衆議院

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第4号 平成30年11月29日(木曜日)

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平成三十年十一月二十九日(木曜日)

    午後二時二十三分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 大岡 敏孝君 理事 武田 良太君

   理事 中谷 真一君 理事 宮澤 博行君

   理事 山本ともひろ君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      小野寺五典君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    神谷  昇君

      北村 誠吾君    熊田 裕通君

      高村 正大君    繁本  護君

      鈴木 貴子君    中曽根康隆君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      本田 太郎君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      前原 誠司君    佐藤 茂樹君

      広田  一君    赤嶺 政賢君

      下地 幹郎君    照屋 寛徳君

      長島 昭久君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   防衛大臣政務官      鈴木 貴子君

   政府参考人

   (内閣府北方対策本部審議官)           松林 博己君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 秀樹君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   三上 正裕君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  西田 安範君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           齋藤 雅一君

   安全保障委員会専門員   林山 泰彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  前原 誠司君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  奥野総一郎君     前原 誠司君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     中曽根康隆君

  和田 義明君     繁本  護君

同日

 辞任         補欠選任

  繁本  護君     神谷  昇君

  中曽根康隆君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     和田 義明君

  本田 太郎君     高村 正大君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一五四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、去る二十一日、陸上自衛隊饗庭野演習場の実情調査のため、滋賀県において視察を行いましたので、参加委員を代表して、私からその概要を御報告申し上げます。

 参加委員は、自由民主党の大岡敏孝君、武田良太君、立憲民主党・市民クラブの本多平直君、国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎君、日本共産党の赤嶺政賢君、そして私、岸信夫の六名であります。

 去る十四日十三時二十分ごろ、饗庭野演習場において、第三師団第三七普通科連隊が八十一ミリ迫撃砲の射撃訓練を実施中、演習場外の一般車両の窓ガラスを割るなどの被害を及ぼす事故が発生し、本委員会におきましても、十六日に岩屋防衛大臣から報告を聴取いたしました。

 このような状況を踏まえ、本委員会として、現地を視察することにより、事故の状況及び現地の実情等の把握に努めた次第であります。

 それでは、調査の概要を御報告申し上げます。

 饗庭野演習場においては、まず地元高島市の福井市長から、演習場と地元とのかかわり、事故原因の究明と再発防止策の実施の必要性などについてお話を伺いました。

 次いで、迫撃砲の射撃位置に移動し、陸上自衛隊関係者より、事故当日の射撃訓練の状況、目標と着弾位置との位置関係等について説明を聴取した後、八十一ミリ迫撃砲を視察し、運用方法、操作手順等について説明を聴取いたしました。

 次いで、砲弾の着弾位置に移動し、着弾位置及び被害車両の位置を確認した後、演習場周辺の環境、被害状況等について説明を聴取いたしました。

 関係者からの説明に対し、参加委員からは、迫撃砲の発射のあり方や着弾の確認の方法、また、今回の事故原因の調査体制などについて質疑応答を行いました。

 以上が調査の概要であります。

 自衛隊は国民の生命財産を守ることが任務であるにもかかわらず、今回の事故は、一歩間違えば人命にもかかわるものでありました。また、演習場周辺住民の方々の不安や懸念も大きく、今後、決してこのような事故が起こらないよう対処する必要があります。

 最後に、一刻も早い事故原因の究明と再発防止策の実施を強く求め、報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

岸委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府北方対策本部審議官松林博己君、外務省大臣官房審議官石川浩司君、外務省大臣官房参事官宇山秀樹君、外務省国際法局長三上正裕君、防衛省大臣官房長武田博史君、防衛省大臣官房審議官深澤雅貴君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省整備計画局長西田安範君、防衛省人事教育局長岡真臣君、防衛省地方協力局長中村吉利君、防衛省統合幕僚監部総括官齋藤雅一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷(元)委員 政府は現在、防衛計画の大綱の見直し、これをしておりますが、諸外国の情勢をよく見て、しっかりと組織として動けるものにしていただきたいと思います。

 そういう面で、サイバーについて、アメリカは昨年、国防総省の戦略軍のサイバー軍を統合軍に格上げをして、ボルトン大統領補佐官は、新たなサイバー戦略に基づいて、米国は外国からのサイバー攻撃に対して攻撃的に対処すると、報復をためらわない姿勢を明らかにして、日本とも連携を強化する方針を示しております。

 また、NATOも、タリン・マニュアルというのをまとめて、サイバー攻撃への概念を取りまとめて、武力の行使、武力攻撃に至らない場合でも、国際人権法とか航空、宇宙、海洋、外交などの見地からサイバー作戦を実施するということをまとめております。

 サイバー攻撃のうち、我が国の武力行使、又は敵対行為、戦争行為と解される例を示していただきたい。そして、日本が大規模なサイバー攻撃を受けたときに、どんな事態が起これば国家としての戦争行為、武力攻撃事態とみなされ、自衛権が発動され、そして、特定のサイバーによる行為が戦闘行為と認定されると自衛隊との関係がどうなるのか。その場合に自衛隊は何を行い、また、日米安保条約を結んでいる米国は何をしていくのか。その辺の認識をお伺いします。

岩屋国務大臣 冒頭、まず質問にお答えする前に、岸委員長から饗庭野演習場視察の御報告がございました。改めて、今回の事故を重たく受けとめ、原因の究明と再発防止に全力を尽くしてまいりたいというふうに思います。

 その上で、中谷先生から御質問ありましたが、もう全部中谷先生が自問自答できる事柄ばかりだというふうに思いますが、正直、サイバー攻撃と自衛権行使の関係についてはなかなか一概に申し上げることは困難であると考えておりますが、言うまでもないことですけれども、武力行使の三要件を満たすようなサイバー攻撃があった場合には、憲法上、自衛の措置として武力の行使が許されるわけでございまして、サイバー攻撃、さまざまなものがあろうと思いますけれども、自衛権行使の要件を満たすような場合は、自衛権を発動することができるというふうに考えております。

 日米間では、平成二十五年に設置された日米サイバー防衛政策ワーキンググループ、CDPWGを始めとするさまざまなレベルにおける定期協議、それから日米共同訓練を行っておりまして、一層、日米間のサイバー防衛協力も進めてまいりたいというふうに思います。

 また、中谷先生御指摘のタリン・マニュアルについてですが、これはNATOのサイバー防衛協力センターが一つの指針を示したものでございますけれども、これらも研究しながら、一層、このサイバーに係る法的基盤についても検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

中谷(元)委員 続きましてはクロス・ドメインについて、北朝鮮のスカッド、ノドン、これが、ロフテッドとか連続攻撃によって我が国への攻撃が可能となっておりますけれども、こういった同時に飛んでくる場合に、米艦艇と自衛隊が日本海で共同で警戒監視、迎撃態勢をとりますけれども、イージス・アショアも含めまして、どのような役割分担また連携で日米で対応するのか。

 これに、将来、DWESというこういった装置で自動的にどの艦が最適であるかということを示して、IAMD、将来は巡航ミサイルや極超音速滑空弾、また経空脅威に備えるようになりますけれども、米軍との共同のIAMDなどをクロス・ドメインによってどのように進めていくとお考えでしょうか。

岩屋国務大臣 御指摘のように、多数の弾道ミサイルが飛来するような状況にあっては、我が国が有する複数のイージス艦やこれから導入しようとするイージス・アショアが最適な迎撃を行うための仕組みを導入することが非常に重要だというふうに考えております。

 この点から、今、中谷先生から御紹介ありました、米軍が導入しているDWESというものがあると承知をしておりますが、このシステムは、複数のBMD対応のイージス艦の間で自動的に迎撃調整を行うというものでございまして、弾道ミサイルへの対処を確実なものとしつつ、かつ、より効率的、効果的な迎撃を可能とする機能でございます。

 自衛隊におきましても、BMD改修後の「あたご」には既に搭載されておりますし、現在改修中の「あしがら」及び建造中の「まや」型二隻には、就役時から搭載される予定でございます。

 これによって日米間のBMD対処の連携強化が更に強化されることになるというふうに考えておりまして、不断にBMD能力の向上について検討を行い、米国とも緊密に連携をしてまいりたいというふうに考えております。

中谷(元)委員 さらに、ミサイル等を撃たせないために、抑止力としての反撃能力、これは、やはり、撃たれたときに撃ち返すようなことも必要だと思います。

 そういう意味において、敵基地攻撃につきましては、昭和三十一年の答弁で、三要件があれば法理的に自衛の範囲に含まれるとされておりました。

 そして、二〇一四年の七月に、武力行使の新三要件、これが閣議決定されて、我が国に武力攻撃が発生していなくても、我が国に密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、その三要件が該当する場合においては、相手国からの攻撃の着手、これがあれば、相手国のミサイル基地また戦闘機、船舶を攻撃することは可能であるというふうに考えますけれども、この考え方でよろしいでしょうか。

岩屋国務大臣 これも先生がおっしゃるとおりで、座して死を待つわけにはいかない、他に手段がないというときには法理的には相手の基地を攻撃することができるというのが従来からの政府の解釈でございますが、他方で我が国は、海外派兵、いわゆる武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣する海外派兵は、一般的に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、許されないというふうにも解してきているわけでございます。

 しかし、その上で、今御指摘があったように、自衛権発動の三要件を満たすものがあるとすれば、他国の領域における武力活動であっても許されないわけではないというふうに解しております。

 その上で、これまでの国会での議論では、存立危機事態における武力の行使の海外派兵の例外は、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに今のところ念頭には置いていない旨を答弁しているところでございます。

中谷(元)委員 これはすなわち自衛権の発動でありますから、我が国自身の安全保障、防衛のための行動で、これは米国に依存するというだけではなくて、当然、我が国としてもこういったミサイルを、打撃を少なくするためには検討すべき項目だと思いますが、この点いかがでしょうか。

岩屋国務大臣 先ほども申し上げましたように、憲法上、そのような武力の行使も、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能だというふうに考えておりますけれども、これまでも、日米の役割分担の中で、敵基地の攻撃については米国の打撃力に依存をしてきておりまして、政府としては、この基本的な役割分担を変更することは考えておらないところでございます。

中谷(元)委員 これはぜひ検討していただきたいと思います。宇宙、サイバー、そして周辺に対してしっかりと国を守るために、やはり憲法の範囲の中で国を守るということでありますので、ぜひこの件も御検討いただくようにお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

岸委員長 次に、高村正大君。

高村委員 自由民主党の高村正大です。

 本日は質問の機会をいただき、本当にありがとうございます。

 早速ですが、質問に入らせていただきたいと思います。

 私の地元山口一区には、陸上自衛隊の駐屯地、航空自衛隊の基地などがあり、OB、現役を含め自衛隊関係の方、日々多くお会いしております。その中で、最近、特に採用活動の難しさなどについて伺う機会がふえているように、このように感じております。

 そこで、まず、平成二十九年度の陸海空自衛隊の隊員の充足状況について教えてください。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 充足率についての御質問でございますが、これは、自衛隊の能力を最大限発揮するためにも非常に高めていくことが必要であるということで、日々の募集活動等により充足率の向上に取り組んでいるところでございますけれども、その具体的な数字につきましては、平成二十九年度におきまして、陸上自衛隊は九二・四五%、海上自衛隊は九二・三一%、航空自衛隊は九一・八八%でございまして、自衛隊全体では九二・三一%となっております。

高村委員 ありがとうございます。

 今の御答弁をいただきますと、大体八から九%ぐらい不足しているのが現状だということのようです。

 定員を充足できていない状況で業務に支障が全く出ていないんでしょうか。あるいはまた、もし支障がないんだとすれば、そもそも定員の設定自体が多過ぎるのではないかというふうに考えてしまう面もあるんですが、その辺についていかがお考えでしょうか。よろしくお願いします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 自衛官の定数につきましては、自衛隊の任務の遂行に必要な部隊等のあるべき自衛官の人員を積み上げたものでございまして、この定数については適切なものと考えてございます。

 一方で現状は、実際には定数一〇〇%を先ほど申し上げたように充足をできていない状況でございまして、隊員一人一人の負担は大きくなっているところでありますけれども、現状の実際の人員でも業務に支障が出ないように、工夫を凝らしながら業務の遂行をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、充足を極力一〇〇%に近づけるべく、さまざまな施策に取り組むことで自衛官の人員確保を引き続き図ってまいりたいと考えてございます。

高村委員 ありがとうございます。

 続きまして、平成二十九年度の自衛官への応募者数、最終合格者数、採用者数について教えてください。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の採用対象者人口の減少、その他さまざまな厳しい状況がある中ではございますが、平成二十九年度におきます自衛官等の採用状況でございますけれども、応募者数は、これは全体でございますが、九万三千百七十四名、最終合格者数は二万九千二百十一名、採用者数は一万四千九十名を確保したところでございます。

 この採用者数のうち多数を占めますのが、部隊の中核を担う陸海空曹を目指すいわゆる一般曹候補生と任期制の自衛官となる自衛官候補生となりますが、一般曹候補生につきましてはおおむね計画どおりの五千四十四名を確保したところでございますが、任期制の自衛官となる自衛官候補生の採用につきましては、計画を下回る七千五百十三名にとどまっておりまして、厳しい採用状況にあるというふうに認識をしております。

 このように、採用環境が厳しい中ではございますが、優秀な人材を安定的に確保できるよう、引き続き全力を尽くしてまいりたいと考えております。

高村委員 ありがとうございます。

 今のお話を伺いますと、採用者数、特に自衛官候補生、かなり少ないというお話です。その状況が今後も続いていくとすると、更に自衛官の充足率が落ちていく可能性があるんじゃないかと非常に危惧をしているところであります。

 実際、自衛官候補生の初任給が安過ぎることが原因で、内定を出していても、競合した場合に、警察官やあるいは消防に行ってしまうケースが多い。また、進路指導の先生のお話を伺うと、初任給、約十三万ぐらいだというふうに伺っておりますが、それを考えると、自衛官候補生になった方がいいよというふうに現場の先生が勧めづらい、こういうようなお話を地元でも聞いております。

 警察や消防などと比べて自衛官候補生の初任給が安い、こういう認識をしておりますが、本当に現在決められている定員が必要な定員であるとするならば、自衛官候補生の初任給を引き上げることによって採用数をふやしていく必要がある、このように考えておりますが、いかがでしょうか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問の点の事実関係についてでございますけれども、今般、給与法について改定をさせていただくことになりましたが、この改定後の額で申し上げますと、自衛官候補生に対しましては月額十三万三千五百円の自衛官候補生手当が支給されることとなります。

 これに対しまして、例えば一般職の国家公務員である警察官、これは高卒程度を念頭に置いた一般職試験を通られた方でございますが、その初任給につきましては十七万千二百円ということで、この数字を比較しますと、確かに低い金額となっているところでございます。

 他方、自衛官候補生につきましては、入隊当初の基礎的な教育訓練、大体三カ月が基準となっておりますが、これを終了して自衛官として任用される際には、自衛官任用一時金として十七万六千円が支給されるほか、自衛官にこれは任官しますので、この時点で二士の一号俸である十六万九千九百円の俸給が支給されることになり、その後、昇任により俸給水準が高くなっていくという面はございます。

 いずれにいたしましても、昨今の厳しい募集環境を踏まえますと、委員から御指摘がございましたとおり、自衛官候補生の初任給を含め、自衛官の処遇の向上は重要であるというふうに考えておりまして、引き続き、適切な処遇が確保できるよう不断の検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。

高村委員 ありがとうございます。

 我々もそうですが、一般の企業に就職活動をしたことのある人間というのは、どこの会社に就職するかも大事なんですが、初任給が幾らか、これはすごく大きなウエートを占めるものだと思っております。

 そこで、自衛官の定数をしっかりと充足するためにも、その確保に向けて、大臣の意気込みについて一言お願いいたします。

岩屋国務大臣 まず、高村先生には、自衛官を支援する議員連盟の事務局長として日ごろから熱心に自衛官の処遇改善にお取り組みをいただいていることに敬意を表し、お礼を申し上げたいと思います。

 この役につくまで私が議連の会長だったんですが、今はもともとイニシアチブをとっておられる江渡元大臣に会長になっていただいておりますので、今後ともの御指導、御鞭撻、御支援をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。

 今、高村先生から御指摘いただいたように、少子高齢化、人口減少、また、好景気の中で、若くて優秀な隊員を集めるということはなかなか今困難になりつつあるということは事実でございまして、この人的基盤を一層強化していくために、一層自衛官の処遇改善を図っていかなければいけないというふうに我々思っております。

 次の大綱、中期防でも人的基盤の充実を大きな柱に据えていきたい、こう思っておりますし、また、先般は、本多平直先生の御指摘によって、生活必需品等で自衛官が困ることがないように大臣指示を出させていただいたところでもございます。

 優秀な人材を安定的に確保するためには、自衛官の職務にふさわしい処遇を確保するとともに、また、女性自衛官も最終的には一〇%という目標を立てておりますので、育児や介護を担うなど時間制約のある隊員を含めて、全ての隊員が持てる能力を十分に発揮できる環境整備を図っていかなければいけないと思っておりまして、総合的な取組を一層強化してまいりたいというふうに思っております。

高村委員 大臣、ありがとうございます。

 大災害や有事が起こった際、国民が一番頼りにできるのが自衛隊員の皆さんであります。彼らが定員不足による過重労働を押しつけられる、こういうことのないように、処遇をしっかりとして、働きやすい環境、ぜひそのために引き続き頑張っていただけることをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直でございます。

 来月の防衛大綱や中期防に向けて政府での作業も進んでいることと思い、報道もいろいろ出ております。そうした課題を中心に質問させていただきたいと思いますが、まず冒頭、実は先日、大臣所信をこの場でお聞きをいたしまして、岩屋大臣、河野大臣から安全保障環境についての所信をお聞きをしました。

 私、かなり強い違和感を感じたので、調べてみまして資料をつくりましたので、ぜひごらんになっていただきたいと思います。

 過去十年の大臣所信を自分で読みながらまとめてみまして、ずっといろいろ北朝鮮情勢、中国情勢が厳しい中、いろいろな大臣が、「一層厳しさを増し」というような表現で情勢をお述べになっておられます。民主党政権なんかは、逆に国ごとにきちんと情勢を言ってかなり強い言葉も使っていたんだななんということも、しっかりと言っているんだなということを自分で勉強させていただいて、資料をつくってみたんです。

 また、小野寺大臣の当時は、これは同僚議員とも議論をしていました。「戦後最も厳しいと言って」という言い方がいいかどうかという議論は同僚の議員ともしていましたが、私も、この東アジアの安全保障環境が非常に厳しいというのは、昨年、また一昨年であればこういう表現になるのかなと思っていたんですが、こうした中で、北朝鮮の状況はもちろんまだまだ予断を許さない。こんなことで、交渉が始まったからといって何かここで大きく防衛省に言い方を変えてくれというような甘いことを言うつもりは全くありません。しかし、一定のことがあった。

 そして中国も、これまで大変厳しい環境が続いてきた中、河野外務大臣もきょうお越しですけれども、いろいろな政府の御努力の中で、一ついい関係に向けて歩き出そうという首脳会談も行われという道が進んでいる中なんです。

 こういうことがあって、二つ大きな、日本にとって重要な関心国である北朝鮮と中国との関係において大きな流れがある中で、「従前想定していたよりも格段に速いスピードで厳しさと不確実性を増しております。」というのは、ちょっとこの十年間を見ても、どうしてこういう表現になるのかなということで違和感を感じた次第です。

 ちょっと、大臣の方から御説明があればいただけますか。

岩屋国務大臣 現大綱をつくったときは私は自由民主党の安全保障調査会長でございまして、党においてその策定の作業にかかわらせていただきました。

 その経験に照らしても、やはり、我が国を取り巻く安全保障環境は、その当時想定していたよりも格段に速いスピードで厳しさ、不確実性を増してきているなというふうに私自身が感じております。

 一つは、この安全保障環境が厳しくなっている。もちろん、北朝鮮情勢というのは今後どう推移するか見きわめていかなきゃいけないと思っておりますが、この数年間ということで見ると、やはり非常に厳しさを増した。そして、我が国を射程におさめているミサイルがいまだに実戦配備されているという現実は変わっていない。もう中国については多くを申し上げません。

 それに加えて、こういった安全保障環境の変化に加えて、新しい領域での軍事技術の進展が非常に速いスピードで進んでいる。

 例えば、サイバー、宇宙、電磁波という領域で劣後することになれば、今日まで我が国が蓄えてきた、蓄積をしてきた防衛力そのものが発揮できなくなるというぐらい非常に厳しいところに来ているというそういう認識のもとにこういう表現を使わせていただいているというふうに御理解いただければありがたいと思います。

本多委員 官僚が大体原案をつくって大臣が筆を入れるという形でつくられると思うんですけれども、ずっと見ていただくと、大体官僚が書いていた一層厳しくなったという言葉も、小野寺大臣はもしかしたら自分でつけ加えられたのかもしれません。

 では、割とこれは大臣御自身で書かれた文章ということでよろしいんですか。

岩屋国務大臣 いや、もちろん私だけではありませんが、何といいますか、多くの議論の結果としてこういう表現を使わせていただいているわけですが、私自身、実際にそういう認識を持たせていただいているということでございます。

本多委員 いろいろサイバーの話とか新しい状況の話というのは私も理解をいたします。しかし、ずっとこの所信では、中国の状況、北朝鮮の状況ということを、その一年前から、今、大臣は大綱の議論で五年単位で物を考えていらっしゃるのかもしれませんけれども、五年単位、十年単位で考えていらっしゃるのかもしれませんけれども、この大臣所信というのは一年単位の動きで、私がずっと見ていても、いい意味でこの一年というのは、この東アジアの緊張にとっては、一歩まだ全然予断を許してはいけない。

 私がもし大臣の立場になっても、依然厳しいという言い方はしたと思いますが、余り状況分析もきちんとしないで安全保障の議論をするというのは私は大変危険なことだと思いますので、ぜひ大臣には、次の所信も、読み上げのときは私もここにいたいと思いますので、ぜひこの所信の書き方は、きちんとこの一年の東アジアの状況を踏まえていただきたいと思います。

 それで、大変お忙しい中、外務大臣にもこの委員会にお越しいただいていますので、外務大臣にもお聞きをしたいと思います。

 外務大臣はさらりと「大変厳しい」とおっしゃいましたけれども、私は、外務大臣は、防衛大臣が防衛にどんどん費用を膨らませなくても済むような国際環境をつくるために御努力をしていただいていると思います。

 そういった意味で河野大臣は、この一年間、北朝鮮の方はどれだけ関与されたかというのは私はわかりませんけれども、中国との関係においては相当な御努力をされて、一歩前進をされたと思います。そこのことについて、だから安全保障を手を抜いていいんだなんて言う気は全くないんです。ただ、一歩一歩、一年ごとの状況をきちんと把握をしながら、確認をしながら安全保障の議論をしなきゃいけないと思いますので、そこは、依然厳しいけれども一歩踏み出した部分があるというようなコメントを外務大臣からいただければと思うんですが、いかがですか。

河野国務大臣 中国との関係で申し上げれば、李克強総理が日中韓サミットで来日され、安倍総理が七年ぶりに公式訪問、訪中する、来年は習近平国家主席に訪日をしていただく、そこまでは何となく固まってきている。

 そういう意味で外交面は正常化しつつあるということは申し上げてよろしいかと思っておりますが、東シナ海、特に尖閣諸島における領海侵犯について、あるいは自衛隊のスクランブルの状況を見るにつけ、ここは残念ながら改善しているとは言いがたい。また、南シナ海の状況は、むしろ、さまざまな設備が埋立地に追加されているという状況にあります。

 また、この十年間で恐らく中国の国防予算というのは、公表される分でも三倍になっている。なおかつ透明性に欠ける部分があると我々は思っているところでございますし、さまざまなデータの取扱いなどを見ても極めて不透明と言わざるを得ない状況の中で、確かにハイレベルの往来は進んでおります。

 そういう意味で改善している部分は外交面では確かに見られますけれども、安全保障環境というところを考えると、これは残念ながらまだまだ気を抜けない。

 特に、ドクラムのあたりでの問題もございますし、海外でのさまざまなインフラにかかわるプロジェクトが残念ながら必ずしも透明性を持って行われていないということもありますので、むしろ、そういう状況で見ると、国際的には、安全保障をめぐる環境として必ずしもよくなっていると手放しで言える状況にはない。

 やはり、厳しい状況にあると残念ながら言わなければいけないのではないかというのが私の認識でございます。

本多委員 非常に的確なお話をいただいたと思います。

 私も、一歩前進したから手放しでよくなったというような状況ではないと思いますけれども、外務大臣は、そういうことに向けて、日本の周辺安全保障環境を、より厳しいとどの大臣もずっと言い続けているだけではない状況を本当につくっていっていただくお仕事だと思いますので、ぜひそこのところをしっかりと外務省として、外務大臣としてもお力を尽くしていただきたいというお願いでございます。

 そうした中で防衛費のあり方についてお話をしていきたいと思いますが、ちょっと順序を変えさせていただきます。イージス・アショアと「いずも」の話をしたかったんですが、まず、身近なところの防衛費のあり方、非常に手薄になっているのではないかということを三点、お話をさせていただきたいと思います。

 これはもうありがたいことに岩屋大臣から、先ほどの与党議員の質問の中でも私のお名前を出していただいたんですが、予算委員会、聞いていない方もいらっしゃると思います。私、同じように、大きな防衛費の話と小さな防衛費の話をしました。

 残念ながら、大きな防衛費の方は危機感の中でどんどん伸びていっているんだけれども、実は身近な足元の予算が大変厳しいんじゃないかということで、大変小さな例ですが、自衛隊員の方のトイレットペーパーが何か何センチと決まっていて、隊によっては、自分の倉庫から、自分のロッカーから持ってきて使うとか、一時は自費で買って使うとか、そんな信じられない、自衛隊員の誇りのために憲法を変えなきゃいけないという総理のもとの政府とは思えないような状況。私も最初に聞いたとき、本当かなと思ったんですが、幾つかの実際の隊員の方にも確認をして質問して、大臣から、それはしっかりと善処をするというお話をいただきました。

 改めてこの場で、あの場ではその場での質問でしたので、ちょっとその後の対処方針をお聞かせいただければと思います。

岩屋国務大臣 予算委員会でその件について本多先生から御指摘をいただきまして、トイレットペーパーを含め、必要な日用品や事務用品が隊員に確実に行き渡るように、防衛省・自衛隊の全ての機関に対して、実態を把握しつつ必要な措置を講じるべしという大臣指示を出させていただきました。

 また、そのとき議論を聞いておられた安倍総理も、これは岩屋さん、しっかりやってくれ、自衛隊の最高指揮官でございますから、そういう御指示もいただきましたので、十一月九日に改めて文書を発出させていただいたところでございまして、引き続き、今後とも隊員が任務遂行や営内生活を行うに当たって不自由のないように、必要な日用品等の確保に努めてまいります。

本多委員 迅速な対応をありがとうございます。

 もう一点なんですけれども、私があの場で指摘をした問題、自衛隊、特に陸上自衛隊の隊における自家発電機の問題です。

 先日、私の地元である北海道で大きな停電が起こりまして、我々民間も大変な思いをしたんですが、まさか自衛隊の基地がブラックアウトしていたというのは、私もびっくりをいたしました。

 ガソリンスタンドにも病院にも自家発電機をつけなきゃいけない、各省庁で苦労している中、まさに災害のときに出動していただく自衛隊の基地が電気がなくなるなんということはあってはいけないと思うので早急に対応していただきたいと思うんですが、いかがですか。

岩屋国務大臣 これも大変重要な課題であるというふうに認識をしております。

 現在、陸上自衛隊、全部で百五十九施設ある中で、三十四の施設がまだ自家発電機を備えておりません。それから航空自衛隊でも、七十三施設ある中の一施設が備えておりませんので、これを早急に整備してまいりたいというふうに思っておりまして、先生御指摘のように、災害が起こった際には自衛隊の駐屯地というのはまさに対処の拠点になるということでございますので、電力を確保するということが極めて死活的に重要だというふうに考えております。

 先般、十一月二十七日に国土強靱化に係る重要インフラの緊急点検に関する関係閣僚会議が開催されましたが、私からは、今の防衛省の自家発電機に関する状況を報告すると同時に、緊急に実施する三カ年対策の中で取り上げていただきたい旨を発言をさせていただきました。

 速やかに整備を進めてまいりたいというふうに思います。

本多委員 ぜひよろしくお願いします。これは、三年単位とかではなく、一年単位で行う問題だと私は指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、予算委員会のときはテレビ中継が入っていたので、トイレットペーパーとか自家発電機、明らかにおかしいだろうと国民の皆さんにもわかっていただきたい課題を取り上げましたが、私は、防衛費のあり方が今ちょっとゆがんでいる、それの象徴として二つ言ったんですが、実はもっと本体的な業務でいうと、維持整備とか訓練とか、本当に大事な人生をかけて自衛隊に入ってきていただいて、命をかけて国のために尽くそうと思っている皆さんの身の回りのところのそういう費用が足りない。

 饗庭野の件もそうです。そして、そこでまた指示を出した後も私の地元の札幌市で、自衛隊のワイパーブレードが落下をするというようなこともまた続けて起こっているんです。これが全て予算の理由とは思いませんけれども、本年は佐賀でも陸自のヘリの墜落もございました。

 まさに隊員の命にかかわるし、自衛隊の能力にもかかわる。イージス・アショアだ、空母だと言う前の、ここをしっかりとやらずに日本の防衛はないと私は思っています。

 それで、東京新聞さんがすごいいい特集をずっと組んでいただいていまして、ぜひ安全保障委員会の皆さんにはお読みをいただきたい。本当は配りたかったんですが、大部なので配りませんが、ずっと読んでいる中で、一つ、維持費の話を役所の皆さんともさせていただきました。いろいろな、いやいや、それは何とかしているんですみたいな説明を聞いたんです。私は一個だけきょうは質問させていただきます。

 T4という練習機が航空自衛隊にあるそうなんですが、戦闘機は優先して部品を調達する、しかし、練習機はどうしても後回しになって、「故障すると倉庫に置かれたままにされるのが現状だ。」と東京新聞さんは書いているんです。

 例えばT4で、どれぐらい、故障してから倉庫に眠っている例があるんですか。

岩屋国務大臣 まず、装備の調達だけではなくて、その維持整備が大事だという御指摘は全くそのとおりだというふうに思っておりまして、最新鋭の、高い性能を有する装備を導入するだけではなくて、現有の装備の維持整備をしっかりやらなければいけないということで、三十一年度の概算要求においては、前年度対比三・三%増の所要額の確保に努めているところでございまして、更に努めてまいりたいと思います。

 それから、今御指摘のあったT4練習機なんですけれども、これは主に戦闘機パイロットの教育訓練に使用される航空機でございまして、これを高い可動率で維持することが重要だというふうに考えております。

 そのために、国内企業に維持整備基盤を持たせること等によって可動率の確保に努めているところでございますが、一方で、調達に時間を要する部品に故障が生じていた場合などは、その部品が入ってくるまでの間は非可動となっている機体もあることは事実でございます。

 防衛省としては、そういう非可動の期間が長くなるようなことがないように、部品の調達期間の短縮化等に取り組んで、可動率を上げる努力をしてまいりたいというふうに思っております。

本多委員 可動率は外国に知られてはいけないということで私は聞かないということを言ったんですが、一つの例として、T4の、一番長く、部品が滞って動かない飛行機はどれぐらい動いていないのかということだけお答えください。

岩屋国務大臣 それは今先生御自身がおっしゃっていただいた理由もございまして、控えさせていただきたいと思います。

本多委員 非常に可動率などに問題が生じているということをマスコミさんも指摘をされていますし、データを教えていただいて私たち検証しようがないわけですけれども、しっかりとまさに隊員の命、そして自衛隊の能力にかかわる。せっかく高いお金を出してまた戦闘機をたくさん買われるようでございますが、こういう可動率でいいのかということをぜひ考えていただきたいというのが私からの強いお願いです。

 イージス・アショアの話をさせていただきたいと思います。

 実は、先ほど冒頭に状況の話、安全保障環境の話を聞いたのは、やはりまだまだ北朝鮮は不透明ですし、不可逆かと言ったら、そうではない。まだ交渉も始まったばかりです。別に楽観をしていいわけではないんですけれども、やはり、状況の変化と余りに高額なものを買うことに対してその関係をしっかり見るということは、私は必要だと思っているんです。

 なぜ私はこう言うかというと、昨年の状況が続いていたら私たちは、いや、いろいろ問題点はあるよね、技術的にも問題はいろいろ学者に聞くとあるし、費用も高額だけれども、イージス・アショア、なかなか反対はしにくいなという状況だったと思うんです。

 ところが、ことしこうなったときに、この二千億、三千億、維持費も含めると四千億を超えるかもしれない。こういう金額のものを、地元の反対でまだまだ山口と秋田の説得にいつまで時間がかかるかわからない。北朝鮮の状況もどうなるかわからない。こういうときにこれでやれるのか。

 実は、私たちは何もミサイル防衛そのものに反対をしているわけではありません。イージス艦で今も皆さんの理屈では守られているということになっているわけです。ですから、この体制を何とか工夫をしながら、もちろん海上自衛隊の皆さんの運用が、特に去年、北朝鮮があんな状況でしたので大変厳しいローテーションになっているということは現場の皆さんからもお聞きをいたしました。そういうことが続いていいとは思いません。

 しかし、イージス・アショアを買うことと、例えば、私は専門家ではありませんから、イージス艦をもう一つふやすこと、こういう検討がなされないまま、イージス艦の数をふやす、人のローテーションを工夫する、いろいろな工夫をしないまま、北朝鮮の状況もやや変化をしているのに、この三千億、四千億、五千億かかる兵器の導入に立ちどまるきっかけがあるんじゃないかと私は思っているんですけれども、大臣いかがですか。

岩屋国務大臣 まず朝鮮半島の情勢ですが、今、本多先生もどうなるかはわからないというふうにおっしゃいましたが、私ども、もちろん、南北首脳会談、米朝首脳会談が今後望ましい方向に展開をしていくことには期待はしたいと思いますけれども、期待感や楽観論で防衛政策をつくるわけにもいかないというふうに思っておりまして、現実、まだまだ我が国にとってみれば、数百発の弾道ミサイルがまだ廃棄されていない核ということを考えると、この脅威は深刻に受けとめていかなければいけないと思いますし、大綱、中期防というのは向こう五年、十年の長期を見ての計画でございますので、やはり、ミサイル防衛体制をしっかりとしたものにつくり上げていくということは大事だと思っています。

 それから、コストの検討はもちろんいたしております。やがてイージス艦体制も八隻にしたいと思っておりますが、イージス艦というのはミサイル防衛のためだけに運用する船ではございませんで、本来は海上における防空のために使う護衛艦でございますが、ミサイル迎撃機能も持っているということでミサイル防衛にも今当たらせているわけでございますけれども、そういう艦船でございますから、八隻に最終的になったとしても、なかなかミサイル防衛のためだけにイージス艦が張りついているというわけにもいかないとこう思っておりまして、また、イージス・アショアに比べると最新のイージス艦というのは、もちろん金額も非常に高いし、また、動き回る船でございますから、ライフサイクルコストもアショアに比べればかなり高くなるということで、このアショアであれば、二つ配備ができればおおむね日本の空をカバーできるということですから、イージス艦とアショアとPAC3の三段構えで、二十四時間三百六十五日のしっかりとしたミサイル防衛体制をつくらせていただきたいというふうに思っているところであります。

本多委員 私もその認識はいいんですが、今言っているのは、イージス・アショアは、もし今後、米朝の会談がどんどん、ではいい方に進んだとしましょう。そのときにはほかの用途になかなか使えないんですよ、ミサイル防衛のものですので。イージス艦は、例えばしっかり増強をしていけば、それは東シナ海の艦隊防護という本来の任務で、これまででさえ五、六あったわけですから、それが、八にしてそれをしっかり使える道がほかにあるわけですよ。

 ですから私は、イージス・アショアという陸上の方法に必ずしもこだわらずに、北朝鮮の状況の変化を機に、イージス艦、もちろん隊員の方に過重な負担をかけるということはあってはいけませんし、去年そういう状況があったということは聞いていますけれども、そういうことを工夫をする余地なく、イージス・アショアが唯一の方法という観点がおかしいということを指摘をしているということです。

 もう一点、イージス・アショアについてお聞きをします。

 大臣はおわかりになっていると思うんですけれども、高いお金をかけてPAC3やSM3を入れていますが、弾がフルに入っていないという指摘を、弾というか、ミサイルがフルに入っていないという御指摘を学者の皆さんはされています。

 例えば、PAC3は十六発入るところに四発しか入っていない。それからSM3の方は、九十発入るところに今ほかのミサイルが入っているんだけれども、五十発は入る。そこに八発しか入っていない。こういうふうに学者の皆さんは言っているんです。

 この議論をすると、そんな何発入っているかは敵に言えないとかなんとか言っていますけれども、実はこれはアメリカ側から輸出のときに許可が出て、発表されていますよね、この数字。ですから、何発日本にこの弾が輸出をされ、十六発入るところに四発しか入っていない、五十発入るところに八発しか入っていないという現状は、北朝鮮も中国も知っているんじゃないんですか。

岩屋国務大臣 迎撃のためのミサイルの数をどのくらい持っているかということは、今、先生御自身が御指摘になられたように、これまでも公表しておりませんし、これからも公表するつもりはありません。

 アメリカの国防省は、FMSで海外に装備を移転する場合には米国議会に対して説明をしなければならないということで、我が国を含め、同盟国等に売却する可能性のある装備品の数量を公表しているものと理解をしております。

 先般、十九日、先生御指摘の公表があったことは承知しておりますが、その公表文にも、ポッシブル・セール、つまり、現時点で最大限売れる数という発表の仕方をしているものでありまして、実際の調達数量を公表したものではありません。

 したがって、その調達数量、保有している量については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

本多委員 私は、イージス・アショア、いろいろなこと、高額な兵器を買うよりも、しっかりとその弾数をふやしていただきたいということを強くお願いをしておきたいと思うんです。

 大臣のような認識であるならば、安全保障環境が変わっていなくて、イージス・アショアもある、それから、高いお金を出して八隻にすれば、これは資料をつくってきていましたが、きょうは時間がないのでしませんけれども、これは古い白書じゃありません。ことしの夏にいただいた平成三十年の白書で、三十三年には「こんごう」型と「あたご」型で、イージス・アショアのこれはずっと一緒じゃないですか、楕円形で日本がしっかり守れると言って八隻にまでしたら、今度は、まだまだ足りない、アショアと言っている。そして弾はすかすか。こんな状況はおかしいと私は思います。

 しっかりと大綱、中期防の議論、大きなものを買え買えと誰が言っているのか私は知りません、トランプさんなのか安倍さんなのか。しかし、きちんと安全保障の現場の声を聞いて必要なものを、だって、せっかく買った高いPAC3があるんだったら、そこにしっかりとその発数を買う努力をする、その予算をとる、そういう当たり前のことをしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 時間がなくなりました。「いずも」の話をしたいと思います。

 空母化、さんざん小野寺大臣とも議論していましたけれども、検討していないとか言って、検討していることはようやくお認めになりました。私は、専守防衛の観点からもしっかりと議論したいと思っています。極めてこれまでの政府答弁と違うところが出てくるんじゃないかと思っていますが、私は、その専守防衛の話、憲法の話はきょうはしません。

 この「いずも」は大変重要な任務をしているということを、私、防衛省の方と議論をしてわかりました。潜水艦、日本の周辺で大変おかしな動きをしています。こういうものをしっかりと探るヘリコプターを積んで、近くまで行って飛ばして、その潜水艦の動きを探っている。私も月曜日に横須賀に行って視察をさせていただくことになっています、同僚議員と。そこでしっかりと激励をしてきたいと思いますよ。

 この船を、大臣、何と言ったんですか。せっかくある装備なので、ほかの仕事をさせます。今頑張っている隊員に対してこれはどういうことなんですか、自民党の先生たちも。変な、空母という名前を逃げて、多用途運用母艦。いやもう本当に言いかえは自民党の得意わざ。私は、そんな言いかえをしたって、別に専守防衛の議論はしっかりと続けたいと思いますよ。

 しかし、この船は、潜水艦の哨戒をするために高いお金をかけてつくったんじゃないんですか。その用途はどこに行くんですか。多用途にしていいんですか。

岩屋国務大臣 「いずも」型の護衛艦はもともと多用途につくられております。哨戒ヘリを積んで哨戒活動をしっかりやるということはもちろんですが、そういう哨戒ヘリ等の航空機運用機能に加えて、指揮艦になる、指揮をする艦船になる、あるいは補給という活動を行う。今度は先生見に行っていただけるそうですけれども、中に二、三十ほどベッドがございまして、場合によっては医療船という活動も行うことができる。輸送についてはもちろんでございまして、そういう、もともと多用途に使おうということでつくられている護衛艦でございます。

 そして、三年前に就役したばかりですから向こう四十年ぐらいは使っていこうとしている護衛艦でございますので、私がせっかく持っているというふうに言ったことを今お叱りを受けましたが、せっかくというのは、広辞苑を引きますと、「めったになく、大切であること」という意味でございますので、私は、そういう意味で、この大切な護衛艦をこれからもいろいろな用途に使っていくことが望ましいということを申し上げたわけでございます。

岸委員長 本多君、時間が来ております。

本多委員 もともと多用途という説明は今わかりました。潜水艦の哨戒も大事ですし、指揮も補給も大事ですよ。それ以外のものも載っけられるんだったら、それはおかしいじゃないですか。そのことで今フルに使っているんじゃないんですか。そこの甲板を折り曲げて何とかするとか、F35Bなんて全然用途の違うものをそこに載せたら、私は大きな支障が出ると思います。

 そして、そもそも「いずも」の話のおかしいのは、那覇になぜ空自の基地があるんですか。尖閣を守る、島嶼を守る、そういうときの飛行機は沖縄の基地からしっかりと飛んでいくべきなんですよ。そこをなぜ船を改修する。見せかけの何か恣意的な、実体のない防衛議論を私はぜひやめていただきたい。

 そのことを強く申し上げて、質問を終わります。

岸委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 国民民主党、渡辺でございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、防衛大臣に伺いたいのですが、昨今、大変問題になっております民間航空機のパイロットの飲酒の問題。飲酒、酒気帯びで飛行機がおくれた。きのうでしたか、日本エアコミューター、JACの飛行機も何かおくれたということで、連日報道されています。

 国土交通省はJALやANAに立入検査に入ったということで、そのことに関連して伺いたいのですが、あたかもきょうは、安倍総理がG20で午前中に政府専用機でアルゼンチンに向かいました。

 ここでお伺いしたいのは、民間航空機のパイロットの場合も実は規制する操縦士のアルコール摂取量の制限というのは設けていなくて、今、国土交通省で検討会をつくって、どうするかということが議論が始まりました。大変な驚きです。これは実は国によってもまちまちなんですが。

 そこで、国土交通省の所管ではない、防衛省が所管をする政府専用機のパイロットの飲酒の検査というのはどうなっているんですか。

岩屋国務大臣 航空機である以上は当然のことながら航空法の適用を受けるわけでありまして、航空法第七十条では、航空機の乗組員は、アルコール、麻酔剤その他の薬品の影響によって航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行ってはならないと規定されておりまして、政府専用機という、総理はもとよりですが、御皇室など要人に乗っていただく航空機のパイロットは当然この規定を遵守しておりますが、今般の事案を受けて、今民間の方でも検討されているということですが、あるいは、国交省の今後の対応にも重大な関心を持って適切に我々も対応してまいりたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 乗る前に、パイロットのアルコールの検知、それは行われていますか。

岩屋国務大臣 行ってはおりません。

渡辺(周)委員 行っていないということは、例えば器械によるものもあれば、乗務員同士がお互いの呼気、息を吹きかけて、お酒を飲んだか飲まないかと確認する。民間ではもうやっていて、それが非常に緩かった、ずさんだったというのがあるんですが、今のお答えで、ちょっと驚きの答弁なんですが、政府専用機のパイロット、乗組員はやっていないということで、今そう御答弁されたという、確認ですけれども、それでよろしいですか。

岩屋国務大臣 現場でどういう確認をしているかというのは、もしお許しいただければ事務方から報告させますが、政府専用機は自衛隊が運用しているわけですが、そこのパイロットというのは、私どもとしては、もうプロ中のプロだというふうに思っておりますので、自覚に欠けたような行為は行っていないと信頼をいたしております。

 今までのところは、そういう検査は行っていないということでございます。

渡辺(周)委員 当然のことながら、過去、一番最初に渡辺美智雄副総理が訪米をするときに初めてその任務についてから今日まで、これは千歳にあります、ちょっと名称を忘れましたけれども、運航部のを見まして、実績がずらっと書いてあります。

 ですから、当然、そんなことはないだろうと。酒を飲んで乗ったり、酒気帯びで乗るようなことはまさかないだろう、我々もそこは信頼をしているわけなんですけれども、でも、実際、民間機のパイロットが、残念なことにイギリスの空港で拘束をされたこともそうなんですが、何百人という乗客を乗せた飛行機のパイロットがまさか酒気帯びで操縦することなんかないよね、そういう当然であるということが実は今あったわけです。

 だからこそ、これだけの、ある意味、社会問題と言ってもいいと思うんですが、もちろん信用はしています、信頼はしています。まさにプロ中のプロですから、ましてや、政府のVIPあるいは皇族の方が乗るのに、まさかとは思うんですけれども、しかし、そこはやはりしっかりと客観的な調べをしなきゃいけないと思うんです。

 特に今回の例が、一事が万事とは言いませんけれども、防衛省に限ってはないと思いながらも、しかし、今の話ですと、そういうことはしていないということなんですが、これは本当に大丈夫なんですか。

岩屋国務大臣 これまでは、先ほど申し上げたようなことで、やってきていないわけでございますが、委員の、先生の御指摘を踏まえて、今後の民間エアラインの対応や指導監督に当たる国交省の対応もしっかりと見きわめて、適切に我々も検討してまいりたいというふうに思います。

渡辺(周)委員 この問題、実はそんなに長くやるつもりはなかったんですけれども、ちょっと、ないという答弁をいただいたものですから。

 でも、きょうもう既に政府専用機に乗って総理も行っているし、向こうに着いて、この後はブエノスアイレス、きょうアメリカを経由して行かれるということでございますけれども、パイロットも人の子でございまして、緊張からやっと任を解かれたということで、ちょっとワインやビールの一杯ぐらいはということも当然あるんでしょう。全く一滴も口にするなとは言いません。

 それだけに、客観的にやはりこういうことは、民間機がここまでやる以上は政府専用機も例外ではないと思うんですけれども、さっき齋藤さん、手を挙げましたけれども、どなたか、検討するじゃなくて、やりますという、あるいは、何か説明することがありますか。

 具体的にどうするんですか。パイロットが政府専用機の操縦桿を握るとき、もっと言えば、戦闘機、スクランブルをかけるときもあるでしょうし、あるいは、ヘリを操縦して訓練することもあると思うんですよ。こういう場合の、操縦桿を握るときの、酒を飲む、あるいは禁酒というのか、やはり当然のことで、何らかの制約なり内規があると思うんですけれども、その点も含めてちょっとお答えを事務方からでもいただけますか。

齋藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、戦闘機あるいはヘリコプターにも御言及がございましたけれども、政府専用機にも限らず、これは航空法第七十条の、全て及んでおりまして、これは七十条で、「航空機乗組員は、酒精飲料」、これはアルコール飲料のことでございますけれども、「又は麻酔剤その他の薬品の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間は、その航空業務を行つてはならない。」というように規定をされているところでございます。

 したがいまして、各自衛隊の航空機のパイロットもこの規定についてしかるべく教育されておりまして、また、適切に遵守しているものと承知をいたしております。

 そうしたことで、飛行前にアルコール検知器材等を用いて正常な運航の可否等を確認する作業は行っていないところでございます。

 ただ、委員から御指摘ございまして、そうしたものにつきまして私どもとしても真摯に受けとめておりまして、大臣からも御答弁がございましたように、一連の民間エアラインの事案あるいは国交省の対応にも重大な関心を持って、今後適切に検討してまいりたいということでございます。

渡辺(周)委員 今、航空法に基づいて、そのおそれのある場合は乗っちゃいけませんよと書いてある。だから、そのおそれがあるかないかというのを客観的に示すための検査はしていますかという話なんですよ。だけれども、今の答えだと、ないと。

 だけれども、私が今指摘したから、何かその指摘を受けてやるというんじゃなくて、これはやはりこれだけ大きな社会問題となって、まさか我々も、乗客として乗る飛行機のパイロットの方が酒を飲んでいるか飲んでいないか、それが運航に影響を及ぼすか及ぼさないかなんて全くわからないわけです。それは当然、パイロットとしての倫理観と使命感とモラルで、当たり前ですけれども、やっているはずだと思っているけれども、実はこんなことがあったからこそ今問題になっているわけです。

 自衛官に限って、政府専用機の操縦桿を握る方に限っては、そんなことはあり得ないだろうと私も信じております。しかし、飲酒をしたことによってどのような影響があるか、そのおそれがどう出るかということについて、そのおそれのあるなしについては、やはり今このようなときでございますので、ぜひ防衛省もそこは徹底してしっかりと客観的に判断をしていただきたいと思いますが、大臣、もう一回いかがですか。

岩屋国務大臣 定時に飛んでいる民間の航空機と自衛隊の航空機、政府専用機だけではなくて、今、ヘリや戦闘機という話もありましたけれども、戦闘機などでは、スクランブル発進、一分一秒を争うというようなそういう飛び方もするわけでございまして、だから、対応は一様ではありませんので、どういう確認の仕方、検査の仕方が適切なのかということも含めて検討をさせていただきたいというふうに思います。

渡辺(周)委員 もう最後にしますけれども、例えば日本の場合は、民間のパイロットは乗務前の八時間以内の飲酒を禁じているというような、これは内部の規約なんでしょう。

 例えば、防衛省の中では、何時間前は飲んじゃいけない、若しくは訓練前、あすは訓練でヘリを操縦する、若しくは戦闘機の訓練をするというときも、やはりこういう何らかの内規が必要だと思います。それをもう一回申し上げますが、それはあるんですか、もしかすると。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御質問の内部規定の件でございますけれども、昨日、御質問通告をいただきまして、私ども、各幕等々に確認をしたところでございますけれども、各自衛隊横断的に明示的な細部規定というものはないということでございます。

渡辺(周)委員 ないならば、やはりこれは、当然戦闘機もヘリもそうでございます、偵察ヘリもそうですけれども、墜落したら大変な被害を及ぼす、甚大な被害になる、犠牲者が出るということを鑑みれば、何らかの形で、内部で、例えば何時間前まではもう酒を飲んじゃいかぬ、そういう規約をつくることが必要じゃないですか。

 そこはいかがですか、大臣。そこの点も含めて、もちろん検査もするんだけれども、やはり乗組員に対して、少なくとも空を飛ぶ人間は酒を飲むことは、例えば八時間前にはもう飲んではいけないと何らかの形の客観的な指標が必要だと思うんですけれども、そこはいかがですか。

岩屋国務大臣 自衛隊の装備を扱う隊には、それぞれに本当に崇高な使命感を持って任務に当たっていただいていると思いますので、当然問題がないように日々対処してもらっていると思います。

 アルコールについてもしっかりと指示を徹底したいとは思いますけれども、決まりのつくり方によっては、ともすれば士気にかかわることも私はあり得ると思いますよ。逐一、それは航空機だけではなくて、陸を走る車両だって当然なんだと思いますけれども、任務に当たるに際して一々のアルコール検査をするというわけにもちょっといかないというところがあろうかと思いますので、やり方についてはちょっと研究させていただきたいと思います。

渡辺(周)委員 今、タクシーの会社もバス会社も、乗務前にアルコールの器械を使って確認をしてから仕事につくわけですよ。余り悠長なことを、私も副大臣をしているときに対潜哨戒機P3Cも乗りました。US2も乗りました。いろいろなものに乗って各地に視察や激励に訪れまして、自衛官の方々が非常に職務を真面目にやっていることは百も承知です。

 ですから、それは信じておりますけれども、しかし、信じていた民間でこういうことがある。これは、やはりひとつ、もう一回考え直すことも必要だろう。そこは、酒を一晩飲まなかったから士気が落ちるとか、そんな話じゃないと思いますので、そこのところはやはりちょっと深刻に考えてぜひやっていただきたいと思います。ちょっとこの話を長くやり過ぎました。

 ちょっと本多委員の質問にも関係するんですけれども、次の質問に行きます。

 「いずも」の改修、これを行うということでございます。もう時間もありませんから言いますが、ここにF35Bを搭載をして、尖閣を中心とした沖縄であるとか東シナ海のパトロールや偵察に当たるというような報道がされています。

 そして、平成二十六年七月十五日の参議院予算委員会で当時の小野寺防衛大臣は、大陸間弾道弾、ICBMと並べて、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母などの保有はいかなる場合も許されないと考えておりますとおっしゃっていますが、「いずも」は何のために改修をして、そして、本当にF35Bを購入して載せるのか。その点について確認をここでとりたいと思います。

岩屋国務大臣 先ほどの本多先生も、あたかも何かそれが決まったかのような前提でお話をされていましたし、今の渡辺先生もそうですが、私ども、きょうも申し上げたように、「いずも」という護衛艦を、今でも多用途艦なんですけれども、この装備をほかの用途にも使えるということができないかどうかということは研究をしております。

 他方で、F35Bという短い距離で離発着ができる戦闘機についても、研究、勉強をしておりますが、現段階でそれ以上のことが決まっているわけではありませんで、今与党でも議論していただいておりますし、政府の有識者懇でも、大綱、中期防のあり方、航空機の体系等を議論していただいておりますので、その御意見も聞かせていただいた上で更に検討を深めて、最終的に判断をしていきたいと思っているところでございます。

渡辺(周)委員 小野寺当時の大臣が攻撃型空母という言葉を使っているんです。これは、例えば対潜ヘリを載せている場合は攻撃型の空母ではないけれども、例えばF35Bが搭載されたときには攻撃型空母になるんじゃないかと思うんです。

 この攻撃型空母という言葉の定義は、大臣はどのようにお考えですか。

岩屋国務大臣 従来から政府としては、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるいわゆる攻撃型兵器を保有することは、これは自衛のための必要最小限度を超えるというふうに言っておりまして、例えば攻撃型空母を保有することは許されないと累次答弁をしてきておりますが、この際の攻撃型空母というのは、この答弁は、最初、昭和六十三年当時の答弁ですけれども、例えば極めて大きな破壊力を有する爆弾を積めるなど大きな攻撃能力を持つ多数の対地攻撃機を主力とし、さらにそれに援護戦闘機や警戒管制機等を搭載して、これらの全航空機を含めて一体となって一つのシステムとして機能するような大型の艦艇を言うというふうにしていたところでございます。

 なお、その後、攻撃型空母という言い方はされなくなってきておりまして、現在、国際的に確立した定義は定まっていないというふうに承知しておりまして、この種の艦船を保有する国においては、当該艦艇の目的、搭載する航空機の種類や量等に応じて呼称をそれぞれ定めていると認識をしております。

渡辺(周)委員 この点について、防衛大綱が出てきたところで、また議論を何らかの形でもしたいと思います。

 ちょっと時間が五分になります。

 河野外務大臣、連日、北方領土の今後の日ロ平和条約に向けての交渉についていろいろ質問をされ答弁をされていると思いますが、ロシアに対して、この問題は、やはり我が国として、不法に占拠された四島、そして四島の返還、そして、申し上げたら時間がありませんのでこれだけにしますけれども、この認識にはお変わりはないですね。ロシアによる不法な四島の占拠、そして、我々としては四島返還、このことについては揺るぎはないですね。

河野国務大臣 さきの首脳会談で、五六年の共同宣言を基礎に交渉を加速しようということで、これから交渉の加速をしていくところでございます。

 それに際しまして、政府としては、交渉の場以外の場所で政府の考え方や方針を申し上げるのは交渉の加速化に資さないというふうに思っておりますので、今、差し控えさせていただいているところでございます。

渡辺(周)委員 我が国は北方領土返還運動をずっとやってきて、我が国の固有の領土であり、不法に占拠されていて、その四島返還だということはずっと言ってきたわけですよ。ですから、ここへ来て我が国がそれを主張しないという、それはもう何か、その点についてどうして物を言えないのか。これは多分きのうも、玄葉元外務大臣との外務委員会のやりとりでも相当同じ議論をしています。

 今のお答えも、ほとんど今までと同じような、判で押したような答弁でございますが、どうしてそれが言えないのか。余りにも、ちょっとロシアに物言えぬ日本に今なっているんじゃないかと非常に我々は心配しているわけです。

 そこで、ちょっと内閣府に来てもらっていますが、来年二月七日、北方領土の返還運動の全国大会、これは予定どおり行われますか。

松林政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのございました北方領土返還要求全国大会は、政府が二月七日を北方領土の日に制定した昭和五十六年から開催してまいりました。

 来年の大会に関しましては、去る十一月十三日に、北方領土返還実現のため常時活動しております青年団体、婦人団体、労働団体、その他各種団体から成る北方領土返還要求運動連絡協議会……(渡辺(周)委員「もういいですから、簡潔に言ってください。やりますね」と呼ぶ)はい。

 それから、地方六団体、内閣府の三者で実行委員会を立ち上げました。その第一回会合におきまして、来年二月七日の開催日程が了承されたところでございます。

 今後、この委員会において準備が進められるものと承知しております。

渡辺(周)委員 そこで、もうこれまでも、平成二十九年、三十年とアピールしています。そこに書かれた、北方四島が不法に占拠され、去年の大会のアピールでは、七十一年が経過しました、ことしの大会では、七十二年が経過しましたと。そして、この運動の中には、北方四島の返還実現を目指し行動を推し進めます、こういうことを、北方四島の返還こそが我が国とロシアの真の友好と信頼関係を築きと、このようなアピールをして採択しているんです。

 当然、河野外務大臣もことしは出られて来賓として御挨拶をされていますけれども、この点について、やはり我が国が今まで一貫してやってきたことが、ここへ来て、我々の今までの主張すらもあえて言わない。

 これは本当に、私たちは物言えぬ日本になってしまって、何か交渉の決裂を恐れるばかりに物言わなくなったら、ほかの国に対しても、日本の国は実効支配して時間がたってくれば、これはもう竹島もそう、あるいは、ひょっとしたら尖閣だってどんなことがされるかわかりません。

 つまり、あの国は最後は折れて諦める国だというような間違ったメッセージを、ほかにも領土の問題を抱える我が国として、その点については、河野大臣、しっかりとぜひとも物を言っていただきたい。昔の河野太郎、あの姿をぜひ見せていただきたい。そのことをお願いして、もう時間が来ましたので終了いたします。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、広田一君。

広田委員 無所属の会の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、一般質疑でございますので、これまでの議論の積み残し等についてお伺いをしたいと思います。この前の給与法のときにお聞きすることができなかった件であり、先ほど、自民党の高村委員の方から募集等の重要性のお話がございました。それに関連いたしまして、まず、地方協力本部のあり方についてお伺いをしたいと思います。

 自衛隊の精強性の確保を図る上では、募集、援護は極めて重要でございまして、よって、その最前線で任務に精励する地方協力本部の役割はますます重くなっているところでございます。

 一方で、いわゆる地本の抱える課題の一つは、定員を大きく超えた定員外勤務の自衛官を配しての業務が常態化をしているところでございます。この原因といたしましては、現状の募集、援護業務は、編成の考え方に基づく定員では任務遂行が困難であるということが挙げられるわけでございます。

 地本の募集、援護の体制の適正化につきましては、一つは、必要な規模の人員の定員化はもちろんのこと、募集規模に応じた最適な人員の差し出し要領の検討が必要だというふうに思います。

 地本勤務に必要な能力とか特性を有する隊員の計画的な管理といったものも挙げられるわけでございますけれども、これは古くて新しい問題だと思いますが、どのような取組をされているのか、まずお聞きをいたします。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 地方協力本部につきましては、これはもう委員御案内のとおりでございますけれども、全国五十カ所に設置をされておりまして、自衛官等の募集、再就職、予備自衛官等の招集に関する事務、国民保護法や災害派遣時における各自治体との連絡調整などの任務を遂行しておるところでございまして、地域に密着した形で幅広い役割を担っており、多くの自衛官等が配置をされているところでございます。

 特に、御指摘もございましたけれども、採用をめぐる環境が厳しさを増している中で、効果的な採用活動を行うことが喫緊の課題でありまして、自衛官等の採用に直接影響を及ぼすことから、優秀な広報官を配置することも地方協力本部における重要な課題というふうに考えているところでございます。

 御指摘の定員を含めた問題でございますけれども、平成二十九年度には連絡調整の強化ということで全国の地本に自衛官約百三十名を増員をしておるところでございまして、引き続き必要な措置を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 防衛省といたしましては、地方協力本部の有する幅広い役割の重要性を踏まえ、地方協力本部が有する機能を最大限発揮することが重要であると考えておりまして、そのためにいかなる対策をとるべきか不断に検討してまいりたいと考えているところでございます。

広田委員 御答弁いただきました。

 問題意識は非常に共有をいたします。そして、今募集が非常に厳しい状況に陥っているというふうな中で、地本の皆さんが士気高く任務に精励される環境をつくっていかなければいけないと思います。

 ですので、ちょっともう一点確認なんですが、定員を大きく超えた、定員外勤務の自衛官を配置しての業務が常態化している、これをしっかりと改善をしていくというふうな決意があるのかどうか。この点についてお伺いします。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この地方協力本部に配置をされている自衛官が非常に士気高く活動してもらうということは、非常に我々にとっても重要な課題であるというふうに考えておりまして、地方協力本部にかかわるそうした課題につきまして、不断に検討を行い、必要な措置をとってまいりたいというふうに考えているところでございます。

広田委員 もう少し詰めたいところでございますけれども、これも今後の検討課題でまた取り上げていきたいと思います。

 それでは次に、十一月十三日の大臣所信に対する質疑の続きを行いたいと思います。

 先ほど来、専守防衛の議論、「いずも」のいわゆる空母化に絡めてあったわけでございますけれども、ちょっとそもそものところになってしまいますけれども、どうかよろしくお願い申し上げます。

 まず、集団的自衛権行使の新三要件と専守防衛の定義の関係、これについて先般お伺いをしたところでございます。

 私は、安倍政権以前の自民党政権や、あと、民主党政権同様に、現行憲法下で集団的自衛権の行使を容認することには反対であります。この点は政府・与党の皆さんとは立場の違い、認識の違いがあるわけでございますが、その上であえて、今はもう既に安保関連法が施行されているわけでございますので、その土俵に上がって質問をしたいと思います。

 この前の岩屋大臣の答弁で気になりましたのは、集団的自衛権の行使は専守防衛の考えを逸脱するものではないというふうな御答弁がございました。専守防衛の定義の肝の一つは、これは釈迦に説法ですけれども、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使をするというものであります。すなわち、防衛白書にも書いてありますとおり、我が国に対する侵略があった場合に初めて防衛力を行使をするということであります。

 これを素直に厳格に読むと、新三要件に基づく集団的自衛権を行使するのであれば、私は、専守防衛は再定義をするか又は破棄をして新たなものを打ち出す、こういうふうにしなければならないというふうに思う立場でございます。

 そこでまず簡単な確認ですけれども、新三要件の第一は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される明白な危険というふうにありますが、この要件は専守防衛の定義のどこに書いているんでしょうか。

岩屋国務大臣 専守防衛のいわゆる確立した定義の中に書いているわけではありませんけれども、この専守防衛の姿勢に沿ったものだと思うのです。

 つまり、平安法によって許された限定的な集団的自衛権の行使というものは、他国を守ることを目的とするものではなくて、我が国を守ることを目的とするものでございます。

 我が国に対する攻撃ではなくとも、密接な関係にある国に行われた武力攻撃によって、新三要件に言う国民の生命、自由、その幸福追求の権利が根底から脅かされるような危険がある場合に、存立危機事態というものが認定されれば、我が国を守るために自衛権を行使することができるということでございますので、専守防衛のこれまでの定義の中に密接な国に対する攻撃などという文言があるわけではありませんけれども、憲法の精神にのっとった防衛戦略の姿勢から外れるものではないというふうに考えているところでございます。

広田委員 大臣、申しわけないんですけれども、それは違うのではないかなというふうに思います。専守防衛の定義の中には、旧第一要件についてははっきりと書いてあるんです。今度の新三要件には書いていないということは今大臣もお認めになったわけでございます、書いていないわけですから。

 ですので、それを受けてちょっとお聞きしたいんですが、大臣は何かこの前の御答弁の中でも、「明白な危険があるということは、そのまま放置しておけば我が国が武力行使を受けたと同じような被害、損害というものが発するおそれがある、」こういうふうに答弁をされております。

 一方で、専守防衛の定義は、繰り返しになりますけれども、「相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使する。」というふうに書いてあります。すなわち、この場合、我が国に対して武力攻撃が発生しているので、当然のことながら、もう既に被害、損害は生じております。

 一方で、新三要件の明白な危険とは、大臣が御答弁されたように、被害、損害が発生するあくまでおそれであり、当然ながら、我が国はまだ被害、損害は発生しておりません。

 以上のことからもわかるように、今回の新三要件の集団的自衛権の行使は、専守防衛の定義に書かれている武力行使の要件とは、姿勢どころか、文理上も概念上も全く違うものなんです。この点についてはいかがでしょうか。

岩屋国務大臣 我が国が攻撃を受ける場合というのは、まさに武力攻撃事態でございます。武力攻撃が切迫している事態にまだ自衛権を行使できないというのは、まさに攻撃が今なお発生していないからでございます。

 一方の存立危機事態というのは、我が国と密接な関係にある国に対して武力攻撃が既に発生をしているわけでございます。これが決定的な違いでございまして、密接な関係にある国に対する攻撃が既に発生している、そのことが我が国の、その三要件に言うところの明白な危険をもたらすような場合は、全てがというわけではないと思いますが、存立危機事態の認定に妥当する場合は認定がなされて、その場合に限って必要最小限度の自衛権を行使することができるということですから、そこに私は矛盾はないものと考えております。

広田委員 大臣、申しわけないんですけれども、今の御答弁は、憲法との関係において、それは憲法違反ではありません。しかるにというところの議論としては、確かに一定理解できるんです。

 ただ、専守防衛については、武力行使ができる要件というのは、先ほど言ったように、我が国に対する武力攻撃が発生をして初めてとしか書いていないんです。これだけしか書いていないんです。今大臣がるる申した存立危機事態といったことについては想定もしていないし、これはどこをどう読んでも書かれていないんです。書かれていないんです。

 書かれていないことを、どうしてこれが専守防衛については逸脱していないというふうに言い切れるのかという、私の質問は非常に単純な質問でございます。いかがでしょうか。

    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

岩屋国務大臣 先ほどからお答えしているように、専守防衛というのは、相手から攻撃を受けたときに初めて自衛権を行使し、その対応も必要最小限でなければならないという憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢を言うというふうに政府はずっと説明をしてきているわけでございまして、したがって、存立危機事態において行使することができる自衛権というものも、この姿勢、考え方に沿ったものであるということを申し上げているわけでございます。

広田委員 大臣、姿勢というふうなところに何とか逃げようというふうにしているんだろうというふうに思いますけれども。

 先ほど来御質問をしているとおり、相手から武力攻撃を受けたときの文言に、どう解釈すれば、先ほど来大臣がおっしゃるような、明白な危険とか、そして、そのまま放置していれば我が国が武力行使を受けたと同じような被害、損害が発生するおそれがあるのか。こういうことについて、日本語としてちゃんと合理的な根拠を示さなければいけないんです。

 その最後の云々かんぬんの姿勢というところについては、それは受動的な防衛戦略の姿勢というふうなところなんですけれども、その大前提、そして根本的な原理原則において、我が国に対する武力攻撃が発生して初めて防衛力を行使をする、武力行使をするというふうに、厳格に、明確に、初めてという言葉を使って規定をしているわけなんです。

 そう考えますと、先ほど来言っていた新三要件の明白な危険というか、そして、おそれがあるというふうに、我が国に対してまだ被害や損害も生じていないのに武力行使ができるという、この専守防衛の定義からいうと、私は説明をすることは不可能であるというふうに思いますので、もし新三要件というものを掲げてやるのであれば、専守防衛というものの再定義というものをして、かくかくしかじかで、だから最終的にはこれは受動的な防衛戦略の姿勢なんだというふうにしていかなければ、私はこれは合理的な整合性がないんじゃないかなというふうに思いますので、その点に対する大臣の御見解をお聞きします。

岩屋国務大臣 先生のお気持ちはよくわかります。だから、我々は、平和安全法における存立危機事態において行使できる自衛権というのは、これまでの専守防衛の考え方、姿勢を外れるものではないと思っているから、この文言で十分に説明できると思っているわけですが、先生は、そうであるならば、もうちょっと専守防衛の定義というものを詳しく正確に書き直してはどうかということをおっしゃっておられるということだと思います。

 そこは余り考え方に違いはないんだろうと思いますが、私どもは、これまでの定義で十分に御説明ができるというふうに思っているわけでございます。

広田委員 大臣、これまでの御説明だと、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使をすると。この武力行使の要件、厳格に規定されているところから、どうして、密接な国に武力攻撃があって、それによって我が国の存立が脅かされ、そして、国民の生命、自由、幸福を追求する権利が根底から覆される明白な危険、これが何で読み取れるのか。

 読み取れないんですよ、日本語の文理上。旧第一要件は読み取れます。けれども、新三要件はどうしても読み取れないんです、武力行使の要件として。読みづらいんです、日本語として。書いていないんですもの。どう解釈しても、そういう言葉は日本語として導き出すことは不可能なんです。

 だから、もし新三要件というものを、これを受動的な防衛姿勢というふうに位置づけたいのであれば、専守防衛については再定義するしか私はないんじゃないかな、こういうふうに言っているわけです。

岩屋国務大臣 繰り返しにどうしてもなってしまうんですけれども、平和安全法で言うところの存立危機事態というのは、我が国が直接の攻撃を受けていない、密接な関係にある国に対する攻撃であっても、現在、弾道ミサイルが配備をされ、また、そこに核兵器等の大量破壊兵器が載せられる時代であり、なおかつ、近接国からそれが発射されれば十数分で我が国に着弾をするという軍事環境、安全保障環境の中にあっては、密接な国に対する攻撃であっても、そのまま放置すれば我が国が攻撃を受けたと同様の重大、深刻な被害が生じ得る場合があり得るという時代になってきたということで平和安全法をつくってきたわけですから、だから、それは専守防衛の考え方から外れるものではないということを再三申し上げているわけでございます。

槌道政府参考人 済みません、補足させていただきます。

 もともと、相手から武力攻撃を受けたときと専守防衛の説明に書いてございます。これは、従来、我が国の憲法上、自衛の措置としての武力の行使が可能なのは我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると解していたことから、我が国が武力攻撃を受けたときというふうに指すものと考えてきたところでございます。

 その上で、平成二十六年七月の閣議決定におきまして、先ほど大臣から御説明させていただきましたとおり、それ以外の場合において、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合であっても、一定の場合、武力行使が許容されるというふうに解釈をいたしました。

 したがいまして、相手国から武力攻撃を受けたときには、我が国と密接な関係にある他国に対して武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むというふうに解しているわけでございます。

広田委員 ですから、大臣の答弁も槌道さんの答弁も、どうして平和安全法制を制定して存立危機事態における新三要件が必要なのかというふうな説明としては、私は理解をすることができます。

 しかし、それと専守防衛の今の定義とは相入れないということなんですよ。だから、今の御説明は、その必要性、なぜ平和安全法制をつくったのかということの答弁としては理解できますが、専守防衛の定義と照らし合わせたときにとてもそのような結論は導き出すことはできないので、先ほど言ったようなことを私は申し上げている次第でございますので、ぜひこの点についても検討をしていただければなというふうに思っております。

 その上で、それぞれの、段々のお話があった「いずも」の空母化等々が専守防衛のまさしく姿勢として妥当なのかどうかということは、今後、国会でもしっかりと議論していかなければいけないというふうに思います。

 質問時間が参りましたのでこれで終了します。どうもありがとうございました。

宮澤委員長代理 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは南西諸島への自衛隊配備について質問をいたします。

 先月の二十六日、日中首脳会談が行われました。習近平国家主席、李克強総理との間で、互いに脅威とならないという原則を再確認し、日中関係の改善に向けた取組が進められています。

 一方、宮古島や石垣島では、そのような動きなどなかったかのように、住民合意を置き去りにして陸上自衛隊の部隊配備に向けた工事、作業が着々と進められています。石垣島については、今月二日、沖縄防衛局が造成工事の入札公告を行いました。しかし、工事の前提となる環境調査はこの八月に始まったばかりであります。

 防衛大臣に伺いますが、この環境調査は、いつまでの期間、実施することを想定しているのでしょうか。四季を通じた調査には少なくとも来年の夏までの期間を要するはずですが、なぜ、調査も終わっていないのに工事に向けた手続に着手されたんですか。

岩屋国務大臣 質問にお答えする前に、先生から中国との関係についてお話が冒頭ございましたけれども、中国の活動はしっかりウオッチしていかなければいけないと思っていると同時に、防衛当局間の信頼醸成の努力もしていかなきゃいけないと思っておりまして、日中海空連絡メカニズムに加えて、今度ホットラインもつくるように今準備をしているところでございます。

 その上で、南西の守りというのは非常に重要だと我々は思っておりますので、防衛省としては、今、石垣島への陸自部隊の配備に向けて土地を取得し、その後、遅滞なく工事に着手できるように万全の措置を講じたいと考えておりますことから、本年八月から来年三月末までの期間で、施設配置場所を含む範囲における既存資料の収集、整理や動植物調査などを行う現況調査を今実施しているところでございます。

赤嶺委員 その現況調査の件ですが、与那国島のときには、少なくとも環境調査が終わった後に造成工事の手続に着手をしました。今回はそうした手順さえ無視したままであります。

 環境調査の結果もまだわからない、どのような対策をとるかも決めていないのに工事に着手するというのは、これは余りにも乱暴なやり方ではないかと思います。なぜそれほど急ぐ必要があるんですか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 石垣島への陸上自衛隊部隊の配備に関しまして現在実施している現況調査の履行期限は、来年、平成三十一年の三月末までとしておりますが、今般入札公告を行いました造成工事に着手する前までに、この工事で造成をする部分については現況調査を終え、必要な場合は対策を講じるなど、環境にも十分配慮して工事を実施する考えでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省におきまして、南西地域における自衛隊配置の空白状況を早期に解消することは喫緊の課題と考えておりまして、引き続き、地元への丁寧な説明にも努めつつ、陸自部隊の配備を進めていきたいと考えております。

赤嶺委員 環境調査というのは、少なくともアセスでは二年、三年ですよ。それを皆さんは一年でやろうとしている。

 しかし、今度は一年でもない。工事に着手するところだけ三月までに終えますという、こんなでたらめな話がありますか。そういう土地とか地域というのは一体となって存在しているわけですから、だから、与那国島では環境現況調査が終わってから造成工事が始まったわけですよ。異例なやり方ですよ。

 結局、何でこんなやり方をとっているかというと、来年四月に施行される改正後の沖縄県環境アセス条例の適用を逃れるために着工を急いでいるとしか考えられません。

 琉球大学の名誉教授渡久山章さん、それから沖縄大学名誉教授の桜井国俊さんは、八月三十一日と九月一日、配備予定地の平得大俣地区周辺から流れる宮良川水系の実地調査を行いました。その結果を踏まえ、島内の全住民の飲料水、農産物のかんがい用水の水源となっている宮良川水系に基地建設が与える影響について環境アセスメントを行うよう提言を出しています。

 あの地形のことを知っている人間から見れば、ごくごく当然の提言であります。こうした専門家の指摘も無視して工事に着手するということは絶対に許されないということを申し上げておきたいと思います。

 今、石垣島では、陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票条例制定の直接請求に向けた署名活動が進められています。

 改めて、何のための自衛隊配備かという点にかかわって伺いますが、島嶼防衛のための自衛隊の態勢を検討する省内の枠組みとして、機動展開ワーキンググループという作業部会が設置されていたことがある、このように聞いております。

 この作業部会の設置目的、期間、業務内容、そして、それにかかわる報告書の有無、その概要を明らかにしていただけますか。

    〔宮澤委員長代理退席、委員長着席〕

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の機動展開ワーキンググループにつきましては、平成二十二年の十二月から平成二十五年の十二月にかけまして、防衛省におきまして内部検討のため設置していたワーキンググループでございます。

 このワーキンググループは、平成二十二年に決定をいたしました防衛大綱及び中期防に基づきまして、当時のコンセプトであります動的防衛力の構築に向けて、島嶼部を念頭に置いた部隊の機動展開態勢を検討するために設置をされたものでございます。

 業務内容につきましては、その部隊が活動を行う際の拠点、機動力、輸送能力、あるいは、実効的な対処能力などの強化に関する問題点と解決の方向性について検討していたということであります。

 このワーキンググループにつきましては、平成二十四年末に政権交代がありまして、新たな防衛大綱の策定に向けた作業を実施することとなったため、最終的な報告書といったものは作成をされていないと承知をしております。

 いずれにいたしましても、この時期に行っていた機動展開に関する内部検討の成果につきましては、平成二十五年に策定をされた現在の大綱あるいは中期防の内容に反映をされているものと考えております。

赤嶺委員 報告書はない。しかし、現在の大綱、中期防に反映されている。そういうことですね。

 それで、機動展開ワーキンググループは、二〇一二年三月二十九日に機動展開構想概案という内部報告書をまとめています。きょうは、その一部をここに持ってまいりました。

 表紙には「取扱厳重注意」とあります。それで、「はじめに」という部分では、この文書の性格についてこう書かれています。

 「本稿は、機動展開WGとして、統合的な観点から「所要の地域へ各自衛隊の部隊や統合部隊を迅速に展開し、効果的な事態の抑止・対処にあたる機動展開の考え方」を軸として、部隊が活動を行う際の拠点・機動力・輸送能力及び実効的な対処能力等の防衛体制・態勢の強化・整備に係る問題点と解決の方向性について検討中であるところ、その中間成果を「機動展開構想概案」として取りまとめたものである。」このように書かれているわけです。

 こういう報告書、これを持ってまいりましたが、こういう報告書をまとめているのではありませんか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の資料につきましては、現在手元にも私も持っておりませんので確認ができませんが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げた機動展開ワーキンググループにつきましては、平成二十四年末に政権交代があったこと等も踏まえまして、新たな防衛大綱の策定に向けた作業を実施するということになったので、最終的な報告書は作成されていないというふうに承知をしてございます。

赤嶺委員 私は中間報告のことを今申し上げたんです。

 その中間報告の中に、報告書の「別紙第四」というところで、「島嶼奪回のための展開」、こういう表題での、ORと呼ばれる作戦分析を二つの段階に分けて行っています。

 一つは、二千名の自衛隊の普通科部隊が事前に配備されている離島に対して、三個の海軍陸戦大隊、四個の空挺大隊から成る四千五百名の部隊が上陸してきて、どちらか一方の残存率が三〇%になるまで戦闘を実施するという設定があるんです。

 戦闘の現場として想定されているのは、この中間報告では石垣島であります。具体的には、島全体の六カ所で戦車の使用を含む戦闘が行われ、最終的な残存兵力数は、自衛隊が五百三十八名、相手は二千九十一名で、相対的に我が方は劣勢、このようにしているんです。負けているんですよ。

 その後の展開がもう一つの設定です。

 自衛隊は、一個の空挺大隊、一個の普通科連隊から成る千七百七十四名の増援を得て相手の残存部隊と戦闘を行い、最終的な残存兵力数は、自衛隊八百九十九名、相手は六百七十九名となり、相対的に我が方優勢、このようにしているんです。

 最終的な結論として、本結果から、約二千名の部隊を増援させれば、おおむね再奪回は可能、島嶼奪回作戦というものです、としています。

 防衛大臣に伺いますが、事前に自衛隊の部隊を配備したとしても、相手から攻撃され、島全体が戦場になることもあり得ます。そうした場合、そうした事態も想定した上で南西諸島への自衛隊配備を進めている、そういうことですね。

岩屋国務大臣 そういうことではございませんで、まずは島嶼をしっかりと防衛する、侵略、侵害をさせないということが何より大事なことでございまして、それがために、南西地域に空白がないように自衛隊の部隊を配備をして抑止力を強化し、まずは侵害、侵略を防ぐということが最大の目的なわけでございます。

赤嶺委員 現行の防衛大綱、これに反映されているというお話がありましたが、島嶼部に対する攻撃への対応として、島嶼部に対する攻撃に対しては、安全保障環境に即した配備された部隊に加え、侵攻阻止に必要な部隊を速やかに機動展開し、海上優勢及び航空優勢を確保しつつ、侵略を阻止、排除し、島嶼への侵攻があった場合には、これを奪回すると。今、そういうことを言っているわけでしょう。現行の防衛大綱で、島嶼奪回作戦と皆さん盛んに言っているじゃないですか。そういう場合に、島が戦場になったときに住民はどうなるのかということですよ。

 この報告書の中には、「国民保護のための輸送は、自衛隊が主担任ではなく、所要も見積もることができないため、評価には含めない。」このようにしています。

 では、石垣市の国民保護計画ではどうなっているか調べてみました。「可能な限り全住民の避難を視野に入れた体制を整備する」、このようにしています。できる限りのことはやる、このように言っているにすぎないわけです。

 結局、軍隊と住民が混然一体となったもとで苛烈な地上戦が行われた、多数の犠牲者を生んだ沖縄戦の再来ということになっていきます。

 自衛隊配備の空白を埋めて国民の命を守り抜くなどと言っておりますが、そんなことができる保証がどこにあるんですか。離島奪回作戦ということになったらそういう地上戦になっていくじゃないですか。

岩屋国務大臣 先生、侵攻があったということは、我が国が侵された、沖縄が侵されるということですから、奪回をするのは当然のことだというふうに私どもは考えております。

 その際、国民保護ということに最大の配慮を払いつつ、もし侵攻があった場合には、これを奪回するということを考えていくことは当然のことだというふうに考えております。

赤嶺委員 犠牲になるのは我が沖縄県民ですよ。我々の同胞ですよ。奪回なんて勇ましい言葉を使っていますけれども、結局、沖縄戦の再来ですよ。沖縄戦の再来のようなことを念頭に置いている。今必要なことは、軍事に軍事で対抗することではない。お互いに脅威とならないという両首脳間の合意を土台として、日中関係を具体的に改善していくための外交努力ではありませんか。

 南西諸島への自衛隊配備は中止、撤回し、安保法制は直ちに廃止すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。勇ましい言葉を使って脅威をあおるよりも、軍事対軍事の対抗ではなくて、平和外交に臨むことを強く求めていきたいと思います。

 それで、きのう、玉城デニー知事と安倍首相との集中協議が行われました。会談後の会見で玉城知事は、埋立承認から五年が経過しても全体の実施計画さえも未完成で、最短でも、埋立工事で五年、軟弱地盤に対する地盤改良工事で五年、埋立完了後の作業で三年、新基地の運用開始までには十三年はかかると想定していることを明らかにしました。費用の面でも、完成までに最大二兆五千五百億円が必要になるという県の試算結果も明らかにいたしました。

 ところが、防衛省は、埋立承認のときから状況は大きく変わっているのに、それらを踏まえた見通しを一切示していません。地盤改良工事は行うのか、どのくらいの工期の延長になるのか、環境への負荷、予算額の増加を見込んでいるのか、何も示さないまま工事だけは進めようとしています。

 現時点での工期や完成時期……

岸委員長 赤嶺君、時間が来ておりますのでまとめてください。

赤嶺委員 費用の見通しを示すのが防衛省がまずやるべきことではないかと思いますが、それはいかがですか。

岸委員長 西田局長、簡潔に御答弁お願いします。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、御指摘のありました、玉城知事が述べられた工事の見通し等につきましては、私どもとしてお答えする立場にはないと考えてございます。

 代替施設の建設事業につきましては、本年十一月より海上作業を再開をしておりまして、工事を進めているところでございます。

 一方で、今後の具体的な工事の見通し等につきましては、作業の進捗や気象状況等も踏まえる必要があり、現時点で確たることを申し上げることは困難でございます。

 また、御指摘のございました地盤の問題、地盤の強度等につきましては、現在実施中のものも含めましたボーリング調査の結果等を踏まえ、地盤の評価を総合的に判断していきたいと考えております。

岸委員長 時間です。

赤嶺委員 これで終わります。それで、引き続き追及していきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、下地幹郎君。

下地委員 大臣、那覇駐屯地の創立四十六周年の記念行事があったんですけれども、模擬演習、非常にすばらしい自衛隊の演習を見させていただきました。練度が高まっているなというような感をいたしましたけれども、そのときに最後に米海兵隊が参加したんですけれども、大臣は、その模擬演習に海兵隊が参加することは存じ上げていたんですか。

岩屋国務大臣 参加したということは知っております。

下地委員 事前に知らされていましたか。

岩屋国務大臣 済みません、この記念行事の詳細について事前に報告を受けていたわけではありません。

下地委員 私も毎年参加させていただいていますが、初めてなんですよ、海兵隊が参加したのは。非常にびっくりしました。

 先ほどの赤嶺先生が話をしていた奪回作戦の模擬演習でしたけれども、最後の最後で海兵隊が来るということでありましたけれども、私からすると、日米同盟があって、いろいろな作戦が陸上自衛隊単独だけでできるものではなくて、こういうふうな、同盟に基づいて、海兵隊を始めとして演習を共同で行っていくというようなことは非常に大事なことだろうと思うんです。

 そういう意味でも、初めてでびっくりしましたけれども、これからも、そういうふうなできる範囲のことにおいて共同でできることは進めていった方がいいのではないかなというふうに思いますが、大臣のお考えを聞かせてください。

岩屋国務大臣 私もそのように思います。

 今回、初めて米海兵隊が那覇駐屯地の記念行事に訓練展示という形で参加をしたということは、日米間の連携協力について地域の皆さんに広く発信し、また、御理解をいただくという意味で非常に意義があったものと考えておりまして、もちろん、お地元のさまざまな御理解というものが必要になってくるんだと思いますけれども、そういう機会がふえていくということは非常にいいことだというふうに考えております。

下地委員 これから、私たちの沖縄において、海兵隊のグアム移転、その他いろいろな負担の削減において、海兵隊の数は減ってきますよね。どんどん減っていくということになってきますから、そういうときに、自衛隊との演習で連携をとれる体制というのは絶えずつくっていった方がいいということを改めて申し上げておきたいと思います。

 それで、二つ目ですけれども、これまでの防衛大綱とか自衛隊の考え方というのは、日本海とか南西諸島とか、こういうふうなところを重点的に配備をしていくというようなことであったわけですけれども、しかし、今、中国が、宮古の沖と石垣、宮古島と石垣の間を通って太平洋に出ていくというようなケースが多くなってきました。

 こういう中で見ていくと、太平洋の地域というのは海域の面積が非常に大きいわけですよ。陸地が圧倒的に少ないというようなことになってきますよね。そういうふうになってくると、太平洋において航空優位を保持するというのは非常に大事なことだし、やらなければいけないこと。

 前までは、鹿児島から来て、奄美諸島に来て、沖縄本島に来て、宮古、石垣まで来てという、この範囲の中でなかなか突破して太平洋に行くことが中国側はなかったんですけれども、今もう盛んに行われていますよ。

 こういうふうな状況を見てくると、太平洋地域における航空的な優位をやるという意味においては、先ほどから論議があります「いずも」とか「かが」の改修をして、これに、私の考え方、私も二〇一七年の五月八日に「かが」を見てきましたけれども、ヘリコプターが七機、そして救護ヘリが二機、九機積んでいるわけなんです。

 日本海側の場合だと、これはその役割で十分かなと思うんですけれども、太平洋側に行ったら、そういうふうなものじゃなくて、やはりF35BであったりF14であったり、こういうふうな飛行機を搭載してやっていくというのが、必要性があるのではないかなと感じたんですよ。

 それで、そのときにも、これを改修したら、離発着のときの、ハリアーみたいな飛行機は大丈夫ですかと聞いたら、大丈夫だというような返事はありました。

 そういう意味においても、この「かが」とか「いずも」は、改修するとこのF35とかFA18の離発着は可能なものになるというようにお考えになっていますか。

岩屋国務大臣 まず、太平洋地域の防衛の重要性を先生指摘していただきましたが、それは私どももそうだと思っておりまして、硫黄島ぐらいしか陸地としては、南の方に行くと南鳥島とかありますけれども、部隊を置いて守るというわけにはなかなかいかないところなので、太平洋の守りがこれから大事だなと思っておりますし、自民党の提言にも公明党さんの提言にも、そのような御指摘がございました。

 今の「いずも」型の護衛艦をこれからどうするかということについては、いろいろ研究しております。調査も行っておりまして、そういういわゆるSTOVL型の航空機がおりる可能性があるのかどうかというような調査も行っておりますが、その段階では必ずしも十分な知見が得られておりません。

 そういうことも含めて今研究、検討をしている最中でございまして、まだ判断はしておりませんけれども、さまざま、「いずも」型の護衛艦の多用途での使い道をしっかり検討して、大綱、中期に向けて方向性を出していきたいなと思っております。

下地委員 先ほど申し上げたように、広い海域の中であの七機のヘリコプターと緊急ヘリコプター二機というようなものでは、これはもう活動範囲が狭まります。空域を守るということはなかなかできないと思いますよ。

 そういう意味では、これは改修してこういうふうな離発着の戦闘機が積めるようなことにすることが、私は、多様性ができていいのかなというふうに思います。

 また、それと、攻撃型空母というようなこと、専守防衛に反するような名前がつく、これが問題だということになるかもしれませんが、しかし、そうではなくて、太平洋側において全ての飛行機の役割を果たすというのは、他の地域にこの「いずも」が行ったり、「かが」が行って戦闘するという航空母艦であるならば、これは攻撃型だと僕は思うんですよ。

 しかし、そういう範囲でないという、用途によって物事を決めていかなければいけない。専守防衛という範囲の中で、航空母艦というか、航空母艦という呼び方が問題なのか、強襲艦と呼べば問題ないのか。今の海兵隊が持っているような強襲艦、同じようなものですけれども、そういうふうなことを考えてやってもらいたいというふうに思います。

 それで、大事なことは、なし崩しにはしないこと。なし崩しに、気がついてみたら一歩一歩進んでいるみたいなやり方じゃなくて、正面から国民に説明しながら、必要性を話しながら、そして物事をつくっていく。そういうふうな、私は、安全保障に関しては、なし崩しに、気がついてみたらそうなっていましたというようにならないことが大事だというふうに思っています。

 私たちの国の歴史からしても、そういうふうなことには国民は非常に敏感に感じる、そういうふうな歴史がありますから、そのことをぜひ防衛大臣にはお願いしたいというふうに思っています。

 最後になりますけれども、河野外務大臣、質問、質問というか通告はしていないけれども、質問を待っているような雰囲気なので私が質問します。

 ブエノスアイレスで平和条約についての事務方協議をやりますよね。事務方とというか、総理がロシアのプーチン大統領とやりますけれども、私が注目しているのは、先ほど大臣からも話があった、加速するような仕組みをつくるというような中においてどういう事務方の枠組みをつくるかというのは非常に注目されると思うんです。

 相手側から誰が出てきて、こっち側から誰が出てきて、それが見れただけで、あっ、この交渉は本気があるな、本気じゃないなとわかるようなものが僕は今度のブエノスアイレスの注目をするところだと思うんですけれども、ロシア側でウシャコフ大統領補佐官が出てくるとか、いろいろなことが報道で、ネットなんかで流れておりますが、この協議の枠組みのそのメンバーみたいなものはどうなんでしょうか。

河野国務大臣 正式に発表になるまで差し控えたいと思います。

下地委員 正しい答えです。ありがとうございました。

 終わります。

岸委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 最初に、防衛省が検討している米空軍嘉手納基地の騒音コンター見直し作業の現在の進捗状況についてお伺いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、嘉手納飛行場周辺の航空機騒音につきましては、大変重要な問題であると認識をしているところでございます。

 一方、嘉手納飛行場につきましては、昭和五十八年三月の第一種区域の最終指定以降三十年を経ているということ、さらに、当時の区域指定時に比べますと騒音状況はおおむね減少傾向にあること、こういったことから、平成二十六年度から部外の調査機関に委託をした上、第一種区域などの見直しを行うこととしたものでございます。

 しかしながら、嘉手納飛行場につきましては、年度ごとに運用状況が大きく変化をしておりまして、こういった特殊性を踏まえた適切な騒音コンターを確定させるためには、これまでの調査を踏まえまして、引き続き念入りに確認をするなどが必要と判断をしておりまして、騒音コンターの作成業務につきましては、平成二十九年度以降、検討を継続をしているというところでございます。

照屋委員 岩屋大臣、嘉手納基地周辺住民や嘉手納町議会、北谷町議会が騒音コンター見直し作業の中止を求めております。沖縄市議会も、騒音コンター見直しに当たっては、市内全域を住宅防音工事の対象とするよう適用拡大を求める意見書を採択しております。

 私も、防音工事の対象が現状より縮小されるような見直し作業であれば、即刻中止すべきであると考えます。

 安倍内閣が沖縄の基地負担軽減を言うならば、嘉手納基地周辺住民の健康、睡眠、生活の質を守る観点から、防衛省は嘉手納基地における騒音コンター見直し作業について、拡大を前提に進めるべきだと考えますが、大臣の見解を伺います。

岩屋国務大臣 基地の騒音対策というのは非常に大事だと我々も思っておりまして、しかし、それがためには、現在の騒音の状況を反映をした区域指定といいますか、コンターでなければいけないというふうに思っております。

 したがって、区域に指定された後、長期間が経過をしていたり、この間に配備機種の変更等があるようなところでは、調べ直して全国的に見直しをしているところでございますが、嘉手納飛行場につきましては、年度ごとに運用状況が大きく変化する特殊性がある施設であることから、騒音コンターの作成業務については、平成二十九年度から、先ほど説明いたさせましたように、検討しているところでございまして、いずれにしても防衛省としては、嘉手納飛行場周辺の航空機騒音は非常に重要な課題であると認識をしておりまして、第一種区域等の見直しについては、地元の皆さんの声によく耳を傾けつつ、丁寧に対応してまいりたいというふうに思います。

照屋委員 大臣、一方、防衛省は、移設、返還に取り組んでいることを理由に、米軍普天間飛行場については騒音コンター見直しを実施しない方針のようです。

 普天間飛行場では、欠陥機オスプレイ強行配備に伴い、低周波騒音による被害が指摘をされております。普天間飛行場の五年以内の運用停止がほごにされる中、防音工事の対象拡大を前提に、低周波騒音も反映させるような騒音コンター見直し作業に着手すべきではないでしょうか。

 大臣の見解を伺います。

岩屋国務大臣 普天間飛行場については、これまでも、一日も早い移設、返還の実現に向けて取り組んでまいりましたし、これからも取り組んでまいりたいと思っております。

 この間、先生御案内のように、空中給油機の県外への移設でございますとか、まさに委員長のところにお世話になったわけでございますけれども、オスプレイの県外での訓練を行うなど、騒音ができるだけ減るように努力をしてきたつもりでございますが、騒音状況は上下しますけれども、おおむね減少傾向にあるものと認識をしております。

 今先生から御指摘があった低周波騒音というのは、まだ調査研究の段階にあって、明確には申し上げられない段階にあると承知をしております。

 いずれにしても、我々は一日も早く普天間基地の移設、返還を実現したいと思っておりますので、現段階では、第一種区域の見直しを普天間において行うという考えは持っておらないところでございます。

照屋委員 大臣、沖縄市、嘉手納町、北谷町で構成する米軍嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会の調査で、嘉手納基地に着陸する米軍機の飛行経路が明らかになりました。

 三連協の調査によって、住民からの苦情が多数寄せられている沖縄市登川や北谷町砂辺、桑江の上空で米軍機が着陸に伴う旋回を繰り返し、アフターバーナーの使用によって爆音被害が激化している実態が裏づけられましたが、大臣の受けとめを伺います。

 また、三連協によると、米軍はこれまで、嘉手納基地から離着陸する常駐機や外来機が飛行する場周経路を明らかにしておりません。普天間基地では明らかにしているんです。

 岩屋大臣、政府として、場周経路を明らかにするよう米側に求めているのでしょうか。あるいは、今後求めていく考えはありますか。見解を伺います。

岩屋国務大臣 嘉手納飛行場においても、騒音の問題は周辺住民の皆さんにとっては深刻な問題だと私どもも認識しておりまして、できるだけその軽減を図ってまいりたいというふうに思います。

 防衛省としては、これまでも米側に、累次にわたって、騒音規制措置の遵守や、休日や地元の行事への配慮を申し入れておりますが、それに加えて、訓練移転を更に積み重ねていく、あるいは、防音工事もしっかりと実施していくというようなことを引き続きやっていきたいと思っております。

 なお、今先生御指摘の場周経路、飛行経路については、米空軍のホームページに嘉手納飛行場運用指令というものが掲載されておりまして、その中に、嘉手納飛行場の場周経路、飛行経路が示されていると承知をしております。

 いずれにしても、今後とも、防衛省として、騒音規制の措置を米側に遵守してもらうように、引き続き累次にわたって働きかけてまいりたいというふうに思います。

照屋委員 大臣、日米間で合意した騒音防止協定も守らない、普天間飛行場では場周経路も守らない、こういう実態で、騒音というのは、嘉手納基地周辺住民は殺人的爆音と言うんだ。これはもう司法でも違法だと断罪されたことを大臣にはぜひ肝に銘じていただきたい。

 こういうことを要望して、終わります。

岸委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 新会派、未来日本の長島昭久です。

 両大臣、大変お疲れさまです。ラスト十分ですから、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

 本日の午前中にまた、韓国の最高裁、大法院におきまして新たな最高裁判決が出ました。十月三十日の新日鉄に続いて今度は三菱重工にも賠償命令、こういうことになったわけでありますが、こんなことを続けていると日韓関係も本当に破壊されますし、韓国でビジネスもやっていられないという話になりますよね。

 河野大臣におかれましては、どこかでやはりけりをつけていただきたい、この負の連鎖をどこかでとめなきゃいけない、こう思うんですが、まず、きょうの判決に対する御所見を承りたいと思います。

河野国務大臣 前回の大法院の判決、それから今回の大法院の判決を含め、日韓請求権・経済協力協定に明らかに違反をし、一九六五年の国交正常化以来築いてきたこの日韓両国の関係の最も根本的な法的基盤を覆してしまうもので、これは極めて遺憾であり、断じて受け入れることができません。

 韓国に対して、こういう国際法違反の状況をなるべく早く是正することを含め適切な措置を講ずるよう求めてきておりますので、韓国側にしっかりと対応していただきたいと思っているところでございます。

長島委員 今、大臣から国際法違反というお話がありましたが、幾つか、きょうはそういう意味で確認をさせていただきたいことがあります。

 一つは、まさに議論の大前提、国際法、国際条約のことについてでありますが、条約法に関するウィーン条約というものがございます。第二十六条、「効力を有するすべての条約は、当事国を拘束し、当事国は、これらの条約を誠実に履行しなければならない。」二十七条、「当事国は、条約の不履行を正当化する根拠として自国の国内法を援用することができない。」コンメンタールによると、国内法だけじゃなくて、国内事情を理由にしてはならない、こう解されるそうでありますが、これは「当事国」と言うんですから、行政府や立法府のみならず、司法府も当然のことながら拘束をすることになるんだろうというふうに思いますが、韓国はこのウィーン条約を批准しているでしょうか。

河野国務大臣 済みません、事前に通告がないものですから、確認しているところでございます。

長島委員 していますよね。

三上政府参考人 申しわけありません。

 韓国も批准しております。

長島委員 批准もしておりますし、韓国の憲法も私は調べてみましたが、韓国の憲法第六条は、我が国の九十八条二項とほぼ同じ、国際法遵守の条文がございます。

 したがいまして、ここまで条件がそろえばこういった判決は当然のことながら出てこないはずなんですが、そこで、大事な点をもう一つ確認をしたいんですけれども、個人の請求権という話がこの間何度も出てくるわけでございまして、今回の韓国の大法院の判決は、元徴用工、私どもは、旧朝鮮半島出身労働者、いわゆる徴用工ですが、元徴用工の個人の請求権は消滅していない、そういう判断を下しております。

 日本政府は、柳井条約局長の答弁を始め、これまでも累次にわたって、請求権協定によって日韓両国間での請求権問題が解決されたとしても、被害に遭った個人の請求権を消滅させることはできない、こういう答弁を繰り返してきているわけですが、この点を加味しながら、本当に日韓の間で最終かつ完全にこの請求権の問題が解決したと言い切れるその理由をるる述べていただきたいというふうに思います。

三上政府参考人 お答え申し上げます。

 個人の請求権を含め、日韓間の財産請求権の問題は、日韓請求権・経済協力協定により完全かつ最終的に解決済みであるというのが我が国政府の一貫した立場であります。

 具体的には、日韓両国は、同協定第二条1で、請求権の問題は完全かつ最終的に解決されたものであることを明示的に確認しております。

 また、第二条3で、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及び国民に対する全ての請求権に関して、いかなる主張もすることができないとしておりますことから、慰謝料請求権も含め、一切の個人の請求権は法的に救済されないということでございます。

長島委員 今、救済されないという説明をされましたけれども、訴える権利は保障されているんでしょうか、個々人が。

三上政府参考人 国内法的に、請求権そのものが消滅したという言い方はしておりません。訴えることはできますけれども、それに応ずべき法律上の義務は消滅しておりますので、救済が拒否されることになるという整理でございます。

長島委員 訴える権利はあるんだけれども、その権利は救済されない、こういう説明だと思うんですけれども、じゃ、どこがその救済の義務を負っているんでしょうか、これは日韓の合意の中で。

三上政府参考人 先ほど申し上げましたように、この請求権の問題につきましては、日韓請求権・経済協力協定によって、日韓の間で完全かつ最終的に解決済みであるということでございます。そこに尽きるということでございます。

長島委員 いや、ちょっとよく最後がわからないんですけれども。要するに、個人として請求権、訴えることはできる、しかし、それは最終的には裁判所に持ち込んでも救済されないんだ、その根拠は何ですかと聞いているんですが。

三上政府参考人 先ほど申し上げましたように、権利そのものは消えるということは申し上げておりませんけれども、日韓協定におきまして明確に、完全かつ最終的に解決された、それから、いかなる主張も請求権に関してはすることができないということがセットになっていますので、これが全体としてこの問題については完全に解決済みであって、法律上の救済ができないということでございます。

長島委員 大臣、救済の道義的責任は韓国政府が負うというのが韓国の政府の認識でもあり、日韓間の合意、コンセンサスじゃないんですか。それは、二〇〇五年、盧武鉉政権のときに、これはもう軍事政権じゃなくて民主化された政権ですよ、当然のことながら。このときに日韓協定にかかわる外交文書を全部公開して、その上で官民の合同チームできちっと再検証した結果、この救済についての道義的責任は韓国政府が負うものだというそういう結論であると認識しているんですけれども。そうであるからこそ、今回強い態度に日本は出られると認識しているんです。いかがですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、盧武鉉政権時代、二〇〇五年におきまして、盧武鉉政権の総理主宰のもとの官民共同委員会、ここにおいて、日韓請求権・経済協力協定の法的効力の範囲及び韓国政府の対策の方向等について検討した結果を発表しました。

 その中で、官民協議会は、この旧朝鮮半島出身労働者に関連して請求権協定を通じて日本から受け取った無償三億ドルは、強制動員被害補償問題解決の性格の資金等について包括的に勘案されているとして、政府は受領した無償資金のうち相当金額を強制動員被害者の救済に使わねばならない道義的責任があるという内容を発表したというふうに承知しております。

長島委員 ですから、それに基づいて、二〇〇七年、二〇一〇年と韓国は国内法をわざわざつくって、そういう方々に対する支援を行っているんですよ。これは確認できませんけれども、恐らく、今回の原告の方たちもこの法律に基づいて支援を受けているはずなんです。

 こういうこともぜひ調べていただいて、最後、大臣、このまま何か角突き合ってもしようがないと思うんですが、私、一つ提案があります。仲裁委員会をぜひ開いていただきたい。

 なぜならば、これまでずっと韓国の政府の姿勢を待っていてはどんどんこのような訴訟が起こってしまう可能性がありますので、それにも歯どめをかける意味でも仲裁委員会をぜひ開いていただきたいと思いますが、最後に一言だけお願いします。

岸委員長 河野外務大臣、簡潔にお願いします。

河野国務大臣 当然に、そうしたことも視野に入れて政府として対応を考えております。

長島委員 ありがとうございました。

岸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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