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第3号 令和4年3月15日(火曜日)

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令和四年三月十五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大塚  拓君

   理事 青山 周平君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 宮澤 博行君

   理事 篠原  豪君 理事 徳永 久志君

   理事 美延 映夫君 理事 吉田 宣弘君

      石橋林太郎君    石原 正敬君

      江渡 聡徳君    熊田 裕通君

      國場幸之助君    齋藤  健君

      塩谷  立君    鈴木 憲和君

      中曽根康隆君    長島 昭久君

      浜田 靖一君    細野 豪志君

      松島みどり君    山田 美樹君

      新垣 邦男君    伊藤 俊輔君

      玄葉光一郎君    太  栄志君

      岩谷 良平君    掘井 健智君

      佐藤 茂樹君    平林  晃君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         岸  信夫君

   外務副大臣        鈴木 貴子君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   防衛大臣政務官      岩本 剛人君

   防衛大臣政務官      中曽根康隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  加野 幸司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澤田 史朗君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           荻澤  滋君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 安東 義雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 北川 克郎君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            長岡 寛介君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     風木  淳君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  塩谷  立君     山田 美樹君

  星野 剛士君     石原 正敬君

  佐藤 茂樹君     平林  晃君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     石橋林太郎君

  山田 美樹君     塩谷  立君

  平林  晃君     佐藤 茂樹君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     星野 剛士君

同日

 理事星野剛士君同日理事辞任につき、その補欠として青山周平君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

大塚委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事星野剛士君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に青山周平君を指名いたします。

     ――――◇―――――

大塚委員長 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官加野幸司君、内閣官房内閣審議官澤田史朗君、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君、外務省大臣官房審議官有馬裕君、外務省大臣官房審議官安東義雄君、外務省大臣官房参事官北川克郎君、外務省中東アフリカ局長長岡寛介君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長風木淳君、防衛省大臣官房衛生監鈴木健彦君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛省人事教育局長川崎方啓君、防衛省統合幕僚監部総括官深澤雅貴君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も、質疑の機会をいただきましたことに、委員長を始め各党各会派の理事また委員の皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入る前に、まず冒頭、本年一月三十一日、航空自衛隊小松基地所属の二名の自衛官が任務遂行中にお亡くなりになられました。崇高な使命感を胸に秘めながら貴い生涯を閉じられたお二人の自衛官の御冥福を心からお祈り申し上げます。御生前の御功績に衷心より深く感謝と敬意を表します。御遺族の皆様、所属隊員の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

 では、質問に入らせていただきます。

 本法律案の改正趣旨は、総じて、自衛隊の任務の円滑な遂行を図るためであるとお聞きしております。

 そして、自衛隊の任務は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つ、これは自衛隊法三条一項の文言でございますが、ことを目的としていると承知しております。この我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという目的は、国際社会における諸外国との関係性の中で意味を持つというものであることは言うまでもないことだと思います。

 では、現代の国際社会がどのようにその関係性を有しているかについて考えてみますれば、いわゆる領土、領空、領海といった限られた物理的な概念、そういった関係性だけではなく、宇宙領域にまでその関係性が拡大しているというふうに承知をしております。

 例えば、今般のロシアのウクライナへの侵略においても、衛星から撮影されたロシア軍の状況というものをテレビやインターネットなどで見ることができます。これは、宇宙空間からの重要な情報であると思います。そして、この情報は、電波を用いて地上に届けられている。

 この電波を用いたサイバー領域、ここの領域においても、インターネットで国際社会は重要な関係性を成り立たせております。したがって、現代国際社会においては、我が国の平和と独立を守り国の安全を保つための対象は、宇宙空間やサイバー領域にも及んでいると理解しなければならないことは論理必然であるというふうに考えます。

 その上で、本改正案は、宇宙・サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の新編や拡充のための体制整備を含んでいるとお聞きしております。宇宙、サイバー、それぞれの分野に人員を増員配置するものだと理解しておりますが、公明党はこの本改正案を支持するものでございます。

 ただし、宇宙空間に関連する国防への取組、これは、空間監視や通信など、極めて高い技術と専門性を有するものであると思われますし、サイバーに関する取組も同様であると推察いたします。

 そこで、人員の増員配置とともに、高い技術や専門性に対応できる人材の育成が不可欠であると存じますが、防衛省の御所見をお聞かせいただければと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 新領域における優れた能力を持つ人材の確保、育成は喫緊の課題との認識の下、まず、宇宙分野におきましては、米軍の様々な教育課程に人材を派遣しており、令和三年度には、より専門性の高いコアリションスペースコースに航空自衛官を派遣したほか、令和三年度に、部外の経験者を内部部局の宇宙・海洋政策室長として採用するなどの取組を行っております。令和四年度においても、引き続き、関連経費として約一億円を計上しております。

 次に、サイバー分野におきましては、内外に優秀な人材を求めていくため、令和四年度予算案に関連経費として約九・一億円を計上しております。このうち、新規事業に関して申し上げますと、より効率的に防衛省のサイバー人材を管理するため、共通のスキル評価指標作成に関する調査研究、これを行うほか、部外人材の安定的かつ効果的な活用を検討するため、諸外国における活用実態に関する調査研究などの取組を行うこととしております。

 このほか、令和三年度から、サイバー分野で高い知見を持つ人材をサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用するなど、継続的なサイバー人材の確保、育成施策にも注力しておるところでございます。

 今後とも、宇宙・サイバー領域における部隊の拡充とともに、専門的な人材の確保、育成に努めてまいる所存でございます。

吉田(宣)委員 詳細な御答弁に感謝を申し上げます。

 極めて重要な課題であるというふうに思っております。高い技術を駆使する人員があってこそ、初めて技術も生かせるわけでございます。しっかり人材育成に今後とも取り組んでいただき、様々なリスク管理、そういったものに備えていただけるようなことも是非ともお願いをしたく存じます。

 次の質問をさせていただきます。在外邦人等の輸送について質問をいたします。

 現行法では、自衛隊法八十四条の四に規定がございます。現行法の規定によると、外務大臣からの依頼があった場合に、予想される危険及びこれを避けるための方策について外務大臣と防衛大臣が協議し、当該輸送を安全に実施することができると防衛大臣が認めるときに実施できると規定されております。

 これに対して、法改正では、当該方策を講ずることができると認めるときと、要件の文言が変わっております。

 そこで、現行法と改正案では具体的にどのように変わってくるのか、そこについての御説明を頂戴したく存じます。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員も御説明がありました、現行規定に基づき在外邦人等輸送のため自衛隊機を派遣するに当たりましては、輸送を安全に実施することができますように、危険及びこれを避けるための方策について外務大臣と協議を行い、輸送の企画立案を行ってきました。その結果、チャフ、フレア、防弾板等の自己防護措置の使用など、輸送機ならではの方策を講じながら派遣を行った事例も含めまして、自衛隊機の派遣を行ってきました。

 特に、昨年八月のアフガニスタンへの自衛隊派遣に際しましても、米軍の管制、保安代行による飛行場の機能維持、米軍の警備により飛行場に殺到する群衆を統制、我が国の情報収集等によりチャフ、フレア、防弾板等の自己防護措置を備えたC130、またアフガニスタンで初めてC2といった輸送機の使用を選択といった、危険を避けるための方策を講じて、安全性についての判断を行ってまいりました。

 こうした派遣の経験に照らしてみましても、現行規定の予想される危険を避けるための方策を講ずることができると認められれば、自衛隊による輸送の支障となるような危険を避けることができると判断されるため、当然に、要件にあります輸送を安全に実施することができると判断することになります。

 また、現行規定につきましては、輸送を安全に実施することができると認めるときという文言によりまして、民間事業者による輸送が可能な場合に準ずるような安全性を要求しているとの誤解も生じておりました。

 今回の法改正におきましては、こうしたことを踏まえまして、緊急時の意思決定を迅速的確に行えるように、予想される危険を避けるための方策を講ずることができると認められることを防衛大臣の判断事項として明文化するものでございます。これによりまして、今後も、在外邦人等の輸送の実施に当たりまして、その安全をこれまでどおり確保してまいりたいと思っております。

 なお、今般の法改正では、先ほど述べたようなこれまでの派遣の実績の積み重ねを踏まえまして、政府専用機の使用を原則とするという規定の削除も行うこととしております。

 この改正によりまして、民間機と同型の政府専用機を使用すべきかの判断が不要となりまして、予想される危険を避けるための方策について、当初から、輸送機の使用という自衛隊ならではの能力を生かした方策を講じた上での派遣を前提とした検討を行うことが可能となることから、輸送の要件の改正と併せまして、海外における多様な緊急事態に対し、より迅速的確に判断することが可能になると考えております。

吉田(宣)委員 非常に論理的で明快な御答弁、ありがとうございました。非常に分かりやすくお聞かせいただきました。

 今の御答弁の関連にも当たりますけれども、次の問いに進めさせていただきます。

 在外邦人等の輸送は、現行法では、原則、自衛隊法第百条の五の第二項の規定により保有する航空機により行うものとする、例外的に輸送の用に供するための航空機により行うことができると規定をしております。

 今申し上げた自衛隊法第百条の五の二項の規定により保有する航空機は、これは政府専用機のことをいうとお聞きしております。最大で百二十名の輸送が可能であるとお聞きしました。これに対して、輸送の用に主として供するための航空機とは、まさに今、輸送機、C130輸送機であれば約百七十人、C2輸送機であれば約百九十人の輸送が可能とお聞きしました。より多くの人数を輸送できます。

 そして、改正案の方は政府専用機を原則とすることが取り消されておりますが、先ほどの答弁とも関連をいたしますけれども、その改正案の趣旨についてお聞かせください。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 在外邦人等の輸送手段につきましては、現行の自衛隊法第八十四条の四第二項におきまして、平成六年の制定以来、政府専用機によることが原則とされております。これは、そもそも、平成三年に、政府専用機を当時の防衛庁に所属替えしたことを契機に在外邦人等の輸送が新設されたこと、当時は迅速性、航続距離及び搭載能力等を考慮すれば政府専用機の使用が主として想定されていたことによるものでございます。その上で、輸送に使用する空港の滑走路が短いため政府専用機が使用できない場合、輸送の対象となる邦人の数が多く、政府専用機のみでは迅速に輸送できない場合、政府専用機が他の目的のために使用中である場合などが想定されるため、ほかの輸送手段も使用可能とされてまいりました。

 今般の法改正で、アフガニスタンへの派遣事例等、これまでの輸送機の使用実績の積み重ねにより、タラップなしで乗降が可能、議員御指摘のとおり最大輸送可能人員は政府専用機よりも多いといった、緊急時におけるC2やC130輸送機の有用性が明らかになったことから、政府専用機を原則的な輸送手段とする規定を削除することとしました。

 この改正により、多様な状況に応じ、最適な輸送手段を柔軟、迅速に判断する趣旨がより一層明らかになるものと考えております。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。

 最後の質問に入らせていただきます。

 ロシアのウクライナへの侵略は、全世界に多大な悪影響を生じせしめております。ウクライナは日本から一定程度の距離がありますが、ロシアは日本の隣国です。今後、極東地域におけるロシアの動きについては楽観できません。

 事実、三月二日には、ロシアのヘリと推定される一機が北海道根室半島沖の領海上で領空侵犯を犯しました。また、海上自衛隊は、三月十日から十一日にかけて、ロシア海軍艦艇駆逐艦一隻、フリゲート艦七隻等、合計十隻が太平洋から日本海にかけて津軽海峡を航行したとの事実を確認しております。また、昨日も、宗谷岬付近でロシア艦艇六隻が確認をされておるところでございます。

 ロシアのこのような動きについて、その目的や意図を十分に分析し、警戒監視に万全を期していただきたく存じますが、この点、岸防衛大臣から御答弁を頂戴したく存じます。よろしくお願いします。

岸国務大臣 ロシア軍は、ウクライナ周辺での侵略の動きと呼応する形で、二月以降、オホーツク海沖における特異な大規模海上演習、当該演習に参加したと考えられる艦艇の津軽海峡や宗谷海峡の通過、北方領土における地対空ミサイル発射訓練の発表など、我が国周辺においても活動を活発化させています。

 こうした一連の活動は、ロシアの戦略核戦力の一翼を担う戦略原潜の活動領域でもあるオホーツク海の軍事的重要性の高まりを背景とした活動の一環であると見られております。

 このほか、三月二日にも、ロシアのヘリコプター一機が北海道根室半島沖の我が国の領海上空において領空侵犯していることを確認しております。

 このように、現下の情勢下において、我が国周辺海空域でロシアの活動が活発化していることは懸念すべきものであります。

 防衛省として、ウクライナ侵略の動きも念頭に置きつつ、我が国周辺におけるロシア軍の動向についても、引き続き、緊張感を持って情報収集、警戒監視を行ってまいります。

吉田(宣)委員 よろしくお願いいたします。

 時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 それでは、早速ではございますが、議題となっております在外邦人等の輸送を定めた自衛隊法第八十四条の四の改正の文言について、何点か質問をいたします。

 一九八二年にフォークランド紛争というのがありました。私、中学校だったか高校だったかで、大変記憶にあるんですけれども、そのときに、イギリスの当時のサッチャー首相がテレビのインタビューか何かに答えて、なぜアルゼンチンのようなはるかかなたに軍を派遣するのだと聞かれて、それに対してサッチャー首相は、我が国の国民が助けを求めているのならば、たとえそこが地球の裏側であっても我が大英帝国は必ず助けに行くのだときっぱりとおっしゃった姿を見て、子供ながらに、ああ、この人、格好いいなというような思いがいたしました。

 その意気やよしなんですけれども、実際本当に戦乱状況等々になって、そういうことというのはなかなか難しいんだろうなというのが昨今のウクライナの情勢を見て思うところであります。

 そうした中で、まず、今現在ウクライナにとどまっておられる日本人は幾らおられて、その方々に対してどのようなフォローを外務省としてお取りになっておられるのか、お聞きいたします。

安東政府参考人 お答え申し上げます。

 在ウクライナ大使館は、在留邦人の方々に対し、自身の身の安全を最優先とした行動を取ることを呼びかけながら、出国先の入国要件等の情報提供を含む様々な形で情報提供を行い、退避を支援しているほか、在留邦人からの個別の相談や問合せに応じてきております。

 その結果、一月時点の在留届ベースで約二百五十人であったのが、三月十三日時点で確認されている在留邦人数は約六十名となっております。

 在留邦人の方々とは連絡を取り合っており、現時点までに邦人の生命身体に被害が及んでいるとの情報には接しておりません。

 政府としては、在ポーランド日本国大使館及びジェシュフ連絡事務所等を拠点として、引き続き、ウクライナ在留邦人に対する情報提供や安全確保、出国支援に取り組んでまいります。

徳永委員 今、ウクライナにとどまっておられる日本人は約六十名だというお答えがございました。是非、この方々におかれましても、安全を確保した上で出国をしていただくか、あるいは、とどまっておられる場合には、やはり、身の安全といったものを切に願うばかりであります。本当に願うばかりなんですね。

 何が言いたいかと申しますと、今回のロシアの侵略を受けて、あのアメリカでさえ、二月十一日の段階では、バイデン大統領は、アメリカ国民を救出するために軍隊は派遣しないと明言をしているわけです。その後、再三にわたって、アメリカ政府はアメリカ国民を救出するために軍は送らないと言い続けているわけなんですね。これを見て私なりに理解をするところは、武力紛争状態に入った段階では、アメリカ政府が言うように、自国民の救出のために軍を出動させるというのはなかなか困難であるというのが世界的な共通認識になっているのではというような感じがいたします。

 つまり、今回のウクライナの件に当てはめて考えると、ロシアが国境付近に兵力を大量に集中させている、いつ侵攻があってもおかしくない、そういう緊迫した事態の間にできるだけ早期に民間の輸送手段によって退避をしていただく、そういった退避活動をスムーズにできるように政府としても力を注いでいくということであって、軍の派遣、日本の場合は自衛隊の派遣ですが、民間による輸送の質的、量的な限界をカバーするために機能させるものなんだというふうに思っておるんですけれども、その辺りのお考えを、本日は本田大臣政務官に来ていただいておりますので、お答え願いたいと存じます。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 海外に渡航又は滞在されている邦人の保護は外務省の最も重要な責務の一つでありまして、平素から、在外邦人の保護や退避が必要となる様々な状況を想定しながら必要な準備、検討を行っており、邦人保護の強化を図っているところであります。

 その上で、一般論として、邦人の退避が必要となる事態が発生する場合には、まずは、極力、商用定期便が利用可能なうちに、在外邦人の出国又は安全な場所への移動の確保に努めていただくということになります。

 商用定期便での出国が困難、あるいはそれだけでは不十分な状況に至った場合には、あくまで個別具体的な状況に応じまして、あらゆる可能性を追求しながら、邦人の安全確保に万全を期するべく政府として全力を尽くしていく、そういう方針でございます。

徳永委員 二〇二一年、昨年の段階で、海外におられる在留邦人の方というのは大体百三十万人を超えていると言われています。コロナの関係とかもありましたので、大分減っているということでもあります。

 逆に、コロナが収まっていくと、海外旅行に行かれる方がたくさん増えてくるということになりますと、その人たちには、やはり、一定の心構えとでもいうんでしょうか、昨日までは安全だったけれども、ある日突然、災害であるとか戦乱であるとかそういったものがやってくる、そうしたときに、何でもかんでも政府が面倒を見ますよというのではなくて、自分のできることは何なんだろうか、どういうことに気を配ればいいんだろうかとか、そういう心構えを持っていただくと、そういったときにスムーズに、混乱することなく行動をしていただけると思うんですね。

 そういった方々に、是非、こういうメッセージをということで、この場で政務官におっしゃっていただければと思います。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 海外に渡航又は滞在する際には、渡航先の安全情報を事前に収集していただきまして、一人一人が自分の身は自分で守るという意識を持って安全対策を講じていただくことが重要だと考えています。この観点から、外務省は、広く国民の皆様に対して安全対策に関する情報発信などを行っておりまして、安全意識の喚起と対策の推進に努めているところであります。

 具体的に申し上げますと、例えば、海外安全ホームページを通じて各国、地域の最新の安全情報を発出しているほか、在留届を提出した在留邦人及び外務省海外旅行登録のたびレジに登録をしていただいた短期滞在者等に対しまして、渡航先、滞在先の最新の安全情報をメールで配信しているところでございます。在留届とたびレジにつきましては、緊急事態が発生した際に邦人の安否確認を迅速に行うために必要不可欠な情報となるために、積極的に提出と登録を呼びかけているところであります。

 外務省としましては、引き続き、在外邦人の安全確保に万全を期すべく、全力を尽くしてまいる所存であります。

徳永委員 是非、そうした趣旨に立って、今後ともお取組をいただきたいというふうに思います。

 引き続いて、自衛隊法八十四条の四について質問いたします。

 今回、輸送手段が、原則、政府専用機に限っていたのを、多様な状況に応じて柔軟、迅速に判断できるようにということで、自衛隊機が幅広く認められるということでもあります。

 二〇一一年の初頭から、中東、北アフリカの各国で、一連の大規模反政府運動、いわゆるアラブの春というのが起こりました。

 当時、私は、そのときに外務大臣政務官を務めておりまして、エジプトを中心に、日本からの海外旅行の方が、三千人ぐらいだったかな、おられて、この人たちがそういった大規模デモに巻き込まれてけがでもされたら大変だということで、何とかこの人たちを一旦エジプト国外に逃そうということで政府専用機を打診したところ、エジプトは行ったことがないので行けませんという答えが防衛省から返ってきまして、何っということを鮮明に覚えております。

 ですので、今回はこういうことでありますので、もうそのようなことはなくて、平たく言えば世界中どこでも行けるんですねという確認です。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊は、平素から、在外邦人等の輸送等を実施することとなった場合に速やかに部隊を派遣できるよう、所要の部隊、アセット等を指定いたしまして、待機の態勢を取っております。

 その上で、実際の運航に当たりましては、特に緊急性が求められることなどから、離着陸の実績がない空港でありましても、事前の発着訓練等を行わずに、運航に必要な情報等を入手して、在外邦人等の輸送を実施するといった、状況に応じて臨機に対応をしているところでございます。

徳永委員 世界中どこでも行けますよというお答えはいただけなかったんですけれども、状況に応じてということでありますので、期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 邦人の輸送に当たっては、航空機だけでは完結しない場合が多いと思うんですね。時には、船舶、車両、あるいはヘリコプター、そういった部分を組み合わせながら安全に邦人を輸送していくということが求められる局面があるということは容易に想像されるところでもあります。

 これにはやはり、陸海空の統合運用というんでしょうか、こういった部分が不可欠ですし、ふだんからそういった部分においてのシミュレーションあるいは訓練といったものが不断になされるべきだと思うんですけれども、この辺り、実際はどうなんでしょうか。岸大臣に伺います。

岸国務大臣 今委員御指摘のとおり、防衛省・自衛隊において、在外邦人の保護措置及び輸送に係る統合運用能力の維持向上は大変重要なことだと思いますが、このことを、継続的に統合訓練を実施いたしております。

 国内では、関係省庁等の協力を得ながら定期的に訓練を実施しており、例えば平成二十八年には、車両、輸送艦、輸送機、輸送ヘリが参加して陸海空の統合運用能力の訓練をいたしました。

 また、国外でも訓練を実施しており、例えば令和元年には、陸自の人員及び車両を搭載した空自の輸送機が実際にジブチに展開する統合訓練を実施いたしました。

徳永委員 そのような形で万全を期していただきたいというふうに思います。

 さて、国際法上、自衛隊を他国の領域に派遣する際には、派遣先国との関係で国際法上の問題が生じないように、派遣先国の同意を得る必要があるというふうに認識いたしております。

 しかしながら、今回の自衛隊法第八十四条の四の改正案には、派遣先国の同意を要件として求めていない、定められていないわけなんですが、その理由をお聞かせください。大臣、お願いします。

岸国務大臣 一般に、自衛隊が他国の領域において行動する際には、国際法上、当該国の同意を得る必要があります。

 従来から、自衛隊法においては、基本的に、国際法上の要件等について積極的かつ網羅的に条文に書き込まないとの体系を取ってきており、自衛隊法第八十四条の四についても条文上明記する必要は引き続きないものと考えております。

徳永委員 国際法上定められているので、あえて条文に書き込む必要はないという判断をされたという理解をいたします。

 その一方で、同じように、海外にいる日本人の輸送あるいは保護が書かれている条文としては、在外邦人等の保護措置の規定であります自衛隊法第八十四条の三におきましては、派遣先国の同意が必要と定められています。この場合は同意が必要だというふうに定められているその理由について、大臣、お願いします。

岸国務大臣 今委員御指摘のとおり、第八十四条の三に基づく保護措置を実施する場合は、同条の第一項第二号に定める領域国の同意が必要な要件となっております。これは、領域国の同意に基づいて、武力行使を伴わない警察的な活動として保護措置を行うことを担保するために規定しているものでございます。

徳永委員 今、ちょっと、よく分からないんですが、もう一度お願いします。

岸国務大臣 領域国の同意に基づいて、武力の行使を伴わない警察的な活動として保護措置を行うことを担保するために規定しているものであります。

徳永委員 警察的活動とおっしゃいましたか。(岸国務大臣「警察的」と呼ぶ)警察的、ポリスですね、はい。そういう形で、いわゆる武器使用の関係で変わるのだということでよろしいですかね。

 例えば、在外邦人の輸送に当たっては、これはいわゆる自己保存型武器使用だと認識をしています。在外邦人の保護の部分については、それに加えて任務遂行型の武器使用が認められるというふうに理解をしていますので、そちらの場合には同意が必要なのだという理解をさせていただいてよろしいんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘、ごもっともでございまして、御説明させていただきますと、在外邦人等の保護措置といいますのは、領域国の同意を得て、当該領域国の統治権の一部である警察権を補完、代行するものでございます。このような行動を実施するためには、領域国の同意があることが不可欠な前提であると考えています。

 このような仕組みは、やはり、日本国憲法の下で自衛隊が海外で活動を行うときには、憲法九条との関係できっちりとした仕組みをつくらなきゃいけないということから、警察権の補完、代行をするためにはその当事国の同意をきちっともらう、これは国内法上の考え方からそういうことを決めている。

 他方、輸送の方は、国際法上、一般的にそれが求められている、国際法から求められているものでございますので、そこの点については自衛隊法では網羅的には書かないという考えであるところ、そこの違いがあるということでございます。

徳永委員 大体分かってきました。統治行為の一部である警察権を行使するので、相手方の政府の同意を得なければいけないということだというふうに理解をして、分かりました。

 では、ちょっとだけそれますけれども、意地悪な質問ですけれども、ならば、警察行為の一部までしなければいけない、そういう緊急事態にある国あるいは地域は、かなりの、非常に困難な状況にあるという想像の上で、当該の国がいわゆる無政府状態というか、同意を得られるような国家元首もいなければ、誰もいないというような状況のときはどうされるんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 在外邦人等の保護措置の関係で申し上げますと、これは平和安全法制の国会審議を経て成立しているものでありまして、自衛隊法第八十四条の三にある、保護措置を行う場所において、当該外国の権限ある当局が現に公共の安全と秩序の維持に当たっておりまして、かつ戦闘行為が行われることはないと認められること、そして、その外国の同意があることといった要件になってございます。

 ですから、我が国が領域国の同意に基づき武力の行使を伴わない警察的な活動として保護措置を行うという考え方に立っておりまして、その前提で、当事国の同意が不可欠だというふうになっているということでございます。

徳永委員 それでは、本筋に戻りまして、この後の質問に詳しくは触れますけれども、八十四条の三、在外邦人の保護措置の場合、このときの邦人というのは今回提案されている、今回、邦人の範囲を広げましたよね、それがそのまま八十四条の三の邦人に当てはまるという理解でいいんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案で邦人の定義を改正してございます。今般の法改正の文言は、生命身体の保護を要するという状況におきまして、我が国の国籍を有しない者のうち、邦人の配偶者又は子などにつきまして、我が国国民と同視できるものとして輸送すべきという趣旨を示したものでございます。これらの方々を在外邦人等輸送に関する規定の邦人に含むこととした意味では、その邦人の範囲を拡大したものではございます。

 しかしながら、今回の整理は、あくまでも自衛隊法八十四条の四の規定に基づく輸送に係るものでございまして、他の法令における邦人に係る解釈等を変更するものではございません。

徳永委員 八十四条の三の在外邦人等の保護措置の中には輸送も入っているでしょう。輸送しちゃいけないということじゃないでしょう、輸送もするでしょう。輸送もするはずです。それなのに邦人の定義の拡大が適用されないというのは、どういう法理論の構成をしているんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の輸送対象者の拡大につきましては、自衛隊が輸送する、要は自衛隊を派遣する場合の対象者でございまして、派遣されて自衛隊が行った先で必要がありますと、八十四条の四の規定に基づきまして、同乗者として、今回追加いたしました外国人でない方々も輸送することができます。これは八十四条の四の中での考え方でございまして、八十四条の三の方については今までと同じでございます。

徳永委員 同じ八十四条の中で、項目が変わるだけで助けたり保護したりする邦人の枠が異なるというのは、こういうことでいいんですか。保護しましょうといったときに、日本人は保護できますよと、八十四条の三の規定で行った場合には。では、そこに、JICAの職員とかあるいは名誉総領事とか、今回認めたそういう人たちがいても、この人たちは保護しないとおっしゃっているんですか。

 大臣、これはちょっとおかしいんじゃないですか、そういう法の組立てというのは。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の自衛隊法八十四条の三の規定に基づく在外邦人等の保護措置は、輸送のみならず、警護、救出その他の保護のための措置を行うものでございます。また、保護措置に当たりましては、対象者の生命又は身体の防護のためのみならず、当該職務を妨害する行為の排除のために武器を使用することはできます。

 こうした性質を踏まえますと、在外邦人等の保護措置は、領域国の警察権を補完、代行し、自国民を保護するという観点から、輸送とはおのずと異なるものでございまして、外国人のみの保護のための措置を行えるようにすることは、慎重な検討が必要であると考えております。

徳永委員 八十四条の三として、どの段階での国会答弁かは定かではありませんけれども、警護、救出その他の当該邦人の生命又は身体の保護のための措置、輸送を含むというふうに言っていますよね。輸送なんですから。八十四条の三と四で輸送できる範囲が異なるのは、これは、いろいろと法律の解釈論をおっしゃいますけれども、人道的観点からしたら、これは大変なことになるんじゃないんですかね。

 同じ八十四条の枠で、三と四と一項変わるだけで助ける人の対象が変わるというのはどうしても理解できないんですけれども、ここは是非整理していただけませんか、大臣。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、邦人の範囲につきましては、自衛隊を派遣するときの範囲、対象でございまして、派遣された後につきましては、現地の状況に応じまして柔軟に、輸送につきましても、ほかの外国人を同乗者として運ぶことはできます。

 同じように、八十三条の三におきましても、派遣するときには邦人ということにしておりますが、現地に行きまして、救出や警護その他の場面で必要な方々がいますれば、同様に、輸送することは可能だと思います。

徳永委員 分かりますよ。実際に行って、この邦人の枠に入っていなくても、同乗者としてちゃんと乗せることができるんですよとおっしゃるのは分かるし、自衛隊派遣のための要件としての、いわゆる邦人のカテゴリーを拡大したんだ、それにすぎないんだとおっしゃるんですが、何度も言っていますけれども、やはり、ここは平仄をそろえなければ、法律の理屈としておかしいのではないかというふうに思うんです。

 ちょっと見方を変えますけれども、自衛隊法第三条で自衛隊の任務というのが規定をされていて、そこには、まずは、主たる任務と、従たる任務のうちの一つで、我が国の公共の秩序の維持とありますよね。したがって、我が国のでありますから、対象はあくまでも日本人ということになります。

 そして、日本人に限定されていた邦人のカテゴリーを拡大させて、例えば名誉総領事とかJICAの職員とかあるいは現地スタッフとか、日本の外交活動の協力者となっていただいている外国人についても日本の公共の秩序の維持のために必要な邦人として捉えるんだというふうなことが、今回の対象拡大をさせた趣旨だと理解しているんです。まず、それでよろしいですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

 具体的に申し上げますと、今般の改正は、我が国の国籍を有しない者のうち、邦人の配偶者又は子など、我が国国民と同視できるものにつきましては、我が国国民と同様に、その生命又は身体の保護を行うために自衛隊を派遣し輸送を行うことが適当であるとの考え方で行うものでございます。

 特に、今回のアフガニスタンの事例に見られますように、在外公館の職員として日本人とともに一緒に汗をかいていただいた、JICAの場合でもそうですけれども、我々の政策に即して一緒に現地で汗をかいていただいた方々、これはやはり日本国民と同様に救わなきゃいけないんじゃないか、そういう問題意識で今回の改正案を提案させていただいているところでございます。

徳永委員 今回広げた方々というのは、日本国籍を有しない外国人ではありますけれども、日本の外交活動の協力者として、そして一緒に汗を流して頑張っていただいている、ですから、その方を拡大して邦人のカテゴリーに入れましょうと。大賛成です。そういう取組は是非是非やっていただきたいと思います。ならば、なぜ、そのカテゴリー、拡大したカテゴリーを八十四条の三にも適用しないんですかという単純な話です。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘、困っている人を助けるという観点から一理あるとは思います。

 しかしながら、海外における警護、救出その他の保護の措置といいますのは、これは平和安全法制の審議のときに様々御議論されましたけれども、憲法九条が禁ずる武力の行使にならないような形にするために様々検討したことでございます。

 その観点からいきますと、任務を妨害する行為を排除するための武器使用まで認めた上でやるという観点からしますと、今の仕組みにおきましては邦人というものに限っているというものでございます。

徳永委員 これ以上時間を費やしても同じことなのかもしれませんが、大臣、私の申し上げている意味は理解はいただけているものだというふうに思いますので、是非前向きに、この邦人の枠、八十四条の三も四も同じ邦人のカテゴリーでやるんだというような御検討を是非お願いしたいんですが、いかがでしょうか。

岸国務大臣 自衛隊といいますか、国家として、保護すべき対象としては、やはり日本国籍を有する日本人であるというところが基本だと思うんですね。そういう意味で、八十四条の三については対象をそういう形で、これまでと変えていない部分もあるんだと思うんですけれども。

 委員のおっしゃるような趣旨もよく理解はするところでございます。今後も検討してまいりたいと思います。

徳永委員 是非よろしくお願いいたします。日がたてば同じ趣旨の質問をさせていただきますので、検討状況をまたお知らせいただければというふうに思います。

 話を変えますが、先週の本委員会でも多くの方が取り上げておられましたが、外国人のみの輸送について真剣に考える時期ではないのかなということを痛切に思います。台湾有事とか、朝鮮半島有事とか、個別のケースは申し上げません。これを言うと個別のことにはお答えできませんというのが返ってきますから、これは言いません。

 東アジアで何らかの事態が起こったとき、大災害とか、内乱とか、革命とか、あるいは内戦とか、そういった状況が起こったときに、特に東アジアに属して位置する我が国日本に対して、世界各国が自国民の保護、避難に協力をしてくれというような依頼が来ることは、私は火を見るより明らかだと思うんです。

 そうしたときに、いやいや、法律の規定がないのにそんなことはできませんと言ってしまったら、何かこう、国際社会に責任を果たしたことにはなりませんし、深刻な事態を引き起こすのではないかなというふうな、非常に危惧の念を持ちながらこの問題を考えているんですけれども、通告していませんが、本田政務官、今の点についてもし御所見があれば、おっしゃっていただくことはできますか。もし無理だったら結構ですが。

本田大臣政務官 通告はいただいておりませんが、委員のおっしゃる趣旨、内容は私もよく理解をするところであります。

 ただ、今ここですぐに、こうだこうだという考え方を、政府としての考え方を述べる段階ではないと思いますので、明快な答弁にはなりません。御理解いただければと存じます。

徳永委員 どうも、大変御無理を申し上げました。ざくっとした共通認識はいただいているんだろうなということで理解をさせていただきます。

 そこで、自衛隊法第三条でいくと、主たる任務が防衛出動、従たる任務として公共の秩序の維持、そして、従たる任務としてもう一つ、次に掲げる活動であって別に法律で定めるところにより自衛隊が実施することとされるものとして、三つほど挙がっています。そのうちの括弧二、国際社会の平和及び安全の維持に資する活動というのがあります。

 一般論で結構です。外国人輸送を自衛隊がやろうというふうに議論をしたときに、一般論です、個別ケースは聞いていません、この二に当てはまるという法律の解釈ができるんでしょうか。

増田政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の、主たる輸送対象者とならない外国人のみの輸送のために自衛隊機を派遣することが必要となる場合につきましては、様々な状況があり得ることから、一概に申し上げることは困難でありまして、予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、例えば、国際緊急援助隊法やPKO法の規定に基づく活動として実施することもあり得ると考えられます。その場合、これらの規定する要件を満たすことが必要となります。

 PKO法それから国際緊急援助隊法に基づく国際平和協力業務や国際緊急援助活動等の活動は、委員御指摘の自衛隊法第三条第二項にある、我が国を含む国際社会の平和及び安全の維持に資する国際平和協力活動に当たるということでございます。

徳永委員 自衛隊法第三条括弧の二、国際社会の平和及び安全の維持に資する活動に当たるという明快なお答えをいただきました。

 ならば、今度は、これに当たるので、別に法律で定めるところによりとありますので、これは、今回の邦人のカテゴリーに入らない一般の外国人の方を各国の要請に基づいて輸送するというような法律を作れば、あるいは法律を作らなければいけないという理解というふうになるということでもありますので、是非これを、大臣、御検討いただければと思うんですが、いかがでしょうか。

岸国務大臣 今の委員からの御指摘でございますけれども、具体的には、国際平和協力業務あるいは国際緊急援助活動等がこの活動に該当するところでございます。

 一方で、先ほど委員からもお話がありました、我が国国民とともに我が国のために協力してくれた現地スタッフの保護についても、これは保護に努めていく所存であります。

徳永委員 もう一度申し上げますけれども、東アジアにおいてこういう戦乱あるいは異常状況が起きて、自国民の保護を世界各国が大変だということになったときに、東アジアでその能力があるというのは我が国と中国と韓国ぐらいだと思うんですね。我が国が、法律の手だてがありません、それはできませんというふうに言ってしまうと、中国ばかりがやってしまうと、またまたこの地域で中国の存在感というのが上がっていってしまう。そういったことで本当にいいんですかと。もっともっと日本として自衛隊を活用した各国の避難民の保護、輸送といったものをしっかりとやる枠組みというものをつくっていくことこそが、国際社会における責任を果たすということになるのではないかというふうに申し上げているんです。

 この辺の、では新法を作りますというのは大臣のお立場からはなかなか言えないのは分かりますけれども、こうした認識というのは、大臣、共有をしていただけますでしょうか。

岸国務大臣 今、安全保障環境も激変をしている中でございますので、常に、そういう意味で、我々が国際社会の情勢に対応できるように検討していく必要はあると思っております。

徳永委員 是非検討をしていただきたいと思いますので、これもまた検討状況をるるお聞きすることになりますので、よろしくお願いをいたします。

 では、次の防衛省設置法の改正について聞かせていただきます。

 実は、私の地元の事務所が滋賀県近江八幡市というところにありまして、二階建ての建物で、私の事務所は二階にあって、一階部分には自衛隊の地域事務所が入っています。そこの職員の方々は朝から晩まで、自衛官の募集活動に本当に頑張っておられる姿を見て、本当に頭が下がる思いがするんです。

 しかしながら、そういった、一生懸命活動して、そして入隊してもらって手塩に育てた自衛官が途中退職をされる割合というのは結構多いのではないかなというふうに思うんですね。

 今回、宇宙とかサイバーにおける特別な人材を養成するのだということでもありますので、せっかく手塩に育てた人が、一人前になったなと思った段階で民間からヘッドハンティングされてしまう、そういったことのないように是非とも、途中退職を防いでいく、そういった手だてというものをしっかりと講じていただきたいと思いますが、簡単で結構です、岸大臣、お願いします。

岸国務大臣 自衛隊員の人材流出の防止、これは大変重要な観点でございます。

 今、様々な方策を講じているところでございますが、例えば、隊員の生活環境の改善、女性自衛官の活用、ワーク・ライフ・バランスの推進、メンタルの面ではハラスメント防止、メンタルヘルスの施策といった、各種の施策を推進し、魅力向上を図っているところであります。

 パイロット、乗組員などの任務の特殊性に応じた手当、航空作業手当、こうした各種の手当なども、毎年の予算において処遇の改善を図ってきておるところでございます。

 今後とも、防衛省として、防衛省・自衛隊の任務が一層多様化する中で、全ての隊員が高い士気を維持しながらも自らの能力を十分に発揮できるように、環境の整備に向けた取組について不断の努力、不断の検討をしてまいる所存であります。

徳永委員 先ほど申し上げました滋賀県近江八幡市の自衛隊の地域事務所の方々は本当に日々頑張っておられますので、是非、機会があれば、よう頑張っているなと、お褒めの言葉をかけていただければと思います。

 以上で質問を終わります。

大塚委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 ロシアのウクライナ侵攻は本当に、力による変更というとんでもない話で、一日も早く停戦すべき、そんなふうに思っております。これに関しては、決して遠い出来事ではなく、中国が台湾に対してどのような対応を取っていくのかについて、それを占う意味でも私は日本にとって深刻な出来事であると捉えております。

 先月、二月二十四日の中国の王毅外相とロシアのラブロフ外相との電話会談では、中国は一貫して各国の主権と領土保全を尊重している、同時に、ウクライナ問題には複雑で特殊な歴史的経緯があり、安全保障問題におけるロシアの懸念も理解する、中国は冷戦思考を徹底的に排除し、対話を通じて持続可能な欧州安全保障メカニズムを形成すべきと主張していると発言しておられます。言うならば、今回のロシアの軍事行動に一定の理解を示しているというふうに取られ、決してこれは対岸の火事ではなく、我々自身、つまり我が国の出来事として見ていかなければならないと思います。

 また、この七日には習近平主席が、今後も軍の引締めを図っていくと同時に、全軍が戦争準備をしっかり進め、各種の突発状況に適時かつ有効に対処し、国家の安全と安定を維持する必要があるとも指示したという報道もございました。今回のロシアのウクライナへの侵攻を国際社会がどこまで寛容するのか、中国は注意深く見ていると思います。

 もし台湾が有事となれば沖縄などの南西諸島が巻き込まれる可能性が高いことを鑑みると、これは決して他人事ではありません。さらには、日本が中国やロシアに対して抱える領土の問題、尖閣諸島や北方領土、こういうことが本当に危惧されてきます。

 今回のロシアのウクライナ侵攻がまかり通るならば、中国による台湾や尖閣諸島、そしてロシアによる北方領土の占領が正当化されてしまうのではないかと危惧をしております。ロシアのウクライナ侵攻はこのような台湾海峡を取り巻く状況にも影響を与えると思うのですが、政府はどのようにお考えか、まず教えていただけますでしょうか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 ロシアによるウクライナの侵略は、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為でございます。今回のウクライナ侵略のような力による一方的な現状変更をインド太平洋や東アジアで許してはならないというふうに考えているところでございます。

 これから年末にかけまして新しい国家安全保障戦略を策定してまいるわけでございますが、そうした中におきましても、今回の事案につきまして十分に分析を加えて、我が国としてどういった戦略を策定していくのか、しっかり議論してまいりたいというふうに考えているところでございます。

美延委員 当然しっかり議論して、この委員会でも、これから私も何回も同じような質問をさせていただきたいと思っているんですけれども。

 日本の尖閣諸島や北方領土の問題にも影響を与えてくると思います。岸田総理大臣はプーチン大統領とは北方領土については交渉しないというようなことを述べられたとも聞いておりますが、これについてはどうお考えか、政府の御見解を教えていただけますでしょうか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 これからの日ロ関係、あるいは日本と近隣諸国との関係、こういったところに今回の事態というのがどういう影響を及ぼすのか、政府としてきちんと実際に起きていることを分析して、これもまた、国家安全保障戦略の策定の過程なども含めて、しっかりと検討してまいるということでございます。

 また、国家安全保障戦略等につきまして、結果的にどういう形になるのか、現段階ではまだ申し上げることはできませんけれども、委員御指摘のような問題意識も私どもも踏まえて、しっかりと議論してまいりたいというふうに考えてございます。

美延委員 今の時点でなかなかそれ以上のことを言えないということは一定私も理解はできますけれども、これは本当に日本のこれからのことに関わる問題ですので、しっかり議論していただいて、これに関しては、また後日、この委員会で何回もさせていただきたいと思っています。

 次に、サイバー部隊についてお伺いしたいのですが、先日も本会議で、どれぐらい人数を増強するおつもりなのかということを伺わせていただいたんですが、正直、答えはあやふやで、非常に残念だったという思いがあります。

 もう一度聞かせていただきます。岸大臣、どれぐらい最終的に増強されるおつもりなのか、教えていただけますでしょうか。

岸国務大臣 サイバー空間における能力の向上は喫緊の課題であり、大変重要な点であります。このため、現防衛大綱、中期防の下で、令和三年度末に自衛隊サイバー防衛隊を新編した上で、令和四年度予算案では、自衛隊全体のサイバー関連要員を約八百十名から約八百九十名へと、約九十名の増員を行うこととしています。

 現時点では将来的な人数を具体的にお示しすることはできませんが、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、新たな国家安保戦略を策定する中で、サイバー関連部隊の更なる体制強化について検討を深化させてまいっているところでございます。

美延委員 これ以上聞きませんけれども、私が改めて聞かせてもらおうと思っているのは、今のいわゆる自衛隊の定数ではなくて、これだけサイバーや宇宙が大切という、これは皆さん分かっていることなので、別建てで出していって、そのために今度はまた陸海空の人員を減らすというのは私は本末転倒なことだと思うので、もしそれが必要であるならば法改正も考えていただきたいと思います。これは答弁を求めませんけれども、是非大臣には御検討いただきたいと思います。

 台湾有事になったときに考えなければいけないのは、やはりサイバー上の問題になってくると思います。間違いなく中国は台湾に対してハイブリッド戦をしかけてくると思います。

 このハイブリッド戦ですけれども、これまで別々にあったいろいろなものを混合して戦うということですが、実際、いろいろな方の定義に幅があると思うんですけれども、防衛白書によると、いわゆるハイブリッド戦は、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした現状変更の手法であり、このような手法は相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強いることになる、例えば、国籍を隠した不明部隊を用いた作戦、サイバー攻撃による通信・重要インフラの妨害、インターネットやメディアを通した偽情報、いわゆるフェイクニュースの流布などによる影響工作を複合的に用いた手法がハイブリッド戦に該当するということになっております。

 つまり、旧態依然とした戦闘で他国の領土を奪い取るのではなく、軍事を含むあらゆる手段を講じて現状を変更してしまうという手法がハイブリッド戦であり、二〇一四年のロシアによるクリミア半島の侵略はまさにこのハイブリッド戦の代表例であります。

 そこで、伺いますが、まず二〇一四年のロシアのクリミア侵攻の際に用いたハイブリッド戦について、そして今回のウクライナへの侵攻に際してのハイブリッド戦について、政府の見解をお伺いいたします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員、先ほど、防衛白書のハイブリッド戦の記述等を御引用いただきました。

 二〇一四年のクリミア併合に際しまして、ロシアは、いわゆるハイブリッド戦を展開いたしまして、親ロ派や不明部隊による地方政府庁舎などの占拠といった秘密裏の作戦や、偽情報、プロパガンダの流布、サイバー、電子戦といった手法を用いて領土の占拠等を遂行したとの指摘がなされております。また、今般のウクライナ侵略におきましても、いわゆる偽旗作戦と呼ばれるような行為やウクライナ政府機関等へのサイバー攻撃を行っているとの指摘がありまして、再びハイブリッド戦の手法を取っていると見られます。

 こうした手法によりまして、ロシアは、ウクライナへの軍事行動を正当化するための口実を作為するとともに、相手方の混乱を企図しているものと考えられます。

 他方、今般のウクライナ侵略につきましては、大規模軍事侵攻を主体とするものであるとともに、ウクライナ政府の積極的な情報発信もありまして、必ずしもロシアによるハイブリッド戦の手法が効果を発揮しているとは言い難い状況との指摘もございますが、いずれにせよ、こうした手法を含め、ロシアのウクライナ侵略に関わる動向につきまして、引き続き、重大な懸念を持って情報収集に努めてまいりたいと思っております。

美延委員 そこはしっかり情報収集していただきたいと思います。

 もし中国が台湾に侵攻するとなると、まさにハイブリッド戦になるんだろうと思います。そのときは、日本も当然無傷ではおられません。台湾内部が目に見える攻撃で混乱し始めたときに、日本国内でも不可解な事実が発生する確率が極めて高いと思われます。例えば、新幹線の電気系統が不自然に故障してみたり、水力発電所が異常放水をしてみたり、重大事故につながるような事案が全国各地で起こりかねないと思います。この台湾有事のハイブリッド戦も見据えて、我が国はサイバー部隊の増強を絶対に図っていかなければならないと思います。

 しかし、どんなにサイバー部隊を増強したところで、それを上回るサイバー攻撃は瞬時にあり得ます。上回るサイバー攻撃を防御するためには、攻撃される以上のサイバー攻撃能力を常に備えていかなければならないと思います。やられたらやり返すということではありませんが、いわゆる敵基地攻撃能力の理論と似ておりますし、間違いなくこれは相手国への抑止力にもなると思います。

 ミサイルと違い、サイバーは瞬時にインフラを含めて様々なものを破壊する能力があります。単に防衛上でのサイバー能力の向上ではなく、サイバーを迎え撃つ反撃能力を持たないと、我が国のインフラ、もっと言えば国自体が守れないと私は考えております。

 そこで、岸大臣に質問させていただきますが、今申し上げたサイバー上の反撃能力について大臣はどのようにお考えなのか、御所見を伺えますでしょうか。

岸国務大臣 防衛大綱では、有事において、相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力等の抜本的な強化を図ることとしています。

 この能力は、有事に際して、相手方の武力攻撃に用いられるシステム等に対し、ネットワークを通じて電子情報を送信することによって当該システム等の機能発揮に支障を生じさせることで、相手方がサイバー攻撃を行うこと自体を阻止する、又は相手方の戦力の円滑な機能発揮を妨害する能力であります。この能力を含め、引き続きサイバー防衛能力の抜本的な強化を図ってまいります。

美延委員 そこはしっかりお願いいたします。

 次に、外国軍隊への麻薬等の譲渡に係る特例について質問をさせていただきます。

 我が国を取り巻く状況が本当に厳しくなる中、近年、自衛隊は外国軍隊との間で共同訓練をする機会が増えております。それは、同盟国である米国との二国間だけではなく、我が国が推進する自由で開かれたインド太平洋を実現する上で協力強化が求められる国も増えております。

 例えば、昨年には、日本、米国、オーストラリア、インドの協力枠組みで、クアッドの四か国が夏から秋にかけて、マラバール二〇二一と呼ばれる共同訓練を実施しています。さらに、イギリス、フランス、ドイツなどの欧州主要国の間でも、インド太平洋地域に派遣された各国の軍艦との間で共同訓練を実施しております。

 このように、共同訓練の機会が増加し、地域の緊張感を反映した難易度の高い訓練を実施すれば、外国軍隊に負傷者が発生する可能性も当然高くなり、負傷者への応急手術等の際に使用する麻薬等のニーズも高まることは当然予想されます。

 そこで、まず、外国軍隊に対し麻薬等を譲渡しやすくする本改正をなぜこのタイミングで行うのか、また、外国軍隊との共同訓練の増加により外国軍隊からのニーズが実際に高まっているのかを、併せてお教えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、平成三十一年度以降に係る防衛計画の大綱におきまして、各種事態への対処や国内外における多様な任務に対応し得るよう衛生機能を強化する必要がある旨定められていることから、自衛隊と外国軍隊との協力関係が進展していることを踏まえ、両者が共に活動する場合における衛生分野での課題について鋭意検討を進めてきたところです。

 その結果、麻薬に該当する鎮痛薬や向精神薬に該当する鎮静薬について、これらを自衛隊から外国軍隊に速やかに譲り渡すことができれば、自衛隊及び自衛隊と共同して活動する外国軍隊のより円滑な運用に資するとともに、傷病者に対する人命救助という観点からも有意義なものになると判断し、麻薬及び向精神薬取締法の所管省庁である厚生労働省と協議を行ってきたところです。

 今般、厚生労働省との間で、麻薬及び向精神薬取締法の特例規定を設ける自衛隊法改正案について協議が調ったことから、当該法案の速やかな成立を図るべく、今国会に改正案を提出させていただいたところでございます。

美延委員 今答えがなかったんですけれども、次の質問と一緒に答えてください。先ほど私が言いましたように、外国軍隊からのニーズが実際に高まったからというわけではないのでしょうか。

 治療に麻薬等が実際に必要になる場面を考えた場合、平時における共同訓練の場合よりもより烈度の高い我が国の有事の場面においてこそ、そのニーズが高くなることが想定されます。譲渡が行われるのは、外国軍隊との共同訓練以外にどのような場面を想定されているのか、併せて教えていただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 現時点におきまして麻薬の譲渡等が行われる場面が発生しているわけではございませんが、特例規定に基づき麻薬等を譲り渡す場合といたしましては、例えば、国内で共同して活動を行っている外国の軍隊に負傷者が発生し、その治療に必要な麻薬等に該当する医薬品の提供が求められ、自衛隊から提供する場合などを想定しているところでございます。

美延委員 別に、外国軍隊からのニーズがあってということではないということですね。

 では、その次にお伺いさせていただきたいのは、麻薬等の目的外利用の防止策についてお伺いをいたします。

 ここまで確認したとおり、共同訓練時の負傷などで緊急性が求められる場面も想定され、本改正による手続簡素化の有効性は私もあると思います。一方で、麻薬等の特性を踏まえ慎重に取り扱う必要性に変わりはなく、相手方軍隊の適正使用が確保される必要もあります。

 本改正により譲渡に係る規制を緩和することに伴い、自衛隊や外国軍隊の部隊における麻薬等の乱用などの違法行為が増加するおそれはないのか、また、そうならない方策として政府はどのような対処をしていくのか、お聞かせいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 麻薬は効果の強い鎮痛薬等として隊員の救命に必要なものであり、現行の自衛隊法においても、自衛隊の部隊や補給処のうち政令で定められたものは麻薬を譲り受け所持することができるとされているところでございます。

 麻薬を取り扱う部隊や補給処におきましては、厚生労働省が所管する麻薬及び向精神薬取締法に基づき、麻薬を保管するための金庫等を設置した上で、麻薬を譲り受け所持した場合は、帳簿を作成し、定期的に在庫を確認して数量を照合するなど、厳格に管理をしているところでございます。

 万が一、自衛隊が所持している麻薬が不正に使用されたり譲渡されたりした場合には、同法の違反となります。もし麻薬の盗難や所在不明が発生した場合には、速やかに都道府県知事に届け出ることが同法により義務づけられており、自衛隊の部隊等においても適切に対応させていただきたいと思っております。

 以上です。

美延委員 そこはしっかり運用していただきたいと思います。

 最後に、自衛官の個人番号カードについてお伺いいたします。

 一般の国民については二〇二一年十月から電子資格確認の本格運用が開始されておりますが、自衛官等に関する改正がこのタイミングになった理由についてお伺いいたします。また、一般の国民より導入が遅れている理由についても併せて教えていただけますでしょうか。

 それと、本改正に、電子資格確認を行うことを可能にするシステムの導入であると思うんですが、実際、自衛官が利用できる時期についてはいつからなのかも併せて教えていただけますでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一般の国民の方につきましては、昨年、令和三年十月から、マイナンバーカードを被保険者証として利用できる電子資格確認制度という仕組みが本格運用されております。

 今回御審議をお願いしております自衛官等につきましては、自衛官等の私傷病につきまして、自衛隊の任務の特性上、国の管理下に置きまして、その療養は国が直接行うこととしております。

 したがいまして、自衛官は公的医療保険制度の加入者ではない状況でございまして、先般導入されました医療保険制度の加入者を対象とする電子資格確認制度の対象とはされておりませんでした。

 しかるところ、電子資格確認制度のその後の準備状況等を踏まえつつ、自衛官をこの制度の対象者とすることについて関係省庁と調整してまいりまして、この調整が整ったことから、今般、所要の法整備を行うというふうにいたしたところでございます。

 それから、導入のスケジュールのことでございますけれども、電子資格確認の運用に当たっては、この法律案が公布された後に、社会保険診療報酬支払基金といった法人が運営している専用のシステムを改修する必要がございます。このシステムの改修を令和四年度から開始する予定でありまして、令和五年度の運用を目指して準備を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 ありがとうございました。

 サイバー関係については、また改めて質疑をさせていただきたいと思います。

 これで終わります。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 まず、ウクライナへの武器弾薬等の供与についてお伺いをしたいと思います。

 今般、政府は、ウクライナに対しまして防弾チョッキ等の防衛装備品を供与されました。私はこれは大変な英断だと思います。戦争当事国に防衛装備品を供与するとなれば、大きな批判を受けるおそれもあったと思うんですが。

 しかし、今、ウクライナでは、ロシアによる侵略で多くの市民が犠牲になり、そして、軍人、非軍人問わず武器を取って戦っている状況。これに呼応する形で世界の各国が武器弾薬等を供与している中で、ウクライナから要請があった防弾チョッキ一つも日本がもし送れないとなったら、湾岸戦争どころではない大きな批判が日本に対して起こったのではないかというふうに思います。そういう意味では、私は大英断だったというふうには思っております。

 一方で、今回、政府が防弾チョッキをウクライナに送ろうとした場合に、防衛装備移転三原則の現状の運用指針では該当する規定がなかったということで、慌てて新たな規定を追加して送ったということなんですね。

 どういう規定を追加したかといいますと、国際法違反の侵略を受けているウクライナに対して自衛隊法百十六条の三の規定に基づき防衛大臣が譲渡する装備品等に含まれる防衛装備の海外移転という形で、国際法違反の侵略を受けているウクライナに対してと、わざわざ固有名詞を入れてまで運用指針に書き込まなければ送ることができなかったということで、私はこれはいささか規定として不十分な備えであったのではないかというふうに思っております。

 違法な侵略を受けている国に対して防弾チョッキを供与するくらいのことは、あらかじめ一般的な形で定めておくべきだと思いますし、今後そうすべきだと思いますが、防衛大臣の御見解はいかがでしょうか。

岸国務大臣 今般、ウクライナの要請を踏まえました防弾チョッキの提供に当たっては、防衛装備移転三原則の範囲内で運用指針を改正し、対応いたしました。

 この運用指針の改正は、現下のウクライナ状況に鑑み、迅速に防衛装備品等を提供する観点から、ウクライナのみを念頭に置いた改正を行ったものであります。

 運用指針の在り方については、今後、関係省庁と議論を行ってまいりたいと考えます。

岩谷委員 是非検討を続けていただきたいと思います。

 今回、報道等によりますと、今月七日時点で、米国やNATO加盟国等がウクライナにこれまで送った対戦車ミサイルが一万七千発、対空ミサイルのスティンガー二千発等の報道が出ております。

 さらに、長年紛争地に武器を送らないとしてきた原則を転換しましてドイツやスウェーデンも武器を供与したということで、イギリスのジョンソン首相なんかはドイツの決断を世界史上重要だと述べていらっしゃいますし、各国の安保戦略の転換点となるというふうにも言われております。

 さらに、EUの、加盟国ではない、いわゆる中立国である、先ほど申し上げたスウェーデンもそうですけれども、フィンランドも今回武器供与をしない原則を撤回した。そして、ロシアと関係が近いと言われるトルコも民間企業がウクライナに軍事用ドローンを販売するのを容認したというふうに報道がされております。

 また、十二日には、アメリカがウクライナに対して、約二億ドル、日本円でいうと二百三十五億円の追加の武器支援を行うと決めたということで、世界各国が次々と武器の供与を行っているという状況でありまして、三月初めの時点で二十五か国以上が殺傷能力のある兵器をウクライナに供与する方針を示したというふうにされております。

 一方で、日本は先ほど申し上げたとおり防弾チョッキ等だけで、まだ武器弾薬は送っていないわけでありますが、湾岸戦争は一九九一年ですけれども、私は当時小学生でした。小学生の私も、あの湾岸戦争時に日本が小切手外交と批判をされたのを覚えておりまして、大変、日本人として情けないというか、恥ずかしいような、そんな思いをしたことを強く記憶しております。

 まず、私は、今回、現下の状況に鑑みてウクライナにも武器弾薬等の供与を検討すべきではないかと思っておりますが、前提として、今の状況下でウクライナに武器を送ること、供与することは防衛装備移転三原則に反することになるのか、お伺いしたいと思います。

風木政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの防衛装備移転三原則でございますが、第一に、移転を禁止する場合の明確化、第二に、移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開、第三に、目的外使用及び第三国移転に関わる適正管理の徹底、これを定めているものでございます。武器の輸出であることのみをもって直ちに三原則違反ということではございません。

 他方で、お尋ねの武器弾薬の供与の件でございますが、防衛装備移転三原則の運用指針に掲げられる移転を認め得る案件に該当するか否か、それから我が国の安全保障の観点から積極的な意義があるか否かなどを踏まえまして、三原則に基づき整理、検討が必要となるということでございます。

 いずれにせよ、今回の案件は、装備品等を無償で提供する案件でありまして、自衛隊法第百十六条の三の規定に基づき非殺傷の装備品等を提供することとしたものと承知しております。更なる武器の提供に係る防衛装備移転三原則との関係については、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいというふうに考えております。

岩谷委員 いろいろと御説明いただきましたけれども、直ちに反するというわけではないという御答弁かと思います。

 もう一点お聞きしますけれども、同じように、今の状況でウクライナに武器を供与することは自衛隊法等の法的根拠が必要だと思うんですが、現行法でそういった法的規定はあるかないか、端的にお答えいただければと思います。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、今回のウクライナをめぐる状況下におきまして、ウクライナに対して自衛隊の武器、殺傷能力のあるものですね、武器弾薬を譲渡することができる規定というのは、この百十六条の三を含めまして現行法にはございません。

岩谷委員 法的根拠が現状はないということなので、法律になければ送れないということになると思うんですが。

 では、今回の状況でウクライナに武器を供与するために法律を改正して新たな規定を設けた場合、それは憲法に違反することになるのか。違反しないのであれば、次なる有事がいつ起こるとも限りません、また、現下のウクライナの情勢に対応するためにも、武器の供与が可能となるような法改正であるとか運用指針の改正を直ちに行うべきではないかと思いますが、防衛大臣、いかがでしょうか。

岸国務大臣 一般に、他国に対しまして殺傷能力のある装備品を提供することは可能かどうかについては、個別具体的に判断するべきものであり、一概にお答えすることは差し控えますが、今般のウクライナへの装備品等の提供については、憲法上の問題が生じない形で行ったものであります。

 その上で、御指摘の点については、このような状況において何ができるのかを不断に検討してまいります。

岩谷委員 平成二十六年、安倍政権時に武器輸出三原則から防衛装備移転三原則に変わったわけですが、ここで、国際協調主義に基づく積極的平和主義であるとか、我が国の安全を実現しつつ国際社会の平和と安定及び繁栄の確保にこれまで以上に積極的に寄与していくといったことが明記されておるわけです。是非、この趣旨にのっとって積極的な法改正等の議論を行っていただきたいと思います。

 次に、前回の質疑の続きではありますけれども、武力攻撃等を我が国が受けた際の国民の保護についてお伺いしたいと思います。

 今回、多くの国民の皆さんが今のウクライナの情勢を見て、日本にもやはり軍事侵攻というのが、現実、可能性があるんだと。また、ミサイルがいつ飛んできてもおかしくないんだというような危機感が非常に国民の皆さんの間で高まっているというふうに感じております。

 そんな中で、前回の質疑でお伺いしたところ、有事の際の、軍事侵攻等があった場合の国民の避難というのは主に都道府県とか市町村、自治体が担うわけなんですが、その市町村においてあらかじめ国民保護法において作成の努力義務が課されている、避難実施要領のパターンというものが三割以上の市町村で作成されていないということが明らかになったところであります。

 更にちょっと深掘りしてお伺いしたいんですけれども、避難実施要領のパターンで、大きく分けて、いわゆるテロ等の緊急対処事態というパターンとミサイル攻撃等の武力攻撃事態という、大きな二つのカテゴリーがこのパターンにはあると思うんですが、避難実施要領のパターンを作成している市町村の中で、武力攻撃事態の避難実施要領のパターンを作成している自治体は一体どれほどの数があるか、お伺いしたいと思います。

荻澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁で実施しております調査によりますと、令和三年三月現在、全国千七百四十一団体のうち、避難実施要領のパターンを作成しているのは、委員から御指摘のありましたとおり、約三分の二、千百五十団体ほどでございます。このうち、武力攻撃事態を想定してパターンをしている団体、これもいろいろな分類の方法がございますけれども、取り急ぎ集計したところでは、概数になりますけれども、約九百二十団体、作成済みの団体の八割、全市区町村でいいますと半分強というふうになっているところでございます。

 消防庁といたしましては、平時からの備えとしてこのようなパターンを作成していただく必要があるというふうに考えておりますので、引き続き、研修会でございますとか個別相談を通じまして、複数のパターン、いろいろな事態を想定できるように、しっかり支援をしてまいりたいというふうに考えております。

岩谷委員 今御答弁いただきましたとおり、作成している市町村の中で武力攻撃事態を想定している場合が八割ということで、全体の市町村の中では約半分ということになっている。日本全国の市町村のうちの約半数が武力攻撃事態を想定した避難実施要領のパターンを作成していないということになりますから、これは大変な大問題だと思います。消防庁さんの方では引き続き努力をしていただきたいと思いますけれども、防衛省においても放置していい問題ではないと思うんですね。

 大臣にお伺いしたいと思いますが、この問題、どう思われるか。また、抜本的な対応が必要だと思うんですけれども、防衛省としてどう取り組まれるか、お伺いしたいと思います。

岸国務大臣 今消防庁からの御答弁もありましたけれども、政府としては、避難実施要領のパターンの作成に関する研修会等を通じまして、武力攻撃事態を想定したパターンを含めて、市町村における避難実施要領のパターン作成を促進してまいりたいと考えておるところでございます。

 防衛省・自衛隊としても、消防庁が都道府県との共催により実施する研修会への協力のほか、都道府県協議会や市町村協議会の委員に任命された委員を通じまして、地方自治体における避難実施要領のパターン作成や見直しについて積極的に協力をしてまいりたいと考えます。

岩谷委員 是非、積極的な協力をお願いします。

 そのためにも、国民保護法に基づいて都道府県とか市町村に協議会が設けられておりまして、自衛官の方がこの協議会の委員になることも可能になっておりまして、昨年の十二月時点で市町村の協議会に自衛官が入っている割合というのは五五%ぐらいとお聞きしました。今はもうちょっと増えているというふうにも聞いております。

 一方、都道府県の協議会に自衛官が委員として入っているのはどの程度あるのか、お伺いしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 武力攻撃事態等において国民保護措置を円滑に行うためには、平素から国と地方公共団体等の間で連携を十分に図っておくことが重要だと考えております。

 国民保護法におきましては、自衛隊と地方公共団体等の連携について様々な制度的手当てがなされておりますが、都道府県協議会や市町村協議会に自衛隊員が任命されることは密接な連携のために有意義だと考えており、防衛省としては、地方公共団体から任命の要請があった際には積極的に協力するとともに、地方公共団体に対して自衛隊員を任命していただくようにお願いしているところでございます。

 具体的な数字につきまして、ちょっと今手元にないので、入手でき次第お答えさせていただきたいと思います。大変申し訳ございません。

岩谷委員 そうなんですね、都道府県の協議会に自衛官が委員として入っている数というのはすぐには出てこないというようなお話もお伺いしまして、やはり問題じゃないかなと思います。しっかりと把握をしておくべきだと思います。

 なかなかお願いベースで進んでいっていないということであれば、自衛官を協議会に委員として入れていただくことを義務づけるようなことも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。また、自衛官が協議会に入っている市町村でも、武力攻撃事態を想定したパターンがつくられていない例もあるわけなんです。大臣から、是非、協議会に委員で入っている自衛官がいる場合は、その自衛官に対して武力攻撃事態のパターン作成をしっかりと行うように努力すべきというふうに指示を出すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

岸国務大臣 防衛省・自衛隊としても、隊員を派遣している場合は、地方自治体における避難実施要領のパターン作成や見直しについて、しっかりと積極的に協力をしてまいりたいと思います。

岩谷委員 防衛省として、是非御協力をお願いしたいと思います。

 消防庁の方でも、先ほど御答弁があったとおり、市町村任せにしているわけではなくて、市町村向けの研修会等をやっていただいているというふうにお伺いしておりますが、この研修会を何回ぐらいやってこられたか、また、そのうち武力攻撃事態を想定した演習は何回ほどされたのかをお伺いしたいと思います。

荻澤政府参考人 お答え申し上げます。

 消防庁におきましては、市町村向けの避難実施要領パターン作成に関する研修会、これにつきましては、各都道府県と共催いたしまして、各地に出向いて行っておりますけれども、令和元年から本年度までの三年間、三十四回開催をしているところでございます。

 この研修会におきましては、基本的な座学講義に加えまして、避難実施要領のパターンを実際に作成してみる研修というのも行っているところでございますけれども、いろいろなニーズ、御要望を踏まえて行っていますが、武力攻撃事態を想定した事案のシナリオで行ったものは二回ございます。

岩谷委員 三十四回中二回というお答えだったと思います。やはり、二十年間近くやってこられて、非常に少ないというふうに思うんですね。

 今後、研修会で演習等を行う場合は、緊急対処事態だけではなくて武力攻撃事態を想定した演習も必ずセットでやるべきだと思いますが、御答弁はいかがでしょうか。

荻澤政府参考人 お答え申し上げます。

 研修会におきましては、演習だけではなくて、国民保護制度自体の概要でございますとか住民の避難の実務について、いろいろな事態を想定して、武力攻撃事態に関する事柄も含めて学んでいただくというような形を取っております。

 具体的な演習の際のシナリオでございますけれども、これにつきましては、市町村のニーズ、なぜ策定が進まないのかといったような課題等もお聞きしながら、より実効性のあるものというふうにしてまいりたいというふうに考えております。そのために、個別相談を行うほか、武力攻撃事態を想定したパターン、既存の事例もございますけれども、そのようなパターン事例集、こういったものを各種機会を捉えて市町村に周知するなど、引き続き市町村におけるパターン作成を促進してまいります。

岩谷委員 しっかりお願いしたいと思います。

 それから、内閣官房の方でも国民保護共同訓練というものを各都道府県でやっていただいていると伺っておるんですけれども、これまでどれくらい訓練をやってこられたかを、回数をお伺いしたいと思います。また同時に、この訓練も緊急対処事態とミサイル攻撃等の武力攻撃事態と分かれていると思うんですけれども、武力攻撃事態を想定した訓練は何回行われたかを、端的に、ちょっと時間がありませんので、お答えいただければと思います。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 国民保護法に基づく国民保護共同訓練については、平成十七年度以降、前年度までで、国が主導する国重点訓練、県の主導訓練、合わせて延べ二百四十二都道府県、二百三十七回となっており、また、武力攻撃事態等を想定した訓練はこれまで合計四回となっております。

岩谷委員 二百三十七回中、武力事態を想定した訓練が四回しか行われていないということで、これも非常に不十分だと思うんですね。武力攻撃を想定した訓練もしっかりと行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

澤田政府参考人 従来の国民保護訓練では、都道府県の実施状況の開きですとか訓練内容の固定化等の課題が顕在化していましたので、令和三年度以降の国重点訓練については大きく見直しを行ったところでございます。全国を六ブロックに分けて輪番制で実施することとするとともに、議員御指摘の、これまで取り込めてこなかった武力攻撃事態等を想定した訓練を国の主導の下で実施することとしたことでございます。

 今後とも、武力攻撃事態等を想定した広域的な避難、救援等の国民保護措置の訓練について継続的に実施してまいる予定でございまして、引き続き効果的な訓練の実施に努めてまいりたいと存じます。

岩谷委員 ありがとうございます。

 防衛省の方でも訓練等を総監部でやっていただいているということですけれども、これは、質問しようと思いましたけれども、しっかりと防衛省主催の訓練も充実していただくようにお願いをさせていただきます。

 時間ですね。私の質疑、ちょっと質問を残しましたけれども、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

大塚委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、私からも、ウクライナ情勢、ロシアによるウクライナ侵略に関した質問を二点ほどさせていただきたいと思います。

 まず、各委員からもありましたけれども、もうすぐで三週間になりますが、ウクライナへのロシアの侵略、何としても失敗をさせなければならないというふうに私も思っております。これがまかり通るようなことがあれば、日本でも、先ほどもありましたけれども、近隣の台湾に対する中国の圧力であったりとか侵略とか、そういったことも十分に想定される状況が更に高くなると思いますので、しっかりと、経済制裁なども含めて、日本政府の一貫した取組をこれからもお願いしたいというふうに考えております。

 プーチン大統領の今の置かれている状況というのはなかなか分かりづらい部分が、情報統制なども起こっているわけでございますけれども、現在のウクライナでの戦闘の状況であったりとか、ウクライナ軍、ロシア軍が置かれている状況について、簡単で構いませんので、どのように承知をされているか、教えていただきたいというふうに思います。

岸国務大臣 ロシア軍のウクライナ侵略は当初予想されていたよりも難航しており、その要因の一つが、ウクライナ側の強固な抵抗と、これに関するロシア側の見積りの甘さにあることが指摘をされているところであります。

 これに対してロシア軍は、ウクライナ周辺に所在していた兵力を全てウクライナに投入しているとされ、首都キエフ周辺や南部を中心に更に攻勢を強めており、ロシア軍が市民や民間施設への被害をためらわずに無差別攻撃を続けることが深刻に懸念されております。

 ウクライナにおける戦況は刻々変化をしております。今後の展開について予断を許さない状況ですが、防衛省・自衛隊としては、ウクライナ侵略を含むロシアの動向について引き続き重大な懸念を持って、情報収集、警戒監視に努めてまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 各国で報道されていますけれども、当初は、すぐに大統領を降伏させて、それで経済制裁等の影響もしのいで何とかやり過ごそうと思ったような、プーチン大統領の思惑が外れてしまったと。ウクライナの抵抗が思ったより強固で、また、ウクライナ国民によるゼレンスキー大統領に対する支持も極めて強固で、プーチン大統領の思惑が外れたところだというふうに思います。

 何とかウクライナ軍またウクライナの人々には今回の侵略に打ちかっていただき、また、そのためにも様々な支援が必要だと思いますけれども、そういったものを日本政府としてもほかの欧米先進国などと協力しながら引き続き行っていただき、何とかウクライナの独立、自由、民主主義が守られるよう取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 また、もう一つ、関連して御質問させていただきたいんですけれども、今回のロシアによるウクライナ侵略が成功するか失敗するか分かりませんけれども、何をもって成功するか失敗するかというのも難しい話であるんですけれども、いずれにしましても、ロシアの内政に今回の戦争が大きな大きな影響を与えるということは間違いないというふうに思います。

 仮に成功したとしても、ウクライナ統治に関するコストというものは膨大になるし、経済制裁もやまずに、ロシア経済が更なる負担を負って、内政状況がどうなるか分かりません。また、失敗をした場合は、もちろんですけれども、プーチン大統領の政権がどうなるか分かりませんし、仮にプーチン大統領が政権を失ったとしても、今回の敗戦によってロシア国内の不満が更に高まって、西側諸国に対する敵がい心みたいなものが高まってしまって、ワイマール共和国時代のドイツのような内政状況になる、そういったことも懸念をされなければならないというふうに私は思っております。

 ひいてはこれは日本の外交、安全保障体制にも、ロシアは隣国でございますので大変な影響があると思っておるんですけれども、ロシア内政の今後の変化に対する日本の安全保障環境への影響について、現在、防衛省でどういったようなことが検討されているのか、議論されているのか。もし教えていただけることがあれば、教えていただきたいと思います。

岸国務大臣 なかなかウクライナの状況というのは混沌としておって、難しい状況であると思いますけれども、極東でのロシアの動きについて申し上げれば、ロシア軍は、ウクライナの動きと呼応する形で、二月以降、オホーツク海における特異な大規模海上演習を行ったり、また、演習に参加したと考えられる艦艇の津軽海峡や宗谷海峡の通過もありました。北方領土における地対空ミサイル発射訓練の発表もあるなど、我が国周辺においても活発な活動を展開しておるところでございます。

 こうした一連の活動については、ロシアの戦略核戦力の一翼を担う戦略原潜の活動領域であるオホーツク海の軍事的重要性の高まりを背景とした活動の一環であると見られております。現下の情勢下において、ロシアが核戦力、核態勢に関する一連の発信をしていることを踏まえると、大変懸念すべきものだと考えております。

 防衛省として、ロシアにおけるウクライナ侵略の動きについても念頭に置きつつ、我が国周辺におけるロシアの動向についても、引き続き情報収集、警戒監視に万全を期してまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今朝のニュースを見ていますと、ロシアの国営テレビで職員の方が戦争反対のようなプラカードを掲げて放送が一時乱れたということもあって、内政的にも、クリミア併合をしたときなどはロシア国内は強力にプーチン政権の外交政策を支持していたというふうに聞いているんですけれども、その支持が乱れてきているかもしれないですし、内政状況が今後大きく流動化する可能性もあると思います。

 また、大臣が今おっしゃったように、ウクライナの戦闘の状況がどうなるか全く見通せない部分もあるかと思いますので、今後の大きな状況の変化にしっかりと即した安全保障体制の議論、これを国会でもしっかりとしていかなければならないというふうに考えております。

 中国の脅威が増大して、北方から南の方へ防衛力の主軸を移すような動きがこれまで検討されて実行されてきたと思いますけれども、その動きも、もう一度、今、非連続的な国際情勢の変化が起きたという認識の下で、全体としての安全保障体制の構築をどうしていくのか、そういったことも是非検討していただきたいと思うんです。大臣、いかがでしょうか。

岸国務大臣 ウクライナの情勢をしっかり注視しながら、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 では、今回の防衛省の設置法の改正について、質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 まず、自衛隊法第八十四条の四の改正について、二点ほど確認をさせていただきたいことがありました。

 まず、一点目なんですけれども、輸送対象者に含まれる方については柔軟に対応してほしいという趣旨で質問させていただこうと思っておりましたけれども、各委員からも既に質問があって、政府の方でもそういった方向で検討いただけるというふうな回答が既にありました。現時点で例えばJICAで働いている方、その御家族だけではなくて、過去に働いていた方、その御家族、OBさんみたいなところも含めて検討していくということが可能だとは思うんですけれども。

 改めて、念のため御回答いただきたいんですけれども、こういったところを幅広く対象を考えていただけるということでよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁させていただいた機会がございましたが、今般の法改正は、自衛隊法第八十四条の四の規定に基づく在外邦人等の輸送につきまして、我が国の国籍を有しない者のうち、邦人の配偶者又は子、そして名誉総領事、名誉領事、在外公館の現地職員、独立行政法人のいわゆる現地職員など、我が国国民と同視できるもの、すなわち現地で日本人とともに汗を流したような方々につきましては、我が国国民と同様に、その生命又は身体の保護を行うために自衛隊を派遣し輸送を行うことが適当であるとの考え方で行うものでございます。

 その上で、自衛隊が派遣されました後につきましては、その他の外国人につきましても、必要に応じまして、これまでどおり、主たる輸送対象者の同乗者として柔軟に輸送することが可能でございます。

 例えば、今回のアフガニスタンの件におきましても、カブール空港にC130が到着した後、アメリカからの要請を受けまして出国を希望するアフガニスタン人十四名を輸送する、こういうことをやっておりますので、今後も柔軟に、こういう方々を必要があればきちんと輸送してまいりたいと思っております。

斎藤(ア)委員 現地に日本人がいなくても派遣できるようになって、そして同乗者として関連する方を退避させられるということでございますので、現場の判断でこういった避難とかが迅速に行える、そういった仕組みというか、権限なども与えないと停滞することもあるかと思いますので、是非、できるだけ多くの方を救えるように運用を考えていただきたいというふうに考えております。

 また、この法改正に関連して、もう一点、簡単に確認をさせていただきたいんですけれども、使用できる自衛隊の機材に関してでございます。固定翼機に限定せずに、回転翼機でも、ヘリコプターでも使用できるということですけれども、もちろん安全が確保できる中でしかこういった行動が取れないわけですけれども、例えばヘリコプターを使って、空港から避難するべき方がいらっしゃるところにヘリコプターを飛ばして避難させるといったことも、安全が確保できれば可能だという理解でよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御質問の在外邦人等の輸送の輸送手段につきましては、現行の自衛隊法第八十四条の四に規定されております。この中では、政府専用機のほか、今回アフガニスタンで初めて投入しましたC2、それ以外にも、C130、KC767などの、輸送の用に主として供するための航空機だけではなくて、輸送に適する船舶、それから当該船舶に搭載されました回転翼機、ヘリコプターでございますね、それ以外にも車両を使用することが可能とされております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 もう既にこの委員会でも質問がありましたけれども、やはり、どうやって安全を確保するのか。逆に、安全を確保できた状態であれば民間機での移動がまだ可能であることも想定されますので、民間機が飛べなくなった、そして自衛隊が活用されないといけない、そういったときにどういった安全を確保する手段があるのかということについては、まだまだ整理されていないというか、議論しなければならない部分があるというふうに先ほど来の質疑を聞いていて思いましたので、またこの安全保障委員会などでも取り上げさせていただきたいというふうに考えております。

 法案の中身の質疑からずれるんですけれども、極めて関連しているというところで、昨年の八月のアフガニスタンのカブールからの邦人と関係者の退避について改めてお伺いをしたいと思っております。

 先週のこの委員会の場でも、伊藤委員から検証はどうなっているんですかというふうな質問があった際に、内閣官房副長官からは、今回は検証を行っていない、不断の検討を行っているといったような御答弁があったわけですけれども、大変大きな出来事だと思います。

 日本の現地の協力者の方々が、陥落後から米軍がアフガニスタンのカブール国際空港から撤退するまでの間に、空路で退避できなかったわけです。邦人は退避できたけれども、協力者の方々が空路で退避できなかった。その後、これまでに様々な手段を通じて国内に退避していただいているので、その御努力というか、そのオペレーション自体は成功していると思うんですけれども。

 当時、八月中に米軍が空港から撤退するまでの間に空路で避難させるということができなかったというのは、オペレーション的には、オペレーションというか、政治決定のスピード的には失敗だったというふうに考えております。もちろん、現地に行った自衛隊の方々、現地で働いている外務省関係の方々、そういった方々は全力で尽力をしていただいたと思うんですけれども、結果的には五百人近くの関係者の方々を退避させることができなかったわけでございます。

 その原因について、検証を内閣官房副長官は行っていないとおっしゃっていましたけれども、防衛省でも外務省でも検証を行っていないということでよろしいんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

岸国務大臣 先般のアフガニスタンの事例の経験等で申し上げれば、情報収集の充実、政府部内の連携強化、意思決定の迅速化、こういうことを図っております。こうした改善点は、既に在外邦人等の輸送に係るオペレーションに反映をしております。

 例えば、具体的には、昨年十一月下旬から十二月末にかけて、エチオピア情勢の悪化を踏まえて、在外邦人等の輸送が必要となる場合に備え、情報収集の強化のため、防衛省、外務省から成る調査チームを迅速にジブチに派遣いたしました。

 今後も、政府全体として、海外における邦人等が安全に活動できるように、不断に検討を行っていく考えであります。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今、岸防衛大臣から御答弁がございましたとおりですけれども、昨年八月のアフガニスタンに関する政府の対応については、その経験を踏まえて、不断の検討を行っている中で、連携の強化、意思決定の迅速化に努めているというところでございます。

 具体的には、エチオピア、ウクライナ等における対応において、より機動的に関係省庁間で会議を開催する等、実際にその検討の結果をその後に発生した事態においても適用している、そういう状況でございます。

斎藤(ア)委員 検討の中身が分からない、検証と呼ぶか、検討と呼ぶかはおいておいて、ちょっと中身が分からないというところで。有権者の皆様、国民の皆様にも非常に関心の高い問題だと思っております。

 例えば、NATO諸国が現地に部隊を派遣していて、退避を日本よりもスムーズに進められたというところは確かに分かるんだけれども、例えば韓国は、日本と同様、NATO諸国ではなくて、だけれども三百九十人の関係者を退避させるオペレーションを完遂させることができたわけでございまして、そこに日本と韓国の差が出てしまっている。

 アメリカ軍がカブール空港から撤退した後の翌日の九月一日の記者会見の場で、当時の菅総理大臣は、邦人を退避させることはできたので、その部分はよかったといったようなことを発言されていたんですけれども、先ほど来ありますけれども、それでは日本の国際社会での責任が果たせているのかというところが非常に疑問視される、そういったお答えでもあったと思いますし、そういった結果になってしまっていると思うんです。

 そもそも、このオペレーションの目的として、外国人関係者の方々を退避させることが必要であると。外国人関係者の退避がオペレーションの目的に含まれているようになったのは、どの時期からなんでしょうか。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 アフガニスタンの情勢が、昨年の八月から治安状況が悪化いたしまして、外務省としては、邦人だけではなくて、我々と一緒に汗を流してきた大使館の現地職員、JICAの現地職員、あるいはその御家族の方々の退避について検討を行っておりました。

 具体的には、八月の十四日までには、当時はまだ民間の飛行機が飛んでおりましたので、民間チャーター機によってそうした方々の退避の計画をほぼ整えておりました。同時に、念のために並行して、十四日の夜の時点で防衛省に対しては自衛隊機の利用可能性について内々打診をしていた、そういう経緯がございます。

 しかしながら、十五日に突然、非常に事態が速く展開する中でカブールが陥落をし、民間機の運航が停止をされ、かつ、映像等で御覧になっておりますように、空港の中が極度に混乱していたという状況の中で、その時点では計画を一から再検討する必要が生じたということでございます。自衛隊機の利用可能性についても、外務省から防衛省に対して、その段階で、一時ホールドしてほしいというふうにお願いいたしました。

 その後、カブール国際空港の混乱の収束の状況、各国軍用機の離発着を含めた空港の運営状況、そういったものを見ながら、どうしたら安全かつできる限り早く退避できるかということで、様々な手段を検討いたしました。最終的には、自衛隊機の派遣が可能であり、かつ、それが最も効果的で、ほかにそれ以外の有効な手段はないということで、八月二十日の段階で外務省から防衛省にそうした考え方を伝えて、自衛隊機の派遣の具体的な検討を要請しました。

 そうした中で、自衛隊機の派遣に先立って関係者をカブール国際空港に派遣いたしまして、現場で様々なアレンジをいたしました。

 カブールの空港からどうやって安全に外に出すかということと同時に、カブール市内で関係者を集めて、当時市内も非常に混乱していたわけですけれども、どうやって安全に空港まで連れてくるか、そういう二つのフェーズがあったわけですが、後者につきましては、まさに、全員をバスに分乗させて出発しよう、そういう段階で、非常に残念なことでありますけれども、大規模なテロがカブール空港で発生をいたしまして、その状況を考えて、その段階で空港に連れてくるということはむしろ安全ということを考えたときには好ましくないだろうということで、そこで一時中断することを余儀なくされてしまった、そういう経緯でございます。

 その後につきましては、委員御指摘のように、九月以降でございますけれども、様々な手段を講じることによって、少しずつ関係者のアフガニスタンからの出国、日本への入国ということを行いまして、これまでに約五百七十名が日本に到着している、そういう経緯でございます。

斎藤(ア)委員 更問いをする前に、今、五百名を超える方を日本に退避させていて、さらに、その方々の在留許可に関しても特別に配慮して延ばしているといったことを日本政府としてもやっていただけているということなので、その点は、日本政府としても誇っていいというか、しっかりやっていることだというふうに私は世界にアピールできるとは思うんですけれども、改めて、私が今問題にしているのは当時の八月の末までのオペレーションのことですので、そこの部分をもう少し聞きたいんですけれども。

 つまり、十五日にカブールが陥落して、自衛隊機による救出を行うしかないということで、防衛省へ検討を要請した二十日までに五日間かかってしまっている。そして、防衛省が派遣を決定する二十三日までに八日間かかってしまっている。この八日間という日数が、これは後だから言えることですけれども、それこそ検証ですので言わせていただきたいんですけれども、これが七日間であればテロが起きる一日前にバスが発車できていたかもしれないということも考えられるわけです。

 やはり、ここまでかかってしまった、派遣の決定までにかかってしまった、派遣が決まったらもちろん速やかに自衛隊の方は行っていただいたと思っていますけれども、それまでに、決定に至るまでのプロセスが時間がかかってしまったということだと思いますので、やはりその部分は、どうだったのかという検証は、有権者に、我々国会にもしっかりと示していただきたいというふうに思うんです。

 今、口頭で御説明をいただきましたけれども、検証の内容というのは我々国会議員には御説明をいただけないんでしょうか。あるいは、文書でお示しをいただくということはできないんでしょうか。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 検証につきましてですけれども、一般論として申し上げれば、邦人の退避等の事案が生じた場合、その全ての事案に関していわゆる検証委員会の立ち上げや検証報告書の作成を行ってきているというわけではございません。過去十年ぐらいにおいても、様々な形で、邦人の退避ないしは不幸にも海外で亡くなられるようなケースがございましたけれども、全てのケースにおいていわゆる検証委員会ということを立ち上げたりということをやっているわけではございません。

 しかしながら、先ほど防衛大臣から御答弁がございましたように、政府としては、今回のアフガニスタンの経験を踏まえながら、海外における邦人退避をより円滑にするという観点で不断の検討を行っており、かつ、その結果については既に具体的なオペレーションに反映をしているということでございます。

 こうした委員会における質疑も含めてでございますけれども、あるいは、八月の段階でも、例えば記者会見等において、外務省として当時どういう形のオペレーションをやったのかと。現実にオペレーションをやっているときは残念ながらなかなか外に発信できませんけれども、それが終わった後には、いろいろなメディアを通じて具体的な形で、こういう形で対応いたしましたということは丁寧に御説明をしているつもりでございます。

 いずれにしましても、引き続き、政府としてのアフガニスタンでの対応ないしはその後の対応の改善等については、様々な機会に御説明を申し上げていきたいと考えております。

斎藤(ア)委員 内閣官房副長官も先週同じことをおっしゃっていたんですけれども、全ての場合において検証委員会を立ち上げているわけではないということをおっしゃっていましたけれども、このケースは、包括的な検証が必要でないというケースだとはとても考えられない。

 世界的にも各国が大規模なオペレーションを行って、自分たちの国に協力をしてくれて、その後、迫害を受けるかもしれないという立場に置かれた現地の協力者の方々を避難させるということに心血を注いだ。そして、繰り返しになりますけれども、現場の派遣された自衛隊の方、現地の公館の方々は努力していただいたと思いますけれども、結局、日本は結果として、そういった方々を八月末で退避させることができなかった。

 結果として、これも、今そういった方々は無事に国内に避難できていますけれども、それこそ本当に殺されていたかもしれない。日本に協力をしたから、西側の米国の同盟国の日本に協力をしたからといって、そのときにもしかしたらタリバンが彼らを殺害していたかもしれない。そういった状況に追いやってしまったという結果を招いている。

 これは国民にとっても大きな関心事だと思います。日本の名誉や誇りにも関わる事例でございますので、しっかりと検証を行って、その検証の中身というものは我々に知らせていただかないといけないというふうに考えております。

 昨年の九月三日の記者会見の際でも、外務省も防衛省も、防衛省は岸防衛大臣でしたけれども、検証を行う必要があるという認識を示されていましたし、その中身が分からないまま過ぎてしまっていては、本当に改善ができているのか分からないという状況が続いてしまうと思います。

 今回、アフガニスタンのカブール陥落時の経験も踏まえて法改正をするというところだと思いますけれども、結局のところ、海外協力者の方々を避難させることができなかった本当の原因、理由が分からないのであれば法改正の議論もなかなかできないし、法改正をしたとしても、本当に次にこういった事態が起きた際に協力者の方々を安全に避難させられるかということが分からないので、やはりこの検証の部分というのはしっかりとしていただき、そして教えていただく。

 もちろん、機密情報で教えられない部分はあるかもしれないけれども、政策決定のプロセスがどうだったかということはしっかりとお示しをいただく、公表いただけることだと思いますので、改めてこのことは強く求めていきたいというふうに考えている。もし、公表できること、教えていただけることがあるのであれば、国民民主党の方にも是非とも教えていただきたいというふうに考えております。

 時間が来ますので、最後にさせていただきたいと思うんですけれども、検証の中身はなかなか分からないので、今後こういったことをしていくべきだということはなかなか外側にいる人間からは申し上げづらいんですけれども、カブール陥落時の経験を踏まえれば、一日違いで韓国は全員を退避させることができた、海外の協力者の方々も含めて退避させることができたということを踏まえれば、今回の法改正のみならず、インテリジェンスの制度であったり、避難計画を作ってやったりとか、そして先ほどから申し上げている政策決定のスピードを上げるということが肝要であるとは思うんですけれども、最後にその御認識を岸防衛大臣にお伺いしたいと思います。

岸国務大臣 現状の部分について言えば、我々は、先ほどからの繰り返しになりますけれども、既に、アフガンの経験を踏まえまして、その状況をその後の様々なオペレーションに生かすような形でやってまいっております。先ほども述べましたけれども、エチオピアの件等もあったと思いますが、不断の努力を重ねてきているところでございます。

 今後とも、こうした経験を踏まえて、しっかりとしたオペレーションに生かしてまいれればと思っております。

斎藤(ア)委員 是非とも、現場の自衛官の方、また外務省職員の方々の努力が報われるような体制を構築していっていただき、また、海外の協力者の方も含めて、安全な退避というのが今後はしっかりと行えるように体制をつくっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案について質問をいたします。

 先週八日の本会議で、在外邦人等の輸送に関して、自衛隊は国際法上軍隊として取り扱われることから、その航空機や船舶、車両に搭乗する民間人は国際人道法による保護を受けられないのではないかという質問がありました。これに対して、国際人道法は基本的には武力紛争の当事国の関係を規律しており、我が国が邦人輸送を行うことで紛争当事国になることはなく、軍事目標主義の適用を論じる意義はないというのが政府の答弁でありました。

 日本が武力紛争の当事国の場合はどうなるんですか。

岸国務大臣 自衛隊法第八十四条の四に基づく自衛隊の活動は、外国における緊急事態に際しまして生命又は身体の保護を要する邦人を本邦等の安全な地域に輸送する活動です。当該輸送は国際法上禁じられた武力の行使に当たるものではなく、我が国がこうした活動を行うこと自体によって紛争当事国になることはありません。

 その上で、武力攻撃事態において武力攻撃を排除するために武力を行使している状況において、我が国は紛争当事国となっていると考えられます。その場合、自衛隊が自衛隊法第七十六条に基づく防衛出動等によって武力攻撃を排除するという主たる任務に当たる中で、在外邦人等の生命身体の保護については、何がそのときの状況に応じた最適な手段であるかを政府全体で判断し、対応してまいります。

 さらに、我が国が紛争当事国となった場合において、仮に自衛隊が在外邦人の輸送を実施した場合には在外邦人は国際人道法上の保護を受けられないのではないかという問いがございましたけれども、個別の事案に対しては、状況に応じて判断される必要があり、そのお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、一般論として申し上げれば、ジュネーブ条約に代表される国際人道法において、文民は保護の対象であると承知をしております。

赤嶺委員 文民は保護の対象である。

 私がお聞きしましたのは、武力行使の正当性についてではありません。武力行使の性格のいかんにかかわらず、全ての紛争の当事者が最低限守らなければならない基準を定めた国際人道法との関係についてであります。

 ジュネーブ条約の第一追加議定書は、民用物への攻撃と復仇を禁止し、攻撃は厳格に軍事目標に限定することを定めています。日本が武力紛争の当事国の場合、自衛隊の航空機や艦船、車両は民用物でないことから、当然、軍事目標として取り扱われる。これは、具体的な事例を待たずして明らかではありませんか。

岸国務大臣 武力攻撃事態における自衛隊の具体的な行動についてはお答えを差し控えますが、在外邦人等の生命身体の保護については、何がそのときの状況に応じた最適な手段であるか、政府全体で判断してまいります。

赤嶺委員 まあ、お答えにならないわけですが。

 九九年のガイドラインのときの外務省条約局長の答弁では、当然、国際法上民用物とは考えられない、むしろそういう意味では軍事目標の方に該当すると答えているわけですね。検討を待たずして武力紛争の当事国の場合に軍用機を使ったら、それが攻撃の対象というものになっていきます。

 一般的な考え方に立つと、軍事目標である自衛隊の航空機や艦船、車両に搭乗する民間人は国際人道法による保護は受けられないということになるのは明らかじゃないですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣よりお答えをさせていただきましたけれども、武力攻撃事態におきまして、自衛隊は、防衛出動等によりまして武力攻撃を排除するという主たる任務に当たっております。また、在外邦人等の生命身体の保護ということにつきましても、政府全体として懸命に取り組まなくてはいけない責務でございますが、そのときにどのような手段でどのように保護することが適切かということは、政府全体で判断することだというふうに思っております。

赤嶺委員 どのようなやり方にするかということを聞いているわけではありません。そのときに今のような自衛隊機を使うようなことになれば、国際人道法に基づく保護の対象にはならないのではないかということを聞いておりますが、ちょっと具体的に伺います。

 今年一月の日米の2プラス2の共同発表は、ルールに基づく秩序を損なう中国への懸念を表明した上で、地域における安定を損なう行動を抑止し、必要であれば対処するために協力することを決意した、このように述べております。

 この間、政治家による台湾有事に関する発言が繰り返され、安倍元首相は、台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもあるなどと述べております。

 台湾海峡をめぐる問題が武力紛争に発展し、日本政府がそれを存立危機事態と認定して集団的自衛権を行使した場合、日本は紛争当事国になります。自衛隊の航空機や艦船、車両は軍事目標として取り扱われ、そこに誰が搭乗していようと攻撃対象とされます。

 防衛大臣は本会議の答弁で、いかなる事態にも対応できるよう万全を期していくと述べておられますが、このような状況下で、台湾に在留する邦人を一体どうやって安全に退避させるんですか。そんなことはできないのではありませんか。

岸国務大臣 台湾有事という仮定の御質問にはお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、台湾をめぐる情勢については、当事者間で対話によって平和的に解決されることを期待しているというのが我が国の立場であります。

 その上で、一般論として、我が国として、在外邦人の安全についてもしっかりと確保できるように万全を期してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 私が聞いているのは、そんな場合にどうやって安全に退避することが可能かということを伺っているわけですが、答えておられません。

 台湾に在留する邦人だけではありません。日本が台湾問題に軍事介入すれば、中国政府は、当然、内政問題への不当介入とみなして自衛権を行使することになります。米軍基地が集中し、出撃拠点となる沖縄は戦場になります。砲弾の雨の中、潜水艦が待ち構える中で、百四十五万人もの沖縄県民を一体どこにどうやって避難させるんですか。

岸国務大臣 仮に武力攻撃事態が生起した場合には、自衛隊は、武力攻撃を排除して国民への被害を局限化するという主たる任務に支障のない範囲内で、可能な限り、国民保護措置を行うことになります。

 その上で、沖縄県民の方々の避難については、沖縄県及び各市町村がその国民保護計画に基づいて国と協力しつつ実施することとなります。防衛省・自衛隊として、警察及び消防等とも連携しつつ、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援等の措置を実施することとなります。また、島外への避難が必要となった場合には、防衛省・自衛隊も保有する航空機や船舶により避難住民の輸送を実施することになります。

 防衛省として、沖縄県や各市町村含めて、関係機関と平素からの訓練などを通じて連携向上を図ることとし、いかなる事態においても国民の命と財産を守るために万全を期してまいります。

赤嶺委員 今の答弁を聞いていて、いかなる場合でも県民の命と安全を守っていくと言いますが、到底不可能だ、そんなことはできっこないということを改めて感じました。

 なぜなら、今防衛大臣もお答えしたように、国民保護法では避難住民の誘導はあくまで市町村の役割とされています。自衛隊は、大臣の答弁にもありましたように、主たる任務である武力攻撃の排除に支障の生じない範囲で可能な限り支援するということにすぎません。十分な輸送手段を確保できず、住民を避難させることができなければ、市町村の責任とされてしまうのが今の国民保護法の体系です。

 一旦戦闘が始まってしまえば、そこは自衛隊法上の自衛隊の行動に係る地域ということになって、民間船舶の運航も止まります。結局、多くの県民が戦場に取り残される、そういうことになるのではありませんか。去った沖縄戦の捨て石作戦のように、こういう事態は、台湾海峡をめぐる武力紛争の突発は、いや応なしに沖縄県民を戦場に取り残し多大な犠牲を生じさせる、そういうことになるのではないかと危惧しておりますが、いかがですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 台湾有事ということから、南西の防衛の関係の御質問がありました。

 台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控えますが、我が国としては、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、従来から一貫した立場でございます。

 その上で、我が国が整備している防衛力、これは特定の国を対象とするものではございませんが、我が国周辺の厳しい安全保障環境を踏まえますと、南西地域の防衛体制の強化は我が国の防衛にとって喫緊の課題だと思っております。

 我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くために、警戒監視活動や対領空侵犯措置に万全を期すとともに、海上優勢、航空優勢を確保するため、平素から安全保障環境に即した部隊配置を行いまして、南西諸島における防衛体制を目に見える形で強化してきております。

 このような部隊配置は、我が国への攻撃を抑止する効果を高めているものであると考えておりまして、我が国に対する、南西諸島に対する侵攻というものが起きないようにするということが一番重要だと思っております。

赤嶺委員 南西諸島に強大な軍事拠点を設けて、沖縄本島の米軍基地も対中国を念頭に強化されている中で、幾ら平和解決を望んでいると言われても、そこには、偶発的な軍事衝突への危機感、これをずっと抱いているわけです。政府の答弁が絵空事に聞こえてなりません。

 安保法制に基づく存立危機事態や重要影響事態は、日本が武力攻撃を受ける事態ではありません。受けていないにもかかわらず、他国の紛争にアメリカが介入したときに、日本がそれを支援し、自ら軍事的に介入する仕組みです。そのようなことをすれば、日本に戦火を呼び込むことになるのは明らかです。

 日本がやるべきことは、南西諸島における軍事的な強化、沖縄本島における米軍基地の強化ではなくて、あくまで紛争の平和的解決を働きかける外交努力であって、国民に重大な犠牲をもたらす武力介入など、絶対にやってはならないと思います。そのように考えていった場合に、危険極まりない安保法制の廃止は急務だということを強調しておきたいと思います。

 次に、外国軍隊への麻薬などの譲渡について伺います。

 今回、麻薬及び向精神薬取締法の特例を設けて、自衛隊が、厚生労働大臣の許可を得なくても、外国軍隊に医療用麻薬などを提供できるようにするとしています。

 まず、この規定を法案に盛り込むことになった経緯から伺いますが、事前の説明では、陸上自衛隊が現在、南西諸島の防衛についての研究を重ねており、日米共同作戦の際に負傷した米兵の治療が手遅れになることへの懸念の声が上がっていたことから、厚生労働省と調整を行い、今回の特例を設けることになった、このように聞いておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。

岸国務大臣 防衛省におきましては、自衛隊と外国軍隊との協力関係が進展していることを踏まえて、両者が共に活動する場合における衛生分野での課題について鋭意検討を進めてきたところであります。

 その結果、麻薬や向精神薬に該当する医薬品について、これらを自衛隊から外国軍隊に速やかに譲り渡すことができれば、自衛隊及び自衛隊と共同して活動する外国軍隊のより円滑な運用に資すると判断し、麻薬及び向精神薬取締法の所管省庁である厚生労働省と協議を行ってきたところであります。

 今般、厚生労働省との間で協議が調ったことから、当該法案の速やかな成立を図るべく、今国会に改正案を提出したところであります。

赤嶺委員 自衛隊と米軍の協力関係が発展している中で、今回の医薬品の提供、このことが法案になったということですが、具体的には、どんな場面でどのような医薬品を提供することを想定しているんですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今回、特例規定に基づき麻薬等を譲り渡す場合としては、例えば、国内で共同して活動を行っている外国の軍隊に負傷者が発生し、その治療に必要な麻薬等に該当する医薬品の提供を求められ、自衛隊から提供する場合などを想定しております。

 また、譲り渡すことを想定している具体的な医薬品としては、麻薬に該当するものとしてはモルヒネ塩酸などの鎮痛薬を、向精神薬に該当するものとしてはジアゼパムなどの鎮静薬などを想定しているところでございます。

赤嶺委員 日米の共同の軍事活動の中で、こういう必要性まで出てきたという説明であります。

 去年の十二月に、共同通信が、米軍と自衛隊が台湾有事を想定した新たな共同作戦計画の原案を策定したことを報じました。台湾有事を安保法制に基づく重要影響事態と認定し、南西諸島の約四十か所の離島を対象に米軍が臨時の軍事拠点を置き、相手の攻撃をかわすために島々を転々としながら中国艦艇への攻撃を続けるという内容であります。自衛隊には、輸送や弾薬の提供、燃料補給など、後方支援を担わせるとしています。

 政府は公式には認めていないわけですが、やはりそういう検討をやっていることではないかと思います。今回の改定も、そうした共同作戦計画の検討の中から出てきたものではありませんか。

岸国務大臣 米軍との間では平素から様々な情報交換を行っているところでございますが、日米共同作戦については、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきます。

赤嶺委員 答弁を差し控えるということでありますが、実態としては、例えば今年一月の2プラス2の共同発表、これは、緊急事態に関する共同計画作業についての確固とした進展を歓迎した、こう2プラス2で明記されているわけですね。県民の命が懸かった重大な問題であります。しかし、それを問い詰めると、日米間で秘密裏に事を進め、説明できないと答える。

 しかしながら、突然県民が戦火に巻き込まれるという危機感もあります。偶発的な軍事衝突、今のような軍事の拡大強化、これがずっと続いていきますと、そういう軍事衝突が偶発的に起こる危険さえあります。県民が突然戦争に巻き込まれる、そういう事態になることを危惧しております。危惧どころか、これは沖縄戦の再来だと。

 台湾有事は日本有事、そして、南西諸島の軍事を強化しよう、沖縄の米軍基地は日米同盟にとって必要だと。こんな、県民の苦しみを離れた、しかも勇ましい、そういう議論は是非とも慎んでいただきたい。大臣がおっしゃっていたような平和解決、この姿勢で臨むのであれば、そういう姿勢がはっきり見えるような形で、南西諸島への軍事強化もやめていただきたいと思います。

 時間の範囲内であと一問伺いますが、引き続き日米ガイドラインとの関係です。

 政府はこれまで、日米間の役割について、米軍が矛の役割を果たし、自衛隊は盾の役割を果たすと述べてきました。

 一九九七年に改定されたガイドラインでは、武力攻撃事態における航空侵攻や周辺海域の防衛、弾道ミサイル攻撃について、それぞれ、米軍による打撃力の使用に言及しておりました。

 ところが、二〇一五年のガイドラインでは、米軍による打撃力の使用に言及しているのは、一か所だけ、領域横断作戦のところで触れるだけになっています。個々の作戦での言及はなくなっております。しかも、打撃力の使用を伴う作戦を実施することができるとなっており、必ず使用するわけではなく、使用を考慮するだけになっています。なぜこういう書きぶりに変わっているんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九七年の日米ガイドラインから、二〇一五年のガイドラインを新しくつくるに当たりまして、その間の二十年近くの防衛政策の進展、日米協力の進展を反映させまして、かなり充実した内容になって、大部なものになってまいりました。

 御指摘の打撃力の件につきましては、米軍が打撃力を使用する作戦を実施する場合、様々な領域において様々な様相を取ることがあり得る、そのために、二〇一五年に策定した日米ガイドラインにおきましては、ほかの様々な活動、例えばISR活動や宇宙・サイバー空間における脅威への対処などを陸海空といった個別の作戦様相の一つ一つにおいて記述するのではないということと同様に、米軍による打撃力の使用についても、個別に記述するのではなくて、領域横断的な作戦の項にまとめて記述することとしたものでございます。

赤嶺委員 紙が来ましたので、質問を終わります。

大塚委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。

 今回、初めて安全保障委員会での質問となります。昨年、国会で議席を初めて預からせていただくことになりまして、そして、ようやくこの場所に立つことができました。

 防衛大臣始め、また政府関係者の皆さん、この間、ウクライナ情勢が大変深刻な、また緊迫する中で、本日も大変貴重な時間をいただきまして、心より感謝申し上げ、また、皆さんの御尽力に併せて敬意と感謝を申し上げます。

 まず、今、我が国としてなすべきこと、これを、ウクライナに平和を取り戻していく、そのために、あらゆる手段で、知恵を使って取組をしていかなきゃいけないと思っております。ロシアに対しては、徹底して制裁を強化していく、何よりも、一刻も早く、停戦に向けた取組ということを欧米諸国含めて団結してやっていかなきゃいけないと思っております。

 同時に、各社の世論調査でも明らかになっております、今、我が国の七割から八割の国民が、日本の安全保障への今回のウクライナ情勢の影響というものを大変不安に思っている。こういった情勢の中で、やはり、日本周辺、もちろんウクライナの平和もそうです、東アジア、インド太平洋地域において徹底して外交的な努力また対話を、各国を通して平和を守っていくこと、そのことも大事でありますし、この後、私も具体的に質問してまいりますが、まさに今こそ防衛力を強化していくこと、そのための人的な基盤の強化、そういった意味でも、本日は、自衛官の待遇の在り方、本当に有事の際に我が国として国民をしっかりと保護していけるのか、守っていけるのか、その点に関して確認したいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、その前に、一月三十一日、小松基地を飛び立ったF15戦闘機の二名の航空自衛隊のパイロットが殉死しましたこと、私からも心からの敬意と哀悼の誠をささげたいと思っております。

 私の弟も、航空自衛隊で一時期、戦闘機課程の訓練生として、T4です、乗っていましたが、改めて、自衛隊の待遇の在り方を考える際には、まさに自衛隊員と家族の視点というのを持ちながら本日は議論していきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 私が言うまでもありません。日本の独立と主権を守り、平和を維持するために一命を賭して守ってくれるのが自衛官。しかし、自衛官の待遇の重要性を国は、政治は認識しているのでしょうか。今、我が国周辺の安全保障環境は悪化し、ウクライナ紛争があります。これから日本の防衛力をしっかりと高め抑止力を向上させていく上で、まずは、人的な基盤としての個々の自衛官が高い士気と誇りを持って任務の遂行に当たっていくことが極めて重要であります。

 そういった中、今、大きな問題は、まさに、いかに自衛隊員を確保していくのか。先ほど徳永議員からもありました中途退職者の問題、特にこの十年間で約四割近く増加していて、年間四千人近くの中途退職者がいるのが今現状です。

 こういった中で、大臣に伺いたいと思いますが、先ほど、防衛省としても大臣としても様々工夫をされているというふうには聞きました。ですけれども、私としましては、更なる、自衛隊員を確保するため、そのための何か、そういった措置等を行っているのかどうか、取組を行っているかどうか、そこら辺をお答えいただければと思っております。お願いいたします。

岸国務大臣 日本社会の少子化が進む中で、人材の確保というのは大変大きな課題でございます。今委員のおっしゃった中途退職の問題も認識をしております。

 まずは、中途退職については、退職の理由の集計によりますと、令和元年度、令和二年度において、民間企業への就職が半数近くを占めて、最も多くなっております。続いて、家庭の事情、性格の不適合、進学が続いております。防衛省としては、このような状況も踏まえて、中途退職の抑制に向けて不断の努力をしてまいりたいと考えております。

 先ほども一部言いましたけれども、職場環境の改善ですね、そういった抑制策も必要であります。具体的には、人材の確保のために、隊員の生活・勤務環境の改善、女性自衛官の活躍推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、処遇の改善、ハラスメント防止やメンタルヘルスの施策といった、各種の施策を推進し、自衛隊の魅力を向上してまいりたいと思います。

 防衛省としては、防衛省・自衛隊の任務が一層多様化する中で、より幅広い層からの多様かつ優秀な人材の確保を図るとともに、全ての隊員が高い士気を維持し、自らの能力を十分に発揮できる環境の整備に向けた取組について不断に検討してまいる所存であります。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 確かに、防衛省を含め自衛官、また私の地元でも募集案内所の皆さん、様々工夫をされてやっていると思いますが、財務省は明確に言っています、従来の努力による定員の確保や増加は限界があると。中途退職の抑制に加えて更なる工夫が必要だと言っています。

 そういった意味で、まさにここで私が問いたいのは、自衛官の給与体系について、何度も国会でも議論されてきたというふうに承知をしております。一方で、なぜ、七十年前ですか、発足当時の警察予備隊、その後の保安隊、その当時の発想でなぜ、これまでずっと。国際情勢が変わり、また、自衛隊の任務も多様化し、より様々深まっていく中で。ここで私がお伺いしたいのが、待遇を改善していくためにもやはり給与体系を自衛官独自のものにすべきだと思いますが、この点に関して、大臣の御見解をお願いいたします。

岸国務大臣 自衛官の給与制度について申し上げますと、公務員の給与制度は信頼性、公正性が極めて重要であります。このため、自衛官の給与の基礎となる俸給表については、職務が比較的類似する警察官等に適用される公安職俸給表等の俸給を基準として作成しております。これにより、官民比較に基づく人事院勧告を尊重した一般職の国家公務員の給与改定に準じることで、給与制度の信頼性、公正性を確保しているところであります。

 一方で、自衛官の任務の特殊性に対する処遇も重要であり、その点については、その特殊性を考慮した航空手当、乗組手当等の独自の手当を設けて評価するとともに、安全保障環境の変化や自衛隊の任務の拡大等を踏まえて、適切な処遇を確保すべく、毎年の概算要求の機会を捉えて各自衛隊の意見を聞きながら処遇の改善を図っているところであります。

 このように、今後とも、自衛官の任務の特殊性を踏まえて、それにふさわしい処遇となるように不断の検討をしてまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 様々、手当等もあって、しっかりと考慮されているということは分かったんですが、七十年前とは大分違うと思っております。そういった意味でも、やはり私はここで大臣に御決断いただきたい。

 特に、警察官と自衛官というのは大きく違うと私は思っております。もちろん、警察官にしても、消防士にしても、高いリスクを背負いながら人命を救うために懸命に職務に当たられていると思っております。ただ、これからの国際情勢を見据えて我が国として人的な基盤をしっかりと確保していく、そのためにも、やはり、全ての自衛官は、服務の宣誓において、まさに、事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務める、そういうふうに誓っております。そういう決定的に違っているところを、いつまでも、これまでどおり、旧態依然としていくのではなく、私はここで何とか変更していただけないかというふうに思っております。

 大臣は様々な機会でおっしゃっています、防衛力の抜本的な強化に取り組んでいくと。だからこそ、ここで、人員確保のためにも、我が国の防衛力強化、高い士気と使命感を持った、誇りを持った、そういった形で任務に当たっていただくためにも、是非ともこの点を引き続き御検討いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 余り時間がないので次に行きたいと思っております。

 こちらも私は大きな問題だと思っております。国際情勢は様々変動しています。しかし、防衛出動、自衛隊のまさに主たる任務の中で、国を守るための任務に当たって、ずっと国会でも議論されてきたと思っておりますが、今、その手当がどのように定められているのかについて、大臣でよろしいでしょうか、教えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

岸国務大臣 武力攻撃事態や存立危機事態に際しまして防衛出動が下令された場合においては、防衛省の職員の給与等に関する法律第十五条の規定によりまして、防衛出動手当として、政令で定める額の防衛出動基本手当と防衛出動特別勤務手当が支給されることとなっています。

 これらの手当の対象となる勤務の危険性や困難性は、発生する事態の態様により様々な強度のものがあると考えられるところですが、防衛出動によりその任務に当たる隊員に対する処遇については、隊員が誇りを持って、安んじて任務の遂行ができるようにすることが重要であります。これらの点に十分配慮して、適切な処遇となるよう、不断の努力、検討をしてまいりたいと思います。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 ただ、残念ながら何も決まっていないということだと思うんですが、どういうことなんでしょうか、本当に。我が国としては、自衛官による防衛出動というのは想定していない、あるいは有事は想定していない、そういった認識でよろしいものでしょうか。どうかお答えをお願いいたします。

岸国務大臣 まずは、自衛隊として、我が国として、有事にならないように、万全な抑止力を備えていくべきと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。

 一方で、大臣、私、防衛省の方に聞いていますが、結局決められないということだと思うんですが、いつまでも検討で、何年間たっていますか。まさに二〇〇三年からですので十九年間放置している、これこそ私は政治の怠慢だと思っておりますので。全く自衛官に対する敬意とかが示されていませんし、大臣が先ほどおっしゃいましたけれども、これでは誇りを持って任務に当たる状況じゃないと思っておりますので、是非とも、何とか、いつになったら検討して、鋭意検討しているということだとは思うんですが、早急に検討をする時期です。

 ウクライナ情勢も受けて、いろいろと、後半で伺いたいと思っておりますが、まさに東アジアの情勢を考えたときにも、これは早急に決めていただかないことには、自衛官が全力で任務を全うできない環境だと思っておりますので、どうか引き続きこの点を後半の方でまた問わせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

大塚委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十八分開議

大塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。太栄志君。

太委員 午前中に続きまして、引き続き質疑をさせていただきます。

 先ほど大臣にお伺いしました防衛出動手当の件で、もう一度、大臣に御見解をいただきたいと思います。

 二〇〇三年に導入された防衛出動基本手当について、防衛省の職員の給与等に関する法律の規定において、防衛出動基本手当及び防衛出動特別勤務手当の額その他防衛出動手当の支給に関し必要な事項は政令で定めるとされております。しかし、現在に至るまで、防衛出動手当の金額を定める政令は、大臣から先ほど御説明がありましたように、未制定、決まっていない、これが現状であります。

 そういった意味で、先ほどの繰り返しになります、自衛官が、いざ有事となって防衛出動が発令された際に、防衛出動手当が幾ら出るか分からない状況で出撃をしなければならない。もちろん、私も何人かの自衛官の方に聞きましたが、お金のことじゃないと皆さん言います。ですけれども、政令でしっかり定めるとなっています。しかも、家族の感情からすると、こういったことすら決めずに、いつ有事があるか分からない、そういった認識を持ちながらも全く政治が役割を果たしていない、私はそういうふうに思っております。

 そういった意味で、自衛官に対する敬意が欠けているのではないかと思っておりますが、この点に関して、もう一度、大臣の御見解をお願いいたします。

川崎政府参考人 事務的に、検討状況だけ、簡潔に御答弁申し上げます。

 防衛出動手当を検討する上で考慮の対象となります勤務の危険性や困難性につきましては、委員御案内のとおり、発生する事態の態様によって様々な強度のものがあり得ると考えております。

 また、これに加えまして、戦闘という特殊な任務に伴う極端な危険の度合いというものを、危険を伴う他の任務に支給される手当と比較して、どのぐらいの危険と評価して、どのぐらいの金額の手当が適当なのかと、こういった事務的な検討作業がかなり難しく、現時点でいまだ金額を定めるに至ってはおりませんけれども、委員御指摘のとおり、防衛出動任務に当たる隊員処遇の確保の重要性を踏まえて、更に事務的な検討の推進に努力をしてまいります。

太委員 今の御説明にありましたが、結局は決めていないということですよね。

 それで、私も、もちろん、我が国の防衛政策上、いろいろな意味で機密の部分に関わってくるんじゃないかと。そういった意味で、逆に、決められないのであれば、そういうふうに、しっかりと本来であれば自衛官に対しても説明すべきだと思っておりますが、そういうことなく、十八年間以上ですか、十九年間、ずっと放置してきたことが私は問題だと思っておりまして、本当に決めるんですか、検討すると言って。

 それでは、いつ決めるのか。そこをもう一度、事務的で構いませんので。大臣、是非とも御見解を。本当に、早急に決めないことには、おかしなことになると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

岸国務大臣 委員の問題意識を本当にありがとうございます。

 一部、先ほども御答弁申し上げましたけれども、防衛出動によってその任務に当たる隊員に対する処遇について、まず、隊員が誇りを持って任務に取り組んでいただくということが何より重要だと思っております。そういう点をしっかり考えながら、これらの点を、適切な処遇となりますように、不断に検討してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、どうか、ずっと検討と言って、十八年間たっております、いつ検討されるのか、もう一度お伺いします。

岸国務大臣 時期については差し控えさせていただきたいと思いますけれども、早急にこの問題については考えていかなければいけないと思っております。

太委員 時期を是非とも私は言っていただきたかったんですが、大変残念であります。

 いずれにしろ、決めずに検討をずっと続けている、これは私は、自衛官に対する、本当に失礼なというか、敬意を欠いた状況だと思っておりますので。どうかこの点、改めてお願いして、次へ移りたいと思います。

 これも午前中に伺った点なんですが、もう一度、自衛官の待遇、給与体系について、申し訳ございませんが、もう一度確認させていただきたいと思っております。

 今、国際情勢そしてウクライナ情勢を含めて大変厳しい中で、大臣も、あるいは総理も、抜本的な我が国としての様々な防衛力を強化するための取組を進めていくというふうに発言されておりますが、改めて、私は、自衛官に関しては独自の給与体系にすべきだと思っております。それに関して、是非とも大臣に。

 今は警察に準ずる形で自衛官の給与が決められております。元々の出発の時点からの経緯があると思っておりますが、御説明いただきました。自衛官と警察の違いに関して、大臣の御見解を、事前に通告してありますので、是非とも教えていただきたく、お願いいたします。

川崎政府参考人 事務方より、細かい点を御答弁申し上げます。

 警察の任務は公共の安全と秩序の維持である一方、自衛隊の任務は国の安全の維持であるという意味で、両者の任務はもちろん異なっているわけでございますけれども、例えば、両者とも、一般的な行政職に比べると体力的な負担が大きいという意味で、勤労の強度で似通っている、類似する面があると考えております。

 また、緊急事態が起こりますと、二十四時間の対応や休日対応が必要になったり、あるいは任務遂行の過程で身体、生命の危険を伴うことがあるといった、勤務時間や勤務環境においても類似する面があるというように考えておりまして、こういったことを踏まえて、警察官の俸給を参考にしながら自衛官の俸給を決定しているという状況でございます。

太委員 事務的な答弁ということでは分かりましたが、残念ながら。大臣の御見解をどうか。簡単で構いませんので、御認識を含めてお願いいたします。

岸国務大臣 全体の答弁については今局長からお話があったとおりですけれども、自衛官は国家公務員でございますので、まず、給与制度は信頼性や公共性というものが何より極めて重要でございます。そういう意味で、自衛官と警察官との比較というものも、先ほどからも申し上げていることでございますけれども、まず、給与制度の信頼性、公正性を確保してまいりたいと考えております。

太委員 大臣、ありがとうございます。ただ、もっと根本的なところで、私としては。

 国際情勢が大きく変動していく中での、七十年以上前のそのままの仕組みでいいのかどうか、そこを含めて、本来であれば、私としては今こそ、先ほども言いました、自衛官の募集がなかなか進まない、中途退職者もどんどん増えていく中で、やはり、新たな工夫、さらには、自衛官の皆さんに、まさに誇りと、士気高い中で任務を果たしていただく、そういった環境整備というのがまさに政治の役割だと思っておりますので、どうか引き続き御認識いただきまして、御対応いただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に行きます。

 こちらも通告しておりました、国民保護の体制の充実についてということで質問させていただきます。こちらは、政府参考人の方で教えていただければと思いますが。

 我が国として今まさに、先ほど自衛官の待遇等を聞きましたが、それで、国民をしっかりと守り抜ける、そういった体制になっているのかどうか、そこを私はここでお伺いしたいと思っております。存立危機事態や重要影響事態では国民保護法は適用されると明確に規定されているでしょうか。お願いいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 国民保護法は、我が国への直接攻撃や物理的な被害からいかにして国民やその生活を守るかという視点に立ちまして、そのために必要となる警報の発令、住民の避難や救援等の措置を定めたものでございます。

 仮に、存立危機事態であって、警報の発令、住民の避難や救援が必要な状況とは、まさに我が国に対する武力攻撃が予測あるいは切迫している事態と評価される状況にほかならず、この場合は、併せて武力攻撃事態等と認定をいたしまして、国民保護法に基づく措置を実施するものでございます。

 このようなことから、国民保護法については、存立危機事態の認定を新たに定める要件は必要はないと考えておりまして、武力攻撃事態等の認定について政府として適切に判断を行い、国民保護法を適用することにより十分対応ができるものと考えております。

太委員 私の質問は、明確に規定されているかどうかということですので。もちろん、状況を見て事態を認定していくというのは、それは考えられることだと思っておりますが、明確に規定されているかどうか、御返答をお願いいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 存立危機事態において、直ちに国民保護法が適用されるというふうには明確には規定されておりません。

太委員 そこは今、大きな問題だと思っております。

 昨年の日米首脳会談は四月でしたか、それ以降、大分、我が国でも台湾有事ということが、相当、政府からもそういった発言が出てきていると思っておりますし、ウクライナ情勢を受けて、我々としては、東アジアの中でどう国を守っていくのか、そして何よりも国民を守っていくのか、そのことをしていかなければいけませんが、今の答弁だと、政府はしっかりと国民保護の動きができるということでしょうか。できないというふうに私は認識しておりますが。

 大臣、一応、もし可能でしたらということでお答えいただきたいと思って、昨日の時点で質問通告をしておりますが、御見解をお聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。

岸国務大臣 今御答弁がありましたとおり、明確には国民保護法が適用されるということではないということであります。(太委員「それでよろしいでしょうか」と呼ぶ)明示的にはそういうことであります。

大塚委員長 指名に従って発言するようにしてください。

 太君。

太委員 はい。

 ですけれども、大臣、それで本当に国民をしっかりと保護していける、住民を避難させていけるというふうな認識でいらっしゃるということでよろしいでしょうか。もう一度、この点、お伺いいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 存立危機事態でありまして、住民の避難等が必要な状況であれば、併せて武力攻撃事態等と認定をいたしまして、国民保護法を適用することにより国民保護に対応していくものでございます。

太委員 是非とも大臣の御見解をいただきたいと思っております。

 といいますのも、私、南西諸島、沖永良部島の出身なんですが、まさに、専門家にも言われております、沖縄を含めた南西諸島では、国民保護で島民を避難させる上で、普通の状況でも、平時でも三週間ぐらいかかるだろうと言われております。そういったときに、明確に存立危機事態あるいは重要影響事態のときに国民保護法が適用されると規定されていない、この現実は私は相当深刻だと思っております。

 そういった意味で、何とか、国民保護法にしっかりとこの点を、存立危機でも、あるいは我が国に直接武力行使がない事態でも、そこをしっかりと想定しながら、国民を、島民を、住民をしっかりと守るというふうに書き直しをしていただけないか。その点、大臣の御見解をどうかお願いいたします。

岸国務大臣 先ほどからの繰り返しになりますけれども、重要影響事態や存立危機事態であって、警報の発令、住民の避難や救援が必要な状況、まさに我が国に対する武力攻撃が予測あるいは切迫している事態と評価される状況にほかならないわけでございます。この場合は、併せて武力攻撃事態と認定して、国民保護法に基づく措置を実施するものであります。

太委員 残念ながら、今、南西諸島防衛ということで政府が様々尽力していただいていることは私も分かっておりますが、一方で島民は安心できないと思っております、こんな状況では。ですから、私は、スムーズにしっかりと、強い政府の意思を示す上でも、しっかりとこの国民保護法というのを改正していただかなきゃいけないと。

 最近の、NSCですか、兼原さん、玄葉先生はいらっしゃいましたね、昨年、シンポジウムの中でも言っているんですよ、台湾有事という言葉を使っています。台湾有事の際に国民保護法は適用されないと。これをやはり書き直さなきゃいけないと、最近まで政府の中にいた方も言っています。

 あるいは、危機管理の専門家も、こういった島民をどう具体的にやっていくのか、小さな島の小さな自治体が主体になって。もちろん自衛隊は、国民保護の、島民を避難させる業務にほとんど従事できないですよ、有事の際には。

 そういったところを明確に規定していないというのは、相当、政府の、私は今からでも遅くないと思っております、早急に、まず国民保護法をしっかりと、我が国への直接の武力行使じゃなかったとしても、しっかりと国民を守っていく、そういったことを、是非とも大臣に、大臣のリーダーシップで前へと進めていただきたいと思っておりますので、もう一度御返答をお願いいたします。

大塚委員長 防衛大臣の所管の中での答弁、限りがあると思いますが、御指名ですから、大臣がいきますか、それとも内閣官房がいきますか。

 内閣官房澤田内閣審議官。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘の住民の避難あるいは救援が必要な状態で、国民の保護が必要な状態となれば、併せて武力攻撃事態あるいは武力攻撃予測事態という形で認定をいたしまして、国民保護法を適用することにより国民を守っていくものと考えております。

太委員 残念ながら、この時点では、私は、島民もそうだと思います、政府がしっかりと自分たちのことを守ってくれるというふうに確信は持てないと思っております。

 私は、外交とか安全保障というのは党派とかは関係ないと思っています。オール・ジャパンでこそやらなきゃいけないと思っております。そう教えられてきましたので。是非とも、そういった視点から、引き続き、私自身も研さんを積みながらこの防衛問題にしっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので。

 時間になりましたので、これで終了いたします。どうもありがとうございます。

大塚委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 本日議題になっております在外邦人等の輸送の要件等の見直しの問題で、まず質問をさせていただきたいというふうに思います。

 この見直しが提案をされたというのは、昨年のアフガニスタンにおける邦人及びアフガン人協力者の退避作戦の経験を踏まえてということでございます。

 今回の事案につきましては、いろいろな評価はあり得るかもしれませんけれども、少なくとも日本としては、当初、アフガニスタン人の日本への協力者の退避に関して残念ながら失敗をしてしまったということだと思います。結果として影響は最小限で済んでおりますけれども、しかし、日本人への協力者を仮に保護できなくて、その後、協力者の皆さんが路頭に迷うということに今もなっていれば、日本のこれからの平和構築に大変な影響が出たというふうに考えておりまして、やはり、このことについてしっかりとした反省あるいは教訓というものを導きながら、この問題を考えていかなければならないだろうというふうに思います。

 今日、基本的に聞きたいのは、何で韓国にできて日本にできなかったのかということなんですけれども、その前に、岸大臣、今回の改正、こうした提案がなされていますけれども、基本的なことをお聞きしたいんですけれども、この改正、もしアフガンの事案が生じる前に今回の改正がなされていれば、先ほど私が申し上げたようなアフガニスタン人の日本への協力者の退避作戦はうまくいったというふうに考えておられるかどうか。まず、基本的な認識を問いたいと思います。

岸国務大臣 昨年のアフガニスタンの事例でありますけれども、その前にこの改正がなされていたらということでございますでしょうか。

 アフガンでのオペレーションについては、まず、この法律がなくともできたところであるというふうに考えております。その意味で、先般のアフガンの事例が、経験としてはこれは大変貴重でありますし、そのことを、情報収集の充実とか、政府部内の連携強化、意思決定の迅速化、こういった改善点は今の輸送に係るオペレーションに生かしておるところでございます。

 具体的に、十一月から十二月にかけてエチオピアの情勢もございました。そうした中、エチオピアの情勢悪化を踏まえて、在外邦人等の輸送が必要となる場合に備えて、迅速に防衛省と外務省から成る調査チームをジブチに派遣するということもやったわけでございます。そういう意味では、今回の経験も十分に生かしていかなければいけないというふうには思っております。

玄葉委員 今のお話だと、仮にこの改正があの事態、事案が生じる以前になされていても基本的には結果は同じだった、そういう認識だということだと思います。

 冒頭の問いに戻りますけれども、では、なぜ韓国にできて日本にできなかったのかということでございます。事前に外務省にはかなりしっかりとブリーフをしております。

 御承知のとおり、イギリスは、大使を現地にとどめてアフガン人へのビザを発給し続けました。ドイツは、カブール陥落が八月十五日ですけれども、二十六日までの十一日間で四千五百人を救出しています。ドイツ人五百人、アフガニスタン人四千人。韓国は、協力者を含めて四百人弱を退避させています。

 なぜ韓国にできて日本にできなかったのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。

鈴木副大臣 お答えさせていただきます。

 まず、本件でありますけれども、自衛隊機による退避オペレーションに関しまして、政府としては、事態がまさに刻一刻と変化していく当時の状況下においては可能な限りの対応を行ったと認識しております。

 八月の十四日までに、民間チャーター機による大使館員、現地職員やその家族等の退避計画をほぼ整えておりました。また、それと並行し、十四日夜の時点で防衛省に対し自衛隊機の利用可能性についても内々打診をしておりました。

 しかし、十五日に、委員御指摘のようにカブールが陥落をいたしまして、カブール国際空港の民間機が運航を停止して以降、非常に混乱を極めていた空港の状況等を踏まえまして、これまでの計画を一から再検討する必要が生じたところであります。外務省から防衛省に対し、自衛隊機の利用可能性についての検討は一旦ホールドしてほしい旨を伝達させていただきました。

 また、まずは、カブール空港を利用している各国の軍用機の余席、その提供についても要請をさせていただきましたが、その段階では確保が難しいことも判明をいたしました。

 並行して、カブール国際空港の混乱の収束状況、各国軍用機の離発着を含む空港の運営状況を見極めながら、退避実現のための様々な手だてを検討しました。その結果として、最終的に、自衛隊機の派遣が可能な状況となりまして、それを受け、また、それが最も効果的でかつ有効的な手段である、このような結論から、外務省から防衛省に、二十日でありましたけれども、自衛隊機派遣の具体的検討というものをいま一度要請させていただいたところであります。

 その後、関係国と連携をし、輸送の安全を確保した上で迅速に自衛隊機の派遣を行い、退避について準備を整えておりました。その直後にカブール空港でのあの大規模な爆弾テロというものが発生をし、輸送対象者の安全を第一に考えた結果、市内の輸送を一時中断することを余儀なくされました。

 しかしながら、最終的に、退避を希望される邦人一名及びアフガニスタン人の十四名は自衛隊機で輸送することができました。当時の状況を踏まえますれば、自衛隊機派遣に係るこうした判断は適切なものであったと考えます。

 なお、委員の、韓国ができた中において日本はという比較でありますけれども、日本以外の各国の対応については、アフガニスタンに軍を派遣し、カブール国際空港に軍用機を離着陸させた実績があるか否かを含め、異なる事情があるために、一概に、また単純に比較することが適切ではないと考えております。

玄葉委員 なぜ韓国にできて日本にできなかったのか。今の答えは、韓国は一部ですけれども軍を派遣していたから、簡単に言えばそういう答えのように聞こえます。私はそれだけではないというふうに思います。もちろん運もあります。運、不運もあります。

 私は、率直に申し上げると、韓国と、細かいことのように聞こえるかもしれませんけれども、実はオペレーション上は大事なことなので、事前に外務省にも申し上げましたけれども、私から見ると、結局、バスを手配して検問みたいなところを通っていくわけですよね。それで、韓国はスムーズにいったんだけれども、残念ながら日本は結構そこに時間がかかった、手間がかかったということだと思うんですよ。そこにすごく大きな違いがあるんですね。

 アメリカは、ちなみに、韓国のバス、アメリカの契約のバスを韓国は確保して、アメリカ兵を同乗させて検問を通過しているんですね。日本はそれができない。アメリカとかカタールに頼んで、タリバンと交渉して検問を通過させなきゃいけないといって時間をかけているんですよ。

 要は何が言いたいかというと、簡単に言うと、タリバンと直接交渉できる人がいなかったということなんですよね、現地に。もし、現地にタリバンと直接交渉できる人がいて、検問とかそういったところ、ゲートを通過できるようにしてあげられたら恐らくうまくいっているんですね。韓国より早く対応できたと思う。

 やや属人的ではあるんですけれども、例えば、私は二〇一二年に、自分で任命したので申し上げるわけではないんですけれども、当時、二〇一二年に任命した大使、一六年までいらっしゃいましたけれども、その方は例えばカブール大学を出ていて、タリバンといわば非常に交渉できる方でした。もちろん推測ですから絶対とは言いませんけれども、仮にその方がその場にいたら恐らくうまくいっていたと思います。

 ですから、やはり直接、現地の大使館がバスの手配も含めてタリバンとやり取りできる関係をつくっておかなきゃいけなかったんだと思うんですよね。多分これが正解なんじゃないかなと、私は率直に思っているんですよ。昨日外務省にもこの話はしておきましたけれども、外務省はどう考えていますか。

鈴木副大臣 委員からも元大使への御評価もいただいたところでありますが、まさに、先ほども私も答弁で述べさせていただきましたが、現場の状況というのは刻一刻と変化をしている厳しい状況でもありました。そういった中で、外務省としましては、日本人はもとより、日本関係のアフガニスタン人の何よりも安全な出国のためにタリバンとも調整を行い、空港までの、そしてまた全体の安全なアクセスの確保というものには努めさせていただいたところであります。

 しかしながら、出発する準備が整った矢先といいますか、その際にあの空港における爆弾テロというものが発生をしたというのがこれまた事実であり、ゆえに退避オペレーションというものの一時中断を余儀なくされたものであります。

 ただ、この経験からも、緊急時における邦人若しくはまた関係者等の安全な移動を実現するに当たっては、現地の事情に精通する人間、人材の育成もそうであります、配置もそうだと思っております、また、言語面を含めた円滑なコミュニケーション、こういった対応ができるような体制というものは、外務省としても、組織としても不断の努力というものに取り組んでまいりたいと思います。

玄葉委員 まさに今回のことを反省して、これは一種のインテリジェンスでもあるし、人脈づくり、ネットワークづくりだと思います。残念ながらタリバンと交渉できる人がそのときはいなかった、このことが直接の失敗、残念ながらうまくいかなかったことの一番の原因ではないかなと私は思っています。チェックポイントの通過をアメリカに頼んでいる、カタールに頼んでいる。直接タリバンと日本の大使館が現地でやらなきゃ駄目だったということじゃないかと思います。こういったことも含めて、やはりしっかりと反省と教訓を踏まえて次の体制というものを築いてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょう。

鈴木副大臣 まさに混乱を極めていた状況の中でありましたけれども、まさに退避実現のため、安心なアクセス確保に向けて様々な手だてを検討した結果、自衛隊機派遣等々も含めてこういった結果になったということでありまして、当時の状況を踏まえれば、我々政府の判断というものは適切なものであったと考えているところであります。

 ただ一方で、委員が御指摘のとおり、今後のことを考えますれば、一般論として申し上げれば、事案の検証というものですが、事案の性質等を総合的に勘案して実施するか否かを決定するものであり、邦人退避等の事案が生じた際、全ての事案に関して、いわゆる検証委員会の立ち上げまた報告書の作成を行ってきているものではありません。

 しかしながら、昨年八月のアフガニスタンに関する政府の対応については検証報告を作成、公表することは考えておりませんが、その経験なども踏まえて、政府として不断の検討を行っていく中で、政府部内の更なる連携強化、意思決定の迅速化等に今後も努めていきたいと考えております。

玄葉委員 ちょっと今の答弁は駄目だね。韓国にできて日本にできなかった理由を聞いているわけです。

 私が指摘したとおり、多分正解なんだと思うんですけれども、もちろん検証も必要なんですけれども、しっかり反省と教訓を導き出して、そのことを次に生かさないと駄目だということを申し上げていて、それはそのとおりですねと当然答弁しなきゃいけないと思うんですけれども、どうですか。

鈴木副大臣 政府としては、不断に検討を行い、そしてまた今後についても、しっかりと対応を取っていくべく全力を尽くしてまいりたいと思います。

玄葉委員 しっかり教訓を導き出して対応していきますか。

鈴木副大臣 政府としましてしっかりと総合的に、また、政府内で関係各省と緊密に連携をさせていただきながら爾後に備えてまいりたいと思います。

玄葉委員 教訓はないんですか、今回のことで。

鈴木副大臣 発生した事案の一つ一つを教訓と捉えながら、政府の中においてしっかりと適切に対応してまいりたいと思います。

玄葉委員 もっと素直に答弁した方がいいと思うんですよね。別に責めているわけじゃなくて、私は全力で外務省は頑張ったと思っているんですよ。古巣だし、本当にみんなよく頑張ったと思う。

 ただ、やはり、事実として、韓国にできて日本にできなかった。これは事実なんですよ。それを率直に、何でなんだということを考えて教訓を導き出して、反省すべきは反省して対応しないと進展がない、進歩がないんですよ。

 教訓をしっかり引き出して対応しますか。もう一回答えてください。

鈴木副大臣 委員の叱咤激励をいただいているところでありますが、特定の国との比較といいますのは、先ほども答弁で述べさせていただきましたように、過去の経緯等も違いますので、一概に簡単に比較することはできません。しかしながら、委員がおっしゃっておられるように、内省、反省、そしてまた教訓に生かしていくという点につきましては、私も同じ思いをしておりますし、外務省としてもしかるべき対応を取ってまいりたいと思います。

玄葉委員 少なくともインテリジェンスとかネットワークづくりに欠けたところがあったということは間違いないわけだから、認めたらいいんですよ、別に、普通に。韓国との比較とかそういうレベルを超えて、一般論として今回の事案について、そうだと思うんですよね。ですから、そこはしっかりと認めて対応してもらいたいと思います。

 そこまで別に答弁に慎重になる必要はないと思いますよ。もっと率直に答弁してください。

鈴木副大臣 委員の御指摘を踏まえて、しっかりと対応してまいりたいと思います。

玄葉委員 あと、確認なんですけれども、自衛隊機の派遣要請が遅れたんじゃないかという話が結構あってですね。

 この問題はどうしても、さっき一回ホールドという話がありましたけれども、民間機が動いている時点でも自衛隊の派遣の検討は私は進めてもいいと思うんです。派遣の準備というのは、どうしても、民間機が動いているからまだいいんじゃないかと慎重になりがちなんですけれども、私は準備自体はたとえ空振りに終わってもしっかりと進めていくという姿勢がむしろ必要なんじゃないかなというふうに思っていますけれども、この点はいかがお考えですか。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。事実関係に関する部分もございますので。

 今回のアフガニスタンの事案につきましては、アフガニスタンは、まず、カブールが陥落する前、地方から少しずつタリバンのコントロールが強まっていきまして、特に地方の中でも割と主要な都市もタリバンの手に落ちる、そういう状況になる中、我々としては、在留邦人それから一緒に働いてきた現地職員等々について、安全な出国をできるように、当初は民間機のチャーター便を確保しようということで準備を進めておりました。十四日の段階ではほぼそれが実施できるような見立ては立ったわけですけれども、同時にその段階で、自衛隊機の活用についても防衛省には内々の相談をさせていただいた。

 しかしながら、非常に速いスピードでカブールが陥落をしてしまい、それによって商用便が飛ばなくなる、加えて、委員もテレビで御覧になったかと思いますけれども、カブール国際空港の中に相当多くの人が入っていき、飛行機の離発着すら妨害され、かつ、実際に銃を持った人が中に入ってきて非常に混乱を極めたということで、そういう状況だったので一度ホールドしたわけですけれども、その後、引き続き関係各国と情報収集、連携を強めた結果、何とか自衛隊機をもう一回飛ばせるということになったので、再度お願いをして、そこから全速力で準備を整えていった、そういう経緯でございます。

玄葉委員 危機管理、当たり前ではありますけれども、最悪の事態に備えるということでもありますので、空振りに終わっても準備は進めていくというのが基本だということを改めて申し上げておきたいというふうに思います。

 自衛隊法八十四条の四の改正で、輸送対象者の範囲を拡大するということに今回はしております。邦人の配偶者及び子始め、現地に邦人がいない場合でも自衛隊を派遣できるように輸送対象者を追加するということでございますが、これはこれで私はいいと思いますが、外国人については、私などは、より柔軟性を発揮しながら輸送対象者に加えていく、広げていくということがあってよいのではないかというふうに思います。今回のことは今回のことでオーケーなんですけれども、もっと広げたっていいんじゃないか、そういうふうに思いますが、いかがですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回の法改正におきましては、自衛隊法八十四条の四の規定に基づく在外邦人等の輸送について、我が国の国籍を有しない者のうち、邦人の配偶者又はお子さんなど、我が国国民と同視できるものについては、我が国国民と同様に、その生命又は身体の保護を行うために自衛隊を派遣し輸送することが適当であるとの考え方の下に行うものでございます。

 その上で、その他の外国人につきましても、自衛隊が派遣された後、現地で人道的な見地などから必要があれば、これまでどおり、主たる輸送対象者の同乗者として輸送することが可能だと考えております。

 私たちとしては、現時点でこのように対象者を広げることによって可能性はかなり広がってきているんだと思っておりますが、先生の御指摘のようなお考えもあるということは承知しておりますので、今後は様々な観点からいろいろ研究、検討してみたいとは思っております。

玄葉委員 更に進んで、岸大臣が基本的には御答弁いただければとは思いますが、通告しておきましたけれども、外国人だけの輸送、これは日本として今後どう考えていくのかということはあるんだろうなというふうに、私などはやはり思います。

 つまり、もちろん、まずは邦人であり、あるいはその関係者であることは言うまでもないことでありますけれども、でも、周辺あるいはアジアにおける事態が例えば生じたときに、他国から、あるいは同盟国から日本に対する強い期待がそういった外国人の輸送について寄せられたときに、私たちはそれを行わない、こういう選択肢はあるんだろうか。今の法律では全くできないというふうに思えるのですけれども、外国人のみの輸送というものをどうお考えになられますか。

岸国務大臣 御指摘の、主たる輸送対象者とならない外国人のみの輸送のために自衛隊機の派遣が必要となる場合でございますけれども、様々な状況があり得ることから、一概に申し上げることは困難でございます。予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、例えば、国際緊急援助隊法やPKO法の規定に基づく活動として実施することもあり得ると考えられております。その場合、これらの規定する要件を満たす必要があるわけでございますが、そういうことでございます。

玄葉委員 いや、改めてお聞きしたいんですけれども、自衛隊法、今回は八十四条の四が議題になっています。いわゆる輸送対象者を拡大するということになっているわけですけれども、その輸送対象者が外国人のみである、私は将来あり得ない話じゃないと思うんですけれども、そういう場合はどうされますかと。仮にそれを同盟国から要請されたような場合はどうされますかということです。

岸国務大臣 拡大した類型に属さない外国人についても、これまでどおり、要請がある場合には主たる輸送対象者の同乗者として輸送することが可能であります。

玄葉委員 それはもちろん承知しています。つまりは、同乗者として外国人を乗せることができるのはよく分かっているんですけれども、もう一回申し上げますけれども、外国人のみを輸送する、これは私はあり得ると思うんですよね、あり得ると思うから聞いているんですけれども、こういう場合はどうされますかと。現状は恐らく、法改正しなければ駄目だということではないかと思うんですが、解釈でそれも可能ですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回私たちが提案しております改正案ができた場合でございますけれども、そのときに、三類型の外国人以外を主たる目的に、三類型以外の外国人だけを運ぶためというのは、なかなか解釈でも難しいのではないかと思います。

 それで、八十四条の四の規定のよって立つところなのでございますが、午前中、徳永先生からも御質問があったんですけれども、これは自衛隊法の三条のところに淵源がございます。自衛隊の任務というのは、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため我が国を防衛すること、防衛出動等を主たる任務とし、必要に応じ公共の秩序の維持に当たるものとする、このようになっております。

 この公共の秩序の維持といいますのは、我が国の治安を維持するという、文字どおりの治安を維持するという趣旨だけではなくて、国民の生命又は財産の保護という趣旨も含んだ概念であります。ここの国民というのは我が国の国籍を有する者でございまして、今回、在外邦人の輸送の対象者を広げるときに、ここの部分の考え方の整理が一番大変だったわけでございます。

 我々は、今回のアフガニスタンの教訓を踏まえまして、我々と一緒に汗を流して日本のために働いてくれたいわば我々の仲間、これは我が国民と同視して助ける必要があるんじゃないか、そういうことで、邦人の考え方を八十四条の四の規定の中では広げさせていただくということでございます。ただ、その部分を今回以上に広げるというのは、自衛隊法三条のそもそもの規定からすると、かなりの制約があるんじゃないかと思っております。

 午前中、徳永先生からもあったんですが、では、二項の方に書いてある国際平和協力活動の方ではどうなんだと。先ほど防衛大臣からも御説明がありましたように、今でも国緊隊法それからPKO法等がございまして、そういう法的な枠組みの中で、憲法上の、九条の考え方にも整合できるような形でということでは考え方はあるのかもしれません。ですから、そこら辺のところについては、今後更に研究、検討が必要な部分ではないかと思います。

玄葉委員 簡単に言えば、自衛隊法三条から八十四条の四は来ているから、今の自衛隊法のたてつけだと外国人のみの輸送というのはなかなか難しいですよと。外国人のみの輸送を可能にするためには別の法律を考えていかなければいけないのではないか、こういうことでよろしいですね。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の法的なたてつけからしますと、そのような考え方の論理になってくるんじゃないかと思います。

玄葉委員 それはそれで分かりました。私は、そういうことも想定した対応というのは、アジアにおける事態が生じたときに外国人だけを輸送せざるを得ないというような事態はあり得るなというふうに思っているものですから、そのことを想定した議論は議論としてやはり必要だろうということは申し上げておきたいというふうに思います。

 いろいろなことを通告しておりますけれども、時間がないので、先ほどのタリバンとの向き合い方、一言だけ外務省に聞いておきたいと思います。

 私もアフガンの国づくりは関わった方でございます。いろいろな評価はあるのですけれども、アメリカが打ちひしがれたときに、アメリカと一緒に、同盟国と一緒にアフガンの国づくりに関わらなかったら私は今頃同盟は駄目になっていたと思いますので、関わってきたこと、あるいは様々なノウハウが残ったことについて私はポジティブに考えておりますけれども、問題は今のタリバンとどう向き合っていくかということです。

 一言だけ申し上げておきたいというふうに思うのは、別に批判ではないのですけれども、結局、余りアフガニスタンで今のタリバンに西欧の価値観、欧米の価値観を私は押しつけ過ぎない方がいいなというふうに思っています。基本的に欧米と日本で足並みをそろえるということなんですが、余り押しつけてしまうとISが台頭したり、中国とかロシアにタリバンが傾斜しちゃうみたいなこともあり得るなというふうに思っていまして。私もずっとアフガニスタンをウォッチしてきましたけれども、やはり気をつけなきゃいけないのは、日本として日本らしいスタンスを維持してほしいなというふうに思っています。

 そのことについても事前に申し上げておりますので、一言、御答弁いただければと思います。

鈴木副大臣 日本としては、タリバンとの実務的なやり取りを通じまして我が国を含む国際社会の要求を直接働きかけるということが効果的であると考えております。

 例えばでありますけれども、岡田駐アフガニスタン大使は、昨年の八月以降、二度カブールを訪問しておりまして、その際に、アフガニスタンに滞在する日本人また現地職員等の安全確保及び希望者の迅速かつ安全な出国、又は、女性や少数民族を含む全てのアフガニスタン人の権利の尊重であるとか、包摂的な政治体制の構築、アフガニスタンをテロの温床とさせないこと等について働きかけをさせていただいております。

 なお、タリバン側からも実は謝意を表明していただいた点もありまして、それは何かと申し上げれば、日本による長年のまさに支援であります。昨年十月また十二月に決定した総額一億七千四百万ドルに及ぶ人道支援でありまして、これについてはタリバン側からも評価をいただいているところであります。

玄葉委員 もちろん日本政府からの支援もそうなんですが、例えばペシャワールのかんがい事業だとか、結構、日本人への信頼というのがあるように思うんですね。これは改めて大事にしてもらいたい。

 何となくタリバンというと極悪非道のイメージがありますけれども、やはりISが出てくるという事態は避けなきゃいけないのと、結構、二十年でタリバンも学んでいるものも私はあるように思います。ですから、このことは留意をしておつき合いしてもらった方がよいのではないかという。これは提案です。

 最後に、ロシアのウクライナ侵攻で一つだけ申し上げておきたいと思います。

 通告にも、相応の代償を払ってもらう必要性についてということを通告しておりますけれども、やはり、二〇一四年のロシアのクリミア併合、私は、このことをどう考えるかということは非常に大事なことだと思っているんです。あのときに、実は日本は残念ながら足並みをそろえることができませんでした、欧米の制裁に対して。それは評価はいろいろあります。北方領土交渉をしていたんだから仕方ないじゃないかとか、いろいろな評価があるのですけれども。

 ただ、総体として見ると、何が起きたかというと、当時、オバマ大統領ですよ。アメリカの大統領はオバマ大統領で、オバマ大統領はこう言ったんです、代償を払ってもらう必要があると。ロシアには代償を払ってもらう必要があると二〇一四年に言ったんです。それで欧米で制裁をしたんですね。でも、残念ながら結果が伴わなかった、足並みもそろわなかった、中国も様子見した。私は、プーチン大統領の今回の軍事行動のある意味一因になった面も否めないと思います。つまり、結果が伴わなかったから、代償を払う必要がなかったから。

 今回、代償を払わせると言ったんですよね、日本の首相も含めて。そうすると、本当に払ってもらわないとまた同じことが起きるし、アジアのほかの国も見ていますよ、代償は払う必要がないのか、結局大丈夫だったじゃないかと。

 このことはとても大事なことで、戦争をやめさせることだけではやはり駄目なんですね。一刻も早くやめさせなきゃいけませんけれども、相応の代償を払ってもらわなきゃいけない、こうなったら。外務省、いかがですか。

鈴木副大臣 ロシアによるウクライナの侵略というものは、力によるまさに一方的な現状変更の試みであり、ウクライナの主権と領土の一体性の侵害であります。強く非難をするものであります。

 また、委員も先ほど来から述べられているように、こうした一連の行為に対しては高い代償が伴うこと。岸田総理も、また林外務大臣もでありますが、高い代償が伴うことを示していく必要がある。まさに、示すというラインの一つが制裁であると思っております。

 そういった中で、G7を始めとする国際社会、関係各国と緊密に連携をしながら、委員も既に御存じのとおり、資産の凍結等、また輸出禁止等、対ロ制裁というものを速やかに我が国としても実行してきているところであります。

 引き続き、国際機関そしてまた関係各国と連携をさせていただきながら、高い代償が伴うことを示していくということ、全力を尽くしてまいりたいと思います。

玄葉委員 日本周辺での類似の事案を防ぐためにも、本当に代償を払ってもらわなきゃいけない。つまり、今回、軍事侵攻をして結果として損したな、損だったな、そういうふうに思わせないと同じことがまた起きるということだと思うので。

 二〇一四年は結果が伴わなかったんですよ、代償を払わせると言ったにもかかわらず。今回、言ったんだから、しっかり払ってもらうということを責任を持って日本政府として欧米と協調してやっていく、できれば中国も巻き込む。そういう外交が極めて大事だということを改めて申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

大塚委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省設置法等一部改正案に反対の討論を行います。

 在外邦人等の輸送に係る規定の改定は、一定の危険が存在する下でも、自己防護装置を備えた自衛隊の輸送機により輸送を行えることを法文上明確化し、さらに、輸送対象者を外国人協力者らに拡大するものです。

 邦人輸送は、地域紛争や内戦、内乱などが発生した外国領土に自衛隊を派遣するものです。派遣自体が敵対行為とみなされ、攻撃対象となり、かえって邦人を危険にさらすことになりかねないものであり、国際人道法による保護の対象にもなりません。

 在外邦人の保護は、在留外国人の安全確保に関する責任を各国政府に果たさせることが基本であり、万一、邦人を退避させる必要が生じた場合には、民間航空機のチャーターや国際機関、各国政府などとの連携で対応すべきです。

 麻薬等の譲渡に係る特例は、重要影響事態や存立危機事態、武力攻撃事態などに際して、負傷した外国軍隊の兵員に対し、自衛隊が保有する医療用麻薬などの提供を可能にするものです。アメリカ主導の軍事作戦を支援する体制を強化するものであり、認められません。

 自衛官定数の変更は、防衛大綱、中期防に基づき、宇宙・サイバー・電磁波領域や警戒監視で自衛隊の体制を強化するためのものです。宇宙作戦群や自衛隊サイバー防衛隊の改編、滞空型無人機グローバルホークの運用を担う偵察航空隊の新編などに伴うものですが、こうした体制強化は、米中の覇権争いが激化する下で、圧倒的な軍事優位性を維持強化しようとするアメリカの軍事戦略に日本を一層深く組み込むものにほかなりません。

 地域の緊張を高める軍事態勢の強化ではなく、東アジアを平和と協力の地域にするための外交努力を政府に求め、討論を終わります。

大塚委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大塚委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、宮澤博行君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。美延映夫君。

美延委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    防衛省設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 在外邦人等の輸送要件における輸送対象者となる外国人の範囲の拡大について、引き続き検討を行うこと。

 二 使用航空機等へ同乗させることができる外国人については、人道的観点並びに我が国の国際社会における責任及び役割を果たす観点から、事前の情報収集を十分に行った上で、現場の状況判断が重視され、そのことが迅速かつ適切に外務大臣から防衛大臣への依頼につながるよう、必要な態勢を整えること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。

大塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大塚委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岸防衛大臣。

岸国務大臣 防衛省設置法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会において熱心な御審議をいただき、ただいま可決いただいたことに深く感謝を申し上げます。

 今後、審議中の委員各位の御高見やただいまの附帯決議の趣旨を十分に尊重し、努力してまいります。

 ここに、委員長始め理事、委員の皆様方の御理解、御協力に深く感謝の意を表します。

    ―――――――――――――

大塚委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大塚委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十五分散会


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