衆議院

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第4号 令和4年10月28日(金曜日)

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令和四年十月二十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    木村 次郎君

      小泉進次郎君    齋藤  健君

      鈴木 憲和君    武田 良太君

      長島 昭久君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    細野 豪志君

      松島みどり君    松本 剛明君

      山本ともひろ君    義家 弘介君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      櫻井  周君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      美延 映夫君    河西 宏一君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  渡海紀三朗君     松本 剛明君

  中曽根康隆君     深澤 陽一君

  新垣 邦男君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  深澤 陽一君     平沼正二郎君

  松本 剛明君     義家 弘介君

  櫻井  周君     新垣 邦男君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     中曽根康隆君

  義家 弘介君     渡海紀三朗君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、外務省大臣官房審議官實生泰介君、防衛省大臣官房長芹澤清君、防衛省大臣官房施設監杉山真人君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁長官土本英樹君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君、防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 法案審議のお時間をかりまして、冒頭、ちょっと日韓関係について質問させていただきたいと思います。

 来週、超党派の日韓議員連盟がそろって韓国を訪問する予定となっております。それに先立って、幾つかトピックがありましたので、指摘をさせていただきたいと思います。

 まず、十一月六日、相模湾で予定されております海上自衛隊創設七十周年記念の国際観艦式に韓国が参加する意向であるとの報道がございました。戦闘艦ではなくて補給艦が参加するんだとか、実に七年ぶりの参加ということになります。

 このことについて、韓国参加の動向について御説明いただきたいと思います。

増田政府参考人 昨日、韓国側から、来月我が国が主催する西太平洋海軍シンポジウム及び国際観艦式に韓国海軍が参加する旨、回答がございました。今般の国際観艦式を通じ、参加国海軍種間の信頼醸成や友好親善を促進し、地域の平和と安定を図っていく考えでございます。

重徳委員 大臣として、これは七年ぶりの参加ということでありまして、昨日の渡辺周委員からの質問のときには、まだそういう報告はないということでございましたが、現時点、受け止めについて語っていただければと思います。

浜田国務大臣 今回、韓国の参加というのが、正式に参加ということで御報告いただきました。

 その意味では、日韓両国を取り巻く安全保障環境を鑑みれば、日韓は互いに協力すべき重要な隣国であり、日韓、日米韓の協力はますます重要となっております。

 防衛省としても、北朝鮮への対応やインド太平洋地域の平和と安定のため、韓国側と緊密に意思疎通を図っていくということは大変重要だというふうに考えておりますので、いろいろな課題はまだまだあるわけでありますけれども、しかし、今回の参加に対しては、我々としては大変評価をしたいと思っております。

重徳委員 もう一点。一昨日、十月二十六日に、日米韓外務次官級協議が行われまして、我が国は森健良外務事務次官、アメリカからはウェンディ・シャーマン国務副長官、韓国からは趙賢東外交省第一次官が参加をしまして、北朝鮮の問題のみならず、中国の海洋進出、台湾有事についても協議したと報じられております。

 特に、中国が祖国統一ということを強調する局面におきまして、我が国は安全保障面で韓国と、対中姿勢、中国に対する姿勢を共有することはとても重要なことだと思います。今、大臣からは、インド太平洋のというような言い方でありましたけれども、中国に対する姿勢、これを共有することは大事だと私は思っておりますが、今回の三者協議におきます韓国の対中姿勢は具体的にどんな状況であったか、お知らせください。

實生政府参考人 お答えいたします。

 先般、十月二十六日、日米韓次官協議が開催されました。

 ここで、韓国側の発言ということでは、外交上のやり取りということで、お答えを差し控えたいと思いますが、この協議では中国についても議論が及び、東シナ海及び南シナ海情勢を含め議論を行いました。力による一方的な現状変更の試みを許してはならないという認識を共有しました。また、台湾海峡の平和と安定が重要という認識を改めて確認したところであります。

 いずれにしましても、北朝鮮への対応を始め、地域の平和と安定にとって日韓、日米韓の協力というのは不可欠であるという点についてはまさにこの協議においても改めて確認したところでありまして、日本としては、今後とも、日米韓の重層的な意思疎通も通じて、日韓、日米韓三か国の緊密な連携を一層前進させたい、そのように考えているところであります。

重徳委員 浜田防衛大臣にも重ねてお尋ねしたいと思いますが、韓国は、どちらかというと、今まで専ら北朝鮮に対する関心が高くて、中国あるいは台湾有事に関する関心といいましょうか、安全保障上の懸念というものがさほど強調されてこなかったんじゃないかなという気もいたしております。

 実は、八月下旬に、私自身、同僚議員の源馬謙太郎議員とかそれから自民党の山下貴司議員とともに、韓国の議員と一緒に、アメリカ・ワシントンDCに行って、先ほど申し上げましたウェンディ・シャーマン副長官らと様々懇談をしてまいりました。アメリカとしても、大変、日米韓が協調して中国の力による現状変更を牽制するというか、そういうことに高い関心を持っていると見受けられます。

 特に、東アジアにおいて、ロシアとの関係が悪化する中で、これは国内世論も含めて、日本国内世論あるいは韓国の国内世論含めて、日韓関係、今まで徴用工問題など難しい深刻な問題で悪化しておりました日韓関係を重視していくべきじゃないか、こういう世論もじわじわと高まってきているのではないか、これは私自身の地元選挙区を歩いていても感じるぐらいの肌感覚がございます。

 そういったことも含めて、日韓関係、特に安全保障面における、日米韓ですけれども、特に日韓関係の強化について、大臣の御所見をいただきたいと思います。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊としては、我が国を取り巻く安全保障環境がより一層厳しさを増す中で、日米、三か国の訓練も行っておるわけでございますけれども、その実施を通じて、地域の安全保障上の課題に対応するための三か国協力を推進するものでありまして、共通の安全保障と繁栄を保護するとともに、ルールに基づく国際秩序を強化していくという日米韓三か国のコミットメントを示すものだと思っております。

 防衛省・自衛隊としては、今後も引き続き三か国の連携を深めてまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 では、日韓関係はここまでといたしたいと思います。

 次に、年末の防衛三文書取りまとめに向けまして、いわゆる反撃能力が大変話題になっているというか、与党の中でも協議が進んでいると聞いております。

 ここで、立憲民主党の立場を少し説明しておきたいと思いますが、この皆さんにお配りしております配付資料を御覧いただきますと、これは今年の六月の立憲民主党の外交・安保・主権調査会の取りまとめの抜粋でございます。

 「いわゆる敵基地攻撃について」は、この前段、第一パラグラフの十三番三行目を御覧いただきますと、「「法理的には自衛の範囲に含まれ可能である」と認識してきた」ということを明記しております。また一方で、十四パラの一番下、「専守防衛を超えることのないよう検討し、国民的理解を得ながら、現実的な防衛力整備を図ります。」ということで、決して否定はしておりません。むしろ、現実的に防衛力整備を図ると明記をいたしております。

 ただ、その前段としまして、やはり幾つかクリアしなきゃいけない課題があるねと。すなわち、日米の役割分担を果たして変更するのかどうか、それから、周辺国との緊張を高める安全保障のジレンマに陥らないか、報復や飽和攻撃による被害の拡大の可能性とコストをどう考えるか、あるいは他の手段はないかなどを勘案して、多角的観点からの検討が必要だということを前段として申しております。

 そこで、質問なのですが、これはまた今朝報道されておりますけれども、日本国政府として、米国製の巡航ミサイル、トマホーク、これは千二百五十キロ飛ぶと言われております、既に使われている兵器でありますが、これを米国から購入するということを打診している、日本国政府が米国側に打診しているという報道がございました。

 確かに、今、日本国内でも、一二式の地対艦誘導ミサイルの改良を進めて長射程化に取り組んでいるという状況ではございますけれども、それが完成する、あるいは実戦配備されるのはちょっと先のことになろうということを考えると、長射程のトマホークを導入するというのは、敵地に届くミサイルでありますから、これを早期に導入するというのは、まさにいわゆる反撃能力を日本が備えるためのものであるというふうに解することができる、こうした内容の報道でございます。

 そういうことも併せ見ても、いわゆる反撃能力というのは、まさに、これはるるいろいろな議員さんからの主張にあるように、想定される相手国から長射程のミサイルが飛んでくるけれども、こっちは届かないとか、こっちはその準備がないというのでは抑止力にはならないじゃないか、こういう議論でございます。

 反撃能力として、まず前提として、この報道について、報道の真偽といいましょうか、事実関係についてお聞きしたいと思います。

浜田国務大臣 反撃能力の保有を念頭にトマホークの購入を検討しているとの報道があることは承知しておりますが、いわゆる反撃能力については現在検討中でありまして、具体的な内容は何ら決まっておりませんので、その点は御理解いただきたいというふうに思う次第であります。

重徳委員 年内に三文書ということですから、あと二か月しかない中で、何らというのはちょっと言い過ぎじゃないかと私は思いますが、検討中ということは承知しております。

 それで、まず、トマホークかどうかはともかくとして、いわゆる反撃能力というのは、それなりに届く能力を持つということでありますから、当然、敵地を射程に入れたミサイルを配備するということは含まれるということでよろしいですか。

浜田国務大臣 基本的に、現在検討中ということでございますので、まだ今ここでお話しするようなものというのでは、これがというふうには言い切れないわけでございますので、あらゆるものを検討しつつ、この中で議論していくということが重要でありますので、年末までに対応していきたいというふうに思っております。

重徳委員 この段に及んで何も言い切れないとかいうのも非常に強い違和感を感じますが、理屈から考えて、当然、そういった長射程のミサイルを配備というか保有するということは含まれるということだと思うんですね。含まれ得るかどうかだけお答えください。

浜田国務大臣 基本的に、トマホークというような、限定するような名前というのではなくて、我々とすれば、そういった長射程のものも、要するに、反撃能力ということであれば、これは検討するということを言っているわけでありますので、そういう意味では、全てを否定しているわけではございません。

重徳委員 我々の考え方の中で、「日米の役割分担を変更するのか」というのがございます。要するに、専守防衛というのは、簡単に、平たく言えば、やられたらやり返しますというのが専守防衛だということなんですけれども、しかし、やられたらというのも、着手した判断はどうするのか。まさに今、与党の中でも議論されていると思うんですけれども、着手の時期、着手したかどうかの判断をどうするかというのが一点。

 それから、やられたらやり返す、やり返す相手が、やってきた相手をやり返すだけじゃなくて、よく言われる指揮統制機能といった、敵の中枢なんという言われ方もされたことがありますが、そういうところまでたたく、そういうことなのかどうかといった論点があると思います。

 これも検討中ということかもしれませんが、一応お尋ねします。専守防衛を超えるとか日米の役割分担を変更するということはあり得ないということが言えますか。

浜田国務大臣 基本的に、我々は、専守防衛ということは、これはもう堅持していくということが絶対条件でありますし、また、日米の基本的な役割分担は、これは維持をしていくということでありますので、そういう意味合いにおいて言えば、専守防衛の、今御指摘のあった部分のところも含めて今議論をしているところでありますので、今ここで確たるものをお答えすることはできませんが、我々とすれば、あくまでも憲法の範囲内というのが、これは絶対条件だというふうに考えておりますので、その辺のところの判断はこれから議論してまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 憲法の範囲内というのが絶対条件であるという御答弁だったと思います。そういうことを前提に、周辺国との緊張を高めるなどということも、あるいは安全保障のジレンマに陥るなどということもないように、すなわち、他国から口実とされるようなことがないようにしていただきたい、これが国民の望みだと思います。

 このことも断言していただきたいと思うんです。つまり、安全保障のジレンマ、他国との緊張を高めるようなことが決してないようにするということも御答弁ください。

浜田国務大臣 今お話にありましたように、我々、この安全保障のジレンマというものに対しては、今お話しになられたように、自国の安全を確保するために行う軍事力の増強によって他国の脅威認識を増大させて、更なる軍事力の増強を招いて、その結果、かえって自国に対する脅威を増大させるという議論と我々も承知しているわけでありますけれども、その中において、周りの今の安全保障環境というのは、いろいろな意味で、軍事力の更なる強化をする国、そしてまた軍事活動活発化の傾向が顕著になってきておる国もあるわけでございますので、そういった中で、我々、どういう体制を取るのかということも含めて、三文書の改定について議論していくわけでございます。

 そしてまた、こういったことを念頭に置きながら、我々、透明性を持って防衛政策を進めていくということは大変重要なことでありますし、今御指摘にありました国民の皆さん方の懸念、不安というものを増大させるようなことは、我々としては、なってはならないと思いますので、しっかりと対応して説明をしていきたいというふうに思っております。

重徳委員 今言われた中では、透明性という言葉が一つのキーワードだと思います。与党の中の協議の中でも、先ほど申し上げました着手の判断、それから、どういった対象を攻撃することを念頭に抑止力を高めるのかということだと思います。そういった意味でも、透明性を、つまり曖昧にしないということをはっきりとおっしゃっていただきたいと思います。透明性についてお願いします。

浜田国務大臣 これは当然、我々とすれば、今おっしゃった点を最大限考えながらやっていきたいというふうに思っております。

重徳委員 時間の関係もありますので、次の質問に入ります。

 無人アセットについてお尋ねしたいと思います。

 まず初めに、ロシアとウクライナとの間の侵略戦争におきまして、ドローンが随分有効な攻撃手段となった、すなわち、ウクライナがトルコから供与されたバイラクタルなどと言われるドローンをもってロシアの戦車を粉砕していく、これが大変有効だったというような報道がされておりますが、これを防衛省としてどのように受け止めておられるのか。これはどうですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のロシアによるウクライナ侵略に対しまして、ウクライナ軍は、攻撃型の無人機などを使用しましてロシア軍の野外指揮所や兵たん車両などの後方部隊を攻撃するほか、無人機による航空偵察と地上部隊の火砲や多連装ロケットを組み合わせ、ロシア軍を攻撃していると見られております。また、ロシア軍も、九月以降、イラン製の自爆型無人機を始めとする各種無人機を多数使用し、ウクライナ軍の施設や同国内の発電所などの民生インフラを攻撃していると見られております。

 このように、比較的安価であり人命を危険にさらすリスクの低い無人機は、ウクライナ軍及びロシア軍の双方において積極的に活用されていると見られ、戦闘様相を一変させ得るゲームチェンジャーであるとも指摘されております。

 防衛省としましては、こうした無人機を活用した新たな戦い方について、引き続き高い関心を持って注視していく必要があると考えているところでございます。

重徳委員 大変安価で、かつ、人命、特に戦闘員というか、部隊の人命を損ねることが少ないというようなことだと思います。そして、積極的に使われている、ゲームチェンジャーになり得る、幾つかキーワードがありました。

 今回の防衛省の概算要求、事項要求ばかりなんですけれども、その中でも私が着目しておりますのが、政府はこれまで、攻撃型ドローンというものは保有してこなかった、監視のため、偵察用ドローンだけであって、攻撃型というものは保有してこなかったというのがこれまでずっと述べられてきた公式な答弁でございましたが、概算要求をよく見ますと、攻撃に供し得る無人機の整備という文言がございます。

 この考え方、まずは購入してみて検証するぐらいの話もちょっと聞きますけれども、検証するとすれば何を検証するのか。また、想定される配備時期、検証しているだけでは意味がありませんし、何の目算もなく検証するということもないと思います。

 配備時期、想定される攻撃能力、作戦内容、さらには機種の選定、配備数など、どういったことを想定されていますか。また、ついでに、今、海外産のものが多いと思いますけれども、国内製造を視野に入れるかどうかについて御答弁ください。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 無人アセットにつきましては、将来の戦闘様相を一変させ得る革新的なゲームチェンジャーであるとも指摘されておりまして、無人アセットを駆使した新たな戦い方への対応が急務になってきてございます。

 このため、防衛省・自衛隊といたしましては、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、隙のない警戒監視体制を構築するとともに、万一抑止が破られた場合に、空中、水上、海中等で非対称的に優勢を獲得するため、無人アセット防衛能力を重点的に強化することといたしております。

 この観点から、令和五年度概算要求におきまして、攻撃用を含みます様々な任務に効果的に活用し得る無人アセットを整備することとしておりまして、その早期取得、運用開始に向けまして、費用対効果に優れた国内外の複数機種を実証し、使いながら改良して、評価、選定の上、速やかな装備化に取り組んでいく考えでございます。

 導入する機種や配備数等の具体的な内容につきましては、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けて現実的かつ実効的な検討を加速し、防衛力を抜本的に強化するため、必要な予算をしっかりと確保してまいりたいと考えております。

 また、あわせまして、国産かどうかという話もございましたけれども、内外を問わずということでございまして、国産を否定するものではございません。

重徳委員 今御答弁の中にもありましたけれども、特に特出ししてお聞きしたいんですが、ミサイル、戦闘機と比べたドローンの優位性というもの、ゲームチェンジャーたり得るというところをもう少し詳述していただけませんか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、各国におきまして、多種多様な無人アセットが開発されていると承知してございます。その運用構想はミサイルや有人機とは異なるところでございますけれども、防衛省・自衛隊といたしましては、一般に、無人アセット防衛能力を強化することによりまして、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、隙のない警戒監視体制を構築するとともに、万一抑止が破られた場合に、空中、水上、海中等で非対称的に優勢を獲得することが可能である、そういうところにあるんだろうというふうに考えてございます。

重徳委員 重ねての答弁、ありがとうございます。

 ここで、大臣にお聞きしたいと思います。

 現在、政府では、防衛費の大幅増額を検討しておられるということであります。我々としても、目標ありきみたいな議論はおかしいと思いますが、必要があれば、今の厳しい安全保障環境に照らし、必要なものは必要だというふうに考えていきたいと思っております。

 その中で、先ほど来のドローン、攻撃型ドローンの導入というのは様々な効用がある、そして何よりも、値段でいうと安いということがあります。そういったことを考えると、ミサイルや戦闘機を導入するよりも、同じお金なら、あるいは同じ能力なら、安くあるいは多く整備することができるのではないかということであります。

 防衛費を、単に今までどおりのアセットを増やしていくからお金がかかりますというのは、余りに能がないと思います。国民的な理解、まして増税まで検討されているわけですから、そういう中で、ゲームチェンジャーたり得るということも含め、防衛予算の質的な転換ということが必要だと思います。

 このドローンについての考え方、そして防衛予算との関連について御説明いただきたいと思います。

浜田国務大臣 防衛省といたしましては、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、隙のない警戒監視体制等を構築するとともに、抑止が破られた場合に、先ほども申し上げましたが、空中、水上、海中等で非対称的な優勢の確保に資する能力を獲得するため、無人アセット防衛能力を重点的に強化することとしております。

 また、現在の急速な技術進展を踏まえても、例えば、戦闘機に求められる平時及び有事における多様な任務全てを果たすことができる無人機を開発することは技術を含め様々な課題があって、無人アセットにより既存整備品の任務を全て代替することは困難であります。

 したがって、無人アセット防衛能力については、コストの面のみならず、無人機の技術的成立性や、無人機に付与する機能、性能を含めた具体的な運用構想等の検討を深めることが重要と考えております。

 いずれにしろ、防衛費の内容や規模等については、防衛力の抜本的強化に向けて、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討していく中で、国民の皆さん方に丁寧に説明をして理解を得ていく考えであります。

 今先生から御指摘の点につきましても、我々も、ただ単に予算の積み重ねではなく、しっかりとした質と、その質の内容というものを重視しながら、適切な判断をしながら予算を獲得していきたい、このように考えているところであります。

重徳委員 最後に一点。

 私たち立憲民主党は、今年六月に自衛隊員応援議員連盟というものを立ち上げ、百人以上の議員が積極的に参加をしております。

 自衛隊員の処遇、居住環境、訓練環境、こういったものは、正面装備以前に大前提として大事なことだと思います。計画的、継続的な予算化が必要なんですけれども、こういったことも含めて、現時点で事項要求みたいなことはおかしいんじゃないかと私は思うんですけれども、自衛隊員の処遇などに対するお考えをお聞かせください。

浜田国務大臣 ただいま御指摘のありました自衛隊員の処遇の向上や生活、勤務環境等の改善は、防衛力を支える要素である人的基盤の強化に不可欠であり、防衛力の抜本的な強化に合わせて取り組むものだと考えます。

 今般の概算要求では、これまでの延長線上にあるものとして行う防衛力整備事業ではない、防衛力を五年以内に抜本的に強化するために必要な取組について事項要求としております。人的基盤の強化に関わる各種事業についても、このような位置づけにあるものも含まれるため、事項要求として要求をしているところであります。

 今、立憲民主党でもそういった自衛隊員を応援する議連ができたということを大変心強く思う次第でありますし、今後ともの御指導をお願いをしたいと思います。

重徳委員 言いたいことはたくさんありますが、以上とさせていただきます。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、防衛職員給与法の法律案に関連して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、自衛官の給与体系についてお聞きをしたいというふうに思いますが、かねてから自衛官の給与体系の改善を求める質疑等されております。私自身も以前から改善を求めておりますけれども、国際情勢、特に北東アジア等、安全保障環境が更に一段と厳しさを増しているということ、そして、日本にとっても大変厳しいものになっているというふうに承知しております。

 人材の確保や増強、また育成、さらには中途退職の抑制など、様々な課題があると思いますけれども、自衛官の待遇改善、給与引上げ等、重要だというふうに思います。

 従来の努力では人材の確保や増強にも限界があるというふうにも思っておりまして、自衛官独自の給与体系を求める声もありますけれども、いずれにしても、政府には更なる給与体系の改善を検討すべきだというふうに思いますが、大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 自衛官の給与制度は、民間準拠を基本とする他の国家公務員の給与を参考にすることで、給与制度の信頼性、公正性を確保しつつ、自衛隊の任務の特殊性等を踏まえた俸給表や手当制度を独自に設けております。

 具体的には、常時勤務態勢という任務の特殊性を考慮し、超過勤務手当相当額を俸給に繰り入れた自衛官俸給表のほか、任務の困難性を考慮した航空手当や落下傘隊員手当、さらに、特殊勤務手当として災害派遣等手当など、人事院勧告によらない処遇の向上を図っているところであります。

 このように、今後とも、自衛隊の任務の特殊性、困難性を踏まえて、自衛官としてふさわしい処遇となるよう不断に検討してまいりたいと考えます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 更に、人材を求めて、官民両方ともですけれども、競争も激化してくると思いますので、是非、更なる改善に向けて、体系において検討していただきたいというふうに思います。強く求めておきたいというふうに思います。

 次に、サイバーセキュリティーについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

 近年、サイバー攻撃が高度化、複雑化しており、サイバー空間の安定的利用に対するリスクが課題となっております。

 自衛隊においても、サイバー空間を活用した情報通信ネットワークは様々な領域における自衛隊の活動の基盤となっており、これに対する攻撃は自衛隊の組織的な活動に重大な障害を生じるものになっているというふうに承知しています。

 防衛省は、サイバー防衛隊、当初は約九十名から、今、総員で約八百九十名ほどと聞いております。他国に目を向けると、中国は十七万五千人規模、そしてロシアでは千人規模、そしてアメリカでは六千二百人規模、そしてまた北朝鮮を見ても、日本のサイバー部隊の十倍強、六千八百人規模というふうに言われております。

 我が国のサイバー防衛を担う組織は、単純に数だけで比較するということも難しいと思いますけれども、ただ、諸外国に比べてもまだ努力が必要だというふうに思っております。この点、政府の見解をお伺いしたい。

 そしてまた、昨今、北朝鮮等、ハッカー等の技術、暗号資産も数百億ドル以上被害があるということも聞いておりますけれども、サイバーの能力というものも向上している、高度化しているというふうに思います。その点をどう捉えているのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊としては、サイバー防衛能力の抜本的な強化を図るため、共同の部隊である自衛隊サイバー防衛隊の新編を始め、自衛隊のサイバー部隊の体制を計画的に拡充し、強化しているところであります。

 諸外国の軍のサイバー関連部隊の規模について様々な御指摘があることは承知しておりますが、各国の軍のサイバー関連部隊が具体的にどのような任務を担っているかについては明らかでない部分もあることから、サイバー関係部隊の規模を単純に比較することは困難であります。

 その上で、北朝鮮については、いわゆる非対称戦力としてサイバー部隊の強化を図っており、国際的な統制をかいくぐり通貨を獲得するための手段としてサイバー攻撃を利用していると見られるほか、軍事機密情報の窃取や他国の重要インフラへの攻撃能力の開発などを行っているとされております。また、軍の偵察総局を中心に、サイバー部隊を集中的に増強し、委員おっしゃられたように、約六千八百人を運用しているとも指摘をされております。

 防衛省としては、サイバー部隊やその能力を含む北朝鮮の軍事動向について、引き続き、米国等と緊密に連携しながら、情報収集、分析に全力を挙げていく考えであります。

伊藤(俊)委員 サイバー防衛隊を含むサイバー関連部隊等という、陸海空合わせて、その体制について、現行の中期防の最終年度である令和五年度をめどに、全体として千数百名規模、拡充に努めるということも言われております。どのように達成をするのか。年末の戦略三文書改定に向けても、サイバー関連部隊等の体制においては、現行の目標から、将来的にいつ頃までに、どれくらいの規模へ拡大をしていくことを検討するのかお聞きをしたいというふうに思います。

 また、加えて、サイバー防衛隊の組織自体、陸海空含めて、それぞれのサイバー部隊が連携をしっかりとすることが重要だというふうに思いますが、組織的に縦割り的なことになっていないかどうかも含めて、体制をお聞きしたいというふうに思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のサイバー体制の強化につきましてでございますが、まさに、サイバー領域における脅威、これが日々高度化、巧妙化する中で、自衛隊が任務を果たす上で、サイバー空間の安定的な利用、これが非常に重要になっておりますので、先ほど大臣から御答弁ありましたとおり、サイバー部隊の体制の計画的な拡充を行っているところでございます。

 現在の大綱、中期防の下で、令和三年度末、今年の三月でございますが、自衛隊サイバー防衛部隊というのを大臣直轄の共同部隊として新編いたしました。令和四年度末に、この部隊と、あと、先ほどありました陸海空自衛隊のサイバー部隊、これも含めた自衛隊全体のサイバー関連要員を八百九十名まで拡充いたしまして、能力の強化を図ってまいります。

 委員御指摘の令和五年度につきましては、まさに現在、新たな国家安全保障戦略等の策定を行っておりまして、次期整備計画の初年度ということでございます。現時点で具体的な数字をお示しすることはできませんが、こういったサイバーの能力、抜本的な強化を図っていきたいと思っております。

伊藤(俊)委員 サイバー防衛の人材確保という観点で、加えてお聞きをしたいというふうに思いますけれども、人員規模の増強だけではなくて、サイバーセキュリティーに関する専門的な知識を持つ優秀な人材の確保が必要だというふうに思っております。

 そのような中で、防衛省が、サイバー防衛に関わる職員の報酬の引上げのために、防衛省職員の給与等に関する法律施行令を改正をして、令和四年度、四月一日から施行していると承知をしておりますが、これによって、自衛隊サイバー防衛隊に所属をする事務官等ということで、防衛大臣が定めた者に限り、任務の重要度及び困難度に応じた金額が調整額として支給されるということになっていると聞いております。

 その上で、先般の改正で俸給の調整が行われる対象者というのが具体的にどのような者が該当するのか、これは民間人の方も対象になっているのか、そしてまた、極めて高い任務においては調整数三、いわゆる三倍、乗ずる、そしてまた特に高い方には調整数二ということが定められておりますが、この違いが何に基づくものなのか、お聞きしたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 自衛隊サイバー防衛隊に勤務し、極めて高度の専門的な技術を活用して遂行することが必要とされる情報システムに関する業務で重要度及び困難度が極めて高い又は特に高いものに従事することを本務とする事務官等のうち、防衛大臣の定める者には俸給の調整額を支給することとしております。この防衛大臣の定める者は、自衛隊サイバー防衛隊において、サイバー分野における専門性が極めて又は特に高い業務に従事する事務官等を対象として定めております。その業務の特殊性に応じて、調整数三、月額約三万円程度と、調整数二、月額約二万円程度の二段階としております。

 なお、民間人は対象に含まれておりません。

 この調整数三及び調整数二の具体的な差異につきましては、これを明らかにしてしまいますと我が方のサイバー分野における能力等を推察され得てしまうため、お答えできないことを御理解いただければと思います。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 恐らく、非常勤等の観点からは、民間含めて、一部含まれる部分もあるのかなというふうに思いますけれども、このサイバーセキュリティーに高い能力を有する高度人材、官民問わず非常に需要が多い状況となっていると思います。

 民間の給与と遜色ない金額が求められるとも考えられますけれども、先般の俸給調整によって、民間の給与との差というものをどういうふうに感じているのか、防衛省による民間のサイバー人材の給与モデルや、水準となる基準というもの、あるいはどれくらいが妥当と考えているのか、その考え方をお聞かせいただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 民間のサイバー人材の給与水準は、企業規模、雇用形態、雇用期間、そして具体的な業務内容等によって様々であると考えられるため、新卒で採用し、内部で養成し、定年まで雇用することを前提とした一般的な公務員の給与制度と単純に比較することは困難と考えております。

 その上で、私たち、自衛隊サイバー防衛隊に勤務する事務官等については、俸給の調整数三、二を支給することにより、処遇を確保しているものでございます。

 さらに、任期を定めて、高度な技能を有する即戦力の人材を採用すること、これは公務の分野においても可能であると考えております。例えば防衛省においては、サイバー分野の高度な知見を持つ部外人材を非常勤のサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用しております。このような高度な知見を持つ人材の採用に当たっては、民間における給与水準も踏まえた給与額と決定しておるところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 今防衛省が、民間企業との間で人事交流を行っております。セキュリティー関連の人事交流は年間で数件程度にとどまっているという現状だと思いますが、その効果、成果がいかほどなのか、お聞きをしたいというふうに思います。

 また、海外への留学等の門戸を開くことは重要かつ効果的だというふうに考えています。以前、私の質疑でも、海外への留学の門戸が一部広がるという前向きな答弁をいただいたこともありますけれども、現在の海外の教育機関への状況、そしてまたそのお考えをお聞かせいただきたいのと、そしてまた、諸外国に学んで、これはかなりハードルもありますけれども、官民が行き来できるような、そんなプラットフォームも必要だというふうに思いますけれども、併せて見解をお伺いしたいというふうに思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省としては、サイバー領域における脅威が日々高度化、巧妙化する中、サイバー人材の確保は喫緊の課題と認識しており、その際、サイバーの専門的知見を持つ部外人材を活用することは有用な方策と認識しております。

 その一環として、サイバー分野における部外の高度人材を非常勤のサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用しているほか、サイバーの専門的知見を持つ部外人材を中途採用しております。また、官民人事交流の枠組みにより、部外人材に一定期間サイバーセキュリティー関連の研究開発に貢献いただいた実績もございます。さらに、高度な人材育成の一環として、各人の能力に応じ、海外の教育機関や企業への派遣も行っているところでございます。

 これらに加えまして、令和四年度、本年度から、新たにサイバーセキュリティーの技能を持つ予備自衛官補の採用を開始しております。

 このような取組を推進する一方、更に多様な民間人材を自衛官に採用すべく、一般的な自衛官とは異なる体力基準を設けることも視野に検討を進めております。

 新たな国家安全保障戦略等に向けた議論を加速する中で、引き続き、サイバー人材の確保、育成を実効的に強化できるよう、検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 結果的に数件程度の人材交流の現状を見ると、制度的に使い勝手がいいか悪いかということは検討しなきゃいけないんじゃないかなというふうには思っております。

 現実的に、契約の問題だとか、機材が使える使えないという問題だとか、あるいは秘匿性が強い、いろいろ様々な要因から、なかなかうまく使えることができないのではないかなというふうにも推察しますけれども、なので現実的には中途採用等を中心にということなんだろうというふうに思います。官民それぞれ、お互いを知っておくということがすごく大事だと思いますし、より使い勝手のよい体制を検討しなきゃいけないというふうに思っております。

 また、海外への教育機関への留学等、すごく効果的ではないかなというふうに思っています。更なる活用ができるような体制を検討していただきたいというふうに思います。昨今では、民間で、マイクロソフト等への留学等ができるということも聞いておりますし、あるいは、アメリカの国防大学やあるいはカーネギーメロン大学、様々な留学の門戸が開かれているというふうに聞いております。是非活用ができるように検討していただきたいというふうに思います。

 そしてまた、プラットフォームづくりも様々な研究が必要だというふうに思いますけれども、是非前向きに検討していただきたいというふうに思います。

 そして、先般の改正では、自衛隊サイバー防衛隊に所属をする自衛官は調整額の支給対象となっておりません。自衛官に対して、政令とは別に給与上の処遇向上策が講じられているというふうに聞いておりますけれども、改めて、どのような対策が講じられているか教えていただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官と事務官とは職務が大きく異なることから、防衛省におきます手当制度も異なっておるところでございます。

 御指摘の俸給の調整額は事務官等の俸給を調整するものである一方、自衛官のこれに相当するものとして、航空手当、乗組手当、特殊作戦隊員手当といった、いわゆる配置手当というものがございます。

 自衛隊サイバー防衛隊に所属する自衛官にはサイバー分野における高い専門性が求められるところ、その中でもサイバー分野における専門性が極めて高い又は特に高い職務に従事する自衛官に対しては、この配置手当である特殊作戦隊員手当を支給しているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 今回の報酬の引上げに対して、内部への通知というか周知ということを念頭にしているかなというふうに思いますけれども、それは広く周知をすることが大事だというふうに思いますけれども、今現状どんな対応をしているか、簡単に教えていただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省の職員の給与引上げのための法律、そしてこれらの政令につきましては、公布と同時に防衛省のホームページ等に掲載し、紹介しているところでございます。

 今後はサイバーセキュリティー分野の人材確保が一層困難になることは明らかに予想されているところでございます。防衛省といたしましても、更なる情報発信を適時適切に行ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございました。

 防衛大学校のサイバー専門の学科の創設について一問お伺いしたいと思いますが、以前、私も質疑でお聞きをさせていただいております。

 サイバーセキュリティーに高い能力を有する高度人材を確保するためには、外部人材を採用するだけではなくて、やはり一定の専門性を有する内部の人材の育成が必須であります。特に安全保障への対応について、秘匿性の高い情報を扱うほか、中長期的な対応が必要となるため、将来に幹部となる者が学ぶ防衛大学校においても高度な専門人材を育成する必要があるというふうに考えています。

 基礎を学ぶ授業等は実施をされているというふうに承知をしておりますけれども、サイバーセキュリティーに特化した学科はいまだ設けられておりません。検討が続いているというふうには聞いておりますけれども、これほどサイバーセキュリティーに対する脅威が高まっているということ、具体的に決断をしていただきたいというふうに思いますけれども、前向きな答弁をいただけたらありがたいと思います。また、着手しない理由があれば具体的に教えていただきたいというふうに思います。

浜田国務大臣 現在、防衛大学校においても、サイバー分野における人材を育成するための取組を行っているところであります。

 具体的には、全学生の必修である防衛学の科目で、サイバー領域を含む各領域における作戦の基礎を理解することを目的とした授業、そしてまた、理工学専攻の学生に対するサイバー戦の理解に必要な基礎知識を学ぶ授業、理工学専攻の情報工学科においてはより高度な情報システムやサイバーセキュリティーに関わる授業や研究等を実施しております。

 いずれにせよ、サイバー分野における人材育成、確保を一層積極的に推進していくため、防衛省・自衛隊におけるサイバー分野の教育体制の在り方を検討していく中で、防衛大学校においても、サイバー専門教育の拡充や学外との連携を検討してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 教育体制を整える必要性から、早急に着手すべきだというふうに考えますので、大臣にも強くお願いを申し上げたいというふうに思います。

 それから、駐屯地の現状、改善、修繕について一問お伺いしたいと思います。

 古い自衛隊施設が多く、修繕が課題となっております。かねてから改善を求める声がありますけれども、あえて武山駐屯地と練馬駐屯地の隊舎ですけれども、いまだ改善、修繕ができていないと聞いております。一部、隊員の方々自ら修繕に当たっているということもお聞きしておりますけれども、十全な機能が発揮できるようにしなければいけないという観点からも、早期に修繕に着手をする必要性があるというふうに思いますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 委員御指摘の点でございますけれども、防衛省は約一千百棟の隊舎を保有しており、そのうち築四十年以上の建物は約五百棟、約四割存在をしております。

 これまで老朽対策については、建物の老朽状況を踏まえて、建て替え及び改修のほか、部隊による修繕を行うなど、順次対策を行ってきたところであります。

 安全保障環境が急速に厳しさを増す中、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる防衛施設の十分な機能発揮を確保することは重要であると認識しております。

 防衛省としては、老朽化について、集約、建て替え等により効率的に進めることなどを含めて、新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた議論が加速する中でしっかりと検討してまいりたい、このように考えているところであります。

伊藤(俊)委員 大臣、是非現地も、十分御承知だと思いますけれども、是非、決断をしていただいて、計画的に着手していただきたいというふうに強くお願い申し上げたいと思います。

 最後に、サイバー防衛隊の任務の拡大について一問お伺いしたいというふうに思います。

 政府は、年末の戦略三文書改定に向けて、自衛隊のサイバーセキュリティー能力の在り方について検討しているというふうに思いますけれども、その中で、サイバー攻撃の兆候をいち早く探知し、そして、発信元の特定、攻撃を未然に防止をするために相手方システムへの侵入を行う積極的サイバー防御の導入についてどのような議論をされているのか、まずお聞きをしたいと思います。

浜田国務大臣 サイバー領域における脅威が日々高度化、巧妙化する中で、防衛省・自衛隊においては、いかなる場合においてもシステムやネットワークの機能を確保ができるよう、サイバー攻撃への対処などを行う自衛隊サイバー防衛隊を新編するなど、サイバー防衛能力の強化に取り組んでいるところであります。

 積極的サイバー防御についてお尋ねがありましたが、サイバー分野については、新たな国家安全保障戦略等の策定プロセスの中で、政府としてあらゆる選択肢を排除せず検討しているところであり、現時点で結論について予断を持ってお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

伊藤(俊)委員 平成三十一年に、渡辺周委員から当時の岩屋大臣に対して、サイバーにおけるグレーゾーン事態への対処について質問がされておりますが、当時の大臣からは、しっかり検討しなければならないという答弁がございました。その後四年近くたちますけれども、ここについて政府の検討に進展があったという国会答弁と報道も承知をしておりません。

 しかし、グレーゾーン事態あるいは平時におけるサイバー攻撃への対処は重要かつ喫緊の課題だと思いますし、戦略三文書の改定に当たっても特に重要な検討課題なんだろうというふうに承知しております。

 グレーゾーン事態あるいは平時におけるサイバー攻撃への対処について、現在の政府における検討、なかなか難しいと思いますけれども、お尋ねをしたいというふうに思います。例えば、積極的サイバー防御の導入が、戦略三文書の改定に当たって、何らかの結論等、見込みができるのかもお聞きをしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 委員から御指摘のあった点につきまして、大変これは、我々、この暮れに向けての議論の中で、当然のごとく、積極的サイバー防御についてもこれは議論していかなければならないというふうに考えておりますし、また、今お話ししたとおり、今後の自衛隊としての体制をこれからもっと上げていかなければならないというふうにも考えておるところでございまして、いずれにしても、この暮れに向けてしっかりと議論していきたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 本来なら深い議論をさせていただきたいところでありますが、なかなかそれ以上の答弁が難しいという回答であります。恐らく、ここの中の話をしていけば、国際法上の、憲法に対する認識とか、様々なことが議論になるんだというふうに承知をしております。引き続き、また別の機会でお聞かせをいただきたいというふうに思っております。

 最後に、もう時間がほとんどありませんけれども、昨日、旧統一教会の問題で、大臣、答弁をされておりますけれども、支援があったかどうかということに関しては言及されていなかったように思います。

 選挙における、あるいは活動における何らかの支援、あるいはパーティー券の購入など、おつき合いがあるのかどうかだけお聞かせをいただけたらありがたいと思います。

浜田国務大臣 昨日もお答えしたとおりでございまして、私に対する支援というのは、それは当然のごとく投票による行動でありますので、それが支援に当たるかどうか分かりませんけれども、私自身はそういった、直接的に、私が認知した中で支援をしていただいたということはなかったというふうに思っているところでありますし、契約書の存在も私にはございませんので、関係がなかったというふうにお答えをしたところでありますので、よろしくお願いいたします。

伊藤(俊)委員 終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 また、防衛省の職員の皆様におかれましても、この質問に向けて資料作りさせていただく中で、資料要求に的確、迅速に応えていただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、質問に入る前に、ちょっと一言申し上げさせていただきます。

 実は私、この安全保障委員会で質問させていただくのは初めてでございます。簡単に自己紹介をさせていただきますと、私は、兵庫県の伊丹市の出身です。伊丹市には、中部方面総監部と、それから第三師団、二つ大きな拠点がございます。私の母校の兵庫県立伊丹高校、これは中部方面総監部の隣にありまして、フェンス一枚隔てて隣、二方向が中部方面総監部ということで、もう訓練の様子が丸見え、こんな状況でございます。また、私の家からは、ちょうど第三師団の横を通って高校に通うというようなことでございまして、また、同級生には自衛隊員のお子さんもたくさんいたというような状況です。本当に自衛隊が身近な存在という中で育ってまいりました。

 本日は、防衛省の職員給与法の改正案が議題でございます。自衛官の給与や手当、その他処遇に関することを中心に質問をさせていただきます。

 地元の中部方面総監の堀井泰蔵陸将は、「部隊を強く、隊員を幸せに」、これを統率方針に掲げておられます。私もそのとおりだというふうに強く賛同するところです。すなわち、部隊を強くするという目的を達するためには、隊員が幸せであることは必ず必要なことだ、こういうふうに受け止めさせていただいております。

 ということで、まず最初に、手当についてお伺いをいたします。

 自衛隊の隊員については、残業時間に応じた残業代というのは支払われていないというふうに承知をしております。超過勤務手当相当分として一〇・二五%があらかじめ支給されるということになっているわけですが、この一〇・二五%の根拠、これについて、局長、御答弁いただけますでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 自衛官の任務の特殊性、これは、いついかなるときにも命令に基づいて任務に応じなければならないという特殊性が、自衛官の勤務の特殊性でございます。したがいまして、事務官等と異なりまして、その必要の都度超過勤務を命じておるということになりますと即応性が欠けるということになります。

 したがいまして、自衛官俸給表の中には、超過勤務時間、超過勤務手当を二十一・五時間分、これを相当として、あらかじめ俸給の中に組み入れて俸給表を作成している、そういう仕組みになっておるところでございます。

櫻井委員 自衛隊で、超過勤務の時間に応じた残業代を支払わないということで、自衛官の勤務状況をどのように把握しているのか。残業代を支払うんだったら、勤務時間、出勤時間、退勤時間をつけて、それで残業代は幾らですねという計算をするんだと思うんですが、残業代は払う必要がないということですと、これはどういうふうに把握されているのか。局長、お願いできますか。

町田政府参考人 お答えします。

 先ほど申しましたのは、自衛官の俸給表の中に二十一・五時間分の超過勤務手当があらかじめ組み入れられているということを御説明させていただきました。

 自衛官であっても、長時間の勤務時間外の勤務、これが継続することは、心身の健康それから福祉に害が及ぶおそれがあることは当然でございます。このため、所属長が勤務時間外の勤務を命じるわけでございますが、この場合であっても、必要最小限とすること等を規則等で定めています。その上で、人事担当部局、係が勤務時間外勤務の命令の状況をチェックするなどして、勤務時間外の勤務が必要最小限のものとなるように取り組んでいるところでございます。

櫻井委員 ちょっと今、局長の答弁で、チェックするというふうにおっしゃいましたが、そこをどうやってやっているんですかというのが質問なので、一番肝腎なところを答えていただいていないんですよ。どうやってチェックしていますか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 チェックは、この所属長がどのような仕事を個々の隊員に命じたかというものを、同じ人事担当部局、これは、自衛隊の部隊ですと、例えば陸上自衛隊であれば、中隊長が命じたことは、中隊の人事の担当がその同じ中隊にいてチェックをする、どのような勤務時間、どのような勤務内容を命じたかということを同じ中隊内で把握しております。それを称してチェックと申し上げました。

櫻井委員 別な言い方をすると、多分、隊員一人一人の出勤時間、退勤時間は、記録は作っていない、こういうことでよろしいですね。

 全く別の分野ですけれども、公務員の中には、学校の先生、これは給特法、公立学校の教員給与に関する特別措置法によってあらかじめ四%の固定の残業代が決まっていて、残業時間に応じた支払いというのはされないというので、学校の先生の働き方は非常に過酷だということが社会的な問題になっているというふうに私は認識をしております。結局、残業代固定払いというのは、ともすれば働かせ放題ということにつながりかねないわけでございます。

 あと、また後で、資料をお持ちしておりますけれども、自衛官の離職率、あと自殺率というのが世間一般より高い水準にあるのではなかろうかというふうに、これは資料三、資料四につけておりますけれども、そういったことも考え合わせますと、やはりきちっと隊員の出勤時間、退勤時間、記録をつけて、自衛官の勤務実態を的確に把握をするということは必要だというふうに私は考えます。

 特に、学校の先生の場合は、子供のためと言われれば、ある種際限なく仕事が出てくる。自衛官についても、国を守るためというふうに言われれば、際限なく仕事は出てくるかもしれません。

 そういったことからすると、やはり自衛官の働き方をしっかりと把握をする必要があるというふうに思いますが、これは大臣、いかがお考えですか。

浜田国務大臣 常日頃から、やはり自衛官の働き方というのは大変過酷なものでもありますし、今局長からお話がありましたように、チェック体制ということでやっておりますけれども、より今後透明性を高くするということであれば、あらゆる方法を考えながら対応していくことになろうかと思いますので、御指摘の点についても重く受け止めていきたいというふうに思います。

櫻井委員 これは学校の先生の話ですけれども、勤務時間、出勤時間、退勤時間を把握をしていないことが働かせ放題につながっている。給与の体系とは別に、やはり勤務実態を的確に把握する必要がある、それがまず第一歩だろうという話がもう既に出てきております。自衛官についても、同じように、しっかりと勤務時間、退勤時間、把握をして、実態がどうなのかということを的確に把握するように、まずは努めていただきたいということを大臣に要望させていただきます。

 続きまして、自衛官のキャリアについて幾つか質問させていただきます。

 キャリアという以前に、女性自衛官に対するセクハラの問題がございました。

 立憲民主党としましては、八月に、元自衛官の女性の方から、セクハラ被害に遭ったということでヒアリングもさせていただきました。

 この方は、既にマスコミ等にも顔も出し、そして実名も公表してということで訴えておられるわけですので、大臣ももう既に御承知いただいているかと思います。陸上自衛隊に所属をしていて、二〇二一年の六月から八月にセクハラを受けて、その被害を訴えたけれども取り合ってもらえなかったということで、結局退職に至ってしまったということでございました。

 この女性自衛官の方、元々、自衛官を志したというのは、災害救助で自衛隊の方が一生懸命働いておられるという姿を見て、ああ、自分もそうやって社会に貢献したいなというふうに思うようになり、自衛官に憧れて、そして自衛隊に就職をしたというふうに聞いております。夢と希望を持って自衛官になられた女性が退職せざるを得ないという状況に至ったことは、極めて残念だというふうに思います。

 まず、大臣にお尋ねいたしますけれども、このような事態に至ったことについて、やはり防衛省として深く反省するべきだと思います。これは大臣就任以前の事案ではございますが、大臣から一言、一言ではないですね、大臣からしっかりとこの反省についてお述べいただきたいというふうに思います。

浜田国務大臣 先般、九月二十九日に公表いたしました陸上自衛隊におけるセクシュアルハラスメント事案は、上官の対応、複数の事案の存在も含め、極めて深刻な事案であり、誠に遺憾だというふうに感じております。

 今後、速やかに懲戒処分を実施するとともに、陸上自衛隊のみならず、防衛省全体として、このような事案が生起しないよう、なお一層しっかりとハラスメント防止対策に取り組んでまいりたい、このように考えているところであります。

櫻井委員 再発防止とかそういうことの前に、まず、この実際に退職された女性自衛官の方、本当に勇気を持って訴えられたんだというふうに思います。こうした方、被害者の方が不利益を被るようなことがあってはならないというふうに考えます。

 実際、この女性自衛官の方は、セクハラ被害を受けて休職し、退職に至ったということなんですが、これは局長にお伺いいたしますけれども、これは公務災害として認定されるべき事案だと私は思うんですが、実際どういう手続になっているのかということ。それから、公務災害として認定されれば、休職中の給料、多分八割支給だと思うんですけれども、やはり公務災害ということであれば一〇〇%支給になる。そうすると、その差額の二割の部分については追加して支給されることになるのかどうなのか。また、自己都合退職だと退職金が減額されるというふうに承知をしておりますけれども、この減額分についても追加で支給されるというようなことになるのかどうなのか。ちょっと局長、よろしくお願いいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 元陸上自衛官の五ノ井氏が病気休職をした件につきまして、現在、所属していた陸上自衛隊東北方面総監部において、公務上の災害に該当するか否かの調査を実施しているところでございます。

 本件については、病気休職に至った原因と公務との相当因果関係に係る医学的な所見、これを踏まえた上で適切に判断を行う予定としております。

 防衛省としては、速やかに当該判断を行うよう、適切に対応してまいる考えでございます。

 続きまして、防衛省の職員が公務上の災害を受けた場合でございますけれども、防衛省職員給与法の第二十七条において準用する国家公務員災害補償の規定に基づき、必要な補償を行うこととなります。

 御指摘ございましたように、公務災害が認定された場合は、療養補償として治療費の全額を国が負担する、そして、本人の退職後の状況により、休業補償などが補償の対象となる場合がございます。また、自衛隊在職中の給与につきましては、休職により支給されていなかった給与の全額、これが追給されるということになっております。

櫻井委員 資料一を御覧いただきたいんですが、今回のこの女性自衛官、勇気を持って告発したということなんですが、報道によりますと、また、私もこの方から直接お伺いいたしましたが、ほかにも同様の被害を受けている方は大勢いるということでございました。こうしたことから、大臣も九月六日に、ハラスメント根絶に向けた措置に関する防衛大臣指示ということで発出をされておるかと思います。

 これは具体的にどのようにセクハラの実態を把握しようとしているのかということ、それから、十月末を一旦締切りというふうにしていると承知をしておりますけれども、現段階での調査の状況についてどうなのかということ、それから、現段階で報告があった事案については、締切りを待つことなく、すぐさま、一刻も早く解決に向けて取り組むべきだというふうに私は考えるんですが、こうした問題に対する着手の状況について、大臣、是非御答弁をお願いいたします。

浜田国務大臣 特別防衛監察の調査状況については、防衛監察本部から全自衛隊の職員に対してハラスメント被害の申出を依頼し、十月末までメールや手紙などで受け付けることとしておりますが、訓練等業務上やむを得ない理由で申出が遅れる場合も想定して、十一月末までは引き続き受け付けることとしております。

 監察結果については、監察対象が全自衛隊に上ることから、そしてまた、監察の適正な実施を確保する観点から、一定の時間がかかると考えておりますが、引き続き、正確かつ公正な調査を実施してまいりたいと考えております。

櫻井委員 次、資料二を見ていただきたいんですけれども、資料二の方では、自衛隊のセクハラ対策の現状についてということ、これは防衛省の資料でございます。

 これの一番上の、セクハラの対応方針の明確化というところで、訓令が出ていると。平成十一年四月施行ということになっているんですが、随分前に、二十年以上前にこうした訓令が出ているにもかかわらず、私が被害に遭われた女性自衛官からヒアリングを受けた範囲では、本当に多くの女性自衛官がセクハラに遭っているというふうにも聞いていますので、一体これはどうなっているのかなというふうにも思うわけでございます。

 再発防止に向けての取組、それから平成十一年の訓令がどのように生かされているのかということについて、大臣、是非、もう一度御答弁をお願いいたします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 セクシュアルハラスメントの防止等に係る訓令は、御指摘のとおり、平成十一年四月に施行されたものでございます。これを受けまして、この資料にございますように、セクハラに関する啓発の実施、そして相談窓口の設置、セクハラ事案発生時の対応を講じてきたところでございますが、五ノ井里奈様の案件が生じたことを踏まえますと、このようなことが、私たちが行ってきた、セクシュアルハラスメントをも含めハラスメントの対策が機能していなかったのではないかというのが私たちの反省でございます。

 これを受けまして、九月六日に防衛大臣から、改めてセクシュアルハラスメントの相談の窓口を徹底しなさい、そして、その相談窓口におかれては、今相談されているものが適切に相談を処理をされているかどうか、これを点検しなさいということ、これを各自衛隊、全自衛隊に点検するように指示をいただきました。

 加えて、五ノ井様が所属していた陸上自衛隊においては、陸上幕僚長から、全国の中隊長の職にある者に、適切なハラスメント相談が行われているかどうか、これをチェックするとともに、教育をしなさいという措置を今現在講じて、実施しているところでございます。

浜田国務大臣 委員からお話がありました点について、従来行ってきた防衛省のハラスメントの防止対策の効果が組織全体まで行き届いていなかったことの表れが今回の事案に至ったというふうに考えると、極めて深刻でありまして、誠に遺憾であるというふうに考えておりますので、今後このようなことが起きないように更に厳しくしていきたい、このように思っているところであります。

櫻井委員 ちょっと時間が押してきましたので質問を幾つか飛ばさせていただきますが、せっかく資料をつけましたので、資料三と四を見ていただきたいんですが。

 特に資料三については、これは退職率で、中途退職率を見ていただきますと、上が男性、下が女性ということになります。おおむね女性の中途退職率は二倍ぐらいになっているという状況です。ただでさえ、自衛官の充足率が一〇〇%には遠く届かない状況にある中で、隊員の募集というのが喫緊の課題になっている中で、退職者がどんどん出てしまうということは、これは大変重大な問題だというふうに思います。ですので、こうしたことを考え、特に女性の自衛官がなぜ中途退職、これほど多いのかということについてもしっかり分析をいただきたいというふうに思います。

 また、資料四にも、これは自衛隊員の自殺率の推移でございます。一時期百名を超えるような状況もございましたが、今は六十名前後にとどまってはいるものの、毎年これだけ多くの自衛官の方が自殺される。まあ、自殺されるというのは多分氷山の一角で、その手前の、いろいろな心の悩みを抱えてということで、もしかしたら退職されるような方もいらっしゃる、休職されるような方もいらっしゃるというふうに思います。

 ですので、こうした状況にならないように、隊員が幸せになる、それが強い部隊をつくっていく上で必須のことなんだということで、こうした対応をもしっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げます。

 続きまして、自衛官の再就職についても少しお尋ねをいたします。

 自衛官、階級にもよりますが、多くの隊員は五十五歳定年というふうに伺っております。そうしますと、年金支給開始は六十五歳ですので、その間、十年間、何らかの形で生活のための給料を稼いでいかなきゃいけないということなんですが、再就職について、自衛隊の方でも、防衛省の方でもしっかり取り組んではいるものの、平均しますと定年前の給料の四割ぐらいの水準にとどまるというふうにも聞いております。五十代半ばでの再就職で、なかなか給料のいい仕事を見つけるというのは簡単ではないことは承知をしております。

 そういった現状も踏まえて、自衛隊では若年定年退職者給付金というのが支給をされて、これは大体退職前の三割程度の給料が五年間にわたって支給されるというか、五年分支給される、二回に分けて支給されるそうですが、ただ、三割程度。それから再就職の給料を合わせても、四割足す三割で七割ということで、やはり大分、生活水準的に厳しい状況になります。

 一方で、厚生労働省は、年金の納付年齢、五年延長して六十四歳までというようなことを検討しているやに報道もされております。そうすると、五十五歳で定年を迎えた自衛隊員の方はますます生活が厳しくなるということになってしまいます。

 一方で、十月三日、臨時国会、岸田総理の所信演説において、リスキリング、すなわち成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備、それから個人のリスキリングに対する公的支援ということを表明されています。これは一般企業の労働者を念頭に置いたものというふうに思いますけれども、ただ、別に自衛官についても、これを対象として防衛省挙げて取り組むということは全然構わないことだというふうに思います。

 防衛省としても再就職支援を拡充させて、岸田総理が提案するリスキリング、これを自衛官にもしっかりと適用して、再就職支援のための職業訓練のメニューをしっかりと充実をさせていく、それから研修期間もしっかり確保していくということを提案いたしますが、大臣、いかがでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま議員御指摘いただきましたとおり、我々の再就職支援におきまして、若年定年隊員が就職する際には四割と、それから若年定年の給付金を合わせて七割の水準になっております。これを少しでも高くするには、やはり再就職する際の本人のスキル、これが重要だというふうに考えております。

 現在、百四十課目の職業訓練を実施しているところでございますけれども、再就職により有利な資格の取得になるような能力、技能を修得させるよう、退職予定自衛官のニーズなどを勘案してこれの拡充に努めさせていただきたいというふうに考えております。

浜田国務大臣 委員の御指摘の点については、私自身も、前回、私が政務次官の頃からずっとこの再就職というものには取り組ませていただいているわけでありますけれども、なかなかこれは、社会状況もいろいろあったりとかと。

 我々も、今局長からお話がありましたように、いろいろな努力をしておるところでございますので、それを加速して前に進めていきたいというふうに思っております。

櫻井委員 普通にやったらやはりしんどいし、それから、事前に再就職支援のための職業訓練のメニューも見せていただきました。基本的には自衛官としてやってきた仕事の延長線、例えば大型の車であるとか、それから重機を扱うとか、そういったスキルを生かしながらということですけれども、隊員もたくさんいらっしゃるので、みんながみんな同じようにスキルを生かしてというのは簡単ではないと思います。一部の方はそれで就職できるかもしれないけれども、そうでない方もいらっしゃる。そうしたときに、やはり岸田総理が言われたリスキリングというのが一つキーワードになってくるのかなというふうに思いますので。

 しかし、そのためには、それなりの期間、しっかりと研修できる期間を設ける。場合によっては、五十五歳定年だけれどもリスキリングの期間としてプラスアルファで半年ぐらい自衛隊に残ってリスキリングの期間をやるとか、そういうようなことを取り組んでいかないとなかなか再就職支援ということにつながらないし、逆に、自衛隊でこうした成果を上げれば、厚生労働省に対しても、自衛隊を見ろ、これだけリスキリングがうまくいっているぞ、岸田総理どうですかというふうになってくるわけなので、是非こうした取組も検討していただきたいというふうに思います。

 それからあと、地方自治体に災害担当ということで、いろいろな、防災監であるとか危機管理監というような形である種転職される方もいらっしゃるやに聞いていますが、ただ、市役所の中からすると、消防がそういうポストに上がってきているところに、自衛隊にポスト取られちゃったというようなことになってしまうと、これはまたいろいろ人事上のもめごとの火種になってしまいますので、そこはちょっとうまく考えながら国としても支援をしていく。自衛隊の中で、市役所の職員もなるほどなと納得できるようなものにしていただければなというふうに思います。

 最後に、ちょっと予備自衛官について質問させていただきます。

 国会議員が予備自衛官、任用できない。予備自衛官は、国家公務員もなれますし、地方公務員もなれるし、一般企業の方もなれるし、地方議会の議員もなれるんですけれども、国会議員だけが予備自衛官に任用されないということになっています。これは国会法三十九条に、国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができないという規定があるからなんですけれども、やはり国会議員だけできないというのは何かおかしいんじゃないかと私は思います。

 同様に、保護司は国家公務員で、これもまたできない、消防団員も、これは地方公務員に当たるからできないというようなことで、国会法三十九条の兼業禁止規定が余りにも強く利き過ぎているのではないのか。ボランティア的な業務については、ここは柔軟にできるように国会法を見直していくべきではないのかというふうにも思います。

 実際、私どもの同僚議員の源馬謙太郎議員は、静岡県議会議員のときには予備自衛官に任官をされていたけれども、衆議院議員に当選した途端に防衛省から、予備自衛官を解任しますといって首にされちゃったというふうなことも言って、大変残念がっておられました。

 こうしたこと、防衛省に言われても、国会法なんだから国会議員で決めてくれということだろうと思いますけれども、大臣、一国会議員として、この規定、見直すということを一緒に考えていきませんでしょうか。いかがですか。

浜田国務大臣 この件に関しては私の方からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、是非また国会で議論していただければというふうに思います。

櫻井委員 自衛隊の部隊を強くするためには隊員が幸せでなければならないという思いを持って、私も国政にしっかり取り組んでいくことをお誓い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、今回の防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する案に対して、自衛官の給料が上がるという法案なので賛成はいたしますが、なぜ他の公務員に合わせて人事勧告に基づいて改定するのか、私はこれが理解できません。国の安全と国民の生活を守るという職務の性質上、自衛官には他の公務員以上に意欲と誇りを持って職務を遂行していただきたいということが重要であると思います。

 自衛官や防衛大学の学生の給与等は、人事勧告を受け一般給与法に連動されるものではなく、国の経済状況や、また民間の給与状況に左右されない独自の給与体系を構築すべきと考えますが、浜田防衛大臣の御見解をお願いいたします。

浜田国務大臣 お答えいたします。

 自衛官の給与制度は、民間準拠を基本とする他の国家公務員の給与を参考にすることで、給与制度の信頼性、公正性を確保しつつ、自衛隊の任務の特殊性等を踏まえた俸給表や手当制度を独自に設けております。

 具体的に、常時勤務態勢という任務の特殊性を考慮し、超過勤務手当相当額を俸給に繰り入れた自衛官俸給表のほか、任務の困難性を考慮した航空手当や落下傘隊員手当、さらに、特殊勤務手当として災害派遣等手当など、人事院勧告によらない処遇の向上を図っているところであります。

 このように、今後とも、自衛隊の任務の特殊性、困難性を踏まえて、自衛官としてふさわしい処遇となるよう不断に検討していきたい、このように考えております。

美延委員 今大臣がおっしゃったように、検討していただくということは大事だと思うんですけれども、もちろん、例えば俸給に、今言われたようにされているというのはある一定理解はできるんですけれども、私は、先ほども言いましたように、やはり全く別建てにすべきだと思うんです。これは多分もう一回聞いても同じ答えだと思うんですけれども。

 それと、もう一つ。先ほども女性自衛官の話になっていましたけれども、私も地元が関西ですので、先ほどの伊丹の駐屯地と、それから、私、二年続けて安保の委員会をさせていただいていまして、この夏の、前任期の委員長さんとか理事さんと一緒に北海道の自衛隊の駐屯地各地を視察させていただいたんですけれども、そこで異口同音に言われたのが、やはり施設。先ほども話になっていましたけれども、場合によったら雨漏りがするというようなことも言われています。

 それから、もう一つ。女性の自衛官を常時一二%ずつぐらいに増やしていくということ。これはすばらしいことだと思いますけれども、そうなると、やはり女性用のトイレであるとか、それからお風呂場であるとか、こういうのがまだ全く不足しているということも聞かせていただきました。

 こういう女性の施設面、それから全ての施設面に対して、大臣、どうお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の点について、多くの委員の皆さん方から御指摘をいただいているところでありますけれども、我々とすれば、この老朽化対策というもの、生活、勤務環境の改善というものは、やはり推進していかなければならないと思い、重要だというふうに思っているところであります。

 今後、今御指摘にありました雨漏り対策なども含めて、隊舎、庁舎等の建て替え、改修等を実施しているところでありますけれども、更にこれを進めていきたいというふうに考えているところでもあります。

 そしてまた、女性のトイレ等の件に関しても、今お話にあったように、女性自衛官の積極な採用と登用に取り組んでおりますので、女性の隊員の数が増えてきていることは事実でありますので、そういったことも含めて、我々、今ある問題に対してしっかりと取り組むべく、隊舎の新設や艦艇、要するに、船もそうでありますが、女性用区画の整備にも取り組んでいるところでありますので、しっかりとこれに対応していきたいというふうに思っております。

美延委員 是非よろしくお願いいたします。

 次に、自衛隊の人的基盤の強化という観点でお伺いしたいんですが、ロシアのウクライナ侵攻に端を発して国際情勢が緊迫する中で、日本でも有事の現実味が加速していることを鑑みれば、繰り返しになりますが、国防の要となる自衛隊の待遇が改善されることは当然のことであると思います。

 防衛省の自衛官の定員及び現員によると、全国で自衛隊は約二十三万人。この二十三万人という数字だけ見ているとかなりの人数に感じますが、世界各国の兵力と比較すると、それほどの人数でもありません。その内訳を見てみますと、陸上自衛隊が約十三万人、海上自衛隊が四万人、航空自衛隊が約四万人となって、充足率は九二%から九五%程度、少々人手不足といったところであります。

 少々古いデータになりますが、内閣府が二〇一八年に行った自衛隊に対しての世論調査の結果があります。自衛隊に対しての印象を聞いたところ、よい印象を持っている、どちらかといえばよいというのが八九・八%、実に九割弱の方がよい印象を持っておられました。ただ、一方で、身近な人が自衛隊員になることに対して、賛成、どちらかといえば賛成というのは六二・四%。これもパーセンテージとしては高いと思うんですけれども、好印象であるが、やはり身近な、大切な人にはなってほしくないという方が一定いらっしゃると思います。やはり、命の危険と隣り合わせであり、有事の際には一層そのリスクが高まるといったところが賛成できない原因でないかと思われます。

 この世論調査のように、身近な人に自衛官になればと気軽に勧めることができるほど自衛隊の待遇が厚遇であるとは私は感じておりませんし、今回の法案は、むしろ、賛成どころか、抜本的に待遇を改善されなければならないと思うんですが、政府の御見解をお聞かせください。

町田政府参考人 お答えいたします。

 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、人口減少や少子高齢化が進む中にあっても、自衛隊の任務を着実に遂行するため、人材の確保をしっかりと行っていくことが重要と考えております。隊員の生活、勤務環境の改善や処遇の改善は、人材確保のみならず、中途退職といった流出防止にも資することから、防衛省として、これらをしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 具体的には、自衛隊の任務の特殊性、困難性を踏まえ、御指摘いただきました給与面の処遇の向上のみならず、住んでおります宿舎の整備、そして子育て支援、ハラスメント防止対策などに取り組みまして、全ての自衛隊員が士気高く任務に専念できる環境の整備に向けた取組を積極的、重点的に行ってまいりたいというふうに考えております。

美延委員 是非よろしくお願いいたします。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、自衛隊員の人材確保と能力、士気の向上は防衛力の強化に不可欠であることは言うまでもありません。防衛力の持続性や強靱性の観点から見ても、自衛隊員を支える人的基盤の強化をこれまで以上に推進していくことは最重要課題だと思われます。

 しかし、昨今の少子化による採用対象年齢人口の減少により、自衛官の採用環境は厳しい状況にあります。

 そんな中で、自衛隊の人材確保には中途退職抑制策も重要な要因の一つかと思います。

 私自身、自衛官の中途退職の問題については、本年の三月二十五日に、主に中途退職の原因分析や調査方法などについて質問させていただきましたが、改めて整理をさせていただきますと、財務省の財政制度審議会財政制度分科会に令和三年十一月十五日に提出された資料によると、毎年四千人の自衛官の方々が自己都合で退職をされています。単に四千人といっても、分母がありませんからぴんとこないかもしれませんが、この四千人という数字は新規採用の三分の一に当たると申し上げれば、非常に深刻な事態であるということが御理解いただけると思います。

 新規採用自衛官への多額の育成コストなどを鑑みれば、むしろ、中途退職者を見越してやみくもに新規採用自衛官を増やすのではなく、退職原因をよく分析し、組織文化を含めた抜本的な中途退職の抑制を徹底すべきだと思いますが、政府の見解をお聞かせいただけますでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛力の中核である自衛隊員の人材流出の防止に向けて、これまで以上に取組を推進する必要があると防衛省では認識をしております。

 具体的には、隊員の生活、勤務環境の改善、女性自衛官の活躍の推進、ワーク・ライフ・バランスの推進、給与面を始めとした各種の処遇面の向上、先ほど申し上げましたハラスメント防止対策、メンタルヘルス施策といった各種の対策、施策を推進し、自衛隊の魅力向上を図っているところでございます。

 こうした取組に加えまして、更に中途退職を抑制するために有効な施策を検討するためには、隊員が退職するに至った経緯等につきまして、より詳細に把握することが必要と考えており、今後、中途退職に関する自衛官の意識を調査することを検討しております。加えて、一度自衛隊を退職した人材が再び自衛隊で勤務することを促進すべく、実効的な対策、施策を検討してまいりたい、このように考えております。

美延委員 是非、今日議論したことを、よろしくお願いしたいと思います。

 実は、先日、私ども日本維新の会は、この待遇面、給料面について、国会で議論すべく、法案を提出しておりますので、是非それもよろしくお願いしたいと思います。

 次に、核シェルターの整備について伺わせていただきたいと思います。

 ロシアのウクライナへの侵攻は依然として核兵器使用の可能性も十分にあり、そのような中で、核シェルターへの注目度が高まっています。また、我が国は唯一の被爆国であり、周辺には、中国、ロシア、北朝鮮など、核保有国に含まれているにもかかわらず、核シェルターに対する議論はまだまだ足りていないと私は感じています。

 岸田総理は、去る十七日の予算委員会で、野党側の質問に対して、北朝鮮などの情勢を鑑みれば現実的に対策を講じていく必要があると理解を示した上で、諸外国の調査を行うなど、必要な機能や課題について検討を進めていくと、核シェルターの整備について意欲を示されました。

 改めて、この核シェルターの整備について、内閣府の見解をお伺いいたします。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 武力攻撃を想定した避難施設につきましては、まず、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するためには、コンクリート造りの堅牢な建物や地下施設に避難することが有効でありますことから、これらの施設を緊急一時避難施設として指定の促進に取り組んでおり、着実に指定が進んでいるところであります。

 その上で、政府におきましては、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関し、核攻撃等のより過酷な攻撃を想定し、一定期間滞在可能な施設とする場合に必要な機能や課題等について、諸外国の調査も行うなどして検討を進めてきております。

 今後につきましては、こうした施設に求められる仕様や設備に要求される性能等について、様々な視点から調査、検討を行うことを考えており、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

美延委員 この核シェルターの普及率、少し古いデータになりますが、二〇一四年の日本核シェルター協会の資料によれば、スイスとイスラエルの普及率は一〇〇%、ノルウェー九八%、アメリカ八二%、ロシア七八%、イギリス六七%と高水準の中、日本における普及率は僅か〇・〇二%と異常な低さになっています。一万人の人の中で、逃げられるのは僅か二人という計算になります。つまり、日本において、もし核攻撃を受ければ、ほとんどの人が助からないのが現在の状況であります。

 そんな中、今年に入って、大阪や東京の地下鉄駅が核シェルターに指定されました。特に、私の地元である大阪府は、大阪市、堺市が大阪メトロの全百三十三駅のうち百八の地下駅舎を避難施設に指定し、地下駅舎の避難施設指定が進んでいますが、現実的にこれらの地下鉄の駅が核シェルターとして役割を果たせるのかどうか検証できない状況でもあります。

 スイスのように、シェルターの設置を義務づけたり補助金を出すなど、政府が音頭を取って設置を進めなければ、取り返しのつかないことにもなりかねないと考えられます。

 仮に、北朝鮮が平壌からミサイルを発射した場合、時間にして十分足らずで東京にも到着すると言われていますが、国民の命を守るインフラだからこそ、国が責任を持って設置を進めるべきであると思います。

 核シェルターという確立した定義がない中での質問になりますが、この日本の核シェルターの〇・〇二%という普及率について、また、核シェルターのみならず避難施設の普及について、政府の見解をお聞かせください。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の核シェルターの普及率に関する調査の存在については承知をいたしておりますが、その根拠や出典などが明らかではございませんので、コメントについては控えさせていただきます。

 また、御指摘のように、核シェルターについて確立した定義はないものと理解をしておりまして、したがいまして、我が国における普及率については、当方としては承知をいたしておりません。

 その上で、政府におきましては、武力攻撃を想定した避難施設につきまして、より過酷な攻撃を想定した場合に必要となる機能や課題等について検討を進めており、今後更に、こうした施設に求められる仕様や設備に要求される性能等について、様々な観点から調査をしてまいることといたしております。

 あわせまして、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するための緊急一時避難施設の指定を促進すべく、令和三年度から集中的な取組期間として、指定権者である都道府県知事等に働きかけを強めているところであります。

 こうした取組により、多くの都道府県等において、地下駅舎、地下街、大規模地下道が新たに指定されております。御指摘いただきました大阪を含め、例えば地下駅舎につきましては、令和二年四月時点では指定がゼロか所だったところ、令和四年十月現在で五百十六駅が指定をされているなど、指定が着実に進んでおります。

 これらの取組と併せ、トータルとして取り組んでいくことで、武力攻撃を想定した避難施設の確保をしっかり進めてまいりたいと考えております。

美延委員 最後に。

 昨日、浜田大臣、このシェルターについて、産経新聞のインタビューに答えておられます。どう思われているか、ちょっと簡単にお答えいただけますでしょうか。

鬼木委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

浜田国務大臣 私自身、やはりこのシェルターの重要性というのも認識をしておるわけでありますので、今後、三文書に向けての我々の考え方というのも議論してまいりたいと思っておるところでありますし、その重要性は認識しております。

美延委員 ありがとうございました。終わります。

鬼木委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会、浅川義治です。

 美延委員に引き続きまして、質問通告の、当初、最後にお願いしようと思っていたんですけれども、今の美延委員の核シェルターに絡みまして、三つ目にお尋ねしようと思っていました、横須賀に対して旧ソ連がICBMあるいは核兵器を向けているというふうに四十年ぐらい前に私は伺っていたんですけれども、今の段階で、北朝鮮も含めてですけれども、横須賀に向けて核が撃ち込まれる可能性があるというふうに想定しているんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、日米安保条約に基づいて、我が国に駐留する米軍のプレゼンスというのは、極東における国際の平和及び安全の維持に寄与してきておりまして、我が国に対する武力攻撃を含め、地域における不測の事態に対する抑止力として機能していると考えております。これは横須賀基地も含めてでございます。

 その上で、各種事態における相手方の意図は千差万別であり、一概にお答えできませんが、地域の安全保障環境が厳しさを増す中、在日米軍と自衛隊は、様々な事態に対応するため、万全の体制を取っているということでございます。

浅川委員 なかなかお答えにくいところだと思うんですけれども、少なくとも、在日米軍、太平洋の第七艦隊の中核でもある横須賀なので、そういう想定をしていると私は思っております。

 何で横須賀かというと、私の住んでいるところが、横須賀から五キロほど北側、横浜市の金沢区の八景島というのがあるところなんですが、元々、横須賀にもし核弾頭が落ちたら、もう一瞬のうちに金沢区、横浜も多大な被害を受けるというふうに子供の頃から感じておりました。

 そこで今の質問をさせていただいたわけですけれども、その横須賀絡みで、今日の給与にも関係する音楽隊のことをちょっとお伺いします。

 先般、二月十九日に、鎌倉のホールで行われました海上自衛隊の横須賀音楽隊の演奏会に出席させていただきました。非常にすばらしい、子供向けのアニメの曲も含まれておりましたが。

 この音楽隊、自衛隊が今保有している音楽隊の基礎的な数字についてお伺いしたいと思います。人数、部隊数、定員の充足率等についてお伺いします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 陸海空自衛隊に占める音楽隊所属の隊員は、令和三年度末時点において約千四百名で、全隊員の約〇・六%であり、音楽隊全体の充足率は約一一七%となっております。

 部隊におきましては、陸上自衛隊におきましては、師団、旅団といったところに師団音楽隊、旅団音楽隊が、そして各方面隊に方面音楽隊、そして陸上自衛隊中央音楽隊という構成になっております。海上自衛隊それから航空自衛隊におきましては、各方面ごとに音楽隊が置かれております。これが、横須賀の海上自衛隊ですと横須賀の音楽隊ということになります。そして、陸上自衛隊の中央音楽隊と同様に、航空自衛隊それから海上自衛隊におきましても、航空自衛隊は航空自衛隊中央音楽隊、海上自衛隊は海上自衛隊東京音楽隊、こういったものが音楽隊の部隊でございます。

浅川委員 丁寧にありがとうございました。

 今、最後の方に、部隊の中で中央音楽隊のお話がありました。今日、資料でも配らせていただいていますが、今度、十一月に日本武道館で自衛隊の音楽祭りがあるということで、これが、コロナもあって二年開催できていなかったということですけれども、この音楽祭り、もし抽せん倍率がオーバーしたら三十二歳以下の方を優先したいと。これは、若い人を自衛隊へ、紹介という部分もあるかと思うんですけれども。

 そもそも、自衛隊がこの音楽隊を部隊として持つ意義についてどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

浜田国務大臣 我が国の平和と安全を守る防衛省・自衛隊の活動は、国民一人一人の理解と支持があって初めて成り立つものだと考えております。

 このため、音楽隊は、演奏会や各種イベントにおける演奏等を通じて自衛隊の幅広い活動を紹介することにより、国民の理解促進や親近感の醸成を図っております。また、国家的な式典などで行われる演奏や、様々な任務を帯びて活動する自衛官を激励し、士気を鼓舞するとともに、大規模災害等が発生した際は被災者に対する慰問演奏等も行っており、音楽が担う役割は極めて重要であると私自身も認識しております。

 来月中旬には、新型コロナウイルス感染症の影響で中止をしておりました自衛隊音楽まつりも三年ぶりに開催する予定であり、今後、全国各地で音楽隊が演奏する機会が増え、より多くの国民の皆様に楽しんでいただけることを期待しているところであります。

浅川委員 その音楽隊員の給与水準について、部隊の一員ということなので同じように推移していると思うんですけれども、音楽をほとんど専門的にされる吹奏楽団の方たちだと思うんですけれども、民間というか、世間の音楽隊と比べて、自衛隊のこの音楽部隊の方たちの給与水準、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 まず、自衛隊の音楽隊に所属する自衛官も他の自衛官と同様の給与制度となっており、自衛官俸給表を適用するとともに、地域手当や扶養手当、そして単身赴任手当など、各種手当も同様に支給されております。したがいまして、音楽隊に所属する自衛官におきましても、他の自衛官と同様に、差異なく適切に処遇しているところでございます。

 今議員御指摘のございました民間におきます音楽演奏者との給与の比較につきましては、私どもとしてそういった比較を精緻に行っているわけではございませんので、一概に申し上げることは困難でございますが、自衛官の俸給表には、先ほど答弁で申し上げましたように、超過勤務手当といった、一般の公務員は別建てになっておる手当も入っている、これは同様に音楽隊員も入っておりますことから、一定の処遇、これは確保されているものというふうに認識しております。

浅川委員 ありがとうございます。

 先ほど大臣の答弁にもありました、音楽隊が自衛隊にあるのは、ほかでは例えば警察とか消防にもありますけれども、いわゆる部隊の士気を高揚させていく、元々はもしかしたら進撃ラッパから始まったものかもしれませんけれども、自衛隊における音楽隊の意義というのは私も非常に重要だと思っております。OBの方で個人的に知っている方もいるんですけれども、非常に有意義な仕事をされていたということを伺っております。

 今後、音楽隊に対して、大臣のお気持ちというか、音楽性もあるかと思いますけれども、どのようなことを期待されていらっしゃるでしょうか。

浜田国務大臣 音楽の持っている要素というのは、大変多くの方々に感動を呼び起こし、そしてまた、どの国でもそれが通用するという、大変横のつながりも広がるものだというふうに思っておりますし、また、時代として、音楽業界において、今、我々の自衛隊の音楽隊の中にも、大変その意味では、世界的に有名な奏者もいれば、声楽の方で評価をされていろいろなところで活躍をしている自衛隊員もおるわけでありますので。

 そういったことを考えますと、当然、自衛隊の音楽隊としての任務と、それから、他の場所に出ていっても通用するだけの能力を持った、大変演奏力の高い、音楽性の高い、評価も得られているところもありますので、そういう意味では、音楽を通じての国際交流も含めて、可能性が大変広くなっているなということを実感をしておりますので、更に多くの皆さん方に聞いていただいて、理解できるような環境づくりも含めてやっていきたいというふうに思います。

浅川委員 非常に重要だということがよく分かりました。私たち維新が、自衛隊員の処遇について抜本的に変えるべきということ、先ほどもお訴えしておりますが、同様に、音楽隊員の方たちの処遇についても、部隊ということで、同じようにお願いしたいと思っております。

 続きまして、在日米軍基地、先ほどの横須賀にもつながるんですけれども、横須賀と厚木、神奈川県ですけれども、そこで有機フッ素化合物の流出というのが報道されております。つい先日、十四日ですか、神奈川県議会も、議長名で国の方に意見書が出されております。

 この件につきまして、昨日NHKでも追加の報道もされているようなんですけれども、有機化合物、これは消火設備のものが漏れ出たということなんですけれども、この有機化合物がそもそもどういうものであるのか、どういう特性があるのかということについてお尋ねいたします。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 この有機フッ素化合物、PFOSでありますけれども、これは、その特性上、残存性でありますとか、体内に健康的な面でも影響があるといったことも指摘されていることもあって、規制をされている物質でございます。

 他方、水環境に対しましては、環境省等々におきまして暫定的なその指針値というものが設けられておりまして、これを指針としながら各種の取組がなされているというものでございます。

浅川委員 まだ細かく科学的に究明ができていないけれども、発がん性があるんじゃないかというようなことも言われているというふうに聞いておりますが。

 これが、私は、非常に設備的に疑問なのは、そういう設備があって、使われる可能性があったら、当然排出されるのは、海とか川ではなくて、ちゃんと排水処理をして下水に流されるんじゃないかなと思うんですね。それがどうして横須賀の場合には海、厚木の場合には川に流れ出てしまったのか、その原因についてはどう考えていますでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず横須賀海軍施設の方でございますけれども、これは、本年五月四日に基地内の排水処理施設において特異な泡が確認されたために、米側において施設内のサンプリングを実施をしたと。その後、そのサンプリングの分析結果が判明をいたしまして、先ほど申し上げた水環境中の暫定指針値、これを超えるPFOS等が検出されたということで、日本側に六月二十九日に通報がございました。

 その後も、米側は、複数回サンプリングの分析を行っておるわけですけれども、指針値を超えるPFOS等が検出されているということで説明を受けておるところでございますが、これの事案の発生原因については、現在、米側において調査中であるというふうに聞いているところでございます。

 一方、厚木の方につきましては、これは、九月の二十四日に泡消火薬剤が意図せず放出されたという通報があったわけでありますけれども、これの原因につきましては、大雨の影響によってシステムが誤作動を起こした可能性が高いというふうに米側から説明を受けているところでございます。

浅川委員 昨日ですか、地元の横須賀市は、市長が、立入りを現地にしたい、米軍基地内に立入調査をしたいということで申入れをしている。これについては日米合同委員会での協議をされて決まるというふうに報道されているんですけれども、これは事前通告をしていないんですけれども、この日米合同委員会での協議をされて、そのとき日本政府としては地元の自治体の立入調査を求めるというスタンスで協議をされるんでしょうか、あるいは、いつ頃この委員会というのは開かれるんでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の立入調査でありますけれども、まず、これにつきましては、関係自治体、関係省庁と連携をいたしましてやっているところでありますが、厚木の海軍飛行場の方については、十月の六日に環境補足協定に基づいて立入調査を実施いたしております。

 一方、横須賀海軍施設の方につきましては、現在、環境補足協定に基づく立入調査を実施すべく米側と調整をしているところでございまして、横須賀市の御意向も踏まえながら、適切な時期に実施できるようにしっかりと調整を行ってまいりたいと考えてございます。

浅川委員 どうもありがとうございます。

 私も、市は隣の横浜ですけれども、先ほど申し上げましたように、すぐ隣接しております。私の横浜市の金沢区の向かい、東京湾を渡ると浜田大臣の地元でいらっしゃいますけれども、多分十キロぐらいなんですけれども、そういう東京湾内への流出ということもあって、地元の住民からも私の方へも問合せもあって、もちろん、海に流れ出れば濃度は下がってくると思うんですね。

 ただ、問題は、こういうことが繰り返されないようにするためにどうしていくのか。もちろん、米軍の方なので防衛省としてはなかなか厳しい立場にあるのは分かるんですけれども、これがもし自衛隊で起きていたらどうするのか。自衛隊もいろいろな設備が老朽化しているお話を伺っていますけれども、自衛隊の設備でこういうことが起きないかどうか。

 いろいろと設備面で補強していかなきゃいけない部分、予算もつけないといけないと思うんですけれども、自衛隊でこういうような有毒物質が流れ出ないか、そういった面で、大臣、どう考えていらっしゃいますでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘のあります令和三年二月二十六日に航空自衛隊の那覇基地において発生した事案については、老朽化によって配管が破損した結果、泡消火薬剤が基地の外に飛散した、そしてまたPFOS等が検出されたということでございまして、その再発防止策として、各基地に対して泡消火剤を交換する前に配管の点検を徹底すること等について指示を行ったところであります。

浅川委員 装備の方もいろいろ増強していかなきゃいけないんですけれども、既存の設備についても問題が起きないようにしていくということも重要だと思います。

 いずれにしても、横浜は、私も基地対策特別委員というのを市会議員時代にやっておりましたけれども、私の住んでいる金沢区にもこれまで小柴の貯油施設あるいは富岡の倉庫というのがありました。現在も、住んでいるすぐ海側に米軍用の海域も設定されています。各施設、早期の返還というのを地元としても求めておりますので、併せて申し上げます。

 以上です。どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 まず、昨日時間が足りずにできなかった質問から始めさせていただきます。

 自衛隊の人員の充足の状況に関してまず伺いたいと思います。特に、充足率に課題がある階級もあると思いますので、そのことに関して分かるようにお答えいただきたいのと、また、併せて人員が充足できていない理由に関しても御教示をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

浜田国務大臣 令和三年度末における自衛官の士の充足率は七九・八%と、自衛官全体の充足率九三・四%と比較し低くなっております。

 これは、自衛隊が保有する装備品が高度化、複雑化し、その任務が多様化、国際化する中で、部隊の精強性を確保するため、高度な専門性を有し人員の養成に時間を要する幹部、准曹を優先的に高充足としてきているためであります。

 ただし、例えば陸上自衛隊の普通科部隊のように、肉体的な強靱性が求められ、士が重要な構成要素となる部隊には優先的に士を配分する等、任務の遂行に支障を生じさせないような取組を行っております。

 今後も、採用の強化や中途退職者の抑制によって士の確保に努めてまいりたい、このように思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、士の充足率が七〇%台ということでありましたけれども、装備が高度化しているのでそこは余り問題視されていないような御答弁だったんですけれども、これは、法定充足率、法律で決まっている充足率に人員が達していないというところは、防衛省としては問題であるとは認識されていないということなんでしょうか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの階級におきまして、編成に基づく定数が充足されることは大変大事なことだというふうに思っております。

 その上で、士の採用強化、これを防衛省・自衛隊として行っていかなければならないわけですが、少子化そして高学歴化の影響により、自衛官の採用をめぐる環境が一層厳しくなっていく、そういうふうに我々防衛省・自衛隊では考えております。

 このため、士も含めました自衛官の募集につきましては、全国五十か所の地方協力本部において、広報官を中心に、地方公共団体、学校、募集相談員の協力を得ながら、きめ細やかにかつ粘り強く実施してまいりたいというふうに考えております。

 御指摘いただきました士の採用につきましては、平成三十年に、自衛官候補生及び一般曹候補生の採用上限年齢、これの引上げを行いまして、より幅広い層から多様な人材を確保するための取組を行っているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 これから先、少子化がますます進んで大変採用が厳しくなるということはもちろん想定されるわけですけれども、今時点では自衛官候補生の応募倍率は四倍近くあるわけですから、なり手不足で充足率が満たないのではなくて、もし法定の定員が今の自衛隊の任務にふさわしくないのであれば、それは見直す必要があると思いますし、一方で、予算が足りなくて法定の定員を満たすだけの人員が採れないということであれば、これは法定人員ですから、しっかりと予算を確保して人員を満たしていくことが必要だというふうに思っております。

 いずれにしましても、今検討が進んでいる防衛力強化の中で手当てされるべきものであれば、しっかりと予算を確保して人員を手当てしていく、あるいは、自衛隊の定員の在り方についても見直すということであれば、しっかりと見直していただいて、法定充足率がしっかりと満たされる、そういった、法律にのっとった組織の運営というものがなされるように求めていきたいというふうに思います。これは意見として申し上げておきます。

 次の質問に移らせていただきたいと思います。

 日米同盟における日米の役割分担、日本の防衛力強化の必要性に関して、まず質問させていただきたいと思います。

 本日も反撃能力の議論がなされていますけれども、それに関連してでございます。従来、日米同盟とは、日本が盾、米国が矛という役割分担があったと認識をされていたと思います。日本が攻撃された場合、あるいは日本に対する攻撃が切迫している場合でも、相手に反撃、相手の領土内に対して打撃を与える任務は自衛隊ではなくて米軍が担う、こういった役割分担が、暗黙の了解かもしれませんけれどもあったというふうに思います。このことに関して、数年前から、見直しを行うとの方針が、政府であったり、あるいは自民党内からも示されていることは、委員の皆様、周知の事実だと思います。

 このような役割分担の見直しが検討されている背景、つまり、日本も反撃能力を持つことに関して今検討がなされるに至った、その理由を教えていただきたいと思いますけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 我が国周辺においては、相当数の弾道ミサイルが開発、配備をされております。それらは、一たび発射されれば、極めて短時間で我が国に到達し、国民の生命財産に甚大な被害を与えるおそれがあります。また、最近では、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化をしております。

 こうした状況を踏まえ、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているかという問題意識の下、ミサイル迎撃能力の向上だけでなく、いわゆる反撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところであります。

 なお、この検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めているものであります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 日米の基本的な役割分担を維持しながら検討を進めているという、今防衛大臣からのお話がありましたけれども、本日は外務大臣がいらっしゃらないのであれですけれども、二年ほど前には、当時の外務大臣から、日本が盾、米国が矛という役割分担を見直す時期に来ているのではないか、そういった趣旨の御発言もありましたので、どういった検討が政府内でなされていくのか、注視をさせていただきたいと思います。

 今、防衛大臣はそうおっしゃいましたけれども、外部から見ていますと、こういった役割分担が見直されることになるのではないかということを感じております。それの最大の要因は、やはり何といっても、アジア太平洋地域において米軍と中国の人民解放軍のパワーバランスが大きく中国優位に傾いているところにあると考えております。

 米軍は依然として世界最強の軍隊と言われますけれども、世界中に展開をしていますので、急速に増強を続ける人民解放軍に対して、アジア太平洋地域においてはもはや一国だけで抑止力を維持することが難しくなっており、自衛隊の役割の拡充と強化がこの地域の平和と安定を守る上で必要になっている。そういった中での役割分担の見直し論というものが出ているものだと私は認識をしております。

 やはり、懸念すべきなのは、アメリカがアジア太平洋地域での抑止力の維持を諦めてしまう、放棄をしてしまう事態であり、それを防ぐために日米間がどのように連携をして抑止力を強化していくのか。例えば、自衛隊の反撃能力の保持も含めた、従来の日米間の役割分担の見直しが必要だというふうに認識しておりますけれども、こういった日米同盟の強化、日米同盟のアジア太平洋地域における抑止力の維持向上に向けて日本が取るべき防衛政策の方向性に関して、防衛大臣の御見解を伺えればと思います。

浜田国務大臣 先ほど来から申し上げていますように、安全保障環境が一層厳しさを増す中で、我が国として、自らを守る体制を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていくことは必要だと考えます。我が国の防衛力の抜本的な強化は、日米同盟の下で我が国の役割を十分に果たし、そして同盟の抑止力と対処力を一層強化していくことにもつながってまいると思っております。

 本年九月の日米防衛相会談においても、私から、我が国の防衛力の抜本的強化を実現するとの決意を表明し、オースティン国防長官から強い支持が表明されました。

 引き続き、我が国自身の防衛力を抜本的強化するとともに、日米両国の戦略及び政策を緊密にすり合わせながら、様々な分野で、取組を通じ、日米同盟抑止力、対処力を一層強化していく考えでおります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今、反撃能力の保持も含めて検討が進んでいて、年末の防衛三文書の改定によって、自衛隊の任務であったり能力が大きく変わる可能性もあるというふうに考えております。

 そういった中で、アジア太平洋地域での我が方の抑止力を強化、維持するためには、自衛隊の能力、任務の変化に応じて日米間の連携の在り方を見直していくということが必要不可欠かと思いますけれども、この点、日米防衛協力指針、いわゆるガイドラインの更新の必要性に関する御認識、そしてその作業の見込みに関して御教示いただければと思います。

浜田国務大臣 本年末までに新たな国家安全保障戦略等を策定するための検討を加速しておりますが、日米ガイドラインの扱いについて、現時点で何ら決まっていることはございません。

 いずれにせよ、引き続き、様々な分野における日米防衛協力を更に推進し、日米同盟の対処力、抑止力を一層強化していく考えであります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 日本の防衛方針が大きく変わるということであれば、自衛隊の能力が変わるということであれば、当然にこのガイドラインの更新につながってくるんだと思いますけれども、やはり、今防衛大臣おっしゃったように、抑止力を維持強化をしていくことが極めて重要で、日米間の連携を深めていくことが、この点、極めて重要になると思いますので、是非とも、このガイドラインの更新に関しても、来年以降になると思いますけれども、日本がイニシアチブを取って進めていただきたいと思います。

 次にテーマを移らせていただきまして、国内の防衛生産、技術基盤の強化に関してお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、平成二十六年に防衛装備の移転三原則を決定して以降、輸出された防衛装備の完成品はどのようなものがあるか、教えていただけますでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問がありました、完成品といたしまして輸出いたしました、防衛装備品の移転の決まりましたものにつきましては、フィリピンへの警戒管制レーダー四基でございますけれども、この一件でございます。

斎藤(ア)委員 平成二十六年からもう八年がたつわけですけれども、なかなか防衛装備の移転、輸出というものが進んでいない現状があります。

 これは、よく言われますけれども、原則二の移転を認め得る場合の規定が厳し過ぎて、なかなか輸出ができないという現状があるんだというふうに思います。共同開発をしたものに限られるとか、あるいは、警戒、監視、捜索、そういった分野に限られる、こういった原則がある限りなかなか輸出が進まなくて、そして国内の防衛生産の生産基盤が更に弱まってしまうことが懸念をされますけれども、この防衛装備移転三原則の見直しについての検討というものは行われているんでしょうか。

浜田国務大臣 防衛装備品の海外移転の推進は、我が国にとって、望ましい安全保障環境を創出するためには重要であると思います。また、防衛力そのものである防衛生産、技術基盤の強化に資するものであります。そのものであります。

 防衛装備品の海外移転の推進の在り方について、御指摘の点も含め、様々な議論があるところであります。防衛省としては、新たな国家安全保障戦略の策定のための議論等において、関係省庁とともにしっかりと検討してまいりたいと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 防衛面で協力関係にある国にこういった防衛装備を輸出するということは、我が国にとっても様々な面で利点があるということだと思いますので、是非こういったところの検討というものも併せて早急に進めていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に技術基盤の強化に関して一つだけ御質問させていただきたいと思いますけれども、経済安全保障推進法で始まる経済安全保障重要技術育成プログラムというものは、政府の御説明によると、これが防衛技術の基盤の強化にもつながるといったことが言われていますけれども、実際に防衛省の視点から見て、このプログラムなどは日本独自の防衛技術の向上に資する事業となっているのか。つまり、防衛省側のニーズであったり自衛隊のニーズを反映したような研究プログラムが実施されるような、期待を持てるようなプログラムなのか、ちょっと御見識を伺いたいというふうに思います。

浜田国務大臣 まず、研究開発を促進するに当たっての取組については、AIや量子技術といった急速に進展する民生の先端技術は、将来の戦闘様相を一変させ得ると考えられております。

 こうした中で、防衛省独自の投資拡充に加え、政府が推進する研究開発事業の成果を防衛分野で真に意味のある形で活用していくことが重要だと考えます。スタートアップ企業やアカデミアも含めて我が国の技術力を結集し、優れた防衛上の機能を実現するため、防衛省が政府の研究開発プロジェクトへの参画をするなど、その連携強化の在り方について関係府省と議論しているところであります。

 防衛省としてもしっかりと検討し、真に防衛の役に立つ仕組みが構築できるように、積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 今御指摘のありました経済安全保障重要技術育成プログラムについてでありますけれども、防衛省も関係省庁の一つとして関与しており、内閣府とも緊密に連携しているところであります。

 このプログラムは、現在、研究開発の公募に向けた準備が進められている段階と承知しておりますが、先ほど申し上げたとおり、真の意味ある形で防衛分野に活用できるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございました。

 技術開発力イコール抑止力になると思いますので、国を挙げた取組を進めていっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案については、国家公務員全体の給与引上げの一環であり、賛成であります。

 アメリカの海兵隊オスプレイの低空飛行訓練に関する日米合意について質問をいたします。

 防衛省は、九月二十六日の日米合同委員会で、米軍普天間基地所属のMV22オスプレイが日本の航空法が定める最低安全高度百五十メートル以下の九十メートルで低空飛行訓練を行うことを容認する合意を取り交わしました。

 米軍機による低空飛行訓練は、これまでも日本全国で問題になってきました。日本国内に七つの低空飛行訓練ルートが設定され、突然鳴り響く米軍機の爆音によって住民の静かな生活を脅かすとか、訓練中の墜落、あるいは木材運搬用ケーブルの切断、衝撃波による土蔵の崩壊、窓ガラスの破損、家畜への被害などが繰り返されてきています。

 沖縄でも、近年、県内各地で、かつてなかったような超低空での飛行訓練が頻繁に目撃され、住民から不安と怒りの声が上がっています。

 全国の自治体、住民から危険な低空飛行訓練の中止を求める声が上がっている下で、訓練をやめさせるのではなくて、それを容認し、さらに、従来の日米合意さえ踏み破って、日本の航空法の安全基準は守らなくていいと政府がお墨つきを与えてしまったのが今回の合意であります。

 防衛大臣、伺いますが、今回の合意を交わすに当たって、これまで繰り返されてきた訓練に伴う様々な被害、全国各地から上がってきた訓練中止を求める声についてどういう検討を行ったのですか。

浜田国務大臣 先般日米間で合意をした訓練を含め、在日米軍は全く自由に飛行訓練を行ってよいわけではなく、関連する合同委員会合意を遵守するとともに、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもありません。

 このため、先般の合意においては、例えば、住宅、学校、病院などの上空を避けること、送電線などから十分回避できる距離で飛行すること、緊急の際に地上又は水上の人又は物件に危険を与えることなく不時着できる高度を保つこと、土日及び日本の休日等には実施しないこと、午後十時から午前七時までの間は実施しないことなどについても合意をしておるところであります。

 引き続き、オスプレイの日本国内における飛行運用に際して最大限の安全対策を取るとともに、周辺住民への影響を最小限にとどめるよう米側に求めてまいります。

赤嶺委員 最低安全高度の、以下を拡大したわけですよ、今の大臣のお話を聞いていると、より安全になったような、ルールが決まったような、そういうお話ですけれども。

 住宅地上空の飛行を避ける、このようにおっしゃいました。それは、今までの日米合意にもあったことですね。あったにもかかわらず、住宅地や学校、病院の上空の飛行が全国で無数に確認をされてきました。住宅地上空を飛行しても、どれだけ低い高度で飛行しても、立証責任は住民の側に負わされ、多くはうやむやにされてきました。私も被害者から何度も訴えられて、結局、防衛省は立証責任を被害者の側に負わせていく。

 だから、今の日米合意、公共の安全に関する合意というのは、言葉だけでの合意になっているわけですよ。言葉だけで実態の伴わない合意を、今回、制限を緩和して、そういう合意を重ねても、実態は何も変わらないと思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 我々としては、米軍に対して更に安全確認をしっかりとするよう求めてまいりたい、このように思っております。

赤嶺委員 求めても変わらなかったのが現状なんですね。

 それで、日本国内の住宅地などの上空を避けた区域という文言があります、合意の中に。日本国内の住宅などの上空を避けた区域で実施すると言いますが、それはどこを指しているんでしょうか。そして、日本政府と協議して決めるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 住宅地等を避けた区域と合意の中で記されているわけですが、この件につきましては、本訓練については、住宅、学校、病院、原子力・火力発電施設等の上空では実施しないことを合意しておりまして、このことを住宅地等の上空を避けた区域と表現しているものでございます。

 具体的な飛行ルートにつきましては、米軍の運用に関することであり、お示しできませんけれども、本訓練実施に当たりましては、シミュレーター等による事前の慣熟を行うことについても合意しておりまして、米軍は、本訓練の実施前に周囲の状況を十分把握した上で、住宅地等を避けながら本訓練を安全に実施していくというものでございます。

赤嶺委員 いつもの米軍の言い分ですよ。どこだと言わないで、そして、自分たちはシミュレーターを使って慣熟訓練をしているんだから絶対安全だと言いながら、しかし、目の前では、住宅区域を避けると言いながら、日本の中にどこがそういうところなんだという思いがあるわけですよ。

 訓練に先立って、事前に区域を米軍から報告させるわけですか。そして、それが妥当かどうか日本政府が判断する仕組みはあるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 この合意に基づきまして、米側とは緊密な連絡を取っております。

 それで、今回の訓練につきまして申し上げますと、防衛省といたしましては、本飛行訓練が、日米間の合意に基づき、沖縄を除く日本国内の住宅地を避けた区域で実施されたことを確認してございます。

 他方、これ以上の詳細につきましては、米軍の運用に関することでございまして、防衛省からお答えできないことは御理解いただければと思います。

赤嶺委員 いや、理解できないからこういう質問になっているわけですよね。

 今、沖縄を避けたとおっしゃいますけれども、その期間中も、沖縄でも低空飛行訓練、幾らも目撃されておりますよ。皆さんは、沖縄のオスプレイを本土に訓練移転する場合に沖縄の負担軽減と言いますけれども、訓練が移転されても、負担は何も軽減されていないですよ。軽減されたという声なんか上がらないですよ、大臣。

 しかも、今回、この訓練が終わった後に、合意を守っていたという具合に言っているわけですが、それは具体的な中身を伴った話ですか、それとも、米軍が、いやいや、合意の中身は守ったよと言ったわけですか、いずれですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答えしたことの繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、今回の飛行訓練が、日米間の合意に基づき、沖縄を除く日本国内の住宅地等を避けた区域で実施されたことを防衛省として確認してございます。

 他方、これ以上の詳細につきましては、米軍の運用に関わることでございまして、防衛省がお答えできないことを御理解いただければと思います。

赤嶺委員 素直に考えて、米軍が住宅地を避けて訓練したと言って、どこだろう、それはどこだろうと思いますよね。それはどこだということを聞いたら、それは米軍の運用に関わることだから言えないと言う。余りにも、本当に守ったかどうかというのは、根拠を持って説明されているとは思えないですよ。

 今回の合意の中で、緊急の際に地上や水上の人や物に危険を与えることなく不時着陸できる高度を保つ、このように言っております。不時着できる場所がなければ不時着はできません。飛行に当たって、不時着に使用できる場所を米側から事前に報告させたんですか。それを政府が確認する仕組みはあるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のありました、緊急の際に地上又は水上の人又は物件に危険を与えることなく不時着陸できる高度といいますものは、飛行時の周囲の状況などから総合的に判断されるものであるため、一概にお示しすることはできないことを御理解いただきたいと思います。

 なお、こうした考え方は、我が国の航空法令の適用を受ける航空機が法令の規定に基づき飛行する場合も同様でございます。具体的には、国土交通省航空局長が出されました、最低安全高度以下の高度の飛行に関する許可の事務処理基準の中で詳細が書かれております。

 そして、米側は、実際、今回も飛ぶときには、先ほども御説明いたしましたけれども、シミュレーター等による事前の慣熟を行うということで、米側は、本訓練実施前に周囲の状況を十分把握した上で訓練を実施したということで、先ほど申しました緊急時の対応なども考えながら、事前に慣熟を行いながら、訓練を実施したということでございます。

赤嶺委員 日本の航空法の中にも最低安全高度以下で飛ぶ場合がちゃんとあるんだと言うけれども、日本の航空法では、不時着する場所も、それから低空飛行する場合にどこを通るかも、詳細な事前の報告書がありますよね。それでいいかという問題はあるんですけれども、あるんですよ、航空法は。しかし、米軍の場合は航空法適用除外ですよ。だから、何の申請も要らない、何の承認も要らない。

 本当に、外国の軍隊が野放しで日本の空を飛び回る、こういうことが許されていいのか、そういうことを許可した日本政府がこの合意を見直すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

鬼木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鬼木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、國場幸之助君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。三木圭恵君。

三木委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について十分配慮すべきである。

  国際情勢の複雑化により我が国周辺の緊張が高まっているだけでなく、多発する自然災害や感染症の対策など自衛官はかつてなく多くの任務を遂行している。このような状況で、自衛隊が任務を適切に遂行するためには、人的基盤を強化することが不可欠であることに鑑み、政府は自衛官の給与体系、処遇改善、その他質の高い人材の確保のための給与の在り方などの検討を加え、もって自衛官がさらに意欲と誇りをもって職務に従事できるよう、早急に必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

鬼木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鬼木委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鬼木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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