衆議院

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第3号 平成28年11月17日(木曜日)

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平成二十八年十一月十七日(木曜日)

    午後一時三十六分開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      今枝宗一郎君    大西 宏幸君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      小林 鷹之君    左藤  章君

      武田 良太君    藤丸  敏君

      宮澤 博行君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    神山 洋介君

      横路 孝弘君    佐藤 茂樹君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

      吉田 豊史君    照屋 寛徳君

      武藤 貴也君

    …………………………………

   防衛大臣         稲田 朋美君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         稲山 文男君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           合田 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        宮島 昭夫君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官稲山文男君、人事院事務総局給与局次長合田秀樹君、内閣府国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君、外務省大臣官房審議官大菅岳史君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省人事教育局長鈴木良之君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山洋介君。

神山(洋)委員 神山洋介でございます。

 きょうは、防衛省の職員の給与法ということでして、防衛省、自衛官の皆様の給料に関してであり、ついおととい、大臣所信を受けてさまざまな観点から議論がなされましたところでもありますので、その給与法に関して、プラス幾つか安全保障政策に関しても議論させていただきたいと思っております。大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず給与法についてなんですが、我々は、この法案そのものについては基本的には賛意を持っているという観点ではあります。

 ただ、この後、恐らく同僚、青柳議員からも話があるかと思いますが、国家公務員の給料に準ずるというところは、それは国家公務員である以上、ある程度やむを得ないと思っていますが、しかし、その上がり下がりであるとか考え方であるとかというものが本当に、ミリタリーとシビリアンと明確に分けるべきかどうかということも含めて今の体系でいいのかというところはやはり我々の中でも議論がありまして、そこは大臣にこの場では御答弁はお願いをしませんが、青柳議員からもお話があると思いますので求めませんが、問題意識としては強く持っているということはあらかじめ申し上げさせていただきます。

 ここでまず私の方から議論させていただきたいのは、この給与そのものに直接かかわるわけではありませんが、それもかかわるという意味で、長年議論になっています充足率の話、これを議論させていただきたいと思っております。

 きょう、お手元に資料を二枚お配りしておりまして、一枚目をごらんください。これは、もう白書に載っているような数字をそのままちょっと見やすいようにレイアウトを変えて加工したものでありまして、数字そのものはもとのマスターデータと全く変わりありません。ここ十年ほどの自衛官の定員、これは、定員がオレンジのバーです。その右側に緑とブルーと少し薄い青で記載をされているのが陸海空の実員でございます。上に赤の折れ線グラフであるのがここ十年間の充足率の推移です。

 一見して、ごらんいただいてわかるように、特にこの赤い折れ線グラフで見ると、充足率は、十年前の十八年度で九三・五%で、十年後の今は九二%ということですが、一貫して九二%前後。一番高くなったときは九五%台というときもありますが、ずっとこの辺でうろうろしているわけです。

 そもそも、この充足率というものは、定員に関して、今ある装備であるとか自衛隊としてやらなければならないことを考えたときにこのぐらいの人員が必要であるという観点から定員が導き出され、それに対して陸海空それぞれ実員としてどのぐらいの人数がいるのかというところからはじかれる。まあ、これは機械的に数字が出てくるわけです。

 これはまず大臣に素朴にお伺いをしたいわけですが、ずっと一〇〇に満たない、ずっと定員を割った状態で推移をしているということに関して、この安全保障委員会でも、私ももうかつてから何度か同じような質問をしたことがありますが、これはまずいよね、問題はやはりあるよね、何とか改善しなきゃいけないよねという議論がずっとあるわけです。一方で、では、その数字が何らかの改善が示されたかというと、十年前と今と、さしたる変化があるような数字には見られない。この状況、この数字を見て、まず大臣、どう思われますか。

稲田国務大臣 充足率についてのお尋ねですけれども、人員の充足率が十分ではない、すなわち、定数どおりの人員が実際に配置されていない、そういう課題はあります。自衛官の充足率の向上は、自衛隊の体制強化の観点から大変重要であり、防衛大綱及び中期防に基づいて継続的に取り組んでいるところです。

 今先生からお示しをいただいたこのグラフにもありますように、昨今の自衛官の充足率は、二十五年度九二・六〇、二十六年度九二・六三、二十七年度九二・七〇、二十八年度九二・七八と、改善傾向にはあります。また、平成二十九年度の概算要求においては六百十六名の実員増を要求しておりまして、充足率は九三・〇二%となります。

 防衛省といたしましては、防衛大綱、中期防に基づいて、継続的に人員の充足向上を図ってまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 という議論を毎度毎度ずっとやってきているわけですよ、この十年間。多少よくなったり、多少落ちたりということがある中で、事実としては、まあ、さしたる改善がないとまでは言いませんが、これでオーケーだというところにはなかなか至らないという状態になっているわけです。

 これは、必ずしも稲田大臣をここで何か追及して責めようという話でもありませんし、どこの政権がどうのこうのという話ではなくて、構造的に一〇〇%という中で、やはりそれなりの体制がきちっと整備をされ、ローテーションが実行できる中で初めて、さまざま今、任務が、付与されている内容がふえているという状況の中できちんと仕事ができる体制を整えることができるんだと思うんですね。

 この定員ということそのものをもし見直す必要があるのであればそれは見直していただいていいわけですが、少なくとも、今やるべき仕事と、一方で、それにかかる人足数を考えたときにこの定員が必要であるという数字をはじき出しているのであれば、我々は、政治の現場の人間の責任として、一〇〇を目指すのだということをやはりやらなきゃいけないんだと思うんです。

 逆に言えば、十年間ずっと一〇〇を割ったままで、これでいいんですという話にはならないんだと思うんです。

 問題がありますと言って改善をするのであればいいですし、今お話があったような流れの中で、例えば三年すれば、もしくは五年すれば一〇〇になってこの問題は解決をするのですという道筋が見えているのであれば、私はさしてここで問題にすることではないと思うんですが、少なくとも今の大臣のお話を伺う中で、その方向感というのはやはり見えないんじゃないかなというふうに思うわけですね。

 非常に単純に考えて、では、この充足率をどういう形で十割を満たすのかと考えたら、方法は二つしかないわけです。非常に単純な話です。定員が下がるか、人員がふえるか、この二つしかないわけですよ。

 定員が下がって、今の現員に対して一〇〇になる。今、二十二万人ぐらいですか。定員が二十万になれば、それは一〇〇にはなりますよ、数字上。一方で、今、二万人ぐらい不足をしているのだとすれば、単純計算で、人員が二万人ふえれば、それは一〇〇にはなりますよ。どっちの方向の中で、もしくはこの組み合わせでもいいんですが、この問題を解決しようとしているのかという方向感をきちっとやはり出すべきじゃないかと思うんです。

 その話を伺うのはなぜかといえば、それは、我が国の周辺環境の中で、この安全保障にまつわる具体的なタスクというのは、これはもう議論の余地なくふえているという実情があるわけです。一方で、今回の南スーダンに対してのPKO派遣も含めてですが、プラスオンの任務ということも含めて任務拡大をしているという実情があるわけです。

 当然それは、一年間、二十四時間三百六十五日、多くのユニホームの方々は、そのつもりで働くのだという気概はあるかもしれませんが、人間ではあるわけです。その体制を整備するという中において、どういう方針でここを満たそうとしているのか、この方向感をきちっと出すべきだと私は思っているんですが、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 今委員御指摘になりましたように、方向感をしっかりと示すということは重要で、そのために、防衛大綱、そして中期防で将来を見渡した形での計画を立てております。

 さらには、先ほど答弁申し上げましたように、少しずつではありますけれども、近年改善傾向にはあります。また、来年度、二十九年度の概算要求においても、今委員御指摘になったようなさまざまな環境の変化もございますし、六百十六名の実員増を要求しているところであります。

 そういった我が国を取り巻く環境やそういったものを勘案した上で、しっかり定員の充足率を満たすように進めていくというのが方向性でございます。

神山(洋)委員 では、例えば、六百人の実員増をしました、それを三十年続けることによって一万八千人ふやせるのだ、三十年後には一〇〇%になるんだ、そういう方針だということでよろしいですか。

稲田国務大臣 毎年毎年六百十六名ずつふやす、そういう趣旨ではなくて、しっかりと、計画、中期防に書かれた定員に満つるように充足率をふやしていくということでございます。

神山(洋)委員 中期防に書かれた計画どおりやると。では、いつこの充足率は一〇〇を満たすのでしょうか。その全体像が見えないことがやはり問題じゃないかということを申し上げているわけです。

 現実問題として、今、仮に、定員というその数字があるべき数字であり、正しくもありということなのであれば、二万人という数字を、ではどうやってふやすんだという話になるわけですよ。

 もう一枚資料をお配りしておりますが、資料二です。これは防衛省の方からいただきました。自衛官一人当たりの維持費ということで、これは今年度の数字です。

 維持費という言葉がいいかどうかということは別としてですが、単純に、自衛官一人ふやしたときに、給料だけ払っていればいいという話ではもちろんありませんし、そこに教育訓練というものもあれば、そこにかかわる必要な装備というものもある。そういうことも含めたときに、一体、自衛官一人ふやそうとしたときにどのぐらいの予算を見込めばいいのかという、あくまでも参考として何か数字はありませんかという観点でお伺いしたら、この数字が出てきました。

 陸海空それぞれ違いはありますが、右下の平均の数字を見ると、一億二千万円という数字が出ています。直観的にも大体このぐらいなんだろうなというふうに正直私は思っています。

 例えば、では、一人当たり一億円なんだとしたときに、二万人ふやすということを考えたら、一億円掛ける二万人……(発言する者あり)ごめんなさい、一千二百万ですね。これだけの金額がやはりかかるわけですよ。そんなに簡単に捻出できる金額じゃないと私は思うわけです。

 今までの、この場所以外での議論も含めてですが、お話を伺っていても、人員をふやすということももちろん大事です。一方で、一つの仕事を効率化するなり、場合によっては自動化をするなりという中で、それは必ずしもマンパワーでない中で定員数を満たしていくということも、これは逆に言えば定員数の減につながる話かもしれませんが、ということもあるでしょう。現実にはこの合わせわざだと私は思うんですね。このトータルな絵をきちっと描くべきじゃないかというふうに思うわけです。

 何で私がこれを言うかというと、私は、自分の個人的な知り合いであったりとか、あとは自分の親しい友人であるとか、実際今ユニホームを着て現場で仕事をしているという方もたくさんいらっしゃいます。なかなか公の場でどうこう話すような話ではありませんが、やはり飲みながらも含めていろいろな話をする中で、非常に崇高な理念に燃えて頑張っているということがわかる一方で、現場はやはりなかなか大変だなという実感も受けるわけですよ。

 これだけ、あれもやってくれ、これもやってくれ、こういうことも大事なんだ、これからもっと大変になるんだということを政治の要請とする以上、現場の環境をきちっと整えることは、先ほど申し上げたようにマストだと思いますし、それが具体的にどういう方法で、どのぐらいの年限であればできるのかというその具体的道筋を示すのが我々の責任じゃないかと思いますし、さらに言えば、それは防衛の重責を預かられる大臣の責任じゃないかと思うから伺っているわけです。

 大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 今、委員は何点か御指摘になりました。

 私も、現場の自衛官の皆さん方が非常に士気高く、そして、さまざまな危険があるにもかかわらず頑張っている姿を目にするにつけて、その勤務環境や今おっしゃっている充足率も含めて、しっかりとやっていかなければならないと思っております。そういった観点から、しっかりと、防衛大綱、さらには中期防において、我が国を取り巻く安全保障環境を見た上で、必要な人員、そして経費を維持していくという方向性を出しているわけであります。

 先ほど、委員が、技術の進化によって省人化する部分もあるんじゃないかとおっしゃいました。まさしくそうだと思います。そういうめり張りというものをつけていく必要があると思います。例えば、高高度の滞空型偵察無人機を導入することなどにより、できるだけ省人化しながら自衛隊の警戒監視能力を向上させていくということは重要だと思います。

 また、現在の防衛大綱及び中期防においては、自衛官定数そのものについては現状を維持することといたしておりますが、全体で効率化、合理化をして、スクラップ・アンド・ビルドで、例えば、警戒監視などを行う第一線の部隊の定数を増加させる、そして、第一線の部隊の隊員の皆さん方の負担を増大させないようにするなどといった取り組みも行っております。

 こうした取り組みを行うことにより、必要な人員を確保しつつ、自衛隊がその高い能力を一層発揮し、新たな任務も適切に遂行できるものというふうに考えております。

神山(洋)委員 この議論はもうここまでにしますけれども、やはり具体的な話がないんですよ。

 総論は確かに大臣のおっしゃるとおりですし、私もこれまで申し上げたとおり、どうやって予算を確保して人数をふやしますかという話と、今あるものを例えば自動化するなり効率化する中で定数をもう少し下げることができるんじゃないかということになるとは思います。

 では、自動化をする中で、例えば自動化をこれだけ進めることによって、今二万人足りない部分の作業そのものを全部自動化の中で置きかえることができるんだというのであればそれはそれでいいですが、今の大臣のお話の中からいうと、少なくとも二つの方向からやる中で、どれをどのぐらいの割合で組み合わせることによっていつまでにできるのかという、その具体的な絵が全く見えないわけです。それをきちっとプログラムして進めていくということが大事なんじゃないですかということを申し上げたかったんですが、ほかの議論もいろいろしたいので、それはまた改めて突っ込んで議論させていただきたいと思います。

 今の話と直接絡む話ではありませんが、任務拡大の話で、前回のこの委員会でも、ちょうど駆けつけ警護にかかわる話も含めてたくさん議論がありました。

 きょう、大臣にまず一つお伺いをしようと思ったのは、前回の委員会の中での議論でも出てきたんですけれども、今回の南スーダンに派遣をするPKO部隊に駆けつけ警護の任務をさらに付与したわけですが、それに対しての国民の理解についての問題意識、それについてどう認識をされているかということを伺いたいわけです。

 これは、NHKが十一月の十四日に取り上げた世論調査でいえば、政府が南スーダンに派遣する自衛隊の部隊に安全保障関連法に基づいて駆けつけ警護などの新たな任務を付与する方針であることについて、賛成、反対、どちらとも言えない、どう思いますかという中で、賛成は一八%、反対は四二%、どちらとも言えない、三二%という数字があるわけです。

 これをもって賛成だの反対だのという話をここであえてするつもりはないですが、さっきも申し上げたように、例えばそれは、自衛隊員その方であり、御家族であり、友人でありという立場から考えたときに、それだけ危険でありながら、しかし一方で、国益のために必要であり大事な任務だから、ある意味では体を張って行ってきてください、そういう任務だと思うんです。そのときに、やはりそこで、行く御本人であり、それを送り出す家族からしたときに、一人でも多くの国民が、ぜひそれはお願いしますといって拍手を送っていただく環境の中で現地に、任務に赴いていただくという環境をつくるべきじゃないかと思うんです。

 裏を返せば、何をやるんだかよくわからない、反対だという声がわあわあある中で、それを行ってくださいというのはやはり私は非常にまずいんじゃないかというふうに素朴に思うわけです。

 このNHKの数字だけが全てではもちろんありませんし、いろいろな聞き方はあると思いますよ。しかし、国民の理解をきちっと得る中でその環境を整えるということは非常に重要なことだと私は考えているんですが、大臣、この点について、事の軽重をどう認識されていますか。

稲田国務大臣 昨年成立をした平和安全法しかり、また今回、今委員が御指摘になった新任務しかりでありますが、大変重要な法であり、今回の駆けつけ警護について申し上げれば、前回のこの委員会でもるる答弁いたしましたように、本当に高い評価を受けている南スーダンの施設部隊、道路をつくったり、また施設をつくったりしているその施設部隊が、緊急の要請を受けて、人道的見地から、対応できる範囲において、一時的に行う、助けられる人を見殺しにしないということですね。

 しっかり訓練をして、そして安定的な合意が維持されることを法的な要件としてそういった任務を負うということは非常に意義のあることではありますが、今委員御指摘になったように、しっかりと国民の理解が得られないと、その現場に行く、本当に南スーダン全体としては治安は厳しいです、そしてジュバ市内、比較的安定しているとはいえ、やはり緊張感を持って行かなければならない状況に隊員を行かす、さらにはその御家族のお気持ちを考えると、多くの国民の皆さん方が理解をしていただくということはとても重要なことだと私も認識をいたしております。

 駆けつけ警護について、いろいろ、ある意味誤解もあると思います。駆けつけ警護の意義であったり、また要件であったり、そういったことをしっかりと説明していく必要があるというふうに認識をいたしております。

神山(洋)委員 私は、安保法制の議論をしていたさなかに、当時予算委員会で中谷前大臣とも同じ話をしたことが実はあるんですね。おわかりでしょう、より多くの方々にぜひ頑張ってくれという理解がある中で、だからこそ、危険であるし、本当は嫌だけれども、でも頑張ってくれと送り出すのが家族でもあり、御本人でもあるんじゃないかと。

 その環境をつくり出すことは、政治といえば政治の、我々もその責任を負っていることはもちろん承知はしていますけれども、もっと具体的には、それはやはり防衛大臣、稲田大臣なのではないかと思うんですよ。

 だとすれば、今まさにその努力をという話がありましたが、閣議決定後に努力ということも否定はしませんが、閣議決定する前なり、したときなり、もっときちっと説明があってもいいんじゃないかと思います。

 であればこそ、前回の委員会の中でも後藤議員からも、何でジュバの治安を説明するのにこんな真っ黒けのペーパーなんですかという話がありましたが、あんなものを出している場合ではなくて、そもそも委員会が出してくれ、出してくれない以前の問題で、では、ジュバの治安情勢はこういう状況で、かくかくしかじかであるから、それは今の五原則も含めて問題がなく、ぜひ行ってくださいということを広く国民に対して説明をし、理解を得るという努力をちゃんと積み重ねるべきじゃないかと思うんです。そこがやはり甘いんじゃないかと思うんですよ、あの黒いペーパーそのものは。

 おまけに、これはこの前段でも少し議論になったのかもしれませんし、これからかもしれませんが、先日のあの黒塗りのペーパーを受けて、きちんと、ジュバが比較的安定をしているというふうに考えるに至った具体的なロジックを提出していただけるということで、今、内々にもいろいろな御相談があるというふうには伺っていますが、内々にいただいている御相談の中で、幾つかちょっと抜粋して見てみれば、南スーダン全土に退避勧告を出していることからも、政府としても治安情勢が厳しいことは十分に認識していますと。その後に、以上の状況を総合的に検討し、ジュバの情勢が比較的落ちついているという政府の評価をうんたらかんたらという、そんな仮のペーパーが出てきたりもしているわけですよ。全然ロジックになっていないわけです。

 有権者、国民の方々に、このジュバの状況も含めて、不安感であり、そこで具体的に何をやるかということをちゃんと説明をして理解を得るんだという真摯な態度を見せていただきたいんですよ。このペーパーの内容も含めてですが、そこはちゃんと努力していただけませんか。

稲田国務大臣 前回、後藤委員から示されたペーパーについては、私がジュバに行きました十月八日の時点のジュバの市内の情報について、やはりそれを開示することが自衛隊の、我が方の情報収集能力を開示すること、すなわち手のうちを開示することにつながるので、ああいった黒く塗ったものを提出したわけであります。

 しかし、後藤委員からも、十月八日の時点だけではなくて、刻々と変わっていくさまざまな状況があるわけですから、出せるものは出すべきであるという御指摘があり、私も、我が方の手のうちにかかわらない部分についてはしっかりと国会の場にも提出をすべきであるということを御答弁申し上げて、理事会の協議となったわけであります。

 現在、さまざま、省との間で調整がなされていますが、今委員御指摘になったように、出せるものはしっかりとした書面を出してまいりたいと考えております。

神山(洋)委員 でないと、やはり現場の自衛官であり、それを送り出した御家族の方はやりきれないと思うんですよ。それだけのリスクをしょって行って、そして、それだけの不安感を持つ中で送り出し、でも世の中の方からはなかなか、それを頑張ってくれと言ってくれないわけじゃないかもしれないけれども、もっと多くの方に言ってもらいたいと思うのが人間だと思うんですね。

 その環境をつくるのはやはり稲田大臣、大臣の責任ですよ。あんなペーパーで、説明できませんと言っているレベルでは全然足りませんよ。恐らくこれは、大臣は法律の専門家でいらっしゃるから、論理であるとかロジックというものには、私がこの場でどうのこうの言うまでもなく、卓越されたものを持っていらっしゃるんだと思うんです。だとすれば、それをもって、今回の件について、多くの国民が安心できるような、そういうロジックを、ジュバの情勢の説明を含めてきちっと出すように、それはやはり事務方の方にもう一回指示を出していただきたいと思うんです。

 大臣、どうですか。

稲田国務大臣 繰り返しになりますけれども、駆けつけ警護そのものは、施設隊がみずから対応できる範囲において、緊急的、人道的見地から行うものであって、私は、今、ジュバの情勢をしっかりと見きわめた上で、訓練をしっかりした上で、今までのPKOの中でも要請があったものを、今回、法的な根拠をしっかりとつくったものでありますので、そういった面も含めて、テレビ、それから記者会見、また国会の議論の場というのはまさしく我が国の最高の言論の府でありますので、やっていきたいというふうに思っております。

 今御指摘になった資料についても、いま一度、出せるものはしっかりと提出をしていきたいと思っております。

神山(洋)委員 大臣、見たかという話がありますが、ここではそれはあえて問いませんが、きちっとやはり見られて、論理展開がきちっと通っていて、それが国民の皆さんに届くのかどうかという、そこを検証していただいた上で、ぜひ開示をしていただくことをこの場で要請をさせていただきます。

 最後に、もう時間もありませんが、一点だけ。

 これも前回との関連で、残りはまた以後の質疑にさせていただきますが、少し関連というか、一点だけ、前回答弁がなかった点だけお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、北朝鮮の核兵器開発であり、ミサイル開発があって、日本はアメリカの核抑止の中、一方で日本は、アメリカとも組みながら、ミサイルディフェンスによって抑止体制をとっているわけです。

 ここでお伺いをさせていただきたいことは実は幾つもあったんですが、そもそも、北朝鮮に対しての核抑止論がどこまで成立するのか、ここは一つ議論があるところだと思います。相手が合理的であるという前提に基づいて初めて核抑止理論というのは成り立つわけですが、現在の北朝鮮体制がどこまで合理的なのか、これは幾つか議論の余地がある。ここはあえて問いません。

 一方で、では、核ミサイルに対しての抑止、拒否的抑止をどれだけ高めることができるかという意味で、それはSM3であり、PAC3でありというシステムを整えている中で今まで日本は防衛体制を整えてきたという現実がある中で、しかし、現実として、先日大臣からもお話がありましたが、北朝鮮はこの一年で核実験二回、二十発以上のミサイル発射という形でやっているわけです。どこまで拒否的抑止が有効に機能しているのか、ここも検証されるべきだと思うんです。

 その検証があった中で、もしくはある以前からもある議論ですが、先日、問いがある中で大臣から具体的な答弁がなかったのは、では、そのこと一つを念頭に置いたときの、日本としてパワープロジェクション能力をどこまで持ち得るのか、持ち得るべきなのかという話です。いわゆる策源地攻撃の話です。

 昔からこれは議論がありますが、これも先日の議論の中で、問いはありましたが大臣から具体的な答弁がなかったので、最後に一点、この点、策源地攻撃というもののそもそもの理論的な可否であり、これから考えたときに、どこまで具体的に考えるのかという、この基本的な見解をお伺いさせていただきます。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の弾道ミサイル防衛システムは、大量破壊兵器及び弾道ミサイル拡散の進展を踏まえ、弾道ミサイル攻撃に対して我が国国民の生命財産を守るための純粋に防御的な手段であり、我が国の安全を確保する上で不可欠なものとして整備を進めてきたものであります。

 こういった弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図るため、現在、防衛大綱、中期防に基づいて、BMD能力を有するイージス艦の増勢、SM3ブロック2A、PAC3MSEといった能力向上型迎撃ミサイルの導入、さまざまな取り組みを行っていて、こういった取り組みは引き続き積極的に行ってまいります。

 現行の防衛計画の大綱においては、北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上を踏まえて、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図ることにいたしております。

 具体的にいかなる体制をとるかについては、専守防衛、日米同盟の強化という大前提のもとで、国際情勢の変化に応じて、国民の生命と財産を守るために何をすべきかという観点から不断にさまざまな検討を行っていくべきものと考えております。

神山(洋)委員 策源地攻撃についての見解を伺っています。

稲田国務大臣 現行の防衛大綱においては、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図ることといたしております。そして、専守防衛、日米同盟の強化という大前提のもとで、しかしながら、国際情勢は刻々と変化をしているわけでありますので、国民の生命、身体、財産、領土、領海、領空を断固守っていくために何をすべきかという観点からさまざまな検討を行っていくということでございます。

神山(洋)委員 大変不満の残る答弁でありますが、また次の機会に議論させていただきたいと思います。

 以上で終わります。

山口委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 民進党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、三十分の時間をいただきました。ありがとうございます。

 まずは、一般職の国家公務員給与法の事実関係の方から伺ってまいりたいと思います。

 今回の人事院勧告に基づけば、公務員の給料は、月例給とボーナスともに三年連続で上がります。三年連続で月例給、ボーナスとも上がる、このような状況は過去いつ以来でしょうか。お答えいただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 本年の人事院勧告でございますが、民間におけます賃金引き上げの動きを反映しまして、月例給、特別給ともに引き上げの勧告となっているところでございます。

 月例給につきましては、戦後、平成十三年まで引き上げが続き、その後、引き上げまたは引き下げの勧告となっております。特別給につきましては、その時々の民間における支給状況を反映した改定の勧告となっているところでございます。

 月例給、特別給ともに三年連続の引き上げとする勧告を行ったのは、平成三年以来、二十五年ぶりということでございます。

青柳委員 平成元年から平成三年までの、二十五年ぶり。そのころはバブル期ということですね。バブル期以来、三年連続で上がるということです。

 次に、官民較差といいますか、民間の給与との比較の問題について伺いますが、国税庁の調査では、平成二十七年の民間の平均給与額は四百二十万。今回の人事院勧告のもとになっている一般国家公務員の平均給与額は六百七十万で計算されている。大変差があります。国民の感覚でいえば、四百二十万に近いんじゃないかなと思います。私は、地元を回っているとそういう声を多く聞きますけれども。

 国税庁調査の数字と人事院勧告の数字がなぜこれほど差があるのか、御説明いただきたいと思います。

合田政府参考人 お答えいたします。

 給与につきましては、一般的に、職種のほか、役職段階、勤務地域、学歴、年齢等が異なることにより水準が異なることになります。したがいまして、公務員の給与と民間給与の比較を行う際には、単純な平均値で比較することは適当ではなく、職種、役職段階等の主な給与決定要素を同じくするものを対比させるラスパイレス方式により正確に比較を行うことが適切であると考えているところでございます。

 国税庁の民間給与実態統計調査につきましては、勤務時間の少ないパートタイムの労働者やアルバイト等の非正規労働者が含まれていること、公務に類似する職員がいない現場作業員、販売員等の従業員が含まれていること、一般的な給与決定要素である年齢、学歴等の違いが考慮されていない単純平均であることなどの点で人事院の職種別民間給与実態調査とは異なっているところでございます。

 また、国税庁調査におけます民間の給与水準は国家公務員の給与水準と比べて一見低くなっているところではございますけれども、民間の給与所得者は平均勤続年数が短いことや給与水準の男女差が大きくなっていることも、この差が生じる要因となっているところでございます。

 これらを踏まえますと、国税庁調査の結果を事務、技術関係の常勤の国家公務員の給与と単純に比較することは適当ではないと考えているところでございます。

青柳委員 今、後段の方で説明されたパートや非正規が入っているというのを仮に抜いたとしても、四百八十四万九千円ですよ。だから、まだ開きが私は相当あると思いますよ。仮に今のを抜いたとしても、まだ随分開きがあるんですね。

 簡単に言えば、人勧の調査の方は、一部の大企業のみを抽出して計算しているというふうに言わざるを得ない部分はあります。つまり、何が言いたいかというと、国民の感覚とはちょっとずれているんじゃないかということを申し上げておきたいと思います。

 もう一つ伺います。

 どれだけ経済状況や財政状況が厳しくても、人事院勧告があるから引き上げるんだ、これは一つの理屈だと思いますけれども、ただ、過去に人事院勧告どおりに給料が引き上げられなかった事例があります。これはいつで、なぜ人勧どおり引き上げられなかったんでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 過去におきまして人事院勧告全体につきまして不実施といたしましたのは、昭和五十七年の例がございます。このときは、政府は、人事院勧告を尊重するという基本姿勢は堅持しつつも、前年度に二兆五千億円の歳入欠陥が生じ、当該年度におきましても六兆円の歳入不足が見込まれるという状況であったことから、同年度に限って、やむを得ない臨時の措置として行ったものでございます。

 なお、昭和五十八年、五十九年には、五十七年の不実施分を回復する過程で、当該年の勧告の一部実施という形ということになったものでございます。

青柳委員 つまり、国の財政状況が悪かったので、人勧どおり引き上げられなかったと。それを時の政権が判断したということですね。

 ちなみに、昭和五十七年の財政状況、予算における公債依存度は二一%ですね。平成二十七年は三八%。しかも、債務残高は一千兆円を突破している。明らかに、誰がどう見ても、昭和五十七年よりも今の方が財政状況は悪いと言えます。

 もう一つ伺います。

 特別職の給与、つまり総理や大臣、副大臣、政務官の給与も今回一緒に上がるわけですね。これは、法的根拠があるんでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 一般職の国家公務員の給与につきましては、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢のもと、人事院勧告に基づき、民間準拠を基本として決定されているところでございます。

 特別職の国家公務員につきましては、大臣等のほか、宮内庁長官、法制局長官、公正取引委員会の委員長、審議会の委員、あるいは大使、公使といったものも含まれているところでございます。

 これらの特別職の国家公務員の給与につきましては、特別職の官職相互及び一般職の給与との均衡を図るとともに、公務員全体の給与体系を維持する等の観点から、一般職の幹部職員に準じて改定してきているところでございます。従来からそういう改定を行ってきているところでございます。

青柳委員 つまり、従来からやっている、ほかとのバランスをとるから引き上げるわけで、法的な根拠はないということがわかりました。

 ここで、稲田大臣に伺いたいと思います。

 今までの答弁でわかったことは、今回の一般公務員の給与引き上げは三年連続、月例給、ボーナスが上がるのは二十五年ぶりのことで、バブル期以来ということです。民間の平均給与と人勧が採用している平均給与は物すごく開きがある。国民感覚とはとてもずれていると言わざるを得ない状況ですね。そして、もう一点加えれば、財政状況です。人勧どおり引き上げられなかった昭和五十七年よりもはるかに今の方が財政状況は悪い、こういう状況です。

 こういう状況の中で、今回、我々も法案自体に反対することはしませんけれども、人勧どおり公務員給与が引き上げられること、そして、それに合わせて、法的根拠のない総理や大臣、副大臣の給料、特別職の給料まで引き上げられるわけです。

 稲田大臣は、一つ前の大臣としては、行革、そして公務員制度改革担当大臣であったわけですけれども、その経験も踏まえて、今の人勧の制度、あるいは大臣の給料も上がっていくということについて、きょうのこの答弁を踏まえて、大臣の所見を伺いたい、感想を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 今般の給与改定は、八月八日に行われた人事院勧告に基づいて行われるものです。人事院勧告制度は、憲法が保障しているところの労働基本権を制約されていることの代償措置として、国家公務員に対して適正な給与を確保する機能を有しているというふうに承知をいたしております。

 政府においても、人事院勧告制度を尊重する基本姿勢に立って、国政全般の観点から検討を行った結果、勧告について判断し、公務員の給与改定に関する取り扱いについての閣議決定がなされており、国務大臣である私としても、人事院勧告制度を尊重する立場に立っております。

 さらに、国務大臣の給与については、特別職の職員の給与に関する法律に基づき支給されるものであり、昨日、同法の一部を改正する法律が国会において成立したと承知をいたしております。

 同法が成立したことにより、国務大臣のボーナスについては〇・一カ月分増額となりますが、私は、閣僚懇談会申し合わせにより、これまでどおり、月額給与及び期末手当の二〇%に相当する額を返納いたすことといたしております。

 その上で、行政改革担当大臣としてどう考えるかということでございますが、不断の歳出の見直し、すなわち、無駄は排除しなければならないというふうに考えております。その意味において、民主党政権の中で行われた行政事業レビューも引き継いで、改善をし、無駄は排除していくという方針をとりつつも、やはり大きな財政再建という意味においては、切るばかりではなく、めり張りをつけ、さらには社会保障改革などの大きな改革を行っていくことによって、しっかり財政再建を進めていくべきだというふうに考えております。

青柳委員 それはそのとおりでしょうけれども、人勧どおり引き上げなかった事例もあるわけですし、当時より今の方が財政状況が悪いというのは大臣も理解するところだと思いますし、実際、二〇%返納するというのは、自主的に返納するという形はとられているんでしょうけれども、これは毎年毎年やっているわけですよね。

 毎年二〇%返納するのは、何で返納するんですか。おかしいと思うから、もらい過ぎだと思っているから返納されているんですよね、基本的には。何で返納されるんですか。

稲田国務大臣 委員が御指摘になったように、今の財政状況等々を鑑みて、閣僚懇談会申し合わせで返納しているということでございます。

青柳委員 御案内のとおり、安倍政権は二〇一四年に消費税を五%から八%に、実際もう、一回引き上げているわけですね。そして、当時の三党合意にあった、引き上げるのであれば衆議院の定数削減と歳費の削減をやっていこう、政治改革と行政改革をやっていこうということでしたが、消費税はきちんと一回目は引き上げましたけれども、政治改革はとても進んでいると言える状況ではありません。そして、今御答弁いただいたとおり、やはりもらい過ぎだという意識があるので二〇%返納する、こういうことを毎年毎年やっているわけです。

 ですから、この際、人事院勧告制度、あるいは行革、財政の健全化、例えば公務員の給料は国家財政とリンクさせるとか、労働基本権の話が出ましたけれども、労働基本権を付与した上でこの人勧制度を変えていくとか、そういう取り組みが私はもう必要なんだろうと思いますよ。どう考えても、今の国民感覚からして、三年連続で月例給もボーナスも上げる、特別職、総理とか大臣とか副大臣はそれがおかしいから二〇%を返納するというのを毎年続けているというのは、明らかに制度と実態が合っていないんだろうと思います。

 こうしたことを、ぜひ、安倍内閣の重要閣僚であり、さらに、行革、公務員制度改革担当大臣を経験されている稲田大臣が問題提起をして、リーダーシップをとって、この人勧制度、明らかに現状と合っていないんですから、少し変えていくという提言をされるということについてはどう思いますか。

稲田国務大臣 国家公務員制度改革を進め、また内閣人事局を設置する過程において、この労働基本権の問題はさまざま議論がなされたわけであります。しかし、現時点において、労働基本権が制約されている現状において、代償措置として国家公務員に対して適正な給与を確保する機能を有している人事院勧告制度は、私は維持すべきだというふうに考えております。

青柳委員 ちょっと、これだけ実態とずれているのにその答弁は残念でしたけれども、時間の関係もありますので、次の質問に移ってまいりたいと思います。

 自衛隊員の新任務の手当について伺いたいと思います。

 昨年の安保法制改正の国会の議論の中でも当時の中谷大臣は答弁されていましたけれども、改正により拡充される任務に従事する自衛隊員に対して、その任務にふさわしい手当と補償を実施するとの方針だという答弁がありました。

 既に安保法制というのは施行されていて、さらに、今週十五日、おとといには実際に新任務が付与されるということが閣議決定されました。実際に新任務が付与された。予定では二十日から現地に十一次隊の第一陣が行く、こういう状況です。

 防衛省の資料によると、平和安全法制に係る手当というのがありますけれども、その中に、安全確保業務及び駆けつけ警護というところがあります。これはまだ検討中と記されていますけれども、どのような検討状況になっていますか。

 十一次隊、新任務が付与されることが決定されているんですね。これまでは、新任務に対してしっかりとした手当を行っていくんだ、これが答弁でしたけれども、今回の南スーダンPKO第十一次隊に対して、安全確保業務及び駆けつけ警護についての手当はどこまで決まっているんでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 このたび派遣されます十一次隊につきましての御質問でございました。

 国際平和協力手当につきましては、PKO法上、第十七条第一項において、「国際平和協力業務に従事する者には、国際平和協力業務が行われる派遣先国の勤務環境及び国際平和協力業務の特質に鑑み、国際平和協力手当を支給することができる。」とされております。従来から、派遣先国の勤務環境や業務の特質を考慮し、総合的に判断して決定してまいりました。

 御指摘のとおり、十五日にいわゆる駆けつけ警護という新たな任務の付与が閣議決定をされました。まさにこれを踏まえまして、国際平和協力手当についても適切に検討していきたいと考えている所存でございます。

青柳委員 いや、ですから、いつまでに検討結果を出すんですか。南スーダンPKO、駆けつけ警護をやると決まっていますね。いつまでに決めるんでしょうか。

宮島政府参考人 その点も含めまして、適切に検討してまいりたいと思っております。

青柳委員 こういうことは通常あるんでしょうか。

 例えば、アフリカに大使館や領事館がありますし、それが新設されることもあります。そこに職員が赴任する、赴任してもらう。そのときに、やってみないとわからないから手当は行ってから決めるということはあるんでしょうか。

 これは外務省に伺います。

 大使館や領事館が新設される、そこに予算申請があって、それが決まりました、実際に、では赴任地に行ってもらおうというときに、手当は後から決まるということはあるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

大菅政府参考人 手元に資料がございません。お答えが直ちにできません。

青柳委員 では、通常あるかどうか、教えてください。そういう事例を、では知っているかどうか。

 領事館が新設される、あるいは大使館が新設される、そこに赴任する、その人の手当は後で決める、こういうことが通常あるかどうか。あるいは、そういうケースを知っているか、知らないか。

大菅政府参考人 申しわけございません。

 改めて、きちんとお調べした上で御説明させていただきたいと思います。

青柳委員 委員長、それでは、委員会に、そういう事例があるのか、ぜひ提出をお願いしたいと思います。

山口委員長 理事会で協議します。

青柳委員 通常はあり得ないんじゃないかと私は思いますよ。しかも、今回はPKOで新任務が付与される、これはとても大きなことでした。それにもかかわらず、その手当は今検討していて、いつまでに決めるかということすら明言されません。大臣、これでよろしいんでしょうか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になった点も踏まえ、検討をしているところだと承知をいたしております。

青柳委員 検討、検討という答えばかりなんですが、早急に結果を出していただく方が私はいいんだろうと思います。

 では、医官が今回四名行かれるんですか、一人ふやして四名行かれるということですけれども、医官の処遇、手当というのは変わるんでしょうか。その検討の対象に入っているんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

宮島政府参考人 現在、南スーダンに派遣されております自衛隊の要員につきましては、職種を問わず、業務を行った日一日につき一万六千円が支給されているところでございます。

 今委員御指摘の点につきましては、まさに今後検討を行っていくということでございますので、現時点で予断を持ってお話しすることはできないです。

青柳委員 それも検討ということでして、きょうの質疑ではこれ以上答えが出そうもないからこれでやめますけれども、ぜひしっかり検討結果についても委員会で報告いただきたいと思っております。

 もう一点。本日、神山議員の方から、自衛官の定員と充足率のお話、そういう議論がありましたけれども、私は、前回のこの委員会の質疑で申し上げたんですけれども、医官の充足率についても指摘をさせていただきました。

 その中で、大臣の答弁の中で、自衛隊衛生部門の機能強化、自衛隊医官の離職防止に取り組んでいく必要性、これは大臣も述べられて、その上で、自衛隊医官の離職防止にはもう既に取り組んでいるという答弁で、ポストを増設する、あるいは自衛隊病院の一般開放、外部医療機関での兼業、兼職の推進、こうしたことでもう既に取り組んでいるんですという答弁がありました。

 では、実際に、医官の充足率や離職率、これに変化はあるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 前回お答え申し上げましたことと重なる部分もありますが、離職防止策としては、将官ポストの増設、自衛隊病院における部外者への診療の推進、医官の集中配置による自衛隊病院での診療機会の増加、医官の外部医療機関での兼業、兼職の推進などを行うとともに、若手医官に対しては、専門研修の期間延長や、若手医官も参加できる医学研究の機会の充実などに取り組んでいるところでございます。

 このような離職防止に係る総合的な取り組みを実施している中、平成二十八年四月における医官の充足率は七九・六%と、平成二十四年四月の七四・〇%と比べて五・六ポイントふえており、若干ではございますが、改善傾向にあると考えております。

 引き続き、医官の離職防止に努め、自衛隊の衛生部門がしっかり機能するように注力してまいります。

青柳委員 取り組みの成果が一応は見られるということでございましたので、ぜひそれは今後も注視していただきたいと思います。

 前回の質疑でも申し上げましたけれども、我々は、十五日の夕方、自由党と共同で、自衛隊員の救急救命法というのを衆議院に提出させていただきました。こうした観点については、自衛隊員の安全、自衛隊員の命をしっかり法律で担保すべきであるという意見に対しては、稲田大臣も重要性を認識していただいて共有していただいたことは我々も評価させていただきますけれども、ぜひこの自衛隊員の救急救命法について議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ちょっと時間が一分ぐらい残っているんですけれども、きょうも、質問通告、いろいろまだ残っていますが、一分では何もできないので、この辺で終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案については、国家公務員全体の給与引き上げの一環であり、賛成であります。

 きょうは、米軍伊江島補助飛行場の問題について質問をいたします。

 伊江島補助飛行場は、沖縄本島北部の本部半島から北西九キロメートルの伊江島にあるアメリカ海兵隊の飛行場、訓練場です。米軍占領下の強権的な土地の取り上げによって構築された基地が島の面積のほぼ三分の一を占め、基地の中に四百戸近い住宅や農地が所在する状態になっています。

 米軍のハリアー攻撃機やC130輸送機、オスプレイなどによる離着陸訓練、SACO合意によって集約されたパラシュート降下訓練、物資投下訓練などが行われ、住民は、昼夜を分かたぬ騒音、施設・区域外への米兵や物資の落下、コーラル滑走路が巻き上げる粉じんによる葉たばこへの被害など、悩まされております。

 まず、騒音被害について伺いますが、二〇一二年に普天間基地にオスプレイが配備されました。それ以降、伊江島補助飛行場での騒音発生回数はどのように推移しているか、明らかにしていただけますか。

深山政府参考人 お答えいたします。

 防衛省は、伊江村から航空機騒音測定の要請を受けまして、同村真謝区及び西崎区に航空機騒音自動測定装置を設置いたしまして、二十四年十月から測定を開始いたしています。その結果について御報告いたします。

 御指摘の真謝区における測定結果については、六十デシベル以上の騒音が測定された、年度ごとの年間騒音発生件数でございます。

 二十四年度は設置後の十月からになりますが、十月から翌年三月までの間に一千四十三回、二十五年度は、年度一年間で一千三百十二回、二十六年度は一千五百七十一回、二十七年度は三千百九十九回、二十八年度は、今年度でございます、九月分までのデータでございますが、八百七十六回と測定されておるところでございます。

赤嶺委員 うち、夜間の飛行についてはどうですか。

深山政府参考人 失礼いたしました。

 そのうち、夜間、深夜から早朝ということで、二十二時から午前七時までの間の騒音発生件数のデータをとっておりますが、これによりますと、二十四年度、先ほど申し上げました、十月から翌年三月まででございますが、二回、二十五年度は六十二回、二十六年度は七十一回、二十七年度は七十一回、二十八年度、先ほどと同じでございます、九月まででございますが、五十九回観測しておるところでございます。

赤嶺委員 二〇一六年度は九月までと言いましたが、間違いありませんか。

深山政府参考人 当方の手元のデータによりますと、九月まででございます。

赤嶺委員 私たちは七月までというぐあいに情報を得ているわけですが、ただ、今の答弁にありましたように、オスプレイが配備されて以降、騒音被害は年々悪化しています。住民からは、負担軽減どころか、伊江島では訓練が激化している、オスプレイの重低音は地響きのように感じる、午後十一時過ぎまで訓練しており、腹が立つなどの怒りの声が上がっています。

 防衛大臣に伺いますが、普天間基地にオスプレイが配備されて以降、伊江島の騒音被害が悪化しているという事実はお認めになりますか。

稲田国務大臣 平成二十四年から二十七年まで悪化をしております。二十八年は、九月までの回数とすれば、昨年の三千百九十九回に比べますと、二十八年度は、九月までになりますが、八百七十六回ということでございます。

赤嶺委員 そういう場合は、途中経過で去年とは単純には比べられないという、普通は、官僚だったらそういう答弁をするんじゃないですか。軽減しそうだという、そんな根拠のない話じゃないと思います。

 いずれにしても、悪化しているわけです。とりわけ、午後十時以降の訓練が常態化していることです。先ほどの答弁にありましたように、毎年六十回から七十回の騒音が測定されています。

 私は九月に伊江島を訪問いたしましたが、その際にも、西崎区の公民館で儀間区長にお会いいたしました。ここには幼い子供もいるし、健康を害している人もいる、こう話して、騒音やあるいは粉じん被害のすさまじさについて、るる語っていただきました。

 伊江島で十時過ぎまで訓練をしているということは、伊江島で訓練が終わったら、そのオスプレイは普天間に帰るんです。ですから、それよりも遅い時間に普天間に戻ってくるということであります。

 日米両政府は、普天間基地へのオスプレイ配備に際して、午後十時から午前六時までの飛行を制限することを含めて、騒音規制措置を遵守すること、夜間飛行訓練を最小限にすることを再確認しております。

 しかし、実際には深夜の訓練が常態化しているわけです。飛行制限が米軍の運用に支障がない範囲に限られ、米軍の判断に委ねる仕組みになっているからです。ここに手をつけない限り、現状を改めることはできません。

 防衛大臣に伺いますが、これは通常の訓練です。緊急事態への対処というわけでもありません。今の日米合意は見直して、深夜、早朝の飛行訓練は禁止する方向で米側と協議する考えはありませんか。

深山政府参考人 まず事務方から御答弁したいと思います。

 現在の騒音協定につきましては、先生が御指摘のとおり、運用に支障がない限りということが入っております。夜間については行わないとなっておりますが、そういうフレーズが入っておると承知しております。これにつきましては、我々といたしましては、米側に対して交渉した結果、そうした、夜間は原則行わない、ただ、運用に支障がない限りという現在の枠組みを築き得たと思っております。

 米軍の、軍事組織でありまして、運用ということはやはり重視されなければいけないと思いますが、その上で我々は、住民に支障がないように、これまでも累次、地元の声も伺いまして申し入れをしてまいりましたし、今後とも申し入れをしてまいりたいと考えておるところでございます。

赤嶺委員 いや、住民の生活に支障が出ているんですよ。支障がないように深夜、夜間の飛行訓練が両立できるはずはないですよ。だから大臣、今のような日米合意は生活優先で見直すべきだと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 航空機騒音の軽減は大変重要な課題と認識をいたしております。したがって、原則規制という合意もし、そして、それをしっかりと守っていただく必要があると思います。

 累次の機会に米側に対し、その影響を最小限にとどめるよう申し入れるとともに、米側と密接な連携を図りながら、騒音の軽減に取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 米軍が日米合意を守っても支障が出ているんです、生活に。被害が出ているんです。だから、それを見直してほしいということを申し上げているわけです。住民の生活よりも米軍の運用を優先する姿勢は絶対に認められません。

 その伊江島飛行場で、米軍自身による新たな施設整備が進められています。

 ことし八月から、強襲揚陸艦の甲板に見立てたLHDデッキと呼ばれる着艦訓練施設の改修工事が進められています。現在のアルミ板を剥がしてコンクリートにかえ、面積も長さも二倍に拡張する計画とされています。

 防衛省は、LHDデッキの整備目的と内容、使用機種や使用頻度について、米側からどのような説明を受けていますか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 伊江島補助飛行場においては、揚陸艦の甲板を模擬したヘリ等の訓練用の着陸帯、御指摘のとおりLHDデッキと申しておりますが、これの老朽化に伴い、現在、米側が独自に改修工事を実施しております。昨年十月ごろから文化財試掘調査を開始し、本年八月二十二日から工事に着手しているものと承知しております。

 米側からは、今、一部委員から御指摘ありましたが、アルミ製のLHDデッキをコンクリート製に変更するとともに、管制塔や灯火システムを改修するという説明を受けております。平成二十九年九月末に工事完了の予定であるとの説明を受けております。

 そのほか、補修後の使用機種、使用頻度については、現在、米側に我々からも問い合わせているところでございます。これにつきましては、情報が得られ次第、地元に対して御説明してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 滑走路が拡張されて非常に強固な滑走路がつくられる。それに対して、何のためだろうという不安が地元に広がり、伊江村の村長が何度も、使用機種を教えてほしい、あるいは、どんな頻度で使うのか教えてほしいと言っても、米軍は教えてくれない、防衛局も、問い合わせても答えてもくれない、こういう状態ですが、地元では、米軍が作成した工事概要の資料があります。そこには、LHDデッキとあわせて、CV22オスプレイとF35戦闘機のための駐機場を整備することが明記されています。

 実際、CV22は来年後半から横田基地に、F35戦闘機は来年一月から岩国基地に配備が開始されようとしているわけです。しかも、CV22の環境レビューは、沖縄で訓練を行うことを明記しています。MV22オスプレイの環境レビューでは、想定される使用回数も明記しておりました。にもかかわらず、なぜ使用機種も使用頻度も明らかにしないんですか。米軍は、明らかにできない理由をどのように説明しているんですか。

深山政府参考人 CV22オスプレイ、そしてF35Bにつきましては、我が国に配備の予定があるということについては御指摘のとおりでございます。

 CV22につきましては、沖縄の訓練場における訓練の実施を想定している旨は米側から説明を受けておりますが、いずれの機種におきましても、現時点において、沖縄で具体的にどの場所でどのように訓練するかということにつきましては、我々もまだ情報を得ておらないところでございます。

 これにつきましては、引き続き、米側に対して情報提供を求めてまいり、得られた情報については地元に対して御説明をするということに努めてまいりたいと思っております。

赤嶺委員 何か、これが独立国の政府かという思いを抱かざるを得ません。

 防衛大臣に伺います。

 伊江村の島袋村長は、ことし九月にも沖縄防衛局を訪れ、米軍予算といえども情報提供がないままに着工されたことは遺憾だと滑走路の工事が始まったことに遺憾を表明して、工事内容が示されないままに工事されるのは看過できず、工事の中止を求めてまいりました。その立場に変わりはないということを幾度も村長は繰り返しております。

 地元の協力は得られていないどころか、不安が拡大していくばかりであります。米軍予算であっても、周辺住民の生活に重大な影響を与える計画です。にもかかわらず、日本政府が照会して初めて小出しに説明がされ、しかも、肝心の、どういう運用がされ、住民生活にどういう影響を与えるかが説明されない、そういう現状というのは許されないことだと思いますが、大臣はどのように認識しておりますか。

稲田国務大臣 在日米軍が米軍施設・区域内において発注し実施する工事、米軍の工事については、原則として、米軍において独自に実施され、必ずしも日本側に個別具体的に通報があるわけではありません。しかしながら、今委員御指摘のとおり、しっかりと地元の皆さん方の理解を得て進めていく必要があるというふうに私も思います。

 他方、米側とは平素からさまざまな意見交換を行っており、このような米軍工事についても、情報提供を求め、得られた情報は関係自治体とも共有するように努めているところです。また、米軍工事が米軍施設・区域周辺の公共の安全または財産の保全に何らかの影響を及ぼすおそれがある場合は、事前に米軍から日本側に通報することになってもおります。

 御指摘のLHDデッキ整備についても、防衛省としては、地元の伊江村の懸念に応えるために、改修工事の内容、工期、計画内容の情報提供を求め、できる限り地元に説明していきますが、今後とも、米側と緊密に連携しつつ、地元の皆さん方の御不安がなきよう、丁寧な対応に努めてまいります。

赤嶺委員 今の大臣の答弁によって事態が少しでも変わるとはとても思えません。従来の延長線上だからであります。こんな腰の引いたやりとりでは、本当に基地周辺の住民の生活はたまらないと思うんですよね。

 今度の場合、CV22というのは、これは機種変更ではないわけですよ。新しい機種への更新ではありません。新規配備ですよ。沖縄でも訓練が行われます。

 政府は沖縄の負担軽減を進めると言いますが、CV22について沖縄のどこかで訓練をすると言うけれども、これは明らかに負担の増大ではありませんか。ましてや、伊江島でやるというような工事の概要の図面も出ているんです。これは負担の増大ではありませんか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県の基地負担の軽減につきましては、各種方策を講じてきておるところでございます。

 CV22につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、具体的な訓練頻度等につきましてはまだ我々も情報を得ておりませんが、それは御説明してまいりたいと思っております。

 そのほか、一方では、例えば普天間基地のKC130を岩国基地に移駐を図るなど、これまでも努力をしてきておるところでございます。

 そうした努力もあわせまして、できる限り沖縄の負担軽減が進むようにこれからも努めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 空中給油機を岩国に移した、負担の軽減はやったと言いますけれども、伊江島に来て訓練しているんですよ、空中給油機も。移した、移したといって、訓練場所は伊江島とか沖縄県内であって、これは何で負担軽減ですか、こんなのが。見せかけの話ですよ。

 政府の説明に全く逆行する事態であります。CV22が沖縄で訓練を行うということは、場所が限定されていきます。現在建設を強行している高江のオスプレイの着陸帯を含めて、北部訓練場でも訓練が行われる可能性があるということですか、大臣。

深山政府参考人 繰り返しの御答弁で恐縮でございますが、CV22の訓練を沖縄で行う場合にどの訓練場で行うかについて、先ほど申し上げましたように、まだ我々は米軍から詳細な情報を得ておりませんので、それにつきましても引き続き米軍に確認を求めてまいりたいと考えておりますが、現時点では、北部訓練場にて訓練を行うかどうか、確たる情報を得ておりません。

赤嶺委員 これは、まことに恐縮でございますがという枕言葉をつけて恐縮しているように見せておりますが、悪質ですよ。現に、沖縄で訓練すると環境レビューに書いてあるじゃないですか、CVオスプレイは。それを、MVのオスプレイのときと同じような態度をとる。全く県民には知らせないで、来てみたら大変な負担が、先ほど言ったように増大をしていく。

 高江の着陸帯はオスプレイの着陸帯ですよ。MVも使います。CVは絶対使わないということを断定できますか。

深山政府参考人 繰り返しになってまことに申しわけないんですけれども、先ほど言いましたように、CVが沖縄で訓練するとして、どこでどのように訓練するかの詳細についてまだ情報を持っておりませんので、先ほど申し上げましたように、北部訓練場でやるのかどうか、どれくらいやるかということについては、申しわけありませんが、現時点では具体的な情報を持っておりませんので、確たることは申し上げられません。

赤嶺委員 いや、ですから、オスプレイが訓練する場所というのは伊江島とか北部訓練場なんですよ。北部訓練場を使わないでどこでやるんですか。北部訓練場は使わないということで断定できませんか。否定しないんですか、これは。使う余地があるんですか。いかがですか。

深山政府参考人 先ほど累次御答弁したような我々の情報の状況でございますので、今、使わないと断定すべしという先生の御指摘でございますが、私どもといたしましては、今、確実に使うという情報もありませんが、使わないと申し上げるだけの情報を持ち合わせておりません。

赤嶺委員 沖縄のオスプレイの訓練場は全て可能性があるわけですね。可能性があるわけですよ、オスプレイの訓練場で訓練をやると書いているわけですから。

 この間、二〇〇七年の環境アセス、北部訓練場をつくるときの環境アセス、自主アセスだ、環境に配慮した、環境破壊はあり得ないと言ってきた、その後三回もアセスを変えて乱暴な工事が行われている、その二〇〇七年の環境アセスには、オスプレイによる評価が行われていません。皆さんが明らかにしなかったからです。

 先週の十一日に、沖縄県と東村、国頭村が連名で、オスプレイの配備撤回と北部訓練場における環境影響評価の再実施を政府に求めることを明らかにいたしました。

 これに関連して、大臣、私からも求めたいものは、MV22の再評価とあわせてCV22についてもやるべきではないかということが一点。

 それから、二〇〇七年当時は一機のCH53ヘリで環境評価が行われていますが、高江では、複数のオスプレイによる編隊飛行訓練が行われているんです。ことし六月にも、三機のオスプレイが夜間に高江の集落上空で旋回飛行を繰り返しました。複数機による評価を行うべきではないかということがもう一点。

 以上二点について、大臣の見解を求めたいと思いますが、いかがですか。

深山政府参考人 まず、私から一点御答弁申し上げます。

 今、二〇〇七年の環境アセスにおいては、一機のみの評価であったという御指摘がございました。CH53という、当時米軍が使用したヘリコプターの中で一番騒音レベルが大きいものを対象といたしましたのは事実でございます。

 その上で、この予測評価に当たりましては、隣接するN1地区の二カ所、G地区及びH地区の計四カ所のヘリパッドにおいて同時にCH53Eを用いた、CH53Eを用いてアセスしたんですけれども、用いた訓練を行うものと想定しておりまして、我々は今の御指摘と異なった評価をしていると理解しておりまして、二機以上が同時に飛行した場合の騒音についてもこのアセスの中で評価をしておる、まず、その事実は申し上げさせていただきたいと思うところでございます。

 その上で、我々といたしましては、今後、オスプレイ等につきましても、工事の後、適切に事後評価を行うことによって環境への影響をはかっていく、これまで申し上げていますが、そうした方針をとりたいと考えているところでございます。

赤嶺委員 もう終わりますけれども、オスプレイじゃなくてヘリを一機飛ばして、二機のオスプレイの評価もできているとか、実際には三機編隊で飛んでいるわけですよ。それでも評価はできているとか、そんなむちゃくちゃなやり方で、本当にこれで日米安保条約を守るという責任感があるのか。そういう日米安保容認の皆さんの政治姿勢を厳しく指摘して、質問を終わらせていただきます。

山口委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 一昨日は初めてでしたので、非常に皆様に助けていただいて、質問させていただきました。攻めの安全保障の中身は守りの強化にあるというのはおもしろいフレーズだが、吉田の質問は全く攻めがなかったね、こういうふうに叱られましたので、きょうは少し攻めてみたいと思っておるところでございます。

 議題になっております職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案ということでございますけれども、我が党といたしましては、基本的に、給与体系、さまざまな公務員の給与について、やはり今改めてさまざまな観点から見直さなくてはいけない、こういう時期に来ているのではないか、これが大きな問題意識でございます。

 そして、当然、自衛官に対しても独自の給与体系というものが必要だ、このように考えておるわけでございます。

 その中で、現行の制度について、まず確認させていただきたい。質問をさせていただきます。

 自衛隊を退役された方々に隊友会という会がございますけれども、その方々の意見の提言、そのようなものも参考にさせていただきながら質問をつくらせていただきました。

 本日の委員会の中で、防衛大臣の方から、めり張りをつけた考え方が必要だ、これも非常に重要なお考えだ、こういうふうに私は思っておるところでございます。

 まず、現行の給与体系について。これは、さかのぼりますと、警察予備隊創設時に警察に準じた給与制度を導入した、そして、現在までこれは基本的に踏襲されているというふうに理解しておりますが、この考えでよろしいかどうか、お聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 自衛官の俸給につきましては、先生御指摘のとおり、昭和二十五年の警察予備隊発足時から、職務の類似します一般職の警察の俸給を基礎に、勤務体制の特殊性を考慮した俸給としております。

 また、手当につきましては、一般職の職員と同様に支給される扶養手当などのほか、特殊な任務に従事する自衛官につきましては、その特殊性を考慮して、特別な手当、例えば落下傘隊員手当等を支給しております。

 このように、防衛省職員の給与制度は、基本的には一般職公務員の給与制度に準じつつ、職務の特殊性があるものにつきましては防衛省独自の制度を設けることで、信頼性、公正性を確保してきているところでございます。

吉田(豊)委員 今ほどの落下傘何とかというのは、具体的に何のことをおっしゃっているんですか。

鈴木政府参考人 落下傘部隊に配属される隊員が落下傘降下するに際して手当が支給されるものでございます。

吉田(豊)委員 そうしましたら、警察予備隊のところから警察に準じた給与制度で始まっているという理解のもとに、自衛隊の給与制度自身を警察に準じたものとして現行まで進んでいる根本の理由、それをお聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 先ほどお答えしましたように、昭和二十五年に警察予備隊が発足したときに、警察予備隊員の職務に類似した職務として一般職の警察官が適当だろうと判断しまして、それを基礎にしまして、ただし、それをそのまま持ってくるのではなくて、自衛官の特殊性を考慮しまして、例えば、一般職にない常時勤務態勢というのをとっておりますので、その結果として、超過勤務手当相当額につきましては俸給に組み込むなど、特殊性を考慮した俸給体系としております。

吉田(豊)委員 そういう意味では、当初から、さまざまな改良といえばいいか、変更を加えているということになると思うんですけれども、根本の話として、警察予備隊という存在から、現行の自衛隊が行っている活動というものは非常に現時点では変わってきているという部分もあると思うんですね。ですから、そういう部分について、さまざまな手当を加えるという考え方でいいのかどうかというところも、非常に今後考えていく部分ではないかなと私自身は思っておるところでございます。

 続いて、自衛官の階級について、十七区分というふうにお聞きしましたけれども、各階級について、階級差に見合う適切な給与格差を設定することが果たして現場の感覚からするとできるのかどうかというところが、私は疑問を感じるんです。

 具体的に、格差を設定することができているのか、あるいは、できていないとすれば、これを何か問題点として捉えて、どのように改良していこうというふうに考えるか、このことについて確認したいと思います。

鈴木政府参考人 自衛官の階級につきましては、先生が御指摘しました十七区分というのは、まだ生徒の階級であった三士があったころでございまして、現在、三士が廃止されておりますので、十六区分でございます。

 そのうち、将補と一佐につきましては、俸給表上さらに細分化しておりますので、自衛官俸給表につきましては、将から二士までの階級を基準としまして十九の区分を設けさせていただいていまして、それぞれ適切に見合った金額を定めておりまして、それぞれの職責に見合った適切な水準の給与が定められていると考えております。

吉田(豊)委員 私は常々、一般の感覚でお聞きすると言っておるんですけれども、自衛隊が現場でさまざまな作業をするときに、十九区分という私の想像以上の細かい区分になっておりますけれども、これが適正に一つ一つの区分について給与に反映する職務になっている、このような認識だということでよろしいでしょうか。確認させてください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど申し上げましたように、階級よりさらに細分化しまして細かく定めておりますので、それぞれの職責に見合った適切な水準の給与を定めていると考えております。

吉田(豊)委員 続けて、この自衛官の俸給表につきましては、行政官の俸給表、公安職の俸給表、それから指定職の俸給表、これを基準にして決定されており、そして、給与の改定についても基本的には一般職に準じている、こういう理解でよろしいかどうか、まずこれを確認したいと思います。

鈴木政府参考人 俸給表の改定につきましては、一般職に準じて行っております。

吉田(豊)委員 一般職に準じて行われている、こういう状況だと確認させていただきました。

 この場合において、昇進のあり方について私は少し感じるところがあるんですが、一般職同様の問題点、具体的に申し上げますと、同じ級の仕事でも、ほぼ全職員の給与が毎年上がり続けていく、いわゆる年功序列の賃金になっている、これが今さまざまなところでの現状であり、大きな問題ではないかと思うわけです。

 そして、特に、今回問題にしている自衛官関係になれば、当然その現場現場での働く力、能力ということについても差が出てくるだろう、これが現実だろうと思いますので、このことについての実態と、給与制度についてどのような判断をなさっているか、お聞きしたいと思います。

鈴木政府参考人 先生御指摘のとおり、自衛官の俸給表については一般職に準じた形で改定をしておりますので、基本的には一般職と同様な考え方でやっております。

 昇給につきましても一般職と同様の考え方でやっておりますが、今の制度の範囲におきまして昇給幅に段階を設けるなどめり張りのある昇給をしまして、実際の職責、それから実際の勤務実態に応じて比較的めり張りがつくような形で行っておるところでございます。

吉田(豊)委員 大臣にお聞きしたいんですけれども、今のところの、年功序列にならないようにするために幾らかのさまざまな判断を含めて行っているということなんですが、このめり張りというところからすると、稲田防衛大臣になられまして、そして現場も当然幾つも確認されていると思うんですけれども、こういう現状、現場の状況を見られたときに、やはりここをもう少しはっきりと独自のめり張りのきいた給与を、評価する体系、給与表にすることによって、より現場でのモチベーションも上がるだろうし、それから、はっきりとした、人件費についての明確な方針というものも出てくるのではないかな、こういうふうに思うんですけれども、改めて、このような考え方について大臣の御所見を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 先ほど局長から答弁申し上げましたように、一般公務員の給与制度に準じつつも、やはり自衛官の職務の特殊性があるものについては、ある意味めり張りというか、防衛省独自の制度を設けております。

 先ほど、特別な手当として落下傘隊員手当を申し上げましたが、そのほかにも、乗組手当、航空手当、特別警備隊員手当、特殊作戦隊員手当など、その職務の特殊性に着目をして手当を支給しておりますので、そういった独自の制度を設けていることによって信頼性、公正性を確保できているというふうに思います。

 また、昇給についても、成績に応じて昇給幅に段階を設けて、めり張りのついた給与となるように努力をしております。

 いずれにいたしましても、自衛官の給与体系については、引き続き、一般職の国家公務員の給与改定に準じることを基本としつつ、その任務の特殊性等を踏まえて、適切な処遇になるよう努力してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 今ほど、さまざまな手当というものが今設定されていて、それによって実際の現場の自衛官の方々の努力あるいは仕事と見合う俸給体系が、整合があるというようなお考えだというふうに理解させていただきましたけれども、その手当というものは、実際、危険な業務をするから、危険という意味では訓練であれ何であれですよ、そういう意味からの手当というものに限られるのか。手当というものの位置づけについては根本的にどのように理解すればいいかということをお聞きしてよろしいですか。

鈴木政府参考人 自衛官に支給される手当につきましては、その勤務内容の特殊性を勘案しまして、勤務環境それから任務の困難性、そういった特殊性を考慮して個別具体的に定めておるところでございます。

吉田(豊)委員 そこで、自衛官の手当について、防衛出動手当というものが導入されて十三年経過しているということなんですが、この手当の額に係る政令がまだ制定されていないという状況だとも確認させていただいておりますが、まず、これについては事実なんでしょうか。

鈴木政府参考人 防衛省職員給与等の法律の第十五条に規定されています防衛出動手当につきましては、規定自体は平成十五年に設けられたものでございます。

 内容的には、防衛出動が下令された場合においては、防衛出動手当として、政令で定める額の防衛出動基本手当と防衛出動特別手当が支給されることになっています。

 このうち、防衛出動基本手当は、防衛出動時における勤労の強度、勤務時間、勤務環境その他の勤労条件及び勤務の危険性、困難性その他の著しい特殊性に応じて支給する手当であり、防衛出動特別手当は、防衛出動時における戦闘またはこれに準ずる勤務の著しい危険性に応じて支給する手当となっております。

 これらの手当の対象となる勤務の危険性や困難性は、発生する事態の態様によりさまざまな強度のものがあると考えられているところでございまして、現時点において当該危険性について適切に評価することが難しいため、防衛出動を必要とする時期が近づいた段階で手当の額等について慎重に検討することが適当であると考えております。

吉田(豊)委員 非常に難しい答弁だったんじゃないかなと思うんですが、まず、危険が近づいてきた段階でとおっしゃる意味は、この手当の額とかについても危険が近づいた段階で考える、そういう理解なんでしょうか。

鈴木政府参考人 先ほども申し上げましたように、その手当を定める基本となる考え方は先ほどの勤務の危険性や困難性でございますので、これはやはり個別具体的に判断しないとなかなか手当の妥当な額というのを定めるのは難しいと考えておりますので、先ほど申し上げましたように、そういうものがある程度判明した段階で検討することとなろうかと思います。

吉田(豊)委員 勤務の困難性ですとか、いろいろなことをおっしゃいましたけれども、そういうものというのは、当然、こういう事態を想定した平生の訓練があるわけですね。そして、それについて、訓練にも難易度があるし、それからそれに対して危険度もあるというのは当然、当たり前の感覚で判断できることだと思うわけです。

 そして、いざ本当に事が起こった場合というのは、それは起こった後について、何がどういう状況だったか、そのことをプラスで勘案する、手当てをする、そういうことであれば理解できますけれども、今回の設定される考え方からすると、防衛出動手当を導入している、こう言っているのに、それについて現時点で、やはり事が近づいてきてからという考え方自身が私は理解できないんですけれども、改めて御答弁いただけますか。

鈴木政府参考人 先ほど、必要とする時期が近づいた段階と申し上げましたが、要するに、危険性と困難性がある程度判明した時点ということで考えております。

吉田(豊)委員 済みません、それはそのとおりだと思いますけれども、それが近づいた段階でというのはやはり直近の話なんですね。備えておくということではなくて、そのお考えであれば、ずっと何年経過してもこれについては決まらない、そういう理解でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 先ほど申し上げましたように、手当の判断基準となります危険性や困難性というのは、その事態の態様によってかなり幅があるものでございますので、そういったものについては、やはり事態がなかなか千差万別でございますので、あらかじめ定めるというのが難しいということでございますので、それがある程度わかった時点で定めていきたいと考えております。

吉田(豊)委員 私の一般感覚ではちょっと納得いかないところなんですが。

 さまざまなことを判断することにおいて、諸外国には当然軍隊というものがありますし、そして、この場合に当たって、例えば今問題にしている防衛出動手当あるいはそのような考え方、こういうことというのはやはり比較対象として当然検討なさっていると思うんですね。

 このことからすると、我が国の今の現状のここの部分については、もう少し踏み込んだ判断というものも当然先行してできているんじゃないかと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 自衛官の給与体系あるいは手当等につきましては、それぞれの国柄がございまして、それぞれの給与体系や年金、それから公務災害補償等を含めた全体の中で位置づけられていますので、必ずしも、我が国の自衛官の処遇、給与体系と比較するのが難しいわけですけれども、引き続き、そういった制度も参考にしながら勉強してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 参考にしてというのは、ぜひ緊急に参考にしていただいて、そして備えていただきたい、こういうふうに思うところでございます。

 時間がなくなってまいりましたが、この勤務体系それから勤務時間、そして自衛隊については服務宣誓がある、そしてそれに応じた給与体系が必要ではないか、こういうお考えも、先ほど私が申し上げました隊友会の皆様からの声としてもあるわけですね。

 私は、まさにそのとおりだと思います。自衛隊という国を守る責務を担っていらっしゃる皆様に対して、今までと同じ通常の給与体系でいいのかという根本の問題がやはり根底にあるんじゃないかな、こう考えるわけです。

 ですから、改めてこの機会に、めり張りのきいたというふうに大臣からお言葉がありました、ここについて今どのようなお考えをお持ちかということを大臣にお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 今委員御指摘になりましたように、服務の宣誓にありますように、自衛隊員は危険を顧みず、特殊な任務に従事をしております。その特殊性を考慮してさまざま手当などを支給しているところでございますが、そういった自衛官の特殊性、さらには勤務体制などに見合った給与体系、手当も含め、しっかりとやっていきたいと思っております。

吉田(豊)委員 本当に、やっていきたいと思っていらっしゃるその思いを、ぜひ緊急に行動に移していただきたいと思います。

 それはなぜかといいますと、やはり常々おっしゃるように、日本においての近隣諸国との関係、環境、状況が、私たち一般国民から見ていても不安なところというのが実際あるわけです。ですから、それに対してきちっと備えていこう、そのために、自衛隊員、関係者の士気を高める、さまざまな問題に関しても、やはり給与の問題というのは、私の言葉で言えば、内を固める、内側を固めるためには非常に重要なポイントではないかな、こういうふうにも私は思うわけです。

 ですから、ぜひここについても急いで、改めて考え方を整えていただいて整備していく、このことをぜひお願いしたいと思います。

 我が党といたしましては、この給与法に関しまして、非常に断腸の思いなわけです。

 今のこのやりとりの中でも、やはり現場の皆様の御努力そして危険性のことを考えれば、当然、今までよりももっとさまざまな手当なり、さまざまな給与というものが渡されてしかるべきだ、こんなふうに考えているわけです。けれども、それが一般に準じて上がっていくという位置づけでは理解できないというふうに考えておるところで、めり張りをつけるというところの重要性を改めてお訴えさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 しんがりの質問でございます。

 あらかじめ質問通告し、レクを終えたものと若干順序が違いますが、最初に防衛大臣に伺いたいと思います。

 米軍普天間飛行場のある宜野湾市や近隣の北中城村、浦添市の住民三千四百十七人が米軍機の飛行差しとめと爆音被害に対する損害賠償を国に求めた第二次普天間爆音訴訟の判決が、本日午前十時に那覇地裁沖縄支部で言い渡されました。この判決に対する稲田大臣の受けとめを伺います。

稲田国務大臣 本件訴訟は、普天間飛行場周辺住民らが、同飛行場の使用によって生じる航空機騒音等により権利侵害を受けているとして、国に対して騒音規制、損害賠償金の支払い等を求めた訴訟であり、本日、那覇地方裁判所沖縄支部において、騒音被害は受忍限度を超え、違法なものであるとして原告の請求を一部認め、国は原告ら約三千四百名に対し損害賠償金の支払いを命ぜられたところでございます。

 今般の判決は、国の主張について裁判所の理解が得られず、大変厳しい判断が示されたものと受けとめております。

 防衛省としては、今後の対応について、判決内容を慎重に検討し、関係機関と十分調整の上、適切に対応してまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣、私も早速、裁判所がマスコミに配付した判決の骨子、判決要旨を入手して、読み込んでみました。大臣おっしゃるように、原告のうち三千三百九十五人に対し、約二十四億五千八百二十六万円の賠償金支払いを国に求めたわけです。それから、第三者行為論に基づいて、飛行差しとめの請求は棄却されました。

 先日の当委員会で、普天間基地、嘉手納基地の爆音認識を私から大臣にお聞きしたときに、受忍限度を超えておる、こういう答弁がありましたが、きょうの判決では、大臣、社会生活上、受忍すべき限度を超える違法な権利侵害だ、こう厳しく言っている。それから、もう一点は、第一次訴訟から四年以上が経過しているが、日米両政府の被害防止対策に特段の変化は見られず、住民の違法な被害が漫然と放置されていると国の態度を厳しく断罪している。

 私が今読み上げた判決内容についての大臣の感想はどうでしょう。

稲田国務大臣 大変厳しい判断が裁判所から示されたというふうに理解をいたしております。

照屋委員 おっしゃるとおり、非常に厳しい判断ですね。だから、私は、この司法の厳しい判断に基づいて、世界一危険な普天間飛行場は一日も早く閉鎖、返還する以外ない、こういうふうに思っております。

 次に、防衛省にお聞きしますが、本日の法案との関係で、辺野古新基地建設にかかわる陸上及び海上の現場並びに東村高江の米軍ヘリパッド建設工事現場に派遣されている防衛省職員には、いかなる名目の手当が支給されているのでしょうか。辺野古は代執行裁判の和解によって工事が中断されるまでの期間、高江はことし七月十一日以降現在までの期間における名目ごとの支給人数、一時間当たりの単価、支給総額について尋ねます。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、私の方から、普天間飛行場代替施設の方でお答えをさせていただきます。

 昨年十月末に埋立本体工事に着手いたしまして、本年三月の和解までの間、最大で十名の職員が常勤で勤務するほか、昼夜二交代で各四名の職員が勤務しておりました。

 これらの職員に対しまして、当該建設現場において業務に従事することをもって支給していた特別な手当はございません。

 なお、これらの職員が深夜勤務を行った場合は、他の職員と同様に夜勤手当を支給しておりまして、その一時間当たりの金額は、勤務一時間当たりの個人ごとの給与額に百分の二十五を乗じた額になります。約四百円程度でございますが、その総額についてあくまで試算という観点で申し上げれば、約百二十万円ということになります。

 以上でございます。

深山政府参考人 北部訓練場におけます手当につきまして御報告申し上げます。

 北部訓練場のヘリパッド移設工事におきましては、工事を進めるに当たり、部外者による不要の立ち入りを防ぎ、安全を確保する必要がありますことから、訓練場の出入り口等に職員を配置しておりまして、七月十一日から十月末時点までで延べ約一万人の職員を勤務させているところでございます。

 これらの職員に対して、この工事現場において業務に従事することにより、駐留軍関係業務手当として、これは一日当たりでございますが、六百五十円を支給しております。この総額は、試算として申し上げますと、約七百万円になる計算になっております。

 なお、先ほどの御答弁にありましたが、深夜勤務を行った場合には、この地域の職員にも他の職員と同様に夜勤手当を支給しておりまして、こちらにつきましては、その総額で、一千六百万円になると試算をしております。

照屋委員 私は、現下の南スーダン情勢は、事実上の内戦状態にあり、駆けつけ警護や宿営地の共同防衛などの新任務を付与して陸上自衛隊施設部隊を派遣することには反対であります。

 本日の議題との関連で尋ねますが、現在、南スーダンで道路整備などに当たる自衛隊員には、国際平和協力手当として一日当たり一万六千円が支給されていると承知しております。

 今回の新任務付与に伴い、国際平和協力手当とは別に、一回の出動につき六千円から七千円の範囲で新たな手当が加算されるとの報道がありますが、支給の根拠となる政令は既に改正されたのでしょうか。新たに創設される手当が、派遣期間を通じての手当支給ではなく、駆けつけ警護などの出動ごとの支給にとどまる理由をあわせてお聞かせください。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、国際平和協力手当につきましては、PKO法第十七条第一項に基づきまして、今、南スーダンにつきましては、一日一万六千円の手当が支給されております。

 十五日にいわゆる駆けつけ警護という新たな任務付与が閣議決定されたことを踏まえまして、国際平和協力手当について、今、適切に検討していきたいと考えているところでございまして、したがいまして、まだ、現時点で政令の改正の有無ですとか、可否ですとか、そういうふうなものは一切決まっておりません。

照屋委員 政令改正は行っていないんですね。

 私は、新任務の付与で、派遣される自衛隊員の精神的な重圧と生命身体の危険は増大をするのではないかと。この新任務に伴う新しい手当の担保もなく自衛隊員を派遣するのはいかがなものかと私は思う。

 それで、もう一点は、南スーダンに新しい任務を帯びて派遣される自衛隊員が公務中に死亡した場合に支給される賞じゅつ金の引き上げが見送られて、現行のまま六千万円に据え置かれるようですが、その理由は何でしょう。

鈴木政府参考人 賞じゅつ金は、自衛隊の他の一般の職務と比較しまして高度な危険が予測され、災害を受ける蓋然性が高い職務に従事する隊員が、一身の危険を顧みることなくその職務を遂行し、またはこれらの職務に特有の事故により死亡した場合等に授与することとしております。

 現在の賞じゅつ金の最高授与額は基本的には六千万円でございますが、個々の任務の困難性や勤務環境等を踏まえ、例えばイラク措置法に基づく活動に従事する場合や海賊対処行動及び原子力災害派遣の場合につきましては、最高授与額を九千万円に増額する措置を行っております。

 今般、南スーダンに派遣される施設部隊にいわゆる駆けつけ警護という新たな任務付与が閣議決定されましたが、それに伴う賞じゅつ金の最高授与額につきましては、六千万円から引き上げを行わないという方針を決めたという事実はございません。

 いずれにせよ、いわゆる駆けつけ警護の任務付与に伴う賞じゅつ金を含む隊員の処遇につきましては、その任務に従事する隊員が誇りを持ち、安心して職務に従事できるよう、適切に検討してまいる考えでございます。

照屋委員 最後に、私は、平成二十六年十一月七日の当委員会で、当時の江渡防衛大臣に、防衛大学校におけるKさんへの上級生からの執拗にして陰湿ないじめ、有形力の行使による暴行などで傷害を受けた事件についてただしました。

 Kさんは加害者を刑事告訴し、加害者は刑事罰を受けております。残念ながら、Kさんは、使命感を持って入学した防衛大学校を退学せざるを得ない状況に追い込まれました。現在では、大学に再入学し、法律家を目指して勉学に励む傍ら、加害者の民事責任を追及する裁判を起こしております。Kさんの事件においては、防衛大学校の指導教官らの責任も重大であると考えます。

 防衛大学校における平成二十七年度及び二十八年度の募集人員数、入校応募者数、入校者数、中途退校者数、任官辞退者数について、本科、理工学研究科、総合安全保障研究科の別に明らかにしてください。

鈴木政府参考人 お尋ねの人数についてお答えいたします。

 まず、本科生につきましては、募集人員数は二十七年度、二十八年度とも四百八十人、応募者数は二十七年度一万七千百二十九人、二十八年度一万六千七百六十七人、入校者数は二十七年度五百四十三人、二十八年度四百九十三人、中途退校者数は二十七年度七十九人、任官辞退者数は二十七年度四十七人です。

 次に、理工学研究科前期課程の学生につきましては、募集人員数は二十七年度、二十八年度とも九十人、応募者数は二十七年度六十七人、二十八年度五十八人、入校者数は二十七年度四十五人、二十八年度四十三人、中途退校者数は二十七年度一人です。

 次に、理工学研究科後期課程の学生につきましては、募集人員数が二十七年度、二十八年度ともに二十人、入校応募者数は二十七年度七人、二十八年度五人、入校者数は二十七年度七人、二十八年度五人、中途退校者数は二十七年度ゼロ人です。

 次に、総合安全保障研究科前期課程につきましては、募集人員数は二十七年度、二十八年度ともに二十人、入校応募者数は二十七年度三十一人、二十八年度三十三人、入校者数は二十七年度十三人、二十八年度九人、中途退校者数は二十七年度ゼロ人です。

 最後に、総合安全保障研究科後期課程の学生につきましては、募集人員は二十七年度、二十八年度とも七人、入校応募者数は二十七年度一人、二十八年度二人、入校者数は二十七年度一人、二十八年度ゼロ人、中途退校者数は二十七年度ゼロ人でございます。

照屋委員 終わります。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会の吉田豊史です。

 私は、日本維新の会を代表して、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。

 日本周辺の安全保障環境が急激に厳しさを増している中において、日米同盟を基軸に専守防衛の強化を図っていかねばなりません。

 昨年成立した平和安全法制の施行による新たな任務の増加や、活動領域の増大により、自衛隊の役割はこれからますますふえることになります。みずからの国はみずからで守るという観点での自衛能力の強化は、我が国の抑止力の強化となり、PKOによる国際貢献は、我が国の国際社会での存在感を今後ますます大きなものにすることは間違いありません。また、みずからの命を危険にさらして国を守っている自衛隊に対して、さらなる待遇の改善が行われ、これまで以上に保障されなければなりません。

 現行の給与体系は、警察予備隊創設時に警察に準じた給与制度を導入し、現在まで基本的にこれを踏襲しております。自衛官俸給表は、行政職俸給表、公安職俸給表、指定職俸給表を基準に決定しており、給与改定も、基本的には一般職に準じています。この給与体系では、自衛隊の任務を正しく評価するものにはなっておりません。

 私ども日本維新の会は、自衛隊の待遇改善のために、人員の増強を図ることで自衛隊員の個々の負担を減らし、また、その仕事の危険度に合わせた危険手当をふやすことが重要であると考えております。

 自衛官の手当については、安全保障法制の整備に伴い、自衛隊に新たな任務が追加されたことを受けて、正当な処遇のために新たな手当を導入すべきです。そもそも、防衛出動手当が導入されて十三年経過した今も、手当額にかかわる政令が未制定という現状は、一刻も早く変えるべきです。

 人事院は民間給与の基準にのっとっているだけに、自衛隊員の給与査定が経済で左右される民間給与に左右されることがあってはなりません。経済が厳しいとき、自衛隊員の役割が変わらない中にあって給与が下がることも想定されるだけに、今回のような自衛隊の給与のあり方は、根本から見直しをする必要があります。

 私ども日本維新の会は、自衛隊員の給与に対する抜本的な見直し案を今後国会に提案し、自衛隊の待遇改善とその役割をしっかり認める給与体制をつくってまいります。

 こうした抜本的な改定が必要な自衛隊員給与について何ら対応が行われていない本法案には、賛成することはできません。

 自衛隊員が国家のために一生懸命頑張っていることを正しく評価されるような給与体制をつくり上げていくことこそ、私ども政治の大きな役割であると考えております。

 常にこの現場は、リスク、そして職務と法のはざまにあるわけです。ですから、本委員会におきましても、リスクを正しく評価するということがきちっと給与にも反映される、このことを私たちはごまかしてはいけないと考えております。

 新たな仕組みをつくること、そのことを訴えて、そして、今回の法案には賛成することができないということを申し上げて、反対討論とさせていただきます。

 ありがとうございます。(拍手)

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十四分散会


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