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第5号 令和5年4月6日(木曜日)

会議録本文へ
令和五年四月六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      塩崎 彰久君    鈴木 憲和君

      武田 良太君    土田  慎君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      長島 昭久君    平沼正二郎君

      古川 直季君    細野 豪志君

      松島みどり君    山口  晋君

      山本ともひろ君    新垣 邦男君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      美延 映夫君    河西 宏一君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         豊嶋 基暢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大槻耕太郎君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   嶋田 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           五十嵐康之君

   政府参考人

   (海上保安庁総務部長)  勝山  潔君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     土田  慎君

  中曽根康隆君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     塩崎 彰久君

  平沼正二郎君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     古川 直季君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案(内閣提出第三三号)

 日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案(内閣提出第三四号)


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の実施に関する法律案及び日本国の自衛隊とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国の軍隊との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定の実施に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小柳誠二君、総務省総合通信基盤局電波部長豊嶋基暢君、外務省大臣官房審議官岩本桂一君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官大槻耕太郎君、外務省大臣官房参事官今福孝男君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、外務省大臣官房参事官中村仁威君、財務省理財局次長嶋田俊之君、国土交通省大臣官房審議官五十嵐康之君、海上保安庁総務部長勝山潔君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁長官土本英樹君、防衛装備庁プロジェクト管理部長坂本大祐君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 おはようございます。自民党の鈴木憲和です。

 本日は、日豪及び日英の円滑化協定の実施法案について質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私自身、二〇一八年、一九年と外務政務官を務めさせていただきました。その際の担当がアジア大洋州ということで、本当に、自由で開かれたインド太平洋というのを進めていく上では、まず、安全保障面と外交面としっかり戦略的にやらなければいけないということ、そして、それ自体がまさに我が国の国益に直結をするんだということを実感をしております。

 そして、特に、法の支配、航行の自由、そして経済的結びつきの強化、海上法執行能力の構築などによる平和と安定の確保などについて、日本がその必要性をより多くの国々と共有をして、我が国自体が行動していくということが求められているというふうに思います。

 また、例えば、私の地元山形県でありますけれども、山形県東根市に陸上自衛隊第六師団があります。その第六師団からも、今年一月に、海賊対処行動支援隊としてジブチに隊員の皆さんが派遣をされておりまして、今まさにその活動中なわけでありますが、こうした活動についても、我が国だけでできるというわけではなく、他国との共同での活動がやはり不可欠であるということをよく認識をしています。

 その中で、オーストラリア、これは、二〇〇七年以降、米国以外では初めての、我が国にとっては安全保障上のパートナーであります。また、英国も、近年では、二〇二一年にインド太平洋への傾斜という方針を打ち出してくれており、今後十年間で同盟国及び日本を含む同志国との協力を深化をさせていくということであります。また、二〇一七年以降には、瀬取りを含む北朝鮮による海上での不正取引を監視する国際的な取組にもイギリスは貢献をしてくれています。

 こうした日豪関係そして日英関係を踏まえていくと、両国間の安全保障、防衛協力が更に促進をされるということが結果としてはこの地域の安定につながるということ、そして、その観点でいうと、本協定案、そして本協定の実施法はいかに意義深いものであるということはよく認識をしております。

 今後、自由で開かれたインド太平洋を進める上では、やはり、安全保障面も外交面でも更に多くの国と関係強化を図っていく必要があるというふうに認識をしております。

 そこで、まず、防衛省にお伺いをします。

 直近一年間で、我が国の自衛隊がインド太平洋において、豪州、英国以外に何か国と共同訓練を実施してきているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年に、インド太平洋におきまして、親善訓練を除く二国間共同訓練につきましては、豪州と英国以外に、インド、カナダ、ドイツ、フィリピン、フランス、米国の計六か国と実施いたしました。

 主な訓練としましては、例えばインド軍とは、二月から三月にかけまして、インドにおいて陸軍種間の共同訓練、これは対テロの訓練でございますけれども、ダルマ・ガーディアン21と呼んでおりますが、これを実施したほか、フランス軍とは、三月、五月、六月、八月に、東シナ海などにおきまして、海軍種間の共同訓練、オグリ・ヴェルニーなどを行っておるところでございます。

鈴木(憲)委員 ありがとうございます。

 今お伺いしただけでも、直近一年間で六か国ということで、これが年々、以前に比べれば、最近の方がまさに増えてきている、このニーズがまさに増えてきているんだろうというふうに思います。

 例えばですけれども、私自身、政務官時代にツバルに出張させていただいた際には、南太平洋においては、フランス領ポリネシアに仏軍が駐留をしております。実は、私たちが日本で感じるよりも、やはりフランスの存在感というのは大変大きいんだなということも感じさせていただきました。

 今後、豪州及び英国以外の国々とも、円滑化協定についてはその必要性があるというふうに考えておりますが、これについて、まず、どのように認識をしているのか。

 今後、これが一つ一つ、もう少し増えていくということになれば、この円滑化協定を締結する国が増えていく場合に、実施のための一般法、私はこれを検討した方がいいのかなというふうに思っております。というのも、やはりこれは機動的に対応できるようにするというのが、まさに今、厳しくなっておる安全保障環境を踏まえれば、私は必要だろうというふうに思いますが、この点について、浜田防衛大臣からお考えをお伺いしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 円滑化協定により、一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続が定められ、また、同部隊の法的地位が明確化されることになり、部隊間の協力活動の実施が円滑化されることが期待をされておるわけであります。

 豪州及び英国以外の国々との円滑化協定の交渉については、現時点では何ら決まったものではないと承知をしておりますが、防衛省としては、同志国等との連携強化を効果的に進める観点から、円滑化協定の整備の推進に協力してまいりたいと思っております。

 その上で、一般法を検討すべきとの御指摘については、円滑化協定の重要性を踏まえた問題認識であると受け止めておりますが、まずはこの単行法の実績を積み上げていくことが必要と考えております。

 我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一か国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要であります。今後とも、円滑化協定等の制度的枠組みの整備を進め、多角的、多層的な防衛協力、交流を積極的に推進し、自由で開かれたインド太平洋の実現に努めてまいりたいと考えているところであります。

鈴木(憲)委員 もちろん、今は英国と豪州とということでありますから、まさに実績をしっかりと積み上げていくということは大切であろうと思いますし、ただ、今大臣おっしゃっていただいたとおり、もっともっと多くの国々としっかり私たちは関係の強化を図っていくんだという意味において言うと、やはり私は、これはもう少し機動的にできるようにしておく体制をそろそろ我が国も考えるべきではないかなというふうに思いますので、是非これについてもしっかり、積み上げていただくと同時に、内々では御検討いただいて、いざいかなるときももっと対応ができるんだという体制を我が国として整えていただきたいというふうに思います。

 次に、外交について一点お伺いをしたいと思います。

 三月の二十六日に、中米のホンジュラスが台湾と断交いたしまして、そして中国との国交の樹立ということになりました。蔡英文政権が発足をした二〇一六年に台湾と国交があった国は、外交関係があった国というのは二十二あったわけでありますが、今現在で、これによって十三か国に減少したということになります。私自身も、二〇一九年、ソロモン諸島を訪問させていただいたその後に、ソロモンが中国と国交樹立をするということを決めたというのに大変衝撃を個人的には受けたところでありました。

 それで、自由で開かれたインド太平洋のためには、やはり現状をいかに変更していかないかということが私は大切であろうというふうに思っております。そういう意味で申し上げると、太平洋島嶼国におけるODA、そして今般決まっているOSA、こうしたものを始めとした支援の在り方においては、日本は、政府だけではなくて官民ももっと併せて、戦略的に、特に太平洋に対する外交というのを私は展開をすべきではないかなというふうに考えますが、今後の取組方針について外務省にお伺いをしたいというふうに思います。

 あわせて、大切なことは、現状を変更しないということでありますから、特に、台湾海峡を始め、台湾は、私たちの国のもうすぐそこの、隣であります。台湾をやはり孤立をさせないということが私たちは大切ではないかというふうに思っております。

 三月の三十一日、イギリスがCPTPPに加盟をするということを、十一か国が合意をしたわけでありますが、例えば、台湾についても、本協定への加入や、そして国際機関への参加など、我が国として様々な働きかけをもう少し前向きに検討すべきではないかというふうに思いますが、この点、併せて外務省にお伺いをしたいと思います。

高木大臣政務官 鈴木憲和先生の御質問にお答えをさせていただきます。

 太平洋島嶼国は、我が国と歴史的なつながりも深く、我が国が重視する諸課題についての国際場裏での連携協力においても重要なパートナーであると存じます。さらに、海上輸送の要衝でもあるなど、自由で開かれたインド太平洋の実現の観点からも極めて重要な地域と認識をいたしております。

 先日発表したFOIPの新プランにおいても、太平洋島嶼国地域をFOIP協力における重要地域の一つと位置づけさせていただきました。また、御指摘のとおり、太平洋島嶼国には台湾と外交関係を有する国が四か国ございまして、こうした観点も踏まえながら、我が国は、ODAも活用し、太平洋・島サミットや二国間会談等を通じて関係を深めてきております。

 また、豪州、ニュージーランド、米国等の同志国との連携の強化にも努めてきております。

 ODAを活用した支援については、先般、岸田総理が発表したとおり、日本の民間企業のノウハウ、技術などを生かした魅力的なメニューを作り提案するオファー型協力も含めて、太平洋島嶼国の強靱で持続可能な発展を後押ししてまいりたいと存じます。

 また、今般新たに創設した政府安全保障能力強化支援、OSAに関しては、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するとの目的に鑑みまして、支援の具体的な対象国、内容の選定に際しては、当該国の状況やニーズ、我が国にとっての安全保障上の意義といった個々の事情を総合的に考慮し、個別に判断していくこととしておりますが、太平洋島嶼国においても主要な対象の一つとなると考えております。

 引き続き、これらの外交ツールを戦略的に活用し、台湾承認国を含む太平洋島嶼国との関係強化を図ってまいりたいと思います。

 なお、台湾は、日本にとって基本的価値を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人でございます。平素から、このような日本政府の立場に基づき、関係国に対しても、様々なレベルで我が国の考え方を伝達しているところでございます。

 日本政府としては、これまでも台湾のWHO総会のオブザーバー参加を一貫して支持するなどしてきており、台湾の国際機関への参加について、それぞれの国際機関に、台湾が参加することの意義等に照らして総合的に対応し、我が国の基本的立場を踏まえつつ、台湾を後押ししていく所存でございます。

 CPTPPへの加入の問題についても御質問いただきましたので、併せてお答えさせていただきます。

 かねてから台湾は、CPTPPへの加入申請に向けた様々な取組を公にしてきていると承知をいたしております。そのような台湾が加入申請を提出したことを我が国としては大変歓迎をいたしております。

 現在は英国について加入手続が進められているところであり、台湾の加入手続の開始の可否について特段意思決定はされておりませんけれども、台湾の加入手続に関する今後のプロセスは、詳細は決まっていないと承知をいたしております。

 加入申請を提出したエコノミーの扱いについては、他のCPTPP参加国ともよく相談する必要がございますが、我が国としては、加入申請を提出した台湾が協定の高いレベルを完全に満たすことができるかどうかについて、まずはしっかりと見極めるとともに、戦略的な観点や国民の理解も踏まえながら対応してまいりたいと存じます。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。

 是非、防衛省と外務省と、そしてまた経済界もしっかり巻き込んで、総合的、戦略的に今後頑張っていただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

鬼木委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、先月二十一日、岸田総理はウクライナを電撃訪問されました。昨年、公明党は、私もその一員として、党のウクライナ避難民調査を踏まえまして、キーウ等への総理訪問を求めてまいった経緯もございまして、今回の御決断また御行動、この場をおかりして心から敬意を表するものでございます。

 共同記者会見の冒頭、総理は、日本のウクライナに対する揺るぎない連帯、これを改めて表明をされ、また、唯一の戦争被爆国としてロシアの核兵器による威嚇は受け入れられない旨、御発言されました。

 本来は、こうした連帯を国際社会が一致して示すことが理想でありますけれども、現実は、世界の分断は加速をしております。保護主義の台頭による経済的損失、これもIMFは最大で世界のGDPの七%、約九百兆円に及ぶと推計をしておりますし、また、我が国の食料安全保障にも甚大な、深刻な影響を及ぼしているわけでございます。

 安保関連三文書には、ある意味でこの分断に我が国がどう挑むのか、記されました。その一つが今般の同志国との連携強化であり、そして、日豪あるいは日英間から始まる円滑化協定の実施というふうに理解をしております。

 同志国か否かは、先日も大臣が御答弁されました、外交課題によって個別に判断をされると。また、グラデーションや段階、多様な角度があると私も認識をしております。

 そこで、まず冒頭、大臣にお伺いをいたしますが、今般の円滑化協定は、同志国との連携強化のいわばモデルケースの一つであると考えられるか、また、他の同志国と今後どのように連携強化を図っていかれる方針か、御見解をいただきたいと思っております。

浜田国務大臣 我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一か国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要であります。防衛省・自衛隊はこれまでも、同志国等との間で共同訓練、演習や能力構築支援、防衛装備、技術協力等の幅広い防衛協力、交流を実施してまいりました。

 これに加え、円滑化協定を締結、実施することは、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施が円滑化されるとともに、部隊間の相互運用性の向上が期待され、これまでの日豪、日英間の安全保障、防衛協力関係の更なる発展に資するものであると考えております。この意味において、今回の豪州及び英国との協定が我が国として初めてのものとなることは、大変意義深いと考えております。

 防衛省・自衛隊としては、今後とも、地域の特性や相手国の実情を考慮しつつ、円滑化協定等の整備を含め、多角的、多層的な防衛協力、交流を積極的に推進してまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 特に豪州軍に対しましては、一昨年、米軍以外で初めて、平和安全法制で可能になりました武器等防護、これは非常に大事な取組でありますが、自衛隊がこれを実施し、豪州軍やまた英国も含めて準同盟国と位置づける見方もあるわけでございます。

 そこで、次に、具体的に想定する日豪、日英間の協力活動について確認をさせていただきます。

 日豪間でいえば、三・一一東日本大震災への支援活動、これは協定署名に至った経緯の一つであるというふうに思っております。当時、豪州は、保有するC17輸送機四機のうち三機を我が国に派遣をしていただきまして、米国とともに災害支援に尽力をしてくださいました。改めて、当時の御貢献に心から感謝と敬意を表するものでございます。

 ただ、当時、豪州軍が日本で活動する根拠は朝鮮戦争時代の国連軍に関する地位協定しかなかったために、豪州側が当初検討した民間空港あるいは航空自衛隊の基地の利用はかなわず、最終的に在日米軍の横田基地を利用することになったわけでございます。ただ、着陸許可のために外務省と、さらには、我が国領域内の活動をめぐって防衛省そして国交省とも協議するという、文字どおり、いわゆる縦割りの弊害の中で多くの手続を踏む必要があったわけでありました。

 その後、二〇一一年の十月、早くも、当時のブルース・ミラー大使から防衛協力の枠組み締結に向けた御提案があり、また他方で、近年、二〇二〇年では、自衛隊が豪州の森林火災に対する救援活動を実施をいたしまして、何よりインド太平洋地域の平和と安定という一致する外交課題の下、昨年の協定署名に至ったと理解をしております。

 そこで、これは政府参考人にお伺いいたしますが、今後、我が国で発生が高い確率で指摘をされる大地震など特定非常災害等が発生をいたしまして、豪州軍あるいは英国軍が災害救援活動を実施してくださる場合、また逆に自衛隊が豪、英の災害救援活動に参加をする場合に、今般の円滑化協定がどういった効果を発揮するのか、御見解をいただきたいと思っております。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、自衛隊が他国領域内において、又は外国軍隊が我が国の領域内において活動する際には、個別のケースに応じまして、両国間で協議の上、口上書の交換等により、活動の実施に向けたもろもろの調整を行ってまいりました。先生御指摘のとおり、二〇一一年の東日本大震災における豪軍によるC17輸送機の派遣、そして二〇二〇年の豪州森林火災における自衛隊の国際緊急援助活動、二〇二二年のトンガにおける国際緊急援助活動等での豪軍基地を拠点とした輸送活動におきましては、それぞれ、受入れのために多くの手続や調整をしました。先生の御指摘のとおりでございます。

 そして、この円滑化協定は、一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定め、また、同部隊の法的地位を明確にすることにより、協力活動の実施に要する調整を容易にし、予見可能性が高められることとなります。

 具体的に申し上げますと、出入国手続が簡素化されることや、訪問部隊が港や空港を使用する際の条件が定められたりすることで、災害救援活動を含め、協力活動の実施が円滑化されることが期待されているところでございます。

河西委員 ありがとうございます。

 次に、海洋状況把握、MDAについてお伺いいたします。

 昨年、日豪は、首脳共同声明を一月と十月、二度のモメンタムの中で発しております。いずれの声明においても、まさに台湾海峡、今も注目されておりますけれども、両岸問題の平和的解決を促し、そして、今般の協定署名と同時に発した一月の声明では、このようにございます、「情報共有及び海洋状況把握に関する協力の円滑化を含む日本の海上保安庁と豪内務省との間での協力を促進する」と明記をされたことは、特筆すべき点なんだろうというふうに思っております。

 また、三文書でも、今回の特徴として、海上保安庁のアセット増強、有事を念頭にした自衛隊との連携や訓練、また防衛大臣による統制要領の確立、ひいては、自衛隊と海上保安庁が同盟国そして同志国と協力し海洋安全保障を推進する旨、明記をされたわけでございます。

 加えまして、次期海洋基本計画におきましても、MDA能力の強化に向けた同志国との連携の緊密化、これが強調されているというふうに承知をしております。

 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、今般の協定はあくまで自衛隊と豪州軍や英国軍の協力活動、これが基本でありますけれども、今触れた各種方針に鑑みますと、結果として、とりわけMDAにおきましては、豪州軍や英国軍と自衛隊に加えまして、海上保安庁も含めた連携も深化をさせ、抑止力向上に資するものであると考えますが、御見解をいただきたいと思っております。

浜田国務大臣 海洋安全保障の推進に当たっては、我が国自身の努力に加え、海洋状況把握、MDAに関する同盟国、友好国との協力体制を構築するなど、各国との連携が重要となります。

 委員御指摘のとおり、海洋状況把握の分野においては、本年三月に海上保安庁と豪州内務省国境警備隊との間で海洋状況把握に関する協力覚書が署名されたところであり、一層の連携強化が図られるものと承知をしております。

 また、今般の国家安全保障戦略においても、多国間の海洋安全保障協力を強化することとしており、自衛隊においても、相互運用性の強化の観点から、日米豪による情報収集、警戒監視、偵察、ISRの拡大などを行うこととしております。

 防衛省・自衛隊は、平素から海上保安庁と情報共有、連携に努めておりますが、引き続き、海上保安庁を始めとする関係機関とも連携しつつ、海洋状況把握の分野での協力も含めて、海上安全保障分野の協力を一層強化してまいりたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 次に、この円滑化協定の適用範囲についてお伺いをいたします。

 この協定がいわゆる日米同盟と決定的に異なる点は、申し上げるまでもなく、日米同盟には、安保条約第五条の米国による対日防衛義務、そして第六条の在日米軍の基地駐留が柱である。その一方で、円滑化協定は、先ほどもお触れになられました、自衛隊と他国軍の相互の一時的訪問にとどまっているわけでございまして、三文書の書きぶりも、日米同盟は抑止力、対処力と明記をされる一方で、同志国は連携強化にとどめているわけでございます。

 他方、協定の内容を見る限り、この協力活動は、従来の共同訓練や災害救助に限定されたものではなく、また、日本あるいは日本周辺の有事において豪州軍や英国軍が我が国を訪問して実施する活動、これは排除されているものではないというふうに拝見をいたしました。

 先日の外務委員会では、今回の協定は有事を対象としたものではない安全保障上の協定かという問いに対して、そのように考えていると御答弁があったところでありますが、当委員会では正確にお伺いをいたしたいと思います。

 この円滑化協定は、いわゆるグレーゾーン事態や重要影響事態あるいは武力攻撃事態等において豪州軍や英国軍が我が国領域内で実施する活動に適用されるケースは想定され得るのか、また、存立危機事態における我が国と密接な関係にある他国に、この円滑化協定の下で活動する豪州軍、英国軍は含まれ得るのか、大臣から御答弁をいただきたいと思っております。

浜田国務大臣 円滑化協定は、実際に行われる活動の内容を定めるものではなく、あくまでも、協力活動を行う際の手続や部隊の地位を定めるものであります。

 この協定が適用される協力活動については、協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなく、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両締約国が相互に決定するものであります。

 このような意味において述べれば、武力攻撃事態等の状況において協力活動を実施することとなる可能性は、協定上は排除されているものではありませんが、日豪、日英間においては、基本的にこれまでにも活動実績のある共同訓練や災害救助という活動が中心となると考えております。

 また、存立危機事態の定義に言う我が国と密接な関係にある他国については、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようとする共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えております。

 我が国と密接な関係にある他国が具体的にどのような国が当たるかについては、あらかじめ特定されているものではなく、武力攻撃が発生した段階において、個別具体的な状況に即して判断されるものであります。

 いずれにせよ、協力活動の内容は、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両締約国間が相互に決定していきたいと考えております。

 なお、御指摘の外務委員会における答弁は、本協定が有事における締約国相互の軍事支援を法的に義務づけるものではないという趣旨であり、また、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心となることといった政府の一貫した説明に沿ったものであると承知をしております。

 以上です。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 最後に、一点お伺いをいたします。

 今般の円滑化協定、様々今お伺いをさせていただきまして、やはり抑止力、対処力を高めるものにもなるんだろうというふうに理解をいたしました。

 その上で痛感をいたしますのは、対話の可能性を確保することで、懸案を抱える国を脅威ならしめない外交の価値、特に対中外交の重要性、一層高まっている点でございます。

 今、日中間で深刻な懸念、山積をしておりますし、連日も報道されております。だからこそ、抑止力を高めるとともに、防衛当局間のホットラインの設置、あるいは、日本の外相として三年三か月ぶりとなりました林大臣の訪中など、危機管理の観点でハイレベルの対話、協議を深化させようとする政府の姿勢、高く評価をするものでございます。

 今後も、勝者、敗者という枠にとらわれず、主張すべきは主張し、その上で共通の利益を模索する外交努力、これを政府に期待を申し上げ、また、私も、その英知とエネルギーが政治から失われないように最大限努力をしてまいりたいというふうに思っております。

 そこで、外務省、今日は高木政務官、ありがとうございます、お伺いいたしますが、今般の林外務大臣の訪中は、我が国の安全保障上、重要な戦略的意義があるというふうに考えますけれども、今回の成果についてお聞かせいただきたいと思っております。

高木大臣政務官 河西宏一先生の御質問にお答え申し上げます。

 四月一日及び二日、林外務大臣は、外務大臣としては約三年ぶりに中国を訪問いたしました。滞在中、秦剛国務委員兼外交部長及び王毅外事工作委員会弁公室主任との間で会談を実施いたしまして、また、李強国務院総理への表敬も行わせていただきました。特に、秦剛部長との初の対面での日中外相会談において、諸懸案も含めて、長時間にわたり率直な議論を行ったことは有意義であったと考えております。

 秦剛部長との会談の冒頭、林大臣から、日中両国には様々な可能性があるが、同時に数多くの課題や深刻な懸念に直面しており、非常に重要な局面にある、また、日中両国は地域及び国際社会の平和と繁栄に共に重要な責任を有する大国でもあることを指摘の上、建設的かつ安定的な日中関係の構築を実施に移していくため、双方が努力を続けていきたい旨を述べ、秦剛部長から同様の考え方が示されたところであります。

 また、林大臣から、尖閣諸島をめぐる情勢を含む東シナ海情勢、中国の我が国周辺での軍事活動の活発化等について深刻な懸念を改めて表明をいたしまして、双方は、安全保障分野を含めた意思疎通の重要性を改めて確認するとともに、日中防衛当局間の海空連絡メカニズムの下でのホットライン設置完了を歓迎いたしたところであります。

 さらに、ウクライナ情勢や北朝鮮への対応等の地域情勢や国際的課題についても意見交換を行いました。特に、ウクライナ情勢については、林大臣から、中国が国際の平和と安全の維持に責任ある役割を果たすよう求めたところであります。

 双方は、引き続き、首脳、外相レベルを含めたあらゆるレベルでの、緊密に意思疎通を行っていくことで一致したところであります。

河西委員 以上で終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 法案の質疑に入ります前に、ちょっと最近のトピックスについて政府の認識を伺いたいと思います。

 四日の日に国の内外の各種報道で、二月の、アメリカの上空で目撃をされ、結果撃墜をされた気球が、リアルタイムで中国本土へデータ送信可能な状況であったというふうに報じました。アメリカのNBCテレビは、兵器システムの電子信号や兵員の間での通信情報がリアルタイムで送られていたというふうにしています。

 これに対して、アメリカの国防当局ははっきりとは答えてはいないわけなんですけれども、こうした情報がアメリカ側から何らかの形で、当然、日本でも相当大きな騒ぎになります、気球が撃墜をされて回収をされ、分析をされた、このことについて日本側には、何か逐一情報はもたらされていたのでしょうか。いかがですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の報道につきましては、承知をしております。

 他方、米国政府は、日本時間の二月五日、中国が打ち上げました高高度偵察気球を撃墜し、その後、当該気球を回収し、現在も更なる分析を続けているところと承知しております。

 その上で、気球の飛行なども含めた我が国の安全に関わる諸情勢につきましては、大きな関心を持ちまして、米国と平素から緊密に連携し、情報共有等を行っておりますが、その詳細につきましては、相手国との関係もありますことから、お答えできないことを御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 いつもの、詳細についてはお答えをしないと。いや、別に、詳細を教えろとは言っていないんです。せめて、もうちょっと物の言い方があるんじゃないですか。別に我々、足を引っ張るつもりで聞いているわけじゃないので。

 とにかく、何かあれば、手のうちを見せることになるからお答えはできない、事柄の性質上お答えできない、相手国のあることだからお答えしない、こんなことばかり言って、せっかく協力しようとしても、やはりかちんときたら、じゃ、ちょっと意地悪な質問でもしてやろうかと思うのは人間の常なので、ちょっと答え方は工夫した方がいいと思いますよ。という私も、副大臣をやっているときに、答弁するときにそんなようなことを言ったのかなと思うと、決して偉そうなことは言えないんですけれども。

 今のことをもう一回確認なんですが、アメリカが分析した結果は、いつ頃になったら、ある程度分かるんですか。今も検討していると言うけれども、時間がかかり過ぎているじゃないですか。例えば、大体どれぐらいの範囲で情報収集できる能力があったのか、共有しているんですか。

 つまり、編隊を組んで幾つかがアメリカの上空で飛んでいて、報道によればですけれども、米軍の軍事施設なりの上空を、ある程度それぞれがカバーをしながら、相当な情報をリアルタイムで、遠隔で操作をしながら、ある程度航路をコントロールしながら情報を取っていた。その辺の例えば能力的なことについても、ある程度情報収集はしているだろうということについて、何らかの形で密接な関係にあるアメリカからは、緊密な連携の中で、それぐらいのことはもたらされているんですか。

 別に中身を教えてくれと言っているわけじゃないので、あるかないかということについてはどうなんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 気球の飛行なども含めました我が国の安全に関わる諸情勢につきましては、我々としましても、大きな関心を持ちまして、米国と平素から緊密に連携し、様々な事項についての情報を共有するなど行ってきております。

 しかしながら、その詳細につきましては、相手国との関係もありますし、また、当該アメリカが撃墜いたしました気球につきましては、米国政府が、回収した気球につきまして現在も分析を続けているところと承知しておりますので、先生が今御指摘になられましたもろもろの事項につきまして、日本国政府の方から現時点ではお答えできないことを御理解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 国防総省の副報道官は、気球は遠隔操作が可能で、飛行経路は意図的なものだったと分かっていると言っているんですね。この気象衛星、当初、中国は、民間が打ち上げた気象衛星で、偏西風に乗ったのか、何か風に流されてと。流されたものではなくて、これは意図的なものでコントロールしていたと、国防総省の副報道官は、はっきりとは言わないまでも、認めているわけなんですね。

 かつて日本の政府で閣僚が、大臣が、行方は気球に聞いてくれなんという、何かふざけたようなことを言っていますけれども、そういうレベルのものではなくて、これは完全に意図的にやっていたことは、これは中国のみならず、日本でも目撃されていて、二〇一九年から鹿児島県であるとか宮城県で目撃をされていたわけですね。これは一体何だ何だと言っているけれども、結局、何だか本当は分かっているんだろうけれども、正体不明というままで、しばらくの間滞在をして、上空にとどまっていて、相当な情報を恐らく当時から収集していたんだろうと類推をできるわけであります。

 ですから、何かそれは中国から気まぐれで飛んできた気球なんというレベルのものじゃなくて、情報収集のための、当然、これは大変な諜報のスペックであったというふうに言えるわけでございます。

 今更ながらなんですけれども、中国の偵察気球と推定されると、今更ながら、今年の二月十四日に、二〇一九年、四年前のこの物体はどうもそうであったと今になって言っているわけなんです。

 その点について、ちょっと遡ると、調べると、どこでというと、鹿児島県の薩摩川内市、ここの上空で目撃をされた。薩摩川内市には、陸上自衛隊の川内駐屯地、そして近くには航空自衛隊の下甑島の分屯基地がある。気球が目撃されたというとき、あと宮城県で目撃をされているんですが、なぜここに意図的に遠隔操作で飛んできたかというと、当然、彼らの、中国の知りたい情報がこの地域にあったんだろう。それを何らかの形で、先ほどアメリカで報道されたような、日本の、何らかのシステムの電子信号や兵員の間での通信情報がリアルタイムで中国に、ある意味盗聴されていた、傍聴されていたというふうに考えるのが当然だと思います。

 そのときに、じゃ、その当該する地域の下甑島の分屯基地であるとか、あるいは川内駐屯地でどのようなオペレーションが行われていたのか。例えば、どういう、何か訓練なのか、何か会議があったのか、何かやり取りがどう行われていたのかということについて、その情報、当時、気球が上空にあった期間に我が国の施設内外では、近隣では何が行われたということは、日本政府は当然トレースしているというか、確認していますね、遡って。いかがですか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねのような、個々の自衛隊の対応の詳細については、我が方の情報収集能力や自衛隊の運用の詳細が明らかになるため、お答えできないことを御理解願います。

 その上で、一般論として申しますが、自衛隊が、より的確に任務を遂行していくために、既往の活動について必要な検証を行うことは当然であります。

 いずれにせよ、防衛省としては、今後とも気球に対して、これまで以上に情報収集、警戒監視に努めてまいります。

渡辺(周)委員 気球がどこから来てどこへ行くのか、そんなのは気球に聞いてくれみたいな、当時の防衛大臣がそんなことを言っていたわけですよ。それを考えると、本当に危機感があったのだろうか。

 中国という国があらゆる諜報手段を使って、ある意味ではこんなアナログなやり方で、しかし実は遠隔操作もできて、しかもリアルタイムで情報をキャッチできた。しかし、その能力はまだ詳細じゃないのかもしれないけれども、だからこそ、今になって、実はとんでもない、中国がやっていたことに対して、本当に我が国は、何か非常に機微に触れるような情報が、あるいは何かしら秘匿すべき情報が、もしかしたらあのとき筒抜けになっていたんじゃないかということに対して、だからもう一回検証をした。その結果、その日は大したことをやっていませんでした、我が国の安全保障を揺るがすような情報のやり取りはなかった。

 あるいは、そのときに、下甑島というのは離島ですから、東シナ海の沖で例えば何らかのオペレーションが行われていた、航空自衛隊なのか、あるいは海上自衛隊なのか、あるいは潜水艦部隊なのか分かりませんが、実はそういうやり取りがあったけれども、もちろん公表しなくていいので、何が、もしかしたら、中国に盗まれていたか。そのことについてはやはりしっかりと当時の記録に遡って、もしこれが大変なことが盗まれていたら、当然、その後の対応を考えなきゃいけないと思うんですけれども、その点について聞いているんです。いかがですか。

大和政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、個々の自衛隊の対応の詳細についてのお答えは行うことが困難だということを御理解願いたいと思います。ただ、自衛隊がより的確に任務を遂行していくために様々な検証を行うということは当然であります。

 また、情報保全のための措置ということでございますけれども、平素から、必要な部隊運用や施設の保全措置を取っているところでございます。ちょっとその詳細については、事柄の性質上、なかなかお答えはできないんですが、引き続き、万全を期してまいりたいというふうに存じます。

渡辺(周)委員 これから是非、もうそういう言葉、答えばかり言うんだったら、今度から質問通告するときに、事柄の性質上、私も手のうちを見せるわけにいかないから質問通告をちょっと控えようと思いますよ、本当にね。だんだん腹が立ってきました。

 ちょっと聞きたいんですけれども、大臣、伺いたいのは、例えば、こういう限りある人員で、では、怪しげな気球が飛んできた、でも、この気球が何であるかは分からない。自衛隊だけが察知できるわけじゃなくて、例えば、民間の航空機に協力を求めて、飛んでいたら、パイロット席から見えた、何が何だかよく分からぬけれども怪しげなものが例えば飛んでいる、これが、民間のどこかからはぐれてきちゃった、それこそ観測用の気球なのか、若しくは商業用のアドバルーンが縄がちぎれて飛んでいっちゃったのか、よく分からないけれども、それこそ何らかの未確認飛行物体がある、こういう情報を、例えば、民間の協力であるとか、あるいは気象関係者ですかね、気象関係者でいつも空を見ているような方々に、何か異変があったら、特に地上であれば、例えば日本海側へ行って、不審な人物、北朝鮮から上陸してきたような工作員だったり、あるいは怪しげな船が夜来たり、何か怪しい人影や不審な船を見たら、こちらに連絡してくださいと結構看板が立っていますよね、日本海側とか東北へ行きますと。同じように、やはり民間の協力もないと、限られた防衛省・自衛隊だけの能力だけでは、なかなかこれは情報収集できないと思います。こちらとして察知できない。

 その点について、発見するためのカバーを、特に陸や海と違って、空には、領空には警察権がない。もういきなり自衛隊の出番です。そんなに自衛隊も能力があるわけではない、そこまで。海ならば先ほど申し上げた海上保安庁であったり、陸であれば警察であったり、警察権がまず行使できる、警察権を執行する組織がありますけれども、自衛隊、空に関してはないんですよね。

 ですから、それについて、自衛隊しかないわけなので、空に関しては。やはりある程度民間の、そうした今申し上げた、航空会社であるとか気象関係者の協力というものが必要だと思うんですが、その点について、情報提供の協力、これはどう考えますか。今後やはり求めていくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。これはもう政治家として大臣に伺いたいです。

浜田国務大臣 今委員の御指摘の点については、私もそのように感じております。

 それは、空ばかりでなく海においても、やはり漁船とかそういったものが、漁民の皆さん方がそういったものを見て、我々にまた情報提供してくれるということもあろうかと思います。

 防衛省として、今後とも気球に対して、これまで以上の情報収集、警戒監視に努めていくことは、これは当然のことでありますが、そうした中で、まず、レーダーサイトなど自衛隊自身が有するアセットを用いて警戒監視に万全を期していくことが重要であります。

 一方で、民間航空機や我が国自身が飛行させている気球などの情報も重要であると考えます。このため、これまでも、例えば民間航空機の情報については国土交通省から、航空法に基づく飛行計画の通報を受けるなど、平素から関係省庁間での情報共有も行っているところであります。

 引き続き、委員の問題意識も踏まえながら、民間部門に関する情報の共有を含め、関係省庁と連携してまいりたいと考えているところであります。

渡辺(周)委員 是非これは、例えばサイバー空間であるとか、あるいは宇宙空間であるとか、様々な情報収集を我が国に対して、中国や、当然、その他の国が行っているという認識の中で、こういう本当に原始的なといいますか、まさか気球というのがここまでの能力を持っているというのはちょっと想像もつかなかった。これは、実は日本もアメリカもそうだったと思うんですね。余りにも最先端の方に目が行き過ぎていて、実は、こういうアナログな形での情報収集というのはちょっと盲点だったんじゃないかなと思うんですね。

 ですから、これは、それこそ気球だからといって笑って済ませるんじゃなくて、もうここまでの能力を持っている国が我が国近傍にあるということは、やはり危機感を持って考えておかなければいけない、その情報、認識共有はしておかなければいけないと思います。

 それでは、次に、この協定に入りたいと思います。

 今回の円滑化協定で、日米同盟に引き続いて、日本とアメリカの関係に続いて、オーストラリアとイギリスとこの円滑化協定が結ばれた。これまでも、二一年ですから、もう既にアメリカと同様にオーストラリアは、二〇二二年で、防衛省が発表したところでは三十一件、いわゆる武器等防護の対象の中にオーストラリア軍も含まれているということでございますけれども、イギリスも、当然、武器等防護のこれは同様に対象になるということでよろしいんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 武器等防護につきましては、従来、米国を中心に実施してきたところでございますけれども、今般、オーストラリアにつきましても対象といたしまして、日豪の間で武器等防護を行うというだけではなくて、日米豪でも武器等防護を行ったことがございます。

 そして、その他の国々につきましては、そのニーズや必要性等を踏まえまして、個別に今後判断してまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 ですので、イギリス軍も、日米、日豪、日米豪、この組合せといいますか、様々な演習の形態の中で、武器等防護に米軍以外で初めてオーストラリア軍も対象になる。今回、イギリスも同様の円滑化協定を結んだわけです。

 英国については、もう既に、二〇〇四年に安保防衛協力の文書の覚書が、署名を行いました。一二年に改定をされ、一七年に日英安全保障共同宣言を行っている。その前に、情報保護協定が二〇一四年にも署名をされ、そして、ACSA、物品役務相互提供協定、これも二〇一七年に署名をされ、防衛装備品の技術移転協定については二〇一三年に署名され、発効している。

 それで、今回の日英円滑化協定の署名でございますので、オーストラリアと同じように、あらゆる安全保障に関する各種の協定は、アメリカ、オーストラリア、イギリスは全て結んだわけなんですね。ですから、当然、イギリス軍に対しても、英軍に対しても、武器等防護の対象にしていくということでよろしいでしょうか。もう何らオーストラリアと違いはないわけなんですけれども、英国、英軍に対してもそういうことでよろしいでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、イギリスとの防衛協力の関係はどんどん深化しておるところでございます。その意味におきまして、武器等防護につきましても、様々な訓練や活動が積み重なる中で、お互いにその必要性を確認しまして、必要がある場合には政府部内で手続を踏みまして、NSCの四大臣会合等での議論も踏まえまして決定していくことになると思いますが、いずれにせよ、イギリス側と、この点につきましては緊密な意見交換を行いながら、考えていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 そんなに何かハードルがあるとは思えませんし、日米豪英が入って今後演習を行うときには、当然そういうことになっていくんだろうというのが当たり前の考え方だと思うんです。

 そこで伺いたいんですけれども、この両国が、今後、様々な今申し上げたような安全保障に関する協定はもう全て結んでいる、そうなって、そしてまたこのオーストラリアとは、武器等防護の、当然、アメリカ軍並みの、同等の、同格の扱いである、イギリスもそうなるであろう。となってきますと、これは日米同盟並みの軍事同盟として深化していくということで理解してよろしいのでしょうか。その点についてはいかがですか。

岩本政府参考人 まず、日米同盟関係でございますが、これはもう御承知のとおりで、日米安保体制、これを基盤としまして、安全保障面を含めて、各分野、緊密に協調していく感じでございます。(渡辺(周)委員「そんなことは百も承知ですから、豪と英について教えてください」と呼ぶ)

 現在、日豪そして日英の関係は、同盟とは称しておりません。

 その上で、我が国としましては、国家防衛戦略において「自由で開かれた国際秩序の維持・強化のために協力する同志国等との連携を強化する」ということを明記しておりますので、今回の協定も、この連携強化を効果的に進めるための取組の一つであるという具合に御理解いただければと思います。

渡辺(周)委員 今回の円滑化協定と日米安全保障条約、これを比較すれば、他国の軍が、今米軍が日本に駐留しているということは全く違うということで、一つ、外形的に分かるんですけれども、ただ、実際の、今、これから両国の共同宣言、中身を見ますと、更に深化させていくとなると、これは、共同演習、合同演習であるとか災害時だけでなくて、有事の際にはどうお互いが密接な関係を持っていくかということに当然帰結するわけだと思うんですけれども、当然、日米安全保障条約並みの、準同盟関係といいましょうか、実態的にはそこに向かっているわけですから、これはオーストラリア、イギリスとも日本はそのような関係になっていくということで、確認ですけれども、よろしいのでしょうか。いかがですか。もう一回、お答えいただきたいと思います。

岩本政府参考人 今委員御指摘の、豪州と英国との関係でございますけれども、まず豪州につきましては、例えばですが、昨年十月に新たな安全保障協力に関する共同宣言を発出いたしました。この宣言を踏まえて、おっしゃるとおり、安全保障、防衛協力を拡大、充実すべく取り組んでいきたいと思っております。

 また、イギリスとの間でも、これまで、例えばですけれども、二〇二一年、空母クイーン・エリザベスが我が国に寄港いたしました。そのほか、艦艇の派遣、そして各種共同訓練の実施、次期戦闘機の共同開発等々、様々な協力が進んできておるところでございますので、こういった形で、安全保障、防衛協力の強化に取り組んでまいりたいという具合に考えております。

渡辺(周)委員 いや、同じことの答弁ですけれども。

 大臣、いかがですか。やはりそうなっていくということは言い切れないんですか。いかがですか。

浜田国務大臣 今委員御指摘の点でありますけれども、我々とすれば、今、一つ、一歩踏み出して、こういった形での協定を結ぶということでありますので、結果としてどのような形になるか。これからの共同訓練を始めとするいろいろな場数を踏みながら、目指す先はどこなのかと言われれば、これは当然、その先へ進むことができるかどうかも含めて今後考えていくことになろうかと思いますが、逆に言えば、これはそういった形に進むかもしれないし、そうではないかもしれない。これは我々が判断しながらやっていくことだと思いますが、しかし、この協定によって、せっかくここまで前へ進むことができたわけでありますので、その前に進むための検討、努力はしていかなければならないというふうに思っています。

渡辺(周)委員 当然、そういうふうになっていくんだろうと思います。

 そこで、先ほどちょっと申し上げました、二〇一七年に、平和安全法制成立後に、日豪、日英でACSAが改定をされました。弾薬の提供も可能になりました。

 弾薬も武器であるということには間違いないと思うんですが、ここでは弾薬と武器というのは分けて考えられているわけなんですが、今回の協定の、日豪、日英とも十四条に、「武器、弾薬、爆発物及び危険物を輸送し、保管し、及び取り扱うことができる。」ということなんですけれども、いわゆる弾薬ではなく武器について、マイルドな言い方をすると防衛装備品ですけれども、この武器も、これは提供すると。

 つまり、今回の、今後の防衛装備品の移転についての検討が行われることを待たずして、豪と英については武器の提供も可能になるのかどうなのか、その点はいかがですか。

 今回の円滑化協定を結んだことによって、これまでのACSAの、弾薬という、これは可能だけれども、武器については違うんだという線引きがされていますが、当然、何度も言うんですけれども、武器という概念は大変広くて、これは、全ての軍需品は武器にカウントされますから、弾薬も武器なんです。

 ただ、弾薬と武器は分けていく中で、武器、つまり様々な兵器についても、殺傷能力のあるものについても、当然、これについては、ここで取り扱えられる、提供が可能になるということで進んでいくということで判断、認識をしてよろしいのでしょうか。いかがですか、ここは。

岩本政府参考人 今委員御指摘の、今回の円滑化協定の第十四条でございますが、ここには、派遣国自らの責任で、武器、弾薬、爆発物、これを輸送し、取り扱うことができる旨を定めております。

 それで、ここで明記しております取扱いの意味については、文字どおり取り扱うということでございまして、接受国へこれらの物品を提供することに根拠を与えるものではないという解釈になります。

 したがいまして、武器の提供については、今回、日豪、日英のACSAの適用の対象外ということになっていることを御理解いただければと思います。

渡辺(周)委員 対象外であると。

 ただ、これを読みますと、「武器、弾薬、爆発物及び危険物を輸送し、保管し、及び取り扱うことができる。」これは爆発物も危険物も、みんな、武器も弾薬も分けて書いてあるけれども、実際はこれ、防衛装備品イコール武器なんだろうというふうに思うんですが、ここのところでなし崩し的に、ここでお互い提供可能になるということがあってはならない、やはり国会での議論が当然ここは必要になってくると思いますので、この点については、今後また武器輸出三原則の議論の中で当然指摘をしていきたいことになると思います。

 それでちょっと、そのことについて大臣に伺いたいんですけれども、さきの大戦以降、幸いにして我が国というのは実戦経験のない、実戦経験というか、実際、戦場に出ることがなかった。そういう意味では、様々な防衛生産基盤協定の中にも書かれていますけれども、我が国が、やはり市場の先見性というのは、防衛庁から調達をされるしかなかった。そういう意味では、予見性が非常に先細りしていく中で、防衛産業というものがなかなか伸びなかったということも書かれています。

 だからこそ、今後どのような形で海外に、緩和をして活路を見出すのかということに帰結してきているわけなんですけれども、我が国が実戦経験が歴史的になかった、その中で、我が国が軍事分野でどのような期待を世界からされているのか。つまり、日本のこういう技術が世界の防衛品の中で必要だ、だけれども、日本というのは戦争をしていないので、アメリカの造ったものや、あるいはNATOが造ったものや、あるいはイスラエルが造ったものや、幸いにして戦場で使われたことはないわけなので。

 じゃ、日本という国が、確かに、自動車だとか家電用品だとか、こういうものに関しては大変メイド・イン・ジャパンのクオリティーは大変高く評価されている。だけれども、事防衛装備品については、日本の国というのは果たして本当に期待されているんだろうか。もし日本の技術が大変世界から求められるとしたら、一体それは何の分野なんだろうかというようなことについて、大臣はどうお考えですか。是非教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 我が国は、装備品の生産を民間企業に依存しておりますが、特に、民生品の製造業における高い技術水準や産業競争力等を背景として、防衛生産・技術基盤の生産能力や技術水準についても国際的に高い評価を受けていると認識をしております。

 また、これまで、二〇一四年に防衛装備移転三原則を決定した後、米国のみならず、英国やオーストラリアなどの先進国を中心に国際共同研究等が進んでいるほか、装備移転についても、艦艇、航空機、レーダー等について諸外国から引き合いを受けているところであります。

 これが、今現在、私自身が考えるに当たってのことでございますし、また、これから、我々のこの技術というのが、更に情報公開をしながら、あらゆる分野で我々のその能力というものが理解をされているということはこれはもう事実でありますので、今後ともその努力を続けていきたいというふうに思っています。

渡辺(周)委員 ちょっと、私たちが政権を取ったときの経験からいいますと、オーストラリアから非常に通常型の潜水艦の要望が強かったんです。非常に、非核国家でありましたオーストラリアですから、原子力潜水艦ではなくて、いわゆる通常動力型の潜水艦、是非日本から欲しいと。当時、今もそうですけれども、潜水艦の技術というのは大変秘匿性の高いもので、とても外に出せる、売れるものじゃないということで、相当厳しい状況にあった。

 その後、安倍さんになってから、オーストラリアに売るというような話になったんですけれども、そのときにアボットという首相がターンブルさんになり、今モリソンさんになりましたけれども、当時はたしか「そうりゅう」型潜水艦の購入が、このアボットさんのときに確実視されていた。ところが、入札でフランスに取られて、そのフランスも、今度は、いわゆる米英製の原潜に、原子力潜水艦になるということにかじを切ったわけなんですね。

 ここで、我が国の実は非常に求められている技術というのは、まず出てきたのは潜水艦でありまして、それは、静ひつ性の大変高い、クオリティーの高い、また、溶接技術の大変な高さ、それから、水圧に耐えられる鋼の質もそうなんですけれども、オーストラリアに限らず、世界から日本の潜水艦技術というのは大変高い評価を得ています。

 しかし、原潜になると、これはもう当然、一日の平均速度、航行の能力も全然違いますし、また、海の中にいられる時間というのは、通常型五十日に対して原潜は九十日、三か月、海の中にいる。そうすると、かつて期待されていた、オーストラリアもそうなんですけれども、通常型潜水艦産業に果たして未来はあるのか。大臣はどうお考えですか。我が国が原子力潜水艦を今後造る考えというのがあるのか。世界の流れの中で、原子力潜水艦というものを日本が、まさに技術の粋を集めて造るという可能性があるのか。それとも、通常動力型の潜水艦を更に改良していくのか。その点については、防衛大臣はどのように見通していらっしゃいますか。

浜田国務大臣 現在、我が国は、防衛力整備計画に基づいて、必要な通常動力型潜水艦を安定的に取得するための生産・技術基盤を保有しており、今後も維持していく考えであります。

 いずれにせよ、現在、防衛省においては、防衛力整備計画に基づき、通常動力型潜水艦を毎年一隻ずつ取得し、必要な防衛力を整備しておるところであり、我が国として原子力潜水艦を保有する計画はありません。

 これは、委員からの御指摘に対しては、我々も、今の現状を鑑みれば、そういった流れがあることは十二分に認識はしておりますけれども、我々とすれば、今その検討をしてはいないということでございます。

渡辺(周)委員 こうした防衛装備品の、世界からどのように我が国が求められているかという中で、我々は、破壊兵器や殺傷能力の高いものはやはり持つべきでないし、死の商人、武器商人に日本はやはりなるべきではないし、またそのニーズが、果たして世界の中で日本が求めているのかなと、これはまた別の機会にやりたいと思いますけれども、思うわけなんですね。

 それよりも、やはり我が国は、原子力災害、更に言えばサリン事件のような、こうしたまさにBC兵器を受けてきたということ、それから大規模災害、地震あるいは風水害を経験してきたという中で、どのようにして危機を察知して、住民の命を少しでも守り、復旧復興、それから早期の生活回復に役立てるかというような能力をやはりもっと打ち出すべきなんだろうと思いますし、また、世界の中で、我が国の持っているいわゆるメリット、強みをもっと売り出すべきだろうというふうに、これはまた別の機会にやります。

 時間がなくなります。ちょっと二つ聞きたいんですけれども、一つは、イギリスと結んだことで、イギリス領、有名なディエゴガルシア島というのがある。これはイギリス領のチャゴス諸島。あるいは、オーストラリアは広大な土地を有しておりまして、ここで、例えば、いわゆる射程の長い、長射程のミサイルの発射実験、演習をやるという可能性はあるのかどうか。

 先般、ちょっとヒアリングをしましたら、オーストラリアのある町からは、是非自衛隊に演習に来てほしいというような、実はオファーがあるんだという話をおっしゃっています。実際、今回こういう協定を結んだことで、イギリス領の領海でやる、あるいはオーストラリアでそうした長射程の発射実験を行うということは考えているのかどうか、あるいは行うのかどうか、一点伺いたいと思います。

 そしてもう一つは、日米、日豪の首脳会談のときに出ました情報共有という中で、ファイブアイズ、アメリカの下院軍事委員会なんかは、ファイブアイズ協定を他の民主主義国にも拡大しなければならない、法案に付随した指針で触れたことがございます。英国や米国には日本を歓迎する声もございます。

 日本の諜報能力というのは、例えば対ロシアを考えたときに、大韓航空機撃墜事件のときに、実は全部、あのパイロットと大韓航空機撃墜のときのやり取りを既に諜報していて、国連に提出した、アメリカに提出した経験があります。

 サイバー分野で共有できるということは、これは我々にとっても大変メリットなんですが、いわゆる英語圏による諜報を含めたファイブアイズと言われるこの組織に、日本は参加をすることを検討しているのかどうか。

 この二点について伺います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 スタンドオフミサイルを含めまして、様々な自衛隊のオペレーションを実施するためには、国家防衛戦略に記載されておりますとおり、自衛隊員の能力や部隊の練度向上に必要な訓練、演習等を十分に実施できるよう国内外に訓練基盤を確保するなどした上で、その内容に応じて必要な訓練を行う必要がございます。

 その上で、現時点において、トマホークミサイルを含めたスタンドオフミサイルの演習につきまして、イギリスや豪州で実施する具体的な計画があるわけではございませんが、実施するに当たりましては、国内外の演習場の地積や設備の状況、ミサイルの性能など、様々な要素を総合的に考慮した上で検討していきたいと思っております。

 特に、オーストラリアにおきましては、委員御指摘もありましたように、広大な国土を有しておりまして、広大な演習場等があるということも考えながらやっていきたいと思っております。

 その上で、次の、ファイブアイズの関係でございますけれども、防衛省としては、やはり、同盟国、同志国との相互の厳格な情報保全体制の下での適切な情報協力というのは必要不可欠だと考えておりまして、我が国の防衛に必要な情報の収集、分析の一環として、米国、イギリスなどのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国々を含めまして、諸外国と必要な情報協力を進めているところでございます。

 その上で、我が国は、英国や米国などのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国々に含まれておりませんで、御指摘のようなインテリジェンス共有に関する枠組みの存在、内容について、なかなか私たちの立場でお答えすることは難しいのでございますけれども、いずれにせよ、我々として、必要な情報の収集の能力の向上、そしてその情報を保全する体制、この向上に努めることがまずは重要だと思っておりまして、その努力を積み重ねていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 あしたも一般質疑で質問いたしますので、今日はここで終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 日豪、日英円滑化協定実施法案に対して、引き続き質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の円滑化協定、日豪、日英の部隊が共同訓練などで相手国を訪問した際の法的な地位などを定めた協定、そしてまた、安全保障面でのつながりを深めるということになるとも理解をしております。

 基本的なことも含めて、まずは、豪州、英国と協定を締結する理由についてもお聞きをしたいというふうに思いますが、そもそも、この協定は、もう長きにわたって交渉されているんだと思いますが、当初、日本から、あるいは豪州、英国から、どちらの強い要請があったのか、お聞きをしたいというふうに思います。

岩本政府参考人 まず、豪州との関係でございますが、二〇〇七年の三月に最初の安全保障協力に関する共同宣言を発出いたしました。これを受けて安全保障、防衛協力の進展が始まり、そして、基本的価値と戦略的利益を共有する特別な戦略的パートナー、こういった関係を築いてきております。

 そして、英国につきましても、基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーと位置づけをしておりまして、我が国との間で安全保障、防衛協力を強化してきております。

 以上のような文脈の中において、両国の部隊間の共同訓練等の協力活動を円滑にして相互運用性を高める方策を議論した結果、日豪では二〇一四年七月に、そして日英の間では二〇二一年九月にこの協定の必要性で一致をしたということでございますので、どちらかが一方的に要望したということではないという具合に御理解いただければと思います。

伊藤(俊)委員 両国、双方そういう思いがあったということだと思いますけれども、交渉ですから、最初、どういういきさつかということは本来あるんだというふうには思いますけれども。

 本年三月の三十日に我が党が実施をした部会においても、政府側から、豪州、英国とは訓練及び演習の回数が多いということから豪州、英国と協定を結んだという御説明もありました。二〇一九年四月から二〇二二年三月までの間に部隊間交流及び共同訓練を実施した回数を見てみると、豪州間で十五回、そのうち部隊間交流等が四回、共同訓練が十三回と。日英間では六回、そのうち部隊間交流等が一回、共同訓練が五回というふうになっております。

 しかし、これまで豪州、英国以外の国や地域においても部隊間交流や共同訓練は行われておりまして、それらの国での回数を見てみると、インドでは十四回、そしてフィリピンとは十回、そしてまたマレーシアとは六回というふうになっていると承知をしております。

 先ほど、フランスなども直近一年間で多くなってきているという話もありましたけれども、各国とも豪州と同程度又は英国を上回る回数の部隊間交流及び共同訓練が実施されているにもかかわらず、協定を締結した国が豪州、英国に限定をされているのはなぜなのか、お聞きをしたいというふうに思います。

岩本政府参考人 今委員御指摘のとおり、現在、日本は様々な国と訓練等を重ねてきております。

 今回、豪州と英国との間で本件協定を結ぶ経緯については、先ほど申し上げたとおりでございます。

 今後も、こういった訓練の回数等も十分考慮しながら、政府としては、同志国等との連携強化の観点から、安全保障に関する協定の締結を含む様々な取組を進めていく考えではございますが、現時点においてこの円滑化協定そのものについてはほかの国との交渉は行っていない、こういう状況でございます。

伊藤(俊)委員 例えばアジア太平洋地域においても、日米豪英あるいはインドの五か国等に加えて、韓国なども重要な関係国の一つだと思いますし、また、我が国の安全保障面を含めて、日韓、日米韓の戦略的連携を強化していく、そんな上でも極めて重要な隣国韓国との協定締結においても現在検討等はされているのか、お聞きをしたいと思います。

岩本政府参考人 委員御指摘のとおり、韓国は、国際社会の様々な課題に対応していく上で協力をしていくべき非常に重要な隣国であるという具合に考えております。特に、北朝鮮への対応を含め、現下の戦略的環境を踏まえれば、日本と韓国、さらには日本、アメリカ、韓国の間で緊密に連携していくことの重要性はもちろんでございます。

 現在、韓国との間で円滑化協定の締結は検討はしておりませんけれども、ただ、先般、日韓首脳会談が行われましたが、両首脳の間でもこの厳しい安全保障環境についての認識を共有したところでございますので、引き続き、緊密に意思疎通をし、具体的な連携協力を進めてまいりたいという具合に考えております。

伊藤(俊)委員 訓練等の回数とか様々なことを鑑みれば、先ほどのフランスなんかもそうですし、先ほど渡辺委員からの質問でも、ファイブアイズを含めて、カナダ、ニュージーランドなど様々な国々もあるわけであります。

 国家安全保障戦略における、同盟国あるいは同志国間のネットワークの重層的な構築、そして安全保障上の協力を強化する具体策の一つとして、政府が次に円滑化協定を締結をする国というのは様々想定されますが、一言、どんな思いかお聞きをしたいと思います、国々があるのかということも含めて。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、現時点で同種の協定の交渉を行っている国はございませんが、その上で申し上げれば、部隊間協力円滑化協定を含む安全保障に関する協定については、各国との安全保障、防衛協力を進める中で、相手国との二国間関係や、自衛隊と相手国軍隊との協力の実績、あと、相手国からの要望等を総合的に勘案しつつ、締結の要否を検討してきております。

 そういった中で、例えば、委員からもお話ありましたフランスとの間では、部隊間の共同運用、演習のための手続を改善するための恒常的な枠組みを構築する可能性について検討を進めておりますが、今後、同種の協定を締結するための交渉を行うか否かというのは、まだ今の段階では予断することはできません。

伊藤(俊)委員 様々な戦略的な観点、あるいは日本との関係性、様々な判断があるんだろうというふうに思います。今回、この二国に限定をしているということも踏まえてですが、また引き続き多方面から考えていただかなきゃいけないことだというふうに思っております。

 この円滑化協定の対象となる活動についてもお聞きをしたいというふうに思いますが、両協定は、発効すれば我が国にとって他国と締結する初めての円滑化協定ということで、今後その基準にもなるということだと思いますので、丁寧な中身、内容を確認する必要があるというふうにも思っております。

 両協定の前文には、「互恵的な防衛協力を円滑にするための法的枠組みを設けることにより、両締約国間の安全保障関係及び防衛関係を深める」と書かれております。この互恵的な防衛協力とは、具体的に、共同訓練や災害救助以外にどのような協力が該当するのか。対象となる活動について、より具体的に示していただきたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 円滑化協定第二条に規定する互恵的な防衛協力とは、具体的には、日豪又は日英の部隊がそれぞれ相互に訪問して実施する共同訓練や災害救助などの部隊間の協力活動を意味しております。まさにこれらの活動は、両国が共に従事し、両国部隊の相互運用性を高めるものであり、互恵的なものでございます。

 いずれにせよ、協定が適用される協力活動の内容は、協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなく、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両国間で適切に判断し、相互に決定することとなります。

 日豪、日英間におきましては、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心となると考えておりますが、それ以外の協力活動につきましては、あらかじめ網羅的かつ確定的にお答えすることは困難でございます。

伊藤(俊)委員 共同訓練や災害救助で訪問する豪州及び英国の軍隊を想定をして両協定が交渉されてきたことということはもちろん理解をしておりますけれども、しかし、現在、我が国を取り巻く安全保障環境を考え、そしてまた、日本に対しての武力攻撃等の状況や、あるいは台湾有事などの日本の平和と安全に重要な影響を与える状況においても、我が国の来援をする豪州あるいは英国の軍についても検討しておく、そんな必要性があるのかもしれません。

 このような場合に我が国に来援をする両国軍はこの協定の対象となるのか、お聞きしたいと思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 この円滑化協定が適用されます協力活動につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなく、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両締約国が相互に決定するものでございます。

 このような意味において述べますと、武力攻撃事態などの状況におきまして協力活動を実施することとなる可能性は、協定上は排除されているものではありませんが、日豪、日英間においては、基本的にこれまでにも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心となると考えております。

伊藤(俊)委員 有事の際も排除していないという御答弁だと理解をしました。

 三月の二十九日に、衆議院外務委員会において我が党の徳永議員が、両協定について、有事を対象としたものではない安全保障上の協定であると理解しているが間違いないですかという質問に対して、林外務大臣が、そのように考えておりますというふうに答弁をされておりますけれども、この答弁は正確性に欠くのではないかなというふうに思いますけれども、外務省、一言いただきたいと思います。

岩本政府参考人 委員御指摘の外務委員会での林外務大臣の答弁でございますが、これは、本協定が有事における締約国相互の軍事支援を法的に義務づけるものではないという趣旨で述べさせていただいたものと理解しておりまして、また、先ほど来説明ありますとおり、この協定の下では、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練また災害救助といった活動が中心となるという説明をさせていただいておりますけれども、この一貫した政府の説明に沿ったものであるという具合に理解しております。

伊藤(俊)委員 間違った答弁ではありませんが、正確には欠けているのではないかというふうに指摘をしたいと思いますが、今日は外務大臣はいらっしゃらないので、改めて外務大臣にもその認識をまた新たにしていただきたいというふうに思います。

 その上で、平和安全法制において特定公共施設利用法が改正をされて、武力攻撃事態等において自衛隊と協力をして我が国に対する武力攻撃を排除するために必要な行動を取る外国の軍隊についても、港湾や飛行場などの特定公共施設等の利用調整の対象に加わりました。

 例えば、外国軍隊が、捜索救助活動や救援物資の輸送といった活動を行い、我が国の港湾や飛行場を利用する場合などが想定をされますけれども、このような場合に、我が国を訪れる外国の軍隊、今回の協定でいえば豪州、英国において、その軍隊については、どのような手続を経て入国をし、どのような地位が定められるのでしょうか。外務省にお聞きをしたいと思います。

岩本政府参考人 ただいまの御質問の関連では、先ほど来御説明申し上げているとおり、そもそもが本協定の適用対象となる協力活動の内容、これはその都度、両国間で適切に判断して相互に決定すると。そして、日豪、日英いずれの間でも、これも先ほど来申し上げていますとおり、基本的にはこれまでにも活動実績のある共同訓練や災害救助、こういった活動が中心になると考えております。

 こうした考え方の下で、本協定においては、ただいま御指摘のありました、武力攻撃事態等の特定の場合においてのみ訪問部隊に適用される特別な手続、こういったものについては特段定めていないということになりますので、そういった御理解をいただければと思います。

伊藤(俊)委員 今日の質疑の中でも、どこまでが適用範囲になっていくのかとかということもなかなか明確でないなというふうにも思いますけれども、双方の国を含めて、それぞれの信頼から成り立つということが前提でありますけれども、有事も排除されていないということの中で、様々な懸念も協定の中身として十分議論をしていかなきゃいけないというふうに改めて思います。

 引き続きここの部分においても議論をさせてもらいたいというふうに思いますが、関連をして、円滑化協定の適用を受けない日豪、日英間での協力活動についてもお聞きをしたいというふうに思います。

 協定発効後、それぞれの国との間での共同訓練等の実施に際しては毎回協定が適用されるものと理解されがちでありますけれども、三月二十九日の衆議院外務委員会における我が党の青山議員の質疑においても、政府答弁では、全ての活動が円滑化協定の適用を受けるわけではありません、したがって、円滑化協定を適用せずに、個別の内容に応じて必要な手続を行った上で共同訓練等の活動を行うことは、必ずしも排除されておりませんと述べているように、必ずしも全ての協力活動がこの協定の適用を受けるわけではないようであります。

 一つの懸念として、今回の協定で手続の原則が決まることによって、かえって円滑な活動が阻害をされる事案が出てくるのではないかという心配もあります。日々の、これまでの交渉事というのが、全て把握をしているわけではありませんので、柔軟にできたことが、むしろ、スピード感が落ちるとか、あるいは、できなくなるものがあるということであれば、それ以上のメリットがあるということなのかもしれませんが、そういったデメリットがあるとすれば考えておかなければいけないのかなという懸念を持っております。

 そういった、考えられることはないのかということと、また、これらの協定の適用を受ける協力活動と適用を受けない協力活動との具体的な違いはどこにあるのか、なぜそういったことが生じてしまうのか、御説明いただきたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 円滑化協定は、実際に行われます活動の内容を定めるものではなくて、あくまでも、協力活動を行う際の手続や部隊の地位を定めるものでございます。

 そして、この協定が適用される協力活動につきましては、協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなく、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両締約国が相互に決定するものでございます。これは、先ほど来御答弁申し上げているとおりでございます。

 三月二十九日の衆外務委員会での質疑の中での外務省からの答弁は、こうした趣旨のことを述べたものだと考えております。

 いずれにせよ、この協定は相互の協力活動が円滑に行われるということが目的でございますので、その都度の判断にはなりますけれども、きちんと部隊の活動が円滑に行われるように判断をすることが重要だと思っております。

 そして、この協定が適用される共同活動につきましては、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心になると考えております。これは協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなくて、いずれにせよ、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両締約国が相互に決定し、そして部隊の活動の円滑化、これの目的のために行っていきたいと思っております。

伊藤(俊)委員 協力活動の適用を受けないということに関してどういうものがあるのかというのは、ちょっと僕も理解、今の答弁ではっきりとしないところでありますので、より具体的に説明をいただきたいなというふうに思います。

 先ほどの、これまでの活動のことも触れておりましたけれども、これまで日豪間あるいは日英間で行われてきた協力活動の中で、これら協定が存在をしていたとしても適用されなかったと思われる活動というものがあるのか、お聞きをしたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどの私の答弁で、一点、訂正申し上げます。

 三月二十九日の衆議院外務委員会での答弁、これは、外務省と申し上げましたが、防衛省の政府参考人からの答弁でございました。大変申し訳ございませんでした。

 そして、協力活動は、円滑化協定の下で両締約国が相互に決定して部隊が実施する協力活動を指すため、円滑化協定発効前における現時点において仮定の質問にお答えすることは困難であるというふうに考えております。

 要は、過去の個々の活動につきまして、これから成立をお願いしております円滑化協定が当てはまるかどうかということについてお答えすることは難しいということでございますが、その上で、あえて一般論として申し上げますと、これまで日豪、日英間においては共同訓練や災害救助といった活動を中心に協力を行ってきておりまして、その限りにおきましては円滑化協定の適用がなされないような活動はなかったのではないかというふうに考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 なかったのではないかという御答弁でありました。

 これまでに、既に終わったものをしっかりと照らし合わせて検討すれば分かることだと思いますので、こういったところをしっかり考えていただき、説明をしっかりとしていただかなきゃいけないところだというふうに指摘をしておきたいと思います。

 円滑化協定が適用される活動というのは事前に明示をされるものなのか、これもお聞きしたいというふうに思います。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりまして大変恐縮でございますが、個別具体的な協力活動の内容は、両締約国の法令の認める範囲内で、その都度、両国間で適切に判断し、相互に決定することとなります。

 豪州及び英国と行う協力活動につきまして、円滑化協定が適用される旨、事前に公表するかにつきましては、個別具体的な状況に応じ、それぞれの締約国間で調整することとなります。

伊藤(俊)委員 共同訓練や災害救助について、必ずしもこの協定に適用されないというものがもしあるとすれば、適用されない活動で我が国を訪問している豪州及び英国軍隊の軍人が何らか罪を犯してしまったときに、我が国で裁こうとしても、円滑化協定の対象とされて、身柄を渡さなければいけないということになってしまわないかという懸念も生じるわけでありますので、ここはしっかり説明をしていただかなきゃいけないというふうに思っております。

 また、そういったことがあればこの円滑化ということに関しての目的が半減をしてしまうような、そんな印象も持ってしまいますので、しっかりとそこは説明を尽くしていただきたいというふうにもお願い申し上げておきたいと思います。

 次に、日米間においての円滑化協定の締結をする必要性について一つお聞きをしたいと思いますが、共同訓練、教育のための派遣などの他国軍隊との交流の回数においては、これは日米のものが群を抜いているわけでありますけれども、国会の場においても、自衛隊の米国派遣訓練等のために日米間でも円滑化協定を締結をする必要があるのではないかという問題提起がされております。

 林外務大臣を始め、当時の鈴木防衛大臣政務官等、政府答弁でも、一つの課題である、このように認識しておりますと述べられておりますように、米国訪問時に自衛隊の地位を定めた協定というものは存在をしないということだと思いますので、日米間における円滑化協定の必要性について、防衛省としてどのように検討し、そしてその必要性についてどう判断をされているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 防衛省としては、これまで、米国における自衛隊の法的地位を定める協定がないことにより支障が生じたことがあるとは認識をしておりません。

 他方、派米訓練時の人員の展開や装備品の輸送をより容易とすることを含め、自衛隊の活動の円滑化に資するような方策としてどのようなものがあり得るかについては、防衛省としても、部隊の声に耳を傾けつつ、不断に検討してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 必要があればということだと思いますが、検討をしていくという言葉がずっと続いております。その必要性について十分検討していただいて、説明を尽くしていただきたいとお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、同志国ということと、豪州、英国についてお聞きをしたいというふうに思います。

 昨今、頻繁に同志国や準同志国というような言葉が使われるようになり、どんな国が該当するかなどは、これまでの答弁でももちろん明確になっていないということだと理解しておりますけれども、私も少し分かりづらいなというふうにも思っております。

 これまでの日英の関係において考えてみても、英国政府が二〇一五年に公表した国家安全保障戦略の中でも、実に十二回にわたって日本との関係について言及をしていたり、日本のことを同盟国と呼ぶなど、以前より日本に対して熱意というものが感じられるわけであります。

 二〇一七年八月のメイ首相の日本訪問の際にも、メイ首相は、日本はパートナーであり同盟国だというふうに初めて呼んだ、また、当時の河野外相も、日英関係はパートナーの段階から同盟の段階に入ることを意味すると述べられていると承知しております。

 同盟という言葉は、単にこれまでの軍事同盟という枠組み、意味合いから、近年、海洋安全保障だったり、テロ対策でしたり、サイバーセキュリティー、インテリジェンス協力、あるいは人道、災害支援、平和維持活動など、多様化する安全保障のあらゆる分野で包括的に利用をされるようになってきたことからも、以前の軍事同盟という意味合いから、あえて同志国や準同志国といった言葉が意図的に頻繁に使われているのかな、個人的にもそんなふうに理解をしているところでありますが。

 この点、浜田大臣がどう思われているのか、そしてまた、今回の協定で、豪州あるいは英国というのは同志国あるいは準同志国に当たるんでしょうか。お聞きをしたいと思います。

浜田国務大臣 同志国という用語については、一般には、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知をしております。

 我が国と豪州及び英国は、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値と、インド太平洋の平和と安定といった戦略的利益を共有しており、自由で開かれたインド太平洋の実現のため、外務・防衛閣僚級協議、2プラス2を含む各レベルでの協議、共同訓練、防衛装備・技術協力等の防衛協力、交流を深化させることとしております。

 いずれの国が同志国に当たるかについては、それぞれの課題において、我が国と目的を共にするかという観点から個別に判断されるものでありますが、防衛省としては、豪州及び英国は、我が国の安全保障を確保するため、連携を強化すべき重要なパートナーと考えておるところであります。

伊藤(俊)委員 やはりちょっと分かりづらいなというふうに思います。ちゃんと整理をして、分かりやすく説明をしていただきたいというふうに思いますけれども。

 先ほどのほかの委員からの質問でも、今後、この協定を含めてですが、両国、準同盟国という言葉を使われることもあります、準同盟国あるいは同盟国として、発展あるいは深化していく方向性について問われた答弁でも、そうなるかもしれないし、ならないかもしれないという御答弁でありました。我が国の安全保障政策、その方向性としてかなり曖昧な答弁だなというふうにも先ほどちょっと感じられました。

 少し明確に大臣から一言いただきたいと思いますが、どういう方向性で考えられているんですかね。

浜田国務大臣 我々とすれば、両国がよりよい関係を更に深めていくという観点からいけば、当然、このことに対してしっかりと検討し、そして我々の相互利益というものをしっかり考えた中で前へ進められればというふうに考えておるわけでありまして、そこのところ、これからどうなっていくか分からないわけでありますけれども、しかし、そこはしっかりと目標を持ってやっていきたいというふうに思います。

伊藤(俊)委員 是非、同盟国あるいは準同盟国、同志国あるいは準同志国ですかね、様々な意味合いがあるんだと思いますが、しっかりとそういうところのことは説明を尽くしていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 次に、AUKUSへのASEAN諸国の見方についてもお聞きをしたいというふうに思います。

 今般、円滑化協定を締結をする豪州と英国は、我が国と同様に米国の同盟国であり、二〇二一年九月には、米国、そして英国、豪州の三か国で、安全保障の協力の枠組みであるAUKUSを創設をしております。

 AUKUSの位置づけは、防衛パートナーシップを構築し、インド太平洋地域の安定と安全を維持するものと表現をされて、軍事面だけではなくて、サイバー、人工知能、あるいは量子技術など最先端の技術の分野でも協力をするとされており、中国に対する多角的な牽制の枠組みとなっている一面も否定できないんだというふうに思っています。

 米中対立の長期化が必至な状況の中で、米国は豪州に加えて英国をその戦列に加えることができる、また、豪州は中国に対する抑止的な観点から格段に強化できる、そしてまた、EU離脱後に新たな市場を求めている英国にとってもインド太平洋地域への進出というものは足がかりになるというような分析もあります。

 しかし、AUKUS発足の際、インドネシアとマレーシアからは警戒感を示す反応もありました。マレーシアと中国との間では南シナ海の係争海域がありますが、豪州が原潜を保有することにより軍事的緊張が高まることを歓迎しないということだろうというふうに思います。

 三月のAUKUS首脳会議で豪州の原潜導入について具体的な道筋が示された際にも、インドネシアとマレーシアなど近隣国は、豪州の原潜導入やAUKUSの枠組みそのものが地域の軍拡競争につながるとの懸念も表明されております。

 一方、先月、中国外相はASEAN事務総長に対して、東アジアに対する域外国のいかなる干渉からも自由、平和かつ中立的な地帯を設立することを目的とした東南アジア平和・自由・中立地帯構想の一環として位置づけられております東南アジア非核兵器地帯条約に署名をする用意があるというふうにも述べております。

 域外国の、大国の争いから中立を守ろうとするASEAN諸国のAUKUSの見方や、東南アジア非核兵器地帯条約の存在について、政府がどのように分析をしているのかお聞きをしたいのと、そしてまた、我が国が、AUKUSの一員である豪州、英国と、今般協定の締結のように安全保障協力を強化することについて、周辺国、特にASEAN諸国の反応はどんなことなのか、分析をしているのか、お聞きをしたいというふうに思います。

岩本政府参考人 このAUKUSにつきましては、ただいま委員から御紹介ありましたとおり、一部のASEAN諸国から様々な反応が示されているという具合に承知をしております。

 その上で、このAUKUSに参加している三か国は、これも先ほど委員御指摘ありましたけれども、そもそもAUKUSの取組がインド太平洋地域の平和と安定に貢献するものであるということ、そして、通常兵器搭載型の原子力潜水艦能力に関する計画、これは、この三か国として核不拡散上のコミットメントを実行するものであって、引き続き、IAEAと関連の協議を行うということを強調しておりまして、この点をASEAN各国を含む関係国に繰り返し説明を行ってきているという具合に考えております。

 その上で、日本政府としましては、引き続き、AUKUSの三か国とASEANを含む関係各国との間で緊密に意思疎通が行われて、AUKUSの取組に対する理解が一層深まっていくことが重要だろうという具合に考えております。

 また、先ほど御紹介のありました東南アジア非核兵器地帯条約、これにつきましては、我が国としましては、東南アジアにおける平和と安定、そして国際的な核軍縮の進展に資するものであるという具合に考えております。また、AUKUSの取組自体に対して、我が国としましては、インド太平洋の平和と安定に資するものであると考えて、一貫して支持してきております。

 したがいまして、今後も、こういった立場も踏まえつつ、ASEANを含めて、このAUKUSの在り方については関係国と緊密に意思疎通等をしていきたいという具合に考えております。

伊藤(俊)委員 重要なところなので、しっかりと分析をしていただきたいというふうに思います。

 関連をして、もう時間がほとんど迫っておりますので、最後に、今回の協定における対中関係についても一言お聞きをしたいというふうに思います。

 英中関係については、昨年十一月に、英国スナク首相が外交演説で黄金時代は終わったと述べており、また、豪州をめぐっては、本年三月に、米英豪三か国の安全保障協力の枠組み、AUKUSが豪州への原潜の配備を合意したことを受けて、中国が強く反発をしたというふうに報じられております。

 そうした状況の中で、今回の円滑化協定の締結が中国に与えるメッセージについて、また、昨年十二月の国家安全保障戦略において、中国の動向をこれまでにない最大の戦略的な挑戦と位置づけられていることもあり、間違っても中国に対中包囲網の一環と受け取られることのないようにしなければいけないとも思いますけれども、最後に、浜田防衛大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。

浜田国務大臣 円滑化協定は、一方の国の部隊が他方の国を訪問して実施する共同運用や演習、災害救援等の協力活動を円滑化するためのものであり、中国を含め特定の国を念頭に置いたものではございません。これをしっかりと、またいろいろな形で情報発信していきたいというふうに思います。

伊藤(俊)委員 非常に重要なところだと思います。大臣の一言のメッセージ、一言一言がまた関係諸国に関係していくことだと思いますので、より慎重にメッセージを発していただきたいというふうに思います。

 時間がちょうど来ますので、ここで次に移りたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣邦男です。よろしくお願いいたします。

 本日の案件、円滑化協定、二つの法案は大変重要な法案だという認識を持っておりますが、ただ、地元沖縄では非常に、近々、大きな課題を抱えておりますので、大変申し訳ありませんが、今日はその案件について質疑をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 ここ数年、台湾有事という言葉が非常に多く取り上げられております。

 初めに二点確認をしておきたいのですが、まず一点目です。台湾有事というものが発生する可能性について政府はどのように考えられているのか、その根拠と併せて伺いたいと思います。

 二点目、そもそも台湾有事というのはどういった状態を指すのか。浜田大臣は、海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安定にとって重要だと述べられております。そうであるならば、台湾有事というのは、台湾海峡における武力衝突が起きている状態という考え方でいいのかどうか。政府における台湾有事の定義についてお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 いわゆる台湾有事について、政府として確立した定義があるわけではありませんが、いずれにせよ、政府としては、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要と考えており、台湾をめぐる問題について対話により平和的に解決されることを期待するというのが従来からの一貫した立場でございます。

新垣委員 安倍元総理が、台湾有事は日本有事と発言をし、最近では法務大臣が、沖縄選出国会議員のパーティーの場で、台湾有事は沖縄有事だと述べたと報じられているんですね。防衛大臣も同様の認識なのか、どうなんでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の発言については承知をしておりますが、コメントすることはいたしません。

 いずれにせよ、政府としては、台湾海峡の平和と安定は、我が国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要と考えており、台湾をめぐる問題について対話により平和的に解決することを期待するというのが従来からの一貫した立場であります。

 私もそう思っております。

新垣委員 恐らく法務大臣も、台湾有事は沖縄有事だと言うだけの話ではなかったと思います。ただ、地元マスコミでは一行なんですね。法務大臣が、台湾有事は沖縄有事だという発言をされると、これはもう県民にとって、えっという話になるわけですね。ですからお聞きしたんですが、防衛大臣は、そういうことではないよという認識でよろしいですか。

浜田国務大臣 はい、そのように思います。

新垣委員 そういう台湾の海峡の問題で、浜田大臣は、一昨日、四月四日の閣議後の記者会見で、日米韓の三か国による北朝鮮を念頭に置いた共同訓練については、ルールに基づく国際秩序を強化していくものだという意義を強調いたしました。これに関連して、ならば、台湾海峡において、仮に台湾有事を念頭に置いた、日本、アメリカ、台湾の共同訓練が行われる可能性はあるのかどうなのか。

浜田国務大臣 御指摘の日米台共同訓練について、現時点で具体的な計画はなく、仮定の質問にお答えすることは差し控えたいと思います。

新垣委員 是非、そういう訓練が行われないよう、私としては切に願うものであります。

 次に、日本と台湾、アメリカと台湾の間には国交、正式な外交は当然ないという認識は持っております。

 外務省によると、非政府間の実務関係として維持しているというのが日本の基本的立場だということですが、アメリカと台湾は、二〇二一年三月、日本の海上保安庁に当たるアメリカ沿岸警備隊と台湾海岸巡防署が協力覚書に署名をしております。同時に、日米間においても、二〇一〇年九月に米国沿岸警備隊と海上保安庁との間の覚書を署名、交換し、共同オペレーションや情報共有、交換がなされております。

 そこで、海上保安庁にお聞きをしたいんですが、海上保安庁と台湾海岸巡防署との間で類似の覚書というのは交わされているんでしょうか。されていないのであれば、その理由は何なのかなという質問であります。

勝山政府参考人 海上保安庁と海洋委員会海巡署との間において覚書はございませんけれども、日本台湾交流協会と台湾日本関係協会の間で、二〇一七年に海難捜索救助分野の協力に関する覚書、二〇一八年に密輸及び密航への対策に係る協力に関する覚書がそれぞれ署名されており、日本台湾交流協会からの協力要請を受け、海上保安庁は、年一回程度の実務者を交えた会合にオブザーバーとして参加するなど、必要な協力を行っております。

新垣委員 そういう認識だと思いますが、ただ、海上保安庁法第二十五条に照らした場合、海上保安庁と海上自衛隊による共同訓練、又は海上保安庁がパシフィック・パートナーシップやリムパック合同演習のような多国間の軍事演習に参加することはできないと私は認識をしているんですが、海上保安庁の見解を伺いたいと思います。

勝山政府参考人 海上保安庁法第二十五条は、警察機関である海上保安庁が非軍事的性格を保つことを明確化した規定ですけれども、同法が定める所掌事務の範囲内であれば、海上保安庁が自衛隊との共同訓練に参加することは可能でありまして、現に実績もございます。

 海上自衛隊とは、捜索救助や海賊対処の共同運用に加え、各種共同訓練を実施し連携を深めており、例えば、不審船に係る共同対処訓練については、平成十一年度以降、計二十五回実施しております。

 海上保安庁といたしましては、引き続き、警察機関として、自衛隊を始めとする関係機関等と緊密に連携してまいります。

新垣委員 今の答弁では、あくまでも警察機関だということで、海上自衛隊とは役割分担が違うんだよという認識でよろしいですか。

勝山政府参考人 御認識のとおりでございます。

新垣委員 パシフィック・パートナーシップは、アメリカ海軍と沿岸警備隊が、日本など同盟国、友好国と人道支援、災害対策の合同演習を行う年次計画で、二〇二二年、十七回行っております。海上自衛隊によると、昨年七月十五日から十九日にパラオ沖で行われた合同演習には、海自の護衛艦「きりさめ」、そしてアメリカ海軍病院船マーシー、同沿岸警備隊の巡視船マートル・ハザード、イギリス海軍哨戒艦テイマー、さらには、パラオ海上保安巡視船ケダムと合同演習を行ったとされております。

 台湾紙やパラオ紙によると、この合同演習に、台湾海岸巡防署の巡視船、台南艦が、三十七名の乗組員とともに、七月十五日から十九日まで参加したと報じられているんですね。そうなると、自衛隊も台湾の巡視船と一緒に演習を行ったのかなと思うんですが、この辺はどうなんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 パシフィック・パートナーシップは、米国が主催する、アジア太平洋地域で医療活動、文化交流等を行い、参加国の連携強化や国際災害救援活動の円滑化等を図る活動でありまして、昨年七月にパラオで実施された捜索救難訓練においては、日本からは護衛艦「きりさめ」が参加いたしました。

 この点、米国が主催した当該訓練は、複数のグループに分かれて実施されたところ、我が国の護衛艦「きりさめ」が参加した訓練プログラムには、台湾からの参加はございませんでした。

新垣委員 台湾からの参加がないということは、今後自衛隊も、当然、台湾の巡視船と一緒に演習をやるということはないということでよろしいんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年七月にパラオで実施されましたパシフィック・パートナーシップの中の捜索救難訓練におきましては、日本からは護衛艦「きりさめ」が参加いたしました。当該訓練におきましては、複数のグループに分かれて実施されたところ、我が国の護衛艦「きりさめ」が参加した訓練プログラムには、台湾からの参加はございませんでした。

 いずれにせよ、台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、一九七二年の日中共同声明にあるとおりでありまして、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの一貫した立場に何ら変更はございません。

新垣委員 分かりました。

 では、米海軍が主催する環太平洋合同演習、リムパックですが、世界最大級の多国間演習とされております。昨年夏にハワイ沖で実施されたリムパックでは、自衛隊が存立危機事態を想定した実動訓練を初めて実施したと当時の岸防衛大臣が発表しております。

 二〇二四年のリムパックに台湾を招待するとの内容が、アメリカの二〇二三年会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法に盛り込まれているようであります。仮にリムパックに台湾軍が参加した場合、日本、台湾間で安全保障上の協力取決めがない中、自衛隊の参加は国際的に問題になるのではないかと思っているんですが、正式な外交関係を持たない日本と台湾が多国間の軍事演習に共に参加をするということは考えられないんですよね。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 多国間共同訓練、リムパックは、米海軍の主催によりまして二年に一度実施される世界最大級の多国間共同訓練でございまして、米海軍の発表によりますと、リムパック二〇二二では、過去最多となる二十六か国が参加したと承知しております。

 このリムパック、一か月以上にわたりましてハワイ諸島、その周辺海空域で行われまして、様々な訓練項目がございまして、それぞれごとに訓練の内容等、参加国が決まるものと承知しております。

 自衛隊は、戦術技量の向上及び米国を始めとする同盟国、同志国等との連携強化を図るため、本訓練に二〇二二年、参加いたしました。御指摘の二〇二四年のリムパックにつきましては、我が国として現時点で具体的な計画は承知しておらず、仮定の質問にお答えすることは差し控えます。

 いずれにせよ、台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、一九七二年の日中共同声明にあるとおりでありまして、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの一貫した立場に何ら変更はございません。

新垣委員 これまでの考え方と何ら変更はないということなんですが、私がなぜ今この台湾有事の話をするかというと、実は、私の知人に台湾政府に勤めている知人がいて、彼と話をすると、何で日本はそんなに、台湾有事、台湾有事と騒ぐんだ、台湾の、国民というんですかね、市民は、一部そういう考え方もいるけれども、ほとんどそういう認識は持っていないよ、だから安心して来たらいいんじゃないかと。

 ただ、台湾有事、台湾有事という形であおられると、特に南西諸島そして沖縄は、今、自衛隊基地が増強され、やがてミサイルが配備されるのだろうと言われております。そうなると、台湾有事が本当に起こるんじゃないかという懸念があるわけですね。

 だから、そういう意味では、これは私の提案ですが、もう台湾有事という言葉は使わない方がいいんじゃないかと。台湾問題とか、台湾海峡に関する問題とか。今、マスコミも台湾有事、台湾有事と頻繁に言っているんですが、本来ならば、台湾有事ということは今起こらないんじゃないのと。分かりませんよ、将来的には分かりませんが、それを先行して言われると、国交もないのに、今お話をずっと聞いていたら、台湾有事という定義がないんだと大臣もおっしゃいました、そして、合同演習もほとんどやっていないんだと。事務的な、そういう関係はあるけれども、やっていないというのであれば、私は、もう台湾有事という言葉はやめた方がいいんじゃないかと。

 おまえに言われる筋合いはないと言うかもしれませんが、やはりこれは大事なことなので、是非、大臣、その件に関して最後に、私が提案したことについて、どうでしょうか。

浜田国務大臣 我々とすれば、この国を守るということが我々の責務でありますので、あらゆることを考えながら物事を言葉にしていかなければいけないというふうに思っております。先生のおっしゃる点、確かに、我々もしっかりとそれは考えながら、そして慎重に物を言っていかなければならないというふうに思っておりますので。

 ただ、いろいろ中国の今までの動向等を見てということであるならば、そういったことも頭の隅には置いておかなければならないのかもしれませんが、確かに、おっしゃられるように、言葉によっていろいろな影響が出るということをしっかりと我々は考えてやっていかなければならないと思っておりますので、先生の御指摘を大変重要に思いながらやっていきたいというふうに思います。

新垣委員 よく政府は、安全保障の環境が大変厳しいと。それはそうだろうと思います。ただ、言葉が独り歩きすると、非常に迷惑というんですかね、影響を与える人たちがいるということは是非認識をしていただきたいと思います。

 次に、四月二日の陸上自衛隊石垣駐屯地開設記念式典後の記者会見で、浜田大臣が駐屯地開設の意義を問われて、抑止力、対処力を高め、我が国への攻撃の可能性を低下させ、県民、国民の安全につながるとお答えをしております。

 一方、沖縄県議会は、三月三十日の定例会最終本会議で可決した意見書の中で、抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、不測の事態が生ずる危険性が増すことへの懸念は拭えない、反撃、敵基地攻撃能力による攻撃は、相手国のミサイル等による報復を招くことは必至で、沖縄が再び標的にされるとの不安が県民の中に広がっていると指摘をしております。抑止力ではなく、対話と外交による平和構築を求めていますと。

 私は、この沖縄県議会の意見書こそ、県民の多数意見を代弁したものだと思いますが、大臣の御所見をお願いしたいと思います。

浜田国務大臣 令和五年三月三十日に、沖縄県議会において政府に対する意見書が決議されたものと承知をしております。

 当該意見書においては、政府に対し、アジア太平洋地域の緊張を強め、沖縄が再び戦場になることにつながる南西地域へのミサイル配備など軍事力による抑止ではなく、外交と対話による平和の構築に積極的な役割を果たすこと等について要請がなされているものと承知をしております。

 政府としては、我が国の平和と繁栄、自由で開かれた国際秩序の強化のために、まず優先されるべきは積極的な外交の展開であると考えており、国家安全保障戦略においても、我が国の安全保障の第一の柱は外交力であることを掲げました。

 他方、国家安全保障の最終的な担保は防衛力であり、国際社会の現実を見れば、この機能は他の手段では代替できるものではありません。

 今般の防衛力の抜本的強化は、力による一方的な現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、我が国の抑止力、対処力を高めることで我が国への武力攻撃そのものの可能性を低下させるものであり、沖縄県民を含む我が国国民の安全につながるものと考えているところであります。

新垣委員 先日、林外務大臣が中国に行ったということですから、是非そういうことを頻繁にやっていただいて、やはり対話を重要視をしていただきたい。やはりこれが平和外交につながると私は思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

 次に、安保関連三文書の閣議決定以降、下地島空港の軍事利用を解禁すべきとの論調がかなり出ております。自民党の参議院議員の先生が沖縄県管理から国管理へと移管するよう主張し、浜田大臣も、自衛隊が平素から多様な空港を柔軟に利用できることが重要との考えを示し、下地島空港も含めるという発言があったのかなと思いますが、下地島空港の軍事利用を否定した過去の屋良覚書、そして西銘確認書について、政府、防衛省として、二〇一三年に提出された照屋寛徳前衆議院議員の質問主意書に答弁書で示した政府見解を変えたということなのかなということで、私は非常に心配をしております。

 また、沖縄県の玉城デニー知事は、去る一月二十四日の記者会見で、屋良覚書と西銘確認書については、ある種、県と政府の独自の協定、それに準ずるような確認が行われているとした上で、何かの法律を盾に県の使用方針を制限するなどの権利はないとも言っていると述べておりますが、防衛省の認識も同じと考えてよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 政府としては、一九七一年、昭和四十六年当時や、御指摘の二〇一三年、平成二十五年当時からも変更なく、現在においても下地島空港の利用についての調整の権限は管理者である沖縄県が有していると考えております。

 その上で、一般論として申し上げれば、防衛省としては、我が国防衛上、多様な空港、港湾等を運用基盤として利用することは有用であり、これらの施設を平素からの訓練も含め柔軟に利用できることが重要と考えております。

 例えば、輸送手段が船舶や航空機に限られる先島諸島には、部隊運用上の有用性が高いものもあるため、公共インフラの整備や利用に当たっては、防衛省のニーズを反映できるよう、各関係省庁と積極的に議論をしていく考えであります。

 いずれにせよ、自衛隊が運用上有用性が高い施設を平素から柔軟に利用できるよう、関係省庁や地方自治体、関係団体から御協力をいただけるように努めてまいりたいと考えております。

新垣委員 今の御発言は、当然管理は県がやっているんだから、それには別に、抵抗するというんですかね、それは何も変える必要はないと思っているけれども、万が一有事あるいは必要性があればそれを使いたいという趣旨なんでしょうか。

浜田国務大臣 我々とすれば、あらゆる機会を通じて地方自治体にもお願いをしているところであって、その理解がなければ、これを前に進めるのは大変難しいというふうに思っていますし、これからもいろいろな形で協議をさせていただきたいというふうに思っています。

新垣委員 この屋良覚書、西銘確認書というのは非常に重要だと思っておりますので、是非慎重な対応をお願いしたいと思います。

 次に、普天間基地の話なんですが、私の地元事務所は普天間基地の隣にあって、普天間基地のフェンスから直接距離で数百メートル、まさしく目と鼻の先にあるんですね。ここ数年、普天間基地内で滑走路や建物の工事が頻繁に行われているんですよ。地域住民の皆さんからもそういう情報が届いているんです。

 そこでお尋ねしたいんですが、普天間基地で実施された直近五年分の工事について、いかなる工事が行われているのか。年度毎に工事概要と金額について伺いたいと思います。そして、それらの工事は防衛省の予算なのか、米軍直轄工事なのか。防衛省予算で行われたのであれば、思いやり予算、米軍再編関係経費などを是非お示しをしていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

川嶋政府参考人 お答えをいたします。

 防衛省におきましては、普天間飛行場補修事業といたしまして、当該飛行場が移設されるまでの間、安全な運用の維持などを図るため、必要最小限の補修を平成二十五年度から実施してございます。

 平成二十九年度から令和三年度の五年間に補修事業として実施された工事を完成年度別に集計いたしますと、平成二十九年度は、教育施設、工場、雨水排水施設及び汚水排水施設の改修として約三十四億円、平成三十年度につきましては、雨水排水施設及び格納庫の改修として約十四億円、令和元年度につきましては、雨水排水施設改修として約四億円、令和三年度は、保安施設及び格納庫用の駐車場の改修として約二億円となってございます。

 これらの防衛省予算の経費区分につきましては、平成二十九年度から令和元年度までは在日米軍駐留経費負担として、令和三年度は米軍再編関係経費として支出してございます。

 また、米軍の直轄工事としては、防衛省において把握しているものとしては、平成二十九年度は滑走路等の改修、令和の元年度はユーティリティー等の工事が実施されたものと承知をしてございます。

 以上でございます。

新垣委員 詳細について資料をいただきましたが、ただ、見ていると、結構建物が建っているんですね、建て替えられて。三年ぐらいになるんですが、ずっとそれが、なかなか進捗していないんですよ。普通、建物というのは一年ぐらいでできるんじゃないかなと思っているんですが、住民の皆さんからは、上だけじゃなくて地下にも何か造るんじゃないの、だから上が遅れているんじゃないかという懸念を持っていらっしゃるんですね。

 直近では約二億ぐらいという話なんですが、これはどうなんだろうと。この辺を是非、ちょっと確認をしたいなと思います。

川嶋政府参考人 お答えをいたします。

 施設の整備というものにつきましては、一般的には二年から三年、物によっては四年ぐらいをかけて実施されていく場合が多うございます。当年度の支出によって当年度に完成するというものもないわけではございませんが、およそ防衛省の施設、あるいは米軍の施設も同様だと思いますけれども、複数年度にわたりまして支出及び工事が続いている、そういうものが一般的でございます。

新垣委員 要するに、軍事施設、防衛施設は結構年数がかかるよということですね。分かりました。

 次に、去る三月二十四日の閣議で、特定防衛施設周辺整備調整交付金、いわゆる九条交付金の金額の算定基準について、施設内での航空機の地上移動や整備に伴う音響、航空機の運用や管理によって生じる臭気の影響を新たに加えることが決定をし、四月一日から施行されております。これによって、嘉手納町、宜野湾市、那覇市など、これまでの対象になっている県内市町村への交付額が増える可能性があるようですが、算定基準を追加した理由は何でしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の特定防衛施設周辺整備調整交付金、いわゆる九条交付金でございますけれども、これの算定の基礎等の見直しを行いましたのは、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増し、自衛隊及び米軍の活動が拡大、多様化する中におきまして、防衛施設の運用の態様でありますとか、それに伴う周辺地域への影響をよりきめ細かく反映するために見直しを行ったところでございます。

 例えば、近隣住民に継続的に著しい影響を与えている事項について新たに評価をすることといたしまして、先ほど委員からも御指摘がございましたけれども、具体的には、航空機の整備等によります騒音でありますとか臭気、こういったものについて、交付金の算定において評価すること等の見直しを行ったところでございます。

新垣委員 後でちょっと確認をしたいんですが、前回、嘉手納町のパパループの件を質問したんですけれども、結構臭気がひどい、騒音もひどいということがあるんですが、そういうことを念頭にやったのかなと思ったんですが、後ほどまた確認したいと思います。

 米軍や自衛隊の活動が県内で飛躍的に拡大をしております。その影響や被害は基地所在市町村に限らず、その周辺自治体、更に言えば、沖縄県全土まで波及をしていると思っております。

 そこで、防衛省にお聞きをしたいんですが、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律、環境整備法の九条に定める「当該周辺地域を管轄する市町村」というのは、基地所在市町村に限定されているんでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 特定防衛施設周辺整備調整交付金、いわゆる九条交付金でありますけれども、この対象となります特定防衛施設関連市町村、これにつきましては、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律第九条の規定に基づきまして、防衛施設の設置又は運用が周辺地域の生活環境又は開発に及ぼす影響の程度及び範囲等を考慮して指定をしております。指定に当たりましては、その対象を基地所在市町村に限定しているものではございません。

新垣委員 じゃ、基地を持っていない市町村にも該当するという認識でよろしいんですか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、特定防衛施設関連市町村の指定に当たりましては、防衛施設の設置、運用による影響として個別具体的に判断をしてございますので、その対象を基地所在の市町村に限定しているものではないということでございます。

新垣委員 以前は基地所在市町村に限定とほとんど言われておりました。そこで、私は、九条交付金については、算定基準の追加に加えて、対象市町村を米軍基地がない自治体にまで面的に拡大することも検討すべきじゃないかと。

 私が抱えている中部という地域は、普天間基地、嘉手納基地を抱えております。実は、二つの村と町は基地がないんですね。ところが、普天間基地から隣接しているので、非常に騒音が激しいんですよ。ですから、そういうところもあるので、今、基地所在市町村に限定されていないということでありますから、基地がなくても影響は受けているという市町村があれば、是非、その意見を聞いていただいて、拡大することを大臣に検討していただきたいと思います。

浜田国務大臣 先ほど答弁があったとおり、特定防衛施設関連市町村は、法令に基づき、防衛施設の設置又は運用が周辺地域の生活環境又は開発に及ぼす影響の程度及び範囲等を考慮して指定しております。これについては、防衛施設の設置又は運用による影響について、騒音の影響等を勘案した上で、個別具体的に判断しております。

 防衛省としては、これまでも法令を適切に運用し指定を行ってきたところであり、対象とならない自治体については、個別の状況を踏まえたものであることを御理解いただきたいと思っているところであります。

新垣委員 是非、そういう声が私に届いているので、よろしくお願いしたいと思っております。

 次に、防衛施設周辺放送受信事業補助金交付要綱に基づいて、NHK放送受信料のうち、地上波放送分の半額助成制度が実施をされておりますが、嘉手納基地は対象であるにもかかわらず、普天間基地は対象外となっているんですね。

 私は、周辺地域に住んでいる住民の皆さんといろいろ意見交換をしたら、民放は見れない、NHKは見れるけれども、NHKは見れない、民放は見れるけれどもと、頻繁にテレビの障害があるんだということを聞いているんですよね。

 ただ、平成二十四年、二〇一二年ですね、質問主意書に、そういう見直しを是非やってもらいたいということを出しているんです。防衛省としては、必要な検討を進めてまいりますという答弁なんですが、あれから、十年前と違って、今や、制度創設時には想定していなかったオスプレイが常駐機として重低音をまき散らしております。ですから、十年前と違うんですが、要はひどくなっているという状況なんですが、十年たってその結論は、検討は終えて結論は出たんでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、ジェット航空機の飛行に伴う騒音によるテレビの聞き取りにくさが発生していることを踏まえまして、基準を満たした自衛隊等の飛行場等の周辺地域におきまして、放送受信料の半額相当の補助金を交付しているところでございます。

 この制度につきましては、先ほど委員からも御指摘ございましたように、その開始から約四十年が経過をしており、当時と現在において、飛行場等における配備機種の変更等によりまして騒音状況が変化しているところでございます。

 現在、防衛省においては、音響が専門である学識経験者から伺った意見等を踏まえて検討を行いまして、制度の在り方について見直し作業を行っているところでございます。

 引き続き、しっかりと検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

新垣委員 今あったように、十年前とは本当に環境が激変している状況でございます。今その見直しを行っているということですから、できれば具体的に、いつ頃までにはやるよということを、是非そのお答えをいただきたいなと思います。今日は、すぐにはできないはずですから、もう十年たって、検討するということですから、検討結果を早めに出していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 次に、先ほど言ったんですが、嘉手納基地の話です。

 非常に今、住民の皆さんからいろいろな声をいただいているんですが、嘉手納基地の外来機の暫定配備によって、周辺地域の騒音が本当に激化しております。特に、戦闘機騒音が最高クラスと言われているF15Aステルス戦闘機は百十デシベルの爆音をまき散らして、地元の皆さんが本当に大きな反発をしているんです。

 ちょっとお尋ねしたいんですが、嘉手納基地のF15戦闘機が退役をいたします。暫定配備をされている戦闘機は今いかほどなんでしょうか。そして、嘉手納基地には、現在、常駐機と合わせてどれほどの軍用機が配備をされているのか。F15が撤退して、その後どうなるのかということですね。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納飛行場におきましては、能力強化が必要となっているF15の退役に伴いまして、当面、より能力の高い戦闘機が暫定的にローテーション展開されることとなってございます。ローテーション展開が始まった昨年十一月以降、F22戦闘機、F16戦闘機及びF35A戦闘機がそれぞれ飛来してきていることを確認してございまして、目視調査による把握に基づきますが、昨日時点でありますけれども、嘉手納飛行場における戦闘機の機数は約六十機程度というふうに承知をいたしているところでございます。

 米側からは、交代の間、嘉手納における戦闘機の機数が一時的に増加する可能性があるというふうに聞いておりますが、最終的には元に戻るとの説明を受けているところでございます。

 その上で、ローテーション展開に当たっては、米側に、夜間、早朝の飛行を避けるなど航空機騒音規制措置を遵守するとともに、戦闘機の総数が一時的に増加する期間を極力短くするなど、周辺住民に与える影響が可能な限り少なくなるように配慮を求める旨の申入れを行っているところでございます。

 これに対して、米側からは、暫定的にローテーション展開する部隊を含めまして、騒音規制措置を含む日米間の合意を引き続き遵守すること等について説明を受けているところでございます。

 防衛省としては、引き続き、米側に対しまして、外来機を含む航空機の運用に当たりましては、安全な飛行の確保に努めるとともに、航空機騒音規制措置の遵守を徹底し、地元への影響を最小限にとどめるよう求めてまいりたいと考えております。

新垣委員 やはり、毎回その話は出るんですが、米軍に申し入れてもなかなか聞いてもらえていないんじゃないかという思いがするんですね。F15がいなくなったと思えばF35が来るし、F16も来て、F22も来るという話になると、F15以上に大変な状況になるなという思いをしております。

 ですから、やはり、百メートルもないわけですから、住民地域とは。この辺は強く米側に申入れをしていただきたいなと思っております。本当に、住民の皆さんの声というのは切実、悲痛なんですよ。是非そのことはお願いをしたいと思っております。

 あと、同じ嘉手納の、パパループの地区の米軍機の使用禁止を求める決議と意見書を嘉手納町議会は全会一致で可決をしております。前回も質問をしたんですが、防錆整備の格納庫の移転計画、これについても今米側と調整中だということですが、これに関しては、どうなんでしょう、進展はしているんでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の防錆整備格納庫の建設計画につきましては、これまで、米側との間におきまして、様々なレベルで集中的に協議や、日本側より具体的な提案をしながら、働きかけを行ってきているところでございます。

 特に、本年一月の日米防衛相会談におきましては、浜田大臣からオースティン長官に対しまして、本件について、日米間で連携して丁寧に対応していく必要がある旨を伝達しているところであります。

 これ以上の具体的な協議等の内容につきましては、現在も協議等が継続中でございまして、米側との関係もございますので、お答えできないことを御理解いただきたいというふうに思いますが、その上で、嘉手納町長から直接御要請もいただいているところでございますので、嘉手納町の御懸念を十分に踏まえながら、引き続き、米側と緊密に連携を図りながら、問題の早期解決に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

新垣委員 そうなんですよね、町長始め、本当に町民の皆さんが非常に心配をしている状況ですから、早急に話合いを深めていただいて結論を出していただきたいと思っております。

 さらに、パパループの一時使用の根拠となっている第三五三特殊作戦群の駐機場の拡張工事というのは、これは一体いつ終わるのかなと思って、このことも是非お答えいただきたいと思います。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました三五三の特殊作戦航空団の新しい整備格納庫についてでございますけれども、この新しい格納庫が整備されるまでの間、米軍機のパパループへの一時駐機等が行われておるということで、地元の皆様方に御負担をおかけしているところでございます。

 この格納庫の整備につきましては、嘉手納町からの要請も踏まえまして、米側に対し、大臣からの働きかけも含めまして、累次の機会に、格納庫を整備するための予算の確保と速やかな工事の着手を強く働きかけてきたところでございます。

 その上で、二〇二四米会計年度の予算案におけます国防省の要求の中に、本件格納庫の整備に係る経費が含まれているものと承知をいたしております。

 今後の予算プロセスを踏まえる必要がございますけれども、引き続き、米側に今後の計画の詳細を確認してまいりたいというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、嘉手納飛行場周辺の騒音でありますとか悪臭の軽減を図るといったことにつきましては重要な課題であるというふうに認識をいたしておりまして、米側に対し一層の協力を求め、可能な限り地元の負担軽減が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

新垣委員 こういう質問をすると、毎回同じような答弁なんですが、地元にとっては何ら変わらないという状況がずっと続いているんですね。ですから、かなり努力はなされているとは思いますが、やはり結果が出ないと県民、住民はなかなか納得できないということがございますので、引き続き、是非強力に、その話合いというんですか、問題解決についてはよろしくお願いしたいと思っております。

 最後に、先ほどの九条交付金の算定の拡大なんですが、音響、悪臭の追加ということなんですけれども、これは私、心配しているのは、パパループ地区から発生するエンジン調整音や悪臭を想定したものではないかなとちょっと懸念を持っています。

 嘉手納町に対して、九条交付金を積み増すからパパループの使用は認めてちょうだいよとか、防錆の整備の格納庫の移転も大目に見てちょうだいよというような話をされると、これはまた、先ほど来、ないとは思いますが、是非この辺の、大臣から、そういうことはないんだということを明確に答弁をお願いしたいというのと、今回の算定基準拡大で積み増しされた九条交付金というのは、パパループの恒常的な使用を念頭に置いたものじゃないですよねということも、是非大臣から、いや、そうじゃないんだという、お願いをしたいと思います。

浜田国務大臣 今回の見直しは、我が国を取り巻く安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増し、自衛隊及び米軍の活動が拡大、多様化する中において、防衛施設の運用の態様やそれに伴う周辺地域への影響をよりきめ細かく反映するために行ったものであり、御指摘のような個々の防衛施設における評価につきましては、周辺地域に与える影響をしっかりと確認した上で、その程度に応じて適切に行っていくこととしておるところでございます。

新垣委員 ありがとうございます。

 法案質疑ではありませんでしたが、大変申し訳ありませんでしたが、県内の非常に複雑な状況を鑑みて、質問させていただきました。

 ありがとうございました。終わります。

鬼木委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。

 早速質疑をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、無人機の周波数帯の現状についてお伺いをさせていただきます。

 オーストラリア軍とイギリス軍が我が国を訪問した場合のドローン使用に関し質問したいのですが、その前提として、自衛隊や在日米軍のドローンの使用から質問をさせていただきます。

 我が国において使用される電波については、総務省が一元的に周波数を管理しており、防衛省・自衛隊が使用する無人機の周波数についても、自衛隊法第百十二条第二項に基づき、総務省から承認を得ていると聞いております。

 しかし、日本国内で自衛隊のドローンが使用できる周波数が狭いために問題が生じており、訓練で我が国を訪れた外国軍のドローンの使用にも問題が生じているという指摘がございます。

 また、例えば、明治大学市民社会と科学技術政策研究所研究員平田さんは今年一月に配信されたダイヤモンド・オンラインの記事で、そして、慶応義塾大学SFCの研究所の部谷さんはウェッジの二〇二三年三月号で、それぞれ分かりやすい記事で書かれております。

 配付資料は、我が党の同僚の和田議員の質疑ですが、※1を付した辺りのラインマーカーで囲った部分を読んでいただければ、おおむね世間で言われていることが分かります。

 平田さんの記事では、恐らくこれは民間についての説明だと思いますが、日本では世界でもまれなことにドローン操縦で無条件に使用できる電波の周波数は主に二・四ギガヘルツ帯に限られている、無線技士免許の取得や操縦ライセンス取得など様々な条件をクリアすれば、五・七ギガヘルツ帯や五・八ギガヘルツ帯といった、伝送容量と速度にたけたいわゆる五ギガヘルツ帯の周波数を使用する産業用機体などの利用も可能ではあるが、それにはコストや手間がかかるといったことが書かれています。

 自衛隊のドローンが適切な周波数を利用できていないという指摘については、当委員会でも三月九日に渡辺周先生が質問されていましたが、衆議院外務委員会では、三月十七日と二十九日に、先ほど申しました我が党の和田議員がかなり長く質疑をされています。配付資料はその和田議員の質疑です。

 ※のマークの2、3、4、5、7付近の、ラインマーカーで囲った部分で政府の答弁を紹介していますが、ありていに言うと、現状では問題ないという説明でありました。世間の指摘と政府の説明とはかなり食い違っているのですが、議事録の政府の説明を読んでも私は疑念が晴れません。疑念が解消されないのは質問者の問題意識に応える答弁になっていないからです。

 例えば資料の※7の部分で、既に承認をいただいている電波を使用することで対応が可能であれば一つ一つ承認を得ることがないと答弁されていますが、自衛隊の訓練であらかじめ承認されていない周波数を使う場合、つまり、一つ一つ総務大臣の承認を得る必要がある場合について言及がありません。和田議員の問題意識は、資料の※6の部分にもありますように、後者、つまり、一つ一つの承認手続を経なければならない周波数があるかどうかなのです。

 そこで、先日答えておられました上田審議官に私はもう一度問いたいと思います。自衛隊のドローンを使用する訓練で、あらかじめ承認を得ていない周波数を利用するために、訓練の都度、総務相の承認を申請することがありますか。あるのであれば、昨年と一昨年の訓練の都度承認をした件数と、うち、当初の申請どおりの承認を得られなかった件数を教えていただけますでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊の電波の使用の関係の御質問でございます。

 まず、防衛省・自衛隊におきます一般的な制度でございますが、例えば、ドローンも含めて、無線機やレーダー等電波を発する装備品、これを新たに導入する際、委員御指摘のとおり、自衛隊法百十二条に基づき、総務省に対して周波数の申請を行い、総務大臣の承認を得ているところでございます。平素行う訓練につきましてもそのような承認の範囲で使いますので、承認を得ている周波数を使用する際に、訓練の都度ですとか、あるいはドローンであればドローンを飛ばすたびに承認が必要となるような、そのようなことはまずございません。

 他方で、例えば日米の共同訓練といったかなり大規模な訓練、そういったような訓練を実施するに当たって、従来承認を得ている以外の周波数が新たに必要となる場合もあり得るところでございます。そのような場合、総務省と調整の上、訓練前に必要な周波数を確保して訓練を実施しているところでございます。

 まさに周波数の関係でございますので、委員御指摘の、運用に係る実績についての御質問でございますが、運用に係る内容でもございますので、具体的な件数というのを公表するのは控えさせていただきますけれども、御質問の令和三年一月から令和四年十二月までの間にそういった周波数の申請を行ったことはございます。そして、それについては全て防衛省の申請どおりの承認を得ているところでございます。

美延委員 今お答えいただきましたが、上田審議官が、資料※3で、今も言われていたように、必要な周波数を確保しているところでございまして、現在、周波数が原因で無人機の性能が適切に発揮されていないということはございませんということをこの間もおっしゃっておられます。普通に読めば、ほかの周波数も確保しているので問題がないという意味にも取れます。しかし、二・四ギガヘルツ帯でも問題がないという意味に読めなくもありません。

 そこで、お伺いいたします。自衛隊の偵察用無人機スキャンイーグルは、本国仕様、つまりアメリカ仕様では五ギガヘルツ帯で使用するものが、自衛隊向けでは二・四ギガヘルツ用に仕様が変更されているという指摘があります。これは端的にいきます。イエスですか、ノーですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊が使用しています装備、スキャンイーグルについての御質問でございますが、電波法上の制約によって五ギガヘルツ帯で使用するものを自衛隊向けに二・四ギガヘルツ帯に仕様変更したといった事実はございません。

美延委員 ございませんということなんですけれども。

 ここで浜田大臣にお伺いしたいんですけれども、例えば、先ほどの一問目にもその内容は答えられないということを言われていました。もちろん、こういう機密事項ですから、答えられないということは当然あってしかるで、私もそれはもう十分、十二分に理解できます。

 ただ、私がいつも問題意識で持って、これは毎回、この間の機密漏えい事件でも申し上げましたように、とはいいながら、じゃ、なぜ新聞に出たり、それから雑誌に出たりということが出てくるか。これはもうはっきり言って内部の誰かがリークしているとしか考えられないわけです。

 やはり、そこをしっかり、私は、大臣のリーダーシップで、そういうことが表に出ないような、内部で統制を図っていただきたいと思うんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

浜田国務大臣 自衛隊が使用する無人機は、任務や活動の目的に応じ適切に能力を発揮するため、必要な周波数を確保した上で使用をしております。

 一般論として申し上げれば、自衛隊の無人機が使用する周波数などの情報保全を徹底するとともに、教育等を通じて隊員の保全意識を維持強化することは重要であるというふうに考えております。

 また、自衛隊が使用する無人機の周波数に関する各種報道について、外部からの問合せ等に対し、引き続きできる限り丁寧に説明していきたいというふうに考えておるところであります。

美延委員 そこはしっかりよろしくお願いいたします。

 次に、米軍の電波適用の有無について伺います。

 日米地位協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律について、在日米軍の電波の使用について、電波法の規定にかかわらず、日米地位協定の定めるところによるとされています。そして、日米地位協定第三条二項では、「合衆国が使用する電波放射の装置が用いる周波数、電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、両政府の当局間の取極により解決しなければならない。」とされております。

 そこで、伺います。日米合同委員会では、在日米軍が使用する周波数についてどのように取り決めているのでしょうか。答弁の中で、米軍が五ギガヘルツ帯の電波を利用するために、日米合同委員会の合意以外に日本側の承認を受ける必要があるのか、日米合同委員会合意で全て定められている、別途承認手続を経ることなしに自由にできるのかも教えていただけますでしょうか。

豊嶋政府参考人 お答えをいたします。

 在日米軍の電波の使用につきましては、先ほど委員から御指摘がありましたように、日米安全保障条約の下、日米地位協定に基づき、日米両政府間の当局間の取決めによることとされており、日米の無線設備の間の混信防止の観点から、総務省と在日米軍との間で必要な調整を実施しております。

 具体的には、日米両政府間の取決めにより設置された日米合同委員会の下にある周波数分科会におきまして、在日米軍が使用を計画する周波数について、ほかの無線局との電波の混信がないことを確認の上、在日米軍の電波の使用を承認しております。全てこの手続に従って処理をしております。

 以上でございます。

美延委員 確認させていただきたいんですが、在日米軍のドローンの運用と民間での間で、いわゆる混信などは大丈夫なんでしょうか。

豊嶋政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、在日米軍の電波の使用につきましては周波数分科委員会において必要な調整をしておりますが、今委員御指摘のありました在日米軍が使用する無人機用の電波につきましても、総務省におきまして、国内の無線局との混信が生じないことを確認の上、承認をしております。

 これまでに混信が生じたという事例は承知をしておりません。

美延委員 ありがとうございます。

 自衛隊のドローン、そして我が国を訪問した米国軍以外の外国軍隊のドローンの周波数の利用についても、在日米軍と同じようなレベルの自由度を与えるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

豊嶋政府参考人 まず、自衛隊の活動に必要な周波数につきましては、先ほど来答弁申し上げたとおり、自衛隊法百十二条の規定に基づきまして総務大臣が承認をしております。

 また、外国軍隊が訓練のために本邦内に持ち込む無線設備につきましては、電波法に基づき運用することが可能となっております。

 一方、在日米軍につきましては、先ほど申したとおり日米安全保障条約に基づく手続となっておりますが、これは、対日防衛義務を負い、我が国に恒常的に駐留することから、訓練等のために一時的に無線設備を持ち込むその他の外国の軍隊とはその性質が異なるものというふうに認識をしているところでございます。

美延委員 分かりました。

 次に、オーストラリア及びイギリスの軍隊について伺います。

 共同訓練であれば防衛省と総務省が事前に調整できますが、これは、有事の際はどうなるのでしょうか。急を要する事態で同盟国、同志国の軍用機等が来援する際には、誰が総務省との周波数の調整を行うのでしょうか。

 また、今般の円滑化協定の趣旨が、共同訓練などの活動の実施を円滑化するために、相互訪問のたびに行っていた各種調整をあらかじめ定めておくことなのであれば、欧州軍や英国軍についても、共同訓練のたびに総務省と調整を行うのではなく、円滑化協定で、例えば演習地内で電波法の適用を除外するといったことを定めれば、より円滑に訓練が行えるのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

豊嶋政府参考人 お答えをいたします。

 まず、外国軍隊の訓練におきます本邦内の電波利用につきましては、事務手続上は、外務省を通じまして総務省に事前に連絡をいただき、電波法に基づいて調整をいたしているところでございます。

 また、これまで、外国軍隊が持ち込む無線設備の運用に関しまして、特段問題なく訓練等が実施されているものとして認識をしておりまして、今般、日豪、日英の円滑化協定の運用にも支障が生じるものとは考えておりません。

 今後とも、関係省庁ともよく連絡をしながら、外国軍隊の連携を円滑に実施できますよう、引き続き必要な周波数の迅速な確保に努めてまいりたいと考えております。

美延委員 ここでちょっと大臣にお伺いしたいんです。

 今、総務省さんの答えはそのとおりなんだろう、それは私も理解できます。ただ、例えば、先ほども言いましたように、有事の際にどうするのか、それから、やはり、日米同盟、日米安保とそこが違うというその理屈も私も理解できるんですけれども、やはり、日本のために役立っていただいているという、例えば今回の円滑化協定なんかも、言うたらその趣旨で法律を作られているわけですから、そこは防衛大臣が、リーダーシップを取ってもらって、もうちょっと柔軟に運用すべきと私は思うんですけれども、大臣の御所見、伺えますでしょうか。

浜田国務大臣 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中、もはやどの国も一国のみで平和を守ることはできないと考えます。

 御指摘のとおり、武力攻撃事態等において自衛隊と協力して我が国に対する武力攻撃を排除するため活動する外国軍隊に対し必要な支援を行うことは重要であると考えます。

 この点、国内法上の観点から申し上げれば、例えば、武力攻撃事態等に際しては、同盟国である米国以外の外国軍隊についても物品や役務の提供が可能であるほか、港湾施設や飛行場施設等についての利用調整の対象としており、こうした外国軍隊との行動の的確かつ迅速な実施を図ることとしております。

 引き続き、基本的価値、戦略的利益を共有する同志国と防衛協力、交流を進めていく中で、一層の連携強化を図ってまいりたいと考えております。

美延委員 なかなか言いにくいということは私も理解できますけれども、そこを是非、今、協力を図ると大臣もおっしゃられたわけですから、よろしくお願いいたします。

 次に、共同訓練における弾薬の提供についてお伺いをいたします。

 過去、日本国内で行われた共同訓練の際に、米軍以外の相手国軍隊は弾薬を持参しているのでしょうか。それとも、物品役務相互協定に基づくとして自衛隊が提供しているのでしょうか。

 今般の円滑化協定には武器弾薬を持ち込む手続を簡素化することも含まれていますが、燃料を提供し合うように弾薬についても提供し合えば、有事における相互支援のよい訓練になるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、日本国内で行われました外国軍隊との共同訓練においては、相手国軍隊が日本に弾薬を持ち込んだ上で訓練を実施してきております。

 なお、共同訓練の際に外国軍隊との間で弾薬を相互に提供することは、これまで行ってきておりません。

 その上で、防衛省・自衛隊は、自衛隊法の規定に基づき、アメリカやオーストラリア、イギリス等の各国の軍隊に対して、平素から訓練として弾薬を提供することができます。

 平和安全法制における弾薬の提供につきましては、平成二十七年九月十六日の平和安全法制の合意書、いわゆる五党合意において、「緊急の必要性が極めて高い状況下にのみ想定されるものであり、拳銃、小銃、機関銃などの他国部隊の要員等の生命・身体を保護するために使用される弾薬の提供に限ること。」とされております。

 御指摘の弾薬の提供の在り方につきましては、五党合意の趣旨を尊重し、適切に対処してまいります。

美延委員 次に、ウクライナに対して西側の諸国が多くの武器を援助していますが、その中で、弾薬の供給も大きな比重を占めています。我が国が仮に有事になってしまった場合にも、今回の協定の相手国であるオーストラリアとイギリスを含め、志を同じくする国々が援助してくださることは、これは想定すべきだと思います。

 その際、問題となりますのが弾薬の互換性であります。他国の弾薬との互換性の確保、つまり自衛隊の武器で他国の弾薬を発射できるようにすることについて、防衛省の基本的な考え方を教えてください。

 その際、ウクライナへの各国の支援で百五十五ミリりゅう弾砲の砲弾がよく話題になったように思いますが、日本が保有する百五十五ミリりゅう弾砲で他国の砲弾を使用できるのか、例として教えていただけますでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊で保有する弾薬のうち、国産弾薬は防衛省の規格に基づき製造しておりますが、同じ弾種におきましては、いわゆるNATO規格の弾薬と口径や長さなどの仕様がおおむね同等であり、これらについては互換性があるものと考えております。

 このため、自衛隊の装備品でNATO規格の弾薬を使用できる可能性は高いと考えておりますが、これまでは、安全性の観点から、念のため適合性の確認試験を一部の弾薬について実施してきているところでございます。

 委員御指摘の百五十五ミリりゅう弾砲の砲弾に関しましては、口径や長さなどの仕様がNATO規格の砲弾とおおむね同等でありまして、互換性があるものと考えておりますが、先ほど申し上げましたとおり、安全性の観点から、念のため適合性の試験を行うことが望ましいと考えているところでございます。

美延委員 大体いけるという話みたいですけれども、次に、小銃、機関銃などの小火器の弾薬の互換性についてお伺いをいたします。

 国産の小火器は多々あり、弾薬も国産のようですが、NATO規格のものと互換性があるものが多いようです。しかし、例えば八九式小銃の弾薬とNATO規格の弾薬は微妙に異なっていて、実は互換性に問題があるという現場の声もあるようです。撃てたとしても、いつも使っている国産の弾薬と射程や弾道が違えば、当然これは命中率も落ちると思います。

 また、戦車や装甲車などの搭載機関銃として使用される七四式機関銃は、NATO弾を使用しているものの、通常のNATO弾より装薬を減らしたものを使用しているため、米軍などが使用する通常のNATO弾をそのまま使用すると暴発や作動不良が起こる可能性があり、仮にそこを調整したとしても、射程や弾道が違うので命中が期待できないという指摘もあります。その他、九六式擲弾銃のように、規格そのものが異なっており、米軍のものと互換性がない小火器もあると聞いております。

 そこで、お伺いをいたします。弾薬を国産にすること自体に異議を唱えるものでもありませんし、よいことだと思うんですが、しかし、小火器の弾薬は、そもそも規格が異なっているのは無論のこと、おおむねNATO規格だが少し違っているものも含めて、これは完全に、やはり、同盟国、同志国と言うのであれば、NATO規格に合わせていった方がいいと思うんですけれども、御所見を伺えますでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の点は、自衛隊で使用する弾薬を完全にNATO規格に合わせた方がよいという御指摘と理解させていただきましたが、先ほど申しましたように、仕様、口径とか長さはおおむね同じでありますが、一部防衛省独自の規格を定めておるのは事実でございます。

 例えば、委員御指摘の小銃弾につきましては、日本人が火薬量の多いNATO規格の小銃弾を使用した場合、体格差の影響により照準が安定しない可能性があるため、防衛省規格におきましてはNATO規格よりも火薬量を減らしております。ある意味、威力と精度のトレードオフでどちらを取るかという考え方になっております。

 このように、防衛省の規格は自衛隊員が使用することを考慮して定めているところでございますが、他国の弾薬を使用する場合には、引き続き、先ほど申しました安全性を確認する試験をしっかり実施しまして、この試験をやることによりまして、射撃による、例えば、小銃自体の故障の有無とか、防衛省規格の弾薬で射撃した場合の射撃の精度等の違いを確認し、確実にしていきたいと考えているところでございます。

美延委員 この件は了解いたしました。

 これにて私の質疑を終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十二分開議

鬼木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治です。

 いつも何か声が小さいと言われて、マイクをちょっと調整させていただきます。ありがとうございます。

 今回、この法案につきましては、いわゆる同志国としてのオーストラリア、イギリスとの協調関係を深めるということですし、現在の我が国周辺の環境を考えれば、より円滑に両国との共同訓練あるいは災害救助等の、進むことがこの法案で記されているということで、非常に重要だということで理解しております。

 これまでの、午前中の審議にも幾つか出てきておりましたけれども、その中で、我が国が特例として賠償を肩代わりするというところに関連する項目が地元でもありまして、今回ちょっと取り上げさせていただきます。

 その前に、先般、防衛大学の卒業式に出席させていただきまして、特に大臣の卒業生に対する言葉は非常に感動いたしました。例年とはちょっと違うという形もあったかと思うんですけれども、今後も継続していただければと思いました。

 今回、この法案の中にある賠償責任の特例、私の地元の横浜の上瀬谷通信施設という、米軍に接収されていた旧日本軍の敷地があったんですけれども、これが少し前にもう返ってきておりまして、跡地利用についてずっと長年地元で協議されてきておりました。方向性がだんだん出てきている中で、ここに来てこの土地の汚染問題というのも出てきております。

 既に方向性を横浜市と協議しているということは分かっているんですけれども、まず先にちょっとお伺いしたいのは、国有地についてはお話を聞いているんですけれども、民有地の土壌汚染については防衛省としては何か関わっていたんでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 旧上瀬谷通信施設の民有地部分についてでありますけれども、平成二十九年度までに土壌汚染調査を実施をいたしてございます。計二十二か所において国の基準値を超過した部分が確認をされてございまして、このうち二か所におきましては、令和二年度、防衛省において掘削除去を実施したところであります。その上で、掘削除去を実施していない土壌汚染箇所につきましても農作物への影響がないことを確認をしてございまして、土地所有者の方々にも御説明をさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、農作物への風評被害が懸念されている土地所有者の方々の御希望もございますので、防衛省から土地汚染区画や除去済みの箇所などの詳細についてお答えすることは控えたいというふうに考えてございます。

浅川委員 確かに、個人所有ですとその資産価値というところに直結しますので、具体的にはお伺いしませんけれども、ただ、国有地の中で汚染されている区域の中には立入りが禁止されているところもあるという、令和三年十月の資料ではなっていますけれども、それは今も立入禁止になっていますでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省の行いました土壌汚染調査の結果、その対策として柵を設ける部分につきましては、引き続き、柵が設置されて立入りができないような形になってございます。

浅川委員 この土壌汚染の原因なんですけれども、戦後七十年近く米軍に接収されていた。ただ、通信施設として使われていたということなので、土壌が汚染されるようなものがあったのかというのは、詳細は明らかにされていないと思うんですけれども、その前が旧日本軍ということもありましたので、この土壌汚染の原因というのがどういったところにあるかというのは、防衛省としてはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 旧上瀬谷通信施設が所在をいたしておりました土地につきましては、かつては農地として利用されておりましたけれども、昭和十年代には、委員御指摘のように、旧日本海軍の倉庫とか火薬庫といった施設が立地をいたしておりまして、その後、米海軍が使用する等、様々な用途に用いられてきたものというふうに承知をいたしてございます。

 こういった状況に鑑みまして、個別の土壌汚染の原因につきまして確たることをお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。

浅川委員 日米関係の中で考えますと、仮に米軍に原因があったとしても、今回の法案と同じように、政府の方で、私有地をお持ちの方、あるいは、横浜市にこの後売却されるということですけれども、土壌改良をするか、あるいはその分を減額するかという形になるかと思うんですけれども、今回もう既に、三月の三十一日、前年度末に、防衛省から財務省の方に土地の管理が移っているというふうに伺っておりますけれども、財務省の方では、今後、横浜市とどのような交渉をしていくのか決まっていますでしょうか。

嶋田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、土壌汚染が確認されている国有地を国が売却等の処分をする、そういった際は、国自ら土壌汚染対策費用の見積りをするということはせずに、民間精通者による土壌汚染対策費用の見積額等を不動産鑑定士に提供して、当該見積額等を踏まえた鑑定評価等により対応するということになっております。

 その上で、本件についても、国が自ら処分する際の取扱いの趣旨も踏まえて、土壌汚染対策費用の取扱いの詳細について、今後、自治体、すなわち横浜市と協議をするという段取りになっておりますので、そういった趣旨を勘案しながら対応していくということになると思います。

浅川委員 この上瀬谷通信施設の広さが約二百四十二ヘクタールということで、皇居が二百三十ヘクタールぐらいということなので、皇居よりも広いんですね。横浜市民の方で分かりやすく言うと、私の住んでいる横浜市金沢区柴町のすぐ横にある、八景島シーパラダイスという人工島があるんですが、その人工島が二十四ヘクタールですので、その約十倍ぐらいの広さがあると。

 つまり、それだけ広大な広さがあるところの土地の、ある意味、売買というか移転ということですので、民間ベースの不動産の売買で考えたらそう簡単にはいかないと思うんですが、相手が横浜市であるということで、今後、横浜市と、まあ横浜市が買いたいと言っているからだと思うんですけれども、交渉があると思うんです。

 先ほどのこの土壌汚染の分をもし横浜市が土壌改良するとすると、膨大な費用がかかると思うんですね。それは民間の方でその分試算するということなんですけれども、これは横浜市民の一員としてもそうなんですけれども、財務省さんの方で、この汚染された土地を使う場合には、土壌改良がなくても使える土地というふうに考えていらっしゃいますか。

嶋田政府参考人 個別の土地についてつまびらかに承知しているわけではありませんけれども、私ども、土壌汚染があった際については、これはいろいろ、財務省の方でつい最近まで議論があった話で、そこは客観性のある形で評価をしなければいけないということになっております。

 その客観性のある形での評価に基づいて土壌汚染費用はどうなんだ、それを踏まえてその土地のプライシングというのはどうなるのかということを、自分たちが判断するんじゃなくて、外部の不動産鑑定士なりの方に客観的に判断していただく、そういう取扱いになっていますので、それを待たなければ、私どもとして、今委員御指摘の土地のプライシングがどうなるかということまではお答えはなかなかしかねると。

 ただ、いずれにせよ、そういった客観的な方法を取って実施してまいりたい、横浜市と協議して実施してまいりたい、そのように考えております。

浅川委員 この地目が今宅地にはなっていないということも、資料をいただきましたので、宅地だと、今、坪七十万ぐらいとかと周辺がなっているそうなんですね。宅地じゃないということを考えると、普通だったらそれより安いし、土壌汚染されている、瑕疵ある物件ですので、横浜市との交渉は非常に柔軟な対応をしていただきたいなというふうに希望を述べておきます。

 それで、この場所が、四年後、国際博覧会、園芸博の会場と、去年の国交省さんでも出していただいた法案で決まっております。花の博覧会は、過去に失敗したことがない、どこでも想定人数ぐらいの入場者があるというふうに伺っております。

 花の博覧会自体はもちろん私も賛成なんですけれども、この花の博覧会を開催するがために、周辺の、ただでさえ交通渋滞が多いところなんですけれども、問題が起きております。

 国交委員会でもお話ししたんですけれども、この会場に向けて、瀬谷駅から横浜シーサイドラインの新交通システムを地下で入れるという予定だったのが、先行きが見通しがつかないためにそれは設置されないということになって、シャトルバスの運行を考えているというふうに伺っております。

 ただ、一日十万人ぐらいの入場者が見込まれるということもあって、ただでさえ周辺の、保土ケ谷バイパスですとか、東名も近くにあるんですけれども、渋滞のひどいところで、周辺住民からすると、花の博覧会、やるのはいいけれども、交通渋滞はどうしてくれるんだという声があるんですね。

 私は、これについては、昨年の国交委員会で、最新技術で自走式ロープウェーという、固定されたロープウェーではなくて、ロープの上に滑車があって、自分の力で走っていくロープウェーが開発されています、そういうものを、低コストでできるものをやって、輸送手段としてみたらどうかというお話をしました。

 斉藤大臣からは、横浜市がそれについてやるのであれば、横浜市の管理している道路なので全然問題ないというお話だったんですが、その自走式ロープウェーについては、なかなか横浜市は今のところ前向きではないかに聞いております。

 そこで、この会場についての輸送手段について、国交省さんの方で聞いている範囲でお答えいただきたいんですけれども、シャトルバスの計画で十分会場が賄えるのかというのをちょっとお伺いします。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 国際園芸博覧会開催時の輸送に関しましては、開催者である博覧会協会において、公共交通による会場へのアクセスでは、会場周辺から、駅からのシャトルバスを中心に検討を進めているものというふうに承知をしております。シャトルバスの発着場については、来場者の会場へのアクセスが容易で、効率的に運用できる四駅からのルートを基本的に検討を進められておりまして、具体的には、相鉄線の瀬谷駅、三ツ境駅、東急田園都市線の南町田グランベリーパーク駅、JR横浜線の十日市場駅を想定されております。

 輸送対策の検討は、これまでも様々なパターンを想定してシミュレーションを行ってきているところでありますが、その結果については、横浜市環境影響評価条例に基づく環境影響評価基準書においてお示しができるよう、博覧会協会において作業を進めているというふうに承知をしております。

 本博覧会の開催に向けては、既に会場周辺の道路拡幅などが進められているところでありますが、シミュレーションの結果、大きな渋滞の発生が見込まれる場合には、チケット制度と連動した来場者の平準化や駐車場の事前予約の導入などのソフト対策も含めて総合的に検討することで、渋滞対策を講じられていくものというふうに認識をしております。

 国としましても、国際園芸博覧会開催時の輸送が円滑なものとなりますよう、引き続き博覧会協会に対し助言指導を行ってまいります。

浅川委員 今の御答弁の中でソフト面ということがありましたけれども、もし予想以上の入場者が見込まれるときは入場制限をする可能性もあるということでよろしいんでしょうか。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 来場者のいわゆる入場制限のその前に、なるべくならば、チケット制度と連動した来場者の平準化として、まず駐車場の事前予約などということで渋滞の発生をなるべく軽減するような方向で博覧会協会で検討するものというふうに認識をしており、また、国としても、その検討について必要な助言指導などを行っていきたいというふうに考えております。

浅川委員 渋滞が見込まれないで済むということができれば、ある意味、一つ問題が解決するんですけれども。

 もう一つ、テレビの番組でも取り上げられている、このメインになる海軍道路という桜並木があるんですけれども、その桜並木の桜が、これまでも老木化してきているのは伐採してきているんですけれども、まだ残っているものを一気に伐採してしまうと。これが、花の博覧会をやるのに桜の木を切ってしまうということで、この瀬谷に住んでいる住民でさえ、それは知らなかったという方がつい最近もいるんですね。

 確かに、この桜並木を伐採する代わりに会場の中に桜の森を造るということがあったりとか、いろいろ言われているんですけれども、この桜並木の伐採をする前に、既に老木になって切ったんだったら追加で桜を植えるとかという手段が本当はあればもうちょっと整ってよかったんですけれども、そうじゃなくても、今この段階で、花の博覧会をやると言っているにもかかわらず桜を伐採するというのが、市民感情、住民感情にやはり訴えるところがあるわけなんですね。

 これは国交省さんの責任ではもちろん全然ないんですけれども、やはり周辺住民の方への広報とか周知というのが本来は必要だと思うんですけれども、どうしてもこの桜の並木を切らないと会場のアクセス等が困難になるというふうに認識されていますでしょうか。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 いわゆる海軍道路の桜並木でございますが、これを現在構成しております品種はソメイヨシノでございます。このソメイヨシノは、品種的な特徴としてどうしても病気などに弱くて、街路樹としては、成長すると根上がりや倒木など、安全面、防災面での懸念があると横浜市から伺っているところでございます。

 このような中、委員からも御指摘がございましたが、この国際園芸博覧会や旧上瀬谷通信施設地区の新たな町づくりをきっかけとして、この辺一帯を魅力のある新たな桜の名所として再生していくという必要があると考えられておりまして、横浜市では新たな桜の名所づくりに向けた基本計画を策定されたところでございます。

 それによりますと、海軍道路沿道のソメイヨシノについては、健全度が高い樹木を対象とした移植の検討を行っていただくことになっておりまして、必要に応じて撤去も進めるということでございます。そして、新たに拡幅整備されます海軍道路の沿道には街路樹に適した桜を植樹することで桜並木を再生させる予定としております。

 なお、横浜市におきましては、この計画を策定されるに当たりまして、地域の方々や公募区民による懇談会での意見交換、地域住民への説明や市民意見募集などを行った上で取りまとめをされているところでございます。

 地方公共団体が施行する土地区画整理事業ということになりますので、この運用は自治事務として行われることになります。本件におきましても、事業主体であります横浜市において地域の実情に鑑み自ら判断されたものと考えておりますが、引き続き地域の声に耳を傾けながら取り組んでいただくことが重要と考えております。

浅川委員 まさに今、政務官の最後の、地域の声をちゃんと聞くというのはすばらしい答弁だったと思います。ありがとうございます。

 この花博の後に大型集客施設の一つとしてテーマパークを呼び込むということで、ずっと地元の大手企業やあるいは日本を代表するような企業が動いていたんですけれども、今のところまだ決まっていないというふうに伺っていますが、何か進捗があったように聞いていますでしょうか。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 横浜市では、二〇〇四年に米軍通信基地の返還の方針が合意されて以来、将来の町づくりに向けた検討を進め、公園・防災地区、観光・にぎわい地区、農業振興地区、物流地区で構成される郊外部の活性化の拠点の形成を上瀬谷で計画しているものと承知をしております。

 観光・にぎわい地区、これは博覧会会場に隣接する形になりますけれども、そこにおけるテーマパークについては、地権者で構成するまちづくり協議会において検討が進められるというふうに認識をしております。また、令和五年二月には横浜市による観光・にぎわい地区の事業者の公募手続が開始をされておりまして、今後、学識経験者などにより構成される審査会などを経て、令和五年九月頃に事業予定者が決定される予定と認識をしております。

浅川委員 テーマパークができれば交通関係もまた変わってくる可能性はあるかなというふうに考えておりますが、いずれにしても住民の理解が進んだ形で進めていただきたいと思います。

 特に、とにかく七十年、地権者の方たちも、奪われていたという思いがある土地です。横浜にはここ以外にも、米軍に接収されていて、返還されたところも多いんですけれども、まだまだ接収されたままというところもありますので、引き続き、横浜市として、議会も一体となって早期の返還というのを求めておりますので、私もその方向性を支持して、お伝えしたいと思います。

 続いて、この間の質疑の際に、スクランブル発進のところでいろいろ、記録があるのかないのか、あるいは公表するのかしないのかというところがありましたので、ちょっとそのところについてお伺いします。

 空中でのスクランブル発進ということでしたけれども、それ以外に、今、海中とか海上、あるいは成層圏を超える大気圏外等でも、国籍不明あるいは正体不明の物体等について解明しなければいけないんじゃないかという議論があるようなんですけれども、空中に浮いているものではなくて、海中のものを含めて、自衛隊の中で、判別のつかないものというのがこれまでに記録されていたかどうかというのをちょっとお伺いしたいんです。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 海上のもの、海中のものということでございますね。

 防衛省・自衛隊は、平素から様々な警戒監視などを行っております。領空侵犯措置につきましては、特異な飛行等があればそれを公表するということを必要に応じてやっているわけであります。その警戒監視を通じて得た情報の一々について全てを明らかにできるわけではないということは御理解願いたいと思います。

 これは、我が方の情報収集能力であるとかあるいは体制を推察することにつながるということであります。我が国の安全保障に照らして必要な公表を適切に行っていくことは当然のことでありますが、一方で、我が方の情報収集能力などが明らかになるということを防ぐという観点から、これまで我が方で公表している事柄以外の情報を今ここでお話しできないということは、誠に恐れ入りますが御理解いただきたいと思います。

浅川委員 この間と同じ御答弁ということは、海中とか大気圏外での何らかの物体が確認されて記録されていたとしても、答えられないということだと思うんですね。

 そこで、事前に、質問のレクのときに、防衛省・自衛隊で保有している、こういう物体を把握した場合の、公表するかしないかという基準について、あるんですかと聞いたら、ありますと。じゃ、それは考えをまとめたテキストがあるということで、今度、資料として請求しているんですけれども、ただ、その基準については大臣、副大臣、政務官に決裁を取っていないと言うんですね。あした、一般質問で、外務省さんにお越しいただいてやるんですけれども、外務省については、公表するしないについては明文化されていないと言うんですよ。だから、省庁によっていろいろあるんだろうなとは思うんです。

 大臣、重要性と情報開示というバランスはあると思うんですけれども、大臣とかいわゆる政務の人間がその基準について決裁していないルールが防衛省内にあったことはそもそも御存じでしたか。

大和政府参考人 まず、我が方が取得している情報はあるんだけれども一切その後公表されることはないというような、ちょっと、私の答弁が誤解を生んだとすればそれは本意ではないので申し上げます。

 防衛省・自衛隊としては、警戒監視あるいは対領空侵犯措置から得られた情報を含め様々な情報を取得して、それをほかのいろいろな情報と突き合わせることなどによって様々な分析を行っています。

 これは一般論でありますけれども、こうした分析の結果、国民の皆様にお知らせすべき事実が判明したという場合には、もちろん我が方の情報収集能力などを明らかにしないという範囲ではありますが、後に公表を行うということもあり得るということであります。

 それから、基準であります。基準とおっしゃいましたけれども、例えば領空侵犯措置の中で確認した情報の公表などについて、公表についての考え方を事務的にまとめたものはございます。これは、具体的には、文書形式として事務次官通達ということでありますけれども、ございます。こういったものを変更するような場合には、必要に応じて防衛大臣にも御報告をしているということでございます。

浅川委員 時間が過ぎてしまったので、最後、大臣、大臣が判断に加わっていない公表基準というのはどういうふうに思われますか。

鬼木委員長 時間が来ておりますので、追加の質問……(浅川委員「じゃ、あしたにします」と呼ぶ)じゃ、先ほどの質問、あしたでよろしいですか。

浅川委員 どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、まず、ただいま議案となっております法案に関連した質問をさせていただきたいと考えております。

 まず、円滑化協定に関してでございますけれども、今日の質疑の中でも既にお答えになっている、やり取りがあった部分かと思いますが、その後の質疑に関係があるので、まず端的にお伺いをしたいんですけれども。今回の円滑化協定の締結が日本の安全保障上どういった意義があるのか、また、それを踏まえた上で、今後更にこの対象国を拡大していくことに関してはどのように考えているのか、お答えいただきたいと思います。

浜田国務大臣 円滑化協定は、一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際の手続を定めることや、同部隊の法的地位を明確にすること等を通じ、共同訓練や災害救助等の部隊間の協力活動の実施を円滑にするとともに、部隊間の相互運用性の向上を図るものであります。

 この協定の実施により、我が国と豪州及び英国との安全保障、防衛協力が更に促進され、インド太平洋地域の平和と安定が強固に支えられることが期待されております。

 我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要であると考えます。防衛省・自衛隊としては、円滑化協定等の制度的枠組みの整備を進め、多角的、多層的な防衛協力、交流を積極的に推進し、自由で開かれたインド太平洋の実現に努めてまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 今後も対象国の拡大を検討しているし、取り組んでいくということだと思うんですけれども、そういう前提に立ちまして、改めてこの円滑化協定で論点になっているところに関しては確認をしておかなければならないと思っておりまして、その一つが死刑制度との関わりだというふうに考えております。

 海外の部隊の方がいらっしゃって公務外で何らかの犯罪を犯してしまった場合、死刑制度、死刑に値するような、日本では例えば殺人というのは死刑になる可能性がある罪ですけれども、こういった罪を犯してしまった場合、その対象国は被疑者の方を引き渡すことを拒否できる、引き渡す必要がないという協定に今回なっておりますけれども、このことに関しては様々な議論がなされていると思います。

 日本の国内で犯罪を犯した人を裁けないというのは、一種、主権を放棄しているような協定になってしまっていると思うんですが、その点について、改めてですけれども、政府としてはどう考えているのか、どう捉えているのか、教えていただきたいと思います。

岩本政府参考人 ただいま委員からも御指摘ございましたが、まずは今回、この協定の下で協力活動を行うに当たって、その訪問部隊の構成員等が死刑を科され得るようなものも含めて犯罪が行われるようなことがあってはならない、こういう考え方で臨んできております。

 その上で、この協定上の死刑の扱いでございますが、協定が、両締約国が互いに部隊を相手国に訪問させる、このことを対象とした双方向的なものということを踏まえて、日本は死刑がある国、死刑存置国と呼んでおりますけれども、そして豪州及び英国は死刑廃止国である、それぞれ国の法制度の違いがどうしても前提になってきております。

 他方で、それぞれの国における法制度の根幹、これの変更を求めるものでは決してございませんので、主権の一部を放棄するといったようなことにはならないという具合に考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 私、安全保障委員会ですので、死刑制度の是非については触れませんけれども、日本で犯罪を犯したら通常であれば用いられる法律にある刑罰というものが適用できなかったり、あるいは、そもそも裁けないというのは、やはり私は主権上は一定の問題がある、それは致し方ない今回の協定の仕組みだとは思いますけれども、主権上問題があることはあるというふうに思います。

 その上で、確認をしておかなければならないのが、先ほど私も本会議場で日米地位協定の改定に取り組むべきではないかということを申し上げました。これは、政府の立場ではもちろんおっしゃれない、なかなか言えないことだとは思いますけれども、国会議員の皆様であれば、心の中で、どなたであっても、この地位協定というのは改正に向けて取り組まないといけないということは考えていらっしゃるんだろうというふうには思います。

 その上で、仮にアメリカと、米国とこの地位協定の改定の議論を始めようということになった際、今回のように、日本に死刑制度があることがその交渉の中で問題となるのか、あるいは、日米地位協定の改正の障害となり得るのか、その可能性についてどう考えているのか、教えていただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 日米地位協定の改正という仮定の御質問へのお答えは差し控えたいと思います。

 その上で、本協定について申し上げれば、先ほども答弁ございましたとおり、日本が死刑存置国、豪州及び英国が死刑廃止国であるというそれぞれの国の法制度の違いを前提にいたしまして、被疑者の逮捕、引渡しや捜査に関する相互援助を行うことが規定されておりまして、それぞれの国における法制度の根幹の変更を求めるものではございません。

 いずれにしましても、日米地位協定は、対日防衛義務を負い、我が国に駐留する米軍の円滑な行動の確保を目的としている一方で、本協定は、派遣国の部隊が一時的に接受国に滞在する際の共同訓練や災害援助などの部隊間の協力活動の実施を円滑にすることなどを目的としている点で、異なる枠組みでございます。

 日米地位協定について言えば、政府としては、これまでも米国と様々なやり取りを行いながら、事案に応じて、効果的にかつ機敏に対応できる最も適切な取組を通じまして、一つ一つの具体的な問題に対応してきているところでございます。今後もそのような取組を積み上げていく考えでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 先ほどの総理の御答弁でもそうだったんですけれども、あくまで日米地位協定の改定が必要ないという建前で答弁をされてしまうと、その先の議論が進まなくなってしまって大変困ってしまうわけです。

 それはおいておいて、仮に、仮定の話には答えられないと今おっしゃいましたけれども、日米地位協定の改定というのは、私は、戦後日本の積年の課題というか、必ずどこかで解消しなければ、解決されなければならない、乗り越えなければならない問題だと思っていますので、仮定の問題には答えられないと言って対処していいような答弁ではないと思っておりますので、そのことは申し上げておきたいと思います。

 アメリカも死刑はある国ではありますけれども、バイデン大統領になってから死刑制度の廃止を、連邦では死刑制度は廃止をしたいということですし、また、各州に対しても死刑制度を廃止するように働きかけているところでございますので、アメリカに関しても、選挙のたびにちょっと変わる可能性もあります。トランプ大統領のときには一気に連邦で死刑が執行されたこともありましたので、そういった意味では、ちょっとアメリカの情勢というのは、もちろんどうなるか分からないんですけれども、私は、将来、地位協定を改定しようとしたときに、もう既にアメリカでは死刑が廃止をされていて、日本にはやはり死刑があるのでその協定の改定の議論が進まない、そういったことになってしまう可能性もあります。

 あくまで、死刑制度をどうするのかというのは、本来は日本の法体系の中で死刑をどうするのかという議論でございますので、そういった議論もあるんですけれども、こういったふうに、外交案件であったり、日本の戦後の外交、安全保障の根幹にもこの死刑制度は関わっているということを、国民の皆様には理解していただくために、本当はもうちょっとしっかり答弁をしていただくことが必要だと思いますので、今後もそれはしっかりと聞いていきたいし、もっと答弁を求めていきたいというふうに考えております。

 続きまして、ちょっとテーマを変えまして、ファイブアイズについてお聞きをしたいというふうに考えております。

 ファイブアイズというものは、本院の皆様、御存じだと思いますけれども、アングロサクソン系の各国、英、米、そしてオーストラリア、カナダ、ニュージーランドが、情報共有であったり、様々な外交問題であったりとかを、連携して、情報共有をしながら、また連携をして解決をしていく、そういった枠組みになっているわけでございまして、このファイブアイズに入っている国々は、とても緊密に情報共有がされているということになっています。

 近年、日本の米国にとっての安全保障上の立ち位置が更に重要性を増している中で、アメリカでも、日本がファイブアイズに入るということを検討する必要があるんじゃないかという論調がありますし、日本からもそういった議論が出ています。

 これは二〇二〇年の、当時の河野防衛大臣のインタビュー記事でございますけれども、ファイブアイズに関しては、価値観を共有している国々だ、日本も近づいてシックスアイズと言われるようになってもいいとお答えになっています。

 二年前の河野防衛大臣の御発言でありますけれども、防衛大臣も同じような認識というか、このファイブアイズに関しては、入るというか、加盟をするというか、いろいろ形はあると思うんですけれども、そこについてどういった認識を持たれているのか、伺いたいと思います。

浜田国務大臣 同盟国、同志国等との防衛協力の強化に際して、相互の厳格な情報保全体制の下での適切な情報協力が必要不可欠であると考えております。

 防衛省としては、この認識の下、我が国の防衛に必要な情報の収集、分析の一環として、米国、英国等のいわゆるファイブアイズと呼ばれる国々を含め、諸外国との必要な情報協力を進めております。

 その上で、我が国は、米国、英国などのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国々に含まれておらず、御指摘のようなインテリジェンス共有に関する枠組みの存在や内容についてお答えする場にはないというふうに考えております。しかし、実質そこにファイブアイズという組織があるというのは、これは当然認識しているわけでございますので、我々、情報を収集するということであれば、これは当然検討しなければならないというふうに思っておりますが、現時点では、そこまでまだ検討が至っていないということだと思います。

斎藤(ア)委員 検討対象であるけれども、そこまで検討が至っていないというお答えでございました。

 その上で、どの程度お答えいただけるのか分からないんですけれども、このインタビュー記事の中で、当時の河野防衛大臣は、ファイブアイズは国際機関とは形態が異なるとして、加盟するというのとは違う、椅子を持っていってテーブルに座って、交ぜてくれと言うだけの話だというふうに強調したと書かれているんですけれども、もちろん、河野大臣は、そのときのインタビュー、これは全部書いているわけじゃないですので、切り取られている可能性もあるんですけれども、ファイズアイズに入るというのは、椅子を持っていって、交ぜてくれという話で済むような次元の話ではないというのは、これは当然のことでございます。

 様々な、セキュリティークリアランスの制度であったり、情報の、トップシークレット、シークレットとか、その階級の合わせ方も、一緒に合わせないといけないし、情報共有の仕組みというものも構築をしないといけないということで、仮に入るということであれば、かなり国内のインテリジェンスの関係、各省庁での、あるいは自衛隊、あるいは民間でもそうです、我々国会議員もそうですけれども、情報管理の在り方というのは変えていかないといけないというのは当然のことだと思うんです。

 仮定のお話に答えられないかもしれませんが、このファイブアイズに入ろうということになった際、日本において、国内で、情報管理の強化であったりとか、どういった取組が必要だと考えていますでしょうか、お答えいただけますでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、アメリカ、イギリスなどのいわゆるファイブアイズと呼ばれる国々を含めて、我々は情報協力を進めているわけでございます。やはり、同盟国、同志国の中でも、このファイブアイズと呼ばれる国々の情報の能力というのは非常に高いものだと思っております。

 それで、具体的に、現段階でファイブアイズに入るための制度的な課題とかというものを収集しているわけではございませんが、ただ言えることは、これだけ戦後厳しい安全保障環境の中で、我々自身の情報収集能力、まずこれを飛躍的に高めなきゃいけないということ、そしてまた、先生も先ほどおっしゃられましたけれども、情報を保全する能力、やはり、インフォメーションセキュリティー、そしてサイバーセキュリティー、この能力を格段に上げていく必要があるのではないか。そのことをまずやることによって、いわゆるファイブアイズと言われている国々との協力の在り方というのが、また様々な課題が見えてくるのではないのかな、こういうふうに思っているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 このファイブアイズというのは、御承知のように、軍事情報を共有しているだけではなくて、様々な外交課題に関して連携をしているところでもありますので、そこに日本が入りたいのか入りたくないのかというのは、これはまたまた議論があることだと思いますので、私も、入る必要がある、入れ入れと言うわけではございませんけれども、このファイブアイズに入れるような機密情報の管理の水準とか仕方とかを整えておくということは、これは間違いなく日本の情報管理の水準が上がるということになると思いますので、そこを一つの基準として取り込まれるということが必要なのかなと思っています。

 例えば、NATO、フィンランドの加盟が決まりましたけれども、NATOでは、このファイブアイズの情報管理に準じたような情報管理のルールがあって、それをしっかりと適合できた国だけが加盟できるということで、冷戦が終わった後に加盟した東ヨーロッパの国々は、そういったところにキャッチアップして入ったということで、情報管理の水準を上げているわけでございます。

 ファイブアイズに入るか入らないかは別として、それに合致するようなセキュリティークリアランス、今取り組んでいただいていると思いますけれども、それが民間にもしっかりと適用されて、そして国会議員にも適用されてという形で、しっかりと情報管理の水準というのを上げていく取組というのは、別にしっかりと進めていただく必要が、必要だと考えておりますので、その点はお願いをさせていただきたいというふうに考えております。

 続きまして、ちょっとまた話が飛びます。これは、またかと思われるかもしれませんけれども、イージスシステム搭載艦についてお伺いをしたいと思います。

 この質問通告を出したときに、防衛省の方から、このタイミングでこれを聞く理由は何ですかと聞かれて、気持ちは分かります、気持ちはもう、政府もこのまま、これで進んでいるわけですから、今聞いてどうするんですかというお気持ちは分かるんですけれども。そのときにも申し上げましたけれども、この政策決定のところにやはり問題があったと思いますし、非常に、自民党、与党の方に怒られるかもしれませんけれども、党内の議論の紛糾を避けるためにもう議論をやめてしまったんじゃないかなと想像する部分もあるので、野党である我々がしっかりとこの点については追及をしていかなければならないと思っていますので、今回も取上げをさせていただきたいと思っているんです。

 改めて伺います。

 イージスシステム搭載艦、イージス・アショア、これを、どっちをするかみたいな話に結局なってしまって、イージス・アショアをやめた。それでイージスシステム搭載艦になっているわけですけれども、イージス・アショアよりもイージスシステム搭載艦が優れているのかどうかということ、この観点で伺いたいんですけれども……(発言する者あり)イージスシステム搭載艦の方が優れているという、理事からもございましたけれども、その点について教えていただきたいと思います。

浜田国務大臣 イージスシステム搭載艦は、既存イージス艦よりもはるかに高い弾道ミサイルの迎撃能力を有し、我が国を弾道ミサイルの脅威から防護することを主眼とするものであり、情勢に応じて常時、持続的に我が国全域を防護し得る体制の構築により一層貢献するものであり、その整備に向けて着実に取組を進めてまいります。

 イージスシステム搭載艦は、情勢に応じて必要な海域に展開して運用することが可能であることに加え、そのために必要な能力として、イージス・アショアに備えさせる計画のなかった各種能力を付与することとしております。

 具体的には、垂直発射型装置、VLSの追加により、迎撃ミサイル等の増強や、極超音速滑空兵器、HGVへのより効果的な対処のための将来的な拡張性の保持、弾道ミサイルや極超音速滑空兵器、HGVに対し、ターミナル段階で対処する能力を有するSM6の装備、一二式地対艦誘導弾能力向上型の装備などを検討中であります。

斎藤(ア)委員 既存のイージス艦よりもBMD能力が高いというのは、まあそうなんだろうと思いますけれども、イージス・アショア、陸上配備型と比べてどうなのかというところでは、やはり様々な問題があると考えております。

 今回、防衛力整備計画に基づく主要装備の取得状況にあります令和五年分の使途として最も金額が高いのが、このイージスシステム搭載艦でありますけれども、本来、イージス・アショアというのは、二十四時間三百六十五日切れ目のない対応、そして海自の水上艦の負担の軽減という目的のために導入をされようとしたのに、それがこの水上艦では達成されないと思いますし、また、拡張性のお話もされましたけれども、船よりも陸上の方が明らかに拡張性があるんだと思いますので、その点についても、本当にコストパフォーマンスがいいのか、あるいはBMDで求められている能力に合致した投資なのかというのは、甚だ疑問でございます。

 先日、火曜日の本会議の場で、国民民主党の前原誠司衆議院議員から、陸上配備型とした場合のブースターの落下に関して、ハードウェアの改修であったり、改修期間が大変かかるということで、イージスシステム搭載艦の方が合理的なんだと総理が答弁をされていたんですけれども、ちょっと明確にこの部分を通告していないので、もしお答えできればお答えいただきたいんですけれども、このイージスシステム搭載艦にかかる経費と、ハードウェアの改修、その期間にかかる、そういったものの対比という部分で、本当にこの改修の部分よりもイージスシステム搭載艦の方がコストパフォーマンスが優れていたのか、いい投資だという計算をしているのかどうか、お答えいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣から答弁ありましたように、イージス・アショア、陸上のイージスと、今々の計画、これは船に載せる、イージスシステム搭載艦としての計画がございまして、これは、陸に置いておるものと船に載せるものということで、全く同じ比較対象にはなっていないという点がございます。

 したがいまして、例えば、VLSといいますけれども、垂直発射装置につきましても、イージス・アショアの場合には、イージス・アショアは二か所計画しておりましたけれども、一か所当たり二十四発で計算いたしておりましたけれども、現在、イージスシステム搭載艦の場合には、一隻当たり百二十八発で計算しておる。あるいは、イージスシステム搭載艦は船でございますので、様々な、例えば、相手方の潜水艦に襲われたときにどういうふうに対応するかというような能力も当然身につけておりますし、相手方から一般的な対空攻撃をかけられたときに、これを防御する能力というのはあらかじめ身につけておるということなのでございます。

 他方、イージス・アショアの場合には、そういうものは別途運び込んで、例えば対空ミサイルなどを別途運び込んでという形になろうと思いますけれども、残念なことながら、また様々御地元には御迷惑をかけたところではあるんですけれども、途中でイージス・アショアは断念ということになりましたものですから、そういう附属施設、附帯施設等の計算については精密にやっておらないというようなところもありまして、単純にイージス・アショアとイージスシステム搭載艦の経費比較というものは、なかなかその切り口が難しいという面があるということを御理解いただきとう存じます。

斎藤(ア)委員 防衛省の皆様は政治の犠牲者かもしれませんので、余りいろいろ詰めたくはないんですけれども。ただ、今おっしゃった、イージスシステム搭載艦には、潜水艦防護能力であったりとか対空兵器があるとかいう話ですけれども、それは沈む船だからそういう装備が必要なのであって、陸上であればそういった装備はもちろん必要ないわけでございますし、そういった議論を突き詰めていけば、本当に計算をすれば、本当にイージスシステム搭載艦がよかったのかという議論には、結論にはなかなかならないんじゃないかなと思います。

 我々は野党でございまして、中の議論というのは、数字というのは確認ができませんので、詳細にこれ以上詰めることは難しいですけれども、改めて、国民の血税でございます。今までで最も高い防衛装備になると言われています。本来であれば、陸上に造っておけば必要なかった周辺の、個艦、船を守る装備も必要になって、更に予算が膨れ上がっているということも容易に想像できますので。

 本当は、建造途中であっても止めるというようなことが僕はあってもいいと思うんですね。米軍だって過去に、造りかけの空母を造るのをやめたという話は、戦後もあるわけでございますから、改めて、これは取り上げていきたいと思いますし、そして今後の、仮に建造が進んで配備が行われることがあっても、しっかりと、同じような、私は失敗と思っていますけれども、それが繰り返されるようなことがないようにしていただきたいというふうに考えております。

 最後に、かなりテーマが飛びますけれども、自衛隊のドローン活用と、それに関連して、用途廃止された装備の保管に関して、質問というか提案をさせていただきたいと考えております。

 皆さん御承知のように、近年、ドローンの軍事利用が大変進んでいて、ウクライナ紛争で更にその認識が広がっていると思います。今回の新安保三文書でも無人アセットの活用というものが大分進んでいく、取り組んでいくということになると思うんですけれども、今後、自衛隊でどのような用途にドローンを活用していくのか、どういったドローンを取得していく計画なのか、端的にまず教えていただきたいと思います。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 防衛省・自衛隊におきまして、各種ドローンを取得をしてございます。昨年の十二月末現在で申し上げますと、約千機ほど保有をしているところでございます。有事の際、災害対処を含む各種任務を遂行するために、現在では、情報収集ですとかあるいは研究などの目的で使用しているというところでございます。

 こういった中で、委員から御指摘もありましたとおり、ウクライナ侵略などにおいて無人機が非常に効果的に使われているということを目の当たりにしておりますので、私どもといたしましても、無人アセットを駆使した新たな戦い方への対応が急務となっているところでございます。

 このため、防衛省・自衛隊といたしましても、無人アセット防衛能力を強化するということによりまして、空中のみならず、水中、水上、海中等における非対称な優勢の確保に資するような能力を獲得する必要がある、このように考えております。

 このような観点から、今後五年間で計約一兆円の経費を計上し、陸海空自衛隊におきまして、情報収集、警戒監視、さらには攻撃といった各種機能を持った無人アセットを早期に整備をしていきたい、このように考えているところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 非常に大きな予算を使って導入を図っていくということでございますので、是非、効果的な使い方をして、効果的に取得をしていっていただきたいと思うんです。

 その上で、ちょっと関連をして考えていかないといけないのが、今回、ウクライナで、報道ベースで、あるいは専門家の方から聞いている話だと、ドローンを使って標的を確認して、それに砲撃をする、攻撃をするということは大変多く行われているわけですけれども、その中で、古い戦車や古い火砲を使っていても、こういったドローンと組み合わせることによって非常に精緻な射撃が可能となっていると。戦車であっても、見えない範囲、高性能な戦車であれば見えないところにも攻撃を加えるということは可能なんだと思いますけれども、古い戦車であっても、ウクライナが運用している、これまで運用していた戦車とかであっても、ドローンを使って標的を確認すれば、その古い戦車でも火砲を、見えない部分にも、見通し線外の敵にも当てることが可能であった、可能になっているというふうなことがあるようでございます。

 こういったことを勘案すると、民生用のドローンであっても、あるいはAIとか新しい技術を活用すると、古い兵器であってもまだまだ使えるんじゃないかということがあると思っていまして、そういったことも考えますと、七四式戦車、私の地元の今津にも第三戦車大隊というのがあって、この前廃止をされて、一六式機動車に代わってしまうということになったんですけれども、それはいいとして、用途廃止された戦車など、古い兵器だといっても、すぐに廃棄するのではなくて、ほかの、アメリカやヨーロッパの国々みたいに保管をしておくということは、私は、是非提案をして、考えていただきたいと思うんですけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今般のロシアによるウクライナ侵略におきまして、ウクライナがその友好国等から提供を受けました古いタイプの、旧ソ連製兵器などなどを用いましてロシアに対して粘り強く戦いを続けております。継戦能力の向上等の観点から、旧式装備品に一定の有用性を認める指摘があることは承知してございます。

 他方で、物によりけりではございますけれども、あくまで一般論として申し上げさせていただきますと、旧式化した装備品を保管し続けることは、一般的に、最新の装備品に比べ性能が劣るにもかかわらず可動状態の維持にコストがかかること等から、効率的ではないと考えてございます。特に、用途廃止された装備品は陳腐化の程度が著しいことが通常でございまして、保管を続けることは費用対効果の点でより困難なものがあるんだろうというふうに考えております。

 防衛省といたしましても、今般、新たに策定いたしました防衛力整備計画等におきまして、継戦能力の観点からは、旧式装備品の保管ではなく、持続性・強靱性の強化を重視してございます。可動率向上や弾薬、燃料の確保、防衛施設の強靱化の加速、こういったものを今後五年間の最優先課題として、計画整備等以外の装備品が最大限可動する体制を確保することや、所要弾薬の早期確保等の取組を着実に進めることによって、これを実現してまいりたいと考えてございます。

斎藤(ア)委員 もう時間も来ましたので、最後に申し上げて終わりにしたいと思うんですけれども、いざということになったら、喉から手が出るほど、古い兵器であっても欲しくなるものだと思います。ウクライナも実際そうだと思いますし、ロシアも実際問題そういう状態だと思いますので、保管というのは是非とも改めて検討をお願いしたいと思います。

 また、今後、日本でも、こういった武器を他国に支援の一部として渡すということは、政府・与党からも発言がありますけれども、今後検討されていくんだと思いますし、そういった活用の方法もあると思いますので、そういった意味でも、保管の方法については、保管ということについても是非検討いただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案について質問をいたします。

 この法案は、日豪、日英間のいわゆる訪問軍地位協定を実施するための法案であります。

 初めに、協力活動について伺います。

 協定では、両締約国が相互に決定して、部隊が実施する協力活動を対象としています。この両締約国が相互に決定して、部隊が実施する協力活動とは、具体的にどういったものを想定しているんですか。

浜田国務大臣 この協定は、協力活動を行うに当たって、相手国の部隊をどのように扱うかを規定したものであり、いかなる場合が協力活動に該当し得るかについて特段の規定を置いてはおりません。協定が適用される協力活動の内容は、自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両国間で適切に判断し、相互に決定することとなります。

 その上で、協力活動の具体的内容については、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心になると考えております。

赤嶺委員 共同訓練や災害援助というのが挙げられているわけですが、協力活動はそれらに限定されるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣がお答え申し上げましたとおり、協力活動の内容は、自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両国間で適切に判断し、相互に決定することになります。

 その上で、協力活動の具体的内容につきましては、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心になると考えておりますが、この二つに限られるわけではございません。

赤嶺委員 その二つに限られると言ったんですか、ないと言ったんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心になると考えておりますが、この二つに限られるものではないと思っております。

赤嶺委員 要するに、限定はないということです。両締約国がお互いに決定し、手続を行いさえすれば、どこまでも広げることができるということであります。

 日米ガイドラインや安保法制によって政府が重要影響事態や存立危機事態、武力攻撃事態等を認定した場合、自衛隊が米軍だけでなく第三国の軍隊に軍事支援を行うことが可能となりました。両締約国が相互に決定すれば、こうした事態への対応も協力活動の対象になるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 この協定が適用される協力活動につきましては、協定自体においてあらかじめ列挙して規定されているものではなく、各締約国が自国の法令、時々の状況や政策判断に基づき検討し、その都度、両締約国が相互に決定するものでございます。

 したがいまして、武力攻撃事態などの状況において協力活動を実施することとなる可能性は、協定上は排除されているものではありませんが、日豪、日英間においては、基本的にこれまでも活動実績のある共同訓練や災害救助といった活動が中心になるものと考えております。

赤嶺委員 武力攻撃事態とか存立危機事態とか、第三国への支援が可能となって、今度の協定があるわけですが、結局、今回の協定と法案は、第三国の軍隊が日本列島を足場に、アメリカ主導の軍事作戦を支援するための体制をつくるものであり、憲法違反の安保法制の具体化であり、大臣、私たちとしては断じて認められるものではないということを指摘しておきたいと思います。

 先日行われた衆議院外務委員会での質疑の中で、政府は、この協定によってオーストラリア軍及びイギリス軍との共同訓練等の機会を拡大していきたいと、今日もそういうお答えになっております。

 沖縄県を始め、米軍基地や自衛隊基地周辺では、戦闘機による事件、事故、昼夜を分かたぬ騒音被害に苦しめられてきました。そこに更なる訓練が加わることになれば、被害の拡大は避けられないと思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 現時点において、円滑化協定の発効をきっかけとして、英国や豪州との間での、実施する共同訓練についての具体的な計画はございません。

 その上で、訓練の実施に当たっては、地元の皆様の御理解、御協力は大変重要と考えており、引き続き、関係自治体と緊密に連携するとともに、必要に応じて、騒音状況の把握や環境整備法に基づく各種施策を通じて、住民の皆様の負担を軽減する取組を行ってまいります。

赤嶺委員 私は、基地被害について、長いこと浜田防衛大臣とやり取りをしてまいりました。

 目に見える負担の軽減、これが政府のお考えだったと思うんですが、今度また訓練が増加することによって、これは目に見える負担が増加していくことになると思いますよ。私は、これが、配慮をすると言ってみても、これまでの答弁の繰り返しでは、負担が増大するということを申し上げたいと思います。

 この協定に基づいて、オーストラリア軍あるいはイギリス軍が日本国内で共同訓練をする場合、どこを使用するのかという問題があります。自衛隊基地、あるいは米軍基地、あるいは空港、港湾、これらの中で除外されるものはありますか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでに日本国内で実施した共同訓練では、自衛隊の基地、駐屯地、演習場、そして米軍の基地、訓練場、そして空港、港湾施設等を使用してきております。

 現時点におきまして、本協定の発効をきっかけとして、これらの共同訓練の使用場所を変更する具体的な計画はございませんが、いずれにせよ、訓練の具体的な場所や内容などにつきましては、豪軍、英軍や関係者とも協議して検討してまいりたいと思います。

赤嶺委員 今、米軍基地も既に使っているというお話でしたが、イギリス軍やオーストラリア軍が米軍基地を使用した実績、これを挙げていただけますか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍以外の外国の軍隊との間で過去五年間に行った多国間共同訓練におきまして、米軍基地を使用した例はございません。

赤嶺委員 米軍以外との間で共同訓練、米軍基地を使ったことはないということですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。

赤嶺委員 事前のレクでは、過去五年間の実績として、令和元年九月、日豪共同訓練において三沢基地を使用、令和四年十一月、日英共同訓練において三沢対地射爆撃場を使った実績がありますという説明があったんですが、それは、その説明は間違っているということですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど、米軍以外の外国軍隊との多国間の共同訓練について米軍基地を使用した例はない、こういうふうに申し上げました。

 お尋ねが、米軍以外の外国軍隊との間で行われた二国間の共同訓練ということでございますと、令和元年九月から十月にかけて米空軍三沢基地を使用して、空軍種間の共同訓練、武士道ガーディアン19を実施したことがございます。

赤嶺委員 これまで政府は、在日米軍基地はあくまで米軍のために提供しているのであって、第三国の軍隊が使用するのは認められないと説明してきました。これまでの政府の見解を変えたんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 個々の、米軍以外の外国軍隊との訓練の趣旨、目的、内容等を踏まえまして、使用する基地や駐屯地、演習場、訓練場、空港、港湾施設等を選定しておりまして、個別具体的な判断で行っているものでございます。

赤嶺委員 つまり、日本の防衛のために米軍に提供している、第三国の軍隊が使用するのは認められていない、そういう今までの政府の見解は既に変えているということですね。大臣でもいいですよ、大臣。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもお答え申し上げましたとおり、米軍以外の外国軍隊との間で行う二国間の共同訓練の内容等を個別具体的に判断しまして、使用する駐屯地、基地、空港、港湾施設等を判断しているということでございます。

赤嶺委員 私は、そういう共同訓練、米軍基地を使用した第三国との共同訓練を日本政府が自ら主導していくようなやり方、これも、基地負担の軽減に取り組むべき政府が新たな基地負担の拡大に手をかすということにほかなりません。

 先ほども新垣邦男議員が嘉手納基地の問題を取り上げておりましたが、もう本当にこれ以上の訓練は耐えられないものであります。それを今度の協定によって、さらに第三国の軍隊も訓練できるということになれば、沖縄県民の基地負担は減るどころか増していく。政府の言う基地負担の軽減に逆行していると言わざるを得ません。

 協定で見逃せない点が、もう一点あります。オーストラリアとイギリス軍の構成員等が公務外に死刑を科されるような重大な罪を犯した場合に、両国は身柄引渡しの義務を負わないとなっています。これでは、重大な犯罪ほど日本が裁判権を行使できないということになりませんか。

岩本政府参考人 委員今御指摘の点でございますが、万が一、我が国を訪問して協定上の協力活動を行っている豪州の国防軍又は英国軍の構成員等が公務外で事件を起こし、被疑者に死刑が科され得る十分な可能性がある場合には、豪側又は英側が協定上負っている被疑者の逮捕、引渡しや捜査の実施等についての援助義務を免除されることとしてございます。

 一方で、日本国内においては、日本の警察が被疑者の逮捕等の警察権を行使するに当たり、豪側又は英側はそれを妨害してはならない旨、附属書等で確認をされております。

 したがいまして、日本国内において豪州国防軍又は英国軍の構成員等が死刑が科される可能性がある罪を犯した場合においても、日本の警察は引き続き当該被疑者の逮捕を含む必要な捜査を行うことになります。

 また、その上で、当該罪が日本が裁判権を行使すべき罪に当たる場合には、日本の裁判所の判決により死刑が科されることは否定されておりません。

赤嶺委員 協定の討議の記録では、日本の検察が死刑を求刑しないということを保証して、派遣国が身柄の引渡しに協力できるようにするための規定を置いています。

 なぜ、こういう規定を置く必要性があったのか。これは、日本の警察権が十分に行使できないおそれがあるから、こういう規定を置いているということではありませんか。

岩本政府参考人 本協定につきましては、そもそもこの協定は、両締約国が互いに部隊を相手国に訪問させることを対象とした双方向的なものであるということを踏まえて結んでおります。

 その上で、日本が死刑存置国、死刑がある国、そして豪州及び英国が死刑廃止国であるという、それぞれの国の法制度の違いを前提にして結んでおります。

 したがいまして、先ほど申し上げましたような協定上の規定が置かれているところでございます。

赤嶺委員 次の課題に移ります。

 陸上自衛隊の増強について伺います。

 安保三文書では、沖縄の陸上自衛隊第一五旅団を師団に改編するとし、その目的に国民保護を掲げています。

 防衛省が策定している国民保護計画では、自衛隊は、武力攻撃事態においては、主たる任務である武力攻撃の排除を全力で実施する、このようにしています。国民保護措置については、これに支障のない範囲で可能な限り実施するとしています。

 防衛省は、師団化改編に伴って、主たる任務を武力攻撃事態の排除としたこの規定、変えたんですか。

浜田国務大臣 自衛隊法第三条にあるとおり、自衛隊は我が国を防衛することを主たる任務としており、武力攻撃事態等においては我が国に対する武力攻撃の排除措置に全力を尽くし、もって我が国に対する被害を極小化するとの考えに変わりはありません。

 その上で、防衛省・自衛隊としては、武力攻撃事態等においては、国民保護措置として、警察、消防、海上保安庁等、様々な関係省庁とも連携しつつ、被害状況の確認、人命救助、住民避難の支援等の措置をしっかりと実施していく必要があると考えております。

 このため、政府全体の取組にしっかりと協力しつつ、民間の船舶、航空機に加え、自衛隊の各種輸送アセットも利用した国民保護措置を計画的に行えるよう調整、協力していくとともに、国民保護に関する訓練の場を通じ、地方自治体を含め、関係機関と連携向上を図ってまいります。

 防衛省・防衛装備庁国民保護計画については、こうした観点も踏まえながら、必要に応じた改定を今後とも行ってまいりたいと考えております。

赤嶺委員 変えないということなんですが、今度の三文書の中には、自衛隊の増強の中に国民保護の任務を加えているんですね。

 それで、国民保護に専ら従事する専門の部隊、これを置く計画も念頭にあるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊におきましては、第一五旅団を強化し、南西方面の防衛体制を強化するとともに、国民保護の実効性向上を図ることとしておりますが、そのための部隊等の整備の具体的な内容につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。

赤嶺委員 何も考えないで保護計画の国民保護として自衛隊を増強するという、これは国民保護というのは見せかけだけで、軍事行動を主任務とする軍隊としての性格が変わるわけではありません。

 自衛隊が人命救助をするとおっしゃっていますけれども、沖縄戦の実態と余りにもかけ離れたものと言わなければなりません。軍民混在となった沖縄戦において、砲弾の雨の中、負傷兵の手当てをしたのは、看護要員として動員されたひめゆり学徒隊の、まだ二十歳にも満たない生徒たちでした。動員された二百二十二名のうち、学徒の犠牲者は百二十三名と記録に残っています。そのほかにも、白梅学徒隊、この戦死者の中には私の義理の姉も入っております。ほかにも学徒隊が動員されて、将来有望な女生徒たちが看護訓練を教え込まれ、彼女たちを戦争へと動員をしてきました。これが国がやってきたことなんです。一たび戦争になれば、そこが戦場になれば、軍隊は住民を守るのではなくて、住民でさえ、いわば軍隊の要員として、戦闘員として、根こそぎ動員をしてきたというのが歴史の教訓であります。

 一九四五年の五月下旬、持久作戦を至上任務とする日本軍が南部への撤退を決定し、ひめゆり学徒たちが配属させられていた沖縄陸軍病院も南部へ撤退をしました。その際、彼女たちが見たものは何だったのか。自分で歩くことができない重傷患者へ青酸カリやそれを混ぜたミルクが配られ、自決を強要されました。あふれ返ってごうに入り切らない負傷兵はごう外に放置され、そのまま砲弾が落ちて全員が死ぬこともありました。

 戦場というところは人間の命なんてまるで虫けら同然、これが戦場を体験した体験者の言葉であります。ひめゆり学徒隊に解散命令が出た後、彼女らは米軍が包囲する鉄の暴風の中に放り出され、その後、死の中をさまよい続けました。住民を動員しておきながら、最後は彼女たちを戦火に放り出し、これほどの犠牲者を出しました。これは国がやってきたことであり、軍隊は住民を守らないというのが沖縄戦の教訓です。

 国民保護を理由に部隊を増強するなどというのは、戦場の現実から余りにもかけ離れたものだと思いますが、いかがですか、大臣。

浜田国務大臣 今委員からお話にあった過去の大戦による悲惨なお話というのは、我々も十二分に承知をしておるわけであります。戦後八十年たった今、我々が考えなければならないのは、当然のごとく、これは戦争というような過ちを起こさないということが我々は絶対に必要だということを常に、長い期間を経て平和国家日本としてきたわけであります。

 その意味において、今なかなか払拭できるような、お互いの信頼関係というのが今すぐ解決するものではないとは思いますけれども、しかし、我々が目指すものは、常にこの国の国民に対してその命を守り、そして信頼を得て、戦争にはならないような状況をつくり上げていくということが我々に課せられた任務だというふうに思っております。

 先生の御指摘は重く受け止めますし、そしてまた、今後、我々、今までの経験を無にすることなく、しっかりと自衛隊が国民保護に働けるように、今後その体制を変えていきたいというふうに考えておるところでもありますので、確かに、まだ中身がないではないかという御指摘が先ほどありましたけれども、しかし、いかようにもこれを変えられることができるような、そういった体制をつくっておくこともまた必要なのかなというふうに考えておるわけでございます。

 赤嶺先生にお叱りを受けるかもしれませんけれども、我々とすれば、その信頼回復のために自衛隊として努力をしてまいりたい、このように考えているところであります。

赤嶺委員 戦場にならないための努力というのは当然なんですよ。しかし、今沖縄では、戦場になった場合の備えしかやっていないわけですよね。司令部の地下化とかですね。

 防衛大臣もお会いになったことがあると思うんですが、与那国の町長、一番心配しているのは軍民混在ですよ。軍が来て、混在の中を避難なんかできるものではないと。防衛省の立場に立っている町長でさえ、そういうおそれを抱いているわけですよ。

 私は、部隊の増強を県民に受け入れさせるためにできもしない国民保護を掲げるのは、県民を愚弄するものであり、絶対に認められません。

 私が安保三文書を読んで一番怒りに震えたのは、自衛隊が国民保護のために自衛隊を増強するというくだりでありました。歴史を何も振り返っていない、戦場がどういうものであるかということを考えたことがない、鉛筆なめなめして書いた文章じゃないかというような思いでありました。

 もう一問、今回の師団化改編に伴って、普通科連隊をもう一つ増やすとしています。それは具体的にどこに配備する計画ですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、新たに策定いたしました防衛力整備計画に基づきまして、第一五旅団の師団への改編を計画しておりまして、現在の一個普通科連隊を二個普通科連隊に増強すること等を検討しております。

 参考として申し上げますと、既存の第一五旅団の一個普通科連隊の規模は約七百名でございますけれども、師団化する際の具体的な増員規模については現在検討中でございます。

 いずれにせよ、具体的な改編の内容等については現在検討中でございますので、お答えする段階にはないことを御理解いただければと思います。

赤嶺委員 そういう答弁が不安をあおっているんですよ。

 それは沖縄本島なのか、あるいはそのほかの離島なのか、どちらに配備されるんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 二個目の普通科連隊、第一五旅団の中の一個連隊があるわけでございますけれども、師団化した場合の二個目の普通科連隊につきましては、那覇駐屯地に第一五旅団の活動の基盤が整っているところを念頭に置きまして、那覇駐屯地に配備することを検討しておりますが、具体的な改編時期等につきましては現在検討中であり、決まってございません。

赤嶺委員 これで終わりますが、防衛大臣は、さっきの、戦場になったときの県民が扱われた歴史、受け止めるとおっしゃっておりましたが、是非しっかり受け止めて、自衛隊の増強を国民保護のためにやるんだという言い方はやめていただきたいと申し上げて、質問を終わります。

鬼木委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明七日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十分散会


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