衆議院

メインへスキップ



第7号 令和5年4月13日(木曜日)

会議録本文へ
令和五年四月十三日(木曜日)

    午後二時四十五分開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      江渡 聡徳君    大岡 敏孝君

      木村 次郎君    小泉進次郎君

      鈴木 憲和君    渡海紀三朗君

      中曽根康隆君    長島 昭久君

      細野 豪志君    松島みどり君

      山本ともひろ君    新垣 邦男君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      美延 映夫君    河西 宏一君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         林  芳正君

   防衛大臣         浜田 靖一君

   財務副大臣        井上 貴博君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中田 昌和君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          七澤  淳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 石月 英雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 茂樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宮本 新吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 内野洋次郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       寺門 成真君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件(国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件、特に国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画について調査を進めます。

 国家安全保障戦略について、外務大臣から報告を聴取いたします。林外務大臣。

林国務大臣 昨年十二月に策定しました国家安全保障戦略について御報告申し上げます。

 国家安全保障戦略は、国際秩序が重大な挑戦にさらされ、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、約九年ぶりに策定されたものです。

 本戦略は、外交、防衛のみならず、経済、技術等を含む多岐にわたる分野の安全保障上の問題に対し、総合的な国力を最大限活用して、我が国の平和と安全を含む国益を確保するための安全保障に関する最上位の政策文書です。

 本戦略では、我が国の国家安全保障上の目標として、主権と独立の維持、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化、国際社会が共存共栄できる環境の実現等を掲げております。

 まず優先されるべきは積極的な外交の展開です。我が国は、長年にわたり、国際社会の平和と安定、繁栄のための外交活動や国際協力を行ってきました。その伝統と経験に基づき、大幅に強化される外交の実施体制の下、今後も、多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や他国との共存共栄のための国際協力を展開します。

 今年三月、自由で開かれたインド太平洋のための新たなプランを発表し、国際社会を分断と対立ではなく協調に導くとの目標に向け、歴史的転換期におけるFOIPの考え方や取組を示しました。FOIPのビジョンの下、戦略的な外交を展開してまいります。

 こうした外交を展開するためには、裏づけとなる防衛力が必要であり、本戦略では、反撃能力の保有を含む防衛力の抜本的強化等の方針を示しております。

 その上で、我が国を全方位でシームレスに守るための取組の強化等のため、宇宙、サイバー等の新たな領域への対応能力の向上、海上保安能力の強化、経済安全保障政策の促進等、政府横断的な政策を進めることとしております。

 必要とされる防衛力の内容を積み上げた上で、同盟国、同志国等との連携を踏まえ、国際比較のための指標も考慮し、我が国自身の判断として、二〇二七年度において、防衛力の抜本的強化とそれを補完する取組を併せ、そのための予算水準が現在の国内総生産の二%に達するよう、所要の措置を講ずることとしております。

 本戦略に基づく戦略的な指針と施策は、戦後の安全保障政策を実践面から大きく転換するものです。政府として、本戦略に基づき、安全保障に資する取組を着実に進めてまいります。

 本戦略で示された方針は、憲法、国際法、国内法の範囲内で実施されるものであり、非核三原則や専守防衛の堅持、平和国家としての歩みを、いささかも変えるものではありません。

 本戦略の下で、国民の生命や暮らしを守り抜くという政府の最も重大な責務を果たしてまいります。

 皆様の御理解と御協力を賜りますようお願いを申し上げます。

鬼木委員長 次に、国家防衛戦略及び防衛力整備計画について、防衛大臣から報告を聴取いたします。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 昨年十二月に策定しました国家防衛戦略及び防衛力整備計画について御報告申し上げます。

 国家防衛戦略は、防衛力整備等の基本的指針である防衛計画の大綱に代わり、我が国の防衛目標、その達成のためのアプローチ等を包括的に示すものです。

 防衛目標として、万が一、我が国への侵攻が生起した場合、我が国が主たる責任を持って対処し、同盟国等の支援を受けつつ、これを阻止、排除するといった三つの目標を掲げております。そのためのアプローチとして、防衛力の抜本的強化を中核に、国力を統合した我が国自身の防衛体制を強化するとともに、日米同盟による抑止力と対処力や、同志国等との連携を強化する方針を掲げております。

 特に、防衛力については、相手の能力と新しい戦い方に着目して、抜本的に強化することとしております。そのため、可動率向上や弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、将来の中核となる能力を強化する方針の下、その具体的内容として、スタンドオフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力、無人アセット防衛能力、領域横断作戦能力、指揮統制・情報関連機能、機動展開能力・国民保護、持続性・強靱性の七つの重視分野を示し、その中で、我が国への侵攻を抑止する上での鍵となる、スタンドオフ防衛能力等を活用した反撃能力についても、その意義や必要性等に関する政府の見解も示しております。

 さらに、いわば防衛力そのものとしての防衛生産・技術基盤の強化、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するための人的基盤の強化などにも取り組んでまいります。

 次に、防衛力整備計画は、我が国として保有すべき防衛力の水準を示し、その水準を達成するための計画であり、おおむね十年後の自衛隊の体制や、今後五年間の経費の総額、主要装備品の整備数量を記しています。

 例えば、スタンドオフ防衛能力として、一二式地対艦誘導弾能力向上型等の開発やトマホーク等のミサイルの着実な導入、弾薬等の早期整備、部品不足による装備品の非可動の解消や可動数の最大化等の取組を示しております。

 これらに必要な事業を積み上げ、二〇二三年度から五年間における防衛力整備の水準は、四十三兆円程度としております。

 今般、国家防衛戦略及び防衛力整備計画において政府が決定した防衛力の抜本的強化の方針は、戦後の防衛政策の大きな転換点となるものです。我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くため、防衛省・自衛隊は、今後とも全力を尽くしていく所存です。

 皆様の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願いをいたします。

鬼木委員長 以上で報告は終わりました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣官房内閣審議官中田昌和君、内閣官房内閣情報調査室次長七澤淳君、外務省大臣官房審議官石月英雄君、外務省大臣官房審議官伊藤茂樹君、外務省大臣官房審議官岩本桂一君、外務省大臣官房参事官宮本新吾君、外務省大臣官房参事官中村仁威君、財務省大臣官房審議官内野洋次郎君、財務省主計局次長前田努君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官寺門成真君、厚生労働省大臣官房審議官大坪寛子君、防衛省大臣官房施設監杉山真人君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省大臣官房審議官茂木陽君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君、防衛装備庁プロジェクト管理部長坂本大祐君、防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大塚拓君。

大塚委員 自由民主党の大塚拓でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、本日午前七時二十二分、北朝鮮がICBM級の可能性のあるミサイルを発射いたしました。我が国の安全を脅かすものであり、また、国連安保理決議に違反するものであって、断じて容認できません。厳しく非難いたします。

 また、Jアラートの更なる運用改善や、避難訓練、避難施設についての検討も速やかに進めていく必要があるということを指摘をしておきたいと思います。

 さて、三文書の質疑に移ります。

 昨年十二月に、新たな、いわゆる戦略三文書が閣議決定をされました。外交、防衛、経済、技術、情報などにわたる包括的な戦略体系となっており、これまで必要性が指摘されながら予算の不足などから取り組めていなかった課題をほぼ網羅した内容になっていると思います。これがしっかりと執行されれば、これまでのマイナスが解消され、我が国安全保障があるべきスタートラインに立つことができる、そういうものになっていると考えております。

 三文書改定、今回の議論の出発点は、二〇二一年の春頃でありますけれども、自民党の国防部会、安全保障調査会の議論でありました。

 当時は、中国の海警法が施行され、また、尖閣諸島をめぐる海警局の行動、これがエスカレートが止まらない。そして、習近平政権が三期目を射程に収めたことも明らかになりつつあり、また、二〇二五年には米中の軍事バランスが中国優位に傾くという予測や、習近平政権三期目の最終年に当たる二〇二七年、そこに向けて台湾侵攻リスクが高まるのではないか、こういう見通しも伝えられている、こういう状況であったわけであります。

 防衛力の抜本的強化はもはや先送りできない、こういう判断の下、議論をスタートし、同年の五月に政策提言をまとめ、十月の衆議院総選挙においては、政権公約で、三文書の前倒し改定とGDP比二%も念頭に置いた防衛費の増額というものを打ち出しました。

 その後、ロシアによるウクライナ侵略が始まりましたが、このときの教訓も取り入れながら、二〇二二年の前半には自民党で濃密な議論を経て三文書の原案を作成、参議院選挙の公約では、五年以内に防衛力を抜本強化するということを打ち出したというのがスタート地点だったというふうに考えております。

 そこで質問をいたしたいと思います。

 今回の三文書では、二〇二七年度までに我が国への侵攻を我が国が主たる責任を持って対処し、同盟国等の支援も受けつつ、阻止、排除できるよう防衛力を強化するということとしておりますが、この背景、どのような戦略環境の認識に基づくものかというのを防衛大臣にお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 ロシアによるウクライナ侵略が示すように、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識をしております。東アジアにおいても戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されません。

 中国は、軍事力を急速に強化しつつ、東シナ海、南シナ海において力による一方的な現状変更やその試みを推し進めております。台湾についても、中国は、平和統一の実現を目指すが決して武力行使の放棄を約束しないと表明し、先般も台湾周辺の海空域で、空母を含む艦艇や多数の航空機を参加させ、威圧的な軍事演習を実施しました。

 また、二〇二五年には、中国の軍事的影響範囲が西太平洋全体に及び、インド太平洋における米中の戦力バランスが中国側に優位に傾くとの見方もあります。

 国際社会が戦後最大の試練のときを迎える中で、いついかなる形で力による一方的な現状変更が生起するかは予測困難であり、今後も国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くため、防衛力の抜本的強化は速やかに実現していく必要があると考えております。

大塚委員 これまでを振り返ると、日本においては防衛に関する戦略というのが実は文書として存在していなかったということがあります。そのために、実際の安全保障環境の変化とはほぼ無関係に、GDP比一%という事実上の予算の枠、キャップがあって、これで縛ってきた結果、防衛白書によれば、二〇二二年には、中国の国防費は日本の六倍ということで、圧倒的な差がついてしまったという状況にありました。

 今回、初めて国家防衛戦略が策定をされ、五年間の予算総額が四十三兆円とされております。この国家防衛戦略を策定した意義と、そして、予算の総額、これはどのような考え方で五年分積算したかということをお答えいただければと思います。

浜田国務大臣 国家防衛戦略は、従来の防衛計画の大綱に代えて、我が国の防衛目標を設定し、それを達成するための方法や防衛力強化の七本柱を中心とした手段を体系的にお示ししたものであり、特に、戦後最も複雑で厳しい安全保障環境の中で、相手の能力と新しい戦い方を踏まえて防衛力の抜本的強化を進めるとの考え方を明確化した点が重要と考えております。

 このような考え方は、約一年かけて、内部部局、防衛装備庁、各幕僚監部や情報本部が一体となって、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを含む様々な検討を行ってきた結論であり、また、防衛力整備の内容についても、例えば、弾道ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃、航空侵攻や海上侵攻等の我が国への侵攻が行われる事態や、宇宙、サイバー、電磁波の領域や無人アセットを用いた非対称な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相等を想定し、自衛隊がどのように対応できるか検証し、必要となる防衛力を積み上げ、五年間で四十三兆円という防衛力整備の水準を導出しました。

 防衛省としては、このような方針を作成できたことは、国民の命と暮らしを守り抜くという重責を果たすことができる自衛隊の体制を構築していく上で極めて意義のあることだと考えております。

大塚委員 ちなみに、GDP比二%というのがちょっと多過ぎるんじゃないかという批判が一部にあるわけでありますが、事実関係としては、世界銀行によれば、二〇二一年の防衛支出の対GDP比、世界平均は二・二%、OECD諸国の平均は二・四%であるということは指摘をしておきたいと思います。ちなみに、日本は補正予算を含めて一・一%だったわけでありますが、中国、北朝鮮、ロシアに囲まれ、極めて厳しい安全保障環境に置かれた国として十分な水準であるはずがないというふうに思っております。

 特に、厳しい予算の中で過少投資が顕著であったのが、弾薬とか整備用の部品といった継戦能力に関わるものでありました。これが足りないと、幾ら自衛隊員が精強であっても戦えない、弾が尽きたら終わり、部品がなければ装備品は動かないということになるわけであります。

 昨年、この安全保障委員会でも部隊の視察に行きましたけれども、その際も、現場の部隊において、弾薬、誘導弾が不足していて訓練が十分にできていない、こういう声も聞かれたところであります。

 また、自民党の政務調査会で、全国の都道府県連に対して実態調査を依頼をいたしました。その結果、例えば、スタッドレスタイヤ、これが車両数の半分しかないから冬季には車両が半分動かなくなるとか、深刻な部品不足などが明らかになりました。

 また、耐震基準を満たしていない建物も一万棟近くあるわけでありますが、場合によると、戦前の建物、これはガムテープを張りながら使い続けているようなケースも結構あるということで、施設整備にも大変不安な状況が続いてきていたわけであります。

 そこで、今回の防衛力整備計画においては、五年間の物件費として、弾薬・誘導弾、これは約五兆円と、〇一中期防、前中期防の約五倍、維持整備費・可動確保として約九兆円、これは〇一中期防の二倍強、施設強靱化として約四兆円で、これは約四倍積んでいるわけでありますが、この三経費だけで全体の四割以上ということになっています。

 この予算によってどんな効果を見込んでおられるのかということ、それから、予算は非常に増えたわけですけれども、しっかり執行できるかどうか。特に、弾薬、誘導弾などは生産能力を大幅に増強しなければいけないということがありますが、今回、どういうふうに調整をし、積算していったのかということを教えていただければと思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の防衛力の抜本的強化の検討に際しましては、国民の命を守り抜けるのか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。必要となる防衛力の内容を積み上げました。

 御指摘につきまして、防衛力整備計画では、有事において自衛隊が粘り強く活動できるよう、十分な能力を確保するため、今後五年間で、スタンドオフミサイル等を含む弾薬等の整備に約五兆円、装備品の可動向上に約九兆円、施設整備に約四兆円の経費を計上し、持続性・強靱性を抜本的に強化することとしてございます。

 これによりまして、二〇二七年度までに、早期に弾薬、誘導弾の必要数量を整備しつつ、スタンドオフミサイルを始めとした一部の弾薬については企業の製造態勢を強化し、ラインマックスを拡大するとともに、部品不足を解消して、計画整備等以外の装備品が最大限可動する体制を確保し、南西地域における特に重要な司令部の地下化、主要な基地、駐屯地内の再配置、集約化を進め、各施設の強靱化を図ることとしてございます。

 また、委員御指摘の、企業の製造態勢強化についてより具体的に申し上げますと、防衛省では、昨年度より、誘導弾の製造能力をベンダー企業を含めて確認いたしてございます。その上で、製造態勢の拡充を要する主要な企業の製造現場を担当者が複数回訪問した上で、具体的な製造態勢の拡充、効率化策につきまして、企業側の実行可能性も踏まえまして検討、調整し、実現可能な計画を見積もってございます。

 予算の執行に当たりましては、調達の適正性を確保しつつ、引き続き、主契約企業やベンダー企業と密接に連携いたしまして、持続性・強靱性の強化に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

大塚委員 ウクライナでの戦争で、無人機、これがないと現代の戦闘は成り立たないということが明らかになったわけでありますが、我が国においては、予算の不足ということから、これまで調達がほとんど進んできていないという実態がございます。研究開発はやっていたんですけれども、実際に装備化しようと思って予算を要求すると、ほかを削らなきゃいけない、結局、装備化しないまま技術がお蔵入り、こういうことが続いていました。

 今回、整備計画で、無人アセット防衛能力ということで一兆円、これまでの十倍積んでおります。ちょっと質問をスキップいたしますけれども、国内での装備化は早期にしていく必要があると思いますので、是非取り組んでいただきたいと思います。

 無人機の例で見ても分かるように、研究開発を進めても、予算が足りないから装備化できない。結局、何年かたってやはり必要だとなったときに輸入に頼らざるを得ない。そうすると、輸入にお金が回されて、予算は変わらないので、国内装備産業がどんどん弱体化する。悪循環になっていたわけであります。

 今回、研究開発予算、五年間で三・五兆円ということで、〇一中期の四倍以上となっていますが、どういう効果を見込んでいるか。特に、非対称的な優位性を確保するための最先端の研究開発とか独自のコンセプトに基づく研究開発、ここはまだまだ十分でないように思いますが、いかがでしょうか。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘ございました、研究開発の大幅な拡充によりまして、スタンドオフ防衛能力や無人アセット防衛能力を始め、早期の防衛力の抜本的強化につながる装備品の創製、これとともに、将来にわたっての技術的な優位の確保、民生先端技術の幅広い取り込み、他国に先駆けました先進的な能力の実現、防衛技術基盤の強化につなげてまいりたいと考えておるところでございます。

 また、委員から御指摘ございましたように、世界の趨勢や技術の動向を踏まえまして、非対称的な優位の確保も目指しました投資、これを強化することについては、防衛省としても大変重要なことだと考えております。

 防衛力整備計画に基づき、今後も必要な研究開発予算をしっかりと確保できるよう、省一丸となって取り組んでまいります。

大塚委員 最後、インテリジェンスについて触れたいと思いますけれども、これは死活的に重要になってきていると思います。ウクライナを見ても、アメリカがしっかりと情報をつかんでいた。これは、人的情報とサイバーインテリジェンス、これが肝だったというふうに言われていますが、我が国のインテリジェンス能力は決定的に遅れていると言わざるを得ません。相手国の意図がつかめなければしっかりと備えることができないわけであります。

 三文書にもしっかり、「特に、人的情報については、その収集のための体制の充実・強化を図る。」と書いてありますが、どう取り組んでいくのか、お聞かせください。

七澤政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国を取り巻く国際情勢が一層の厳しさを増す中で、国家の安全保障や国民の安全に直接関わる情報の収集は極めて重要でございます。

 委員御指摘のとおり、昨年末に決定されました国家安全保障戦略におきましても、「国際社会の動向について、外交・軍事・経済にまたがり幅広く、正確かつ多角的に分析する能力を強化するため、」「多様な情報源に関する情報収集能力を大幅に強化する。」また、「特に、人的情報については、その収集のための体制の充実・強化を図る。」などと記載されたところでございます。

 このことを踏まえまして、人的情報の収集を始め、情報機能の強化に向けた具体的方策を検討しつつ、その一層の充実強化に取り組んでまいりたいと思います。

大塚委員 人的基盤の強化が必要だと思いますので、内調で頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

鬼木委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 公明党の河西宏一でございます。

 まず、本日で一週間になりますけれども、陸上自衛隊の皆様、隊員の立つ位置が国境線との覚悟で任務に当たる中におきまして、今回のヘリコプター事故が起きたことは大変悔やまれるところであります。一刻も早い発見と最大限の原因究明、お願いを申し上げまして、質疑に入らせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、今朝、北朝鮮がICBM級の可能性があるミサイルを発射をいたしました。断じて容認できない暴挙であり、厳重に抗議をするものでございます。政府は、当初、Jアラートで北海道地域に直ちに避難をと呼びかけた後、ミサイルがレーダーから消失をしたということで、日本領域内への落下可能性はなくなったと判断をされたわけであります。訂正というよりかは判断をされた。

 これは、弾道計算や着弾地点の予測などの、このBMDが有する一連の能力が想定どおり発揮された上でのプロセスだったのか、これは念のため確認をさせていただきたいと思います。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 弾道ミサイルが発射された場合、自衛隊の各種レーダーなどにより、発射直後から落下まで探知、追尾を行い、落下予測地域などについて、自動警戒管制システム、いわゆるジャッジシステムでありますが、これが速やかに自動計算を行うことになります。今回もこのプロセスは適切に機能しております。

 その結果、本日、北朝鮮から発射されたミサイルについて、我が国領域に落下する可能性があるものを探知いたしました。その上で、限られた探知情報の中でシステムがこのような航跡を生成したため、国民の皆様の安全を最優先する観点から、内閣官房に当該の情報を伝達し、その結果、Jアラートが発出されたものであります。

 一方で、国民の皆様にできる限り早く安心していただくことも重要でありますことから、今般探知したミサイルが我が国の領域に落下する可能性のないことを引き続きの監視などにより確認した時点で、直ちにその旨を内閣官房に伝達いたしました。また、防衛省からもその旨について速やかに発表したところであります。

河西委員 適切なプロセスの上での最終的なそういう御判断があったということで、大変分かりやすい御答弁、ありがとうございました。

 続きまして、国家安全保障戦略の総合的な国力の第一に掲げられた外交力に関連して、林大臣にお伺いをいたしたいと思います。

 この一年余り、国家の意図、すなわち国の指導者の意思、これが世界を大きく左右すると、まざまざ私も実感をしております。特に最近気になるのは、ウクライナ戦争が長期化をし、周辺国の負担も増しております。そうした中、ここへ来て活発化をする中国と欧州をめぐる動向であります。

 二月のミュンヘン安全保障会議に出席した中国の外交トップ、王毅氏が、ウクライナのクレバ外相と会談して、和平協議を促して、その直後、中国は、例の十二項目にわたる独自の文書を発表いたしました。ゼレンスキー大統領は、当事国だけが和平案を提示できる、これは当然のことであります、そして、領土保全やロシア軍撤退の明記がない等と指摘をする一方で、習近平主席との会談には前向きな姿勢も示しているところであります。

 他方、三月に訪ロした習主席が、米国への対立軸、これを打ち出す中で、昨年来、欧州各国の首脳の訪中が相次いでおります。先週も、話題になっておりますけれども、フランスのマクロン大統領の訪中があり、習主席との会談がありました。中国に和平実現のいわば橋渡し役を期待する場面もありましたし、加えて、中仏の経済協力も加速をした、これも気になるところであります。

 こうした数か月の動きを見ておりますと、このウクライナ情勢をめぐる中国の存在感の相対的な高まりの中において、よしあし、また、望むと望まざるは別としまして、中国主導の和平もあり得るのではないかというふうに見ることもできるんだろうと。我が国として冷静に分析をしていかなければならない流れだというふうに思っております。

 この点に関する政府の認識に加えまして、我が国の対中外交、一層したたかで、国益に資する戦略を求められるというふうに思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思っております。

林国務大臣 我が国として、ウクライナ情勢をめぐる中国の動向を注視をしております。しかしながら、ウクライナが懸命に祖国を守る努力を続ける中で、ウクライナの将来を決める交渉にいかに臨むべきか、これはまさにウクライナの人々が決めるべき問題であります。

 この点、中国外交部が発表したウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場と題する十二項目から成る文書について、今お触れいただきましたように、ゼレンスキー・ウクライナ大統領は、理解できる点も同意できない意見もあるとした上で、全てのロシア軍の撤退が規定されていないのであれば不適切であると述べたと承知をしております。

 さらに、ロシアはウクライナに対する攻撃を現在も続けているほか、プーチン大統領は、併合したウクライナの一部地域、これは交渉の対象ではないと述べるなど、実質的な歩み寄りを示す兆し、これは一切見られないわけでございます。

 また、日中関係についてですが、日中間には、様々な可能性とともに、数多くの課題や懸案が存在いたします。同時に、日中両国は地域と世界の繁栄に対して大きな責任を有しております。

 昨年十一月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係、これを日中双方の努力で構築をしてまいります。

 この点、先般私が訪中した際にも、秦剛外交部長、王毅中央外事工作委員会弁公室主任、李強総理に対し、我が国の立場、これを改めて伝達したところでございます。

 中国との間では、引き続き、首脳、外相レベルを含めて、あらゆるレベルで緊密に意思疎通、これを行っていきたいと考えております。

河西委員 ありがとうございます。

 今年のG7の議長国である日本のリーダーシップ、その責任と使命はますます高まっていると思いますので、どうぞお取組をお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 念のため、あわせまして、マクロン大統領は、今回の訪中から帰国する機内においてメディアのインタビューにお答えになられたと、今話題になっておりますけれども。台湾情勢に関連して、最悪なのは、米国のペースと中国の過剰反応に欧州が合わせるべきだと考えることだなどとも発言をいたしまして、これは当然、米欧の足並みの乱れ、またウクライナ情勢にも波及するとして、批判と、また火消しも相次いでいる模様でございます。

 このマクロン大統領の発言は、台湾情勢に関するものである以上、我が国の国益にも影響を及ぼし得る内容だというふうに考えておりますけれども、政府として御見解また御認識があれば是非お聞きをしたいというふうに思っております。

林国務大臣 今お話のあった報道、これは承知をしておりますが、日本政府としてこうした報道の一つ一つについてお答えする立場にはないと申し上げておきたいと思います。

 台湾海峡の平和と安定、これは、我が国の安全保障はもとより、国際社会全体の安全と繁栄にとって不可欠の要素でありまして、台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが政府の従来からの一貫した立場でございます。

 台湾海峡の平和と安定の重要性については、我が国として中国側に直接しっかりと伝えるとともに、米国やフランスを始めとする同盟国、同志国とも緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信してきておりまして、今後も我が国としてこうした外交努力を続けていきたいと考えております。

河西委員 御答弁ありがとうございました。

 続きまして、三文書で踏み込みました自衛隊と海上保安庁の連携強化に関連して、給油について今日はちょっとお伺いをしたいと思います。

 まず、航空燃料でありますけれども、海上保安庁は、民間と同じジェットA1を使っております。一方で、海上自衛隊は、これに添加剤を加えたジェットA1プラス、また米軍艦載機と同じJP5を使っております。これら三種類の燃料につきましては、様々伺ったところ、相互に代替して使おうと思えば、技術的な問題は何ら発生しないということでございます。

 ただ、検証とか訓練という意味では、海保の方は、保有する航空機へのジェットA1プラスとJP5の代用の検証はもう既にされているそうでございます。硫黄島などでいろいろそういった検証をされている。ただ、海自と海保の給油訓練は、従前は行われていないというふうに伺いました。

 他方で、艦船につきましては、海自は一様に軽油を使う一方で、海保は、隻数でいうと、約七割が軽油、約三割が重油を使う大きいもの、船、規格のエンジンを搭載をしているために、一様に相互補給ができるわけではないということでございます。

 その上で、今御検討中の防衛大臣による海上保安庁への統制要領、先日、海上自衛隊が防衛措置に専念する一方で海上保安庁は後方支援を担う、こういった報道も拝見をいたしました。

 そこで伺いますが、後方支援というと給油活動ということを想起するわけでありますけれども、今後の有事に備えて、海自と海保による給油訓練、あるいは先ほど触れた艦船の使用する燃料の互換性、こういったものを高める方策というもの、それを御検討するお考えはあるか、お伺いをしたいというふうに思っております。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 海上自衛隊と海上保安庁が武力攻撃事態における対応も含めて連携を強化することは、厳しい安全保障環境の中であらゆる事態に対応する体制を構築する上で極めて重要であると考えております。

 その上で、海上自衛隊と海上保安庁による給油訓練及び艦船で使用する燃料の互換性を高める方策について、現時点で具体的な計画はございませんが、委員から御指摘もありましたので、今後、連携を強化していく中で必要な検討を行ってまいります。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 今後、統制要領をめぐっていろいろなシミュレーションとか検証が行われていくということで伺っておりますので、是非、必要な措置というか対策を取っていただきたいというふうに思っております。

 最後に、継戦能力に関連をいたしまして、本日は、防衛産業との関連を、ちょっとこれは問題提起ということでお伺いをしたいと思います。

 武力攻撃事態や存立危機事態で自衛隊に防衛出動が下るということで、法律上はそうなっているわけでありますけれども、自衛隊法上の活動地域は、皆さん御案内のとおりの百三条におけるいわゆる一項地域、これは自衛隊が活動する戦闘地域、そして、それ以外の二項地域、これは後方地域に分かれます。この後方地域のロジ、兵たん活動が継戦能力の鍵を握る、これは本番でありますけれども、そこにアセットの修理も含まれるんだろうというふうに思っております。

 他方、我が国は工廠を持たないために、自衛隊は平時の場合は修理の多くを民間企業に依存をしているわけでありまして、これは、平日、休日問わず活動される自衛隊に対しまして、民間企業は、労働基準法の制約ですとか、あと、少量多種の装備品を支えるいわゆる専門技能者が限られるために、納期を間に合わせるのに結構苦慮をされるというふうに伺っております。その上で、有事は、当然戦争に休日はございませんので、第一義的には、新型コロナ対策でも適用した労基法の第三十三条で労働時間の上限を撤廃をすることになります。

 他方で、自衛隊法百三条の二項、防衛大臣等による業務従事命令という枠組みがございます。ただ、現在、その対象は、医療、土木建築工事又は輸送という三業種に限られているわけであります。ただ、この三業種は、自衛隊法施行時、昭和二十九年ですが、災害救助法を参考にした対象で、七十年間近く変わっていないということでございます。よって、この対象に、いわゆる防衛産業といいますか、自衛隊の任務遂行に不可欠な装備品等を修理する技術者、例えばこういったことを加えてはどうかといった御意見も伺います。

 また、当然、組合との関係、また、中小企業は少数精鋭の皆様でありますので、官民で十分に意見交換をすべきテーマであるからして問題提起にとどめたいと思いますが、この継戦能力を確保するに当たっての防衛産業の役割と位置づけについて、今、防衛省はどういった課題認識をお持ちか、また、今後の方針があれば、これは大臣に御答弁をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

浜田国務大臣 自衛隊の運用を円滑にするために、装備品の維持整備に係る体制を強化することは重要なことであります。防衛省は、あらゆる状況において防衛力を発揮するための持続性・強靱性の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 自衛隊の装備品の維持整備には、部隊が実施する作業のみならず、防衛関連企業が契約に基づき実施する作業も多くあります。平素より、プライム企業や下請企業を含め防衛産業界とも装備品の維持整備を行う能力などについて緊密に意見交換をするとともに、今般提出した法案を始めとする様々な施策を活用しながら、防衛生産・技術基盤を維持強化することに努めてまいりたいと考えております。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに今般、今後審議されます基盤強化法の中で、防衛産業の皆様との契約の内容についても様々検討の余地があると思いますので、どうかお取組のほどお願いを申し上げます。

 私は、以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉です。よろしくお願いいたします。

 冒頭、通告しておりませんけれども、防衛大臣、お答えをいただきたいと思いますが、北朝鮮のミサイル発射に伴う、本来はこれは内閣官房長官かもしれませんけれども、Jアラートとかエムネットの発信の仕方、これについて一言お願いをしたいと思っています。

 それは、この問題、度々課題になっております。国民の生命財産を守るためには、念には念を入れるという意味で、空振りも一定程度、私は仕方がないと思っています。ただ、やはり警鐘を鳴らさなきゃいけないのは、またかと思った、あるいは感じた人たちもかなり多いのではないかというふうに思っていて、イソップのオオカミ少年にならないようにしないといけないというふうに思います。オオカミが出たと言っては大人をだましていた少年が、本当にオオカミが出たときには誰にも信用されなかった、こういうことになっては絶対にいけないと思いますけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 委員のおっしゃったとおりであろうと思います。

 我々とすれば、これはあくまでも、Jアラートというのは、危険を多くの皆さん方と共有するために、できるだけ早く、そしてまた、これが空振りに終わっても、やはりこれは出し続けるというのは、これは絶対条件だというふうに思っております。

 ですから、今回の件についても、これは我々の立場からすれば、これを常にずっとしていくことによって、逆に、これで皆さんに動いてもらえるようにすることというのは大変重要だというふうに思っています。ですから、こういった形で、今回も来なかった、これはよかったというふうに私自身は思っております。

 ただ、この点、これがもしも来てしまえば、これはまた大変なことであるわけでありますが、しかし、来なくても来ても、やはりそのときには身を隠していただかなければならないということもございますので、その点については、我々、もう少しいろいろな形で分かりやすく説明できるようにしていかなければならないというふうに思っていますので、委員のおっしゃることは極めて重要だというふうに考えて、我々も対応していきたいというふうに思っております。

玄葉委員 再び申し上げますけれども、一定の空振りは、私は仕方がないと思っています。他方で、余り空振りし過ぎると誰も信用しない。領土、領海に本当に落下するミサイルに対してアラートしたのに誰も信用しなかったということになっては絶対にいけないので、やはりよく今回のことは分析、検証する必要があると思います。特に今回は、領土、領海に落下するということを少なくとも予想した初めての例だと思いますので、通過というのじゃなくて落下するということは、たしか初めてではないかと思いますので、そういう意味で、よく分析、検証してください。

浜田国務大臣 今現在も我々とすればこの件に関しては検証を続けておるわけでありますので、おっしゃられたように、我々とすれば、しっかりとこれを検証して、しっかりとこのJアラートが皆さん方に信頼されるものになるように努力してまいりたいというふうに思います。

玄葉委員 是非、オオカミ少年にならないように、警鐘を鳴らしておきたいというふうに思います。

 さて、今日は安保三文書についての質疑ということでございます。特に、今回の焦点である、まずは反撃能力のことについて議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、私たちの反撃能力についての考え方でありますけれども、年末にかなりしっかりと我々の党も、立憲民主党ですけれども、議論をさせていただきました。様々な議論が実はあったのですけれども、反撃能力一般については、結論だけ申し上げれば、認め得る反撃能力もあれば、認められない反撃能力もあるということです。必要性、合理性、専守防衛の枠内という、我々は我々の三条件と言っていますけれども、そういった三条件の枠の中のものであれば認められるし、そうでなければ認められないというのが我々の正式な立場です。

 他方で、度々国会の中で指摘をしているのは、第一撃の危うさとか、存立危機事態での反撃能力についての懸念などは、度々指摘をさせていただいているということでございます。

 その上で、反撃能力でありますけれども、まずお尋ねをしたいのは、施政方針で、今回の三文書を作成する過程で極めて現実的なシミュレーションを行ったというふうに岸田首相も言及をされておられるわけでありますけれども、これらはどんなシミュレーションをされたか、これは説明できますでしょうか。

浜田国務大臣 防衛省は、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で自衛隊の能力評価をするためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証しております。

 今般の国家安全保障戦略等の策定に際しても、相手の能力と新しい戦い方を踏まえ、想定される各種事態への対応について、能力評価等を通じた分析を行ったところであります。

 例えば、侵攻部隊によるミサイル攻撃、戦闘機等による航空侵攻、艦艇部隊による海上侵攻といった状況を想定し、自衛隊がどのように対応するか検証することを通じた、我が国への侵攻に対処するために不十分な自衛隊の機能、能力の評価に加え、宇宙、サイバー、電磁波の領域、無人アセットを用いた非対称な戦い方、ハイブリッド戦のような新たな戦闘様相等を踏まえた将来の防衛力の検討などを、様々なシミュレーションを行いました。

 こうしたシミュレーションを通じて、スタンドオフ防衛能力、弾薬等の整備や防衛装備品の可動数向上等の持続性・強靱性を始めとする防衛力の抜本的強化の七つの重視分野等を導き出しました。

 今後、新たな国家安全保障戦略に基づき、自衛隊が国民を守る責務を完遂し、国民の期待と信頼にしっかりと応えられるよう、防衛力の抜本的強化の実現に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えているところであります。

玄葉委員 今、防衛大臣が御説明をいただいたシミュレーションの概要、これは、衆議院の予算委員会の理事会に提出をされた三枚の紙は私も読んでおります。それで、一つだけよく分からないのは、いわゆる存立危機事態におけるシミュレーションというものは行われたのかどうなのか。これについてはいかがでしょうか。

浜田国務大臣 実施したシミュレーションについては、最も烈度が高いと想定される我が国への侵攻事態を想定し、必要に応じて、非対称な戦い方やハイブリッド戦のような戦闘様相も加味しつつ、検討を行ったところであります。

玄葉委員 ということは、存立危機事態における反撃能力などが行われるシミュレーションは行わなかった、こういうことでよろしいですか。

浜田国務大臣 存立危機事態における対応能力の検証を目的としたシミュレーションは行っておりません。

玄葉委員 はい、分かりました。

 必要性と合理性をできる限りクリアカットに、分かりやすく説明をしていただきたいということを、この間、度々申し上げてまいりました。この委員会でも時々指摘をされていると伺っていますけれども、また私もそばで聞いておりますけれども、予算委員会等で、存立危機事態における分かりやすい例示というものを反撃能力の行使にあって行うべきだという指摘がこの間ございました。

 例えば、私自身も、岸田総理大臣とのやり取りの中でそういった指摘をさせていただいて、その結果、岸田さんは、分かりやすい説明は大事だ、そのための分かりやすい例を示すということは考えられると思います、こういうふうに答弁をされておられるのですが、分かりやすい例示がなかなか出てこないように思いますが、これについてはいかがでしょうか。

浜田国務大臣 委員の御指摘の点についてですけれども、今、岸田総理のお話もありましたが、分かりやすい説明を行うことは重要だというふうに考えております。

 この点、我が国周辺で、我が国へのミサイル攻撃が現実の脅威となっていることを踏まえ、これらにどのように対応していくべきかについて、皆様の御理解を得る一助となるよう、衆議院の予算委員会の理事会において、既に公表されている三文書に加えて、イメージ図というものをお示しをさせていただきました。

 その上で、この場でも答弁してきたとおり、事態認定後の反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して、武力行使の三要件に基づいて、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために他に手段がなく、やむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断するものであります。

 反撃能力の行使は、事態認定がなされた後の武力の行使という個別の作戦に関わるものであります。いかなるケースで対応を取るかを明らかにすることは、対抗的な措置を取られることなどにより国の安全を害するおそれがあるということで、今まで、我々からこういったイメージ図とか出しているのが、今のところ、精いっぱいのところであると考えております。

玄葉委員 今の御答弁の、シミュレーションの概要の三枚紙と、多分、この反撃能力のイメージ図は、私も手持ちでございます。

 ただ、おっしゃるとおり、対応措置の態様の議論ではあるんですけれども、この間、岸田さんは、岡田さんと私の質問の答弁で、個別の事態への対応措置について、個々具体的には言えないけれども、分かりやすい例示は示したいと言っていたと思うのですけれども、それが残念ながら出てこないなと思っていて、これはどうなんですかということなんです。

浜田国務大臣 いろいろと今検討を重ねておるところでありますが、なかなかこれは大変時間がかかっておりまして、申し訳なく思いますけれども、出せるかどうかも含めて、もう一度確認させていただきたいというふうに思います。

玄葉委員 総理大臣の言葉、しかも予算委員会での言葉でございますので、しっかりと対応してもらいたいというふうに思います。

 その上で、この反撃能力のイメージ図を御覧になっていただいて、少しお尋ねをしたいと思います。

 この反撃能力のイメージ図、我が国に対する武力攻撃が発生をして、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、ミサイル防衛網により、飛来するミサイルを防ぎつつ、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の措置として、相手からの更なる武力攻撃を防ぐために、我が国からの有効な反撃を相手に加える、こうした有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止するというのが一つの説明なのだろうというふうに理解をしていますが、とにかく可能な限り分かりやすく説明してもらいたいと思っています。

 一番上の行、「我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、」この「等」というのは何を指しているんでしょうか。「弾道ミサイル等」の「等」は何を指しているんでしょうか。

浜田国務大臣 今委員の御指摘の「等」の部分でありますが、今現在の、その部分に関しては弾道ミサイル。「等」というのは、やはりこれから技術革新があったりして、いろいろなまたミサイルの態様が変わる可能性もありますので、そこのところを説明するための「等」だというふうに思います。

玄葉委員 恐らく、このイメージ図でいえば、ここにある極超音速兵器などを指すのかなというふうに推測をします。

 もう一つお尋ねをしたいのは、岸田総理大臣との予算委員会でのやり取りの中で私が尋ねたのですけれども、この反撃能力というのは、ミサイルを抑止し、対処する、いわゆるミサイル阻止力のためだけなのですかと。例えば、日本、特に島嶼部に武力侵攻してきた他国の戦闘機や艦船の母港、他国領域の港や空港へ反撃するということは想定していないのかというふうに聞いたわけですけれども、それに対して岸田総理は、ミサイル以外への対応は、武力行使の三要件に合致するかどうか、まずはミサイル対応が現実的に考えられる課題だ、他に手段がないかどうか厳密に考えるというふうに話をして、多くのメディアは、ミサイル攻撃がなくても反撃能力を行使し得るという答弁をしたというふうに書いたわけです。

 それで確認をしたいんですけれども、これは、いいとか悪いとかじゃなくて、相手からミサイル攻撃がなかった場合でも我々は反撃能力を行使し得るのかどうかという問題です。

 つまり、この反撃能力のイメージ図の1、まさに「弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、」とここには書いてあるわけですけれども、今私が申し上げたのは、相手からミサイル攻撃がなかった場合、しかし、戦闘機が来ている、艦船も来ている、島嶼部に侵攻しようとしている、そういったときに、他国領域の、例えば戦闘機とか艦船の港に対して、空港に対して反撃能力を行使し得るのかどうか。

 つまり、相手からのミサイル攻撃というのが反撃能力を行使する絶対要件なのかどうか、これを聞きたいんです。

浜田国務大臣 今委員から御指摘の点ですけれども、これはあくまでも、反撃能力の運用については、当然のごとく、他に手段がない場合とか、そういったことは、これは当然あるわけでありますけれども、しかし、我が国に侵攻を試みる戦闘機や艦艇等への対応は、一般的に、我が国の航空、海上アセットや地対空、地対艦誘導弾等により、相手の領域外で行うことが基本になるというふうに考えております。

 ですから、すぐ、今おっしゃったように、まず、来ているものに対しての、要するに、防御を張るということでありますので、それは反撃能力と言わず、我が国を防衛するための、要するに、アセットでこれに対応していくということだというふうに思っております。違いますかね。

玄葉委員 もちろん、私、そういうふうに、何というのかな、もう侵略をされているわけですから、侵略というか侵攻されているわけです、我が国の領土、領海、島嶼部に着上陸侵攻している。それに対して対処するわけですけれども、そのときに、つまり、艦船とか戦闘機とかのいわゆる母港ですね、いわゆる彼らが離発着する母港を我々が攻撃をするということは、かなり有効な手段のように私は思います。

 それは、いわゆる反撃能力という我々の能力をもってして行うべきものなのだろうというふうに思うんですけれども、それが、いわゆるミサイル攻撃が最初になかった、ミサイル攻撃があったら多分それはできるんだと思うんですけれども、ミサイル攻撃がなかった場合でもできるという答弁を私は岸田さんはしたと思っているんですが、その確認をしたかったんですが、ミサイル攻撃が仮になくても反撃能力は行使し得るのか、こういう問いですね。

浜田国務大臣 反撃能力の保有について、ミサイル攻撃への対応が現実的課題と整理している旨を述べているとともに、戦闘機の飛来等によって、本当に反撃能力、これしか手段がないのかどうか、これを厳密に考えた上で現実に対応しなければならないと考えております。

 この点、現時点で他に手段がないのかと考えれば、我が国に侵攻を試みる戦闘機や艦艇等への対応は、一般的に、我が方の航空、海上アセットや地対空、地対艦誘導弾により、相手の領域外で行うということが基本になると私どもは考えております。

玄葉委員 ですから、今の答弁をまとめると、他に手段がない、最後の最後の手段として反撃能力も、ミサイル攻撃が先方からなくても、最後の最後の手段としては行使し得る、こういうふうに聞こえますが、それでよろしいですか。

浜田国務大臣 この点に関しては、当然のごとく、いろいろな確認をしながら、そしてまた国の、国会の方の関与も含めて対応していくことになると思いますので、そこは極めて慎重なこれから判断がなされて初めて行使できるものと思います。

玄葉委員 今ちょっと、通常のスタンドオフミサイル能力という話が他の委員からあったんですけれども、それに答える必要はないんですけれども、いわゆる通常のスタンドオフミサイル能力を、いわゆる例えば遠い遠方地から、遠隔地からいわゆる我々の島嶼部に向かって、相手方に向かって撃つというのは、これは純粋な防衛ですから、それはもう当然問題ないわけですけれども、私が申し上げているのは、さっきから申し上げているように、他国領域のいわゆる戦闘機とか艦船のいわば出発地ですね。あるいは帰る地ですね。他国領域に撃つかどうかという問題なんです。それを、ミサイル攻撃があったら反撃能力として撃てるというふうに今までも説明があったんですけれども、今回私が確認しているのは、ミサイル攻撃がなくても、それは最後の最後の手段としては行えるんですかと。今の答弁は、極めて慎重にやります、極めて慎重だけれども、絶対にできないということではない、こういうことでよろしいですか。

浜田国務大臣 基本的に我々が考えていることは、これは先ほどから玄葉委員もおっしゃっておりますが、専守防衛ということが我々のこれは極めて重要な行動だというふうに思っておるわけであります。その中において、今の状態で、飛行機が飛んできた、敵機が飛んできた、そしてそれに対する対処をしているということで、これがその場合、個別の場合に対してどのように判断するかというのは、当然、今その仮定に対して答えるのはなかなか難しい。

 ただ、いろいろな我々の防衛戦略の中で、やはり一番、この国を守るために一番最優先になるものをやはりチョイスするというのは、これは否定することはなかなかできないということで私は思っております。

 ですから、今ここでそれを言ってしまうことによって、先に我々が今までいろいろな抑止ということを考えてきているわけでありますので、それを持っていることで、逆に相手方がそのように感じてくれて攻撃をやめるとか、そういうことを我々も期待をするところでありますので、ここで今、この点について踏み込んで私が答弁するというのは控えさせていただきたいなというふうに思います。

玄葉委員 逆に言うと、抑止のためにも、必ずしも絶対に否定するものではない、こういう理解でよろしいですか。

浜田国務大臣 おっしゃるとおりです。

玄葉委員 政府としての整理はそういうことなのかということで今日は一つ理解をいたしましたが、よしあしはいろいろ議論はあると思います。

 改めて、もう一回、どうしても必要性とか合理性が十分分かりやすく語られていないという側面があると思うので、もう少し説明してもらえればと思うんですけれども、例えばこのイメージ図を読んで一つ思うのは、反撃能力というのは基本的にミサイル攻撃に対して抑止のため、もう一つは被害の軽減のため。つまりは、抑止が破れて撃ち合いになった、撃ち合いになったときに、こちらが反撃能力を持っていれば、相手はある意味、ガンとガンの戦いだったら物陰に隠れながら撃たなきゃいけないみたいな被害の軽減。これはどっちが主なんですか、これは。いや、私は私の考えがあるんですけれども、つまり、反撃能力を持つ必要性という観点でどっちがメインなのか、両方なのか、これを教えていただけますか。

浜田国務大臣 相手から、例えばミサイルで攻撃がなされた場合に、ミサイル防衛により、飛来するミサイルを防ぎつつ、相手から更なる武力攻撃を防ぐために我が国から有効な反撃を相手に加える能力、すなわち、これが反撃能力を保有するということでありまして、こうした能力を持つことによって相手に攻撃を思いとどまらせ、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができるというふうに考えております。

玄葉委員 そうすると、抑止と、抑止が破れて撃ち合いになったときの被害の軽減と、両方だという理解でよろしいですか。

浜田国務大臣 基本は抑止ということだというふうに思っております。

玄葉委員 政府の考え方としてそうだということは理解をしました。

 私は、実際は両方じゃないかなと思っているんですね。恐らく、抑止として利いてもらわなきゃいけないんですけれども、実際上は被害の軽減の方が効果があるんじゃないかというふうに、私自身はこの反撃能力というものを理解をしているということです。

 もう一つ、必要性の観点で、なかなか語られないことの論点なんですけれども、中距離ミサイルギャップ、バランス・オブ・パワーの中距離ミサイルギャップというのがあるじゃないですか。INFの全廃条約でアメリカは中距離ミサイルをもうなくしてしまった。他方で中国は千発以上、二千発とも言われていますけれども、持っている。このミサイルギャップに対して、やはり日本が反撃能力を持つということが有効であるということが、反撃能力を保有する、あるいは反撃能力を保有し行使し得る状況にする必要性、理由の一つだというふうに考えるかどうか、あるいは説明するかどうかということについてはいかがですか。

浜田国務大臣 我々とすれば、特定の国に合わせてミサイルを、トマホークを持つということを考えているわけではありませんので、そのミサイルギャップについて、我々がそれを考慮に入れたということはないということです。

玄葉委員 北朝鮮のミサイルも含めて考えれば、私は、党の中で賛否両論の議論があるときに、ミサイルギャップを埋めるというのも大事な役割だと実は説明をしておりました。ですから、実際はそういったこともあるのだろうと思っていて。

 他方で、政府として、おっしゃるとおり、特定の国、特に北朝鮮以外の国を挙げるというのは、なかなか困難であることは十分承知しております。ただ、実際上は、日本ででき得ることは自分でできるだけやるという基本原則の下で、恐らく、日米の、例えば地位協定も含めて、アメリカに対してもっと物を言えるようにするということも含めて反撃能力というのは議論されるべきなんじゃないかと思っていますけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 当然、今委員がおっしゃったような考え方もあると思いますし、我々とすれば、先ほどから申し上げていますように、我々の戦略というのは、極めて冷静に、そしてまた、まずは外交力によっていろいろなことが起きないようにするということが大前提ということでもありますので、我々の対応の仕方というのは、その意味では大変、極めて慎重であるというふうに思いますし、委員のおっしゃる中には、当然、そういったことも含まれていることだというふうに思いますので、確かに、おっしゃられる部分も十二分にあるというふうに思います。

玄葉委員 今日は、反撃能力、このぐらいにしておきますけれども、私たちは、冒頭申し上げたように、第一撃の問題とか存立危機事態における反撃能力の行使については懸念を示しながらも、一般的に、反撃能力については、行使し得る場合もあれば、行使し得ない場合もあるのではないかと思っていて、必要性、合理性、専守防衛の枠内というのが我々としては大事な条件だと改めて申し上げておきたいというふうに思っております。

 今日はもうこれだけで相当時間を費やしてしまったので、二番と三番を省いて、四番も省いて、最後のところ、少し、論点というかテーマが全く変わっちゃうんですけれども、聞かせてください。前回も通告して、そのままにしてしまいましたので。

 ザポリージャ原発などがウクライナで攻撃を受けております。それで、いわゆる戦時下の原子力施設の保護の問題、外務大臣、戦時下の原子力施設の保護の問題というのは、これはやはり大事な課題だと思っています。

 私もいろんな提言をしたいなと思っていたところに、実は、特定の財団の名前を挙げてしまうのですけれども、今年の二月に笹川平和財団から政策提言が出されて、原子力施設の保護と日本の役割という提言が出されました。これは、そのままお知らせしてあります、政府の方には。

 どういう提言かというと、提言一と二がありまして、一つは、国連安保理が本来の機能を果たせていないので、IAEAが原子力施設の保護を支援する仕組みを新たに構築する必要があると。IAEAが提唱しているような原子力安全保護地帯の設立、これは例えば、黒海の穀物イニシアチブのような局地的な停戦の仕組みだと思いますけれども、そういうものを設立するとか、国際赤十字委員会との協力であるとか、あるいは、安保理が機能しない場合に備えて、国連総会決議によって国連緊急原子力安全ミッションの派遣などの仕組みを検討するなどという提言がまず最初に出されております。

 これについての政府の評価を、あらかじめ通告してございますので、お聞かせいただけますか。

林国務大臣 この民間団体による提言内容につきまして、政府としてコメントすることは差し控えますが、今御紹介いただきました政策提言、これは、ロシアによるウクライナ国内の原発に対する攻撃を受けて作成されたものと承知をしております。この原発に対する攻撃、占拠を含めまして、ロシアの一連の行為、決して許されない暴挙であり、ロシアに対して、このような蛮行を即座に停止するように求めるところであります。

 その上で、この提言の一でございますが、戦時下における原子力施設の保護に関連しまして、ロシアによるウクライナ侵略とザポリージャ原発等への攻撃を受けまして、IAEAが実際にグロッシー事務局長のリーダーシップの下で、原子力安全及び核セキュリティーの確保に向けて努力を既に続けられておられます。

 国際社会は、IAEA及びグロッシー事務局長の取組を評価して、強く支持しております。我が国としても、G7各国と連携しながら、ウクライナの原子力安全及び核セキュリティー強化のための防弾車四台の調達支援、また、IAEAの活動支援のために約千二百万ユーロの支援を行っております。こうしたことでIAEAの取組を支援してきております。

 たまたまですが、昨日十二日に、私とグロッシーIAEA事務局長、テレビ会談を行いました。IAEAの取組への日本の支援を改めて伝えたところでございまして、G7議長国として、国際社会の連携を確保すべく、リーダーシップを発揮していきたいと考えております。

玄葉委員 私も、今回、IAEAは頑張っていると思っております。ただ、やはり、制度的に限界がいろいろあるので、しっかりと日本が支援できる状況をつくる必要があるのではないかと思っているんです。

 私も実は知らなかったんですけれども、ジュネーブ条約というのは、原発への攻撃禁止を定めているんですけれども、原発への攻撃、完全に排除されているわけではないんですね、どうも。

 例えば、当該施設が軍事施設の主要電源になっているとか、軍事的重要性が高ければ攻撃が許容される、そういう余地があるというものになっているようでありまして、本当にそれでいいのかどうかということも含めてしっかり考える必要がある。

 提言二では、原発への攻撃を原則禁じているジュネーブ条約等々をやはり改正すべきではないか。つまり、全面的に原子力施設への軍事行動を防止するように改正すべきではないか。そういった、国際条約の改正作業とか国際原則の確立に向けて、やはり日本としては、広島サミットもあることですし、福島第一原発の事故もありましたし、被爆国ということもありますので、やはり各国間の議論を林外務大臣に先導していただきたいなと。

 これは広島サミットでも何らかの、まあ何ていうのかな、広島サミットで結論が出なくても、議論をスタートさせようというぐらいのことは私は言ってもいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょう。

林国務大臣 今、委員からお話がありましたように、この五十六条に、「攻撃の対象としてはならない。」こう書いてございますが、一方で、「1に規定する攻撃からの特別の保護は、次の場合にのみ消滅する。」ということで、今お話のあったような、「これに対する攻撃がそのような支援を終了させるための唯一の実行可能な方法である場合」、こういうこともあるわけでございます。

 いずれにしても、まずはこれが許されてはならない。今回、まさにこのただし書的なものが、じゃ、今回のものに適用されるかといえば、本条が全く適用されるケースでありますから、国際社会がその実効性を高めるために連携していく。もとより、侵略自体が国際法違反であるということは重ねて申し上げてきておるところでございますが、まさに実効性を高めるための連携というのは必要だ、こういうふうに思っております。

 G7でこれまでも、実は原発の占拠を含めて、ウクライナ侵略におけるロシアの一連の行為に対して、ウクライナの主権が完全に尊重される形でIAEAの取組を後押しをするということで結束をして対応してきたわけでございますので、今の委員の御指摘も踏まえて、しっかりG7で対応してまいりたいと思っております。

玄葉委員 これは、ザポリージャ原発はもう現在進行中なのでありますけれども、今後、様々な地域でこういうことがあり得る話なので、戦時下における原子力施設の保護強化の仕組みを、やはり日本がしっかり国際社会の中で議論を主導してつくり上げる、そのきっかけに是非広島サミットをしていただきたいと思っておりますが、最後にいかがでしょうか。

林国務大臣 今の条約やG7の対応状況については先ほど御答弁したとおりでございます。まさに唯一の戦争被爆国としての我々の立場、そして、我々は長野県軽井沢でございますが、サミットは広島で行われるということも踏まえて、しっかり対応してまいりたいと思います。

玄葉委員 終わります。どうもありがとうございます。

鬼木委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 篠原豪でございます。

 先週に引き続いて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からもJアラートについて少しお伺いをさせていただきたいと思います。

 浜田防衛大臣が、やはりこれはしっかりと信頼されるようにしていかなければいけないということをおっしゃいましたので、今日Jアラートが発せられて、それに接せられた方々は結構戸惑ったんじゃないかと思っていまして、まず、どういう時系列で、エムネットとJアラート、これがどういうふうに動いたのかということを、もし分かれば教えていただきたいと思うんですけれども、分かりますでしょうか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 本日のミサイル事案に関するJアラートの対応等についてでございます。

 本日、北朝鮮から発射されたミサイルにつきましては、北海道周辺に落下する可能性があるとして防衛省から伝達がありましたことから、その旨を送信したところでございます。

 その後、ミサイルが北海道及びその周辺に落下する可能性がなくなったとの伝達がありましたことから、改めて国民に情報を提供したものでございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 防衛省からいつその情報が入って、Jアラートを見ていますと、まずどこに発出されたのかというのが分かれば教えていただきたいと思います。

齋藤政府参考人 防衛省から情報が来ましたのは、参りましたというか、防衛省からの情報が伝達されて後、速やかに内閣官房からJアラートを発出しておるところでございますが、Jアラートにつきましては北海道に対して発出したところでございます。

篠原(豪)委員 東京でもJアラートの画面が出たと思うんですけれども、北海道じゃないと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。全然違うんじゃないですか、事実は。

齋藤政府参考人 Jアラートにつきましては北海道に対して発出しておるわけでございますけれども、別途、全国に、エムネットという形で文字情報で同じ情報を発出をいたしております。

篠原(豪)委員 そうすると、テレビで、Jアラートだと思うんですけれども、直ちに避難、直ちに避難、直ちに避難、建物の中に、又は地下へ避難してくださいとまず最初に流れて、それから時間がたってから、少したってから、北海道だというふうに流れていると思うんですけれども、それはどうですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 Jアラートにおきまして、「直ちに避難。直ちに避難。直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい。」間を置かず、「ミサイルが、〇八時〇〇分頃、北海道周辺に落下するものとみられます。直ちに避難して下さい。」という情報を発出いたしております。

篠原(豪)委員 見た方から聞いたのは、やはりこれは、対象地域が北海道と分かるまで、どうすべきか分からなかったと。

 結局、しっかりとこの情報を、正確性と迅速性にこれまでも問題があるんじゃないかと言われていて、七時二十二分に、ICBMと思われる、まあ、海外の報道ではICBMだというふうに言っていますけれども、これが発射されて、これはもちろん国連決議違反ですし、厳重に、強く私も抗議するものでありますけれども、北朝鮮に対しては。こうした緊急情報の精度を上げなければいけないときに、今の説明だとよく分からないですよね、実際に、どのぐらいの時系列で、どういうふうになって、どういうやり取りがあったのかということが。

 なので、先ほど玄葉委員からも、オオカミ少年みたいに取られてしまってはいけないということですし、信頼させるシステムになるということについては。だけれども、実際には、ミサイルの落下地点を推測するのは防衛省だと思いますし、これが曖昧な情報で、十分以上どこに落ちるか分からないし、ずっと、落ちた後に、これは大丈夫でしたとなっているんだけれども、東京でそれが流れて、これが通勤時間と通学時間で、画面が切れて黒くなって、こういうふうになるわけですね。これだとすると、みんな、めちゃくちゃ焦ると思うんですよね。

 なので、ここはやはり改善する必要があると思っているんですけれども、これについて、ちょっと大臣、もう一度。何か補足説明があればしていただいた上で、御説明いただきたいと思います。

浜田国務大臣 我々の方からいろいろな情報を、先ほどのJアラートの担当の方に流しているわけであります。

 我々とすれば、いろいろな情報を収集しながら、今も分析中でありますが、その動きというものを、しっかりとこれからも対応できるように不断の努力をしていきたいというふうに思いますし、その後のことはJアラートの担当の方から答弁いただければというふうに思います。

齋藤政府参考人 内閣官房といたしましても、防衛省等関係省庁としっかり連携をいたしまして、より迅速かつ的確な情報提供に努めてまいりたい、このように考えております。

篠原(豪)委員 今回の事態を見ていた方々は、何でこういう事態にいつもなるのかな、あるいは、今回はよくなかったんじゃないかなというふうに思っている人も多いかと思います。東京でですからね。北海道ということなので。

 防衛省は、北海道の方に飛んでいるということが分かっているわけですよね。それが分かっていて言っていて、それが違う地域にもし出るとかいうことだとすると、それは何なのかという話だと思うんですよね。全然正確性もないし、迅速性については、やはりこれも課題があると思います。

 これが、人為的な問題でそういうふうになっているのか、省庁間のやり取りで、あるいは受けた方々が、指示の出し方なのか、あるいはシステムの問題なのかと、やはり原因を究明して、正確にやっていくためには、そういう、ちゃんとしっかりした観点でやっていただいて、そこについてどういうふうにやっていきますという話があって初めて改善だと思うんですよね、具体的に。

 なので、その点について、もう一度しっかりと、これはやはり国民の皆さんは心配しますから、朝の時間に画面が暗くなって、飛んでこないところでそれがあったりして。

 ということで、ちょっともう一度、その辺も含めてお願いしたいと思います。

大和政府参考人 情報伝達について、防衛省の方から一言申し上げたいと思います。

 本日、我が国領域に落下する可能性があるものとして、北海道及びその周辺に落下する可能性があるミサイルを探知いたしました。

 探知の後、限られた探知情報の中で、システムがこういったところに落下する可能性のある航跡を生成したため、国民の皆様の安全を最優先する観点から、内閣官房に当該の情報を伝達いたしました。その結果、Jアラートが発出されたものと承知しております。ミサイルによる落下物の危険性を速やかに国民に知らせるというJアラートの役割に鑑みれば、問題があったということではない、かと存じます。

 他方、国民の皆様にできる限り早く安心していただく観点も重要であります。したがって、私どもの引き続きの監視等によって、今回探知したミサイルが我が国の領域への落下の可能性がなくなったということが確認された時点で、これも内閣官房に直ちにその旨の情報伝達をいたしたところであります。

篠原(豪)委員 ちょっと時間がなくなりますのでこれ以上はやめておきますが、場所と出し方と、そしてスピードと正確性、しっかりと考えていただきたいと思いますので、是非、少しずつでもいい、少しずつというか、ちゃんと国民の皆さんが、余り誤報、必要のないところまで不安にならないようにしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次は、今日は先ほどから、私も先週、反撃能力のお話をさせていただきました。抑止論の話もありましたので、まず、ちょっと抑止の話で、拡大抑止の問題から取り上げさせていただきたいと思います。

 他国からのミサイル攻撃を想定した反撃能力について、私もいろいろな、過去の答弁を含めて、実際に存立危機事態のときに反撃能力が発動されるということがあり、それについてどういうふうになっているのかというような議論もさせていただきましたし、今回は、それと一緒に、やはり大事な、反撃能力が抑止力としての反撃能力だというふうに政府はおっしゃっているので、やはり欠かせないのがアメリカによる拡大抑止の提供だと思っておりまして、これは密接に関連しておりますので、取り上げさせていただきたいと思います。

 まずは、核抑止についてです。

 米国と旧ソ連は、冷戦時代に、核攻撃を受けても相手国を確実に破壊できる核戦力を保有すること、つまり、互いに報復を恐れて先制攻撃に踏み切りにくい、相互確証破壊という、これは簡単に言えば、やれば必ずやり返されるし、やり返すのは誰がやるかといったら、潜水艦と大陸間弾道弾と戦略爆撃機を持っていて、それが飛んでくる、どれかが、ということをお互い持って、互いに報復を恐れて先制攻撃を踏み切りにくい状況をつくって、米ソが直接軍事衝突をせずに済んだというふうに今まで来ているんだと思います。

 これは、圧倒的な破壊力を持つ核への対抗には核が不可欠であるとする考え方で、ロシアがウクライナに侵攻したのも、ウクライナが核兵器を持たないから、あるいは攻撃から守ってくれるNATOのような枠組みに入っていなかったからとする意見があります。

 非核三原則を掲げる政府は、まず、このような認識について政府としてどのように評価をされてきているのかということをお伺いします。

林国務大臣 相互確証破壊、たしか、英語の頭文字を取ってMAD、マッドだ、こういうことを昔聞いた記憶を今思い出しておりましたが、我々としては、国家安全保障戦略でも示しましたとおり、我が国は非核三原則を堅持しておりまして、今後、その方針には変わりはないわけでございます。

 その上で、我が国は、その周辺に強大な軍事力が集中し、また、北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の透明性を欠いた軍事力の急速な強化など、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面していることも、これまた事実でございます。

 政府としては、米国の拡大抑止が我が国の安全保障にとって不可欠であると考えておりまして、引き続き、米国による拡大抑止の提供を含む日米同盟の抑止力と対処力、これを一層強化していきます。

篠原(豪)委員 つまり、核に対抗するには核しかないという考え方を日本政府が肯定すれば、必然的に核保有、核武装を肯定するということになるんだと思います。これは非核三原則の考え方あるいは核不拡散条約とも相入れないのだろうということでありまして、今のこの部分についても、同じ話なので、外務大臣の考え方をもう一度伺っておきます。

林国務大臣 まさに今御答弁したとおりでございまして、委員がおっしゃったところと全く同じことだというふうに考えております。

篠原(豪)委員 次に、核共有の問題です。

 日本でも、米国の核兵器を国内に置く核シェアリング、共有を検討すべきという議論も一部には今あるんだと思います、まあ、これは過去もあるんですけれども。ドイツやイタリアなどNATOの非核保有国が自国内に米軍の核兵器を配備をし、有事には米国と共同で運用する仕組みで、同盟国側も核の使用の責任を負うため、核保有に相当する抑止力が期待できるとする意見が今出てきているんだと思います。

 日本政府はそもそも、実は、私もこれは何回か、いろいろな聞き方をして、いろいろな議論をさせていただいているのですけれども、核共有の考え方を取らないというふうに表明してきましたが、改めて、なぜそうした考えを取らないのかについて御説明いただければと思います。

林国務大臣 核共有につきましては、非核三原則や原子力基本法を始めとする法体系との関係から認められないと考えておりまして、政府として議論することは考えておらないところでございます。

 その上で、政府としては、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現を目指すという考えから、政策上の方針として非核三原則を堅持していくとの考えに変わりはないところでございます。

篠原(豪)委員 核共有の立場は日本は取らないと。私もそう思いますよ。だって、指揮系統だって独立しているわけですから、指揮命令系統だって、自衛隊と米軍で、アメリカと日本でという意味でありますし、実際にリスクを背負ってどうするか。

 NATOの場合は、コストも含めて全部背負って、それをきちっと決めた上で、指揮命令系統もしっかりぴしっと、米軍を上にしてぱあんとやった上でやっているので、現実的に日米同盟があって、役割分担成っているという以上、それはできない。もちろんできないと思っているし、今まで政府はそういうことを取ってきたというふうに理解していますが。

 ただ、ちょっと問題だなと最近思うのが、世界を見ていて、ロシアがベラルーシに、ベラルーシは憲法を改正して、ロシアの核共有を、これは戦術核の程度だというふうに言っていますが、戦術核だけじゃなくて、もっとでかいやつも、大きいやつも、というのも、最近更にレベルが上がって、そういう報道も出てきちゃっているという実態がある中で、アメリカがNATO諸国と行っている核共有は、今私が説明したものだと思うんですけれども、米軍がトップにあって、みんな指揮系統が一緒になっていて、リスクも各国で背負うということで、コストも含めて全部決めてやっているということだと思うんですが。

 これをロシアが、ちょっとごめんなさい、これは聞き方を変えているだけなんですけれども、ロシアが同じような、ベラルーシに配備をするということになった場合に、核共有の在り方として、国際法の問題もあると思うんですけれども、ロシアが置いた場合、同じようなことを主張した場合に、これはどういうふうになっていくのかということでありまして、その点について、ちょっともし政府として、見方として、考えられるのであれば、少し、どう思っていらっしゃるか、今のベラルーシの問題について。

 難しい、専門的なことじゃなければそれでいいですし、答えられるのであれば、ちょっとお願いします。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 唯一の戦争被爆国である日本として、ロシアによる核兵器による威嚇も、ましてや使用も断じて受け入れることはできないという立場でございます。

 委員御指摘のように、今回報じられているプーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備の決定に関する発言につきましては、ロシアがウクライナ侵略を続ける中で、情勢を更に緊迫化させるものであり、非難するというものでございます。

 日本政府としましては、ロシア、ベラルーシに対して、こうした緊張を高めるような行為をやめるよう求めるとともに、引き続き強い関心を持って事態の推移を注視していきたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 ちょっと、質問じゃなくてコメントにさせていただきますけれども、ロシアはNPTの締約国なので、配備が、NATO型の核共有と同じような仕組みを取った場合に、専門家の中には、既にその懸念として、ベラルーシに核兵器管理を任せないのであれば、これはNATO側も、アメリカが管理します、であるなら、厳密な法的議論として、NPT違反にならないのじゃないかというふうなことになってきて、向こうもそういったことをいろいろ考えながらやっていると思いますので。

 ここはしっかりと考えないといけないと思っていますので、御答弁できることがあれば、そして、日本の立場としてどうしていくかということがあれば、教えてください。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 今回報じられているプーチン大統領による発言、ベラルーシ配備の決定の発言に関してでございますけれども、核兵器不拡散条約、NPTとの関係について申し上げれば、配備の状況が依然として明らかではないため、NPTとの関係について断定的に申し上げられないものの、日本としては、NPTとの関係を含めて、引き続き強い関心を持って事態の推移を注視していくということでございます。

篠原(豪)委員 答えが、済みません、外務大臣、もし感想があれば、今の議論について、もしございましたら、一言いただけませんでしょうか。

林国務大臣 これは前にも玄葉先生とも議論させていただいたわけですが、我が国の基本的な立場は今答弁したとおりでございますが、こういう状況の中で、我々は、先ほどのような立場でしっかりとG7とも連携していく。

 しかし、相手がどういうような主張をしてくるのか。これについてはよくよくしっかりと、いろいろなことを想定して、そうしたような主張があった場合にどう対応していくのかというのは常々、頭の体操といいますか、準備をしておかなければならないと思っておりまして、恐らく今、篠原委員が示唆されたようなことを言ってくるということにも、しからば、そういうことを言ってきた場合にどう対応するかということもよくよく考えておかなければならないのではないか、こう考えております。

篠原(豪)委員 是非しっかりと対応できるようにしていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、非核三原則の問題についてお伺いをいたします。

 佐藤栄作首相が、一九六五年の一月に、ジョンソン米大統領との会談の中で沖縄返還交渉を提起しました。その後、首相は国会で、核兵器について、持たず、造らず、持ち込ませずという非核三原則を表明しています。つまり、非核三原則は、沖縄に憲法や日米安全保障条約がそのまま適用される、いわゆる核抜き本土並みというものですね、この核抜き本土並みという返還をアメリカに求める論理だったと思います。

 一九六九年の十一月の佐藤首相とニクソン大統領の会談で、七二年、核抜き本土並みの返還で合意しました。一方で、米国は核兵器を撤去するが、緊急時には再び持ち込むことを認めるという極秘の合意議事録に日本政府が署名をしていたことが後に判明をしたということがあったんじゃないかと思います。

 そうであるならば、この非核三原則は沖縄の核密約と一体ということになりますが、政府は現在も両者を一体のものとして考えているのか、あるいは、あくまでも非核三原則のみを国是と考えているのか。このことについて改めて確認させていただきたいので、その理由も含めて御回答いただければと思います。

林国務大臣 我が国は、非核三原則を政策上の方針として堅持をしております。

 その上で、今御指摘のあったいわゆる沖縄核密約につきましては、二〇一〇年に行われたいわゆる「密約」問題に関する調査の結果、沖縄返還時の有事の際の核持込みに関わるいわゆる合意議事録、これは外務省の文書からは発見をされず、また、当時外務省として何らかの関与又は知識があったということを示す文書の存在も確認をされなかったということでございます。したがって、外務省としては、本件文書についてコメントを申し上げるということが困難であります。

 いずれにいたしましても、本件文書については歴代の内閣に引き継がれてきていないと承知しておりまして、両国政府を拘束するような効力を持っているというふうには考えておらないところでございます。

篠原(豪)委員 だから、あくまでも非核三原則のみが国是であるというふうに考えているということですね。それはそれでよろしいですか。非核三原則のみが国是であるということですね。

林国務大臣 まさに、非核三原則は政策上の方針として堅持しておりますが、いわゆる、今お話、触れていただきました合意議事録については、この存在が確認をされなかったということでございますので、結論としては、委員がおっしゃったように、我々は非核三原則を政策上の方針として堅持しているということでございます。

篠原(豪)委員 これをお伺いしたのは、民主党政権時代の二〇一〇年に、岡田克也当時の外相が国会で、一時的にでも日本への核持込みを認めなければ日本の安全が守れない事態が発生すれば、時の政権が政権の命運を懸けて決断し、国民に説明するというふうに答弁しているんです。これは何かといえば、持ち込ませずというものは絶対でないという認識を示したということだと思います。

 岸田内閣も、岸田総理も、この答弁を踏襲しているというふうに述べているように思いますので、この認識が今時点で、二〇一〇年の岡田さんが言った話、そして、これが今我々の認識でもあるんですけれども、その認識と政府が同じであるかというのをちょっと改めて確認させていただきたいと思います。

林国務大臣 政府として非核三原則を守るという基本的方針を堅持する立場には変わりはございません。

 その上で、今御指摘のございました岡田元外務大臣の答弁については岸田内閣でも引き継いでおります。

篠原(豪)委員 確認させていただきました。

 というのは、今のところと関係性がきっとあって、本来の非核三原則と、そしてそのときの答弁と、今の政府の姿勢というのは、やはり時系列でどうなっているかというのは、伺わせていただくというのは、この反撃能力も含めて、抑止力を語るときに、現時点で三文書なので、必要かなということで聞かせていただきました。

 もちろん、中国の中距離ミサイルが、当時、一九六五年と今の状況の違いというのは、米軍部隊も今グアムなどに日本から移転をしていって中距離ミサイルの射程圏外に、昔だったら届かなかったし、今は届くかもしれませんけれども、そういった中で、核兵器を改めて米軍が日本の第一列島線に持ってくるとか配備するということはもう誰も想定していないですし、どうやるかといったら、艦艇や潜水艦に載せた状態で一時的に、これは言わないですよ、言わないというか、寄港するというのが、事実かどうかというのは確認できないです。

 なぜかというと、搭載しているかどうかというのを通告することは、米側が日本にすることはあり得ないので、こういった現状であるということもちょっと記録として、こういった話の上で、今までどおりの対応が恐らく続けられていくんだろう、岡田答弁以降、ということを確認させていただきました。ありがとうございます。

 次に、ロシアによる核恫喝。

 プーチン大統領は、ウクライナ侵攻以降、核兵器の運用部隊に特別警戒態勢を命じて、侵攻に介入する米欧諸国に対して核の威嚇を続けています。ですから、今まさにキューバ危機以来の、核兵器が実際に使われる危機にあるんじゃないかというところに世界は来ていると言う方もいらっしゃいます。

 他方で、米欧諸国は、直接的な軍事介入や戦況に決定的な影響力を与える兵器の提供は第三次世界大戦になりかねないとして避けてきました。戦車や戦闘機の提供についても、極めて、いまだに慎重だと思います。多少はそれはやっているというところもありますけれども、慎重だと思っています。

 そのために、見方によってはこうした状況が、核の脅しが利いて、欧米の思い切った介入や支援を封じてきたあかしとも取れるんじゃないかと思います。

 ですので、中国の話ですけれども、今回のこの流れを見て、核戦力を強化する中国や、北朝鮮もそうです、今日のミサイルもそうなんですが、にとって、核の効力を知るまたとない機会になったんだ、今回のロシアのウクライナ侵攻、侵略がというふうに考えられまして、これを見てきた中朝が核の脅威を強めることになれば、日本の周辺の安全保障環境はますます不安定化するということになっていきます。

 他方で、ここで国家防衛戦略の話になるんですが、国家防衛戦略には、我が国防衛の第一の目標は、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境を創出することであると述べています。

 そこで、中朝が核の脅威を強めるこうした事態に日本はどのように対処を、この書いていることに対して、することを今意図しているのかということを御説明ください。

浜田国務大臣 委員御指摘のとおり、ロシアによるウクライナ侵略においては、現実に核兵器による威嚇とも取れる言動が繰り返されており、また、我が国周辺においても核戦力の増強が図られていることを踏まえれば、核抑止力を含む米国の拡大抑止による対応がますます重要となっております。米国の拡大抑止の信頼性の維持強化のためには、米国と緊密に協議、協力をしていくことが重要であり、日米間では日米拡大抑止協議や閣僚レベルでのやり取りを行っているところであります。

 私自身も、本年一月の日米防衛相会談において、核を含めた米国の拡大抑止が信頼でき、強靱なものであり続けるための取組を深化させることを、オースティン長官と確認をいたしました。

 また、日米2プラス2においても、米国の「核態勢の見直し」の公表も踏まえ、拡大抑止を議題の一つとし、まとまった時間を割いて議論を行ったところですが、今後とも日米間での一層緊密な意思疎通を行ってまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 やはり、ロシアのウクライナ侵略を失敗に終わらせるということが大事だし、そのために、できるだけ広範な諸国を結束させるということが必要であるとは思います。

 なぜならば、ロシアの侵略を断念させないと、これはもう、攻め込んだ方が勝ちなどということは国際法上も許されませんし、これはまだ分かりませんけれども、長期的に、中朝も見て、これからの動きを見て、どういうふうに考えていくかということを多分この地域で想定してやっていくんだと思うんです。

 ですので、そこをしっかりと、我々としても、向こうもそうやってやってくるということを分かった上で対応していただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 拡大抑止について外務大臣にもお伺いしたいのですが、岸田首相とアメリカのバイデン大統領が、五月の日米首脳会談で、米国の核戦力を含む軍事力で日本を守る拡大抑止の提供を改めて確認をしています。アメリカは、日本や韓国、オーストラリア、NATOの加盟国に対して核の傘を提供していますけれども、これは、第三国による同盟国への攻撃を思いとどまらせる効果とともに、同盟国が核武装することを防ぐという狙いも当然あるんだと思います。

 しかし、米国は、同盟国であっても日本とは別の国で、よく言われることですけれども、日本が核攻撃を受けたからといって核で報復すれば、今度はアメリカ全土が核攻撃を受けるという報復の連鎖を招くんじゃないかということを当然心配します。なので、いざというときに守ってくれる保証はないんじゃないかというような議論もありますし、実際にどういう状態になったら核を日米同盟の中で拡大抑止で使うかというのは、日本側もいろいろと、これが実際どういうふうに発動されるかというのが、実はそこまで理解されているかどうかというのがなかなか聞こえてこないのです。

 その中で、だからといって、日本は核武装することはあり得ないわけですから、さっきからずっとお話しさせてきていただいているように、沖縄の返還の話、非核三原則、実際に、前の質疑ではやらせていただいたことはあるんですけれども、それがどういう関係性でそういうふうに国会で国民の皆さんに説明するようになったのかというのは、これはもう、バランスがいろいろあった中でそういう選択をした、日米の中で交渉した上でだったというふうに聞いていますので。

 この信頼性確保に注力することが、持てない日本としては最大の課題であると考えていますので、日本政府はこれまでこのことでどのような努力を重ねてきたのか、そして、今後どうするかということも、もし一言あれば教えていただければと思います。

林国務大臣 政府といたしましては、米国が核を含むあらゆる種類の能力を用いて日米安全保障条約上の義務を果たすことに全幅の信頼を置いておりまして、拡大抑止が機能していると考えております。

 その上で、この一月の日米2プラス2でございますが、米国の「核態勢の見直し」が公表されたり、また、昨年五月の日米首脳共同声明で、拡大抑止に関する日米間の協議を強化することの意義を改めて確認した、こういうことも踏まえて、この2プラス2の中で拡大抑止そのものを議題の一つといたしまして、まとまった時間を取って突っ込んだ議論、これを閣僚レベルで行ったところでございます。

 これによりまして、米国の拡大抑止を支える戦略体制についての我が方の理解、これを深めまして、また、我が国の考え方について改めて米側にしっかりと伝えることができたわけでございまして、米国の対日防衛コミットメントに対する信頼を確保する上で大変有意義であったと考えております。

 今後とも、米国の拡大抑止の信頼性の維持強化に向けまして、この日米拡大抑止協議及び一月の日米2プラス2でのやり取りのような様々なハイレベルでの協議を通じて、実質的な議論を引き続き深めていきたいと考えております。

篠原(豪)委員 今回の、反撃能力、そして新安保関連三文書と出して、これから財源確保法等々も関連でやって、四十三兆という話も出てきますけれども、日本がこうやって、新しく戦後の大転換をしなければいけなかった、大転換と書いてあります、先ほど読まれたやつにも、お話しになっていますけれども、やはり日本は、自主防衛力を強化する方針をアメリカに伝えたり、集団的自衛権の一部容認でアメリカが攻撃を受けたときに日本が加勢できるようにしてきたんじゃないか、こういうふうに思われるわけです。これは何でやったかというと、やはり拡大抑止に関連した日米の信頼性というものを確保するということをしっかり考えた上で、大きく今やり方が変わってきているんだというふうに考えているんですけれども、これは、こういった考え方でよろしいのでしょうかね。

林国務大臣 恐らく私への質問だと思いますが、まさに、先ほど申し上げましたように、拡大抑止への信頼、これはいささかも揺るぎなく持っておるわけでございますが、国家安全保障戦略にも書いてございますように、我々を取り巻く安全保障環境は非常に厳しく複雑化しておりますので、これに対応するために、我が国自身の防衛力を強化すると同時に、そのことと相まって日米同盟の抑止力、対処力、これを深めていく、こういうことであろうと考えております。

篠原(豪)委員 アメリカに一方的に守ってもらうだけじゃなくて、日本もちゃんと協力することによって、拡大抑止も含めてしっかりと信頼性を担保していこうというふうに政府はやってきているんだと思いまして、それが今回の新安保関連三文書にも大きく反映されているんじゃないか、そこを確認したかったんですが、なかなか言いづらいと思いますので、その点についてまたいろいろな議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次は、核不拡散体制についてお伺いします。

 核不拡散体制の信頼が今大きく揺らいでいて、この根本原因は、米ロなどの核保有国の核軍縮の努力が、怠ってきたんだと考えます。

 近年のアメリカとロシアは、冷戦期に結んだ中距離核戦力の全廃条約を破棄し、実質的な軍拡競争に今突入していると思います。これは、この委員会でも質疑をしっかりとやらせて、去年も来ていただいていますけれども、その原因となったのはやはり中国です。中国は、二〇二〇年時点で二百発台の前半の核弾頭を保有しているとされていましたけれども、三〇年までに少なくとも千発に増やす可能性があると指摘されています。米ロの核兵器独占体制は、もう既に実質崩壊したというふうに言えます。

 したがって、核軍縮の条約体制を再構築するには、米ロ中を含む多国間の枠組みとして再編するしかほかがないのじゃないかと思います。そういった中で、それ以外の解決策はあり得ないというふうに思いますので、中国に向けて、核軍縮に貢献を求めることが不拡散体制の信頼の回復につながりますし、国際社会の安定化に寄与すると考えますので、日本政府は、こういった問題に、どのように核軍縮に向けて役割を果たそうとしているのか。

 この間、外相にお会いされて、会談されましたので、核軍縮に向けた貢献についても含めて、核についても議題に上がったのかということも、ちょっと教えていただければと思います。

林国務大臣 我が国としては、従来から、米国、ロシア及び中国を含む関係国をしっかりと巻き込んだ軍備管理、軍縮の取組が重要であると考えてきております。

 こうした考えに基づいて、我が国としては、中国も参加しているASEAN地域フォーラム、ARFの閣僚会合の機会等も活用して、地域における核戦力の透明性の向上に向けて、中国が核兵器国として、また、地域の重要なプレーヤーとして積極的な役割を果たすということを期待するという我々の立場、そして、核軍縮を進展させるアレンジメントに貢献するようにという呼びかけ、これまでも累次の機会に明らかにしてきております。

 核兵器のない世界、これを実現するためには、核兵器国を巻き込んでいくことが不可欠でありまして、我々は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を実質的な核軍縮に一層関与させる努力をしていかなければならないと思っております。唯一の同盟国であるアメリカとの信頼関係を基礎としながら現実的かつ実践的な取組を進めていくとともに、中ロを巻き込む形で、軍備管理そして軍縮に係る取組を進めていきたいというふうに思っております。

 また、先般の日中外相会談についてお尋ねがございましたが、私から秦剛部長に対して、日中両国は地域及び国際社会の平和と繁栄に共に重要な責任を有する大国であるということを指摘した上で、双方が努力を続けていきたいという旨述べまして、安全保障分野を含めた意思疎通の重要性を改めて確認したところでございます。

篠原(豪)委員 最後に、広島サミットでは核兵器のない世界に向けてどのような合意を目指すのか。今の話も含めまして、サミット成功の鍵というのを、核に対してどう考えているか。拡大抑止の話もしてきましたけれども、そのことについて御見解をいただければと思います。

鬼木委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

林国務大臣 核軍縮をめぐる国際社会の分断の深まり、これは、ロシアの核兵器などの威嚇によって、核兵器のない世界に向けた道のりは一層厳しいものになっておりますが、こうした中であるからこそ、核兵器のない世界の実現に向けて取組を進めていく必要があります。

 広島サミットでは、広島と長崎に原爆が投下されてから七十七年間核兵器が使用されていない歴史をないがしろにするということは決して許されないとのメッセージを力強く世界に発信したいと考えております。

篠原(豪)委員 ちょっと今、お時間をいただきましたので、一言だけ。次の質疑者、会派の中でちょっとお時間をいただきましたので、よろしいですか。

 最後はコメントだけしておきますけれども、これは質問じゃないです。

 核兵器が実際に使用されれば、拡大抑止の信頼性は大きく低下をし、戦後の核抑止を中核に据えた核管理体制は瓦解します。したがって、ウクライナ戦争で核が使われることがないようにすることが喫緊の課題の一つ。

 他方、戦術核といっても、使っちゃいけないのですけれども、戦術核といったような核も、やがて核抑止の考え方を無意味にしていくということは避けられなくなってくると思いますので、少なくともその前に、核抑止に頼らない世界に向けて戦略的な転換を図る必要があります。

 その第一歩に広島サミットが位置づけられることを、こういう時代ですから、是非、本当に心から希望させていただいて、そのための努力をしていただければということを両大臣にお願いさせていただきまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今日は、防衛力とその裏づけとなる財源、財政について質問したいと思います。

 防衛財源確保法案が提出されておりまして、近々、財務金融委員会との連合審査も予定されているというふうに聞いておりますが、若干そういう意味では先取りする形で質問させていただきます。防衛力と財政というのは裏表の関係でありますので、様々な観点で検証していきたいと思っております。

 まず、やはり何でも極端はよくないと思います。先ほど両大臣からの報告の中でも、いずれも積み上げた予算だという説明がありましたけれども、積み上げはいいんですが、積み過ぎた予算はいけないと思います。結果として増税まで必要になるということになってくると、何のための増税なのかという議論もしなきゃいけないわけでありまして、その前にまず、予算が膨張し過ぎているのではないかという観点はしっかりと持っておかなければならないと思います。

 同時に、防衛力の裏づけとなる財源というのがちゃんと安定した財源なのかどうか、この点も確認していかなければならないと思っております。

 まず、資料をお配りしておりますが、資料の一ページ目。よく見る資料でありますが、必要な防衛力整備の水準、資料一の左上にあります、四十三兆円とされておりますが、実際には、この追加需要Aを加える、従来のBにAを加えると、四十・五兆円という数字なんですよね。この乖離が二・五兆円あります。二・五兆円というのはどのぐらいの規模かというと、例えば二・五兆円を五年間にならすと一年当たり五千億円で、GDPの二%をもろもろ含めて目指すということでありますが、五百兆円ぐらいがGDPだとすると〇・一%分に当たるわけですよね。

 だから、四十三兆円なのか四十・五兆円なのかというのは〇・一ポイント分の乖離だということが言えると思いますが、この点、要するに、四十・五兆円というのは、財務省から、財政当局から確約を得た分だという理解でよろしいんでしょうか。

浜田国務大臣 二〇二三年度から二〇二七年度までの五年間における防衛力整備計画の実施に必要な防衛力整備の水準は四十三兆円程度であり、そのうち四十兆五千億円程度は各年度の予算の編成に伴う防衛関係費として措置することを政府として閣議決定しているというものであります。

重徳委員 二・五兆円という乖離分についてなんですけれども、防衛力整備計画、昨年末に閣議決定されましたが、それによりますと、以下の措置を別途取ることを前提として四十・五兆円とするとされていまして、二点あります。

 一つは、自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことで一・六兆円、それから、一般会計の決算剰余金が想定よりも増加した場合にこれを活用するということで九千億円、〇・九兆円ということなんですが、片や歳出のことを言い、片や歳入のことを言っていますよね。

 だから、積み上げているというのであれば、一・六兆円の方は事業が進捗したので前倒しなんですという説明なのかもしれませんが、剰余金九千億円を何に充てるかということは決まっていないんですかね。決めていないということはおかしいですね、積み上げた事業費であるはずなので。何に充てる財源なんでしょうか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二三年度から二七年度までの五年間におけます防衛力整備計画の実施に必要な防衛力の水準、これが四十三兆円程度でございます。各年度の予算編成に伴う防衛関係費、これが四十兆五千億円程度でございまして、その差額は、自衛隊施設等の整備の更なる加速化を事業の進捗状況等を踏まえつつ機動的、弾力的に行うことによる一兆六千億円程度……(重徳委員「僕が言ったので、それ。重複は避けてください」と呼ぶ)はい。

 それで、九千億円というのは、これは先生御指摘のとおり、一般会計の決算剰余金が財源確保フレームの想定よりも増加した場合にこれを活用するということでございまして、私どもは四十三兆円を積み上げておりますので、この九千億円が何に当たるかという個別のひもづけ、これはないというふうに考えてございます。

重徳委員 そういう説明になるんですね。

 四十・五兆円の財源が確保されていると言われるものも、後ほど議論しますが、いわゆる安定財源と呼べるようなものじゃないんじゃないかということも指摘したいと思っておりますので。

 これから分からないけれども、もし剰余金ができたらねというのはなおさらあやふやなものでありますので、防衛力を四十三兆円分整備するというのであれば、その財源のあやふやなところというものもかっちりと示すべきだと私は思います。

 次に、今回の防衛力整備は当然必要不可欠であるという御説明を政府から受けているわけでありますが、とりわけ必要不可欠、誰が見ても必要不可欠だよねという事業費についてあえて例示をしてみたいと思いますが、例えば自衛隊員向けの空調設備を整備しましょう、今まで不十分だったところを一挙にやりましょうと。

 必要性は、不可欠であるということは誰もが認めております。しかし、問題は、やはり私、極端なのはよくないと言ったのは、一気にどこまでできるのか、ちゃんとできるのか、予算はついたけれども年度内に実行できないじゃないかということであったら、何か膨らませてみせただけということになりますから、そのような予算は決してつくってはならない、積み上げたことにならない、積み過ぎたものではないかというふうに見るべきだと思うんですね。

 そこで、現時点では決意ということになるかもしれませんが、具体的な実行スケジュール、今年度は、四百二十四億円、空調整備のために予算がついていると思いますけれども、これはちゃんと執行できるんですか。責任を持ってお答えください。

杉山政府参考人 お答えいたします。

 防衛省といたしましては、全ての隊員が高い士気と誇りを持ちながら個々の能力を発揮できる環境を整備する必要があり、隊員の生活、勤務環境の改善を推進しているところであります。

 特に先生御指摘の空調につきましては、その老朽化や不具合が隊員の健康に直接影響を及ぼすことから、既に不具合の生じている空調設備については早急に対応が必要であると考えております。このため、令和五年度予算におきましては、約四百二十九億円を計上し、集中的に整備を行っていく計画です。これらの整備に当たりましては、民間事業者に対して機器の製作期間を確認するなど行っておりまして、今後も引き続き適切な執行に努めてまいりたいと考えております。

重徳委員 民間の事業者がちゃんと納入できるのかということを確認されたということでありますが、これは確実にやって、執行状況、そして最終的には決算ですけれども、そこで確認、チェックをしなきゃいけないと思うんです。

 そして、問題は、例えば、単価が過剰に計上されていたのではないか、実際にはもっと安く済みました、それはそれで、その限りにおいてはいいことなんですが、余ったお金は不用額になるわけですから、ですから、また新たな、何の財源か分かりませんけれども、税外収入という位置づけにするとすれば、それは結局、よく国会でも言われていますけれども、防衛費の中の財源ロンダリングみたいな形になるじゃないかということであります。

 したがって、そもそもその単価なりなんなりを厳しく見ていれば、空調は例ですから、空調に限らず、単価を適切に見極めて、きちっと厳しめに見て設定をしていれば、そもそも今年度の予算だって少なくて済んだ可能性だってあるわけですから。こういう視点が必要だということであります。

 これは、これだけ巨額の予算を組む以上は、決算も含めて厳しく我々国会でチェックをしていきたいと思いますので、ゆめゆめ、何か過大に、よく言われていますよね、過大に予算を積んで、残ったからそれは何かに充てる、財源が生まれたというような見立ては、これはロンダリング財源を生むということでありますから、それは我々も厳しく見ていきたいというふうに思っています。

 それから次に、サイバー部隊四千人、令和九年度末ですけれども、四千人を目指すということがあります。

 これは、エアコンのような物ではなくて人でありますので、ですから、サイバー人材、スキルはもちろんでありますけれども、外部人材を登用するということであれば、そもそも流動性の高い人材であり、また、引き抜きだってあり得るでしょうという方々であります。そして、スキルはもちろんでありますが、やはり防衛省に所属させる以上は、人としての信頼性はもちろんのこと、国家への忠誠心も必要だと思います。

 そういうことを含めて考えると、必要性は誰にでも分かります、絶対必要なんですけれども、そもそもこれは実現できるのかということも厳しく見ていかなくちゃいけないというふうに思っております。そして、同じことです、財源、達成できなかったのでその財源はロンダリングするというような発想はゆめゆめ持ってはならないと思いますが、どのように執行するんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力整備計画におきましては、防衛省・自衛隊のサイバー防衛能力の向上を図るため、まさに委員御指摘のとおり、サイバー専門部隊を、現在八百九十名の体制から、令和九年度までに四千人の体制に拡充すると。このような体制の拡充というのは、委員御指摘のとおり、決して簡単ではないと考えてございます。

 このため、防衛省といたしましては、サイバー専門部隊の拡充に当たって、まず、サイバーに関連する分野を含みます他の分野の部隊からの要員の再配置、及び、委員御指摘のとおり、新たに採用する人材、こういった外部から採用する人材の配置ということを考えてございますが、そういったサイバー専門部隊に配置する要員に関しましては、陸海空の自衛隊の学校における課程教育、あるいは部外の教育機関を活用することが重要でございます。

 現在、横須賀市久里浜駐屯地にございます陸上自衛隊通信学校をシステム通信・サイバー学校に改編するとともに、同じく横須賀市にございます高等工科学校あるいは防衛大学校におけるサイバー関連の教育も充実させる。こういったサイバー教育基盤の拡充をしっかりと行い、部内の専門教育等の養成者数、内容について拡充していきたい。

 また、部外の方々につきましても、専門的な知見を持つ人材の活用を促進すべく、採用の制度、柔軟な働き方が可能となる新たな自衛官の人事制度の整備、これを現在検討中でございます。

 こうした様々な手法を取ることによりまして、令和四年度現在で八百九十名でございますが、まず、令和五年度、本年度におきましては約二千二百三十名までの増員を考えてございます。そして、九年度までに四千人、これを確実に実現するように努めてまいりたいと考えてございます。

重徳委員 今日の段階では決意でありますので、それがちゃんと実行できるかどうかは引き続き注視してまいりたいと思います。

 次に、資料二を御覧いただきたいんですが、これは防衛財源確保法の法案に関する資料であります。防衛力強化税外収入四・六兆円を確保するために、もうあらゆる手段を尽くしてお金をかき集めてきます。このようなやり方というのは安定財源と言えるものなんでしょうか。

井上副大臣 分かりやすい資料を作っていただきまして、本当にありがとうございます。

 お答えいたします。

 四月六日に衆議院本会議で岸田総理からも答弁をさせていただきましたとおり、防衛力を抜本的に強化し、これを安定的に維持していくための財源確保に当たりましては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、あらゆる行財政改革の工夫を行うことが必要だというふうに考えております。

 このうち、税外収入につきましては、財源の精査によって追加的な財源を最大限確保した上で、今回の財源確保法案により設置する防衛強化資金を通じて、防衛力の整備に計画的、安定的に充てていくこととしております。

 このような考え方の下で、令和五年度予算におきましては防衛力強化のための税外収入四・六兆円を確保したところでありまして、このうち一・二兆円を令和五年度の予算の防衛関係費に充て、残り三・四兆円を防衛力強化資金に繰り入れ、令和九年度までの防衛力強化のための経費に充当する方針とさせていただいております。

 来年度以降も、防衛力強化資金を通じて防衛力の強化を安定的に支えられるよう、更なる税外収入の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 質問に答えてください。安定財源と呼べるんですか。

井上副大臣 税外収入が安定財源と言えるのかという御質問でございますが、税外収入は、年度によって変動が生じるものであり、単年度で見れば、一定額の財源が確実に見込まれるものではありませんが、令和五年度予算において今後五年間の防衛強化のための経費に充てられる税外収入四・六兆円を確保したことも踏まえまして、年平均〇・九兆円程度の財源を確保できるよう、今後も引き続き、更なる税外収入の確保に最大限努めていくとともに、防衛力強化資金を活用し、防衛力の強化を安定的に支えていきたいというふうに思っております。

重徳委員 念のため聞きますが、赤字国債で確保した予算というのは安定財源と言えるんでしょうか。

 この資料でいうと、中小機構の二千三百五十億円とか緊急小口の千三百四十億円というのは、これは元々国からの補助金なんですよね。それはコロナ関係でありますので、財源は赤字国債であります。こういったものも安定財源と言っていいんでしょうか。

井上副大臣 中小機構、緊急小口などの、当初の赤字国債により措置した事業の不用を税外収入として財源に位置づけることは、財政健全化の観点から不適当ではないかという御指摘がございました。

 防衛力の抜本的な強化を安定的に支えるための裏づけとなる財源は、将来世代に先送りすることなく、今を生きる我々の世代で責任を持って対応するべきだというふうに考えることが原則でありまして、国債発行額を増加をさせないよう、しっかりとした財源を確保することとしております。

 税外収入のうち、御指摘のあった、ゼロゼロ融資のための、中小企業基盤整備機構に設置された新型コロナウイルス感染症基金につきましては、足下の資金需要等を踏まえて昨年九月末に申請受付を終了したこと等を受け、当該融資のための基金から不用見込み〇・二兆円を国庫納付をしたところでございます。

 同様に、緊急小口資金等の特例貸付けについても、昨年九月末の貸付申請が終了したことを受けまして、各都道府県に交付した貸付原資のうち不用見込み分〇・一兆円を国庫納付することとしております。

 これらの財源につきましては、その一部に国債の由来である部分が含まれるというものも承知しておりますが、その活用により、国債発行額に新たに増加をさせるものではありません。要は、新たに増加させるものではない。

 財政は国の信頼の礎でもございます。歳出歳入の両面の改革の取組を続けて、責任ある経済財政運営を行っていく必要があるというふうに考えております。

 このため、政府としては、従来より、骨太方針に財政規律の方針を示し、これに基づいて毎年度の予算編成を行ってまいりました。今般の防衛力抜本的強化とその裏づけとなる財源の確保に関わる対応は、こうした政府の財政運営に関する基本的な考え方に沿ったものと考えておりまして、引き続き財政健全化に向けた取組を継続してまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 もう異様な答弁としか言いようがありませんよ。気持ちが悪くなります。そんな詭弁は財務副大臣として使ってはならないのではないかと私は思います。新規に赤字国債を発行できないからいいなんというのは全く筋が通らない、私はそう思います。

 それからもう一つ、この資料二の問題点は、相当先食いしているということなんですよ。外為特会、令和五年度剰余金。五年度の剰余金だから、来年、一年たたなきゃ出てこない剰余金を一兆二千億円入れることにしています。それから、国立病院機構と地域医療機能推進機構、この二つの独法も、来年三月にその事業期間が終わって生まれる、そこで初めて確定するものでありますので、そういうものを全部先食いしているわけです。

 何が問題かというと、先食い自体も問題でありますが、私は、この巨額なお金を、一年たたなきゃ生まれてこないようなものを、今使っちゃう、使うことにしてしまう、使途を定めてしまうことによって、一年後の、防衛政策以外にもいろいろな優先的な政策というのは出てくるかもしれないじゃないですか、そのときの財源がなくなるんですよ。そういう問題があります。これは、他省庁も含め、そして財政当局として致命的な問題ではないかと思います。

 もし来年、今頃とかにもっと優先的な政策が出てきたら、どのように財源を確保するんですか。

井上副大臣 税外収入は一般財源として様々な政策経費に充てる可能性があるのに、今年度以降の予算に充てることができる分まで含めて先食いしているではないかという御質問がございましたけれども、四月七日の衆議院の財務金融委員会で政府参考人から答弁をさせていただいておりますが、防衛力を抜本的に強化し、これを安定的に維持していくための財源確保に当たりましては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、歳入歳出の両面から様々な工夫を、今言ったとおりでございます、工夫を行う必要があるというふうに思っております。

 このうち、税外収入につきましては、あらゆる財源の精査を行うことによって、毎年度の確保をしている通常分の財源もしっかり確保しつつ、更に追加的な財源を最大限に確保することが重要であるというふうに考えております。

 このような考え方の下で財源の精査を行った結果、令和五年度予算につきましては、防衛力強化のための対応を除いた通常分の税外収入として四・七兆円を確保しつつ、防衛力強化のための税外収入として、特別会計からの追加繰入金や国有財産の臨時的な売却収入など、現時点で見込める最大限の金額である四・六兆円を確保したところでございます。

 政府といたしましては、同様の考え方で、来年度以降におきましても、その時々に必要な政策的な経費に充てられる通常分の財源はしっかり確保しつつ、更なる防衛力強化のための税外収入の確保に最大限努めていきたいというふうに思っております。

重徳委員 何をおっしゃっているのかよく分かりませんよ、それは。確保する、確保すると言ったって、先食いしていることについてどう考えるかという、これが私の質問です。一年後の分も、通常であれば確保できない財源を、法律を改正までして、それは致命的じゃないかということを申し上げているわけですが、いかがでしょうか。

井上副大臣 先食いしているということですけれども、通常の予算としてしっかり確保した上で、様々な措置を行うことによって防衛力強化のための税外収入として四・六兆円を確保したということでありまして、しっかり一般の必要な財源は確保していきたいというふうに思っております。

重徳委員 答えようがないということの表れだと思いますね。

 予算は毎年組むわけですが、先食いというのは、財布にもう既に入れちゃったわけだから、使い道まで決めちゃった、これがいいのかという指摘をさせていただいているわけであります。

 ほかにもいろいろあるんですけれども、じゃ、ちょっと復興財源を増税財源として使う話に行きたいと思います。

 東日本大震災の復興事業費の償還期間というのは元々二十五年間となっておりまして、それで令和十九年で終了するという予定で、まあ今でも予定はそのようになっておりますが、今回、防衛費に充てるために、これを一部、説明は省略しますが、このスキームを活用することによって、増税期間が、令和十九年までのはずが、大体十三年間ぐらい延びるんじゃないかというふうに言われています。つまり、令和二十年以降に延びた分は防衛費を賄うために延ばすわけですから、いわば現下の防衛費を将来世代に負担させるということに実質的にはなるわけであります。

 これについて、本会議などで岸田総理の答弁なんかも聞いていますと、いや、復興事業実施への影響はない、こういう答弁をされるんですが、そんなの当たり前ですよね、償還財源のことを言っているわけですから。

 だから、今の防衛費を賄うがために、将来世代に十三年間にわたって、令和二十年以降に将来世代に負担させることについてどのようにお考えですか。

井上副大臣 お答えいたします。

 二月三日の衆議院予算委員会での財務大臣からの答弁もございますとおり、我が国の防衛力強化の財源確保の税制措置のうち、所得税につきまして、所得税額に対し、当分の間、税率一%の新たな付加税を課す一方で、復興財源の総額を確実に確保するために、課税期間を延長することで、復興事業に影響を及ぼすことのないようにしつつ、復興特別所得税の税率を一%引き上げることとしております。

 こうした措置によりまして、御指摘がありましたけれども、先送りではないかという御指摘がありましたけれども、これは、現下の家計の負担増にならないよう配慮する観点から、新たな付加税と復興特別所得税を合わせた付加税率が現在と変わらないようにしつつ、復興財源の総額を確実に確保する考え方によるものであると御理解をいただきたいというふうに思っております。引き続き、国民の皆様の御理解を賜れるように努力をしていきたいというふうに思っております。

 復興特別所得税の一部を防衛費に充てることにつきましても、復興特別税は実質的な防衛費に充てることについても、御理解をいただきたいというふうに思っております。

重徳委員 もう一回、再度、今度は大臣にお聞きしたいんですけれども。

 今、井上副大臣が言われたとおり、図らずも言われましたよ、今の人の負担を抑えるために先延ばしにしたわけじゃないですか。つまり、後の世代、将来世代の方々に負担をしてもらいましょうという話じゃないですか。これについてどう考えますかということを問うたわけでありますが、いわば白状したと言ってもいいんじゃないかと私は思います。

 浜田大臣、こういう防衛費の賄い方についてどう思われますか。浜田大臣。

鬼木委員長 ちょっと、今の答弁について井上副大臣から。

井上副大臣 復興特別税を実質的に防衛費に充てることとの御指摘がありましたけれども、それは当たらないということで修正をさせていただきたいと思います。

 実際に、現下の負担にならないように配慮する観点から、今言いましたとおりですけれども、復興財源につきましては、税率を引き下げるとともに、課税期間を延長することとさせていただいているのは事実であります。

 その財源、大枠の、全体の金額は変わりません。復興財源の関係で申し上げれば、復興債の発行を通じた柔軟な資金調達が可能であるために、復興特別所得税の税率を引き下げても、毎年度の復興事業の円滑な執行には問題ないというふうに考えております。

重徳委員 だから、それはもう余計な答弁ですよ。何のために今答弁されたんですか。指摘は当たらないと言っていること自体、私はおかしいと思いますよ。

 防衛費と関係ないんだというような御答弁でありましたが、防衛費を今回増税をもって賄うという判断をしなければ今までどおりだったわけですから。防衛増税をするから延びるわけでしょう、償還期間が。というロジックなんだから、建前は、そんなことは全部分かっていますが、それを強弁されるお姿は、私は非常に違和感を感じましたね。

 浜田大臣、どうですか。

浜田国務大臣 抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかねばならず、この防衛力を安定的に支えるためには、令和九年度以降、毎年約四兆円のしっかりとした財源が必要であると考えます。

 今般の防衛力の抜本的強化に当たり、このように防衛関係費の財源捻出をするために各分野の歳出改革を含めた様々な工夫をしていただいている中で、関係者や国民の御理解をいただくためにも、防衛省としても、自らが大胆な資源の最適配分に取り組むことが不可欠と考えており、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底してまいりたいと考えております。

重徳委員 いや、私はそんなことを聞いているんじゃなくて、将来世代に今の防衛費を負担させることを防衛大臣としてどう思いますかという質問をしたんです。

浜田国務大臣 我々とすれば、この国を守っていく上において、やはりしっかりとした防衛体制をつくるというのは、これは我々に課せられた課題だというふうに思っています。将来の若い世代の皆さん方にも御理解をいただいて、御負担をいただければというふうに考えます。

重徳委員 いわば、その延ばした分を見れば、実質的に赤字国債を発行するようなものだということを指摘しているわけであります。しかも、それが、更にたちが悪いのは、今の方々に、今の現世代には負担感をもたらさないためにということ。

 それから、今、副大臣も言われましたが、復興事業には影響を与えないんだ。そんなことは関係ないんですよ。そういうことを論じているわけじゃないので。それだけは言わないでくださいねというつもりで総理の答弁を引用したはずが、また言われていたので、おかしな答弁だなと思ったわけです。答弁は結構です。

 それで、あと五分ぐらいしかないので。やはり予備費、出てきましたね。資料の三を御覧ください。

 これは、そういう案があるのではないかという新聞の見込みでありますけれども、三年ほど前に初めてコロナ予備費が十兆円積まれた、そのときから私は大変その後の先行きを危惧しておりました。予備費は、言うまでもなく、政府の裁量で使える財源だということが、議会の、国会の統制が利かないという意味において問題だったわけですが、その予備費の不用額を別の財源に更に自由に充てることができるという、ここまで来たかというふうに私はこの記事を見ました。

 そして、ここで鈴木財務大臣の発言として引用されている部分を囲んでおります。鈴木俊一財務大臣は、三月二十八日の記者会見で、予備費の残額の全てが決算剰余金の増加につながるものではない。これは、予備費を使うことに対する、くぎを刺したというコメントになっておりますが、私は逆の読み方をしておりまして。予備費の残額全てが剰余金になるわけじゃない。ということは、一部はなり得る。一部といったって一%から九九%までありますから、どのぐらいか分かりませんが、予備費の使い残しを財源として、税外収入として使うという、あってはならないことにまさか使うことはないんでしょうね。

井上副大臣 お答えいたします。

 予備費を含めた歳出に不用が生じたことが見込まれる場合におきましては、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定に基づきまして、特例公債の発行額の抑制に努めることとしており、予備費の不使用額と決算剰余金の金額が対応するわけではないというふうに考えております。

 四月三日、参議院決算委員会で大臣から答弁がありましたとおり、特に、コロナ、物価予備費やウクライナ情勢経済緊急対応予備費を含めた予備費につきましては、不使用額が確定しながら特例公債の発行をいたずらに行うことは不適当だと考えておりまして、その不使用額が増えたからといって決算剰余金の増加につながるものではありません。

 なお、防衛力の強化の財源措置としての決算剰余金の活用について申し上げれば、特例公債の発行額の抑制に努めた後の決算剰余金の喫緊の十年間、平成二十四年度から令和三年度までの平均が一・四兆円程度であることを踏まえて、財政法上の公債又は借入金の償還財源に充てるべき二分の一を除く残りの二分の一の〇・七兆円程度を活用見込みとして見込んでおります。

 特例公債の発行額の抑制に努めないことを前提に防衛力強化の財源として考えているわけではありません。

 また、ちょっと一点、修正をお願いします。

 特別所得税の税率を一%引き上げると申し上げてしまいましたけれども、引き下げるの間違いでございます。

 以上です。

重徳委員 ちょっと答弁が長過ぎて、私の質問の時間が大分なくなってしまいました。

 質疑時間が終了いたしましたというメモが今来ましたので終了はいたしますけれども、今申し上げましたような様々な疑問があります。財務省、財政当局はしっかりと引き締めてもらいたいと思います。財政秩序が今、異常な状態になっている、異次元の状態、制御不能状態に陥っていると思いますので、この点、厳しく指摘をさせていただいて、私の質問を終わります。

鬼木委員長 この際、御報告いたします。

 財務金融委員会との連合審査会は、来る十九日水曜日午後一時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、明十四日金曜日午後二時二十五分理事会、午後二時三十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.