算を活用いたしまして、国産チーズの品質向上及び生産コスト低減による競争強化といったことで、国産チーズの製造技術開発に取り組んでおります。

 具体的には、風味を付与したり、チーズの熟成を促進する機能を持つ乳酸菌につきまして、国産というか地域のものを使って消費者に好まれる風味を出すとか、そういう国産の特色ある乳製品の製造技術を開発しているところでございます。

 引き続き、チーズの研究開発に取り組んでまいりたいと思います。よろしくお願いします。

岡本(充)委員 先ほどの話じゃないですけれども、小麦はグラインドの方法を変えて、外側をひくのか内側をひくのかとか、そういういろいろな工夫で変わったと聞いていますけれども、チーズも私は変わるんじゃないかと思っています。

 そういう意味で、大臣、先ほど列挙されたチーズ以外についても、国内の可能性を考えて交渉に臨んでいただきたい、いかがですか。

山本(有)国務大臣 それぞれの時代に応じて食味も変わっていきますし、また、生産者の技術も向上していくわけでございます。

 国際的な競争力があらゆる場面で力を発揮できる強い農業、そういったものを考えましたときに、御指摘のブルーチーズでも、日本独自の菌が発見されたり、あるいはそういう製品の個性を生かす、あるいはブランドを生かすというようなことを通じまして、国産のブルーチーズもシェアを広めていっていただきたいというように希望しているところでございます。

岡本(充)委員 連日、私は農業土木の技術のことをちょっと聞いていましたけれども、いろいろな技術を持っている人たち、研究している人たちが農林水産省にいますよ。やはりこういう技術を大切にする国であるべきだと私は思っていますので、そういう意味で、この分野についても、ぜひ大臣、直接目をかけていただいて、しっかりと指導力を発揮していただいて伸ばしていただきたいと思います。

 もう一つ、技術ということではないですが、最後に、きのう、うちの党の部門会議で御説明いただいた営農型発電、この話を聞いて、これはまさに畜産にぴったりなんじゃないかと思って、好事例はないのかという話で、六ページの事例をいただいてきました。

 やはり、先ほどの話じゃないですけれども、温度が高くなると牛の元気もなくなるというのは当然のことだと思います。こうした太陽光発電を使うと、そもそも牛の暮らす牛舎の気温を下げることもできるなどという話もありますから、営農型の発電なんかはどこでやっているのか調査をしてくれということはお願いしています。しっかり調査をしてもらうのはもちろんのこと、こうした好事例をぜひ畜産の場でも広げていただきたいと思います。

 調査のお願いと、広げていく取り組みについて、局長からでも結構です、お答えください。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 太陽光発電を活用いたしました畜産経営の取り組みといたしまして、委員が配付されております事例のほかにも、このような事例というのはございます。

 こうした優良事例を情報提供していくということも、こうした太陽光発電を活用した畜産経営の促進につながるということで、事例の調査と普及を進めてまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 これは畜産だけじゃなくて、ほかの農業についても同様にぜひ調査と推進をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。

 テーマは、乳製品、乳業といったテーマでございます。きょうは、乳は乳でも、ミルクはミルクでも乳児用液体ミルクについて、それから乳製品でありますバターにかわるマーガリンに含まれるトランス脂肪酸について議論させていただきたいと思います。

 乳児用液体ミルク、最近話題になっております。海外にはあるのに、先進国はほとんどあるのに日本にはないと言われておりまして、これは、一般社団法人乳児用液体ミルク研究会の代表であられます末永恵理さんが、ネットで署名活動を行い、二月の時点で四万件以上署名が集まっている、今はもっと集まっていると思いますが、それから、かなり詳細なアンケート調査もやっておられまして、一万件以上のアンケートへの回答が集まっている、こういう状況でございます。

 この件については、自民党の金子めぐみ衆議院議員あるいは大沼みずほ参議院議員といった若手の、私たち世代の、私よりももっと若い世代の議員さん方が中心になって取り組んでおられます。ここへ来てようやく動きが出てきたというふうにも伺っておりますので、内容についてお伺いできればと、私も推進派の一人として、ぜひ、その状況をお聞きしたいというふうに思っております。

 アンケートをざっと見ますと、粉ミルクのかわりに日常的に使いたいという方よりも、外出をするとき、やはり大変ですよね。粉ミルクですと、お湯もポットで持っていって、つくらなきゃいけない。そして、ちょっと冷まして、与えて、哺乳瓶はまた消毒をしなきゃいけないとか、本当に手間がかかりますので、子育て世代が外出できないというようなことにもつながってくる問題であります。また、夜中の授乳も大変ですし、まして、親が体調不良のときなんかにも非常にニーズがあると思います。それから、赤ちゃんを何らかの理由で預かる場合とか、そういう場合にも液体ミルクというものがあったらいいなと。

 ちょっと値段も高いと聞いておりますが、アンケートの感覚ですと、二百円以内ぐらいで買えるといいなというような希望が寄せられている、こんな状況だと受けとめております。

 それで、まず、これは厚生労働省にお聞きしますけれども、G8先進各国では、この乳児用液体ミルク、製造、普及していると聞いておりますが、本当に日本だけないという状況なんですか。それから、日本には液体ミルクがないという、この原因は、理由はどういうところにあるんでしょうか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 先進国、欧米各国には普及していると伺っておりますけれども、どこの国にあるのかないのかという詳細は把握していないところでございます。

 一つ、日本にはないということでございますけれども、今、規格基準が設定されていないという段階でございます。規格基準の設定につきましては、通常、事業者からの要望や、食中毒の発生など社会的な情勢を踏まえまして検討を行っております。

 こうした中で、乳児用液体ミルクにつきましては、平成二十一年の四月に、一般社団法人日本乳業協会より食品衛生法に基づく規格基準の設定について要請がありました。これを受けまして、同年四月及び八月には、薬事・食品衛生審議会乳肉水産食品部会において審議を行うとともに、規格基準設定の検討に必要となる微生物の増殖や保存性等のデータの提供を事業者に求めております。

 しかしながら、事業者からは、乳児を対象とする食品のため、安全性、保存性、栄養成分等について慎重な検討が必要であり、厚生労働省へのデータ提出については相当の時間を要するとの説明がなされております。

 厚生労働省といたしましては、事業者からデータが提出され次第、速やかに薬事・食品衛生審議会で審議を行うとともに、食品安全委員会に健康影響評価を依頼するなど、乳児用液体ミルクの規格基準の設定に向けた作業を進めてまいりたいと考えております。

 なお、事業者における必要となるデータの収集が迅速化されることを期待いたしまして、本年三月三十一日に、乳肉水産食品部会を開催し、常温で流通する牛乳に関する現在の規格基準等を参考に、液体ミルクの規格基準のイメージを提示し、必要となるデータ等について既に議論を行っているところでございます。

重徳委員 資料を配付しております。これは東京新聞の記事でありますけれども、この液体ミルクですね、特にその有用性が広まったのは、一番下のところに記述があります、熊本地震のときにフィンランドから五千本、被災地に運び込まれて、大変助かったという声が上がったということであります。

 このときは災害ですから、日本の食品衛生法の適用を受けない救援物資として輸入したということでありますが、そもそも輸入ということは可能なんでしょうか。

北島政府参考人 営業等で使用される輸入食品につきましては、国内で製造される食品と同様に、食品衛生法に基づく規格基準等に適合する必要がございます。

 海外で流通している乳児用液体ミルクにつきましては、「乳飲料」に該当すると考えられ、その場合は、乳飲料に関する成分規格や製造基準、使用添加物等の規制に適合すれば輸入可能であると考えております。

重徳委員 これは、実際の消費者ニーズとの関係もあります。民間の業者の判断ということになりますけれども、乳飲料の基準に合致すれば可能ということでありますから、こういった輸入の可能性についても検討するべきじゃないかなというふうに思います。そうする中で、輸入するような状況になってきたら、実際、消費者ニーズを見きわめることもできるし、国産品の製造をどのように進めていくかという判断にもつながっていくと思うんですね。さまざまな可能性を模索していただきたいと思いますが、まず、何といっても、国内のメーカーが開発し、製造、販売につなげていくということが大事だと思います。

 先ほど北島部長から、乳肉水産食品部会において規格基準のイメージというものをお示しになったという話がございました。今後、どのぐらいのスケジュールで開発そして販売にまでつながっていくと想定されていますか。課題もいろいろあると思いますが、あわせて御答弁いただければと思います。

北島政府参考人 お答えいたします。

 一般社団法人日本乳業協会によりますと、開発の課題といたしまして、製品の長期保管を想定した微生物汚染防止に必要となる適切な容器の形状、材質等の選択や、乳児用食品として高いレベルでの安全、安心の確保、そして品質面で避けることが難しい色調、沈殿、成分含量や風味の変化への対応などが挙げられております。

 また、事業者からは、乳児を対象とする食品のため、安全性、保存性、栄養成分等について慎重な検討が必要であり、厚生労働省へのデータ提出については相当の時間を要するとの説明を受けております。

 厚生労働省といたしましては、今後、団体から提出されるデータ等を踏まえまして、薬事・食品衛生審議会における審議、食品安全委員会による食品健康影響評価、パブリックコメント、WTO通報等の手続を行う必要があり、各省庁と連携の上、規格基準の設定に向けまして迅速に取り組んでいきたいと考えております。(重徳委員「どのぐらい」と呼ぶ)データが提出され、そして食品安全委員会の諮問をするというところから、通常では、急いでも大体一年近くかかっているところでございますが、できるだけ迅速に進めてまいりたいと考えております。

重徳委員 いろいろ課題もあるということですから、通常と同じようにいくかどうかも、これは慎重にというか、しっかりとしたデータに基づいた製品化が必要だと。この重要性は私も認識をしておりますので、そうはいいながら、できるだけ迅速に、世のママさん、パパさんも含めて、子育て世代を全力で応援していただきたいというふうに思っております。

 それで、ここで、きょうは男女共同参画の担当の石原副大臣にもお越しいただいておりますので、今後、国内メーカーが製造開始、普及するに当たって、課題を、今、北島部長からもかなり詳細にございましたので、今後どんな主な課題があると石原副大臣として認識されているか。

 それから、ぜひ、これは、私は初当選来、少子化社会に対して、少子化というのは本当に寂しい言葉ですから、子供を産みたい、育てたいと誰もが思えるような温かい地域社会づくり、そういう国づくりというものが必要だと、子供がふえていくという字を書いて、増子化社会を目指していこうということを申し上げているところでございます。国にとって一番大事な課題だと思います。

 そういったことからしても、子育てには苦労はつきものだなんて、もちろん諸先輩方からは言われることもあるわけですが、しかし、やはり、子育てがつらいとか、本当に負担ばかりだ、こういう思いからは、あらゆる手を尽くしてそういったものは取り除いていかないと、子育て世代を応援できない。少子化がさらに進んでしまう。そういう意味で、待ったなしだと思います。スピード感を持って取り組むべきだと思いますが、石原副大臣の御所感をお願いします。

石原副大臣 子育て支援と男女共同参画の担当の副大臣としてお答え申し上げます。

 まず、そもそも、液体ミルクに関して、政府の重要政策会議の一つである男女共同参画会議において、昨年十月、災害時や働く母親たちへの支援、男性の育児参加を進める上でも、乳児用液体ミルクが有用であるとの有識者議員からの問題提起がなされました。これを受けて、同会議に設置された男性の暮らし方・意識の改革に関する専門調査会において関係者からヒアリングを行うなど、液体ミルクの普及に向けた調査検討を行ってきたところであります。

 本年二月には、本件の課題や今後の対応方針について認識を共有し、連携を深めるために、厚生労働省も含めて、関係省庁や業界団体、地方公共団体と意見交換を行う会合を開催させていただきました。本会合において、事業者団体から、仮に製品化された場合、消費者が使用する際には粉ミルクと違う取り扱いが必要になることから、製品の品質保持に関する情報提供や活用事例等に関して行政に支援をしていただきたいとの意見があったというふうに承知をしているところであります。

 内閣府としては、実際に普及することになった際、消費者が安心して乳児用液体ミルクを使用することができるように、こうした意見をしっかりと踏まえて、関係省庁とも連携しながら、必要な取り組みを引き続き推進してまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 今、石原副大臣の御答弁の中で、やはり災害時にも有用だということが有識者から指摘されたという言葉がありました。

 そこで、最後に、海外から輸入することも食品衛生法の基準を満たせば可能だということがありました。現時点ではまだ課題がある、ハードルがあるかもしれませんが、それにしても、今後も含めて、行政による災害備蓄というものを行うということも進めることで、さらに普及が広がるということもあるんだと思いますが、これもこれで課題があるんでしょうか。政府としてのお考えをお聞かせください。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましては、避難所におきます良好な生活環境の確保に向けた取組指針を通じまして、指定避難所におきましては、あらかじめ応急的に必要と考えられる食料、飲料水の備蓄に努めていくことなどを自治体に対しまして助言をしてきております。

 液体ミルクにつきましては、お湯などが不要であるために、熊本地震におきましても利用されまして、子育て家庭におきまして利便性が高かったといったふうな声もあったと承知をいたしております。

 その一方で、液体ミルクにつきましては、現時点では国内では商品として流通しておらず、また、液体ミルクの消費期限が比較的短いといったこともございまして、避難所での備蓄としては必ずしも効率的ではない面もあるというふうに認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、避難所の備蓄をどうしていくかにつきましては、自治体におきまして判断していくことでございまして、内閣府としましては、液体ミルクにつきまして、国内での商品化の動向とか、災害で活用されました実績、課題も踏まえまして、機会を捉えまして周知をしていきたいと考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 次の話題に移りたいと思います。

 バター不足とちょっとひっかけまして、バターが不足すればマーガリン、マーガリンはその昔は動物性のバターよりも植物性であって体にいいんだなんということが言われていたことがあった、私の子供のころなんかはそう言われていたと記憶しております。

 しかし、近年では、むしろ、マーガリンにはトランス脂肪酸が含まれていて、これが健康に悪影響があるという研究結果が出されています。これは、液体ミルクも日本だけないという状況のようですけれども、トランス脂肪酸の規制だとか、あるいはせめて食品表示をすべきだということに対しましても、日本には何のルールも、何のというか、ルールはないんですね。こういうことに対しての問題意識を申し上げたいと思います。これまでも再三、我が党でいうと大西健介議員も消費者問題特別委員会などで指摘をしていることでございます。

 資料を添付しました。これは内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価の結果であります。

 ここには、諸外国における研究結果としまして、「トランス脂肪酸の過剰摂取は、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)を増加させる可能性が高い。肥満、アレルギー性疾患(喘息、アレルギー性鼻炎等)について、関連が認められた。妊産婦・胎児への影響(胎児の体重減少、流産等)について、報告されている。」ということであります。

 「ただし、」とありまして、「これらは平均的な日本人よりトランス脂肪酸の摂取量が多いケースの研究」、つまり諸外国の研究であって、日本はちょっと違うよということが書いてあるんですね。

 具体的には、「日本人の大多数はWHOの目標を下回っている。」と。WHOの目標というのは、トランス脂肪酸摂取を総エネルギー摂取量の一%未満とするという基準ですが、通常の食生活ではこの目標を下回っているということから、健康への影響は小さいというふうな一つの結論でしょうね。「ただし、脂質に偏った食事をしている人は、留意する必要あり。」と、これはちゃんと書いてあるわけですね。だから、要するに人によるということであります。

 それから、いわば不健康な食事をしている人が留意すべきだということに加えて、やはり、消費者意識が高い、そういう日本人はたくさんおられますので、子供のため、あるいは今妊娠をされている妊産婦の方は、非常に食べ物には注意しながら、気をつけながら暮らしているわけであります。そういう方々にとって、知る権利というものが満たされない、選択肢、選択する権利というんですか、これを損ねているんじゃないかというふうに思うんです。

 理由は、理屈はこういう紙にも書いてあるし、今まで再三、各委員会での議事録を見ても私も確認しておりますが、理由は、理屈はいいんですが、この消費者の知る権利、選択する権利、これを損ねているんじゃないかということについてどのようにお考えか、御答弁願います。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 消費者庁では、食品表示法に基づく食品表示制度におきまして、必要な栄養成分表示を新たに義務化する仕組みを構築したところでございます。

 その際、消費者委員会食品表示部会の栄養表示に関する調査会、ここでの議論を経まして、栄養成分表示の義務化に当たりましては、消費者における表示の必要性、それから事業者における表示の実行可能性、さらに国際整合性、この三点全てを満たすこととされたところでございます。

 トランス脂肪酸につきましては、これらの点を満たしていないということから、現在、義務表示とはしていないものでございます。

 しかしながら、消費者庁では、消費者が食品を適切に選択し、栄養バランスのとれた食生活を営む観点から、平成二十三年二月に、「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針について」という文書を発出させていただきました。食品事業者に対しまして、トランス脂肪酸を含む脂質に関する情報を自主的に開示するよう要請をしているところでございます。

 さらに、消費者庁では、パンフレットでございますが、「栄養成分表示を活用しよう」というものを作成いたしまして、消費者庁のホームページでも公表しておりまして、トランス脂肪酸を初めとする栄養成分表示につきまして、消費者への普及啓発に努めているところでございます。

重徳委員 知る権利、選択する権利を、まあ任意ではあるけれども通知という形で示している、こういう御答弁なんですかね。

 しかし、状況はやはりどんどん変わってきていて、アメリカでは来年から禁止するという状況にもなってきていますが、この辺、詳細をお答えください、北島部長。

北島政府参考人 お答えいたします。

 米国食品医薬品庁、FDAは、心血管系疾患のリスクを低減するため、トランス脂肪酸の削減を目的として、二〇一五年六月に、トランス脂肪酸が多く含まれる部分水素添加油脂、マーガリンやショートニングの原料でございますけれども、これについて、二〇一八年以降は、食品に使用するためにはFDAの承認を新たに必要とすることを決定したと承知しております。

 このFDAによる規制の対象は、トランス脂肪酸そのものではなく、部分水素添加油脂でございまして、また、新規にFDAに承認申請し、認められれば使用可能となるものと承知をしております。

重徳委員 いろいろ条件はもちろんあるわけでありますけれども、いずれにしても、承認がなければ製造、販売ができないということでありますから、日本とはえらい状況が違うんですよね。

 これは、これまで、ここ二、三年の間、いろいろな議員さんからこの問題については提起をされています。通常の食生活では健康への影響が少ないという答弁でありますけれども、しかし、その都度その都度、これは消費者庁担当の歴代大臣が、それなりの、最後は、現状はこうだけれども今後消費者委員会の議論も見ながら検討したいんですということは、森まさこ大臣とか山口俊一大臣、歴代消費者担当の大臣がおっしゃって、その日の委員会の質疑を締めくくるという、最後は何となく前向きな雰囲気だけ出して質疑が終わるから、大体各議員は、では大臣、期待していますからよろしくお願いしますと言って、一年たち、二年たち、三年たつんですよ。

 こういう状況でありますので、私自身の質疑への答弁ではないものの、各議員に対して歴代大臣がそうおっしゃっているわけですから、その後の状況はどうかということについてお尋ねします。どうでしょうか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、消費者の方々へ栄養成分表示の適切な情報提供の必要性というものはあるものと認識をしております。

 国会での審議等も踏まえまして、平成二十七年七月に、当時の山口消費者担当大臣からの指示も受けまして、「栄養成分表示を活用しよう」というパンフレットを、これは十数ページに及ぶものでございますけれども、作成させていただきました。

 このパンフレットでは、三大栄養素である、たんぱく質、脂質、炭水化物を過不足なく摂取することであるとか、あるいは、バランスのよい食生活となるよう栄養成分表示を活用することなど、また、特にトランス脂肪酸につきましては、一回に使用する量で見ると、各食品に含まれる平均的な含有量は減少傾向にあり、微量であること、あるいは、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量はWHO勧告の目標値を下回っていること、そういう状況ですが、クッキーやスナックなどの菓子を多量に食べていると、トランス脂肪酸も目標値を超える場合があり、そのような食生活は見直してほしいといったような注意喚起等々につきまして、解説をしているところでございます。

 このパンフレットにつきましては、平成二十八年に、都道府県や消費者関係団体等に普及啓発をお願いする文書を発出するとともに、消費者庁ホームページにも掲載をいたしまして、自由にダウンロードし、活用できるようにしているところでございます。

 また、本年度には、消費者がみずから食生活に応じた適切な食品の選択ができるよう、栄養成分表示等に関する消費者教育の実証事業を実施することとしております。

 消費者庁といたしましては、今後とも、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択ができるように、栄養成分表示の普及啓発を図ってまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 いろいろそれなりの御努力はされているということは認めますが、やはり、飽和脂肪酸については、これは食品表示の義務じゃないけれども推奨するという位置づけなんですね。これは内閣府令で定められています。しかし、トランス脂肪酸はそれより低い位置づけで、今御答弁あったような、指針を出しているとか通知を出している、こういうレベルなんですよね。

 ちょっと確認ですが、トランス脂肪酸、大分消費者の皆さん方からも指摘を受けている、このトランス脂肪酸のように、健康に影響があるという研究結果がたくさん出ていて、でも、今、今というか、ここ数年間ずっと言われているような類似の理由で、表示義務もない、推奨もされない、そういう食品の成分、物質というのはほかにあるんですか。トランス脂肪酸だけですか。

吉井政府参考人 お答えをいたします。

 先ほども御説明いたしましたけれども、食品表示法に基づく栄養成分表示につきましては、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性等々の三つの、一定の条件を満たすものにつきまして義務表示とさせていただいております。

 トランス脂肪酸以外に、こうした観点を考慮して任意表示となっている成分につきましては、糖類、コレステロール、ビタミン、ミネラル類がございます。

重徳委員 ちょっと何となくアバウトな答弁だったような感じがしますが、トランス脂肪酸、これだけ健康への影響があるという研究結果が出ているということと同様のものかどうか。今ちょろっと言及のあった糖類などについてとトランス脂肪酸というのは全然違うと思うんですけれども、これはまた時間があったらちょっとやりとりさせていただきたいと思います。

 最後に、せっかく農水委員会なものですから、大臣に、やはり食の安全、これは農水省として極めて重要な話であります。農薬だとか化学物質などなど、いろいろな側面から農水省も取り組んでおられると思いますが、このトランス脂肪酸、こういったことまで視野を持って、余り縦割り行政じゃなくて、ぜひ山本大臣にも、この辺、認識をいただいて、応援をしていただきたいと思うんですが、大臣の御答弁を求めます。

山本(有)国務大臣 私も、健康に障害になる常識と非常識というのはあるような気がしてなりません。

 戦後、アスベストについては、誰も被害について懸念する人はなくて、石綿と言って工業製品として、また建築用材としてさんざん使われたわけであります。しかし、今は、これが絶対に使ってはならない禁止物質になりました。

 そのことを考えていきますと、やはり、科学の進展や原因究明によって健康被害というのは明らかになる場合があるという謙虚な姿勢を持たなきゃならぬと思っております。

 私も、乳業メーカーに、マーガリンとバターの生産についての懸念について、マーガリンというのはトランス脂肪酸があると指摘をされているがという問いをいたしました。そうしますと、やはり、アメリカの影響か、今の市場ではマーガリンの需要が減っているというような話もはっきりおっしゃっておられましたし、今だんだんにそうした食育についての、あるいは健康被害についての知識が非常に詳細になってきているというように思っております。

 そんな意味で、食品の安全確保に関する規制を所管する厚生労働省、表示に関する規制を所管する消費者庁など、関係省庁と連携して、安全な食品の安定供給に取り組んでまいりたいというように思っております。

重徳委員 大変力強い御決意だったと思います。

 消費者庁は消費者のための消費者庁ですから、消費者意識の喚起から、それからいろいろなルール整備も、もっと積極的にやっていただきたいと思います。どちらかというと生産者側に従来近かった農水省も、そういったところまで視野を広げて施策に当たっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

北村委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 畜安法の審議を前に、学校法人加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設することの経過について、我が党は総理出席の予算委員会集中質疑を求めております。本筋としてはそちらでしっかりと質疑する必要があると思いますが、本委員会では、獣医師の需給についての農水省の考えと事実の経過だけを、きょう最初に二、三確認しておきたいと思っております。

 我が党の小池晃参議院議員が二十二日の参議院決算委員会で、政府関係者から独自に入手した「今後のスケジュール(イメージ)」と題した文書を明らかにしました。今、私もきょうは手元に持ってきています。

 これは、来年四月に開学するために、逆算でスケジュールを作成したものとなっています。この文書によれば、表題のすぐ下に米印がついていて、こう書いてあります。獣医師の需給部分について、随時、農水省・厚労省による判断・対応が重要、こう書かれているんですね。

 それで、今回の件に関して、農水省は獣医師の需給についてどのように文科省へ説明してきたのか、まずその点を確認したいと思います。

今城政府参考人 お答えいたします。

 獣医師の需給、需要ということでございますけれども、近年、家畜、ペットともに数が減少しているということでございます。また、ペット一頭当たりの診療回数、これはいろいろな事情からふえているというような事情もあるので、一概には申し上げられませんけれども、獣医師の全体の数としては、届け出数で我々は把握しておりますけれども、これは全体にふえてきておるというようなこともあるので、全体の数としては不足している状況にはないということに考えられております。

 このような中で、一方、産業動物獣医師、いわゆる田舎で産業動物、牛、馬、豚にかかわっておられる医師、こういう方面につきましては、実際問題として採用のところでなかなか満たないということもございまして、都道府県単位の畜産協会等が、地元に就職することを条件として獣医学生に奨学金を出すというような制度をやっておりまして、そういう状況の中で、地域によって不足している状況があるというふうに認識しております。

 そういうようなことを、農林水産省といたしましては、いわゆる国家戦略特区ワーキンググループのヒアリング等におきまして、文科省さんも御出席されておると思いますが、そういうところの場で、求めに応じて、こうした獣医師の現状について説明してまいったということでございます。

畠山委員 農水省からいただいた資料でも、獣医師というのは、今あった産業動物、それから公務員分野などもいらっしゃいますし、ペットなどを含めた小動物の診療分野、また、それ以外にも、その他、企業の実験も含めていろいろなことがありますから、それだから獣医師として活動していない方々などの中で、とりわけ農水省としては産業用動物や公務にかかわるところを中心に把握され、先ほど言った支援も行っているというように説明を受けました。

 今のようなことを先ほどの出された会議では説明し、そのような議論を踏まえて、昨年十月三十一日に内閣府の事務方が農水省消費・安全局に今回の決定の原案を提示したと山本地方創生担当大臣がさきの決算委員会でも答弁をしています。この原案に対して農水省はコメントをしなかった、つまり了としたという意味だと思いますが、その理由を述べてください。

今城政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、昨年十月三十一日に、内閣府が作成した、十一月九日にかけられる国家戦略特区諮問会議における決定事項に係る案、これを提示いただきました。

 これにつきまして、まず一点目は、獣医学部の設置そのものは当省の担当ではないということ、加えまして、その記載されていた内容の、獣医師に求められる新たな需要というところが記載されております。具体的には、創薬等のプロセスにおける多様な実験動物を使用したライフサイエンス研究の推進ですとか、地域における感染症対策における水際対策というような部分が書かれております。

 こういう新たな需要というところにつきましては、私ども必ずしも、委員先ほど御指摘あったとおり、所管しておりませんので、そういうところの需要が新たにあるということであれば、我々はそれに対して異議はないということで、コメントなしというふうに回答させていただきました。

畠山委員 もう一つだけ事実の確認をしておきます。

 今答弁のあった、十月三十一日の原案に対する、コメントしていないんですけれども一応対応したということと、最終に出てきた公表される文書が違いがあったはずです。原案が十月三十一日に提示された後に、最後に公表されるところまでの往復のやりとりというのはあったのでしょうか。

今城政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねのような報道があって、原案と最終案というようなお話は報道で承知しておりますけれども、これは政府内部の意思決定の過程における問題ということでございますので、それがどういうものであったかということについては御回答を差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしても、当省はコメントなしというふうに回答させていただいたということでございます。

畠山委員 私たちが手に入れた文書の存在の是非はともかく、先ほど言った参議院の決算委員会で山本地方創生担当大臣は原案という言葉を使ったわけですから、つまり、公表された文書は修正されたものであるということになっていくわけです。

 それで、先ほど述べたように、きょうはこれは事実についての確認だけで、別の機会にきちんと審議したいと思っておりますが、修正されたということを前提に我が党が追及をしてきたわけですが、何がどう修正されたかというと、獣医学部の設置地域については、「広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り」と書かれている部分ではないかということを指摘しました。原案から比較して、広域的に何とかに限りという文言が入ったというのが事実だと思います。

 総理の腹心の友のための利益誘導として特区制度が使われていたのではないかという疑惑です。真相の解明には農水省としても説明責任を果たすべきだということを指摘して、本筋の議論を行っていきたいと思います。

 法案の審議ですが、前回の委員会で、私は、今回の改正案について、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、酪肉近からも外れているのではないかと指摘をしました。繰り返しますが、前回そこで明らかにしたのは、酪肉近では指定団体の機能の強化こそを必要としていることを方針と掲げていたのではないかと指摘をしたわけでした。

 このときの山本大臣の答弁を議事録で改めて読み直しましたが、かみ合った答弁になっていないと思います。一体、この酪肉近から整合性はとれているのか、外れているのではないか、改めて聞きたいと思います。

山本(有)国務大臣 酪肉近代化基本方針におきます指定団体の機能強化は、集送乳の大宗を担う農協連としての指定団体について、傘下の農協等のさらなる再編整備や集送乳業務の集約など指定団体内部の課題について記述しているものでございまして、その方向は今後とも変わらないものというように認識しております。

 また、制度の見直しの後も、現行の指定団体は生乳流通の中核を担っていくものというように考えております。引き続き、必要な支援や経費の見える化等を通じて推進してまいりたいというように考えるところでございます。

畠山委員 まだかみ合っていない答弁のように思えますね。

 前回の議事録で、大臣は、所得がどのように上がって新規参入者を求めることができるかということで、指定団体の洗い直しの必要性をまず答弁しました。その後に、補給金を通じて飲用向けと乳製品向けの仕向けの調整の実効性を担保すれば農家所得も上がっていくという答弁もしました。

 その後に、今回の、新しく団体が、事業者が指定されるということと、生産者がプラスされて力関係が強くなり、生乳団体の価格交渉力も得られるということも答弁はしているんですが、しかし、私は、今の答弁もそうなんですけれども、どうも整合性はとれていないようにしか思えません。

 とりわけ、今引用した前回の答弁でも、大臣はやはり、酪農家の所得が上がるために必要なことだということを枕言葉、前提の目的として言っているんですよね。

 ただ、二十三日の参考人質疑でも、私は参考人に、所得向上に今回の法案が資するかと質問をしました。四人中三人の参考人は否定的でした。現場サイドの参考人も、もし寄与することであれば、ほかにすがるものがございませんから、やっていただかざるを得ないと述べておりました。つまり、そうであったらいいなという願いを述べられたと思います。

 これまで農水省が指定団体の機能強化を掲げてきた理由は、突き詰めれば、価格や所得の安定のためだったはずではありませんか。それに反することを今回の改定案はするんじゃないか、だから所得向上にはならないと私は繰り返し言っているわけです。

 大臣、もう一度、なぜ所得がこれで向上すると言えるのか、説明してください。

山本(有)国務大臣 この法案によりまして、補給金の交付対象を拡大するわけでございます。そして、現在の暫定措置法に基づく制度を恒久措置として位置づけることによりまして、財務当局とも、恒久的な考え方で取り組んでいただくということになるわけでございます。

 そして、この制度改正によりまして、所得向上という点におきますれば、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がります。みずから生産した生乳をブランド化し、加工、販売する取り組みなど、創意工夫による所得向上の機会を創出しやすくすることができると考えております。

 また、現在の指定団体でございます農協や農協連につきましても、生産者の選択に応えるために、流通コストの削減や乳価交渉の努力を促す、そういう手だても措置をしているつもりでございます。

 また、これまで補給金をもらえないため飲用向け一辺倒だった者を乳製品向けにも計画的に販売する方向に誘導することができて、これによって冬場等の飲用牛乳の不需要期の廉価販売に歯どめをかけることができると考えております。

 加えて、新たに導入する年間販売計画におきまして、乳製品仕向けの経営戦略を明確にすることで、より消費者ニーズの高い用途、あるいは付加価値の高い国産乳製品の製造、こうしたものが促進されることになるわけでございまして、その結果、乳業メーカーが得られる利益をもととした乳価の形成が期待されるものというように考えているところでございます。

畠山委員 どれくらいの対象となる生産者の所得が向上するのか、押しなべて広く生産者の所得が向上するのか、きちんと見ておく必要があると思うんです。

 参考人質疑でも、小林参考人は、短期的には、北海道を中心として支払われる補給金の総額がふえるから、その結果、北海道の所得というのは若干ふえると思いますが、中長期的に見れば、競争が激化して酪農家の所得は低下あるいは乱高下するという懸念を述べられていました。

 清水池参考人は、今まで乳製品主体だったものを飲用向けで仮にある生産者が売ることができれば、確かに一時的に所得がふえる可能性はありますと。しかしこれも、清水池参考人も、したがって飲用向け市場の競争が非常に強まってしまうことから、飲用向け乳価が下がってしまうのではないかと、そろって懸念を表明しているんです。

 大臣、ちょっと、もう一度確認したいんですけれども、一体どの層の生産者が所得が上がるのか、押しなべて広く所得が向上すると考えているのか、いかがですか。

山本(有)国務大臣 最初は上がり下がりまちまちだというように思いますが、長期的には私は全体の酪農家の所得が向上できるというように思っております。

 翻って、指定生乳団体の機能というものの根本は、まず生乳自体が腐敗しやすい、そして貯蔵性がない液体。鮮度を命とする生乳は、在庫性が希薄なフロー市場を形成するため、需給の不均衡は価格に大幅な変動を与える。それは、生産者の経営的負担を余儀なくしてしまう、ひいては消費の伸びを阻害し、乳業者にも負担になるということが基本にあるというように思います。

 そのことにおいて、自己販売や部分委託というものを認めることによりまして、いわば個性的商品の開発や消費者ニーズに対応することができるというようなことにつながっていくわけでございまして、現実に、例えば岩手県の岩泉乳業の、今設備投資をされておりますけれども、あのヨーグルトについては大変な消費の伸びがありますし、最近の機能性食品の中のヨーグルトの実績というのは急速に伸びております。

 というように、さまざまな形で乳製品が今消費者ニーズに対応しているわけでございまして、今のままで全量買い取り、全量委託ということをしますと、まずは、指定団体から個性あるそういう製品をつくり出すためにはまたそこから買わなきゃならぬというような話にもなってくるわけでございまして、自己販売とか新しい付加価値をつけた乳製品、そういったものを研究開発していく意欲ある農業者に対して、新しい考え方、取り組みでやることによって、価格の上昇の幅が見られるということでございます。

 ひいては、輸送コストの削減等を努力いただけるわけでございますので、全体として生産者に利益が出てくる構図になっていくというように期待しているところでございます。

畠山委員 総じて、理屈の範囲というより願望の範囲と受けとめました。

 中長期的に、先ほど参考人の答弁を引いたように、競争的な環境が進めば必ず価格が下がっていくことは、一般的には予想されることだと思います。そのことを指摘して、私は、結果として所得向上に資することはないということは述べておきたいと思っております。

 部分委託の上限撤廃についても、ちょっと時間がないので、急いで確認しておきたいと思います。

 現状は日量三トンの上限となっていますが、改めて、なぜ三トンとしているのか、その理由とともに、上限いっぱいまで活用しているという実績があるのかについて、確認のため答弁を求めます。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 酪農家の創意工夫によります六次産業化等の取り組みを支援する観点から、生乳受託販売の弾力化を順次実施してまいりました。

 指定団体に生乳を出荷しつつ、その一部につきまして、みずから処理して牛乳・乳製品を製造、販売できる仕組み、自家製造につきましては、酪農の一日当たりの平均の乳量、また、その規模拡大は今後も進展すると見込まれることを踏まえて、平成二十六年に日量三トンまで上限を拡大したところでございます。

 取り組み件数としては、直近で二百二十九件というふうになってございます。

畠山委員 それで、上限が撤廃されることで、これまでも、特色ある牛乳だとか自家加工とか、要件はありましたが、これも含めて撤廃されるということですから、高く売れる委託外の飲用向け販売に生産者が集中することもあり得るのではないか、そして、いわゆるいいとこ取りの可能性も指摘をされてきました。

 省令等でいわゆるいいとこ取りを防ぐと説明はしてきたわけですが、例示として出されている五項目で本当に防げるかどうかというのは疑問です。例えば季節変動あるいは売れ残り、これらの取引を拒否できるとしますが、それをどう判断するのかという点では、参考人質疑でも疑問が投げかけられていました。農水省として十分な説明をする責任があるかと思います。

 そもそもは、需給が崩れることが一番の心配です。仮に、需給に支障を与えるおそれ、こういうような文言が省令に入っていかないと担保になっていかないのではないかとの指摘もあります。いいとこ取りを防がないと、指定団体に全量出荷している生産者の方が結局は需給調整を引き受けるという構図にもなっていきます。これは不公平が生じます。

 どのように省令に書き込むのか、現時点での考えを改めてこの場で答弁してください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 部分委託自体は、そのような御懸念もあるので省令の方で書きたいと思っておりますが、そういう部分委託を利用して、いろいろな創意工夫でお互い発展していくということにもつながるんじゃないかとも思っております。

 その具体的な省令の中身というか、省令の文言そのものではございませんけれども、考え方としては、夏場に減少し冬場に増加するという生乳生産の季節変動を超えて委託または買い取りの申し出の数量が変動する取引である場合、例えば年末年始のみに指定事業者へ委託等を行うような短期間の取引である場合、自分の生乳は飲用向けに売ってほしいというような特定の用途仕向けへの販売を条件とする場合、生乳の品質が指定事業者の定める統一基準を満たさないものである場合、生産した生乳のうち売れ残ったものを持ち込むような取引を求められる場合に拒否できることとしたいというふうに考えてございまして、関係者と調整しながら、できるだけ速やかに定めた上で省令化していきたいというふうに考えてございます。

畠山委員 規制改革推進会議がフォローアップするなどとも言われていますが、そちらの方を向くのでなく、やはり生産者の方を向いたことが求められているということは指摘しておきたいと思います。

 これらのことで心配される問題を突き詰めていくと、先ほども述べた需給の安定が一つの課題だと思います。

 参考人質疑でも、法の目的に需給の安定が盛り込まれたことには評価の声が上がりました。ですが、これを実現する年間販売計画での実効性、その担保について疑問などの声が上がったこともやはり言っておかなければいけないと思います。

 新たに参入する事業者は、多分に飲用主体の販売となることが予想されます。飲用向けの競争が激しくなる可能性があります。新しい事業者が、大手資本に囲い込まれるというのか連携するというのか、そうなった場合には、さらに激しさが増すおそれもあります。

 片方の事業者に飲用向けが偏れば、もう一方が加工用の団体として調整することにならざるを得ません。それは多分、現在の指定団体が担うことが予想されます。そうなると、先ほど述べたように、指定団体へ全量委託している生産者には不公平な環境になるでしょう。

 国が年間販売計画にかかわってさまざま認めていくに当たって、このような事態を防ぐことはもちろん念頭にはあると思いますが、この場でも改めて答弁を求めておきます。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、そもそもの話として、現在、指定団体以外のところというのは補給金の交付を受けられないので、全て飲用に流れているというふうに理解をしてございます。

 今回、その補給金を、指定団体以外の計画的に加工に回す方に交付することによって、これらの、特に冬場の不需要期の廉価販売等には歯どめをかけることができる、そういう効果を狙っているところでございます。

 年間販売計画につきましては、先生御指摘のとおり、農林水産省令で定める基準に適合するか、また、あわせて提出される乳業者との契約書の写し等とのそごがないか等を確認した上で交付対象数量を通知いたしますし、かつ、それをまたきちっと確認するということで、飲用向けと乳製品向けの調整の実効性が担保される仕組みとしているところでございます。

畠山委員 私が述べたような事態を防ごうとするならば、片っ方ずつの団体に偏りが出ないような、例えば用途別の比率を入れるような必要などもあるのではないのでしょうか。

 私、この法案に賛成の立場で言っているわけではないんだけれども、例えば北海道でいえば、飲用二割、乳製品八割です。同じような形でこの比率をそれぞれにしていかないと、公平な環境とはとても言えないし、先ほど述べたような事態が起こり得る環境が、条件が生まれてしまうと思うんです。そういうような考えはありませんか。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきまして、補給金の交付に当たりましては、農林水産大臣が、提出された年間販売計画を確認することとしておりますけれども、この際、その計画が、年間を通じた用途別の需要に基づく安定取引であるといった省令で定める基準に適合するものであると認める場合に、年間販売計画に記載のあった数量を参考に、対象事業者ごとの交付対象数量を算出し、通知することにしております。

 このことによりまして、乳製品の需要に応じた供給が確認されますことから、一律の乳製品への仕向け比率を設定する必要はないものと考えております。

 また、さまざまな創意工夫を行う事業者がおられると想定される中で、地域ごとに一律の乳製品仕向け比率を要件とすることは、消費者ニーズ等需要に応じた仕向けを支援する点からも適当ではないというふうに考えております。

 こうした考えを念頭に、具体的な基準は、国会での御審議も踏まえ、関係の方々の御意見を賜りながら、引き続き検討を行ってまいりたいと考えております。

畠山委員 今の答弁では、バランスがとれないことになりかねないと思いますよ。先ほど北海道の例は出しましたけれども、季節変動もそうだし、地域ごとにもさまざまな特徴があるわけですから、それを踏まえないと心配です。このことを改めて指摘をしておきたいと思います。

 それで、最後になるかと思いますが、結局、今回の改定案が、畜安法の第一条、目的規定にある畜産及びその関連産業の健全な発展を促進することになるのかということは、太い柱として大臣に伺っておきたいと思うんです。

 念頭にあるのは、イギリスのミルクマーケティングボードの例であります。

 中央酪農会議が昨年十二月十四日に「指定団体(制度)の重要性と指定団体制度を巡る情勢」というレポートを出しています。イギリスに視察団を送って、ミルクマーケティングボード解体の聞き取りをしている部分があるので、そのことは紹介しておきたいと思います。

 デアリーUK政策部長のピーター・ドーソン氏は、ミルクサプライチェーンが不安定になったとして、多くの英国の乳業者は外国資本の乳業者に市場を明け渡したと述べておられました。六百二十頭を搾乳している酪農家、マンセル・レイモンドさんは、飲用市場への出荷志向が強まり小売業からの影響を強く受けるようになった、日本は英国と同じ過ちを繰り返してはならないとまで述べておられました。

 今回の改正案は、生産者の選択の幅を広げるということが主眼です。それは、競争的環境を認めて、生産者に経営上のリスクも迫ることになると思います。それを理解した上で生産に励む方がいるのも、それは生産者の選択だとおっしゃるでしょう。

 しかし、国がやるべきは、安定的な食料生産と供給です。競争的環境が広がることで、需給の安定が崩れて、押しなべて生産者の所得向上にはならない、ひいては離農、離脱のきっかけになるようではだめです。ミルクマーケティングボード解体は、反面教師として私たちにそのことを教えていると思います。

 そこで、法の第一条、目的規定にある畜産及びその関連産業の健全な発展、これが今回の競争的環境を持ち込むことで本当に健全な発展と言えるのかどうか、大臣の答弁を最後に求めます。

山本(有)国務大臣 一九九四年のMMBの解体の後、乳価が低迷し、酪農家の手取り収入がイギリスでは著しく落ちるという結果になり、いわば生産者が買いたたかれるという現状がございます。

 そういうことを踏まえて、今回、そのようなことのないような、需給のしっかりした安定的な運営というものに注力してきたのが今回の法案だというように考えております。

 現在、平成二十七年で一万八千戸の酪農家でございますが、十年で三分の二になってきているわけでございまして、この酪農家の皆さんの所得向上というのは、安定的な日本の酪農というものの位置づけの上で非常に重要だというように考えております。

 先ほど答弁で、制度当初、まちまち所得向上というように申し上げましたが、誤解のないようにもう一回答弁いたしますと、より創意工夫する経営者はより高い所得を得ることができるという趣旨でございますし、また、生乳一辺倒の今のいわばアウトサイダーの皆さんが補給金を得られるように対象範囲を拡大しますと、生乳の需給が締まってくるわけでございまして、その意味において、我々は、安定的な生産者の運営ができるというように思っております。

 一方で、消費者ニーズが多様化しております。他方で創意工夫もしようという酪農家も多くなってきたわけでございます。そんなことを考えていきますと、この法案は当然の時代の要求ではないかというように思っております。

 そして、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がって、みずから生産した生乳をブランド化して加工、販売する取り組み、あるいは創意工夫による所得向上の機会、そして、現在の指定団体である農協、農協連が生産者選択に応えるため流通コストの削減やあるいは乳価交渉の努力、こういうことをやっていただくことによりまして、さらに今回の改正で、需給状況に応じた乳製品の安定供給そして畜産経営の安定、こういったことによって、日本の畜産あるいは関連産業が健全に発展するようにつなげていきたいというように思っております。

畠山委員 時間ですから終わりますけれども、時代の要請として、今回の議論の出発点は、規制改革会議の乱暴な提案だったわけでした。バター不足を理由に持ち出しながらその解消は別だと認めたようなことまで報道されて、こんな無責任なことは到底許されないと私は思っています。

 朝から晩まで働きづめの酪農家に対して、本当に何たる無責任なことか。農政の大もとの方向性から転換すべきであることを強調して、質問を終わります。

北村委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。

 これだけ何度も出させていただいて前振りをやっておりますと、自分もどんな前振りをしたのかさえちょっと覚えていないような状況になってしまって、それで、少なくとも、私が以前、豆腐屋をやっておったことは皆さんの御記憶にあるかなと思うんですが、豆腐屋の前にカフェというものをやっておりました。

 カフェは、富山の田舎では、今でいうシアトル・スタイルの、エスプレッソからミルクを使ってという、ああいう飲み物というのはまだない時代に始めて、吉田がやることはいつも早過ぎて、そして商売で失敗して、それから何年後かにやった方が大成功していくという、そういうのが繰り返しの私の人生なんですけれども。

 そういう中で、カフェをやっているときに、私は、飲み物だけじゃなくて、食べ物も何かやはりちょっと手づくりのもので御提供したいなという思いがあって、そのときにベーグルという食べ物を選びました。ベーグルもそのころはなじみがなかったと思いますが、ベーグルは、ニューヨークが一番、カフェという意味では中心のところでございまして、そして、そのベーグルの食べ方は真ん中にクリームチーズを挟むんですね。

 そのクリームチーズというものが、国産とか地元のものにこだわってやろうとすると、パンはもちろん富山では難しいんですけれども、チーズも手に入らない。そうすると、せっかく私が思いついたベーグルというものを食べてもらおうと思っても、なかなかそれを地元の食材で満たすことができなかったというのが、つらいなと思いながら宣伝して商売をしておったというのが記憶に私はあるんです。

 今回、酪農それから畜産というところで、特に、私は、牛乳それからチーズ、バターもそうですけれども、これらのものというのは、なかなかやはり、国産できちっといろいろなものをそろえてやっていこうと思ってもそれは難しいという状況にあって、実際、消費者の方々も、その当時、十何年前、十五年前ぐらいになりますけれども、国産のものとか、健康志向とか、こういうことにはそこまでこだわっていらっしゃらなかったんですね。

 だけれども、これが今ここに来て、やはり私は、消費者の方々自身が買うとき、食べるときに、国産である、それから地元のものであるとか、こういうことについて非常に価値を見出されて、そして、そこからそういう消費が大きくなっていく可能性というのはすごく感じています。

 ですから、こういうことも含めて、私は、前回、参考人にお越しいただいたときに、また大きな話で、国の基ということもお聞きしましたけれども、やはり、ここで話されている話というのは、結局、これからの農林水産業がきちっと本当に国を支える、それから、これから将来の生産と消費がきちっと合致する、そういうところにつながっていくべきだろう、こう思っていますので、改めてきょうは、本法案は、決まっていくに当たって、どのようなお考えでこれを提案されているのかということを確認させていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃったとおり、牛乳・乳製品ですとかそういう畜産物は、たんぱく質ですとかカルシウム等に富むすぐれた食品で、国民の栄養面から見ても重要な食品でございます。我が国の畜産は、農業産出額の四割弱を占める重要な産業でございます。

 そういう中で、畜産の約二割の産出額を酪農が占めてございまして、酪農自体は、気候条件が厳しく、稲作や畑作が困難な地域を初めとして全国的に営まれており、また、生乳の加工、流通のほか、肉用牛の生産、飼料や資材など関連産業などの裾野が広く、地域経済を活性化させ、地域における雇用の創出につながるなどの効果を有するなど、重要な産業となっているというふうに理解しております。

 こういう酪農でございますけれども、これまで、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法に基づく補給金制度と、乳製品の国家貿易制度を適切に運用すること等により、着実に発展を遂げてまいりました。

 本改正法案で、補給金の交付対象を拡大する、また、現行の暫定措置を恒久措置として位置づけ直すということにより、さらに酪農及び関連産業の健全な発展を促進していくということとしております。

吉田(豊)委員 今回、この法案に当たって、また幾つか勉強させていただいて、生乳、生の牛乳からいろいろなものが分かれていくわけですね、分離していく。その分けていく中にあって、いろいろと、例えば脱脂粉乳が出てきたりとか、それからバターの部分が出てきたり、それから生クリームが出てきたり、いろいろ分かれていくんですけれども、大方の理解は、分かれたものがまた逆に戻すという、可逆できるものだというふうに基本的には理解するんですね。

 それは、大量生産をしていくとき、それから保存性を考えたときにはもちろん必要な部分もある、これはわかるんです。けれども、実際に本当にもとのように逆に戻っていくかというと、私は、品質とかさまざまなことからすると、そうではない部分というものもあるということをやはりきちっと押さえておかなくちゃいけないと思うわけです。

 ですから、そこに私は、国産のものにこだわる、あるいは顔が見える商品、そういうところとつながっていく要素というのは大きいと思いますし、今せっかく、国内での酪農を、今おっしゃったように、きちっと押さえながら、そして支えながら、次のところの展開に進んでいこうとしているわけですから、この法案、酪農について、どのような酪農の姿というのが描かれていて、そしてそれについてどのようにこの法案は応援しようとしているのかというところを大臣に確認させていただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 まず、日本の国内には乳製品に対する強い消費者の購買意欲とニーズがあるというように位置づけております。酪農経営は発展の可能性が確実にあるというように思っております。

 こうした需要の高まりに応えて、特色ある生乳・乳製品の生産による付加価値の向上、酪農家が創意工夫を生かせる環境の整備、こうした課題を乗り越えれば、すばらしい酪農の将来展望につながるというように私は確信をいたしております。

 したがいまして、今回の制度改正に加えて、搾乳ロボットなど省力化機械の導入といった体質強化対策や六次産業化支援等により、今後とも、酪農経営が発展し、消費者のニーズに応じた多様な牛乳・乳製品が安定的に供給できるよう努めていく考えでございます。

吉田(豊)委員 大臣の最後のフレーズのところ、多様なニーズを安定的にというところは、実は、それを両立させるということが本当に難しい部分もあるというところが僕は現場の話だろうと思いますし、そしてその上で、消費者というところが、私の持論ですけれども、結局は、生産そして業界全体に対して方向性を決めていく、決定権を持っているのは消費者の側だ、こうやはり思わなくちゃいけないと思うわけです。

 いかに生産者側がこのような感覚でこういうふうにやればいいといったって、それが最終的には受け入れられないと、それは商品として消費されていかないし、もともと求めていることは、酪農あるいは畜産にかかわる、でき上がったものの需要を広げていく、そうすることが一番業界としてもきちっと将来があるという、どういう方法であれ、それは間違いのないことだろうと思います。

 そこからすると、需要拡大を進めるというときに、本法案というのはやはりほぼほぼ生産者そして関係業者のところを向いていて、これが消費者に対してどういうふうないい方向が出てくるかということのアピールあるいは本質的なところというのは、なかなか見えないままに結論は出ていくだろうと思うわけです。

 ここを改めて、私は、牛乳・乳製品の需要を高めていくこと、そしてこれが消費者にとってどのような形として受けとめていただくことが本当に大切なことかということをどう考えているのか、確認させていただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、需要の拡大を進めていくという観点からいたしますと、先ほど大臣も御答弁されましたけれども、この改正法案が、消費者の多様なニーズに応えるという形でさまざまな創意工夫を促すという格好になってまいります。

 また、先生がおっしゃった、消費者等国民に対するアピールという観点からいたしますと、平成二十九年度予算におきまして、学校給食用牛乳を通じた飲用習慣の定着等の支援ですとか、例えば、みそなどの調味料に加えて、牛乳を使って減塩できる和食調理法、いわゆる乳和食、こういうものをお母様方に普及するとか、そういうことも含めながら、これらを通じて牛乳・乳製品の需要拡大に取り組んでまいりたいと存じます。

吉田(豊)委員 牛乳・乳製品の消費の拡大というときに、僕はやはり大事だなと思うのは、生産者というと、それは土地にかかわって、そして材料をつくっているところなんですね。材料という意味は、例えばお菓子をつくるとか、それから料理をつくる、そこからすると、一つ一つの素材は材料なわけですわ。

 それをどうやって、このものを選んでもらうのか、その材料自身の消費をふやしてもらうのかという、そこが本当は、最終的には消費者がそれを消費するというところにつながるので、いきなりスーパーで消費者にこの商品を買ってくださいという話というのは、今、実際、中食産業の話ですとかいろいろな消費の動向からすると、直接家庭で料理する人たちの、主婦のイメージで消費量がどんとふえるかというと、決してそうではなくて、その手前のところで、いろいろな業界の方々がかかわっているところに、実際の消費量をどうやって、国産のものあるいは本来の狙いのところでつくったものが消費されていくかという、そこの努力が本当は一番大事なところだろう、僕はこう思っているわけです。

 ですから、ただただ何か消費者に対してアピールするということの重要性というよりも、こういう形できちっと日本の畜産業が支えられているということが、そこで最終ユーザーにはもし気づかれなくてもこの消費が拡大していくという、そういうようなところの重要性ということもきちっと視野に、入れていらっしゃると思いますが、その上でいろいろな政策を進めていただきたい、こういうふうに思うところです。

 もう一つは、全体としての畜産業を支えていく、それから拡大していくときに、国内での消費の問題、それから、それ以外に、今、私も浅い勉強ながら、実際、近隣の東南アジア、中国を含めいろいろなところで、牛乳というもの、乳製品というものがどういう消費の傾向にあるかということを確認させていただいたところ、やはりそれは、どこでもそうなんですけれども、牛乳にしろ乳製品にしろ、言葉で言うと、一つぜいたくな食べ物なんですね、もともとのところからすると。

 だから、食文化がどんどんどんどん質が高まることによって、今本当に全体としての消費量が確実に、特に大きくなっているということも間違いないわけで、ですから、そういうところに対してどのようなアプローチをする可能性があるのかというところを私は押さえるべきだと思うわけです。

 これについてどのように考えていらっしゃるかということを政務官にお聞きしたいと思います。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 非常に重要な御指摘をいただいたというふうに考えております。

 我が国の牛乳・乳製品の輸出の実績でございます。これは私も資料を拝見、データを拝見してちょっとびっくりしたんですけれども、平成二十二年に約百六十億円という実績がございました。これは、今先生御指摘がありましたが、特に乳児用の粉ミルクを中心に東南アジア向けの輸出が相当大きく伸びていたわけでございます。

 ただ、残念なことに、原子力発電所の事故等々の影響がございまして、これが、二年後の平成二十四年には二十七億円まで縮小をしてしまいました。

 現在、このような状況に鑑みまして、政府といたしましては、平成三十一年に輸出の目標として、百四十億円という目標を掲げているところでございます。

 我が国の乳製品は特に安全、安心といった強みがございまして、今先生が御指摘になったような香港、台湾を初めとするアジア諸国・地域を中心にその浸透を目指しているというところでございます。

 政府といたしましては、今申し上げました原発事故に伴う輸入規制への対応、あるいは、乳製品を輸出するための新しい技術の開発に対する支援、また、意欲のある中小乳業に対する輸出への理解醸成や、商談会、マーケティング活動などの支援を行うことによって、この目標の達成に向けて頑張ってまいりたい、こういうふうに考えております。

吉田(豊)委員 政務官の方から粉ミルクの話をいただきましたけれども、粉ミルクが何で出てくるかというと、やはりそれは安心、安全のところなんですね。

 それで、我が国の農林水産業は全てそうでしょうけれども、ここにいるとみんな日本人ですから当たり前のこととなっているそういうものが、外に出ていくときには非常に価値があるもの、バリューがあるものだということをやはりもう一回改めて認識した上で、それがマックスかどうかはわかりませんけれども、バリューをきちっとベースに置いて、そしてそこから攻めていく、これが重要なことじゃないかなと思いますので、まずそこのことも押さえていただきたいなと考えています。

 この制度が幾らか動くわけですけれども、動くたびに一番大きな影響を受けるのは中小零細で、一生懸命、今までの仕組みにのっとって、そこで何とか活路を見出していこうという方々、その方々が、一つ一つ制度が大きく動くことによってやはり一番影響を受けるということは間違いない、こう思うわけです。

 ここについて、今回の本法案が新しく改良されるという中にあって、ここの部分についてどのような支援あるいはケアをしていくという考えなのか、これを確認させてください。

大野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正によりまして、指定団体以外の事業者の方も、年間販売計画を提出していただければ補給金の交付対象になります。

 これによりまして、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がり、ブランド化ですとか、加工、販売する取り組みなど、創意工夫による所得向上の機会を創出しやすくなる、こういうふうに考えております。

 したがいまして、今後、新たに補給金の交付対象になる御意向を有しておられる方々、あるいはそのサポートを行われる都道府県やJA、六次産業化プランナー等々含めて、改正法案の趣旨あるいは内容について丁寧に御説明、周知してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 そして、この法案の第五条のところに、生産者団体の用途別販売計画というところがありますけれども、これについて、きちっとした実効性ということの担保が一番大事じゃないかなと思いますし、また、さまざまな仕組み、つながりの中では、やはり決定権を持っている、あるいは力の強い、弱いというのは、関係性は必ずあるわけですね。そういうところを押さえた上で、これについての実効性をどう確保していくのかというところを確認させてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、実効性という観点からすると、農林水産大臣に年間販売計画の提出を義務づけるということで、大臣の方で認めた上で交付対象数量を通知するということでございます。

 また、年間販売計画は、乳業者との契約書の写しを添えて提出をしていただくということにしてございまして、この契約は、生乳の搬入先である乳業工場の牛乳・乳製品の製造の実績ですとか、生産者側の生産の見通しなどを勘案して、双方の合意のもとで締結されます。こういうことから、実現性に欠けるような契約はなされないというふうに考えているところでございます。

吉田(豊)委員 そして、用途別乳価、これが一つの考え方であり、今のこの国の畜産を支えていく、酪農を支えていくという一つのよりどころになっている。それがベースとなったさまざまな今回の法案改正についても、ここにいろいろな改良を加えるという考え方だと思いますけれども、そういうプロセスを今やりながら、最終的に、この用途別の乳価という考え方が本当の方向性としてそこでいいのかどうなのか。これが、私からすると、げたを履かせるという形の、どういうげたの履き方がいいのかという根本の考え方にやはりつながっていかなくちゃいけないと思うんですね。

 そして、今はこうやって支えていきながら、そしてそれは、申し上げていますように、消費者がどのようなものを求めるのか、そして、そこにどういう消費者のニーズを生み出すことが、私たちの地元の、国内の酪農、畜産において、今後の継続性、持続性、発展性があるのか、これはやはり考えて進んでいっていただきたいと思います。

 改めて、用途別乳価の今の時点での位置づけ、そしてこの将来、これをどう考えているのかということを確認させてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 乳価は、一般的に、生産コストまた需給状況等を踏まえて、民間の事業者間の交渉で決定されるところでございます。

 その際、我が国では、生乳の仕向け先が、飲用向けと乳製品向けで約半々であるという特徴がございます。

 それで、飲用の牛乳は、鮮度が求められて、事実上、輸入品との競合がないということから、専ら生産コストや国内の需給状況の影響を受けます。他方、バターとか脱粉、チーズといった乳製品は、輸入品との競合関係がございまして、内外価格差が大きく、品質面での差別化も困難なため、国際的な価格動向の影響を大きく受けるという特徴がございますので、取引乳価は、飲用向けに比べて乳製品向けが低くなっているという状況になっております。

 このように、用途別の取引は、用途ごとの需給状況ですとか国際市況等が反映されて、また、消費者への牛乳・乳製品の安定供給を実現するといった意義があることから、こういう用途別に価格が異なっているという取引が日本で行われているというふうに考えてございます。

 このため、改正法案におきましても、販売計画の基準の一つとして、加工原料向けとその他用途向けの価格を分けて約定する、また用途別取引を行っているということを一つの要件としているところでございます。

 将来につきましては、すぐこれがどうこうということにはならないと思いますが、歴史的には、いわゆる暫定措置法ができる四十一年以前は、混合乳価と呼んでおりましたが、一本の乳価でございました。ただ、これは非常に価格が不透明で、生産者と乳業との間の紛争の一つの要因になったというような歴史もございます。そういうことも含めながら、今後いろいろ考えていくんだろうと思います。

吉田(豊)委員 仕組みとしてのわかりやすさと、それから消費者の新しいニーズと、そこの両立は大変難しいことだと思いますが、ぜひ、また一層いろいろなことを研究もされて、そして、この変化がどうなっていくかということをきちっとサポートしていただいて、よりいいものにしていただきたいと思います。

 終わります。

北村委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 これまでの質疑を通しまして、本当に日本の酪農を守ることができるのかという疑問に答え、不安を払拭できる御答弁を聞くことは残念ながらできませんでした。

 一昨日の参考人質疑の参考人であった日本大学の小林教授が、「酪農というのは全国津々浦々に存在する、家族酪農として存在でき得るという状況が、酪農生産にとっても、あるいは国土の保全という観点からも必要だというふうに思います。」と発言されておられます。

 小林教授がリーダーとなって平成二十五年七月に取りまとめられ、そして八月に公表されました全国酪農協会・酪農政策ワーキングチームの日本酪農の危機打開のための緊急提言には、「日本における酪農の存在の意義」というのが記載されているところであります。「酪農が日本に存在することは、1重要な食料の提供、2地域の農地や環境の守り手、3食と命の教育、4雇用の創出、などから社会的に意義がある。」というふうにまとめられているところであります。続いて、「しかし、現実には飼料価格の高騰や経営安定制度が不十分なために、酪農経営は危機に瀕しており、特に都府県では地域によっては酪農が消滅しつつある。家族経営を中心とした多様な酪農経営が全国的に存続可能なためには、以下の施策が必要であると考え、提言する。」ということを書かれ、六つの提言がなされておりました。

 一つ目は、農地を荒廃から守り、自給飼料生産を振興するための農地直接支払い制度の導入、二つ目には、酪農所得補償のための経営所得安定制度の法制化、三つ目に、配合飼料基金制度の抜本的改革、そして四つ目には、担い手対策への取り組み、五つ目に、乳価交渉力の強化、六つ目には、以上の項目について、今後関係機関、団体が十分協議を行い、提言の実現に努めてほしいということでした。

 これらの提言というのは、実はTPPは全く前提としていないということで、TPPは日本の農業のみならず日本の国の形をも変えてしまうから真っ向から反対である、そういう姿勢で、この提言というのはTPPを前提としていないということであります。

 今、我が国はTPPを前提としているのでしょうか。そうであれば、どのような形で日本の酪農を守っていくのか。改めてお伺いしたいと思います。日本の酪農の存在意義をどのようにお考えでしょうか。

山本(有)国務大臣 先ほど小林教授の意義の御披露がございましたが、全く異論はございません。

 ただ、我が国の酪農というのは、国民への新鮮な飲用牛乳の供給を担うという点が重要でございますし、さらに、多様な消費者ニーズに対応した乳製品の生産を支えていただくということもあわせ重要でございます。

 酪農は、我が国の農業生産額の約一割を占めておりますし、飼料、資材など生産段階から加工、流通まで、関連産業の裾野が広い産業でございます。地域経済社会の維持に重要な役割を果たしているだけではなくて、米や畑作物などの育成に余り適さない土地や山間部でも十分にそうした地域を活用して産業となり得る、そういう非常に貴重な農業の分野の酪農であるというように位置づけているところでございます。

金子(恵)委員 酪農の位置づけというのを今おっしゃっていただきましたが、改めて、その存在意義ということだというふうに思いますが、しかし、酪農の地域での存続が危ぶまれているのではないかという声に応えていただいているとは思えないんです。反対に、今回の畜安法の改正案は、その名称とは本当に裏腹に、不安定になる、酪農経営を不安定にしてしまう、そういう内容ではないかというふうにも指摘されているところでもあります。

 改めて、今回の改正で、酪農生産基盤を持続的に発展させる上でどのような効果があるのか、お伺いします。

山本(有)国務大臣 近年、我が国の飲用牛乳需要が減少傾向にある一方で、生クリーム、チーズなどの乳製品の消費は今後も増加が見込まれております。消費者ニーズに対応すれば、酪農経営は発展の可能性を秘めているというように考えております。そのためにも、特色ある牛乳・乳製品の生産による付加価値の向上など、酪農家が創意工夫を生かせる環境の整備が重要な課題であろうというように思います。

 こうしたことを踏まえまして、本法案では、補給金の交付対象を拡大する、現在の暫定措置法から恒久措置法に位置づけを見直す。

 さらに、生産者の生乳の仕向け先の選択肢が広がり、みずから生産した生乳をブランド化し、加工、販売する取り組みなど、創意工夫による所得向上の機会を創出しやすくする。現在の指定団体でございます農協、農協連につきましても、生産者の選択に応えるために、流通コストの削減や乳価交渉の努力を促させていただく。また、これまで補給金をもらえないため飲用向け一辺倒だった者を、バター等の乳製品向けにも販売する方向に誘導することができるというように考えております。

 このように、今回の制度改正によりまして、需給状況や消費者ニーズに応じた乳製品の安定供給の環境整備が図られ、地域ぐるみでの収益性の向上を目指す畜産クラスター事業を初めとする経営体質の強化策と相まって、酪農生産基盤の持続的発展に寄与できるものというように考えているところでございます。

金子(恵)委員 補給金は加工原料乳に対してのみで、飲用乳は対象となっていないんですが、ほとんど飲用乳として出荷する都府県の酪農にとってはメリットはないということで議論がなされてきました。

 都府県のセーフティーネットにはなっていないということだというふうに思いますが、いかがですか。

山本(有)国務大臣 都府県のセーフティーネットになっていないという御質問だとすれば、家族酪農の所得補償というものの必要性というように御質問を考えさせていただいて、酪農の経営安定についての施策を幾つか現在でも打ち出しております。

 まずは、脱脂粉乳、バター等の乳製品向けに対して補給金を交付する加工原料乳生産者補給金制度がまずあること。それに、乳製品向け乳価の下落に備える加工原料乳生産者経営安定対策、いわゆるナラシも制度としてきちっとしておりますし、飼料作付面積に応じて交付金を交付する飼料生産型酪農経営支援事業というものもございます。家族経営を含めた酪農経営の安定を図っているところでございます。

 こうした中で、最近五年間の酪農における家族経営の所得を見ますと、全国ベースで一戸当たり六百万から七百万で推移しておりますけれども、平成二十七年には九百八十九万円と向上しております。

 そんな意味で、農林水産省としては、これら経営安定対策等を通じまして、酪農経営者が主体性と創意工夫を発揮しながら経営を維持発展させていただけるよう、必要な対策をなおしっかりと講じさせていただきたいというように思っているところでございます。

金子(恵)委員 補給金についてお伺いしますけれども、補給金の算定の方法は今後省令等で決められるということだというふうに理解をしておりますが、従来の固定的な支払いのままでは、所得補償の機能は非常に小さいのではないかというふうに思います。

 その結果、平成二十年前後の飼料の価格高騰や乳価低迷が再度起きたら、再び酪農所得が急激に落ち込む、それに対処できないのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

山本(有)国務大臣 まず、北海道等で生産された生乳は、乳製品に仕向けるか、あるいは道外に飲用向けとして移出等を行う必要があるかというような、この都道府県への生乳移送量について、さまざま議論される生乳の需給の全国的なありようでございますけれども、まず、生乳の価格基準の算定につきまして、これは多いか少ないかというように考えていきますれば、今日までさまざまな工夫を凝らした新しい工房を作成して御自身のブランド化を実現しているJA等もございますので、私は、一概にこの補給金単価が低いとまでは言えないように思います。

 改正法の第八条一項におきまして、「農林水産大臣が、生乳の生産費その他の生産条件、生乳及び乳製品の需給事情並びに物価その他の経済事情を考慮し、生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保することを旨として定める」というように位置づけておりますし、これは現行の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法と同様の規定ではございますけれども、さらにこうした観点を重視しながら補給金を見ていきたいというように思っております。

 具体的な算定につきましては、この法が成立後、来年度予算編成過程における畜産物の価格決定の際に、食料・農業・農村政策審議会の意見を聞いた上で決定するという手続でございますし、この審議会の意見、皆様のお話を謙虚に承りたいというように思っております。

金子(恵)委員 これから省令等で決めていくということですけれども、飼料の価格高騰、乳価低迷、そういうものが起きたときに、酪農所得が急激に落ち込む場合、それに対処できるということでよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 先ほどもありましたように、ナラシ対策等ありますし、今度御審議いただく収入保険というような手だてもございます。そんな意味で、鳥瞰図的に見て、しっかりと支えられる仕組みをつくっていきたいというように思っております。

金子(恵)委員 私たちがここで議論しているのは、本当に酪農所得をきちんと安定させること、将来的にしっかりと向上させていくこと、そして、日本の酪農を守っていくということであります。

 時間が余りありませんので、次の質問に行かせていただきますけれども、資料をお手元に配付させていただいております。

 一月の十八日に、政府広報が新聞広告としてこのような形で掲載されました。表題は、「日本の農業、もっと強く。」「「農業競争力強化プログラム」による改革で、世界にはばたく「もうかる農業」へ。」というふうにあります。そして、「酪農家の自由な販売を支援」、その下には、「生産者が自由に出荷先を選べる制度に改革。指定団体以外・部分委託にも補給金を交付。」という内容が記載されているところであります。

 まだ法案も提出されていないこの段階でありますが、農業競争力プログラムに基づいて農業改革が進められるというこの政府広報が、もう既にこのような形で掲載されている、新聞広告として掲載されているということでありますが、私は、これは極めて問題だというふうに思っておりまして、国会軽視だというふうに思っています。

 この政府広報が掲載された経緯をお聞かせいただきたいと思います。

山本(有)国務大臣 農業競争力強化プログラムは、昨年一月以降の与党での検討を踏まえまして、昨年十一月に政府の農林水産業・地域の活力創造本部で取りまとめたものでございまして、そのプログラムを実行していくためには、現場の農業者にその内容を知っていただくという必要性から、内閣府政府広報室と連携して、新聞広告、ことしの一月十八日に本プログラムの政府広報を掲載した、そういう流れでございます。

金子(恵)委員 それでは、与党内での議論がまとまったので、このような形でも政府としても出されているということですか。

山本(有)国務大臣 政府が決定した農業競争力強化プログラム、広く皆さんに周知していただくために、特に農家の皆さんがわかりやすい形で周知いただくようにこうした広報を発したわけでございまして、いわば政府広報は、政府の態度や将来の方向性について早くお知らせする、そういう意味でございました。

金子(恵)委員 法案の議論がまだなされていない中で、もうこれは掲載されてしまっているんです。閣議決定は三月の三日、そして、その日に法案提出ということでありますので、法案づくりにも当然与党の皆さんも参加されているわけでありまして、やはり、この段階でこのような政府広報が掲載されるということを問題視していらっしゃる与党の議員も、参議院の決算委員会ですか、御指摘をされていたようです。そのことについては当然理解をされている。

 そしてまた、大臣もそのときに御答弁されています。「日本の農業、もっと強く。」という、これは誰も異存がないと思います、ただ、下の酪農家の自由な販売支援、それを読みますと、指定生乳団体がいわば解体されるんじゃないかというような、あるいは機能が没却するのではないかという不安を起こしてしまうという、そういう見方があるということに掲載時期に気づいていなかったわけでございまして云々ということを、三月の二十八日の参議院の決算委員会で大臣も御答弁されている。

 こんな不安定な形で、まとまりのない考え方のものを、簡単にこのような形で政府広報として出してよろしいんですか。

山本(有)国務大臣 参議院で答弁させていただいたとおりでございまして、この資料は、「日本の農業、もっと強く。」写真を背景にしておりまして、酪農家の皆さんが笑顔で生活するというようなイメージをまずはお願いしたわけでございます。

 そして、「酪農家の自由な販売を支援」というところにおける指定団体以外、部分委託も補給金を交付ということにおいて、誤解を生じるようになります。その意味で、この法案がきちっとまとまってから、さらに細かく、小さい字でも結構でありましたので、これをしっかり誤解のないように下に書けばなおよろしかったかというように思っております。

 そんな意味で、誤解を生じる部分が生じましたことに対して、私からもおわびを申し上げる次第でございます。

金子(恵)委員 もっと申し上げますと、実は、これは一月の十八日に政府広報が出されたんですが、一月の二十日には、総理が施政方針演説の中で「牛乳や乳製品の流通を、事実上、農協経由に限定している現行の補給金制度を抜本的に見直し、生産者の自由な経営を可能とします。」というふうにおっしゃっているんです。それに対しても、同じ三月二十八日の参議院の決算委員会で、与党議員の方は、これを所信表明で聞いたときに私は本会議で大変なショックを受けましたというふうにもおっしゃっている。

 与党の中での議論もまとまらず、そして、それがどのような形で政府の案になったかもわからない、明確ではない、そういうものを簡単にこのような形で国民に発信してしまう。間違いだというふうに思います。いかがですか。

山本(有)国務大臣 特に酪農の知識の豊富な方々は、先ほど議論のありましたMMB、イギリスの失敗例等を十分に御存じなわけでございますので、軽々に指定団体についての制度、仕組みというものを変えるべきではないというように認識をされている方が多いかと思います。そういう専門家の方々、酪農家の現場にいらっしゃる方々に不快感を与えたというように思われるのではないかというように私も懸念をいたしております。

 そんな意味で、こうした部分について、もう少ししっかりとした法案が出てから、さらにこれを丁寧に伝えるという作業が必要だというように思っております。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終了いたしますが、このような形で、本当に国会や国民を軽視している形での法案を提出する、そして審議を進めるということには本当に理解を示すことが全くできないということを強く申し上げさせていただきまして、終わります。

北村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。金子恵美君。

金子(恵)委員 私は、民進党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論いたします。

 反対の第一の理由は、政府は、この法案の趣旨に、乳製品に生乳を仕向けやすい環境の整備や需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保など掲げていますが、本案による改善効果が限定的であり、こうした課題にきちんと応えていないということです。

 現状では、指定生乳生産者団体に委託を行っていない生産者の生乳量は我が国全体の生乳生産量のわずか三%であり、かつ、そのほとんどが飲用向けであります。新制度のもと、その中から新たに生産者補給金を得て乳製品向けに生乳を出荷する生産者が一定数あらわれ、飲用向け生乳から不足している加工用向け生乳にシフトするとしても、その効果は極めて限定的だと言わざるを得ません。一体何のための改革なのか、目的は別にあるのではないかと疑わざるを得ないのであります。

 第二の理由は、飲用向け、加工向けの需給調整について、新制度では国が責任を持つことになりますが、その実施体制に不安があり、このまま新制度をスタートさせれば無用な混乱が生じかねないということです。

 本案では、加工原料乳についての生産者補給金等の交付を受けようとする対象事業者は、毎会計年度、用途別の年間販売計画を農林水産大臣に提出し、農林水産大臣は、総交付対象数量を基礎とし、提出された年間販売計画に基づき、交付対象数量を算出するとしています。

 需給調整について、従来は指定生乳生産者団体が長年の経験とノウハウをもとに行っていましたが、本案による新制度下、部分委託が拡大する中で、国に需給を安定させるだけのノウハウがあり、また、膨大な事務量をこなすだけの体制があるのでしょうか。

 また、事業者によっては加工向け販売計画を過大に報告するなどの制度の悪用も懸念されるところでありますが、農林水産省が示す制度設計では、これらを防止する有効な手だてが見当たりません。

 反対の第三の理由は、政府内において本案の決定に至る過程が極めて不自然かつ強引であり、国民や国会の意見が反映されていないことです。

 本案の主な内容は、昨年十一月二十九日に政府の農林水産業・地域の活力創造本部が改定を決定した農林水産業・地域の活力創造プランの添付文書である農業競争力強化プログラムに示された牛乳・乳製品の生産、流通等の改革の内容がベースになっています。しかし、この農業競争力プログラムはあくまでも与党が決定した政策ペーパーにすぎず、これを別紙として添付したとはいえ、そのまま政府の公式文書として決定するやり方は、野党と国会の意思を軽視する極めて偏ったものです。

 そもそも、今回の改正は、農業に知見のない民間議員で構成される規制改革推進会議農業ワーキング・グループでの議論や提言に主導されたものであり、酪農家、乳業メーカー、学識経験者の理解や納得が全く得られないままに進められたものです。

 今回の生乳改革を初め、規制改革推進会議等で検討されてきた一連の農業、農協改革は、農業を産業政策の道具としてのみしか捉えていない、極めて偏った視点に立脚したもので、安倍政権が食料・農業・農村政策に真剣に取り組む意思がないことは明白であります。

 以上の点を勘案すれば、本案は到底賛同できる内容ではなく、反対すべきであると強く申し述べ、私の討論といたします。(拍手)

北村委員長 次に、斉藤和子君。

斉藤(和)委員 日本共産党を代表して、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案の反対討論を行います。

 反対の理由の第一は、複数の指定業者の参入により、生産者の所得が低下するおそれがあることです。

 本法案では、農林水産大臣や都道府県知事が、対象事業者のうち受託販売等を行う事業者が要件を満たせば、指定事業者として指定することができるとしています。また、この指定事業者は、外資や株式会社などの民間事業者がなることもできます。

 複数の事業者間の競争となれば、生乳が分散してしまうことから、価格交渉力が弱まることは明らかです。資本力のある事業者が低価格競争に持ち込め、さらなる生産者の所得低下につながりかねません。

 第二は、部分委託の拡大も生産者の所得低下につながるおそれがあることです。

 これまで日量三トンを上限に可能としてきた部分委託を、本法案では、この上限を撤廃することで生産者が自由に売れる条件を拡大しようとするものです。

 部分委託が際限なく拡大すれば、高く売れる委託外の飲用向け販売に生産者が集中し、競争的になれば、飲用向け乳価の低下が起こり得ます。高く販売するつもりが、生産者にとって逆に所得低下につながるおそれがあります。

 第三は、突発的な需給変動が起きた場合の対処方針は不透明で、需給調整が保たれるのか疑問が残ることです。

 本法案は、年間販売計画の提出や実績報告書を要件に、指定団体共販参加の生産者に限らず、対象事業者にも生産者補給金等を交付するとしており、個別にさまざまな問題が出てきたときには、国による指導や助言を行うとしています。しかし、対象事業者が計画どおりの生産ができなかった場合の規定もなく、行政指導である国の指導や助言について従わなくても罰則はありません。突発的な需給変動が起きた場合の対処方針は不透明であり、需給調整が保たれるのか疑問が残ります。

 本法案は、規制改革会議から、生産者のためと言いながら、現場の実態も踏まえず、乱暴な提案をしたことが出発点でした。安定的な食料生産という農政の根本を大きくゆがめることは断じて許されないことを強調して、反対討論とします。(拍手)

北村委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

北村委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

北村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、江藤拓君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党及び日本維新の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国の酪農は、生産者の努力の積重ねにより、先進的な経営を実現させてきた。しかしながら、担い手の高齢化や後継者不足を背景に飼養戸数、飼養頭数ともに減少しており、生産基盤の強化に向けて、生産現場では総力を挙げての取組が懸命に続けられている。こうした状況を踏まえ、補給金制度の改革は、生産現場における不安や混乱を払拭し、経営意欲の維持向上が図られるよう、消費者への国産牛乳・乳製品の安定供給と生産者の所得の増大を旨として進める必要がある。

  よって政府は、本法の施行に当たり、生産者が将来に明るい展望を描けるよう、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 新たな補給金制度の運用に当たっては、制度の目的を踏まえ、現行の指定生乳生産者団体に出荷する生産者が不公平感を感じないようにするとともに、事業者が乱立した結果、乳価交渉力強化・用途別安定供給・共同販売体制の強化などの現行の指定生乳生産者団体の機能が損なわれないよう、万全の措置を講ずるとともに、その機能強化に向けた取組を後押しすべく、万全の措置を講ずること。

 二 補給金交付の要件となる年間販売計画は、飲用向けと乳製品向けへの調整の実効性が担保されるものとすること。

 三 補給金の算定に当たっては、牛乳・乳製品の需給の安定等を通じた酪農経営の安定を図り、国民消費生活の安定に寄与するため、生乳の再生産が確保されるよう、その単価を適切に設定すること。

 四 集送乳調整金については、条件不利地を含む広域的な地域から、正当な理由なく集乳を拒まない事業者にのみ交付する仕組みとし、その単価を適切に設定すること。

 五 部分委託については、場当たり的な利用を確実に排除し、年間を通じた用途別の需要に応じた安定的な取引が確保され、生産者間の不公平が生じないよう、厳格な基準を設定し、その適切な運用を図ること。

 六 現行の指定生乳生産者団体が新制度における指定生乳生産者団体に円滑に移行できるよう、関係者の意向や実態を十分踏まえた適切な措置を講ずること。

 七 対象事業者に対する指導及び助言に当たっては、生産者の公平な取引であるかなど、必要に応じて国が調査し、実効性ある改善指導を行うこと。

 八 政令及び農林水産省令並びに関連通知については、年間を通じた用途別の需要に応じた安定的な取引が行われ、用途別安定供給に支障をきたすことがないよう、適切に制定すること。

 九 酪農家は農業者の中でもとりわけ過酷な労働条件にあることから、その改善を図るため、酪農ヘルパーの充実や公共牧場等を活用した育成の外部化を支援するとともに、搾乳ロボットやミルキングパーラーをはじめとする省力化機器や施設の整備に対して集中的に支援を行うこと。

   こうした生産基盤対策等の支援は、地域を支える中小規模の家族経営体が十分活用できるよう配慮すること。

 十 規制改革推進会議等の意見については、参考とするにとどめ、現場実態を踏まえ、酪農生産基盤の強化に資するものとなることを第一義とし、制度の運用を行うこと。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

北村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

北村委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣山本有二君。

山本(有)国務大臣 ただいまは法案を可決いただきましてありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

北村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

北村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

北村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十九分散会


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