衆議院

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第10号 令和元年6月18日(火曜日)

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令和元年六月十八日(火曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 大岡 敏孝君 理事 武田 良太君

   理事 中谷 真一君 理事 宮澤 博行君

   理事 山本ともひろ君 理事 本多 平直君

   理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    小田原 潔君

      小野寺五典君    大西 宏幸君

      大野敬太郎君    熊田 裕通君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      中谷  元君    浜田 靖一君

      藤丸  敏君    和田 義明君

      青柳陽一郎君    篠原  豪君

      緑川 貴士君    佐藤 茂樹君

      赤嶺 政賢君    串田 誠一君

      重徳 和彦君    照屋 寛徳君

      長島 昭久君

    …………………………………

   外務大臣         河野 太郎君

   防衛大臣         岩屋  毅君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   環境副大臣        城内  実君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三貝  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 岩間 公典君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 加野 幸司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石川 浩司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 塚田 玉樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 桑原  進君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長岡 寛介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 齊藤  純君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 森野 泰成君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    鈴木 量博君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         小林 洋司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         宮武 宜史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 上田 康治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   武田 博史君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       辰己 昌良君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 森田 治男君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  槌道 明宏君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  鈴木 敦夫君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  中村 吉利君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十八日

 辞任         補欠選任

  北村 誠吾君     藤丸  敏君

  鈴木 貴子君     佐藤 明男君

  前原 誠司君     緑川 貴士君

  下地 幹郎君     串田 誠一君

同日

 辞任         補欠選任

  佐藤 明男君     鈴木 貴子君

  藤丸  敏君     北村 誠吾君

  緑川 貴士君     前原 誠司君

  串田 誠一君     下地 幹郎君

    ―――――――――――――

六月七日

 イージス・アショア配備計画の撤回に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六八七号)

 戦争法の廃止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一七八五号)

同月十三日

 戦争法(安保法制)を即時廃止することに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二〇七三号)

同月十七日

 本土からの辺野古埋め立て用の土砂搬出計画をやめることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三六〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三六一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三六三号)

 同(清水忠史君紹介)(第二三六四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三六五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二三六六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三六七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二三六八号)

 同(藤野保史君紹介)(第二三六九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二三七〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第二三七一号)

同月十八日

 本土からの辺野古埋め立て用の土砂搬出計画をやめることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第二四一五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二五二六号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第二五二七号)

 同(武内則男君紹介)(第二五二八号)

 同(初鹿明博君紹介)(第二五二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官三貝哲君、外務省大臣官房儀典長岩間公典君、外務省大臣官房審議官加野幸司君、外務省大臣官房審議官石川浩司君、外務省大臣官房審議官塚田玉樹君、外務省大臣官房審議官桑原進君、外務省大臣官房参事官長岡寛介君、外務省大臣官房参事官齊藤純君、外務省大臣官房参事官森野泰成君、外務省北米局長鈴木量博君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君、厚生労働省雇用環境・均等局長小林洋司君、国土交通省大臣官房技術審議官宮武宜史君、環境省大臣官房審議官上田康治君、防衛省大臣官房長武田博史君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官辰己昌良君、防衛省大臣官房審議官深澤雅貴君、防衛省大臣官房審議官森田治男君、防衛省防衛政策局長槌道明宏君、防衛省整備計画局長鈴木敦夫君、防衛省地方協力局長中村吉利君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐藤茂樹君。

佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。

 きょうは、与党を含む自民党さんの御理解もいただきまして、二十分ではありますけれども、岩屋大臣また河野外務大臣に、安全保障の問題そして外交問題について質問をさせていただく時間をいただきました。心から感謝をしておる次第でございます。

 まず、現下の安全保障の問題、また、外交の問題について、大きなことだけきょうはお聞きをさせていただきたいと思うんですが、一つはやはり、この数日話題となっておりますイージス・アショアの配備に関する防衛省の説明の問題をまず防衛大臣に伺いたいと思うんです。

 前回の当委員会でも問題になりましたけれども、防衛省が、このイージス・アショアの配備に係る地元説明資料で、ずさんな資料に基づくそういう誤りがあった問題、更に追い打ちをかけて、六月八日に開いた住民説明会で防衛省職員が居眠りをしていた問題、さらにはその後、小さな話ですが、きょうの報道なんかでも、縮尺の間違いのほかに、一つの山の標高も、実際とは異なる、そういう数値で表記されていたというそういう問題が重なりまして、地元の方々には大変な不信感が今漂っているわけでございます。

 一連のこの不手際というのは、私は、この時期において言語道断のミスではないか、そのように思うわけでございます。安全保障政策上大変重要な施設を整備するというそういう自覚と責任感が組織の中に足りないのではないか、そう思わざるを得ないわけでございまして、防衛省は、不手際を猛省して信頼回復に努めていただきたい、そのように冒頭申し上げたいと思います。

 岩屋大臣は、先週の閣議後の会見で原田防衛副大臣をトップとするイージス・アショア整備推進本部を省内に設置するという方針を表明した上で、昨日六月十七日に秋田県を訪問されて、佐竹知事や秋田市の穂積市長と会談された、そのように伺っているわけでございます。

 その内容と、私は、今後より一層地元の意向をしっかりと配慮して、正確で、丁寧で、誠実な、納得のいく説明が求められるのではないか、そのように思いますが、この案件を今後どのように進めていかれる心づもりなのか。まず、防衛大臣の見解を伺いたいと思います。

岩屋国務大臣 まず、今般のイージス・アショアの配備に関するお地元への説明の際に資料の一部に重大な誤りがあったこと、そして、地元説明の場におきまして防衛省職員による極めて不適切な対応がありましたことについて、深くおわびを申し上げたいというふうに思います。

 私は、昨日、秋田県の佐竹知事、また、加藤県議会議長、穂積秋田市長、岩谷市議会議長さんにお目にかかり、直接おわびをさせていただきました。

 その場におきましては、私から事務方に対し、再発防止を徹底するとともに、体制を抜本的に強化して緊張感を持って対応するように厳しく指示をしたこと、それから、他の国有地の検討における数値の誤りに関しましては、現地での測量調査を実施して、部外専門家の活用も含めて適切に進めていくこと、そして、これまで説明会等でいただいた住民の皆様からの御指摘も踏まえ、説明内容について確認と見直しを実施し、資料を修正するなど、正確で、十分な、丁寧な説明ができるようしっかりと準備をした上で、改めて説明に臨みたいという話をさせていただきました。

 そして、昨日、防衛副大臣を本部長とするイージス・アショア整備推進本部を設置したところでございます。

 知事さん、市長さんからは大変厳しい御指摘をいただきましたが、これをしっかりと受けとめて、今般の訪問を機に、もう一度原点に立ち返って、信頼回復に全力を挙げてまいりたいと考えております。

佐藤(茂)委員 この後、多分、野党の皆さんも御質問されると思うんですが、まずやはり、非常に信頼がもう壊れているところからもう一度御説明をされないといけないというその自覚に立って、しっかりとした信頼回復にまずはやはり努めるということを最優先に行っていただきたい、そのように考えるところでございます。

 もう一つは、きょうの急な話で、状況を答弁できるようだったら教えていただきたいんですが、陸上自衛隊第一空挺団が東富士演習場で訓練のために航空自衛隊のC1で移動中にこん包された八十一ミリ迫撃砲を箱根上空で落下したというそういう情報をいただきましたが、詳しい、今のつかんでおられる情報等がございましたら御説明をいただきたいと思います。

岩屋国務大臣 本日六月十八日十二時六分ごろ、航空自衛隊第二輸送航空隊入間基地所属の輸送機C1が東富士演習場において物料投下訓練を実施しておりましたところ、同演習場付近、静岡県裾野市に八十一ミリ迫撃砲をこん包した物資等を落下したとの報告を受けております。

 当該物資に実弾は含まれてはおりません。当該物資は落下傘が開いた状態で降下したことを確認をしておりまして、現在、陸上自衛隊が現場付近を確認中でございます。

 なお、本件につきまして、静岡県裾野市、御殿場市、小山町に対しまして、陸上自衛隊富士学校より通知を行ったところでございます。

 部外への影響も含めて、詳細を今確認中でございます。

佐藤(茂)委員 ぜひ、また詳しい情報が、続報がありましたらお知らせいただきたいと思うわけであります。

 続いて、きょうは外務大臣にお越しいただいておりますので何点か外交問題をお聞きをしたいと思うんですが、まず一つは、六月の十二日から十四日にかけまして、安倍総理のイラン訪問というのがありました。アメリカとイランの緊張関係が高まる中、三日間の日程でイランを訪問されて、ロウハニ大統領だけではなくて、イランの最高指導者ハメネイ師とも会談されました。

 現職首相のイラン訪問というのは、一九七八年の、当時の福田赳夫元総理以来、約四十一年ぶりでございます。

 その際に、河野外務大臣も総理にあわせてイランを訪問されたというように伺っております。

 私は、ことし一月の本会議で河野外務大臣の外交演説を聞いておりまして、何点か印象に残ったところがあるんですが、その中に、中東外交をしっかりと強化していくんだ、そういう部分で、全部は読みませんけれども、「ようやく日本も中東におけるプレーヤーの一つと認識されるようになりました。」そういうことを演説の中で言われておりました。

 まさにこの安倍総理のイラン訪問というのは、日本政府としてこの外交演説を具体的に実践された一つではないか、そのように考えているところでございます。

 日本は、言うまでもなく、アメリカとイランの関係が悪化した一九七九年のイスラム革命後もイランと関係を保ち、八〇年代のイラン・イラク戦争時は中立外交を維持しました。アメリカのトランプ大統領と安倍総理の親密な関係は世界でも群を抜いているわけでございます。五月の来日時に、トランプ大統領は安倍総理のイラン訪問を歓迎したと言われております。双方から信頼されるのは日本の強みである、そのように考えております。

 今回のイラン訪問で、ロウハニ大統領や、もう一人、外国の首脳と会うのはまれだ、そういうように言われている最高指導者のハメネイ師と会談ができ、直接意思疎通したこと自体、私は対話が進んだと評価をしたいと思います。

 特にその中で、ロウハニ大統領との会談では、総理は、軍事衝突は誰も望んでいない、そういうふうに述べたことに対してロウハニ大統領は、イランも戦争は望んでいないと応じたと言われております。両首脳が衝突を回避する必要で一致した意義は非常に大きい、そのように考えますし、また、ハメネイ師との会談では、総理がトランプ大統領の立場をハメネイ師に伝えたのに対してハメネイ師は、イランは核兵器を製造も保有も使用もしない、その意図はないし、すべきではないと語ったと言われております。

 私は、そういうようにイランの核兵器に対しての考え方なども国際社会に発信したということは一つやはり意味があったんではないかというように思っておりますが、他方でロウハニ大統領は、地域の緊張の根源はイランに対するアメリカの経済的戦争にあると主張し、アメリカによる制裁の解除を改めて要求をされました。また、イラン側の発表によると、ハメネイ師はアメリカとの対話を拒否する姿勢を示されて、イランの対米不信が根強いことも改めて明らかになったわけでございます。

 この会談、まず、イランに行かれての一回目だったわけですけれども、それによってイラン側から、軍事衝突を望んでいないことであるとか、あるいは、先ほど言いました核に対する具体的な考え方を引き出すことができたこと自体、私は、日本が役割を発揮し、大きな一歩をしるしたんではないか、そのように考えておりますけれども、逆に緊張緩和に向けては、さまざまにやはり残された課題や役割も多いと考えているわけでございます。

 我が党としては、ぜひ、日本政府として引き続き日本が橋渡し役としてアメリカとイラン両国間の相互不信を和らげて、対話の環境を整えるため、一層の外交努力を尽くしていただいて、核問題の解決と中東の安定に向けて粘り強く取り組んでいただいて、これから行われるG20などを通じて、対話による中東の緊張緩和や多国間協調を前進させる役割を担っていただきたい、そのように考えますが、今回同行された河野外務大臣に、今回のイラン訪問の成果と、そして今後の課題、そして、日本外交として今後どういうように中東に対して取り組んでいくのかということにつきまして御答弁をいただきたいと思います。

河野国務大臣 現在、中東における緊張が高まっていて、偶発的な事案が拡大をするということにならないように、いかにこの緊張を緩和し、さまざまな対立をマネージしていくかというのが非常に重要だと思います。

 もとより、総理の一回の訪問で何かが解決するとは思っておりませんが、委員おっしゃられたように、伝統的な友好関係にある日本とイランの間でかなりはっきりしたコミュニケーションの維持というのがしっかり図られているというのは、今後のこの緊張が高まっていく中東情勢の中で非常に大事なことだと思っております。

 日本は中東で極めてニュートラルな立場でございますし、他方、アメリカとは同盟関係ということで、お互いさまざまなことを話し合える、そういう間柄でございます。

 その日本が、イラン、あるいはサウジアラビア、イラク、カタール、UAE、こうした中東のプレーヤーとどのレベルでも話がきちんとできるという関係を維持できているというのは非常に有効だと思っておりますし、委員おっしゃいましたように、今、JCPOAが揺らいでいるという話もある中で、イラン側がしっかりと核兵器の開発について、これまでどおり、これはやらないんだということを明確にしたというのも一歩前進というふうに思っております。

 タンカー事案のようなことも起きておりますので、今後ともさまざまな事案が起こり得るわけで、それが一気に拡大することがないように、日本としてもしっかりと果たせる役割を果たしてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 今、外務大臣から、まさに安倍総理がイランを訪問しているその最中に、日本のタンカーを含むタンカー二隻が何者かによって攻撃を受けたわけでございます。

 どう捉えるかということについてはもう聞くのはやめまして、今はやはり、その後、具体的にさまざまに言われているのは、アメリカとイランの間で新たなそういう緊張関係が高まってきておりまして、要するに、攻撃主体がどの勢力なのかというそういうことが今国際社会でも大きな問題になっております。

 米軍は、十三日の夜にすぐに、イランがタンカー攻撃に関与した証拠とする映像を公開をいたしました。それは、精鋭部隊であるイラン革命防衛隊の巡視艇が攻撃を受けた日本のタンカーに近づき、船体に吸着した不発の、リムペットマインと呼ばれる吸着型の爆弾でございますけれども、それを除去した様子を捉えたというものであります。

 一方、イラン側は一貫してアメリカの主張には根拠がないと強調して、攻撃の関与を全否定しているわけでございます。

 現時点では、主要国ではアメリカに足並みをそろえるのはイギリスやサウジアラビアでございますが、ほかの関係各国は中立的な立場であるとか慎重な立場を保っている、そういうふうに認識しております。

 さらに、一方、国連のグテーレス事務総長は十四日の会見で、攻撃については真実と責任の所在を明らかにする必要があるとした上で、独立した団体による調査が必要だと述べ、第三者による調査の必要性を訴えられました。

 犯行声明もない中で実行犯の特定というのは簡単ではないと思いますけれども、誰が何の目的でどのような攻撃を行ったのか、具体的な証拠の積み重ねが極めて重要だと思っております。

 情報の収集、分析に日本政府としても当然努めていただいて、冷静な調査と判断の上で慎重に私は見きわめるべきだと思っているんですが、仲介外交にかかわられた日本政府として、このタンカー攻撃に関与した勢力についての日本政府としての現時点でのスタンスと、国連のグテーレス事務総長の第三者による調査の必要性に対して、政府の見解を伺いたいと思います。

河野国務大臣 タンカー事案につきまして今さまざまな調査が行われておりますし、日本といたしましても、アメリカ、イランを含む関係国と、情報の共有そして分析を進めているところでございます。

 グテーレス事務総長からは独立した調査の必要性について御発言がございましたが、事務総長が更におっしゃったように、事務総長にその発意の権限がない、これができるのは安保理ということでございますので、今、安保理のメンバー国ともさまざま情報の共有を図り、安保理がどのように動いていくかということを見きわめようとしているところでございます。

 今の時点で日本政府として確定的なことを申し上げるものはございませんが、少なくともこのホルムズ海峡というのは、世界のエネルギー資源の極めて多くがここを通過するわけでございまして、ここにおけるこのような攻撃というのは、我が国だけでなく、国際社会、国際経済への攻撃ということでもありますので、断固非難をするとともに、こうしたことが再び起こらないように関係諸国としっかり連携を強めてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(茂)委員 それで、ホルムズ海峡は今外務大臣おっしゃったように、もう御案内のとおり、海上輸送される世界の原油の約三割が通過するエネルギー供給の生命線ですし、日本の輸入原油の八割強もここを通過しているわけでございます。

 タンカー攻撃を受けて、きょう国交省に来ていただいていると思うんですが、業界団体では、攻撃された現場近くを運航する際は全速力で通過するなどの指示が関係会社ごとに出されていると伺っているんですが、国交省は業界団体を通じて注意喚起をされたというように聞いているんですが、どういう注意喚起をされたのか。

 そしてまた、そのことも含め、政府は、情報収集をしっかりとしていただいて船舶の安全確保に全力を尽くしていただかないといけないと思うんですが、ぜひ、現場付近を航行する事業者の要望、ニーズもしっかり受けとめて、何が可能かという観点で船舶の安全確保の対策を最優先で進めていただきたいと考えているんですが、この船舶の安全対策についての国交省の見解を伺いたいと思います。

宮武政府参考人 国土交通省におきましては、日本時間六月十三日午前十一時四十五分ごろに、ケミカルタンカー、コクカ・カレイジャスが、機関室外板喫水線付近に被弾したという報告を受けたところでございます。

 同日、直ちに国土交通省におきまして、御指摘ありました、海運事業者団体に対する安全運航の徹底についての注意喚起文書を発出しております。

 現時点におきましては事業者からの具体的な要請等は届いておりませんけれども、事案後、事業者団体との連絡体制を改めて確認いたしますとともに、各事業者の安全対策等、先ほど御指摘ありました全速力で航行する等、こういった安全対策等を収集いたしまして、参考となる情報を海運業界全体で共有しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも、関係の団体あるいは事業者、それに関係省庁と連携いたしまして、適切な情報の収集とその共有に努めてまいりたいと考えております。

岸委員長 佐藤君、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。

佐藤(茂)委員 いずれにしても、今、更にその後、時々刻々情勢が変化しておりますので、日本政府としても我々日本の政治家としても、引き続き情報収集、分析を行って、しっかりとした対応ができるように注視してまいりたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

岸委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 立憲民主党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、二十六分のお時間をいただきまして、ありがとうございます。早速質問に入ります。

 まず、先般のトランプ米大統領夫妻の国賓訪日と日米首脳会談の成果、そして、その成果が、我が国の外交交渉、例えば、今も議題になりましたイランの訪問や日ロ関係、朝鮮半島問題に具体的にどのように役に立っているのか、どのような成果を生み出しているのかについてまずは伺ってまいりたいと思います。

 令和初となる国賓としてトランプ大統領夫妻をお迎えしましたけれども、まず、そもそも国賓でお迎えするというのはどういうことなのか。計上している予算とかかった金額の概算、一部では破格の待遇とかおもてなし外交という指摘もありましたけれども、予算や内容、これを過去の事例と比較して今回はどうだったのか。参考人で結構なのでお答えいただきたい。

 さらに、その国賓というのは年一回から二回と言われていますけれども、ことしはほかの国賓は予定されているのかどうかもまずあわせてお伺いしたいと思います。

岩間政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国賓とは何かということでございますけれども、国賓は、政府が公式に接遇し、歓迎行事のほか、皇室の接遇にもあずかる、外国からの元首などの賓客のことでございます。

 私ども外務省といたしましては、今年度予算におきまして、国賓を接遇するために、滞在費ですとか車両等、一件当たり約四千万円を計上しているところでございます。

 また、委員お尋ねの、今回のトランプ大統領の訪日でかかった経費ということでございますけれども、通常、この種の経費につきましては、精算までにしばらく時間がかかります。今精算中でございますので、所要額を申し上げることは困難でございます。

 参考までに過去の実績について申し上げますれば、所要額は代表団の規模ですとか滞在期間の長さによって異なりますが、外務省としましては、一件当たり二、三千万円程度の負担をしているところでございます。

 また、今後の国賓等の計画でございますけれども、今後の日程につきましては、今後また検討していくことになろうかと思います。

青柳委員 今御答弁ありましたとおり、年間で四千万円ぐらい計上していて、今回の計上は今まだわからないそうですけれども、二、三千万円ということであれば、もう予算はほとんど残っていないんですから呼べないんじゃないかと思いますけれども、それだけ今回のトランプ大統領の訪日で国費を投入した。

 そればかりでなくて、今御答弁ありましたとおり、天皇陛下にも御会見いただき、宮中晩さん会、皇室行事を催していただいたということですね。

 その上で、今回のトランプ大統領夫妻の国賓での訪日と首脳会談で具体的な成果は何だったのかをお伺いしたいと思いますが、報道では、ゴルフや相撲、炉端焼きばかりがクローズアップされていましたけれども、実際に共同声明とか共同文書は今回なかったわけですけれども、具体的成果は何だったのか、河野大臣にお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 令和という新しい時代の最初に同盟国であるアメリカの大統領を国賓としてお迎えをし、地域情勢、二国間の関係、さまざまな問題について、閣僚を含む首脳のレベルでしっかりと意見交換をすることができました。また、日米の揺るぎない連帯、きずなというのをしっかりと内外に向けて発信をすることができたという面で、極めて有効な御訪問だったというふうに考えております。

青柳委員 つまり、これだけの国費を投入したんですけれども、成果は、トランプ大統領と安倍総理の強固な個人的信頼関係を、内外、世界に発信したというのが唯一の成果だろうと思います。

 これをどう生かされるのかというお話を伺ってまいりたいと思いますが、まず、日米首脳会談で、今回の総理、外務大臣のイラン訪問についてはどのような協議を行ったのか。お答えできる範囲で教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 イランを含む中東情勢についてもさまざまな意見交換をいたしました。

青柳委員 我が国のイラン核合意についての立場を、参考人でも結構ですけれども、御説明ください。

河野国務大臣 日本は一貫してこのJCPOAを支持しているところでございます。

青柳委員 その支持しているという立場をトランプ大統領には伝えているんでしょうか。

河野国務大臣 累次にわたり、アメリカには日本の立場を説明をしております。

青柳委員 それでは、イラン核合意から米国は離脱したわけでございますけれども、そもそも我が国は、この米国のイラン核合意の離脱、そして経済制裁、これを支持しているのか支持していないのかを教えていただきたいと思います。

河野国務大臣 日本として、このJCPOAの核合意を支持しているところでございます。

 また、アメリカとイランの間の緊張を緩和すべく、さまざま努力をしているところでございます。

青柳委員 逆にイランの立場は、米国が核合意から一方的、不当に離脱した、米国がイランに対して交渉に戻ってこいと要請するのは皮肉だ、軍事的緊張の責任は米国にある、米国の姿勢こそ、この域内の情勢の不安定化を招いているというのがイランの立場だと思いますけれども、このイランの立場について我が国は支持しますか。

河野国務大臣 イランがどういう立場をとるかについて申し上げる立場にございません。

青柳委員 それでは、そもそも、トランプ政権はイランに対して大変厳しい立場をとっているわけです。今申し上げた核合意を離脱し、そして、イスラム革命防衛隊に対する外国テロ組織指定をし、そして経済制裁をしています。なぜトランプ政権はここまでイランに対して厳しい立場をとっているのか。まさに、前アメリカの政権がつくった合意をみずから米国の政権が離脱しているわけです。

 なぜここまでイランに対して現政権は厳しい立場をとっているのか。河野大臣の御見解を教えてください。

河野国務大臣 アメリカ政府の立場について御説明する立場にございません。

青柳委員 そういう分析も何もしていないんでしょうか。それで首脳会談をやったりイランに訪問したりしても、仲介役を果たせるんでしょうか。

河野国務大臣 我が国の分析をつまびらかに公にするのは差し控えたいと思います。

青柳委員 大体想定される答弁内容ですから次に進めますけれども、米国は十二日に対イランの追加制裁を発動した。そのタイミングは、まさに総理、外務大臣のイラン訪問に合わせたかのようなタイミングだったわけです。

 我が国のイランの原油取引に関する二次制裁の適用除外撤廃の影響、これはどのようにそれでは分析しているのか。我が国が適用除外撤廃されたことの影響についての大臣の御見解、そして、このタイミングで二次制裁の撤廃を行ったことについて我が国はトランプ大統領とどのように協議しているのかについてお答えしていただけますか。

河野国務大臣 原油の輸入のエグゼンプションをアメリカが取りやめたのは、今回のイラン訪問とは時期を異なるものでございます。それにより日本の民間企業に影響が出ているということは、そのとおりでございます。

青柳委員 ですから、そのことを米国と協議されていますか。

河野国務大臣 しております。

青柳委員 しているという答弁だったと思いますが、していると聞こえましたけれども、しているという答弁ですね。どのような反応がありますか。

河野国務大臣 交渉の中身を公にするのは差し控えます。

青柳委員 それでは、先ほどの佐藤委員の質問にもありましたけれども、イランの訪問について伺いたいと思います。

 日本の総理とイランの最高指導者ハメネイ師との会談は初めてということで、先ほども質疑がありました。実際に訪問して、中東地域の緊張の高まりを首脳レベルで緩和するという成果はあったのかどうか。大臣に伺いたいと思います。

河野国務大臣 中東の緊張の緩和が誰かの一回の訪問でできるというふうには誰も思っていないわけで、今大切なのは、日本とイランの間のコミュニケーションが高いレベルできちんと維持されているということだろうと思います。

青柳委員 最高指導者ハメネイ師の発言として、核兵器を製造も、保有も、使用もしないという発言があったと報道されていますが、この発言自体、大変意味がある発言だという見方と、ただ単にこれまでの方針を述べたにすぎないという意見もあります。そして一方では、米国との対話を拒否するという考えを想定していた以上にたびたび強く表明したという論評、評価もあります。

 イランが安倍総理との会談を利用して米国や国際社会にイランの立場を明確にしたという指摘もありますけれども、このハメネイ師の発言、核兵器を製造も、保有も、使用もしないということについて、河野外務大臣の評価をお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 JCPOAをめぐるさまざまな状況がある中で、最高指導者あるいは大統領からこうした発言がこの時点であるというのは、それなりに意味のあることだというふうに思っております。

青柳委員 先ほどの大臣御答弁のとおり、一回の訪問で解決できると思っていない、それはそのとおりですけれども、総理帰国後も、訪問前とほとんどイランとアメリカの隔たりというのは埋まっていないと言わざるを得ないと思います。

 そして今も御答弁ありましたけれども、諦めることなく役割を果たしていくという決意を総理も表明されているところですけれども、我が国のイラン始め中東地域の緊張緩和への取組について、それでは今後どのようにつなげていくかについて伺いたいと思いますが、これはむしろ、我が国のイラン核合意についての考え、こうした考えをしっかりトランプ大統領に納得してもらう、伝えていくというのも重要なんだろうというふうに思います。

 来週、G20に合わせて日米首脳会談もセットされると思いますけれども、仲介役をしっかり果たしていこうというのであれば、来週のG20に合わせた日米首脳会談に、イラン訪問の成果があるのであれば、それをどのようにつなげていくということをお考えになっているのか。これも河野大臣にお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 G20における各国首脳との会談については調整中でございます。それぞれの会談の中身についても現在調整中でございます。

青柳委員 しかし、調整中ですけれども、それは、首脳会談をやらないという選択肢はないと思いますが、首脳会談が開催されれば本件についてもしっかり協議していこうということだろうと思いますが、そこで我が国の立場、イランとの訪問の成果をどのように伝えていくのか、少しぐらい説明していただいてもよろしいんじゃないでしょうか。

河野国務大臣 申し上げましたように、首脳会談のことについては、今調整中でございますので、内容についても調整中でございます。

青柳委員 更問いをしても答えは同じでしょうから次に行きますが、ホルムズ海峡付近での、日本企業が運航するタンカーが攻撃された事案について、現在我が国政府が持っている情報、そして、それを分析している内容、現在持っているもので結構ですので、お答えいただきたい。これは参考人でも結構です。

河野国務大臣 六月十三日にサウジアラビアからシンガポール、タイに向けてホルムズ海峡付近を航行しておりましたケミカルタンカー、コクカ・カレイジャス、これは、船籍がパナマにあり、船舶管理者はシンガポールの企業、運航者が国華産業株式会社ということでございます。

 機関室の外板喫水線付近に攻撃を受け、二十一名の全ての乗組員、これは全員フィリピン国籍と聞いておりますが、救命艇により退船し、オランダ船籍によって救助された後に米軍艦船に移乗いたしました。乗組員一名が軽傷を負っております。

 船体につきましては、後部及び側面部に攻撃を受けた模様でありますが、状態は安定をしており、沈没の可能性はなく、貨物及び燃料の損失もありませんでした。

 六月十四日の午前に乗組員がコクカ・カレイジャスに帰船し、アラブ首長国連邦に向けて曳航をされている。もう既に着いているかもしれません。港湾当局の安全確認の後、船体の損傷状況を評価し、洋上において積み荷を他船へ移しかえるということでございます。

青柳委員 本件について米国はイランによる犯行と断定をしていますが、イラン側は米国の根拠なき主張だというふうに言っています。

 我が国はどういう立場、どういう見解でしょうか。

河野国務大臣 このホルムズ海峡というのは、我が国だけでなく、国際社会のいわばエネルギーの多くがここを通過するわけでございまして、ここにおける船舶への攻撃というのは、日本だけでなく、国際社会、国際経済に対する攻撃とみなさざるを得ないと思います。そういう点で、我が国は、我が政府は、これを強く非難をするものでございます。

 また、現時点で、アメリカ、イランを始めとする関係国とこの事案についてのさまざまな情報の共有を行い、分析を進めているところでございます。

青柳委員 直接お答えいただいていないですけれども、それでは、米国がイランによる攻撃と断定した根拠を我が国はどのように分析していますか。

河野国務大臣 関係諸国と情報の共有をしておりますが、それは他国から共有していただいていることでございますので、公の場で申し上げるべきではないと思っております。

青柳委員 でも、関係国というか、主要国で立場を表明している国は結構多くあります。我が国はまだ余り表明されていないわけですが、今まさに、国際社会、関係国と連携をとりながらこのホルムズ海峡という重要な海域の情報収集をしていくということの御答弁はありましたけれども、それでは、まさにG20が来週から開催されるわけですけれども、このG20の議題として取り上げて、何らかの声明や解決を図っていく、そういうお考えはあるのかどうか。お伺いしたいと思います。

河野国務大臣 G20の議題について今後調整を進めていきたいと思います。

青柳委員 調整をするということは、入らなくはないということですね。そういう理解をいたしました。

 次に、この事故が発生した時点では、総理はまさにイランに滞在している時間帯にこの事件が発生したわけでございますが、その事件発生後、総理にどのように報告し、そして、総理はその間どのようなアクション、対応をとったのか。事件発生から総理が帰国する便までの間に数時間程度、時間的な余裕があったわけでございますが、この間の総理への報告と総理のアクションを教えていただきたいと思います。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 六月十三日、事案が発生した後の日本時間十五時でございますが、官邸危機管理センターに、ホルムズ海峡における日本関係船舶に発生した被害に関する情報連絡室が設置をされております。

 その約一時間後、十六時十五分でございますが、総理の指示ということで、関係国と連携しつつ、本件に係る情報収集及び乗組員の安全確保に万全を期すことというものが発出されております。

 以上です。

青柳委員 その危機管理センターを設置し、関係各国と連携し情報収集を行うというのは、総理から日本の官邸危機管理センターに指示があったのかどうかと、そして、実際イランにいるわけですから、イランにいて総理は何をやっていたのか。お伺いしたいと思います。

長岡政府参考人 御答弁申し上げます。

 イラン滞在中の総理及び総理一行とは、常時緊密に連携をとっておりました。

 その上で、先ほども御答弁申し上げましたとおり、六月十三日、日本時間の十六時十五分に、総理の指示で、関係国と連携しながら、本件に係る情報収集及び乗組員の安全確保に万全を期すということで、それを踏まえて、政府一丸となって対応してきているところでございます。

青柳委員 この声明、我が国の談話では、エネルギー安全保障上死活的に重要だ、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要だ、我が国の平和と繁栄を脅かす重大な事案として深刻に受けとめる、このような行動を断固非難する、関係国と緊密に連携をして情報収集及び安全の確保に努めるという旨の談話を発表しているわけでございます。

 引き続き、しっかり対応していただきたいと思います。

 残された時間があと数分になってしまいましたので、それでは、最後に防衛大臣に、F35のその後の事故の報告、原因の報告、再発防止策についてお伺いしたいと思います。

岩屋国務大臣 このF35の墜落事案につきましては、これまで、現場の捜索、揚収活動等、事故調査を進めてまいりました。既に委員御承知のとおり、フライトデータレコーダーの外側の部分は揚収されたのでございますが、メモリーについてはまだ確認をされておりません。

 その一方で、F35Aにつきましては、ともに飛行する僚機F35Aとの間で情報の共有が可能なデータリンク、マドルを搭載しております。これによって得られている情報、それから、地上レーダー等の各種記録、隊員からの聞き取り等を総合的に分析した結果、既にこれも発表しておりますように、事故原因につきましては、機体に異常が発生した可能性は極めて低く、操縦者が空間識失調に陥っており、そのことを本人が意識していなかった可能性が高いものと考えております。

 したがいまして、このF35Aの操縦者に対しまして、空間識失調に係る教育訓練等の措置を徹底するとともに、F35Aの機体の特別点検を実施をしております。

 事故原因として考えられる要因に対しては、再発防止策を徹底してまいりたいというふうに考えております。

青柳委員 今、フライトレコーダーのメモリーの確認がないという答弁と、それから、機体についてどのぐらい回収されているのか、まだほとんど回収されていないというふうに昨日伺いましたけれども、機体がほとんど回収されずにメモリーも確認ができない中で、機体に異常がない、空間識失調でそのパイロットに問題があったというのをほぼ断定できるのか、なぜ、機体がほとんど回収されていないのに機体に問題がなかったと言い切れるのかについて最後に伺って、質問を終わりたいと思います。

岸委員長 岩屋防衛大臣、簡潔にお願いします。

岩屋国務大臣 機体は、例えば、エンジンの一部、主翼及び尾翼の一部、タイヤの一部や多数の破片等を揚収しておりますが、マドル等の記録によりますと、ほぼ音速に近い速度で海面に激突をした可能性が非常に高いということで、破損の状況が非常に激しい。部品が散らばっているところは徹底的に引揚げ作業をやってまいりましたが、そこから事故原因を導き出すというのは非常に難しい状況にございます。

 一方で、データリンクの記録等から考えて、機体は正常に稼働していたものと推定されます。

 というのは、急激な左旋回をした後も加速をして海面に向かっております。さらに、墜落までの十五秒間においても異常を示唆する交信は行われておらず、緊急脱出を行った形跡も確認をされていない。操縦者はベテランパイロットでございますので、異常をもし本人が認識すれば何らかの操作を行った可能性があると思いますけれども、それもなかったということで、空間識失調に陥った可能性が極めて高いと判断をしているところでございます。

青柳委員 きょうは、時間が過ぎましたので終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、本多平直君。

本多委員 立憲民主党の本多平直です。

 青柳委員に引き続いて、F35の問題、一点お聞かせください。

 パイロットの方の死亡が認定されたということで、私からも謹んで哀悼の意を表するとともに、御遺族の皆さんに心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 本当に優秀なパイロットを訓練中に失ったという残念な事案でありますが、今、青柳さんの指摘は、非常にまだ曖昧な点が多い、レコーダーが発見されていない。皆さんなりに分析した分析は、先ほど大臣からもいただきましたし、党の会議でもお聞かせいただきましたけれども、我々としてはにわかに納得するわけにはいかないという部分があるんです。

 やはり、御本人がお亡くなりになっている、そしてレコーダーのメモリーも発見をされていないという中でパイロットの責任にされるということは、これはお仲間の中にも、もしかしたらいろいろなお気持ちがあるのではないかと思います。そういう思いを体して、ぜひ飛行再開については急がないでいただきたいというのが私のお願いです。

 もちろん、練度が落ちるという説明はいただきました。練習ができない。しかし、今、F35はまだ実用をしているわけではありません。防衛任務についていたり、災害とか、けが人を運ぶとか、任務を持っているわけではありませんから、ここはしっかり調査をし尽くしていただきたいというのが私のお願いです。これは隊員の方は言えないと思います、そんなことは。しかし、これは防衛政策上、F35を全部買うなとか買えとかという話とは別です。隊員の安全のためにも、急ぐ必要はないので、しっかりと調査してほしい。

 更に言えば、アメリカ会計検査院のふぐあい、かなりの、数百という項目が出ている。皆さんは安全に関係ないと言っている、アメリカからも説明を受けていると言っているけれども、ちゃんと潰せているのか。

 それで、この最後の一つのところ、質問です。

 報道で、先週、アメリカのディフェンス・ニュースという軍事専門誌、これが独自入手で、F35についての関連の文書を入手したと。気圧の急変で鼻などに激痛、パイロットの鼻などに激痛が起こるとか、着陸時のタイヤの破裂で機体が破壊されるおそれがあるとか、まさに安全に関連のある項目をアメリカの信頼性のある軍事専門誌が内部文書を入手したと。

 もちろん、一雑誌の内部文書というのが常に正確とは限りませんが、現に飛行機が落ちていて隊員の命が失われている中で、アメリカの雑誌にこのような報告が出ました。これをきちんと、こういうことはないということを潰せるまで飛行の再開はしないということをお約束いただけますか。

岩屋国務大臣 まず、死亡が認定された隊員に対しまして弔意を賜りましたこと、お礼を申し上げたいと思います。

 私どもにとりましても、優秀なパイロットを失ったことは、まさに痛恨のきわみでございます。したがいまして、飛行再開に当たりましては、飛行の安全が確保されるということが大前提でございまして、それが何よりも優先されるべき事項だというふうに考えております。

 それから、今、本多先生御指摘の、特に米国の会計検査院の指摘にありました事柄につきましては、飛行の安全や任務の遂行に重大な影響を与え得る事項として区分された課題十七件につきましては、米国防省からリストを得た上で、我が国が導入しているF35Aについて飛行の安全に影響する問題はないということを確認しているところでございます。

本多委員 ディフェンス・ニュースの方をお答えください。

岩屋国務大臣 その報道については承知しておりますけれども、その内容の一つ一つについてお答えすることは差し控えたいというふうに思います。

本多委員 この報道が事実かどうかを確認しない前に飛ばすという認識でよろしいんですか。

岩屋国務大臣 先ほど申し上げましたように、飛行に重大な影響を与えかねないというリストについては私ども入手を既にしておりまして、それに基づいて確認の作業を行っているということでございます。

本多委員 その会計検査院の文書とこのディフェンス・ニュースの文書は一致をしているんですか。

岩屋国務大臣 それについては、明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

本多委員 一致しているんだったらいいんです、潰しているということで。一致していないんだったら、会計検査院のに載っていたことはもうクリアしている、だから、ディフェンス・ニュースで指摘されているものをクリアしてから飛ばしてくださいということです。

岩屋国務大臣 私どもは、F35Aに関しては米国と緊密な連携、連絡を行っておりますので、米国から得た課題についてのクリアがしっかりできているということで、飛行の安全に影響するという問題はないというふうに考えております。

本多委員 大変残念な答弁です。

 秘密だということで危険性があってもなかなか出さないというのは軍事の世界にありがちなので、こういう報道で、アメリカの専門誌が内部文書を入手して、実は米国の国防省の中で、こういう危険なものがあると。それが全部伝わっているんだったらいいんですけれども、それを潰してから、そういうことは事実じゃないとか、事実だけれどもクリアされているとかということから飛ばすというのが当然のことだと思いますので、今のお答えだと、私は、本当にこれは安心してF35を飛行再開なんてできる状態じゃないと思いますよ。それはちょっと強く申し上げておきますので、しっかりともう一度検討していただきたいと思います。今の答えじゃ全く納得ができません。

 次に、沖縄の辺野古の工事について一点お聞きします。

 私たちは反対なんですが、やはり賛成、反対を超えて、行政の手続としてちょっとめちゃくちゃ過ぎるということを指摘したいと思うので、きょうは国土交通副大臣にもお越しをいただいています、忙しい中。

 副大臣は、公有水面埋立法という、日本の海を埋め立てるときの大事な法律を持っていらっしゃいます。それを法定受託事務ということで沖縄県に今任せているという状態なのはおわかりですよね、大臣、よく聞いていただきたいんですけれども。

 民間の例えば石油会社とかも埋立てをすることがあります。沖縄県というと何か具体的過ぎるので千葉県とかに例えてしますが、千葉県の許可をとって埋立てをしている、石油会社が千葉県の海を。そのときに、最初のときは、ここから砂を積み込みますという岸壁を、設計概要というのには書いていないんですけれども、設計概要の添付文書には書いているんです、どこの岸壁から砂を積み込みますと。全くそこに書いていない岸壁からの積込みを今、K8という、護岸ですよね、岸壁ですらないんですよ、護岸としてやったところに船をつけて土を運び出しているんですよ。沖縄県は激怒して、今、文書を出しています。まだ返事が来ていません。

 これは沖縄県の例を出すと国土交通副大臣は何も言えないと思うんですけれども、石油会社が千葉県で似たようなことをしていたら、これはどうなんですか。これはいいんですか。

 それで、いや、うちの解釈では、添付文書に載っていた話ですから関係ないんですと石油会社が突っぱねて、千葉県が激怒しているのに、どんどんどんどん千葉県の海の埋立てを進めているというのが今の現状なんです。沖縄で起こっていることと一緒なんです。

 いいんですか、副大臣、こんなことで。

大塚副大臣 まず、法律の規定について申し上げますと、公有水面埋立法上、公有水面埋立工事において、例えば民間事業者が、先ほどお話しございましたように、埋立てに関する法令に違反をしたとき、また、公有水面埋立法第三十二条に基づきまして、都道府県知事は民間事業者に対しまして、免許の効力の制限、条件の変更等をすることができると規定をされております。

 また、具体的に、どのような場合にどのような措置がとられるかということは、個別の事案によるものでございますので一概にお答えすることができませんが、違反とされる行為の内容にもよりますが、一般的には、事業者と免許権者との間で話合いが行われるものというふうに考えております。

 なお、公有水面埋立法第三十二条は、国が行う埋立てについては適用されません。

本多委員 今、最後のところ、話し合ってもらうと言っているんですよ。

 これは、岩屋大臣、民間の石油会社だったら取り消されるんですよ、こんなことをしていると千葉県の判断で。それを大臣は、私たちの解釈では添付文書に載っていることだから関係ないと言うんですけれども、大臣、大臣のところもいろいろな文書を受け取ると思うんですよ、申請を。何かつくらせてくださいとか、基地のここを使わせてくださいとか、申請の添付文書についていたものを、表の法律に載っている文書には書いていないから、添付文書に書いていたことと違うことをやるという人がどんどん出てきたら、行政庁として成り立ちますか。添付文書と違うことをやられていいんですか、防衛省というところは。その表の文書に違反していなきゃ、添付文書とまるっきり違うことをやっているんです、今防衛省は。

 これは逆のこと、皆さんがいろいろな申請を出されたときに同じことをされても、当然、同じ理屈で、文句を言わないということでいいんですね。

岩屋国務大臣 私どもが勝手に解釈しているということではなくて、公有水面埋立法は、設計の概要と、設計の概要を表示したる図書を書き分けております。書き分けた上で、変更承認を要するものとして、設計の概要のみを挙げているところでございます。

 その上で、事業者が設計の概要の変更承認を申請するに当たっては、設計の概要を表示したる図書として、設計概要説明書を添付するよう規定をされているところでございます。

 このように、法令上、変更承認の対象として、設計の概要というものとその説明書は明確に区別されていると認識をしておりますし、それから、沖縄県の埋立承認書に付された留意事項四におきましても、設計概要説明書の方の変更については変更承認の対象とされていないというふうに承知をしているところでございまして、これにのっとって私ども説明をさせていただいているところでございます。

本多委員 そんな説明を沖縄県は全く納得をしていません。皆さんの理屈であります。

 私が言いたいのは、私たちは反対の立場ですけれども、行政の手続ぐらいはちゃんとやっていただきたいということです。こんなグレー、私はブラックだと思いますけれども、沖縄県の見解と同じブラックだと思いますけれども、そういうグレーみたいな話でどんどんどんどん作業を進めていくというのは、逆に沖縄の不信を深めるだけだということを強く申し上げておきます。

 さて、イージス・アショアの話に行きたいと思います。

 金曜日、私たち野党国会議員六名で視察をさせていただきましたが、中には入れていただけませんでした。大臣はきのう行かれたそうです。

 あの配備地の、ずっとこの委員会でも指摘されている住宅地の近さ、どういうふうに認識されましたか。

岩屋国務大臣 私、昨日、秋田県を訪れまして、知事さん、市長さんにおわびを申し上げた後、その帰途において、新屋演習場周辺をまず車で回らせていただいて、演習場の中も視察をさせていただきました。その印象としては、確かに市街地に比較的近い場所にある演習場ではございますけれども、かなり、森といいますか、そういう森林でしっかり市街地とは区切られているという地域であって、これは、安全にその施設を配備することは可能ではないかというふうに感じた次第でございます。

本多委員 そういうふうに感じられるんだったら、一万三千人ほど住まれている住民の代表ときのうお会いにならなかったのはなぜなんですか。

岩屋国務大臣 昨日一日で、知事さん、県議会議長さん、市長さん、市議会議長さんにまずはおわびを申し上げるという目的で現地に参りましたので、そのような時間はございませんでした。

本多委員 じゃ、次回以降、そういう時間をきちんと住民の、私たちは聞いてきました、短い時間の中で。住民の皆さん、決して、別に我々を応援している方というんじゃないんです。地域の町内会、自治会の代表のような、地域のリーダーのような皆さん、本当に困っていらっしゃいます。必要にしてもここじゃないだろうとか、いろんな意見、一様に反対というだけではないんです。この方々の声をきちんと聞かれた方がいいんじゃないんですか。いかがですか。

岩屋国務大臣 きのう、知事さんや市長さんにも申し上げましたが、まずは、今般の防衛省の不手際といいますか、重大なミスあるいは不適切な対応についておわびをし、体制を一新、強化するということを申し上げました。昨日、そのための本部を立ち上げたところでございまして、ここでまずしっかり調査をし直すべきところはし直して、まずは正確に説明できるデータを整えた上で、現地にもう一度説明の機会をいただきたいと思っておりますので、まずは、このデータを精査する、調査をしっかり行い直すということに専念をしたいと思っております。

本多委員 住民の話も聞いていただけるということでよろしいですか。住民の声も聞いていただけるということでよろしいですか、大臣が。

岩屋国務大臣 お地元に対する説明については、防衛省を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っておりますので、必要であればといいますか、機会がありましたら住民の皆さんの声も聞いてみたいと思っておりますが、昨日は、県知事さん、市長さんから、しっかりと県民、市民の声として厳しい御指摘をいただきましたので、まずはそれをしっかりと受けとめて対応してまいりたいと考えております。

本多委員 必要であれば、機会があればということでありますが、必要でもあると思います、機会もあると思いますから、しっかりと住民の声を聞いてください、ぜひ。

 我々国会議員は、中に入って、やはりゲートまででもわかったことはあるんです、海の近さとか住宅街の近さとか。これはやはり配備地から、私たち、海の雰囲気も見たかったし、住宅地がどれぐらい見えるのかも見たかったので、何か演習側の準備とかという、それで、当日は大臣は行かれているわけですよね、演習当日は。私たちは、準備だけれども入れられないということだったので、それがない日には当然私たちも視察をさせていただくということでよろしいですね。

岩屋国務大臣 先生方から視察の御要望をいただいた十四日につきましては、十七日以降に実施する戦闘訓練などの準備として、演習場全域において偵察、安全点検、危険箇所表示を実施している最中でございましたので受入れが困難でございましたけれども、これは、演習等に支障がないということであれば、具体的な日程について事前に調整していただければというふうに存じます。

本多委員 ぜひさせていただきたいと思います。

 それで、資料のナンバースリーというのを見ていただきたいんですけれども、防護範囲の話をちょっとしたいんです。

 ここの秋田から山形にかけて十八カ所、今回調べました。しかし、いろいろインフラとかで、電気、水道、ガスがないとか、そんなものは工事すればいいじゃないか、というようなことでバツをつけたり、新屋にだけは津波でバツをつけていなかったり、むちゃくちゃなんです。

 角度のことで明らかになったんですが、角度以外にも、除雪が夜、冬できない。すればいいじゃないかというだけなんですよ、除雪でバツをつけたり。それから、防風林というのは、それはきちんと公益のためであれば解除ができるんです。それもバツをつけたり、全然これは、少なくとも三角であるようなものを全部バツをつけているんです。

 ところが、この十八カ所とも、そもそも最初からだめだというようなことがこのナンバースリーに書いていまして、国有地十八カ所全てについて防護範囲のシミュレーションを実施したところ、新屋、むつみのように我が国全域を効果的に防護することはできないとの結果が出ましたと。

 秋田県内のこの微妙なちょっとした距離の差で全国が防護できなくなるということは、北朝鮮の発射地点は一カ所で想定しているということでいいんですか、大臣。

岸委員長 ちょっと、最後の部分。

本多委員 北朝鮮の発射地点は一カ所と想定して、ちょっと秋田の中でずれたら全国が守れなくなるということは、北朝鮮の発射地点を一カ所と思っているんですか。

岩屋国務大臣 北朝鮮から発射される弾道ミサイルなど、我が国に向けて発射される蓋然性の高い弾道ミサイルの脅威から我が国全域を防護するという観点からイージス・アショアの防護範囲の数理的分析を行った結果、秋田県付近と山口県付近の組合せが我が国全域を最もバランスよく防護できるものでございました。

 この防護範囲の数理的分析というのは、イージス・アショアのレーダーの探知範囲などの性能、迎撃ミサイルSM3の射程などの性能などをもって実施をしているものでありますけれども、配置場所によりましては、我が国全域を防護することが困難となることは事実でございます。

 したがいまして、秋田県付近で最もバランスよく防護できる一方で、仮に、より北部の青森県に配備した場合には、防護範囲に影響が生じるということになりました。そういう分析の結果、秋田県付近そして山口県付近が適地であると判断をした次第でございます。

本多委員 付近と書いていないじゃないですか。ほかの十八カ所では全国を効果的に防護することができないということは、発射地点をどこか特定していなきゃ、こんなことは言えないじゃないですか。(発言する者あり)そうです。今指摘があるように、北朝鮮は移動式も持っているし、発射地点も一カ所じゃないじゃないですか。それによっては、このぐらいの、山形とかこの辺の微修正は、全国を防護できるかどうかなんてわからないじゃないですか、どこで発射されるか。北朝鮮のどこで発射されるかによって、こんなことは言えないんじゃないんですか。

岩屋国務大臣 他の国有地が不適であると判断したのは、さまざまなインフラでありますとか他の要因も総合的に判断をした結果でございます。

 したがいまして、自衛隊の演習場でいえば、新屋演習場あるいは山口県のむつみ演習場に配備をすることができれば我が国の全域を防護することが可能になると判断をしているところでございます。

本多委員 大臣、その答弁文書じゃなくて、こっちを見てください、この私の配った資料の三枚目。

 いいですか。いろいろでたらめを書いているんですよ。そもそも角度もでたらめ、分度器ではかって。そして、水道を引けばいい、電気を引けばいいものをバツをつけている。それで、新屋の津波にはバツをつけていない。

 そういう中で、最後に何か、参考と。何が参考なのかと思って読んでみたら、今回抽出した国有地十八カ所全てについて、インフラとかじゃないんですよ、防護シミュレーションを実施したところ、だめだってもう出しているじゃないですか。しかし、そんなはずないじゃないですか。北朝鮮がどこから発射するのかわからないのに、こんな秋田の中のちっちゃな誤差でほかの土地がだめなんて言えるわけないじゃないですか。

岩屋国務大臣 ですから、数理的分析を行った結果、新屋演習場とむつみ演習場に置けば、我が国の全域をカバーすることができるというふうに判断をしたということを申し上げているわけでございます。

本多委員 大臣、数理分析するには、発射地点を特定しないとできないんじゃないですか。

 北朝鮮の北の方と南の方で発射したときの差が、この秋田の6と14とか20の差でだめになるというのは、どういう理屈なんですか。そんなこと、あり得ないじゃないですか。ちょっと説明してください、ちゃんと。

岩屋国務大臣 発射場所が特定できていれば世話はないわけでございまして、朝鮮半島方面から飛来する可能性のある、それは例えば移動式のものも含めて、そういったものもあわせて分析をした結果、この二カ所に配備することがあらゆる可能性に対応することができるというふうに判断をしたところでございます。(発言する者あり)

本多委員 委員席から全く理解できないという声が出ているので更にこの議論をしたいと思いますけれども、大臣、この一ページ目の、これはちゃんと調査をもう一回すると言っているけれども、私は全部でたらめだと思っていますよ、実は。

 今回、角度の話ででたらめということがわかりましたけれども、インフラの方も、こんな五千億もかけるんだから、水道工事が何なんですか、電気工事が何なんですか。木の役割といったって、しょせん防風林ですよ。しょせんと言ったら農水省にちょっと失礼だけれども、解除できるんですよ、公益で。それで、津波の影響もありのところを、かさ上げで新屋はオーケーにするんでしょう。

 つまり、これはやり直すと言っているんですけれども、角度以外も全部再調査するということでいいんですね。角度の話、今回話題になっていますけれども、再調査するというのは、大臣、これは角度以外もするんですよね。全部もう一回しっかりと再調査していただくということでいいんですね。

岩屋国務大臣 確かに、例えば、こういう表示の仕方でありますとか説明の仕方で、不十分な点があったことは事実でございます。

 例えば、今先生が御指摘いただいた津波の影響の問題ですけれども、この津波の影響というのは、もちろん全ての候補地において考慮すべき重要な要素でございますから、新屋についてももちろん考慮はいたしております。

 しかし、新屋演習場にもし配備できるとするならば、敷地造成を行って、平均高さ二十メートルの標高を確保するということが前提でございましたので、県のハザードマップに言う津波の影響は受けないと判断したんですけれども、その検討のプロセスをやはりきちんと説明すべきであったという意味では大きな反省点がございますので、そういうことも含めて、しっかりと正確な、丁寧な説明を行ってまいりたいと思います。

岸委員長 本多君、時間が来ております。

本多委員 最後に一点ですけれども、私はこれは反対ですけれども、賛成の立場の皆さんからしても、こんな住宅地の真ん中でこんなでたらめな調査をしてやっていたら、どんどんおくれるだけだと思いますよ。しっかり再調査をほかの項目でもして、そして、別の場所も本気に考えた方がいいということを申し上げて、質問を終わります。

岸委員長 次に、緑川貴士君。

緑川委員 皆様、午後の審議、大変お疲れさまでございます。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士です。

 岩屋大臣、きのうの秋田での御公務を終えられて戻られたということで、お疲れのところと思いますが、私の地元、秋田県でございます。そして、山口に配備される予定のイージス・アショアについて、最後まで質疑をいたしたいというふうに思います。

 まず、これは日本を守るために必要不可欠であるというふうに大臣は強調されていらっしゃいますが、その割には、その重要な拠点を選ぶ際の調査の手法がずさんであったり、そしてまた、その調査の結果が間違っていたことがわかっても、その後直後は、結論が変わることはないというふうに即答をして、その上でまた、誠意を見せなきゃいけない説明の場で職員が堂々と居眠りをしている。これは、一連の取組、姿勢を見ても、私は防衛省からその真剣さを感じ取ることはできません。

 そもそも、この配備先を選ぶということの防衛省の自覚、そして、地元に向き合うことの覚悟、また、配慮、懸念、謙虚さ、こういったものが足りない。地元からすると、防衛省がやっつけ仕事で取り組んでいるようにしか見えないんです。

 この配備候補地の検討のステップとして、国有地を抽出をして、そこに遮蔽がないか、インフラ環境が大丈夫か、本多委員も尋ねました。その後に、住宅地からの距離が十分確保できるのかという、これは検討の順序が逆だと思うんです。これは、何で地域の安全の検討が最後の方なんですか。

 大臣、これは、地域の安全性の確保がどこか人ごとで軽んじられている、そんな検討プロセスであるような気がしてなりません。だから、新屋ありきではないかというふうに勘ぐられるんじゃないでしょうか。

 こういう検討項目の立て方をしている以上、今後、住民に、又は自治体に説明をするといっても、同じ結果の繰り返しになるんじゃないですか。いかがですか。

岩屋国務大臣 まずは、ただいまの委員の厳しい御指摘を全てしかと受けとめたいというふうに思っております。申し開きのしようのない重大なミスを犯し、なおかつ不適切な対応があったということについては、重ねておわびを申し上げたいというふうに思います。

 私どもとしては、取組の体制を一新をして、誤ったデータを正すことはもちろんですけれども、実際に現地に入って測量等をしっかりとし直した上で、他の国有地の検討についても、あるいは新屋演習場における各種調査の結果についても、よりわかりやすく、そして正確なデータをもって説明をし直させていただいて、ぜひ御理解を賜っていきたいというふうに考えているところでございます。

緑川委員 大臣から今、重要な御発言だと思います。取組をやはり一新をさせていく、体制を一新させていく。これは、専門家にただ測量を委ねるというだけの話ではないはずです。住宅地からの距離が十分に確保されているという検討がまず第一になければならない、最初になければならない。そうであれば、まず新屋が選ばれるということはないはずです。最初から除外されるはずなんです、こんなに距離が近ければ。

 この候補になっている国有地で専門家による測量を行って正確な数字を出す。職員が分度器ではかるとかいうことじゃなくて、当然の作業として、正確な数値を導き出すというのは当然なんです。そうしてもらわなければならない。その上で、検討のプロセス、根本を見直せというふうに言っているんです。

 地域の安全が図られるかを最優先の条件にまずは検討して、その上で、候補となる国有地について外部の有識者また専門家による調査をする。これまでの検討結果を白紙にして、プロセスを変更して改めて出直す、全ての調査をやり直す必要があるんじゃないでしょうか。

岩屋国務大臣 イージス・アショアという装備、施設が住民の皆様の安全を確保した上で配備されなければならないというのは、当然の大前提でございます。

 新屋演習場を候補地とした場合の電波環境調査あるいは地質・測量調査といった各種の調査は、演習場においてイージス・アショアを安全に配備、運用することが可能か否か、地域、住民への影響があるかないか、こういった観点からしっかりと行ったものでございまして、ミスが出た他の国有地の検討とは異なり、専門の業者に委託して実施し、防衛省もその成果物を受領した上で入念に確認を行っているものでございまして、結論を導く基礎となっている情報やデータに誤りはないというふうに考えております。

 しかしながら、他の国有地の検討のデータの中に重大なミスがあったことは事実でございますので、それらの調査をしっかりとやり直した上で、また説明の機会を得たいというふうに思っております。

緑川委員 基礎となる情報が間違っていたじゃないですか。重大なミスがありましたよ。これに国自身が気づいたんじゃないんですよ。報道機関が気づいたんですからね。本質的な問題は、何より、国が気づけなかったことにあると思います。測量が、地形の断面図を得て正確なデータを得たい、グーグルアースを使った、しかし、高さと距離の縮尺に違いがあることに気づけずに計算をしていた。

 お配りしている資料2をごらんいただきたいと思いますけれども、これは防衛省の資料です。やはり、これは報道でも皆さんごらんになっているように、数値に特に大きな誤りがあったのが秋田県の男鹿市、十五度ではなくて、資料の1、正誤表にあるように、実際には四度でありました。ほかの、由利本荘市、また山形県の遊佐町でも、鳥海山、二千二百メートル級の山です、に対しての仰角は十五度ではなくて十度でした。七百メートルの男鹿市の山と二千二百メートルの山、これは標高が全く違う二つの山があるのに、確かにそれぞれの立地点と山の距離は差はありますが、同じような仰角になるということはあり得ない。

 十五度なんていう角度は実際には相当な角度であるということは、地域の未来を決めるための重要な調査にかかわる皆さんが立場としてわかっていかなければならないんじゃないんですか。日夜御公務に職員の皆さんは励まれている、心より敬意を表するものですが、事この件に関しては、適地調査にかかわる皆さん、この断面図を見て直観的に、これはおかしい、これは変だということを、現場レベルから組織の上層部まで全く気づくことができなかったじゃないですか。違和感を持てなかったということは非常に私は恐ろしいことだというふうに思います。

 まことに申しわけない、深くおわびするというふうに、大臣、きのうも映像で拝見いたしました。しかし、その気持ちは十分に感じるところなんですが、問題は、防衛省に適地かを調査する技術力が結局足りなかったということじゃないですか。経験に裏打ちされていない浅はかな調査に基づく配備計画だったということが露呈したんですよ。政策を進める上での信用性も損なわれた。

 配備計画も白紙に戻すというのが、大臣、これはトップとしての責任のとり方じゃありませんか。

岩屋国務大臣 他の国有地の検討の過程で遮蔽物との角度の数値に誤りがあったことについては、これはもう申し開きのしようがない、本当にケアレスミスで、しかもそれがチェックできなかったということは深刻な問題で、そのようなことがない体制をしっかりつくらなくてはならないと思っております。

 一方で、自衛隊は言うまでもなく各種のレーダーを既に取り扱っております。これまでの経験、知見あるいは専門家の知見も活用して、新屋演習場の各種調査というものはしっかり行うことができているというふうに考えておりますので、他の国有地検討に関する調査については、その誤りを正し、データを正確にし、今までの調査結果とともに、よりわかりやすく説明できる資料につくり変えて、説明の機会を得たいというふうに思っております。

緑川委員 大臣、本当に、おわびのお言葉とは裏腹に、これを秋田県は非常に重く受けとめていたというのはお感じになられたと思います。協議の場は振出しどころかマイナスからのスタートになった、現状で秋田としては配備候補地としては受け入れられないというふうに会見で佐竹知事はおっしゃっています。そういう中で大臣のこれまでの御答弁というのは、余りにもおわびとは裏腹な、反省のお言葉としては足りない御答弁だというふうに思います。

 この検討結果のお話で、資料1の正誤表にあるように、検討結果の報告書に誤りがあった十九カ所のうちの九カ所で、仰角が男鹿市も含めて過大に記載されていました。調査が誤っていた箇所に対しては、どちらにしても、インフラや機能、役割の観点から配備候補地にはなり得ないというふうに最初は大臣はお答えになっていらっしゃいましたけれども、もはやこれは説得性には欠けています。もう少し真剣な精査が必要だったと今おっしゃっているじゃないですか。誤りのあった九カ所のうち、この仰角の誤差が二度から、さっきみたいな男鹿市の十一度、本当に誤差が大小あるわけですから。

 ここで伺いたいと思いますが、遮蔽性という点に対しては問題はなかったというところが出てくるんじゃないんですか。バツが取れるところが出てくるんじゃないんですか。

岩屋国務大臣 それは既に、バツが取れるところが四カ所出てくるということは申し上げているところでございます。

 したがいまして、他の国有地の検討といいますか調査において、データにミスがあったことも事実でございますし、足らざる点もあったと思いますので、そこはしっかり現地調査をさせていただき、資料を精査した上で、総合的に説明をし直す機会をいただきたいというふうに思っているところでございます。

緑川委員 じゃ聞きますが、遮蔽性は何度だったらバツがつかなくて、何度以上だったらバツがつくんでしょうか。

岩屋国務大臣 十度を目安にしております。

緑川委員 遮蔽性以外にも問題があります。

 津波の影響という項目についても、影響があり、又は影響が大、又はなし、この三つありますが、新屋演習場は明らかに、本多委員からもお話がありましたように、影響があり得る立地です。つまり、どの候補地もいずれかの条件でバツがつく、二十カ所全て候補地ではなくなってしまう。

 岩屋大臣、新屋については敷地整備を行えば津波の影響の心配がなくなるときのうおっしゃっていましたが、ほかのバツとされるところだって、そういう対応をとれば条件はクリアできるはずです。このあたりはいかがですか。

岩屋国務大臣 できるだけ、多分、この関係性を明快、明瞭にしたいということでこういう説明の仕方、資料の出し方になったということですけれども、これはやはり丁寧ではなかったというふうに思います。ただ、マルかバツか、影響が大きいか小さいか、あるかないかという説明では、これは不十分だというふうに思います。

 新屋演習場については説明を行ってまいりましたが、もし新屋演習場に配備できるとなれば、あの凹凸のある演習場をならして、敷地造成をしてかさ上げをする必要があるということでございましたので、そうなれば秋田県のハザードマップで言うところの影響は回避できるということでしたが、そういう細かな検討プロセス、過程についてもしっかりと説明すべきであったというふうに思います。

 そういったことも含めて資料を精査し直して、説明をもう一度させていただきたいと思っております。

緑川委員 やはりこの津波の影響を含め、国有地の機能や役割というのが最後のステップじゃないですか、検討プロセスの。そこの中に、ちょっと小さい字で、住宅地の距離の安全が図られるかどうかということが書いてある。これはやはり順序が違いますよ。検討プロセスをもやはり見直さなければ、この大ざっぱな検討結果は変わっていかないと思いますよ。条件にかなうのがこの二カ所ではなくなったわけですから、これまで以上の正確な説明というのが求められます。

 候補地についても触れましたが、ちょっと時間が来ていますので、そもそもイージス・アショアの導入についても私は違和感を拭うことができないんです。

 資料二枚目の資料5なんですが、ことしの三月の議事録、大臣の御発言を載せさせていただきました。大臣はアメリカを守るためではないというふうにおっしゃっています。太字の部分で、我が国の防衛のためにこのイージス・アショアというものを導入しているとか、今般のイージス・アショア導入の決定は米国を防護するためではなくて、あくまで我が国の防護のためでございますとお答えになっていらっしゃいます。

 ところが、一枚目の資料の4、右下を見ていただきたいんですが、アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所、CSISの上級研究員のトーマス・カラコ氏が発表したレポートであります。シールド・オブ・パシフィック、日本語で太平洋の盾というタイトルなんですが、この論文の四ページ目の下の方、赤い線で引っ張った英文があるんですけれども、これを訳すと、より強力な日本のイージス・アショアのレーダーも、アメリカを脅かすミサイルを前方から追跡するものとしてさらなる役割を果たし得ると書いてあるわけです。

 この文章に従えば、大臣のこの議事録にあるような御発言とは真逆の、アメリカを守るためになっているではないですか。違いますか。

岩屋国務大臣 CSISというのは米国のシンクタンクでございます。私も行って講演をさせていただいたことがありますが、これは米国の一シンクタンクの見解でございまして、これは別に米国政府の見解でもないということだろうと思います。

 それから、我が国にすれば、米国は、はるかに質、量ともにミサイル防衛については堅固な体制をとっていると承知をしております。今度導入しようとしているイージス・アショアというのは、あくまでも我が国の防衛のため、我が国の総合ミサイル体制をしっかりとしたものに整えていくために導入するものでございまして、このシンクタンクの見解は当たらないと思っております。

 ただし、仮に有事という事態が起こる、あるいは存立危機事態といった状況にもし立ち至れば、これは、日米同盟はしっかりと機能、ワークしなければいけないわけでございますから、さまざまなミサイルに、防衛に関する情報を交換をし、共同対処するということは起こり得ることだと思っておりますけれども、それが本来の目的ではないというふうに御理解をいただきたいと思います。

緑川委員 大臣、御発言、大変驚きますよ。防衛省のトップが、一シンクタンクで、アメリカは最も日本の大切な友人であるというふうに声高におっしゃった場所がCSIS。ここはただのシンクタンクじゃないです。ワシントンDCにある超党派のシンクタンク、外交や安全保障分野で重要な政策提言をアメリカ政府に対して行う、政策形成に大きな影響力を持つシンクタンクですよ。そこが発表している、世界に向けて大きな影響力を持っている、これが発信している文書なんですよ。

 では、これは日本政府としてお認めになっているということでこの文書はよろしいんでしょうか。

岩屋国務大臣 いや、ですから、これはアメリカのそのシンクタンクがそういう意見を発表している、あるいは提言をされているということは承知をしておりますけれども、我が国は、我が国独自でミサイル防衛体制を構想し、構築するということを申し上げているわけでございます。

緑川委員 大臣、これはまた資料につけておりますが、議事録の中段のこの太字のところ、イージス・アショアは、米国に向かう弾道ミサイルの探知、追尾を目的として導入するものではありません、これまでの趣旨には沿っています。ただ、私どもが探知し得たものがあれば、日常そういう協力体制をとっておりますから、それは共有するということはあろうかと思うというふうにおっしゃっています。

 このお答えに従えば、協力体制はとっているが、それは目的の外の話である。でも、向こうは明らかにアディショナルパーパスと、目的、役割を明確に言っています。あっちの目的にはなっている。両国のイージス・アショアの認識に食い違いがありませんか。

岩屋国務大臣 日ごろから、ミサイル防衛ということについては、さまざまな情報の共有はしているわけでございます。例えば、我が国には早期警戒衛星はございませんので、早期警戒情報については米国に依拠しているという状況にございます。

 そういった形で、ミサイル防衛の情報共有は平時からとっておりますけれども、それが、何といいますか、一体化しているということではないわけでございます。

緑川委員 ミサイル防衛を一体化なんて言っていないです、私は。

 大臣が、このCSISでのまず御発言があった。一シンクタンクというふうにおっしゃいますが、いずれにしても、国益にかかわる重大なメッセージがこのアメリカのシンクタンクから発信されています。アメリカのためにレーダーで追跡する目的があるかのように書かれていることに対して、これは誤っているんだと抗議するべきじゃないんですか。

岩屋国務大臣 CSISというのは、基本的に私もよく存じ上げておりますし、敬意を払っているシンクタンクでございますが、これは、CSISの中でもさまざまな研究者の方がいらっしゃいますので、その中の一つの見解であるというふうに認識をしておりますので、我が国政府として一々これに反応をするという筋合いのものではないというふうに考えております。

緑川委員 そういう地元の不安、こういう文献をごらんになっている方がいらっしゃいます。そういう不安になっていることに対して、例えば政府は、年金だけでは足りないということに対してはすぐに火消しに走るくせに、同じく国内で、地域で大きな懸念になっているイージス・アショアがアメリカを守る役割があるというふうに書かれていて、それは世界じゅうに伝わっていますよ。書かれているのに、そんな不安に対しては何も答えようとしない。とんでもない御都合主義じゃありませんか、それは。

岩屋国務大臣 例えば住民説明会というのも、これからもその資料がしっかりと整えば再開をさせていただきたいと思っておりますし、そういう場においてお尋ねがあれば、いかようなお尋ねにもきちんとお答えしていかなければならないというふうに思っております。

 また、今、窓口というものを設けさせていただいておりまして、住民の皆様が御都合のいい時間にそこに寄っていただいて、イージス・アショアについて御下問があれば、それにお答えできるような体制を整えておりますけれども、こういったことも更に充実をさせていきたい。御不安が、あるいは御懸念が解消されるように、しっかりと取り組みたいというふうに思っております。

緑川委員 その不安を払拭したいというふうに願うのであれば、こういう日本の意図とは違うようなメッセージが発信されていることに対しては、政府の姿勢はしっかりと示さなきゃいけないんじゃないんですか。いずれにしても、このメッセージを、まず政府としては何ともリアクションがない。

 そういう中で、まず、この配備先に今決められている秋田と山口、この二カ所は、アメリカに飛ぶミサイルを迎撃するための目になり得る、そういう役割を果たし得るということがシンクタンクでは発信しています。それはアメリカ本土に向けるだけではないミサイル、例えばハワイに向けてミサイルが飛んだときには、それは、その軌道が秋田市のちょうど上空を通過する軌道になります。一方で、グアムに向けてミサイルが発射された場合には、山口県の北部のその上空を通過する、そういう軌道になります。つまり、それぞれミサイルがハワイやグアムに飛んだときには、秋田、山口がそれぞれ前方から探知、追尾の絶好のポイントになるわけです。

 その位置からそうした情報を取得できるわけですから、大臣も、協力体制をそういうときにはとっている、そういうときには共有することがあるかもしれないというふうに、先ほど、議事録にも残っていますが、おっしゃっています。

 日本を守ることを目的のイージス・アショアではあっても、協力を求められるときには、そういう探知、追尾で得たものを共有するということはあり得るということですね。

岩屋国務大臣 これも先ほどお答えしたとおりでございます。

 先ほどから申し上げておりますように、CSISのこのレポートについてどう思うかと問われて、これは我が国政府の考えではありませんということを明確に申し上げているわけですから、そこは明確にお答えができているんだというふうに思っております。

 イージス・アショアの配備については、バランスよく我が国全域を防御できるかどうかということを第一に考えて選定を行っているところでございまして、決して、一部の指摘にあるような、ハワイやグアムとの防護とは関係がありません。

 米国は、早期警戒衛星、あるいはイージス・アショアというシステムも含めて、かなりしっかりした米国自身の防護システムを有しているというふうに認識をしております。

緑川委員 敬意を払っているそのCSIS、だからこそ理解をしてもらうために、自分たちの考えとは違うということは伝えるべきじゃないんですか。抗議をするではなくても、私たちの考えではないことは知ってもらわなければ、世界に影響を与えているようなCSISのこの文書、まず違うんだということは伝えるべきなんじゃないですか、大臣。いかがですか。

岩屋国務大臣 CSISに限らず、こういう軍事あるいは防衛、国防、安全保障のさまざまな研究機関があり、あるいは雑誌があり、さまざまな見解が述べられているわけですけれども、その一々に反応したり抗議をしたりということではなくて、我が国としての考え方を政府としてはあらゆる機会を捉えてしっかり国民に理解してもらえるように説明をしていくということが大切ではないかというふうに考えております。

緑川委員 大臣にとっては一々なことかもしれませんが、地元にとっては、この一々の一が大きな懸念材料になっているんですよ、アメリカから発信されているメッセージが。

 このイージス・アショアがたとえアメリカに向かう弾道ミサイルの追尾、探知を目的とするものでなくても、やはり日本が探知し得たものがあれば、協力体制のもとで共有するということはあり得る、ミサイルの迎撃という任務を負わないにしても。日本の本来の目的でなくても、アメリカの目としての役割を担い得るということは間違いないわけじゃないですか。

 一方で、我が国を常時防護するということを言っていらっしゃいます。そういう視点に立っても、例えば東京のように、二カ所の間を通過する弾道ミサイルが発射されたとします、大都市東京に向けて。これを迎撃する場合には、しかしこの二カ所からでは角度がつき過ぎて側方からの迎撃になる、横からの迎撃になる、いわゆる側方迎撃になる。

 それに対して大臣は、「実際の事態においては、それでも死角ができたりということは全くないとは言えない」というふうに安全保障委員会で大臣もこれはお認めになっています。側方迎撃で全てのポイントを迎撃することはできないんだということをお答えになっていらっしゃいます。そういう迎撃しにくい軌道上をミサイルが飛ぶときには、狙いにくい角度になるという場合が実際にあり得る。これは議事録、そのまま載せていますから。それは、結局、二カ所が常時日本列島全体を防護できると言っておきながら、二カ所からの迎撃が難しい、死角となるポイントが多分にある、そういうときにはイージス艦やPAC3で撃ち落とすということを書いていらっしゃいます。

 初めから地上固定式のアショアは、そうであれば要らないんですよ。現状の調査結果に照らしても、北側の候補地として十九カ所の国有地を当たっても、適地と確認できたのは最初の調査では一カ所だけだった。逆に、適地がこれしか見つからない、それでも死角ができるというのであれば、イージス・アショアというのがこの日本という場所に適するアセットではない、イージス・アショアを組み合わせたミサイル防衛構想というのはそもそも日本には無理があるということになりませんか、大臣。

岩屋国務大臣 基本的には、イージス・アショアという装備は、側方迎撃においても問題がないというふうに認識をしております。しかし、では、いつもかつも、どんなときも一〇〇%かと言われれば、やはりそうではない場合もあるでしょう。だからこそ、総合的なミサイル防衛体制を構築していくことが必要なんだと。イージス艦だけでも、やはりすきができるときがございます。イージス艦とPAC3という体制だけでも、やはりすきができるときがございます。そういうすきといったものを二十四時間、三百六十五日つくらない体制をしっかり整える必要があるということを申し上げているところでございます。

緑川委員 それは、イージス・アショア、追加の装備としてはあった方がいいかもしれませんよ。それは、防衛装備はあるにこしたことはありませんよ。でも、問題は費用対効果なんですよ、私が言っているのは。側方迎撃で一〇〇%迎撃できるというふうにはおっしゃっていない。補う必要があるとおっしゃっている。その上で、当初の、イージス艦よりもはるかに安いといううたい文句はどこに行ったんでしょうか。費用は恐ろしく膨らんでいますよ。

 配備計画が進む中で、今後の迎撃ミサイルの発射実験、技術更新といった経費は全面的に日本負担。そして、未製造の最新レーダー、SSRの性能を確認するために、これも日本政府の負担でハワイにSSRのテストサイトを建設するようにアメリカから求められている。レーダーの開発にかかわるはずだった国内産業には結局恩恵がなかった上に、膨大な追加費用がかかることになる。そしてもちろん、本体であるイージス・アショアを格納する建屋の建設費、土地の造成費、メンテナンスコストなどの経費も乗ってくるわけじゃないですか。

 日本は自国を守るという理屈で、大臣何度もおっしゃいますが、これをかぶろうとしていますけれども、レーダーがアメリカの目としての役割を果たし得るということは、大臣は否定されません。先ほど確認をしました。

 アメリカは、日本の近海に自分たちのイージス艦を展開する必要がなくなるわけですから、いつでも、アメリカを狙ったミサイル、この情報を入手できる、日本から取得できる、アメリカ軍のミサイルで迎撃して対処できることになります。事実上、アメリカには大きなメリットがある話であるのに、その費用負担については完全に他人事の姿勢じゃないですか。費用は全額あんたが持ってくれ、でも困ったときには、日本、助けてね。ここまで来ると、協力関係ではなくて、もう主従関係ですよ。

 アメリカに負担を求めるべきじゃないんですか、大臣。

岩屋国務大臣 残念ながら、委員の御発言には多分に事実誤認があるというふうに考えます。

 まず、イージス・アショアは、アメリカの目ではなくて、日本の目として導入をするものでございます。しかしながら、同盟関係にあるわけですから、ミサイル防衛に関する情報の共有ということはお互いにあり得るということでございます。

 それから、コストにつきましては、今、最新のレーダーを積んだイージス艦一隻当たりの建造費用は二千億円近くになっております。二基、三十年間のイージス・アショアのライフサイクルコストというのは四千四百億弱と見積もっておりますけれども、これをイージス艦に置きかえますと約七千億円要するというふうに考えられます。コストの面からいっても、この二基で日本全域を、全空域をカバーするというのは適切な装備の選定ではないかと思いますし、それから、能力の試験の必要の有無等については、今、米国と協議中でございまして、試験施設の費用を日本に出せと言われているような事実はございません。

緑川委員 どんな言いわけをされても、コストは膨らんできているわけです。

 同じコスト増でも、敵の巡航ミサイルなどの位置情報を味方同士で共有できるCEC、これの付加は見送っている。これまでの政府の説明では、秋田、山口の配備自体には合理性を見出すことはできませんが、その上で、複数の艦船や航空機のレーダーを連動させれば、迎撃の範囲や対処のスピードが大幅に向上できることにはなります。航空機や無人機、あるいは低空で飛んでくる巡航ミサイルに対する防空能力をイージス・アショアに付与していくことが流れであるというふうに政府はおっしゃっていました、前に。それを見送ったんです。

 三月の委員会で大臣はこうも言っていました。航空機によるイージス・アショアへの脅威ということもあり得るかもしれませんので、空自の地上レーダーで警戒監視をするというふうにおっしゃいました。脅威を認識していながら、このままでは、イージス・アショア自身を守るための対空ミサイルを撃つことができないんですよ。イージス・アショア本体がテロや破壊工作の対象になり得る、仮にその本体が置かれるというのであれば、当然、その周辺地域を守るために、イージス・アショア自身がみずから身を守るすべは確保されるべきであると思いますが、いかがですか。

岩屋国務大臣 イージス・アショアが配備されますと、周辺の地域あるいは施設が攻撃の標的になるのではないかという御不安、御懸念があるということは認識をしております。したがいまして、イージス・アショアの配備は、しっかりとした警護体制、警戒体制というものを前提にしておかなければいけないというふうに考えております。

 それから、ミサイル防衛体制、総合ミサイル防衛体制というものが充実すれば、これは言うまでもなくミサイルによる攻撃を抑止する効果が出てくるというふうに思っておりまして、むしろミサイル攻撃の標的にされる危険性は低減させることができるというふうに考えているところでございます。

 それから、今、イージス・アショアについては、あくまでも弾道ミサイルに対処するという能力を考えておりますので、先生御指摘のCECの搭載はしないということにしておりますが、仮に、将来、安全保障環境が大きく変わって、巡航ミサイル等にも対処しなければならないといったときの能力の拡張の可能性については、確保しておかなければいけないというふうに思っております。

岸委員長 緑川君、時間が来ております。

緑川委員 お尋ねはこれでしませんけれども、いずれ、さらなる費用負担、CECを含め、この後年度負担の問題もあります。装備品の選定の過程、その後の対応を見ても、まさに、日本はアメリカに言われるがままで、主体性に欠けていると言わざるを得ません。

 国益を損なうおそれの大きい、さまざまな費用負担、役割の問題、重大なこのイージス・アショアの問題、また引き続き議論をしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 米軍嘉手納基地や普天間基地周辺の河川や湧き水で高濃度の有機弗素化合物、PFOSやPFOAが検出されている問題について質問をいたします。

 沖縄県の玉城知事は、今月十二日に上京し、この問題で政府に要請を行いました。これまで政府が行ってこなかったPFOSやPFOAの基準値の設定を求めたのに対し、厚生労働省は、今後目標値の設定に向けた検討を進め、来年四月ごろまでに方向性を出す考えを明らかにいたしました。

 米国ではこれまで、環境保護庁、EPAが、人が一生涯摂取しても健康に悪影響を及ぼさない生涯健康勧告値を一リットル当たり二百ナノグラムと定めていましたが、二〇一六年五月には七十ナノグラムへと改めました。ことし二月には包括的な行動計画を公表し、年内に飲用水の基準値を提案する方針を明らかにしています。また、保健福祉省や州レベルでは更に厳しい値を定める動きも起こっています。

 今後、厚生労働省に設置されている検討会で議論が行われることになると思いますが、こうした国際的な動向も踏まえ、科学的な知見に基づいて、実際にその飲用水を口にする県民が納得できる目標値を定めていただく必要があります。

 厚生労働省としては、最近の国際的な動向や知見をどのように認識し、また、目標値の設定に向けてどのように取り組む方針ですか。

    〔委員長退席、山本(と)委員長代理着席〕

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました有機弗素化合物のPFOS、PFOAにつきましては、我が国の水道の水質基準におきましては、平成二十一年に、必要な情報、知見の収集に努める要検討項目として、水道水における検出状況や最新の科学的知見等の情報収集に努めているところでございますが、毒性評価が定まらないこと等から、目標値は設定しておりません。

 一方、米国においては、御指摘ありましたが、飲用水に関して、二〇一六年に、生涯健康勧告値として、PFOS、PFOA合計で七十ナノグラム・パー・リットルに強化したこと、また、本年二月に、PFOS、PFOA等に対する今後の行動を記載した包括的全国PFAS行動計画を公表したことなどの動きがあることは認識しております。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、御指摘のありました米国の動きも踏まえた最新の科学的知見を収集しつつ、専門家等の意見を伺いながら、目標値の設定について検討を進めてまいります。

赤嶺委員 既に世界に立ちおくれている状況でありますが、厚労省の検討会のホームページを見せていただきました。過去の議事録が全文で公開されておりました。今回のPFOSをめぐる議論も同様に全文が公開されるということで、これはよろしいですか。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には議事録等については公開していくという考え方でございますので、今後につきましても、特に支障がないということであれば、公開していくことになるというふうになります。

赤嶺委員 では、全文公開するわけですね。

宮嵜政府参考人 議事録として公開させていただきます。

赤嶺委員 防衛省もぜひそれを見習っていただきたいと思います。質問ではありません。防衛省は全然全文公開しないものですからね。

 今の厚労省の答弁については、今後の議論を注視していきます。また機会があれば質問させていただきます。

 それで、環境省はどうされるかということです。

 これまでに、環境リスクに関する知見の集積を進める要調査項目に指定してきましたが、これを見直す考えはあるんですか。具体的な指針値を定めて、一段階上の要監視項目に指定することはあり得るのでしょうか。

城内副大臣 赤嶺政賢委員にお答えいたします。

 まず、有機弗素化合物、PFOS等につきましては、基準等を設定する際に基本となる耐容一日摂取量、すなわち、人が継続的に摂取した際の健康影響を生じない限度量、これがWHO等の国際機関においていまだに確定していないため、要調査項目に位置づけており、情報、知見の収集を鋭意行っているところでございます。

 環境省といたしましては、沖縄県民の皆様の思いをしっかり受けとめ、また、沖縄県民の皆様の心と体の健康にも寄り添ってまいる所存でございます。

 いずれにしましても、厚労省の水道水に係る目標値の検討状況を踏まえつつ、必要な対応についてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 見直す考えはあるということですね。

城内副大臣 お答えいたします。

 今お答えしたとおり、環境基準項目、その下に要監視項目、要調査項目とございますけれども、いずれにしましても、繰り返しになりますけれども、WHO等の国際機関においていまだ先ほど申しました耐容一日摂取量について確定しておりませんので、現時点では要調査項目として位置づけながら、情報、知見の収集を鋭意行いつつ、その後についてはまた検討していきたいというふうに考えております。

赤嶺委員 私、この問題、三年前に取り上げて、そのときと全く答弁のスタンスが変わりませんが、ぜひ、厚労省も含めて、今の知見の集積で世界の流れにおくれることがないようにしていただきたいと思います。

 防衛省は、四月二十五日に今年度の民生安定助成事業の実施計画を公表いたしました。そこで、沖縄県が行う北谷浄水場の活性炭設備の改良工事に助成を行うことを明らかにいたしました。

 事業全体の内容と工期、事業費と補助率、今年度の具体的な計画を明らかにしていただけますか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の北谷浄水場でございますが、沖縄県が管理をしております。昨年五月に沖縄県から、防衛省の補助事業による整備の要望が行われておりまして、委員御指摘のとおり、今年度から補助金を交付することとしております。

 事業内容といたしましては、水中の有機物ですとかにおいなどを活性炭を用いて取り除くための施設の設備を改良するというものでございます。沖縄県が計画をしております工期は、令和元年度から令和五年度になっております。全体事業費は約十三億円を見込んでおります。当該事業に関します防衛省の補助率は三分の二でございまして、今年度は設備改良に関します設計を計画しているところでございます。

 沖縄県において、PFOSなどに関し懸念が生じていることは承知をしているところでございます。本件事業は、申し上げたとおり、沖縄県からの要望に基づき実施するものであり、米軍とPFOS等の因果関係は現時点では確認はされていないものの、基地周辺住民への安心、安全な飲料水の供給に寄与するものと考えているところでございます。

    〔山本(と)委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 沖縄県は、県が実施するPFOS等の対策費用を過去の負担分を含めて補償することを求めていますが、この点についてはどのように対応されるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県からは、先ほど申し上げました北谷浄水場におきます粒状活性炭の取りかえなど、過去に県が実施をしましたPFOSなどの対策に要した費用の補償ですとか、今後県が実施をしますPFOS対策に関します費用の負担について要請を受けているところでございます。

 防衛省といたしましては、沖縄県の要望に対し、いかなる対応が可能か検討してまいりましたが、米軍とPFOSなどの因果関係が確認をされておらず、日本国内でのPFOSなどを規制する基準がない中で、補償を行うべき状況にあるという結論には至っておりません。

 引き続き、沖縄県が実施をするPFOSなどの対策費用の負担も含めまして、沖縄県及び関係省庁と協議しながら検討してまいりたいと考えているところでございます。

赤嶺委員 今の問題はさんざんこれまで議論してきているわけですが、今回の補助事業で、米軍基地由来の水質汚染に県の予算で対応しなければならないという理不尽な現状が若干緩和されることにはなりますが、米軍が基地への立入りに応じない、そして汚染源の特定に至っていない、肝心の米軍は何の責任も問われないスキームになっているわけです。

 外務大臣に伺いますが、沖縄県は三年以上にわたり、基地への立入りとサンプリング採取を求めてきましたが、いまだに実現していません。なぜ実現していないんですか。

河野国務大臣 沖縄県の調査で、嘉手納基地あるいは普天間飛行場の周辺の河川などからPFOS、PFOAが検出されたということは承知をしております。しかし、この有機弗素化合物、PFOS、PFOAにつきましては、WHOなどの国際機関において、人が継続的に摂取した際の健康影響が生じない限度量が確定していないことなどから、引き続き、リスクに関する知見の集積が必要な物質であると承知をしております。

 この件については、平成二十九年度に沖縄防衛局が、米側と調整の上、嘉手納飛行場への立入調査を行っているところでございます。沖縄県民の皆様がPFOSなどの検出に対し不安を抱いておられることは重く受けとめており、皆様の不安を払拭できるよう、沖縄県、米側及び関係省庁と連携し、実際的になし得る施策について、引き続きしっかりと実施してまいりたいと思います。

赤嶺委員 そうすると、今、アメリカと日本側ではこの問題について議論は行っていない、沖縄県の基地の立入調査要求は宙に浮いたままだ、そういうことですか。

河野国務大臣 沖縄県が要請している立入調査については、アメリカ側に要請を伝達している、防衛省からアメリカに対し要請を伝達していると承知をしております。

赤嶺委員 伝達して、今どうなっているんですかね。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど外務大臣から御答弁ありましたとおり、沖縄県の要望に関しましては、防衛省沖縄防衛局から直ちに米側の方に伝達をしているところでございます。その後も累次の機会に、立入りが実現するよう働きかけは継続をしているところでございます。

赤嶺委員 具体的にどこまで話は進んでいるんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、累次の機会に働きかけを行っているところでございますが、先ほど外務大臣から御答弁がありましたとおりの理由により、立入り自体は実現をしていないというところでございます。

赤嶺委員 伝達というのは、もう交渉じゃないですよね。県民の命がかかっている飲み水について、PFOSやPFOAが見つかり、やっているのに、累次にわたって伝達した。こんなんじゃ実現しないですよ、絶対に。もうアメリカということになったら物も言えないのかというような感じがいたします。

 そのアメリカで、昨年九月二十六日付で、米政府監査院、GAOが、PFOSに関する米国防総省の取組について報告書をまとめています。

 それによると、米軍自身が国内と海外の米軍基地の包括的な調査を行ってきていることがわかります。EPAが生涯健康勧告値を七十ナノグラムに強化したのを受けて、陸海空海兵隊全てで、過去にPFOSやPFOAの流出があったか、あるいはその疑いのある場所を特定し、施設・区域外に居住する住民を含めた人の健康への影響を明らかにすることや、飲用水にEPAの勧告値を超える汚染がないかどうかの調査を行っていることが明記されています。

 米軍はこうした調査を行っているのではありませんか。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の米会計検査院、いわゆるGAOの報告書が公表されていることは承知しておりますが、これは連邦議会の補助機関であるGAOの報告書でございまして、彼らによる独自の調査に基づくものでございます。したがって、米行政府の立場と同じではないというふうに承知しておることもあって、その内容の逐一について政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

赤嶺委員 これを受けて昨年三月には、環境問題を担当する米国防次官補代理、これが調査結果を取りまとめ、議会に提出しています。そこには基地ごとの調査結果が一つ一つ列挙されています。アメリカの国内だけでなく、韓国やベルギーやディエゴガルシアなど、海外の米軍基地の調査結果も明記されております。

 具体的には、二〇一七年八月三十一日時点で、米国と米国領、海外にある三千二百六十六カ所の基地のうち二千五百四十二カ所でサンプリング調査を行い、うち三十六カ所の飲用水でEPAの勧告値を上回る数値が検出されたとしています。

 また、基地周辺の公共、民間の飲用水についても調査をしております。二千四百四十五カ所を調査し、五百六十四カ所で勧告値を上回ったとしています。

 外務大臣、米軍自身は世界じゅうの基地で調査を行っているのに、沖縄県の立入調査は認めないというのは、これはおかしいと思いませんか。

河野国務大臣 沖縄の県民の皆様がこのPFOS等の検出に対して不安を抱いておられることは重く受けとめており、皆様の不安を払拭できるよう、沖縄県、米側及び関係省庁と密接に連携し、実際になし得る施策については、引き続きしっかりと実施してまいりたいと思います。

赤嶺委員 私が伺っているのは、米軍、国防総省は、海外の米軍基地も含めて、このPFOS、PFOAの調査をやっているのに、沖縄県が基地の中の調査をやりたいということについて、それがいつまでたっても認められないのはおかしいのではないですかということですが、いかがですか。

河野国務大臣 繰り返しになりますが、沖縄県、米側及び関係省庁と連携し、なし得る施策については、引き続きしっかりと実施してまいりたいと思います。

赤嶺委員 外務大臣のそういう態度では、なし得る施策も見つからないと思いますよ。

 米軍は、実は嘉手納基地でも調査を行っていたことが、ことし一月十日の日付の地元紙の報道で明らかになっています。

 情報公開請求で入手した米軍の内部文書に基づいて、二〇一四年から一七年にかけて、米軍が嘉手納基地内の十三カ所で調査を行っていた事実を明らかにしています。嘉手納警察署からフェンスを隔てて約百五十メートル、町役場から約二百メートルに位置するため池で九万pptが検出されていた、このようにしています。

 こうした米軍による調査結果は、日本と、政府と共有されているんですか。

河野国務大臣 されております。

赤嶺委員 じゃ、その結果を、共有している中身を出していただけますか。

鈴木(量)政府参考人 提供されている内容について公表するかどうかについては米側の了承をとる必要がございますので、今後、適切に対応、対処させていただければと思います。

赤嶺委員 米側は、米軍は、みずからが調査した海外の米軍基地について、一覧表まで出して公開しているんですよ。沖縄だって海外でしょう、米軍にとってはね。しかも、それは、嘉手納基地を自分たちで調査していた、それを政府が共有している。そんなの、米軍が公表しているものだから、嘉手納基地も当然、日本政府は公表すべきじゃないですか。隠す必要がどこにありますか。

 米軍が自分たちがやっているように、日本政府もやればいいじゃないですか。今まで隠していたんですか、この資料。いつ手に入れたんですか。いかがですか。

鈴木(量)政府参考人 先ほど御指摘のございました環境安全担当の米国防次官補代理による議会報告でございますけれども、いろいろと先生御指摘のとおりの記述があることは承知しておりますけれども、この国外の調査結果についてでは、韓国、ベルギー等については掲載されておりますが、日本についての言及はないというふうに承知しております。

赤嶺委員 ですから、嘉手納は、嘉手納基地を米軍自身が調査した、その結果は皆さんが共有していると言っている、それを出せと言っているんですよ。

鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、公表するかどうかにつきましては米側との合意が必要でございますので、適宜対応、対処させていただければと思います。

赤嶺委員 アメリカは、ベルギーや韓国やディエゴガルシアについては公表しているんですよ。何で沖縄だけ公表できない理由があるんですか。日本政府は隠すんですか。これはもう、米軍自身が調査の必要性を認め、海外を含めた包括的な調査を行いながら、沖縄県による立入調査を認めないというのは全く不合理であります。

 一九七三年の環境協力に関する日米合同委員会合意は、米軍基地に起因する汚染が発生し、地域社会の福祉に影響を与えていると信じる合理的理由のある場合は、米軍に調査を申請することや、自治体による基地内の視察やサンプル入手を許可することができる、このように明記しています。

 高濃度のPFOSが現に検出され、米軍自身も嘉手納基地で調査を行っている今回の事例が、合理的理由がある場合に該当するのは明らかであります。沖縄県による立入調査の実現を強く求めたいと思いますが、この合同委員会合意は、これがあるから基地の中に入れるということを、外務大臣、繰り返し答弁してきております。いかがですか。

岸委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

河野国務大臣 沖縄県、米側、関係省庁と、実施できる施策についてはしかるべく実施してまいりたいと思います。

赤嶺委員 全く前向きな態度が感じられない姿勢でありますが、県民にとっては命にかかわる飲用水の毒性の問題であります。その汚染源は米軍基地であります。

 米軍基地の立入調査を強く認めるよう改めて求めて、質問を終わります。

岸委員長 質問者の皆さんに申し上げます。

 質問の予定時間を少しずつ超過した結果、今、七、八分オーバーしておるところですので、質問者の皆さんにおかれては、時間が超過した際は簡潔におまとめいただくようお願いします。また、答弁者の皆さんにも、この点に留意して、簡潔な御答弁をお願いしたいと思います。

 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田です。きっちり十三分で終わらせようと思います。

 イージス・アショアの件を集中してやらせていただきたいと思うんですけれども、今回の問題というのは、やはり、地元の方に対する思いやりといいますか、そういう気遣いというのが余りにないということが一番の大きなことなのかなと思っています。

 ドクターヘリに関しての影響というのも挙げられましたが、住民にしてみれば、例えば、野鳥が飛んでこなくなるんじゃないかとか、上を通ったときに落ちてくるんじゃないかというようなこともあるでしょうし、攻撃の対象ということになって警備員をふやすといっても、あそこは私も行ったことあるんですけれども、非常にのどかなところで、警備員がいっぱいいるというようなことで銃撃戦が始まるんじゃないかとか、あるいは、警備がふえるということによって、のどかな町並みというものの雰囲気も大きく変わるわけですよ。

 そういう意味では、住民にとっては本当にすごく大事な、人生にとっても一番大事なことに関して、今回の数値の誤りということに対してのミスが余りにもずさんだったということだと思うんですけれども、それに対して人為的なミスという説明をされているんですが、この人為的というのは、どういう意味で人為的という説明をされていらっしゃるんでしょうか。

岩屋国務大臣 先生御指摘のとおりだと思っておりまして、特にあのイージス・アショアというのは、陸上固定型の装備ということになりますので、やはり、そこは本当に住民の皆さんのお気持ちに寄り添う姿勢がなければいけなかったというふうに思います。

 そういう意味で、防衛省の姿勢に大いに反省すべき点があったというふうに私も思っておりまして、それらを改め、信頼回復のために全力を尽くしていきたいというふうに決意をしております。

 今のお尋ねでございますが、もう御承知のように、角度を計算するに当たって、データの縦軸の縮尺と横軸の縮尺が異なっているということに計算の段階で気がつかなかった、また、そういう単純なミスを組織としてチェックすることができなかったという意味において人為的なミスである、大変申しわけなかったというふうに申し上げているところでございまして、今後二度とこのようなことがないように、引き締めて対応してまいりたいというふうに思っております。

串田委員 先ほど、影響について一つ言い忘れたのは、例えば、イージス・アショアでミサイルを迎撃できたときの破片が落ちてこないのかとか、そういったようなことも余り議論されていないわけですよ。そういう意味で、きょうは通告していないので、破片が落ちてくるというようなことの心配は要らないのかという質問はしないんですけれども、住民にとっては非常にそういう意味で心配である中で、縮尺に関してが人為的ミスだというのが、果たしてそれで住民が納得するか。そもそもが、グーグルアースを使ったこと自体が一番の問題なわけだと思いますよ。

 グーグルアースの縮尺を間違えたという意味ですけれども、縮尺を間違えなかったらグーグルアースというのは地図として正確であったということ自体、誰がどうやって確認しているんですか。

槌道政府参考人 グーグルアースにつきまして、地図データを提供するサービスとしては一般に広く用いられているものでございます。

 その断面図を用いたときに、明白に遮蔽物となるものは十分確認可能であるというふうに、担当部局、防衛政策局の戦略企画課において判断をし、遮蔽物の角度を計算させて用いることとなったわけでございます。

 こうした判断につきましては、その担当部局内で調査結果に係る資料の作成方針を定めるときに決まったものでございます。この今の段階において具体的な時期を特定することは困難でございますが、昨年十月、他の国有地の検討を開始して以降なされたものでございます。

串田委員 いや、本当に町の何らかの建築物を建てるに当たっても、現場に行ってはかりますよ。それを、インターネットで、グーグルアースで計算して分度器で何か当てて、千二百億円のものを税金を使って設置する。そして、住民にとっても大変不安で不安でしようがないようなものを設置するに当たって、グーグルアースは一般的に使われているからそれでいいんだ、縮尺を間違えたのが人為的なミスなんだ、だから、グーグルアースは一般的に使われているから、縮尺は間違えないでこれからも使いますよ。大臣、そういうことなんですか。

岩屋国務大臣 正しく用いれば、グーグルアースを使っても正しい数値ははじき出せるんだと思いますけれども、今般、体制をつくり直して、現地に行って測量をしっかりと行うという手法でデータをより精緻なものにして、説明をし直しをさせていただきたいと思っております。(発言する者あり)

串田委員 今は委員会の方からもありましたけれども、日本にも国土地理院の地図もあるわけですよ。自衛隊もあるわけでしょう。何でグーグルアースという米国の企業の、そして、一般的に使われているから正しいって、どうして正しいのかという検証、あるところでずっと使われているものを毎回使うんだったらあれでしょうけれども、世界じゅうのところのものを、それも、縮尺を変えたりなんかいろいろなことを細工をしている中で、どうしてそれが事実をあらわしているのかということを信用するのかというのは、一般的に使われているとそれは正しいという理解になってしまうということでいいんですか。

 これからもそうやって、一般的に使われているからグーグルアースを使い続けるということを今表明されたということなんでしょうか。

岩屋国務大臣 そういうことを申し上げているのではありません。たまたま現場がグーグルアースという材料を使ったんでしょうけれども、より精緻なデータを得るためには、やはり現地での測量というものが必要だという考え方で調査をやり直させていただきます。

串田委員 やり直すということの中で、きのう、新幹線でちょっと移動していたときに、よく新幹線のところで帯状のニュースが流れているのがありますよね、車内の中で。そこで、候補地に対しては再度改めて見直すというのがニュースで出たんですよ。それで、私自身はあした質疑するから、そういうことになったんだと思っていたんですけれども、きょうの質疑をしているとそうでもなさそうなんですが、あれは新幹線の、間違いなくそう出たんですよ。これはどうなんですか。そういうことを発表したことはないんですか。そして、再度見直すというようなことはないんですか。

岩屋国務大臣 私はそのようなことは申し上げておりません。

 知事さんそれから市長さんにお目にかかった後、ぶら下がり会見をさせていただいていろいろお尋ねにお答えをさせていただいたんですが、現段階では適地として新屋演習場というものを見直すだけの材料を持っているわけではございませんというふうに申し上げました。

 しかしながら、他の国有地の検討の資料において非常に重大なミスがあったことも事実でございますので、そこはしっかり調査を行って、もう一度資料を整えた上で説明をさせていただく機会をいただきたいということを申し上げさせていただいたところでございます。

串田委員 それ以外に、レーダーとかミサイル発射基地から七百メーターの緩衝地域があるから安全なんだというような説明をしたことはあるんでしょうか。

岩屋国務大臣 基本的に、レーダーそれからVLSというその発射装置から二百三十メートルあるいは二百五十メートル四方しっかりと距離をとれば安全だというデータがございますけれども、更に安全をしっかり確保するために、七百メートルの保安距離をとるように想定をしているということでございます。

串田委員 そのために県有地を取得するということなんですが、その後、それは必要条件ではないと言って覆したという事実はあるんですか。それとも、そういったことは一切なくて、七百メーターの県有地は必ず買うんだ、そして、それは緩衝地域であるから安全なんだということを今大臣もおっしゃられたんですけれども、それを後に覆したという事実はないということでよろしいですか。

岩屋国務大臣 覆したという事実はございません。先ほど申し上げたように、レーダーについては保安距離は二百三十メートル、VLSについては二百五十メートルというものをしっかりと確保すれば人体に影響を及ぼすようなことはないということでございますので、敷地内におさめる形で配備することは可能なんですけれども、しかし、より安全に配備、運用するという観点からは、七百メートルの保安距離をとることを考えていたということでございます。

 したがって、県有地がもし取得できなければ、なかりせば配備ができないのかと言われれば、それは、二百三十メートル、二百五十メートルという距離をしっかりと確保すればできなくはないけれども、しかし、ぜひ県有地を取得させていただいて、より安全な保安距離を確保させていただきたいというふうに考えているところでございます。

串田委員 住民からすれば、七百メーターの緩衝地域を取得するから安全だという話であるんですから、これは、住民としてはもう絶対条件であるというふうに普通考えると思います。

 もう一つ、あそこは男鹿半島が近くにあるんですけれども、北朝鮮の漂着船が毎年あそこの秋田県とか北海道で百隻以上は来ているんですよ。生存者がいることもあるんです。そういうような意味で、沿岸地域の保安状態が非常にずさんなんですよ。今言ったような形で、攻撃対象になるんじゃないか、あるいは何か時限爆弾を置かれるんじゃないかと地元の方も心配している中で、漂着船が非常に来やすい場所であるということの認識と、それに対する対処というものは検討されているんでしょうか。最後の質問にしたいと思います。

岸委員長 岩屋防衛大臣、簡潔に。

岩屋国務大臣 はい。

 我が国の沿岸警備につきましては、言うまでもなく、海上保安庁が一義的な対応、責任を有しておりますけれども、防衛省・自衛隊も、広範囲にわたる警戒監視活動を日ごろから実施をしております。

 イージス・アショアを配備するに当たっては、海上保安庁や警察などの関係機関との共同での訓練を通じ、しっかりと情報共有の体制を確立をしていきたいと思っております。

串田委員 時間になりました。終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 社会保障を立て直す国民会議の重徳和彦です。

 安全保障からちょっとそれますけれども、河野外務大臣にお越しいただいておりますので、ちょっと要望したいと思います。

 現在ジュネーブで行われているILO総会、国際労働機関で、仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約が採択されるように、政府は積極的に議論に参加していただきたいと思います。

 ちょっと厚労省に確認なんですが、実際のところ、今国会で成立しましたハラスメント法、これは、ILO事務局の条約原案と比べていろいろ不十分です。ハラスメント行為の禁止が明記されていない、罰則もない、被害者、加害者の範囲も不十分、これは野党が指摘したとおりなんです。

 このままでは批准できないんじゃないかと思うんですけれども、政府は条約の議論にどういうスタンスで臨むんでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 仕事の世界における暴力やハラスメント、これはあってはならないことでございますので、これをなくしていくための新たな国際労働基準の意義、必要性というのは非常に大きいというふうに認識をしております。

 我が国では、今御指摘いただきましたように、ハラスメント防止対策の強化を盛り込んだ改正法が先般成立をしたところでございまして、今後積極的に取組を進めていきたいというふうに考えております。

 現在、ILOで条約の審議がまさに行われておるところでございます。私どもとしては、こうした、我が国あるいは世界各国が効果的に対策を進めていけるような内容の条約になるということが非常に重要だというふうに考えておりまして、そういった観点から、この条約の議論に積極的に参加をしているところでございます。

 批准の問題につきましては、まさに、その内容がどういうふうになるかということにかかわってくるところでございまして、その内容を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

重徳委員 効果的な条約になるようにということですけれども、要するに、今の国内法のレベルではそのまま批准できないということだと思うんですけれども。

 こういった日本の国内法というのは、国際水準に準拠していけば日本への信頼感も高まると思うんです。国益ですよ。そういう意味で、国内法の所管は厚労省ですけれども、河野外務大臣も、ILO条約の採択、批准に向けて前向きに取り組んでいただきたいと思うんですけれども、どのような御認識をお持ちでしょうか。

河野国務大臣 日本政府といたしましては、世界各国が効果的にハラスメント防止対策を進めていくことができる基準の内容となるよう、現在行われているILO総会における議論に積極的に参加してまいりたいと思います。

重徳委員 簡潔な御答弁をありがとうございます。

 いずれにしても、国内外の場でしっかりハラスメント対策、これは重要なことでありますので、ぜひ取り組んでいただきたいということを、この場をおかりして要望していきたいと思います。

 さて、話題は、現在香港で逃亡犯罪人条例の改正に対する大規模な抗議デモが行われている、この話題に移したいと思います。

 これは、犯罪容疑者を中国に引き渡すことを可能とする条例改正に対して抗議デモが起こっているんですけれども、三日前の六月十五日にキャリー・ラム行政長官が無期限延期を表明しましたが、それでもデモは、比較的整然と秩序を持って、しかし継続されているという状況だと認識しております。

 これは香港政府の読み誤りじゃないかなと思います。最終的には撤回せざるを得ないんじゃないか、延期じゃなくて、撤回せざるを得ないんじゃないかとまで私は思っておるんですが、香港政府、どう対応すべきだったのか、あるいはこれからどう対応すべきか。どう思われますか。

河野国務大臣 香港政府の対応についてお答えする立場にございません。

重徳委員 河野大臣はツイッターで、六月十三日、一回目の大規模デモが起こった翌日ですが、「平和的な話合いを通じて、事態が早期に収拾され、香港の自由と民主が維持されることを強く期待します。」こう書かれていますよね。

 このツイッター以上のせめて答弁をしていただきたいんですけれども。

河野国務大臣 香港政府がいかに対応すべきかということについて申し上げる立場にはございません。

重徳委員 どういうことを期待されますか。

河野国務大臣 香港というのは一国二制度のもと発展をしてきているわけでございますから、この香港の一国二制度というものがしっかり維持され、香港自身が発展し、そして、アジア太平洋地域の繁栄と発展につながっていくということを期待したいと思います。

重徳委員 どうぞ、ぜひ最初からそのようにお答えいただきたいと思います。

 この平和的な話合いということはツイッターでも河野大臣言われているんですけれども、どれだけ平和的にやろうとしても、対話で話し合おうとしても、こうした逃亡犯罪人条例の改正というのは、香港の市民は私は決して納得しない話ではないかと思っております。

 要するに、自由主義圏で許される表現の自由とか政治的な思想発信、こういったものが共産党支配下の中国本土では許されない、司法で裁きの対象となり得るということであります。根本的に人権保護制度の違いがあるんですよ。だからこそ、今大臣が言われた一国二制度というのが、香港返還に際して、これから、九七年から見て五十年間保証されるということが認められたわけですが、大臣も先ほど少し口にされた一国二制度、これはもう今回の香港デモの本質でもあると思うんですよ。要するに、表現の自由、言論の自由、これを香港市民は守らなきゃいけない。こういうことでデモを起こしているわけです。

 一国二制度というのも、この根幹であり、まさに本質だと思うんですけれども、この一国二制度について、日本国政府としてどのように評価されているんでしょうか。

河野国務大臣 一国二制度のもと、香港の自由民主主義、そして安定が維持されていくということを期待したいと思います。

重徳委員 何か簡単過ぎてよくわからない答弁でしたけれども。

 まずちょっと誤解のないように言っておきますけれども、中国というのは古来より最も重要な隣国だと思いますし、この委員会室の多くの先生方と同じように、私も日中友好議連にも所属をして中国にも訪問しておりますし、地元愛知でも、名古屋総領事館とか地元の日中友好協会を通じて中国の皆さんとの関係というのは大変大切にしております。こういう関係を持ちつつ、中国に対して言うべきことは言っていかないといけない、中国側の体制に対して言うべきことは言っていかなくちゃいけない、私はそう思っております。

 今回、なぜ香港の市民がこれほどまでに反発をするのか。これは恐らく、まともに衝突していたら、香港政府も、それから中国本土側もしっぺ返しを食らう、こういうことではないかと私は認識しております。

 私の友人でもありますソウル大学の国際大学院教授の朴哲熙先生が、先日、新聞のコラムにこう書かれていました。「中国は周辺国や発展途上国に対し、圧力によって要求の受け入れを求めるような姿勢を正す必要がある。魅力ではなく恐怖による支配は、結果的に多くの国々を中国から遠ざけることになるだろう。米国の成功には、ハードパワーだけではなくソフトパワーの功績が大きかった側面を忘れてはいけない。」こう記されていました。

 正直言いまして私は、一たび自由主義圏に身を置き、自由を享受した、そういう市民、国民の皆さんは、そこから後戻りするように一党独裁体制を受け入れるということはないと思うんですよ。今回のデモだってそのあかしだと思うんです。

 ですから、九七年から五十年間過ぎた二〇四七年も仮に中国の共産党国家が続いていた場合は、香港が中国本土の共産主義体制に組み込まれることはないんじゃないかなと思います。もっと言うと、組み込まれるべきではないと思います。

 このためには、やはり我々の自由主義、民主主義、司法の独立、三権分立、こうした価値観というものを、時間をかけて、労力をかけて中国側にも理解してもらうしかないんじゃないか。私はそう思っております。

 そういう中で、これは日本だけがやる仕事ではないかもしれませんが、しかし、多くの自由主義体制側の国々が、こうした問題が起こるたびに、中国に対してもいろいろと見解をはっきりと表明していくべきではないかというふうに思います。

 コメントできないという話ばかりじゃなくて、この一国二制度というのは今後どうなっていくと思われますか、大臣。どうなっていくべきだと思われますか。少しは中身のある御答弁をお願いします。

河野国務大臣 香港の体制については香港の人々が決めることだろうと思っております。

重徳委員 こういう御答弁に終始されるわけなんですけれども、我々は自由主義体制という陣営に所属しているのではないんでしょうか。もう少しそうしたことを前向きに表明していくことは、これはツイッターでも一定程度大臣は表明されているんですから、ツイッターだけ責任を問われないというわけじゃないと思います。委員会でもしっかりとお述べいただきたいと思います。

 香港に対してはこれからもいろいろな圧力もかかると思いますけれども、我が国は自由主義陣営の一員として国際的に立場を明らかにしていくべきだということを改めて申し上げまして、ちょっと早いですか、これで質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、照屋寛徳君。

照屋委員 私は、在沖米軍基地の問題は、安全保障の問題であると同時に、極めて大きな環境問題であると訴えてまいりました。

 米軍嘉手納基地や普天間飛行場の周辺から有機弗素化合物のPFOSやPFOAが高濃度で検出され、沖縄で大きな社会問題となっております。

 防衛省は、県内の全ての取水ポイント、浄水場における有機弗素化合物の水質検査を速やかに実施し、実態把握に努めるべきではありませんか。岩屋大臣の見解を尋ねます。

岩屋国務大臣 先ほども赤嶺先生の質疑の中で局長からも答弁をいたさせましたが、防衛省としては、平成二十九年度に、嘉手納飛行場周辺の河川のPFOSやPFOAに関する水質調査を行いました。他方で、沖縄県企業局は、沖縄県内の各市町村へ水道水を供給する事業者として、北谷浄水場の水源である河川などを含め、県内各地でPFOS、PFOAの水質調査を行っていると承知をしております。

 防衛省としては、沖縄県民の皆様がPFOS等の検出に対して不安を抱いておられるということを重く受けとめておりまして、御指摘の検査についても、沖縄県、米側及び関係省庁と密接に連携してまいりたいと思っております。

 なお、因果関係はまだはっきりしておりませんが、北谷浄水場の改良についての補助金は交付させていただくこととさせていただいたところでございます。

照屋委員 沖縄県企業局は、水質検査を実施するために、在沖米軍に対し、嘉手納基地、普天間飛行場への立入調査を求めていますが、実現しておりません。

 県企業局の立入りが認められない理由は何でしょうか。環境補足協定が障壁となっているのではないですか。外務大臣にお尋ねします。

河野国務大臣 お尋ねの環境補足協定による立入りの手続は、環境に影響を及ぼす事故、すなわち、現に漏れているということが発生をし、米側から、情報提供を端緒として実施されるものでございます。

 これまでの答弁にもありましたように、PFOS及びPFOAにつきましては、引き続きリスクに関する知見の集積がまだ必要な段階でございまして、アメリカの七十ナノグラム・パー・リットルも、これは非強制的な数字ということでございます。ですから、この事案が、環境補足協定が想定しているような環境に影響を及ぼす事故に該当するかどうかについては、今後得られる知見を踏まえた上で検討する必要があるというふうに思っております。

 他方、沖縄の皆様がこのPFOSに関して不安を抱いていらっしゃることは重く受けとめておりまして、外務省からも、米軍に対して、例えば、PFOSを含まない泡消火薬剤へ早期交換を要請し、米側においても、早期交換に向けた作業を進めております。

 また、嘉手納飛行場ではPFOSを使用しない消防施設への交換に向けた契約を既に結んでいる、普天間飛行場においては二〇一六年以降はPFOSは使用されていないということを確認をしておりますので、沖縄の県民の皆様の不安を払拭できるようしっかり努めていきたいというふうに考えております。

照屋委員 PFOSは、二〇一六年に日本環境管理基準の有害物質リストに追加されております。

 在日米軍は、日米の関係法令のうち、より厳しい基準を選択するとの基本的考えのもとに日本環境管理基準は作成されておりますが、日本側にPFOSの水質基準がない以上、日本環境管理基準は機能していないのではないですか。PFOSが日本環境管理基準の有害リストに指定されている以上、国の責任で水質基準を定める必要があるのではないでしょうか。防衛大臣に尋ねます。

岩屋国務大臣 先生御指摘のように、日本環境管理基準、JEGSには、PFOSを含む有害物質リストが掲載され、その保管の方法、廃棄に係る手続、また、漏出時、漏れ出したときにおける対処等が定められておりまして、在日米軍も当該基準に従って有害物質の管理を行っているものと承知をしております。

 一方で、水道法に基づく水道水質基準に関しては厚生労働省、環境基本法に基づく環境基準に関しては環境省が所管をしておりますので、防衛省としても、県民の皆様の御懸念、不安を払拭できるように、関係省庁と密接に連携をしていきたいと考えております。

照屋委員 時間がありませんのではしょって申し上げますが、去る六月六日、新横田基地公害訴訟の控訴審判決がありました。

 防衛省に尋ねます。

 全国で基地周辺住民が提訴し確定した飛行差止めと騒音被害の損害賠償を求めた裁判は何件で、認容された損害賠償額はトータルで幾らですか。遅延損害金とあわせて伺います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 現在、判決が確定している在日米軍基地に係る航空機騒音訴訟の件数は十三件でございまして、原告に支払いました損害賠償額の総額は、損害賠償金約二百四十九億円、遅延損害金約六十七億円、合計約三百十六億円でございます。

照屋委員 防衛省に伺いますが、全国で確定した損害賠償額について、防衛省は、日米地位協定十八条五項に基づいてアメリカ政府に分担請求をしましたか。また、アメリカ政府は支払いに応じましたか。尋ねます。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機騒音訴訟の判決に関します損害賠償金につきましては、最初の横田騒音訴訟の際に、米国政府に対しまして償還請求を行っているところでございます。

 しかしながら、損害賠償金に関する分担のあり方につきまして、日本政府と米国政府の見解が一致しなかったため、現在も協議を継続をしているところでございます。

 いずれにしましても、日本政府としては、米国政府に対して、損害賠償金の分担を請求する立場で引き続き協議を重ねてまいりたいと考えているところでございます。

岸委員長 照屋君、時間が来ております。

照屋委員 岩屋大臣、河野大臣に申し上げますが、この公害訴訟で国が被害住民に支払った賠償額、一銭もアメリカは地位協定に基づく分担金を払っていない。

岸委員長 時間が来ておりますのでまとめてください。

照屋委員 これでは主権国家日本として恥ずかしいですよ。

 同時に、被害住民は自分たちで救済を求めて、賠償を認められたら、自分たちの税金で払うことになる。このことをしっかりと考えていただきたいと思います。

岸委員長 照屋委員、時間ですからおまとめください。

照屋委員 終わります。

岸委員長 次に、長島昭久君。

長島委員 未来日本、長島昭久です。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、イージス・アショアの配備をめぐる防衛省の非常にふがいない状況ですよ。本当に遺憾に思っています。そのことをまず冒頭に申し上げたいというふうに思います。早急に体制を立て直して、国民の皆さん、周辺住民の皆さんの理解を得るように努力をしていただきたいと思います。

 私は、基本的にイージス・アショアの配備、導入というのは賛成でございます。

 ただ、やはり大きな買物でありますので、国民の皆さんの理解、納税者の皆さんの理解がしっかり得られるようなもの、かつ一番大事なのは、やはり国防の所要を満たす。BMD、BMDと、今は弾道ミサイル防衛ということで北朝鮮の問題が非常にクローズアップされた中でこのイージス・アショアの取得が決まりましたので、これは弾道ミサイルだけの対応のように説明もされているし、国民の多くの皆さんもそう理解されているかもしれませんが、経空脅威というのは北朝鮮だけではありません。巡航ミサイルもそうですし、最近、極超音速滑空弾みたいなもの、これから、非常に捉えどころのない経空脅威というものがどんどんどんどん多様化していく。そういう中で、あらゆるそういった脅威に対応できるものを、より最適なものをしっかり取得をしていただきたい。

 こういうことの思いを込めて質問したいというふうに思うんですが、皆さんのお手元に、この選定に当たっていわゆるコンペをいたしましたLMSSRとSPY6、これはそれぞれソフトウエアはベースライン9、ベースライン10というのに対応しているわけですけれども、最終的には、LMSSRが採用、SPY6は不採用、こういうことに決まったわけですけれども、そもそもLMSSRというのは、防衛省の七月三十日のこの報告書の付録にも出ているように、まだ実基があるわけじゃないです。試作品なんです。言ってみれば、構想みたいなものです。こういうものができたらいいなと。

 それと、既にアメリカの海軍でこれから配備がされていくこのSPY6と何か比べるべくもないように私は思うんですが、この最後の付録、皆さんにもこの裏面にコピーをお出ししましたけれども、「提案構成品」のところです。LMSSR、これは、もとになっている「LRDRの試作品」といって写真のところに注がついています。その下、SPY6のところにも「SPY―6の試作品」と、あたかも両方試作品を比べているかのような、こういう記述は私は非常に不誠実だというふうに思うんですが、大臣、私がつくったこの比較表を見ていただきたいんですけれども、LMSSRというのは、これは試作品にすぎないんです。これはまさに構想なんです。LMSSRというのは、これから設計して製造していく。しかも、これから試験を幾重にも行っていく。

 ところがSPY6というのは、もう既に二〇一三年に防空ミサイル防衛レーダーとして米海軍が採用を決定している。そういう最新鋭のレーダーなんです。一六年には、ハワイの試験場で実基を用いて各種試験が行われているんです。そして一七年には生産開始、今量産態勢に入っているわけなんです。物が全然違うというふうに思うんです。

 しかも、それを動かすソフトウエアは、片やベースライン9、これが配備されるころには一世代前のものになります。それよりも処理能力が飛躍的に向上したベースライン10をSPY6の方は使っているんです。

 何でこういう組合せが防衛省によって採用されたのか理解に苦しむんですが、大臣いかがですか。

岩屋国務大臣 長島先生ならではの、非常に専門的なお尋ねだと思いますけれども、防衛省として、米国政府側に、あるいは企業に提案を求めたところ、LMSSRとベースライン9の組合せ、それからSPY6とベースライン10の組合せの、二つの提案がございました。

 確かに、LMSSRは現在開発中でございまして、ベースラインについては9の後に10が開発中であることはもう御指摘のとおりですけれども、米国政府からの提案を防衛省として客観的に評価した結果、このレーダーとベースラインの組合せに基づく提案が、性能、経費、後方支援の観点から、LMSSRの方がすぐれていると判断をして採用を決めたところでございます。

長島委員 結論は、大臣、報告書を読めばわかるんです。

 私がこれを言っているんじゃなくて、専門家のコメントがあるんです。これは、ダン・リーフという退役米空軍中将、これはもとの太平洋軍の副司令官。彼が去年の七月三十日に、ちょうど防衛省が発表した後です、ジャパン・タイムズに寄稿しているんです。ジャパンズ・リスキー・イージス・アショア・レーダー・チョイス、非常にリスクが高いよと。出だしがイン・ア・サプライジング・ムーブと書いてあるんです。びっくりしたと。何でこのLMSSRを日本が採用したのかびっくりしたと。

 LMSSRを彼はこう言っているんです。アンプルーブン・ディベロップメンタル・レーダー、つまり、検証をまだされていない開発途上のレーダーをわざわざ何で選定するんだろうと、彼は。

 彼は、ちなみに言っておきますと、レイセオンともロッキード・マーチンとも全く関係ないです。利害関係人では全くないです。彼はこの後、APCSSという、ハワイの太平洋軍のシンクタンクの所長もやられた。

 非常にこれはすぐれた論文なので後で大臣にお見せしたいと思いますが、ここで彼は言っているんです。このLMSSRは、まず第一に能力不足じゃないか、日本がこれから配備していく上では。それからもう一つは、イージス艦あるいはいろんなアメリカのイージスシステムとの共用、連携、統合、こういったものを阻害するに違いない。それから、開発もおくれにおくれるんじゃないか。コストもどんどん上がっていくんじゃないか。そして、何で日本だけこのLMSSRを孤立して採用するのか理解に苦しむと言っているんです。(発言する者あり)

 それで、今、中谷大臣もちょっとおっしゃっていましたけれども、これを採用するときの一つの決め手は、日本の企業が参画できるということでした。でもそれは、防衛省が選定を決めた後、やはりそれはだめだねと言われてしまったんです。これも非常に間抜けな話に思えるんですけれども。

 片やSPY6の方は、既に運用能力がもう実証されたものです。加えて、他のイージスシステムとの連携性が非常にすぐれているということが一つ。そして、これから、最初に私が申し上げたいろんな多様な経空脅威に対して対応可能な。

 今回、秋田でああいうことがありました。配備についてはもう白紙に戻すと言われてしまった。ここは一回立ちどまって、もう一度選定をし直す必要があるんじゃないかということを、私の立場から大臣に申し上げておきたいと思います。

 そして最後に、もう時間がないんですけれども、一点だけ質問させていただきたいと思いますが、このLMSSRというのは、いわゆるAESA、わかりますね。皆さん、AESAはこの下にアブリビエーションが出ていますように、見ていただきたいんですけれども、デジタルレーダーの最先端の技術です。このAESAの技術を使って開発されるんでしょうか、そうでないんでしょうか、大臣。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のLMSSR、それに関しますところのこのレーダー、これにつきましては、そのレーダーとシステム部分を接ぐ機微な部分については、FMSの契約範囲におかれまして、このAESA、この技術によるものも含まれておるということでございます。

長島委員 いや、今はAESAの技術を使うと言っていましたね。

 でも、私もレクを受けましたけれども、このLMSSRというのは、DCS、ディレクト・コマーシャル・セールス、つまり、このロッキード・マーチンから直接購入することになっているんですが、これは間違いないですか。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 LMSSRのレーダーそのものは、DCS、いわゆる一般輸入調達、これで調達することになりますけれども、この中にも、FMS契約によりまして、より機微な部分、これにつきましては、FMS契約、これによって調達するということでございますので、こうしたAESAのレーダーであっても調達は可能というふうに理解してございます。

岸委員長 長島君、まとめてください。

長島委員 ということは、同じレーダーの中で民間直接調達とFMSと両方入っているということですか。これは大事なポイントですからお答えください。

岸委員長 もう新しい質問には入らないでください。(長島委員「これで最後」と呼ぶ)これで終わりたいと思います。(長島委員「これは大事な答弁よ、答弁」と呼ぶ)じゃ答弁だけ。簡潔にお願いします。

鈴木(敦)政府参考人 お答え申し上げます。

 レーダーとこのシステムの部分をつなぐ機微な部分についてはFMSの契約の範囲内に入っているということでございます。

長島委員 またやります。

岸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十九分散会


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