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第1号 令和5年3月7日(火曜日)

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本国会召集日(令和五年一月二十三日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      鈴木 憲和君    武田 良太君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      松島みどり君   山本ともひろ君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

令和五年三月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      塩崎 彰久君    武田 良太君

      土田  慎君    渡海紀三朗君

      細野 豪志君    松島みどり君

      山本ともひろ君    新垣 邦男君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      美延 映夫君    河西 宏一君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務副大臣        武井 俊輔君

   外務副大臣        山田 賢司君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   外務大臣政務官      秋本 真利君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   外務大臣政務官      吉川ゆうみ君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     土田  慎君

  中曽根康隆君     塩崎 彰久君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     中曽根康隆君

  土田  慎君     鈴木 憲和君

    ―――――――――――――

一月二十三日

 自衛隊法及び海上保安庁法の一部を改正する法律案(前原誠司君外一名提出、第二百七回国会衆法第九号)

 領域等の警備及び海上保安体制の強化に関する法律案(篠原豪君外十四名提出、第二百七回国会衆法第一一号)

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(三木圭恵君外二名提出、第二百十回国会衆法第七号)

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(三木圭恵君外二名提出、第二百十回国会衆法第八号)

二月二十七日

 日本を海外で戦争する国にする戦争法(安保法制)の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一号)

 軍事費二倍化の中止等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第九〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第九一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第九七号)

 同(宮本徹君紹介)(第九八号)

 同(本村伸子君紹介)(第九九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国の安全保障に関する事項について、本会期中国政に関する調査を行うため、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

鬼木委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、防衛大臣から所信を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 防衛大臣の浜田靖一です。

 鬼木委員長を始め、理事及び委員の皆様に、防衛大臣としての所信を申し上げます。

 国際社会は今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしております。

 中国は、軍事力の質、量を急速に強化させるとともに、力による一方的な現状変更やその試みを推進しています。中国の軍事動向等は、我が国の平和と安全及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化する上で、これまでにない最大の戦略的挑戦です。

 また、北朝鮮は、かつてない高い頻度で弾道ミサイルの発射を繰り返し、急速にその能力を増強しています。北朝鮮の軍事動向は、我が国にとって、従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威です。

 そして、昨年二月から続くロシアのウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがすものであり、国連安保理の常任理事国が核兵器による威嚇とも取れる言動を繰り返す前代未聞の事態となっています。また、インド太平洋地域におけるロシアの軍事動向等は、中国との連携と相まって、安全保障上の強い懸念であります。

 危機管理の要諦は、最悪を想定することです。今後とも国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、冷静かつ毅然と対応してまいります。

 欧州で起きていることは他人事ではありません。昨年十二月、我が国が直面する現実に向き合い、将来にわたり我が国を力強く守り抜くため、新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画を閣議決定しました。

 これは、スタートラインにすぎません。防衛省・自衛隊は、日本と日本国民を守る最後のとりでとして、しっかりと国を守るために戦える、そのための努力を引き続き、私が先頭に立って確実に進めてまいります。

 また、日米同盟は我が国の安全保障の基軸です。本年一月の2プラス2でも確認したとおり、引き続き、様々な分野での協力を深め、抑止力、対処力を強化してまいります。

 同時に、地元の基地負担の軽減にも引き続き取り組みます。特に沖縄については、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。

 さらに、一か国でも多くの国々との連携を強化すべく、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの実現に資する取組を推進してまいります。

 最後に、今国会提出法案について申し上げます。

 防衛省設置法の一部を改正する法律案は、自衛官定数の変更及び地方防衛局の所掌事務の追加をするものであります。

 次に、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案は、装備品等の適確な調達を行うため、装備品製造等事業者による装備品等の安定的な製造等の確保及びこれに資する装備移転を安全保障上の観点から適切なものとするための取組を促進するための措置、契約における秘密の保全措置並びに装備品等の製造等を行う施設の取得及び管理の委託に関する制度を定めるものであります。

 そして、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案は、協定の適確な実施を確保するため、協定の実施に伴う道路運送法及び道路運送車両法の適用除外、刑事手続等の特例、国の賠償責任の特例並びに特殊海事損害に係る賠償の請求についての援助に関する措置を定めるものであります。

 委員各位におかれましては、御審議のほどをよろしくお願いいたします。

 以上、防衛省・自衛隊が直面する課題に対し、全力で取り組んでまいります。

 皆様におかれましては、一層の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、外務大臣から所信を聴取いたします。林外務大臣。

林国務大臣 安全保障委員会の開催に当たり、鬼木委員長を始め、理事、委員各位に御挨拶申し上げ、我が国の安全保障政策について所信を申し述べます。

 国際社会が時代を画する変化に直面する中、国際秩序の根幹が揺るがされ、国際社会は歴史の岐路に立っています。我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれる中、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化することの重要性がより一層高まっています。

 こうした中、昨年十二月に策定された国家安全保障戦略は、我が国の安全保障に関わる総合的な国力の主な要素の一つとして、まず外交力を掲げています。我が国の長年にわたる国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や経済活動の実績を糧に、大幅に強化される外交の実施体制の下、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出するために力強い外交を展開していきます。

 既に一年以上も続いているロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を脅かす暴挙です。ウクライナ各地における民間人や民間施設へのミサイル攻撃を含め、ロシアによる一連の行為は深刻な国際法違反であり、決して認められません。

 また、ロシアがウクライナにおける核兵器の使用を示唆していることは極めて憂慮すべき事態です。我が国は、唯一の戦争被爆国として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用もあってはならないと考えています。

 さらに、今般ロシアが新戦略兵器削減条約の履行を停止する旨発表したことを強く懸念しています。

 侵略開始から一年を前に、私は、二月にミュンヘンにおいて、本年の日本議長国下で初となるG7外相会合を主催し、法の支配に基づく国際秩序を堅持するというコミットメントを強調しました。引き続き、G7を始めとする国際社会と緊密に連携しながら、対ロ制裁とウクライナ支援を強力に推し進めていきます。

 また、我が国の排他的経済水域内に落下した二月十八日のICBM級弾道ミサイル発射を含め、北朝鮮による核・ミサイル活動も活発化しています。北朝鮮が繰り返す弾道ミサイルの発射等は断じて許されず、今後とも、日米、日米韓で緊密に連携して対応していきます。

 我が国の外交政策の推進に当たり、同盟国、同志国との連携は不可欠です。

 まずは、日米同盟を更に深化させていきます。

 一月の日米首脳会談では、我が国の新たな国家安全保障戦略等に関し、反撃能力の保有や防衛費の増額等含めて説明し、全面的な支持を得ました。また、私が出席した一月の日米2プラス2で確認した方向性に従って、日米にとって戦略的に最も重要なインド太平洋地域のポテンシャルを安定と繁栄につなげていくため、日米同盟の抑止力、対処力の強化に日米で共に取り組んでいきます。

 その際、同盟調整メカニズムを通じた二国間調整の更なる強化、平時における同盟の取組、日本の反撃能力の効果的な運用に向けた日米間の協力の深化、宇宙、サイバー、情報保全分野での協力、同盟の技術的優位性の確保のための技術協力や、新興技術への共同投資などを重点的に進めていきます。また、米国による拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けることを確保するための努力も続けていきます。さらに、日本における米軍の態勢の一層の最適化に向けた取組を進めるとともに、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し辺野古移設を進めるなど、地元の負担軽減と在日米軍の安定的駐留に全力を尽くします。

 また、昨年立ち上げた経済版2プラス2を通じて、外交、安全保障と経済を一体として議論し、経済安全保障を含む日米共通の課題について、一層連携を強化していきます。

 さらに、ASEAN諸国、豪州、インド、英国、フランス、ドイツ、EU、NATOを始め、基本的価値を共有する国々、パートナーとの協力関係を更に強化し、そのネットワーク化も進めていく考えです。インド太平洋地域における法の支配に基づく自由で開かれた秩序の維持強化により、地域全体、ひいては世界全体の平和と繁栄を確保していくことが重要です。今後も、日米豪印を始め、このような考え方を共有する国々とも連携しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を強化していきます。

 近隣諸国等との間の懸案の解決も重要な課題です。

 日本と中国の間には、様々な可能性とともに、尖閣諸島情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、中国による我が国周辺での一連の軍事活動、特に、排他的経済水域を含む日本近海への弾道ミサイルの着弾、また、中国が飛行させたと強く推定される我が国領空内で確認されていた特定の気球型の飛行物体を含め、数多くの課題や懸案が存在しています。また、台湾海峡の平和と安定も重要です。

 特に、尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をする海警船舶の活動は、国際法違反であり、断じて認められません。我が国としては、我が国の平和と安定、尖閣諸島を含む我が国の領土、領空、領海を、日米同盟を基軸としつつ、しっかりと守り抜いていくと同時に、中国に対しては、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めていきます。

 南シナ海をめぐる問題についても、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対し、力や威圧によらず、国際法に基づき紛争を平和的に解決することが重要であると改めて強調していきます。今後も、中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や活発化する活動を注視しつつ、その透明性の向上を働きかけていきます。

 韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。北朝鮮への対応等を念頭に、安全保障面を含め、日韓、日米韓の戦略的連携を強化していくことの重要性は、論をまちません。喫緊の懸案である旧朝鮮半島出身労働者問題について、六日、韓国政府による措置の発表がありました。日本政府としては、これを、二〇一八年の大法院判決により非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価します。今回の発表を契機とし、措置の実施とともに、日韓の政治、経済、文化等の分野における交流が力強く拡大していくことを期待しており、韓国側と緊密に意思疎通していきます。

 竹島については、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も日本固有の領土であるとの基本的な立場に基づき、毅然と対応していきます。

 ロシアとの関係については、日本の国益を守る形で対応していきます。日ロ関係は、ロシアによるウクライナ侵略によって厳しい状況にあり、平和条約交渉の展望を語れる状況にはありませんが、日本として、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。

 近隣諸国との関係に加え、北朝鮮との間では、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化の実現を目指します。北朝鮮が前例のない頻度と態様で弾道ミサイル発射を繰り返していることは断じて容認できず、今後とも、米国を始めとする国際社会とも協力しながら、関連する国連安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指します。政権の最重要課題である拉致問題は時間的制約のある人道問題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力で取り組みます。

 地域、国際社会が抱える諸課題への対応にも全力で取り組みます。

 中東の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄に不可欠です。引き続き、これまで中東各国と築いてきた良好な関係を生かし、米国を始めとする関係国とも連携しつつ、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け、積極的な外交努力を展開していきます。

 また、中東地域に原油輸入の約九割を依存する我が国を含め、世界経済の安定と成長にとり不可欠であるエネルギーの安定供給、そして、これを支える中東地域における航行の安全の確保に万全を期してまいります。

 核軍縮・不拡散については、ヒロシマ・アクション・プランを始め、核兵器のない世界に向けた現実的かつ実践的な取組を進めていきます。国際賢人会議等の取組を進めていくとともに、G7広島サミットで力強いメッセージを発信できるよう、G7メンバー等と議論を深めていきます。

 経済安全保障も岸田政権の優先課題の一つであり、昨年五月には経済安全保障推進法が成立しました。また、新たな国家安全保障戦略でも、日本の自律性の向上や、技術等に関する日本の優位性、不可欠性の確保に向けて措置を講じていくことを確認しており、その中で、外国からの経済的な威圧に対する効果的な取組を進めることも確認したところです。外務省として、安全保障政策や対外経済関係、国際法を所管する立場から、今後の情勢の変化を見据えた更なる課題について不断に検討を進めつつ、同盟国、同志国との連携強化や新たな課題に対応する規範の形成等、積極的に取り組んでまいります。

 鬼木委員長を始め、理事、委員各位の御指導、御理解を心からお願い申し上げます。

鬼木委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。

 次に、令和五年度防衛省関係予算の概要について説明を求めます。井野防衛副大臣。

井野副大臣 防衛副大臣の井野俊郎です。

 令和五年度防衛省関係予算について、その概要を御説明申し上げます。

 先ほど浜田防衛大臣が申し上げましたとおり、国際社会は今、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしておりますが、防衛副大臣として、木村政務官、小野田政務官とともに浜田防衛大臣をしっかりお支えし、我が国自身の防衛体制の強化、日米同盟の強化、同志国の連携といった、我が国の防衛を全うするための取組を進めてまいります。

 鬼木委員長を始め、理事、委員の皆様におかれましては、御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 令和五年度予算においては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、今後五年以内に緊急的に防衛力を抜本的に強化するために必要な取組を積み上げ、防衛力抜本的強化元年予算として、新たな防衛力整備計画の初年度にふさわしい内容及び予算規模を確保することとしております。

 具体的には、将来の防衛力の中核となる分野について、スタンドオフ防衛能力、無人アセット防衛能力などについて大幅に予算を増やすとともに、統合防空ミサイル防衛能力、宇宙、サイバーを含む領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力・国民保護、持続性・強靱性、防衛生産・技術基盤などについて必要な経費を確保しております。

 中でも、現有装備品の最大限の活用のため、可動数向上や弾薬確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、隊員の生活、勤務環境の改善もこれまで以上に推進すべく、所要額を確保しております。

 防衛省所管の一般会計歳出予算額は六兆七千八百七十九億六千五百万円となり、前年度当初予算額に比べ、一兆四千百九十二億四千万円の増となっております。

 継続費の総額は、護衛艦建造費で千百八十四億二千九百万円、潜水艦建造費で八百十四億一千八百万円となっております。

 また、国庫債務負担行為の限度額は、装備品などの購入、武器車両等整備、提供施設移設整備等で七兆八千六百二十一億二千七百万円となっております。

 次に、特に重点に置いた政策について御説明申し上げます。

 第一に、我が国の防衛力の抜本的な強化です。

 隊員の安全を可能な限り確保する観点から、相手の脅威圏外からできる限り遠方において阻止する能力を高め、抑止力を強化するため、スタンドオフ防衛能力を強化します。また、多様化、複雑化する経空脅威に適切に対処するため、統合防空ミサイル防衛能力を強化します。

 万が一、抑止が破れ、我が国への侵攻が生起した場合には、スタンドオフ防衛能力と統合防空ミサイル防衛能力に加え、有人アセット、さらに無人アセットを駆使するとともに、水中、海上、空中といった領域を横断して優越を獲得し、非対称的な優勢を確保します。このため、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力及び指揮統制・情報関連機能を強化します。

 さらに、迅速かつ粘り強く活動し続けて、相手に侵攻意図を断念させる必要があります。このため、機動展開能力・国民保護や、弾薬、燃料の確保、可動数の向上、施設の強靱化などの持続性・強靱性を強化します。

 第二に、同盟国、同志国などとの協力です。

 我が国の安全保障を確保する観点から、米国との同盟関係はその基軸であるとともに、一か国でも多くの国々との連携強化が極めて重要です。このため、日米同盟による共同抑止・対処を強化するとともに、自由で開かれたインド太平洋というビジョンを踏まえつつ、同志国などとの連携を推進してまいります。

 第三に、いわば我が国の防衛力そのものとして、防衛生産・技術基盤です。

 力強く持続可能な防衛産業を構築するため、予算関連法案として、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を提出するほか、新たな利益率の算定方式の導入など、防衛産業を取り巻く様々なリスクへの対処や防衛産業の販路の拡大などに向けた抜本的な強化策を推進します。また、将来の戦い方に直結し得る分野に集中的に投資するとともに、他国に先駆け先進的な能力を実現するため、民生先端技術を幅広く取り組むことなどにより、早期の技術獲得、装備化を実現します。

 第四に、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための基盤強化です。

 自衛隊員について、事務官、技官なども含め、必要な人員を確保し、宿舎の建て替えを含め、全ての隊員が遺憾なく能力を発揮できる環境を整備します。また、衛生機能について、有事において隊員の生命身体を救う組織へと変革します。

 以上、防衛省所管予算のほかに、デジタル庁所管予算三百三十九億三千三百万円が防衛省関係の一般会計歳出予算額として計上されております。

 これをもちまして、令和五年度の防衛省関係予算の概要の説明を終わります。

鬼木委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時二十二分散会


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