衆議院

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第5号 令和4年3月25日(金曜日)

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令和四年三月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大塚  拓君

   理事 青山 周平君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 宮澤 博行君

   理事 篠原  豪君 理事 徳永 久志君

   理事 美延 映夫君 理事 吉田 宣弘君

      江渡 聡徳君    國場幸之助君

      齋藤  健君    塩崎 彰久君

      塩谷  立君    鈴木 憲和君

      土田  慎君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    浜田 靖一君

      星野 剛士君    細野 豪志君

      松島みどり君    新垣 邦男君

      伊藤 俊輔君    玄葉光一郎君

      太  栄志君    岩谷 良平君

      掘井 健智君    佐藤 茂樹君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         岸  信夫君

   防衛副大臣        鬼木  誠君

   外務大臣政務官      本田 太郎君

   防衛大臣政務官      岩本 剛人君

   防衛大臣政務官      中曽根康隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 茨木 秀行君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       君塚  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    市川 恵一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 鈴木 健彦君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     土田  慎君

  國場幸之助君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     國場幸之助君

  土田  慎君     熊田 裕通君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

大塚委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣府大臣官房審議官茨木秀行君、出入国在留管理庁在留管理支援部長君塚宏君、外務省大臣官房参事官岩本桂一君、外務省北米局長市川恵一君、防衛省大臣官房長芹澤清君、防衛省大臣官房衛生監鈴木健彦君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛省人事教育局長川崎方啓君、防衛省統合幕僚監部総括官深澤雅貴君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について今日は質問させていただきたいというふうに思います。

 まず冒頭、先日、ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説が行われました。日本への感謝の言葉と、そしてまた期待の言葉、平和への思い、国を守る、国民と共にあるという決意と覚悟が感じられる、そんな演説でありました。改めて日本の役割と一国のリーダーとは何なのかということも考えさせられる、そんな時間でもございました。

 チェルノブイリや福島の原発事故、そしてザポリージャ原発の攻撃にも触れられ、ふるさとに帰りたくても帰れない、そういう方がいる、その思い、原発のリスクや、サリンなどの化学兵器や核兵器の使用のおそれにも言及をされました。ロシアへの継続的な制裁と、そして貿易禁止など、更なる制裁の拡大を求めているとも受け止められました。国連等が機能していないという言及、そして、国連改革、これからの日本の役割、アジアのリーダーとしての期待、そんなことも込められていたというふうに思います。

 改めて、演説をお聞きになって、化学兵器等の使用のそんな情報もそうですけれども、日本に何を求めているのか、日本の役割は何なのか。大臣がどうお受け止めをいただいたのか、お聞きをしたいというふうに思います。

岸国務大臣 ゼレンスキー大統領の国会における演説を拝聴いたしまして、祖国と国民を守り抜くという大統領の強い決意を改めて感じました。極めて困難な状況にありながら、強い勇気を持って国難に立ち向かう、そうした姿勢に感銘を受けたところであります。

 また、防衛大臣として、我が国の国民の生命、財産を守り抜くという自らの使命にも思いを強くしたところであります。

 今回のロシアにおけるウクライナ侵略に対しては、国際社会が結束して対応することが重要であります。我が国としても、G7を始めとする国際社会と連携を取って、ウクライナ及び近隣諸国に寄り添った支援を継続してまいります。

 我が国は、ウクライナとウクライナの国民と共にあります。防衛省・自衛隊として、先日、ウクライナ政府からの要請を踏まえて装備品等をウクライナへ供与することとし、自衛隊等によるポーランドへの輸送を実施いたしました。

 今後とも、関係省庁と連携しながら、できる限りの支援を行っていく所存であります。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 演説の最後には、ウクライナに栄光あれという言葉に添えて、アメリカ等のほかのところでの演説ではなかったと記憶しておりますけれども、日本に栄光あれという言葉もつけ加えて言及をされていたというふうに理解をしています。

 日本に対する敬意と感謝、そして期待が込められていたというふうに感じておりますけれども、本当に、今回のこの侵略があらゆることの前提にならない、あってはならないというふうに思います。そのための日本の役割を最大限果たさなきゃいけない、そんな思いを強くしております。

 その上で、日本の最大の役割は人道支援だというふうに思っております。ウクライナの今の避難民の受入れの体制、状況においてもお聞きをしたいというふうに思います。

 ウクライナ避難民の我が国への渡航希望の現状。今、UNHCRでは、今月十九日現在、ウクライナから国外へ逃れた避難民は三百三十九万人に上るという発表をされています。これは、第二次世界大戦以来、欧州では最大の難民発生数だというふうになっています。約六割の避難民を受け入れているポーランドでは、自国だけでは対処できないと国際社会に支援を訴え、ワルシャワ市長は、受入れにおいては限界に近づきつつあるという声もあります。

 これまでも我が国への避難民の受入れを求めておりますけれども、現在、政府において、ウクライナからの日本への避難民の受入れを推進をしていただき、人道的な観点から、日本に親族や知人がおられない方においても、個別に判断をし、入国を認めることとなったと承知しております。

 現在、日本への渡航を希望されているウクライナ避難民の方がどのくらいいらっしゃるのか、また、今後どれくらいの渡航希望が出てくると想定をされていらっしゃるのか、そしてまた、受入れやその後の支援がどこまで検討をされているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

君塚政府参考人 岸田総理が受入れを表明された今月二日以降、二十二日までに、速報値ではございますが、百七十四名のウクライナからの避難民が我が国に入国しているところでございます。

 避難民の方々の我が国への受入れを進めるため、官房長官を長とするウクライナ避難民対策連絡調整会議が設置されたところでございます。この会議を司令塔といたしまして、その下に設置されたタスクフォースで詳細を詰めつつ、政府一丸となってウクライナ避難民の円滑な受入れと生活支援を行っていくこととしております。

 まずは、今御指摘ございましたとおり、日本に親族や知人がおられる方の受入れを進めていくこととしておりますが、それにとどまらず、日本に親族や知人がおられない方につきましても、人道上の観点から対応していく方針となっております。

 出入国在留管理庁におきましては、ウクライナから我が国に避難してこられた方々が就労を希望する場合には、特定活動の在留資格への変更を認める措置を講じることといたしまして、当面、情勢が改善しない間は、在留期間の更新を認めるという方針でございます。

 また、出入国在留管理庁では、ウクライナから日本への避難民に対しまして住居、就労機会の提供等の支援を検討されている自治体や企業、団体からの情報を一元的に把握するための窓口を設置いたしまして、ウクライナ避難民の受入れに関するヘルプデスクと併せまして、入管庁のホームページに掲載したところでございます。

 今後、避難民の方々の支援につきましては、先ほど申し上げたとおり、日本に親族や知人がいない方々であっても、宿泊先の提供や、本邦滞在中の生活を円滑に送っていただくための当面の間の生活支援を行うものとし、その一環といたしまして、自治体や企業、NGOなど、支援を申し出てくださる方々とのマッチング等を行っていくこととしたところでございます。

 先ほど申し述べました窓口におきまして、メールや電話を通じまして数多くの自治体や企業、団体から受入れの協力が表明されておりまして、住居提供を始めとして様々な情報を頂戴をしており、こうした協力をいただきながら、受入れに向けた取組をしっかり進めていくことが重要と考えております。

 今後、自治体、企業、団体から寄せられた支援情報を十分に活用し、体制整備などの面も含めまして、期待に応えられる受入れ支援を実施してまいりたいと考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 NPO法人難民支援協会からも、今の迅速なこれまでの対応を一定評価する一方で、まさに、経済力がない方々ほど避難しづらい、こういう現状がある、そしてまた、渡航への公的な支援があった方がいいという声があります。紛争の長期化等も見据えながら、息の長い支援が必要だというふうに指摘をされているところでもあります。

 二十二日の参議院予算委員会でも、岸田総理から、ウクライナ避難民の渡航費に関して、具体的にどうあるべきか至急検討し、実行していきたいという答弁がありました。現状をお聞きしたいというふうに思います。

君塚政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、ウクライナからの避難民の方々を迅速かつ円滑に保護することは極めて重要でございます。

 先ほど申し述べましたとおり、ウクライナ避難民対策連絡調整会議、これを司令塔として、その下に設置されたタスクフォースで詳細を詰めつつ、政府一体となってウクライナ避難民の円滑な受入れと生活支援を行っていくこととしております。

 その上で、今後のウクライナ情勢や訪日した避難民の方々の希望も踏まえながら、我が国において安心して避難生活を送っていただくため、様々な方法により必要な支援を行っていくべきものと考えております。

 引き続き、関係府省庁、関係機関と連携しながら、今御指摘のございました渡航費用などの支援を含めまして、どのような支援が可能か、継続的に検討してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 大臣、一言いただきたいと思いますが、渡航費もそうですし、生活の支援ということが求められるというふうに思います。是非前向きな答弁をいただきたいと思います。

岸国務大臣 関係省庁と連携を取りながら、何ができるのか検討してまいりたいと思います。

伊藤(俊)委員 是非お願いをしたい、要請をしたいというふうに思います。

 ウクライナの避難民の輸送についても一言お聞きをしたいというふうに思いますが、多数の避難民の受入れが国際社会の喫緊の課題というふうになる中で、自衛隊機による輸送が必要となる場面がどれくらい想定をされているのかということであります。

 十五日の委員会で、一般論として、外国人輸送を自衛隊が行う場合の法解釈として、我が党の徳永議員から質問をした際には、国際緊急援助法やPKO法の規定に基づく活動として実施することもあり得ると答弁をされております。

 今回、これらの法に基づいてウクライナから周辺国へ避難している避難民の輸送ということが実際できるのか、そしてまた、人道的な見地から早急な国際社会の支援が必要となる場合に備えて、自衛隊機による輸送というものを検討していく必要性、このことについてお聞きをしたいというふうに思います。

岸国務大臣 一般論になりますけれども、現行の自衛隊法第八十四条の四において、生命又は身体の保護を要する邦人の輸送のために自衛隊機を派遣し、その際、外国人についても同乗者として輸送することが可能であります。

 今般の法改正により、我が国の国籍を有しない者のうち、邦人の配偶者又は子など、我が国国民と同視できるものの保護を行うために自衛隊機を派遣し、輸送を行うことが可能となります。また、その他の外国人についても、これまでどおり、主たる輸送対象者の同乗者として輸送することが可能となります。

 その上で、今回のロシアによるウクライナ侵略に対しては、国際社会が結束して対応することが重要であります。我が国としても、G7を始めとする国際社会と連携を取りながら、ウクライナまた避難民を受け入れている近隣国に寄り添った支援を引き続き実施していく考えであります。

 防衛省・自衛隊としても、引き続き、関係省庁と連携しながら、できる限りの支援を行っていく所存であります。

伊藤(俊)委員 今現在、PKO法等一部を使ってということになった場合は、日本に直接の輸送が原則的に難しいということも承知しておりますし、そのときの判断によってという余地があるんだろうというふうにも思いますけれども、いずれにしても、一義的には民間機の輸送になるにしても、いざというときの自衛隊機による輸送等を含めて、具体的な対応ができるように検討をいただきたいというふうに思います。

 そして、またいずれ違う場面で議論をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 続いて、自衛官全体の充足率についてお聞きをしたいというふうに思います。

 自衛官全体の定員に対する現員の充足率は、令和元年度末の九二%から、令和二年度末には九四・一%と向上しております。その要因をお聞きをしたいのと、そしてまた、個別に見ると、充足している部隊、部署もあれば、まだまだ人材確保が必要な部隊等もあると思われます。今後、充足率の向上が必要な部隊等がどこにあるのか、それをどのように改善をしていくのか、方針を聞きたいと思います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、自衛官の現員の充足率につきましては、三十年度末で九一・七、元年度末で九二・〇、二年度末で九四・一%と年々向上をしております。

 向上している理由につきましては、元年度以降、自衛官等の採用数が計画数を上回ったことがございました。また、令和二年一月から段階的に実施をした定年延長により退職者が減少したこと、こういったことがあると考えております。

 どういった部隊に充足の向上を図っていくのかというお尋ねでございますが、今後は、新たな領域における体制の充実強化や、艦艇及び潜水艦など優先度の高い部隊を中心に、充足率の向上に取り組んでまいりたいと考えております。

 そして、そのための方策でございますけれども、自衛官等の募集に係る施策の推進、定年年齢の引上げ等による人材の有効活用、生活、勤務環境や処遇の改善等による人材の流出防止、こういった取組を行ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 個別に充足、現員が追いついていない職種として一つ挙げれば、医官などもその一つだと思っています。これまでの中途退職者等を見ても充足率は向上しつつあるというふうに承知をしておりますけれども、医官の中途退職者等の現状をお聞きをさせていただきたい。

 そして、医官については、新型コロナウイルス感染症の対応や、現在行われている大規模接種会場でのワクチン接種等でも活躍をいただいていると承知をしております。我が国の最後のとりでということで岸防衛大臣からも会見でおっしゃっていたように、国民全体のワクチン接種の推進にも大きく寄与するものであります。

 その一方で、自衛官の給与体系が一般職の公務員の給与制度に準じるものというふうになっているために、今国会で提出されている一般職給与法の改正に連動して、医官や看護官、その他の大規模接種センターでの活動に従事をされた自衛隊員も一般職の公務員と同様に引下げの措置を取られることになります。

 民間との比較というのはなかなか難しい部分もあることは承知しておりますが、民間では一人大体七千円近い手当がついている中で、公務員、自衛官においては、大体一日、日当でも三千円か四千円という状況だというふうに承知をしております。

 現状を含めて、医官への対応をお聞きをしたいと思います。

川崎政府参考人 まず、医官の充足率の現状の方からお答え申し上げます。

 まず、医官の充足率でございますが、二年度末現在で八九・八%でございまして、過去十年間で最も充足率が低かった平成二十四年度末の七三・九%に比べますと、約一六ポイント増加しているところでございます。

 自衛隊の医官の離職の主な理由としては、医師としての研修や診療機会の不足というものが挙げられておりますので、これまで、防衛医科大学校病院等での研修期間の延長でありますとか、あるいは部外病院での兼業などを通じた診療機会の拡充などの施策に取り組んでまいりました。引き続き医官の臨床経験の確保などに努めてまいりたいと考えております。

 それから、二番目に、医官の給与のことでお尋ねがございました。

 この点につきましては、まず、今回のボーナスの引下げにつきましては、人事院勧告の趣旨を踏まえて、自衛隊の医官等につきましてもその他の自衛官あるいは国家公務員全体の医師と同様に措置をするというもので、これ自体は妥当なことではないかというように考えております。

 他方で、委員御指摘のとおり、医官等を含む隊員の処遇については、任務の困難性等を適切に評価して、引き続きしっかり措置をしてまいりたいと考えております。

 特に、御指摘ございました新型コロナウイルス感染症の対応に当たる隊員に対してでございますけれども、これは医官を中心にこういった対応をしたわけでございますが、自然災害などの一般的な災害派遣時に支給される手当は日額千六百二十円でございますが、これよりもかなり高い水準の日額四千円などの手当を支給をするようにしておりまして、こういった形で、医官等を含む隊員の処遇につきましては、引き続きしっかり措置をしてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 恐らく、民間との比較等も加えての議論というのはなかなか難しいというふうに承知しておりますが、ただ、そこもしっかりと捉えながら、手当等、処遇の改善を考えていただきたいというふうに思っております。

 大臣にも一言、今回こういう、さきの委員会でも我が党の太委員からも自衛官の処遇の改善の言及もありましたけれども、給与体系を自衛官独自のものにすべきではないかという声に、そしてまた、医官においても、最後のとりでと岸大臣がおっしゃっているとおりでありますので、今回の一般職に準じた引下げがふさわしい処遇なのかということを最後に大臣にお聞かせいただきたいと思います。

岸国務大臣 コロナ禍の中で、自衛隊の医官の役割も大変大きく、大変な忙しさ、困難さを極めた職務であったと認識をしております。

 一方で、国家公務員の俸給ということを考えますと、やはり国民の皆さんから理解をしていただかなければなりません。その一番大切なことは公平性ということだと思いますけれども、そういう意味で、公務員全体の中で医官の俸給がどのようになっているか、このことも重要なんだろうと思います。

 その意味で、今回のボーナスの引下げについては、人事院勧告の趣旨を踏まえたものであるということでありますので、妥当であるというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 医官もそうですし、自衛官の処遇の改善は急務だというふうに思っております。改めて真剣に御検討いただきたいと要請をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、陸上自衛隊の高等工科学校についてお聞かせいただきたいというふうに思います。

 令和三年度から、サイバー等に関する基礎的な教育を行うシステム・サイバーコースが新設をされております。この重要性も増しているというふうに思いますけれども、しかし、高等工科学校の応募者数は年々減少しております。平成二十六年度の三千七百六十九人から、令和二年度では千八百四十四人と約半減をしております。少子高齢化が要因だという声もありますけれども、この急激な減少というのはそれだけではないというふうに思います。

 防衛省の分析をお聞かせいただきたいというふうに思います。お願いします。

川崎政府参考人 お答えをいたします。

 陸上自衛隊高等工科学校の志願者が減少している要因につきましては、ただいま委員から御指摘をいただきました社会における少子化あるいは高学歴化の進行ということが一つあると考えております。また、それに加えまして、いわゆる高校の無償化と言われている高校生などへの就学支援制度、こういったものの拡充が行われていることも考えられるところというふうに認識をしております。

 こうした志願者の大幅な減少につきましては、優秀な人材の確保という観点から重大な問題であると受け止めておりまして、その上で、志願者を確保するために、例えば、まず、地方協力本部による受験対象者や保護者への説明会に高等工科学校の生徒をハイスクールリクルーターとして派遣をする、あるいは、受験対象者や保護者に対して高等工科学校に対する理解を深めてもらうためのオープンスクールを実施する、さらに、高等工科学校の生徒と受験対象者とのオンライン懇談を実施するといった取組を行っているところでございます。

伊藤(俊)委員 以前、我が党委員の村上委員からも共学化の話も提言をされていると思います。

 女性が工学系を選ばない、そういう先入観もなくしながら様々なことを検討していただいて、半減しているという現状も回復をしなきゃいけないというふうに思っておりますが、済みません、共学化のことも聞きたかったんですが、時間の関係上、答弁を求めないで、お願いだけにとどめさせていただきたいというふうに思いますが、あらゆる検討をしていただきたいというふうに思います。

 そして、サイバー専修コースで学んだ皆さんがその後どういう教育体制になっているのかをお聞きしたいと思いますが、現在三年生になっている方々において、卒業後はサイバー関連の教育訓練を継続して受けていくことになるんでしょうか。今後のサイバーセキュリティーを担う人材として今後どのように育成をしていくつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 部内教育の一環といたしまして、陸上自衛隊高等工科学校に、令和三年度から、システム・サイバー専修コースを新設しまして、当該コースを選択した者、一学年三百五十名のうち約三十名ということでございますが、サイバーに関する素養を身につけるためのサイバー等に関する基礎教育を開始したところでございます。

 本年三月十九日に初めてのコース履修者が卒業いたしました。卒業生のうち、サイバー関連の専門分野を指定された者につきましては、今後、自衛官として必要な基礎的知識、技能に関する教育を受け、そしてその後に、陸上自衛隊の通信学校におきまして、陸上自衛隊で使用する情報システムの仕組みを学ぶためのサイバー関連教育、約五か月でございますが、これを受けることとなります。

 その後、部隊勤務となりまして、現場での経験を通じましてサイバーの知見を高めた隊員に対しましては、更にレベルを向上させるべく、また陸上自衛隊の通信学校でございますが、ここにおきまして、システム防護の方法などを学ぶためのサイバー関連教育、こういうものを適切な時期に実施するということになっております。

 さらに、より高いレベルにつきましては、各人の能力に応じ、企業研修、数か月から約一年程度でございます、あと、情報セキュリティ大学院大学や米国防大学など国内外の教育機関への留学、一年から二年や、部外の教育コースの受講、約一か月、こういうものを通じた教育を行うということになっているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 本当に今まさに求められている人材だと思いますし、せっかく教育を受けた方々が切れ目なく次のステージに進められるような整備をしていかなきゃいけないというふうに思っています。

 その一つとして防衛大学校の方もお聞かせいただきたいと思いますが、防衛大学校においては、専門的な特化した学科がない、現在においてもないんだというふうに思います。やはり、その選択肢を広げて、専門的な人材を育てるためには必要ではないかというふうに私も思うわけでありますが、その進まない理由、特化した学科を設けない理由をお聞かせいただきたいというふうに思います。

川崎政府参考人 お答えをいたします。

 防衛大学校におきましては、委員御指摘のとおり、専門のサイバー学科をまだ設けておりませんけれども、全学生の必修である防衛学の科目におきまして、サイバー領域を含む各領域における作戦の基礎を理解することを目的とした授業を実施する、あるいは、サイバー戦の理解に必要な基礎知識を学ぶ授業を理工学専攻の学生に対して開講する、さらに、情報工学科において情報システムやサイバーセキュリティーに係るより高度な内容を学ぶための授業を実施しているところでございます。

 今委員からお尋ねがございました学科を新設しない理由は何かということでございますけれども、先ほど答弁がありましたとおり、防衛省・自衛隊におけるサイバー人材の育成につきましては、陸海空自衛隊の教育課程の充実を図っているほか、国内外の教育機関への留学、あるいは民間企業における研修や各種の演習への参加といった多様な機会を通じて教育を今行っているところであります。

 こういった中で、防衛大学校におけるサイバー教育の在り方につきましては、他の取組の進展も踏まえつつ判断をいたしたいと考えておりまして、したがいまして、御指摘の学科の新設ということにつきましては、いまだ検討を継続しているという状況でございます。

伊藤(俊)委員 是非検討していただきたいと思いますし、こういう人材が求められている、足りないということはもう皆さん承知だと思いますので、そういった整理を進めていただくことをお願いしたいというふうに思います。

 そして、現実的に今サイバー攻撃が増えているという現状もありますけれども、いろいろな省庁で自分たちでまず対処するんだというその方針は理解をしておりますが、ただ、もうそろそろ全体として情報集約をして、サイバー攻撃、サイバーセキュリティーをどうしていくのかという局面に来ているんじゃないかというふうに危機感を感じているところであります。

 今、NISCも内閣官房の方にありますけれども、まさにそのNISCの役割が、今後どこまで、必要性が増しているのかということを問題意識を持っているんです。

 本来ならもっと大きな組織が必要なのかもしれない、ただ、現時点においてはNISCがその役割を担っていくんだろうというふうに承知をしておるんですが、重大なインシデントが起きたときにおいて報告をするようになっているとは聞いていますが、本当にどこまで集約をされているのか、なかなか分からないところであります。

 連携をして対処をするという方針なんだろうというふうに思いますが、一方で、例えばサイバー攻撃をどのくらい受けているんですかという単純な質問においても、各省庁に聞かないと分かりませんという回答をいただくこともあります。

 少なくとも、どういう攻撃が今行われて、どれだけ現状増えていて、そして、どういう内容の攻撃を受けているんだということとかを把握しながら対処ができるような機関ということを求めていかなきゃいけないのではないかというふうに思いますが、NISCが今どこまでできるのか、そして何を求められているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 政府機関におけるサイバーセキュリティーインシデントにつきましては、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準において、各政府機関からNISCへ報告を行うことを定めておりまして、情報収集を行っているところでございます。

 また、重要インフラ分野におけるサイバーセキュリティーインシデントについては、重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画に基づき、所管省庁経由でNISCへ報告を行うことを定めておりまして、情報収集を行っているところでございます。

 また、重要インフラ分野以外のインシデントにつきましても、各省横断的な対応が必要な事案を中心に、関係省庁と密接に連携をしながら、情報収集、集約を行っているところでございます。

 NISCといたしましては、委員御指摘のとおり、引き続き、最新のサイバーセキュリティー情勢も含めて、関係省庁と連携をしながら、必要な情報の収集、集約に努めてまいる所存でございます。

伊藤(俊)委員 恐らく、各省庁からの情報収集をするという部分は担っているんだと思いますが、ただ、そこに指揮の命令権や強制的なものというのはなかなか難しいんだというふうに思います。それぞれの、何が重要な攻撃なのかという判断も各省庁がしなきゃいけないという中において、できれば、そこをある一定の基準を持って集約ができる、そういう機関をNISCが担っていただくのであれば是非検討をしていただきたいというふうに思っています。

 そして、フェイクニュース等も最近増えておりますけれども、こういったこともそもそも恐らくサイバーセキュリティーの概念の中に入っていないのではないかというふうに思っています。

 まずは法体系としても考えていただいて、まさにこういう危機的な有事のときに対応ができる機関を日本でも構築をしていきたいというふうに思いますので、大臣にも求めて、また引き続き質問させていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

大塚委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣です。よろしくお願いします。

 質問に入る前に、通告外なんですが、昨日また、ウクライナで大変な状況のときに、北朝鮮がミサイルを発射したということが報じられております。このことに関して、大臣、一言コメントがあればよろしくお願いいたします。

岸国務大臣 北朝鮮は、昨日十四時三十三分頃、平壌から一発の弾道ミサイルを東方向に向けて発射いたしました。最高高度六千キロ、飛翔距離が千百キロで、日本海側の我が国のEEZ内、北海道の渡島半島の西側百五十キロに落下したものと推定をされております。

 今般、これがICBM級のミサイルであるということでございますけれども、これまでの発射とは次元の異なる、我が国のみならず、地域や国際社会の平和と安定を揺るがす深刻な脅威であります。また、何らの事前の通報もなく本土から百五十キロという地点に着弾させたことからも、事は国民の安心、安全、航空機や船舶の安心、安全確保の観点からも極めて問題のある行為であります。

 北朝鮮が、国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中にあっても、国際社会に対する挑発を一方的にエスカレートさせている、このような発射を強行していることを断じて容認するわけにはいきません。

 安保理決議に違反し、国際社会に背を向ける行為であって、許されない暴挙であり、断固非難いたしますが、防衛省としては、北朝鮮の軍事動向について、引き続き、関係国とも連携を取りながら、情報収集、警戒監視に全力を挙げて、我が国の平和と安全に万全を期してまいります。

新垣委員 是非、情報収集をしっかりやっていただいて、対応をお願いしたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 自衛隊におけるいじめやハラスメント、防衛大学校の任官辞退などが度々問題となっております。

 防衛省では、自衛官を増員する一方、自己都合による自衛官の中途退職者は十年間で約四割増加をし、年間四千人となっております。毎年の新規採用者の約三分の一に相当する自衛官が中途退職をしている。特に、任官後四年以内の退職者が多いようであります。

 使命感を持って自衛官を志し、厳しい教育訓練を経て任官した若い人たちの中途退職者は、採用コストや訓練コストの掛け捨てという側面もありますが、少子高齢化が進む日本において、自衛隊の精強性の維持という面では問題だと思います。自衛隊という特殊な職業であるからこそ、そこで働く若い人たちが明るい未来を感じられるような職場環境の整備が大変重要だと思っております。

 そこで、本日は、議題となっております防衛省職員の給与等に関する法律の一部改正案に関連いたしまして、自衛官らの職場環境や処遇の改善、男女共同参画などの視点から質問させていただきます。

 初めに、自衛官の給与の考え方について確認をさせてください。

 自衛隊の給与制度というのは、警察に準じた給与制度として始まり、現在に至っていると承知をしております。自衛官にも警察官にも、基本給となる俸給に加え、多種多様な諸手当が支給されておりますが、これら俸給と諸手当を合算した平均年収で見た場合、自衛隊と警察官はどちらの方が給料が高いんだろうと素朴な疑問を感じるんですが、その時々の配置や任務、高卒と大卒、独身、既婚、また扶養家族の人数もあると思いますが、一般論として見た場合、警察官と自衛隊はどちらの給料が高いんだろうか、もしこれが答えられるようであれば、よろしくお願いしたいと思います。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、自衛官と警察官の給与水準の比較ということにつきましては、それぞれの人事制度が異なっているということ、あるいは、特に国家公務員と地方公務員との場合で人事制度が異なっていることなどなど、事情がございまして、一概に比較をすることは困難という状況ではございますけれども、自衛官の給与につきましては、職務が比較的類似する他の国家公務員の給与と均衡が取れるように定めるということにしておりまして、冒頭に委員から御指摘いただきましたとおり、給与の基礎となる俸給表につきましては、職務が比較的類似をしている警察官等に適用される公安職の俸給表を基礎にして、自衛官の勤務の特殊性を考慮した俸給表を作成をしているということでございます。

 また、手当につきましては、一般職の国家公務員とおおむね同様の手当を支給をしておりますが、それに加えて、自衛官の場合は、航空機を運航するとか艦船に乗り組むとか、一般の公務員にはない特殊な勤務環境がございますので、こういったことを踏まえた独自の手当も設けて評価をして、安全保障環境の変化や自衛隊の任務の拡大等を踏まえた適切な処遇を確保するように努力をしております。

 そういったわけでございますので、基本的には自衛官の給与が一般職の公安関係の職員の給与に比べて低いということはないというふうに考えておりますが、いずれにせよ、適切な処遇につきましては今後とも努力をしてまいります。

新垣委員 中途退職者が多いと聞いたものですから、そういう給与の問題もあって多いのかなと少し疑問を持ったものですから、当然、公平性を持ってやるんだということは基本だろうと思いますので、処遇改善も念頭に入れていただきたいと思います。

 次に、令和二年度の中途退職者の退職願の集計結果によると、中途退職者の原因は、転職が四一・四%と最も高く、次いで家庭の事情が九・七、性格不適合が七・五、進学が七・四と続いております。

 その中で、その他という回答が一九・三%あるんですね。結構大きいなと思っているんですが、具体的にどのような退職理由が挙げられるのか、そして、そこにはいじめやハラスメントなども含まれているのかどうか、幾つか例があればよろしくお願いします。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘がありました調査結果でございますけれども、令和二年度におきまして中途退職者が述べた退職理由の集計のうち、その他の項目に含まれている理由は、本人の健康の問題、それから応募認定の退職、それから割愛など、様々なものがございました。その中におきまして、いじめやハラスメントという明確な理由は確認できておりません。

 ただ、私どもがこういった中途退職者の方に対して、どういった理由で退職するんでしょうかということを聞き取っておるわけでございますけれども、そういったときに必ずしも本心を答えてくれるとは限らないと思っております。

 そういった意味で、例えば、先ほど申し上げました健康の問題により退職した者につきましても、実はいじめやハラスメントといったもので健康を害して、それで結果としては健康を理由に退職をしたという者がいるかもしれないというふうには考えておりますので、こういった点については更なる分析が必要だと考えております。

 この点も含めて、いずれにせよ、ハラスメント防止の取組に不断に努力をしてまいります。

新垣委員 なかなか個人的にはそういう対応ができないと思いますので、是非、いじめ、ハラスメント等々については、心の問題、ケアが非常に大事だと思っておりますので、対応をよろしくお願いしたいと思います。

 そして、少子高齢化社会にあって、自衛官の多額の育成コストや新規採用の困難さに鑑みれば、新規採用を増やして自衛隊の充足率を上げることより、中途退職者を減らすことで充足率を高止まりしていく方が現実的な対応ではないかなというふうに私は思っていますが、そのためには、自衛隊における退職原因をよく分析することが何よりも大事だと考えます。

 転職理由やその他の回答内容の傾向から、何か見えてくるものがあるんでしょうか。特に、任官後四年以内の退職が多いということが言われているんですが、そういう何か特別な理由があるんですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 中途退職者、特に若い人たちが退職に当たって述べた理由、これもまた様々でございますけれども、一例を申し上げますと、性格不適合、つまり、自衛隊という組織に自分の性格が合わないですということであるとか、あるいは、勤務内容について自分には合わないということを理由に退職した隊員もおります。

 こういった場合、職務に関して、自分の考え方あるいは性格の不一致ということを原因として退職している人たちが一定程度いるのではないかというふうに推測はしております。

 全体の退職者のうち、二十代前半の自衛官の中途退職者が最も多いという現状を踏まえますと、こうした原因への対処も含めて、若手隊員の中途退職に取り組むことが大変重要であると考えております。

 このため、各自衛隊におきましては、若手隊員に対して悩み相談や助言を与える、そういった役割の人間を多く配置をするようにしておりまして、業務上の問題意識などを共有できる相談体制も構築をしているところでございます。

新垣委員 私は自衛官に知人がいるものですから少し話を聞いたんですが、これは彼の個人的な意見なんでしょうけれども、確かに全体的に人員が不足している、ただ、幹部自衛官であっても若手は雑用業務に多くの時間が割かれて、そこで見切りをつけて辞職する者もいるよという話を聞いたんですが、中途退職者の原因、問題意識などは先ほどあったように共有はされていると思うんですが、今後の対策、やはり、せっかく自衛隊に入って頑張ろうという思いを持っているにもかかわらず、中途退職というのが約四割、四年以内に多いということは非常に問題だろうと思っておりますので、是非、個々の自衛官の思いをしっかり聞いていただいて対応をお願いをしたいと思っております。

 次に、自衛隊という、生命の危険と隣り合わせ、かつ大変規律の厳しい職場環境だと思いますが、勤務環境や処遇の改善、ワーク・ライフ・バランスの推進はもちろんのこと、それ以上にハラスメントの防止やメンタル施策の推進が重要だと思っております。先ほども申し上げましたが、そのことによって硬直的な組織文化の見直しを含めた抜本的な対策が講じられ、結果的に中途退職者の抑制につながっていくものだと私は思っております。

 自衛隊におけるいじめ、ハラスメントの相談窓口に相談がなされた場合の対応はどのようになっているのか、直近三年間の相談件数及び懲戒処分の件数についてお伺いをいたします。そして、それらの事案に組織としてどう対応し、改善につなげていくのか、お聞かせください。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、防衛省の人事教育局にこういったハラスメントの相談窓口としてホットラインを設けておりますけれども、ここへの相談件数につきましては、平成三十年度に二百九十二件、令和元年度に六百件、令和二年度は千七十七件ということで、毎年約倍ぐらいのペースで増えてきているというのが実情でございます。

 また、ハラスメントを事由として懲戒処分を受けた自衛隊員につきましては、平成三十年度が九十七人、令和元年度が八十二人、令和二年度が百十七人というような状況でございます。

 ハラスメントは、部隊行動を基本とする自衛隊におきまして決してあってはならないことでありまして、組織として許さないという強い姿勢をもってその根絶を図る必要があると考えておりまして、具体的施策としては、管理者、監督者に対する教育の徹底を図っております。

 加えて、非常に悩んでいる隊員からの相談を受けられるような相談体制の充実、それから、全省的なハラスメント防止週間を実施するといった形で啓発を行う、そういったことも行っております。

 特に、相談体制の充実ということにつきましては、ハラスメントに関する悩みを抱えている隊員の中には、部内の、つまり職場の上司であるとか同僚に対して相談をするというのは、やはりちょっと相談しにくいと感じている者もいますので、弁護士による部外の方の相談窓口というものを設置をいたしました。

 さらに、令和四年度につきましては、外部の心理カウンセラーなどの方に、休日や、あるいは課業時間外においても相談に乗っていただくような窓口を新設をするというようなことを計画をしているところでございます。

新垣委員 今、回答があったように、やはり年々、少しどころか非常に増えているなという気がしてなりません。

 どの組織も今そういう問題はあるんでしょうけれども、特に自衛隊という組織は大変規律の厳しい状況ですので、今の若い人たちに頑張れよと言っても、なかなか、そうですかというわけにはいかぬのかなと思っているので、是非、その辺は非常にデリケートな問題ですので、しっかり対応をお願いしたいと思います。

 次に、男女共同参画の観点から、女性自衛官の採用、登用の拡大についてお伺いいたします。

 女性自衛官は、二〇二一年三月末現在、約一万八千人、全自衛官の約七・九%を占めているとのことです。十年前の二〇一一年三月末現在の五・二%と比較すると、二・七%の増。その比率は近年増加傾向にあるようであります。

 同様に、女性事務官、技官、教官などは、二〇二一年三月末現在、約三千五百人、全事務官などの約二五・六%であり、十年前の約二三・三%と比較すると、こちらも二・三%の増と増加傾向にあります。

 そこで伺いますが、女性自衛官の中途退職者の割合というのは男性自衛官と比べてどうなっているんでしょうか。やはり増加傾向にあるのかどうなのか。また、退職の原因や理由について男女間では何か差があるのかなというふうな思いをしているんですが、いかがでしょうか。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 まず、女性自衛官の平均の退職率でございますけれども、平成二十八年度から令和二年度までの五年間の平均で見ますと、男性自衛官が約一・八%、女性自衛官が約三・三%でございまして、若干女性自衛官の方が退職率は高いという状況になっております。

 それから、退職理由でございますけれども、これは様々でございまして、男女でどういう差異があるかということを一概に申し上げることはなかなか困難ではございますけれども、令和元年度に、在職中の隊員に対して、退職を考えたことがありますか、それはなぜですかというような調査を行った結果を見ますと、仕事と家庭の両立が困難であるという項目を挙げた職員は女性の方が男性より多かったということは確認をいたしております。

新垣委員 やはり、女性自衛官も年々増えているという状況の中で、様々な理由はあろうかと思います。あるいは結婚、出産等々、そして家庭との両立が厳しいというような状況もあるならば、やはり、女性が働きやすい環境というんですか、それも是非構築をしてもらいたいなと思っております。

 自衛官の採用に占める女性の割合なんですが、二〇二一年度以降は一七%以上、そして、二〇三〇年度までに全自衛官に占める女性の割合を一二%以上にするとの目標を掲げております。また、女性自衛官の登用については、二〇二五年度までに佐官以上に占める女性の割合を五%以上にするとの目標も掲げられております。

 同様に、いわゆる背広組、事務官らについて、二〇二一年度以降、採用に占める女性の割合を政府目標と同じく三五%以上とすることを目標とし、登用については、二〇二五年度までに、本省係長相当職に占める女性の割合を三五%、そして、地方機関課長、本省課長補佐相当職に占める割合を一〇%、本省課室長相当職に占める割合を六%、指定職相当に占める割合を五%とすることを目標としているとありますが、これら女性自衛官や事務官らの登用状況というのは現在それぞれ何%なんでしょうか。

 また、それらの割合というのは、他省庁の女性職員や全国の女性警察官や女性消防士、女性海上保安官などと比較してどうなっているのかなというふうに思っております。答弁をお願いします。自衛隊の中で女性が占める割合として高いのか、低いのか、その辺もお示しいただきたいと思います。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、私どもが立てている女性の採用や登用の目標につきましては委員から御指摘を頂戴しましたので、今の現状を報告をいたします。

 まず、女性自衛官につきましては、令和二年度には目標を超える一七・七%の採用を実現をしております。それから、令和二年度現在の佐官以上の幹部自衛官に占める女性の割合は四・二%まで上がってきているという状況でございます。

 それから、事務官につきましては、令和三年四月一日付採用者に占める女性の割合が三八・四%という数字になっておりまして、それから、登用につきましては、令和三年七月一日現在で、本省の係長職で三一・四%、地方機関課長、本省課長補佐級相当職で六・六%、本省の課長、室長相当職で二・一%ということで、こちらもおおむね上昇傾向にあるというふうに考えております。

 それから、他省庁との比較ということでございますけれども、警察官につきましては、地方の警察官の新規の採用者に占める女性の割合は二〇・三%、それから、消防吏員につきましては、新規の採用者に占める女性の消防吏員の割合が七・五%、それから、海上保安庁の職員につきましては、新規の採用者に占める女性の割合が約一三・九%というふうに承知をしております。

新垣委員 女性自衛官で、最高階級というんですか、これはどこまで今行っているんですか。

川崎政府参考人 佐官の上の将補の階級の者が今最上位になっております。(新垣委員「人数」と呼ぶ)人数は二人でございます。大変失礼いたしました。

新垣委員 これから様々な分野で女性も活動できる組織として、女性の思いとか意見とかも聞いていきながら、それに合った対策も是非講じていただきたいなというふうに思っております。

 次に、自衛隊において女性自衛官の配置制限について順次見直しが行われ、二〇一八年十二月に潜水艦の配置制限を解除したことにより、母性の保護の観点から女性を配置できない陸上自衛隊の特殊武器化学防護隊の一部及び坑道中隊を除き、配置制限が全面的に解除されたものと承知をしておりますが、配置制限が全面的に解除された現在、女性自衛官のキャリアアップを考えたとき、男性自衛官と比べ支障になるような問題は何もなく、本人の意欲と能力があれば昇給、昇格できるというふうに理解していいんですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官の配置につきましては、性別によって差別や優遇をされるべきではなく、専ら個々の隊員の意欲と能力、適性に基づき適材適所の配置を行うべきであるという方針で人事を行っておりますので、結論から申し上げますと、今委員がおっしゃったとおりということでございます。

新垣委員 やはり、女性自衛官も頑張ればしっかり認めてもらえるんだということが是非伝わるような形で処遇もやっていただきたいと思っております。

 次に、先ほども伊藤委員からお話があったんですが、防衛省設置法改正の質疑の中でも議論がございましたが、サイバー等の新領域に対応するための教育体制及び人材確保策というのは喫緊の課題となっております。その一環として、陸上自衛隊高等工科学校では、令和三年度から、先ほどありましたが、サイバー等に関する基礎的な教育を行うシステム・サイバー専修コースというものを新設をし、人材育成の第一歩として体制を整備しています。

 この陸上自衛隊の高等工科学校はいわゆる男子校で、受験資格を有するのは日本国籍を有する男子のみとあるんですが、同年齢の女子がこのシステム・サイバー専修コースに相当する教育を受ける機会というのは何らかの形で確保されているんでしょうか。陸上自衛隊工科学校に女子が入学できない何か特別な理由があるんですか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊の高等工科学校におきましては、高機能化、システム化された装備品の運用などに対応できる人材を育成するため、高校生の年代の者に対する教育を実施をしております。

 高等工科学校におきましては、委員御指摘のとおり男子のみを採用しておるわけでございますが、これは、一般的に申しまして、技術系を選択する女子が男子に比べて少ないと言われていることや、技術関係の知識、技能を有する女性自衛官につきましては、これとは別に一般曹候補生という募集区分がございまして、こういった枠組みで入隊をした者の中から確保しているということを考慮して、今このような男子のみの採用にとどめているわけでございます。

 それから、御指摘の高等工科学校で行われているシステム・サイバー専修コースというものは、将来、システム・サイバー業務に携わる要員として必要な基礎的知識、技能を習得させることを目的として、令和三年度に新設をしたものでございます。

 高校生の年代の女子がこのシステム・サイバー専修コースの教育を受けることは、これは高等工科学校に入学できないので、できないわけではございますけれども、一方で、先ほど申し上げました一般曹候補生など、別の募集区分で入った女性自衛官に対しては、その本人の能力、適性などに応じて、サイバーに関する教育を受ける機会は十分に開かれております。

 以上でございます。

新垣委員 これまで、自衛隊の高等工科学校に女性が入学をしたいんだという希望はないんですか。

川崎政府参考人 これは、私のところに正確な資料がございませんけれども、私自身が業務を行って承知している限りにおいては、そのような要望を受けたことはこれまではない状況でございます。

新垣委員 これからの時代、いろんな思いを抱いている若い人たちが大勢いらっしゃると思います。特に、女性の皆さんも、是非そこで勉強したいんだという声があれば入学が可能になるのかどうなのか。

川崎政府参考人 今委員御指摘の点につきましては、サイバー要員を含む技術分野の人材の在り方を検討する中で今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。

新垣委員 検討するということは、いつかやってくれるんだろうと期待を持たせていいものかどうなのか。検討するけれども、いつまでにやるということは限定はできないのか。あるいは、四、五年先には確実に女性も入学できるようにしますよという話と理解していいのかどうなのか。

 よくあるんですが、検討検討と言うんですが、ずっと検討しっ放しという話になるのかどうなのか。その辺を少し、どういう検討なのかをよろしくお願いします。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 高等工科学校に女子を採用して教育をするかどうかということにつきましては、一つは、そういった御要望がどのぐらいあるかということもございますし、それから、先ほど来議題になっておりますサイバー教育に関する全体的な教育体系の中で、女子の高校生の年代の方を高等工科学校でサイバー専修コースに入れて勉強していただくことが必要不可欠かどうか、また、そのための施設整備にどのぐらいの投資をしていく必要があるかとか、もろもろ検討することがあると思いますので、今私が直ちにこの場で何年後には実現をしますとはお答えしにくいわけでございますが、総合的にいろいろ考えてまいりたいと考えております。

新垣委員 是非、検討するための検討ではなくて、やはりそういう声も拾っていただいて、確実に要望があるというのであれば、早期にシステムを変えて、男女共同というわけですから、その辺は是非早めの対応をお願いをしたいと思っております。

 次に、これは最後になるんですが、質問というより私の要望に近いんですけれども、先ほど言った私の友人の自衛官なんですが、これは会話の中での話なのであれなんですが、自衛隊の戦闘糧食が余りおいしくないと。彼は、食べなかったり、また、カップ麺を持参したりということもあるよという話をしていたんですが、ただ、私はその戦闘糧食を食べたことがないので、大変申し訳ありません、どういうものなのかなというのが分からないものですから、おいしい、おいしくないは人それぞれの主観によりますので余り多くは申し上げませんが、必要なカロリーや栄養バランスの問題もあると思います。

 一方で、非常用、戦闘糧食が、令和三年度から、従来の白米や煮込み料理といった糧食のほかに、初めてとなるパン食や麺類のナポリタンなどがメニューに加えられ、主食八種、副食、おかずですね、十二種が新しくなったという報道がございました。厳しい環境下にあって食事というものは唯一の楽しみで、英気を養う意味もありますので、是非、職場の自衛官のためにも改善、改良に向けた不断の努力をお願いをしたいと思います。

 今、こういう状況は、何か自衛官から声などがあるんでしょうか、食事に関して。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊のいわゆる携行食糧でございますけれども、非常用糧食あるいは戦闘用糧食というものがございます。自衛隊が任務を遂行し活動するに当たりまして、こういった糧食の充実は重要な要素だと考えてございます。

 他方で、これらにつきましては、非常用として長期保存する、あるいは野外で食べるというような性質がございますので、携行性を重視しなきゃいけないというところもあるのは一面ございます。ただ、我々は、味の向上も含めまして、充実化をこれまで図ってきているところでございます。

 御指摘のような糧食の味の改善というのは、私は直接承ったことはございませんけれども、私も執務をしている中で食べたことはございます。

 これは、温かい間はおいしいのでございますけれども、冷たくなったときに、あるいは続けて食べたときに、どうしても、続けてと申しますのは、野外での活動時に続けて食べますと、味が若干似ておるので飽きてしまうというようなお話を聞いたことはございます。

 いずれにしましても、これは年々改善はしておりまして、昔は缶飯といいまして缶詰タイプのものであったんですけれども、最近は、先ほど御指摘もございましたように、レトルト型のおかず等々も含めましていろいろなものをそろえるようにしておりますし、中身も和洋中いろいろなものを入れたりとか、肉料理、魚料理のものも加えたりということをさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、非常用糧食、戦闘用糧食につきましては、大体定期的に三年から五年の間に入れ替えるようにメニューを見直してございますので、これからも現場の自衛官に支給される糧食の充実化に努めてまいりたいと考えてございます。

新垣委員 食事に関して余り言う自衛官はいないと思いますが、やはり日々活動をする中で食事というのは大変重要だと思います。自衛隊の食事がまずいから辞めようと言われちゃ困るので、是非その辺も真摯に受け止めていただきたいと思っております。

 そこで提案なんですが、この非常用、戦闘糧食の一部として市販のレトルトカレーとか登山用のレトルト食品などを含めていいんですかね。どうなんでしょう、導入の余地なんかもあるのかなと思いまして。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 市販のレトルト食品という御指摘でございますけれども、既存の非常用糧食のメニューとしても一部導入してございます。

 したがいまして、お答えといたしましては、先ほど申しました見直しの中で入れていくものは今後もございますし、既に入っているものもあるということでございます。

新垣委員 是非、自衛官の声をしっかり聞いていただいて、食事に関する対策もしっかり講じていただきたいと思っております。

 今日質問したのは、やはり自衛官の中途退職が増えているという心配がございます。給与の問題、そして、組織の中のいじめとか待遇の問題、そして、こういう細かい話なんですが、食事の問題等々、やはり改善すべきは改善していかないと、言いたいけれども言えないというようなことであったら困るだろうと思っておりますので、是非まとめて今後の対策をお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

大塚委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私自身も三月十日に簡単な質疑をしました。先ほどの新垣先生もされておられました。本日は、自衛隊の中途退職の件について少し詳しくお聞きしたいと思います。

 まず、資料一を御覧ください。これは、財務省の財政制度分科会に令和三年十一月十五日に提出された資料であります。

 先ほどもお話がありましたように、毎年四千人の自衛官の方が自己都合ということで退職をされておられます。四千人ということだけでは深刻さが伝わらないかもしれませんけれども、実は新規採用者の三分の一にもなるそうです。

 普通の会社とか普通の団体で新規採用者の三分の一も中途退職したら、一体我が組織には何か問題があるのかと当然トップや幹部を始め組織全体が深刻に問題を受け止め、徹底的に原因究明をした上、解決策を図るというのは当たり前のことだと思うんですけれども、しかし、防衛省さんが中途退職の原因について全国統一的な調査を行ったのは、令和元年度の簡易な調査が初めてということです。しかも、現在行われている調査について、財務省は資料一で書いていますけれども、真の原因まで特定されていないと評しています。私としても、例えば就職とか家庭の事情とかいうそれだけの調査結果では、本当の原因に切り込んでいるとは全く思えません。

 資料一では、中途退職の原因の多くは転職であるが、転職に至った理由について、防衛省において関係書類の確認を行っているが、真の原因まで特定されていない。根本的な対策を講ずる上でもしっかりとした原因追求が必要。次ですけれども、自衛官の多額の育成コストや、新規採用の困難さに鑑みれば、やみくもに新規採用を図るのではなく、退職原因をよく分析し、組織文化を含めた抜本的な対策を講ずることによる中途退職の抑制を行うべきなどと、防衛省さんには非常に厳しい指摘になっております。この指摘は私も全くそのとおりだと思います。

 そこで、岸大臣にお伺いをいたします。

 退職願の理由を集計するだけではなくて、どうなっているのかということをしっかり徹底的に中途退職の原因を探る新たな調査方法を直ちに私は導入する必要があると思うんですが、大臣の御所見を伺います。

岸国務大臣 今委員からお問合せのありました中途退職者の問題でございますけれども、まさに大きな課題だと思っております。今、人口減少あるいは少子高齢化の中で、人材流出をいかに防いでいくか、これは喫緊の課題であると考えております。

 その上で、中途退職者が述べた退職の理由の集計によりますと、令和元年度また二年度においては、民間企業への就職というものが約半数を占めて最も多く、続いて、家庭の事情、性格不適合、進学というふうになっております。

 ただ、先ほどもございましたけれども、調査をする段階で本人が正確にその事情を話しているかどうかということまできちんと把握しているかどうか、これは、そこまでできているかどうか、はっきりしたことは言えないと思います。

 そうしたことを、まず本人の聞き取りというものをしっかりしていかなければいけないと思いますけれども、防衛省としては、このような状況も踏まえて、防衛力の中核である自衛隊員の人材流出の防止に向けて、これまで以上に取組を推進する必要があると認識をしておるところでございます。

美延委員 今大臣から御答弁いただいて、全部が全部辞める理由を正直にお話しいただけるかどうかは分からない、その部分に関しては私も一定理解はしますけれども、ただ、そんなことを言っていても、四千人辞めているという事実があるわけですから、ここはしっかり、特に自衛隊は、当たり前のことですけれども、新規で採用したってすぐ活躍できるというわけではないわけですから、やはりそこには、ある一定の研修をするとか、そういう期間が必要なわけですから、そこをしっかりやっていただきたいと思います。

 資料一の財務省の資料を読んでおりまして特に気になったのは、組織文化を含めた抜本的な対策を講ずることによる中途退職の抑制を行うべきとの組織文化という部分です。

 他の省庁に対し、組織文化を含めた抜本的な対策とは、財務省も相当覚悟を持って切り込んだなと思います。また、防衛省さんも、ここまで言われた以上、自らしっかり問題点をえぐり出して抜本的に解決して、財務省を見返してやるぐらいの発奮をしなければいけないと思うんです。

 しかし、財務省の財政制度分科会の、資料一の一年前、令和二年十月二十六日に提出されたもの、資料二なんですけれども、この資料二を見て驚きました。令和二年のものである資料二の二枚目の一番上のところに、やみくもに新規採用を図るのではなく、まずは退職理由をよく分析して、組織文化を含めた抜本的な対策によりと、令和三年にある資料一と同じような指摘が組織文化についてされています。

 防衛省の担当の方にお伺いしたいんですけれども、令和二年の指摘では退職理由をよく分析とあったところを、令和三年では、しっかりとした原因追求が必要、退職原因をよく分析、真の原因までは特定されていないと、ほぼ同様というより、それより強い指摘が財務省からなされています。この二つの資料を作る間の一年に、中途退職の原因の分析に新たな取組としてどのようなことをされていたのか。これは中途退職の対策を聞いているわけではないですので、原因の分析のための新たな取組についてのみお答えいただけますでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 現在私どもが行っている改善のための取組の部分についてお答え申し上げます。

 退職希望の申出が隊員からあった場合に、先ほど来議論になっておりますとおり、私どもは面談を行っているわけでございますけれども、この面談のときに、できるだけ本当の理由を話してもらえるように、話しやすい面談の仕方をいろいろ工夫をしてみるということが一つ。

 それから、新たにアンケートというのを始めておりまして、一般的に、隊員が中途退職を考えたときに、自分の非常に近しい上司や同僚にはなかなか本当の事情を話しにくいというところがあるだろうと思いまして、そういった隊員から、仕事に関して今自分がどういう意向を持っているか、仕事に満足しているのか、仕事を辞めたいと思っているのかといった本当の気持ちをアンケートで直接市谷の中央の方に送ってもらって、間を介さないで、我々の方で直接それを見て分析をするというような改善を今努力をしてきているところでございます。

美延委員 今の説明を聞いておりますと、何かもう少しいろいろなことをお考えになって改善をされるべきではないかなと指摘をしておきます。

 先ほども申し上げましたように、組織文化を含めた抜本的な対策とまで他省庁に言われては、防衛省さんとしては財務省を見返してやるぐらいの発奮をしていただきたいと思うんですけれども、結局は、今も答弁がありましたように、十分な原因追求をしているとはなかなか言い難く、そして、一年後にもっと強い指摘を受けて、またもや組織文化についてというようなことを言われることになってしまいました。

 今までのを見ていますと、中途退職の原因究明という言葉がありますが、各委員が質問されていて、なぜ原因究明をしっかりするという当然の答弁をしていただけないのかなというのは非常に残念であります。

 例えば、組織文化についてということで思い出すのは、やはり問題になりました自衛隊におけるパワハラやいじめの問題もあるでしょう。これはもう今日は聞きませんけれども、中途退職者の多さに危機感を持てず、統一的な調査も令和元年度になるまで行わず、その後の原因究明の努力も足らず、組織文化の抜本的な対策と他省庁に言われても発奮できず、国会でも原因究明に言及しない防衛省、これはまさに、申し訳ないですけれども、組織文化の問題、すなわち、不断に自らの問題点を探り、自らの在り方を見直していくことがなかなかできないあしき組織文化があるのではないかと私は危惧します。

 組織文化は、内部からの改革はなかなか困難であると思います。政治の強力なリーダーシップが必要であります。

 そこで、岸大臣に伺わせていただきます。

 防衛省には、不断に自らの問題点を探り、自らの在り方を見直していくことがなかなかできないあしき組織文化があるのではないかという私の危惧について、どうお答えいただけますでしょうか。また、防衛省・自衛隊が、私の危惧するところとは逆の組織、すなわち、不断に自らの問題点を探り、自らの在り方を見直していくことができる組織であるため、大臣は具体的にどのような取組をこれからされるのか、大臣職にある政治家、岸大臣としての御所見を伺えますでしょうか。

岸国務大臣 まず、委員の御指摘につきましては重く受け止めたいと思います。

 その上で、中途退職者が大変多いという御指摘、その原因を探るとともに、まず、いかに中途退職者を減らしていくか、そのことも考えていかなければいけないということでございます。

 まずは、自衛隊を魅力のある職場にしていかなければいけないということ。いろいろな今御指摘のありましたパワハラの問題等も御指摘があるところだと思いますけれども、そうしたものが起こらないような風通しのいい職場にしていかなければいけません。

 あと、非常に、ライフ・ワーク・バランスの問題、残業の多さというものも省内では問題になっておりますけれども、そうした中で、隊員の皆さんが楽しく働けるような環境というものをつくっていくということ、それから、風通しのいい組織をつくっていくということ、こういうことについてしっかりとこれからも考えてまいりたいと思います。

美延委員 岸大臣、そこをしっかり岸大臣がリーダーシップを取って是非お願いしたいと思います。

 先ほどの私の危惧が当たっていないことを私自身も望みます。防衛省・自衛隊が自ら必要な改革を遂げてしっかりとした組織になっていただければ、どれほどうれしいか、ありがたいか分かりません。しかし、もし私の危惧したことが現実であれば、真剣に国防に取り組む意欲を持つ自衛官に十分やりがいを提供できない場合が多々あり、意欲に燃えて入隊した自衛官が失望して辞めてしまう、そんな事例もあるのではないかと考えるべきであります。

 先ほども言いましたように、岸大臣を始め、政治家として防衛省に入っておられる政務三役の皆様の組織に対するリーダーシップが必要です。先ほど大臣にお伺いいたしました。次は副大臣そして政務官に、防衛省の組織文化について、私の危惧に対する見解と今後の取組に対する決意を、よく所信のときにも副大臣とか政務官の皆さんは大臣を補佐してということを言われますので、これこそしっかり大臣を補佐して、こういう中途退職の人数の多さをやはり抑制していくということが必要だと思うんですけれども、副大臣と政務官の御答弁をお願いします。

鬼木副大臣 政務官と回答、答弁に重複がないように、私の担当分野で、パワハラ対策について答弁させていただきます。

 自衛隊という実力組織において、隊員というのは力そのものであり、それを損なうパワーハラスメントというものは一掃すべきものだと考えております。国民の命を守る、そして時には自分の命を懸けるというこの職務を、志を持って入隊してきた隊員たちをパワハラにより健康を害するようなことがあっては決してならないと考えております。

 私は、防衛省におけるパワー・ハラスメントの防止に関する検討委員会の委員長として、管理者、監督者に対する教育の徹底を図るとともに、相談体制の充実、ハラスメント防止週間の実施などの取組を推進しております。

 ハラスメントに関する悩みを抱えている隊員の中には、部内の相談窓口には相談しにくいと感じている者がいることから、相談体制の充実に当たりましては、弁護士による相談窓口設置に加え、令和四年度は、部内では相談しにくいということで、外部の心理カウンセラー等による休日や課業時間外における相談窓口を新規に設置することといたしております。

 今後とも、私としては、検討委員会の委員長として、自らが先頭に立ち、パワハラの一掃に向けて実効的な対策についてしっかりと取り組んでまいります。

 以上です。

大塚委員長 時間が来ておりますので。

中曽根大臣政務官 お答え申し上げます。

 パワハラやいじめというのは、隊員に精神的な苦痛を与えますし、自殺事故にもつながる行為であります。周囲の勤務環境にも影響を及ぼす大きな問題だというふうに考えております。

 私自身、防衛省の自殺事故対策本部長として、カウンセリング体制の充実やメンタルヘルスに関する啓発教育の徹底、そしてメンタルヘルス施策強化期間の実施など、取組を推進しております。

 今後とも、私としては、防衛大臣を補佐し、自衛隊の人材確保と能力、士気の向上は防衛力の強化に不可欠であるという認識の下、防衛省・自衛隊の人事基盤の強化に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 とにかく、魅力ある自衛隊、入ってよかった、そして働き続けたい自衛隊であるために、現場の声をしっかり聞きながら、防衛省として不断の努力をしてまいりたいと思います。

 以上です。

美延委員 時間が来ましたので終わります。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案につきましてお伺いをいたします。

 今回、人事院勧告に従って、一般職の国家公務員に合わせる形で防大の学生さんらの期末手当等を引き下げるという法律案でありますけれども、しかし、昨今、ロシアのウクライナ侵攻はもちろんそうですけれども、昨日には北朝鮮が怪物ICBMと言われる新型の弾道ミサイルを発射したと見られるという状況、さらには、台湾有事が今回のウクライナ侵攻を受けまして更にリアリティーを持って今危機的に語られているわけであります。また、加えて、災害派遣もますます多発、そして災害自体が激甚化しているという状況で、先週も、三月十六日の福島県沖を震源とする地震でも災害派遣が行われているわけでありますが、ますます世界の安全保障環境が厳しさを増している中、また、災害がどんどん激甚化、多発化している中で、自衛官の皆さんの職責はますます重くなっているわけなんです。

 この状況下で、一般職の国家公務員の皆さんに合わせるような形で自衛官あるいは防大の学生らの賞与を下げてよいのか、非常に違和感を覚えるところであります。一般職の国家公務員の給与制度を機械的に当てはめるような形でやっていくんではなくて、自衛官独自の制度を設けて柔軟に自衛官の給与について運用していくべきではないかと思いますが、大臣の御見解はいかがでしょうか。

岸国務大臣 公務員の給与制度は信頼性や公正性が極めて重要であるため、自衛官の給与の基礎となる俸給表については、職務が比較的類似している警察官等に適用される公安職俸給表の俸給を基礎に、勤務の特殊性を配慮した俸給表を作成しております。

 これにより、官民比較に基づく人事院勧告を尊重した一般職の国家公務員の給与改定に準じることで、給与制度の信頼性、公正性を確保しているところでありますが、一方で、自衛官の任務については、特殊性に対する処遇も重要であります。

 その点については、航空手当等の独自の手当を設けて評価するとともに、安全保障環境の変化や自衛隊の任務の拡大等を踏まえた適切な処遇を確保すべく、毎年、概算要求の機会を捉えて、各自衛隊の意見を聞きながら処遇の向上を図っているところであります。

 このように、今後とも、自衛官の任務の特殊性等を踏まえて、これにふさわしい処遇となるように不断に検討してまいりたいと考えております。

岩谷委員 今、手当についても言及がありましたが、平成十九年六月二十八日に、今から十五年前ですけれども、公表されました防衛省設置の防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会の報告書というものがあります。この中で、一般職の俸給表に立脚しないとの観点で自衛官の俸給表を検討すべきとか、あるいは、諸手当についても俸給表に含むような形で見直しを検討すべきというような提言がなされております。

 十五年たってますます環境が厳しくなっている中で、この提言の再検討を是非すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘ございましたとおり、防衛省におきましては、平成十九年六月に、防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会というものの報告書を取りまとめて、その中に今御指摘の項目があったわけでございます。

 お尋ねの、幹部と曹士自衛官の別建ての俸給表の構築ということにつきましては、この報告書が出た当時、多くの曹士がそこへ向かって進んでいきたいという目標となるような、曹の最高峰に当たる上級曹長という階級を新しく創設をして、そして、この上級曹長というものは非常に高い評価を得る、高い職責を持つので、ある意味、高級幹部と同じぐらいの給与をもらう、そのぐらいの階級の上級曹長というものをつくりたいという考え方をもって、幹部と曹士を分離した新しい俸給表、幹部の俸給表と曹士の俸給表という二つのものを作るということを考えたわけでございますけれども、その後、検討を進めてまいりました結果、この上級曹長の職責というものが、それでは、同じぐらいの給与になる幹部の職責とどう違うのかというようなことを具体的に整理をしていく過程で、そこの整理が必ずしも十分きれいに解決をできておらず、実現に今のところ至っていないということでございます。

 ただ、いずれにしましても、自衛官の任務の特殊性に対する処遇を重視するという観点から、諸手当につきましては、安全保障環境の変化や自衛隊の任務の拡大といったことを踏まえて、毎年各種の手当の要求をするなど、処遇の向上を図ってきているところでございます。

岩谷委員 引き続き、この自衛官独自の給与体系、制度については提言、議論を重ねさせていただきたいと思っておりますが、関連して、必要な自衛官の数をいかに維持していくかという観点から幾つか質問させていただきます。

 この同じ平成十九年の報告書では、訓練義務を免除した、登録のみの予備自衛官制度の創設というものも含まれております。この予備自衛官は、先ほどから申し上げているとおり、安保環境の変化、あるいは多発する災害等に備えてますます重要性は高まっているわけでありますけれども、この十年間で充足率は予備自衛官は七割程度にとどまっているということであります。

 その中で、どうしても予備自衛官になると年間一定期間、訓練に応じる義務があるということで、勤務先の都合等でこの訓練に参加できないということで、予備自衛官になれないという方々もいらっしゃると思われるわけなんです。

 そこで、この報告書では、訓練義務を免除した形で、登録だけしていただく予備自衛官制度の創設というものが必要ではないかと言われているわけなんですが、まさに充足率が七割となっている今の状況においては前向きに検討すべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

岸国務大臣 我が国の有事などの際、自衛官の所要数を早急に満たさなければいけないわけですけれども、そのために、予備自衛官、即応予備自衛官、予備自衛官補の制度が設けられております。

 この制度の充足状況については、近年、未充足の状態が続いていますが、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増している状況を踏まえれば、いざというときに自衛官とともに任務に就く予備自衛官等について、充足を向上させるとともに、一層の活用を図っていくことが極めて重要であります。

 このような観点から、例えば予備自衛官の階級については、近年、陸上自衛隊、海上自衛隊においては一佐、航空自衛隊においては二佐までの予備自衛官を任用しているところでございます。

 また、登録のみの予備自衛官制度につきましては、仮にそのような制度が導入された場合には、検討すべき事項を精査するなど、防衛力を確保するために必要な予備自衛官制度をしっかりと検討してまいりたいと考えます。

岩谷委員 ありがとうございます。

 もう十五年前の報告書でありまして、十五年たっているわけですから、いつまでも検討というわけではなくて、是非前向きに実現に向けて動いていただきたいというふうに思います。

 同じく予備自衛官に関係する質問をさせていただきますが、予備自衛官補の公募の年齢制限の緩和についてお伺いしたいと思います。

 実は、私は、以前、大阪府議会議員をしておるときに、東千歳の駐屯地に視察に行かせていただきまして、そこで若い方々あるいは同じような年代の方々が我が国を守るために非常に厳しい訓練をされているのを見まして、何とか自分もできることはないかということで、大阪に戻りましてすぐに予備自衛官補の申込みのお電話をさせていただいたんですが、岩谷さん、一か月遅かったですと。三十四歳一か月ということで、三十四歳未満という制限に引っかかってしまいまして応募ができなかったという苦い経験がございます。

 予備自衛官補は三十四歳未満と今でもなっております。特定の技能を持った方は五十歳未満となっておりますけれども、定年も順次引き上げられている中で、この予備自衛官補の募集年齢がいまだに三十四歳未満となっているのは、そろそろこれは緩和という形で改善を図るべきではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

岸国務大臣 予備自衛官等の採用等における年齢要件でございますけれども、常備の自衛官の定年年齢等の観点を踏まえて定めているところであります。

 今お話がございましたけれども、予備自衛官補の採用における年齢要件については、特定の技能を有する予備自衛官補がその技能等に応じて五十三歳から五十五歳未満、それ以外の予備自衛官補が三十四歳未満ということになっております。

 その上で、今後も地震等の災害の際に予備自衛官の招集機会の増加が予想されております。そうしたことを踏まえて、予備自衛官等の一層の活用を図る観点から、予備自衛官等の採用等における年齢要件を含め、予備自衛官等に係る制度の在り方について不断に検討してまいりたいと思います。

岩谷委員 不断にといいますか、本当に是非具体的に検討していただきたいなと、それほど難しい問題ではないのではないかというふうに思いますので、お願いしたいと思います。

 次に、自衛官の募集に当たって自治体から適齢者情報の提供を受けているという点についてお伺いしたいと思うんです。

 地方自治体から適齢者の情報を自衛隊に提供していただいているということですが、平成十九年当時で二割だった提供が、今、今年度は約五四%、五割の自治体から提供を受けられるようになっていると聞いておりますけれども、ただ、やはりまだ五割にとどまっているということです。

 これは、自治体からこういった自衛官の適齢者の情報をいただくことがやはり一番効率的なわけですから、提供いただいていない自治体に対しては、自衛官の方が時には数日間かけて住民基本台帳を書き写して対応しているということで、余りに非効率だと思うんですね。

 これをやはりもうちょっと提供していただく自治体を増やしていくようにどのようにしていくかということ、それから、大臣には、是非この場で、全国の市町村長の皆さんに協力していただきたいということで強く訴えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

岸国務大臣 今、防衛省としては、情報提供に際しまして、法令の規定に基づく依頼であることを明確化する、そのために、防衛大臣の名前で依頼文書を全ての地方公共団体の長宛てに発出しております。当該依頼文書は、自衛隊の各地方協力本部長等から可能な限り直接首長に手渡しを行い、依頼の趣旨を説明することとしています。

 このような取組によって、近年は地方公共団体からの募集対象者に関する資料の提供数は増加をしております。令和三年度については、全体の五割以上の地方公共団体から募集対象者に関する資料の提供をいただいております。

 少子高齢化に伴って自衛官等の募集環境が厳しさを増す中で、防衛省として、より多くの地方公共団体から自衛官等の募集に対する御理解、御協力をいただきたいと考えておるところでございます。

 引き続き、自衛官の募集の重要性等について丁寧に御説明をするなど、粘り強く取り組んでまいります。

岩谷委員 ありがとうございます。

 念のため、私の地元の東大阪市に確認しましたところ、しっかり御提供いただいておりましたが、一方で、大阪府下でもいまだに十四の自治体で御協力をいただけないということなので、私もお願いしていきたいと思うんですが、こんな本音も聞こえてきまして、ある自治体の方は、自衛隊法施行令で、防衛大臣は資料の提出を求めることができるという形で、任意の形で規定されている、そうすると、住民情報を出すと、やはり反対している方々から批判を受けるおそれがあるということで、だから出したくても出せないという本音も聞こえてきまして、是非、任意じゃなくて、むしろ義務にしてほしいというような声も聞こえてまいりました。このことを質問はいたしませんが、是非検討をしていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、質問を残しましたが、終わらせていただきます。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、昨日の北朝鮮の弾道ミサイル発射について何点か質問をさせていただきたいと思います。

 分析によっては、今回の弾道ミサイルは米国本土全土を射程に収めるのではないかという分析もされていて、完全に脅威のレベルが上がって、米国においても大きな議論を呼んでいるところだと思います。

 北朝鮮のミサイル発射は、ロシアのウクライナ侵攻が始まった先月以降、ちょうど昨日で一か月になりますけれども、弾道ミサイルの発射が相次いでいる。二月の二十七日、三月の五日、三月の十六日、そして昨日と弾道ミサイルの発射を短期間に頻繁に繰り返しているというところでございますけれども、防衛省として、このように特にウクライナ侵攻、侵略後に頻繁なミサイル発射を行っていることについて、その目的と背景についてどのように御認識をされているのか、お伺いしたいと思います。

岸国務大臣 ミサイルの詳細については先ほど答弁をしたとおりでございますが、現時点で北朝鮮の意図について断定的にお答えすることは差し控えさせていただきますが、北朝鮮が昨年一月の党大会においてICBM級関連事業の推進に言及していること、二月の二十七日、三月五日に、最大射程での発射試験を行う前に、何らかの機能検証を行うことを目的として当該ミサイルを発射した可能性があること、また、今回の発射において最高高度六千キロを超える高度までミサイルを推進させたこと、米国との長期的対決を徹底的に準備していくなどと発表していること、こういったことを踏まえますと、少なくとも、米国との敵対関係を前提として、ICBM級の弾道ミサイルの射程延伸やその実用化を含めて、関連技術や運用能力の向上を図っていく意図を有していることは明らかであります。

 どういった狙いがあるにせよ、今回のICBM級の弾道ミサイルの発射は、これまでの一連の発射とは次元の異なる、我が国、地域、国際社会の平和と安定に対する深刻な脅威であります。また、何らの事前の通報もなく本土から百五十キロという地点に着弾させたことは、国民の安心、安全、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であります。許されない暴挙であり、断固非難します。

 いずれにしても、防衛省として、引き続き、米国等とも緊密に連携し、情報の収集、分析、また警戒監視に全力を挙げるとともに、米国、韓国を始めとして、関係国と緊密に連携しながら、国民の生命、平和な暮らしを断固守り抜いていく決意であります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 他国の思惑などは御答弁をされることはないと思いますけれども、やはり、核保有国としての立場をこの機に確実なものにしたいと思っているのだと私は理解をしています。

 この委員会でも、ウクライナに対するロシアの侵略に関して、核兵器を九四年のブダペスト合意で放棄をしたことがロシアの侵攻を可能としてしまった、そういった分析もありますので、やはりこれを見て金正恩は核兵器を保有することの重要性を改めて認識して決意を固めたのではないか、そういったふうに理解、分析をすることも可能だと思っております。

 今年は、金正恩政権、第三代の朝鮮労働党中央軍事委員長に就任してから十年目、また金正日、父親ですね、金正日の生誕八十周年、また金日成生誕百十周年ということで、四月にはこの金日成生誕百十年のイベントなどが行われて、更なる核兵器の発射、一部では、太平洋に向けてより低い高度で飛ばして距離を見せるといったことも分析をしている方もいらっしゃるようですけれども、こういったことが今後も続くと思いますので、今大臣からおっしゃっていただいたように、米国、韓国、こういった関係国と協力をしながら一層の圧力をかけていくことが不可欠だというふうに考えております。

 既に日本でできる制裁措置というものはやり尽くしてしまっていると思いますので、やはり米国を始めとしたほかのG7諸国と連携をしながら、強力な金融制裁を含めてしっかりと検討いただいて、この北朝鮮の暴挙を食い止める手だてというものを全て尽くしていただきたいというふうに考えております。

 こういった中で、一つ外務省にお伺いしたいんですけれども、韓国の方で新しい政権が誕生して、これまで現政権では北朝鮮に融和的な政策が行われる一方で、日本との関係改善に努力が行われてこずに、日韓関係は停滞している状況ですけれども、こういった変化や状況に応じて、改めて日韓関係を修復をして北朝鮮に対する構えを強化をしていくことが極めて重要だと思いますけれども、新政権の誕生に向けて日韓関係の改善にどのように取り組んでいくのか、お答えをいただくことは可能でしょうか。

岩本政府参考人 お答えいたします。

 ただいま韓国との連携について御質問がございました。

 まずは、今回の北朝鮮のICBM級の弾道ミサイルの発射を受けまして、ちょうど今朝、林外務大臣は鄭義溶韓国外交部長官との間で電話の会談を行いました。この電話の会談でも、今後日本と韓国との間で連携を一層強めていく、この点について一致をしたところでございます。

 したがいまして、今後、韓国の方で新政権が発足をいたしますが、この北朝鮮の問題については引き続き新政権との間でもしっかりと連携をしていきたい、このように考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 新政権誕生という一つのチャンスだと思いますので、改めて関係改善を図っていただきたいというふうに思います。

 いずれにしましても、ロシアのウクライナ侵略でNATOそしてG7諸国が忙殺されている中、この機を狙って北朝鮮が動いているということもあると思います。安保理の常任理事国の中にロシア、中国が含まれていて、一層国連が機能不全に陥ることも十分予想されますので、改めてこういった、韓国、米国、G7諸国と連携を深めていただいて、北朝鮮に対する対応というものも今後強く行っていただくように求めさせていただきたいというふうに思います。

 では、本法案に関連した質問に移らせていただきたいというふうに思います。

 今回の法案に関連して、採用と教育、そして人事について何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、自衛官の定年年齢というものは、ほかの一般の公務員よりも低くなっているわけでございます。体力が非常に重要な職業でございますので、そういった面があるんだと思いますけれども、一方で、一般の国家公務員の定年年齢が引き上げられたこともあって、自衛官の定年年齢の低さというものが一層際立ってしまうと思います。そうなってしまうと、キャリアとして、自衛官になって生涯年収が幾らになるんだということを考えた際に極めて見劣りしてしまって、自衛官を選択するインセンティブが更に下がってしまうことになってしまっているんだと思います。

 再就職というものは十分に取組をされていて、極めて高い再就職率、退職後の自衛官の方はしっかりと再就職していただいていると思うんですけれども、一方で、賃金というものは退職時に比べて大きく下がってしまっているという御答弁をこれまでも過去に防衛省からしていただいていますけれども、現状、退職された後の再就職後の賃金がどれぐらい平均で下がってしまっているのかという情報を、把握しているものを教えていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官が退職をしますと、定年は委員御案内のとおり五十五前後のところで退職をしてまいるわけでございますけれども、平均いたしますと、退職をした自衛官が再就職賃金として得ている金額は、退職前の収入の、現役のときの収入の約四割程度というデータが一つ得られているわけでございます。

 ただ、他方で、こういった若い年齢で定年を迎えて、国の都合で退職をしていく自衛官の退職後の生活基盤を確保するために、若年定年退職者給付金というものを、国から退職した自衛官に対して退職してから六十歳になるまで支払うという制度を持っておりまして、この若年定年退職者給付金と先ほど申し上げた平均の再就職賃金を合わせると、退職前に得ていた収入のおおむね七割強程度のお金を得て生活をしていくことができるようになっておりまして、しっかりと処遇を確保できていると考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、若年定年退職者給付金制度も合わせれば七割程度の収入を維持できているというところなんですけれども、定年引上げに伴って、六十以降の五年間、六十五歳までの五年分に関しては三・四か月分の支給というふうに減額をされると思うんですけれども、この減額された部分、六十五歳まで一般公務員として、国家公務員として働けた場合と比べてどれぐらい減ってしまうかという数字、今おっしゃっていただいたのは二〇一四年に回答していただいているのと同じだと思うんですけれども、定年引上げに伴ってどれぐらい見劣りしてしまうのか、そういったところを検証されたりはしているんでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先ほど私がお答え申し上げたのは、五十五前後で定年で退職してから六十歳までの間のことについてお答えをいたしました。

 しからば、六十歳以降についてはどうなのかということなんでございますけれども、まず、一般の国家公務員の定年が段階的に六十五に引き上げられていくということになりましたので、私どもも昨年防衛省の職員給与法の改正をお認めいただきまして、これによって、先ほど御説明申し上げた若年給付金につきましては、六十歳以降も六十五歳まで、一般公務員の定年が六十五になった暁には六十五まででございますけれども、退職した自衛官に給付をできるように措置をいたしまして、しっかりと処遇を支えるということにいたしました。

 具体的に六十以降の定年延長された一般の公務員の給与水準がどのぐらいになるかということは、今後、定年延長が実際行われてまいりますので、その状況を見なければなりませんけれども、今申し上げたような三・四五か月分の給付金の金額の設定というのは、大体、六十歳から六十五歳程度の民間の方の平均の収入といったようなものを念頭に置きながら数字を設定して、自衛官が得る再就職賃金と給付金と合わせてしかるべき生活ができるように設定をしておりますので、そういう意味では、処遇をしっかり確保しているというふうに考えているところでございます。

斎藤(ア)委員 おっしゃっていただいたように、再就職後の平均賃金が退職時の四割程度だというデータがあって、そして、それにプラスして給付を行っても七割程度に収まってしまっている。さらに、定年延長によって一般の国家公務員は六十歳以降もそれ以前の七割程度の年収が確保されるということでございますので、そういった場合に、自衛官の方々の生涯年収、自衛官としてせっかく働いていただいて、国のために危険を冒して働いていただいたのに、退職した後は収入が大きく減ってしまって、そして、一般の公務員で働いていたら定年延長もあって更に収入が確保できたのに、自衛官になってしまったらそれも更に目減りをしてしまうということでございますので、これはやはり自衛官の方々に対する処遇としては私は不十分だというふうに考えております。

 もちろん財源も限られている中ではございますけれども、やはり一般国家公務員並みの処遇というものを維持していく、そのためには、再就職時に生かせるようなスキルを教育をしていただく、そういったプログラムも重要だと思うんですけれども、この給付金制度を改革することが、処遇を改善する上で極めて重要というか、即効性のある施策だと思うんですけれども、この制度の更なる見直しというものは検討されないのでしょうか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今後のことにつきましては、一般の公務員の給与水準というものが今後どういうふうになっていくかということ、今は七割ということで一応設定されていますが、これも必要に応じ見直すというようなことも議論があると承知しております。そういったことや今後の民間の方々の給与水準というのがどのように変化していくかということも見ながら不断に我々は検討してまいりますので、今直ちに結論を申し上げることは差し控えますけれども、いずれにしろ、人事制度については不断に検討してまいります。

斎藤(ア)委員 繰り返しになりますけれども、極めて困難な仕事、重要な仕事、そして危険のある仕事をしていただいている自衛官の皆様に対する処遇は一般公務員よりも高くしろという意見もある中で、せめてその水準を何とか退職後も維持してほしいと思いますので、こういった部分で、一般の国家公務員の方々の状況を見ながらというのはよく分かりますけれども、できるだけ早く改善に向けて取り組んでいただきたいというふうに考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、同様の、似たような話ですけれども、自衛隊の年齢構成がだんだんと高齢化をしている、隊員の年齢が高齢化をしているということで、これまでと同様の精強性の定義では不十分ではないか、ロボットであったりドローンであったり、また、IT技術を使ってサポートできるような、そういった装備を強化をしていくことが必要ではないかという議論があると思いますし、私もそうだと思います。

 今のウクライナ侵略を見ていても、ドローンであるとか、あるいは高度な装備が極めて有効であるということが分かるわけでございますけれども、ドローンの導入、ロボットの導入、こういったところをしっかりと進めていく必要があると思うんですけれども、こういった部分についてどういった取組をされているのか、簡単に御説明をいただくことは可能でしょうか。

川崎政府参考人 今ドローンのお話がございましたが、自衛官の体力面の問題をカバーするためにいろいろな技術を導入して活用すべきではないかという委員の御指摘というふうに理解をしております。

 そのために、一つの例として申し上げますと、無人自律型車両の研究というものについては、防衛省におきまして継続して取り組んできておりまして、特に、有人機と無人機群のチーミング技術というものを確立をして、従来は有人アセットで実施をしていた任務の一部を無人機で代替するといったことも目指しながら研究を続けているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 一例を挙げていただきまして、また、今様々な取組をしていただいているとは思いますけれども、やはりこれまでどおりの年齢層で確保することは難しいし、そもそも、更なる技術の高度化に伴って、訓練期間も長くなって専門性も高まっていると思いますので、それに応じてしっかりと装備面も整えていただいて、人材を高度化するだけではなくて、それに見合った装備を整えていただき、人数が少なくても高齢化をしても、これまで以上に強力な部隊というものを是非とも構築していっていただきたいというふうに思います。

 最後に、先ほど伊藤委員からもあった部分について私からもお願いをさせていただきたいんですけれども、サイバーセキュリティー関連の、情報戦関連の人材の育成、これについては今の体制では不十分だというふうに思います。授業としてあるんだとか、学科はないんだけれどもそういった講義を受けているだとか、それではとてもサイバーセキュリティーの専門家が育っていくことはないと思いますので、是非とも専門的なサイバーセキュリティー人材、情報戦の人材というものを育てる学校であったり課程というものをつくっていただきたいというふうに考えております。

 今、国内のサイバーセキュリティー人材は防衛部門だけではなくて民間でも非常に不足をしていて、IT人材自体の育成が国として課題となっていますので、これをしっかりと自衛隊で育成すれば、民間の人材供給にも寄与すると考えております。

 パイロットや医師、看護師というものは自衛隊で育成している、だから、それと同様にサイバーセキュリティー人材も育成するんだということを私からも改めて申し上げさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大塚委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 冒頭、北朝鮮による新型弾道ミサイルの発射について、これは国連安保理決議に違反するものであり、厳しく非難し、抗議をしたいと思います。

 法案については、後の討論でも明らかにしたいと思います。

 それで、今日は、米軍のコロナ対策について質問をいたします。

 在日米軍司令部は、三月十四日、米軍基地内のマスク着用義務について、周辺地域の感染状況が落ち着いている場合には、原則として解除する方針を明らかにいたしました。基地内のマスク着用義務は、在日米軍司令部が、出国前検査などを免除し市中感染を引き起こしたことを受けて、今年一月に設定したものです。基地で働く労働者や出入りする業者の方々からは、感染再拡大への不安の声が上がっています。

 政府はこれまで、蔓延防止等重点措置や緊急事態宣言の適用地域であろうとなかろうと、マスク着用や手洗い、三密回避などの基本的な感染防止対策の徹底を呼びかけてきました。国民もそれに協力を続けています。

 こうした下で、米軍はなぜ一方的に着用義務を解除したんですか。日本の措置と全く整合していないと思いますが、いかがですか。

本田大臣政務官 お答えいたします。

 在日米軍からは、三月十四日より、国防省及び米国疾病管理予防センター、CDCの新たな方針を踏まえまして、施設・区域周辺地域の感染状況が落ち着いている場合には、施設・区域内でのマスク着用を義務としない、ただし、施設・区域外におけるマスク着用は引き続き義務とする方針を取る旨の説明を受けたところであります。

 これを受けまして、日本政府から米側に対して、マスクの着用に関する日本国内における考え方を説明しつつ、協議を行ってまいりました。

 その結果、在日米軍は、三月十八日付で、在日米軍関係者は施設・区域内で日本人従業員と接触する際に、マスクを着用することが推奨されるとの方針にしたという旨の説明を受けました。

 政府としましては、感染拡大の防止及び地元の方々の不安解消は重要な課題だと認識をしておりまして、こうした課題について、日米合同委員会の下に設立されました検疫・保健分科委員会を通じて、引き続き日米間で連携してまいります。

赤嶺委員 日本人従業員と接触の際にはマスク着用を推奨する方針を出したということですが、これはあくまで推奨にすぎないわけですね。着用するかどうかは本人次第ということになるのではありませんか。

市川政府参考人 ただいま本田政務官から御答弁申し上げましたとおり、在日米軍は、三月十八日付で、在日米軍関係者は施設・区域内で日本人従業員と接触する際に、マスクを着用することが推奨されるとの方針を示した旨の説明を受けてございます。

 日本の現在の方針、日本国内における考え方、これにつきましては丁寧に米側に説明してきているところでございますが、日本におきましては、引き続き、マスク着用は重要な対策だということで、着用をお願いしているということと理解してございます。

 そういうことを説明した上で、米側としては、日本人従業員と接触する際に、マスクを着用することが推奨されるという方針を我々に説明をしてきたということで、我々としては、基本的に、我々の説明を受けて整合的な形で方針を説明してきた、こういうふうに理解してございます。

 ただいま政務官からもお話がありましたように、感染拡大防止、あるいは地元の方々、日本人従業者の方々、こういった方々の不安解消というのは大変重要な課題だというふうに思っておりますので、引き続き米側とは、日米合同委員会の下に設置されました検疫・保健分科委員会を通じまして、一層整合的なものとなるように日米間で連携をしていきたい、一層の努力をしていきたい、このように思っている次第でございます。

赤嶺委員 今の答弁だと、日本側から一生懸命米側に、日本側の取っている措置と整合が取れるような措置を取ってくれと言っているけれども、向こうは推奨と言っている、これからも一層整合が取れるようにという、そういう答弁ですが、整合が取れていないということをお認めになったような答弁だと思います。

 私は、先月の予算委員会で、米軍による水際対策の緩和の問題を取り上げました。そのとき、外務大臣は、日米合同委員会の下、検疫・保健分科委員会を設置し、今後は日米間でそごが生じないようにしていくと強調しておられました。僅か一か月で同じことを繰り返すというのは、本当にこれはどういうことになっているのかと疑問を感じます。

 米軍が解除方針を明らかにしたのは三月十四日です。外務省は、いつ、どのような形で説明があったんですか。

市川政府参考人 今の御質問の前に、先ほど申し上げましたが、マスク着用が推奨される、こういった方針は、私どもとしては、日本国内の今の方針と整合的であるというふうに思っております。ただ、一層整合的なものとなるように努力をしたい、先ほど申し上げたのはそういう趣旨でございます。

 それから、今の御質問の点でございますが、先ほど本田政務官からも御説明いたしましたが、在日米軍から説明を受けたのは三月十四日でございます。

赤嶺委員 米軍が解除方針を公表したのも三月十四日です。ということは、解除した日に説明を受けたということになりますけれども、事前に分科委員会でこのことは話し合われていなかったということですか。

市川政府参考人 米軍との様々なやり取り、これをつまびらかにするのは差し控えたいと思いますが、我々は、コロナの感染が発生して以来、もう毎日、日米間ではやり取りをしてございます。これは検疫・保健分科委員会が開かれようが開かれまいが毎日やってございますし、そうした中でマスクの着用の話もしてございます。

 ただ、具体的にこのマスク着用の話を、いつ、どの時点でというところについては、具体的なやり取りになりますので、お答えは差し控えたいと思います。

赤嶺委員 いや、私はそこを聞いているんですよ。

 二月の予算委員会でも、結局、日本側と米側でそごがあり、今後はそごがないように分科委員会でしっかり議論していくというのが外務大臣の答弁ですからね。

 ですから、このマスク着用義務を外したことについても、これまでの分科委員会でそれが行われたのかどうか、いつ、どこで分科委員会は開催してきているのか。今回、このような問題を話し合わずに、分科委員会では何を話し合ったのか。

 十四日以前までに分科委員会で、これはつまびらかにすることはできないとおっしゃっていましたが、大事なことです、これは。軍事情報でもありません。県民や国民の命に関わることですから。

 分科委員会は、いつ、どのような形で行われていたか明らかにしてくれますか。

市川政府参考人 一月二十八日に日米合同委員会の下にこの検疫・保健分科委員会を設立いたしまして、委員も御案内のように、日米双方の保健当局も参加する形で新型コロナウイルス感染症拡大への対処のために協議を集中的に行うということで一致してございます。

 それを受けまして、二月八日にこの分科委員会の第一回会合が開催されました。それ以降も、正式会合の有無に関わらず、保健当局も交えて日米間で連絡を取り合い、連携してきているところでございまして、こうしたことはこれまでも国会の場で御説明をさせていただいているところでございます。

 検疫・保健分科委員会は、保健当局も含む専門家間で専門的かつ科学的見地に基づき率直な議論を行うということを目的としていることから、議論が継続されている現時点において、協議の内容などについては、米側との関係もあり、先ほど御説明させていただいた以上にお答えすることは差し控えさせていただければと思います。

赤嶺委員 二月の予算委員会では合同委員会の開催状況は明らかにしておりました、日付と場所ですね。今回、それは明らかにできるわけですね。いかがですか。

市川政府参考人 若干先ほどと重複で恐縮でございますけれども、この検疫・保健分科委員会では、保健当局も含む専門家間で専門的かつ科学的見地に基づきまして率直な議論を行うということを目的としておりますことから、議論が継続されている現時点において、協議の内容や開催状況などについて、米側との関係もあり、先ほど御説明させていただいた以上にお答えすることは差し控えたいと思います。

 いずれにせよ、在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を始めとする国民の皆様の御理解と御協力をいただくことが重要でございますし、国民の皆様、従業員の方々の不安を取り除くことは非常に大事だと思ってございますので、政府としては、委員の御指摘も踏まえまして、いかなる形で検疫・保健分科委員会の開催状況などを明らかにできるかについては、米側と引き続き議論をしていく考えでございます。

赤嶺委員 分科委員会がありながらマスク着用義務を解除したことについては、その分科委員会で議論をされたのかどうかも分からない、日付も分からない。しかし、国民はそういう日米間のやり取りにやはり不安を持っている。ここは、今までの経過もありますから、きちんと明らかにしていただきたいと思います。

 私は、この間の日米間のやり取りを見ていて、検疫をめぐる日米合意そのものに手をつける必要があるのではないかと思います。

 現在の日米地位協定には、在日米軍の検疫に関する規定はありません。その下で、具体的な米軍の検疫措置は、一九九六年十二月、SACO合意、SACO最終報告と同じ日に公表された日米合同委員会合意、これに基づいて行われている、そういう理解でいいですか。

市川政府参考人 日米間では、ただいま委員も御指摘ございましたが、一九九六年の日米合同委員会合意に基づきまして、米軍関係者が民間空港から入国する場合には、日本政府による検疫が行われ、米軍関係者が直接、在日米軍施設・区域内から入国する場合は、米側が検疫手続を行うことになってございます。

 同合意におきまして、米軍関係者が直接、在日米軍施設・区域内から入国する場合においても、検疫伝染病の患者などが発見された際の米側から日本の検疫所長への通報など、日米間の連携についても定められているところでございます。

赤嶺委員 この合意に相当大きな問題があるわけですが、米軍基地から入国する米国の船舶、航空機は、米軍の実施する検疫手続の適用を受けるということになっています。しかし、そこには、日本政府の水際対策と同等の措置を取るべきことは、この合意の中には明記されておりません。米軍が実施する措置について、日本政府に情報提供することも義務づけられておりません。ただ、米軍が米軍の手続でやるということが書かれているだけです。

 昨年来、米軍が一方的に水際対策を緩和し、そのことを日本政府に知らせたのかどうかもはっきりしないという信じ難いことが起きたわけですね。今回のマスク着用義務の解除についても、米軍が当日に通告するだけで、勝手に決めております。

 こういうことが繰り返し起こるのは、そうさせないための規定が合意の中にきちんと明記されていないからではありませんか。

市川政府参考人 一九九六年の日米合同委員会合意の内容につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。

 それに加えまして、検疫手続につきましては、日米地位協定の下の日米合同委員会の下で、二〇二〇年七月に共同プレスリリースを発表してございます。そのリリースの中にも書いているのでございますが、それを含めて、水際対策を含む日本政府の方針に米軍は整合的な措置を取る旨、累次にわたり説明を受けているところでございます。

 その上で、一月二十八日に設置いたしました検疫・保健分科委員会には、日米双方の保健当局も参加する形で新型コロナウイルス感染症拡大対処のために議論を行う、こういうことを今やっているところでございまして、政府といたしましては、検疫手続も含めて、この分科委員会も活用しつつ、日米それぞれの措置の整合性を一層確保するための連携を強化していきたい、このように考えております。

赤嶺委員 いや、ですから、九六年の合意が基本ですよ。そこには、米側が一方的な措置を取って、そして日本側には何の通報もしなくていいことになっているわけですよ。

 この間、共同プレスリリースを発表して、整合的な措置を取ることをアメリカは約束したと言うけれども、そのときだって、米軍基地の中でクラスターが起きて大騒ぎになって、整合的な措置を取るという話になったけれども、今だって、このマスクの問題だって、整合的な措置を取ったかどうかというのは、アメリカの一方的な措置を、日本側が、これは整合的な措置であるかどうか、ちょっと足りないから引き続き求めていくという、余りにも、日米間でそごが生じるたびにアメリカ側に要請するという対応を日本政府は繰り返しております。

 私は、九六年の基本となっている合意自体を改めるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

大塚委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。

 私は、我が党を代表して、本法案に反対の立場から討論をいたします。

 ロシアのウクライナ侵略という冷戦後の国際秩序を破壊せんとする暴挙で露呈したように、日本を取り巻く安全保障環境はより厳しさを増しております。

 核攻撃もちらつかせるロシアに加え、台湾や尖閣諸島への侵略の野心をあらわにする中国、昨日も我が国のEEZ内にICBM級の弾道ミサイルを発射させ、核・ミサイル開発にひた走る北朝鮮の脅威にさらされ、自国を自らの手で断固守るために、抑止力、防衛力の格段の増強は待ったなしです。

 宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における脅威への態勢づくりも欠かせません。

 その中にあって、国民の皆さんの生命財産、領土、領海、領空を守り抜き、平和を堅持することは、防衛省・自衛隊に課せられた最大の任務、使命であり、かつ極めて難度の高い課題であります。

 少子化が急速に進む中、自衛官の人材確保、そして、将来、自衛隊員としてこの国を、国民を守ろうと崇高な決意を胸に秘めた学生や生徒の人材育成、養成や入学を慫慂することは、我が国の安全保障上、必達の課題であります。国防の原動力は人と装備です。

 我が党は、かねてから、自衛隊員の待遇を抜本的に改善し、任務に応じた危険手当を創設する等、自衛隊及び隊員の地位向上を訴えてきましたが、それは時代の要請であると考えます。

 本法案は、令和三年八月十日の人事院勧告に沿って期末手当を減じようとするものですが、現下の安全保障環境及び社会環境を鑑みると、一般職の公務員の取扱いに準じ、しゃくし定規で防衛省関連の大学や高校の学生生徒の手当等を減じることは妥当ではありません。

 そもそも、自衛隊員の給料が経済状況で左右される民間給与に影響されることはあるべき姿ではなく、一般職職員と将来の国防を担う有為の人材を分けて措置すべきであると思料されます。

 以上、日本維新の会は本法案に首肯することはできないと申し上げ、反対討論といたします。

 ありがとうございました。

大塚委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省職員給与法一部改正案に反対の討論を行います。

 本法案は、一般職の例に準じて、裁判所職員や国会職員などと同様に、特別職国家公務員である防衛省職員の給与を改定するものです。

 政府は、昨年十一月、人事院勧告に沿った期末手当の引下げを行うとともに、昨年度の引下げ分は今年六月の期末手当から減額することを決めました。

 今回の改定は、この政府方針に基づき、防衛大学校、防衛医科大学校の学生と陸上自衛隊高等工科学校の生徒などの期末手当について、一般職と同様の引下げを行うものです。

 国家公務員全体の給与切下げの一環を成す本法案には反対であることを申し述べ、討論を終わります。

大塚委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

大塚委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

大塚委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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