衆議院

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第7号 平成29年4月25日(火曜日)

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平成二十九年四月二十五日(火曜日)

    午後二時三十分開議

 出席委員

   委員長 山口  壯君

   理事 江渡 聡徳君 理事 小野寺五典君

   理事 寺田  稔君 理事 中谷 真一君

   理事 中村 裕之君 理事 後藤 祐一君

   理事 升田世喜男君 理事 浜地 雅一君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      大西 宏幸君    門山 宏哲君

      金子万寿夫君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    小林 鷹之君

      國場幸之助君    左藤  章君

      武田 良太君    藤丸  敏君

      宮澤 博行君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    神山 洋介君

      横路 孝弘君    佐藤 茂樹君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

      吉田 豊史君    照屋 寛徳君

      武藤 貴也君

    …………………………………

   防衛大臣         稲田 朋美君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   防衛大臣政務官      小林 鷹之君

   防衛大臣政務官      宮澤 博行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 四方 敬之君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    能化 正樹君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛装備庁防衛技監)  外園 博一君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     石崎  徹君

  藤丸  敏君     國場幸之助君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     今枝宗一郎君

  國場幸之助君     藤丸  敏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

山口委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官四方敬之君、外務省北米局長森健良君、外務省領事局長能化正樹君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長高橋憲一君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官辰己昌良君、防衛装備庁防衛技監外園博一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。

横路委員 きょうは朝から何となくマスコミがばたばたしておりまして、私ども、何事もなく一日を送れればいいな、過ごせればいいなというふうに思っています。

 初めに、ちょっと北朝鮮問題と先制攻撃などについてお尋ねしたいと思います。

 北朝鮮も、中国、ロシア、韓国、そして日本という経済力のある国に囲まれてアメリカと対峙しています。経済規模など、また国民のさまざまな生活の面でも、韓国を含めて大きな差が広がるばかりです。

 これはもちろん自分たちが招いた結果なんですけれども、こうした中で、体制の危機に直面する北は、どう生き残ったらいいのかということで瀬戸際政策を展開しているという状況だと思います。大変難しい状況にありますが、北朝鮮自身がやはり正しく判断をしなければいけないことだと思っています。

 しかし、決断を迫られているのは、実は、軍事力の展開によってデッドラインを設けたトランプ大統領でもあるわけです。アメリカは、戦争のリスクで相手を威嚇し、望む譲歩を引き出すという、これもいわば瀬戸際外交でございます。しかし、一体、相手が譲歩する見通しがあるのかどうか、その見通しはどうなのか、譲歩が得られず武力行使を行った場合の結果に対する見通しというのはあるのかどうか、これもはっきりしない。

 学者によりますと、国際政治における危機の中で、瀬戸際政策というのが戦争が生まれる可能性が最も高い状況だと言われています。瀬戸際政策をとる相手に妥協すれば不当な圧力に屈したということになりますし、妥協を拒むときは全面戦争を覚悟しなければいけない。相手が全面戦争を覚悟しているのにこちらにはそのような意思がないときは、軍事的圧力を幾ら強めても効果は乏しいわけですね。特に相手が体制存続を目的として行動するときには、なかなか、圧力を加えても相手の行動を変えることは難しい、こういう状況だと思うんですね。

 この今の状況を防衛大臣はどう思いますか。軍事力で解決できると思いますか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になったことも含め、やはり我が国を取り巻く状況、そして、北朝鮮の脅威は、昨年来、核実験は二回、そしてミサイルは二十発以上、新たな段階の脅威に入ったというふうに考えております。

 その上において、今、武力で解決ができるかというお尋ねでしたけれども、やはり、我が国としては、しっかりと日米同盟を強化する、そして平和裏に、外交力も使いながら解決をしていくということ、そのためには、我が国自身の防衛力も強化し、日米同盟も強化、深化し、さらには関係各国との関係を構築していく、そういったことも含めて総合的に解決をしていく必要があるのではないか、このように考えております。

横路委員 一般論ではそうですけれどもね。

 北がなぜ核に固執するかといいますと、アメリカに恐怖を感じているためですよ。核開発こそがアメリカの攻撃を抑止する手段であると考えているんですね。なかなかこれは、やめるというのは今の状況でいくと難しいかもしれませんよ。

 そこで、防衛大臣にお伺いしたいんですが、日米関係でもいろいろな事態の推移に応じてすり合わせをしているということを、再三総理も含めて言っておられます。もしアメリカが武力行使を行った場合に、日本の被害想定、一体どうなるかというシミュレーションは防衛省でやっていると思うんですけれども、それはどんな状況なのか、やっているかどうかということを含めてお答えをいただきたい。

稲田国務大臣 米国の今後の対応について予断をすることや、米国が北朝鮮に対して攻撃をした場合といった仮定の質問についてお答えすることは差し控えるべきだと考えておりますが、さまざまな状況も想定し、検討もしております。

 また、その上で申し上げれば、北朝鮮問題については、外交努力を通じて平和を守ることが重要である、これは言うまでもありませんが、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、米国の抑止力を確保することも必要であるというふうに考えます。

 このような観点から、北朝鮮問題への対処に当たって、米国が、全ての選択肢がテーブルの上にあるとの姿勢を示していることを評価いたしております。

 政府としては、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化し、国民の生命と平和な暮らしをしっかり守っていくためにも、引き続き、米国との間でしっかり政策のすり合わせを行い、緊密に連携をしていくことは当然だ、そのように考えているところです。

横路委員 政府の方も、ミサイルが飛んできたらどうするかというようなことをいろいろと国民に知らせるということをやっていますよね。それはやはり、ある種の被害想定をした上ででしょう。例えば、核弾頭が落ちた場合どうなるか、あるいはそれが原発の上に落ちたらどうなるか、そういう被害想定はやっているんですか、やっていないんですか。

稲田国務大臣 さまざまな状況について想定をしておりますけれども、細部については差し控えるべきだと考えております。

横路委員 広島市が二〇〇七年に核兵器攻撃被害想定専門部会というのをつくって、報告書が出ています。これは、今の広島市を想定して、あのときと同じ十六キロトンが落ちたという場合で、死者が六万六千四百人、負傷者が二十万五千人というような想定になっています。一メガトンの場合は死者が三十七万二千人ということですね。

 それから、財団法人日本国際問題研究所が外務省の委託を受けて、一九八四年二月に、原発の原子炉が破壊されたときにどうなるかという想定をしていまして、このときは、急性の被曝で最大で一万八千人が亡くなる、出力百万キロワットの原発が攻撃されたときです。

 それから、アメリカのヘリテージ財団、アメリカと韓国の軍人がアメリカ国防省の軍事シミュレーションを使った結果は、国会議事堂に落ちた場合、広島型、死者が四十二万三千六百二十七人、全体の被害者が八十一万を超えるということなんですね。

 私は、今の状況、確かにいろいろな問題があります、いろいろな問題がありますが、こういう事実に直面すると、やはりもっと外交努力をしっかりやらぬといけないと思うんですね。

 例えば六者協議がありましたでしょう、きょう中国の代表が来ているようでございますけれども。例えば最近のロシアの行動、ウラジオストクと羅津の間に定期航路を開設したでしょう。ロシアだけは、知らないよという顔で北朝鮮を支援していますよね。六者会議といったら、ロシアも中国も入って、韓国、日本、アメリカということですよね。

 ですから、本当にそんな意味では、外交的な努力をもっと積み重ねる要素はあると思うんですよ。これは外務省に本当は言わなきゃいけない話なので、きょうは稲田さんにはいいですけれども、もっと本当にやるべきことがある。やはり本当に必死の外交努力をして避けるということと、もう一つは先制攻撃です。

 アメリカは、全ての選択肢がテーブルの上にあるという姿勢を示しております。先制攻撃というのも、これはアメリカとの協議の中で出ているんじゃないですか。それに対して日本はどうしているんですか。いいと言っているんですか、だめと言っているんですか。

    〔委員長退席、江渡委員長代理着席〕

稲田国務大臣 先制攻撃に関しては、これは国連憲章との関係を含め、国際法上の評価については外務省の所管事項ではありますけれども、しかし、従来から、政府としては、国連憲章上、自衛権の発動が認められるのは武力攻撃が発生した場合であることから、何ら武力攻撃が発生しないにもかかわらず、ある国家が自衛権を援用して武力を行使することは国際法上合法とは言えないと考えております。

横路委員 そのとおりなんですよ。

 そして、前にイスラエルがイラクの原子炉を爆撃したときにも、これは安保理事会で、憲章違反であるといって、日本も賛成して、全会一致でそれは違法な行為だということを決めているわけですよ、言っているわけですよ。

 問題は、アメリカのあらゆるオプションということの中の武力攻撃というのは、私は今の中で北朝鮮から先に先制攻撃するというのは余り考えられない中で、もしアメリカが先制攻撃するけれども日本に協力してくれと言われたら、今の姿勢で貫くことがちゃんとやれるんでしょうか。やってほしいと思います。

稲田国務大臣 米国の今後の対応に関して予断をすることや、米国が北朝鮮に対して攻撃をした場合といった仮定の質問にお答えすることは差し控えます。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、国連憲章上、国際法上、何ら武力攻撃が発生しないにもかかわらず、ある国家が自衛権を援用して武力を行使することは国際法上合法とは言えない、これが原則だと思います。

横路委員 防衛大臣も安全保障会議の重要なメンバーなんですから、もしそういうことが議題になったときは、今の意見をちゃんと伝えて、トランプさんに協力することのないようにお願いをしたいと思います。

 それで、海上自衛隊とアメリカ空母の訓練についてですが、随分いろいろと質問もあったようなので、これは、今ずっと北上して、訓練しながらやっているわけでしょう。日本海にも入るんですか。

稲田国務大臣 現時点で、期間、さらにはその他のことについて、部隊の運用に係る事項ですのでお答えを差し控えさせていただきますが、場所は西太平洋ということでございます。

横路委員 今、「さみだれ」と「あしがら」、「あしがら」は「あたご」型ですよね、これが一緒に訓練をやっているわけですが、この訓練について、安保法制に基づく武器等防護の役割、これを担っているんですか、担っていないんですか。

稲田国務大臣 自衛隊法九十五条の二に基づく米軍等の部隊の武器等防護については、昨年十二月に、自衛隊法九十五条の二の運用に関する指針を国家安全保障会議において決定するとともに、部内の規則類を整備した上で、米軍を対象に運用を開始したところでありますが、個別具体的な警護の要請の有無、実施の状況等については、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。

横路委員 けさの新聞に両方とも出ているんですよ。読売新聞は「日米訓練 日本海でも」、それから東京新聞には「海自によると、安保法に基づく新任務の訓練は行っていない。」と。みんな新聞に出ていて、こういうことを何で答えられないんですか。新聞で報道しているということは、みんな自衛隊の方から情報が行っているだけで、あなたのところにだけ来ていないという話ですよ。

 何か、しゃべることに問題があるの。日本海でもやりますよとか、あるいは、任務はつけていないとか、つけているとか。この新聞報道によると、日本海には行く、任務は与えられていない、こういうことですが。

稲田国務大臣 報道は承知しておりますけれども、先ほど訓練の場所について申し上げたとおりであり、また、九十五条の二については、個別具体的な警護の要請の有無、実施の状況についてはお答えを差し控えさせていただいているところでございます。

横路委員 委員長、やはり、こういう答弁を拒否されるというのはちょっと委員会の審議に、国会は国権の最高機関なんですから、ということをぜひお考えいただきたいというように思います。

 今回の訓練はFDOだというように言われています。つまり、もちろん海自の技術を向上するということもあると思いますけれども、しかし、やはり、主にいろいろな役割を担っての訓練になるわけですよね。柔軟かつ即応性のある指揮統制のためのというようなことが言われているわけでございますが。

 日本海に進むという、お答えにならなかったけれども、そこまでやるというのは、目的として、単なる技術強化ということだけではなくて、やはり、一旦何かあったときの連絡の仕方とか、指揮の方法とか、いろいろな点も含めたかなり実戦的な意味を持っている訓練だと思うんですね。

 日本海に行くということは、FDOということの意味は、相手方、つまり北に対して、これ以上進むな、我々は本気だよという意思表示だと思うんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 まず、何度も申し上げますが、報道は承知しておりますが、現時点で日本海で共同訓練をするということを決めたということはありません。

 そして、今回の日米共同巡航訓練は、海上自衛隊の戦術技量の向上及び米海軍との連携強化を図ることを目的として実施をしているものでございます。

 その上で、この訓練を実施した結果として、日米の連携強化が図られ、そのきずなを示すことが、北朝鮮による核、ミサイルの開発や運用能力の向上が新たな段階の脅威になるなど我が国の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟全体の抑止力、対処力を一層強化し、地域の安定化に向けた我が国の意思と高い能力を示す効果があるもの、このように考えております。

横路委員 空母打撃群、これは、大型航空母艦、ミサイル巡洋艦一隻、ミサイル駆逐艦が二隻に、攻撃型の潜水艦に、そして補給艦ということですね。そして、いざというときどういう形になるかといいますと、航空母艦の艦上に打撃群司令部指揮所というのができるんです。その司令部指揮所にワシントンやあるいは偵察衛星などからの、あるいは、日本でいうとイージス艦その他からの情報が全部集中するわけですね。その指揮下の全部隊についての情報が集中的に統合されるわけです。

 日本の場合に、後方支援の形であれ打撃力を行使する米軍への協力であれ、よく、十五事例集というのがありましたでしょう、あの中に、米艦防護というのが非常に多かったですよね。では、米艦防護の形がどうなるのかというと、例えばアメリカの空母を自衛隊が守ろうとするときに、自衛隊が撃破する相手の情報はどこから来るか、空母に向かってミサイルが飛んでくる、あるいは潜水艦に戦闘機が襲ってくるという情報がどこから来るかということが大事なんですよ。

 アメリカの空母の機動隊は物すごく広い範囲の情報をカバーしているんですね。衛星などからの情報網もあるわけです。

 それで、これは柳沢協二さんという内閣官房副長官補の人の話なんですが、一度、日本有事を想定した共同訓練についての彼の経験を語っています。

 こっちの方から脅威が来た、ミサイルを搭載した戦闘機が来たという情報がもたらされると、その戦闘機を撃ち落とすにはどの艦艇のどの武器を使えば一番合理的かとコンピューターが計算をするんですね。これは、ウエポンアサインメントといって、任務分担ですね。どの艦艇のどのミサイルを使って迎撃しろということは、米軍とか自衛隊とかは関係ないんですよ、その指示に基づいてやるわけです。それに基づいて船がミサイルを撃つシステムになっているというわけです。

 つまり、指揮は、事実上、防空の中枢を担っている艦船の指揮官の判断で自動的に動くわけで、日本には指揮権はないわけですね。その仕組みの中に入らなければ、防護するという、米艦護衛という任務を果たすことはできないわけですよ。ということでよろしいですか。

稲田国務大臣 まず、今回の共同訓練、そして、自衛隊と米軍の艦隊が共同で対処に当たる場合の指揮関係について今お尋ねであったわけですけれども、我が国と米国とは、従来より適時適切な形で種々の調整を行い、それぞれの指揮系統を通じて行動をすることとしております。

 日米ガイドラインにおいても、自衛隊及び米軍は、緊密に協力し及び調整しつつ、それぞれの指揮系統を通じて行動するというふうに明記をされているところでございます。

横路委員 いや、ガイドラインにはそう書いてあるけれども、時間があれば後で議論しますが、陸上自衛隊が行う後方支援活動、これだって、実際はやはり米軍の指揮下に入って、戦闘している部隊の指揮下に入ってやらなければ行動なんかできやしないですよ。

 今の、十五事例集の中の米艦護衛のケース、具体的な指揮系統はどうなっているのかというところで、これはまた今後議論していきたいと思いますが、実際は本当にコンピューターが判断して、それに従って自動的に行くわけ。そうしなかったら、つまり、その中に入らない限り、外から幾ら応援に駆けつけたって何の役にも立たないですよ、はっきり言って。このことだけ指摘しておきます。

 もう一つは、弾道ミサイル防衛についてちょっとお尋ねします。

 弾道ミサイル防衛の中枢は横田基地です。これは、航空総隊の司令部が二〇一二年に横田へ移って、ミサイル防衛の拠点となる共同統合運用調整所を新設して、情報共有や提携の運用を強化してきました。

 ここには、地下に開設した大型モニター、四枚のスクリーンが据えつけられまして、米国の早期警戒衛星や空母、あるいはAWACSや地上配備型レーダー、イージス艦などから集められた東アジア一帯の情報がリアルタイムで映し出されて、在日米軍と自衛隊の幹部が一緒に作戦を練る。隣に米軍の司令部があって、地下で一緒になっているわけですよ。

 ですから、例えば北朝鮮がミサイルを発射したというと、第一報は必ず日本に通告するようになっていますよね、日本に向かったミサイル発射は。これはもう既に日米間で約束ができていることです。

 こういうことで、しかも、防衛省の方の中央指揮所とも回線が結ばれておるということと、同じ階には迎撃を指示する指揮所も一緒になっているんですね。そういう意味でいうと、非常に日米間が一体となったミサイルを防ぐ体制というのはできていると思うんです。

 これは私、ぜひ委員長、提案なんですが、私ども、視察に行って、実際どうなっているかということをみんな見た方が議論するのに非常に参考になると思うんですね。ぜひ、この横田基地の共同統合運用調整所の視察を提案したいというように思います。

江渡委員長代理 理事会で協議させていただきたいと思います。

横路委員 それから大臣、だから、要するに、北からやったミサイルはすぐわかるんでしょう、防衛大臣のところにはすぐ報告が来るんでしょう。韓国からどうこうと国会でいろいろ答弁していましたが、そんなことじゃなくて、すぐ連絡が来ているでしょうということです。

稲田国務大臣 弾道ミサイルの発射に関しては、防衛省の中央指揮所において、二十四時間、早期警戒情報及び自衛隊等のレーダー情報を入手できる体制をとっており、その探知により私のところに直ちに報告されるということでございます。

横路委員 お答えづらいかもしれないけれども、発射して何分後ぐらいに連絡が来ますか。本当にごく短い間で連絡が来るはずです。

稲田国務大臣 確認をした場合、速やかに、直ちに報告されるということでございます。

横路委員 大臣は、横田は行ってごらんになりましたか。

稲田国務大臣 横田には視察に行きました。

横路委員 弾道ミサイルのシステムというものの持っている問題点というのは問題点であるんですね。ミサイル防衛が強化されればされるほど、今度はある意味でいうと先制攻撃がしやすくなるという欠点があります。

 いろいろな問題がございますが、あともう十分しか時間がありませんので、法案について二点ほど。

 一つは日米共同部ですが、座間に設置して、本体の方は朝霞に行くということのようなんですが、これは単なる連絡調整じゃなくて、作戦計画を含めたいわば共同作戦体制をいろいろと行うというのが一つの任務なんでしょう。

稲田国務大臣 日米共同部についてのお尋ねでございます。

 新ガイドラインのもと、日米両政府は、我が国の平和と安全に関連する緊急事態に際し、自衛隊と米軍がより緊密に連携して適切に対応できるよう、それぞれの政府の関係機関を包含する共同計画策定メカニズムを通じ、平素から共同計画の策定、更新を行い、その成果を最大限活用することとしております。

 他方、日米共同部は、あくまでも主として平素から在日米陸軍等と日々情報共有等を行い、事態発生時にシームレスな調整を行うことを任務とするものであって、共同計画の策定、更新の促進を目的としたものではありません。

 また、陸上総隊が設置された後においても、従前と同様に、日米が緊密に連携しつつ、それぞれ独立した指揮系統に従って対処することは何ら変わりはなく、米軍の指揮下に入るなど米軍と一体化するということはないということでございます。

横路委員 後方支援活動というのは、戦闘地域じゃないところで活動しようとするわけですね。だから、その地域で戦闘を統制している師団なり部隊がいるわけです、こちらの方から補給に入っていこうという。どのルートを通っていけばいいのか、今どんな状況で、危ないのか安心なのか、その司令部のコントロールのもとで動かなければ、かえって危ないんじゃないですか。だから、状況によっては、そういうような脅威情報を与えてくれて、取りやめることもできるかもしれない。したがって、指揮下に入るということは、戦闘が行われているところに後方支援で補給に行くわけですから、当たり前の話じゃないですか。

 細かいことの指揮はその部隊のもちろん指揮官の人、全体的にどう動くかということは、その全体の戦闘地域を支配しているところの司令部の指揮に基づいて行われるのが常識じゃないんですか。

稲田国務大臣 もちろん日米でさまざまな政策のすり合わせや調整は行っておりますけれども、しかし、独立した指揮系統に従って対処するということは何ら変わりはなく、米軍の指揮下に入る、米軍と一体化するということはないのだと考えております。

横路委員 これは陸ばかりじゃなくて全体の問題ですから、また議論しましょう。

 もう一つ、宇宙の問題なんですが、今回、航空自衛隊の宇宙状況監視システムといった分野の自衛官の定数をふやすということが法律の中身になっています。

 宇宙の軍事利用というのは、一九九一年の湾岸戦争を契機として軍事作戦への宇宙への取り組みを本格化させたんですね。その後のアフガニスタン、イラクなどの戦闘作戦で活発に宇宙を利用してきました。特に各作戦における衛星通信の重用は、プレデターやグローバルホークといった無人機の登場などによって大幅に増大しています。また、GPSの作戦利用も一層顕著になっておりまして、二〇〇一年のアフガニスタンでの作戦では、誘導弾の半数以上はGPSを利用したものだったと言われています。米軍の軍事作戦は、通信からミサイル誘導、艦艇の運用、あるいは偵察など、あらゆる作戦を人工衛星に頼っているんですね。

 しかし、宇宙システムへの依存が深まれば深まるほど、宇宙システムが利用できなかった際の影響も大きくなってきて、宇宙利用の脆弱性の増大をもたらしています。今まではあくまで地球上での軍事活動を支援することにあったこの状況に変化が生まれつつあります。

 一つは、対衛星兵器の開発、あるいは宇宙利用の妨害も考えられています。衛星のセンサーなどを狙ったレーザー照射、衛星や地上局の電子機器を狙った電磁パルス攻撃、データリンクへのジャミング、地上局や支援インフラへの攻撃、妨害工作、宇宙システムへのサイバー攻撃。二〇〇七年に中国が衛星を物理的に破壊したということも知られているところです。

 そうすると、今の宇宙状況がどうなっているかというSSAは、全ての宇宙作戦の基礎となって、宇宙コントロールに不可欠なものになっているんですね。

 そこで、現在は、内閣の衛星情報センターが運用する情報収集衛星、文部省やJAXAが運用する宇宙監視システム、防衛省はXバンド防衛通信衛星を持って運用しています。これからの宇宙監視システムというのはもっと整理統合されなきゃいけないんじゃないかという意見がありますが、その点どうお考えですか。

稲田国務大臣 宇宙ごみの増加、衛星破壊実験など、宇宙空間の安定的利用を妨げ得るリスクが増大しており、これに実効的に対処し、宇宙空間の安定的利用を確保することが必要です。

 現在、防衛省では、宇宙基本計画に従って、平成三十四年度までに我が国の自立的な宇宙状況監視、SSA体制を構築できるよう取り組んでいるところです。

 具体的には、今後、米国及び国内関係機関、文部科学省、JAXAとの連携に基づくSSA体制を構築するため、今年度においては、我が国の衛星、宇宙ごみ、不審な衛星等に対し常時監視可能なセンサーやその運用システムに係る基本設計に着手することといたしております。

 防衛省としては、引き続き、将来のSSA体制の構築に向け、政府横断的な取り組みを進めてまいります。

横路委員 ただ、心配なのは、日本を含めて宇宙の軍事利用が歯どめなく進むと、では一旦宇宙で戦争が始まったらどうなるんだろうか。それはもうとてつもない大きな被害が出ます。他国の衛星を攻撃する、破壊するキラー衛星とか、衛星に宇宙核兵器を搭載すること、これは昔レーガン大統領のときにそういう構想がありまして、それがマルタ会談の米ソの和解にもつながっていったんですが、やはりこれは国際社会でのルールづくりがどうしたって必要ですよ、しっかりと。

 ただ、SSAの方は、いろいろなごみがたくさんあるのをぶつからないようにするとか、いろいろな点でこれは大事なことであります。同時に、宇宙の軍事利用にしっかり歯どめをかけていくということでないと、宇宙が戦場化して、そんなところで核戦争なんということになったら、これはもう大変です。

 そのことも含めて、宇宙の問題というのはこれから非常に大事な問題だというように、これからというかもう既に大事な問題だということを申し上げて、時間が来ましたので質問を終わります。

 ありがとうございました。

江渡委員長代理 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 神山洋介でございます。

 きょうの設置法の議論に関連をして幾つかの質問をさせていただきたいわけですが、まずは、現下の北朝鮮情勢に関連をしての質問をさせていただきます。

 その前に、前段の横路委員の議論の関連で、大臣に一つお尋ねをさせていただきます。

 先ほど冒頭に、被害想定をしているのかどうかというシンプルな御質問があって、それにお答えにならなかったわけですが、これはなぜ答えられないんでしょうか。

稲田国務大臣 先ほどのお答えと繰り返しの部分もありますけれども、さまざま想定はいたしておりますが、しかし、細部についてお答えをすることは差し控えたいということでございます。

神山(洋)委員 いや、細部についてここでぺらぺらしゃべってくださいと言っているんじゃないんですよ。被害想定をしていますかということだから、被害想定はきちんとしていますということであれば、きちんとしていますというふうにお答えになっていただいた方がいいと思うんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 さまざまな条件によっても異なりますので、さまざまな状況についての検討はしているということでございます。

神山(洋)委員 いや、何をそこで隠すのかわからない。確かに、被害想定をするからには、こういう場合の攻撃があり得るだろう、こういうシナリオがあり得るだろうということを想定しなきゃいけませんので、それを大っぴらにしてしまえば、我が国としてどういう対処をしようとしているのかという手のうちを明らかにしてしまう。そういう意味でそれをオープンにできないなんて、そんなものはわかっていますよ。それをこんな平場でオープンにしてくれなんて言っていません。

 言っていないけれども、そういうことを、詳細は明らかにしないけれども被害想定はきちんと把握をし、クリアにした上で対処オプションを講じているのだということを防衛大臣たる方が、国民であり、場合によっては周辺各国、当事国も含めたところにきちんと知らしめることがこういう局面では大事じゃないですかということを申し上げているんです。

 だから、詳細は言えないけれども、被害想定ということもきちっと認識をした上で、その上でこれからの対応オプションをきちっと講じているんだというふうに一言言っていただければいいんですよ。

稲田国務大臣 政府としては、弾道ミサイル発射を含むさまざまな事態を想定して、関係機関が連携して、各種想定、シミュレーション、訓練を行っているところでございます。

神山(洋)委員 いざ本当に事が起きてエスカレーションした場合には、日本、我が国にとっても、それは人的なものも被害も含めていろいろなことが想定をされるわけです。そういった重みも含めてこれからの対応を考えているのだということを、きちんとこれは国民向けに対しても説明をし切るということがまさにこういう局面では大事ですから、そこはあえて言葉を濁す必要はないですよ。こんな平場で言えないことを、何で言えないんだということを言うつもりはありませんので、そこはきちんとやってください。

 その上でですが、先ほど冒頭も、日本海に入るのかというような話もありました。そこをあえて聞きたいわけではないんですが、きょう、Xデーじゃないかと言われている中で、北朝鮮東部の元山付近だと言われていますが、最大規模の火力訓練が行われているんじゃないかというような報道もあって、それに対して韓国の国防省は、挑発と関連をした特異な動向は確認されていないということを公式に答えられているというふうに承知をしていますが、これは稲田大臣も同じ認識ということでよろしいですか。

稲田国務大臣 同じ認識ということで結構でございます。

神山(洋)委員 韓国との認識ギャップが、私は、少しあるんじゃないか、なかったらそれでいいんですが、あるんだとしたらそれは埋めていただきたいなというふうに思っているので、このことをあえて伺いました。

 今回のこの局面についても、これはもちろん報道ベースでの空気感が主になってしまいますけれども、我が国とアメリカは非常にテンションが高くなっているという状況なんだろうなというふうに思っていますが、それに比べて、韓国は少しローキーといいますか、少し、そこまでいっていないのではないかというこのギャップをどうしても私は感じてしまうわけです。どこがどう正しいのかというのは、そもそもの現状の細かいところはもちろんわかり得ませんので判断できませんが、いずれにしても、こういう局面で緊密に協力をするということを言い続けている限りは、日米韓は少なくともこの状況に対して同一の認識を私は持つべきだと思うんです。

 午前中は、そういう意味も含めて、会議が東京で行われていたということは承知をしているわけですが、引き続き、これは前回も似たような話をさせていただいたんですが、そこの認識ギャップというものをぜひ生じさせないようにしていただきたいと思うんです。

 大臣、そこは問題意識は御理解いただけますか。

稲田国務大臣 共通の価値観、そして共通の北朝鮮という新たな段階に入った脅威を共通認識として持つ国々、日米韓、しっかりと認識、さらには連携を密にして、この地域の平和と安定に尽力をすべきだと考えております。

神山(洋)委員 この後の法案も含めての議論のちょっと前提として、実は、これは前回伺おうと思っていて、時間の関係で聞けなかった話で、一つお尋ねをさせていただきたいんですが、前回、少し抑止の話をさせていただきました。

 抑止の話は、基本的に相手が合理的であるという前提に立って一定の抑止力というものが機能するというのが議論の前提にあるわけです。この局面においては、短期的な、この限定された局面においての抑止論がどこまで有効かという話は別としてですが、しかし、今から、まさに今行われている訓練であるとか、さまざまな情報戦も含めて、一定の相手に対しての認識というのは私は必要だと思うんですね。

 そこで、お尋ねしたいのは、北朝鮮という国に対して大臣がどういう認識を持たれているかということです。端的に言えば、合理的だというふうに考えているのか否かということです。大臣、ここはいかがですか。

稲田国務大臣 その点については、予期せぬ行動をすることもあり得るし、さらには、前回も申し上げましたように、計算をしている場合も考えられる。

 ただ、言えることは、北朝鮮は、自分の国民の生活よりも、軍事、そして核というものを開発し続けている。さらには、昨年、核実験二回、ミサイル二十発、新たな段階の脅威に入っている。そのような国が日本海を隔てたすぐそこにあるということを考えて、我が国の安全保障というものを考えていかなければならないということでございます。

神山(洋)委員 合理性が何に依拠するかというのが国によって違うというのはこれは当たり前、当たり前と言うべきかどうかは別としてですが、恐らく違うんだと思いますし、今おっしゃっていただいたように、北朝鮮という国が依拠する合理性の根拠というものがかなり特異であるということは我々は忘れてはならないんだろうと思います。

 一方で、軍事の領域における合理性というものをどこまで北朝鮮が判断の材料として有効にそれを使っているのかということは、やはりきちっと瀬踏みをしながら、手を一個一個打っていくということは必要だと思いますので、ここの部分が、先ほど来申し上げた、韓国との認識ギャップというところで生じないように、そこはぜひ慎重に事を運んでいただければと思います。

 一旦この話から少しだけ離れて、法案の話にひとつ入りたいわけですが、関連をするんですけれども、今回の設置法で一つ目に挙げられているのは定数の変更の話です。

 サイバー防衛隊や航空自衛隊の宇宙状況監視システムといった分野の定数を増加させるとともに、自衛官定数の総数は維持をするということです。陸上自衛隊マイナス七人、海自マイナス一、空自プラス二、共同の部隊プラス六ということです。

 今回のこの定数の変更、端的に伺いたいのは、その趣旨であり目的は何ですかという話と、その上で、この定数の変更によって何が変わるんですかという話、これをお伺いさせていただきます。

稲田国務大臣 今委員も御指摘になったように、まず、サイバー攻撃に関する訓練機能を強化するために、サイバー防衛隊を六名増員いたしております。自衛隊の情報通信ネットワークを模擬し、攻撃部隊と防護部隊に分かれた上で、より実戦的サイバー演習を行うことが可能となります。

 また、ペネトレーションテスト、すなわち、実際のサイバー攻撃と同様の手法を用いて自衛隊の情報システムに侵入することにより、今まで明確に把握できていなかった脆弱性を発見することが可能となり、こうした脆弱性に対する対策を進めることにより、自衛隊のセキュリティーレベルを向上することができる。

 また、宇宙状況監視システムの整備に向けた準備態勢を強化するため、宇宙状況監視システム整備を担当する航空幕僚監部に陸自、海自から二名を増員するとともに、空自の中で航空幕僚監部に一名を振りかえることにより、航空幕僚監部に合計三名を増員することとしております。

 具体的には、米軍とJAXAへの派遣要員としてそれぞれ一名と、宇宙状況監視システム設計に着手するための要員一名を確保することにより、宇宙監視システムの設計や運用要領に関する検討を加速することが可能となると考えております。

神山(洋)委員 やらないよりはやった方がいいと思うんですが、私が申し上げたいのは、最初から結論から言うと、余りにもシャビー過ぎやしませんかという話なんですよ。

 特に、人数として少し多いのはサイバー防衛隊の部分ですよね。まさに今大臣からもお話がありましたが、ペネトレーションテスト、脆弱性の検証ですよね、これは。やらないよりはやった方がいいとは思いますが、しかし、たかだかこの人数で、今言われているサイバー領域における安全保障であり、ここでいえば、直接的には自衛隊の情報システムの保全がメーンであることは承知をしていますが、こんなので本当に大丈夫ですかということを私は申し上げたいんですよ。

 何でもかんでもアメリカをまねすればいいという話じゃありませんけれども、アメリカの同種の部隊は六千人以上と言われていますよね。我が国は、今回の変更はありますけれども、しょせん百人ぐらいですよ。予算の規模はゼロが一個違うぐらいですから、同列に比較すればいいという話じゃないとは思いますが、しかし、今この時代に、これだけデジタルなネットワークが発達をしている時代に、本当にこのレベルでいいのかという危機感を私は覚えるわけです。

 この後また議論させていただきますが、ましてや北朝鮮との今の話でいえば、テレビを見れば、艦船があって、ミサイルが発射をしという、そういう場面ばかり出てきますが、この時代の戦争は、ミサイルでドンパチの時代じゃもはやないですよ。民生を破壊し、経済を破壊しというところから入っていく時代じゃないですか。そのときのはな棒を担ぐのは、このサイバーの領域なわけです。もっと、大臣、私はここを強く危機感を持っていただきたいんですよ。こんなレベルではやっていけませんよ。

 その根本にあるのは何かといえば、この後ちょっと議論させていただきますが、自衛隊としてサイバー領域の何を守るのかという、ここを見直さなきゃならないと私は思っているんです。

 防衛大綱にはこう書いてあります。主に冷戦期に想定をされていた大規模な着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、不確実な将来情勢の変化に対応するための最小限の専門的知見や技能の維持、継承に必要な範囲に限り保持することとし、より一層の効率化、合理化を徹底する。これは正しいと私は思っています。

 つまり、今までの部隊編成を相当柔軟に見直さなきゃいけないんじゃないですかということを私は申し上げたいわけですし、もう前段の前振りをやりましたけれども、このサイバーのところなんて、まさしくその根幹じゃないですか。大胆に、柔軟に見直すべきじゃないですか。

    〔江渡委員長代理退席、委員長着席〕

稲田国務大臣 委員も御指摘のとおり、サイバー空間における、また宇宙空間もそうですけれども、自衛隊の体制についてはこれまで以上に強化する必要があるというふうに考えております。

 今後の検討の中で、サイバー防衛隊、宇宙状況監視システムに関する定数の増加も含め、サイバー空間、宇宙空間に関する体制の強化に真剣に取り組んでまいりたいと思います。

神山(洋)委員 大臣、これは、根本は体制の話じゃないですよ。自衛隊としてサイバー領域におけるどこを守るのだという、そこの根幹の話なんですよ。

 この後も議論させていただきますけれども、今のサイバー防衛隊は、あくまでも、自衛隊という組織のシステムに対してのサイバー攻撃をいかに防ぐか、これが仕事ですよね。

 我が国に対してのサイバー攻撃に誰がどう対応するんですか。どうやって対応するんですかという話が全然決まっていないわけですよ。

 裏を返せば、そこは結果的には自衛隊じゃないという理屈も論理的にはあり得るかもしれませんが、そこに対しての体制であり、ある種の制度も含めて、ずっぽりと穴があいちゃっているというこの状態を長々と放置してはまずいという、その危機感を大臣に持っていただきたいんですよ。

 どうですか、大臣、そこは共有していただけますか。

稲田国務大臣 共有します。

神山(洋)委員 そう考えたときに、今の北朝鮮からの状況、北朝鮮がどういうことを考えているのかは知るすべもありませんし、我が国がどこまでそれを想定しているのかということをここで大っぴらにしていただこうとも思いません。しかし、さまざまな想定の中では、当然、今申し上げたサイバー攻撃というところもあろうかと思います。

 我が国に対して、北朝鮮が、のみかどうかは別としてですが、サイバー攻撃という手段を一つ講じてくるという可能性、蓋然性について、大臣、どう認識されていますか。

稲田国務大臣 今御指摘になった状況もあり得るという、さまざまな事態を想定して考えていかなければならないということでございます。

神山(洋)委員 二〇一六年の伊勢志摩サミットの文言ですけれども、「我々は、一定の場合には、サイバー活動が国際連合憲章及び国際慣習法にいう武力の行使又は武力攻撃となり得ることを確認する。」ということが合意をされています。

 我が国においても、サイバー攻撃は、ここと同様に武力の行使または武力攻撃となり得る、そういう理解でよろしいですか。

稲田国務大臣 昨年の五月のG7サミットにおける声明は、サイバー空間を通じた脅威が増加、深刻化していることを背景に、G7として、「一定の場合には、サイバー活動が国際連合憲章及び国際慣習法にいう武力の行使又は武力攻撃となり得る」との認識を示したということでございます。

 その上で、サイバー攻撃と自衛権行使との関係については、武力の行使の三要件を満たす場合に憲法上許されるという立場でございます。

神山(洋)委員 私は、この二年ぐらいだと思うんですが、大臣とも何度かやりましたし、ほかの場も含めて、このサイバー攻撃の話をずっと取り上げてきているわけです。

 ある意味では、そこは政府の答弁は一貫をしていて、何がサイバー攻撃かについては一概に言えません、個別の状況に応じて判断をします、ただし、自衛権の発動による対処は、もちろん、場合によりけりでしょうけれども、発動による対処は可能ですというその答弁そのものは、一致をしているというか、ずっと一貫をしているということは承知をしています。

 この中身についてもこの後議論させていただきますが、その前段として、今回の、さっき法案の関連で少し議論になったサイバー防衛隊でしたかは、自衛隊に対してのサイバー攻撃にはもちろん対応するということになっています。自衛隊に対してのサイバー攻撃は、自衛隊内にあるサイバー防衛隊が対応する。

 では、我が国に対してのサイバー攻撃に対しては誰が対応するんでしょうか。

山口委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 我が国全体のサイバーセキュリティー政策はサイバーセキュリティ戦略本部が中心となって推進しており、内閣サイバーセキュリティセンターは、その事務局として、サイバーセキュリティー施策について必要な企画及び立案並びに総合調整等を行っております。

 政府機関の総合対策促進、事案対処支援、重要インフラのサーバーセキュリティー対策の調整、我が国のサーバーセキュリティー確保のための調整、協力など、NISCのもとで、防衛省を含む各関係省庁がその取り組みに参画する体制となっているところでございます。

 そういう意味におきまして、ただいまの委員の御質問に対しては、政府全体ということだと考えます。

神山(洋)委員 政府全体という言葉がよくわかりませんが、要はNISCだというふうにおっしゃりたいわけですよね。

 NISCは、調整する権限は持っていますが、指示、命令する権限は持っていないと思います。調整機関が対応できますか。いかがですか。

山口委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 政府全体ということを申し上げました。

 これは、サイバーセキュリティ本部において方針を決め、サイバーセキュリティセンターで調整をするということでございます。

神山(洋)委員 全然議論がかみ合っていないんですけれども。

 NISCが対処する。できますかと聞いているんです。無理じゃないですかと聞いているんです。いかがですか。

稲田国務大臣 先ほど申し上げましたように、方針を決めるのはサイバーセキュリティ本部、そして調整をするのはNISC、さらに、実施をするのは関係部署、省庁ということでございます。

神山(洋)委員 その調整というものにはそれなりの時間がかかりますよね。ここで議論をしているのは、サイバー攻撃があったという場合ですよ。そんな調整している時間、あるわけないんですよ。即時性を求められる場合がえてして大きいんじゃないでしょうか。

 どういうサイバー攻撃を想定されているのか私にはわかりませんが、今のこの御時世、何だってとまでは言いませんが、相当のことはできるように残念ながらなってしまっていますよ、大臣。その認識は、大臣、おありですか。

 だとしたときに、NISCが調整をして、調整した結果を各省庁、各所管におろし、そこが実行する。理屈上は正しいかもしれませんが、オペレーションとして成り立つはずがないじゃないですか。

 大臣、この危機感はわかっていただけるんじゃないですか。

稲田国務大臣 今委員がおっしゃったように、このサイバー攻撃に対する対処、これは体制を強化することも含めて極めて重要ですし、そのために、今回も、平成二十九年度において、サイバー防衛隊に、実戦的サイバー演習及びペネトレーションテストを行うための体制も整備し、さらなる体制の強化を図ることとしているわけでございます。

 そういう意味において、サイバー攻撃への対処に万全を期す、さらには、関係省庁、また部署が、事業所がしっかりと対処するということが重要だというふうに考えます。

神山(洋)委員 NISCが主に想定をしていて、特にまた対応しなければならないこととしてよく出てくる言葉に、サイバーインシデントという言葉が出てくるわけです。そこは聞こうと思っていないので、別に聞いていただければいいですよ。例えばそれは、大規模な情報漏えいがあったとかハッカーがハッキングをして個人情報が大量に盗まれたとか、いろいろな状況がそこはあり得るでしょう。それは、恐らく現行法制、体制の中でも、NISCの対応、調整の中である程度の部分は対応できると思うんですよ。

 しかし、ここで、特にこの安全保障委員会という場で、我々がこのサイバー攻撃という言葉から想起をして対応しなければならない問題として念頭に置かなければならないのは、軍事、自衛隊に対しての直接のサイバー攻撃はもちろんではありますが、もはや今の時代にそれのみではなくて、もっと大きな、広範な民生にかかわる領域にまで考えなきゃいけないわけです。それがいわゆる重要インフラ防護と言われていて、言葉が時々出てくるものじゃないですか。

 かれこれスタックスネットの話が出てから、もう十年以上経過をしているわけですよ。物理的に情報を盗むとかなんとかというだけであれば影響は及ぼさなかったけれども、あのスタックスネットがあらわれてから、物理的な被害が出るということまで状況は変わったわけですよ。イランの核施設の遠心分離機にそのマルウエアが感染をして、異常に高速回転になって、そしてその結果、その遠心分離機をぶっ壊したわけです。本当はもっと破壊し尽くすこともできただろうと言われていますが、ある程度の破壊にとどめることによって、交渉期間の一年とか数年を、一定の期間を確保することが目的だったというふうにも言われています。

 一年たってから、一昨年でいえば、ウクライナですけれども、電力も、これはロシアのしわざじゃないかと言われていますが、そこもとめられるという事態もあったのではないかということが言われています。これに対して一体どう対応するのかという話ですよ。

 今の制度、法律は、確かに、さっき大臣がおっしゃっていただいたように、自衛隊は、軍事のところに特化をし、自衛隊そのものに対してのサイバー攻撃に対しては対応しますというふうにやっている。しかし、重要インフラを含めた民生、場合によっては金融を含めた経済に対しての攻撃だってあり得るでしょう。そこに対して、では、どう対応するのかという話は、ずっぽりと落ちたままなんですよ。これは、防衛省の話じゃないといって捨てないでいただきたいんですよ。捨てるべきじゃないと私は思うんですよ。

 サイバーの領域は、これはきょうは時間がないのでそこまで議論できませんけれども、果たして専守防衛という概念が有効かという話もあります。技術的になかなか難しいんじゃないかということも言われています。今の自衛隊のサイバー防衛隊にどこまでの能力があるかわかりませんけれども、そういう局面にどう対応できるか、ここも考えなきゃいけません。

 いずれにしても、誰が対応するのか、どういう部隊が対応するのか、そういう、体制面もそうですし、もっとその前の段階で、制度の前の、法律の面も含めたところの対応、調整を政府全体として私はやっていただかなきゃいけないというふうに思うわけです。

 例えば、では、サイバーの領域で、何をもって急迫不正の事態だ、攻撃であるというふうにみなすんでしょうか。この定義、念のためちょっと聞いてもいいですか。

山口委員長 では、時計をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 サイバー攻撃の定義であるところの、情報通信ネットワークや情報システム等の悪用により、サイバー空間を経由して行われる不正侵入、情報の窃取、改ざんや破壊、情報システムの作動停止や誤作動、不正プログラムの実行や攻撃等として整理されているところの攻撃が、我が国に対する急迫不正の侵害に当たる場合ということではないでしょうか。

神山(洋)委員 非常に不安な答弁なんですよ。

 サイバー攻撃の定義だったらわかる、定義というか説明だったらわかるんですが、今のお話では、先ほど私が伺った急迫性であり不正の性格というものが全く表現されていないわけです。

 何をもってその急迫性を判断するのか、今ここで御答弁いただくまでに、先ほど来でありますけれども、協議をいただきましたよ。これは、実際にそのことが起きたときにそんなことをやっている余裕はないんじゃないですかということを言っているんですね。即時に、その場で準備ができていて、こうだという判断をして、それに対応するオペレーションを発動しなければならないというのが防衛省、一歩譲って防衛省の仕事じゃなかったとしても、政府の一員であり、安全保障会議の枢要な立場を占める大臣の仕事じゃないですかと私は申し上げているんです。もしその整理整頓がついていないのであれば、それは即座にスピーディーな対応をし、準備を整えるべきじゃないですかと言っているんです。

 もっと言えば、北朝鮮の危機だというふうにおっしゃるのであれば、想定の中にそういうことももちろん一つ入っているでしょう。もしそのことが、ここで言っているような話がリアルに起きたときに対応できないじゃないですかと。だったら、ここは急がなきゃだめですよ。

 国際社会の中でまだその定義が、共通したものがないのだということはずっと言われていますし、知っています。知っていますが、だからといって、では、我が国は、国際社会待ちで、その定義も判断の材料もなくずっと過ごすんですかといったら、違いますよ。我が国がむしろ判断基準をつくって、国際社会にこれでいこうというぐらいの動きをやったっていいんじゃないですか。そもそもその前提として、やはり問題意識をきちんと持っていただきたいんです。

 時間もないので、これに関してはあと一個だけにします。

 サイバー攻撃の一つの特徴は、誰が攻撃してきたのかよくわからぬという話です。ミサイルだったら、もっと言えば着上陸侵攻だったらある種一目瞭然ですよ。しかし、サイバー攻撃の場合は、誰が攻撃の主体なのかがわからぬ、場合によっては国じゃないのかもしれないという可能性すらある。

 その意味でいえば、サイバー攻撃にいかに対応するかということを考える前提として、相手をいかに特定するかというこの能力を国家として持たない限り、きちんとした対処能力は私は持ち得ないと思っています。これは、その分野でいえば発信源という言葉であったり、たしか防衛白書には攻撃源の特定という言葉だったかもしれません。言葉は何でもいいんです。誰が攻撃の主体なのか、それを我が国としてきちんと特定をし把握をする、その能力を私は高めなければいけないと思っていますが、その能力というかハード、人員も含めて、まだ余りないのはわかっています。

 前提として一つ伺いたいのは、では、それは誰が特定しなければならない責任者ですか。ここもさっきと似たような話になりますが。

山口委員長 では、時間をとめてください。

    〔速記中止〕

山口委員長 速記を起こしてください。

 稲田防衛大臣。

稲田国務大臣 そのシステムを管理する管理者、省庁、事業者になると思います。

神山(洋)委員 もう時間もないので、またにさせていただきます。

 国家としてサイバー攻撃にいかに対応するかということを考えるからには、国としてどこが責任を持つのかということを、やはりここも整理しなきゃいけないんですよ。その能力があり得るのは、今後の可能性も含めてでいえば、防衛省なのか警察なのか、NISCだと若干今心もとないけれども、そのぐらいしか私はないと思いますよ。

 きちっとそういう整理も含めて問題意識を持って、深めていただきたい、このことを最後にお願いを申し上げまして、以上とさせていただきます。

山口委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に、辺野古の新基地建設について聞きますが、けさ九時二十分ごろ、沖縄防衛局が護岸工事に着手したということになっています。県民の反対の意思を踏みにじって、本格的な海上工事に着手したことは、断じて容認できません。

 防衛大臣に伺いますが、けさの地元紙の世論調査によると、新基地建設に反対が六一%、賛成は二三%、本格的な埋立工事を始めようとする安倍政権の姿勢について、妥当だは二三%、妥当ではないは六五%であります。最高裁判決を経た今も、県民多数は新基地建設に反対であることを示すものだと思いますが、大臣はどういう認識ですか。

稲田国務大臣 今委員が御指摘になったように、代替施設建設事業について、水の濁りの拡散を防止するための汚濁防止膜の設置作業を終え、護岸工事に必要な資機材の準備などを進めて、本日、準備が整ったことから、護岸工事を開始したところでございます。

 今委員御指摘になったように、沖縄県において反対の意見が非常に多いということでございますが、そういったことも心には感じております。しかし、昨年末、最高裁、そして昨年の三月の和解の趣旨、関係法令に基づいて、住民の生活やまた自然環境にも最大限配慮をして工事を進めてまいります。

赤嶺委員 この問題で一時間ぐらいとってやりとりしたいんですが、戦後七十二年間、沖縄に新たな基地を押しつけるようなことは受け入れられるはずがないんですよ。どうやって米軍基地が沖縄でつくられてきたかという基地の形成過程、それから本土復帰の原点に立ち返って、あのとき政府は、沖縄の基地を縮小するというような国会決議まで行っているわけですよ。

 米軍基地の縮小、撤去に取り組むべきであって、辺野古の新基地建設は直ちに中止、撤回、普天間基地は閉鎖、撤去、これを強く求めたいと思います。

 次に、北朝鮮問題について、これは最初に外務省に伺いますが、昨日、安倍首相は、トランプ大統領と電話会談を行い、全ての選択肢がテーブルの上にあることを言葉と行動で示すトランプ大統領の姿勢を高く評価する、こう述べました。

 この行動とは具体的に何を指すんですか。

四方政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の日米首脳電話会談におきましては、安倍総理とトランプ大統領の間で北朝鮮問題に関し政策のすり合わせを行うとともに、中国の役割が重要であり、さらに大きな役割を果たすよう働きかけていくこと、また、今回の日米共同巡航訓練を含め、引き続き日米間で緊密に連携していくことで一致いたしました。

 地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、米国の抑止力を確保することが重要と考えておりまして、このような観点から、米国が全ての選択肢がテーブルの上にあるとの姿勢を示していることを総理の方から評価されたということでございまして、日本政府といたしましては、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 ですから、トランプ大統領が全ての選択肢がテーブルの上にあることを言葉と行動で示す、そういう姿勢を高く評価すると言っているわけですね。その行動とは何を指すのかということを聞いているわけです。

四方政府参考人 委員御指摘のとおり、米国が全ての選択肢がテーブルの上にあるという姿勢を示しておるわけでございますけれども、その選択肢がどのようなものかということにつきましては、米国政府としてあえて明らかにしていないというふうに考えております。

赤嶺委員 カール・ビンソンの行動などは含まれるんですか。

四方政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、日米首脳電話会談におきましても、今回の日米共同巡航訓練を含め、引き続き日米間で緊密に連携していくということで一致しております。その意味では、カール・ビンソン等米軍の展開につきましても含まれるということだと考えております。

赤嶺委員 防衛大臣に伺いますが、今、海上自衛隊の艦船二隻が、米空母カール・ビンソンとの共同訓練を行っています。先ほどもありましたが、けさの報道では、西太平洋だけでなく、日本海でも実施する方針を固めたと報じられております。そういうことですか。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、日本海でということを現時点で決めているということではございません。

赤嶺委員 大臣は、きのうの答弁で、あくまで戦術技量の向上と米海軍との連携強化が目的だと述べました。

 総理が、北朝鮮問題とのかかわりで、カール・ビンソンの行動を高く評価し、そのカール・ビンソンと今共同訓練を行っています。日米が一体となって北朝鮮に対して軍事的圧力をかけるものであることは明らかではありませんか。

稲田国務大臣 まず、昨日もきょうもお答えいたしましたように、今回の訓練の目的は、海上自衛隊の戦術技量の向上及び米海軍との連携強化を図ることを目的としておりますし、また、特定の国、地域を念頭に置いての訓練ではありません。

 その上で、この訓練を実施した結果として、日米の連携強化が図られ、そのきずなを示すことによって、北朝鮮による核、ミサイルの開発や運用能力の向上が新たな段階の脅威になるなど我が国の安全保障環境が厳しさを増している中で、日米同盟全体の抑止力、対処力を強化し、地域の安定化に向けた我が国の意思、そして高い能力を示す、そういった効果があるというふうに考えております。

赤嶺委員 新ガイドラインで、日米が平時から同盟調整メカニズムを活用して、柔軟に選択される抑止措置及び事態の緩和を目的とした行動を含む同盟としての適切な対応を実施するとして、戦略的な情報発信を調整すると新ガイドラインでは規定しているわけですね。

 先ほども出ましたFDO、柔軟抑止選択肢というそうですが、まさに、このガイドラインの規定に基づいて今北朝鮮に対して日米が一体となって軍事的圧力をかけている、そういうことではありませんか。

稲田国務大臣 まず、先ほども申し上げたとおり、今回の訓練が特定の国を念頭にしているものではないということでございます。

 また、御指摘のFDO、柔軟に選択される抑止措置については、あくまでも抑止のための行動であって、外交、情報、軍事、経済を手段として実施され、早期の緊張緩和、危機解決へと導くためのものであるというふうに認識をしております。

赤嶺委員 安倍首相は、記者団に対して、共同訓練の開始に言及した上で、引き続きアメリカと緊密に連携し、高度な警戒監視体制を維持し、我が国として毅然として対応していく、こう述べています。毅然として対応していく相手がちゃんといるわけですね。このことからも、今回の共同訓練の目的、これはもう明らかであります。

 防衛大臣にさらに伺いますが、こうした日米による軍事的圧力が朝鮮半島や日本で甚大な犠牲者を生む事態に発展するおそれ、これについてどう認識しておられますか。

稲田国務大臣 あくまでも先ほど申し上げたような目的が今回の共同訓練でありますし、そして、この共同訓練を実施することによって、日米の連携強化、さらには日米同盟の強さを増すことができ、また、日米同盟全体の抑止力、対処力を一層強化し、地域の安定化に向けた我が国の意思と高い能力を示す効果があることにより、地域の安定に資するものだというふうに考えております。

赤嶺委員 私は、北朝鮮によるミサイルの開発や核の開発は、安保理決議に照らしても、それから日朝平壌宣言に照らしても、さらには六カ国協議の共同声明にも反する暴挙である、このように糾弾してまいりました。絶対に許されない行為であります。

 しかし、絶対にこれを戦争にしてはならない、こう思います。戦争への発展が安易に語られ過ぎてはならない。勇ましいことを言って、日米同盟の強さを見せつけるとか抑止力につながるとかと言っても、戦争が始まったらもう泥沼化ですよ。抜け出すことは絶対にできないですよ。どれだけの犠牲が出るか。

 やはり北朝鮮の問題というのは、国際社会が一致して、安保理決議を厳格に実施して、平和的、外交的に解決すべきであります。そのことを政府に強く求めておきたい、こう思います。

 次に、法案について伺います。

 法案には、戦後の陸上自衛隊の体制を大きく変えて陸上総隊を新編し、陸上総隊司令官が全国の部隊を一元的に指揮することを可能にする改定が盛り込まれています。

 何のためにこのような変更が必要なのか。この間、島嶼防衛を理由に挙げておりますが、これは具体的にはどういう事態を想定したものか、説明していただけますか。

高橋政府参考人 先ほどございました、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増しておるという観点から、弾道ミサイル攻撃でございますとか、島嶼部に対する攻撃、あるいは大規模災害など、陸海空自衛隊が統合運用により全国レベルで機動的に対応すべき事態がますます想定されるというところで申し上げました。

 したがいまして、例えば島嶼部に対する攻撃でも、それに対する奪還作戦あるいは先行しての島嶼の部隊を展開するという観点から、陸上自衛隊の今現在の五つの方面隊、それから中央即応集団ということで、いわゆる中間司令部が六つに分かれてございまして、それを一元的に機動的に運用して、例えば特定の諸島、余り具体的な名前を挙げるのはいかがかと思いますが、そういうような諸島に対しての奪還作戦、あるいは、先行的な上陸が必要であればそのような対処を行うという趣旨で陸上総隊をつくるということでございます。

赤嶺委員 奪還作戦ということは、島嶼に着上陸侵攻があるという事態、こういうのも想定しておられるということですか。

高橋政府参考人 島嶼部への攻撃の中で、さまざまな様相の中で、先行的に向こうが占拠した場合には我々の奪還も当然一つのオペレーションとしてあり得る、そういうふうに考えております。

赤嶺委員 どこの島が想定されるんですか。

高橋政府参考人 今具体的にそこをどこの島かというふうに特定申し上げるのは差し控えたいと思います。

赤嶺委員 皆さんの文献やいろいろな報告書には南西諸島という言葉が頻繁に出てまいります。与那国の自衛隊配備や宮古、石垣島への配備ですね。

 私は、戦場になって大きな犠牲があった、そういう体験が生々しく残っている島で、奪還作戦などとこんなことを、いわば沖縄を戦場にすることを想定して全国から自衛隊を機動的に投入するためのもの、こういうのは絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。

 陸上総隊の新編に伴って、昨年七月の日米合同委員会で、キャンプ座間の共同使用の条件を変更しています。何のためにどういう変更を行ったんですか。

高橋政府参考人 今回お願いしてございます陸上総隊をつくるに当たりまして、陸上総隊は座間ではなく朝霞に設置することになってございます。

 朝霞に移転した後、では、座間をどうするかということでございますが、中央即応集団司令部廃止後の司令部庁舎、鉄骨鉄筋コンクリート造約六階建ての九千七百平米でございますが、中央即応集団司令部が廃止された後は、陸上総隊の日米共同部、陸上自衛隊の第四施設群、それから在日米陸軍が共同使用するということになってございます。

 これは、平素からの実効性の高い連絡調整機能を確保することに加えまして、首都圏における大規模災害への対応能力の強化を図るという観点から行うものでございまして、その建物につきまして、在日米軍の共同使用にするということで、二4(a)ということで手続をとったということでございます。

赤嶺委員 二4(a)の手続をとったということですが、合同委員会合意の概要を見てみましたら、期間は限定されていません。米軍が常駐するということですか。

高橋政府参考人 もともと、キャンプ座間でございますので、在日米陸軍司令部があるところでございまして、陸上自衛隊の中央即応集団が廃止され、いなくなった後、その建物をどう使うかということでございまして、九千七百平米の建物につきまして、今、人数については具体的には決まっておりませんが、在日米陸軍がこれについても共同使用する、そういう整理でございます。

赤嶺委員 建物は日本政府の予算でつくったものですよね。もともと米軍のものですか。

高橋政府参考人 おっしゃるとおりでございまして、中央即応集団司令部をつくった段階で我が国の予算でつくりました行政財産でございましたけれども、これを用途を変更いたしまして二4(a)化するということが米陸軍の使用について行われたということでございます。

赤嶺委員 米軍がいつまでも、駐留する期限もはっきりしていないわけですが、中央即応集団の建物はこれから米軍が使いますと。

 米軍が使うことに伴って、建物の施設整備、これもあるんですか。

高橋政府参考人 中央即応集団が廃止された後の庁舎につきましては、先ほど申し上げましたように、陸上総隊司令部の日米共同部、それから陸上自衛隊の第四施設群、在日米陸軍が使うということで、これまでのように中央即応集団司令部だけが使うということではございませんので、庁舎内のレイアウトの変更に伴う改修工事が必要だということでございまして、これについては予算を計上するということになってございますが、個別の工事の予算額につきましては、実施する工事契約の予定価格が類推されるため、お答えすることはこの場では差し控えたいというふうに考えております。

赤嶺委員 日本政府の予算でつくった建物を今度は米軍に使ってもらう、さらに施設整備も行うと。

 キャンプ座間は、二〇〇七年の米陸軍第一軍団前方司令部の発足に伴って、コマンド、いわゆる指揮統制センターが新設をされています。これはマスコミにも公開され、自衛隊とも秘密回線で連絡をとれることが報じられていますが、このセンターに加えて日米が連絡調整を行うための場所を新たに確保する、その理由は何ですか。

高橋政府参考人 これは米軍再編の議論の中でございましたが、在日米陸軍と陸上自衛隊の連絡調整をスムーズに行うという観点から中央即応集団司令部につきましては座間に設置されたということでございますが、今回、陸上総隊司令部が朝霞に新編する。これは、座間の地積が足りないという観点から朝霞に新編されることになりましたので、その米軍との連絡調整機能につきまして、引き続き日米共同部という形で座間に置くということになってございます。

 これは、これまでの日々行われている米軍との連絡調整を引き続き維持して、より円滑に行うという観点からのものでございます。ですから、従前と大きく変わるものではないというふうに考えてございます。

赤嶺委員 ここでも、日米が一体となった訓練、また、南西諸島というところを想定した日米の一体の体制づくりだと断ぜざるを得ません。これも認められません。

 次に、南西航空方面隊の関係ですが、三月十六日の本委員会で、沖縄の本土復帰当時、米軍が運用していたレーダーサイトを自衛隊が引き継いだ際、レーダーサイトで捉えた航空機などの情報が米軍にも共有されていたのか質問をいたしました。明確な答弁はありませんでした。

 その点、改めて確認したいのと、現在はどうなっているのか、これも含めて答えていただけますか。

辰己政府参考人 お答えします。

 昭和四十八年に、沖縄において、対領空侵犯措置を米軍から引き継いでおります。この際に、防空司令所、那覇にございますが、ここに米軍の第五空軍の連絡員が配置され、日米の情報共有が行われていたと承知しております。

 現在、那覇には米軍の連絡員は配置されておりませんが、必要に応じて、日米は自動警戒管制システム、ジャッジなどを通じて引き続き緊密な情報共有を行っております。

赤嶺委員 ここでもアメリカの役割を肩がわりした自衛隊の姿が出ていると思います。

 きょうもちょっと時間は足りませんでしたが、一応これで質問を終わります。

山口委員長 次に、吉田豊史君。

吉田(豊)委員 日本維新の吉田です。きょうもよろしくお願いいたします。

 前回の続きでございますけれども、ミサイル迎撃というところを中心にお聞きしたいと思います。

 週末、地元の方に戻りまして、久々に家族で飯を一緒に、食卓を囲んだんですけれども、そのときに私が言われましたのは、お父さんがいない間に家族で話をして決めたことがあると。何かと言ったら、それは、万が一ミサイルが飛んできたとき、何かが起こったときにはどこに逃げるのか。私の家では、近くに県立中央病院という大きい建物がありまして、そこの地下のところに走ってみんなで行こう、それがもしばらばらのときであったときには、最終的には集合する場所は小学校の避難場所のところね、こういう話を決めたから、お父さんはそれを知っておいてねというふうに言われました。

 私自身はテレビを余り見ない人間ですけれども、日曜日、テレビを見ていましたら、いろいろなことが、北朝鮮を中心とした、もし万が一の危機的なことが起こったときにはどうするのかという情報がやはりいろいろ流れているわけですね。

 そういう意味で、我が国の国民全体が、やはり今回の北朝鮮の有事に対して非常に、対応しなくてはいけない、こういう思いを持っているということを改めて私自身も確認したわけです。

 そのことについて、きょうは特に非常に重要な可能性がある日だということも情報としては流れている中にあって、大事なことは、何事もないのが一番もちろんいいんですけれども、そういうさまざまな問題に対応するときに、やはり、国民一人一人がそういう意識を強く持っている、そういう環境にあるときにこそ、今まで語られてこなかった問題ですとか、それから解決していかなくちゃいけない問題、こういうことをきちっと段取りをして、そして、政府として、あるいは国会として、このことを議題に上げて提案していく、このことはおくれてはいけないと思うわけですね。こういうタイミングをきちっと捉えて物事を準備していかなくてはいけない。

 きょうもサイバーのことをお聞きいただいておりましたけれども、私も先週はサイバーのことをお聞きしましたが、やはりサイバーの攻撃ということ自身をとっても、今までになかった部分の難しさ、こういうことを想定して、そして、我が国はもちろん法治国家で、我が国としての国家の安全保障をどう守っていくか。我が国が守ってきた、世界に冠たる専守防衛、この言葉は、私は、結論とすれば、我が国の力をもってよその国を、人の命をとりに行かないということが結論だろう、こう思っています。

 ですから、そのためには、我が国がもちろん犠牲になってはいけないわけで、どのような方法をとることができるのか、それは、専守防衛という言葉の具体的な中身についてやはりもう一度改めて考えてみるということの必要性、喫緊の課題だろうというふうに改めて理解しておるところです。

 ミサイルのことなんですけれども、地元に帰って聞かれましたのは、核弾頭を北朝鮮は今準備しているという話なんですが、ここ近いところ、幾つか実験はやっているんですね。ミサイルが飛んで、富山ですから、能登沖に落ちたという話になると、やはり、えっ、もう本当に目の前なんだなというふうには思うわけです。

 飛んだときに、海に落ちましたということは、それが明らかに核弾頭は積んでいなかったんだろう、既にわかっているんだろう、こう僕は理解しているんですけれども、ミサイルが飛んだときに、それが核弾頭なりあるいは別の危険なものを積んでいるか積んでいないか、こういうことについては、事前にきちっと、あるいは飛んだときに把握できているのかどうか、このことを確認したいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 一般論で申し上げればでございますけれども、同じミサイルの場合に、外形上からそれが核弾頭を搭載しているか、あるいは通常弾頭の搭載かを区別することは、これはほぼ不可能であるというふうに思います。

 ただ、いずれにいたしましても、各種情報の収集、分析については、さらにきちんと努力をしていくということであろうと思っております。

吉田(豊)委員 一般論でお答えいただくしかないんですが、ただ、今の御答弁ですと、結局は、飛んだときにはわからない、そういうことですか。核弾頭を積んでいないのがわかっているから海に落としてもよかろうというふうになっていると私は思うんですけれども、もしかしたら、それは積んでいたものとして海に落ちている可能性がある、そういう話なんですかね。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げましたのは、同じミサイルであった場合に、弾頭の中に小型化された核を積んでいるかどうか、これについて外形上見分けることは難しいということを申し上げたわけでございます。

 ただ、これも一般論になりますけれども、核保有国が、このミサイルは核を積んでいるんだということをその国自身が公にしているような場合もあるわけでございます。そういうミサイルが仮に飛翔いたしますと、それはかなりの確率で積んでいるのではないかということは類推はできるんだろうと思います。

 ただ、そういった情報がない場合には、外形のみからではなかなか判断は難しい、こういうことを申し上げております。

吉田(豊)委員 外形で判断することは難しいという、それはよくわかります。

 その上で、今、北朝鮮が並行して、核を保有する、それからミサイルの実験も繰り返しているというところの中にあって、やはり、実験なのかそれとも本番なのかということは、私たちの中では当然わからないわけですよね。シリアの攻撃一つをとってもそうでしたけれども、もともと攻撃するよということを言われていてやっている話ではなくて、えっ、いきなりというところが武力攻撃の恐ろしさだろうと思います。

 そういう意味では、やはり、私たちとすれば、いつそれが実際なのかということが国民としてわからない、そういう中にあってできることは何かというと、一層そういう状況について備えなくてはいけないし、それをどう防ぐのかということに集中して議論を速めて、そして対応のすべを探っていくということではないかなと改めて私、今聞いていてそう思うわけです。

 続いて、どう守るかということなんですけれども、具体的には、今この委員会でもずっと私も勉強させてもらっていますけれども、相手が飛ばしてきたときには、それを、飛ぶ手前のところ、飛んで低いところにいるところ、それから、大気圏に上がってもう一回入ってくるという、何カ所か撃ち落とすタイミングが物理的にあって、それを、それぞれいろいろな方法で、我が国としても、あるいは日米同盟、そういう関係の中にあって協力し合って進めていくということを理解しています。

 ただ、その上で、本質的なところを言うと、結局我が国は、ミサイルを撃ち落とすということも、我が国に被害が及ばないようにしたいという、ただその一点なわけですよね。そうすると、ミサイル自身をどうやって、ミサイルの持つ破壊力を無効化していくかということに尽きるだろうと思います。

 そうすると、ミサイルに対してミサイルで物理的に撃ち落としに行くというのが一番イメージからするとわかりやすいですけれども、ミサイル自身が役割を果たさないようにするという方法をやはりいろいろな意味で私は考えていくべきだろうと思います。

 この迎撃用手段としての研究それから開発、それから物理的な、ミサイル対ミサイルという発想ではない別の方法ということについて、今どのように検討しているのか、このことを確認したいと思います。

外園政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、ミサイルによらない対処手段につきましてでございますが、例えば高出力レーザーやレールガンなどの高出力エネルギー技術が非常に、防衛省としても将来の安全保障環境においてゲームチェンジャーとなり得る先進的な技術分野であると考えておりまして、今後の研究開発において、特にこれを重視していくということにしております。

 また、これらの技術は、その特性といたしまして、御指摘がありましたように、瞬間交戦性や持続性にすぐれているといったところから、将来の弾道ミサイル防衛を考える上でも重要な技術であるものと考えております。

 またさらに、御指摘のありました、高出力なマイクロ波や電磁パルスを用いまして相手方の通信を妨害したりシステムの機能を喪失させる、いわゆる非動的な電子的妨害技術についても、相手方の作戦能力を減殺する手段として、従来から我が国を防衛するためのさまざまな局面において重視されてきております。

 これらの技術につきましても、将来の我が国の防衛の広範な分野において基礎をなす技術として、引き続き研究開発を進めてまいる所存でございます。

吉田(豊)委員 今ほど、幾つか物理的なものによらないミサイルを無効化する方法ということを御紹介いただいたんですが、日本というのは、技術開発という意味では世界一だという自負を常に持っている国だと思うんですけれども、その平和的な利用ということに私はなると思いますけれども、そういうミサイルそのものを無効化していくという技術とか開発とか、こういったことについては、我が国は世界の先端を行っているんでしょうか。

外園政府参考人 こういった今御紹介させていただきました技術については、米国を初めといたしましてヨーロッパの諸国におきましても、注視される技術として、研究開発が鋭意進んでおります。

 私の知る限りにおきまして、こういった兵器が実際の兵器に装備化されたということはございませんが、いずれにしましても、日本といたしましては、それらの国々に伍す形で研究開発をしている、継続していきたいというふうに考えております。

吉田(豊)委員 大臣にお聞きしたいと思います。

 抑止力という意味で、やはりそれは力だと思いますけれども、抑止していくために、サイバーですとか、ミサイルの発射あるいは着弾までのコントロール、そういうことから含めると、今、技術が全てなんですよね、実際の力を発揮するため、敵の攻撃ということからすると。これをどう我が国として抑止力として抑えていくかという、やはり力対力、これが僕は実態だと思うわけです。だから、我が国はきちっとした別の力を整えていかなくてはいけないだろうと思います。

 サイバー攻撃一つとってもそうですけれども、やはり、我が国としてこれに対してどのような形で対応していくのかというところをより明確に、そして緊張感を持って進めていただきたいと思いますけれども、今、特に北朝鮮が非常に厳しい状況になっていることも踏まえた上で、お考えをお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 きょう議論させていただいたように、サイバー攻撃の問題、また、委員から提起になられました、BMD以外の、そもそもミサイルを無力化する、そういった力、技術力等々を含めて、我が国自身の防衛力、質も量も強化することによって、さらには日米同盟、関係諸国との関係、総合的に、北朝鮮の脅威に対して、我が国の国民の生命財産をしっかりと守り抜くという覚悟で対処してまいりたいと考えております。

吉田(豊)委員 きょうは特に法案の、我が国がどのように国を守るかという力をより整えていくという法案ですけれども、この法案、その先にはまた、来年どのような改善をしていくのかということについて、きょうの議論がやはり生かされていくべきだろう、こういうふうに私は思います。よろしくお願いいたします。

 終わります。

山口委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 質問に入る前に、防衛大臣、そして沖縄防衛局に強い抗議の意思を表明いたします。

 沖縄防衛局は、本日午前九時二十分、辺野古新基地建設へ向けて、埋立区域の外枠となるキャンプ・シュワブ北側の護岸工事に着工しました。沖縄の民意を無視し、辺野古新基地建設に反対する県民の意思を国家権力を総動員して封殺して埋立工事に着手することは、断じて許すわけにはまいりません。

 くしくも、去る四月二十二、二十三日の両日、沖縄タイムス社、朝日新聞社、琉球朝日放送が共同で実施した県民意識調査によると、辺野古新基地建設に反対と答えた人は六一%で、賛成の二三%をはるかに上回っております。

 稲田防衛大臣には、米海兵隊が戦争をするためだけの巨大な辺野古新基地建設は、必ずや、多くの県民の強い抵抗によって阻止され、実現不可能に陥るだろうことを申し上げておきます。

 防衛省に尋ねます。

 米空軍と米陸軍は、昨日午前、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施しました。嘉手納基地に隣接する沖縄市、北谷町、嘉手納町などの自治体及び住民らから強い抗議の声が上がっております。嘉手納基地におけるパラシュート降下訓練は、一九九六年のSACO合意に明白に違反するものではありませんか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日、四月二十四日午前七時四十九分から九時二十七分の間に、御指摘のとおり、嘉手納飛行場におきまして五回のパラシュート降下訓練を行ったものと承知しておるところでございます。

 防衛省としては、日米安全保障条約の目的達成のため、米軍が訓練を通じて即応態勢を維持する必要があると考えておりますが、パラシュート降下訓練については、SACO最終報告に沿って、基本的に伊江島補助飛行場を使用することとされており、嘉手納飛行場はあくまで例外的な場合に限って使用されるものと認識しております。

 今般の、今申し上げました嘉手納飛行場における訓練も、このような考え方のもとで行われたものと認識しておりますが、いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、SACO最終報告に沿って、パラシュート降下訓練を伊江島飛行場において実施するよう、引き続き米側に求めていく考えでございます。

照屋委員 米軍は、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施する理由として、伊江島補助飛行場の天候不良等を挙げております。ところが、嘉手納町議会議員らが確認したところによると、きのうの伊江島補助飛行場一帯の天候は極めて穏やかだったようです。

 防衛省は、訓練当日に伊江島補助飛行場の天候を確認しましたか。きのう午前の伊江島補助飛行場一帯における天候、降水量、風速、波の高さなどについて伺います。

深山政府参考人 防衛省といたしましては、今委員が御指摘になりました、昨日訓練実施時の伊江島周辺の気象、海象等を個別に把握はいたしておりません。

 その上で申し上げますと、米側からは、パラシュート降下訓練は、SACO最終合意に沿って伊江島補助飛行場で実施することとされているところでありますが、今回は、気象、海象状況により、伊江島飛行場での訓練が実施できないおそれがある、また、隊員の降下資格、降下資格と申しますのはパラシュート降下をできる資格という意味でございますが、資格維持のため近日中に訓練を実施する必要があるところ、必要な機材が確保できる日程は限られていることから嘉手納飛行場で実施した、今後も、基本的には伊江島飛行場を使用することとしており、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限って使用するとの説明を受けているところでございます。

照屋委員 嘉手納基地でパラシュート降下訓練が行われた同日、米軍横田基地でも人員降下訓練が実施されましたが、関係自治体には、三日前となる二十一日金曜夕方には訓練内容が詳細に通報されていたようです。一方、嘉手納基地周辺自治体には、前日、日曜日の晩にしか通報されず、事実上の抜き打ち訓練となっております。

 このようなヤマト、ウチナーの差異について、どう考えていますか。

深山政府参考人 今回、二十四日の嘉手納飛行場におきますパラシュート降下訓練に関しましては、二十三日の夜に、航空情報、これは俗にノータムと申しますが、この発出を確認いたしまして、情報提供をさせていただいたところでございます。

 我々といたしましては、今委員から御指摘ありましたが、情報が確認され、確実になった段階においては、そうした情報を受けた場合には、関係自治体、これは本土も沖縄も全く一緒でありますが、できるだけ早く御連絡したいと考えておるところでございまして、今回、本土に比べて遅かったのではないかという点につきましては、今後引き続き、できるだけ早く御連絡できるように努めてまいりたいと考えております。

照屋委員 最後に大臣に尋ねますが、米陸軍トリイ通信施設では、去る三月十五日と四月十九日、車両等のつり下げ訓練が強行されました。

 読谷村では、一九六五年に、パラシュート降下訓練でトレーラーが目標を外れて落下し、小学五年生の女の子が下敷きになって圧死した痛ましい事故が発生しております。

 読谷村によると、トリイ通信施設内のヘリコプター着陸帯は、戦術着陸帯ではなく、管理着陸帯のようですが、防衛省の認識はいかがでしょうか。それぞれの着陸帯の使用目的とあわせて伺います。

 また、読谷村議会が昨日、トリイ通信施設内の管理着陸帯における戦闘訓練の中止及び村内上空におけるつり下げ訓練の即時中止を求める抗議決議案や意見書案を全会一致で採択しておりますが、稲田大臣は、かかる読谷村議会の要求を米軍に求めていく意思はおありでしょうか。

深山政府参考人 着陸帯について事実関係のお尋ねがありましたので、私からまずお答えしたいと思います。

 MV22オスプレイの普天間飛行場への配備に当たって平成二十四年四月に米側が作成した環境レビューによれば、沖縄においてオスプレイの使用に適切だと評価された着陸帯が六十九カ所あるとされております。これらは戦術着陸帯及び管理着陸帯の二つの機能的タイプから成るとされておりまして、トリイ通信施設内の三カ所の着陸帯については管理着陸帯に分類されているものと承知しております。

 管理着陸帯と申しますのは、このレビューの中の説明によりますと、大抵は軍事施設の開発された地区内または近隣に所在しており、給油、人員輸送、VIP移動及び緊急医療活動などが行われるものであるというふうに説明されております。

 一方、着陸帯の使用目的というのがこうしたレビューに書かれたことのみに限定されているわけではないと我々は考えておるところでございます。

稲田国務大臣 読谷村の議会が今般、トリイ通信施設における米軍ヘリによるつり下げ飛行について抗議をする決議を行ったことは承知をいたしております。

 米軍は必要な訓練を行っていますが、訓練を行うに当たって、公共の安全に妥当な配慮を払うのは当然のことでございます。

 防衛省として、米軍に対し、安全面の確保、周辺住民の皆さんへの影響を最小限度にとどめるよう申し入れをしたところでございますが、引き続き米軍と密接に連携をとりながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆さんに与える影響が最小限にとどまるよう適切に対応してまいります。

照屋委員 大臣、日米間のSACO合意も厳守をさせることができない、アメリカに軍の運用上の必要だと言われると日本政府は沈黙してしまう、そして、ヤマトで行われている慣例が沖縄には適用されない、そういうふうなことであっては、県民の怒りはもっともっと燃え上がるということを言って、質問を終わります。

山口委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 第一に、ACSAの関連規定の整備は、オーストラリア軍、イギリス軍への平時の物品、役務の提供権限を拡充、新設するものです。

 これは、日米新ガイドラインに沿って、国際平和共同対処事態や重要影響事態、存立危機事態などでの提供権限を新設、拡充した安保法制と一体で、世界じゅうのどこであれ、平時から緊急事態まで切れ目なく米軍の軍事行動を同盟国が支援する体制を強化するものであり、断じて容認できません。

 第二に、陸上総隊の新編は、戦後、五個方面管区制をとってきた陸上自衛隊の体制を大きく変えて、海上自衛隊の自衛艦隊司令官、航空自衛隊の航空総隊司令官と並んで、陸上総隊司令官が全国の部隊を一元的に指揮することを可能にするものです。

 これは、新ガイドラインに基づき設置した事実上の日米統合司令部、同盟調整メカニズムのもとで、統合幕僚長が陸海空三自衛隊を統合運用する体制を整え、南西地域に全国の部隊を投入、指揮するためのものであり、断じて認められません。

 第三に、財政法九条一項の特則を設け、自衛隊で不用となった装備品等の開発途上国への無償譲渡を可能にしていますが、これは、憲法と財政法に反し、同盟国やパートナー諸国の軍事的役割を拡大するアメリカの軍事戦略に沿って、日本が外国軍隊の育成強化に本格的に乗り出すためのものにほかなりません。

 第四に、自衛官の定数変更は、航空自衛隊の宇宙状況監視、SSAシステムとサイバー防衛隊の体制強化に伴うもので、宇宙、サイバー空間における米軍の軍事的優位を維持強化する一環にほかなりません。

 こうした軍事体制の強化は、周辺諸国との緊張を高め、軍事対軍事の悪循環を招くだけです。政府に対し、東アジアに平和的環境をつくるための外交努力を強めることを求め、討論を終わります。

山口委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山口委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十六分散会


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