衆議院

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第6号 平成30年11月21日(水曜日)

会議録本文へ
平成三十年十一月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 近藤 和也君 理事 稲津  久君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    神田 憲次君

      木原  稔君    木村 次郎君

      小寺 裕雄君    斎藤 洋明君

      坂本 哲志君    西田 昭二君

      福山  守君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    神谷  裕君

      佐々木隆博君    長谷川嘉一君

      堀越 啓仁君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    濱村  進君

      大串 博志君    金子 恵美君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          大杉 武博君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (林野庁長官)      牧元 幸司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            星  澄男君

   農林水産委員会専門員   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     神田 憲次君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     藤井比早之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 漁業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第八号)

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房統計部長大杉武博君、消費・安全局長池田一樹君、食料産業局長新井ゆたか君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官牧元幸司君、水産庁長官長谷成人君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君及び海上保安庁警備救難部長星澄男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西田昭二君。

西田委員 おはようございます。

 自由民主党、石川三区選出の西田昭二でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことに感謝を申し上げるところでございます。

 周りから、初めての質問やったかということなんですけれども、実は二回目であります。(発言する者あり)ありがとうございます。

 それでは、吉川大臣ほか皆様方にはよろしくお願いしたいと思います。

 私は、石川県の能登半島の皆様方から国政に送り出していただいておりますので、能登の抱える問題として、数年前から能登の皆さんが大変危機感を持っており、私の前任の北村茂男元衆議院農林水産委員長を始め、自民党や県選出国会議員の皆様方とともに熱心に取り組んでまいりました大和堆での操業の問題について、最初に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、十一月十五日午前九時三十五分ごろ、能登半島北西約二百三十キロの日本海の大和堆周辺で、日本漁船と韓国漁船との衝突事故が発生をいたしました。

 この事故についての詳細をまず伺いたいと思います。

長谷政府参考人 お答えいたします。

 今回の衝突事故でございますけれども、十一月十五日だったかと思いますけれども、日本の船と韓国の船が衝突を起こしたということでございます。

星政府参考人 お答え申し上げます。

 十一月十五日午前九時三十五分ごろ、石川県能登半島の北西約二百三十三キロの大和堆周辺海域で、日本漁船第三十八正徳丸と韓国漁船三〇八八ムンチャンが衝突した旨、付近を航行する日本漁船から当庁に対し、無線による通報がありました。

 当庁では、直ちに巡視船四隻及び航空機二機を発動して救助活動に当たり、日本漁船の乗組員八名及び韓国漁船の乗組員十三名全員にけがなどがないことを確認いたしました。

 その後、巡視船による伴走警戒を行い、第三十八正徳丸は、翌十六日午前九時三十分ごろ、新潟港に入港しております。

西田委員 けがなどなく、本当に、大きな事故につながらなかったということで、大変安堵をしているところでございます。最初聞いたときは一体どういう事故なのか大変心配をしましたけれども、関係の報道等で、少し安心して聞いておりました。

 また、今回の事故が発生した現場は日韓暫定水域であり、今後も同様な事故が起こる可能性があります。本件のイカ釣り漁船の関係者からは、昨年から何度も、無数の北朝鮮船籍の漁船に囲まれ衝突しそうになったり、投石など被害も受けて、大変危険な状態もあったそうでございます。

 想定される大和堆での外国船籍の事故、特に北朝鮮船籍と思われる漁船との事故の対策についても、これからしっかりと考えていかなければならないと思いますが、その対応について伺いたいと思います。

長谷政府参考人 今回のような衝突等による漁船事故を防止するためには、航海、操業時の見張りの実施等を漁船自身に徹底していただくことが基本でございますけれども、水産庁といたしましても、安全対策を指導する安全推進員等の育成、確保に対する支援、関係省庁と連携した、船舶同士の位置や針路が確認できるAIS、船舶自動識別装置の普及に重点的に取り組んでいるところでございます。

 なお、船体の被害につきましては、漁船保険に加入している場合には契約に応じて保険金支払いがなされることとなりますし、また、漁業収入が結果的に減少した場合には、漁業共済制度において、契約に応じて減収分を補填することとなっております。

 漁船の安全確保は、現在漁業に従事されている方々の命にかかわる問題であるとともに、魅力ある職業としての漁業のあり方にもかかわることも踏まえまして、引き続き、これらの取組を通じて漁船事故等の防止に努めてまいりたいと考えております。

西田委員 本当に、事故というのは予測不能なところでもありますし、事故を起こしたいと思って起こす人はいませんので、しっかりこれからも対策、対応をお願いしたいと思います。

 いろいろ対策等のお話もあったわけでありますけれども、修理代、操業の補填等、対策についても、さっき補填等のお話はありましたか。(長谷政府参考人「はい」と呼ぶ)ありましたね。では、これで質問をかえたいと思います。

 もちろん、我が国のEEZ内で外国船籍に操業させないというのが前提でございますが、万が一そのような事故が起きた場合には、今後も引き続き対策を講じていただきたいと思います。

 水産庁の発表の資料では、水産庁が退去勧告を実施した外国漁船は、本年五月以降、十月二十五日現在まで延べ四千八百九十五隻、うち一千八百八十五隻に放水。報道資料等によりますと、第九管区海上保安本部が本年五月以降に北朝鮮船籍と思われる違法操業船一千五百二十八隻に警告し、うち四百九十三隻に放水と、これまでも水産庁、海上保安庁が連携し、警告、放水、漁具の回収等、厳しい対応の結果、大部分をロシア水域側に排除したわけでございます。

 しかしながら、北朝鮮船籍と思われる違法操業船による侵入の試みは続いていると思います。水産庁、海上保安庁の連携のもと、日本漁船の安全な操業を確保し、日本水域における北朝鮮等の漁船の違法操業の取締り、また水産資源を守るためにも、国としてこれまで以上の対策をお願いしたいと思います。

 これらの点について、水産庁に伺いたいと思います。

長谷政府参考人 大和堆周辺の我が国排他的経済水域における北朝鮮漁船を始めとする外国漁船による操業は、違法であるのみならず、我が国漁業者の安全操業の妨げにもなっており、極めて問題と考えております。

 本年につきましては、我が国イカ釣り漁船が操業を開始する前の五月から水産庁漁業取締り船を重点的に配備いたしまして、海上保安庁とも連携して、我が国漁業者の安全操業の確保を第一に、放水や漁具回収を含め厳しい対応によって、我が国排他的経済水域から退去させているところでございます。

 委員の方からも数字の御紹介がありましたけれども、水産庁では、本年当初からの数字で、十一月二十日現在ということで申し上げますと、延べ五千二百八十五隻の北朝鮮漁船等に退去警告を実施しまして、そのうち二千五十七隻に対して放水をし、また、漁具回収については延べ四十件ということでございます。

 今後とも、海上保安庁との連携を強化しつつ、大和堆周辺水域における外国漁船による違法操業の防止のため、全力で対応してまいります。

西田委員 ありがとうございます。

 しっかりと対策を講じていただき、このような違法操業に対する問題について、国際法にのっとり、しっかりとした、でき得る限りの対応をこれからもお願いしたいと思います。

 近年多発している北朝鮮船籍の違法操業は、木造船だけでなく、大型な鋼船も年々増加している状況であり、違法操業のエリアは北へと広がっております。吉川農林水産大臣の御地元、北海道の武蔵堆でも大きな脅威となっていると伺っております。

 スルメイカ資源が減少していると言われている中で、外国籍の漁船による違法操業や乱獲が、ただでさえ少ないスルメイカ資源の減少に拍車をかけているのではないかと現場漁業者は大変危惧しております。

 スルメイカの資源についてどう把握されているのか、伺いたいと思います。

長谷政府参考人 近年、スルメイカの資源につきましては、産卵場である東シナ海での産卵後の海水温が適していないというようなことで、低調な資源動向ということでございます。それに加えまして、これらの違法な外国漁船による影響というのも考えられるという状況でございます。

西田委員 大和堆や武蔵堆周辺でのスルメイカの資源が減少している。私どもの地元のイカ釣り漁船の皆さん方は、本当に漁場を変えないといけないのではないかと。本当に深刻な状況でもありますし、やはり国際法上にのっとって、各国連携のもとで、スルメイカの資源が一日でも早く回復することを願っているところでございます。

 また、スルメイカの資源の減少はさることながら、石川県では貝類の資源の減少も指摘をされているところでございます。

 能登半島は、本当に温暖で風光明媚で美しい自然環境と、海の幸、山の幸の恵みといった新鮮な食材の宝庫でございます。

 特に、私の地元七尾湾でとれるトリガイ、アカニシガイは絶品で、すし王国七尾として全国に発信をさせていただいているところでございます。浜値で一個三千円のトリガイは本当に肉厚で甘みがあります。希少価値も大変。ぜひ、機会があれば委員の皆様方に御賞味いただきたいなと思うところであります。しかしながら、資源管理でしっかりと守られているところでございます。ぜひとも、委員の皆様方には能登半島の温泉と食を堪能しにお越しいただければ幸いだと思っております。

 ここ数年、能登半島の輪島市にあります舳倉島では、サザエやアワビなどの貝類の数も減っているという話を伺います。海女の方に話を伺ったところ、数年前から急激に、特にサザエが減ってきていることを実感しているそうでありますが、ことしは更に深刻化していたそうでございます。

 アワビについては、昭和五十年代以降減少傾向にあり、サザエについても、昭和五十年代以降増減はあるものの、近年急激に減少していることについて、水産庁として、どのような事態について把握されているのか、また、このような貝類資源の減少について、今後どのような対策を講じていきたい、考えがあれば少しお伺いをさせていただきたいと思います。

長谷政府参考人 近年、海水温の上昇やウニなどの食害生物によるいそ焼けの進行などによりまして、藻場が減少しております。その結果、アワビやサザエ等の水産資源にも深刻な影響を及ぼしているということでございます。

 水産庁では、いそ焼けの要因とその対策をまとめたガイドラインを策定いたしまして、その普及を図るとともに、水産基盤整備事業による海藻の着定基盤等の設置や、水産多面的機能発揮対策事業による食害生物の除去など、ハード、ソフト両面からいそ焼け対策への支援を行っております。

 能登半島沿岸におきましても、投石による着定基盤の造成や、母藻の設置やウニの除去等を支援しているところでございます。

 今後とも、地元地域と連携いたしましてこれらの取組を推進しまして、藻場そしてアワビ、サザエ資源の回復に努めてまいりたいと考えております。

西田委員 これからも、大切な資源を守るためにしっかりと御指導、御努力をお願いしたいと思います。

 話はかわりますが、昭和の一桁台のリタイアが進むなど、全国的に農業の現場では人手不足が大きな問題となっております。特に地方においては高齢化が進み、若者の都市部などへの流出、いつ離農してもおかしくない農家が多数存在をいたします。

 農業、林業の分野においても、外国人を含め、どのように次世代を担う多様な人材を育成、確保していこうと考えているのか、農林水産省の所見を伺いたいと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、農林水産分野におきましては就業者の減少、高齢化が進行しております。例えば農業におきましても、農業就業人口が平成二十八年に初めて二百万人を割り込んで、二十年前の半分になっております。また、平均年齢も六十七歳という状況にございます。

 こうしたことを踏まえまして、農林水産省といたしましては、農林水産の各分野の特性も踏まえながら、例えば、就業準備段階あるいは就業初期段階の青年を対象とした資金の交付でありますとか、雇用就業者の研修に対する支援でありますとか、新規就業者向けの就業支援フェアの開催等を実施しているところでございます。

 こうした事業の実施によりまして、例えば農業におきましては、直近の四十九歳以下の新規就農者数が調査開始以来初めて四年連続で二万人を超えるなど、一定の成果は出ているというふうに考えてございます。

 引き続き、次世代を担う多様な人材の育成、確保に努めてまいりたいと思います。

 また、外国人も含めた多様な雇用労働者の確保、こういうことも大事だと思っておりまして、これにつきましては、現在国会で御審議されようとしております入管法の改正等々についても、我々としても、制度の枠組みができましたら積極的に検討してまいりたいというふうに考えてございます。

西田委員 私どもは、やはり地方では離農者によって耕作放棄地、そしてまた、そういう荒れた土地を少しでもふやさないということを地元として全力で取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 また、労働力不足が深刻化する中で、農業者の省力化、自動化や、熟練者のノウハウの見える化による次世代への継承といった課題への取組は急務でございます。ロボット技術、ドローン、AI、IoT等の先端技術を単に開発するだけでなく、現場の農業者の方々が実際に活用できるよう、実証や普及を丁寧に進めていくことが必要だと考えます。

 そのことについて、吉川農林水産大臣に伺いたいと思います。

吉川国務大臣 西田委員御指摘のとおりでございます。

 今、農業の担い手の減少ですとか高齢化が進行をしておりまして、その中で、人手不足の解消ですとか、あるいはまた生産性の飛躍的な向上などの実現を図る上で、今の質問の中でも御指摘をいただきましたように、AIですとかロボット、IoT等の先端技術を活用したスマート農業には大きな可能性を期待いたしているところでもございます。

 このために、農林水産省といたしましては、農業機械のロボット化ですとか、ICT等を活用した熟練農業者のノウハウの見える化、さらには水田の水管理の自動化など、現場の課題に応えた新たな技術の開発ですとか導入実証等を進めてきたところでもございます。

 今後は、世界トップレベルのスマート農業を実現するために、先端技術を生産から出荷まで一貫した体系として導入することですとか、経営分析等を行うことによりまして、スマート農業の社会実装、これの促進を更にしていかなければならないと存じております。社会実装を促進して、農業現場の期待に応えてまいりたいと存じます。

 世界の多くの国々も、我が国のこのスマート農業には非常に関心を寄せているところだと思っております。しっかり取り組みます。

西田委員 本当に、スマート農業を進めていただけることによって、やはりイメージとして三K、汚い、きつい、そしてまた危険、そういったマイナスイメージの作業が払拭されて、少しでも効率化、そしてまたプラスのイメージにつながっていくことを心から期待をして、ここで時間が来ましたので、私の質問を終わりとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。

 通告に従いまして質問させていただきます。

 きょうは、四問質問を用意させていただきました。そこで、通告の順番を変えさせていただいて、一番最初に北海道胆振東部地震について伺わせていただきたいと思います。

 発災からもう既に二カ月を過ぎ、三カ月目に入ろうとしております。応急仮設住宅も随分建設が進んでまいりまして、これが、十一月の末ぐらいには、今避難所におられる方もほぼ全員がこの仮設応急住宅の方に移ることができるというふうに伺っておりまして、この間、国、道、それから自治体、また自衛隊や警察等の関係者の方々の不断の御努力をいただいてここまで来たこと、大変、道民の一人として感謝をいたしております。

 ただ、先般もこの委員会で申し上げましたが、これからがやはり一番大事なところで、それは、なりわい、生活のもとになる仕事がしっかりと再開できなければいけないことで、ここは地域としては一次産業の地域ですから、特にこの間は、農業について、農地の復旧等について質問させていただき、農林水産省としての支援策については具体的にお示しをいただきまして、補正予算がいよいよ執行される段階になってきて、大変力強く思っております。

 ただ、一つ懸念をしているのは、林地崩壊のことです。

 これは御案内のとおり、この被災、胆振の三地域は林地の崩壊で、私も現場に入っていますけれども、これまでの山の原形がどうであったのかわからなくなるぐらい大変な地すべりを起こしているということで、羽田空港から飛行機に乗って新千歳空港に向かっていきますと、いよいよ着陸態勢に入って北海道に入っていきます、そうすると、進行方向の右手側にこの被災地域の山々が見えてくるんですけれども、見るも無残というか、大変な、崩壊している様子が見えます。

 こういうことを見ておりますと、果たしてこの林地の復旧というのはどうなるのかということを、大変、関係者も含めて私も懸念をしております。

 二つ、あると思います。

 一つは、二次災害を防ぐためのまずは緊急的な対応が必要だろう、これが挙げられます。それともう一つは、先ほど申し上げましたように、ここまで崩壊した山を復旧していくというのはなかなか時間がかかると思います、そういう意味では中長期的な取組が必要だろう、こう思っておりまして、これらのことについてどのように林業関係者を支援していくのか、お伺いさせていただきます。

吉川国務大臣 稲津委員から御指摘をいただきました件でありますが、私も、大臣に就任する前、さらには大臣就任後もこの被災山地をお訪ねをさせていただきまして、まさに林業地域でもあります、そして、山がなくなったというそういったショッキングなお話も頂戴をいたしてまいりました。

 そこで、今御指摘もいただきましたけれども、二次被害が懸念されるような緊急的な対応が必要な箇所につきましては、災害復旧予算である災害関連の緊急治山事業等により早期復旧を図ることといたしておりますし、さらに、この緊急対策に加えまして、極めて大きな面積の森林が被害を受けておりますので、そういったことに鑑みまして、中長期的な取組といたしましては、被災森林の再生に向けて、治山施設の設置ですとか航空緑化等による計画的な復旧を図っていく必要があるだろうと思っております。

 地域の木材加工施設の操業も支援をしていかなければなりません。農林水産省といたしましては、近隣の国有林において立木販売の前倒しなどの措置を講ずることも考えております。さらには、北海道森林組合連合会等の協力も得ながら、原木の確保が図られるように今対応しているところでもございます。

 さらに、被災地域におきましては、森林被害を早期に復旧し地域林業の復興を図るために、胆振東部森林再生・林業復興連絡会議、十月のたしか五日だったと思いますけれども、こういった会議も設置をされておりますので、国と道、町、研究機関等が協力して、当面必要な対策ですとか、被災森林の復旧方法ですとか、木材の、先ほど申し上げました安定供給さらには確保に向けた取組等について検討していくこととしているところでもございますので、こういったことも含めて、技術的な支援も含めて、更にしっかりと支援をしてまいりたいと存じます。

稲津委員 今大臣から力強い支援の話をいただきまして、大変うれしく思っております。ぜひ林業関係者の方々への支援をしっかりしていただきますことをまた重ねてお願い申し上げまして、この質問について終わらせていただきます。

 次に、何点かお話ししますけれども、今、西田委員が能登の御当地の御質問をされました。私、聞いていて、本当に大事なことなんだなと思っております。地域を大事にして、その地域のことをしっかりこの農林水産委員会の皆さんにもお示しをしていくという、私も大変共感を覚えました。なぜならば、これから私がする質問はまさに御当地物をさせていただきますので、御理解いただきたいと思います。

 まず一つ目、国産ワインです。国産ワインというよりは国内ワイン。

 これは新しい表示ルールの適用が始まったわけでございますけれども、日本ワインの人気が本当に高まってきているということ。これは、各地の中小ワイナリーが産地と連携をして、原料、醸造方法、とてもこだわって、質の高いワインが市場に出てきているということが大きい。

 私の地元の空知管内地域というのも、実はワインの、醸造用の加工ブドウの産地になってまいりまして、北海道は今この栽培面積が全国一と言われていますが、そのうちの三分の一近く、空知管内では大体百ヘクタールぐらい占めておりまして、天候にもよりますけれども年間の収穫量も二百五十トン前後ということで、そういう意味では大変成長してきている。北海道は寒冷地に適したドイツ系の品種が多く栽培されているんですけれども、最近はフランス系品種、ピノノワールとかシャルドネとかこうしたものもふえてきているという状況であります。

 こうしたことを背景にして、私の選挙区の空知管内では今、調べてみますと、全部で七つのワイナリーそれから三つのビンヤードができておりまして、いわゆる醸造ワインの産地形成ができているということです。

 特にうれしいのは、そうしたワインの生産者が若手の方もふえてきているのもうれしいんですけれども、同時に観光資源としての光が当たってきているということ。これは実は、観光協会と地元のタクシー会社と連携して、例えば一日六時間とか四時間タクシーを借り上げてワイナリーを回る、ワインをいただく、お土産も買う、そういうことによって観光産業につなげていこうということで、そらちワイン&フードツーリズム推進事業というのが今三年目を迎えてまいりました。

 それで、このことについてはいろいろな後押しがありました。例えば、二〇一四年に「ぶどうのなみだ」という映画が上映されたんです。これは主演は大泉洋さん。このロケ地もここでございます。

 こうしたことで大変人気も高まってきておりまして、地元の観光協会によると、経済効果は、お土産の購入価格、これは食事代は別ですけれども、大体年額六百三十万、それから、先ほど申し上げましたタクシーが年間で大体二百台、六百人近くが利用されております。それから、いろいろなテレビ等で紹介されまして、大体、広告の宣伝費も換算すると三千万円相当の広告もできているということでございます。

 こうしたことを考えていくときにやはり大事になってくるのは、一軒のワイナリーや農家の方だとこうならないんですけれども、やはり産地形成ができたということが非常に大きい。

 そこで、この生産者はもとより、多くの関係者が協力、支援によって産地形成ができてきている。こうしたことに至るまでには二十年ぐらいかかっているんですけれども、こういった産地形成、特にワインについての国としての支援、どのようにお考えか、お示しいただきたいと思います。

濱村大臣政務官 まず冒頭、稲津議員の地元に対する、地元を愛する気持ちが非常に強く伝わってくるなと思っておりましたけれども。

 まず、地域において新たな品目を取り入れること、そして新しい産地をつくっていくということは、地域振興の観点から重要な取組であるというふうに認識をしております。

 今先生御指摘のそらちワイン&ツーリズムの取組については、ブドウ畑やワイナリーといった地域の資源を観光と結びつけることで地元産ワインの販売と醸造用ブドウの生産拡大が図られ、産地づくりと地域振興に大きく寄与していると認識をしております。

 農林水産省におきましては、ワインの産地づくりの取組に対しまして、醸造用ブドウの新植とそれに伴う未収益期間への支援を行うとともに、国内での苗木の安定生産に向けて苗木業者と果樹産地が連携して計画的に苗木生産を行う体制を構築することに対する支援を、平成三十一年度、概算要求しているところでございます。

 また、農山漁村振興交付金におきましては、農泊の推進対策によって食事メニューや体験プログラムなどの観光コンテンツの開発を支援しているところでございまして、ワインツーリズムについても国内外の観光客に向けたツアー開発の一環として支援が可能となっております。

 先生御地元の北海道三笠市におきましては、農泊推進対策において、周辺ワイナリーを訪ねるツアーや、みかさワインフェスタと連携したモニターツアーに対して支援を実施しているところでございます。

 これらの施策を組み合わせることによって、地域における新しい産地づくりの総合的な支援を行ってまいりたいと思っております。

稲津委員 ありがとうございました。

 今政務官からもお話ありましたけれども、大変波及効果が期待されるんですね、産地ができてくることで。その意味でも、我が国における新しい農業分野の発展が期待されるワインの支援については一層またお願いしたいというふうに思っている次第でございます。

 次は、水稲の直播栽培についてお伺いしたいというふうに思います。

 今月二十三日、天皇杯を農業部門で受賞される、これも空知管内妹背牛町、私の地元の一つでございますけれども、ここで実は賞を受賞されるということで、私もかねてから存知の方ですので、先日訪問して、その受賞をお祝いするとともに、具体的なこれまでの取組についてお聞きしました。大変すばらしい取組をしておりまして、今、水稲三十二ヘクタール、そのうちの三分の一、これを湛水直播で栽培しているということで、しかも、十アール当たりの収量も約六百三十キロということで、かなり上がってきている。品質も高くて、値段も随分上がってきております。

 お話を伺いますと、以前、若いころにイタリアに直播栽培を見に行って研修して、そこから一人で今日まで取り組んできた。それがいろいろな方々に波及効果がありまして、今や、この妹背牛町では、ほしまるという品種ですけれども、二〇〇七年に町内で二十七ヘクタールの直播が、今百五十ヘクタールに拡大しているという状況です。

 問題は価格がどうなっていくかということなんですけれども、そこは収量でカバーできたらいいだろう。それから、労力は約二割カットできているということです。ですから、これから、スマート農業と相あわせて、こうした直播については広がっていくべきだろうというふうに思っています。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、今後のことを考えるときに今一番テーマになっているのは、多収品種の直播の米、これをどうしていくかということなんですけれども、この品種開発等についての考え方をお伺いしたいと思います。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 水稲の直播栽培でございますけれども、水稲生産の省力化、また低コスト化に向けました大変重要な技術だと認識してございます。このため、例えば、出芽のそろいがよい、あるいは倒れにくいといった直播栽培への適性、また収量性にすぐれた品種開発に取り組んできたところでございます。

 御紹介いただきましたが、北海道におきましては、ほしまる、そういった品種が開発されまして農業現場で利用されており、今ほど御紹介いただいた農家の方では、周辺の平均よりも二俵ほど高い単収を実現されているということでございます。

 新たな品種開発の推進でございますけれども、平成三十年度から、戦略的プロジェクト研究推進事業ということで作物育種プロジェクトを進めてございます。ここにおきましては、ゲノム情報や形質評価データなどをビッグデータ化いたしまして、また、新たな育種技術の開発、高度化、そういったものを進めまして、そういったデータあるいは新たな技術というものを都道府県の農業試験場あるいは民間事業者の方々に提供する体制を構築していきたいと考えておるところでございます。

 こういった取組によりまして、引き続き、水稲直播に適した品種開発に努めてまいりたいと考えてございます。

稲津委員 水稲直播の技術、そして水稲の品種改良、とても大事なことですので、ぜひ取組を加速していただきたいと思います。

 このこととあわせての話になりますけれども、スマート農業、特にドローンについて伺いたいと思うんです。

 近年の農業を見ておりますと、やはりAI、それから無人トラクターなど、さらにドローン、こうした先端技術の活用というのが非常に大事だろうと思っています。

 そこで、特にドローンについてお伺いしたいと思うんです。これは、無人ヘリと相あわせて、農薬の散布作業の省力化に大変大きな効果が出ている。米や麦のみならず、最近は、ドローンによって野菜とかあるいは果樹への活用も期待をされている。そういう意味でのことを考えていくと、これからその活用というのはいろいろ多種多岐にわたってくるかもしれない。

 こうした中で、先般、規制改革推進会議において、農業用ドローンの活用について、例えば自動操縦などについて、技術革新に対応して一定の条件下で補助者を不要にする、こういう考え方が示されました。

 そこでお伺いしますけれども、農薬散布におけるドローン活用の状況はどうなっているのか、また、農林水産省としては、ドローンの農薬散布拡大に向けてどのように考えていくのか、この点についてお伺いしたいと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 ドローンによる農薬散布でございますが、作業の省力化あるいは効率化につながり、その利用面積も、平成二十九年時点で前年比十倍以上、約八千ヘクタールに達するというふうに、急速に普及してございます。

 このような中、農林水産省では、本年六月に閣議決定されました規制改革推進計画を受けまして、一定の条件のもとで操縦者のほかに補助者を配置する義務を不要とするなどの規制見直し案を取りまとめたところでございまして、現在、今年度中の規制見直しに向けまして、国土交通省と具体的な検討を進めているところでございます。

 また、これに加えまして、これまで農林水産航空協会が行ってきました機体や操縦者の認定手続の国土交通省の手続への一元化、あるいは、ドローンに適しました高濃度、少量で散布する農薬につきまして、農薬数の拡大に向けた試験の簡略化などに取り組むこととしてございます。

 これらの取組を着実に進めまして、ドローンの活用を通じました農業生産の効率化、省力化を推進してまいりたいと考えてございます。

稲津委員 終わります。

武藤委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 皆さん、おはようございます。立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁でございます。

 本日は、諸先輩方から多大なる御配慮をいただきまして、農林水産委員会で初めての質問をさせていただきたいと思いますので、改めてよろしくお願い申し上げます。

 私は、昨年の初当選以来、常任委員会では環境委員会に所属をさせていただいておりました。また、今国会から、この農林水産委員会に配属をさせていただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 これまで環境委員会では、環境省の自然系職員つまりレンジャーに倣って、自然系国会議員を目指しておりますということを述べさせていただいておりますけれども、自然環境と、そしてこの農林水産、農業と林業、水産業、切って切り離せない問題でありますので、一体となって取り組ませていただくことを本当にうれしく思っております。農水省所管のさまざまな問題に、そういった観点からも取り組んでいきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問の方に入らせていただきたいと思いますが、まず初めに、これまで環境省所管の動物愛護管理法の観点からたびたび質問をさせていただいておりました畜産動物に係るアニマルウエルフェアについて、同じ関係行政たる農林水産省の新たな吉川大臣に伺いたいと思います。

 農林水産省における畜産動物に係るアニマルウエルフェアの必要性の認識は、以前、私、予算委員会の分科会にて、農林水産前大臣であります齋藤前大臣にお伺いをさせていただきました。そのとき、心強い御答弁をいただきました。この場で齋藤委員にお礼を言いたかったんですが、今おりませんので、また後でちょっとお礼を述べさせていただきたいと思いますが、本当に心強い答弁をいただいたわけでございます。

 そのあたりの認識も含めて伺っていきたいと思いますが、二〇一六年の十月十一日から二十六日にかけて、OIEのPVS評価が実施されました。評価項目の中にはアニマルウエルフェアも入っておりまして、この結果がことしの七月二十七日にホームページ上で公表されたことを受けて、農林水産省のホームページでも公表されております。農林水産省のホームページでは、アニマルウエルフェアの評価そのものが三という数字であったということはわかりますが、それ以上のことが細かくはわかりません。

 このアニマルウエルフェアについて三であった評価に対して、OIEは六点を勧告として出しており、そのうちの四点は、動物福祉、畜産動物に対するアニマルウエルフェアというものでありました。

 少し長いんですけれども、割愛しながら読み上げたいと思います。

 勧告の一、OIEの動物福祉コードの勧告を見直し、特にまだない畜産動物輸送及び屠畜について、適切に国の法律、基準又は政策文書に正式に取り込むこと。

 勧告の二、動物福祉、特に畜産動物の福祉について、環境省、農水省、厚生労働省とのさらなる正式協力を発展させ、法律、政策及び履行に結びつけるための調整に着手すること。

 勧告三、公的な報告や苦情が動物福祉事業の監視や調査により正式に利用されるためにはどのようにすればいいのかを検討し、コンパニオンアニマルと畜産動物の両方において、福祉法をコミュニティーが遵守できるようにすること。

 勧告四、国の法律や基準に基づく畜産動物福祉の管理体制を構築すること、これは、農場における家畜保健衛生所、食肉衛生検査所、畜産市場における獣医師の契約など、地方行政による実施を含むことというふうにあります。

 これら四つの勧告に対して私の所感を述べますと、まず、この勧告一に関しましては、輸送ですね、アニマルウエルフェアの考え方に対応した飼養管理指針を農水省は調整中であるということでございますけれども、屠畜については抜け落ちている状況です。

 さらに、勧告の二、まさにそのとおりであると思いますが、三省では今現在会議が行われているということは承知をさせていただいておりますけれども、この勧告は正式な形を望んでいる、さらに改善の実効性というものを求めているところであります。

 さらに、勧告の三、福祉法、つまり、日本では動物愛護管理法を遵守できるような仕組みが必要であるということが求められております。

 さらに、勧告四、これもまさにそのとおりだなというふうに思いますが、家畜保健衛生所や食肉検査衛生所、獣医師など、地方行政によるアニマルウエルフェアの管理体制及び法律の基準が求められております。

 以上、これらの全てが非常に的を得た勧告であるというふうに私は思っておりますが、また、日本に課せられた重要な課題であるというふうにも思っております。畜産動物のアニマルウエルフェアに係る今回の勧告を、大臣、どのように受けとめられておりますでしょうか。アニマルウエルフェアへの御認識も含めて伺いたいと思います。

 そしてさらに、今後、国内でどのように取り組んでいくのか、また、それらの実効性をどのように上げていくのか、農水省、政府参考人で結構でございます、見解を伺いたいと思います。

吉川国務大臣 まず、私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 アニマルウエルフェアにつきましては、家畜を快適な環境下で飼育することにより、家畜のストレスや疾病を減らしまして、結果として生産性の向上や安全な畜産物の生産につながることから、我が国の畜産において重要な課題であると考えているところでございます。

 我が国に対する国際獣疫事務局による獣医組織能力評価、今委員からさまざまな形で御指摘をいただきました、本年七月にその結果が公表されたところでもございます。

 その中で、アニマルウエルフェアにつきましても評価、助言をいただいたところでもございまして、今後とも、いただいた助言も参考にしながら、生産者の理解を得ながら、アニマルウエルフェアを推進してまいりたいと存じております。

濱村大臣政務官 取組につきましても御質問いただきましたので、御答弁させていただきます。

 先ほど委員御指摘のとおり、OIEからの助言は四点にわたってされているわけでございますけれども、農水省といたしましては、この助言を受けまして、家畜輸送等については、現在、畜産技術協会において指針の検討が行われているところでございまして、指針が策定されれば、その普及にしっかりと取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 また、関係省庁の協力等につきましては、まず、引き続き、三省での定期的な打合せを実施するとともに、虐待等、動物愛護法の違反事例がございますれば、地方組織も含め、情報を共有し、連携して対応をしていくこととしております。

 今後、こうした助言も参考にしつつ、生産者の理解を得ながら、アニマルウエルフェアの推進をしてまいりたいと思っているところでございます。

 以上です。

堀越委員 ありがとうございます。大臣の方から、本当に答えていただきたい点についてお話をいただきました。

 アニマルウエルフェアというのは、いわゆる動物を大事にしようという理念的なところと捉えがちなんですが、実はそうではなくて、科学的根拠に基づいた、生産性を向上する、そういったところに大きく影響してくるものでありまして、これはもう世界での基準になってきている。そこに関して言えば、日本は非常におくれをとっているところがありますので、ぜひ、大臣、心強い御答弁をいただきましたので、前進できるように進めていただければというふうに思っております。

 このアニマルウエルフェア、これからの日本に非常に大きな問題となってくるのが、東京オリンピックに向けて、世界の目もかなり厳しくなってきているところでありまして、実は、東京オリパラ選手村で扱う食材について、オリンピック選手、アスリートの側から、ぜひ、食べるものを調達するときに飼育環境を重視するアニマルウエルフェアに準じた食材に徹底してくださいという申入れが都知事の方に入っております。

 主にメダリストの皆さんで、九人から構成される要望書というものが提出されましたが、選手の食べるものが競技の結果に直結する、ストレスを与える方法で飼育されたグレードの低い栄養のものではそれなりの結果しか出ないと強調されており、そして、その上で、ケージフリー、例えば平飼いであるとか放し飼いの鶏が生んだ卵や、妊娠中にストール、非常に狭い中で妊娠を強制されてそこで管理をされる、そういった豚肉などを使わないよう訴えているんですね。

 日本のこれからの農業、水産業の戦略でもある例えば輸出を考えていくということについても、アニマルウエルフェアというものの飼育基準というのが世界ではワールドスタンダードになっておりますから、日本もそれに引き上げていかないと、輸出すらできなくなってしまうということになりかねませんので、現状でいえば、扱える食材というのはほぼ北海道の広い大地で育てられた食材になってしまうという現状もあります。

 日本全体で農業、畜産業をしっかり底上げしていくためには、アニマルウエルフェア、非常に重要な観点であるということをお伝えさせていただきたいというふうに思います。

 また、さらに、勧告の三にあるコンパニオンアニマルという言葉、これはなかなか耳なれない言葉じゃないかなと思いますが、これは従来のペットという言葉と同じ意味です。でも、これをやはり海外ではもう既にペットとは呼ばなくなってきている。つまりは、人と長い歴史をともに暮らしてきた身近な動物、家族、伴侶、友達と同様に動物というものを位置づけている、それがこのコンパニオンアニマルという言葉に裏づけられているのだというふうに私は思っておりますので、日本に対しても、アニマルウエルフェア、動物福祉というものをしっかりとフォローさせていく、これが非常に重要だというふうに思っております。

 そして、それにかかわる、次に鶏ちゃんのことについて質問をさせていただきたいと思います。

 齋藤前大臣が戻られましたが、これも以前、農林水産分科会で本当に心強い答弁をいただきまして、前進をさせていっていただいたところもあります。採卵鶏の廃鶏を、食鳥処理場で、待っている間長時間放置されている問題について質問をさせていただきます。

 ことしの三月二十六日、食鳥処理場への鶏の計画的な出荷についてとして農水省が通知を出され、改善に向けて、厚労、環境など関係省庁が連携し動き始めたことは、以前も環境委員会で申し上げましたが、大変歓迎していることは変わりございませんし、重ねて、時の大臣であります齋藤前大臣には改めて感謝を申し上げたいと思います。

 しかし、ことしの二十一日に、私自身の目でちょっと確認させていただきたいということで、関東の食鳥処理場、とあるところを実際に見てまいりました。昼間の午後二時であったにもかかわらず、既に鶏が運び込まれておりまして、身動きが全くできない狭いケージの中で、水も与えられないまま屠畜されるのを待っている。そして、夏場には、そういう状況が続くと、卵が上から降ってきて卵まみれになって、下には卵があふれて、そしてウジが湧く、衛生上も非常によろしくない、そういう状況にもなってしまいます。

 今回、私が見せていただいたところでもやはり午後二時で既に運び込まれている。恐らく翌の八時から九時ぐらいまではその状況で放置をされる。時間でいうと大体十八時間ぐらいはそういった形で放置をされる、そういう現場がまだまだ当然あります。

 動物保護団体の調査によりますと、七月十九日から九州の食鳥処理場では二件、八月二十八日からまた二件、十月十八日から十九日にかけて関西の食鳥処理場で二件、午後過ぎには翌日に屠畜される鶏が運び込まれて長時間放置をされているという状況は相変わらずやはり現存しております。この四回の調査で四回とも前日から放置をされているということが確認されておりまして、やはり改善は現在の状況でも進んでいないと言わざるを得ない状況であると思います。

 せっかく今までになかった通知を出されたということでございますので、半年たちました、この現場にその声は届いていないのが現状でございます。

 そこで、農水省に伺いたいんですが、まず、私が指摘した現場の実態を把握、認識されているかどうか、そしてまた、そのことを踏まえて今後改善に向けてどのような取組をされていくのか、また、いつまでに解決するなど、具体的なお答えがあればぜひ答弁をお願いいたします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、食鳥処理場で夜間を中心に成鶏が長時間放置される、こういう状況を防止、改善したいということで、農林水産省では、平成三十年の三月に、関係団体等に対しまして成鶏の計画的な出荷を促す旨の通知を発出するとともに、食鳥処理場を所管しております厚生労働省に対しても周知を依頼しているところでございます。

 農林省の方では、同通知の趣旨を周知徹底するために、関係団体に対しまして広報誌により通知の内容を紹介するよう働きかける、また、生産者団体なり成鶏処理事業者団体との間での意見交換を通じて、計画的な出荷の必要性についての共通認識を醸成する、こういう取組を進めてきてございます。

 また、食鳥処理場での実際の食鳥の保管状況について、厚生労働省が調査いたしました。この中で、通知を受けまして、養鶏業者との間で出荷計画を調整して改善した食鳥処理業者がある一方で、一部の食鳥処理業者においては、養鶏業者との間で計画的な出荷の調整が困難であるというふうな状況もあるというふうに認識をしてございます。

 現在、このような調整が困難とおっしゃっている処理業者の状況の詳細について、厚生労働省の方で確認中でございます。その実態に応じまして、厚生労働省また関係団体とも連携いたしまして通知の趣旨のさらなる徹底を図っていきたい、そういうふうに考えてございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 この通達が出されたことについて、私ももちろんそうですが、動物福祉を広めたいと頑張っておられる団体の皆さんは本当に喜んでいたんです、今までそんなことはなかったと。ですので、これが徹底されることを我々も非常に願っておりますし、また、屠畜作業をされておられる方々の労務の負担軽減にもつながることだと思いますので、ぜひまた、情報の徹底、そして現状出されている通知の徹底の方をまたよろしくお願い申し上げます。

 そして、次に、畜産動物関係でいえば優遇されている方かなというふうに私は考えておりますが、牛に関してでございます。

 大切にされている方だと思いますが、しかし、平成二十八年度の農業災害補償制度家畜共済統計表によると、牛の関節炎や股関節脱臼などの運動器病による乳牛の死廃事故は二四・三四%、頭数に直すと二万一千八百六十六頭にも及んでいます。この数字には胎児というものは含んでおりません。恐らく、胎児を含めますともっと大きい数字になるのではないかなというふうに思っております。

 これを改善するためには、やはり、つなぎ飼いの廃止、そして、搾乳牛にあっても一定時間放牧させる必要というのがアニマルウエルフェアで科学的に示されているところであります。牛というのは体重が七百キロありますので、その牛を運動もさせずに本来の十倍近い牛乳を搾るというのは非常に無理があります。

 私は、作業療法士というリハビリテーションの現場で十二年間働いてきました。関節の構造をやはり私たちは非常に重視しているわけですが、その観点から、皆さんに運動してくださいというふうに言うんです。歩くのが大事ですと言うんです。歩くことによって血液が循環し、関節を栄養することができる。だからこそ、運動してくださいということを我々は常に言うんですが、健康状態を保つために、よりよい乳牛を育てるために、やはり、運動というのは動物においても非常に重要であります。これが、北海道なんかはやはりそういったところが少ないわけです。吉川大臣の御当地でありますけれども、そういったところは非常に少ないんですが。

 ただ、そうは言っても、やはり全体で見ますと、つなぎ飼いというものをやっている、あるいはタイストールで飼育するという酪農場は、畜産技術協会の調査によりますと七三%に上ります。

 これはどういった形で飼育されているかといいますと、鼻輪でつながれて、そして、その下にコンクリートが敷いてある、あるいはタイストールというものが敷いてある。コンクリートの場合にはゴムマットが敷いてあるんですけれども、これは関節に影響するからということでゴムマットを敷いてあります。だけれども、この上に長く居座れば、体じゅうやはり褥瘡ができてしまうという状況があります。当然、関節炎はひどくなり、細胞が壊死してしまう。

 これに対して根本的な治療というのは、やはり、酪農家の皆さん大変お忙しいですから、ほとんどなされていないというのが現状でありますし、カウコンフォートを充実されたとしても、つなぎ飼いではアニマルウエルフェアは担保されないというのは科学的にも明らかになっております。

 つなぎ飼いというものが、関節炎や股関節脱臼、あるいは乳房炎や胎盤の停滞、あるいは細菌性の感染症や難産の原因になるということが明らかになっているわけでございます。これは、先ほど大臣の方から御答弁いただいた生産性にかかわることであります。

 そろそろこの日本においても、やはり科学的根拠に基づいた具体的なアニマルウエルフェアを推進する時期である。先ほどお話をさせていただきました二〇二〇年東京オリパラ、オリンピックもございます。そういった時代に我々日本も入ってきているのだよというふうに考えておりますので、ぜひこの点について御答弁をいただければと思いますが。

 現在、農林水産省が推進するアニマルウエルフェアの考え方に対応した畜種毎の飼養管理指針では、アニマルウエルフェアへの対応において最も重視されるべきは、施設の構造や設備の状況ではなく、日々の家畜の観察や記録、家畜の丁寧な取扱い、良質な飼料や水の供給等の適切な飼養管理により家畜が健康であることとありますが、つなぎ飼いあるいはバタリーケージ、拘束飼育などの構造や設備を改善する方向性はいまだにないのでしょうか。

 また、つなぎ飼いやバタリーケージ、拘束飼育でも、アニマルウエルフェアがいい状態に保てると考えている場合には、その根拠もお示しいただければと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 OIEの指針では、施設につきまして、水はけがよく快適な休息場所が必要であること、また、牛体の損傷を予防するため鋭利な角及び突起がないことにすること等が求められておりまして、若干先生と認識が違うかもしれませんが、つなぎ飼いそのものがOIEで否定されているというふうには理解してございません。

 そういうOIEの考え方も踏まえまして、我が国の飼養管理指針におきましては、つなぎ飼いを行う場合には、「牛が困難なく起立・横臥・身繕いができるように配慮し、正常な姿勢がとれ、頭が自由に動くこと等が必要である。」そういうふうに記載しているところでございます。

 このようなOIEの指針また飼養管理指針につきまして、今後とも生産者の理解を得ながら推進してまいりたいというふうに思います。

 また、先生から御指摘ございましたつなぎ飼いに対する考え方でございますが、御指摘いただきましたとおり、アニマルウエルフェアの観点から見ますと、行動が制約されますので、運動不足に起因する関節炎だとか睡眠不足、そういうふうになりやすいという面がございます。

 他方で、牛の能力とか状態に合わせた個体管理が行いやすい、牛同士の闘争とか競合が少ない、そういう意味では、放し飼い等にあるそういう問題は起こりにくいという観点もございます。

 そういう意味からしますと、さまざまな観点があるんだろうというふうに認識をしてございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 酪農家の皆さん、今現状、ただでさえ本当に大変な業務をされておりますので、非常にそういったところのバランスをとっていかなければいけない大事な問題ではあると思いますが、OIEからの指摘もありますとおり、アニマルウエルフェアという観点からすると、やはり生産性の面からいっても、コストが大きくなってしまうということに中長期的には直結してしまうという問題でありますので、ぜひ改善の方向で、放し飼いとは言いません、せめてつなぎ飼いに対する是正はお願いしたいところでありますので、よろしくお願い申し上げます。

 そうしましたら、時間も押してしまいました、どうしてもアニマルウエルフェアのことについて話をすると長くなってしまうので、質問通告を幾つかちょっと飛ばさせていただきまして、もともと私がやっていた、ライフワークとして取り組んでいた点と、そして、これから日本において必要であると考えている食品ロスの削減に向けてのことについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、もともと、フードドライブという活動を、議員に当選させていただく前から取り組ませていただきました。このフードドライブという活動は、日本ではなかなかまだ耳なれない言葉かと思います。しかし、今現在、生活困窮者の方への食料支援ということで、いわゆる食べられるんだけれども捨てられてしまうという食材を皆さんから集めて、そしてそれをフードバンクさんに届けていく、こういう活動がフードドライブという活動でございまして、欧米では非常にスタンダードになってきております。

 もったいない、食べられるけれども捨てられてしまう、この食料というのが日本は非常に多くありますので、これに向けた、食品ロスの削減について、ICT技術、これと連携した取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 ICT、つまり、情報通信技術革命を迎えた現在の情報化社会ならではの食品ロス削減は、これからも十分課題として検討されるべきだというふうに思っております。

 一般財団法人の日本気象協会は、高精度の気象予測データと販売データなどのビッグデータをAIなどの最新技術を使い解析することで、未来に必要な物の量を予測する商品需要予測サービスの提供を行っております。

 平成二十九年度の食料・農業・農村白書では、同協会が平成二十八年度に豆腐製造業者、小売業者とともに行った食品ロス削減の実証実験を紹介しております。

 この実証実験は、私の地元、群馬県でございます、ザクとうふ、皆さん御存じでしょうか、ザクのパッケージに入っている、ザクというとガンダムのザクなんですけれども、ザクとうふ、これは余りに有名なんですけれども、豆腐業界の革命児である相模屋さんというお豆腐屋さんがあって、私も何度かお邪魔させていただいておりまして、先代とは懇意にさせていただいているんですが、前橋市にございますザクとうふで有名な相模屋さんが、なめらか木綿という名称の豆腐を対象に行われました。

 まず、同協会が、相模屋さんと特定の小売業者の知見を踏まえて、気象データとAI技術を活用して、出荷二日前の時点で豆腐の販売数を予測するんです。そして寄せ豆腐の豆腐指数というものを考案しました。そして、小売業者が寄せ豆腐の豆腐指数に基づき出荷二日前の注文を試行したところ、需要予測の精度がこれまでよりも向上し、また、相模屋さんも注文を受けてから製造数を設定できるようになったことにより、製造数の予測誤差がほぼなくなったんですね。これにより、豆腐製造業者の相模屋さんでは、豆腐の廃棄はほぼゼロになったと。これはすばらしいことだと思います。

 食品製造業や小売業において、気象予測データやAI技術を活用し食品ロスの削減につなげる、こうした取組が今後更に広がることを期待しております。

 そこで、このプロジェクトは、経済産業省の二〇一四年から二〇一六年度の次世代物流システム構築事業費補助金の採択事業であると承知をしておりますが、食品ロスの削減につながる新しい技術の開発や、気象予測データやAI技術の利活用などに、農水省は今後どのように関与していくのか、お伺いをしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 食品ロスの削減は非常に重要な課題であるというふうに認識をしております。特に、豆腐やパン、総菜商品など、賞味期限が短く日々生産する商品につきましては、天候や曜日、特売、来店客数の影響を受けやすく、製造、小売それぞれの段階で廃棄が発生をいたしております。

 今御紹介いただきました日本気象協会と豆腐事業者との実証事業のほかに、季節性の高いもの、季節の麺つゆといったものにつきましても気象協会が実証事業を行っておりまして、在庫を二〇%削減したということを聞いているところでございます。

 また、清涼飲料業界は、業界全体として、気象データを活用して物流拠点における在庫の事前調整を行うことで、配送の最適化やコストの削減につながることを確認したところでございます。

 こうした各種データを用いました取組は、食品のロスの削減のみならず、労働生産性の向上にも有効でありますことから、農林水産省といたしましても、食品業界に周知するとともに、活用を促してまいりたいというふうに考えております。

堀越委員 ぜひお願いします。これは本当にすばらしい取組であるというふうに思います。

 ビッグデータ、季節ものの消費のデータ、これを更に進めていくというお話もありましたが、やはり今、食品ロス、日本では大きな問題となっていまして、今、全体で年間六百二十一万トン捨てられている。世界が求めている、国連世界食糧計画が定めている食糧援助量というのは約三百二十万トンですから、世界が求めている食糧援助量の二倍を、我が国は食べられるのに捨てられてしまう。これはもう全面的に支持をしますので、ICT技術を食品ロスの削減に向けた取組をしていただければというふうに思っております。

 この相模屋さんはほかにも本当にすばらしい取組をされていまして、お豆腐から出てくるおから、このおからを、地域の廃棄物を扱う業者さんと提携をして、そこに乳酸菌を添加し発酵させて、豚の飼料を作成する。豚の飼料を作成したらば、農家にそれを回して、それで豚を育て、そして、その豚肉と地場産のうどん粉と一緒にあわせて、肉うどんという形でお店をやったりしているんですね。非常に循環型の形成ができている。こういうところも農林水産としてはしっかりと応援をしていただけるとありがたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

武藤委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 おはようございます。立憲民主党の神谷裕でございます。

 きょうもまた質問の時間を頂戴いたしましたことを、まずもって御礼を申し上げます。

 また、時間がたってしまいましたけれども、武藤委員長、まずは御就任おめでとうございます。本当に大切なこの農林水産委員会の委員長として辣腕を振るっていただけることを、心からお願いを申し上げたいと思います。

 また、同じ北海道でございます吉川大臣、これからも御指導をよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 小里副大臣、濱村政務官におかれましても、どうかお力をおかしいただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 まず、私、北海道選出でございます、北海道の話をさせていただきたいと思います。

 ことし、特に私の地元でございます北海道、全ての農作物、実なりが余りよろしくございませんでした。お米についてもそうでございます。そしてまたタマネギや小麦、ソバなど、本年は、天候もそうでございましたけれども、災害などもございまして、全て厳しい状況だったというふうに承知をしてございます。

 もちろん農業でございますから、おてんとうさまを相手に仕事をする。結果として、豊作もあれば凶作もある、そういうようなことは仕方のないことではあると思います。しかし、今回のような、幾つかの大きな災害であるとか天候によるもの、こういった不作に対しての支援のあり方、これがやはり大事だなと思いますので、まずは大臣に伺いたいと思います。そういった支援のあり方についてお願いしたいと思います。

吉川国務大臣 今、神谷委員から、具体的にどのような作物がという御指摘はございませんでしたけれども、北海道は、ことしは天候不順等々にもよりまして、まずは米が作況指数が悪かったということもございます。またさらに、野菜に関しましても、一部、長雨等々によりましてできが悪かったということも聞いております。さらには麦とか、そしてまた豆類に関しましても、これは物すごく天候にも左右されますので、少しくできが悪かった、作付した割には悪かったということもございます。一方では、例えばタマネギ等々に関しまして、オホーツクの方、北見の方は、本当に、ここのところ続いていた天候不順がことしは回復をしてできがよかったという、そういったお話も聞いております。

 御指摘をいただきましたことにつきまして、自然災害による収穫量の減少を補償する農業共済制度というのがございますが、今私が申し上げましたようなことはその対象となっているところではないか、こう思っております。

 被害の確定後、まだ全てが確定したということではないと思いまするけれども、確定後、共済金を早期に支払うように共済団体を指導してまいりたいと存じております。

 また、来年以降、収入保険というものもございますので、そういったことを多くの皆さんに御利用いただけますように、加入促進を進めていきたいと考えております。

神谷(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 今言及はなかったんですけれども、例えば空知で申しますと、ソバなんかも結構ひどうございまして、これは台風二十一号の被害なんかもございました。深川であるとかあるいは幌加内、こういったところが大きくやられたということはもう大臣も御承知のとおりでございます。そしてまた、空知においてはタマネギなんかも小ぶりでございまして、本当に農作物は厳しい状況にあるというようなことでございます。

 今、大臣からも共済についての言及がございました。このほかにも収入減少影響緩和対策とかさまざまあるんだろうなというふうには思いますけれども、まず共済でございます。

 特に水田というか米についてなんですけれども、ことし、空知地域全体で大体九〇ぐらい、あるいは、地域で聞いていますと八七であるとか八六なんという地域もあるというようなことでございまして、これは大変厳しい作でございました。そこで、やはり農業者の皆さんから見たら、共済というものをまず頼りたい、共済があるからというふうに思うんですけれども、実際にどうかといいますと、共済にかかるかかからないか、大変に微妙なラインであるというようなことを聞いております。

 実は、何でかなということをいろいろと農業者の皆さんを含めて調べてみました。そうしますると、共済における基準単収が想定以上に低かったというような言い方でございました。特に、ここ七年間、大変な豊作というか比較的順調でございましたので、どちらかというと、そういったところに目が行っていなかったというようなことで聞いております。

 この基準単収についても、統計のとり方にもよるんでしょうけれども、昭和五十年代からの統計によって基準が算定されているというような状況も聞いておりまして、その後、米の品種が変わったり、あるいは栽培技術の向上などもあって単収も上がっているんですけれども、そういったものが実勢として反映をされていないというようなことも聞いております。その結果、実際の単収で見たときに一俵以上違うというような農家の方も結構いらっしゃいまして、それが今回の、共済に当たらない、その重要な原因じゃないかというような指摘もいただいております。

 とすれば、今、この基準を実勢に合うように転換するべきではないかと思うのでございますけれども、お考えはいかがでございましょうか。

大澤政府参考人 技術的な話ですので、まずお答えさせていただきます。

 水稲共済の基準単収につきましては、まず最初に見る数字は、その地域地域の、もっと言えば圃場圃場の過去の実績に基づく平均的な単収でございますが、それを農林水産統計の平年収量に応じて調整する、こういう仕組みをとっております。

 もともとの圃場ごとの平均的な単収というのは、地域によって大分違いますが、北海道の場合には、過去七年中極端なものを除いた五年であるとか、五年中三年であるとか、そういうような、なるべく現状に合わせる数字をとっております。

 平年収量自体も、これは五十四年産という御指摘もございましたが、確かに、十アール当たり平年収量につきましては五十四年産以降の十アール当たり収量をベースにしておりますけれども、これについても気候等々によっていろいろな補正を行っておりまして、そういうふうに、なるべく合うようには努めておりますけれども、特に豊作が続いたときにはそういう違いがあるということもまた事実でございます。ただ、不作が続いたときには、平年収量は安定しておりますので、逆に農家にとってはプラスになるということがありまして、この仕組み自体がその年々によって有利、不利は違ってくるという状況ではないかと思います。

 ただ、そういうような、特に最近豊作が続いているということもありまして、我々としても、やはり、より実態に即した単収設定というのもオプションとして、選択肢として持っておくことは必要だというふうに考えてございまして、以前からありますものとしては、農業者の収穫量がJAへの出荷データによって把握できる場合には、その農業者の出荷データの五カ年中中庸三カ年平均、こういうように設定することもできることになっております。

 また、今般の農業共済制度の改正によりまして、JAだけではなくて、JA以外への乾燥調製作業の委託データ、これも使えることになっておりますし、それから、青色申告の中で収穫量を出しているときもありますので、そのデータも使えることになっております。

 我々としては、先生の御指摘も踏まえまして、いろいろなオプションがあるということはもっと農業者の方々に理解して選んでいただくということが大事かなというふうに思っております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 今お話をいただいたとおり、いろいろなバリエーションがあるということが現場には余り伝わっていないんじゃないかなと正直思っております。そういったところで今回の結果があったものですから、当然、地元の共済の皆さん方とお話をされます、そして出てきた紙を見て、自分のところの基準単収はこうなんだと、そこで初めて愕然としているという現状にあります。それがまた、人によっては八十キロも実態と離れていたというようなことも聞いておりまして、こうなりますと、うわあ、これはまた、これだけひどい状況なのに共済に当たらないんだということで、結構愕然とされている方が大勢いらっしゃいました。

 そういった中で、基準単収の話もそうです、基礎単収もあるのかもわかりません、いろいろなとり方はあるんでしょう。ただ、そうはいいながら、実際に、共済というのは非常に、大臣にもお話しいただきましたとおり、農業者にとって不況時の本当に支えになるものでございますから、もし多様なバリエーションで救えるというようなことであるならば、そういったことをしっかりと農業者の方にも啓蒙していただきたいと思いますし、また、共済の方にもしっかりと御説明をするように促していただいて、なるべく多くの方が救われるように御尽力をいただけたらと思う次第でございます。

 このほかに、先ほども申し上げましたけれども、共済制度以外にも、例えば収入減少影響緩和対策であるとかさまざま支援策はあるのかなと思っておりますけれども、今回、先ほどお話をしましたとおり、米ばかりではなくて、小麦やあるいはタマネギやさまざまなものが本当に悪い年でございますので、恐らくこれは今回適用になるんじゃないかなというふうに思っているところでございます。

 しかし、この適用に仮になったとしましても、交付は来年の五月ぐらいになるというようなことじゃないかなというふうに思っておりまして、実際には、もう大臣も組合員勘定は御存じだと思いますけれども、農家の場合、年末に経理を締めるというような特性もございます。そうしますると、翌年五月に交付金があるからということは十分理解はしますけれども、この年末を越す、年を越すということが、農業者にとってはなかなか厳しいものになってくるわけでございます。

 特にこの七年間、農業者は、非常に状況がよかったこともありますので、比較的よい年が続いたものですから、機械投資も結構進んでおりますし、あるいは規模拡大も、この七年間一生懸命やってきていただいております。そういった中ですと、当然、償還しなければいけない負担も大きくなっているんです。

 やはり農家のそういう背景もありますので、ことししっかりと年を越していただくための越年対策といたしまして、せめて金利の減免措置などを含めた、例えば金融上の措置等をお考えいただきたいと思うのでございますけれども、これはいかがでございましょうか。

濱村大臣政務官 今、金融上の措置について、越年対策として考えられないかという御質問でございましたけれども、年末につきましては、例年、肥料や農薬等の支払いが集中する時期でございまして、特に不作の年などは農業者が資金繰りに不安を持つというところについては十分理解するところでございます。

 農林水産省といたしましては、御指摘も踏まえつつ、農業者の資金繰りの状況をしっかりと見ながら、農業者からの相談にきめ細かく対応するなど、柔軟な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震、そして台風二十四号の被災地域につきましては、系統金融機関等に対する償還猶予の要請や公庫資金等の実質無利子化などを実施しておりまして、農業者の資金繰りの円滑化に努めているところでございます。

神谷(裕)委員 政務官、ありがとうございます。

 おっしゃられるとおりで、災害については割とすぐに通知も出していただいているところなんですけれども、不作のときは、確かに先行例として、出していただいているというようなこともあるようですし、今回もいろいろと御配慮を考えていただいているとは聞いているんですけれども、不作の場合、なかなか、すぐにということになっていなかったような背景も聞いております。今回は本当にひどい状況でございますので、その辺の配慮も含めてどうかお願いをしたいと、重ねて申し上げたいと思います。

 今申し上げましたけれども、米、北海道は大変ひどい状況でございました。そういった状況の中で、ことしの全国の作況を見てみますと、九九というふうに聞いております。しかし、中身を見てみますと、北海道、主産でございますけれども、これは非常に悪かったです、九〇ぐらいですね。あるいは新潟や秋田、こういった主産県では軒並み状況は悪かった、どちらかというと不作というような傾向を示したというふうに聞いております。

 しかし、それであっても、全体で見れば九九ですから、理解はできなくはないんですけれども、何より、こういった主産県がだめであるのにもかかわらず九九である、やはりこれはおかしくないかな。あるいは、市況も意外と不足感もないし、価格も安定をしているというような状況だと聞いております。

 とするならば、もし新潟、秋田、北海道、こういった力のあるところが普通に米がとれていたらどういう状況になっていたのかな、これはやはりちょっと怖い状況だったんじゃないかなというふうに感じてしまうわけですけれども。特に、普通にとれていただけでも大幅な供給過剰になっていて、あるいは、生産数量目標の配分がなくなった一年目にして大きな問題が起こっていたんじゃないかとも、ちょっと心配になるわけです。

 そういったところから、こういった懸念を含めてどうなのか、この辺を伺いたいと思います。

吉川国務大臣 三十年度産の全国の主食用米の作付面積でありますけれども、前年度百三十七万ヘクタールとおおむね同水準の百三十八・六万ヘクタールとなったところでございます。

 これは、もう神谷委員も御承知のことと存じまするけれども、各産地において、主食用米の需給状況や輸出への関心の高まりを踏まえ、飼料用米や備蓄米から主食用米や新市場開拓用米への転換が判断されたことによるものと考えております。

 農林水産省といたしましては、三十年度以降も、需要に応じた生産を促すことはもちろんでありまするけれども、米の需給及び価格の安定を図ることが最も重要であると認識もいたしておりますので、三十年産の水田における作付状況の検証を行いつつ、三十一年産に向けて、一つは、需要に応じた生産に向けた作付方針を検討する重要な役割を担っていただいております農業再生協議会に対しまして、円滑な業務遂行に必要な支援を行ってまいりたいと存じております。

 また、しっかりと予算を確保して、水田フル活用なども更に推進をしていく必要があろうかと思っております。

 三つ目でありますけれども、需要見通し等の一層きめ細かな情報提供ですとか、事前の契約等の拡大に向けた働きかけを行うことも大切であると考えておりますので、これらによりまして、安心して需要に応じた生産に取り組めるように努めていく必要があるのではないかと強く認識をいたしております。

神谷(裕)委員 先般、佐々木委員がここで質問した際に、大臣は、心に強くしみたというような言い方をしていただいたと思います。そのときに、あわせて、この平成三十年産の状況についてはしっかりと検証するというようなことも言っていただいたと思います。

 そういった意味において、まさに本当にしっかり検証しなければ、本当に大変なことになるんじゃないか。特に来年、大丈夫なのかというような不安が正直いたしております。

 そういったことを払拭するという意味においても、平成三十一年産、どういうふうになるのか大いに心配されるところでございますけれども、中には、新潟ですか、面積をふやすというような報道も聞いておりますし、恐らく首都圏でこれまでもいっぱいつくってきたところは同じようにつくってくるんだろうと思うわけでございますが、そういった状況だと、やはり平成三十一年、心配だなというふうに思うんですけれども、三十一年産の米の作付面積についてどういうふうに見ておられるのか、伺いたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 平成三十一年産の都道府県の作付動向についての御質問をいただきました。

 まずもって、三十年産からの米政策の見直しにおきましては、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、産地、生産者が中心となって需要に応じた生産、販売を行うことができるようにしたところでございます。

 こうした中、今ほど大臣からも申し上げましたけれども、都道府県や市町村、農業団体、担い手から構成され、各産地ごとに設置されている農業再生協議会、これにつきましては、これまでと同様、需要に応じた生産、販売に向けまして、地域の水田においてどのような作物をどれだけ作付けるかを検討する重要な役割を担っていただいておるところでございます。

 現在、各地の農業再生協議会におきまして、三十一年産に向けた作付についての検討が行われている最中でございまして、農林水産省といたしましては、需要見通しや価格動向等についての一層きめ細かな情報提供等を行うことなどを通しまして、各産地の検討の進捗を促してまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 いろいろなお話をいただいたんですけれども、やはりちょっと心配なんです。この十一月、十二月にかけて適正生産量が示されるであろうと思いますし、各都道府県に対しても、再生協を通じていろいろな配分なんかもされていくんだと思います。

 そういった意味で、各地に配分される目安についてどういうふうに考えていくのか、これは大臣にお伺いできますでしょうか。

吉川国務大臣 平成三十年度産水稲の十月十五日現在の概況でありますけれども、全国の作況指数で、これはもう先ほどからお話がありますように、九九でございます。主食用米等生産量が七百三十三万トンと、三十年産需給見通しの生産量七百三十五万トンとおおむね同水準となる見込みでございます。

 これを踏まえて、今後の需給について、直近の需要ですとか価格の動向のほか、人口減少といった社会構造の変化も踏まえて検討をしております。平成三十一年度産米の生産量の見通しも含めて、今委員からもお話がございましたように、本年十一月末の米穀の需給及び価格の安定に関する基本方針の策定に向けて、今精査をしているところでございます。

神谷(裕)委員 今精査をしている途中だというお話がございました。

 ただ、今、前段、平成三十年産についてもお話し申し上げましたけれども、かなり、このままいったら厳しいんじゃないか、大変な状況になるんじゃないかという私の思いはございます。そしてまた、恐らく農水省の中にも同じような認識があるんじゃないかなと思っているところでございますが、この先また需要見込みを考えたときに、供給をどれだけ減らしていくのかという話になると思います。あるいは、深掘りが必要かもしれません。

 しかし、今、ある意味自由につくっていいよという政策でもございますし、もちろん、いろいろなアドバイス、あるいは、これくらいつくってくださいというような話もあるんでしょうけれども、実際にそういうことを強制力を持って、あるいは、強制力はないにしても遵守させるための政策手段、これを今農水省は持ち合わせているかなというと、実はそれほど多くないんじゃないかなと思っております。

 例えば水田活用、こういったものがあると思うんですけれども、予算、この八月の概算要求を見ていると、昨年と同じ金額だったかなと思っております。とすると、もしも深掘りをするということであれば、それ以上にやはり予算というのをしっかりつけていただかないと、例えば前回のように、去年ですか、最終的に控除されてしまって、満度当たるかどうかわからないような状況になってしまった、大変に不安になった、そういうような状況もございます。

 そういったことも含めて、予算上のことも含めて、大臣、御決意をいただけたらと思いますが。

吉川国務大臣 御指摘をいただきましたように、米政策改革の定着を図るためにも、水田活用の直接支払交付金による飼料用米を含めた主食用米以外の作物への支援を安定的に実施していくということが大変必要であろうかと存じております。

 私どもといたしましても、今後とも、農業者の方々が飼料用米など主食用米以外の作物への生産に引き続き安心して取り組むことができますように、必要な予算をしっかり確保してまいりたいと存じておりますし、高収益作物等の拡大を推進する支援という意味からも、ただいまの御指摘に対してしっかり取り組んでいきたいと思います。

神谷(裕)委員 本当に、飼料用米、大事な取組だと思います。ただ、北海道では、技術的、あるいは、なかなか収量もとれないということで主食用米に戻った方もいると聞いています。そういった方々が、せっかく飼料用米に取り組んで、また主食用米に戻らなきゃいけないというような状況はぜひ回避したいと思いますし、そういった意味で、今後も農林水産省さんから御支援、御助力をいただくことをお願いして、私の時間が参りましたので、質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也と申します。この手形で能登半島とイメージをしていただければと思います。

 きょうの一番最初で西田昭二さん、今はまだ来られておりませんけれども、西田昭二さんと同じ選挙区で、西田さんは昔は瓦力さんの秘書をされていまして、私が学生時代、瓦さんの事務所に出入りをさせていただいていたということもありまして、本当に縁深いなという思いでございます。

 今はこの能登半島を代表する二人として、一次産業が一番大事なんだと、こういった地域の二馬力として、一緒に力を合わせて頑張っていきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 さて、私も、この能登半島、先日は山のお話、イノシシのお話、そしてため池のお話をさせていただきました。

 きょうは、先週にも少し引き続いて大和堆のお話もさせていただきたいと思いますが、やはり海にかかわるところ、これは私たちにとってみれば、文化そのものであります。朝鮮半島から、人の交流というところも含めまして、今でもお祭りでは、半島地域、また大陸地域とのつながりが見てとれる部分もたくさんあります。海は文化そのものです。そして、私たちは海の幸というものをいかに季節折々で取り入れてきたかということで、少しだけ、外部の方にこのように説明をしています。

 今、私が石川県とはどういうところですかと聞かれたときに、ブタイフカアカアと言っています。ブタイフカアカア、これは勝手につくった言葉なんですが、仲代達矢さんが毎年新しい舞台をされるたびに、能登演劇堂というところがあります、ここで必ず新作を発表していくということで、舞台ということがあるんです。

 ブタイフカアカアというのは、まず、ブはブリです、タはタラ、イはイカ、フはフグです。カアカアは、カニ、アはアワビ、そしてもう一つのカはカキ、そして最後のアはアンコウです。ブタイフカアカア。

 ちなみにですけれども、ブリ祭りというのは能登町というところでありまして、これは一月にあります。

 そして、タラ祭りというのは、タラ御膳なんですが、二月に船を出すときに起舟祭というのをします。タラ御膳ということで、さあ漁が始まるぞというタラ御膳祭り、タラ祭りというのがあります。

 そして、イ、これは、きょうもお話しさせていただきますが、イカす会というのがあるんですね。これは五月にしています。このイカす会をしてから大和堆へのイカ漁に出ていく。これがイカ祭り、これは五月です。

 そして、フ、フグ祭りは十月です。

 そして、カニ祭りは、今まさに、先週は輪島市、先々週はかほく市というところでカニ祭りがありました。

 そして、カアカアの次のアはアワビ祭り、これは夏です、七月。先ほど舳倉島のお話が西田さんからもありました。

 そして、カ、カキ祭り、これは大体二月です。七尾市と穴水町というところにあります。

 そして、最後のア、アンコウ、これは寒い時期ということで、一月、珠洲市というところであります。

 各市、町ごとで海の幸のお祭りがあるというのが、私たち海の民、山の民のこの能登半島地域というところでございます。それだけ海を大切にしているということをぜひとも皆様に知っていただきたいなと思います。

 そして、その上で引き続き、大和堆における北朝鮮違法船籍の問題について、ちょっと先週の残りというところもありまして、お話をさせていただきたいと思います。

 海上保安庁さん、水産庁さん、それぞれお越しいただいていますが、先ほどもお話がございました、どれだけ船が来て、警告を発して、放水して、追い払ったかという数字について、まず、水産庁さんからお話をお願いいたします。

長谷政府参考人 水産庁漁業取締り船の分でございます。本年当初から十一月二十日現在までの間、延べ五千二百八十五隻の北朝鮮漁船等に退去警告を実施しております。

近藤(和)委員 済みません、もうちょっと詳しく。先ほどは退去警告。さらには、放水をした、そして出ていった、漁具の回収も含めて、そこまでお願いいたします。

長谷政府参考人 失礼いたしました。

 五千二百八十五隻の退去警告を行ったわけでありますけれども、このうちの二千五十七隻に対して放水を実施しております。

 また、漁期初め、流し網の違法漁船があって、それが退去警告によって退去するときに漁具を残していったものということなんですけれども、延べ四十件の漁具回収ということでございます。

近藤(和)委員 もう少し詳しくお願いいたします。

 実際に放水をして警告をした。警告だけで出ていった船もあると思います。そして、放水をして出ていった船もあると思います。その数字についてお願いいたします。

長谷政府参考人 放水をしながら退去させたのが、結局二千五十七隻ということになります。放水を伴わないものも含めまして、五千二百八十五隻の漁船を退去させたということでございます。

近藤(和)委員 二千五十七隻を放水をした、かつ追い払った。五千二百八十五でも、警告はしたけれども出ていっていない船もあるんじゃないですか。

長谷政府参考人 これは、警告しますと、直ちに、急いで出ていくやつと、渋々行ったり、そういうことはありますけれども、基本的に、警告しまして退去させた数でございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 ここを私は詳しくやるつもりはないので。ありがとうございます。

 それでは、海上保安庁さん、巡視船のところからでお願いいたします。

星政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁では、我が国EEZ内に侵入し、大和堆周辺海域に近づこうとする北朝鮮漁船に対し、本日までの時点で延べ千六百八隻に退去警告を行い、そのうち五百七隻に対し放水を実施し、全ての漁船を我が国EEZの外側に向けて退去させております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 千六百八に五百七で、千六百八全てという認識で。ありがとうございます。

 ちなみに、海上保安庁さんと水産庁さんは、水産庁さんの方が数字が大きいですが、内数なのか別枠なのか、どちらなんでしょうか。

長谷政府参考人 それぞれの数字ということでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 なぜこういうことを聞いたかといいますと、先週、この場で質問させていただくときに、それぞれにお越しいただいて、質問レクという形で数字をお聞かせいただきました。そのときに、私は、海上保安庁さんから数字を聞いて、当時は千五百隻という数字を聞いたと思います。去年が千九百隻程度ということも聞いています。

 ということなんですが、やはり直接の、船長さんから、生身で見た方から、とんでもない、去年どころじゃないという話を聞いていたんですね。

 先週は稲津さんもお話をされましたが、漂着船、もう既に昨年を超えてきています。どんどん船が流れ着いてきています。このことはきょうは詳しくはいたしませんが、実際の皮膚感覚として、実際、私は現場に行っているわけではないんですけれども、現地に行かれている方の感覚からすれば、当然ながら昨年の水準を超えているだろうと。昨年も過去最高だと思いますが、ことしも過去最高水準にいっていると思ったんです。

 海上保安庁さんのお話を聞くと、この千五百隻ということに対して、ちょっと違和感があるなと思ったんです、去年千九百なのに。そして、その際、先週質問させていただいたときには、海上保安庁さんの数字は、これは過去最高ですよね。

 参考までに、去年は、海上保安庁さん、何隻警告を発して、何隻追い払ったんでしょうか。

星政府参考人 お答えいたします。

 昨年の実績につきましては、退去警告千九百二十三隻、そのうち三百十四隻に放水を実施してございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 次は水産庁さん、いかがでしょうか。

長谷政府参考人 申しわけありません、ちょっと手元に昨年の数字、今すぐ出ませんので、また後ほど。

近藤(和)委員 ことしは昨年よりも多いという、過去最高だということは間違いありませんよね。

長谷政府参考人 数字的には去年より多いということでありますけれども、取締り船の配置ですとか、何というんでしょう、資源量とは違いますので、そのまま船の数ということには必ずしもならないと思いますけれども、退去件数としては昨年より多いということでございます。

近藤(和)委員 なぜこういうことを聞いたかといいますと、頑張っていらっしゃることは十分私も承知しております。そこは本当に敬意を表したいと思っています。

 その上でなんですけれども、ことしの五月、六月、七月という段階で、前もって最前線のところにまで、大和堆のところにまで出ていっていただいて、そして追い払った、船がいなくなったということを各マスコミに報道されています。それも一つの成果だったとは思います。

 けれども、私の問題意識とすれば、水産庁さんは、過去最高の、北朝鮮の、まあ北朝鮮と限定できないですけれども、違法操業を確認して、警告をして水で追い払ったということは言われていましたが、海上保安庁さんの数字が去年より少ないということは、ことしの夏場のシーズンで、よしよしということで船を減らした、そういうことがあっては私は悔しいことだと思うんですけれども、こういうことをしていただきたくないと思っているんです。

 このことについて問題意識があるんですが、いかがでしょうか。

星政府参考人 お答えいたします。

 海上保安庁におきましては、昨年より一カ月以上早い五月下旬から、大型巡視船を含む複数隻の巡視船を現場に配備させ、水産庁と連携をして外国漁船への対応を強化しているところでございます。

近藤(和)委員 五月、六月の段階では昨年より早くということなんですが、追い払った後ですよね。後はイカも移っていきますので、日本の船も外国の船も武蔵堆に向かっていくわけじゃないですか。そのときに、やれやれ、よかったよかったということで、日本列島、広く長いのはわかりますけれども、この秋のシーズンに向けての準備が、同様に、昨年以上の準備がそもそもできていたのか。

 できていれば、私は、今の段階で、追い払ったという数字が昨年よりも上回っているんじゃないか、それがもうちょっとできていれば、漁師さんたちの苦しみ、怒りというところは、いや、去年よりもっと頑張っていますよというところは言い切れると思うんですが、そこはいかがでしょうか。

星政府参考人 海上保安庁におきましては、大和堆周辺海域における北朝鮮漁船に対する退去警告あるいは放水、これを実施いたしまして、大和堆周辺海域への接近を防いでおります。

 そういった中で、現在におきましては、巡視船の姿を見ただけで退去する北朝鮮漁船がいるということも事実でございます。

近藤(和)委員 実際、逃げていないという話も聞くので。

 私の問いは、夏に入るシーズンと同様、若しくはそれ以上の船の配備、具体的な数字は言えないということは私もわかりますので聞きませんけれども、同じボリューム若しくはそれ以上でやっていますかという問いです。

星政府参考人 お答えいたします。

 同じボリュームでやっているということでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 そして、その上でなんですが、船そして飛行機、それぞれ海上保安庁さん、水産庁さん、ふやされた。これは大体時間がかかりますよね、つくられて現場に行くまで二年程度かかると思いますが、もっと、このほかにできることはないのかなというふうに想像をいろいろしてみたんです。

 実際には、この前の、外交努力だとか銃の装備も含めて、立入検査、拿捕、やるぞということも含めて、国際法のルールにちゃんと入れましょうよねという努力も含めて、やることはあるんじゃないかなと思うんですが、もっと安くて即効性がある対策があると思うんですが、何か考えられていますでしょうか。

長谷政府参考人 済みません、まず先ほどの、昨年の退去件数でございますけれども、五千百九十一件、水産庁分ということでございます。

 それから、先ほど来の話でありますけれども、日本海の境界ラインが長いわけであります。そこで、取締りの現場のことでありますので余り詳しくはあれなんですけれども、海上保安庁さんと分担しながら取り組んでいるということで、そういう中で、ことしは、昨年と比べると随分北の方に展開していたというようなことなものですから、その取締り努力と件数というのが必ずしも比例しない。多いところだけに集中すると、やはりほかから突破されるというようなこともあるので、そういうことを含めて連携しながら対応しているということであります。

 それから、今の御質問の取締り努力というところにつきましては、新しい船を建造するということになりますと二年とか三年近くということもあります、そういう中で、民間船のチャーターというようなことも組み合わせながら、やりくりやりくりしながら、そしてローテーションを組みながら、前線のラインを突破されないようにという工夫をしながら取り組んでいるというようなことでございます。

近藤(和)委員 一つ御提案なんですけれども、放水されていますよね、放水は効果があるという、何度か今まで答弁いただいていますよね。基本的に、それぞれの巡視船なり取締り船なりなんですが、放水の数、口数をふやしてはいかがですかということです。

 写真や動画を見ると、ほとんど一門なんですよね。門という数え方がいいかどうかわからないですけれども、前の方ですよね。今はもう数百隻来ているわけじゃないですか、広いところですからなんですけれども。一つの船に、前だけではなくて後ろにつける。そんな大層な金額じゃないですよね。時間も大してかからないですよね。船の前、後ろ、さらには左右でもいいと思うんです。横二門でもいいと思うんです。

 こういうことは検証されていますか。

星政府参考人 放水を安全に実施するということも必要なことでございます。

 そういった中で、多数の砲を持って、船を正確に位置取りをして放水するというよりも、一門に集中をして、距離を保ちながら正確に放水をして相手を威圧して退去させるということの方が効果があるというふうに我々としては考えておりますが、委員御指摘の点につきましても今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 私も船マニアじゃないんですけれども、いろいろな写真を見ていると、幾つか門がある船がありますよね。見ていたら、安全性を考えて真ん中の方で二つ三つ抱えているのもあるんですよ。

 そうなので、安全性、そして安上がり、そして早く装填できるという点も含めて、基本的には、多勢に無勢で本当に苦しい中、皆様が頑張られていることは、私もそこは責め過ぎちゃいけないなと思いますが、大臣、こういった形で、一つ一つのことでいろいろな想像力をめぐらせて、まだやれることは本当はあると私は思います。本当は何か石けんのようなものをまぜて滑らせるように、ただ、これは海洋汚染になるとか、いろいろなことを考えながらも、あれはだめだ、これはだめだという想像はしているわけですが、本当に多くの方々、漁師さんが日々苦しんでいらっしゃいますので、私たちは、その苦しみを共有して、いろいろなアイデアを出していって、できることをやっていくべきだというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、次に参ります。

 漁業者の収入減対策についてですが、こちらについての現状をお願いいたします。

長谷政府参考人 イカの問題ということでお答えいたします。

 近年の資源状況の悪化などもありまして、イカ釣りの漁業者の漁獲量は減っております。そういう中で、魚価の方、イカの値段の方はかなり上がっているというようなことがございますけれども、先ほども申し上げましたように、全体として、漁獲金額といいましょうか収入が減少した場合の対策ということで、漁獲共済というものがあるところでございます。

 漁具の被害だとかの話もあれでしょうか。(近藤(和)委員「はい」と呼ぶ)そのほかに、漁獲減ということ以外に、漁具被害ですとか操業妨害への対策ということがございます。

 水産庁といたしましては、日本海における外国漁船のこういった不法操業に伴って影響を受けている漁業者の経営安定、被害救済のために、韓国・中国等外国漁船操業対策基金事業というものがございます。その中で、漁具被害復旧支援事業、外国漁船操業等調査・監視事業、それから、先ほど申し上げました漁業共済の掛金助成事業、それから、漁海況情報配信事業による支援を行っております。

 外国漁船の不法操業によりまして、我が国漁業者の操業に重大な影響が生じているこの状況を踏まえまして、外国漁船操業等調査・監視事業において新たに、今議論になっております中型イカ釣り漁業者に対する支援を加えたところでありまして、北朝鮮漁船を含む外国漁船からの影響に対して支援を今後も適切に対応していきたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 これも前回質問させていただいたことの確認ですが、改めて、この資料の一を見ていただければと思います。

 上は長いチャートになります、六十年チャート。下は平成十五年からのチャートになります。実際にはこのデータは平成二十八年で切れていますが、昨年、平成二十九年は、二十八年よりも更に減っていますよね。五・四万トンですよね。そして、ことしに入って、昨年よりも更に二割から三割減っていますよね。

 私が心配しているのが、何でもそうだと思うんですが、数量と価格。農林水産にかかわるものというのは、逆相関の関係が基本的には働きやすい。たくさんとれれば安くなるし、少なければ価格が上がるし、それで何とかイーブンだったらいいよねという部分はあると思うんです。でも、数量がどんどん減っていきますと同時に価格は青天井で上がっていきますかといえば、そうじゃないですよね。食べない、買わない。

 ですから、この逆相関の関係がもう崩れてきているんじゃないかな。そうなったときに漁師さんの苦しみというのは、去年、おととしで過去最低水準ですから、価格の弾力性という言い方がいいのかどうかわからないですが、ここの価格調整的な部分は、私、もう働かなくなってきているんじゃないかということを心配しています。そうなれば、今までの対策ではもっともっと足らないというふうに考えるんですね。

 ここについての今後の方針、心構えということで結構なので、私はぜひともここは大臣に、今後どういう心持ちでいくんだということを答えていただきたいんですが、いかがでしょうか。できれば政治家に答えて……。

武藤委員長 先に、では水産庁長官から。

長谷政府参考人 委員からお示しいただいたように、漁獲が下がったときには価格が上がるということがありますけれども、それにも限度がある、消費者離れということがありますし、加工屋さんなんかももう対応できなくなってくるということで、全体的にダメージが漁業者にきいてくるということだと思います。

 根本のところでは、イカの資源の減少自体はかなり自然現象の部分が大きいので、難しいところはありますけれども、何とかそこを資源管理の中で底上げを図りたいというのがベースとしてございます。それから、やはり漁業の常で、いるものをとるという算段も考えていく必要があるというふうに思っているところです。

 全体として漁業経営、水産業の経営が安定するように取り組んでいきたいというふうに思っております。

武藤委員長 吉川大臣、補足はよろしいですか。

吉川国務大臣 水産庁長官がお答えをしたとおりでありますけれども、今、特に国内におけるスルメイカの漁獲量の減少ですとか国際的な需要増加に伴う原料価格の上昇によって、特にイカ加工業者の方々、加工原料の確保に大変苦労されている、そういう実態は私も承知をいたしております。

 本質的には、国産原材料の将来にかかわる安定確保を図ることが最も重要であろうかと思いまするけれども、さらに、適切な資源管理の取組等々も通じまして水産資源の維持、回復を実現していくことが重要だと考えておりますが、さまざまな施策を展開しながらしっかりと応援もしていきたいな、こう思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。しっかりと対応していくということも伺いました。

 その上で、大臣からも水産庁長官からも少し気になったのが、環境変化によってということを、これもたびたび聞いているんですが、これは漁師さんが聞いたら怒りますよ。やはり北朝鮮の船、韓国も中国も含めてですけれども、彼らががさっとイカをとっていく、イカの餌をとっていく、これが漁獲高の主因である。実際にはわからないですよね、本当の正確なところはわからないですが、環境変化という言葉にぜひとも逃げないでいただきたいと思います。

 そして、その上で、資源管理ということについても、いつ始まるかわかりませんけれども、今、漁業法の話が出てくる、本会議も一度やりましたから、その点では資源管理ということが一つの争点になりますが、日本の漁業者に資源管理をさせるよりも前に、日本の漁場から海外の船を追い払う、来ないようにする、これがまずは第一歩の資源管理だと私は思います。そこの認識はぜひとも強く持っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、その上でですが、私の地域にある小木というところ、日本で最大のイカ釣りの町だと言われたところですが、少しその町の情景を申し上げますと、能登半島はリアス式的なところは少ないんですが、小木というところは比較的そういったところです。トンネルに囲まれて、トンネルを幾つかくぐり抜けると小木という町に着きます。トンネルを抜けて山を下っていくと、郵便局があって、商店街があって、海があってといった地域ですけれども、この地域で、例えば八百屋さんもあります、薬屋さんもあります、漁具屋さんもあります、電気屋さんもあります、加工業者もあります。やはり漁具屋さんや加工業者の方々、そしてさらには船の修理をするところ、こういったところも含めて、本当に水産業で町が息づいているんだなと感じます。

 先週も先々週もお邪魔いたしましたが、やはり皆さん元気ないんですね。もうやられっ放しというふうなイメージが残念ながらありますので、いや、そうじゃないんですよということも私も言ってはいますが、今改めて、特に加工業者の方々の痛烈なる悲鳴がございます。

 このことについて、実際には、価格が上がっていけば、先ほどもお話しいただきましたが、弾力性がなくなりますから、高いものは買わない、消費者が敬遠するということもあります。特に加工業者に対しての対策は今どのようになっているのか、お願いいたします。

長谷政府参考人 先ほど来出ております、国内におけるスルメイカの漁獲量の減少、そして国際的な需要増加に伴う原料価格の上昇ということがございまして、イカの加工業者の方々は漁業者以上に苦労されている、加工原料の確保に大変苦労されているという状況でございます。

 こうした状況に対応いたしまして、イカについて追加の輸入割当てを行うなどの輸入割当て制度の柔軟な運用、そして、やむを得ず原料転換を図る事業者には、原料転換に伴う機器整備に対して、公庫資金である水産加工資金による融資を行っているところでございますが、本質的には、国産原材料の将来にわたる安定確保を図ることが重要でありまして、適切な資源管理の取組を通じて水産資源の維持、回復を実施していくことが必要と考えているところでございます。

近藤(和)委員 実際のところは、輸入割当てのところをふやすとか、あとは、要はイカじゃないものを加工してくださいということですよね。詳しくは質問通告していませんけれども、私の皮膚感覚では、いや、イカでずっとやってきて、違うものにそんなに変えられぬわという方の方が多いと思うんですが、実際はどうなんでしょうか。

長谷政府参考人 それは、もう委員御指摘のとおり、長年イカの加工に携わってきた方にすれば、イカへのこだわりというのは当然強いというふうに思っておりますが、先ほどの話に戻るかもしれませんけれども、環境要因に逃げるつもりはございません、ただ、イカは寿命が一年ということなものですから、長く生きる魚と比べますと、やはり生まれたときの条件というのが物すごく影響するわけです。それに加えて、外国船の影響ということがございます。

 ただ、非常に北朝鮮問題は難しい話でありまして、それが片づいてからということではなくて、外交努力、それから取締りの努力と並行してやれることを、国内の資源管理も取り組んでいくということが大事だと思います。

 そういうことで何とかイカの資源も維持、回復の方向に向かえばと思いますし、それに加えて、ただし、やはり水産資源というのは増減がありますので、今の時点で資源管理に成功してふえている魚もおりますので、そういうものにも目を向けていただいて、何とか加工業者の方にも経営存続していただけるようになっていただければいいなという思いで取り組んでいるところでございます。

近藤(和)委員 能登半島でいけば、イカといえばイカの黒づくりですよね。墨で、イカの塩辛ですが、本当においしいです。イカの口で、めがらすというのがあるんですが、一杯に一つしかないんですけれども、これも本当においしいんですね。大臣や副大臣、政務官は食べられたことがあるかわかりませんけれども。水産庁長官は食べられたことはありますか。ないですか。これは食べていただかないと。持っていきますので。本当においしいんですよ。私は能登の山の民なので、このめがらすの存在を実は知らなかったんです。政治に携わるようになってから、今ちょっとそれを想像しただけで唾液が出るくらいなんですが。本当にこういう資源が失われつつある。

 そして、この水産加工業、食は観光、特に加工はそうですよね、どんどんお土産に持っていきますから。私、持っていきますので、ぜひ食べていただきたいんですが。水産加工業は観光そのものである。地域を宣伝してくれるわけですよね。こういったことも含めて、私はこういった業界の方々を何が何でも守っていかなくてはいけないというふうに思っていますので、ここはぜひとも危機感を持って頑張っていただきたいなと思います。

 済みません、きょうはほかに、あと大きくは三つ質問したいと思ったんですけれども、少しさわりだけお話をさせていただいて、きょうは質問を終わりたいと思います。

 きょうお話をしたかったのが、まず一つには、日本とEUのEPA。きのう、GIの議論があって、そして採決、私たちも賛成をいたしました。日本の登録商品を守るということ、それから攻めていくということ、この両方の意味合いがございます。

 資料の二枚目なんですけれども、これは世界の中のGDPですね。日本は全体の中で六・五%、一番がアメリカ、次はEUということなんです。その次、右側は、これは日本との輸出入の総額、どれだけ関係がありますかということで、中国は二一%、次はアメリカですよと。中国は、世界の中でのGDPでいけば一四・九%だけれども、日本とは二一%のつき合いがありますよということですよね。

 これを見てわかることは、米国はやはりまだまだ日本と貿易を拡大したいんだなということもわかると思いますし、TPP11については、今この規模に関しては大きい。中国もTPP11に関係するところも地理的に近いですから、こういったところでは現状での攻める、守るという交渉も大事なんですよねということもわかると思います。そして更に申し上げれば、EUはまさしくこれからなんですよねというところが見てとれると思います。

 そして、下の段でいきますと、これは日本からEUへの輸出入でございますが、特に左側、有税でということ、関税がかかっているという部分で、食料品の占める割合というのは七・四%ということで、ざっと見ると三分の一ぐらいですよね。このことを考えますと、EUとの取引、EPAというのは、農林水産がかかわる分野というのが非常に大きいということが見てとれると思います。

 そして、次の質問も含めてお話をさせていただきますが、もう一枚めくっていただきまして、これは人手不足に関しての、これも入管法の、きのうさまざまなことがございましたが、農林水産にかかわる分野でいきますと、下の四業種、農業、漁業、食料品製造、外食、微妙な部分はございますが、全体として、見込み数に対して農林水産分野にかかわるところは大体三分の一を占めるわけですね。

 私が申し上げたいことは、日欧EPAについても、入管法に関しても、この農林水産委員会が深くかかわっていかなくてはいけないんじゃないか、その心意気を示していくべきだと思うんですが、大臣、御所見をお願いいたします。

武藤委員長 申合せの時間が来ましたので、大臣、簡潔に答弁をお願いいたします。

吉川国務大臣 二つの問いをいただいた、このように思っております。

 まず、日・EU・EPA、その関連法案について、慎重に御審議をいただいた上で、速やかに可決をしていただけるよう、今お願いをしているところでございます。

 国会運営につきましては国会でお決めになることでありますので、私といたしましては発言は差し控えさせていただきますが、農林水産省といたしましては、国会における議論に対して引き続き真摯に対応してまいりたいと存じております。

 外国人労働者の関連もお答えした方がよろしいんですか。(近藤(和)委員「はい」と呼ぶ)

武藤委員長 簡潔にお願いいたします。

吉川国務大臣 簡潔にということでありますので、外国人人材を円滑に受け入れることができますように、私どもとしましては、引き続き、法務省等の制度所管庁と連携して積極的に検討を進めてまいりたいと存じております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 日欧EPA、そして入管法に関して、農林水産委員会がかかわらないということは、私は職場放棄だというふうに思います。それぞれの連合審査を強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 無所属の会の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 昨日、日・EU・EPAの審議がスタートいたしました。日本の酪農がどうなるのか、林業がどうなるのかなどという質疑がなされました。また、TPP11は十二月三十日に発効されるという方向、そしてまた、来年の一月にはアメリカとのTAG交渉が始まる、こういう状況です。野菜や果樹、酪農などで生産基盤の弱体化が顕在する、こういう今の状況の中で、かつてない農産物の市場開放が生産現場に与えるその打撃というのは大きいと言わざるを得ません。

 日本の食料安全保障をどうするのか、そしてまた低迷する自給率をどう高めるのか、そういったしっかりとした議論というものが、ここのところなされていないのではないかというふうに思います。残念でなりません。

 GI法もこの委員会の中で可決されましたけれども、ただ、輸出拡大というのが本当にどのようになされていくのか。いろいろな、予算を上げて取組はしているものの、先行きどのような形か、私は不透明だというふうにも思っています。

 このような状況の中でどのような農業を目指すのか、大臣のお考えを改めてお伺いさせてください。

吉川国務大臣 TPP11協定、また日・EU・EPAにおきまして、農林水産分野におきましては、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかり確保したところでもございます。

 ですが、なお残る農業者の不安、懸念にしっかりと向き合っていかなければなりません。そして、安心して再生産に取り組めるように努力もしていかなければなりません。そこで、総合的なTPP等関連政策大綱に基づいた体質強化対策ですとか経営安定対策を講じていく必要があろうかと存じております。

 今申し上げました国内対策とともに、農地バンクの創設ですとか需要のある作物の生産振興ですとか輸出促進など、これまで行ってまいりました農政全般にわたる改革も推進をすることによりまして、農業の成長産業化を実現して、若者が夢や希望の持てる産業にしていくことが大切であろうかと存じております。こういったことを通じまして、食料自給率の向上と食料安全保障の確立も図ってまいりたいと存じております。

金子(恵)委員 若者に夢と希望を持っていただくようなそういう政策、大賛成なんですけれども、私も農業者の一人として、この場でいつも発言をさせていただいております。

 先日、福島の、私の地元のJAの福島大会に出席させていただきました。来賓という立場だけではなくて、私は実はJAの女性部の部員でもありますので、うちはもともと組合員ということもありますので、そういう意味で、しっかりとしたJAの自己改革というものも見ていかなくてはいけないということで出席をさせていただいたところでありますが、そこで、実は特別決議がなされました。少し、朗読させていただきたいと思うんです。お時間をいただきます。一部朗読ということになります。

  歯止めのない農畜産物輸入拡大は、食料自給率の低下のみならず、農業のもつ国土保全機能の維持や、国民・消費者への安全・安心な食料の安定供給を一層困難にさせる恐れがある。

  以上の情勢を踏まえ、JAグループ福島は、国際貿易交渉から持続可能な国内農業を守るための要請活動を展開する。

 1 今国会に提出されている日EU・EPAの承認案については、国内農業への影響等に関する十分な国会審議を行うとともに、TPP11関連対策も含めて生産者が将来の経営を見通せる万全且つ中長期的な国内農業対策を講じること。

 2 日米間のTAG交渉については、交渉内容の開示と国民への十分な説明を行うとともに、わが国農業・農村に悪影響が生じないよう、米国の強硬な対日要求には毅然とした態度を堅持し、国民合意に基づく交渉を行うこと。

 以上、決議する。

ということで、国際貿易交渉から持続可能な国内農業を守る特別決議が大会で採択されました。

 きょうの日農新聞には、二次補正予算編成を安倍総理が指示したというようなことで、「TPP農業対策が柱」というようなことも出ています。

 大臣の御決意はかたいのではないかと思います。もちろん、日本の農業を守る、第一次産業を守るということだと思いますけれども、これからどのような対応をしていただけるのか、改めてお伺いします。

吉川国務大臣 貿易交渉は、極めて厳しい交渉だと思いますけれども、攻めるべきは攻め守るべきは守るという方針のもとに今日まで臨んできたと承知をいたしております。TPP協定、日・EU・EPAの厳しい交渉におきましても、この方針のもとで粘り強く交渉を行ってまいりまして、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保したということでもございます。ですから、これからも、攻めるべきは攻め守るべきは守るとの方針に全く変わりはないところでもございます。

 その上で、意欲ある農業者が、TPP協定あるいは日・EU・EPAを踏まえた新たな国際環境のもとでも安心して再生産に取り組めるように、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、体質強化対策や経営安定対策も講じていくつもりでもございます。

 二次補正に関連をいたしましても、また新たな、新たなと申しましょうか、この総合的なTPP関連政策大綱に基づいたしっかりとした予算というものも確保していかなければならないのではないか、このように思っております。

 いろいろな施策を総合的に推進をするということで、農業者が将来を見据えた経営を行えるような環境を確保しなければなりませんので、更に持続的な発展も図ってまいることを念頭に置きながらこれからも努力をさせていただきたい、このように思っております。

 これは余計なことかもしれませんが、金子委員から自分も農業者でありというお話を聞きました、今、農林水産省で農業女子に大変力を入れておりまして、つい先日も、全国から農業女子の皆さんにお集まりいただいて、いろいろな施策、政策の展開にも御協力をいただく、そういった極めて意義深い会議等もございました。ぜひ、金子委員にも御参加をいただければと思います。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 質問はしていなかったんですが、女性農業者の支援については私も同じ思いではありますので、農業女子ネットワークの皆さんとやりとりはしていますので、ぜひこれからも御支援いただきたいと思います。

 戻りますが、TPP11のオーストラリア向けに新設する米の輸入枠が国産米価格への影響があるのではないか、そういう懸念がある、そういう報道もされていました。今、大臣は、守るべきものは守るんだとおっしゃっていただいたわけなんですが、そうおっしゃったけれども、でも、もしかすると守れない状況がある、そういう懸念がまだまだ出てきているということでありますので、今後どのような対策を講じていくのか、伺いたいと思うんです。

 実際には、オーストラリア向けに新設する米の輸入枠の方法は、これは入札はSBS入札方法で、毎年度、五月から二カ月ごとで開くということでありますが、入札の開始時期が既存のSBS枠より前倒しされて、国産米の出来秋に先んじて国内に出回るということになるということであります。枠こそ限定的ではあるんですけれども、安価な輸入米が、国産の新米価格を一定に引き下げる、そういう要因になっているのではないかという懸念があるわけです。

 いかがでしょうか。どのような対策を講じますか。

吉川国務大臣 今御指摘をいただきましたように、毎年度、五月から二カ月ごとに入札を実施することとなります。

 豪州向けの国別枠による輸入米の数量が拡大することで、国内の米の流通量がその分増加することとなれば、国産米全体の価格水準が下落することも懸念をされます。

 このため、総合的なTPP等関連政策大綱に基づきまして、毎年の政府備蓄米の運営を見直し、原則二十万トンの毎年の買入れ数量に加えて、国別枠の輸入量に相当する国産米を買い入れ、国別枠の輸入量の増加が国産の主食用米の需給及び価格に与える影響を遮断することといたしております。

金子(恵)委員 守るべきものは守るということではあるんですが、先ほども申し上げましたように、オーストラリア産米は、入札後、約二、三カ月で国内実需者の手元に届くということになりますけれども、輸入米が出来秋より早い七月から八月に国内市場に流出するということで、かなりの影響があるのではないかという懸念があるわけなんです。ですので、その点についてこれからもしっかりとウオッチしていっていただきたいということもお願いさせていただきたいと思います。

 また、さらには、当委員会で何度も質問はされているんですけれども、改めて私から質問させていただきたいと思います。

 我が国の米政策のあり方でありますけれども、生産調整見直し一年目の米生産の状況についてということでありますけれども、二年目を迎える二〇一九年度米がどうなっていくかということが一番重要なのではないかということで、生産調整見直し二年目を迎える二〇一九年度米は本格的に増産に向かう産地が出る可能性があるというふうにも言われていて、その見方が大変強いということです。

 それは、実際に、例えば作付面積が増加した一万六千ヘクタール、一・二%のうち、一二%に当たる千九百ヘクタールは関東が占めている、過剰作付面積が全国ワースト一位だった千葉や三位の茨城に加えて、生産調整を達成していた栃木でも増加していて、来年産はさらなる増産が懸念されているということです。また、私は東北ですけれども、山形を除く東北以北の六道県や新潟などで前年より作付面積がふえている、主産地は増加傾向である、特に秋田と新潟は面積増が目立つが両県とも作況がやや不良、ことしは天候状況で収穫量が絞られたと考えられるのではないかということで、いろいろなものが重なって、農水省が、総じて需要に応じた生産が図られている、そういう結論づけをしているのではないかというふうに思うんです。

 この件についてはしっかりと検証をしていただけるというようなこともこの委員会の中で答弁があったというふうに理解をしておりますけれども、改めて、ではどのような部分についてしっかりと徹底した検証がなされていくのか、そろそろその辺の部分も大臣の方から御答弁いただいてもいいのかなと思います。いかがでしょう。

吉川国務大臣 米の生産調整見直しの初年度の取組状況を検証して今後の米政策を推進していく、これは米政策にとりましても大変重要なことだと存じております。

 委員も御承知のとおりでありますので、あえて申し上げる必要もないかと思いまするけれども、行政による生産数量目標の配分に頼らずとも、産地、生産者が中心となって、需要に応じた生産、販売を行うように今しているところでもございますが、そうした中で、都道府県や市町村、農業団体、あるいは担い手から構成をされている、産地ごとに設置されている農業再生協議会は、これまでと同様、需要に応じた生産ですとか販売に向けた、地域の水田においてどのような作物をどれだけ作付するか検討する重要な役割を担っていると存じておりまして、さらに、この協議会の役割というのは、三十一年度以降も何ら変わることはないと考えております。

 農林水産省におきましても、引き続き、この農業再生協議会の円滑な業務遂行に必要な支援を積極的にしてまいりたいなと存じております。

 三十年度の水田における作付状況の検証も行いつつ、三十一年度に向けて高収益作物等の拡大に対する支援に新たに取り組むなど、しっかりとした予算を確保して、水田フル活用を推進していかなければならないのではないかと思っております。そしてまた、需給見通し、価格動向等につきましても、きめ細かな情報提供も行っていかなければならないと存じております。さらに、事前契約ですとか複数年契約の取組の推進もしなければなりません。

 そういったことを通じて、安定取引の拡大に向けた働きかけを行うことも大切であろうかと思っております。いろいろな施策を展開しながら、農業者が安心して需要に応じた生産に取り組めるように努めてまいりたいと考えています。

金子(恵)委員 時間が参りましたが、徹底検証をしっかりやっていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

武藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 宮崎県の森林盗伐問題について質問します。

 去年から取り上げてきているんですけれども、きょうが三回目であります。悪質な無断伐採、盗伐が後を絶ちません。四月の私の質問に、齋藤前大臣と前林野庁長官は、警察との連携そして確認を進めていくというふうに答弁されましたけれども、これまでどういう対応を具体的にとられたか、説明をしていただけますか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘ございました、宮崎県において発生をいたしました無断伐採事案でございますが、この無断伐採事案を踏まえまして、県等から収集をいたしました無断伐採に関する情報について警察庁に対しまして情報提供を行いますとともに、本年四月十九日に、警察庁に対しまして無断伐採に関する情報共有と協力の依頼を行ったところでございます。

 さらに、七月と十月には、林野庁の担当職員を現場に派遣をいたしまして、現地の状況を調査いたしますとともに、関係する自治体等から被害状況や対策等についてヒアリングを行いまして現場の声についても聞かせていただいたところでございます。

 林野庁といたしましては、引き続きまして無断伐採に関する情報について警察庁と共有をいたしますとともに、宮崎県で行われております関係機関と連携をいたしましたパトロール等の取組の横展開を推進するといったような取組などにつきまして、警察とも連携して対策を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 しかし、被害は広がる一方なんですよ。

 盗伐被害者の会が去年結成されて、私が四月のときに質問したときは四十二世帯だったんだけれども、今現在、七十二世帯にふえている。会に入らない被害者の方というのはまた水面下にたくさんおられるわけですよね。約二万本の所有林が無断伐採され盗まれているわけであります。

 資料をお配りしています。私が、十月十日の日に、また盗伐に遭ったとの連絡を受けて宮崎の山林に入りました。国富町木脇の現場です。リュックを背負っているのはちなみに私であります。所有者、被害者の会の方、地元メディアの記者さんと一緒に山を歩きました。所有者の約二百本の木が切られて、カットされています。売る目的であることは、これは間違いありません。隣の森林の保有者も盗伐被害に遭って、新聞に投稿されています。

 私が山を歩いていたら、この木を切ったという業者と出くわしたんですよ。そして、業者は一体何と言ったか。誤伐である、間違って切った、人間だから間違うでしょうと。盗伐した人が、被害者を前にして、謝罪の一言もないんですよ。誤伐を言い逃れとして、県内で犯罪行為がまかり通っている、これは異常な事態になっています。

 写真にあるように、地籍調査の境界標、ここでは幾つも打たれているわけですよ。素人でも間違わない杉林であります。

 そこで、森林のプロの林野庁にお伺いしたいと思います。

 誤伐が盗伐の常套手段となっているんです。地籍調査の境界標が打たれている場所で、数百本の木を無断伐採した業者は誤伐だと言っています。こうした言い逃れを、行政、林野庁は認めていいんでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 本件伐採に係る森林においては、基本的に、地籍調査が終了いたしまして、境界標も打たれていたものということで報告を受けているところでございます。

 伐採に当たりましては伐採現場における事前の境界確認が重要であるということは言うまでもないことでございまして、本件はそれを怠った不適切なものであるというふうに認識をしているところでございます。

 本件につきましては、警察において調査中との報告を宮崎県からも受けているところでございますけれども、今後、調査が適切に行われていくものと考えております。

 林野庁といたしましては、引き続き、無断伐採事案の未然防止に向けて対策の強化を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 本当に誤伐だったら、所有者に謝って、対価を支払って、そして植林をしますよ。そんなことしないんですよ、やりっ放し。

 写真を見ていただきたいと思います。杉の木一列だけ残してありますでしょう。この杉の木の一列の向こうには、田んぼがあって、道路があるんですよ。向こうから見えないために、目隠しのためにここだけ残しているわけですよ。

 これは誤伐は絶対通用しませんよ。なぜこんな犯罪行為がまかり通るのか。それは簡単です、捕まらないからです。人の木を無断で切って、そしてそれでもうけている。それでも捕まらないからこういう事態が広がっているんですよ。

 なぜ捕まらないのか。これが事件とならないからなんですよ。警察への相談件数、宮崎県から報告を受けましたけれども、一昨年が二十九件、昨年が四十件、ことしは十月末までで五十六件。年々ふえているわけです。一方で、送致件数については、昨年が四件、ことしはゼロとの報告であります。

 私も、被害に遭った方々、県内をいろいろ訪ねて聞いたんですけれども、警察に被害届を持っていったんだけれども受理してくれない、どれだけこの声を聞いてきたか。齋藤前大臣にもお話ししました。

 警察庁、来ておられると思うんです。警察への被害届というのは、被害者が被害届の提出の意思があるならば、犯罪捜査規範に照らして受理するのが基本ではありませんか。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 個別具体の事案に係る被害届の受理につきましては一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げれば、各都道府県警察におきましては、犯罪捜査規範を踏まえ、被害届の受理について、個別の事案に応じて適切に対応しているものと承知しております。

 また、警察といたしましても、森林窃盗に関しましては、森林窃盗被害の発生状況等に応じまして、関係機関と連携して、厳正な取締りや合同パトロール等を行っているところでありまして、今後とも、関係機関と連携を図りながら取組を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 即時に被害届を受理していただきたい。そして、今言われた取締りとパトロール、徹底強化をしていただきたいというふうに思います。

 警察署に相談に行ったんだけれども示談にしてくださいと言われるんですよ。民事不介入で見過ごそうとするわけですよ。犯罪の日が特定できないからといって受理しないんですよ。

 私、きょうは、これはもう本当にひどいなという事例を公の場で、国会という自分の発言に責任を負う場で皆さんに紹介して、これは本当に正してもらわなければいけない。

 警察に来てもらっているので、ぜひ被害届を受理するよう、関係警察機関に指導、連絡をしていただきたい、犯罪捜査規範、この趣旨を徹底していただきたいと思うのですが、いま一度、いかがですか。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 個別具体の事案に係る被害届の受理につきまして一概にお答えすることは困難でございますが、一般論として申し上げれば、各都道府県警察におきましては、犯罪捜査規範を踏まえて、被害届の受理について、個別の事案に応じて適切に対応しているものと承知しております。

 その際、犯罪被害の届出の意思に加え、大まかな被害時期のほか、樹木の所有者や境界線など、犯罪の被害があったということについて所要の確認を行うこともあるものと承知しております。

 いずれにいたしましても、警察といたしましては、被害の相談がなされた際には、被害者の方の心情に配意しつつ、個別の事案に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 適切でないからわざわざ質問しているんじゃないですか。

 被害届を持ってこられているんですよ。相談に来られた方に、あなたは被害届を提出する意思がありますかと再確認して、そして宮崎県の各署に徹底指導してくださいよ。頼みますよ。

 無断伐採した業者が、もし公金が入った補助を受けて機械を使っていたら、これはどうなるんでしょうか。写真の右下にも、私が見受けられた林業機械、見ているんですけれども、林野庁の補助を受けて導入した高性能林業機械を使っている疑いがあります。

 県内にこういう事例がもし発覚したとするならば、どういう対策をしますか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 林野庁といたしましては、国の補助によって導入された機械が無断伐採等に使われるということは、これはあってはならないことだというふうに考えているところでございます。

 事業者に対しましては、都道府県、市町村と協力いたしまして、伐採届だけでなく、現場での区域の確認、伐採方法も含め適正な伐採を行うよう厳しく指導いたしますとともに、適正な伐採をしていくための改善策を作成、提出させることとしているところでございます。

 本件の事案につきましては、先ほど御答弁ございましたように、警察において調査中ということでございます。

 一般論として申し上げますと、国が補助をいたしました機械によりまして盗伐、森林法に言うところの森林窃盗ということになろうかと思いますけれども、こういったようなものが行われたといたしますれば、関係する都道府県、市町村と連携をいたしまして、補助金の交付決定の取消しも含め、対応について検討していくということになろうかと思います。

田村(貴)委員 林野庁、現地に入って、私も逐次報告をさせて、これまで来ました。ぜひ、政務三役も、こうした盗伐の現場、一回調査に行っていただけないでしょうか。一番宮崎県に近いのは鹿児島県御出身の小里副大臣であります。

 小里副大臣、今、私、こういう話をしたんですけれども、率直に御感想、そしてぜひ現地に入って対応もしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小里副大臣 こういった事案が発生し続けているということに、大変遺憾に思うところでございます。

 私も、実は森林所有者の一人であります。植林から施肥、枝打ちあるいは間伐に、そしてまた境界画定のためのくい打ち作業等々、丹精込めて森林を育成をしてこられた所有者の方々の気持ちは察するに余りあるものがあります。

 引き続き、しっかりと対策を徹底してまいりたいと思いますし、私もできますれば宮崎の方にもお伺いしたいと思います。

田村(貴)委員 ぜひお願いします。

 大臣にもお伺いしたいと思います。

 私、この現場の切られた木の樹齢を数えたら、五十五年になりましたね。これは一本三万円から四万円の価値となるわけですよ。先祖から受け継ぎ、手塩にかけたこの杉の木です。所有者さんは、おじいちゃん、おばあちゃんが植えた木です、ここまで育って、これを退職後、この木をもって家を建てたいという念願があったんですよね。この気持ちを思ったら、もう残念でならないと思いますよ。

 隣の方は地元の新聞に投書していて、二十年間、草刈り等の手入れをし大切に造林してきたので悔しいと、今副大臣がおっしゃった、その思いがあるわけですよ。これを根本から奪ってしまい、そして、何の補償もせずに、現地はそのままにしてトンズラしてしまう。そして、人の財産でもうけているわけですよね。これは徹底した摘発と取締りを要求したいというふうに思います。

 そして、盗伐は許されない犯罪行為であると同時に、治山機能を奪ってしまうわけです。ここの現場の木も台風二十四号でまたなぎ倒されて、土砂がため池等に流れていると。これは次の災害のことを思ったら、大変なことになりますよね。そうした意味からも、一層の対策の強化を大臣が号令をかけてやっていただかないと、事態は改善しません。被害者はふえる一方です。いかがですか、大臣。

吉川国務大臣 田村委員からお配りをいただきましたこの資料を拝見いたしまして、このような無断伐採において森林の破壊が起こっているということは大変遺憾であると存じております。

 このような無断伐採事案の発生は、森林所有者が、今もお話にございましたように、長年かけて森林を育ててきた御苦労を思うと重大な問題であると私は認識をさせていただきました。

 木を育てるのも人を育てるのも時間がかかるとよく言われておることでありまするけれども、農林水産省といたしましては、引き続き、警察庁はもちろんでありますけれども、都道府県、市町村等とも連携をしながら、この無断伐採の防止に向けて、対策の強化を含めて、どういった形でこれが対応できるのかということを更に深掘りをしながら検討してまいります。

田村(貴)委員 大切なのはやはり摘発だと思います。違法行為を許さないというかたい決意が行政と警察には求められるというふうに思います。この取組の一層の発展を心から希望して、時間となりました、次の質問を予定していたんですけれども、次は長くなるので、きょうはここで終わりたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず初めに、九月六日の北海道胆振東部地震による国産小豆の価格高騰について伺います。先日、大臣の所信に対する質疑の際にもこの夏の災害による被害状況について質問をさせていただきました。本日は、国産小豆の価格についてお聞きします。

 小豆というのは、赤飯、和菓子等に使われており、日本文化に欠かせないものでございます。私の地元京都でも、和菓子、小豆は大変身近で、なくてはならないものでございます。私自身も大好きで、毎日のように口にしております。

 このたびの地震において、北海道の小豆が大変な影響を受けているとお聞きをしました。ある和菓子業者さんから伺ったのですが、いつも使っている北海道産小豆が、八月には三十キロ一万四千円で仕入れていたものが、十一月現在、三十キロ二万三千円となっているということをお聞きしました。

 和菓子職人の方が、国産小豆を使い続けたいけれども、このままだと商品の値段を上げるか、また、商品の値段を変えないのであれば中国産やカナダ産のものに切りかえるのか、悩まれているという現状をお聞きしました。和菓子は日本の伝統文化でもあり、国産のものを使い続けたい、また、味もやはり国産のものは違う、おいしいものを消費者に届けたい、国産の安心、安全なものを使い続けたいと、今回の小豆の価格高騰に対して悲鳴を上げているという現場の声を耳にしました。

 今回の北海道の地震において、小豆農家が受けた被害状況について伺います。また、地震の前後での小豆の価格についてもあわせて教えてください。

天羽政府参考人 北海道の小豆についての御質問をいただきました。

 委員御指摘のとおり、北海道における小豆の主産地は十勝地方でございます。胆振東部を中心として被害が発生いたしました今回の地震におきましては、小豆の被害は限定的であったというふうに聞いておるところでございます。

 このため、価格についてでございますけれども、地震の発生前後ということで、八月と九月の業界紙調べによる北海道産小豆の価格は、いずれも、六十キロ当たり、二十九年産、二万九千円程度で、変化をしてございません。なお、三十年産の小豆の価格、十月の価格につきましては、同じく業界紙調べで三万三千円程度となっております。

 これは、六月及び七月の低温、日照不足などにより、平成三十年産の生産量が平年を下回る見込みとなったことによるものというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 これだけ価格が高騰すると、国産のものを使い続けられないと、日本の和菓子文化にも大変な影響が出てしまうと思います。

 次に、畑作物の補助金制度について伺います。

 ことしの夏の災害により、小豆だけでなく、全国的に、農業全般、大豆や小麦も被害を受けていると思います。そこで、伺います。大豆と小麦の補助金制度はどのようになっているのでしょうか、教えてください。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 大豆や小麦についての補助金についての御質問をいただきました。

 小麦等の麦類、それから大豆、小豆も含めます豆類につきましての補助金でございます。

 まず一つには、担い手への農地集積、集約化等による構造改革の推進に向けた支援がございます。二つ目として、強い農業のための基盤づくりとなる農業農村基盤整備等に対する支援がございます。三つ目といたしまして、持続的な農業の発展に向けた生産現場の強化に資する乾燥調製施設など基幹施設等の整備に対する支援、例えばということで申し上げますと産地パワーアップ事業でございますが、このように、生産基盤の強化や生産振興に資する各種支援の対象としておるところでございます。

 このほか、大豆や麦につきましては、諸外国との生産条件の格差から生じる不利を補正する対策として、畑作物の直接支払交付金の支援対象としておるところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 小豆に対しても補助金制度はあるのでしょうか、教えてください。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げた担い手への農地集積、それから農業農村基盤整備、それから産地パワーアップ、これはいずれも小豆も含む豆類にも対象になってございます。

森(夏)委員 小豆は、大豆に比べ、気候により味が左右されるために栽培が難しい、手間がかかるとお聞きをしております。しかし、先ほども申しましたけれども、日本の文化を守るという意味では、日本の小豆農家をしっかり守っていかなければならないと思っております。このままでは国産小豆がなくなってしまうというお声もお聞きしました。もちろん、小豆農家だけでなく、農業全般的に後継者不足は深刻ですが、国産小豆農家の後継者不足が大変深刻であると聞いております。

 小豆の主な生産地である北海道出身の大臣に伺います。栽培が難しい小豆農家の後継者不足に対してどのようにお考えでしょうか、お答えください。

吉川国務大臣 森議員がおっしゃいましたように、小豆というのは本当に難しいんだと思うんです。私も、十勝の皆さんに、これだけ需要が多い小豆を、ことしは少し作付をふやして全国の需要者の皆さんにお応えしたらいかがですかというお話もさせていただきました。

 ことしは、十勝地方も小豆に対して作付面積が私は少しふえたと思っております。ですが、ことしの雨によってまた、作付面積がふえたのでありまするけれども、収量そのものが減ってしまっているというのが、そういったこともあります。実に、農業というのは天候に左右されて難しいものだなということをしみじみと感じ入ったところでもございます。

 今御指摘いただきました後継者対策ということでありまするけれども、食文化に欠かせない重要な作物の一つでもありますので、他の作物と同様、担い手の高齢化による労働力不足が課題であると私どもも認識をいたしておりますので、収益力向上を図ることが重要と考えておりまして、収量や品質の安定化に向けた支援ですとか、生産コストの低減等に向けた作業機械や乾燥調製施設の整備等に支援を進めているところでもございます。

 さらに、就農支援を促進するために、就農の準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした資金の交付等を実施もしているところでもございます。

 それから、こうした取組もあって、二十九年、三十年産と作付面積が拡大しつつありまするけれども、今御指摘をいただきましたように、国産小豆の安定的な生産、供給に向けて、さらに、後継者の確保の観点からも、必要な施策も積極的に講じてまいりたいと存じております。

 日本の伝統的な味をなくさないように頑張りたい、こう思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 和菓子業者一つとっても、油の高騰もあり、和菓子の容器や包装紙、手提げ袋なども価格が高騰しており、また小豆などの原材料も高騰しており、大変な状況となっております。日本の和菓子文化を守るためにも、小豆農家への補助金に対しても政府としての御支援をしっかりお願いしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 バイオマスプラスチックについて伺います。

 以前、放置竹林について質問をさせていただきました。私の地元では、七十歳を超える方々がボランティアで放置竹林の片づけを行ってくださっております。しかし、放置竹林の量が多過ぎて、ボランティアの方々では全く処理が追いついていない状況です。

 放置竹林の処理は、防災の面から考えましても非常に重要です。倒れた竹を放置したままにしておくのは大変危険で、根が腐っていると土砂崩れが起こりやすいです。

 放置竹林からお金を生み出す仕組みができれば、放置竹林を減らせると思います。先日、放置竹林を利用したバイオマスプラスチックの商品を拝見しました。今現在、国内で多くのプラスチックが利用されておりますが、そのうち、放置竹林を利用したバイオマスプラスチックの量、割合を教えていただけますでしょうか。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 バイオマスプラスチックについてのお問合せでございます。

 日本プラスチック工業連盟によりますと、プラスチック原材料生産全体は、近年、約一千百万トン程度ということでございます。一方、バイオマスプラスチックの国内出荷量については、平成二十七年度に四万トンというデータがあると承知をしております。

 このように、プラスチックの中でバイオマスプラスチックの占める割合というものはまだまだわずかということでございまして、さらに、そのうちに竹によるものがどの程度あるのかということについては、残念ながら、林野庁としてはデータを持ち合わせていないところでございます。

森(夏)委員 今後、調べておいていただきたいと思います。またお尋ねさせていただきます。

 今、世界じゅうでプラスチックごみが大変な問題となっております。二〇五〇年には、海に流れるプラスチックの量が魚の量を超えるとも言われているそうです。プラスチックのストローを紙ストローにかえたり、ストローを使わない動きも出てきております。環境に優しい生物資源からつくられるバイオマスプラスチックの普及に期待をしたいと思います。

 そして、その中でも、防災にもつながる竹を利用したバイオマスプラスチックの普及が進むことを期待しております。

 日本国内にある竹の多くがモウソウチクで、我々がふだん食べているタケノコの竹です。このモウソウチクは、成長するとかたくなり、メンマに加工するには向かない竹ということで、これまで日本で流通している多くのメンマが中国産でした。

 最近、このモウソウチクを独自の技術でやわらかく食べられるメンマに加工し、国産メンマを販売しているという話を聞きました。やはり安心、安全な国産のものを使いたいとの声が多いそうです。

 竹も、このメンマのように売れる商品に加工することができれば、新しい雇用も生み出すことができますし、放置竹林による土砂崩れの防止などにもつながると思います。

 メンマ以外で何か国産の竹を利用した商品化に成功しているものはありますでしょうか。教えてください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 メンマ以外で竹の利用を伸ばしている例というお尋ねでございます。

 このような例としては、竹紙、竹でつくった紙でございますけれども、こういう事例があると承知をしております。

 これは、タケノコの産地でもございます鹿児島県で主として取り組まれているものでございまして、タケノコ生産のために伐採をいたしました竹材を、タケノコ生産者やチップ工場等が協力をいたしまして製紙工場に安定供給をするということでございまして、それによりまして、一〇〇%竹を原料に用いました紙の生産というものが定着をしておりまして、竹材の生産量も増加に転じているというふうに承知をしております。

 林野庁といたしましては、このような竹の製品化に当たりましては、竹材生産のコストダウンと安定供給が必須であるというふうに考えておりまして、生産コストの縮減に向けました技術開発等に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、竹材の利用促進に向けて努力してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今後、何か新しい商品化の取組がありましたら、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。

 私の地元、京都・乙訓地域では、タケノコが名産で、絶景の竹林があり、観光地にもなっております。竹林を管理する後継者不足も問題ですし、放置竹林が増加している状況です。不要とされる竹がお金にかわる仕組みをぜひ国としてお願いをしたいと思います。

 先ほどもお話ありましたけれども、竹の紙というのがあるということですが、私の地元でも、竹を利用した商品、竹細工の商品はございます。ですが、つくるのに大変手間がかかるため、高価なものになってしまい、なかなか数が売れないという現状です。これから商品化のために、地元の方々も頑張っておりますので、こちらについても御支援をお願いできたらと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

武藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十四分開議

武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、漁業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣吉川貴盛君。

    ―――――――――――――

 漁業法等の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉川国務大臣 漁業法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。

 我が国の漁業は、国民に対して水産物を安定的に供給するとともに、水産業や漁村地域の発展に寄与するという極めて重要な役割を担っています。しかし、水産資源の減少によって生産量は長期的な減少傾向にあり、漁業者数も減少しているという厳しい課題を抱えています。

 こうした状況の変化に対応して、漁業生産力の発展を図る観点から、水産資源の持続的な利用を確保するとともに、水面の総合的な利用を図り、あわせて漁業協同組合等の事業及び経営基盤の強化を図ることが必要であります。

 このため、水産資源の保存及び管理に関する制度を整備するとともに、漁業の許可及び免許等の漁業生産に関する基本的制度並びに漁業協同組合等に関する制度を一体的に見直すこととしたところであります。

 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。

 第一に、漁業法の一部改正であります。

 まず、資源管理は漁獲可能量による管理を行うことを基本原則とし、資源評価が行われた水産資源について、一定の期間中に採捕をすることができる数量の最高限度を定め、これを船舶等ごとに割り当てるなど、水産資源の保存及び管理のための制度を整備することとしております。

 次に、大臣許可漁業について、許可の要件となる制限措置等に関する規定を整備するとともに、漁獲割当ての対象となる特定水産資源を採捕するものについては、一定の場合を除き、船舶の規模に関する制限措置を定めないものとすることとしております。

 さらに、漁業権制度について、海区漁場計画の作成の手続を定めるとともに、漁業権がその存続期間の満了により消滅した後に設定する漁業権について、漁業権の申請が重複したときは法定の優先順位に従って免許する仕組みにかえて、新たに、存続期間が満了する漁業権を有する者が漁場を適切かつ有効に活用している場合はその者に、それ以外の場合には地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者に免許することとしております。

 このほか、海区漁業調整委員会の委員の選出方法について、都道府県知事が議会の同意を得て任命する方法に改め、漁業者又は漁業従事者が委員の過半数を占めることとしております。また、密漁対策の強化として、財産上の不正な利益を得る目的による採捕が漁業の生産活動等に深刻な影響をもたらすおそれが大きい水産動植物の採捕を原則として禁止するなど、密漁者に対する罰則を強化することとしております。

 第二に、水産業協同組合法の一部改正であります。

 漁業協同組合の理事の一人以上を水産物の販売等に関し実践的な能力を有する者とすること、一定規模以上の信用事業を行う漁業協同組合等は会計監査人を置かなければならないこととするなど、その事業及び経営基盤の強化を図るための措置を講ずることとしております。

 第三に、水産資源保護法の一部改正など所要の改正を行うとともに、海洋生物資源の保存及び管理に関する法律の廃止を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。

 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

武藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十八分散会


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