衆議院

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第2号 平成29年3月9日(木曜日)

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平成二十九年三月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      今枝宗一郎君    大西 宏幸君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      小林 鷹之君    左藤  章君

      武田 良太君    藤丸  敏君

      宮澤 博行君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    緒方林太郎君

      神山 洋介君    横路 孝弘君

      佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    吉田 豊史君

      照屋 寛徳君    武藤 貴也君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣         稲田 朋美君

   内閣府副大臣       石原 宏高君

   外務副大臣        岸  信夫君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   河内  隆君

   政府参考人

   (内閣府国際平和協力本部事務局長)        宮島 昭夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 加藤 俊治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 小野 啓一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岡田 誠司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 牛尾  滋君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   豊田  硬君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     神山 洋介君

    ―――――――――――――

三月八日

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官槌道明宏君、内閣府大臣官房長河内隆君、内閣府国際平和協力本部事務局長宮島昭夫君、法務省大臣官房審議官加藤俊治君、外務省大臣官房審議官水嶋光一君、外務省大臣官房審議官滝崎成樹君、外務省大臣官房審議官相木俊宏君、外務省大臣官房参事官小野啓一君、外務省大臣官房参事官岡田誠司君、外務省大臣官房参事官牛尾滋君、防衛省大臣官房長豊田硬君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。

横路委員 おはようございます。

 きょうは、北朝鮮の問題について御質問いたしたいと思います。

 二月の十二日、三月六日と相次ぐ北朝鮮のミサイル発射で、しかも、三月六日の場合、在日米軍基地を狙った訓練であるというようなことが発表されております。しかも、核弾頭を装填するというような発表もありました。

 在日米軍基地への攻撃というのは、これは日本の領土の中にあるわけですから、日本としては、日本の自衛権を発動して対応するということになると思います。つまり、戦争ということになるんですね。

 状況としては、北朝鮮が先制攻撃するということは常識的には余り考えられないわけで、アメリカ軍が北の核基地へ先制攻撃を行い、それに反撃するという形で在日米軍基地への攻撃となるというような状況が想像される事態です。

 昨日、中国の王毅外務大臣が、一本のレールを汽車が向かい合って走っている、このままいけば正面衝突だ、これはやはりブレーキをかけなくちゃいけないという発言をされておりますが、私もそういう危険性を秘めている今日の状況だというように思っております。

 正面衝突した場合どうするかということも大事かと思いますが、一番今大切なことは、正面衝突しないために日本はどうするかという、まさに日本の外交の出番だというように思います。外務大臣、今の状況をどのように受けとめているのか、そして、どうやって平和的に問題の解決、処理に向かって努力をされていくのかというところを、ちょっと簡潔にお話しいただければと思います。

岸田国務大臣 まず、北朝鮮のたび重なる挑発行動、これは国際社会にとって大変大きな脅威であると認識をしています。我が国を含む地域、国際社会にとっての脅威であり、これは断じて許すことはできない、こうした評価であります。

 そして、それに対してどう対応するかでありますが、まずは各国、関係国が連携しながら、協力しながらしっかり対応していかなければならないと思いますが、その中にあって、委員御指摘のように、外交の力は大変重要であると認識をしております。

 我が国の立場としては、あらゆる選択肢を検討しつつ、まずは外交努力を通じて平和を守ることが重要であるというのが我が国の基本的な立場であります。北朝鮮の核・ミサイル問題を平和的に解決するために、ぜひ関係国とも緊密に連携をしていきたい、このように考えます。

横路委員 そこで、現在の状況を正確にやはり認識することが必要だと思うんですね。そういう意味では、アメリカのトランプ大統領の対北朝鮮政策ということについてお尋ねしたいと思うんです。

 二月十日に日米首脳会談が行われました。首脳会談の中の、外務省の概要を見ますと、両首脳は、新たな段階の脅威となっている北朝鮮の核・ミサイルというような表現をされて、それに対して日米で協力して対応するんだというお話です。

 トランプ大統領は、ミサイルの発射後に、北の核・ミサイル問題は最も差し迫った脅威であると認識しているというように発言されていると伺っておりますが、この日米首脳会談の中で、新たな段階の脅威に対してアメリカ側としてどう対処するのかというようなことについて意見交換されたと思うんですが、それは、トランプ大統領としてはどう対処するという、どんなお話になったんでしょうか。

岸田国務大臣 二月十日の首脳会談におきまして、両首脳間で、両国の外交、安全保障、さらには経済を初め幅広い分野における意見交換が行われました。そして、その中にあって、当然のことながら、北朝鮮問題についても議論を行った次第であります。

 北朝鮮に対し、核及び弾道ミサイル計画を放棄し、さらなる挑発を行わないよう強く求めていく、こうしたことについて完全に一致をした次第であります。そして、その後発出した共同声明において、北朝鮮に対し、米国が核及び通常戦力を含むあらゆる種類の軍事力により日本の防衛にコミットしている、こういったことを確認した次第であります。

 そして、その後、米国においては、北朝鮮政策について見直しを行っていると承知しております。あらゆる手段がテーブルの上にあるという表現を使い、見直しを行っているということであり、我が国としましては、米国のこの動向を注視しておりますし、いずれにしましても、米国と意思疎通を図り、政策的なすり合わせを行って、戦略目標を共有する、こういった努力を続けていくことは大変重要であると認識をいたします。

横路委員 日米首脳会談について、その後の両者のいろいろな協議の場もたくさんあったと思うんですが、その中で、トランプ大統領から、今外務大臣御答弁のあった、あらゆる選択肢を検討するんだと。あらゆる選択をした場合には、対話から軍事力の行使まで、いろいろあるわけですよね。

 そこで、今お話ありましたように、マクファーランド大統領副補佐官が中心になって、新しい対北朝鮮政策を検討しているというようなことも報道されております。

 安倍総理が三月七日のトランプ大統領との電話会談の後で、今述べたように、日米間でしっかりすり合わせをして、戦略目標を共有するということが大事なんだという話をされていますが、今、マクファーランド大統領副補佐官のもとでまとめようとしている対北朝鮮政策と具体的に何かすり合わせをやっているということなんでしょうか。

岸田国務大臣 今、米国においては、北朝鮮政策の見直しを行っている最中であると認識をしております。そして、見直しが行われて、ある程度の政策、方針が固まったとしたならば、その政策としっかりすり合わせを行わなければならない、このように考えています。

 ですから、今後の動向を見ながら、必要に応じて、さまざまな機会、さまざまなレベルを活用しながら、政策的なすり合わせ、戦略目標の共有に努めていきたい、このように考えます。

横路委員 そうすると、今月の中旬にアメリカの国務長官が来られますけれども、そのときに、主にやはり北朝鮮問題が議題となり、いわゆるすり合わせが行われるというように考えてよろしいんでしょうか。

岸田国務大臣 今月中旬、予定されておりますティラーソン国務長官の訪日に際しましては、日米の外相会談、そして総理への表敬も行いたいと思っております。

 その際に、外相会談ですので、日米関係、あらゆる分野にわたって議論をしていかなければならないと思いますが、その中にあって、外交、安全保障、特に北朝鮮問題は、今の現状を考えますときに、大変重要な議論のテーマになると想像しております。

 その際に、すり合わせを行うのかということですが、その時点で米国側の北朝鮮政策の見直しがどこまで進んでいるのか、これは今の段階では予断を持って申し上げられませんが、その時点で両国の間でできる協力、連携についてはしっかり議論をし、意思疎通を図っていかなければならない、このように考えます。

横路委員 トランプ大統領は、オバマ前政権の核戦略忍耐という方針は失敗だ、対北の関係でいうと、武力行使や体制転換も選択肢にあるんだと。先ほど外務大臣も、あらゆる選択肢を日米でというお話がありましたが、その中にこういう武力行使なども含まれているというように理解してよろしいですか。

岸田国務大臣 まず、基本的には、あらゆるオプションはテーブルの上にあるという方針で見直すと承知をしております。要は、オバマ前政権のもとで戦略的忍耐という方針のもとに北朝鮮に対峙していたわけですが、その戦略について、あらゆるオプションをテーブルの上にのせて見直すということであると認識をしております。

横路委員 それで、稲田大臣、二月の四日、国防長官との会談が行われました。その記者会見の中で、記者からこういう質問が出ていますよね。もしアメリカ側が北朝鮮に先制攻撃をやると日本に伝えた場合、安倍内閣はどうするんですかという質問に大臣は答えられて、ともかく北のミサイルは新たな段階に入っているんだ、それにどのように対処していくかということについて話をいたしましたという記者会見の答弁になっていますけれども、その中には、軍事力の行使ということも、あらゆる事態についてどう対応するか話をしたという中身には入っているんですか。

稲田国務大臣 今お尋ねのマティス長官との二月四日の会談においては、北朝鮮による核、ミサイルの開発の進展が日米両国の地域の安定に対する安全保障上の重大な脅威であるという、まずは共通の認識を意見交換いたしました。

 その中において、日米同盟の抑止力、対処力を強化していくこと、さらには日米韓の連携をしっかりと図っていく、連携を図ることが非常に重要だ、そういう認識で一致をしたということでございます。

横路委員 さらに、続いて、新聞記者の質問に対して、先制攻撃事態ということにならないように協力をしていきましょうというように答えられて、その上で、この地域における日本とアメリカとの同盟の強化、何かあればアメリカの打撃力という抑止力、そういったものも含めた形で北朝鮮に対しては対峙していくことが重要だというように答えておられます。

 このことを見ると、この発言は、先制攻撃をやった場合に、日本も協力しますよという中身だと思うんですが、そういうことで理解してよろしいですか。

稲田国務大臣 まず、先制攻撃というのは国際法上は、一般論としてですよ、許容されないということでございますから、その会見の中でも申し上げておりますように、そういう先制攻撃というような事態にならないように、しっかりと日米同盟の抑止力、対処力を強化していく、さらには日米韓の連携をしっかりと図っていくということを申し上げているところでございます。

横路委員 また後でお尋ねしますが、実は、皆さんも御存じですけれども、一九九四年の二月、クリントン・細川会談というのが行われて、そのときにクリントン大統領から、北朝鮮は本気で核を開発しようとしている、何としても阻止をしなければいけないということで、日本と協力したいという話がありまして、政府は、当時の石原信雄官房副長官を中心に、各省庁で集まって対応を検討したんですね。

 この事態に一番反応したのは韓国の金泳三大統領です。猛反対しました。彼のいろいろな発言によりますと、クリントンは、何としてもやるんだと。金泳三大統領は韓国軍は協力しないと言ったのに対して、クリントンは米軍だけでもやるんだという状態で、一九九四年の六月ぐらいに大変厳しい環境になったんですね。もう本当に空爆を、寧辺という北朝鮮の核基地に対してアメリカが直接攻撃をするという、本当に攻撃指令を出す寸前に、当時北朝鮮に行っていたカーター元大統領が金日成と話をして、核を凍結するという話になって、この攻撃は行われないで済んだんです。

 そのときに、これは一九九四年の五月十九日ですが、クリントン大統領に、ウィリアム・ペリー当時の国防長官、ジョン・シャリカシュビリ統合参謀本部議長らが、北朝鮮と戦争した場合のシミュレーションの結果を報告しています。

 その際、朝鮮半島で戦争が勃発すれば、四十万人の兵力投入が必要となり、米軍の死傷者数は三万人、韓国軍の死傷者は四十五万人になるという報告がされています。また、全面戦争となった場合、国防省の見積もりでは、アメリカ人八万から十万人を含む百万人以上の民間人が死傷するということ、財政支出は六百億ドル以上かかって、韓国経済に与える損害は一兆ドルを上回るとされております。

 さらに、当事のラック在韓米軍司令官は、戦争が始まれば、北朝鮮はソウルに向けて最初の十二時間に五千発の砲弾を行うと予想しておりまして、また、一九九四年の五月十九日にクリントン大統領への報告の際には、朝鮮半島で戦争が勃発すれば、最初の九十日間で米軍の死傷者数は五万二千人、韓国軍の死傷者は四十九万人だ、こういう想定をしています。

 確かに、今、さらにそれよりもいろいろな意味での兵力が強くなっていますから、さらに被害は大きいものになるというように思います。そして、これは先ほど言いましたように、朝鮮半島だけの問題じゃなくて、日本もそれに巻き込まれていくということなんですね。

 つまり、戦争になればこういうことだということ、この想定、それから、一九九四年の五月から六月にかけての状況というのは外務省も認識されていると思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 御指摘の時期、いわゆる北朝鮮の第一次核危機と言われた時期の動きについてですが、その当時、米国政府内で軍事的手段について検討が行われたとの証言があるということ、これは承知をしております。

 こうした検討について、この検討過程、あるいは外交のやりとりについて明らかにするのは控えなければならないとは思いますが、いずれにせよ、今後とも、我が国の立場は、外交努力を通じて平和を守ることであるということ、これは間違いないと思います。北朝鮮の核あるいはミサイル開発、こうした問題を平和的に解決するためにどうあるべきなのか、米国を初め関係国とも連携をしながら最大限努力をしていく、この基本的な我が国の方針は変わらないと認識をしております。

横路委員 このとき、必死になってその反対に動いたのは金泳三大統領なんですね。彼は、アメリカのクリントンと電話だけで二十回以上話をしたと言っています。それから、日本や中国を訪問し、ロシアも六月になってから訪問して、ともかく協力要請をしています。

 そしてもう一つは、カーター元大統領ですね。これは、金大中前の大統領が、北との関係がいいのはカーター大統領だということで、北から金日成からの招待状もカーター大統領に行っていたようなんですが、それでもう本当に空爆寸前に、カーター・金日成会談でもって核開発の凍結ということで一件落着しているわけです。

 これは余分ですが、このときにアメリカから日本側に協力要請がたくさんありまして、九五年の十二月には一千五十九項目の要請がありまして、それが新しいガイドライン、周辺事態法、昨年の安保法制、こういうふうにつながっていっているんです。その非常に大きなきっかけになったのが、この九四年の米軍による北の攻撃なんですね。

 問題はやはり、その話し合いのテーブルにどうやってのせるかということが大事なんですね。

 私が一つ心配しているのは、今、安保法制に基づいて、対北朝鮮の、核を抑止するというミサイル防衛。ミサイル防衛にはロシアや中国が非常に反対したり、心配をしていますよね。ロシア、中国の方は、先制攻撃された場合の報復力が、要するにミサイル防衛システムによって機能しなくなると、先制攻撃を受けるんじゃないかという心配なんです。ミサイル防衛というのは、最初の核を抑止するということと、こっちが行使した場合の反撃を抑止するという二つの面があるわけですね。

 そうすると、日米韓はミサイル防衛でもって一致して進めていく、これに対抗してロシア、中国、北朝鮮という冷戦時代の枠組みができるという可能性になってしまうわけですね。

 しかし、一番この六者に共通しているのは、北を除けば、朝鮮半島は非核地域にするんだという点では、これはみんな一致しているわけですよ。

 そして、問題は、この六者協議の枠組みがあるわけです、あるけれども機能していないわけですね。それには、いろいろな条件をみんな出しています。アメリカの方は核凍結までしなさい、日本は拉致問題を解決しなさい、北朝鮮の方は米韓軍事演習をやめなさい、そういう条件を出し合っていて、機能していないわけでしょう。

 だから、必要なのは何かというと、やはりこの六者協議をどうやってまずは復活させて、今のメンバーよりももうちょっと格上げしていいですよ、外務大臣クラスでもって、これは岸田外務大臣、先頭に立って少し、そういう今の状況の中で、正面衝突しないための外務省の役割、結局これは周辺の社会、つまり韓国、中国、ロシア、アメリカと協力してやらなきゃいけないわけでしょう。そのために今、何ができるのか。

 国連の安保決議違反だってそうですよ。非難する、経済制裁、そういったって、北は全然何も変わっていないじゃないですか。このままこれを続けて本当にどうなるんですかということになるわけです。時間を待てば崩壊するかもしれないというような意見もありますが、しかし、そう簡単に崩壊なんということはないでしょう。中国は中国で、何とかしてやはり支えようとするわけですよ、いざというときには。そう思いますよ。

 したがって、問題は何かというと、やはり対話の場、場所をどうつくるかということです。軍事力の行使は決して解決にならないどころか、さっき言ったように、非常に大きな被害、犠牲を生み出してしまうというように私は思っていますので、ぜひ外務大臣に、こうした会議の場を、何とか対話のベース、これへ持っていくことが必要だ。北朝鮮はアメリカとだけの二国間協議を求めているのかもしれませんが、これはトランプ大統領が拒否しているわけでしょう。

 ですから、ぜひ、既存の枠組み活用でやるように、これは外務省がやはりそういう努力をするというのが、今まさに岸田外務大臣の出番だと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 まず、御指摘の六者会合という対話の枠組み、これは大変重要な枠組みであると認識をします。事実、今回、六日の日に北朝鮮は弾道ミサイルを発射したわけですが、その際にも、六者会合代表レベルにおいて、日米、日韓、さらには日中の代表間で意思疎通を図る、こういった連携も行われた次第です。

 ただ、この対話は、対話のための対話であってはならないとも思います。やはり、対話を進めるに当たって、北朝鮮による非核化に向けての前向きな行動や意思表示、これが示されることが大前提であるということは、我々、引き続き思っています。

 いずれにしましても、こうした国際的な連携のもとに北朝鮮問題を解決していく、こうした取り組みは重要であると認識をしており、まずは、国連安保理レベルにおいて明確な意思が、メッセージが示されています。それに基づく決議の実効性をしっかり高めることにより、北朝鮮の反応をしっかり確かめ、そして、その上で、最も効果的な方法は何なのか、これを不断に検討していく、こうした態度が重要なのではないかと考えます。

横路委員 我々の要望は、北朝鮮の核開発の凍結ですよね。そして、朝鮮半島全体の非核化ということだと思うんですね。

 北の方から見ると、やはり自分たちの国の安全保障なんですよ。彼らが米韓軍事演習のたびにいろいろやっているでしょう、反応していますよね。それは、かつて米軍と戦争したということも歴史的にありましたし、やはり安全保障をどうするかということなんですよ。これを保障してやる仕組みを、アメリカが中心になって、しかし、周りの国が協力してやるというようなことがきっと最終的な落としどころになっていくんだろうと思うんですね。

 そこに持っていくのをどうするかという話なので、それを非難と経済制裁だけでそこに持っていけるかというと、北朝鮮にとってみれば、自分たちの安全が危ないというふうに本当に多分思っているだろうと思うんです。そうすると、それをどうやって解消するかという努力がやはり必要なんですね。

 私、最後にお伺いしたいのは、日本政府は拉致問題でずっと協議の場がありましたよね。その際に、核、ミサイルや何かの発言をしています。あれが、二〇一四年でしたか、最後に開かれたのは。あれ以後、北朝鮮との間に何かそういうパイプというのはあるんですか、表でなくても裏でも、ちゃんと話のできる。やはり、相手と話し合う機会がなければ、こっちの意思だって十分伝わらないし、向こうが勝手に心配していることもたくさんあるかもしれない。そういうことをちゃんと説得して話をするということが必要なわけですよ。

 そういうパイプは今あるんですか、どうですか。

岸田国務大臣 北朝鮮とのパイプですが、まず、こうした累次の北朝鮮の挑発行動に対する我が国の抗議あるいは意思表示、これは北京の大使館ルートを通じて行っています。そして、それ以外に、北朝鮮も参加する国際会議等があります。こうした場等を活用しながら、さまざまなレベルで接触を行う、こういった意思疎通は行われています。

 そして、この北朝鮮問題、核、そして弾道ミサイルに加えて、我が国は拉致問題という問題を抱えていますので、こうした問題を包括的に解決するためには、対話と圧力、両方が必要であるということは強く認識をしております。

 ただ、現状においては、今、国際社会が、安保理の場等を通じまして、北朝鮮に対して厳しい意思表示を示し、そして制裁を科しています。こうした圧力の部分においてしっかり実効性を確保すること、これがまずは大事だと思います。

 そして、その上での北朝鮮の反応も見ながら、引き続き、対話と圧力、行動対行動の原則のもとに北朝鮮問題に取り組んでいきたい、このように考えます。

横路委員 拉致問題のときには、北朝鮮の側との協議する場がありましたよね。そういうことでないにしても、もうちょっと、対話と圧力といったって、ほとんど今、対話は成り立っていないわけですから。それは向こうの態度もありますけれども、やはりしっかりとした、意思を伝える、そういう場を何とかつくってもらいたい。それは国連の場だって何だっていいわけですよ。

 北朝鮮も、一時は何か、誰か代表を送ってアメリカと非公式に話をしようとしたらしいんですが、例のマレーシアの事件が起きて、アメリカの方が入国ビザを出さなかった、そしてその会談というのが流れたというように報道で承知をしているわけでございます。

 やはり、日本がこれから果たすべき役割というのは、私は再三申し上げましたように、軍事力で問題は解決しませんし、もし軍事力行使ということになったら、これはもう本当に大変なことになるわけです。

 したがって、やはり対話で話を解決するということで、そのために、まずは、国務長官が来られるわけでございますので、国務長官と十分に、まあ、軍事力行使というのはお互いに一種のおどしだと思いますが、しかし、ブラフを余り言い過ぎていると、何かのきっかけでもって本当に現実化してしまうということになりかねませんので、そんな意味で、ぜひ外務大臣にはしっかりと頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 民進党の青柳陽一郎でございます。

 きょうは二十五分の質問の時間をいただきました。ありがとうございます。

 短い時間なので、早速質問に移りたいと思います。

 まず、稲田防衛大臣に伺いたいと思いますが、稲田大臣の文民統制、シビリアンコントロールについてのお考え、どのように理解されているかをまずは大きく伺いたいと思います。

稲田国務大臣 シビリアンコントロールとは、民主主義国家における軍事に対する政治の優先、また軍事力に対する民主主義的な政治統制を指し、民主主義国家においては確保されなければならない重要な原則であるというふうに認識をいたしております。

青柳委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいた内容をしっかり確立していくためには、まさに大臣に正確な情報がタイムリーに報告されなければならないと思います。その正確でタイムリーな情報から判断を下していくことが、まさにシビリアンコントロールの最も基本的な姿勢ではないかと思います。

 しかし、南スーダンのPKOで起こったことは、戦闘が衝突という言葉に置きかわっている、そして、電子データが存在していたにもかかわらず破棄されていたというふうになっていました。そして、その後見つかった電子データの存在が一カ月も放置されていた。これで、現場からの正確な情報がタイムリーに上がってきて、そしてそれで判断しているのかということについて、まさにシビリアンコントロールの基本である情報の管理が崩れていると言わざるを得ない状況が、この南スーダンのPKOで起こっていることではないかと思います。

 これで、今大臣が御答弁されたシビリアンコントロールがちゃんと維持されているというふうに本当に大臣、言い切れるんでしょうか。そして、その上で、南スーダンのPKOについて正確に判断していると言い切れるのかについて御答弁をいただきたいと思います。

稲田国務大臣 まず、日報の問題ですけれども、この日報が、一年未満、用済み後破棄、すなわち、南スーダンの施設隊が日々つくっている日報、これをつくって中央即応集団に報告をして、そしてそれを日々廃棄をしていくというその取り扱いを決めたのは、第一次施設隊が行った、まさしく野田政権において行くときに決めたものであります。

 そして、今回、その日報が破棄をされていて不開示になった。しかしながら、その報告を受けて私が指示をして捜して、そして公表して、全体としてその手続自体は適法であります。まさしくシビリアンコントロールがきいているからこそ、徹底的に捜して、そして公表をしたわけであります。

 もちろん、私が捜せと言って、見つかってから報告するまで、年末年始もあったこともあり、私が海外に三回も行っていたこともあり、一カ月かかった。ここは私は厳しく指導していかなければならないというふうに思っておりますけれども、今回の、日報が破棄されていた、しかし、その後公表されて、今、全部それを公表するために、例えば一件で七千ページ、百日分の日報を、昼夜分かたず、徹夜して、三月中旬に出せということで作業もしております。したがいまして、この点について、シビリアンコントロールがきいていないということはないというふうに思います。

 さらに、現地の皆さんが日報で戦闘と書いていることを衝突と書きかえろなんということを言ったことは、私は一回もありませんよ。後藤先生もそうですけれども、何回も議論しておりまして、私が申し上げているのは、戦闘というのは、まさしくPKO五原則の、戦闘行為があればPKO五原則が満たされないということで、即時撤収なんです。なので、国会の場では、戦闘行為と紛らわしい戦闘という言葉は使わない。

 これも皆さん、民主党政権からずっとやってこられたことですけれども、国会の場では戦闘という言葉は使わないということをるる申し上げていて、日々の日報をつくっている施設隊が戦闘という言葉は使わないようにしろなんということは、私は一度も指示をしたこともないし、むしろ、見たまま聞いたまま、そのままの言葉で表現すればいいんだというふうに思っております。

 それから、私が大臣になりましてから、南スーダンの状況というのは、日報のみならず、日報のエッセンスのみならず、国連からの情報、それから海外の部隊からの情報、現地の報道、さらには自衛隊がその日にやっている行動等を含めて、地図も含めて、何が起きているかということを日々報告を受けて、それに基づいて判断をいたしておりますので、今委員が御指摘になったようなことはないというふうに思います。

青柳委員 自信を持って、正確な情報に基づいてしっかりと判断をされたという理解でよろしいんですね。

 昨年の十月の派遣の延長、そして十一月、新任務を付与する、駆けつけ警護、宿営地共同防護の新任務付与については、大臣の正確な判断、自信を持った判断ということで、政治の責任でしっかり判断されたということでよろしいんですね。

稲田国務大臣 まさしく南スーダンで今何が起きているかということを日々報告を受けて、そして、PKO五原則が満たされているか否かのみならず、PKO五原則が満たされているからそれでいいということではなくて、自衛隊の隊員が、みずからの安全を確保しつつ、そして有意義な活動ができるかどうか、さらには、新任務の駆けつけ警護という意味においては、しっかりと訓練ができて、まさしく状況に応じて行動することができるかどうかの練度にまで達しているかどうか、そして、南スーダンの受け入れ同意が安定的に維持される見通しであるかどうかということをしっかりと確認をして、判断をしたところでございます。

 しかしながら、南スーダンが大変厳しい状況であることもまた事実です。北部や南部においてしばしば武力衝突が起きているわけでありますけれども、そういったことも含めて、しっかりと状況を見、さらには判断をしていきたいと思っております。

青柳委員 判断していきたいというか、判断したということでよろしいんですよねという理解をさせていただいて、次に、これは参考人からで結構ですが、南スーダンPKO、UNMISSの設立経緯と、我が国が自衛隊を派遣決定したときの国連安保理決議のマンデート、そして、その後、安保理決議によるマンデートがどのように変わったのかについて、簡潔に説明していただけますか。

辰己政府参考人 当初の安保理決議、これは二〇一一年七月でございます。そのときには、一番のトップにあったのが長期的な国づくりということでございました。その後、二〇一四年の五月に、マンデートにつきましては、文民保護というのを一番の優先事項としつつ、人権状況の監視及び調査、それから人道支援実施の環境づくり、敵対行為の停止に関する合意の履行支援というふうに変更されています。

 一方で、国づくりについても、その文民保護の中で国づくりについてもちゃんとやるようにというふうに入っております。

青柳委員 つまり、我が国が派遣決定をしたとき、二〇一一年十一月のマンデートは平和構築と国家建設だったわけです。ですから、我が国のPKO派遣部隊というのは、インフラ整備のための施設部隊を訓練して、そして組織して派遣したということです。ところが、その後、南スーダンの治安が急激に悪化したため、今御説明いただいたとおり、UNMISSのマンデートが文民保護、人道支援、衝突解決合意の履行支援に明確に変わったわけですね。

 ところが、我が国の自衛隊は、そのまま派遣を続けている。これは日本の自衛隊のキャパを超えているんじゃないか。文民保護や衝突解決合意の履行支援などのための訓練や装備品、携行品になっていないのではないんでしょうか。それでよろしいのか、御答弁をいただきたいと思います。

辰己政府参考人 マンデートの変更に伴いまして、当時、小野寺大臣だったんですが、ジュバに出張をしました。そのときに、UNMISSの特別代表と会談をして、自衛隊の活動については、引き続きこういう避難民支援を中心に施設活動をやっていくということで意見の一致を見ております。したがって、マンデートの変更に伴っても自衛隊のやることは変化がなく、施設活動をやるということが、国連との間においても、そして政府内でも共有されております。

 したがって、その時点において、施設活動に必要な装備品とか訓練でございますので、それは変更なくやってきたということでございます。

青柳委員 しかし、その後、昨年の十一月には新任務が付与されたわけですよね。国連のマンデートは変わったけれども、日本の自衛隊のマンデート、ミッションは全く変わっていないというのが今の答弁だったと思います。しかし、結局、去年の十一月に新任務が付与されて、駆けつけ警護や宿営地共同防護をやるんだということになったわけですけれども、それに合わせて、自衛隊の訓練、十分な教育訓練や、携行品や装備品のバージョンアップというのはしっかりなされているのかどうかも御答弁いただきたいと思います。

辰己政府参考人 昨年の新任務付与に当たりましては、先ほど大臣からも答弁いたしたとおり、駆けつけ警護、宿営地の共同防護に必要な訓練をしっかりと二カ月間、岩手山演習場を中心にやり、大臣にも視察をしていただき、確認をしてもらっています。そういう意味で、まず、対応できる訓練を十分にやったということ。

 それから、装備品につきましても、盾でありますとか、それからLRADという大きな音を出す装置、それを今回の新任務に当たっては追加するなど、対応していますし、携行救急品についても米軍並みのようにふやしたりするなど、医療、いわゆる救護体制についても追加して、十分な対応ができる状態にして新任務付与をしているところでございます。

青柳委員 しかし、一部の専門家からは、負傷した場合の医療体制にとても不安がある、複数の負傷者が一遍に出たら、正直お手上げ状態になってしまうんじゃないかと。南スーダンの現地の情勢というのは、先ほど大臣からも御答弁があったとおり、悪化しているわけですし、UNMISSのマンデートは平和構築から人道支援に明確に変わっているわけですね。それで新任務が付与された、こういう状態です。

 しかし、今、携行品や装備品、訓練などについてはきちんと合わせているという御答弁がありましたけれども、実際に、医療体制は、派遣部隊の医療レベルというのは、今、最低レベルの1というままだというふうに聞いておりますけれども、これで本当に医療体制について十分なレベルということを言い切れるんでしょうか。

辰己政府参考人 まず、今回から、自衛隊の中で医官も一人ふやします。それから、外に出ていくときには、医官や救急救命士、これを同行させるなどして、現場で即時に対応できるようにしています。

 それから、自衛隊のレベルはレベル1ということで、これは簡単な治療等になっていますが、国連全体として、このトンピン地区、自衛隊がいるところの中にレベル2の病院がございまして、そこで、もし自衛隊の医官等で対応できないような場合には、そのレベル2に上げて対応します。さらに、状況が重いということであれば、レベル3、レベル4の体制も国連が組んでいますので、それは、自衛隊のみならず、国連全体としてきちっとした医療体制がしかれていますので、十分であると考えています。

青柳委員 しかし、その新任務が付与されて、文民保護あるいは治安情勢の悪化などで自衛隊員に負傷者が一遍に出た場合は、今の一人ふやした程度では間に合わないというのが、専門家から心配の指摘がなされているわけでありますし、先ほど来、繰り返しますけれども、UNMISSのマンデートも明確に変わり、文民保護、人道支援になっているわけです。

 日本の自衛隊のPKOは、平和構築、インフラ整備などとは明確に趣旨が変わってきているので、今ここで立ちどまって見直すべきではないか、日本の南スーダンのPKO、南スーダンへの日本の貢献のあり方というのを見直すべきじゃないかという議論が予算委員会の参考人からもなされました。

 こういう点について、今のこのまま、日本の自衛隊の派遣でいいのか、もっとほかの貢献があるんじゃないかということについて、あるいは、南スーダンのUNMISSのマンデートが変わっている中で、このままの自衛隊を派遣し続けているということで本当に日本らしい貢献なのかということについて、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 この南スーダン施設隊が派遣をされたのは平成二十四年の、部隊が派遣されたのは一月、まさしく野田政権のときで、本当に大きな決断で、若い国づくりをやろうということで派遣をしたわけであります。

 そして、今委員が御指摘になったように、マンデートが変更されている、それも事実であります。やはり、派遣をしてから何回か大きな武力衝突があって、例えば、民主党政権でも、スーダンから南スーダンに空爆がなされて、そしてキール大統領がこれは戦争だというふうに宣言をしたような状況もありました。その後、我が政権になってから、二〇一三年にも大きな武力衝突、そして昨年の七月にも武力衝突、そういう武力衝突が何回かあり、マンデートが変更されたこともまた事実であります。

 しかしながら、日本の施設隊がやっている、道路をつくったり、また施設をつくったりするということ、マンデートが変更されて、国づくりよりもむしろ避難民支援とかに移っても、やはり避難民のために施設をつくり、私も視察に行きましたけれども、でこぼこの道路を真っすぐにしたり、そして、大学のグラウンドをならしてそこで国体を行ったり、まさしく、南スーダンの方々、国連からもそうですし、大変期待もされ、そして有意義な活動、感謝もされている、そういう活動を続けてもう五年の節目が来たわけであります。

 そして、先ほど私が申し上げましたように、確かに北や南の方で散発される武力の衝突などは、非常に気がかりな点はありますけれども、まだ、紛争当事者があらわれ出ているとか、PKO五原則が満たされない状況になっているとかいうことではなくて、きょうもまた炎天下の中で、自衛隊は、みずからの安全を確保しつつ有意義な活動を続けているところであります。

 新任務の付与のことも先ほど委員から指摘がありましたけれども、それも何か特別のことをやるというのではなくて、自衛隊員が、今までのPKOでもあったように、緊急の要請を受けて、人道的な見地から、助けられるときには、しっかりと法的根拠もあり、そして訓練もした上でそういう状況に対応していこう。さらには、基地の共同防衛だってそうですよ。それだって自衛隊の安全にかかわることでありますから、そういったことを新任務として与えたわけであって、私は、施設隊としての活動、有意義な活動を今も続けているということだというふうに認識をしています。

 日々報告を受けておりますし、極めて治安状況は厳しい状況でありますので、その点もしっかりと見ながら判断もしていくということでございます。

青柳委員 ありがとうございます。

 残り時間五分になってしまいましたので、私も、北朝鮮情勢、弾道ミサイル発射問題について幾つか伺いたいと思います。

 まず事態室に伺いますけれども、今回、六日、同時に四発の弾道ミサイルが発射されて、我が国のEEZ内に落下しましたけれども、事態室は、この周辺の航空あるいは漁船、船舶関係者にいつ、どのように警報を発したのか、御説明いただきたいと思います。

槌道政府参考人 お答えいたします。

 三月六日の北朝鮮の弾道ミサイル発射に際しての航空機、船舶への警報等につきましてでございますけれども、防衛省からの情報を得て、関係省庁を通じて、七時四十七分以降、逐次警報等を発出したところでございます。

青柳委員 七時四十七分以降に警報を発したということですね。

 防衛省、外務省の資料だと、ミサイルを発射した時間は七時三十四分ですね。通常、着弾、落下するまで五分から十分程度と伺っています。七時四十七分に警報を発したということでは、恐らく落下直前か落下した後ではないかと思います。

 通常、この地域、水域では、三十から四十隻のイカ釣り漁漁船、あるいは沖合底びき漁漁船が二十隻、三十隻いる、航海、航行しているということですし、空は成田―ヨーロッパ便が七十から八十機飛んでいる、こういう場所であります。一歩間違えば大惨事になっていた。

 もう現実に、本当に危機が迫っているということだと思いますが、防衛大臣、今のあり方、事前に情報をつかんでいたのかどうか、そして、今の警報のあり方で本当に我が国の安全が万全だと言えるんでしょうか。

稲田国務大臣 防衛省としては、ミサイル発射後、速やかに内閣官房に当該情報を提供しており、その後、内閣官房から関係省庁を通じて警報等が発出されたものと承知をいたしております。

 しかしながら、委員御指摘のように、国民の生命財産を守り抜くためには、国民に対して、より迅速かつ適切に情報伝達を行うことは極めて重要であって、政府全体で適切に対応すべきでありますし、関係省庁と連携して、さらに迅速な情報伝達ができるように努めていきたいと思っております。

青柳委員 迅速な情報伝達だけではとても不安で、守り切れないのではないかという現実的な危機が目の前にあると思います。

 幾つか聞きたいことがありますが、時間の関係で、一点だけお伺いします。

 この発射を受けて、先ほど外務大臣は、日米韓、日韓の連携が非常に重要だ、緊密に連携していくという御答弁がありました。しかし、実際、今、韓国の大使を帰国させています。

 緊密な連携が韓国と、帰国させた状態でとれるんですか。

岸田国務大臣 大使の帰任時期については、今はまだ決まったものがありませんし、総合的な判断のもとに政府として決定をしていかなければならないと考えますが、韓国は、言うまでもなく、戦略的利益を共有する大切な隣国であり、特にこの北朝鮮問題においては大変重要な国であると認識をしております。

 安全保障の分野において、北朝鮮に対する対応において、対応に抜かりがないように万全を期していきたいと考えます。

青柳委員 今、このミサイルが発射されたタイミングで帰すべきではなかったんですか。

 さらに、あした、韓国の大統領の弾劾の判決が出ます。罷免が決定されれば六十日以内に選挙がある。今の調査では、さらに対日強硬派、反日的な政権ができ上がる可能性が高いわけです。

 今帰せなければ、帰すタイミングはなくなるんじゃないんですか。これで本当に緊密な連携がとれるんでしょうか。新しい政権ができるタイミングで、いろいろなパイプづくりが必要なんじゃないんですか。

 いかがですか。

岸田国務大臣 韓国の国内情勢も見ながら、日韓関係を進展させるためにはどうあるべきなのか、これは真剣に検討していかなければいけない課題だと思います。

 そして、韓国との間においてはさまざまな課題が存在します。一昨年の日韓合意の履行、これも重要な課題であります。

 さまざまな課題を総合的に判断した上で、大使の帰任時期は決定していかなければならない、このように考えます。

 いずれにしましても、我が国の国民の命や生活にかかわる安全保障問題、この問題においてしっかりとした連携が行われなければならない、これは当然のことであり、その点においてマイナスがないように最大限努力をしていきたいと考えます。

青柳委員 時間が来ましたので、きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民進党、緒方林太郎でございます。

 安全保障委員会の質疑に立たせていただきまして、本当にありがとうございます。

 きょうは、公文書管理の話について最初お伺いをする予定にしていましたが、一つだけ、北朝鮮の弾道ミサイルの件について、これは通告いたしておりませんが、お伺いをさせていただきたいと思います。

 言語道断でありまして、絶対にこういうことを許してはならないということなんですが、落ちた場所が日本のEEZの中であったということをお伺いいたしております。

 そう考えると、主権の及ぶ範囲ではない、しかし、国連海洋法条約には、EEZには主権的権利というのが認められています、大陸棚にも。

 今回、北朝鮮が行ったことは、我が国の主権的権利を害する行為であったというふうに理解をしておられますでしょうか。これはいかがでしょうか。

 済みません、通告がなかったので、これは後でも結構です。

岸田国務大臣 済みません、通告がなかったので、私の知り得る限りでお答えさせていただきますが、まず、今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射、我が国の安全保障にとって、これは大変重大な脅威だと思います。

 そして、EEZの関係において、主権的権利が害されたのではないかという御質問ですが、ちょっとその用語、並びに国連海洋法条約との関係においてそれがどのように関係してくるのか、この点につきましては、いま一度確認した上で、整理した上でお答えさせていただきたいと思います。

緒方委員 実はこれは結構難しいところでありまして、主権というのは英語でソブリンティーと書いてありますが、国連海洋法条約にはソブリン・ライツという言葉が使われておりまして、主権なのか権利なのかよくわからないんですけれども、大陸棚、そしてEEZには主権的権利という言葉が使われています。

 これはなかなか定義の難しいことでありまして、ただ、国際法上認められている我が国の、漁業をしたりとか経済開発したりとか大陸棚を掘ったりとか、そういった権利の侵害に私は当たるんじゃないかと思いますし、もっと言うと、日本の法制度で、私は以前、これは内閣委員会で一回質問させていただいて、小林政務官に答弁いただいたこともあるんですが、弾道ミサイルが日本の領空を通って、そして、日本に落ちる可能性がないんだけれども、日本の領空を通っていっているときに、それは主権の侵害に当たるのかと聞いたところ、なかなか防衛省の答弁がかたかったということがあります。

 まさに、主権の及ぶところ、そして主権的権利が及ぶところにおいてこういったことが生じたときにどういう権利関係があるのかということについては、いま一歩よくわからないところがあるので、この件は、法的な論点ですけれども、詰めていただければと思っております。

 実は、自衛隊法の八十二条の三だったと思いますけれども、弾道ミサイルを撃墜するあれについても、上空においてそれを撃墜するということになっていて、領空なのか、それともそれを超えた宇宙でもそれが適用されるのかとか、その件についても必ずしも明確ではない。それから、主権との関係でどうなのか、ぜひ考えていただきたいと思います。

 それでは、公文書管理の話に移っていきたいと思います。

 自衛隊のPKOでの日報の話でありますが、あれが、公文書管理法、そして防衛省の行政文書管理規則、さらにはその下にいろいろとぶら下がっている細則であるとか通達であるとか、そういったものとの中でどこに入るんだろうなということについて、いま一歩明確じゃないんですね。

 防衛省文書管理規則で別表にあるカテゴリー、三十年とか五年とかいろいろ書いてありますけれども、どうもあそこには入らないようだと。その別表のカテゴリーに入らなければ、何と書いてあるかというと、規定を参酌して、当該文書管理者が所掌する事務及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるというふうに書いてあります。これは防衛大臣が定めるということになっています。

 日報というのは、今の公文書管理法、そして防衛省の文書管理規則、さらにはその下にある標準保存期間の考え方、その中のどこに入っているんでしょうか、官房長。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 南スーダン派遣施設隊の日報についてのお尋ねでございますけれども、日報につきましては、中央即応集団司令官が派遣施設隊に対して日々の活動状況等を報告させるために作成を命じたものでございまして、先生が引用されました規則類のうち、陸上自衛隊の文書管理規則に言う「随時発生し、短期に目的を終えるもの」として、保存期間が一年未満と整理をさせていただいているところでございます。

緒方委員 しかし、PKO業務に関する文書の保存期間は三年だというふうに理解をいたしております。

 通常、何をもってPKO業務に関するものであるのかというのと、さっき言った随時発生文書であるのかというのの違い、これはどういうふうに理解されておられるんでしょうか、官房長。

豊田政府参考人 先生御指摘のとおり、陸上自衛隊の文書管理規則の中の別表第二十についてのお尋ねかと思いますけれども、陸上自衛隊の標準文書保存期間基準というところで、「運用」のところの「国際協力に関する文書」につきまして、先生御指摘のとおり、国際平和協力業務について保存期間三年という例示がございます。

 ただ、一方で、「備考」につきまして、「随時発生し、短期に目的を終えるもの」等々につきましては「一年未満とすることができる。」という規定がございまして、この南スーダン派遣施設隊の日報の性格、これは、中央即応集団司令部及び派遣施設隊におきまして、中央即応集団司令官への報告が終了した後に、目的を終えたものとして、それぞれの組織の文書管理者の指示により廃棄していたところでございまして、保存期間一年未満というふうに整理をさせていただいたところでございます。

緒方委員 済みません、今のは説明になっておりませんで、今、PKO業務に関することについては三年だと言われました。日報がPKO業務に関するものでないというその説明をしていただきたいと言っているんです、官房長。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、陸上自衛隊の標準文書保存期間基準で、「国際協力に関する文書」のところに三年、国際平和協力業務というふうに例示をさせていただいておりますけれども、文書の性格が、「随時発生し、短期に目的を終えるもの」でございますので、この件につきましては、保存期間一年未満というふうに整理をさせていただいているところでございます。

緒方委員 その三年の規定と一年の規定、どっちが優先するのかということの問題を私はさっき聞いているわけでありまして、けれども、日報がPKO業務に関することである、文書であるということは、これは否定されませんよね。

 しかし、一年未満の規定というのは、では、公文書管理法上どうなっているかというと、明示的に一年未満で廃棄することを推奨するような規定というのは公文書管理法の中にどこにもないです。そして、防衛省文書管理規則の中でも、一年未満で廃棄してもいいかのようなことはどこにも書いてないです。

 それは単に、歴史公文書等については一年以上の保存期間を定めるということが、これが公文書管理法の施行令の中に書いてあって、それの反対解釈にすぎないんです。移管の対象となる歴史公文書等に当たるのであれば一年以上の保存期間を定めなきゃいけないということが書いてあって、であれば、それを裏返して見れば、歴史公文書等に当たらないものであれば一年未満で廃棄していいということで、法律のたてつけから見ても極めて例外的な規定ではないかというふうに私は思うんですね。明示的に書いていなくて、反対解釈から導き出しているわけです。

 そう考えたときに、なぜ、PKO業務に関する文書が三年と定められているにもかかわらず、それよりも根拠規定の弱いもので、それがかぶさることによって一年未満の方が優先されるというふうになるんですか、官房長。

豊田政府参考人 繰り返しになりますけれども、文書の性格の違いということで御理解をいただきたいというふうに思います。

 私どもの文書管理規則におきましては、標準文書保存期間基準というのを定めております。これは、内閣総理大臣決定のガイドライン等々を踏まえて防衛省で定めた基準に基づきまして、具体的な業務の性質や内容について即して定めているものでございますけれども、あくまで、基準で示している類型等につきましては、防衛省のおよそ全ての業務につきまして、その文書の全ての性格について網羅的に記載しているわけではございません。

 したがいまして、ぴったりくる、該当する具体例がない場合には、各文書管理者において、当該基準の規定をしんしゃくし、保存期間を定めることとしているところでございます。

緒方委員 それでは、内閣府の方にお伺いをいたしたいと思います。

 その前に、もう一つだけ。

 こういう一年未満で廃棄している文書というのが防衛省の中でどれぐらいあるのかというふうに事前に質問レクのときに聞いたら、通常、管理簿をつくってきちっと保存しなきゃいけない一年以上のもの、それを超える文書量が一年未満で廃棄をされている、そういう説明がございました。それはその認識で正しいですか、官房長。

豊田政府参考人 突然のお尋ねでございますので、調べて御回答させていただきます。

緒方委員 いや、私はちゃんとこれはレクをいたしております。そして、今、後ろにおられる方、うんうんとうなずいておられましたから、きっとそうなんだろうと思います。

 通常、管理簿をつくって、そしてきちっと保存していくための文書よりも、一年未満の期間で廃棄されていく文書の方が多いというふうに事務方から話がありました。それでよろしいですねと聞いています。

豊田政府参考人 お答え申し上げます。

 一年未満の保存期間の行政文書につきましては、公文書管理法第七条第一項ただし書きによりまして、行政文書ファイル管理簿に記載する必要がないとされまして、また、廃棄する場合についても内閣総理大臣への協議を要しないこととされております。

 したがいまして、そういった文書につきまして、一年以上の文書と比較して数がどうといった点については掌握していないところでございます。

緒方委員 把握していないということですか。

 確かにこれは、管理簿をつくらなくてよくて、廃棄の記録も残さなくていいんですよ、公文書管理法上。それがどれぐらいあるのかというのはこの議論をしていくときにとても重要だと思って、私は、事前にレクをしたときに事務方の方がそういうふうに言っていたので、確認までに聞いているだけなんです。もう一度、答弁ください。

豊田政府参考人 具体的な数について掌握していないということは事実でございますけれども、感覚的に申し上げれば、一年未満で廃棄している文書の数は相当量に上るというふうに考えておるところでございます。

緒方委員 そこでお伺いいたしたいのが、実は一年未満の文書というのは、本当に一年未満で廃棄すべきものがあるというのは、私はよくわかります、役所にいたので。さすがにこの程度のものでは廃棄するんだろうなということもわかりますが、相当程度の文書が一年未満で廃棄されていっているわけですね。

 それは、公文書管理法との関係でいうと、明示的にそういうことを許容するような文章というのはどこにもないんです。防衛省の文書管理規則とか各省の文書管理規則の中で明示的に許容しているものはなくて、あくまでも反対解釈で導かれてくるような、そういうものなんですね。

 これは、実は公文書管理法が余り想定していない事態なんじゃないかなというふうに思うんですけれども、これは内閣府の見解をお伺いいたしたいと思います。こうやって、一年未満の文書が今のような説明の中でどんどんと捨てられていく。

 もっと言うと、例えば文書管理規則の下に、統幕である、陸自である、海自である、いろいろな文書管理規則がありますけれども、本当に小さい字で、先ほど、随時発生し、そして短期で目的を終えるものと一番下のところに、目の悪い人なら絶対見えないと思うような字で書いてあるだけなんですね。そこに万感の思いが込められて、どんどんとそこを使って捨てられていっているということなんですが、これについて、公文書管理法との関係で、私、少し精神を害するところがあるんじゃないかと思いますけれども、内閣府、いかがですか。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 公文書管理法は、公文書が国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることに鑑みまして、現在と将来の国民への説明責任を全うすることなどを目的として、行政文書の適正な管理に関するルール等を定めているものでございます。

 一般論として申し上げますと、行政文書の保存期間につきましては、例えば法令の制定、改廃、その経緯といったような、全行政機関で共通した保存期間を適用すべきものにつきましては、それぞれの区分に応じ、適切な保存期間が定められているわけでございます。それ以外につきましては、行政機関の事務及び事業の性質、内容等に応じまして各行政機関の長が定めることとされております。

 各行政機関におきましては、先ほども申し上げました公文書管理法の目的を踏まえつつ、公文書管理法、あるいは各行政機関が定める行政文書管理規則に基づきまして、保存期間の設定も含め、適切な文書管理を行うことが求められているものと認識をしているところでございます。

 そして、お尋ねの公文書管理法施行令第八条三項の点でございますが、後世に残すべき歴史資料として重要な公文書等、すなわち歴史公文書等につきましては、一年以上の保存期間を設定するとされております。歴史公文書と判断された文書につきましては、保存期間満了後には確実に国立公文書館に移管することとされております。

 したがいまして、歴史公文書等に該当するか否かというのが非常に重要になってくるわけでございますが、この点につきましては、行政文書管理に関するガイドラインにおきまして判断の基本的考え方や指針を定めているところでございまして、各行政機関においては、これを踏まえまして、それぞれの行政文書管理規則等に基準を設け、それに基づき適切に判断をしているものというふうに認識をしているところでございます。

緒方委員 余り答えになっていませんでしたが。

 今私が聞いたのは、一年未満というのは、本来、法律と施行令とそして文書管理規則、その中で基本的に、まず法律とか施行令のところでは、今言ったように、歴史公文書等に当たるものを一年以上だ、けれども、当たらなければいいんだという反対解釈でしか根拠がないわけです。

 それをさらにブレークダウンしていって見てみると、各組織の文書管理規則の一番下のところに、随時発生し、短期で目的を終えるものについては一年未満とすることができると書いてあるだけ。そこに物すごいものがぶら下がっているわけですよ、分量でいうと。それは、公文書管理法が想定していない事態ではないんですかということを聞いているんです。

 これは、ぜひ石原副大臣、御答弁いただければと思います。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 現行法におきましては、議員御指摘のように、公文書管理法施行令第八条三項におきまして、歴史公文書等については一年以上の保存期間を設定するとされております。そして、一年未満の保存期間が設定される行政文書については歴史公文書等に該当しないとされておりますので、内閣総理大臣への個別の廃棄協議等を要しないということになっているわけでございます。

 歴史資料として重要な公文書か否かの判断につきましては、私どもといたしましても、内閣府に置かれました公文書管理委員会が昨年度まとめました公文書管理法施行五年後見直しに関する検討報告書におきまして、各行政機関における判断を支援し、その質を向上させる仕組みについて、公文書を利用する研究者等の知見、協力も得ながら検討すべきとの御指摘をいただいているところでございます。

 したがいまして、公文書管理法をめぐる情勢に適切に対応することが重要だというふうに認識しておりますので、この御指摘を踏まえまして、私ども内閣府としては、各省の行政管理にとってよりどころとなります行政文書の管理に関するガイドラインについて、より参照しやすいものとなるよう改正するなどの取り組みを進めるとともに、その成果を踏まえて各府省への浸透を図ってまいりたい、かように考えているところでございます。

緒方委員 なかなか答弁が返ってこないんですけれども。

 歴史公文書等に当たらないということなんですが、歴史公文書等については公文書管理法の中に定義の規定があります。「歴史資料として重要な公文書その他の文書」という規定になっています。

 現場からの第一情報が「歴史資料として重要な公文書その他の文書」に当たらないというその意味について教えてください、官房長。

豊田政府参考人 南スーダン派遣施設隊の日報につきましては、上級部隊である中央即応集団の司令官に対しまして、日々の活動内容や事後の活動予定、隊員の状況等について報告を行うために作成している文書でございまして、歴史公文書等に該当するか否かの四つの基準に該当する文書には当たらないものと文書管理者が判断してきているところでございまして、上級部隊への報告を終了後、日報につきましては、その目的を達成したものとして廃棄しておりました。

緒方委員 全然答えになっていないんですけれども、現場からの第一情報が「歴史資料として重要な公文書その他の文書」になぜ当たらないのかというその意味を説明してくださいとさっきから言っているんです、官房長。

豊田政府参考人 繰り返しになりますが、歴史公文書等に該当するか否かの判断につきましては、防衛省の行政文書管理規則の別表第二において、四つの項目が定められているところでございます。「国の機関及び独立行政法人等の組織及び機能並びに政策の検討過程、決定、実施及び実績」、これが一つ。二つ目として、「国民の権利及び義務に関する」もの。それから三つ目は、「国民を取り巻く社会環境、自然環境等」。四つ目は、「国の歴史、文化、学術、事件等」。これらの項目に関する重要な情報が記録された文書ということでございますが、私どもといたしましては、こうした各項目に該当する重要な情報が記録された文書には当たらないと判断し、歴史公文書等に該当しないものとして、日報は、その目的を達成した後、廃棄していたところでございます。

緒方委員 いろいろな重要な情報が入っている文書に当たらないと今言われましたけれども、現場からの日報というのは、まさにそういう日々何が起こったかということが書いてある重要な情報が織り込んである、そういう文書じゃないんですか。

 随時発生し、短期に目的を終えると言っていますけれども、まあ、随時に発生したというのはわかります、そのときそのときに、随時に発生したんでしょう。短期に目的を終えているんですかね、稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 まず、南スーダン施設隊を派遣したのは、民主党野田政権、そして……(緒方委員「別に人の悪口はいいです」と呼ぶ)いや、悪口じゃないんですよ。まずは、御自分の政府が、一年未満、用済み後破棄、すなわち、施設隊が日々の日報をつくり、それを中央即応集団司令部に送り、そこでモーニングレポートという形でまとめ直せば、そこで用済み後破棄ということを取り扱いを決めて、それでずっと今まで運用されてきたところであります。

 しかしながら、私も委員と同じ問題意識を持っております。そして、では、この日々の日報をそうやって用済み後破棄ということで廃棄していいものかという問題意識を持っておりますので、今回のことを受けて、日報は派遣施設隊自身が作成した一次資料でありますので、可能な範囲で保管することが望ましいと考えておりますし、保管期間も含め検証し、将来に対してその教訓を生かしていくよう指示をしているところでございます。

緒方委員 それで、内閣府の方にお伺いをいたしたいんですけれども、せっかく副大臣が来ておられますので。一年未満の解釈を、私は規定が悪いと一言も言っていないです、今のこういう公文書管理法の規定とか施行令とか、それについて私は何も言っていないです。私はその運用について申し上げておりまして、別に民主党政権がどうだったとか、それもどうでもいいことですので。

 どうでもいいことなんですが、一年未満は、公文書管理法の中ではあくまでも反対解釈でしかない、それが防衛省の作成文書のかなりの部分にある、廃棄記録もない、勝手に捨てられてしまう。そういった中で、実は一年未満のルールというのはほとんどないですよね。防衛省の規則の中にも、単に「随時発生し、短期に目的を終えるもの」というので、それ以上の何かあるのかと思って、ずっと下まで見ていきましたけれども、何もないです、何もないんです。では、どういうものについて廃棄をするのかということについてのルールがどこにもないんですよね。

 これは、この件だけじゃなくて、財務省の協議の記録もほぼ同じ論理です。この一年未満で捨てられるものが、こういうふうにちょっと小さな穴のつもりだったのが物すごく広がっているということについて、内閣府は各省が判断することと言っていますけれども、それをもう少しきちっとコントロールして、そして、一年未満で捨てられるものが、どういうものが捨てられ、捨てられないのかということについて、きちっとしたルール決めをやっていくべきではないかと思いますが、副大臣いかがですか。

河内政府参考人 お答え申し上げます。

 議員の御指摘の、イニシアチブをとって内閣府が制度の見直しをすべきではないかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、公文書管理委員会におきまして、各行政機関における判断を支援し、その質を向上させる仕組みについて検討すべきだという御指摘もいただいているところでございます。

 この点につきましては、行政文書の管理に関するガイドライン、今、「注」におきまして、廃棄とされるものにつきましては、「基本的考え方に照らして、国家・社会として記録を共有すべき歴史的に重要な政策事項であって、社会的な影響が大きく政府全体として対応し、その教訓が将来に活かされるような」「特に重要な政策事項等に関するものについては、移管が必要となる。」という形で例示をしておりますが、その例示等についても若干古い部分がございますので、その辺も含めて、適切な見直し等々を不断に対応してまいりたい、かように考えているところでございます。

緒方委員 用意した質問の三割ぐらいでしたけれども、終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。

 今、南スーダンの日報の話がございましたが、これは、予算委員会でいろいろ宿題が残っているはずでございます。提出資料も、出されていないものがございます。南スーダン以外の日報、どういったものが残っているのか、こういったものを提出してほしいということも宿題が残っておりますので、せっかく外務大臣が来られているのでそこの議論はきょうはいたしませんが、その宿題をしっかり果たしていただけるように改めて申し上げておきたいと思います。場合によっては、あした、それについて聞くこともあり得ると思います。

 きょうは、せっかく外務大臣が来られていますので、まず、日ロ交渉の話を伺いたいと思います。

 共同経済活動の話なんかは、もう今月にも始まるということでございますので、この共同経済活動については、「日本国及びロシア連邦の立場を害するものではないことに立脚する。」というのが声明で示されておりますけれども、仮に、この共同経済活動がロシアの法律のみに基づいて行われた場合は、これは日本国の立場を害するというふうに考えてよろしいでしょうか、外務大臣。

岸田国務大臣 特別な制度に基づく共同経済活動ですが、御指摘のように、日本の法的立場を害さないということが大前提であると思います。

 そして、ロシアの法律に基づいて行われたならば日本の立場を害するかという御質問ですが、そうならないために、プレス声明の中に、国際的な約束等、特別な制度に基づくというふうに明記されていたと思います。

 国際的な約束、すなわち条約等が想定されるわけでありますが、こういったものをわざわざつくって、我が国の法的立場を害さないようにするということでありますので、ロシアの法律がそのまま適用されるということはないと認識をしております。

後藤(祐)委員 もう一度確認ですが、ロシアの法律のみに基づいて共同経済活動が行われた場合には、例えばそういう交渉を経た結果であっても、日本国の立場を害すると考えてよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 特別な制度をつくる、具体的な中身はこれから協議することになりますが、少なくとも、ロシアの現状の法律がそのまま適用されるということであっては、我が国の法的立場を害することになるのではないかと私は認識をいたします。

後藤(祐)委員 明確な答弁だったと思います。こういうことをはっきり言うことは大事だと思います。

 少なくとも、現状の状態で、何らかの特別な制度という、ロシアの法律のみに基づかない、日本の法律が何らかの形でかかるような形で行われない限り、共同経済活動は行われないというふうに理解してよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 具体的には、対象となる活動にもよるかとは思いますが、基本的には委員がおっしゃったとおりだと思います。

 共同経済活動は、日ロの交渉の中で、過去においても何度も出た話であります。その際に議論が頓挫したのは、まさに、法的な立場を害することになる、お互いの法的な立場を害することになってはならないということで議論が頓挫した経緯があると承知をしております。

 そういったことに鑑みて、今回は、この国際約束の締結を含め、特別な制度をつくって過去のそうした壁を乗り越えようではないか、これが今回のプレス声明の大変重要なポイントであると認識をいたします。

 この声明に基づいて、ぜひ議論を行って、この特別な制度、具体的なものをしっかりつくるべくこれから努力をしていきたい、このように考えます。

後藤(祐)委員 ぜひ、この立法府における答弁、これは、責任を持って立法府に対してこういう約束をしているからそれでは我々はのめないという、むしろ交渉に使っていただきたいんです、こういうところでの足場を。

 かなり前向きな答弁だったと思います、基本的には、若干ひっかかりますが。ぜひ、日本の法律とロシアの法律、これがどういう形があるのか、いろいろな知恵を絞る必要があると思いますが、先ほどの答弁をしっかり守っていただいて、共同経済活動を議論していただきたいと思います。

 日ロに関してもう一つ、協議計画というものが幾つか、一の一から一の十六まで協議する内容というものが合意されておりますけれども、その中に、軍縮及び不拡散というテーマで、日本国外務省軍縮不拡散・科学部とロシア外務省不拡散・軍備管理局との間で協議を行うということが合意されています。

 この軍縮及び不拡散について、二〇一七年の協議計画ですからことし協議をするわけでございますが、この中に、北方領土におけるロシア軍のミサイル配備、そしてもう一つ、クリル諸島に一個師団を配置し、ことしじゅうに完了するとショイグ国防大臣が二月二十二日におっしゃっておられますけれども、この二つのことについては協議の対象になるんでしょうか。

岸田国務大臣 委員の御指摘は、日ロの外務省間での協議についてのお話だと思いますが、軍縮・不拡散、そしてさらには北方領土におけるミサイル配備、そして師団の配備についてですが、まず、それについてはもう既に、日本として、日本の立場からしてそれは受け入れることができないということで抗議を行っております。弾道ミサイルについても当然抗議を行っていますし、そして、クリル諸島への師団という発表につきましては、クリル諸島というのは、北方領土も含まれるわけですが、それ以外の部分も入りますので、もしこれが北方領土に対する軍備の拡張であるとしたならば、これは受け入れられない、抗議をする、こういったことを先方に伝えているところであります。

 私も、外相会談等においてラブロフ外相にこういった日本の考え方は伝えておりますし、今後とも外務省間でこういった考え方はしっかり伝えていかなければならないと思いますし、そして、こうした問題の根本をしっかりと解決しなければならない、まさに北方領土問題を解決することがこうしたさまざまな問題の解決につながるわけですから、しっかり北方四島の帰属の問題を明らかにして平和条約を締結する、この大きな目的に向けてしっかり努力をしていきたい、このように考えます。

後藤(祐)委員 それでは、北朝鮮ミサイルの話に入りたいと思いますが、防衛大臣に聞きたいと思います。

 つい先ほど、先日の四発撃たれたミサイルのうち、その一つは能登半島沖約二百キロに落ちたと推定されるという話が政府側からあったと聞いています。これは、これまでのミサイルの着弾の場所としては最も日本の領土に近いところに落ちたものだというふうに報道されておりますが、これは事実でしょうか。

稲田国務大臣 報道は承知をいたしております。そして、能登半島からの距離、北に約二百キロメートルから四百五十キロメートルの日本海上であると推定をしています。

 詳細についてさらに分析中でございます。

後藤(祐)委員 事実かどうか、わからないということですか。

稲田国務大臣 約二百キロから四百五十キロ、その詳細については分析中ということでございます。

後藤(祐)委員 もう落ちてから何日たっているんですか。イージス艦で追っかけているわけですよね。実際落ちた場所なんてもう瞬時にわかっているはずですよね、防衛省としては。

 二百何十何キロですかということを私は今聞いているわけじゃなくて、今まで落ちた中で、日本の領土に最も近いところに落ちたのではありませんかということを聞いています。

稲田国務大臣 最も近いかどうかについては、分析中ということでございます。

後藤(祐)委員 何日たっているんですか。何を分析しているんですか。落ちた直後ならわかりますよ。月曜日ですよね、落ちたのは。きょうは木曜日じゃないですか。そんなに時間がかかるんですか。それ自体、問題だと思いますが、今の時点でわからないということですね、日本に最も近いところかどうかが。

稲田国務大臣 九月の事例が二百から二百五十キロということですので、最も近いかどうかということは分析中ということでございます。

後藤(祐)委員 先ほど二百から四百五十とおっしゃったような気が……(稲田国務大臣「九月です」と呼ぶ)二百から四百五十と先ほどおっしゃったけれども。(発言する者あり)三月はですね。

 ちょっと、二百から四百五十なのか、二百から二百五十なのか、どっちなんですか。何か二つ数字が出てきましたが。

稲田国務大臣 今回の石川県能登半島からの距離については、北に約二百キロから四百五十キロメートルの日本海上と推定をしております。

 九月のミサイル発射が二百キロから二百五十キロですので、最も近いかどうかについて分析中ということでございます。

後藤(祐)委員 では、それはしっかり調べた上で報告していただきたいと思います。

 今回の北朝鮮のミサイル発射は在日米軍基地を狙う部隊が参加していたというお話がございましたけれども、北朝鮮がいきなり何事もなく日本を狙うということは考えにくいということについては、先ほど横路委員からもそういう議論があったと思いますが、現実には、半島有事、北朝鮮と韓国の間で何らかの戦争に近いような状態になっているときに、アメリカがこれを支援するというときに、日本にある在日米軍基地から飛行機が飛んでいってということを妨げるために北朝鮮が在日米軍基地を狙うということが大きな一つの、それに限られないかもしれませんが、狙いの一つだというふうに思われますが。

 このことは、いわば韓国を守るために日本は在日米軍基地をアメリカに提供し、いざというときにはここから飛んでいってもいいですよという、まさに日本の韓国に対する非常に大事な支援の形になっているのではないか。これについては、昨年十二月の当委員会の参考人質疑のときにもそういう議論があったと思いますが、このことは大変重要だと思うんですね。

 在日米軍基地をアメリカに提供していることによって、韓国は非常に大きな安全保障上のメリットを享受しているというふうに考えますが、これについてどう考えますか。

稲田国務大臣 在日米軍基地は、まさしく、我が国そしてアジア太平洋地域、その中にももちろん韓国も含まれますけれども、その平和と安定のために寄与しているというふうに考えております。

後藤(祐)委員 このことは、日韓でいろいろな議論をするときに、ぜひ、議連なんかに入られている方もいらっしゃると思います、余り殊さらに言い過ぎるのもどうかと思いますが、基本的な認識として持っているということは大事なことだと思うんですね。与党の先生でもうなずいておられる方はいらっしゃると思いますが。

 外務大臣、いかがですか。在日米軍基地をアメリカに提供し、いざというときに、韓国と北朝鮮が戦争になったときにアメリカが飛び立つということを日本が認めているということ自体は、韓国に対する日本の大変大きな、まあ、支援という言葉が適当かどうかはともかく、ということに当たっているんだということを韓国にいろいろな形で御理解いただくということは大事なことだと思いますが、外務大臣の所見を聞きたいと思います。

岸田国務大臣 まず、日米安保条約に基づいての対応につきましては、我が国の平和と安全と、そして極東の平和と安全のために行われていると認識をしております。

 そして、韓国の平和と安全にも大きな影響があるのではないかということについては、具体的には、例えば、日米間においては、岸・ハーター交換公文というものがありまして、事前協議制というものが設けられています。その中にあって、日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は事前協議の対象である、要は、制限がかかっているわけであります。

 こうした取り決め、そして枠組みの中で日本としては対応していかなければならない、こうした課題であると認識をしております。

後藤(祐)委員 ぜひ韓国に対しては、直接、間接、このことを理解していただくよう御努力いただきたいと思います。表で言いにくい面もあると思いますので。

 配付資料をごらんいただきますと、この配付資料から今の答弁を勉強されたのかなと思いますが、今のような事態があった場合に、事前協議の対象になります。この昭和四十三年八月十日の佐藤栄作総理大臣の答弁では、「私は日本が、安全保障条約でもアメリカ自身が戦闘基地に日本を使うことは事前協議の対象になる。これはもうお断りする。中立、これを厳守する、堅持する、こういう立場だと思います。」という答弁をされておられます。

 これは、全部お断りしてしまっては、今のようなケース、北朝鮮と韓国が戦争になっているときに米軍の飛行機が日本の在日米軍基地を飛び立つことをお断りするというのは、まあ、これは昔の話ですから、今の時点においては、なかなかそういうお断りは、してはならないというか、すべきでない状態だと思います。

 ただ、いろいろな事案があり得ますし、いろいろな国があり得ますので、事前協議、これはまだ有効ですよね、事前協議のときにお断りするというケースも、もしかしたらあるのかもしれません。

 少なくとも、半島有事のときに米軍機を在日米軍基地から飛ばすときの事前協議においては、これは了解する、すなわち、この四十三年佐藤総理答弁は修正するということを答弁いただけますでしょうか。これは外務大臣だと思います。

岸田国務大臣 朝鮮半島における有事の際に米国側から行われる事前協議につきましては、朝鮮半島における平和と安定の維持は日本及びこの地域の安全に極めて重要である、これを踏まえながら、個別の状況を考慮しつつ適切に判断するというのが基本的な立場であります。

 先ほどの答弁は、日本が中立を守る云々という前段がたしか少しついていたかと思いますが、基本的な日本の立場は、今申し上げたものであります。

後藤(祐)委員 「これはもうお断りする。」と、何の前提もなく言い切っていますけれども。その後に、「中立、これを厳守する、」と言っていて、何の前提もついていませんので、これは答弁修正ということでよろしいですか。どんな場合でもお断りするとしか読めないんです、この答弁。

岸田国務大臣 これは、日本が中立を守る場合について、やりとりを見ますと、そういったやりとりの後に今言った部分が出てくると考えます。

 この中立というのは、国際社会あるいは国際法の議論の中で大変難しい議論でありまして、中立とは何なのか、これは大変大きな議論が行われ、今明確な結論は出ていないと承知をしております。

 ただ、その中で、日本は中立だということを前提としての発言であるとこの議事録を読む限り読めると思いますが、いずれにしましても、事前協議については、先ほど申し上げたのが我が国の基本的な立場であると考えます。

後藤(祐)委員 ちょっと微妙な答弁ですが、使えないということはないと思いますので、いろいろ考えて判断するという御答弁でしたから、事実上、その答弁に修正されたと理解をいたします。

 それでは、敵基地攻撃能力の話に行きたいと思います。

 配付資料の二枚目以降にありますが、これも十二月の当委員会の参考人質疑のときにもございました。北朝鮮が一度にたくさん撃ってきたとき、あるいは、今回のスカッドERみたいなものとノドンをまぜて、高さを変えて撃つとか、いろいろなところに散らして撃つとかした場合に、なかなか守り切れないんじゃないか。それを、数をふやしていく、イージス艦、PAC3をふやしていく、あるいはTHAADやイージス・アショアをふやしていくといった、質、量をふやすということは、それはそれである程度意味はあるのかもしれませんが、お金がかかりますし、限界があります。もうこれで、では十発だったらどれだけ要るの、二十発だったらどれだけ要るのというところに全部対応するのは不可能だと思います。

 この量をミサイルディフェンスという形でふやしていくことで、本当にその答えがあると思いますか。その答えがないんだとすれば、敵基地攻撃能力を検討すべきだと思いますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 問題意識は共通しています。

 すなわち、昨年も二回核実験をし、さらには二十発以上の弾道ミサイル、三発同時に撃って、三発同時に同じ場所に着水させる。今回は、四発同時に撃って、四発同時にほぼ、排他的経済水域に三発、その上に一発ということで、今は、敵基地攻撃能力については米国に依存して、現在、自衛隊は敵基地攻撃を目的とした装備体系を保有しておらず、保有する計画もありません。

 しかしながら、日米同盟全体の抑止力を強化し、国民の生命と財産を守るために我が国として何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討は行っていくべきだと考えております。

後藤(祐)委員 今の、常にさまざまな検討の中に、敵基地攻撃能力を保有するということの検討は含まれるんでしょうか。

稲田国務大臣 どのような方法であるかということは排除せず、もちろん、国際法と我が国の憲法に合致した範囲内においてさまざまな検討を行っていくということでございます。

後藤(祐)委員 現時点において、敵基地攻撃能力の検討を行っていますでしょうか。

 ちなみに、きょう配付している資料は、そんなこともあって、こういうことは実は検討されているんじゃないかなということで、御参考までに配付したものでございます。

稲田国務大臣 現時点において、検討はしておりません。

後藤(祐)委員 総理も、二月十四日の衆議院の予算委員会で、それを有するかどうかということについての議論は行っておりませんが、しかし、変化していく情勢について、どのようにしっかりと我が国の国民を守っていくかということについては常に検討していく責任が我々にはあるというふうに答弁されておられます。

 今の時点で検討していないとはっきりおっしゃいましたが、新しい段階に入ったんですよね。検討を始めるべきじゃありませんか。検討を始めますと言えませんか。

稲田国務大臣 我が国として何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討は行っていくべきだと考えております。

後藤(祐)委員 現時点で検討は行っていない、でも、検討は行うべき。何で検討を始めないんですか。

稲田国務大臣 常にさまざまな検討は行っていくべきだと考えております。

後藤(祐)委員 残念ですね。そこは何か言っちゃいけない縛りか何かあるんですか。新しい段階に入ったんですよね、去年の核実験から。こういうことを踏まえて始めるべきなんじゃないんですか。

 研究はどうですか。研究はしているんですか。

稲田国務大臣 現在、そういった検討をやっているというわけではありません。

 ただ、さまざま変わっていく環境のもとで、我が国として何をすべきかという観点から、常にさまざまな検討を行っていくべきだと考えているところでございます。

後藤(祐)委員 研究はちょっと意味が違うんですよ。敵基地攻撃能力の研究は行っているんですか。

稲田国務大臣 検討と研究は違うとおっしゃいますけれども、私は、さまざまな検討は行っていくべきの中に含まれているというふうに考えております。

後藤(祐)委員 現時点で検討は行っていないが、検討はすべきであると。なぜ始めないのかという理由がよくわかりませんが、時間がなくなってきましたので、憲法九条との関係を聞きたいと思います。

 敵基地攻撃能力と憲法九条との関係において、これは合憲とみなされる余地があるというのが過去からの答弁ですが、この自衛権行使の三要件のうち第二要件、他の適当な手段がないこととの関係は要件を満たすんでしょうか。

 つまり、PAC3だとかイージス艦があるのに、それと別途、敵基地攻撃能力としてしまうと、他の手段があるではないかということについてはこれはクリアするんでしょうか。

稲田国務大臣 まず、敵基地攻撃が可能かということについては、今おっしゃったように、法理上の問題として、他に手段がないものと認められるものに限り、敵の誘導弾等の基地をたたくことも憲法が認める自衛の範囲に含まれ、可能であるというふうに考えております。

 それ以上に具体的な検討はまだ始めてはいないということでございます。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、最後のところは説明ができていないと思いますので、引き続きやりたいと思います。

 ありがとうございました。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、まず初めに、日米地位協定の軍属に関する補足協定、これについて質問をいたします。

 この協定の議論のきっかけになったのは、昨年四月に沖縄県うるま市で起きた、元米海兵隊員の軍属による女性暴行殺人事件です。

 先日、その被告の供述内容が米軍準機関紙「星条旗」で報じられました。事件が起きたあの場所にあのとき居合わせた彼女、つまり被害女性ですね、彼女が悪かった、こういう認識を示しております。凶悪な事件を引き起こしておきながら、被害者に責任を押しつける極めて身勝手な態度であります。

 日米両政府は、ことし一月十六日に、日米地位協定の軍属に関する補足協定に署名をしました。総理は施政方針演説で、半世紀の時を経て初めて軍属の扱いを見直す補足協定が実現したと強調しておりました。

 外務大臣にお聞きしますが、軍属の範囲というのは、どういう経緯で見直すことになったんですか。

岸田国務大臣 補足協定においては、軍属の範囲を明確化するため、軍属の種別を特定し、コントラクターの被用者が軍属として認定されるための手続、そして、その適格性の評価基準を作成すること、そして、これに適合しない者は軍属の地位を与えられないということ、そして、軍属について適格性を定期的に見直すこと、こういった規定を盛り込んでおります。

 こうした内容を適用することによって、軍属の範囲を明確化し、そして、管理等をより厳格に行い、そして、そのことによって事件の発生を極力抑えていくことにつながることを期待している次第であります。

赤嶺委員 米軍犯罪の事件を極力抑えるために軍属の見直しの作業を行ったという答弁であります。

 この軍属の範囲の見直しについて、実は、沖縄県の側から出てきたものでは全くありません。

 事件の発生を受けて、沖縄県議会と翁長知事が求めたのは、米軍基地の大幅な整理縮小、そして日米地位協定の抜本改定であります。県議会決議にも、知事の発言にも、軍属の範囲の見直しなどという文言はどこにもありません。一体どこからそういう話が出てきたのか。いわゆる犯罪の抑止につながるという話をおっしゃったんですが、肝心の当事者である沖縄県や県議会はそういうことをおっしゃっていない。どこからそんな話が出てきたんでしょうか。

岸田国務大臣 どこからそういった話が出てきたかという御質問ですが、昨年四月に発生した米軍属による殺人事件を受けて、日米両政府で、実効的な再発防止策を策定すべく、精力的に協議をした次第であります。そして、その結果として、先ほど申し上げたような、軍属の範囲を明確化することといたしました。

 明確化することによって、軍属の地位を有さない者については、日本の裁判権及びこれに基づく刑事裁判手続が完全に適用されることになるわけでありますし、その範囲に含まれる者については、米側がよりしっかりと管理をする、指導をすることが期待されますし、そのことによって犯罪の効果的な再発防止につながることを期待するものであります。

 関係者からはこうした期待は示されていなかったのではないかという御指摘ですが、米軍施設・区域の所在する都道府県の知事から成ります渉外知事会からは、軍属の範囲の明確化が法的拘束力を持つ政府間協定で実現したことを評価できる、こうしたコメントが発出されています。

赤嶺委員 犯罪の抑止のそもそもの議論の当初、そういう議論はなかったわけですね。

 犯罪が起きたときに、ニコルソン四軍調整官は、沖縄県とのやりとりの中で、彼は米軍の兵士でも米国政府の従業員でもない、このように繰り返し、地位協定という立場上の身分があるので私に全責任がある、こういう発言をしております。

 軍属の範囲見直しというのは、米軍主導で始まったものではありませんか。

岸田国務大臣 昨年四月の事件の発生を受けて、日米間で、再発防止につながる方策は何が最も効果的なのか、こういった観点から真剣に議論を行ったわけであります。こうした結論に至ったのは、日米の間でこの問題について真剣に議論した結果であると認識をしております。

赤嶺委員 それが犯罪の抑止へどうつながっていくのか、そういうことを聞いていきたいんですが、今回の軍属の範囲見直しで、何がどう変わったんですか。

岸田国務大臣 先ほど、補足協定の中身として三点申し上げました。この三点に基づいて、軍属の範囲の見直しを行います。そして、軍属の範囲が明確化されます。明確化することによって、先ほども少し触れましたが、軍属に属さない、軍属の地位を有さない者については、日本の裁判権、そしてそれに基づく刑事裁判手続が完全に適用されることになるわけですし、軍属の範囲に入る者については、米側の管理、規律、これが一層強化される、こういったことになります。

 こういったことを通じて、犯罪の効果的な再発防止につながることを期待する、これがこの補足協定の意義であると考えます。

赤嶺委員 補足協定の意義、軍属の再発防止につながるというのは、るる繰り返し外務大臣はお答えになっております。

 私が今伺ったのは、では、そういう考え方のもとに、軍属というものが今までと何がどう変わったのか、本当に犯罪の防止につながるような軍属というものの見直しが行われたのか。どんなふうに軍属というのはなったんですか。

岸田国務大臣 軍属については、従来から日米地位協定の中に触れられていました。しかしながら、その基準が明確化されていなかったことが大きな問題にもつながってきた、こういった問題意識のもとに、軍属の範囲を法的拘束力のある国際約束によって明確化する、これが今回の大きな意義であると思います。

 この明確化によって、先ほど申し上げました軍属の管理、そして、軍属に属さない方々は日本の裁判権に服する、こういったことにつながり、このことが事件の再発防止につながる、こうしたことを期待しての取り組みであると認識をいたします。

赤嶺委員 補足協定が国際的な約束であり、法的拘束力を持つから、軍属になった範囲に対する規律が徹底されていくという、そこを聞いているんじゃないんです。では、今まで軍属とされてきた部分と、今度の見直しによって何がどう変わったのかということを伺っているわけであります。

 同じ答えが続いていますので、ちょっと問題を先に進めていきたいんですが、実は、去年の五月二十四日の本委員会で、安保委員会で、民進党の緒方林太郎議員が軍属の範囲について質問をしておられます。NATOの地位協定では、米軍に雇用されていない者は対象から外される、このように指摘をしております。

 米軍に雇用されていない者は対象から外される、この点は、今回の軍属の範囲を決める上でどういう交渉になったんですか。こういうことは交渉をやったんですか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 軍属の定義につきまして、NATO地位協定におきましては、軍属とは、締約国の軍隊に随伴する文民たる人員で、その締約国の軍隊に雇用されている者で、無国籍の者ではなく、北大西洋条約の当事国でない国の国民でなく、前記の軍隊が所在する国の国民でなく、かつ前記の軍隊が所在する国に通常居住する者でない者をいうというふうに定めていると承知しております。

 それに加えまして、例えばボンの補足協定、これはドイツについてでございますが、ボン補足協定におきましては、ドイツに駐留する米軍に対し役務を提供する技術専門家は民間企業の被雇用者であっても軍属としてみなす、そのように取り扱うこととされているというふうになっているものと承知をしてございます。

 日米の地位協定と米国が我が国以外の国と締結している地位協定とを比較する場合は、規定ぶりのみならず、実際の運用、背景等を含めた全体像の中で検討する必要があるため、その比較を一概に論ずることは困難ではございますが、事実関係は以上でございます。

赤嶺委員 緒方議員がこの間の委員会で提起したのは、日本は軍属の範囲が広い、定義が広いということだったわけです。

 今、ドイツの話を持ち出しましたが、アメリカの欧州空軍が二〇一四年六月十七日付で出した、イギリス国内の軍属の取り扱いについて記した指示文書があります。これはインターネットで普通に手に入るものですが、この文書にはイギリス国内で軍属の認定を受けるための基準が列挙されております。そこには、米軍に雇用されていなければならないとの要件が挙げられております。しかも、契約企業の被用者は軍に雇用されていることにはならない、つまり米軍属の適格性は有していないということがはっきり書いてあります。

 なぜ、イギリスと同じことができないのか。つまり、犯罪の抑止につながるという場合に、その軍属の定義や範囲が日本の場合には広い、NATO並みに、せめて、イギリスでさえ契約企業の者は軍属に入れていない、そういう見直しをなぜやらなかったのかということを問うているわけであります。

岸田国務大臣 なぜ、欧米の諸国の中で見られるような例を、見直しをしなかったのかということですが、今回、昨年四月の軍属の事件を受けて、再発防止について日米で協議をしたわけですが、こうした軍属の事件の発生において、そして我が国の状況において、一番問題であるのは軍属の定義が明確化されていないという点である、こういった問題意識のもとに議論をしたものであると承知をしています。

 日米地位協定の中には軍属という記述はありますが、全くこの定義が明確化されていない、明らかにされていない、こういったことが、責任や管理のありようを曖昧にするとか、それから軍属本人の自覚の曖昧さにつながるとか、こういったことなのではないか。やはり軍属の範囲を明確化することが重要である、これが議論の出発点であったと思います。

 我が国のこの状況、そして我が国の日米地位協定のありよう、こういったことを考えた際に、今申し上げた点が重要であるという認識のもとに議論が始まり、そして、先ほど申し上げたような明確化につながったということであります。

 これは、それぞれの国における事情や背景等もしっかり考えた上でそれぞれの協定のありようを考えていく、一概には他の国との協定とは比較できない、先ほど答弁にもあったとおりだと考えます。

赤嶺委員 我が国の事情によるものだと。ヨーロッパ諸国では、米軍の基地の中で働く、米軍と契約している民間企業の社員は、日本では軍属になっている、ところがイギリスやNATOではそうなっていない。しかし、日本には日本の問題があるんだということを外務大臣がおっしゃいましたが、軍属の定義を決める上で、実は日本でも、NATOより日本の軍属の範囲が広いということは、これまでも外務省の中で問題になって、検討してきていることなんですよね。

 地位協定マニュアル、「日米地位協定の考え方」というマニュアルが外務省の中にあります。何度も外務委員会、安保委員会等で取り上げてきましたが、その中で、軍属の定義について、NATO地位協定では日米地位協定の場合より相当狭くなっている、こう書いているわけですね。外務省自身が、軍属というものを定義する場合にこの問題を認識してきたわけですよ。つまり、範囲が広い、NATOよりも広い、このことは問題意識として持っていた。ところが、今回の補足協定の中でそのことが議論になっていない。

 これはちょっとおかしいんじゃないですか。軍属の範囲を狭めて犯罪の抑止につなげる、常識的にはそうだと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 御指摘の日米地位協定のガイドブックですか、それは外務省の発行した文書ではないと承知をしております。民間の団体が出された文書であると承知をしております。

 外務省としましては、先ほど申し上げましたように、日米地位協定と我が国以外の国が締結している地位協定を比較する場合に、単純にその規定ぶりだけではなくして、背景とか運用とか、こういったものを含めた全体像の中で検討する必要がある、よって、その優劣を一概に論ずることは大変難しいということを従来から説明させていただいておりますし、それが我が国の基本的な考え方であります。

赤嶺委員 「地位協定の考え方」というのは民間のものじゃなくて、現に、今までの答弁では、同名のものが外務省の中にもあるという答弁だったんですよ。きょうは、それはまた後で議論しますがね。

 犯罪の抑止ということでさらに聞いていきたいんですが、中谷大臣は昨年、このように答弁しております。再発防止の具体策として、「現在のこういった再発防止の具体策としては、リバティー制度というのがあります。」「これは外出禁止とか制限をするものでありますが、米軍人をきちんと、指揮命令系統がしっかりとした強制力のある対応をするということで、こういった制度が考えられておりますが、米軍属となりますと、これは軍人ではなくて、その基地内に所在をする各関連の企業やその社員など、民間人が基本でありますので、そういった対象に対してしっかりとした対応をとれる方法がいかなるものがあるのか、この際、こういった軍属に対する考え方、定義などをしっかり整理しまして、そういったところにきちんと対応できるように考えてまいりたいと思います。」これが昨年の中谷防衛大臣の答弁であります。

 今度の見直しで、軍属もリバティー制度の対象になったんですか。

深山政府参考人 リバティー制度につきましては、今先生がおっしゃったとおりでありますが、軍属が新たに対象になったかどうかという情報は今得ておりませんので、念のため、確認をさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 いやいや、これは大変な、半世紀ぶりの画期的な歴史的な地位協定の補足協定だと言っているから、犯罪抑止につながると。私はリバティー制度は抜け穴だらけだと思っていますけれども、外務大臣と何度も議論してきましたが、外務大臣はリバティー制度は犯罪抑止につながると言っていた。

 この間、軍属の引き起こした事件をきっかけに補足協定の話し合いが始まった。軍属はリバティー制度の対象になったんですか、今度の補足協定で。

岸田国務大臣 ただいま防衛省から答弁がありましたように、リバティー制度が軍属に適用されるかどうかは確認したいと思いますが、軍属に対する対応はさまざまなものがあります。

 今、中谷元防衛大臣の発言を引用されました。軍属にしっかりとした対応を行う、そのためには何ができるのか検討したいという答弁だったと聞きましたが、その対応を行うためにもまずは範囲を明確化しなきゃいけない、その明確化を今度やったわけです。そして、あわせて、明確化された軍属に対してしっかりと管理をしなければならない、研修等をしっかり行う、こういったことも発表されているわけであります。

 こうした対応を行うために基礎となる範囲が明確化されたこと、これは大変大きな一歩だと思います。それに対して、研修等、どんな対策で対応していくのか、これがこれからしっかりと問われ、そして確認されなければならないと考えます。こうした考えに基づいて軍属に対する管理、研修が強化され、犯罪の再発防止につながることを期待いたします。

赤嶺委員 中谷大臣は、少なくとも、犯罪の防止、規律の強化という点でリバティー制度というのを去年挙げられたわけですよ。それで、軍属にもそれが適用できるかどうか検討していきたいというような話になったわけですよ。その結果、検討したけれどもリバティー制度が軍属に適用されるかどうかというのは答弁できないというのは不思議な話ですよ。だけれども、今外務大臣は、研修だ、このようにおっしゃいました。

 そこで、抜け穴だらけのリバティー制度の適用すらはっきりしないという中で、研修を大分重きを置いて言われておりましたが、この研修で使われた資料、これも、去年、イギリスのジャーナリストのジョン・ミッチェル氏の情報公開請求で明らかになって、その研修の中身が、米兵の犯罪は極めて少ないとか、多くの県民は軍用地料が唯一の収入源などという、沖縄に対して極めて恣意的でゆがんだ知識を米兵に植えつけるような中身であったわけです。大変大きな怒りも広がりました。

 この研修の内容について、どうなったのか、そして、その研修の内容について提出していただきたいと思いますが、いかがですか。

岸田国務大臣 昨年四月の事件の発生を受けて日米間で協議を進め、そして昨年七月五日、地元の意見を得ながら、米軍人及び軍属等の教育、研修を強化することを内容とする日米共同発表を行いました。

 そして、研修資料について、委員がおっしゃるようにさまざまな指摘があったということについては私も聞いておりますが、昨年十一月、在沖米軍によりまして、沖縄に新たに着任した全ての軍人軍属、家族等を対象とした、沖縄固有の歴史や文化への理解を深めるための研修資料、この研修資料が地元沖縄県等の意見を踏まえた形で改定されたと承知をしております。

 そして、その資料を出せということですが、この研修資料は米軍の内部資料でありますので、日本政府としてこの資料を出すことは難しいのではないかと認識いたします。

赤嶺委員 いや、この研修資料は、それ以前のものは情報公開請求で米軍は出しているわけです、イギリスのジャーナリスト、ジョン・ミッチェルさんに。それによって我々も中身がわかったわけです。きのうは何か、ニコルソンさんが、地元の記者を集めて研修を地元のメディアの人たちに公開したという話を聞いているんですが、ところが、資料を誰ももらっていないんですね。

 資料を日本政府が、やはり沖縄県民との関係を改善する上でも、どういう資料になったのか、そういうのを求めるのは当たり前じゃないですか。米軍の内部資料でも出しているんですよ、米軍は、情報公開請求すれば。何で日本政府が出せないことがあるんですか。請求すればいいんじゃないですか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、研修資料は米側の内部資料であります。米側が公表されるということ、これはもう米側の判断でありますが、米側の内部資料を我が国が公表するということは難しいのではないかと考えます。

赤嶺委員 研修というのは、外務省も一緒になってやっている中身です。犯罪の被害を繰り返し受けている沖縄県民への外務省の責任でもあります。そんな建前論でなくて、きちんと情報公開を出していただきたい。

 外務大臣、今回の範囲の見直しで軍属は何名減るんですか。

岸田国務大臣 今回の補足協定によって、先ほど申し上げました三点の内容が盛り込まれ、見直しが行われるわけでありますが、これはこの基準に従って契約を更改するたびに適用され、そして選別が行われることになります。

 これからこの契約が更新されるたびにその範囲が明確化されていくということになりますので、今の時点で、結果的に何名減るのかということを判断するのは難しいと考えます。この制度、新しい基準をこれから適用する中にあって具体的な数字が出てくる、これが実情であると考えます。

赤嶺委員 軍属について発表したのが二〇〇八年にあります。そのときに、軍属は、二〇〇七年三月末時点で本土で二千七百七十人、沖縄で二千三百八人、合計で五千七十八人。

 今回の見直しのときに何名に軍属はなっていますか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の補足協定の締結に当たりまして、米側に説明を求めたところ、米側からの説明によりますれば、二〇一六年時点で、軍属の数は合計約七千三百名であるという説明を受けております。

赤嶺委員 五千人が七千人にふえているんですね。

 何か、軍属を地位協定で明確にして、犯罪の防止のために軍人や軍属が減るのかと思ったら、逆にふえている。ふえていることも可能にするような補足協定になっている。これでは、米軍人軍属の犯罪の抑止にはつながらないということを申し上げておきたいと思います。

 関連して、公務中の軍属の犯罪について、二〇一三年の日米合同委員会合意で、アメリカが第一次裁判権を行使した際の処分結果の通報の仕組みがつくられました。二〇一四年以降、具体的にどのような処分が下されたのか、明らかにしていただけますか。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十六年及び平成二十七年に我が国の検察当局が不起訴処分といたしました米軍人による公務中犯罪のうち、被害者が傷害を負った事件について、懲戒処分を受けた人員数は百六人でございます。軍法会議において処分を受けた人数及び何らの処分を受けなかった人員数は、いずれもなかったものと承知しております。

 また、同じ年におきまして我が国の検察当局が不起訴処分とした米軍属による公務中犯罪のうち、被害者が傷害を負った事件について、懲戒処分を受けた人員数は二十四人でございます。裁判において処分を受けた人員数及び何らの処分を受けなかった人員数はなかったものと承知しております。

赤嶺委員 今の数字は、二〇一四年、一五年までの数字ですね。二〇一四年、一五年、年ごとに言っていただきたいんですが、二〇一六年の数字は出ていないんですか。いかがですか。

加藤政府参考人 失礼いたしました。

 御指摘の数値については、手元に持ち合わせておりません。

赤嶺委員 通報というのは、地位協定の運用改善で、お互いの犯罪の防止に役立てるために毎月やりとりするということになっていますでしょう。合意でそうですよ。なのに、何で去年のものが出ないんですか。いかがですか。やりとりをやっていないんですか、日米間で。

加藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 二〇一七年、昨年の数値についてお尋ねだと……(発言する者あり)失礼いたしました。二〇一六年についてお尋ねというふうに承りましたが、正確な数値を確認等するために、現在、お答えできる数値を持ち合わせていないという状況でございます。

赤嶺委員 今、小野寺前防衛大臣、後でという助け船が出ておりましたが、これは毎月やることになっているんですよ。多分、小野寺大臣のときだったんじゃないかなと思いますけれども、毎月やることになった。運用改善だ、歴史的だ、画期的だとそのときも皆さんおっしゃっていたんですよ。

 今度の軍属の身分の見直しについても、本当に五十年ぶりの画期的なやり方だといいながら、実際に軍属はふえている、そして、犯罪の問題についても、やりとりが本当にやられていない、数字もわからない、こういうことでは再発防止につながっていないということを申し上げて、質問を終わります。

山口委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の会、ウガンダに行ってまいりました吉田豊史です。よろしくお願いいたします。

 国会開会中にもかかわらずこの視察が実現できましたのは、委員長、理事、また委員の皆様初め多くの皆様の応援のおかげと思って感謝いたしております。見てまいりましたこと、感じたことを報告させていただきたいと思います。

 今回、私が南スーダンの情勢について、改めて自分の目で見て感じてということを思い立ったわけですけれども、準備の関係もあって、直接に南スーダン・ジュバということではなくて、まずはその周辺のところということで、ウガンダに視察に行ったわけです。実際、行ってみて、私は本当に、正しい選択というか、正しい場所に行かせていただいた、こう感じております。

 といいますのは、もし直接南スーダンのジュバに行っていた場合は、その現場だけを見て、それで安全か安全でないのかという判断をして、そこで一つの終わりだったと思うんですけれども、結局、そうではなくて、ウガンダというところは、今、南スーダンからの難民が一番多く流入している国だということです。そして、それは、この南スーダンの問題というのは周辺全てのエリアの国家にとっても大きな問題になっている、そういう少し大きな目での問題を感じることができたというのが私の大きな収穫ではなかったかな、こう思っておるわけです。

 改めて、この南スーダンというのは、非常に、私も飛行機を乗り継いで行きましたけれども、片道十五時間、二十時間、一日ぐらいかかって行くところなわけですね。そうすると、日本の方々からすれば、国家として、この南スーダンに、平和貢献という一番大きなテーマのもとに自衛隊が今あそこで活動している、我が国の仲間が活動してくれているわけですけれども、やはりそれは、距離的にも時間的にも遠いし、実際に何がどうなっているのかということがわからない中で、今回起こった南スーダンでのさまざまな、残念ですけれども、日報問題を初めとする、この情勢が今どうなっているか少しわからないんじゃないかなという不安が我が国においても生じている。

 こういうことからすると、私は、改めて、この南スーダン・ジュバでの問題というのを、国民の皆様に、まず、どうして、何でそこに我が国が行っているのか、そして何をやっているのか、それは何のためなのか、こういうことからひもといて確認して、そして、なぜ今このジュバでの安全ということが大切な問題になっているのか、そのあたりを大きくきょうはお聞きして、それからまた、随時、私が現場で感じたことを聞いていく、こういう展開にしていきたいと思っております。

 まず初めに、大臣の方に、南スーダンでの自衛隊活動の目的、そして今の活動内容、ここについて簡単に、そしてわかりやすく御紹介いただきたいと思います。

稲田国務大臣 スーダンと南スーダンの二十年以上の紛争を経て、そして二〇一一年に独立をした、世界でも最も若い国であります。そして、その南スーダンの国づくりに貢献をしようということで、平成二十四年の一月、野田政権のときに南スーダンに自衛隊の施設隊を派遣して、そして五年がたったということでございます。

 二十年にわたる武力紛争を経て独立に至りましたので、その間に使用された多数の武器が国内に出回っていたり、また、反政府勢力の存在、部族間の対立があることから、治安状況は極めて厳しいと認識をいたしておりますけれども、自衛隊が展開している首都ジュバは比較的落ちついております。もちろん、この五年間の間に何回か大きな武力衝突もあったわけでありますけれども、比較的落ちついている中で、自衛隊が、日本らしい、まさしく新しい国づくり、さらには南スーダンの人々に寄り添った形での貢献をしております。

 先生御指摘になったように、南スーダンは非常に日本から離れたところではありますけれども、新しい南スーダンが安定することがアフリカ全体の平和と安定につながる、そしてそれが世界の平和と安定につながるということで、自衛隊は現在も、厳しい情勢のもとではありますが、道路整備、避難民向けの施設構築を行うなど、安全を確保しながら意義ある活動を行っており、こういった活動は南スーダン政府や国連から高い評価を受けているところでございます。

 私も、日々、南スーダンの情勢については緊張感を持って報告を受けており、刻々と変わる、さらには厳しい治安状況の中で、PKO五原則、さらには、自衛隊がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができるか、しっかりと注視していきたいと考えています。

吉田(豊)委員 幾つか大事な点を指摘していただいたと思うんですけれども、とにかく、日本のできる貢献、そして自衛隊が行ってできる活動ということの中でジュバで活動してきたと。それで、実際、五年間がたっているということ。

 一つ、私は今回お聞きしたいことの中に、さまざまな国際貢献の活動の中で、特に自衛隊が海外に行って活動するということについては、我が国においても非常に繊細な、緊張感のある問題だろう、こう思っているわけです。ですから、海外で活動する、そしてそれが、今おっしゃったように、何を目的にやっていくのかということ、そして、どういう状況になったら、それについて成果を得て帰ってくるのかということ、そういうタイミングということ、このことについて、今、引き続きお聞きしていきたいというのが一番大きな問題意識です。

 その上で、私は常々、政治家としてもですけれども、現場に全てがある、こう思って話をしておるんですけれども、それは明らかに、やはり、見る、聞くということ、それが感じることになりますし、感じると、自分でまた考えて、そしてそれをいろいろ判断をしていく、これは当たり前のことですが、そういうプロセスを自分自身も行って感じることができました。

 また、政府としても、そういうことを、当然情報はしっかりとっていらっしゃるという中ですけれども、その先にもう一歩、本当に大きな判断をされるときには改めて御自身でということも含めて考えていただきたいなということも私は思うところでございます。

 両大臣の所信のところにも、我が国は世界にどういうふうに貢献していくのかということにおいては、やはり一番平和を希求する国家だと。

 そして、それをどうやって実行していくのかというときに、安全保障委員会としても、きょうの委員会の質問も、多くは、やはり、実際に何かがあったときにどういう対応をするかということが当然今主題になってきていますけれども、でも、一方では、何も起こらないために、どのように国際社会の中で大きな力を我が国が発揮していくのか。

 この両面をやはりやらなくちゃいけないというところで、南スーダンにおいて、自衛隊の活動というものは、私は現地に行って、実際に、南スーダンから避難してこられた避難民の方々と多く、直接話をお聞きする機会を今回得たわけですけれども、その中のほとんどの人が、政府の関係者のみならず地元の方々も、やはり日本という国、それから日本という国の貢献、それから自衛隊そのものに対しては、本当に心強い、さまざまな有意義な活動をなさってくださっている、そのことについては感謝の言葉しかなかったということも私はお伝えしたいな、こう思うわけです。

 その上で、改めて、今五年たっているということは、私からすれば、一つの区切りという言葉がいいかわかりませんが、成果というものについての判断をして、それから次にどういうふうに進んでいくのかということを考えたときに、南スーダンのジュバというのは、私が今の方々にお会いして得た情報は、安定しているということは、私の得た情報とすれば間違いなかったと思います。

 一方では、どうしてそこが安定しているのかということについては、南スーダンのジュバにあっては、当然、今の南スーダンの政府が中心におるところですから、きちっとそれについては守りを固めている、安定させているということが実現できているということは、明らかに、そのようにおっしゃるわけですね。

 そうしたら、何で今、一方で急激に難民がふえているのか。このことの問題意識については、ジュバが安定している一方で、反政府勢力の多くが地域の方に分散している。ですから、地域の方から逆に、そういう方々が、不安定な状況がより増してきていて、そして避難せざるを得ないということになっているということを確認したわけです。

 そうすると、今、問題は、自衛隊のことについてだけで言えば、ジュバというところで活動、それについては安定しているということが事実なんだと私も思います。けれども、南スーダン全体、あるいはその周辺地域のことも含めた状況を考えると、実はより不安定化しているということも一方で事実だろう、私はこう思うわけです。

 改めて、こういう状況について、南スーダンの国内全体が今どういうふうな状況になっている、政府としてどう認識しているか、これをお聞きしたいと思います。

辰己政府参考人 今大臣から申し上げたとおり、自衛隊が展開しているジュバについては、楽観できる状況ではございませんが、現在、比較的落ちついているという状況で、自衛隊も日々有意義な活動ができています。

 一方で、南スーダン全体の状況について言うと、北部の方で衝突が発生したり、あるいは南部の国境付近でも殺傷行為が発生しているなどの事案があるということで、非常に治安情勢は厳しいと認識しています。

吉田(豊)委員 今の認識のとおりだと思います。特に、マシャール派が外に出ているという状況の中で、南スーダンとウガンダの国境のあたりが南スーダンの中でも非常に不安定な状況になっているということ。そこから難民の流出がとまらないわけですね。

 私が直接お聞きした人の中にも、何でそういう状況になるのかということについては、やはり国家として南スーダン自身が一つの安定を求めていく中にあっては、ある意味、そうでない方々を、弾圧という言葉がいいかわかりませんが、強く抑圧していくという体制にもう入ってきているということが感じられると。それは明らかに、この地域の伝統的といえばいいか、さまざまな諜報活動ということも行われていて、一般の住民の方々に対しても、どちらの派なんだ、政府派なのか、それともそうでないのかということまで含めて、避難所にまでそういう人たちを送り込んで確認をしているという状況らしいわけです。

 そうすると、これはもう明らかに、この状況をどうするのかということについては、やはり弾圧される側、それから反政府勢力にしてみれば、常に反撃の機会を狙っているということも事実だろうとも思うわけです。

 そういうことで、南スーダン・ジュバについては安定している。けれども、これは明らかに、今度はどうなるかというと、テロの可能性が十分高まってくる、その大きな政府勢力と、要は国準という言葉ですか、そのようなわかりやすい大きな対決ということが想定されない以上、そうすると、細かい部分での反乱が起こってくる。それは、ある意味リスクが増しているということでもあると思うわけです。コントロールできないということですからね。テロについて一番大きな問題は、私たちの方でコントロールできないことだと。

 そのことを考えると、今は何事もなく、本当に御努力があって自衛隊が活動できている、そして、現地にも感謝されている、けれども、それがずっとそのままこの状況で安定しているかといえば、私の認識、政府の認識も同じように、地域とすればより不安定感が増している、これも私は事実だろう、こう思うわけです。

 改めて、さまざまな活動を五年間積み重ねてきた、このことについての、ジュバでの自衛隊の活動についての評価、あるいは、さまざまなPKO活動の中で自衛隊が、日本がどのように貢献してきたかということについて、PKOの観点から政府のお考えをお聞きしたいと思います。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からも御報告ございましたけれども、まさに五年以上を経過し、十一次にわたって、四千名に達する隊員が現地で活躍してきております。厳しい環境の中で、現地住民やUNMISSの活動のための道路の補修、国内避難民向けの施設整備を初めとする活動の実績を着実に積み重ねてきております。

 このような活動につきましては、国連及び南スーダン政府から高く感謝されて、評価されております。

 例えば、先月、小田原外務政務官がタバン・デン第一副大統領と会談した際に、我が国として、南スーダンの平和と安定及び国づくりに貢献していく考えを表明したところ、同第一副大統領からは、我が国のこれまでの南スーダンに対する支援への謝意が表明されました。

 また、国連側からは、稲田大臣や柴山補佐官が昨年ジュバを訪問した際にロイ前UNMISS国連事務総長特別代表から、また、先月私自身がジュバに行きました際にシアラー現国連事務総長特別代表から、我が国の施設隊の活動に対する高い評価と感謝の念が伝えられております。

吉田(豊)委員 全くそのとおりだと思います。

 その上で、改めて、南スーダンにおける我が国の自衛隊の活動というものの目的をきちんと達成しているわけですね。一方では、活動の現場においては安定しているということは確認できていると私も思います。それは、本当のことで言うと、もう一度私自身がその場に行って確認してこなくちゃいけないということも思っていますので、それは次にまた実行させていただきたいと思っておりますけれども。

 わかりやすく、自衛隊が今ジュバに対して活動している、これはどういう条件で今活動しているのかということをまず大臣に確認したいと思います。

稲田国務大臣 今自衛隊が、きょうもそうですけれども、炎天下の中で道路をつくり、また、避難民がふえているという先ほどの委員の御指摘もそのとおりですし、南スーダンの中でも避難民がふえていて、そういう避難民のための施設をつくったり、そういう活動を着実に進めております。

 どういう条件のもとで自衛隊が活動するかというと、大きく二つあって、一つは、PKO五原則をしっかりと満たしているかどうか、すなわち、憲法に合致した活動であることを担保するための参加五原則を満たしているかという法的な側面と、もう一つは、自衛隊員がみずからの安全を確保した上で有意義な活動を行えるかという実態面、この二つの判断であります。そして、現時点において、この二つの要件は満たしているというふうに考えております。

吉田(豊)委員 それがその活動の条件だと。

 そして、もう一つは、さまざまなミッションについては達成される、そして、日本から派遣しているわけですから、それが達成されれば当然帰ってくるということだと思うんですけれども、今回のジュバでの活動あるいは南スーダンでの活動について、どういう状態になったら我が国は一度その成果を上げて帰ってくるという、そのことについてはわかりやすい説明があるんでしょうか。お聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 まず、先ほど委員も御指摘になりましたように、平成二十四年の一月に施設隊を派遣して五年が経過をしております。その間、さまざまな、武力衝突も二回にわたってありましたし、そんな中で、比較的落ちついているジュバの中で日本らしい活動を今自衛隊は行っているというふうに思います。

 そして、世界で六十カ国を超える国が南スーダンの新しい国づくりに参加をしているわけでありまして、そういった状況の中でしっかりと日本らしい活動を続けていく、そしてさらには、先ほど申し上げました二つの条件をしっかりとクリアした上で、私たちとしては、南スーダンの状況をしっかりと見ていくということでございます。

吉田(豊)委員 そうすると、一番最初に大臣が御説明いただいたように、二十年来にわたるもともとの内戦の地域だということ、そしてそれが新しい国づくりを進めていく中にあって、キール派を中心とした政権が今やっているということだとは思いますけれども、でも、それが本当の意味で今、南スーダンの中で完全に安定しているかというと、そうではなくて、首都ジュバ中心においてはそこはきちっと押さえている、ただ、周辺においてはより不安定な状況になっているというのが今の現状の認識だろう、私はこう思うわけです。その中で、自衛隊がジュバで活動している。

 こうなると、当然、国際貢献というもの、平和に対する貢献を我が国は積極的に行うべきですから、これだけの活動をしてきた。そして、現地でも大きな感謝をされている。ただ、明らかに今の現状は、現政権を安定させるということについての、客観的に見れば、あるいは住民の方々、国民の方々から見れば、片方のことについてきちっと応援しているということは間違いないわけです。

 ですから、反政府勢力からすれば、我が国の活動自身が、それは必要のないものだ、こういうふうな、我が国の活動自身も、それをどのように捉えるかということについてはそれぞれの考え方があるだろう、こう思うわけです。

 大きく考えたときに、この南スーダンの問題がいきなりこれで解決するという、国家に対する、あるいは地域に対する安定という状況は今望めないという状況の中で、引き続き、二つおっしゃった、法的な側面とそれから実態面と、これを押さえているということが自衛隊の活動の条件だ、こういうふうにおっしゃっていますけれども、その二番目の安全ということからすると、私が申し上げていることが正しいとすれば、やはりいつ不測の事態が起こるかということはわからないわけです。

 ですから、改めて、今回の、我が国の平和に対する貢献の一つ大きなチャレンジを今、南スーダンでしているわけですね。これが何事もなく一回きちっとミッションコンプリートして我が国に帰ってきた、そしてそれからまたいろいろなことを検討して次のところに進んでいこう、こういう姿勢も私は必要だろうと思うし、もともと国家として日本ができる貢献というものはいろいろな面にわたるわけです。

 次に難民問題も取り上げていきますけれども、こういういろいろな求められているニーズというもの自身も、この地域、南スーダンのみならず、その周辺のウガンダあたりのところを含めても、今大きなニーズというものが出てきていますので、そのことからすれば、私は、今こそ改めて区切りをつける判断をすべき一つの時期に来ているんじゃないかな、このようにも思うわけです。

 改めて、二番目の安全ということの実態面、そのことについて、全くその不安がないのか、その周辺の状況も含めてどのようにお考えになっているか、そのことについて考えをお聞きしたいと思います。

辰己政府参考人 自衛隊が活動するに当たって、安全が前提になります。それについては、日々、現地部隊から安全に関する情報、まず活動する前にいろいろなソースから情報を収集して、自分たちが活動する地域、活動する場所について事前に情報を収集します。そして、隊長が判断をして、その日活動できるという判断のもとで、今行っている道路整備ですとか国連内の施設整備を行っています。そして、その状況については逐次東京の方にも日々報告を受けて、大丈夫だということを確認の上、行っている状況にございます。

吉田(豊)委員 現地を担当する方々からすれば、それが当然のことですし、そしてその上のもとにさまざまな活動をしている、当たり前のことをおっしゃる、正しいことをおっしゃっていると思います。

 けれども、もともと私が申し上げているテロ的な活動というのは、そういうことを乗り越えて何かが起こるというリスクのことを言っているわけです。ですから、そういうことが万々が一にも起こったときには、それこそ、総理はこの間の発言の中でも、もしあそこで何か起こったときには私自身の進退も含めてということまでおっしゃっているんですね。

 でも、そういう状況に追い込んでは私はいけないと思うし、きちっと成果が出ているところということを自分たちなりに、やはりどこまでいったらこれで一つの区切りだということはもうそろそろ明確にして、その上で、今そこまでには至っていないからこの活動をしているんだと。

 この平和ということだけでいうと、漠然とした状況では、私はうやむやな状況が続くだろう、こう思っていますので、今大臣はどのようにこのことについて、区切りをつけるということについてお考えか、確認させていただきたいと思います。

稲田国務大臣 今委員がおっしゃるように、法的にPKO五原則が満たされていたとしても、しっかりと自衛隊員がみずからの安全を確保しつつ有意義な活動ができているか、この点はしっかりと見ていかなければならない。そのためにも、さまざまな情報を日々私も得て、そして緊張感を持って情勢を注視しているところであります。

 そして、仮にPKO五原則は満たしていたとしても、要員の安全を確保することができなくなったと判断をすれば、撤収をすることにちゅうちょはありません。現時点において、私は、PKO五原則は満たされていることはもちろん、要員の安全を確保しつつ有意義な活動ができている状況だというふうに判断をしているところでございます。

吉田(豊)委員 問題意識とすれば、私は、やはり周辺がどれだけ不安定になってきているのかということ、それから、きょうはもう時間がなくなりましたので、あした、続けて難民問題についてお聞きしたいと思いますけれども、やはり今の活動の場所については、きちっと、本当に念には念を入れて活動しているということは間違いないと思いますし、そしてそれを情報をきちっととっている、それも間違いないと思うんです。

 でも、それを乗り越えての万が一のことが起こるという可能性については、やはり全体的な情報収集、それは現場で働いている方々からは、その情報のみならず、その周辺がどのように環境が変わってきているのかということ、ここをきちっと押さえた上での活動をしていきたいということで、きょうの大臣の御発言は私はそのとおりだと思いますし、その上で、またもう少し、あしたは、周辺の部分も含めた判断についてどのようにそれが行われているのかということもお聞きしていきたいと思います。

 きょうは、もう一問だけお聞きしますけれども、最初の大臣のお話の中に、やはり二十年来続いたということによって、さまざまな武器が多く南スーダンの中に残っている、これは明らかにそういう現状なんだろうと思います。

 これについて、現地の方々から、私もびっくりしたんですけれども、今、国連でもさまざまな武器の問題については対応しようとしているけれども、それは成功しなかった、でも、それは明らかに、地域の、国の中の一つのことだけをやられても、外からいろいろなものが入ってくるし、これについてどういうふうにして対応すればよかったかということについては、もう少しエリア全体としての判断というものが求められる、そういうようなことに我が国が貢献してくれないか、こういう意見があったわけです。

 この考え方について、大臣の方にお聞きしてみたいと思います。

岸田国務大臣 周辺国との連携ということですが、南スーダンの周辺国、昨年十二月の政府間開発機構、IGADの首脳会合の声明において、武器禁輸及び制裁は恒久的な平和と安定のための解決策を提供しないとして、武器禁輸ではなくして、対話や国際社会の支援が必要である、こういった見解を表明していると承知をしております。

 南スーダンの平和と安定の促進に向けた取り組みについては、国連に加えて、アフリカ連合、IGADなど地域機関、それから地域保護部隊への要員派遣予定国を初めとする周辺国が大変重要な役割を果たしていると考えます。こうした国々ともしっかり協調して取り組めるよう、外交努力を続けたいと思います。

吉田(豊)委員 終わります。ありがとうございました。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 社民党の照屋寛徳です。

 沖縄で重大事故発生につき、あらかじめ通告した質問を若干変化をして質問いたします。

 きのう午後二時三十分ごろ、米軍キャンプ・ハンセン内の着陸帯、ファルコンで、UH1ヘリが、物資つり下げ訓練の最中、複数のタイヤを落下させる重大事故が発生しました。

 ファルコンにおけるヘリによる物資つり下げ訓練や、オスプレイの同演習場への離着陸の際、民間地上空の飛行によって発生する爆音等は、演習場周辺住民を恐怖のどん底に陥れております。

 防衛大臣に尋ねます。

 きのうのタイヤ落下事故は、演習場周辺住民らの命の安全を脅かすものであり、断じて許せません。防衛大臣は、どのような報告を受けているのか、米軍に対して抗議はしたのか、落下したタイヤ等は発見されたか、事故の詳細な事実関係について伺います。また、ファルコンにおける物資つり下げ訓練の即時中止を強く米側に求めるべきだと考えますが、大臣の見解を求めます。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になった件ですけれども、私としては、本件について、けさ報告を受けたところです。

 その上で事実関係について申し上げれば、昨日、宜野座村城原区近傍に所在するキャンプ・ハンセン内の着陸帯周辺において、沖縄防衛局職員が、米軍航空機のつり下げ飛行を確認し、関係自治体の皆様に対しその旨をお伝えしたところでございます。

 また、米軍からは、当該訓練中、キャンプ・ハンセン内の着陸帯付近において、つり下げていた物資、練習のためにつり下げていた車両のタイヤが分離した、分離した原因は調査中、落下した物資については探索中、訓練は、パイロットが人道支援、災害救援任務を果たすために不可欠なものであり、消火活動任務を実施するために、消火用バケットをつり下げる際の練度維持に役立つものであった旨の回答があり、沖縄防衛局から、在沖海兵隊に対して原因の究明と万全の安全対策を求めるとともに、関係自治体の皆様に対して情報提供したところでございます。

 米軍による航空機の運用に当たっては、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことであり、防衛省としては、引き続き、米軍と密接な連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限度にとどまるよう適切に対応するとともに、さらなる情報が得られ次第、速やかに関係自治体に対し丁寧に説明してまいりたいと考えております。

照屋委員 大臣、これは重大事故なんですよ。

 かつて、米軍ヘリがつり下げていたトレーラーが落下して、棚原隆子ちゃんが十一歳にして圧死をした。そういう重大事故につながるので、毅然として米側に対処してもらいたい。

 さて、那覇地方裁判所沖縄支部は、去る二月二十三日、第三次嘉手納基地爆音差しとめ等訴訟について、原告二万二千四十八名のうち二万二千五名の請求を一部認容し、被告、国に対し三百一億九千八百六十二万円の損害賠償金の支払いを命じました。一方、原告らが求めていた早朝、夜間の米軍機の飛行差しとめは、いわゆる第三者行為論に基づき請求を棄却するなどの不当判決でもありました。私と家族全員も、嘉手納基地から離発着する米軍機の飛行航路下に住む者として、原告になっております。

 第三次嘉手納爆音差しとめ等訴訟は、原告の数、一審判決で認容された損害賠償金の額などが我が国における同種裁判において最大規模でありますが、防衛、外務両大臣はこの判決をどのように受けとめておられますか。

稲田国務大臣 二月二十三日、那覇地方裁判所沖縄支部において、嘉手納基地騒音訴訟の判決が言い渡され、国は、原告ら約二万二千人に対し、損害賠償金三百二億円の支払いを命じられたところです。今般の判決は、国の主張について裁判所の理解が得られず、大変厳しい判断がなされたと受けとめております。

 本判決については、内容を慎重に検討し、関係機関とも協議した結果、国として、那覇地方裁判所沖縄支部の判断について受け入れがたい点があるとの結論に達して、昨日、控訴をしたところでございます。

 今後は、関係機関と調整の上、国の主張が認められるよう適切に対処していきたいと考えております。

岸田国務大臣 私としても、今般の判決、国の主張について裁判所の理解が得られず、大変厳しい判断が示されたものと受けとめています。

 そして、国の対応については、今防衛大臣からありましたように、関係機関と調整の上、対応を決定した次第であります。

 ただ、いずれにしましても、この航空機の騒音、これは周辺住民の方々にとって深刻な問題であると認識をしており、今後とも、適切な機会を捉え、米軍がその活動に際し、日米合同委員会合意の遵守等によって地元に与える影響が最小限になるよう、引き続きしっかり働きかけを行っていきたいと考えます。

照屋委員 那覇地裁沖縄支部判決は、嘉手納基地から離発着する米軍機爆音による睡眠妨害、生活妨害、精神的被害等が受忍限度を超えた違法なものであると断罪しました。その上、W値七十五以上の地域において、米軍機爆音による高血圧症発症などの健康被害のリスクが増大することも一部認定をしております。

 法律家である稲田防衛大臣に尋ねますが、これは、厳しい判決という評価を超えた、もう受忍限度を超える違法な爆音と司法は断罪しておる。那覇地裁沖縄支部のこのような事実認定を稲田大臣はどのように受けとめましたか。

稲田国務大臣 今回の判決において、航空機騒音により高血圧症状の発症の危険が高まる、すなわち因果関係を認められたと承知をいたしております。

 航空機騒音による健康被害の可能性については、防衛施設庁において、昭和四十六年度から平成元年度までの間、外部の医療機関に委託の上、航空機騒音が人身に及ぼす影響について調査をいたしました。この中で、血圧への影響を含め、身体に対する騒音の影響を確認したところ、航空機騒音が人体に及ぼす影響を因果関係として捉えることは極めて困難と言えるとの調査結果を得たところでございます。

 しかしながら、周辺住民の方々にとって深刻な問題である航空機騒音への対応は重要な問題であると認識をしております。

 防衛省としては、学校や住宅の防音工事に関する助成措置を初めとする各種の騒音対策を推進し、今後とも、防衛施設の周辺住民に対する騒音の影響をできるだけ軽減できるよう努力していきたいと考えています。

照屋委員 防衛、外務両大臣にお尋ねしますが、極東最大の空軍基地嘉手納の海軍駐機場移転は、騒音や排ガスなどの悪臭に苦しむ周辺住民の負担軽減を目的に、一九九六年のSACO最終報告に盛り込まれたものと理解をしております。あれから二十年余の歳月を経て、ことし一月二十一日にようやく新駐機場への全機移転が実現しました。

 ところが、去る二月七日から十日にかけて、米本国から飛来したKC135空中給油機、F22戦闘機、C146A特殊任務機などのいわゆる外来機が、嘉手納基地の旧海軍駐機場を使用しました。

 外来機であろうと、旧海軍駐機場の使用は明白なSACO合意違反だと思いますが、両大臣の見解を求めます。

稲田国務大臣 嘉手納飛行場における海軍駐機場の移転に必要な施設が完成したことから、本年一月、米軍は、全ての海軍機を移駐し、既に新駐機場での運用を開始しているものと承知しております。

 他方、先月、米空軍の外来機の空中給油機が旧駐機場に駐機し、エンジンを稼働させるなどしていたことを防衛省としても確認いたしております。

 これは、地元の方々に不安を与え、騒音軽減に対する懸念を生じさせるものであり、私としても大変遺憾です。そして、直ちに防衛省から米側に、SACOの最終報告における騒音軽減イニシアチブの趣旨を踏まえた運用を行うよう、強く申し入れているところでございます。

岸田国務大臣 御指摘の嘉手納飛行場の旧海軍駐機場の移転事業、これは平成八年のSACO最終報告に「騒音軽減イニシアティヴの実施」として明記されたものです。

 そして、米軍は、一月までに海軍航空機の移駐を完了し、既に新しい駐機場での運用を開始しているものと承知をしております。

 にもかかわらず、この旧海軍駐機場については、移転後にも米軍機が駐機し、騒音が発生するとの事案が発生していると承知しており、地元の方々に不安を与え、騒音軽減に対する懸念を生じさせるものであり、大変遺憾であると考えます。

 在日米軍の安定的な駐留には、地元の理解は不可欠であります。

 引き続き、できることは全て行うとの考えに基づいて、SACO最終報告の趣旨に基づく旧海軍駐機場の適切な使用を初め、目に見える形で沖縄の負担軽減を進めていかなければならないと考えます。

照屋委員 両大臣、これはもう否定し得ない明白なSACO合意違反、沖縄防衛局長も認めておりました。しかも、新駐機場をつくるために百五十七億円という国民の税金が使われたんです。

 だから、稲田大臣、二度と使わせてはいけない、そのことを米側に確約させるべきだと思いますが、決意のほどを伺って、私の質問を終わります。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になったように、移転した後に旧駐機場に駐機をしてエンジンを稼働させるなどしていたことは、非常に遺憾ですし、地元の方々に大変懸念を生じさせているものだというふうに認識をいたしております。

 私としても、しっかりとSACOの最終合意を守っていただくよう強く要請をしたいと考えています。

照屋委員 終わります。

山口委員長 次に、中村裕之君。

中村(裕)委員 自由民主党の中村裕之でございます。

 質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げまして、早速質問をさせていただきます。

 今、我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しているというのは、我が国政府の認識でもあり、そして、国民の皆様も強く感じていらっしゃることと思います。

 特に、北朝鮮の弾道ミサイル発射については、先月の二月十二日、安倍総理が訪米中に弾道ミサイルを発射した、それに続いて今回、三月六日早朝には四発の弾道ミサイルを発射し、そのうち三発が我が国の排他的経済水域内に落下をしたということでありまして、まさに新たな段階に入ったものと私も感じているところであります。

 早速、三月七日には、安倍総理はトランプ大統領と電話会談を行ったということであり、今後の対応についても連携をしていくことを確認されたことと思いますが、これも、トランプ政権が発足する前段階から安倍総理がトランプ大統領、また政権との信頼関係を築いてきたからこそ、こうした早い対応ができたのではないかと私は評価をしているところでありますが、稲田大臣も、トランプ政権発足直後にマティス国防大臣と会談をされております。

 今回、この北朝鮮弾道ミサイル問題については、日米、そして日米韓の強い連携が最も大切だというふうに思いますけれども、その上で、今回のミサイル発射に当たって稲田防衛大臣はどのような対応をなされたのか、確認をさせてください。

稲田国務大臣 三月六日、北朝鮮は四発の弾道ミサイルをほぼ同時に発射いたしました。ミサイルは約千キロ飛翔し、そのうち三発は我が国の排他的経済水域内に、残りの一発は排他的経済水域付近に着弾したものと見られます。これは、委員も御指摘になったように、新たな段階の脅威であることを明確に示すものだと考えています。

 本件に関して、発射後直ちに私は、第一報の報告を受けた上で、引き続き情報収集及び警戒監視に万全を期せという指示をいたしました。また、私のもとで、同日の八時三十五分から関係幹部会議を開催し、情勢を把握し、今後の対応を協議したところです。

 その後、同日中に計三回開催された国家安全保障会議に参加をいたしました。同会議では、今回の北朝鮮による弾道ミサイル発射について、さらなる事実関係の確認、分析、最新の北朝鮮情勢を受けた我が国の対応方針についての議論、北朝鮮によるさらなる挑発行為に備え、情報収集、警戒監視に当たるとともに、国民の安全と安心の確保に万全を期すとの確認などを政府全体として行ったところでございます。

 さらに、翌七日には、日米、日韓の防衛大臣電話会談を相次いで実施いたしました。

 マティス長官とは、北朝鮮によるたび重なる挑発行為は断じて容認できず、日米両国間の緊密な連携が必要であること、同盟調整メカニズムを活用し、日米間で情報共有を進めるとともに、今後の対応について緊密に連携していくこと等を確認し、さらに、日米韓三カ国での緊密な協力を進めることを確認いたしました。

 韓国の韓民求長官とは、北朝鮮の核・ミサイル問題に一致して取り組むことが重要であり、引き続き、日韓、日米韓で緊密に協力していくことで一致をしたところであります。

 また、八日には、日米韓防衛実務者協議の枠組みのもと、日米韓三カ国の防衛当局間で情報共有のための会議を開催したところであります。

 いずれにいたしましても、早いタイミングで日米、日韓の防衛相電話会談を相次いで実施したのは初めてのことですし、日米韓の連携が強化されていることをしっかりと内外に示すことができたものと考えております。

 いかなる事態にも対応できるよう、しっかり緊張感を持って、必要な対応に万全を期してまいります。

    〔委員長退席、江渡委員長代理着席〕

中村(裕)委員 七日には、日米、そして日韓の防衛大臣による電話会談が行われた、かつてない早さでそうしたことをされたことを聞いて、安心しております。

 今後の対応ですけれども、日米においては2プラス2を開催していくこととされているというふうに私も承知をしているところであります。

 今回の発射後に北朝鮮は、在日米軍基地を攻撃する部隊が今回の発射に参加をしているということを表明したわけでありますから、これは、日米が本当に強い連携をし、情報共有をし、対処方針を立てていく必要があると思うんですね。その意味では、2プラス2の開催については一刻の猶予もなく早急に行うべきだというふうに私は思います。どの時期に行う考えか、お聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 今委員もおっしゃいましたように、できるだけ早く2プラス2の開催をしたいと考えております。

 現時点でその日程が確定しているわけではございませんが、安倍総理から、2プラス2を早期に開催し、議論を進めるよう指示を受けており、引き続き、同盟の抑止力、対処力の一層の強化のために取り組んでいきたいと考えています。

中村(裕)委員 次に、今後の対応について、現在、我が国のミサイル防衛システムは、米軍からの早期警戒情報、SEWを受領し、イージス艦とPAC3という二段階の迎撃体制を構築しているわけでありますが、北朝鮮が複数のミサイルを同時発射するということを繰り返している状況の中で、この複数同時発射に対して迎撃が困難ではないかという指摘があるわけであります。

 政府は、平成二十八年度の第三次補正予算に新型のPAC3配備予算を盛り込んだところでありますけれども、我が国のミサイル防衛システムに対しての防衛省としての評価と、複数同時発射への対応能力について所見を伺いたいと思います。また、今後のミサイル防衛体制について、お考えをお聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 我が国の弾道ミサイル対処能力の強化に関しましては、我が国全体を多層的かつ持続的に防護する体制の強化に向け、本年一月に成立した平成二十八年度第三次補正予算では、PAC3MSEの導入、イージスシステム搭載護衛艦の能力向上等に必要な経費を計上し、また、現在国会で審議中の平成二十九年度予算案では、SM3ブロック2Aの取得といった所要の経費を計上いたしております。

 我が国のBMDシステムは多目標対処を念頭に置いたシステムであり、SM3搭載イージス艦とPAC3による多層防衛により、複数の弾道ミサイルが我が国に向け発射された場合でも対処できるよう整備を進めており、先ほど述べた新たな迎撃ミサイル等の導入によって、同時対処能力はより一層向上するものと考えております。

 その上で、我が国の防衛力の指針である防衛計画の大綱においては、BMDシステムの同時対処能力の向上を含め、我が国の弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図ることとされており、現在、防衛省において、将来の弾道ミサイル防衛体制の調査研究を行うなど、種々の検討を行っているところでございます。

 そうした取り組みを通じて、我が国の平和と安全の確保、国民の安全、安心の確保に万全を期していきたいと考えております。

中村(裕)委員 日米としては盾と矛の役割ということで、やはりまずはミサイル防衛システムをより高度なものを配備して、私どもの国民、国土を守るということが重要だと思っていますので、私は三次補正で新型の導入の予算を防衛省として提出して成立をしたことを高く評価している一人であります。

 日米の役割を踏まえた中でも、大臣は所信の中で、我が国が日米同盟においてより大きな役割と責任を果たしていくと述べられております。今後、日米で協議をされていくことと思いますけれども、より大きな役割と責任を果たすということは、平和安全法制の施行があってできることではないかというふうに私は受けとめています。

 とかく、平和安全法制の議論をするときに、駆けつけ警護ですとか、そうした新任務のところに脚光が浴びがちでありますけれども、現実には、我が国周辺の、我が国の国民の安全保障上において平和安全法制が果たす役割は私は大きいんだろうというふうに思っているんです。

 今、安全保障に対しての国民の関心は非常に高くなっております。平和安全法制が国民の安全にどのように寄与しているのか、国民の皆様にもわかりやすい形で大臣から御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 委員も御指摘のとおり、この平和安全法制、二百時間以上の国会での議論を通じて、そして、与党のみならず、野党三党も賛成をして成立をしたものでございます。

 この平和安全法制が成立することによって、我が国周辺を含むあらゆる事態に切れ目のない対応が可能となるわけでありまして、これが我が国を守る上で非常に有益だと思っております。

 さらには、日米同盟の強化という意味においても、例えば警戒監視活動や共同訓練等、我が国の防衛に資する活動を行っている米軍等の部隊の武器や戦艦等を自衛隊が守れるようになった、今までは自衛隊だけの武器が、攻撃されたときに自衛隊しか守れなかったものを、一緒に共同で訓練をしている米軍の武器等も防護できるようになった等、まさしく日米同盟の強化に資する内容も多く含まれているわけであります。

 そういったものや、また、日米防衛協力のための新しいガイドラインもできたわけでありますけれども、こうしたことを通じて日米同盟の抑止力、対処力を一層強化することによって、北朝鮮を含む我が国を取り巻く厳しい安全保障環境の中で、我が国自身の防衛力の強化、そして、日米同盟の強化、深化、また、関係諸国との関係を構築していく上で大変有意義な法制であるというふうに認識をいたしております。

中村(裕)委員 米国で安倍総理が北朝鮮の弾道ミサイル発射について記者会見をする折に、トランプ大統領も同席をされて、米国は一〇〇%日本とともにいるという趣旨の発言をされました。これはまさに、平和安全法制の施行など、我が国が進めてきた安全保障政策が日米同盟の深化、強化に本当に資するものになっているというあかしだと思っております。

 今後も、盾と矛の関係の中で我が国の安全保障をしっかりやっていきましょうということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

江渡委員長代理 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは私が最後の質疑者でございますが、少し時間が押しております。この後、衆議院で、北朝鮮のミサイル発射に対する強い非難決議を我々全員で採択しようと思っておりますので、なるべく早く終わって次の本会議に備えたいと思っておりますので、簡潔な答弁をお願いしたいと思っています。

 一つ、ちょっと地元のお話をさせていただきたいと思っています。

 宮崎県に新田原飛行場、新田原基地がございます。ここのいわゆる防音対策に対する補助金等が出ておりますけれども、この対象範囲、第一種区域と申しますけれども、ここが縮小されるのではないかということで、私の方にも地元の皆様からさまざまな声が上がっております。

 大臣も御案内のとおり、これは衆議院の、または参議院の予算委員会で、自民党の宮崎選出の議員の皆様方が既に質問をされておりますので、この新田原基地のコンターの見直しの件につきましては十分御認識があるだろうというふうに思っております。

 この新田原基地、宮崎県の新富町というところにあるんですけれども、これまで非常に防衛省との関係は良好な関係が続いていたというふうに聞いております。実際、私も現地に行かせていただきまして、地元の皆様方は、国防を守るためには、やはり自分たちが基地の負担をしながらしっかりと支えるんだという中で、非常に協力的な皆様方であるというふうに私自身も実感をしたところでございます。

 しかし、今回のコンターの見直しについては、地元がかなり怒っているんですね。もともと怒っている人たちじゃなくて、ふだんはかなり理解のある方々が相当、九州の言葉で言うと、はらかいとったということを言うんですけれども、かなり私は、これは今後の防衛省のあり方、特にこの新田原基地は移転訓練の場所にもなりますし、さまざま重要な場所になると思っております。しっかりとこれは説明をしていかなければならないというふうに私は思っております。

 そこで、そもそも、この第一種区域等の見直しをなぜ今回は検討したのか。それを行わなければいけない必要性、その経緯について、まずはっきりとお聞きをしたいと思います。防衛省にお聞きします。

    〔江渡委員長代理退席、委員長着席〕

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、住宅防音工事の対象区域である第一種区域を現在の騒音状況を反映したものとし、そのような区域に所在する住宅を対象に限られた予算を重点的に配分することが重要であるという考え方に基づきまして、区域の全国的な見直しを行っているところでございます。

 平成十七年以降、横田飛行場、厚木飛行場など七飛行場において見直しを実施してまいりましたが、新田原飛行場については、飛行教育体制の見直しに伴う部隊の改編等により騒音状況が変化することが予想されたことから、平成二十六年十一月から二十八年三月にかけて、部外の調査機関に委託の上、有識者にも参加していただき、騒音の実態を把握するための調査を実施いたしたところでございます。

 この調査の結果、一日の標準的な飛行回数のうち、特に騒音が大きいジェット戦闘機の回数が、平成十五年当時、現在の区域が指定された際に行った調査の結果と比べまして大幅に減少したことなどにより、騒音の影響は低下し、第一種区域が縮小することが見込まれるに至ったわけでございます。

 この結果を、昨年末、関係自治体の皆様方に御説明をさせていただいたところでございます。

浜地委員 地元の皆様と防衛省との間で、このような少し認識の違いが出てきた一番の原因は、もともと地元の皆様方は、この区域の範囲を拡大してほしい、特に告示後住宅についても何か補助を与えてくれないかという陳情を行っているさなかに、こういった見直しがあるんじゃないかということを防衛省が説明されずに今回の見直しに踏み切った、まだ踏み切っておりませんけれども、その検討を始めたというところに、一番の私は地元がなかなか理解できないところがあるんだろうと思っています。

 ですので、地元から、現在の区域をさらに拡大してほしいという旨の陳情を受けていた際に、将来的に見直しがあるかもしれませんよということは地元に説明されていましたか。

深山政府参考人 御指摘の、直近の関係自治体からの区域拡大の御要請は、二十八年の十月にそういうお話を承りました。ただ、その時点では、先生が言われました、縮小をするような見直しが今後あるぞということにつきましては、私どもといたしましては、まだその段階では調査結果を整理中でありましたので、具体的にそこを明確に申し上げるということはできない状況でございました。したがいまして、先生から御指摘ありましたような感情を地元の方がお持ちになったのではないかと反省をいたしておるところでございます。

 今回、そうしたことを踏まえまして、新田原飛行場第一種区域の見直しについては、地元の御理解を得ることが極めて大切だろうというのを改めて認識したところでございまして、関係自治体、住民の皆様方と意思疎通を図って、今後ともしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

浜地委員 今、御担当の深山局長からそういう御答弁をいただきましたけれども、先日、私も自民党の先生方と地元の皆様方と防衛省に陳情に行かせていただきました。そのとき、確かに一番最初のそういった説明不足というのはあったかと思いますが、局長は、我々が地元から来たときに、玄関まで迎えに来てくれましたね。しっかり、時間をたっぷりとって、これから地元の皆様方の声を聞こうという姿勢を私は感じましたし、恐らく地元の皆さんも感じていらっしゃいます。

 ですので、これからもう一回気持ちをお互いに引き締めて、今の姿勢で続けていただければ、必ず私は地元の皆様方の理解は得られるんじゃないかと思っています。ですので、しっかりと局長を中心に、また、その長であります稲田大臣を中心に、とにかく地元の皆様方のお話をしっかり聞き、何がプラスになってマイナスになるのか、また、どういったところが実際激変緩和措置として行われているかということを丁寧に説明していただく姿勢というものをぜひ貫いていただきたい、そのように思っております。

 もう時間がありませんので最後の質問にいたしますが、この件につきまして、稲田防衛大臣、三月には見直しをするんじゃないかという報道がございましたが、もう現在三月でございます。これまで見直しを見送ってきていただいているわけでございますけれども、これまでの新田原基地の周辺の皆様方の気持ちを含んで、今後防衛省としてどのような対応をされていくおつもりなのか、最後に大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。

稲田国務大臣 新田原飛行場における第一種区域等の見直しに係る調査結果については、昨年末、防衛省から関係自治体の皆様に御説明をいたしました。

 これに対して、関係自治体の皆様方からは、国の調査結果に基づく第一種区域の大幅な縮小は容認できないと厳しい御意見を受けております。

 防衛省としては、関係自治体の皆様方の御意見や関係国会議員の方々からの御指摘を踏まえ、本年二月、新田原飛行場の航空機騒音の現状について関係自治体との共通の認識を得るため、航空機騒音を体感するとともに、騒音の測定を実施いたしました。さらに、関係自治体の皆様方からは引き続き同様の調査を求める御意見等をいただいたところから、改めて調査を行うべく、関係自治体の皆様方と日程等について調整をしているところでございます。

 見直しについては、地元の御理解を得ることが大切であると考えており、関係自治体の皆様方の御意見や委員の御指摘を踏まえ、地元の皆様の声によく耳を傾けつつ、丁寧に対応していきたいと考えています。

浜地委員 ありがとうございます。しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

山口委員長 次に、内閣提出、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。稲田防衛大臣。

    ―――――――――――――

 駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

稲田国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 平成十八年五月に日米安全保障協議委員会で承認された駐留軍等の再編を実現するため、平成十九年五月に制定された駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法は、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととなっております。しかしながら、今後も実施に向けた取り組みが必要な再編事業があることから、この法律の有効期限を十年延長する等の必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、法律の有効期限を十年延長し、平成三十九年三月三十一日までとすることといたしております。

 第二に、株式会社国際協力銀行の業務の特例に関する規定を廃止することといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

山口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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