衆議院

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第3号 令和5年3月23日(木曜日)

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令和五年三月二十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      鈴木 憲和君    武田 良太君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      松島みどり君    三谷 英弘君

      山本ともひろ君    新垣 邦男君

      玄葉光一郎君    源馬謙太郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務副大臣        山田 賢司君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    河邉 賢裕君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       石川  武君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁調達管理部長)            森  卓生君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  長島 昭久君     三谷 英弘君

  新垣 邦男君     源馬謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     長島 昭久君

  源馬謙太郎君     新垣 邦男君

    ―――――――――――――

三月十日

 日本でのオスプレイ配備撤回、訓練中止に関する請願(志位和夫君紹介)(第二二八号)

 平和、命、暮らしを壊す大軍拡、大増税に反対することに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二九号)

 同(宮本徹君紹介)(第二九〇号)

 辺野古新基地建設の断念を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣官房内閣審議官小柳誠二君、外務省大臣官房参事官池上正喜君、外務省北米局長河邉賢裕君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官石川武君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君、防衛装備庁調達管理部長森卓生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 おはようございます。

 今日は、防衛省の設置法の改正ということで、法案質疑十五分間いただきまして、ありがとうございます。十五分という短い時間ですから、早速本論に入っていきたいと思います。

 まず、防衛省の設置法の改正は、今回、歴史的な政府の三文書、この防衛三文書を受けて、特に、私の地元の横須賀は防衛の町として歴史を持っている町でありますが、全国の中でも特に、この三文書による影響や変化というものが分かりやすい地域になっています。その筆頭が、今回設置法の中でも位置づけられている、サイバー防衛隊の増員を始めとするサイバーセキュリティーの防衛人材、この育成の拠点に横須賀がなっていくということです。

 この一つが、日本の中で今、自衛隊の高校というのが、横須賀の武山駐屯地の中にある陸上自衛隊の高等工科学校で、先日卒業式が行われまして、大臣が毎年出席をしてくれるわけではない卒業式に、久しぶりに、小野寺大臣以来、浜田防衛大臣に御出席をいただきました。恐らく、大臣と事務次官共に御出席をいただいた卒業式は初めてだと思います。

 まずは、浜田防衛大臣から、その卒業式に出られた御感想があれば、受け止めを聞かせていただければと思います。

浜田国務大臣 小泉委員にも御出席をいただいておったわけでございますけれども、陸上自衛隊高等工科学校の卒業式に初めて出席をさせていただきました。

 新型コロナによって大変大きな影響を受けた三年間を過ごした、人生においても最も活力あふれた時期に共に乗り越えた生徒たちが若き陸上自衛官として巣立っていく姿は、大変強く心を打つものがありました。

 高等工科学校は、陸海空共同化、共学化が防衛力整備計画に明記されているとおり、政府としても優秀な人材の早期確保の上で重要な学校として位置づけております。こうした中、防衛大臣が高等工科学校の卒業式に今後とも出席をして生徒の前途を激励することは非常に重要だと考えております。私の思いも、今後も防衛省として引き続き、これはつなげていっていただきたいというふうに考えております。

 大変感動的な卒業式でありまして、本当に、高校生、一番多感な時期を三年間寮生活で、ましてやコロナで家に帰れないというような状況の中で、その間に培ってきた友情というのを、学生の答辞に当たって述べられた生徒代表の思いがはじけ飛んでいて、我々に対して、またすがすがしく、またりりしく映ったことが大変印象的でありました。

 やはり我々、こういう若い自衛官がこれから巣立っていくに当たって、防衛大臣がそれに接することによってトップに立つことの意義そして責任というものを実感するためにも、大臣が今後とも引き続きこの卒業式に出席するということに大変大きな意義があるというふうに思っておるところであります。今後ともしっかりと続けさせたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今、大臣からは、大臣が出席することを通例にしていくという思いを持って防衛省につないでいくという話がありましたから、これは町田局長ですかね、今の大臣の思いを、あのときの大臣の個人的思いですということにせずに、今後、省として大臣に御出席いただけるように、答弁で確認したいと思います。お願いします。

町田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま大臣が答弁差し上げましたとおり、防衛省として、今後の高等工科学校への卒業式、これを、防衛大学校それから防衛医科大学校と同様に大臣の御出席をいただくように定例、通例化してまいる、そのようにしてまいります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 私がこれを言う理由は、まさに今、町田局長が言及をされた防衛大学校、実は今週末の卒業式で、横須賀にとっては、先日の、先週末の高等工科学校の卒業式に加えて、総理大臣と防衛大臣が毎年必ず卒業式に出席をされる唯一の学校が防衛大学校です。

 ただ、防衛大学校は重要でありますが、幹部自衛官を育成する、しかし、陸上自衛隊の高等工科の方は、いざというときの最前線の部隊の方に行くものですから、やはりこの両面について大臣からの思いを伝えていただくというのは非常に大事だと思っています。本当にありがとうございます。

 ちなみに、この高等工科は、三年生がサイバーセキュリティーの専修コースで今学んでいます。そして、今回、三文書におきましては、この高等工科学校が、サイバーの人材育成に加えまして、歴史ある男子校が男女共学にこれから変わることも明記されて、しかも、陸上自衛隊の高校ではなく、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、この三自衛隊共同の学校にも変わるということが明記をされました。これは余り世の中では注目されていない三文書の中の記述かもしれませんが、地元にとっては大きな衝撃です。

 こういった中で、これから現場を三文書に基づいて形にしていく、そして、思いを一つに、現場がしっかりそこに向かって走っていくことは極めて重要なことでありますので、この高等工科の改編、そして、陸上自衛隊の通信学校も横須賀にありますが、これも来年サイバー学校に変わります。そして、防大もこれからサイバーセキュリティーのリテラシー教育を強化をするという、かなり横須賀の中でのサイバーというものが、一体的に動いていくので、是非、そこら辺を含めまして、大臣として、今後防衛省として、どのようにこの作業を進めていかれるのか、お話しいただければと思います。

浜田国務大臣 サイバー領域における脅威が日々高度化、巧妙化する中で、防衛省・自衛隊のサイバー防衛力の向上は喫緊の課題であります。

 このため、防衛力整備計画の下、サイバー関連部隊を令和四年度末時点の約八百九十人から、二〇二七年度を目途に約四千人の体制に拡充することとしております。

 本国会にて審議いただく防衛省設置法の改正においては、サイバー領域の強化として、共同の部隊である自衛隊サイバー防衛隊について、陸海空自衛隊から所要の定数を振り替えることにより、約百四十名の自衛官を増員いたします。

 この自衛隊サイバー部隊の増員も含め、令和五年度においては、自衛隊全体のサイバー関連部隊の要員を、令和四年度末時点の約八百九十人から、四千人の半数以上に当たる約二千二百三十人に増員することとしております。

 また、令和五年度予算案においては、常時継続的にリスクを管理する枠組みの導入、装備品や施設インフラを含む情報システムの防護態勢の強化、各種学校における教育の拡充や部外力の活用等によるサイバー分野における教育・研究機能の強化、サイバー関連部隊の体制拡充等によるサイバー防衛体制の抜本的強化、防衛産業におけるサイバーセキュリティーの強化に係る事業を計上をさせていただいております。

 このように、各種取組を令和六年度以降も着実に実施し、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の抜本的強化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小泉(進)委員 先ほど町田局長からは、高等工科に対する大臣の出席の通例化の話がありましたけれども、高等工科は男女共学と共同化という極めて大きな転換をしていくことになっています。これはスケジュールとしてはどのような形で進めていかれるのか、答弁いただければと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 少子化による募集対象者人口の急速な減少という厳しい募集環境の中、防衛力の抜本的強化の中核となる優秀な人材を可能な限り早期にかつ幅広く確保する観点から、令和九年度までに陸海空共同化及び男女共学化に向けた体制を整備いたします。防衛力整備計画に基づき、委員御指摘の性別やそれから年齢、御指摘いただいておりますけれども、こういった点を含めて、高等工科学校の在り方について検討を加速してまいります。

小泉(進)委員 令和九年度までに体制を整えるということは、令和十年度に新たに女子学生も含めて入学をする、そういうことでよろしいですか。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省としては、令和九年度末に新たな体制を整備し、翌年度以降、速やかに生徒の受入れを行い、必要な教育を実施していくことが重要と考えております。今後、関係先との調整を鋭意進めてまいる考えでございます。

小泉(進)委員 それでは、令和十年度以降、新たに、男子校の全寮制の歴史ある学校が、男女共学で共同化ということになっていくわけです。これは、年齢も性別もとらわれず、優秀な人材がこの学校に入ってくれるような体制を整えてほしいと思いますし、地域は、今までも実は、横須賀の町内会がこの生徒たちを民泊という形で受け入れて、共に生活をする経験を生徒たちに持ってもらうということも経験があります。是非こういう、地域一体となって、今後の自衛隊の、次世代の現場を担う者たちを育てていくということにも意を持っていただきたいと思います。

 次に、この法案と直接関係するところではないのですが、ちょっと一言、今日、外務省にも来ていただいているので触れておきたいと思います。

 それは、最近のWBCの陰に隠れがちでありますが、日本にとっては極めて重要かつ、外務省を含め政府の中で、国会の制約がありながら、そして、世界の中では考えられない首相動静という、首相の行動がここまでメディアで報じられるという難しい環境の中で、電撃訪問と言われるウクライナ訪問を実現をした、この努力に対して、まず、外務省を含め政府の皆さんに心から敬意を表したい。

 そして、国会報告が、衆議院はあしたです、そして二十七日は参議院での国会報告だと聞いています。これは政府の問題ではなく国会の問題ですから我々が取り組まなければいけないことですが、これも世界各国で、同じ報告を両院で総理の時間を数時間を使ってやるということは、私は変えなければいけないことだと思います。

 こういった中で、実際に、総理の安全を確保しながらの実現というのは極めて難しい作業だったと思います。今後政治でも検証しなければいけないことは多々あると思います。携わられた外務省の池上大臣官房参事官に今日は来ていただいていますが、現場として御苦労されたこともあったのではないかと推察しますが、そこら辺で、どんな御苦労があったか、お話しできる範囲で構いませんので、一言触れていただければと思います。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、三月二十一日に岸田総理がウクライナを訪問したわけでございますけれども、今回の訪問は、今後日本としてウクライナ情勢に対応していく上でも、また、G7議長国としてG7の対話を主導していくという観点からも非常に有意義なものであったと考えております。

 他方、委員御指摘のとおり、今次訪問に当たりましては、戦時下にある国を訪問するという観点から、秘密保全、安全対策、それから危機管理面等々において遺漏のないよう最適な方法を総合的に検討する必要がございました。そのため、これらのいずれの点につきましても、通常の外国訪問とは大きく異なる形で準備を進めることとなりました。

 詳細については申し上げられない点も多々ありますが、安全対策に万全を期しつつも前例によらない対応が求められたというところは、政府にとって非常に大きな挑戦であったというふうに認識しております。

小泉(進)委員 聞くところによりますと、あしたの国会報告や来週に向けて、このオペレーションに携わった職員の皆さん、答弁作成にも寝ずに対応している、負荷がかかっていると聞いています。こういったことも我々国会がしっかりと向き合って、ダイナミックな外交が展開されている時代にダイナミックな動きができるような環境を整えていくこと、この必要性を感じます。

 また、もう質問時間が終了していますから、これは河邉北米局長に申し上げてだけおきますけれども、先日、国民民主党の斎藤アレックス議員もこの場で質問で触れられましたが、アメリカのCSISの日本部長、クリストファー・ジョンストン部長から同盟強靱化予算の見直しが提起されました。こういったことは私も極めて重要だと思っていて、これこそ、今後、新たな日米同盟と新たな安全保障環境の中で、我々政治側からも、どのような、二〇二七年に向けた、見直しに向けた議論をしていくかというのが大事だと思いますので、是非、こういったテーマも併せて、外交でやるべきことはいっぱいありますから、しっかりと支えていきたいと思います。

 改めて、今回の様々な外交の動きに御尽力をされた政府関係者に、私からも敬意と、お疲れさまでしたと申し上げたいと思います。

 今日は、十五分、ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今、小泉進次郎委員から高等工科学校の話がありました。今週の日曜日、防衛大学校の卒業式がございますね。我が党の泉健太代表から祝文を届けさせていただきたいと思うんですが、小泉さんから高等工科学校の方もと言われたので、そちらの方もまた検討していきたいと思っております。

 さて、岸田首相、ウクライナ訪問、電撃的に行われました。国会への御報告もこれはこれで大事なことだと思いますので、まず外務省にお尋ねします。岸田首相のウクライナ訪問の目的と成果について御説明をお願いします。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 三月の二十一日、岸田総理、ウクライナを訪問いたしまして、ロシアによるウクライナ侵略による被害などの状況を直接視察するとともに、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行いまして、ウクライナ国民に対する日本の揺るぎない連帯というものを伝えたところでございます。

 ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙でございます。両首脳は、ウクライナはもちろん、世界のいかなる場所においても力による一方的な現状変更を許してはならないということを改めて確認したところです。

 ロシアによるウクライナ侵略は、五月のG7広島サミットでも主要なテーマの一つとなります。岸田総理からゼレンスキー大統領に対しては、今回のウクライナ訪問も踏まえまして、広島サミットにおいては、G7として法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を改めて明確にするとともに、G7の結束を維持してウクライナを力強く支えていくこと、また、国際社会の直面する食料問題などにもしっかりと取り組むということを示していくということを伝えたところでございます。

 さらに、岸田総理はゼレンスキー大統領に対しまして、日本がこれまでに表明した総計七十一億ドルの支援を着実に実施していくことに加えまして、今般、エネルギー分野などへの新たな二国間無償支援等を四・七億ドル供与すること、さらに、NATOの信託基金を通じまして殺傷性のない装備品支援に三千万ドル拠出することを伝えまして、ゼレンスキー大統領から、日本からの支援に対する深甚な謝意が表明されたところでございます。

重徳委員 ちなみに、今回の訪問はいつ頃から具体的に準備をされていたのか、教えてください。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 岸田総理のウクライナ訪問に関しましては、これまでゼレンスキー大統領からも累次にわたりまして訪問の要請がございました。

 こういったことを踏まえまして、秘密保全、安全対策や危機管理等、そういった点について万全を期すべく、慎重にウクライナ側との調整を重ねてまいりました。その結果、今般準備が整ったことを受けて、現地時間二十一日に訪問を行うこととなった次第です。

 これ以上の詳細につきましては、今後の秘密保全あるいは安全対策の観点から、詳細について説明することは差し控えさせていただきたいと思います。

重徳委員 実は私、今回の電撃訪問、結果的にかもしれませんが、中国がウクライナに接触する前に会談ができたということが大きな成果だったんじゃないかと思っております。

 習近平氏とプーチン氏との会談の日程とあえて重ねた、そこに向けて準備をしたとまではちょっと思っておりませんが、そうなんですかね、ちょっと分かりませんが、準備に当たりましてこうした中ロの動きもやはり意識はしていたのかということについて、コメントがあればお願いします。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 ウクライナの問題に関しまして、中国が従来よりいろいろな動きを見せていることは御指摘のとおりでございます。例えば、二月の二十四日、中国の外交部は、ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場と題する十二項目から成る文書を発表しておりますし、また、各種情報におきまして、中国からロシアに対して軍事的あるいは経済的な支援が行われるのではないかというような報道等の情報もございます。

 こういった点も踏まえまして、政府としては、常日頃より非常に強い関心を持って、中国政府の本件への関与、関係ぶりについてフォローしてきたところでございます。

重徳委員 そうなんですね。中国がロシアへ軍事支援を行えば、当然ロシアの継戦能力が高まります。それから、中国がロシアから資源などの輸入を拡大、すなわち経済支援を行えば、ロシアの財政面も補強されるということであります。

 西側諸国が結束してロシアへの経済制裁を行う中で、それから、岸田首相もその意思を伝えるためにウクライナまで出かけていって、そしてさらに、広島でのG7においても主要な議題の一つになろうかというときに、このような中国、ロシアの関係というものが強化されるということであっては、こうした経済制裁の効果が非常に弱くなってしまうと思っております。

 こうした中ロ関係の強化に対して強い危機感を持たなければならないと思いますが、外務省としてどのような認識をされていますか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中国の対ロ支援をめぐっては様々な報道があると承知しております。

 そういう中で、林外務大臣は二月、王毅外事工作委員会弁公室主任との会談におきまして、ウクライナ情勢について意見交換を行うとともに、同主任に対して、責任ある対応を取るよう強く求めたところでございます。

 また、二月二十四日に行われましたG7の首脳テレビ会議、ここにおきましても、第三者によるロシア支援の問題について議論が行われまして、岸田総理から、ロシアの侵略を一日も早く止めさせる上で、第三者からロシアへの軍事的な支援を防ぐことも重要であるという旨を発言したところでございます。

 会議後に発出されたG7首脳声明でも、第三者に対しましてロシアへの物的支援を停止するよう求めたところでありまして、関係国が足並みをそろえて対応していくことが重要と考えております。

 我が国といたしましては、引き続き、関連情報の収集、分析を行うとともに、G7を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、適切に対応していきたいと考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 次に、話題を日韓関係に移したいと思います。

 尹錫悦韓国大統領が、朴振外相や与党の関係議員とともに先週訪日をされました。まず、浜田防衛大臣にお伺いしますが、この会談の成果、とりわけ、大臣の御担当であります安全保障分野における成果というものについて解説をいただけますか。

浜田国務大臣 先日行われた日韓首脳会談において、両首脳は、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくことで一致をし、具体的には安保対話等の再開などを進めていくこととなっております。

 また、北朝鮮による最近の核・ミサイル活動の活発化を踏まえ、日米同盟及び韓米同盟の抑止力及び対処力を一層強化するとともに、日韓そして日米韓の安保協力を推進していくことの重要性で一致しました。

 さらに、首脳会談後の記者会見において、尹大統領が日韓GSOMIAの完全な正常化を宣言し、その後、三月二十一日に、韓国側から、GSOMIAの終了通告を取り下げ、同協定が効力を有することを確認するとの正式通報があったものと承知しております。

 防衛省・自衛隊としては、最近の日韓関係を健全な関係に戻す大きな流れの中で、防衛当局間においても韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。

重徳委員 今の話で少し、大臣には後ほど質問を続けたいと思いますが、その前に山田外務副大臣に質問をしたいと思います。

 尹大統領が、その先週の訪日の後、一昨日、三月二十一日の閣議の冒頭というふうに報じられていますが、日本について言及をされました。その中で、韓国社会には排他的民族主義と反日を叫んで政治的利益を得ようとする勢力が存在する、このような発言があったようでございます。

 これは韓国の野党勢力を指すものと考えられますが、この尹大統領の認識は、いわば日本側と大体一致するんじゃないかなというふうにも思います。逆に、しかし、日韓関係の改善に向けて難しい韓国国内の情勢もあるということは、我々も、そして韓国自身も当然認識をしているということでありますが、この認識について外務省としてどう考えるかということと、韓国側の野党あるいはその支持層と日本国政府としてどう向き合っていくのかについて御答弁いただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 まず、他国の内政に関することでございますので、政府としてコメントをすることは差し控えなければなりませんが、韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国であります。

 今般の首脳会談におきましては、両首脳間で一致したとおり、現下の戦略環境の中で日韓関係の強化は急務であり、一九六五年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を更に発展していく考えでございます。

重徳委員 簡潔な御答弁でしたけれどもね。

 確かに、政府として他国の内政に何らかコメントするというのは難しい面もあるというふうに、それはそれで理解します。そうであるからこそ、議員外交というのが大事になってくると考えます。

 昨日、三月二十二日なんですけれども、私ども立憲民主党として、中川正春衆議院議員を会長といたします日韓友好議員連盟を設立いたしました。私自身、幹事長を務めさせていただくことになりました。超党派の日韓議連というのが、これまでも長らく、五十年以上にわたりまして存在するわけでありますが、この超党派の議連の役員をされている我が党の議員の全員に我が党の議連の役員になっていただいて、超党派の議連とも連携をしながら、我が党は我が党として党独自でできることは取り組んでいこう、こういう趣旨なんです。

 一方で、一方でというか、超党派ではやはりできない党対党あるいは議員外交と言われるもの、こういうものを進めていきたいと思っているんですけれども、例えば、来週、週明けには韓国の与党国民の力の若手議員が三十人ぐらいで来日されるということなので、交流を議連として行っていきたいというふうに思っております。また、議連立ち上げに当たっては、泉健太代表も、議員間のシャトル外交をやりたいという決意も述べたというところであります。

 今、山田副大臣もなかなかコメントしづらいと言われていた、他国の野党といいましょうかね、いろいろな考え方の方々ともしっかりと向き合っていくと。相手方の内実も研究しながら、交流を進めていきたいと思っておるところでございます。

 こうした政党とか議員の外交と政府の外交との関係、一般論というよりは、特に韓国との関係においてどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 日韓首脳会談におきましても、岸田総理から、両国間の人的交流が一層活発化することで関係改善の好循環が更に加速することを期待する旨、申し上げております。民間の交流、協力は、二国間関係を下支えする役割があり、有意義と考えております。議員外交につきましても、そのとおりだというふうに考えております。

重徳委員 これはちょっと、韓国側の報道なのでどこまで正確かは分かりませんけれども、尹大統領が、一昨日の閣議に併せた発言、コメントとして、こんなことを言われたと。我々の、立憲民主党の中川会長は、先日、尹大統領の訪日時に、韓日関係、こちらは日韓関係と言っていますけれども、韓日関係改善のために、日本側、我々が訪韓をして韓国野党を説得するんだというふうな決意を申し上げましたところ、尹大統領が、帰国後、いやあ、こんなことを言われて恥ずかしかったと。もっと一致結束して、つまり、韓国内が与野党一致結束して日韓関係を改善していこうじゃないかという、メッセージの中でそのようなこともおっしゃったということであります。

 言いたいのは、日本国においては、与党、野党一致して日韓関係改善に向けてしっかりと取り組んでいこうという決意でありますので、そのこともこの場をおかりして申し上げたいと思います。

 それから、もう一点。これはまさに日本との関係についての尹大統領の発言なので山田副大臣からコメントをいただきたいんですが、尹大統領は韓国に帰ってこう言っている。日本は既に数十回過去の歴史について反省と謝罪を表明している、このように述べられたということであります。

 この認識、発言について、どう評価されますか。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 また韓国側の発言の一々にコメントすることは差し控えたいというふうに思いますが、今般の尹大統領の訪日は日韓関係の正常化にとって大きな一歩となりました。現下の戦略環境の中で日韓関係の強化は急務であり、一九六五年の国交正常化以来の友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を更に発展させていく考えでございます。

重徳委員 数十回というのが非常に気になって、数十回、過去の歴史について反省と謝罪を表明していると。どう数えるのかちょっと分かりませんけれども、多分、何度もというぐらいのことを数十回というふうに、尹大統領の言葉で言われたんじゃないかなと思いますが、どう思われますか。

山田(賢)副大臣 繰り返しになりますけれども、韓国側の発言の一つ一つに対してコメントすることは差し控えたいと考えますが、いずれにいたしましても、今般の尹大統領の訪日というのは日韓関係の正常化に大きな一歩となったというふうに認識しております。

重徳委員 それでは、安全保障に関連する日韓の一つのテーマとして、GSOMIAについて議論をしたいと思います。

 先ほど大臣が言われましたように、GSOMIA、完全正常化という段階に至ったようでございます。GSOMIA、確認しますけれども、これまで、どのような情報を交換したり、あるいはどのぐらいの頻度で情報を共有したのか、これについて防衛省にお尋ねします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど厳しさを増す安全保障環境の中で、日韓、日米韓の緊密な連携はますます重要となってきております。

 このような状況の中、北朝鮮の核、ミサイルに関するものも含めまして、各種事態への実効的かつ効果的な対処のために必要となる様々な情報を日韓間で直接交換すること、その必要があると考えております。

 日韓GSOMIAは、このように、北朝鮮の核、ミサイルに関するものを含めまして、各種事態への実効的かつ効果的な対処のために必要となる様々な情報を日韓間で直接交換することを可能とする枠組みでございます。

 そして、秘密軍事情報のやり取りの状況、その内容とか件数につきましては、事柄の性質上お答えを差し控えさせていただきますが、韓国側とはこれまでも必要に応じて適切に日韓GSOMIAの下で情報共有を行ってきているところでございます。

重徳委員 念のため確認なんですけれども、GSOMIA、これまでも韓国から終了通告はあったけれども、それを停止した状態なわけですから、ずっと生きていたわけですよね。今回、完全正常化ということによって、これは実質的に何か変わるんですかね、何が変わるというのも変な聞き方ですけれども。完全正常化によってGSOMIAの機能は今までの状態と変わるのか、あるいは実態としては変わらないのか、そこをお尋ねします。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたように、GSOMIAの終了通知の効力停止等の公文が届きましても、韓国側とは必要に応じて適切に情報共有を行ってきたところでございます。

 その意味で、今回の、公文を全て撤回するという通知によって何かが変わるというわけではございませんが、これは韓国の外交部が申しておりますけれども、今回の措置を通じて、韓国政府は、GSOMIAと関連する制度的不確実性を除去し、韓日、韓米日軍事情報協力強化の足がかりを用意した、こういうふうに述べていると承知しております。

重徳委員 そうなんですね。やはり、不確実性を除去、あるいは、もうちょっと平たく言えば、信頼関係を確かなものにしたということだと思います。

 私、この一年あるいは数年ずっと考えてきたんですけれども、やはり日本の安全保障環境というものが、北朝鮮とは元来より非常に脅威にさらされているという関係でありますし、中国とも緊張感が高まってきており、まして昨年からロシアとの関係も悪化し、いよいよ、民主主義国家、自由主義経済といった同じ価値観を共有する韓国との関係というのは非常に重要になってきたと認識をしております。

 ただ、これまで確かに、同盟関係という言い方をすれば、米韓、日米、それぞれアメリカを通じて同盟を組んでいますので、だから、少しアメリカを介した様々な連携といったことが多かったというか、それが基本だったのであろうというふうに思います。

 それから、北朝鮮のミサイルについても、まず探知するのはアメリカの早期警戒衛星だったりしますし、それから、ここは防衛情報なので厳密には表になっておりませんが、三か国、それぞれ言葉も違いますので、日本と韓国が何か情報を共有するときに一々アメリカを通じていると、やはり言葉一つ取っても、不具合といいましょうか、ちょっと手間がかかるというようなこともあろうかと、ここは容易に推測されるわけであります。だからこそGSOMIAは重要なんだろうと考えています。

 これは大臣にお聞きしますけれども、ここから先、防衛、安全保障面で日韓の関係を、歴史問題とかいろいろな難しい問題はやはり隣国だからありますが、安全保障を基軸に日韓関係を更に強化していく。GSOMIAは一つのツールというかルールであろうと思いますが、同盟とまではいかずとも、これから前進させていくために、どんなことが課題、あるいはどんなことに取り組んでいくべきか、こんなようなことを、大臣のお考えをお聞かせください。

浜田国務大臣 今委員御指摘がありましたけれども、北朝鮮の核、ミサイルをめぐる状況を含め、日韓両国を取り巻く現下の安全保障環境を考えれば、まずは日韓の実質的な連携を強化することが最優先だと考えております。

 このため、現在、日韓防衛当局間には火器管制レーダー照射事案等の課題がありますが、最近の日韓関係を健全な関係に戻す大きな流れの中で、防衛当局間においても韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。

 今委員からもお話がありました日米韓のこのつながりもそうでありますが、そういったものを、米側からも、日韓の関係については、大変、そういう意味では、今までの関係というのをやはりもっと改善するべきだというような指摘もあるわけでありますので、今後とも今指摘のあった点について努力をしていきたいというふうに考えております。

重徳委員 余り具体的な答弁ではなかったようにも感じますけれども。

 一つ、最初の日韓首脳会談の成果の中では触れられなかったですけれども、レーダー照射の話が、今言及されたと思います。これも非常に深刻な、一触即発というところまで至ったといいましょうか、大変深刻な問題だったと思いますが、この点、これから、まさにこれは御担当大臣だと思いますので、浜田大臣、どのようにこのレーダー照射問題を乗り越えて、日韓関係、防衛協力をしていくおつもりか、御答弁願います。

浜田国務大臣 平成三十年の十二月二十日の火器管制レーダー照射事案に関する防衛省の立場は、平成三十一年の一月に公表した最終見解のとおりであります。

 防衛省・自衛隊としては、最近の日韓関係を健全な関係に戻す大きな流れの中で、先ほど申し上げたように、防衛当局間においても韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいというふうに考えております。

重徳委員 じゃ、残り三分ほどでございますので、今日は実は防衛省設置法の改正案の審議の時間でありますが、少し関連する話として、イージスシステム搭載艦について質問します。

 防衛省設置法の一部改正法案の中で、海上自衛隊のイージスシステム搭載艦導入に伴う体制整備ということで、海上自衛隊員の定数、百二十一人増やすというふうな説明がされております。

 自衛隊員の在り方について、これまた我が党の宣伝になりますけれども、昨年六月、我が党として自衛隊員応援議員連盟というものを立ち上げまして、私たち衆参百四十人少々の党なんですけれども、そのうち参加人数が百二十人を超えるという党内最大の議員連盟でございます。自衛隊員の処遇、訓練環境の向上とか、それから定数割れになっている自衛隊員の募集、採用を応援していこう、あるいは退官後の再就職についても応援していこう、これも全面的に党を挙げて応援していくという決意でございます。

 それはそれとしまして、このイージスシステム搭載艦について、今日、資料をお配りしておりますが、これは二年前の朝日新聞でございます。当時、陸上イージスを取りやめる、そして代わりの、代替イージスというふうに見出しになっておりますが、まさにイージスシステム搭載艦というものを整備するとすると、造る、導入経費に四千八百億円ぐらいかかる、そのほかにもう四千億円ぐらい維持費がかかると。要するに、イージスシステム搭載艦を整備、維持すると九千億円、場合によっては一兆円かかるではないか、そういう代物なのではないかという内部文書がこの時点であったにもかかわらず、その当時、私がこの場で質問したときは、政府側からは具体的に答弁することは差し控えたいと言われておしまいでありました。

 元々、陸上イージスに比べて、海のイージスは稼働期間が年間三分の一しかないと言われておりますし、ただでさえ負荷のかかっている海上自衛官に更なる負担がかかる、こういう欠点も言われておりましたが、そろそろ維持費、ランニングコストについての検討も進んだのであろうというふうに思いますが、現状についてお知らせください。

川嶋政府参考人 防衛省でございます。お答え申し上げます。

 イージスシステム搭載艦の総経費につきましては、令和五年度に実施する細部設計を通じまして、これは五年度予算に計上してございますけれども、今後、すなわち六年度以降ということでございますが、六年度以降の船体の建造費等々が精緻化されるということ、また、令和五年度に調達をいたします防空機能、これは水上レーダー等でございます、あるいは通信システム等のFMS装備品につきまして、システムインテグレーションをその後やる必要があるんですが、そのシステムインテグレーションに係る内容、経費に関しまして米国政府等と現在協議中でございます。今後精緻化されていくということでございます。そういった様々な要素がございまして、積算をする必要がありますものですから、現時点で具体的な経費をお示しすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、イージスシステム搭載艦は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護することを主眼とするものでございまして、情勢に応じまして常時持続的に我が国全域を防護し得る体制の構築により一層貢献するものでございます。

 引き続き、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底を図りつつ、イージスシステム搭載艦の整備を進めてまいりたいと考えてございます。

重徳委員 また次回やります。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、防衛省設置法の一部を改正する法律案に対して質問をさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 まず、サイバー人材関連等においてお聞きをしたいというふうに思いますが、かねてから、日本のサイバー人材の、質的にも量的にも不足をしているということが、防衛省に限らずでありますけれども、深刻な問題、課題とされております。

 今回、防衛力整備計画においても、二〇二七年度において、関連部隊として、現在の約八百九十名から約四千人に拡充をするということであります。また、さらには、関連部隊として、二万人体制に拡充という方針もございます。五年間で約三千人、サイバー関連要員二万人ということを考えると、サイバー要員の育成というものは相当難しい、厳しいというふうに懸念をしておりますけれども、この点の問題意識をまずお聞きしたい。

 それと、全体の定数のことも触れておきたいと思いますが、自衛官の定数の総数を増やさないということで、これまでの定数に比べて今一万人以上不足をしているという実数を増やすということ、そしてまた、振替ということで必要な人員を確保するというふうに承知をしておりますけれども、陸自から二千人の振替というものも、現実的に、陸自も含めて人材が必要だという中において、事実上、その削減等を含めて本当に大丈夫なのかということも、中身も精査していかなきゃいけないと思いますが、本来は、一万人以上不足をしていた実数というものを増やす、この充足率というものが重要なんだというふうに思っています。

 これまでも難しかったことを、さらに、自衛官等の応募者数も減少していく、そしてまた、困難になる中で、具体的にこれから取り得る施策というのはどういうものなのか。昨今の自衛官の処遇の改善等、給与体系もそうですし、また、ハラスメントの対策等も含めてでございますが、あらゆる手だてを講じていかないといけないというふうに思いますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊としては、二〇二七年度を目途に、サイバー関連部隊を四千人に拡充することに加え、システムの調達や維持運営等、システムのライフサイクルを通じてサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務に従事する隊員約一万六千人以上に対し必要な教育等を行い、合計二万人の体制とすることを目指しております。

 サイバー関連部隊の約四千人の拡充に関しては、既存組織の見直しなど、組織定員の最適化を図り、陸海空自衛隊から所要の定数を振り替えることにより、自衛官定数を変えずにこの拡充を実施をします。その際、陸海空自衛隊の学校における課程教育、そしてまた部外の教育機関の活用、外部人材の活用などの取り得る手段を全て取ることとしております。

 また、システムの調達や維持運営等、システムのライフサイクルコストを通じてサイバーセキュリティーを確保するために必要な業務に従事する隊員約一万六千人以上に対しては、各自衛隊の学校や部外の教育機関におけるサイバー教育、サイバーセキュリティーの基礎的知識を学ぶためのITリテラシー教育、そしてサイバー関連の専門資格取得講座の受講支援などを行います。

 なお、サイバーの分野に限らず、防衛省・自衛隊全体として防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保することが不可欠であります。このため、国家防衛戦略等に基づいて、募集能力の強化、そしてまた人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じ、第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊員の人的強化をし、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 あらゆる手だてを講じていただきたいと思いますが、今のままではなかなか、自衛官の定数の確保も、そしてまたサイバー人材の確保、育成も、率直に厳しい現状だというふうに認識をしております。是非、充足率も含めてですが、念頭に置きながら、安易に削減とかそういうことではなくて、しっかりと充足率を上げていくということを念頭に置いていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、サイバー人材に戻りますけれども、今回、サイバー人材の育成関連の予算で約三百億円というものが入っております。率直に、規模感としては少ないというふうに思いますけれども、何よりも人材の確保、育成が重要という観点において、全体の予算規模を見ても、どうこの三百億円というのを思われるのかお聞きしたいというふうに思いますが、また、拡充するサイバー人材、四千人というのは実務的な方々だと思いますし、二万人のうちの一・六万人においてはそれ以外の部分を担っているんだと思いますが、それぞれ人材の質、レベルというのはあるんだと思いますが、そこの部分の、要員のレベルのところも併せてお聞きをしたいというふうに思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘の予算の関係でございます。

 防衛力整備計画におきましては、サイバー要員の育成、研究基盤の強化といたしまして、例えば、陸上自衛隊通信学校を陸上自衛隊システム通信・サイバー学校に改編するなどの関係の経費を二十億円、あるいは、国内外の教育機関への留学や資格取得等に関連する経費として六十億円と、合計で三百億円を育成、研究基盤の強化として計上しておるところでございます。

 また、これらに加えまして、先ほど申し上げました通信学校につきましては、新たに庁舎を新設する、こちらは施設の強靱化という柱の中で百三十億円を計上するなど、必要な予算を計上しているところでございます。

 また、委員御指摘のサイバー人材のレベルでございます。

 客観的にどのようなレベルの者かというのを申すのはなかなか難しいところでございますが、先ほど大臣から答弁がありましたとおり、二〇二七年度をめどに、サイバーの専門部隊、これをまず四千人に拡充するということでございますが、こちらにつきましては、まさに、防衛省・自衛隊のシステムネットワークを監視いたしましてサイバー攻撃に直接的に対処する非常に高度な専門の任務を有しておりますので、こうした部隊に必要な、任務の実施に必要な一定程度の専門の教育を施して、レベルを確保する必要がございます。

 これにつきましても内外の教育機関を使いまして教育をしてまいりますし、また、その他の、二万人のうちの残り一万六千人の要員、こちらも二〇二七年度をめどに一万六千人を目指しますが、これにつきましては、例えば、調達から維持運営に係るシステムのライフサイクルを通じてサイバーセキュリティーを確保するためには、一定程度のITリテラシー、基礎的な知識から、更に専門的な資格を目指した受講の支援、こういったことも、こちらも内外の教育機関を活用いたしまして教育を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 これからサイバー人材を考えるときには、民間からの人材というものももちろん欠かせないというふうに思っております。もはや、ネットワークの脆弱性の分析、解析等を見ても、民間企業の方がはるかに能力があるとも言われておりますし、内部人材だけでなく、民間等からの人材を取り込んでいかなきゃいけないというふうにも思います。

 これは、防衛省だけではなくて、本来は、内閣官房を含めて各省庁連携をしながら、NISCを含めて、そこが全体を網羅するような組織をつくっていかなければいけないんだろうなというふうに問題意識を持っておりますが、防衛省としてどこまでできるのかということなんだろうというふうに思いますが、その上で、官民を行き来できるような人材のシステムというかプラットフォームみたいなものを改めて具体的に考えていくべきではないかなというふうにも思っております。より具体的な話は、また違う機会にも内閣官房さんを含めて議論したいというふうに思います。

 昨今では、サイバー先進国となっているイスラエル等の事例があります。小中含めて、そして高校、大学と、専門的なサイバーの課程を設けて人材育成を図っておりますし、また、日本とは違って兵役があったり、いろいろ環境が違いますので単純な比較等もできませんけれども、韓国等も、イスラエルの事例を基に、国防省と大学が連携をして人材を育てる仕組みを構築しているというふうにも承知しております。

 日本でも、官民を、より人材が行き来できるようなシステムの構築というものを考えていかなければいけないというふうに思います。

 そのお考えと、そしてまた、民間から人材を活用するために、情報保全、セキュリティークリアランスの問題も関連するかと思いますがそこにも、併せてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

町田政府参考人 お答えいたします。

 防衛省・自衛隊における外部人材の活用については、まず、サイバー分野における部外の高度人材を非常勤のサイバーセキュリティ統括アドバイザーとして採用しているほか、サイバーの専門的知見を持つ外部人材を中途採用しています。また、官民人事交流の枠組みにより、外部人材にサイバーセキュリティー関連の研究開発に貢献いただいております。さらに、高度な人材育成の一環として、各人の能力に応じ、海外の教育機関や企業への派遣も行っています。

 これらに加え、令和四年度から、新たにサイバーセキュリティーの技能を持つ予備自衛官補の採用を開始しています。

 また、防衛上の秘密情報を取り扱う際には、その取扱資格であるセキュリティークリアランスが現在も必要であり、部外のサイバー人材を活用する際にもセキュリティークリアランスの付与に際して必要な確認を行うなど、適切な保全措置を講じることとなります。

 今後は、外部人材の活用を促進すべく、例えば柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備など、新しい発想での外部人材の活用も考えていかなければなりません。

 国家防衛戦略を始めとする三文書を踏まえ、引き続き、サイバー人材の確保、育成を実効的に強化できるよう、検討をしっかりと進めてまいります。

伊藤(俊)委員 アドバイザー等は、今でも民間からのということは実績がもうあるんだというふうに思いますけれども、ただ、数名程度という中において、体制として十分なのかと言われると、まだまだこれから対応していかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

 この問題も、是非、防衛省と各省庁連携して、本来なら、民間からもう少し人材を確保できるような体制をより拡充をして、積極的に検討していただきたいとお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 こういう機能的なシステム、プラットフォームがあればこそなんですが、本来は、人材に対しての投資、例えば大学や大学院やあるいは留学等、様々な支援を通じて、その人材が、国で一旦は働いていただいて、また民間で働けるような、そういう環境を整えていくと、国だけではなくて民間のレベルも上がっていくということを考えれば、その投資は決して無駄にならないんだというふうに思いますので、総合的にそういうシステムを含めて検討していかなきゃいけないというふうに思いますので、併せてお願いをしたいというふうに思います。

 そして、基本的なことを少しお聞きしたいと思いますが、今、民間でサイバー関連が学べる教育機関というものがどれほどあるのかということで、昨今も、私個人的には、最近、サイバー攻撃も民間が増えてきて、特に病院関係を含めて、これまで営業しても取れなかったものが、営業して、セキュリティーの会社ですけれども、より契約に至ることが多くなりました、そういう話も民間からお聞きをすることがあります。

 人材確保の面からしても、どれだけの教育機関で、そういうサイバー関連の教育機関があるのかということを、実態の調査や把握をしたことがあるのかということも含めて、まあ、した方がいいと思いますので、是非、それもまた他省庁と連携をしなきゃいけないのかもしれませんが、いずれにしろ、大学や大学院等、本来は、デジタル人材もそうですし、サイバー人材もそうですけれども、その学科を設けていただくとか、そういうことにもつなげていく、そういった支援にもつなげていくためにも、是非、実態の調査というものが必要なんだろうというふうに思います。そういう方々が卒業してどういうところに今就職をされているのか、そしてまた、そういうところに、もちろん支援とセットでアプローチができるというのが本来は望ましいのかと思います。

 そういったところの現状を、もし、分かる範囲で、あれば教えていただきたいというふうに思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省・自衛隊といたしましては、これまでも、サイバーセキュリティー関連の教育を行っている大学等に職員を派遣、留学受入れをいただいている、こういったことをさせていただいておりますので、こうした観点から様々教育機関の把握に努めているところでございますが、全てについて今直ちに申し上げるのは難しいんですけれども、我々の職員を派遣する、そういった観点から教育機関の把握に努めているところでございます。

 その上で、大学、専門学校等に対してこういったサイバー人材の確保のための幅広い募集活動を行っているところでございまして、例えば、防衛省の職員をそういった教育を行っている専門学校に派遣いたしまして、防衛省におけるサイバー関連の業務の内容を可能な範囲で説明する取組、こういったことも行っておるところでございます。

 また、やはり、こうした大学、専門学校へのアプローチをしっかりと確保していくことも含めまして、令和五年度予算案におきましては、自衛隊の募集の現場でございます各都道府県にあります自衛隊地方協力本部、これの募集体制の強化のための人材確保の要員を増員することとしておりまして、このような努力によりましてサイバー人材の確保に努めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 こういう話をすると、五つ六つ事例があって、もう既に大学、大学院、留学を含めて交流していますという事例があるんですが、恐らく、その五個、六個以外にも、いろいろ専門的な分野も含めると幅広く民間でもあるんだというふうに思います。私も個人的に調査していきたいと思いますが、こういうところは連携をしながら実態をつかんでいくことが、よりこれからのサイバー人材の確保につながっていくと思いますので、是非検討を前向きにしていただきたいというふうに思います。

 そして、FMSの問題についてもお聞きをしたいというふうに思います。

 FMSは、商社を介する一般の輸入とかと違って、政府が窓口になるために、購入するときに低価格であることや、最新鋭だということとか、あるいは教育訓練の提供を受けることができる、こういったメリットが言われるんですけれども、しかし一方で、トラブルが発生しても商社のようにフォローしてくれるということがないために、何か起こるとより面倒なことになりかねない、その何かが起こることが非常に多い懸念があるのがFMSだということも、専門家の中では意見があると承知をしております。

 FMS調達を含めて、輸入すべきもの、日本、我が国において、まずは、調達方法の原理原則、どういうふうに考えているのかということを端的にお聞かせいただきたいと思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、装備品の調達に当たりましては、それが米国製であれ日本製であれ、我が国の安全保障環境を踏まえつつ、運用構想あるいは要求性能、経費、我が国の防衛生産・技術基盤の強靱化への影響、こういった様々な要素を勘案いたしました上で、今後の我が国の防衛に必要な装備品を総合的に検討いたしまして、我が国の主体的な判断の下に決定しております。

 その上で、厳しい安全保障環境を受けまして、高性能な装備品について早期導入が求められる傾向にあるという中で、我が国を守るために必要不可欠な装備品には、米国しか製造できない、能力の高い装備品、こういったものもございまして、こうした装備品を調達する手段として、FMSは我が国の防衛力を強化する上で重要なものと考えてございます。

 引き続き、いわば我が国の防衛力そのものである国内の防衛生産基盤の強化にも十分に配慮しつつ、防衛力の抜本的強化の実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

伊藤(俊)委員 当然、価格が高いものとか、型が古いもの、物が古いものとか、あるいは、もう米国ですら機能的な問題、様々な問題を通して使っていないものだったり、日本にとって余り必要性が高くないものとか、そういったことを総合的に、戦略的合理性というのか必要性というのか、あるいは費用対効果等、様々な観点から判断されるものなんだろうというふうに考えますけれども、現在のFMS調達の、日本において、この費用対効果を含めて適正とお考えなのか、それをお聞かせいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 厳しい安全保障環境を受け、高性能な装備品について早期導入が求められる傾向にありまして、結果としてFMS調達が増加しておりますが、これは、我が国を守るために必要不可欠な装備品の中にはFMSでしか調達することができないものがあることによるものでございます。

 このFMS調達で取得する際には、数量や経費等の内容について、米国としっかり交渉、調整を行う中で、価格の精査を通じた費用の抑制などに努めており、適切な調達を行っていると認識してございます。

 その上で、御指摘があったように、FMSには、未納入、未精算、あるいは価格の透明性などといった様々な課題があることも事実でございます。

 こうした課題の改善に向けまして、防衛省といたしましては、FMS調達の諸課題について米側と協議する枠組みとして、日米安全保障協力協議会合、これは防衛装備庁長官と米側のカウンターパートとの間の枠組みでございますが、こうしたものを通じて様々な課題の解決に取り組んでいるところでございまして、こうした取組を通じましてFMS調達の更なる適正化に努めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 具体的なFMSの問題点としてよく言われるのは、価格が見積りであることとか、原則的に前払いであること、あるいは納期があくまで予定であること、そしてまた、契約解除等を米政府側の方針で決められる。一言で言えばこちら側でハンドリングがなかなかできないというのが大きな問題なんだろうというふうに思いますが、決して低価格でない部分があるということも、先ほどのイージスの話もそうかもしれませんが、何倍にも膨れ上がる場合がよくあります。

 防衛省が開発から廃棄までのライフサイクルコストを算出している重要装備品として指定する航空機や護衛艦など二十六品目で約五割、十四品目で当初計画よりも約二〇%上振れになっているという指摘があったり、十六品目中十二品目で廃棄前にかかる維持費が購入費を上回るということも指摘をされております。

 この四十三兆円を見ても、ライフサイクルコストが含まれていない中において、かなり膨れ上がる可能性というのも十分懸念をしなきゃいけないというふうに思いますけれども、予算がそもそも正しいのかという議論ができない、そしてまた、ライフサイクルコストの見積りも出てこない。ライフサイクルコストなしでどうやってこの費用対効果等を検証しているのかということをお聞きしたいというふうに思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の防衛力強化の検討に際しましては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行いまして、必要となる防衛力の内容を積み上げ、四十三兆円程度という防衛費の規模を導き出してございます。これは不可欠なものと考えてございます。

 他方、この四十三兆円という規模は、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示しした金額でございます。上振れというようなお言葉もございましたけれども、この四十三兆円程度という金額を超過することは考えてございません。

 いずれにせよ、防衛関係費の財源を捻出するために各分野の歳出改革を含めた様々な工夫をしていただいている中で、関係者や国民の御理解をいただくためにも、防衛省自らが大胆な資源の最適配分、これに取り組むことが不可欠と考えておりまして、ライフサイクルコストの増加につながり得る維持整備経費を含め、徹底したコスト管理、抑制、あるいは長期契約を含みます装備品の効率的な取得、こういった装備調達の最適化等を通じまして一層の効率化、合理化を徹底してまいりたいというふうに考えてございます。

伊藤(俊)委員 上振れする可能性というのは十分、十分考えながら、慎重にこういう議論をさせていただきたいというふうに思います。

 FMS調達においては、未納入や未精算という問題も指摘をされております。昨今改善をしているという答弁もありますけれども、二〇二〇年あたりからまた増加傾向にあるという指摘もあります。今、このFMSも、四倍近い、一兆四千七百六十八億円と激増しておりますので、より一層こういう問題に対して、具体的な解決に向けて、大臣レベルでの継続的な働きかけというのは必要だというふうに思いますが、浜田大臣の御意見をお伺いさせてください。

浜田国務大臣 FMSは、米国政府の安全保障政策の一環として、米国政府が同盟諸国等に対して装備品を有償で提供するものとされております。このため、価格が見積りで、納期が確定しないことや、原則前払いで納入後に精算を行うことなどの特徴があり、米国政府による運用上の理由や事務作業量などの影響により未納入や未精算が生じる場合があります。

 未納入、未精算の改善の取組として、履行状況を把握するために履行管理体制の強化など様々な取組を行った結果、近年の未納入額、未精算額については会計検査院から指摘を受けた令和元年度以降は縮減傾向にありますが、FMS予算が増額する中、未納入、未精算の解決に向けて、継続して私自身が働きかけを行っていくことが重要だと考えております。

 また、今般の防衛力整備計画ではFMS予算を含む防衛予算の相当な増額を見込んでおりますが、今後の取組として、各事業を的確に執行してこそ防衛力の抜本的強化が実現すると考え、本年一月、私の下に防衛力抜本的強化実現準備本部を立ち上げました。この準備本部の下、進捗管理を徹底し、予算の効果的、効率的な執行に努めるとともに、未納入、未精算を含め、FMS調達の適正化を進めてまいりたいと思います。

 これは、委員の指摘のとおり、我々として、私自身として頑張ってまいりたいというふうに思っております。

伊藤(俊)委員 引き続き適正化に向けて努力をしていただきたいというふうに思いますけれども、昨今の、イージス・アショアの問題もありますし、SPY7の問題もそうですし、グローバルホークなども見てもそうですし、FMSの多くの課題を考え、一番大事な、現場にいる方々の意見がどれだけ反映をされているのかとか、一番現場の方が必要としているものがどれだけ盛り込まれているのか、そういったこと、必要性の低いものを買っている、あるいは買わされているのではないかとか、そういう大きな問題を、懸念が含まれる中で、これまでも、政府としての説明というものが不十分だ、不透明だということが指摘をされておりますけれども、もし、説明責任を果たしていただくことはもちろんですけれども、内情が話せない、こういう部分があるとすれば、本来は、こういったものこそ、FMSの課題を、秘密会等を含めて問題を共有していくことも必要だというふうに思いますけれども、大臣の率直な見解をお伺いしたい。

鬼木委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔に願います。

浜田国務大臣 FMS調達に関する米国側との交渉内容や弾薬の数量や単価などについては、米国との関係もあり、また、我が国の具体的な防衛能力が明らかとなり国の安全が害されるおそれがあるため、明らかにすることは困難であります。

 このような安全保障上の情報保全の必要性を踏まえつつ、導入の必要性も含め、可能な限り丁寧に御説明するよう努めているところであります。

 その上で、委員御指摘の秘密会については、国会法において、「委員会は、その決議により秘密会とすることができる。」と規定されており、国会における秘密会の開催など具体的な国会運営に関することについては国会において決めていただくべきものと承知をしておりますが、いずれにしても、防衛力の抜本的強化に向けた取組については、引き続き、可能な限り丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 是非、適正化に向けてこういったことも検討していただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、源馬謙太郎君。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 今日は、安保委員会での質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 主には先日の予算委員会での議論の続きを大臣とさせていただければと思うんですが、初めに、今回のこの防衛省設置法改正案について幾つか伺っていきたいと思います。

 まず、地方防衛局の所掌事務の追加の件についてですが、地方防衛局が当該品質管理業務を実施することができるようにするということで、これによって、FMSで米政府に支払い続けてきた〇・四五%の金額を払わなくて済むようになると。米軍が日本で物品を調達する際に、こちら側が、日本側がやってあげるので、米国内でFMSで買うものについても同様のことができるようにするという内容だというふうに理解をしていますけれども、なぜ今までこうした見直しをしてこなかったのか。

 聞くところによると、〇・四五%といっても二十億ぐらい払っているという現状もあるということですが、会計検査院に指摘をされて今回の見直しにつながったようですけれども、なぜ今までこれに気づかなかった、あるいは放置しておいたんでしょうか。

浜田国務大臣 相互政府品質管理に係る枠組みについては、令和元年十月の会計検査院及び令和二年六月の参議院決算委員会の警告決議において本枠組みを検討するよう指摘があり、本格的な検討を開始しております。

 防衛省としては、会計検査院、参議院決算委員会の御指摘を真摯に受け止め、速やかに締結できるようこれまで取組を進めてまいりました。

 今後とも、FMS調達に関する様々な御意見を受け止めつつ、合理化を推進してまいりたいと考えております。

源馬委員 それまで、会計検査院の指摘があったり参議院での議論がある前は気づかなかったのか。あるいは、知っていたけれども、まあそれでいいやと思ってそのままにしていたのか。どちらなんでしょうか。

浜田国務大臣 今御指摘にあった点につきましては、我々とすると、いろいろ積み重ねをしながら今御指摘を受けた部分を、我々は応えるべく努力をしてまいりましたが、今まで、我々の調査等々、いろいろ時間がかかった上でこの状態になったというふうに思っております。

源馬委員 ほかの国も、かなりの国がこの品質管理に係る枠組み、今回この法改正でやるものを他国ではもう既にやっていて、いわゆる先進国というか力のある国は、ほとんどこの相互品質管理の締結をしているわけですね、アメリカと。日本のように、米軍基地がない国でも、例えばフランスやチェコなんかでも既に結んでいる。一方で、結んでいない国は、クウェートとかカタールとかバーレーンとかヨルダンとかタイとか、ちょっと余りにも、やはり日本はいいようにお金を取られていたのではないかというふうに思います。

 この辺も、恐らく気づいていなかったんだと思いますが、今回これをしっかりと結び直して、我が国の税金が無駄に使われることのないように、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 同様に、今回減免の対象になるのは、手数料のうちの契約管理費のみというふうに伺っております。ほかにも、一般管理費や梱包費、輸送費などは手数料に含まれているそうですけれども、これらの低減の余地というのはないんでしょうか。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 FMSにおける一般管理費とは、米国政府におけるFMSに係る人件費、施設費等の一般的な管理経費に充てるために付加される手数料であり、FMS購入国がどこであっても、全てのFMS調達に対し一律に計上される費用です。

 FMS調達の一般管理費を低減する制度として、教育訓練に関する契約については、米国政府と互恵的な協定を締結することにより減免を受けることができ、既に防衛省は締結済みです。そのほか低減できる制度については承知しておりません。

 また、梱包費や輸送費については、米国政府や米国企業が行う輸送等に係る必要経費であり、低減制度を設けることができる費用ではないと考えております。

 いずれにしましても、FMS調達の価格については、事業の計画段階から実施の段階に至るまで必要に応じ米国政府と調整を行い、例えば米国などの調達ペースに合わせたまとめ買いによる調達コスト削減など、価格低減の努力を行っております。

源馬委員 是非これを機に、あらゆる面でコストを削減できるよう、しっかり見直しをしていただきたいと思います。

 加えて、このFMS調達をめぐって、二〇一九年の会計検査院報告では、手数料の減免だけではなくて、出荷予定時期を経過しているのに納入されていない未納入や、前払い金に係る余剰金の返還、これを受けることができていない未精算の問題もあるというふうに指摘をされております。二〇二一年も依然として未納入は百二十三億円あり、未精算額が四百億円以上に上っているというふうに聞いていますが、これは現状どうなっているか教えてください。

浜田国務大臣 FMS調達においては、御指摘のとおり、未納入、未精算といった課題があります。改善に向けた取組として、防衛装備庁における履行管理体制の強化や、毎年度、FMS調達の諸課題について米国との協議を行う中で様々な取組を進め、米側に個別具体的に働きかけを行っております。

 その結果、近年の未納入額、未精算額については、会計検査院から御指摘を受けた令和元年度以降は軽減の傾向にあります。今般の防衛力整備計画ではFMS予算を含む防衛予算の相当な増額を見込んでおりますが、今後の取組として、各事業を的確に執行してこそ防衛力の抜本的強化が実現されると考え、本年、私の下、防衛力抜本的強化実現準備本部を立ち上げました。この準備本部の下、進捗管理を徹底し、予算の効果的、効率的な執行に努めるとともに、未納入、未精算を含め、FMS調達の適正化を進めてまいりたいと考えております。

源馬委員 是非よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、この一番の方ですね、自衛官定数の変更に関わること、特に防衛力の人的基盤について少し伺っていきたいと思います。

 そもそも、国家防衛戦略の中にも、防衛力の抜本的強化には相応の人員の増加が必要となる、こういう認識が書かれているわけです。にもかかわらず、定数というのはほぼ変わらない、今回も約二十五万人の定数というのは変わらないわけなんですが、これは予算委員会でもちょっと伺いましたが、本当にこの定数でこの国の防衛力を、守っていくことができるのか。

 防衛費だけでいうと、もう世界三位の規模にもなるというふうに言われていて、インドや中国やアメリカなんかの人的基盤というのは物すごいわけですよ、三百万人とか二百万人とか。一方で、三位になる日本が二十五万人しかいない。これで本当に賄えるのか。五年間で四十三兆円にするという膨大な防衛費増になって、新たな装備品も増えるわけですけれども、本当に今のままの二十五万人で十分なのかどうか、大臣の認識を教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 防衛力を発揮するに当たっては、必要な人材を確保することが不可欠であり、国家防衛戦略等に基づき、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、給与面の処遇の向上といった各種施策を講じて第一線を担う自衛官の充足率の向上に努めるなど、自衛隊の人的基盤を強化し、我が国の防衛に万全を期してまいりたいと考えております。

 また、自衛官の定数は、現在二十四万七千百五十四人であり、人口減少により募集対象の増加が見込めない中、防衛力整備計画の計画期間中、この総定数を維持することとしております。

 サイバー、宇宙分野等の要員の増強が必要となるところ、その対応には、防衛力自らが大胆な資源配分に取り組むことが不可欠と考えておるところであります。

 具体的には、防衛力の抜本的強化に当たっては、既存の部隊の見直し、民間委託の部外力の活用、戦闘様相の変化を踏まえた旧装備品の用途廃止、早期除籍等、戦車、火砲の数量減や、省人化、無人化装備の導入の加速等による所要の人員の削減などの取組を推進することで対応してまいりたいと考えております。

源馬委員 前半部分は、充足率を満たすためにどういう努力をしますというお話だったと思います。後半部分は、二十五万人は変わらないんだけれどもどう補っていくかみたいなお話だったと思います。

 それはそれでいいんですが、本当にこの二十五万人という定数が、我が国のこれからの防衛力に見合った数だと思われているのか、それとも、少子化とかで仕方がないので二十五万にしているのか。本当に我が国にとって望ましい人員というのはどのぐらいなのか、その大臣の認識を教えていただきたい。

浜田国務大臣 我々とすれば、この自衛官の定数、現在二十四万七千百五十四人というのが定数でありますが、計画の期間中にこの総定数を維持することとしておりますが、これは、自衛隊の任務の遂行に必要な部隊等において、あるべき自衛官の人数を積み上げたものであり、有事所要を踏まえたものだというふうに考えております。

源馬委員 つまりどっちなのかよく分からないんですけれども、私は、普通に考えて、この二十五万人というのは少ないんじゃないかなという気がします。平成三十年の中期防のときから、人件費はほとんど同じで、しかし、装備の契約に充てる物件費は二・五倍になっているわけですね。単純に考えれば、同じ人数で二・五倍の仕事をしなきゃいけない。効率化も大事でしょうし、省人化や無人化も大事かもしれないけれども、そもそも、あるべき日本の防衛力の人員の数というのをもう一回見直していくべきではないかというふうに私は思います。

 一方で、防衛力整備計画には、予備自衛官等が常備自衛官を効果的に補完するために、充足率の向上のみならず、予備自衛官等に係る制度を抜本的に見直し、体制強化を図ると。つまり、予備自衛官もこの足りない人員の穴埋めに使っていく、そういう中身が書いてあるんだと思いますが、予備自衛官をどうやって活用する方針なんでしょうか。

浜田国務大臣 委員の御指摘のとおり、いざというときに自衛官とともに様々な任務に就く予備自衛官等の人材確保や体制強化は極めて重要な課題であると認識をしております。

 作戦環境の変化、自衛隊の任務が多様化する中で、予備自衛官等が常備自衛官を効果的に補完し得るよう、充足率の向上のみならず、予備自衛官等に係る制度を抜本的に見直し、体制強化を図ることとしており、防衛力整備計画においても、その旨明記をされております。具体的には、即応予備自衛官及び予備自衛官が果たすべき役割を再整理した上で、自衛官未経験者から採用の拡大や、年齢制限、訓練期間等について現行制度の見直しを行ってまいりたいと考えております。

源馬委員 具体的にどういうふうに見直す方向なのか、特に予備自衛官制度ですね、どういう見直しを検討されているのか、教えてください。

浜田国務大臣 防衛省においては、これまでも予備自衛官等の制度の見直しを行ってきております。

 退職自衛官に対する予備自衛官等の制度に関する説明及び志願の働きかけの実施、従来、即応予備自衛官は自衛官の経験者のみを対象としていたところ、令和二年度から、自衛官経験のない予備自衛官補出身の予備自衛官を任用可能としたこと、予備自衛官等の出頭に対する予備自衛官等の雇主からの御理解、御協力の確保に資する給付金制度の導入といった様々な取組を行ってきたところであります。

 今後、充足率の向上のみならず、予備自衛官等に係る制度を抜本的に見直して体制強化を図ることとしており、具体的には今後検討してまいりますが、即応予備自衛官及び予備自衛官が果たすべき役割を再整理した上で、自衛官未経験者からの採用拡大、年齢制限の緩和、生業と両立しやすいような訓練期間の設定等について現行制度の見直しを行ってまいりたいと考えております。

源馬委員 これは、ちょっと古い、昨年の十一月の報道ですけれども、予備自衛官の訓練を短縮するという報道が出ました。私は、これは本当に悪手だなと思います。確かに、充足率を満たすためにいろいろな人に予備自衛官になってもらいたいので、なりやすくするというのは一見何か合理的なように見えますが、今の予備自衛官の訓練ですら私は全く不十分だと思うのに、これを短縮してしまったら元も子もないんじゃないかな、もっともっと使えない予備自衛官制度になってしまうと思います。

 これもちょっと予算委員会で議論を、少しだけ触れましたけれども、大臣も御存じのとおり、予備自、年間に五日間の訓練があって、招集をされたら行って、初日はいろいろな、着任式とか、あと寝具のセットをもらったりとか、いろいろなそういう身の回りのことをやるだけで終わる。翌日、体力測定をやって、走ったりとか、この前も言いましたが、反復横跳びをやったりして、なぜか分からないけれどもドリブルのジグザグ走みたいのをやるんですよ、これで半日以上潰れて。あと残りの三日、最後の一日は、本当に退任式、あと講話を聞いて終わりですから、残りの二日間ぐらいで、体力を磨く、体力系の訓練と、それから射撃訓練。射撃訓練も、正味一人三十分ぐらいしかやらないですね。そしてその後、銃の解体とか組立て直し。これは、予備自衛官が年間にたった数十分やっても、次に来るときにはもう忘れています、完全に。私も毎回そうでした。何の意味があるんだろうなと。

 私は技能の英語で入りましたけれども、恐らく想定は、英語の予備自衛官というのは、多分米軍とのやり取りとかを補完するということだと思うんですけれども、そんなことは一切訓練でやらないんですよ。英語自体の訓練もありませんでした。これじゃ本当に予備自衛官を活用するのは無理だなというふうに思います。

 ですから、訓練の短縮というのは誤った方向にかえって進むと思うので、そこを是非ちょっともう一回検討し直していただきたいですし、今のことを含めて、本当に今の予備自衛官は、私は、申し訳ないですけれども、自分がそうだったときも含めて、使い物にならないと思います。

 大臣の御認識を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 源馬先生、御自分が予備自衛官で経験されたことを今お話をいただいたと思うわけであります。もう内容については十二分に熟知されているわけでありますので、我々とすれば、そういったことに対して今後ともしっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

源馬委員 是非しっかり、短い御答弁でしたけれども、しっかり検討していただきたいと思います。このままじゃ本当に使えないと思いますので、よろしくお願いします。

 最後に、気球の問題についてちょっと触れさせていただきたいと思います。

 今般、先月ですけれども、気球が日本の上空に飛来したということを受けて、武器使用の要件を緩和しました。

 自衛隊法八十四条で、外国の航空機について領空侵犯への対応が明記されており、着陸や退去をするために必要な措置を講じられるというふうにしております。武器の使用は、これまで、正当防衛と緊急避難に限るという見解を示していましたが、今回、この要件の見直しを自公両党に提案をし、了承を得たということでした。

 これまでも度々、今回初めてじゃなくて、度々気球のようなものが飛んできたりすることがあったと思うんですが、今、何か拙速に、慌ててちょっと要件を緩和したように感じますが、なぜこのタイミングにこの要件を緩和したのか、教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 政府は従来から、自衛隊法第八十四条に規定する対領空侵犯措置の際の武器の使用は、同条に規定する必要な措置として、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合にのみ許されると述べてきたところであります。これは、有人かつ軍用の航空機を念頭に置いたものであり、武器を使用した場合には、結果として撃墜という形態になる蓋然性が極めて高く、領空侵犯機のパイロットの人命等との関係を考慮する必要がある趣旨で述べたものでした。

 その上で、気球を含む無人の航空機といった多様な手段による我が国の領空への侵入のおそれが増す中、外国の航空機による領空侵犯対処に万全を期すため、その在り方については従来から不断の検討を行ってきたところであります。

 そして、今回、米国による気球の撃墜を受け、領空侵犯する無人の気球に対する関心の高まる中、領空侵犯する気球を含む無人の航空機に対する武器使用に関する考え方を明確化することといたしました。

源馬委員 航空機の定義というのは何なのか。そもそも気球は航空機なのか、それから外国のものとどういうふうに判断するのか、政務官から伺いたいと思います。

木村大臣政務官 お答えいたします。

 自衛隊法第八十四条に規定する航空機は、国際民間航空条約を踏まえたものであるところ、同条約の附属書の定義において気球は航空機に含まれることから、外国の気球が我が国の許可なく我が国領空に侵入すれば、自衛隊はこれを領空侵犯機として対処をいたします。

 それと、御質問の後段の方でございますが、自衛隊法第八十四条の外国の航空機というのは、日本国籍を有する航空機以外の航空機を意味すると解釈されているところ、防衛省・自衛隊が得ている航空機等の情報のみならず、国土交通省など政府全体で有している飛行ルート、許可及び事前通報の情報を総合的に収集し、目視等による確認などを行って、外国の航空機であるか判断することになります。

源馬委員 仮にそれが、例えば商用のものだったとしたら、外国のものであったとしても外交問題に発展するのではないかというおそれもあると思います。

 そもそも、こういうことは、解釈の変更ではなくて、今日やらなきゃいけないとかという問題じゃないと思うので、自民党内でも議論はあると聞いていますが、やはり法改正の方が筋ではないか、解釈変更でやってしまうのはおかしいのではないかということを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治でございます。

 本日は、先般、予算委員会の分科会での議論も中途半端だったので、そこについても後ほど触れたいと思います。

 まず最初に、私、横浜なんですけれども、地元の横浜港にあります瑞穂埠頭に、横浜ノースドックという米軍の施設があります。これについて、横浜市も神奈川県も、今度新設される米軍の陸軍の小型揚陸艇の部隊の件について意見書を議会でまとめて、また、行政の方からも大臣の方に、防衛省の方にも問合せもしております。まだ十分な情報を得られていないという行政側の判断もありますので、引き続き、住民の不安が高まらないように、情報提供に努めていただければと思います。ちょっと要望をさせていただきました。

 また、同じように、上瀬谷通信施設という、もう跡地になっているんですけれども、ここの土壌汚染の問題等もありますので、これについては引き続き、追っての議論でさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、通告に従ってお尋ねします。

 まず、今回の自衛官の変更、特に、共同の部隊に増える分、陸上自衛隊と航空自衛隊が減って、共同の部隊が増える、この共同の部隊の方は、先ほども議論もありましたサイバー関係の強化ということではあります。

 一つは、このサイバーの人材、先ほども議論がありましたけれども、民間でも優秀な人材が多々あるかと思うんですけれども、民間の人材を採用したりということは、これまでどうだったんでしょうか。また、今後どうでしょうか。

浜田国務大臣 国家防衛戦略においては、サイバー要員を大幅に増強するとともに、特に高度なスキルを有する外部人材を活用することによって、高度なサイバーセキュリティーを実現することとされております。

 これまで、防衛省・自衛隊では、サイバーの専門的知見を持つ外部人材の中途採用、そして、官民人事交流の枠組みによる外部人材の登用、サイバーセキュリティーの技能を持つ予備自衛官補の採用などを行ってきたところであります。

 今後は、外部人材の活用を推進すべく、例えば、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備など、新しい発想で外部人材の活用も考えていかなければなりません。国家安全保障戦略を始めとする三文書を踏まえ、引き続き、サイバー人材の確保、育成を実効的に強化できるよう、検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

浅川委員 確かに、先ほど、ある意味自社養成に力を入れているということでしたけれども、民間あるいは研究機関等の専門的な知識を持つ人材を積極採用するべきじゃないかなと思っております。

 ただ、事前にちょっとお伺いしているんですけれども、やはり自衛隊の隊員の方のお給料と民間との格差が非常に大きいのではないか、そこら辺を穴埋めすることはなかなか難しいという話もありまして、仮に好待遇で迎え入れたとしても、ほかにもっといいところがあったら出ていってしまう懸念もあるというふうに伺っております。そこら辺は今後の課題として是非検討していただきたいと思います。

 ところで、このサイバー攻撃について、これまでも議会等でも議論がありましたけれども、何をもってサイバー攻撃というのか。自衛隊が武力出動するということは、武力の攻撃をもってだと思うんですけれども、サイバー空間で攻撃を受けた場合、特に原発ですとか日本の基幹インフラ等に攻撃があった場合、既に損傷があったような場合というのは、それだけをもって日本が攻撃を受けたという判断をするんでしょうか。

大和政府参考人 武力攻撃の態様というのは様々でございます。サイバー攻撃に関して言えば、例えば、一般的にはいわゆる物理力による武力攻撃と同じような被害が出た場合とか、そういった場合にはサイバー攻撃だけでも武力攻撃を構成する場合があり得るというのがこれまでの私どもの見方でございます。

浅川委員 そうしますと、サイバー攻撃を受けたときは、このサイバー部隊がサイバー空間での反撃をすることができるんでしょうか。

大和政府参考人 武力攻撃としてのサイバー攻撃を受けた場合の我が方の対応というのは、いろいろ様々なものがあると思います。したがって、ちょっと一概に申し上げることはなかなか難しいと思いますが、例えば、私どものネットワークの防護を高めるとか、あるいは、損なわれたデータベースを修復するとか、そういったことも当然入ると思います。

 今御質問にあった反撃というものがどういったものかというのは、なかなかかちっと言えないんですけれども、いろいろな対応があり得るということを申し上げたいと思います。

浅川委員 その対応についての判断基準とかルールというのは策定されているんでしょうか。

大和政府参考人 済みません、ちょっと御通告になかった質問なものですから、なるべく正確を期して答弁したいと思うんですが、今ここでちょっと申し上げられるのは、武力攻撃に対する我が国の防衛力を使用した対応というのは本当に様々なものがあり得るということでございます。済みません。

浅川委員 本当はちょっとお伺いしていたんですけれども、そうしましたら、次へ行きます。

 定数のところ、航空自衛隊の定員が十八人減ということなんですが、先般いただいた資料で、スクランブル発進、これは気球のことにもちょっと絡んでくるんですけれども、スクランブル発進を航空自衛隊がするということを考えますと、この航空自衛隊の定数減に対して、スクランブル発進の体制については影響はないんでしょうか。

浜田国務大臣 今般の防衛省設置法の一部を改正する法律案では、第六条を改正し、航空自衛隊の自衛官定数を十八名減員することとしています。これは、サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の拡充を始めとする防衛省・自衛隊の体制整備の一環として、自衛隊サイバー防衛隊に十六名、統合幕僚監部に二名を振り替えるものであります。

 この際、自衛隊の任務に支障が生じないことを十分に考慮の上、既存の部隊の見直し等の組織定員の最適化を図っているため、自衛隊の部隊運用に支障を及ぼすことはなく、引き続き、我が国周辺海空域における警戒監視活動に万全を期すとともに、国際法及び自衛隊法に従い、厳正な対領空侵犯措置を実施してまいりたいと考えております。

浅川委員 これはちょっと通告していないんですけれども、先般、総理がインドからウクライナへ行くときは民間のチャーター機で行ったということなんですけれども、政府専用機でインドまで行っていて、その政府専用機というのは航空自衛隊の運用だと思うんですね。パイロットも航空自衛隊の隊員ということがあるんですけれども、このチャーター機というのは、民間ということは、多分パイロットはチャーター先のパイロットだっただろうと。そこは多分、日本の政府なりの判断があったんだと思うんですね。

 ただ、心配なのは、危機管理の面で、そのチャーター機を、護衛とは言わないんですけれども、政府専用機だったら当然ほかに航空自衛隊の伴走機みたいなのがあってもおかしくないと思うんですけれども、総理がウクライナへ行ったときのチャーター機に対しては、何の護衛もなくそのまま行ったということなんでしょうか。これはちょっと通告していないんですけれども。

大和政府参考人 今回のチャーター機の運用につきましては、防衛省ではなくて、外務省の方にお聞きいただければというふうに思います。誠に申し訳ありません。

 それから、先ほど、済みません、サイバー攻撃について、反撃という言葉をおっしゃいました。私の答弁が、私たちが何も用意していないかというような印象を与えたとしたらちょっと本意ではないので。

 御案内のとおり、防衛省・自衛隊は、いろいろな事態に対応するために様々な計画を作ったり、それから訓練をやっているところであります。サイバー空間におけるいろいろな相手方の活動というものもそういった中で当然考えられるものですので、そういった努力はしています、その中身について具体的に申し上げることはできないんですが。また、武力攻撃事態になった場合に相手方のサイバー空間の利用を妨げる能力というものもこれからの防衛力整備の中の一つの重要な要素であります。

浅川委員 今、サイバーのことを追加で言っていただいたので、ちょっと戻りますけれども。

 そうしますと、さっきお話しした、サイバー攻撃を受けたときの反撃の基準みたいなものを備えているということなんですが、その基準については全て大臣が決裁をしている、あらかじめ備えた基準とかルールというのは、全部大臣が目を通されて、これまでの歴代の大臣等が決裁をしているということでよろしいんでしょうか。

大和政府参考人 私が今申し上げたのは、いろいろな準備をしているということで、具体的な基準であるとかそういったもの、特定の様式のものに関する存在を申し上げたわけではないんですが、ただ、当然のことながら、私どものやっている様々な準備の内容というものは適切な形で大臣に御報告をしているところであります。

浅川委員 分かりました。

 じゃ、スクランブルにちょっと戻りますが、ここのところ、昔は旧ソ連、ロシアの、北からの領空侵犯のおそれがあってスクランブル発進は多かったと思うんですけれども、今はもう圧倒的に中国が多くなっている。

 ただ、その一方で、いわゆる、どこの国か分からない、あるいは、先ほどの気球じゃないんですけれども、何だか分からないものというのも急増しているようで、特に、二〇二二年度の第三・四半期までですと十七件あったということなんです。これらの中には、レーダーに映っていて、行ってみたら鳥の大群だったとか、あるいは何もなかったとかということもあるというふうに伺っております。

 これまで、アメリカのこの間の気球に対する攻撃で、四機のうちの一機目と四機目は明らかに中国製か何らかの気球だったが、二機目と三機目については八角形のものだったり円筒形のもので、明らかに気球ではないとアメリカの軍の幹部が会見で言っているわけですね。

 そういうような、なかなかこれまででは考えられないような物体だった場合に、先ほどの国籍だとか無人機かどうかも分からないようなものがあったことがこれまであるのでしょうか。

大和政府参考人 我が方の戦闘機の緊急発進の際に得られた情報の一つ一つについては、我が方の情報収集能力などが明らかになるため、従来からこれを網羅的に明らかにすることはしておりません。

 その上で申し上げますが、令和二年九月には、空中における識別不能の物体に係る報告などについて防衛大臣指示が出ております。ただ、これまで、この大臣の指示が発せられて以降、こういった物体に関して公表すべき特異な事案は確認されておりません。

浅川委員 ちなみに、その令和二年の大臣指示より前はどうなんでしょうか。記録が残っているものはあるんでしょうか。

大和政府参考人 繰り返しになりますが、令和二年九月に防衛大臣指示が出まして、それ以降は確認されていないということであります。

 それで、ごめんなさい、御質問は、この前ということでございますね。(浅川委員「はい」と呼ぶ)

 これは一般論なんですが、領空侵犯措置に伴う報告で、その他というカテゴリーがございます。これは、先ほど委員がおっしゃったとおり、例えば、発表しております四つの国と地域以外の国と地域の航空機であるとか、あるいは、たまたまレーダーに映った鳥の大群であるとか、そういったいろいろなものがございます。そういったものは過去もあったわけでございますけれども、今おっしゃっているのが、アメリカでいうUAP、あるいは非常に特異なものだということだとすれば、そこは特段、これまで、大臣指示の発出以降観察されてきた状態とそれほど変わっていないのではないかというふうに思われます。

浅川委員 その大臣指示の前にはそういう記録は残っていないということでいいんですか。

大和政府参考人 これまで防衛省として確認をして発表したものというのは、全て航空機であるということであります。

浅川委員 発表していない記録に残っているものというのはあるんでしょうか。

大和政府参考人 具体的に公表していないもの、これは、発表しているものの中のその他の具体的な内訳ということになりますけれども、これは自衛隊の運用の細部に関わることでありますところから、従来より明らかにはしておりません。

 ただ、一般的には、繰り返しになって恐縮でありますが、公表している四か国の地域以外の国あるいは地域の航空機であるとか、あるいはレーダーにたまたま映った鳥の群れなどの航空機以外のものが含まれております。これは一般論でございますけれども。

浅川委員 今の御答弁からすると、明確にないと言われていないので。

 実は今日、本格的にお伺いしたかったのは、その公表基準とかですね。明確に、実はないと言っていたものがあったとか、分からないと言っていたものが本当は分かっていたとかということが後から判明して、実は答弁が覆るとか、あるいは事実が変わってくるようなことがあってはならないと。

 今回、気球の問題で、三年前にあったときに、どこから来たものか分からないから、一応防衛省としての対応については余り言えないということだったんですけれども、今回、アメリカが撃墜したら、いや、日本の政府としても、あれは中国の気球だったと強く、中国発のものだということが強く推定される、事実上中国のものだということを言われたわけですね。

 そうすると、当時としてはやはり中国に対する外交的な配慮があったのだろうと推測されるんですけれども、実際になかったものとされていたものが本当はあったとか、記録に残っていないけれども本当は残していたとかということは、もうないということでよろしいんでしょうか。

大和政府参考人 今、気球のお話がございました。

 二〇一九年の十一月二十日に鹿児島県上空、それから二〇二〇年の六月十七日、宮城県上空を、また二〇二一年九月に青森県上空において気球型の飛行物体の飛行が確認された際にも、防衛省としては、警戒監視に万全を期すとともに、大きな関心を持って情報収集、分析を行ってきました。ただ一方、その所属を含めた詳細については、必要な分析を経る必要がありまして、こういった分析を継続してきたというところです。

 今回に関して言うと、更なる分析を重ねた結果、当該気球が中国が飛行させた無人偵察用気球と強く推定されることから、これを公表したものということであります。

浅川委員 かつて日報事件というのがありましたけれども、今まで防衛省・自衛隊の中で実はこういう記録が残っていた、令和二年より前にもあったけれども、今までは非公表だった、でも、公表する時期が来たから、実はあったとかということが、将来ないというふうに私は思いたいのですけれども、そういうことがあり得るかのようにちょっと受け取れたので、今後について、また議論を深めていきたいと思います。大臣、よろしくお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 昨年十二月に閣議決定された国家安全保障戦略では、能動的サイバー防衛の導入を明記し、その実施のための法律や体制についても整備する方針を打ち出されました。

 また、国家防衛戦略及び防衛力整備計画では、二〇二七年度を目途に、自衛隊サイバー防衛隊等のサイバー関連部隊を約四千人に拡充することを明記するとともに、現在の防衛省・自衛隊のシステムのサイバーセキュリティーのみを行っている自衛隊サイバー関連部隊も、今後は、関係省庁、重要インフラ事業者及び防衛産業との連携強化に資する取組を推進し、二〇二七年度までに防衛産業のサイバー防衛を下支えできる態勢を確立し、おおむね十年後までに自衛隊以外へのサイバーセキュリティーを支援する態勢を強化する方針を示されました。

 まず、自衛隊におけるサイバー人材の確保に、今日、各委員いろいろな議論をされておられますが、私、素朴な疑問があるのは、サイバー分野で能力を発揮するような人に、いわゆる自衛官としての厳しい身体上の教育訓練や規律、集団生活などを要求したら、優秀な人材の確保がとても困難になるのではないかということです。

 この点に関しては、資料一を御覧いただきたいんですが、柿沢代議士が二年前に質疑されています。そして、当時の政府の答弁は、自衛官として採用されるので、自衛官としての基礎的な教育訓練は受けさせるということでありました。

 また、資料二を御覧いただきたいと思います。これは、財務省財政制度等審議会財政制度等分科会歳出改革分科会に二〇二〇年十月二十六日に提出された資料です。一番上の丸に、技術的、専門的な分野に対する知識、技能を有した者を重視した採用活動は行われていない、自衛隊の中途採用においても、これまでの制度では、採用上限年齢を超えた者の採用や官民交流による人材確保が禁止されており云々とあります。米軍の例を置いて、高度に専門化されたサイバーキャリア分野で長年の経験を持つ民間のサイバー人材を直接に士官として登用とあります。そして、フランス軍の方は、サイバー防衛隊の採用に当たっては、SE、システム管理、情報システムセキュリティーなどの専門キャリアを要求という、非常に興味深いところであります。

 こういった議論を踏まえてのことだと思うんですが、今回の防衛力整備計画の二十六ページは、サイバー領域等で活躍が見込まれる専門的な知能、技能を有する人材を取り込むため、柔軟な採用、登用が可能となる新たな自衛官制度を構築するほか、自衛隊を退職した者を含む民間の人材を活用するために必要な施策を講じるとあります。

 また、昨年九月七日の日経新聞では、浜田防衛大臣のインタビューで、サイバーなどの分野で民間の高度人材の中途採用にも着手している、更なる採用の拡大のため、一般的な自衛官とは異なる体力基準などを設けることも視野に検討を進めていると、大臣自身が答えられておられます。

 そこで、二つ質問させていただきたいと思います。

 一つ。自衛官のサイバー要員は、基本的には内部の人材から養成する方針ですか、それとも、民間からの人材にも自衛隊内部で養成した人材と同程度かそれ以上の大きな戦力になってもらおうとお考えなのでしょうか。二つ目。防衛力整備計画にある新たな自衛官制度においては、身体面での厳しい教育訓練は行わない、またあるいは、規律面では例えば集団生活を要求しないなど、ほかの自衛官と大幅に違った扱いをする可能性があるのか。大臣、二つお答えいただけますでしょうか。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊としては、陸海空自衛隊の学校における課程教育、また部外の教育機関の活用といった内部育成に加え、外部人材の活用なども組み合わせることによってサイバー防衛能力の抜本的強化を行うこととしております。

 まず、サイバー要員の内部育成に当たっては、陸海空の各自衛隊の学校における課程教育や教育機関を活用し、サイバーセキュリティーに関する知識を身につけさせる予定であります。さらに、今後、専門教育等の養成者数や内容を充実してまいりたいと考えております。

 さらに、委員御指摘のとおり、サイバーの専門的知見を持つ民間の人材を採用し、部内育成した人材と同様に活躍していただくことが重要と認識しております。

 そこで、中途採用も含め、専門的知見を持つ外部人材の活用を推進すべく、例えば柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備など、新しい発想で外部人材の活用も考えてまいります。

 このように、防衛省・自衛隊としては、既存の手法にとらわれず、取り得る手段の全てを取ることにより、サイバー防衛能力を抜本的に強化をしてまいりたいと考えております。

 先ほど委員からも更に御指摘がありましたが、国家防衛戦略にも記述したように、サイバー要員を大幅に増強するとともに、特に高度なスキルを有する外部人材を活用することにより高度なサイバーセキュリティーを実現することは、喫緊の課題と認識をしております。

 今後は、外部人材の活用を推進すべく、例えば柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備など、新しい発想で外部人材の活用も考えていかなければならないと考えております。

 制度の詳細については検討中でありますが、体力面に関しては、緩和することも視野に検討を進めてまいりたいと考えております。

美延委員 今の大臣のお答え、私も非常に同感であります。是非そういう感じで進めていただきたいと思います。

 サイバー人材を養成するということであれば、やはり内部だけでは私は限界だと思います。日本全体のサイバー人材の不足というようなこともよく言われております。自衛隊について言えば、外部の有能な人材を中途採用の形でサイバー要員として活躍できる道、それを是非活用していただきたいと思います。先ほども言いましたように、教育訓練や規律面、これは考えるということですので、是非よろしくお願いいたします。

 ここで一旦、自衛隊以外の組織に目を向けてみたいと思います。

 国家安全保障戦略において、能動的サイバー防御の導入がうたわれました。関連する記述が、同戦略で、「武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入する。」とあります。自衛隊以外の組織も能動的サイバー防御をする可能性があるということを書かれていると思うんですが、能動的サイバー防御を行うということは、そこで行われる能動的サイバー防御は武力の行使に該当しないと整理することになります。私自身もそれでよいと思うのです。現在、日本を含む世界中で国の機関によるサイバー空間上の戦いが日々行われていますが、それをもって、国連憲章第五十一条違反の武力攻撃があった、対抗して自衛権の行使をしたという応酬はされてはおりません。

 そこで、一点確認させていただきたいんですが、国際法、国内法上の理論構成は恐らく確立していないと思いますし、この限度を超えたら武力の行使になるというラインもはっきりしていないんだと思います。しかし、サイバー空間においては、国家間で行われているレベルの戦いは武力の行使や武力攻撃に当たらないという大まかな結論は実務上の扱いとして既に確立しております。今私が申し上げたこの理解で合っているのか間違っているのか、教えていただけますでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のサイバー攻撃に関しまして、国際社会におきましては、サイバー行動に適用する国際法に関しては、国連の全加盟国により国連憲章を含む既存の国際法の適用が確認されておりますが、個別具体的に、どのような攻撃が武力の行使と認められるか、その適用についてはまだ議論の途上でございます。

 そのため、どのようなサイバー攻撃が武力攻撃に当たるかにつきましては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等を踏まえまして、個別の状況に応じて判断すべきものでございまして、委員御指摘のとおり、武力攻撃に当たるレベルというのをあらかじめ定型的、類型的にお示しすることは困難でございます。

 その上で、防衛省といたしましては、これまでのところ、各国が、他国によるサイバー攻撃、それのみをもって武力攻撃と実際に認定した事例というのは把握していないところでございます。

美延委員 仮に、自衛隊以外にも我が国に能動的サイバー防御を実際に行う国の組織ができるのであれば、自衛隊のサイバー部隊との人事交流があった方が、我が国全体のサイバー防衛能力向上の観点からも私は望ましいと思います。また、自衛隊のサイバー部隊内部でも、自衛官以外の人材、具体的には事務官等、特に、もしサイバー能力を持つ技官がいるのであれば、そういった人材が活用できれば、先ほどの新たな自衛官制度と相まって、多様かつ有能な人材の確保に有益だと思います。

 そこで、質問させていただきます。

 現在、自衛隊のサイバー防衛隊には自衛官以外の自衛隊員が配属されているようですが、その任務、役割はどうなっていますか。事務官等はサイバー防衛の実務に直接関わっているのか、教えていただけますでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、実力組織を構成いたします一員である自衛官と、あと、事務官、技官等につきまして、一般的に申し上げますと、まず、自衛官は、部隊運用を計画し、若しくはこれに直接参加し、これを直接支援する職務、自衛官として軍事専門的知見を必要とする職務に就いておるところでございます。また、事務官等は、部隊運用に直接参加することが想定されていない部署におきまして、一般的な行政事務や、自衛官とともに基地、運用基盤等を支援する職務にそれぞれ従事する、こういった基本的な考えの下で部隊、機関等を整備しているところでございます。

 こういった考え方を踏まえまして、自衛隊サイバー防衛部隊におきます事務官等につきましても、サイバーセキュリティー技術に関する知見等を活用し、サイバー攻撃等の脅威からの情報システムの防護ですとか隊員の能力向上等に係る業務、こういったものに従事しているところでございます。

美延委員 それは是非よろしくお願いします。

 今もありましたように、結局、軍事と非軍事の境界が非常に曖昧になっている時代です。平時においては、サイバー部隊において、自衛官以外の方の活躍の余地が大きいと思います。有事において、自衛官として人事発令すればよいように想像もしますし、そうでなくても、自衛官以外の方が携わることができる業務もあると思います。自衛官としての採用、登用の柔軟化にせよ、事務官等の活用にせよ、従来の自衛隊の組織の在り方にとらわれない工夫を是非よろしくお願いいたします。

 次に、政府全体の話についてちょっと議論を進めたいと思います。

 国家安全保障戦略では、民間事業者等がサイバー攻撃を受けた場合等における政府への情報共有や支援を強化すること等を掲げ、政府の体制として、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置することとしております。

 現在の政府のサイバーセキュリティーの体制では、NISCが行政各部の情報システムの監視、分析やサイバーセキュリティーの確保に関しての必要な助言、調整等を行っています。しかし、実際にサイバー攻撃が発生した場合の対応は各省庁や個々の民間企業に任せられており、各省庁や企業から情報の提出を強制する権限もないため、NISCでは情報の集約、蓄積もできていないなどと言われてきました。

 NISCを改組して新たに設置されるサイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する組織について、現在のNISCと比較して、どういう新組織になるんでしょうか。また、この一元的にという言葉の意味も併せて教えていただけますでしょうか。

小柳政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣サイバーセキュリティセンターにつきましては、内閣官房組織令第四条の二の規定に基づき、情報通信ネットワーク又は電磁的記録媒体を通じて行われる行政各部の情報システムに対する不正な活動の監視及び分析に関すること、行政各部におけるサイバーセキュリティーの確保に支障を及ぼし、又は及ぼすおそれがある重大な事象の原因究明のための調査に関すること、行政各部におけるサイバーセキュリティーの確保に関し必要な助言、情報の提供その他の援助に関すること、行政各部におけるサイバーセキュリティーの確保に関し必要な監査に関すること、行政各部の施策に関するその統一保持上必要な企画及び立案並びに総合調整に関する事務のうちサイバーセキュリティーの確保に関するものをつかさどってまいりました。

 近年のサイバー空間における厳しい状況を踏まえると、我が国の政府機関や重要インフラ等に対し安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃が行われるおそれがあり、こうした重大なサイバー攻撃は、国民の安全と安定した経済社会活動を確保するために可能な限り未然に排除するとともに、発生してしまった場合には被害の拡大を防止する必要がございます。

 このような観点から、昨年十二月に国家安全保障戦略を閣議決定し、政府機関等のシステムのセキュリティー強化、能動的サイバー防御の導入、これらに必要となる組織や法制度を含む体制の整備等に取り組み、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させていくことといたしました。

 政府としては、これらの取組を実現、促進するために、内閣サイバーセキュリティセンターを発展的に改組し、サイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織を設置することといたしております。

 本年一月三十一日付で内閣官房に設置したサイバー安全保障体制整備準備室におきまして、サイバー安全保障分野に係る多岐にわたる取組を統括する司令塔組織の設置につきまして、しっかりと検討を進めてまいります。

美延委員 続けて質問したかったんですけれども、時間が来たので、また改めてさせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 まず初めに、ちょっと、本委員会の皆様、また衆参両院の議員の先生方にお呼びかけをしたいんです。

 今、日韓関係は大変転機を迎えまして、一時期過去最悪と言われていた状況から大分前進をしてきました。日本と韓国、両自由主義国、民主主義国を取り巻く安全保障環境は極めて厳しくなっていますので、両国が協力関係を構築していく、安全保障でも様々な分野でも深めていくということはますます重要になっていると思います。大変すばらしい流れができていると思いますので、是非、各議員の先生方におかれましても、こういった日韓関係の促進に取り組んでいただきたいと思います。

 そのすごくいい機会がありまして、日韓国会議員親善サッカー大会というものが、昨年、四年ぶりに開催されまして、私もソウルに伺ってサッカーの試合をしてきました。韓国のホームでございましたので、けちょんけちょんにやられたわけですけれども、今回は、この五月、ホームで、日本で、横浜で行われることになります。前回のリベンジを果たしつつ、親睦を深めていただく大変有効な機会になると思いますので、是非とも各議員の皆様の参加をいただきますよう、私もメンバーの一人としてお願いをさせていただきたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、岸田総理大臣のウクライナ訪問、キーウ訪問に関して御質問させていただきたいと思います。

 こちらも、G7の議長国である日本の総理大臣がゼレンスキー大統領と直接会談をする、キーウに伺う、大変すばらしいことだと思うんですけれども、日本の安全保障の取組にも極めて意義深い訪問だったと思うんですが、その御認識、受け止めに関して、防衛大臣から伺いたいと思います。

浜田国務大臣 二十一日、岸田総理がウクライナを訪問をし、ロシアによるウクライナ侵略による被害等の状況を直接視察するとともに、ゼレンスキー・ウクライナ大統領と首脳会談を行い、ウクライナ国民に対する揺るぎない連帯を伝達したと承知しております。

 ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、今回の訪問を通じ、我が国がG7を始めとする国際社会全体をリードし、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くという決意を示すことができたと考えております。

 防衛省・自衛隊としても、ウクライナに対し、引き続き、できる限りの支援を行っていきます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 ウクライナではロシアによる核兵器使用の懸念も相変わらずあるという中で、唯一の被爆国である日本が、そして、今年G7の議長国である日本がリーダーシップを発揮していくことが、日本の安全を守る上でも極めて重要だと考えております。そういった意味でも大変意義深いウクライナ訪問だったと思いますので、是非とも、引き続きのウクライナへの支援と、そして日本の外交努力の継続、続けていただきたいと思います。

 これに関連して、一つやはり、これは与野党議員かかわらず懸念を示されていることがありますけれども、岸田総理大臣の動静、行程の秘匿といいますか、情報が報道機関によって報道されてしまって、ウクライナに入る直前に、しかも、どの経路で入るかということが分かってしまう形で、時間まで分かってしまう形で報道されたということは、私は、総理大臣の、一日本人の安全管理上、極めて問題だというふうに考えております。

 本日は外務省からも御担当の池上参事官に来ていただいていますので、答えられる範囲というか、御認識されている範囲でもちろん構わないんですけれども、なぜこういったことが報道されるに至ってしまったのか、また、問題意識を持たれているのか、どう今後対処していくのかについてお伺いしたいと思います。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の岸田総理のウクライナ訪問に当たりましては、まさに戦時下にある国を訪問するという特殊性の観点から、厳重な保秘を前提に、ウクライナ政府等と慎重に調整を重ねてまいりました。その上で、秘密保全、安全対策、危機管理面等において遺漏のないよう、最適な方法を総合的に検討してきたところでございます。その際、安全対策の関係上、情報共有は厳に限られた者に限り、情報管理を徹底し、必要な準備を行ってまいりました。

 具体的な方策については、委員御指摘のとおり、その内容の性質上、詳細について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、安全対策、危機管理対策、情報管理については万全を期してまいったところでございまして、今回、特段の問題があったとは考えてございません。

斎藤(ア)委員 情報が漏れる、漏れていなくてもそこに張るということは、これまでの、バイデン大統領のウクライナ訪問の際にも同じ経路を取られたということでございますので、このタイミングで行くんじゃないかというふうに薄々、多分、各報道機関の方も思っていて、そこに張るということも可能だと思いますので、決して一概に漏れたというわけではないと思いますけれども、それにしても、やはり報道機関との関係というか、こういった情報に関しては報道を待っていただくとか、そういった関係性を築いておいて、そういった連絡を取り合うことで報道が先行するということを防ぐということも私は重要だと考えております。

 予算案の審議の際には、防衛省の皆様にもちゃんと情報公開をしていただきたいということで重ねて申し上げましたし、これからもそれは求めていきたいんですけれども、やはり、こういった予算の中身の問題と、それぞれの、例えば外交官の、自衛官の、あるいは民間の商社の方もそうですけれども、そして総理大臣も含めて、人命を守っていく上での情報管理というのは、私はしっかりとやっていくべきだというふうに考えております。

 今、情報管理に問題はなかったというふうにお答えになられましたけれども、報道機関の報道がなされてしまったことに関しては、人命を守る上で問題があったというふうには考えていらっしゃらないのでしょうか。いかがでしょうか。

池上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の岸田総理のウクライナ訪問に当たりまして、事前又は事後にいろいろな報道がなされたということは事実でございます。その中には、内容的に必ずしも正確でないものも含めて、いろいろなものがあったということも事実でございます。

 その具体的な中身について、我々として詳細について申し上げることは、事柄の性質上、控えさせていただきたいと思いますけれども、今般の岸田総理ウクライナ訪問に当たっては、ウクライナ政府と慎重に調整を重ねまして安全確保に万全を期したところでございまして、この中で特段の問題があったとは考えてございません。

斎藤(ア)委員 これは意見だけにとどめたいと思いますけれども、映像を使って報道されたのは日本の大手のテレビ局でございますので、政府側とも関係があるはずでございますので、こういった事案があるときにはしっかりと相談をしてほしいという旨、そういった協議体を設けてあるのかもしれませんけれども、そういった場を設けて、人命を危険にさらすような報道が先行しないように今後対策を取っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、法案の関連の質問に移らせていただきます。

 先ほど来、サイバーセキュリティーのことが大変議論に上っていますけれども、私からも、まずサイバーセキュリティーの件、質問させていただきたいと思います。

 まず、本日は、防衛省のみならず内閣官房からも来ていただいていますけれども、今、日本のサイバーセキュリティーの人材であったり、その水準が大変低いというふうに海外からも評価をされていると思います。一部の専門家からは、日本はマイナーリーグのシングルAクラスだということをおっしゃっている海外の専門家もいるようでございまして、大変危機感を持っていかなければならないと思っているんです。

 今、日本のサイバーセキュリティー人材、公共セクターのみならず民間セクターも含めて、分かれば教えていただきたいんですけれども、どれぐらい不足していて、その不足を政府としてどのように埋めていくおつもりなのか、内閣官房の方からお答えをいただきたいと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバー攻撃が巧妙化、複雑化する中で、サイバーセキュリティーの確保に向けて、実践的な対処能力を持つ人材の育成が不可欠と認識をしております。

 このため、政府全体として、サイバーセキュリティ戦略に基づきまして、経済社会のデジタル化の進展に伴い必要となるセキュリティー人材、巧妙化、複雑化する脅威への対処を担う専門人材、政府機関等における取組を強化する人材などの育成、確保に取り組んでいるところでございます。例えば、脅威への対処能力を有する実務者層、技術者層の育成については、制御系システムに携わる実務者を対象とする専門人材の育成プログラムや、サイバー攻撃への一連の対処を体験する実践的サイバー防御演習の実施に取り組んでいるところでございます。

 また、政府機関においても、各省庁においてデジタル人材確保・育成計画を策定をし、サイバーセキュリティ・情報化審議官等の指揮監督の下で取り組んでいるところでございます。また、外部の高度専門家人材の活用や、政府統一の各種研修、訓練を行っているところでございます。

 引き続き、政府一体となってサイバーセキュリティーの人材確保に取り組んでまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私、一時期、携帯ゲーム会社で働いていたことがあって、ベンチャー関係のCIOというんですか、情報関連の専門家の方にいろいろ話を聞いていると、人材を採用するときに、やはりできるだけ若い人から採りたいということをおっしゃるんですね。やはり技術的にも最新のものを知っていると。何歳以上がどうかというわけじゃないですけれども、やはり年を取ってくると新しいものを吸収するのが難しくなっていくので、できるだけ若い人材で優秀な人材を採りたいということをおっしゃっていました。

 今、研修をしていただくとか、常に、サイバーセキュリティー関連の人に更なる技能をつけていただく、大変重要な取組だと思うんですけれども、私は、日本の高校であったりとか、あるいは大学において、更にサイバーセキュリティー関連の教育を、デジタル関連と言ってもいいかもしれませんけれども、進めていくことがとても大事だと思っております。

 これは、皆様御案内のように、イスラエルという国では、高校からこういったコースを設けて、国全体としてサイバーセキュリティーの強みを今持つに至っているわけですから、しっかりと、日本としても、今これから育ってくる子供たちにもしっかりと充実した教育機会を提供し、そして日本の安全保障につなげていくという取組が重要になると思います。

 これはどの省庁がするのかという話で、高校、大学ということですから文部科学省ということにもちろんなると思うんですけれども、日本の安全保障上こういった人材が必要だということは防衛省の方から言っていただかなければ、防衛大臣の方から政府内、閣内で言っていただかなければなかなか動かないんじゃないかというような懸念も持っているので、私としては、所管外であるというふうにおっしゃるのではなくて、是非、防衛省から音頭を取っていただき、日本の一般の高校、大学でのサイバーセキュリティー関連の教育を充実してほしい、それが日本の安全にもつながるということを、是非とも大臣にリーダーシップを取っていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 委員の御指摘のとおりだと私自身も思っております。

 これからいろいろな試みをしていきたいというふうにも思っておりますが、今、防衛省・自衛隊としては、陸海空自衛隊の学校における課程教育、部外の教育機関の活用、外部人材の活用など、取り得る手段全てを取ることが、サイバー防衛能力の抜本的強化を行うこととしております。

 その際、委員御指摘のとおり、部外教育機関の活用は、防衛力整備計画の下、サイバー関連部隊の体制強化を図る上で重要な手法の一つであると認識しています。

 そこで、防衛省・自衛隊としては、これまでも、サイバーセキュリティー関係の講座を持つ大学等に職員を留学させるなど、部外教育機関を積極的に活用してきたところであります。また、陸自通信学校や防衛大学校等において部外講師による講話を実施するなど、民間の知見を取り入れるための取組も積極的に実施しております。

 引き続き、部外教育機関との連携を深め、部外の力も活用しつつ、サイバー防衛能力の抜本的強化を図ってまいりたいと考えます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 先ほど、内閣官房のお答えでは、何人足りないんだという、そういった数字はお答えはいただけなかったんですけれども、やはり圧倒的に、これからも自衛隊・防衛省でも大量に人員が必要になるし、そして民間でももちろん必要になるということで、大規模な教育の拡充をしていかなければならないということでございますので、今おっしゃっていただいているような、何名かを留学させるとか、そういう交流をするということは、もちろんあるべき選択肢の一つであると思いますけれども、やはり規模がこれから更に重要になってくると思いますので、一般の高校、大学での教育機会の提供、是非とも政府一体となって、防衛省も求める中で実現をしていただきたいというふうに考えております。

 次に、ちょっと関連してなんですけれども、部内で教育をする、あるいは部外で教育された人を採用して自衛隊でサイバーセキュリティーの任に当たっていただく、これが基本かとは思うんですけれども、やはり民間の人材に適時協力をしていただく、部隊内に入っていただいて、民間に籍を置いたままで専門的な知識を自衛隊の方に活用していただくということもやっていくんだと思いますけれども、そういった意味でいいますと、今政府でもやっと検討が始まったセキュリティークリアランスの仕組みというものは、この防衛省・自衛隊でのサイバーセキュリティーの強化に向けても重要な取組だと思うんですけれども、大臣の受け止めはいかがでしょうか。

浜田国務大臣 防衛上の秘密情報を取り扱う際には、その取扱資格であるセキュリティークリアランスが現在も必要であります。

 例えば、安全保障に関する情報のうち特定秘密に指定された情報を契約相手方企業の従業者に取り扱わせる必要がある場合は、特定秘密保護法に基づいて適性評価を行った上でセキュリティークリアランスを付与しております。そのため、防衛省との契約に基づき、御質問の、部外のサイバーセキュリティー人材を活用する際にも、秘密情報を取り扱う人材には、セキュリティークリアランスの付与に際して必要な確認を行うこととなります。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き、適切な保全措置を講じつつ、部外の人材の活用を促進し、サイバー防衛能力の抜本的強化をしてまいりたいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 一気に様々な方に協力をいただくことが必要だと思う一方で、やはり、そうなると安全管理上も難しい問題が出てくると思いますので、しっかりと身元調査をして、そして、セキュリティークリアランスという仕組みをつくった上で、それを取った上で人を採用する、民間からも人材を活用するということを進めていただきたいというふうに思います。

 あと、一つ、直接は関係ないんですけれども、我々国民民主党では、所属議員の携帯からティックトックを削除しようということで、一致して、今、削除させていただきました。海外の政府においても、政府の職員の仕事用の端末からティックトックを消してもらうだとか、あるいは、国によってはもうティックトック自体を配信しないようにしている国もありますけれども、情報管理上、こういった中国製のアプリに関しての懸念が高まっている中でございますけれども、今、防衛省としては、例えばこのティックトックのアプリなどですけれども、どういったふうな扱いにしているのか、教えていただけますでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の、ティックトックなどのアプリケーションを含みますソーシャルメディア、これをめぐる状況につきましては、欧州や米国を始めとする海外の動向を含めまして、平素から把握に努めているところでございますが、こうしたソーシャルメディアと申しますのは、一般に申し上げれば、断片的な情報発信でありましても、複数の情報を組み合わせることで発信者の行動や内容が推測されるおそれがあり、まさに保全に関して問題があるというふうに認識しております。

 このため、防衛省におきまして、職員に業務用として貸与しております防衛省業務携帯におきましては、ティックトックなどのアプリケーションは利用しておりません。また、こうしたアプリケーションを職員自身が自由にインストールするようなことはできない仕様となっているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 本日は内閣官房にもお越しいただいていますので、是非、改めて、政府全体で、こういった危険性のあるアプリに関してはしっかりと判断をして、危険なアプリを使わないようにするといった、そういった取組を続けていただきたいというふうに考えております。

 では、イージスシステム搭載艦についてお伺いしたかったんですけれども、ちょっと時間がないので、また来週に回させていただくとして、ちょっとセクハラ、パワハラ問題について最後にお伺いをしたいと思います。

 昨年来、私も度々取り上げていますけれども、特に今、セクハラの問題で、大変な被害を被って、そして訴訟にも発展しているケースも、ほかにも、有名な、皆様も御存じのようなケース以外にも様々あると思うんですけれども、昨年、特別防衛監察を行って、ハラスメントの申出を受理した。これはセクハラだけでなくてパワハラも含まれますけれども、この千四百十四件の事案について、しっかりと対応を行っているのかということを改めて伺いたいと思います。

 個別にどう対応しているかということはもちろん伺いませんけれども、やはりセクハラ、パワハラは大変な問題で、日本でも全体としてあり続けていると思います。自衛隊だけで解決する問題ではないと思いますけれども、いまだに、しっかりと対応してくれなかった、だから訴訟に訴えるしかないといったお声で訴訟に至るケースも新たに出てきているというふうに考えますので、改めて防衛大臣から、絶対にセクハラ、パワハラは隊内では許さないんだ、そういったことがあれば厳正に処分する、処罰するといったリーダーシップをしっかりと発揮していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 特別防衛監察については、全自衛隊を対象にハラスメント被害の申出を依頼した結果、昨年十一月末までに千四百十四件の申出があったところであります。

 申出については、防衛監察本部が、申出者に対し、順次電話等の手段によりハラスメント被害の基本的な事実関係を聞き取った上、申出者の意向を踏まえ、細部具体的な調査を進めているところであります。

 引き続き、申出のあった被害状況等を確認するとともに、ハラスメント防止の徹底的な実態把握とその対応に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 あと、最後にお願いをしておきたいことがあります。

 前回、私、この委員会の質疑で、自衛隊の高機動車がロシアの軍隊に使われてしまっているのではないかというか、まあ使われてしまっていると思うんですけれども、その問題に関して、再発防止をするということが、この法案の審議が終わったら、あと何個かした後に防衛省の装備品の基盤強化の法案の審議も行われて、ここでは海外移転、輸出の促進なども盛り込まれるわけでございますから、しっかりとそういった管理をしていくということを自衛隊でもしていただかないと、日本の防衛装備品が好ましくない支隊に渡る可能性が高いと思っています。

 今、本当にお忙しいと思うので、もうピンポイントに絞って防衛装備庁の方に質問をしていることがあります。その回答が、すごく時間がかかったりだとか、あるいは正確に答えていただけていないのではないかという懸念があって、今やり取りをさせていただいているところでございます。

 決して防衛省・自衛隊をおとしめたいというつもりでやっているわけではございません。是非、法案の審議が始まるまでに速やかに質問に答えていただいて、再発防止に私も取り組んでいきたいと思っておりますので、その点、最後にお願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案に関連して、イージスシステム搭載艦について質問をします。

 イージスシステム搭載艦は、配備断念に追い込まれたイージス・アショア、陸上イージスの代わりとして出てきたものであります。

 防衛省は、米国から購入するイージスシステムやレーダーの使用に固執し、全体の構想も経費も示さないまま導入に踏み切りました。防衛省は、当初、陸上イージスの経費を、三十年間の維持整備費を含めて四千五百億円程度と説明していました。イージスシステム搭載艦は既に陸上イージスを超えています。これまでにシステム本体や発射装置などに千九百億円以上を費やしています。防衛力整備計画では、構成品の取得や艦船の建造に四千億円以上かかるとしています。これだけで六千億円です。

 なぜ陸上イージスよりもこんなに経費が膨らんでいるのか、説明していただけますか。

川嶋政府参考人 お答えをいたします。

 まず、イージスシステム搭載艦の総経費についてでございますけれども、これは令和五年度に予算を計上しておりますけれども、細部設計、これを通じまして今後船体の建造費が精緻化されていくということ、あるいは、これも令和五年度に調達いたします防空機能、水上レーダー、あるいは通信システム、こういったFMSの装備品につきまして、六年度以降、システムインテグレーションに係る内容、経費に関しまして出てくるわけでございますが、これは現在米国政府等と協議中であり、今後精緻化されていくということ。こういった様々な要素を踏まえまして積算する必要があるということで、現時点でイージスシステム搭載艦の総経費についてお示しし得る段階ではなく、過去にお示ししたイージス・アショアの関連経費との比較は困難であることを御理解願いたいと考えております。

 いずれにいたしましても、イージスシステム搭載艦は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護することを主眼とするものでございまして、情勢に応じまして、常時持続的に我が国全域を防護し得る体制の構築に、より一層貢献するものと考えてございます。

 引き続き、防衛力整備の一層の効率化、合理化の徹底を図りつつ、イージスシステム搭載艦の整備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

 以上でございます。

赤嶺委員 あくまで全体像を明らかにしないで進めていくつもりであります。

 しかも、今、先ほど申し上げた経費の中には、今後の維持整備費というのは含まれていません。全体の経費は、これを含みますと一兆円を超えるという指摘もあります。

 二〇二〇年六月に陸上イージスの配備を断念したとき、当時の河野大臣は、その理由として、ミサイルのブースターを基地内や海上に落とすためにはシステム全体の改修に相当なコストと期間がかかると説明しました。

 ところが、既に総経費は当初の計画を大きく上回っています。大臣、今のイージスシステム搭載艦の計画は、この河野大臣の説明と矛盾しているのではありませんか。

川嶋政府参考人 お答えをいたします。

 イージス・アショアというのは、文字どおり陸上にある。イージスシステム搭載艦、これは船でございます。

 イージスシステム搭載艦には、イージス・アショアに備えさせる計画のなかった各種能力を付与することとしてございます。具体的には、垂直発射装置、VLSと呼んでおりますけれども、これを追加する、迎撃ミサイル等の増強をする、極超音速滑空兵器、HGVと申しますけれども、へのより効果的な対処のための将来的な拡張性の保持、こういったもの。あるいは、弾道ミサイルや先ほどの極超音速滑空兵器に対し、ターミナル段階で対処する能力を有するSM6というミサイルでございますが、これを装備する。さらには、一二式地対艦誘導弾能力向上型の装備、こういったものを検討しておるということでございます。

 したがいまして、単純な比較ではなかなか申し上げることができないということでございますけれども、いずれにいたしましても、こういったことを検討中でございまして、イージス・アショアとイージスシステム搭載艦とは違ったものであるということで、現時点で具体的な経費をお示しすることは困難であるということでございます。

赤嶺委員 相当な経費と期間がかかるということで陸上イージス・アショアは取りやめになったわけですね。今度はそれ以上に経費がかかる、詳細は明らかにできない。

 さらに、防衛省は、艦船本体の経費に加えて、港湾施設も整備する必要があるとして、そのために更に一千三百億円かかるとしています。これまで、港湾施設を整備するという説明は一切ありませんでした。今回の整備計画で初めて明らかになりました。

 なぜ港湾の整備が必要なんですか。どれだけの規模の施設をどこに造る計画なのか、明らかにしていただけますか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、イージスシステム搭載艦というのは、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護することを主眼として、情勢に応じまして必要な海域に展開する、運用に当たるということとしておりまして、イージス・アショアの場合とは異なって、これに必要な各種の能力を付与することとしております。

 それを前提にいたしまして、イージスシステム搭載艦は船でございますので、海上自衛隊の他の艦艇と同様に、情勢によっては、五つの総監部、横須賀、佐世保、呉、舞鶴、大湊、大きな海上自衛隊の基地がございますけれども、こういった海上自衛隊の主要な港湾に入港する可能性が想定されるということでございます。

 防衛力整備計画におきましては、イージスシステム搭載艦の関連経費として、先生御指摘のとおり、港湾施設の整備、火薬庫等の整備、実射試験、試験設備、テストサイト等に係る経費として〇・一三兆円、兆円で書いてございますけれども、を計上してございます。五年度につきましては、港湾施設の整備に関連するものといたしまして、各地の港湾のしゅんせつの要否の調査費として二億円を計上しておるところでございます。

 一方、お尋ねの、港湾施設の整備場所、港湾施設の規模等の具体的な整備内容につきましては、令和五年度に実施される細部設計を通じてイージスシステム搭載艦の船体のサイズ等が精緻化されるということに加えまして、この設計や調査の結果を踏まえつつ、所要の検討を経た上で具体的な港湾施設の整備等に着手することとなるのでありますが、現時点において、それではここだというふうにお示しできる段階にはないということを御理解願いたいと思います。

赤嶺委員 理解できないですね。

 期限は決まっているわけですね、就役の。だのに、まだ、どこに造るか、それははっきりさせられない。私、大変無責任だと思いますよ。

 大臣、陸上イージスの失敗、大失敗でしたよね、防衛省の。私は、あれは、結局取りやめになったのは、期間と経費がかかり過ぎる、全体像を明らかにしないで進めてきた結果、そういう失敗に終わったわけです。あれから何も学んでいないのが今度の計画だと思います。搭載艦の建造は一旦中止し、計画の全体像を国民に示すこと、これが防衛省がやるべき最低限の責任ではないかと思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、イージス・アショアの計画の変更、そしてまた、今現在我々がそれを諦めてはいないということは、これは当然のごとく、この国を守るために必要な装備であるというふうに考えるからでありまして、これを今後とも、できるだけしっかりと丁寧に説明をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。

赤嶺委員 説明できない、できないということを繰り返し答弁していながら、大臣は丁寧な説明を繰り返していくというのは、ちょっと何か全然違いますよね。

 それで、やはり、私は沖縄の基地問題と同じだと思うんですよ。辺野古の新基地建設のときも、オスプレイが配備されるんじゃないかということをずっと追及したけれども、分かりません、分かりませんと言ってきて、最後の評価書の段階でオスプレイの配備を強行したわけですよ。

 全体像を説明しない、国民が納得のいくようなやり方を取らない、そういうやり方は、やはりイージス・アショア陸上案と同様に、県民、国民の反発を強く受けるだろうということを申し上げ、そして、搭載艦の計画は中止すべきだということを申し上げておきたいと思います。

浜田国務大臣 我々とすれば、いわゆる、今、船の方もそうでありますが、いろいろな計画を立て、そしてまた、それに対してどれだけのものができるのかということを、これを精緻化することによって、資料もまた今後いろいろと説明してくる機会もあると思います。ただ、体に合わせて、その前に、合わせる前にいろいろな港の整備をするというのは、これは無理な話でありますので、そういった意味においては、そういったことを積み重ねることを説明しながらという意味で私は申し上げているところでありますので、全くこれをオープンにしないというふうには私としては言ったつもりはございませんので、今後ともしっかりと説明をしていきたいというふうに思います。

赤嶺委員 今の質問を通して、全体像、全く明らかにされていません。

 今、軍事に詳しい大塚議員が、内容がどうのこうのと言っておりますが、国民が分かるように説明しなきゃいけないんですよ。そういう、撤回は強く求めておきたいと思います。

 次に、那覇軍港への米軍オスプレイの離着陸について質問します。

 三月十八日、米軍はオスプレイ一機を那覇軍港に陸揚げし、二十日に普天間飛行場に向けて飛行させました。軍港でのオスプレイの離着陸に繰り返し反対してきた県の要求を無視し、住民の安全を脅かすもので、断じて容認できません。

 オスプレイの陸揚げについて、米軍は、沖縄防衛局を通じて那覇市には事前に通報をしましたが、沖縄県には何の連絡もありませんでした。なぜ、通報先を那覇市に限定して、沖縄県には連絡しなかったんですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の那覇港湾施設へのMV22オスプレイの陸揚げにつきましては、米側から沖縄防衛局に対しまして事前通告があったところですけれども、やり取りの詳細については、米側との関係から、お答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

 その上で、本件については、米側から那覇市限りという前提で事前通告が行われたことから、陸揚げされる前日の十七日に、沖縄防衛局から那覇市に対し情報提供を行っております。また、十八日から沖縄防衛局の職員が現地に赴きまして、MV22オスプレイの陸揚げと離陸について、確認され次第、速やかに関係自治体に情報提供をさせていただいたところでございます。

 それで、今回、米軍が事前通告を那覇市に限定した理由ということでございますけれども、那覇市長の知念市長におかれましては、那覇港湾施設における米軍機の使用に関する考え方を確認していきたいとの意向が示されておりまして、知念市長からの求めに応じ、事前通告を始め、運用の安全性の確認等について、米側と協議を行いつつ、沖縄防衛局と那覇市との間で意見交換を行ってきているところであります。

 米側は、従来から、運用情報を事前通告することは保全の観点から困難であるといった立場でありますけれども、今回につきましては、米側の判断といたしまして、これまでの意見交換における知念市長の強い御要望も踏まえて、那覇市限りという前提で事前通告が行われたものでございます。

 これは、米側の判断として、運用情報の保全とのバランスを取りつつ、可能な範囲での情報提供が行われたものだというふうに考えております。

赤嶺委員 運用の安全は、那覇市だけに事前通報して、それで十分なんですか。向こうは国道五十八号線も通り、沖縄県も事前通告をされて当たり前じゃないですか。何で差別するんですか、那覇市と。那覇市には事前通告をする、沖縄県には事後に通告しました、これで話が通りますか。不公平じゃないですか。

 基地に那覇軍港を使うことに反対している沖縄県知事と、そして那覇軍港の使い方について今後話し合っていきたいとする那覇市長と、差別しているという具合にしか思えないんですけれども、いかがですか。おかしいんじゃないですか、大臣、それは。

浜田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、我々とすれば、常に米側との議論を続けさせていただいているわけであって、そして、その中で、今回の場合には、那覇市に対しては米国から事前通告をしたということであって、我々とすれば、常に平等に、情報の通告というのを、事前通告というのを要望しているわけでありますが、今回の場合には那覇市に対して行われたということでございまして、我々とすれば、今後も最大限の努力をして、全ての自治体に対して情報が行くように交渉はしてまいるつもりでありますが、あくまでも判断は我々の方ではできなかった、通らなかったということだと思います。

赤嶺委員 大臣、全ての自治体にやはり事前に通報、通報すればいいというものじゃないですよ。これはもう私の考え方は、大臣、よく知っているはずですよ。通報すればいいという問題じゃない。しかし、安全上、全部に通報すべきである、今回もそうすべきであったという具合にお考えなんですね、大臣も。

浜田国務大臣 私は、全体的な意味で申し上げたつもりであります。今回は那覇市ということでありました。今後、こういったことに関して一つの道が開けたと思いますので、今後とも努力してまいりたいと思います。

赤嶺委員 運用について米軍が明らかにしないというのは、これまでも運用について明らかにさせてきたことは何度もあるんですよ。オスプレイの配備についても。だから、皆さんが、米軍が那覇市限りと言ったときに、ああ、そうですかといって引き下がる方がおかしいですよ。

 これまで、オスプレイのときはあなた方は全部事前連絡したじゃないですかというようなことも含めて、運用について明らかにできないというのがアメリカの考え方だ、こういうことを繰り返しているんですけれども、いやいや、米軍さん、明らかにしてきたことはあるじゃないですかといって反論して、こういうのは不公平、分断につながりますよ、日本政府としては容認できませんよということを言うべきだと思いますが、最後にいかがですか。

鬼木委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

浜田国務大臣 我々なりに努力をしたいと思います。

赤嶺委員 終わります。

鬼木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、防衛省設置法一部改正案に反対の討論を行います。

 自衛官の定数変更は、岸田政権が昨年閣議決定した安保三文書に基づき、自衛隊のサイバー攻撃対処や統合防空ミサイル防衛を強化するものです。

 自衛隊サイバー防衛隊の拡充は、兵器のネットワーク化が進む下で、自衛隊が米軍と共同軍事行動を取るための基盤を維持強化し、相手のサーバーへの侵入、無害化まで実行できる体制をつくろうとするものです。基幹要員の養成に着手するイージスシステム搭載艦は、米国のIAMD計画の一翼を担い、ミサイル防衛と敵基地攻撃の両面で米軍の軍事作戦を補完するものです。

 米中間の覇権争いが激化する下で、圧倒的な軍事的優位性を維持強化しようとする米国の軍事戦略に日本を一層深く組み込むものにほかなりません。

 地方防衛局の所掌事務の追加は、昨年十二月の日米合意に基づき、日本がFMS調達に係る品質管理費用の減免を受ける代償として、在日米軍が装備品等を調達する際の品質管理業務を肩代わりするためのものです。防衛省は、これによりFMS調達額を年間二十億円程度削減できるとしています。

 ところが、その一方で、岸田政権は、今後五年間で四十三兆円もの大軍拡を打ち出しています。二三年度の軍事費は前年度から一・四兆円増の六・八兆円、そのうちFMSは四倍以上の一・四兆円に上ります。地域の緊張を高め、国民に負担を押しつける大軍拡そのものを中止すべきです。

 政府は東アジアに平和をつくる外交にこそ力を尽くすべきことを強調し、討論とします。

鬼木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鬼木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鬼木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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