衆議院

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第6号 令和4年4月26日(火曜日)

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令和四年四月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 大塚  拓君

   理事 青山 周平君 理事 門山 宏哲君

   理事 武田 良太君 理事 星野 剛士君

   理事 宮澤 博行君 理事 篠原  豪君

   理事 徳永 久志君 理事 美延 映夫君

   理事 吉田 宣弘君

      江渡 聡徳君    神田 潤一君

      國場幸之助君    齋藤  健君

      塩谷  立君    鈴木 憲和君

      中曽根康隆君    長島 昭久君

      長谷川淳二君    浜田 靖一君

      細野 豪志君    松島みどり君

      宮内 秀樹君    新垣 邦男君

      伊藤 俊輔君    玄葉光一郎君

      太  栄志君    岩谷 良平君

      掘井 健智君    佐藤 茂樹君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         岸  信夫君

   防衛大臣政務官      中曽根康隆君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澤田 史朗君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       吉田 幸三君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 徳田 修一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 股野 元貞君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 金井 正彰君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   海部  篤君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  植野 篤志君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         南   亮君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     神田 潤一君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 潤一君     宮内 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  宮内 秀樹君     長谷川淳二君

同日

 辞任         補欠選任

  長谷川淳二君     熊田 裕通君

同日

 理事青山周平君同日理事辞任につき、その補欠として星野剛士君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十二日

 日本でのオスプレイ配備撤回、訓練中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第八七一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

大塚委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事青山周平君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に星野剛士君を指名いたします。

     ――――◇―――――

大塚委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澤田史朗君、内閣府総合海洋政策推進事務局次長吉田幸三君、外務省大臣官房審議官徳田修一君、外務省大臣官房参事官股野元貞君、外務省大臣官房参事官石月英雄君、外務省大臣官房参事官實生泰介君、外務省大臣官房参事官金井正彰君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長海部篤君、外務省国際協力局長植野篤志君、資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官南亮君、防衛省大臣官房長芹澤清君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長土本英樹君、防衛省人事教育局長川崎方啓君、防衛省地方協力局長岡真臣君、防衛省統合幕僚監部総括官深澤雅貴君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君、防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

大塚委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮澤博行君。

宮澤委員 皆さん、おはようございます。自民党の宮澤博行でございます。

 本日は、お時間をいただきまして質問させていただきます。

 自民党といたしましては、今回の政府による国家安全保障戦略、そして防衛大綱、中期防衛力整備計画、この三文書の改定に向けて、自民党として提言をまとめさせていただきました。近日中に総理のところへ持ってまいる予定でございます。

 しかし、この三文書改定に向けた提言は広範多岐にわたっておりますので、一つ一つの事象についても確かに我々は深掘りをして研究させてもらいましたが、十分その中に盛り込めていないものもございます。

 そういった観点から、今回は、その提言の中で、数点、深掘りをして質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず一点目は、ミサイル防衛についてでございます。

 今回、自民党の提言については、反撃能力を保有する、そういう言葉を使わせていただきました。反撃能力という言葉でございます。しかし、ほんの一部の議員の中に、この反撃能力を保有するのであるならば、ミサイル迎撃に関しては極めて予算がかかるものであるから、それはそれとして、もうストップしてよいのではないかという意見がごくごく一部の中にあります。

 しかし、私はそうは思いません。そして自民党の大半の議員も、ミサイル迎撃体制はこれから先も強化しなければいけないと思っておりますし、実際、そういった文言についても提言の中に盛り込ませていただきました。

 そういうわけで、では、相手方の技術が向上している、すなわち、極超音速ミサイルの開発、さらには軌道変則型のミサイルが開発される中において、どうやって迎撃するのかについてはブラッシュアップをしていかなければならないわけなんです。そういうときに、アメリカとしても、グライド・フェーズ・インターセプター、GPIと言われるものですけれども、滑空弾迎撃システムと言ってもいいでありましょう、この開発に着手しているわけです。

 我々日本とすると、イージス艦等で、言ってみれば、海面、地上からレーダーで捕捉をして落下地点を予測していくわけですが、このGPIにおいては、衛星コンステレーションを使って上から場所を把握して迎撃する。そのために、じゃ、どうしていくのかということでございますが、こういった考え方からして、やはりこのGPIの研究開発への参加をやっていくべきだと私は考えております。

 一月二十四日の予算委員会における質問においてももう少し答弁をいただきたかったところでございますので、まずは大臣から、このGPIへの参加について見解を伺いたいと思います。

岸国務大臣 今委員御指摘のHGVを始め、ミサイルに関する技術は非常に早いスピードで進化、変化をしております。それに対して、迎撃能力を高める不断の努力を続けていく必要がございます。

 このうち、HGVのグライド・フェーズでの迎撃については、本年一月の日米の2プラス2での合意に基づいて極超音速技術に関する共同分析を実施している米国との共同開発の可能性も含め、検討しています。また、衛星コンステレーションによるHGVの探知、追尾についても米国と議論しているところであります。

 議員御指摘のGPIでございますけれども、現時点でGPIプログラムへの参加といった結論を得ているわけではありませんが、日米の共同開発の可能性を含めて、引き続き検討してまいりたいと考えております。

宮澤委員 ありがとうございました。しっかりこれは努力していただきたいと思います。

 そしてもう一点、イージスシステム、これはイージス・アショアが別の形でということになっておりますけれども、このイージスシステム搭載艦についても、やはり私は方針どおり整備していくべきと考えておりますが、その点について防衛省はどのように考えているでしょうか。

岸国務大臣 イージスシステム搭載艦については、厳しい安全保障の環境に適切に対応するために必要なアセットであると考えております。搭載機能や可動率など、幅広い項目について検討をしているところでございます。

 同艦の検討状況について、私も逐次報告を受けていますが、我が国の防衛にしっかり貢献するものとなり得るように、海上幕僚監部を含む関係部局が前向きに検討を行っているところでございます。

 その上で、同艦については、通常の大型艦艇の取得プロセスによる場合と比較して、より早期に就役できるよう工夫ができないか、私から関係部署に指示をしております。その指示に基づいて、防衛省全体として、早期に就役させるように努力を続けてまいります。

 防衛省として、今後ともしっかり取り組んでまいります。

宮澤委員 では、次の話題に移ります。拡大抑止、核抑止についてでございます。

 自民党の中においても、この核抑止、拡大抑止についてはタブー視せずに今回議論をさせていただきました。それを記者会見した後、私も多くの国民の皆さんから御意見をいただいたわけでございますけれども、そこから感じたのは、ロシアの核の威嚇があって以降、国民の皆様方は、やはり核による攻撃について非常に不安を持たれているということがあるんだなと感じました。

 そしてもう一つは、核共有と拡大抑止、この言葉の区別が実はしっかりと国民の皆さんに御理解いただけていないのではないかということ、さらには、国民の皆さんの中に一定割合、核兵器の保有に関しても積極的に考える国民の皆さんが一部いらっしゃるということが分かりました。しかしながら、我々とすると、拡大抑止でもってきちんと他国に対する抑止力を保持していく、この方針に変わりないということは改めて私たちも認識しなければならないと思います。

 しかし、こういう国民の皆さんの不安を解消するためには、この拡大抑止が確実なものである必要があるわけなんです。

 現在のところ、日米間において、事務官レベル、事務レベルでの協議なんですけれども、やはりこれを閣僚レベル、さらには首脳レベルに高めた上で、さあどうする、もしものときには互いに意思決定を共有して、やるときにはやる、そういう体制をつくることが抑止の力を高めることにつながると思いますが、この拡大抑止の現状について、首脳レベル、さらには閣僚レベルでどのようなやり取りがなされているのか、外務大臣からお話をいただきたいと思います。

 答弁いただければ、どなたでも結構です。

岸国務大臣 今、我が国を取り巻く安全保障環境は非常に厳しさを増しております。現実に核兵器が存在しているということを踏まえて、我が国が安全を確保するためには、我が国自身の防衛力に加えて、米軍の核戦力や通常戦力を含めた米国の拡大抑止が不可欠であります。

 日米間では、従来から拡大抑止に関するやり取りを様々な形で行っており、例えば、日米安全保障・防衛協力の一環として、定期的に日米の拡大抑止協議を実施をしております。

 これに加えて、米国の拡大抑止については、例えば、本年一月の日米2プラス2において、米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることの重要性を確認しており、また、同月の日米首脳会談において、バイデン大統領から、揺るぎない対日防衛コミットメント及び拡大抑止について力強い発言があったところでございます。

 防衛省として、今後も様々なレベルにおいて、いかに日米同盟の抑止力を強化していくかについて率直な議論を行い、日米同盟の抑止力の強化を一層進めてまいりたいと考えております。

宮澤委員 ありがとうございました。

 国民の皆さんが非常に不安に感じておりますので、そこのところを、拡大抑止がしっかり今利いているということをもう少し防衛省としてもアピールしていただきたいな、そう思います。

 ただ、付言させていただきますが、私としては、核廃絶という理想は日本は絶対捨ててはいけない、その理想を持った上でこの現実に対応する、その基本姿勢だけは貫いていただきたい、そう思います。

 では、最後の質問に移らせていただきます。台湾有事についてでございます。

 我々、隣国、隣の友好国台湾の有事というものは日本有事である、この考え方は揺るがないものだと思います。しかし、アメリカが自国の台湾関係法に基づいて台湾に対して救援する、そのアメリカ軍を我々は平和安全法制に基づいて支援するというスキームであるわけですから、まず米軍が出てくるか出てこないかが一番重要なんですけれども、その点についての確証というものは政治レベルでどのようになっているでしょうか。それが一点目。

 二点目、同時に質問させていただきます。

 もし、台湾へ、中国が台湾のみに対して侵攻した場合、尖閣諸島に同時に来なかった場合、我々の領海、領空に中国の軍艦や中国の空軍が近づいてくる可能性があるわけなんです。それに対して我々日本はどのように対応していくのか。

 スクランブルをかけるとなると、かなり接近をして向こうに呼びかけるわけですけれども、戦闘となったら、これはF35の能力のとおり、相手のレーダーに映らないところからミサイルを撃ち合うというわけになります。

 ですから、スクランブルと戦闘は全く違ってくるので、あらかじめこれは政治決断の準備というものをしておかないと有事に対応できない、そういう状況だと思います。それについてはどのような準備をされているのか、これからどう準備していくのか。

 二点についてお伺いしたいと思いますので、お願いします。

林国務大臣 まず、前半の部分について私からお答えをさせていただきます。

 台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控えさせていただきますが、その上で申し上げますと、本年二月に公表されましたアメリカのインド太平洋戦略におきましては、台湾の自衛能力を支援することを含め、地域内外のパートナーと協力し、台湾海峡の平和と安定を維持する等とされておりまして、これは、米国の台湾に関する立場を改めて示したものと考えております。

 いずれにいたしましても、台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であり、この点、日米間でも、日米首脳テレビ会談や日米2プラス2などにおいて、台湾海峡の平和と安定の重要性について認識を共有をしてきております。

 こうした立場を各国の共通の立場として明確に発信していくことが重要と考えます。引き続き、両岸関係の推移を注視しつつ、両岸の関係者を含む国際社会にしっかりと主張してまいりたいと考えております。

岸国務大臣 あくまで一般論として申し上げますと、当該の侵害行為が我が国に対する外部からの武力攻撃に該当すると判断される場合は、防衛出動により対処することが考えられます。また、外部からの武力攻撃が発生していない場合でも、自衛隊は治安出動等により対処することが考えられます。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊として、平素より、グレーゾーンの事態を含むあらゆる事態への対応を想定し、各種の訓練等を実施しているところでありまして、今後とも不断に検討を行い、我が国の領土、領海、領空をしっかり守り抜くため、引き続き万全を期してまいります。

宮澤委員 まず、防衛大臣に。とにかく、瞬時の政治決断というのは非常に難しいわけですから、是非これは研究を内々に進めていっていただきたい。御要望しておきます。

 それと、外務大臣に重ねてお聞きしたいんですけれども、今、正直言って御答弁は御用意されたものだと思いますけれども、先方と接する中において、これに対する政治家同士の感覚といいますか確証といいますか、そういった生の思い、感じというものをちょっと御披瀝いただけるとありがたいんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 せっかくの御質問ですから率直にお答えしたいところでございますが、外交上のやり取りでございますので、私からそこの部分をつまびらかにすることは差し控えたいと思います。

宮澤委員 では、もう少し時間がありますので、防衛大臣に、尖閣の領空侵犯、領海侵犯について、検討をするというふうにお答えいただけるとありがたいんですが、見解はいかがでしょうか。

岸国務大臣 尖閣の事態につきましても、あらゆる事態を想定いたしまして、防衛省・自衛隊としてしっかり対処できるように準備をしてまいりたいと考えております。

宮澤委員 以上で終わります。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も質疑の機会を賜りましたことに感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 ロシアによるウクライナへの侵略は、ウクライナ国民への甚大な被害を生じせしめているにもかかわらず、いまだに継続をされております。

 国連の常任理事国であるロシアが、国連憲章に違反し、力による現状変更を試み、何の罪もなき人々の命を奪い、挙げ句の果てに核による威嚇までちらつかせるという大いなる矛盾、この矛盾に全世界が直面していると思います。日本もまさしくこの事態に直面をしているわけでございます。

 この現実にどのように対応していくのか。まずは、備えと外交の両面から、日本の主権を守り、国民の安全を断じて守り抜くという決意が求められると存じます。

 本日は、防衛省の所管行政について専ら審査をさせていただく安全保障委員会でございますので、備えの部分について幾つか質問をさせていただきたく存じます。

 テレビやインターネットでしか見ることができませんが、ロシア軍の侵略の様子を見るに、陸戦が中心のように感じます。ロシアとウクライナは長い国境線が陸続きとなっておりますから、そうなることは必然であろうと思います。ここは日本と違うところなのかなという気がしております。

 言うまでもないことですが、日本の国境は全て海洋上に存在します。したがって、海洋上の国境という観点からは、日本では国境離島の存在が極めて重要になってくると思っております。

 そこで、まず内閣府にお聞きをしたいのですけれども、内閣府が把握をしている国境離島の数、そのうち有人の離島の数についてお示しいただくのと併せて、有人、無人両方の国境離島の重要性に関する御認識をお聞かせいただきたく存じます。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国が現に保有、管理を行っている国境離島は四百八十四島あり、このうち有人のものは五十九島ございます。

 また、国境離島は、我が国の領海や排他的経済水域等の外縁を根拠づけるものであり、管轄海域の保全の観点等から極めて重要であるというふうに認識しております。

 以上でございます。

吉田(宣)委員 今、国境離島の重要性が示されました。先ほど宮澤先生から本当に勉強になる質問をお聞かせいただきましたけれども、尖閣の話もありましたけれども、私も、少しこれに関連するのかなと思っておりますが、仮の話で恐縮ですけれども、断じてあってはいけないんですが、日本が侵略を受けるとすれば、恐らく国境離島から始まると考えるのは素直なことかと思っております。としますれば、国境離島に対する侵略に備えておかなければいけないんだろうと思います。

 また、その際には、領海に侵入してくる方法としては、海洋上を船で侵入してくる方法と、それと、海中を潜水艦で侵入してくる方法とあろうかと思います。また、飛行機の場合は領海上の領空に侵入してくるんだろうと思われます。

 そこで、まず、このような侵入行為を早期に察知し、国境離島を守るために防衛省・自衛隊は日頃どのような任務遂行を行っているかについて、お答えできる範囲で結構でございますので、御答弁をいただきたく存じます。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 多くの島嶼を有する我が国におきましては、これに対する攻撃に対応するためには、兆候を早期に察知することが重要であります。

 このため、防衛省・自衛隊では、平素から二十四時間三百六十五日体制で、我が国の周辺海空域の状況につきまして情報収集、警戒監視を行っております。

 具体的には、我が国周辺海域における艦船の状況につきましては、哨戒機や護衛艦などの捜索レーダーなどを用い、また、我が国周辺空域における航空機の状況につきましては、全国二十八か所のレーダーサイトと早期警戒管制機などによりまして、常時継続的に監視を行っているところであります。

 さらに、我が国領海内を潜水航行する潜水艦に対しましても、哨戒機や護衛艦などがソナーなどを用いましてこれを探知、識別、追尾をし、適切に対応できる体制を維持しております。

 防衛省・自衛隊といたしましては、こうした情報収集、警戒監視活動などを通じまして我が国周辺における船舶や航空機の動向を早期に察知をして、我が国領域への侵入への対応を含め、適切に対応できるよう万全を期してまいります。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 今の御答弁をお聞きをして、その上でなんですけれども、この察知する能力というのは、私は高ければ高いほど防衛のための確かな備えになると思います。侵入行動というのは動的な動きですので、動くものを察知するということについていち早く行えるような、技術開発であったりとか、そういったものが不可欠だと僕は思っています。

 そのための研究開発というのは防衛省内部においても行われているというふうに存じますが、防衛省のお取組について、お答えできる範囲で結構でございますので、御答弁をお願いしたく存じます。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省においては、委員御指摘の警戒監視に係る研究開発につきまして、これまでも様々な事業を進めてきておるところでございます。

 その一例を申し上げれば、海上での警戒監視につきましては、固定翼哨戒機のレーダーで捉えました艦船等の映像、画像から洋上目標の類識別を行うに際しまして、AI技術を適用して自動化、高速化をする事業を令和二年度から開始しております。

 また、令和三年度からは、潜水艦に対する探知能力を向上させるため、新たな潜水艦用ソナーを開発しているところでございます。

 さらに、平成二十九年度からは、水中無人機、これはUUVと申しますけれども、これにAI技術を適用し、UUVによって洋上や水中の目標を類識別する技術を確立する研究に着手しております。

 航空における警戒監視につきましては、平成二十六年度から、従来の地上設置型レーダーでは探知できない見通し外領域の航空機や艦船の探知を可能とする技術の確立に努めておるところでございます。

 防衛省といたしましては、警戒監視の能力向上も含みます研究開発については、将来にわたって我が国防衛を全うする観点から、将来の脅威を見据えつつ、部隊運用のニーズ等にも応えられるよう、安全保障上の優先度や重要性、技術のシーズも踏まえ、引き続き速やかに、かつ着実に進めていく考えでございます。

吉田(宣)委員 AIを用いた技術というふうなものも御紹介いただいたところでございますが、先ほども申し上げましたが、技術というのは日進月歩、特に進化をしていくものでございますから、しっかりその進化に合わせてお取組を進めていただきたいと思います。

 さらに、今申し上げたような取組を踏まえて、その情報というものを自衛隊内部で正確に共有する必要があるんだろうと思っております。

 そして、そのために備えなければいけないのは、これは最近問題になっておりますけれども、サイバー攻撃への備えであろうと思います。自衛隊全般についてサイバー攻撃に備える必要性が極めて重要だと私は思っておりますけれども、サイバーの分野は、まさに私が今申し上げたように、これもまた技術の上で日進月歩、とにかく日々進化していると思われます。

 そこで、防衛省のサイバー攻撃への備えについて、ここもお答えできる範囲で結構でございますので、そのお取組について御答弁を願いたく存じます。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信ネットワークに対するサイバー攻撃に対しましては、自衛隊の組織的な活動に重大な支障が生じる事態を防止しつつ、情報通信ネットワークのより安定的な利用を確保することが必要でございます。

 このため、防衛省・自衛隊におきましては、自衛隊サイバー防衛隊等が二十四時間体制で情報通信ネットワークを監視し、サイバー攻撃への対処を行っております。

 また、日々高度化、巧妙化するサイバー攻撃に適切に対応するため、防衛省・自衛隊におきましては、サイバー防衛能力の抜本的強化が必要と考えておりまして、具体的には、サイバー部隊の体制強化、サイバー人材の確保、育成、システムネットワークの充実強化等の施策により、サイバー領域の能力強化を図っているところでございます。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 サイバーに関連するんですけれども、防衛のための、備えとしてのサイバー対策という意味合いで私は御質問させていただきましたが、今度は、防衛という目的はまず同じなんですけれども、サイバーというものを使って侵略をしてこようとする、また侵略をする相手方に対する行動を妨害する意味合いでのサイバーというものも私は大切であろうと思っております。

 この点についての防衛省の御認識と、ここもお答えできる範囲で結構でございますので、この点に関するお取組がございましたら、御答弁を願いたく存じます。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御認識は、防衛省としても共有しているところでございます。このため、防衛大綱、中期防に従いまして、相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力、この構築を行ってきているところでございます。

 この能力は、有事に際しまして、相手方の武力攻撃に用いられるシステム等に対してネットワーク等を通じて電子情報を送信することによりまして、当該システム等の機能発揮に支障を生じさせることで相手方がサイバー攻撃を行うこと自体を阻止する、そしてまた、相手方の戦力の円滑な機能発揮を妨害する、そういった能力でございます。

 引き続き、この能力を含めたサイバー防衛能力の抜本的強化を図ってまいりたいと考えております。

吉田(宣)委員 御答弁ありがとうございます。

 最後の質問になりますけれども、またサイバーに関連しますが、サイバー人材の育成と確保についてお聞きをしたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、この分野は日々刻々と進化している。先日成立した改正防衛省設置法において、サイバー領域に係る体制の強化が図られました。しかし、諸外国と比べてそれだけの体制強化で十分なのか、また、目的とするサイバー対策や求められるサイバー技術の獲得のために十分なのか、私は常に、日々検証されなければならないと考えております。場合によってはすぐにでも、高い報酬を支払ってでも優れたサイバー技術者が確保されなければならない場合もあり得るのではないかというふうに考えております。

 そこで、サイバー人材の育成と確保について、外部人材の登用も併せて防衛省の御認識をお聞きしたく存じます。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー領域において優れた能力を持つ人材の確保、育成は喫緊の課題であると認識しているところでございまして、部内人材の育成と部外人材の活用によりましてこういう取組を行っているところでございます。

 まず、部内人材の育成につきましては、一定のレベルまでの人材に対しまして、例えば、令和元年度から、陸上自衛隊通信学校におきましてサイバー共通教育、三か月間でございますが、これを行うなど、陸海空自衛隊の部内教育によって育成を図っているところでございます。

 また、より高いレベルにつきましては、各人の能力に応じまして、企業研修、情報セキュリティ大学院大学や米国防大学など国内外の教育機関への留学、これは一年から二年ということになりますが、こういうことや、部外の教育コースの受講、約一か月などを通じた教育を行っているところでございます。

 次に、部外の人材の採用という観点でございますが、令和三年度から、非常勤のサイバーセキュリティ統括アドバイザーといたしまして、高度な知識、スキル及び豊富な経験、実績を持つ人材の採用を開始いたしまして、令和四年度におきましては、予算約〇・四億円を確保の上で三名の統括アドバイザーを採用したほか、サイバーセキュリティー要員として自衛官や防衛技官の選考採用などの取組を行っているところでございます。

 今後も、防衛省・自衛隊のサイバー人材の強化に向けまして、部外の人材の活用を含めまして、幅広い取組を着実に進めてまいる所存でございます。

吉田(宣)委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大塚委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。篠原豪でございます。

 今日も質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、先週、先々週と決算委員会もありましたので、核使用について危機が高まっているウクライナというような状態についても少し議論をさせていただいております。今日も宮澤委員から、自民党さんの敵基地攻撃能力を反撃能力に変えるとか、あるいは核共有をどうするんだ、拡大抑止をどうするんだ、EDD、これは日米拡大抑止協議の話だと思いますけれども、こういった話がありました。我々もこのことについてはしっかりと議論をさせていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、第二次世界大戦後のアメリカは、核兵器、運搬手段の面で、これまでの歴史を少し見てみますと、ソ連の報復を恐れずに一方的に核攻撃を行い得る圧倒的な優位に一時期立ってきたというふうに考えています。そのために、中部ヨーロッパ正面では、オーデル・ナイセ線、ポツダム宣言でオーデル川とナイセ川というのがドイツとポーランドの暫定国境というふうになりましたけれども、ここのところを超えて西側に侵攻してくるソ連軍に応戦するために、米国は、米軍は、短距離型の戦術・戦域核を西欧に大量配備をしてきたということになります。

 このアメリカが圧倒的に優勢な核戦力を背景に進めてきた西欧への戦術・戦域核の大量配備ですけれども、ソ連が米国本土に対する核兵器による報復能力を確立した一九五〇年代後半から一九六〇年代前半にかけて、米国の核による抑止の信頼性の低下が懸念されるようになりますと、アメリカは、欧州NATO諸国の懸念に応えようとして、ここで核共有を採用するようになりました。

 ですので、このニュークリアシェアリングについてですけれども、まず核共有の問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 この核共有ですけれども、これはNPT体制に反するものかどうかという議論があります。改めて政府の見解を外務大臣にお伺いしたいと思います。加えて、反しないとすれば、どのような理由によって反しないと考えているのか、御説明いただければと思います。

林国務大臣 NATOで行われておりますニュークリアシェアリングでございますが、米国の管理下にある核兵器を非核兵器国である一部のNATO加盟国の領土内に配備をいたしまして、同盟の核抑止ミッションとそれに関連する政治的責任及び意思決定を共有する仕組みであり、核兵器そのものの共有ではないとされていると承知をしております。

 一般にNPT上の整理を申し上げますと、核兵器国が同盟関係にある非核兵器国の領域内に核兵器を配備しても、当該非核兵器国が核兵器国の同意なしに核兵器を発射する権能を譲り渡されたのでなければ、核兵器の所有権又はその管理権が移譲されたことにならないので、このような状況はこの条約で禁止をされていないということになります。

 こうした整理は、従来から国会の場で御説明をしてきたところでございます。

篠原(豪)委員 それでは、ちょっと聞き方を変えさせていただきますけれども、少なくとも、NPT体制にとって、核共有による非核保有国への核配備、今の理屈で言うと当たらないということなんだろうと思いますけれども、実際にはこれは拡散をしていくということになりますので、これが好ましいことかどうかということだと思います。

 このことについては政府はどのような認識を持っているのか、お伺いさせていただきたいと思います。

林国務大臣 NPT上の整理は先ほど申し上げたとおりでございます。

 こうした整理でございますが、NPTの交渉過程における各国の議論の結果を踏まえたものでありまして、我が国としても従来から御説明をしてきたところでございます。

 我が国は、国際的な核軍縮や不拡散体制の礎石としてNPTを重視しておりますので、これまでもNPT体制の維持強化に向けた取組を行ってきたところでございまして、引き続きNPT体制の維持強化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 核共有というのは有事のときを考えた話でもあるんだと思うんですけれども、NPT自体は有事の話じゃないということも言われています。ですので、そこのところの切り分けをどういうふうに議論をしていくかということもしっかり見ていかなければいけないし、一部には、NPTは有事の際に適用されないと考えられるからこれは問題ないんだということですけれども、もしそうだとすると、NPTの実効性というのは実際はどこにあるんだという話にもなってきますので、こういった議論も今後も続けていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 核共有と非核三原則についてお伺いします。

 米国の核兵器を日本国内に配備をし、日米で共同運用する核共有については、これは安倍元首相が二月二十七日のフジテレビの番組で議論を始めまして、今日の委員会で宮澤委員からも私からも話になっているように、大きな国民的な関心事になっています。

 これについては話題になっていますけれども、同じような主張は過去からあったわけで、例えば中西輝政さんなんかは、二〇〇六年に「「日本核武装」の論点」にも書いているんですけれども、ほかの方もいろいろおっしゃっていますけれども、分かりやすいのでちょっとここを引用させていただきますが、国内に日本防衛のためだけの米国の戦域核兵器を配備をし、核のボタンを日米共同で運用することで核の脅威を抑止しようという構想が書かれ、そのために、非核三原則の持ち込ませずの原則を見直すべきだというふうに主張しています。

 そこで、こうした米国の戦術核の共有論は、非核三原則の持ち込ませず原則に違反することは自明なんですけれども、保有しないの原則にも抵触してくるのではないかというふうに思います。これは政府はどういうふうに考えているのか、仮に抵触しないのであれば、なぜしないのか、するのであれば、するという理由をお示しいただければありがたいと思います。

林国務大臣 NATOのニュークリアシェアリングは、米国の管理下にある核兵器を非核兵器国である一部のNATO加盟国の領土内に配備するものであり、核兵器そのものの共有ではないとされていると先ほど御答弁したとおりであります。これはあくまでNATOの取決めでございまして、その詳細、また具体的運用、これが外部に明らかにされておらないこと、また、NATO自体が非核三原則というものとの関係について整理しているわけでもないということでございますので、これが我が国の非核三原則の持たずに抵触するか、これを判断することは困難でございます。

 いずれにしても、平素から自国の領土に核兵器を置くことを前提としていることから、我が国の非核三原則と相入れず、認められないと考えております。

篠原(豪)委員 確認していきたいと思うんですけれども、そういった議論が今国の中で起きていますので、確認することが大事だというふうに思っています。

 それで、今おっしゃったNATO型の御説明の部分については、これはハードとしての核シェアリングです。それで、ミッションとして、共同作戦としてどうするかというのも考えていかなければいけないということなんだと思います。

 そういった中で、日本はこれまで指揮権の独立というものをしっかりと言ってきておりますので、ここで、核のボタンの日米の共同運用というものが考えられるとすればどうなるかということで、仮に、この議論が今まである中で、核のボタンを日米で共同運用するとしても、アメリカが望まないのに核が使用されるということは事実上ないんだというふうにこの地域では思います。

 それで、NATO軍の場合は、各加盟国の部隊は米軍司令官の指揮下にあります。NATOの場合は、トップは米軍司令官でありますので、核使用について意見が対立するといった問題は指揮命令系統上余り存在しないということが考えられるんじゃないかというふうに思います。

 ところが、日本の場合は、一九五九年の十一月ですけれども、赤城防衛庁長官が内閣委員会で述べられた有名なお話なんですが、「アメリカの司令部の司令に従って日本の自衛隊が動くとか、日本の自衛隊の命令によってアメリカの軍が動くとか、こういう形はとりません。お互いに別々に、そういう場合の作戦対策本部というものがありまして、その間の連絡を非常に密にして防衛に努める」ということになっています。

 これが指揮権の独立ということになるんですけれども、今、いろいろと環境が変わってきて、サイバーとかも含めてある中で、この指揮権の独立というものは今も維持されているのか、このことについて防衛大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますし、仮に維持されているとすれば、まあ維持されていないと新しい答弁になっちゃうんですけれども、維持されているとすれば、日米で核共有した場合、核のボタンの日米共同運用は可能かというところに入ってくるわけですね。なので、これは、防衛大臣の答弁の後に、外務大臣に、その答弁を受けて、日本が核使用にノーと言える余地があるのかどうかということを議論させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

岸国務大臣 自衛隊による全ての活動は、米軍との共同対処を含めて、我が国の主体的な判断の下で、日本国憲法、国内法令等に従って行われております。自衛隊及び米軍は各々独立した指揮系統に従って行動をしています。

 二〇一五年に策定した日米のガイドラインにおいても、自衛隊及び米軍の活動について、各々の指揮系統を通じて行動すること、また、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われることが明記されております。

林国務大臣 日米間で核共有を行うということを前提とするという、いわば仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思いますが、日米間で、平時から緊急事態まで、あらゆる段階におきまして、自衛隊及び米軍の活動に係る政策面、運用面の調整を強化するために、様々なレベルで緊密に連携することとしております。

 他方、アメリカの核兵器の使用に係る権限について、一般論として申し上げますと、米国大統領は米国の核兵器の使用を承認することが可能な権限を有する唯一の存在であるとされておりまして、我が国は米国の核兵器の使用に関する権限を有しておらないと考えております。

篠原(豪)委員 指揮権の独立はあるままだということでありますので、NATO型の核共有というのは指揮権が独立していないので、その違いがあるということもしっかりとこの議論の中で、この議論は、結構、本当にいろいろなところからいろいろな話になっていて、どこかで整理しないといけないというふうに思っていまして、今は歴史的な流れからお話をさせていただいているのでありますけれども。

 ちなみに、これも仮の御質問で申し訳ないんですけれども、日本は、平和国家の象徴として、先ほど宮澤委員もおっしゃっていましたけれども、核の非核政策をしっかりと取り入れて、核を廃絶していかなければいけないということを言ってきている国でございます。そういった日本が、例えばNATOと同じような仕組みを、議論が今国内でありますけれども、取り入れた場合に、外交的に日本としてマイナスの要素も大きいんじゃないかというようなことも考えなきゃいけないんだと思うんですね。

 そういったことについては、外務大臣は、一般論ですけれども、どのように思っていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

林国務大臣 政府の立場はこれまで御説明しているとおりでございまして、非核三原則を堅持していくという考えに変わりはないわけでございまして、今お話のあった核共有に関する議論を行うことは考えておらないわけでございます。

 いずれにしても、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界に向けて、引き続きしっかりと取り組んでいくと考えております。

篠原(豪)委員 非核三原則については、後ほど時間があれば少しお話を伺いたいと思いますけれども、次に、敵基地攻撃能力について少しお話がありましたので、私からもお伺いさせていただきたいと思います。

 自民党さんの安保調査会では、二十一日に、敵のミサイル基地をたたく敵基地攻撃能力について、名称を反撃能力と変えた上で保有するよう政府に求める提言をまとめております。攻撃対象には指揮統制機能等も含めるとされております。反撃能力に名称を変更したとはいえ、やることは、考えていることは変わらず、どの部分、どこまでかというのを発表したわけですけれども、敵のミサイル発射拠点やミサイル攻撃に関する指揮統制施設、つまりこれは敵基地ですけれども、これを攻撃することに変わりはないと考えています。

 また、こうした施設は地下のシェルターによって防護されておりますので、巡航ミサイルでは到底破壊できません。そうした巡航ミサイルを我が国の領土から発射することも現実的かどうかというと、今のウクライナを見ていただいても、いろいろなミサイルがあってどのぐらいの打撃力があるかというのは映像にも出ているわけですね。とすると、本当にその目的を達成しようとすれば、最低限、破壊力のある弾道ミサイルや地下貫通型の特別な爆弾、あるいは、相手国の近くまで進出できる潜水艦からSLBM、これを発射するということを考えないと反撃能力にはならないんじゃないかというふうに思っています。

 このことについて政府はどのように考えているのか。私と同じような認識があるのであれば教えていただきたいですし、また、違うのであれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

岸国務大臣 自民党の提言について、今後政府に提出されるものと承知をしております。

 政府として今の時点でコメントすることは差し控えますが、政府としては、急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対しても、国民の暮らし、命をしっかり守るために十分な備えができているのか、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであります。

 このため、具体的な内容をお答えできる段階にはありませんが、今後、新たな国家安保戦略等を策定していく過程で、憲法及び国際法の範囲内で検討を進めてまいります。

篠原(豪)委員 私がお伺いしたのは、もし仮に、敵の地下シェルターのようなところで防護されている司令室的な場所を打撃するというふうになった場合には、非常に大きな戦力が必要になってくるということなので、このことについて一般論でどういうふうに思っていらっしゃるのか。

 やはり豆鉄砲とかピストルで行くわけではないので、それを防衛大臣は現実的にどういうものを、日本の仮想敵国はつくらなくてもいいですけれども、一般のシミュレーション、作戦として、そういったものを撃つときにはどのように考えていらっしゃるか、もう少しお話しいただくことはできますか。

岸国務大臣 ただいまの件について、自民党の提言はまだ提出されておりませんので、そことは切り離して考えるしかないんですけれども、我々は、今の段階で、新たな国家安保戦略を策定していく過程においては、憲法、国際法の範囲内でしっかりと議論を、検討を進めてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 今日は与党の方からも、宮澤委員からも敵基地反撃能力についてもお話がありましたし、これから三文書が決まっていくわけですから、戦略、大綱、計画、そういった中で、我々の議論もしっかりと受け止めていただいた上で政策を練っていっていただきたいと思いますし、現実的な外交、安全保障をやるのが大事なので、そのこともよろしくお願いしたいと思います。

 専守防衛と反撃能力の関係についてもう少しお伺いしたいと思いますが、専守防衛は、日本の防衛戦略の基本方針で、相手からの武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使するもので、その程度も必要最小限にとどめ、装備も自衛のための必要最小限のものに限っています。鳩山さんのときに、誘導弾についてはできるというのは分かった上でお話をさせていただいています。

 しかし、こうした基本方針は、日米同盟による矛と盾の役割分担があることで実現している政策だと、日本は、思います、これまで。そういった中で、日米のこうした同盟関係がなければ、逆に言えば専守防衛も成り立たない。としますと、我が国が、仮に反撃能力を持つ、これからやっていくという中で、その一部といえども担うということをやっていくということに次からなっていくとすれば、これは、これまでの日米の役割分担を変更するということになるのかどうかというふうに思います。

 変更するということだと考えますけれども、政府としても同じ認識を持っているのか、これは防衛大臣にお伺いいたします。

岸国務大臣 政府といたしまして、いわゆる敵基地攻撃能力を含めて、あらゆる選択肢を排除せずに、現実的に検討していくこととしておるわけですが、今後とも、憲法、国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を変更しないことを前提として、国家安保戦略等を策定する中で議論をしてまいります。

 専守防衛の考え方については、先ほど委員からもお話があったとおりでございますが、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針であります。政府としては、昭和三十一年の統一見解とこの専守防衛の考え方は整合するものと考えておるところでございます。

 委員から御指摘のありましたいわゆる盾と矛の役割との用語については、政府として確立した定義はございません。政府は、いわゆる敵基地攻撃について、日米の役割分担の中で米国の打撃力に依存してきていると説明してきており、一般にはこうした趣旨で用いられてきていると考えています。

 いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討することとしておりますが、検討の結果を予断することは差し控えますが、今後とも、日米の基本的な役割分担を変更しないことを前提として、国家安全保障戦略等三文書を策定する中で議論をしてまいります。

篠原(豪)委員 今お話を伺っていますと、盾と矛の関係というのは変えないで、これまで言ってきたものを変えないと言っているんですが、一方で、どれだけのものを自衛隊が打撃力として持っている、反撃能力、敵基地攻撃能力と言っているわけで、その装備品を入れていくということになるとすると、それが考えられる。

 外務大臣にお伺いさせていただきたいんですけれども、安保条約はそもそも物と人との協力とされてきています。そうなると、武器の部分が入ってきて、もし、新しい戦略、大綱、計画で、これが人と物との協力の域を超えるような内容になった場合には、地位協定の改定もしていかなければいけないということになるのかもしれませんが、このことはどういうふうに今捉えていらっしゃるでしょうか。

林国務大臣 先ほど防衛大臣からも御答弁がありましたように、いわゆる敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに、現実的に検討していくということとしておりますので、これも御答弁があったとおり、日米の基本的な役割分担を変更しないということを前提として、国家安全保障戦略などを策定する中で議論していくことになっております。

 したがって、日米安保条約や日米地位協定を改定する必要はないというふうに考えております。

篠原(豪)委員 では、また新しく出てきたときに見せていただいて、また意見交換をさせていただければと思います。

 拡大抑止と非核三原則についてお伺いをいたします。

 非核三原則を少し、どういう経緯だったかということを改めて国会でお話をしておくのも大事かなと思ってさせていただくんですが、一九六七年の十二月十一日の衆議院予算委員会において当時の佐藤首相が初めて表明した憲法原則ですが、その前年の十月に、中国が初の核ミサイル、東風二号ですね、この発射実験に成功したことがこの宣言につながったということが歴史的には明らかになっています。そして、これは米国の拡大抑止と一体の政策につながっているということです。

 具体的にもう少しお話をさせていただきますと、一九六五年に訪米した佐藤首相は、ジョンソン大統領との首脳会談で、個人的には、中国が核を持つならば、日本も核を持つべきだと考える、こういったことを発言したことに対して、ジョンソン大統領は、日米安保条約の下、米国の核戦力が日本に対する核攻撃を未然に防止するための主たる抑止力になるということを表明し、米国が核の傘を提供する旨を約束しました。

 これを受けて、佐藤首相は、「核は保有しない、核は製造もしない、核を持ち込まないというこの核に対する三原則、その平和憲法のもと、この核に対する三原則のもと、そのもとにおいて日本の安全はどうしたらいいのか、これが私に課せられた責任でございます。」と述べつつ、続けて、「今日中共が核兵器を持ちましても、ただいまのような安全保障条約のもとにおいて日本の安全は確保される、かような確信を持っております。」と答弁しております。ですので、紛れもなく、非核三原則は米国の核の傘と一体のものであるということを示しています。

 しかし、ここに問題があるのかどうかということでお話を聞かせていただきたいと思います。

 防衛計画の大綱には、核兵器の脅威に対しては米国の核抑止力に依存すると書いているように、日本は核の脅威に対してのみ米国の核の傘を頼っていますが、米国の核は、核以外の様々な脅威に対しても使用されるということになっています。したがって、日本が望まない核攻撃が行われる危険性が実はあるというままになっていると考えていますが、それを日本政府が防ぐ手段があるのかないのか、あるとすれば、どのようになされるべきと考えているのか、御説明を外務大臣にいただければと思います。

林国務大臣 我が国に対する武力攻撃が行われる場合に日米両国がどのような対応を行うか、これにつきましては、その時々の状況等によって異なりますことから、一概にお答えすることは困難であり、また、事柄の性質上、詳細にわたってお答えすることは控えたいと思います。

 いずれにいたしましても、今回発出されました核態勢の見直しに係るファクトシートにおいて明らかにされておりますように、米国は、米国、同盟国及びパートナーの死活的利益を防衛すべき極限の状況下においてのみ核兵器の使用を検討する、こういうふうな立場だというふうに承知をしております。

篠原(豪)委員 ちなみに、先ほどの委員からも御質問がありましたEDD、この中では、この枠組みで実質的な核作戦の調整というのはできるようになっているんでしょうか。

 核の使用は大統領権限が関わってくる重大な決定事項でありますので、先ほどもありましたけれども、官僚レベルの調整では困難な問題があると考えています。このため、こうした事態に対応する方策を持っているのか、あるいはどう考えていらっしゃるかということをお伺いします。

林国務大臣 我が国を取り巻く安全保障環境や、現実に核兵器が存在している、こういうことを踏まえますと、核抑止力を含む米国の拡大抑止は不可欠であり、その信頼性の維持強化のために、米国と緊密に協議、協力をしていくことが重要だと考えます。そうした文脈におきまして、日米拡大抑止協議の場を含め、様々なやり取りを行っております。

 この拡大抑止協議におきましては、日米同盟の抑止力を強化する方策につきまして率直な意見交換が行われております。例えば、米側からは、米国の抑止政策やこれを裏打ちする能力について説明を受け、日本側からは、米国が提供する拡大抑止の信頼性が維持されるということが重要である、こういうことを説明してきているなど、双方向の緊密なやり取りが行われております。

 また、私自身、本年一月の日米2プラス2におきまして、閣僚レベルで、日米両国が、米国の拡大抑止が信頼に基づき、強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性、これを確認したところでございます。

 これらのやり取りの詳細につきましては、我が国の安全保障に関わるという事柄の性質もあり、またアメリカとの関係もあり、お答えを差し控えたいと思いますが、引き続き、米国の拡大抑止の信頼性の維持強化に向けて日米間で協議を行ってまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 是非しっかりとした議論をしていただきたいというふうに思います。その体制をちゃんとつくっていっていただいてしっかりと対応していただければと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、ちょっと話が変わるんですが、自衛隊機の派遣についてお伺いをしたいと思います。

 日本政府は、ロシアのウクライナ侵攻に関連して、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所が、ウクライナ周辺国に毛布などの人道的物資を輸送するために、PKO協力法に基づいて、C2輸送機などを派遣する準備を進めていたということです。同法に基づく自衛隊機の物資輸送は二〇〇三年のイラク難民支援以来でしたけれども、インドが自衛隊機での物資持込みを拒否したので、計画の再検討が必要になっているということなので、このことについて現状を最後にお伺いしたいのと、もう時間になりますので、最後に、インドへの働きかけを、その上でどういうふうに、外務大臣、これからクアッドの首脳会議が五月に開かれますので、少なくとも力による現状変更に反対するということぐらいでは一致していただきたいと思いますので、これは外務大臣、最後になりますけれども、この点について、意気込みも含めてしっかりと御説明いただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

林国務大臣 自衛隊機の派遣による支援も含めて、政府としては、引き続き様々な支援の可能性を検討していく考えでございますが、現時点で自衛隊機の派遣について具体的に決まったことはないわけでございます。

 どのような国との間でどのような話合いを行っているかについては、外交上のやり取りでございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

 また、インドについてでございます。

 先般の岸田総理訪印の際の日印首脳会談でも、モディ首相との間で、いかなる地域においても、力による一方的な現状変更を許してはならないということや、国際法に基づき、紛争の平和的解決を求める必要があることを確認し、こうした状況だからこそ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組、これを一層推進していくことが重要であることを確認をいたしました。

 クアッドということをお触れになられましたけれども、次回の首脳会合について現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、二月に日米豪印の外相会合を行っております。また、三月に首脳テレビ会議でも本件について議論を行ってきております。

 次回の首脳会合においては、これまで各国との間で一致してきた点も含めて、首脳間で率直に議論するとともに、四か国の連携を改めて確認する機会としたいと考えております。

篠原(豪)委員 インドは国連のロシア非難決議を棄権して、三月に岸田首相がインドを訪問した首脳会談でも、共同声明にロシアへの非難の文言を盛り込むことに同意しませんでした。対ロシアで足並みの乱れをこれ以上露呈するわけにはまいりませんので、どうぞしっかりと御対応いただければと思います。

 そのことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、徳永久志君。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 ちょっと質問の通告の順番を入れ替えさせていただいて恐縮ですけれども、御協力をいただきます。ミャンマー情勢を先にさせていただきます。

 世界の目がウクライナに集中をしております。当然です。ロシアの侵略行為は本当に許すわけにはいきません。

 そしてまた、ミャンマーに関係する情勢も大変実は厳しさを増しているということでもあります。ちょうど昨年、軍事クーデターが起きまして、一年余りがたちました。現在もなお、各地で民主派勢力や市民、ジャーナリストなどが拘束される一方で、軍用ヘリや戦闘機による爆撃が行われたり、集落全体が焼き払われたりというような惨状となっています。国連難民高等弁務官事務所によりますと、この一年間で新たに四十四万人もの避難民が発生をしているというような状況でもあります。

 そこで、まず、昨年二月一日の軍事クーデターから一年を経過したわけですけれども、クーデター発生後から今日に至るまでの間、政府が発出した声明などを踏まえ、現状どのように認識をされておられるか、外務大臣にお聞きします。

林国務大臣 ミャンマー情勢につきましては、日本政府は、クーデター発生以来、ミャンマー国軍に対して、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復、これらについて強く求めるとともに、ASEANの五つのコンセンサス、この履行の重要性を強調してきたところでございます。

 クーデターから一年を迎えました本年二月一日には外務大臣談話を発出をいたしまして、ミャンマーで今なお事態の改善に向けた動きが見られないことに懸念を表明し、改めてミャンマー国軍に対しまして、先ほど申し上げました三点について具体的な行動を取るように強く求めたところでございます。

 ミャンマー問題の事態打開に向けては、国際社会との連携も不可欠であります。引き続き、ASEANを含む国際社会と連携しつつ、日本としての役割を果たしてまいりたいと考えております。

 また、困難に直面するミャンマーの人々に寄り添うために、人道支援、これも積極的に実施してまいりたいと考えております。

徳永委員 事態改善がいまだ見られないと強い懸念を示されたわけですけれども、そうした中で、それでは、具体的に、ミャンマー国軍に改善を促すべく、しかるべき対応というのはどのように取られているんでしょうか。外務省、お伺いします。

實生政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣の方から申し上げたみたいに、日本政府の方から、昨年のクーデター発生以来、ミャンマー国軍に対して、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復ということについて強く求めるとともに、ASEANの五つのコンセンサスの履行の重要性ということを強調してきたわけですけれども、その上で、ミャンマーに対するODAについては、こうしたクーデターを受けて、国際機関を通じた人道支援については積極的にこれを実施している一方、国軍主導の現政権、まあこれは括弧つきの政権ですけれども、との間で二国間の国際約束を伴うODAについて直ちに行わなければならない案件はないという立場を表明しております。

 今後とも、我が国や国際社会による取組の状況を見ながら、どのような対応が効果的かということを総合的に検討していく考えであります。

徳永委員 ODA、今までミャンマーには非常に熱心にやってきたわけですけれども、人道支援を除いて、新たに二国間の約束が必要となるようなものについてはやっていかないというようなお答えでありました。

 また、自衛隊制服組のトップである山崎統合幕僚長は、クーデター発生二か月後の二〇二一年三月二十八日、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど主要先進国十一人の参謀長らと共同声明を発出をされました。その内容、そして意図について防衛省にお尋ねします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の声明は、ミャンマー情勢につきまして、関係国の防衛当局が共同で適切なメッセージを発出することが重要であるとの考え方の下、我が国や米国を含む十二か国の参謀長等の連名により発出したものでございます。

 十二か国と申しますのは、豪州、カナダ、ドイツ、ギリシャ、イタリア、日本、デンマーク、オランダ、ニュージーランド、韓国、イギリス、アメリカでございます。

 この声明におきましては、ミャンマー国軍及び関連する治安機関による民間人に対する軍事力の行使を非難するとともに、ミャンマー国軍に対して暴力を停止するよう強く求めているものでございます。

 政府としましては、引き続き、ミャンマー国軍に対しまして、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復について、具体的な行動を取るよう強く求めてまいります。

徳永委員 つまり、日本政府として重大な懸念を有し、そしてまた、新たなODAもやらない、自衛隊トップも国軍の暴力行為を強い言葉で非難をしているというようなことだと思います。

 そうしたら、一方で、国際社会の対応はいかがなんでしょうか。アメリカやEUなどは経済制裁を行っていると伺っているところですけれども、状況を外務省に伺います。

實生政府参考人 お答えいたします。

 各国の個別の対応ということについては、ちょっと詳細にわたることはこの場では差し控えたいと思いますけれども、御指摘のあったような欧米諸国について言えば、アメリカ、それからイギリス、EUなどは、主に国軍幹部、国軍系企業などを対象とした資産凍結などの制裁を科していると承知しております。

 あと、国際社会全体としては、ミャンマー情勢に対する国連総会決議や人権理事会決議などを採択して、ミャンマー国軍に対して事態の改善を強く求めてきております。G7の外相声明とか、そうしたものもございます。

 以上です。

徳永委員 繰り返しますが、日本政府として重大な懸念を発表し、そして、新たにODAも進めていかない、自衛隊トップも国軍の暴力行為を強く非難している。また、衆議院においても、昨年六月に、ミャンマーにおける軍事クーデターを非難し、民主的な政治体制の早期回復を求める決議を採択をしているところであります。

 そして、国際社会においても、欧米が非難の声を上げ、軍関係者を中心として資産凍結などの措置を取っています。また、人権理事会等においても強く非難がされているということでもあります。

 したがって、日本も国際社会もミャンマー国軍を非難をし、圧力をかけている最中に、今もなおミャンマー国軍から士官候補生を留学生として防衛大学校などに受け入れているという問題をどうしても提起をしていかなくてはなりません。

 まず、これまでに、防衛省・自衛隊として、ミャンマー国軍からどれくらいの留学生を受け入れてきたのか、受入れ後の教育研修などに要した費用はどのくらいなのか、その総計、防衛省に伺います。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊におきましては、自衛隊法の規定に基づき、平成二十七年から、防衛大学校や各自衛隊の教育機関等において延べ三十名のミャンマー人留学生を受け入れております。

 また、ミャンマーを含む開発途上国からの留学生に対しましては、自衛隊法の規定に基づきまして、教育期間中に必要となる学習、生活費用の不足を補うための給付金を支給しております。このうちミャンマー人留学生に対する給付金につきましては、支給を開始した平成二十七年度から令和三年度までの金額の合計は約六千八百万円でございます。

徳永委員 これまで、平成二十七年から延べ三十人を受け入れてきたということでありますけれども、そのうち軍事クーデター発生後に受け入れたのは何人か、お尋ねします。

川崎政府参考人 御指摘の令和三年二月のクーデター発生以降におきましては、防衛大学校に二名、陸上自衛隊教育訓練研究本部に一名、航空自衛隊幹部学校に一名、合計四名のミャンマー人留学生を受け入れております。

徳永委員 軍事クーデター発生後に新たに計四名受け入れているというお答えがございました。

 じゃ、その受け入れた四名の、いわゆる士官候補生というんでしょうか、どのような教育訓練を日本で受けているんでしょうか、防衛省。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 ミャンマー人留学生を受け入れている機関のうち、防衛大学校におきましては、将来の幹部要員としての資質を養うとともに必要な知識、技能を修得させるため、教養科目や専門科目などの教育を行うとともに、基礎的な訓練を行っております。

 また、各自衛隊の教育機関等におきましては、部隊の指揮官や幕僚として必要な知識、技能を修得させるための専門的な教育を行っているところでございます。

徳永委員 何度も繰り返しますが、日本も国際社会も、ミャンマー国軍による市民への武力行使、弾圧によって多数の死傷者が出ている状況について強く非難をしているわけであります。

 そうした中で、そのクーデターが発生後もなお四人の国軍の幹部候補生をあえて受け入れ続けている理由について、防衛大臣に伺います。

岸国務大臣 政府として、ミャンマー情勢に関しまして、国際社会からの度重なる呼びかけにもかかわらず、暴力によって多くの死者が出ている状況を強く非難しています。

 その上で、防衛省・自衛隊におけるミャンマー人留学生の受入れについては、留学生が厳格な文民統制の下で運用される自衛隊の中に身を置くことにより、実力組織の在り方について様々な視点から考えるといった過程を経て、将来、民主主義や文民統制について正しい認識を持った人材として成長するという効果があると考えております。

 これまでのミャンマー人の留学生の受入れは、こうした意義等も踏まえた上で行ってきたものであります。

徳永委員 クーデターによって政権を強奪した国軍が、現在、ミャンマー市民を武力で弾圧をしている、そういう状況の中で、その組織の幹部候補生を日本に招いて、文民統制の在り方、民主主義とは何か、そういうことを教えているんですか。

岸国務大臣 防衛大学校も含めて、自衛隊の在り方というもの、民主主義国家としての組織の在り方というものをしっかり勉強してもらって、将来のミャンマーの国軍においてその考え方を生かしてもらえればというふうに考えております。

徳永委員 それは、市民を弾圧していて、そして国際社会が非難をしている国軍の、将来のための人材育成に手をかしているんですか。

岸国務大臣 今のミャンマー国軍、これまでのクーデターを含めて、その在り方については我々も非難をしているところですが、将来の、本来あるべきミャンマー軍の在り方として、自衛隊での民主主義国家における実力組織の在り方を勉強してもらって、そして、将来、ミャンマーにおいてその考えを生かしてもらえることを期待しているわけです。

徳永委員 じゃ、角度を変えます。

 それならば、日本に来た彼らが、その後、ミャンマーに帰国をして、どのようなポストに就いて、どういうキャリアを積んで、日本で得たことを生かしている、そういうフォローはされておられるんですか、把握はしておられますか。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 ミャンマー人留学生を含めまして、過去に防衛省・自衛隊において受け入れた留学生との間では、必要に応じ、現地の大使館等を通じて連絡が可能な体制を取っているところでございます。

徳永委員 ですから、どういうポストに就いて、どういうキャリアを積んで、どういう変化が見られるのかということは、きちんと把握をしておられるならば、何か御紹介できる事例等はありますか。

川崎政府参考人 繰り返しでございますけれども、ミャンマー人留学生を含め、過去に防衛省・自衛隊において受け入れた留学生につきましては、必要に応じ、連絡が可能な体制を取るとともに、今どういうポストに就いているかということにつきましても、相手国との関係で一定程度把握をしているところでございますが、その具体的な把握の内容につきましては、相手国との関係もございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

徳永委員 本当に、文民統制云々とおっしゃるけれども、あるいは民主主義云々とおっしゃるけれども、日本で訓練を受けた人たちが帰国をして、そして市民に銃口を向けるということを否定できないわけですよね。たとえどんなに立派な教育を受けた人でも、軍に戻れば上官の命令は絶対なわけで、そうしてくると、上官の命令は絶対なわけですから、そうした、市民に銃口を向けたり、あるいはヘリに乗って云々というのは当然考えられるわけですよね。

 となってくると、六千八百万も日本の税金を使ってミャンマーの市民に銃口を向ける人材を養成しているというふうに、現状はどうしてもなってしまうんじゃないんですか。そこらあたりはどうお考えになられますか、防衛大臣。

岸国務大臣 繰り返しになりますけれども、防衛省におけるミャンマー人の留学生の受入れについては、留学生が厳格な文民統制の下で運用されている自衛隊の中に身を置くことによって、実力組織の在り方について様々な視点から考えるといった過程を経て、将来的に民主主義や文民統制について正しい認識を持った人材として成長するという効果があると考えておるところでございます。

 こうした意義を踏まえて、令和四年度においてはミャンマー人留学生を受け入れることとしているところでございます。

徳永委員 もう一度言います。

 民主主義とか文民統制を学んだ人がミャンマー国軍に戻ったときに、上官の命令によって、市民に対して銃口を向けることはあり得るでしょう、ヘリに乗って爆撃に参加することもあり得るでしょう、そういった人たちを育成するために我々日本の税金が使われているということに対してどのように思われますかということなんです。

 そういうことは一切ない、日本から戻った人は、市民に銃口を向けたり、ヘリに乗って爆撃をしたり、そういうことは一切関わっていないということが言い切れますか。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しでございますけれども、私ども防衛省・自衛隊におきましてミャンマー人留学生を含む外国の留学生を受け入れた場合、例えば防衛大学校で受け入れた場合でございますけれども、一年生から四年生まで毎日、全寮制でございますので、多くの学生とともに一日中、朝から晩まで一緒に過ごすわけでございます。学生同士でいろいろな話をする、それから、テレビの報道で自衛隊が災害派遣で活動している様子とか、いろいろなものを見聞きをして、そういった中で、実力組織の在り方というもの、市民と軍事組織との関係とか、そういったものをいろいろ勉強しながら正しい在り方を身につけていってもらう。

 そういったことを我々は期待をしまして、それを持ち帰って、彼らの国の中でそれを生かして、正しい軍人に成長していただくということを期待して、このような教育を行っているということでございます。

徳永委員 各国から士官候補生を留学生として受け入れて、今あなたがおっしゃったような教育訓練を施していくということに対して、私は反対しているわけじゃないんです。それはそれで立派な制度だし、是非充実をさせてやっていただきたい。

 しかしながら、何でも、どんな国でもオーケーというわけにはいかないでしょう。これだけ国際社会が批判をして、日本自身も批判をして、強い言葉で非難をして、自衛隊のトップですら言っているわけなのに、なぜあえて受け入れ続けるのですか、ここは、状況が改善されるまでは停止をしてということが普通のやり方なんじゃないですかねということを先ほど来申し上げているんです。

 日本と同様にミャンマー国軍から留学生を受け入れていたニュージーランドはクーデター勃発直後、また、オーストラリアは翌月から留学生受入れを停止をしています。オーストラリアに至っては、英語教育という非戦闘分野に限定をしていたにもかかわらず、停止を即座に表明をしているんです。

 こうした流れがある中で、あえて受け入れ続ける、かたくなに、そこがどうしても理解ができないんです。もう一度教えてください。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって大変恐縮ではございますが、各国それぞれ、ミャンマー国軍の留学生に対する考え方については違いがあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げたように、ミャンマーの若い士官候補生というものが正しい物の考え方を身につけて将来のミャンマー国軍の幹部になってくれるということを期待しながら、こういった教育を続けているというところでございます。

 いずれにしましても、今後のミャンマーとの防衛協力・交流につきましては、引き続き、その意義や今後の状況の推移等を踏まえつつ、適切に判断をしてまいりたいと考えているところでございます。

徳永委員 正しい物の考え方を覚えて勉強してもらう、これは立派なことだと思いますよ。だから、その正しい考え方を学んだ人が国に戻って、そして結局、軍の中で、上官命令で銃口を向けることはあるでしょう、ですから、そういう状況が続いている以上は一度停止をしてはいかがですかということを私は申し上げているので、これは大臣、是非私の意図は理解をしていただきたいと思います。

 特に、途上国からそういった士官候補生の方々を日本に受け入れて、いろいろと教育研修を受けていただく、その制度を、駄目だ、やめろとは言っていないんです。ミャンマーの今のこういう状況の中で国軍が傍若無人なことを市民に対してやっている以上、それが改善されるまでは受け入れるのは停止してもいいんじゃないかということをずっと申し上げているということは、是非理解をしてください。

 その上で、新年度の受入れは結局どうされるんでしょうか。これは防衛大臣にお願いします。

岸国務大臣 令和四年度においては、防衛大学校の本科で二名、防衛大学校研究科で一名、航空自衛隊幹部候補生学校で一名のミャンマー人留学生を受け入れることといたしております。

徳永委員 冒頭に、林大臣がミャンマーの状況は改善をされていないというふうにおっしゃって、それが政府のミャンマーに対する見方であるし、また、国軍に対しても改善がなされていないということも述べられました。そうした政府の見解の下で物事が進んでいくものだという理解をしましたので、前段からずっと政府の考え等をお聞きしてきたわけです。

 そして、その下された決断が、今までどおり派遣をするということなんですか。ここは矛盾しませんかということです。

岸国務大臣 クーデター後のミャンマーとの交流につきましては、省内でも様々議論をしてまいりました。その中で、今後の交流を切るというのも方法かと思いますけれども、そのことよりも、民主主義それから文民統制の在り方を理解してもらう人間を一人でも育てていくことでミャンマーの将来の在り方につながってくれば、こういう考えで今続けているところでございます。

徳永委員 ですから、今大臣がおっしゃったことはよく分かるんです。そういう人材育成というのは必要だけれども、今やらなければいけないですかということを再三にわたって申し上げているんです。

 大臣がおっしゃったように、これまで培ってきた人的なパイプというのは大事にしたい、分かります。ミャンマーとは伝統的に友好国、日本とは友好関係にありますから、そうしたつながりも大切にしていきたい、知日派を増やしていきたい、そういったことも重要だと思います。余りたたき過ぎると完全に中国に寄っていってしまうのでそれも避けたい、こういう思惑が働くというのは一定程度理解はします。

 しかし、今はミャンマー国民のことを第一に考えるべきではないんでしょうか。日本としては民主化へのプロセスにしっかりと関わることを考えていくことが必要なんじゃないのかということなんです。そのことが最後には我が国の国益にもつながっていくということだと思います。

 是非、そういった部分については大臣にも理解をしていただきたいし、共有をいただければありがたいのですが、最後、いかがでしょうか。

岸国務大臣 留学生の受入れを含む今後のミャンマーとの防衛交流の在り方については、引き続き、その意義や今後の推移等を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えます。

徳永委員 引き続いて受け入れるということですから、私も、この問題についてはきっちりと今後もフォロー、チェックを続けていきたいというふうに思いますので、また議論をさせていただければというふうに思います。

 次の関係に行きます。

 先ほど篠原先生の方から、自衛隊機のインド着陸拒否の問題を少しお触れになりました。

 私は、インドが着陸拒否をした理由について、これが非常に、どういうことなのかなと思うんです。実は、この自衛隊機が行こうとしたタイミングというのは、自衛隊の統幕長がインドを訪問する時期と重なっていたか直前だったかということをお聞きしたんですけれども、この統幕長のインド訪問の目的についてお教えいただけますか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 統幕長は、四月二十五日から二十七日までの間インドを訪問いたしまして、インドの外務省及びシンクタンクが共催しますシンポジウム、ライシナ対話二〇二二に参加いたします。また、この機会を捉まえまして、インド、アメリカ及び豪州の参謀長等との会談等を実施しまして、そういう参加各国の参謀長等との間で、自由で開かれたインド太平洋、FOIPの実現の増進ということに関しての様々な議論をするものと聞いております。

徳永委員 統幕長が出席をされる非常に意味のある国際会議ということでもありますし、自衛隊機が着陸をして人道支援物資を積み込んで云々というのが実現できていれば、そういったものも話題にしながら、両国間の防衛協力の関係についての議論もまた非常に実りのあるものになったのではないかなというふうに想像をしますと、ある意味、こんないいタイミングでなぜインドが着陸を拒否したのかということなんです。

 ここを外務大臣としてはどのように分析というか把握をしておられるのか、お聞かせください。

林国務大臣 この自衛隊機の派遣による支援も含めまして、政府としては、引き続き、様々な支援の可能性、これを検討していく考えでございますが、現時点で自衛隊機の派遣について具体的に決まったことはないということでございます。

 どのような国との間でどういうような話合いを行っているか、これにつきましては、外交上のやり取りのために差し控えさせていただきたいと思います。

徳永委員 インドが今回のウクライナ問題について取ってきている立場というのはどうなのかという部分があります。

 まず言えるのは、二月二十四日、侵略行為が始まって以降、ただの一度もロシアを名指しして非難をしていない、ロシアを名指しするような非難には棄権をしているということが一貫した立場であります。

 インドというのはロシアと非常に、長年の友好関係にあって軍事支援も受けているからロシア支援に回ってもおかしくはないと思いきや、ロシアについても、例えば、ロシアが独自に提出した安保理の決議でも、中国は賛成をしましたが、インドは棄権をしているというようなことでありますので、ある意味、このウクライナ情勢については、インドは中立的な立場を取り続けるのだということで一貫しているというふうに私には見えるんですけれども、外務大臣、通告していませんが、いかがでしょうか。

林国務大臣 今委員からお話がありましたように、ロシアとインドは、年次の首脳会談を実施するなど、政治面や軍事面を始めとして伝統的な関係があります。

 そうした中で、インドは、ロシアによるウクライナ侵略を受けた関連の国連決議、今お話をしていただきましたように棄権票を投じる一方で、ロシアとの首脳電話会談、また外相会談におきましては、名指しでの非難は避けつつも、ロシア側に戦闘行為の停止等を訴えてきている、こういうふうに承知をしております。

 日本といたしましては、先月、岸田総理がインドを訪れられたときに、首脳間でウクライナ情勢に関しまして、戦闘の即時停止と対話による事態の打開に向けた働きかけを行うことの重要性、これで一致をしておりまして、岸田総理から、モディ首相に対しては、プーチン大統領に対する更なる働きかけを含めて協力を要請したところでございます。

 引き続き、ロ印関係の動向もしっかり注視をしながら、様々な機会を捉えてインドとの意思疎通を行うなど、適切に対応してまいりたいと考えております。

徳永委員 私が少し懸念をいたしますのが、インドは、経済制裁にも参加をしていない、それから様々な非難決議等々でも棄権の立場を取る、日本を含めG7各国との連携した行動というのはなかなか取ってくれないということで、ある意味、何なんだそれはみたいな言説がいろいろ飛び交うわけであります。そして今度の自衛隊機着陸拒否で、日本とインドの関係が少しおかしな方向に行ってしまいやしないかということは非常に懸念をするものなんです。

 日本とインドの行動、立場の違いというのが、これは様々な場面で取り上げられるに至っていますし、それが、全体が累積をされていくと、何か悪化の方向に行かなければいいかなというような、非常に危惧の念を持ちます。

 こうした危惧が現実とならないように、是非、林大臣には、適切に状況をマネジメントしていただきたいなというふうに思うんです。こうしたマネジメントができないと、何かおかしな方向に行ってしまうと、一番それを見て手をたたいて喜ぶのはどこかということは、もうこれは明確でもありますので、是非そういった部分について適切にマネジメントしていただきたいんですが、林大臣、いかがでしょうか。

大塚委員長 時間ですので、もうここで終わってください。

徳永委員 じゃ、是非適切にマネジメントをお願いいたします。

 それでは質問を終わります。どうも失礼いたしました。

大塚委員長 次に、太栄志君。

太委員 太栄志でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 ウクライナ戦争から二か月が過ぎました。そういった中で、本当に連日、岸防衛大臣始め政府の皆さんの御尽力に心からの敬意と感謝を申し上げます。

 そういった中、本日は、今、ウクライナ戦争、また、我が国周辺で本当に東アジアの安全保障環境が大変不透明になっていく中で、我が国が本当に国民をしっかりと守り抜ける体制なのかどうか、そのことについて質問したいと思っております。

 その大前提としての、自衛官に対する処遇の在り方がまず第一。そして、核シェルター、国民保護体制の在り方、また、いわゆる敵基地攻撃能力に関しても本日は質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初、自衛隊員の処遇に関して、私は、防衛出動手当のことで、先月、三月十五日でした、安全保障委員会でも質問しましたが、それからどういった進展があるのかというのをもう一度教えていただきたい。これは大変重要だと私は思っておりますので、改めて確認させていただきたいと思っています。

 二〇〇三年に制定された防衛省の職員の給与等に関する法律の規定において、防衛出動手当の額は政令で定めるというふうにされております。しかし、先月、三月十五日の時点で確認した限りだと、十九年間政令は未制定、これが今、我が国の現状であります。

 この私の問題意識に対して、防衛省からは前回、どのくらいの作業、どのくらいの危険があるのか評価をして、どのくらいの金額の手当が適当なのか、こういった事務的な検討作業がかなり難しく、現時点では金額を定めるには至っていない、そういった答弁で、隊員処遇の確保の重要性を踏まえて、更に事務的な検討の推進に努力をしていきますというのが返答でありまして、また、岸防衛大臣からも、早急にこの問題については考えていかなければならないと思っているということで御答弁いただきましたが、それをまずお伺いしたいと思います。

 これは政府参考人の方でも構いませんが、この間どういった進展があったのか、どういった結論になったのか、まず御返答をお願いいたします。

川崎政府参考人 お答えいたします。

 防衛出動手当を検討する上での対象となる勤務の危険性や困難性につきましては、発生する事態の態様により様々な強度のものがあると考えております。

 その上で、平時におきましても危険を伴う任務というものはございまして、そういった任務にはしかるべき手当が支給をされるようになっておりますが、そういった手当と比べて防衛出動時の勤務の危険性や困難性がどの程度のものなのか、また、それを踏まえてどのぐらいの金額の手当が適当なのかといった事務的な検討を引き続き行っているところでございます。

 具体的な進展等につきましては現時点でまだ明確にお答えできる状況ではございませんけれども、そういったことで検討は続けておりまして、現時点ではまだ金額を定めるには至っていないところでございます。

太委員 それでは、進展はなかったということでよろしいでしょうか。確認です。もう一度お願いいたします。

川崎政府参考人 金額を定めるというところまで至っておらないのは事実でございますが、引き続き、鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。

太委員 これは、昨日の日経新聞の一面にありました。「法も備えも穴だらけ」、今この状況だということですね、我が国のこと。これは見せちゃいけないかもしれないんですけれども。安全保障、最悪を想定していない、まさにこのことを象徴しているんじゃないかと思っております。

 もちろん、防衛出動がないようにあらゆる外交努力をしていかなきゃいけないと思っておりますし、そういったことがあってはいけないと私は思っています。

 しかし、自衛隊員の一番重要な任務に対して、どういった手当になるのか、それが定まっていないということは、私は、この法的、備えも含めて穴だらけに加えて、自衛隊員への敬意が欠如していると思っております。

 そういった意味で、改めて、今度は大臣にお伺いしたいと思いますが、我が国としては、もちろん防衛出動するような事態はない方がいいですよ、ですけれども、防衛出動するということは想定しないようにしているのか、あるいは有事はないと想定しているのか。そこも含めて、大臣、この件に関して御返答をお願いいたします。

岸国務大臣 前回、委員からの御質問もございましたけれども、この政令を制定する時期について、差し控えさせていただきたいとは思いますが、この問題は非常に重要な課題であります、真摯に取り組んでいかなければならないと認識をしているところです。

 いずれにしても、防衛出動によりその任務に当たる隊員に対する処遇については、隊員が誇りを持って、安んじて任務の遂行ができるようにすることが重要であります。これらの点に十分に配慮し、適切な処遇となるように、不断に検討してまいります。

太委員 大臣、分かりました。ですけれども、本当にこれでいいのかどうか。

 私は、これは政令で定めるというふうに法律がありますので、定めるのであればしっかり定めてほしい。逆に、できないのであれば、それは法律を変えるとかしていかないことには、本当にこれは、特に、自衛隊員の家族が一番大事だと思っております。お金のことじゃないと私は思っています、自衛隊員の方から声を聞きました。ですけれども、そうじゃなくて、やはり本当に、有事の際を含めて、その備えとしての、しっかりとした処遇をしているかどうか、私は、そのことに対する政治のしっかりとした意思の表明だと思っておりますので、やらないのであればやらないという説明をしてほしいですけれども、やはりそこはしっかりと、とにかくこれは、大臣も重要だとおっしゃっていますので、何とか前へと進めていただきたい。どうか改めてお願い申し上げます。

 この問題は私はまた引き続き質問させていただきたいと思いますので、どうか防衛省の方でも検討をもう速やかに進めていただきますようお願いいたします。

 次に移りたいと思います。

 事前通告した順番とちょっと変わってしまうんですが、まず、いわゆる敵基地攻撃能力についてお伺いしたいと思います。

 先週、自民党さんの方で、国家安全保障戦略などの策定に向けた提言がなされました。その中で、弾道ミサイルを含めた我が国への武力攻撃に対する反撃能力、これまでは敵基地攻撃能力と言っていましたが、それを反撃能力として保有することを提言されていました。

 私としましては、このこと自体は評価できると思っております。これまでどうしても、この敵基地攻撃という、これは以前、玄葉先生も予算委員会で御説明されていましたが、こういった物々しい言葉で、なかなか本質的な議論が進んでいなかった。このことは本当に問題だったと思っておりますので、これでようやく国民的な議論、私はここが一番キーだと思っているんですが、そこへ向けて動き出す、そういったきっかけにしていただきたいというふうに思っております。

 この点に関して、我が党も、先ほど篠原先生からありました、議論をしっかりとしていくという姿勢だと私は思っております。

 まさに、国防問題、タブーは要りません。特に、ミサイル技術がどんどん進展している。ロシアも、この前もウクライナ戦争の中でも極超音速ミサイルを使用しているという状況。もちろん北朝鮮、中国、この周辺諸国もそうです。そういった中で、我が国として国民の命と暮らしを本当に守れるのか、その体制ということで私は議論すべきだと思っております。

 そのときには、もちろん専守防衛、その線を超えないこと、そして、いかにして我が国の抑止力と、様々なミサイル攻撃に対する対処能力を、多角的に検討していくことが私は重要だと思っております。

 そういった意味でお伺いしたいのですが、二〇一七年、五年前になります、政府は、島嶼防衛のために、自衛隊員の安全を確保しつつ、相手の攻撃を適切にたたくことができるためのスタンドオフミサイル、いわゆる長距離巡航ミサイル導入を決定しました。

 ここで伺いたいんですが、いわゆる敵基地攻撃能力を保有する場合、このスタンドオフミサイルを転用利用する可能性について、こちらは大臣に教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

岸国務大臣 スタンドオフミサイルは、技術的進展等により、各国の早期警戒管制能力や各種のミサイルの性能が著しく向上し、脅威圏が拡大している中で、自衛隊員の安全を確保しつつ、相手の脅威圏外から対処するためのものであります。いわゆる敵基地攻撃を目的とするものではありません。

 その上で、いわゆる敵基地攻撃能力を含むあらゆる選択肢については、現在検討中であり、具体的な内容等をお答えできる段階ではありませんが、新たな国家安全保障戦略等を策定していく過程で、憲法、国際法の範囲内で検討を進めてまいります。

太委員 ありがとうございます。

 更にスタンドオフミサイルに関して教えてください。

 スタンドオフミサイル、二〇一八年度予算にノルウェー製のJSMの購入費約二十二億円や、あと、米国製LRASMの購入に向けた調査費三千万円を計上されました。しかし、JSMは二〇二一年度、先月までの配備を目指していたものの、納入が遅れていることが指摘されています。また、LRASMは関連経費の高騰により導入が見送られることになったというふうに報道されております。

 まず、この二つのスタンドオフミサイル、納入遅延だったりとか導入見送りの原因と、そして、両方に関して、今後の配備計画について、こちらは政府参考人の方から、防衛省の方から御説明をお願いいたします。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点目のJSM、ジョイント・ストライク・ミサイルの関係でございますが、委員御指摘のとおり、平成三十年度予算以降、逐次取得経費を計上し、ノルウェー企業がこのミサイルを製造しているところでございます。

 他方、発射母機であるF35Aと、発射されたジョイント・ストライク・ミサイル、JSMが通信を行うためのデータリンク機材につきましては、米国から取得した上でJSMの方に組み込むこととなっているところでございますが、このデータリンク機材の製造スケジュールが新型コロナウイルス感染症拡大の影響により遅延している、このため、これも委員御指摘のとおりでございますが、令和三年、二〇二一年度末に予定しておりました最初の契約分のミサイルの納入に遅延が生じているという状況でございます。

 本件につきましては、ノルウェー国防省と連携しつつ、米国政府とまさに調整を行っているところであるため、今後の配備計画について具体的にまだお示しできる段階にはございませんが、いずれにせよ、早期納入に向けて努力してまいる所存でございます。

 また、第二点目のLRASMの方でございますが、これにつきましては、スタンドオフ対艦攻撃能力の確保を目的に、プラットホームとしましてはF15への搭載を予定しておりましたが、米国政府との調整の過程におきまして、まず第一点目といたしまして、米国としても、F15にこのLRASMを搭載した経験がないことから、非常に高額なインテグレーション費用が発生するということ、二点目といたしまして、F15能力向上事業全体のスケジュールを更に遅延させるリスクがあるということが判明したということでございます。

 このため、F15へのLRASMの搭載は見送ることといたしまして、予定していたスタンドオフ能力につきましては、一二式地対艦誘導弾能力向上型のF2能力向上機への搭載により代替するということといたしているところでございます。

太委員 ありがとうございました。よく分かりました。

 それでは、これは一般論として教えていただきたいと思っておりますが、政府はこの間、先ほど来ずっとそうでしたが、敵基地攻撃能力については、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討する、外務大臣も、もちろん防衛大臣もそういうふうに答弁を続けていますが、保有に向けた議論においてやはり重要な論点というのは、我が国自衛隊の能力的、財政的な側面と照らし合わせることだというふうに思っております。

 ここで一般論としてお伺いしたいのですが、敵基地攻撃能力、自衛隊には、相手領域内の基地、ミサイル発射施設など、衛星情報などから正確に特定するだけの能力及び技術力があるのかどうか、その点、こちらは防衛大臣に御返答をお願いいたします。

岸国務大臣 我が方の能力についてお示しすることは、手のうちを明らかにすることになりますので、差し控えさせていただきたいと思います。

 今、一般論として、科学技術の進歩には大変急速なものがございます。そうしたものをしっかり踏まえまして、我が国の安心、安全をしっかり確保していくために、日々改善に努めていきたいと考えております。

太委員 どうもありがとうございます。

 ただ、やはり、私は先ほど言いましたが、今回の、まさに反撃能力、敵基地攻撃能力に関しては、国民的な議論というのが一番大事だと思っております。

 そういった意味で、もちろん、機密の部分、軍事的に教えていただけない部分があると思いますが、できる限りそこを教えていただけないかということで、ちょっとこれはまた続けてになりますが。

 というのも、大臣、これは昨年の十二月です。というか、岸田政権が誕生した十一月以降、ずっと総理が言っているのは、スピード感を持ってやっていく、国民の命と暮らしを守るため、国際情勢が大きく、環境が厳しくなっていく中で、いわゆる敵基地攻撃能力を含めて、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討する、防衛力を抜本的に強化していく、これは昨年ずっと言っているんですよ。所信表明演説でも言っています。それで、そう言って、もう間もなく、これは何か月ですか、五か月たっています。

 そういった中で、やはり私は、今こそ政府がしっかりと、先週の自民党さんのそういった提言もありました、これから本質論がより議論されていくべきだと思っておりますし、何よりも、やはり国民が今、ウクライナ戦争を受けて、各種世論調査でも、我が国の安全保障環境に不安があるという方は七割から八割です。だからこそ今やらなきゃいけないと思っておりますので、どうか大臣、もちろん、この間、これは大臣も総理大臣もずっと言っているじゃないですか、あえて、いわゆる敵基地攻撃能力を含めて検討すると。しかも総理は、所信表明演説のときは、スピード感を持ってとも言っています。

 スピード感を持って、五か月間、どういった形でやっているのか、少しでも教えていただきたいですし、予算規模というのはどういうふうに考えているのか、その点も含めて教えてください。お願いいたします。

岸国務大臣 政府として、急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対して、国民の命、暮らしを守るために十分な備えができているかという問題意識の下で、ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討しているところでございます。

 このため、現時点でお答えできる段階にはありませんが、国家安全保障戦略等を策定していく過程において、憲法や国際法の範囲内でしっかりと検討してまいります。

 もちろん、スピードは大変重要であります。スピードと同時に、現実に我が国の備えとして十分なのか、必要なのは何なのかということを深く検討していくことも併せて必要だと考えております。

太委員 年内に安全保障戦略を新しく政府として出されるということですので、これはまず国会で、そして同時に、国民的な議論ということが私はやはり一番大事だと思っておりますし、今こそそのタイミングだと思っておりますので、大臣、いろいろな理由はあると思いますが、まさに敵基地攻撃能力、有効性も含めて、本来、私はもっともっと議論、我が党としても、篠原先生がおっしゃっていましたけれども、これはしっかり議論していこうというスタンスです。だからこそ、どうかこのタイミングでやっていただきたいと思いますので、引き続きこの問題、よろしくお願いいたします。

 続きまして、核シェルターに関して。

 先ほどの日経の記事もありました。本当にこれで国民を守れるのかどうか。東京都内だと、使えるシェルター、地下鉄に関しては、転用可能なのは大江戸線のみだ、そういった状況。

 そういった中でお伺いしたいのが、まず、政府として、国民を経空脅威から守る核シェルターについて普及状況をどのように把握しているか、教えてください。

 これは内閣官房の方でしょうか、お願いいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 核シェルターにつきましては、確立した定義はないものと理解をしておりまして、お尋ねの我が国における普及状況については承知をしていないわけでございますが、政府といたしましては、弾道ミサイル攻撃による爆風等から直接の被害を軽減するため、コンクリート造りの堅牢な建築物や地下街、地下駅舎など地下施設に避難することは有効であると認識をしております。これらを緊急一時避難施設としまして幅広く指定するために、都道府県や政令指定都市に働きかけを精力的に行っているところでございます。

太委員 政府が状況を把握していないというのは、やはり私はよろしくない状況だと思っておりますので。

 民間の調査だと、スイスやイスラエルは一〇〇%、これは人口当たりですね、核シェルターの普及率が。ノルウェーが九八%、アメリカ八〇%、イギリスは六七%、我が国は〇・〇二%ということですね。本当に著しく低過ぎますので、何とか変えていただきたいし、そのために、まずはやはり国会での議論ですね。様々な制約があるかもしれません。ですけれども、今こそ、今、民間のシェルター会社にも問合せが殺到しています。こういった中で、どう具体的に国民を本当に守っていくのか、そういった意味で関心も高まっております。

 私もいろいろ調べましたが、ほとんど議論されていなくて、国会でも、これは二〇〇五年ですか、当時の小泉総理の、国民的な合意が得られるかどうか、なかなか難しい問題だと思っているというコメント以来、ほとんど議論が行われていない。まずそこから何とか転換していただくことだと思っております。

 そして、私はやはり、この核シェルターの問題も防衛省が先頭に立ってこの問題を扱っていただきたい。

 といいますのも、やはりシェルターをしっかりと完備しておくことも、整備しておくことも拒否的な抑止力を向上させていく、そのことに直結をすると思っております。

 そういった意味で、ここで防衛大臣の方に伺いたいのですが、この普及へ向けて、どういった形で防衛省として、もちろん、管轄外のところは多いかもしれないですが、実際、普及させているスイスなんかは、国防省がしっかりと先頭に立って一〇〇%完備するということを実現しております。そういった意味で、我が国としても防衛省が何とかこの問題、抑止力を高めるという観点から進めていただきたいと思いますが、大臣の御見解をお願いいたします。

岸国務大臣 弾道ミサイルなどによる武力攻撃災害から住民の生命身体を保護するために必要な機能を備えた避難施設の整備は、被害を防止するのみならず、今委員からの御指摘のあったとおり、弾道ミサイル攻撃に対する抑止力という観点からも重要であると考えております。

 防衛省・自衛隊としても、先ほど内閣官房からもありましたけれども、内閣官房を中心として行われている避難施設の調査研究又は整備の促進に係る検討に引き続き積極的に協力してまいります。

太委員 引き続き、どうか大臣、よろしくお願いいたします。

 それとも関連します。国民保護法の体制が、やはり不備が多いと思っております。

 まず、このシェルターとも関係しますが、武力攻撃事態の避難地下施設に関して、指定状況というのが物すごく低いという状況で、これは東京だと、一千四百万人の東京都民に対して百八十八か所ですね、東京都に地下施設が。しかし、二十四時間利用できるのは僅か九施設しかないという状況。

 大阪市では、危機事態に備えるということで、四か所しかなかったところが、大阪メトロの九十九か所まで新たに指定を増やすとか、そういった政治のリーダーシップが取られております。

 そういった意味では、これはやはり、引き続き、先ほどと同じです、拒否的な抑止力の向上に直結する問題だと私は思っておりますし、国民保護体制の強化ということから、この問題も、まさに防衛大臣にこの避難地下施設の状況を変えていただきたいと思っておりますが、大臣、この点に関しまして、国民保護体制全般のことと併せて、大臣の御見解をもう一度教えてください。お願いいたします。

岸国務大臣 有事の際に何よりも大切なことは、まさに国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのかということを、現実的な議論をしっかりと突き詰めていくことであります。

 その観点からも、国民保護の重要性について、今委員からの御指摘のあったとおりだと思いますが、防衛省・自衛隊としては、国民保護が必要となる状況も含め、あらゆる事態を想定の上で各種の訓練等を行うとともに、関係省庁や地方自治体との連携を強化し、国民の生命と財産を守るために万全を期してまいりたいと思います。

太委員 大臣、時間になりましたので、最後にお話しさせていただきたいんですが、まさに日経の記事が象徴していると思います、我が国の有事への備えがなっていないこと。しかも、今回のコロナ禍で様々国民は、特に国と地方自治体の関係がばらばらだったりして本当に混乱して、有事のときに国なり政治がしっかりと機能してくれるのかという不安が多いと思っております。

 そういった意味でも、今からできる限りの法整備、事前にどんどん進めていくこと、有事をしっかりと見据えながらの対処をしていただきたいと思いますので、引き続きの御尽力をお願いいたしまして、これで終わります。

 どうもありがとうございました。

大塚委員長 次に、掘井健智君。

掘井委員 日本維新の会の兵庫十区の掘井健智でございます。

 それでは、時間がありませんので、質問をさせていただきたいと思います。

 二月二十四日に、ロシア軍が突如としてウクライナにいわゆる侵略戦争を始めました。国際秩序において、現に存在する主権国家に対して突然侵攻し、軍事力で現状を変えてしまう、こういった現実をむざむざと見せられました。戦況は日々刻々と変わっておりますけれども、妻子と国境で別れて動員されたウクライナの人を見ますと、祖国防衛の厳しさを本当に感じております。ゆえに、我が国は、いざという有事に対して現実問題として備えるべきだと考えております。

 憲法九条についての認識について質問をいたします。

 我が国の危機管理は、幾多の自然災害、また、地下鉄サリン事件、福島第一原発の事故、こういったことを経験することで改善されてきました。戦後七十年以上変わらないのがこの憲法九条であります。憲法九条が起因となり、現実の問題を解決できない安全保障議論が行われてきました。

 それだけではなく、ウクライナ危機から、核保有国の侵略に対し、米国の静観するその姿勢を見ておりますと、日本が核保有国からもし侵略を受けた場合、そこまでいかなくても、台湾海峡の有事であるとか、アメリカが果たして防衛行動を果たしてくれるのか、本当に心配になっております。

 私は、日本の国も現実的な自国防衛に備える必要がある、そのように考えております。まず、大臣の九条についての認識を伺います。

 確かに岸防衛大臣は、記者会見では、政府としてのコメントをする立場にはございません、具体的な改正の内容につきましては、国会の議論、それから国民の間での議論を深めていってなされるものと理解をしております、こう発言されております。

 しかし、今、国会の憲法審査会での議論が活発になっております。そして、今、安全保障の環境、憲法改正の現実の課題が、国際状況を含めて激変している現状があります。安全保障の実務者がその認識を発言するということは、国民の関心も非常に高く、大変重要である、このように思っております。

 是非大臣には、憲法九条の認識を、改善すべきなら、その方向性を率直に発言していただきたいと思います。御所見を伺いたいと思います。

岸国務大臣 憲法九条は、戦争放棄、戦力の不保持、交戦権の否認、こうしたことに関する規定を置いておりますが、独立国家に固有の自衛権までも否定する趣旨ではありません。自衛権の行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは認められていると解しています。自衛隊は、そのような自衛のための実力組織として憲法上認められるものであります。

 防衛大臣として、憲法第九条の下で、我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中においても、国民の命や平和な暮らしを守り抜くという政府の最も重要な責務を全うしていく所存であります。

掘井委員 ありがとうございます。

 では、必要な安全保障の政策で、現憲法上の不具合というものをどのように感じておられますでしょうか。

岸国務大臣 先ほども申しましたけれども、自衛権の行使は認められているものでございます。

 そうした中で、我が国が事態に対処する中で、実際に、憲法、そして国内法の範囲内でしっかりと議論をしてまいりたいと考えております。

掘井委員 私は、この九条の条文と現実との乖離はもはや看過できないと考えております。いまだに国際標準の安全保障の議論ができないこの状況を変えて、日本を取り巻く厳しい安全環境を克服するためには、やはり九条の改正を含め、議論する必要を感じております。

 しかし、その前提として、今回の質問では、現実の安全保障を議論しつつ、安全保障の考えを整理していくということで、課題を共有していきたいと思っております。

 時間の都合上、質問が前後いたします。

 ウクライナの情勢を踏まえた我が国の対応についてでありますが、原子力発電所の危険性についてです。

 三月四日に、ロシア軍がウクライナ最大の原発でありますザポリージャ原発を攻撃しました。これは世界を震撼させましたけれども、国際人道法の一つであるジュネーブ条約第一追加議定書が原発への攻撃を禁止しているにもかかわらず、原発への軍事攻撃が現実の脅威となりました。

 日本でも、特殊部隊が例えば原発に侵入したり外部電源が狙われたりしたら、極めて危険な状態になると思うんです。警察では特殊部隊になかなか太刀打ちできません。

 岸田総理は、三月十六日の記者会見で、原発の防衛策について問われて、防衛力の強化が十分なのかを検討していく、国家安保戦略を始めとする文書の見直しの中で具体的に考えていくと言明されております。

 今後の見直しの中で、例えば、自衛隊法を改正して、自衛隊の警護出動の対象に原子力関連施設を加えることを検討すべきだと考えておりますが、防衛大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸国務大臣 原発の警備については、第一義的には、公共の安全と秩序の維持を責務とする警察機関において実施をしているところでございます。

 その上で、一般の警察力をもっては治安を維持することができない事態が発生した場合には、当該事態がいまだ武力攻撃事態に至らない事態であったとしても、自衛隊は治安出動等により対処することが可能であります。

 また、防衛省・自衛隊としては、こうした事態に備えて、平素から警察や海上保安庁と共同訓練を行うなどして連携の強化を図っています。

 いずれにしても、いかなる事態においても対処できるように、適切に対応してまいります。

掘井委員 四番と五番を一緒に質問したいと思うんですけれども、グローバル情報戦略官の役割と、ウクライナ危機の関与、協力しているのかということでお伺いします。

 情報空間では、サイバー攻撃が行われるとともに、ロシア側の偽情報の拡散も観測されております。これに対して、ウクライナでは、IT義勇軍によるサイバー反撃や、偽情報へのファクトチェックや反論を行うとともに、自身もカウンターとなる情報戦を試みております。また、ウクライナ市民によるSNSの発信、匿名ハッカーグループのアノニマスのサイバー攻撃関与も影響を与えて、古典的な国家対国家の図式とは異なる戦争になっております。

 こうしたハイブリッド戦におきます情報戦及びサイバー戦の新しい様相について、分析が本当に必須であると思っております。

 この点、防衛省は、情報機能の強化として、本年四月に防衛政策局調査課にグローバル戦略情報官一名を新設されております。このポストは、複雑化する最近の安全保障環境を踏まえて、諸外国の対外発信の戦略的な意図、また、フェイクニュースの影響等を踏まえつつ、国際情勢を多面的、横断的に集積、分析するポストであると報道されております。

 例えば、今回、このグローバル情報戦略官はウクライナ情勢についても協力しているのか、また、ウクライナ政府から防衛省が持つインテリジェンス供与の打診はあったのか、お尋ねいたしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘になりましたグローバル戦略情報官についてでございます。

 近年、国際社会におきましては、フェイクニュースの流布を含む様々な宣伝工作等が行われるなど、伝統的な安全保障領域にとどまらない動きが指摘されております。

 このような国際情勢を踏まえ、政治、経済、軍事、技術等の多様な側面を横断的に情報収集、分析するために、四月一日付でグローバル戦略情報官を新設したところでございます。

 今般のウクライナ侵略に際しましては、ロシアが、いわゆる偽旗作戦と呼ばれるような行為や、ウクライナ政府機関等へのサイバー攻撃を行っているとの指摘がある一方、ウクライナ政府による積極的な情報発信が、国際社会がウクライナ支援のため結束するに当たって大きな効果を発揮したとの指摘もございます。

 グローバル戦略情報官には、こうした諸外国による対外発信の効果やフェイクニュースの影響等を踏まえつつ情報分析を行い、防衛省のみならず政府全体の情報業務に貢献させたい、このように考えているところでございます。

掘井委員 ハイブリッド戦が常態化している中で、我々もいろいろなことを考えていかないとということで、次の質問です、日本版CIAの創設についてであります。

 我が国の外交防衛インテリジェンスを抜本的に強化する必要を感じております。日本のIC、インテリジェンスコミュニティーでありますが、その特徴として、ICの組織及び活動が比較的小規模であるということ、また、ICの取りまとめ、統括機能が弱いということ、また、ICに対する民主的統制の制度が弱いということが挙げられます。

 そこで、日本版CIAを創設することも考えられると思うんですけれども、政府の御所見を伺いたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国におきましては、内閣直属の情報機関として内閣情報調査室が設置されておりまして、また、防衛省を含む情報コミュニティー省庁が相互に緊密に連携しつつ情報収集、分析活動に当たっているところでございます。

 防衛省におきましても、防衛省の中央情報機関である情報本部を中心に、平素から、電波情報、画像情報、警戒監視情報、公刊情報など、様々な情報を収集しまして国際軍事情勢の分析を行うとともに、関係省庁との間で適時適切な情報共有を行ってきているところでございます。

 御指摘の日本版CIAにつきましては、様々な議論があるものと承知しておりまして、情報の収集、集約、分析の充実強化に取り組む中で研究してまいりたいと考えているところでございます。

掘井委員 是非議論を深めて進めていただきたいなと思っております。

 次の質問であります。ウクライナへの支援物資、ドローンと防衛装備移転三原則の関係について質問します。

 岸防衛大臣は、四月十九日、ウクライナ政府からの追加支援の要請に基づき、ドローンや防護マスクを民間機でウクライナ周辺国に届けると発表されました。

 今回提供されるドローンは監視用の市販品で、武器輸出の条件を定めた防衛装備移転三原則の対象外であります。つまり、外為法第二十五条に基づき、外国為替令別表の一の項に許可対象となる武器技術が限定列挙されております。市販ドローンは明示されておりません。

 しかし、使い方によっては敵を殺傷する攻撃作戦に用いることも可能なんですね。提供対象が攻撃に転用され得るものとして拡大することも考えられます。そう指摘している専門家の方もおられます。特に、ドローンは新兵器として脚光も浴びております。

 こういった中で、今後、ドローンのような軍事転用が可能な市販品につき防衛装備移転三原則の対象とする考えについて、政府の御所見をお伺いします。

萬浪政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、四月十九日、ウクライナ政府に提供する予定のものとして、小型のドローンを提供する予定であるということを公表させていただいてございます。これは、御指摘のとおり、市販品として民生用途にも使われているものということで、防衛装備移転三原則上の防衛装備には該当しないということでございます。

 他方で、一般にドローンが防衛装備移転三原則上の防衛装備に該当するかどうか、これは個別具体的に判断されるべきものと考えてございます。

掘井委員 分かりました。

 転用できるというデュアルユースが今後問題になりますので、その辺をいろいろ議論していただきたいなと思っております。

 続いて、これは通告をいたしておりましたけれども、インドの自衛隊機の着陸拒否。

 これは、先ほど御答弁がありましたので、インド政府が中立の立場であると分かった上で質問をしたいと思うんですけれども、今、第一列島線を核心として、米国の戦略もございます。また、日本は、日米豪印、クアッド、インド太平洋構想を進めてきました。自由で開かれたインド太平洋はインドなしには成り立たない構想であります。今回のこういったインドの対応はインド太平洋構想に影響があるのか、外務大臣の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 インドは、今委員からお話がありましたように、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた重要なパートナーであり、三月の岸田総理訪印の際にも、両国の特別戦略的グローバルパートナーシップを政治、安全保障、経済、経済協力、人的交流、こういった幅広い分野で更に発展させていくことや、日米豪印での緊密な連携をモディ首相との間で確認をしておるところでございます。

 また、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界が今国際秩序の根幹を揺るがす事態にある状況だからこそ、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を一層推進していくことが重要であるということを確認をしたところでございます。

 こうした首脳間のやり取りを踏まえつつ、引き続き、インドとの間で、二国間また日米豪印を始めとする様々な取組等を通じて、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力を深めてまいりたいと考えております。

掘井委員 ありがとうございました。

 自由で開かれたインド太平洋は日本が提唱した外交構想であります。海洋秩序の実現を目指していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 続いての質問であります。日本の安全保障に関しての質問であります。我が国の脅威について、中国に対する認識について質問します。

 今年末、安全保障関連三文書が改定されますが、劇的な安全保障環境の変化を分析、包括するためには、まず、どの国の脅威に対して安全保障を保つのかを明確にしないと、実現性のある戦略を立てることができないと考えております。北朝鮮の核、ミサイル以外は明確にしていない我が国の脅威について明確にすべきだと思っております。

 この点、米国では、国家安全保障戦略また国家防衛戦略の中では、中国、ロシアは国益に挑戦する勢力として、北朝鮮をならず者国家として想定しております。脅威として明確に認識しているわけであります。また、中国について、台湾の正当な防衛上の必要性を満たし、強力な結びつきを支持するとも明記しております。

 そこで、我が国においても、特に尖閣諸島をめぐる領土問題を抱えている中国についてどのような位置づけであるのか、我が国の脅威について明確にすべきであると思いますが、防衛大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸国務大臣 中国は、透明性を欠いたまま継続的に高い水準で国防費を増加させ、核やミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力を広範かつ急速に強化していると認識しています。また、宇宙、サイバー、電磁波領域といった新たな領域に関する能力の強化、ゲームチェンジャーの技術の開発にも注力をしています。

 我が国周辺の海空域においては、東シナ海において、力を背景とした一方的な現状変更の試みを継続しており、海軍艦艇の恒常的な活動の下で、我が国の抗議にもかかわらず、中国海警局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の我が国領海への侵入を繰り返しています。このような現状変更の試みは断じて容認することはできません。

 さらに、太平洋や日本海においても軍事活動を拡大、活発化させており、今後ともその傾向が継続すると考えられます。

 その上で、新たな国家安全保障戦略等につきまして現在検討しているところでありますが、我が国を取り巻く厳しい安全保障環境を踏まえて、引き続きしっかりと検討してまいりたいと考えています。

掘井委員 確かに、冷戦が終わって、はっきりした敵という概念がないというか、市場が流通して貿易が盛んであります。しかし、それとやはり防衛は別だと思うんですね。

 今回、国家安全保障政策とか防衛大綱、また中防計画は改定されますけれども、やはり、予算もそれに基づいてやっていくわけでありますから、どのものに対して何が要るのかということを明確にする必要があると思うんです。よろしくお願いいたします。

 続いての質問であります。日米の戦略的な価値の共有について質問します。

 先ほど言いましたように、米国は中ロを脅威として防衛体制を整備しています。日本はその辺がなかなか明確ではありません。日米間で安全保障の戦略的な価値観を共有できていないのではないのか、そんなふうに思ったりもします。

 日米で戦略の方向は合致して適合性が取れているのか、これは訓練一つもそうだと思うんですね、防衛大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸国務大臣 日米間では、平素からあらゆる機会を捉えて、地域情勢について認識のすり合わせを行いつつ、様々な分野で日米防衛協力の強化に取り組んでいます。

 本年一月の日米2プラス2においても、日米の戦略を完全に整合させ、共に目標を優先づけることによって、同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化すること、そして、今後作成される日米の戦略文書等を通じて、同盟のビジョンや優先事項の整合性を確保すること、これについて決意表明をしたところであります。

 引き続き、我が国自身の防衛力を抜本的に強化するとともに、日米の両国の戦略及び政策をしっかりすり合わせながら、日米の同盟力の抑止力、対処力を一層強化していく考えであります。

掘井委員 繰り返しになりますけれども、これも戦略や大綱の中できちんとうたっていく必要があると思っております。よろしくお願いします。

 次の質問であります。先ほどの質問とかぶりましたので、迎撃能力の有無について質問いたします。ミサイル防衛に関連しまして、敵基地攻撃能力、反撃能力について質問します。

 そもそも、ミサイルの技術の急速な変化、進化が進んでおります。これも先ほど太議員から質問があって回答がないということでありましたけれども、具体的には、北朝鮮が持っている極超音速ミサイル、また、弾道ミサイル、巡航ミサイル、中距離弾道ミサイルなど、いろいろあります。こういった先進的に進歩するミサイルを迎撃することは技術的に可能かどうかということを先ほど答弁いただきましたけれども、一般論として質問しますけれども、どうしても防御というのは後追いになってきます。迎撃能力は抑止力になるんでしょうか。そのお考えを示していただきたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 ミサイルに対する迎撃の御質問でございました。

 防衛省としましては、弾道ミサイルに対しまして、海上自衛隊のイージス艦による上層での迎撃と航空自衛隊のPAC3による下層での迎撃を組み合わせた多層防衛により対応することとしております。また、巡航ミサイルなどに対しましては、航空機、艦艇、地上アセットから発射する各種対空ミサイルで対応することとしております。

 個別の脅威に対する迎撃の可否については、我が方の能力が推察されることからお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、先ほど委員御指摘のありました極超音速滑空兵器など、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しておりまして、迎撃が困難になってきているということは、一般論として申し上げれば事実でございます。

 こうした技術の進歩に応じまして、迎撃能力を高める不断の努力が重要だと考えております。具体的に申し上げますと、迎撃ミサイルPAC3の能力向上や衛星コンステレーションの検討など、取組を引き続き進めていきたいと思います。

 その上で、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、この迎撃体制で十分なのかという問題認識の下、ミサイル迎撃の能力向上だけではなく、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところでございます。

掘井委員 分かりました。

 次の質問です。敵基地攻撃能力、先ほど来ずっと質問されておりますけれども、再質問もありますので、あえて質問します。

 弾道ミサイルなどへの迎撃が困難だとしましたら、国民の命、身体の安全を守るために、発射基地など、敵国の基地や拠点を攻撃するいわゆる敵基地攻撃能力の議論が出てくるのも当然だと思うんですね。先日、自民党から敵基地攻撃能力の保有の提言が出されましたけれども、改めてこの委員会でも伺いたいと思うんですけれども、敵基地攻撃能力について政府で今後検討していくんでしょうか。

岸国務大臣 政府として、急速なスピードで変化、進化をしているミサイルなどの技術に対しても、国民の命、暮らしを守るために十分な備えができているのか、いわゆる敵基地攻撃能力も含めて、あらゆる選択肢を排除せずに、現実的に検討しているところであります。

 現時点で検討の内容等についてお答えできる段階ではありませんが、今後とも、憲法と国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ、新たな国家安全保障戦略等を策定する過程でしっかり議論をしてまいります。

掘井委員 大臣の答弁じゃなくてもいいんですけれども、集団的自衛権の行使で敵基地を攻撃するという可能性も出てまいりますけれども、この辺はどうお考えでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からも御答弁しましたように、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところでございますけれども、現時点で検討内容等についてお答えできる段階にはありませんが、今後とも、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ、新たな国家安全保障戦略等を策定する過程でしっかりと議論してまいりたいと考えております。

 その上で、憲法の範囲内での議論でございますので、いわゆる新三要件、この三要件の下での検討になるということでございます。

掘井委員 何せ、現行憲法の中で非常に難しいことがいっぱい起きてくると思うんですね。

 次の質問であります。指揮統制機能に対する反撃能力と専守防衛について質問します。

 指揮統制機能等も対象に含めるという議論が出ております。ミサイル攻撃後であれば、対象を基地に限る必要はなくて、軍の中枢部や首脳の居場所、また指揮統制機能等も我が国が反撃するターゲットにすべしという議論であります。

 しかし、指揮統制機能等に反撃したとしても、一発目の当該ミサイル基地からの攻撃を受けることになってしまいます。攻撃されないためにも、そもそもミサイル攻撃をさせないということが必要です。であるならば、ミサイル攻撃をさせないための抑止力、つまり懲罰的抑止力も不可欠になると思います。

 専守防衛との関係で、指揮統制機能等を対象とする反撃能力を保持することができるのかどうか。また、反撃能力としては、従来保有不可とされた装備が必要となってきます。今後、政府の見解を変更することがあり得るのか、御所見を伺いたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、いわゆる敵基地攻撃能力の保有の関係の議論におきましては、様々な意見や御議論があることは承知しております。

 その中で、指揮統制機能などについても対象にすべきではないかという意見があることも承知はしておりますが、先ほども申し上げましたように、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討はしているところでございますけれども、現時点でそのような一つ一つのことについてお答えできる段階にはありませんが、今後、新たな国家安全保障戦略等を策定していく過程でしっかりと検討してまいりたいと思っております。

掘井委員 次の質問に移ります。

 米国が世界の警察である役割がだんだんだんだん薄れていく中で、従来の米国による拡大核抑止力の機能が低下しております。米国の核の傘の効力も低下しておる。そこで、米国の核を含む能力を用いた日本防衛への関与を強化する方策として、先ほど来も質問が出ておりますけれども、核シェアリングの議論が出ております。

 私たち維新の会は、核に関する議論をタブー視することなく、米国の持つ核戦力の共有に関する議論を開始することを求める提言をしております。そういった立場であります。

 この点、核シェアリングをすることにつきましては、先ほどの篠原議員の質問に対する大臣の答弁がございました。

 それで、緊急事態において核持込みを例外的に認めて、非核三原則、持ち込ませずを変更して、米国の核兵器を国内に展開させることは現状の憲法の中で可能なのかどうか、政府の御所見を伺います。

股野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の核共有につきましては、平素から自国の領土に米国の核兵器を置き、有事には自国の戦闘機等に核兵器を搭載、運用可能な体制を保持することによって、自国等の防衛のために米国の核抑止を共有するといった枠組みと承知しておりますが、我が国においては非核三原則を堅持していくことから認められず、政府としては、非核三原則を堅持していくとの考えに変わりはございません。

掘井委員 今、私は、防衛上、核兵器が持つ抑止力の効果に触れておりますけれども、一方、やはり唯一の戦争被爆国として、我が国は核保有国と非保有国との橋渡しをして、核廃絶にも取り組んでいく必要があると思っております。国際社会の現実を直視しながら核共有や抑止力の議論をしていくことも一方では大事だと思っております。核廃絶を推進していくことと両立することが可能だと思っての質問でございます。

 次の質問であります。ちょっとこれも質問が前後しますけれども、防衛費の問題であります。

 かつてなく厳しい安全保障環境を踏まえれば、防衛力の抜本的な強化は一刻の猶予も許されません。

 我々維新の会は、三月三日のロシアによるウクライナ侵略に関する緊急提言の中で、GDP比二%以上の防衛費の増額を訴えてきました。先日、自民党が、ほぼ同様のGDP比二%以上を目標とする防衛費を目指すとの提言をされました。

 もちろん、国家資源には限りがあって、国では、教育、また福祉予算など、喫緊の課題も山積しております。防衛費には限度があります。今後の安全戦略は、安保三文書に基づいて、財政的な制約を各戦略にフィードバックして、その財源の範囲の中でやはり実効性のある予算を確保していただきたい、枠ありきじゃなしに、いただきたいと思っておるんです。

 この戦略に基づく結果、GDP比二%以上の防衛費の増額もあってもいいと思いますが、防衛大臣の御所見を伺いたいと思います。

岸国務大臣 NATOの加盟国は、対GDP二%以上を達成することで合意をしているところであります。

 防衛省としては、現下の安全保障環境に対応できるように、防衛力を抜本的に強化するために必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

 また、新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防を策定することとしており、厳しさを増す安全保障環境の下で、防衛力の強化には一刻の猶予も許されないとの認識の下で、スピード感を持って検討を進めてまいります。

掘井委員 よろしくお願いしたいと思います。

 続いて、南西諸島へのミサイル部隊の配備について質問いたします。

 防衛省は、防衛上の空白地帯を解消していくために、奄美大島、宮古島に続いて、本年度は石垣島、来年度には沖縄本島にも地対艦誘導弾部隊が配備されます。南西諸島の島嶼防衛を強化しようとしております。

 この点、米インド太平洋軍も九州、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶいわゆる第一列島線に沿って対中ミサイル網を構築する計画を進めております。

 米国も計画があると報道されておりますけれども、防衛体制はどのようなものになるのか教えてください。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 地上発射型の中距離ミサイルにつきましては、アメリカから、直ちに配備する状況にはなく、また、具体的な配備先について検討は行っておらず、さらに、どの同盟国等に対しても、その受入れや配備に関し打診を行っていない旨の説明を受けているところでございます。

掘井委員 分かりました。

 それでは、防衛大臣が馬毛島の視察に行かれました。岸防衛大臣は、本年四月、防衛大臣として初めて鹿児島県の馬毛島を訪れました。地元自治体と緊密に連携しながら、航空自衛隊の馬毛島基地、これは仮称でありますけれども、その整備を進めていくと発言されております。この整備は、西之表市馬毛島への米軍空母艦載機陸上離着陸訓練の移転と自衛隊基地を整備する計画であります。

 そもそも、旧民主党政権時の二〇一一年六月の日米安全保障協議委員会の共同文書にも移転候補地として馬毛島が記されたのは、沖縄県以外の普天間飛行場の移転先としての目的がありました。以前、おおさか維新の会が米軍普天間飛行場の暫定的な移転案として馬毛島を提示した経緯もあります。

 オスプレイはともかく、ヘリコプター部隊と演習場の距離について、在沖縄米海兵隊は公式な基準や規則はないんでしょうけれども、馬毛島の整備によって沖縄県の米軍基地の軽減は可能だと考えますけれども、そういった構想はそもそもあるんでしょうか、ないんでしょうか。

岸国務大臣 馬毛島における自衛隊の施設につきましては、我が国の南西防衛の強化、また、米軍の空母艦載機離着陸訓練を実施することになれば、日米同盟の強化に大きく貢献する重要なものであります。厳しさを増す安全保障環境を踏まえて、できる限り早期に運用が開始できるように政府として取り組んでいるところでございます。

 馬毛島の自衛隊施設において、FCLP以外に米軍の訓練を行う具体的な計画はありません。このように、施設整備は沖縄の負担軽減を目的としたものではありません。

 他方、沖縄の基地負担軽減については、政権の最重要課題の一つとして、沖縄統合計画に基づく土地の返還を始め、各種の取組を進めているところでありまして、引き続き全力で取り組んでまいります。

掘井委員 ちょっと時間が早いんですけれども終わりたいと思うんですけれども、やはり、我が国を取り巻く安全保障上の脅威が払拭されないならば、国民の命と財産を守るためにどんな防衛力が必要かと考えることがこれから求められると思うんですね。真に効果的な防衛力を整備するために、やはり質の高い防衛費とすることが非常に重要であると思います。

 そのためには、やはり、まず国民の理解を得るということが必要です。これまでの憲法解釈に合致させるがために政治的な理論を展開している、そんな余裕はないのかなと思っております。従来の防衛力の議論とは異なって、今後は、やはり、効果的な防衛力を整備することが今の状況の中でできない以上は、政府は国民に対して勇気を持って厳しい安全保障環境を説明していく、その姿勢が求められると思います。そのことを指摘いたしまして、質問とさせていただきます。

 終わります。ありがとうございます。

大塚委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。ありがとうございます。

 時間も限られていますので、本日はウクライナ情勢に絞って御質問をさせていただきたいと思います。

 この委員会でも繰り返し本日も上がっていますけれども、今、二か月を超す戦闘になっていて、また、大変凄惨な、戦争犯罪とも言えるような行為をロシア軍がウクライナ国民に対して、市民に対して行っているということで、なかなか停戦の協議というものも見えづらくなっていると思います。

 こういった中で、各国の専門家からは戦争が長期化をするという予測も次々と出てきている状況でございますので、日本としてのウクライナに対する支援に関しても、長期的な視点でしっかりとコミットをしていくことが必要だと思います。

 日本国からは、また防衛省からは、服であったりとか防弾チョッキであったりとか食料であったり、また、先ほどお話にあったドローンなどの提供が決まっていたり実施されていると思いますけれども、こういった支援の状況であったり、今後ともウクライナに対する支援をしっかりと続けていくんだ、この戦争終結までぶれずに支援を続けていくんだということを、御決意を是非とも政府から伺いたいと思っていますけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

岸国務大臣 今般のロシアによりますウクライナ侵略、これは明らかにウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であります。また、国連憲章の重大な違反であり、この断じて認められない力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがすようなものであります。

 防衛省としては、これまで、自衛隊法に基づき、防衛装備移転三原則の下で、防弾チョッキ、鉄帽、防寒服等をウクライナに提供してまいりました。

 今回、ウクライナからの要請が新たにありまして、これを踏まえて、化学兵器等の対応用の防護服、防護マスク及び防護衣並びに状況把握等に用いられる小型の市販品のドローンを提供することといたしました。

 この支援は、国際法違反の侵略を受けているウクライナへの支援であり、欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす行為に対し、国際社会と結束して毅然と行動することは、我が国の安全保障上の観点からも極めて重要であります。

 防衛省・自衛隊は、今後とも、ウクライナに対してできる限りの支援を行ってまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私も同様の認識でございますので、是非ともこの支援というものをしっかりと、おっしゃっていただいたように続けていただきたいと思うんですが、一方で、やはり、こういった装備品の提供の際にはより丁寧な説明を国会にしていただかなければならないという問題意識も同時に、今回の特にドローンの件では私は持っております。

 市販の民生品を渡すということですけれども、服を提供するとか防護服を提供する、食料を提供するというところと、ドローンを提供するというところでは、何か段階がやはり違うのではないかなということを国民の皆さんも感じられるのではないか。私もそう思います。

 ドローンの提供は是非していただきたいという思いの下で、その前提でお話をするんですけれども、ドローンの提供という決断に関しては、これまでの食料や防護服とはちょっと違う踏み込んだものであるという御認識はいただいているのかということを質問させていただきたいと思います。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 ドローンの提供につきましては、小型のドローンでございますけれども、これは、ウクライナの政府の方からの要請に基づきまして、しかも、ドローンでございますので、これは、小型でございますが、状況監視用に用いられるものを提供するものでございます。

 かつ、これにつきましては、ウクライナとの約束で、ウクライナ側がウクライナの防衛の目的のためにお使いになるという約束もあらかじめ結んでおりますので、それに沿ってお使いになるということで提供を決めたものでございます。

 いずれにしましても、国民の皆様に対する説明にはきちんと努めてまいりたいと考えます。

斎藤(ア)委員 私も、当選一期目でございますので、安全保障委員会であったりとか、あるいはそれぞれの野党の外交部の主査であったりとか、そういった人たちが政府とどういった連絡を取り合っているのかというのは今勉強させていただいているところですけれども、こういった今新しい局面で装備を海外に提供するということになっているわけですから、より丁寧な説明を野党側にもしっかりとしていただくことが私は必要だと思っています。

 新聞報道で、ニュースで知って、飛行機が行こうと思ったら行けなかったとか、全部報道で知って、何の説明もなくて、今質問をこちら側から、皆さんからさせていただいているわけですけれども、今後もなし崩し的に、支援はしっかりとしていただきたいという思いは共有していますけれども、どういったものを提供するのかということは、非常に国民の関心事でもありますし、歴史的な転換点でもありますから、丁寧な説明をどうかくれぐれもしていただきたい、これはお願いでございます。

 また、本日の委員会でも、繰り返し、差し控えるという文言が何度も何度も出てきています。大臣からもそうですけれども、事務方の皆様からも差し控えるという答えが出てきていて、もちろん、ミサイルの射程であったりとか答えられないものは答えられないのはもちろんなんですけれども、これだけ差し控える、答弁の原稿にも差し控えると書いてあるような状況は、私はおかしいというふうに思います。

 国会に対して応える義務が、要求に応える義務がしっかりと政府側にあると思っておりますので、こういったこともできるだけなくしていただく、答えを、もちろん答えられないところは答えられる範囲でしっかりと答えていただく、そういったことをお願いをさせていただきたいと思うんですけれども、丁寧な説明であったりとか、差し控えるといった答弁のことについて、是非ともこういった要望を受け入れていただきたいと思うんですけれども、是非省内に防衛大臣の方からもそういったことを一言言っていただくことは可能でしょうか。

岸国務大臣 確かに、国民の皆さんの理解を深めるために説明をしっかり尽くしていくということは大変重要なことだと思います。そのことが、まさに抑止力にもつながってくるのではないかと思います。

 一方で、発言について、差し控えるということが多いという御指摘をいただきました。これはしっかりと受け止めてまいらねばなりませんけれども、その上で、やはり防衛という分野においては、なかなか公の場で発言することができないものも多いということを御理解をいただければというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 特にこの安全保障委員会でそういった答弁になるということは、他委員会に比べてあるということは十分認識をしておりますけれども、できるだけそういったことがなくなるように、答えられない部分は答えずにしっかりと答えるといううまい作文を事務方の皆様にも是非ともお願いをしていただきたいと思います。

 次に移らせていただきたいんですけれども、こういったふうに長期化が予想されている中で、ウクライナの経済的な状況というのは極めて厳しくなっているとの認識でございます。

 ウクライナは民主主義国でございまして、二〇二四年の春には大統領選挙が予定されていて、全く同じタイミングでロシアの大統領選挙もあるんですけれども、ロシアの大統領選挙はフェイクだとしても、ウクライナの大統領選挙は民主主義の下で行われる選挙でございますから、国民生活の状況によっては、今ゼレンスキー大統領が受けているしっかりとした支持というものも揺らいでしまうかもしれなくて、ロシアに対する対抗というものも弱まってしまう、こういった可能性も出てくると思います。

 二〇二二年の、今年のウクライナの経済成長がマイナス四五%成長になると世銀が推計をしておりますので、経済に対する支援というものも日本としてしっかりとやっていかなければならないと思いますけれども、現在の取組であったり今後の取組について、外務大臣から教えていただけますでしょうか。

林国務大臣 今、斎藤委員からお話がありましたように、世銀の見込み、二〇二二年にウクライナの経済成長率がマイナス四五%になる、これを承知しておりまして、我々もウクライナ経済の状況を注視しておるところでございます。

 岸田総理は、ロシアによる侵略によって困難に直面するウクライナ経済を下支えするため、三月二十四日のG7首脳会合におきまして、世銀と協調した一億ドルの借款を速やかに供与する旨を表明したのに加えまして、四月十九日でございますが、ウクライナ情勢に関する首脳テレビ会議というのがございまして、この場におきまして、この借款に二億ドルを追加いたしまして、合計三億ドルの財政支援を実施する旨を表明したところでございます。

 最初に表明した一億ドルの財政支援については、ウクライナ側と具体的内容をできるだけ速やかに合意できるように最終調整中でございます。また、追加の二億ドルの財政支援についても、速やかな供与に向けてウクライナ側との調整を進めているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 是非とも前倒しで、また継続的な支援をしていただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。

 その一方で、ロシアの継戦能力をそいでいくための経済制裁の強化、継続、こちらも極めて重要だと思います。戦争が長引けば長引くほど、大国であるロシアの戦力の補充であったりとか新しい兵力の補充というものができてしまうわけでございますので、そういった意味でも、そういったことができなくなるような経済制裁の強化、継続というものが必要だと思います。

 こういった中で、やはり焦点は、資源関連のロシアの輸出による外貨獲得、それによっての戦費の調達というものをどう止めていくかということになると思うんですけれども、現状、侵攻開始以降、日本がロシアから輸入した資源関連の取引額、これを教えていただけますでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの数字でございますが、財務省貿易統計によりますと、二〇二二年二月の我が国のロシアからの石油の輸入額は約四百三十三億円、天然ガスについては約六百二十三億円、石炭については約四百六億円となっております。また、二〇二二年三月の石油の輸入額は約二百四十一億円、天然ガスについては五百六億円、石炭については四百十億円となっております。

 以上でございます。

斎藤(ア)委員 今、化石燃料のお話を答えていただきましたけれども、パラジウムなど、レアメタルも大変多く輸入しているかと思います。

 通告に資源関連の取引と申し上げているので、レアメタルのことも答えていただきたかったんですけれども、時間がないのでそれはいいですけれども、とにかく、毎月一千数百億の輸入を行っていて、それが今、ロシアの戦争を支える戦費にも一部なってしまっているということですので、これをいかにして減らしていくかということが今後極めて重要になると思います。

 時間もあれですので最後の質問にさせていただきたいと思うんですけれども、今、外務省として、現在の西側諸国の制裁で十分かどうか、どういうふうに考えていらっしゃるのか。また、今後、エネルギー部分での依存を減らしていく。もちろん、各国が置かれているエネルギー調達の状況は異なりますので、全て足並みをそろえることは難しいのは十分に承知していますけれども、それでも、しっかりと目標を定めて、ロシアからの依存を減らして、戦費の調達を日本のお金でしていくということがなくなっていくようにしっかりと制裁を強化する、こういったことが必要だと思いますけれども、今後どういったことを日本として取り組んでいくのか、是非とも教えていただきたいと思います。

林国務大臣 これまで、G7の首脳声明等を踏まえて、ロシア政府高官また軍関係者等に対する制裁、ロシアの銀行に対する資産凍結等を含む金融分野での制裁、輸出入禁止措置など、厳しい制裁措置を着実かつ速やかに実施してきております。

 こうした我が国を含む各国の制裁措置によって、物価の上昇、また外国企業の撤退、操業停止、こういったロシア経済への様々な影響が出ていると認識しております。

 一刻も早くロシアが国際社会の声に耳を傾けて侵略をやめるように、また、そのためにも、制裁の抜け道が生じないようにして、制裁が一層効果的なものになるように、我が国としては、引き続き、G7を始めとする国際社会と結束して、強固な制裁を講じてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今の状態ではロシアの継戦に対する意思がそがれているとはとても思えませんので、制裁の強化に向けてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

大塚委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 米軍の有機フッ素化合物、PFASによる環境汚染の問題について質問をいたします。

 沖縄県国頭郡金武町の水道水から、国の暫定目標値を上回る有機フッ素化合物が検出され、住民の間で不安が広がっております。

 二〇二〇年六月の調査で、有機フッ素化合物の一種であるPFOSとPFOAの合計で一リットル当たり五十ナノグラム以下という暫定目標値の一・四倍に当たる七十ナノグラムが検出をされました。

 町内に九か所ある水源のうち、最も多いときで五か所からの取水を停止し、県企業局の水と混合することで対応してきておりますが、最近、二月の調査では、再び五十九ナノグラムが検出をされております。

 米軍のキャンプ・ハンセンに隣接する水源から最大四百十ナノグラムという高い値が検出され、米軍基地由来の可能性が高いことから、沖縄県と金武町は、基地内への立入調査を申請しております。

 申請は昨年十二月ですが、四か月が経過した今も実現しておりません。なぜ実現しないのですか。米軍は、応じない理由をどのように説明しているんですか。防衛大臣、お答えください。

岸国務大臣 沖縄県から要請のありましたキャンプ・ハンセンへの立入調査については、米側に対して様々な機会を捉えて伝達しておりますが、その詳細については、相手方との関係があるので、お答えを差し控えさせていただきます。

 引き続き、PFOS等をめぐる問題に対する政府の取組を進める中で、関係自治体及び関係省庁と緊密に連携しながら米側と議論してまいります。

赤嶺委員 答弁を差し控えるという常套句はできるだけ使わないでほしいと先ほどもありましたけれども、早速の答弁がこれであります。

 米軍は、それでも、昨年十月にプレスリリースを出しているんですよ。予備調査の結果、数値上昇につながるいかなる原因も基地内で特定できなかった、このようにしております。基地との因果関係を否定するものでありますが、調査の内容や根拠は一切示しておりません。

 具体的にどういう調査を行ったと米軍は言っているんですか。プレスリリースについてちゃんと説明していただけますか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からただいまお話がございました在沖縄米海兵隊のプレスリリースでございますけれども、昨年十月十四日付のものでございまして、この中で、金武町におけるPFOS等の検出に関して、以下、引用させていただきますけれども、予備調査を行ったところ、それらの高い値を説明できるような、考え得るいかなる原因についても米軍施設内において特定できなかった、そういう旨を発表をしているところと承知をいたしております。

 その詳細につきましては、現在、アメリカ側に確認中でございます。

赤嶺委員 原因は特定できなかったということを一方的に言われて、被害を受けている側は、はい、そうですかといって引き下がるわけにはいかないんですよね。具体的に、彼らが言っている調査というのはどういう調査だったのか、これを示さないで結論だけを押しつけるなどということは許されるはずがありません。

 そもそも、予備調査というのは、アメリカの土壌汚染対策法、いわゆるスーパーファンド法に従って、土地の使用履歴などの情報を集めるものであります。集めた情報を日本側と共有するのは当然です。米軍に予備調査の結果を提出させるべきだと思いますが、防衛大臣、いかがですか。

岸国務大臣 米側は、金武町におけるPFASの検出に関しまして、予備調査を行ったところ、これらの高い値を説明できるような、考え得るいかなる原因についても米軍施設内において特定ができなかったということを発表しております。

 詳細については米側に今確認中のところでありますが、繰り返しになりますけれども、そういうことでございます。

赤嶺委員 いや、納得できないですよね。予備調査を行った結果、原因は特定できなかったと。その予備調査の内容を日本側に提出すべきですよね。米軍との関係を特定できなかったと一方的に言われて、はい、そうですかと言うわけにはいかないわけですよ。

 しかも、キャンプ・ハンセンは、ベトナム戦争の時代には戦車を持ち込んで洗浄していたという証言、当時はそういう状況でした。それから、金武町の水源近くに米軍のごみ捨場があったという証言もあります。かつては飛行場として使用されていたこともあります。そうしたことの関係も含めて、予備調査の内容ははっきりさせる必要があります。

 こういうようなままで、米軍基地との原因は特定できなかったと言われて、それで、被害を受けている県民がこんな説明を受けて納得できるはずはありません。

 海兵隊は、昨年の九月に公表したプレスリリースで、沖縄の全ての海兵隊基地で従来のPFOS含有泡消火剤の処分を終えたことも明らかにしています。キャンプ・ハンセンを含めて、具体的にどの基地でどれだけの量を処分したのかも明らかにすべきだと思います。大臣、いかがですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のございましたアメリカ海兵隊のプレスリリースの関係で申し上げますけれども、これは昨年の九月でございますけれども、具体的には九月九日付でございますけれども、プレスリリースにおきまして、沖縄に所在する全ての海兵隊の基地及び施設において残存していた高濃度のPFOS等を含む泡消火剤の交換作業を完了したこと、そして、当該泡消火剤は焼却処分にするために日本本土へ輸送した旨を発表したと承知をいたしております。

 その上で、アメリカ側は、残存していた泡消火剤の大部分が存在していた普天間飛行場を含むものである旨も併せて発表したというふうに承知をいたしておりますが、処分された泡消火剤についての基地ごとの内訳については承知していないところでございます。

赤嶺委員 踏み込むと、一体何を調べたのか、中身も分からないような調査であります。自分の都合のいいところだけ、結論だけを主張している。自治体の立入調査を拒否するようなことは許されないと思います。米軍に資料を提出させ、きちんと報告をいただくとともに、自治体の立入調査を実現させるべきだということを強く申し上げたいと思います。

 あの問題ならもう全部なくなったよ、こんなプレスリリース一枚で引き下がるわけにはいかないと思いますよ。立入りして調べさせてくれという自治体の要望の実現をきちんとさせるべきだと思います。

 米軍によるPFAS汚染に関わって、嘉手納基地でも新たな動きがありました。

 四月二十三日の沖縄タイムスの報道で、二〇一八年五月から二一年一月の間に泡消火剤に関する九件の事故があり、計四千七百五十リットルが流出していたことが分かりました。そのうち二件は、基地の外に漏出、飛散し、海に到達した可能性を指摘しております。

 二〇一八年八月十七日のケースは、保管タンクからの漏出に一か月の間気づかず、約二千二百七十リットルが流れ出てしまっていたというものです。三・四キロ離れた海に到達した可能性があると述べております。もう一件は、同じ年の五月四日のケースで、格納庫のスプリンクラーが誤作動し、二千二百七十リットルが放出されたというものです。泡の塊が空中に五十から百メートル上昇し、基地の外に飛散したとしています。

 これら二件の漏出事故について、日本政府に通報はあったんでしょうか。

岸国務大臣 報道にありました内容の事実関係については、現在、米側に確認をしているところです。

 その上で、二〇一八年五月四日の嘉手納飛行場の件につきましては、通報があったことが確認できています。他方で、同年八月十七日に嘉手納飛行場で発生したと報じられた件につきましては、現時点で通報があったとは確認できておりません。

赤嶺委員 二〇一六年以降、嘉手納基地で発生した燃料や泡消火剤などの有害物質の漏出事故について、日本政府に通報があったのは何件で、どういう内容でしたか。これについても改めて説明をいただきたいと思います。通告をしておりますから、きちんと答弁できるはずです。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一六年以降の事故に関する通報実績ということでの御質問というふうに承りましたけれども、ただいま大臣からも答弁申し上げましたとおり、先ほどの報道の中にありましたうちの、二〇一八年五月四日に嘉手納飛行場において泡消火剤が噴射された事案、これに関しましては通報があったことが確認できているところでございます。

 他方で、その他の二〇一六年以降の嘉手納飛行場における燃料あるいは泡消火剤などの有害物質の漏出事故については、現時点で通報があったことは確認できておりません。

赤嶺委員 私は、二〇一六年に質問主意書を提出をいたしましてこの問題をただしました。ジャーナリストのジョン・ミッチェルさんが情報公開請求で入手した米軍資料では、二〇一〇年から一四年の間に嘉手納基地で二百六件の漏出事故が起きていたのに対して、日本政府に通報があったのは僅か十三件でした。

 一九九七年の日米合同委員会で米軍の事件、事故に関する通報手続が合意されていますが、実際にはほとんどが通報されておりません。米軍基地でも、通報がないか、あるいは、実際には基地の外に流出していたのに、基地の外には流出していないといった逆の内容が通報されていたことも明らかにいたしました。

 外務大臣に伺いますが、なぜこうしたことが繰り返されるのか、これを検証して、しっかりと通報がなされるように、現在の日米合同委員会合意の改定も含めて日米間で話し合うべきではないかと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 今委員から御指摘のありました漏出事故における通報の有無については、防衛省から答弁があったとおり、米側に事実関係を確認中であると承知をしておりますが、今お話のありました九七年の日米合同委員会、ここで合意されました在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続におきましては、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合には、米側から日本側へ通報されるということになっております。

 今年一月の日米2プラス2におきまして、私から有機フッ素化合物であるPFOS等をめぐる課題について協力を要請し、引き続き緊密に連携することを確認したところでございますが、政府としては、事件、事故発生時に、この合意に沿った日米当局間の迅速かつ正確な通報が着実に行われることが不可欠であると考えております。

 引き続き、米側に対してこうした取組を徹底するように求めてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 外務大臣、2プラス2で大臣が発言しても、実態は、通報が行われていないというようなことが繰り返されているんですよ。事は非常に深刻だと思いますよ。

 別の角度からちょっと質問したいんですが、沖縄県企業局が嘉手納基地由来のPFAS汚染を明らかにし、基地内への立入調査を求めたのは二〇一六年のことであります。六年以上が経過したにもかかわらず、いまだに調査は実現しておりません。

 アメリカの国内では、国防総省は全国七百か所の米軍基地を対象に汚染土壌の調査を進めております。ホームページで基地ごとの進捗状況が公表されております。予備調査や現地調査、具体的な修復に向けた取組もどこまで進んでいるか、基地ごとに一覧で分かるようになっております。

 アメリカ国内ではこうした調査が進んでいると理解しておりますが、間違いありませんね。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカ国内における調査の関係でございますけれども、ただいま委員からホームページの話もされましたけれども、昨年十月には、米国政府がファクトシートという形で公表した文書がございますが、それによりますと、米国防省は、PFASが使用された又は放出された可能性のある米国内における約七百の施設において浄化のための評価を実施しており、二〇二三年度末までに全ての初期評価を完了する予定であるというふうに記載されているものと承知をいたしております。

赤嶺委員 米国内の米軍基地七百か所では、PFASの処理状況が分かるような形で公開をされているわけです。

 国防総省は、さらに、地域社会との情報共有や意見交換の取組も進めております。昨年七月以降、四半期に一回、PFASの存在によって影響を受けた関係者との意見交換の場を持ち、取組の進捗状況について共有する場を設けております。

 この点も確認できると思いますが、いかがですか。

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカ国防省は、PFASに関するタスクフォースを設置して様々な活動を行っているというふうに承知をしております。

 ただいま委員から御指摘のございました点につきましては、アメリカの国防省でアウトリーチ活動という言い方で取り組んでいる活動のことであろうかと思いますけれども、二〇二〇年三月に公表されましたこのタスクフォースの中間報告におきまして、地元を含め関係者への活動報告を行う旨が記載され、二〇二一年七月から、環境、エネルギーレジリエンスを担当する国防次官補代理が主催する活動報告を実施していると承知しております。

 ホームページに掲載されているニュース記事によりますと、二〇二一年七月に一回目、そして同年十月に二回目をオンラインの形で実施をしたということで、関係する記事が載っているのを確認をいたしております。

赤嶺委員 国防総省は、PFASの問題について答弁を差し控えてなんかいないんですよ。ホームページで公開して、進捗状況が全部分かるようになっている。地域住民にも説明しているということでした。

 防衛大臣、米軍は、PFAS汚染に関する調査の必要性を認め、アメリカの国内では調査を行っています。地域社会との情報共有の取組も進めております。ところが、日本国内では調査を認めない、そして、使用履歴などの情報も一切明らかにしない、こういう対応が続いております。これはダブルスタンダードそのものではないかと思います。

 こうした対応の違いについて、大臣はどのように認識しておられるんですか。アメリカ国内の状況も踏まえて、違うじゃないかというような交渉をアメリカ側と、米軍側とちゃんとやっているんですか。いかがですか。

岸国務大臣 アメリカ側とは、引き続き、PFASをめぐる問題に関する政府の取組を進める中で、関係自治体、関係省庁と緊密に連携を取りながら米側と議論をしてまいります。

赤嶺委員 最後に外務大臣に伺いますけれども、これまで日本政府は、日米地位協定の改定には踏み込まず、運用改善の範囲内の対応に終始してきました。七三年の日米合同委員会合意に基づく立入調査は過去一件も行われておりません。そうした事態を改めるためとして環境補足協定が締結されましたが、立入調査を認めるかどうかの決定権限は米軍が握ったままです。結局、ナシのつぶてです。

 日本の環境法令を米軍に適用し、環境汚染に関わる調査を義務づけない限り、今の状況は変えられないと思います。外務大臣、いかがですか。

大塚委員長 時間ですので、簡潔に。

林国務大臣 政府といたしましては、地元の方々の関心に応えられるようにこうした枠組みが運用されていくことが重要であると考えておりまして、施設・区域内外での環境対策が実効的なものとなりますように、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

赤嶺委員 終わります。

大塚委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十三分散会


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