衆議院

メインへスキップ



第6号 平成31年4月11日(木曜日)

会議録本文へ
平成三十一年四月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 武藤 容治君

   理事 伊東 良孝君 理事 齋藤  健君

   理事 野中  厚君 理事 細田 健一君

   理事 亀井亜紀子君 理事 近藤 和也君

   理事 稲津  久君

      池田 道孝君    泉田 裕彦君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上杉謙太郎君    大西 宏幸君

      加藤 鮎子君    加藤 寛治君

      金子 俊平君    木原  稔君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      斎藤 洋明君    坂本 哲志君

      西田 昭二君    百武 公親君

      福山  守君    藤井比早之君

      藤原  崇君    古川  康君

      宮路 拓馬君    山本  拓君

      石川 香織君    大串 博志君

      金子 恵美君    神谷  裕君

      佐々木隆博君    長谷川嘉一君

      堀越 啓仁君    関 健一郎君

      緑川 貴士君    濱村  進君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       吉川 貴盛君

   農林水産副大臣      小里 泰弘君

   農林水産大臣政務官    濱村  進君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房統計部長)          大杉 武博君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  大澤  誠君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     百武 公親君

  金子 俊平君     大西 宏幸君

  古川  康君     加藤 鮎子君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     金子 俊平君

  加藤 鮎子君     古川  康君

  百武 公親君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

四月十一日

 家族農業を守り、食料自給率の向上を目指す食料・農業政策への転換に関する請願(穀田恵二君紹介)(第八六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

武藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、農地中間管理事業の推進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長水田正和君、大臣官房総括審議官光吉一君、大臣官房総括審議官横山紳君、大臣官房統計部長大杉武博君、食料産業局長塩川白良君、経営局長大澤誠君及び政策統括官天羽隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

武藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。

坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回、農地中間管理事業の推進に関する法律の一部改正案、いわゆる農地バンク法の質問の時間を二十分いただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 農地の集積、集約というのは一朝一夕にできるものではありません。そして、一つの法律や机上の計算でできるものでもありません。農地にはそれぞれ長い歴史とストーリーがあります。そして、農業者の先祖代々にわたる思いが込められています。

 平成二十六年に農地中間管理事業法、今回の法律が成立し、農地の集積、集約は飛躍的に進むと言われました。当初は一定程度進んだわけでありますけれども、近年はその集積率が鈍っております。地域の実情、農地所有者や耕作者の考え方、あるいは現在の農地に至るまでの歴史などが軽んじられたり、あるいは食い違ったり、そういったケースがふえているためというふうに考えます。

 例えば、農地の所有者も耕作者も、農地中間管理機構というシステムに期待をいたしました。いつでもどこでも希望すれば貸せる、あるいは借りられるという思惑が先行をいたしました。しかし、実際は、貸し手は借り手をなかなか信頼できない、借り手は、もっと、隣接地など、集約できる面積や農地でなくては借りられない、そういう現実が横たわって、双方の考え方が違う、そういうケースが少なくありませんでした。

 地域社会を劇場に例えるならば、農地は舞台であります。そこに所有者と耕作者というプレーヤー、俳優がいます。それを振りつける、あるいは舞台設定をする、そういう団体として自治体、あるいは農業委員会、そして土地改良区、JAがいます。それを見ている観客は住民と言うべきかもしれません。これらが一体にならなくては、劇場の演劇は成立をしませんし、おもしろくもありません。農地集約も似たようなところがあると思います。

 農地には農地法、農業委員会には農業委員会法、そして、農地集積、集約のために農地中間管理事業法が創設をされました。

 まず、所有から利用へという考え方を導入し、農地法が平成二十一年に改正をされました。続いて、平成二十六年に農地中間管理事業法が創設をされました。そして、平成二十八年に、よりきめ細かな農地の情報と利用ということで農業委員会法が改正をされ、認定農業者や有識者から成る農業委員と、農地の情報を把握するために農業委員会が委嘱する農地利用最適化推進委員の二階建てとなりました。

 農地の集約と集積を法的に進めようとするならば、この農地法、そして農業委員会法、そして農地中間管理事業法、さらには農業経営基盤強化促進法に基づく農地利用集積円滑化団体、こういったものが一体的に運用されていかなければ、実効性は上がりません。

 今回、これまでの反省に基づき、これらを一体的に動かすために、農業委員会、自治体、土地改良区、JAなどをコーディネーターとして人・農地プランを綿密に作成した上で集約化の作業に入る手順を踏んだことは、先ほどの農業四法の法律を一体的に動かすということにもつながり、私は評価をいたしたいと思います。

 そこで、問題は、人・農地プランの位置づけでございます。

 一旦作成した人・農地プランに権威がないようであるならば、集約作業は難しくなります。首長が交代し自治体の考え方が変わった場合にどうするのか、人・農地プランを作成するコーディネーターと地元の議会の力関係はどうなのか、過疎化が深刻になり自治体の振興計画が変更されたときに人・農地プランはどうなるのか、その整合性はどうなるのか、農業担い手の想定と育成の具体的な対策をどうするのかというように、さまざまな課題が想定をされます。その際、地域の農地憲法ともいうべき強固さがなくてはなりません。人・農地プランが揺らげば、集積、集約も揺らいでまいります。

 そこで、人・農地プランについてお尋ねを申し上げます。

 どのような手順と順序でまず作成をしていかれるのでしょうか。さらには、将来の計画として、その地域でどう位置づけていかれるのか、お答えをいただきたいと思います。

吉川国務大臣 御指摘のとおり、今回の見直しにおきましては、人・農地プランを真に話合いに基づいたものとするために、農地バンクとJA、農業委員会など、地域のコーディネーター役が一体となって農地の集積、集約化を推進する体制を整備することといたしております。

 このため、今後の人・農地プランの作成に当たりましては、話合いの際に、地域の農業者の年齢別構成や後継者の確保状況等につきまして、地図を活用して関係者に改めて地域の状況を理解をしていただき、地域の問題解決に向けた機運を盛り上げること、農業委員や推進委員など、地域のコーディネーター役が話合いに参加することを促しております。

 また、このようにして作成されました人・農地プランの実施を担保するために、運用上、施設整備事業や機構集積協力金、次世代人材投資事業等の支援実施を重点化させることといたしております。

 こうした措置を講ずることによりまして、各地域において、人・農地プランが農業振興の基本的なツールとなるようにしていく考えでもございます。

坂本委員 基本的なツールとしてという一つの位置づけがありました。

 農地バンク法ができたとき、ちょうど私は農林水産委員長でありました。筆頭が今の宮腰国務大臣、そして野党筆頭が大串筆頭でございました。地域の集積、あるいは地域の話合いをもっとしっかりとやるべきではないかというようなことを法律でうたうべきではないかということが自民党の農林部会でも提言をされました。そして、この委員会でも、与党筆頭の宮腰先生と野党筆頭の大串先生が二人で話して、この農地中間管理事業法に二十六条というのをつけ加えられたんです。当該地域の関係者による協議の場を設け、協議の結果を取りまとめて、それを公表する。このことで、人・農地プランに法的な一定の根拠というのができたというふうに思います。

 当時御苦労されました大串委員には、心から敬意を表したいと思います。おかげで、非常に、スムーズにではありませんけれども、いろいろ試行錯誤しながらも、農地中間管理事業法は進んでいるところでございます。

 次の質問に移りますが、さきの農業四法を含めて、一番大切なことは、農地の集約は、目的ではなくて、あくまでも一つの手段であるということであります。大切なことは、集約によって担い手をいかに育てるか、そこでどのような農業を展開するのか、どんな農村社会にして消費者と結びついていくのか、最終的には、我が国の農業と農地を守り、自給率を向上させ、安心、安全な食料を提供して、次世代にどう引き継がせていくか、これが最終的な目標、目的でございます。

 その目的に向かって、使命感や価値観を、農地中間管理機構の職員も含めて、コーディネーターも含めて、全てが共有しなければ、この作業は進みません。

 我が熊本県の幾つかの例を挙げます。

 まず、菊池郡大津町の農業法人ネットワーク大津や熊本市南区城南町の法人すぎかみ農場は、自前の社員を雇用して地域の受皿になっておりますし、地域の農地を守るということ、地域の後継者を育てるということを法人の第一目標に掲げております。

 八代市の農事組合法人鶴喰。鶴喰は中山間地で、限界集落の悲観を抱いている地域でございます。こういう地域の農業法人であることから、農業だけではなくて、地域のお祭りなども主催して、地域全体の活性化を目指している農業法人であります。

 天草地域は、小規模な地域営農法人が数多く設立をされております。小規模でありますけれども、地元の高齢者らが働く機会を大いに与えて、その受皿として機能をしております。

 水俣芦北地方の株式会社まるごと農場は、農業だけではなくて、山林、林業も含めて地域の活性化を目指しております。

 このように、まだみんな緒についたばかりではありますけれども、規模拡大だけではなくて、地域の特性に合わせて特色ある法人が設立をされているところであります。

 ともすれば、農地集積の実績や規模拡大だけにとらわれがちな法改正でありますけれども、このように、地域に合わせた特色ある農業の担い手育成と、規模拡大だけではない農地集約のあり方というのが必要になってまいります。そのための意識づけが今回の改正法案にどのように盛り込まれているんでしょうか。お伺いをいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、農地の集約化自体は、自己目的というよりも、あくまで一つの手段だと認識しております。地域の将来を担っていく経営体が地域の実情に応じた農業経営を展開できる機運を醸成する、そのための環境づくりの一つとして農地の集約化もあるのではないかと思っております。

 委員の御指摘の熊本の各地の事例も、そういう形で、多様な農業展開のいい例になっているというふうに認識しております。

 我々といたしましては、規模拡大が困難な地域におきましては、六次産業化の取組などによりまして、地域の実情に応じた経営の改善、発展、こういうものが大事だと思っておりますし、こういう観点から、昨年の一月に認定農業者制度に関して運用通知を発出しております。この中では、認定農業者制度の認定基準を基本的に目標所得に統一するとともに、その所得には、六次化等の関連、附帯事業に係るものも含めるというような考え方を示しているところでございます。

 今後、人・農地プランの実質化を図っていく上でも、この通知の考え方を改めて周知して徹底したいというふうに考えておりまして、このことによりまして、各地域の実情に応じた特色ある担い手が人・農地プランに位置づけられまして、これに基づく農地の集積、集約化が進むように指導してまいりたいというふうに考えてございます。

坂本委員 六次産業化も含めて認定農業者に目標所得を課すというようなことで、これはこれで価値があることだろうと思いますし、やはり所得というのは法人あるいは集約化を進めていく上で一番大事なことではありますけれども、やはり、地域社会をどうしていくか、そこにどういうふうに集約化していくか、そして、どういう農業を、あるいは農業法人を、どういう集落を形成していくか、このことがこれからの社会づくりの中で最も大切なことでもありますので、所得プラスアルファ、ガンマ、ベータというようなことで、ぜひ今後の対策を、政策を進めていただきたいと思います。

 三番目の質問に移ります。

 農地の場合に、集積、集約のきめ細かな把握と実態が必要ではないかというふうに思います。今回の改正を機に、農林水産省は、二〇二三年までに農地の集積率を八割にするという目標を持っております。現在の農地が畑地も合わせて四百四十二万ヘクタールあります。この八割といいますと、三百五十万以上であります。大変膨大な広さでございます。

 この八割という目標が非常に曖昧ではあるというふうにも思っております。四百四十二万ヘクタールの中には、水田もあります、そして畑地もあります、中山間地もあります、平たん地、平場もあります。そして、耕作放棄地が四十二・三万ヘクタール。約一割、耕作放棄地になっております。集積は、水田はまとまりやすいわけですけれども、畑地になりますとなかなか難しい、中山間地になるともっと難しいというような、さまざまな条件があります。

 この農地に対しまして、それぞれの地域の実態に応じた目標を持ちながら農地集積、集約を進めるべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、担い手への農地集積目標自体は、国としては全国目標を設定しているところでございますけれども、実際に集積を進めるに当たりましては、御指摘のとおり、平場か中山間か、水田地帯か畑作地帯かなどなど、地域の特性に応じて具体的に進めていくということが大事だろうと思っております。

 そういうこともありまして、逆に、そういうような区分した目標というのをまた国が示すというよりも、やはり人・農地プランというのを再活性化いたしまして、各地域の実態を踏まえた地域農業の将来方向というのを考えていただいて、それに基づいて進めていくというのが非常に大事なことだと思っております。

 そのために、国といたしましても、人・農地プランの再活性化のための措置を講ずるとともに、人・農地プランに即した農地バンクの運用も確保されるように、機構集積協力金も地域タイプのものに重点化しますとか、あるいは、特に条件の悪い中山間地域につきましては、交付の前提となります農地の最低集積要件を平場の五分の一に緩和するというような形で、地域の実情にも配慮しているところでございます。このようなものを進めてまいりたいというふうに考えてございます。

坂本委員 それだけ、地域地域の農地の利用形態をどうするのか、それが人・農地プランにどう反映されるのか、その人・農地プランに沿ってどれだけ同じ価値観を持って、価値観を共有しながら集約を進めて農村社会あるいは地域社会をつくっていくのか、これが一番大事なことになりますので、ぜひ今後の御指導をよろしくお願いいたしたいと思います。

 最後に、組織運営に対する指導についてお伺いいたしたいと思います。

 集約化が進みますと、どうしてもやはり、単独の認定農業者というよりも、法人化をしてまいります。法人化にもさまざまな形態があります。農事組合法人、そして株式会社。それぞれが、やはり農家の方々が初めて取り組む、そういう経営形態、営農形態が多いわけであります。二年、三年はうまくいきますけれども、月日がたってまいりますと、どうしても、方針の食い違い、あるいは運営のあり方、また、農村社会でございますので、さまざまな、私たちの世界と一緒で、派閥や人事対立、こういったものも出てきて、そして農業法人自体が解散するというような事例もこれまで出てきております。

 これから集約化と同時に法人化を進めていくに当たって、やはり、法人経営とはどういうものなのか、そして、それを持続可能なものにするために何が一番大切なのか、我慢しなければならないところあたりも出てくるわけでして、普通の利潤だけを追求する株式会社とはまた違いますので、よりきめ細かな指導、そして人材の発掘と育成、これが人・農地プランとともに行われるということが大事だと思いますけれども、その組織運営に対する指導あるいは今後のあり方についてお伺いをいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、農業者の方々にとりましては、法人化した後、さまざまな運営の経営ノウハウ、制度の理解が必要になってくる局面があると思っております。

 こういうこともありまして、これにつきましては、平成三十年度から、各県段階に農業経営相談所というものを国の予算事業として設置いたしてございます。この中では、税理士や中小企業診断士等の専門家を法人なり担い手の方々に派遣して、いろいろなサポートをするということをやっております。

 この事業の中で、例えば株式会社でありますとか農事組合法人、そういう組織形態の違いによって、執行体制が、事業範囲がどういうふうに変わってくるのか、剰余金処分の方法、税制の適用がどう変わってくるのか、こういうものにつきましてきめ細かく相談に応じてまいりたいというふうに考えてございます。

坂本委員 農業者の方々は、本当に地域を愛して、地域の農地を守ろう、後継者をつくって次の世代に移そう、そういう使命感と思いでいっぱいでございますので、この法律、あるいはこの法律も含めたそのほかの法律も含めて、運用がスムーズにいくようにぜひこれからも御指導をお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

武藤委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。

 それでは、農地中間管理事業改正法について、順次質問をしてまいります。

 最初の質問は、協議の場の実質化についてということで、人・農地プランがどの程度実質化するか、それをどう見込んでいるのかという質問でございます。

 先ほど坂本委員からも質問がありましたけれども、この農地中間管理事業、ちょうど五年見直しということで、五年前に創設がされたわけでございますけれども、先ほどの質疑の中でもありましたが、担い手への農地の集積面積、これは、見方はいろいろあるかもしれませんけれども、まずはこの農地中間管理事業をスタートさせて、五五・二%のシェアになったということで、これは一定の効果があった、そういう認識でおります。

 ただ、二〇二三年に全耕地面積に占める担い手の利用の面積を八割シェアにするということですから、これはそもそも意欲的な、かなり意欲的な目標でございますので、そこに向けて、その成果を得ていくためには、より一層スピード感を持ってこの事業を進めていく必要があるだろう、このように思っているところでございます。

 そこでまず、地域における農業者等による協議の場の実質化ということなんですが、今後、新たに地域の話合いから始めて、機運を高める地域については農地の集約化、集積を進めるということで、私は、こういうことを考えていったときに、ここで一番問題になってくるのは、やはり人・農地プラン、これがどのように、また、どう実質化されていくのか、そのことをまずお伺いしたいなというふうに思っている次第でございまして、まずこの点について御答弁いただきたいと思います。

濱村大臣政務官 今回の見直しにおきましては、人・農地プランを地域の徹底した話合いに基づくものにすることによって、今後中心となります経営体と将来の農地利用のあり方を地域主導で決めていただくことを重視しているところでございます。

 全国十三万八千の農業集落のうち、市町村に対するアンケート等から見まして、このような地域の真剣な話合いに基づいた人・農地プランが既に作成されていると思われる地区はおよそ三割ほどあると考えております。

 一方で、ほかの地域につきまして、農業者の年齢別構成や後継者の確保の状況など、地域の現状を地図によって関係者に示し、将来の議論を促すこと、市町村、農業委員会など地域の関係者が一体となって話合いをコーディネートする体制を構築することなどによりまして、全集落の少なくとも五割以上の地区におきまして人・農地プランの実質化を図って、全体として約八割の地区につきまして人・農地プランの実質化を進めていきたいというふうに考えております。

稲津委員 今御答弁がありまして、人・農地プラン、この実質化、八割に向けて進めていくというお話がありました。

 そこで、このことを進めていくに当たっては、当然、市町村、それから土地改良区、農業委員会等々、こうした方々の役割が非常に大きくなってくると思いますけれども、とりわけ農業委員会については、そもそも農地の流動化等についての機能とそういう情報を持っているということで、私はこの農業委員会について大きな期待をしているところであります。

 ただ、農業委員会、先般の改正があって最適化推進委員等の配置もありましたが、こうしたこれまでの活動に加えて、今回こうした取組が更に入ってまいりますと、より一層業務というのは多般で、かつ仕事量も多くなってくるんだろう。そこをしっかり支えていくのは事務方の役割でもあるんですけれども、この農業委員会の体制の整備ですとか活動支援について、農水省、政府としてどのように考えているのか。

 それとあわせて、今私触れました農業委員会等の事務方の体制の強化支援というものも、私は必要ではないかなと思っているんです。

 それから、市町村の職員の方も、これは農業関係で見ると、平成二十九年では三万五百二十三人、これが十年前から比べると約一四・七%減少しているという報告があり、これは一般の行政職員よりも減少率が非常に高いということも挙げられます。

 また、農業委員会の事務局体制も、専任の事務職員が農業委員会にいるか否かということについて、ゼロ、あるいは一人、あるいは二人というのが、大体ここが大宗を占めているということなんです。

 こうしたことも踏まえて、これらの体制整備に対する支援について考え方をお伺いします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 人・農地プランの実質化について、サポートする体制の強化というのは重要な課題の一つであると認識しております。

 先生御指摘の、まず、農業委員会の事務局体制の強化につきましては、今年度、三十一年度予算より、新たに、農業委員会の事務局職員の業務に必要な経費として、農地利用の意向調査の経費を支援するということを始めることといたしております。

 また、市町村につきましては、これは人・農地問題解決加速化支援事業というのがございまして、その中で、農業に対するアンケートや地図の作成に要する経費を、これはアルバイトの活用も含めて、支援するという考え方で臨むこととしております。

 また、地域の話合いのコーディネートをする体制、これは市町村だけではなかなか難しいというときに、地域の中だけではなくて外部からもやはりサポートするコーディネーターが必要だという場合には、農業経営者サポート事業によりまして、例えば普及指導員のOBなどをコーディネーターとして派遣する、これに対する支援も措置しているところでございます。

稲津委員 ぜひ、そこの支援強化というのを一層図っていただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。

 次の質問ですけれども、担い手への農地の集積の取組について、今、協議の場を実質化させていこう、人・農地プラン、これもしっかり実質化させて進めていこうということと同時に、もう一方で、農地そのものをやはり使いやすいものにしていく、こういうことが非常に大事なことで、その意味では農地の基盤整備の促進ということがもう一つ大きなテーマであると思っています。

 担い手への農地集積八割、この目標を達成するために、やはり農業の競争力強化を図っていく、そういうことを考えていきますと、農地の大区画化、それを進めていくいわゆる農業農村整備事業それから農地耕作条件改善事業、こうした基盤整備をしっかりと進めていく、また、その予算を確保していく、できるだけ地元地域のさまざまなニーズにしっかり応えていくということが私は必要だと思っています。

 それから、農地中間管理機構関連農地整備事業についても、これは引き続き予算を確保して、繰り返しになりますが、事業が早期に完了できることも大変重要なことだと思っておりますが、この点についての所見を伺います。

吉川国務大臣 御指摘をいただきましたように、担い手への農地の集積、集約化を進めて農業の振興、発展を図っていくためには、その基盤となる農地につきまして、農地の大区画化や汎用化等の基盤整備を推進することは極めて重要であると認識をいたしております。

 このため、農地の大区画化あるいは汎用化を行う農業競争力強化農地整備事業に加えまして、畦畔除去あるいは暗渠排水等のきめ細かな耕作条件の改善を機動的に進める農地耕作条件改善事業等により、農地の基盤整備を進めてきたところでもございます。

 また、平成二十九年の土地改良法改正により創設をいたしました農地中間管理機構関連農地整備事業につきましては、平成三十年度に三十五地区、平成三十一年度に四十六地区、合計八十一地区を採択して事業を進めているところでもございまして、今後も積極的に推進していく必要があると考えております。

 引き続き、現場のニーズを踏まえまして、担い手への農地の集積、集約化を促進するために、農地中間管理機構とも連携をしながら、農地の基盤整備の計画的な推進が図れますように、今御指摘をいただきましたように、必要な予算の確保に全力を挙げて努めてまいらなければならないと存じております。

稲津委員 ありがとうございました。

 ぜひ、予算の確保、そしてこの事業の推進を図っていただきたい。そのことが、非常に大事な、農地の担い手への集積に確実につながってくる、こう思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 次は、具体的な担い手への農地集積の大きな課題。

 これはもう言わずもがなですけれども、例えば中山間地域での対応はどうしていくのかということ。平場と違いますので、なかなか引き受け手が難しくなってきている。多様な担い手ということで、そういう考え方もあると思います。

 もちろん、その地域の実態に合わせた、そうした考え方や取組も必要になってくる、私はそのように思っているわけですけれども、もう一方で、農地の出し手と農地中間管理機構との、意見の食い違いというわけではないんですが、ミスマッチというのも現実にあるのではないか、こう考える向きもあります。

 これは、要するに、農地の出し手から農地中間管理機構に農地を貸したくても、受け手が見つかる見込みがないのでなかなか農地中間管理機構が借りてくれない、こういう意見も散見されております。

 そこで、お伺いしたいのは、農地のこの実情、それから受け手の見込みを踏まえた農地中間管理機構の判断、それから農地の出し手の認識、この違いについてどのような認識でおられるのか。それから、なかなか借り受けない状況が発生している中で、今後、担い手への農地の集積、集約化に向けて、そこをしっかりカバーしていく、あるいは解決していく方策について考えるべきと思いますが、この点についての所見をお伺いします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農地バンクは、最終的に保有すること自体が目的ではございませんので、やはり速やかに、農地を借り受けた後は、担い手にスムーズに転貸をしていくというのがまず基本であると考えておりますけれども、そのスムーズな転貸というのを余りにも重視する余りに、相談の段階で受け手が決まっていないということになると、出し手が農地をバンクに貸し出そうとしてもなかなか借り受けないという、ともすればちょっと画一的にも見える運用が一部の地域において行われていたということも事実であろうというふうに考えております。

 この点は私らも反省すべきであると考えておりますが、一方で、農地バンクだけに全ての、最終的にどうなるかという責任を負わせるというのもなかなか現実的ではないというふうに考えております。

 そういうこともありまして、今回の見直しでは、まず地域での見通しというのをしっかりつくることが大事だろうという考え方のもとに、人・農地プランを実質化していきたい。そういう中で、人・農地プランの中で、新規就農者の受入れ、あるいは新規作物の導入というようなことをいろいろ考えていただきまして、地域の中で新たな担い手を生み出すための合意形成、これがまず大事だろうというふうに考えております。

 他方で、地域がせっかくやる気になっても、支える手段がないとまた困りますので、こういう取組を後押しするためには、特に担い手が不足している中山間地域における、先ほどもお話ししました協力金の要件緩和、こういう形でサポートしたいということで、全体としてスムーズに流れていくようなことになるように努力していきたいというふうに考えてございます。

稲津委員 今私が申し上げましたように、そうした意見があるのも、これは声として事実でございますので、今局長から答弁がありましたけれども、それをしっかり進めていただく、中身のあるものにしていただきたいと思います。

 次の質問は農地利用集積円滑化事業についてでございますけれども、今回の改正の中で、この農地利用集積円滑化事業を農地中間管理事業に統合一本化するということが挙げられております。

 北海道とかそれから栃木県などの五つの道県、ここにおいては、農地利用集積円滑化事業による利用権の設定面積、これが一千ヘクタールを超えているということで、新潟県以外の四道県で農地中間管理事業の実績を上回っております。このような状況の中で、円滑化事業でもういいのではないか、残した方がいいんじゃないかとか、そういう意見もあります。

 そこで、改めてお伺いしておきますけれども、この農地利用集積円滑化事業がこれまで果たしてきた役割についてどのような認識でおられるのか、それから、農地中間管理事業に統合一体化する、この一体化することによって、当然、こうした事業を推進していく、そういう効果を期待しているとは思うんですけれども、その背景について、理由についてお伺いしておきたいと思います。

吉川国務大臣 農地利用集積円滑化事業の実績でありますけれども、農地バンク創設以降、ピーク時の三分の一程度まで減少いたしております。全国的には農地バンク事業への移行が進んでいると承知をいたしておりまして、一方、一部の道県におきましては、特色ある取組を行いまして、現在でも担い手への農地の集積、集約化に寄与しているものと認識をしております。例えば北海道におきましては、離農者から買い入れた農地を活用して新規就農者への研修等を行い、売り渡している例もございます。

 このため、今回の見直しにおきましては、このような実績ある団体が農地バンク配分計画案を作成できることとする等により、旧円滑化団体の事業を農地バンクの事業として実施できるようにすることといたしてもおります。

 これによりまして、利用権等の設定を求める農地のリストが県段階で統一をされて、担い手農家にとっても利用する農地の集約化のチャンスが更に広がるものと考えているところでございます。

稲津委員 この内容についてはよく理解できました。

 その上で、実績あるそうした団体等がコーディネーター役をやっていくということで、そういう意味では、市町村、農業委員会、JA等、コーディネーターとしてその役割を発揮していくこととなると思うんですけれども、ただ、現場では、機構の役割を含めた各組織の役割分担はどうなるのかと。例えば、Aという地域はJAが、B地域は市町村が、C地域は農業委員会が、あるいは土地改良区がと、こうしてしっかり取り組んでいる場合に、では、これを今後一体にしてコーディネート役を担っていただくというふうにありますけれども、これはどのように整理をしていくのか、この点についてお伺いします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、人・農地プランの取りまとめの役割を法律上与えられております市町村、あるいは今回改正で必要な協力を行うよう位置づけられました農業委員会、これについては、各地域においてこの人・農地プランづくりに参画していただきたいというふうに考えております。

 それに加えた組織については、それこそ地域の実情に応じるわけでございまして、先ほどの北海道の例のように、JAがしっかりやっているところについてはJAあるいは市町村公社、それから基盤整備を契機として話合いが行われているところでは土地改良区、それから、そうした、必要に応じて、普及員であるとかそのOB、市町村職員のOBなどなど、地域の実情において、その地域でやはりコーディネーター役をしっかりできる方、こういう方を選んでいきたいと思っておりますし、我々も、国としても、よくそれを指導していきたいというふうに考えてございます。

稲津委員 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。

武藤委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの大串でございます。

 早速、質疑に入らせていただきます。

 農地中間管理事業の推進に関する法律の一部を改正する法律案でありますけれども、先ほど坂本委員からも話がありましたけれども、これが立ち上がるときの法律、五年前、私は野党側の筆頭で担当しておりまして、先ほど来話もありましたが、私自身は相当悩みました、当時。

 規制改革推進会議の方から出てきた話であり、地域の実情からすると、うまくいくのかなと相当悩みまして、野党の中でも相当議論しましたよ。悩んだ末、賛成はしたんですけれども、先ほど来話があったように、やはり地域の実情に即するとすると人・農地プランとのリンクは不可欠ではないか、最低限ですよ、最低限不可欠ではないかということで二十六条の修正部分を盛り込ませていただき、もう一つ言うと、実は、見直し規定をかなり厳密に書く修正を提案させていただいて、かつ、附帯決議をたくさんつけさせていただきまして、規制改革推進会議に関する意見も含めてたくさんつけさせていただきまして賛成したということなんです。

 この五年間、ずっと私ども野党としては、この中間管理機構の足取りを見てきました。大分いろいろな質問が当時からありまして、予算の執行状況はどうかとか、進捗状況はどうかとかいう話がありました。

 そういった中での今回見直しになっていまして、私たちも非常に、どの法案も真剣に議論していますけれども、特にこの法案、何せ大臣の所信の一丁目一番地に出てくる政策ですから、これが本当にうまくいっているのかどうか、評価も含めて、かなり真剣にこの法案にも取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 そのときに、ちょっと、この議論をこの間ずっと聞いていて、もう一回、政府の皆さんにも認識してほしいし、私たちも認識しなきゃいかぬなというふうに思っていますけれども、さっきから質問がありました、私もしますけれども、農地の集積、集約をどうしていくのか、どうあるべきか、できているのか、こういった議論がずっと進んでいるんですね。これは非常に大切な議論なので、僕もやるべきだと思います。

 ところが、私たちが議論しているのは、農地の中間管理事業の推進に関する法律なんですよ。ここには集積とか集約とかそういう言葉は一つも入らない。中間管理事業なんですよ。私、五年前に、一番最初のときにこれに驚いたんですよ。農地の中間管理って一体何なんだということに驚いたんですね。そのためのバンクをつくって、組織をつくって、予算もとってということなんです。中間管理ですよ。これがこの五年間どうだったか。

 集積、集約は大切なんです。やってきた。一生懸命やられている。それは今後も、やれる部分はやっていった方がいい。それはいいんです。ただ、中間管理事業、これを私たちはどう考えるかという視点を忘れずにこの委員会で最後まで議論しなきゃならぬというふうに思いますので、こういう視点から私たちはいろいろ議論していきますので、最後に至れば、どういうことだったのかなということは皆さんわかっていただけると思いますので、そういう観点から議論をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、まず大臣にお尋ねしましょうかね。

 中間管理事業、中間管理機構、五年間行ってきたわけだけれども、よく聞かれるのは、当然、成果が上がっているのか、そういうことであります。それなりに予算も投入して、先ほど申しましたように、大臣の所信演説の中には、これが一丁目一番地、一番最初に出てきます。その中間管理機構、中間管理事業ですけれども、五年間やってみて、成果は、大臣、上がったんでしょうか。

吉川国務大臣 平成二十六年度の農地バンク発足以来、それまで停滞をしておりました担い手への農地の集積状況でありますけれども、これが、四八・七%から、平成二十九年度には五五・二%に上昇をいたしております。

 その中で、農地バンクは、全国の農地の四・二%に当たる約十八万五千ヘクタールの農地を担い手に転貸しておりまして、一定の成果を上げているものと認識をしているところでございます。

 担い手の生産性の向上に対する効果につきましても申し上げたいと思いますが、大規模農業者につきましてサンプル調査をいたしましたところ、農地バンクを活用した者は活用していない者と比べて十アール当たりの生産コストの削減率が約二割上回っておりまして、また、一団地当たりの面積の拡大率が約一割上回り、集約化が進んでいるところでございます。

 今申し上げましたような結果が得られているということから、農地バンクは生産性の向上に寄与しているのではないか、このように認識をいたしております。

大串(博)委員 成果と聞くと、集積が五五・二%まで来ましたということと、機構として十八・五万ヘクタールの取扱いをしています、こう必ず言われますね。

 そこで、私、この間の一般質疑の中で、それだけでいいんですかと。集積だけでいいのか。つまり、一定の農業の団地があって、そこに、ちょっと離れたところに新たに一ヘクタール追加ですということでいいんでしょうかというようなことを問うてきましたね。集約のメリット、つまり、生産性が上がってコストが下がるというメリットはどういうふうに評価していらっしゃるんですかということをこの間の一般質疑でも問わせていただきました。

 なぜなら、中間管理事業の五年後の見直しについてという資料を農水省もつくっていらっしゃいます。農地バンクの設立のときもそうでしたけれども、一番最初に出てくるのが、この必要性というのは、集積のみならず、集積した上で分散錯圃状況をなくすことなんだ、こういうふうに言われているんですね。

 つまり、遠いところの農地を同じ農業主体に単に張りつけて集めてくるだけじゃなくて、その後、ここは中間管理事業ということとも絡んでくるわけですけれども、一旦受けとめた上で、交換分合して、リシャッフル、リシャッフル、リシャッフルして、一定期間かかるかもしれないけれどもリシャッフル、リシャッフルすることによって、出し手が、機構には出してもいいけれども、あの人には貸してほしくないんだよな、そういった心理的な思いもいろいろある、先ほど坂本先生もおっしゃいました、こういったことを乗り越えて、分散錯圃状況をなくしていくということによって生産性が上がる、これが一番の課題なんだということが一ページ目に出てきているわけですよ。

 ここまでいかないと、いわゆる中間管理事業というものが効果を発揮することにならないんじゃないかと私は思ったものですから、その生産性及び集約の状況に関してお尋ねしたんですね。

 先ほど大臣の方から、私が一般質疑でお尋ねしたことも受けてでしょうけれども、大規模農家におけるサンプル調査というのをやっていただきました。このサンプル数というのは一体どのくらいなんでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 この調査自体は三十年の二月から三月末につくっておりますが、対象は、これは農地バンクの活用、未活用者にかかわらず、農地バンク創設前の経営規模が約三十ヘクタール前後、それで、設立後に、それからまた更に十ヘクタール以上規模拡大をした方を対象にしておりまして、その中で、調査データがあるもの、ないものもありまして、データのある方が、農地バンクを活用した方が十九経営体、活用されていない方が六経営体でございます。

大串(博)委員 ちょっと私、聞き間違いかなと思いましたけれども。

 済みません、農地バンクの全体の取扱い件数は、そういえば全国でどのくらいなんでしたか。ざっとでもいいですよ、何万なのか。

 ごめんなさいね、通告していない質問だったから。それは、今答弁をいただいたので、あれっと思ったんです。

 十九件とか言われましたね、今、サンプル数。これが多いかどうか、統計として。統計問題、今回は国会でも随分取り上げられましたけれども、国会で述べるような統計、有意な統計に基づく数字と言えるのかということですね。

 農地バンクの件数は、恐らく相当、十八・五万ヘクタールも担当されているわけですから、相当多いんじゃないかと思うんですね。相当多い件数のうち、十数をもってして、集約ができているということが言えるのかということですね。この辺の調査もまだまだ足りないと思うんですね。これはちょっと、もう少し追ってから議論させていただきます。

 一方で、集積が進んでいることに関しても、これは伸びが鈍化しているというのは、皆さんよく御案内のことですね。五五・二%となっていますけれども、まだまだ、集積の伸びも鈍化してきているということなんですね。だから、いわゆる農地バンクによる集積活動自体もなかなかの難しい状況を迎えているということの現状だと思うんですね。

 それで、まず、基本的なところへ行きますけれども、八割目標ですね。五五・二なんだけれども、八割目標がありますけれども、八割に集積することにどういう意味があるんでしょうか。八割に集積すると、そもそも何がいいんでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 これは、全国的に農業者が減少、高齢化していく中で、荒廃農地も一定程度まだ存在するという中で、今後の動向を見てみますと、やはり、担い手が大宗を担うような農業構造をつくっていかないと、農地で農業生産を行う方が絶対的に不足してしまうという考え方がございました。そういうところで、やはり今までの担い手への農地集積率、一定の上昇傾向はあったんですけれども、それをドライブをかけようということで、この八割目標というのをつくったわけでございます。

 ですので、集積自体が数字ではかりやすいので目標にはしておりますけれども、そこで狙っている効果は、やはり、農地中間管理機構の本来の目標であります、集積だけではなくて、集約化も含めて考えております。ということになりますと、集約するということになりますと、生産性が向上するということで、農業全体の成長産業化につながる、こういうのがこの八割目標で我々が本来狙いとしているところでございます。

大串(博)委員 これは、八割でなければいけないんですか。八割に到達すると何が得られるんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお話ししたとおり、八割目標自体は、今までの担い手への集積の上昇率、これにドライブをかけようという考え方でございますので、八割でなくて、七九・九%ならどうかとか、七九・八%ならどうか、こういう分析の結果できた数字ではないというふうに理解してございます。

大串(博)委員 まあ、ふわふわとした感じがするんですね。それに基づいて政府の一丁目一番地の政策が動いているというと、ちょっと私、ここも、農家の方々の実感からすると、どうかなという感じがすると思うんですよ。八割目標ということを考えると、全国の耕作面積、先ほど坂本先生もおっしゃいましたけれども、分布状況からすると、中山間地も含めて、相当程度集積がなされないといけないですよね。

 大澤さん、ちょっとお尋ねしますけれども、今、この集積の状況ですけれども、中山間地における農地中間バンクの集積に関する既往状況というんですかね、実施状況、どうですか、うまくいっていますか、中山間は。

大澤政府参考人 これも、中山間地域自体を、定義もいろいろございますので、抜き出したデータというのはありませんが、我々としては、全国ブロック別で担い手への農地集積の傾向というのを分析いたしてございます。

 それを見ますと、やはり、中山間地域の占める割合が多いと思われます近畿地方、あるいは中国、四国地方、例えば近畿地方では、担い手への集積率、今、三〇・一%、それから中国地方におきましては二七・四%ということで、一般的な傾向で申しますと、やはり集積率は低い傾向にあるというふうに認識をいたしてございます。この原因としては、やはり、農地の条件が悪く、担い手も少ないということでございまして、今回の改正の一因となっているわけでございます。

 他方で、現状を見ますと、事例的に見ますと、例えば長崎県の西海市におきましては、農地バンクが遊休農地を借り入れて、県、市、JAと連携して、改植事業を行った上で果樹園地の担い手に集積、集約化した事例、あるいは岐阜県飛騨市におきましても、そばの製造を行う地元の企業に農地をマッチングした例等々のいい例は出てきているというふうに認識しております。

大串(博)委員 事例としてこういうのはあるというふうに、成功事例を取り上げて言われましたけれども、本当にできているのかということなんですね。

 中間管理事業の見直しの議論の中で、中山間地において、出し手はいる、なかなか、もうできないから出し手はいる、しかし、なかなか受け手がいない、受け手がいないものだからなかなか進まないんだよなというような中間管理機構の問題点は指摘されていなかったですか。

大澤政府参考人 そのような指摘も確かにございまして、そういう中でも、やはり、例えば、そうなりますと、地域の外から担い手を持ってくる、先ほどの優良事例もそうなんですけれども、そういう場合もございますが、それはなかなか困るんだというような場合もあったというふうに認識しております。

 そういうこともありまして、今回の改正では、やはり、国会でも御審議いただいた上で修正いただきました人・農地プランの作成、これについて、もう一回、地域の徹底した話合いを行っていただいて地域の合意をつくっていく、こういうこと、あるいは予算面で、中山間地域の活用がより図られますように、協力金の六割を中山間地域の優先枠として設けること、あるいは中山間地域における農地の最低集積要件を五分の一に緩和する、こういうような措置をとっているところでございます。

大串(博)委員 中山間における農地集約というのは、相当苦労していらっしゃると思うんですね。農水省の資料にもありました。集積は進んできているけれども、最近鈍化している。これは、低平地における、できるところの集積が当初進んだけれども、それが伸び悩んでいるんだ、一方で中山間地においてはなかなか進まない、こういうふうな評が皆さん聞かれたことだと思うんですね。だから、本当に八割という目標を立てながらやるのがいいのか。集積をしていくにしても、一体どこまでを目指していくのかというのを明らかにしながらやっていかにゃいかぬと思うんですね。

 それと、今の発言の中でありましたね、外から人に入ってきてもらう、それによって集積そして集約の実りをより上げてもらうんだ、これが中間管理機構の一つのメリットであり機能なんだというふうなことが最初も言われていました。

 五年間たってみて、外部からある地域に法人なりの方々が入ってこられて新しく集積、集約の核となられたというケースは、多かったんでしょうか、少なかったんでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農林省の資料の中でも、外部の企業を地域の合意に基づいて誘致したという優良事例も挙げさせていただいておりますが、全体の数字から見ますと、地域外からの参入者における貸付けというのは、農地バンクの全体の量の毎年数%程度ということになっております。平成二十九年度におきましては千二百七十二件というふうになっているところでございます。

 なかなか、先ほどお話ししたように、地域の外から入ってくるについては、地域の方々の抵抗もあるということ、抵抗というかちゅうちょの念もあるということもありまして、数字的にはまだ出てきていないところでございますが、優良事例としては出てきているというふうに認識しております。

大串(博)委員 外から入ってこられるというのはなかなか簡単なことではなかったんだと思うんですよ、五年間の実績を見ても。数%というふうに言われていました。

 ただ、ちょっと冒頭に返りますけれども、中間管理事業というのをあえてやろうと思った趣旨はまさにそこにあったんじゃないかと思うんですね。

 例えば、低平地において、集積をするのみならず、一旦中間管理機構が受けとめて、受け入れて、感情的なしこりの一つのシールドとなって、バリアとなって、リシャッフル、リシャッフル、交換分合を進めて集約をしていくんだ、だから中間管理の必要性があるんだ、こういうことだったと思うんですよ。あるいは中山間地にしても、すぐにはなかなか、出し手はいるかもしれない、しかし受け手はいないかもしれないね、よって、中間管理してもらって、そこで機能向上をしてもらった上で、借り手が出てくるであろう、それで借り手に貸していく、それで集積をしていく、こういうことだったんだろうと思うんですね。

 外部から人が入ってくる、こういうことに関しても、すぐには受け手が出てこないかもしれないけれども、中間管理事業で受け入れてもらって、配分計画を公告縦覧するうちに、外からそれを見て、ああ、ここに行こうという人が出てきて、外から入ってこられる方がいる、これが中間管理の妙味だということだったと思うんですよ。

 当時の質疑の中でも、中間的な受け手としての中間管理機構が必要なんですという答弁を当時の林農水大臣もたくさんしておられます。当時の奥原政府参考人においては、より詳しく、農地の出し手の方は機構を信頼してリース契約を結んで貸していただくということが基本であるというふうに我々は考えております、これまでも、人・農地プランを我々は進めてまいりましたけれども、その中で、例えば、出し手の方と受け手の方が、この二人の方の間には個人的な信頼関係がないために流動化がなかなかできないというようなケースがありまして、こういった場合には、この中間に入る、中間的な受皿があった方が実際の流動化が進みやすい、こういうふうに言われた。ここが五年前は相当指摘されて、だから中間管理事業、中間で受けておいていただく仕組みが必要なんだ、こういうことだったんですね。

 五年間たってみて、成果をお尋ねしたいと思います。中間管理機構が中間で受けて、そしてそれを、例えば機能改善、あるいは集約、リシャッフル、交換分合なりして、それで更に生産性の高い土地として新たな担い手に渡した、こういった例はどの程度あったんでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 本日御議論をさせていただくに際しまして、私もこの法律制定時の議事録を改めて見させていただいてございます。

 そういう中で、議論、確かにございまして、これは中間管理事業でございますので、中間管理とは何かというような御議論もありましたけれども、その際には、私どもの理解では、必ずしも外から人を持ってくることだけを中間管理事業の目的としているわけではありませんで、先生も御指摘のとおり、地域内であってもやはりいろいろ抵抗があるところを、まず一旦機構が借り受けて、それで、ある意味でリシャッフルをしていく中で担い手の方にまとめていくというようなことが議論されていたかと思います。

 ということで、先生の御指摘、御質問にどれだけ正確に答えられるかわからないんですけれども、私ども、そういう意味での、機構が間に入ってまた担い手に貸したという意味では、先ほど大臣からも御指摘のありました十八万ヘクタールちょっとの数字全体が中間管理権を取得した、法律上はそういう形になるわけでございます。

 その中で、先ほどからの先生の御指摘にもあるような、じゃ、集約化がどういうふうに図られたかということになりますと、我々としては、今のところ、福井県の事例でありますとか、一部で何回かリシャッフルを繰り返して、それで担い手なり担い手の集落法人組織にまとまった形で提供したという事例をなるべく把握した上で、各地に広めたいというふうに考えているところでございます。

大串(博)委員 まさに今言われたように、そこで私、再三、集約の事例を聞いていたんですね、数が幾つありましたかとか詳しく聞いていたんですよ。なかなか、私、全国的にもいろいろこれは聞いて確認しましたけれども、低平地で集積をします、集積をした上で中間管理機構が一旦中間管理権を発揮して受け入れて、そしてそれを受けとめた上で交換分合、リシャッフル、リシャッフルを何回かやって、それによって集積したものを集約してブロック化して、よって生産性が上がる、コストが下がる形に持っていってやった例というのは相当実は少ない。先ほど、生産性が上がった例というのは十数例と言われました、サンプル調査としてもね。このくらいなんだと思うんですよ。

 よって、中間管理をするという考え方自体が、これは恐らく、冒頭は規制改革推進会議のいろいろな議論の中で出てきたんだと思うんですね。当時の規制改革推進会議とか産業競争力会議の議事録なんかを見ると、中に入って、間に入ることによって生産性を上げる、こういうふうな取組をするんだということを盛んに言われている。もともとはそこに力点があったにもかかわらず、その力点のところがまさに発揮されなかったというのがこの五年間なんだと思うんですね。

 この点は、私はここでしっかり評価すべきだと思いますよ。集積するのはいいんです、集積する取組を一生懸命みんなでやっていくのはいいんです、そのための支援をいろいろやっていくのはいい。しかし、中間管理という形をとるのがいいのかというところは、私は議論のしどころだと思いますよ。

 ちなみに、大澤さん、ごめんなさい、通告していないですけれども、中間管理機構の中間管理事業に関する予算、私、資料をもらいましたが、予算がどんな感じの予算になっているか、既存の資料を読み上げていただいてもいいので、ちょっと説明していただくことはできますでしょうか。既存の資料で結構ですから。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 この事業費、農地中間管理機構事業のうち、農地中間管理事業等推進事業及び借受農地管理等事業等に要する経費といたしまして、平成二十五年度の補正予算で百三十七億円、平成二十六年度の当初予算で九十八億円、合計二百三十五億円を基金として造成しております。平成二十六年度からは毎年度補助金を措置しておりまして、その合計は百四十六億円になるわけでございます。

 続きまして、協力金の交付事業につきましては、これは平成二十五年度の補正予算から措置いたしておりまして、合計で五百四十三億円を基金として造成いたしております。平成二十八年度からは補助金を措置しておりまして、補助金の合計は二百五十六億円になっているところでございます。

大串(博)委員 当時、この予算のことも相当議論したんです。こういう予算の使い方が本当にいいものになるかどうか、五年後にしっかり見直させてくださいということで、実は、見直し規定の中に、財政的なあり方も含めて見直すんだということを見直し規定の中に盛り込ませていただいたんですね。

 中間管理事業というものに対して、先ほど来話がありましたように、何百億という予算をこれまでつぎ込んできました。

 ちなみに、中間管理事業というのを都道府県で担っていただいていますね。都道府県で担っていただいている。都道府県で担っていただいている方々は、もちろん佐賀県にもいらっしゃいます、十数名いらっしゃるということなんですけれども、どういう仕事をされていらっしゃるんでしょうか。

大澤政府参考人 県の職員ということでよろしい……(大串(博)委員「中間管理機構の皆さん」と呼ぶ)管理機構でございますか。

 全体で千百人余りいらっしゃいますけれども、機構の職員としてですね。その中には、県庁所在地でいらっしゃる方、それから各地域で、出張所といいますか事業所といいますか、名前はいろいろあるかと思いますけれども、各地域に張りついておられる方々、それぞれいらっしゃいまして、その中で、例えば県庁所在地にいらっしゃる方々も、地域に動き回って、各地域の中で機構の事業の活用を促したり、それから、実際に現場の話合いに参加している場合もありまして、それぞれ、少ない人数の中で、それはしっかり役割を果たしていらっしゃるというふうに認識してございます。

大串(博)委員 全体で、全国千百人いらっしゃいますね。都道府県にいらっしゃるということですね。今、話の中でも、その方々、随分地域に出向いていらっしゃって話をされているというふうな話でしたね。

 なぜこの中間管理機構なるものを都道府県に置かなきゃいかぬのかなと私は思うんですよ。

 これまで集約の仕事、集積の仕事、農業委員会の皆さんやあるいはJAの皆さんを中心とした保有合理化事業、あるいは集積円滑化団体を通じた集積円滑化事業などで、市町村、地域の話合いの中でいろいろ行って、努力されていまして、まさに顔の見える関係の中で行われてきたんですね。

 見ていると、今回の法案もその時代に戻ろうとしているような感じもします。それはそれでいいんですけれども。であるとすると、なぜ中間管理機構の仕事を県にあえて置いておく必要があるんだろうかという気がしてならないんですね。

 千百人の方々の人件費、例えば三十一年度予算においても約七十億の予算を組んで、人件費も含めて、事業費として予算に、国から受け取るようにしていますね。先ほど言われたように、事業費の基金、二百数十億積まれているんですね。

 こういうことも含めて考えると、なぜわざわざ都道府県に置く必要があるのか、その必要性を教えていただけますか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 担い手に農地を集積、集約いたしまして、分散錯圃を解消する、我々もその目的は共有しているわけでございますけれども、そのためには、公的機関が一旦農地を借り受けて、まとまった形で担い手に貸し付けるということが第一目標だと思っております。

 担い手の不足、あるいは担い手の活動の広域化、今回も法案の内容の一部に入れさせていただきましたけれども、そういうような状況の中で、やはり地域で担い手がいない場合には、地域外も含めて、広く担い手を探すことが必要であろうというふうに考えてございます。

 このため、法制定当初も、市町村の枠を超えた広域的な人と農地問題の解決に資するために、都道府県段階に農地バンクを設置したところでございまして、この必要性につきましては、引き続き、より広まっているというふうに考えております。

 なお、ちなみに、法制定当初から、例えば、農地バンクの配分計画の原案は市町村もつくれる仕組みはもう導入しておりますし、国会での修正によりまして、人・農地プランもこの機構の活動に資するものとして位置づけられておりますので、我々としては、当初から、都道府県段階にバンクは置くけれども、地域との連携は同時に強めていくという考え方は持っていたというふうに我々は認識しておりまして、今回はそれを更に拡充したいということでございます。

大串(博)委員 今、なぜ都道府県に置くかというと、農地バンクという公的機関が一旦借り受けて、それを配分していくということを一つおっしゃいました。もう一つは、地域の中だけでは担い手が見つからない可能性があるから、地域外も含めて探していかなきゃならないから、広域たる都道府県で、こういうことをおっしゃいました。

 五年間やってみて、まさにこの二つのところが結局起こっていないじゃないですかというのが今までの質疑だったじゃないですか。

 すなわち、公的機関たる中間管理機構が一旦借り受けて、そして、それを中間管理権として発動して、リシャッフル、交換分合してやるというのは、実際は余り起こっていない、結局は起こっていないでしょう。それから、地域外から人に入ってきてもらう、これもなかなか難しかった。

 結局、やはり集積とか集約は、私が思うに、一番地域の根深いところでの話合いを通じてしか成らないんですよ、簡単には。簡単には成らない。だから、広域に組織を何か置いて、皆さんどうですかと声かけしたところで、それで成るような話では私はないと思うんです。

 みっちり、市町村あるいは集落の単位で、きょうは時間がないのでそこまで行けませんけれども、人・農地プランの実質化と言われていますが、実質化という形で、言葉で言いあらわせないぐらいの深い議論を市町村レベルぐらいの地場の単位でやっていくようなことをしないと、これは進まないんじゃないかと思うんですね。上に、屋上をかけたところで進まないんじゃないかと思うものだから、そこに貴重な財源を何十億とかけていくのはいかがなものかなというふうに思うんです。そういう発想の転換を今こそすべきときに私は来ているんじゃないかというふうに思いますよ。

 きょうはちょっと私も、残念ながら時間が限られるので、更に法案の細部も含めて議論させていただきたいと思いますが、大きな論点としては、本当に、都道府県に何十億、何百億もお金をかけて中間管理機構なるボディーを置いてやっていくことが成果を上げるのかということ。

 やはり、市町村レベル、地場レベルにおいて、これまで、農業委員会の皆さんや、あるいはJAを含めた集積円滑化団体の皆さんなどがやってきた地場での取組に、より、貴重な財源があるんだったらそれを投入して、例えば、先ほど貴重な意見がありました、稲津先生から農業委員会の事務局の強化なんかの話がありましたけれども、そういったことも含めて地場に資源を投入していく、市町村に投入していく、農業委員会に投入していく、集積円滑化団体に投入していく、こういったことの方がより進むんじゃないかというふうに思うんです。

 こういった論点から、もう少し、この中間管理機構は何せ、繰り返しになりますけれども、大臣の所信表明の一番最初に出てくる論点ですから、極めて重要な論点なので、議論を深めさせていただきたいと思います。

 大臣にちょっとお尋ねしたい。

 これに関連することですけれども、農林水産省の機構・定員なんですね。先ほど来、私は、現場だ、地元だ、地場だ、ここが一番大切なんだということを繰り返し申させていただきました。農林政策というのはやはりそういうことだと思うんですよ、農林水産政策というのは。

 その現場、地場をつかさどる農林水産省の機構・定員、私、ちょうど去年の今ごろ、農林水産省の機構・定員の話をさせていただきました。資料をお配りしていますけれども、これを見ていただくと、農林水産省における定員減、下のグラフを見ていただくとおわかりになりますけれども、五カ年の定員削減計画で、定員減が農林水産省だけ政府の中で突出して多いことがわかる。我々がこうやって一生懸命、農林水産政策の議論をしているんだけれども、なぜか政府の中では農林水産省のひとり負けみたいな定員削減がされている、定員減がされている、これはいいのかということなんですね。

 去年、私、ここで取り上げて、内閣官房副長官、内閣人事局から来てもらって、官房副長官すら、農林水産省に過度に負担を負わせてしまっていると認めました。それを経て、大臣、三十一年度の定員確保、十分できましたか。どういう現状になっていますか。

吉川国務大臣 重要な御指摘をいただいたと思っております。

 平成三十一年度の機構・定員に関しましては、農林水産業を取り巻く諸課題に的確に対応するための要求を行ったところでございます。

 その結果、機構については、農地、農業用施設にかかわる防災、減災及び災害復旧のための体制強化といたしまして、農村振興局整備部に防災・減災対策室、新たな森林管理システムの適切な運用のための体制強化といたしまして、林野庁森林整備部に森林集積推進室、外国漁船に対する漁業取締りの強化のため、水産庁資源管理部に漁業取締課の設置要求が全て認められたところでございます。

 また、定員につきましては、計画的な定員合理化等により四百九十人の減員となったものの、他方で、新規増員といたしましては、自然災害の増加を踏まえまして、農地、農業用施設や大規模な山地災害にかかわる防災、減災及び災害復旧のための体制強化、訪日外国人旅行者の増加を踏まえまして、動植物検疫の適切な実施に向けた体制強化、さらには、外国漁船による違法操業の悪質、巧妙化を踏まえまして、漁業取締り体制の強化を図るため、百九十六人という、この五年間で最大の増員が認められたところでもございまして、これらの結果、今年度の定員は二万七百四十三人となったところでございます。

大串(博)委員 済みません、大臣に決意をもう一言お尋ねしたいと思うんですけれども、それでもことしは、三十年度の二万一千十三名から二万七百四十三名と、ぐっと減っていますね。これも、他省庁に比べると激減ですよ。

 この春は、夏に向けて、次期の五カ年の定員削減計画に関しての議論が行われますね。極めて重要な期間を迎えようとしています。こういったときに、次期の五カ年に向けて、やはり、農林水産省としてもしっかり要求、要望を出して、定員増をかち取っていくという姿勢を持ってもらわなきゃいかぬと思うんです。

 昨年、私、ここで、応援団として、内閣官房副長官からは、農林水産省に過度に負担を負ってもらっていますという答弁までとりました。応援団もこうやっているわけですから、ぜひ大臣、次期五カ年計画、そして来年度の機構・定員に関しては最大限要求、要望をしていって、定員を確保していくという決意をどうかお聞かせいただけないでしょうか。

吉川国務大臣 御指摘をいただきました定員に関しまして、適切に私どもも対応してまいりたいと存じます。

大串(博)委員 適切にではなくて、大臣、全力でやりますというふうに言っていただきたいと思いますし、ぜひ取り組んでいただきたいというふうに思います。

 機構に関しては、きょう、まず、さわりの議論をさせていただきました。ただ、さわりを議論しただけでも、中間管理事業としていかに成果を上げていないか、集積はいいんですよ、中間管理事業として成果を上げていないかというのがよくわかりました。

 私は、貴重な国の財源を使うのであれば、中間管理機構なるものの存在すらもう、なくてもいいと思っています。なくて、むしろ、地方の市町村ベースにより資源を回していくような、そういった大きな大転換をこの議論の中で皆さんとともに新たにつくり出していくべきだということを申し上げて、更に議論させていただきたいと思います。(吉川国務大臣「委員長」と呼ぶ)

 大臣、お願いします。

吉川国務大臣 補足してお答えをさせていただきたいと思いますけれども、今、大串委員からも御指摘をいただいておりますように、将来の業務運営に支障が生じませんように、地方農政局等の地方組織も含めまして、必要な定員の確保に努めるべく、今後もしっかり対応してまいりたいと存じます。

大串(博)委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

武藤委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 おはようございます。立憲民主党、神谷裕でございます。

 きょうもまた質問の機会をいただきましたことを御礼を申し上げます。

 まず冒頭でございます。

 今、大串委員からもお話ありましたとおりです。農林水産省、まさに現場、地域に足がなければ何もできないとは申しませんけれども、やはりしっかりやっていただかなければいけない。

 そういう意味において、先ほどの大臣の御決意を承ったんですが、やはり、やや寂しい感じがいたしております。何とか、この農水省の体制、これをしっかりしていただくこと、これがこの日本の地域政策にとっても非常に重要であると思っているところでございます。

 最後に補足をいただきましたけれども、どうか、私からも、農水省、しっかりしていただかないと、何よりしっかりしていただかないとこの日本の地域は成り立たないんだという思いで、ぜひお願いをしたいと思いますので、もし、大臣、重ねて御決意をいただけるのであればいただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょう。

吉川国務大臣 ただいま、大串委員の御指摘に対しまして、定員につきましてもお答えをさせていただきましたけれども、農林水産省といたしましては、農林水産業の成長産業化に向けた改革を進めてまいりました。さらに、家畜防疫ですとか動植物の検疫、さらには、自然災害の増加を踏まえた防災、減災ですとか災害復旧等、農林水産業を取り巻く諸課題の解決を図るために必要な定員を確保することが最も今必要だと考えております。

 このために、次期定員の合理化計画におきましても、先ほど申し上げましたように、将来の業務運営に支障が生じませんように、地方農政局等の地方組織も含めまして、必要な定員の確保に努めるべくしっかりと今後も対応していきたい、こう考えております。

神谷(裕)委員 ぜひ、本当にお願いをしたいと思います。

 先般も豚コレラの決議を当委員会でさせていただいております。しかし、残念ながらまだ終息の気配が見えないというような状況にもございます。もうここは、当委員会でも決議をさせていただいたとおり、一日も早く終息をさせなければなりません。最近に至ってやはり少し緩んでいるとは申しませんが、何とか早く終わらせようという決意がもっと見れてもいいんじゃないかなと思うわけでございますし、そのための定員も含めてしっかりと御措置をいただきたい。このことを重ねてお願いを申し上げさせていただきます。

 それでは、中間管理機構の質問をさせていただきたいと思います。

 先ほど大串委員からもいろいろお話がございました。私も、この中間管理事業、制定時にさかのぼってどうだったかなというのはやはり振り返らなければいけないんだろうというふうに思っております。

 あのとき、やはり大きな議論として、農水省、あるいはこの国会の皆様方もそうだったと思いますけれども、だんだん農家、農業者の方が減っている、縮小過程にある、そういう中で、誰に農地を耕していただくんだ、耕していただかなければいけないという思いがあったんだと思います。

 二〇一五年の農業センサスを見ていても、やはり農家の縮小が大きくなっていましたし、あるいは、農地の集積も進めていたというような状況にはありました。そういう縮小、再編の過程の中で農業、農村があったということだと思うんですけれども、そういう農村に人がいなくなる中で、誰に農地を耕していただくのか、これはやはり大問題だと思うんです。

 あのときに人・農地プランを入れたその経過の中では、当然さまざま議論があったんですけれども、例えば、企業が入ってくるんじゃないかとか、さまざま議論があったと思います。ただ、その中で、やはり、誰に農地を耕していただく、これは大事な話だと思いますので、まずこれについて伺いたいと思います。

吉川国務大臣 農業者の高齢化、減少化が進む中にありまして、我が国農業を持続的に発展させていくためには、効率的かつ安定的な経営体、いわゆる担い手でありますけれども、により、農地が有効に活用されることが必要であります。現在の担い手の経営発展を支援するとともに、新しい担い手の確保も図っていくことが重要であろうかと思います。

 加えて、今後、相当程度の農業者が高齢のためリタイアをした後の農地を担い手がまとまった形で利用できるようにすることも必要であろうかと存じます。このため、農地バンクによる担い手への農地集積、集約化を推進していくほか、六次産業化の推進ですとか、あるいはスマート農業の社会実装の加速化ですとか、基盤整備の推進、新規就農者の確保等により、担い手の確保とその所得向上も図っていかなければなりません。

 これらの取組を総合的に推進することによりまして、担い手による農地の有効利用を図っていくことといたしているところでもございます。

神谷(裕)委員 もう大臣おっしゃるとおりでございます。担い手にいかにして農地を集積していくか、これが本当に大事なことだと思います。

 ただ、やはり、当時の考え方としてというか、問題意識として持っていただかなければいけなかったのは、担い手に集中をしていかなければいけないと思う反面、果たして担い手が全て吸収できるのか。八割というような目標が実はそういう目標なのかもしれませんけれども、誰に最終的にこの国の大切な農地を耕していただくのか、これはやはり考えていかなければいけないという時期に来ているのかもしれません。

 そういった意味で、いろいろな政策を総動員していただいて、ぜひ担い手にしっかり農地を守っていただけるように頑張っていかなければいけないんだろうというふうに思うところでございます。

 また、中間管理機構、これは先ほど大串委員申していたとおり、中間管理事業でございますから、出し手と受け手、これを切り離すのが一つの目玉でございます。しかし、実態はどうだったかと申しますと、実は、ほぼ出し手と受け手が整わない限り前に進まないという事情にあったと私自身は思っています。ということになりますと、結果からすると、やはり現場に近いところでないとなかなかワークしなかったと思っています。ですので、市町村というのか、自治体、あるいは農業委員会の皆さん方が一生懸命動いていただいて、結果として、成果を上げてきたんだろうというふうには思うんです。

 とするならば、先ほど大串さんおっしゃっていたとおり、中間管理事業そのものを都道府県レベルで動かそうとしたことにやはり無理があったんじゃないかなと私自身も思うわけでございます。この辺について御所感を伺えたらと思います。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどもお話しいたしましたとおり、中間管理事業、これ自体は都道府県段階に置いているということについては、将来的な担い手の不足も含めて、地域の外から担い手を確保していくということにも対応できるようにということが一つの大きな理由だったと思っておりますけれども、だからといいまして、それだけをこの中間管理機構が目的としていたということではもちろんございませんで、先ほどもお話しいたしましたとおり、配分計画の原案も市町村がつくれるという枠組みもございますし、国会での修正によりまして、人・農地プランにつきましても、この中間管理事業の円滑な推進のために法律上位置づけられたという経緯もございます。

 ですので、我々といたしましては、中間管理事業が県段階で置いてありまして、担い手の活動が広域化する中で、いない場合には、地域外も含めて広く担い手を探すということ、それから、公的機関が間に立つということは農地バンクのよさとして残しつつ、地域における全体の農地の集積、集約化、どういう農地利用が将来いいのかというような機運をもう一度盛り上げていこう、そのためのいろいろな仕組みの改善をしようというのが今回の改正の趣旨でございます。

神谷(裕)委員 局長言っていただいたんですけれども、当初、もともと原案には人・農地プランを入れるということもなかったわけでございまして、国会における修正を踏まえてこうなったんじゃないかなというふうに記憶をしておりますし、そもそもの設計段階において、都道府県レベルでワークさせようというのはやはり無理があったんじゃないかなというふうにどうしても思えるんです。

 その上で、やはり現場というか、実際に農地の移動を見ておりますと、もう御案内のとおりで、農業委員会であったりJAであったり、そういったところがしっかり頑張っているところ、しっかり頑張っていただいたところこそ、こういうふうに移動しているというような現状が私はあると思います。

 そういった意味において、こういったJA等の位置づけが当初なされていなかったということもやはり問題だったと思うんですが、今回、そういう意味では、法案、五年の見直しを経てしっかり位置づけていこうというようなことになっておりますけれども、逆に言いますと、円滑化事業とかそういったものがこの中間管理事業に統合されるというような形になっているわけでございまして、むしろ逆行しているんじゃないかなと。

 要は、JA等をしっかり位置づけておきながら、一方でこれは統合していくというのは、何となくメッセージとして逆のような気がいたしまして、むしろ、こういった事業を強化していくというか、分離した上で強化していくというようにする方が私はふさわしいと思うんですけれども、これについてはいかがでございましょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今回、五年後見直しを行うに際しまして、我々としては、できるだけ具体的なデータ、具体的な事実に即して対応方策を考えていこうという方針で臨んだところでございます。

 円滑化事業につきましては、全体の実績をつぶさに見てみまして、これは、活発に活動を引き続き行っているところと、それから、むしろ農地バンク事業に移行している、県によって大分方針が違っておりました。

 引き続き特色ある取組を行って活発に活動しておりますのは、先ほど稲津議員からもお話のありましたとおり、約五県でございます。逆に言いますと、残りの四十二県におきましては、農地バンク創設以来、農地バンク事業への移行がもう進んでおります。ですので、今まで円滑化事業としてやってきたところについても、農地担当の職員を縮小したり、そういうような形になっているわけでございます。そういうようなこともありまして、事業実績といたしましても、ピーク時の三分の一程度まで減少しているという認識でございます。

 こういうようなことを踏まえまして、円滑化事業と農地バンク、当初はそれぞれ、まだ円滑化事業も各県において活動していたわけですので、併存をしていたということですけれども、五年後見直しの際にむしろこれは一体として推進をしていく体制をつくった方が担い手農家のためになるのではないかということで、今回、見直しをさせていただいているということでございます。

 それと、地域レベルを重視するというのは、これは、繰り返し申し上げましたとおり、農地バンク事業の本来の目的、あるいは、国会での修正によっても非常に重要だと位置づけられているところでございますが、例えば、農地利用最適化推進委員の位置づけが人・農地プランの規定の中にないとか、そういうところで、各地域の方々も、どの程度、どのようにかかわっていけばいいのかというような戸惑いもあったということも、農業委員会系統の全国団体の方々からも聞いておりまして、それを位置づけてくれという要望もございました。

 こういうものを踏まえまして、農地バンク事業を全体としてうまく機能させるために、市町村レベルでのリンク、連携を強めていこうという考え方に立った次第でございます。

神谷(裕)委員 やはり地域というか現場に近いところで話をしていただかないとこういうものというのは進まないと私は思うんです。

 実際に、先ほどもお話あったとおり、誰でもいいから貸します、誰でもいいから受けてくださいというような形にはなかなか実はなっていないというふうに聞いておりますし、地域から受け手を探すのがやはり一番だと思うんですけれども、それもなかなか難しくなっているのかなというような感じがいたしています。

 ですので、一番最初に大臣にも、誰が誰に耕していただくのかというのをやはり考えていかなければいけないだろう、地域で誰に耕していただくのかということを考えていかなければいけないなというようなお話を申し上げたわけなんですけれども、そうなると、もちろんこの農地バンクそのものが一つの施策であるということは否定はしませんけれども、本質において、農業経営というのをどうやって支えていくかというのがむしろやはり大事なんじゃないかと思うわけでございます。やはり、農家の子弟が継いでみたい、あるいは、農家のお父さんが子供にいいぞと言えるような農業にしていかなきゃいけないというふうに思うわけでございます。

 そういった意味では、むしろ経営支援策であるとか収入確保策であるとか、そういったものが不足しているというメッセージとも捉えられるんじゃないかと思うんですけれども、こういったものについてもやはり重要だということは間違いないと思うんですが、やはりこれが足りていないんだというメッセージだと私は思うんですけれども、これについての御所感をいただけたらと思います。

吉川国務大臣 今、神谷委員から御指摘ありました、地域の担い手不足に対しての担い手の育成ですとか支援策というのは大変重要なことだと思っております。

 今、もう御承知のとおり、農業者の高齢化、減少化が進む中、我が国の農業を持続的に発展させていくためには、効率的かつ安定的な農業経営を育成、確保するということが大切でありますし、農業生産の相当部分を担う農業構造を構築することも重要であります。

 このために、今回見直しを行う農地バンクによる取組だけではございませんで、担い手が主体性と創意工夫を発揮して経営発展できるように、融資、税制などを通じ重点的に支援をいたしたいと思っております。

 さらには、法人化や経営継承など、担い手の経営上の課題の解決を図るための経営相談体制の整備も行いたいと思います。

 そして、担い手のさまざまなチャレンジに伴うリスクに対するセーフティーネットとしての収入保険制度の創設等も推進をしているところでございますけれども、これらの取組を総合的に推進をすることによりまして、担い手の育成、確保にもしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

神谷(裕)委員 ぜひお願いをしたいと思いますし、やはり、人口減少ではないんですが、農村人口が減っています、農家も減っています、高齢化も進んでいます、その後、引受手がいません。これはやはり、この中間管理事業だけでは到底克服できる問題ではありません。もちろん、農地の集積、大事ですし、そこを担い手にやっていく、そして、面積拡大していけば食べていけるんじゃないかという考え方はわからなくはないんですが、それだけでは十分ではないというのが現状なんだと思います。

 とするならば、やはり個々の経営についてもうちょっと着目をした形での、この辺の強化、これをぜひあわせてお願いをしなければいけないのかなというふうに思っております。

 大臣も御案内のとおり、北海道、だんだんだんだん農業者が減ってきているものですから、それを地域の皆さんで吸収していただいて、何とか近所で引き受けていただいて、荒れないようにということで頑張っていただいていると思うんですけれども、そういう形で一生懸命頑張っていただいているんですけれども、だんだんだんだんやはり一戸当たりの面積も相当大きくなっていまして、そろそろ吸収するにも限界が近づいているというような声も聞かれつつあるかなというふうに思っています。

 貸そうにも、やはり地域で受け手が徐々に徐々にいなくなっていくという状況が現実化しつつあると思うんですけれども、この辺について御所感をいただけたらと思います。

大澤政府参考人 そういう北海道のように大規模化が相当進んでいる地域におきましても、やはり人口減少等々、農業者の減少等の影響によりまして、担い手が自分の経営のペースを超えて規模拡大しなきゃいけない、地域を維持するためには、それで、なかなか、そこまでいきますと、これ以上担い手でも農地を引き受ける余地が少ないという場合もあるというふうに承知いたしてございます。

 こういうことに対処いたしまして、やはり地域の農協でありますとか、あるいはさまざまな市町村等が新規就農のためのいろいろな取組を行っていることも承知いたしております。

 今回のこの農地バンクの見直しに限って申しますと、その中でも、やはり新規就農等で特色のある取組を行っておられる旧円滑化団体につきましては、この役割をなるべく維持した形で、一方で、担い手のリスト、農地のリストの共通化ということのためもありまして、円滑化団体と農地バンクを、円滑化団体の活動を損なわない形で統合一体化する、こういう考え方を打ち出したことでございますし、新規就農の事業につきましても、引き続きJA等が取り組めるように、必要な見直しも行いたいというふうに考えているところでございます。

神谷(裕)委員 北海道、本当に、集約が大分進んでいます。面的な支援もいただいていますし、機械化投資でも支援をいただいていますけれども、それでもやはり厳しいという声が、もうそろそろ限界に近いというような声も聞こえているわけであります。そういう中で、現実の話として、八割を担い手に集積をさせる、これはやはりちょっと、現実味、遠いなというような気もいたしています。というのは、現場の農家さんがそういうような形で、もうそろそろ限界に近いよというメッセージを放っていただいているわけです。

 そういう意味で、本当に、更に機械投資をしていただくのか、あるいは、さまざまな支援をしていただいたとしてどれだけできるのか、そこも現実論としてあるんだということをぜひ踏まえていただきたいと思いますし、ぜひお考えをいただきたいと思います。

 また、北海道においては、どちらかというと、貸し借りではなくて、売買というのが中心でございます。自分の農地ですから、しっかりと頑張っていただいています。もちろん負債も大きくなるんですけれども、そういったところはあるにしても、しっかり売買でやって今まで吸収をしていただいています。

 ただ、見ておりますと、中間管理事業そのものは貸し手、借り手の世界がメーンでございますから、売買についての集積というのが実は余り、寂しいなというふうに若干思っていまして、政策目的としては、担い手に農地を集積をしていくという目的は一緒だとするならば、貸し手、借り手だけではなくて、むしろ売買についてもしっかりと支えていただきたいと思うところでございます。

 これについてぜひお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 北海道におきましては、御指摘のとおり、地権者の多くが担い手でございまして、かつ、売買による農地の権利移転が中心であるということで、所有権の移転による担い手への農地集積、これが一般的な地域もあるというふうに承知しております。北海道の関係団体であります北農中あるいは北海道農業会議からも、担い手が中心である地域について、農地の売買による集積についても支援の拡充を要望したいという要望があったというふうに承知してございます。

 こういうことも受けまして、今回の見直しの中では、農用地利用規程の特例といたしまして、地域で担い手を特定し、特定された担い手又は農地バンク以外への貸付けを制限する、そういう規程をつくった場合には、そういう仕組みをつくった上で、本特例を活用して農地バンクに農地が買い取られる場合に、二千万円までの譲渡所得の特別控除の適用対象とするという税制措置を講ずることといたしたところでございます。

 北海道特有の所有権移転に対する支援につきましては、本制度を活用しまして負担の軽減等を図ってまいりたいというふうに我々は考えてございます。

神谷(裕)委員 ありがとうございます。

 中間管理事業の中で二千万円の話は出ていたんですけれども、これによらなくとも、例えば農地の売買について、何らか、いろいろな形でも考えていただけたらなということをあわせてお願いをしたいと思います。

 先ほど大串さんからもお話ありました。この事業、やはり中山間地とか条件不利地にはききが悪いんじゃないかなと私は実は思っています。一回出し手の方から引き受けて、例えばさまざまな基盤整備を施した上で新たな借り手に貸し付けていくというのが本来の絵だと思うんですけれども、やはり中山間地であるとか条件不利地というのは、基盤整備事業をするにしても面的な部分であるとか省力化はなかなか難しいんだろうと思いますし、そういった意味で、なかなか収益も上がらない、上がらないというわけではないんでしょうけれども、なかなか難しいんだろうというふうに思います。

 そういう意味で、中山間地あるいはこういったところに、先ほど実績も伺いましたけれども、やはり低調になるというのも仕方がないのかなとは思いながら、かといって、耕作放棄地であるとかそういうもの、要は、お貸しになりたい、出し手が多いところはそういったところなんだろうというふうに思うわけです。

 そういった意味で、この事業、ききが悪いということであるわけですから、やはり何らか考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うわけでありますし、ひょっとすると、本来、そういったところに対処するための法律がきいていないというのは、これは致命的な結果にもなりますので、こういったところをぜひ考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域について事業を振興するということは今回の課題の一つでもあると思っておりますし、所要の対策も行ってまいりたいというふうに考えてございます。

 二十六年に農地バンクができまして、そのときは全国的な制度をまずつくることを優先したわけでございますけれども、予算の、公共事業の集中でありますとか、それから土地改良法を改正いたしまして、中山間地域については、今、特別の要件で圃場整備事業を実施できるようにする、あるいはその負担をなくできるようにするとか、逐次充実しているつもりでございますけれども、その充実した措置も今年度でまだ二年目を迎えるというようなこともございますので、その辺については、事業の普及、拡大、拡充等々を図っていきたいと思っております。

 今回の見直しにおきましては、やはり予算面では、地域機構集積協力金を中山間地農業ルネッサンス事業に新たに位置づけまして、この予算の六割を優先枠として設けたところでございます。また、中山間地域における農地の最低集積要件、事業を使う際の要件を平場に比べて五分の一に緩和したところでございます。

 このような逐次の措置を有効に活用することによりまして、中山間地域について特に意を払ってまいりたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 本当に、西側は特に水張り面積もどんどん落ちている、減ってきているということも聞いておりますし、引受手がだんだんやはり減ってきているのかなというふうに思います。そういった方にやはりきかなければ、この法律というか中間管理事業の意味が、ないとは言いませんけれども、やはりしっかりときいていただかなきゃいけないものですから、このやり方で本当にいいのか、一回考えなければいけないんじゃないかなと思うところでございますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思っています。

 先ほどから、人・農地プランについての実質化についてのお話があったと思います。

 やはり人・農地プランは大事だと思うんですけれども、何が問題であったのか伺いたいと思いますし、また、今回の改正で実質化というのが進むのか、それについて伺えたらと思います。

大澤政府参考人 人・農地プランにつきましては、ほぼ、九割以上の市町村におきまして、総計で約一万五千のプランが作成されておりますので、形としては、ほぼ、多くの市町村をカバーしていると認識しておりますけれども、その中を見てみますと、農地の出し手が一切記載されていないものが半数を占めているということで、我々から見ても、本当に議論をした結果、地域の農地の将来方向について決まったとはなかなか言えないものというのが相当あるというふうな検証を今回いたしたところでございます。

 その原因といたしましては、やはり、幾つかありますけれども、取りまとめ役であります市町村の人員の不足、あるいは、農地の出し手の個別の名前それから農地の場所等を全て記載させるというような様式をつくっていたことによります誤解といいますか、人・農地プランに出し手の名前として位置づけられてしまうと、すぐにもう農業をやめろというプレッシャーがどんどん出てくるんじゃないかとかいうような話も聞いたことがございます。それから、この事業にリンクしていたものが次世代人材投資事業というのが主だったものですから、その事業を使いたいがためにプランだけつくりましたというようなこともあったというふうに認識しております。

 今回につきましては、事業の優先をする対象も施設整備等々、あるいは、機構の協力金についても、地域タイプを充実することによってそのリンクを強めようとしておりますし、市町村の人手不足問題につきましては、農業委員、推進委員の活用のための、予算の見直しも含めて、活用を法律上位置づけたところでございますし、それから、農地の出し手を書かせるということについても見直しをいたしまして、まず議論を優先して現状をよく見ていただこうということで、地図を活用して地域の現状をなるべく地域の方々で共有していただくという方法論も法律上位置づけさせていただいているところでございまして、そういうような措置を使うことによりまして再活性化していきたいというふうに考えてございます。

神谷(裕)委員 この人・農地プラン、本当に重要だと思っています。

 一つには、地域で、未来のこの地域をどうしていこうか、どなたに集積をしていこうか、それをしっかりと話し合っていただこうというのが一つございました。

 そしてまた、当時の記憶として、外部から例えば突然企業が入ってきたときに、地域の皆さん方が受け入れられないのにできるか、そういうようなこともあって、この人・農地プラン、絶対に入れていかなきゃいけないんだというのが当時の与野党の考え方であったと思います。

 ですので、この人・農地プラン、協議の場、これは本当に重要だと思いますし、これをしっかりとワークさせていくことが重要だと思うんです。ですので、しっかり支援をしていただかなければいけないと思います。

 ただ、若干気になりますのは、これだけ広域化で一人の耕作面積が広くなっていると、従来型であると、農村集落という単位での人・農地プラン、協議の場であったと思うんですけれども、お話を聞いていますと、幾つかの府県にまたがったり、そういうような事例も散見されるというようなことでございますから、そもそもにおいて、協議の場あるいは人・農地プラン、この作成の仕方が従来と、我々の考え方と若干変わってきているのかなというふうに思うわけでございます。

 そういった仕掛けもしっかりと考えていただきたいということをお願いを申し上げさせていただいて、時間でございますので、私の質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

武藤委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 質疑に入らせていただく前に、昨日、櫻田五輪担当大臣が辞任をされました。本当に強い怒りを覚えます。恐らく与党の皆様もそうだと思います。

 なぜこの話から入らせていただくかと申しますと、二〇一一年、私も一期目の議員でしたけれども、東日本大震災があってから、福島県広野町に、浪人時も、今もですけれども、通わせていただいています。やはり一人の議員で広域を見るのは厳しい、一つの自治体を丁寧に見ていこうということで、この広野町というところは、いわき市より一つ北の自治体でして、福島第一原発から二十キロから三十キロ圏内にちょうど入る自治体でして、最初から入れるような、そういった自治体でした。

 二〇一一年の四月、五月とずっと入り続けていたんですが、二回目に入ったときにはちょうど五月です。五月といえば、大体田植の時期です。私も田園地帯で生まれ育った人間ですから、五月の、みずみずしい、田植が始まるか始まったか、それぞれの色合いの違いというのは、ありふれた当たり前の景色です。そのありふれた当たり前の景色が全く動いていないということを、本当に心を痛めました。

 そして、秋になりました。秋になったときに、ある農家の方と出会いました。その方は、今となっては本当に元気に頑張られておられまして、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、アヒルを使いましてお米づくりをされている。アヒルは害虫を食べて、かつ、アヒルが動き回ることで雑草も抜けて、一挙両得といいますか、そういうことでお米づくりを頑張られて、しかも、そこからお酒もつくっていただいています。そのお酒も私もいただきました。

 その方と秋に会ったときに、実際には九月だったんですけれども、お米をつくられていました。なぜつくっていたかといいますと、放射性物質の影響がどれくらいあるかということで、三種類つくっていました。米の種類ではなくて、五センチ表土を剥いだ、表土を取り除いて植えた苗、稲と、そしてそのままで植えた稲と、そして炭をまぜれば放射性物質を吸い取ってくれるのではないか、そういったことも含めて、三種類の田んぼを、本当に少しだけですけれどもつくられておられました。

 そして、その方が言われたのは、俺たちは食べるものをつくっている、でも今は食べれないものをつくっているんだ、そういうつらい気持ちをあんたらはちゃんとわかれということで、怒られました。

 そういうつらい環境の中から、ようやく今、笑顔を出しながら頑張られておられます方がいらっしゃいます。

 そして、くしくも昨日は、大熊町そして双葉町、この二つの町がようやく、避難指示、ほんのごくごく一部ですけれども、解除になりました。その町の方からは、二月ぐらい前に言われました、復興五輪ということで、復興オリンピックということで大々的に言わないでくれ、自分たちはまだこれから復興の準備をしていくんだと。そういったときに、日本全国で世界へ向けて復興した、復興したとわいわい騒がないで、勘違いされるから。自分たちはここから始めるんだ、四月から始めるんだということで、いろいろな準備も見てきました。

 そういう方々も含めて、本当に私としては怒り心頭でございます。別に、野党が与党をたたきたいというわけではありません。今、内閣では、全員が復興大臣だ、そういうことで安倍政権は言われています。私たちも、一議員も復興担当議員なんだ、そういう思いでおりますので、本当に被災地からの復興ということに対しては緊張感を持っていただきたいと思いますし、現場へ行けば行くほど悩みというのが、もちろん復興からの喜びもありますが、悩みというのも時間軸で随分変わってきますので、本当に皆様とともに寄り添っていけたらなと。私は、大臣ではなくて国会議員もやめるべきだというふうに思います。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 先ほどから、農林水産省の人員の件がございました。

 済みません、質問の順番が変わりますけれども、今回の中間管理機構の一つの目的、目標というのが大規模化、集約化にある。これは、私もその方向性としては否定をするものではありません。

 ただ一方で、例えば私の近所でいきますと、二十人でお米をつくっていました、そして今はもう三人から四人ぐらいでやっていますというところが、やはりどんどん、集約化というのはそういうことだと思うんですよね、面積が変わらなくても。ということは、今まで二十人がそれぞれの細かいところで目くばせをしていた、例えばおかしな動物が入ってくるとか、例えば山が少し崩れてきたのをまずは自分たちで直すとか行政に連絡をするとか、そういったことがあったのが、今、集約化されることによって、現地での現場の人たちがそもそも減ってきているという現状があります。

 この大規模化、集約化というのは、コストダウンということは言えるんですけれども、一方で、現場の方々の集約化、コストダウンということがあったとしても、公とすればむしろ手間暇かけなきゃいけないということは、私は意識していく必要があるんだろうなというふうに思っています。

 そして、先ほどからお話がありました大和堆における違法操業問題、水産庁、人員も含めて、装備も含めてふやしていかなければいけないと思いますし、そして豚コレラの問題がありました、アフリカ豚コレラの問題もあります、防疫体制も含めて、日本はこれから観光立国でどんどんどんどん外国人をふやしていこうということですから、人をふやしていかなくてはいけません。

 大臣が先ほどから、支障がないように人員を確保するというようなことを言われておられましたが、少なくとも、支障が出ないようにというよりも、攻めていくという気持ち、攻めの農業という言葉も今政権で盛んに言われていますから、人員確保というところでは攻めていくんだ、そして今の集約化の方向性として、効率化で減っていくということではなくて、どんどんどんどん私たちは拡大をしていかなきゃいけないんだということも意識をしていただきたいと思いますが、この人員確保というところについての御所見をお願いいたします。

吉川国務大臣 農林水産省といたしましては、農林水産業の成長産業化に向けた改革を進めるとともに、家畜防疫や動植物検疫、自然災害の増加を踏まえた防災、減災や災害復旧等、農林水産業を取り巻く諸課題の解決を図るために、毎年度所要の増員を行うなど、必要な定員の確保に努めてきているところでもございます。

 今後とも、時々の政策課題に的確に対応していかなければなりませんので、将来の業務運営に支障が生じませんように、必要な定員の確保に努めてまいらなければならないと存じております。

 先ほども私申し上げましたように、地方の農政局等々におきましても、さらには水産関係、そしてまた、今委員からも御指摘もございましたように、豚コレラ対策の防疫対策等々も含めまして、しっかりと対応していかなければならないさまざまな課題が出てまいっておりますので、しっかりと定員の確保にはこれからも努めてまいりたいと存じます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 私はいつもこうやって能登半島の形をしていますけれども、どんどんどんどん縮小されてきました。輪島というところから、輪島市は朝市で有名ですけれども、珠洲というところまで一時間かかりますが、今は輪島も、そして七尾というところからも一時間半で珠洲に行けるんですが、今はもう全部金沢、ほぼ金沢という状況です。二時間以上かかります。

 恐らくは、石川県は面積としては非常にまだ小さい方ですから、大きな自治体はもっともっと隅々まで目配りをしていくということでは、皆様は移動だけでも大変御苦労されているんじゃないかなというふうにも思いますので、そこにも気配りをしていただければというふうに思います。どうかよろしくお願いいたします。

 それでは、本題の農地中間管理機構にかかわる法律についての議論を進めさせていただきたいと思います。

 きょうは、このもとになる基本法、そしてさらには現状、進捗状況、そして次には人・農地プランについて、そして中間管理機構の体制についてということでお伺いしていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 食料・農業・農村基本法がそもそもの、もとの部分になるんじゃないかなというふうには思いますが、もう二十年たっています。この評価や基本認識を伺います。

吉川国務大臣 食料・農業・農村基本法につきましての基本認識についてお伺いがございました。

 平成十一年に制定をされました食料・農業・農村基本法は、食料、農業及び農村に関する施策につきまして、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定めるとともに、国や地方公共団体の責務等を明らかにするものであります。

 安倍内閣におきましては、農業従事者の高齢化、耕作放棄地の増大など、農業を取り巻く環境が厳しい中で、基本法に定められた基本理念を実現するために、農地バンクによる農地の集積、集約化、米政策改革、それから六十年ぶりの農協改革など、農業を産業として強くするための改革を強力に進めているところでもございます。また、日本型直接支払制度を創設をいたしまして、農村地域の共同活動ですとか営農の継続等に必要な支援を行うなど、地域の活力を維持向上させるための施策、いわゆる地域政策でありますが、これを車の両輪として着実に実施もしているところでもございます。

 さらに、食品の安全性、品質の向上、不測時の食料安全保障など、食料政策の充実にも取り組んでいるところでございまするけれども、次期食料・農業・農村基本計画におきましても、更に施策を充実をさせて、食料の安定供給の確保ですとか、多面的機能の発揮、農業の持続的な発展、そして農村の振興といった基本理念の実現に向けまして全力で取り組んでまいりたいと存じます。

近藤(和)委員 その中で、「効率的かつ安定的な農業経営」という言葉ですとか、同じように、「効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する」という言葉がたびたび出てきますが、この「効率的かつ安定的な」というのはどういうことを指すんでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 通告が必ずしもございませんでしたので、資料は持っておりませんのであれですけれども、具体的には、今回の改正にも入っております農業経営基盤強化法で、他産業と遜色ないような所得を上げるような農業者を認定、そういう者を育成するために認定農業者制度というのを設けておりますけれども、そういうような認定農業者制度の趣旨の中にも効率的かつ安定的な経営というのが入っておりますし、そういう形で、農業を中心として一定の所得を上げていくという方で、労働時間的にもしっかりと農業中心でやっておられるというような方を指していると思って、基本的な考え方としてはそういうふうに思っているところでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 この効率的かつ安定的でということを求め過ぎると、切り捨てられる方が、地域が出てくるということは認識をしてほしいなと思います。

 そして、地域を回ってみますと、畑に出ているおばあちゃん、おじいちゃん、草むしりなどをしていて、これをやっていると健康にいいんだ、気持ちがいいんだ、そうすると体だけではなくて頭にもよくて、結果として子供や孫に迷惑をかけなくていいんだ、こういう方々もたくさんいらっしゃいます。この効率的かつ安定的なというところは大事な部分かもしれないですけれども、その影になる部分がある方もたくさんいらっしゃるということも認識をしていただきたいというふうにも思います。

 そしてさらには、農業をどんどん産業化していくということは、確かにそうかもしれません、大事なことだというふうには思いますけれども、もうからないところにも大事な部分があるんだということも同様に意識をして、今後、私も議論を進めていきたいと思いますので、こういうふうにもまた感じていただければというふうに思います。

 それでは、進捗状況について伺います。

 現在、進捗状況については、先ほどからお話がございました五五・二%ということですが、こちらについての評価、現状をどのように考えているかということをお願いいたします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、これは歴史的というか時系列的に見ますと、農地バンク事業が開始された平成二十六年度以降、担い手への農地集積というのは上昇に転じておりますので、そういう意味で、農地バンクの創設の効果としてはあったのかなというふうに思っております。

 他方で、その伸びは近年鈍化しているというふうに認識しております。この原因は主に、農地バンクができたときには、農地の集積、集約化の機運が以前からあった平場の水田地帯での事業の活用というのが主に行われたというふうに理解しておりますが、その活用が一巡いたしまして、例えば、典型的には平場の集落営農による事業の活用というのが最近少なくなってきて、以前に比べますと少なくなってきております。

 ということで、やはり今後は、新たに地域の話合いから始めなければならない地域、より難しくなってくると思っておりますけれども、そういう地域について事業をどうやって進めていくかというようなことが必要になってくる。地域的には、やはり中山間地域、これをどうてこ入れをしていくかというのが課題だと認識しております。

近藤(和)委員 当初のところは、既に機運があった平場のところから進んでいって、伸びは最初はあったけれども、今は少し鈍化をしてきたということでよろしかったですよね。

 ただしなんですけれども、十年間で八割まで持っていくということで、一年当たりに割り直すと十四万九千ヘクタール目標ということですよね。一番伸びた年であったとしても、約八万ヘクタールということですよね。そうなので、最初はよかったけれども今はそうじゃないということそもそもが、最初はよかったという前提が、私は、認識が足りないのかな、若しくは当初からの目標が誤っていたのかなというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 この八割目標ができた考え方でございますが、これは、平成十二年から平成二十二年までの十年間で、担い手の農地利用割合が約三割から約五割に二割増加したということが事実としてございましたので、これを平成二十六年度以降の十年間で五〇%増し、一・五倍に加速する、そういうような形で目標が設定されてきたわけでございます。

 現時点で、担い手がどんどん減っていく中で、やはり、地域の農業の維持発展を図るためには、担い手に農地を集積するという目標自体は大事だと思っております。ですので、八割目標、正直なかなか、今の現状からいって、やるには相当加速化しなきゃいけないということは事実でございますけれども、やはり、無理があったかどうかとか、そういうことよりも、まず、地域における各地域の体制を人・農地プランを中心に立て直した上で、地域がどのくらいできるのか、これをまず、再運動活性化ということをやらせていただきたいというふうに考えているところでございます。

近藤(和)委員 気合いは大事です。本当にそう思います。私もそういう会社にいましたから。

 ついていける人はついていけます。ただ、ついていけない方もたくさんいらっしゃいます。やはり、農家の方から言われるのが、天気に左右される仕事だ、これだけでも大変なのに、政策に振り回されるのは勘弁してくれということはすごく言われるんですよね。

 そういった中で、現実、達成が相当厳しいようなものが降りかかってくる。これは農家の方だけじゃないと思います。それぞれの現場現場の、役所の方々も含めて、いや、それは無理だよということが、本当の意味での身の入った計画にならないんじゃないかということを私は心配をしております。

 そして、その上でですけれども、この八割目標というのが、あくまでも全国的にということなんですよね。各自治体ごとの目標というのはどのようにして決めていったのかを教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 これは、全国の八割目標に加えまして、年間集積目標というのは各都道府県において設定されておりますけれども、この考え方といたしましては、各都道府県の平成二十六年三月末時点の集積率、これを考慮しながら、そこを出発点として設定しているというふうに認識をしているところでございます。

近藤(和)委員 再度確認したいと思うんですが、まず全国的な八割ありきで各自治体ごとに割り振っていったということでよろしいんでしょうか。

大澤政府参考人 全体として八割になるということを考慮しながら、各県においては一つの目安としてつくっているというふうに認識しております。

近藤(和)委員 次へ向け、また更に五年間ということで、更に見直しをしていこうというわけですよね。そして、少なくとも、うまくいっていなかったということの反省に立たなきゃいけません。あと四年間ですか、二〇二三年、計画的にはあと六年ですよね、年度で考えると、数字が出てきていない部分で考えると。そうすると、あと四%ずつ伸ばしていかなきゃいけないんですよね、単純計算でいくと。もうとんでもない状況だと思っています。

 本気でやろうと思えば、各自治体からの積み上げで、じゃ、どこまでできますか、どこまでやってもらえませんかということを積み上げていった上での目標再設定じゃないと、私は、また数年後に同じような議論を繰り返してしまうのではないかと心配をしています。

 なぜかといいますと、北海道がそもそも、スタートした時点で八六%ですよね。先ほど、神谷議員のお話も伺っていましても、今九〇・六%ということで、もういっぱいいっぱいになっています。北海道さんにこれ以上頑張れと言うことそのものが、頑張ってきた人にむちを打つようなものだというふうにも思いますし、各自治体ごとの数字でいきますと、ほかの自治体で頑張っている、伸びているところは、山形県一四・八%、全国の平均でいくと六・五%ふえていますけれども、山形が一四・八%、そして石川県も一五・七%ということで、非常に優秀だ。これが優秀かどうかという評価も分かれるかというふうには思いますけれども、頑張っているんだなというふうに思います。

 一方で、これは土地柄、品目ということもあるんでしょうけれども、神奈川ではマイナス、そして香川では一%ということで、香川は去年の段階だと、マイナスですよね、数字でいうと二六・八パーで、昨年が二七・八で、その前だと二六・五ということで、マイナスだったわけですよね。

 好事例、頑張ってきた自治体が何がよかったのか、そして、反対に伸びなかった自治体は何が原因だったのかということの分析はどのようにされておられますでしょうか。

大澤政府参考人 県別の集積率の変化につきましては、先生の御指摘のとおりでございます。

 我々といたしましては、やはり、集落営農の取組、特に北陸地方がそうだと思いますけれども、や水田率の高い地域においては、地域の話合いに基づく集積が、既に素地があり、それが進んだというふうに考えておりますが、先ほどの例の、神奈川県のように大都市圏を抱える地域、あるいは中山間地を抱える地域については、話合いに基づく集積が進みにくかったというふうに考えております。

 なお、香川県につきましては、非常に集落営農が組織化されていたんですけれども、なかなか次のオペレーターが見つからない等々で、集落営農を一旦解散といいますか、もう一回つくり直して、よりサイズの小さいものにつくりかえたというのが影響しているというふうに認識してございます。

 それぞれ地域において状況が違いますので、我々としては、今回の見直しにおいては、やはり、市町村というよりももっと下のレベルで、集落レベルあるいは複数集落レベルでの人・農地プランの実質化、これにまず力を置きたいというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 今、香川県のお話をしていただきましたけれども、では、香川県、今後どこまで頑張ってほしいという、これは現地の皆様にお任せする、国から、この程度は頑張ってもらえないかなということなども含めて、そういう動きはされるんでしょうか。

大澤政府参考人 あくまで、最終的にこれをやっていこうというのは地域の方々だと思っておりますけれども、我々としても、やはり、これは全国的な担い手不足からくる課題の、一つの地域の例ということでありますので、全体としてこの人・農地プランは活性化するんだというような考え方、これを法律の中に盛り込んで、その中で、各地域ごとに個別の支援なり相談に応じるなりしてまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 人・農地プランの、実のあるものにつくり直していくという、この後議論していきたいと思いますけれども、大体一年から二年ぐらいかかるということも伺っています。本当に心あるエンジンが入りましたというので、もう二年かかるわけですよね。そうすると、もっともっと、この目標達成に向けてが六年じゃなくて四年ということになるようなものですから、ここは本当に現実的な、頑張っている人にこれ以上頑張れと無理を言わないような形で、それこそ頑張ってほしいなというふうに思っています。

 実際には、スタートしてから、集積面積の合計でいきますと、二十四万六千ヘクタールのうち、北海道が一番多いんですけれども、三万九千ヘクタールですが、北海道プラス東北六県だけで集積面積の半分を超えているというような状況です。

 そうなので、全国的にも、地域のばらつき、もちろん、どういう土地柄かということも作物も含めてあるとは思いますけれども、こういったことをもうちょっと丁寧にしていかなければ、結局は、進んでいませんでした、予算をかけたけれども思ったほどいきませんでしたということになるのではないかなということも心配をしているところでございます。

 そしてさらに、今、現実的に、つくらない、耕作放棄地のお話も一部ございました。嫌な話ですけれども、つくらない、分母の面積が減ってきているということもありますし、つくらない方もふえてきているので、何もしなくてもという言い方は失礼だとは思いますけれども、パーセンテージは微増する可能性はあるのではないかなと思っています。

 もちろん、この方針そのものを私は否定するつもりはありませんけれども、でき得れば、この放棄地を取り込むような形で集積率を、結果的には、この体制がしっかり整っていれば、今でも放棄地がふえているわけですよね、面積、耕作地が減っているわけですよね、それが減らない、横ばいということであれば、すごくよかったねということは言えると思うんです。これが取り入れられるようなものであれば、五年後、例えば目標達成は八割いっていませんでした、しかし耕作地は減っていませんでしたということは、私は一つのハッピーシナリオだというふうに思いますが、ここについての取組はどのようにされておられますでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどから、委員の方から、八割目標について、この数字の達成についていろいろ御指摘がございますが、我々といたしましては、例えば目標を下げるとなりますと、これはもう今までの努力よりも少なくていいんだという誤ったメッセージになるということは避けたいと思っております。

 他方で、先生の御指摘のように、耕作放棄地が減っていくと分母が減るのでこれは微増していくんだという、こういう数字の、まあ、どんな数字をとってもいろいろ、一〇〇%完璧な数字というのはございませんので、そういう形で数字を上げることを期待するとかそういうことも行わないように、あるいは、そういうことを考えているのではないということはちゃんと説明してまいりたいと思います。

 要は、担い手が不足している中でどうやって、地域農業を維持発展させていくために何が必要か、そのために、やはり担い手に集積することを加速することが必要じゃないか、こういうことが大事だと思っております。

 そういう中で、先生の御指摘のとおり、荒廃農地の発生防止、解消、こういうことも非常に大事だと思っておりまして、こういうところにも、農地バンクが外から担い手を持ってくるとか、あるいは農地バンクに関連する事業の要件緩和等も行っておりますので、こういう中で耕作放棄地の解消にももちろん努めてまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 ぜひとも、ここは成果にでき得るところだというふうに思っていますので、頑張っていただきたいなというふうに思います。

 中間管理事業の評価のところは少し、ちょっときょうは時間がございませんので、人・農地プランのところについてもちょっと、一問だけにいたしたいと思います。

 先ほど、稲津委員からもございましたけれども、農業委員の事務方のお話がございました。私も心配をしているのが、この人・農地プランを作成していくに当たって農業委員、推進委員の方々に入っていただくというのも本当に大事なことだというふうに思っています、なんですけれども、現実的に、本当にそれが効果的に発揮し得ることができるのかなということは心配をしているんですね。

 何かといいますと、例えば、私の住んでいる町は一万五千人です。農業委員、推進委員の方がそれぞれ十四人ずついらっしゃいます。二十八人ですから、大体きょうお集まりの議員くらいの人数ですよね。これくらいの人数の方々が、しかも地域のことを深く知って頑張っておられる方々で、例えば一つの町でプランをつくるとしたら、じゃ、みんなで議論をして、いいプランをまとめましょうといっても、そんな簡単に、議論が進めにくいと思うんですよね。取りまとめの事務局がしっかりと機能しなければいけない。市、町の職員も含めて、本当に実のあるプランにしていくための体制というところが大丈夫なのかなというふうに思いますが、ここについてはいかがでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 人手不足はさまざまなところにございます。市町村の職員も、先ほど数字の御紹介もありましたとおり、非常に不足しているという中で、やはり我々は、地域で活発に農地の集積、集約化の仲立ちをしていただく方、それを地域の特性に応じて全体で進んでいく体制をつくろうということでございます。

 市町村については、国の支援といたしましても、今回から、人・農地プランに関係するアンケート、地図作成に要する経費については、アルバイトの活用も含めて、支援するというふうに考えてございます。

 また、農業委員会の事務局職員の業務に必要な経費を、三十一年度予算より新たに農地利用の意向調査の経費として支援することといたしております。

 また、農業経営者サポート事業、これは本来は法人化とか経営承継、こういったところの分野についての法人のサポートとして事業を発足したんですけれども、今回のこの人・農地プランについてもいろいろなサポートの、人の派遣にも使えるようにという形で改善しているところでございまして、そのような支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。

近藤(和)委員 支援をいただくということで答えをいただきましたが、ただ、ただ単に支援ということではなくて、一年から二年かけていくということで、全部一斉に、用意、スタートということではなくて、強弱をつけながら、よいパターンをどんどんどんどん組み入れていくということで、本当は二年よりも短い方がいいわけですよね。といったことも含めて、よい案になっていくように、今まで頑張ってこられた方の意見をしっかりと吸収していけるように努力をしてほしいと思います。

 そして、中間管理機構の体制について、こちらも先ほどから人員不足ではないかということも議論になっておりますけれども、私が心配しているのが、じゃ、このまま八割まで頑張っていきました、いければいいと思いますよ、そうなったときに、果たしてこの機構が機能するのかなということも逆に心配をしております。

 現時点においても、地代の受取、そして支払いといったところは間に入っているわけですよね。この現状の金額について教えてください。

大澤政府参考人 現状、地代が全体としてどれくらい動いているかということでございますか。(近藤(和)委員「はい」と呼ぶ)それについては……(近藤(和)委員「これは通告してあるはずですけれども」と呼ぶ)ちょっと違う形でお答えせざるを得ないんですけれども、まず、賃料納付対象者ということでいいますと、これは平成二十九年度時点での調査でございますが、約三万五千人ほどいらっしゃいます。賃料収入につきましては、平成二十九年度段階で、全体で賃料収入が十四億二千百万円という形になっております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 十四億二千百万円が受取で、基本的にはそれをそのまま右から左へという認識でよろしいですよね。違うんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。

 先ほど、全国と言いましたけれども、これは新潟県だけの例でございます。申しわけございません。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 ちょっと、全体としての数字も教えてほしいんですけれども。

 私の問題意識というのはどこにあるかといいますと、どんどんどんどん拡大していく中で、賃料を払えない人も出てくるわけですよね。それを取りに行く、いただきに行くということも大変だというふうにも思います。ここも把握しておかなければいけないと思います。

 今後、拡大していくに当たって、じゃ、もう八十歳、九十歳になってやめたといったときに、また探しに行かなきゃいけないというところも、規模の拡大は望ましい方向だとしても、それゆえの悩みというところも、業務的に厳しいところが出てくるというふうに思いますので、目標を下げることはよくないということは言われましたけれども、そうなのであれば、頑張っていくのであれば、頑張っていく過程の中にいろいろなものが発生してくるということも同時に対処しておかないと、うまくいったけれども、こんな大変なことになるとは思わなかったということに必ずなってくると思います。

 恐らく、現状でも人員が足りないと思います。本気になって目標へ向けて行こうというのであれば、それこそこちらにもどんどんどんどん人をふやす、予算をつける必要があるというふうにも思いますので、こういったことも含めて、また議論を続けていきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

武藤委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 農地中間管理事業法の改正案について質問します。

 この法律が成立した二〇一三年の日本再興戦略における農地集約の成果目標は、二〇二三年までに全農地の八割を担い手に集約する、集積するというものでありました。そのためには、年十四万ヘクタールを集積することが必要でありましたが、二〇一四年以降、それに到達したことは一度もありません。

 最初に、中間管理機構関連の事業にどれだけの国費が費やされてきたのか、これについて教えてください。事業費及び推進費の予算額、それから機構集積協力金交付事業、この予算額、今年度の当初予算までの額の合計額で結構ですので、説明してください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、農地中間管理機構事業のうち、推進費と借受農地管理等事業費に要する経費としまして、平成二十五年度の補正予算以降、基金造成額としては合計二百三十五億円、それから、二十六年度からは補助金を措置しておりますが、その補助金の合計は百四十六億円でございます。

 それから、協力金の交付事業に要する経費といたしまして、基金造成額については、平成二十五年以降、合計五百四十三億円、それから、補助金額といたしましては、平成二十八年度から措置しておりますけれども、その合計は二百五十六億円でございます。

田村(貴)委員 全ての合計額で答えてほしかったんですけれども。

 今、全部を足しますと、一千百八十一億円になります。これに県費が加わることになります、自治体の費用が。これは推計なんですけれども、百六十三億四千五百万円。合計すると、一千三百四十四億五千四百万円。これだけの税金が費やされたのでありますけれども、農地の集積というのは目標に遠く及ばないということであります。一体なぜこういうふうな状況になっているのか。分析し、反省することが求められると思います。

 この法律が提案されたときの国会審議でありますけれども、当時の林農水大臣は、たびたび、耕作放棄地対策としても重要だ、こういうふうに答弁されていました。

 そこで、伺いますけれども、農地面積の推移はどうなっていますか。

大杉政府参考人 お答え申し上げます。

 耕地面積でございますが、平成二十一年と平成二十九年の間でどう推移したかについてお答え申し上げますと、平成二十一年で四百六十万九千ヘクタールだったものが、平成二十九年は四百四十四万四千ヘクタールとなっているところでございます。

田村(貴)委員 農地は、二〇〇九年度から二〇一三年度までで七万二千ヘクタール減少している。二〇一三年度から二〇一七年度まででは九万三千ヘクタール。これは、減り方が加速しているという状況であります。

 皮肉なことに、耕地面積が減少すれば、数字としての集積率は、おのずとこれは上がるわけですよね。集積率の引上げの目標というのは、分母、すなわち耕地面積が減少する、このことが前提となっているのではありませんか。いかがですか。

大澤政府参考人 耕地面積の統計を使っているということにつきましては、これはやはり、現に耕作の用に供される全ての農地として最も一般的な数値でありますので使っているわけでございますが、そこが減少していることを当然の前提として目標をつくっているということでは毛頭ございません。

田村(貴)委員 現実問題として、農地の集積を進めていく、目標値まで持っている。しかし、耕作面積、その分母となる耕作面積が減っているということは、これは事実なんですよね。これは大きな矛盾であります。

 きょうは資料をお配りしているんですけれども、グラフ化してみました。

 青のグラフは集積農地の面積の推移であります。そして、赤は、先ほど報告を受けた全農地面積の推移で、減っている。青は集積農地の面積、これは微増というような状況であります。

 二〇一四年の農地面積は四百五十四万ヘクタールでありました。黄色ですけれども、ここを起点とすれば、二〇二三年に全農地の八割を集積するという目標に照らせば、三百六十三万ヘクタールになり、こういう軌跡を描くことになります。ところが、集積率はようやく五五・二%になっている状況であります。

 再度お尋ねします。

 きょうもずっと議論されていますけれども、こうした目標を達成するのは非常に困難ではないんですか。ここに至って、まだこの八割目標というのを堅持していく、そういうことなんですか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、平成二十九年度現在、担い手への農地集積は五五・二%となっておりまして、相当程度加速をしなければ、二〇二〇年に八割を集積するということに至らないということは事実でございます。

 しかしながら、今後相当程度の農業者が高齢のためリタイアするということを考えますと、農業が持続的に発展するためには、一刻も早く担い手が相当程度の農地を使いやすい形で利用していく必要があるというふうに考えてございます。

 このような中で目標を見直すということになりますと、生産現場に誤ったメッセージを送ることになりかねないというふうに思っておりますので、目標の見直しは考えておりませんけれども、地域の人・農地プランを実質的なものをつくっていくということを各地で機運を盛り上げていく、あるいは中山間地域における協力金の要件緩和等によって事業を更に使いやすくしていくという形で、担い手による農地利用のさらなる集積、集約化に取り組んでいきたいというように考えてございます。

田村(貴)委員 ちょっと難しいんじゃないかと、私、言っているんですけれども。説得力ある答弁になっていません。

 この八割目標というのは、これはいわゆる農水省のKPIという理解でよろしいんですか。

大澤政府参考人 活力創造プランに位置づけられたKPIであるというふうに認識しております。

田村(貴)委員 この目標を堅持していくこと自体、これを変えることによって誤ったメッセージを出していくと。しかし、下方修正目標というのもあるわけですよね。現実に即した目標とか施策を持たないとかみ合った議論にならないのではないかなというふうに思うわけであります。

 この八割目標を堅持していくというのであれば、KPIというのであれば、いつの時点で、この法改正をもって、どういう数値が出てくるのか、こうしたことについては今お答えいただけるんですかね。

大澤政府参考人 現実にどれくらいのことをやる必要があるかというのは、人・農地プランで各地域で議論を真剣にしていただくということがまず必要だと思っております。それをまず我々は進めたいということでございます。

田村(貴)委員 まだ議論していきたいと思いますけれども、大臣にお伺いしたいと思います。

 食料自給率は下がる一方なんですけれども、それでも四五%への目標を政府は掲げているわけです。しかし、農地の集積を目指す中間機構事業において、農地が減っているということです。農地が減っているから集積率が上がっているという現実があるわけです。四五%への食料自給率と、農地が下がっている、それを前提とした目標値を持つことについては、大いなる矛盾だと思いますけれども、その辺はどう捉えたらいいんでしょうか、大臣。

吉川国務大臣 担い手に農地の八割を集積いたしますのは、今ある農地をしっかりと担い手に活用してもらうことによって生産性を向上させるために設定をしているものと承知をいたしております。農業生産基盤の衰退や耕地面積の減少を前提としているものではございませんで、農地バンクによる農地の集積、集約化が進むということになりますれば、生産性が向上することから、食料自給率の向上にも寄与するものと考えております。

 農林水産省といたしましては、食料自給率の向上を図るために、新規就農の促進、さらにはスマート農業の導入、農地の大区画化、汎用化といった生産面での取組に加えまして、国内外での国産農産物の消費拡大ですとか食育の推進など消費面での取組など、総合的に講ずることといたしているところでございます。

田村(貴)委員 果たして、そういう方向になっていくのかについては議論しなければいけないというふうに思います。

 私も中国地方のある山間部を回っていろいろと農家の方からお話を聞いてきたんですけれども、農地を受け継ぐ人が全くいない、そして、ただでとってくれと言っても、みんな要らぬと言う、中間管理機構も貸すところがないから引き取ってくれないと。そういう諦めに似たような声がいっぱい聞かれました。

 中間管理機構という事業は、この思いにしっかり応える制度になっているのか。農家と現実に応える制度になっているのか、次回、また議論したいと思います。

 この法案審議にかかわって、インターネット検索システム、全国農地ナビについて質問します。

 西日本新聞三月二十三日付なんですけれども、「全国農地ナビ「使えない」」という大きな報道がございました。例えば福岡県では、農地バンクが買い手、借り手を募集する農地は実際ゼロなのに六千件以上ネット画面で表示されていると。

 情報が更新されず、誤った情報が長きにわたって掲載されるのは、これはあってはならないことではありませんか。更新作業が難しい、農業委員会の職員が操作にふなれとの理由でありますけれども、解決に向けた取組について御説明いただきたいと思います。

 時間がないので、なぜこうなったのかといろいろ原因等の説明は要りませんので、解決に向けた取組だけお答えください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 農業委員会に対して、本件に関する支援につきましては、機構集積支援事業におきまして、農業委員会等がアルバイトなどを雇って農地情報の更新を行うために必要なデータ入力等に係る経費を支援する枠組みはできております。

 ただ、それを実際に使っていただくためには、やはり農業委員会等に対する操作研修が必要でございまして、これについては、今後、今からでもやっておりますけれども、今後ますます、農林水産省の職員も講師として現場に出向くなど、支援を強化してまいりたいというふうに考えてございます。

田村(貴)委員 端末操作、このナビを実際に操作する人たちの研修が行われていない前に、もう公開されている、情報として。だから、更新もされない。

 幾らかけたんですか。百五十一億円このシステムにかけたというふうに言われていますけれども、そうなんですか。

大澤政府参考人 その御指摘どおりでございます。

田村(貴)委員 百五十一億円もの公費が投入されて、リアルタイム更新が三割だと。お粗末な話ではないかなというふうに思います。

 そこで、お願いしたいのは、局長、無理強いをしないでいただきたい。農業委員会の職員の方、きょうもずっと議論に出ているんですけれども、体制が非常に大変だと。人員不足の中で過大な仕事を余りこういう形で押しつけてはいけないというふうに思います。研修は大事ですよ。

 ですから、今局長が言われた、この全国農地ナビのリアルタイムでの更新ができる対策については、マンパワーとそれを保障する財政支援、これをやらないとだめですよね。そこにいる方だけで何とかせい、早くやれといったら、これは大変な労力を要するわけですから、そういう支援が求められる、必要だと思いますけれども、約束していただけますか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 まず、無理強いをするということはあってはならないことだと思っておりますので、それについては、それを肝に銘じたいと思っております。

 さらに、どういうやり方が一番いいのか、これについては少し頭をやわらかくして、更新がされるという目標のもとに何をやるべきかというのは、頭をやわらかくして考えていきたいと思っています。

田村(貴)委員 いや、更新されるためにはマンパワーが要るわけですよ。端末を操作して、そしてデータを更新する作業が要るわけですよ。そこで無理強いしてはいけない、だから、そういう面でマンパワーとそれを支える財政的な支援が必要ではないかと言っているわけです。頭をやわらかくするなんて、何かよくわからない。ちゃんと答えてください。

大澤政府参考人 まず、研修でこれはやれるという方については、予算をしっかり活用していただきたいと思います。

 それからあと、もう一つ、頭をやわらかくしてと申しましたのは、市町村で独自のシステムを打ち込んでいるんだけれども、農地ナビは打ち込んでいないという場合がある。このときにどうすればいいかというのは、少しいろいろな手段を、アプリのリンクをするかどうかとか、どれが一番効率的かということを考えたいということでございます。

 それから、人、マンパワーの問題についても十分留意してまいります。

田村(貴)委員 次回また議論させていただきます。

 きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

武藤委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 まず、担い手への農地集積の状況について伺います。

 平成二十六年に農地中間管理機構が創設されてから、農地集積が進み、担い手の利用面積が上昇し、今後更に事業を加速するとのことですが、二〇二三年の農地集積の八割目標達成に向けて重要となる果樹産地や中山間地などの条件不利地域における農地集積の状況について伺います。

 京都にも中山間地域がたくさんありますが、特に中山間地域では、農地の出し手ばかりが多く、農地を受ける担い手がいない状況かと思います。農業の担い手不足対策として農地の集積化は効果的であると思いますが、農家の方々の所得向上につながるように対策を講じていただきたいと思っております。

 まず、農地集積の状況について教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、全国的な担い手への農地集積という意味では、五五・二%となっておりますけれども、特に、やはり地域別に分析いたしますと、水田率が高い東北地方、北陸地方では集積率が高いわけですが、中山間地の割合が高かったり果樹作が多い近畿地方、中国、四国地方では集積率が低い状況にございます。

 これは平成二十九年度の実績をもとに分析したものがございますけれども、樹園地率と農地集積率の関係というのをちょっと、相関を見たところ、樹園地率が高い和歌山県、静岡県、愛媛県、山梨県では、やはり農地集積率が平均よりも低いというようなデータも出ております。

 また、これは、石川県につきまして、特定農山間地域等の指定と農地集積率の関係というのを見てきたところもありますが、全部特定農山村地域に指定されている市町村においても、やはりほかの地域と比べまして農地集積率が低いという状況になってございます。

 ですので、ここについて特にどうやって進めていくかということをいろいろ考えまして、人・農地プランを再活性化するなり、中山間地域の要件緩和を行うなり、こういう措置を考えたところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 やはり地域差、条件によって大きく差があるものだと思います。先ほどもお話ありましたけれども、人・農地プランなど、いろいろ対策をとっていただいているとは思いますが、やはり、中山間地域、果樹産地など、集積化が難しい場所はありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思っております。

 これらの現状を踏まえた今回の見直しの方向性について、土地利用型の農地ばかりでなく、条件不利地域における集約も進めていくという理解でよろしいでしょうか。農林水産省のお考えを教えてください。

大澤政府参考人 先ほどお話しいたしました果樹産地や中山間地域においても、農地集積を進める必要があるというふうに認識しております。

 このため、まず、話合いを通じた人・農地プランの策定が重要でございますし、樹園地なり、それから中山間地域の特性に応じた対策というのも必要だというふうに考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 条件不利地域の集約も進めていくということで理解をいたしました。

 条件が不利な地域であっても、集約化を進めることで担い手が見つかる可能性もあると思いますので、簡単にいかないこともあるかと思いますが、今後とも、集約化が加速するように取り組んでいただきたいと思います。担い手が見つけられない高齢の農地所有者の方がいらっしゃいますので、今回の見直しによって、新たな担い手の確保につながることを願っております。

 二〇二三年には八割の集積目標を掲げていらっしゃいますが、農地集積の状況は、平成二十六年五〇・三%から、平成二十九年五五・二%と進んではおりますけれども、二〇二三年の八割目標というのはかなり高い目標だと思います。少子高齢化も進んでおりますので、高い目標を持ち、事業を進めていくことは大変よいことだとは思いますが、今後、集約化がどの程度進むと見込まれているのか、具体的にお聞きしたいと思います。個別のものだというのではなくて、全体的な見通しがございましたら教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、まずは人・農地プランの実質化、これが大事だと思っております。

 現状において、市町村に対するアンケート等から見まして、地域の真剣な話合いに基づいた人・農地プランが既にできていると思われている地域は三割ほどあると思っておりますが、残る七割のうち、全集落の少なくとも五割以上、この三割に追加して、実質的な人・農地プランをいろいろな形で進めてまいりたい、これを数年間の間に行ってまいりたいというふうに考えておりまして、今回の予算措置におきましても、その五割ぐらいが対応できるような措置をとっているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 人・農地プラン、しっかり進めていただきたいと思います。

 今後、更に集約化を加速していただきたいと思いますが、平成二十六年に農地中間管理機構が創設されてから、課題もたくさん見つかっていると思います。農地バンクの手続などに関しては現場から不安の声があり、手続を簡素化するなど、対応されたと聞きました。ぜひ今後とも、現場の声を大事に取り組んでいっていただきたいと思います。

 以前から集約化の機運があった平場の水田地域などでは、農地中間管理機構と地域の話合いも順調に進み、二十七年度の転貸の実績を見ても、話合いが順調に行われたことがわかります。しかし、二十八年、二十九年の機構の転貸実績を見ますと、地域との話合いが低調であるということがわかります。

 担い手がいないからといって、先祖の代から守り続けてきた農地を誰にでも貸すという気持ちになれないのは当たり前だと思います。私の亡き祖父も米づくりをしておりました。農業ができなくなったときに近所の方に農地を貸しましたが、その方がちゃんと米づくりをしてくれず、農協に間に入ってもらい、また別の方にお願いすることになりました。

 農地の貸し借りの現場ではさまざまなトラブルがあるかと思います。農協等としっかり連携をして、農地中間管理機構にもぜひ高齢農家の方々のサポートをお願いしたいと思っております。

 条件不利地域においては特に担い手不足が深刻だと思います。条件不利地域においても、集約化を進め、担い手となる方が見つかるように、ぜひ積極的に環境整備を進めていただきたいと思っております。

 人口減少、過疎化が進む中、これまで地域に縁のなかった企業などを、農地中間管理機構による農地集約を契機として、新たな担い手として呼び込むことも重要と考えますが、どのような方策をお考えでしょうか。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 今後の農地利用につきまして、地域の話合いを今後進めていくというふうに考えておりますけれども、やはり、地域内で担い手が見つからない場合、あるいは地域の外の農業者などの経営ノウハウを活用したい場合等があるかと思います。こういうような場合には地域の合意のもとで外部の人材の活用も検討することが重要であると思っておりまして、先ほどの御議論の中でもお話ししたように、数%は地域外からの担い手が農地バンクがあっせんしながら入っているというところでございます。

 少し具体例を申しますと、例えば石川県の能登町におきましては、高齢化等により地域の担い手が不足して耕作放棄地がふえてきたということで、これは県と機構が町と連携して地域の合意形成を行いました。その結果、県外に本拠を有する野菜加工企業に対しまして十ヘクタールのまとまった農地を提供して参入が実現した。地域の方が動いたのでこういう動きがあったという例もございます。

 それから、山梨県の北杜市でも、市が、担い手が不足している地域で住民の意向を積極的に酌み取ると同時に、参入意向のある企業の掘り起こしも同時に行いまして、企業参入の取組を進めたという事例がございます。これについては、ワインメーカーの参入につながって、遊休農地の解消も行われたということでございます。

 今回の見直しにおいての対策ですが、やはり人・農地プランの実質化の観点から、地域の方々に本気になっていただくということで、地図も活用して、耕作者等の年齢別構成、後継者の確保状況というのを関係者の共有の認識にしていく、その上で、現場に即して話合いの活性化を促して、誰が将来の農地を担うべきかという真剣な議論を行っていただく、そういう中に、地域の意向がある場合には、企業も含めた新たな担い手が参入できるという仕組みの取組を進めてまいりたいというように考えてございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 地域と地方自治体が協力して新規参入を進めたという成功事例もお聞きしました。ぜひ今後も新規就農者であったり企業が参入しやすい環境づくりをお願いしたいと思います。これからの日本の農業を支えていくために、しっかり地域の方々と話合いをして進めていっていただきたいと思います。

 今回の見直しで、約四万人の農業委員や農地利用最適化推進委員の方々に話合いに参画してもらい、地域のお話合いの再活性化をするとのことですが、新たな企業と外部のプレーヤーが地域の話合いに参加する場合にはどのようなプロセスで参画すればよいのでしょうか。また、事例がある場合は、どのように参画をしたのか教えてください。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの答弁で事例については幾つか御紹介させていただきましたけれども、それを少し要約して一般化いたしますと、やはり、地域の企業が主体で入ってくるというとなかなか、地域の方々の反発を招いたりということがございます。ですので、優良事例から見ますと、まず、耕作放棄地の増加など、地域の課題が顕在化したときに、県、市、機構が地域の合意形成を行っていただく、これがうまくいく一つの秘訣ではないかなと思います。

 その上で、過去に相談があった企業というのを県なり市町村も、あるいは機構も把握しておりますので、そういうリストの中から、地域の状況というのを間に立つ方々がよく見た上で、企業の方々と話合いを行う、その上で、地域の方々と企業の方々が、双方が機運が出てきたときにマッチングをしていただく、こういうような形が一つの理想型であると考えておりますので、我々としても、優良事例を横に展開するということを努めてまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 そういった優良事例がどんどん進むことを願っております。

 プロセスをお聞きしたかったのは、企業からどういった形で相談があって、どういうふうに進んでいくのかというのをちょっとお聞きしたかったんですけれども、今の説明でわかりましたので、次の質問に行きたいと思います。

 地域の新たなプレーヤーの確保、特に外部からの呼び込みについて、今回の法律案にある、地域における農業者等の協議による場の実質化において、何らかの取組や見直しは行われるのでしょうか。また、今後、国としてどのように支援をしていくのか教えてください。

小里副大臣 地域の話合いを進めるに当たりましては、まずは地域内で担い手が見つからない場合、あるいは地域の外の農業者等の経営ノウハウを活用したい場合等におきましては、地域の合意のもとで外部の人材の活用も検討することが重要であります。

 このため、従来から、農地バンクにおきまして、他の地域の農地の借受けも希望する担い手のリストを用意して、担い手が不足をしている地域からの照会に応じられるようにしているところであります。

 加えて、今回の改正におきましては、市町村の区域を超えて活動する農業者について、市町村にかわり都道府県又は国が認定事務を処理する仕組みを設けまして、例えば県の窓口一カ所で手続が済むといったような、そういう手続の簡素化をすることによりまして、意欲的な担い手が広域的に活動しやすくするとしているところであります。

 こういった取組を通じて、地域で必要とされる人材が地域の合意のもとで地域農業を担っていけるよう支援してまいります。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 先ほど、手続の簡素化等、国としてもしっかり支援をしていただくということですので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 やはり、この集積化を進めることによって生産量が上がり、農家の方々の所得向上につながるように、今後もしっかりと国としてのサポートをお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

武藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.