衆議院

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第2号 平成28年11月15日(火曜日)

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平成二十八年十一月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      大西 宏幸君    奥野 信亮君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      小林 鷹之君    左藤  章君

      武田 良太君    藤丸  敏君

      宮澤 博行君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    緒方林太郎君

      神山 洋介君    横路 孝弘君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    吉田 豊史君

      照屋 寛徳君    武藤 貴也君

    …………………………………

   防衛大臣         稲田 朋美君

   外務副大臣        薗浦健太郎君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      武井 俊輔君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  永井 達也君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局次長)       石川  武君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 増島  稔君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小野 啓一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岡田 誠司君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            岩並 秀一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   参考人

   (独立行政法人国際協力機構副理事長)       越川 和彦君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  左藤  章君     岩田 和親君

  横路 孝弘君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     奥野 信亮君

  緒方林太郎君     横路 孝弘君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野 信亮君     左藤  章君

    ―――――――――――――

十一月十四日

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

十月二十日

 沖縄・高江でのヘリパッド工事中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三三号)

 同(池内さおり君紹介)(第二三四号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二三五号)

 同(大平喜信君紹介)(第二三六号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第二四一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四二号)

 同(島津幸広君紹介)(第二四三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二四四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二四五号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二四六号)

 同(畠山和也君紹介)(第二四七号)

 同(藤野保史君紹介)(第二四八号)

 同(堀内照文君紹介)(第二四九号)

 同(真島省三君紹介)(第二五〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二五一号)

 同(宮本徹君紹介)(第二五二号)

 同(本村伸子君紹介)(第二五三号)

 日本を海外で戦争する国にする戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五四号)

 同(池内さおり君紹介)(第二五五号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二五六号)

 同(大平喜信君紹介)(第二五七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二五八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二五九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第二六一号)

 同(清水忠史君紹介)(第二六二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六三号)

 同(島津幸広君紹介)(第二六四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二六五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二六六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六七号)

 同(畠山和也君紹介)(第二六八号)

 同(藤野保史君紹介)(第二六九号)

 同(堀内照文君紹介)(第二七〇号)

 同(真島省三君紹介)(第二七一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二七二号)

 同(宮本徹君紹介)(第二七三号)

 同(本村伸子君紹介)(第二七四号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第二七五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二七九号)

 同(池内さおり君紹介)(第二八〇号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二八一号)

 同(大平喜信君紹介)(第二八二号)

 同(笠井亮君紹介)(第二八三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二八四号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二八五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二八六号)

 同(清水忠史君紹介)(第二八七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八八号)

 同(島津幸広君紹介)(第二八九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九二号)

 同(畠山和也君紹介)(第二九三号)

 同(藤野保史君紹介)(第二九四号)

 同(堀内照文君紹介)(第二九五号)

 同(真島省三君紹介)(第二九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九七号)

 同(宮本徹君紹介)(第二九八号)

 同(本村伸子君紹介)(第二九九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三二六号)

 同(池内さおり君紹介)(第三二七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第三二八号)

 同(大平喜信君紹介)(第三二九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三三〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三三一号)

 同(斉藤和子君紹介)(第三三二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三三号)

 同(清水忠史君紹介)(第三三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三五号)

 同(島津幸広君紹介)(第三三六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三三七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三三八号)

 同(畑野君枝君紹介)(第三三九号)

 同(畠山和也君紹介)(第三四〇号)

 同(藤野保史君紹介)(第三四一号)

 同(堀内照文君紹介)(第三四二号)

 同(真島省三君紹介)(第三四三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三四四号)

 同(宮本徹君紹介)(第三四五号)

 同(本村伸子君紹介)(第三四六号)

十一月十四日

 沖縄・辺野古新基地建設工事中止と移設計画断念に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三九〇号)

 日本を海外で戦争する国にする戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一五号)

 自衛隊に駆けつけ警護など新任務を付与せず、南スーダンからの撤退を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五二七号)

 同(池内さおり君紹介)(第五二八号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第五二九号)

 同(大平喜信君紹介)(第五三〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第五三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五三二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第五三四号)

 同(清水忠史君紹介)(第五三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五三六号)

 同(島津幸広君紹介)(第五三七号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五三八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五三九号)

 同(畑野君枝君紹介)(第五四〇号)

 同(畠山和也君紹介)(第五四一号)

 同(藤野保史君紹介)(第五四二号)

 同(堀内照文君紹介)(第五四三号)

 同(真島省三君紹介)(第五四四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五四五号)

 同(宮本徹君紹介)(第五四六号)

 同(本村伸子君紹介)(第五四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人国際協力機構副理事長越川和彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官永井達也君、内閣府国際平和協力本部事務局次長石川武君、外務省大臣官房審議官滝崎成樹君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、外務省大臣官房審議官増島稔君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君、外務省大臣官房参事官小野啓一君、外務省大臣官房参事官岡田誠司君、海上保安庁警備救難部長岩並秀一君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省人事教育局長鈴木良之君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大西宏幸君。

大西(宏)委員 私は、自由民主党・無所属の会、大西宏幸でございます。

 本日は、岸田文雄外務大臣、稲田朋美防衛大臣の所信を受けまして、質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初め、TPPで岸田大臣はこちらに来られないということでございまして、薗浦副大臣にお越しをいただいておりますけれども、大臣の所信の中で、いわゆる北朝鮮による拉致は重要な課題であるということ、一日も早い全ての拉致被害者の帰国に向けて、引き続き、対話とそして圧力、行動に対して行動の原則のもと、あらゆる努力を傾注してくださるということでございます。

 実は、私は大阪の生野区というところに住んでおりまして、ちょうど二十年ほど前は、短波放送でハングルの言葉が飛び交っている状況もあります。

 その中で、きょう十五日は何の日なのかということは、我々は胸に刻んでいかなければならないと思っております。十三歳の女の子が新潟の自分の家の近くで三十九年前に拉致をされ、そして現在五十二歳になっておられます横田めぐみさんのことを必ず思い出さなければならない日だと思っております。同時に、特定失踪者の方々。

 それと、一九五〇年から一九八四年までに行われた北朝鮮帰国事業、北朝鮮がすばらしい国だということで、日本国籍の方、いわゆる日本人妻を含めて七千人以上の方々が北朝鮮に渡られました。その多くの方が大阪の方であり、そして、私の住んでいる生野の方もたくさんおられます。

 この日本人妻たちが北朝鮮で大変苦しい思いをされ、生活をしているのではないかと心配をしております。一時帰国でも構いません、日本にいる親族と再会することはできないのか、里帰りをすることはできないのかと、つとに切望をしております。

 薗浦副大臣、この日本人妻たちの帰国について何か情報などありましたら、よろしくお願い申し上げます。

薗浦副大臣 いわゆる日本人配偶者に係る問題でございますけれども、これは、政府を挙げて人道的な観点から取り組む問題だと認識をいたしております。

 ストックホルム合意に基づき、日本人に関する全ての問題を解決すべく、最大限努力しているところでございますけれども、いわゆる配偶者の具体的現状については、直接確認をする手段がないことから、確定的な情報を私どもは有するに至っておりません。したがって、これまでも、北朝鮮側に対し、さまざまな機会を捉えて安否確認等を求めるなど、その消息等の把握に努めているところでございます。

 引き続き、対話と圧力、行動対行動の原則のもと、日本人に関する全ての問題の解決を目指して全力を尽くしてまいります。

 以上でございます。

大西(宏)委員 我々大阪の市民、府民は、この事柄に対してすごく意識を持って日ごろ外交を見ておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、国民の関心が高い南スーダンへの派遣について質問をさせていただきたいと思います。

 いわゆる駆けつけ警護など、平和安全法制に基づく新任務を付与するという重要課題について、改めて質問させていただきます。

 稲田大臣は、所信の中でおっしゃっておられましたとおり、南スーダンなど、実際に現場に行き、現状を確認してこられました。そこで、基本的な点を含め、稲田大臣に御質問をさせていただきます。

 最初に、駆けつけ警護とは一体何なのか。新聞やテレビの報道番組でよく耳にする言葉でございますけれども、国民的にはなかなか理解されない文言だと思います。駆けつけ警護とは何なのか、狙いや必要性も含めて、わかりやすく御説明いただけましたらありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 まず、現在、南スーダンに派遣しております自衛隊の部隊は、施設部隊、すなわち、道路をつくったり、また施設をつくったりしている部隊であります。

 今回、駆けつけ警護の新任務の付与については、自衛隊の施設部隊が活動している場所の近くにおいてNGOなどの活動関係者などが襲われ、緊急の要請があった場合に、人道的な見地から、対応できる範囲で、応急的に行うものであります。

 なぜ、いわゆる駆けつけ警護を新たに平和安全法制の中で設けたのかについてですけれども、過去にも、自衛隊が東ティモールやザイールに派遣されていたときにも、不測の事態に直面した邦人から保護を要請されたことがございました。その際、自衛隊は、そのための十分な訓練を受けておらず、今回の駆けつけ警護のようなぴったりな法的な裏づけもなく、法的な任務や権限が限定されていた中でも、できる範囲で、現場に駆けつけて邦人を安全な場所まで輸送するなど、邦人の保護のため全力を尽くしてきたところであります。

 実際の現場においては、自衛隊が近くにいて助ける能力があるにもかかわらず何もしないというわけにはまいりません。しかし、これまでは、緊急の要請に応じて活動関係者の保護を行うための明確な法制度がなかったため、そのしわ寄せは結果として現場の自衛隊員に押しつけられてきました。本来あってはならないことだと思います。こうした状況を改善する必要があるということをまずは御理解いただきたいと思います。

 先ほども申しましたように、我が国が南スーダンに派遣しているのはあくまでも施設活動を行う部隊であって、治安維持は任務ではなく、治安維持のための必要な能力も有していないわけでございます。南スーダンにおける治安の維持については、原則として、南スーダン警察と南スーダン政府軍が責任を有しており、これをUNMISSの歩兵部隊が補完しております。あくまでも、南スーダンに派遣しております自衛隊は、治安を任務とするものではなく、施設部隊であります。

 その上で、NGO等の活動関係者が襲われ、ほかに速やかに対応できる現地当局や国連部隊が存在しないといった極めて限定的な場合で、その近傍で自衛隊が施設活動を行っているような場合に、緊急の要請を受けて、人道性及び緊急性に鑑み、応急的かつ一時的な措置として、その能力の範囲内で行うというのが駆けつけ警護の基本的な性格でございます。

 こうした性格を踏まえれば、自衛隊が実際に駆けつけ警護を行うケースは限定的なものとなりますが、自衛隊の近くで不測の事態に直面した関係者から助けを求められる可能性も皆無ではなく、このようなときに、自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ、能力の範囲内で対応できるよう、任務と必要な権限を付与しておく必要があるということでございます。

大西(宏)委員 続いて、やはり国民の皆さんが、駆けつけ警護に対して、一部マスコミの報道で、外国人の軍隊を助けに行く制度じゃないのかということを言うマスコミも見受けられますけれども、これはちょっと私自身も驚きました。外国の軍隊を助けに行くということは、これは外国軍隊が保護対象になっているのかということなんです。

 改めて保護対象についてお聞かせいただきたいと思います。

 外国軍隊が自衛隊に助けを求めるということはなかなか想定をされないと思うんですけれども、こういった誤解を招かないように、政府は引き続き国民にわかりやすい説明をしなければならないと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 国連が行っているPKO活動の活動関係者の生命または身体に対する不測の侵害または危難が生じ、または危難が生じるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う当該活動関係者の生命及び身体の保護でありますので、対象者は活動関係者ということでございます。

 ただし、外国の軍隊ということになりますと、それは、みずから、みずからの生命、身体を保護する能力を備える者であるということから、南スーダンにおります自衛隊の部隊は、何度も申しますけれども、治安維持活動、安全確保業務を行っているものではなく、あくまでも施設部隊、道路をつくったり施設をつくったりしている部隊が、人道的見地から、緊急の要請を受けて、そしてその対応できる範囲で行うものでございますので、通常は、外国の軍隊は想定されないということでございます。

大西(宏)委員 よく理解ができました。

 そして、もう一つ大切な議論でございますけれども、やはり宿営地の共同防護でございます。実際に活動している中で、自衛隊がいる宿営地が攻撃された場合、これはもう当然自衛隊も防護しなければ、防衛しなければならないと思っております。

 大臣、この辺についてわかりやすい御説明をよろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 国連のPKO等の現場においては、複数の国の要員が協力をして活動を行うことが通常となっております。南スーダンにおいても、一つの宿営地、私も視察してまいりましたが、トンピン地区の宿営地においては、日本の自衛隊の部隊のほか、ネパール、ルワンダ等幾つかの部隊が活動拠点といたしております。

 このような宿営地に武装集団による襲撃があり、他国の要員が危機に瀕している場合でも、これまでは自衛隊は共同して対処することはできず、そのため、共同防護のための訓練にすら参加することもできなかったわけであります。

 しかしながら、同じ宿営地にいる以上、他国の要員が倒れてしまえば、自衛隊員が襲撃をされるおそれがあります。他国の要員と自衛隊員はいわば運命共同体でありまして、共同して対処した方がその安全性を高めることができると思います。また、平素から共同して訓練を行うことが可能になるため、緊急の場合の他国との意思疎通や協力も円滑になり、宿営地全体としての安全性を高めることにもつながると考えられます。

 このように、宿営地の共同防護は、厳しい治安情勢のもとで自己の安全を高めるためのものです。これにより、自衛隊はより円滑かつ安全に活動を実施することができるようになり、自衛隊に対するリスクの低減にも資するものと考えております。

大西(宏)委員 今大臣がおっしゃいましたように、リスクの軽減、これはやはり考えなければならないと思っております。

 例えば、平成二十五年から二十七年にかけて、自衛官の方々が公務中に亡くなったというのは二十八人もいらっしゃいます。例えば消防士、二十五年、二十六年、二十七年で十八人の方が亡くなっております。警察もしかりでございまして、二十五、二十六、二十七年で七人の方が殉職をされておられます。

 日ごろでも確かにリスクの高い職種でございます。特に労働組合をつくれないような状況で、我々が守っていかなければならないと思うことも踏まえて、今後とも、我が自民党を含めて協力体制をつくってまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上でございます。

山口委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、大変感謝申し上げます。

 早速ですが、時間が限られておりますので、質問に入らせていただきたいと思います。先ほどの自民党の大西委員と重なるところもあるかと思いますが、党は党としてきちっと確認をさせていただきたいと思います。

 本日の閣議において南スーダンPKO実施計画の変更が決定されまして、今月二十日から順次出国予定の南スーダンPKO派遣施設部隊第十一次要員から新任務が付与されます。その任務付与に関する考え方に関しましてお尋ねをしたいと思います。

 ことし三月に施行されました平和安全法制に基づく新たな任務である駆けつけ警護及び宿営地の共同防衛について、その任務の内容と、今の南スーダンにおけるその任務のニーズにつきまして日本政府としてどのように今考えておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 いわゆる駆けつけ警護、これは、緊急の要請に応じた、活動関係者の人道的な見地からの保護でございますが、これは、国連PKOに派遣されている自衛隊部隊の近くでNGO等の活動関係者が襲われ、ほかに速やかに対応できる現地治安当局や国連部隊等が存在しないといった極めて限定的な場面で、緊急の要請を受け、応急的かつ一時的な措置として、その能力の範囲内で行うものでございます。

 駆けつけ警護の対象は活動関係者であって、邦人のみに限られるものではありませんが、南スーダンには、現在もジュバ市内を中心に少数ながら邦人が滞在をしており、邦人を含む活動関係者に不測の事態が生じる可能性は皆無ではないと思います。今般のPKO改正により、駆けつけ警護という任務と権限をきちんと付与して、事前に十分な訓練を行うことで、万が一の際、活動関係者を救助する上で、現場の部隊が迷いなく任務に当たることができると考えております。

 次に、宿営地の共同防護についてですが、国連PKO等の現場では、複数の国の要員が協力して活動を行うことが通常となっており、南スーダンにおいても、一つの宿営地を、自衛隊の部隊のほかルワンダなど幾つかの部隊が活動拠点といたしております。

 このような宿営地に武装集団による襲撃があり、他国の要員が危機に瀕している場合でも、これまでは自衛隊は共同して対処することはできず、平素の訓練にも参加できませんでした。

 しかし、同じ宿営地にいる以上、他国の要員が倒れてしまえば、自衛隊員が襲撃されるおそれがあります。他国の要員と自衛隊員はいわば運命共同体であり、共同して対処した方がその安全を高めることができます。また、平素から共同して訓練を行うことが可能になるため、緊急の場合の他国との意思疎通や協力も円滑になり、宿営地全体としての安全性を高めることにつながると考えております。

佐藤(茂)委員 今、二つの任務につきまして防衛大臣の方から御答弁いただきました。

 特に駆けつけ警護について、今防衛大臣からもありましたように極めて限定的な場合においてということでございますが、これについては、日本が派遣しているのはあくまでも施設部隊でありまして、駆けつけ警護といっても、諸外国の歩兵部隊が行うようないわゆる治安維持活動とは別物であって、対応できる事態にも限界があると考えております。

 しかしながら、一部報道によっては、先ほどありましたように、他国の軍人が危難に陥ったときにその者を保護するために施設部隊である自衛隊が出動するかのような報道がありますが、施設部隊である自衛隊が他国軍人を駆けつけ警護することは想定されていない、そのように考えますけれども、どのように考えておられるのか。

 あるいは、本年七月の武力衝突のような激しい銃撃を伴う事態で、他の国連の歩兵部隊すら対応できないような事態においては自衛隊の施設部隊が駆けつけ警護できる状態ではない、そのように考えますけれどもどうであるかということが二つ目。

 また、南スーダンには、自衛隊の施設部隊の近傍のジュバ市外で数名の日本人が活動しておられると伺っておりますけれども、自衛隊の施設部隊がそういう遠方にまで出かけていってそのような方々を保護するために駆けつけ警護をするということは想定されているのでしょうか。

 具体的に三つほど例を挙げましたけれども、そういうことも含めて、今政府の考えておられる駆けつけ警護の性格について、政府の見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になったように、南スーダンに派遣しております我が国の自衛隊は施設部隊であって、安全確保業務、すなわち治安や警護などを任務としているものではありません。安全確保業務を任務とするには国会の承認が要ることは御承知のとおりでございます。したがって、施設部隊が、緊急の要請を受けて、人道的な見地から、応急的に、対応できる範囲で行うのが今回の駆けつけ警護でございます。

 したがいまして、他国の軍人につきましては、文民である国連やNGO関係者とは異なり、自分の身は自分で守る能力を有しており、自国部隊の安全確保を他国部隊に要請するようなことは基本的にはないというふうに考えております。また、仮にそのようなことがあったとしても、一義的には現地の治安機関やUNMISSの歩兵部隊が対応するものであります。このため、他国の軍人を対象として駆けつけ警護を行うことは想定されないというふうに考えております。

 また、今申しました駆けつけ警護の性格を踏まえますと、当然ながら、対応できる事態にも限界があります。すなわち、施設部隊である自衛隊員がみずからの安全を確保しながら対応できる範囲には限界があり、委員が御指摘になった本年七月のジュバにおける武力衝突のような激しい銃撃を伴う状況下においては、現在派遣中の自衛隊施設部隊が対応することは、その能力からして困難です。先ほど御指摘があったように、本年七月の衝突の際には、UNMISSのほかの歩兵部隊ですら対応できなかったというふうに承知をいたしているところであります。

 さらに、繰り返しになりますけれども、駆けつけ警護の実施が想定されるのは、自衛隊部隊の近くで、近傍でNGO等の活動関係者が襲われ、他に速やかに対応できる現地治安当局や国連部隊等が存在しないといった極めて限定的な場面であります。自衛隊の施設部隊はジュバ及びその周辺で活動を実施することといたしており、駆けつけ警護を行う地域もおのずとそれに限定をされ、そうした範囲を超えて駆けつけ警護を実施することはありません。

佐藤(茂)委員 もう一つ駆けつけ警護で確認をしておきたいのは、平和安全法制の中で、PKO法上、PKO参加五原則に加えまして、活動期間を通じた受け入れ同意の安定的維持ということが必要であるということを新たに法定させていただきました。具体的に、この南スーダンにおいて駆けつけ警護を実施するためには、受け入れ国の南スーダン政府の同意が、国連の活動及び自衛隊の業務が行われる期間を通じて安定的に維持されることが必要であると認識しております。

 南スーダンの治安状況は、報道のとおり極めて悪く、多くの市民が殺傷される事態がたびたび生じておりますけれども、これは我が国における法的な意味における武力紛争が発生しているのでしょうか。具体的には、国家または国家に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為が発生しているのでしょうか。

 防衛大臣は十月に南スーダンを視察されましたけれども、現在の南スーダンにおいて駆けつけ警護を実施するために、PKO法上の法的要件及びその判断要素についてどのように認識されたのか、日本政府の明快な見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 まず、自衛隊を国連PKOに派遣するに当たっては、大きく二つ要素があると思います。一つは、PKO参加五原則を満たしているかどうか。そのPKO参加五原則を満たしているか否かは、まさしく我が国の憲法九条の、武力紛争に巻き込まれないか、一体化しないかという意味において満たす必要があります。

 と同時に、PKO五原則を満たしていればそれでいいということではなくて、その自衛隊員の要員の安全を確保した上で意義ある活動を行えるかということでございます。

 今御指摘のように、南スーダンの治安情勢は極めて悪く、多くの市民が殺害されるというような事態がたびたび生じているわけですけれども、UNMISSの活動地域において、紛争当事者となり得る国家に準ずる組織は存在しておりません。すなわち、今回の南スーダンのPKOは、二十年にわたる大きな紛争が終結をして、そして独立をして、紛争当事者がいないということを前提に活動しているわけでありますが、新たに紛争当事者となり得るような国または国に準ずる組織はあらわれていないというふうに考えております。ですから、国際的な武力紛争の一環として行われる人の殺傷、物の破壊である戦闘行為、法的な意味における戦闘行為は発生をしていないというふうに考えております。

 また、いわゆる駆けつけ警護の業務の追加について、政府として、現地の情勢や訓練の進捗状況を慎重に見きわめながら総合的に検討してきたところであります。私も十月に視察をいたしましたし、柴山補佐官も最近視察をしたところでありますが、ジュバ及びその近郊においては比較的安定をしているというふうに考えているところであります。

 第十一次要員の準備訓練が終了し、要員に駆けつけ警護を実施できる能力が備わっていること、駆けつけ警護の業務付与に必要な要件である、先ほど委員が御指摘になった、受け入れ同意が安定的に維持されると認められることから、南スーダン国際平和協力業務実施計画を変更し、駆けつけ警護の業務を追加することといたしたところでございます。

佐藤(茂)委員 今、防衛大臣が二つ目の答弁の冒頭に、二つ目の要件である隊員の安全確保ということについて最後確認をさせていただきたいんです。

 隊員の安全確保ということについては、新たに、PKO法を改正いたしまして第十条に規定されました安全確保規定に基づき、これまで以上に隊員の安全確保に配慮がなされております。加えて、このたびこの実施計画が変更されまして、新たに「(7)その他国際平和協力業務の実施に関する重要事項」にアというのが加わりまして、この「業務が行われる期間中において、我が国として国際連合平和維持隊に参加するに際しての基本的な五つの原則が満たされている場合であっても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、国家安全保障会議における審議の上、南スーダン国際平和協力隊及び自衛隊の部隊等を撤収する。」という重要事項が明記されました。

 何ゆえこの項目を実施計画に追加されたのかということを一点伺いたいのと、あわせまして、「基本的な五つの原則」これはPKO参加五原則ですが、それが「満たされている場合であっても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、」とは、具体的にどのような場合を想定され、どういう判断と手続で撤収されるのか、政府の見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 従来より、政府としては、先ほど私が申しました二つの要件、PKO五原則を満たし、そして安全を確保した上で意義ある活動を行えるかどうか、これをしっかりと政府の考えとして明示的に今回はあらわしたということでございます。

 また、御指摘の、参加五原則を満たしつつも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難な場合とはどのような場合かといいますと、例えば、過去にゴラン高原PKOのケースがございました。このときは、派遣されていた輸送調整部隊が、シリア国内の情勢悪化等を受け、要員の安全を確保することが困難となり、かつ、十分な人員、物資の輸送が行えず、意義ある活動を行うことが困難となったことから、PKO五原則は満たしているけれども意義ある活動が行えなくなったということから、国連との調整を経て、平成二十四年十二月に要員を撤収させたということでございます。

 こうしたことを踏まえ、今回の実施計画の変更では、参加五原則を満たしつつも、「安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、国家安全保障会議における審議の上、南スーダン国際平和協力隊及び自衛隊の部隊等を撤収する。」と記載したところでございます。

佐藤(茂)委員 UNMISSへの自衛隊の派遣というのは、南スーダン政府及び国連を初め国際社会から高い評価を受けているわけであります。しかしながら、現地情勢は厳しい治安状況でありまして、時々刻々変化をしておりますので、政府においては、今後とも緊張感を持って、現地情勢を注視しながら、PKO参加五原則のもとで、安全を確保しながら有意義な活動を行っていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 おはようございます。民進党・無所属クラブの升田世喜男であります。

 早速質問をさせていただきたいと思います。

 先般、アメリカ新大統領が誕生したわけでありますが、ドナルド・トランプ氏という、大方の予想を覆しての当選であったわけでありますけれども、テレビで見る限り大変過激な発言をされる方でありまして、また、日本にとって、あの大統領さんのもとで日米関係なんかは一体どうなっていくのかなということを懸念される方は非常に多いんじゃないかな、こう私は思います。

 まず、この新しい大統領の当選、誕生を受けて、大臣は日米の安全保障に関してどのような影響が懸念されるのかというところ、この辺についてのお考えをまずお伺いさせていただきたい、こう思います。

稲田国務大臣 今回、米国でトランプ次期大統領が、大激戦、長い大統領選を制して当選をされたわけであります。そして、すぐに総理はトランプ次期大統領にお電話をされて電話会談を行われ、トランプ次期大統領から、日米関係は卓越したパートナーシップであり、この特別な関係をさらに強化したいという旨の発言があったと承知をいたしております。また、今週にも総理とトランプ次期大統領との間で、ニューヨークで会談も予定をされているところであります。

 御承知のとおり、日米同盟は、我が国のみならず、アジア太平洋地域、さらには世界全体の平和と安定に資する公共財として機能をしているところであります。日米同盟は、単に我が国のみならず、米国の利益でもあるわけであります。

 もちろん、今委員御指摘になったように、トランプさんが大統領選の中でさまざまな発言をされていたことは事実ではありますけれども、トランプ次期大統領の政権においても、日米同盟、総理と次期トランプ大統領との間で、一層深化そして強力なものにさせていくことができるというふうに思っております。

升田委員 安倍総理が十七日に新大統領とお会いしてお話をするということでありますが、ここが一つの大事な場面かな、こんなふうに思いますけれども、いずれにしても、日米同盟というのは極めて我が国が発展するためにも大事なことだというのは、私もこれは共通認識であります。

 ただ、この選挙戦でトランプ氏が、日本はもっとお金を出すべきだ、こんな、ある意味私は、的外れ的な発言をされているんじゃないかな、こんなふうに思うわけでありますけれども、大臣、新大統領がこの旨のものを求めてきた場合、大臣はどう対応されますか。どのような考えで対応しますか。

稲田国務大臣 まず、トランプさんが選挙期間中さまざまなことをおっしゃっていたことは事実でありますけれども、就任直後の演説を聞いておりましても、また、総理に日米関係をますます深化、強化していく必要があるというふうに電話でおっしゃったことも含め、実際にトランプさんが大統領になられてどういった政策をとられるのか、これは予断を持って臨むべきではないというふうに思っております。

 その上で、日米同盟は、単に日本だけのものではなくて、米国にとっても大変利益がある、そして、この地域の平和と安定と発展がやはり世界全体の平和と安定と繁栄につながるものであるということは共通認識であろうというふうに思っております。

 と同時に、米軍の駐留経費についてはしっかりと応分のものを負担しているということでございますので、そういった点もしっかりと説明をしていく必要があるというふうに思っております。

升田委員 大臣にここで明言してほしいなという思いがあるんですよね。それは、トランプ新大統領がさらなる負担を求めてきても、我が国は他国と比べて、イタリアなんかは負担が四〇パー、ドイツは三〇パー、我が国は七五パーということでありますから、決して日本だけの日米同盟ではないし、基地でもないし、アメリカのためにもなっているわけでありますから、それはもう認めない、これで十分なんだ、こういう、きっぱり今ここで明言できませんか。

稲田国務大臣 日米の重要性、今委員が御指摘されたこと、全く同感であります。

 ただ、トランプさんが大統領になられてからどういった発言をされるのかということについては、私は予断を持って仮定のことについて発言をすべきではないというふうに思います。

 ただ、先ほども申しましたように、しっかりと日本の立場というものは説明してまいりたいと考えております。

升田委員 それでは、十月の八日、大臣が訪問されたあのジュバ市ですね、これに関しての質問を何点かさせていただきたいと思います。

 昨年に安保法制が成立されまして、PKOの法律改正がなされて、駆けつけ警護や宿営地の共同防護が新たな任務と追加されたわけです。いみじくも本日閣議決定も、新任務が付与された、こう伺っております。

 日本の自衛隊というのは、これまで一度たりとて人間を襲撃したことがない、発砲したこともない。しかし、この新任務によって、これまで経験したことのない新たなるものに足を踏み入れてしまう、こういうことでございまして、自衛隊員は決心、志、誓いがあっているわけであります、しかし、家族の方は大変複雑な思いをされているのではないかな、私はこう推察をするわけでありますが、稲田大臣は、自衛隊の御家族が今どんな思いでおられるか、この辺、どんなお気持ちでおりますか。

稲田国務大臣 自衛隊の皆さんは、今までも、みずからの危険を顧みず、その任務を責任感を持って完遂されてきたところであります。

 今、自衛隊の御家族のお気持ちということになれば、まさしく、そういった任務を遂行されている家族を誇りに思うと同時に、やはり、しっかりと安全性を確保してほしい、そして、そういった任務を付与するに当たっては政治においてしっかりとその覚悟と責任を持って付与してもらいたいということを望んでおられるというふうに私は思います。

升田委員 自衛隊員は、いわゆるジュバ市ですか、NGOあるいは国連の職員の命を守るために向こうに行くわけでありますが、国会は自衛隊の命を守るというのも大きな役目ではないかな、こんなふうに私は思います。

 まず、そこで、南スーダンへの大臣の訪問の狙いは、これは基本的なことでありますけれども、駆けつけ警護の任務の付与に係る判断のために行かれた、この認識でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 駆けつけ警護ということではなく、七月に大きな武力衝突があったことは確かであります、その中で、それが、いろいろなところから情報をいただいたり、また、ジブチに行ったときに副隊長に来ていただいて状況等もお伺いをいたしました。その中で、武力紛争が起きている、すなわち紛争当事者があらわれているという状況ではないにしても、しっかり自衛隊員が、今南スーダンに行っている日本の自衛隊は施設部隊ですから、安全を確保しながら道路整備とか施設整備とか、そういうことをできる状況にあるのかどうなのかということなどをしっかりと見てこようということであります。

 視察先としては、宿営地及び宿営地が所在する国連トンピン地区に加え、七月の衝突事案の際に死傷者が出たUNハウス地区や、市内のナイル架橋工事現場等にも足を運んで、移動経路も含めて、ジュバの市内の様子は確認をしてまいりました。そして、南スーダンの政府関係者、さらには国連代表部のロイ特別代表ともお会いをしたところです。

 私が見た状況として、女性や子供も単独で歩いていたり、市民も平常どおりの生活を送っている様子を確認することができ、ジュバの市内、その治安状況は比較的落ちついているというふうに目で確認することができました。

 また、南スーダン政府関係者との意見交換、五名の閣僚や国防副大臣、さらには参謀長とも会談をして、現地情勢の改善のための取り組みについて積極的に国連にも協力をしたいという意思を有していることも確認いたしましたし、ロイ国連事務総長特別代表との会談では、ロイさんも、比較的ジュバは落ちついている、もちろん地方に行けば武力衝突等が散発的には見られるわけですけれども、七月の事案のようなことが起きる可能性は少ないであろうというような、そういうお話も伺ったところであります。

 そういった自衛隊の活動状況、さらにはジュバ周辺、そして南スーダンの治安情勢等について直接お話を伺い、確認することを目的に視察をしたわけであります。

升田委員 私の聞き間違いかどうかわかりませんが、今、大臣は、駆けつけ警護の任務の付与に係る判断をするためにジュバ市を訪問されたわけではない、このように答弁されたと私はお聞きしましたが、そのような答弁だということでよろしいですか。

稲田国務大臣 もちろん、駆けつけ警護は新しい任務ですから、それを付与するかどうかについても、私が視察したことが基礎になります。さらには、その一カ月後に柴山補佐官も視察をしたわけであります。

 一つは、自衛隊の施設活動の期間を延長するかどうか、まずそれを判断し、その後に、きょう閣議決定で駆けつけ警護の任務付与について決定をしたわけであります。要するに、その基礎となる南スーダンの情勢、さらには自衛隊の活動状況について視察をしたということであって、駆けつけ警護に特化をして、その任務付与のための視察、そういう限定したものではない、そういう趣旨でございます。

升田委員 大臣の答弁ですと、一般国民から見たら大変わかりにくいんじゃないかなと思うんですね。今のタイミングでジュバ市に行かれていたということは、この新任務を付与してもいいかどうか、安全保障の大臣ですから、この任務を付与する、しないというのは人命にかかわりますので、これを当然大臣は見に行かれたもの、国民全体はそう思っているわけですね。

 しかし、今の答弁でありますと、そうではなくて、道路をつくったり施設の任務をすることがこれからも持続的にできるかどうか、それを主として見に行った、ただ、関連としてそこにはつながるだろうと。これは私はタイミング的におかしいと思うんですね。大臣が責任を持ってそこの現場を見て、ああ、これは駆けつけ警護の任務を付与してもふさわしいなと大臣が見て判断して、内閣も判断したんだから、これは自信を持って行こうぜという安心感を国民に広げてしかるべきタイミングのときに、今の答弁では普通は納得できないと思うんです。

 もう一度お伺いしますけれども、本当にこの駆けつけ警護は二の次、三の次だったんですか、道路云々だけを見に行って。これはおかしいと思いますよ。いかがですか、大臣。

稲田国務大臣 私が視察したのは十月八日であります。そして、まず、その施設部隊のPKO活動の期間の延長を決めたのが十月二十五日であります。そして、本日、業務を新たに付与したわけであります。

 そういう時系列からいたしますと、十月八日に見に行ったときに、いきなり駆けつけ警護云々ということよりも、まず治安がどうなのか、まず治安がどうで、このまま施設部隊がジュバで活動できる状況か、まず見ることが、私は、七月の武力衝突があった後の視察としてはそこがとても重要だと思います。

 その上で、駆けつけ警護は、何か新たに治安の業務とか警護の業務を与えるというのではなくて、施設部隊が本来の業務をやっている過程において、緊急の要請を受けて、人道的な見地に基づいて、一時、応急的に保護をする、自分たちができる範囲でやるというものでありますし、さらには、ちょうどそのころは、駆けつけ警護についての、また新たな任務についての訓練をやっているところであります。

 その訓練がちゃんと終わって、さらには、十月八日に視察をした状況が維持されていて、法的な要件であるところの安定的な受け入れ同意も将来的にも見越せてという状況になって初めて駆けつけ警護の任務は付与できるわけでありますので、十月八日の時点で、駆けつけ警護ができるかどうかを見てきたというよりも、むしろ、その基礎となっているところの治安状況がどういう状況であるのか、すなわち、武力紛争が起きる、また、マシャール派が増大してきて紛争当事者になってあらわれるというような状況ではないということを確認する等々、そういった基礎的なものを見に行った、そして自衛隊の施設部隊の活動の状況等も視察をしたということでございます。

升田委員 大臣としての責任感からいったら、私は何か釈然としないものがありますね。

 まあ、七時間ということの訪問なので、この程度にならざるを得ないのかなというような感じは持ちましたけれども、しかし、国民全体の普通の感覚からいったら、これは大変な任務の付与の決定、それで人命にかかわるわけでありますから、当然そこを中心に見に行かれて、大臣の目で見て、これは安全だ、大丈夫だということを、今度は総理等々にその報告を上げて、それで内閣がきょうの決定になった、こう思うのが普通であって、それよりも別な、その基礎となるという部分のお話は、私は、国民の普通の感覚からいったら、ちょっと責任を曖昧にしているのではないかな、個人的にはそんなふうに思いました。

 次に、大臣が今回視察された場所は、国連施設内、空港、そして南スーダン軍のビルファム駐屯地と伺っておりますけれども、視察された国連施設内と施設外、あるいはジュバ市郊外を比較した場合、駆けつけ警護の必要性が生じる確率が高いと思われるのはどちらでしょうか。お伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 何度も繰り返して恐縮ではありますけれども、今回の駆けつけ警護は、我が国の自衛隊、すなわち施設部隊が活動をしているその中で、そして活動しているその近くで、NGO等、活動関係者からの緊急の要請を受けて、人道的な見地から、対応できる範囲において行うものでありますので、あらかじめ、どちらが、市内か市外かとか、そういう基準で考えるものではないとは思います。

 ただ、やはり、今、ジュバ及びその周辺ということで活動の範囲を決めているわけですから、そこの範囲内において駆けつけ警護も可能になるということでございます。

升田委員 大臣の答弁を聞いていますと、国民の聞きたいことにお答えできておるのかな、私はそう思えてならないんですけれども。

 今国民が一番心配しているのは、任務そのものの意義、目的は私も理解できます、道路をつくったり、いろいろな施設をしたり、そういうところに不意に予想外の武力行動等があって、それだとNGOや国連の職員やそこに携わっている人の命が危ないから、それを守るために行くのが駆けつけ警護だ、私はこう理解しているんですけれども、しかし、大臣が先ほど見に行かれたというのがそういう視点でないというのは、改めて私は、いわゆる想定外という言葉は余りよくないんですけれども、自分の中ではちょっと想定外ではございました。

 では、ここで関連して一つ。

 いろいろ見て回られたと思うんですが、いわゆる非政府軍がNGOや国連の方にもし仮に武力行使をするとした場合、普通、守りが頑丈なところに手を出さないわけで、弱いと思われるところに手を出していく、これは普通そうですよね、ぶつかっていく場合。

 そうしますと、私が何を言いたいかといいますと、何か、稲田大臣が訪問されて見たところは、あらかじめ極めて安全なところばかり見られてきたのではないかな、こんなふうに思えてならないんですけれども、これは私の全然勘違いでしょうか。

稲田国務大臣 訪問に際しては、日本隊の宿営地、同宿営地の所在する国連トンピン地区、国連ハウス地区、市内のナイル架橋工事現場等を視察したところであります。

 この間、日本隊の宿営地、国連トンピン地区の近傍、また国連ハウス地区及び市内の各所等、七月に実際に衝突を生じた場所、すなわち、日本の宿営地のあるトンピン地区のすぐ近くのトルコビルが襲撃をされていた跡があったわけですけれども、そういったところなども含めて視察をしたところでありますし、七月の実際に衝突が生じた状況についても、派遣施設隊長から説明を受けたところでございます。

升田委員 限られた時間でありますから、南スーダンの和平合意に関しての質問に移っていきたいと思います。

 反政府勢力のトップであるマシャール前副大統領が、日本のマスコミに対して、七月に起きた戦闘で和平合意と統一政権は崩壊したと考えている、このように述べられております。和平合意の当事者だった反政府勢力のトップが和平合意を否定しているわけでありますが、和平合意を否定しているということは、PKO五原則が守られていないことになるのではないですか。

 このように、南スーダン情勢の先行きが見通せないことが浮き彫りになっているわけであります。事実、七月には大規模な衝突、以来、各地で襲撃や衝突が起き、多くの人々が亡くなっている、これは事実なんですね。また、隣国へ逃れる南スーダンの難民が百万人に上るとも言われておりまして、このような状況は、誰が見ても内戦状態、こう考えるべきだと思うんですが、だとすれば、PKO五原則は守られていない、こういうことになると思うんですが、大臣の見解はいかがですか。

稲田国務大臣 まず、PKO五原則、先ほどの質問の中でも申し上げましたが、我が国の憲法上の要請として、武力の紛争に巻き込まれたり、一体化されないようにするためであります。

 今回の南スーダンに派遣をしている部隊は、PKO法第三条の一号ロの「武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合に実施される活動」に該当いたします。

 何が言いたいかといいますと、今回のPKO五原則における紛争当事者の停戦合意というのは、南スーダンが、二十年の大きなまさしく内戦というか紛争の後に独立をして、その際の合意がPKO五原則における合意であります。したがいまして、現在、停戦合意が守られたかどうかということと、このPKO法上の、今回南スーダンに派遣している場合の五原則の紛争当事者とは分けて考えなければならないというふうに思っております。

 その上で、昨年の八月の停戦合意がどうであったか、これはPKO五原則とは関係ありませんけれども、どうであったかということについてでありますけれども、ここの合意はまだ守られているというふうに思います。反主流派のマシャールさん自身も、この停戦合意の履行については行うべきだとおっしゃっておられますし、また、キール大統領も、しっかりとマシャールさんの後に、反主流派、反政府軍のタバン・デンさんを第一副大統領に任命をしているところであります。

 先生がおっしゃるように、マシャール派が武力紛争の当事者、紛争当事者にまで大きくなってあらわれたときにはPKO五原則の問題になりますけれども、マシャール派は系統立った組織性は有していない、また同派により支配が確立されるに至った領域があるとは言えないこと、また、南スーダン政府とマシャール派双方とも、先ほど言いましたように事案の平和的解決を求める意思を有していることなどを総合的に勘案しますと、武力紛争は発生しておらず、マシャール派が武力紛争の当事者に当たるとも考えておりません。

 したがって、武力紛争が生じているとかPKO五原則が問題になるといった状況にはないというふうに考えております。

升田委員 この見解については、またこれからいろいろ機会があると思うので。

 次に、基本的なことで、再確認の意味を兼ねてちょっと質問させていただきます。

 大臣は、いわゆるジュバ市現地を視察され、いろいろな方とお話をされたようでありますが、もし仮に、日本のNGOや国連職員が活動している場所に武力勢力が押しかけてきて銃撃戦になった、そこで救出の要請が来た、しかし余りにも情勢が危険過ぎる、厳しいと。命の危険性が非常に高い場合は駆けつけ警護の対象外という判断もあるやに先ほど聞いたんですが、再度確認ですけれども、これは対象外にあり得るという認識でよろしいですか。

稲田国務大臣 やや繰り返しになって恐縮ですけれども、このいわゆる駆けつけ警護、緊急の要請に応じた活動関係者の保護は、国連PKOに派遣されている自衛隊部隊の近くでNGO等の活動関係者が襲われ、他に速やかに対応できる現地の治安当局や国連部隊などが存在しないといった極めて限定的な場面で、要請を受けて、応急かつ一時的に、人道的な見地から、さらには施設部隊が自分たちの安全を確保しながら対応できると判断したときに行うものでございます。

 したがいまして、今委員が御指摘になった、反政府軍が襲撃して銃撃戦が行われているというような、そういう苛烈な現場において駆けつけ警護を行うということは想定されないというふうに思います。

升田委員 想定されないということでありますので、これは適切な判断ではなかろうかなと思います。

 そのために、ある一定の期間訓練をされたようでありますけれども、訓練と現実は違うわけでありますから、判断というのは相当慎重ではないといけないし、今大臣が述べたように、苛烈なような場面があったら、私はすぐそれはもうやめる判断というふうにいくべきだと思います。でも、今はそういう答弁でございましたので、それはそれで、自分の中では確認させていただいてよかったなと思っているわけでありますが。

 次に、駆けつけ警護の能力に関して、残された時間、質疑をしてまいりたいと思います。

 これも確認ですが、施設部隊の隊員にも駆けつけ警護の任務が付与される可能性があるという理解でこれはよろしいんですよね。

稲田国務大臣 ちょっと繰り返しになりますけれども、南スーダンに派遣をしているのは施設部隊であります。そして、その主な業務は施設活動でありますので、施設活動に従事している要員が駆けつけ警護を実施するということはもちろん想定されております。また、実際に施設作業を専門とする要員のほか、施設作業を警護する警備要員も含まれますし、また、医官の衛生要員が同行することも想定をいたしております。

 施設要員も含めて訓練を十分に受けており、駆けつけ警護を命ぜられた場合、そのときに状況に応じて実施することは可能。ただし、あくまでも、その施設隊、道路や施設をつくっている施設隊が対応できる範囲のときに、緊急的に、そして人道的見地から、一時的な応急的な措置として行うのが駆けつけ警護だということでございます。

升田委員 私の中では、ここは大事な論点ではないかな、こう思っているんです。

 いわゆる道路整備等々云々をやって、いわゆる武力勢力が事を起こして施設部隊も援護をしなさいとなった場合、現実にはそう簡単に的確な対応ができるとは私はなかなか想像しがたいんですよ。しかも、いろいろタイミングがあります。もう疲労の極度のときにそのようなことがあったら、人間はやはり限界というのがありますから。

 なので、ここは相当慎重にしていかないといけないし、先ほどからずっと申し上げさせていただいていることともこれは関連していくわけでありますけれども、今まで経験したことのないことを今度はやろうとしているわけでありますので、これは慎重の上にも慎重に判断していかなきゃいけない。

 そして、これもまた繰り返しで恐縮でありますけれども、自衛隊員そのものは、NGOとか国連の職員とか、その命を守るために行くわけでありますが、我々国会は、自衛隊そのものの命を守る、そういう視点もこれは当然押さえていることは重々でありますけれども、ここは物すごく大事で、任務だからここはある程度やむを得ないんだとか、あるいは、何か起きて想定外であったとかいうようなことは、ここに関しては私は決してそれはあってはならないというふうに思っております。

 残された時間があと三分少々になってしまいました。予定した質問をちょっとこなさせていただきたいと思いますが、施設作業員任務と駆けつけ警護の任務は根本的に行動の質が違うというのはこれは当然だと思いますが、施設部隊は、日ごろ施設の設置などを主に訓練を積み重ねている隊員でありまして、一方、普通科部隊は歩兵としての訓練を積み重ねている隊員であろうと思います。

 報道によると、駆けつけ警護に対応するために即応対処チームを設置するとありましたが、駆けつけ警護の任務にこれは本当に対応できるのか。あるいは、即応対処チームを設置するということは、これは事実でございますか。

辰己政府参考人 駆けつけ警護につきましては、施設部隊が対応できるように、まさに施設要員もそれから警備要員もいろいろな訓練をして、二カ月間十分訓練をしてきました。そして、陸幕長がその訓練も見て、そして大臣も視察をして、その結果として、施設部隊として全体として任務に対応できるという評価を防衛省として下しております。

 そして、今御指摘にございました即応チームということでございますが、どういうような形で我々がこの駆けつけ警護をやるかということは、これは我々の手のうちになりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

升田委員 手のうちをあけるということなのでそれは差し控えをさせていただくということは、それは私も理解ができることでありますが、その上でもあえて今質問をさせていただいたという次第であります。

 時間の方がもうほぼなくなってきたかなと思います。大臣に重ねて、いわゆる一国会議員としての思い、あるいは、私は地元が青森なんです、今回、青森部隊が今月の二十日に行かれるということなんですね、なので、ここに関してはやはり私なりにもいろいろな思いが出てまいりますよ。できればそういう場面がない方がいいかな、やはりこう思ったりもしますよ。やはり、もし自分が自衛隊員で自分の奥さんや子供のことを考えたり、あるいは家族が、自分の旦那が新たなるこの役割、これは崇高な役割という言葉ではありましょうけれども、人生は一度限りですから、命はとうといものですから。

 なので、ここは非常に、再度申し上げたいのは、あらゆる角度から慎重に判断をして、無理やりな理屈をつけて、内戦状態であるにもかかわらず理屈の面においてそうじゃないとかいうようなことで押し切ってしまうようなことだけは絶対やめてもらいたい、私はこう思っております。

 この思いに、大臣の感想を一言お聞かせください。

稲田国務大臣 まさしく今委員御指摘になったように、自衛隊の任務、さらには、今回南スーダンに行く部隊、先生の御地元でございます。

 私も先日訓練を視察した中に、女性で、しかも中学生と小学生のお子さんのある女性が、南スーダンに向かうその隊の中に入っておられました。御主人も自衛隊員で、またお子さん方も、本当に、お母さんを誇りに思うと同時に、大変心配をしていらっしゃることは当然だというふうに思います。

 ですから、しっかりと情勢も見て、さらには、訓練が十分である、十分対応できるんだということを確認した上で今回南スーダンに向かっていただくわけですが、先生おっしゃったように、法律上どうか、法律上、PKO五原則が満たされているかどうかということとはまた別に、しっかり対応できる状況かどうか。それは本当に、どのような言葉を使うかということではなくて、現実を緊張感を持って見て、もうこれ以上自衛隊が活動することは不可能である、自分の安全を確保しながら活動していくことは不可能であるというふうな判断をしたのであれば、しっかり政府全体で、安全保障会議で議論をして、撤収することもあり得る。そういった緊張感を持った中で自衛隊を派遣しているんだということの責任の重さを感じながら、私も注視をしてまいりたいと思います。

升田委員 大臣に一言。責任の重さを忘れないでいただきたい、家族の思いも忘れないでいただきたい。

 終わります。

山口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 まず、トランプ氏がアメリカ大統領選で勝利をいたしました。在日米軍についてもいろいろな御発言をされておられますが、特に日本とアメリカの安全保障体制において、日本が盾、米軍が矛という基本的な役割分担があると思いますが、トランプ氏が大統領になった後のこの日米の安全保障の体制について、いろいろと可能性も含めて検討しなきゃいけないことがあると思います。

 とりわけ、北朝鮮がミサイルの回数というのをことしふやしてきておりますけれども、特に、一遍に何発も撃つということをことしにおいて行っております。たくさん一遍に撃った場合、日本は守り切れません。そのときに、最後の最後は米軍機に敵基地攻撃をしていただいて日本を守るということになるのが今の考え方だと思いますが、もし仮に、トランプ大統領になってこういったところを分担しないという可能性が出てきた場合、日本が、自衛隊がみずからの能力でもって敵基地攻撃能力を検討しなきゃいけない。

 検討については今までも稲田大臣はおっしゃっておると思いますが、特にトランプ大統領になったことを踏まえて、今すぐかどうかはともかく、北朝鮮のミサイルを念頭に置いた敵基地攻撃能力の検討について、この検討を進めるお考えはありませんか。

稲田国務大臣 まず、繰り返しになりますけれども、トランプさんが大統領になられて、選挙中いろいろなことをおっしゃっておられましたけれども、どういった政策を実際にとられるのか、また、日米の関係についてどういった方針、戦略をとられるのかについては、予断を持ってコメントをすべきではないというふうに思います。

 その上で、日米同盟は大変重要で、さらに、今我が国を取り巻く環境は、今委員が御指摘になったように、例えば北朝鮮はもうことしに入って、二回も核実験をやって、二十発以上のミサイルを発射し、そして御指摘になったように三発同時に撃って三発同時に同じところに着弾することができる能力を身につけ、予測不可能な行動をとっているということは、十分考えなければならないというふうに思います。

 その上で、我が国としての防衛は、我が国自身の防衛力を強めていく、それは質も、それから量もということであります。さらには、日米同盟をさらに強化する、ここはトランプさんにもしっかりと説明をしていく。そして、さらには関係各国、特に価値観を共有する国々との間の協力を能力構築支援等を含めてしっかりとやっていくということであるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 全くお答えになっておりませんが、これは検討を早めますとは多分言えないのかもしれませんが、内々の検討でも結構ですから、これはどこかで起きてくる話でもあると思いますので、ぜひこの検討は深めていただきたいと思います。

 さて、南スーダンのPKOに関連しての質問に移りたいと思いますが、自衛隊が宿営している南スーダン首都のジュバは比較的落ちついているというふうに大臣は、今までも、そして本日もおっしゃられましたが、その根拠は何なんでしょうか。

 実際に御自分で十月八日に行かれたとき、市内を見たときは安定していた、あるいは、UNMISSの方に会われて聞いた限りではそうであったというような御答弁が先ほどありましたけれども、実際に大臣に対して、この首都ジュバの状況がどういう状況であり、あるいは南スーダンその他の地域で起きていることがどういうことであり、それが自衛隊の活動している地域、ジュバだけではありませんね、そこに対してどういう影響を及ぼしてくる可能性があるのか等、詳細なレクをされていると思うんです。

 今、配付資料に、十月八日に大臣がジュバを視察した際の「防衛大臣現地状況報告」という資料がございます。この中に、二枚目にめくっていただければと思いますが、「ジュバ市内の情勢」という資料があるんですけれども、全く内容がわからない真っ黒の状態になっております。

 実際、ジュバ市内の情勢がどうであるかというのは、比較的落ちついているという判断をされたんですから、それほど隠すような内容ではなくて、ここはこうこう大丈夫だったとか、南スーダンのほかのところでは少しこういうことが起きているけれどもジュバに対しての及ぼす影響は軽微であるとか、何かそういったものがあって比較的落ちついているという判断をされるならわかりますが、大臣に対していかなるこの比較的落ちついているということを支える具体的情報を上げられた上で大臣は判断したんでしょうか。

 それは、国民の皆様、きょう閣議決定したわけですから、非常に注目しています。ノリ弁では困ります。これを開示していただくこともあわせて御答弁いただきたいと思います。

稲田国務大臣 今御指摘になった「防衛大臣現地状況報告」は、私が本年十月八日に南スーダン派遣施設隊を訪問した際に、派遣施設隊長から現地情勢の説明を受けたときに使用した資料であって、南スーダン全域の情勢やジュバ市内の情勢について記述をされているものでございます。

 本資料は南スーダン及びジュバの情勢についての内容が書かれており、本資料の内容を開示した場合、派遣施設隊の情報収集能力が推察をされ、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じるおそれがあるとともに、我が国の安全が害されるおそれがあることから、不開示としているところでございます。

 その上で、今るる委員が御質問になった、なぜジュバの市内が安定しているというふうに判断をしたのかという御質問でございます。

 十月八日の時点は、私も、限られた時間と御指摘されて、そのとおりではありますけれども、市内を見た範囲で市内が、女性や子供たちも歩く、そして普通の生活ができているような状況でありました。さらに、最近、柴山補佐官が行かれて、私が見たときよりも少し安定さが増しているのではないかと思われるような状況の報告もあったところであります。

 一方で、私は、毎日ジュバ全体の状況について報告を受けております。その報告はもちろんさまざまな情報源から取得をした情報でございますけれども、それによりますと、例えば、マシャールさんの生まれ故郷である北部の方での武力衝突は散発的にあります。また、南の方で武装の、そういった暴徒が発生したりとかそういう状況はありますし、もちろん、南スーダン全体としては、治安は極めて厳しいというふうに思います。

 しかし、ジュバの市内そしてジュバの近郊という意味においては、毎日報告を受けている、さらには、私が行ったときにロイさんとお話をしたときも、ジュバにおいて七月のようなああいった大きな武力衝突が起こる可能性は極めて低いというようなお話があったところであります。また、南スーダン政府自体も、しっかりと政府としての体をなして、さらには国連とも協力をしようとしていることも事実であります。

 そういった状況を総合的に判断して、もちろんジュバの市内の治安もよくないです、よくないですけれども、比較的安定をしている、まさに自衛隊員が、我が自衛隊の施設隊が、安全を確保しつつ、みずからの、道路をつくったり施設をつくったりする業務を、活動をできる状況にはあるというふうに判断をしているところでございます。

後藤(祐)委員 ジュバ市内の情勢は比較的落ちついているんですから、何が隠さなきゃいけない情報なんですか。だって、現地の人はみんな知っている話なわけでしょう。

 例えば、ISに誘拐された日本人に関する情報ですとか、そういったものは情報収集能力が知られるとまずいとか、それはあるのはわかりますよ。ですが、これはそんな話じゃないんですよ。いろいろなNGOの方がジュバに行ったりしているし、ジュバにいる南スーダン市民はみんな知っている話なんじゃないんですか、基本的には。何を隠す必要があるんですか。まずこれを出していただけませんか、大臣。

稲田国務大臣 ジュバ市内の情勢であるとはいうものの、その情報源は、さまざまなところから情報収集をしておりますので、どこから情報収集をしているか等々の能力を外から推察されることは自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を生じるおそれがあるというふうに判断をしたところでございます。

後藤(祐)委員 では、我々国会議員あるいは国民は、どうやってそれを知ればいいんですか。

 例えば、今回付与しない安全確保活動、これは国会承認が必要です。この国会承認をするかしないか、我々国会議員が判断するんです。いかなる情報に基づいて議論すればいいんですか。

 今回の駆けつけ警護だって、これは本来は国会承認を必要とすべき話だと、我々の出している法案では国会承認を必要としておりますが、少なくとも国民に対する説明責任があるんじゃないんですか。

 比較的安定しているという根拠、具体的根拠について、こんなものじゃなくて、現時点において、ジュバの状況だけでなく、南スーダン全域の状況がどうであって、先ほど少し答弁がありました、それがなぜゆえに自衛隊が活動する地域に影響が軽微なのかどうかなどについて、具体的な資料を提出していただけますか。

稲田国務大臣 今委員がお示しをされているその資料については、現地の自衛隊の情報収集能力を推察されるものが入っているがゆえに開示はできませんけれども、今委員が御指摘になった国民に対して説明ができるような資料、ただ、刻々と変わっていきますので、緊張感を持って見なければならないし、もう十月八日の時点は既に一カ月以上前になりますので、しかし、工夫をして出せる情報を出していきたいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひ、ジュバ市内及び自衛隊が活動する地域、ジュバ近郊まであります、そこの状況がどうであるかということ。そして、それ以外の南スーダンの地域で何が起きているかということ。そして、先ほども南だとか北では非常に危ない状況が起きているという御説明がありました、それが自衛隊が活動する地域に対してどういう影響を与えるのかということ。これについて、具体的なファクトに基づいた情報を開示されることを求めます。

 委員長、この委員会にその資料を提出していただくようお取り計らい願います。

山口委員長 理事会にて協議します。

後藤(祐)委員 続きまして、では、七月のあの内戦、内戦と言っていいでしょう、あの事実上の内戦の状態で仮に今があった場合、駆けつけ警護は付与できるんですか、大臣。

稲田国務大臣 まず、仮定の質問ですので、お答えする立場にはありません。

 そして、七月の状況も、数日以内には収束をしたわけであります。したがいまして、そういったいろいろな状況を判断しつつ、今回の駆けつけ警護の任務を付与したところでございます。

後藤(祐)委員 全く答えになっていないんですが。

 今は比較的落ちついていると言いますが、どのぐらい落ちついていなければ駆けつけ警護付与の判断ができなかったのかというのは大変重要なんですよ。七月には実際に事が起きていて、自衛隊はそこにいたわけですから、あのぐらいの状況であれば駆けつけ警護ができるのかできないのか、大変重要な判断です。

 もう一度お答え願えますか。七月のジュバにおける二百七十人以上の方がお亡くなりになったあの事実上の内戦と言っていいような状態において、駆けつけ警護を付与する判断はできますか。

稲田国務大臣 駆けつけ警護は、何度も言いますけれども、施設隊が、みずからの安全を確保しつつ、緊急の要請に応じて、人道的な見地から行うものです。そして、任務を付与したからといって、そういう状況にあるかどうかの部隊長の判断があって初めて行うものであります。

 たとえ駆けつけ警護の任務を付与していたとしても、七月のように、銃撃戦が行われ、武力による衝突が起こっている苛烈な事案の真っただ中、何日かあって収束もしていくわけですけれども、真っただ中において、他の歩兵部隊、UNMISSの歩兵部隊もいますし、南スーダンの政府の治安部隊もいるわけですね、そういった人たちですら要請に応えられないというような状況において、駆けつけ警護ということは想定できないと思います。

後藤(祐)委員 想定できないということは、今回の閣議決定の内容においては、今のような状態であれば駆けつけ警護はできないという意味の閣議決定だということですか。

稲田国務大臣 今私は、七月の状況の中でかなり熾烈な時点、すなわち、銃撃戦が行われ、トルコビルに穴があく、そして国連からは移動禁止をされていて、そして、あの七月のテレインホテルの事案では国連の歩兵部隊すら駆けつけることができなかったというような、そういう状況において、駆けつけ警護を我が施設部隊が行うということは全く想定されていないと思います。

後藤(祐)委員 ちょっと具体的な事案をもってもう少し今の議論を深めたいと思いますが、配付資料の三ページ目から、きょうはJICAの皆さんにもお越しいただいておりますけれども、JICAの理事長であります北岡伸一先生の論文が掲載されております。

 四ページ目のところに、ことし七月、JICAは、九十三人の方がジュバにおられて、大変危険な状況に陥ったということで、国外に退避しなきゃいけないという中で、そこの下線部です。

  もっとも大きな問題は、住居から空港までの移動であった。日本人が主に居住していたところから空港までは一キロ程度だった。空港にはUNMISS傘下の自衛隊がおり、相当数の防弾車も持っている。自衛隊が邦人を集めてくれて、飛行場まで輸送してくれれば大丈夫だと思った。

  しかし、現地JICA所長からの要請にもかかわらず、自衛隊による輸送は行われなかった。結局、現地時間の十三日朝、南スーダンの政府軍の兵士の護衛により、飛行場まで移動できたのだが、退避決定から空港に移動するまで、三日もかかった。

このような記述がございます。

 きょうは、残念ながら北岡理事長は国外出張ということで、副理事長にお越しいただいておりますが、まず、このときにJICAとして、自衛隊に対して輸送を依頼したのですか。そして、結果として、JICAの防護車二両と日本大使館の防護車一両でピストン輸送をし、南スーダン軍がこれを護衛したという形になったと聞いていますが、これは事実でしょうか。

越川参考人 お答え申し上げます。

 七月十一日、日本時間でいいますと午前九時半ころでございます。まず、JICAの本部の方から政府に対しまして、これは外務省経由でございますが、JICA関係者の安全確保等につきまして要請を行っております。外務省の方からは、政府部内で対応を検討するとの回答を受けてございます。

 同日、日本時間で申しますと十六時ごろでございます。本部の指示で、JICAの南スーダン事務所長から現地自衛隊施設隊長に対しましても、電話で同様の相談を行っております。

 二日後に、十三日に空港までということも御質問がありましたが、これにつきましては、JICAの方であらかじめ契約をしておりますSOSインターナショナルという退避あるいは安全情報等を提供している会社、このチャーター機がナイロビの方からジュバに着くのを待っておりました。その到着と同時に、市内の安全の確認のために十三日午前までかかったということでございます。

後藤(祐)委員 こういうときに自衛隊は輸送してあげないんでしょうか。なぜ自衛隊の持つ防護車、あるはずです、輸送しなかったんですか、大臣。

稲田国務大臣 今お話がありましたように、七月十一日、JICA本部から外務省を通じて政府に対し、自衛隊による支援も含めたJICA関係者の安全な退避の確保について要請があったところです。また、同日、派遣施設隊長に対し、JICA現地所長から電話により同様の相談があったとの報告を受けております。

 これを受けて、同日、防衛省・自衛隊としては、JICA関係者の居住地区から空港までの自衛隊の陸上輸送が必要になった場合には、基本的にはジュバ所在の派遣施設隊が実施することを念頭に、実際の具体的な状況を踏まえつつ、在外公館及び国連等と連携をして適切に対応する方針でございました。

 七月十三日に実行されたJICA関係者のジュバ空港への移動に関して、自衛隊による陸上輸送は結果的には実施をされなかったわけですが、防衛省側がJICA関係者の安全確保への協力要請を断ったという事実はありません。

後藤(祐)委員 でも、現実にはやらなかったわけです。何でやってあげなかったんですか。

稲田国務大臣 七月十一日のJICA現地所長からの相談に対し、派遣施設隊長は、UNMISS司令部により施設外移動が制限をされていた、すなわち、国連から移動禁止を申し渡されていた、また、国連トンピン地区近傍で激しい銃撃戦が行われていたこと等を踏まえ、上級司令部からの指示がない限り輸送はできないことを回答したとの報告を受けております。

 派遣施設隊長の回答は、現場の情勢判断として、七月十一日当時の情勢下、すなわち、銃撃戦が行われ、戦車も出ていたという状況です。そこで、みずからの判断で輸送活動を行うことは難しいということを述べたものであります。

 また、本省レベルでは、防衛省は、外務省、内閣官房等と緊密に連携し、ジュバ市内の情勢が改善に向かう可能性を念頭に置きながら、JICA関係者の安全な退避について真剣に検討していたところです。

 したがって、現地の派遣施設隊長が上級司令部からの指示を待つ必要があると判断したことは妥当であったと考えており、七月十三日に実行されたJICA関係者のジュバ空港への移動に関して、結果的には陸上輸送は実施されなかったわけではありますけれども、適切な判断をしていたということでございます。

後藤(祐)委員 七月十一日の戦車がいるようなときに必ずしも輸送する必要はないんです。実際、今回も、二日間タイミングを見計らって、飛行機が、チャーター機が空港に着くタイミングなんかも見計らいながら、そこは危険な状況が去るタイミングを見て、一番安全なタイミングでやるのは当然ですよ。だから、二日たったところで随分状況が変わったからやったんですよ。

 二日たったときに自衛隊が何でやらなかったかということを聞いているんです。十一日にやれなんて言っていませんよ。実際、十三日の状況というのは十一日に比べると少し安定した状況の中で、自衛隊が輸送業務を行えばよかったんじゃありませんか。なぜやらなかったんですか。

稲田国務大臣 先ほども述べましたように、自衛隊として必要な準備は整えていたところでありますが、結果として、大使館の防護車の確保の方が早かったということでございます。

後藤(祐)委員 いろいろ議論しているうちに時間が過ぎちゃったんじゃありませんか。そういうことがあったときに、いざとなったら行けるという判断をするためにも今回の法改正があるんじゃないんですか。確かに、七月の段階ではまだ駆けつけ警護は付与されていませんでした。

 では、聞きます。本日以降というか、第十一次隊が現地で、態勢が整ってからということだと思いますが、この七月のJICAの皆様が空港まで移動したいという要請が自衛隊にあった場合、輸送の依頼があった場合、今度は対応できるということでよろしいですか。これは、輸送業務になるのか、駆けつけ警護業務になるのかも微妙なところがあると思いますが、今後はできるということでよろしいですか。

稲田国務大臣 個別具体的に判断してまいります。

後藤(祐)委員 具体的に、起きたことは全部わかっているはずです。同じことが全く同じ情勢で起きた場合どうですかということを聞いています。大臣。

稲田国務大臣 当時も輸送の規定を使って輸送することを、必要な準備はしていたわけであります。今回の駆けつけ警護の任務の付与により、訓練も終了をしているわけでありますし、法的な要件もあるということで派遣をするわけですが、施設隊がみずからの、自衛隊がみずからの安全を確保しつつ対応可能と判断をしたのであれば対応するということに尽きます。部隊長により個別具体的に判断されることになると考えております。

後藤(祐)委員 やるとはっきり言わないところは非常に残念ですが、配付資料の今の四ページのところ、まさにJICAの理事長である北岡伸一先生は、一番下のところ、「せっかくの法改正にもかかわらず、一キロあまり先の日本人の保護や輸送もできなかったのである。こんな馬鹿なことはない。」と。JICAの理事長が言っているんですよ。

 やると言ってくださいよ。何のために法改正したんですか。

稲田国務大臣 まさしく今回の駆けつけ警護は、そういった緊急の要請を受けて、人道的見地から、特に邦人からそういった緊急の要請を受けたときに、自衛隊員が、しっかり訓練をして、法的根拠に迷うことなく駆けつけて一時的な保護ができるように法改正したものでありますので、その法の趣旨に従いつつ、しっかり状況を見きわめた上で判断をするということでございます。

後藤(祐)委員 この国会審議で大臣がどう答えるかは、この後の自衛隊の現場での運用に影響を与えると思うんです。

 例えば、今私はあえてそういう御指摘を具体的なケースに即してさせていただきました。その中で、現場の判断でそういうことができるというような解釈ができるような答弁をすべきだと思います。今のも極めて中立的な、乾いた答弁で、こういうときに大臣の政治家が問われると思うんです。

 大臣、これはやはり日本人の場合と全く関係ない人の場合で違っていいと思うんです。JICAの、日本人だけじゃありません、現地の職員とかおられます、それを分け隔てしちゃいけませんよ。日本人の方がある程度おられる集団を救いに行く場合と、全く関係ない同じようなことをやっている集団を救いに行く場合、これは違ってしかるべきだと思うんです。

 資料の五ページでございますけれども、これは本日の朝日新聞ですが、岡本行夫先生ですけれども、「日本人が孤立していたら、少々のリスクがあっても助けに行かなければならないでしょう。しかし、他の国のPKO兵士が離れたところで警護を必要としているといった場合は、酷な言い方かもしれませんが、優先度が低いと判断するのもやむをえないと思います。」と言っておられます。

 国際貢献の観点からすれば、ここを分け隔てするというのは非常に苦しい判断です。ですが、日本の自衛隊は、憲法九条で、ほかの国の軍隊とはやれることが違います。安全の確保ができる能力も違います。そのような中で、危険を冒してでも、駆けつけ警護を含め、輸送も含め、救いに行くということについては、日本人を含む集団を救いに行く場合とそうでない場合は判断が違ってしかるべきではありませんか。

 これは、法律だとか閣議決定ではなくて、現場の判断でいいんです。現場の判断をするときに、やはり、JICAで頑張ってリスクをとって働いている人たちを救いに行くときは、ほかのところからお願いされた場合とはちょっと違って、多少の危険があっても救いに行くというのが、これは自衛隊員も納得感があるんじゃないでしょうか。

 自衛隊員というのは事に臨んではというお話を毎回大臣されますよね。日本国土が攻撃された場合、防衛出動の場合、それはどんなリスクを冒しても働いてくれるでしょう。でも、遠く離れた南スーダンの地で道路をつくっていて死んじゃいましたというんじゃ浮かばれないんですよ。だから、そのときにとるべきリスクはすごく低く見なきゃいけない。だけれども、日本人を救いに行くというのは、これは立派な仕事です。

 ぜひ、これは現場の判断でもいいんですが、日本人を含む集団からお願いされたときとそうでないときは違ってしかるべきだと思いますが、これは大臣の政治家としての答弁を求めます。

稲田国務大臣 まず、法律上はそういった区別はしていません。緊急的、人道的見地から、救える人は見殺しにしないんです。それは、日本人であろうが海外の人であろうが見殺しにしない。ただ、他国の軍人といった場合には、そういった必要性はまず考えられない。

 しかも、ここで岡本先生がおっしゃっているように、日本人が孤立していたら、少々のリスクがあっても助けに行くでしょう、しかし、他の国のPKO兵士が離れたところで警護を必要としていた場合は、酷な言い方かもしれませんが、優先度が低いと判断するのもやむを得ないと思います、こういったことが私は個別的な判断だというふうに思います。ただ、これは人道的、緊急的な判断であって、それを他国であるか自国であるか、そういうことは私は法律上も関係はないというふうに思います。

 しかし、この規定が入れられた経緯も、まさしく今委員がおっしゃっているように、今までの東ティモールの事案、それからザイールの事案、邦人が窮地に陥っていて、それにぴったりの法律がなくて、しかも訓練もしていなくて、そういったことでいいのか、それを現地の自衛隊にしわ寄せをしていいのか、そういうことからこの法律ができたという、その法の趣旨ということでございます。

後藤(祐)委員 そんなことでは自衛隊員はやりきれないですよ。日本国を守るため、日本国民を守るために自衛隊員は頑張っているんですよ。全く無味乾燥なその答弁、非常に残念です。

 今回の駆けつけ警護に対して、十月三十一日の共同通信の世論調査では、五七・四%の国民が反対、三〇・六%が賛成、非常に厳しい国民の意見です。

 それは、今みたいな答弁をしているからですよ。JICAの職員がああいう状態になっていたら、もちろん本当に危険なときは行っちゃだめですよ。それは危険度との関係は常にあります。だけれども、危険度との兼ね合いは現場が判断するんですが、そのときにやはり、日本人を含む集団のときはリスクの度合いというのは多少リスクがあっても救いに行く、だけれども、日本人を含まないような集団のときはよりそのリスクに関して慎重に見るという姿勢はあってもいいんじゃないですか。

 そういう説明を丁寧にすれば、国民のこの駆けつけ警護の付与についても考え方が変わってくると思うんですよ。そういうことを説明しないで今みたいな答弁をしていたら、いつまでたっても国民は支持しませんよ。そして、国民に支えられないと、自衛隊員はどういう気持ちで働いたらいいんですか。

 防衛省のトップとしての防衛大臣、政治家としての答弁をもう一回求めます。

稲田国務大臣 私が言っていることと、委員が言っていることの間に差があると私は思いません。

 私は、今まで何回も言ってきたように、なぜこの駆けつけ警護を新たに規定するようになったか。今までずっと、自衛隊員が日本人を救いたいと思って、その法律もなくて、訓練もなくて、自分自身がリスクを負って、しかも後から国会等で、またマスコミから批判される、そういったリスクも含めてとって、それで行っていたという状況。それを直して、しっかりと自分たちが対応できるときには、また今回駆けつけ警護任務を付与するに当たっても、ジュバにも少数かもしれませんけれども邦人がいるんだということなども含めて判断をしたわけであります。そういった個別的な、具体的な判断の中でやるものであります。

 しかし、法的に、法的にですよ、法的にも、まあ実際もそうですが、人道上の観点、緊急の観点からできること、見殺しにしないという意味においては、日本人も外国人も、それから、外国の軍隊の人でも一人はぐれて窮地に陥っている人だっているかもわからないじゃないですか、そういう人たちを分け隔てなく、しっかりと人道的見地から救うということを法的に決めているということでございます。

後藤(祐)委員 法的に決めている、閣議決定の対象は外国軍隊も含む、このことはもうさっきから明確になっています。いろいろな説明で想定していないというようなことを言っていますが、対象になっているということは今の答弁でも明らかなんですが、では聞きます。

 日本人を含まないような集団に対して駆けつけ警護に行く場合というのは、やはり国連の要請が必要だと思うんです。

 そもそも、この駆けつけ警護業務をこれからジュバにおいて行うということについて、これは国連の要請があったから今度やることにしたんですか。つまり、個別具体的に、あそこの人を今助けに行ってという話じゃなくて、今回の決定に至る包括的な意味において聞いております。この駆けつけ警護付与は、国連の要請に基づいて付与している話でしょうか。

稲田国務大臣 そもそも論ですけれども、そもそも、今までも、こういった規定がないために、また十分な訓練も行っていないがために、邦人を助けるに当たってそのしわ寄せがみんな自衛隊員に来てしまっている、こういう状況は直さなければいけないという今までの経験に基づいた要請、これが大きくあります。と同時に、国連の要請がないのかといえば、国連の要請もあったというふうに承知しています。

後藤(祐)委員 自衛隊員が他国の方を救いに行くのは国連の要請に基づいてやるんだというのは、それは一つ、自衛隊員にとっても、有意義な活動をするという意味においても大事な判断ではないかなと思います。

 それで、きょうの朝閣議決定されたこの実施計画の変更ですが、この中で、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には撤収するという表現が新たに入りました。これは、私が予算委員会で、ゴラン高原のときにこういう教訓という内部文書でこの記述があって、こういうことでいいですねと確認したら、大臣が予算委員会でその旨答弁していただいて、それが閣議決定文書に入ったことは評価いたします。

 ただ、ちょっと心配なのは、先ほどの升田委員の審議の中で、施設隊が行くんだけれども、その中には警備要員も含まれるという答弁がございました。

 この警備要員、いわゆる歩兵部隊が、今までと今後で、十一次隊でふえているんでしょうか、あるいは同じなんでしょうか。そして何人ぐらいいるんでしょうか。

 そして、これらの方々、警備要員にとって有意義な活動というのは、駆けつけ警護そのものだったりするわけです。だから、この有意義な活動というもの自体が駆けつけ警護になってしまうと、何だかよくわからない撤収基準になっちゃうわけです。そういう解釈ではないということでよろしいか、あわせて答弁いただきたいと思います。

稲田国務大臣 まず、人数は申せません。これはやはり手のうちに入るもので、人数は言えません。

 しかし、今、警備隊、警備員、警備を担当する警備隊員を、普通科ですね、ふやすのかというと、人数は変わりません。

 もう一つ、済みません。(後藤(祐)委員「有意義な活動」と呼ぶ)有意義な活動ですか。

 有意義な活動は、施設部隊が有意義な活動をするためにも、その施設部隊がしっかりと安全を確保しつつ活動をするためにも、ある一定の警備を担当する人は必要だと思います。

後藤(祐)委員 ちゃんと質問を聞いてください。

 要は、この警備要員、警備員なんて言わないでくださいよ、かわいそうに。警備要員の仕事というのは、まさにこの駆けつけ警護だったり、輸送だったり、リスクの比較的大きい仕事を担当されると思うんですが、自衛隊の安全が確保され有意義な活動が行える状態というこの有意義な活動というのは、施設をつくるとかそういうことを指しているのであって、駆けつけ警護そのものが有意義な活動ですと言ってしまったら、何だかわからない基準になってしまうんです。そういうことではないということでよろしいですねと聞いているんです。

稲田国務大臣 今おっしゃるとおりでございます。駆けつけ警護を有意義な活動ということを言っているのではありません。

後藤(祐)委員 それは大事な答弁だと思います。

 最後に、駆けつけ警護を付与する前にやらなきゃいけないことが一つあります。

 きょう、我々民進党は、自由党と一緒に法案を提出します。自衛隊員救急救命法案という法案を提出いたします。

 現場で実際に重傷を負うような自衛隊員が残念ながら出てくる事態が想定されます。そのときに、今の自衛隊員の持っている装備等では、米軍並みの救急救命はできると思えません。

 実際、これは我々もヒアリング等で元自衛隊員等から確認しておりますが、今の自衛隊員の装備や体制で、実際に重傷を負ったような自衛隊員がいた場合、第一線での救急救命は十分だとお考えですか。

 もし十分でないとするならば、我々は本日法案を提出いたしますので、これに基づいて、あるいは法律がなくてもできる部分はあると思いますので、防衛省として、第一線の救急救命、これに今までとは違う質の向上を図っていただきたいと思いますが、大臣の見解を問いたいと思います。

稲田国務大臣 今の御指摘は、予算委員会でも委員を初め御指摘をいただいたところで、私は大変重要な御指摘だというふうに思います。

 そして、南スーダンに派遣される第十一次要員については、第十次要員における運用状況や、現地における他国の医療部隊の医療体制を踏まえつつ、万一の事態の際も適切に対処できるようにする観点から、医官一名を追加して派遣するとともに、全隊員が装備する個人携行救急品を米陸軍の救急品と同様の機能を保持するよう、品目の追加を行うことといたしました。

 このように、第十一次要員において衛生隊員の充実を図っていますが、駆けつけ警護を行う場合には、的確な救命能力を有する医官や、救命救急士等の資格を保有する専門的な教育を受けた衛生要員をあらかじめ同行させることにより、万全の体制をとることを想定しております。

 その上で、さらに、やはり自衛隊の第一線救護能力を向上させる、これは大変重要なことだと認識をいたしております。部外有識者から成る防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会を開催し、その必要性について検討していただき、報告書をいただいたところであります。

 今、御党では法律を準備されているということですし、法律がなくてもできることもあるとおっしゃった。そのとおりだというふうに思いますので、そういった隊員の生命を最大限守るために、引き続き衛生支援体制の強化に努めてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 その報告書が、今のでまあ大丈夫だみたいな報告書なんですよ。

 大臣、これは、政治家ですから、今のでだめですと絶対言わないんですよ、役人は。今ので不十分なんです。ぜひその認識に立って、本当にこれで大丈夫ですかということを勉強されて、これは与野党関係ないと思いますので、政治家たる大臣がやれと言えば、こんなの十億、二十億でできる話なんですから、五兆円もある防衛費を考えれば安いものですよ。すぐやりましょう。

 終わります。

山口委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 本日、安全保障委員会で質疑に立たせていただきます緒方林太郎でございます。

 大臣、よろしくお願い申し上げます。そして、山口委員長にもよろしくお願い申し上げます。

 まず、本日、駆けつけ警護の閣議決定をされたということでありまして、先般の予算委員会でも聞かせていただきましたが、リスク論について冒頭議論をさせていただければと思います。

 私がなぜリスク論を何度も取り上げるかというと、決して、リスクが高いことをあげつらって、何かあおりたいとか、そういう思いは毛頭ございません。むしろ、リスクがあることを正しく判断して、それに対する対応をきちっとやることが重要だというその思いからでありまして、それが現場に行く自衛官の方々に対しても誠実な姿勢ではないかというふうに思うから、今回、この議論をまた冒頭やらせていただきます。

 大臣は、これまでの委員会答弁、十月十一日、参議院の予算委員会答弁で、「新平和安全法制、このPKOの駆け付け警護でございますが、これにつきましては、緊急やむを得ない場合に要請に応じて人道的観点から派遣をしている部隊が対応可能な限度において行うものでございます。したがいまして、そういった意味で新たなリスクが高まるということではなく、しっかりと安全確保をした上で派遣をすることになるというふうに思います。」こう答弁をしておられます。

 そして、翌日、衆議院の予算委員会、これは私の質疑でありましたが、「今までも自衛隊員はリスクを負って職務に邁進しており、平和安全法制の整備によって新たに付与される任務、例えば駆けつけ警護もそうでございますけれども、これまで同様にリスクがあるわけでありまして、私たちは、このようなリスクについて従来から一貫して深刻に受けとめており、あらゆる手段でリスクの低減を図っているということでございます。」こういう答弁でありました。

 端的にお伺いをいたします。

 今回の任務追加においてリスクは高まると思いますか、大臣。

稲田国務大臣 予算委員会の答弁を読んでいただいて、またその繰り返しになるんですけれども、新たな任務をふやしたからそれだけリスクが高まるということではなくて、そもそも、自衛隊の任務にはリスクがあります。それを軽視したことは一度もないんですね。

 そして、新たな任務を付与するに際しては、今申し上げました、非常に限定された、緊急の、人道的な、しかも、安全を確保しつつ、対応できる範囲で行うということですし、さらに、訓練を十分にしているわけです。

 ある意味、例えば東ティモールやザイールで、この任務の付与がなくて、訓練もしていなくて、法的な根拠もなくて行くことに比べて、しっかり安全を確保する、訓練をするということは、その意味において私はリスクの低減にもつながってくるというふうに思います。

 そういう意味で、私は、リスクを軽視しているということではなくて、任務をふやしたからその分リスクがふえる、そういう問題ではないということを申し上げているところでございます。

緒方委員 その答弁は何度もお伺いをいたしました。先般も、一足す一足す一が三のような、そんな考え方ではないのだというお話もしておられました。それを全て踏まえた上で、あえてお伺いをしています。

 リスクというものは定量的に判断をしていくというのが基本だと思いますが、その定量的に判断をしていく際のリスクの量というのがふえておりますかということを聞いております、大臣。

稲田国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、リスクはあります。自衛隊の任務にリスクはあります。

 しかし、この任務とこの任務とこの任務を加えたから、一足す一足す一イコール三というようなそういうことではなくて、しっかりとリスクを低減させて、安全を確保し、しかも訓練もし、これが何にもないときに比べたらリスクは減ったと言える部分もあるわけでありますよね。

 そういう意味において、そういう足し算的なリスクの議論をするということではないのではないかということを繰り返し申し上げているところでございます。

緒方委員 この分野にかかわらず、さまざまなリスク管理のときに、リスクがふえるか減るかという議論というのはどの分野でもございます。

 今の大臣の答弁を聞く限り、ある、変わらない、だけれどもしっかり対応していく、そういった答弁だったと思いますけれども、リスクの増減については御答弁しないということですね、大臣。

稲田国務大臣 答弁をしないということではなくて、そのリスクの考え方自体を私はるる繰り返し申し上げているところでございます。

緒方委員 同じ質問になりますけれども、ふえるんですか、減るんですか、大臣。

稲田国務大臣 答弁がまた繰り返しになって恐縮でございますけれども、リスクはあるんです。常にリスクはある。

 しかし、新しい任務を二つふやしたら二ふえた、三ふえたということではなくて、例えば駆けつけ警護についても、しっかり訓練をして、法的根拠を与えることによってリスクが低減する場面もあるわけですね。そういう側面もあるわけですね。

 ですから、単純に、ふえたとか、そういう議論をしているわけではないということでございます。

緒方委員 お答えいただけないようなので、質疑を進めていきたいと思います。

 リスク計算というのは、基本的に、客観的にやるべきものでございまして、どの分野でもそうですが、危害の大きさ、英語でハザードです、そしてその起こりやすさ、ライクリフッドであります、この二つを掛け合わせて計算するということになります。そして、新しい分野が加わった以上は、その新しい分野に伴うハザード、危害の大きさというのは当然追加的にこれは加わってくる。この部分は加わってきます。

 ただ、大臣のように、何か物事をやれば、必ずそれに伴うハザード、危害の大きさがあるわけでありまして、けれども、リスクが仮にふえないとするということであれば、それは、起こりやすさ、英語でライクリフッドと言いますが、これがゼロと判断しているということなんじゃないかと思うんですよね。

 新しい任務を付与した、それに伴う危害の大きさ、例えば飛行機に乗るときの、飛行機が落ちたときの危害、そういうようなイメージですよね。そういうことが、必ず何か新しい分野を任務としてやれば、それに伴うハザードがあります。それに伴ってリスクが仮にふえないとするのであれば、起こりやすさ、その部分がゼロと判断しているということなんじゃないかと思うんです。

 それは、私からすると、安全神話じゃないかと。ハザードが存在していて、けれどもリスクがゼロというのは、掛け合わせるわけですから、危害の大きさと起こりやすさを掛け合わせてリスクであるときに、その起こりやすさをゼロと判断しない限りリスクがふえないと言えないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 恐縮ですが、リスクがゼロだと言ったことは一度もありません。常にリスクはあるんです。

 しかし、それが、新たな任務をふやしたから、一足す一足す一は三というような、そういうものではなくて、例えば、何度も言いますけれども、駆けつけ警護、しっかり訓練をしている場合と、訓練をせずにやる場合、どちらがリスクが高いか。共同防護もそうですよね。ある意味、運命共同体で、その共同で防護することの方がそこに宿営している自衛隊員のリスクを低減するという意味もありますよね。

 そういう意味において、私は、ふえたというようなことを議論すべきではないということを申し上げております。

緒方委員 では、確認でありますが、今回、PKO全体のミッションのリスクとして、今回のミッションを新たに付与することによって、既存のこれまでやっていたミッションのリスクが下がります、その部分でふえる分のリスクを補填している、そういうイメージですか、大臣。

稲田国務大臣 そういう足し算的なものではなくて、リスクがゼロになることはない、必ず常にリスクがある、そういったことを前提に置いて、どうやったらそのリスクを低減できるかということをしっかりと考えていくということでございます。

緒方委員 私、足し算のようなことをしているつもりは毛頭ないわけでありますが、ただ、リスクというのを客観的に判断しようとするときに、危害の大きさ掛ける起こりやすさ、これはどの世界でもリスクを考えるときの基本であります。

 そうすると、大臣の考えていることをもう少し明確にしたいので、お伺いします。

 今回、新しいミッションが加わることによってリスクがどうなるかということについてお伺いしたいんですが、既存のリスクと変わらないだけのリスクがあるだけであって、その分がふえないと言っているのか、それとも、新たなミッションがふえたことによってリスクの総量が変わらないと言っているのか。

 もう一度説明しますと、これまでの既存のリスク量があって、それと同じ水準のリスク量の分だけ、新たなミッション分だけくっつくということなのか、新たなミッションが加わることによってリスク全体の総量は変わらないと言っているのか、どちらですか。

稲田国務大臣 そもそも出発点が、私は、一足す一は三、三引く二は一というような考え方をしていないので、ちょっと、そもそも委員ともしかしたら出発点が違うのかなというふうに思います。

 リスクはあるんです、いかなる場合も。リスクはあって、そして、そのリスクを低減させるためにどうやったらいいかということを努力をしつつ、新たな任務もふやしていっている。なので、一足す一イコール三、新たな任務がふえたから三リスクはふえた、それを減らしてマイナス二だというような、そういう考え方ではないということでございます。

緒方委員 客観的に判断をすべきなので、私、あえてこういう掛け合わせる方式のリスクの定義を言っているわけであります。

 大臣と話をしていると、もう一つちょっと気になることがあって、リスクがあるということと、そのリスクに対応するという話がごちゃまぜになっているんじゃないかという気がするんですね。

 リスクが高いけれども、それに対してしっかり対応していくというのは、これはそのとおりであります。ぜひ頑張っていただきたいと思います。ただ、それは、別にリスクが低いということを言っているわけじゃなくて、高くなるんだけれども、高くなることに対してしっかりと対応していきますということを今大臣が言っているんじゃないかと思うんです。違いますかね、大臣。

稲田国務大臣 リスクといった場合に、質も量もありますので、いろいろな考え方があると思います。

 ただ、私は、委員のような、足し算をして、そこからマイナスをするというような考え方ではなくて、そうではなくて、しっかりとリスクがあるということを前提にした上で、それを低減させることをやっていくということでございます。

緒方委員 大臣の話、あえて例えると、富士山に登るときとエベレストに登るときを比較してみて、エベレストに登るとき、物すごく装備をしっかりしていきます、準備もしっかりやっていきます、だから、エベレストに登るときの方がリスクが低いんですと言っているような、そういうように聞こえるんですね。そういうことではなくて、もともとリスクが高いけれども、だけれどもしっかり対応するということ、これを明言して、私は言うべきだと思うんです。そちらの方が誠実だと思います。

 今よりもより厳しい任務をするわけですから、リスクが高くなっています。高くなっているけれども、遺漏なきを期して、そしてそれをしっかりやっていくんですと言う方が、私は、現場に行く自衛官との関係で誠実だと思います。

 リスクは変わらないとか、参議院の予算委員会で言ったみたいに、新たなリスクが高まることがないとか、こういう答弁はやめた上で、高まるけれどもしっかりやると言う方が誠実だと私は思いますが、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 繰り返しになりますけれども、任務がふえるからといって、その分だけリスクがふえるというような考え方はしておりません。そういった意味で、きめ細やかな準備と安全確保対策を講じて、あらゆる面でリスクを低減する取り組みを行います。

 繰り返しになりますが、駆けつけ警護だって、訓練をしないで法的根拠もなく行くのと、今のようにしっかり訓練もし、そして法的根拠もあって行くのと、どうなのかという議論もあり得ます。共同防衛もそうです。共同防衛することによって、日本の自衛隊の宿営地の安全がさらに高まるという意味もあります。

 そういう意味において、単純に、この任務をふやしたからリスクがふえるというような考え方はとっていないということでございます。

緒方委員 議論は全くかみ合いませんが、これ以上やっても仕方がないので、次の議論に移りたいと思います。

 次に、これまで後藤議員とも予算委員会等々で議論されておられました戦闘行為という概念についてですが、これはこれまでも、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し物を破壊する行為と日本の法律では定義をされているということであります。

 そして、これとは別に、武力紛争という概念がありますね。これについてですが、先般、内閣官房、内閣府、外務省、防衛省で、共同クレジットで作成された派遣継続に関する考え方というペーパーを見させていただきました。そこで、武力紛争とは何ぞやということについて記載がございまして、「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為」ということで書いてございました。

 まず、認識をお伺いしたいと思います。これでよろしいですか。

稲田国務大臣 今、お読みになりましたか、その部分、全部。(緒方委員「はい、読みました」と呼ぶ)

 ここに書かれているのは、南スーダンの状況は極めて悪く、多くの市民が殺傷……(緒方委員「その上」と呼ぶ)その上ですか。他方、PKO五原則については、憲法に合致した活動であることを担保するものである、この場合、議論すべきは、我が国における、法的な意味における武力紛争が発生しているかであり、具体的には、国または国に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為が発生しているかであると書いてあります。そういうことです。

緒方委員 それで結構であります。済みません。

 そうすると、戦闘行為というのは何かということだと、法律に書いてあるとおり、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」となっています。法的な意味における武力紛争ということについては、「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為」というふうになっております。それでよろしいですね。

 これを見てみると、非常に奇妙な感じがいたしまして、武力紛争を説明するときに戦闘行為という言葉を使って説明しているんです。戦闘行為という言葉を説明するのに武力紛争という言葉を使って説明しているんです。論理がどんどんループしていって、何が戦闘行為で何が武力紛争かというのは論理的に自家撞着を起こすんですね。無限ループになるんです。

 戦闘行為を説明するときに武力紛争という言葉で説明し、武力紛争という言葉を説明するのに戦闘行為という言葉を使っていると、それぞれ、お互い、何なんですかと言われると、もうほとんど意味が通じなくなるということでありますが、これは自家撞着じゃないですか、大臣。

稲田国務大臣 いずれにいたしましても、PKOにおける戦闘行為にしても武力紛争にしても、要するに、紛争当事者が国または国準の、国際間の紛争というのはまさしくそうじゃないですか。国または国準対国または国準の紛争であって初めて国際紛争であって、そこに、キーというか重要な定義というのは、国または国準との間の武力の紛争であるかどうかということだと思います。

緒方委員 そういうことを聞いていないんです。そうではなくて、単に論理的な話をしていて、Aを説明するのにBという概念を使って説明し、Bという概念を説明するのにAという概念を使って説明すると、結局、AとBは何なのだということについて全くわからなくなるでしょうということを聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 いずれにしても、いずれにしてもと言うとちょっとあれですけれども、両方の定義ともに、国または国準、国または国準間の武力の紛争であるということは共通をしているわけですよね。なので、私は、それが矛盾するとか説明がつかないということではないと思います。

緒方委員 けれども、そうすると、どんどん議論がループしていって、Aを説明するのにBを使って、Bを説明するのにAを使って、では、Bを数学的に代入していくととか、何かそういう話になるので、意味がわからないんですね。

 結局、結論として、何が戦闘行為で何が武力紛争かということについて、今のこの二つの定義を重ね合わせたときに、議論がどんどんループして、リアルなものとして何が戦闘行為に当たるのか、何が武力紛争に当たるのかというのをイメージできないわけですよ。全くできないんですよ。

 だって、そうじゃないですか。戦闘行為というものを説明するときに、「国際的な武力紛争の一環として行われる」と書いてあります。そして、「国際的な武力紛争」の「武力紛争」というところに武力紛争の定義を入れていくと、ここにまた戦闘行為が出てくるわけです。戦闘行為という言葉を説明するのに、戦闘行為という言葉を使わないと説明できないというのは意味をなさないでしょうというふうに言っているんです、大臣。

稲田国務大臣 戦闘行為にしろ、PKO五原則の武力紛争にせよ、何が問題かというと、日本の自衛隊の派遣が、憲法九条に違反する武力紛争に巻き込まれ、一体化するものであるかどうかを見るわけですよね。ですから、国または国準、国または国準の間の武力による戦闘行為、これが問題であって、そうであるかどうかを見ることが重要だという点において、別段、矛盾はしていないと思います。

緒方委員 国または国に準ずるとかいうことというのは、法律に、法律用語として、解釈としては出てきていることはよく知っておりますが、あくまでも私は法律の定義に基づいてやっているわけです。

 何度も言いますけれども、今の状態だと、本当に論理がぐるぐるループして、その結果として、何となくイメージがつくけれども、実際に何が戦闘行為で何が武力紛争かということについて本当によくわからないんです。

 これは別に、何か嫌がらせをしたいとかそういうことではなくて、単なる、二つ並べて考えてみたときに、全く意味がわからないなと私が思ったから聞いているんです。

 大臣、何度も言うとおり、論理がぐるぐるループして、それで再度、目の前で、では、これが武力紛争なのか、これが戦闘行為なのかということがわからない。例えば、国または国に準ずるとあるかもしれないけれども、では、それ以外の要素で、何が起こったら戦闘行為なのか、何が起こったら武力紛争なのかというものの指標に、今の定義だと全く対応できていないんですね。対応できないと思います。

 大臣、目の前で起こっていることを判断するためには、今の定義、自家撞着を起こしている定義では、全く現場の判断に資さないと思います。おかしいと思いませんか。

稲田国務大臣 まず、武力紛争を法的に定義した規定というのはありません。

 そして、私は、ちょっと質問が混乱しているんじゃないかと、失礼なことを申し上げますが。

 それは、結局、戦闘行為にしても、武力紛争にしても、これを定義することの意味は、何度も申しますが、憲法九条の、武力の紛争に巻き込まれるとか武力行使と一体化するとか、そういう議論との関係で問題になるわけです。なので、国際的な紛争というのは、まさしく国と国準、国準と国準でもいいかもわかりませんが、そういう場合になって初めて九条の問題が出てくるわけですね。

 では、国または国準とは何なのかといったら、系統立った組織かどうか、それから確立した支配領域があるのかどうなのか、国に準ずるような組織であるのかどうなのかというところを見て、そういう紛争であるかどうかということがまさしく重要なんです。そこを私は申し上げているわけであります。

緒方委員 私も武力紛争に対する法的定義がないとずっと聞いていたので、ああ、そうなのかと思っていたら、役所から出てきた資料に御丁寧に武力紛争とは具体的にはと書いてあるので、それを見たときに、全く論理がつながらないなというふうに思ったわけですよ。

 別に私、混乱も何もしていないです。混乱しているのは政府の解釈の自家撞着でありまして、ここが混乱しているから大臣に御理解いただけないんだと思いますが、法律で定義されている戦闘行為と、ここで出てきている武力紛争の間の、その二つを重ね合わせたときにおかしなことになるでしょうということを聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 もう一度整理をいたします。

 武力紛争は、国家または国家に準ずる組織の間で武力を用いた争いが生じているかどうか、ここを見ます。そして、戦闘行為は、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷しまたは物を破壊する行為でありますので、武力紛争があることを前提として、人を殺傷しまたは物を破壊する行為に着目した概念が戦闘行為でございます。

緒方委員 わかったような、わからないような感じがしますが。

 結局、今、私が言っている論理のループについてお答えがいただけなかったので、ちょっと別のアプローチから戦闘行為というものを捉えてみたいと思います。

 戦闘行為という言葉なんですが、日本語で書いてみると、戦闘行為、いろいろな意味合いが含まれているわけですが、これは外務省、事務方でも結構でありますが、戦闘行為の英訳は何ですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 使われる場面においていろいろな表現が出てくるかと思いますけれども、多くの場合にはコンバットという表現が使われております。

緒方委員 そうなんです。

 国際条約をいろいろ見ていても、日米地位協定で非戦闘行為という言葉が出てきますが、これはノンコンバットアクティビティーズと書いてあります。ということは、普通に類推すると、コンバットということだと思うんですね。恐らく、国際条約上、外務省と内閣法制局でやるときもコンバットだと思うんですけれども、それではお伺いをいたしたいと思います。

 国連の南スーダンの現状を説明する報告書で、私ずっと読んでいますと、コンバットという言葉が結構出てくるんですよね。かなり出てきます。二〇一六年九月十九日専門家パネルの報告書でも、南スーダンでコンバットやコンバットアクティビティーズが起こっているということが書いてございました。

 国連的には、コンバットが起こっていることというのは共通認識だと思うんですけれども、これでも戦闘行為が行われていないと言うその理由は何ですか。

稲田国務大臣 先ほど来、委員からの御質問にお答えをして、最終的に整理をいたしましたように、武力紛争は、国または国家に準ずる組織の間で武力を用いた争いが生じる、これは九条との関係で問題になるということもるる申し上げてきました。

 その上で、我が国は、戦闘行為を「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」というふうに定義づけておりますので、武力紛争、すなわち国または国準の間の紛争があることを前提とした上での人を殺傷し物を破壊する行為が戦闘行為であります。

 南スーダンの状況がどうかといいますと、いまだ、国または国準の組織があらわれ出て、そして、その間で武力を用いた争いが生じているという場合には当たらないということを申し上げております。

緒方委員 ということは、日本で定義するところの戦闘行為というのと、国際社会で通用する戦闘行為に相当すると思われる言葉のコンバットの間には差異があるということですね、大臣。

稲田国務大臣 我々の法律において戦闘行為がどう定義づけられているかということが重要だと私は思います。

緒方委員 国際社会の認識と日本の定義の間にはずれがあるということはお認めになりますね、大臣。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊法の八十四条の三の一号でございますけれども、戦闘行為の定義といたしまして、「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為をいう。」ということでございます。日本の法体系におきましては、こういった言葉で位置づけられております。

 国連におきまして、コンバットという言葉が何ら法的定義を持って位置づけられているということは承知しておりません。

緒方委員 だけれども、戦闘行為に当たる外国語があるとしたらそれはコンバットという言葉だから、それで国際社会でみんなそういうふうに思ってやっているわけですよ。その間に差異がありますよねと。

 日本は、戦闘行為はないと言っているんです。けれども、国連の文書を見てみると、コンバット、コンバット、コンバットと、山のように出てくるわけですよ。そうすると、日本が定義しているところの戦闘行為は存在しないけれども、その英訳として最も適当であると思われるコンバットが存在している状態は存在しているということにきっとなるんだと思います。

 なので、日本の戦闘行為の考え方というのは、国際社会でそのまま通用するものではないという理解でよろしいですね、大臣。

稲田国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、我が国の法律で戦闘行為が定義づけられているわけです。そしてそれは、武力紛争を前提とした行為を戦闘行為としているわけです。

 それが国際社会からどうかということを申しますと、我が国には憲法があるんですよ。九条があるんです。なので、武力紛争に巻き込まれているかどうか、九条に違反しないかどうかをしっかり見ていかなきゃいけない。その意味において戦闘行為を法的に定義づける必要があって、そういう法的な意味での戦闘行為ではないということを申し上げているわけです。

緒方委員 だから、それでいいんです。差がありますねということを聞いているんです、大臣。

稲田国務大臣 差があるというか、我が国は、憲法があって、その憲法に適合するかどうかを、しっかり戦闘行為に当たるかどうかを見なければならないという状況だということを申し上げているわけでございます。

緒方委員 これは実は同じことが言えるわけでありまして、武力紛争についてもそうですが、武力紛争は、英訳は恐らくアームドコンフリクトだと思いますね。これでよろしいですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 これも使われる場面によっていろいろと表現は変わる可能性はありますけれども、多くの場合にはアームドコンフリクトになると思います。

緒方委員 これも全く同じでありまして、国連の安保理決議、これは日本が非常任理事国として賛成をしている決議でありますが、南スーダンの現状を表現する言葉としてアームドコンフリクトという言葉が何度も出てきます。

 日本の解釈では、武力紛争は存在をしないというふうに今言っておられると思いますが、国際社会的には、それに対応する言葉としてのアームドコンフリクトが南スーダンの現状を形容する言葉としてどんどんと使われます。

 現在、国際社会的には恐らく、南スーダンの中ではアームドコンフリクトが存在しているというふうに認識をしていて、日本の武力紛争の考え方とは若干差異があると思いますけれども、これはこれでよろしいですね。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 PKO法上、武力紛争という言葉はございます。これは、政府としては、従来より、これに該当するか否かについては、事案の態様、当事者及びその意思等を総合的に勘案して個別具体的に判断することとしております。

 それから、武力紛争は、先ほど大臣が答弁されましたとおり、国または国に準ずる組織の間における武力を用いた争いというふうに定義をしております。

 国際社会、国連におきまして、アームドコンフリクトという言葉がそういった法的定義を持つものかどうかは承知しておりません。

緒方委員 しかし、日本が賛成をしている安保理の決議でも、南スーダンの現状を形容する言葉としてアームドコンフリクトという言葉がたくさん出てきます。

 ということは、そういうものがあるということは、日本として合意をしているということでよろしいですね。日本の定義である武力紛争ではなくて、アームドコンフリクトが今南スーダンに存在をしているということはお認めになりますね。よろしいですか。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 国連等の決議におきまして、我が国における武力紛争あるいは戦闘行為等の定義を前提としているわけではございませんので、この場合には、国際社会の一般通念として我が国もこの決議に参加しているということになるかと思います。

緒方委員 だから、そこは違いがありますねということを聞いています、外務省。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国で使っているものと国連における決議との間で同一ではないということは申し上げられるかと思います。

緒方委員 同一じゃないということは御答弁をいただきました。結構重大な答弁ではないかと思います。

 それでは、あと、時間も限られておりますので、質問をかえまして、南スーダンの現状についてお伺いをいたします。

 七月に生じた暴力、バイオレンスに対する独立特別調査のサマリーが最近出まして、それを読んでみました。

 結構いろいろな表現が出てくるんですが、まず、危機が生じた、クライシスだと。集中的な戦闘がある、インテンスファイティングだと。そして、多くの民間人及び二名のPKO要員が亡くなっていると。さらには、脆弱な和平合意の崩壊と書いてあります。コラプス・オブ・ザ・フラジャイル・ピースアグリーメントと。危機は無制限の暴力を首都にもたらした。無制限、アンリストレインドという言葉が使われています。戦闘員は破壊と苦悩の痕跡を残した。そして、国連要員、援助関係者、ローカルスタッフは、武装兵に奪われ、打ちのめされ、レイプされ、そして殺されたと書いてあります。

 かつ、これまでの政府からの聞き取りで、衝突がある、敵対行為もある、多くの国内避難民が生じているといったことを全て認めています。

 これだけの事実認定があるにもかかわらず、武力紛争がないと言うのは、かなり難しい議論なんじゃないかなと思うわけですが、さっきから申し上げます、特に重要なのは、国連の報告書で、脆弱な和平合意の崩壊と書いてあります。もともと和平合意が存在をしていて、そこが脆弱であって、しかも、それがコラプス、崩壊したと書いてあります。これでも武力紛争がないと言う理屈は何ですか。

稲田国務大臣 何度も繰り返しの答弁になって恐縮ですけれども、武力紛争は、国または国準間の武力を用いた争いです。

 なぜこの武力紛争ということを我が国はしっかりと見なきゃいけないかというと、これは、憲法九条との関係で、武力紛争があるかないかをまず確認しなきゃいけない。そういう意味で、国または国準間での武力を用いた争いが生じているとまでは言えない。すなわち、反主流派のマシャールさんは国外に逃亡して南スーダンに戻ることすらできていない、系統立った組織でもない、確立した支配でもない、なので武力紛争ではない。これは憲法上の問題であります。

 と同時に、何度も言いますように、PKO五原則が守られているからといって、それで十分ではなくて、自衛隊が身の安全を確保しながら有意義な活動ができているかどうか、それはしっかり見ていかなきゃいけない。その中で、今おっしゃったような停戦合意がどうなのか、七月のあの苛烈な武力衝突が今ジュバではどういうふうに収束しているか、そういったことをしっかりと見ていくということでございます。

緒方委員 それでは、今の定義でいきますと、ゲリラ的に動いているとか、決まった支配地域がない人間がどんなに激しい攻撃をしても、どんなに熾烈な戦いが繰り広げられたとしても、その勢力が支配地域を持たない、そして系統立っていないと、それは何をもって系統立っているかというのは難しいと思いますけれども、それがどんなに激しくなったとしても、PKOを出すかどうかというのは抜きにして、その激しさの度合いがどんなに高まったとしても、少なくとも日本が理解するところの武力紛争には、支配地域がない限り、絶対に武力紛争に当たらないという理解でよろしいですね、大臣。

稲田国務大臣 武力紛争に当たるかどうかは、憲法九条に違反するかどうかなんです。それが全てじゃないんですよ、PKOでは。それが全てじゃなくて、それが満たされた上で、しかも安全を確保しつつ有意義な活動ができるかどうかがすごく重要なんです。そういう意味で、武力紛争ではないということです。

緒方委員 今の確認でありますが、私は、PKOを出すかどうかということを一言も今聞いていません。武力紛争の定義との関係で今お伺いをしているのは、支配地域を持たない、系統立っていない、しかし非常に強い重火器を持っている、そういう部隊が、どんなに激しい衝突とかそういったものを起こしたとしても、どんなにその危機の度合いが高まったとしても、それは日本が定義するところの武力紛争には当たらない、今そう答弁されたと思いますけれども、当たらないということでよろしいですね。

稲田国務大臣 九条に違反するかどうかは、国または国準との間の武力を用いた争いですから、その一方当事者が、マシャールのように国外に逃亡して、系統立ったものを持っておらず、支配地域を確立していない、その限りにおいて武力紛争ではない、法的な意味における武力紛争ではないということです。

緒方委員 最後の答弁も結構重要だったと思います。

 以上であります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 民進党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、三十分の時間をいただきましてありがとうございます。

 私も、まずは南スーダン関連の質問から入ってまいりたいと思います。

 まず、稲田大臣は十月に南スーダンを訪問して現地の状況を確認されてきたと、きょうの質疑でもるる説明がありました。

 私からは、まずこの問題では、稲田大臣の南スーダン訪問では、現地要人との面談、これは、ヤウヤウ国防副大臣、ロムロ内閣担当大臣ほか、閣僚五名、ロイUNMISS事務総長特別代表と会談したというのが防衛省の資料で明らかになりました。

 そして、その後、今度は三週間後に柴山総理補佐官が南スーダンを訪問したと。このときは、キール大統領、タバン・デン第一副大統領、そしてロイUNMISS特別代表と会談しているということでございました。

 これは、そもそも、カウンターとなる相手、面談する相手、大臣と補佐官と役割が逆なんではないでしょうか。大臣が行ったときは国防副大臣、補佐官が行ったときはしっかり大統領と第一副大統領と会っている。

 普通は、補佐官が先に行って、大臣が後で大統領と面談して、今回の新任務を付与するかどうか、こういう重要なことを決定するのが普通だろうと思うんですけれども、大臣、これはどういうことでこういうふうになったのか、あるいは外務省にはこういうことはよくあることなんでしょうか。何となく、私は、大臣の出張が国会で言われたからばたばたと決めて、本当に意味があったのは補佐官の出張に思えてしまうんですけれども、こういう認識について、大臣、どうでしょうか。

稲田国務大臣 先月の八日に南スーダンを訪問しましたが、この訪問は、南スーダン派遣施設隊の活動状況を把握、視察するとともに、南スーダンの政府関係者等との意見交換等を目的としておりました。

 視察先としては、派遣施設隊の宿営地、また宿営地が所在する国連トンピン地区に加えて、七月の衝突事案の際に死傷者が出たUNハウス地区や、市内のナイル架橋工事現場にも足を運んで、移動経路を含めて、ジュバ市内の様子を確認したところです。その際、女性や子供も単独で歩いているなど、市民も平常どおりの生活を送っている様子を確認することができて、改めて、現在のジュバの治安情勢が比較的落ちついていることを自分の目で確認することができました。

 南スーダン政府関係者との意見交換については、今御指摘のとおり、私のカウンターパートである国防大臣との会談をまずは調整しておりましたが、マニャン国防大臣は当日不在であり、ヤウヤウ国防副大臣及びロムロ内閣担当大臣等五名の閣僚、さらには参謀長との会談を実施したところです。また、ロイUNMISS事務総長特別代表とも会談を実施しております。

 このように、先般、私の南スーダン出張における会談相手先及び視察先は、出張目的に鑑みて適切に選定をしたものというふうに考えております。

 なお、先月三十一日から今月一日にかけて、柴山総理大臣補佐官も南スーダンを訪問しております。

 この訪問は、先月二十五日、すなわち私の視察の後ですね、南スーダン国際平和協力業務実施計画が変更されて、まずは期限が来年の三月末まで延長されたということを踏まえて、安倍総理からの指示に基づいて、南スーダン政府要人及びUNMISS幹部との会談を行うことなどを目的としていたものと承知をいたしております。

 柴山補佐官がキール大統領と会談したのは、安倍内閣総理大臣からの親書を手交するのが主たる目的であったというふうに承知をいたしております。

 このように、両出張における会談相手先は、それぞれ目的に鑑みて適切に選定されたものでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 今大臣が説明された内容については、そうだと思いますよ。ただ、大臣が副大臣と会い、補佐官が大統領と会って、その後新任務が付与されるという、結果だけを見ればこういうことでございますが、外務省、副大臣に伺いますけれども、これは違和感がありませんか。

薗浦副大臣 それぞれの立場に応じて、カウンターパートとなるべき防衛大臣が行かれて、国防省の組織で仕事をしている人間とお会いになるということに関して、我々もさまざまなレベルの人間にお会いすることがありますので、特に違和感を感じることはないと思います。

青柳委員 違和感ないということですが、違和感があるという意見も多くあるということは御指摘しておきたいと思います。

 それでは次に、新任務、駆けつけ警護について、きょうも質疑でいろいろ答弁ございましたけれども、現地で要請があれば、限定的で、人道的で、緊急性で、そしてさらに、対応できる範囲であれば対応していくということですが、この地理的要件、ジュバ市郊外でも、国連施設外でも任務が行われることはあり得るんでしょうか。あり得るとすれば、そうした想定される範囲をしっかりと大臣は今回見てきたのかどうかについても改めて確認をしたいと思います。

稲田国務大臣 今回、ジュバ及びその近郊ということで、施設部隊が活動するわけですが、駆けつけ警護も、そうした緊急な要請を受けて、人道的見地から、対応できる範囲で行うものなので、そういった施設部隊の活動の範囲に限られるということでございます。

 その上で、私がそこを全部見てきたのかと言われますと、私が見ましたのはジュバ市内でございますので、今、例えば施設隊が砂利を運んだりしておりますけれども、私が行ったときにはやっていませんでしたが、近郊まで全て見たのかというと、そこまでは行っていないということでございます。

青柳委員 これも最初の質問に関連しますけれども、大臣は、出張について、何かばたばたと準備して出張したんじゃないか。十分準備して出張されたとはとても思えない内容でした。しかも、宿泊もされていない。新任務を付与し、駆けつけ警護が想定される範囲を、本当に安全なところしか見ていない。これで本当に、現地の治安情勢を鑑みて、責任を持って今回の新任務を付与する判断をしたと言えるんでしょうか。もう一度答弁をお願いしたいと思います。

稲田国務大臣 ジュバ市内以外のところには行っていないという意味において、そこは見ていないじゃないかという御指摘だと思いますが、もちろん、私が見た範囲で比較的安定しているということは、目で見てというか、もう肌身で感じて、私はそれを感じることができました。その上で、自分が見たものだけではなくて、現地でさまざまな報告も受けております。さらには、その後、帰ってきてからも、行く前もそうですけれども、さまざまなルートから連日いろいろな報告を受けております。

 そういったことなども含め、さらには補佐官も実際に行かれて私と同じような感覚を持たれたわけでありますけれども、いろいろなことを総合して、ジュバ及びその近郊は比較的安定しているという判断をしたわけであります。

青柳委員 その出張の日程については不十分という意見が多くあるということをまた再度指摘しておきたいと思います。

 もう一つ。十一日の報道でございますけれども、国連のアダマ・ディエン事務総長特別顧問が、最新の南スーダンの状況について発言しております。政治的対立が完全な民族紛争になり得るものと変質した、ジェノサイドに発展するおそれがある、その兆候が存在している、こういうふうに十一日に発言しておるわけでございます。民族紛争にもう変質しているということです。

 こうした状況でも、日本の政府、我が国政府は、PKO五原則は維持されているというふうに判断して、今回、駆けつけ警護、新任務を付与する第十一次隊の派遣も決定したわけでございますけれども、大臣、本当に、最新の情報をしっかり情報収集して、その上で的確に判断しているのか、そして、このアダマ・ディエン国連事務総長特別顧問の発言についてどのように理解されておりますか。

稲田国務大臣 ディエン・ジェノサイド予防担当国連事務総長特別顧問は、とめるための行動がとられなければジェノサイドに発展しかねない兆候が存在するというふうに述べつつ、同じ会見の中で、現時点では、南スーダンで起きている事案は民族浄化ではなく、ジェノサイドは起きていないというふうに述べたと承知をいたしております。

 しかし、委員御指摘のとおり、南スーダンの治安状況は極めて悪く、武力衝突や一般市民の殺傷がたびたび生じていることも事実であります。その原因はさまざまあるというふうに考えられ、特定することは困難ですけれども、特定の民族をターゲットにした殺傷事件が生じた、そういう報道があることも承知をいたしております。

 南スーダンの平和と安定の実現には、民族間の融和を進めていくべきであり、包摂的アプローチをとる衝突解決合意の履行が重要だというふうに感じております。

 国民統一暫定政府が引き続き合意履行に取り組むよう、我が国としても国際社会と協力してまいりますし、いずれにせよ、南スーダンにおいて人権、人道上の問題が生起していることは憂慮しており、引き続き、人権、人道状況を含め、南スーダンの情勢を注視してまいります。

青柳委員 つまり、南スーダンの治安情勢はまだ非常に悪いということは大臣も認めているところでございます。

 そして、これまでの答弁で、駆けつけ警護については、対応できる範囲で対応する、人道的で、緊急性がある。つまり、要請があっても断ることができるというのがきょうの質疑の中で明らかになってきていることだと思いますけれども、一方、もう一つの重要な任務である宿営地共同防護、これは、私は説明を聞く限りでは、この業務というのは、いわば運命共同体の業務なので、基本的にどういう状況であっても断ることはしませんという説明を昨日受けました。この認識で間違いありませんか。

辰己政府参考人 宿営地の共同防護につきましては、まさに、運命を共同する、宿営地にいる部隊同士がお互いの安全を高めるためにやるわけでございます。当然、ふだんから、そのためには訓練をする必要がございます。これまでは、訓練にも参加できず、また、これを共同で防護するには計画をつくる必要がございます、そういう計画にも参画できなかった、そういうことがございます。今後は、そういった宿営地の全体の警備計画ですとか、それから訓練にも参加することになります。

 その上で、襲撃があった場合には他国と共同して対処となりますが、その場合どういうふうに対応するかというのは、そのときの状況によって判断していくことになると思います。

青柳委員 とても頼りない答弁だったと思いますよ。

 今、南スーダンの現地の治安情勢、きょうの質疑でも明らかになったような情勢は、とても流動的、治安は悪化している。こういう状況の中で、宿営地共同防護については、運命共同体だから業務は断らないんですよ。駆けつけ警護は、対応できる範囲を超えていると判断されれば断ります。宿営地共同防護は、もう運命共同体なので、治安情勢が悪化している状況の中でも、強力な武器を持っているという相手が宿営地に来たら、一緒に戦わなきゃいけない。これを、今の答弁では、やっと訓練に参加できるようになりました、こういうことで本当に運命共同体として対応できるんでしょうか。大臣、どう思いますか。

辰己政府参考人 まず、共同訓練についても十分に訓練をしております。そして、隊員は十分な能力をつけているということは、陸幕長に確認をし、大臣も見て確認をしております。したがって、宿営地に襲撃があるときに自衛隊が対応する場合には、しっかりと対応できると思います。

 私が申したのは、その共同防護をするに当たっては、当然、その宿営地全体の計画というものがございます。その中で自衛隊がどういう役割をするか。それについては、今後も、やはり向こうで、現場において国連等と話し合って、どういう役割をするか、それは、自衛隊がどこを受け持つかとか、どういう役割をするかとか、我々は歩兵ではないわけでございますので、そういうことも含めて密接に各機関と調整をしていきたい、そういうことを申したものでございます。

青柳委員 念のため、もう一度確認します。

 相手が幾ら強力な武器を持っていても一緒に戦う、これが宿営地共同防護です。それに対応できる訓練、そしてもう一つ、それに対応できる装備を日本の自衛隊は持って現地に行っているという理解で、大臣、本当によろしいんですね。

稲田国務大臣 この共同宿営地防護の条文は、共同宿営地に攻撃があったときは、当該宿営地に所在する者の生命身体を防護するための措置をとる当該要員と共同して、第三項による武器の使用をすることができるなんですね。

 なので、先ほど辰己さんから答弁ありましたように、しっかりと計画も立てて、自衛隊として対応できる範囲、その能力、また役割分担を総合的に勘案して、対処できる範囲で共同宿営地防護に参加をする、そして、そのための事前の共同訓練にも参加ができるということであります。

 この規定がないときには、全くそういうこともできず、単に守ってもらうだけだったわけですけれども、自分が対応できる範囲で共同の宿営地を守るための行動ができるということであって、対応できないときにまでそういうことをするということではない、おのずから限定されるというふうに考えます。

青柳委員 装備面、そして医療体制面についても万全と言えますか。

辰己政府参考人 装備面につきましては、我々は今の編成、装備を変えることはございませんので、拳銃、小銃、機関銃ということです。大事なのは、その装備をいかに使うか、いかに訓練をするか、そういうことだと思います。したがって、この共同防護については、岩手山演習場で、現地の宿営地の状況を模擬で設定しながら十分訓練を積んで、各隊員が十分に対応できる、そういうオペレーションができるというふうに思っています。

 また、医療につきましても、先ほど大臣から申し上げたとおり、今回、医官をふやす、あるいは携帯する救急装備品をふやす、アメリカ軍並みにするといったこと、そういうことを含めて、隊員には救護能力についても、今回、岩手山演習場でしっかりと訓練をしていますので、十分な救護能力を持っていると思っています。

青柳委員 我々も今、そういった専門家の方々からヒアリングを行っております。救護面、救急する場合の携行品、そして、今答弁ありましたのは、武器については基本的に変えていない、訓練で対応するんだという答弁でした。

 武器については変えていない、そして、携行品は欧米諸国並みに近づける、諸外国並みに近づけるという話でしたけれども、現状はまだ変わっていないというふうに聞いておりますけれども、それで、強力な武器を持った相手が来る可能性も否定できない、その中で、この宿営地共同防護については断らずに一緒に戦わなきゃいけない、これは本当に大丈夫なんでしょうか。

 私は今の答弁ではとても不安が残ると思いますが、大臣、本当に責任を持って大丈夫だと言えますか。もう一度答弁をお願いします。

稲田国務大臣 先ほどの答弁のとおり、現実問題として、広大なトンピン地区には複数の外国軍隊が所在しているわけです。その中には、歩兵部隊もいれば、日本のように施設部隊もある。そして、自衛隊の有する能力、また各国の役割分担を総合的に勘案すれば、自衛隊が対処できる場面もおのずから限定されて、自分たちが対応できる範囲で行う。しかも、この共同防護というのは、まさしく共同して守ることができるということでございますので、そういう趣旨で答弁をさせていただいたところです。

青柳委員 先ほど、我が党の後藤委員から第一線救急救命についての質疑をさせていただいた際に、稲田大臣は、大変重要な指摘だ、そして、そういうことを強く認識しているという御答弁がございました。

 しかし、これも我が党がヒアリングをしている関係でいえば、やはりまだ、第一線救急救命について、とても万全を期していると言えないのではないか、万全を期しているとはとても思えないというヒアリングの結果がございました。それは、装備面でもそうです。携行品でもそうです。あるいは、お金をかけずにできる教育、これについても、まだ十分足りていないんじゃないか、少し時代おくれのことをやっているんじゃないかという指摘も実はありました。

 後藤議員の質疑の中で、大臣は、そういうことは、第一線救急救命についてはすごく重要だという指摘をしているのであれば、我々は、先ほど後藤議員からもありましたように、本日、法案を提出する予定になっております。自衛隊員の第一線救急救命について立法的、法律で担保する、安全性を、自衛隊員の命を法律でしっかり見てあげるということが我々は必要だと思っておりますけれども、大臣、こういうことについて御感想をいただければと思います。

塚原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、第一線の救護を向上させていくということについては非常に重要なことだというふうに考えております。

 このため、昨年来、一年間をかけまして専門家の方々による有識者会議を開催し、この九月に報告書をいただいた、こういう状況でございます。

 この報告書に基づきまして、これから、教育訓練の基準ですとか、何をどういう場合にさせるかというような具体的な中身を検討していき、それを訓練に反映させていくという段階になっております。

 私どもは早くそういった取り組みを進めていきたいと思っておりますが、やはり医学的なことについての教育でございますので、慎重に、必要なことはしっかり教育をするということも一方では重要でございますので、一定の時間はかかるというように考えております。

 いずれにしましても、教育体制を整えまして、来年の、平成二十九年度の前半からは教育がスタートできるように取り組んでいきたいと考えております。

青柳委員 検討し、そして訓練し、来年から始めると。しかし、もう新任務はきょう閣議決定されて付与された。南スーダンの治安情勢は悪い、そういう状況の中で新任務が付与された、しかし、教育体制や医療体制というのは今後検討していきますというのは、どうもちぐはぐな対応に聞こえて仕方がありません。

 大臣、どうでしょうか。立法措置も含めた自衛隊員の第一線救急救命、自衛隊員の命について法的に担保してあげる、こういうことを検討するお考えはございませんか。

稲田国務大臣 先ほど後藤委員からの質問に対しても、また、後藤委員からも、与党、野党ない、しっかり検討していこう、その気持ちは全く共通しております。さらには、予算委員会でさまざま御質問をいただいた結果もあり、やはり、今回の南スーダンに派遣される第十一次要員には、衛生要員約十名、うち医官三名、それを四名にふやし、また、携行しているものも米軍並みにふやしたということもやっております。

 それで十分だとは思いませんけれども、しっかりと、法律でできること、法律をつくらなくてもできることもたくさんあると思いますので、検討してまいりたいと考えております。

青柳委員 そうすると、医官の人数、充足率についても問題になってくると思いますが、これは今どういう状況になっていますでしょうか。お答えください。

塚原政府参考人 事実関係ですので参考人から御答弁いたします。

 現在、医官の充足率でございますけれども、直近の平成二十八年四月現在で七九・六%となっております。

青柳委員 つまり足りていない。ところが、防衛医大は大変な人気がある。防衛医大はすごく人気がありますけれども、今の医官の充足率は七六%ですか。というのは、九年勤めれば自由になるといいますか、九年勤めると離職する人が非常に多いというふうに伺っております。

 これは制度的に、今後、今のお話でいけば、安全体制、自衛隊員の安全面を整備していく、それには医官が必要だ、しかし医官の充足率は七六%ということであれば、制度に問題があるというふうに指摘する声もありますけれども、これについては、大臣、いかがお考えでしょうか。

稲田国務大臣 今おっしゃるように、自衛隊の任務を遂行するに当たっては、自衛隊の衛生部門はしっかり機能することが重要で、このためにも、御指摘の自衛隊医官の離職防止はしっかりと進めていく必要があるというふうに思っております。

 その防止策として、将官ポストの増設、自衛隊病院における部外者への診療の推進、医官の集中配置による自衛隊病院での診療機会の増加、医官の外部医療機関での兼業、兼職の推進などを行うとともに、若手医官に対しては、専門研修の期間の延長や、若手医官も参加できる医学研究の機会の充実などに取り組んでいるところであります。

 また、防衛大綱や中期防衛力整備計画において、自衛隊病院の拠点化、高機能化の推進、医官等の教育強化によるより専門的かつ質の高い要員の確保に努めることにしており、引き続き、医官の確保、育成を含めた衛生機能強化について検討を進めているところであります。

 特に、当該検討においては、高度な医療技術の習得などの技能の維持向上の推進、医官の専門研修などによる医療機会の増加などの検討を進めております。

 引き続き、医官の離職防止に努め、自衛隊の衛生部門がしっかり機能するように注力してまいります。

青柳委員 きょうは一般質疑ということでいろいろ通告させていただきましたけれども、ちょっと時間が来てしまいましたのでこれで終わりますけれども、安保法制が変わって、自衛隊員の任務がふえて、実際にきょう、駆けつけ警護という新任務が付与されることになりました。

 我々民進党は、駆けつけ警護や宿営地共同防護よりも、まずは自衛隊員の命、これが重要だと考えております。装備面、医療面、教育面、第一線救急体制の整備、これについて今後ぜひ与野党を問わず検討していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 本日はこれで終わります。ありがとうございました。

山口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

山口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 初めに、南スーダンのPKO問題について質問をいたします。

 政府は、本日の閣議で、昨年の安保法制に基づく駆けつけ警護と宿営地の共同防護を可能とする実施計画の変更などを決定いたしました。南スーダンが事実上の内戦状態にあるもとで、政府のPKO参加五原則に照らしても、派遣の継続そのものが問われているときに新たな任務の付与を決定したことは到底許されるものではありません。

 まず、宿営地の共同防護について防衛大臣に伺いますが、現在、自衛隊は南スーダンの首都ジュバにある国連のトンピン地区に宿営しています。このトンピン地区で何らかの攻撃があった場合に、宿営地の共同防護を行うという理解でよろしいですか。

稲田国務大臣 今回、平和安全法制の制定に伴い、共同宿営地の共同防護が可能になる。そして、本日の閣議決定により、他国と同じ宿営地にいる以上、他国の要員が倒れてしまえば自衛隊員が襲撃されるおそれがあり、他国の要員と自衛隊員はいわば運命共同体と言え、共同して対処した方がその安全性を高めることができるということでございます。また、平素から共同して訓練を行うことが可能になるため、緊急の場合の他国との意思疎通や協力も円滑になり、宿営地全体としての安全性を高めることにつながると考えられます。

 宿営地の共同防護は、厳しい治安情勢のもとで、自己の安全を高めるためのものというふうに考えております。

赤嶺委員 宿営地の共同防護は運命共同体、その運命をともにするという自衛隊の宿営地であるトンピン地区、現在、そのトンピン地区にはどこの国が部隊を置いていますか。

辰己政府参考人 例えば、ルワンダとかエチオピアとか、そういう国々が一緒に宿営地にいます。

赤嶺委員 例えばということで二カ国を例示いたしましたけれども、今、ジュバには日本のほかに、ネパール、エチオピア、ルワンダ、中国、バングラデシュ、カンボジア、インド、計八カ国が部隊を展開しています。

 例示で二カ国だけじゃなくて、運命をともにすると言っているわけですから、トンピン地区に宿営しているのはどこの国かを聞いているわけです。明らかにしていただけますか。

辰己政府参考人 そのほかに、バングラデシュ、カンボジア、あとインドが一緒にいたと思っています。

赤嶺委員 そうすると、五カ国が一緒にいるというわけですね。

辰己政府参考人 今申したのは主要な部隊でございます。あと、部隊ではないんですが、要員を派遣している国もございます。それについてはちょっと今資料を手元に持っておりません。主要な部隊は先ほど申したとおりです。

赤嶺委員 運命をともにする割には回答も小出しであります。全部を聞いたら、あとはわからないということであります。

 今資料が来たようですが、いかがですか。

山口委員長 辰己総括官、いかがですか。

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 飯島参事官。

飯島政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの委員の御質問につきましては、国連の側から、秘匿性の含まれる部分があるので網羅的に言うことは、残念ながら提供できないというふうに言われておりますので、御理解を賜れればと思います。

赤嶺委員 秘匿性があるということなんですが、自衛隊は、宿営地の共同防護を行うに際して、改定PKO法の規定に沿って、日本の武器使用基準に従って武器を使用することになります。

 宿営地の防護を共同して行うそれらの国々の武器使用基準は日本と同じですか、それとも違いますか。この点はいかがですか。

辰己政府参考人 それぞれの国々でそれぞれの武器使用について基準を定めていると思います。それについて、各国ともそれはつまびらかにするわけではございませんので、それが同一かどうかというところまで詳細には把握はできませんが、いずれにせよ、宿営地の共同防護をする際には、お互いに現地で、どういう役割分担をして、どういうふうに対処するかということは十分話し合った上で、そういう意味においては、互いの武器使用のやり方も含めて、よく調整しながらやっていく必要があると考えています。

赤嶺委員 武器使用基準がそれぞれの国によって違うだろうということですね。

辰己政府参考人 各国とも、我が国もそうですが、武器使用基準について、それはつまびらかにするわけではございませんので、それが同じであるかあるいは違うかということについて、逐一、今の段階でそうだこうだとは言えませんが、いずれにせよ、宿営地の共同防護をする際にはお互いによく調整をしなくてはいけませんので、そういう意味において、お互いの手順とかやり方とか、そういうのは十分に話し合った上で行っていくことになると考えています。

赤嶺委員 改定PKO法に基づいて自衛隊に危害射撃が認められるのは、正当防衛と緊急避難の場合に限られます。しかし、よその国の軍隊も同じとは限りません。宿営地をともにしている各国軍隊との間で武器使用基準は同じなのか違うのか、それも言えない。

 そういう使用基準、調整は完了しているんですか。そこの点は明らかにすべきではありませんか。

辰己政府参考人 御説明しているとおり、これまで我々は、宿営地の共同防護について、任務付与という形をしておりませんでしたので、現地においても、実際の計画に入ったり、あるいは訓練に入ったりしておりませんでした。

 きょう、こういう形で任務をそういう権限という形で付与しますわけですけれども、それで、現地に行ってやる部隊は十一次隊でございますので、十一次隊が現地に行って、やはり国連との間、あるいは宿営地をともにしている部隊、他国の軍隊とよく調整をして実施していくということになると考えています。

赤嶺委員 トンピン地区に対する攻撃があり、共同して武器を使用する場合、誰が指揮をとるんですか。

辰己政府参考人 先ほど申したように、宿営地の共同防護については、計画をつくって、各国でそれを役割分担してします。指揮系統は違って、日本の場合は、他国の指揮系統とは別に日本の指揮系統でやりますが、互いによく調整をして、連携をして対応できるように対応していきたいと思っています。

赤嶺委員 非常にはっきりしない話であります。共同防護というからには、誰かが、どこかの国が指揮をとって共同で対処するのでなければ、運命共同体だといっても、非常にはっきりしないんですね。

 ことし七月に、首都ジュバで大統領派と副大統領派との間で軍事衝突がありました。当時のUNMISSの対応について調査していた国連の独立調査機関が今月一日に報告書を公表しました。同じくジュバにあり、UNMISSの司令部が置かれているUNハウス地区と隣接する二つの難民キャンプ、それから、国連職員や援助関係者が滞在するテレインホテルで、政府軍の兵士による殺人、強姦、略奪などが発生した経緯や原因について書いています。

 明らかになったことの一つに挙げているのが、UNMISSの側のリーダーシップの欠如であります。当時、UNハウス地区には、中国、エチオピア、ネパール、インドの歩兵部隊がいましたが、これらの部隊が統一した指揮のもとで対応しなかった、このようにしています。その指揮を任されたのが中国軍の司令官でしたが、それぞれの部隊に対して矛盾した命令が出されたり、千八百人以上の歩兵部隊が十分に活用されなかったことを明らかにしています。UNMISSの対応は失敗だったと結論づけています。

 こうしたもとで、今回、宿営地の共同防護を可能とするに当たって、武器使用基準や指揮系統について、各国政府との間でどういう調整を行ったのですか。UNMISSの出した、七月のあの軍事衝突のことからいっても、大変大事な問題だと思うんですが、どのように考えておられますか、大臣。

辰己政府参考人 先ほど申したように、きょう任務が権限として付与されたわけでございます。実際に現地に行くのが十一次隊、これが十二月に指揮転移があるわけでございますが、そういうことで、現地に十一次隊が行って、そこについては、現地の国連の計画と一致する形で役割分担をして、どういう場合に自衛隊が対応する、どこを担当する、そういうことを決めていくことになると思います。

 その上で申し上げますが、指揮系統については、それは各国、特に日本の場合は、指揮系統は統合されるわけじゃなくて、我が国の指揮系統の中で独立した形でやりますが、実際の対応については、よく連携をとって各国と調整をする、そういうことになると思います。

赤嶺委員 深刻な結果が国連の報告書として出ているわけですよ、共同防護について。リーダーシップの欠如だとか、あるいは、UNMISSの歩兵部隊でさえ対応できなかったような事態だとか、こういう結果が出ているんですね。出ているにもかかわらず、そこを検討したのでもなく、スーダンに、ジュバに行ってからやりますというのは、いかにも無責任に聞こえてまいります。

 報告書からは、七月の軍事衝突が極めて深刻な事態だったことがわかります。UNハウス地区では、国連施設の間近で戦車や攻撃ヘリが使用され、二人の中国軍兵士が死亡し、銃弾や迫撃砲、ロケット砲によって百八十二棟の国連の建物が被弾したとしています。政府軍と反政府軍が無差別に撃ち合い、二十名以上の難民が犠牲になったとしています。しかも、国連職員や援助関係者に対する強姦や略奪を行ったのは政府軍の兵士であります。

 同じような事態が起こった場合に、自衛隊はどうするんですか。迫撃砲やロケット砲、さらには戦車や攻撃ヘリを含めて、宿営地に対する攻撃が行われた場合に応戦するということですか。憲法が禁止した海外での武力行使そのものになるのではありませんか。いかがですか、大臣。

稲田国務大臣 今委員がさまざま、国連の調査報告書についてお話をいただきました。七月の武力衝突事案、銃撃戦を含む、かなり苛烈なものであったと思います。その中で、政府軍の軍人の一部がテレイン地区で暴行、また、婦女に対する暴行行為、略奪等を行ったということも記載をされているわけであります。

 共同防護に関しましては、運命共同体である共同宿営地、トンピン地区を自衛隊自身も一緒に共同防護するために、武器を使用することができるということであります。当然、対応可能な役割分担をするということでありますし、また、日本隊の宿営地は、派遣当初から、自隊の警備要員により防護し続けてきているわけであります。本年七月の武力衝突時においても、自隊の警備要員により宿営地の防護を実施してきたわけであります。

 今回、共同防護、すなわち、自衛隊としても、同じ共同宿営地にある宿営地を守るために行動ができる、そして、その役割分担、自衛隊が対応可能な役割分担がどこの分担であるかということも、事前に調整もし、そして訓練をする必要があるというふうに考えております。

赤嶺委員 部隊の共同防衛あるいは部隊宿営地の警護について、警護要員も一緒にいたということですか。

辰己政府参考人 当然、自衛隊を派遣する場合は、施設部隊であっても、自分たちを守る一定の警備能力を有する要員はいます。そういう人たちが宿営地についても警備を行う、これは当然のことだと思っています。

赤嶺委員 七月の事案というのは、大がかりな戦闘行為であったわけですね。しかも、UNMISSの共同宿営地の共同防護活動は失敗をしているわけですよね。失敗をしているにもかかわらず、それについての国連の報告書が出ているにもかかわらず、それを検討したわけでもなく、ジュバに行って、これから計画を立てますということでやれば、あの七月のような事態が起これば、結局は戦闘に日本の自衛隊が巻き込まれていく、こういう結果になるのは目に見えていると思います。

 次に、駆けつけ警護について伺います。

 政府は、南スーダンにおける受け入れ同意については、改定PKO法の三条一号のロ、つまり、武力紛争が終了して紛争当事者が存在しなくなったもとで、受け入れ国の同意がある場合に該当すると説明してきました。

 しかし、現実には、二〇一三年十二月以降、大統領派と副大統領派による軍事衝突が各地で繰り返されてきました。昨年八月に両者の間で和平合意はありましたが、その後も各地で衝突が繰り返され、ことし七月のジュバでの戦闘で和平合意は崩れたわけです。

 マシャール氏は現在南アフリカにいるとされていますが、マシャール派の部隊と政府軍との衝突はその後も繰り返されております。マシャール氏が、和平合意と統一政権は崩壊した、ジュバを解放できるだけの十分な部隊を有している、我々は攻撃されれば反撃するなどの発言をしていることも報じられています。

 防衛大臣に伺いますが、改定PKO法では、駆けつけ警護の任務を付与するには受け入れ国の同意が活動期間を通して安定的に維持されることが要件とされています。およそ安定的に維持されている状況にはないのではありませんか。

稲田国務大臣 まず、委員が御指摘になりましたように、今、南スーダンに我が国の自衛隊をPKO法で派遣しておりますのは、三条一号ロの、「武力紛争が終了して紛争当事者が当該活動が行われる地域に存在しなくなった場合において、当該活動が行われる地域の属する国の当該活動が行われることについての同意がある場合」に実施されるものです。ここに言う「武力紛争が終了して」の武力紛争は、南スーダンが独立する際の、南ともともとのスーダンとの合意であります。

 そして、今、七月にマシャール派と政府軍が武力の衝突をして、大きな被害が起きたことは事実でありますが、その後収束もし、マシャール元第一副大統領は南アフリカにいて、南スーダンに帰れない状況でもあります。まだ、マシャール派が何らかの系統立った組織を有し、そして確立した支配する地域を持つには至っておりません。

 さらに、PKO五原則が維持されていたとしても、自衛隊が安全を確保しながら有意義な活動ができるかどうかも見ていかなければならないので、その点において、委員が御指摘になった停戦合意がどうなのかという問題、またマシャール元副大統領の発言、行動は注視していく必要があると思いますけれども、この履行について、政府方、キール大統領も、またマシャール氏の方も、この合意を守っていくべきだと合意を履行する意思は有しているわけでありまして、PKO五原則が崩れている状況でもないし、また、自衛隊が安全を確保しつつ有意義な活動ができている状況であるというふうに考えております。

赤嶺委員 こういう政府の答弁の姿勢が、いろいろおっしゃいましたけれども、国民の不安をあおり立てる。午前中にも民進党の先生の方から青森の人たちの気持ちが訴えられましたけれども、本当に大変危険な道に今踏み込んでいる。

 先ほどの国連の報告書でも、ことし七月の激しい戦闘で和平合意は崩壊したと述べているんです。そのような、崩壊していないと言うのは、組織性、領域性、合意へのコミットメントとかいろいろ理由を挙げて説明しているのは日本政府だけですよ。どこも、今の南スーダンの状況、和平合意が成立しているなどと考えている国はないと思います。

 今月の十一日、ジェノサイド、すなわち大量虐殺の防止を担当する国連の特別顧問がジュバで記者会見を行いました。どのような内容だったか、外務省、説明していただけますか。

岡田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のありましたディエン・ジェノサイド予防担当国連事務総長特別顧問が記者会見をしまして、その中で述べたことでございますが、ジェノサイドはプロセスであって、準備に時間がかかることから、予防することができる、それから、とめるための行動がとれなければジェノサイドに発展しかねない兆候が存在する、現時点では、南スーダンで起きている事案は民族浄化ではなく、ジェノサイドは起きていないというふうに述べたと承知しております。

 南スーダンの治安状況は極めて厳しく、武力衝突や一般市民の殺傷がたびたび生じていることは事実でございます。その原因はさまざまあると考えられ、特定することは困難でございますが、特定の民族をターゲットにした殺傷事件が生じたとの報道があることも事実で、承知しております。

 南スーダンの平和と安定の実現には民族間の融和を進めていくべきでありまして、包摂的なアプローチをとる衝突解決合意の履行が重要と認識しております。国民統一暫定政府が引き続き合意履行に取り組むよう、我が国としても国際社会と協力していく所存でございます。

赤嶺委員 特別顧問は、その会見で、七月の衝突以降、ジェノサイドの危険が高まっていることに警鐘を鳴らしています。幾つかの場所で部族間の激しい対立が起こり、特定の民族に対する殺人や強姦が挑発的な発言や偏見を伴って行われていると言うこともしています。もともと二つの対立する勢力から政府軍は構成をされていたわけです。政府軍の部隊が複数の武装集団や強盗に分かれ、中央政府もその軍隊を掌握できないようになっている、このように述べているわけですね。非常に強い危機感だと思います。

 こうしたもとで、特別顧問は和解のための緊急の取り組みを国と地方のレベルで進めることを呼びかけていますが、こういう分野でこそ日本政府は取り組みを強めるべきではありませんか、大臣。

稲田国務大臣 先ほど、国連事務総長特別顧問の会見での発言について紹介がございました。そして、先生も御指摘になりますように、南スーダンの治安状況は極めて厳しく、武力衝突、一般市民の殺傷がたびたび生じていることも事実です。ここはしっかりと緊張感を持って見ていかなければならないというふうに思っています。

 さらには、南スーダンの平和と安定の実現には民族間の融和を進めていくべきであり、包摂的アプローチをとる衝突解決合意の履行が重要であると考えております。国民統一暫定政府が引き続き合意履行に取り組むよう、我が国としても国際社会と協力していく必要があると考えています。

赤嶺委員 政府の軍隊が統率がきかないような状態になって、いろいろな事件が引き起こされている。やはり、私は、今回のような憲法に違反する新たな任務の付与は中止して、自衛隊は南スーダンから撤退すべきだ、このように思います。和解に向けた外交努力や民生支援で積極的な役割を果たすことを強く求めておきたいと思います。

 次に、高江の米軍オスプレイパッド建設について質問をいたします。

 沖縄防衛局は十月二十八日、新たな環境影響評価検討図書を沖縄県に提出しました。この事業に係る環境アセスは、いわゆる自主アセスとして二〇〇七年二月に行われました。ところが、沖縄防衛局はことし七月以降、その内容を変更する検討図書の提出を繰り返しております。今回で三度目です。

 今回の検討図書は、宇嘉川河口からG地区の着陸帯につながる歩行訓練ルートの整備に関するものです。約二・六キロの区間で樹木を伐採し、砂利を敷いて幅一・二メートルの歩道を整備し、急峻な箇所については階段を設置するとしています。

 防衛大臣に伺いますが、これまで二回の検討図書は従来のアセスの内容を変更するものでした。ところが、今回の歩行訓練ルートの整備については、二〇〇七年のアセスでは具体的なことは何も書かれていません。二〇〇七年当時、樹木を伐採して歩行訓練ルートを整備するということを、沖縄県を初めとする関係自治体、高江区の住民などに説明しておりましたか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 北部訓練場の過半、四千ヘクタールの返還条件といたしましてヘリパッドを移設することとしておりますが、その附帯施設といたしまして、提供水域に係る訓練や隊員の救助を支援するため、G地区のヘリパッドから提供水域までの既存の通行路を補修する、今御指摘のルートでございますが、補修することといたしております。

 この補修については、最小限のものであり、当初は主に人力による施工を計画しておりまして、環境への影響はほとんどないものと想定いたしました。このため、これに係る環境への影響の予測評価を行っておりませんでした。

 ところが、ことし工事を再開いたしまして、その後いろいろな、反対される方々もいらっしゃいまして、車両とか物の輸送に困難な状態が続いておりました。その一方で、できるだけ早く御地元の意向に沿った形で返還するということを行う必要があると考えたところでございます。

 このため、この補修について早期に完了すべく、重機等を使用した工法に変更することといたしました。このため、先般、御指摘のように、防衛省の自主的な判断、いわゆる自主アセスといたしまして環境影響評価図書を作成、沖縄県に提出を行いまして、現在、立木の伐採を行っているところでございます。

 我々といたしましては、このような工事を経まして、北部訓練場の過半、四千ヘクタールの年内返還に向けまして、引き続き、環境の保全及び施工の安全に最大限配慮しつつ、移設工事を進めてまいりたいと考えているところでございます。

赤嶺委員 自分たちがアセスの手続を誤り、そして県民に対する背信行為を繰り返していることを認めず、反対の声が大きいからという理由にする、こんなのは、まさにこの態度こそ改めるべきですよ。民意を無視して着工しているやり方に反対の声が多いのは当然じゃないですか。

 私、改めて二〇〇七年の環境アセス評価書を見てまいりました。事業実施区域を示す地図の中に赤い点線が引かれ、凡例の部分に歩行訓練ルートと書いてあるだけです。住民の意見と事業者の見解が示されたところに歩行訓練ルートで行われる訓練の内容を説明した箇所がありますが、あくまで訓練に関するもので、整備に関するものではありません。具体的にどのような整備を行うのか、人力によるものなのか、あるいは重機などによる機械施工なのか、樹木の伐採がどのような影響を与え、どういう対策をとるかについては一切書かれていないわけですね。

 二〇〇七年から今日までのもの、欠陥アセスではありませんか、大臣。

深山政府参考人 繰り返しになりますが、二〇〇七年当時は人力による歩行ルート施工というのを想定しておりましたために環境への影響の予測評価を行っていなかったというふうに今申し上げたとおりでございまして、このたび、追加の環境影響評価を実施したところでございます。

赤嶺委員 環境アセスはやっている、法的な義務づけはないんだが自主的にやっている、だからあの山原の森の環境は守られる、世界自然遺産条約の登録の対象になるような価値を持つ自然を破壊しないでヘリパッドができるという説明が、二〇〇七年段階の皆さんの説明であったわけですよ。

 沖縄県は沖縄防衛局に対して文書を発出しています。歩道整備はアセス手続時の環境影響評価図書に記載されていない新たな工事であるとした上で、自然環境への影響が増加するものであり、関係機関の意見を聞くこともなく実施することは環境影響評価制度の趣旨を大きく逸脱したものであり、実施すべきではないと厳しく指摘しています。

 にもかかわらず、政府は既に工事を始めています。昨日から民間ヘリによる資機材の空輸も始めました。環境への配慮などお構いなしに、まさに問答無用であります。

 ところで、そのアセスの中に、地形が急斜面な箇所では、建設資機材の運搬が可能だとして民間ヘリを使うとしていますが、ヘリを使うために、ヘリが荷物をおろすために、五メートル四方で樹木を伐採して荷おろし場所を整備するとしています。それを二十メートル間隔で三十カ所つくるとしております。

 今まで皆さんの説明で、樹木伐採、今回が四千六百九十四本、全体で二万八千九十四本になっていますが、三十カ所にヘリの荷おろし場所をつくる、ここでも新たな樹木の伐採があるのかどうか。三十カ所もヘリの荷おろし場所をつくる、こういうことがあの森の自然破壊を一層進めることになるのではないかと思いますが、その点について説明してくれますか。

深山政府参考人 荷をおろす箇所につきまして、一部樹木を伐採する予定である。今、三十カ所につきましては、手元にそのものの資料がございませんので、確認をいたさせます。

 一方、立木の伐採につきましては、今申しました歩行ルートにつきましても、先生から御指摘のありましたように、ここで四千六百九十四本の伐採を、これは国有林野の範囲でございますけれども、予定しておりまして、沖縄森林管理署と協議をいたして、完了したところでございます。

 なお、ちょっと補足いたしますと、歩行ルートの中には国頭村が所有する〇・二四ヘクタールの土地も入っておるところでございますが、これに関しましては森林法十条の八の一項に基づく届け出を行っておりますが、これにつきましては本数による協議ではなくて面積による協議となっておりまして、この地区の面積については現在確認しておらないところでございます。

赤嶺委員 先ほどのヘリの荷物をおろす場所、荷おろし場所三十カ所について、この点についても今答弁してくれますか。

深山政府参考人 計画上伐採を予定している箇所につきましては、国有林野に関するものにつきましては沖縄森林管理署と協議をしておるところでございます。

赤嶺委員 国有林野だったら伐採していいというところじゃないですよ、あの場所は。まさに、あの場所の樹木がどれほど自然にとって貴重なのか。地球上で、世界の中で、あの森にしかすんでいない希少動物、固有種がたくさんある中で、結局、工事先にありきで自然破壊を進め、アセスを無視するやり方に強く抗議をして、私の質問を終わらせていただきます。

山口委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田豊史です。

 委員会初質問でございますので、委員長初め委員の皆様の御指導をいただきまして、また、大臣初め副大臣の皆様、答弁の皆様の厳しい御鍛えもいただいて頑張ってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 きょう、最初は、私はおわび二つから入らなくてはいけないと思うんです。

 まず一つは、下地ワールドを楽しみにしていらっしゃった皆さんには、当面私の方が質問させていただくということです。

 それからもう一つは、きょうは南スーダンの質問を準備しておかなくてはいけないということを、今になって私は大変まずかったなと思っておるのでございますけれども、よく考えますと、安全保障の中における南スーダンの問題というのは、私自身の今一番大事なテーマは実はアメリカの大統領がトランプにかわるということですけれども、そのことによって、国家の安全保障を考えたときに、当然考えなくてはいけない両面があると思います。

 それは、私の思いでは、一つはやはり国家として自立していくという自立のこと、それからもう一つは連携を図っていく、この両方がうまいことバランスをとることによって世界としての共存共栄があるんじゃないかな、こう思うわけです。

 そういう大きな考えのもとに私自身がきょう準備してまいりましたのは、基本的に、我が国の、この国をきちっとどう守っていくのかという部分に重点を置かせていただいて質問させていただこうと思っております。

 私がきょうまず最初にお聞きしたいのは、日本という国の安全保障を考えたときには、当然、今回トランプが生まれるということによって、さまざまな分野において、例えばTPPの問題もそうでしょうし、それから今回の私たちのテーマである安全保障の方もそうなんですけれども、どういうふうな戦略上の重点を置くのかというバランスの問題だと思うわけです。

 ここにおいて明らかに、一つの意味では、トランプが生まれるということは、非常に不安定な要素もありますが、逆にこれをきちっとチャンスと捉えて、今必要な、今までできなかったことを改めて準備する、そういう機会でもあるかなというふうにも考えるんです。

 我が国の安全保障の状況を考えたときに、幾つか私自身がいつも思いますのは、私は議員になりましてまだ日が浅いんですけれども、常に国会でやっている論争とかというのは、言葉としても非常にレベルが高いわけですね。きょうの午前中からのこの安全保障委員会のやりとりを見ていましても、やはり国民の方々も、お聞きになっていても、本当に問題のあるところはどこなのかということが非常にわかりづらいだろうと思うわけです。

 私が一番わかりやすいなと思いますのは、例えば、日本という国を守っていくという中にあって、さまざまな外国からのいろいろな物事が起こるわけですけれども、何か物事が起こったときに、これはどうなっているのかというふうに国民は自覚をする、気づくという形だと思います。

 それで、直近のところを私なりに、守るという意味で考えてみましたところ、守るということは、私は、きょうのテーマ、大きなものでいうと警備すると言えばいいか、そういうことが重要だろうと思いますし、何を守るのかというと、日本の国土を守る。国民を守るということは国土を守るということだと思いますが、日本という国が島国だということを考えたときには、やはり外からのさまざまなアクションというのは、必ず海の中か海上、その上になると空になりますけれども、この三つしか入ってくる方法はないわけです。ですから、ここで何が起こっているかということをきちっとやはり捉まえて、そしてそれに対して国家としてどう対応していくのかというところが一番わかりやすい話じゃないかなと思っています。

 その意味で、きょう最初にお聞きしたいのは、少しさかのぼりますけれども、中国の漁船のサンゴの密漁の問題というのがあったと思うんですね。

 私が何でサンゴの問題を取り上げるかというと、自分自身が、趣味の範囲なんですけれども、ずっと海で素潜りをやっていまして、海に潜ったりするんですが、海の中というのは、実は、私たちの領海であれ何であれ、自分たちの身近なところであってもどうなっているかわかりにくいという根本的な要素を持っておるわけです。ですから、サンゴの問題にしても、さまざまなことが物事として、事件として大きくなってから国民は気づいて、これはどうなっているんだという話になったと思うんですね。

 このことについて、現時点で、サンゴの問題というのはどういうふうにして国家として今対応なされているのかというところについて、まず副大臣にお聞きしたいなと思います。

薗浦副大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘のサンゴ船でございますけれども、平成二十六年秋ごろには、沖縄海域、沖縄周辺海域や小笠原周辺海域で二百隻を超える中国のサンゴ船が活動しておりました。

 これに対して、私ども関係省庁で連携をし、国内における取り締まり、また罰則の強化、加えて中国側に対してさまざまなレベルでの働きかけ、働きかけと申しますのは中国国内での取り締まり強化や再発防止でございますけれども、これを申し入れてまいりました。

 その結果、我が国周辺海域でのサンゴ船の隻数は大幅に減少し、現在のところは、まれに確認されるのみになっております。

 いずれにしても、我が国の領海や排他的経済水域におけるサンゴ船の違法操業はまことに遺憾でございまして、認められないものでございます。政府としては、引き続き、違法操業の根絶に向けて、中国政府に対して、適切に措置をとるよう求めてまいります。

吉田(豊)委員 そうすると、今の答弁では、問題は起こったけれども、これについてはきちっとした対応がなされていて、今はそのような不安定な状況にはない、こういう認識でよろしいわけでしょうか。

薗浦副大臣 少し具体的に申し上げますと、海保による小笠原周辺におけるサンゴ船の視認数は、最後に視認をされたのが平成二十七年一月二十二日でございます。また、沖縄海域におけるサンゴ船の視認は、平成二十八年七月に一隻、その前が平成二十七年十一月に一隻でございまして、それより後は視認されておりません。

吉田(豊)委員 そうすると、現時点での継続的な侵害ということについては起こっていないという認識だろうと思います。

 そうなると、私は、今回の事件が起こったことについて当然さまざまな教訓があったんじゃないかなと思うんですが、当初、いきなり大船団がやってきてこういう事件が起こったという認識ではないだろうと思うんですね。

 そうすると、スタートがあって、それからさまざまな状況があって認識されていったということだと思いますけれども、これについて、初期段階での対応というのは、今になっての反省点だと思いますけれども、可能だったかどうかということについての分析はなされていますでしょうか。

滝崎政府参考人 お答えいたします。

 もちろん、今委員御指摘のとおり、何かきっかけがあって、これは大変なことになるんだろうなというふうに当時は想定されていたんだろうと思います。

 もちろん、中国から来るサンゴ船の数が、最初はそれほどではなかったものがどんどんどんどんふえてきたということで、そこで、当時もそのように対応していたと思いますし、今後も似たような事例が起きたときには同じように対応していくことになるだろうと思いますけれども、やはり関係省庁、外務省ですとか水産庁ですとか、あるいは海上保安庁、場合によっては防衛省とか、そういった各省庁が緊密に連絡をとりながら、あるいは情報共有しながら対応していくというのが最も大事なことだと思います。

 したがいまして、同じような事例が今後起こるときも同じように対応していくということになるかと思います。

吉田(豊)委員 おっしゃるとおりでして、やはり一回起こったことについて対応するということが、今後は逆に、副大臣もおっしゃいましたけれども、例えば罰金の金額が上がるとか、さまざまな整備をしていくことによってなかなか起こりにくくなっていく。状況を改善していくという中にこれしかやり方はないわけで。

 私が少し気になりますのは、例えば、たまたまサンゴという状況で、改めて中国側がこれの価値を強く見つけたからこういうような問題になったということだとは思いますけれども、これについて、沖縄があって、そこから移動してきたということについても、その先になると、今後は、具体的に起こったものについてやはり予見するという努力もぜひまたより強めていただきたいな、こういうふうにも思うところでございます。

 次に、もう一つの事例ですけれども、東シナ海のガス田の開発についてという話があったと思います。これについても非常に国民はいっとき不安になった、こう思っているんですけれども、これについて、起こってから、そして現在がどうなっているのか、この状況についてお知らせいただきたいと思います。

薗浦副大臣 御指摘の東シナ海における中国側の開発でございますけれども、基本的に、排他的経済水域及び大陸棚の境界が我が国と中国は未画定でございます。それにもかかわらず、いわゆる日中中間線の中国側の海域において、中国による一方的な資源開発が進められております。

 具体的に申し上げますと、二〇〇八年六月以前に確認された四基に加えて、それ以降、これまでに新たに十二基の構造物が建設をされております。計十六基の構造物のうち、今十二基でフレアが確認をされております。

 我が国としては、新たな動向を確認するたびに中国側に抗議を行ってまいりました。一方的な開発行為の中止を強く要求しております。また、東シナ海における日中協力に関する二〇〇八年合意の実施を累次にわたり強く求めてきており、今後もこの対応を継続してまいりたいと思っております。

吉田(豊)委員 この御説明のとおりだと思うんですけれども、一般に考えますと、やはり中国側が勝手に引いた線だとは思いますけれども、それの中国側の方でさまざまなことをやっている。我が国とすれば、それについては、そうではないからという話はわかりますけれども、実際に幾つも、ポールと言えばいいか、海上にその施設をつくっておるのは間違いないわけですよね。これについて、日本側が抗議するというのは、さまざまな手段をやるというのは当然なんです。ですけれども、とまらないという状況の中で、それではうちはうちでさまざまな、うちらはうちらのところの考えで建てていきますよ、こういうような発想はならないのかなというのは普通の感覚じゃないかなと思うんです。

 これについては、政府とすればどういうふうに考えているのかというところを、お考えがあればお聞きしたいと思います。

薗浦副大臣 今後の対応手段ですけれども、当然、中国側の対応、それから政府全体としての戦略的観点、こうしたものを持ちながら検討していくことになろうかと思います。

 当面は、先ほど申し上げた二〇〇八年合意というものを履行してくださいということを強く求めていきますけれども、委員今具体的に御提案をいただいたような件に関しては、この場で余り具体的に答弁するとこちらの手のうちをさらすことにもなりかねませんので、ここでは差し控えさせていただきたいと思います。

吉田(豊)委員 本当におっしゃるとおりで、手のうちをさらしちゃいけないというのはそうなんですけれども、それを政府の方々が言わなくちゃいけないかというと別にそうでもない。

 いろいろな方法で、私たちの国とすれば、当然、その地下にある資源の問題というのは海の下なんですね、そうするとなおさら、先ほど私が言いましたように、海中でさえ何かよくわからないのに、海底になると、何がどうつながっているかということについてもやはり目に見えないという状況の中でのさまざまな主張になるわけですから、ここについて、ぜひ、日本とすれば、そういう交渉のところでやっていることはもちろんですけれども、では、それ以外に、さまざまな技術開発の部分ですとか、そういうところでも連携を図っていただくということが重要じゃないかな、こういうふうに思っているところです。よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、今のガス田開発というのはわかりやすかったかなと思いますけれども、日本の国の海の環境でいうと、海洋資源というところからすれば、さまざまな発展の可能性とかそういうものというのは幾つも現時点であるわけですよね。

 こういうことについて、一連の、中国が、まあ、中国がと言っていいのかどうか、私はそう思うから中国がと言いますけれども、権利とかそういうことについては非常に自分たちの考えを強く主張して、そして、我が国に対して、あるいは近隣諸国に対しても物事を進めていく。それは、いろいろな手段を使ってそういうふうなことを広げようとしているというふうに私は感じているんです。

 その中にあって、それでは、我が国はもちろん手をこまねいているわけではないでしょうけれども、実際に、例えばレアメタルの話ですとか、あるいはメタンハイドレートとか、さまざまな、これから先に可能性があるものとか、こういうことについても、当然我が国からすれば先手を打たなくちゃいけないというふうに思うわけです。

 これらについて、海洋資源、それは今私が申し上げたような地下資源も含めて、あるいは海中の魚介類とかいろいろなこともそうだと思いますけれども、きちっと我が国としての先を見据えた対応というのをどう考えていらっしゃるか、これを確認したいと思います。

薗浦副大臣 御指摘のとおり、近年、我が国の周辺海域というのは、先ほど御指摘にあったようないわゆる違法操業のみならず、我々の同意を得ない形での外国船舶による海洋の科学的調査等の事案も発生をしております。

 こうした状況に対して、外務省としては、外交面においては、個別事案への対応、海における法の支配の貫徹に向けた国際的な連携強化、こうした観点から、二国間または多国間の協議等々の取り組みを進めてまいりました。

 また、実際の事案への対応については、関係省庁と連携しながら、情報収集、分析も含めて、厳正かつ的確な取り締まりを実施しているというふうに承知をしております。

吉田(豊)委員 今、最後の方におっしゃった厳正な取り締まりというところなんですけれども、これについてはそういう体制はきちっと今できているという中にあって、例えばサンゴの場合に戻りますけれども、あれは把握していたかどうかということは別として、そういう状況ということが生まれてしまったわけですね、結果として。そうならないためのさまざまな準備というものはできている、そういう認識でよろしいでしょうか。

滝崎政府参考人 外務省の方からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、日ごろ連携をとりながら、例えば海上保安庁ですとか、漁業の面であれば水産庁といろいろ協力しながらやっているわけですけれども、そういった中で、もちろん、全体の、例えば海上保安庁でしたらば船の隻数とか、そういったものに限界はあるとは思いますけれども、きちんと対応できるように常に体制を整えているというふうに御理解いただければというふうに思います。

吉田(豊)委員 今のところは実は非常に重要なところでして、やはり、さまざまな状況を把握できている、それも、連携した上でと。もちろんそうなんです、そういうふうにやっていただかないことには始まらないんですが、実際、物事、事件が起こってしまうというところが、国民からすると、それはもっとわかっていたんじゃないのというふうにやはり思うわけなんですね。だから、ここのところというのは繰り返してはいけないという話で、それをどういうふうに準備しているかということを、後段のレーダー関係のところでまたお聞きしたいと思います。

 次に私が確認したいのは、日本という国は、沿岸というか湾岸は非常に管理する距離が長いんですよね。複雑な形状をしているということもありますけれども。

 きょう、委員会のところでも、最初、大西委員がお聞きになりましたけれども、拉致の話がちょっと出たと思います。

 あれは、私は富山ですけれども、私にとっても非常に重要な解決すべき、もちろん皆さんそうだとは思いますけれども、具体的に海岸と拉致ということでいうと、富山県の方では過去に水中スクーターというものが発見されています。これは、実際に北朝鮮の方からそういう工作員が入ってきて、水中スクーターが富山湾の中にあったという、もう事実ですからね。こういう状況があったということを考えると、これについてもやはり、過去の事件なんだとは思います、でも、これが次の反省に生かされているかというところが非常に私は重要なことだと思っています。

 稲田大臣は御地元は福井ということですから、より富山、富山湾なんかわかりやすいですね、のっぺりしているからどこから来たか見つけやすいと思いますけれども、そうでない地域というのはたくさん日本海側にも当然あるわけで、こういうところについて、今、現時点で、沿岸それから海岸の警備についてどのような体制ができているのか、この状況について確認させていただきたいと思います。

岩並政府参考人 お答えいたします。

 我が国周辺海域では、毎年数多くの事件、事故等が発生をしております。

 海上保安庁では、日々、こうした事件、事案の未然防止に努めるなど、さまざまな業務に当たっているところでございます。

 委員御指摘の沿岸の警備につきましては、海上保安庁におきまして、警察、自衛隊等関係機関とよく連携をしつつ、巡視船、航空機により、平素から我が国周辺海域における不審な行動をとる船舶などの監視、警戒を実施しているところでございます。

 引き続き、関係機関とよく連携しながら、拉致等の問題を繰り返さないように万全の体制をとってまいる所存でございます。

吉田(豊)委員 もう少し具体的に状況をお聞きしたいなと思うんですけれども、例えば、各都道府県が担当している部分、それから国家として全体を見ている部分とか、この辺についての役割分担というのははっきりできているんでしょうか。

岩並政府参考人 お答えいたします。

 御質問の、関係機関等との連携でございますけれども、全国各地におきまして、関係自治体あるいは関係機関等と定期的な会合を通じまして不審事象に係る情報交換を行うとともに、合同訓練等を定期的に実施するなど、緊密な連携を図っているところでございます。

 引き続き、このような取り組みを通じまして、海上の警備に万全を期してまいりたいと思っております。

吉田(豊)委員 海上の警備という言葉で今おっしゃったんですけれども、最初に申し上げたように、海中、海面、それから上空という形があると思いますが、それについても連携がとれている、そういう認識でよろしいですか。

岩並政府参考人 さまざまな事案を想定いたしまして、関係機関とさまざまな対応の連携を図っているところでございます。

吉田(豊)委員 何をするにしても、結局は、人員そして体制をどう整えていくかという話だと思うんですが、現実に事故や事件が起こったりするときには、それが十分でないからそうなるんだろうとは思います。

 ただ、どこに重点を置かなくちゃいけないかとか、こういう考え方というのもきちっととっておかなくちゃいけないことだと思いますので、これについてはまた改めて具体的に、どのようなところを重視して警備しなくちゃいけないのか、あるいはどのような可能性を想定しなくちゃいけないのか。特に国家の安全保障という話になれば、敵国と言えばいいか、攻めてくる形があればどこを狙ってくるのか、当然それは想定されている話だと思います。

 けれども、そういうことについて、やはり一般国民とすれば、さまざまなこういうことについてもきちっと準備ができていますよ、整備ができていますよということが何よりも大事なことで、それができているのかできていないのかということは、平生私たちが暮らしていても見えない部分だと思いますので、これについても改めてまたお聞きしていきたいなというふうに思います。

 きょうずっとお聞きしている中で、私自身がやはり一番大事じゃないかなと思っているのは、何かが起こるという予兆、兆候をどのように把握するか、そういうことこそ我が国が国家として一番、専守防衛の国だと言っているわけですから、その国是にもかなうし、国家としての安全保障の考え方にもかなうと思うわけです。

 またTPPの話にすると、TPPで今、攻めの農業という言葉がありますでしょう。攻めの農業というのは攻めるという言葉なんですが、攻めの安全保障ということを考えたときには、逆説的ですけれども、我が国は守ることをより強化することが一番重要な、攻めの安全保障というときにはきちっと守りを固めるという、そこが私は一番大事じゃないかなと思うわけです。その守りを固めるという意味では、何かが起こったときということを、きちっと自分たちの自立、自前で整備していくということにより強化するべきだと私は考えています。

 これについて、言葉が適切かどうかわかりませんが、よく、レーダーとかそういうシステムで国家を守っているとかあるわけですね。今、こういうようなことについて、我が国が独自にどの程度のものが整備されているのかというところをまずお聞きしたいと思います。

宮澤大臣政務官 お答えを申し上げます。

 我が国の周辺海空域におきましては、航空機や艦艇等に対しまして常続監視を広域にわたって行い、各種の兆候を早期に察知することは重要でありまして、防衛省としては各種のレーダー等の整備に取り組んでいます。

 具体的に申し上げますと、まず陸上自衛隊ですが、与那国島等の沿岸監視用レーダーによりまして、周辺海空域の艦船、航空機を監視しています。

 次に、海上自衛隊ですけれども、P1等の固定翼哨戒機、これらの捜索用のレーダー、護衛艦等の水上レーダー及び対空レーダー、対馬等の警備所に配備している監視用レーダー等によりまして、我が国の周辺の海空域の艦船、航空機や弾道ミサイル等を監視しております。

 航空自衛隊におきましては、全国二十八カ所のレーダーサイトに配備している固定式警戒管制レーダーのほかに、移動式警戒管制レーダーや、E2Cなどの早期警戒機、これらの捜索用レーダー等によりまして、我が国の周辺の空域を飛行する航空機や弾道ミサイル等を監視しております。

 これらのレーダーから得られた情報は、必要に応じまして、ジャッジシステムですとかデータリンク等を通じまして、米国とも適切に情報の共有を行うこととしております。

 新ガイドラインにおきましても、自衛隊及び米軍はおのおののアセットの能力及び利用可能性に応じまして情報収集、警戒監視を行う旨明記されておりまして、こういった分野におけます日米協力についてはしっかり取り組んでいくことが重要であると認識しております。

吉田(豊)委員 今ほどの御説明では、結論とすれば、レーダーシステム、さまざまな物事を感知することについては、全て我が国の装備でできている、そういう理解でよろしいわけでしょうか。

高橋政府参考人 先ほど政務官が御答弁申し上げましたように、我が国独自のシステムを自衛隊として整備しておりますので、陸海空、それぞれレーダー等のシステムを持っております。それにおきまして、航空機、艦船等の情報を収集しているということでございます。

 以上でございます。

吉田(豊)委員 そうしますと、政務官が後段の方でおっしゃった日米との連携という意味というのは、物事が起こることについては全て我が国でまず把握ができている、その上で、さまざまな対応を打たなくちゃいけないときに連携を図る、そのために日米の連携だ、そういうことで間違いないでしょうか。

高橋政府参考人 我が国は日米同盟に基づきまして一般の情報の交換を常に行っておりますので、我が国独自で得られた情報、また米国が得られた情報につきまして、必要な限りにおいて情報交換しているということでございます。

吉田(豊)委員 もう少し詳しくお聞きしたいと思いますけれども、やはり国民は、トランプが生まれるということによって、自分たちでやらなくちゃいけなくなるんじゃないのということも今の時間に思っておるわけなんですね。

 そうすると、さまざまなレーダーのこと、それも、今自分たちのところでできている部分があって、当然米国からも、それぞれ役割分担しているところがあるとなれば、やはりそれはきちっとそのようにして、現状はこうなっていますと。それについて、それで十分かどうかという検討も必要かなということになる可能性もあるというような認識でいいわけでしょうか、役割分担という意味では。

辰己政府参考人 我が国独自で把握できる部分もございますが、弾道ミサイルのような場合でございますと、早期警戒衛星情報というのがございます。これについては、アメリカから第一報という形で我が国にもたらされる。あるいは、Xバンドレーダーとか、アメリカのレーダーと日本のレーダーが共同して、まさに情報を共有しながら弾道ミサイルについては対応していくということになると思っています。

吉田(豊)委員 そうすると、その状況が今まではふさわしかったという認識でそういうふうに役割分担をしているということだと思うんですが、素人考えですけれども、弾道ミサイルも含めて、我が国自前のものを組み立てていくということは可能性はあるんでしょうか。

高橋政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる日米相互の役割分担がございますので、その一定の役割分担でもちまして、例えば弾道ミサイルでございますと、早期警戒情報あるいはXバンドレーダーの情報、それぞれに情報を提供しながら、お互いに役割分担をしながら日本の防衛のために情報収集活動を行っているということでございます。

吉田(豊)委員 本当にここは大事なところでして、役割分担というところが、まあ役割分担なんですけれども、それ自身の、役割分担の根本のところが、もしかしたら積み上げしなくちゃいけないという状況がないとも言えないわけです。

 ですから、今ほどのおっしゃることは、それで現時点について安心ですねという話だと私は思います。けれども、この先のことになったときには、やはりそういうことも含めて、私の持論ですけれども、もう一度自分たちが自立する、自衛していくことについてのベースを自分たちでつくる必要があるのではないかということも考えていかないと、これはたまたま、こういう、日米同盟というものをさらに強化するという言葉は常に出てくるんですね。さらに強化するというのはどういう意味で強化するのかという根本の話に私はかかわってくると思っています。

 さらに強化するというのが、連携という言葉が変に依存という言葉になっていってはやはりいけないわけで、さらに強化するというものは、実は自分たち一人一人が力をもっとつけることによって、そしてそのことで、頼らなくてもいいような状況を含めて連携を図っていくというようなことも私は考えなくちゃいけないというのが、このタイミングというのは非常にそういう転機になり得るんじゃないかなというふうには考えています。そのことはぜひ御検討というか想定していただきたいな、こういうふうに思っているところです。

 そして、実動部隊とはどのように連携しているかということについてはもう改めて確認するまでもないと思いますけれども、そういう状況を把握したときに、当然、我が国とすれば、実際の部隊としての連携ということについても問題なくその準備ができている、そういう認識でよろしいでしょうか。

辰己政府参考人 自衛隊におきましては、各種レーダーに得た情報について、その情報は速やかに必要な部隊に伝達されます。

 例えば、弾道ミサイルを探知した場合には、先ほど申し上げたとおり、米側からの情報もございますが、そういうのは、ジャッジシステムというのがございまして、それを通じて、イージス艦でありますとかPAC3の部隊にそういう情報が直ちに伝達されることになっています。それから、防空対応の方ですが、領空侵犯のおそれのある航空機、これをレーダーサイトが探知をした場合には、それを速やかに伝達して、戦闘機部隊が緊急発進をする。また、不審な艦船を発見した場合には護衛艦等が現場に向かうということで、各種レーダーに得られた情報は速やかに自衛隊内で伝達され、適切に、迅速に活用されているということでございます。

吉田(豊)委員 一通り、我が国としてさまざまな状況を把握するということについては私なりに確認させていただいたと思うんですけれども。

 こういう我が国の周辺にかかわる問題でいうと、やはり近いところで一番気になっているというのは、南沙諸島、あのあたりでさまざまな物事が起こっているということなんですね。

 国民は、やはり映像が一番わかりやすいんですけれども、でき上がったものをぱっと見せられて、これはいつの間にできているのという話になっているわけです。ですから、そういう情報を国民に対しても提供する、それから、周辺諸国がさまざまな思いを持っていろいろなことをやっているということについては、やはり当初の段階から情報を国民ときちっと共有していくという、そこが実は非常に重要な今後の問題じゃないかな、私はこう思っているわけです。

 このあたりについて、何でさまざまなことが、でき上がったところで、こうなっています、そして大変なことになりましたという状況になっているのか。これについて、どうしてこうなるのかということをどなたかお答えいただけないかと思うんですけれども。それは、いきなり、急にわかったからそうなんですか。

豊田政府参考人 広報サイドの方からお答えするのが適当かどうかという問題もあると思います。

 防衛省・自衛隊は各種の情報収集活動を行っておるわけでございますので、それらの情報の中には、ある程度分析をまとめた上で国民の皆様に御報告するというやり方をとらざるを得ないものもあるかと思います。

 ただ、先生御指摘のように、私ども防衛省・自衛隊の活動は、国民お一人お一人の理解と支持があって初めて成り立つわけでございます。このため、私どもとしては、できるだけ詳細にわたり、わかりやすい広報活動を積極的に行って、国民の皆様の信頼と協力を得ていくことが重要であるというふうに理解しておるところでございます。

 この一例として、防衛政策への理解等々の促進を図るために、毎年防衛白書を刊行させていただいているほか、先生御指摘のように、それぞれの個別の事案の内容に応じまして、記者会見ですとかお知らせを通じたマスコミへの迅速な情報提供を行っているところであります。

 こういったさまざまな枠組みを十分活用いたしまして、今後とも、国民の皆様に適時適切に情報提供を行ってまいりたいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 今ほどおっしゃったところは全くそのとおりでして、自衛隊というものがいかにさまざまなところで貢献しているかということについての広報はきちっとなされていると思いますし、それは国民も理解度が非常に高い。だから、信頼しているし期待しているだろう、こう思うわけですね。

 最初の話ですけれども、こういう国家としての周辺で起こる物事については、やはり、アンテナと言えばいいか、感度を全体で高めていく、その中でさまざまなきっかけというか取っかかりがあるわけです。ですから、こういうことについて、それをどういうふうにして捉えて、そしてそれは、特に拉致の話が一番本当はわかりやすいんでしょうけれども、何をするにしても、外交にしろ、当然、防衛にしても有事でない限りは外交に近いような活動なわけです、そういう意味でのアクションというものをきちっとやっていくという、そのための情報提供と言えばいいか、その考え方がこの国というのはまだまだ足りない部分があるんじゃないかな、私はこう思うんですけれども、もしお考えがあればお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 今委員御指摘になったように、やはり我が国の防衛に関しては、我が国自身の防衛力をしっかりとつけていくということが一つ重要だと思います。それは質においても量においてもですね。我が国自体が自分の国は自分で守る体制をしっかりとつくっていく。先ほど委員が御指摘になった情報の面においてもそういうことが言えるというふうに思います。

 ただ、一国だけで、我が国だけで守るということはなかなか難しく、そういう意味で、日米同盟、これは非常に重要だと思っています。

 安倍政権が政権奪還をしてから、平和安全法制、特定秘密、新ガイドライン等々、日米の関係は非常に緊密なものになっているということを実感いたしております。トランプさんが次期大統領になられるということで、さまざま、選挙期間中の発言等でいろいろ言われている向きもありますけれども、でも、トランプさんと総理との電話会談の中で、トランプさん自身も、日米関係は卓越したパートナーシップであり、この特別な関係をさらに強化したいともおっしゃっているわけでありますので、しっかりとこの日米の関係を強化、さらに深化していくことが重要だと思います。これが二番目です。

 あと、三番目は、やはり関係諸国との関係をしっかりと築いていく。特に、価値観を共有する国々との間で関係を築いていく。能力構築支援等を通じて、南シナ海で起こっていることは東シナ海で起きるかもしれない、力ではなくて法による支配を貫徹するという意味における仲間づくりをしていくことが必要だと思います。

 と同時に、やはり国民の皆さん方にもしっかりと、今の日本を取り巻く安全保障環境について情報を提供していくということも重要だというふうに思っております。

吉田(豊)委員 本当にそのとおりなんですけれども、改めて私自身が思いますのは、きょうのテーマは特に南スーダンだったというところなんですね、そうすると、南スーダンというのはやはり距離的に、感覚的に私は遠いところだろうなと思います。話が委員会で非常にわかりやすいのはやはり陸上のことで、私たちもイメージしやすいということは間違いないと思うんです。昨年のことですけれども、ホルムズ海峡のことが大きなテーマになりました。あれは海の中の話でして、それから機雷のことですとか、さまざまなことがやはり想像しにくい、そして距離的に遠いというこの難しさもあったと思うわけです。

 ですから、改めて、ちょっと私、本当に上手な質問じゃなくて申しわけなかったですけれども、今回私が理解したいなと思っていますのは、やはりバランスなんです。それは、今後の国家としての方針として、自立する部分とそれから連携する部分、これについては、今までと同じ方針での日米同盟の強化というイメージをお持ちなのか、それとも、さまざまな可能性も含めてこれからやはり考えていかなくちゃいけないというふうに思っていらっしゃるのかということを改めてお聞きしてよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 まず、日米同盟は非常に重要だと思っております。この重要さは、たとえどなたが大統領になられようと変わるものではないですし、また、トランプさんが大統領になられて、さまざま選挙期間中におっしゃっていたことを実際にどういった形で政策に移されるのかということは、予断を持ってコメントすべきではないとも思っております。

 その上で、委員が御指摘のように、しっかり自分の国は自分で守るという体制、これは質も量もですけれども、しっかりとつくっていかなきゃいけないし、あと、関係諸国、繰り返しになりますが、特に、価値観を共有する、自由と民主主義とそして法の支配を共有する国々との連携は重要で、東アジア太平洋地域の平和と安定と繁栄は世界の平和と安定と繁栄につながります。

 また、南スーダン、すごく遠い、アフリカの関係のない国々というのではなくて、やはり、南スーダンの安定がアフリカ全体の平和と安定につながり、それが世界の平和と安定につながっていくんだという意味において、積極的に、憲法の範囲内で、そして法の支配を貫徹させるという意味において、日本も国際貢献をやっていくべきだというふうに考えております。

吉田(豊)委員 そうすると、最後、短く確認しますけれども、今ほどのこの南スーダンのことについては、やはりそれは、私の言葉で言えば、連携という部分についてのさまざまな活動を今行うタイミングだ、そういう認識でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 ずっと日本がやってきたPKO、すごく経験があります。さらに、私も、ジブチに行っても、それからジュバに行っても非常に感じたのは、日本らしい、自衛隊の、例えば施設活動であったり、ずっと経験を積み上げてきた、非常に現地の人たちが喜ぶ、喜んでいただける、感謝していただける、そういう活動を通じて、日本らしい国際貢献、日本らしい世界の平和に貢献する活動を続けていくべきだというふうに考えております。

吉田(豊)委員 ありがとうございました。終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 去る十月十八日、東村高江の米軍ヘリパッド建設工事現場で、大阪府警から派遣された機動隊員が、抗議を続ける市民に、ぼけ、土人が、黙れシナ人などと侮蔑し、差別する罵声を浴びせ、大きな社会問題になっております。

 土人発言については、鶴保沖縄担当大臣は、差別発言と断ずることはできないとして認めず、沖縄じゅうで新たな怒りが高まっております。近現代における沖縄への差別の歴史に対する無知、無理解で、およそ沖縄担当大臣の資質も資格もありません。

 私は、今回の土人発言は、ヤマト社会のウチナーンチュに対する構造的差別意識によるものと考えております。ましてや、公権力を行使する立場にある機動隊員の暴言は絶対に許されません。改めて、土人発言に対する防衛大臣の所見を伺います。

稲田国務大臣 私も以前、国会で同じ質問を受けて答弁させていただいたとおりですけれども、機動隊員によるこういった発言は大変残念でありますし、また、官房長官も、このような発言は許すまじきことであるという発言をされているところでございます。私自身も、こういった不適切な発言を行ったことは大変残念であるというふうに考えております。

照屋委員 ちょっとがっかりした答弁ですね。

 極東最大の米空軍嘉手納基地を擁する嘉手納町で発生している悪臭問題について、風向き、風速、騒音を同時に計測した調査で、嘉手納基地から排出される排ガスの中に、発がん性を含む可能性がある黒色粒子が含まれていることが判明いたしました。同時に、爆音発生時に黒色粒子の量がふえたことも確認され、多くの町民が健康被害への強い不安を抱いております。調査結果は、北海道大学の松井利仁教授のグループが発表したものです。かかる調査公表に対する防衛省の受けとめを伺います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納町が実施している嘉手納基地由来の大気汚染物質調査につきましては、十一月十一日に中間報告会が行われたところであり、防衛省としては、嘉手納町から、その説明内容に係る情報提供をいただいておるところでございます。

 嘉手納町から提供された情報によれば、嘉手納町内での悪臭物質の発生源等に係る調査におきまして、排ガスの中に含まれるとされるすす等の黒色の粒子状物質と考えられる黒色粒子の量は騒音レベルの上昇に伴い増加している、臭気レベルの調査では、飛行場西側あるいは南側に悪臭発生源のある可能性がある等の結果が得られていると承知しております。

 また、同調査については、より多くのデータを収集することで分析の信頼性を向上させること、特に臭気レベルについては測定日数が短いため、さらにデータを蓄積する必要があるとされており、今年度末まで引き続き調査が継続されるものと承知しております。

 防衛省といたしましては、引き続き、本調査の動向に注視をいたしまして、関係機関と協力しながら適切に対応してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

照屋委員 大臣、嘉手納基地周辺では、殺人的爆音被害だけではなく、深刻な悪臭被害も相次いでおります。米軍機からの排ガスが悪臭の原因となっている可能性が高いことが判明いたしました。

 防衛省は、嘉手納基地周辺の大気汚染、悪臭被害の実態解明に向け、嘉手納全町域で継続的な調査を行うべきだと考えますが、大臣の見解をお聞かせください。

稲田国務大臣 御指摘の嘉手納飛行場周辺での悪臭については、これまでも嘉手納町や周辺住民から、嘉手納飛行場の米軍航空機が原因である可能性が高い、そして多くの要請、苦情が寄せられており、防衛省としても、重要な問題であるというふうに認識をいたしております。

 そのため、嘉手納町からの要請等を受け、これまで防衛省及び環境省は、嘉手納飛行場周辺地域における大気質等の現況を把握するための調査を実施してきておりますが、環境基準を超える大気汚染や米軍航空機と悪臭の関連を明確に示す結果は得られなかったところでございます。

 今般、嘉手納町が実施している嘉手納基地由来の大気汚染物質調査については、今年度末までデータを収集するとのことであり、防衛省としては、引き続き、本調査の動向を注視し、関係機関と協力をしながら適切に対応してまいりたいと考えております。

照屋委員 去る十一月十二日付の沖縄タイムスによりますと、米軍普天間飛行場でことし六月に起きた航空燃料の流出事故は、壊れた安全装置を修理せず放置したことが原因だったと判明いたしました。同日付の沖縄タイムスには、その証拠写真も掲載されております。在日米軍が沖縄防衛局に伝えた事故原因とも異なり、宜野湾市に対する米側の説明内容とも食い違っております。

 報道によって、航空燃料の流出事故は、米軍のずさんな安全装置管理、安全基準の無視、監視要員の不在など、複合的な要因によって惹起されたことが明白になりました。

 防衛大臣は改めて米軍に強く抗議すべきではないでしょうか。見解を伺います。

稲田国務大臣 今御指摘の本年六月の普天間飛行場における燃料の流出については、米側から、貯油タンクの格納時期において定期的に行われる燃料移動作業の際にタンクのバルブにふぐあいが生じたところ、燃料漏れを防止する自動遮断弁が適正に作動しなかったため発生したとの説明を受けました。

 これに対し、米側に対しては、適切な管理の徹底、再発防止、事故が起きた際の早期通報について申し入れているところです。さらには、その旨を沖縄県及び宜野湾市にも連絡いたしております。

 御指摘の報道に関して、現在、米側に事実関係を確認しております。

 このような事案については、これまでもその都度、米側に対し、燃料等の適切な管理の徹底及び漏出等の際の迅速な情報提供を申し入れているところでありますが、今後とも、米側が環境面に最大限配慮するよう求めてまいります。

照屋委員 大臣、この問題は、私は、在沖米軍基地というのは、安全保障の観点だけで考えるのではなくて、最大の環境問題です。だから、そういう視点で、ぜひ、米側に対してきちんと調査結果を求めて、県民に公表してもらいたい、そういうふうに思っております。

 さて、防衛大臣、世界一危険な普天間飛行場、そして極東最大の米空軍基地、嘉手納にあっては、日米間で航空機騒音規制措置、いわゆる騒音防止協定が締結されております。同協定によると、午後十時から午前六時までの運用は制限されており、外来機も対象になっているはずですが、規制が有名無実化しております。

 嘉手納基地では、十月十九日未明に、アメリカ・サウスカロライナ州基地所属のF16戦闘機による最大百・二デシベルの騒音が観測されております。また同日、普天間飛行場でも、米海兵隊岩国基地所属のFA18ホーネット戦闘機による、本年度最悪の百十六・七デシベルの爆音が観測されました。

 防衛大臣は、騒音防止協定を守らない外来機の運用にどのような所感をお持ちでしょうか。

稲田国務大臣 日米両政府は、日米合同委員会において、嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機の騒音を規制する航空機騒音規制措置について合意をしております。

 この中で、二十二時から早朝六時までの間の飛行及び地上の活動については、外来機か否かにかかわりなく、米国の運用上の所要のために必要と考えられるものに制限されると定められており、また、両飛行場を使用する飛行部隊の司令官は、騒音問題及び規制措置について厳重な注意を払うこととされております。

 このような規制措置について合意があるにもかかわらず、今御指摘になった、先月十八日から二十日にかけ、未明の時間帯に、嘉手納飛行場においてF16戦闘機が飛行し、同飛行場周辺の住民の方々や地元自治体から沖縄防衛局に対し苦情が寄せられたことについて、防衛省として大変重く受けとめております。

 このため、沖縄防衛局長から米空軍第十八航空団司令官に対し、地元からの懸念を伝えるとともに、航空機騒音規制措置の遵守等について強く申し入れを行っているところでございます。

 防衛省としては、飛行場周辺の騒音軽減は重要な課題であると認識をしており、今後とも、嘉手納飛行場及び普天間飛行場における航空機騒音規制措置を遵守し、外来機を含む航空機の運用による影響を最小限にとどめるよう、引き続き米側と協議してまいります。

照屋委員 お忙しい大臣に、私はぜひ、嘉手納、普天間基地の騒音規制について、日米間で合意した内容をいま一度精査していただきたいと思います。

 というのは、外来機が飛来してくる、そして未明に離陸をする、結果的に、物すごい爆音を暴露しているわけですね。日米間のいわゆる騒音防止協定には、司令官の責任というのが明確にうたわれているんです。それが現実には確保されていないということを、私は、ぜひ大臣にもおわかりいただきたい、このように要望しておきたいと思います。

 ところで、防衛大臣は、百デシベルを超える騒音、爆音がどの程度のものであり、基地周辺住民の健康にどのような悪影響を及ぼすと想像をし、認識をしておられますか。それとも、全く考えつかないか。どちらでしょうか。

稲田国務大臣 人が生活する上で受忍限度を超えたものであるというふうに認識をいたしております。

照屋委員 受忍限度をはるかに超えて、これは、住民の生活だけではなくして、健康を破壊するような高いデシベルだということをぜひ大臣にもおわかりをいただきたいと思います。

 さて、当初、七月末にまとめる予定だった、嘉手納基地周辺における騒音コンターの見直し作業が、十月末までの延長を経て、さらに来年三月まで再延長されたのです。

 沖縄防衛局は、見直し作業延長の理由として、外来機の飛来など、嘉手納基地の特殊事情を挙げておりますが、再延長に至った理由について防衛省に伺います。

深山政府参考人 住宅防音工事の対象区域である一種区域等の区画につきましては、その区域指定後、長期間が経過し、この間、配備機数の変更等も起こっておることから、全国的に第一種区域等の見直しを逐次実施してきておるところでございます。

 嘉手納飛行場につきましては、昭和五十八年三月の第一種区域の最終指定以降、三十年を超える年月がたっております。最も経過年数の多い飛行場の一つでございますこと等のために、第一種区域等を見直すことといたしまして、有識者にも参画いただいた上で、平成二十六年度から騒音度調査を実施してまいってきたところです。

 御指摘のとおり、当該調査は、本年七月末の完了を予定しておりましたが、各年度の騒音発生回数を初め、運用状況が大きく変化するというのは嘉手納基地の特徴でもあるというふうに認識しておりまして、こうした特殊性を踏まえた念入りな調査が必要であると判断いたしまして、その騒音度調査の完了時期をまず十月まで延長した上、今回さらに、二十九年三月三十一日まで延長することといたしたところでございます。

 防衛省としては、騒音度調査の完了後、その結果等について丁寧に関係自治体の方々等に説明をさせていただくとともに、当該調査結果を踏まえまして、嘉手納飛行場の第一種区域等の見直しを進めてまいりたいと考えておるところでございます。

照屋委員 時間が押してまいりました。

 防衛省は、去る八月十九日に、普天間飛行場の改修工事を発表しました。格納庫や倉庫、兵舎、管理棟、貯水槽など十九施設を対象に、年内に老朽度調査を実施した上で、大幅補修に着手するようであります。

 老朽度調査は既に終えたのでしょうか。予算総額や補修工事完工の目安など、事実関係について伺います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、平成二十五年度から普天間飛行場において補修事業を実施しているところですが、これ以外の一部施設についても、施設の老朽化によって安全な運用の維持等に支障を来している状況になっているとして、米国政府から補修の要望がなされてまいりました。

 このため、防衛省といたしましては、本年八月、補修の必要性、緊急性に鑑み、一部施設について、今年度から速やかに老朽度調査を行った上で、必要な補修事業を追加的に実施することといたしました。この調査は十月八日から実施いたしておりまして、本年十二月二十六日までに完了する予定です。

 その補修に必要な予算総額につきましては、補修に係ります老朽度調査を行った上で、最終的な補修内容について日米間で協議、決定することといたしておりまして、現時点では、その総額についてまだ算定できる段階には至っておりません。

照屋委員 大臣、今答弁をお聞きになっておったと思いますが、普天間飛行場については、五年以内の運用停止というのが前仲井真知事と安倍総理との間で合意をされております。もっとも、私は、その五年以内の運用停止は、これは実現不可能だ、安倍総理と仲井真知事の三文猿芝居だ、こういうふうに批判をしておりますが、今言ったような補修工事をやるというのは、五年以内の運用停止は、もうあと二年二カ月ぐらい、二〇一九年二月までに実現をしなければいけません。この時期の改修工事は予算の無駄遣いとは大臣は思いませんか。

 それと、最後に、稲田大臣が考える普天間飛行場の五年以内の運用停止というのはどういう定義、どういう状態をお考えなんでしょうか。お答えください。

稲田国務大臣 今、深山局長から答弁申し上げました今回の補修事業は、設置から五十年以上が経過した普天間飛行場において、一部施設の老朽化が進んでいて、安全な運用の維持などに支障を来し得る状態になっていることから、必要最小限度の補修を行うものでございます。

 普天間飛行場の五年以内運用停止に関しては、仲井真前知事に対し、辺野古移転に必要な埋立承認申請を行っている中で、平成二十五年十二月十七日、知事から要望が出され、その後、知事から、十二月二十七日、埋立承認をいただいたところです。

 政府としては、埋立承認をいただいて工事を進める中で、特に、移設までの間における普天間飛行場の危険性除去を中心とした負担軽減が極めて重大な課題であるとの認識のもと、平成二十六年二月、仲井真前知事及び佐喜真宜野湾市長の要望に基づいて、普天間飛行場負担軽減推進会議を設置し、相手のあることではあるが、できることは全て行うという姿勢で、沖縄側と協議を行ってきたところであります。

 昨年十月に、翁長知事が埋立承認を取り消すなど、普天間の移設をめぐる状況は当時とは変化をしております。

 政府としては、普天間飛行場の五年以内の運用停止については、できることは全て行うとの姿勢で取り組んでおりますが、その実現に向けては、辺野古移設についての地元の御協力が得られることが前提であるというふうに認識をいたしております。

照屋委員 大臣、時間ですので、くれぐれも、三月の当委員会で私が聞いたら、中谷防衛大臣は、運用停止というのは飛行機の運航が停止している状態だと言い、四月の委員会では下地議員に対して、幻想を振りまいちゃいかぬから撤回すると言っておりますので、そういう幻想だということで県民を失望させないようにお願いし、終わります。

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。稲田防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲田国務大臣 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛省職員の給与について、平成二十八年度の官民較差に基づく改定を実施するため、所要の措置を講ずる必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、一般職の職員の例に準じて、自衛隊教官及び自衛官の俸給月額について引き上げることとしております。

 第二に、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生に係る学生手当及び期末手当等について引き上げることとしております。

 このほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定しております。

 なお、事務官等の俸給月額の改定、自衛官及び事務官等の勤勉手当の支給割合の引き上げ等につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛省職員についても行われることとなります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十七日木曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十八分散会


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