衆議院

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第2号 平成31年3月7日(木曜日)

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平成三十一年三月七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 小島 敏文君

   理事 齋藤  健君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 亀井亜紀子君

   理事 近藤 和也君 理事 稲津  久君

      穴見 陽一君    池田 道孝君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      加藤 寛治君    金子 俊平君

      金子万寿夫君    神谷  昇君

      木原  稔君    木村 次郎君

      木村 弥生君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    坂本 哲志君

      高橋ひなこ君    武井 俊輔君

      冨樫 博之君    西田 昭二君

      福山  守君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      古田 圭一君    宮路 拓馬君

      山本  拓君    池田 真紀君

      石川 香織君    尾辻かな子君

      大串 博志君    金子 恵美君

      神谷  裕君    佐々木隆博君

      高木錬太郎君    長谷川嘉一君

      堀越 啓仁君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    濱村  進君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  大角  亨君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            岩濱 洋海君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           小川 良介君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           池田 一樹君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            室本 隆司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局長)           別所 智博君

   政府参考人

   (林野庁長官)      牧元 幸司君

   政府参考人

   (水産庁長官)      長谷 成人君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            平岡 成哲君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     高橋ひなこ君

  藤原  崇君     武井 俊輔君

  宮路 拓馬君     金子万寿夫君

  石川 香織君     尾辻かな子君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     神谷  昇君

  高橋ひなこ君     福山  守君

  武井 俊輔君     冨樫 博之君

  尾辻かな子君     池田 真紀君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     木村 弥生君

  冨樫 博之君     穴見 陽一君

  池田 真紀君     高木錬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     藤原  崇君

  木村 弥生君     古田 圭一君

  高木錬太郎君     石川 香織君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農林水産関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長水田正和君、大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房危機管理・政策立案総括審議官岩濱洋海君、大臣官房審議官小川良介君、消費・安全局長池田一樹君、生産局長枝元真徹君、経営局長大澤誠君、農村振興局長室本隆司君、政策統括官天羽隆君、農林水産技術会議事務局長別所智博君、林野庁長官牧元幸司君、水産庁長官長谷成人君、内閣官房内閣審議官大角亨君及び観光庁観光地域振興部長平岡成哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今枝宗一郎君。

今枝委員 自民党の今枝宗一郎であります。

 大臣所信の質問に立たせていただけることに感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。

 大臣所信をお聞かせいただき、攻めの農林水産業への大臣の強い思いに非常に共感をいたしました。

 TPP11が昨年十二月に、日・EU・EPAが本年二月に発効されました。このような中で、グローバルな農作物の安値競争で戦うのではなく、高付加価値の農業を推進していくことが日本の目指すべき方向性だというふうに思っております。

 それには、輸出や六次産業化、植物工場など、IoTや先端技術の活用などさまざまございますけれども、私は、中でも、高収益作物への転換や生産拡大というのが農業の高付加価値化に非常に重要であるというふうに考えます。

 大臣のお考えにつきまして、お聞かせください。

吉川国務大臣 昨日の所信でも申し上げましたけれども、我が国の農林水産業が転換期を迎えております中、常にフロンティアを見出し、新たな挑戦を進めることによりまして、農林水産業を若者が夢や希望を託すことができる魅力ある成長産業にしていく必要があろうかと存じております。

 この一環といたしまして、野菜、果樹、花卉等の、ただいま御指摘をいただきました高収益な作物への転換と、輸出促進も含めた生産拡大への挑戦を後押しするために、強い農業・担い手づくり総合支援交付金等による集出荷施設等の整備、水田地帯での作柄安定技術の導入や果樹の改植等への支援を通じた新たな園芸産地の育成、輸出先の規制条件に適合した生産出荷体制の整備等の対策を進めているところでもございます。

 若者がみずからの夢を託すことができる農林水産新時代を切り開いていくために、更に攻めの農林水産業を展開しながら、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現してまいりたいと存じております。

 今枝先生のさらなる御支援も心からお願いを申し上げるところでございます。

今枝委員 ありがとうございます。

 さまざま決意を表明いただきました。ありがとうございました。

 また、野菜や果樹、また花卉農業など、地域に合った高付加価値の農作物をつくっていくことへの重要性、これについてもお示しをいただきました。

 中でも施設園芸はとりわけ高付加価値の農業かと思います。推進をしていくべきでありますけれども、燃油価格に左右されやすい、こういう課題がございます。

 自公政権ができてすぐの平成二十四年度補正予算では、約四百億円、燃油高騰対策に基金を積みました。当時、平成二十五年二月ごろでありますけれども、A重油がリッター九十円台でありましたし、七月には、最高、リッター百七円まで上がりました。非常に厳しい時期でありましたので、現場の皆様には非常に喜んでいただいたことを覚えています。

 しかし、平成二十九年にセーフティネット発動基準価格が変更されました。それ以前の発動基準価格は八十八・二円でありましたけれども、今は、直近七中五年平均価格に一一五%を乗じた水準に設定をされております。平成三十年度でいいますと、リッター九十七・二円となるわけであります。

 昨年十月のA重油価格は、リッター九十四円でありました。従来の基準であればセーフティーネットが発動されましたが、実際には、新基準のもとで発動されませんでした。

 このセーフティーネット発動条件が変更された理由につきまして、お答えをいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度から二十八年度までの燃油価格高騰緊急対策におきましては、補填の発動基準価格を、平成十七年度から二十三年度の七中五平均の燃油価格に一一五%を乗じた価格、八十八・二円ということで固定をしてございました。

 平成二十九年度にこの事業を三年間延長するに当たりまして、平成二十七年度に行われました行政事業レビューにおきまして、十年前の燃油価格をもとに発動基準を設定しているのはおかしいのではないか、他産業では自前の経営努力でコスト増を吸収していることを踏まえれば、農業者の経営努力を対策に反映させるべきではないかという指摘がございまして、事業を再精査いたしまして、直近の燃油価格の動向を的確に反映できるように、発動基準価格を直近の七中五平均価格を用いることに見直したものでございます。

今枝委員 ありがとうございます。

 経営上の努力でコスト増を吸収せよということでありますが、私はこれはちょっといかがなものかなというふうに思います。

 中長期的に、原油価格は継続的に高騰をしていくということが言われております。日本を代表するエネルギー分析調査機関の日本エネルギー経済研究所は、二〇四〇年には一バレル百二十五ドルになると予測していますし、世界のいろいろな調査機関ですとかアメリカの非常に詳しい調査機関もやはり、非常に高騰していく、しかも継続的に上がっていくというふうに言われております。おおよそ今の倍の水準になるということであります。

 一方、価格転嫁をしろと言われても、農家自身に価格決定力があるわけでもなく、特に農業は土地の制約、気候リスクにさらされておりますし、さらに、施設園芸は初期コストが非常に高いということもあります。

 このような状況から、生産性ですとかまた価格を毎年、中長期的に上昇させていく、それによって、経営上の努力で吸収をしていく、こういったことは非常に難しいのではないかな、これが特性ではないかなというふうに思っておりますので、基準価格の緩和が必要だと考えられますけれども、今後に向けて、少なくとも議論はしていくべきじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 発動基準価格の基本につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、あわせまして、当年の気温が平均気温を下回った場合に、温度低下の程度によりまして発動基準価格を段階的に引き下げる低温特例措置、また、燃油価格が前年の加温期間の平均価格より二〇%以上高騰した場合には補填額を上乗せする急騰特例措置、そういう特例措置も設けてございます。

 しかしながら、平成二十九年度の発動基準の見直しによりまして、生産現場から、燃油価格が上昇しても発動しづらい等の意見があることは承知してございます。

 このため、燃油価格の高騰、また使用量の増加などが施設園芸の再生産や安定供給、農業者の経営に与える影響を分析いたしまして、また現場の話もしっかりと聞いた上で、行政事業レビューの指摘も踏まえながら、平成三十二年度以降の次期対策を検討してまいりたいと存じます。

今枝委員 ありがとうございます。

 特例措置だけでなく、ぜひとも議論を加速させていただいて、今、検討しますというお話でありましたので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。

 続きまして、大臣所信で触れられました水産業と若者に関連をいたしまして、新規漁業就業者支援についてお聞きをいたします。

 現在、漁業人材育成支援事業として、研修中ですとか、またOJTで働きながら学ぶ方々については補助が出ております。しかし、経営を開始してからの支援というものは、農業人材には、実は百五十万円掛ける最大五年というような支援策があるんですけれども、漁業人材については、このような補助をいただけるような支援というのが実はございません。

 昨年の臨時国会の大きなテーマは水産改革でございました。水産業の成長産業化を目指して、漁業者の所得向上と年齢のバランスのとれた漁業就業構造を確立するというふうにしており、新規漁業就業者支援は具体的に進めねばならないというふうに思います。

 例えば、これまでも申し上げてきましたけれども、燃油高騰対策となるセーフティーネット事業の発動条件の緩和ですとか、漁船、漁具のリース事業を当初予算で安定的に行うことなど、さまざまな支援策がございますし、既に農水省さんもいろいろ考えていただいているというふうには思います。

 ただ、農業における百五十万円掛ける五年という支援策を鑑みながら、今後、どのように漁業人材育成により力を入れていくのか、お答えをいただきたいというふうに思います。

長谷政府参考人 漁業につきましては、例えば果樹農家のように、経営を開始してから数年間は所得が見込めないといったような条件は存在しない一方で、漁業就業者における就業初期の一番の課題として、漁業に必要な知識、技術の不足が挙げられていることもありまして、独立して新たに漁業経営を始める者については、農業よりも研修期間を長くとっているところでございます。

 さらに、研修後でありますけれども、新たに漁業経営を始める場合は、浜の中核的な担い手として位置づけられること等を条件といたしまして、漁船、漁具等のリース方式による導入を支援する水産業成長産業化沿岸地域創出事業、それから、燃油、配合飼料価格が上昇したときに影響を緩和する漁業経営セーフティーネット構築事業、さらには、漁業経営を開始するのに必要な経費を融資する沿岸漁業改善資金などの支援策についても、地域でよく検討し、活用していただきたいと考えております。

 また、新たな資源管理措置のもとで適切な資源管理等に取り組む漁業者の経営を安定的に行うため、漁業収入安定対策の法制化についても検討していくこととされておりまして、漁業者が将来にわたり希望を持って漁業経営に取り組むことができるように、議員御指摘の点も踏まえまして、総合的に検討を行ってまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、新たな支援策、今、積立ての話も少しございましたけれども、今後御検討いただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 では、続きまして、大臣所信で述べられた国土強靱化についてでございますけれども、こちらについては法案も提出されるということで、強い思いを受け取らせていただきました。また法案の審議等々はしっかりとお伺いさせていただきたいなというふうに思っております。

 ただ、この国土強靱化の前に、昨年は非常に災害が多くございました。いわゆる災害の復旧復興、これが、特に農作物において被害が大きかったものですから、ここについて質問していきたいと思います。

 我が地域でも、二十四号を始めとした台風被害で、ハウスの倒壊、野菜や果樹などの塩害が出ました。沿岸部だけではなくて、海から数十キロ離れていても、川を遡上して被害があるということもございました。

 こちら小里副大臣には、東三河に入っていただきまして、御視察いただきました。感謝申し上げたいというふうに思います。

 そして、台風二十四号については、激甚災害指定までもしていただきまして、農林水産業の復旧復興に、これまでに加えてさらなる支援を進める必要があるというふうに思っておりますけれども、いかがか、御答弁をお願いいたしたいと思います。

小里副大臣 昨年発生しました猛烈な風を伴った台風第二十四号では、全国で農作物の塩害、ハウスの損壊、果樹の落果や枝折れなどの被害が発生し、議員の御地元であるところの愛知県でも、約二十五億円の被害が発生をしております。

 お話にありましたとおり、愛知県には、大臣の御指示によりまして私が派遣されまして、被害の状況を調査するとともに、被害状況を踏まえまして、農水省としましては、被災農業者が速やかな営農再開ができるように、農業用ハウス、機械等の復旧については被災農業者向け経営体育成支援事業を発動し、助成対象者、対象地域、補助上限額等の制限を撤廃をしております。また、塩害に伴う植えかえ等に必要となる追加的な種子、種苗の確保、追加防除、施肥に要する経費の助成などのきめ細かい支援対策について迅速に決定をしたところであります。

 加えまして、台風第二十四号の対策において、初めて、被災した農業用パイプハウスの原状復旧にとどまらない、補強の支援を措置したほか、被災を契機とした、新たに産地で共同利用する耐候性ハウスの導入への支援を行うとともに、防災、減災、国土強靱化のための緊急対策として、農業用パイプハウスの補強等を三年間で集中的に実施するなど、災害に備えるための対策についても積極的に取り組んでいるところであります。

今枝委員 ありがとうございます。

 非常に積極的に御尽力いただいていること、感謝を申し上げたいと思います。

 この台風二十四号でありますけれども、実は、もう一つ大きな問題がございました。それは停電の大規模化、長期化であります。最大五日間、実は停電をしたところもございます。理由は、特に中山間地においては、道路沿線に電線を張られていますけれども、倒木が非常に多くございまして、とにかくありとあらゆる箇所で倒木があって、実は、この復旧に大変時間がかかってしまったということであります。

 このような経験から、道路沿線ですとか電線の沿線については、倒木を極力避けるように、木をよく伐採をし、また森林整備をしていく必要があるというふうに思います。

 そのような中で、今国会では森林環境税ですとか森林環境譲与税の議論が進んでおります。この使い方については市町村に任せるということでありますので、国が実際の使い方に何かを禁じたりすることはないというふうに思いますけれども、新たな財源ということではあるわけであります。

 道路沿線、電線沿線の伐採を大いに進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

牧元政府参考人 お答え申し上げます。

 森林は、国土保全等の機能を通じまして、道路を始めとする重要なライフラインの保全にも一定の役割を果たしているところでございますけれども、間伐等が行われないために過密化をいたしまして、風倒被害が発生しやすい森林もあるものというふうに認識をしております。また、委員御指摘のように、台風二十四号におきましては、風倒木の大変大きな被害が生じたということでございます。

 このため、森林整備事業によりまして、危険木の伐採も含め、間伐を推進をしているところでございまして、国と都道府県合わせまして約七割の支援を行っております。風倒被害が発生した場合には、被害木の伐採、搬出とその後の植栽等に対して支援を行っているところでございます。

 一方、御指摘いただきました森林環境譲与税でございますけれども、この森林環境譲与税につきましては、森林整備及びその促進に関する費用というのがこの法律案で定める使途ということでございまして、この範囲内で各地方公共団体がそれぞれの地域の実情を踏まえた取組を進めていただくことが可能ということでございます。

今枝委員 ありがとうございました。

 あと残り十分ぐらいでございますけれども、残りの時間を全て使いまして、きょうも、けさも発生をしてしまいました豚コレラにつきまして御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、殺処分、また消毒、衛生管理など、寝る間を削って御尽力いただいている全ての皆様に心から敬意を申し上げたいと思います。

 そして、養豚農家の皆様には、心から、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 ここで、実はある養豚農家さんからお手紙を預かっておりますので、少しだけ読ませていただければというふうに思います。

 今回の殺処分については、うちは陰性判定だったんですが、畜産団地という立地条件で殺処分になりました。豚コレラのこれ以上の感染拡大を防ぐためにも殺処分はやむを得ないこと、それは全員がわかっている。ただ、陰性農場の気持ちは本当にやるせない。

 時間もありませんので、少し先に行かせていただきます。

 そして、経営再開するためには、今の農場豚コレラと野生イノシシのコレラ、両方が解決しないと安心して再開に踏み出せません。うちも、長男が将来は家業を継ぐつもりで、大学の農学部にことしの春から進学しますが、彼が安心して、そして胸を張って日本の食料自給を支えているんだと言えるような環境で事業継承できればと思います。再スタートはゼロからのスタートではなく、マイナスからのスタート、そのマイナスの事業資金もスムーズに進むことができるよう配慮されることを望みます。

 最後に、このように結んでおられます。

 殺処分を見て、本当に涙が出ます。こんな思いをこれ以上ほかの仲間にさせないためにも、ぜひ今の状況を知っていただきたいと思います。

 このような養豚農家の方々の思いに報いるためにも、一日も早い終息と、養豚が再開できるように十分な補償を行わなくてはならないと思います。これまでも、殺処分をした豚に対して一〇〇%の手当金など、さまざま支援をしていただいておりますし、二月二十六日にはさらなる追加支援というものも決めていただきました。さらに、愛知県におかれましては、すばらしいことに、当面の運転資金を確保することを目指して県費で手当金を、概算払いを決めるなど、御尽力もいただいております。

 しかし、本当に再開できるのか、現場は非常に不安であります。陰性殺処分にもかかわらず、衛生管理基準を厳しく評価されて減額支給になってしまうんじゃないだろうか、新たに豚を出荷するまで約一年半かかりますけれども、この間の資金繰りができるのか、こういった不安に対してどのように対応していくのか、農水省にお答えをお聞きしたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚コレラ発生農家等への支援につきましては、家畜伝染病予防法に基づきまして、発生農家に対し、殺処分された家畜の評価額の全額を手当金として交付するほか、移動制限がかけられた農家に対しましても、出荷制限による減収分を補填することといたしております。特に手当金につきましては、通報のおくれなど明らかな飼養衛生管理基準の不履行が認められない限り、家畜の評価額の全額が支給されることになっております。

 また、経営再開に向けましては、畜産経営の再開、継続、維持に必要な家畜の導入、飼料、営農資材の購入等に要する資金につきまして、家畜疾病経営維持資金や農林漁業セーフティネット資金の活用が可能になっております。

 さらに、家畜防疫互助基金の加入者が新たに豚を導入し経営を再開する場合には、経営支援互助金の交付を受けることが可能になっております。

 これらによりまして、豚コレラの発生により影響を受けた農家の方々が、経営を続ける意欲を失わず、速やかに経営再開できるよう、きめ細かく対応してまいりたいと考えております。

今枝委員 どうもありがとうございます。

 この豚コレラ問題で、養豚農家を一軒も倒産させてはならないというふうに私は思います。そのために全力で御尽力をいただきたいというふうに思います。

 ただ、まだまだ現場には、例えば、生まれた子豚の算定額が低いんじゃないかとか、手当金に課税をされてはやっていけないとか、さまざまな御意見がありますので、何とぞ現場の意見をしっかりと聞いていただいて、尽力できるようにお願いを申し上げたい、万全の支援をお願いしたいと思います。

 そして、今、十キロ以内の移動制限区域はかかっていないわけでありますけれども、それよりも隣というか近くの養豚農家にも、更に非常に強い不安がございます。

 防護柵設置支援を、鳥獣被害防止総合交付金ですとか消費・安全対策交付金などですとか、こういったことで行うと思いますけれども、更に追加が必要になるかもしれません。現場から要望があったときに、十分に対応できますでしょうか。被害があった地域や近隣地域については、更にこの優先採択もお願いをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 岐阜県及び愛知県における野生イノシシの拡散防止のための防護柵の設置につきましては、今年度の特別対策として、鳥獣被害防止総合対策交付金におきまして、合計六十キロ分の支援を行うこととしたところでございます。

 また、豚コレラの侵入を防止するための防護柵の設置につきましては、従来より、消費・安全対策交付金におきまして、農場におけるバイオセキュリティーの向上を目的とした野生動物侵入防止のための防護柵の設置を支援しているところでございます。

 平成三十一年度当初予算におきましても、消費・安全対策交付金等におきまして、これらの防護柵の設置をしっかり支援してまいりたいと考えております。

今枝委員 ありがとうございます。

 猟友会の方々も非常に御尽力いただいておりますので、そこの支援も含めて、ぜひともお願いをしたいと思います。

 最後、あと少しだけありますので、一問だけさせていただきます。

 ジビエ、特にイノシシへの今回の豚コレラの影響があります。ことしはいのしし年でありますから、イノシシ肉は販売は好調だと見込まれていたわけでありますけれども、今回の豚コレラ問題で販売に影響が出ております。

 政府としての認識と今後の対応について、最後にお聞かせください。

室本政府参考人 陽性のイノシシが確認されている地域におきましては、現在、狩猟を規制しまして、また、許可捕獲で捕獲されたイノシシについても食用利用を自粛していただいているところでございます。

 これを受けまして、狩猟規制地域における処理加工施設では、受入れを休止したり、陽性が確認されていない他の地域からジビエ利用のためのイノシシを受け入れて施設の運営を継続するところが見られる一方で、狩猟規制地域以外の一部処理加工施設におきましても、自主的にイノシシの処理を自粛する施設もあるというふうに聞いているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、豚コレラ対応の長期化に伴うジビエ利用への影響を把握する必要があることから、現在、担当職員を現地に派遣しまして、どういった課題があるかということなどについて聞き取りを行っているところでございまして、その結果を踏まえ、必要な対策について検討してまいりたい、このように考えております。

今枝委員 実態調査を始めていただいて、ありがとうございます。今後、しっかりと必要な支援というのを行っていただきたいと思います。

 最後に、豚コレラ、何としてでも今の状況で封じ込めを何とぞ何とぞお願いをしたいというふうに思います。これが面で発生してしまいますと、もういよいよ防疫指針にのっとって次の対応ということも考えなくてはならないというリスクもあります。

 豚コレラ汚染を約二十年かけて清浄化してきた養豚家や関係の皆様の思いを絶対に忘れてはいけませんので、早期に終息をさせるべく全力を尽くしていただきますように、心からお願い申し上げます。

 終わります。

武藤委員長 次に、金子俊平君。

金子(俊)委員 おはようございます。自由民主党の金子でございます。

 本日も農水委員会で御質問させていただく機会を設けさせていただきまして、改めて御礼を申し上げさせていただきます。

 ただいま今枝先輩から豚コレラの話が終盤の方にありましたけれども、私も引き続き豚コレラの件に関しまして質問をさせていただきたいというふうに思います。

 また、冒頭に、豚コレラに関して本当にいろいろな関係者の皆様が日夜努力をしておりますことに改めて敬意を表させていただきたいというふうに思いますし、同様に、きょう、ちらっと今、今枝議員からもありましたけれども、武藤委員長の御地元の山県市でまた新たな豚コレラの事案が見つかったという、けさ発表がありましたけれども、委員長も心中穏やかではないんだろうというふうに思いますけれども、早速、豚コレラに関して質問させていただきたいと思います。

 本当に、豚コレラが発生してから、昨年から、ちょうど今理事であられますけれども、野中理事、そして小里副大臣、また高鳥副大臣等々、政府の役職の皆様方におかれましても、岐阜に入っていただきまして、陣頭指揮をとっていただいたり、また情報を共有していただいたり、いろいろな対策を打っておりますけれども、なかなか終息のめどが立ってきません。

 そこで、昨年九月からの、一例目でありますけれども、発生拡大に関して、今どういうふうに農水省の皆様方が考えられているのか、また、今後どういった方針をとっていかれるのか、一問目、聞かせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 豚コレラにつきましては、昨年九月以降、二月十九日まで、岐阜県及び愛知県で計十例、関連農場を含め五府県において発生が確認されております。

 また、発生農場と屠畜場や出入りをする車両等が共通する農場、あるいは近辺で野生イノシシの豚コレラ感染が確認された農場につきましては、豚の移動制限や、異状が確認された場合の報告徴求を行うなど、監視を継続しているところでございます。

 この監視により、先ほど御指摘ございましたが、昨日、近辺で野生イノシシの豚コレラ感染が確認されていた岐阜県山県市の農場から異状の報告がございまして、精密検査を行った結果、けさ、豚コレラの感染が確認されたところでございます。

 まずは、蔓延を防ぐため、発生農場における防疫措置を徹底してまいりたいと思います。

 この豚コレラの発生を予防するためには飼養衛生管理基準の遵守が最も重要であることから、岐阜県内の養豚場に対しまして、国が主導して、飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認と改善の指導を進めているところでございます。

 また、野生イノシシの対策といたしましては、ウイルスの拡散、拡大を防ぐための防護柵の設置や、わなを用いた捕獲による個体数の削減に取り組んでおり、さらに、二月二十二日には、野生イノシシ向け経口ワクチンの使用を決定したところでございます。

 加えて、豚コレラ対策を強化するため、二月二十六日には、イノシシ陽性地域から半径十キロ以内の農場に対する報告徴求、出荷検査に加え、定期的な立入検査、あるいは、岐阜県での指導経験を持つ国の獣医師等が愛知県等の獣医師職員を指導し、農場指導を実施する、あるいは、全国の農場におきまして、飼養衛生管理基準の遵守状況をチェックシートを用いて国が確認する、さらには、豚コレラの早期発見のポイントとなる症状を家畜伝染病予防法の特定症状に位置づけ、農場、獣医師からの早期通報を義務化する等の追加対策を行いました。

 さらに、経営再開支援といたしましても、家畜疾病経営維持資金につきまして、制限区域外の農家も対象にいたしましたほか、償還期限を延長するなど、発生農家等の経営再開を支援するため、取り組んでおるところでございます。家畜防疫互助基金につきましても、基金の枯渇による減額は行わず、基金を積み増すこととしております。さらに、発生農家を対象に、豚マルキンの生産者負担の納付を免除することといたしました。

 これ以上の感染拡大を防ぐとともに、経営再開を支援するため、引き続き、国が主導して、各府省、都道府県と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 もう少しゆっくりしゃべっていただけると。細かいところが聞き取りづらいものですから、できれば次回からよろしくお願いをいたします。

 ちょっと、野生イノシシの部分だけ、実は聞き取れなかったのでもう一度御答弁いただきたいんですけれども、野生イノシシの拡散防止に関して、何を今されていた話をされたんでしょうか。

小川政府参考人 失礼しました。

 イノシシによるウイルスの拡散防止対策でございますが、野生イノシシ対策については、これまで、ウイルス拡散を防ぐための防護柵の設置、あるいは猟友会等による捕獲活動の強化などを緊急的に支援する対策を講じてまいりました。さらに、二月の二十二日に、野生イノシシを介して豚コレラウイルスが拡散していくことを防止するため、農林水産省の豚コレラ防疫対策本部におきまして、我が国初めての取組といたしまして、野生イノシシに対する経口餌ワクチンを豚コレラに感染した野生イノシシが確認されている地域に限定して散布することを決定いたしまして、今月から散布できるよう、現在準備をしているところでございます。

 引き続き、ウイルスの蔓延防止の徹底に努めてまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 ただいま、野生のイノシシに関しまして、経口ワクチンの散布を決められたという話を頂戴いたしました。

 経口ワクチンに関して何点か教えていただきたいんですけれども、まず一点目。

 今、日本で初めてというふうに話を賜りましたけれども、いろいろな御判断がその中にあったんだろうというふうに推測をいたします。また、決めていただいたことに関しては敬意を持っておりますし、また、岐阜県の議員として感謝もさせていただきたい一方で、何で今のタイミングなのかということ、もっと早く逆に経口ワクチンの導入を決められなかったのか、判断ができなかったのかということについて、まず一点目、教えていただきたいというふうに思います。

小川政府参考人 お答えします。

 野生イノシシに餌でワクチンを使用いたしますと、豚コレラに対する抗体を持たせることになりまして、野生イノシシにおける豚コレラの感染を抑えることが可能になります。

 野生イノシシへの経口ワクチンの使用につきましては、先ほど申し上げましたとおり、我が国は経験が全くございませんので、欧州での使用事例等、ヨーロッパでの使用事例を踏まえ、情報の収集や分析を行ってきたところでございます。

 豚コレラ防疫措置に関するEUの指令によりますと、ワクチンの散布地域の範囲は感染地域内において自然又は人工的障壁を考慮して設定することとされております。現在、岐阜県におきまして、感染イノシシが確認されている地域を囲う柵の設置が完了しており、EUの指令等を踏まえたワクチン投与の環境が整ったと判断したところでございます。

 今後、具体的な方針につきましては、現在、岐阜県あるいは愛知県との間で具体的な散布計画あるいは実施体制の整備について調整をしているところでございます。また、我が国には経験がございませんので、野生イノシシへのワクチンの使用経験のあるドイツから専門家を招くなどして、技術的助言を受けることとしております。

 豚コレラの蔓延防止、封じ込めは、極めて重大な局面を迎えていると認識してございます。これ以上の感染拡大を防ぐため、国が主導して、各府省、都道府県と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 柵がほぼほぼ完成をしたから環境が整ったという理解を今させていただいたんですけれども、それでよいですか。

 残り、多分二十キロ弱、切ったんだろうというふうに思いますけれども、地元の建設業界の皆様方が本当に日夜努力をして、今、岐阜県と愛知県の中で柵を完成しておりますけれども、一つ教えていただきたいのは、今回の経口ワクチンの散布後の分析、評価、調査方法について、どうやっていかれるのか、具体的な方針。若しくは、十二万個というふうに、配分する、それを新聞で読ませていただきましたけれども、それは一体どういう地域にどのぐらい配分をされるのか。もし決まったことがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

 また、どちらにしろ、今おっしゃっていたように、国も初めて、また、我が岐阜県も愛知県もそれぞれ初めての体験でありますので、わからないことばかり。誰がリーダーシップをとってやっていただくのかも含めて御答弁をいただければというふうに思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、我が国で初めてのものであるということでございますので、まず、国が先導して、使用実例、経験を持っているヨーロッパの経験をまず勉強し、さらに、これは、関係する県、すなわち豚コレラに感染したイノシシが多数確認されている岐阜県、愛知県の協力なしには完遂することができませんので、現在、岐阜県、愛知県と、具体的な散布計画あるいは実施体制につきまして、さらに、これは散布した後の効果の検証も必要になってございます、これらを今、調整をしているところでございます。

 さらに、この三者で、まさに実体験を有しておられるドイツの専門家を招いて勉強もしていくといったことで、今月中の散布を目指して、鋭意準備を進めているところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 どちらにしろ、日本で初めてのことでありますので、慎重には慎重を期していただいているんだろうという、今、認識を持たさせていただきました。

 十二万個の配分はまだ決まっていないという認識を今持たさせていただきましたけれども、それでは、なぜ十二万個という個数は決まっているのか、もし御答弁できたらで結構でありますけれども、教えていただきたいというふうに思いますし、もう一点、地中に散布をするというふうに確認をさせていただいておりますけれども、これは地中に散布をしないと逆に意味をなさないのかどうかもあわせて、もし御答弁できたらで結構であります、教えていただければというふうに思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、個数でございますが、約十二万個という個数につきましては、現在の進捗状況、豚コレラに感染したイノシシのエリアを踏まえて、この程度でまず試してみようということで考えたところでございます。

 地中に散布ということにつきましては、これも日本の特徴を考えていかなきゃならないのですが、確実にイノシシに食べていただくというための方法ということで、例えばほかの動物が間違って食べない、イノシシですと掘って食べるという習性がございますので、そういったことを加味して、深さ等につきましては今後また実験をしながら最も適切なものを探っていくことになりますが、そういった考え方で検討しているところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 経口ワクチンに関しては、またしっかりと御対応いただきたいというふうに思います。

 ちょっと、時間短縮の指示が来ましたので、先に行かさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今度は、今、与野党いろいろな先生方がお聞きされておりますけれども、ワクチンのことに関してお伺いをしたいというふうに思います。

 いろいろな議論を聞かさせていただいておりまして、特定家畜伝染病防疫指針第十三というものがございまして、ワクチンを接種する場合に関しての規定ということで、細かいことは言いませんけれども、三つの規定がある。感染拡大防止が困難と考えられる場合の三つの規定。その三つの規定というのは、埋却を含む防疫措置の進捗状況、二番目が感染の広がり、三番目は環境の要因。これが困難になったら、いよいよワクチンを接種するというふうに御説明をいただいております。

 一方で、どのぐらい被害があるから、どのぐらい被害があったらワクチンを接種するという規定は、実は我が国はない状況でありまして、この被害状況、どのぐらい被害があるからワクチンを打つ、そういう規定がないからこそ、いろいろな関係者の皆さんや、また国民の皆様方が不安に思うというのも、これまた一つの事実なんだろうというふうに思います。

 実際、吉川大臣は、いろいろな委員会の御答弁の中で、清浄国への輸出が今後できなくなる可能性が大いにある、そして、清浄国に戻るためにはやはり十数年かかってしまうという御答弁をいただいて、もうそのとおりだというふうに思いますので、そこに関してはコメントは一切しないようにいたしますけれども。

 一方で、じゃ、我が国、豚は清浄国に輸出を現状しているのかどうか。御答弁をいただいた中では、していないと。そうなると、実態の被害は、我が国、仮にワクチンを打ったところで、ないのではないのかと私は受け取ってしまうところもあるんですけれども、そこはいろいろな御判断がある。オーストラリアは、基本はワクチン禁止だけれども、粗生産額の一%を超えた場合に関しては緊急ワクチンを接種してもいいよという規定が既にある。

 なのであれば、我が国も、今度、どのぐらいの被害があったらワクチンを打つべきだ、皆さんがわかりやすいように数値的なものを今後導入していったらどうだというふうに思うんですけれども、もしその辺に関して御意見があるようであれば、御教授を賜りたいというふうに思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、今委員が御指摘いただいたとおりでございまして、防疫指針におきまして、埋却を含む防疫措置の進捗状況ですとか、感染の広がり、あるいは関連している農場の数が幾つあるか、あるいは周辺の農場数、あるいは地理的に孤立しているのか、面的な広がりはあるのかといったことを総合的に勘案する必要がございます。

 そういったことから申し上げますと、今の現時点で数字的に幾つといったことではなくて、こういった定性的な要件を加味して考えていくということが我々の方針になっているところでございます。

金子(俊)委員 わかりました。

 言えること、言えないこと、またいろいろな思いも多分あられると思いますけれども、ぜひ、特に、我が岐阜県だけではなくて、愛知県等々、もう既に被害が出てしまったところに関しては、養豚農家の皆様方は複雑な思いを抱えられていて、是が非でも、ワクチンを打ってでもやはり撲滅を一刻も急いでもらいたいという思いはあると思いますので、そこに関しては理解していただいた上で、また施策を打っていただきたいというふうに思います。

 また次に移らせていただきます。

 先般、予算委員会、これは二月十三日でありましたけれども、野党の方の質問ではありましたけれども、安倍総理が豚コレラに関して、日夜奮闘していただいている県の職員の皆様方、もちろん農水省の職員の皆様もそうですし、また市町村の皆様方、自衛隊の皆様方、それ以外の、建設会社等関係協力団体もあると思いますけれども、心のケアについてしっかりとやるというふうに御答弁をいただきました。

 我が岐阜県も相談室等々設けていただいておりますけれども、具体的にどのぐらい相談をいただいているのか、若しくは、相談室以外に関してまた新たな対応を考えられているのか、もし何かあれば御答弁を、ここは簡潔にお願いをいたします。

小川政府参考人 精神的なケアは大変重要だと認識しておりますが、大変申しわけありません、岐阜県での相談受け付け件数等、我々、申しわけありません、把握してございません。

 ただ、国といたしましては、全国で毎年、担当者会議を行っておりまして、直近では昨年九月に開催しておりますが、その中では、口蹄疫等の疾病発生時における精神保健活動といった形で、専門家をお呼びして、皆さんでメンタルケアの重要性についての認識の共有を図ったところでございます。

金子(俊)委員 ありがとうございます。

 やはり、なかなか屠殺処分になれていない職員の皆様方が、ずっと、今、日夜追われていると。

 ぜひまた引き続き努力をいただきたいというふうに思います。

 風評被害の方に関しましては、質問させていただこうと思いましたけれども、もう述べるにとどめさせていただきますけれども、今現時点では、豚の枝肉価格というのは皆様方の御努力で踏ん張っていただいているんだろうというふうに思います。またぜひこれが続くように御努力をいただきたいというふうに思いますし、ましてや、ほかの、牛とかそれ以外の農産品にまで風評被害が及ぶことのないように、またぜひ努力をいただきたいというふうに思います。

 最後に、大臣に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 殺処分措置等の対象となった農家への手当金、本当に、決めていただきましてありがとうございました。農家への手当金を早急にまたお願いをするとともに、今後、豚コレラに対して、大臣が、どういうふうに撲滅を図っていくのか、決意をお聞かせをいただいて、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。

吉川国務大臣 金子委員からさまざまな豚コレラに対する御指摘をいただきました。

 それらを全て農林水産省としては真摯に受けとめながら、これ以上の蔓延防止に、封じ込めをしていかなければなりません。

 この封じ込めは、極めて今、重大な局面を迎えていると私は認識をいたしております。その一つに、先ほどから議論をいただいておりました、野生イノシシに対する経口ワクチンの使用もございます。さらには、こういったことも含めてさまざまな対策も講じているところでもございまするけれども、これ以上の感染拡大を防ぐために、国が主導をいたしまして、各都道府県と一層緊密に連携しながら、緊張感を持って今後も取り組んでいかなければならないと存じております。

 まずは、各養豚場に対しまして、飼養衛生管理面で、国が主導いたしまして、県とも連携をとらせていただきながら、そういった指導もさせていただいているところでもございまするけれども、更に必要な部分がございますれば、私どもは、これからも万全の体制を敷いてまいりたいと思っております。

 手当金につきましても、これも大切でございますので、今、岐阜と愛知県において豚の評価額の算定が行われていると承知をいたしております。国に申請があり次第、速やかに支払い手続も進めていきたい、こう思っております。さまざまな支援策も講じてまいります。

金子(俊)委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わらせていただきます。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、豚コレラの感染拡大対策についてということでお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、一番目の質問は、イノシシの餌ワクチン使用を決断したその理由と期待する効果ということについてお伺いしておきたいと思います。

 それで、この豚コレラの我が国での発生、昨年の九月九日、岐阜県岐阜市で第一例目が発生をして、ことしに入って、二月の十九日に十例目、しかし、その後は発生はなかったという報告を受けていましたので、終息しつつあるかなと思っておったんですけれども、本日また報告がありまして、豚コレラの疑似患畜の国内十一例目が岐阜県の山県市の養豚場で確認されたということで、なかなか、大変厳しい状況は変わらない。

 もう既に半年たっていますので、この豚コレラ対策というのを一層強化しなくてはいけない。もちろん、養豚事業者の方々や関係者の方々も大変な御苦労をなされて、また御協力もいただいてこの対策を今進めているところでありますけれども、政府としては一丸となってこの対策を進めていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 それで、拡大豚コレラ疫学調査チームということで検討を進めていく中で、一つは農場への感染経路ということで、岐阜県及び愛知県の中の野生イノシシの豚コレラウイルス、この感染が拡大しているということ、それから、衛生管理区域の中に車両が立ち入る際に適切な消毒が行われていなかったのではないかということで、この検討結果が出ておりますが、これに基づいて、現在のところ、適切な洗浄、消毒の履行とか、いろいろな対策が進められているというふうに承知はしているところでございます。

 私ども公明党も、常設している対策本部の中で早速議論をして、現在は豚コレラ対策本部というのを設置されておりますけれども、二月の八日の日に、吉川農林水産大臣に緊急の提言ということでさせていただきました。

 その中身には、まず一番最初に、ワクチンの投与も含む感染拡大防止対策の徹底ということで、これは、いわゆる野生イノシシの感染防止のために、野生イノシシに対するワクチンの効果的な使用方法について至急検討すること、これを実は一番最初に要請事項の中に書かせていただきました。

 それと同時に、発生した農場等への早期の支援ということで、いわゆる家畜伝染病予防法に基づく手当金や助成、その他の融資など必要な経営支援を周知して、そして速やかに実施をしていただきたい、さらには、風評被害の防止ということで、豚肉の安全性について、消費者の方々や流通業者に正確、迅速かつ適切な情報を提供すること、また、アフリカ豚コレラの侵入防止対策を講じること、大要、このようなことを要請させていただいたところでございます。

 そこで、伺いますけれども、この豚コレラ対策の中で、野生のイノシシに対する餌ワクチンについて、地域を限った使用をするということを決断されました。これはさきの自民党の皆さんからの御質問にもありましたけれども、国内では初であるということ、それから、その効果に対する検証というのがどこまでされているのかということについての一部の疑問の声もありました。しかしながら、私は、大変英断をしていただいたというふうに思っています。

 ここに至った決断と、それから期待する効果についてお伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 稲津委員から今お話をいただきました、二月八日に御党から六項目にわたりまして御要請をいただきました。この対策の御支援に対しまして、まずは感謝を申し上げたいと存じます。

 野生イノシシは、この豚コレラに感染をいたしますと、弱いイノシシは死亡する一方、強いイノシシは抗体を持ち、ウイルスは徐々に消滅していくのが通常と考えられるということであります。そのため、これまでは、わなを用いた捕獲により個体数の削減に取り組んできたところでございまするけれども、この結果、地域によってはおさまりを示すところも出てまいりました。ですが、一方で、本年二月に入りましてから、野生イノシシにおける感染数がふえている地域も見られるようになりました。

 豚コレラ防疫措置に関するEUでの指令によりますれば、ワクチン散布地域の範囲は感染地域内において自然及び人工的障壁等を考慮して設定するとされておりまして、現在、岐阜県において、感染イノシシが確認をされている地域を囲う柵の設置が完了いたしておりまして、EUの指令等を踏まえてワクチン投与の環境が整ったと判断をしたところでもございます。

 そのために、二月二十二日に、野生イノシシを介した豚コレラウイルスの拡散を防止するため、農林水産省豚コレラ防疫対策本部におきまして、豚コレラに感染した野生イノシシが確認をされた地域に限定して三月から散布できるよう準備を始めることを決定いたしたところでございます。

 豚コレラの蔓延防止、封じ込めは極めて、先ほども申し上げましたけれども、重大な局面を迎えていると認識をいたしておりまして、これ以上の感染拡大を防ぐために、国が主導して、各都道府県と一層緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと存じます。

稲津委員 ありがとうございました。

 岐阜県と愛知県における豚コレラの感染のイノシシの発見地点という地図がありまして、これをずっと見ておりますと、やはりこの山県市についても、陽性反応が出た、死亡した野生イノシシ、捕獲した野生イノシシ、かなり発見されています。その周辺に農場もあるということで、こういったケースというのはほかにも可能性は高いと思うんですね。したがって、ぜひ速やかな実施をお願いしたいというふうに思う次第でございます。

 もう一点は、検疫探知犬のことなんですけれども、今回、中国、ベトナム、モンゴルでのいわゆるアフリカ豚コレラ、これは、今発生している豚コレラとは全く別種で、大変なさまざまな強い感染力があるということ、これは既に承知のとおりですけれども、ここに対する検疫対応の強化、これは昨年の八月から農水省としても進められているというように聞いています。

 特に、中国、ベトナム、モンゴルからの豚由来の畜産物の検査強化ということで、その中で、この検疫探知犬について、現行、二十九頭の体制、これは空港等に配置をして、外国人観光客の方々の荷物の中からにおいでそうしたものを感知して知らせる、そういう大変すぐれた探知犬ですけれども、これが今、羽田空港など八カ所に配置されていて、更に四頭を臨時的に追加、増頭するというお話がございました。私、これは非常に大事なことだと思っております。

 それで、では実際に増頭するといっても、犬の訓練ですとか、それから、犬と一緒に行動するハンドラー、人の確保、こうしたことを含めて、育成には六カ月ぐらいかかるというように言われています。

 したがって、私は、今回のこのアフリカ豚コレラ、まず第一優先ですけれども、それと同時に、水際での畜産物等の持込みをしっかり防ぐという意味で、ぜひこの検疫探知犬の増頭をこれを機にしっかり図るべきだ、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

濱村大臣政務官 水際対策は大変重要であると認識しております。

 稲津議員が農林水産大臣政務官を務めておられた平成二十四年度及び二十五年度の予算におきまして、それまで六頭でございました検疫探知犬が、新千歳、成田、中部及び福岡の四空港及び川崎東郵便局に新たに配置するなど、合計十四頭に増頭されました。

 その後、計画的に検疫探知犬の増頭を進めてまいりまして、最近では、本年二月に四頭増頭し、現在、中国からの直行便の九割を占める主要七空港及び川崎東郵便局に計三十三頭の検疫探知犬を配備しているところでございます。

 検疫探知犬につきましては、我が国へのアフリカ豚コレラを始めとする越境性動物疾病の侵入リスクが高まっていることから、予算をしっかりと確保しながら、更に増頭を検討してまいりたいと考えておりまして、広報活動や家畜防疫官の携帯品検査への重点配置などほかの対策とあわせて、水際対策の強化に万全を期してまいりたい、このように考えております。

稲津委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。インバウンドのお客様が大変ふえている状況もありますので、ぜひ進めていただくことをよろしくお願いします。

 次に、農林水産物、食品の輸出額目標一兆円の達成に向けてということで質問をさせていただきたいと思います。

 先般、RCEPカンボジア閣僚会合がございました。そして、これは、ことし初の閣僚会合でございましたけれども、市場アクセス、物品、サービス、投資、これについて現状の評価を共有して、今後二国間交渉等々を加速するということで一致をした。ルール分野も、交渉加速の必要性という認識を共有されました。次回の閣僚会合は八月に開催ということでございますが、さまざまな期待も今高まっているところでございます。

 そこで、もう一点。日・EU・EPA、ことしの二月の一日に発効いたしました。これも輸出による販路拡大に期待をされるということで、もちろん、その影響を見きわめて、しっかり対策を講じていくとともに、もう一方では、これをぜひ輸出に向けての強化策の一環としていきたい。

 こうしたことの中で、吉川農林水産大臣も、この日・EU・EPAの発効に関して、輸出重点品目の緑茶や牛肉などを含めてほとんどの品目で即時撤廃された関税ということを踏まえて、大変この輸出拡大に期待をしているという声もございました。

 それからもう一方で、チーズなどについては、日本にヨーロッパのチーズがたくさん輸入されて、そのことによって生産農家に影響があるといった懸念もある一方で、今、東アジアでは、日本のチーズの方が食味が合うということで、実はヨーロッパチーズよりも日本のチーズの輸入が進んでいるという現象もあります。

 TPP11、昨年の十二月三十日に発効しました。これは、もう言うまでもありませんけれども、世界のGDPの一三%を占めるということで、大変大きな期待もあるわけでございます。

 そして、農林水産省は、ことし二月八日、輸出実績をまとめまして、輸出額は昨年九千億を超えたということで、六年連続でふえているという発表です。いよいよ農林水産物、食品の輸出一兆円の目標を、あと一千億円ということで、私は、この際、この日・EU・EPA、TPP11の発効、そしてRCEPを見据えて、ぜひ、ここらに向けた輸出増額の追い風にこれをしていくべきだというふうにも思っております。

 残り一千億円の引上げについて、どのような目標を持って取り組むのか、この点についてお伺いします。

吉川国務大臣 稲津委員からただいまの御指摘、お話をいただきましたように、これまで、海外での需要拡大、輸出拠点の整備ですとか、各国の輸入規制の撤廃、緩和に向けた働きかけ等に政府を挙げて取り組んでまいりました結果、その効果もあり、我が国の農林水産物、食品の輸出額が、昨年九千六十八億円となりまして、六年連続で過去最高を更新いたしました。

 昨年十二月に発効いたしましたTPP11、先月発効いたしました日・EU・EPAによりまして、今御指摘をいただきましたように、牛肉、水産物、茶を始めとする輸出重点品目の関税が撤廃されるということにもなりました。

 さらに、EU向けの卵及び乳の輸出が解禁をされましたので、お菓子とかスイーツなど、卵や乳を使った加工品の一部、割合が五〇%未満でありますけれども、そういった加工品の一部は、第三国リストに掲載が有効となりました後すぐにこれが輸出ができるようになっております。

 こうした輸出環境の改善を契機にいたしまして、輸出拡大に更に弾みをつけるために、今年度の第二次補正予算によりまして、これらの地域を対象にした促進策を講じることとしておりまして、特にEUにつきましては、関係省庁と連携をしながら、輸出加速化アクションプランというものを策定いたしております。

 一兆円の目標の達成に向けまして、北海道の産品を始め、北海道だけではございません、北海道の産品を始めとして、全国のおいしくて安全な農林水産物、食品を売り込んでいきたい、こう思います。

稲津委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。

 それでは次に、牛肉の輸入量の急増についてということで、この傾向、トレンドをどう見るか、それから、今後増加が加速した場合に例えばセーフガードをどうするのかとか、それから、これはまだわかりませんけれども、これからこの増加が更に進むということをもし仮に考えていくならば、その調査や検証はどうするのか、このようなことについてお伺いをしてまいりたいと思います。

 報道、それから農林水産省の報告では、牛肉の輸入量が増加をしているということで、ここでは、TPP11の発効に伴う関税の引下げですとか、為替の影響ですとか、こうしたことが具体的に影響されているのではないか、このような報告もございました。

 そういう中で、実は、これはもう報告がありますけれども、二〇一九年一月の輸入量ということで、これを見ますと、パーセンテージでは、対前年同月比、二〇一八年の一月と比べて、カナダが五三〇%ふえている、それからニュージーランドも二九八、オーストラリア、これが一四〇%、それからアメリカも一二一%ということなんですね。

 これは、カナダの場合は、二千七百十五トンの輸入量ですから、全体量から見たら小さいので、分母が小さい分だけ、影響を受けるとパーセンテージが上がるのはやむを得ないと思うんですけれども。ただ、ここで特徴的なのは、やはりオーストラリアについては一四〇%で、全体でも、TPP11だけで見るとやはり一五六%、こういう傾向があります。

 そういうことで、簡潔にお聞きしますけれども、先ほど申し上げましたように、この傾向、トレンドをどう見るか、そして、今後どのようにこうしたことを、少し長い目で見なきゃいけませんけれども、検証、調査していくのか、このことについてお伺いします。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 一月の牛肉の輸入量は、御指摘ございましたとおり、五万五百七十四トンということで、前年度同月比一四二%と増加してございますが、これは、TPP11の発効に伴う関税の引下げ、また円高期待等の為替の影響等によって、輸入業者が昨年十二月の牛肉の通関を控えまして、本年一月に繰り越したことによるものではないかというふうに考えてございます。

 また、豪州のお話ございましたけれども、豪州につきましては、日豪のEPAがございまして、TPP11の発効に伴う関税引下げの恩恵をほとんど受けていない、若しくは関税の引下げがないという、冷蔵と冷凍で若干違いますけれども、そういう意味からいたしますと、為替の影響が大きかったのではないかなというふうにも考えております。

 今後の輸入量の動向につきましては、国内の景気動向、海外の生産動向ですとか為替相場等、左右されますので、予断は持ってお答えはできませんけれども、引き続きその輸入動向については注視していかないといけないというふうに思ってございます。

 なお、本年一月、二月の国産牛の枝肉の卸売価格は前年同月に比べて上昇しておりまして、一月の牛肉輸入量の増加が国産牛の枝肉の卸価格に影響を与えている状況にはないというふうに考えてございます。

稲津委員 ありがとうございました。

 最後の御答弁ではっきりしたんですけれども、価格が下がっていないということですから、これが輸入の増加の影響を受けているとは言えないというお話でして、安心しておりますが、ただ、もう一方で、それは、支えになっているのはやはり国内消費、焼き肉とかハンバーグだとか、そうした食の傾向が変わってきているというのが一つの要因だと思うんですね。

 いずれにしても、国内の牛肉の需要、それから価格、そして海外からの牛肉の輸入状況をしっかりよく見きわめていかなきゃならない、このように思っておりまして、今後もそうしたことを農水省としても少し注意深く見ていっていただきたい、このように思っている次第でございます。

 少し時間が早いですけれども、これで終わらせていただきます。予定していた質問、もう一問ありましたけれども、大変恐縮ですが、次回にまたさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。

 大臣所信と豚コレラについて質問させていただきます。

 大臣所信から入ろうかと思っていたんですけれども、けさ、豚コレラのまた新しい事例が発生したということですので、質問の順番を変えて、初めに豚コレラについて質問させていただきます。

 豚コレラ、昨年からどんどん広がっていって、しばらくニュースがないので終息したかしらと思うと、またぽつっと次の事例が報告されて、そしてまた、けさ報告があってということで、なかなか終息いたしません。

 この間、立憲民主党でも勉強会を重ねて、そして、途中で、これはワクチンを使用しないと拡大をとめられないのではないかというような、そういう気持ちになったときもあるんですけれども、最終的には、私たちは、やはりワクチンはだめなのだというところに落ちつきました。専門家の意見を聞いて、やはりワクチンは使用すべきではないと思います。それはやはり、農水省が今もまだ使っていないというその見解と一致するのだと思います。

 ワクチンを使用することの問題というのは、一つは、汚染国になってしまうと、内外無差別の規則があって、他の汚染国からの畜産物の輸入が解禁されてしまうということ。それから、ワクチンになれてしまうと、やはり、使用してほしいという畜産農家からの要望が強く出るようになって、清浄国に戻るまでに場合によっては十数年かかってしまうかもしれないということ。そして、決定的な理由は、ワクチンというのは、やはり変異していくものなので、当初ワクチンが効いても、ウイルスが変異して効きにくくなっていく、そのときに、ワクチンが存在しないアフリカ豚コレラが入ってきたときにはもうお手上げなので、やはり安易にワクチンを使用してはいけないというのが最近私たちが聞いた専門家の意見で、そこに非常に納得ができました。

 そこでお伺いいたしますけれども、農水省がやはりワクチンを使用しないというのは、野生のイノシシにしか使わないというのは、そのような理由である、そして今後もその方針であるということでよろしいでしょうか。

吉川国務大臣 亀井委員が今御指摘をされた認識と私も一緒でございます。

 農林水産省が定める豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、ワクチンの使用につきましては、慎重に判断する必要があり、我が国における本病の防疫措置は、早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則としているところでもございます。

 現在までの発生事例につきましては、疫学調査チームの報告等によりますれば、飼養衛生管理基準の遵守がなされていたとは言えない部分もあると言われております。現段階では、各府県と連携をしながら、飼養衛生管理基準の遵守及び早期発見と迅速な屠殺によりまして、同病の発生予防及び蔓延の防止を図っていくことが今のところはベストであると考えております。

 またさらに、平成八年から十八年まで丸十一年間かけてワクチンに頼らない清浄化を達成をしたところでもございまして、その後に、農場における飼養衛生管理基準を遵守することによってワクチン非接種清浄国を実現をしてきた経緯というものもございます。

 ワクチンの使用につきましては、極めて慎重に対応していかなければならないと考えております。

亀井委員 ワクチンの使用以前にやるべきことがたくさんあると思います。

 昨日、豚コレラの感染の原因について委員会でも報告がありましたけれども、ひど過ぎると思います。「衛生管理区域の中に車両が立ち入る際に適切な消毒が行われていなかった」、「豚舎の内外を、飼料を運ぶ手押し車などの飼養管理器具が行き来していた」、「豚舎間の豚の移動に際して、豚を移動させる通路等を事前に洗浄、消毒せずに移動させていた」、こういうずさんな例がたくさんあるわけですから、まずこういうところを徹底することが先だと思います。

 けれども、現実に今感染が広がっているわけで、現場の方、養豚農家の御心配、それから屠殺にかかわる方々、今、獣医学部の学生も、注射を打つために現場に駆り出されていて、精神的にもかなり参っているというような報道もありまして、本当に私も胸が痛みます。

 一刻も早く終息することを願いながら、農水省にも、万全の対応、今後、感染を防ぐための基本的な対策をお願いしたいと思います。

 今、私たちも要望をまとめておりまして、できれば委員会で決議の形にできればと用意しているところですので、御協力いただきたく、よろしくお願いいたします。

 それでは、大臣所信についての質問に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、これは本当に答えがないと思うんですけれども、大臣所信ですので大きなテーマから入りたいと思います。人口減少、特に農山漁村の人口減少についてです。

 今回の大臣所信で、一番最初に、「人口減少に伴うマーケットの縮小、農林漁業者の減少、高齢化の進行、グローバル化のさらなる進行など、国内外で大きな環境変化が生じており、我が国の農林水産業は転換期を迎えています。」こういう文章で入っております。

 私は、総理の施政方針演説なども聞いていていつも感じるんですけれども、人口減少というのが、何かまるで自然災害ですとかリーマン・ショックですとか、何か降って湧いたような、そういう現象のように聞こえるわけです。人口減少が突然起こったからしようがないですよね、今大転換期にあるんですというような物の言い方だといつも感じるんですけれども、そうじゃないですよね。少子高齢化が長いこと続いて、ついに人口減少の局面に入ったんです。

 振り返ってみれば、合計特殊出生率が一・五七になったあの一・五七ショックというのは、一九八九年の人口動態調査によって判明したので、一九九〇年なんです、世の中が騒いでいたのは。それはほぼ三十年前ですね。私は当時学生でした。そして、ずっと少子高齢化と言われながら、今まで約三十年来て、ここ数年で人口減少社会に突入したわけですから、やはり、この間、対策が打てなかったということで、その責任は私は政府にあると思います。

 特に、全体的に人口が減少しているのであれば、全国満遍なく減少しているのであればまだいいんだと思うんです。江戸時代のように、人口が少なくても全国に人が散らばっていれば問題は少ないわけですけれども、そうではなくて農山漁村の人口が減少しているわけですから、やはり、いろいろな原因があるとしても、農水省の対策にも責任があると考えるんですけれども、一体、農水省は何を失敗したのか、何を見通しを誤ったんだと思われますか。大臣の御見解を伺います。

吉川国務大臣 なかなか難しい御質問だと存じておりますが、まず、全国的に、若い世代の仕事と家庭の両立、育児負担などが出生率に影響を及ぼしていることに加えまして、地方から東京への人口流出などが主要因となって、地方の農山漁村においては高齢化や人口減少が都市部に先駆けて進行していると承知をいたしております。また、地域によりましては、コミュニティー機能や地域資源の維持にも影響が生じていると認識をいたしております。

 このように、人口減少が進む農山漁村におきまして、地域を活性化していくために、農林水産省といたしましては、日本型直接支払いにより地域を下支えしつつ、地域全体の所得向上を図る六次産業化の推進ですとか、高齢者や子供の見守りサービスや、移動販売車による買物支援など、地域の助け合いを後押しする取組への支援、さらに、農泊や農村への移住、定住促進等の支援などを総合的に講じているところでもございます。

 人口減少問題を直ちに解決していく処方箋を描くことはなかなか難しいと思いますけれども、一朝一夕に成果が出るものではございませんけれども、関係府省の施策とも連携をしながら、農山漁村の活性化の取組をしっかり推進してまいりたいと存じます。

亀井委員 明確な答えがあればこんなにみんな苦労していないわけですから、すっきりとしたお答えがいただけるとは思っておりませんし、私も考えているところですけれども、ただ、言えることは、第一次産業に魅力を感じるような政策を打てなかったということだと思うんです。

 産業構造が変わって、第一次産業から二次産業、三次産業と戦後変わっていく中で、都市に人口が流出していったのは事実なんですけれども、やはりその中で、もう少し第一次産業、農山漁村に魅力を感じるような政策が打てていれば少しは違ったのではないかとは感じます。

 私がこの質問をしたわけは、人口減少をまた前提として、人口減少しているからしようがないですよねといって政策を打っていったときに、これまで、少子高齢化していますよね、だからこうしましょうと聞いていたその少子高齢化の言葉が人口減少社会に置きかわるだけで、また、人口減少しているからこれをやりましょう、あれをやりましょうといって、何年もこの言葉を聞き続けるような気がするので、なぜ人口減少しているかというところに取り組んでいかないと、結局とまらないと思うんです。

 次の質問に移ります。

 今回の所信でも、人口減少をして農林水産業は転換期を迎えている、そういう中で、「農業を持続可能なものとするためには、担い手に農地を集積、集約していくことが不可欠」とあります。「担い手に対する農地の利用集積率を二〇二三年度までに八割に引き上げる」とのことなんです。

 一方で、国連は、二〇一九年から、ことしから二八年までを家族農業の十年と位置づけています。これは、農業というのは命をつなぐための食料であると同時に、農産物というのは商品でもあります。そして近年、低コストで生産するための大規模化が進み、先進国の大資本が途上国の農業を変えています。その結果、環境破壊や地域の伝統文化の断絶、在来種の根絶、こういうことが起こって、企業が行う農業の負の側面というのが見えてきたので、国連は、家族農業の十年ということ、貧困、飢餓を撲滅するという観点で、この発表をしています。

 世界の農家の九八%はやはり家族農業で支えられている。この構造は日本でも一緒でして、日本の農業経営体百三十八万のうち、家族経営は百三十四万で九八%です。担い手というのは、法人、家族経営、ともにあると思います。それでも、経営体の九八%が家族経営、つまり、恐らく小規模であるのに、一方、面積の方、農地の八割を担い手に集めるというのは、これは現実的で持続可能な政策なんでしょうか。

 この視点で、今国会には農地中間管理事業の推進に関する法律の改正案が出ているわけですけれども、果たしてこの数字が、八割を担い手に集める、一方で家族経営が九八%だということについて、妥当なのかということを大臣にお伺いいたします。

吉川国務大臣 現在の農業、農村の状況を見ますと、農業就業人口が平成二十八年に初めて二百万人を割り込みまして、二十年前の半分になりました。平均年齢が六十七歳になるなど、極めて厳しい状況であると承知をいたしております。

 このような状況のもとでは、今後とも、農業を継続していく担い手に農地を集積、集約化しなければ、耕作放棄地の増大など、地域農業の維持発展が困難になるおそれがあると存じます。

 こうしたことから、担い手に農地を集積する目標を設定をいたしまして、担い手が円滑に農地を集約できるようにすることが重要と考えているところでもございます。

 なお、担い手の中には、小規模でも高収益作物を栽培している家族経営ですとか、小規模な家族経営が集まって立ち上げた集落営農も含まれておりまして、担い手に農地を集積することが家族経営の維持発展と私は矛盾はしないと考えておりますが、家族経営の皆さんにも私たちはしっかりと光を当てながら大切にしていかなければ農業の持続性というものはないのかな、私自身はそう思っております。

亀井委員 意欲と能力のある担い手という言い方をよくします。その人たちが家族経営のこともあるでしょうし、家族で法人の形をとっているかもしれませんし、いろいろそれはあると思うんです。でも、それにしても、まだ少数派だと思います。その人たちに八割の農地を集めて大丈夫なのだろうか、それが現実的なのかどうかというのは、私はやはり疑問を持っています。

 そして、担い手が若いとも限らないんですよね、全体に高齢化しているわけですから。地元を見てみても、担い手で、当時、六十ぐらいでばりばりだったけれども、そこで十年たてば七十ですよね。ですから、今、担い手として頑張ってきた人たちが高齢化しています。やめるにやめられない、けれども、まだ次の世代はいない。

 そうすると、農地をまとめて、一部のそう若くはない担い手の人たちに集めて、彼らが、いよいよ続けられない、あるいは途中で体を壊してやめたときに、広大な農地がいきなりあいてしまうんですね、耕作放棄になってしまう。そういう可能性があるところが今もう出てきていると思います。

 そういう段階ではないかなと思うので、私は、国連が推奨するように、小さな農業、家族農業の方にむしろ力を入れて、小さくても強い家族経営のところをふやしていく方が全体的に強くなるのではないかと考えておりますけれども、今回の、三十一年度の政策の中で、この国連の家族農業の推進、そこに当たる部分、政策というのはどの項目になりますでしょうか。大臣、それか政府参考人の方でも結構ですので、お答えください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、家族経営、法人経営、それぞれさまざまな地域によりまして実態があると思っておりますし、担い手が後継者不足でリタイアせざるを得ない、さまざまな状況があると思います。

 であるからこそ、農地中間管理機構、いわゆる農地バンクが一旦農地を借りて、それで、そういうような担い手の方がリタイアするような事態にも、次の担い手の方々を探したり、もういらっしゃるのであればそういう方々に円滑に渡していく、こういうことを農地バンクの狙いの一つとしているわけでございます。

 家族農業に関する施策、このどの部分かという御質問でございますけれども、我々、基本的な考え方といたしまして、意欲的な取組を育てていくことによって、農業、それぞれの経営の方を持続可能な形に発展させていただく、それが一番大事だと思っておりますので、そういう意味で、地域農業の担い手となるような意欲のある農業者であれば、経営規模の大小や法人、家族の別にかかわらず、政策支援の対象にしているわけでございます。

 ですから、そういう考え方からいたしますと、ある意味では、農林省のそういうあらゆる政策、機械、施設の導入支援でありますとか、六次産業化、経営所得安定対策、収入保険対策など、幅広い対策が家族農業を含めた対策というふうに考えているところでございます。

 また、地域政策につきましても、これは中山間地に対する直接支払いなどで地域の営農継続に必要な支援も行っているということでございますので、ある意味では、そういう各般の施策がこの家族農業に関する施策だというふうに我々は考えてございます。

亀井委員 国連は、各国政府などに、家族農業に関する施策を推進するよう求めています。ですので、後日で構わないので、やはり、いろいろな政策がある中で、例えば日本型直接支払いですとか、これとこれとこれは家族農業に特に重点を置いたというか意識した政策ですというような、項目というのは出せると思うんですよね。

 なので、その項目と、合計これだけの予算をつけていますというものをいただけたらと思うんですけれども。ぜひ、よろしくお願いいたします。

大澤政府参考人 基本的に、先ほど御答弁したとおり、さまざまな施策が家族農業を進める施策だと考えておりますけれども、先生の御指摘を踏まえまして、どういうことが可能かは検討してまいりたいと考えております。

亀井委員 よろしくお願いいたします。

 次の質問に移ります。主要農作物種子法の廃止についてです。

 私たち、この種子法の復活法案を出しておりまして、去年の通常国会で一度審議をしていただきましたけれども、継続審議扱いで、臨時国会ではついに審議の機会がありませんでした。

 一方で、種子法が昨年四月から廃止されて、この三月までの一年間に、地方自治体では、この種子法にかわる県条例が制定されたり、また市町村で決議が出たりという動きが既にございます。

 そこで、これは政府参考人の方に質問ですけれども、今、県条例ですとか決議など、全国で幾つ出ておりますでしょうか、お伺いいたします。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 主要農作物種子法の廃止に関連いたしまして、これまで条例を制定した道県は七つ、七道県、条例の骨子を示すなど制定に向けて具体的な準備をしている県は三県というふうに承知をしております。

 また、種子法に関連いたしまして、平成二十一年二月の末までに市町村から届いております農林水産大臣宛ての地方自治法第九十九条に基づく意見書は、百件というふうに承知をしております。

亀井委員 種子法が国会で廃止されたときには、私はまだ議員で……

天羽政府参考人 今、平成二十一年と申し上げたそうなんですけれども、三十一年の二月末でございます。

亀井委員 訂正、ありがとうございます。

 種子法の廃止の審議がされたとき、私は議員でなかったので、なぜそういう議論に至ったのか、なぜ政府は種子法を廃止したのかというところはよくわかりません。

 昨年、種子法の復活法案の審議をしたときに、自民党の方の質問の中にその種子法の経緯についての説明がありまして、お話を伺いながら、随分考え方が違うものだと思いました。

 その当時のあれは坂本委員でしたけれども、委員の説明によれば、結局、種子法というのは、議員立法で種子法と言われているけれども、実際のところは稲、麦、大豆奨励品種増産法なんだ、戦後に食糧を増産するためにそういう法律をつくった、増産をするための品種改良法だから、もう時代は変わったのだからそういう法律は要らないのではないか、品種改良をして増産するための法律で、知的所有権という概念はなかった、けれども、今、知的所有権という概念が世界に広がってきて、種子の開発競争に入っている、その中にあって国際競争力を高めなければいけないから、もう種子法というのは時代おくれであって、もっと早くに廃止されているべきものだった、遅きに失したというようなことを言っていたんですね。

 ですので、大分考え方がやはり違うんだなと思ったんですけれども、このような発想で政府は種子法を廃止したんでしょうか。お伺いいたします。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 主要農作物種子法の廃止でございますけれども、この法律は、先生今御指摘のとおりでございまして、稲、麦、大豆の種子の生産、供給に対しまして、全ての都道府県に対して、一つには、県が奨励する品種を決定するための試験、二つには、原種及び原原種の生産、三つには、種子を生産する圃場の指定、それから、生産された種子の審査などを法律によって全都道府県に一律に義務づけるという法律でございましたが、このようなやり方を廃止して、多様なニーズに応じた種子供給体制を構築する、そのために廃止をしたということでございます。

亀井委員 今の御答弁、ちょっと疑問に感じるんですけれども。やはり、種子に関する、ちょっと考え方の違いですかね。

 実際には、県で種子法にかわる条例が設定されたり、やはり国民の中では非常に今不安が広がっております。

 今、世界で何が起きているかというと、わずか五つの多国籍企業によって六割を超える種子の寡占化が起きています。ですから、もう種子がビジネスになっているんですよね。

 そして、次の質問、農薬に移りますけれども、結局、遺伝子操作されたF1種、種子と、それに対応する農薬がセット販売されている、これが今問題になっています。

 その農薬はグリホサートといいます。除草剤ラウンドアップの中に含まれているグリホサート、モンサントという会社が販売していますけれども、これに発がん性があるのではないかと今言われていまして、世界で訴訟が起きています。昨年八月にサンフランシスコの裁判所で、このグリホサートに発がん性があると認められまして、モンサントに対して約三百二十億円の支払いが命じられました。原告は末期がんの患者です。これが引き金となって、今また世界で訴訟が起きてきているんですけれども、この件について農水省は把握をしておりましたでしょうか。

 そして、時間がないので、もう一つ、ネオニコチノイド系の農薬についてもお伺いしますが、これも今、欧州ではもう禁止をされているけれども、去年も何人もの人がなぜ禁止しないのですかと質問をしましたが、全くそういう答えが返ってきておりません。なぜ禁止しないのかということについてお伺いいたします。

池田政府参考人 お答えします。

 まず、グリホサートにつきましてですが、グリホサートにつきましては、二〇一五年に国際的ながんの研究機関が、恐らく発がん性のある物質として分類したこと、そして、委員御指摘のように、昨年八月、米国でモンサント社に賠償を命ずる判決があり、同社は控訴の申立てをすることとしたことは承知をしております。

 グリホサートを含む農薬につきましては、二〇一六年に食品安全委員会による安全性評価が行われておりまして、農薬としての使用方法を遵守して使用する限りにおいては発がん性は認められなかったと評価をされておるところでございます。また、米国やEUなどの評価機関でも同様の評価がなされております。

 このため、直ちにグリホサートの評価や登録の見直しを行う必要はないと考えてございますが、農林水産省といたしましては、引き続き農薬の安全性に関する情報収集に努めてまいりたいと考えております。

 次に、ネオニコチノイド系の農薬につきまして御質問がございました。

 これは、昨年成立をいたしました改正農薬取締法に基づきまして、全ての農薬について、最新の科学的知見に基づいて改めて再評価を行うということとしてございます。

 二〇二一年度以降、国内での使用量が多い農薬から優先的に進めていくこととしてございまして、ネオニコチノイド系農薬につきましても、使用量が比較的多うございますので、優先的に再評価を行うこととしております。その結果に応じまして、必要な場合には登録の見直しなどの措置を講じていく考えでございます。

亀井委員 一刻も早く再評価をしてといいますか、私は禁止を望んでおりますので、世界の動向を注視して適切な対応をお願いしたく、要望いたします。

 最後に、長尾政務官に質問いたします。御足労いただきまして、ありがとうございました。

 前回の質問の続きでして、私はずっと、米国との二国間交渉が開始されると決まったのに、CPTPPのセーフガードの発動基準枠、アメリカの分を含んでいるわけですから、なぜ再交渉を申し入れないのかということを重ねて質問をしております。

 前回、長尾政務官に伺ったときに、米国がすぐにTPPに復帰するのは難しいということはもう認めていらっしゃるんですね。それと、一方で、TAG交渉、この言い方は嫌いですけれども、この米国との交渉が米国のTPP復帰に向けてプラスになってもマイナスになることはないとおっしゃっているんですね。この意味が私さっぱりわからなかったんですけれども、どういう意味でしょうか。

長尾大臣政務官 お答え申し上げます。

 今回、米国で物品貿易協定につきまして交渉を開始することに合意しましたが、TPP交渉において、関税についてはバイ交渉、ルールはマルチでありますが、二国間でさまざまな協議を行ってきたものでございます。

 米国がTPP11に戻る場合も物品についてはバイでやることになるわけでございますので、これから日米で物品交渉を行うことは、米国のTPP復帰に向けてプラスになってもマイナスになることは考えていないという意味でございます。

亀井委員 それは、国際交渉ではなくて、アメリカとバイで、一対一で話すわけだから、一対一で説得を試みることができるからまだ可能性はあるのだ、そうおっしゃっているんですか。余り現実的ではない気がするんですけれども。

 それで、もう一つ、最後の質問ですけれども、では、いつの時点をもってアメリカはTPPには戻らないと判断をするんですか。もしかして、自由貿易交渉が、アメリカといよいよ締結することが決まってしまって、こちらをサインするから、ああ、やっぱり戻りませんでしたねと、そこまで行ってしまってからセーフガードの再交渉をするのか。それは最悪だと思いますけれども、どうお考えですか。何か基準はありますか。

武藤委員長 質疑時間が来ておりますので、長尾政務官、簡潔にお願いいたします。

長尾大臣政務官 TPP11協定の第六条では、米国を含めたTPP12協定の効力発生が差し迫っている場合又は効力を生ずる見込みがない場合には、いずれかの締結国の要請に基づいて、協定の見直しを行う旨規定をいたしております。

 昨年の九月の日米共同声明では、米国との間では日米物品貿易交渉を開始することに合意をしただけでございまして、米国との具体的な交渉はこれからでございます。現時点では、個別の事項については何ら決まってございません。

 したがって、現在、我が国としては、TPP11交渉の、第六条の、見直しが可能となる、米国を含むTPP12協定の発効の、発生が差し迫っている場合又は効力を生ずる見込みがない場合のいずれの場合にも当たらないというふうに認識をいたしております。

 いずれにいたしましても、さまざまな面で農林漁業者に懸念がないように、しっかりと努めてまいりたいと思います。

 以上です。

亀井委員 またさっぱりよくわからないので、後で議事録を読み直して考えてみたいと思います。

 交渉の合意はしたけれども始まっていない。始まらないことを祈って、この質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

武藤委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 早速質疑に入らせていただきますが、委員長、ちょっと一つ、細かいことですけれども、先ほど長尾さんに、亀井さんの質疑時間が終了しているので答弁短目にと言われましたけれども、質疑時間が終わっていますという連絡は受けていませんでしたから、よく時間を見て差配していただくようによろしくお願いします。

武藤委員長 はい。失礼いたしました。

大串(博)委員 まず、大臣、済みません、通告はしていませんけれども、極めて重要なことなので、豚コレラに関して一問だけ、基本的な所見を伺いたいと思います。

 豚コレラに関しては、今、極めて重大な、難しい局面にあると私は思っています。これだけ罹患が広まる、しかも、早期に防疫措置をとって、殺処分を行い、封じ込める、これが基本ですよね、患畜に関しては。なかなか今これがいっていなくて、ぽつぽつとまた広がりを見せている。これは非常に心配な状況だと思います。

 私、予算委員会でもこれを取り上げさせていただいて、対応していただくのは自治体の皆さんですから、自治体の皆さんに対して最大限のバックアップを農水省としてもお願いします、国としてもお願いしますということで大臣に答弁を求めました。

 これに絡むことではあるんです。だから、今はとにかく、広がりを抑えるため、封じ込めを行うために全力をとにかく当面尽くしていただきたいと思いますが、一方で、私、これは関委員もおっしゃったのかな、このような防疫措置、殺処分、患畜の広がりに関して、各自治体間で経験値の違いといいますか、感応度、即応度の違いというのはやはりあると思うんですね。

 私、佐賀県なんですけれども、佐賀県も近年、鳥インフルを二件続けて経験しました。やはり、経験するに従って、相当感応度も高くなってきます。私が見るに、例えば、自衛隊の皆さんに出動をお願いするなどということも、自衛隊の皆さんも非常に勘を得てくださっているところもあって、私が見るに、例えば、まだ疑似、グレーの状態のときに、自衛隊の皆さんも、訓練と称して現地のすぐそこまで移動してくれていて、黒となった瞬間に一分のロスも生じさせないで現場に行くというようなことすら行われているのではないかなと私は思います。

 そういった経験値の課題のある中で、やはりこれはどこで起こるかわからないですね、この手の話は。これに関しては全国的にいろいろな経験をシェアし、いざ起こったときに即座の初動ができるような態勢のバックアップをしておくというのも、これはやはり自治体任せにできなくて、農水省が行う次善の策の一つではないかなというふうに思うんですよ。

 今はとにかく封じ込めに全力を尽くしていただきたいと思います。だから、今の話ではないです、将来的に向けて、自治体にいろいろな経験値をシェアし、初動をとにかく早くするというような支援を農水省としても考えていただきたいと思いますが、御所見だけいただければと思います。

吉川国務大臣 大串議員の御指摘は、私も全くそのとおりだと思います。

 今回の豚コレラ対策におきましても、発生をいたしました岐阜県さらには愛知県のみならず、全国の都道府県の皆さんにもテレビ会議にも出席、参加をしていただきまして、飼養衛生管理基準にのっとったチェックシートというものにのっとってしっかりとチェックもしていただきたい、そういう御要請も申し上げたところでございまして、事前に今後対応ができますように、どういったことが必要なのか、これからもしっかりと対応できますように検討してまいりたいと思います。

大串(博)委員 ぜひよろしくお願いします。非常に厳しい状態だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 それでは質疑に入りたいと思いますけれども、大臣所信に向けて。

 まず、私、中間管理機構の問題を取り上げたいと思うんですね。といいますのは、大臣所信でも、先ほど亀井委員が話があった人口減少というワーディングが先に来て、一番最初に来て、それに対してどうしていくかという一丁目一番地の策として、中間管理機構、中間管理事業を進めていくということが書かれています。

 事務方で結構ですので、この中間管理機構を通じた集積の現状、あるいは全体の担い手への集積の現状、予算の執行状況について、簡潔に状況を教えていただけたらと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、農地集積の状況でございますが、平成二十六年度の発足時の担い手への農地の集積は約四七・八%でございましたが、平成二十九年度には約五五・二%になっております。その中で、農地バンクは、発足以来、累積で約十八万五千ヘクタールの農地を取り扱うに至っております。

 それから、予算の執行状況でございますけれども、予算につきましては、農地バンク関係につきましては、各県に造成した基金と、あと、それから不足する額を毎年の予算で補助金として措置してきたところでございます。

 済みません、先ほど読み違えたようでございまして、集積の、先ほどの答弁の中で、平成二十六年度の担い手への集積は四七・八とお話ししましたが、四八・七の間違いでございます。訂正させていただきます。申しわけございませんでした。

 予算の状況でございますが、まず、基金の方の造成額につきましては、これは集積協力金の交付事業に平成二十七年度まで基金造成をいたしたのが五百四十三億、それから、機構の事業費等を補助するための機構事業に対する基金の造成として二百三十五億、合計七百七十九億が措置されております。

 それから、別に措置した補助金、国からの補助金につきましては、機構集積協力金交付事業で百四十六億、それから農地中間管理機構事業で百二十六億、合計で二百七十三億となってございます。

大串(博)委員 今お聞きになっていただいたように、よく皆さん御存じのことと思いますけれども、平成三十五年までに八割に担い手への集積を行うというふうに目標を立てられているのが、四八・七%から始まって、五年たった今でも五五・二%だということですね。わずか七%強しか伸びていないんですね。八割には遠く及ばない状況になってきているということですね。

 中間管理機構を通じた取扱いに関しても、二十七年度には、初年度効果もあって、とんといきましたけれども、その後伸びが鈍化している、こういう状況です。

 先ほど、基金、事業基金の予算を言われました。二百三十五億ですね。これは執行率として四六%。私も各県を見ましたけれども、一〇〇%使い切っているところもあれば、極めて低調なところも物すごく多いですね。

 こういう状況で、大臣、三十五年に八割、担い手への集積を行う、これは目標達成可能ですか。

吉川国務大臣 平成二十六年の農地バンク創設以来、担い手への農地集積は上昇したものの、近年、集積率の伸び率は鈍っていると承知をいたしております。

 これは、既に農地の集積、集約化の機運があった平場の水田地帯での取組が一巡をしたこと、新たに地域の話合いから始めなければならない地域が多くなってきていることによるものだと存じます。

 このため、今回の五年後見直しにおきましては、地域の徹底した話合いを再活性化して、人・農地プランの実質化を図るとともに、農地バンクとJA、農業委員会などの地域の関係機関が一体となって推進する体制を構築することとしたところでもございます。

 この見直しによりまして、担い手による農地利用のさらなる集積、集約化を向上させて、集積目標達成に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

大串(博)委員 今おっしゃったのは、これから法律を議論してほしいと言われているような内容に関して言われているわけですけれども、それで本当に、今、この数年間で七%ポイントぐらいしか伸びなかったものが、三十五年までにいきなり八割にいきますかねということなんです。

 これは、私、思うんですけれども、いい政策であれば、本当に現場が、あっ、これはいいなという政策を打ち出しているのであれば、私、結果もついていくものだと思うんですよ。

 なぜこれだけ進まないかというと、やはり現場との関係で無理があるから、現場も、これをやるといいことあるなというふうにはなっていないから、やはり進まないんじゃないかと。それだけ、ある意味、現場のニーズあるいは農業のニーズと、実態とかけ離れている政策を実は推し進めようとしているんじゃないかというふうに思うんですね。

 大臣にお尋ねします。

 そもそも論ですよ、そもそも論。集積、集約、これをずっと言われます、この政権、安倍政権においては。大臣所信でもイの一番に出てきます。集積、集約すると、何がいいんですか。

吉川国務大臣 担い手への農地集積は、自己目的ではなくて、集積、集約化によって、分散錯圃の状態にあります我が国の農地利用を改善いたしまして、生産性の向上や生産コストの低減を図り、地域農業を持続的に発展させることを目的といたしております。このため、農地バンクの推進に当たりましては、農地の大区画化など、生産性の向上等に効果が高い関連対策の充実と一体となって推進しているところでもございます。

 これまでの取組の中でも、例えば秋田県秋田市において、農地バンクを活用して、地区の農地の九割に当たる九十六ヘクタールを一つの法人に集積、集約化しつつ、基盤整備も推進をしたことで、耕起や刈取りの作業経費を七割削減した事例も出ているところでもございます。

大串(博)委員 おっしゃるとおりで、集積、集約が目的でないですね。この中間管理事業の法律に関する第一条、一番最後に書かれているのは、「もって農業の生産性の向上に資することを目的とする。」と、これは法律にうたわれているんですよ。加えて、大臣は、コスト削減のこともおっしゃいました。

 そこで、お尋ねしますけれども、今、ある県の一例をおっしゃって、コスト削減七〇%とおっしゃいましたけれども、今、担い手に対する集積率が四八・七%、平成二十五年から、平成二十九年、五五・二%に上がったことで、どれだけ生産性が上がったか、どれだけコストが下がったか。当然、五年後見直しですから、分析した上で、この政策がよかったかどうかの検証が行われていると思います。そういう検証は、あったら結果を教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 生産性の向上、これを農地バンクの目的といたしておりますけれども、各地域にありますと、先ほども、農地バンクの例でもございますし、基盤整備の効果でもありますので、農地バンクだけをもってどれだけの効果があったのか、これを網羅的に調べたデータは今のところないところでございますが、かわりに、先ほどのように、いろいろな事例、これを見て、いいところ、それから話合いが必ずしも進んでいないところ、こういうところを地域ごとに分析して、今回の見直しに至っているところでございます。

大串(博)委員 第一条の法律の目的に一番大きく書かれている生産性の向上というものが数量的にあらわれているかどうかの検証もできない、そういう政策を推し進めるということはいいんでしょうか。私は、何か、本当にいい政策かどうかがわからないものをむやみやたらと農水省が今推し進めようとしているような気がしてならないんですよ。

 本当に、先ほど申しましたけれども、生産性が上がってコストが下がる、集積、集約っていいなとなれば、進みますよ、政策誘導すれば。そう現場になっていないから進まないんですよ。だから、集積、集約は解ではないんですよ。私はそう思います。もしこれが解というんだったら、数字をぜひ出していただきたい、五年後見直しですから。五年後見直しを説得力あるものとするためには、ぜひ、五五・二%まで担い手への集積が上がったということで、全体的にこれだけ生産性が上がりコストが下がったということの数字を出していただきたいと思います。それ抜きに五年後見直しの議論なんて進まないですよ。むしろ、この政策は方向性が間違っているということを如実にあらわすものだと私は思います。

 思想が違うんです。集積、集約が生産性を上げコストを下げる、これが解決策だという、規制改革推進会議のような、私は単純なというふうにあえて言わせていただきますけれども、単純な思想で農業は割り切れるものじゃないと私は思うんです。やはり農業は、地元があって、地域があって、そこが抱えてくれるから進んでいく、そういう性格のものだと私は思うんですね。コストが下がればそれで進むんだ、そういうものじゃないと思うんですよ。だから私たちは戸別所得補償政策というものを私たちの政権のときには打ち出させていただいて、今でも法案として出させていただいております。

 集積、集約をしてコストを下げる、これが方法ではなくて、私は、むしろ、この方向から転換して、地域が守られ、農業の所得が一定程度守られるという方向性を打ち出していくために、思い切って政策の方向性を変え、この中間管理機構による集積推進から戸別所得補償制度を柱にすることに変えるべきだと私は思いますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

吉川国務大臣 今回のこの農地中間管理機構の五年後の見直しに関しましては、法案も提出をさせていただいておりまするけれども、この五年後の見直しの議論の中で、しっかりと、現場のニーズに合った政策に改善をしていきたいと考えております。

大串(博)委員 改めて、思想、考え方が違うということは申し述べさせていただきたいと思います。

 ぜひ、実りのある議論をするのであれば、繰り返しになりますけれども、先ほど申したように、五五・二%まで担い手への集積が伸びたことでどれだけ全国的に生産性が上がってコストが下がったかというのを数字で示していただきたいと思います。そういうのなしに議論は進まないですよ。

 明らかにこの政策はうまくいっていない。うまくいっていないものに対して年間何百億、二百数十億の予算を更につぎ込んでやる。貴重な農林水産省の財源ですよ。私は、いかがなものかなと。むしろ、戸別所得補償政策で地域を守り所得を守る、こういった方向に考え方を、かじを切っていくべきだ、規制改革推進会議にとらわれるべきじゃない、私はそういうふうに言わせていただきたいと思います。

 そういった大きな農政の柱になるのが、食料・農業・農村基本計画ですね。これは見直しの期間を迎えるわけであります。ことし、通常、一月から審議が始まるのかな、議論が始まるのかなと思っていたら、この間聞いたら、どうもそうでないようなんですね。

 この見直しの議論のタイミングは、今どうなっていますでしょうか。事務方で結構です。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 食料・農業・農村基本計画につきましては、平成二十七年三月に策定されました現行計画が来年で五年を迎えることから、食料・農業・農村政策審議会におきまして次期計画の策定に向けた議論を進めていくこととしております。

 従来、基本計画の見直しに当たっては、主に審議会委員と役所との間でやりとりが行われてきましたけれども、今回は、より現場の声に広く耳を傾けることが重要と考えております。

 このため、まずは食料・農業・農村政策審議会の企画部会におきまして、農業者、食品事業者等の方々からヒアリングを企画部会で行っていただいて、その上で基本計画の見直しの議論につなげていくというふうにしております。

 ここでの議論をよく整理した上で、本年秋ごろを目途に諮問を行いまして、基本計画の見直しの御議論を食料・農業・農村政策審議会にお願いをしていくこととしたいと考えております。

大串(博)委員 現場のヒアリングを行って秋ぐらいに諮問をしていきたいということでしたけれども、秋までは具体的に何をするんでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたように、食料・農業・農村政策審議会企画部会におきましては、農業者あるいは食品事業者等のヒアリングを本年三月から行っていただくこととしております。

 具体的に何をやっていくかということでございますけれども、ヒアリングの内容といたしましては、農業の将来を担う担い手の皆さん、あるいは食品産業の最前線で御活躍されている方々から、米や畜産、野菜、果樹、食品産業といったテーマごとに、現在の事業がどういう状況であるかですとか、それぞれの課題などについて、何回かに分けてヒアリングを行っていただきたいと思っております。

 その際、家族経営や法人経営といった、経営あるいは就業の形態、地域、男女、こういったさまざまなバランスも考慮しながら、現場の声を企画部会で伺っていただきたいと考えております。

大串(博)委員 今のようなヒアリングが、秋というタイミングを言われていましたけれども、秋までかかる根拠を教えていただきたいんです。これを、これ、これ、これ、これを、この段階、この段階、この段階でヒアリングするから秋までかかっちゃうんだと。秋と決めていらっしゃいますから、ヒアリングは秋までかかるから秋だというふうにおっしゃっているんでしょう。だとすると、秋までかかる根拠を明確に示してほしいんですね。

 食料・農業・農村基本計画というのは、これは農政の憲法と言われているやつですね、農業の皆さんも非常に注目されていますよ。それがいつ議論されるのかというのが、いきなり秋となった。何で秋なんだろうというのは皆さん思われている。だから、秋までかかる根拠を明確にここで示していただきたい。いつに何をヒアリングし、いつに何をヒアリングするから秋までそれがかかるんだ、秋まで始められないんだという理由を、ここで明確に根拠を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたような進め方につきましては、本年一月の食料・農業・農村政策審議会の企画部会で整理をされたところでございます。今後、具体的な人選あるいは部門、先ほど概要を申し上げましたけれども、日程的なことも含め、会議の持ち方については企画部会の中で検討されます。

 先ほど申し上げたように、今回の考え方といたしましては、基本計画の見直しにおいて、委員さっきおっしゃったように、以前は一月ごろに諮問をしたということがございますが、この進め方では、あらかじめ現場の農業者や食品事業者から直接意見を企画部会で聞いていただく機会がなくて論点整理に反映されなかったこと、あるいは、役所が用意した資料を御説明して、委員と役所との間の議論が中心になったといった問題があったと思います。

 このため、本年の前半に、現場の声に耳を傾ける観点から、農業経営の現状や課題などにつきまして、農業者や食品事業者等から聞くことにしております。

大串(博)委員 秋までかかる根拠なんて一言も出てこないですね。すなわち、秋ありきなんですよ。秋まで先送りすることありきなんじゃないですか。秋まで食料・農業・農村基本計画を議論しない、先送りしたいという思いが見透けてくるんですよね。選挙があるからなのか、私はわかりません。しかし、農業の皆さんにとっては大変気にかかる。

 なぜなら、資料を配っていますけれども、食料自給率四五%、これを前提とすると、どれだけの予算がかかるのか。今、飼料米をつくって、今の計画だと、平成三十七年に四五%の自給率、カロリーベースを達成するとすると、飼料米は百十万トンまでつくらなきゃならない、これが整合的な計画なんですよね。この四五%を仮に維持するとすると、飼料米を百十万トンまでつくらなきゃいけない。

 そうすると、ここにあるように、これは財政制度審議会の資料ですけれども、機械的に計算すると、いわゆる水田フル活用の予算、今三千億強ですけれども、見てください、三十七年度に四千億かかっちゃうんですよ。ことし、単価を維持したということで誇示していらっしゃいますけれども、いいですか、皆さん、今政府が提示している政策ですら四千億円まで予算がかかるような政策なんですよ。一体どこから、農水省の予算からあと一千億持ってくるのか、農家の方が不安になるのは当然ですよね。これがどうなるんだろうという思いで皆さん、思っていらっしゃる。

 つまり、猫の目農政と言われるけれども、先行きが示されていないんですよ。具体的な先行き、確実な先行き、これだったら大丈夫だ、農業に打ち込めるという先行きを示していないから、農家の方々、離農もされるし、心配になっちゃうんですね。この先行きを示すというのが極めて重要なので、私は、議論が先送りされるというのは極めて不適切だなというふうに思うんですね。

 ぜひ、大臣には、秋と決め打ちされましたけれども、この食料・農業・農村基本計画の議論のあり方は、できるだけ早目に議論を開示していただいて、農家の方々がどういう議論が行われていくんだろうかとわかるようにしていただきたいというふうに思います。

 加えて、非常に厳しい農業の現状を迎える中山間ですね。お尋ねしますけれども、中間管理機構で、中山間でどれだけの取組実績があるかというのはわかりますか。

大澤政府参考人 中山間地域につきましては、現在の市町村の領域と必ずしも一致しない区域割り等々されておりますので、農地バンクの実績データの中から中山間地域だけを厳密に切り分けたものはできないところでございます。ただし、各県の農地バンクからの聞き取りでは、やはり一般論として言えば、平地に比べて中山間地域における事業の推進がより困難だという意見は聞いております。

大串(博)委員 非常に厳しい状況であるからこそ、中山間で土地の集積というのはなかなか進まないと思うんですね。

 一方で、中山間を歩いていると、こういう声も聞こえてくるんですね。中山間直接支払制度、これはありがたい、しかし、我が方の地域においては、まず事務を行ってくれる人もいないし、かつ高齢化も進んで、農業を続けていくのも大変だ、五年間という経過期間が長過ぎて、五年後までコミットするのは大変だ、こういったことから、中山間直接支払制度に該当するんだけれども申請しない、やめておこうということで中山間直接支払いには申請せず、かつ離農も進んでしまう、こういうケースの声をよく聞くんですね。

 この中山間直接支払いがこのような形で十分活用されていないままで、中山間地域において離農が進む。私も歩きますけれども、棚田風景、昔は美しかったのになと思うところが、今や耕作放棄地になり切ってしまっているところがたくさんありますよ。

 大臣、中山間直接支払制度に対してこれだけ手が離れてきちゃっている、これは何とかしなきゃいけないと思いませんか。

吉川国務大臣 中山間地域の本制度におきましては、これまでも、高齢化や人手不足の対応として、集落の連携ですとか機能維持加算によりまして集落協定を広域化してまいりまして、参加者の確保を図り、活動を確保できるよう支援をしてきたところでもございますが、昨年六月に取りまとめました第四期対策の中間年評価の結果も踏まえまして、平成三十一年度の当初予算におきましては、UIJターン者などの新たな人材を確保すること、福祉、防犯など、農業者が住みやすい条件を整えるための取組を行うこと、さらには、人手不足に対応するスマート農業を導入することなどに対しまして試行的な加算措置も行うことも含めまして、将来にわたって農業生産活動を維持していただけるように、制度も拡充をしているところでもございます。

 また、本年八月には最終評価を取りまとめる予定でもございまして、地域の声や第三者委員会の御意見も踏まえながら、第五期対策に向けた対応策を検討もしてまいりたいと存じております。

大串(博)委員 その対策のみをもってして、本当に中山間における離農、耕作放棄地の増加、これを食いとめることができるか、私は非常に疑問ですね。地域をぜひ歩いてみてください。本当に厳しい現実が浮かび上がってくると思うんです。

 これも、要するに、何のために農政を行っているかということの続きだと私は思うんです。私、さっきの中間管理機構における発言と同じなんですけれども、単に経済のために農政を行うんじゃないという方向性に今転換すべきだと思うんですね。繰り返しここで言っていますけれども、農業政策によって地域を守り、地域の農村を守り、それによって自然も守りというこの多面的機能を守っていくこと、これも農政の基本的な価値なんだというふうに位置づけていかなきゃならないと思うんですね。

 そういう意味からすると、中山間直接支払いをもってのみして棚田を守っていく、大臣、棚田のことを所信で触れていらっしゃいますけれども、力不足だと私は思うんですよ。私は先ほど、農地中間管理機構のときに、戸別所得補償制度の私たちの提言を申し述べさせていただきました。まさに条件不利の中山間地域、棚田においてこそ、特に戸別所得補償制度を復活させる必要が私はあると思うんです。そうしないと、地方において、先ほど亀井委員、人口減少のことも言われました、ますます進みますよ。今が最後のチャンスかもしれないと思うぐらいの状況に私はあると思うんですね。

 まずは、例えば中山間地域、棚田から手始めに戸別所得補償制度を復活させるという制度に、思想も含めて切りかえていくべきだと私は思います。大臣の御所見をいただきたいと思います。

吉川国務大臣 中山間地域における所得の向上を図るためには、日本型直接支払いによって、農業、農村の多面的機能の発揮ですとか営農の継続等を支援し、地域を下支えしつつ、中山間地域農業ルネッサンス事業も創設をしております。地域の特色を生かした多様な取組を総合的、優先的に支援しているところでもございます。

 戸別所得補償を復活させるべきではないか、そういうお話も頂戴をいたしましたが、米につきまして申し上げますと、十分な国境措置がある中で交付金を交付することは、従来も申し上げてまいりましたけれども、他の農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得がたい等の課題があると承知をいたしております。

 このため、三十年産から米の直接支払交付金は廃止されましたけれども、引き続き、麦、大豆、飼料用米等の主食用米以外の作物の生産を支援することで水田フル活用を進めますとともに、きめ細かい情報提供も継続をすることといたしております。

 こういったことによりまして、中山間地域を含めて、農業者みずからが需要に応じた制度に取り組んでいただき、米の需要とか価格の安定が図られるように、また努めてまいりたいと存じております。

大串(博)委員 私は、やはり中山間直接支払制度だけでは力不足だと思いますよ。棚田を今守っていくのであれば、やはり棚田からまず戸別所得補償制度を復活させて、地域、そして多面的機能を守っていくという後ろ支えをしっかりしていくべきだということは主張させていただきたいというふうに思います。

 農協改革に関して一つお尋ねさせていただきたいんですけれども、准組合員の事業利用規制ですね。これは今国会でも議論になって、八月以降、実態調査の結果が出た上で議論していく、こういうふうに言われていますね。

 私、まず根本のところからして、これは協同組合組織ですから、協同組合組織というのは、つまり組合員そして准組合員の皆さん、加盟していらっしゃる方々が自分たちの意思で決めていく、これはもう基本中の基本だと思うんですね、民間組織ですから。これに関して政府が上からああだこうだと言うというのは、原理原則的に私はおかしいんだと思うんですよ。だから、この准組合員の事業規制の見直しに関しても、組合員が決めていくんだという方針を前に打ち出していくべきだというふうに思います、はっきりと、今の段階から、政府として。

 特に大臣は、去年の八月に、自民党さんの方で、党の農協改革等検討委員会の場で、委員長として、准組合員規制は組合員判断だということを党の決議としてまとめられたときの委員長さんでいらっしゃいますね。大臣、どうですか。私は、もうこの場で、准組合員の事業規制は組合員が判断することなんだという方向性を、大臣自身、委員長として、こうやって去年の八月に決議をされているわけですから、この場ではっきり申し述べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 准組合員のあり方でありまするけれども、この件に関しましては、農協法改正時の国会での附帯決議というものがございます。准組合員の利用のあり方の検討に当たっては、農業者の協同組織の発達を図るなどの農協法第一条の目的を踏まえるとともに、地域のための重要なインフラとして農協が果たしている役割や関係者の意向を十分踏まえることとなっております。

 農林水産省といたしましては、この附帯決議の趣旨を踏まえて適切に対処してまいりたいと存じておりますが、私は、今、准組合員につきましても、事業利用の状況が把握できていないことから、改正農協法附則に基づいて、事業利用の調査を五年間、二〇二一年三月まででありますけれども、行っていくことにいたしておりまして、この中で結論を得ることといたしておりますので、現在、何ら予断を持たず事務的に調査をいたしておりまするけれども、農協の自己改革を私は促していきたいとも思っておりますので、そういった皆さんの多数の意見というものも私は慎重に判断もしてまいりたいと思います。

大串(博)委員 先ほども申しましたように、昨年八月に大臣御自身が委員長として決議されていることですから、ぜひ、そのような方向で、組合員の自主判断だということで実行していただきたいというふうに思います。先ほどの最後の答弁のところの、大臣の恐らく答弁書にはなかったであろう御所見に関して、重く受けとめさせていただきましたので、そのとおりにお願いしたいというふうに思います。

 最後に、貿易関係ですけれども、TPP11に関して、長尾さんにも、これは何回か議論しましたけれども、私、そろそろやはりセーフガードを見直すべきだと思いますよ。

 というのは、報道にもありましたけれども、ことしに入って、牛に関して輸入数量が急増していますね。先ほど為替の理由等々言われましたけれども、二月の中旬までで、十四万七千五百トンの基準数量の中で、四万九千三百二十四トンまで累計輸入数量が上がってきていますね。きょう、どうも二月の下旬まで出ているらしいんですけれども、十四万七千のうち四万九千トンをもうある意味使っちゃっているということなんですね。これはアメリカ抜きです。

 アメリカは牛の全輸入量の約四割と言われていますから、四割分がなかったとしても、十四万七千のうち約五万使われてしまっているんですね。三月まで含めていくとどこまで伸びるのかという恐れすら感じます。もしアメリカも入っていたとすれば基準数量に当たっていたんじゃないかという、実害が生じるんじゃないかというところまで来ているんだと思うんですね。だから、見直しをやはりしないと農家に実害が起こっちゃうんじゃないかということなんですよ。

 長尾さん、一言答えてもらえばいいです。

 先ほど、見直しはしないということをおっしゃっていました。まだTPPにアメリカが復帰する可能性が、マイナスはなくてもプラスはあるんだみたいな話をされましたけれども。

 これは、USTR、三月一日に出された二〇一九年のトレード・ポリシー・アジェンダですよ。これを見ました、私。どこにも、TPPに戻るなんて一言もないですよ。それどころか、一連、TPPから脱会しました、そして個別のトレードディールに入りました、これがアメリカの利害を修正していくための最善の方法ですと高らかに誇っていますよ。TPPに戻るどころか、TPPから抜けて個別のディールに入ったことがうまくいっているんだ、こういうことです。

 だから、長尾さんには、最後に一言、まだ発効するという根拠がどこにあるのか、それを、根拠を明確に言っていただきたいというのが一つ。

 それから、大臣に最後に一言答弁をお願いしたいと思いますけれども、日米貿易協議、これから議論が始まります。私、これは皆さんにぜひお訴えさせていただきたいと思いますけれども、国会で決議すべきですよ。日豪のときもやりました。TPPのときもやりました。緩むなよ、国益を外すなよと私たちはここで、院で決議しましたよ。それを政府に突きつけました。日米貿易協議に関しても、ライトハイザーが日本に来ると言っている、そういう状況になっている。国会で決議すべきですよ。これはぜひ与党の皆さんにも国会決議に乗っていただきたいとこの場で申し上げさせていただきたいと思いますので、大臣には、国会決議が成った場合には、その方針に従って全力で戦っていくということをこの場で言明いただきたいと思います。

 以上、二問、お願いします。

長尾大臣政務官 お答え申し上げます。

 TPP11協定の第六条におきまして、先ほどの関連にもなりますが、現在、我が国としては、TPP12協定の発効が差し迫っている場合又はTPP12協定が発効する見込みがなくなった場合に当たるとは考えておりません。

 先ほど委員御指摘の、米国の輸入量をカウントできないのでセーフガードがきかないという御懸念、一月分の貿易統計では、確かに、保存のきく冷凍牛肉を中心に輸入が前年度比で増加しております。TPP国からの牛肉輸入の八割を占める豪州につきましては、TPP発効後の冷凍牛肉の関税率は日豪のEPAの税率と同じであります。関税は変化しておりませんので……(大串(博)委員「一言でいいですから、時間がないので、長尾さん。委員長、こここそ、時間がないからと言うべきですよ。ポイントだけ」と呼ぶ)

武藤委員長 簡潔にお願いいたします。

長尾大臣政務官 はい。

 いずれにせよ、牛肉に関して、これと豪州からの輸入増そのものは、TPPの発効そのものとは直接関係していないというふうに承知しております。

 以上です。

吉川国務大臣 まず、農林水産大臣としての私の責務でありますけれども、いかなる貿易交渉であれ、将来にわたって我が国の農林水産業の再生産を可能とする国境措置を確保することでありまして、このために最大限の努力をしてまいりたいと思います。

 国会決議について今、大串委員からございましたけれども、このことに関しましては、国会で御判断をいただきたい、こう思っております。

大串(博)委員 ありがとうございました。終わります。

武藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、豚コレラの被害に遭われていらっしゃる養豚農家の皆様方に心からお見舞いを申し上げます。そしてまた、現場で御対応いただいている皆様に敬意を表したいというふうに思います。

 私は福島の人間ですが、東日本大震災、原発事故が発災後、二十キロ圏内の畜産農家の皆様方は大変苦しい思いをされました。家畜を殺処分しなくてはいけない、そういう状況の中で、涙を流されて、何とか助けてほしいというお訴えもされていました。中身は若干違いますが、多分畜産農家の方々の思いというのは同じだというふうに思っております。

 私は、原発事故も、そしてまた今回の豚コレラも、これは人災だというふうに思っていますので、未然に防ぐことはできたのだろう、それをしっかりと今後この教訓を生かして対応していくということが必要であるということから、しっかりと御対応いただきたいということをまずお願いを申し上げたいのですけれども、大臣から一言何かお願いできますか。

吉川国務大臣 豚コレラにつきましては、もう既に何回も申し上げておりますように、昨年九月以降、二月の十九日まで、岐阜県及び愛知県で九、十例、また、昨日、十一例目を確認をされたところでございます。

 さまざまな対応、対策というものも打ち出してまいりました。既に、私は、今この時点におきましては、これ以上の感染の拡大を防ぐために、国が主導して、各都道府県と一層緊密に連携をしながら、緊張感を持って取り組んでいかなければならない、こう存じておりますし、三月、もう今月に入っておりまするけれども、今、野生イノシシに対するワクチンの散布もこれから行ってまいります。

 また、経営対策上もしっかりと支援も打ち出してまいりたいと存じておりますので、養豚農家が不安になりませんように、さまざまな対策もこれからも講じてまいりたいと存じます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 教訓を生かしていただきたいということについてのお答えをいただきたかったんですが。

 それでは、昨日の地元の民報新聞、これは、大臣が、「復興を問う」、そういうコーナーでインタビューを受けていらっしゃる、その記事がありました。「ありとあらゆる制度を活用し、営農再開を後押ししていく。制度にないからできないのではなく、制度の弾力的な運用を心掛ける。」とおっしゃったというふうに記事にはあります。「制度の弾力的な運用を心掛ける」、心強く感じていますし、期待したいというふうにも思います。

 繰り返し申し上げているのですけれども、東日本大震災、原発事故から丸八年になろうとしているわけなんですけれども、まだまだ多くの課題が残されています。しっかりとした取組をしなくてはいけない、そしてまた、その取組は強化そしてまた加速化していかなくてはいけないというふうにも思っています。

 大臣は、所信の中で、東日本大震災、熊本地震、そして大阪北部地震、平成三十年七月豪雨、台風二十一号、北海道胆振東部地震、台風二十四号などの災害を挙げて、「被災された農林漁業者の方々が一日も早く経営再開し、単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた復興、創生を実現できるよう、全力で取り組んでまいります。」とおっしゃっているわけですけれども、ある意味、さまざまなピンチというものをチャンスに変えていくということの後押しをしていくというふうには理解をしているわけではあります。

 しかし、この「将来を見据えた復興、創生」というものはどういうものなのか、お答えいただきたいと思います。

吉川国務大臣 まず、福島県における将来を見据えた復興、創生についてお答えをさせていただきたいと思いますが、福島県の農林水産業の復旧復興につきましては、地元との意見交換を通じまして、営農再開、風評払拭、森林・林業の再生、また漁業の本格的な操業再開に向けまして、引き続きさまざまな課題があると認識もいたしております。特に、原子力被災十二市町村におきましては、担い手の確保ですとか農地の利用集積といった我が国の農政上の課題が先取りされる形で顕著にあらわれていると考えております。

 このような多様な課題がある中で、福島県農林水産業の復旧復興につきましては、中長期的に取り組んでいく必要があると考えておりまして、課題解決のために、あらゆる制度を活用し、できる限りの支援も行うつもりでもございます。さらに、福島県の農林水産業の将来を見据えた復興、創生に向けてどのような対応が必要なのか、また更にこれからも地元の御意見も踏まえながらしっかりと検討もしてまいりたいと存じます。

 さらに、私が大臣所信で申し上げました「復旧にとどまらない、将来を見据えた復興、創生」でありまするけれども、昨年は大変多くの災害そして地震もございましたので、被災者や被災産地等の将来を見据えた支援を措置もしてまいりましたけれども、今後とも、現場のニーズを踏まえたきめ細かい支援に努めなければならないと存じます。

金子(恵)委員 それでは、福島に関して言えば、復興・創生期間が終わった後も、しっかりと最後の一人まで、例えば農業者であれば営農再開ができるまでしっかり支援するというようなことだと思いますし、他の自然災害等につきましても、しっかりと支え続けるということをおっしゃっていただいたというふうに認識をさせていただいておりますが、それでよろしいですね。

吉川国務大臣 でき得る限りの私たちは努力をしていくということであります。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 豚コレラもそうなんですが、今、福島県は風評被害にとても苦しんでいる。一つの災害が発生し、あるいはいろいろなものが発生したときに、その後の対応というのが長期的に必要になってくるということでありますし、また、先ほど来お話もありますけれども、やはり現場の方々の心のケアとか、あるいは農業者の方々の心のケアとか、そういうものも含めて、やはり中長期的な対応が必要になってくる可能性もあるということでありますので、それも含めてぜひ支援をお願いしたいと思います。

 そこで、次の質問に参りますが、農林水産業の就業者の高齢化、減少化が続いている、そういう中で、人材確保というのが喫緊の課題となっているわけですけれども、農業が選ばれる産業となるよう、魅力ある職場づくりというものが必要であって、そして、その上での労働力の確保への取組を進めなくてはいけないということだというふうに思います。

 農林水産業における人材の確保、担い手の育成、確保への取組について伺います。

吉川国務大臣 担い手の人材の確保でございますけれども、農林水産分野におきましては就業者の減少ですとか高齢化が進行をしておりまして、例えば農業におきましては、農業就業人口が二十年前の半分になり、平均年齢が六十七歳という状況にございます。

 持続可能な力強い農林水産業を実現していくためには、担い手の確保が何よりも重要な課題であると認識をいたしておりまして、このために、農林水産省におきましては、農林水産各分野の特性も踏まえながら、就業準備段階等の青年を対象とした資金の交付ですとか、雇用就業者の研修に対する支援ですとか、新規就業者向けの就業支援フェアの開催等も実施しているところでもございます。

 こうした事業の実施によりまして、例えば農業におきましては、直近の四十九歳以下の新規就農者が調査開始以来初めて四年連続で二万人を超えるなど、一定の効果が出ていると考えておりまするけれども、引き続き、農林水産業の次世代を担う多様な人材の育成、確保に努めていかなければならないと存じております。

金子(恵)委員 多様な人材の育成ということでありますけれども、今回、大臣所信の中でも、農福連携、障害のある皆さんに農業で活躍してもらう、そういうことで、「農業分野の働き手の確保につながり、共生社会の実現にも貢献するものであり、」というふうに話されているんです。そして、その後、「今後の農業政策の中心に据えて展開すべき取組です。」とおっしゃっているわけなんですが、大変気になるところがありまして、今の現政権下での農業政策というのは、どうしても、大規模化しよう、そういう方向になっているように思います。

 その中で、例えば、大規模農家で、あるいは工場のようなところで野菜をつくるということに従事するような形での障害のある方々の雇用創出なのだ、そういうイメージでここをおっしゃられているのであれば、私はそこは間違いだというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。ですから、この部分について、どのようなお考えで所信を述べられているのかということを、私はここは確認させていただきたいと思います。

 当然、自信や生きがいを持って社会に参画していただく取組、ここは私は大賛成であります。しかし、障害のある方々それぞれの個性というものを重視していったときに、やはり小規模農家でお一人お一人がしっかりと自分らしく仕事ができる、そういう環境づくりというのは重要でありますので、そこをどう考えているか。

 誤解を恐れずにちょっと申し上げているんですけれども、私は障害者政策を進めてきた人間でもあります。ですので、障害のある方々の自己決定権というのはとても重要だというふうに思っております。それを尊重する形で農業分野の働き手、担っていただくということでいいのか。それとも、誰もやりたがらないから、人が足りないから、とりあえずここで働きなさいということになっていくのか。その部分についてお聞かせいただきたいと思います。

吉川国務大臣 農福連携は、これからの農林水産の行政の一つの指針といいましょうか、目標の一つとして、私は本当に大切に育てていきたい政策の一つでございます。それは決して、今、金子委員がおっしゃいましたような、大区画化のために障害者の方々にということではなくて、全ての農業にとって、障害者の皆さんに見合ったような形で働いていただくのが一番ベストなのかなということも思っております。

 昨年、私、台風の災害で大阪と岡山を訪れました折にも、そこの農業生産法人には障害者の方がお勤めになられておりました。ハウスが倒壊をしておりましたけれども、そのハウスの倒壊の後の農作業等々にも従事をいたしておりまして、私も接触をさせていただきましたけれども、本当に純粋に農作業をやっている姿を拝見させていただいて、感激もさせていただいたところでもございます。

 そういったことも農林水産省としては大切にしながら、社会参加がしっかりとできますように、全てのといいますか、幅広い形で農業に御参加をいただければな、このようにも思います。

金子(恵)委員 繰り返しになりますが、生きがいづくりであったり、社会参加をしていただく、そういう場づくりである、ここは大賛成でもあります。

 ただ、ここで、あえて大臣所信にこれだけのことをおっしゃっているということであれば、かなりのこれからの御覚悟もあるんだというふうに思っておりますので、農福連携を国民運動として強力に推進するための方策というものを検討していくとおっしゃっているわけですから、ただの労働力を確保するためのものではないということを今確認をさせていただきましたので、今後もしっかりと取組をしていただきたいと思います。

 そこで、次に、過疎化が進む農山漁村の活性化活動を担う総務省の地域おこし協力隊について質問をさせていただきたいと思います。

 ここのところ、地域おこし協力隊の皆さんが第二のふるさとのために力を尽くしている姿というのが注目されるところでもあります。私の地元の伊達市でも、過疎化が進んでいる地域での活性化活動をされている協力隊の皆さんがいらっしゃいます。

 ちょうど、三月一日の日農新聞のトップ記事に協力隊の記事がありまして、日本農業新聞が独自に調査をしたということでありますが、協力隊員の約八〇%は、農作業、加工や特産品PRなど、何らかの形で農業に携わっているというようなことであります。いいことだというふうに思います。

 そしてまた、ここから進めなくてはいけないのは、当然、協力隊の隊員の方々が農山漁村に定住、定着をしっかりしていただいて、そして就農していただけるような、そういう環境整備をしていくということだと思いますが、どのような取組をされるのでしょうか。

 現在、農水省は、農山漁村振興交付金において農山漁村への定住促進や都市農村交流の活性化等を支援しているということで、このうち、地域外の人材を長期に受け入れる取組については、今申し上げました総務省の地域おこし協力隊と一体的に運用を行うとしているというふうに伺っています。このような取組を強化するか、そしてまた新たな形での取組をされるのか、お伺いしたいと思います。

吉川国務大臣 地域おこし協力隊の活躍というのは、私もさまざまな形でお伺いをいたしております。つい先日も参議院の予算委員会でもお話がございましたけれども、例えば奈良県の川上村というところで、地域おこし協力隊の皆さんが定住をされて、木材を利用されてウッドデザイン賞をいただけるような、そういったすばらしいチェア、椅子というんでしょうかね、そういったことも、おつくりになられた、それがまた地域おこしにもつながっている、そういうような御披露もいただいたところでございます。

 地域おこし協力隊に参加して、平成二十九年度に任期を終了した者二千二百三十人に対しまして総務省が実施した調査によりますと、約六割の一千三百九十六人が同じ地域に定住しているとの結果となっております。定住している皆さんの中では、農林水産業への就業が百四十九人に加えまして、農業法人、森林組合等が四十三人のほか、農家レストランですとか農家民宿等を起業した方が七十七人いるなど、農林水産業に携わっている方が多く見られるところでございます。

 農村の振興に当たりましては、地域資源の維持ですとか継承を図るとともに、住民が安心して暮らしていくための所得と定住条件を確保することは極めて重要であると考えておりますので、このような考えのもと、農林水産省といたしましては、条件の厳しい中山間地域を含めまして、多面的機能の発揮を支援する日本型直接支払い、鳥獣被害対策やジビエの利活用、六次産業化や農泊等の施策を総合的に進めて、地域おこし協力隊員を始めとした意欲ある若者の皆さんが農林水産業に携わって定住、定着をしやすい環境づくりをこれからも進めてまいりたいと存じます。

金子(恵)委員 総務省としては二〇二四年までに八千人にふやすという方針だというふうに聞いています。

 今現在、二〇一七年度ではありますけれども、隊員数約五千人ということでありますので、八千人までふやしていく方針があって、そして、その方々の多くが就農という方向になっていくと、本当に、地元の過疎地域であるような、そういう地域の活性化につながっていくというふうにも思うのですけれども、私はやはり、農業というのは多面的な機能を持っているわけですので、その多面的機能を持っている農業に従事する方々がふえていくということは、地域を守っていく人たちがふえていくということに間違いなくつながっていくということでありますので、ぜひこの取組をしっかりと支えていただきたいというふうに思います。

 それで、ちょっと気になっているのが、この同じ調査の中で、JAとの連携が薄いというふうに指摘があるということで、つまりは、この調査によると、JAとのかかわりを聞いた場合、全くない、余りないというのが八割近くあったということなんですね。もちろん、農協は自主改革をしていますから、国が上から目線で何かを言うという立場ではないということは重々承知しているんですけれども、ただ、このように言っているということは、つまりは、何が欲しいかというと、将来の定住に向けて、営農指導をしてほしいとか、農機具をレンタルしてほしいとか、そういうことを求めていたり、そして、JAが持つ情報や技術を求める、そういう記述が調査の中にあったということなんですね。

 その部分をしっかりとカバーしていかないといけないということで、現在、今、国がやっているそういう事業でしっかりとカバーがし切れているのかどうか。あるいは、国のさまざまな施策についての情報提供がまだまだ不十分であるということであれば、そういう情報提供ができる窓口等をしっかりと設置する、あるいはその窓口につないでいく、そのことをしっかりと進めるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 先ほども私、冒頭に申し上げましたけれども、例えば、奈良県の川上村で、ウッドデザイン賞を取得するような、すばらしい家具の生産もできた、そういったことの情報も農林水産省にはございますので、いろいろな角度から、農政局等々も通じながら、さらには、地域おこし協力隊の総務省とも連携をとらせていただきながら、しっかりと地域おこし協力隊が頑張っている、そういう情報をいただき、農林水産省として、できるところはしっかりバックアップもしていきたいと思います。

 JAの皆さんにも、私どももよくいろいろな機会で懇談をする場面もございますので、できますれば、JAの、地元の農協の組合員になっていただくのがうれしいな、こう思いまするけれども、例えば准組合員制度というものもございますし、そういったことも含めて、JAの皆さんにも御協力をいただけるような、私の方からもお伝えもさせていただければ、このように思っています。

金子(恵)委員 私も地元のJAの女性部の部員でありますので、もちろん情報は提供していきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に行かせていただきたいと思います。農業分野における外国人受入れについて伺います。

 審議が尽くされないままさきの臨時国会で強行採決されました改正入管法が、四月施行し、そして、四月から外国人労働者の新たな受入れ制度が始まるということでございます。

 新制度では、外国人の方々は、就労するには一定の技能や日本語能力を問う試験への合格が必要でありますけれども、三年間の技能実習修了者は免除されるということで、政府によると、新制度で農業に就労する外国人の九割は技能実習修了者になる見込みだというふうに伺っています。

 新制度での農業分野における外国人労働者の受入れについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。御所見を伺います。

吉川国務大臣 今回、新たな在留資格制度の創設によりまして、農業現場で即戦力として活躍をしていただける外国人を受け入れることが可能になりますことから、これにより、農作業に必要不可欠な人材が補完をされて、農業経営の維持ですとか発展にも寄与するものと考えております。

 なお、本制度の設計に当たりましては、農業分野につきましては、その特性に即したものとなりますように、派遣形態による受入れも可能とするとともに、日本人が通常行う関連業務にも付随的に従事することが可能となる仕組みといたしたところでもございます。

 四月の制度開始以降、農業現場で新制度による外国人の受入れが円滑に行われますように、引き続き、関係省庁と連携をしながら取り組んでまいりたいと存じております。

金子(恵)委員 今おっしゃっていただきましたように、直接雇用だけではなくて派遣というものもあるということでありますけれども、この主体となる組織、つまり派遣事業者はどのような業者が担うということになるのでしょうか。

吉川国務大臣 新制度におきましては、農業分野における外国人材の受入れ主体でありますけれども、農業経営体のみならず、農協の皆さんですとか、あるいは農業関連業務を行っている派遣事業者など、幅広い主体による受入れが可能となっているところでもございます。

金子(恵)委員 農水省で出されている農水省の説明資料には、農業者等、派遣事業者というものが雇用主、受入れの主体となっているわけなんですが、その派遣事業者のところに、その中身には、農協、農協出資法人、特区事業を実施している事業者等を想定というふうに言われているわけですね。

 いずれにしましても、事業所の要件というものの四つの案が今出されていまして、それがこれから決定していくわけですが、農業をまずはよく知っている、あるいは農業の現場をしっかり御存じである方々がこの雇用主となっていく、それで派遣事業者になっていくということでよろしいんでしょうか。

吉川国務大臣 今、金子委員がおっしゃったとおりでよかろうと存じます。

金子(恵)委員 例えば、それでは農協はどうなんだろうという話になるんですけれども、人材派遣業というのは、労働派遣法によると、純資産額が負債総額の七分の一以上との要件も課されるということなんですが、信用事業の貯金は負債とみなされるため、九割超のJAはこの要件を満たさないということになる。そのため、人材派遣のための子会社の設立など、JA本体とは別の組織体での対応が必要になるということもあるようなんですが、その辺のことはどのようにお考えになられているのでしょうか。

 農水省が出されたその資料には、農協という言い方をしているわけなんですが、そこに本当に頼っていって外国人の労働者の方々の派遣というものができるのかどうか。いかがでしょう。

吉川国務大臣 農協法上、JA本体が労働派遣事業の許可を取得をして派遣事業を行うことについての特段の制約はございませんので、労働派遣事業の許可を取得をしていただくということがベストかな、こう思っております。

金子(恵)委員 今申し上げたように、許可を得るためのその要件にはちゃんと合っているということでいいんですか。

吉川国務大臣 例えば沖縄でも、別会社をつくってもう既にやっているという例もございます。

 さらに、今申し上げましたように、派遣事業の許可を取得をするために、例えば県の中央会が派遣業の許可をとるということもできますので、十分可能になっていくのではないか、こう思っております。

金子(恵)委員 これから明確にしていっていただきたいとは思うんですけれども、JA本体とは別の組織での対応も必要になるということだと思うんですね。

 ですから、実際にこれから本当にどのような派遣業者が外国人労働者の方々を派遣していくかというのは、今、不透明、いろいろなことがとにかく不透明であります。地域を知らない、そしてまた農業をしっかりと熟知していないような方々が派遣業者になっていくということがないようにこれはしなくてはいけないわけで、その部分についてはしっかりとウオッチしていかなきゃいけないと思いますが、いかがですか。

吉川国務大臣 金子委員おっしゃるとおりだと思います。

 私もこの件に関しましては極めて慎重に考えておりまして、そういったことがないように、関係者の皆さんとも、しっかりとした制度設計というものを四月以降していただけるところにやっていただくような、そういう方向性というものを見出していかなければならないと思っておりますので、対応はしっかりやらせていただきたいと思います。

金子(恵)委員 強くここの部分について申し上げているのは、実際に、なぜ人材派遣業者が雇用して、派遣という形を導入しているかというと、やはり農業は個別の経営体で通年で雇うのが難しい面があるということからだというふうにも説明を受けています。そういうことだと思うんです。ですから、人材派遣業者が雇用して複数の経営体に派遣する、そういう形態も出てくる可能性がある、それも認められているわけですから。

 そうなりますと、私は、そこで混乱が起きないかどうかということもしっかりとこれから考えていかなくてはいけないというふうに思いますので、ぜひその部分についてもしっかりと取組をし、今後どのような受入れ体制をつくっていけるかということを明確に示していただきたいというふうに思います。

 時間がないので、もう一点だけ質問をさせていただきたいんですが、三月一日から農作業の安全確認運動期間が始まっています。一言で言うと、やはり全産業の中でも農業というのは危険な産業だと言われてきており、そして、安全教育の徹底や心のケアなど、働きやすい環境整備が急務であるということでありますけれども、実際に農業現場では実習生の方々が事故を起こしたりということが発生してきた、そういう過去があります。

 例えば、国際協力研修機構が調べたことによりますと、二〇一六年度の一年間に耕種農業で五十七人、畜産で五十一人、計百八人の実習生が事故に遭ったということで、過去には、無免許で道路をトラクターで走行したりとか、そういうことも起きている。あるいは、フォークリフトを運転して事故に遭って長期入院したというケースもあるということでありますので、このような事故がないような安全対策というのができるような、そういう環境づくりをちゃんと受入れ体制の一部としてしていかなくてはいけないと思うんですが、いかがでしょうか。最後の質問です。

吉川国務大臣 農作業の安全対策というのは大変必要でございますので、全国的な安全啓発活動や安全対策の情報発信等に取り組んでおりますが、農業法人における安全確保の取組を強化する観点で、従業員への安全指導と法人向けの研修会等も開催する取組を実施をいたしております。

 今回の新制度で受け入れる外国人材、労働者として受け入れることから、日本人と同様に、農業労働の安全確保につきましては、普及啓発に努めてまいりたいと存じておりますので、これもしっかりと対応していきたい、こう考えております。

金子(恵)委員 終わります。ありがとうございます。

武藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十二分開議

武藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。神谷裕君。

神谷(裕)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの神谷裕でございます。

 本日も質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私も、ちょっと前半、豚コレラの話、皆さんされたと思うんですけれども、こういう状況でございますから、質問の順番も若干変えさせていただいて、ちょっと通告もしていないんですが、きのうというのか、きょうというのか、発生した豚コレラの状況について、どんな状況だったのか、お話しできる範囲で構わないので、お話しをいただけたらと思いますが、小川審議官、いかがでございますか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、農場の近辺で野生イノシシの豚コレラ感染が確認されていた農場として監視を継続しておりました岐阜県山県市の農場から異状の報告がございました。これは毎日の監視の結果でございます。この異状の報告を受けまして、農場に家保が参りまして採材し、精密検査を昨晩からけさにかけて実施いたしましたところ、けさ、豚コレラの感染が確認されたところでございます。

 まず蔓延を防ぐため、本日未明から岐阜県において防疫作業を行っておりますし、国といたしましても疫学調査チームを派遣しているところでございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 ここは本当に踏ん張りどころだと思います。やはり、どこで封じられるか、多くの養豚農家の方も、本当に、期待というのか、一日千秋の思いで、早く終わってくれと思っていると思います。

 本来であれば、ここでしっかりと豚コレラについても議論をしたいなと本当は思っていたんですけれども、まずは対処していただく、そして一日も早く終息をしていただく、そのことがまず必要なんだろうと思いますし、豚コレラについての審議というのか、あるいは、これからしっかりと対策、防疫、これからもう出さないためにどうしていくのかという議論が絶対必要になってくると思いますけれども、まずは皆さん方においてしっかりと封じ込めに対して頑張っていただきたいと思いますし、その後また、委員長、ぜひ時間をとっていただいて、豚コレラについてというのか、こういった危険な伝染病について集中した審議の時間をつくっていただけたらと思いますので、まず御検討をお願いしたいと思います。

武藤委員長 はい。

神谷(裕)委員 それでは、次の質問の方に入らせていただきます。

 当然、豚コレラと同様に、大臣のこのたびの所信についてしっかりと、要はこの国の方針について伺うというのも大事だと思いますので、逐次聞かせていただきたいと思うんですけれども、まず伺いたいのは、北海道胆振東部地震から半年が経過したわけでございますけれども、農地や林地など、復興の状況についてまず伺いたい、このように思います。

室本政府参考人 胆振東部地震によりまして被災した国営のパイプラインでございますけれども、直轄災害復旧事業に着手しまして、まずは、受益面積二千八百四十三ヘクタールのうち、その大方の二千七百五十ヘクタールの農地でこの春の営農再開が可能となるよう、現在、急ピッチで暫定用水路の工事をやっているところでございます。

 一方で、山地崩壊で被災した農地が百四十ヘクタールございますが、土砂の堆積を免れた農地で仮畦畔等の暫定工事を行うということをやっておりまして、堆積土砂を河川の災害復旧事業の盛り立て土として利用することによりまして、被災農地の一部で春の営農再開が可能となる見込みでございます。

 農水省としましては、引き続き、北海道開発局、北海道庁、被災町と連携しまして、復旧計画について被災農家に丁寧に説明しながら、早期復旧に向けて全力で支援してまいりたいと考えてございます。

牧元政府参考人 林地の関係についてお答えを申し上げます。

 平成三十年北海道胆振東部地震によります山地災害の発生状況でございますが、林地の荒廃と治山施設の被災とを合わせまして百八十九カ所、被害額約四百三十億円となっているところでございます。

 農林水産省といたしましては、二次災害が懸念されるような、緊急に対応が必要な七十二カ所全てにつきまして、災害復旧予算でございます災害関連緊急治山事業等の実施を決定いたしまして、その一部で危険木除去等の工事に着手したところでございます。

 また、今後の復旧につきましては、昨年十月に設置をされました胆振東部森林再生・林業復興連絡会議におきまして、国、道、町、研究機関等が協力いたしまして、当面必要な対策や今後の被災森林の復旧方法等の対応方針について検討しているところでございます。

 引き続きまして、災害関連緊急治山事業等の早期執行に努めるとともに、今後につきましては、当該対応方針を踏まえつつ、北海道等の関係機関と連携を密にいたしまして、治山事業等によります山地災害の早期復旧に努めてまいりたいと考えております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 やはり、災害、忘れてはいけないと思いますし、農業の場合、一年一作のものも多うございます。春に間に合わないと大変なことになりますので、胆振東部、忘れてはいけないと思っておりますし、この後も折に触れて進捗がどうなっているのかというのを聞きたいなというふうに思っておりますが、まずもって、これからもその辺の方、尽力をぜひお願いをしたいと思います。

 そしてまた、半年前の胆振東部地震を契機として、重要な課題として認識されたものの一つに、電力の停止、北海道全域がブラックアウトとなりました。このことを起因として、酪農について、やはり電気がないと、例えば生乳を、要は搾るということについても、あるいは冷やすということについても大きな問題があるなということが認識をされたと思います。

 その対策として、例えば自家発電の導入とか、そういったことが提起されたと思うんですけれども、そういったことの対応状況はいかがなっているのか、教えてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 相次ぐ台風ですとか北海道胆振東部地震による停電によりまして、酪農業に大きな被害が生じました。その際に、非常用電源を有する酪農家につきましては、搾乳を継続することができて、乳房炎等の防止に役立ったというふうに認識をしております。

 このため、停電等の緊急時に搾乳を継続的に行うために必要となる非常用電源等の整備につきまして助成を行うことといたしました。平成三十年度におきましては、全国約百団体から約二千台の非常用電源等の整備の交付申請があったところであり、順次、非常用電源等の整備が進んでいるというふうに認識をしてございます。また、平成三十一年度予算につきましても、今後、要望を受け付けるということにしてございまして、引き続き、非常用電源の整備が円滑に進むように、関係団体等と連携をして取り組んでまいります。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 もちろん、予算があることですから、限界があるんですけれども、なるべく早くやっていただきたいというのが本音でございまして、というのは、この地震、半年前の地震があったときに、しばらくはないかなと思っていたんですが、先般も同じようなクラスの大きな地震がございました。いつ起こってもやはり不思議じゃないんだということを念頭に置かなければなりません。

 そういったことを考えたときに、一日も早く全てに対応できるようにしておく、これはやはり災害にとっては絶対必要だと思いますので、そういったことをぜひ御留意をいただいて、もちろん、平成三十一年度予算でもそういったことを措置していただいているということは、本当に大きなことですし、ありがたいなと思うわけでございますが、ぜひその辺は積極的に行動していただきたい、このように思うわけでございます。

 また、あのときに、酪農家以上に、乳業工場というのか、こちらの方が大変大きな問題だったな、対応がおくれていたなという印象がございました。その後、こちらの方の対策は進んでいるのか、伺いたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、昨年の北海道の地震の発生に伴う大規模停電によって、ほとんどの乳業工場が稼働を停止いたしまして、生乳の受入れができないという状況になりました。

 このため、昨年十二月十四日に取りまとめました防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策の中で、酪農、乳業関係につきましても、大規模な停電が発生した場合においても生乳の持続的な生産、流通体制が確保されるように、全国十のブロックにおいて、停電時の対応計画を作成する、また、当該計画を踏まえて、乳業工場等の基幹となる施設の非常用電源設備を導入するということにしてございます。

 これを受けまして、例えば北海道におきましては、生産者団体、乳業者、道庁等が連携いたしまして、停電時の対応計画の検討を現在進めているというふうに聞いてございます。

 農林省といたしましては、この対応計画に位置づけられた乳業工場への非常用電源の導入について助成するということにしてございまして、これらの措置も通じまして、我が国酪農、乳業の危機管理体制の強化を図ってまいりたいと存じます。

神谷(裕)委員 今のお話を聞いておりますと、確かに前向きにみんなで考えているよという印象でしかありません。大変恐縮ながら、やはり、受け入れられなかったということが大きな問題であった、しかも、もうこれでないかなと思っていたら、やはりあったというようなことでございまして、申しわけないんですが、いかにも対応が遅いんじゃないかなというのが本音でございます。

 現実のところ、当時、発災したときに二つの工場だけがそういう非常用電源を持っていたなという印象だったんですが、あの地震以降、新たにそういう非常用電源を持ったような工場はあったんでしょうか。

枝元政府参考人 当時、非常用電源を持って生乳の受入れの対応ができたのが二工場でございました。現実には、もう一工場は持っておりましたけれども、そこは受入れができませんでした。あと、今持っているところが更に整備を強化するとか、そういうことをやっているというふうに聞いてございます。

吉川国務大臣 神谷委員、御心配はごもっともだと私も思います。

 そこで、乳業工場を持つメーカーの方が私のところにもお訪ねをいただきましたので、あってはならないことじゃないですか、非常用電源というものは常に備えておいてください、もし乳業メーカー、工場そのものがいろいろと支援措置等々が必要だということであれば、今回の緊急インフラ点検という形の中で非常用電源も用意をさせていただきます、ですから、生産者、酪農家の皆さんにこれ以上心配をかけるようなことは乳業メーカーとしてはあってはなりませんよという話も、私、させていただきました。

 そこで、今、JAを通じて非常用電源を持っていただく措置、さらには、生産者の方々も、このブラックアウトを通じて、何とか非常用電源を持とうじゃないかと思っている方々もたくさんいらっしゃいます。そこで、仕分をして、どうしてもまた、非常用電源を持てないという、家族経営で頑張っていらっしゃる、御苦労されている方もいらっしゃいますので、そういったことを区分しながら、仮にこういったことが起きても、しっかり搾乳ができるように、あるいはバルククーラーも稼働ができるように、廃棄するようなことがないような、乳業工場にもしっかり運べるように今体制を整えようと計画もいたしておりますので、その計画は間もなくできると思いますので、もう少しお待ちをいただければと思います。万全を期してまいります。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 大臣の強い、本当にすばらしいリーダーシップ、大いに期待しておりますので、よろしくお願いをしたい、このように思います。

 それほど、地震ほどに大きな災害ではなくとも、どうしても気候や天候によって農林漁業というのは左右をされます。

 昨年の北海道なんですが、北海道農業は天候により厳しい結果となってございます。特に私の地元でございます空知、ここの農業、残念ながら、やはり長雨であるとか、気象の関係で厳しい年となりました。

 確かに、厳しい年もあればよい年もあるというのが農業なのかもしれませんけれども、最近、やはり気象条件が少しずつ、地球温暖化もあるのでございましょうけれども、変わっていく中で、北海道でも、例えば、以前は台風なんかも来なかったんですが、台風が来るようになりましたし、あるいは局地的な豪雨など、気象によるリスクがやはり増大しているなというようなイメージがございます。

 昨年、ちょっとひどかったんですけれども、ことしも、ないと本当に信じているんですが、よもや二年連続不作となると、やはり農業者にとっては、大変経営的には大きなリスクになるかな、大変な事態となるなというふうに思っているわけでございまして、農業者も、ことしはやはり勝負の年だなというふうに思って、しっかりと頑張っていただいているところでございます。

 しかし、先ほど申し上げたように、やはり天候いかんによって左右される農業でございますから、特に最近、世界的に見ても二年連続、複数年連続なんというのがあったということも承知をしておりまして、そういうようなことを考えたときに、どのような場合であってもしっかりと経営を維持できること、あるいは再生産を可能とするというようなことがやはり大事なんじゃないかなと考えるわけでございます。

 そういった意味で、気象や天候というか、こういった災害に左右をされない、経営安定対策の強化が必要であると考えるわけでございますけれども、いかがでございましょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 自然災害によります農作物の収穫量の減少に伴う損失補填につきましては、これは現在、農業保険法に基づきまして、農業共済制度を国として講じているところでございます。

 この農業共済制度の共済金は基準収入をもとにしてつくられますけれども、これは、原則といいますか、通常は直近の収穫量データのいわゆる五中三、五カ年中中庸の三カ年平均ということで設定しておりますけれども、災害、最近、御指摘のように連続する場合もございます。

 そういう場合にも備えまして、経営局長通知におきまして、例えば二年連続して被害が生じた場合には、これは五中三の場合ですとそこが影響しちゃいますので、前年に設定した基準量、これは、すなわち影響前の、通常の年といいますか、通常の年の単収を反映したものをそのまま設定することができる、こういうような柔軟な措置もとっているところでございます。

 災害の状況を見ながら、我々もしっかりと対応できるようにしていきたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 本当に、これから先、気象の状況いかんによっては農業経営は厳しいなと思われる方も多いと思いますし、今、共済制度の話もいただきました。あるいは、収入保険というのが、また新たに頑張っていただいているというふうには理解をしているんですけれども、いかんせん、やはり、自分でその赤字部分を負担しなきゃいけない部分はどうしても発生をしております。

 もちろん、それはある種必要な部分なのかもしれませんけれども、ただ、やはり、複数年続いたとき、あるいは規模が拡大をしている今日にあって、少しでも、一割、二割といえどもかなり、経営についてはボディーブローのようにきいてくるんだろうと思っています。

 そう考えたときに、やはり経営を維持し、再生産を可能ならしめるための施策、例えば、恐縮ながら、立憲民主党では戸別所得補償というのを考えていたところでございますけれども、例えばそういったものもぜひお進めをいただきたいとは思うんですが、そうでないとしても、経営を下支えする何らかの岩盤のようなものがやはり今は必要なんじゃないかな。特に気候、気象がこうなっている状況の中で、あるいは海外からさまざまなものが押し寄せてくる中で、やはり必要なんじゃないかな、こう考えるわけでございます。ぜひ御一考いただけたらと、重ねてお願いをしたい、このように思います。

 質問を移ります。

 このたびの大臣の御所信の中でも、北海道胆振東部地震についてお触れをいただきました。災害からの復旧復興に当たって、単なる復旧にとどまらない、将来を見据えた復興復旧を実現とおっしゃっていただいたと思います。

 これに大いに賛同するところでございますけれども、これまで、災害復旧の支援策は基本的に原状復帰ということが大前提であったと思いますけれども、大臣がおっしゃっていた、将来を見据えた復興復旧、こういったこと、具体的にどんなことをお考えなのか、伺いたいと思います。

吉川国務大臣 昨年は、平成三十年の七月豪雨ですとか、台風二十一号、そして北海道胆振東部地震、台風二十四号等によりまして、全国で農林水産業に約五千六百六十一億円の甚大な被害が生じました。

 このような被害について、例えば台風二十四号のハウス被害の場合には、担い手の確保、ハウスの団地化等を、被災した園芸産地が抱える課題を復旧事業を行う際にともに解決できるよう、農協等のリース方式による耐候性ハウスの導入ということも考えさせていただきました。

 さらに、農地等の復旧にあわせて一体的に大区画の農地を整備することですとか、農業水利施設の復旧にあわせて長寿命化対策等に取り組むことなど、被災者や被災地等の将来を見据えた支援を措置しているところでもございます。

 今後も、現場ニーズを踏まえたきめ細かい支援に努めてまいらなければならないと思っておりますし、加えて、農林水産省におきましては、国土強靱化の観点から、昨年実施いたしました重要インフラ緊急点検の結果を踏まえまして、農業水利施設、ため池、治山施設、漁港、卸売市場等の全十七項目を対象に、施設の耐震化や非常用電源設備の導入等の対策を三カ年で集中的にしっかり行ってまいりたいと思っておりますので、これからも更にきめ細かく取り組んでまいります。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 本当に災害の多い年に昨年はなってしまいました。大臣も私も北海道でございますので、本当に、農家の声であるとか、あるいは漁業者の声であるとか林家の声、お聞きになっていると思います。

 そういった中で、先ほど申し上げたように、実際、復旧事業というと、基本的に原状復帰に戻すというのが、これは財政の原則なのかもしれませんけれども、そういったことがございました。

 ただ、少し変えればもっといいものになるのにな、あるいは、農業者の皆さん方も、これは、もとに戻すよりも、実はもうちょっとお金をかけることによって更にいいものになるのになと、いろいろなところで聞いていると思います。そのために、実際、補助事業を諦めたなんという方も聞いておるところでございまして、まさに将来を見据えた、あるいはそれを契機として、ホップ・ステップ・ジャンプではないんですが、災い転じて福となすというようなことをぜひ実現をしていただきたいと思いますし、そういったことを今回の所信の中でお述べいただいたのかなと思って、本当に期待をしておりますので、ここの部分、どうかよろしくお願いをしたいと思います。

 また、大臣の所信の中でも、米政策についてお話をいただいておりました。農業者がみずからの経営判断で作物をつくれる環境を整備したとのお話があったと思います。

 であれば、農業者みずから判断すれば思うがままに米をつくれるということではないと私は思っているんですけれども、一方で国は、御案内のとおり、需給に関して安定に責任を有しているというふうに承知をしているところでございます。その責任のもとで農業者が自由に米をつくるということなんだろうということでございますけれども、実は、御案内のとおり、昨年の状況を見ておりますと、米の需給、やはり大変に厳しい状況にあるというふうに考えておりまして、むしろ楽観できない、自由につくっていいのかなんていうことがなかなか言えないような状況なんじゃないかなというふうに私自身は認識をしております。

 水田農業を考えれば、やはり、農業者の個々の判断を超えて、全体需給を見渡せる、そういったことをつまびらかにわかっている国がむしろ関与を強化すべきなんじゃないかなと私自身は考えるわけでございますけれども、御所感を伺いたいと思います。

吉川国務大臣 農林水産省といたしましては、三十年産以降も、需要に応じた生産、販売を促し、米の需給及び価格の安定を図ることが重要であると認識をいたしております。

 このようなことから、農林水産省といたしましては、引き続き、地域の水田において水田フル活用ビジョンの検討を行うといった重要な役割を担う農業再生協議会に対しまして必要な支援を行うとともに、高収益作物の拡大に対する支援に新たに取り組むなど、しっかり予算を計上させていただきました。水田フル活用を推進してまいりますほか、需要見通しや価格動向につきましての一層きめ細かな情報提供も行ってまいります。

 産地が需要に応じた生産、販売に取り組めますように、環境整備を更に行ってまいりたいと存じております。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 産地が需要に応じてということでございますけれども、一方で、やはり全国で見なければいけない部分が米についてはあるのかなと思いますし、日本人のまさに主食でございます。やはり米というのは特別な位置づけなんだろうというふうに私は思っておりますし、そういった意味で、農業者の皆さんにとっても、やはり水田、米というのが非常に重い位置づけだというふうに私は思っています。

 そういった中で、大臣、所信の中でお触れをいただいたなというふうに思いますし、その中で自由にということがあるのかもしれませんが、要は需要に基づいてということが大前提になるんだろうということでございますけれども、もう一方で、やはり、この国の全国の状況を見ていると、つくりたい人がどんどんつくるような状況にあるのも事実なんだろうと思いますし、売れるからつくっているんだということがそういった皆さんからすればあるんだというのも事実なんですけれども。ただ、やはり、稲、水田、すぐれた生産装置でございますし、水田しかできない地域もあるんだよな、それもまた一方で事実でございますから、そういった意味で、全国でやはり水田を守っていくというのはこの国にとっては大事なことだろうと思うわけでございます。

 その中で、水田フル活用というようなことなんだろうと思いますし、必ずしも、米の需給というか、主食という以外の部分でもいろいろと使っていただいている、あるいはそれを支援していただいているということは十分に理解ができるところでございますけれども、やはりそれには国の関与というのか国の責任というのが非常に重うございますので、この部分は引き続き、ぜひ大臣におかれても考えていただきたいと思いますし、できることであるならば国の関与をより強いものにしていただきたい、このように、これは御要望という形で言わせていただきたい、このように思います。

 次です。

 棚田について、やはり大臣より言及がございました。今、日本の西側を中心に、水張り面積が減少しているというようなことを聞いております。現行農政については、産業政策の側面が若干強いのかなというふうに思っておりまして、その反面、地域政策が必ずしも、不十分というか、ちょっと後退しているような印象が私自身はあります。

 そういった中で、この棚田が減少しているというか、棚田というか、西日本を中心に水張り面積が減少しているというのは、実はこういった証左じゃないかなというふうにも思っております。

 先ほどの、午前中の議論の中でも、大規模化とか集積、こういったことが一つ方策のように出ておりましたけれども、やはり人が減っていく中で必要なことではあるわけでございますけれども、例えば大規模化であるとか集積という形の答えは、棚田の保全とか集落の保全には必ずしもきいてこないというふうに思われるわけでございます。

 日本型の直接支払いは、その中でも比較的有効な施策だというふうに理解をしているんですけれども、大臣も御案内のとおり、北海道の単価、これについて、農業者の方は大変問題意識を持っておられますし、不満も持っているというふうに聞いているところなんですけれども、やがて見直しがかかるというふうに思っております。その見直しの方向性、あるいは日本型直接支払いについての御所感、これを伺いたいと思います。

吉川国務大臣 多面的機能支払交付金の交付単価は、府県及び北海道における共同活動の実績調査、分析に基づいて、農地を維持するために地域共同で取り組むことが必要な水路や農道等の保全活動に要するコストに着目して設定したものでございます。もう神谷委員御承知のとおりであろうかと思いますが。

 今御指摘ありましたように、北海道は、府県と比較をいたしまして、農地の区画が大きく、単位面積当たりの水路や農道の延長が短いことから、北海道の単位面積当たりの共同活動量は府県と比較して小さいものとなっていると承知もいたしております。

 多面的機能支払いの交付単価でありますけれども、このことを踏まえて算定されているものでありまして、適切であると考えていますけれども、いろいろなことも、要件等々も勘案をしながら、必要でありますればさらなる検討もしていかなければならないな、こう思っております。

神谷(裕)委員 時間が参りましたので余り多くは申しませんが、やはり、この後、西日本のそういった水張り面積を何とかしようということで、この日本型直接支払いについて、さまざま議論が出てくるんだと私は思っています。

 西日本のそういった事象を中心としてお考えになるとするならば、北海道の農家の皆さんの思いも一緒に考えていただけるようにお願いをしたいと思いまして、これまた要望なんですが、御要望を重ねて申し上げさせていただいて、私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 きょうは、大臣所信についての質疑ということで、本来であれば、私の方から、戸別所得補償制度であったり、また、種子法の復活法等について、農村、漁村のあり方、大きな話から、大まかな話から参りたかったんですけれども、やはりきょうは豚コレラ、本日また新たにわかったということもありますので、この話をさせていただいて、さらには、経済連携、この話をさせていただいて、そしてさらには、貿易体制もそうです、そして経済連携もそうですが、ここを踏まえて、食の安全保障という観点できょうは議論を進めていければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 私の能登半島にもやはり能登豚というブランド豚がおります。私の家の近くにも牛小屋も豚小屋もございますけれども、能登半島の奥の方に行きますと、おりのない中で、牛も豚もガチョウのようなものも、いろいろな動物が共生している、そういう場所がありまして、もちろんそこでも、最後は豚は豚肉になるんですけれども、それでも、豚小屋で見る違う豚さん、こんなにかわいいんだという、地面に寝転がって、何か虫を取るんですかね、また違うかわいさがあるなといったことも感じています。

 そういう姿を見ているからこそ、私もこの豚コレラは本当に大変だなと。実際には、小里副大臣を始めとした農水省の皆様、また関係省庁の皆様、大変な思いをされておられますし、もちろん当事者の養豚農家の方々は、もう本当に苦しい思いをされておられると思います。

 実際には、去年の十二月のときに私がこの委員会でも取り上げさせていただきましたが、あのときは四例目が前日に出た日でした。きょうは十一例目が出たということで、おさまってほしいなと祈りながらも、その祈りが実はまだ通じていないということでもありますし、行政、政治にかかわる私たちは、祈っているだけではだめだ、実際何ができるのかということを具体的に話し合っていかなくてはいけないんだろうというふうに思います。

 実際には、私の住んでいる地域には、選挙区にはこの問題は発生はしてきていないですが、今起きている、それぐらいの覚悟を持って、この豚コレラをどうやってなくしていくか。そしてさらには、さまざまな病気がございますが、今、アフリカ豚コレラの問題もいつ発生するかわかりません。緊張感を持って、皆様とよい答えを出していけるように頑張っていきたいなというふうに思います。

 それでは、具体的に質問に入らせていただきます。

 現状での対策で、昨年の段階からで結構です、新たにとられた対策について、もちろんイノシシのワクチンも含めてということでございますが、どういったものが昨年末の段階から加えられたのかということ、そして、でき得れば、どの程度追加の予算が今後発生していくのか、そして、農家の皆様に対して、現状、どの程度、補償の見込みも含めて、金銭的なことも含めて、この対策、大まかに教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 豚コレラにつきましては、昨年の九月以降、二月十九日まででは、岐阜県、愛知県で十例、関連農場を含め五府県において発生をされております。また、それで、発生農場あるいは屠畜場に出入りする車両、こういったものが共通する農場や、近辺で野生イノシシの感染が確認された農場につきましては、豚の移動制限、異状が確認された場合の報告徴求を行うなど、監視を継続してございます。この監視によりまして、昨日ですが、近辺で野生イノシシの発生が確認されておりました岐阜県山県市の農場から異状の報告があり、精密検査を行った結果、けさ、豚コレラの感染が確認されたところでございます。

 豚コレラの発生を予防するためには、飼養衛生管理基準の遵守が最も重要であるということでございまして、岐阜県内等の養豚場に対しまして、国が主導いたしまして、飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認、そして改善の指導を進めております。

 また、愛知県では渥美半島の幹線道路、岐阜県では野生イノシシで感染が確認されている地域の北側の幹線道路などにおきまして、警察、国土交通省の協力を得ながら、散水車による消毒液の散布などを実施しております。

 さらに、野生イノシシの対策といたしまして、ウイルスの感染拡大を防ぐための防護柵の設置や、わなを用いました捕獲による個体数の削減、こういったことに取り組んでおりまして、二月二十二日には、野生イノシシ向けの経口ワクチンの使用を決定したところでございます。

 加えまして、豚コレラ対策を強化するという意味から、二月二十六日でございますが、イノシシ陽性地域から半径十キロ以内の農場に対する毎日の報告徴求、出荷検査などに加え、定期的な立入検査を実施し、岐阜県での指導経験を持つ国の獣医師などが愛知県などの獣医師職員を指導し、愛知県などの農場指導を実施をしております。

 また、全国の農場における飼養衛生管理基準の遵守状況をチェックシートを用いまして国が確認することとして、各都道府県に対しましてチェックシートの活用について個別指導を実施してございます。

 豚コレラの早期発見のポイントとなる症状を家畜伝染病予防法の特定症状に位置づけまして、農場、獣医師からの早期の通報の義務化、こういった対策を追加的に今実施することとしてございます。

 また、経営再開の支援といたしまして、家畜疾病経営維持資金について、制限区域外の農家も対象に追加する、あるいは償還期限を七年以内に延長するといったことを講じるとともに、発生農家などを対象に豚マルキンの生産者負担金の納付を免除する、こういったことをしてございます。

 これ以上の感染拡大を防ぐとともに、経営再開を支援するため、引き続き、国が主導いたしまして、各府省、都道府県と緊密に連携をしながら取り組んでまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 どの程度お金がかかったか、そしてこれから対策にどのくらい追加でお金が必要なのか、補償でどのくらい必要なのかということをお答えいただかなかったんですが、これはわからないということでよろしいんでしょうか。

池田政府参考人 手元に数字がございませんので、ただいまお答えすることができません。

近藤(和)委員 イノシシのワクチンについても、相当手間もかかりますし、お金もかかります、数万個。埋めていくだけでも大変ですし、購入するのも大変、製造も大変だというふうにも思いますが、やはりこれから完全になくしていくんだということであれば、財布というものは意識をしていかなくてはいけませんし、農家の皆様は大変不安だというふうにも思いますから、しっかりと国として準備しているんだという姿勢が私は必要なんじゃないかなというふうに思います。その点はちょっと残念だと思います。

 そして、そもそもですけれども、今回の豚コレラについては、病原菌というんでしょうか、型というんでしょうか、このことについては、幾つ経路があるというふうに今分析しているんでしょうか。また、どういった形で入ってきたかということも含めて、お願いいたします。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねのございました今般の豚コレラの病原菌のウイルスでございますが、今般分離されたウイルスにつきまして専門家が遺伝子の塩基配列解析を行った結果、原因ウイルスは、過去に国内で流行していたウイルスとは異なりまして、近年、中国やモンゴルなどで分離されたウイルスと近縁であったといったことが確認されてございます。

 したがいまして、海外から侵入してきたものだというふうに考えられます。

近藤(和)委員 一種類ということでよろしいんでしょうか、系統は。

池田政府参考人 はい。一種類でございます。

 ただ、細かく言いますと、国内に入ってから一部分の塩基配列に一つの塩基の置換はございますが、基本的には一つでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 海外から入ってきたということであれば、やはり水際対策が大変重要だと思いますし、今、私は二つというふうに以前聞いていたような気がいたしたんですが、国内で入ってきて時間をかけることによって更に分岐していったのであれば、それはそれで大変だなというふうに感じています。

 そして、前回、ワクチンどうですかということで私が質問させていただいたら、ワクチンを打つような場面には至っていないということで返事をいただきましたが、改めて、このワクチン接種基準というものを教えてください。

池田政府参考人 お答えいたします。

 まず、ウイルスが二種類だというふうなことでございますが、これは、先ほど言いました、基本的には一つでございますが、ウイルス遺伝子、長うございます。そのうちの一部分の一塩基が置換したということで、これは基本的な一つのもののバリエーションだというふうに考えておりますが、厳密に言うと、一塩基だけ違うものがありますということでありますが、一つでございます。

 それから、ワクチンの接種についてでございますが、ワクチンにつきましては、農林水産省が定めております豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針におきまして、ワクチンの使用については、慎重に判断する必要があり、我が国における本病の防疫措置は、早期発見と患畜及び疑似患畜の迅速な屠殺を原則とし、平常時の予防的なワクチンの接種は行わないこととしてございます。

 同時に、農林水産省は、発生農場における屠殺及び周辺農場の移動制限のみによっては感染拡大の防止が困難と考えられる場合には、蔓延防止のための緊急ワクチンを決定することとしておりますが、その際、埋却を含む防疫措置の進捗状況、感染の広がり、周辺農場数、地理的状況等の環境要因について考慮すると定められてございます。

近藤(和)委員 済みません、本当はそのワクチンのところを質問したかったんですけれども、先ほど、一つから二つに分かれた、もう一つ分かれたということで、ということは、海外から入ってきたのは、一種類なのか、一種類が入ってきて分かれたのか、二種類入ってきたのか、今どちらという見方なんでしょうか。

池田政府参考人 現在のところでは一種類でございます。

近藤(和)委員 一種類ということで、確認いたしました。

 それでは、先ほどのワクチンのところですけれども、やはり、聞いていますと、結果としては、曖昧なんですよね、この考慮するというのが、ワクチンを打つ基準というのが。明確な基準は、残念ながら数値的なものはないと。

 例えば、今、豚肉の値段がどうこうということも、以前私たちの方の会議で話がありましたが、一%に至るか至らないかだから豚肉の値段は変わっていませんよというのが先月の半ばぐらいにございました。

 実際には、どの程度豚コレラの感染が広がってしまったらワクチンを打つに至るかどうかという基準が曖昧なままで、ぜひとも、本当は目に見える形での基準づくりが必要なのではないかというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げたところでございますが、例えば、埋却を含みます防疫措置、こういったものがなかなか追いつかなくなって、これができないために蔓延の原因になる、あるいは関連農場数が多くて防疫対応ができない、こういったところを定性的に定めているところでありますが、こういったものにつきましては、発生の様態によってそれぞれ異なりますので、なかなか具体的な、定量的なものというのは難しいと考えております。

 ちなみに、例えばEU指令がございますが、これは豚コレラの防疫措置について定めてございますが、例えば、ワクチンの使用の判断につきましては、やはり、ワクチン接種想定地域の豚の密度が高いかどうか、あるいは処理能力に不足があるかどうか、こういったことを基準としていると承知しております。

近藤(和)委員 ぜひとも、他国の例も参考にしながら、日本の方がまだ踏み込んでいないという、私、イメージなんですが、その基準について、この部分も後々議論していけたらと思います。

 恐らく、小里副大臣も相当現場で、何とかしてくれとワクチンのことについては言われたと思いますが、現場にずっと入られて本当に御苦労されておられると思いますが、ワクチンについての、農水省の今までの考えというよりも、個人的にもということで、皆様のその切実なる痛みの声というのはどのようにして受けとめて、どのようにお返ししてきていますでしょうか。

小里副大臣 御指摘のとおり、現場におきましては、養豚農家の方々が大変な緊張感の中にこの防疫措置を行っていただいているわけであります。そういった中から、何とかワクチンに頼りたいという声が出てきている、これは痛いほどわかります。ただ、これまでの経験上、ここは飼養衛生管理を徹底することで何とかしのいでいこうということで今やっているわけであります。

 御案内のとおり、ワクチンを接種するとなると、飼っている地域の豚全てにこれを接種する必要があります。さらにまた、要望にあるとおり出荷をしながらということになると、生まれてくる子豚も次から次へとこれを接種していくことになりまして、こういった豚が地域から全部いなくなる状況を次につくらないといけない。そこからまた三カ月置いて、感染が更に拡大していないことを確認して初めて清浄国になる。

 それとまた輸出は別でありまして、特にEU等に対しましては、更に一年以上の期間を置かないと輸出ができないということで、清浄国そしてまた輸出ができる国になっていくには、大変な期間を要するわけであります。

 それと、仮にこれをワクチンによって当面解決ができたとしても、これは薬によって解決したということであって、必ずしも農家の飼養衛生管理の水準が上がったことを意味するものではない。言いかえれば、防御力が上がったことを意味するわけではないのであって、むしろ防御力が油断によって低下するかもしれません。こうなると、海外からまたウイルスが入ってくると、これに負けてしまうリスクが高まってくるわけであります。特に、けさ方も議論にありましたけれども、アフリカ型の豚コレラの場合は、今どんどん蔓延をしておりますけれども、ワクチンがないんですね。こうなるとまた、ひとたまりもないわけであります。

 過去の経緯からいきましても、平成八年からだったですか、十一年かけて、ワクチン非接種清浄国を目指しての大変な努力があったわけであります。その後も一生懸命、農家を中心に、飼養衛生管理水準の遵守を徹底することによって、ワクチン非接種清浄国としての地位を確立し、また国際的な信頼を得てきたわけでありまして、ここは、当分は少なくともこれを徹底していきたいと思いますし、先ほどの御質問に私なりにお答えするとすれば、飼養衛生管理水準、これをしっかり守っていく、これによってどうしてもしのげない事態が起きた場合には、ワクチンの接種も考慮せざるを得ないのかな、そんなふうに考えるところであります。

近藤(和)委員 薬によって、頼ってしまうということが、国としては豚コレラに負けたということになるのかもしれないですけれども、当事者の方々にとってみれば、若しくは、もう二十キロ、三十キロ先までも豚コレラが来ているという方にとってみれば、勘弁してくれ、自分たちは見殺しかという思いは、私、そこも共鳴しなければ、思いを寄せる必要があるんじゃないかなと。

 そして、その上で、いや、基準は、国としての、先ほどもお話しいただきました、一度汚染国になってしまえば、そしてワクチンを打ってしまえば、清浄国に戻るまでは大変な苦労がかかるんだということもわかりますけれども、ただ、思いを寄せて、しゃくし定規的な答えだと、悲しまれる方が多いのではないか、そして、自分たちは見殺しか、そういうふうに思われる方が出る。実際、そういう方もいらっしゃると思いますが、ちょっとそこはいかがかなというふうに思います。

 そして、私は改めて、国としてはそうは簡単にはワクチンは打ちませんよということですよね、要は、以前からの姿勢とすれば。そうだとすれば、もっともっと早くから、去年の段階からも含めて、このワクチンを打つ基準というのは相当厳しいんだ、国としてはそう簡単に打てないんだということを農家の方々、この養豚業界の方々に私は知らしめておく必要があったんだというふうに思います、結論として、餌の業者の方も含めて。

 この飼養衛生管理基準を徹底を、変な言い方ですけれども、いざとなったらワクチンを打ってくれる、打つ、そして、病気がおさまる、一部の地域でおさまる、私は、ほかの地域の方で、今でもこういう期待を持っている方はいらっしゃると思うんですね、国は助けてくれる、打ってくれると。

 でも、今までの議論の中では、そうは簡単に打ちませんよということなのであれば、ワクチンに対しての甘い期待感が私は今まであったんじゃないかというふうに思います。そうは簡単に打たないから、この飼養基準については本当にもっともっと厳しくやりましょうということの第一歩、二歩が、去年の十二月のときは、やはり私は緩かったのではないかなというふうに思います。

 ただ、これはもう詮なきことでありますので、次へ向かって、今苦しまれている方々の悩みに本当に寄り添い続けていただければと思います。

 そして、今、新たな対策ということで、ありとあらゆる手は打たなくてはいけないというふうに思いますけれども、幾つか対策を見させていただきましたが、特に、中国から来る船、飛行機に対して検疫を厳しくしているということを確認をしていますけれども、SNSを使って、日本に肉を持ち込んじゃだめですよというページも拝見させていただきました。実際には、相当表現がやわらかいな、この表現で本当に日本に肉を持ち込んじゃだめだというふうな認識を持ってくれるかというふうには、不安に思いました。けれども、まあ、やらないよりはましかなと。

 ただ、その動画を見ましたら、例えばアフリカ豚コレラなどでいけば、真空パックでもだめなんですよね、これは聞きませんけれども。その動画だけ見ていると、それについては出ていなかったなということと、あとは、中国の方だけじゃなくて、私たち日本人が中国大陸に行って、飛行機だ、船だということで、どこかの家族と仲よくなって、おいしい味、その地域のお母さんの味で、では、ふるさとに行って食べなさいよと気軽にもらってくる可能性はあると思うんですよね、家族仲よくなって。それで、日本人に対しての、わかりやすい、同じような動画というのはないんだろうなと思いますが、こういったことも含めて、中国からの中国人の方だけではなくて、私たち日本人もやはりたくさん中国へ行っているわけですから、片道、往復ということも考慮に入れるべきではないかというふうに思っています。

 そしてさらには、今、この豚コレラの防止について、実際いつまで続くのか全然わからないですよね。イノシシに対しての経口ワクチンについても、三年、五年、十年がかりじゃないかとも言われています。これからもどんどんどんどん起きてくる、こういう嫌な、見たくもない仮想の動きということもしていかなくてはいけないと思いますが、現在、家畜伝染病の蔓延防止措置の中で、豚コレラについては予防的殺処分は今できないという認識でよかったかと思いますが、アフリカ豚コレラはこの予防的殺処分の今対象になっているのかいないのか、ちょっとこちら、質問通告していなかったんですが、大丈夫でしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 なってございません。

近藤(和)委員 アフリカ豚コレラに対しての警戒も含めて、先ほども、入ってきたらまだワクチンはないんだというお話でしたが、このアフリカ豚コレラについても、豚コレラについても、口蹄疫のように予防的殺処分ができるように私はすべきだと思いますが、この部分については法改正が必要なのか、若しくは、違う形で水準を上げることができるのか、具体的にどうすれば豚コレラ、アフリカ豚コレラが予防的殺処分できるようになるんでしょうか。

池田政府参考人 予防的殺処分の対象にするためには、法律の改正が必要でございます。

近藤(和)委員 この家伝法の中では、法を変えていかなくてはいけないということを伺いましたので、ぜひとも、ここは皆様と協力して、この予防的措置、動いていけたらというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、犬のお話に参りたいと思います。

 こちらも、対策として、昨年八月にアフリカ豚コレラが中国で発生してから、検疫探知犬を二十九頭から四頭プラスした、三十三頭にふやしたということも伺っています。

 そして、日本では、中国からの主要七空港と、あとは二つの郵便局、一つから二つの国際郵便局にふやしたということを聞いていますが、実際には、この検疫探知犬については圧倒的に数が足らないんじゃないかというふうに思っています。人によっては、二時間働いて二時間休む、人によっては、三十分働いて二時間休む、これくらいしか仕事ができないよということを聞いたんですが、この七空港と二つの郵便局だけでも、割り算をすれば、一つのところで四頭しか配分できないということでございます。圧倒的に数が少ないというのが現状ではないでしょうか。

 そしてさらには、港にはいないわけですよね、この検疫探知犬は。港にはいないですよね。博多港にも当然いない。特に、豚コレラはわかりませんが、アフリカ豚コレラも含めて、やはり中国からの対策ということを今強めているということなのであれば、今、中国人観光客、昨年、約八百万人のうち二百万人が船でやってきていただいています。四分の一ですね。四分の一はノースルーというような状況です。

 そして、先ほど真空パックのお話をいたしましたが、真空パックであれば一週間ぐらいは簡単にもちますから、一泊二日でフェリーで中国から来ますので、このままでは大変なことになるのではないかなと思います。

 そして、この検疫探知犬については、育成が六カ月かかる、一頭当たり五百万円お金がかかるということも確認をしたんですが、もう一つ、犬といえば、麻薬取締犬がございます。済みません、正確には麻薬探知犬。こちらは百三十頭いるということを確認をいたしました。

 かなりシステマチックに動いていまして、こちらについては、秋と春で約十頭ずつぐらい前線にちゃんと出てくる。そして、犬を集めて、大体三分の一ぐらいちゃんと前線に出てきて、育成期間が四カ月で、八歳になったら大体引退してと。このサイクルも含めて、一九七九年のときからこういうシステムをとられています。

 この検疫探知犬と比べて四倍ですね。こういったことについては、見習うといいますか、同様に数字を持っていこうですとか、このような検討はしていないんでしょうか。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 検疫探知犬についてのお尋ねですが、検疫探知犬につきましては、農林水産省では平成十七年から導入を開始をしてございます。最近では、本年二月に四頭増頭いたしまして、現在、中国からの直行便の九割を占める主要七空港及び外国郵便の通関を行う川崎東郵便局に計三十三頭配備をしているところでございます。

 これにつきましては、検疫探知犬につきましては、我が国へのアフリカ豚コレラ等の越境性動物疾病の侵入リスクが高まっていることから、更に増頭を検討したいと考えております。

 広報活動や家畜防疫官の携帯品検査への重点配置、こういったこととあわせまして、水際対策の強化に万全を期してまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 どの程度までふやしていかなくてはいけないのかという目標がなければ、もともとの、四頭ふやしたというのも、言っちゃ悪いですけれども、場当たり的といいますか、継続的に、じゃ、四十頭、五十頭、六十頭になるというものではないと思います。

 そして、アフリカ豚コレラなどとの闘いというのは、今も闘っていますし、十年後、二十年後も闘わなくてはいけないと思うんですね。

 本当に増強していくべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 御意見、私も同じ考えでございまして、今現在、民間事業者等が育成した検疫探知犬を導入をしているところでございまして、今後の増頭に当たりましても、十分な頭数の確保が可能と考えております。

 業者によりますと、年間十頭以上の増頭にも十分対応できると聞いておりますので、独自のシステムを整備するよりも早急にこの増頭を図ることができるのではないかということも考えておりますので、これから、この対策上どのような検討が必要なのか、そういったことを緻密に検討を加えながら、その上で、どの程度増頭を図れるのかということもこれからしっかり打ち出していきたいなと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 方向性は一緒だということをお答えいただきまして、ありがとうございます。

 私たちも、あすは空港に行って、この探知犬がどういう働きをしているのかということも、私たちの国民民主党の豚コレラ対策本部で視察に参りますけれども、何頭体制までいくのかということ、そして予算も幾らぐらいかかるのかということ、これは永遠の闘いが続くというふうに思いますので、しっかりとした道筋をつけていただけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、やはり最初からの質問に少し戻るんですが、何だかんだ言いながら、やはりお金が必要だと。要は、処理にしても、そして対策にしても、全てにおいてはお金がまつわる話です。

 私も、この農林水産の委員として、農林水産の予算、どんどんふえてほしいなというふうに思いますが、この防疫については、意図せざる部分、そして世論からも更に強い声もあって、もっともっとお金が必要だというふうに思うんですね。

 私は財務金融委員会に所属しているときが多いので、昨年、国際観光旅客税がつくられました。今、一人当たり千円、税として出ていくときには取られるんですけれども、現状においては、円滑な出入国の環境整備、円滑な通関等の環境整備、それぞれで七十億、三十億、全てトータルすれば五百億の予算が組まれていますが、ここから何とか継続的に活用させていただけないかというふうに考えています。

 実際には、お配りしました観光庁さんの資料の中の1の(2)で、既存政策の財源の単なる穴埋めをするのではなくということと、さらに、(3)のところで、受益と負担の関係が不明確な国家公務員の人件費などには充てないということは書いてはあるんですけれども、それでもなお、今、検疫体制を強化しようとすれば、やはり足どめを食ってしまう観光客の方、外国人の方が多数出てこられると思うんですね。この部分については実際には農林水産省の予算の割当てというのがないわけですけれども、観光庁さん、この点についてはどういう見解でいますでしょうか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の検疫につきましては、訪日旅客が通過をするに当たって、現状大きな混雑は生じていないものと承知しており、混雑を仮定したお話をするのは困難でございますけれども、一般論としてお答えするのでございましたら、国際観光旅客税の使途につきましては、昨年の国際観光振興法の改正や使途の基本方針において、ストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備など三つの分野を明示するとともに、充当する施策については、既存の財源の単なる穴埋めをすることなく、受益と負担の関係から負担者の理解、納得が得られること、先進性が高く費用対効果が高い取組であること、地方創生を始めとする我が国が直面する重要な政策課題に合致することといった基本的な考え方を全て満たすことが定められております。

 さらに、これらの基準に合致したもののうち、観光戦略実行推進会議における民間有識者の意見も踏まえつつ、新規性、緊急性の高い施策について予算を充てるものと考えております。

近藤(和)委員 実際には回したくないというニュアンスは、わからないでもありません。

 ただ、この方針の中にありますように、我が国が直面する重要な政策課題に合致すること、そして、下段の方で、硬直的な予算配分にならず、まあ、柔軟にいきましょうということですね、毎年度洗いがえができるようにということ、そして、観光戦略実行推進会議において検討を行うということですが、この中には吉川大臣も入られておられます。

 実際には、防疫体制を強化しようとすればするほど、間違いなく外国人の観光客にはストレスを与えることになります。出ていった日本人だってそうです。何でとめられるんだということになると思います。そのときに、じゃ、画期的な機械が発見されて、肉をすぐ探知犬のように、同じようなそういう機械がもし出れば、これは既存の穴埋めじゃないと思うんですよね。新たな技術に対しての対策だというふうに思いますし、観光客をふやしていくということは、これは今の日本国の長年の方針だと、今の安倍政権も一生懸命この部分は努力をされています。

 実際には、二〇二〇年には四千万、六千万。済みません、裏のところで、これは過去からの、外国人がどんどんふえて、入国される方がふえていただいて、実際には不正に持ち込まれた畜産の件数がどんどんふえている。これから更に倍増させていこうというときには、実際にはこの下のところもふえていくと思うんですね。特に、麻薬などと違って、豚肉など、こういう食品を持ち込まれる個人の方というのは悪意はない方がほとんどだというふうに思いますから、観光客の増加イコールこの不正持込みの増加というところにつながっていく可能性が高いというふうに思います。

 ですから、重要な政策課題に合致するということ、そして、ストレスをなくしていくということ、硬直的な予算配分とならずということも考えて、これは大臣、頑張っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 ありがとうございます。大変、ただいまの御提言、ありがたいと存じます。

 しかしながら、今観光庁から説明がありましたように、この国際観光旅客税につきましては極めて難しい部分があるのかなということも、聞いていて、よく理解もさせていただきました。

 私どもといたしましては、越境性動物疾病の我が国へのリスクが高まっていると考えておりますので、国際観光旅客税の活用のいかんを問わず、水際対策も強化をしていかなければならない、そのように存じております。

 この旅客税につきましては、また幅広く御議論をいただければ、こう思っておりますし、私どももまた研究、検討もさせていただければ、このように思っております。

近藤(和)委員 検疫、防疫ということに関してはお金はどれだけ使っても私はいいと思うんですね、国民の生命と財産を守るために。ぜひとも、対策に幾らぐらい具体的にこれからかかっていくんだ、お金が足りないんだということに対しては、国民の共感は私は得られるというふうに思いますので、ありとあらゆる可能性を探っていただければと思います。

 そして、今、台湾がアフリカ豚コレラを受けて、入国の段階で、日本であれば没収で終わりですけれども、見つけた段階で、私たち日本人の感覚だと銃器や麻薬が見つかって没収されて逮捕されて告発されてというのに近いような形で、罰金が初犯だと、初犯という言い方がいいのかわかりませんけれども、日本円で約七十万円、そして、二回目以降だと悪質性が高いということで三百六十万円、これぐらいもう台湾は、厳罰化していこう、絶対に持ち込んだらだめなんですよということで動かれているようです。

 そして、どうやらほかの国でもこういった動きがあるということで、私たちが今調査をしているところですけれども、まずは現行法の範囲の中で、三年以下の懲役、百万円以下の罰金というところを、更にこれを上げていくということ、プラス、入り口の段階で取り締まることができないのかということも、私たちの方で法案化できないかということで動いておりますので、また形ができたときには皆様にお示しをいたしたいというふうに思います。

 済みません、時間が来ましたので、ほか、経済連携についての質問などもできなくて大変申しわけございません。

 今私たちの方では、一つだけ申し上げさせていただきたいと思いますが、経済連携のところについては、特にアメリカとのFTAと言うのか、物品貿易協定と言っていいのかわかりませんけれども、今こちらについては、TPPのときのように、また日豪経済連携のときのように、私どもも、大串委員も提案をされましたけれども、この農林水産委員会での決議が必要なのではないかというふうに思っています。

 ここについても、ぜひとも、前回でもほぼ、多くの方々と同じ志で答えを出したということも聞いておりますので、こちらについても、各委員の皆様、御賛同をいただければというふうに思います。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党、関健一郎です。

 委員長におかれましては、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 豚コレラについてお話をさせていただきます。

 私の地元の愛知県田原市でも殺処分等が進められています。

 まず、殺処分をしなければならなくなった生産者の皆さん、また、あしたはうちの農場じゃないかとおびえている生産者の皆さんに心からお見舞いを申し上げますとともに、きょう他の委員からも御指摘があったようですけれども、国の職員の方はもとより、県、市町村、そして自衛隊の隊員の皆さんを含め、この緊急事態に昼夜を問わず仕事、任務を、激務をこなしていただいている皆さんがおられます。心から感謝と敬意を払うとともに、従事された皆さんの心と体のケアというのも、改めて、万全の支援をお願いいたします。

 この岐阜、愛知というのは、九州とかに比べると、畜産王国というか、そういうイメージではないので、いきなりこういう大問題が降っておりてきたときに、みんなびっくりしちゃっているわけです。ですから、現場がうまく回らないとか、そういういろいろな問題があって、急遽、緊急事態なので現場に行っている皆さんも、いつもは経理を担当していますとか、いつもは町づくり課にいますとか、そういう方が現場に行って、白い服を着て豚の処分に携わらなければいけない。これは音もしますし、大変な激務です。きめ細やかなケアを冒頭にお願いいたします。

 そして、ある殺処分をした生産者の方のお話を引用させていただきます。

 ある方が、患畜が見つかったため殺処分をすることとなりました。そのときに、殺処分をお願いしますと言いに行った保健所の職員の方は、涙ながらに、申しわけありませんということを言っておられたそうです。生産者の方は、別にあなたが悪いわけじゃない、それはもうそういうルールだからしようがない、殺処分はちゃんとやりますということで処分をしたそうです。それで、二日後に処分をするということになりましたけれども、やはりおなかがすいて豚が鳴くんだそうです。おなかをすかせちゃかわいそうだからと、殺処分すると決まっていても、その生産者さんは餌を上げ続けて、最後までごめんねと謝りながら処分をした。

 こういう気持ちを持って畜産に当たっておられる方々は、攻めの農業、攻めの畜産の中心にまた必ず戻ってこられる方々なんだと思います。ですから、その誇りある生産者の皆さんの全面的な再開支援、これは進めていくべきだと思います。

 そして、その再開支援について大臣に伺います。

 このほど、農林水産省、大臣が出された、制限を受けた生産者の皆さんが、出荷時期がおくれちゃって豚価が下がったりとか、その分の餌代とか光熱費とか、そこに関しては支援しますよという追加の対策を出されたと思います。これは、生産者の皆さんが非常に助かっているという声をよく聞きます。これはもう本当にありがたいという声をお伝えしておきます。

 その上で、殺処分をされた皆さんは、その後、じゃ、また新たな豚さんを購入しなきゃいけません。ここはもう菌の、清浄化しましたよ、豚舎がきれいになりましたということが確認できるまで再開できません。そして、百八十日間育てなきゃいけないわけです。その間の、全く稼ぎがなくなってしまうリスクがあるわけです。

 この再開支援について、大臣に伺います。

 先ほども申し上げましたけれども、今、殺処分をされている皆さん、必ずまた、大臣が所信でおっしゃった攻めの農業の中心に戻ってこられる方々ですから、それが国の命令で処分をしたわけです。ぜひ全面的な支援をお願いしたい。まず大臣の御所見を伺います。

吉川国務大臣 関議員におかれましては、御党の皆さんとともに私ども農林水産省においでをいただいて、豚コレラに対する御要望等も私自身が頂戴をいたしまして、その後も真摯にお取り組みをいただいておりますことに心から敬意も表したいと存じます。

 豚コレラの発生農場における豚の再導入についてでありますけれども、防疫指針におきましては、発生農場の防疫措置完了後に移動制限が解除されていること、農場内の消毒を防疫措置完了後一週間間隔で三回実施していること、飼料、排せつ物等に含まれる豚コレラウイルスの不活化に必要な処理が完了していることを確認した場合に可能とされております。

 防疫措置完了後、豚を再導入し、出荷までに要する期間は、肥育素豚を導入する肥育農場におきましては約六カ月、繁殖豚を導入し子豚を出産させて育てる一貫農場においては約一年半であると承知をいたしております。

 また、発生農場の経営再開に向けて、殺処分した家畜に対して手当金を交付するほか、家畜防疫互助基金について、基金の枯渇による減額は行わず、基金の積み増しをいたします。

 家畜疾病経営維持資金について、制限区域外の農家も対象に追加をして、償還期間を七年以内、据置き三年以内に延長もいたします。

 また、豚マルキンの生産者負担金の納付を免除することにいたしたところでございまして、農家の方々の経営が再開できるように、きめ細かく、県とも連携をしながら、農水省として対応してまいりたいと存じます。

関(健)委員 生産者の皆さんが安心して再開ができるという仕組みを、今きめ細やかにとおっしゃっていただきましたので、引き続き、この場でも、再開に資する仕組みをつくっていただければと思います。

 そこで、相談窓口の設置についてお話をさせていただきます。

 豚コレラの話についての質疑をさせていただいている中で、生産者の皆さんとか消費者の皆さんからいろいろな御意見をいただくようになりました。

 先ほどワクチンの話も賛否両論ありましたけれども、ワクチンを打つべきじゃないのかとか、ワクチンはだめだとか、あとは、この消毒のやり方はこれでいいのかな、ちょっと疑問に思ったので動画を撮ってみましたとか、僕のSNSにいろいろなものが入ってくるんです。私はすぐ農水省の方に伝えましたけれども、これは私が窓口になってもしようがないわけで、多くの生産者の皆さんであり消費者の皆さんがぱっと、豚コレラといえば、やはりそれは農水省なんだと思います。

 ある具体例で言うと、まだ制限区域なんですけれども疑似患畜等が見つかっていない生産者の方が異状がないかというのを定期的に、豚の血をとりに来るんですね、保健の職員の方が。その職員の方が、実は、その前の日なり、別の日かその当日かは別として、ほかの患畜が見つかった場所も回っておられるわけですね。その同じ車で自分の農場に入ってこられるということにやはり神経質になっておられるわけです。ですから、その現場の職員の方にそういうふうな、別の人に来てもらえないかということを言ったら、ちょっと上に言ってみますという感じで、またかわらずになっている。これはすぐ改善しなきゃいけないことでもありますし、逆に言うと、そんなに、かえることが難しいことではないと思うんです。

 さらに、この前の疫学調査チームの中で、車の消毒の仕方に問題があったと。実は、これで大丈夫なのかなと思っておられる一般の方もたくさんおられたわけです。

 ですから、情報収集という側面からも、また、安心の窓口じゃないです、駆け込み寺じゃないですけれども、そういう意味からも、はたまた、豚コレラを食べると人間に害があるというデマがまことしやかにまだ流れていますので、食べても大丈夫なんですかと質問するという意味でも、SNS含め豚コレラの相談窓口のようなものを設置することは非常に、消費者にとっても、また生産者にとっても有益なのかなと思うのですが、大臣の御所感を伺います。

吉川国務大臣 相談窓口でありますけれども、昨年の九月に岐阜県において豚コレラが発生した際に、養豚農家が経済的影響を受け、経営に支障を来すことが懸念をされましたことから、都道府県に対しまして、経営支援対策の周知をお願いしたところでございます。

 岐阜県と愛知県におきましては、防疫対策に関すること、経営、融資に関すること、食品の安全に関すること等の個別の相談窓口も設置をしていただきました。豚等の所有者や従事者等の相談を受け付けていただいていると承知をいたしております。

 今後とも、豚コレラの発生に伴い影響を受けた方々に漏れがないように、しっかりと、農林水産省としても周知を徹底してまいりたいと存じます。

 今ほど関委員からも御指摘のございました、まさに風評被害ですね。田原市が、殺処分が多いところの肉ではありませんというような不当な表示があったりとか、そういったこともお伺いをいたしておりますので、また、愛知県知事も、愛知県の豚肉をたくさん食べる、毎日自分も食べなきゃいかぬなみたいな、そういったこともお伺いをしておりますので、そういう風評被害対策等々に対しましても我々は心を配ってまいりたいと思います。

 細かな部分がございましたら、また事務方にも説明をさせたいと思います。

関(健)委員 大臣が今おっしゃられたとおり、岐阜、愛知、それぞれ窓口、あるんですね。私も、恥ずかしながら、その存在を知りませんでした。生産者の人にも周知されていないんですね。

 また、岐阜、愛知はそうですけれども、先ほども申し上げましたけれども、岐阜でイノシシが出て、そうしたら、北陸三県の人たちとか静岡の人たちは、次は俺らのところかなという強い警戒感を持っておられるわけです。

 ですから、そういう人たちもまとめて連絡ができるように、これは、相談窓口というのは、全国の、ぱっと、農林水産省に一個必要だということを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 これは、副大臣にお尋ねをさせていただきます。

 私、記者時代に、家畜の、牛の口蹄疫を取材させていただきました。本当にすさまじい取材でして、対応された皆様、更に大変だったと思いますけれども。空気感染をするということで、それこそ迅速な殺処分と埋却というのが求められていたと思うのですが、鹿児島が、口蹄疫は封じ込めに成功されたと思います。また、二十六年前にこの豚コレラが発症したときも、鹿児島は封じ込めに成功したそうです。また、副大臣おっしゃっていましたけれども、鳥インフルエンザもわずかな発症で封じ込めに成功している。

 恐らく、畜産王国、また経済的に大きな大きな柱である、ここで家畜伝染病が広がっては経済的な打撃が尋常ではない、そういう危機意識がもちろん土台にあるんだとは思いますが、恐らく、伝わっているノウハウというか、そういうものが鹿児島にはあるんじゃないかなと思うんですけれども、副大臣、御所感を。

小里副大臣 お話しのとおり、豚コレラを始め、家畜伝染病の防疫を的確かつ迅速に行うためには、全都道府県の防疫レベルを高位平準化するということが極めて重要であると考えております。

 鹿児島県におきましては、お話にありましたように、口蹄疫への対応あるいは豚コレラへの対応がありました。また、私の地元の出水市では、飛来してきた鶴、野生の鶴が鳥インフルエンザに感染して、感染して飛来をしてくるのかもしれませんが、この対応、特に隣り合わせに日本一の規模の養鶏団地があるわけでありまして、その対応を迫られてきたわけであります。そういったたびに、危機感を持って、飼養衛生管理水準の遵守、これを徹底し、家畜への発生を予防し、また感染拡大を防止してきたわけであります。そういった経験、ノウハウというものを全国会議の場で紹介もしてまいりました。

 農林水産省では、毎年四月及び九月に、全国の家畜衛生関係者等を招集しまして、家畜衛生の情勢に関する最新の情報とともに、防疫対応に係る全国の優良事例や、うまくできなかった事案における改善点等を共有しているところであります。

 特に、昨年九月十四日の会議におきましては、都道府県の家畜衛生担当者のほか、関係省庁、養豚関係団体、獣医師団体等を招集しまして、直前の九日に岐阜県で発生した、まさにこの豚コレラの防疫対応の状況を共有しながら、岐阜県の対応を踏まえた検査体制の見直しについて詳細に説明をしたところでもあります。

 引き続き、このような全国会議やテレビ会議等の機会を活用しながら、全都道府県の防疫レベルの高位平準化を図ってまいりたいと思います。

関(健)委員 高位平準化というお言葉をおっしゃられましたけれども、まさにそのとおりだと思います。

 現場のオペレーションを聞いていると、やはり二十六年ぶりの発症ですから、それはしようがないなという部分もあるんですけれども、重機はあるけれども操作する人がいない、いざ豚を捕まえるときに、みんなでこうやって壁を持って動くみたいなんですけれども、その壁がぺろぺろで豚が逃げちゃうとか。つまり、きちんとマニュアル化されていれば、更に効率化が進むわけです。じゃ、人が足りないと言ったら、今度は人が余り過ぎちゃうとか、オペレーションがやはりうまく回っていないというのが現場の課題のようです。

 ですから、先ほどおっしゃられた高位平準化というのを目指すためにも、これは何度も言いますけれども、愛知とか岐阜というのは、畜産王国として常にそういうものに対して意識をというよりは、先生の鹿児島とかに比べると、それはノウハウも積み重ねも違うわけです。ですから、こういうことが起きたら、すぐに、高位平準化のために、徹底的に、成功している人たちにも行ってもらうとか、それはもう農水省として、正しい一番上の知識を持っている、ノウハウを持っている人たちに行ってもらって、一刻も早く封じ込め、またその前後の対策というのをよく御存じでしょうから、その知識の共有というのをシステムとしてできるような必要があると思いますが、改めて、そのノウハウをマニュアル化というか、これはすぐやれることだと思うんです、やっていただけないでしょうか。

小里副大臣 鹿児島の例も含めて、これまでの各地における家畜伝染病への対応、その経験を踏まえたノウハウを今後に生かしていくために、また防疫措置の中身について検討し、またそれを一つの体系として確立をして、これをまた使っているわけでありまして、今回、その一つとして、全国の農家に対してチェックシートを準備して、これを徹底を図っているわけであります。また、国みずからが肝心な農家には出向いて直接指導も行っている、そういうことであります。

関(健)委員 高位平準化のために、あらゆる政策を積み上げていただきたいと思います。

 そして、このマニュアルに関しての質問は終わらせていただきます。

 続いて、水際対策についてお尋ねをいたします。

 今、どこから豚コレラが入ってきたのか、それは幾つかの可能性は挙げることができますけれども、一つの大きな可能性として、飛行機から入ってきた可能性が高いと思います。

 そして、これは一部報道でもありましたけれども、アフリカ豚コレラが蔓延する中、それが入ってこないように、すさまじい高額の罰金を科して、それが見つかった時点で国に帰ってもらう、そこまで厳しい対策をして、水際対策を徹底している国、地域があります。

 こうなった以上、もちろん探知犬をふやしていくことも必要だと思いますが、抑止の意味でも、厳罰化をするという必要があると考えますが、御所感を伺います。

吉川国務大臣 まず、水際作戦で今私どもが実施をしていることをざっと私の方から申し上げさせていただきます。足らざる部分はまた事務方から説明をさせていただきたいと思いますけれども。

 今、越境性動物疾病の侵入リスクが高まっておりますので、農林水産省といたしましては、この水際対策のさらなる強化のために、まず一つには、広報キャンペーンの強化、中国人向けのSNSの配信等による広く国内外に向けた持込禁止品の周知、さらには、検疫探知犬の臨時的増頭、アフリカ豚コレラ発生国からの到着便に対する探知活動の強化を行っております。そしてまた、家畜防疫官の携帯品検査への重点配置による旅客に対する口頭質問の強化も今行っているところでございます。そしてまた、税関と連携をいたしまして、旅客の携帯品検査の強化も行っておりまして、それらを今徹底して行っているところでもございます。

 さらに、この制度の強化と申しましょうか、ちょうど台湾の国が、過去三年間アフリカ豚コレラが発生した国や地域から豚肉製品を持ち込んだ者に対して科していた違反金の額を、以前は一律一万五千元、日本円にして約五十四万円でありました。ところが、昨年の十二月十八日に、違反回数に応じて、一回目の違反における違反金の額を二十万元、約七十二万円、二回目以降を百万元、約三百六十万円に引き上げたと聞いております。

 さらに、本年一月二十五日には、違反金を、今、数字を若干、少し訂正させていただきます。五十四万円と私言いましたよね。失礼しました、五・四万円。額が一桁違いました、先ほどの、以前の数字を。一月二十五日には、違反金を払えなかった外国人に対しまして入国を拒否する措置を開始したと承知をいたしております。

 さらに、この台湾においても、日本と同様、検疫探知犬の活動によって発覚をし、自発的に放棄された場合には違反金を科さないと聞いておりますけれども、さらに、実際の運用等についても台湾当局に今問合せをしているところでもございますので、これからどういった罰則が強化ができるのかということも含めて検討しなければならないかなとも思っております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 この後の質問は大臣じゃなくて結構ですので。

 この水際対策に関してなんですけれども、やはり防疫探知犬というのは相当な効果があるということが明らかになっています。そして、オーストラリアとか、防疫に関して非常に神経質な国がどういうことをやっているかというと、まさにアリ一匹通さないということ。そこまでやるかというぐらいやらなければやはりだめなんですね、その水際というのは。

 そこで、伺います。

 広報キャンペーン、もちろん大切だと思います。そして、その生産者の皆さんの、大事だと思います。ただ、やはり、あそこの、水際で働いている皆さんの話を聞くと、ライターとかナイフとか、そういうのはやはり注意するわけです、テロとかになっちゃうし。それには物すごく神経を使うけれども、じゃ、服の中にくるんだ豚肉とかハム、ソーセージにそこまで心をやるかと、やはりそれは人間ですから、水際の皆さんも、そういうふうに優先順位は下がってしまうわけです。

 ですから、やはり探知犬を全ての水際のところに設置をするとか、あとは、先ほどの厳罰化に関してもやはりアピールをして、これ、日本に持ち込んだらすごいお金を取られて帰されるんだぞというメッセージがやはり必要だと思います。

 具体的に、探知犬を全ての出入り口について設置することはできないでしょうか。

小川政府参考人 探知犬についてお尋ねがございました。

 私ども、いわゆる検疫探知犬の増頭を進めてきておりまして、最近では、本年四月に臨時的に四頭増頭いたしました。現在は、中国からの直行便の九割を占める主要七空港、それから川崎東郵便局に計三十三頭の検疫探知犬を配備しているところでございます。

 検疫探知犬につきましては、我が国へのアフリカ豚コレラなど越境性動物疾病の侵入リスクが高まっているということから、更に増頭を検討したいと考えてございます。

 先ほど御指摘いただきました広報活動や家畜防疫官の携帯品検査への重点配置など、そういった対策とあわせて、水際対策の強化に万全を期してまいりたいと考えております。

関(健)委員 インバウンドがふえてきて、これはコインの裏表だと思いますけれども、これからも多くの外国人の方に来ていただきたい、これは言うまでもありませんけれども、そのコインの裏表で、やはり水際対策というのは改めて徹底をしないと、豚コレラしかり、この後、アフリカ豚コレラが今猛威を振るいつつあるわけですけれども、そのリスクも変わらず高いわけです。ですから、包括的な水際対策を更に強化することについて必要性があるということを述べて、次の質問に移らせていただきます。

 続きまして、これは豚コレラに関して最後なんですけれども、ワクチンの接種について質問をさせていただきます。

 今、ほかの委員の皆様からも、賛成、反対、いろいろな声がありましたけれども、私は、生産者の皆さんの話を聞いていると、接種をしてくれと、また、専門家の中でも賛否分かれていますけれども、接種をすべきじゃないかという御意見に私はちょっと傾いているんですけれども、伺いたいのが、ワクチンを接種することによるデメリットを教えてください。大臣じゃなくて結構です。

    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕

小川政府参考人 ただいま御指摘いただきました、いわゆる野生のイノシシではなくて飼養の豚にワクチンを接種することについてのデメリットでございますけれども、私どもで考えておりますのは、一点目がまず、ワクチンを豚に打ってしまうと、抗体検査で、野外のいわゆる本当に豚コレラに感染したものとワクチンの接種豚との区別ができなくなります。そのため、農家において野外株による感染の有無の確認に支障を来すといった事態が出てきます。

 それから二番目に、ワクチンの接種に頼ることで、長期のワクチン接種のためのかかり増しのコストが必要になってくる。先ほど来説明させていただいておりますけれども、日本が清浄化を図る道においては、やはり十一年間、調整をしながらワクチンをやめるという時間がかかってきたということでございます。

 三点目が、農家の飼養衛生管理の水準を向上させようとする意欲が薬に頼ることによってそがれてしまい、その結果、ワクチンのない、例えばアフリカ豚コレラなどの越境性動物疾病の農場への侵入リスクが高まる可能性が挙げられると考えております。

関(健)委員 ありがとうございます。

 まさに、これ以上質疑を繰り返していると、ワクチンだけで何十分もなってしまうので、これは終わりますけれども、やはり、生産者の皆さんとしては、もうあしたはうちの農場だろうなという人たちは打ってくれということをおっしゃっているので、そのことを、もちろん今おっしゃったことも理解をできますし、その一方で、ワクチンを接種したいという生産者の方がいらっしゃるということも、ここでお伝えをしておきたいと思います。

 時間が足りなくなってしまいましたので、順番をちょっと変えまして、捕鯨に関して質問をさせていただきます。大臣の所信表明の中にもありましたけれども、IWCの脱退について質問をさせていただきます。

 私も、記者時代、シーシェパードの取材をしていたときに、この捕鯨に関してはいつも苦い思いをしていたのを覚えています。

 そして、私は、我が国固有の文化ですから、食べる食べないというのは個人が判断されることでいいと思いますけれども、はるか昔から文化として捕鯨をしていて、ひげの先から尻尾の先まで無駄にしない、ろうそくの芯に使ったり、本当に、もったいないというか、ちょっとも無駄のない鯨の使い方、命をいただいて、そして無駄なく、私たちの文化としては、共存してきた歴史があります。ですから、固有の文化として、捕鯨というのはもちろん正当な権利として存続すべきだと私は思います。

 その一方で、国際組織を、国際機関を脱退するということには、孤立の懸念が、孤立してしまうのではないかなという懸念を感じざるを得ませんし、IWCの中でも今まで、役人の、事務方の皆さんはよく御存じだと思いますけれども、多数決をめぐる闘争をずっとしてこられたことと思います。

 ですから、私は、引き続きIWCの中でもその闘争を続けるというのも一つの選択肢としてあったのではないか。つまり、国際機関に納得いかないからやめたというのは、何か、歴史を学ぶと、余り、ちょっと強い懸念を持たざるを得ないなと思うんですけれども、大臣の御所感を伺います。

濱村大臣政務官 今、委員もNHK時代にシーシェパード等々取材があったということでございましたが、IWC自体は、実はこれまでも二十二カ国ほど脱退をしている国があるということをまず冒頭申し上げたいと思いますが、その中で、我が国は、三十年以上にわたって、誠意を持って反捕鯨国との対話を進めてまいりました。

 しかしながら、反捕鯨国からの歩み寄りは見られず、IWCにおきまして、鯨類の持続的利用の立場という我々の立場でございますけれども、それと保護の立場の共存が不可能である、まさに国際機関としての機能不全が明らかであるということを昨年の総会において確認をしたものでございます。このような状況でございましたので、IWCからの脱退を決定いたしたものでございます。

 一方で、IWCから脱退しても、国際的な資源管理に協力をしていくという我が国の考え方は変わりませんし、また、IWCにはオブザーバー参加していくなど、国際機関と連携しながら、科学的知見に基づく鯨類の資源管理に貢献をしていくということには変わりはございません。

 また、水産資源の持続的な利用という我が国の立場を共有する国々との連携を更に強化をしてまいり、国際社会の支持を拡大していけるように取り組んでまいりたいと考えております。

 引き続き、丁寧に、かつ粘り強く説明をしてまいりたい、このように考えております。

    〔伊東委員長代理退席、委員長着席〕

関(健)委員 安心をしました。脱退をして、もうやってられないよというふうなメッセージが伝わる、誤ったメッセージが伝わるのはよくないので、引き続き、今おっしゃられたとおり、私たちは持続可能な形で捕鯨というのをやっていくんですよというメッセージを出し続けていただくことは非常に大事かと思います。

 そして、ちょっと冒頭と重なってしまいますけれども、我が国固有の文化でありますから、それを引き続き敬意を持っていくというのは、これは当然のことだと思います。ただ、個人の人がイルカを食べる食べない、それは別に個人の見解であり、鯨の捕鯨なりに携わっている皆さんが引き続き胸を張って、自分の仕事に誇りを持って働ける環境というのは、これは政府として示していくべきだと考えます。

 最後に、大臣にお伺いします。

 捕鯨というのは、政府として引き続き、これは国の文化であり歴史であり、そしてこの国の哲学でもある。命をいただいて、ひげの先から尻尾の先までちょっとも無駄にしない。鯨油だけとって乱獲して減っちゃった、そういうことをしてきた国ではないわけです。ですから、ちょっとの無駄もしない、無駄も出さない、そして、生き物に対して敬意を持って共存をしていく、この捕鯨という文化について、引き続き政府としてしっかりと保護をしていくというのか、御所感を伺います。

吉川国務大臣 今も濱村政務官からお答えをさせていただきましたように、捕鯨といいますか鯨類に関しましては、我が国の、関議員がおっしゃっていただきましたように、古来からの文化でございまして、食料としてのみならず、油やひげ、さまざまな用途に利用をしてまいりました。

 そういったことを、先週まで、消費者の部屋でも広く紹介をさせていただきまして、鯨類の文化を、消費者の部屋に訪れていただく皆さんにもお知らせをさせていただいたところでもございます。

 資源の利用が持続的である限り、それぞれの国の食文化は尊重されるべきだと認識をいたしておりますので、今後とも、国際社会の理解も求めながら、先人が築いてきた鯨を利用する食文化や生活を次の世代に継承もしていく決意でもございます。

関(健)委員 今大臣もおっしゃられました、先ほど政務官もおっしゃられましたけれども、文化ということを主張する一方で、私たちは持続可能なやり方をやっているんだよという、やはり発信がとても大事なんだなということを痛感しています。ですから、御発言にもありましたように、オブザーバーとして参加もしていくし、関係する賛成の国々とも歩調を合わせてと、まさに国際的なメッセージをしっかり発信していくことが何より大切だと思いますので、引き続き不断の発信をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、農水省が発行している白書、この白書に誤りがあるにもかかわらず訂正されていないという問題について伺います。

 統計不正問題で、国の行政に対する国民の信頼は大きく今、失墜しています。統計は国民の財産であり、そして、正確な統計、正確な情報を発するということは行政の基であります。

 そこで、お尋ねします。

 農林水産省の平成二十九年度食料・農業・農村の動向、平成三十年度食料・農業・農村施策及び平成二十九年度食育推進施策及び平成二十九年度水産の動向、平成三十年度水産施策、この白書の原本となる、いわゆる白表紙が発行されていますけれども、間違った記述があります。訂正箇所はそれぞれ何カ所でしょうか。

光吉政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の点でございますけれども、食料・農業・農村白書、水産白書及び食育白書、それぞれにつきまして、誤りは八カ所、十カ所、十四カ所でございます。

田村(貴)委員 資料を配っています。ここでは、農業とそれから水産の正誤表を配っていますけれども、ごらんのように、たくさんの訂正があります。

 白表紙は、毎年五月末に閣議決定をされ、その後、夏にかけて製本、白書として発行されます。全国の図書館、研究機関などに送られて、そして政府刊行物センターなどでも広く販売されています。

 三つの白表紙から製本に至る段階で修正できたのは食料・農業・農村白書だけで、残りの二つは製本になる段階でも間違いに気がつかなかったというふうに報告を受けています。つまり、こちらの白表紙においては、三冊ともに訂正の必要があり、そして、白書においては、食料・農業・農村白書以外の二冊は訂正の必要があるということであります。五つの図書に少なくとも正誤表がないといけないということでありますけれども、それを放置すると間違った情報が国民に流されてしまいます。

 ところが、この多くが、訂正もなく、正誤表もなく、図書館等に置かれ、書架に並んでいます。販売されていることがわかりました。

 資料二をごらんいただきたいと思います。

 これは、院の四階、国立国会図書館国会分館にあった白表紙でありますけれども、正誤表はありません。三冊ともありません。写真の右は、自治体の図書館に置かれていた食育白書、こちらは白書の方ですね、白書は正誤表が入っていました。私は複数の図書館で確認しましたけれども、食育白書については正誤表はあったんですけれども、そのもととなる食育推進施策、白表紙の方には入っていませんでした。ですから、対策が求められるんです。

 この間、ちょっと歩きましたよ。東京都立図書館、私の地元の福岡県立図書館、それから北九州市立図書館、国会周辺の区立図書館、大学の図書館等々で確認をいたしました。

 農林水産省にお伺いします。

 このような状態にあることを知っていたんですか、それとも、知らずして放置。知っていて放置していたんですか、知らなかったんですか。どっちなんですか。

 何で水産庁長官なんですか。まとめて答えるんですか。(長谷政府参考人「はい、まとめて」と呼ぶ)

長谷政府参考人 お答えいたします。

 改めて正誤表の配付状況を確認いたしましたところ、水産白書及び食育白書につきましては、市販本でなく、農林水産省で作成した冊子、いわゆる白本でございますけれども、これを配付した図書館に対して正誤表を配付しておりませんでした。また、水産白書の市販本につきましては、正誤表が市販本業者に届いた時点で既に書店等に発送されていた分について正誤表が添付できず、書店等への正誤表の送付を行っておりませんでした。

 白書の利用者の方々には、まことに申しわけない対応だったと反省しているところでございます。

田村(貴)委員 まとめてお答えされたのでお伺いしますけれども、じゃ、正誤表を今から配って訂正しなければいけない冊数はどのぐらいに達すると思われますか。私は、大体数千冊から一万冊程度だと思っているんですけれども、いかがですか。

長谷政府参考人 白書の配付部数ということでございまして、国会、都道府県、大学等ということで、数字、持っておりますけれども、未配付の分が何冊かということについて精査して、適切に対応していきたいというふうに思っております。

田村(貴)委員 特に、水産庁長官、水産白書はいかぬですよ。白表紙の段階でもミスがある。製本にした段階でもミスがある。しかも、この製本が各地域に、研究機関に、図書館に配られて、それでも正誤表をつけていない。何もないんですよ。これは一番いけないですよね。

 吉川大臣にお伺いいたします。

 農水省がこうした誤った情報を行政機関やあるいは国民に提供し、それを放置したまま、そして、誤った情報に対して、これは売り物ですよね、水産白書、これは二千五百九十二円、私は霞が関の政府刊行物で買ってきました。安い買物じゃないですよ、国民にとって。こうして国民から代金もいただいている。これはあってはならないことだと思いますけれども、直ちに対処すべきだと思います。大臣、いかがでしょうか。

吉川国務大臣 田村議員御指摘のとおり、あってはならないことだと思っております。

 御指摘を踏まえまして、早急に対処させたいと存じます。

田村(貴)委員 それで、具体的にどうするかということですけれども、まず、訂正箇所があるということを広く知らせなければなりません。それから、最低でもすることは、正誤表を白表紙とそれから白書の全配付先に送付する。送付したものがあったら再送付する。そして、添付をしていただけたかということを確認する。これは最低のことですよ。だって、普通やるじゃないですか、こういう仕事って。何でしないんですか。

 それから、政府刊行物などの売場などにおいては、間違ったことをやはり知らせていく等々の対策は最低必要だと思いますけれども、何をされますか。

長谷政府参考人 正誤表を配付していない図書館等には正誤表を確実に配付いたしまして、白本に添付するよう要請するなどして、訂正箇所があることの周知を徹底していきたいというふうに考えております。

 また、既に正誤表がない水産白書を販売している政府刊行物センターなどには、正誤があることを周知するなどの対応をしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 統計というのは国民の財産であります。それから、農林水産省のこれらの白書というのは、農林水産業の動向、そして行政施策を国民に知らせる基本中の基本の文献であります。猛省を促し、そして、一日も早い、一刻も早い対処をされることを強く要求したいというふうに思います。

 次に、豚コレラ対策について質問をします。

 感染の広がりによって、殺処分の頭数は四万七千三百六十六頭に達して、そして、きのう、新たに岐阜県の山県市で発生しました。岐阜、愛知の豚十頭に一頭がもう処分を受けているという状況にあります。更に感染が広がっています。

 そして、きのう発表された山県市での感染は、ことし二月、国の飼養衛生管理基準を満たしている、農林水産省はそれを確認しているとの報道がもう出ていますよ。こういう飼養衛生管理基準を満たしているにもかかわらず感染が広がっている、これはやはり重大なことではないでしょうか。

 岐阜県の養豚組合の会長さん、こうおっしゃっています。国や県が抜本的な対策をしてくれないと私たちは本当に気持ちが潰れてしまう。そのとおりだと思います。蔓延防止、被害補償に政府が総力を挙げる必要があります。

 豚コレラは、二十六年間国内では発生しておらず、内陸の岐阜で突然発生しました。中国から持ち込まれた肉製品の中からイノシシを媒体として感染が広がったと指摘されています。なぜ海を渡って来たのか、ここが問題であります。

 昨年十二月十八日の第三回疫学調査チームの調査概要では、飼養衛生管理基準に適合していない点をあれこれ挙げています。しかし、愛知県豊田の発生農家では、豚舎を気密性の高い構造にするなど、厳しい管理を行ってきました。岐阜県の被害農家は、豚コレラ発生後に行われた検査で、これはきのうの山県と一緒ですけれども、飼養衛生管理基準に適合していると確認されているんですよね。でき得る限りの対策をとっているにもかかわらず感染してしまっている。

 最初に吉川大臣にお伺いします。

 一生懸命努力をしているにもかかわらず農家のせいにされてしまってはたまらないという声が農家から上がっています。大臣の所信表明の中では、農家の飼養衛生管理基準の遵守、ここは強調されているんですけれども、侵入を許したことについてのお話がありませんでした。

 豚コレラの発生と、そして拡大というのは、これはそもそも農家の責任なんでしょうか。大臣、いかがですか。

吉川国務大臣 岐阜県の山県市で起きました豚コレラの発生の件でありますが、飼養衛生管理基準の指導をさせていただきましたのが先月の、二月の十五日と私承知をいたしております。その後、飼養衛生管理基準を完璧に満たしていただいたのがいつであったのかということは、また後ほど事務方から答弁をさせたいと思います。

 さらに、私も素人ではありまするけれども、ウイルスの潜伏期間というのは約三週間だということも言われております。既に二月十五日以前にウイルスに感染をしていたのか、あるいは飼養衛生管理基準が満たされた時点以降感染をしていたのかというのが、今、疫学調査チームがしっかりと調査をいたしているところでもございますので、これを待って私どもは判断をいたしたいと思います。

 少し足らざる部分がありましたので、事務方から答弁させてください。

田村(貴)委員 大臣、私の質問はそこじゃないんです。

 今言ったのは、大臣所信表明で飼養衛生管理基準の遵守については強調されていたんだけれども、いわゆる検疫、ここの段階で侵入を許したことについて政府には責任がなかったのでしょうか。そして、農家の方は自分たちのせいにされてはたまらないと。豚コレラの発生と、それから拡大というのは、そもそも農家に責任がある話なんでしょうかということをお伺いしたんです。

吉川国務大臣 この感染に関しまして、私は、農家の皆さんが悪者にされてはかなわない、そういう気持ちはよく理解できるところでもございます。

 そこで、農家の飼養衛生管理基準の遵守を徹底をすることが必要でありましたし、越境性動物疾病が侵入した場合の防御力を強化することが重要であると考えてやってまいりました。

 さらに、これ以上の感染拡大を防ぐためには、国、都道府県のみならず、養豚農家ですとか関係事業者など全ての関係者が緊張感を持って取り組むことが必要でもありますし、引き続き、国が主導しつつ、関係者と、これは県あるいは養豚農場の経営者でもありますけれども、一層緊密に連携しながら対策を進めなければならないと存じております。

田村(貴)委員 大事なのは、私は検疫業務だと思いますよ。農水省も、旅行者が持ち込んだ可能性を認めているではないですか。

 再度質問しますけれども、感染防止の第一次防衛線というのは検疫業務であります。そうですよね。そして、外国からウイルスの混入を許したことについての政府と農水省の受けとめについて今聞いているんです。どなたかお答えいただきたいと思います。これは大事なところなんですよ。

池田政府参考人 お答えします。

 第一防衛線ということでございました。水際では、検疫探知犬の使用、あるいは報道、キャンペーン等で越境性動物疾病の侵入防止に努めてきたところでございまして、近年では、中国でのリスクの向上、こういうことに対応いたしまして、検疫の強化をしているということで取り組んでいるところでございます。

 一方、第二の防衛線ということになりますれば、これは農家の飼養衛生管理でございまして、この部分についても、発生予防のために、しっかりとした水準に上げていただくよう指導をするなり必要な対応をとっているところでございます。

田村(貴)委員 中国などからの訪日者が持ってきた食肉あるいは加工品がもととなって、イノシシが媒体となって感染が広がっているという見方に立つのならば、この瞬間にもどこからか持ち込まれている可能性があり、それが、もしイノシシなどが食べてしまい、あるいはそれで広がってしまっていることも懸念しなければいけない。

 だから、第一次防衛線というのが非常に大事であります。第一次と言うのならば、ここをやはり大臣、所信で強調しなければいけなかったのではないかと私は感想を持ったわけなんです。

 続いて質問したいと思います。

 国内への持込みを防ぐのは、今答弁ありましたように、まさに政府の責任であります。

 二〇一五年の総務省の行政評価では、農水省の業務について、こういう評価があります。入国者に対する質問の実施状況は、週二千二百八十二便のうち二%にすぎないと指摘されたんですね。これに対して、農水省は、質問対象を重点化し、高リスク便の六五%に口頭質問をしたというふうにされているわけであります。

 しかし、この状況で侵入を許したということなんですね。水際作戦はどうだったのかということがやはり問われるというふうに思います。これまでの水際作戦について、どういう総括をされておられるんでしょうか。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 日本を取り巻くアジアの国々では、従来から豚コレラあるいは口蹄疫が発生をしております。また、昨年からは、アフリカ豚コレラが中国で発生、拡大する中、中国から多くの旅行者も来日しておりまして、これら越境性動物疾病、我が国への侵入リスクが高まっていると考えてございます。

 これに対しまして、農林水産省といたしましては、水際対策のさらなる強化のため、広報キャンペーンの強化、中国人の方向けのSNSの配信などによりまして、広く国内外に向けた持込み禁止品の周知、検疫探知犬の増頭によるアフリカ豚コレラ発生国からの到着便に対する探知活動の強化、家畜防疫官の携帯品検査への重点配置による旅客に対する口頭質問の強化、税関と連携した旅客の携帯品検査の強化などを徹底的に行っているところでございます。

 検疫探知犬についてでございますが、平成十七年に二頭導入して以来、計画的に増頭を進めてございまして、平成三十年には二十九頭まで体制を充実をさせてきたところでございます。さらに、本年二月に四頭増頭し、現在、中国からの直行便の九割を占める主要七空港及び外国郵便の通関手続を行う川崎東郵便局に計三十三頭の検疫探知犬を配備してございます。

 また、家畜防疫官につきましても、計四百六十名を全国の空港あるいは海港に配置してございます。春節を含む先月には、主要七空港の携帯品検査に重点配備するため、緊急的に空港業務以外に従事する延べ約二百七十名の家畜防疫官を応援派遣したところでございます。

 検疫探知犬につきましては、更に増頭を検討したいと考えてございます。広報活動や家畜防疫官の携帯品検査への重点配置などの対策とあわせまして、水際防疫の強化に万全を期してまいりたいと考えてございます。

田村(貴)委員 それらの取組は非常に大事なことであります。

 確かに、探知犬もふえました。それから、防疫官もふえています。ところが、訪日外国人は急増する一途であります。

 お配りしたグラフに書かせていただきました。この十年間を見ますと、家畜防疫官が一・三倍増なのに対して、訪日外国人は三・七倍です。二〇一八年は三千百十九万人の訪日者。政府の明日の日本を支える観光ビジョンでは、二〇二〇年、目標が四千万人であります。防疫官一人当たり、十年前は二万四千人の外国人という勘定になります。今は防疫官一人当たり六万七千人ということで、十年間で二・八倍に広がってきているんですよね。これは大変な業務ですよ。

 ですから、人もやはりふやさなくちゃいけないし、探知犬もふやしていかなくちゃいけない。このペースで大丈夫なのか、本当に水際でとめることができるのかといったことを懸念するんですけれども、いかがでしょうか。

池田政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のように、訪日される外国人の方々が増加の一途をたどる中で、家畜防疫官の増員、あるいは配置の見直しを行うとともに、検疫探知犬の増頭等を図ってきてまいります。

 これらにつきましては、計画的に増加を図ってきたところでございますが、我が国への越境性動物疾病の侵入リスクを踏まえて、適切に配置できるよう可能な限りこれからも取り組んでいきたいと考えておりまして、広報活動など他の対策もあわせまして、水際対策、強化を図ってまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 大臣に同じ質問なんですけれども、アフリカ豚コレラが入ったら、これはもうワクチンがないんですよね。絶対に入れてはいけないといったところで、やはり、防疫官それから探知犬、大幅に今ふやして、体制をとる必要があると思うんですけれども、適材配置じゃなくて、ちゃんとふやす、そして、ふえる訪日者にあわせてちゃんと手荷物を検査する、全部検査する、これが大事じゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

吉川国務大臣 探知犬は、私も海外に出張いたしますときに経験もさせていただきました。極めて、田村先生、優秀だと感じました。

 先ほども私の答弁の中で申し上げさせていただきましたように、増頭することは可能であるという、民間の事業者の方からもそういったお話をいただいておりますので、今後、ふえる訪日客等々のことも考え合わせながら、探知犬のみならず、探知犬をきちっと扱っていただく人の手当てもしなければなりませんので、そういったことも含めまして、これからどの程度の増頭ができるのかも含めて、至急検討もしてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 大臣、防疫官もしっかりと、必要なだけふやしていってください。

 ちょっと質問を入れかえるんですけれども、被害農家に対する経営、生活支援について伺います。

 養豚農家は、売上げと支払いを回して経営されています。しかし、殺処分によってその流れがとまっています。今すぐ再開できたとしても、系統のいい四カ月から五カ月の健康な種豚を買ってきて、それを三カ月育てて、そして、雌豚の妊娠四カ月を経て、生まれた子豚が更に半年育って市場に出るまで、最低でも十五カ月かかります。十五カ月間、いろいろな支払いの請求が来るわけですよね。生活費もかさんできます。

 今すぐ対応する必要があるんじゃないかと思うんですけれども、生活、経営支援、いかがですか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 当座の運転資金ということだろうと理解しております。

 殺処分の家畜等に対する手当金ですとか家畜防疫互助基金が農家に支払われるまでの間の当座の運転資金につきましては、民間金融機関の家畜疾病経営維持資金、また、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金を用意しているところでございます。また、一部の県では、県独自の資金も用意してございます。

 これらの資金につきまして、生産者への周知を図っているところでございまして、引き続き、関係府県とも連携をいたしまして、しっかりと支援してまいります。

田村(貴)委員 基本は融資ということですか。

 やはり借りた金は返さなくちゃいけないということで、負債が広がる形では、これはやはり本当の意味での救済にはならない、支援にはならないというふうに思いますよ。

 そして、家畜伝染病予防法では、殺処分は全部補償することになっています。その補償の中身がやはり私は不十分だと思います。

 今度は肥育豚の場合についてですけれども、一頭の時価が例えば四万円だったとして、それは百十キロぐらいに成長した豚の価格なんですね。しかし、殺処分のときに五十五キロだった豚は、その分、金額が差し引かれてしまって、見込んでいた四万円、この四万円というのが入金されてこない。これは、差額を補填する措置というのはあるんでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 豚コレラ発生農家等への支援でございますが、家畜伝染病予防法に基づきまして、発生農家に対しましては、殺処分された家畜の評価額、これは全額を手当金として交付することとしています。その評価額の算出に当たってでございますが、肥育豚であれば地域の市場価格を考慮し、繁殖豚であれば血統による価値や導入時の価格を考慮するなど、適正な評価をしているところでございます。

 また、これに加えまして、家畜防疫互助基金がございまして、これに加入している方でございますれば経営支援互助金の交付を受けることが可能でございまして、これには、豚の導入を完了するまでに要する空舎部分の固定経費に相当するものでございます。

田村(貴)委員 やはり、被害を全額補償する制度になっていない、たてつけになっていないといったところで、大幅な改善が必要ではないかと思います。

 種豚の場合でも、種豚は、純粋種が実勢価格でも雄が十五万円程度、雌が十万円程度です。F1でも八万円程度します。しかし、家畜防疫互助基金では五万円程度。やはり足らないわけなんですよね。少なくとも購入資金に足るだけの補償をしないと、被害農家は、やはり経営再開の意欲を失ってしまうのではないかというふうに思います。ここの被害対策を本当に実りあるものに、前に進めていただきたいと思います。

 時間が来ました。

 最後、大臣にお伺いします。

 所信表明で、大臣は、被害農家への補償支援について、残念ながら触れられませんでした。豚コレラ問題でやはり大事なのは、農家に対する補償ですよね。ここをしっかりとしていただきたいと思います。

 八千頭の殺処分を余儀なくされた農家は、豚は家族と思って育ててきた、できれば自分も一緒に埋めてほしかった、こういう話を私は聞いて、本当にショックでありました。筆舌に尽くせない養豚農家の悲しみ、悔しさ、戸惑い、この思いを酌み尽くして、養豚業の再開に意欲が持てるメッセージを、大臣、やはり発する必要があるんじゃないですか。水際で必ずとめます、国内のウイルスは撲滅します、そして、被害補償、営農の維持に万全を期しますと、大臣、強いメッセージが今求められております。いかがでしょうか。

吉川国務大臣 ただいまも支援につきまして事務方からも御説明を申し上げましたので、ダブることはいたしませんけれども、この豚コレラの発生によりまして影響を受けた農家の方々が、経営を続ける意欲を失わずに、速やかに経営再開ができますように、きめ細かく対応もしてまいりたいと存じます。

 先ほど、池田局長からの話の中には、発生農家等を対象に豚マルキンの生産者負担金の納付を免除する等の新たな支援も追加するということはたしか申し上げなかったと思いますけれども、そういったことも含めて、ありとあらゆる、制度面を含めまして、しっかりと対応してまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 被害農家の農家と、そして要望に即した支援と救済策を求めて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 今国会も農林水産委員会でお世話になります。よろしくお願いいたします。

 それでは早速、質疑に入らせていただきます。

 まず、農福連携について伺います。

 障害者の皆さんにぜひ農業の分野でも活躍をしていただき、自信や生きがいを持って社会に参画をしていただくというのは、大変すばらしい取組だと思っております。

 昨日の大臣所信の中で、「今後の農業政策の中心に据えて展開すべき取組です。」との御発言がございました。農業分野での働き手の確保と、そして障害者雇用の創出という両面から、ぜひ農福連携には力を入れていただきたいと思っております。

 そこで、伺います。

 農業分野における障害者雇用の現状について教えてください。

室本政府参考人 平成二十九年の障害者雇用状況の集計結果、これは厚生労働省のデータでございますが、これによりますと、障害者の法定雇用義務のある農林漁業の事業主の実雇用率、これは二・〇四%ということになっておりまして、全産業の実雇用率一・九七%を上回る状況だというふうになっております。

 また、公益社団法人日本農業法人協会が公表しております農業法人白書二〇一五、これによりますと、アンケート調査に回答のあった農業法人一千二百五十八法人のうち、一〇・一%に当たる百二十七法人が障害者を雇用しているというふうに回答してございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今後も、農業分野において障害者の雇用をしっかりと進めていっていただきたいと思っております。

 私の地元京都でも、農業分野で、障害者の就労支援や販路拡大に力を入れ、取り組んでくださっている方々がおります。ぜひ、国としてもしっかりとサポートをお願いしたいと思っております。

 農業分野に限りませんが、障害者の雇用はまだまだこれからだと思っております。スマート農業もどんどん推進していただいて、障害者の方々の負担の少ない形で農業に従事してもらえるように、今後取り組んでいっていただきたいと思っております。

 大臣所信の中で、「農福連携を国民運動として強力に推進するための方策を検討してまいります。」との御発言もございました。今後の農業分野における障害者雇用の促進対策について、現段階で決まっている対策があれば教えてください。

室本政府参考人 農福連携による障害者の雇用、就労の促進のため、農林水産省では、農福連携対策におきまして、社会福祉法人等による福祉農園の整備や、農業者が障害者を受け入れる際に必要となる手すりやスロープなどの安全設備等の整備といったハード対策、社会福祉法人や農業者等が行う障害者が農業技術を習得するための研修に対する支援などのソフト対策、そして、民間企業等が行う農福連携の全国的な定着を目指したセミナーの開催等に対する支援などの普及啓発対策、こういったことを行っているところであります。

 また、障害者の雇用、就労を更に促進するためには、どのような農作業が障害者に適しているかの掘り起こしや、農業者と福祉事業所とのマッチングを進めていくことも重要と考えております。

 そのため、平成三十一年度当初予算におきまして、マッチングを担うコーディネーターの育成を進める社会福祉法人等に対する支援を盛り込んでいるところでございます。

 今後とも、農福連携について、厚生労働省と連携し、積極的に推進してまいりたいと考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 マッチングについては、私も、地元の方からなかなか難しいという声をいただいておりますので、先ほどお話ありましたけれども、コーディネーターの育成等、しっかりと力を入れていただきたいと思います。

 いよいよ、来年、二〇二〇年はオリンピック、パラリンピックがございます。パラリンピックの成功なくしてオリパラの成功は言えない。国としても、特にパラリンピックの成功に力を入れてくださっているように思います。

 二〇二〇年に障害者と健常者の垣根のない共生社会が実現できるよう、農林水産省としても、農業の分野でも早急に対策を講じていただきたいと思います。先ほどお話ありましたけれども、ハード面の対策、バリアフリー化など、また、ソフト面の対策で研修等もさまざま行っていただいているとは思いますけれども、しっかりと力を入れて、お願いしたいと思っております。

 ことし、来年と、この一、二年は、日本が本当に大きく変わります。また、我が国の農林水産業も転換期であるとの認識だと思います。この転換期に、農福連携を農業政策の中心にするということですので、ぜひ、障害者の方々が楽しく仕事ができる職場環境づくり、生きがいづくり、雇用の創出をお願いしたいと思っております。

 次に、被災農林水産漁業者支援について伺います。

 来週の三月十一日で、東日本大震災から八年となります。農林水産の分野でも甚大な被害を受けました。八年たった今でも、福島、東北の風評被害は払拭できていない現状がございます。多くの農業従事者、漁業従事者の方が被災され、特に福島の方は故郷を離れ、新たな土地で農業を再開された方も多くいらっしゃいます。

 昨年も、大阪や北海道での地震、また豪雨災害、台風によって、多くの被害がございました。被災された農林漁業者の方が一日も早くもとの生活に、もとの仕事に戻れますように、全力を挙げて復旧復興に取り組んでいただきたいと思っております。

 大臣所信の中で、「特に緊急に実施すべきハード、ソフト対策を三年間で集中的に実施」とのことですが、この三年間で集中的に実施する対策について、具体的に教えていただけますでしょうか。

濱村大臣政務官 防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策についてですが、昨年の九月から十一月にかけて実施した重要インフラの緊急点検の結果等を踏まえ、特に緊急に実施すべきハード、ソフト対策を、平成三十年度から三十二年度の三年間で集中的に実施するものでございます。

 農林水産省といたしましては、農業水利施設やため池、治山施設、漁港、卸売市場等の全十七項目を対象といたしまして、非常時にも機能を確保するために必要な施設の耐震化、災害時における持続可能な生産、流通を確保するために必要な非常用電源設備の導入等の対策を行うこととしております。

 この緊急対策の予算措置につきましては、平成三十年度第二次補正予算において九百三十八億円が認められたところでございまして、さらに、平成三十一年度当初予算におきましては一千二百七億円を計上しているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 緊急を要するものに関しては、震災、いつ起こるかわかりませんので、早急にお願いをしたいと思います。これから話し合われると思いますが、ため池によっても、かなりの被害が昨年出ましたので、これから審議もしていただきますけれども、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 被災された皆様は、本当に国からの支援を必要とされております。ぜひ、日本の農業の未来のためにも、積極的な支援をお願いしたいと思っております。

 国会閉会中に、昨年七月の豪雨災害で大きな被害を受けた愛媛県宇和島市吉田町へ行き、農家の方々のお話を聞いてまいりました。昨年十月には吉川大臣もこの吉田町玉津地区を訪れてくださった、大変励みになっていると若手の農家さんたちがおっしゃっておられました。

 私も、実際に現場を見てまいりました。七月の豪雨災害で果樹園の土砂崩れの被害に遭った農家は、スプリンクラー、モノレール等が破損して、全く使えない状況になっておりました。私がお会いした農家の方々は、自分の畑が土砂崩れに遭い、また、自宅が土砂に埋まった方、近所の方を亡くされた方、大変つらい思いをされたと思いますけれども、皆さん前を向いて、復興のために努力しているお姿を見せていただきまして、逆に私が力をもらって帰ってきたところでございます。

 果樹園の水やりや農薬散布のために必要なスプリンクラーの修理ですが、特殊な技術が必要とのことで、補助金をいただいても直せる業者さんがなかなかいないということで、その修理を待っているという状況であるというお話をお聞きしました。人手不足で修理が間に合わないんだと。その復旧に三年も五年もかかるようでは、やはり高齢の農家さんたちはもう諦めてしまうというお話もお聞きをしました。

 農家さんたちが離農をされないように、スプリンクラーの修理を待つのではなくて、これから担い手不足の対策としてもスマート農業の普及をされていくと思うんですけれども、私は、被災地でのスマート農業の優先的導入をしてはどうかと考えております。全国で本当に災害が多く、スプリンクラー一つとっても修理が間に合わない。水やりも、土砂が崩れたところの上には残っている果樹があって、そこにお水もまかないといけない。危険な場所を通って、ホースを持って上まで上がって水やりをしているというような状況でしたので、ドローンを導入してはどうかなと。危険な、崩れた横を通っていくので、こういったところには優先的にドローンなどの技術を導入してはどうかなと、災害現場を見て私は思いました。

 農林水産省として、この考え方について、被災地でのスマート農業の優先的導入についてどのようにお考えか、お聞かせください。

別所政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の農業分野におきまして、担い手の減少が進行する中で、スマート農業に対する期待というのは非常に高まっておりまして、重要な課題だと考えております。

 被災地におきましてもやはり人手不足というのは非常に深刻でございまして、そういった地域におきまして、地域農業の再生を進める上でスマート農業技術を活用していただくことが有効ではないかというふうに私どもも考えているところでございます。

 一例を申し上げますと、例えば、福島県の浜通り地域におきましては、福島イノベーション・コースト構想に基づく先端農林業ロボット研究開発事業ということで平成二十八年度から実施しておりますが、その中で、自動走行トラクター、また農業用アシストスーツの技術開発などに取り組んでいるところでございます。

 こういった研究成果につきましては、そういった実施地区にとどまらずに全国に展開をさせていただきたいと考えておりまして、各地の災害被災地の復興にも活用いただけるように、情報提供などに努めてまいりたいと考えております。

 あわせて、スマート農業技術の開発に引き続き取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 担い手不足の観点からも、ロボット、AI、IoTの技術は必要かと思いますので、今後国としても積極的に導入されると思いますので、被災地の皆様に対しても積極的に活用できるように御支援をお願いできればと思います。

 先ほども申しましたが、補助金はもちろん必要なんですけれども、被災農家さんは必要なんですけれども、補助金がおりてきても修理を待っている、そのような状況が現場にはあるので、そのあたりも検討していただければと思います。

 次に、豚コレラについて伺います。

 本日、他の委員の先生方からもさまざまな質問がございましたけれども、本日も、十一例目、豚コレラが確認されました。私からも質問をさせていただきたいと思います。

 国会閉会中も、私も、豚コレラの感染拡大のニュースを見るたび、心を痛めておりました。農家の方は、大切に育てた豚たちの殺処分、つらかったと思いますし、大変な作業だったと思います。

 豚コレラの感染拡大を防ぐため、昼夜を問わず作業に当たってくださった関係者の皆様には、心から敬意を表します。また、家畜が殺処分の対象となった農家の皆様にお見舞いを申し上げます。

 国が陣頭指揮をとって防疫対策も講じていただいているとは思いますが、野生のイノシシが感染拡大をしていることもあり、なかなか終息に至らず、大変心配をしておるところでございます。

 豚コレラの終息の見通しについての見解をお願いいたします。

池田政府参考人 お答えします。

 豚コレラにつきましては、御指摘のように、昨年九月以降、二月十九日まで、岐阜県及び愛知県で十例、関連農場を含め五府県において発生が確認されていたところですが、けさ、岐阜県山県市の農場で十一例目の豚コレラの感染が確認されたところでございます。

 まずは、この蔓延防止をするために、発生農場における防疫措置、これを徹底してまいりたいと考えております。

 また、発生地域におけます農場では、豚コレラの発生を予防するため、飼養衛生管理基準の遵守が最も重要であるということから、岐阜県などの養豚場に対しまして、国が主導いたしまして、飼養衛生管理基準の遵守状況の再確認、そして改善の指導を進めております。

 同時に、豚コレラを封じ込めるためには、野生イノシシによるウイルスの拡散防止を徹底することが必要です。このため、野生イノシシの対策として、ウイルスの拡散を防ぐための防護柵の設置や、わなを用いた捕獲による個体数の削減に取り組んでおりまして、二月二十二日には、野生イノシシ向け経口ワクチンの使用を決定したところでございます。

 豚コレラのこれ以上の感染拡大を防ぐため、都道府県と一層緊密に連携をしながら対策に取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。一日も早く終息をすることを祈っております。

 もちろん、国としても、一日も早くと取り組んでいただいていると思います。野生イノシシ対策については、先ほどお話ありましたけれども、防護柵の設置であったり、わなを使っての確保等に加えて、今後ワクチン散布も実施されるとのことです。ワクチン接種にはメリット、デメリットもあるかと思いますが、前回、ワクチンなしで終息に六年かかったということで、一日も早く豚コレラを終息させていただきたいと願っております。そして、今後、更に致死率の高いアフリカ豚コレラなど他のウイルスが日本に絶対に侵入しないように、防疫対策もしっかりとお願いをしたいと思います。

 次に、イノシシ肉の風評被害対策について伺います。

 ジビエの利活用については、私は、これまでも何度か質問をさせていただいております。ぜひ今後とも取り組んでいただきたい課題ですけれども、今回の豚コレラの感染によって、イノシシ肉に対する風評被害が出ているというお話も聞きました。豚コレラは人に感染することはないと言われておりますけれども、ふだんイノシシ肉を食べない方が、今、豚コレラが発生している状況で、積極的に食べようという話にはならないと思います。

 ジビエ、特にイノシシ肉ですが、風評被害対策についてどのようにお考えでしょうか。

室本政府参考人 まず、野生のイノシシにつきましては、厚生労働省が作成したガイドラインに基づきまして、豚コレラを含め異状が認められる個体は食肉として流通させないこととしております。これに加えまして、風評被害防止に向け、豚肉、イノシシ肉の摂取により豚コレラが人に感染することは世界的に報告されていない旨、ホームページやチラシ配布により積極的に情報提供並びに周知を行っているところでございます。

 一方で、委員の御懸念のとおり、豚コレラ対応の長期化というのが心配されるわけでございまして、ジビエ利用への影響を把握する必要があるというふうに私どもも考えておりまして、現在、担当職員を現地へ派遣しまして、どういった課題があるかということについて聞き取りを行っているところでございます。そうしたところをしっかり踏まえて、風評被害対策を含めた必要な対策について早急に検討してまいりたい、このように考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 聞き取りなどを行っているということですので、しっかりと把握をして対策を講じていただきたいと思います。

 次に、担い手不足対策について伺います。

 三日後の三月十日は農山漁村女性の日です。女性農家の地位向上、社会参画の促進を目指し制定されたものと理解をしております。農業の分野でもぜひ女性に活躍していただきたいと思っております。

 今、農業女子と言われる女性の農業従事者の方がふえております。地味な色の作業着ではなくおしゃれな作業着を着て、お化粧もしてネイルもして農作業をしている農業経営者がふえているというお話をお聞きしております。農業分野でもIT化が進み、畜産業でも女性が一人で経営できる、活躍できる職業になってきたというお話も聞きました。また、女性ならではの視点で農業をすることで、おしゃれなカフェと提携するなど、また新たな販路を開拓したり、かわいいパッケージで販売をしたり付加価値をつけて販売することで所得向上につながっている事例もあるようにお聞きをしました。

 女性農業経営者の成功事例について教えていただけますでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 たくさんの成功事例が報告されておりますが、二例だけ御説明いたします。

 初めの例は、茨城県の女性経営者の例でございます。

 この方は、広告代理店勤務を経て、結婚、出産を機に就農されておりますが、糖度やビタミンCが高いフルーツトマトを生産されまして、名前を美容トマトとして自社ブランドを確立いたしました。社員は九名ですが、全て女性でございます。パッケージに女性の視点が生かされ、百貨店との直接取引を中心とした販路開拓により事業を拡大していらっしゃいます。

 それから二つ目の例は、熊本県の養豚経営の女性経営者です。

 この方は、代表取締役に就任後五年間で経営規模を二十倍に拡大いたしまして、現在の出荷頭数は年間五万頭、ほかにキャベツを七ヘクタール、千五百トン出荷しております。従業員八十四名を雇用しておりますけれども、新入社員から中堅社員、女性社員、それぞれ研修を綿密に実施いたしまして、人材育成を通じた高い技術力、これに重点を置き、事業を拡大しております。働き方改革にも努力されておりまして、完全週休二日制などを達成しておられます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 二つの成功事例を御紹介いただきました。農業分野で女性が活躍されているというのは、私も大変うれしく思っております。

 また、今後時間があれば、女性農家さんに直接お会いをしてお話を伺ってみたいなと思っております。日本の農業の所得向上、スマート農業への推進のヒントなど、たくさん得られるのではないかなと思っております。

 女性活躍の観点からも、そして働き手の確保の観点からも、女性に農業に従事してもらうというのは大変有効だと思っております。女性農家への支援対策について教えてください。

小里副大臣 女性は、基幹的農業従事者の四割を占めておりまして、農業では欠かせない人材であります。また、女性が経営者等になっている農業経営体は利益の伸び率が倍以上大きいという調査データもあります。女性ならではのアイデアや感性を生かした経営発展も期待できると考えております。

 農林水産省としましては、農業における女性の活躍を支援するために、女性農業者と民間企業が連携した活動を行う農業女子プロジェクトを推進しております。現在、七百二十九名の女性農業者、三十四社の企業等が参画をして、新商品の開発などを通じ、農業女子の活躍機会を広げているところであります。

 さらに、女性の地域リーダーを育成するための研修や、女性が働きやすい環境づくりに向けたセミナー等も実施をしているところであります。

 今後とも、女性が意欲を持って前向きに農業に取り組み、活躍していただけるよう努めてまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 時間となりましたので終わりますけれども、今後も、女性への支援、また障害者への支援、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十四分散会


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