衆議院

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第2号 平成30年3月20日(火曜日)

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平成三十年三月二十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 寺田  稔君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 宮澤 博行君

   理事 若宮 健嗣君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      高村 正大君    中谷  元君

      中谷 真一君    浜田 靖一君

      福田 達夫君    和田 義明君

      宮川  伸君    村上 史好君

      井上 一徳君    古本伸一郎君

      佐藤 茂樹君    広田  一君

      赤嶺 政賢君    下地 幹郎君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         小野寺五典君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            井藤 英樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           岡田 健一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 志水 史雄君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (財務省大臣官房参事官) 田中 琢二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   高橋 憲一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           鈴木 敦夫君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  下地 幹郎君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  串田 誠一君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

三月二十日

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

同月十二日

 緊急出動のある自衛官の官舎の改善に関する請願(大西宏幸君紹介)(第三三五号)

 同(谷公一君紹介)(第三三六号)

 同(中谷元君紹介)(第三三七号)

 同(山田賢司君紹介)(第三三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

寺田委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りをいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官横田真二君、内閣官房内閣審議官岡本宰君、金融庁総務企画局参事官井藤英樹君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官岡田健一君、外務省大臣官房参事官志水史雄君、外務省北米局長鈴木量博君、財務省大臣官房参事官田中琢二君、防衛省大臣官房長高橋憲一君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛省統合幕僚監部総括官鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮川伸君。

宮川(伸)委員 立憲民主党の宮川伸でございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭に、最初に、あの森友学園の財務省の公文書改ざん問題に関しまして、一言申し上げたいと思います。

 昨日のマスコミ報道によりまして、安倍政権の支持率が大きく下がった、一〇ポイント近く下がったということでありますが、私は、やはりこれは、国会軽視、そして、国民に対して誠意ある説明をしっかりしてこなかったということがこういったことに結びついているのではないかというように思います。本日の審議におきましても、ぜひ国民の皆様に対して、誠意ある、そしてわかりやすい丁寧な御回答、答弁をしていただければと思います。

 それを踏まえまして、本日は、長距離巡航ミサイル、スタンドオフミサイルというふうにも言っておると思いますが、これに関して少し細かく御説明、御質問したいと思います。

 まず、この長距離巡航ミサイルですが、御承知のとおりで、戦闘機からこういうふうに撃つということでありますが、それが非常に遠くまで飛ぶ、これが、五百キロあるいは九百キロもの非常に遠くまで飛ぶというものであります。これが、まさに北朝鮮全域をカバーすることができて、もしかすると、敵基地攻撃能力ということで北朝鮮に大きな脅威を与える可能性があるということだと思います。

 そして、この長距離巡航ミサイルにおきましては、今までの政府のスタンダードからやはり一歩前に出る、一歩超える、こういった整備であるというふうに私は認識をしておるんですが、そういった中でこの予算が計上されていく中で、通常どおり概算要求に上がってこなくて、十二月に、私としてみたら突然これがばっと上がってきたという印象であるのですが、なぜ十二月に突然これを上げてきたのか。ぜひ大臣、お答えいただけますでしょうか。

小野寺国務大臣 宮川委員にお答えさせていただきます。

 自衛隊の能力向上に関しては、自衛隊員の安全を確保しつつ我が国を有効に防衛するため、いかなる装備が必要かについて日ごろより不断の検討をしております。

 この検討におきまして、スタンドオフミサイルの取得について、ノルウェー政府や米国政府等との間で必要な情報収集や調整を行ってきた結果、昨年末までに政府予算案への計上に必要な情報を得られ、導入の見通しが立ったということから、追加的に予算要求を行い、政府予算案に必要な経費を計上しました。

 また、北朝鮮は、六回目の核実験を強行するとともに、日本列島を越える形で弾道ミサイルの発射やICBM級と考えられる弾道ミサイル発射を実施するなど、昨年夏の概算要求以降、北朝鮮による核・ミサイル開発がこれまでにない重大かつ差し迫った脅威となっており、BMD任務に従事するイージス艦を防護する必要性が高まっております。

 このように、これまでの検討の成果と情勢の変化を踏まえ、我が国防衛に従事する自衛隊員がより安全に任務を遂行できるような装備を速やかに整えるのは政府の責任であることから、追加的に予算要求を行い、政府予算案に必要な経費を計上したということであります。

宮川(伸)委員 今の御説明でありますが、私の認識が正しければ、この予算が発表されたのが十二月八日ということで、特別国会の最終日だったんじゃないかと思います。これがもし一週間早く発表してくださっていれば、私、この場で質問をしていたと思います。

 というのは、先ほど申したように、やはり今までのスタンダードから一歩超えるものであり、少なからぬ国民の方々が非常に危惧を持っているものだと思うので、これはしっかり国会で議論をして、そういった中で、必要であるのかどうか、予算をつけていくべきだと思うんですが、ほぼ国会が終わったときに、これを予算に入れるといって、そして国会が開いていない十二月二十二日の日に閣議決定をして、そして、この前、予算が衆議院では通ってしまったということでありますが、なぜ特別国会で議論ができるような状況でこれを発表していらっしゃらなかったのか、お答えいただけますでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、先ほど来お話をしておりますように、このスタンドオフミサイルの取得については、ノルウェー政府や米国政府との間での必要な情報収集や調整を行ってきたという結果であります。

 また、今回、私ども、この予算については、平成三十年度の予算要求の中で御審議をいただいているということでありますので、昨年の臨時国会での議論というよりは、むしろ今国会、平成三十年度予算の中の議論ということ、これも私どもとしては重要だと思っております。決して、何か意図的なことがあったわけではなく、あくまでも調整等での内容ということになります。

宮川(伸)委員 もしかしたら当時はそういう予定だったかもしれないんですが、今通常国会におきまして、予想と違って、例えば、働き方改革で厚労省のあのデータが大きな問題で取り上げられている、あるいは今、森友学園の問題で非常に予算委員会の中で時間が割かれている。

 私は、この長距離巡航ミサイルに関しては予算委員会の中でしっかり議論ができていないというように思うんですが、国民に対して丁寧な説明をしていく、国民に対してしっかり説明をしていくという視点で、やはり、こういう通常国会の状況であるから、一回この予算を取り下げて、もう一度概算要求から入れるというようなことはお考えになりませんでしょうか。

小野寺国務大臣 このスタンドオフミサイルのことにつきましては、予算委員会の中でも私どもは質問を受け答弁をさせていただいておりますし、また、これからもこのような質問があれば丁寧に答弁をさせていただきたいと思っております。

宮川(伸)委員 ある報道で、安倍首相が、これは本当かどうかは別にしまして、報道に載っているもので、国会は大丈夫なのかと。今月一日の首相官邸、安倍晋三首相は、長距離巡航ミサイル導入の必要性を説明した小野寺防衛大臣に問いかけた、ミサイルの射程は日本海から北朝鮮・平壌まで届き、政府が否定してきた敵基地攻撃に転用できる能力を持つ、首相は来年一月からの通常国会で野党の追及をかわし切れるか懸念したというような報道が出ております。

 ですから、私はやはり、安倍政権、政府の方も、このものに関しては、国民の同意が得られるかどうかわからない、少なくとも問題になる可能性があるという認識を持っていらっしゃったと思います。

 そういった中で、少し質問をかえますが、この長距離巡航ミサイルの問題点等が、国民の皆様がしっかり認知をして、国民の皆様にしっかり説明ができているというように大臣はお思いでしょうか。

小野寺国務大臣 私どもとしては、これは国会でのさまざまな質問等に対して丁寧にお答えをさせていただくということでありますし、また、国会のみならず、さまざまな報道機関から、私どもは、記者会見、さまざまなところでこのような問題についての質問を受けることが当然ございます。その際にも丁寧に説明をさせていただいて、広く国民の皆様が御理解いただけるように今後とも努力をしていきたいと思っております。

宮川(伸)委員 この前の特別国会のときに、北朝鮮からICBM級の弾道ミサイルが飛んで、そういったことに関して私も質問をさせていただいたんですけれども、やはり、北朝鮮の脅威というところが一つ大きなポイントであったかと思います。

 そういった中で、それでは具体的に、この北朝鮮の脅威に対してこの長距離巡航ミサイルが何で必要なのか、少し御説明をいただけますでしょうか。

小野寺国務大臣 これは、北朝鮮の脅威ということに限ったわけではなく、今、さまざまな国の、例えば対航空戦力に関して、長射程化がどんどん進んでいるということであります。とすれば、隊員が我が国を守るために、より任務を安全に、そしてしっかりとした形で遂行するためには、長距離のミサイルが必要であるということ、これは私ども共通の認識なんだと思います。

 今回のスタンドオフミサイルの目的というのは、あくまでも、我が国を守るために活動する自衛隊員が安全にその任務を遂行できるために必要だということで、私どもは導入を決めさせていただいております。

宮川(伸)委員 確認ですが、そうすると、北朝鮮の脅威に対して、そこが非常に重要だというようには余り思っていらっしゃらないと。十二月の特別国会で、最終日というようなところで発表されていらっしゃいましたが、やはり北朝鮮を意識しているわけではなくて、それはワン・オブ・ゼムで、少し片っ方の方には北朝鮮はあるけれども、北朝鮮の問題はそれほど大きくないということをおっしゃっているんでしょうか。

小野寺国務大臣 今回のスタンドオフミサイルは、特定の国を想定してということでの装備ではありませんが、少なくても、我が国に対する安全保障上のさまざまな脅威や懸念ということ、これに対応することが必要だと思っていますし、もちろん、北朝鮮は我が国に対する重大な脅威と私ども認識をしております。

宮川(伸)委員 ちょっと私、一つこういう紙をお配りをしました。マスコミの報道等でも、あるいは今までの御答弁等を聞いていても、私はやはり、北朝鮮に関して意識をされているというように思うんですが、例えば、この日本海において想定をした場合、五百キロメートルや九百キロメートルというのがいかに長距離であるのか、非常に範囲が広いということであります。ですから、例えば九百キロといえば、日本列島の反対側まで行く可能性がある、太平洋側までですね。このように、日本海の大きさから考えた場合に、これだけの長距離、遠くまで飛ぶものが本当に必要なのかどうか。

 その一方で、北朝鮮が全部、全域に届くような範囲に入ってしまうということで、今、余り北朝鮮に特化しているわけではないというような御答弁でありましたので、ここに関してはちょっとここでやめておきますが、私自身は、なぜその北朝鮮の脅威という中でこのミサイルの話が出てくるのか、これだけ足の長いものが出てくるのかが、やはりちょっと理解ができていない。恐らく、国民の多くの方も、この絵を見れば、何で北朝鮮の話に関してこれが必要なのか、御理解できる人は少ないんじゃないかなというように私自身は思います。

 そして、そういった中で、今、南北会談だとか米朝会談がセットをされており、あの十二月のころとは少し北朝鮮に関しての状況が変わってきていると思います。

 そういった中で、今、この北朝鮮全域に届く可能性がある長距離巡航ミサイルをこのように整備していくことによって、北朝鮮に対してどのような影響が出る、あるいは北朝鮮がどのような懸念を持つかというのは、どのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

小野寺国務大臣 先ほど来、北朝鮮に対しての脅威というお話をしていますが、これは、北朝鮮の核、ミサイルの開発についての脅威ということであります。そして、私ども考えておりますのは、当然、スタンドオフミサイルというのは、隊員が安全に任務を遂行するということであります。

 そして、今委員の方から北朝鮮のことについての言及がありましたが、確かに、南北の対話のムードというのは、これは雰囲気として私ども報道等でも感じておりますし、韓国の特使がそのようなお話をされているということも十分認識をしております。

 ただ、北朝鮮自身が、例えば核、ミサイルに関しての政策変更について、自身の発言がまだ行われているわけではありませんし、当然、政策の変更が行われているわけでもありません。そのような中で、私どもとしてはしっかりとした備えをするという意味で、今の予算の中で御審議をいただいているということであります。

 そして、大切なのは、私どもの方から北朝鮮に対して何か威嚇的なことを今まで言ったこともありませんし、一方的にむしろ北朝鮮の方から、核の開発を行い、弾道ミサイルの実験を行い、そして、日本列島を沈めてやるよのような報道を出す。むしろ、北朝鮮の方から一方的にこの問題というのは出てきているんではないかと思っておりますので、私どもが何かスタンドオフミサイルを装備することが北朝鮮に懸念を与えるから、それはやめた方がいいというような考えには、私ども全く立ってはおりません。

宮川(伸)委員 私は、やはり、こういうタイミングで、そして、まだ国会で十分に議論ができていないと思う。なぜ、北朝鮮の、核であると思いますが、その脅威に対して、今スタンドオフミサイルが必要なのか。もしそれがないんであれば、もう一年、次の年度で概算要求に入れて、もう一度、一年後にやるということもあったと思うんです。

 そういった中で、周辺諸国に対する影響ということですが、安保法制が成立をしてから、私自身は、この安保法制というのは私は憲法違反であるという考え方に立っておりますが、これができてから、自衛隊と米軍のたび重なる共同訓練が行われておりますが、そういった中で、日本と北朝鮮の緊張も高まっている部分があるというように認識しております。ある記事によりますと、北朝鮮側が日本を敵国扱いするようになってしまっているというような、そういうような記事があったりとか。

 それが、以前、労働新聞では、米国が核戦争を起こせば、在日米軍基地は日本の存在を脅かす巨大な時限爆弾と化すだろうというような、こういったものがあったんです。ですから、昔は、米軍基地に対して攻撃をするというような表現が使われていましたが、ここ一年余りの間は、日本国に対してという、それも、昨年十七回ぐらいそういったことが北朝鮮の方から言われているという状況だと思います。

 例えば、五月の報道によりますと、談話によりますと、日本があくまで米国に追従して敵対的な行動に出るなら、我が方の標的は変わる、日本に変わるというようなことを、北朝鮮の外務省は談話を出しているということであります。

 そういったことがずっと一年余り続いてきている中で、やはり私は、このスタンドオフ長距離巡航ミサイル、北朝鮮全域をカバーするもの、北朝鮮のそういったものがある中でこれを入れていくというところのロジックが、私はやはりちょっと理解ができないんですが、もう一度御説明いただけないでしょうか。

小野寺国務大臣 私どもは、この国をしっかり守っていく中で必要な防衛装備を準備をしていく、そしてまた、隊員が安全に任務が遂行できるように、今回、予算の中で要求をさせていただいているということでありますので、むしろ、私は、今委員の説明された内容がなかなか腑に落ちないのは、私ども、北朝鮮に対して、何か敵対的な行動を今までとったことはありません。むしろ、北朝鮮の方から一方的に日本に対して、さまざまな威圧的な発言や報道が出ているということでありますので、どちらに私ども立場を持って考えていくかというと、少なくても、日本の専守防衛の中で、この国をどう守っていくかという中の必要な装備で、今回、スタンドオフミサイルも含めて予算の方をお願いしているということであります。

宮川(伸)委員 今までのスタンダードを変えない枠組みの中でそこを配備していくということであれば、私もそこは理解ができるんですが、最初の方に申したように、マスコミ報道によれば安倍首相自体も懸念をされたというような、今までのスタンダードを超えるようなものを配備しようとしているという理解だと思います。

 そういった中で、なぜこのタイミングで、北朝鮮との状況がこういう状況であるにもかかわらず、スタンダードを一つ超えるようなものに関して今必要だということであるんでしょうか。きちっと概算要求から入れてやるということはなぜ考えられないんでしょうか。

小野寺国務大臣 これは冒頭も御説明させていただきましたが、今回のスタンドオフミサイルを導入するに当たって、相手国側との調整等が必要だったということ、その中で、今回、このタイミングで予算要求をさせていただいたということであります。

宮川(伸)委員 今おっしゃっているのは、一年おくらせると買えなくなってしまうかもしれないということをおっしゃっているんでしょうか。

小野寺国務大臣 委員も御案内のとおり、防衛装備というのは、予算化し、そしてまた、あるいは今回、LRASM、JASSMに関しては、F15に装着できるかどうか、そういう調査ということになります。そういう中で、実際に配備される期間というのは数年先ということになりますので、私どもとしては、安全保障上、大変諸外国の能力が向上している中、隊員が安全に任務を遂行するためにはこれは必要だということ、そして、予算要求されたからといってすぐに導入されるわけではない、そのようなことを考えながら今回予算要求をさせていただいております。

宮川(伸)委員 改めて、私は、国民にしっかり説明をしていく、国会でも説明をしていく、国民に丁寧にわかりやすくしていくというのが民主主義に大切だというように思います。

 何度も繰り返しますが、今までのスタンダードを超えるかもしれない、安倍首相自体も懸念しているかもしれない、そういったものを国民に丁寧に説明を私はまだしていないと思うわけでありますが、そういった中で早く整備をしていかなければいけない、そこの部分のロジックが、やはり国民に対して不誠実なのではないかというように私自身は思います。

 そういった中で、私の考えとしては、そういった敵基地攻撃能力を持っているようなものだとか攻撃型のようなもの、そういったものに力を入れて、そういったものをどんどん先に、国民に十分な説明がまだできていないかもしれないけれども、どんどん進めなければいけないという考え方の前に、自国の中でも、今までの範囲内でも専守防衛においてしっかりやっていかなければならない部分が幾つもあるのではないかというように私は思います。

 その一つが、少し話題が大きくかわるかもしれませんが、原発の問題があります。我が党は三月九日の日に原発ゼロ法案を出させていただきましたが、原発が例えば日本海側に幾つもある、こういったものが攻撃をされれば我が国の存立にかかわるような極めて大きなことになると思いますが、こういった原発の対応というのはどのように考えられていらっしゃるんでしょうか。

小野寺国務大臣 まず、従来議論になっておりますが、改めて、スタンドオフミサイルというのは、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、諸外国の航空能力の進展が著しい中、我が国防衛に当たる自衛隊機が相手の脅威の圏外から対処できるようにすることで、隊員の安全を確保しつつ、我が国を有効に防衛するために導入するものであります。

 今回のスタンドオフミサイルは、専守防衛のもと、あくまでも、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を守り抜くため、自衛隊の装備の質的向上を図るものであり、自衛のための必要最小限度のものということであります。

 今委員の方から、原発の防衛についての議論ということになりますが、これは、その趣旨は、もし弾道ミサイルからの攻撃ということであれば、現在、弾道ミサイル防衛というのは、海上自衛隊のBMD対応型イージス艦による上層での迎撃と航空自衛隊のPAC3ミサイルによる下層での迎撃を組み合わせた多層防衛により、いかなる事態においても、北朝鮮による弾道ミサイルの脅威から国民の生命財産を守るべく万全の体制をとるということであります。

 このうち、御指摘の原発に対するミサイル攻撃も含め、まずは、我が国全域を防御するためのイージス艦によってしっかり対応することが基本ということになります。その上で、拠点防御のために、全国各地に分散して配備されているPAC3を状況に応じて機動的に移動、展開させることにより対応するということも一般的に考えられると思っております。

 いずれにしても、今回、BMD対応型イージス艦の増勢、これは、四隻から現在五隻になっていますが、最終的に八隻までふやしますし、また、イージス・アショアの導入等を進める中で高度な警戒体制を維持するなど、弾道ミサイル防衛に万全を期してまいりたいと思っています。

宮川(伸)委員 改めて長距離巡航ミサイルの必要性に関して御説明をしていただきましたが、自衛隊員のやはり命を確保するためというのは、私もそこは非常に重要だと思います。しかし、今の説明では、五百キロ、九百キロという、そういった長く飛ぶものがなぜ必要なのかというところが、やはり、それだけの説明で今までのスタンダードを超えるというのは私は不十分だというように思います。

 そして、やはり、何度も今までの、以前の答弁でも北朝鮮の話が出てきているわけで、北朝鮮の話がある中でなぜ五百キロメートルや九百キロメートルが必要なのか。これが説明できないんだったら、北朝鮮に対してのものではなくて他国に対してのものだということを私は言っているとしか思えないというように思います。

 もう一つ、原発の問題に関してですけれども、中距離巡航ミサイル以外にも、海岸側に原発は建っているわけでありますから、これも以前から議論されておりますが、いろいろな可能性があると思います。イージス艦の話をしておりますが、イージス艦に積めるSM3等も数が限られているわけで、一方で、北朝鮮が持っているミサイルの数はそれよりはるかに多いと思います。

 そういった現状の中で、本当に原発を今守れると思われているのか、これから整備をして守るつもりでいるのか、あるいは、我が党が考えているように原発ゼロにしてしまえばその危険はなくなるわけで、その方が日本の安全保障に対して大きく貢献するのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生から数百キロというお話がありましたので、改めてその点を御説明いたしますが、諸外国において、今、軍事技術というのは非常に著しく進展をしているわけです。軍事能力も上がっているわけでありまして、特に、海上部隊あるいは航空部隊が連携をして我が国に武力攻撃をしてくる。こういうときに必ずエアカバーというものをかけていくわけですが、そのエアカバーが及ぶ範囲、つまり、航空の、相手方の脅威が及ぶ範囲というのは、侵攻してくる部隊の周囲数百キロに及ぶという状況に今なっているわけでございます。

 そういう中で、現状のままでありますと、自衛隊の航空機は相手の脅威の及ぶ範囲内に入って対応せざるを得ない。このことが、スタンドオフミサイルを入れる最も大きな理由であるというふうに考えているわけでございます。

 それから、BMDと原発の関係の御質問がございました。

 我が国は、先ほど大臣からも申し上げましたけれども、イージス艦それからPAC3の多層防衛という形をとっています。それで、イージス艦については、現状でも三隻でもって日本全国をきちんとカバーするという体制を持っています。

 さらに、現在、北朝鮮のミサイル能力というのは非常に向上してきていますので、このミサイル対処能力の向上を図るために、一つはミサイルそのものの能力向上、すなわち、先生も今御指摘になりましたSM3というミサイルをブロック2Aミサイルにする、それから、PAC3についてもMSEという能力向上型を取り入れる、こういった工夫を重ねてきております。

 さらに、イージス・アショアというものを入れますと、二十四時間三百六十五日の我が国の防護体制が相当強化されると考えております。

 したがいまして、原発を含めて日本各地を防護するための体制というものに我々は今力を入れて取り組んでいる、こういうことでございます。

宮川(伸)委員 今、もう一度長距離巡航ミサイルに関しての御説明をいただきましたが、改めてもう一度、問題なのは、今までのスタンダードを一歩超えるものだと。今までのスタンダードの中に入っていれば、今の御説明で僕は十分だと思います。しかし、今までのスタンダードを一歩超えるものであるということ。

 そして、我々は、我が国は憲法九条があるわけですが、この自衛のための最小限度というのを、歴代政府の中で、これがどのラインなのかということをずっと議論をしてきているわけです。これに抵触するのかしないのか、そういった非常に重い問題である中で、私がこの地図で示しました、この地図、我が国を防衛する上で必要な領域というこの範囲、地理的な範囲に対して、九百キロメートルというのがいかに広い範囲なのか。やはり、この地理的な状況、そしてスタンダードを超える、今までのスタンダードを超えるような話である、そしてこの九百キロメートル、こういったところを含めてやはり国民に対して説明をしなければ、今の説明だけでは私は不十分であるというように思います。

 そして、原発の方に関しましても、やはり、私は今の説明ではよくわからない。これから防衛予算をどういうふうに使っていくかということになりますが、今のこれからの計画において、今海岸線にある、今、政府の方は、二〇%原発をふやすということで、二〇三〇年という計画だと思いますが、日本海側にある原発を全て本当に守れるように、イージス艦にしろ、SM3にしろ、PAC3にしろ、全部配備する予定でいるのか。私は、そこは、今の計画ではそこまではいかないんじゃないかというように認識をしております。

 ちょっと時間がなくなってきているので、これはもう少し煮詰めてもう一度質問させていただきたいなと思いますが、ああ、終わりになってしまいましたね、失礼しました。

 もう一つ、お金の使い方としましては、私は例えば、国民を守るという意味では、核シェルターというようなものに関しても質問したいなと思っていました。

 ですから、周辺国を刺激するような、そういったものにどんどん前に進んで、国民にしっかり説明をしないで前に進める前に、やれることが幾つも私はあるんじゃないかというように思っておりますが、改めて、私は、国民にしっかりと説明をして、国民が納得をしながら進んでいけるように、この安全保障委員会でも引き続き質問させていただければと思います。

 本日はありがとうございました。

寺田委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 森友学園の問題におきましては、財務省で文書の改ざんがかなり大規模に行われるという大変残念な、国会にとってもゆゆしい事態が起こってしまっています。

 両大臣にお聞きをしたいんですけれども、これまでちょっと想定できなかったようなこういうことが省庁内で起こらざるを得ない、これから真相は究明されていくわけですけれども、こうした同様のことが防衛省や外務省では起こってはいけないと思います。

 今回の事件の受けとめと、このようなことが各省庁において起こらないような、そしてまた、官僚の皆さんにこうしたことをさせないような仕組みをつくっていくという思い、決意を、ぜひそれぞれの大臣にお聞かせをいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 財務省における決裁文書の書きかえにつきましては、安倍総理も述べられておりますが、行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であると考えております。いずれにしても、財務省は、検察による捜査に全面的に協力するとともに、事態の全容を明らかにするために徹底した調査が行われるものと承知をしております。

 防衛省の公文書の管理については、昨年、南スーダンPKO日報問題に関し、国会からも厳しい御指摘を受けました。これを受け、情報公開、文書管理の再発防止策を着実に実施してきたところでありますが、今後とも、この問題に対しては真摯に取り組んでいきたいと思っております。

 今般の財務省の問題につきましても、他省の問題とすることなく、防衛省・自衛隊における文書管理の重要性を改めて認識し職務に当たるよう、十二日、私から省内幹部に指示をしております。

河野国務大臣 外務省は、外交文書、機密文書の多いところでございますので、機密のあり方を含め、外務省における公文書管理をしっかりと管理できるようにこれからも努めてまいりたいと思っております。

本多委員 ぜひ、両省において財務省のようなことが絶対起こらないように、両大臣には御努力をいただきたいと思います。

 それで、防衛大臣に、護衛艦「いずも」の空母化検討の議論についてお聞きをしたいと思います。

 この問題、報道が昨年末からかなり盛んに出てまいりまして、一月二十五日、共産党の志位委員長、そして我が党の福山幹事長から、本会議で質問が総理にありました。この総理の答弁をつくったのは防衛省だと思うんですけれども、総理からは、具体的な検討を行っている事実はないという明確な御答弁がありました。政府のこの答弁は今も変わっていないという理解でよろしいですか。

小野寺国務大臣 総理の答弁については私の立場からコメントする内容ではないと思いますが、いずれにしましても、私は、今後の防衛力のあり方についてはさまざまな検討を不断に行っている旨、累次申し上げております。

 平成二十九年度、海幕において実施しているDDHの航空運用能力向上に係る調査研究について、これは本多委員からたびたび御指摘をいただいております。これは、今後の防衛力のあり方を広く調査し、関係する情報を収集する一環として行っているというものでありまして、あくまでも、私どもとしては、今後の防衛力のあり方の中でさまざまな検討を不断に行っている一環というふうに考えております。

本多委員 少し先走って、まず総理の答弁にはお答えにならないということなんですが、一月三十日には、委員会でこの問題を最初に取り上げたのは私だと思います。その際には、全く検討の事実はないと大臣はお答えになられたんですが、その答弁、変わったということでよろしいんですか、この一月三十からきょうまでの間に。

小野寺国務大臣 そのときの御質問に関しては、これは「いずも」の空母化に向けた具体的な検討ということはしておらないということでの答弁というふうに私ども答弁させていただいたと思っております。

本多委員 DDHに一般的にどういう拡張性があるのか、今後どういう飛行機を積む可能性があるのかという調査研究は、この時点でされていたわけですよね。

小野寺国務大臣 ちょっと記憶を呼び戻しますと、その時点でまだ、その調査研究等どういうものをやっているかということに関しては、私のところに報告も上がってきておりませんでしたので、逆に言えば、国会質疑の中でそのような調査研究があるんではないかという御指摘もいただき、私の方から調べさせていただいたということであります。

 調査費が非常に少額でもありますし、まだ結果が上がってきていないということでありますが、その際に、本多委員を含め、さまざま国会で御指摘も受けましたので、この調査研究についての報告を受けましたが、あくまでも、これは海幕が実施しているDDHの航空運用能力向上に係る調査研究ということ、今後の防衛力のあり方を広く調査し、関連する情報を収集する一環として行っているものというふうに承知をしています。

本多委員 その言い方で納得する方もいるのかもしれないんですけれども、私は、防衛の議論をするときに、もうちょっと丁寧な答弁を心がけていただきたいというお願いをしたいと思っています。

 特に総理の本会議質問、もし防衛省が案をつくられたのだとしたら、あれは総理に、言う人が言ったら虚偽答弁ともとられかねないような、検討を一切していない、具体的な検討をしていないということを言われたわけですし、私の質問に対しても、具体的な検討はしていないと。その後に共産党の委員から、こんな委託調査をしているじゃないかというものを出されて、その後、調査はしていますという言い方になったわけです。

 しかし、こういう言い方をしていきますと、実は、検討の中に調査研究は入るのかという言葉の問題になってくるわけです。我々は、実は、福山さんも志位さんも私も、検討の中に、調査や研究も含めてそういうことはしていないのかという思いで聞いているわけですよ、質問の中には。

 具体的にぎりぎりの、もう予算化寸前の検討はしていないかもしれないけれども、調査や研究はしていますよ、この時点で、何が悪いんですかと、幅広に、「いずも」の拡張運用、これから長く使うので、どんな飛行機が載せられるかという研究をしていましたということを、これを私が日本語で言うと調査研究でもありますが、幅広で言えば、具体的ではない検討に当たると思いますけれども、いかがですか。そういう答弁をしておいた方が丁寧だったんじゃないかと、国民に対して、国会議員に対して思うんですが、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 総理の答弁については私が申し上げる立場ではないと思うんですが、私どもとして、質問は「いずも」の空母化についての検討ということでありましたので、私どもはそのような具体的な検討は行っていないということで答弁をさせていただきました。

 私ども政府としては、これは、護衛艦「いずも」を将来どのような運用をするかということ、そのために平素からさまざまな研究をするということは大切だと思っておりますので、今後とも、お話しさせていただくのは、現在「いずも」の空母化についての検討は具体的に行っているわけではないということ、そして、あくまでも、拡張性がある護衛艦でありますので、どのようなことが将来的に考えられるかという客観的な基礎情報を収集するということは必要なことではないかと思っております。

本多委員 私は、国民や国会議員への丁寧な説明の仕方という観点から質問をしています。

 研究の名前は、DDHの運用についての調査研究なんです。私たちの質問は、そういう言葉を普通の国民、国会議員は使いませんから、DDHの、ヘリ搭載型護衛艦の運用の拡張についての調査研究でありますけれども、私たちはそういうことを含めて「いずも」の空母化という、短い、質問の時間も限られていますから、本会議や、私もそういう思いで、そういう調査研究もしていないのですかという思いで質問をしているわけで、それを、では、少し言い方、ですからもうちょっと丁寧に、こういう質問をしたときは、具体的な予算化のような検討はしていないけれども調査研究はしているという答弁をすべきだったと思います。

 私、例えば、じゃ、逆に聞きますが、「いずも」の空母化の調査研究は今しているんですか。

小野寺国務大臣 護衛艦「いずも」を将来どのような形で使えるかということの、今回、この海幕が発注した事業内容は、調査研究という名前になっていますが、実際は、三百万程度の調査費で行っている、いわば情報収集ということでありますので、しかも、内容も広く文献等を集めた情報収集というふうに私どもは報告を受けております。そういう観点から見れば、情報収集の一環ということなんだと思います。

本多委員 じゃ、情報収集はしているということをお認めをいただいたというわけなんですけれども、実は、これをもうちょっと早い時点で言っていただければ、私たちは、そのことの是非を議論する前提として、ずっと空母化の検討をしているのかと。検討の是非を聞いていたわけじゃなくて、私たちはその中身、本来、政府が攻撃型空母は日本国憲法上持てないと言っているので、我々は、「いずも」の空母化には、それは非常にグレーゾーン、これをこれから議論したいと思うんです。本当に日本の防衛に資するのか、本当に、沖縄にはあれだけ基地があるのに、わざわざ空母を持つ必要がコストからいってもあるのか、そしてまた憲法上どうなのか、いろいろな観点があるので、その議論をしていきたい。

 それは、実は、先ほど宮川委員からスタンドオフミサイルの話もありましたけれども、ノルウェーやアメリカと調整をしていた、研究をしていた。で、突然予算化されているわけですよ。この場合は、検討の時期なんかないわけですよ。ずっと、我々の知らないところで、ノルウェーやアメリカとスタンドオフミサイルの調査や研究をしていた。後は概算要求で、突然閣議決定された。後は国会で審議してくださいと。

 やはり、長期をかけて、多額をかける防衛予算の審議は、我々野党といえどもしっかりと議論に参加をして、そして特に、普通の、この「いずも」の話やスタンドオフミサイルをなぜ我々が議論をしているかというと、専守防衛に反するおそれがある、だから、そのグレーゾーンのところをしっかりと我々も議論をさせていただきたいということですので、検討しているかどうかというような手前の議論のところで、ぜひ、調査研究を小規模であれしているのであれば早目に言って、そして、私や福山さんや志位さんのときには、していませんと言い、そして、共産党の方が一生懸命調べてきて、宮本さんや小池さんがしたときには、調査研究はしていましたと。

 これでは、志位さん、福山さん、私の審議のところが非常に無駄になるので、ぜひこれからは、こうした防衛の大事な問題、護衛艦の空母化であるとかスタンドオフミサイルなど、こういう問題に関しては、調査研究、検討という言葉尻ではなくて、前広に、こういうことはしていますよと堂々と言っていただいて、言っていただいたら、私たちはその是非についてしっかりと議論していきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

小野寺国務大臣 繰り返しますが、空母化に向けた具体的な検討を行ってきたことはないと申し上げておりますのは、政府としては、これまで、護衛艦「いずも」を将来空母にすることを目標と定め、その実現を図るために検討を行ってきたことはないという趣旨であります。

 いずれにしても、私どもは、貴重な護衛艦でありますので、平素から調査研究をするということ、あくまでも客観的な情報収集をするということは大切だと思っております。

本多委員 時間が参りましたので、きょうはこれで終わります。

寺田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 希望の党の渡辺でございます。

 早速に質問させていただきます。

 まず小野寺大臣に、ちょっと通告はしていませんでしたが、四月一日から米韓の軍事演習が始まると韓国のメディアが報道している。中身については、四月の一日からフォール・イーグル、野外機動訓練が四月一日から一カ月、四月二十三日から二週間ほどでキー・リゾルブ、これは図上演習が行われるということなんですが、これは、日本政府としてはそのような情報は得ていますでしょうか。

小野寺国務大臣 米韓の演習について、報道等では一部出ておりますが、まだ、私どもは、米側からの正式な、いつから始まるとかそういうことについては、これは日米間でさまざまな情報交換をする中で、内容については差し控えさせていただきたいと思いますが、昨日も米太平洋陸軍の司令官が来られたときにも、この米韓の共同演習のことについての意見を交換させていただきましたが、その中でも米側は、従前から計画どおりの共同演習を行うという、そのような内容の報告があったと思っております。

渡辺(周)委員 その際、これまで、斬首部隊の参加であるとか、いわば暗殺部隊ですね、それから戦略爆撃機の訓練参加とこれまでもございましたけれども、そうした内容について従来と変更されるのかどうか、その点についてはいかがですか。

小野寺国務大臣 具体的な内容については、申すことは差し控えさせていただきたいと思いますが、最近の、南北首脳会談や米朝首脳会談に向けた動きは、防衛省としても注視をしておりますが、北朝鮮問題については、日米韓三カ国の連携のもと、私どもとして今後とも最大限の圧力を継続していくという考え、これは共有していると思っております。

渡辺(周)委員 そこで、河野外務大臣に伺いたいんですが、それでも南北対話は行われる、それでもというのは、平昌オリンピックを契機にして、北朝鮮が突然の手のひら返しのようなほほ笑み外交を始めてきた。世界も意外な思いで受けとめたと思いますが、当然、制裁が相当きいているんだろう。そして、先ほど申し上げたように、やはりアメリカのこの軍事演習が、金正恩体制自体をひっくり返すのではないか、その前提で行われているのではないか、相当な恐怖心を与えているのではないか、そうしたことが北朝鮮の、いわゆる、かぎ括弧つきですが、ほほ笑み外交というか、対話路線といいましょうか、あの国を額面どおり信用することはできないわけでございまして、そんなことはもう百も承知と思いますが、それでも軍事演習は行われる。そして、どのような規模になるかはまだ、小野寺大臣はそれは差し控えるということでございますが、いずれわかると思います。

 それでも南北対話は、南北会談は行われるということで日本政府としては今は見ている、そういうことでよろしいですか。

河野国務大臣 先般、韓国の特別使節団が訪朝をし、金正恩委員長以下と会談をして、その結果、韓国の徐薫国家情報院長が訪日されて、私も詳しく話を伺いました。その中で、南北の首脳会談というものが提案をされ、その中で、これまでと同じような規模の米韓合同演習ならば、それは理解を示すという話があったということでございますので、米韓の合同演習があっても、恐らく北はこの南北首脳会談に出てくるということになるのではないかと今思っております。

 これから、三月中に、この首脳会談に向けて南北の高位級会談が準備されているという話もございますので、これからさまざま南北のやりとりはあるんだろうというふうには思いますが、今のところ、会談が行われる方向である、そして、会談が行われるかどうかにかかわらず、米韓の軍事演習は行われ、国際社会として制裁を解除することは現時点ではない、そういう状況にあると認識をしております。

渡辺(周)委員 先日、徐薫国家情報院院長が、今、お話、名前が出ました、訪朝した韓国の特使でありますけれども、日本でもこの状況の報告があった。そのときのインタビューに答えて、この徐薫国家情報院長は、安倍総理と大変有意義ですばらしい面談を行いました、金正恩委員長に会い、トランプ大統領に会った内容を詳しく説明申し上げました、これからの南北首脳会談と、続いて行われる米朝首脳会談が成果を得られるよう、あらゆる面で協力と協調をしてくださるとおっしゃいましたというんですが、日本側として、この協力と協調というのは一体何なのだろうか。

 私は、南北対話が進んで次のステージに行くことに期待をしていますけれども、反面で、韓国の言う日本が協力と協調というのは、例えば、我々にとって懸案事項であります核とミサイルと並ぶ拉致問題、これをやはり韓国にも当然共有してもらいたいし、この南北会談で取り上げてもらいたい。後に質問しますが、米朝会談の中でも、実現するのであれば取り上げてほしい。しかし、反面で、これ、協調の余り、例えば韓国側から慰安婦問題のようなことが持ち出されてきて、何か日本の、今までの日韓にあるいろいろなさまざまな課題について何か妥協を交換条件で迫られることはないのだろうかと非常に懸念をするわけなんですけれども、この点についてはいかがですか。河野大臣。

河野国務大臣 徐薫院長と会談をいたしましたが、まず、北が対話を求めてきた、その理由は、やはり、経済制裁がきちんと行われ、相当効果を上げているんだろうという認識で一致をいたしました。これはやはり、国際社会が挙げて北朝鮮にこれまでにないレベルで圧力をかけてきた、その成果と言ってよろしいのではないだろうか。

 引き続き、日、韓、そして米、この間で、この圧力を最大化していくということについては密接に連携をしながら、やっていきながら、中国、ロシアにもきっちり協力をしていただかなければいけませんので、そうしたやりとりをしっかりやっていく。そして、国際社会にも、挙げてこの圧力の最大化路線というのを維持してもらう。そこで、日韓米、しっかり緊密に連携しながら協力していこうということでございます。

 特にその会談の中で、北朝鮮以外の日韓の両国関係について話題に出たということはございませんし、北の非核化を目指す、あるいはミサイル問題を解決し拉致問題を解決するというのは、これは日本だけでなく、韓国、アメリカにとっても極めて喫緊な課題でありますから、この北朝鮮の問題を解決に向けて三カ国が連携をする中で、そうした二国間のやりとりに及ぶということはないというのが我々の認識であります。

渡辺(周)委員 そこは我々としても、この南北会談の中で拉致問題をぜひ取り上げてもらいたい。韓国の口から、韓国の大統領の口からどのように伝えられるのかわかりませんけれども、その反面で、我々が借りをつくるようなことが、結果、それがまた、日韓関係などで三カ国の足並みが、日韓関係の課題が浮き彫りにされることによって足並みが乱れることがあってはならないということで、この日韓関係にかかわる問題は、それはそれとしてまた改めて解決をするということでございます。そこのところはぜひ、外務大臣、お願いしたいと思います。

 そこで、外務大臣がアメリカに行かれた。三月十五日、ワシントンDCに行かれて、精力的にペンス副大統領を始めとして大勢の方に会ってこられましたけれども、ここでざっくり聞きますが、米朝会談、識者の方、専門家に聞きますと、そんなたやすい問題じゃないぞと。

 それはまず、アジェンダ設定ができるのかということですね、これは。それから、まず朝鮮半島の専門家がいない、そもそも最前線に立つ、前線に立つはずの韓国の米大使が決まっていない。そんなことを含めて、また、対話重視のティラーソン国務長官が、ある意味では斬首作戦の首謀者とも言えるべき今度はポンペオCIA長官にかわるという中で、それでも米朝会談は行われるんだろうか、その点について、実現の見通しについては外務大臣はいかに考えておられますか。

河野国務大臣 十六日でしたか、に行われました米韓の首脳による電話会談の中で、トランプ大統領は、五月末までに金正恩委員長と会う意思があるということを改めて表明をしております。アメリカは、トランプ大統領が会う意思がある、こうおっしゃっているわけですから、用意はできるんだろうというふうに思っております。

 ただ、我々が懸念しているのは、いまだに北朝鮮はこの米朝会談について何もアナウンスをしていない、北朝鮮の意図がどうなっているのか直接の確認はできていないというのが、今、国際社会が懸念をしていることなんだろうというふうに思っております。

 また、トランプ大統領が会うぞと言って、恐らく一番最初に誰もが気にするのは、じゃ、どこでやるんだということなんだろうと思います。

 そうしたことを含め、これから調整をしなければいけないところは多々あるんだろうというふうに思っておりますが、先週の木曜日からワシントンに行ってまいりましたけれども、ペンス副大統領、あるいは国防長官マティスさん、あるいは国務長官の代行をしているサリバン国務副長官、あるいは大統領の、安全保障担当の補佐官のマクマスター将軍、向いている方向は全く同じ、北朝鮮に完全かつ不可逆的な非核化をさせなければいけないという認識でそこは一致をしております。

 恐らく、マティス国防長官、ティラソン長官、マクマスター補佐官、あるいはCIAの現長官でありますポンペオ氏を含め、発言ぶりは若干濃淡があったのかもしれませんけれども、極めて意思疎通がアメリカの政府内はしっかりできているというのが私の認識でありまして、どちらが右を向いていて、どちらかが左を向いているというようなずれはない。どちらかが武力行使で、どちらかが対話重視だというようなことはなく、米国政府内は意思統一がしっかりと図られているというのが私の認識でございます。

 そういう意味で、今、北朝鮮がどういう状況にあるのか。このアナウンスメントがない中で、むしろ北朝鮮の意思が明確になっていないというところはございますが、アメリカ政府としては、トランプ大統領が五月末までに会うんだという再確認を先般、文在寅大統領としているわけでありますから、アメリカ側は、北朝鮮側が出てくれば、しっかりとそうした準備を進めていくというふうに認識をしております。

渡辺(周)委員 この点について、やはり懸念されるのは、今のホワイトハウスの中に朝鮮半島の専門家がいない、少ないのではないか。

 そういう中で、これはやはり我が国として、あの国の、これはやはり韓国にとってみたら一つの民族問題でもあります、安全保障や外交以外に、同じ民族という民族問題。日本はやはり、安全保障の問題、それから隣国として、今までも何回となく、拉致問題も含めて、核やミサイルの問題を含めて、北朝鮮の現状をつぶさに分析をしてきたという知見を、アメリカに足りない分は補えるような、これから情報の提供なり共有の努力をぜひこれからしていくべきだろう。これは我々もいろいろなチャンネルでしてまいりたいと思います。

 このテーマの結びに、それでは、最近実現可能性を探っているのではないかと言われる日朝の首脳会談、これについて、これは可能性としてはどうなんでしょうか、それをまず外務大臣に伺いたいのと、そして、もし考えるとすれば、これは南北会談があって、米朝会談があって、その後に日朝ということがあり得るのか、その点については外務大臣はいかがお考えですか。

河野国務大臣 今回のこの北朝鮮の問題については、まずは南北、そして米朝の首脳会談が行われる、それに向けて日米韓でしっかり緊密にすり合わせを行っていくということに尽きるんだろうというふうに思います。

 南北の首脳会談というのは、今委員からもお話がありましたように、同じ民族間ということでありますし、この米朝の会談というのは、いわばアメリカが国際社会を代表して北朝鮮と、核、ミサイルの放棄に向け、あるいは拉致、拘束者の解放に向け議論をするということになるんだろうというふうに思いますので、今、日米韓でやるべきことは、この核、ミサイル、そして拉致問題を包括的に解決をするために、今後、圧力を最大限に維持しながら、北朝鮮の出方を見て、何が最も効果的なことだろうかという観点から今後の対応を決めていくということになろうかというふうに思います。

渡辺(周)委員 ぜひこの点については、我々もさまざまなチャンネルを通して、とにかく拉致問題の解決、非核化ということで、本当にあの国は信用できない、今までも何回もだまされてきた、だからやはり圧力があって初めてやっと対話が始まるということを念頭に置いて、引き続きこの朝鮮半島の問題については取り組んでまいりたいと思います。

 さてそこで、資料をお配りしました。先ほどから大臣も圧力という言葉が出てきます。安倍総理も、十八日の防大の卒業式の訓示で、北朝鮮が具体的な行動をとるまで最大限の圧力をかけていくことだと圧力継続の重要性を強調した。大臣もこれまでも、この最大限の圧力、今も答弁されたとおりです。

 そこで、きょう資料にお配りした「選択」という月刊誌の三月号に非常に気になる記事がございました。それは、北朝鮮に不正送金をしていたのではないか。ざっくり申し上げますと、愛媛銀行の支店から、昨年の五月末に、香港の恒生銀行というところに口座を持つKなる会社に一千万の現金での送金依頼があった、その実は送金を、愛媛銀行は香港の恒生銀行と取引実績がないために、みずほ銀行に委託をしたのだ、そして、実はこの後、五回に計五億円が送られていたということなんですが、この報道の内容について、きょうは金融庁、若しくは財務省ですか、この報道は事実でしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 雑誌「選択」三月号に愛媛銀行とみずほ銀行が関与する北朝鮮への不正送金疑惑に関する記事が掲載されたことは承知しております。

 本件につきましては、個別銀行の業務にかかわる事項であり、内容については、恐縮ながら、コメントを差し控えたいと思っております。

 もとより、北朝鮮の脅威に対しましては、国際社会と連携して最大限に圧力を高めていくということが必要でございます。

 こうした観点から、現在、財務省におきましては、人、物、資金のうち、資金の流れにおきまして、外為法に基づいた措置としまして、北朝鮮の核関連関係者等に対する資産凍結、北朝鮮の核関連計画に寄与する一切の資金の支払いの禁止といった国際社会と連携した措置に加えまして、日本独自の措置としまして、北朝鮮向けの支払い原則禁止並びに北朝鮮向けの現金等の携帯輸出等に関する届出義務の下限を百万円超から十万円超に引き下げるといった措置をとっているところでございます。

 財務省としまして、各金融機関が、こうした措置に加えまして、外為法第十七条に基づく確認義務を適正に履行しているか等につきまして、引き続き必要な検査を実施していく所存でございます。

渡辺(周)委員 これはちゃんと、私もこの記事を見てびっくりしたんですよ。だから、私も、拉致議連の会長代行も含めて、ずっとこの問題をやってきましたから、個別の事案についてはお答えできないとか言っても、これは事実なんですね。しかも、財務省が外国為替法による立入検査を行ったばっかり、そのときには問題ないという報告をしたばっかりなんです。

 これは本当に愛媛銀行には調査をしたんですか、いかがですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まことに恐縮ながら、財務省の立入検査に関する記事が掲載されたことは承知しておりますけれども、個別の立入検査については従来よりコメントを差し控えさせていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 いや、個別の、じゃ、中身で、何月何日、何人の人間が誰と会って、どんな調査をしたと言わなくていいですよ。

 これは実際にあったんですね。検査をしたことは間違いないんですね。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 まことに恐縮ながら、検査の有無につきましてもコメントは差し控えさせていただきたいと存じますが、外為法に基づきます北朝鮮向けの支払い原則禁止措置、先ほど申し上げた支払い原則禁止措置におきましては、第三国経由でありましても、最終的な受取人が北朝鮮関係者であれば措置の対象になります。こうしたことから、第三国経由の送金に関しても、まず金融機関において受取人が北朝鮮関係者又は資産凍結対象者であるかの確認を行うことが外為法上求められているところでございます。

 こうした観点から、財務省としましては、各金融機関が外為法の確認義務を適正に履行しているか等につきまして、引き続き必要な検査を実施していくという所存でございます。

渡辺(周)委員 この香港の銀行にあるKなる会社は、国連安保理の制裁リストに指定されている人物、この会社の代表者、同姓同名だ、こういうふうに報道しているんです。この報道では、黒竜江省の商社と頻繁に取引をしていて、この商社というのがまた北朝鮮とも貿易をしている。ですから、第三国経由でこれはもう不正送金が行われているんではないかというのがこのニュースです。

 だけれども、あったかないかについても、立入検査をしたかどうかについてもお答えできないと言うんですが、否定はできないんですよね。これでうそだったら、こんな、冗談じゃない、名誉にかかわる問題だと言って、みずほ銀行なり愛媛銀行なりが、この会社、「選択」という出版社を相手取って記事の取消しでも出さなきゃいけないのだけれども、私が知る限りはそんなことは出ていない。

 これはもう一回伺いますけれども、これはあったんじゃないんですか。つまり、これはもっと言えば、今、先ほどから圧力の話が出ているけれども、オール・ジャパンでこういう問題を共有できていないから、結果的に、この流れていた五億円の金が、ミサイル開発なのか核資金なのか、あるいは金正恩体制の体制強化のために使われていた。これだけ圧力圧力と言って世界に大きな声で呼びかけながら、私は前、河野大臣にも申し上げました。制裁に協調しない国があったら、ODAを減額するぐらいのおどかしを見せてでもやるべきじゃないかと。あのときは、たしか大臣も苦笑いしていたと思いますが。

 しかし、ここまで言うんであれば、制裁逃れは許さない、しかし我が国の中でこんなことが起きていた。この点については、これはお答えはしないけれども否定はしていないということですから、あるんだろうということで理解をしております。

 この点についてはまた改めてやりますので、私も、報道の記事だけを読んでそのまま聞いているわけじゃないので、それなりのことがございますので、これでまた違う答弁をしたり、出てきた情報が違ったりすると、これまたそれはそれで大変なことになりますので、そこのところは心して答弁をしていただきたいと思うんですが。

 ここでちょっと全般的に伺いたいんですが、これは財務省、それでは、この先、制裁対象になっている企業のその先のお金のやりとりというのは把握できるんですか。これは国連なりアメリカなりと話をして、この先がどう流れているか、今回のことを一つの一般例としてでもいいです、これはできるんでしょうか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの説明のまず繰り返しになって恐縮でございますが、外為法に基づく北朝鮮向けの支払い原則措置、これは我が国独自の措置でございます、これにおきましては、第三国経由であっても、最終的な受取人が北朝鮮関係者であれば措置の対象になります。こうしたことから、第三国経由の送金に関しても、まず金融機関において、受取人が北朝鮮関係者又は資産凍結対象者であるかの確認を行うことを外為法上求めているところでございます。

 一方で、委員お尋ねの点でございますが、受取人が北朝鮮関係者又は資産凍結対象者でない場合、日本にある金融機関等において、最終的な受取人に関する情報の入手、これは非常に、我が国だけでなく国際的な課題でございまして、この最終的な受取人をどこまで求めていくのかというのは非常に国際的な課題というふうに認識しております。

渡辺(周)委員 ですから、その第三国経由で送金をされた金が世界から集まれば、制裁逃れになって、金正恩体制の核やミサイルになっているのではないかと。だから、それを何とかしようという、当然、国際的な取組をしなきゃいけない。今のお話ですと、もうそこから先はちょっとわかりにくいからと、何か諦めてしまっているような話でしょう。

 では、これをどうするかということは、政府全体としてどう取り組むかということは、これは財務省のみならずですけれども、どのような形で、これは制裁逃れ、この不正送金の話は、もう時間がないからあれですが、また改めてやりますけれども、この不正送金について最終的な受取まで把握するということ、これは仕組みができないものなんですか。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 そうした最終的な受取人の把握というものを実効たらしめるためにも、今委員がおっしゃったとおり、日本の独自制裁のみならず、各国に最大限の圧力を高めていくことを呼びかけていくということが極めて重要なことだというふうに認識しております。

渡辺(周)委員 いや、そんな重要なことはみんなわかっていまして、だから、それを実現するためにどうするんだという話なんですね。

 この点について、では、最後、河野大臣、直接の所管じゃないという顔をしていますけれども、それでも、政府全体として、やはりこういうことがあるんですよ。だから、これだけ圧力を世界に向けて呼びかけても、実際、我が国の足元でこんなことが起きている。

 私の聞き及ぶところによれば、実は、この愛媛銀行もみずほ銀行も、金融庁に、財務省にやってきて、平謝りに謝ったと。実は、このことについてはアメリカにも報告をしたという話も聞いておるんですよ。

 これは、ここで確認するつもりはなく、そこまで知っていてあえて私は聞いているんですが、現実問題として、我が国の足元でこんなことが起きているということについて、この制裁逃れをさせないために、不正送金のことも含めて、やはり、オール・ジャパンで、この地方銀行の、第二地銀といえども、そこまで、窓口まで、認識していなきゃいけない。そして、どこか遠い国の話をしているんじゃないかと思われてはいけないので、その点について、やはり、これから三カ国でこの北朝鮮と向き合うに当たって、我が国がまずこのようなことがあっては絶対ならない。その点について、大臣、今後、オール・ジャパンの取組をどう考えますか。

河野国務大臣 おっしゃるように、日米韓で国際社会に呼びかけて、圧力を最大化することが大切だ、こう申し上げてきているわけでございますから、自分の足元で制裁逃れがあってはならないんだろうと思います。

 北朝鮮は、最近、いろいろな分野で巧妙な制裁逃れをしかけてきているわけでございますので、国際社会でそうした情報を共有しながら、しっかりと圧力をかけ、北朝鮮に対する制裁に穴がないように、抜け道がないように、しっかり対応してまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 では、最後に、田中実さんの事案について伺いたいと思うんですが、二〇一四年に、北朝鮮に入国した、生存しているという情報、ただし、本人は帰りたくないと北朝鮮側が言っているということが実はあったということが報道されましたけれども、これはストックホルム合意の、一四年五月の前の話です。

 ですから、これは交渉を有利に引き出すための、本当の話、真偽というのはわからないんだけれども、またこの時点で出てきました。これは、ひょっとしたら、北朝鮮側が何らかの日朝会談を考えているのか、それとも、日朝会談を何とか実現の道のりとするために、実はこういう話があるということで出てきているのか定かではありませんが、この田中実さんが、この方は神戸のラーメン店の店員さん、成田から、たしかオーストリアかどこかに行くという中で行方不明になったんです。その先、行方不明になったんですが、この田中実さんのことにつきまして、この情報について、真偽というものは政府はいかに把握していますでしょうか。伺います。

河野国務大臣 拉致被害者については、日ごろから情報収集に努めているところでございますが、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、その具体的な内容について一々お答えをすることは差し控えたいと思います。

渡辺(周)委員 また別の機会に、先ほどのみずほ銀行の問題も含めまして、引き続きやりたいと思います。

 時間が来たので、終わります。

寺田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 おはようございます。希望の党の井上一徳です。

 河野外務大臣には、初めていろいろ質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、二年前の、沖縄県うるま市の女性会社員が米軍属に殺害されたという事件で、先週の新聞で、この件で遺族への補償を米側が拒んでいるという報道が出ておりました。この件について、まずちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 この殺害事件があった当時、私は防衛局長をやっておりまして、本当に衝撃的な事件で、結婚間際の若い女性、何の罪もない若い女性が暴行され、そして殺害され、で、林の中に遺棄される。もう本当に残虐きわまりない事件で、私も葬儀に、中谷大臣、おられませんけれども、中谷大臣と一緒に参列させていただきましたけれども、もう本当に悲痛の涙であふれて、何とも痛ましい、本当に私自身が申しわけない思いでいっぱいになった事件でありました。

 これで、報道によると、米側は、被告、シンザト被告ですけれども、この事件当時、軍属だったが、米軍が雇用していたわけではなく、米軍と契約していた民間会社に雇用されていた、米国政府が補償金を支払う義務はないという報道で、正直とんでもない話で、遺族にとってはたまったものじゃないなというふうに思いましたので、ちょっと御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、外務省に協議内容についてちょっと質問する前に、手続について防衛省にちょっとお尋ねしたいと思います。

 当然、本件は公務外の事件に該当すると思いますけれども、日米地位協定に基づく公務外の事故についての補償処理の流れについて伺いたいと思います。その際、閣議決定されています「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」、それからSACO最終報告において触れられている「請求に対する支払い」についても、あわせてわかりやすく説明していただければと思います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の公務外による事案の方の補償の流れでございますけれども、米軍人等による公務外の事故等に伴う補償につきましては、原則として、加害者が賠償責任を負い、当事者間による解決が図られることとなりますが、当事者間による解決が困難な場合は、日米地位協定十八条6の規定により処理が行われることになります。

 具体的に申しますと、日本政府、これは防衛省が担当しておりますが、日本政府が被害者からの請求を受理して補償額を査定し、米軍に対して送付いたします。米軍は、それを踏まえて慰謝料の支払いを行うか否か及びその額について決定し、被害者側がその米軍の申出を受諾する場合は、米軍が被害者に直接支払いを行うというシステムになっております。

 その上で、御指摘の閣議決定でございますが、この閣議決定の見舞金は、米軍人等の非戦闘行為による損害であって、今申し上げました地位協定の手続で救済されない直接の被害につき国が救済を必要と認めたときに、被害者に対して支給することができるものでございます。

 さらに、いわゆるSACO見舞金について御指摘がございました。SACO最終報告においては、日米地位協定第十八条6のもとの請求による支払い手続の改善措置として、米国政府による支払いが裁判所の確定判決による額に満たない事例が生じた場合には、日本政府が必要に応じてその差額を埋めるよう努力する旨が盛り込まれているところでございまして、これに基づきまして、いわゆるSACO見舞金という支給を行っているところでございます。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 それでは、外務省に、報道によれば、引き続き協議が行われているというふうに承知しておりますけれども、報道では、日米間で地位協定の解釈をめぐる相違があるというふうに出ておりますけれども、今の、協議をされているのであれば、その協議内容についてお答えしていただければと思います。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報道については、私どもも承知しております。

 他方、本事件の御遺族に対する補償の問題につきましては、その具体的な手続等に関する事項は防衛省が担当しておりますが、被害者の側のプライバシーにかかわる問題でございますので、また、現在、防衛省及び外務省において、米側との間でさまざまなレベルで協議中でございますので、現時点で詳細につきお答えすることは差し控えさせていただければと思います。

井上(一)委員 私が承知しているのは、論点は、結局、地位協定第十八条の6に書いてある被用者の定義、これをどう捉えるかによると思っておりますけれども、日本側としては、この被用者についてどういうふうに解釈しているか伺いたいと思います。

 私は、軍属、それから直接雇用の日本人労務者は当然のこととして、このシンザト被告も対象となっている間接雇用の労務者、これも含まれるというふうに日本側は解釈しているというふうに思っているんですけれども、それでよろしいでしょうか。

鈴木(量)政府参考人 日本政府としては、日米地位協定第十八条6が規定する請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属のみに限定されているわけではなく、間接雇用の被用者も含まれていると理解しております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 結局、日米間でこの被用者の定義をめぐって議論していると、相当な時間がまた費やされるのではないかというふうに思っております。

 日本側として、この被用者の定義に、先ほど局長から話があった間接労務者も含まれるという立場を日本政府としてとっているのであれば、やはり、被害者の遺族のことをまず第一に考えて、早急にその遺族に、どういう名目のお金になるかわかりませんけれども、補償金になるのか見舞金になるのかわかりませんが、一度立てかえて支払った上で、米側と引き続き協議すべきだというふうに考えておりますけれども、これは、済みません、防衛大臣と外務大臣に、それぞれちょっとお考えを聞かせていただきたいと思います。

小野寺国務大臣 この問題については、今説明がありましたように、これは、今、外務、防衛のそれぞれの当局がこの地位協定の解釈をめぐって米側と調整をしているということなんだと思います。

河野国務大臣 今、日米で協議が行われているところでございますが、日本政府としては、御遺族になるべく御迷惑をかけないようにするというのがこれは当然のことだと思いますので、きちんと、早急に、この日米協議を取りまとめ、対応してまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 ぜひよろしくお願いいたします。とにかく、やはり、被害者の遺族のことをまず第一に考えていただいた対応をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、この地位協定をちょっと今勉強していて、地位協定を勉強している中で、河野外務大臣はいろいろ取りまとめをされているということも知りまして、ちょっとその点も含めていろいろ御質問させていただきたいと思います。

 私自身は、沖縄防衛局長に着任する前は、日米間の信頼関係を基礎に、地位協定の改定をするということではなくて、運用改善で一つずつ実績を積み重ねるというこの政府の立場を理解していたつもりなんですけれども、やはり沖縄防衛局長を経験した後は、事件、事故をなくしてこの日米安保体制を安定的に運用していくためには、やはり地位協定の改定に取り組む必要があるのではないかというふうに思うようになってまいりました。

 それで、先ほど申し上げましたとおり、河野外務大臣は、当時ですけれども、二〇〇三年当時、自民党の日米地位協定の改定を目指す議員連盟の幹事長として、地位協定の改定案をまとめられております。ホームページから見させていただいたんですけれども、非常によくできた改定案で、在日米軍に対する日本の法令適用を拡大する内容になっております。

 例えば、訓練に関する条項を新たに設けて、米軍の訓練は原則として提供施設・区域内で行うこと、例外的にその外で行う場合には、日本政府との協定ないし同意を必要とし、日本の法令に従わなければならないというふうに定めておられます。また、事故が発生した際は、事故合同調査委員会を設置し調査を行うこととされてもおります。本当にすばらしい地位協定の改定案だなというふうに思っております。

 河野外務大臣は、当時ですけれども、下地議員と対談をされて、次のようにも語っておられるというのがインターネットで出ておりました。こういうふうに言われています。

 米軍が何か事件、事故を起こすと、即座に感情的に、反米的なことが広がります。これは何も日本に限ったことではなくて、韓国も同じことです。要するに、日米安保への理解が薄い中で、反米軍基地感情のようなものだけが広まってしまうというのは、日米安保体制にとって非常によくないと思うのです。それを解決するために、一つは、日米安保を理解してもらうということ、もう一つは、問題になっていることがあれば早期に取り除いていかねばならないのだということです。そうすると、環境問題、横田基地等の航空管制問題、米軍あるいはその軍属、家族が日本の法律にきちんと従っていない問題等に関して、日本国民に疑念を持たれるということは余りいいことではないので、それをしっかり取り除いていく必要があるのです。そのためにも、日米地位協定と係る問題をきちんと見直して、示すことです。つまり、戦争の準備や軍事行動に関しては特別に対処するべきでしょうが、しかし、平時の生活をしているときには、米軍人は皆きちんと日本の法律に従ってもらいますということをちゃんとやらなければいけないと考えます。

 もうそのとおりだと思っています。

 それから、合同委員会が開催されたかどうかわからないような、議事録は一切公開しませんという事態はもう許されません。

 もうそのとおりだと思います。まさに本当に的を射た、肯綮に当たる御発言で、国民の共感も得られると思います。

 今、外務大臣という立場におられますけれども、今現在、日米地位協定改定についてどういうふうに大臣自身お考えになっているか、ちょっと御見解をお聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 ありがとうございます。

 なかなか案としてはいい案なんではないかというふうに思っております。また、軍属の定義というのも日米間で合意をいたしましたし、環境に関する補足協定というのが日米協定の補足協定としてできました。そういう意味で、一歩ずつ前進をしてきたところでございます。

 また、日米合同委員会についても、合意したことについては速やかに外務省のホームページに掲載をするということが、やはりやらなければならないということで、速やかに掲載をしております。

 ただ、残念ながら、まだこの合同委員会、相手側が了解をしたものについて公表をする、これは忌憚のないやりとりを担保しなければいけないということですから、相手側の合意を得た上で公表ということになっております。こういうことについては、もう少し日米間で突っ込んで、もう少し公表できるところは拡大をしていくということはやってまいりたいというふうに思っております。

 また、日米地位協定、これは、地位協定だけでなく、合同委員会の議事録まで含めた一つの大きな塊でございますので、この地位協定を改定していくのか、あるいは、合同委員会の中でさまざま物事を決めて、早く対応するようにしていくのか、いろいろなやり方があるんだろうというふうに思っております。

 現実に即して、一つ一つ問題の解決ができるやり方でしっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。

井上(一)委員 地位協定の改定、ぜひ一緒になって取り組みたいと思いますので、また大臣、よろしくお願いいたします。

 それでは、ちょっと今度は、安倍首相は、防衛計画の大綱の見直し、これを昨年八月六日に表明されて、南西地域の防衛、それから弾道ミサイル防衛の強化、それから宇宙、サイバーといった新しい防衛についても検討課題となるというふうに記者会見で述べられたというふうに承知しています。

 私としても、これは方向性としては異論ないんですけれども、さらに、私としては、防衛力の能力発揮のための基盤の整備、これが重要だというふうに思っております。幾ら装備を整備したとしても、指揮機能が麻痺したらもう部隊は動くことができなくなるということで、そういう意味で基盤の整備が重要と思っております。

 特に、北朝鮮のミサイル、それから大規模地震、それからこの間の原子力事故、こういうようなものを考慮すると、指揮機能が集中する駐屯地、基地等の復旧能力を含めた抗堪性をもっと高める必要があるのではないかというふうに思っております。

 私が防衛省にいたころ、市谷も、これは中央指揮所とかが入っておる非常に重要な場所ですけれども、この市谷で大規模な地震があって使えなくなった際の代替機能、これをどうするかという検討を進めておりましたが、今どのような状況になっているか、防衛省に伺いたいと思います。

小波政府参考人 お答えいたします。

 先生から、ただいま市谷代替機能の検討状況について御質問をいただきました。

 これにつきましては、平成二十四年五月の第二次の、中央省庁業務継続計画の充実・強化に向けた当面の取組方針という首都直下地震対策局長級会議の申合せを踏まえまして、首都直下地震発生時の市谷庁舎代替機能の整備及び同機能の運用開始に向けた計画等について検討するため、平成二十四年九月、防衛省に市ケ谷庁舎代替機能に係る検討チームを設置いたしました。

 その検討チームの検討を踏まえまして、地震発生時に市谷庁舎の全部又は一部が使用不能となった場合、陸上自衛隊朝霞駐屯地を代替地として活用し得るよう、所要の整備等を進めることといたしました。

 平成二十七年十月には、同チームを統合する形で、首都直下地震発生時の業務継続力向上の取組を推進するため、防衛省業務継続計画推進委員会を設置しております。

 防衛省としては、こうした枠組みでの検討成果を踏まえ、朝霞駐屯地における市谷庁舎代替機能としての情報基盤や施設の整備を行っているところでございまして、今委員御指摘のように、今後も引き続き業務継続力向上の取組を着実に推進してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 当時は、中央指揮所、相当なデータも蓄積されているので、このデータをやはりバックアップするためにも、中央指揮所の代替機能を市谷とは別のところにつくる必要があるんではないかというような議論をしておりましたけれども、これについて、現在の取組状況はいかがでしょうか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省では、中央指揮所の代替機能の整備を含めた市谷代替機能につきまして、先ほど申し上げました防衛省業務継続計画推進委員会で検討を行っているところでございます。

 御指摘の中央指揮所のバックアップデータ等の細部につきましては、自衛隊の運用に支障を来しますため、お答えは差し控えをさせていただきますが、中央指揮所の機能は自衛隊の運用に必要不可欠なものであるというふうに認識をしてございます。

 防衛省としては、引き続き、同委員会において、中央指揮所のバックアップデータのあり方を含めまして、中央指揮所の代替機能の検討を行うとともに、必要な整備を行ってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ぜひ、中央指揮所、それから市谷代替機能の検討、更に精力的に進めていっていただきたいというふうに思います。

 それでは次に、EMP対策について伺います。

 北朝鮮が昨年の九月三日に核実験を実施した際に、金正恩朝鮮労働党委員長がICBMに搭載可能な水爆を視察したと報道し、その際に、強力なEMP攻撃もできると伝えたというふうな報道があります。

 このEMPというのは、核爆発によって生じる強力な電磁波のことで、高度数十から数百キロの高層大気圏内で核兵器を爆発させた後、地表には爆風や放射能による直接の影響はないとされるものの、EMPが地磁気に引き寄せられて地上へ向かう際に大電流になり、送電線や電話、インターネット回線、航空機関の管制システムからパソコンなどの電子機器まで破壊し、幅広い分野を長期にわたり機能不全に陥らせるおそれがあるというふうに解説がされております。

 防衛省としても、いろいろやはり指揮機能に影響がないように、こういったEMP対策についてもしっかりしておく必要があると思いますけれども、現在どのような取組をされているか、伺いたいと思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、電磁パルス兵器、EMP兵器は、核爆発などによりまして瞬時に強力な電磁波を発生させ、電子機器に過負荷をかけ、誤作動をさせたり破壊をしたりするものと承知をしております。このような電磁パルスを用いた攻撃につきましては、その可能性も含めまして、関連の動向を注視しているところでございます。

 防衛省・自衛隊が保有する装備品につきましては、基本的に一定のEMPに耐えられる性能を有しておりますが、引き続きさまざまな抗堪性の強化が重要と認識をしております。例えば、空自のレーダーサイトで収集した情報を空自全体で共有するために必要となる通信網につきまして多重化を推進するほか、電磁パルス攻撃に対する装備品の防護に関する研究等を行ってきているところでございます。

 また、御審議をいただいております平成三十年度の予算案においては、核爆発を伴わない、より小規模な電磁パルス弾に関する要素技術の研究についても行うこととしておりますが、これによりまして、EMP攻撃に対する防護の技術も得ることができるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、実際にEMP攻撃が行われるといった万が一の事態への備えといたしまして、そのような場合の国民生活への影響を最小限とするための努力も重要であると認識をしており、この点につきましては、内閣官房を中心に政府全体で必要な対策について検討する中で、防衛省・自衛隊としても対応してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 いろいろ関係者の方からは、どことは言えませんけれども、やはりまだまだEMP対策が足りていないところもあるというふうに聞いていますので、ぜひ必要な措置をとっていただきたいというふうに思います。

 それから次に、私の地元の隣にあります高浜原発なんですけれども、この高浜原発については、運転開始からもう四十年を超えて、更にその運転延長を認める運転期間延長認可制度のもと、これが許可されて、今、再稼働に向けた安全対策工事が行われている状況です。運転開始から四十年を超える原子力発電所の再稼働ということで、地域住民の方々は本当に強い不安と懸念を抱いている状況であります。

 そういう中で、万が一事故が発生した際には、五キロ圏内、これはもう予防的防護措置として直ちに避難される市民の方もおられ、それから、おおむね三十キロ圏内、ここについては避難をする可能性がある地域ということで定められておりますけれども、ここには市民全員の対象になる八万四千人が生活しております。

 それで、もし万が一高浜原発所で実際に事故が起きた際には、舞鶴の地方総監部もここに含まれているわけですけれども、その避難をする際に地方総監部はどのような対応をとるのか、教えていただきたいと思います。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の高浜原子力発電所から約十三キロ離れた場所に、海上自衛隊の舞鶴地方総監部を含む海上自衛隊の舞鶴基地地区が所在しておりますけれども、原子力規制委員会が定める原子力災害対策指針等によりますれば、この基地については、仮に原発で臨界事故や外部への放射能の流出といった全面緊急事態が発生した場合には、先ほど御指摘がありましたような、屋内退避や避難等の緊急防護措置を行うこととされている約三十キロの圏内に含まれているということになります。

 防衛省では、万一にもこのような重大事故が発生した場合でも、舞鶴基地の司令部機能ですとか艦艇の補給整備機能等をほかの基地などに移管、代替することも想定しながら、自衛隊法八十三条の三に基づく原子力災害派遣として、付近の国民、住民の皆さんの被害状況の把握、住民避難支援、モニタリング支援等の各種活動ということを実施、又はその支援を行うこととしておるところでございます。

 他方、抗堪性の強化という観点でございますけれども、各種緊急事態におきまして、自衛隊施設は自衛隊のさまざまな活動の拠点として重要な役割を有しているということでございますから、御指摘のような原発事故のケースも含めまして、さまざまな事態に対する抗堪性の強化が重要と認識しております。部隊の活動内容も勘案しながら、必要な対応について更に検討を進めてまいりたいと存じております。

井上(一)委員 次期大綱では、ぜひこういう指揮機能の抗堪性の向上にも取り組んでいただきたいと考えておりますけれども、防衛副大臣、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

山本副大臣 おはようございます。

 本年末を目指して進めていく防衛計画の大綱の見直しに関してですが、防衛、安全保障環境の現状が、北朝鮮の核兵器あるいはミサイル技術の急速な進展、中国の軍事力強化や周辺空域における活動の活発化、サイバーあるいは宇宙空間などの新たな領域における課題の顕在化などを踏まえれば、戦後最も厳しい環境にあると言っても過言ではない。そういう状況の中で、我々としては、現実に正面から向き合って、専守防衛は当然の大前提としながら、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく考えでございます。

 その上で、現時点では、個別具体的な装備品の取扱いはもとより、その具体的な方向性等が固まっているわけではございません。

 そういった中で、自衛隊基地の防護、あるいは万が一の特定の基地が使用不能になった場合の代替策の確保、さらには、御指摘のEMP対策も含め、抗堪性の強化も重要な課題だと認識をしております。これについても取り組んでいく必要が必ずあるという考えに立っております。

 いずれにしましても、専守防衛という大前提を置きながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を追求していく所存でございますので、委員におかれましても、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。

井上(一)委員 じゃ、時間が参りましたので、これで終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

寺田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 日ごろ私も沖縄の問題を取り上げておりますが、さきの沖縄防衛局長を経験せられた井上議員のお話を聞きながら、やはり沖縄にいると現実の矛盾に直面せざるを得ないんだなということを実感いたしました。日ごろの私の質問も、ぜひそういう角度から、両大臣、お聞きいただきたいと思います。

 それで、きょうは最初に、森友学園問題をめぐって財務省が公文書を改ざんしていたことが明らかになりました。公文書管理法は第一条で、「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである」と述べています。その公文書を改ざんするということは、憲法に明記された国民主権を破壊し、議会制民主主義を踏みにじる歴史的犯罪と厳しく指摘しなければなりません。事は、財務省にとどまる問題ではありません。民主主義と国民主権の根幹にかかわる問題であります。

 まず両大臣に、今回の公文書改ざん問題をどう受けとめているのか、その認識を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 財務省における決裁文書の書きかえにつきましては、安倍総理も述べられているように、行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であると考えております。いずれにしましても、財務省は、検察による捜査に全面的に協力するとともに、事態の全容を明らかにするために徹底した調査が行われるものと承知をしております。

 また、防衛省の文書管理について、昨年、南スーダンPKO日報問題に関し、国会からも厳しい御指摘を受けました。これを受け、情報公開、文書管理の再発防止策を着実に実施してきたところでありますが、今後とも、この問題に関しては真摯に取り組んでいきたいと思っております。

 今般の財務省の問題につきましても、他省の問題とすることなく、防衛省・自衛隊における情報公開、文書管理の重要性を改めて認識し職務に当たるよう、十二日、私から省内幹部に指示しております。

河野国務大臣 先ほど本多委員への答弁でも申し上げましたが、外務省には、外交文書、機密文書が多数ございます。そうした機密文書の取扱いを含め、公文書の管理が適切に行われていくようにしっかり指導してまいりたいと思います。

赤嶺委員 外務省は、おっしゃるとおり、密約ということについても、戦後、長期にわたって、核密約あるいは沖縄返還密約を隠し続けてきた省庁であります。また、防衛省も、昨年、南スーダンの日報の隠蔽が大問題となり、当時、小野寺防衛大臣は与党の筆頭としてその問題に当たっておられましたが、やはり民主主義と国民主権に対する安倍内閣の姿勢が根本から問われている問題なんだということを指摘して、質問に入りたいと思います。

 きょうは、まず沖縄への核持込み容認発言の問題について伺います。

 外務省の秋葉剛男事務次官が、在米日本大使館の公使を務めていた二〇〇九年二月二十五日、米議会戦略態勢委員会に対し、沖縄への核貯蔵庫建設を容認する意向を示していたことが報じられました。

 委員会のスタッフが作成した同年二月二十七日付の意見聴取の概要メモによりますと、副議長のシュレジンジャー氏から、沖縄又はグアムで核貯蔵庫を建設することについての日本側の見解を問われたのに対して、秋葉氏が、そのような提案は説得力がある、このように述べたと明記されております。

 本日の委員会に、私は発言の当事者である秋葉事務次官の出席を求めました。出席をいただけておりませんが、今後も出席を求め続けていきたいと思います。

 それで、外務大臣に伺いますが、大臣は三月六日の記者会見で、秋葉氏にも確認したが、そのようなことはないということだったと述べておりますが、具体的に、いつ、誰が確認をしたんですか。外務大臣みずから秋葉氏に確認をされたんですか。

河野国務大臣 いつという日付は覚えておりませんが、この報道があったときに、至急確認をするようにということで、外務省内で秋葉氏本人に確認をし、そのような発言をしたことはないということを確認しております。

赤嶺委員 誰が確認をされたんですか。大臣が直接確認をされたんですか。

河野国務大臣 北米局から事務次官に確認をしております。

赤嶺委員 北米局日米安保課というぐあいに事前に説明を受けておりますが、そこの職員が、事務次官に確認をして、事実の解明ができるんでしょうか。なぜ大臣みずから本人に確認しなかったんですか。

河野国務大臣 そうした発言があったということであるなら、私が多分本人からどういう経緯なのかということを聞いたと思いますが、そうした発言はなかったということでございますから、何も私から同じことを確認する必要はないと思います。

赤嶺委員 どのような具体的な発言をしたということですか。ちょっと説明してください。

河野国務大臣 済みません。その詳細まで聞いておりませんが、こうした発言があったかということに、ないというふうに答えたということでございます。

赤嶺委員 詳細は聞いていなくて、北米局の職員が事務次官に、言われましたか、いや、やっていませんという。

 しかし、事は日本の非核三原則にかかわる疑念が生じている問題ですよね、これは。そういうような問題があったか、なかったか。つまり、具体的にどのような発言をしたのか。概要メモには、説得力があるという発言が出ているわけです。そういう発言は、説得力があるという発言はしていないということなのか、あるいは、沖縄への核持込みについて発言自体をしていないということなのか。どういうことですか。

河野国務大臣 日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳するような話はしていなかったということです。

赤嶺委員 シュレジンジャー氏から、沖縄又はグアムで核貯蔵庫を建設することについての日本側の見解を問われたこと自体は認めておられるんですか。

河野国務大臣 この委員会の会合は対外的に議論を明らかにしないという前提で行われておりますので、詳細は控えさせていただきます。

赤嶺委員 つまり、質問があったかどうか、これも答えられないということですよね。ただ、一般的に、日本政府は非核三原則を踏み外しておりませんという、そういうことであって、踏み外した疑いのある発言についてきちんと調べる態度が余りにもなさ過ぎるという印象を抱かざるを得ません。

 昨日の沖縄の地元紙の報道によりますと、今回、意見聴取の概要メモを提供したアメリカの科学者団体、憂慮する科学者同盟のグレゴリー・カラキ博士は、シュレジンジャー氏が、アジアに核兵器を配備する重要性を強調していたこと、秋葉氏に対して、核を再配備してもいいかどうか、日本がそれを許容するために非核三原則を調整するかどうかなど質問を重ねていたことを明らかにしています。

 沖縄の核の持込みについてのやりとりというのはあったのではありませんか。秋葉氏はその点も否定しておられるんですか。

河野国務大臣 この戦略態勢委員会というのは、対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、会合の公式な記録は作成していません。そういうことで、詳細をここで申し上げるというのは差し控えたいと思います。

赤嶺委員 公式の記録はないという今の外務大臣の発言は、何かを思い出して本当に疑念が深まるようなそういう御答弁だな、こんな印象を持ちます。

 確かに、戦略態勢委員会は、二〇一〇年のものでありましたNPRに向けて設置されたものです。

 重大なことは、アメリカのトランプ政権は、先月公表したNPRで既に米国の核政策を大きく転換しています。当時の委員会の役割は既に失われているわけですから、これは公開すべきではありませんか。明らかにできるのではありませんか。

河野国務大臣 お答えする立場にございません。これはアメリカの戦略態勢委員会のことでございますので、日本の外務大臣が、公開できるかどうか、答える立場にないと思います。

赤嶺委員 これは、日本の非核三原則の問題で、沖縄に核が持ち込まれるかどうかという、県民にとって死活的な問題ですよ。外務大臣がお答えする立場になければ、誰がそういう問題を解明していくんですか。非常に、極めて納得できない答弁であります。(河野国務大臣「委員長、委員長」と呼ぶ)

寺田委員長 質問を続行してください。

赤嶺委員 それで、委員会の最終報告書には、意見聴取を行った外国政府代表の氏名が記載されています。日本政府代表として、秋葉氏のほか、その前任の石井正文公使、飯島秀俊一等書記官、金井正彰一等書記官、以上四名の氏名が列挙されています。その点は確認できますね。

河野国務大臣 中身について明らかにしないということでございますので、確認いたしません。

赤嶺委員 その四人が出席していたかどうか、アメリカの文書の中に出て、外務省の方から私のもとにも届いているんですが、それでも明らかにできないんですか。

河野国務大臣 先ほどから申し上げましたように、戦略態勢委員会については、対外的に議論を明らかにせず、会合の公式な記録は作成しないということでございます。

赤嶺委員 それで、私たちが外務省からもらったそういう名前、これも、なぜ私たちの手元に入ったんでしょうかね。

河野国務大臣 会合の公式な記録は作成していないというふうに承知をしております。

赤嶺委員 では、その四人についても確認いたしますが、秋葉さんはそういう発言はしていなかったかどうか、調査したかどうか、それはお答えになれますか。

河野国務大臣 今回の報道を受けて、念のために、当時説明の場に参加していた戦略態勢委員会の関係者に在米大使館から確認をいたしましたが、日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳する話などしていなかったということは確認しております。

赤嶺委員 今の答弁にかかわって、ずっと政府は発言も否定しておりますけれども、意見聴取の概要メモそのものがアメリカには存在をしています。それは、公開をされ、メディアも報道をしております。

 メモは、当時委員の一人だったモートン・ハルペリン元米国防次官補代理に宛てられたものであります。ハルペリンさんは、今月十三日にワシントン市内で開かれた沖縄県主催のシンポジウムの際、メモに目を通した上で、メモは本物だ、責任あるスタッフによって書かれたものであり、正確なメモだ、このように記者団に明らかにしております。

 沖縄への核持込みについての秋葉氏の発言を、当時委員の一人であったハルペリン氏が認めているんですね。これはどのように考えますか。

河野国務大臣 ハルペリン氏は意見聴取には同席していなかったと述べております。

赤嶺委員 ハルペリン氏は意見聴取に同席していなかった、しかし、同席した人からきちんとしたメモをハルペリン氏は受け取った、そして、今報道に出ているメモをハルペリン氏に見せたら、これはその当時受け取ったメモだ、信頼できる内容だ、メモは正確だと言っているわけですよ。それをどのように受けとめますか。

河野国務大臣 出席していなかった氏がメモが正確だったとどう認識されるのか、疑問があります。

赤嶺委員 大変な発言ですね。

 戦略態勢委員会の委員の一人ですよ、ハルペリンさんは。しかも重要な立場にあった人ですよ。そういう人が日本の非核三原則にかかわるような重大な問題提起をしているのに、それにも知らぬふりをかぶるんですか、あの人は出席していなかったと。あの人は責任ある役割を果たしていなかったと外務大臣が言える立場ですか、そういうことを。全くおかしいですよ、それは。事実を解明しようとする姿勢が全くないと言わざるを得ません。だから、私は、秋葉事務次官をこの委員会に呼んで直接質問をしたいと思っているわけです。

 当時の記録はないといっても、外務省にはあるはずです。例えば、外務省自身が作成した当時の面談記録、あるいは大使館と外務省本省との間でやりとりした公電などもあるはずです。大臣はそれらの精査をされたんでしょうか。

河野国務大臣 この戦略態勢委員会は議論の中身を明らかにしない前提で行われていると繰り返し申し上げております。

赤嶺委員 事は、外務省の現職の公使、しかも現在の事務次官が、米側に対して、日本の国是である非核三原則を否定する発言を行っていたかどうかという極めて重大な問題であります。

 とりわけ、アメリカのトランプ政権が、先月のNPRで、核兵器の役割を拡大し北東アジアに核兵器を再配備する可能性に言及しているもとで、この問題を曖昧にすることは、これは到底許されません。

 私は外務省に、一つは、外務省自身が作成した当時の面談記録、それから二つ目に、大使館と外務省本省との間でやりとりされた公電、三つ目に、面談の際に配付したとされる米国の拡大抑止に関する日本側の見解をまとめた文書、これを提出していただきたいと思いますが、委員長、取り計らい方、よろしくお願いします。

寺田委員長 理事会にて協議をさせていただきます。

赤嶺委員 この問題は、非核三原則と沖縄の将来にとって極めて重大な問題であります。ぜひそれを実現されるように、しかも、繰り返しますが、秋葉事務次官の出席に向けてよろしく取り計らいをお願いしたいと思います。

 この際、沖縄への核持込みにかかわって、幾つか確認をしておきたいと思います。

 二〇〇九年から翌一〇年にかけて、民主党政権の時代でしたが、日米間の密約に関する調査が行われました。有事の際の沖縄への核兵器の持込みについて、密約とは言えないという有識者の報告も出されております。佐藤・ニクソン共同声明の内容を大きく超えるものではない、佐藤首相が自分限りのものと考えていたのではないかという推測に基づいて密約であることを否定したもので、当時の岡田外務大臣自身が、疑問を呈する答弁をその後行っております。

 その後、自民党が政権に復帰したもとで、二〇一四年二月十四日の衆議院予算委員会で、岡田議員が岸田外務大臣に質問をしています。

 佐藤氏の自宅から見つかった佐藤総理とニクソン大統領の署名入りの合意議事録、具体的には、一つ、極めて重大な緊急事態が生じた際に、沖縄への核の持込みについて、米国政府は日本政府の好意的な回答を期待すること、二つ目、沖縄返還時に現存する核兵器貯蔵地、嘉手納や辺野古や那覇、これをいつでも使える状態に維持しておくということを規定したものでありますが、この文書について、調査結果を公表するときに、日米間で少なくとも今や有効ではないことを確認したとしていました。この点について、安倍内閣の認識も同じかと確認したのに対し、岸田大臣は、安倍内閣としても同様の認識だ、このように答弁をいたしました。

 そこで、確認をいたしますが、既にこの文書が有効でないことを確認したということであれば、現在の日本政府の立場としては、米軍が嘉手納や辺野古などの弾薬庫を核兵器の貯蔵のためにいつでも使える状態に維持しておくことは、これは認められない、こういうことでよろしいでしょうか。

河野国務大臣 本件文書については、日米両国政府を拘束するような効力を持っているとは考えておりません。

赤嶺委員 ですから、アメリカが嘉手納や辺野古で核兵器の貯蔵のためにいつでも使用できる状態を維持しておくこと、これは日本の立場としては認められない、そういうことでよろしいですね。

河野国務大臣 そのとおりでございます。

赤嶺委員 非核三原則というなら、いつでも核兵器を貯蔵できる状態に維持しておくことについては認められないということは当然であります。

 それでは、合意議事録の一点目はどうですか。極めて重大な緊急事態が生じた際に、沖縄への核の持込みを認める立場なのか、認めない立場なのか、これはどちらですか。

河野国務大臣 現政権は、非核三原則を堅持するという立場に変わりはございません。

赤嶺委員 そうすると、将来について岸田外務大臣も発言しておられますが、河野外務大臣は、緊急事態が起こった場合に、どのような立場をとっておられますか。

河野国務大臣 平成二十二年三月に、岡田当時の外務大臣が、国民の安全が危機的状況になったときに原理原則をあくまで守るのか、それとも例外をつくるのか、それはそのときの政権の判断すべきことで、将来にわたって縛ることはできないと思う、重要なことは、国民に対してきちんと説明することだという旨、答弁をされております。

 安倍内閣としては、この岡田当時の外務大臣の答弁を引き継いでいるということでございます。

赤嶺委員 原理原則にこだわらないということになるわけですね。ですから、佐藤首相が交わした密約にまでは有効ではないということを言葉では確認していながら、実質的にはその中身は引き継がれているということになりませんか。

河野国務大臣 本件文書については、日米両国政府を拘束するような効力を持っているとは考えておりません。

赤嶺委員 効力は持っていないけれども、岡田答弁や岸田答弁、安倍内閣において引き継いでいく、原理原則にこだわらない。そのときは、結局これは、県民の立場に身を置いたときに、やはり佐藤・ニクソン密約が具体化されていく、そういう状況になり得る、こういう疑念を抱かざるを得ないわけです。

 ただ、当時もいろいろ議論しておりますが、戦術核の撤去を決めた一九九一年以前は、沖縄に核兵器が持ち込まれていた可能性、これも否定できますか。

河野国務大臣 沖縄が日本に復帰した段階で、核はないということが確認されております。

赤嶺委員 非核三原則があるもとでも、皆さんが引き継いでいると言われた岡田外務大臣の核に対する立場、こういうことも言っているんですね。九一年以前は核兵器が持ち込まれた可能性は排除できない、こういう認識を示しております。

 戦術核兵器が配備されていた当時、核の持込みの可能性、これはもう否定できないんじゃないですか。

河野国務大臣 はっきりしているのは、沖縄返還に当たり、核は撤去されているということでございます。

赤嶺委員 私は、外務大臣は、大臣になられる前は、先ほど紹介された、日米地位協定の改定の中身を紹介されておりましたが、あの中身というのは、るる私が国会で質問してきたことでもあるわけですね。沖縄の核についても、当事者意識を持っていただきたいと思うんですよ。

 私は、那覇基地のすぐそばで生まれましたけれども、当時は、那覇基地にも核弾頭、メースBなど配備をされておりました。誤って発射されて、海中に発射されて、そして米兵が一人犠牲になるという事件もありました。核弾頭つきのミサイルが誤って発射される、もしあれが本当に爆発していたら、今日私はこの世に存在しなかったかもしれない。これは、NHKのドキュメント番組で、アメリカ側の証人も立って放送されたものであります。

 やはり、核を枕にして我々は生活をしている、生活を強いられている、これが復帰前の沖縄県民の状況でありました。復帰の時点で、全部撤去されましたから御安心くださいというような話にはならないわけですよ。有効性、両国を縛るものではないと言いながら、日本政府の立場は、緊急事態のときには、結局、原理原則に縛られない、非核三原則を破ることもある、核の持込みもあり得る。そのときにやられるのは、真っ先に沖縄じゃないですか。核兵器を貯蔵できる能力を持った弾薬庫、辺野古や嘉手納、これもあるわけですよ。

 そういうことで、県民が核と向き合っている、核と向き合っている県民のことを考えたときに、例えば、今回、トランプ大統領が核政策を変えました。今後、核の持込みがあり得るということになっていくわけですから、私は、そういう県民の当事者の立場に立った、当事者感を抱いた、核問題について、特にトランプ政権のもとで核政策が変わったもとで、持込みの危険も現実に起こり得るというような中でやはり対処すべきだと思いますが、いかがですか。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮ですが、安倍内閣は非核三原則を堅持するという立場をとっております。

赤嶺委員 何を言っても、非核三原則の立場の強調ばかりであります。本当に不安や疑問に答えていない。

 そこで、防衛大臣、外務大臣に、先ほど出ました沖縄県うるま市で発生した元米海兵隊員の軍属による女性暴行殺人事件について、損害賠償を地裁が命じました。今、日米間で協議をしているという最中ですが、日本政府の立場は、もう一度確認しますが、地位協定に基づく軍属、被用者が間接雇用であっても、それは日米地位協定に基づいて損害賠償の対象になる、そのように地位協定を解釈しているんだという理解でよろしいですね。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政府としては、日米地位協定第十八条6が規定する請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属のみに限定されているわけではなく、間接雇用の被用者も含まれていると理解しております。

赤嶺委員 間接雇用の被用者、これを今回のように、今までも事件、事故の被害者になっているわけですが、損害賠償についてアメリカ側が応じた事例はありますか。あるいは、応じなかった事例などもありますか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 米側の立場について日本政府としてお答えする立場にはございませんが、現在、本件につきましては、米側との間でさまざまなレベルで協議中でございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 防衛省、どうですか。そういう軍属で、間接雇用の被用者で事件、事故を起こして、タクシーの事故などたくさんあります。そういうことで損害賠償に応じた事例、あるいは応じなかった事例、どのように認識しておられますか。

深山政府参考人 申しわけございませんが、現在手元に、我々は支払いの実務に当たっておりますが、過去の支払い事例で先生御指摘のような件があるかについてはつまびらかにしておりません。

 また、本件は被害者の方のプライバシーにかかわりますので、我々としましては、個別の事態については公表を差し控えさせていただいております。

 ただし、過去、事故見舞金あるいはSACO見舞金を支払った例というのはございます。これはどういうことかといいますと、米側からの補償が十分受けられないということで日本政府が措置した例というのはこの両制度のもとで何件もあるということは事実でございます。

赤嶺委員 SACO見舞金は、米側が一定の補償に応じて、その足りない分を日本政府が補うという制度ですよね。

 今、うるま市の事件で問題になっているのは、全く応じようとしない、その場合でも見舞金制度やSACO見舞金ということは検討できるという意味ですか。

深山政府参考人 御指摘の沖縄県うるま市で発生した事件に関しましては、北米局長からも御答弁がありましたけれども、現在、さまざまなレベルで交渉を行っているところであります。また、被害者側のプライバシーにかかわることでありますので、その具体的な状況等については私からもお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 私は、今回というよりも、過去にということを聞いたら、局長が、SACO見舞金やその他の見舞金制度を活用してやったことはたくさんあると言うから、今回のように被用者が間接雇用であった場合もそういうことができたんですねというのを聞いているんですよ。何もプライバシーのことを聞いていないですよ。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 もし、先ほど私の御答弁が、委員が御指摘なのが特に雇用者であることを米軍が認めない場合という限定でしたらば、私は手元にそれを分類した資料を持っておりませんので、お答えは現時点ではできません。

 また、先ほど申しましたのは、そのほかのケースも、どういうケースかについては例がありませんが、過去の事例はあるということは申し上げました。

赤嶺委員 そういう過去の被用者、間接雇用で、アメリカ側との交渉の経過、それについて取りまとめて、この当委員会に提出していただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

寺田委員長 理事会にて協議をさせていただきます。

赤嶺委員 終わります。

寺田委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 私も、先ほど赤嶺さんが質問したうるま市の事件について質問したいんですけれども、補償の問題で今米側と交渉しているということですが、米側がシンザトさんを補償制度が適用される被用者、軍属に当たらないと主張しているということだけは間違いないんですか。

河野国務大臣 今、具体的にさまざま日米の間で協議をしているところでございますので、現時点で詳細につきお答えすることは差し控えたいと思います。

下地委員 外務大臣、これは、軍属に当たらないということは民間人、こういうふうな認識でいいんですかね。

河野国務大臣 今、さまざまなレベルで協議中でございますので、詳細についてお答えすることは差し控えます。

下地委員 いやいや、そうじゃなくて、軍属だといって認めないということは、地位協定の対象にならないということは、民間人という見方をしているということなんですかと聞いているんですけれども。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、詳細についてのお答えは差し控えます。

下地委員 二十八年度に、外務大臣、民間のアメリカ人が事件、事故を起こしたのは二百五十五件あるんですよ、この日本国内には。アメリカ国籍を持っている人間が二百五十五件あるんです。その人たちに対して政府がコメントしているということはまずないんですよね。

 今回のことについて、この事件が起こってから、ニコルソン中将が沖縄県庁を訪ねて謝罪をする、そして、カーター国防長官が中谷防衛大臣と電話会談して、日本の法制度に基づき責任が問われることを望むという見解を出す、中谷防衛大臣はカーター国防長官と軍属の範囲内の見直しについて合意する、この事件が起こってからこういうことをやっているんです。また、岸田当時の外務大臣も、このことについて、軍属の扱いの見直しに正式合意するとか。

 こういうふうに、この事件に対して日本政府やアメリカ政府の高官が、別に軍属に当たらなければこんなコメントを出す必要もないし、謝る必要もないし、何もやる必要はないんですよ。あとの二百五十五件に関しては、どんなことがあっても大使まで謝ってもいないわけだから、こうやってニコルソン中将が県庁に来て知事に頭を下げるということは、これは日米地位協定に関する軍属だという認識があるからそうなっているんじゃないですか。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、今、日米間で協議中でございますので、詳細についてお答えは差し控えます。

下地委員 これは誰が見てもおかしな話で、これだけ米軍関係者、当時の岸田外務大臣が全部こういうふうな認識を示していることが、今ごろになってこれは被用者、軍属に当たらないというようなことを言ってきている背景というのがどこかにあるんじゃないかと思うんですよね。

 先ほど井上さんが質問されていて、外務大臣も自分でつくった日米地位協定の改定案の試案についていろいろとお話をされていますけれども、この前、軍属の見直しについてのペーパーが出ているんです。これが私は原因になっているんじゃないかと思うんです。

 私たち沖縄にいる人は、アメリカ軍というようなことについては、やはり三つのカテゴリーが一緒でないとアメリカ軍というのは存在しないとわかっているんですよね。一つは、間違いなく軍人。二つ目には、この軍人をサポートする軍属。そして、軍属の下に、アメリカ本国から多くの企業の皆さんが来るんですよ。コントラクターの人たちが相当来て、そこで米軍という施設は成り立っているわけです。

 だから、三つのカテゴリーの人たちを沖縄の人たちは一緒にして、これをアメリカ軍というように言っていて、軍人だけで米軍基地が成り立つわけでもない、軍属だけで成り立つわけでもない、こうやって、アメリカの秘密の事業に関しても、アメリカの認定を受けたコントラクターが来て全てのことをやるというようなことになっているんです。

 しかし、この前、岸田外務大臣が結んだこの軍属の見直しによると、コントラクターについては、「軍属の構成員としての認定を受けるための適格性を評価する際に合衆国政府が使用する基準について合同委員会に対して作成するよう指示を与える。当該基準は、軍属の構成員としての認定を受ける資格を有する者が任務の遂行上必要とされる技能又は知識を有するように作成される。」こういう感じで書いているんです。

 政府としては、この三つのカテゴリーを二つにして、できるだけ、間接的な人間が米軍基地内で仕事をしていても事件を起こしても、これは軍属の扱いになりませんよというのがこれでつくられているわけなんですよね。

 ということは、どうなるかというと、この基準で照らし合わせると、シンザトさんというのはコントラクターですから、認定を受けなきゃいけない人なんで、その基準が、今回の米軍が軍属として認めないということを言っている背景にあるんじゃないかと思うんですけれども、これは外務大臣、どうですか。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、日米間で協議をしている最中でございますので、詳細についてのお答えは差し控えます。

下地委員 これは、私が見ている範囲では沖縄の人のためになっていないんですよ、全く。

 これは、この軍属の認定というのは、まさに事件、事故が起こった範囲を小さくするために日米両政府がつくっているだけの話で、この基地というものにコントラクターがいなくなって基地が運営できないというのをわかりながら、こういう協定を結んでいるということがやはりおかしい。これを、地位協定の改定で、ポジティブな改定だと思っている方がおかしい。沖縄の人からすれば、こんなのはポジティブな改定じゃなくて、中で仕事をしている人が事件を起こしても、それは私たち、日米地位協定には関係ないよと。

 だから、二十八年度にアメリカ国籍の人が起こした二百五十六の、軍人軍属じゃない人が二百五十七になり、二百五十八になるだけの話で、事件の解決のためにはこれは何にもなっていないということを申し上げておきたいと思います。

 答弁できないのはもう初めからわかっていますから。それは、私が言うまでもなく、私のこの質問を聞いている人が判断することなんです。

 小野寺大臣にちょっと質問します。

 この前、予算委員会でやりとりをしましたけれども、事件、事故って誰が責任をとるんですかね。この前もいろいろと話をしましたね。相当な数の沖縄における事件、事故が起こる。そうしたら、私の横で、ある議員の人が、こんなにあったら防衛大臣が幾らいても足りないよみたいな話をなされる方がいますけれども、私は、やはり責任をとる人がいないと、事件、事故って減らないんじゃないかと思うんですよ。

 誰かがやはり、こういうふうな殺人事件とか強盗事件とか強姦事件とか、軍人軍属の人が起こしているわけだから、これは前にも申し上げたように、はっきりと日米地位協定というか日米安保条約に基づいて、基地が沖縄にある以上は五万人近くの方々がいらっしゃる。そういう人たちがいらっしゃる中で、安全を守りながらもこういう事故が起こるというようなことについて、アメリカ側も一人も責任をとらない、日本側も責任をとらない。沖縄の人だけがこうやっていろんな事件、事故に巻き込まれても、あげくの果てには、今回のシンザトさんみたいに、米軍が、それは私たちは認めないと。

 こういうふうなことを言っているような状況からすると、まさに、私は、このシンザトさんの事件そのものが、今の日米両政府の事件、事故に対する、安保論ではないですよ、事件、事故に対する責任の所在がはっきりしないところがずっと続いている今の現状じゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

小野寺国務大臣 沖縄県で多発している米軍人や軍属による事件や米軍の事故については、米国や日本政府は再発防止に取り組むと言っております。こういう中で、私どもとしては、米軍による事件、事故はあってはならないと考えておりまして、その防止には、安全管理や隊員教育、綱紀粛正の徹底などを図るなど、まずは米側の努力が重要だと思っております。

 その上で、米軍による事件、事故が発生した際には、関係省庁がそれぞれの所掌に応じて情報を収集し、各種調査を行い、更に必要な場合には捜査を行うなど、適正に対処するということなんだと思っています。また、外務省や防衛省からは必要な申入れを累次行っているということです。

 いずれにしましても、安全の確保には、最優先だということで、日米で協力して全力で取り組んでまいりたいと思います。

下地委員 まあ、これ以上論争しませんけれども、責任をとるべきですよね、誰かが。一般の人たちが、この安全保障のためにこの沖縄にいる人を傷つけるということになったら、それが死亡事故であったり、今のようなシンザトさんのような事件を起こしたりするのに、誰も責任をとらないで、電話会談をして、これから事件を起こさないようにやりましょうねと言っても、どれだけ起こっているんですか、六千六百回ですよ。そういうのをずっと許しておきながら今のような発言をしても、どんな電話会談をしても、これからも気をつけますと言っても、誰も信じないというのが現実なんですよ。やはり、根本的なところをもう一回考えてもらわないとだめだと思います。

 それと、日米関係の間でやはりもう少し強さが必要ですね、こういうような問題については。一人の人を守り切れないで国の安全論をしゃべってもやはり空論にしか聞こえないというのは、これはもちろん当たり前のことだと思いますが、このシンザトさんの問題、被害者の問題については、これから沖縄の選出の国会議員はみんな質問すると思うんですけれども、私は、もう一回きちっとした外務省の日本としての強さを見せないと、これは私たちにとって納得できない、そういうことになるのではないかということを改めて申し上げておきたいと思います。

 次にちょっと移りますが、河野外務大臣、アメリカに訪米なされて多くの方々と会談をしてきたと思うんですけれども、今、朝鮮半島問題が大きな山場を迎えております。南北首脳会談も四月に行われることになるでしょう、また、五月には米朝首脳会談も行われるというようなことになるでしょうと。報道ですけれどもね、まだ決まっているわけじゃありませんが。

 日朝首脳会談というのは、外務大臣が考えて、必要なことだと思いますか。

河野国務大臣 まずは南北首脳会談、そして米朝首脳会談が行われるということでございますから、そこに向けて日米韓で緊密な連携をしてまいりたいと思います。

下地委員 関係国の中で、朝鮮半島の北朝鮮との間で首脳会談が決まっていないのは日本だけですよね。韓国も決まり、米朝も決まっているという中で、拉致問題とかミサイル問題、特に拉致問題など協議をするという意味では、やはり日朝首脳会談をやるという意気込みを示されることが大事じゃないかと思うんですけれども、今回のペンス副大統領とか、アメリカでいろいろな方々と首脳会談をしてきましたが、私たちも、この南北そして米朝、その後でも、やはり最終的には日朝の首脳会談を行いたいというような意思表示なんかは外務大臣はやってきたんでしょうか。

河野国務大臣 南北の首脳会談というのは、同じ民族ですから、そういうこともあって、この南北の首脳会談が行われる。

 そして、米朝の首脳会談は、いわばアメリカが国際社会を代表して北朝鮮と会談をするわけでございます。それは、これまで国際社会が挙げて安保理決議による経済制裁を実行し、北朝鮮に対する圧力を最大化してきた。今、その成果が出ているわけでありますから、米朝の首脳会談というのは、いわば、それを受けて、国際社会を代表してアメリカが北朝鮮と会談をする。我々としては、それに向けて日米韓でしっかりと連携をして、まずそこへ向けて一歩一歩努力をしてまいりたいと思います。

下地委員 今大臣がおっしゃる中で、圧力の成果として南北の首脳会談とか米朝首脳会談があるというふうにおっしゃいましたけれども、それは私はあると思いますよ。

 しかし、これは文在寅大統領の、やはり融和政策、オリンピックでのあの対応とか、北朝鮮に対応とか、そういうふうなこともあって、この二つの会談、大きな会談は、私は現実的なものになってきたと思うんですね。決して、全部圧力だけでこの会談が私は現実的なものになったとは思っていません。

 そういう意味では、もうこの二つの会談がセットされて、新たなステップに入ろうというようなことをするわけなんですけれども、そういう中で、オリンピック、パラリンピックが終わった後の米韓合同演習が行われるかどうかというのが今争点になっていますけれども、小野寺防衛大臣は、この米韓合同演習は予定どおり行った方がいいということをバーガー海兵隊司令官には話をなされていますけれども、そういうお気持ちでおられますか。

小野寺国務大臣 最近の南北首脳会談や米朝首脳会談に向けた動きは、防衛省としても注視をしておりますが、北朝鮮問題については、日米韓三カ国の連携のもと、北朝鮮による完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法での核、ミサイルの放棄を実現するため、政府としては今後とも最大限の圧力を継続していく考えであり、この方針は米韓両国とも共有しております。

 その上で、御指摘の米韓合同軍事演習につきましては、先ほど発表がなされましたが、四月一日から例年と類似な規模で実施する旨、発表が行われました。

 我が国としても、米韓合同演習は、北朝鮮の核、ミサイルの脅威に対処する上で、日米共同演習及び日米韓三カ国の安全保障、防衛協力と並び重要な柱であると認識しており、日米韓三カ国の連携のもと今後とも最大限の圧力を継続していくためにも、米韓合同演習の着実な実施が重要と考えております。

下地委員 私がこうやって質問させていただいているのも、米韓軍事演習は決まってもいいんですけれども、日本そのものが、私が政治家として考えるには、やはり日朝の首脳会談はどうしても必要だというふうに思うんですよ、拉致問題を解決する上においてもね。ずっとこのトーンで進むことが、日朝の首脳会談が現実的なものになるのかなと私は心配するんですよね。

 そういう意味では、発言そのものも、日朝の首脳会談を考えたら、新たなステップに私たちは向かうべきではないか。それは、北朝鮮に対する圧力だけじゃなくて、日本独自として、北朝鮮に対して圧力を弱めないけれども、やはり日本そのものも変化してきている、南北首脳会談や米朝首脳会談に合わせて日本そのものも変化している、こういう姿勢をどこかで見せていかなければ、日朝首脳会談って成功しないし、拉致問題が論議に上がらない。気がついてみたら、南北首脳会談でも拉致問題は議題にも上がらなかった、気がついてみたら、米朝首脳会談でも拉致問題が上がらなかった、ミサイルと核の問題だけになってしまったというような結果になりかねない心配をしているんですよね。

 外務大臣は、この二つの会談で確実に拉致問題についての論議が行われ、次のステップに入るというのを、外交しながら確信されていますか。

河野国務大臣 我々は、まだ北朝鮮が米朝首脳会談について何のアナウンスもしていないというところに懸念を抱いております。

 今回のこうした北朝鮮の動きが、国際社会が一致して圧力を最大化してきたその成果であるという認識は、今、国際社会が共有をしています。

 そんな中で、我々が今やるのは、この圧力を決して緩めることなく、北朝鮮が核、ミサイルを完全に、不可逆的に、かつ検証可能に放棄をし、拉致問題あるいは拘束者の問題を含めた包括的な解決をする、そこに向けて具体的な行動を起こした上で、この制裁について議論をするというのが国際社会の一致した立場であります。

下地委員 外務大臣、私が聞いているのは、南北首脳会談と米朝首脳会談で、外務大臣が外交をしてきて、この拉致問題について議題となるということに対して確証を持っているんですか、また、こういうふうなことをずっと進めているから確実に行われるというようなことを思われていますかということを聞いているんです。

河野国務大臣 繰り返しになりますが、米朝首脳会談について、北朝鮮はまだ何らアナウンスメントを行っておりません。また、核あるいはミサイルに関する活動が停止をしたという確認もとれておりません。その中で、制裁逃れを巧妙化させている、そうした活動は続いております。

 国際社会は、今、北朝鮮に対してしっかりと経済制裁で圧力を最大化する、それによって北朝鮮が、ただ非核化という言葉でのコミットでなく具体的な行動をとる、それを待った上で初めて制裁をどうするかということを考えようとしているわけで、今、国際社会は一致して圧力の最大化を継続しているというステージにあるということを国際社会挙げて認識をしている。繰り返しで恐縮でございますが、今まだそういう状況でございます。

下地委員 外交は成果を得なきゃいけないんですけれども、この国際社会の中で、今大臣がおっしゃった圧力をやっていって、最終的には日本が得たいものは何なんですか。拉致問題と核の放棄とミサイル開発の停止と、私は今三つ言いましたけれども、外務大臣が考えている、圧力をかけて、かけまくって、最終的な日本外交の成果が得られたというのは何ですか。

河野国務大臣 我が国の立場は、日朝平壌宣言に述べているとおり、核、ミサイルの問題、そして拉致問題を包括的に解決し、日朝の国交を正常化するということでありまして、それを北朝鮮にもたびたび伝えているところでございます。

下地委員 このことが、北朝鮮に伝えていることが南北首脳会談や米朝首脳会談で議題になるというような、外交努力が成果を出すというふうに思われていますかと聞いているんですよ。

河野国務大臣 たびたびの繰り返しで恐縮でございますが、米朝首脳会談については、まだ北朝鮮から何らアナウンスメントもありません。また、北朝鮮の非核化その他に対するコミットメントも言葉でしかありません。

 北朝鮮が具体的に、核、ミサイルを完全、かつ不可逆的、そして検証可能に放棄をする、そして、拉致問題、拘束者の問題を包括的に解決をする、そのために、今、国際社会は継続して圧力を最大化し続けなければならないというのが国際社会の一致した認識である、現在はその状況にあると申し上げております。

下地委員 米韓合同演習をやるべきだと日本側が進言したら、内政干渉だといって韓国側から厳しい声があったということも聞こえています。

 私たちが、外交の担当者じゃありませんが、日本国民が今一番心配しているのは、この大きな転換期の中に、日本外交というのが渦の中のど真ん中にいるのか、その渦の中の外にいるのか、外にいることで今大臣がおっしゃった三つのことが解決しないんではないか、論議されないんではないか、そういう心配を国民はしているわけですよ。

 だから、私がこうやって質問させていただいている内容の中の一番は、今度の南北首脳会談や、今大臣が、北朝鮮からまだコメントが出ていないので、行われるか行われないかわかりませんが、私は行われると思いますよ。行われたときに、両方の会談で拉致問題が入らない、一番日本の国民が、この問題について解決したいというような問題が入っていないというケースが一番怖いんですよね。そのことだけは強く指摘をさせていただきたい。

 だから、今度の四月と五月の会談における、やはり日本外交がしっかりこの結果を出してきたというような成果を、日本の問題でもこの二つの首脳会談で結果が出るように、ぜひ外交努力をしていただきたいというふうに思っています。日本人の、日本の国民の皆さんの期待を裏切らないように、しっかりと外交をしていただきたいというふうに思います。

 三番目ですけれども、ちょっと防衛大臣に、無人機のことについて説明させていただきたいんです。

 今度、グローバルホークを購入なされますよね。これは私たちも非常に必要なものだと見ておりますが、このグローバルホーク三機、今回、導入計画をなされておりますけれども、初めの、地上装備で約五百十億円というようなことを見込んでおりましたが、レーダーの部品の製造が終了して、代替品の開発に追加の費用がかかるというようなことで百二十億円かかるというようなこと、そして、二十年間の維持費などで含めると、さまざまな見直しが二五%以上行われて、三機で二千五百億円以上になるのではないかというようなことが報道で言われていますけれども、現状はどうでしょうかね。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 グローバルホークにつきましてのライフサイクルコストについてのお尋ねでございますが、グローバルホークにつきましては、量産配備段階のコストが五百十億円程度と見込んでおりましたところ、合成開口レーダーの部品の枯渇によりまして新たな開発が必要になったことによりまして、百二十億円程度上昇しまして六百二十九億円程度になると今見込まれておるところでございます。

 また、運用、維持段階のライフサイクルコストについては、約二千五百億円程度となってございます。

下地委員 これだけ膨大な予算が見直しをされるといっても、購入はそのまま行われるという方向なんですかね。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回のコスト上昇等も踏まえまして、私どもといたしまして、グローバルホークの導入につきまして改めて検討をいたしましたところでございますけれども、その結果、現在の極めて厳しい安全保障環境情勢の中で、情勢が緊迫した際の常続的な、継続的な監視能力といったところを考えますと、やはりこうした装備が必要であるというふうに判断をいたしまして、導入を継続をするということにいたしたところでございます。

下地委員 アメリカには、グローバルホークと、もう一つはガーディアンという無人機の会社がありますが、このガーディアンが、三機で初年度の費用が百四十三億円と、もう極端に安い。機能を見ても、グローバルホークの機能と、高度に少し違いがあったにしても、今局長がおっしゃった偵察機能とか、そういうような速度だとかというのを考えると、そんなに違いがないんですよね。

 しかも、この無人機を使って敵地を攻撃するわけでもないし、偵察という概念からすると、私は、ガーディアンが、この前私たちもアメリカに行って見てきましたけれども、コストがこれだけ安いというようなことを考えると、何でグローバルホークに日本政府は固執をして、二千五百億円もかかると言われるものを購入しようとしているのかというのがちょっとわからないんですよね。

 その辺のところは、これはガーディアンともう一回グローバルホークとをしっかりと精査をしながら、グローバルホークに決めたという過程があるんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、私どもとして滞空型の無人機を導入するに当たりまして、平成二十六年にその選定作業を実施をしてございます。その過程で、二十六年六月に提案要求書を発出したところ、同年九月にガーディアンER及びグローバルホークの二種を提案機種とする提案書を米国政府より受領し、それについて分析、評価をしたところでございます。

 その結果、ガーディアンERにつきましては、最高高度が低く、運用開始期限までに安全な衝突回避性能が備わると見込むことは困難であったということから、必須要求事項の一部を満たさないと判断をいたしました。一方で、グローバルホークにつきましては、必須要求事項を全て満足をしていたところでございます。

 こうした過程を踏まえて、グローバルホークを滞空型の無人機として選定をいたしたところでございます。

下地委員 局長、ガーディアンが、あの当時と違って、今、グローバルホークにあってこのガーディアンになかったレーダーによる衝突防止装置とか、そういうふうなものは全部可能になっていると僕らは聞いているんですけれども。

 全てが、二千五百億まで、この物事の見直しが、この予算が大きくなっている中で、もう一回見直すべきじゃないですか、財政的な意味においても。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員おっしゃいましたガーディアンにつきましてでございますけれども、衝突回避装置についての開発が完了しているとは、私ども承知をしていないところでございます。

 現在の安保情勢のもとで、警戒監視能力の向上というのは極めて喫緊の課題でございます。これにしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

下地委員 局長、レーダーによる衝突防止、この装置はもう開発して、できていますよ。そういう報告書を僕らはもらいました。

 そういうふうなことの上においては、今、ガーディアンはできていないということは間違いありませんか。本当ですね、私たちはこうやってもらっていますけれども。もう一回、その部分だけは、はっきりしておきましょう。

西田政府参考人 再度確認をさせていただきますが、現在のところ、私どもとしては、開発中であって開発はまだ完了していないというふうに承っているところでございます。

下地委員 このガーディアンは、四月にはある地域で、今、名前は言えませんけれども、日本で初めての無人機の実験をやるんですよ。こういう装置ができていない会社が、こういう無人機の実験を国土交通省に申請したり郵政省に申請したりという、電波の問題もあるから申請しませんよ、それは。もう一回確認してください。

 しかし、今、私たちが見ている範囲では、こうやって財政が厳しい状況の中において、この五百十億円というものが二千五百億円になろうといった段階で、やはりもう一回精査をするというようなことは当たり前にやった方がいいんじゃないですか。随契でそのままやっても、これは日本の国民のためになりませんよ。

 そういう意味では、これはアメリカ政府が、グローバルホークがいいという、そういうアドバイスなんですよね、今回の場合には。アメリカ政府を通して買われるんですか、今回のものは。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、アメリカ政府がどちらがいいということではなく、先ほど申し上げましたように、選定作業の中で提案要求書を発出したところ、米国政府よりは、このガーディアン及びグローバルホークを提案機種とした提案書が出てきた。それにつきまして私どもとして分析、評価した結果、グローバルホークを滞空型無人機として選定をしたところでございます。

 なお、グローバルホークにつきましては、FMSによる調達を予定してございます。

下地委員 私は、この前、会計検査院に、この問題についてしっかり検査するように言っています。これは余りにも膨大なお金がかかっていますので、これはもう一回精査をし直さないとだめだというふうに思っていますから、そのことだけはこの場所で申し上げておきたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、大臣、自衛隊の災害派遣についてちょっと最後に質問したいんですけれども、この自衛隊の災害派遣というのは、要請による災害派遣と自主的な災害派遣と二つあるんです。

 私が思うんですけれども、災害があってから自衛隊がその災害に対処するというのではなくて、今、気象庁のレーダーというのは物すごく精度がよくて、今回、私たちが一番興味を考えたガーディアンのことを話していますけれども、無人機を飛ばして、災害の状況を詳しく、積乱雲の状況を調べるというのは無人機でできる、そういうふうな私たちの観点から、今回この無人機の問題をやっておるんですが、気象庁が見ると、十分ごとに、災害時の状況というのは、豪雨、豪雪、風速、全てがわかるように今なっているんですね。

 そういうふうな意味においても、空間分解能力というのは、可視だけで〇・五キロから一キロ、赤外線だけで一キロから二キロと、もう大抵の、今の気象庁の判断だと、豪雪とか豪雨とか水害について予測ができて、間違いなく、まあ間違いなくとまで言えませんが、できているんですよ。

 だから、私は、私も一回防災担当大臣をした経験があるので、そのときから、こういうふうな暴風雨があったり豪雪があるよといった段階で、自衛隊が出動して待機しておいて対処する、災害が起こってからやるのではなくて、避難場所に自衛隊がいて、避難地域は決まっていますから、その場所にいて、何かあれば早急に対処していく、災害があってから行くのではなくて、待機しておいて、予備能力を駆使して災害を最大限防いでいく、また、何もなければ何もないというようなことがいいのではないかと思うんです。

 自衛隊の災害時における出動のあり方みたいなことを、もう一回考えてみたらどうかと思うんですよ。それで、気象庁と防衛省が密に連絡をとって、気象庁の判断を受けて、防衛省がその地域に先に行って待機して、ある一定の装備をもって住民の安心、安全をつくっていくというようなことをやったら、私は多くの成果が出てくるのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうかね。

小野寺国務大臣 国民の生命財産を守るというのは、これは災害からも、私ども、同じだと思い、防衛省としてもしっかり対応しているということでありますが、現実に、例えば大雪やあるいは豪雨災害が想定されるような状況が、例えば気象庁なり、発せられる場合には、関係の自治体も同様にその備えをするということでありますが、私どもとしても、自治体と綿密に連携をとり、それぞれの所在する駐屯地等では、万が一起きた場合の備えというのは駐屯地内で対応しているというふうに承知をしておりますし、実際、豪雨が発生した場合に、その備えをしていた駐屯地から、要請があり、速やかに派出をし、対応しているということも事実でございます。

下地委員 今の自衛隊の頑張りを私は否定するわけではありませんが、もう一歩進んで、五百メートル以内まで、気象庁のレーダーによると、具体的な災害状況というか気象状況がわかるということでありますから、それにあわせて、駐屯地で待機するというだけではなくて、駐屯地のない地域もいっぱいありますから、そういうところに移動して、待機して、住民の安全をつくって、災害を未然に防いでいく、こういうこともおやりになった方がいいということを改めて申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

寺田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 私の質問が、井上委員、赤嶺委員、下地委員の質問に重複しないように、切り口を変えて、単刀直入に聞きたいと思っています。

 二〇一六年四月に沖縄県うるま市で発生した、元米海兵隊員で軍属のケネス被告は、一審で無期懲役を言い渡され、現在控訴中であります。

 最初に防衛大臣に尋ねますが、ケネス被告は、事件当時、日米地位協定に基づくさまざまな特権・免除のある軍属であったことは間違いありませんね。

小野寺国務大臣 本事件の被告人については、日米地位協定上の軍属の身分を享受していたものと承知をしております。

照屋委員 それでは、外務大臣に尋ねますが、日米地位協定十八条六項は、米軍人軍属の事件、事故に関し、アメリカ政府が補償する対象について、「合衆国軍隊の構成員又は被用者」と定めております。同条項で言う被用者の範囲について、明確にお答えください。

河野国務大臣 日米地位協定第十八条6において、「日本国内における不法の作為又は不作為で公務執行中に行なわれたものでないものから生ずる合衆国軍隊の構成員又は被用者に対する請求権」が規定されております。

 合衆国軍隊の構成員は、同協定第一条において「日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。」と規定をされております。

 合衆国軍隊の被用者については、日米地位協定上、その範囲について特段定めはありませんが、合衆国軍隊に雇用される軍属等が含まれるものと理解しております。

照屋委員 外務大臣、日米地位協定第十八条六項で定める被用者の範囲について、日米両政府間でどのような協議がこの間なされ、いかなる合意に至っているのか、その協議経緯と合意の内容の詳細を大臣に伺います。

河野国務大臣 今、防衛省及び外務省においてアメリカ側とさまざまなレベルで協議中でございますので、現時点で詳細についてお答えすることは差し控えたいと思います。

照屋委員 先ほど外務大臣は、赤嶺委員や下地委員の御質問に、現在日米間で協議をしている最中だ、答弁を控えると。私も何回も聞きました。何について協議をしているのか。いわゆる合衆国軍隊の被用者、これには直接雇用と間接雇用があって、その直接雇用、間接雇用の職種、そして、それが地位協定十八条六項でどのように適用されるのか。それについての協議なんでしょうか。

河野国務大臣 今、日米間でさまざま協議をしているところでございますので、申しわけございませんが、その協議の詳細については差し控えたいと思います。

照屋委員 大臣、繰り返して申しわけありませんが、日米間でさまざまな協議をしている、何についての協議なのか、ここを私を含めて多くの県民は知りたいんです。協議中だから大臣が何も答弁できないとなると、県民は、もう何をどう考えればいいのか、全くわかりませんよ。ちょっとお教えください。

河野国務大臣 たびたびの繰り返しで申しわけございません。詳細について、お答えは差し控えさせていただきます。

照屋委員 じゃ、このように聞きましょう。外務大臣、ケネス被告の事件は、極めて悪質かつ残忍であります。御遺族の無念の思いはいつになっても癒えることがないでしょう。この事件発生現場は、私が具志川中学校時代、校区にあったんだ。学校の近くにあったんだ。よもや私もそこでこのような残忍かつ非道な事件が起こるなんというのは夢にも思いませんでした。

 ところで、去る三月十七日に地元二紙が報ずるところによると、アメリカ政府は、ケネス被告が日米地位協定上の被用者ではないとして、遺族の補償請求を拒否する意向を示したようですが、それは事実でしょうか。また、日本政府は、このようなアメリカ政府の意向を承諾をしたんでしょうか、お答えください。

河野国務大臣 この事件の御遺族に対する補償につきましては、被害者側のプライバシーにかかわることでございますので、詳細につきお答えすることは差し控えたいと思います。

照屋委員 大臣、補償額の具体的な問題だったら、これはプライバシーにかかわるかもしれません。しかし、御遺族の代理人弁護士が補償請求をすると明確に言っているんだ。私は、今の大臣の答弁は、県民の一人としても全く承知できない。大臣、米国が、アメリカ政府が被用者でないとして賠償請求を拒否すると、SACO見舞金も支払われない、そうですね、防衛大臣。

深山政府参考人 まず、本件に関する事象といたしましては、外務大臣からるる御答弁がありましたが、被害者側のプライバシーにかかわるものであるので、お答えは差し控えたいと思います。

 しかし、十八条6の適用ということですと、十八条6とSACO見舞金の関係ということですと、確定判決が出た場合の差額、確定判決が出て、米側から支払いがなされて、その差額を埋めるというものですから、その趣旨上、米側に責任がないと言われるような事件であれば、それは適用されないということになると考えます。

照屋委員 防衛省、アメリカ政府が被用者でないと賠償責任を否定した場合、十八条六項で賠償金が払われないと、SACO見舞金も払われないのでしょう。どうですか。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 今お答え申し上げたとおり、現行制度の仕組みといたしましては、SACO見舞金は、これまでも御答弁しましたが、確定判決と米側の支払ったものの差額を埋めるという制度でございますから、これは、前提としては、米側が確定判決に基づいて支払いをなすということが前提となっておると思います。

 今回の事件とは、御指摘のケネス・シンザト被告の事件とは切り離して、制度論として言えば、もし、米側の責任がない、極端な話ですが、全く米軍に雇用関係のない一般の外国人、米人の事件というような場合であれば、SACO見舞金という概念は出ないという問題であろうと思っています。

照屋委員 これだけ、沖縄だけではなくて、日本全国を震撼せしめた悪質な事件ですよ。これに対して、日本政府として、主権国家として毅然と臨まないと、多くの県民の怒りを買いますよ。

 防衛省にもう一件尋ねますが、アメリカ政府がかたくななまでに賠償請求に応じない場合、最悪、合衆国軍隊等の行為等による被害者等に対する賠償金の支給等に関する省令、内閣府令の改定も視野に入れるべきである、このように考えますが、大臣、お答えください。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の省令は、合衆国軍隊等の行為等による被害者等に対する賠償金の支給等に関する省令を指していらっしゃると思いますが、これは、「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償金及び見舞金の支給について」、これは閣議決定で、いわゆるSACO見舞金より過去にこうした制度ができまして、これで、見舞金を支払う制度はございます。これに関する省令のことだと思っております。

 本件について、こうした省令はあるところでございますけれども、今先生の御指摘は今回の事件との関連でございますけれども、今回の事件につきましては、今申し上げておりますように、日米間各レベルで協議中でございます。そうした状況でございますので、今回の事件に関してこの省令をどうこうするかということについてはまだ何ら決定もしておりませんし、また、お答えを差し控えるべきであろうと考えておるところでございます。

照屋委員 河野大臣、私は、被害者や御遺族が受けた精神的な被害、無念の思いというのは、決して金銭的に全部償えるものではない、こういうことを五十年近く弁護士をして思いますけれども、それにしても、やはり、安倍政権として、日本政府として、このケネス被告の事件について、御遺族からの賠償請求に、その実現を誠意を持って取り組んでいく、そういう決意を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 委員おっしゃいますように、亡くなられた方の御遺族にとって、金銭補償というのが何かを取り戻すことができるわけではないというのは、まさにそのとおりだとは思います。しかし、日本国政府といたしまして、せめて御遺族にきちんとした正当な補償が一刻も早く行われるように、政府として誠心誠意努力をしてまいりたいというふうに思っております。

照屋委員 それでは、防衛省に尋ねます。

 私は、本年二月九日付で「北谷城と日米地位協定の環境補足協定に関する質問主意書」を提出し、同年二月二十日付で政府答弁書を受領しました。

 質問主意書の提出時には、返還予定のキャンプ瑞慶覧にある文化財、北谷城の立入調査は拒否された状態が続いておりましたが、二月十五日付で沖縄防衛局と米軍との間で合意に至り、本年三月末日までの立入りが認められたと承知しております。

 防衛省に尋ねますが、立入り日は決まりましたでしょうか。また、三月末日までの立入り許可では文化財調査を完全に終えることは到底できません。防衛省は速やかな期日更新により北谷町教育委員会の文化財調査に協力すべきだと考えますが、小野寺大臣の見解を伺います。

深山政府参考人 実務的な日取りについての御質問でございますので、まず私からお答えしたいと思います。

 御指摘のキャンプ瑞慶覧の施設技術部地区、北谷城と呼ばれている地区でございますが、における埋蔵文化財調査について、環境補足協定に基づく返還前立入りができるよう米側と調整を続けてきたところでございます。

 その上で、今般、立入りのための許可が得られまして、日程が、三月の二十日、きょう立ち入るということが決まりました。北谷町教育委員会による立入りが、実際行われたかどうかちょっとまだ確認しておりませんが、きょう行われるということが決まっておるところでございます。

 今、もう一つ、三月までということで、もう時間がないではないかという御指摘がございました。

 防衛省といたしましては、地元の御要望に即した埋蔵文化財調査が十分実施できるよう、米側に対して立入り期間の延長を要請しているところでございます。引き続きしっかりと米側に求めてまいりたいと考えております。

照屋委員 次に、極東最大の米空軍基地嘉手納では、F35A戦闘機の暫定配備やFA18戦闘機など、外来機の相次ぐ飛来で航空機騒音が悪化し、嘉手納基地周辺の三市町では、二〇一七年度の米軍機騒音に対する苦情件数が過去最多になっております。嘉手納町では今月十四日時点で前年度比五・一倍の八百四十四件、沖縄市では二月末時点で二百十件、北谷町では三月十五日時点で前年度の二倍となる百四件の苦情が寄せられています。

 當山宏嘉手納町長は、去る十五日、中嶋沖縄防衛局長を訪ね、騒音の大幅な軽減と外来機の早期撤去を求めています。

 防衛大臣は、殺人的爆音と称される嘉手納基地における爆音激化の実態を承知しておるでしょうか。また、爆音軽減のためにいかなる実効性ある対策を講ずるつもりか、お尋ねいたします。

小野寺国務大臣 外来機を含めた航空機による騒音は、周辺住民の方々にとって深刻な問題であり、嘉手納飛行場の騒音軽減は重要な課題と認識をしています。

 このような認識のもと、防衛省としては、米側に対し、従来から、騒音規制措置の遵守や、休日や地元の重要な行事に配慮するよう申入れを行っておりますが、今般の嘉手納町長の要請を受けて、改めて申入れを行っております。

 また、嘉手納飛行場の戦闘機の本土又はグアム等への訓練移転を着実に実施し、住宅の防音工事を実施することにより、環境基準が達成された場合と同様の屋内環境を保持するなどの措置を講じております。

 いずれにしても、防衛省としては、米側に対し、引き続き安全面に最大限の配慮を求めるとともに、地元の方々に与える影響を最小限にとどめるよう求めてまいりたいと思います。

照屋委員 小野寺大臣、私自身、嘉手納基地のフェンスから直線距離で約四キロぐらいのうるま市に住んでおります。とにかく、外来機の飛来による爆音というのは、昼となく夜となくすさまじいんです。恐らく、外務大臣も小野寺大臣も、百二十デシベルの騒音というのは想像できないでしょう。これが嘉手納基地の爆音の実態なんです。

 しかも、この爆音については、日本の司法で、要するに裁判所で、累次にわたって違法だと断罪されているんです。普天間基地もしかり。そういう中で、嘉手納基地周辺の住民は、ささやかな静かな夜を返してほしい、こういう思いで爆音差止め等裁判をやっているんです。

 私は、ぜひ大臣におかれては、この激化している、米空軍、しかも極東最大ですよ、そこでの爆音被害について、大臣が率先して、アメリカ政府、在沖米軍に対して厳しく対処を迫っていく、同時に、爆音を軽減するためのさまざまな政府の施策を今後もとっていく、このような決意を示していただきたい、このように思っておりますが、大臣、どうでしょうか。

小野寺国務大臣 御指摘ありましたように、例えば嘉手納の基地の周辺の航空機騒音というのは、大変な大きな問題であると認識をしております。沖縄防衛局がそのそばにありまして、私も、沖縄防衛局に行き、実際その爆音等を聞いて、感じております。

 今回、旧海軍の駐機場を含めて、さまざま、嘉手納の基地内での環境整備等努力をして、少しでも負担軽減には努力してまいりますが、また、外来機等も来ております。

 私どもとして、これからもこの騒音の問題に関してはしっかり対応してまいりたいと思っております。

照屋委員 時間が参りましたので、積み残した質問については、あしたに回したいと思います。

 ありがとうございます。

寺田委員長 外務大臣は御退席をいただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

寺田委員長 次に、本日付託となりました内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。小野寺防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小野寺国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官の定数の変更を行うとともに、予備自衛官又は即応予備自衛官の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金に関する制度を新設する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。

 これは、防衛省の所掌事務をより効果的に遂行し得る体制を整備するため、陸上自衛隊の自衛官の定数を二十二人削減し、海上自衛隊の自衛官の定数を三人削減し、航空自衛隊の自衛官の定数を六人削減し、共同の部隊に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官の定数を二十九人増加し、統合幕僚監部に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官の定数を四人増加し、情報本部に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官の定数を一人削減し、防衛装備庁に所属する陸上自衛官、海上自衛官及び航空自衛官の定数を一人削減するものであります。なお、自衛官の定数の総計二十四万七千百五十四人に、変更はありません。

 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。

 これは、予備自衛官又は即応予備自衛官の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金を予備自衛官又は即応予備自衛官である者の使用者に支給する制度の新設に関する規定の整備を行うものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

寺田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十二日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。

    午後零時三十八分散会


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