衆議院

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第3号 平成30年3月22日(木曜日)

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平成三十年三月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 寺田  稔君

   理事 大岡 敏孝君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 宮澤 博行君

   理事 若宮 健嗣君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      井野 俊郎君    江渡 聡徳君

      小田原 潔君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    北村 誠吾君

      熊田 裕通君    高村 正大君

      中谷  元君    中谷 真一君

      浜田 靖一君    福田 達夫君

      和田 義明君    宮川  伸君

      村上 史好君    井上 一徳君

      小宮山泰子君    古本伸一郎君

      佐藤 茂樹君    広田  一君

      赤嶺 政賢君    串田 誠一君

      照屋 寛徳君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         小野寺五典君

   防衛副大臣       山本ともひろ君

   防衛大臣政務官      大野敬太郎君

   防衛大臣政務官      福田 達夫君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  菅原 隆拓君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大鷹 正人君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           高野  滋君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深山 延暁君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    鈴木 良之君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官官房審議官)           藤井 敏彦君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     井野 俊郎君

  古本伸一郎君     小宮山泰子君

  下地 幹郎君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     熊田 裕通君

  小宮山泰子君     古本伸一郎君

  串田 誠一君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第二五号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

寺田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りをいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官船越健裕君、国土交通省航空局安全部長高野滋君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省人事教育局長武田博史君、防衛省地方協力局長深山延暁君、防衛装備庁長官鈴木良之君、防衛装備庁長官官房審議官藤井敏彦君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 また、きょうは、この法案審議と、また昼からの大臣所信の最後、二回質問をさせていただくんですが、特に法案審議では、本来、与党の第一党である自民党さんが先に質問しないといけない順番なんでしょうけれども、ちょっと他の委員会の関係で先に回させていただいたこと、御配慮いただいたことに対して、まず感謝申し上げたいと思います。

 昼から現下の情勢を踏まえた大きなテーマについては聞かせていただくとして、まずは法案審議に関連して、防衛省の人事政策に関連した質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、今回、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案でございますが、特に即応予備自衛官及び予備自衛官の扱いをどうしていくのかということが大きなテーマでございまして、今回の一つの大きな柱になっているのは、雇用企業協力確保給付金の新設を行う。

 これは、現在、予備自衛官には年間五日間、即応予備自衛官には年間三十日の訓練が義務づけられるとともに、防衛招集や災害招集などに応じて出頭し、自衛官として活動するということになっているわけでございます。

 今まで、実任務として、この予備自衛官及び即応予備自衛官の方々については、二〇一一年の東日本大震災で二千百七十九名の方が災害派遣活動を行いました。さらに、二〇一六年の熊本地震に際しては百六十二名の即応予備自衛官が災害派遣活動を行ったわけでございます。

 今後、そういう予備自衛官等が招集される機会が増加することが予想されるわけでございますが、しかしながら、今、残念ながら、企業への給付金としては、一九九七年に創設された、即応予備自衛官雇用企業給付金制度が設けられているんですけれども、実任務を実際に行ったことに対してのそういう環境整備になる制度というものが何も今ないわけですね。ですから、雇用企業の業務への影響や負担を軽減し、予備自衛官等が各種の招集にも応じやすい環境をつくるための制度として、私どもは今回のこの新しい制度というのは必要ではないか。

 そういうことを最初に申し上げた上で質問をさせていただきたいんですが、今申し上げましたように、今回の制度は、実任務で出動された際に対しての予備自衛官及び即応予備自衛官の皆さんの企業に対しての給付金でございます。

 もう一方、今、先ほど申し上げましたように、九七年に創設された即応予備自衛官雇用企業給付金制度というのがあるわけでございますが、これは、雇用企業にそういう即応予備自衛官を雇用していることのみをもって給付金が支給される、そういう制度になっているんですね。他方、予備自衛官を雇用している企業にはこのような給付金は設けられていないわけでございまして、ぱっと聞いた限りでも、やはりバランスを欠くんじゃないのかと。

 即応予備自衛官というのは、月に四万二千五百円、これが雇用企業に支給をされるわけであります。ところが、予備自衛官にはそういうものは何もないんですね。ですから、年間三十日と五日間という大きな差がありますので、訓練招集の差がありますので、当然給付金に差があってしかるべきだと思うんですけれども、予備自衛官に対する理解も促進し、また、しっかりと出動する、訓練にもしっかりと出ていっていただけるような、そういう環境を整備するためにも、予備自衛官雇用企業に対する給付金制度というものも、額は差はあってもいいと思うんですが、検討すべきではないんでしょうか。防衛省の見解をまず伺っておきたいと思います。

福田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、即応予備自衛官につきましては年間三十日間の訓練出頭が義務づけられておりまして、即応予備自衛官を雇用することに伴う使用者の負担が大きいことから、使用者が負うこととなる負担を考慮しまして、雇用企業給付金、これは月額四万二千五百円、御指摘のとおりでございます、を支給しております。

 一方で、予備自衛官の訓練出頭につきましては、原則として、自衛官退職直後の初年は一日、二年目以降は年間五日間の訓練としているところでございまして、さらに、年間五日間の訓練出頭につきましては、土日を有効に活用できるよう、二回に分割して出頭することを認めておりまして、予備自衛官を雇用する企業に過大な負担をかけることなく訓練出頭できるように配慮していることから、予備自衛官を雇用する企業に雇用企業給付金を支給していないという仕組みになっております。

 ただ、やはり今先生御指摘のとおり、即応及び予備自衛官ともに、やはり雇用者の方々の御理解と御協力、これがなければなかなか制度として定着しないということがございます。これは、即応予備自衛官、予備自衛官変わらず、企業に対する支援策については重要な課題であると認識しております。

 いかなる対策に取り組んでおりますかについては、引き続き検討を進めていきたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ検討を続けていただきたいと思うわけですね。

 といいますのも、次に資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは平成二十八年度までの即応予備自衛官及び予備自衛官の員数及び現員と充足率の推移を資料に掲載をさせていただいたんですけれども、特に、予備自衛官はずっと割と同じような率で、平成二十八年度六九・一九%。そして、左側の即応予備自衛官が減少傾向が著しい状況でございまして、平成二十八年度は五四・五一でございます。

 災害時あるいは有事の際に必要となるこの自衛官の所要数を確保するためにも、この充足率の向上というのは私は不可欠だと考えているんです。

 今回の雇用企業協力確保金の新設、あるいは現在ございます即応予備自衛官雇用企業給付金制度というものも、環境整備をするということについては、私は、これは一歩前進で必要な制度だと思っているんですけれども、肝心の、減少傾向にあったり低い率でとどまっているこの充足率の向上のための施策として、やはり環境整備だけではなくて、大事なことは、対象者そのものに届くような対策、こういうものがやはり必要ではないか、そういう問題意識からあえて質問をさせていただきたいんですけれども。

 例えば、今、向上のための施策として、今回の制度以外に、防衛省にお聞きしたら、とられているのが、防衛省発注建設工事に係る入札加点であるとか、あるいは予備自衛官の協力事業所表示制度、三番目には使用者に対する情報の提供といった、そういう対策をとられているというように伺っているんですけれども、これらは、今回の施策と同様、雇用企業に対する対策であって、どちらかというと環境整備だと思うんですね。先ほど申し上げたように、即応予備自衛官及び予備自衛官の対象者そのものに届くような、そういう本丸の施策というものをもっと充実させる必要があるんじゃないのか、そういうように思うわけです。

 例えば、やはり予備自衛官や即応予備自衛官の皆さんにしっかりとアンケート調査をして、何が充足率の低下に歯どめがかからない原因であるのかということをしっかりと分析していけるような、そういう意識調査をしっかりとやるとか、あるいは、もっと言うと、こういう予備自衛官等の採用基準の緩和であるとか、あるいは手当の拡充などといった、そういう具体的な対策をとる必要が、今社会全体が人材不足ですから、どうしても待遇のいい方に対応してしまって、そういう、あえて即応予備自衛官とかあるいは予備自衛官などというところにとどまろう、そういうようにされない方も当然出てくるかと思うんですけれども、即応予備自衛官及び予備自衛官のこの充足率の向上政策について、ぜひ、防衛大臣、何か今後考えておられることがありましたら御答弁いただきたいと思います。

小野寺国務大臣 委員の御指摘のとおり、予備自衛官の約三割、即応予備自衛官の約四割が充足をしていない状況でありまして、充足率の向上には、予備自衛官等を雇用する企業に対する施策を充実させることが重要であると考えております。

 このため、防衛省としては、平成二十七年度に予備自衛官協力事業所表示制度を導入し、予備自衛官等を雇用する雇用企業に対し、国の防衛に協力していただいていることを防衛省として認定し、表示証を交付するとともに、平成二十九年度には、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資する情報について、雇用主の求めに応じて防衛省・自衛隊から提供する枠組みを整備いたしました。

 さらに、今般、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金、雇用企業協力確保給付金の新設をお願いしているところであり、防衛省としては、引き続きこれらの施策を着実に推進していきたいと思います。

 委員御指摘にありますように、充足率の向上のためには、採用基準を緩和することにより採用の対象者を拡大するとともに、予備自衛官の手当を充実することにより、予備自衛官等の魅力を高める趣旨の御提案であると理解をしております。

 いずれにしても、この御提案を含め、充足率の向上のためにいかなる対策をとるべきか、引き続きしっかり検討を進めてまいりたいと思っております。

佐藤(茂)委員 ぜひ検討を進めていただきたいと思うんですね。二つの大きな震災で、既に実任務、二回大きなものがありましたので、今後とも必要になってくる可能性が非常に高いと思いますので、ぜひ施策についてはスピード感を持って考えていただきたいと思うんです。

 きょうは国交省から来ていただいていると思うんですが、今、社会全体の大きな問題の一つとして、パイロット不足というのが、公共交通の運用でこれから非常に大きな課題になってまいります。また、今後、やはり人手不足が今の年齢層から考えても予想されるわけであります。

 一月三十日の日本経済新聞によりますと、国交省は、早ければ二〇一八年度中にも、自衛官のパイロットが民間の航空会社へ再就職する際の資格取得を簡略化する方針だとありました。民間企業が自衛隊から受け入れる再就職者は、主に四十歳代で搭乗を終える戦闘機のパイロットを対象としていたけれども、今後は五十歳代で退職する輸送機のパイロットにも広げる、そういう内容が今のところ書いてあったんです。

 この記事のように、自衛隊の元パイロットがこれまでよりも再就職しやすい環境を整えるということは、パイロット不足に悩む航空業界にとっても、また再就職先を探す退職自衛官にとっても、私はこれはウイン・ウインの関係で、お互いのためになるのではないか、そういう規制緩和策ではないかと思うんですが、国交省、きょうは安全部長が来られているんですが、現在の検討状況を御答弁いただきたいと思います。

高野政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の航空輸送をめぐる状況としましては、今後も、国際線を中心とした需要の増大でありますとか、ローコストキャリアの持続的な成長が見込まれておりまして、特に平成二十八年三月には明日の日本を支える観光ビジョンが策定されまして、訪日外人旅行者数の目標が、二〇二〇年に四千万、二〇三〇年には六千万というふうに定められております。

 こういった輸送を支えていく主なものは航空輸送でございまして、そのためにもパイロットの養成確保を図っていくということは極めて重要であると認識しておりまして、国土交通省といたしましてもそのための取組を推進してきております。

 その一環として、自衛隊出身パイロットの方、即戦力のパイロットになるわけですから、非常に重要なパイロットの供給源であるというふうに認識をしておりまして、平成二十二年から中断していた、いわゆる割愛でございます、四十歳前後の主に戦闘機に乗っておられたパイロットの方の民間企業への就職でございますが、それを二十六年から再開をしておりまして、また、それにかかわる環境整備として、二十六年十二月には、自衛隊出身のパイロットの方にとって御負担になっていた民間航空資格の計器飛行証明というのがあるんですけれども、そういったものを取りやすくするための、訓練期間とか費用の大幅な低減を行ったところであります。

 さらに、今後も、自衛隊出身パイロットを更に活用していくということで、例えば、今御指摘のありましたように、五十歳代の定年退職パイロットの方、そういった方々も活用できないかということを検討していくことにしておりまして、自衛隊在籍時の飛行経験豊富な方が多うございますので、そういったものを生かした、民間の航空資格の取得のさらなる負担軽減でありますとか、自衛隊出身の方が安心してエアラインに再就職できるための環境づくりなどについて、来年度の政府予算案において調査費を計上させていただきまして、その中で、例えば諸外国における同様の取組の状況の実態調査でありますとか、そういったことをやっていこうと考えております。その結果も踏まえて、防衛省とも連携しながら検討を行ってまいりたいと考えております。

 国土交通省といたしましては、今後とも増大していくパイロット需要に的確に対応していくために、御指摘の自衛隊の退職パイロットの方のさらなる活用も含めて、各種の施策を推進するなど、取組を強力に進めてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございます。

佐藤(茂)委員 きょうは、さらに、サイバー人材のことについて質問しようと思いましたけれども、時間も参りましたので、別の機会に質問させていただきます。

 大変ありがとうございました。

寺田委員長 次に、熊田裕通君。

熊田委員 おはようございます。自由民主党の熊田裕通でございます。

 きょうは、質問の機会をお与えいただきましたことを、まずもって冒頭に心から感謝を申し上げたいと思います。

 私は、設置法の関連で、サイバーについて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、サイバー空間は、陸、海、空、宇宙に続く第五の戦場と呼ばれております。世界各国の軍では、サイバー能力の向上のために、技術研究や人材確保などに多大な資金を投入していると伺っております。

 我が国周辺においても、例えば北朝鮮は、サイバー戦は核、ミサイルと並ぶ打撃能力を担保する万能の宝剣であると金正恩委員長が発言しているように、サイバー能力の充実に力を入れており、その能力は非常に高い水準にあると評価もされておるところでございます。

 昨年には、世界の百五十カ国以上で、ワナクライと呼ばれるランサムウエアの被害が報告され、我が国国内でも被害が確認されているところであります。アメリカにおきましては、ワナクライを用いたサイバー攻撃が北朝鮮によるものであると非難をしており、仮にこれが本当に事実であるならば、北朝鮮によるサイバー攻撃による被害が現実のものになったということであり、看過できない重大な事態でもございます。こうした国内外のサイバー脅威やサイバー空間をめぐる環境の変化に対応することが必要であると思っております。

 そこで、今後、このサイバー対応に向けて、人員の確保や人材育成について、そしてさらに、他省庁との連携や、他国や企業との連携、技術研究など、積極的にサイバー対応能力を飛躍させる必要があると思っておりますが、防衛省の所見をお伺いいたします。

小野寺国務大臣 我が国に対するサイバー攻撃は、質、量とも深刻さを増しており、予断を許さない厳しい状況にあります。日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃の脅威に対応するため、サイバー空間における自衛隊の能力の向上は喫緊の課題と認識をしております。

 こうした認識のもと、防衛省・自衛隊としては、高度な知識経験を有する人材の育成、確保はもとより、サイバー防護部隊の体制強化、米国等の諸外国や関係機関、企業等との連携、装備品等の研究開発等、さまざまな観点から能力を強化する必要があると考えております。

 また、サイバー防護部隊の体制強化については、平成三十年度予算案において、サイバー防衛隊を約百五十名の規模まで整備することとしております。今後とも引き続き体制の強化に努めてまいります。

 次に、関係機関等との連携については、我が国のサイバーセキュリティー政策の中核を担う内閣サイバーセキュリティセンター、NISC等の機関に対し、情報共有や各種演習への参加等の協力を行うとともに、米国等の諸外国や関係企業等とも情報共有等を行っており、今後ともこうした連携を強化してまいります。

 さらに、所要の装備品等の研究開発を一層推進してまいります。

 いずれにしましても、サイバー攻撃対処能力向上のためにはあらゆる能力の強化が必要であると考えており、今後、防衛省・自衛隊として、防衛計画の大綱等の見直し等において、これらの能力の強化を一層推進してまいります。

熊田委員 ありがとうございました。

 まさに、日本は先んじているというよりはおくれをとっているというふうに思っておりますので、これからも、確実な人員確保、また技術研究等を踏まえて、更に防衛省として研究を進めていただき、先へ進んでいただきたいということを御期待したいなというふうに思っております。

 続いて、先ほど佐藤委員からも御質問がありました予備自衛官及び即応自衛官について質問をさせていただきたいと思います。

 まさに、言うまでもなく、予備自衛官、即応自衛官は、常備自衛官とともに、いざというときに大変力強い能力を発揮できる存在だと私は思っておりまして、大変重要だと思っております。

 これまで、災害派遣等にもさまざま招集をされておりますが、私がちょうど大臣政務官を務めさせていただいておるときに、熊本地震が発災をいたしました。きょう、本委員会の委員でもあります中谷・元防衛大臣を筆頭に、若宮副大臣とともにこの対応をさせていただき、私も大変貴重な体験をさせていただくと同時に、さまざまな課題があるなということも気づかせていただいたわけでありますが、その中で、この予備自衛官、即応自衛官の招集、これについて、さまざま防衛省で論議をされているものを伺いました。

 今回、この予備自衛官、即応自衛官が派遣をされたときに、雇用企業みずからも、こういった熊本のときは雇用企業自体被災をする中で、人員の確保をしながら、それでも予備自衛官、即応自衛官を出していただいた。大変ありがたい思いでありますけれども、こういうことを踏まえ、今回、この給付金制度を新しく導入しようということでございますけれども、こういった経験を踏まえる中でこの給付金というのは出てきたと思いますが、まず、この給付金制度によって、今後、こういった企業に対する、どう変化していくのか、御所見がありましたらお伺いしたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 我が国の予備自衛官、即応予備自衛官の制度につきましては、委員も御指摘のように、有事における継戦能力を確保することなどを目的とするものでございます。

 予備自衛官等は、ふだんは仕事を持ちつつ、いざというときに招集を受け活動することになります。予備自衛官等の制度を安定的に持続可能なものとするためには、平素から、予備自衛官等を雇用いただいている方々の御理解と御協力を得ることが極めて重要であると考えております。

 東日本大震災及び委員も御指摘になられた熊本地震の際に、予備自衛官及び即応予備自衛官が実際に招集をされ災害救援活動に従事をいたしましたが、その際、災害救援活動中には、予備自衛官等が、本業、すなわち会社の仕事でございますが、本業を離れざるを得ず、その間の雇用主の方々に対する支援の必要性が明らかとなったところでございます。

 このため、予備自衛官等の雇用主の方々に対し、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金を支給する制度を新たに整備することにいたしました。

 この給付金の新設によりまして、予備自衛官等制度に対する雇用企業の一層の御理解と御協力を確保するとともに、本業と予備自衛官等の任務との両立しやすい環境を整備し、予備自衛官等の充足率の向上に資するものと考えております。

熊田委員 先ほど御答弁いただいたように、この制度を導入することによって前進をしたということは間違いないことだと思っております。

 先ほど佐藤委員からも御指摘がありましたように、この充足率、予備自衛官と即応自衛官の充足率を上げていくには、当然、こういった給付金も必要でありましょう、会社に対しての手当て、給付も必要でありましょう。これもやっていかなきゃいけない。そして、予備自衛官そして即応自衛官本人に対する、先ほど佐藤委員からも御指摘がありました、そういったことも、さまざまな取組をされなければならないと思っておりますが、私は、もう一つ、さらに、受け入れていただく雇用事業主さん、直接、今もさまざまな取組をしていただいておりますが、どちらかというと、まだまだ、受け入れていただくところもそれほど多いわけでもございません。さまざまな業種やさまざまな業界から、更にうちも受け入れてもいいよ、そういったことを言っていただけるような、企業の皆さんが手を挙げやすいような、挙げることに、まあ、自衛隊に対する理解はいただいておるのは、重々それは承知しておりますが、それ以上に、企業として受け入れてもいいというような、企業主さんの自発的な気持ちが出るような、そんな企業に対する取組も具体的に更にやっていただきたいというふうに思っておりますが、その辺のところについて御所見がありましたら伺いたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 この十年程度の予備自衛官及び即応予備自衛官の採用、退職状況を見ますと、退職者が採用者を上回ることが充足率が低いことの一つの要因として考えております。退職者が多い要因としては、例えば予備自衛官等の退職理由に職場の事情が多く挙げられており、予備自衛官及び即応予備自衛官であることと本業との両立が難しいことが作用しているものと考えられます。

 このような状況を踏まえまして、これまでの主な取組としては、平成二十七年度に予備自衛官等協力事業所表示制度を導入し、予備自衛官等を雇用する雇用企業等に対し、国の防衛に積極的に協力していただいていることを防衛大臣又は地方協力本部長が予備自衛官等協力事業所として認定し、表示証を交付しております。

 また、平成二十七年度には、自衛隊の駐屯地等で行われる工事で、価格以外の技術的要素を総合的に評価する総合評価落札方式により入札を行う工事につきましては、企業が退職自衛官である予備自衛官等を現場に配置する場合には加点評価する制度を開始しております。

 平成二十九年度には、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資する情報、すなわち、予備自衛官等の招集訓練等の内容、日程、実施場所に加え、実運用で招集された場合における自衛官となる期間の見通しなどについて、雇用主の求めに応じて防衛省・自衛隊から提供する枠組みを整備いたしました。

 さらに、今般、予備自衛官等の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金の新設をお願いしているところでございます。

 防衛省としては、これらの施策を着実に推進するとともに、予備自衛官等が訓練等に参加しやすい環境を整えることにより、雇用企業の負担を更に減らすことを重要な課題であると認識しており、いかなる対応策をとるべきか、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

熊田委員 ありがとうございました。

 厳しさを増す安全保障環境を踏まえれば、国民の生命と財産を守り抜くためには、この法律とは若干ちょっと違いますけれども、常備自衛官の人的基盤の充実強化は極めて重要であると思います。

 人口が減少していくこの日本の中で、十八歳から二十六歳である自衛官の採用対象人口の減少に加え、大学進学率の高い水準や有効求人倍率のバブル期を上回る高い水準など、自衛官採用の環境は厳しくなっていると承知をしております。

 そこで、最後に、自衛官の採用環境の現状を踏まえ、今後の取組について、防衛大臣に最後にお伺いをしたいと思います。

小野寺国務大臣 近年、少子化に伴い、十八歳から二十六歳である自衛官等の採用対象者人口が減少傾向にあり、また、大学進学率が向上し、さらには有効求人倍率が高いことから、自衛官等の採用をめぐる環境は厳しさを増しております。

 こうした状況にあって、自衛官等の採用については、全国五十カ所の地方協力本部が、広報官を中心に、都道府県、市町村、学校、募集相談員等の協力を得ながら、きめ細やかに、かつ粘り強く実施しているところです。

 防衛省としては、引き続き、それぞれの地域において効果的な募集、採用活動を行うため全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 私どもとしては、入隊していただいた将来を担う有望な人材をしっかり育て上げ、この国を守る優秀な自衛官として育成した後は社会人として立派な人材になるよう、防衛省を挙げて努力をしてまいります。

熊田委員 ありがとうございます。

 終わります。

寺田委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。立憲民主党の村上史好でございます。

 きょうは法案質疑でございますけれども、特にサイバーセキュリティーについては、今後も議論しなければならない課題だと思っております。そういう視点からきょうは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、現状の認識についてお伺いをしたいんですけれども、御承知のとおり、各国、具体的には、アメリカではこのサイバー部隊は六千二百名、ロシアにおいては一千名、また中国は十三万人とも言われておりますし、韓国でも五百人、また北朝鮮では七千人ほどこの部隊がいる、そういう規模だと言われております。

 また一方、我が国に対するサイバー攻撃は、一五年度のデータでは、ちょっと古いんですけれども、六百十三万件、また防衛省・自衛隊に対する攻撃は百万件と言われております。

 こういう状況の中で、今回サイバー防衛部隊の強化を図られるんですけれども、まず現状の認識について、大臣にお伺いをしたいと思います。

小野寺国務大臣 我が国に対するサイバー攻撃は、質、量ともに深刻さを増しており、予断を許さない厳しい状況にあります。日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃の脅威に対応するため、サイバー空間における自衛隊の能力の向上は喫緊の課題と認識をしております。

 平成三十年度予算においては、サイバー攻撃対処を行う部隊の規模について、サイバー防衛隊を約百十名から百五十名に増員することとしており、陸海空自衛隊からのサイバー防衛部隊と合わせますと、約三百五十名から約四百三十名へと拡充することとしております。

 諸外国の軍のサイバー関連部隊の規模については、さまざまな指摘を今していただきました。内容について承知をしておりますが、各国の軍のサイバー関連部隊が具体的にどのような任務を担っているか明らかでない部分もありますので、サイバー関連部隊の規模を単純に比較することは困難かとは思います。

 いずれにしても、今後、サイバー防衛隊等の定数のさらなる増加も含め、サイバー攻撃に対する自衛隊の対処能力の一層の強化に取り組んでまいります。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 数だけが問題じゃないということではありますけれども、内容の充実についても後ほど質問させていただきたいと思います。

 それでは、サイバー部隊の位置づけについてお尋ねをしたいと思います。

 報道ベースでございますけれども、大臣は、サイバー、宇宙分野で司令部機能を持つ防衛大臣直属の部隊を創設するという方針のようでございますけれども、どのような構想をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 本年末を目指して進めてまいります防衛計画の大綱の見直しに当たりましては、安全保障環境の現状が、北朝鮮の核兵器、ミサイル技術の急速な進展、あるいは、中国の軍事力強化や周辺海空域における活動の活発化、また、サイバー、宇宙空間などの新たな領域における課題の顕在化などを踏まえれば、現状、戦後最も厳しいと言っても過言ではない中、こうした厳しい現実に正面から向き合いまして、専守防衛は当然の前提としながら、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていく考えでございます。

 サイバー、宇宙分野における脅威は多様化、深刻化をしてきておりまして、こうした中、さまざまな脅威から国民の生命財産を守るべく、我が国においてもサイバー攻撃対処体制の強化や宇宙空間の安定的利用の確保のあり方について検討することは非常に重要と考えております。

 一方で、御指摘の報道のような点も含めまして、現時点では、その具体的な方向性等が固まっているわけではございません。

 いずれにいたしましても、専守防衛は当然の前提としながら、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を追求していく考えでございます。

村上(史)委員 構想そのものはまだ具体的なものはないということなんですけれども、ただ、各国、取組によって、その部隊の位置づけというのはそれぞれの国によって違うと思うんですけれども、例えばアメリカなんかは、戦略軍の中に、第四軍としての位置づけでそういう部隊を持っているという現状もございますが、改めて、サイバー防衛部隊の組織上の位置づけについてお伺いをしたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 現状におきましては、サイバー関連の部隊といたしましては、いわゆるサイバー防衛隊のほかに、陸海空それぞれに関連の部隊がございまして、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、平成三十年度予算案においては、約三百五十名からこれを四百三十名に拡充をするということで、こういった体制で臨んでいるところでございます。

 お尋ねは、今後の体制等につきましてのお尋ねかと思いますが、繰り返しになって恐縮でございますが、サイバー、宇宙分野における今後の取組は極めて重要と考えてございますけれども、現時点でこの具体的な方向性等が固まっているわけではないということでございます。

 いずれにいたしましても、真に必要な防衛力のあるべき姿を常に追求してまいりたいと考えてございます。

村上(史)委員 この問題については、また追って議論をしていきたいなというふうに思っております。

 先ほども質問がございましたけれども、関係省庁との連携についても考えていかなければならないと思います。

 内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンターとの連携をとるのか、あるいは、具体的にインフラ施設へのサイバーテロに対する対応をしていくのか、そういう連携についてお伺いをしたいと思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国全体のサイバーセキュリティーの確保の取組につきましては、御指摘の内閣サイバーセキュリティセンター、いわゆるNISCを中心として進められているところでございます。

 防衛省・自衛隊は、社会全般におけますサイバー空間の安定的利用の確保が極めて重要であるという認識のもと、NISCに対しましては、要員派遣あるいは情報共有や各種の演習への参加等、必要な連携協力を行っているところでございます。

 今後も、こうした取組を中心に、NISCと連携の強化に努めてまいる所存であります。

 また、御指摘の重要インフラ防護につきましては、サイバーセキュリティ戦略本部において決定をされました重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画によりまして、重要インフラ事業者や政府機関の取組が定められているところでございます。

 当該計画におきましては、重要インフラに対するサイバー攻撃に対しては、一義的にはまず重要インフラ事業者みずからが対処をし、他の重要インフラ事業者や政府機関も連携してこれを支援するということとされてございます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、NISCを始めといたします関係省庁と協力をしつつ、適切な支援を行ってまいる所存であります。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、サイバー部隊の人材育成についてお伺いをしていきたいと思います。

 今回の法案は、自衛官定数を変えずに、自衛隊員の配置がえによって部隊編成を強化するという形でございますけれども、今後もこういう形でやっていくのか、これで十分なのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、防衛省・自衛隊でのサイバーに係る人材の確保というのも極めて重要でございます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、このサイバー関連の部隊の定数を充実させるということに取り組んできているほかに、国内外の教育機関への留学や民間企業における研修などに努めているほか、キャリアパスの設定、教育の充実等を図っているというところでございます。

 自衛官全体につきましての充足率がかねてから指摘をされてございますけれども、この問題につきましても、現在、自衛官の実員につきまして、優先度の高い部隊を中心に、自衛隊全体として充足率の向上に取り組んできてございます。

 昨今の自衛官の年度末充足率は、平成二十五年が九二・六〇%でありましたのに対しまして、年々向上を図ってきてございます。現在の安保環境のもと、現在の中期防において最大となります三百十名の増員を図りまして、今後、年度末の充足率を九二・九〇%まで向上させるという予定で取り組んでおるところでございまして、サイバー部隊の充実に関しましても、こうした充足率の充実も含めまして、この中でしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

村上(史)委員 後ほどお聞きする質問も兼ねて御答弁いただきました。

 それでは、将来的にこの部隊の規模をどの程度に想定をしているのか、お考えをお聞きしたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 我が国に対するサイバー攻撃は質、量ともに深刻さを増しておりまして、予断を許さない厳しい状況にございます。この日々高度化、巧妙化をいたしますサイバー攻撃の脅威に対応するために、サイバー空間におけます自衛隊の能力向上は喫緊の課題というふうに認識をしてございます。

 このため、先ほど申し上げましたように、サイバー防衛隊あるいは陸海空の関連部隊も含めまして、定数の充実、拡充を図っております。

 今後の将来的なサイバー防衛隊等の人数規模につきまして、現時点で予断を持って具体的な数値をお答えすることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、今後、防衛大綱の見直し等におきまして、サイバー防衛隊等の定数のさらなる増加も含めまして、サイバー攻撃に対する自衛隊の対処能力の一層の強化に取り組んでまいりたいと考えてございます。

村上(史)委員 将来規模の人数、規模はまだお答えできないということなんですけれども、そういうことであるならば、人材の育成、養成という意味が言葉だけに終わってしまうんじゃないか。目標があって、それに合わせて人材を養成していくということが今後必要なのではないですか。どうですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 将来的な人数の具体的な見通しについて、単一の数字をもって申し上げることは極めて困難ではございます。

 ただ、現在あるいは今後のサイバー防衛、サイバー攻撃対処に関します非常に重要なことだということも含めまして、定数のさらなる増加も含めまして、一層の強化を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、定数の増、人数の増と同時に、これは、その能力自体、個々の隊員の能力自体の強化ということも極めて重要でございます。

 したがいまして、例えば国内外への留学、民間企業への研修、あるいは他機関との連携等々さまざまな手段がございますけれども、個々の能力強化につきましても同時に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

村上(史)委員 まさに、部隊の規模だけではなくて、それぞれの能力をアップしていく、これも人材育成、養成という面では大変重要なことだと思います。

 今、局長の方からも言われましたように、大学に行ったり、いろんな専門性を高めていく、そういう努力もしておられる。海外にも留学をしてそれをスキルアップしていく、そういう努力も大変重要だと思うんですけれども、肝心かなめの防衛大学、この防衛大学の中でやはり人材を育成していくべきではないかなというふうに思います。聞くところによりますと、講座はある、そういう関連した講座はあるけれども、学科はないという状況でございます。

 より専門的に、また計画的に人材を確保していく、そういう視点から立てば、防衛大学にサイバーセキュリティーのいわゆる学科を新設するということも考えていいのではないかな、そのように思いますけれども、その点についての御見解を伺いたいと思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 高度な知識、技能、経験を有します人材の育成は、御指摘のとおり極めて重要であるというふうに考えております。日ごろより、部内教育のほかに、国内外の留学、あるいは民間企業への研修等々も含めまして、技量の向上に努めているところでございます。

 防衛大学校におきましては、理工学専攻の学科のうち情報工学科におきまして、情報システムあるいはサイバーセキュリティーについて学ぶための講座を提供しているところでございます。

 今後、サイバー分野におけます人材の育成、確保、一層積極的に推進をしていかなければいけないと考えてございます。こうした中で、防衛省・自衛隊におけるサイバー分野の教育体制のあり方につきましては、不断に検討してまいりたいと考えてございます。

村上(史)委員 我が国にとっては、サイバー攻撃防衛のための部隊というのはまだまだこれからの領域だと思います。ぜひ、そういう面で、計画的に人員を確保していくというところに力点を置くならば、やはりそういう専門性を持った学科が防衛大学に必要ではないかな、そのことを強調して、御検討のほど、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは、サイバー攻撃対処行動とサイバー攻撃についてお伺いをしたいと思います。

 サイバー問題ではこの部分が肝の部分に当たるのではないかなと私は思っております。今回整備強化される部隊は、名前はサイバー防衛隊となっております。言葉をそのまま受け入れれば、攻撃対処防衛行動を主任務とした部隊だというふうに認識をいたしますけれども、ただ、サイバーの世界では、防御の対処行動と攻撃行動は表裏一体というふうにも言われています。防御の技術を高めていくためには、絶えず攻撃を受ける、そういう形でのシミュレーションがあって、そして防御能力を高めていくというふうに、防御と攻撃というのはセットだとも言われています。

 端的にお伺いしますけれども、この防御対処行動と、今回の防衛隊によってサイバー攻撃は可能かどうか、現時点でどうなのか、御見解を伺いたいと思います。

小野寺国務大臣 高度化するサイバー攻撃の態様を踏まえれば、今後サイバー攻撃によって極めて深刻な被害が発生する可能性も否定できず、サイバー攻撃への対処は我が国の安全保障にかかわる重要な課題と認識をしております。

 そのため、防衛省としては、中期防衛力整備計画に基づき、武力攻撃事態等において相手側によるサイバー空間の利用を妨げることが必要となる可能性を想定しつつ、サイバー攻撃の分析機能の強化や実戦的な訓練環境の整備等を行っており、その結果として、サイバー空間を通じた反撃にも応用し得る一定の知識、技能を得ております。

 他方、サイバー攻撃の態様については、手法、対処の多様性など、さまざまあり得るため、法的側面も含め、慎重な検討が必要なものと考えております。

 いずれにしても、サイバー空間における対処に関しては、専守防衛は当然の大前提であり、また、関係する国内法及び国際法を遵守する考えであることは言うまでもありません。

村上(史)委員 今の御答弁では、物すごくグレーな答弁だと思います。まだ未知の領域ですので、いわゆる通常兵力の防衛と、また、それに対する自衛権行使の反撃とはまた違う要素がサイバー問題ではあると思うんですけれども。

 今回の問題で特に取り上げておきたいのは、攻撃ができるか、できなくもない、しかし、それを専守防衛、憲法九条の範囲内でというのは、大臣、御認識は当然あると思うんですけれども、ただ、このサイバーの問題については、各国が今取り組んでいるのは、いわゆる従来型の軍事力プラスサイバー攻撃、いわゆるハイブリッド戦を想定して、今、各国はしのぎを削っているというか、その能力を高めようとしております。そういう、将来の、また、ああいう紛争の、各国の、いわゆる戦争のあり方そのものを根本的に変えていく可能性がある、そういう中で、日本はどういう立ち位置でそれに対応していくのかというのがこれからの大きな課題だと思います。

 そういう面で、一部では、いわゆるサイバー攻撃をされた、それは、攻撃されたことによって被害を受けた、そして、発信国に対してはいわゆる自衛権の行使の中で反撃が可能だという議論がありますけれども、この点についての御見解はいかがですか。

小野寺国務大臣 まず、サイバー攻撃だけでの攻撃に関しては、これは、関連する国内法あるいは国際法、各国の中でもさまざまな議論があるということでありますので、サイバー攻撃のみでの攻撃で一概にこれが武力攻撃に当たるかどうか、そういう判断には至らないと思っております。

 他方、例えば、今ハイブリッドの話がございました。

 サイバー攻撃を伴い、さらに、それと同時に実際の武力行使、武力による攻撃があった場合、これは武力行使の三要件を満たすという判断があった場合には、内閣総理大臣は、自衛隊法第七十六条一項の規定に基づき防衛出動を下令することができ、そして、同法八十八条一項において、七十六条一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、我が国を防衛するために必要な武力を行使することができるという規定があります。

 この必要な武力を行使するとの具体的な内容については、当該事態の態様や状況によって異なり、一概に述べることは困難でありますが、法理的には、この必要な武力を行使することの一環として、いわゆるサイバー攻撃という手段を我が国が用いることは否定されないと考えております。

村上(史)委員 今の御答弁、大変重要なところだと思います。否定されない、攻撃をすることも可能だという御答弁だと思います。

 そういう面では、先ほども申し上げたように、これからの安全保障のあり方にきっちりと、通常兵力と同時に、サイバー部隊というものは位置づけられて、新たな安全保障体制というものが構築されていかなければならないということだと思います。

 しかし、今のところ、国民の一致した認識もありませんし、質問している私も、このサイバー空間での出来事あるいは攻防というのは、素人ということもありますけれども、大変わかりにくい領域だと思います。

 しかしながら、今申し上げましたように、これからの安全保障上どうしても位置づけられなければならないサイバー防衛、攻撃、この問題は、やはり大変重要な問題だと思いますので、きょうの委員会でそれで決着がつくという話ではありませんので、これからも当委員会を始めさまざまなところでこの問題を、課題を議論していかなければならないというふうに思っております。深掘りは今後に委ねたいと思います。

 それでは、サイバー部隊、防衛部隊の強化というのは方針として十分理解をしておりますけれども、何度も出てまいります防衛大綱の見直しに向けて、どのような位置づけ、反映をされるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

小野寺国務大臣 防衛計画の大綱の見直しについては、現時点では見直しの具体的な方向性等についてお答えする段階にはないんだと思います。

 他方、見直しに当たっては、まず何よりも現実から目をそらすことなく真正面から向き合うことが不可欠であります。その上で、サイバー空間を含む新たな領域の活用が死活的に重要になっていることを踏まえれば、そのことを踏まえて検討していく必要があるんだと思っています。

 いずれにしましても、専守防衛は当然の大前提とした上で、従来の延長線上ではなく、国民を守るために真に必要な防衛力のあるべき姿を見定めていきたいと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 時間も大分経過をしてまいりましたので、最後に大臣の御認識を伺いたいと思います。

 きょうの質疑でもわかりますように、サイバー攻撃対処行動とサイバー攻撃行動には、憲法九条や、あるいは専守防衛との整合性が今後問われてくると思います。また、法整備のあり方など論点は非常に多いと思います。その上、サイバー空間は国民の見えない領域であるだけに、国民に対しては丁寧な説明が必要だと思いますし、国会でも徹底した議論が必要だ、そのように考えますけれども、大臣の御認識をお伺いいたします。

小野寺国務大臣 今の安全保障上の中で、サイバーという領域は大変重要な領域になっております。

 ただ、例えばサイバーでの攻撃をもって、それが武力の攻撃に当たるのかどうか、このことについてはさまざまな、これは国際間でもさまざまな議論がまだあり、一つの方向が定まっているというふうにはまだ理解、承知をしておりません。

 ただ、いずれにしても、例えば武力の攻撃がある場合、従来のような武力攻撃に加えサイバー攻撃も同時にある、このようなハイブリッドの攻撃も当然想定をされます。そのことに対してどのように我が国の防衛をしっかり充実させていくか、これは当然、新たな領域でありますので、防衛省・自衛隊、政府一体となって、さまざまな検討も必要でありますし、また広く国民の理解を得る上で、国会での議論も大変重要だと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 本当に開かれた場所で与野党ともにこの問題を議論していかなければならない課題だと思っております。

 それでは最後に、イージス艦及びイージス・アショアのレーダーによる電磁波の影響についてお伺いをしたいと思います。

 イージス艦のいわゆるレーダー発射時には、自衛官は甲板に出てはいけないという、禁止されているようでございますが、これは事実でしょうか。なぜ甲板に出てはいけないのか、お尋ねをします。

鈴木政府参考人 お答えします。

 イージス艦のレーダーの使用に当たりましては、電波法及び電波防護指針等により適切な安全対策を講じており、一定の電波の強さの基準を超える場所における安全離隔距離の確保や、電波の発射方向を管理することで乗組員への影響がないようにしております。

 イージス艦のレーダーの使用に当たりましては、必要に応じて甲板の立入り範囲を規制するなど、安全離隔距離を確保するとともに、乗組員に向けた照射を行わないなど、電波の発射方向を適切に管理することにより、乗組員は安全に勤務しているところでございます。

村上(史)委員 今いみじくもおっしゃいましたけれども、いわゆるレーダーを照射したときに強力な電磁波が出る、それは人体の健康にも大きな影響を与えると言う学者もたくさんいらっしゃいます。そういう中で、被害が及ばないようにということで、自衛隊については、照射時には甲板に出ないということだと思うんです。

 一方、イージス・アショアの場合は陸上でございますから、人家もあれば、また民間の航空機も飛ぶ領域でもあると思います。そういう面で、レーダーから生じる電磁波の影響というものは、今後も十分検討し、また検証をしていかなければ、配備そのものにも大きな影響を及ぼすのではないか、そのことを最後に今後の課題として申し上げて、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

寺田委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 おはようございます。希望の党の古本伸一郎でございます。

 まず、防衛省設置法についてでありますが、サイバー防衛隊、さらに、SM3ブロック2Aの導入がいよいよ運用フェーズに入るということで、装備庁から海自へ定員を一名ふやす、これは座布団の話だと思いますけれども、これにつきましては、私ども希望の党としては多としたい。きょう、この後、終局、採決もあるやに伺っておりますので、賛成の立場であります。

 その上で、我が国のミサイル防衛が、本当に空白期間のない万全な体制が今後しけるのかということについて、大臣にお尋ねしてまいりたいと思いますが、まず、ミサイル攻撃を受けた場合にどのように対応するのかということ。

 現在、ブロック1Aが配備されていると思いますけれども、質問、レクチャー、あるいはこの委員会の場で何度お尋ねしても公式にはなかなか答えていただけないので自分から申し上げますけれども、恐らく、射程は千キロ、射高、高さは五百キロがブロック1Aだと思うんですけれども、これは準中距離弾道ミサイルへの対応を想定していると思うんですね。今後導入されるブロック2Aは、射程が倍の二千キロ、高さは千キロじゃないかと想像するんですけれども、公式にお答えできるのならぜひ伺いたいと思いますが、要は、ブロック1Aと、今一刻も早く導入を目指しているブロック2Aの違いは、距離と高さ、こういうことになるんだと思います。

 問題は、このブロック2Aを艦載できる、装備できるイージス艦が現在何隻ありますか。

寺田委員長 政府参考人、手を挙げてください。

小野寺国務大臣 基本的なことでありますので、事前に質問通告をしていただければ、このようなことについては正確にお答えします。

 イージス艦のブロック2A対応の新しいタイプの船が何隻あるかということだと思っています。現在イージス対応の船は五隻ありますが、今後八隻に増隻しますが、現時点でブロック2A対応ができている船が何隻あるかということは、ちょっと今、調べて報告をさせます。

前田政府参考人 失礼しました。お答えいたします。

 ブロック2A、現在まだ開発中でございますけれども、取得のための予算を計上してございます。これが入ってきた段階で、今イージス艦の改修をしておりますが、これらで撃てるようにしていくことになります。BMD対応化に対して、ブロック2Aが、搭載して発射ができるようにしていくということになります。

 ただ、現時点でまだブロック2Aを取得しておりませんし、そのプログラムが入っておりませんので、現時点でどうかということであれば、現在のイージス艦からは撃てない、こういうお答えになります。

古本委員 そういうことだと思うんですね。高度な安全保障の、我が国の能力にかかわる話なので、言えないということは、それはそれでいいと思うんですけれども、ぜひ、イージス艦を運用する上でコアなのはシステムだと思いますね。そうすると、いわゆるベースラインと言われているシステムは今どのグレードまで来ているかということになると思うんですけれども、今大臣がお答えいただけた今後就役予定の最終的なフルスペックは八隻、八隻のイージス艦を我が国が保有した段階で、そのベースラインのバージョンアップも含め、ブロック2Aを運用できる艦船の数は最終的に何隻になるんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、最終的に八隻にするつもりですが、そのうちで、現時点では、2Aを撃てるバージョン、これを入れる隻数は四隻になろうと考えております。

古本委員 では次に、それは何年ぐらいをめどとしておられますか。

前田政府参考人 その体制が整うのは、平成三十二年になろうと思っております。

古本委員 年度と受けとめてよろしいですか。(前田政府参考人「はい」と呼ぶ)年度だと思うので、多分平成三十三年三月末までということだと思うんですが、そうしますと、それまで、今から三年近くありますよね。私は、この空白期間は絶対に、我が国のミサイル防衛体制に空白期間をつくってはいけないというふうに思うんですけれども、同時に、納税者の皆様の御理解をいただいて、一刻も早くさまざまな装備を進めなきゃならないという立場です。

 その上で申し上げると、平壌から東京までの射程というのは何キロですか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 手元に完全に正確な数字を持っておりませんが、一千キロを少し超えるぐらいだと考えております。

古本委員 それは、現在のブロック1Aで対処し切れますか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 ブロック1Aの射程範囲、具体的な数字、先ほど先生言及になりましたけれども、それはお答えを差し控えたいと思います。

 ただ、北朝鮮のいずれの場所から日本に対して発射される弾道ミサイルも防衛をするという前提でイージス艦のシステムを整備をしているわけでございます。

古本委員 仮定の話ばかりしても仕方ないと思いますが、現実、我が国の上空を飛翔してくる弾道ミサイルの実験を繰り返しているわけですね。ですから、非常に安全保障環境は緊迫していると、客観的に正しく理解しています。

 その上でこの議論を進めたいと思うんですが、では、イージス艦一隻当たり、SM3ブロック1A、現状でいいですよ、迎撃ミサイルを入れる、いわゆるセルですね、ワンモジュール当たり、セルは幾つぐらいありますか。

西田政府参考人 御質問につきましては、各種装備の具体的な能力にわたることになりますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

古本委員 実は、これも累次にわたり、委員会の場あるいはいろいろな場でお尋ねしていますけれども、安全保障の能力にかかわるので答えられないということなんですが、単純に考えて、イージス艦の、配備できる、ブロック2Aを今後運用できるイージス艦の数掛けるモジュール。ワンモジュールに、少なくともアメリカ海軍の公表資料によれば、八セル積む。つまり、例えば二モジュールであれば十六発装填できる。掛けるイージス艦の総艦数によって、同時多発的にかの国が弾道ミサイルを発射した場合に迎撃できる能力が、数は力と考えるならば、単純に想像できますね。

 したがって、このモジュールを幾つ装填するかというのも大変重要な観点になると思うんですが、新造船のイージス艦、あるいは今あるイージス艦の改修を行うに当たって、これはぜひ、どこまで情報開示できるかということがあるんでしょうけれども、しかるに防衛予算が必要なんだという国民的な合意を、今後は、大臣、求めていくようなことがあってもいいフェーズに安全保障環境は移っているんじゃないかというふうに思います。

 いずれにせよ、申し上げたかったのは、今回、予算定員を見直すという、ある意味人力のところは一番重要な要素でありますけれども、それを運用して、実際、SM3ブロック2Aが本当に我が国を守ってくれる大変重要なウエポンだということを考えれば、一刻も早い運用とそのための必要な予算を、かくかくしかじかだから予算を措置したいということを堂々と申し上げていただくように、この議論の場で情報開示した方がいい。

 その際に、話題になっています、「いずも」へのF35タイプBの艦載の話があるんですけれども、これは、例えば三沢から、現状のF2でもいいですよ、今後随時配備が進むF35でもいいですけれども、スクランブルがかかった場合、日本海上空の、北朝鮮、朝鮮半島に近い、想定される戦闘空域に到達する時間は何分ぐらいですか、三沢からスクランブルした場合。

前田政府参考人 ちょっと私、正確に御質問を御理解したかわかりません。F35B、現在持っておりません。将来的にF35Aを取得していくわけですが、仮に、三沢から飛び立って日本海の海上に行くということであれば、正確な数字はあれですけれども、おおよそ二十分から三十分ぐらいの時間ではないかというふうに認識をしております。

古本委員 アフターバーナーをたいて、ジェット燃料を思い切り消化したらそのぐらいで行くかもしれませんが、その後、ドッグファイトを想定すると、これはなかなかの距離ですよ。意外と近くて遠い。だとすると、「いずも」に艦載し、ぎりぎりの日本海の海域で常に海上警備に当たるということは、極めて国益に資すると考えるんですね。

 その際、確認したいんですけれども、「いずも」にF35タイプBを仮に艦載したら、これは憲法違反になるんでしょうか。

横畠政府特別補佐人 憲法が許容する必要最小限度の実力につきましては、従来から、個々の兵器につきましても、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためのみに用いられるいわゆる攻撃的兵器を自衛隊が保持することは、いかなる場合にも許されないと解しております。

 御指摘の、個別の問題ということになりますと、当てはめということになりますので、この点につきまして、私どもから当てはめについてお答えするという立場にはないと考えております。

古本委員 過去、当委員会でも、国会答弁で、当時の瓦防衛庁長官、初代防衛大臣の答弁等々残っていますけれども、今内閣法制局長官がお答えになったとおり、相手国の国土の壊滅的破壊のために専ら用いられる攻撃的兵器、すなわち具体的には戦略爆撃機、攻撃型空母となるんですけれども。

 では、今度、運用の話なので内局の方にお尋ねしますけれども、「いずも」に現在予定されているヘリの艦載ですけれども、輸送型ヘリがマックス十数機艦載できると承知していますけれども、F35タイプBを仮に載せる場合に、現状のエレベーターにその能力はありますか、耐荷重、あるいはその高さ、幅、いかがですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 具体的な「いずも」の仕様等につきまして、F35B自体、これはまだ何も決まっていない話でございますので、実際に搭載を可能か否かにつきまして確定的に申し上げることは困難でございます。

 ただ、公刊情報等に基づきますと、単純に物理的なサイズだけを申し上げれば、「いずも」のエレベーターの中には入るというふうに見ております。

古本委員 だとすると、格納庫の中の様子まではつぶさにわかりませんので、恐らく、物理的に艦載できたとしたら、数機、マックス十機前後じゃなかろうかと思うんですが、一般的に、ジェーン年鑑でも何でもいいですけれども、一般的にごらんになって、艦載機十機程度の空母が一隻あったとして、これは壊滅的破壊能力を、相手国を、持つということになるんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、「いずも」を今後どのように運用していくか、F35Bを自衛隊が導入するか否か等々、まだ決まっておりませんので、その点は前提とさせていただきます。

 その上で、先ほど法制局長官からもありましたが、憲法上の制約のもとにおいて保持される自衛力の具体的な限度は、時々の国際情勢、科学技術等の諸条件によって左右される相対的なものであるということであります。したがって、いかなるものが攻撃型空母に当たるか一概に申し上げることも難しいというふうに思っております。

 ただ、お答えさせていただくと、昭和六十三年当時に国会答弁において、当時の軍事常識を前提としてでありますけれども、攻撃型空母が何かという議論がなされております。そこでは、例えば極めて大きな破壊力を有する爆弾を積めるなど大きな攻撃能力を持つ多数の対地攻撃機、これを主力として、かつ、更にそれに援護戦闘機あるいは警戒管制機等も搭載をして、これらの全航空機を含めて全体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇、こういったもので性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるようなものが該当するのではないかと考えられる、こういう答弁がございますので、そういう点を考えながら判断をしていくことになると思います。

古本委員 今局長が言っていただいたことに尽きると思いまして、ということは、「いずも」に仮に十機前後のF35タイプBを積んだとしても、運用を考えれば、空母打撃群を編成しなければ実効が上がらないですね。空母は防衛能力が低いですから、当然に潜水艦、さらにはイージス艦、さらには機雷掃海艇、さまざまなものを腹に抱いて艦隊編成しなければ、運用は現実的にはならない。

 でも、一方で、いざというときに備えるということに、今、国民世論は多くの方が賛成されるんじゃないでしょうか。そして、問題は、ありもしないことを想定して騒いでいるとしたら、これはよろしくありません。でも、日本の上空を通過する弾道ミサイル実験が繰り返されている今、これは私は冷静に現実の脅威だと思いますね。

 ですから、国民的な議論に付すならば、これはそもそも憲法違反なことを、たとえ研究といえども、公務員たる自衛官の皆様に一度研究してみろと言っているとすると、これは憲法違反につながることの研究をせよということになるんですけれども、そうではないとするならば、大いに、安全保障のオルタナティブ、選択肢としてこういうものもありますよということを国民に情報提供するのは、極めて国益にかなっていると思うんですね。

 ただ、憲法違反かどうかというのはその入り口でネックになるんですけれども、今、少なくとも法制局長官それから専門の防衛政策局長から聞く限りは、「いずも」に仮にF35タイプBを数機積んだとしても、にわかにそれに当たるとは考えにくいということでよろしいですか、大臣。シンプルなお答えでお願いします。ちょっとこの後いろいろ聞きたいことがありますので。

小野寺国務大臣 シンプルにお答えすると、現時点で、護衛艦「いずも」に関して、御指摘のような空母化を具体的に検討していることはないということであります。

古本委員 では、もうちょっと進めますね。

 私、実は、憲法違反に当たるようなことを自衛官の皆様に研究しろと言うのはよくないと思います。だったら、それに見合ったように憲法を変えるべきです。逆に、憲法違反でも何でもないのなら、大手を振って堂々と研究を進めればいいと思いますという課題提起をしておきます。

 その上で、もし、憲法上許されて、かつ物理的にも、エレベーターにも載るし、大幅な改修も必要ないということならば、残る課題はコストだと思いますよ。ただいま申し上げたような空母打撃群を編成しようと思ったときのイニシャルコスト、さらには毎年の運用のためのランニングコスト、これは研究していますか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御質問の意図をちょっと誤解をしておるかもしれませんが、「いずも」につきまして、F35Bを搭載するといったことを具体的な目標として検討しているということではございませんので、そうした意味であれば、そうした検討はまだ行っていないということでございます。

古本委員 おさらいをしておきたいと思いますね。

 日本の安全保障環境は極めて緊迫していると思います。そして、三沢基地から、アフターバーナーをたいてスクランブルをかけたF2、あるいは今後運用が始まるF35が想定される空域に到達するのに数十分かかるとしたら、数分で到達できる日本海の海域に、常に、専守防衛の範囲で、護衛艦「いずも」、「かが」にF35タイプBを艦載し、にらみをきかせるということは、極めて我が国の防衛に資すると思うんですけれども、他方で、たった一隻「いずも」に、あるいは「かが」に数機のF35を積んだとしても、それは運用は現実的には難しいと思います。

 つまり、空母打撃群を編成するということを考えたら、これは、打撃群という、空母防衛群でもいいですよ、防衛の群れを編成するとするならば、やはりコストは何千億円かかります、あるいは何兆円かかります、だけれども国民の皆様に御負担を求めますということは、堂々と議論できる環境を、当委員会としても、一方の議論としてやっていく必要があると思います。その問題提起をしておきます。

 続いて、自衛隊法の一部改正について。

 即応予備自衛官の話が出ましたけれども、充足率という観点から公明党の佐藤先生からありましたけれども、問題は応諾率ですよ。東日本大震災のときに応諾してくれた予備、即応自衛官の応諾率は平均何%でしたか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災における予備自、即応予備自衛官の招集に当たりましては、部隊側で、どのような人と、どのくらいの規模で招集するかなど、さまざまな検討を行う過程で、あくまでも事実上の行為として、幅広く予備自衛官に打診をいたしました。

 この打診と実際に招集をするという行為とは、まず別のものであるということについては御理解いただきたいと思いますけれども、今申し上げたような、幅広く予備自に打診をしたということで、委員御指摘のような応諾率につきましては、即応予備自衛官につきましては平均六三・三%、予備自衛官につきましては七三・七%という数字がございます。

古本委員 もうこれは資料もいただいていますし、国会答弁、議事録に残した方がいいと思ったので、あえて質問しました。

 被災地にいて、みずからも被災された隊員も多くいらっしゃったので、なかなか東北方面は招集に応じた応諾率というのはちょっと低くなっている面もあるのかなと思ったら、中部方面、西部方面の方がはるかに低いんですね。これはなぜかなというのを、ぜひ大臣、一度研究してみてください。これは即応予備自衛官です。

 それから、予備自衛官に関して言えば、これはなぜか予備自衛官の方が高くて、海自の横須賀で八〇%が応えています。空自の西部航空方面隊で八四%の方が応諾し、かの地に駆けつけてくださっています。

 だから、これはなぜかなというのが、即応予備自衛官と予備自衛官とで差があるということを、少し事実を、これは防衛省からいただいた資料で紹介させていただいた上で、どういうインセンティブを差し上げるかということについて問題提起したいと思うんですけれども、大変とうとい、実は僕、地元の、車を運転してくださっている方、元陸自の方なんです。いっとき登録していたと言っていましたけれども、今はちょっと離れているそうですけれども。

 即応予備自衛官手当が月額一万六千円ですね。つまり、年間で単純に言って十九万円ちょっと。さらには、訓練招集手当で、訓練、三十日出なきゃいけない、これは日当たり一万円から一万四千円。さらには、実際に出動したら今言ったようなものが出る。

 これは、所得税の世界、西田局長は専門だと思いますけれども、所得税の世界でいえば雑所得と申しまして、いわゆるこのくらいならば請求はもうしないでしょう、もういいですよという概念が、実は所得二十万円なんです。

 実は私、党税調の方をやっていまして、そちらが専らなんですけれども、つまり、この雑所得の二十万というのを少しハードルを上げてあげたならば、そういうものに、とうとい任務についていただいた方々の手当から所得税を取るのかと、私は問題意識として提起したいと思います。

 党税調、与党税調あるいは政府税調の中で、こういったものについては、非課税というのはなかなか難しいのであれば、雑所得のハードルを少し、この任務についていただいた方々については少しハードルを上げてあげて、雑所得二十万までと言われたらこれは超えちゃいますよという問題提起をしたいと思うんですが、その際に、ではなぜ自衛官だけなんだ、予備自衛官だけなのかとなりかねないので、あまたありますよ。保護司の皆さん、とうといです。民生、児童委員の皆様、本当にとうといことをしていただいています。さらには、消防団員ですよ。昼間は会社勤めをしながら、いざというときに出動される消防団員の皆様。この方々に出る手当については、実は、雑所得の基準を、上限を、二十万円以下というのをちょっとハードルを緩めるということを、関係する総務あるいは厚労、法務の各大臣に、一度、内々問題提起していただけないですか。

 そうすると、幾ら手当は上げても、私たちは源泉徴収は国民の義務として当然喜んで納税いたしますけれども、こういう任務についていただいた方から、手当は、果たしてどうかなという問題提起なんですけれども、検討の可能性はありますか。

 いや、大臣、ぱっと聞いてどう思いますか。必要ないというのなら結構です。いや考えてみたいというならどうぞ。

小野寺国務大臣 委員の、実際にさまざまな、これは即応予備、予備自衛官もそうでありますし、保護司あるいは消防団等さまざまな、社会貢献の役割の中で担っていただいている役割があると思っております。

 そのことに対してどのような対応をしたらいいのかというのは、これは政府全体で考えていくべきことだと思いますが、今御指摘の点については、事、税の問題になりますので、そこはまたその問題意識を持って、財金を含め、さまざまなその専門のところでまた問題提起をしていただければありがたいと思っております。

古本委員 これは年度改正で、防衛省の要望に正式に上げたことはありますか。あるかどうかだけ。

武田政府参考人 私が承知する限りでは、予備自衛官、即応予備自衛官に対する手当の税制控除について予算要求したという記憶はございませんが、他方で、企業に、会社に対する給付金、これについては、法人税の課税対象にはなりますが、この給付金を代替要員等の経費、すなわち人件費に充てた場合には、当該経費は損金として計上されて相殺されるということで、結果として課税はされないということでございます。

古本委員 雇用主に対する理解ということも非常に大事な観点だとありましたが、与党公明党の委員から、先ほど、本人に対するインセンティブという提起があったわけですから、それを引き取って私が問題提起しているので、ぜひ、党税調、またもんでいただいて、私、なぜ自衛官だけなんだとなったらよくないので、保護司さん、民生さん、消防団、さまざまなことは問題提起があってしかるべきじゃないかということを申し上げておきたいというふうに思います。

 残りの時間で、防衛大学の話。

 防衛大学、この三月の卒業生、任官拒否率は何%ぐらいですか。

武田政府参考人 卒業生は四百七十名強でございましたけれども、任官辞退者は三十八名でございました。約八%でございます。

古本委員 八%ですね。ここ数年、調べていただいたら、大体八パーから一〇パーで推移しています。

 これは、任官拒否して授業料を返還という声も一部にあるようですけれども、任官を拒否したら授業料を返すべきだという意見なのか、授業料を返せば別のキャリア形成を選んでもいいよという議論をするのかによっては、これは百八十度異なると思うんですね。

 でも、四年間の歳月をあの学びやで大変な集団行動をする中から、十八歳の春に防衛大学へ進学するという進路を決めた当時の高校生の皆さんが、四年間の教育訓練を経て、自衛隊員としての教育訓練を経て、任官をそれでも選ばないということについては、やはりいろんな理由があったんだろうと思うんですね。

 私は、防衛大学にリボルビングドアを導入しようということまでは申し上げられません、つぶさに情報を持っていませんので。しかしながら、一割前後の方が任官拒否しているという現実をどう捉えるのかというのは、課題の大きな一つだというふうに思っています。

 その際に、卒業式で、例の帽子投げ、映像でしか見たことはありません、内閣総理大臣の臨席を仰いで行われる大変格式のある卒業式だと承っておりますけれども、任官を拒んだ方については卒業式に出席させないという事実は事実ですか。

小野寺国務大臣 御指摘のとおりだと思います。

古本委員 何か別室でモニターを、待機してごらんになるということですけれども。

 ただ、当委員会には、私ごときがとやかく言うよりも、防大卒の両中谷先生始め大勢の関係者がいらっしゃって、同期の桜は極めてとうといというふうに承っております。たとえ任官を拒否された方も、制服をまとった方も、民間企業に進んだ方も、何期卒業生だという同期の桜は、他の一般大学からは想像を超えた連帯の思いがあると思うんですね。

 ぜひ、防衛大学でどういう経緯でそういう卒業式に出席をさせないということに至ったかということや、あるいは、さまざまなキャリア形成があってもいいということを防衛大学に当てはめることが、果たしてその建学の精神からいってできるんだろうかなどなど、私は、大臣、これは一度研究してみるに値すると思っているので、ぜひ委員長、当委員会として防衛大学に一度調査研究に行きませんか。

寺田委員長 理事会にて協議させていただきます。

 申合せの時間ですので、よろしくお願いします。

古本委員 委員長、ありがとうございました。ぜひ議論を深めたいと思いますので、お諮りしましたのでよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

寺田委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 質問に入ります前に、本法案につきましては、質問の骨子の通告、そしてレク等はさせてもらいましたけれども、本委員会質疑というのが、急な委員会の開催であり、また、休日を挟んでおりまして、具体的な項目の方にはできておりません。しかし、私の質問は基本的なものでございますので大丈夫だというふうには思いますけれども、小野寺大臣、そして、西田局長、武田局長におかれましては、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、質問に入らさせていただきます。

 まず、このたびの自衛隊法第七十三条の三及び第七十五の八に関連してお伺いします。雇用企業協力確保給付金、この新設につきましては、我々無所属の会としても賛成であります。その上で、何点か、確認の意味も含めてお伺いをしたいと思います。

 防衛出動や国民保護、そして災害派遣などに招集されたことなどにより仕事を休まざるを得なくなった、そういった場合において、雇用主に対して理解と協力を得るために給付金を支給することは、私は一定の意義があるというふうに思いますが、そもそも、理解のある勤務先というのは、いわゆる有事の際は金銭的なことに関係なく協力をしてくれるのではないかなというふうに思います。

 むしろ、今考えていかなければならないのは、段々の御議論もあったわけでございますが、四万二千五百円の雇用企業給付金があるにもかかわらず、今、即応予備自衛官がやめられている。つまり、充足率が五四・五%にまで下がってしまっている。

 このことを踏まえたときに、もっと構造的な問題、すなわち、人口減少に伴います人手不足であるとか、個人的に申し上げれば、御本人の勤続年数が上がることによりまして、職責が重くなってなかなか訓練等に参加することができない、こういった実情があるのではないかというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 予備自衛官については五日の訓練、即応予備自衛官については三十日の訓練がございますけれども、こうした訓練に参加するに当たっては、いわゆる本業となる会社等の御理解、御協力がないとできないものでございます。私も、現場の部隊等におきまして、予備自衛官の方々と直接お話を聞き、御意見をお伺いいたしましたが、やはり会社側の御理解、御協力がなかなか得られにくいという声も聞いたところでございます。

 したがいまして、私どもとしましては、予備自衛官等を雇用されている企業、会社などに対しまして、一層の御理解と御協力を得るために、今回の給付金の制度を創設させていただくということでお願いをしているものでございます。

広田委員 冒頭申し上げたとおり、いわゆる有事の際に、これは非常に理解のある雇用主さんにおいては、これで行くなというふうなことを言う企業はむしろ少ないのではないかなというふうに思います。

 今お聞きをしたかったのは、即応予備自衛官の方がやめられている、充足率が下がり続けている、これはゆゆしき問題だろうというふうに思います。一定の支援、給付金があるにもかかわらず、なぜこのような事態になってしまっているのか。

 私は、その方本人の個人的な事情を言えば、繰り返しになりますけれども、勤続年数が長くなることによって、会社に対する貢献度も大きくなり、そして職責が重くなる、こういった事情があってなかなか年間三十日等の訓練には行けない、このような事情がやはり背景、根本的な問題としてあるのではないか、このことを認識をした上で、じゃ、どう手当て、対策を講じていくのかということは私は大事だろうというふうに思いますので、この辺の、今のこの充足率低下の要因、原因をどのように踏まえられて、これに対してどのような具体的な対策を講じられようとしているのか、このことについてお伺いをしているわけであります。

武田政府参考人 お答えいたします。

 予備自衛官、即応予備自衛官がやめられる場合に、なぜおやめになるのかということについては私ども伺っており、その理由としては、職場の事情であるという声、御意見が最も多かったということでございます。

 したがいまして、先ほども申し上げたように、職場の事情によってなかなか予備自衛官、即応予備自衛官を続けられなくなったということであれば、職場、すなわち雇用をいただいている企業、会社の御理解と御協力を得ることが必要だろうということで、私ども、従来から、雇用いただいている企業、会社に対する施策をさまざま行ってきたところでございます。

 今回は給付金という形でお願いをしておりますが、昨年度につきましては、そうした雇用いただいている企業が予備自衛官、即応予備自衛官についての具体的な情報が欲しいといったときに、直接私どもに対して御要望いただき、私どもがそれに応えるという枠組みも整備をさせていただきましたし、またほかに、御協力いただいている会社に、それを、御協力いただいているということについての認定をさせていただいて、表示証も交付させていただいているということで、そのほかもさまざま施策をとってきたところでございますので、繰り返しますけれども、即応予備自衛官、予備自衛官をおやめになる理由として職場の事情ということが最も多いということに鑑みれば、引き続きそうした会社等に対する施策を、具体的にいかなるものがあるのかということについてしっかりと検討して、引き続き施策化をしてまいりたいと思っております。

広田委員 先ほど武田局長の方から、訓練等の情報提供の提示の枠組み、これについて御答弁がございました。

 たしか今年度の防衛白書を見ますと、これについて省令の方を策定、検討中というふうな記述があったんですけれども、これについてはもうしっかり手当てをしているというふうな理解でよろしいんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 既に、必要な情報を防衛省側から提供する枠組みにつきましては、自衛隊法を改正をいただきまして、その後、必要な準備期間を経て、実際に現在運用させていただいているところでございます。(広田委員「省令も出している」と呼ぶ)省令等必要な省内の規則については、整備をいたしまして、運用を開始しておるということでございます。

広田委員 わかりました。よろしくお願い申し上げます。

 それでは次に、これは佐藤議員の方からも御質問があったんですけれども、予備自衛官、即応予備自衛官の募集、採用に当たりましては、やはり精強性を維持するという観点、また、充足率の低下に歯どめをかけるためには、若年層の拡充に資するための施策というものをより一層充実強化をしていかなければならないというふうに考えますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

小野寺国務大臣 先ほど来、即応予備自衛官の充足率の低下という御指摘がありました。私も、委員のお話を聞いて、やはり社会での中核的な層になると、どうしても三十日の訓練がやがてしにくくなるというのが、これがあるんだと思っています。

 実際に、即応予備自衛官でありますが、現在、二十代が一七%、三十代が三八%、四十代が四一%、五十代が四%となっております。十年前、平成十八年度でありますが、これと比較しますと、二十代は九%も減少しておりますし、十年前は主力が三十代でありましたが、今、四十代が一番多くなっているということであります。それだけ、逆に言えば、若い世代がなかなか入ってきにくいというのがこの充足率の低下全体にもつながっている、そのような印象を持っております。

 私ども、予備自衛官また即応予備自衛官の募集、採用に当たっては、御指摘のあった精強性を維持する観点から、若年層の拡充に配慮しつつ、幅広い国民、年齢層から人材を確保するということが大切ですが、特に、若年層の減少がどのような要因によるものなのか、これは省全体でしっかり対応し、また、これからこの層に対しての更に掘り起こしをしっかりしていくことが必要だと思っております。

広田委員 ただいま大臣の方から、若年層対策の方向性についてお話があったところでありますけれども、そこで、若干具体策についてお伺いをしたいというふうに思います。

 これは、既に各地本の方からも声が上がっているんじゃないかなというふうに思うんです。既に検討していることかもしれませんけれども、今は実は、予備自衛官補から即応予備自衛官への門戸というものが閉ざされております。予備自衛官補になって予備自衛官になっても、そこから先の即応予備自衛官にはなることはできません。

 先ほど申し上げましたとおり、即応予備自衛官が、大臣の方からも具体的な数字で、これが下がってきているというふうなお話がありました。そういう意味で、私は、門戸というものは、これからさまざまなルートというものを考えていかなければならないのではないかなというふうに思います。

 その意味で、確かに、予備自衛官補から予備自衛官にはなれるけれども、しかしながら、今は即応予備自衛官にはなれないということの理由は私も一定理解をしているところではございますが、そこを踏まえつつ、やはりここに門戸を開くということは、今後の課題としてしっかり取り組んでいかなければならないのではないかなというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

武田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、現在、予備自衛官補から即応予備自衛官に直ちになることはできないわけでございますけれども、先ほど来申し上げているように、即応予備自衛官、予備自衛官の充足率が低い状況の中で、この充足率をどのように上げていくのかということにつきましては、間口を広げることも含め、さまざま検討をしておるところでございます。

 引き続き検討を進めまして、具体的な施策として実施すべく取り組んでまいりたい、かように思っております。

広田委員 検討していただいて、具体的に実施すべく進めていただけるというふうなことであります。これは各地本の方からもお話が出ていることだろうというふうに思いますので、現場の声としてぜひとも対応していただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 また、その予備自衛官補の確保対策といたしましては、これも現場の方からも上がっていると思うんですけれども、大学生に対してやはり予備自衛官補になってもらうような、こういった取組というものも強化もしていかなければならないというふうに考えておりますけれども、現状として何か具体的にやっていることがあれば、御紹介していただければと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 予備自衛官補と申しますのは、予備自衛官が自衛官を経験した者がなるということとは違いまして、自衛官未経験者を採用して予備自衛官補とするものでございます。

 この採用活動につきましては、地方協力本部を中心に、ほかの自衛官候補生、一般曹候補生、予備自衛官とともに、こうした採用制度につきまして周知を図り、それぞれ地方協力本部の広報官等が、地元におきまして、さまざまな方々に対してこうした制度を紹介し、採用活動を行ってきておるというところでございます。

広田委員 また、この対策については、今後とも議論を進めていきたいというふうに思っております。

 このような中で、先ほど来、段々のお話の中で地方協力本部の名称が出てきているわけでありますけれども、この地方協力本部というのは、まさしく住民、地域の皆様方にとって、やはり身近な自衛隊というのは地方協力本部の皆様方でございますし、その地方協力本部の頑張り、姿勢というものが、文字どおり自衛隊に対する印象であり、また、信頼につながっているのではないかなというふうに思います。

 我が高知県の方においても、地方協力本部の皆さん、本部長を先頭にいたしまして、本当に献身的に、更に地域に根差した取組をしていること、これは本当に敬意を表するところでございますが、そういった中で、本当に現場では、募集であるとか採用、先ほど来お話をしましたような厳しい状況の中で行っているわけでございます。

 そういった中で、先ほど大臣の方からも御答弁がございましたし、武田局長の方からも御指摘がありました。雇用する予備自衛官などが訓練などに参加しやすい環境づくり、これに努め、協力している事業所に対して、表示証を防衛大臣と地方協力本部長の認定で交付をしているところでございます。

 この目的についてまずお伺いをすると同時に、地方協力本部長に関しましては今年度末で三年目を迎えるわけでございます。今年度の現状とこれまでの評価について、あわせてお伺いをしたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 予備自衛官等協力事業所表示制度につきましては、事業者が予備自衛官等を積極的に雇用することを通じ、我が国の防衛に深く協力していることを防衛大臣又は地方協力本部長が予備自衛官等協力事業所として認定し、表示証を交付するものでございます。

 この制度につきましては、二十七年度から開始をしております。地方協力本部長による表示証の交付につきましては、二十七年度が千百三十七件、二十八年度は八百四十一件、二十九年度は四百四十二件であり、これまで合計二千四百二十事業所に表示証を交付しております。

 また、地方協力本部長による表示証の交付が行われた事業所を対象に、特に積極的に協力した事業所を選定する、防衛大臣による表示証の交付につきましては、平成二十八年度は五十件、二十九年度は百四十七件であり、これまで合計百九十七事業所に表示証を交付しておるところでございます。

 防衛省としては、本制度の周知を図るとともに、雇用主に対する施策を着実に推進することにより、予備自衛官等の制度や施策の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

広田委員 平成二十九年度は四百四十二件というふうなことでございます。スタートダッシュが非常によかったんですけれども、だんだんと減ってきているのは仕方のない面もあろうかというふうに思いますけれども、より一層、これは非常に地味な取組かもしれませんが、とても大事なことだというふうに思いますので、協力的な事業所に対してぜひとも御支援いただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 時間も参りました。本来でございましたら、地本から出ている意見として、特に、募集、採用の際、やはり警察官と比較して今の給料がどうなのか、こういうふうな御指摘も出ているわけでございますので、そういった問題については、ちょうど私は午後から質疑をさせていただく時間もいただいておりますので、質問するかもしれませんが、この給与、初任給の問題も大変重要な問題であるということを御指摘を申し上げまして、質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

寺田委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 時間が限られておりますので、法案については、討論で態度を明らかにしたいと思います。

 辺野古の新基地建設について質問をいたします。

 今月上旬以降、防衛省から、護岸の設計のために実施したボーリング調査と音波探査の報告書が提出されました。シュワブ(H二十五)地質調査(その二)、シュワブ(H二十六)地質調査という二つの報告書であります。

 それらの報告書は、今から二年前、二〇一六年三月末に工期を終え、防衛省に提出をされたものです。昨年二月から繰り返し提出を求めて、一年を経過した今月になってようやく提出されました。

 防衛省は、大部にわたる資料で、不開示情報の精査に時間がかかると説明をしてきましたが、提出された資料を見ますと、その多くは同じ書式の個人名の部分を機械的に黒塗りにするもので、どう考えても、一年もかかるものとは思えません。

 防衛省に聞きますが、具体的にどの部分の精査に時間がかかったということですか。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の普天間飛行場代替施設建設事業に係るボーリング調査報告書につきましては、委員から、平成二十九年二月に、辺野古基地建設工事に係る既に完了したボーリング調査業務の結果報告書について資料を提出するよう御要求があったものでございます。

 防衛省といたしましては、提出する文書につきましての探索を行ったところ、総ページ数が約三千ページと著しく大量でございまして、また、当該文書を提出するに当たりましては、全体として不開示情報が含まれていないかといった精査、確認を行う必要がありましたことから、作業に一定の期間を要したため、最終的に、この三月に提出をさせていただいたところでございます。

赤嶺委員 納得できる説明ではありません。たとえ大部にわたる資料であっても、一年もかけるというのは公文書の取扱いとして不適切だと思います。

 防衛大臣に伺いますが、公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であります。その公文書を改ざんするなどというのはもってのほかですが、その提出がおくれるということで、主権者である国民の適切な判断が阻害されるようなことがあってはならないと思います。今後、速やかな資料の提出をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

小野寺国務大臣 委員御指摘の資料の提出につきましては、防衛省として、本件資料の要求の対応に当たりましては、情報公開法第五条各号に掲げる不開示情報に該当するか否かも参考にしつつ、適切に対応したものと考えております。

 なお、私も、文書管理の中で、防衛省の担当者から随時報告を受け、そして、しっかり開示に努力をするようにというふうに指示を出しておりますが、防衛省に来る開示の要求の資料の数というのはもう大変膨大なものになっております。職員は、本当に大変な残業をしながら必死に対応している姿というのを私も見ております。

 今回も、できるだけ職員の負担を軽減するように人員の増強には努めてまいりますが、現場は大変だということ、それでも、私ども丁寧に適切に対応する努力を今後とも継続させていただきたいと思っております。

赤嶺委員 この答弁も納得できるものではありません。やはり私たち国民は、速やかな行政文書の公開を求めて、今のあり方を検討していくという権利があります。それが一年もおくれて出てくる。やはりそれは、私たちの、国民の知る権利への阻害になっているということを厳しく指摘し、速やかな提出、これに応えるのは防衛省の義務だということを申し上げておきたいと思います。

 次に、報告書の中身についてであります。

 昨年から、沖縄では、防衛省が建設工事を進める辺野古沿岸域に活断層が存在する可能性が指摘されてきました。

 琉球大学名誉教授の加藤祐三氏は、二〇〇〇年十月の第三回代替施設協議会に当時の防衛庁が提出した建設予定地周辺の海底の断面図に、五十メートル以上の沈下した落ち込みが記載されていること、また、陸上部には辺野古断層、楚久断層という二つの断層が確認されていることから、これらが一体として活断層である可能性があるとの認識を示しております。

 今回の提出した報告書の中には、この活断層の問題についてどのように指摘していますか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねの地質調査の報告書につきましては、沖縄防衛局から委託を受けた民間業者において作成をされたものと承知をしております。

 その上で、当該報告書におきましては、引用でございますが、図中に示された破線は、活断層と断定されてはいないが、その疑いのある線構造と分類されているものであるとの記述がございますが、これはあくまで一九八〇年に発行された「日本の活断層」という書籍において示されている図面の破線部分について説明をしているものでございます。

 活断層につきましては、これまでも質問主意書……(赤嶺委員「これでいいです」と呼ぶ)よろしいですか、はい。

赤嶺委員 活断層研究会がまとめた「日本の活断層」という本があります。報告書は、これをもとに、陸上部の二つの断層を地図で示し、活断層の疑いがあると明記をしているわけです。

 ところが、政府はこれまで、昨年十一月、糸数慶子参議院議員の質問主意書に対して、これらの断層を含めて、辺野古沿岸域に活断層が存在することは認識していないと答弁をしました。

 防衛省自身の報告書が活断層の疑いに言及しているのに、なぜ認識していないという答弁になったんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、当該報告書における記述、これはあくまで一九八〇年に発行された「日本の活断層」という書籍において示されている図面の破線部分について説明しているものでございます。

 活断層につきましては、これまでも質問主意書でお答えをしてきたとおり、既存の文献によれば、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はないことから、辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していないところでございます。

 なお、先ほど申し上げました一九八〇年の「日本の活断層」という書籍の後に発行されました「新編 日本の活断層」、これは一九九一年のもの、さらに、その後の研究であります「活断層詳細デジタルマップ」、二〇〇二年というふうに、その後の研究が続けられてございますが、この二〇〇二年の「活断層詳細デジタルマップ」におきましては、活断層とそうでないものの識別を明確にしたというふうに記載をされておりまして、その「活断層詳細デジタルマップ」には、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載がないところでございます。

赤嶺委員 ちょっと今の答弁を整理いたしますと、既存の文献に記載がないことを私の質問主意書の答弁の中でも答えておられました。私が質問主意書で、既存の文献を具体的に示すよう求めたところ、一つは産総研のホームページにある活断層データベース、もう一つは東大出版会の「活断層詳細デジタルマップ」だと、このように答弁をいたしました。

 しかし、これらはもともと取り扱う活断層の対象を絞ったもので、そこに記載されていないからといって活断層である可能性が否定されるわけではありません。

 例えば、産総研は、長さでいえば十キロメートル以上の断層にデータを限定しています。加藤教授によると、現在のところ、辺野古断層は八・五キロメートル、楚久断層は七・一キロメートルとされております。もともと対象から外れており、記載されていないのは当たり前であります。産総研の収録基準というのは、そうなっているのではありませんか。

西田政府参考人 ちょっと現在、産総研の資料につきまして御通告がなかったものですから、手元に持ち合わせておりませんが、いずれにしましても、辺野古断層及び楚久断層という委員の御指摘のものは、これは名護市陸域に示されている断層のことであるというふうに承知をしてございます。

 いずれにせよ、先ほど委員がおっしゃいました、私どもが質問主意書等でお答えをしている既存文献によれば、辺野古沿岸域において活断層が存在していることは認識していないところでございます。

赤嶺委員 既存文献というのは産総研のホームページだということも私の答弁書の中で明確に答えております。

 産総研のホームページには、データベースの取扱いに関する注意書きが記載をされています。「まずお読みください」このようにあります。そして、そこには「本データベースは、これに表示された断層線以外に活断層が存在する可能性を否定するものではありません。」「まずお読みください」とあって、そういう記述があるわけですよ。

 産総研のデータベース、これを皆さんは根拠にしてまいりました、既存の文献ということで。しかし、それに記載がないからといって、二つの断層が活断層である可能性を否定することはできないということではありませんか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもといたしまして、産総研のもののみならず、先ほども申し上げました「活断層詳細デジタルマップ」等も含めまして既存文献と申し上げているところでございます。

 その上で申し上げれば、先ほども申し上げましたように、この「活断層詳細デジタルマップ」、これは二〇〇二年のものでございますが、その前に発行されております「新編 日本の活断層」、一九九一年あるいはその前の一九八〇年のもの、これにつきましては、疑いのある線構造といった記述がございますけれども、先ほども申し上げましたように、二〇〇二年のデジタルマップというものにおいては、活断層とそうでないものの識別を明確にしたというふうに記載をされて、このデジタルマップで、この沿岸域における活断層の存在を示す記載というのはなくなっているところであります。

赤嶺委員 産総研への説明を避けておられるようですが、明確に掲載する基準があって、しかし、掲載されていないからといって、活断層であることを否定することはできないと。

 過去の文献といいますが、過去は実地調査でやっていて、古いも新しいもないわけですよ、断層や活断層については。やはり事実を覆い隠すものであるということを指摘しておきます。

 もう一つは、地盤の強度の問題です。

 シュワブ(H二十六)地質調査の報告書を見ると、大浦湾側の巨大なケーソンの設置を計画する区域で二カ所のボーリング調査を行っています。その一つ、B28というポイントの柱状図を見ると、N値ゼロという層が深さ四十メートルにまで及んでいます。このN値というのは、土のかたさや締まりぐあいをあらわす単位であるわけですが、N値ゼロという数値が異常にこの報告書の中には多いんですね。

 N値ゼロというのはどういうことを示しているんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねのN値ゼロということでございますが、N値ゼロにつきましては、サンプラーと呼ばれる器具にハンマーを置いた時点で土中に三十センチ貫入したということを意味しております。

赤嶺委員 N値ゼロというのは、ですから、自沈、いわゆる自沈というのは自分で沈んでいくという意味ですね。

 報告書を見ると、このように述べているんですね。今回の調査結果より、C1からC3護岸計画箇所付近において、当初想定されていないような特徴的な地形、地質が確認された。海底より大きく隆起した地形を取り囲むように、大きくへこんだ谷地形が形成されている。谷地形、B26、B28の地層は、非常に緩い、やわらかい谷埋め堆積物が、層厚四十メートルと非常に厚く堆積している。このように述べています。

 当初想定されていなかった非常に緩く、やわらかい地層が非常に深く堆積しているという指摘、これも、防衛省、同じ認識ですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 地盤の強度等につきましては、御指摘のN値といった結果だけではなく、室内試験を含みます現在実施中のボーリング調査の結果も踏まえまして、総合的に地盤の強度等を判断をすることといたしてございます。

 したがいまして、御指摘のボーリング調査の結果だけでは地盤の強度等を正しく判断できる段階にはないと考えてございます。

赤嶺委員 この報告書は、ボーリング調査だけでなくて、室内検査等も含めて、詳細な調査をした上でこういう報告書を、皆さんが委託した業者が出したデータじゃないですか。それを信じられないと言ったら、莫大な予算をかけて調査させた意味がないじゃないですか。

 報告書を見た専門家からは、厚さ四十メートルの豆腐の上に大型ケーソンを置こうとしているとか、あるいは、マヨネーズ並みのやわらかさの可能性があるという、こういう指摘が上がっているわけですね。

 ですから、報告書は、構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須と考えられる。だから詳細な検査をやらざるを得なくなっていますが、今どういう検討を行っているんですか。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、地盤の強度につきましては、御指摘の報告書に係る調査のみならず、現在も引き続き、さらなる室内試験を含みますボーリング調査等も行っているところでございます。

 したがいまして、こうした室内試験を含みます現在実施中の調査の結果も踏まえまして、総合的に地盤の強度等につきましては判断する必要があると考えてございます。

 したがって、現状において、御指摘の結果だけでは地盤の強度等を正しく判断できる段階にはないと考えておるところであります。

赤嶺委員 データの開示を求めても一年以上にわたって出さずに、出てきてみたら、皆さんが否定している活断層についても図の中で示されている。そして、軟弱地盤についても、何年も前から指摘されていることが、皆さんの出してもらった報告書の中にそのデータがちゃんと出ている。

 もし地盤改良ということになれば、莫大な予算が必要とされます。大体、マヨネーズのような土質の上に大型ケーソンを置くなんというようなことは不可能で、皆さんは一方的に工事をどんどん進めておりますが、ここは、一回、ちゃんと沖縄県との協議も踏まえるべきだ、一旦工事も中止すべきだということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

寺田委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 本日は、質問をお許しをいただきました委員長に感謝を申し上げて、質問を始めたいと思います。

 法案に沿って質問させていただきます。

 私は、予算委員会の分科会におきまして、野田総務大臣に、IoTのサイバー攻撃について質問させていただきました。インターネット・オブ・シングスと、シングスというぐらいですから、本当にいろいろなものに対するサイバー攻撃というのが今行われている。

 防犯カメラというのはすぐに想像がつくんですけれども、今や、冷蔵庫だとかエアコンだとか、インターネットに接続をしているものには全てサイバー攻撃が行われるというように、本当に多面的な状況でございますけれども、時代の変遷において、サイバー攻撃が質とか量とか、どのような変遷がなされているのか、御説明いただきたいと思います。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 御通告にちょっとございませんでしたので詳しく御説明ができませんけれども、サイバー攻撃につきましては、かねてより、さまざまなところで研究等も行われているというふうに承知をいたしております。私ども、それにつきましては、さまざまな文献、あるいは民間事業者等の情報交換等も含めまして、情報収集をしているところでございます。

 防衛省・自衛隊の取組につきまして申し上げますと、防衛省・自衛隊につきましては、自身のシステム、ネットワークを防護するためにサイバー防衛隊というものがございまして、通信ネットワークの監視等を行っておりますが、年間百万件以上の不審メールや不正な通知を認知をしておるところでございます。

 これ以上の細部の内訳を明らかにすることは、私どもの手のうちもわかりますので、差し控えをさせていただきますが、私ども自身で、私どもに対するいわゆる不審メール等の分析を行う、あるいは、他のところにございましたいわゆるサイバー攻撃等につきましての情報をできるだけ収集するということで、能力を高めているところであります。

串田委員 大変たくさんのサイバー攻撃がなされているということをお聞きしているわけでございますけれども、他の委員からも質問がありましたが、他国が、サイバー防衛隊ですか、人数の紹介がありまして、それに対して大臣が、その従事をしている内容によって異なるので、単純に比較はできないというようなお答えがあったかと思うんですけれども、そういう中で、我が国が百五十人というのは、先ほどの他の委員の数字、何千とか何万とかという数字と比較すると、かなり数字が少ないのかなというような印象もあります。

 そういう意味で、百十から百五十に変わった、増員をした算定根拠といいますか、これで十分だというような、何かそういうような根拠があるのかどうかを御説明いただきたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 海外の事例をお話しになりました。海外の各国の軍のサイバー関連部隊の規模につきましては、各国それぞれで、具体的にどのような任務を担っているかについて、これは明らかでない部分が非常に多いということから、サイバー関連部隊の規模を単純に比較をするといったことは困難でございます。

 その上で申し上げれば、委員おっしゃいましたように、諸外国の軍のサイバー関連部隊の規模につきましては、米国は六千二百人規模とか、ロシアは千人とか、あるいは北朝鮮六千八百人とか、そういった指摘があるということは承知をしてございます。

 それぞれの、先ほどの繰り返しになりますけれども、任務について、これはわからないところがありますので、単純に比較することは困難でございますけれども、私どもといたしましても、サイバー攻撃への対処といったことについては非常にこれからも重要になってくるというところでございますので、私どものサイバー関連の部隊の規模あるいは能力の向上等につきまして、しっかりとやっていきたいというふうに考えてございます。

串田委員 年間何百万というようなウイルスが攻撃をしてくるという中で、百五十人というのは、恐らく、人間が介在するというよりも、かなりコンピューターがそれに対して対応しているというようなことになっているのかなというのが実態かなと思っているんですが、例えば自分たちのパソコンにもウイルスチェックのソフトがインストールされているということで、そういうウイルスに対するソフト的な意味で攻撃を防御しているというのがあると思うんです。

 今度、五月の冒頭で、将棋でAI対AIというようなことがあるんですけれども、ウイルスも、恐らく、AIがそれを創出をし、そして防衛省の方もAIでそれを防御する、AI対AIというような状況になっているのかなというように私は想像しているんですけれども、これは実態として合っているかどうか、御説明いただければと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆるサイバー攻撃につきましては、さまざまな態様があるというふうに承知をしております。また、これに私どもとしてどのように対応しているかというのも、これはいわゆる手のうちの話でございますので、詳しくはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、委員御指摘のとおり、AIを今後、これはサイバーの分野のみならずということではございますけれども、防衛の分野につきましてどのように活用していくかということについては非常に重要な課題と認識をしているところでございます。

串田委員 AI対AIというのが実態なのかなというようにちょっと私も想像しているんですけれども、そうなりますと、ウイルスというのは、中に潜入してきたときに、相手方にそれが気づかれないというのがまさにウイルスなわけでございまして、AI対AIというような場合に、防衛省は、実は、勝ったというつもりでいたけれども負けているということがあるのではないかというようなことを私は大変危惧しているんですけれども、そのようなことについての対策というか、そういうようなことを予定しているような考えというか計画というのはあるんでしょうか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆるサイバー攻撃を受けた場合に、これをその時点で感知をするということが非常に重要であるということ、これは御指摘のとおりでございます。そのために、私ども、サイバー防衛隊等の部隊におきましては、二十四時間のネットワークの監視等を行いまして、早期の対応を図れるような体制を組んでいるところでございます。

 また、サイバー防衛隊におきましては、攻撃に用いられましたマルウエアの解析、あるいは解析結果に基づく対処方針の策定、あるいは情報共有等々のさまざまなツールを提供するものとして、サイバー防護分析装置というのも整備をして各種対応に当たり、御指摘のような問題が生じないように努めているところであります。

串田委員 ところで、サイバー部隊がいろいろな研究をしている過程の中で、海外留学というような、例えば、外国から逆にこちらに留学に来る、こちらのサイバー部隊が海外に留学に行く、こんな国際交流というのは行われているんでしょうか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 サイバー関連の業務に従事する者の能力向上というのは極めて重要なことと承知をしております。したがいまして、この能力向上のために、国内外の教育機関への留学とか、あるいは民間企業における研修等も行いまして、能力の向上に努めておるところでございます。

 また、諸外国の機関等との交流、連携も含めまして、情報の収集等にも努めておるところであります。

串田委員 それにつきましてちょっと質問をさせていただきたいのは、海外留学をするということは、一つのスキルを共有していくという、逆に言えば、外国から留学をしてくる者は、日本のサイバーに対する防御システムというのを学んで海外に戻っていくというようなことがあると思うんですけれども、その点についての心配というか危惧はないんでしょうか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 サイバーの分野、これは日進月歩であり、諸外国においてもさまざまな技術研究の向上が図られているところでございまして、こういった技術を習得をしていくということは非常に重要なことでございます。また、民間分野の技術の進歩というのも非常に著しいものでありますので、そういったところの知識あるいは経験等をできるだけ身につけるという意味で、こういった国内、国外への留学あるいは民間企業の研修というのは行っているところでございます。

 また、先ほど申し上げたようにさまざまな情報交流等も行っておりますけれども、そうしたことを行うに際しましては、議員御指摘のような、私どもの極めて重要なといいますかコアな部分が、情報が流出して問題になるような、そういったことがないように配意をしながら行っているということであります。

串田委員 ついでですけれども、サイバー防御装置というのは国内産というようなことを聞いているんですけれども、先ほど、民間との協力ということで、自分たちが使っているパソコンへのインストールのソフトというのは大体国内産のソフトということでありまして、その協力関係というのがあると思うんです。そういう中で、防衛省に対するサイバー攻撃というのが、失敗してしまえば、我が国に対する致命的な状況にもなるわけでございますので、そこの情報というものの管理というものはどの程度しっかりとなされているのか、念のためお聞きしたいと思います。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 民間との協力体制についてのお尋ねでございますが、サイバーのセキュリティー分野に関しては、民間企業が技術的、専門的な知見を有している部分も非常に多くございますので、こうした企業からの協力も得つつ任務を遂行しているところでございます。

 具体的には、これは民間企業との間で秘密保持契約といったものを締結をしておるわけでございまして、それを締結した上で、攻撃発生時における支援、あるいは脅威情報を収集するための装置の維持管理、あるいはサイバー防衛隊が実施する訓練の支援等の協力を得ているところでございまして、私どもとしての秘密保持には十分配意をしながら行っているところでございます。

串田委員 今、インターネットの場合には秘密保持契約というのがあるんですけれども、それだけでは心配だということで、インターネットと切断したイントラネットだとか、いろいろな器具を社外に持ち出せないとか、そういう物理的な対応もしているわけでございますので、仮に、民間とかそういったようなところの協力体制というようなことの場合には、秘密保持契約があったからというようなことで、もちろんそれで安心しているわけではないと思うんですけれども、恐らく、防衛省に関してはがっちりと秘密の保持はなされていると思うんですが、民間と協力をしたときに、その民間先がどの程度秘密を保持しているのかというのも十分チェックをして、協力をしていただければと思います。

 次に、予備自衛官についての質問をさせていただきたいと思うんですが、この予備自衛官というのは、人件費抑制の効果ということで諸外国も大変採用しているというふうにお聞きをしておりますけれども、我が国におけるこの予備自衛官の現職自衛官との対比、割合というのはどのぐらいでしょうか。

武田政府参考人 お答えを申し上げます。

 予備自衛官につきましては、今、員数、いわゆる定員でございますが、四万七千九百名、即応予備自衛官については員数は八千七十五名でございます。現在、自衛官の定数につきましては約二十五万強だと認識しております。済みません、正確な数字は今すぐ出ておりませんけれども、したがって、計算いただくと、それほど大きな割合にはなっておらないということでございます。

串田委員 諸外国は、現職自衛官に対する半数とか、あるいは現職自衛官と同数とかいうようなぐらいの予備自衛官を用意しているというようなところもあるようなんですが、どうですか、大臣、予備自衛官の今の現状というのは、もっとふやさなきゃいけないと思っているのか、この程度でいいと思っているのか、所感を、もしあればお伺いしたいと思うんです。

小野寺国務大臣 予備自衛官あるいは即応予備自衛官というのは、大変重要な役割を担っていただく立場だと思っております。ただ、現在、その定数にも満たない形で、三割、四割がまだ不足ということでありますので、私どもとしては、まず予備自衛官、即応予備自衛官の定数に満たるまでしっかり応じていただけるように、その処遇や対応について随時にわたって検討すべきだと思っておりますし、今回出させていただいている法案についても、その役に立つ、その一助となるものだと思っております。

串田委員 まさに、予備自衛官をいろいろな意味で、人材の活用という意味でも、また人件費の抑制という意味でも、もっと活用していかなければいけないというのは私も賛成でございますので、今回の法案も日本維新の会としては賛成させていただくということでございます。

 一方、これを送り出す民間会社が、招集に応じて送り出したときに、会社がその社員をどういうふうな扱いをしているのかというのは非常に不明確なんですね。この点についてはどういうふうに把握されているのか、御存じでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 お答えする前に、先ほど自衛官の定数につきまして、私、二十五万強と申し上げましたけれども、正確には二十四万七千百五十四名でございました。おわびして訂正させていただきます。

 今の委員の御質問にお答えいたしますと、予備自衛官が招集をされ、平素の勤務先を離れざるを得なくなった場合に、当該予備自衛官等につきましては、有給休暇を取得するケースや無給休暇を取得するケースなど、さまざまな形があるものと承知をいたしております。

 こうした雇用条件に関することにつきましては、長年の雇用環境でありますとか、他の従業員との均衡等から、雇用企業等の御判断によるところが大きいわけでございますけれども、私ども防衛省といたしましては、予備自衛官等が訓練招集や災害招集等に応じる期間、企業等において休暇制度等の整備が行われることが望ましいと考えております。

 本業と予備自衛官等の任務との両立しやすい環境をぜひ整備させていただいて、予備自衛官等の施策の充実を図ってまいりたい、かように考えております。

串田委員 そうなんですね。民間会社がその社員を送り出すときの対応というのは、民間会社に任せているというのが実態であります。

 ただ、今お答えがありました有給休暇というのは、私は非常に問題なんじゃないかと。なぜかといえば、民間会社は有給休暇というのを与えるというのが労基法上の義務となっているわけでございます。そのような義務を果たしている中で、今度は政府から給付金を受け取るということというのはやはりおかしいんじゃないか。そしてまた、有給休暇というのは、労働者が労働している中で、自分が余暇、休憩時間を持つというのがこの有給休暇の本旨なわけでございますので、それを潰して、そして国家を守る職務につくというのは、これはやはりおかしいんじゃないか。

 やはり、企業が給付金を受け取る以上は、無給という形で給付金を受け取って、出た社員というのは新たに別に有給休暇というのを消費できるような、そういう制度にしていないとこれはおかしいなと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 予備自衛官につきましては、年、原則として五日の訓練ということで、これを二日と三日に分けて行うことができるようになっておりまして、週末、土日と重ねることができるようになっております。

 他方、即応予備自衛官につきましては年間三十日の訓練ということで、これは六日ごとに分割して行うことは可能となっておりますけれども、どうしても勤務先を離れざるを得ない状況が出てくるものと考えております。

 今委員御指摘いただきましたけれども、私ども、予備自衛官等を採用いただいている企業等において休暇制度等の整備が行われることが望ましいと考えており、その旨につきましては、お話はさせていただいているところでございます。

 しかしながら、最終的には、先ほど申し上げたように、雇用条件に関すること等につきましては雇用企業等の判断になるということもございますが、私ども、雇用企業の御理解、御協力を得ながら予備自衛官等の施策を行ってまいりたい、かように考えております。

串田委員 時間になりました。

 人材の活用ということで、これを更に進めていただくことをお願いをいたしまして、終わりにします。

 ありがとうございました。

寺田委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 最初に、防衛大臣に伺います。

 去る三月十八日、今年度の防衛大学校卒業式が挙行されました。今年度の卒業生は、留学生を除き四百七十四人で、うち女性は四十人であると承知しております。

 ところで、今年度の防衛大学校卒業生のうち、自衛官への任官拒否者が、昨年より六人ふえて三十八人だったようですが、男女の内訳について明らかにしてください。また、任官拒否者が増加している原因について防衛大臣はどのようにお考えか、見解を伺います。

小野寺国務大臣 幹部自衛官となるべき者を養成する防衛大学校におきまして、任官辞退者が生じることは極めて残念であります。

 本年度、二十九年度でありますが、卒業生四百七十四名のうち、任官辞退者は三十八名、全体の八%であります。その内訳につきましては、男子が三十三名、女子が五名となっています。

 また、昨年度は、卒業生三百八十名のうち、任官辞退者は三十二名、全体の八・四%であったことから、今年度の任官辞退者は、昨年度と比較すれば六名ふえておりますが、一昨年度の四十七名に比べれば九名少なくなっています。

 任官辞退の理由については、年度によってさまざまであり、年度ごとの増減の理由について確たることを申し上げることは困難ではありますが、今年度の任官辞退の理由としては、他業種への希望を挙げた者が九名、大学院等への進学を挙げた者が四名、身体的理由を挙げた者が四名と承知をしています。

 いずれにせよ、防衛省としては、防衛大学校の学生が誇りと使命感を持って、全員がそろって任官できるよう、引き続き努力する考えでございます。

照屋委員 去る二月八日、私が住んでいるうるま市伊計島で、普天間基地所属のMV22オスプレイから約十三キロの部品が落下する事故が発生しましたが、日本側が問い合わせるまで、米軍からは何の報告もありませんでした。また、二月二十七日には、嘉手納基地所属F15戦闘機が、飛行中に、重さ約一・四キロの部品を落下させる事故を起こしていますが、日本側への通報は、事故発生から六日後でございました。両事故とも、一歩間違えれば大惨事になることは明々白々であります。

 ところが、両事故とも、日米両政府が一九九七年三月の日米合同委員会で合意した、在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続が全く守られておりません。はらわたが煮えくり返るような、たがが緩んでいると言わざるを得ない、翁長雄志知事のこのような言葉が、沖縄県民の怒りを端的にあらわしている。

 防衛大臣は、県民の命と暮らしの安全を無視する米軍の傍若無人の振る舞いをどのようにお考えでしょうか。加えて、米側にはどのような抗議、申入れをしたか、お答えください。

小野寺国務大臣 米軍の運用に当たりましては、地域住民の方々の安全確保は大前提であり、事件、事故はあってはならないものであります。

 その上で申し上げれば、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある米軍の事件、事故が発生した場合には、日米合同委員会合意に基づいて通報することとされております。

 防衛省としては、御指摘のありました米海兵隊MV22の部品漂着及び米空軍F15の部品遺失について、現地米軍から迅速な通報がなされなかったことから、米側に対し、地方防衛局への通報ルートを各現地部隊に周知徹底するように申入れを行ったところであります。また、外務省からも同様の申入れを行ったと承知をしています。

 いずれにしましても、防衛省としては、米側に対し、引き続き同合意に基づいて適切に通報を行うよう求めてまいりたいと思っております。

照屋委員 防衛大臣、平成二十五年一月二十八日、オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会共同代表らが、連署をもって内閣総理大臣宛て建白書を提出してから、五年が経過いたしました。

 私はこの間、質問主意書や当委員会において、建白書は沖縄の近現代史の中でも極めて重大かつ歴史的な文書であると指摘してきました。その上で、防衛省における建白書の保存期間終了後には、廃棄することなく、国立公文書館へ移管をするよう求めてまいりました。小野寺大臣も、平成二十六年四月一日の当委員会で、防衛大臣として、私個人としては、公文書館に送る必要があるのではないかと、その必要性は十分に認識しておりますと私の質問に答弁しております。

 昨年度に続き、一年間延長されていた建白書の保存期間が今月末日をもって終了しますが、取扱いは決定したでしょうか。

小野寺国務大臣 建白書は、翁長知事が那覇市長時代に主導して取りまとめたものと承知をしております。翁長県政における今後の政策立案、実施について理解していく上で、重要な参考資料の一つとなるものと判断するに至ったため、昨年三月、その保存期間を一年延長いたしました。

 防衛省が業務を実施していく上で、翁長県政における今後の政策立案、実施について理解する必要性は現在も変わっていないことから、引き続き重要な参考資料の一つとして建白書を活用していくため、防衛省において保存期間のさらなる延長を検討しているところであります。

照屋委員 保存期間のさらなる延長というのは、どれぐらいの期間をお考えなんですか。

小野寺国務大臣 通常一年を考えております。

照屋委員 大臣、私は、なぜ、建白書を国立公文書館に移管する検討にかくも時間を要しているのか、全く理解不可能であります。よもや、ひそかに廃棄したのではないでしょうね。

 最後に、防衛省に、どうぞ。

小野寺国務大臣 まず、私自身の考えとして断った上でお話をさせていただきますが、平成二十六年の答弁で照屋委員にお話をさせていただきましたが、歴史公文書に該当して国立公文書館に移管されるかどうかについて、今後、防衛省において適切に判断してまいりたいと思いますが、私個人としては、これは公文書館に送る必要があるのではないかと、その必要性は十分認識しております、この考えは変わりません。

 その上で、実は、これは歴史的な公文書ということになる前に、私ども、現在、この建白書は、今でもこの建白書に照らし合わせて政策判断をしていく大事なものだと思っておりますので、今でも実は重要なものと考えており、まだその有用性があるので、公文書館に送っていないということであります。

照屋委員 最後に、昨年十二月十三日、普天間基地所属の大型米軍ヘリから、重さ約七・七キロの窓枠が普天間第二小学校のグラウンドに落下した事故を契機にして、現在、沖縄防衛局が監視カメラや学校位置表示灯などを設置しております。

 ところが、それらの設備の維持費用の負担者が決まっていないようです。設置者である沖縄防衛局が維持費を負担しない理由は何でしょうか。負担のあり方や方法について、沖縄防衛局と宜野湾市との間でどのようなやりとり、協議がなされているんでしょうか。また、普天間第二小や同校PTAは、避難用工作物の設置も要望しているようですが、防衛省の受けとめを伺います。

深山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年十二月十三日に普天間第二小学校のグラウンドに米軍CH53Eの窓が落下した事故を受けまして、防衛省が設置したカメラの維持管理費用につきましては、沖縄防衛局が負担することといたしております。

 他方、同小学校、PTAからの御要望により設置した航空障害灯、これは六つ計画があり、既に三つは設置済みでございます。そして、内線電話の維持管理費用の負担につきましては、現在、沖縄防衛局と宜野湾市教育委員会との間で調整が行われていると承知をいたしております。

 また、避難用工作物でございますけれども、これは、現在、PTA、学校及び教育委員会、三者間で、具体的な設置場所などについて調整が行われていると承知をしております。

 いずれにいたしましても、重要なことは、普天間第二小学校上空を飛行しないということでございます。これについては、米側も同様の認識を有していると理解しております。

 防衛省としても、引き続き、関係者と調整をしつつ、しっかりと対応してまいりたいと考えておるところでございます。

照屋委員 普天間第二小以外の市内各小、中、高、保育園への監視カメラの設置は検討されているんでしょうか。

深山政府参考人 現時点におきましては、普天間第二小学校以外の具体的な場所に設置する計画は持っておりませんけれども、この件につきましては、御地元の要望等を承りながら、相談をしてまいりたいと思っております。

照屋委員 終わります。

寺田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省設置法、自衛隊法一部改正案に反対の討論を行います。

 初めに、自衛官の定数変更は、主に、自衛隊のサイバー攻撃対処と弾道ミサイル防衛の体制強化に伴うものです。

 防衛省・自衛隊の情報通信システムを二十四時間体制で監視、防護するサイバー防衛隊を増員するとしていますが、これは、サイバー空間に関する協力を初めて盛り込んだ日米新ガイドラインを具体化するものです。

 兵器のネットワーク化が進むもとで、米軍との一体化を深める自衛隊のサイバー攻撃対処能力を強化しようとするものです。

 サイバー空間を、陸、海、空、宇宙に次ぐ第五の戦場に位置づけ、体制強化を急ぐアメリカの軍事戦略に自衛隊を一層深く組み込むものにほかなりません。

 能力向上型の迎撃ミサイルSM3ブロック2Aの配備に向けた海上自衛隊の体制強化も盛り込んでいますが、弾道ミサイル防衛の強化は、地域の軍事的緊張を高め、際限のない軍拡競争を引き起こすものです。

 東アジアに平和的環境をつくる外交努力を政府に求めます。

 次に、予備自衛官や即応予備自衛官が防衛出動を始めとする招集命令や招集中の負傷、疾病により勤務先を離れた場合に、使用者に支給する新たな給付金制度をつくるとしています。

 これは、雇用企業への新たな支援策を設けることで、充足率の低迷する予備自衛官等を安定的に確保し、アメリカの戦争を日本が支援できる体制を維持強化しようとするものであり、認められません。

 以上、討論を終わります。

寺田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について採決をいたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

寺田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

寺田委員長 この際、暫時休憩をいたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十八分開議

寺田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官菅原隆拓君、外務省大臣官房審議官大鷹正人君、防衛省防衛政策局長前田哲君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省人事教育局長武田博史君、防衛装備庁長官鈴木良之君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

寺田委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

寺田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 昨日、赤嶺委員も御質問されておりました、二〇〇九年に、現在の秋葉外務次官、この方が米国駐米公使時代に米国議会でのヒアリングで行った発言について、引き続き御質問をさせていただきたいと思います。

 大臣のきのうの御答弁を聞いておりますと、このやりとりが非公開であったということを何度も繰り返しおっしゃられていたように思うんですけれども、このやりとりが非公開であったということを確認できる何か文書のようなものはありますでしょうか。

河野国務大臣 この戦略態勢委員会のやりとりが非公開であるというのは、外交ルートを通じて当時確認しております。

本多委員 外交ルートを通じてというところをもうちょっと詳しく御説明をいただければと思います。

河野国務大臣 外交ルートという以上には御説明のしようがないんだろうと思いますが、この委員会に出席するに当たって、どういう扱いになるかということを当時確認したんだろうと思います。

本多委員 ということは、口頭でしか残っていなくて、文書のようなものでそのルールがあって、この会議の内容は非公開とするようなものというような文書が残っているというわけではないという理解でよろしいでしょうか。

河野国務大臣 恐らく、そういうことなんだろうと思います。

本多委員 だとしますと、実は、外務省と米国の国務省でありますとか、外交官同士がやる場合というのは、約束をしなくても、そこで話された内容は原則非公開であるというのが何か原則というふうに考えてよろしいんでしょうか、これは。

河野国務大臣 やりとりをどういうふうに扱うかというのは、恐らくその内容によるんだろうと思います。ですから、一概にどういうことになるかというのはなかなか申し上げるのは難しいだろうと思います。

本多委員 外交官同士のやりとりでも、今の大臣の御答弁によりますと、全然、出してもいいものは出すし、出してはいけないものに関してはお互いの了解のもとに外に出さないということがあり得る、これは私も理解をいたします。

 しかし、このやりとりは、実は外交官同士のやりとりではありません。米国の議会のもとにつくられた委員会、そこが、運営をどうやら、詳しくお聞きをしますと、アメリカの議会系のシンクタンクに委託はしているんだけれども、正式な米国の議会の委員会に秋葉次官、当時の公使が呼ばれて出席をしたものですから、どちらかというと、何か確認がない限り、議会での証言というのは、我々議会にも、日本の国会にも秘密会というのがありますけれども、それは特殊な場合、手続をとって行うものであって、一般的には公開という原則で発言する方が私は常識にのっとっているんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 当時、大使館とその委員会の間で確認されたのが、非公開であるということなんだろうというふうに認識しております。

本多委員 しかし、それは文書は残っていないということであって、あくまで口約束であります。

 このことを米議会に、非公開という約束をしたということは確認はされましたか。

河野国務大臣 当時、そういう確認が行われたと認識しております。

本多委員 今回、当時確認をしたという記憶がある、口頭でそういう確認をした記憶があるということは理解をいたしました。しかし、証拠は残っていない。私は、議会でのやりとりですから、一般には公開という理解でいくべきだと思います。

 そして、今回、秋葉次官、今、外務省の事務方の責任者であります。そして、その方に、少し年月はたっていますけれども、しかし私は、役所の方だって、いろいろな会合で、言い過ぎることもある、間違いを言うこともある、それを全てあげつらう気はありません。

 しかし、非核三原則に明確に反するような、核の貯蔵庫を沖縄に置く、このようなことを、パースエーシブ、説得力がある、こういう答えをするということは、私は、今これだけ時期がたっていますから、どうかわかりませんけれども、時期によっては進退にかかわるような重大な発言だと思うんです。

 ですから、言っていないんだったら、しっかりと調査に向けて、そんなことは言っていないはずじゃないか、若しくは、非公開なはずなのにいろいろな文書が出てきているのはどういうことなんだ、こういうことを米議会側に申し上げるべきじゃないんですか、秋葉次官の名誉のためにも。どうなんでしょうか。

河野国務大臣 本人がそのような発言をしていないというのは確認をしておりますし、先方から、そういう三原則に背馳するような発言はなかった、先方というんでしょうか、当時の関係者からそういう話を確認しているということでございますから、これ以上のことは必要ないと思います。

本多委員 いや、それで私たちが今納得できるような国会の状況じゃないんです。森友学園問題を見ても、文書が改ざんをされている。文書さえ改ざんされるのに、口で言った言わない、誰と話したかも答えていただけない。

 そして、アメリカ側からは、この文書を出している方は、私も、先日というか、昨日お会いをいたしました。別に日本の政局に関心があるわけではないと。その方は、米中の核の削減について関心がある、科学者の立場から研究をしている。その話を米中でしているのに、米中の核戦力をどう、米ロはある程度できてきたけれども、今また状況が変わっていますけれども、米中の核兵器をどう削減していくかというときに、日本の政治家ならいざ知らず、官僚がいろいろなことを言って横やりを入れている。そういう現状を、こんなオープンな議会での証言を明らかにしないのはおかしいという観点で、その間に入った人の名前まで具体的に証言をして出していただきました。こういうことに対して、今大臣の、口頭で確認しましたと。

 それから、秋葉さんは、場合によっては、これは言っていたとなったら大問題になるわけです。これはもし、仮定の話はお答えしにくいかもしれませんが、このような発言をしていたら、大臣、どうされますか。

河野国務大臣 仮定の質問ですから、お答えする必要はないと思います。

本多委員 ということは、今外務省の官僚が、どこかの公開ではない会合で、核の貯蔵庫を沖縄につくってはどうだとどこかの外交官に聞かれて、それは説得力がある提案だ、このような答え方をしても、河野外務大臣は、その方に注意も何もしないということでよろしいんですか。

河野国務大臣 我が国は非核三原則を堅持するという立場でございますので、外務省としてそれに反するような発言はないというふうに認識しております。

本多委員 そういう方針を堅持している外務省の中で、口が滑ったのか、いや、非公開だと誤解していたんじゃないかと私は、彼に寄り添って、秋葉さんに寄り添って考えると、非公開として誤解してなきゃこんなことは言わないと思うんですけれども。

 米国の議会の委員会の調査ですよ。そこで、これはアメリカ側の秘密なんて何もないんですよ。アメリカ側が日本の核戦略に対する考え方を聞いている、それに秋葉さんが答えている。アメリカの秘密なんか何もなくて、アメリカ側がこんなものを隠す理由は何もない。秋葉さんが非核三原則に抵触しかねない発言をしている、ここだけが問題なんですよ。

 こういう状況下を調べてくれと言っているんですよ。普通に外交官同士が話した、外交官が外国の議会で話したことに対して何かを言っているんじゃないんですよ。抵触した発言をした疑いがあるから、だからこれだけ言っているんですよ。どうですか。

河野国務大臣 そうした発言はしていないということを確認しておりますので、そうここで申し上げているわけでございます。

本多委員 例えば、これは非核三原則に抵触していないと言っていますけれども、核の持込み、これは非核三原則に抵触をすると思われますけれども、核の貯蔵庫、専門家に聞きますと、核を貯蔵するには普通の兵器庫のようなものとは違う設備が必要だそうです。核の貯蔵庫を建築をする、このことは非核三原則に抵触するんですか、しないんですか。

河野国務大臣 非核三原則を我が国としては堅持いたしますから、そうしたものを建設する理由はないというふうに思います。

本多委員 済みません、今聞こえなかった。そのようなものを建設する何がないと。

河野国務大臣 そうしたものを建設する理由はないと思います。

本多委員 いや、抵触するのか、しないのかというふうに聞いておりますので、そこをお答えください。

河野国務大臣 核を持ち込めば非核三原則に抵触するんだろうと思いますが、それ以上の仮定の質問にはお答えを差し控えたいと思います。

本多委員 今、お答えを差し控えてよろしいんですか。

 どこかで勝手に、大臣の知らないところで核兵器の貯蔵庫をつくる計画があったら、それは非核三原則に、つくる必要がないとおっしゃいましたけれども、抵触しないということでいいんですか。

河野国務大臣 非核三原則がありますから、核を持ち込むような施設を建設する必要がそもそもないわけで、それが大臣の知らないところで行われるということはないというふうに思います。

本多委員 この秋葉さんの発言は、核を持ち込むという発言をしたら、非核三原則に抵触する発言だから問題だけれども、実際的にはあり得ないけれども、核の貯蔵庫をつくるんだという発言だから、厳密に言えばその時点では核は入っていないわけだから、非核三原則に入っていない、だから抵触はしていないけれども、そういう発言はあったという理解でよろしいんですか。

河野国務大臣 繰り返し申し上げているように、そのような発言はなかったと申し上げております。

本多委員 確認をいたしますけれども、大臣、本当にこれ、米国ではたくさんの人がメモをとっている話なんですよ、その会議は。利害関係者だけの証言で、まず、じゃあ、それで、そこまで言い切って本当によろしいんですか、これ、国会で。秋葉さんに聞いたというだけですよね、今外務大臣がおっしゃっている根拠は。

河野国務大臣 当時の委員会の関係者にも確認をして、そのような発言はなかったという報告を受けております。

本多委員 もう一回確認しますけれども、そのようなというのは、非核三原則に抵触するようなという意味なのか、核の貯蔵庫を沖縄につくってはどうかという質問に対して肯定的なやりとりをした、これは両方含まれると判断していいんですね。非核三原則に抵触する、しないで抜けられたら困るんで、この後半も含めて、そういう発言はしていないという理解で本当によろしいんですか。

河野国務大臣 非核三原則に背馳するような発言はなかったと確認しております。

本多委員 今、大臣、そうおっしゃっているということは、大臣のもとにはあるわけですよ、外務省のメモが、私たちには公開されていない。発言しているんじゃないんですか、このようなことを。どうなんですか、外務省のメモを見ているのは大臣と役所の中だけなんですよ。我々国会にはそれを出さないで。

 もうこれだけ年数前のこと、このことを認めたからといって、秋葉さんの進退を私たちがとれるかどうかは微妙ですけれども、それ以上に、国会でうそをつくことの方が問題なんですよ、今の森友学園のこの問題が出てから。

 大臣はメモを見ているわけですよね。何か、貯蔵庫をつくるだけだったら非核三原則に抵触をしないから、秋葉さんは非核三原則に抵触をしたような発言はしていない、そんな答え方で逃げられたら困るんですよ。貯蔵庫をつくってはどうかという米側の質問に対して肯定的な答えをしたのかどうか。記録を持っているわけですよ、我々が見れない。こんなもの、見せていただきたいですけれども。こういう発言を官僚がしている。これはどうですか、本当になかったと言えるんですか、こういう発言が。

河野国務大臣 今回の報道を受け、外務省として戦略態勢委員会に対して日本側の考えを説明した際の会合に参加していた委員及び関係者にも確認をした、その結果、同委員会の会合は対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、会合の公式な記録は作成しておらず、また、日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳する話などしていなかったという報告でございます。

本多委員 質問に答えていないんですよ。

 核貯蔵庫をつくるという話も非核三原則に抵触していると私は思いますよ。しかし、大臣が、きょう、とんでもない解釈が出たわけですけれども、核の貯蔵庫をつくる話は非核三原則に抵触しないと、百歩譲って河野大臣の答弁が当たっているとして、その発言はしているんじゃないんですか。非核三原則に抵触はしないけれども、貯蔵庫をつくる発言はしているんじゃないんですか。

河野国務大臣 非核三原則に背馳する発言はなかったということをたびたび申し上げております。

本多委員 そうじゃなくて、私は、その発言があったかどうかを確認すべきだと思っているんですよ。それが非核三原則に抵触するかどうかは、これから議論しましょう。その貯蔵庫をつくるまで言っていいのか、官僚は、アメリカの議会で。

 これ、そういう発言はあったのかどうか調べる気はありませんか。非核三原則には、いいですよ、じゃ、大臣の解釈では抵触していない。しかし、核貯蔵庫を沖縄につくることはあり得るんじゃないか、こんな話をしたかどうかは確認すべき発言じゃないですか。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、この委員会の会合は、対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、会合の公式な記録は作成しておらず、また、日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳する話などしていなかったという報告を受けております。(本多委員「済みません、質問に答えていないです」と呼ぶ)

寺田委員長 再度お聞きください。

本多委員 いや、質問に答えていただけないです、大臣。

 調べる気はないですかと。大臣が今知っている情報はそうですけれども、分けて確認する必要があるんじゃないんですかということを問うています。

河野国務大臣 今回の報道を受け、外務省として戦略態勢委員会に対して日本側の考えを説明した際の会合に参加していた委員及び関係者にも確認をしたところ、同委員会の会合は対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、会合の公式な記録は作成しておらず、また、日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳する話などしていなかった、そういう報告を受けております。

本多委員 私、この文書を日本に提供した方ともお会いして話したときに、アメリカ側は、こんなの議会での証言ですから、メモはいつでも出すと言っているんです。それを断られているらしいですよね。提供を求めて断られているんでしたっけ、前回の答弁では。どうでしたっけ。

河野国務大臣 この委員会の会合は、対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、会合の公式な記録は作成しないと理解しております。

本多委員 二〇〇九年当時じゃなくて、この事案が出始めた最近、この文書が非公開だったことに、非公開だったですよねみたいな、非公開だったことにしてくださいねみたいな話は、まさかしていませんよね、アメリカと。アメリカ側はこんなもの自由に出す、議会の文書ですよ、外交文書じゃないんですよ。これをなぜアメリカが出さないのか。頼んだり、まさかしていないですよね、外務省内で。

寺田委員長 よろしいですか、河野大臣、お答えできますか。(発言する者あり)

 一旦、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

寺田委員長 速記を起こしてください。

 河野外務大臣。

河野国務大臣 ちょっと質問の意図がよくわからないんですが、そういう感じのやりとりをアメリカと最近しているとは認識しておりません。

本多委員 していないと断言できますか。していたらとんでもないということを言っているんですよ。アメリカ側が出す文書を、出さないようにしてくれと言っているんじゃないかと、私は、済みません、疑っているんですよ、ここまでいくと。

河野国務大臣 そもそも公式な記録がないということでございますから、それを出す、出さないという議論にはならないんだろうと思います。

本多委員 いや、もう一つ、外務省内には公式ではない記録はありますよね。

河野国務大臣 外務省には、戦略態勢委員会に対して日本側の考えを説明したやりとりに関する記録は作成しております。

本多委員 私は、それを国会にも出すべきだと思いますし、出していいかどうか、米国の委員会側にぜひ要請をしていただきたいと思いますが、いかがですか、最後に。

河野国務大臣 戦略態勢委員会の会合は、対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、既に二〇〇九年に最終報告書が提出され、同委員会としての役割を終えているため、資料を出す、出さないという調整を行うことはできないというふうに認識をしております。

本多委員 ぜひ、私は、この外務省の中のメモを出していただくように要求をしたいと思います。理事会で、ぜひ。

寺田委員長 理事会にて協議をいたします。

本多委員 終わります。

寺田委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 午前中に続いて、きょうはダブルヘッダーでございまして、一人パシュート状態でございますが、どうかおつき合いいただきますように、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、特殊勤務手当について御質問をいたします。

 去る十二月五日、私は、特殊勤務手当について質問をさせていただきました。その理由は、我が身の危険を顧みず職務に精励される自衛官にふさわしい手当のあり方については、不断の改善が必要だと考えるからであります。

 七年前、東日本大震災が発生しました。その際に、現場の声なき声を踏まえまして、御遺体の収容、原則は千円であったものを最大四千円に、原子力災害派遣手当を、原則千六百二十円であったものを最大約四万円に引き上げました。

 無論、国難の真っただ中での見直しではありましたけれども、手当の水準につきましては、やはり、明瞭な理由、積算根拠が当然のことながら必要であります。そしてまた、一般職の国家公務員や地方公務員との均衡や、さらには、現行制度、過去の事例との均衡、整合性、こういったことも考慮する必要が当然ございました。

 東日本大震災、この活動が過去最大であって、更に広範囲ということは事実といたしましても、全ての業務が二倍以上と評価できるのかなどなど、さまざまな観点から慎重に協議をしたことは御承知のとおりだというふうに思います。

 よって、さきに御答弁がございましたように、東日本大震災の特例措置というふうな位置づけをされていることにつきましては、私自身、個人的には思うところがあるわけでございますけれども、ここで私が申し上げたいことは、派遣が終了したので単にもとに戻すということではなくて、東日本大震災の教訓を踏まえて、いつ来てもおかしくない南海トラフ巨大地震や首都直下型地震に備えるべく、平時のときにこそ、どうあるべきか改善すべきだということであります。

 この私の質問に対しまして、十二月五日、小野寺大臣の方からは、繰り返し、不断の見直しをする旨の御答弁をいただきました。

 あれから三カ月過ぎたわけでございますけれども、現状の見直し、そして検討結果についてお伺いをいたします。

小野寺国務大臣 まず、広田委員におかれましては、東日本大震災発災時に防衛大臣政務官ということで、被災者の救出に対し先頭になって対応され、また隊員に対してのさまざまな対応等をしていただいたこと、大変感謝を申し上げます。

 災害派遣等手当及び死体処理手当に関する検討状況についてですが、まず申し上げたいのは、防衛省としては、災害派遣等手当等を含め自衛官の特殊勤務手当については、自衛隊の活動や部隊等の実情を十分に踏まえながら、その改善に向けて不断の検討を行い、適切な措置を講じているところであります。

 その上で、災害派遣等手当及び死体処理手当について申し上げれば、昨年十二月五日の安全保障委員会において、委員の御指摘も踏まえ、私から、今後甚大な被害を伴う災害が起きた場合には、東日本大震災の特例に倣い、同様の措置を講じてまいりたいと申し上げました。

 一般職においては、人事院規則が昨年改正され、著しく異常かつ激甚な非常災害であって、緊急災害対策本部が設置されるもの又は原子力災害対策特別措置法に基づく原子力緊急事態宣言があったものにおける災害応急作業等手当の上限等が、東日本大震災の特例を踏まえて規定されたものと承知をしております。

 現在、防衛省としましても、この一般職における措置を参考にしつつ、災害派遣手当及び死体処理手当の見直しについて検討を進めているところでありますが、災害派遣等の事態の態様についてはさまざまな強度のものがあると考えられ、派遣された隊員の勤務の特殊性を適切に評価し、適切な処遇を確保するために検討を今しているというところであります。

広田委員 るる御答弁をいただいて、そして、さまざまな御検討をしていただいているということについては、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その中で、それぞれの災害の状況等々によって対応を考えていかなければならないというのは、まさしくそのとおりだと思います。同時に、特に原子力発電の事故については、東日本大震災、これが最初の事例であったわけでございます。教訓事項として残っているわけでございまして、それが、現状では原則千六百二十円というふうなことでございます。この金額で、隊員に対して、あの過酷な任務につけということは私は言えないというふうに思っております。

 このようなことを踏まえたときに、特に原子力災害派遣手当につきましては、私は、こういった平時のときだからこそ、もちろん、もう二度とこのような原子力発電の事故は起きてはいけませんし、起きないように、我々は、また与野党問わず、政府を挙げて取り組んでいかなければならないことでございますけれども、しかし、これは一度起きた事故でもありますし、また再び、先ほど申し上げたような南海トラフ巨大地震、首都直下型地震で起こる可能性があるわけでございますので、文字どおり、今のこの平時の時期に適切な見直し等々をやるべきであって、方向性について、私は、この部分について大臣から再び御所見をいただければなというふうに思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、給与上特別な考慮を必要とし、かつ、その特殊性を俸給で考慮することが適当ではないと認められるものに従事する職員には、その勤務の特殊性に応じて特殊勤務手当を支給するということとされております。災害派遣等手当についても、その一つでございます。

 先ほど大臣からも御答弁を申し上げたところでございますが、一般職におきましては、東日本大震災の特例、一般職においてはこれはまだ続いておるところでございますが、東日本震災以外の災害派遣等手当の上限について、昨年五月に、全国知事会の要望や原子力関係閣僚会議の議論を踏まえ定められたところと承知をいたしております。

 私ども、この特例、一般職における措置を踏まえ、これが自衛隊の特殊勤務手当、具体的には災害派遣等手当及び死体処理手当でございますけれども、これに同様の措置がとれないのかどうかについて、現在、慎重に検討しておるところでございます。

 しかしながら、そもそも、こういった一般職と同様の措置を設けることが、災害派遣に対するさまざまな状況がある中で、そういった上限を設けることが適当なのかどうなのか、又は、上限を設けるとしても、その上限の額が災害派遣のさまざまな状況がある中において、自衛隊員の危険かつ困難な活動を適切に評価されたものとなるのかどうかということについて、さまざまな角度、論点があるものですから、そうしたことも含めて、現在、省内において慎重に検討しているところでございます。

 いずれにいたしましても、こういった特殊勤務手当につきましては、自衛官としてしっかりと活動できる、その前提となるものであると承知をいたしておりますので、引き続き検討をさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

広田委員 るる御答弁がございました。

 いわゆる一般職については、これまでの教訓をもとに見直しが図られている。一方で、あの東日本大震災において最も活躍し、最も過酷な状況の中で任務に精励をされた自衛官については、これはもとに戻されている現状があるわけでございます。私は、余りにもこれは不平等じゃないかなというふうに言わざるを得ませんし、本当に現場の隊員に寄り添った対応なのかなというふうに考えるところでございます。

 繰り返しになりますけれども、東日本大震災のときに、るる述べたような見直しをして、そのときの論点等々も記録として残っているわけでございます。なぜあのような積算根拠になったのかというものは教訓事項として残してあるわけでございますので、それをしっかり踏まえて適切に対応していただきたいというふうに思います。

 これは、余りだらだら引き延ばして、そしてまた、いつかあのような地震等が起きたときに、大臣の方からは、そういう災害が起きたときには東日本大震災のときと同様の措置を講ずるというふうなことをおっしゃっておりましたけれども、もしそういうふうになってしまえば、何のための教訓なのかというふうなことになってしまいますので、ぜひとも、期限を区切って、早急にこの手当の問題については結論を出していただきたいというふうに思いますけれども、この点についての御所見をお伺いします。

武田政府参考人 委員の御指摘も踏まえながら検討させていただきたいと思いますが、私ども、特殊勤務手当については、年度年度、さまざまな各自衛隊の要望も踏まえて取りまとめて予算要求を行い、予算成立をした後には実施に移しているということでございますので、この検討につきましても、引き続き行った上で、しかるべく結論を出してまいりたいと考えております。

広田委員 しかるべき結論を出すということでございますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、日本を取り巻く安全保障環境について質問をさせていただきます。

 これにつきましても、先般質問をさせていただいたところでございます。いわゆる戦後最も厳しいと言っても過言ではないとのこの認識につきまして、十二月一日の安全保障委員会の私の質問に対して、文書で回答を頂戴をしたところでございます。まずもって感謝を申し上げますとともに、寺田委員長始め理事の皆さんには心から厚く御礼を申し上げます。

 その上で、まず、その内容についてお答えをいただきたいと思います。

小野寺国務大臣 昨年十二月一日の衆議院安全保障委員会の理事会提出資料は、我が国を取り巻く安全保障環境について、戦後最も厳しいと言っても過言ではありませんとの認識について説明をしたものであります。

 具体的には、現大綱策定後の安全保障環境は今日に至るまで現実に厳しさを増している旨述べた上で、北朝鮮の核・ミサイル開発、中国による一方的な現状変更の試み、さらに、大量破壊兵器の拡散や国際テロの深刻化、サイバー空間や宇宙空間などの新たな領域における課題の顕在化等、さまざまな要素を踏まえれば、我が国を取り巻く安全保障環境の現状が戦後最も厳しいと言っても過言ではないと認識している旨述べております。

 また、今日においては、大量破壊兵器を搭載した弾道ミサイル攻撃は、たとえ少数ではあっても、我が国の存立を脅かし得るものであり、大規模着上陸侵攻等の生起の蓋然性だけで安全保障環境の厳しさを判断することはできない旨、この中で述べさせていただいております。

広田委員 今、大臣の方から御答弁がございました。

 これまでは、この日本を取り巻く安全保障環境を考える際には、大規模着上陸侵攻等の生起、この蓋然性といったものが大変重要なファクターであったんだろうというふうに思いますし、これまでの防衛大綱というものは、これに対しての記述をして、我が国を取り巻く安全保障環境について評価をしていたわけでございますが、今は必ずしもそうではないというふうな観点に立っているわけでございます。

 この点にも疑問があるわけでございますが、特に、今回頂戴をした内容を見たときに、四番で特出しで北朝鮮のことについて言及をされております。1から3まであるわけでございまして、まさしく、今回、我が国を取り巻く安全保障環境が戦後最も厳しいということ、概要については先ほど小野寺大臣の方からありましたけれども、特にこの北朝鮮の動向といったものが大きく影響している、このような理解でよろしいんでしょうか。

小野寺国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境は、この東アジアの全体の状況を見ても大変注視をする動きがあるんだと思っております。

 その中に、特に北朝鮮でありますが、これは、例えば昨年の北朝鮮の核実験でありますが、広島型の十倍の百六十キロトンという過去最大の出力と推定される規模の核実験を行い、そしてまた、日本まで到達するような弾道ミサイル発射の実験を繰り返し、さらに、日本列島を核爆弾で海中に沈めるなど、我が国に対する核兵器による攻撃意思を繰り返しております。我が国を名指ししてのたび重なる核攻撃の威嚇というのは、これは、戦後、日本が受けたこととしては初めてになります。

 また同時に、非核保有国に対して核攻撃のおどしを繰り返すこと自体、過去に例を見ない挑発ということで、私どもとしては、この問題に関しても含めて、戦後最も厳しい環境であるということをお話をさせていただいております。

広田委員 北朝鮮の動向について、1から3について、大臣の方からその概要について御説明があったわけでございますけれども、こういった状況の中で、今、米朝関係について劇的な変化が起きようといたしております。

 スウェーデンを仲介にして米朝の首脳会談について模索がなされているわけでございますけれども、こういった状況、大きな変化の兆しというものがあるけれども、先ほど大臣が示された認識というものは変わらない、こういった理解でよろしいんでしょうか。

小野寺国務大臣 北朝鮮の動向については、最近の南北首脳会談や米朝首脳会談に向けた動きというのがあるということは、私どもも注視をしております。

 他方で、北朝鮮は、一昨年来、三回の核実験を強行して、四十発もの弾道ミサイルを発射したほか、本年の新年の辞において、核・弾道ミサイル開発のための活動を継続的に維持するという姿勢を明確にし、その後、今に至っても核・ミサイル放棄の実現に向けた具体的な行動を示しているわけではありません。このような厳然たる事実を踏まえれば、北朝鮮は核・弾道ミサイル開発を継続していく姿勢を崩していないと考えております。

 したがって、現時点において、さきの理事会で提出させていただきました北朝鮮の脅威についての認識については変わりないと承知をしております。

広田委員 今の小野寺大臣の答弁を踏まえまして、次は河野外務大臣にお伺いをしたいんです。

 こういった、現在、北朝鮮は具体的な行動を示していない、先般の質疑においても、大臣もそのようなことを念頭に置いて、まだ北朝鮮が米朝の首脳会談について正式な考え方を示していないということを繰り返し御答弁をされておりました。

 それを踏まえた上なんですけれども、仮に、検証可能な形、そして不可逆的な方向で北朝鮮が核、ミサイルの廃棄に合意をした場合、今皆様方が考えていらっしゃるように、この戦後最も厳しい安全保障環境という認識は変わるんでしょうか。

河野国務大臣 北朝鮮がまだそうしたことを行うかどうかわからない中で、そうした問いにお答えをするのは差し控えるべきだというふうに思っております。

 やはり、この東アジアの安全保障をめぐる状況というのは、ほかの地域と比べてもかなり厳しいという状況はあるんだろうと思いますし、これは、この政府の統一見解でも申し上げておりますように、さまざまな要素が入った中でこういう認識を政府として申し上げているわけでございます。

 これから、南北あるいは米朝という首脳会談が始まりというか予定をされている。そういう中で、余り先走ったことを申し上げるのは、この時点では余りよろしくないのではないかというふうに思っております。

広田委員 御答弁をいただきました。

 きょうはジャブ程度で終えたいというふうに思いますけれども、しかしながら、今回出していただいた我が国を取り巻く安全保障環境の見解において、この北朝鮮の占める割合、特に東アジアの状況等では決定的な位置づけをされているというふうに私は思っておりまして、しからば、どういう状況になればその認識というものに変化が起きるのか。こういったことについては、今後の米朝首脳会談等々も含めながら、まさしく不断の検証をしていかなければならない事項だろうというふうに思いますので、この点については指摘はさせていただきたいと思います。

 その上で、なお何点か確認をしたいと思うんですけれども、そういたしますと、今の我が国を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しいと言っても過言ではないということは、これは言いかえれば、武力攻撃事態や存立危機事態等が発生する蓋然性が冷戦期に比べても戦後最も高いという認識というふうに理解してもよろしいんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今、蓋然性についてのお尋ねでありますが、いかなる事態が武力攻撃事態や存立危機事態に該当するかにつきましては、事態の個別具体的な状況に即して政府が全ての情報を総合して、客観的、合理的に判断をすることとなると考えておりますので、そのような事態が発生する蓋然性も含めて、一概にお答えすることは難しかろうと思っております。

広田委員 もちろん、前田局長、一概に言うことはできないということでございますけれども、しかしながら、今さまざまな形で、武力攻撃事態、さらには、政府におかれては、私は反対ですけれども、存立危機事態等々に対応して安全保障関連法を運用をしているわけでございます。そういった中で、あえて今現在、皆様方が戦後最も厳しい安全保障環境にあるというふうに言う意味合いですよね。

 それは、何に対して危機感を持っているのか。私は、その一つが、存立危機事態や武力攻撃事態が発生する蓋然性が、今の東アジアの安全保障環境というものを踏まえたときに、冷戦期に比べても高くなっている、こういうふうな認識というものは当然持っているんじゃないかなというふうに思うわけでございます。

 一般論として、今の前田局長のお答えというものは理解をするところでございますけれども、しかし、私がきょうこのように質疑をしているのは、皆様方が、あえてこれまでになかった表現で我が国の安全保障環境について評価をし、言及をしているわけでございますので、しかも、安保関連法をあのような形で成立をさせたわけでございますので、そういったことを含めて、冷戦期に比べても存立危機事態等が発生する蓋然性が高いのかどうか、これについてはやはり明確に御答弁をいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今委員、蓋然性の問題についてお尋ねですが、これについて、繰り返しで恐縮でございます、蓋然性につきまして一概に述べることはやはり難しい、困難であるというのが我々の認識でございます。

 一方で、先生が御議論されている、戦後最も厳しいと言っても過言でないという認識につきましては、これは委員に御提出をさせていただいた資料にも書かせていただいていますが、北朝鮮の核、ミサイルの開発、あるいは中国による一方的な現状変更の試み、さらに大量破壊兵器の拡散、あるいは国際テロの深刻化、そしてサイバー空間、あるいは宇宙空間、こういった新たな領域における課題の顕在化、こういったさまざまな要素を踏まえて、我が国を取り巻く安全保障環境の現状が戦後最も厳しい、こういう認識をしているということを御説明をしているわけでございます。

広田委員 そういった御答弁だと、例えばこれまでの防衛大綱においては、例えば日本に対する着上陸侵攻の発生する蓋然性についての評価であるとか、それとか主要国間の大規模な武力紛争が発生する蓋然性であるとか、防衛大綱でしっかりとその考え方、高い低いというものを示しているわけであります。

 これは一方で示しながら、今の我が国を取り巻く安全保障環境を踏まえたときに、武力攻撃事態等が発生する蓋然性についてお答えができないというふうな御見解を示されるのは、私は整合性がとれていないんじゃないかなというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 安全保障環境の現状認識につきましては、たびたび申し上げて恐縮ですが、さまざまな要素を踏まえて判断しているものでございます。

 御指摘のような武力紛争が発生する可能性、これはありますけれども、それのみで判断すべきものではないと考えております。

 例えば、今、着上陸侵攻の話がございましたが、今日においては、大量破壊兵器を搭載をした弾道ミサイル攻撃、これは、たとえ少数であっても我が国の存立を脅かし得るものだと言えようかと思います。

 こういうことでありますので、例えば着上陸侵攻等の生起の蓋然性だけで安全保障環境の厳しさを判断することはできない。したがって、先ほど申し上げたようなさまざまな要素を勘案して、戦後最も厳しいという認識を示している、こういう御説明をさせていただいているところでございます。

広田委員 そうしますと、現時点の御認識といたしまして、戦後最も厳しい安全保障環境の中で、近い将来、武力攻撃事態や存立危機事態が発生するということは想定していないということでよろしいんでしょうか。

前田政府参考人 繰り返しで恐縮ですが、蓋然性につきましては一概に申し述べることは困難である、これが政府の立場でございます。

広田委員 いや、蓋然性についてではありません。近い将来、武力攻撃事態や存立危機事態が発生することを想定していないという理解でよろしいんですね。

前田政府参考人 お答えいたします。

 想定をしていないというお尋ねでございますが、平和安全法制の審議をいただいたときに御説明をしておりますが、国は、当然、存立危機事態が想定されないであるとか、その発生がおよそ想定できないといった主張は行ってございません。

 したがって、一般的にそういうことが起こる可能性は、それはあるというふうに思っております。

広田委員 近い将来発生することも想定をして安保関連法を整備した、こういうふうな理解でございます。

 一方で、二月十四日の予算委員会で立憲民主党の枝野議員の質問の中で、平成二十九年行コ一五七号事件において、政府として、現時点で存立危機事態は発生しておらず、国際情勢に鑑みても、将来的に存立危機事態が発生することを具体的に想定し得る状況にない旨を主張されております。

 今の御答弁と百八十度違うわけでありますけれども、これについての御見解をお伺いします。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今、まず、委員が御指摘になりました訴訟において、国は、存立危機事態が想定されないとか、その発生がおよそ想定できない、こういった主張は行っておりません。その点は、まず冒頭、申し上げたいと思います。

 その上で、本件訴訟は、現職の自衛官である原告が存立危機事態における防衛出動命令に服従する義務がないこと、この確認を求める訴訟でございました。命令に従わなかったことを理由として懲戒処分を受けることを予防することが訴訟の目的でございます。

 これに対して、国としては、現に命令は発令をされていない、それから命令発出のための手続も開始されていない、そして、いつ何どき発令されるのかは不確実である、こういったことで、このような状況においての訴えは不適法であるという主張を申し上げたわけです。つまり、訴訟法上の問題として、本件訴訟が係属する当面下において、原告の権利等に具体的、現実的な危険や不安が存在をしない、そのため、本件の訴えは不適法であると主張しているものでございます。

 もちろん、政府としては、国民の命と平和な暮らしを守り抜き、あらゆる事態に対して切れ目のない対応を可能とする平和安全法制、これは不可欠のものであると考えているところでございます。

広田委員 今御答弁いただいたんですけれども、ちょっと、前提である事実認識について違いがあるわけでございますが、先ほど申し上げました平成二十九年行コ一五七号事件でありますけれども、前田局長、お手元に資料等々があるとすれば見ていただきたいんですが、イの(イ)の部分に、私が先ほど申し上げたような見解が述べられているわけでございますけれども、この点について確認をまずしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 準備書面のお話でございますね。

 国の準備書面におきましては、先日の委員会において法務省訟務局長が読み上げたとおりでございますが、二十四ページの十七行目で、本件訴訟が係属する当面下において、将来的に上記危機事態が発生することを具体的に想定し得る状況にはないとなっています。それから、二十四ページの二十五行目で、現時点ないし本件訴訟が係属する当面下において、現状の国際情勢が著しく変動し、防衛出動命令の前提となるべき武力攻撃事態又は存立危機事態が発生し得ることの具体的危険性を肯定することはできない。そして、二十七ページの二十三行目で、本件は、そもそも現時点で武力攻撃事態又は存立危機事態に陥っておらず、かつ、陥ることも具体的に想定しがたく、このように述べております。

 こういった記載がございますけれども、いずれも、現在又は本件訴訟が係属する当面下において、いつ、どこで、いかなる事態が発生するのかが明らかでなく、存立危機事態の発生の具体的、現実的蓋然性は認められない旨を主張したものであり、存立危機事態が想定されないといったことや、その発生がおよそ想定できない、こういったことを述べたものでは全くありません。

広田委員 現在私が引いて御質問させていただいているのは、文献番号が二五四四九二三五の主文に基づいたものでございます。これのイの、そして(イ)においては、国際情勢に鑑みても、将来的に存立危機事態が発生することを具体的に想定し得る状況にはないということ、そして、その考え方についてるる述べた後で、存立危機事態が生ずることは、中略しますけれども、いずれも想定困難であるということでありまして、蓋然性も到底認めることができない旨を言っているわけでございます。

 想定をし得る状況にはないというふうに述べているわけであって、少なくとも、先ほどの前田局長の御答弁の中でも、現状においてはこの存立危機事態というものが発生をする蓋然性等々については具体的には考えられないというふうな旨の話があったわけでございますけれども、そうしますと、今御主張されているところの、想定をしているということと、当面上はその蓋然性はなくて、そして、これにも書いているとおり、将来的にも存立危機事態が発生する、具体的に想定する状況にないということについては、少なくとも、相互間において一致した私は見解とは言えないんじゃないかなというふうに思います。

 少なくとも、今回のこの裁判を国が闘う上において、防衛省を含め、これらの見解を策定するに当たって、実際、さまざまな協議等々をやった上でこのような裁判においての主張をされているのか。今局長がおっしゃったような、これまでのるるの考え方とは、私は、到底、話が、つじつまが合ってこないんじゃないかなというふうに思いますけれども、まず、事実確認として、法務省等々とこの件について協議をしたというふうな事実はあるんでしょうか。

前田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省の人間も訴訟代理人の一部に名を連ねておりますので、その意味におきましては、政府の主張の作成に防衛省もあずかっているということでございます。

広田委員 そうすれば、想定し得る状況にないというふうなことの見解を展開するというのは、これまでの御主張とはまた異なってくるんじゃないでしょうか。

前田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、この裁判で主張していることは、現に命令が発令されていない、それから、命令発出の手続も開始されていない、そして、いつ何どき発令されるのか不確実である、そういうことを踏まえて、先生は、一般に全く存在しないという主張をしているかのようにおっしゃっているわけですが、我々が申し上げているのは、訴訟法上の問題として、本件訴訟が係属する当面下において、原告の権利等に具体的、現実的な危険や不安が存在をするとまでは言えないんだ、そういうことを主張させていただいて、しかるがゆえに、本件訴えは不適法であると主張しているわけでございます。

広田委員 そうすると、確認なんですが、政府として、当面下、存立危機事態が発生するというふうには想定していないということでよろしいんでしょうか。

前田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、当面下において、具体的な、現実的な危険が存在していない、こういうことを申し上げているわけでございます。

広田委員 そういうふうに言ってしまうと、あの安保国会は一体何だったのかというふうに言わざるを得ません。つまり、全く存立危機事態が発生する当面の立法事実もないまま、あのような強行採決をされたということを実質的に認めてしまったわけでございます。

 そうなってくると、立法事実もないこの存立危機事態の、強行してあのように成立させた政府の根拠というものが全くなかったというふうに認めてしまうわけでございますので、この議論を通じて、私たちは、憲法違反、存立危機事態を容認をしている、集団的自衛権の一部行使を容認している安保関連法のこの部分については、やはり削除していかなければならない、このことを強く申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

寺田委員長 次に、小田原潔君。

小田原委員 自由民主党の小田原潔であります。

 初めて安全保障委員会で質問させていただく機会を頂戴し、大変光栄に存じます。

 私は、自衛隊官舎で育ちました。父の転勤に伴い、小学校は四回かわりました。クラスで私一人だけ音楽の笛の色が違ったり、文房具を買う時期がそれぞれの学校で違いますから、裁縫箱を持っていなかったり、彫刻刀のセットを持っていなかったり、そういうことでありました。裁縫用具は、母親の裁縫箱から使うものを菓子箱に入れて学校に持ってまいりました。

 二年ぐらいたってやっと親友ができると、また転校であります。人間関係をゼロからつくり直す、そういう日々でありました。正直言って、高学年になってからの転校は嫌でした。しかし、親には言えませんでした。

 自衛官の子の多くは、親が危険な任務につくかもしれないという覚悟を持って育ちます。名誉ある殉職であれば、残された家族はつらくても胸を張って生きていけるでしょう。しかし、首をかしげたくなるような命令で犬死にをしてほしくない、そういう切実な幼心がありました。

 父の生殺与奪を握る政治の判断に敏感な子供だったと思います。政治家を志したのは、八歳のときに、昭和四十七年五月十五日、沖縄が返還されたのを見たからであります。一発の銃弾も発射せず、一滴の血液も流さず、戦争で負けてとられてしまった領土が返ってきた。外交と政治の力はすごいと思いました。しかしながら、地盤、看板、かばん、何もない庶民の家ですから、私は大人になってから自民党の公募に五回手を挙げました。その後、落選もし、五、六年前に初当選を果たすまで、志を得てから四十年かかりましたが、それも天命でありましょう。きょうは、自衛官の息子として質問をさせていただきます。

 父は、五十七歳の誕生日を迎えたときに引退をいたしました。そのとき私は既に社会人でありましたが、まだぴんぴんして、はつらつとした父親が引退していくのを見て、何だかもったいないなと思った記憶があります。

 もともと、若年定年制それから任期制という制度を採用している自衛官は、再就職をしなければなりません。自衛隊法六十五条の十第一項の規定に基づいて、防衛大臣が離職後の就職の援助を実施することとなっております。

 現状の退職自衛官の再就職の状況について教えてください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 一般の公務員より若年で退職を余儀なくされる自衛官の多くは、退職後の生活基盤の確保のため再就職を必要としており、自衛官の退職後の生活基盤を確保することは国の責務であると考えております。

 自衛官に対して就職援護施策を講ずることは、自衛官の士気の高揚に資するとともに、優秀な自衛官の確保に寄与し、防衛力の人的基盤の育成にもつながります。

 主な就職援護施策といたしましては、例えば、大型自動車運転免許の講習など、再就職に有利な資格を取得するための職業訓練や、一般財団法人自衛隊援護協会等による職業紹介を行っているところでございます。

 現在、若年定年制及び任期制の自衛官であって就職援護を希望する者につきましては、ほぼ一〇〇%の再就職を確保しております。

 引き続き、退職自衛官の知識、技能、経験を社会に還元するとの観点も考慮しつつ、自衛官が退職後の生活を憂えることなく安んじて職務に精励できるよう、就職援護施策の充実を図ってまいりたいと考えております。

小田原委員 ありがとうございます。

 どうか、国を守るという仕事を選択したがために経済的な不利益をこうむるということを極力少なくしていただきたいと切にお願いする次第であります。

 その父が引退する式典での挨拶であります。

 父が、その管轄下で訓練中、不幸にも事故で亡くなった若い隊員の家におわびに行ったときのことを話しました。当時の私とちょうど同じ年ごろの青年を失った親の心中はいかばかり、同じ親としてどんなおとがめも受けとめようという心構えでお邪魔をいたしました。御遺族は、息子は後悔をしていないと思う、自衛官であることに誇りを持っていたとお話しになりました。父は、自衛隊が現場ですばらしい組織をつくり、心のきずなを温め維持していることに改めて感謝をして市谷を去りました。

 そうはいっても、仮に任務の途中で体を傷つけ、若しくは不幸にも命を失った場合の隊員や御家族に対する処遇は手厚いものでなければならないと思います。

 PKOに出動する隊員は、みずからのそういったときの備えは三つしかありません。一つ目は賞じゅつ金。二つ目は公務災害の手続。そして三つ目は、民間の損害保険に自腹を切って、今、PKO保険というものがございます。最大一億円で、毎月一万五千六百十円というような商品があるようであります。

 もともと保険会社には、戦争、内乱、武力行使に巻き込まれた場合に免責が認められています。これを何とか拾ってくれたのが、唯一の商品がこのPKO保険でありますが、まずは、隊員が自腹でPKO保険に入って出動しているという事実を御認識かどうか、伺いたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今委員も御指摘いただきましたけれども、自衛隊員が公務上災害を受けた場合には、私ども、国家公務員災害補償法を準用した、私どもの防衛省の職員の給与等に関する法律に基づきまして、負傷した自衛隊員に対して、療養補償として治療費の全額を国が支給をするほか、障害の状態になった場合には障害補償等が支給されることになっております。また、万が一、不幸にも自衛隊員が死亡をした場合には、御遺族に対して遺族補償や葬祭補償等が支給されるということになっております。

 さらに、賞じゅつ金につきましても、自衛隊の他の一般の職務と比較して高度な危険が予想され、災害を受ける蓋然性が高い職務に従事する隊員が、一身の危険を顧みることなくその職務を遂行し、これらの職務に特有の事故により死亡又は障害を負った場合に、今申し上げた賞じゅつ金が授与されるということになってございます。

 今申し上げたように、こうした制度により、公務上何か自衛隊員が災害等があった場合には国としてしっかりと補償する枠組みはあるわけでございます。

 他方、ただいま委員から御指摘いただきましたが、いわゆるPKO保険についてでございますが、今申し上げた国としての補償があるわけでございますけれども、それとは別に、隊員がみずから必要だと考える場合には、防衛省共済組合が実施している保険事業、これは幾つもございます。例えば団体生命保険というものもございますし、団体傷害保険というものもございます。委員御指摘のPKO保険につきましては、この傷害保険の一つでございまして、組合員とその御家族の公務中の災害から日常生活の災害までを幅広く傷害事故を補償する自己負担の補償制度でありまして、この保険につきましては、法令等に基づく派遣活動等についても補償等の対象になっておる、その一つがPKO保険ということで認識をいたしております。

 これにつきましては、補償を充実させたいと考える自衛隊員が、個人の判断で必要に応じて加入しているものもあるということで認識しておりますが、最低限度の補償の保険料負担につきましては、防衛省共済組合が行っているということで認識をいたしております。

小田原委員 ありがとうございます。

 しかしながら、国の命令で、顧みない、危険を覚悟していく隊員であります。どうか、自腹で保険に入らないとまだ気が済まないというような補償の水準、再考いただければと思います。

 賞じゅつ金でありますが、念のためお伺いいたします。

 賞じゅつ金は、隊員が死亡したときにのみ支払われるものなのか、死亡しなくても重度な障害が残った場合にも支払われるものなのか、実績を含めて教えてください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 賞じゅつ金につきましては、不幸にして亡くなった場合はもちろんのこと、障害を負った場合にも授与される制度でございます。

 その具体的な金額につきましては、従来から、個人のプライバシーにかかわる事柄であることからお答えは差し控えさせていただいておりますけれども、障害の程度により、最高七千五百六十万円が支給されることになってございます。

小田原委員 ありがとうございます。

 できれば、制度上の最高金額ではなく、実際に支払われた金額の水準を聞きたかったわけでありますが。

 次に、公務上の国家公務員災害補償法での制度というふうに思いますが、公務災害について伺いたいと思います。

 国外でPKOの任務中に、不幸にして負傷をしてしまったり、その結果、いわば健常者とは異なった体の状態になった場合、公務災害の手続は申請主義でありますから、負傷した隊員がそのときに自分で手続をしなければならないのか。

 また、例えば、指が欠損し物がつかめない障害が残る状態、これは障害等級十四級相当ということらしいですが、障害一時金として受領できるのは三十万円、それで補償が終わりだというふうに聞いておりますが、状況はいかがでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官が公務上の災害を受けた場合には、防衛省の職員の給与等に関する法律第二十七条において準用する国家公務員災害補償法の規定に基づき、他の国家公務員と同様の手続を行っているところでございます。

 具体的には、認定手続につきましては、補償事務担当者が当該災害を探知した場合、あるいは、被災者又はその御遺族の申出により調査を行うこととなってございます。こうした手続につきましては、被災者又はその御遺族との関係では複雑な手続をとる必要がないように配慮して行っているところでございます。

 今ほど委員御指摘になりました障害等級の具体的な額につきましては、今ちょっと手元にございませんので、後でお答えさせていただきたいと思います。

小田原委員 ありがとうございます。

 特に、治癒した場合、治癒という定義は、体に重大な欠損が残ったとしても、これ以上手当てをする必要がなくなった場合を含むというふうに認識しておりますが、そうすると、従来どおりの任務の遂行はできなくなったり、生活も非常に不自由なものになると思います。それを、一時金でそれでおしまいというのは、何といっても国の命令でそういうふうになってしまった人でありますから、どうか手厚い補償をしていただきたいと思います。

 最後に、大臣に意気込みと決意を聞きたいことがございます。

 私も愛読しております機関紙朝雲、昨年の十月の十九日、三一九基地通信中隊国分派遣隊の隊員さんの娘さん、小学校三年生が作文を載せています。「私のお父さんとお母さん」という作文でありますが、その中に、私のお父さんとお母さんは二人とも自衛隊で働いています、お仕事でよく家にいないことがありますが、一生懸命頑張っているので私は寂しくありません、でも家に帰ってくれると私はほっとします、私は自衛隊のお仕事を一生懸命するお父さんとお母さんが大大大好きですと書いてあります。九歳のころの自分の思いとかなり重なるものがございます。

 どうか大臣、隊員と家族に名誉と処遇で応えていただきたいと思います。大臣、一言お願いします。

小野寺国務大臣 これまでも、そして現在も、社会や政治の場で活躍されている小田原委員のお姿を見ますと、立派な自衛官であられたお父様の背中を見て育った、それも大きな要因ではないかと改めて感じ入っております。

 隊員は、任務に当たりまして、事に臨んでは危険を顧みずという宣誓を行っております。そして任務に向かう隊員でありますので、その処遇に関しては、これからも全力で支えていきたいと思っております。

 ありがとうございました。

小田原委員 終わります。ありがとうございました。

寺田委員長 次に、佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょう、当委員会で朝一番で質問させていただいて、きょうの質疑では、私、また最後、質問をさせていただきます。あと十五分間でございますので、ぜひおつき合いいただければありがたいと思います。

 きょうは大臣所信に対する質疑ということで、まず、河野外務大臣に何点かお聞きをしたいと思うんです。

 先週末に、アメリカに外務大臣が行かれまして、ペンス副大統領を始めアメリカの今のトランプ政権の要人と会談されてきたことは伺っております。

 今、四月末に南北首脳会談、五月までに米朝首脳会談が予定されておりまして、アメリカや韓国が北朝鮮との対話にかじを切る中、やはり今、短期間ですけれども、最も重要でなすべきことというのは、対北朝鮮政策で日米韓がしっかりと足並みをそろえて結束を固めて、そして意思統一を図った上で事に当たっていくということが何よりも大事ではないかと私も思いまして、特に、まずは日米両政府がどれだけ政策をしっかりとすり合わせることができるのか。

 その上に立って、今の韓国の文政権を見ていますと、どうしても融和姿勢に傾きがちだという、これはもう報道を見ていてもわかるんですけれども、その文政権に対して、やはり共同歩調を日米政権がしっかりととって働きかけて、北朝鮮につけ入るすきを与えることのないような、そういう対応をこの日米韓で図っていくことが何よりも大事ではないか、そういう認識をしているんですが、そういう意味で、外務大臣がこのタイミングでアメリカに、国会のさなかを縫って行かれたことは、私も評価をしたいと思っているんです。

 その上で、ただ、アメリカの今トランプ政権では、ティラーソン前国務長官、今も国務長官ですが、解任されるということが決まって、実質上不在であるにもかかわらず、なおかつ訪米された、思い切って今行こう、そういうふうに決められた狙いと目的ですね。そしてさらに、北朝鮮が非核化の具体的な行動をとるまで最大限の圧力を維持する方針というものを、改めてアメリカの今のトランプ政権と確認することができたのか。

 つまり、北朝鮮に対する方針というものをきちっと今のアメリカの政権と共有する、足並みをそろえるということができたのかどうか含めて、まず外務大臣に御答弁いただきたいと思います。

河野国務大臣 米朝首脳会談という、これはあくまでもまだ予定でございまして、これからいろいろ紆余曲折があるかもしれません。しかし、北朝鮮が南北首脳会談あるいは米朝首脳会談と言ってきたという中で、やはり日米の思いというのをしっかりすり合わせをしておく必要があるというふうに思いまして、総理からの御指示もあってワシントンに行ってまいりました。

 ペンス副大統領、マティス国防長官、それから国務長官の職務代行をしておりますサリバン国務副長官、それに、安全保障の担当の大統領補佐官でありますマクマスター氏、そのほかにお目にかかりましたが、日米間のそごはないと言って全く問題はないと思います。

 これまで、北朝鮮との対話で、いわば何度もだまされてきたという歴史を振り返ってみると、言葉だけでは意味がない、現実、具体的な非核化に向けての行動が必要である、完全、かつ不可逆的な、そして検証可能な非核化というのがない限り、この圧力最大化というのは維持しなければならないということは完全に一致をしております。

 また、ミサイルの問題については、ICBMから短距離ミサイルに至るまで、この全てを放棄させなければいけない、ここも一致をしております。

 また、日本の拉致問題についてアメリカは非常に理解を示してくれておりますし、また、アメリカもまだ拘束者が北朝鮮内にいる。そして、日米だけでなく、多くのほかの国の拉致被害者もいる。この問題もあわせて解決をする必要があるということで、米国政府内にもそごはありませんし、日米の間にもそごはないと申し上げてよろしいかと思います。

佐藤(茂)委員 それで、外務省から河野外務大臣の報告のペーパーを見ましたときに、外務大臣は、その会った方、必ず冒頭で言われていたのが、同じフレーズで言われているのが、過去の教訓を踏まえ、北朝鮮に核、ミサイルを放棄させるため、最大限の圧力を維持する必要がある、そういうことをどなたにも言われているんですね。

 今、答弁の中にもありましたが、過去の北朝鮮との対話が失敗に終わった教訓を認識として共有して対応していかなければ、同じ過ちを繰り返していくんだろうと思うんですね。

 例えば、一九九四年十月の米朝枠組み合意にしても、二〇〇五年九月の第四回六者会合共同声明の事例を見ても、これまでの北朝鮮との核交渉の経緯というのは、同様のサイクルを繰り返して結局失敗に終わって、核、ミサイルの開発の時間稼ぎだけされた、そういう結果があるわけですね。

 これは、私は、古い経験で、ちょうど二〇〇九年の麻生政権のときに、浜田防衛大臣でしたけれども、夏に北朝鮮が第二回目の核実験を行いまして、金正日政権でした。弾道ミサイルも飛ばしたんですね。

 それで、当時、政府・与党の代表として、日本の怒りをアメリカ、国連に伝えに行かなあかん、そういうことに急遽、直後なりまして、山崎拓先生と中谷元先生と、公明党から私、三人が使者として国連、ニューヨークにまず飛びまして、まずはやはり厳しい決議を決めてくれということを、当時、日本の高須大使にもお世話になって、去年亡くなられたロシアのチュルキンさんというのが安保理の議長でした。そういう方とも交渉して、結果的に、初めて、北朝鮮に対する物資に対しての貨物検査を参加国に要請する、そういう決議を決めてもらいました。

 その足で更にワシントンに飛びまして、当時、二〇〇九年というのはオバマ政権ができて間もないころだったんですよ。それで、国務省また国防総省の当局者などと話をしまして、私がどういうわけか代表してそのことを言わなあかん立場になったんですが、アメリカの歴代政権というのは、北朝鮮政策に対し失敗ばかりしておるじゃないか、そのことを私ははっきり申し上げました。

 でも、やはり政権がかわると、あそこはスタッフまでかわるので、引継ぎとかそんなものはないんですよ。だから、やはり一回一回きちっとアメリカに対して、今までのアメリカのこの二十数年間の北朝鮮政策というのは結局どういう失敗をしたのかということを、きちっとやはり一番当事者である日本や韓国が言わないとわからない部分があるんですね。

 ですから、今回、私はやはり心配するのは、今のアメリカ・トランプ政権というのが、河野外務大臣が述べられたいわゆる過去の教訓についての認識というものをどこまで共有されているとお考えなのか。外務大臣の対話されていての感覚でも結構なんですが、答弁いただければありがたいなと思うんです。

河野国務大臣 今回、どのミーティングでも、冒頭に、こういう失敗をしたよねということを申し上げました。

 これは、米朝枠組み合意もあれば、六者会合もあれば、あるいは北朝鮮と韓国の南北の会談というのも幾つかあって、そこで確認されている限り、これぐらいの投資が北朝鮮に行われたというようなことをるる順番に申し上げ、およそ金額的にこれぐらいの金額を国際社会として北朝鮮に渡してきた結果、何も得るところがなく、恐らくその資金の多くは核、ミサイルの開発に使われていたという可能性もあるわけでございます。

 そういうことを順番に説明をし、アメリカ側も認識を一にしてくれたというふうに思っております。今後、こうした過去の失敗を繰り返してはならないということを、先方もいずれもおっしゃっていらっしゃいましたので、そういう意味で、過去何を失敗したかということを含め、日米韓、認識は相当共有できていると思います。

佐藤(茂)委員 もう一つは、今後やはり、日本側がしっかりと言っております、対話の条件として掲げた完全、かつ検証可能で、不可逆的な非核化の具体的な行動について、どういうことをさせてしっかりと非核化を担保させていくのかということが、これから大事になってこようかと思います。

 十六日の安倍総理と韓国の文在寅大統領との電話会談で、日本側としては、北朝鮮は、国際原子力機関、IAEAの査察を受け入れる必要があるんだと。これは、河野外務大臣も、ワシントンで、行かれていた韓国の康京和外務大臣との会談でも同様のことをしっかりと韓国側には言われていて、韓国の外務大臣なんかも、河野大臣に、全く認識は共有されている、そういうふうに返したという報道を承っております。

 しかし、報道を見る限り、アメリカ側は具体的な条件を今まだ明示されていないし、そういう発言も、それ以外の報道でも伺っていないんですね。要するに、日本が主張する、北朝鮮はIAEAの査察を受け入れる必要があるということについて、アメリカ側は認識を共有されているのかどうか。どう北朝鮮の非核化を担保させていくんだということについて、どこまでアメリカ側とすり合わせをされているのかということについて、外務大臣の見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 非核化に向けて具体的な行動がない限り、言葉ではコミットメントにならないというところは、もう日米韓全く一緒でございます。

 これまでの北朝鮮の核に関連する施設については、これは恐らくIAEAがしっかりと査察をしなければならないわけでございますが、北朝鮮が持っている核兵器については、これはIAEAではないということになるんだろうと思います。そういうことを含め、いろいろと意見交換をさせていただきました。

 何が必要かというのをここで申し上げると筒抜けになってしまうこともありますので、今ちょっとここで申し上げるのは差し控えたいと思いますが、アメリカも、アメリカはもう核兵器をかつていろいろなところで廃棄をしてきた、処分してきたということもございますから、日本は、例えば核兵器の廃棄、処分というところをどうするんだというところは、日本の知見より、これはもうアメリカの知見の方がはるかにあるわけです。そういうところはアメリカにお任せをするとして、アメリカもこれを公に言うかどうか、恐らく公には言わないのではないか。

 そういう中で、一つ一つ具体的に、北朝鮮に対してこういう行為が必要だというところは、そこはしっかりと北朝鮮に対して言っていくことになろうかと思いますが、全てこうだというのを公にして首脳会談という手順にはならないのかもしれないというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 これからやはり二度と同じ失敗を繰り返すことはできないと。アメリカ側もそれはよくわかっていると思うんですね。今度失敗すると、本当にアメリカ本土にまで届く核を搭載したミサイルをそのまま開発する時間を与えてしまうということになりますので、よくわかっていると思うんですが、ぜひ、今後とも日米韓でしっかりと足並みをそろえていただきたいと思います。

 それともう一つは、もう質問時間が来ましたので終わりますが、やはり拉致問題ですね。

 冒頭、河野外務大臣は、十分それも含んだ協議をしてきたんだという話をされていましたが、今の、やはり最近のフィンランドでの米、朝、そして韓国の非公式の協議、あるいは文大統領の米朝韓首脳会談の実現ということになると、日本がほっておくと蚊帳の外に置いておかれる可能性があるんじゃないのかと。

 外務大臣が努力されて、拉致問題を入れてくれと、また総理も言われても、結局、最終的に拉致問題の置き去り、こういうことにされるというのは絶対に許してはならないと思っているんですね。ですから、今後ともそういう外交努力を続けていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

寺田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十一分散会


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