衆議院

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第10号 令和2年3月31日(火曜日)

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令和二年三月三十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 池田 道孝君 理事 齋藤  健君

   理事 谷  公一君 理事 野中  厚君

   理事 細田 健一君 理事 石川 香織君

   理事 近藤 和也君 理事 濱村  進君

      泉田 裕彦君    稲田 朋美君

      今枝宗一郎君    上杉謙太郎君

      金子 俊平君    神谷  昇君

      木村 次郎君    小寺 裕雄君

      坂本 哲志君    笹川 博義君

      鈴木 憲和君    高鳥 修一君

      永岡 桂子君    西田 昭二君

      福山  守君    古川  康君

      宮腰 光寛君    宮路 拓馬君

      簗  和生君    青山 大人君

      大串 博志君    神谷  裕君

      亀井亜紀子君    佐々木隆博君

      佐藤 公治君    櫻井  周君

      長谷川嘉一君    広田  一君

      緑川 貴士君    石田 祝稔君

      佐藤 英道君    田村 貴昭君

      森  夏枝君

    …………………………………

   農林水産大臣       江藤  拓君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   農林水産大臣政務官    河野 義博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山名 規雄君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            岩濱 洋海君

   政府参考人

   (農林水産省消費・安全局長)           新井ゆたか君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  水田 正和君

   政府参考人

   (農林水産省経営局長)  横山  紳君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           川上 光男君

   農林水産委員会専門員   梶原  武君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三十一日

 辞任         補欠選任

  亀井亜紀子君     櫻井  周君

  石田 祝稔君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  櫻井  周君     亀井亜紀子君

  佐藤 英道君     石田 祝稔君

    ―――――――――――――

三月三十日

 種苗法改定に関する請願(小川淳也君紹介)(第四三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 家畜改良増殖法の一部を改正する法律案(内閣提出第三五号)

 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官岩濱洋海君、消費・安全局長新井ゆたか君、生産局長水田正和君、経営局長横山紳君、財務省大臣官房審議官山名規雄君及び国土交通省航空局安全部長川上光男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。広田一君。

広田委員 おはようございます。立国社の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 法案の質問に入ります前に、農林水産省における新型コロナウイルス対策について何点か質問をさせていただきます。

 この新型コロナウイルス対策につきましては、農林水産省の皆さん、江藤大臣を先頭に、昼夜を問わず御尽力されておりますことに、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 去る三月二十六日なんですけれども、安倍内閣は、新型インフルエンザ等特措法第十五条第一項に基づきまして、対策本部を設置をいたしました。それに基づき、基本方針の作成に着手をしたところでございます。また、三月二十八日には、今後、大型の補正予算を十日以内に策定をすることを表明をしました。遅きに失したとはいえ、ぜひとも一日も早く決定をしていただきたいと思います。

 こういった中、高知県を始めとする各地方自治体も緊急要望をしているところでございまして、例えば、一次産業への影響対策としては、卒業式を始めとする各種イベントの中止や外食需要の落ち込みにより、農畜産物や花卉並びに水産物の価格や売上げが減少しているので、影響を大きく受けている品目の生産者に対して早急な経営安定対策を実施すべき、このように訴えております。

 こういったことを踏まえますと、これも誰しもが言っておりますけれども、前例にとらわれず、そして今までにやったことのないことも含めて、本気の、思い切った対策というものが求められていると思います。

 そこで、農林水産省におかれましては、これは江藤大臣もかねてよりこの補正予算の検討をするようにと指示をしているところでございます、取り組まれているというふうに理解をするところでございますが、今般の補正予算の編成に関する農林水産省としての検討状況と江藤大臣の決意をお伺いをいたします。

江藤国務大臣 今先生からお話をいただいたように、二十八日に正式に指示がありましたので、十日間をめどということでありますから、その日のうちに、もうその前から実はやっておりますけれども、省内においては、各局ごとに、水産も、それから林業も、そして農業の部門は畜産とか、もうたくさん、分野は分かれておりますから、お花もありますし、それぞれの各局各課において詳細な検討をするように、そして思い切ったものを上げるように、特に若手に、こんなことまで要求したらちょっとむちゃなんじゃないかということも、一応考えたものは全て上げてくれというようなやり方で検討させております。

 先生おっしゃるように、品目ごとに生産者の影響緩和対策をしなければならないと思っております。総理からも、前例にとらわれず、そして強大な対策を考えるようにということでありますから、そのお言葉に見合ったものを考えておりますが、現実に、各局各課、もう財務と当たり始めておりますけれども、やはり緊急にやらなきゃいけない部分、それから、ある程度落ちついてからやる部分はきちっと峻別してやらなければならない部分があるのだろうと思います。

 外食についても、特に首都圏においては外食等については控えてほしいということでありますから、そういうこともありますけれども、地方においてはまだまだそういうところのないところもあります。

 ですけれども、内容については、申しわけないんですけれども、詳しいことは申し上げられませんけれども、とにかく、強くて大きくて、生産者の方々に、ポイントを得たなという内容にしたいと思っておりますので、きょうの夕方には、スカイプを使いまして、水産、林業、畜産、それから花とか、いろいろな分野の方々、本省とつないで、直接生産者の方々からも御意見をいただく機会をきょうの夕方持つように考えております。

広田委員 大臣の方から基本的な御認識をいただいたところでございます。詳しくは申し上げられないということは理解をするところではありますけれども、大臣、せっかくの委員会での質疑であるわけでございますので、江藤大臣らしい、これは前例にとらわれていない、これはなかなか俺じゃないとできないぞというような緊急な対策、これについて、五つとか十とか挙げろとは言いませんけれども、一つ二つお示しいただければなと思いますが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 ここでぶち上げたらそのまま通るということであれば、ぜひそうさせていただきたいと思いますが、財政民主主義の原則がございますので、やはり国会で御議論いただいた上で予算は執行されるべきものであるということは御理解いただかなきゃいけないと思っております。

 ただ、記者会見等で申し上げておりますように、和牛については大変在庫が積み上がっております。このままの状態になると、いわゆる屠畜場で制限をする、出荷制限という言い方もできますけれども、割ることができない。肉の保存倉庫がない以前の段階で、屠畜場としてこれ以上、成牛であっても受け入れることはできませんという状況になる可能性もあります。そうなれば、当然牛舎もあきませんから、子牛を買う必要がない。そうなると、繁殖農家のところで、本来であればもう出荷の予定のものが、下手すると三十カ月になってもまだ牛舎につながれている。しかし、繁殖農家はそういうところで飼うことは想定しておりませんので、当然場所もありませんし、お年寄りが肥育している場合もありますので、その場合は大変危険なこともある。そういうことについては、緊急に、やはり流通をもう一度回復させるような施策というものは早く求められると思っております。

 花なんかについてはなかなか、花も肉のように一元管理がされておりませんし、時期もばらばらですし、米ともまた性格が違いますけれども、次の年度についてまた意欲を持って生産に取り組んでいただけるような何か施策を考えなきゃいけないと考えております。

 水産についても、これも、大衆魚については下がっていない、高級な魚については下がっている。いろいろな、ばらばらな部分がありますけれども、これを一括でやるということは難しいかもしれませんが、例えば積立ぷらすの運用をどうするのかとか、そういうようなことも俎上に上ってくるのかもしれません。

 林業についても、原木輸出が中国等で大変とまっている現状もありますが、国内でそれを消費しようと思っても、国内経済もとまってきておりますから、林業についてはどういう施策が必要なのか、それについても考えておりますけれども、なかなか先生の御期待に応えられるような、五つ六つ具体的に、ああします、こうしますということは、ちょっときょうの段階ではお許しをいただければというふうに思います。

広田委員 ぜひとも前例にとらわれない対応をしていただければなと思います。

 アメリカの場合は、本当に財政規模は全く違いますけれども、農業関係等に二兆五千億円予算を投じた、こういうふうな報道もあるわけでございます。規模感も含めて、ぜひとも取り組んでいただければなというふうに思います。

 そういった中で、先ほど大臣の方から畜産関係についてのお話がございました。先週末、この関係で非常に話題となったのがいわゆるお肉券等についてでございます。

 これは、自民党の農林部会の皆さんが、去る二十六日の会合の中で、新型コロナウイルス感染対策を受けた経済対策の一つとして、需要が大きく減少している国産牛肉の消費喚起のためにお肉券の発行を盛り込んだわけであります。

 確かに、訪日の外国人の激減、また国内でも外出の自粛拡大によって需要が大きく落ち込んでいるわけであります。それに伴って、全国の屠畜場の倉庫に牛肉の在庫が積み上がっている。そうすると屠畜はできない、また成牛になっても肉にできない、肥育農家は非常に大変になる、そうすると子牛も売れない、こういった悪循環になるわけでございまして、そこをやはり何とかしなければいけないということは大臣も先ほど述べられたわけであります。

 やはり、歯を食いしばって頑張っている地元の農家の皆さんのこの悲痛な声を踏まえれば、こういったお肉券を出すべきだというふうな話、私も一定よくわかるところでございます。何よりも、先人たちが築き上げてきた和牛文化、この土台が本当に崩れてしまうんじゃないか、こういった危機感から出てきたものであるというふうに思うわけであります。

 ただ一方で、私も週末、高知県の畜産農家の方と意見交換することがありましたけれども、こういった取組について、非常にありがたい、ありがたいんだけれども、もっと一次産業全体を見て、それを応援するような使い方もあるのじゃないか、こういうふうな意見もあったところでございます。

 確かに、同じ肉を考えましても、牛肉ほどではありませんが、需要が減少している影響はまだ少ないとは言われておりますけれども、豚があったり鳥があったりもするわけでありますし、野菜や果実、そしてなかなか支援策もない花卉もあるわけでございますので。加えて、今は、外食、飲食店を応援しようにも、外出について自粛をしてくれというふうに政府を挙げて呼びかけている中でありますので、タイミングとしてはどうかなというふうにも思うわけであります。

 木を見て森を見ずの状況にならないようにしていただければなというふうに思いますが、農林水産省として、大臣も先週の記者会見で一定御見解を述べられておりますけれども、このお肉券等についての御所見をお伺いできればと思います。

江藤国務大臣 各党でそれぞれ、けんけんがくがくの御議論をいただいて、御提案、政策提言がなされることについては、いいことだと思います。

 その一方、報道等でも私も承知はいたしておりますが、農林水産省としてこの実施について決めたということはございませんので、私、自民党の議員でありますけれども、今、一応農林水産省の人間でありますので、これについて評価する、コメントするというのはちょっと違うのかなというふうに思います。

 ですけれども、今先生言われましたように、国民の御理解をいただけなければなかなか財政の執行はやはり難しいんだろうと思います。いろいろな御議論をこの委員会でもさせていただきましたけれども、今後の農林水産政策を遂行するに当たって、国民の御理解をいただいた上でやっていきたいんだということを何度も私は申し上げてきました。

 今回のコロナ対策についても、前例のない、そして強大なものを目指さなければなりませんが、しかし、まあ、多少無理筋ではあるけれども、でもわかるよねというところをやはり狙っていくことは、そういう努力は必要だと思いますので、いろいろな党の方々の御提言もいただき、また、自民党の与党の先生方、公明党の先生方の御提言、御意見も伺いながら、しっかりとしたものをまとめていきたいというふうに考えております。

広田委員 ぜひしっかりと、慎重な上にも積極的に議論をして対応していただければなというふうに思います。

 新型コロナウイルス対策については最後の質問になるんですけれども、緊急事態宣言を想定した上での備えについてお伺いをいたします。

 これについては、先般も大臣とは若干議論もさせていただいたところなんですけれども、東京を含めて、都市封鎖というのが現実味を帯びているわけであります。現状を踏まえれば、来月には政府として緊急事態宣言が出される可能性といったものがこれまで以上に高くなっている、そういう現状であります。そのときに混乱、困惑、影響が出ないように、緊急事態が出された場合の対応について、あらかじめ農林水産省としては準備をしておく必要があるのではないか、こういう問題意識を私は持っております。

 具体的には、農林水産省の新型インフルエンザ等対策行動計画、これは平成三十年に策定されているんですけれども、その中にも、業務継続への取組だとか、サービス水準に係る国民への呼びかけ、食品等の緊急物資の輸送、食料品の価格・流通の安定対策などなど、非常に、緊急事態宣言がなされた場合に備えなければならないことが多々あるわけでございます。

 これは、出されたときにそれから準備するというわけにはいかない性質のものでありますので、農林水産省として緊急事態宣言への備えをしてあるのかどうか、このことも含めて江藤大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、十三日に改正法が成立したことを踏まえまして、農林水産省においても、食料の安定供給とか経済対策の検討、これはもう始めているところでございます。

 これが出るかどうかはわかりませんけれども、新型インフルエンザ等対策特措法における緊急事態宣言条文一覧表、これを見ますと、農林水産省に当たるところは多分、第一節の四十二条の職員の派遣の要請、これはかかってくると思います。これは具体的に、人選も含めて、出たらどの人間をどの部署に配置するかということは、もう既に省内では検討済みでございます。

 それから、土地の利用等も、第三節の四十九条あたりもかかってくるかもしれませんが、これについては、そのときの状況によって、農林水産省の管轄する中で、どの土地、施設を管轄するかについてはまだ今のところわかりませんので、個々の状況によって判断することになると思います。

 それから、第四節の五十九条の生活関連物資等の価格の安定等、これは先生も今明示をしていただきましたけれども、これについては、二十五日に東京都の方から外出自粛要請を受けて、一時的な欠品が出ました。そのときに、食品メーカーの方々にお願いをしまして、土曜、日曜の配送、それから、土曜、日曜も工場を稼働させて、供給体制も一・二倍から三倍に上げていただくような要請を行っておりますので、これについては、緊急事態宣言が出たとしても同じだろうと思いますが、これ以上の供給力増加はなかなか難しいという現実もありますし、そして、これだけの供給体制を組んでおけば、ほぼほぼ欠品は出ない。

 現状を若干説明いたしますと、一部ではまだ、カップ麺というよりも即席麺が足りないようなところはあります。米がなくなったところも一時的には、二十八日ごろありましたけれども、今の段階ではほぼほぼ解消いたしておりますので、緊急事態が出た後の状況についても、省内では随時検討させていただいているところであります。

広田委員 検討されているというふうなことでございますので、これをしっかりと、備えあれば憂いなしでございますので、更に取り組んでいただければなというふうに思います。

 もちろん緊急事態宣言を出すこと自体は慎重であるべきだし、出せば、これは経済危機の引き金にもなりかねないわけでありますから、この点は慎重であるべきではありますけれども、しかし、いざなった場合に迅速に対応できるように、備え万端、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、法案の中身について質問させていただきます。

 私たちは両法案については賛成でありますし、この後、専門家の皆さんがるる具体的な質問をされると思いますので、私の方からは何点か、確認の意味で質問をしたいというふうに思います。

 まずは、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に係る法律案についてお伺いをいたします。

 この新法は、平成三十年に改正されました不正競争防止法の限定提供データの不正取得などに関する規定を参考にいたしております。これは本当に、何か、よく考えられたな、これは誰が見つけてきたのかなというふうな感じで、非常に感心をしているところでございますけれども、これについて、まず、新法の提案理由のポイントについて江藤大臣にお伺いいたします。

江藤国務大臣 三十年の六月に、受精卵と精液が大量に中国に持ち出されそうになった、しかも、日本でとめられずに中国のところでとまったという事案が発生して、国民的にも、特に生産者団体の間には、これは大変だという機運が高まりました。ですから、自民党はもちろんですけれども、各党において、これについて何とかしなきゃいけないという検討が始まったところでございます。

 それについて、私も自民党のPTのメンバーでやらせていただきましたけれども、種苗法の中でやるとか、いろいろな工夫はありました。関税法でやるかとかいろいろな議論はやりましたが、なかなか難しいというところで、この不正競争防止という法律を参考にする。というのは、知的財産的という、知的財産という言い切りじゃなく、知的財産的という若干遊びを持たせている状況になっておりますが、しかし、これで何とかいけるということで、この知恵を、皆さん方のおかげで出すことができたと思っております。

 何といいましても、これは、長年、先人がつくり出した、まさに私たちにとっては、的ではなくて、知的財産ですから、これをしっかり守って、これから、やはり、中山間地域とかは特にそうですけれども、畜産をやりながら山をやる、小さい面積の農地を守りながら地域で暮らしていく、条件の悪いところほど実は畜産が果たしている役割はとても地域に対して大きいという側面がありますので、こういった日本の強さを失わないためにも、この不正競争防止法を参考にしてこの知的財産を守っていこうということが本法案を提出した趣旨でございます。

広田委員 大臣の方から御答弁があったように、この家畜遺伝資源というのは知的財産としての価値を有しているんだ、ですから、その知的財産としての価値の保護を強化すべきというのは、本当に、御紹介があった事件以降、より一層社会的要請が高まっている、こういったのが今回新法を提案した理由であります。言うまでもなく、キーワードは知的財産の保護というふうなことになるんだろうというふうに思います。

 その一方で、新法の第一条の「目的」には、「家畜遺伝資源の生産事業者間の公正な競争を確保する」、こういうふうに書いてあるわけであります。確かにこの規定というのは、この新法の参考となりました不正競争防止法の第一条の目的にも同趣旨の規定があり、これは理解するところでありますが、しかしながら一方で、提案理由の肝であり、それこそ公正な競争を確保しなければならない、何で公正な競争を確保しなければならないのかは、先ほど大臣が御答弁あった、この根本が知的財産保護であるわけなんですけれども、しかしながら、この新法の第一の目的に、知的財産保護の知の字も書いていないんです。これは一体どうしてなのか。これでは、新法の提案理由と新法の目的規定が一致していないのじゃないかと考えますけれども、江藤大臣の御所見をお伺いします。

江藤国務大臣 確かに、目的のところには、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置を講ずるということでありますので、これを読んでいただければ、その前に、家畜遺伝資源の生産事業者間の公正な競争を確保するためということでありますから、知的財産であるからこそ、保護しなければならないのだ、確保しなければならないのだということでありますので、この目的規定の第一条で私は読み取っていただけるのではないかというふうに思います。

広田委員 読み取っていただけるということなんですけれども、しかしながら、大臣、知的財産を保護するという文言を第一条の目的にしっかりと明記できなかったのにはやはり何らかの理由があるんじゃないかなと。

 百歩譲っても、先ほど、何か知的財産的価値というふうな、知的財産的価値みたいな言い方もされていましたけれども、これはやはり何か法制局とのやりとりがいろいろあったのかどうかわかりませんけれども、しかしながら、私は、今回なぜ、この法案を、非常に知恵を出して、不正競争防止法というところの改正に目をつけてつくった、ある意味画期的な法案だというふうに認識をしているところでありますが、であればこそ、やはり知的財産保護という規定が本来あってしかるべきではなかったのかなというふうに思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 真正面からがつんとやれればそれが一番よかったんだろうと思います。先ほども答弁で、知的財産的という言葉をあえて使わせていただきました。

 例えば関税法で縛るということであれば、関税の場合は外形的にはっきりわかるという、いわゆる家畜というものはずっと改良の歴史があって、同一性、均一性が確保できない。ということであれば、知的財産としての確立をなかなか外形的に担保するのは難しいという性質がありますから、ですから、法制局ともいろいろな議論を重ね、党内でもいろいろな議論を重ねた上で、ぎりぎりのところでこの法律を書かせていただいたので、先生の御指摘はお気持ちとしてよくわかりますが、踏み込めるところまで踏み込んで書いたのがこの内容だと御理解いただければと思います。

広田委員 大臣の方から御答弁があったように、本当は盛り込みたかったんだけれども、今言った理由でなかなかかなわなかったのかな、そういうふうにも理解を……(江藤国務大臣「ガットがありますから」と呼ぶ)はい、わかりました。

 それでは、次に、和牛遺伝資源の流通管理のあり方についての中間取りまとめに関連してお伺いをいたします。

 この中で、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化のための制度の検討について見解が述べられておりますけれども、そのポイントについてお伺いをいたします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省に設置いたしました和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会、昨年七月に中間取りまとめを出しております。

 「和牛遺伝資源の流通管理のあり方について」という中間取りまとめを出しておりますが、この中で、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化のための制度の検討、この部分では、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化のために、利用許諾契約のような契約の普及、定着に加え、契約当事者ではない第三者にも効力が及ぶ制度を創設すること、そのような制度創設のため、現場における保護の努力など立法事実を丁寧に積み上げること、和牛改良関係者のみならず、関係省庁、法曹実務家、知的財産に関する専門家等を交え議論し、検討することなどについて御提言をいただいたところでございます。

広田委員 御答弁にございましたように、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化のためには、利用許諾契約のような契約の普及、定着に加え、第三者にも効力が及ぶような制度的仕組みの創設などが考えられると。

 そしてまた、先週二十五日の当委員会での質疑の中でも、精液等の利用を日本国内に限定する旨明示した契約、いわゆるこれが利用許諾契約に当たるんですけれども、これを全国に普及した上で、新法におきまして、家畜遺伝資源の生産事業者との契約に違反して譲渡を行った農家や、これを譲り受けたブローカーに対して差止め請求を可能とする旨の答弁があったわけでありますけれども。

 そう考えますと、新法が有効に機能し、不正流通への抑止力を高めて再発防止に資するためには、いわゆるこの利用許諾契約の普及、定着が必要不可欠、大前提だというふうに考えますけれども、この点についての江藤大臣のお考えをお聞きします。

江藤国務大臣 これは、今やっている県が十七ぐらいありますけれども、基本的に義務にはなっていないということでございます。任意なんですね。ですから、これは確かに問題の点だと思います。

 ですから、生産者の方々、和牛生産にかかわる方々の意識を高く持っていただくことが、非常に、この法律の成立と同時に求められると思います。契約を結べば、先生がおっしゃったように、契約違反ですから、これは告発ができますけれども、契約をしないということであれば、契約の外だからという言い逃れができないこともありません。ですから、大前提であってもらいたいと思います。

 ですから、この法律が成立することによって、生産者の方々も、それから家畜人工授精所を開設している方々も、高く意識を持っていただいて、その方々が渡すときには国内利用に限るんだよということを契約の中にしっかり書いてもらった上で、そして、海外に持っていった場合は、もうそれは刑事罰を科されることも十二分に考えられるということをこの法律を通じて御理解いただくことによって、抑止力が働くことになるのではないかというふうに考えております。

広田委員 今御答弁あったわけであります。また、江藤大臣の御地元の宮崎含めて、今この利用許諾契約をしているのが十七県というお話があったところでございます。これが多いかどうかは別にいたしまして、この利用許諾契約が全国展開で普及、定着しないと、この法律の目的にあります、家畜遺伝資源の生産事業者間の公正な競争を確保するということがやはり困難になるんですよね。あくまで任意契約なので、うちはしませんよというふうになれば、この法律が使えないわけであります。ですから、この普及、定着というのは極めて大事になります。

 そこでお伺いしたいのが、こういった利用許諾契約の普及、定着を図る、推進するということを、これは何らか法的に担保した方が、私は、今回のこの新法というものが安定すると考えますし、何より、家畜遺伝資源について不正な取得などの不正競争を防止し、家畜遺伝資源事業者の利益の保護がより一層図られるのではないかというふうに考えますけれども、この点についての江藤大臣の御所見をいただければと思います。

江藤国務大臣 法律で担保するというのはなかなか難しいと思いますが、契約をすれば生じる義務と責任が出るということは申し上げたとおりでございます。

 そして、今、全国的に、この法律を成立させる前の段階で、家畜人工授精所の数は、今数字は手元にございませんけれども、かなり大きく伸びております。今までは、そういう資格を持っていなくても、横の取引とかいろいろな譲渡とか売買を行っていた事例が残念ながら見られましたけれども、例えば、家畜の競り場で、おまえ、あれ持っていない、じゃ、俺、売ってあげるよみたいな、友達間のやりとりも実際にはあったということでありますが、しかし、今度は、人工授精所を開設しているということの許諾を得なければこれはできませんので、そのことも大きくこのことには影響すると思います。

 そして、今後、この法律に基づいていろいろな経費等が発生いたします。例えばストローとか、それとか、いろいろなデジタル技術を使って登録することになりますので、そういったシステムを導入することについては国が予算措置によってこれを担保いたしますので、そういうことであれば、国の支援を得る上でも、そういう許諾契約を結ぶということが基本になっていくということが、少しずつ、少しずつではいかぬですけれども、しっかり定着していくのではないかというふうに考えております。

広田委員 これを法律に書き込むことはなかなか難しいというところ、もう少し、ちょっと議論も深掘りをしたいところでもあるんですけれども、いずれにしましても、やはりこの画期的な新法が機能的に使われるためにも、利用許諾契約が使われることは大変重要でありますので、この点についての普及啓発、よろしくまたお願いをいたします。

 それで、家畜改良増殖法の改正案についてちょっと最後にお伺いしたいと思いますけれども、この安全性及び品質の適正な管理のための措置の強化などについてなんですが、これは第十二条第二項では、家畜人工授精所以外の場所での家畜人工授精用の精液、受精卵の保存の禁止、また第十四条三項では、家畜人工授精所で保存していない家畜人工授精用精液、受精卵の譲渡禁止、この保存と譲渡の禁止を規定しているわけでありますけれども、この禁止規定の狙いは何なのか、これについてお伺いをしたいと思います。

江藤国務大臣 今までは、例えば、決して悪気はないんですけれども、名前の通っている精液を自分のところでずっと持っていたい、それで、直接つける気持ちはないけれども、もったいないから、数も少なくなったから、ずっととっておこうと。人によっては、たくさん持っているというような方もおられます。その人たちは、家畜人工授精所の登録なんかは今まで全く行っておりませんでした。そういった方が流通させることはまずやめてほしいということはあります。

 ですから、この現行の法律のもとでは、そういういわゆるちょっと緩いところがございましたので、畜産農家間は非常に仲がいいということもありますので、今回は、まず、そういう管理するところでなければ管理してはいけない、保管することもそういうところでなきゃ保管してはいけない、流通についても家畜人工授精所の登録をしているところでなければ行ってはいけないという縛りをこれでしっかりかけさせていただくということでございます。

広田委員 これは最後の質問になるとは思うんですけれども、確かに、大臣が御答弁されたとおりの目的があると思うんですが、しかしながら、これはただし書きがあって、ただし書きでは、例えば十二条二項では、「自己の飼養する雌の家畜に注入し、又は移植するためにする場合その他農林水産省令で定める場合は、この限りでない。」と例外規定が設けられているわけでございます。

 この例外規定によって何が生じるかというと、畜産農家の方がみずから精液等を調達して自分で人工授精等をする場合、これは、明らかないわゆる管理規定といったものがなかったら、余った精液等がブローカーの手に渡る可能性が出てくるんじゃないか、そういうふうなちょっと抜け道になってしまう可能性があるのじゃないかなというふうに思いますので、この点のただし書きをされた意味、そして、それによって、先ほど指摘したような懸念があるんじゃないかと思いますけれども、この点についての御所見をいただければと思います。

江藤国務大臣 自家増殖については、基本的に、繁殖農家があり一貫経営があり、畜産農家の経営上も多彩でありますので、自分のところでやる分については、これは良識の範囲内で認めるということになっております。

 それを、余った分、確かに一本のストローで何頭分も授精させることは可能ということであれば、悪意を持って見れば、そこで余った分がブローカーに流れるということもあるのかもしれません。それは人のすることですから、完璧にこの法律が通ったからといって管理することは難しいかもしれませんが、しかし、この法律が通ったことによって、先ほどから申し上げているように、畜産農家自体の意識が大きく変わると思います。

 今も大変変わってきています。この数字の、昨年の九月で家畜人工授精所の許可を得ているところが千五百七十七カ所でしたが、ことしの一月には二千百十二カ所までふえております。これも現場の意識のあらわれでありますので、この法律と、それから現場の皆さん方の意識の向上によって、そういうようなブローカーへの流れという流れをとめていきたいというふうに考えております。

広田委員 これはもう答弁は結構でございますけれども、私は、今回の法律の目的に沿うのであれば、国内における不正流通のリスク低減に資するためには、例えば、今回、せっかく法の第三十二条の二第一項で、いわゆる特定家畜人工授精用の精液等、いわゆる和牛精液について更に規制を強化しているわけですから、例えばその範囲については限定していくというふうな形をとる方が、より未然防止効果が上がるんじゃないかなといったところを指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 今回の二法案の質疑の前に、幾つか和牛を取り巻く状況について質問をさせていただきます。

 その前に、委員長、すてきな切り花をありがとうございました。私の地元でも、今回の新型コロナウイルスの感染症拡大によって大変な御苦労をされている花卉農家の方たち、たくさんおります。そういった本当に悲痛なお話を聞く中で、委員長のこういった切り花を各委員全員に配っている、こういう御配慮、本当にありがとうございます。

 実は、私、フラワーバレンタイン、まさにこのコロナウイルスの感染症拡大以前にも、昨今、国内の花卉の需要が低迷していることは御承知だと思いますけれども、そういう中で、農水省さんの方で数年前からフラワーバレンタインを開催、いろいろな支援をしてもらっております。たしか、第一回目、茨城ですと水戸市とつくば市でやっていまして、私は、五年前、二〇一六年の第一回から参加をしております。

 つくば市で行っているフラワーバレンタイン・イン・つくばでは、花卉農家の方たちが、若い農家の方たちが主体的にイベントを企画して、まさに生産者の方たちと、そしてお花をアレンジメントするお花屋さんと一体となって、すばらしいイベントを企画をしております。

 ちなみに、私は、第一回目のときに、そういった花のエピソードを披露するということで、私もそこで手を挙げまして、実は、私は、そのときにいわゆる公開プロポーズをさせていただきました。実は、私が今の妻と結婚するきっかけになったのが、まさにそのフラワーバレンタインというイベントだったわけでございまして、私も、それ以降、とても花に関心を持っております。

 コロナウイルス感染症のおさまった後も、国内の花卉需要の増大のために、大臣始め農水省の方でも、フラワーバレンタインのさらなる普及も含めて、ぜひ強い取組を重ねて要望をさせていただきます。

 それでは、質問に行きます。

 まず、和牛に関しまして、二〇〇一年の、まさに日本で発生したBSEや口蹄疫の発生以降、和牛が中国へ輸出できない状況にありますが、昨年の十一月、日本と中国の間で動物衛生検疫協定が署名をされて、そして、続く十二月、中国政府は、日本からの牛肉の一部について輸入の解禁を公告したということでございます。

 言うまでもなく、中国は非常に、十四億人という巨大なマーケットでもございます。一%程度の富裕層に絞っても約一万五千トンの市場、準富裕層を含めての対応も求められております。まずは、日本から中国への牛肉輸出再開には、今後、より詳細な検疫条件の決定や、中国政府による我が国の牛肉処理加工施設の認定など、いまださまざまな手続が必要であるとも聞いております。中国への牛肉輸出再開に向けて必要な手続にどういったものがいまだ残されているのか、現在どのような段階にあるかをお伺いさせていただきます。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 中国向けの日本産牛肉につきましては、中国政府が二〇〇一年九月にBSEに係る輸入禁止令、それから二〇一〇年四月には、豚を含みまして、口蹄疫に係る輸入禁止令を発出いたしまして、輸入禁止が継続されているところでございます。

 これに対しまして、日中関係の動向も踏まえつつ協議を行ってきたところでありまして、お話がありましたとおり、昨年十二月、中国政府によりましてBSE及び口蹄疫についての解禁令の公告が発出されまして、輸出解禁へ一歩前進したところでございます。

 中国に限らず、一般的に畜産物の輸出に関しましては、家畜衛生及び食品安全のシステムを評価する、それから、輸出条件を設定し、輸出施設の認定、登録というステップを踏むこととなっているところでございます。現在、中国側によりまして、我が国の食品安全システムの評価が行われているところでございまして、今後、具体的な家畜衛生条件の設定、それから輸出施設の認定と登録が済めば、輸出可能となる段階でございます。

青山(大)委員 そういったさまざまな手続を経て、やはり具体的にいつごろ和牛の輸出再開になるのか、まさにそこが一番、生産者も含めて関係する方たちの聞きたいところだと私は思います。

 今回の新型コロナウイルスの感染症拡大によって中国の習近平国家主席の来日が延期されることから、和牛輸出の再開についても影響が出るのではないか、そういったことも懸念がされております。具体的な再開時期の見通し、並びに新型コロナウイルスの感染症拡大が和牛の中国への輸出に当たって影響があるのかどうか、改めてお伺いさせていただきます。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 交渉は相手方のあることでございますので、何とも申し上げられない部分がございます。

 しかしながら、要人の来日の延期でございますとか、新型コロナウイルスの影響に伴いまして、技術的協議の専門家の往来がなかなか思うようにならないという現実がございます。

 そういう意味で申し上げますと、影響が出る可能性は否定はできないということでございますが、いろいろな協議の手法もございます。メールでのやりとり、あるいはテレビ会議といったものもございますので、事務方といたしましては、引き続き、早期の輸出再開に向けて着実に議論を進めてまいりたいと考えております。

青山(大)委員 新井消費・安全局長におかれましては、こういった中国との和牛再開における難しい交渉もそうですし、また、私、いつも農林水産委員会で、地元のレンコンの線虫問題で、新しい農薬の認可、承認についても何度となく質問させていただきまして、本当に多岐にわたる日本の農政の大変重要な部分を御担当されております。ぜひ、本当に大変かと思いますけれども、一日も早くうまくいくように御尽力をお願いすると同時に、この件につきまして、最後、大臣にちょっと幾つか質問させていただきます。

 そういった中で、中国へ、まさに一番のマーケットへ和牛を輸出をこれから進めていくわけでございますけれども、和牛に限らず、我が国産の農畜産物のにせものが中国で横行をしております。和牛を中国へ輸出を再開するに当たり、非常に高い評価を得ている我が国の和牛のブランドと、我が国の生産者が得るべき利益をにせものから保護するための取組が当然必要であると考えます。

 中国における我が国産の農畜産物のにせものの横行についてどのくらい実態を把握されているのか、それに対してどういった対策を実施していくのか、お伺いいたします。

 また、あわせて、中国の方では、BSEの過去の経緯も含めまして、いわゆる生後三十カ月以下という月齢制限も求めているというふうにも伺っております。地元茨城産の常陸牛、ブランド牛も、大体三十二カ月ぐらいが一番のまさに適齢期でもございますし、三十カ月という月齢制限の対応もあわせて大臣にお伺いをさせていただきます。

江藤国務大臣 なかなか、中国でございますので、実態を詳細に把握することは難しいと思います。

 和牛といっても、私たちの認識はあくまでもWAGYUでありまして、漢字の和牛とは違うというふうに、我々はピュアブラッドでありますので、違うという認識を持っております。できる限り実態を把握して、我々は和牛の統一マークというものを今推進しておりますので、それが市場でしっかりと認知されるように努力をさせていただこうと思っております。

 なかなか実効的な体制が難しゅうございますけれども、それはこれから、御可決いただければ、いずれかのタイミングで種苗法のまた御議論もいただくことになりますので、種苗法の御議論の中で、相手の国での商品登録とか品種登録とか、そういったことも含めて、今後取り組むべき課題がたくさんあるというふうに認識をいたしております。

 それから、BSEにつきましては、常陸牛のお話をされましたけれども、私も、この間いただいた常陸牛は、宮崎から買ってこられた牛が茨城で育てられて常陸牛になって私の宮崎に送られてくると。なかなかすばらしい話だなと。大変おいしくいただきました。

 三十カ月以上の頭数は全国ベースで三六%ありますので、これから輸出のことを考えると、三十カ月月齢というのはなかなかややこしい話だと思います。この解禁に向けては引き続き努力をさせていただきたいと思っておりますが、中国政府は、英国とか、それから輸出大国でありますブラジルに対しても同様の、BSEについての、三十カ月月齢以下、骨なしの肉じゃなきゃだめだよという要件を課していますので、ハードルは低くはないと思いますけれども、くじけずに、このことについても粘り強い交渉を進めてまいりたいというふうに考えております。

青山(大)委員 前向きな御答弁をありがとうございました。

 まさに和牛を取り巻く環境ですけれども、価格に関しても、本当に昨年までは順調に推移していたというふうに私も認識をしておりますが、昨年の十二月あたりから枝肉相場が異例の低水準になっていると。たしか、先週のこの委員会でも、大臣もそういった御答弁をされていたと思いましたが。

 例年、一番の上昇基調となる年末相場が、年間で最も安い異例の展開となったのが昨年の十二月でございます。出荷頭数がふえたのに加えて、十月の消費増税による景気悪化に起因した高値疲れなんかも言われますし、中国のアフリカ豚コレラや、国際貿易協定発効での輸入食肉の増加などによる流通在庫の積み上がりがその要因とも言われております。そして、ことしになって、御承知のように、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴うインバウンド需要の減少などで、更に和牛の枝肉価格が下落をしております。

 幾つか資料を見たんですが、最近の、なかなか統計、率でちょっと見られない部分があったので、改めて、政府が把握しています最新のそういった価格の下落状況について、その状況と認識についてお伺いさせていただきます。

水田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスの影響が大きいわけでございますけれども、三月の和牛肉、A4、去勢の価格でございますが、きのうまでの平均でございまして、キログラムで千八百九十円となっております。前年度同期と比べまして二四%の減ということでございます。これはまさに、新型コロナウイルスの影響によりまして、インバウンド需要とか外食需要が減少したことが最も大きな要因だというふうに考えております。

青山(大)委員 まさに今、千八百円、二四%減という状況ですけれども、まだまだこれは下がっていく可能性もあるのかなという中で、マルキン制度、本当にこれも生産者の方にとっては非常にセーフティーネットとして大変重宝されておりますし、最初、マルキン制度が導入された当初は、三カ月ごとに計算して四半期ごとに支払いが行われていたというふうに聞いていますが、二〇一一年の東日本大震災以降は、毎月まさにその価格を調べて、毎月ごとに、その二カ月後に振り込まれるというような制度に変わったというふうにも聞いております。

 とはいえ、一月分が三月に入ったと思われますけれども、まだまだ生産者もこれから見通しが読めない厳しい状況に入っていくわけでございまして、いろいろな過去のことを見ますと、BSEが発生したときには、BSEの対策、対応として、BSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業ということで、いわゆる特別なマルキン制度の対策も行ったというふうにも伺っております。

 今後、新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う和牛の下落の状況を踏まえ、こういった特別なマルキン制度を今後つくっていくような検討をされているのか、お伺いさせていただきます。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、BSEが発生したときには、当時のマルキンに加えまして、BSE対応肉用牛肥育経営特別対策事業ということで、BSEマルキンというものを措置させていただいたところでございます。

 ただ、当時のマルキンの仕組みが現在と異なっておりまして、当時は、生産費のうち家族労働費だけを通常のマルキンで見るという仕組みになっておりました。しかも、八割補填という仕組みでございました。現在は、家族労働費を割って、物財費の部分、そこもマルキンで見ることになっております。

 当時、BSE対応特別マルキン、それを行ったときは、物財費の方を十分の十で見るという仕組みでございまして、現在のマルキン制度は、家族労働費、物財費込みで生産費を割ったときには、物財費を割り込んだ場合でも今のマルキン制度で補填されるという仕組みでございますし、その補填割合はもう九割ということになっておりますので、当時とちょっと実情が違うということについては御理解をいただければと思います。

青山(大)委員 局長、当時の制度をもう一度じゃなくて、例えばマルキンの負担金の免除をちょっと検討するとか、そういった、状況に応じて、ぜひ生産者の状況を踏まえて対応してほしいと要望させていただきます。

 あと、ちょうどこの週末で、四月一日とか二日に何か緊急事態宣言が出されるんじゃないかとかいう、いろいろなうわさの、デマのメールが流れまして、たしかきのうも菅官房長官が、あのメールはデマですよということを会見で述べられましたけれども、まさにこういった今の状況で、いろいろなデマが出ております。

 そういった中で、肥育農家の間では、牛の餌、輸入している餌が、新型コロナウイルスの感染症拡大によって餌の輸入がストップ、餌の輸入ができなくなってしまうのではないか、そんなうわさが流れていますけれども、実際そういったことはあるんでしょうか。確認のため、お伺いさせていただきます。

江藤国務大臣 可能性がゼロだということを残念ながら断定的に言うことはできないと思います。

 濃厚飼料のうち、日本が輸入に頼っている割合が八八%ですから、特に養豚農家あたりは更に高い割合になりますので、トウモロコシあたりは、一千百万トンのうち、アメリカからの輸入が九五%ですから、これがもしとまるようなことになったら、畜産経営にはすぐに打撃になると思います。

 しかし、アメリカも、農林水産業、特に農業、それから食品産業については、国民の生活基盤を守るために欠かせない産業だということで、ほかのところはとめてもとめないというふうに措置をしているというふうに聞いております。

 しかし、それでもまだ安心はできない部分がありますので、もしものことがあったときに、アメリカ以外のところに、どこから調達が可能なのかという可能性については、もうかなり早い段階から農林水産省の方で検討し、商社や全農組織なんかとも相談しながら、一応当たっております。ですから、もしそういうことがあったら、国内の畜産農家の経営に影響がないように万全の措置をとります。

 それに加えて、今、原材料につきましては国内に百万トン備蓄がございますので、少なくとも一カ月はありますから、この間に今申し上げました振り分けるような措置をとれば、影響は軽減するなり、なくすことは可能ではないかというふうに考えております。

青山(大)委員 詳細な御答弁をありがとうございました。

 そういった不安、誤解がないように、そういった取組等も、ぜひ大臣、積極的に御発信の方をお願いいたします。

 そういった生産者の不安を払拭することと同時に、やはり落ち込んだ和牛の国内の需要をふやしていくことが今求められております。自民党さんの方でも、和牛振興券というような案も出ているというふうに伺っておりますけれども、さまざまな案があると思いますけれども、私、今、三歳と一歳の子供がいる中で、いわゆるスーパーとか買物とか行ったりしますと、正直、やはりどうしても和牛、価格がちょっと手を出しにくい、どうしても同じ売場にお肉があれば安い輸入の方に何となく行ってしまう、そういったところでございます。

 やはり和牛は、関係者が長い年月をかけて改良してきた日本固有の貴重な財産でもあり、和食文化の一つだというふうにも思います。この和牛をこれからも次世代に引き継いでいくためには、もちろん、さっき話したように、中国などの海外へ輸出をしていくことも当然結構なことでございますけれども、これだけいろいろな税金も投入して、いろいろな制度もつくって、国全体で取り組んできたこの和牛、やはりこれを日本の子供たち、小さな子供たちに食べてもらうこと、これもとても大切だと私は思います。そういった、小さいころから和牛を食することに親しみを持つことで和牛文化の理解を深めてもらうことが私は大変重要であると考えます。

 まさに今、新型コロナウイルスの感染拡大によって、外食の産業が今厳しい状態でもあります。国内需要の喚起のために、新たな需要を開拓することが必要でもございます。

 そこで、本当にこれは提案なんですけれども、我が国の子供たち、和牛文化の理解の促進や将来の国内需要拡大を見据え、例えば、学校給食の場で和牛を利用したりとか、もちろん、そんなしょっちゅうすることは財政的にも厳しいことは承知をしています。年に一回でも私はいいと思うんです。子供たちが、ああ、これが和牛かというのを、学校で食べられる、そういったことに取り組んでいくことは、和牛の伝統文化を守っていくこと、そして食育の観点からも私は大切なのではないかと思っております。

 今、子供食堂で、なかなか家でも十分な栄養をとれないような家庭環境の子供もふえております。そういった子供たちも、学校に行けばおいしい日本の食材が食べられるんだ、和牛が食べられるんだ、そういったことを、今回の新型コロナウイルスのコロナショックを踏まえて、ぜひ、学校給食で和牛を提供するような、そういう機会の検討もしてはいかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

江藤国務大臣 大変いいお考えだと思います。

 やはり、日本に生まれて和牛を食べたことがないまま大人になるよりも、年に一回でも食べる機会があれば、知っているのと知らないのは全く違いますので、文科大臣ともいろいろまた、同期でもありますし、話をしてみたいと思います。

 もう一つ問題は、やはり日本は、和牛を高く売りたい、家族経営の中で、一頭当たりの単価を上げたいという意識が強過ぎて、今、A4等級とA5等級の割合をいうと八〇%を超えてしまっているんですね。ですから、高級肉しかほぼほぼつくっていない、枝肉重量換算でいうと。

 ですから、米についても、最近はブランドよりも価格を重視して買っていますという消費者動向も今報告されておりますので、最近では、一部では放牧してグラスフェッドで育てるようなやり方もありますし、肥育の期間も通常よりも短目にして、餌をやる期間を短くして、そんなにサシを入れないで肉にするというような肥育のやり方も、少しずつですが、出てきております。

 そういったものも含めて、日本の国民の方々にもわかっていただけるような、食育の観点からも、できる取組についてはぜひ検討させていただければと思います。

青山(大)委員 大臣、丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 なかなか本当に、一見、突拍子もないような提案ですけれども、私は、これは本当に、将来、日本を担っていく子供たちにとって必要なことかなというふうに思っております。

 ちょっと和牛の話とはずれしまうんですけれども、私も、若い生産者の方たちと話す中でやはりすごく心に残ったのが、例えば、その方は野菜をつくっています、一部、地元の学校給食に自分がつくった野菜をおろしている。本当は農薬とかを使った方が確実に生産量も上がるし作業効率も上がるんですけれども、まさに自分の子供が通っている学校、自分の子供の友達とかが自分がつくった野菜を食べる姿を見た場合、大変だけれども、あえて農薬を使わないものを学校に出している。その学校では、たまに子供たちと生産者の交流をする場があるみたいで、そういった自分がつくった野菜を子供並びに子供の友達とかがうれしそうに食べて感謝している風景を見て、やはり自分も農家になってよかった、そういう声を聞くことがありました。

 まさに手塩にかけて育てた和牛、そういったものを日本の子供たちに食べさせるような、そういう制度を、すぐにはなかなかできないと思いますけれども、中期的な観点から、ぜひ検討の方をお願いいたします。

 それでは、今回の議題になっています二つの法案について質問をさせていただきます。

 まずは、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 過去に輸出された和牛の遺伝資源を利用し、外国種との交配による、先ほど大臣もおっしゃったように、いわゆるアルファベットのWAGYUがオーストラリア等で生産されている状況にあることは御承知のとおりでございます。

 十年以上前になりますが、この事実を受け、平成十八年四月、農林水産省知的財産戦略本部のもとに検討会が設けられまして、和牛遺伝資源の保護などについて中間取りまとめが公表されております。

 この中で、家畜の遺伝資源の輸出を防止するための法的規制については、植物品種では種苗法における育成者権が設定され、かつ新品種保護のための国際条約が存在しているが、家畜の場合、均一性や安定性などが欠如するため、種苗と同様の育成者権を設定することは困難である。そしてもう一点、外為法では武器や弾薬、有限天然資源の輸出を規制しているが、同様の形で和牛遺伝資源の輸出を規制することはガットとの整合性上困難であるとされてきました。

 このように、これまで直接的に輸出を阻止する施策の実施は困難であることとされたことから、団体などによる輸出自粛の活動、精液等の流通管理の取組、国産和牛表示の厳格化などの推進を図ることとされてきたと認識をしております。

 こうした過去の和牛遺伝資源の流出への対応についての検証と評価について、現時点でどのように考えているのか、お伺いさせていただきます。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、家畜の遺伝資源の保護につきまして、平成十八年に農林水産省において、家畜の遺伝資源の保護に関する検討会を立ち上げ、和牛を始めとする家畜について、知的財産制度の活用も含めて、遺伝資源の保護に係る問題点を明らかにする検討を行ったところでございます。

 その際、結論といたしましては、一つは、法律上輸出を禁止するということにつきましては、輸出規制措置について原則撤廃をするというガット協定との整合性の観点、先ほど言われましたが、例外として、武器弾薬ですとか、あとは有限天然資源の保護ですとか、あとは人とか動物の健康とか生命、こういったものに影響するものは例外とされておりますが、それに該当しない家畜遺伝資源の保護ということでは、ガット協定との整合性の観点から輸出規制措置を講ずることができないということ。

 それからもう一点は、知的財産でございますけれども、これを権利として保護するということにつきましては、家畜の場合は、植物のように、植物の場合は育成者権が認められております、この植物の品種のように均一性、つまりは同一世代でその特徴が十分均一であるということ、それから安定性として、何代増殖しても特性が安定していることなどの、こういった特性がなく、同じものを複製することができないということで、この権利の設定というのは難しいという結論に至ったということでございます。

 このため、その後は、国内の和牛にかかわる畜産の関係者が一丸となりまして、輸出の自粛、あるいは適正な流通の確保のための活動を自主的に推進されてきたところでございまして、業界の皆様の多大な御努力に頭が下がる、そういった思いでございます。

青山(大)委員 ありがとうございます。

 続いて、家畜改良増殖法のこれまで果たしてきた役割についてお伺いいたします。

 長年における関係者の取組によって、日本の家畜の能力や生産性、畜産物の品質などが大幅に向上してきました。特に、今日の日本産牛肉の世界的評価の高まりは、その成果の一つであると思います。

 このように、今や世界的となった我が国の畜産でありますが、昭和二十五年に制定されたこの家畜改良増殖法が果たしてきた役割についてどのように考えているのか、改めてお伺いさせていただきます。

水田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の家畜改良増殖法でございますが、これは、家畜の改良増殖を計画的に行うための措置、そして、これに関連して必要な種畜、種牛等でございますが、の確保及び家畜の登録に関する制度、さらには、家畜人工授精及び家畜受精卵移植に関する規制、こういったものによりまして家畜の改良促進をいたしまして、もって畜産の振興を図る、あわせて農業経営の改善に資するということを目的にしているものでございます。

 この法律に基づきまして、農林水産大臣が、家畜の能力、体型、頭数などの向上に関する家畜改良増殖目標というものを定めまして、改良増殖を計画的に行うということとしているところでございます。

 これに加えまして、家畜登録制度によりまして、正確な血統情報の管理をいたします。また、家畜の能力評価に基づく高能力な種畜の利用、そして、さらには家畜人工授精技術等の適正な実施、こういったものを図ってきたところでございます。

 この家畜改良増殖法のもとで、家畜改良関係者が協力して家畜改良を進めてきた結果でございますが、最近で申し上げますと、二〇〇七年から二〇一七年、この十年間で、黒毛和種について申し上げますと、枝肉の重量が五十キロふえております。四百三十五キログラムから四百八十五キログラムにふえております。さらには、5等級の牛肉、最高級の牛肉が全体の生産に占める割合が二割から四割にふえるといったことでございまして、家畜改良増殖法が果たしてきた役割、非常に大きいものと考えております。

青山(大)委員 承知しました。

 最後に、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案について一点お伺いいたします。

 昨年七月に、和牛遺伝資源の流通管理に関する検討会において「和牛遺伝資源の流通管理のあり方について」を公表されました。ここにおいては、和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化のためには、契約当事者ではない第三者にも効力が及ぶような制度的な仕組みの創設などが考えられるが、そのためには、流通管理の徹底及び契約による和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護に向けた取組を現場に浸透させることなどを始めとする立法事実の積み上げが必要であると述べられております。

 この中間取りまとめの発表が昨年の七月ですから、本国会に法律案が提出されるまでの間に約半年あったわけであります。これまでどのような立法事実の積み上げが行われてきたのか、お伺いいたします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の立法事実の積み上げ、つまり、立法措置が必要な背景といたしましては、一昨年六月でございますけれども、中国へ和牛遺伝資源が、輸出未遂事件が発覚をいたしました。この結果といたしまして、畜産関係者を始めといたしまして、海外不正流出の危機が広く共有をされたということでございます。それで、関係者が一丸となりまして、保護するために、国内利用に限定する契約の普及、こういったものにつきましても、国から、その利用を進めてきたという状況でございます。

 さらには、昨年十月に設置されました和牛遺伝資源の知的財産的価値の保護強化に関する専門部会におきますいろいろなアンケート等におきましても、非常に改良現場で海外流出への強い危機感が広く共有されているということ、そして知的財産的価値の保護が強く求められている、これが改めて認識されたということでございます。この専門部会におきまして、これらを踏まえまして、法制化を求める中間取りまとめがなされたということが挙げられると思います。

青山(大)委員 以上で質問を終了します。

 ぜひ、大臣、学校給食への和牛の提供について、少し御検討の方をお願いいたします。

 以上です。

吉野委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日は、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案、それから、家畜遺伝資源に関する不正競争の防止に関する法律案について質問をさせていただきます。

 江藤大臣には初めて質問させていただきますので、若干自己紹介を交えて、本日の質問の背景、私のバックグラウンド、三点申し上げます。

 まず一点目は、兵庫県出身ということです。兵庫県は和牛のふるさと、そういう地域でございます。江藤大臣も宮崎県出身ということで、これはまた和牛の本家本元ということかと思います。与党筆頭理事の谷先生は、まさに但馬牛の本家本元というところでございますが、兵庫と宮崎、これは対決するのではなく、同じ和牛ブランドを高め合うという仲間として本日質問をさせていただきたいというのが一点目でございます。

 二点目は、私、以前、知的財産権に関する仕事、これは主に特許の仕事でございますが、こうした仕事をさせていただいておりました。本日、大臣も答弁の中で何度となく知的財産、こういうふうにおっしゃっておりますので、この観点からも質問をさせていただきます。

 三点目は、私、ふだんは財務金融委員会の方に所属をしております。この観点からも質問をさせていただきたいというふうに思います。

 そこで、まず一点目でございます。

 財務金融委員会に若干関連するところでございますが、今回の法改正、知的財産権ということでございます。それから、もう一つ重要な点は、立法事実として、中国への輸出を企てた、それが日本の税関ではとめることができずに、中国の港でとめられたというところでございます。

 まず、こうした立法事実、この反省に立ってまず考えていくべきではなかろうかというふうに思うわけでございますが、日本の税関、適切にチェックできているのか、この観点から質問させていただきます。

 訪日の外国人はこの十年間で四倍にふえております。二〇〇九年には、外国人の旅行客、六百七十八万人だったのが、昨年は三千百八十八万人。この間、五倍近くにふえているわけでございます。

 一方で、税関の職員はほとんどふえていない。八千七百人から九千六百人ということで、ほんの一割ふえただけということで、これではなかなか対応し切れないのではないのか、こういうふうにも考えるわけです。

 水際のチェック体制、これがまさに何をおいても重要なところだというふうに思いますが、この点、財務省からまず御答弁をお願いいたします。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 税関業務を取り巻く環境につきましては、覚醒剤などの不正薬物の密輸の増加、国際的なテロの脅威の高まり、金地金の密輸の巧妙化などの輸入面における課題のみならず、本件のような輸出面でも税関による取締りへの期待が高まってきていると認識しております。

 このような状況の中、税関の定員につきましては、増加する業務量への対応を的確に行っていくため、成立した令和二年度予算において、三年連続で二百人を超える純増となる二百九人の純増を確保しているところでございます。

 今後とも、税関における水際取締り体制については、業務運営の効率化を図りつつ、必要な定員の確保に最大限努めてまいりたいと考えております。

櫻井委員 定員を昨年も二百人ふやした、今度も、来年度も二百人ふやすというような方向という話でございますが、そもそも、仕事量が四倍、五倍というふうにふえているわけですから、それではなかなかまだ追いつかないのではないのか、このようにも心配をします。今回こうした法律をつくっても、肝心かなめの税関のところで取り逃がすというようなことになってしまっては実効性を担保できないと心配しますので、この点もまずよろしくお願いいたします。

 続きまして、この税関関連では関税法という法律がございます。この六十九条の二には、輸出してはならない貨物というのが規定されております。ここの一項一号には麻薬とかそういったものがあり、二号には児童ポルノというのが書かれております。そして三号には知的財産権に関するもの、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権又は育成者権を侵害する物品というものが記載されております。これはもう知的財産権、軒並み列挙されている。育成者権ということですから、種苗法まで入っているということでございます。そしてさらに四号には、不正競争防止法に掲げる行為を組成する物品ということで、不正競争防止法も入っているということでございます。

 そうしますと、今回の法律も、まさに不正競争防止法を参考にしてつくっているわけでございます。家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案でございますから、当然この仲間に入れてもらうべきではなかろうか、関税法六十九条の二に入れて、そして税関長がしっかりと取締りをできる、そういう体制をつくっていくべきではなかろうか、こういうふうに考えるんですが、しかし、今回の法改正の中には、この関税法六十九条の二は入っておりませんでした。これは入れるべきだというふうに考えるんですが、こちらについての政府の見解をお願いいたします。

山名政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御審議いただいている家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の対象となる家畜の受精卵、精液等はあくまでも不正に取得されたものですけれども、これまでの家畜伝染病予防法においては、不正に取得されたものか否かにかかわらず、およそ家畜の受精卵、精液等を輸出しようとする場合には、あらかじめ動物検疫所の検査を受け、輸出検疫証明書の交付を受けなければならないこととされております。

 税関においては、関税法に基づき税関に対する輸出申告がなされた際にはこの輸出検疫証明書の交付を受けているか否かを確認しており、これが確認されないものについては輸出を許可することなく、動物検疫所に引き継ぐことにより、水際における取締りを行っているところでございます。引き続き、連携協力しながら取締りに取り組んでまいりたいと考えております。

 その上で、お尋ねの、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案の対象となる不正に取得された家畜の受精卵、精液等を関税法上の輸出してはならない貨物に位置づけることにつきましては、まずは同法律案を所管する農林水産省のお考えも踏まえる必要がございます。

 その上で、財務省としては、税関が水際で取り締まる際の執行可能性を確保するためには、家畜の受精卵、精液等が不正に取得されたものであるか否かについて、直ちに外観上識別することは困難であることから、これを迅速かつ適正に判断するための仕組みが構築される必要があると考えております。

櫻井委員 今の御答弁の中で、まず農林水産省の考え方を聞かなきゃということで、農林水産省は、関税法六十九条の二に、今回の法律、家畜遺伝資源に関する不正競争防止の物品も入れてくれ、こういうふうにお願いしなかったんですか。これはまさに入れる方向で考えるべきだと思うんですが、農林水産省のお考えをお聞かせください。

江藤国務大臣 お願いをするという話ではそもそもなくて、とにかく、海外に受精卵、精子が流出するという事案が発生した、これを何とかしてとめなければいけない。関税法でしっかり縛るというなら私がとめるいわれは全くありませんが、しかし、なかなか、今答弁あったように、これが不正競争防止法を参考にしていますので、これを不正に取得したかどうかの蓋然性を明確的に言えないということでしょう。まあ、それはそうですよね。不正に取得しようがしていまいが、我々はだめなんですよ、我々の考えとしては。だから、若干そこら辺で考え方に違いがあるということは一つあります。

 そして、その育成者権者は、先ほどから議論がありましたように、植物のように、同一世代で均一性がある、それから、何世代増殖しても特徴が安定している、変わらない、この安定性、これが担保されないと、いわゆる種苗法のもとにおいて、なかなか、UPOV条約のようなものがありませんので、動物については。植物についてはUPOV条約がありますから、これはマルチの条約なので、その中に入ってしまえば国際的な環境の中で守ることは可能ですけれども、動物は、先ほど広島の、広島だったかな、もともとのお話がありましたけれども、もともとは日本の牛というのは役牛であって、食用には全く向いていない。それを海外からの血を入れて、改良に改良を入れて、改良の歴史のもとにできたのが今のピュアブラッドの和牛という伝統ですから。

 今回の法律は、不正競争防止法の案を何とか、これも非常に苦しかったことは、党内の御議論でもそうだったと思いますけれども、ですから、知的財産と言い切らずに、知的財産的価値ということで守るということで新たな立法措置をさせていただいたということでありまして、関税法で縛るということを私は否定するつもりはありませんが、検討した上で、なかなか現状では厳しいということで、それに準ずるような効力を持つ施策として今回の新法を提案させていただいたということでございます。

櫻井委員 不正競争かどうかわからないという話もございましたけれども、不正競争防止法もこの四号で入っているわけですよね。これだって外形的にわかるかどうかという問題があるので、同じ問題があると思うんですよ。

 ですから、ここはいろんな、一つ、家畜伝染予防法の網がかかっているじゃないかというんですけれども、しかし、この網は一回既に突破されているわけですから、いろんな網はかけておいた方がよかろう、こういう意味で、そして網を二重にすることによって網の目が細かくなって、一つの網が破られる、すり抜けられても別の網でひっかけることができるのではなかろうか、こういった意味からも、いろんな規制のあり方を御検討いただければというふうに思います。

 続きまして、もう一つ、この知的財産権ということで、損害賠償についてもお尋ねをいたします。

 知的財産権については、この損害の考え方というのが若干特殊といいますか、一回それがコピーをされて出てしまうと、これはマーケット全体を失ってしまうということで、そういった損害の大きさといいますか、抜けてしまったときの被害の大きさというのが非常に大きいわけでございます。ですから、そういった形で、特殊な計算方法を用意されているわけでございます。

 今回のこの和牛遺伝資源の不正競争防止法五条の方に、この計算の仕方といいますか、損害賠償の算定の規定がございます。一項については、これは計算式で、受精卵なり精液の単価に数量を掛ける、こういう掛け算が設けられております。

 先日の、先週水曜日の委員会質疑におきましては、生産局長が、一本一万円掛ける一万本、一万掛ける一万で一億円、こういう計算例も挙げて御答弁されておりました。

 ただ、今回のやはり知的財産権ということを考えますと、特に今回の和牛の件について言えば、これまで、日本が一生懸命培ってきて海外の市場も開拓してきた。昨年の実績としましては、四千三百トン以上の輸出をし、そして三百億円近くの売上げを上げているわけでございます。こうしたマーケットを失いかねない、そういうリスクがある。これは単年度で三百億円ですから、ずっと未来永劫のことを考えますと、非常に大きな金額、更にどんどん成長している分野でございます。また、国内についても、逆輸入ということで国内マーケットだって脅かされるかもしれない、こうしたリスクがあるわけです。

 こうした、海外の市場が失われた場合、更に国内の市場も失う、こうしたことも含めて多大な損害が想定され得るわけですが、こうした損害についても、二項、逸失利益ということで請求できるんでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 和牛の遺伝資源が国内利用限定の契約に反して海外に持ち出されて不正に利用されるようなことが起こりますと、その当該遺伝資源の生産者、家畜改良を行った種雄牛の持ち主に直接の被害が生ずるほか、和牛肉の海外市場が失われるという、和牛の業界全体にとっての被害というものも懸念されるというのは委員御指摘のとおりでございます。

 このうち、当該遺伝資源の生産者の損害につきましては、この法案によりまして、失われた利益、逸失利益を含めて損害額に算定できるよう、不正競争を通じて侵害者が得た利益を損害額として推定できるという規定がございます。新法の第五条二項でございます。

 例えば、不正に取得された遺伝資源により生産された和牛の生体、精液、受精卵、これを販売することによりまして侵害者に利益が生じた場合は、その利益の額を損害額として推定できるということになっているところでございます。

 このように、侵害を受けた生産者の逸失利益を含めた損害額を算定できるようにすることに加えまして、本法案の罰則によりまして抑止力を格段に高める、さらには、畜産農家を始めとする関係者に、日本の宝である和牛の遺伝資源について自分たちで守る、こういう意識を高めていただくということによりまして、和牛の海外市場の喪失ということにつきましては、こういった取組によりまして不正な流出の防止を図り、そういった取組に全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 この損害の考え方として特殊なのが、精液そのものの値段ではなくて、精液それから受精卵というのは、ある種の設計図、遺伝子なわけですよね、設計図なわけです。それよりも、結局、実際のマーケットというのは、完成品であるところのビーフなわけですよね。このビーフの市場が失われてしまうということの損害なわけなんですから、これは精液一本の損害よりはるかに大きいわけなんです。そういったことを考えてやっていかなければいけない。

 これを直接的に、ビーフの市場が奪われてしまったからということで、全てを請求するというのはこれは困難ではなかろうか、そもそも誰が請求するのか、こういう問題も出てくるわけですので、なかなか難しいところはあろうかと思いますが、この点、こうした重大なこともあるんだということを念頭に置きながら、こうした知的財産の特殊性を鑑みて、しっかりと法の執行をお願いしたいというふうに思います。

 あともう一つ、いろいろな罰則も、刑事罰も設けていますよと今御答弁いただきました。しかし、日本の法律で幾ら縛っても、海外との関係の問題について、海外に実行犯が行っちゃった、逃げちゃったというふうになると、これはなかなかどうすることもできない。昨年末にも、元日産自動車の社長をされていたカルロス・ゴーン被告が海外に行っちゃって、もうどうすることもできないというのがこの三カ月でございました。

 これはどうやって取り締まるのか。輸出していくときにそのまま持って海外に行っちゃって、日本に戻ってこないとなったら、結局のところ、取締りの実効性を上げられないんじゃないのか、逃げ得ではないのか、このようにも心配するんですが、こうした観点からは、この法律の実効性、どうやって上げていくんでしょうか。

江藤国務大臣 大変核心をついた質問をいただいたと思っております。

 例えば、私がすり抜けて持ち出した、そして海外で私自身が増殖なり繁殖なりを行った。その後、日本に私が帰国すれば、すぐ捕まります、それは。しかし、そのまま向こうに行って、例えば永住権をとったとか、不法滞在をして帰ってこないということになると、捕まえられない。

 もう一つは、私が海外に持ち出して第三者に渡した、私の友達のトム君とか、そういう人に売った。私は帰ってきて捕まった、だけれども、トム君は増殖なり繁殖を行っている。彼も摘発することは法律上は可能ですけれども、しかし、二国間の問題で、今、カルロス・ゴーンの話をしていただきました、そういうことがあるわけでございます。

 例えば、アメリカ合衆国との間には、刑事に関する共助に関する日本国とアメリカ合衆国との間の条約というものがありますので、いわゆる証拠収集等の協力を求めることは可能です、そういったジェームス君とかトム君とかがやっていることについて。しかし、更に言えば、アメリカとの間では、日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約、これも結んでおりますので、一応、この条約上を見れば渡してもらえるということにはなっておりますが、本当にそれができるのかということになると、向こうの国内法上のこともありますので、実質的になかなか、引き渡せといって強引に引渡しを求めることは難しいということは委員の御指摘のとおりだと思います。

 ですから、そういう御指摘を十分踏まえた上で、余りそういうことが表に出ると困るわけでございますけれども、やはり、法律を的確に運用しながら、生産現場、そして精液、受精卵の流通にかかわる方々が、決して、自分たちの強み、自分たちの将来の利益を失ってしまう、将来の利益を逸失してしまうという自覚をしっかり持っていただいて、そういうことを行わないようにしていただくことも、我々は、ポスターをつくったり、家畜取引場で放送を流したり、いろんな活動をこれまでやってまいりましたけれども、そういった事業等とあわせて努力をしてまいる所存でございます。

櫻井委員 大臣の御答弁にありましたとおり、海外に逃げられるとなかなか難しい面がある、だからこそ国内での規制をしっかりとやっていくということかと思います。

 他方で、今回の法律の中では、国内での規制についていろんなルールを設けております。いろんなルールを設けると、その分、実際の現場の業者の方々に負担がさまざまな形でかかってくるのではなかろうか、これは必要なことだと思いますけれども、ある種の金銭的な部分の支援というのが必要になってくるのではなかろうか、こういう心配もするわけです。

 他方で、地元の兵庫でちょっと話を聞いてみると、いや、もう兵庫県では十分やっているから、別に、今までやってきたことの法律的な裏づけができるだけで、何か新しいことをやるわけじゃないよ、こういう話も聞くわけでございます。大臣の御地元の宮崎県でもそうかもしれませんが、ただ、日本全国を見渡すと、必ずしもそうではないところもあろうかと思います。

 そういったことについて、この新法に係るいろんな支援、これの実効性をもたらすための支援というところについて、御説明をお願いいたします。

河野大臣政務官 今回の法改正に伴いまして現場で生じる負担につきましては、我が国の宝ともいうべき和牛遺伝資源の保護の重要性に鑑みまして、現場の皆様に御理解、御協力を賜りたいというふうに考えてございます。

 一方、農林水産省といたしましては、今回の改正に伴う、増加する現場の負担をできるだけ軽減するため、種雄牛名などの情報の容器、いわゆるストローでございますけれども、そこへの表示についてはストロー印刷機などの導入支援を行います。

 また、和牛遺伝資源の流通履歴に関する帳簿の記録、保存につきましては、帳簿を電子的に管理できる全国一元的なシステムの構築に対する支援により支援をしていくこととしてございます。

櫻井委員 しっかりと法律を実効たらしめるためにも、そういった支援もよろしくお願いいたします。

 続きまして、せっかくの機会ですので、新型コロナウイルス感染症に関する和牛産業への影響についても質問させていただきます。

 現状認識等については既にいろんな質疑の中で出てきておりますので、個別具体的な質問をさせていただきます。

 牛マルキン事業についてでございますが、これは、事業者が四分の一負担をし、国が四分の三負担する、こういう仕組みになっておりますが、今、本当に和牛業界は大変だと。和牛の商品券というような話も出てくるぐらい大変だということでございますので、この事業者負担の四分の一、これを免除してもらうとか、そういった対策はとれないでしょうか。いかがでしょうか。

江藤国務大臣 今、断定的なことは申し上げられませんが、あらゆる可能性を農林水産省としては今追求いたしております。先生の御意見もしっかり受けとめさせていただきます。

櫻井委員 あともう一つ、牛マルキン事業に関連しまして、交付金の支払い、これに二カ月程度かかっている。昔に比べたら随分短縮したんですよ、もう目いっぱい短縮しているんですよということをレクのときにも農林水産省から受けましたけれども、やはり、これだけ資金が回っていない、つなぎ融資も必要だ、こういう状況ですので、こうした交付金について、早目に、少しでもスピードアップしてもらえるとありがたいという現場の声もあるんですが、この点についても、もう少しのスピードアップ、お願いできないでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、セーフティーネットとしての牛マルキンでございますけれども、生産者の経営安定のためになるべく早く払うということは重要なことだと思っております。

 しかし、牛マルキンの交付金の支払いの関係では、販売頭数とか生産コストに関する統計などさまざまなデータを入手して、それを照会、確認する必要がございます。さらには、しっかりとした計算を経て、交付金なんかを正確にはじく必要がございまして、そのための一定の期間がかかることは御理解をいただきたいと思っております。

 なお、牛マルキンの交付につきましては、従来四半期ごと、三カ月ごとでございましたが、東日本大震災以降、毎月払いとしているところでございまして、生産者のためにできる限り支払いの早期化を図ってきたところでございますので、よろしくお願いしたいと思います。

櫻井委員 あと、それから、枝肉の相場が非常に暴落しちゃっている。二年前がちょっと高過ぎたんじゃないかという話もあるかもしれませんが、二年前に比べても半値ぐらいまで下がってしまっている、こういう状況でございます。

 特に今、和牛のことについては、これは、なかなか家庭で料理をするにはちょっと高級過ぎるということもあって、多くの場合、外食産業、観光地であるとか、それこそレストランであるとか、こういったところでの需要が多いわけです。他方で、こうしたところがまさに自粛ということで、もう需要がばあっと消えてしまっているわけですよね。

 それに対して、一方で、供給サイドの方ですけれども、供給サイドの方も、肥育期間、大体二十四カ月というのが標準的で、これを過ぎるとだんだん、お金もかかるし、肉質もというようなこともあって、やはりそれは供給の方をおくらせるというのも限界があるということで、食肉市場は今だぶついている状況ということがございます。

 BSEのときには食肉市場から分離する形で国が冷凍保存というようなこともやっておりましたけれども、この制度、一旦なくなってしまったというところはございますが、こういう事態ですから、ぜひ復活してもらえないか、こういうのも地元から上がってきている要望としてあるんですが、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 調整保管のお話をされているんだと思いますが、調整保管の場合は、いずれ市場に出さなければならないという欠点がございます。ですから、先ほども先生の御提言、マルキンについてもお話があったときに、あらゆる可能性を今探っているということでありますので、その御提言について頭から全てを否定するつもりはありませんが、しかし、需要を喚起するということも片方ではやはり大事だろうというふうに思っております。

 ですから、おっしゃるように、外食でしか使えない、そして、A4、A5等級の割合が八〇%を超えてしまっている、先生の御地元は特に高級でありますから、そういうところについては特に苦しい、値下がりの割合が全国平均よりも強く出ておりますので、そういったことについては、総理からの指示も十日以内ということでありますから、きょうも、先ほど申しましたけれども、スカイプを使って生産者の方の御意見も直接伺う時間もつくるようにしておりますので、生産者の方々、それからこういう委員会での質疑、こういった御意見もしっかり踏まえてまとめていきたいというふうに考えております。

櫻井委員 確かにおっしゃるとおり、一回調整保管すると、その分、将来また市場に出すということなんですけれども、まさに、できれば短い期間のうちに感染症の拡大をとめて鎮静化をし、そうした後にはV字回復ということでどっと盛り上がる。その盛り上がったときにしっかりと供給できるように、需要が急激に回復して出てきても、供給の方は一定数しか出ないわけですから、そういったときのちょうど需給調整というようなことをしてもらえるようなことも含めてお願いできればというふうに思います。

 あと、和牛については、これまで、この間、非常に伸びてきている分野でございまして、そして、兵庫県でも増産していこうということで、政府も旗を振って、輸出も拡大していこうということでやってきたわけです。そのためにいろいろな投資、牛舎を建てるとか、そういうような投資をしてきた畜産農家もあるわけです。ですが、ここに来て、支払いは、投資した分についての借金がありますから、それの支払いもしなきゃいけない、ところが売上げが全く立たない、こういう状況になってしまって大変困っているわけでございます。

 これは、ある種、中小企業支援というのと似たようなところになろうかと思いますが、こうした畜産農家さんに対する支援についてもお願いしたいというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。

伊東副大臣 和牛に対する熱い思いを感ずるところであります。

 この肥育農家に対する資金繰り対策でありますけれども、今回、三月十日に措置いたしました新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第二弾におきまして、運転資金として利用可能な農林漁業セーフネット資金、これにつきまして実質無利子化、さらに、無担保化を行うとともに貸付限度額の引上げを行うなど、新たな対策を講じたところであります。

 限度額六百万を一千二百万にする、あるいはまた、償還期限を大幅に延長させる、無利子化する、こうしたところでありまして、今後とも枝肉価格を注視するとともに、肥育農家の皆さんの不安を払拭するためにどんなことができるのか、現場の声を丁寧に伺いながら検討してまいりたいと思う次第であります。

櫻井委員 新型コロナ関連、御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 続きまして、ちょっとまた別な観点で質問もさせていただきます。

 この和牛といいますかビーフということについて、これはなかなか環境問題の観点からちょっと厳しい目もございます。小泉環境大臣が去年ニューヨークに行った際に、ステーキ食べたい、こういうふうに発言したところ、非常に批判を浴びたというのもございます。やはりビーフはポークやチキンに比べても環境負荷が大きい、こういう批判もあるわけでございます。

 そうした環境に対する配慮というのも進めていかなければいけないと考えるわけですが、一方で、農林水産業と例えば再生可能エネルギーの組合せ、これは非常に有望な分野だというふうに思います。ところが、最近、経済産業省が取り組んでいるFITという、電気を買い上げる、こういう事業でございますが、この方がだんだんだんだん尻すぼみになってしまっているような状況でございます。

 ここが、経済産業省の方が手を抜いてしまうと、農林水産業の方で再生可能エネルギーをどんどんふやしていこう、農業や林業を組み合わせて再生可能エネルギーをふやしていこうというふうになっても、なかなかうまくいかないというふうにも考えるところでございます。

 これはまさにFIT事業の充実というのが農業の多角経営ともつながってくる、そして環境配慮というのにもつながってくると考えるんですが、こうしたところを経済産業省に、後退するな、ちゃんと前進しろというふうにも働きかけていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

伊東副大臣 再生可能エネルギーにつきまして、このFIT、固定価格買取り制度でありますけれども、この調達価格につきましては、業界の実態に即した適正な水準となるように経済産業省に働きかけをいつも行っているところでございます。

 家畜排せつ物等を用いましたバイオマス発電の価格につきましては、制度創設以来一キロワットアワー当たり三十九円、これはかなり高額な方でございまして、これが継続をされているところであります。

 バイオマス発電につきましては、家畜排せつ物処理を円滑化し、環境負荷の低減にもつながる重要な取組でありまして、私も北海道でございますので、周辺にはたくさんこのような施設があるところでございます。

 大きな問題の一つが、送電網にそれを乗せることができるかどうかというのがいつもネックとなっているところでありまして、今後とも、系統接続を含めまして経済産業省ともしっかり提携し、対応してまいりたいと思う次第であります。

櫻井委員 今の副大臣の力強い答弁、大変ありがとうございます。ぜひ推進していただきたい、経済産業省へしっかりと働きかけていただきたいと思います。

 最後に、ブランド戦略についてもお尋ねをいたします。

 和牛というのは高級食材ということになろうかと思います。高級品として認知してもらうという方法の一つに、商標を活用していくということがございます。商標には出所表示機能がございますし、品質保証機能というのもございます。また、宣伝広告機能というのもございます。こうしたものをフル活用してブランド戦略を進めていくべきだと考えます。

 二〇〇五年には、さらに、商標制度の中で地域団体商標制度も導入されて、これについては、和牛も含めていろいろ登録も積み上がっているところでございます。

 他方で、農林水産省の方で二〇一四年に地理的表示、GIという制度を始めておりますが、こちらの登録数は地域団体商標に比べてまだまだ少ないのが現状でございます。新しい制度ということもありますし、地域団体商標と似ている制度ですが、必ずしも完全に一致しているわけではないので、出願人が、ちょっと変えなきゃいけないとか、権利関係を調整しなきゃいけない、いろいろ課題はあろうかと思いますが、しかし、非常に似ている制度ですので、いろんな面から保護を進めていくためにも、この地域団体商標とともにGIもとっていくということを進めていくべきだと考えるんですが、その際には、やはり、地域団体商標の出願を手伝っている専門家の方々、これはもう既に人間関係もでき上がっているわけですが、こうした信頼関係もうまく活用しながら、地理的表示、GIの取得を進めていくべきだ、そしてブランドを確立していくべきだと考えるんですが、最後に大臣の御所見をお伺いいたします。

江藤国務大臣 まさにGIはブランドとか品質を保証する、そしてその宣伝効果も、GI、劣っているということですね。非常に商売上有効なものだと思っております。大変いいんですが、まだ九十四しかなくて、地域団体商標は六百七十九あるわけですから、非常に劣っています。お金はかからないので、ぜひともこのGIはとっていただきたい。

 GAPと違ってお金はかからないのでGIをとっていただきたいと思いますが、なかなかその要件が、一定期間継続して生産されている必要性、二十五年の伝統性とか、いろんなものがあって、やはり、地域の方がこれだというものを絞り込まなきゃいけないという難しさはあると思います。しかし、先生がおっしゃっているように、地域でこの団体商標をとれている部分がありますから、この中には真分数としてGIに適している部分はかなりあるんだろうというふうに類推いたします。

 ですから、この商標、地域商標をとることで御努力された方々が、国から二十六名のアドバイザーも送っておりますけれども、こういう人たちとぜひ交流していただいて、地域商標からGIに向かって更に、これはアップグレードとはちょっと違いますけれども、こちらにも挑戦していただくような対話、交流というものはぜひ進めていきたいというふうに考えております。

櫻井委員 時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの緑川貴士です。お時間いただいてありがとうございます。

 二つの法案、まず、知的財産的な観点から和牛ブランドの保護を徹底する、その大きな目的の一つは、高品質な和牛の魅力を世界に発信をする、外需の獲得、輸出を後押しすることにあると思います。ですので、輸出について、まずはお伺いをしたいと思うんですけれども。

 食料・農業・農村基本計画の中には、今回、この農林水産物、食品の輸出額を二〇三〇年に五兆円にふやすという目標を盛り込んでいますけれども、もともとこの数値というのは、二〇一四年に政府がまとめた日本再興戦略の農業分野における成長戦略の時点で掲げられていた目標値であります。六年も前の数値目標から今全く変わっていないということに違和感があります。

 海外の日本食ブームも追い風になって、確かに輸出額が七年連続で過去最高を更新したこと自体評価されるところがありますが、一方で、今年度の目標としていた一兆円は結局は達成できなかった形になります。輸出を更に拡大しようにも、今、肝心の生産基盤が弱まっています。

 まず、国内の生産基盤の変化の御認識について、この七年にわたる安倍農政、成長産業化ということを言って、それが展開されてもなお予想以上に深刻さが増しているという大臣の御認識でいらっしゃるのか。それとも、生産基盤の弱体化が進んでいるこの現状というのは想定している、織り込んだ上で、その想定の上で、過去に政府が掲げている目標の数値は問題がないという御認識でいらっしゃるのか。どういった御認識でいらっしゃいますでしょうか。

江藤国務大臣 想定してはならないということでございます。生産基盤が弱体していることを前提に物を考える。過去の反省ということにおいては認めなければならないというふうに思います。四百四十万ヘクタールを切ってしまいました。その後ろには荒廃農地が九・二万ヘクタールあるという、この厳然たる数字としての事実がありますので、これについてはしっかり認めて、反省もしなければならないと思っております。

 その前提において、では、これからどうするのかということでありますが、確かに五兆円という数字を見ると、今年度内での一兆円の目標も昨年度末での目標も達成できなかったじゃないか、これから先、どれだけの勝算があるのだということになると、各品目別の積み上げをしっかりやらなきゃいけないと思います。肉がどれぐらいで、何がどれぐらい、何がどれぐらいという目標を立てて、その目標を達成するためにどのような国内政策が必要なのか、農地もどれぐらい復活させなければいけないのか、そういったグランドデザインを描いていくのはこれからだと思います。

 目標は目標でありますので、ぜひとも達成できればいいと思いますが、この目標を掲げた理由は、あくまでも、もちろん日本の食を、輸出を世界に広めて、日本の魅力を広めるということもありますが、日本の農林水産業という産業はもっともうかる、その利益が生産現場にもっと還元されるような環境をぜひつくりたい。

 いろいろ御意見はありましたけれども、その五兆円を掲げたことによって、例えば来年の概算要求の段階とかいろいろな補正予算の段階でも、これだけの目標を掲げた以上はこれだけの政策を国内政策的に打たせていただきたい、それにはこれだけの予算措置がなければなかなか難しいですよということをやはり言えると思うんですね。かつては三兆円を超えていた農林水産予算が、今は二兆三千億というレベルに落ちているわけでありますから。

 それで、世界のマーケットを見ると、二〇三〇年には、二〇一五年、八百九十兆円だった食のマーケットが、一千三百六十兆円に伸びる。確かに、外のマーケットはでかくなりますから、人口もふえていきますから、なかなか大きな目標で難しい部分はあるかもしれませんが、目指すべき目標として掲げたことにはそれなりの意味があるというふうに私は思っております。

緑川委員 大臣おっしゃるような各指標には、しっかりと今の現状がやはり刻み込まれております。国内市場では、やはり人口が減っているという中で、今の農家が農地をしっかりと守っていくためには、今ある限られた農業資源で、家族経営そして中小農家、この視点に立った支援と、あわせて、やはり生産性を高める、効率性を重視する取組も必要であると。

 その上で、需要をどこで獲得をするか。大臣がおっしゃる、世界で広がっているマーケットを目がけてやはり外需、輸出に活路を見出すということは必要であると思いますけれども、国内の現状の数字というのは、これはやはり看過できない。今の現状をしっかり見据えることが重要であると思います。

 農業総産出額は、おととしは九兆五百億円余り、国内であります、これは四年ぶりにやはり減りました。これは重いと思うんですね。大きなことだと思います。畜産や野菜、米の産出額が減少に転じたからでありますけれども、生産基盤のこうした弱まりが輸出の鈍化につながっていく、こういう変化が私はおととしから見え始めているというふうに思います。加えて、昨年の豪雨、そして台風の災害、また、豚熱、新型コロナウイルス、たび重なる影響が生産基盤を更に揺るがしています。

 国内外の市場も、やはり、マーケットが大きいといっても、一段と不安定化している中で、それらを踏まえたはずの目標の数値の設定が六年前と一切変わっていない。やはりこれは、どうしても不思議でならない。私はこれを悲観的にばかり論じるつもりはないんですけれども、今の政治が目標に対してどこまで真剣に向き合っているのか。政治は結果責任だというふうに安倍総理は言いますけれども、十年後の五兆円突破というのも、これはいろいろな影響があってできませんでしたと結果が出てきたときには、違う政権になっていると思います。

 この目標を掲げたそのときの政権を、その期待感を高めるために終わってしまうような目標設定であっては意味がないというふうに思いますし、この農業基本法というものが掲げてきた農業ビジョンと、それを実現するための具体的な指針を示すのが、やはり食料・農業・農村基本計画であると思います。

 時の政権の都合とか、あと、事後対策に終始することがないように、この基本計画に盛り込んでいる目標数値の重要性、輸出目標の重みについて、大臣から改めてお伺いしたいと思います。

江藤国務大臣 今先生が言われたように、掲げた以上は、基本計画に書いた以上は、これは書いた人間には責任が当然生じてくると思いますし、これは生産者の方々も見ていますし、国民の皆様方も見ているというふうに思います。しかし、この数字を何とか達成するために、これから我々はもがいていかなきゃならないんだろうと思います。

 生産基盤は弱体化しております。ですから、この職につかせていただいたときに最初に申し上げたのが、生産基盤を強化したい、そして、先生がおっしゃったように、規模の大小にかかわらず、家族経営を大切にして、条件不利も含めて、さらに言えば兼業農家も更に評価をしながら、日本の農業を地域政策と産業政策の車の両輪で何とか回していきたいということを申し上げているところでございます。

 ですから、前の数字の五兆円がそのまま載っていることに先生がまだ違和感を感じられることについては理解はいたしますけれども、しかし、その数字そのものを問題にするよりも、これからこの数字の達成に向けて我々が何をすべきなのか、何ができるのか、そのためにどのような立法措置や政策立案が必要で、そのために必要なマンパワーや予算、財政的な措置はどういうものなのか、そういったことをぜひこの農林水産委員会の場でも議論させていただければありがたいというふうに考えております。

緑川委員 もがいているというお言葉をいただきました。

 現場も、やはりもがいているわけであります。輸出を何とかしたいけれども、やはり自分の今の持ち前の営農の状況ではなかなかそれができないという方がいらっしゃると思います。生産基盤ということについては、やはり輸出をばねにして、一方で生産基盤を充実させるような農業経営者、そうした方針で考えている方もいらっしゃると思います。

 いずれにしても、輸出の多くというのは、やはり富裕層向けの食品、加工食品、そういうものも多いと思います。この基本計画で輸出促進を柱に据えたからといって、それが国内の数字に反映されるか、あるいは食料自給率を何とかするということには簡単にはならないと私はやはり思います。そもそも、輸出の額ではなくて、大臣がお答えいただいたように、各分野、各項目の輸出額もやはりつぶさに見ていかないとならないと思うんです。

 その中で、やはり輸出の中身が肝心であります。昨年の農産物の輸出額は、二〇一四年から確かに二千三百億円余りふえたんですが、増加した分の六五%に当たる千五百億円余りは加工食品になります。この加工食品の原材料は、その多くを輸入の農産物に頼っていますので、国内農業への寄与はやはり決して大きくはないというふうに思います。

 加えて、今、足元を見れば、中国からの原材料の輸入が半減しています。農業分野においても、原料の多くを海外に頼ることのリスク、それでもって輸出額をふやしていこうというのは、やはりこれは不安定になり得る指標であるというふうに思います。

 今回の基本計画でこの輸出の促進ということを食料の安定供給のための施策の柱にした以上は、やはり不安定になるような輸出額を頼るのではなくて、食料の供給を図る上で輸出の中のどういうデータを重視されるべきかは、やはり慎重にこれは見ていかなければならないというふうに思うんですけれども、大臣は、お考え、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 食料安全保障の柱を輸出に頼っているということではないということは御理解いただきたいと思います。しかし、御指摘のように、加工食品に多くを依存している。その加工食品の中で、三割は原材料を輸入に頼っている。

 この間、大串先生との議論の中で、経済連関表の話も教えていただいてありがとうございました。あの後、しっかり勉強させていただきました。それもそれなりに、詳細を見ると問題もありながら、やはり参考となる数値だろうというふうに思います。

 ですから、例えば、小麦でいえば一二%、大豆でいえば六%しか自給率がないということであって、じゃ、日本でつくれないのかといえば、そんなことは決してない。米をつくらなくても、小麦でいいものをつくれば、単収は小麦の方が実は農家の手取りは多いということもあります。しかし、それには、基盤整備もして、排水暗渠なり排水施設をしっかりやらないとなかなか、湿田では無理ですので、そういういわゆる環境の整備もあわせてやらなければならない。

 ですから、先生が言うように、それぞれの品目について、どこを目指していくのかという具体性は当然求められていくと思います。

 そして、日本の食料安全保障を、今回、コロナのことで国民も大変理解をされたと思います。飼料についても、米については九九%ぐらい食料自給率はありますけれども、しかし、ほかのものについては極めて、全体は三七しかないわけですから。海外にとられている市場を、やはり日本で、国産の方向にしむけていく。

 今回、加工メーカーの方々も、先生がおっしゃったように、原材料について中国から一時とまった部分がありました。そういう方については、ぜひ日本の国産のものに仕入れ先を変えてほしい。そのために、例えば、加工施設について設備投資が必要であるなら、それについても考えようかなと。まだわかりませんけれども。対策がまとまっておりませんから。

 ですから、この機会に、コロナで、国産に対する、食料自給率に対する、安全保障に対する意識が高まったこのタイミングでやれることはあると思いますので、まず、十日をめどにまとめてまいりますので、また御報告をさせていただきたいと思います。

緑川委員 加工業界における支援で、今後、売上げを伸ばした企業、そういった業界に対しては、積極的に国産にシフトさせるような国の支援というのがやはり大事だというふうに思います。

 その上で、輸出は、やはり質よりも今は量が上回っているような、つまり、輸出額だと。輸出品目の内訳を気にするというよりは、やはり若干、輸出額、額ということに意識が向いて、前のめりな感じに映ってしまうんですけれども、国内生産者の所得向上につながっていくような、加工業も含めて、輸出の質をいかに高めていくかが大切であるというふうに思います。

 輸出というのはやはり相手があってのことでありますので、足元の輸出についても今見ていかなければならないというふうに思います。

 今、農林水産物、食品の輸出額で見れば、どちらに向いているかといえば、アジア向け、およそ七割でありますが、新興国として経済成長を続けている国々に対する輸出増も期待できるんですけれども、今の状況では、やはりアジア経済も新型コロナウイルスの感染拡大による打撃を受けています。

 実際に、和牛でいいますと、JA全農グループが取り扱っている和牛の輸出も激減しています。主力の香港向けでは、来月以降、例年の三割ほどにまで落ち込んでしまっているということです。

 先週の審議で、大臣、中国で和牛を扱いたいというところがたくさんあるんだというお話がありました。中国は、確かに、二〇〇二年に今の新型コロナウイルスより前にもやはり流行がありました、SARSが流行したころに比べても、世界の経済における存在感は段違いに、格段に高まっています。GDP、世界全体のGDPの一五%を占める。今やグローバルなサプライチェーンの重要な一角を担う分、今、その分だけ、今回の感染拡大による中国の世界経済へのマイナス影響というのはやはりはかり知れないものになっています。これは、中国国内のマーケットも同じことになっている。

 今回の新たな目標に向けては、牛肉の輸出先というのは、今までどおり、一定の実績があるような香港、台湾に引き続き輸出をして、一方で、今、日米貿易協定で低関税輸入枠が拡大をした分、アメリカにも目がけて輸出を伸ばしていくということです。

 ただ、グローバルエコノミーの、ここまで見てきた露呈している不安定性、ここのマイナス面というのが今大きくあらわれている形です。輸出への影響というのが今後どこまで長引いていくのか、やはりわからない、不透明な面がありますので、輸出の支援のあり方についてもいま一度見直しが求められているというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 輸出の支援のあり方は、できるだけ多く輸出先を確保するということが極めて肝要だろうと思います。一カ所で輸出先がとまったらぱたっととまってしまうようなことはまずいんだろうと思います。

 中国では今、年間百六十六万トンも牛肉を輸入する。豚熱、それからアフリカ豚熱の影響もあるかもしれませんが、非常にやはり経済発展すると、鳥肉から豚肉、豚肉から牛肉というふうに食味が変わっていく、淡水魚から海水魚に変わっていくようにですね。ですから、経済成長とともにアジアのマーケットもやはり今までどおりしっかり見ていく必要があると思います。

 ヨーロッパにも大分出せるようになってきております。我が宮崎からも、もうEU向けの輸出が始まりました。しかし、このコロナの影響で、今先生がおっしゃったように、経済団体の分も大幅に減っている。宮崎経済連に対するアメリカからの、数字については申し上げませんが、非常にショッキングな申出しかないという状況で、コロナはいつ終わるかわかりませんけれども、しかし、大事なことは商流を切らない。今、一時的に細ってしまったり、出すことが一時的に中断したとしても、これまで培ってきた商流についてはしっかりと守っていく。そして、新しいマーケットもいつも不断に探していくということが必要だろうと思っております。

 先ほどの質疑でもありましたけれども、BSEの三十カ月月齢の問題とか、解決すれば更に商機がふえるような案件はありますので、そういうことについてもしっかり対応していければというふうに考えております。

緑川委員 やはり日本だけの話ではない、グローバルなエコノミーの中での日本の立ち振る舞いということは、やはりその都度その都度考えながら検討していかなければならない部分があると思います。こうした世界経済の大きな波に翻弄されながらも、対応しながら持続可能な輸出体制をつくっていく。加えて、各国の話ですので、政治情勢ということからも、香港、中国、韓国などは、これは輸出がどうなるかわからないというやはり不確実な面があろうかと思います。

 輸出の拡大というのはそれ自体ゴールではないですけれども、いずれにしても、やはり国内人口、需要が減り続ける中のこの外需、そして、今回の和牛生産でいえば国内畜産業を成長させる要素であると思いますけれども、そこで踏まえなければならないのは、やはり海外で、国内では同じように見ている方も多いと思いますが、アルファベットのWAGYUがあることも踏まえなければならないと思います。

 この日本から、歴史的には、アメリカへの和牛輸出というのは一九七六年に行われてから二十年弱、一九九八年ごろまで生体の輸出、また精液も含めて海外に渡っています。そうした過程で、これは和牛生産というのはアメリカだけではなくて、またオーストラリアだけでなくて、アメリカの同盟国にも広がっていて、それがさらに、今は、海外のこの和牛の生産はヨーロッパでも急速にふえていると言われます。このアメリカ、オーストラリアから和牛の受精卵や精液がヨーロッパに今度は導入されてヨーロッパ生まれの和牛の純粋種、また交雑種が国境を越えてヨーロッパや中東にも輸出されるようになっているということです。

 これだけ多く生産されるようになっている中で、マーケットでやはり競合してくるという懸念はあると思いますが、この世界の和牛遺伝資源の把握に向けては、今後日本としてどのように取り組んでいくのか。あわせて、肉質は確かに違うという声は多いんですけれども、この海外のWAGYUと日本の和牛との差別化、日本のこの和牛の海外普及に向けた取組についてもあわせて伺いたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、我が国から和牛遺伝資源の輸出が行われております。これは過去は昭和五十一年から平成十年までの間に行われています。これは合法的に手続を経て行われたものでございますけれども、アメリカにそれが渡りまして、その後豪州にも渡っているという状況でございます。

 それから、ほかの国に渡っているという今御指摘ございましたが、海外におきますそのローマ字のWAGYUにつきましては、各国において公式な統計等が存在しておらないため詳細が把握できないところでございますが、独立行政法人農畜産業振興機構、ALICの調査によりますと、アメリカで約十万頭、豪州では約四十四万頭と推計をされているところでございます。ただ、これらは純粋種ではなくて交雑種も含めてそういうふうにローマ字のWAGYUと称しているということでございますし、現地における改良体制は、我が国と比べて不十分でございます。過去に日本から輸出された遺伝資源を戻し交配によりまして品種の純度を高めたというものにすぎないということでございまして、我が国の和牛とは定義も異なっておりますし、肉質を始めとする能力も劣るというものだと考えておるところでございます。

 今後、さらなる我が国の和牛の海外への普及と輸出拡大を図っていくことが必要だと考えておりまして、我が国の和牛の統一マークをつくっております。この活用によりまして海外への普及とそして海外産のWAGYUとの差別化、それから、輸出先国のシェフを招聘する、あるいは見本市へ出展する、こういったことによります販売の強化、さらには、輸出先国の求める衛生基準に適合した食肉処理施設、この認定の迅速化、こういったことによりまして、和牛の海外への普及と輸出拡大、これを図ってまいりたいと考えております。

緑川委員 海外でもやはり違いというのは感じているところがあるということです。日本産の和牛というのは、やはり同じ肉の部位、比べてみても、その大きさとかまたサシの入りぐあい、霜降りのぐあいが全く違うんだ、食べても、このやわらかな舌ざわり、サシの入ったこの甘みのある脂はやはりさすが日本だというふうに舌鼓を打つ外国人は多いそうです。肉質はやはり明らかな、今言ったように違いがある、差別化を図れる。

 ポテンシャルの高さに期待がある一方では、価格帯が高い。赤身肉のステーキを好むような欧米人の嗜好にそれを照らすと日本の和牛の普及はまだまだ課題が多いというところもあると思います。日本産の魅力を伝えながら、海外のWAGYUと同じように親しみを持ってもらい、これをどう普及を図っていくかということがやはり重要であります。

 その上で、輸出ということに関連して言えば、日本ならではのしゃぶしゃぶのような食べ方もあわせて定着を図っていくためにも、ソースをまぜ合わせるような調味料、こういう調味料の輸出によってもこの輸出額を伸ばしていける余地がまだあるのかなというふうに思います。

 和牛ブランドの保護を徹底させるための今回の法案であります。日本の畜産業界の宝と言える家畜の遺伝資源のこれからの流出を防ぐという意味では法規制の不備を埋める意義はやはり大きいですが、まず、この法整備を急ぐきっかけになった大きなものは、おととし、和牛の受精卵などが中国に持ち出された事件であります。

 中国の税関で持込みを拒否された畜産家が日本に持ち帰る際に税関に申告をしたことで発覚をして、そのときには流出を防げましたが、これは聞くところによると、それ以前にも持ち出しを試みていて、二〇一四年以降は、五回持ち出されたうちの四回、中国への持込みに実は成功したという供述をしています。密輸を依頼したのは中国の牧場関係者、持ち込んだ畜産家はその報酬として七百万円以上を受け取ったと言われていますが、既にこれは流出したものがある可能性、また、中国国内でその流出したものを使ってつくられた再生産、この再生産されたものが出回っている可能性はやはり否定できないと思います。

 まず、持込みに成功したというこの事実関係を詳細に確認して、今からでも検証する必要があるというふうに考えておりますが、政府の見解を伺います。

江藤国務大臣 これは刑事告発をされております。そして、過去四回、持込みに成功してしまっているということでありますから、委員の言われるような、既に成牛となって流通の商売のラインに乗っかっているという可能性も全く否定できないというふうに思います。非常に遺憾なことだと思います。

 しかしながら、これは過去の持ち出しの時期や相手先などに関しては事実認定は行われていない。これは取り調べるのは農林水産省ではありませんので。それから、詳細の確認とか検証は、そういう状況であると、刑事告発をされている以上、なかなか難しいということであります。

 しかし、これを追跡するのはなかなか技術的にもマンパワー的にも、あの広い中国ですから難しいということはありますけれども、できる範囲で何ができるのかということは考えねばならないと思っておりますけれども、現実に、検証した上で何ができるかということをこの場でお答えするのはなかなか難しいと思います。

緑川委員 これは、何か変な人じゃないんですね。ブローカーに専念していたような人でなくて、この持ち出しを行っていたという畜産家は有名なブリーダーでありました。まさか不正輸出に関与しているとは思わなかったと。これはやはり業界を揺るがす事件になりました。ブリーダーとしての顔があり、さまざまな畜産関連団体等、私地元秋田ですけれども、秋田県内の団体とも、取引を全国的にされていた人です。

 そこで手に入れた中で、どの精液が、どの受精卵が事件にかかわっているかは明らかにはなっていませんけれども、いずれにしても、四回、常習的な手口で過去四回持込みに成功した、それで報酬を受け取っていたということは、六年も前からそういうことが行われていたということは、やはり相当現実味を帯びている話であると思います。

 市場が開放されてこなかった中国でやはり和牛の人気が高いのはなぜかというのは、これは香港とかベトナム、カンボジアなどを経由して、食肉として日本が輸出した和牛が中国国内に流通しているからなんですけれども、この人口十四億人の巨大な市場に、今回のそういう疑いが事実であれば、その事件で持ち込まれた中国産の和牛が大量に生産されて出回るだけでなくて、輸出事業にまで展開されることになれば、それはやはり日本の国益、本家のこの日本の和牛生産には大きなダメージになりかねないというふうに思います。

 この国益にかかわる話、確認できないという一点だけで終わらせる話ではないと思いますので、この和牛の登録制度、これは、情報の特定は客観的なデータよりも追いやすい、そういう話もありますので、事実関係の把握のためにあらゆる手を尽くすことを求めていきたいというふうに思います。

 畜産家の長年の品種改良の成果と言えるこの精液、受精卵、遺伝資源ですけれども、その保護のあり方、知的財産としての位置づけがやはりなかなか難しい。植物と違って、和牛の精液や受精卵の段階で生まれてくる個体の数はやはり均一ではない。同じ能力を持つ牛が生まれてくるかもわからぬ。その能力にばらつきがある。保護の裏づけとなるような国際条約もない。遺伝資源などを守る制度設計の難しさがこれまで議論されてきた中でまとめられた二つの法案であるというふうに認識をしております。

 その上でお尋ねをしたいと思いますが、改良増殖法改正案の方で、現行法で言う受精卵や精液を取り出して凍結して保管するという処理をその人がしていなかったとしても、新たな規定によって、凍結された精液や受精卵を保存する、つまり持っているだけでも違反であるということを明文化しました。

 確かに、人工授精所以外のブローカーとか農家への譲渡は禁止されているんですが、例外として、学術研究のために利用する場合とか、また、生産者が自分で飼っている、自家利用のために雌の牛に注入をする、あるいは移植をする場合には、自家利用の目的のためには持っていてもいい、この場合は保存が認められて違反にはならない。同じ、実はおととしの事件でも、真っ当とされていたブリーダーがその自家利用を装って遺伝資源を保存していたものが海外へ持ち出されたという事件でありました。

 これを防ぐために、あわせて、新法の方で不正競争行為を定めて、不正に遺伝資源を取得した場合、また契約の範囲を超えて輸出した場合には、差止め請求とか損害賠償の対象とする、悪質な場合には刑事罰が科されるということで、その抑止力には期待したいというふうに思いますし、あわせて、この家畜改良増殖法の改正でも、精液や受精卵を譲り渡したときの記録をその都度関係者に義務づけることで流通管理を厳格化していく、この合わせわざでしっかりと防止を図っていくということは大事だと思います。

 ただ、現場では、飼っている家畜の数に比べて明らかに、保管している精液とか受精卵の数が異様に多いという畜産家がいると聞いています。目の届いていないところで、今回の事件のような、ブローカーとして暗躍をして流出の温床となっているようなところが存在をしているわけです。

 まず伺うのが、この不正競争防止法について、契約に違反して遺伝資源が悪用されていることを察知したけれども、それが既に国外に持ち込まれていた場合に、その精液や受精卵を使用することによってつくられた子牛、またその子牛から採取された受精卵や精液、そしてそれを使って生まれた孫牛、いわゆる派生物については、国外ではどこまで差止め請求が及ぶんでしょうか。簡潔にでお願いします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 派生物の議論でございますが、国外の場合であっても国内の場合であっても差止め請求の範囲は同じでございまして、二回目の譲渡までという形になっております。

緑川委員 これは結局、国内での差止め請求の及ぶ範囲というのは国外でも変わらないということであります。

 これは結局、一次、二次の派生物については、つまり第三者が譲り受けた場合は、その第三者にも差止め請求ができる、対抗できる仕組みになっているんですが、一方で、二次派生物からつくられた三次以降の派生物、つまりひ孫牛とでもいえばいいと思うんですが、それ以降の牛をつくった場合は、事情を知らずに譲り受けた善意の第三者がいた場合には、その方には差止め請求は及ばないんですね、国外でも。その利用を妨げることはできなくなってしまいます。

 やはり、この国外流出を防ぐことが至上命題であって、国外に持ち出した場合で、当事者自身は損害賠償をそれなりに払うことにはなっても、その実害がこれからもはやとまらなくなる事態が生じるのではないかというふうに思います。

 例えば、この三次以降の派生物を第三者が譲り受けた場合に、そこの差止め請求という法的な規制が及ばなくなります。第三者がブリーダーとして品種改良を行うことも想定されますので、そうした人がこの派生物を使って、例えば戻し交配、派生物を使って生まれた子孫に対して最初の親と交配させるような戻し交配を続けていくことで、純血種に近くなる、限りなく純粋な和牛がつくられてしまう可能性は高いんじゃないでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 確かに、三次派生物である種雄牛が海外に持ち出されて戻し交配をされる、そういったケースがあるのではないかということでございますけれども、仮にそういったことがあった場合でも、一つは、三次派生物はひ孫等でございますので、曽祖父母、いわゆるひいおじいさん、ひいおばあさんですね、の遺伝資源の特徴を十分に引き継いでいるわけではございません。

 それから、委員御指摘の戻し交配でございます、純度を高めるためにやっていくということでございますが、ある特性、例えばサシを入れるということで戻し交配を何代か行って、その特性が確保されたとしても、その他の特性、例えば増体が劣ってしまったという場合には更に何回かの戻し交配が必要になりますので、非常に長い期間を要しますし、近交係数がそうしますと非常に高くなってくるので、血縁の遠い別のまた家畜人工授精用の精液を入手しなくてはいけないということになります。和牛の遺伝資源の流出防止に今関係者を挙げて取り組んでいる中でそういったものを入手するのは困難な状況になっているというふうに考えておりまして、この戻し交配によりまして能力の高い牛を生産するということはなかなか難しいのではないかと考えております。

緑川委員 もう質問はいたしませんけれども、やはり国外と国内でこの差止め請求の範囲が同一であるというところが、なかなか難しいところも聞いておりますけれども、ガットとの関係でできないということは承知しておりますが、やはり守れるものが守られないという可能性があると思います。

 一つ触れさせていただければ、植物の品種でいえば、戻し交配を行った場合には、その登録品種というのは従属品種として扱われるということで、これは育成者権の権利が及ぶものになります。知的財産的なというふうに言うんですけれども、やはりこの育成者権的な権利は及ばないんですね。そういうところで今回の法案にはまだまだ足りないと思われるところがやはりあると思います。

 和牛については、知的財産の保護というたてつけにできない以上は、やはり申しているように、水際対策としての流通管理の徹底と、不正競争行為に対する抑止を徹底的に働かせることが現実的な対応策であるというふうに思います。新型コロナウイルスによって広がっている影響とあわせて、また和牛については議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、佐藤公治君。

佐藤(公)委員 立国社・無所属会派を代表して質問させていただく佐藤公治でございます。

 家畜関連二法案の質疑の前に、一つ質問させていただきます。現在、大変御苦労されている新型コロナウイルス感染症についてです。

 新型インフルエンザ等対策特別措置法の一部改正する法律が施行されることになりました。先日から、また本日の委員会でも大臣も御答弁されておりましたが、大臣としての対応意欲は大変強いものを感じることができました。

 この新たな法律によって、本部の立ち上げ、基本的対処方針の作成、水際対策の的確な実施等々の作業の後、緊急事態宣言の発令が可能となります。この緊急事態宣言による対策、対応は、国民の皆様には当然ですが、国の関係だけでなく、地方、業界にも多くのお願いを、負担を強いることになると思われます。

 緊急事態宣言を出さずに終息させることが望ましいことであり、その努力を今は一生懸命されていると思いますが、最悪な状況を考えたときに、緊急事態宣言が発令されたときのための準備、体制はどのように考えているのか、農林水産大臣、農林水産省としていかがでしょうかという質問をしたかったんですが、きょう、広田委員の質問にも同じようなことがございました。

 その準備、体制もさることながら、私が一番大臣にお聞きしたいことは、緊急事態宣言になるということは、今までとフェーズが変わってくる、大きく変わってくるということです。わかりにくいかもしれませんが、何がそもそも変わっていくのか。

 私は、やはり江藤大臣の宮崎での口蹄疫やBSEやCSFやASFなど、動物と人は違うことは当然ですけれども、まさに見えない敵との闘い、多くの御経験をお持ちの江藤大臣に、御所見というか、お考え、またそういったことを含めた準備態勢、心構えというのをお話し願えればありがたいと思います。

江藤国務大臣 真剣に考えると夜も眠れないというのが正直なところでございます。食料自給率が低い、そして四百四十万ヘクタール弱しか農地が今動いていない、基幹的な農業従事者の数も少ない、そして余りにも海外に頼り過ぎているこの現状のもとにおいて、やはり国として安定的に食料供給を国民の皆様方に継続しなければならない、このことをやはり、最悪の場合は考えなければならないんだろうというふうに思っています。このことを考えると、持てる体力で果たしてそれに応え切れるのかということも、実は真剣に考えております。

 その一方で、早く終息していただくことを願いながら、直近の課題としては、例えば、肉の世界でいえば流通は完全に滞ってしまっている、そして魚の世界でも、高級なもの、マグロとかカニとかウニとか、そういったものについて特に需要が大変落ち込んでいる。

 しかし、需要を喚起したいけれども、レストランなんかはなるべく行かないようにしてくださいという要請もしなければならないという状況のもとで、もしかしたら、先生がおっしゃるように緊急事態宣言というふうになるかもしれませんので、団体の方々とはもう十二分に、例えば日清食品とか製麺業者とかそういう方々とは十二分な意思疎通はさせていただいて、どれぐらいの供給体制の強化ができるかという話はさせていただいておりますが、しかし、原材料の確保というところは、製麺メーカーとかそういう方々の、食品産業の方々の責任ではありませんので、あらゆる可能性について考えさせていただいております。

 ですから、今の世界は何が起こるかわかりませんので、十分なお答えはできませんが、常に私のおやじも、私のおやじと先生のお父様も非常に仲よくさせていただいたことでありますけれども、最悪の事態を常に考えて行動せよというふうに常々言われておりました。ですから、今、そういったことを思い出しながら、最悪の場合どうするのかということを考えさせていただいております。

佐藤(公)委員 私も、大臣、そのとおりで、最悪の状態を考えて、野球で例えれば、まさに、空振りはいいけれども見逃しは一番よくない、その意味で、いろいろな体制を組んでおくことが大事だと思います。まさに時間との闘い。口蹄疫のとき、大臣は大変御苦労されました。あのときの姿は、私は今でも忘れていません。

 そこで、二つお聞きしたいと思います。私は、医者でも医療関係者でも医療の専門でもありません。素朴な疑問、心配としてお聞きします。

 一つ目は、不安をあおるわけではございませんが、心配をしており、なければないで結構です、わからなければわからないでも結構です、この新型コロナウイルス、動物から人、人から人へと感染して拡大をしておりますが、次に、人から動物に感染する可能性があるのか。それは、農林水産省の管轄する酪農、畜産、養鶏、鶏卵などの牛や豚や鳥や馬への感染があり得るのか。いかがでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスにつきましては、まだ未解明な点も多いということでございまして、世界的に情報収集が行われているところでございます。

 国際獣疫事務局、OIE本部から加盟国に対しまして、万が一家畜や人以外の動物に感染の疑いがあった場合には報告するようにという通達がございました。

 この報告に基づきまして、これまで、香港の犬における感染事例が通報されているところでございます。また、先日でございますが、ベルギーにおきまして、猫のふん便から新型コロナウイルスが検出されたということを、ベルギーの保健当局の発表があったというふうに承知をしております。これまで、家畜における本疾病の感染は、現時点では報告されていないということでございます。

 OIEの現在の公式の見解は、人以外の動物が新型コロナウイルスを人に感染させるとの科学的根拠はなく、動物の種を超えた感染についてはさらなる研究が必要というふうにされているところでございます。

 人獣共通感染症は、人から動物にうつるもの、それから動物から人にうつるものといういろいろなパターンがございます。私どももアンテナを高くして情報収集に努めてまいりたいと考えております。

佐藤(公)委員 当初は、この新型コロナウイルスが問題になり始めたとき、私が一番心配したのは、ペットへの感染というようなことがございました。しかし、当時、専門家は、それはないとはっきりおっしゃられております。しかし、ここに来て、今お話がありましたように、猫や犬の感染があるとなると、人から動物への感染ということが十分あり得る。

 これについてですけれども、実際、農林水産省の方でも、今の御答弁でもございましたが、そういった、アンテナを高くしているということをおっしゃいましたけれども、実際、具体的にどういう、こういうことに対しての対応、対策を今現時点で考えているんでしょうか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話をいたしましたOIEとの情報共有、それから各国が発表いたしました論文等につきまして情報収集しております。

佐藤(公)委員 これは後々、次の段階でもお話をさせていただきますけれども、このたびの新型コロナウイルスが想定外の性質、特徴があると思われるので、気を緩めず注視していただくことが大事だと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 二つ目は、事前通告しておりませんが、大臣を始め皆さんに私の話すことを聞いていただいて、大臣にお答え願えればありがたいと思います。

 第一次産業は高齢者が多くいらっしゃり、この高齢者の方々は新型コロナウイルスの最も危険度が高い対象者となると思います。この方々は大変大事な方々ですし、産業的な又は地域的な面というよりも、医療的、感染症的に、農林水産省としての、この高齢者の皆さんに対して、より注意喚起、ケアやフォローが必要になると思われますが、大臣、いかがお考えになられますでしょうか。

江藤国務大臣 直近では高齢者に限らないということでありますけれども、やはり、基礎的疾患を持っていらっしゃる確率も残念ながら高齢者の方は高い、病歴も持っていらっしゃる方も高いということであれば、やはりこういう方々への注意喚起はしっかりする必要があると思います。

 北海道でクラスター発生が起こったときに、伊東副大臣に北海道に行っていただいて、しっかりとした、地元の方々、漁業の方々、大規模農業の方々、家族経営の方々、それから市場の方々、いろいろな方々と意見交換をさせていただいて、ある程度のマニュアル、そういったものはつくらせていただいて、各業種ごとに配付をさせていただきました。

 きょう、先生の方から、高齢者の方々は、特に、例えば中山間でいえば、中山間直接支払いの中心的人物になっているのが高齢者の方々であったりする場合が多分に多うございますので、そういった方々についての注意喚起も、地方の農政局等を活用して、更に考えさせていただきたいと思います。

佐藤(公)委員 もう大臣は、私が言うまでもなく、農林水産業、それに従事している方々の大変多くの方々が高齢者が多い。実際問題、六十五歳以上で、これは統計が多少違いますけれども、全体の人口で三千六百万人ぐらいいるんでしょうか。そういう中において、農林水産関係に携わっている人たちというのは、六十五歳以上というのは百八十万人ぐらいいらっしゃるという農林水産省の統計が出ております。これは、全体の農林水産関係、農業が中心になると思いますけれども、従事者の四五・二%に当たる、半分近い人たちが高齢者なんですね。

 だから、この高齢者の、失礼な言い方かもしれませんが、労働力というか、これは、日本にとっての農林水産の大変な基盤の労働力の方々、高齢者の方々が大半を占めている。この方々に、産業的な観点だけではなくて、やはりそれは医学的というか、感染症的なケアをしていってあげる必要が農林水産省としてもあるというのが私の指摘であり、提案でございます。

 そこで、農林水産省のホームページで、新型コロナウイルス感染者発生時の対応・業務継続に関するガイドライン、こういうのを出していらっしゃいますよね。これは、確かに、農林水産関係におけるガイドライン、産業的には本当によく書いていただいていると思います。しかし、ここに、例えば高齢者の方々に配慮したような話というのが、私が見落としているのかもしれませんが、私が見ている限りでは書いてない。

 私たち農林水産関係を預かる者として、やはり高齢者の方々があっての産業だと思います。この方々に、本来は内閣府、厚生労働省、総務省の管轄だからというふうに言われる方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり、農林水産大臣として、農林水産省として、この高齢者の方々に注意喚起、ケアをすることが大事だと思います。

 外国人労働者の方々もまた、農林水産関係においてのお手伝いがたくさん入ってきております。そしてまた、今春休みということで、大学生の方々がまた都市部との行き来をし、やはり高齢者の方との接触もあり得る。そんなことも考えながら注意喚起をしてあげることが大事だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

江藤国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。半分以上の方々、高齢者という分類の中に入っていらっしゃる方々が一斉に倒れられたら、もう生産現場がいきなり潰れてしまいますので。

 今回それぞれマニュアルはつくらせていただきましたけれども、確かに、高齢者の方々を特出ししたような書き方はしていないと私も記憶しております。全部手元にないんですけれども、一応全部読みましたので、そういうふうになっておると思いますので、今後また作成し直すこともあり得ます、そういうときには、非常事態宣言も発令されればまた新たなマニュアルも必要になってくると思いますので、そのときには、そういった観点もしっかり織り込んだものをつくらせていただきたいと思います。

佐藤(公)委員 今、わからないこと、予測不能、まさに未知との闘い、その中で国民は不安を多く抱いていることは、大臣もお感じになられていると思います。そこで、今は言われたことに協力してください、そうすれば、とわかりますが、その時間がたてばたつほど、漠然とした協力要請だけでは不安は拡大してしまうように思います。

 そこで、緊急事態宣言の発令とともに、その終わる目安を示すことも大事になると思います。今は、いつになったら終息するのか、どうなったら終息するのかを国民の皆様は具体的に知りたがっていると思います。

 もとの生活にいつ戻れるのか、農林水産大臣として難しければ、経験豊富な政治家としての江藤拓先生として何かお答えできることがあれば、簡単にお願いいたします。まさにいろいろな経験を、口蹄疫など見えない敵との闘いをされている江藤大臣だからこそ答えられることがあるかと思い、質問させていただきます。

江藤国務大臣 随分評価をしていただいて感謝をいたしますが、正直なところ、お答えできないと思います。

 世界はグローバル化して交流人口もふえて、中国も、一旦とまっているというふうに言いますけれども、もう一回逆輸入のような形で入るのではないかというお話もあります。アフリカでは非常に貧困が進んでいて、アフリカや中東では難民の方々もたくさんおられます。そういったところでは、まともな医療体制も整えられていない。手を洗う習慣もない、石けんすらないというところで感染爆発したときに、果たして日本にどのような影響が出てくるのか、ロックアウトのようなこともうわさはされておりますけれども、じゃ、果たしてロックアウトすれば本当に防御できるのか、これはウイルスの世界ですので、わかりません。

 ですけれども、日本としてはできる限りのことをして、まずは国内のことをやらなければなりませんが、国際的にもできる協力をしながら、できる限り早い、感染拡大、アウトブレークしないようにする努力はしたいと思いますが、大変申しわけないんですけれども、出口を示すということは確かに政治として大事だと思いますが、余り不用意なことを言って、いつごろには何とかなりそうだよと言って、ならなかったときもまた大変なこともありますので、きょうのところはお答えをすることは差し控えさせていただければと思います。

佐藤(公)委員 私たちも、この非常事態に協力をしていきたい気持ちは、与野党を問わず皆さんお持ちだと思います。ぜひ、大臣を始め農林水産省の皆様には、第一次産業の窓口として、食品を始め、生活者の安心、安全な後ろ盾として頑張っていただきますことをお願い申し上げたいと思います。

 さて、家畜関連二法案の質疑に入らせていただきます。

 食料・農業・農村基本計画ですが、この間の農水省からいただいた事前資料では、牛肉、牛乳・乳製品などの畜産の国内需要の増加への対応と輸出拡大に向けてと書かれておりますけれども、国内需要増加については、人口減が進む中で、なかなか難しい目標になるのではないかと思います。一方、輸出額で見れば、二〇一九年は、当初の農林水産物・食品目標、輸出額一兆円だったのが、結果九千百二十一億円となりました。そのうち和牛の輸出は二百九十七ということで、二〇一三年に掲げた目標の二百五十億円を上回ったことは大変喜ばしいことであると思います。

 そして、二〇三〇年には総額で五兆円を目標にしているというふうに書かれておりますが、そこで、政府が考える二〇三〇年のそのときの和牛輸出額の目標をどのように考えられているのか、お答え願えればありがたいと思います。

江藤国務大臣 当然、この目標を立てた以上は、金額ベース、三十万トンになったときに幾らを目標にするかということは、価格と量との掛け算になりますので、なかなか確定的なことを言うのは難しいんですけれども。近々にその数字はお示しできると思いますが、きょうは確定的な数字を言うことはちょっと難しいということでございます。

佐藤(公)委員 元年に農業生産基盤プログラムで、これはたしか、十四・九万トンが二〇三五年には三十万トンというような数字が書かれておりました。当然、内需の関係で、引いた残りを輸出に回していくのかなと思いますけれども。

 そこで、人口減少が進むことが想定される中、農業を守っていくためには、内需ではなく海外に販路を開くことを否定するものではないし、世界に日本の農産品のすばらしさを、味のみではなく安全性を発信することもとてもよいことだと思います。

 そこで、これは確認です。今回のこの法改正は、和牛の価値を守りその価値を高める、輸出増加につなげていくということでよろしいでしょうか。

江藤国務大臣 いや、趣旨としてはそのとおりだと思いますが、まずは先人の努力に報いるという側面もございます。そして、日本が持っている強みを守ることによって輸出競争力をまずは失わないということを目標にしたいと思います。

 そして、輸出をするためにこの関連二法を出すということでは決してなくて、我々がしっかり育みつくってきたものが、不当競争防止ということをやりながら、しっかり保護され、そして、海外の市場でも適切な評価を得られ、その利益が生産者のところにちゃんとリターンとして戻ってくる、そういう図式をつくるためにこの二法を今国会に提出させていただいているということでございます。

佐藤(公)委員 そこで、少し私の地元の話もさせていただきながら、江藤大臣にお願いと応援をいただきたいと思っております。

 私の地元広島県庄原市に、七塚原牧場畜産試験場がございます。畜産を普及しようと、日本で最初の国策国営の種牛牧場は広島県庄原市にある七塚原種牛牧場と聞いておりますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

江藤国務大臣 そのとおりでございます。

 大変歴史が古くて、明治三十三年、七塚原種牛牧場が欧米の近代的な畜産を我が国に導入するために創設をされましたが、我が国で最初の家畜改良のための国立の施設ということでございます。

 同場は、一九〇〇年に広島県下で開設をされて、和牛の改良を目的として、体積に富む外国種を輸入し、これらと我が国の在来牛、役牛でしかなかったわけでありますが、これをかけ合わせて生産した産子の能力の試験を行うとともに、種雄牛の払下げとか貸付けなどを行って、非常に和牛の黎明期に活躍をされたというふうに承知をいたしております。

佐藤(公)委員 それほどまでに国が力を注いだ七塚原種牛牧場ですが、七塚原種牛牧場が担っていた役割とは何だったのかというのは、今大臣が御答弁していただいたことにも含まれているかと思います。

 七塚原種牛牧場は、標高三百四十メートルの丘陵にあります。種牛牧場のある七塚原高原は、ポプラ並木に広大な牧場、赤い屋根のサイロがあり、乳牛や和牛の改良のメッカであったと聞いております。

 明治三十三年の当時に、農商務省が、政府の畜産振興の基地として、この地に約百二十ヘクタールの牧場を開き、全国初の国立種牛牧場として、本館、畜舎、サイロなどを建設しました。特に、洋風建設の本館は、新しい時代の先端を行く畜産試験研究機関にふさわしいものであったそうです。

 当初は乳牛の導入が盛んで、明治四十五年まで三百六十頭が飼育され、広島県内の酪農発展の拠点となりました。当時のこの牧場の年間予算は十五万円で、今に換算すると六億円、どれほどにこの牧場に、畜産振興に力を入れたのかがよくわかります。

 その後、大正十二年、広島県に移管され、広島県種畜場七塚原分場として発足、その後、幾多の変遷を経て、今日の県立畜産試験場となりました。

 この創建時の本館は、幸いにもほぼ完全な形で保全されて、今日まで畜産資料館として活用されております。

 私がお願いしたいことは、この庄原、まさに畜産の、日本のスタートだったという原点、しかし、その後、江藤大臣の出身の宮崎県、鹿児島県、これは和牛のまさに横綱でございます。今、地元庄原で、この畜産試験場の古い建物を文化財として何とかして登録をして、それを起点に、この地元庄原、隣は神石牛というまた牛のメッカでもございます。でも、まだまだ横綱には太刀打ちできるような状況ではない。この文化財の登録とともに、そして、今後、輸出を拡大していく、和牛の生産を拡大していくということであるのであれば、その基盤整備において、それを宮崎と鹿児島だけで全てできるとは私は思いません、こういったところに力を注いでいただく、応援をしていただくことが、私は大事であり、また私からお願いをしたいことでもございます。

 地元の方々が今、この文化財登録、及び、もう一度原点に立ち返って、庄原、神石といったところを和牛の産地としていきたい。比婆牛というのがございます。御存じだと思いますけれども、こういったことに農水省として力を今後注いでいただきたいという思いで、大臣に、御感想というか、応援をお願いできるような御答弁をいただけたら、ありがたいと思います。

江藤国務大臣 最近の和牛の全国和牛共進会の結果を見てみますと、例えば九州でも、大分あたりが部門でチャンピオンをとったり、長崎県が部門でチャンピオンをとったり、決して肥育頭数も規模も大きくないけれども、優秀な雌をつくったりするような優良事例がたくさん見られるようになってきました。

 宮崎県はチャンピオンと言っていただいたのはありがたいんですけれども、やはり子牛を全国に供給するということが宮崎県の一つの大きな使命だと思っております。その血統を生かしていただいて、全国で和牛の生産が進むということがとても大事なことで、血統はやはり偏ってはならない。多様な血統があって、余り近親で交配ばかりをしていると、だんだん受胎率が落ちていったり、病気に弱かったり、体が小さくなったり、いろいろな弊害も出てきますので、ぜひ、先生の御地元だけじゃなくて、全国的に和牛の生産をふやしていく努力は、応援をしていきたいと思っております。

 先生のところの比婆牛については、GIもとっておられるということでありますので、かなり全国的にも優良な事例でありますので、決して宮崎の種雄牛に負けるようなものではないと思いますので、宮崎からぜひ和牛を購入していただいて、かけていただいて生産していただくと、更にいいものができていくと思います。

 特に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、和牛の生産は、非常に今は値段が下がっておりますが、楽しみがある。お年寄りにとっても、子供を育てるようで、これをやっている限りは自分はぼけないというようなお話もたくさん聞きます。ですから、健康寿命を延ばす上でも効果がありますし、そして、一頭を出せば、今は下がっておりますが、七十万、八十万出すということであれば、かなり楽しみもいいということでありますから、先生の御地元ももちろんでありますけれども、全国的に和牛の生産拠点がふえるような応援を、しっかり今回、二十四万六千円の繁殖雌牛の導入奨励事業も設置いたしましたので、ぜひ御活用いただきたい。いろいろほかにもメニュー、クラスター等ありますので、応援していきたいというふうに考えております。

佐藤(公)委員 ありがとうございます。

 大変力強い応援をいただいた答弁だというふうに私は思いました。それを地元に持って帰って、和牛をこれからやっていこうというみんなに私はこの話をさせていただきますので、どうか強い応援をお願い申し上げたいと思います。

 さて、もう時間もなくなってきてしまったんですが、この法律、非常に私はこれをつくられた皆様方には敬意と感謝を申し上げたい。

 ただ、この法律を見て、私は賛成という立場で質問させていただきますけれども、この第三十二条の二、ここだけひっかかる部分がございます。

 ここの三十二条の二というのは、特定家畜人工授精用精液等の指定ということでございます。これに関してなんですけれども、「農林水産大臣は、高い経済的価値を有すること」、こういうふうに書かれております。

 この法律の目的は、まさにみんな、もう最初から、和牛を守るためにということだけでこの法律を見ているところがあるんですけれども、ここの第三十二条の二に書いてございます高い経済的な価値、これをどのように大臣は考え、一つの基準をつくっていくのか、考えていくのか、指定をしていくのか。いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の高い経済価値ということでございますけれども、和牛を想定しているわけでございますが、和牛のその精液などが不正に海外に流出すれば、改良事業者のみならず、農家を含めて畜産業界全体に大きな損失があるというふうに考えております。また、和牛につきましては、非常に高く評価されるに至っているところでございまして、その価値に着目しますと、和牛の遺伝資源の将来的な値上がりを見込んでの購入とか血統を偽った販売なども懸念をされるということがございます。

 委員御指摘のその三十二条の二の条文でございますけれども、「高い経済的価値を有することその他の事由により特にその適正な流通を確保する必要がある家畜人工授精用精液又は家畜受精卵」というふうに書いておりまして、高い経済的価値を有することによりまして特にその適正な流通を確保するという必要がある、こういったものを、第三十二条の二の第二項にございますような、家畜の改良増殖に関し専門の学識経験を有する者の意見を聞いて大臣が定めるということになっているところでございます。

佐藤(公)委員 よく法律で、ある意味、漠然というか曖昧な形で書かれていることがよくございます。

 それでしたらば、これは解除というのもありますよね、局長。これは、解除のときに、「公益上の理由により必要が生じたとき」と書いてございますけれども、この解除のときというのは、じゃ、今お話しされたことを受けて、どういうときに解除ということが起こるんでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 指定の解除につきましては、第三十二条の七のところに規定されているところでございます。公益上の理由により指定の解除ということでございますが、これは万一でございますが、指定に伴う規制によりまして家畜の改良増殖が進まなくなるなど、家畜の改良増殖という本来目的に支障を来すような事態が該当するというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、その指定の取消しについても、流通、利用の実態を踏まえて、改めて専門家の意見聴取を経て行うということとなっております。

佐藤(公)委員 これ以上はもう聞きませんけれども、私は、特定家畜人工授精用精液等の指定に関してのここのところがちょっと曖昧かなという気がしております。でも、こういう書きぶりは法律ではよくあることなので、別にそこまで突っ込んでお話をする、反対ならともかく、私はこの法律自体の改正に関しては賛成の立場ですから、もうこれぐらいにさせていただきたいと思います。

 最後、時間がもうなくなってしまいました。

 大臣に、最後、ちょっと、この畜産関係、和牛生産者の方々に今回の法律や何かでいろいろとヒアリングをしたときに、畜産農家の減少はやはり高齢化に伴うものと事業継承できていないところにあると思う、畜産の新規参入については、牛舎の整備などの初期投資が必要に加え、子牛を購入してから肥育、出荷するまで約二年にわたり無収入にもかかわらず飼料や諸経費が必要となるため、よほど資産の余裕のあるところでしかできない、畜産農業団地を整備して大手に来てもらうようなことも、従来の個別農家支援策では畜産農家をふやすことはなかなか難しいのではないか、新規に畜産を始めるにはよほどの覚悟がないとできない、銀行からお金を借りて牛舎を建てて牛を飼って二年近く、更に毎日毎日銀行から金を借りて餌代に消えていく、万が一に牛が病気になったり死んだりしたらば大借金しか残らない、そんなことができるとは思えない、こんな声があります。

 でも、これを聞いて、私も、いろいろなこういった制度がある、共済もある、それを組み合わせていけば乗り越えられる、やる気があれば私はできるという思いで皆さん方にも今話をしております。

 どうか最後、本当に短くなってしまいましたけれども、大臣から、若い方々、これから和牛を一生懸命やろうという方々に、小さくても頑張れば報われる、できるというようなエールのお言葉を少しいただければありがたいと思います。

江藤国務大臣 最近はいろいろな工夫をさせていただいているつもりでございます。

 JA等が施設を整備して、新規の就農者、いわゆる酪農家の方に施設ごと、そして畜産クラスター事業であれば、新規就農の方については増頭奨励の事業が、二十四万六千円とは別に、十七万何ぼだったかな、十七万六千円か。(発言する者あり)クラスターであれば十七万六千円、導入の支援の資金もあります。

 そして、今、新たな手法として、高齢者の方々のお話を、先生、随分していただきましたが、施設が例えば老朽化していて、次の世代に引き継ぎたい、しかし息子が継いでくれない、しかし赤の他人で意欲のある子がいる、そういう人に引き継ぐということをしっかりと約束をしていただく場合は、先生御存じだと思いますが、今やっている、お年寄りしかいないかもしれませんが、そういった畜産農家の畜舎等、それから設備等も更新をして、しっかりとしたものにして、その上で経済性が成り立つような形にして次の世代に引き継いでいくというような新たな仕組みも設けてあります。

 これから中国のマーケットがあけば、私は新たな景色が必ず見えてくると思います。いろいろな中国の方、中国の大使ともお話を随分させていただきましたけれども、お金の持ち方がちょっと半端ではない。高くないと本物じゃないんじゃないかと疑うというようなこともおっしゃっていましたので、吹っかけて売るつもりはありませんが、しかし、今までとはちょっと違う景色がこれから輸出を頑張ることによって和牛の世界では見えてくる可能性があるので、ぜひ意欲を持ってこの世界に飛び込んできていただきたい、その応援をしっかり農林水産省としてはさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

佐藤(公)委員 時間が過ぎて申しわけございません。

 大臣、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

吉野委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長谷川嘉一君。

長谷川委員 私は、立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの長谷川嘉一でございます。

 通告に従いまして、順次御質問をさせていただきます。

 最初に、江藤大臣に御質問をさせていただきたいと思います。

 これは通告の具体的な内容とはちょっと違いますが、いよいよあす、法案が出されておりますけれども、食料・農業・農村基本計画が四月一日にスタートし、今後十年先までの施策の方向性が示されることになっております。また、時を同じくして、あすから農林水産物・食料輸出本部が設置され、江藤大臣が本部長として、各省庁横断的に輸出促進に関する基本方針を定め、さらなる輸出拡大をしていくと伺っておりますが、まず、江藤大臣にその御決意と抱負についてお伺いいたします。

江藤国務大臣 基本計画につきましては、当委員会でも大変活発な御議論をしていただきまして、ありがとうございました。先生方からいただいた御意見は、できる限り反映をさせていただいたつもりでございます。大臣室にも御提言いただいて、ありがとうございます。

 これは、先生おっしゃったように、十年先のあるべき姿、今の課題、直面している課題とか、そういうものを網羅的に書いているものでありますから、この内容に沿って、責任を持って、これを、法律に基づいて書いたものでありますから、しっかりと肝に銘じながら政策運営を行ってまいりたいと思っております。

 あすからの、確かに、四月一日でありますから、本部が立ち上がるわけではありますが、現下の状況がこういう状況でございますので、本来であれば、対策本部の看板がけをして、麻生大臣以下、関係閣僚の皆様方全員集まっていただいて、基本方針を定めて、会議を開く予定でありましたけれども、このコロナという状況でありますから、看板かけとかそのようなことは、この際は慎みたいと思っております。

 しかしながら、まだ二十カ国残っている、福島原発由来の、輸入がまだ行われていない国等もありますので、やれる努力はコロナの災害がおさまっていないこの期間においてもしっかりやらせていただきたいと思っております。

 いずれにしましても、この輸出の本部につきましても、基本法の中に五兆円という目標も書いた上でかけさせていただいているものでありますから、コロナ対策はおおむね十日以内にまとめろということで、ちょっと若干そのことで頭がいっぱいになっている部分がありますが、それはそれ、これはこれとして、しっかり取り組ませていただきたいと思います。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 今、本当に多難な時期の幕あけということで、まずコロナの方向性が見えない限りはしっかりとしたセレモニーもそれぞれできないということでありますが、実務的な部分では大変な御努力をされていくことと思い、改めて敬意を申し上げたいと思います。

 午前中の御質問の中に、広田先生の御質問だったと思いますけれども、ほかかもしれませんけれども、そういった重責を考えると夜も眠れないような心境でもあるというふうな部分がございましたし、まさにそれが本音ではないかと思いますし、それに対しても敬意を申し上げたいと思います。

 特に、この食料自給率の方向性も、四五%というふうになっておりますし、これに何としてでも、一歩でも近づけるような、今そういった土台づくりをし、すぐにというわけではないにしても、一年、二年の間にしっかりとそういった基調に進んでいくことを期待するものであります。

 特に、今回のコロナについては、食の安全保障上からも、やはり自給率の確保というのは絶対的要件というのは、政治家のみならず市中の皆様方も十分に認識をされていることではないかというふうに思っております。

 また、五兆円の農産物輸出については、本当に一兆円間近のところまで来たということでもありますし、部門によっては、畜産関係、特に牛についてはぐっと伸びが高い。こういった部分的な部分にスポットを当てていけば、五兆円というのは大変高いハードルではありますけれども、着実に一歩一歩前進していくのかなと御期待申し上げると同時に、我々も全力の協力を惜しまないものでございます。

 では、次の質問に、法案の質問に入らせていただきます。

 まず、家畜伝染病に係る不正競争防止に関する法律案についてであります。

 本法案については、初日に三人、きょうがまた、私が六番目ということで、大体出尽くした感もありますけれども、私に課せられた使命を全うしてまいりたいというふうに思っております。

 法案の、家畜伝染資源に係る不正競争の防止に関する法律案、そして家畜改良増殖法の一部を改正する法律案が提出されております。これについてはさまざまな御議論があったわけでありますけども、まず、今回の法案の中にある、家畜人工授精所以外で保存した精液等の譲渡禁止を明文化した上で、これに反した場合の回収、廃棄命令を措置することによって、ブローカー等の手に渡らないようにするとともに、精液、受精卵の容器への表示や家畜人工授精所における業務状況を義務づける、トレーサビリティーの確保を図り、さらに、精液等の利用を日本国内に限定することを明示したいわゆる契約を全国的に普及させた上で、新法において、家畜伝染資源の生産事業者としての契約に反して譲渡し、譲受けを行った農家やブローカーに対しては差止め請求を可能にすることとあります。これについては、広田議員からも、大変工夫を凝らしたすばらしい法律案ですねというふうなお話があったかと思いますけれども。

 このことについてでありますが、契約をしなければ差止め請求ができないわけでありますが、この契約を結ぶについては、国の関与がどうなっているのか。また、例えば、国の強制力はどのくらい及ぶのか、あるいは及ばないのか。であるとすれば、どのような任意の御努力をされるのか、まずこの辺についてお伺いをさせていただきます。

水田政府参考人 お答えいたします。

 契約の締結についてでございますけれども、契約の締結自体は、強制力がありませんでして、任意でございますけれども、国としては、契約のひな形をお示しするなど、契約の締結に向けて指導を行ってきたところでございます。

 現在の状況でございますけれども、宮崎県とか鹿児島県とか鳥取県など十七県におきましては、県有牛の精液等の売買に関しまして、その利用範囲、あるいは利用に当たって遵守すべき事項、こういったものを盛り込んだ契約が交わされているという状況でございます。

 さらに、こうした契約慣行を現場に定着させるに当たりまして、大口の民間の家畜人工授精所、特に一般社団法人の家畜改良事業団がございます、こちらに積極的に取り組んでいただくことが効果的でございますので、いろいろ説明会とかにおきまして契約のひな形を示すなどして相談を受けてきたところでございます。

 その結果、家畜改良事業団におきましては、全国の多数のユーザーと契約を円滑に行うということが必要なものですから、ホームページなどで約款を公表いたしまして、それを相手方に伝えて合意することによって契約を行うという方法を採用いたしまして、既に約款の案をホームページに掲載をしているところでございます。

 こうした取組を紹介しつつ、事業者や畜産農家の負担軽減にも配慮しながら、契約締結に向けた取組を更に進めてまいりたいと考えております。

長谷川委員 今現在の状況が十七県ということでありますけれども、この実効性を担保するためには、基本的には全対象者を対象にして、一〇〇%を目指されるという御決意かなとは推測いたしますけれども、現在の進捗状況、普及率、あとは、対象数はしっかりとおつかみになっていらっしゃるのかどうか、この辺についてもお聞かせいただけますでしょうか。

水田政府参考人 契約の数自体を把握しているわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、十七県が既に契約が行われているところでございます。

 黒毛和種の精液の流通量で判断いたしますと、都道府県が大体三割ぐらいを占めておるところでございまして、そのうち約八割が契約締結済みということになっております。それから、家畜改良事業団におきましては約三割のシェアを占めているというような状況でございますので、家畜改良事業団が間もなく契約締結に向けて対応しておりますので、約半分ぐらいは家畜改良事業団が契約ができれば対応済みという形になると思います。

長谷川委員 ありがとうございます。

 先ほど、もう冒頭申し上げてしまって、三問目の質問にしようと思ったんですけれども、実効性を担保するためには国の努力が一番重要ということで、仏つくって魂を入れていただくのは国でありますので、ぜひその辺の御努力もあわせて御要望申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 CSFワクチン接種でありますけれども、その後についてということでありますけれども、現在、豚コレラは、残念ながら終息することなく、幾つかの広がりがあり、また、ワクチン接種地域においては、おかげさまで豚への感染は防げております。

 しかし、新たに飼育される豚についても今後繰り返しワクチン接種が必要となってまいりますが、国としては、この数を大体おつかみになっていらっしゃるかどうか、この辺についてお聞かせいただきたいと思います。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 CSFの予防的ワクチンの接種でございますが、現在二十一都道府県で実施をしているところでございます。このうち、畜産統計上の飼養頭数で見ますと三百五十頭近くということになっておりまして、初回接種、終わっている県、それからまだ接種中の県ということでございます。

 お話ありましたとおり、子豚が生まれたその都度、大体十日から十五日に一回は農場に入って接種をしていただく必要があると考えております。

長谷川委員 ありがとうございます。

 この接種については、群馬県は北海道に次ぎ四番目だったでしょうか、六十三万頭近い養豚がありまして、県においては毎年百二十万頭の豚がワクチン接種の対象となります。毎年これを繰り返され、いつこれが終わるともまだ予測がつかない状況の中で、養豚農家にこれが大きな負担になってくる可能性もあり、また、県の財政についても大きな負担になることはまず間違いないわけでございます。

 令和二年三月十八日に、群馬県議会から大臣や衆参議長宛てに意見書というのが出されておりまして、我々地元選出の議員のところにもこの意見書が回ってまいりましたけれども、それについては、この中で、CSFワクチン接種は家畜防疫員が接種しないといけないというたてつけになっているわけでありますけれども、現在、群馬県には三十名近い防疫員はいますけれども、実務に充てられるのは大体そのうち八名ぐらい、ほかは日常の業務でもう奔走しているわけでありますから、そういった数しかない、この足らない分は、民間の獣医師を仮契約をして、借り上げて、それで接種をしていただいているというふうなことであり、これに対しての県の費用負担等も大変大きなものになってくるというふうなことがその意見書には述べられておりました。

 そこで、この法改正も必要なのかもしれませんけれども、この家畜防疫、それからまた養豚業者ですね、養豚業者はちょっと私もよくわからないわけでありますけれども、養豚関係者の一部のお話でしかわかりませんが、これについても、ワクチン接種については、一施設大体一人の防疫員が一回しか回れない、一日一つの施設しか回れない。シャワーを浴びて、着がえてというようなことで、実質的には一日。それで、一日終わると、中二日間、間を入れないと次の施設には行けないというふうな制度になっており、大変な負担が予測されるわけでありますので、この辺についての国の支援策をしっかり講じていただくべきかなと思います。

 そして、養豚業者の一部ではありますから、余り公式な見解ではないかもしれませんけれども、家畜防疫員の管理下においては、一定の基準の教育を受けた人もワクチン接種ができる特例をこの際認めてはどうか、認めてほしいという要望もありますが、これについての御所見。

 先ほどの県に対する補助、それから家畜防疫員以外の、監視下のもとでの接種についての法改正は可能性がないのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

新井政府参考人 お答えいたします。

 まず、ワクチン接種に対する助成でございます。

 CSFの今回の予防的ワクチンは、家畜伝染病予防法の第六条に基づきまして、命令として都道府県知事が自治事務として行っているものということでございます。これにつきましては、同法第六十条に基づきまして、国の負担の割合が決められております。ワクチン代や資材費等につきましては県の購入費の二分の一を、それから防疫員の旅費、これは県内を県の防疫員の方が移動する場合、それから県外から来た方々の旅費、両方を含むということでございますけれども、旅費の全額を国が負担するという枠組みになっております。

 これらに対しまして、都道府県の負担分の五分の四につきましては特別交付税を措置することができるということになっておりますので、ワクチン代や資材費につきましては、農家の負担は、この場合は一〇%ということになっているところでございます。

 これの残りということではございますが、なお発生する受益者負担につきましては、各県が都道府県議会の承認を経て、手数料条例という形で定めていると承知をしているところでございます。この手数料条例を定めている中におきましても、二十の県が初回は免除するという扱い、滋賀県だけが初回から徴収をするということでございます。それから、福井県におきましては初回及び二回以降も農家の方の負担はゼロにするという形で対応していただいているというふうに思っておりまして、私どもとしては、法律に基づく支援を的確に行っていきたいというふうに考えています。

 それから、家畜防疫員以外の人が予防的ワクチンを接種することができないかというお話でございます。

 これにつきましては、ワクチンの接種の準備をしている段階から都道府県と問題意識を持って意見交換をしてまいりました。その中で、今回の予防的ワクチンは、法第六条のいわゆる命令という形、公権力の行使で行われているということでございますので、確実にワクチンを接種していただくという体制が必要だということで、これは家畜防疫員にまずやっていただきたいという趣旨、これが第六条でございます。

 それから、ワクチンは注射ということでございます。この注射は、営農を継続し、最終的に食用等として出荷することを前提としているということですので、獣医師法に基づく診察行為に当たるというふうに考えておりますので、やはり獣医師である家畜防疫員のみが行っていくということが適当だというふうに考えております。

長谷川委員 国としてもできる限りの施策は講じていらっしゃるというふうには推察はできます。

 しかし、これについての、群馬県の場合は、先ほど言った、第三位か、四位だと思いますね、六十三万頭余の養豚で、年間百二十万頭、これを毎年毎年、果てるとも知れないような繰り返し作業が行われるわけであります。

 そこで、先ほど言ったように、群馬県議長名で意見書が出てきたのはそういった背景があるということで、これについては二つございます。先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。まず一つは、「CSFワクチン接種は、家畜防疫員以外の民間獣医師による接種を可能とすること。」ということと、あわせて、二として、「CSFワクチン接種を行う民間獣医師にかかる費用を国が支援すること。」ということでこの意見書が上がってきておりますが。

 繰り返しで大変恐縮ではありますけれども、となると、今局長がおっしゃられた中では、この二の、民間の雇い上げの費用については、何割だったか、私、聞き漏らしたので、重複しての御答弁だと大変恐縮ではあるんですけれども、国がもう既に支援しているということでよろしいんでしょうか。繰り返しで恐縮です。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 国が支援しておりますものといいますものは、ワクチン代とそれから資材費の二分の一、それから旅費ということでございますので、県内の家畜防疫員が農場をめぐった場合の、基本的にはガソリン代ということでございます。

 今お話がありました人件費といったものにつきましては、家畜防疫員は県の職員ということでございますし、今回打っていただいている民間の獣医師の方は非常勤の県の職員といった形で打っていただくということでございますので、そこの、県の職員の人件費等については助成は行っていないところでございます。

長谷川委員 建前上はよく理解できるところではありますが、法改正、あるいは条例なんでしょうか、法改正をしてでも、ぜひそういった支援ができるような制度を考えてほしいという意見書が上がっているということは再度申し上げて、この部分については終わります。

 この民間のCSFワクチンの事業者の方たちの意見の中に、これは、現場の意見としては、今回の豚熱については、いわゆる日本固有のものではなくて海外から持ち込まれたということで、櫻井周さんの方からもいろいろな指摘がありましたけれども、そういう国の防疫体制にも問題はあったわけであり、また、ワクチン接種については、国の、タイミングが非常に難しい法改正もあったということは承知はしておりますけれども、一年以上たって、十六万六千頭余の豚を殺処分した段階でスタートして、大変感染が拡大したという背景もありますので、このワクチン接種については、端的に、業者的な視点でいけば、国の責任だ、これが大きいのではないか、ですから、国に責任を持ってほしいというふうなことであります。

 ちなみに、県条例の中でいくと、県内の養豚家が負担する額は一頭当たり三百四十円ということでありますけれども、掛ける百二十万頭、これが毎年というふうなことになりますので、ぜひこの辺は改めて国の支援の方法があるかどうかについて御検討いただければと思いますが、これはコメントだけで結構ですから、御所見があれば、しつこいようですけれども、お伺いいたします。

新井政府参考人 繰り返しで恐縮でございます。

 家伝法に基づきまして、必要な助成をしっかりやっていきたいと思っております。

長谷川委員 これは要望として申し上げておきたいと思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 新型コロナウイルス感染に係る農産物の影響については、国としても今全力を挙げ、与野党挙げてこれの対策に取り組んでおります。

 東京近郊においては外出自粛、それから、群馬県でもそうでありますけれども、近県においてもそういった宣言が出されております。

 これについて、国全体に及ぼす経済波及効果、ダメージははかり知れない、未曽有のものがあるというふうなことでございまして、農水省では、最初には、学校の登校ができないという中で、学校給食納入業者の被害がまず第一弾としては起こりましたけれども、現状として、経営の支援も含めて、どのような状況にこの農水関係の業者さん等があるのか。現状についてお聞かせをいただきたいと思います。

岩濱政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルスにより、農林水産業には大きな影響が出ております。

 具体的に、先生御指摘のとおり、学校給食用の牛乳、野菜等の注文のキャンセルや、大型イベントの自粛に伴いまして切り花等の需要のキャンセル、また、外食需要の減に伴いまして高級食材の国内価格の低下、技能実習生の受入れの見通しが立たないことなど、さまざまな影響が出ております。

 これらの影響に対しまして、農水省では、三月十日、御指摘のように、公表された第二弾の緊急対策を実施しております。学校の休校に伴いまして使用できなくなる野菜等の学校給食の食材については、さまざまな契約形態がございますので、今きめ細かい支援を行っているところでございます。

 学校給食用の牛乳向け生乳につきましては、加工用向けに用途変更する場合の価格差の支援について実施をしておりまして、三月十日の対策決定後に、十九日に交付決定を行い、二十六日に独立行政法人農畜産業振興機構に交付金を既に交付しており、円滑な事業執行を図れるよう今取り組んでいるところでございます。

 また、先生御指摘の資金繰りの問題について、無利子無担保の支援をさせていただいておりますが、現在、三月二十七日時点で、日本政策金融公庫、農林水産業の事業といたしまして、七十二件、三十六億二千九百万円の実績がございます。

 引き続き、第二弾のその支援について、漏れが生じないよう、しっかり支援を実施していきたいというふうに考えております。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 本当に経営的には厳しい状況に追い込まれているところは、農業分野のみならず、極めて隅々まで行って、悲痛な声も耳にしております。特に、若年層で雇用形態の不安定なところについては、本当にあしたの生活にも困るというようなお声もお聞きしておりますので、農業分野についてはそれぞれの所管できめ細かい対応をしていただけるよう御要望申し上げて、次の質問に移らせていただきます。

 農業分野については労働力不足が今あります。それを賄う形で外国人の技能実習生が大変大勢入っているわけでありますけれども、現在、これが日本に入れずに、関東近県でも多くの皆様方が大変な労働力不足にあるというふうな状況とお聞きしておりますが、今、農水省の情報では、この農業分野における外国人労働者の影響、どのようにおつかみになっているか、お聞かせいただきたいと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルス感染症の影響に伴います外国人の技能実習生の方々への影響でございます。

 中国からのビザの効力は既に停止されていたわけでございますけれども、これに加えまして、先週から、東南アジアの七カ国からのビザの効力、これも停止をされたところでございます。こうしたことに伴いまして、この春受け入れる予定だった技能実習生の方々の見通しが立たない、今後の農繁期の労働不足が懸念されるという声を我々としても聞いているところでございます。

 我々、都道府県から、具体的に、じゃ、何名ぐらい見通しが立たないのかということを聞き取りをしてございます。それによりますと、先週の段階で、千百名程度の方々について受入れの見通しが立たないということを聞いてございます。

 ただ、今ほど申し上げましたように、先週末から新たな水際対策の強化もなされていますので、それがどのような影響をもたらすか、引き続き動向をしっかり注視してまいりたいというふうに考えてございます。

 それに伴います対応ということでございますけれども、まず、帰国予定だった技能実習生の方々につきまして、引き続き就労してもらうということでございまして、その方法の一つとして、特定技能制度への移行というのがございます。これを検討されているところも出てきているというふうに聞いておりますし、また、今おられる技能実習生の方々に関しまして、あるいはそのいろいろな手続に関しまして、どういうことができるのかということでの周知、あるいは手続の簡素化などの制度的な要望については、出入国管理庁等に説明をして検討をお願いをしているところでございます。

 また、国内の人材確保ということで、JA、農協系統においても御検討いただいているところでございますし、その他全体としての労働力不足対策について、必要な対策についてしっかりと検討してまいりたいと考えているところでございます。

長谷川委員 ありがとうございました。

 この外国人労働者が千百名、群馬県においては、予定した百七十三人の方が入国できないで、収穫時期の野菜収穫に大変大きな影響が出ているというようなことでございます。

 また、この外国人労働者の問題は、視点を変えてみますと、先ほど言った国内からの人材の確保、それからAI等々の省力化の部分も含めて、まずやるべきことをしっかり今この機会に検討されるいいチャンスでもあるのではないかというふうに思っておりますし、安易とは申し上げませんけれども、簡単に安い労働力として外国人技能実習生とか、入管法の改正があって農業分野にも人が入れられるというようになりましたけれども、この安易な取組についてはこの機会に戒めていかなければいけないのではないかということも申し上げさせていただきます。

 また、食料自給率も、冒頭少し生意気なことを申し上げたかもしれませんけれども、国民の総意として、こういった状況に世界的な状況がなってくると、日本の食料は大丈夫なんだろうかと、逆に危機的な関心がこの農業分野に恐らく寄せられてくる。最初に起こるのはやはり食べ物でございますので、これについての、自給率の向上の、反転のための戒めの時期に我々もしていかなければいけないのかな、このことを申し上げて、次の、最終質問に入らせていただきます。

 集落営農という部分がございました。これについては、全国農業新聞の二十日の部分でありますけれども、今、「解散相次ぐ集落営農組織」というふうなタイトルでありまして、一九年、前年から、百六十二組織が減少、率にして一・一%というようなことがございます。

 また、法人化、それから任意の団体も含めて、ほとんどが高齢化した人たちがやっていくわけでありますから、若い人たちが参入できる営農団体は別として、ほとんどの営農組織がそういった状況にあるのではないかなというふうに思いますが、この辺の状況について、現状をお聞かせいただきたいと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず集落営農の数でございますけれども、近年は一万五千前後で推移してございます。

 こうした中で、法人化の割合、これは着実にふえてございます。具体的に申しますと、昨年の実績で申しますと、一万四千九百四十九、集落営農がございますが、そのうち五千三百一、三五%という法人化率となってございます。この法人化率自体は年々増加しておりまして、例えば、十年前、平成二十一年は一三%、それが平成二十六年に二二%、そして今は三五%ということで、法人化の率自体は確実にふえてございます。

 他方で、委員からも御指摘があったとおり、組織の解散数、これもございます。ただ、これも近年の推移を見ますと、平成二十九年四百五十三、三十年四百四十一、三十一年四百一ということで、必ずしもずっと解散数がふえ続けているということでもございませんし、また、統合という形で、むしろポジティブな形での解散というものも見られるというところでございます。

 ただ、そうした中で、委員からも御指摘があったように、懸念されるのは、日本の農業者全体がある程度高齢化している中で、集落営農もやはり、その代表の方なり主たる従事者の方なりの高齢化は進んでいるというところでございます。

 そうした中であって、我々が取り組んでいますことは、まさにそれぞれの集落、地域で今後の農業のあり方を話し合っていただきましょうということでございまして、我々、人・農地プランの実質化と言っておりますけれども、それぞれのところで、農家の方々、今何歳でいらっしゃって、後継者がいるのかということをまずアンケートをとっていただいて、それをさらに地図に落として、じゃ、五年後、十年後どういったふうな形を目指すのかということを決めていただく、そうした取組を推進しているところでございます。

 そうしたものをよく踏まえた上で、そして実情をよく踏まえた上で、我々としても必要な対応をとってまいりたい、このように考えているところでございます。

長谷川委員 御説明ありがとうございました。

 法人化率、これが全国では三五・五%となっておりますけれども、たまたまですけれども、私の群馬県においては、通常の農地の集積率等を比べると、栃木県と群馬県を比べると、常に栃木県の方が大分上を行っていて、すばらしいなと思っているんですけれども、なぜかこの法人化率だけは、群馬県は八〇・二%というふうなことで、極めて高い数字があるんですが、こういった県もほかにもあるかもしれませんけれども、法人化が伸びている県について、どのような県があるのか、また、これについての御所見をあわせてお伺いしたいと思います。

横山政府参考人 お答え申し上げます。

 地域別に見て法人化率がどうなっているのかという御質問かと存じます。

 集落営農の法人化率は、北陸それから中国というところが高うございます。北陸で五一・九%、中国で四二・七%。他方で、北海道、非常に大きいということもあろうかと思いますが、法人化率は一四・九%というふうになっているところでございます。

長谷川委員 私は、素人的な発想でありますけれども、農家に行くと、農業機械、トラクターが一台一千万です、国内メーカーで一千五百万です、うちはそれが二台あります。一つの農業、米麦ですけれども、営むためには約三千万、国、県等の補助金も大分あるとは思いますけれども、それを構えて、運営して、機械を使うのは二日間とか、たかだか一週間という中でやっていらっしゃって、そのための営農集団等というのはまさにこういった方向にしっかりと導かなければいけないのかと思いますし、その中核となるべきなのは、やはり農協とか農業委員会とか、地元に密着した組織ではないかと思いますけれども、これとしっかりと連携をとっていただいて、その法人化もし、営農集団の養成に向けて御努力いただけますことを御期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 家畜改良増殖法案、そして家畜遺伝資源の不正競争防止法案について質問をします。

 今回、和牛遺伝資源の二法案の提出のきっかけとなったのは、一昨年の六月、和牛の精液、受精卵が輸出検査を受けずに中国に持ち出されたことによります。動物検疫をすり抜けて和牛の精液、受精卵が持ち出され、そして中国の税関で発覚しました。なぜ日本の動物検疫を簡単にすり抜けられたのか。その責任についてはどうお考えになっておられますか。また、今後の対策についてはどう考えておられるでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 動物の精液や受精卵、これを海外に輸出する場合には、家畜伝染病予防法におきまして、輸出前検査を受けた上で、輸出検査証明書を添えて税関に輸出申告を行うことが義務づけられておりますが、牛の精液や受精卵については、二国間で家畜衛生条件が結ばれている国がないため、輸出検査証明書が発行されず、事実上輸出できないことになっておるところでございます。

 一昨年の中国への和牛遺伝資源の不正輸出未遂事案でございますが、動物検疫所の輸出前検査を受けず、税関への申告も行わずに不正に輸出しようとしたものでございまして、まことに遺憾でございます。

 このため、農林水産省といたしましては、税関を含む関係機関や船舶会社等に対しまして、精液及び受精卵の輸送に用いられる専用の容器を輸出しようとする者が来た場合には動物検疫所に連絡するように要請をいたしました。

 国際定期フェリーが就航する港におきましては、家畜防疫官による見回りを強化をいたしまして、さらには、空港とか港でのポスターの掲示や出国者に対するリーフレットの配布などによりまして、水際監視の強化を図っているところでございます。

 加えて、先般御審議いただき成立いたしました家畜伝染病予防法の改正法におきまして、輸出入検疫に係る家畜防疫官の検査権限を強化することとしておりまして、こうした取組によりまして、精液及び受精卵の違法な持ち出しの防止を徹底してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 事実上、輸出はできない仕組みになっているというのであれば、輸入に対しても輸出に対しても、しっかり動物検疫を進めていってもらわなければいけないというふうに思います。

 続いて、家畜改良増殖法の二条二項について質問します。

 この二条二項には、次のように定められています。「種畜の飼養者、家畜人工授精所の開設者、獣医師、家畜人工授精師その他の関係者は、国及び都道府県が行う家畜の改良増殖の促進に必要な施策に協力しなければならない。」

 なぜ、今回、畜産関係者に国、県への施策の協力義務を新たに設けたんでしょうか。協力しなければならないとする国及び都道府県が行う家畜の改良増殖の促進に必要な施策というのは何のことでしょうか。説明をお願いします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の改正法の第二条第二項でございますけれども、家畜の改良増殖におきましては、国及び都道府県が果たすべき役割も引き続き重要でございますが、関連技術の普及など昨今の状況を鑑みれば、現場で業務を実施されておられます種畜の飼養者、家畜人工授精所の開設者、獣医師、家畜人工授精師その他の関係者、こういった方々がその役割を適切に果たすことがより一層重要となっていると考えております。

 今般の第二条第二項の改正の趣旨でございますが、このように種畜の飼養者などの関係者が重要な役割を担っていることを明らかにするために、家畜の改良増殖において役割に伴う重要な責務を示すこととしたものでございます。

 具体的には、これまでと同様に、家畜改良増殖目標の実現に向けました家畜の遺伝的能力評価を始めとする施策や遺伝的多様性の確保などに御協力いただくことを念頭に入れておりまして、これによって民間の家畜改良事業者の自由な改良の権利を害するような、そういったことを考えているわけではございません。

田村(貴)委員 それでは、もうちょっと確認していきたいと思うんですけれども、この二条二項の規定というのは、強制力がない努力目標ということですよね。裁判規範性がない、つまり、裁判行為を規律するものではない、そして、プログラム規定、法的拘束力はないという理解でよろしいのでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 努力義務規定でございますので、委員のおっしゃるとおりでございます。

田村(貴)委員 県は県の目標があるんですよね。しかし、現場においては、例えば、農家が授精師さんと協力し合って独自に改良を行っている例もあるわけです。優秀な種雄牛を生み出すこともあり得るわけであります。

 この二条二項の規定のもとでも、県などの家畜改良増殖目標と異なる方向だからといって民間の家畜改良が阻害されることはない、つまり、種雄牛の造成は自由であるということを確認したいんですけれども、いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。

田村(貴)委員 では、大臣にも農林水産省にも聞いていただきたいんですけれども、ちょっと具体的な事例をお伺いいたしました。

 ある県では、県の方から種雄牛を造成するなと単刀直入に言われている、それで、種雄牛をつくったら和牛登録協会の登録を拒否されたと。これは余りにもおかしい話ですから、御本人さんは異議申立てをして、そして後に是正されたということですね。さらには、県の意向に従わないという授精師さんなので、県の精液を提供しないと言われた、こういう事例があります。

 さらには、共進会です。県の持っている種雄牛、それから県内産の種雄牛以外は出品を認めない、これは共進会になりませんよね。先ほど、多様性の確保というふうに言われています。それから、家畜改良事業団で精液を供用されている種雄牛も対象としない。こういう共進会での、何といいますか、中に入れてもらえないというような事例があったというふうに伺っています。

 家畜改良増殖法は、改定後も、こうした県の方針と違うからといって不当な排除あるいは圧力が加えられるようなことがあってはいけないと私は理解していますけれども、そのとおりでよろしいでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘されているような事案について、ちょっと私も把握しておりませんでしたので、よくお聞きさせていただければというふうに思います。

田村(貴)委員 流れは、種雄牛の造成というのは法に基づいて自由であるべきだ、そしてそれを阻害してはならないといったところを確認してきたんですけれども、このような県の事例が私の耳には入ってまいりました。これは、全部が全部じゃないと思うんですけれども、これではやはり多様性の確保などはできないわけであります。

 大臣にもお願いしたいのは、法の趣旨に基づかないこうした実態というのは正していかなければならないし、必要ならば、そういう自治体、県の方に対しても法の趣旨をしっかりと改正後も説明をしていただきたい、是正していただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

江藤国務大臣 これは法律ですから、法に基づいてしっかりやるということがまず基本だということを申し上げたいと思います。

 その上で申し上げますけれども、やはり、知的財産的という、不当競争にならないようにという、なかなか難しい切り口からこれは切り込んでいるという側面もこの二法にはありますので、この業界にかかわる方々はやはり同じ方向をなるべく向いていただくことも一方で多分必要なんだろうと思います。

 しかし、例えば私の宮崎なんかは、鹿児島の個人が持っている種雄牛の種は普通に入っております。それが全国の共進会に出ることは何ら阻害されるものではありません。そのような事例があるということが若干驚きでもありますし、登録協会は、基本的に、牛が生まれたら鼻紋と耳標をつけるというのが基本でありますので、トレーサビリティーの関係がありますから。これも、種雄牛をつくるなというような命令が、それはちょっと、個別に生産局で聞かせてみますけれども、なかなか私の想像の範囲では起こり得ないのではないかと思います。

 精液を渡さないということにつきましては、いかにも怪しい人については、今回はちゃんと登録をしないと、これは知事の認可になりますけれども、扱えなくなりますし、保管もできなくなるわけでありますから、この法律のもとでは、精液、受精卵については一定の規律が課せられることは承知をしていただきたいと思います。

田村(貴)委員 私がお話をお伺いしたのは、怪しい人ではなくて、立派な種雄牛をつくっておられる方であります。そして、精子を渡さない、そして種雄牛をつくるなと実際に言われて、本当に困っていると。それで、この二条二項の改定によってこれが強まるものではないのかという懸念が表されたので、あえて私は、ここの問題できょうお伺いしたところです。きょうの答弁をしっかりと踏まえて対応していただきたいというふうに思います。

 そして、続いて、近隣農家同士で精液、受精卵の譲り合いを行っている農家があります。お互いの支え合いであります。そういう事例に対して、今回の法改定によってこのような農家が営農できなくなるようなことはあってはならないと考えますけれども、どうでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 農家同士が精液を譲り合うということでございますけれども、農家の場合、自家利用のために精液を持つということはできますけれども、そうでなくて他人にそれを譲るということになりますと、家畜人工授精所の許可をとっていただかなければ法律に違反するということになりますので、そういった場合には家畜人工授精所の開設許可をおとりいただくということになろうと思います。

田村(貴)委員 そうしたら、ちょっとまとめになるんですけれども、家畜改良の主体はやはり県になります。県のもとで血統の多様性を維持保全するという観点からも、県という優越的地位を利用して民間や個人の自由な家畜改良を抑圧するような契約は、これは妥当でないというふうに考えます。

 これは一般論でいいです。先ほどの例じゃなくて一般論でいいですけれども、個人の自由な民間の家畜改良を抑圧するような契約というのがもしあれば、これはやはり正していかなければならないと思います。契約の中で種雄牛をつくるなというふうにあるんだったら、その契約はおかしいですよね。そういう契約は妥当ではないと考えます。きちんとそういうふうに指導していただきたいと思いますけれども、いかがですか。最後です。

水田政府参考人 お答えいたします。

 個別具体的な事例をよくお聞きした上でお答えさせていただきたいと思いますが、契約の内容につきましては、契約当事者間で合意して契約をするということになりますので、契約の内容について事細かにどうこうという形で指導ができるかどうかという面も含めまして、よく事例をお聞かせいただければというふうに思います。

田村(貴)委員 確認なんですよ、水田局長。民間、個人の自由な家畜改良を抑圧するような契約はだめですよね、二条二項に照らしても。それを聞いているんですよ、一般論で。法解釈です。契約に基づいてやっているんですか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 県が契約をする場合にはやはり公益性というものがあろうかというふうには思っておりますので……(田村(貴)委員「違う違う、そんなことは聞いていない。県は県であったとしても、民間」と呼ぶ)民間の場合ですか。民間の場合ですと、民間のその改良事業者の方のお考えというのがありますので、そのお考えと、それから、それを譲り受けられる方のお考えがございます。そういう中で売買の契約を結ばれるということでございますので、そこについて、どこまで、どのように指導できるかというところはあろうかと思いますが、個別具体的にまた相談させていただきたいと思います。

田村(貴)委員 個別の事案で聞いているんじゃないです。今の、一般で、法の解釈で聞いているんですよ。

 二条二項に対して、先ほどから、基本的にこれまでの考え方を踏襲すると言われているんだったら、県は県のやり方があるけれども、個人の自由な家畜改良を抑圧するものではない、これは変わりはないですねと聞いているだけなんですよ。個別具体的な例は何もないんですよ。別に国外流出をやろうとしているわけでも、あこぎなことをやろうとしているわけでもないんですよ。そして、多様性の確保も含めてやっているわけですよ。

 何か問題ありますか、水田局長。

 委員長、とまっています。とめてください。

吉野委員長 時間をとめてください。速記をとめてください。

    〔速記中止〕

吉野委員長 速記を起こしてください。

 水田局長。

水田政府参考人 お答えいたします。

 種雄牛の造成者とそれを譲り受ける方が契約を結ぶということでございますけれども、その契約の中身についてでございますよね。(田村(貴)委員「委員長、これはとめてもらわないと、私は同じことを何度も聞かないかぬ。四回目ですよ」と呼ぶ)済みません。

田村(貴)委員 いいですか。その二条二項では、「国及び都道府県が行う家畜の改良増殖の促進に必要な施策に協力しなければならない。」これは優位性が書かれているんですかと聞いているんですよ。県の方針に人工授精師さんもみんな従わなければいけないというふうに見えぬこともないから、そうじゃないだろうということを聞いているんですよ、一般的に。それで、民間個人の自由な家畜改良をこの二項は抑圧すべきという定義にはなっていませんねと聞いているんです、再度確認して。

 違うんですか。違うんだったら議論を一からしないといけない。

水田政府参考人 お答えいたします。

 それはおっしゃるとおりでございますけれども。

田村(貴)委員 おっしゃるとおりということで、確認できました。

 大臣、よろしいですか。それでは、二条二項が国や県の優位的立場を利用するものでないということを確認しましたので、そういうことで現場の指導等にも当たっていただきたいというふうに思います。

 時間がなくなりましたけれども、江藤大臣、宮崎県に私も行ってまいりました。JA中央会、それから小林市の市長さんにもお会いして、やはり畜産雄県の宮崎県のお話を聞いてまいりました。子牛の価格が十万円から十五万円下がっている、そして、観光業が非常に苦境に陥っていて上位の肉が売れない、肥育牛が出荷できない、屠畜場の在庫がいっぱいになっている、子牛が入らないと。まあ、ずっと続いてきている議論なんですけれども、子牛の価格下落、それから和牛の価格の低迷、これは去年の十一月ぐらいを分岐点にして下がっているわけなんですよ。

 何が起因しているかといったら、いろいろあるかもわからないけれども、一番大きいのはやはり消費税の増税ですよ。消費税の増税で、去年、クリスマスシーズンも歳末も、枝肉は上がるどころか下がりっぱなしなんですよ。だから、今度、需要喚起とか、それから、この問題を解決するときに一番大きなインパクトのある政策は、私は消費税の減税だというふうに思うわけです。

 消費税の減税については、政権与党自由民主党からもお話が上がっています。きのうも自民党の若手の議員の会合があって、そして記者会見も開いて、景気の致命的な下降を食いとめるためには消費税の減税が欠かせないとして、五%への引下げか消費税をゼロにすることを求めているという話です。私、共産党の田村はゼロとまだ言っていません。だけれども、自民党の方からは、もうゼロという言葉が出てきた。

 安倍首相はリーマン・ショック級の出来事がない限り消費税を引き上げると言って、今起こっていることはリーマン・ショック並みか、あるいはそれ以上にあると。西村担当大臣も、それから自民党の岸田政調会長も、リーマン・ショック以上の厳しさを覚悟していると。

 だとするならば、やはりここは減税でしょう。減税をして消費を喚起していく。これは、今すぐやっても、中長期的にも、物すごく効果があるし、お魚だけ、それからお肉だけ、限定しないで、全ての品目に対して減税は消費に回る。これは有効な施策だと思いますけれども、閣僚の一人として、安倍総理に、ぜひ江藤大臣、進言していただきたい。これは、農林水産業の発展と生産者と消費者をみんな助ける一つの大きな政策になると思いますが、いかがですか。

江藤国務大臣 消費税の扱いにつきましては、我が党も含めて、さまざまな御意見があることは十二分に承知をいたしております。

 三月二十四日の財金委員会で渡辺先生、それから御党の小池先生からもさまざまな御提案があったことは、ベーシックインカムも含めてさまざまな御提言があったことは承知いたしております。

 このことについては、総理の答弁として私も議事録を読ませていただきましたけれども、今後の、この新型ウイルスに対応するための経済対策については、御提案いただいたことも含めて、さまざまな対応を検討していくというのが総理の答弁でありました。今のところはこれに尽きるんだろうと思います。

 さまざま御提言があることは承知しておりますが、アメリカもかなり大きな経済対策規模、日本と比べてどうだという議論もありますけれども、諸外国においても、今のところは、主要諸外国でも、税制面での対応については、現段階で把握している限りですけれども、付加価値税の減免を行った例は今のところはないということでありますので、慎重な議論が必要だろうと思っております。

田村(貴)委員 むげに否定されないところというふうに今受けとめたんですけれども。

 需要喚起となるのは、やはり、このコロナ不況、コロナショックで、消費が落ち込んでいるところに追い打ちをかけているという経済状況です。そして、収入減になる。そして、運転資金がない、お金を借りている、返済しなければいけない。そういう状況の中で、ではV字回復というのはどうやって進めていくかですよね。そのときに、もう倒産しておった、廃業しておった、破産しておった、これじゃ話にならないわけですよ。それは絶対に防止して、そのときに所得がやはり拡大される方向に行っておかないと、物が買えないわけですよ、V字回復できないんですよね。

 ですから、私は消費税を減税すべきだと。今私はここでパーセンテージは言いませんけれども、五%に戻すのは当然だろうというふうには思っています。

 消費税の減税を強く要求して、ちょっと時間がどこまで来たのかわかりませんけれども、とまった時間も勘案して、時間が来たようですので、これできょうは終わります。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、森夏枝さん。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 本日も質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 一昨年、和牛の精液や受精卵が中国に持ち出されそうになる事件が起きました。大阪市内からフェリーで上海に運ばれ、中国当局に持込みを認められず持ち帰ったとのことですが、これが、中国で持込みを認められ、中国で和牛が生産されていたら、日本にとって大変な損失になっていたと思います。きちんと法整備をして、日本の貴重な遺伝資源が持ち出されることのないようにする必要があると思います。

 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案において、不正利用の悪質なものについては刑事罰を措置することとなっております。農林水産省さんから説明を受けたときには、刑事罰が厳し過ぎるのではないかとの声もあったと伺いましたけれども、我が党の部会では、罰金が安過ぎるのではないかとの意見も出ました。精液や受精卵のストローは一本二千円から一万円ほどと聞いておりますが、不正に持ち出された精液や受精卵からたくさんの牛が生まれれば、一千万円以上の被害となることも考えられますので、果たしてこの罰金で大丈夫なのかという心配もございます。抑止力となり得る罰金の金額設定にしているとは思いますけれども、十年以下の懲役や罰金の金額について、どのように設定されたのでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に係る法律案におきましては、差止め請求や損害賠償などの仕組みのほか、悪質な場合には刑事罰を科すこととしております。

 その場合の罰金の額につきましては、和牛遺伝資源などの不正利用、被害が甚大になり得るということでございまして、特許法とかあるいは種苗法など高額の罰金が科せられている類似の法制度を参考にいたしまして、個人には十年以下の懲役又は一千万以下の罰金、又はその両方、それから、法人には三億円以下の罰金ということにしたところでございます。

江藤国務大臣 今局長から説明したのはその罰金の内容でございますが、罰金の金額についてはいろいろな御指摘があると思います。高過ぎるという御指摘も他方であり、これでは緩いという御指摘もあります。しかし、法令を決めるときにはほかの法律とのバランスもやはり考えなければなりません。それを法制局ともしっかり詰めた上でこの金額となっておりますが。

 しかし、お金がどうのこうのということも大事ですけれども、やはり罰金を取ることが目的ではないので、罰金を取らないで済むことが一番我々が法律を通すときには願う世界でありますので、罰金の高い低いというのは、皆さん方にわかりやすくお示しする、我々の願いというか思いがこもっている金額でありますけれども、お金を取ることが目的ではなくて、これを犯してはなりません、こういう新しい法律が、不当競争防止法を参考にして、知的財産的という言葉も使いながら、何としても守っていくという国の強い意思、それがまた国会で議論されて、それで御可決いただければ、御可決の上、法が施行されるということに一番やはり意義があるんだろうというふうに思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。大臣からも御答弁いただきました。

 他の法制度であったりバランスを見てこの金額になったということでありますけれども、先ほど大臣からありましたけれども、金額ではなくて、抑止となるように、なればと、私も願っております。

 刑事罰だけではなくて、今回の法整備で生産、流通に関する管理なども徹底されると思います。種雄牛の精液や受精卵がブローカーの手や海外に渡ることのないように厳しく管理をして、ぜひ和牛の遺伝資源を守っていただきたいと思っております。

 次に、国交省さんに伺いたいと思っております。

 悪いことをする人というのは、一般の人が考えもしない方法で法の目をかいくぐって罪を犯します。昨年末に、ゴーン被告がビジネスジェットに乗り国外逃亡した事件がありました。誰も想像もしなかった事件だと思います。

 荷物検査、保安検査というのは、ハイジャックやテロ行為から乗客を守るために行っていると思いますので、これまでビジネスジェットの荷物検査は行われていなかったはずです。ゴーン被告の事件を受けて、多くの国民の皆様から不安の声も聞きましたし、私自身も大変不安に思いました。人間が運べてしまうということは銃や麻薬も運ぶことができてしまうのではないか、荷物検査がないのであれば、和牛の精液や受精卵のストローの液体窒素が入った容器ごと運ぶこともできてしまうのではないかと思いました。

 ゴーン被告の国外逃亡事件以降、ビジネスジェットの検査体制は強化されたのでしょうか。

川上政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、航空保安検査は、ハイジャックやテロにより他の旅客等に危害が及ぶことを防止するため、爆発物、凶器等の危険物が機内に持ち込まれないか確認するものでございます。

 一方、ビジネスジェットは、機体全体が個人の部屋のように使用されるものでございますので、商用機のように他の旅客等の安全性の確保が求められるものではありません。このため、ビジネスジェットの専用動線を使用する場合には、これまでは機長が必要と判断した場合に限り保安検査を実施しておりました。

 しかしながら、本年一月五日、出入国在留管理庁より国土交通省に対し、保安検査により確認される事項は出国管理を適切に行う観点からも有益な面を有しており、厳格な保安検査の実施について協力を依頼する旨の連絡がございました。

 これを踏まえ、国土交通省としては、空港における保安対策を強化することといたしました。具体的には、ビジネスジェット専用施設等において、全ての大きな荷物の保安検査を義務化し、徹底したところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ビジネスジェットにおいて荷物検査がされるようになったとのことで、少し安心しましたが、先ほど大きな荷物と言われたので、じゃ、小さな荷物はどうなのかなという不安もちょっと、少しございます。今後も検討を進めていただきたいと思います。

 ぜひ、日本の知的財産を守るためにも、また新たな犯罪を生まないためにも、ビジネスジェットでの荷物検査の強化と、またフェリーでの荷物検査についても強化をよろしくお願いいたします。

 次に、家畜人工授精所の業務状況の定期報告について伺います。

 家畜改良増殖法の改正によって、家畜人工授精所の業務状況について定期報告が義務化となります。この義務化に関しては、しっかりと管理をしていく上で必要なことと思いますが、業務がふえますので、余り負担にならないようにすべきだと思います。定期報告の内容と報告方法、頻度について教えてください。

水田政府参考人 お答えいたします。

 改正後の家畜改良増殖法第三十四条第三項の規定によりまして、家畜人工授精所の開設者は、その家畜人工授精所の運営状況を毎年都道府県知事に報告するよう義務づけるということとなっております。

 報告内容の具体例といたしましては、受精卵の生産の実績あるいは家畜人工授精用精液の生産の実績といったその生産状況ですとか、あるいはその精液又は受精卵の受入れ、払出しそして在庫、こういった数量などの流通状況、こういったものを想定しているところでございます。

 具体的な報告項目あるいは報告の頻度といったものにつきましては、各都道府県の監督上の必要性あるいは現場の実務上の要請を把握しながら、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 今後も検討していかれるとのことですが、余り業務がふえることのないように、負担にならないようにしていただきたいと思います。この法整備を進めることで、農家の方々であったり業者の方々の意識も変わってくると思います。ぜひしっかりと進めていただきたいと思っております。

 次に、獣医師をふやす取組について伺います。

 和牛をつくる現場では、獣医師による採卵、精液の注入、受精卵の移植等、獣医師不足の中、獣医師の仕事は大変多いと思います。また、豚熱や口蹄疫など家畜伝染病が発生した際には、ワクチン接種等、獣医師しかできない仕事も多いのが現状です。

 農林水産業、この分野においては、もうどの分野も人手不足、後継者不足ではありますが、感染症の流行や災害時のことを考えますと、日本の畜産業を守るためには獣医師不足の解消が必要であると考えます。何か対策は考えられているのでしょうか。

河野大臣政務官 農林水産省におきましては、産業動物獣医師の確保を図るため、産業動物獣医師への就業を志す獣医学生に対する修学資金の貸与、また獣医学生に対する臨床実習及び行政体験研修の参加への支援、さらには女性獣医師が再就職、職場復帰するに当たって最新の知識の習得や獣医療の技術の向上を図るための研修等への支援を実施しているところでございます。

 また、獣医事審議会が三月二十七日付で答申を行いました、獣医療を提供する体制の整備を図るための基本方針におきましては、産業動物獣医師への就業、定着を図るための修学資金や臨床実習の一層の活用を行うとともに、OBや一時的に現場を離れている女性獣医師等の潜在的人材を有効活用し、緊急時における獣医師確保への備えを図ることとしました。さらに、産業動物受診の効率化のために、情報通信機器を用いた遠隔地からの診療体制を確保する環境の整備を図ることとしているものでございます。

 なお、CSFの防疫体制については、現在、家畜保健衛生所の職員に加えまして、本人の同意を得て、民間の獣医師も臨時に家畜防疫員として任命をし、協力をお願いしているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 獣医学生への支援であったり女性への支援はしっかりしていただいているとのことです。

 アフリカ豚熱や口蹄疫など、本当に、いつ感染力の強い伝染病がはやるかもわかりませんので、しっかりと獣医師の数は確保していただきたいと思います。

 先ほど、遠隔地からの整備というのもされている、今後もされるということですので、これもぜひよろしくお願いいたします。

 次に、採卵資格の要件緩和について伺います。

 人工授精、受精卵移植については、獣医師だけでなく、家畜人工授精師によっても行われていると思います。畜産の現場で働く獣医師の数をふやすことも重要でありますが、現場からもお声が上がっていると思いますが、獣医師以外が採卵できるように採卵資格の要件を緩和することも考える必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の受精卵の業務の関係でございますが、家畜体内受精卵の業務の資格につきましては、家畜受精卵移植の普及に伴いまして、昭和五十八年の家畜改良増殖法の改正の際に整備をされたというものでございます。

 ただ、同法の改正の前から、家畜の体内受精卵の採取の業務は、獣医師法に基づき、獣医師に限り行うことができるというものであったところでございます。

 具体的に申し上げると、家畜体内受精卵の採取でございますが、麻酔薬の注射を行ったり、あるいは子宮の洗浄行為を行ったり、採取後の抗生物質の投与を行ったり、こういったことを不可欠の構成要素としております。こうした行為は獣医師法の家畜診療行為に該当すると考えられますので、獣医師のみが行えることとされていたものでございます。そして、その五十八年の改正におきましても、同じ考え方で、獣医師のみが行えるとの法整備がなされたものでございます。

 なお、近年では、家畜体内受精卵の採取については、バルーンカテーテルを用いた子宮灌流法というのが一般的となっておりますが、この方法におきまして、麻酔は用いないものの、抗生物質を含む灌流液によりまして子宮洗浄行為を行うということでございますので、家畜診療行為に該当する状況に変わりはなく、採卵資格の要件緩和を行うことは考えておりません。

森(夏)委員 ありがとうございます。獣医師しかできないという御説明でありました。

 先ほども申しましたが、伝染病であったり災害時の対応ができるように、獣医師の負担を少しでも減らすことができればと思っております。

 次に、畜産業のICT化の現状と支援策について伺います。

 分娩時にICTを活用することにより、死亡事故が激減したと伺いました。大切に育ててきた牛を失うのもつらいと思いますし、牛は高価なものですので、死亡事故を減らせるというのは農家にとっても大変よいことと思います。

 また、ICTを活用することにより、出産前の母牛の状態が把握できるようになり、農家の方々の不安も減り、女性も働きやすくなったと聞いておりますので、ぜひ今後もICTの活用は進めていただきたいと思います。

 現在、畜産業でのICT化はどの程度進んでいるのでしょうか。また、農林水産省として、ICT化に対してどのような支援を行っているのでしょうか。

伊東副大臣 酪農、畜産分野における課題の一つといたしまして労働力不足あるいは労働過重などがありまして、この課題を解決するためには、生産性を向上させ、少ない人数で効率的に作業を行うことができるようにすることが重要であります。

 このような点から、牛にセンサーを装着し発情や分娩を監視するシステム、また、飼養管理を自動化する搾乳ロボットや哺乳ロボットなど、先端技術を導入する農業者に対しまして、畜産ICT事業や畜産クラスター事業において導入費の二分の一を助成する支援を行ってきたところであります。

 また、酪農分野におきましては、搾乳ロボットが今年度末で約千百台の稼働が見込まれるなど、ロボットやICTの普及が着実に進んでいるところでもあります。

 引き続き、中山間地域も含め、より多くの酪農、畜産農家がICT化の恩恵に浴することができるよう、これら新技術の実装への支援を更に進めてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、引き続き、女性や若者が働きやすい環境づくりと、そのための支援をよろしくお願いいたします。

 新型コロナウイルスにより、農林水産分野において、さまざまなところで大きな影響を受けております。インバウンド需要が激減し、特に和牛が影響を受けていると聞いております。ですが、一般の国民にとって、和牛を食べるというのは日常の食事ではなく、何かの記念日であったり、自分への御褒美、また旅先でぜいたくをする、そして記念日などのプレゼントに和牛を贈るということはあると思います。

 新型コロナウイルスの感染拡大により不要不急の外出を控えている中、和牛を食べに行くという人も減っていると思いますし、和牛を買って記念日を祝ったりという気分になれない人も多いのではないかと思います。そして、新型コロナウイルスにより仕事がなくなってしまった方も多く、収入がなくなってしまった方は、和牛を買う、食べる余裕はないと思います。

 そこで、大臣に伺います。

 和牛の需要と価格の現状についてお答え願います。

江藤国務大臣 委員がおっしゃったとおりの状況でございます。

 若干補足すれば、二月に大きく下がったということで大変ショックを受けました、Aの4等級で一四%、前年同月比ですね、Aの5等級は若干低くて七・七%のダウン。それが三月になりますと、加速がついて、Aの4等級で二四%のダウン、Aの5等級で一六・四%のダウンということであります。

 しかも、東京都知事の不要不急の、それに夜の外出、いわゆるバーとかクラブとか、そうなると、高級な飲食店も含まれてくるということになるのでしょう、ということになれば、ますます、言われるように、家庭で和牛を買って食べるというのは、ボーナスの日とか誕生日とか、よっぽどのことでなければなかなか現実的ではないと思いますから、ますます月を追うごとに状況は厳しくなっていくということは容易に想像できると思います。

 その間にも、肥育農家につながれているいわゆる肉牛はどんどん大きくなっていきます。日にちがたてば餌代もかかりますし、肉質の低下も一定期間を過ぎれば見られます。新しく導入する必要も当然ないわけで、繁殖農家では、本来であれば競り場に出して売られているはずの子牛が、どんどん子牛でなくなっていくということも考えられます。

 ですから、やはり、生産から流通そして消費していただく、この流れを何としてもつくらなければいけないというふうに思っておりますので、総理から具体的に補正予算に関しての指示が出ました、ですから、残すところあと八日ほどになりましたけれども、きょうも、生産者の方々の意見もスカイプを通じて聞かせていただきますので、農林省の職員にも大変御苦労もかけますし、当然、省内で決まったことを今度は財務と協議をしなければなりませんので、夜通しの協議にもなりますけれども、粘り強く一生懸命このことについては取り組ませていただきたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 大臣からもありましたが、本当に、和牛の在庫が積み上がっているような状況だと。倉庫がいっぱいになっているというようなお話も、私も聞いております。

 何とかしたいなという思いがある中、昨日ニュースで見ましたが、この積み上がった和牛の在庫処分ということで、JA全中の「がんばろう!日本の畜産・酪農応援キャンペーン」で、日本の畜産、酪農家に応援メッセージを送ると国産黒毛和牛などが当たるというキャンペーンの応募期限が四月十日まで延長され、黒毛和牛のステーキ五千円相当が二十名に当たるというものが一万円相当が五千名に当たると、大幅に当せん枠が変更されたそうです。

 ぜひこの機会に、国民の皆さんに畜産、酪農家への応援メッセージを送っていただいて、当たった方にはおいしい黒毛和牛を食べていただきたいと思っております。こちらもPRしていきたいと思っております。

 新型コロナウイルスの終息には本当に時間がかかると思います。今は全国民が協力をして、医療崩壊を起こさせない、感染爆発を防止することに全力を注ぐ必要があると思います。

 もちろん新型コロナウイルス対策が先ですが、日本の農林水産業も守っていかなくてはなりません。和牛の需要拡大、輸出拡大策について、どのように考えているのでしょうか。

水田政府参考人 お答えいたします。

 コロナウイルスの影響がございまして、和牛の輸出も滞っている状況にございます。非常に厳しい状況でございますが、こうした中では、これまで構築してきました海外の取引先との関係を維持していく、いわば商流を切らないということが非常に大事だというふうに考えておりますし、また、今後の輸出上の回復を見据えて、国内の生産基盤をしっかり維持していくということが何より重要だと考えております。

 今般の経済対策におきまして、先ほど大臣からありましたように、しっかりとした対策をやってまいりたいというふうに考えております。早急に検討してまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 最後に、和牛の商品券、お肉券について伺おうと思っておりましたが、これももう既に質問も出まして、御答弁を私も聞いておりましたので、もう質問はいたしませんが、このお肉券を検討しなくてはいけないほど本当に和牛に影響が出ているのだと思います。

 私もこの農林水産委員会に所属をさせていただいておりますので、もう本当に、在庫が積み上がって、屠畜場、生産農家さん、大変困っておられるということは伺っております。和牛遺伝資源を守ることはもちろんのこと、新型コロナウイルスから和牛を守れるように農林水産省を挙げて対策を講じていただきたいと思います。

 質問は本日は以上で終わりますが、最後に、委員長の計らいで、本日も福島県産のラナンキュラスのコサージュをつけさせていただきました。ありがとうございます。三月十一日にも福島県の黄色のラナンキュラスをつけさせていただいたんですけれども、このお花も水に浮かべておくと一週間なり十日楽しむことができましたので、皆さんもぜひ、コサージュとしてつけないときには飾っていただけたらと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

吉野委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、家畜改良増殖法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、野中厚君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神谷裕君。

神谷(裕)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読して趣旨の説明にかえさせていただきます。

    家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案に対する附帯決議(案)

  和牛を始めとする我が国の畜産物は世界的にも評価が高まっており、その安定的な生産のために必要となる家畜人工授精用精液・受精卵は長年にわたる改良の成果である付加価値の向上により知的財産としての価値を有し、我が国畜産業における競争力の源泉の一つとされている。これが不正に流通することのないよう、その管理保護を強化することは、我が国畜産の振興を図る上で極めて重要な課題である。

  よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

      記

 一 国内における不正流通のリスクを低減するため、各地域での実情に応じた家畜人工授精用精液・受精卵の流通管理の仕組みを構築することが肝要である。そのため、国が適切な流通管理のための方針を示すなど主導的にその構築を推進すること。

 二 家畜人工授精用精液・受精卵の不正な海外持ち出し等の防止を徹底するため、畜産関係者はもとより、動物検疫所、税関、空海港管理組織、運輸業者、液体窒素の供給事業者等の協力・連携体制を構築・強化すること。

 三 家畜人工授精用精液・受精卵の流通管理において重要な役割を果たしている家畜人工授精師が不断に技術や知識を磨くための機会の確保に努めること。

 四 家畜人工授精用精液・受精卵の流通規制の強化等に当たっては、現場が混乱することのないよう、その周知徹底を図り、確実な実施を担保するとともに、現場の負担を極力軽減するよう十分配慮すること。

 五 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に係る新たな制度については、家畜遺伝資源の知的財産としての価値を強力に保護するため、その趣旨及び内容を幅広く関係者に周知し、不正競争の未然防止に努めること。

 六 外国産WAGYUが国外で流通している実態を踏まえ、国内外の市場における我が国の和牛ブランドの確立・浸透の取組を一層強化すること。

 七 国内外における我が国畜産物の需要増に対応するため、中小規模の家族経営も含めた生産基盤の強化による増産への取組を支援すること。

 八 我が国畜産振興に影響を及ぼすアフリカ豚熱の侵入脅威に対処するため、輸入禁止畜産物を所持した者の入国を阻止するための制度について早急に検討すること。

  右決議する。

以上です。

 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

吉野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

吉野委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいま議決いたしました附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。農林水産大臣江藤拓君。

江藤国務大臣 ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

吉野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

吉野委員長 次回は、明四月一日水曜日午後零時十分理事会、午後零時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十三分散会


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