衆議院

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第8号 令和元年11月20日(水曜日)

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令和元年十一月二十日(水曜日)

    午後一時四分開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 池田 道孝君 理事 齋藤  健君

   理事 武部  新君 理事 谷  公一君

   理事 細田 健一君 理事 石川 香織君

   理事 近藤 和也君 理事 濱村  進君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      坂本 哲志君    笹川 博義君

      高木  啓君    高鳥 修一君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      野中  厚君    福山  守君

      古川  康君    古田 圭一君

      宮腰 光寛君    簗  和生君

      青柳陽一郎君    青山 大人君

      大串 博志君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    佐々木隆博君

      佐藤 公治君    重徳 和彦君

      長谷川嘉一君    緑川 貴士君

      石田 祝稔君    佐藤 英道君

      田村 貴昭君    森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   農林水産大臣政務官    河野 義博君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房長) 枝元 真徹君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  横山  紳君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            牧元 幸司君

   政府参考人

   (農林水産省政策統括官) 天羽  隆君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     高木  啓君

  大串 博志君     青柳陽一郎君

  広田  一君     重徳 和彦君

  石田 祝稔君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     古田 圭一君

  青柳陽一郎君     大串 博志君

  重徳 和彦君     広田  一君

  佐藤 英道君     石田 祝稔君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     宮路 拓馬君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 肥料取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 この際、大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 CSF及びASFの名称変更について申し上げます。

 CSF、ASFの名称の使用について、昨日の参議院の農林水産委員会においておわびを申し上げたところでございます。

 衆議院の農林水産委員会においても、CSF、ASFの用語の使用について、十分な説明をいたしておりませんでした。

 農林水産省では、消費者の皆様方にできる限り不要な不安や不信を招かないように、より適切な名称として、豚コレラについてはCSF、アフリカ豚コレラについてはASFに名称を変更することといたしました。

 委員の先生方に説明を申し上げることもなく答弁の用語を変更したことについて、大変反省しており、改めておわびを申し上げます。

     ――――◇―――――

吉野委員長 内閣提出、肥料取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房長枝元真徹君、消費・安全局長新井ゆたか君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、農村振興局長牧元幸司君及び政策統括官天羽隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。

池田(道)委員 本日のトップバッターを務めさせていただきます自由民主党の池田道孝でございます。

 まず、災害についてお尋ねをいたします。

 ことしもまた、台風十五号から十九号、二十一号、その間の大雨等によりまして、甚大な被害が発生をいたしました。最近は、日本列島が災害列島と言われるぐらいの、毎年のように大きな災害が発生をいたしております。

 今回の台風被害につきましても、農林水産関係においてはまだ最終的な被害額も出ていないと思いますけれども、今回の災害につきましては、十分とは言えませんけれども、被災者に寄り添った、そして新しい補助制度も含めた支援制度をスピーディーになされました。この点につきましては、江藤大臣を始め関係者の皆様方に敬意を表する次第でございます。一日も早い復旧復興が望まれるところでございます。

 しかしながら、いかにすばらしい支援制度を創設いたしましても、最終的には農家の方々に、農地の整備あるいはハウスの整備、果樹園の再生と、どうしてもこれから多くの苦労がかかってまいります。

 私の地元岡山県でも、昨年は大変な被害が発生をいたしました。まだいまだに、小学校あるいは中学校も開校していないという状況でございます。

 七月六日からの集中豪雨、ちょうど七月ということになりますと、我々のところは田植が終わったばかりで、苗がこれから活着あるいは分けつをするという時期でございましたが、土砂が流出したところはもちろんでございますけれども、浸水をした苗というものは全部枯れました。収穫は当然ゼロでございます。

 今回の台風被害につきましては、ちょうど稲刈りの終盤ということで、既に稲刈りを済まされたところは、米が水にぬれる、あるいは、まだ刈取りをされていないところにつきましては、土砂をかぶって刈取りができないという状況でございますし、その上に、刈取りを済まされた田んぼのわらが流出をした。当然、もうちょっと日にちがあればトラクターで耕うんされておる田んぼもあろうかと思いますけれども、相当なわらが流れたということで、初めて、わらの処置、搬出について補助制度ができました。

 このわら、軽四トラックで持っていく分につきましては、中間処理あるいは仮置場に持っていくときに、そう不純物がまざってはいないと思いますが、どうしても、重機を使ってダンプで行ったときには、相当なほかの災害ごみと一緒になっているということになろうかと思います。

 そうした災害ごみは環境省を始めとした地元の自治体の方が処分をされますけれども、今回のいわゆるわらについては、農水省の方も支援の手を差し伸べられると思いますけれども、そうしたわらの処理についてはどういうふうにお考えか、まずお尋ねをいたします。

江藤国務大臣 お答えをさせていただきます。

 先生におかれましては、市役所でお勤めになられたり地方議会も御経験されているということで、まさに地方のことは大変よく御存じの方でいらっしゃいますので、そしてまた、地方創生に関する特別委員会の理事もされていらっしゃるということですから、いろいろこれからも御指導をいただければというふうに考えております。

 稲わらにつきましては、大変大きな問題になっておりまして、農林水産省としては、一立方当たり五千円という単価で支援をさせていただくことにいたしました。

 被災地に行きますと、もう広域に広がっちゃっているので業者に委託するんだという方々が多かったですけれども、大体、軽トラに積みますと三立方ぐらい積めますので、一回軽トラで運ぶと一万五千円ぐらいに大体なりますから、業者さんに頼むこともありだと思いますが、農家の方の手取りになるということを考えると、御自身でやることも一つの選択肢としてあるということをなるべく知っていただきたいと思っております。

 それから、先ほど、ごみがまじっているものも多分にあるんじゃないかというお話がありましたが、それについては、環境省とも切れ目のないスキームはつくりましたけれども、これについては、コンクリートの中にまぜ込む、原材料に使っていただくということも今始まっておりますし、きれいなものについては、また圃場に戻したり堆肥化するということもありますので、それについての運搬についても支援の対象とさせていただくということにしております。

 さらに、すき込みを含めた、先ほどの話ですが、土づくりをもう一回やらなきゃならないところもたくさんありますので、そういったところの支援策も今回盛り込ませていただいたところでございます。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 ただ、小さいことでございますが、不純物のまざっていない稲わらを、あれだけの量を水田に戻す、あるいは果樹の間へまくというのは、相当な労力が要ると思うんです。どういう形でまくのか、後で御質問させていただきますが、牛ふん等のようなまく機械もありませんし、できますかね。

江藤国務大臣 基本的には委員の御指摘は正しいと思います。

 ほとんどの稲わらが水分を大量に吸収してしまって、非常に重たくなって、中には若干腐敗が始まっているものもございます。ですが、圃場によっては稲わらを堆肥として使いたいという御希望がありますので、そういう方々の御希望にはなるべく沿いたいという趣旨でございます。

 必ず田んぼに全てを戻せということではなくて、そういうニーズにはしっかり応える、しかし、それ以外のものは廃棄物としてきっちり処理をして、農家の方々には最終的に負担がゼロになるというスキームをつくらせていただいたところでございます。

池田(道)委員 初めてのことでございます。今後の事もあろうかと思いますので、その点に十分留意されて処分をお願いしたいと思います。

 もう一点だけ。

 いろいろな支援制度があるんですが、農地等に土砂が流出した等は重機でやられますけれども、結局最後に農地に残った瓶であるとか缶であるとか、そうしたものが後の農作業には非常に厳しい条件がございます。あるいは、土砂がある程度流れて補助対象に入らないというような、そういう残ったものが一番、後の農作業をする上で非常に困難なことなんですけれども、そのあたりについての支援制度というんですか、あるいは区分について、わかればお話をいただきたいと思います。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 災害によって土砂が流入した農地につきましては、これは災害復旧事業の対象になるわけでございます。

 じゃ、どういったものが対象になるかといいますと、堆積の土砂の平均の厚さが五センチメートル以上、かつ事業費の合計が四十万円以上であれば災害復旧事業の対象になるということでございます。

 また、今、ほかの異物が流れてきたということも御指摘いただきましたけれども、そういうものの後片づけ等も含めて、こういった基準を満たせば対象になるということでございます。

池田(道)委員 どうやって四十万の基準を出されるかというのはよくわかりませんが、どちらにいたしましても、そうした、これからの農家にとりましては非常に厳しいことが、いろいろなケースがございますので、精いっぱいの支援をよろしくお願いをしたいと思います。

 今回の法案の改正でございますけれども、今までの肥料取締法案から肥料の品質の確保等に関する法律に改めるということでございますけれども、当然、いいネーミングとは申しませんが、従来の肥料取締法というのは、今芸能界を騒がしております大麻あるいは麻薬の同類のようにもとれるんですけれども、単純に御質問しますけれども、なぜこうした名称を今になって変えるということになったのか、お尋ねをいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 肥料取締法は大変古い法律でございまして、前身となる法律は、明治三十二年、一八九九年に制定されまして、その後、戦後、昭和二十五年に現行の法制ができております。

 もともとこの法律は、肥料に異物を混入することを禁止し、罰するという、極めてシンプルな内容でございました。

 その後、順次法律を改正いたしまして、国があらかじめ規格を制定して事前に規格の適合性を評価する、それから肥料事業者自身が品質管理を行うという仕組みを取り入れてまいりましたので、取締りといった規制手法が、相対的な位置づけが徐々に低下をしてきたところでございます。

 改正案におきましては、これらの事業者自身の品質管理の義務を更に拡大をするということでございますので、肥料の性格に適した内容となるよう、肥料取締法を肥料の品質の確保等に関する法律に、今回、改正をしたいと考えております。

池田(道)委員 その中で、特殊肥料として、堆肥を配合するということになっておりますが、堆肥を農地に散布するというのは非常にいいことでございますし、我々のところでは通常、堆肥あるいは鶏ふんを事前に散布をしております。ただ、堆肥の場合には専用の機械が要りますので、通常の一般の農家の方々は、散布しやすい鶏ふんをトラクターの前か後ろへオプションでつけてやっておられるわけでございますけれども、それが今になって堆肥を配合飼料として中に含めるということになったいきさつというんですか、認めることとしたのはなぜなんでしょうか。

伊東副大臣 お答え申し上げます。

 家畜排せつ物を原料とする堆肥につきましては、植物の成長に必要な栄養成分を含んでいることに加え、土づくり機能も有しておりますが、施用が年々減少し、地力の低下が懸念されているところでもあります。

 堆肥を利用しない理由につきまして、過去に実施いたしました調査によりますと、散布に労力がかかる、あるいは、含有成分が明確ではない、含有成分が安定しないといったことが主な理由として挙げられてきたところであります。

 これらの課題を解決するため、今回の法改正により、堆肥と化学肥料の配合を可能とすることとしております。

 具体的には、これまで別々に散布しなければならなかった堆肥と化学肥料を一度に散布できるようになり、散布の労力が軽減をされます。また、成分が不安定な堆肥に化学肥料をまぜることで成分が安定し、使いやすくなるというメリットがあり、土づくりが通常の施肥の中で可能となるわけであります。

 これにより、堆肥を活用した土づくりを進め、地力の維持増進を図ってまいりたいということでございます。

池田(道)委員 今御答弁がありましたように、牛ふんあるいは鶏ふんを土づくりに利用するのは非常に、反当三十キロは最低、増収になるのではなかろうかなと。それが、言われますように非常に手間がかかるということで、農家の方々がだんだん散布を減していくというのが現実でございます。

 この堆肥でございますけれども、牛等を飼っておられる方々、一昔前は非常に公害等で問題になりましたけれども、今は排せつ物の処理施設を設置しなければいけないということで、そういう問題は余りないんですけれども、どうしても、機械が故障したとか、いろいろな形で野積みをせざるを得ないということがあろうかと思います。

 それと、においは、これはなかなか、百メートル、二百メートルの範囲じゃございませんし、風向きによっては何キロもにおうということで、周辺住民の方から苦情が出るというのがありますけれども、そうした今までの排せつ物の処理を含めての、全国的な問題としてまだ残っているのかどうか、そうした現状をまずお尋ねをいたします。

伊東副大臣 お答えいたします。

 平成十一年に施行されました家畜排せつ物法では、一定規模以上の畜産農家につきましては、家畜排せつ物の処理、保管は、床をコンクリートやシートなどの浸透性のない素材で築造し、適当な覆い及び側壁のある管理施設で行うことなど、管理基準を遵守しなければならない、このようにされております。

 この法律の適用対象となる畜産農家は全国で四万一千六百十九戸でありまして、そのほとんど全てが基準に適合しているところであります。このうちで、シート等によりまして簡易施設で管理している農家は二千五百五十二戸であり、本法の適用対象農家の五・六%でございます。

池田(道)委員 それだけ、畜産業者の方々も十分な排せつ物の処理をしていただいておると思います。

 その上に申し上げるのもあれなんですが、牛ふんの価格というものは、鶏ふんに比べると相当高うございます。最低五倍以上はするんだろうと思いますけれども、ただ、いろいろな品質がございます。

 例で申し上げますと、私の家の周りでは、アスパラを多くの農家の方がつくっておられます。そのアスパラは、今は、これから枯れかかった葉を切り取って焼いて、年明けに牛ふんをその上にまくわけでございますが、一般の乾燥牛ふんのような市販されているものではなかなかそれが追いつかないということで、ダンプで運んできていただくというんですが、なかなかいい堆肥が見つからない、見ただけでこれはおかしいなと思ったら、四月、五月になりますと、いろいろなキノコ類が生えてくるとかいうのが現実だろうと思います。

 その点について、牛ふんのもう少し高品質化とかいうことは考えられないか、まずお尋ねをいたします。

伊東副大臣 お答えいたします。

 家畜排せつ物を原料とする堆肥を資源として持続的に土づくりに有効活用、有効利用していくためには、畜産農家が、耕種農家のニーズに応じた、委員御指摘のような高品質な堆肥を供給することが重要であると考えております。

 畜産の家畜堆肥の高品質化を進めるためには、これは一つには、完熟化による品質の向上、あるいは堆肥中の肥料成分分析及びその結果の表示等が有効であり、さらに、本法案によりまして堆肥と化学肥料の配合などが認められれば、これをペレット化することにより、散布もより容易になることから、堆肥の利用がより進むものと考えております。

 このため、畜産農家や県職員などへの技術指導を推進するとともに、ペレット化設備の整備も含めた堆肥舎の整備等への支援を概算要求しているところであり、これらによりまして、畜産農家が耕種農家のニーズに対応した高品質な堆肥を生産、流通させる取組を後押しをしてまいりたい、このように考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 それから、農家にとりましては、例えば米の生産については、農薬であるとか肥料が大きな支出の割合を占めるわけでございますが、その肥料の価格、まず外国と比べますと、非常に日本の肥料は割高になっている。いろいろな条件がございますから一概には言えませんけれども、隣の韓国と比べても相当高いのではなかろうかなというふうに思いますが、その価格についてと、あわせて、肥料の数が非常に多いということで、国の方では、産地の声をよく聞きながら、各都道府県、地域の施肥基準等の抜本的見直しを推進し、銘柄数を絞り込むというふうになっていると思います。農家の方々は、成分表を見たってなかなかわからないので、その中から、例えばJAに、あるいは農家向けのお店で勧められたものを買うということでございますけれども、そうした外国と比べての価格、あるいは国内での肥料の銘柄数についての御所見をお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 韓国との肥料の価格のお尋ねがございました。

 平成二十八年、二十九年度に、韓国の肥料銘柄のうち、我が国の銘柄と比較可能な銘柄につきまして調査をいたしましたが、日本に比べて総じて安い傾向にございました。この要因といたしましては、一つは、原料輸入を前提とした港湾とか大規模工場の整備が進んでいるということ、それから、日本に比べてやはり肥料の銘柄数が少ないということがあったというふうに聞いております。

 そういった中で、もう一点の御質問でございますが、肥料の銘柄数のことについてでございます。

 土壌の性質や作物等により必要とする成分が異なるため、各産地におきましてさまざまな銘柄が開発利用されているところでございますけれども、効果が同じであれば、できる限り銘柄を集約化することで、肥料の製造にかかるコストを抑えるということが可能でございます。

 このため、全農におきましては、購買事業の見直しを進める中で、汎用性が高い化成肥料銘柄を中心に集約化が進められております。これまで約五百五十あった銘柄を二十五に集約をいたしました。また、競争入札によりまして購入先となるメーカーを約半分に絞り込むことで、価格につきまして一から三割値下げを実現したというふうに承知をしております。

 農林水産省といたしましても、引き続き、全農等関係機関と連携いたしまして、銘柄集約の取組を後押ししてまいりたいというふうに考えております。

池田(道)委員 実際にはある程度単価も安くなっているんだろうと思いますが、その中でも、例えば田植の前に散布する肥料でも千五百円から三千幾らぐらいまでの値幅がございます。農家の方々は、余り高いのは、いやいや、余り安いのは効かぬかなということでしかわからないわけでございます。高い肥料を買えば、まあ、酒なら高いのがおいしいかなというふうに思いますけれども。

 そうした一つの元肥あるいは穂肥の中でも、ある程度、そう倍半でなくて、ある程度の基準の価格の肥料というものは考えられないものでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 肥料の価格についてのお尋ねでございます。

 農林水産省におきましては、肥料を始めといたします資材につきまして、資材の販売店における主な銘柄の販売価格を調査いたしまして、その結果を広く農業者の方に提供する取組を行っております。昨年も行いまして、ことしも行いました。ことし八月に公表いたしました調査結果でございます。委員御指摘のとおり、同じ肥料成分、規格の商品でも、販売価格に大きな差が見られたというようなところがございます。

 農林水産省といたしましては、こうした情報を公表することによりまして、農業者御自身のこれまでの資材調達の点検、あるいは今後の調達方法の検討に活用していただきたいというふうに考えております。

 これによりましてコストの削減につなげていきたいというふうに考えているところでございまして、引き続き、積極的な、こういった情報提供に努めてまいりたいと考えております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 安い原材料ですばらしい農業経営ができるということを期待いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 きょうは、肥料取締法、名称が変わりまして肥料の品質を確保する法律になりますが、まず肥料について、ちょっと総論を確認したいと思います。

 日本の肥料の生産市場というのは、おおむね十社ぐらいの企業さんが約半数ぐらいを占めているというのが現状です。残りの半分ぐらいを三千社程度の生産事業者さんが占めておられる、そういう割合になっているというふうに認識をしております。

 実は、農林水産省からいただいた資料等にも、ちょっと前の資料としてまとめられているものを頂戴しているわけですけれども、その中でも、もう既に合併されておられるような事業者さんがあったりとか、なかなか今の現状というのはどういうものかというのは改めて確認をしていく必要もあるのかなと思っておりますけれども、大事なことは、肥料原料としますれば、海外に依存しなければいけない、そうした現実の課題もございます。一方で、産業副産物を活用していくということも非常に重要であると、この肥料取締法の審議の中では、さまざまな論点の中で大きな一つとして浮かび上がってきております。

 こうした背景の中で、肥料メーカーさんの経済効率性の観点であったり、これは当然、規模の経済というものもございましょうから、ある程度の事業者としての大きさを持った方がいいんじゃないんですかというような議論もありましょうし、また一方で、地域においてはいろいろな産業副産物があるわけでございますので、そういうものを生かすという意味では、地域に根差した特徴ある産業副産物の活用というものも行われているというのが現状であると思っておりますが、今後も含めて、農業の高度化等々のさまざまな観点からどのようにこの市場が形成されていくべきであるのか、御所見をお伺いできればと思います。

江藤国務大臣 産業競争力強化法ができて、この業界の再編については支援をするということになって、委員御指摘のとおり、大分、余り多くはありませんが、統合された例もあります。

 ですから、先生がおっしゃった経済効率性というのはとても大事な御指摘であって、面的に広い方が有利だろうということも耕種サイドではありますし、メーカーサイドとして見れば、ある程度のでかいロットで買ってくれるお客様をやはり大事にしたい、そこに注力したいと思うのは当然の経済効率性の一つだろうというふうに思います。

 三千、たくさんあるから、じゃ、それはいけないのだというと、実はそうでもなくて、地域には地域で、こだわりの農作物をつくっていたり、土づくりに対してもこだわりを持っている方もおられますので、そういう方について細かな要望に応えた結果、メーカーが多くなったという側面もあります。

 ただ、私の地元でも、内容は一緒なのに、JAによって袋のあれだけが違うとか、そういうのも見受けられましたので、そういうことについては合理化していかなければなりませんが、経済性と地域性と、多様な地域づくり、これを両立させるために、この法律をしっかり運用していかなきゃならないと考えております。

濱村委員 必ずしも三千社が多いということを申し上げるつもりもございませんし、これは、どうあるべきかというのは非常に難しい課題だと思っております。肥料の銘柄自体を集約させるとかというような議論もございますが、そもそも事業者のあり方についてもしっかりとした議論が必要だろうということで、少しお話をさせていただきました。

 もう一つは、これに関連して、事業再編についてお伺いをしたいと思いますけれども、農業競争力強化支援法に基づいて見ますれば、事業再編計画の認定を受けて支援措置を受ける事業者というものは、一社しか現状ございません。この点については今どのように分析されておられますでしょうか。

江藤国務大臣 答弁の修正をさせていただきたいと思います。

 先ほど農業競争力強化支援法のことを産業と言ってしまいまして、農業の間違いでございます。失礼しました。

水田政府参考人 お答えいたします。

 事業再編についてでございますけれども、それぞれの企業が、自社の企業戦略あるいは雇用問題などさまざまな視点を踏まえながら検討を重ね、最終的な経営判断に至るまでにやはり一定程度の期間を要するということがあるのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 委員御指摘の農業競争力強化支援法でございますけれども、その中で、再編計画を認定いたしましたのは、肥料業界におきましては一社だけでございまして、その会社の工場の二つの設備を廃棄いたしまして一つの設備を新設するといった内容になっているところでございます。

 一社だけではございますけれども、二十九年八月、この法律の施行以来、個別企業に対しまして、この支援措置の周知、意見交換等は続けてきているところでございます。実際に数社の企業から関心を示されているところでございまして、今後、この法律に基づく支援措置の活用が進んでいくというふうに見込んでいるところでございます。

 引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

濱村委員 興味を持っている企業さんはあるということで、再編が必ずしもいいというわけではございませんが、それぞれ得意な分野と既にある資産を生かしながら経営の効率化を目指していただくということは重要なことですし、当たり前のことだろうと思っています。今、そもそも、国内だけで競争しているだけではなくて、海外とも競争しなければいけない時代ですから、そうした観点からもしっかりと経営基盤を整えていくということが非常に重要だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 産業副産物を活用していくという観点から、今、なかなか、堆肥の活用が減ってきているというような現状がございます。水田に対しての堆肥の投入量というのは、三十年間で四分の一に減少しております。理由は何なのか、そしてまた、今回の改正を踏まえて、今後どのように堆肥の活用を進めていくのか、確認をしたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 堆肥は土づくりに非常に有効に機能するということでございますけれども、委員御指摘のとおり、施用が年々減少しております。

 この堆肥を利用しない理由につきましては、一つには、散布に労力がかかるということ、それから、成分含有量が明確でない、あるいは安定をしないといったことが過去の調査におきましても理由として挙げられているところでございます。

 今般の法改正におきまして、これらの課題を解決するために、堆肥と化学肥料の配合を可能にする、そういう肥料につきまして導入しようというふうに考えております。

 これによりまして、労力がかかるという点につきましては、今まで別々に、機械も別で散布していたものにつきまして、一度に散布できるということで、労力の軽減が図られる。それから、成分が不安定な堆肥に化学肥料をまぜるということによりまして、成分が安定しましてより使い勝手がよくなる、そういうメリットが期待できるところでございます。

 さらに、この法改正を後押しするものといたしまして、耕種農家のニーズに合った堆肥生産を推進するための予算も要求しているところでございます。

濱村委員 散布に労力がかかる、これは非常に重たかったりするので、生産者の方々は、非常に大変な作業であるので敬遠をされる、そういった背景、あるいは成分含有量、そもそも品質が安定しないというようなところもございます。こうしたところを改善していくというところでございましょうし、非常に今回の改正は、その意味では大きな意味をなすというふうに思っております。

 ただ、もう一方、堆肥の活用を踏まえてちょっとお聞きしたいところなんですけれども、一般的に、堆肥の使用が減少いたしますと、化学肥料中心の施肥となると考えられます。それによって影響はどのようなことが起きるのかということを少し確認したいんですね。

 というのは、今申し上げたとおり、化学肥料中心の施肥になりますと、どうしても、足りるもの、足りないものが出てきてしまったりとかいたします。そういう意味では、豊かな土壌にならなくて、こうした環境を改善するために、土壌診断をしながら何が必要な成分なのかということで補っていったり、そういうことをしながら施肥を更に改善をしていくというような取組をされるわけでございますので、そうした施肥の指導などを行っておられることも踏まえて、今の現状、堆肥使用が減少していることによる影響についてはどのように考えておられるのか、お答えください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 まず、堆肥の施用によります効果でございますけれども、適切な堆肥施用などによりまして土づくりを連続的に行いますと、養分の保持力が高くなり、水はけ、水もちのバランスがよくなるとか、あるいは根の張りがよくなるといった、農地土壌の生産力、いわゆる地力が向上するわけでございます。

 委員御指摘の、化学肥料中心の施肥となった場合でございますが、これまでの研究成果によりますと、化学肥料のみで施用した場合に比べまして、堆肥を毎年施用するといった方が、地力、単収が向上するということが明らかになっているところでございます。

 しかしながら、ここ三十年間を見ますと、水稲作におきまして堆肥の施用量が減少していることによりまして、地力の低下が懸念されているという状況でございます。

 こういった中で、今般、法改正で、堆肥と化学肥料の配合が可能となるということでございますので、農家が堆肥を活用した土づくりと適正な施肥に取り組みやすくなると考えておりますので、土壌診断をしっかりやっていただいて、しっかりとこういった堆肥を施用していただいて、土づくりと適正な施肥というものを推進してまいりたいというふうに考えております。

濱村委員 土づくりが非常に重要であるということを否定する方は余りおられないと思いますが、その上で、施肥のあり方というのは、しっかり意思を持って地力の向上に向けて頑張っていただかなければいけないと思っております。

 そうした観点から、土づくりと施肥が一度にできるということは非常に大きな意味があると思っておりますけれども、では、そもそも、今まで誰がどうやっていて、これからどういう形になるんですかということをお話ししたいなと思っておりますが、これまではマニュアスプレッダーのようなものを使って堆肥をまくというような必要性がございました。これが、例えばペレット化すれば、トラクターで、施肥と一緒にペレット化したもの、堆肥をまくことができる。一度にやることができるし、重たいもの、あるいはマニュアスプレッダーのような大きな機械がなくてもできるという意味では、非常に大きなメリットがあると思っています。

 ただ、一方で、ちょっと畜産農家さんとも話をしたんですけれども、その中でお話が出ていましたのは、畜産農家さんというのは、堆肥舎を構えて、そこで家畜ふんをためておられるわけです。なかなか、地域で畑作が盛んじゃないような地域ですと、水稲中心の地域であれば、その水稲、稲刈りが終わったタイミングぐらいしか、ためていたふんがさばけないというような状況が起きたりします。畑作で随時出せるような地域であればいいんですけれども、そうじゃなければずっとためておくというようなことで、私が聞いたところも、月百トン、二百トン、当たり前のようにたまっていきますよというようなところでございましたし、それを発酵させるのにもお金もかかります、電気代もかかるし、月ウン十万かかりますよというような話も伺いました。

 そもそも、畜産農家の皆さんからすれば、肥育農家さんであれば、牛を大きく育てることが本業でございます。その本業以外のところに労力を、あるいは設備投資をしなければいけないというところは、今の現状ではなかなか仕方ないところだったのかもしれませんが、今後はこのあたりも少し変えていかなければいけないんじゃないかなと思っております。

 例えば、私の地元の兵庫県の一部では、堆肥センターといいますか、土づくりセンターということで、堆肥をため、集約して、地域の生産者が連携してそこに持っていくというようなセンターをつくっていて、それで有機的な堆肥を活用できるような環境を整えているというような取組をされておられます。

 そうした形で地域で連携してできればいいんですけれども、なかなかそういう取組を促進していくのも、地域の協力が得られなければいけませんし、そもそもそういう横横の連携がとりやすい地域事情がなければ難しいとも思っております。

 さらには、そうした中で、個別の畜産農家さんの負担を軽減していくという観点が必要だと思っておりますし、この堆肥の活用についても、本来であれば、畜産農家さんじゃなくて、例えば肥料メーカーさんなどが旗を振ってしっかりと畜産農家さんの負担を軽減していくことというのが求められると思っておりますけれども、この辺の必要性についてどのように考えておられるのか、生産局長、お答えいただければと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 畜産農家が生産する家畜堆肥の利用促進ということは非常に重要でございますけれども、先ほど委員からも御指摘ございましたように、水田作の春先の播種の時期などに需要が偏っておりまして、その間、堆肥をどうやって保管するのかというのが大きな課題になっているというふうに認識をしておるところでございます。

 もちろん、御指摘のように、共同して堆肥センターみたいなものを設けて、公共事業なり、強い農業づくり交付金などで御支援をして施設整備をするということもあるわけでございますが、個々に堆肥舎等を畜産農家が整備をする場合の支援でございますけれども、畜産クラスター事業というようなものがございますので、こういった事業、あるいは農山漁村地域整備交付金、こういったもので御支援ができるということになっておりますので、御活用いただければと思います。

 それから、今回の法改正で、堆肥と化学肥料の混合が認められまして、これをペレット化するということになりますと、輸送性が高まることになりますので、畜産農家にずっと置いておくということが必要なくなるということでございまして、保管の負担が大きく軽減されることが期待できるというところでございます。令和二年度の概算要求におきましては、堆肥の高品質化やペレット化を促進する予算を要求させていただいているところでございます。

 以上のような取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

濱村委員 堆肥センターを強農でとか、あるいは畜産クラスターとか、活用できるものはしっかり活用しながら必要な取組をしていかなければいけないなと思いつつ、もう一つ、今おっしゃっていただいた、ペレット化の話も最後触れていただきましたけれども、ペレット化するのは、では誰なんですかと。

 実は、ペレット化する機械といっても、二、三千万ぐらいするというような話も聞きました。そうなると、畜産農家さんがそれを自主的に入れるというのはなかなか結構難しいぞというような話も、これは個別の農家さんの御意見ではございますけれども、そういう話もございました。

 では、だったら誰がペレット化するんですかというような話が出てくると思いますけれども、この点については、私は、今回、せっかく改正して、肥料と、そして堆肥を活用した、非常に省力化できる作業を重視しているわけですから、こうしたところも肥料メーカーさんがしっかりとやっていくことが重要だと思っておりますが、その点について、農水省、どのように考えておられますでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ペレット化につきましては、畜産農家、あるいは地域の堆肥センター、それから肥料メーカー、いずれかが行っていただくということが必要になります。ペレット化を行うために、まずこれらの関係者の連携というのが必要でございまして、その枠組みをまず支援していこうというのが一つでございます。

 まさに、ペレット化するためには機械の導入が必要でございまして、数千万円から、一連のもの、乾燥機までということになりますと一億円近くかかるというふうに聞いているところでございます。

 現在、農協でそのような施設を導入しているところもございますが、仮に肥料メーカーがやるということになりますと、中小企業の対策の各種支援あるいは融資の活用が可能でございます。その点につきましては、私どもといたしまして、丁寧に相談に乗っていきたいというふうに考えております。

濱村委員 しっかり、丁寧に、この法案がスタートだと思っておりますので、ぜひ丁寧な対応をお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、大串博志君。

大串(博)委員 立国社共同会派の大串でございます。

 早速、質疑に入らせていただきたいと思います。

 肥料取締法を改正して、名前も変えていくということでございますけれども、その前に、幾つか大事な点を確認させていただきたいと思いますが、まず、桜を見る会の問題が今、国会の中でも取り上げられています。

 農林水産委員会でも、貴重な財源を農業に生かして使うという意味で、非常に私たちも熱心な議論をしています。税金の使い道という意味において大変重要な課題が、政府の姿勢という面において問われていると思うんですね。

 この桜を見る会に関して、農林水産省においては、推薦人の名簿をどうしていたのか、どのくらい推薦していたのか、どういう方々を推薦していたのか、あるいはその名簿を保管、保存しているのか、その辺の事実関係に関してお答えいただきたいと思います。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、桜を見る会への招待者の推薦名簿でございますけれども、農林水産省行政文書管理規則に基づきまして、過去五年分を保存しているところでございます。

 また、推薦の方でございますけれども、当省からは、本年は百三十二名、推薦をしてございます。例年、同程度の人数となってございます。

 推薦者の属性でございますけれども、内閣府からの推薦依頼に基づきまして、事務次官、外局の長、あと局長クラスの者、あと審議会の長、各界の功績者を推薦しているところでございます。

大串(博)委員 そのリストの中に、例えば政治家の皆さんからの推薦とか、そういったものはありますか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 政治家というのはございませんけれども、推薦に当たりましては、当時の大臣、副大臣、政務官にごらんをいただいた上で提出はしてございます。

大串(博)委員 五年間保存されているという推薦者のリストですけれども、これは公開を求めた場合には公開できるものですか。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 当省に保存している文書につきましては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等に基づきまして適切に対処してまいります。

大串(博)委員 状況によっては、きちんと公開して税金の使い道を明らかにするというのは必要になってくると思いますので、また議論させていただきたいと思います。

 さらに、大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、例えば、ことしの桜を見る会、非常に大きな論点となっています。参加総数一万八千人、きょうも国会の方で、内閣委員会等々で、あるいは参議院の本会議でも議論になっていましたけれども、六千人が自民党枠の推薦枠、総理枠は千人と、相当ですね。安倍昭恵夫人の枠もあったということでございます。驚きました。大変驚きました。まさに税金を私物化しているというふうに言ってもおかしくないんじゃないかなという憤りすら私は覚えたわけでございます。

 大臣にお尋ねしますけれども、大臣、ことしの春においては総理大臣補佐官でいらっしゃいましたね。大臣自身は、推薦の枠というのを与えられ、推薦をされていらっしゃったのですか。それは何名ぐらいいらっしゃったのでしょうか。どういう方々でしょうか。

江藤国務大臣 私、初当選以来、一度も行ったことはありません。そして、一度も推薦したこともありませんので、補佐官時代にも誰も推薦いたしておりません。

大串(博)委員 確認ですけれども、江藤大臣には、推薦枠なるものはありますよ、どうですかという問合せもなかった、そういうことですか。

江藤国務大臣 これがニュースになりましたので、私の政策担当秘書が今、政務秘書官をやっていますので、うちはどうだったのというのは聞きました。しかし、うちの親分が行かないのに誰も推薦、親分というのは私のことです、本人が行かないのに推薦もできませんので、今まで、枠というのがよく、私はそういうものを見たことはありませんけれども、あったかもしれませんが、誰も推薦していないということでございます。

大串(博)委員 誰も推薦しなかった事実は先ほどの答弁でわかりましたので、私の質問はその先の質問でありまして、これこれの人数なりの人々をリストとして出していただければ、推薦していただければ御案内できますよ、江藤補佐官はどうされますかというようなオファーみたいなものはありましたか、そういう質問です。

江藤国務大臣 補佐官枠というものは、今私の後ろの、補佐官時代の秘書官が今の秘書官ですので、彼が今答えてくれましたが、補佐官枠というものはございませんでした。

大串(博)委員 補佐官枠がなかったとしたら、政治家、自民党の一政治家たる江藤衆議院議員にはなかったんでしょうか。

江藤国務大臣 政策秘書、政務の秘書官が来ておりませんので正確なことは申し上げられませんが、調べさせていただきます。

大串(博)委員 わかりました。では、調べていただいて。

 自民党枠六千人でいらっしゃいますから、江藤先生においても何がしかのことがあられてどうされたのかなというような意味からの質問でございますので、後日でも、委員会の場で答えていただけたらというふうに思います。

 このように、非常にやはり私は、この問題は税金の使い道として、私たち、農林水産委員会として、これから日米に関する総合大綱の議論もするわけじゃないですか。あるいは食料・農村・農業基本計画の審議もします。税金をどう農林水産政策に使っていくかと、非常に緊張しながらやっていますよね。そういう意味からすると、やはり非常に緊張感を欠いた取扱いではなかったかなと思うものですから、事あるごとにこういった問題はそういう目線からチェックさせていただきたいというふうに思います。

 次に、災害に関しての議論でございますけれども、先般も共産党の田村議員からこの場でも提起していただきましたけれども、佐賀県は八月の末に豪雨災害に見舞われました。非常に大きな災害で、非常に広範囲において田畑が水につかる、流される、油の流出もあった、こういった状況で、非常に厳しい夏から秋を迎えました。

 政府の方にもいろいろ対応はいただいているんですけれども、論点が一つありまして、一つは、その後の台風十五号、十七号、十九号とある中で、いわゆる強い農業づくり交付金による壊れたハウスなどの補修、災害対応補修の補助金が、十九号においては十分の五補助で認められるにもかかわらず、その少し前に災害があった、八月末の九州北部、佐賀県を含む豪雨に関しては十分の三の補助である。

 これは、順序がそうだからということでの説明のようにも聞こえますが、やはり、災害が一つのシーズンとして起こった、近接したものであったということを考えると、住民感情、農民感情としては、やはり何とかならぬものかという思いは強くあります。

 大臣には、ぜひ、これはいわゆる非常災害、特別非常災害という枠組みの中での話だということではありますけれども、それも何か明文で決まっているわけじゃないですね、法律で決まっているわけじゃないので、そういう取扱いを今まで農林水産省でしてきているという話なのであって、一つのシーズンにおける、夏から秋口という収穫期における極めて重要な時期の、一つのシーズンの大雨、台風災害なので、ぜひそこは一つの固まりとして、私は同様な取扱いをしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 せんだって田村先生にも同じような御質問をいただいて、非常に苦しい思いをしたことを思い出します。

 実は、そうしたいと思って、財務御当局とも一生懸命折衝をいたしました。田村先生から言われたのも、災害の大小にかかわらず、農家の痛みに変わりはないと。全くおっしゃるとおりでありまして、実は私のところは台風十七号で竜巻が起こりまして、延岡市がかなりやられて、私の友人のハウスも全壊しました。ところが、やはり十分の三なんですよ。

 ですから、十五、十七、十九と来て、十九号だけ特定非常災害だから、河川の決壊が百五十近く起こって非常に大変な災害であったことは私も十分理解をしておりますし、それについて財務がこれは特別だろうと言うのはわかるんですが。

 それからいろいろな勉強をさせていただきました。例えば、激特に指定するときも、これは気象庁に話を聞いて、雲がくっついているとかくっついていないとかで連関性があるかないかを判断するとか、何かややこしい話がいっぱいあって、何とかならないか、努力をしたんですが、十五号、十七号については差がついてしまったことは歴然たる事実でありまして、佐賀県の皆様方におかれましても、知事さんを始め、十分の五、いけるんじゃないかと思っていた。そうなりますと、地方の負担もふえるわけでありますから、そして、地方の負担に対する総務省の補助率についても影響するわけですから、いろいろな思いがあろうと思います。

 ですから、今回、言われたことについて何と答弁していいのかよく、頭がまとまらないんですけれども、思いは一つでありますので、おわびをするのも変かなと思いますけれども、力足らずのことについては思い知らされたような思いでございます。

大串(博)委員 大臣の思いに対する私たちの応援も足りなかったかなと反省もしておりますけれども、財務当局との話もありましょうから、財務省も呼んでおけばよかったですね。そういった意味での応援もしなきゃならぬと思いますので、この話はここで結論というわけではないと私は受け取らせていただいております。

 まだ、実は災害は今起こっているという前提で、今、これから論を進めさせていただきますので、こうだということで結論ということではなくて、大臣、ぜひ、これからまだ更に財務当局ともこの問題、先ほどの問題に関しては折衝していただきたいんです。

 何となれば、八月の末に豪雨災害が起こりました。雨は降りました。雨が降って、浸水も起こりました。しかし、農業の被害は、実はそのときに起こったものだけではないんです。農業の被害は、実は今起こっているんです。

 私も如実に覚えていますけれども、雨が降って、浸水が起こって、ハウス等々、倒壊したものも、そのときには出ました。それは今何とかしなきゃいかぬ、その問題が残っています。

 一方で、そのときに農家の皆さんは、雨が上がって水がはけた後、どういう面持ちでいたかというと、青空を見ながら、さて、これからどうなるものだろうかと思ったんです。すなわち、明らかに稲も大豆も水にぬれた、つかった、何時間も、半日、一日つかった、これが生育にどういうふうな影響を今後及ぼしていくだろうか、光合成をちゃんとしてくれるだろうかと思いながら秋を迎えたんです。

 もちろん、その後に、例えば塩害なり、あるいは日照不足なり、あるいはウンカの発生等々もあったと言われていますけれども、エリア的なものを見ると、やはり私が見ると、塩害だけでも説明できないほど奥部の不況、それからウンカの発生がないところでも不作、こういったものが相当出ているんですね。

 佐賀県の作況指数は六三です、今の発表は。もう凶作というものではない。全国が大体九九ですから、下方修正して九九、平年作ですから、その中で飛び抜けてきつい、佐賀だけが六三。これは六三と今言われている段階であって、まだ収穫期を迎えつつありますので、もっと下がるというふうに言われているのが常識感なんです、もっと下がる。五〇台、五〇を切るかもしれない、そういった感でありまして、今まさに災害被害が展開している、起こっている、こういう状況なんですね。

 なおかつ、量が六三あるいは六三を切るというのみならず、品質も非常につらいものがあります。例えば、さがびより、割と佐賀県の方は米に関してはおくてなものですから、今まさにとれかけていて、これから出していこうというところなんですけれども、さがびよりというものは一等米が大体もう八割、多いときは九割ぐらいが一等米なんですよ。非常に、食味ランキングの特Aも何年も続けてとってきていたような品質なんです。その通常八割から九割が一等だったのが、ことしは一割未満なんです。残りが二等、三等というような状況で、質においても非常に厳しい状況を迎えている、こういう状況なんですね。

 更に言いますと、量、質、それからもう一つ心配なのは風評なんです。今、二等、三等と言いましたけれども、二等、三等でも実は十分食味のいい、品質のいい米なんです。しかし、こういう大雨被害があったということだけでも、実は風評被害もあります。佐賀の米はことしだめだったんだねというような風評被害もあるんです。これも非常に気になっている。

 今、米の話を言いましたけれども、大豆、大豆もこれから刈り取ろうとしていますけれども、ほとんど実が入っていません。

 そういった状況で、大豆も加えて考えると、相当な収入減。量、質、風評、こういった面でまさに今、災害被害が起こっている状況なんですね。

 ですから、先ほど申しましたように、十九号が起こる前の大雨被害だったのでだめですというふうな言い方では、農民の皆さんの気持ちは納得できないところがありますので、先ほど申しましたように、強い農業づくり交付金の問題に関してはぜひ継続審議として頑張っていただきたい。私たちもそれは応援したいと思いますので、いつか、必要だったら財務省もこの場に来てもらって答弁してもらいたいと思いますので、財務省にもしっかり議事録を示したいと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思うのが一つ。

 もう一つ、今申し上げた佐賀での災害被害が今まさに起こっている。それで、これから更にひどくなっていこうとしている。これから、共済がどのくらい出るかとかの話が多分、集落集落で起こっていくんですよ。その現実を農家の皆さんはまだ見せられていらっしゃらないので、比較的落ちついていらっしゃる面があります。しかし、来週、再来週ぐらいから集会が開かれていくと、多分すごいことになると思いますよ。支払いは来る、請求は来る、しかし実入りはない、これが農家の現実なんですね。

 ですから、今回の作況に対しては尋常ならざるものがありますので、大臣には、今回、もちろん共済の早期支払いはありますし、共済に関して、くず米に関しては共済対象とするということの判断もいただきまして、これはありがたいことでございました。しかし、それにとどまらない、尋常でない、極めて特別な支援の対応が必要になってくると私は思われますが、大臣の御所見をいただきたいと思います。

江藤国務大臣 現場の声を聞かせていただきまして、ありがとうございます。もう一回改めて、私の方でも、今後のいわゆる支払いと共済の支払いの関係でどのような状態になるかについて、しっかり把握をまず、させていただきたいと思います。

 現行制度では、先生にはもう説明は不必要だと思いますが、一応、ふるい下米だけじゃなくてふるい上もですね、これは。しかし、先生がおっしゃったように、特Aとか一等米については、これはあくまでも収量減ですからね。質について今回は若干見ますので、それについては一応、損害評価の特例措置ではありますから、これについてはそれなりの効果は発現すると思います。しかし、お話を伺っているとそれ以上の被害かなという気がしますので、まずは状況を確認させていただきたいと思います。

 風評については、農林省としてどう対応していいか、今ちょっとなかなかお答えが難しいなと思います。

 あと、大豆につきましても、それから米につきましても、大変佐賀県は優秀で、共済加入率が九八%ということでありますし、特に大豆につきましては集落営農で加入していただいているということでありますから、一筆とかじゃなくて全相殺という方式になりますから、かなりの補填はできるとは思います。

 それから、水田活用の直接支払交付金、この転作の三万五千円の部分、これについては対象とさせていただくということになっておりますので、現状お話しできるのはここまでですけれども、まずは現場の話をもう一度調査させていただきたいと思います。

大串(博)委員 来年の営農に向けて営農意欲をぜひ継続していただけるように、例えば来年の営農に向けた出資とか、来年の例えば営農を始める段階でのいろいろなコストとか、そういった面に関しても普通の支援策のメニューがあると思うんですけれども、そういったものを強化するとか、いろいろな知恵の出し方は私はあると思うんですよ。そういった知恵の出し方をしていただいて、ことしの収入の大幅減を、来年に向けて営農意欲の低下にならないような形で、ちょっと今回のは、先ほど申しましたように尋常ならざる被害が今起こっている、こういうことでございますので、そういった点は今のこととして確認していただいて、通常一通りではない対応をぜひお願いしたいというふうに思います。

 またこの点は、必要に応じて、この委員会でも議論させていただきたいと思います。

 それから、諫早湾干拓問題に関して一問だけ質問させていただきますけれども、先般、最高裁での判断において、高裁による請求異議訴訟に対して、最高裁に上がったものに対して、最高裁は高裁に差戻しをするという判断をしました。つまり、最高裁として請求異議訴訟に対して判断はしない、高等裁判所でもう一回議論をし尽くしなさいというようなことで、差戻しになりました。

 おっと私は思いましたね。おっと思いました。つまり、裁判所が言おうとしたこともそうかなと思いますし、私の実感もそうなんですけれども、やはり、高裁に差し戻ったわけですけれども、裁判でこの諫早湾干拓の開門問題を解決するというのは、私はなかなか、前から言っていますけれども、難しいと思うんですよ。

 というのは、日本の裁判制度ですから、相対的な被害の状況に応じていろいろな訴訟が今後も起こり得ます。実際、漁民の皆さんの中でも、必要に応じてまた新たな訴訟を起こしていこうという方々ももちろんいらっしゃいます。長崎において、農家の方々が開門を求めて訴訟を起こされた例もあります。こういった形でいろいろな訴訟があるわけですから、やはり国が、裁判で解決するんじゃなくて、やはり国が一定の話合いの場をつくって、和解なりの話合いを、イニシアチブをとっていくべきだと思うんですね。

 そのときには、開門判決を持っている一方当事者たる原告団は明確に、開門によらないという選択肢はないんだ、開門を前提とした和解の道を探ってほしい、こう明確に言っているわけですから、それをぜひ念頭に入れて国が一応イニシアチブをとっていくということが今必要なんじゃないかと思うんです。特に、私は長崎の皆さんの水害とかあるいは農業にかける思いも非常によくわかるものですから、ここもぜひ丁寧に議論していただきたいんです。

 市民団体の皆さんが、諫早等々の地区でアンケートをとられたんです。特に、この干拓開門に関して、非常に反対論の強い森山町の付近も含めてアンケートをとられたところ、非常に顕著な結果が出たのが、もともと、開門の方法としては三の二開門というものを言われていました。三の二開門というのは、下数十センチ、五十センチほどあけて、水位をきちんと管理しながら開門するというやり方ですね。水位を管理するという意味は、今、潮位より一メートルマイナスという形で管理するので災害等は起こりません、こういうふうに言っているわけですけれども、まさに、五十センチ程度、下をあけるだけなので、一メートルマイナスの潮位を維持しながら開門をする、そういう方法が三の二開門の策だったわけです。そういったものを、私たちも、なるほど、こういうのは一つの案かというふうに思っていたわけですね。

 ところが、この諫早の近辺の方々にいろいろなアンケートを市民グループの方がされたところ、ほぼ八割の方々が、今言われている三の二開門、開門の方法が、調整池の水位をマイナス一メートルに管理しながら開門するんだ、そういうものなんだ、そういう意味で、水害の懸念に対して現在と変わらない潮位を保つものなんだという意味のことを知らないと答えた方々がほぼ八割なんですよ。

 だから、ほとんど、ある意味、情報を知らされていらっしゃらない中で、あけたら心配だ、こういうふうに思われているという嫌いがあるんじゃないかなというふうに私は思いました。

 こういった点も含めて、きちんと国側が説明するべきことを説明した上で、私は、開門を前提とした議論をベースにぜひ国としては一歩踏み出してもらいたいというふうに思いますが、今の調査の点も含めて、アンケートのことも含めて、大臣、ぜひ御所見をお願いしたいと思います。

江藤国務大臣 副大臣のときも、私、この諫早の問題は担当させていただいて、原弁団の方々ともそのときからお知り合いになって、この間、十月の二日に行ったときにも、大分長い時間をとって原弁団の方々とお話をさせていただきました。

 二つの最高裁の判決が出ている、あける、あけなきゃいけない、あけてはだめと。なかなかこれは、しかし、日本は司法の判断というものは尊重しなきゃいけないということは、これは大原則ということを先生にもわかっていただきたいと思います。司法の判断は尊重しなきゃいけない。しかし、さはさりながら、我々は政治家ですから、政治家が、じゃ、何ができるのかということをやはり考えなきゃいけないんだろうと思います。

 原弁団の方々とお話ししたのも、私はまたいつでも来ます、大臣がかわったら一回来て終わりということではなくて、やはり対話をすれば、そこから生まれるものももしかしたらあるのではないかと思いますと。しかし、お話しするにしても、できるだけいろいろな御意見を持った方をバランスよくといいますか、きちっと集めていただいて、例えば一人三分以内で御発言くださいとかそんなことではなくて、しっかりとじっくりと話し合えるような場をつくっていただければありがたいですというお話をして、戻ってまいりました。

 ですから、先生の三の二開門のことも、私は知っていますけれども、多分、知らない人も多いでしょう。しかし、地区によって、潮流が速くなると今やっている養殖がだめになると言う人もおられれば、潮流が速くならないと貝が戻ってこない、ワタリガニも戻ってこないと言う方がおられたり、なかなかこれは難しいなというのが現状でありますので、また農林省としても、できる努力はこれからもしっかりやらせていただきたいと思います。

大串(博)委員 やはり、裁判での解決は無理です。やはり国がきちんと間に入って、両者が納得するような、裁判上の開門判決の権利者たる原告団、弁護団は、開門を前提にと、こういうスタンスが明らかでございますので、これはかたくありますので、それを前提に、さきの三の二開門の内容がよく知られていないということも含めて考えると、まだまだ努力していただく余地があると思いますので、ぜひここは大臣、政治判断、開門も含めてきちんとした議論ができるように、一歩踏み込んでいただきたいというふうに思います。

 肥料に関する議論でありますけれども、私、これはどういう背景から出てきたかということ、産業競争力強化プログラムや、あるいは法律に関してそういう議論があった。先ほどコストや種類のこともありましたけれども、それはそれでおいておいて、今回の法律の改正の趣旨は、先ほど来いろいろ話がありました。

 資料もいただきましたけれども、一つは、産業副産物を活用しながら、肥料を、コストを安くでもつくれるようにしたらいいんじゃないか、より使いやすくしたらいいんじゃないか、こういうことだったと思うんですね。

 このいただきました、肥料をめぐる情勢と云々という資料の中でもあります。三ページあるいは五ページあたりを中心に、私、お尋ねさせていただきたいと思うんですけれども、この産業副産物利用を促進するということは、今回の改正をもって、どうして産業副産物の利用が促進されることになるのか。その点に関して、局長の方から御説明をいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 産業副産物は、世界的に良質な肥料資源が減っていく中、海外の市況を受けにくい国内の貴重な資源でございます。それから、有機質であるため、土づくりにも役立つということ。本来、廃棄向けということでございますので、非常に低廉だということ。それから、循環型社会の形成にも役立つということでございます。

 しかしながら、御指摘のとおり、この発生源によりましては有害化学物質も含まれているという状況がございます。今回の法律改正におきましては、この産業副産物を安全な形で肥料に使うということのために制度改正をしようということが一つの目的でございます。

 現在も、肥料の製品規格におきましては、有害成分の含有量の基準値を設定をいたしまして、それを事前の登録あるいは立入検査でチェックをしております。この点については、今回の改正でも緩めることはございません。

 これに加えまして、新たに原料の規格を設けるということで、産業副産物の範囲を明確化するということで、あらかじめ予見可能性を持って肥料に使用できるようにするということ。

 それから、肥料業者に対しまして原料帳簿の作成を義務づけるということで、実際に肥料業者の方も責任を持って原料を管理していただける、こういう仕組みを新たに導入しているところでございます。

 これによりまして、より産業副産物の活用を進めてまいりたいと考えております。

大串(博)委員 その産業副産物利用の促進を図っていきたいという言葉の中に、視野として、汚泥系の副産物、これも非常に有望な要素として入っているという理解でよろしいですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 汚泥につきましては、既に製品ごとの規格の中で、工業汚泥肥料それから下水汚泥肥料というものが製品規格として定められております。その中におきましては、それぞれ有害成分の基準等も定めておりまして、現時点においても肥料として利用されているところでございます。

大串(博)委員 いやいや、局長、しっかり答えていただけると思いますけれども。

 そうすると、汚泥に関しては、今使われている以上に使われなくてもいい、使われることを想定してつくった法律ではないということなんですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、本改正によりまして新たに規格を定め、原料の規格におきましても、汚泥系の副産物についても、食品工場あるいは下水道処理場から生じます汚泥につきまして、あらかじめの規格ということで原料規格を設定することを想定しておりますので、このような観点におきまして、このような汚泥につきましても利用の促進を図っていくということを考えております。

大串(博)委員 そういうことですよね。汚泥に関して、今、使えるんだけれども、なかなか、そんなに簡単に使われていない。それを、原料の規格というものを新たに設けて、原料規格の中に汚泥系副産物というものを位置づけることによって、汚泥系副産物も原料として使っていいんだということが明らかになることによって、使われることを促進したい、そういう理解でよろしいですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございまして、下水道のみならず、食品工場から生じる汚泥も含めまして、利用の促進を図ってまいりたいと考えております。

大串(博)委員 そうした場合に、原料の規格として汚泥系副産物と書いただけで、なぜそれがより今より使われるようになるんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律改正におきまして導入を考えております原料の規格と申しますものは、あらかじめ、それぞれの副産物ごとに、こういうものでありますと肥料向けに利用できますということをお示しするものでありまして、一対一のつながり、あらかじめ肥料業者の方に個別に相談をするという以前に、こういう群として使うということを示すということでございますので、そういう点におきましては、汚泥を排出する方々の肥料向けの利用が進んでいくというように考えております。

大串(博)委員 ちょっとよくわからないのは、今でも実は汚泥は使えるんですよ。業者の方々、汚泥が使えることは知っていますよ。

 なぜそれを、原料の規格というものを設けて、原料の規格の中にあえて今でも使える汚泥系副産物と書くだけで、これより汚泥が使われるようになるのかというところがよくわからないんです。ちょっとわかりやすく説明していただけますでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の原料の規格につきましては、汚泥のみならず、ほかの食品産業の副産物等につきまして、あらかじめ群として使える範囲を明確化するということでございます。

 これによりまして、先ほどお答え申し上げましたけれども、どういう、例えば食品工場の残渣が肥料に使えるのかということがわかりますので、その残渣をつくるところにつきましては、廃棄物に持っていくのではなくて肥料業者にまず相談してみようというような取組が行われるということを期待しているところでございます。

大串(博)委員 局長も、法案を出されるときには内容を熟知されて答弁された方がいいと思います。私、汚泥のことをずっと聞いているので、食品産業副産物のことを聞いているわけではありません。

 ちょっと、話が進まないのが非常に不満ではありますが、大臣、時間もあれなので、ちょっと、やや不満な法案質疑な感じが私はしますね。

 産業副産物をより使えるようにしてコストを下げていくというのは、この法律の根幹ですね。一方で、そのときに、これまでのような、問題物質が入らないようにするという安全面での弁もしておかなきゃならないというのが今回の法律の極めて重要なところじゃないですか。

 そこを今の局長のように、ちょっとよく理解していないで答弁されるというのは私はいかがなものかなというふうに思いますよ。

 ちょっとまとめて、では、大臣に聞きますけれども、産業副産物も含めて、できるだけ有効利用できるものを有効利用していこうということですね。その考えはわかります。そういうふうにつくった法律だというのもわかりますし、そうなってくれればいいなと私も思いますよ。一方で、そのときに不法表示等々あって有害物質が混じり込んでいた、こういうことがあってはいけないですね。

 ちょっと、今の局長の答弁だと、そういうことがちゃんとないような制度になっていくのかという、魂の部分が入っていくのか、非常に不安であります。

 大臣には、もう細々言いませんので、この法律のメリットが十分生かされ、かつ懸念されることが起こらないような、十分な対応をとっていく決意をお伺いすることによって、ちょっと私の腹もおさめようかなというふうに思いますので、しっかり答弁ください。

江藤国務大臣 御配慮ありがとうございます。

 有害成分の含有率の基準値はきちっと設定して、今回の法改正によってこれが緩むということでは基本的にありませんので、余り御心配も、その点についてはないと思います。

 そして、先ほども申し上げましたが、産業副産物と言ってしまったのは、ちょっと、若干間違いでした、確かに。間違いではありましたが、しかし、局長が言いたかったのは、その範囲を明確化するんだというところを多分強調したくて言ったことだと思います。範囲が明確にされて、基準を緩めなければ、出す方も使う方も利便性が上がってくるというふうに考えております。

大串(博)委員 終わりますけれども、私も、この法案審議に至るまで、随分事務方の方々とも議論させていただいたんです。ですから、問題意識も十分わかっていただいた上でこの場に臨んでいただいているだろうなと思ったものですから。

 とにかく、今大臣がおっしゃったような、使うという点と、しかし問題を起こさないという点を、両方をきちんと具体的な法施行の面において担保していただくように心からお願いして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 茨城県、国民民主党、そして共同会派を代表して、青山大人、質問をさせていただきます。

 法案の質疑に入る前に、同じ消費・安全局の方の担当でもございます豚コレラについて、少し、幾つか質問をさせていただきます。

 茨城県は、大臣も御承知のとおり、畜産県でもございます。飼養頭数でも全国第六位、飼養の戸数でいっても全国三位の、大変養豚業が盛んな県でございます。

 そういった中で、豚コレラですね、隣接する埼玉県におきましてもことし九月に豚コレラが発生したところでございまして、まさに隣接する我が茨城県でも、今非常に脅威に感じているところでございます。

 そういった中で、現在、十二県のワクチン接種推奨地域を設定されていますが、当該茨城県を含めて、ほかに要望がある県について、今後どのようにワクチン接種推奨地域を設定していくのか、大臣のお考えをまずはお伺いいたします。

江藤国務大臣 まず、委員にお願いがあります。CSFと言っていただけると大変ありがたいので、議事録にも残りますので、もしよかったらのお願いベースでございますけれども、よろしくお願いいたします。

 隣接県の皆様方がどれほどのプレッシャーの中で日々養豚業に励まれておられるかということは、痛いほどわかります。遠く宮崎であってもやはりその脅威を感じている養豚農家は多うございますから、ましてや、近接していて、埼玉ではワクチン接種をしているところでも更に外から入ってきてしまったという状況も今発生しておりますので、委員の御指摘はよくわかります。

 御存じのとおり、百五十万ドーズの手持ちのうち、もう百三十万ドーズ以上は配付を済ませてしまいました。まず、手持ちがないからやらないんだということでは決してありませんけれども、でも、政治は現実と向き合わなければなりませんので、推奨地域に指定をして、しかし、指定はしたけれども手持ちのワクチンはございませんというわけにもいかないということも御理解をいただきたいと思います。

 しかし、十二月の中ごろになれば、大体二百五十万ドーズ、追加が届きます。これは生ワクチンですから生産を急ぐということはできません。だんだん熟成するような、熟成とは違うんでしょうけれども、分裂するのか、よく疫学的なことは私はわかりませんが、時間はかかりますけれども、もう少しで二百五十万、追加が届くことになりますが、そのときに希望されている県についてどうするかについては、省内でも今議論を、実はちゃんといたしております。

 しかし、これは我々農林水産省だけで決めることではなくて、牛豚等の疾病小委員会の皆様方の科学的知見、そういったものにも基づいて、御意見を求めながら決めていかなければなりませんので、まずはワクチンの到着を待って、そして、小委員会の皆様方の御意見もいただきながら、隣接県について、手を挙げている県についてどのような対応をするか、検討を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 大臣、ちょうど先日も、同じ会派の後藤祐一議員が、ワクチンの話で、たしかそのときも、政府参考人の方から、年内には追加で二百五十万頭分、それから年度末までに更に追加で二百五十万頭分が製造される見込みであるというのですけれども、もちろん子豚の分なんかもつけ加えるとその数がちょっと若干変わってくると思うんですけれども、茨城始め、ほかに、ぜひうちも推奨地域と設定してほしいという要望が出ている県というのは、今何県ぐらいあるんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 要望というのをどのように考えるかというのは一つございますが、私どもに、知事さんから、事務方それから大臣に要望いただいているところというのは、五県でございます。

青山(大)委員 その数の数え方もいろいろあると思うんですけれども、我々も党内でそういった豚コレラ対策本部を設けていろいろ議論しているんですけれども、これは、その数を足していくと、何でそれで単純に足りないのかなという非常に疑問も持っているところでございまして、やはり結局数が足りないからできないのか、そこだけ大臣、はっきりしてほしいなと。別に数は足りているけれども、また別のいろいろな政治的な判断が必要だからできないのかという、そこだけちょっと教えてほしいなと思いますね。

江藤国務大臣 希望されている五県に打ったら、圧倒的に足りません。圧倒的に足りません。

 若干面倒くさい話をいたしますけれども、これは冷蔵で、一個一個ばらばらではなくて、一つのセットになっているものを出すんですよ。すると、全部がきれいに使われるとは限らなくて、歩留りも実は若干考えないといけない。例えば、A農場で打ち残した分を、ではそのままB農場に持っていけるかというと、その間に有効性が失われてしまうというような非常にデリケートなものらしくて、ですから、その歩留りの部分も考えなきゃいけないということも実は百五十万ドーズの中にはございます。

 最初の答弁に戻りますが、手を挙げていただいている五県の皆様方に、今のところ十分な数を行き渡らせるものはありません。これは政治的な判断ではなくて、政治的判断というのは、できるできないは私がジャッジできるということでありますけれども、あるかないかは、これは事実ですから、現実との向かい合いの中で、ないものはないということで、ないことについて申しわけないと思いますけれども、政治的判断ではないということでございます。

青山(大)委員 詳細な御答弁をありがとうございました。

 確かに、実際そういう現状であれば、最初大臣おっしゃったように、必要なワクチンを何とか確保してもらって、それが確保でき次第、速やかな判断をしてほしいなと、改めて地元議員としても重ねて要望させていただきます。

 一方、茨城県は、特に養豚が盛んな地域というのが、ちょうど茨城空港がある周辺地域が結構養豚業が盛んでございます。次に、アフリカ豚コレラ、ASFの方に、ちょっとそちらについても、一点、今地元で懸念されていることを大臣に伝えさせて、質問させていただきます。

 この茨城空港なんですけれども、実は、中国からの就航便がここ最近、非常にふえております。十二月以降は、中国でも上海、西安、長春、もう一個、福州、四つの都市に、茨城空港―中国便が、十二月から就航いたします。週に十四便、茨城空港から中国直通便が大幅に就航される予定でございます。非常に観光立国ということで、県の方も一生懸命頑張っているわけでございます。

 同時に、大臣も御承知のように、まさにASF、その対策がまさに今必要なんですけれども、いろいろこの農林水産委員会の過去の議事録ですとか参議院の方も見ますと、いわゆる水際対策ということで、検疫探知犬ですか、そしてそれを運用する専門の職員、ハンドラーというんですかね、の中で、探知犬に関しましても、今回農水省の方でも、年度当初は三十三頭のところを、年度内に五十三頭にまでふやすということをおっしゃっているんですけれども、まず、全国で見た場合、本当は何頭ぐらいこの犬がいると十分に足りるような数字なのか、そういったものは把握されているんでしょうか、お伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 水際の探知活動につきましては、家畜防疫官が基本的に責任を持つということでございます。探知犬はその補助という位置づけでございます。実際の探知活動の中でも、探知犬に加えまして、人間の口頭質問あるいは自主的放棄というもので、現在いろいろな形での水際対策を行っております。

 探知犬につきましては、どの頭数がふさわしいのかということはなかなかお答え申しかねますけれども、基本的にできるだけ多くの空港で探知犬が探知活動をできるようにしてまいりたいと思っております。

 しかしながら、現在、世界各国とも水際の探知活動を強化しようという動きがございます。探知犬につきましては、犬のみならずハンドラーの育成もあわせて必要になっていくということでございますので、そういう状況を見ながら、できる限り多くの探知犬を全国に配備したいと考えております。

青山(大)委員 まさにおっしゃるとおりで、以前の参議院農林水産委員会の議事録を見ますと、探知犬の増頭については、国内で大体一年間に十頭ぐらいの養成ができるんじゃないか、そんなことが答弁されていますけれども、足りない部分に関しましては、アメリカとか台湾とかオーストラリアとか、そういうところで養成された探知犬について日本に優先的に配備できるように、そういう取組もやっている、そんな工夫もされているということを以前答弁されたと思うんですけれども、まさに今、世界的にこういったASF、そういう中で、こういったほかの国で養成された探知犬を日本に優先的に配備できるのかなという心配なんかもあるんですけれども、そういったことは実際どうなんでしょうか。

江藤国務大臣 現在頑張ってくれているビーグルを中心とした探知犬につきましては、ほぼ全頭輸入されたものでございます。国内に全く養成機関がないわけではありませんが、基本的には、ないに近い状態でございます。ハンドラーの養成機関も同様でございます。

 そして、今局長が一部答弁いたしましたけれども、世界じゅうでこれだけCSF、ASFが広がりますと、もう取り合いになっておりまして、価格が、これは委員会ですから申し上げませんが、ちょっと尋常じゃない価格になっておりまして、もっと言いますと、お金を出せば手に入るような状態でさえないというぐらいの状況にまで、世界じゅうですから、なっております。

 ですから、国内の自治体の長の方で、我が県でぜひ養成したいという手を挙げてくださっている方もおられます。ですから、これは、長い戦いにならないことを望みますが、そういうことも視野に入れなければなりませんので、経口ワクチンも国産化をしたいと思っておりますし、ハンドラーも探知犬も国内で養成できるように、これから、国からの助成も含めて考えていきたいと考えております。

青山(大)委員 大臣、まさにそういった取組、ぜひともしっかりお願いしたいと思います。

 正直、昨年秋に岐阜県とか愛知県で最初のCSFが発生したときは、我が茨城県までにはきちっとそういう対策ができるのかなと思っていたら、実際、一年で、茨城まで、非常に危機感の状況になってきた。

 同時に、全く別のASFに対しましては、そういった、まだ抵抗できるワクチンの開発も進んでいない、そういった状況がございまして、できる限りのことで、また、本当に今後も含めまして、しっかりした予算措置も含めて、対策の方をお願いいたします。

 特に、私は地元が茨城ですので、茨城空港は、先ほど申しましたように、中国への就航便が大分ふえます。その中で、ぜひ茨城空港における検疫探知犬を、常備ですね、配置できるようにするなど、一層の水際対策の強化、徹底を、重ねて要望させていただきます。

 もう一つ、そういったCSFにもちょっと絡んでくるんですけれども、やはり、うちの地元で今イノシシもこれまた大きな問題になっていまして、私は昨年の二月の予算委員会の分科会でも同様の質問をしたんですけれども、まさに私は地元が茨城県の県南地域なんです。それで、筑波山がある。そこにイノシシが大量にいる。そのすぐ西の埼玉県まで、まさにCSFが発生しているという中です。同時に、筑波山のちょっと東には、今言った茨城空港も控えている。実はそんな地形なんですよね。

 それで、イノシシが非常に今ふえている。もちろんCSFを運んでくる脅威もありますけれども、それ以外に、いわゆる普通の農業もそうです、又は、その周辺に住んでいる家屋に対しても、今非常に大きな被害が出ている。

 これは昨年の予算委員会分科会でも指摘したんですけれども、何でこの茨城の筑波山地域にここ数年急激にふえてしまったかというと、東日本大震災、あのときの、いわゆる原子力発電所の事故以降、筑波山でイノシシを、例えば猟友会の皆さんたちがイノシシをとっても、流通することが、非常に規制がかかってしまった。今は全くだめじゃなくて、一応、そういった検査機を通せば流通はできるようにはもうなっているんですけれども、とはいえ手間がかかる。ハンターたちがイノシシをとっても流通できない、そういったこともあり、当然、ハンターの方たちの高齢化ですとか、イノシシからイノブタになってだんだんふえてくる、いろいろな要因があるんですけれども、やはり私は、筑波山周辺にイノシシが急増した要因の一個として、東日本大震災以降の出荷規制があるためにイノシシの収獲量がふえないという現状があると思います。

 これは農水省だけじゃなくてほかの省庁にも関係することなんですけれども、そろそろ東日本大震災以降のイノシシの出荷規制の解除をすべきだと私は思うんですけれども、農水省の考えをお聞かせください。

牧元政府参考人 お答えを申し上げます。

 茨城県におけるイノシシの出荷制限の問題でございます。これはなぜ出荷制限がかかっているかということについては、委員から今御指摘ございましたように、原発事故に伴うものということでございます。したがいまして、この安全性の基準につきましても原子力災害対策本部のガイドラインにおいて定められているところでございます。そして、このガイドラインにおきましては、検査体制等の安全確認スキームが整えられた場合に限りまして出荷制限を一部解除することが可能ということになっているところでございます。

 現在、茨城県では、石岡市の処理加工施設が受け入れるイノシシ肉について全頭検査の上で出荷をされているというふうに承知をしております。しかしながら、委員御指摘のように、全頭検査ということになりますと大変手間もかかるということでございます。

 一方、全頭検査を要しない、出荷制限の解除ということにつきましても、本年三月にガイドラインが改正をされまして、市町村を単位とする区域で、一定の条件を満たせば可能になるということでございます。その条件といたしましては、野生鳥獣の移動性、個体差、捕獲期間等を考慮して十分な検体数を確保しつつ検査を実施いたしまして、その結果が安定して基準値を下回ることということでございます。

 いずれにいたしましても、この出荷制限の解除に向けましては、やはり希望する市町村がこの検査結果を積み上げるということが大変重要かというふうに考えておりますので、農林水産省といたしましても、関係省庁と連携をいたしましてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

青山(大)委員 と同時に、もちろん、出荷制限が解除されたとはいっても、イノシシの被害対策もほかのさまざまなメニューを組み合わせて行っていかなければいけないわけですし、当然、茨城県の方も、また周辺の市の方もさまざまな防除計画をつくって取り組んでいますので、農水省としましても、筑波山周辺の、つくば市、土浦市、かすみがうら市、石岡市、さらには茨城県のさまざまな情報を集めながら、ぜひその後押しをしてほしいと重ねて要望をさせていただきます。

 今、地元の話で本当に恐縮ですけれども、イノシシ対策、そして豚コレラ、CSFの、茨城県を含め要望している県に対するワクチン接種の実施と、そしてアフリカ豚コレラ、ASFの水際対策について、質問、要望をさせていただきました。

 実は、前回、この農林水産委員会で、外来種、ジャンボタニシですとかカワヒバリガイの被害を伝えさせていただきましたところ、早速、農水省さんの方で県や生産者の方にお問合せいただきました。本当に迅速な御対応、本当にありがとうございます。

 やはりそうやって、こういった国会の審議を受けて迅速に動いてもらえる。もちろん、一朝一夕で効果的な対策がすぐにできるとは思っていませんけれども、そういったやはり地元の意見を踏まえて、しっかりそのアクションをしてくれる、本当にそれが地元の生産者にとっては非常に心強いと思っていますので、引き続き、農水省、大臣におかれましては、そういった地元の声を踏まえて迅速な対応の方をよろしくお願いいたします。

 残り時間に、今回出ています肥料取締法の一部を改正する法律案について幾つか質問をさせていただきます。

 今回の改正案では、いわゆる現場のニーズに応じた柔軟な肥料生産などを進める趣旨で、肥料の配合に関する規制の見直しが盛り込まれております。具体的には、登録を受けた普通肥料、いわゆる化学肥料などと、届出された特殊肥料、これは動植物由来の堆肥等でございますけれども、これらを混合した指定混合肥料が、生産そして輸入できるようになります。

 これまでは、そもそも、普通肥料に動植物由来で含有成分が安定しない特殊肥料をまぜて生産することは原則として認められず、普通肥料の間の単純な配合、すなわち、化学肥料同士などの単純な配合のみしか認められていませんでした。このような規制がされていたのは相応の理由があったと思われますが、今回改正することで、普通肥料に動植物由来の特殊肥料を加えた混合肥料が生産、輸入可能とされました。

 まずは、このように改正する意義、改正に至った背景について伺います。あわせて、これにより政府として期待する効果はいかがなものか、あわせてお伺いいたします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法律改正に先立ちまして、農家あるいは肥料メーカーの方、その他の関係者から何回か意見をいただきまして、見直しの方向性についてまとめさせていただきました。その中で、肥料と化学肥料をまぜられるようにして、土づくりをもっと進めやすくしてほしい、肥料の使い勝手をよくしてほしいという要請が多く行われたところでございます。

 これまでは、普通肥料と特殊肥料、いわゆる堆肥の配合につきましては、成分の安定した化学肥料に成分のばらつきが大きい堆肥をまぜると正確な成分含量がわからなくなってしまうでありますとか、あとは、技術的にも、水分の多い堆肥をまぜると化学反応が起きて品質低下のおそれがあるということで、原則として配合を認めてこなかったところでございます。

 しかしながら、堆肥の品質管理や配合技術の工夫によりまして、成分のばらつきを抑え、品質低下を起こさないような配合が技術的に可能となったこと、それから、堆肥と化学肥料を一緒にまきたいという省力施肥のニーズが非常にふえたことということを踏まえまして、今回、法律改正によりまして、このような肥料につきまして、製造が可能ということにしたいと考えております。

 これによりまして、今まで堆肥をまくことに少しちゅうちょをしていた方々が、化学肥料と一回で散布をできるということで、労力が削減される、それから、成分が不安定な堆肥と化学肥料をまぜると安定して使いやすくなるといったメリットが想定されておりまして、土づくりが今後更に進んでいくことを期待しているところでございます。

青山(大)委員 詳細な御答弁ありがとうございました。

 今回、配合した生産ができる、もう一つ、輸入もできるというふうに書かれていたと思うんですけれども、ちょっとその輸入に関して少し質問させていただきます。

 海外の特殊肥料の中には、日本で認可されていないような農薬を用いた飼料によって育てられた家畜に基づく堆肥が含まれる可能性もあるかなと思います。

 海外での法規制は国によってまちまちで、例えば、平成三十一年四月二十四日付の農水省の肥料制度取締りの見直しによれば、肥料取締りについて、アメリカでは、州の法律によって決まっており、州によっては法規制がないところもあるというふうに伺っております。

 また、海外においては、日本よりも農薬規制が緩く、残効性の強い農薬を飼料作物に使用するケースがある可能性もあります。例えば、国内で農薬として登録されているクロピラリドという除草剤がありますが、平成二十八年に、クロピラリドを用いて生産された輸入飼料を食べた家畜の排せつ物を原料とする堆肥が原因と疑われる生育障害が国内でも報告をされております。

 肥料や農薬に係る規制が国によって異なるという背景を考えると、我が国で使用が認められていない成分が混入する可能性が否定できない特殊肥料が配合された指定混合肥料を輸入して国内で利用した場合、長期的には、日本の土壌への影響や健康への影響が出ないとも限りません。こういった、今回、輸入を可能とすることで、日本国内の土壌や健康への影響をどう考えているのか、お伺いいたします。

新井政府参考人 肥料につきましては、輸入業者に対しましても、登録、届出を認めた上で流通を認めております。これは現状でも同様ということでございます。肥料につきましては、公定規格を定めておりますので、その製品が適合するかどうかということを、国内産、輸入産にかかわらず行っているところでございます。

 堆肥につきましては、実態的に見ますと、いわゆる特殊肥料の堆肥は、一般的に、重く、かさばるということと、値段が比較的安いということで、なかなかコストに見合わないということでございまして、輸入というのは非常にわずかでございます。これから指定混合肥料を認めるわけでございますけれども、これらにつきましても国内生産が主になるのではないかというふうに想定しているところでございます。

 しかしながら、委員御指摘のとおり、具体的にクロピラリドという微量に残留した除草剤におきまして、一部の作物に生育障害の発生が見られまして課題となっているということは承知をしているところでございます。これまでは国から農家に情報提供を行ってきたところでございますが、今回の法律改正によりまして、特殊肥料の施用上の注意事項というものにつきまして表示基準を定めることができることというふうにしているところでございます。

 これを活用いたしまして、クロピラリドにつきましても、含有に関する情報でありますとか、生育被害のおそれがあるナス科や豆科の作物への施用に当たっての留意事項というのを定めることを検討しておりますので、園芸農家が安心して堆肥をできるようなものに努めていきたい、また、クロピラリド以外にもこのようなものがある場合には、順次対応していきたいと考えております。

青山(大)委員 今現状、そういった輸入のものの割合は低いわけでございますけれども、今後、こういった新たな法律が変わる中で、今後もしかしてふえるかもしれない可能性もあるので、そのときは、踏まえて、しっかり対策の方はよろしくお願いいたします。

 あと、続きまして、今後、堆肥の増産も見込まれるという中で、現在、生産過程において周辺地域での悪臭の問題が起こっているほか、汚水処理の問題もございます。また、三年前には、茨城県の筑西市の堆肥工場では何と爆発事故ですね、ガス爆発事故なんかも起きております。これはめったにないケースだというふうにも伺っておりますけれども、実際、堆肥工場で爆発事故も起きております。最近は、生産過程において住宅との近接も進んでおり、工場はもとより、近隣住民へ被害が及びかねません。

 今回の法改正は規制、制度の緩和となることを考えると、悪臭や汚水処理、爆発事故への対策は、当然あわせて進めなくてはいけないというふうに考えます。とり得る手段として、規制のほかに、堆肥化施設整備への支援、助成ですとか、生産技術向上への支援の取組が考えられますが、政府はどのように対策を考えられているでしょうか、お伺いします。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 家畜ふん堆肥化施設や肥料工場におきましての悪臭対策や汚染物処理につきましては、悪臭防止法や水質汚濁防止法によりまして規制基準や排出基準が定められておりまして、その遵守につきましては、それぞれの法律に基づきチェックをされているものと承知をしております。

 しかしながら、こういう指摘のような問題を未然に防ぐためということで、家畜ふん堆肥化施設につきましては、火災対策を含む施設の安全管理や悪臭対策をまとめたガイドブックを関係団体でまとめておりまして、これを参考にしていただくということ。

 それから、飼養規模の拡大や生産コストの縮減等に取り組む畜産農家に対しましては、畜産クラスター事業によりまして、脱臭施設や浄化処理施設の整備を支援しているところでございます。加えまして、令和二年度の概算要求においては、畜産農家に対し、より高度な悪臭対策や汚水防止対策が可能となるような畜産環境対策施設の整備を支援する予算を要求しているところでございます。

青山(大)委員 ありがとうございます。

 次に、本改正案を見ると、今度は、指定混合肥料の原料として堆肥の流通も活発になるというふうに考えられます。

 茨城県では、近年の畜産経営の大規模化や地域的偏在が進んだ結果、一部地域のみで堆肥が過剰となり利用し切れなくなるものの、情報不足や輸送コストの問題により堆肥の利用が広がらないという問題もあります。特に、畜産の盛んな霞ケ浦周辺地域では良質な堆肥が生産されていますが、耕種農家の高齢化や労働力不足や、堆肥を十分に使い切れないこと、畜産農家とのコミュニケーション不足等から、十分な活用がなされていないとのことでございます。

 このように、霞ケ浦流域内では堆肥が過剰となっており、ぜひ、この良質な堆肥を生かすためにも、広域の流通が必要だと思います。

 今回の改正が土づくりや資源循環に役立つ堆肥の活用に狙いがあるのであれば、ぜひ、現在の需給のアンバランスを調整する体制づくりにも配慮が必要かと思います。都道府県で堆肥供給者リストが作成、公表されていますが、国としても、今後、堆肥の流通促進の支援や活用のための情報の共有についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

新井政府参考人 今回の法律改正によりまして、耕種農家によります堆肥の利用が促進をするということを我々は期待しているところでございます。

 今までは、関係者が一体となった堆肥利活用の優良事例集の作成でありますとか、利活用をテーマとするシンポジウムということで、関係者の情報発信あるいは情報共有を図ってきたところでございます。

 さらに、本法律の改正を生かしまして更に広域的に堆肥が流通するように、畜産農家と肥料メーカーそれから耕種農家の連携体制の構築、これを予算で支援をする。それから、畜産農家が行いますペレット化、これによりまして輸送が簡単になるということでございますので、これを支援するための予算を要求しておりまして、このような予算の活用によりまして、地域に偏在をしております堆肥が全国で使えるように心がけてまいりたいと思っております。

青山(大)委員 以上で質問を終わりにしますが、今回法律が改正されるわけでして、内容の周知徹底に丁寧に努めてほしいというふうに思います。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

吉野委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 立民・国民・社保・無所属フォーラム、立国社の共同会派で質問させていただきます、無所属の佐藤公治でございます。

 政務三役、特に大臣のソフトな御答弁にのみ込まれないように質問していかなくてはいけないという思いでさせていただきます。

 まずは、災害関係に触れさせていただきます。

 このたびの台風十九号を始め多くの被害で被災された皆様にお見舞いを、亡くなられた方もいらっしゃいますので、心からお悔やみを申し上げます。

 この災害において多くの被害がありました。農林水産関係においても甚大な被害が発生しており、今なお復旧復興に尽力されている皆様に敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。

 さて、その農林水産被害において、農地の被害、河川の氾濫や決壊等による農地の被害は現在までどのような状況でしょうか。農地という分野だけにある程度絞ったことでの状況を御説明願えればありがたいと思います。

河野大臣政務官 お答え申し上げます。

 今般の台風十九号などでは、十一月十九日時点で、二十七都府県の二万三千四百九十五カ所におきまして約六百十七億円の農地の被害が報告をされてございます。

 その内訳は、河川氾濫による表土流出、土砂や稲わらの堆積、また畦畔の崩壊など、大小さまざまな被害が発生しているところでございます。

 このうち、災害復旧事業の対象となる農地の被害状況の詳細に関しましては、一月末までに災害査定を進める予定でございまして、その中で明らかにしてまいりたいというふうに考えてございます。

佐藤(公)委員 農地被害は、物理的な被害とともに、私自身、土壌面、つまり土壌の性質、地力面での被害も出ていると思われますが、農林水産省としてこの土壌面の被害をどのように捉えていらっしゃるのか、お答え願えればありがたいと思います。

河野大臣政務官 お答え申し上げます。

 土壌の被害も拡大しておりまして、その対策が必要というふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、平成二十八年以降、昨年七月の西日本の豪雨災害を含めまして、台風や豪雨といった自然災害における土壌への被害に対しては、営農再開に向けまして、追加的に必要となる肥料の購入とともに、土壌が流出した農地におきましては、災害復旧工事により客土を行った場合には堆肥の追加的な投入や緑肥のすき込みを支援しているところでございます。

 これらの支援策に関しましては、対策が決定次第、速やかに農林水産省のホームページで公表するとともに、都道府県を通じて被災農業者に周知をしてきたところでございます。

佐藤(公)委員 その土壌被害に関して、今後どのような調査をして対策をとられていくのか。具体的な現状も、今いろいろな、農林水産省の方でも被害に関してのメニューが出されておりますが、また、そういった中で、現実、そういうことが動いていることもございます。どうか、今後、引き続きの調査や対策をどう具体的にしていくのか、お答え願えればありがたいと思います。

河野大臣政務官 先ほど御答弁申し上げましたとおり、一月末までに災害の査定を進める予定でございますけれども、具体的な対策といたしましては、今般の台風では、河川堤防の決壊に伴いまして、水田地域においても大規模な浸水被害が発生してございます。一部圃場では、営農再開に向けて土づくりなどが大変必要な状況というふうになっております。

 このため、浸水被害を受けました稲作農家の営農の継続に向けまして、具体的に二つの支援を行うことといたしました。一つは、堆肥投入や稲わらすき込みなど土づくりに対して十アール当たり一万円の助成、二つ目は、土壌診断や作業委託、また機械のレンタルなどに対しまして必要額の二分の一を支援することといたしました。

 被害状況は、そうはいいましてもさまざまでございます。現場の状況をよく聞かせていただきながら、これからも、しっかり安心をして、希望を持って営農に取り組んでいただけるよう、しっかり対応してまいりたいというふうに考えてございます。

佐藤(公)委員 土壌に対しての支援策、私は大変ありがたいと思っております。

 ところで、昨年の西日本豪雨において同じようなメニューはございましたでしょうか。お答えください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年以降、昨年の西日本の豪雨を含めまして、自然災害における土壌への被害に対して、追加的に必要となる肥料の購入、あるいは、災害復旧工事に客土を行った場合の堆肥の追加的な投入や緑肥のすき込み、こういったものにつきましては、昨年の西日本豪雨でも支援をしているというところでございます。

佐藤(公)委員 農地の土壌ということに関して、ちょっと随分集中的な今お話をさせていただきましたが、再度、また後で土壌対策に関してお聞きしていくことになると思いますけれども、土壌対策というそれだけのことで、今一生懸命やられていると思いますけれども、大臣としては、この程度で十分と言えるのか、また、より力を入れていくべきなのか、お考えがあったら聞かせていただきたいと思います。

江藤国務大臣 この単価で十分であるかどうかは、その地域によって事情が変わってくると思います。どれだけのものが流入したのか、どれだけ浸水したのか、そして表土がどれだけ流れたのか、いろいろな事情がありますから、十分、不十分は個別に判断しなければならないと思いますが、しかし、肝心なことは、翌年の営農が可能になる、そして、翌年も営農再開がしっかりできる環境を整えるということが一番肝要なことだと思っております。

 しかし、災害対策、復旧は、国だけの責任ではなくて、当該都道府県や市町村やいろいろな方々と力を合わせて、トータルパッケージで農家の皆様方の手元にお届けするものだと考えておりますので、国の対策が今紹介した分で十分かどうかについては、検証が必要だと考えています。

佐藤(公)委員 次は、大きな範囲でメニューを見ていくと、大変にいろいろなメニューがあって、一つ一つ見ていけばありがたいこともたくさんあると思います。

 災害関係のメニューですけれども、これを現場の方がきちんと理解をして、やはりそれを活用していく、若しくは申請をしていくということが、非常に複雑化しているようにも思えますけれども、農水省としては、被害の救済メニューということに関して、どう周知徹底していくのか、又は、そういったことをどうやって現場のところまで活用していただけるのか。丁寧な説明が必要だと思いますけれども、そこら辺のあたりが現状どうなのか、今後、より、どうしていくのか、御説明を願えればありがたいと思います。

天羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の災害に対しましては、生活・生業支援パッケージということで取りまとめまして、農林省として公表しますとともに、各地で説明会を実施しておるところでございます。

 今後も引き続きしっかり説明をしていって、生産者の方、地域の方への御理解を求めていきたいというふうに考えております。

佐藤(公)委員 何かもう少し具体的に御説明を願えればと思いましたけれども、できれば努力をして、できる限り現場の方におろしていただくこと、そして活用していただくことに心がけていただけたらありがたいと思いますので、お願いいたします。

 災害において、多くの被害が出ておりますが、このたびの肥料取締法の一部改正をするに当たり、私自身、土壌といった側面に気が行くというか、目が行き、災害においても、農地の被害、土壌被害がどのような状況か、どのように復旧復興していくのか、また、いけばいいのかと、強く関心を持った次第でございます。

 どうか大臣におかれても、土壌のあり方や地力のあり方をより真剣に考えていただき、農家の皆さんに、土を育てる重要性と育てていく意義、意味、また、そこには希望や夢、さっき大臣がおっしゃられました、土壌、地力を上げていくようであれば、農家の方々の本当に、立ち直りを含めてやる気、そして意欲といったもの、そして夢といったものが膨らんでいく、その意味ではとても大事なことだと思い、強く要望させていただきます。

 では、肥料取締法の一部改正に関する法律についてお聞きいたしますが、私はこの法律に賛成の立場、私自身は賛成の立場で質疑をしたいと思っております。

 私は中国地方、広島県が地元であり、どうしても中山間の農業ばかり見てきました。中山間の農業の観点からの話になりがちですが、どうかお許しを願えればありがたいと思います。

 そして、大臣や政務三役の皆様におかれましては、答弁書を読まれるのではなく、読んでも、自分のお考えやお言葉で少し、思いや考えや決意を語っていただけたらありがたいと思いますので、お願いします。

 まず最初に、この法律の題名変更についてお聞きします。

 先ほども委員からお話がございました。私だけなのかもしれませんが、題名変更の経緯、経過、目的を見る限り、わからないわけではありませんが、取締りは、そのまま続くとしても、全体的な印象では、弱まる印象を与え過ぎてしまうような気がいたします。消費者や使用者の立場から見れば、安全性、つまり、安心、安全から見ますと、肥料取締法の方がストレートで、題名の方が、よく業界全体にも緊張感を与えるというふうに私は思いますが、題名変更に至った経緯、経過、先ほどの委員からの質問と同じになってしまうので、そこら辺のあたり、政務三役の方からお話が願えればありがたいかなと思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 名は体をあらわすということでありますが、しかし、逆に言うと、内容が名前にそぐわないというのもまた合わないのかなという気もいたします。

 今回の法律の改正の目的として、地域で未利用のものを使っていこう、そして、まぜることを許すことによって、今まで農作業を二回やらなきゃいけなかった施肥、それから肥料をまく、これを一度にできるようになれば、堆肥をまくのと二回だったのが一度にできるようになれば、農家の負担も軽くなるというようなことも、大分内容的に変わっておりますし、もともとは明治に起源を発して、今の法律になったのがたしか昭和二十五年という、大変大変、私が生まれる十年以上前の話のものでございますので、この際、内容の変更とともに、名称までちょっといじらせていただいたということでございます。

佐藤(公)委員 だとするのであれば、この肥料取締法というのが、目的が何かということを考えたときに、法案の目的、政務三役がお答えすることはないと思います、参考人の方で、この法案の目的というところをちょっと読んでいただけますでしょうか。

新井政府参考人 改正後の目的を読ませていただきます。

 「この法律は、肥料の生産等に関する規制を行うことにより、肥料の品質等を確保するとともに、その公正な取引と安全な施用を確保し、もつて農業生産力の維持増進に寄与するとともに、国民の健康の保護に資することを目的とする。」ということでございます。

佐藤(公)委員 この目的の最後の部分ですね、国民の健康といったこと、そういうことからしたらば、私は、取締りという形で、安全、安心をきちっと担保できるような名前であるべき、これが私の感想でございます。まあ、そこら辺のあたりは、今後、制度的にきちっと安全、安心を担保していく、取り締まっていくというか、そういったことに心がけていくことを、これまた強く要望させていただきたいと思います。

 この法律の改正を見ていくと、産業政策面での法律改正に力点が置かれているように私は見えてなりません。

 私は、農林水産関係の法律や政策を見るとき、いつも基本法を頭に浮かべてしまう。このたびの食料・農業・農村基本法を思い浮かべてしまいますけれども、産業政策、そして地域政策、そのバランス、多面的機能。そして、この法律に至っては、第三十二条の自然循環機能の維持増進と、第三十三条の農業資材の生産及び流通の合理化。

 そして、基本計画においては、随所、こういったことが言われているわけでございますが、法律の流れとしてはそういうことでよろしいでしょうか。

江藤国務大臣 まさに今御紹介いただきました基本法の三十二条、三十三条の理念に沿ったものになっているふうに考えております。

 ちなみに、先ほどとかぶりますけれども、国内で調達できるものを国内で使うということで、これはいわゆる産業政策であります。そしてまた、循環型でやろう、地域で使えるものは地域でなるべく使おうという、地域循環型ということを目指しておりますので、その点に着目すれば、三十二条、三十三条に沿って、地域政策、産業政策、両方ともカバーした法案の内容になっているというふうに理解しております。

佐藤(公)委員 この法律がまさに地域政策の方にどう影響するのか、関係するのか、その思いを聞こうと思ったんですけれども、今大臣が、そういうことで地域政策にも貢献をしていくというか、随分かかわりを持った法律になっていくということを御説明いただきましたので、もう次に移りたいと思います。

 その意味では、大事なのは、地域循環型、地産地消的な地域のあり方、土づくり、地力の強化になる。誰もがわかっているんですけれども、なかなかできないのが今までなのではないかと思います。

 本当にこの法律が、そういうふうに、地域政策として、活力を持って、喜んでいただける法律と大臣はお思いになっておりますでしょうか。

江藤国務大臣 内容としては、私はいい内容だと思いますが、法律はいかに運用するかにかかっておると思っております。運用するに当たっては、必要な予算を計上して、内容を地域の方々に御理解いただいて、そして御活用いただくことが大事であります。

 先ほどから局長に答弁させておりますけれども、連携するということがとても大事でございます。耕種サイドと肥料メーカーと、それから、先ほどから、例えば畜産が盛んなところと畜産が盛んでないところ、足りないところと余っているところということであれば、広域で、いかに、ペレット化も含めて、肥料が循環できるかということも考えていかなきゃなりませんので、この法案をしっかり運用して、予算もしっかりと活用すれば、目的にかなった内容になっていくと考えております。

佐藤(公)委員 今までのいろいろな議論や法案もそうですけれども、地域の農家の皆さんに何だかいいことを言って、うまくいかなくて、また期待を裏切られるようなことにならないように心がけていかなきゃいけない。

 実際問題、先ほど、コストの面のお話がございました。例えば、低廉な農業資材、肥料の提供も成り得る。果たしてそうなるのか。単純な数字の足し算や引き算で、説明でそうなるのか。地域によっては、作業過程における運搬機材、運搬運送コスト等により、簡単に安くなるとは思えないと、肥料メーカーの現場の方々のお話も聞きました。

 計算どおりにいくかどうかは、まさに運用次第、そしてこれからということになりますので、ぜひそこに力を入れていただき、地域政策として、やはり、基本法は産業政策と地域政策のバランスです。でも、どうも見ていると、結果だけをこれまた見ていると、地域政策の方がないがしろにされているような結果が生まれている。常に裏切られているようにも思えてなりません。そこら辺はもう大臣はよくよく御存じなので、ぜひ力を入れて頑張っていただけたらありがたいと思います。

 また、農家にとって使い勝手のよい農業資材、肥料を用意しても、その農地の土壌調査とか指導がなくては、なかなか地力強化が普及していかない、新たな農業資材が使われない。農家個人での責任や意欲だけでやれるだけではないと思います。

 先ほど大臣もおっしゃいました。おのおの地域によって、農家によって、なかなか進まない。また、地域や農家の規模によってこれまた違うと思いますが、どのようにそういった現場の方を整理して対応又は指導していくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

江藤国務大臣 地力を高めることは基本だと思います。私の大変親しくしていただいている、もう御老人ですけれども、その方は、土を食べて判断するような方もおられます。畜産農家の中には、ちょっとあれですけれども、うんちをぺろっとなめて健康状態をチェックする人までおられますので、そういう意味でも地力をいかに回復させるかが大事ですが、もちろん、施肥とか客土とか、すき込むとか、そういうことだけで農地の力が増すわけではなくて、例えば排水暗渠が入っているかとか、地下排水がしっかりできているか、それから用水から水がうまく引けるか、そういったことをトータルで判断してその農地の生産性は評価されるものだと思っておりますので、この法律も一助とはなると思いますが、これで全てだとは思ってはおりませんので、トータルで地力の向上に努めてまいりたいと思っております。

佐藤(公)委員 その辺は大臣もよくおわかりだと思って、お願いを申し上げたい。

 これからちょっと少し、大臣を始め政務三役の皆さんと、そもそも論の話を、残り少ない時間ですが、させていただきたいと思います。

 法案改正の説明にも、我が国の農地における地力低下、土壌バランスの悪化が懸念される中と、さらっと書いてございます。その認識でよろしいでしょうか、大臣。

江藤国務大臣 本日の委員会の中でも答弁があったと思いますが、なかなか、堆肥を入れた方がいい、いわゆる畜産由来の堆肥を入れた方が地力は上がるというのがわかっていても、スプレッダーのような機械が必要であったり、私の田舎だと、軽トラに積んで、おりていって、すきでこうやってぱっぱっとまいて、その後トラクターですき込むというようなこともやっておりますけれども、大変労力と力が要ることでもありますので、高齢化に伴って何となく化学肥料に頼ってしまうという傾向はやはり否めなかったのではないかと思います。

 要はバランスが大事だと思いますので、そういった、今、書いてあったようなことは、現実に起こっているというふうに認識しております。

佐藤(公)委員 だとすれば、大変大きく多岐にわたる問題、原因と思われる質問ですが、なぜ地力低下が、土壌のバランスの悪化が起きてしまっているのか。そもそも論、ここのところを、大臣の御認識と、逆に言えば、今までどんな検証、総括をされてきたのか。その本質は、原因は、簡単に答えられることじゃないかもしれませんが、簡単に答えていただけたらありがたいと思います。

江藤国務大臣 大変困ってしまいましたけれども、例えば、輪作体系がしっかりできていないと、先生も御存じのように、地力はだんだん低下していくということはあります。

 私が子供のころは、必ずレンゲ畑が広がっていました。レンゲを植えた後には必ずすき込んで、そして地力を回復するというのは当たり前のように行われていましたけれども、私の田舎でもレンゲ畑はもう本当に、あると、おお、ちょっと車をとめろというぐらい減ってしまいました。

 いろいろな原因はあると思いますけれども、やはり農家の方々の高齢化もありますし、担い手の不足もありますし、いろいろな要素が複合的に重なって、少しずつ少しずつ地力が低下していったのではないかというふうに認識いたしております。

佐藤(公)委員 これはまた後でお話しをしていこうと思いながら、もう時間がどんどんどんどんなくなっちゃっているんですけれども。

 地力増進法という法律がございます。もう大臣は御存じだと思います。この地力増進法について、どういう法律なのか。まさにこの法律は基本法なのか、理念法なのか、事業実施法なのか、ちょっと私はよくわからない部分がありますけれども、この地力増進法というのはどういう法律ですか。

水田政府参考人 御指摘の地力増進法でございますけれども、農林水産省、地力の増進を目的とするその地力増進法、昭和五十九年に制定をいたしたところでございます。

 そもそも、地力というものをここで定義をいたしまして、土壌の性質に由来する農地の生産力をそういうふうに呼ぶということにしておりまして、その中で、三つの性質でございますが、透水性とか、これは水はけでございます、それからすき間があるかないかみたいな物理的な性質、それからあと栄養がきちんと保持できるかとか、栄養バランスがいいかどうかといった化学的な性質、そして生物的、土壌中に多様な微生物がバランスよく存在するか、こういった三つの性質から構成されているわけでございまして、この法律を踏まえまして、国が全国的に土壌の調査を行いまして、技術的な指導指針、こういったものを定めまして、県が普及指導を行うというやり方で土づくりの施策をしっかりとやっていく、そういったことを行うための法律でございます。

佐藤(公)委員 まさにこの地力増進法、昭和五十九年に山村大臣のもとでできております。これはぜひ大臣、議事録を僕は読みました。そして、そこに書かれていることというのが非常に、今でもお話しができるような内容です。

 このときも山村大臣に聞いているんです、地力低下の要因は何であったというふうにお考えでしょうかと。山村大臣は簡単、簡潔にお答えになられています、やはり化学肥料を多用しておったということ、そしてまた浅い耕作ということにもあると思います、これだけでした。その後、ずっといろいろな議論があるんですけれども。

 私が言いたいことは、地力増進法という、まさに地力ということ、土づくり、これがいかに大事かということをもうこの時点で随分議論をしていた。そして、地力が低下している、土づくりがうまくいっていないということが、もう昭和五十九年の段階でかなり議論があるんです。

 それで今、今日まで三十年以上たっている中、私はもう時間がだんだんなくなってきたので最後の締めにかかりたいと思いますけれども、調査研究というのはどういうふうにそれから行われてきて、何をしているんですか。

 簡単、簡潔に話をしてください。

水田政府参考人 御質問は土壌の調査ということだと思いますけれども、土壌の調査につきましては、全国的な土壌調査を昭和五十四年、一九七九年度から一九九八年度、平成十年度まで、県への補助事業として実施をしてまいりました。その後、一九九九年、平成十一年度からは、調査地点数は若干削減いたしまして、同様に全国的な土壌調査を継続して補助していたところでございますけれども、三位一体改革への対応ということで、二〇〇六年、平成十八年度から、予算措置が都道府県に税源移譲されたことによりまして、全国的な調査というものは終了したところでございます。

 しかしながら、その後の堆肥施用量の減少、あるいは農業者の過半がやはり土壌診断をやっていない、そういった事態がございまして、こういった現状を踏まえまして、全国の土壌の実態を把握することが非常に重要なものというふうに我々としては今認識しております。

 このため、ことし三月に、都道府県の土壌調査のデータを収集し共有するため、土づくりコンソーシアムというものを立ち上げておりまして、ことしの十一月現在、三十四の都道府県の参画を得ているところでございます。

 今後ともこういった形で参画の都道府県をふやし、全国的な土壌の実態調査に努めて、これに基づく土づくりというものを進めてまいりたいというふうに考えております。

佐藤(公)委員 大臣、こういう現状なんです。つまり、土壌が大事、地力を上げなきゃいけないといっても、きちんとしたデータと管理が今、農林水産省の中ででき切れていないのが現状。ことし始めたということがございます。

 技術革新があっていろいろなことがこれからできるから、逆にそれに期待したいところもありますけれども、これは、肥料取締制度に係る意見交換会、こういうことが、第一回、第二回、第三回、ございました。これも議事録を全部読みました。そこにおいて、こういう御発言が農林水産省からもございました。

 全国的な土壌の状況を把握できていないのではないかという御意見について、昔は調査していたのですが、今は行っていないという現状を改善するため、今年度に調査をやっている都道府県のデータを農研機構の協力のもとで国が集めまして、その土壌データの共有、解析を行い、それを集積、共有した上で全国ベースの土壌状態の把握を行うとしております、全ての都道府県に御協力をいただけるかわかりませんが、できるだけ多くの都道府県の参加をお願いしているところでございます。

 こういうことです。そしてまた、こんなことも言っております。

 かつて国では、全国の都道府県に御協力をいただきながら、水田土壌、畑地土壌の土壌データというものを集積しておりました、これが一九七九年の一巡目、二巡目という形で、四巡ほど実施したところでございます。

 それはさっき御説明のとおりですね。

 が、簡単に言いますと、予算の裏づけがなくなったことによりデータ集積が一時中断をしているところです。その後、独自に続けている都道府県が幾つかありまして、例えば千葉県からのデータが公表されておりますので、それを活用して説明することが全体的な流れとなりますので御容赦いただきたいと思います。

 こういうお話が農水省からございました。

 つまり、何が言いたいのかというと、本当に土壌、土が大事、これはもう僕は大臣と共有していると思います。だとするのであれば、五十九年から今日まで、そして少しずつでもよくなっているのであれば、私は、みんなをより応援する、そういう思いになりますけれども、悪くなった上、その上、調査もきちっとされていない。いや、これから新たにやるんです、スマート農業で土壌管理をしていくということもおっしゃられるようなお話も聞きます。しかし、また同じことが起きて、期待を裏切り、そして土というのが、私は、本当にこの国土の、国の宝であり、大事なこと。私は、農水省だけで今できるような状況じゃないと思ってきています。もう国家プロジェクトとして、土の再生というか、土壌改良、そして地力を上げるということを私は大臣に強く強く要請をしたいと思っております。

 私の地元の若手が、この話をしていたらば、佐藤さん、我々は、農業というのは日本を耕す、そういう志と思いでやっていますと。地力というのを、土を育てるということがいかに大事か、多くの方々にわかっていただき、そして農業を、希望の持てる、夢が持てる仕事、産業にしてもらいたい、こういうことを強く言われました。大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 大変胸に響く言葉です。やはり、人生を農業や林業や漁業にかけると決めた若者が報われなければ、我々は大変、先輩として申しわけないと思います。

 流した汗の量が、地力が弱いために十分な実りが得られない、収入が得られないということであれば、我々は土壌診断というような、そういうスキルも持っておりますし、先生からもIoTの活用というお話もありました。ベクトルはずっと、昭和五十九年から右肩下がりで下がってきたということであれば、まさにこの令和の御年になって、ここから日本じゅうの農地の地力が上がるような努力をさせていただきたいというふうに思っております。

佐藤(公)委員 大変に言葉は、またそのソフトな言葉に僕ものみ込まれていっちゃうんですけれども、実際問題、五十九年のときも同じような話をして、みんなそれでうまくやっていける、特に、基本法からの流れでいうと農家は非常に夢を持っているという時代だったというふうに、私は議事録を読んでいて感じるところがあります。

 だから、ぜひともこういったことに関しては、これはやはり議事録を見て、歴史を見るというか、ひもとくことが非常に大事だなと。この地力、土、やはり国家の財産だと思いますので、どうか大臣にはその思いを実現していただきたい。でも、これがなかなか実現できない。大臣、何でだと思いますか。

江藤国務大臣 なかなか難しい御質問が続くのでございますが、私のおやじも政治家でございまして、おやじが青嵐会に入っていたころの本が出てきまして、そのときの本を、本というか冊子ですけれども、読みました。農について語っているんですけれども、全く、先生が御指摘以上に、もう何十年も前の話ですが、今我々が抱えている課題と大差ない、おやじの時代、おやじが若かったころにもこういう問題提起をしていたのかというふうに驚きました。

 しかし、我々は、私もまだ当選して十六年しかたっておりませんが、ずっと農林畑をやらせていただいて、みんなそれぞれ一生懸命でしたけれども、根っこのところを十分に理解していなかったのかな、先輩に学ぶ努力も足りなかったのかなと。

 議事録をもっと読めという御指摘をいただきました。ですから、これから新しい時代に担い手をつくる、そして日本の農地を次の世代に引き継ぐ、それは中山間地も含めて引き継いでいくということを考えると、もう一度、先人の教えにも耳を傾ける必要があるのかなと思いますが、なかなか答えにならなくて申しわけないんですけれども、よろしくお願いします。

佐藤(公)委員 もう時間が来ましたけれども、その若手みんなが言ったことが私は印象的でした。農地、土地は、一つの所有権で、権利というもので我々のものだけれども、この土は我々のものではなくて一時的に預かったものだ、粗末にしてはならないと。私は大変感銘、感動した次第でございます。

 そういう思いで、ともに、先ほどお父様のお話も出ましたけれども、昔は非常に、そういう意味で、そういうことを本当に腹を割って話し合ったようにも思えるので、そういった委員会であり、与野党の関係で、農水委員会はあってもらいたいと思います。よろしくお願いします。

 以上で終わります。

吉野委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、総理主催の桜を見る会について質問します。

 私はきょう、内閣委員会の集中審議、我が党、宮本徹議員の質疑を傍聴していたんですけれども、官房長官が招待者について数字を明らかにしました。

 本当に驚くことばかりです。安倍総理の枠が千人いる、招待客で。そして、その中には、安倍昭恵さんからの推薦も入っていたということがきょう明らかになりました。

 きょうは、ここでそういうことは聞きません。

 省庁推薦は、外務省を除いて三千六十三人であって、そして、先ほど大串議員からの質問にもありましたように、農林水産省の推薦は百三十二名だということでありました。

 この百三十二名は、先ほどの説明では、次官、官房長、それから審議会の長などと言われていますけれども、これは役所の方々ばかりですか。農林水産行政にかかわった人を招待しているのですか。農林水産業に功績、功労があった方はおられないんですか。教えてください。

枝元政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府から示されております当省に対する推薦の範囲ですけれども、事務次官、外局の長、局長クラスの二分の一、各種審議会、委員会等の長、あと各界の功績者、これは農業関係の功績者百十四名ということになってございまして、本年の実績が百三十二名ということでございます。

 各界の功績者でございますけれども、農林水産の関係分野で功績、功労のあった方々ということで、例えば叙勲ですとか農林水産大臣賞を受けられた方とか、そういう方々から選んでございます。

田村(貴)委員 後ほど確認したいと思います。

 それから、大臣、いわゆる政務三役の枠と自民党枠というところの説明がよくわからなかったんですけれども、官房長官は、内閣府が取りまとめする九千人の中に自民党枠が六千人あると言われたんですね。

 こちらの百三十二名の農林水産省の方では、政務三役、ここからの推薦はなかったという理解でよろしいんでしょうか。

枝元政府参考人 当省からの推薦者の選定に当たりましては、当時の大臣とか副大臣、大臣政務官に対象となる方々をごらんいただいた上で選定はしてございますけれども、いわゆる政務としての特別の枠というのは設けてございません。

田村(貴)委員 わかりました。

 もう一つ驚いたのは、江藤大臣が当選以来、桜を見る会に一度も行ったことがないと言われたことなんですけれども、何か特別に思われることがあるんでしょうか。

 実は、菅官房長官は、長年の慣行の中で人数がふえていることは反省した、そして、今後全面的に見直す、全面的に見直さなければならない、これが桜を見る会の水増し、膨張であるんですよね。

 江藤大臣は閣僚の一人として桜を見る会についてどういう思いを持っておられますか。

江藤国務大臣 会には趣旨があると思います。主催は総理でありますけれども、やはり国のお金も使っていることでもありますし、いろいろな御批判も今いただいているわけでありますから、来年は取りやめて、趣旨に沿ったものに、推薦者についてもいろいろお考えになるというような考え、私、詳しくは聞いておりませんし、内閣府ともこのことで何も話したことがありませんのでわかりませんが、しかし、あるべき形にいずれなって続いていくのだろうというふうに思っております。

田村(貴)委員 また新たな事実が出てきたら、いろいろとただしていきたいと思います。

 それでは、肥料取締法について質問します。

 本法案では、産業副産物の肥料の利用を一層拡大するために原料管理を行うとしています。その産業副産物由来の肥料にはいろいろあります。重金属など有害物質も含まれて、食の安全にもかかわります。工業製品の工場から出た汚泥もありますし、それから食品工場からの残渣もあります。

 農水省にお伺いします。

 どういった産業副産物を活用拡大していこうとしているのか、たくさんある中でどういったものがあるのかということを教えていただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今後一層の活用を期待される産業副産物といたしましては、畜産農家から発生いたします家畜のふんのほかに、食品工業からの副産物を想定しているところでございます。これは、食品リサイクルの率がなかなか高まっていないということで、循環型社会に向けましてもこの活用が重要と考えているところでございます。

 具体的には、例えば酒類の製造時に生じるかすでありますとか、水産加工場から生じる貝殻、あるいは調味料の製造時の残渣等につきまして、今後さらなる活用を期待しているところでございます。

田村(貴)委員 食品残渣系を期待するということであります。

 産業副産物由来の肥料の活用については、公定規格に定められた重金属などの有害物質が最大量を超えていないか、こうしたところを厳格に審査する必要があります。

 規制改革推進会議のこれまでの答申の中で、このように述べられています。これはことし六月ですけれども、「過去の肥料登録が積み重ねられた結果、規格の数が諸外国と比較して多く、農作物に対する有害成分の最大量が肥料の種類ごとに定められている等、詳細に過ぎて、分かりにくい」。それから、令和三年に、公定規格について、有害成分の最大量について大くくり化する。なかなかよくわからないんですけれども、大くくり化するということはどういうことでしょうか。

 現在、公定規格は約百七十というふうに聞いていますけれども、農水省はその公定規格を減らして、集約する方向でしょうか。例えばどういうくくりをするのか、例を示して説明をしていただけますか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の公定規格、種類ごとに細かく規格化されているのが現状でございます。こういう中、例えばということでございますが、副産窒素肥料、それから副産燐酸肥料ということで、副産と名前がつくもので六つ肥料がございます。これらにつきましては、これを副産肥料という形に統合するというようなことを念頭に置いているところでございます。

 いずれにいたしましても、種類やその特性を踏まえまして、丁寧に判断しながら、規格の統合を進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 つまり、保証する成分量や有害物質については従前と変わらぬ審査を行っていくということでよろしいんでしょうか。それと、そうであるならば、手続を簡素化するだけというふうに受けとめられます。そして、それは安全性をないがしろにするものではないと断言できますか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 規格の統合につきましては、それぞれ、現在の有害成分の表示が、例えば二種類、あるいは一項目、幾つかの項目があったという場合には、それを全て新しい規格の中に移行するということでございます。したがって、どれかの有害成分の基準が下がったり上がったりとか、そういうことはないようにするということはここでお約束をさせていただきたいと思っております。

田村(貴)委員 今度、肥料取締法は、肥料の品質の確保等に関する法律に変更します。しかし、安全性にかかわる規定まで緩めるようなことがあっては絶対ならないということを、私の方から強く指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、堆肥について伺います。今度の法律の目的の一つでありますけれども、堆肥の活用です。

 堆肥は配合飼料として更に使用が見込まれますけれども、しかし、家畜の飼料は輸入頼みとなっています。輸入した濃厚飼料には農薬が残留している、こういうケースが多々あり、先ほども出ましたけれども、除草剤であるクロピラリドは、農家被害も出ています。今後、こうした問題をどのように規制していかれるんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 堆肥に微量に残留いたします除草剤であるクロピラリドによりまして、一部の作物に生育障害が発生しているということでございます。

 現在は、特に施設栽培におけるトマトといったものにそのような生育障害が発生しておりますので、農家に情報を提供している、それから、施肥に関する留意事項を通知しているというところでございます。

 今般の改正に伴いまして、特殊肥料につきましても、施用上の注意事項について表示基準を定めることができるということになりますので、農家の方への情報提供というのに加えまして、クロピラリドにつきましては、表示基準を定め、含有に関する情報や、施用に当たっての留意事項ということで、肥料に記載をしていくということを進めてまいりたいと考えております。これによりまして、園芸農家が安心して堆肥を利用できる状況が整うというふうに考えております。

 それから、先ほど、副産の肥料につきまして六種類と申し上げましたのは、十一種類でございました。訂正をさせていただきます。

田村(貴)委員 はい、わかりました。

 次に、検査体制について質問します。

 公定規格どおりに品質が確保されているかのチェックは、今に増して重要になると考えます。特殊肥料などの流通後におけるチェックは、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、FAMICに委ねられています。職員体制、それから立入検査の件数、そのうち違反件数等について簡単に教えてください。

新井政府参考人 まず、職員の人数でございます。FAMICにおきまして肥料関係業務に従事している職員は、平成三十年度末で五十七名ということでございます。

 FAMICは登録肥料につきまして立入検査を行っておりまして、三年又は六年の有効期間内に必ず一回立ち入るということ、それから、疑義情報があれば必要に応じて立入検査を実施しているところでございます。この立入検査はFAMICとそれから地方農政局でも実施をしておりまして、これらの立入検査を合わせますと、平成二十九年度は三百七十二件、そのうち違反件数は百二十九件でございます。

 違反件数が多いように見えますけれども、その大部分、八割以上が表示の欠如でありますとか表示の間違いということでございまして、しかしながら、全体の一%未満ではございますが、重金属の超過など、安全性にかかわるものがございます。これにつきましては、速やかに是正措置が行われているところでございます。

田村(貴)委員 まあ、軽微なものから重大なものまで、しかし、違反がそれだけあるということですよね。それで、立入検査がやはり脆弱ではないかなと私は思うわけです。新規で一千件程度、これを見なければいけない、更新で二千から三千、これを見なければいけないと伺っております。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり議事録を見てみますと、一九八三年度は、こうした登録の関係の仕事をしている職員が百十名おられたと。三十五年間で半減しているわけですよね。これから法改正によってより厳しく見ていく、それから検査体制も強化していく、業務量もふえていく。そうすると、ちゃんとマンパワーの体制も強化する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 食品の安全にかかわることでございますから、まさにおっしゃるとおりだと思っております。ですから、今御紹介のありましたFAMICにつきましても、地方農政局、全国八カ所ございますけれども、それぞれ新たに二人ずつ担当職員を要求させていただこうということにいたしております。

 そして、先ほどちょっと局長からありましたように、情報の収集も、あそこは怪しいよみたいな疑義の情報収集も引き続きやらせていただくことによって、体制は強化してまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 もう一問、大臣にお伺いします。

 先ほども議論があったんですけれども、私は、化学肥料の使い過ぎによって、土の力、地力が衰えてきたといったところは、これはやはり正さなければいけないと思います。そして、堆肥の使用拡大が地力の向上につながっていくのかということですよね。特殊肥料と産業副産物肥料の混合肥料を普及していく中で、本当にこの法改正で、地力、田んぼ、畑の地力は高まっていくのでしょうか。大臣にお伺いします。

江藤国務大臣 その前に、一部、答弁の修正をさせていただきたいと思います。

 先ほど、人数をふやすと申しましたが、これはFAMICの人間がふえるのではなくて、ちょっと申しましたが、地方農政局の担当職員を、二人ずつ増員要求をするということでございます。修正させていただきます。(田村(貴)委員「各農政局」と呼ぶ)はい、農政局です。

 それで、地力は上がるかということにつきましての御質問でございますが、やはり堆肥を入れた方がいいと思っている方は多いんです。しかし、重いし、大変だし、スプレッダーみたいな機械もないし、できないよね、それで化学肥料に頼ってしまったということもありますので、やはり堆肥を入れることが地力の回復につながることは農家の方々は御経験上よく知っていますので、今回、これが一緒に、省力化することによってできるということになれば、地力の回復にも資するものになると考えております。

田村(貴)委員 全てが農業と畜産、この健全な発展につながり、食の安全につながる大事な問題であります。業務量はふえる、人員は足りないではだめです。しっかりした検査体制をとっていただく、そして肥料と農産物の安全をしっかり守っていただく、このことを強く申し上げて、きょうの質問を終わります。

吉野委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 肥料取締法の一部を改正する法律案について、質問いたします。

 農業生産上極めて重要な肥料について、品質の悪い肥料で農家が被害を受けることがないように、肥料取締法が制定されており、時代の変遷とともに改正されてきたと思います。今般の改正に当たり、肥料を取り巻く状況の変化や農業生産の現場の変化もあるものと理解をしておりますが、どのような課題に対し、法改正をするのか、またなぜこのタイミングでの改正なのか、教えてください。

江藤国務大臣 残念ながら、農業の現場では高齢化も進んできております。ですから、今まで軽トラに堆肥を積んで、自分の圃場にまくことができた人も、高齢化に伴って、なかなか体力的にも厳しくなってきたという現場の変化がございます。

 そういう中で、やはり、堆肥と化学肥料をまくのを一回で済んだら助かるんだよなという現場の声が一番の、この法改正の原点だというふうに御理解をいただければと思います。

 そして、コストもぜひ下げてほしいと。やはり、生産物が高く売れることも大事ですけれども、固定費用、いつも毎年出るお金が減れば、懐に残る金もふえるわけですから、そういうような御要望もいただいて、省力施肥に向かって、この法律を今回皆様に御審議をいただいているということでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 高齢化ということと、また農家の方々の負担軽減であったり、コストを低下させるということは本当に農家の方々からのニーズだと思いますが、なぜこのタイミングなのでしょうかという質問をしたのは、もう少し早くてもよかったのではないかという思いもありまして、質問をさせていただきました。

 堆肥と化学肥料をまぜられるようにして、土づくりを進めることは大変よいことと私も思っております。

 これまで、堆肥の投入量も年々減少しており、土壌の地力が低下をしたり、栄養バランスの悪化によって農作物に影響が出ているとも聞いております。

 現行法では、堆肥と化学肥料を配合することが認められていなかったということですが、なぜこれまで配合することができなかったのか、また、堆肥と化学肥料を配合することは、安全性に問題はないのでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、成分の安定した化学肥料に成分のばらつきが多い堆肥をまぜると正確な成分含有量がわからなくなってしまうでありますとか、水分の多い堆肥をまぜると化学反応が起きて品質が低下するおそれがあるというような問題がございました。

 例えば、アンモニアを含む化学肥料が水分と反応いたしますと、アンモニアガスが気化をするということでございまして、まぜる場合に注意が必要といった状況がございました。それから、配合して使うというニーズが必ずしも強くなかったということも背景にあったと思っております。

 しかしながら、これから省力化、それから使い勝手のよい堆肥を要望する農家が非常にふえたということもございますし、実際に、品質管理それから配合の技術の工夫によりまして、成分のばらつきを抑えながら品質低下を起こさないような、こういう技術的なものも可能になったということもございます。

 このような状況を踏まえまして、今般の法律改正で配合を可能にしたいというふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 以前は、品質低下などいろいろ懸念材料もあったということですけれども、ニーズに合わせてということで、また技術も上がっていると思いますので、特に安全性に問題がないというところであれば、農家の方々もそれぞれ散布する必要がなくなると思いますので、負担軽減につながるということで、ぜひ進めていっていただきたいと思っております。

 今回の法改正では、原料帳簿の備付けの義務づけ、原料の虚偽宣伝の禁止といった規制を強化する内容も含まれています。規制を強化するということは、国が企業活動について一定の制約をすることになるわけですが、今般の法改正によって農林水産省の権限が増すことにつながるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

新井政府参考人 議員から御指摘をいただきました肥料業者の原料帳簿の義務づけ、それから虚偽の宣伝の禁止といった今回の規制強化の内容は、いずれも農家のメリットにつながるものだというふうに考えております。

 他方、事業者の側から見ますと、原料帳簿の作成というのは、新しくということではなく、多くの事業者は既に実施をしているということでございますし、虚偽宣伝につきましても、正確な情報を伝えるということは事業者の義務で、当然やるべきことではないかというふうに考えているところでございます。

 このような視点から見ますと、農家のメリットになるものにつきまして、事業者の、必要な範囲内で義務を追加するということでございますので、過度な負担にはなっていないというふうに考えているところでございます。

 したがいまして、農林水産省の権限につきましても、必要な範囲内で規制の強化をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 農林水産省の権限を増すものではなく、農家のメリットにつながるものであるということで、理解をいたしました。

 次に、肥料コストについて伺います。

 農家の方々からお話を聞いておりますと、やはりかなり肥料に経費がかかっていると伺いました。新薬ができてもできても、害虫に抗体ができ、薬が効かなくなる、その繰り返しで、大変御苦労されているようです。薬が効かないからといって多くの農薬を使うと、抜き打ち検査で残留農薬が検出されてしまい、全てが出荷できなくなってしまうということで、害虫対策に本当に頭を悩まされているということをお聞きしました。現場の声として、農薬研究に今後もっと多くの予算をつけてほしいと言っておられました。安全で効果のある新薬の開発、ぜひ進めていっていただきたいと思います。

 今般の法改正により、コスト低減が期待できるとお聞きをしております。具体的にどのような措置を講じることによって肥料コストが低減するのか、具体的に教えてください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、農薬の現状についてのお尋ねがございました。

 農薬につきましては、確かに新薬の開発にはお金がかかるということでございます。農薬については、それを踏まえまして、できるだけ多くの国で使っていただくということも含めまして、世界各国が、グローバル企業になりながら、開発費を抑えながら進めているのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 お尋ねがありました肥料につきましては、今般、産業副産物を使うということによりまして、低廉な原料を肥料に使うということで、まず一定のコストの縮減が認められるということ、それから、堆肥と化学肥料を一度に散布するということにつきましては、農業生産性、いわゆる労働費が低減をされるということでございますので、これにつきましてもコストの縮減が期待されるということでございます。

 それから、法律改正以前から、農業競争力強化支援法に基づきまして、窒素、燐酸、カリといった配合肥料、いわゆる汎用性の高い肥料につきましては、銘柄集約等によりまして一定の成果が上がっている、一割から三割、引下げが行われているというふうに聞いているところでございます。

 このようないろいろな手法によりまして、農家の方々に、コストが安く、安全で、かつ、よい肥料を提供していくように努めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 農家の方々に多くのメリットがあるということで、ぜひ進めていっていただきたいと思っております。

 低コストの産業副産物の活用を進めるに当たっては、課題もたくさんあると思います。例えば、産業副産物の一つである下水汚泥などは、カドミウムなど重金属が含まれるおそれがあります。このため、肥料の原料として産業副産物の活用を進めるに当たっては、きちんと安全性を確保することが大前提だと思います。安全性を確保するために原料帳簿を義務づける措置を講じるとのことでありますが、これだけでは不十分なのではないかと懸念しております。

 帳簿を義務づける措置と安全性の確保との関係について教えてください。

新井政府参考人 まず、肥料の安全性につきましては、肥料の製品規格といたしまして公定規格というのを定めております。この中におきましては、有害成分を含有するおそれのある肥料につきましては、その基準値を設定いたしまして、登録審査の際に基準値を下回る旨を確認をしております。この点につきましては、今回の改正で緩めることはないということでございます。

 これに加えまして、今回の法改正では、新たに原料規格というのを定めまして、安全性の確認された副産物をリスト化するということで、肥料に使える原料の範囲を明確化するということがまず一つでございます。それから、事業者につきましても原料の帳簿を義務づけるということで、立入検査の際に、その原料にさかのぼって検査ができるということを考えているところでございます。

 これによりまして、肥料の生産者が原料を確認してしっかりとした製品をつくるという意味でのさらなる安全性、それから品質を高めることにつながると考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 特に安全性に関しては、今後もしっかりとお願いをしたいと思っております。農作物は消費者の皆さんの口に入るものですので、この肥料の安全性、しっかりと確保していただきたいと思います。

 今般の法改正では、これまで登録制のもとに国が安全性や品質について確認していた肥料の一部を届出制に移行するとのことですが、登録制から届出制に移行することによって安全や品質に問題がないのか、こちらも教えてください。

新井政府参考人 今般の改正におきまして登録制から届出制への移行を検討しているものは、既に登録を受けた肥料を原料として粒状に加工した、二次的に生産される肥料のみということでございます。したがって、原料となる肥料が既に登録審査を受けておりますので、二次的に生産される肥料についても、改めて登録審査を行わなくとも安全や品質に問題は生じないというふうに考えているところでございます。

 しかしながら、配合の組合せによりましては化学反応が起きやすいというものもございますので、そのような組合せの配合は省令で明確にした上で、安全性や品質で問題がない範囲で届出制での生産を認めることにしたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 いつもお願いをしておりますが、現場の声を大事にしてほしいなと思っておりまして、今回の法改正にはかなり農家の方々の声が入っているように思います。

 農家の方々の声として、新薬開発、農薬研究に、先ほど予算をつけてほしいとの声があったというお話をさせていただきましたが、ヨーロッパで禁止されたネオニコチノイド系の農薬についても、ミツバチ保護の観点からも、将来日本も使用禁止になるのではないか、そういうように言われている農家さんがおりまして、早期の代用農薬の開発にも力を入れていただきたいとの声も伺いました。

 また、ドローン散布などの使用可能農薬の開発が進めば、選択肢が広がり、安価で効果のある薬剤ができることも期待しているとおっしゃっておりました。今後もドローンなどの導入もふえていくと思います。農家の方々の負担軽減のためにも、スマート農業も推進していかれると思いますが、同時に、安全な新薬の開発についても改めてお願いをしたいと思います。

 最後に、大臣に伺ってよろしいでしょうか。この法案に対する思いを最後によろしくお願いいたします。

江藤国務大臣 委員がおっしゃったように、現場の方々の役に立つものでなければ、法律をつくっても何の意味もございません。

 それから、新薬等についての御懸念でございますけれども、新しいものに限らず、例えば、こちらの農薬を使えばこの作物を守れるとわかっていても、こっちのものは使えても、こっちでは使えない。これは農業だけに限らず、例えば漁業でもあるんですよ。ブリでは使えるけれども、フグには使えないとかですね。しかし、それをフグに使うようにするためには、もう一回エビデンスを積み重ねて、三年ぐらいは実証実験等を重ねなければ認可がおりないということはありますので。

 しかし、これを、農林水産省としては、できるだけ早く、今現有で使えるものを使えるようにするということに力を注ぎたいんですが、しかし、相手が、科学的な見地に基づいてと言われると、それを例えば半年に縮めろとか、そういうことは、かえって物の安全性、製品の安全性を毀損することになりますので、大変、先生ももどかしい思いをされているかと思いますが、そういうことも含めてやらせていただきたいと思いますし、本法案におきましても、労力それから収益の向上に向けて役に立つ法案となるように、運用の面でしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 本当に安全性が第一だと思います。先ほど大臣からもありましたけれども、本当に、新薬の開発といっても、なかなか簡単でないものだとは思いますけれども、私も今後、更に現場の声を集めてまいりますので、現場の声を聞いていただけたらと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、肥料取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、武部新君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。青山大人君。

青山(大)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    肥料取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  世界的に肥料需要が高まる中で、将来にわたる肥料の安定供給のためには、国内で発生する低廉な堆肥や産業副産物由来の原料の活用を進めることが重要とされている。また、農地土壌について、地力の低下や塩基バランスの崩れ等が懸念される状況にあることから、肥料に関し、品質の確保はもとより農業現場の需要に柔軟に対応した供給を行うことが求められている。

  よって、政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 原料のリスト化に伴う公定規格の見直しに当たっては、土壌の改善、資源循環等のメリットを有する産業副産物由来の原料の有効利用に留意すること。その際、肥料原料に係る有害物質の除去・混入防止をはじめ、肥料の品質及び安全性確保のための実効性ある監視体制を整備すること。

 二 肥料の原料についての帳簿への記載の義務化については、違反事例がある場合等における迅速な入手経路の把握及び対応が行えるよう、トレーサビリティの実効性を確保すること。

 三 普通肥料の表示基準の策定及び保証票の記載内容の見直しについては、農業者の利便性を向上させ、施肥に有用な情報の提供を充実することを旨として行うとともに、併せて原料構成の変更に伴う保証票の作り直し等に係る生産業者の負担軽減についても配慮すること。

 四 肥料の登録及び届出の手続については、電子化する等により、一層の合理化を図ること。

 五 地力の増進、収量の増加等、農業生産力を強化するため、土壌診断に基づく適切な土づくりの促進を図ること。また、土づくりに重要とされる堆肥をはじめとする特殊肥料の利用拡大に向け、耕種農家のニーズ等に対応した堆肥の高品質化を図るとともに、家畜排せつ物の地域偏在や輸送等の課題を解消するために必要な措置を講じること。

 六 題名を含めた抜本的見直しを内容とする本法について、肥料の品質の確保及び農業者のニーズに柔軟に対応した肥料生産等の推進の観点から行われるものであることを周知徹底するとともに、施行に伴い、農業経営の安定に資する安価で高品質な肥料の供給促進を図り、農業者への新たな負担や肥料の製造・流通段階での混乱が生じないようにすること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本法律案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

吉野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十二分散会


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