衆議院

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第9号 令和5年4月18日(火曜日)

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令和五年四月十八日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      あべ 俊子君    江渡 聡徳君

      大岡 敏孝君    木村 次郎君

      小泉進次郎君    鈴木 憲和君

      関  芳弘君    高階恵美子君

      武田 良太君    土田  慎君

      渡海紀三朗君    中曽根康隆君

      平沼正二郎君    三谷 英弘君

      宮下 一郎君   山本ともひろ君

      新垣 邦男君    渡辺  周君

      浅川 義治君    美延 映夫君

      河西 宏一君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務副大臣        山田 賢司君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官)            渡邊 昇治君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 今福 孝男君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           上田 幸司君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  町田 一仁君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  深澤 雅貴君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     土田  慎君

  長島 昭久君     三谷 英弘君

  細野 豪志君     平沼正二郎君

  松島みどり君     宮下 一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     鈴木 憲和君

  平沼正二郎君     細野 豪志君

  三谷 英弘君     長島 昭久君

  宮下 一郎君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     高階恵美子君

同日

 辞任         補欠選任

  高階恵美子君     関  芳弘君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     松島みどり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、内閣官房内閣審議官小柳誠二君、内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官渡邊昇治君、外務省大臣官房参事官今福孝男君、防衛省大臣官房施設監杉山真人君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官上田幸司君、防衛省大臣官房審議官北尾昌也君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省人事教育局長町田一仁君、防衛省地方協力局長深澤雅貴君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁長官土本英樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。立憲民主党の渡辺でございます。

 昨週から今週にかけて安全保障上のいろいろなニュースがございましたので、冒頭、つけ加えて、通告した問題も含めて、あるいは先ほど直前に大臣に通告したことも含めて伺いたいと思います。

 まず、先週十四日に、アメリカで、二十一歳の空軍州兵が、国防総省の機密情報をSNS上に流出をしたとして逮捕、起訴されております。

 動機については、チャットグループの関心をつなぎとめるだけだという承認欲求が何か理由かのようにありますが、実際のところはまだ分からないわけなんです。

 このことについて、例えば、アメリカの対ウクライナの戦略についてとか、あるいは同盟国についての情報についても流出をしていたというんですが、我が国に関しての何か情報が流出していた、あるいはそれの有無でありますとか、あるいは、その点に関して、同盟国として我が国に対してアメリカから何らかの釈明なり説明があったのか、あるいは日本側から問合せしたのか。

 その点については、我が国の機密が何かしら被害に遭っている、あるいは取り沙汰されたということはないんでしょうか。その点についていかがですか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 SNS上の出所不明の文書やそれに対する米政府の発表の逐一について、政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で申しますが、米側とは平素から情報保全を含めて緊密に意思疎通をしているところでありまして、ただ、本件に関するやり取りの有無を含め、その詳細については、相手方との関係があることから、お答えすることは差し控えます。

 それから、日本に関する情報が含まれていたのかということでありますが、御指摘の文書に我が国に関する情報が含まれているとの情報には接していないところであります。

渡辺(周)委員 日米関係が基軸である、我が国の外交、安全保障の、今日まであるいはこれからも日米同盟が基軸であるということは、我が党も実際うたっているわけでございます。それは紛れもない事実である。

 ただ、何かあった場合に、結局、我々はいつも受け身で、日本側は、やり取りについては、詳細についてはお答えしない、いつもこんなことを言っていますけれども、いや、別に詳細なことについては私は聞いていないんですよ。日本についての記載があって、あるいは、若しくは、あった、ないは、別にそんなものは調べれば出てくるはずです。どこかで必ず出てくるでしょう、中身については。

 そのときに、やはり、同盟国日本に対して迷惑をかけたとか、二度とこのようなことがないようにするとか、あるいは、我が国に対して、このような報道に接しているけれども、詳細については、教えてくれとか、何かそういったことはないんですか。

 口ばかり同盟関係と言いながら、いざとなったら、本当にそこまでの信頼関係にあるかどうか分からない。それだったら、やはり、そこは言葉だけの日米同盟になってしまいます。アメリカに対して言うべきことは言う、聞くべきことは聞くということは当たり前だと。

 大臣、どうお考えですか。

浜田国務大臣 委員のおっしゃるように、我々とすれば、そういった関係であるべきだというふうに考えておりますので、また、我々の方からも、いろいろな場面場面でしっかりと確認をしてまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 このSNSにおける様々な情報の漏えいというのは、これから、もっと言えば本当のことも含めて、あるいは、今後議論していくディスインフォメーション作戦、偽旗作戦や、巧妙なハイブリッド戦略の中でも、実際、これがどこまで本当かうそかというところは、これは当然我々も議論していきますけれども、これから大きな課題になる中で、やはり、お互い信頼関係の中で、共有できるべき部分はしっかりしておく。

 何が本当で何がフェイクかということは、お互いが疑心暗鬼に、そこに疑心暗鬼が生まれることが、当然、仕掛ける人間が、そのハイブリッド戦略、フェイクニュースを流すことによって、やはり、国論を二分したり同盟関係にひびを入れたりすることが望むところでしょうから、そこはやはりしっかりした信頼関係の上でやっていくことが大前提だと思います。このことについては、また改めて伺います。

 それから、先週から開始された、ロシアが北方で演習を始めた、今日、十八日からはミサイルの発射演習を行うと。当然、我が国としては、北方領土への上陸を想定したロシアの太平洋艦隊の演習ということについては立場は相入れないと抗議していることは承知しておりますけれども、実は、私は、先々週ですか、委員会で質問しているんですね。

 北方領土でロシアが演習を始めて、そこで同時多発的に、例えば、北朝鮮がミサイルを撃ったり、弾道ミサイルを撃ったり、あるいは、尖閣周辺、台湾海峡で、三千キロ離れたところで何か起きた場合に、この三正面作戦を日本として対応できるのかということを、実は四月七日のこの委員会で質問しています。懸念が当たってしまったと言ったらなんですけれども、現実問題として、こうしたことが起きる。

 その直前には、後に質問しますけれども、十三日には、北朝鮮がミサイルを、ひょっとしたら我が国の領土内に着弾したかもしれないという角度で撃ってきたということで、まさに懸念していたことがやや現実になりつつあるのかなという戦慄を覚えるわけであります。

 この点について、ロシアの北方演習について、我が国に対して、いかなる、北方での漁業の操業でありますとか、あるいは様々な航行について何かしら影響があるのか、若しくは、今後、国際社会に対して、一方的な、我が国の領土内で起きているロシアの軍事演習に対してどのような訴えかけ、働きかけをしていくかということについて、防衛省、日本の政府の考え方を伺いたいと思います。

大和政府参考人 ロシア軍が十四日から北方領土をも念頭に置いた軍事演習を実施している旨、ロシア側から発表されていることは承知しています。

 当然、北方領土を念頭に置いた演習の発表など、北方四島におけるロシアによる軍備の強化は、これら諸島に関する我が国の立場に反するものであり、受け入れることはできません。

 ロシア側の意図とか目的について確定的にお答えをすることは難しいところですが、ロシアは、ウクライナ侵略を行う中にあっても、我が国周辺において活発な軍事活動を継続しております。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き警戒監視に万全を期してまいります。

渡辺(周)委員 いや、警戒監視に万全を尽くすのは当たり前のことであって、私が聞いているのは、今、例えば、日本の周辺における漁業操業であるとか、あるいは何らかの船舶等の航行に対して影響があるのかないのか。それからもう一つは、国際社会に対して、この暴挙に対してどう訴えかけていくかということなのです。警戒監視を強めるなんて当たり前のことで、何の答えにもなっていない。その点について、どうなんですか。

大和政府参考人 ロシア側への抗議ということで申しますと、外務省の方からロシア側に抗議を行ったものと承知をしております。

 漁業への影響ということに関しては、防衛省の方ではなかなかちょっとお答えにくいところなのでございます。

渡辺(周)委員 いや、だけれども、我が国の領土で軍事演習が起きているわけでしょう。それで、だって、防衛省は漁業については承知していないとか、その抗議に関しては外務省だとか、この国家安全保障戦略に縦割りを排除すると書いてあるけれども、まさに今の答弁は縦割りそのものじゃないですか。漁業に関しては防衛省は関知していないとか、抗議に関しては外務省だから関知していないとか、そんな理屈が通るわけないでしょう。

 その点について、だって、昨日、今日、初めて、今、慌てて、起きたわけじゃないんだから、もう既に先週から起きた話なんだから、そんなことを把握していなきゃおかしいわけですよ。それで、よく、こんな防衛三文書を出して、縦割りを排除するとか、国力を挙げて、国の総意を挙げて、国の安全保障を考えるというけれども、全く今の答えだったら話にならないんじゃないですか。

浜田国務大臣 委員の御指摘のように、我々とすれば、私自身も水産の方は関わりを持たせていただいたわけでありますが、今のところ、そういった演習によって影響があるというふうには私のところには報告は上がってきておりません。そしてまた、我々の今の体制の中で常に頭の中にあるのは、今おっしゃったようなことは我々もしっかりと共有をしているというふうに思っています。

 常に、情勢の分析、そしてまたいろいろな対応については、日頃から、我々も最大の興味を持っていろいろな体制も含めて考えているところであります。

 委員御指摘のように、我々とすれば、この国を守るため、特に国境が海の中にあるというふうに我々は考えておりますので、そういった意味においては、漁業者の皆さんがその地域で仕事をされているというのは、まさに、我々の主権であり、主権を守るための努力ということをしていかなければならないと思っていますので、海上保安庁とともに、いろいろな情報を収集しながら、今後とも対応していきたいというふうに考えているところであります。

大和政府参考人 外交ルート、外務省の動きについてちょっと私の方から補足をいたします。

 四月十七日に、外務省欧州局の参事官から在京のロシア大使館の次席に対して、以下の二点について述べた上で抗議をしております。

 一点目は、太平洋艦隊の演習の発表について、ロシアのウクライナ侵略が続く中、我が国周辺でロシア軍がその活動を活発化していることを懸念している旨申し入れた上で、北方領土を念頭に置いた訓練を含む演習の発表や、今回のロシア側の航行警報に記載された北方四島の我が国領海を含む水域でのミサイル射撃訓練について、こうしたロシア軍の活動を含め北方四島におけるロシアによる軍備の強化は、これら諸島に関する我が国の立場に反するものであり、受け入れられない。

 以上の抗議を行っているところであります。

渡辺(周)委員 昨年の秋から年末の防衛三文書をまとめるに当たって、有識者会議の議事録に私も目を通したり、あるいは、三文書の中身を見て、我が国を挙げての安全保障の戦略を考えるんだと。そこにやはり、さっきから言っているように、縦割りという言葉を排すと、民間有識者の方々がやはりそういう認識を持っている。だから、これは何省、これは何省と、だから、結果的に我が省には責任はないのかというような、日本型のセクト主義というか一種の縦社会を、どう、安全保障という本当に国家の存亡を懸けた問題に関して平時の理屈を超えるかということがやはり大事なんだろう。そういう危機感があるから、ああいう有識者のいろいろな御意見になっていったものと思います。

 それだけに、やはりそこのところは念頭に置いて、今後、我が国周辺で起きることに関して迅速に判断できる、あるいは、我々も別に足を引っ張るつもりで質問しているわけじゃないので、是非、そこについては、真摯に答えられる範囲で具体的に説明をいただきたいなと思います。

 もう一つだけ。

 宮古島で、二週間前の委員会で、私は、どこかに自力でたどり着いていることを願って質問をしました。残念ながら、既に御遺体が発見をされたということがもう昨日、今日、報道されておりますが、いわゆるUH60JAですけれども、ヘリが、これは救難機として、飛行の安定性や航行時間についても相当な改良をされたことによって、非常に、全国の陸海空に配備をされて、活躍をしている。

 まだブラックボックスは見つかっていないということだと思いますが、この点について、本当に心からお悔やみとお見舞いを申し上げながら、再発防止のために、これは一体原因は何なのか。人為的なものなのか、それともヘリの構造上の問題なのか、ちょっとまだ分かりませんけれども、今、同型機が、非常に、何かあったときには今後また活躍をしていただかなければいけないヘリでありますけれども、今現状、事故を受けてどうなっていますか。その点について伺います。

大和政府参考人 陸上自衛隊のUH60JAにつきましては、災害派遣あるいは緊急患者輸送などの任務飛行を除きましては、機体の健全性を確認するための入念な点検や必要な教育が終了するまで訓練飛行は見合わせるよう指示が出ております。これは、事故が発生した当日の六日、陸上幕僚長から出ております。

 今後、今まさにやっているところなんですが、こういった機体の健全性の確認であるとか、あるいは操縦士や搭乗する整備士に対して、各種の緊急手順の確認、教育、それから飛行中の錯覚防止等の教育を今まさに施しているというところであります。

 今の見合せがいつ頃終わるかというのは、こういった、今我々がいろいろ取っている措置の行方によるところなので、今ちょっと何とも申し上げられないところですが、いずれにせよ、そういった措置を進めているところであります。

渡辺(周)委員 これはお答えいただければいただきたいんですが、このヘリのスピードで、いわゆる戦闘機と違って、上下が分からなくなったり、あるいは何らかの、おっしゃったような、空間で失調する、いわゆる錯覚を起こす、それによって操縦ミスが起きるというようなことというのは、このスピードのヘリコプターでも起きるんでしょうか。戦闘機の場合はそれで事故があって、たしか、宮城県沖で墜落した事故のこともここで質問したことがありましたけれども、このヘリのスピードでもあるんでしょうか、こういうことは。

大和政府参考人 確かに、戦闘機とヘリコプターでは随分運用速度が違います。ただ、ヘリコプターでも空間識失調による事故が起こる可能性はありますし、実際、二〇一七年には、これは航空自衛隊のUH60ですけれども、起こっております。

 ただ、このときは、月明かりのない暗夜における事故でありました。それから、ナイトビジョンゴーグルの訓練をしているということでありました。ですから、今回と随分条件は違うんです。ただ、相対的に速度の低いヘリだからといって、空間識失調によるそういった事故が起こらないということは言えないということであります。

 そういったことも踏まえて、この事故調査でありますが、今やっております。原因究明に向けて努力していきたいと思います。

渡辺(周)委員 本当に、まだ見つかっていない方々の一日も早い救難が行われますように、また、事故の原因解明につながる機体の部分が、非常に難作業とは思いますけれども、是非、一日も早く成功するように祈りたい。そして、原因究明に至り、そして、今見合わせている、様々、同型機のまた活動ができるような日が来ることを願って、この質問については終わりたいと思います。

 四月十三日の北朝鮮のミサイルの発射についてなんです。

 幾つか質問を用意しましたけれども、時間の関係で伺いますが、問題は、Jアラートが鳴ったのは七時五十五分、それで、発射されたのが七時二十二分。この三十三分間の間で防衛省は何をどう対応したのかということを伺いたいんです。

 まず冒頭、伺いますが、自衛隊法八十二条の三に基づくミサイルの破壊措置については、このときに出したのか、あるいは既にもう出されていたのか、その点についてはどうなっていたでしょうか。

大和政府参考人 十三日の北朝鮮による弾道ミサイル発射においては、警戒管制レーダー等々の情報などを基に、我が方の自動警戒管制システム、ジャッジが、その時点で得られている探知情報を基に、我が国領域に落下する可能性がある航跡を生成いたしました。ただ、その後、この航跡は消えておりまして、この際に得られていた探知情報は、限られたものでありました。

 その後、監視を継続した結果、我が国領域に飛来するものは探知されなかったというところであります。

 このプロセスの中で、防衛省としては、我が国領域に落下する可能性があるものを探知したことであるとか、あるいは、それが後にレーダーから消失したことなどについて、情報を入手次第、直ちに内閣官房に伝達したところであります。

 そして、こうしたもろもろの情報がもたらされる中で、可能な限り速やかにJアラートを送信したというふうに認識しております。結果として、実際に送信が行われたのが七時五十五分となりました。

 それから、破壊措置の命令に関してですけれども、破壊措置命令の有無については、これを明らかにすることで、弾道ミサイル発射の兆候などに関する我が国の情報収集の分析能力や自衛隊の具体的な体制が明らかになる、その推察につながり得ることから、従来から、基本的にお答えをしておりません。

 ただ、今回の事案でも、自衛隊として、我が国に弾道ミサイルが実際に飛来するおそれが認められる場合に、迎撃を含む必要な措置を行うことは当然でありまして、この十三日も、必要な態勢を構築していたところであります。

 ただ、その後、我が国に飛来するものの探知はなく、イージス艦やPAC3といった現役アセットの火器管制レーダーでそうしたものを捕捉することもなかったため、迎撃には至らなかったということであります。

渡辺(周)委員 防衛省の幹部が直後に発言しています。背広の方も制服の方も、ここにいらっしゃる増田さんも会見でおっしゃっていたと思いますが、探知の直後に、角度だとかいろいろな情報から、北海道の南西部の陸地に着弾する、当初は領域内に着弾するということを発射直後には想定をしていた。それは報道もされていますけれども、発射直後に、初の我が国への、EEZ内どころか、我が国の領土に初めて着弾するおそれがあったということが、もうここで言われているんですね。

 さっきから言っているんですけれども、例えば、七時二十二分に発射されて、それを探知した。七時五十五分にアラートが鳴った。八時ぐらいに着弾するから、北海道周辺におっこちるかもしれないから避難してくれといったって、東へ逃げていいのか西へ逃げていいのか、そんなものは分からないわけです。五分でできることなんて知れているわけなんですね。

 ですから、なぜここでもうちょっと具体的な指示が出せなかったのか。若しくは、そのおそれがあると、結果、空振りでも仕方ないけれども、しかし、少なくとも七時二十二分に発射された段階では、日本の領土内に着弾する、しかも陸地に着弾するということがある程度想定されていたわけですから、なぜそこで瞬時に出さなかったのかなと思います。

 あわせて、今のお話ですと、手のうちも何も、ミサイルの破壊措置命令を、じゃ、何のために今までミサイルの迎撃システムに対して高いお金をかけて議論をしてきたのか。まず、当然その場合には、日本海側にいるイージス艦が第一弾のスタンダードミサイルを撃って、それでも撃てない場合には、当然PAC3が第二発を撃つんだ、そういうシステムの中で、その命中精度の問題だとか、いろいろなことを含めて、それで本当に迎撃できるのかということは何回も議論してきました。

 今回みたいな例で、もう既に我が国の領土内に着弾するというふうに想定を当初していたのならば、最善の対応をすべきだったんじゃないですか。それについては、だから、当然必要な措置は取っていますという答弁の方がまともなんじゃないですか。おかしくないですか、今の答弁は。

大和政府参考人 命令が出ていたかどうかということについては申し上げられないというふうに、私、先ほど申しました。ただ同時に、迎撃に必要な態勢というものは構築していたということであります。

 それから、七時二十二分頃発射されたと見られるということですが、その後、先ほど私が申し上げた我が国の領土に落下するかもしれないという航跡がいつ生成されたか等々については、具体的な時間を申し上げるのはちょっと避けたいと思いますが、こういった情報が入る都度、ほぼ自動化されたプロセスの中で、政府内で情報を共有していたというところであります。

 いずれにせよ、そういう態勢を取っている中で、結果的に我が国に飛来するものの探知はなかった、したがって、我々のBMDアセットも迎撃はしていない、こういうことであります。

渡辺(周)委員 大臣に伺いたいんですけれども、いや、結果的には探知できなかったというけれども、でも、一番最初の場合はしたわけですよね、二十二分の時点では。そのときに、じゃ、アラートが出たのが五十五分ですね。そのときには、北海道周辺に着弾のおそれがあるから避難してください、それは五分だと。いや、まだ出さなかったんだったら、変な、逆説的な言い方ですけれども、出さなかったら分かるんですよ、出す必要はなかったと。でも、出した以上は、やはり当然、何らかの可能性があったから出したんじゃないかと思うんですね。それで結果的に、電車が止まったり、交通機関に影響があったり、あるいは学校の始業時間が遅れたり、様々、飛行機が千歳空港で離陸を見合わせたりとか、いろいろなことがあった。当然、社会不安を引き起こしたわけなんです。

 ですから、この在り方については、私は、もっと精度を高めるということは当然なんですが、ミサイルの破壊措置について言えば、これは今回、総理に、時間がないのは今までも言われている。当初、北朝鮮から弾道ミサイルが飛んできたら最速七分で来るんじゃないか、その間に何ができるんだというような議論もかつてさんざんしました。そのときに、やはり総理の承認を得た緊急対処要領というものがあって、緊急対処要領に従って防衛大臣が命令できるということが当然あるわけですね。そんな手続を踏んでいられませんから、七分で飛んでくるものに。

 だとすれば、今回のような、もう二十二分に飛んだら、早ければもうその直後には着弾するということが考えられたとすれば、結果的になかったんですけれども、正しく怖がるという意味で、あるいは最悪の事態を考えて最善のそして最短の判断をするということについては、やはり当然のことながら、私は、このミサイル破壊措置命令は出されたままになっていて、いつでも大臣の命令で対応できるだけの態勢がもう既にできていたというふうに考えるのは当然なのです。

 あったか、なかったかというよりも、当然、そういうことは頭の中に、大臣、あったんですか。いざとなればミサイルの破壊措置を行うということの決断はできる態勢にあった、そこだけで結構です、教えてください。

浜田国務大臣 態勢を整えるということ、これは当然のことでありますが、頭の中にあったのかと言われれば、当然、そのとおりであります。

渡辺(周)委員 問題は、やはり、慎重を期す余りにもう手遅れだということになってはいけないし、もちろん、この委員会の中でも、オオカミ少年になってはいけないというような議論があります。

 ただ、しかし、だからこそ、確定した情報じゃなくて、例えば、災害のときを考えますと、津波で、到達するおそれありというふうに出ますよね。そのとき、でも、どのエリアだということさえ分かれば、例えば、余りいい例えじゃありませんけれども、三陸沖に、あるいは東北の方に津波が来るかもしれぬといったら、九州の人はそこまで余り警戒しなくて済むかもしれない。距離的に言えば四百キロも離れたところですから、例えば静岡県と大阪あたりの距離ぐらいで。

 実は、前回着弾をした函館の南西部を考えたら、釧路だとかあるいは稚内まで四百キロぐらい直線で離れている。それは大体、私の地元静岡県から関西ぐらいの距離なんですね。

 そうすると、ある程度、なぜ今回、北海道周辺などという大変不確定な言い方になったのかということは、これは何か皆さんおっしゃいます。じゃ、どこに逃げろと。札幌なのか、あるいは函館なのか、旭川なのか、釧路。せめて、当初言われたように、北海道南西部の陸地というのであれば、北海道の南西部に飛来するおそれと書くだけでも、恐らく、そうでない人たちは、道東の人たちはそこまで慌てなかっただろうなというふうに思うんですね。

 第一報についてちょっと伺いたいのが、今回、Jアラートというものとエムネットというものと二つあって、Jアラートの場合、先ほどちょっと津波のことを言いましたけれども、緊急地震速報の場合に、気象庁から、いわゆる機械で探知をすれば、携帯電話の事業者に直接連絡が行って住民に行くルート、当然、端末の利用者、携帯の各所有者、ユーザーのところに行く、もう一つは、気象庁から消防庁を経由して自治体に行って住民に行く、二つのルートがあるわけです。

 例えば、今回のようなことも、内閣官房から若しくは防衛省から消防庁の送信システムに行くルートと、もう一つは、携帯電話の事業者を通して行く、二ルートをつくっていく、つまり、気象庁の緊急地震速報と同じスタイルですね、こういうことはできないんですか。

 つまり、早く行くということが大事なので、せめて、北海道南西部に住んでおられる北海道の道民に関してミサイルの話が来ることができたら、全然心構えは違ったんじゃないかと思うんです。こういう緊急地震速報のような形で、何度も言います、気象庁から電話事業者に直接行って、そこから電話ユーザーに、各端末に行くというルートと、もう一つは、ちょっと時間はかかりますが、消防庁から自治体、住民へと行く、この二つのルートがある中で、同じように、国民保護に関して、例えば防衛省から携帯電話事業者に行って住民のルートで行くのか、あるいは内閣官房から携帯電話事業者に行って住民のルートで行くのか、あるいは消防庁、自治体を通して行くのか。この二つのルートがあったら、どっちか一つとは言いません、ただ、両方のルートをやはりつくっておくべきじゃないかと思うんですが、その点については、こうしたことは考えていないのでしょうか。いかがですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 内閣官房から送信されたJアラートの情報は、総務省消防庁のシステムを通じて、市町村の防災行政無線等からの音声情報のみならず、携帯電話等に配信される緊急速報メールの形でも住民の皆様に情報伝達されることとなっております。

 四月十三日の事案におきましても、携帯電話事業者を通じて、対象地域である北海道の住民の方々の携帯電話等へ緊急速報メールが配信されたものと認識しております。

 政府としては、これらの複数のルートにより、対象地域の皆様への迅速かつ的確な情報提供に努めてまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 この問題、またちょっと、いろいろな検証が出てからやりたいと思います。

 いっぱい質問を予定していたんですけれども、またあしたやります、合同審査で。

 一つは、是非申し上げておきたいのが、民主党政権の二〇一二年に、北朝鮮が南向けに発射予告するといってミサイルを撃ったんですね。そのとき、実は消失したんです、間もなく。そのとき、私は、防衛省の地下三階にあるモニター室で、三役と、あるいは幹部の皆さんと見ておりました。そのときに、点滅が、シーカーが探知して、その後すぐ消えたんです。これは、消えたということで、果たして、こちら側のモニターのシステムの不具合なのか、それともリフトした北朝鮮のミサイルが失敗したのか、その場で瞬時に判断できなかったんです。

 だけれども、当然、ミサイル破壊措置の命令も、あるいは、途中のルートというのは、当時は想定されていましたルートの下に、避難させるための例えばUH1Jなどのヘリコプターを置いてあったわけですね、与那国島とかに。PAC3を石垣島に配備したりしました。だから、それはよく分かっているんです。その時点でなぜ消失したかということについて、やはり結論が出なかったんですね。結果的には、CNNや韓国の報道がそうしたからこそ、分かったんです。

 ですから、私は、可能性として、一%でも飛来する可能性がある以上は、当然のことながら、そこはやはり、それは正しく怖がる、最善の措置を取ることをお訴え申し上げて、またあした続きを質問したいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、今日は一般質疑ということで、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 以前、私の質疑でも、FMSの問題点を指摘、議論をさせていただきました。調達の原理原則でしたり、政府の言う最新鋭あるいはコスト安といったメリットがうまく機能していない部分があるのではないかという指摘をさせていただいております。

 FMSの問題点としてよく指摘されるのは、見積りベース、あるいは原則前払い、あるいは納期が予定であること、こちら側でハンドリングができないということに尽きるのかもしれませんが、結果的に、価格が高いもの、そして型落ちのもの、あるいは米国も使わなくなるもの、あるいは日本には合わないもの等を購入しているのではないかという問題意識があります。

 今日は、航空自衛隊が導入したグローバルホークについて何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 グローバルホークは、自衛隊において初めて導入された米国製の高高度滞空型の大型無人機であり、二〇二二年の十二月に三沢基地に偵察航空隊が新編をされ、グローバルホークの運用が開始をされました。

 グローバルホークをめぐっては、これまで、米軍が早期退役を決定をした旧式のブロック30であること、あるいはコストの高騰といった問題点、当委員会等でも質疑で取り上げられております。

 まず、日本での現在の運用について、現状を浜田大臣に伺わせていただきます。

浜田国務大臣 グローバルホークは、搭乗員に対する危険や負担を局限しつつ、他の現有装備品では十分に実施することが困難な我が国領海、領空から比較的離れた地域での情報収集や、事態が緊迫した際の空中での常時継続的な警戒監視等を行うことが可能であり、広域における常時監視体制の強化に資するものと考えております。

 これまで、昨年十二月に偵察航空隊を新編し、万全な飛行準備を経て、グローバルホークの飛行を開始したところであります。

 防衛省・自衛隊として初めて導入する高高度滞空型の大型無人機であるグローバルホークの整備を着実に進めてきたところであり、引き続き、広域における常続監視体制の強化に向けて、こうした取組を進めておるところであります。

伊藤(俊)委員 現在、日本では三機を導入計画ということで運用することを伺っておりますけれども、昨年三月十二日に一機目、そして同月二十七日に二機目が到着をしておりますけれども、まだ三機目が到着をしておりません。本年三月一日の参議院予算委員会においても、防衛省は、具体的な三機目の配備時期を現時点で示すことはできないという答弁をされております。

 最初の二機は昨年三月に到着をしておりますけれども、三機目の納入が、今、九年がたっております。そのできない理由をお聞きをしたいというふうに思います。また、三機目がなかなか配備されないことで常時監視体制に支障を来していないのかという点、そしてまた、グローバルホークの三機体制の完成時期は元々いつ頃を見込んでいたのか、お聞きをしたいというふうに思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、広域におきます常時監視体制の強化に向けて、グローバルホークを先生御指摘のとおり三機取得することとしてございます。令和三年三月に一機目と二機目が航空自衛隊三沢基地に到着をしてございます。

 三機目につきましても同基地に配備される予定でございまして、当初は、二〇二二年度以降に納入するとしておりました。具体的な配備時期につきましては、現在アメリカ側と調整をしているところでありまして、現時点でお答えできる段階にありませんけれども、現在最終的な調整を実施しているところでございます。

 本格的な実運用を開始するに当たっては三機体制による運用が前提となりますけれども、当初は隊員の訓練等を優先的に実施していく計画でございまして、そうであれば、この間は二機による取り回しが十分可能であるため、三機目の到着を待たずに、運用部隊を三沢基地に新編いたしまして、飛行を開始することとしたものでございます。

 いずれにいたしましても、引き続き、広域における常時監視体制の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 三機目の納期、九年かかっている。その理由については明確な答弁はありませんでした。

 グローバルホークは、韓国軍も導入しております。直近の二〇二一年の十月十五日の韓国の中央日報によると、韓国軍が導入した四機のグローバルホークに一機当たり平均十件の欠陥が発生をしており、まともに飛行できていなかったと報じられております。

 防衛省は、韓国軍が配備したグローバルホークに不具合が生じていたことについて、どれだけ現状を把握をされておりますでしょうか。今現在の運用の状況、また現在四機全て欠陥が解消されているのか、分かる範囲で教えていただきたいというふうに思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 韓国軍のグローバルホークにつきましては、ランディングギアからの油漏れとかセンサー関連の異常が発生したとの報道については承知しているところでございます。

 我が国におきましては、常日頃より、グローバルホークの製造国である米国と緊密に連携し、様々な情報を得た上で、平素から必要な整備、点検等をしっかり行っているところでございまして、我が国のグローバルホークにおいては、韓国軍で発生したとされる不具合を含め、これまでのところ特に不具合はなく、また、米国からも韓国軍にまつわる不具合の注意喚起は受けておらず、安全性には問題がないことを確認しているところでございます。

伊藤(俊)委員 現在の四機の運用状況というのが、明確な答弁がなかったかと思いますけれども。

 重ねて、ドイツは購入をキャンセルしているという事実も報じられておりますが、その原因、現状も併せてお聞かせいただきたい。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 他国におけます装備品の取得状況、これはなかなか防衛省としてもお答えするのが難しいところもあるんですが、先生御指摘のとおり、各種報道によりますと、ドイツは当初、グローバルホークの欧州仕様であるユーロホークを取得する方針でありましたが、その後、欧州空域を飛行する許可を得るために追加費用が発生することが判明したため、ユーロホークの取得を断念した、こういうふうな報道があるということは承知しております。

伊藤(俊)委員 NATOでは、一号機を運用しているというふうにも聞いております。直接的な本当のキャンセルの理由がどういうことだったのかということも、明確なことは分かりませんけれども、韓国にしろ、ドイツにしろ、日本も、納入されたグローバルホークも同様に不具合が発生をしないということも限りませんので、しっかりと、できる限りの情報収集に努めていただいて、十分な対策を講じていただきたいというふうに思います。

 自衛隊が既に納入している二機のグローバルホークは、現在に至るまで不具合等は一切確認をされていないというふうに聞いておりますけれども、念のためその確認をさせてもらいたいのと、また、機体の検査などの措置は取られているのか、まだ届いていない三機目については、これらを踏まえて何らかの対策を講じなければいけないのではないかというふうにも思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 既に航空自衛隊三沢基地に配備されております二機のグローバルホークにつきましては、当然、平素から、飛行前後の点検、エンジン、油圧、燃料系統、機体構造、電気系統等の定期点検、定期交換部品の交換などの整備、点検をしっかりと行っておりまして、これまでのところ、特に不具合はなく、安全性に何ら問題がないことを確認しております。

 今後とも、当然のことながら、今後納入されます三機目につきましても、そのような対応で臨むつもりでございまして、あわせまして、安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えてございます。

伊藤(俊)委員 是非、三機目の運用のこともありますので、十分情報収集をしていただきたいというふうに思います。

 コストの高騰についてもお聞きをしたいというふうに思いますけれども、本年三月三十一日に防衛装備庁が公表した「プロジェクト管理対象装備品等の現状について」や、予算委員会等でも明らかになっておりますけれども、グローバルホークの導入費用において、運用は二十年ということでありますが、当初三機で五百十九億円、それが六百十三億円、九十四億円増というふうになり、それに加えて、運用、維持段階の経費として、当初二千七百九億円から、昨年八月三十一日に公表された資料では二千九百五十一億円と、二百四十二億円増となっています。そして今回、更に五百六十八億円増ということで、三千五百十九億円が見込まれております。

 為替の問題、様々影響しているんだというふうに思いますけれども、今回、更に金額が大幅になった現状と、そしてまた、当初からコストがこれまで膨らんできている現状、そしてコストの削減が必須だというふうに思いますけれども、見解をお伺いしたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバルホークの運用、維持段階に係るコストは、令和四年八月に公表した見積りにおきましては二千九百五十一億円を計上したところですが、令和五年三月に公表した見積りでは三千五百十九億円を計上しており、この増額は、主に為替レートが一ドル百八円から百三十七円に上昇したということによるものでございます。

 委員御指摘の、いわゆるコストの低減という観点でございますが、グローバルホークの運用維持コストは当初の見積りに比べて上昇していることから、防衛省といたしましては、コストの低減について、米国とも連携して、常日頃より不断に検討しているところでございます。

 具体的には、まず第一点目といたしまして、三沢基地に駐在する米国人の役務員の一部を自衛官に置き換えるということで、令和四年十二月から令和五年十一月まで米国の役務員四十名のところを、令和五年十二月から約十名を自衛官に置き換えて、米国の役務員を三十名に減員させる、これが第一点目でございます。

 第二点目は、先ほど委員も御指摘ございましたが、米国において、グローバルホークブロック30二十機が退役することに伴い、不要になりました米国政府が保有する部品、これを相当な安価で購入するという取組が第二点目でございます。

 あと、第三点目といたしまして、グローバルホークを運用する各国、韓国、NATOとの間で、部品枯渇対策として、必要な部品の再設計費や試作、あと、試験費などの技術支援費を按分していくといった取組を進めているところでございました。

 このような、ただいま申し上げましたような取組を行うことによりまして、経費の効率化、削減を今後とも不断に検討してまいる所存でございます。

伊藤(俊)委員 省人化の問題、様々、後ほど少し触れさせてもらいたいというふうに思いますけれども、昨年十二月に閣議決定をされた国家防衛戦略では、無人アセットは有人装備と比較をして比較的安価であることが多くと記載、記述をされております。金食い虫とまでは申しませんけれども、グローバルホークは、二十年間運用するとして、たった三機で毎年平均百七十億円以上もの運用維持経費がかかることになり、高コストであることは否めないのではないかというふうに感じております。

 それでも比較的安価とおっしゃるのか、グローバルホークのコストにおいては高コストであるというふうに思いますけれども、浜田大臣の見解をお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 一般に、装備品の取得、維持経費等のコストが高額か否かの評価に当たっては、費用対効果の観点から、運用目的を達成するための代替手段の有無等を考慮する必要があると考えます。

 グローバルホークについては、搭乗員に対する危険や負担を局限しつつ、その他の現有装備品では十分に実施することが困難な、我が国領海、領空から比較的離れた地域での情報収集や、事態が緊迫した際の空中での常時継続的な警戒監視等を行うことが可能であり、そのコストが高額か否かを一概に判断することは困難と考えます。

 いずれにせよ、防衛省としては、他の装備品と同様、グローバルホークのコストの管理の重要性は強く認識をしており、ライフサイクルコスト全体として必要経費を縮減できるよう、引き続き、適切なプロジェクト管理に努めてまいりたいと考えておるところであります。

伊藤(俊)委員 一概に高いとは言えないということでありますけれども、認識をしていただきながらと思います。

 ここまでのこういう議論を通じても、ライフサイクルコストを含め、FMSに非常に懸念、問題もあるというふうに改めて感じているんですけれども、グローバルホークの運用維持経費には、米国の企業からの支援を受けるための経費も含まれており、令和五年度予算に九十億円が計上されております。これは、本年二月十七日の予算委員会でも、高過ぎるのではないかという指摘もされております。

 運用維持経費に関しては、過去、二〇一七年六月十五日の参議院外交防衛委員会における藤田委員の質疑においても、三沢基地に滞在をする予定の米国の技術者四十名、その生活費が約三十億円あることが取り上げられております。当時、稲田防衛大臣でしたけれども、しっかりと事実関係を精査した上で、主張すべき点はしっかりと主張してまいりたいというふうに述べておりますが、現在に至るまで、明確な答弁、説明はされていないというふうに理解をしております。

 三沢基地に滞在をする米国の技術者の生活費について、防衛省は、事実関係をどのように確認をされて、また、米国側にどのような働きかけをされたのか、そして、結局、技術者の生活費というのは運用維持経費の中に含まれているのか、お聞きをしたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバルホークは、運用、維持段階において、米国企業から人員面、技術面で直接支援が必要でございまして、令和五年三月時点では、こうした企業による後方業務への直接支援に係る費用といたしまして、二十年間で千百七十四億円を見積もっているところでございます。

 この経費は、三沢基地に駐在する役務員の役務費及び米国本土のノースロップ・グラマン社の役務費等で構成されておりまして、三沢基地に駐在する役務員の生活費として支出されているわけではございません。

 具体的に申し上げれば、三沢基地に駐在する役務員は、機体の操縦や機体搭載センサーの操作教育、部品や支援機材の補給管理、情報保全、セキュリティー関連業務、機体や地上機材の整備、衛星通信やセンサーの整備、役務全体のマネジメントといった役務に従事しているところでございます。また、米国本土のノースロップ・グラマン社におきましては、事業管理やセキュリティー関連業務、部品の生産管理、在庫管理、ソフトウェアのアップデートといった役務を行っているところでございます。

 それぞれの役務に係る経費や役務員個別の手当といった経費の内訳につきましては、米国政府と米国企業の契約内容に係るものでございまして、米国政府から開示されておりませんので、防衛省としてお答えすることはできませんが、いずれにいたしましても、米国とは毎年協議を行って、一定の経費の効率化、削減を行っているところでございます。

 さらに、先ほど御答弁申し上げましたように、防衛省といたしましては、三沢基地に駐在する役務員の一部を自衛官に置き換えていく、米国人を約四十名から約三十名に減らすといった、役務に係る経費の削減の検討を進めているところでございます。

伊藤(俊)委員 それでは、省人化のこともちょっとお聞きをしたいというふうに思いますけれども、昨年十二月の国家防衛戦略では、「有人機の任務代替を通じた無人化・省人化により、自衛隊の装備体系、組織の最適化の取組を推進する。」と記述をされております。

 まず、現在のグローバルホークを運用する三沢基地の偵察航空隊の人員は百三十名というふうにお聞きをしておりますけれども、航空自衛隊は、かつて、二〇一九年度末までRF4Eの偵察機を運用する同名の偵察航空隊が百里基地に置かれておりました。そちらが何名体制で運営していたのか、これは役割も異なりますので単純な比較はできないと思いますけれども、お聞きをしたいというふうに思います。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバルホークの運用部隊につきましては、昨年十二月の十五日、航空総隊隷下で、先生御指摘のとおり、百三十名規模の偵察航空隊を航空自衛隊三沢基地において新編をいたしてございます。

 また、一般的に申し上げまして、異なる装備品を運用する部隊の所要人数の評価につきましては、それぞれの装備で運用、維持整備の構想等も異なることから一概に比較することは困難でございますが、先生御質問の、偵察機RF4を運用するその当時の偵察航空隊の規模は、最大で約六百六十名でございました。

伊藤(俊)委員 グローバルホークに関しては、米国企業の役務職員四十名に高いお金を払って、支援のために三沢基地に駐在をしてもらうわけでありますので、余り省人化には貢献していないようにも思います。無人アセットを導入する以上は、もう少し運用のための人数を減らす、省人化に資するやり方はないのか、また、人口減少や少子高齢化が急速に進展する中で、自衛隊でも限られた人材を最大有効活用することが求められているという中において、無人アセットの活用の在り方というものをよく考えていただく必要があるのではないかというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 二〇二〇年四月の七日の当委員会の屋良委員の質疑において、防衛省は、地上の静止目標についての画像情報の収集に適した旧式のブロック30の方が我が国のニーズに合致していたと説明をされております。グローバルホークの導入決定からもうかなり時間が経過をして、そして、昨年には新たな安保三文書が策定をされています。こうした認識、旧式のブロック30が我が国のニーズに合致しているというこの認識に現在も変わりはないのか、浜田大臣にお聞きしたいと思います。

浜田国務大臣 防衛省として、グローバルホークを広域における常続的な情報収集、警戒監視に活用する考えであり、このため、夜間や悪天候下でも地上の静止目標の情報収集ができる能力等が必要であると考えております。

 この点、自衛隊の導入するブロック30は、可視、赤外線センサーに加え、合成開口レーダーを搭載をしており、こうした任務に適切に対応できるものと考えております。

 ブロック30は我が国の運用ニーズに合致している有益なアセットであると考えており、この認識は現在も変わっておりません。

伊藤(俊)委員 認識は変わらないということでありますけれども、グローバルホークの今後を考えると、自衛隊が導入したこの旧式、ブロック30という、型落ちと言ってもいいのかもしれませんが、米空軍は同型のグローバルホークの早期退役を決定をして、そして、その理由は、報道では、競争の激しい緊迫した状況で運用できる能力がない、あるいは、直面している中国の脅威に対応できる設計になっていないとも言われております。

 さらには、先ほどのドイツの購入のキャンセルの問題、あるいは韓国の四機全てに不具合が発覚している現状、さらには、コストが、五百九十億円から、運用も含めてですが三千五百十九億円と、金額だけ見ればかなり高騰しているというふうに見えます。

 高コストであるということからも、一般的に、購入、運用するには問題があるのではないかと考えるのが必然ではないかというふうに思っております。

 浜田大臣にはきちんとした説明をしていただきたいというふうに思いますし、具体的な改善への対応、さらには、FMSの在り方においても改善をするべく、より深い、具体的な説明を尽くしていただきたいというふうに思いますが、大臣、最後に一言答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、先生おっしゃるとおり、アメリカにおきましては、二〇二二年度の大統領予算教書、あるいは同年の国防授権法におきまして、この型の、ブロック30、二十機の退役が承認されたということは当然承知してございます。

 しかし、先ほど大臣から答弁ありましたように、我が国の運用ニーズというものを考えた場合には、まさにこのブロック30が我が国の運用ニーズに合致しておりまして、我が国にとって有益なアセットであるというふうに考えておるわけでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、米国におけるグローバルホークの退役に伴いまして、不要となった部品を米国政府から安価で購入することによる経費の効率化についても検討を行っているところであります。

 引き続き、米国政府と連携しながら、グローバルホークの整備、経費の効率化、削減、こういったものに取り組みつつ、広域におきます常時監視体制の強化に向けて必要な取組を着実に進めてまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 きちんと精査をしていただきながら、グローバルホークの問題もそうですけれども、FMSの問題も、今、一兆四千七百六十八億円と急増しているということもありますし、四十三兆円のコスト、予算の中も、ライフサイクルコストを含めて、その見積りも出ていない中できちんとした財源の議論ができないということもありますし、これから金額が膨れ上がるということの可能性も十分あり得ると思いますので、しっかりと精査して議論を積み上げたいというふうに思います。大臣にもお願い申し上げたいというふうに思います。

 時間が迫っておりますが、最後に一問、米軍機の事故に関する改正のガイドラインの実効性についてお聞きをしたいというふうに思います。

 一九六四年、もう六十年近く前になりますが、四月の五日の夕刻、私の東京町田市、地元でありますけれども、中心部商店街に、沖縄嘉手納基地から厚木基地に向かう米海兵隊の戦闘機が墜落をしました。乗組員はパラシュートで脱出したものの、生後九か月の子を含む住民四人が亡くなり、重軽傷者三十二名、家屋二十軒以上が全半壊をいたしました。

 この事故からもう六十年を迎えるわけですが、今も集会が行われております。私が生まれる以前の事故でありますので、毎年四月の声を聞くと、突然、上空を飛んでいた戦闘機がきりもみ状態でほぼ垂直に落下をしてきたというこの事故のことがふと想像されて、日本の空が静かで安全なものであることを願わずにはいられません。

 在日米軍による事故、事件が起きないことが一番でありますけれども、しかし、不幸な事故というものは起きてしまうことも残念ながら事実でありまして、仮にこうした事件、事故が起きた場合でも、せめて、その原因の調査がきちんと行われること、適切な処罰がなされる必要性があるというふうに思います。

 まず、米軍機による事故が起きた場合の対応について、二〇一九年、ガイドラインが改正をされて、当時外務大臣であった河野大臣が、「万が一米軍機による事故が発生した際の対応が、多くの面で一層改善される」と述べておりますが、改正後も引き続き米側の同意が必要というふうになっておりまして、結局のところ、米軍の考え次第ではないのかなというふうに思えてなりません。

 改善が本当に期待ができるのか、改善されるというのであれば、立入りに関し引き続き必要とされる米側の同意について、例えば、同意が得られない場合にはその理由について明示をされる、そういう措置がなされるのか、交渉の過程でそうした理由の開示を日本として求めた、開示されたことがあったのか、お聞きをしたいと思います。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、米軍機によるものを含め、米軍による事件、事故、これは地元の皆様に大きな不安を与えるものであり、あってはならないものだと考えております。

 二〇一九年七月の米国軍航空機事故ガイドラインの改正は、これまでの事案における課題等も踏まえ、日米双方が協議を重ねた結果、実現したものでございます。

 ガイドラインの改正によって、例えば、事故現場の規制は日米両当局が共同で行うとの基本原則の下、迅速かつ的確な対応を行われることが期待され、政府といたしましては、改正は日米地位協定の運用の改善であると考えております。

 特に、御指摘の、立入りの際の米側の同意に関しては、従来、内周規制線内、いわゆる制限区域内への立入りは日米の相互の同意により行われることのみが規定されていたところ、今回改正されましたガイドラインにおきましては、それに加えて、内周規制線内、制限区域内への立入りが迅速かつ早期に行われること、これが明記されております。また、特定の業務に関与する日米両政府責任者が優先的に立ち入ること、これが新たに規定されております。

 このように、政府といたしましては、ガイドラインの改正によって、我が国の当局による適切な対応が一層明確に確保されることになったと考えております。

 ガイドラインの改正時にどのような交渉が行われたかにつきましては、こうした交渉における日米間の個別的、具体的なやり取りを明らかにすることは差し控えさせていただきますが、同改正は、これまでの事案における課題等も踏まえ、日米間で協議を重ねた結果、実現したものであり、事件、事故が発生した場合に適用される方針及び手続が一層改善されるものと期待しております。

伊藤(俊)委員 是非、具体的な改善に向けて、しっかりとした交渉をしていただきたいというふうに思います。

 質問通告している一つ、二つを落としたかもしれませんが、また次回やらせていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

鬼木委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲民主党・無所属会派、社民党の新垣です。よろしくお願いします。

 冒頭、陸上自衛隊幹部ら十名搭乗の、先ほど来お話があるUH60JAヘリの宮古島周辺で行方不明になった事故で、搭乗員と見られる五人が発見され、そのうちお二人の死亡が確認をされました。昨日新たにお二人が発見されたということですが、亡くなった、御遺族にお悔やみを申し上げるとともに、残された行方不明の皆様の早期発見をお祈りしたいと思います。

 同時に、事故原因の究明と情報開示を求めて質問に入りたいと思います。

 一月ほど前の話になりますが、去る三月十五日、防衛省で浜田大臣との会談を終え報道陣の取材に応じたエマニュエル駐日大使が、日米同盟の強化によって沖縄の基地負担が増加している点についてマスコミから問われたら、自由で開かれたインド太平洋を守るための責任であり負担ではないと述べました。

 沖縄基地負担についての大臣のお考え、そして、負担ではなく責任であると述べた米国大使の考え方について、御見解を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力、対処力を構成する重要な要素であり、現在の安全保障環境ではその重要性は更に増していると考えております。

 御指摘のエマニュエル大使の発言は、こうした現在の安全保障環境における日米同盟と沖縄における米軍の駐留の重要性を述べられたものと考えます。

 その上で、沖縄には現在でも多くの米軍施設・区域が集中し、沖縄の皆様には大きな基地負担を担っていただいていることを政府として重く受け止めております。沖縄の基地負担軽減を政権の最重要課題の一つとして取り組んでいるところであります。

 具体的には、米軍施設・区域が集中していることにより、周辺地域において、例えば、航空機騒音等の障害や、事件、事故の発生等により地域住民の方々に影響や不安を与えており、また、土地利用上の制約等の御負担をおかけしていると認識をしております。

 防衛省としては、沖縄の基地負担軽減の観点から、米軍基地の整理縮小を引き続き進めていくとともに、米軍基地の運用による騒音等の軽減や、事件、事故の防止等について米側に協力を求めていくことが重要であると考えております。

新垣委員 今大臣からはとても細かく御説明があったんですが、どうもアメリカ大使はそういう認識は余りないのかなと思っています。大使と県民との考え方の違いというんですかね。県民にとっては、常日頃から、毎日のように事件、事故があるわけですね。その辺はやはり認識してもらいたいなと思っております。

 日米2プラス2など、日米間の文書で、米軍基地の負担、英語でバーデンという単語なんですが、これが、影響、インパクトとして訳されております。

 日本政府は、沖縄の米軍基地が県民にとって負担であると捉えている一方で、米側はそれを受け入れずに影響とすると。沖縄の基地負担が一向に軽減しない理由の根幹はこの認識の差にあると私は考えております。

 政府はしっかり負担軽減に努めるんだと先ほど大臣はおっしゃっていたんですが、沖縄県民は米軍基地の存在を負担だと感じておりますし、日本政府としても同様の認識を持っていると私は思っていますが、この認識を、そういう米側との交渉、そして、先ほど来から緊密に話合いを持っているんだというお話があるんですが、こういうことを踏まえてきちっと米側に意向を伝えているのかどうなのか、それをちょっと確認をしたいと思います。

浜田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、沖縄の皆様には大きな基地負担を担っていただいていることを政府として重く受け止めております。沖縄の基地負担軽減を政権の最重要課題の一つとして取り組んでいるところであります。

 政府としては、この認識の下に、様々な機会に米側に対して沖縄の基地負担軽減の重要性を説明し、米側の協力を求めてきているところであります。

 例えば、本年の一月の日米2プラス2においても、米側に対して、日本側から沖縄の基地負担軽減の重要性を説明した上で、在日米軍再編を着実に推進すること、そしてまた、事件、事故に関する適時の情報共有を行うこと、そしてまた、環境に係る協力を強化すること、そしてまた、同盟の活動の重要性について地元と緊密なコミュニケーションを行いつつ、地元への影響を軽減し、地元との強固な関係を後押ししていくことの重要性を確認をしたところであります。

 今後とも、米側に対して沖縄の基地負担軽減の重要性をしっかりと伝え、在日米軍再編や米軍の運用をめぐる課題について、米側と連携して一つ一つ前に進めていきたいと考えております。

新垣委員 やはり米側にその思いがなかなか伝わっていないんじゃないかなと思っているんですね。トップはそういう考え方があるかもしれませんが、底辺まで、兵隊まではなかなか伝わっていない。だから、やりたい放題のことをやっているということがもう日常茶飯事のように行われているわけですから、やはりその辺の思いは、大臣、しっかり防衛省としても伝えていただきたいし、この辺は守っていただきたいというふうに思います。

 そして、駐日大使はまた、米軍基地がある場所ではどこでも我々はよき隣人として振る舞っているんだということをおっしゃっているんですね。果たして、県民にとってよき隣人なのかなと思います。

 本当に、いつになったら基地負担の軽減がなされるんだろうと思っているんですが、現実は、毎日のように、早朝から深夜まで低空飛行で飛び回っている。それも、中学校、小学校、そして保育園、病院もそうです。公共施設があるところをどんどん飛んでいくんです。基地のないところも飛び回ります。ですから、基地がないから騒音がない、被害がないというわけではなくて、やはり年々それがひどくなっていくという現実が沖縄にはあります。ですから、しっかりその意向は伝えていただいて、それが成果が出るような交渉を是非やっていただきたいなと思っております。

 次に、政府が常々言っている沖縄の基地負担というのは、米軍基地だけをもっての負担なのか、あるいは米軍基地、自衛隊基地を合わせたものなのか、基地負担の対象について見識を伺いたいと思います。

浜田国務大臣 御指摘の沖縄の基地負担については、沖縄県には現在でも多くの米軍施設・区域が集中しており、沖縄の皆様に大きな基地負担を担っていただいていることに政府としても重く受け止めていることを申し上げてきているところであります。

 その上で、御指摘の自衛隊の部隊配備について申し上げれば、現在の安全保障環境を踏まえれば、南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題だと考えております。

 南西地域への部隊配備は、力による現状変更を許容しないとの我が国の意思を示し、島嶼部を含む南西地域への攻撃に対する抑止力、対処力を高めることで我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させるものであり、沖縄県民を含む我が国国民の安全につながるものと考えております。また、部隊配備によって、大規模災害や国民保護における対応の迅速化にもつながるものと考えております。

 一方で、南西地域への自衛隊の部隊配備を不安に感じておられる住民の方もいらっしゃると思いますが、引き続き、関係自治体に対し、現在の厳しい安全保障環境や三文書の考え方について丁寧に説明をさせていただきたいと考えております。

 さらに、自衛隊の部隊が住民の皆様との信頼を構築し、日々の活動において住民の皆様の生活に与える影響を最小限にとどめるよう努力するなど、住民の皆様の不安を払拭すべく、努力を積み重ねていくことが重要であると考えているところであります。

新垣委員 これまでは米軍基地が沖縄に七〇%以上あるということで、非常に過重な負担だという認識だったんですが、さらに今、大臣がお話しされたように、自衛隊基地も強化されてきたということで、実は、先島の皆さん、宮古、石垣、与那国の皆さんといろいろお話ししていると、当初、自衛隊誘致に賛成した方も、災害時に守ってくれる自衛隊、そして緊急時に活動してくれる自衛隊、非常に頼もしいという認識だったと。

 本島の皆さんは常に米軍基地からの被害があるものですから実感としてあるんですけれども、なかなか離島の皆さん、これまで認識がなかったということで、本来、自衛隊の皆さんに助けてもらうんだという認識だったのに、だんだんだんだん、ミサイルを配備されるという話になってきて、えっという人たちが多いんですね。そこまでは我々は認識していなかったということですから、これは恐らく、離島の皆さん、先島の皆さんにとっては、非常に基地負担になると思うんですよ。

 やはり今はもう非常に不安があります。一体どうなるんだろうということで、首長たちも非常にその点を心配をしておりますので、確実に質、量とも増加しているという認識は拭えませんので、やはりしっかり沖縄の皆さん、県民には丁寧な説明を、いつもおっしゃっているんですが、なかなかそれで十分かというと、そうではないと思いますので、是非、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、辺野古の新基地の話ですが、実は、この間、建設現場から僅か南西に約三キロの久志沿岸でジュゴンのふんが採取されました。昨年七月に海に浮かんでいた草食動物のふんを県がDNA鑑定した結果、ジュゴンのものと判明をしております。もうジュゴンもいなくなったのかなと思ったんですが、いやいや、そうでもないということで、ジュゴンのふんの採取を受け、沖縄県は四月七日付で、沖縄防衛局に対し、ジュゴンに関わる事後調査の拡充検討を求めておりますが、防衛省は県に対して回答をしたのでしょうか。県の要請に対する検討状況についてお伺いしたいと思います。

北尾政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の沖縄県の要請とともに、県が公表しましたジュゴン調査に係る報告書の内容につきまして、現在、沖縄防衛局におきまして精査しているものと承知しております。

 その上ででございますが、普天間飛行場代替施設建設事業の実施に当たっては、これまでも、大浦湾にジュゴンが来遊することを前提として、部外の専門家から成る環境監視等委員会の指導助言を踏まえつつ、ジュゴンへの影響に配慮して工事を進めてきたところでございます。

 引き続き、沖縄防衛局におきまして適切に対応していくものと承知しております。

新垣委員 済みません、県にはそういう回答をしたということですか。

北尾政府参考人 現在、沖縄防衛局において精査中ということでございます。

新垣委員 今精査中ということですが、これが精査をして結論が出るのはどの時期なんですか。

北尾政府参考人 繰り返しになりますが、精査中でございまして、時期についてまだ明確にお答えできる状態ではございません。

新垣委員 是非早めにお願いしたいと思います。

 ジュゴンの存在が判明したということになると、また辺野古の新基地建設もなかなか厳しいものがあるだろうと思うんですが、工事の進捗率、そして完工のめどなんかはどうなんでしょうか、今現在。

浜田国務大臣 普天間飛行場の代替施設については辺野古移設が唯一の解決策であるという方針に基づいて、着実に工事を進めていくことが普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。

 その上で、埋立工事については、本年三月末時点で、辺野古側の約九二%、事業全体の約一四%まで進捗しており、着実に進んでいます。

 また、これまでも、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに九年三か月を要すると御説明してきておりますが、この工期については十分に合理的な工程になっているものと考えております。

 いずれにいたしましても、引き続き、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するために全力で取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 確かに、今、全体でも一四%ということですが、これから大浦湾側でやるとなると、かなり厳しいのかなと私は思っています。軟弱地盤の話もこれまでにありました。

 ですから、今大臣は九年と言うんですが、報道あたりでは十二、三年、それ以上になるんじゃないかと言われているんですけれども、どうなんでしょうか、その辺は。

浜田国務大臣 我々とすれば、今申し上げた年数で対応できるというふうに考えております。

新垣委員 九年ですから、かなり長いなと。九年でも思います。恐らくそれ以上になるんじゃないかなと予測されるんですが。

 これはあくまでも私の個人的な提案ですが、今、防衛費の問題、五年で四十三兆という莫大な予算がかかるということになっております。そういう状況の中で、九年、十年かかる辺野古の埋立て、仮に、いや、大変だから一時期見直そうか、少し立ち止まって考えてみようじゃないかという発想はないんでしょうか。

浜田国務大臣 今先生からの御指摘の点については、我々とすれば、工事に要する経費について、普天間のこともございます。この予算については不可欠な経費であるというふうに考えておりまして、経費の抑制に努めるとともに、必要な経費を計上してまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、今お話にありましたが、我々とすれば、地元の皆様方に丁寧な説明を行いながら、基地負担の軽減を図るために全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

新垣委員 なかなか、九年、十年かかるとなると、果たしてそれが基地の負担軽減につながるのかどうかという、私は非常に懐疑的な思いを持っております。

 そうなると、普天間基地、明日、あさってにもそういう事件、事故が起きたらどうするんだろうという心配を常にしておりますので、是非それは、私としては少し立ち止まってもらいたいという思いをお伝えしておきたいと思っております。

 次に、外務省にお尋ねしたいんですが、政府は、今月五日、途上国支援の新たな枠組みとして、政府安全保障能力強化支援、OSAの創設を、国家安全保障会議、NSCで決定をされました。OSAの創設によって、非軍事を大原則とする政府開発援助、ODAとは別枠で、同志国の軍隊に防衛装備品を無償供与することができるようになりました。

 まず外務省にお聞きしたいのですが、OSA創設の理由、そして、何でODAと切り離してOSAを創設する必要があるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に置かれております。そのような中で、力による一方的な現状変更を抑止して、特にインド太平洋地域における平和と安定を確保し、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するためには、我が国自身の防衛力の抜本的強化に加え、同志国の安全保障上の能力、抑止力を向上させることが不可欠です。

 こうした観点から、OSAは、軍等に対する資機材供与やインフラ整備等を通じて、同志国の安全保障上の能力や抑止力の強化に貢献することにより、我が国との安全保障協力関係の強化、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出及び国際的な平和と安全の維持強化に寄与することを目的としております。

 このように、OSAは、同志国の安全保障上の能力、抑止力の強化を目的とする支援枠組みとして新たに導入されたものでございます。それに対しまして、開発途上国の経済社会開発を主たる目的とするODAとは全く異なるものとなっております。

 このOSAの支援枠組みについては、昨年十二月十六日に閣議決定された国家安全保障戦略に盛り込まれ、令和五年度の外務省予算に二十億円が計上されております。また、本年四月五日、OSAの実施方針を国家安全保障会議で決定し、公表をさせていただいた次第です。

新垣委員 今、同志国という言葉が出たんですが、私は余りなじみがないんですね。同盟国はよく聞くんですが、同志国というのは余り聞いたことがないんですが、どのような国を想定しているのか、同志国というのは。そして、同志国と同盟国の違い、さらには、同志国の想定国と定義についてお尋ねしたいと思います。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 同盟国、同志国、このいずれも必ずしも定義が確立しているわけではございませんが、同志国という用語は、一般に、ある外交課題において目的を共にする国を指す言葉として用いられていると承知しております。

 いずれの国が同志国に当たるかにつきましては、今申し上げたとおり、それぞれの外交課題について日本と目的を共にするかという観点から個別に判断してまいります。

 同盟につきましては、こちらは、一般には、共通の目的のために互いに行動を共にするというような関係を意味するものとして用いられております。

 その上で申し上げますと、同盟国につきましては、日本政府といたしましては、これまで米国を唯一の同盟国としてきております。

 どのような国を同志国として想定しているのかというお尋ねにつきましては、今申し上げましたとおり、それぞれの外交課題について個別に判断していくということでございますが、対象国や案件の詳細について、相手国のニーズなどを踏まえて政府部内で検討を進めていくこととしておりますので、現時点では何ら定まってはおりません。

 ただ、先日、調査をかけますという公示をさせていただきましたが、現時点では、今後、フィリピン、マレーシア、バングラデシュ及びフィジー、これを対象として警戒監視等の海洋安全保障分野の能力向上に資する機材供与を想定した専門的な調査、これを外部事業者に委託して行うこととしております。まずはこれらの調査結果を踏まえて具体的な協力案件を形成していく考えでございます。

新垣委員 そうすると、今、四か国が想定だということなんですが、例えばこれは、アジアですか、近隣諸国に、いや、まず世界にですか、これは呼びかけるわけですか、日本は、OSAが、想定して、今後支援しますよと。それをある意味では公募みたいな形でやるわけですか。それがこの四か国ということですか。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げました四か国につきましては、これまでの先方からのニーズ等、そういったものを踏まえた上で、関係省庁とも相談をして、今年度につきましては、この四か国について、今、候補として調査をかけようとしているところでございます。

新垣委員 じゃ、この同志国は、今後増える可能性があるわけですね。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 はい、さようでございます。今後、各国からのニーズ、あと、日本との関係等、二国間関係、その他、日本の安全保障にどのような意義があるか、そういった点を踏まえて、今後、増えていく可能性はあると申し上げます。

新垣委員 OSA創設と同時に、ODAの基本方針を示す開発協力大綱の改定も発表されております。

 現行のODA大綱の基本方針では「非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」との見出しが、改定案では単に「平和と繁栄への貢献」との表現にとどまっているんですね。現大綱の本文中にある開発協力の軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避するとの原則を遵守するとの文言も、改定案からは消えています。

 これはなぜなのかなと思って、実はヒアリングで職員の皆さんにお尋ねしたら、いやいや、変わっていませんよという話だったんですが、よくよく読み込んでみると、何で改正案ではそれが削除されたのかなというふうに非常に疑問を持っているので、よろしくお願いしたいと思います。

 それと、これらの文言削除はOSA創設とどのような関係があるのか。そして、OSAにおいてもODA大綱のようなものが策定されているのかをお伺いしたいと思います。

今福政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ODA大綱の記述でございますが、今パブリックコメントをかけられております開発協力大綱の案におきましては、委員御指摘のとおり、見出しのところは「平和と繁栄への貢献」と書かせていただいております。これは、基本方針の見出しは簡明なものとするために「平和と繁栄への貢献」と記させていただいておりますが、その下の中身におきましては、「非軍事的協力によって開発途上国の開発課題や人類共通の地球規模課題の解決に貢献してきた我が国の開発協力は、国際社会の平和と繁栄を誠実に希求する平和国家としての我が国に最もふさわしい国際貢献の一つである。我が国は引き続きこれを堅持し、国際社会の平和と繁栄の確保に積極的に貢献する。」というふうに記載させていただいております。なので、方針に変更はございません。

 あともう一つ、ODAのように、OSAについても大綱を策定するのかというお尋ねでございますが、こちらの方は、同志国の安全保障能力、抑止力の強化を目的とするOSAの支援につきましては、我が国の平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、同志国の安全保障上のニーズに応えていくことを大前提としております。

 それで、先ほども御答弁申し上げましたが、四月五日に、そのために、OSAの目的、支援方針、実施上の原則等を規定する基本文書である実施方針を国家安全保障会議で決定し、公表したところでございます。

 具体的には、OSAの目的に加えまして、安全保障上の機能や能力強化を支援する意義のある国の軍が裨益者となる協力を行うこと、原則として開発途上国を対象とすること、防衛装備移転三原則及び同運用指針の枠内で支援を行うこと、国際紛争との直接の関連が想定し難い分野に限定して支援を実施すること、国連憲章の目的及び原則との適合性を確保すること等について定めております。

 現時点で、追加的な基本文書を作成する予定はございません。

新垣委員 私は、これまでの「非軍事的協力による平和と繁栄への貢献」という表題は極めて重要じゃなかったかなと思っているんですね。あえてその表題の非軍事的協力を削除し、さらには、開発協力の軍事的使用及び国際紛争助長への使用を回避するとの原則を遵守するという文言は極めて重要だったんじゃないかと思っているんですが、それはもう改定するということですからしようがないのかなと思いますが、是非これは入れてほしかったなと思っております。

 最後に、外務副大臣にお尋ねしたいんですが、安保関連三文書では、防衛装備品の輸出を官民一体で進めると明記をされ、防衛産業を防衛力そのものと表現をしております。

 その前提の下に、二十一日に審議予定の法案では、防衛産業の国有化に道が開かれようとしているのではないかと思っているんですが、一方、政府・与党は、二十三日投開票の統一地方選、衆参補選後に防衛装備三原則の運用指針見直し協議を本格化し、殺傷能力のある武器輸出を解禁せんとしているというようなことも報じられております。

 外務省の説明では、OSAは、海外への武器輸出を制限する防衛装備移転三原則の枠内で協力し、目的外使用や第三国移転がないようにする国際約束も締結するとのことですが、現下の国会内外における議論を見ておりますと、どれだけ実効性を保たれるのか、ちょっと疑問だなと思っているんですが、今後、これから、政治によって防衛装備移転三原則の運用指針が見直された場合に、それに連動してOSAの運用も新しい指針の下で実施されるとの認識でよいのかどうか、外務副大臣にお尋ねしたいと思います。

山田(賢)副大臣 お答え申し上げます。

 防衛装備移転三原則及び同運用指針の改定につきましては、今後議論がなされるところであり、現段階で予断を持って申し上げることは困難でございますが、改定された場合には、防衛装備移転三原則及び同運用方針に基づく制限は、それにのっとって変更されるものと承知しております。

 いずれにいたしましても、本支援は、法の支配に基づく平和、安定、安全の確保のための能力向上に資する活動や人道目的の活動、国際平和協力のための活動など、国際紛争と直接の関連が想定し難い分野について支援を実施することとなるため、無尽蔵に支援の範囲が広がることにはなっておりません。

 以上でございます。

新垣委員 是非今後の動向を注視をしていきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治です。

 今日は、先般要望としてお話をしました、地元、横浜ノースドックの状況について一つお伺いしたいと思います。

 横浜ノースドックは、瑞穂埠頭にある、横浜港の中にある、今米軍に提供している埠頭ですけれども、これが今回、米軍の小型揚陸艇部隊がここに配置されるということで報道がありました。地元からもいろいろ情報提供をということで要望を出しておりますけれども、これについて、先般、十四日に防衛省の方でも時期等の発表があったようですけれども、この点についてお答えいただけますでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の小型揚陸艇部隊は、横浜ノースドックにおいて今月十六日に新編された米陸軍の部隊でございまして、小型揚陸艇十三隻及び約二百八十名の要員から構成される計画であると承知しております。

 なお、米側からは、新編に当たり、まず五名程度の要員を常駐させ、今年から来年にかけて要員を追加して配置する予定である旨、説明を受けております。

 本部隊の新編によりまして、南西諸島を含む所要の場所に迅速に部隊や物資を展開することが可能となります。また、自然災害を含む様々な緊急事態において、日米が連携して対応する能力が向上することになると考えております。

浅川委員 横浜市民、あるいは横浜市、行政も議会も、横浜市内にある米軍に接収されている基地については早期の返還というのはこれまでも繰り返し要望しておりました。

 そういう意味では、このノースドックもその一つではあるんですけれども、今回、今御説明の中にもありました、自然災害等を含む様々な緊急事態のときに日米が協力してここを使うということも含まれておりますが、この瑞穂埠頭自体が、戦前造られて、完成が一九四五年だったかと思うんですけれども、この埠頭の耐震性というか、災害にも使うというふうになっているということでいうと、その後、米軍に接収された後のメンテナンスというか、そこら辺というのはどのように捉えていますでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の横浜ノースドックの岸壁の具体的な耐震強度でありますとかその補修等につきましては、防衛省として具体的に把握しているわけではありませんけれども、横浜ノースドックを含む米軍の港湾施設の岸壁につきましては、耐震強度も含めて、米側は、日本の関連法令を尊重し、災害対応も含めた在日米軍の運用に支障のないよう適切に管理しているものというふうに認識をいたしております。

浅川委員 先ほども申し上げましたように、横浜市内の接収されている米軍施設については早期の返還を求めてはいるんですけれども、三・一一のときにも米軍のトモダチ作戦とか、あるいは、この後質問いたします富士山の噴火対策等も含めて、災害時に米軍、米国等の、諸外国を含めての支援の協力体制というのは是非お願いしたいところでございますので、このノースドックについても、引き続きそういう方面で使われるという可能性があれば、是非注視していただきたいなと思います。

 続きまして、これは、この間、十月にもちょっと質問しましたけれども、有機フッ素化合物等の流出事件、これも地元の神奈川県の厚木基地周辺と横須賀なんですけれども、この流出について、立入り、地元の自治体も入っての調査をするということでしたけれども、その結果等についてはいかがでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、横須賀海軍施設における事案でありますけれども、これは、昨年の五月に同施設内の排水処理施設において特異な泡が確認されたということで、米側が分析を行ったところ、水環境中の暫定目標値を超えるPFOS等が検出されたといった事案でありますが、この事案につきましては、昨年十月に委員からの御質問をいただいて以降、横浜市からの要請を受けまして、昨年の十二月十五日に、環境補足協定に基づきまして、国及び横須賀市による同施設への立入りを実施したところでございます。

 その際、排水処理施設に設置されました粒状活性炭フィルターの稼働状況等を確認するとともに、これまでに米側が実施したサンプリング結果等について説明を受けたところであります。また、粒状活性炭フィルターを通過した排水が放出される提供水域内において、日米共同でサンプリングを実施したところでございます。

 また、米軍厚木海軍飛行場の事案でありますが、これは、昨年九月に、大雨の影響によりましてPFOS等を含む泡消火薬剤が意図せず放出をされまして、この泡消火薬剤を含む水が施設外に流出をしたといった事案でありましたけれども、この事案につきましては、昨年十月六日の立入りに引き続きまして、昨年十二月十九日に、環境補足協定に基づきまして、国、神奈川県、綾瀬市及び大和市による同飛行場への立入りを実施したところでございます。

 その際、PFOS等を含む泡消火薬剤が放出された同飛行場内の格納庫等の確認を実施をし、また、PFOS等を低減するために実施した措置等についての説明を米側から受けたというところでございます。

浅川委員 その調査結果では、一応基準内には収まっているということでよろしかったですよね、たしか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 横須賀海軍施設と厚木海軍飛行場への自治体と国での立入り時に日米で共同でサンプリングした調査の分析結果等につきましては、現在、日米間で公表に向けた調整を行っているところでございまして、調整が整い次第公表する予定となってございます。

浅川委員 分かりました。

 この立入調査について、十月の質問以降にいろいろ分かったのが、沖縄でも同種の事件がもっと前から大きく起きていて、中には人体の血中濃度が十四倍ぐらい全国平均よりも高いところもあったという報道もあったんですけれども、この沖縄の場合の流出のときには、地元の自治体が一緒になって調査したいと言っていることについて、米側あるいは防衛省としては、地元の自治体の立入りについては拒んでいるというふうに報じられているんですけれども、神奈川県の場合と沖縄県の場合での違いというのはどういうところにあるんでしょうか。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県におきましては、普天間飛行場や陸軍貯油施設におきまして、PFOS等を含む泡消火薬剤や水の流出事案が発生しており、その際には、環境補足協定に基づきまして、両施設への立入りを実施してきているところでございます。

 その上で、沖縄県からは、嘉手納飛行場等の周辺河川等からPFOS等が検出されているといったことを受けて、汚染源の特定のためこれらの施設への立入りを要請されておりまして、この要請につきましては、様々な機会を捉えて米側に伝達しているところでございます。

 防衛省といたしましては、引き続き、関係自治体及び関係省庁と連携しながら米側と調整をしてまいります。

浅川委員 これまで我々日本維新の会も、沖縄に偏った日米同盟の基地の負担というのを、もう少し分散した方がいいんじゃないかということも言ってきております。沖縄に偏ったところで沖縄の方たちの思いを考えると、少しでも情報開示について協力していただけるような形を取っていただければと思います。

 また今後、PFOSについては、基準も高くなりますし、発がん性というのがはっきりしてくるんじゃないかと思いますので、これについても今後対応を慎重にしていただければと思います。

 続いて、富士山の噴火のことについてお伺いします。

 私が去年内閣委員会で、四月に、警察の対応について、富士山対策をお尋ねしました。国としてどう対応するかということが本来あるべきなんですけれども、私は、発表されている範囲の富士山の火山灰とか噴火対策というのは全然十分じゃないと思っております。いつも繰り返し言うんですけれども、政治家というのは、想定外を想定して結果責任を持つべきだと。少なくとも富士山については、活火山で噴火することが科学的に分かっているということを考えますと、より一層の対策が必要だと考えております。

 そのときに、実際に噴火したときに、地震等の災害と同じように、防衛省・自衛隊の方の出動というのが予想されますけれども、そもそも、令和二年に発表されている、富士山噴火時の、特に火山灰等についての被害について、今日、内閣府さんにもお越しいただいていますので、お願いいたします。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 富士山が噴火した場合には、大きな噴石、また火砕流、溶岩流、降灰、火山ガスなどの様々な火山現象が発生し、このうち、火砕流や溶岩流など、生命への危険性が高い火山現象が、最大で、周辺地域の三県二十七市町村に及ぶことが想定されています。

 一方、噴火に伴います火山灰につきましては、噴火規模や風向きによっては、東京都、埼玉県、千葉県など、広範囲に及ぶおそれがありまして、道路、鉄道、航空などの交通支障や、停電、断水などのライフライン施設の障害、そして健康被害、また農作物が収穫できなくなるなどの幅広い影響を及ぼす可能性があるとされています。また、降雨時には、厚さ三センチ以上で自動車が通行できなくなる、厚さ三ミリ以上で停電が発生するなどの可能性があるとされています。

浅川委員 今のような概要だけを聞いても、大変なことになると思うんですね。

 そのときに一番国民が期待しているのは自衛隊の災害出動だと思うんですけれども、特に富士山の周辺には基地が、駐屯地も演習場もありますけれども、まず、噴火あるいは噴火の予想が出ているようなときに、特に富士山周辺の駐屯地の動きとか、何か対策というか、方針というのは考えていますでしょうか。

大和政府参考人 富士山の噴火対応については、内閣府防災において検討されております。防衛省・自衛隊としても、この検討結果を踏まえて、火山災害へ対応してまいります。

 現時点の防衛省防災業務計画などにおいては、火山活動の状況の把握や観測については、気象庁など関係省庁との連携を密にし、専門的助言を得つつ、効果的、効率的に実施するとともに、都道府県知事からの災害派遣要請を受けた場合、避難住民の輸送支援などを実施することとしています。

 このような活動を円滑に行うためには、火山の近傍に所在して火山災害時に被災する可能性のある自衛隊の駐屯地などにおいて、支障が出ないように平素から避難先の駐屯地などを検討するなど、こういったことをやることが重要であると考えております。

 いずれにせよ、防衛省・自衛隊としては、関係省庁とも連携して、国民の生命財産を災害発生時において守るよう万全を期してまいります。

浅川委員 先ほど、火山灰で車両等の動きも制限ないし通行できなくなるという話もあったので、特に、噴火してすぐに影響が出る富士演習場を含めて、基地のところは、もう噴火するかもしれないといった時点で移動しておいた方がいいんじゃないのかなと思います。

 国民に対しても、噴火が予想される場合には噴煙のないところへの移動というのをあらかじめ、移動された方がいいということも、この内閣府の報告にも書いてあります。

 実際、火山灰で車両、電子機器、航空機等が影響を受けると思うんですけれども、自衛隊の保有している車両とか電子機器、装備、これの火山灰対策というのはどのように考えていますでしょうか。

大和政府参考人 自衛隊においては、火山灰が降灰する環境下での運用に特化した車両や電子機器等は保有はしておりません。

 ただ、例えば、車両については、定期的にエンジンのフィルターなどを交換すれば、降灰環境下でも問題なく使用が可能であると考えます。

 また、電子機器については、屋内における使用であれば直接火山灰に触れる可能性は低いことから、降灰環境下でも問題なく使用等はできるというふうに考えています。

 ただ、航空機については、これは、降灰環境下で運用したらエンジンや機体に悪影響を及ぼすので、これは一般的にはしないということであります。

浅川委員 災害発生時に、多分、自衛隊のヘリとか航空機でも被災状況というのを情報収集しているかと思うんですね。

 そういう意味でいうと、火山灰で民間の飛行機も全部止まると思うんですけれども、そういった場合の上空からの情報収集というのが困難になるということだと思うんですね。それについては、何らかの対応を今後検討していただきたいと思います。

 こういった、いろいろ、神奈川県警については、もう防じんマスク等を噴火対策で配っているというのを去年、国家公安委員長の答弁でいただいていまして、それというのも、御嶽山の噴火で、警察が教訓として、自主的にそういう対策をし始めていたということを去年伺ったんですね。

 防衛省も自衛隊もある意味行政機関の一つですので、富士山の噴火対策の取りまとめは内閣府の防災の方だとは思うんですけれども、それぞれたくさんの人員もおりますし、自治体からの要請での動きということもあるとは思うんですけれども、自主的に富士山の噴火という兆候を捉えたら動けるようなことというのも考えてもいいのかなと思っておりますが、今後、噴火が予想されるとき、項目にも入れているんですけれども、そもそも大臣はどこで指揮を執るようなことになるでしょうか。

大和政府参考人 これは市ケ谷を想定しております。

浅川委員 防衛省の市ケ谷のところも火山灰が来るとは思うんですけれども、しかも、長期にわたる。長期にわたって影響が出る。水道も止まる、電気も止まる、鉄道も止まる、車の移動もしにくくなる。地震等の災害の場合には、広範囲といっても、ある程度時間が解決してくれる可能性はあるんですけれども、火山灰については、三百年前の噴火のときには、小田原藩の米が噴火前に戻るまで九十年かかったというんですね、収穫量が。

 ですから、それを見ても分かるように、今の時代でも噴火に対してというのはいろいろ影響があると思うんですけれども、専門家を自衛隊の中にも置いておく必要、あるいは気象庁から出向してもらって常にリアルタイムに分かるような状況というのも必要じゃないかなと思うんですけれども、今後、富士山の噴火対策について、大臣の所感をちょっとお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 富士山が噴火した場合における被害は、広域かつ甚大になると想定をされております。部隊が災害派遣活動を行う観点からも、その対策の検討は重要であると考えております。

 火山活動に関して、気象庁など関係省庁とは連携を密にすることとしております。気象庁等から必要な情報を入手できる状況にあります。また、防衛大学校においては、日本火山学会に所属する教官が火山に関する研究も行っており、こうした専門家の知見も生かして、防衛省の火山対策に取り組んでまいりたいと考えております。

 加えて、内閣府防災を中心とした大規模噴火時における広域降灰対策等について検討が実施されていると承知をしておりますので、防衛省としても、引き続き関係省庁と緊密に連携しながら、国民の生命と財産を守るため、万全を期すよう取り組んでまいりたいと考えております。

浅川委員 ありがとうございます。

 特に、火山灰を除去する、それがメインで自衛隊の方で動かれる可能性が高いと思うんですけれども、その火山灰を今度どこに廃棄するか、埋めるかというと、この報告書では、通常の廃棄物と同じような扱いと書いてあるんですね。

 これは、例えば、自治体の方から、自衛隊の方で、じゃ、今度、運搬もお願いしますと言われたときに、結構大変な、場所も確保しなければいけませんし、方法についても検討しなければいけない、非常に大変なことになるんじゃないかなと思いますので、そこら辺も引き続き検討をお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございます。

鬼木委員長 次に、三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵です。

 まず最初に、自衛隊のヘリコプターのUH60JAが墜落した事故について、殉職された自衛隊員の御冥福をお祈りするとともに、いまだ発見されていない隊員の皆様の無事をお祈りするとともに、早期発見の方に力を入れていただきますように更に強くお願いをします。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問の方に入らせていただきます。

 まず初めに、能動的サイバー防御について質問いたします。

 先日、安保三文書の質問で、総理の方に本会議で質問をさせていただいたんですけれども、ちょっとはっきりした御答弁が得られなかったので、再度委員会の方でお伺いしたいと思います。

 武力攻撃に至らないものの、国や重要インフラに対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、未然に排除し、被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入する、これは安保三文書の方に明記されているわけですけれども、このサイバー防御を可能にするためには、不正アクセス禁止法や不正電磁的記録罪の要件を改正して自衛隊への適用除外を認めること、また、サイバー空間での偵察や積極的防衛の権限を自衛隊に与えて正当業務とする自衛隊法の改正など、幾つか法改正が必要になってくると考えますが、政府の方ではどのようにお考えでしょうか。また、法改正が必要だとお考えであれば、今後の進め方と法改正への準備など、計画とか予定とかはどうなっているのか、お伺いいたします。

小柳政府参考人 お答え申し上げます。

 近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえますと、我が国のサイバー空間の安全かつ安定した利用、特に我が国の政府機関や重要インフラ等に対し安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃が行われるおそれがございます。

 こうした重大なサイバー攻撃は、国民の安全と安定した経済社会活動を確保するために可能な限り未然に排除するとともに、発生してしまった場合には被害の拡大を防止する必要がございます。

 このような観点から、政府としては、昨年十二月に国家安全保障戦略を閣議決定し、能動的サイバー防御を始めとするサイバー対処能力の向上のため、官民におけるサイバー事案の情報共有の強化や民間に対する支援の強化、通信に係る情報を活用した攻撃者による悪用が疑われるサーバー等の検知、重大なサイバー攻撃を未然に阻止するための政府に対する必要な権限の付与、これらに必要となる組織や法制度などの体制の整備等に取り組むことといたしました。

 こうした検討を着実に行うため、本年一月三十一日付で内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を設置したところでございまして、国家安全保障戦略の着実な実施が図られるよう、安全保障上の必要性と現行法令との関係等を総合的に勘案しつつ、しっかりと今後検討を進めてまいりたいと考えております。

三木委員 もう少し具体的に、法改正の計画とか準備期間とか、そういったことがもう今どこら辺ぐらいまで進んでいるのかということをお答えいただけたらなと思うんですけれども、お答えいただけますか。

小柳政府参考人 お答え申し上げます。

 国家安全保障戦略の着実な実施のため、必要な法制度の整備等について検討しているところでございますが、安全保障上の必要性と、例えば御指摘の不正アクセス禁止法を含め幅広い現行法令との関係もしっかり整理しつつ、丁寧に検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

 政府としては、我が国のサイバー安全保障分野での対応能力の向上は喫緊の課題と認識しておりまして、今後、スピード感を持って、必要となる法制度の整備等の具体化を進めてまいりたいと考えております。

三木委員 やはり、具体化を進めていく際に、今の法律と合わせて適合していくのにちょっとネックになっている部分とか、これがあるから前にちょっと進めにくいとか、今ここの課題を乗り越えないといけないとかというところが何点かあると思うんですけれども、ちょっと具体的に教えてもらえればありがたいんですけれども。教えていただけますか。

小柳政府参考人 お答えいたします。

 これらの検討に当たりましては、幅広い現行法令との関係をしっかり整理しつつ、丁寧に検討を進めていく必要がございますところ、現時点におきまして具体的な取組内容が決定しているわけではございません。

 今後、国家安全保障戦略の着実な実施が図られるよう、必要となる法制度の整備等の具体化を進めてまいります。

三木委員 結局、何かお答えいただけないということなのだと思いますけれども、今の法整備上、プライバシーの保護であるとか憲法上の問題であるとか、そういったところが何点か、やはり今すぐに法改正に至れない部分というのはあると思うので、またそういったところを検討を進めて、分かり次第教えていただけますようによろしくお願いをいたします。

 それで、サイバー防御に関してなんですけれども、国や重要インフラに対するサイバー攻撃に対しても連携をして進めていくということが安保三文書の方に書かれているんですけれども、自衛隊のサイバー防衛隊を活用すべきじゃないかなと思うんですね。

 つい先日も、横浜市や広島市、滋賀県など、全国九十以上の地方議会の情報システムがサイバー攻撃を受けて、インターネット議会中継、議事録検索などのサービスが停止したことが判明しているわけです。

 今後ますます、議会も含めて、この国会も含めて、重要基幹インフラ、政府に対するサイバー攻撃などが増加してくると思いますが、自衛隊のサイバー防衛隊を民間のそういった重要インフラであるとか政府全体にかけていくことに関しての浜田防衛大臣のお考えをお伺いします。

浜田国務大臣 防衛省・自衛隊は、社会全般におけるサイバー空間の安定的利用の確保は極めて重要であるとの認識の下、内閣サイバーセキュリティセンターに対して要員派遣を行うなど、現在も政府全体として総合的な取組に貢献をしているところであります。

 その上で、国家防衛戦略等に基づき、自らのサイバーセキュリティーのレベルを高めつつ、自衛隊サイバー防衛隊の活用等の可能性も視野に、関係省庁、重要インフラ事業者等との連携強化に資する取組を推進するとともに、二〇二七年度までに防衛産業のサイバー防衛を下支えできる態勢を確立をし、おおむね十年後までに自衛隊以外へのサイバーセキュリティーを支援できる態勢を強化することとしております。

 このように、防衛省・自衛隊としては、政府全体の取組を踏まえつつ、我が国としてのサイバー安全保障の強化に積極的に貢献していく所存であります。

三木委員 やはり、今、日本の防衛の中で一番可及的速やかにやっていかないといけないのがこのサイバー防衛だと思いますので、できるだけ早く計画を進めていただいて実行していただきますように、これは強く要望させていただきます。よろしくお願いいたします。

 次に、韓国の海軍艦が自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射した問題についてお伺いいたします。

 二〇一八年の十二月に、韓国の海軍艦が我が国自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射しましたという非常に危険極まりない行為で、断じて許すことはできない旨の質問を三月九日にこの安保委員会でいたしました。

 その後、三月二十三日付の新聞、これは韓国紙なんですけれども、韓国の李鐘燮国防部長官、国防相だと思うんですけれども、二〇一八年十二月に韓国海軍の艦艇が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したと日本側が主張している問題について、我々の立場はレーダー照射しなかったというもので、日本の立場はレーダー照射をしたものというふうに述べられています。日本の主張をまた改めて否定を向こうはされているわけですけれども、さらに、日本の自衛隊の哨戒機が威嚇飛行をしたのは間違いない、そう語ったとされているんですね。そして、実務者協議を数回行ったとして、今後も協議を進めていく、また、哨戒機の威嚇飛行について日本から謝罪を受けるべきだとする指摘には、その部分は今後もう一度協議するというふうな報道がなされているんですね。

 これは非常に私は問題だと思っておりまして、浜田防衛大臣、この報道についていかがお考えでしょうか。

浜田国務大臣 御指摘の発言については承知をしております。

 平成三十年十二月二十日の火器管制レーダー照射事案に関する防衛省の立場は、平成三十一年一月に公表した最終見解のとおりであります。防衛省としては、この最終見解を踏まえ、韓国側に対して再発防止を強く求めてきたところであります。

 こうした立場を踏まえながら、最近の日韓関係を健全な関係に戻す大きな流れの中で、防衛当局間においても、韓国側と緊密に意思疎通を図っていきたいと考えております。

 以上であります。

三木委員 日韓で防衛上の安全保障を緊密に進めていかなければならないということは分かるんですけれども、威嚇など、していないこともしたというふうに言われて、レーダー照射されたのに、それはないというふうに言われる、こういったのは不誠実だと私は思うんですね、韓国政府が、そういうことに関して。

 真の信頼関係を築いて、日韓防衛、日韓の関係を本当によいものにしていくためには、これは、やはり、日本としては毅然とした態度で主張するべきところは主張して、実務者協議も今後もまたやっていくというようなことでしょうから、その場において、やはり浜田防衛大臣には自衛隊のトップとしてしっかりと、そして毅然とした態度で抗議していただいて、少し前にそういった指針を作っているというような話もございました。

 現場でレーダー照射をしても構わないというような指針を作っている話もあったので、こういったところをきっちりやはり解消して、問題点、課題点を解消していかないと、自衛隊員の士気も下がっていくと思いますので、それをしっかりとお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の三月二十三日の韓国の国会での発言等々は我々も注目しておりますし、韓国側の主張は、我々のレーダー照射事案に対する最終見解を出すまでに韓国側が言っていることと変わらないわけなんですけれども、この最終見解で述べているように、我々は、我々の考え方、見方を、意見を、きちんと物を言うと。その上で、やはり本事案については改めて再発防止を要求していくということと、それから、現場における意思疎通を改善するための措置を韓国側に求めると、これは最終見解の中にも書かれているわけですけれども、そういうことをきちんとやっていくと。そのために必要な意思疎通を図っていくということだと思っております。

 このような国会での発言がありましたけれども、先週の金曜日、私自身、ワシントンへ行きまして、日米韓の防衛当局の局長級協議をやりまして、その場や、また、フリンジで行われました日韓の協議でも、きちんとこういうところの意思疎通を図って、我々としての考え方を伝えておるところでございます。

 いずれにせよ、その上で、北朝鮮で核、ミサイルの開発がどんどん進んでいる中で、日韓、日米韓の防衛協力をどうしていくかということを考えていきたいと思います。

三木委員 韓国と日本は、もう今新たなステージに入っていると思いますので、でも、やはり、解決すべきところは解決しなければならないし、言うべきことは言っていかなければいけないと思いますので、その点だけ、きっちりと今後も言い続けていただいて、危険な行為などはしていただかないように、されないように、そういったこともきっちりと日本としても主張していくべきだと思います。関係が改善されているからといってそこは曲げずに、やはりきっちりと対応をしていただくことを要望をさせていただきます。

 次に、飛行場の自衛隊基地と民間飛行機の共用についてお伺いをいたします。

 現在、三沢とか小松とか那覇とか、自衛隊基地、米軍基地も含めて、飛行場と民間航空会社の飛行場を共用として運営されている、運用している飛行場というのは国内に幾つかあると思うんですが、これは、防衛政策上、どういった観点からこういう運用をされているのかということをちょっとお伺いしたいんですね。

 世界の安全保障をめぐる環境が大きく変わっている中で、国内の防衛政策上の環境もやはり変わっていかないと私はいけないと思っておりまして、そういった意味で、例えば、戦争状態になったら、戦闘が開始されれば、戦闘機がある軍の飛行場が攻撃の対象になるというのは容易に考えられることだと思うんですね。そうなったときに、民間の航空会社で働いている民間人とか、あるいは地上勤務されている方、お土産店に、飲食店などで働いている方、そういった方はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、こういった方々も避難させなければなりませんし、タイミングが少しでも遅れれば大きな被害が出ることは想像に難くないんですね。

 今般のミサイルであるとか爆弾であるとかというのは、もうそんなめくら爆弾みたいなものは少なくて、やはり、攻撃する対象を絞って、そこのところに確実に落ちてくるというものですので、そういったことを考えれば、民間の飛行場と自衛隊の飛行場というのを軍民共用にするのではなくて、なるべく離した方が民間の安全は図られると思うのですが、そういった、防衛政策上の観点から、これをどのように考えているのかちょっとお伺いしたいです。

浜田国務大臣 防衛省では、航空法に基づいて、自衛隊が設置する飛行場のうち、公衆の利便を増進するため必要があると国土交通大臣が認め、協議の上指定した施設について、公共の用に供しているところであります。また、自衛隊以外が設置する空港のうち、自衛隊の任務の遂行のため使用の必要があるものについて、空港の設置管理者と協議の上、協定等を締結し、自衛隊が使用しているところであります。

 その上で、防衛省・自衛隊としては、ミサイル攻撃に対しては、ミサイル迎撃能力の更なる向上に努め、迎撃体制の確保に万全を期すとともに、統合防空ミサイル防衛能力の下、ミサイル防衛システムと反撃能力を組み合わせてミサイル攻撃そのものを抑止していく考えであります。

 このように、防衛省・自衛隊としては、今後とも、国家防衛戦略等に基づき、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領空、領海を断固として守り抜くため、関係機関と連携しつつ必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

三木委員 国内の安全保障環境も世界の情勢に応じて変わっていかないといけないと思うんですね。

 今までどおりやっていく、そして、安保三文書の中には、民間の飛行場を、南西諸島などもいざというときにはやはり自衛隊の戦闘機が乗り降りできるようにする、言えば、拡大方向というふうに私は受け止めたんですけれども、拡大方向として政策決定をされる中で、危険性について協議されたことがありますか。分離させる方が安心、安全なんじゃないかという選択肢もあるということを協議されたということはあるんでしょうか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 日頃から自衛隊は、自らの空港だけではなくて民間の飛行場を災害対処等のために使うこともございますが、その際に先方の当局と様々な意見の交換をやっていくということでございます。

 その上で、先生が御指摘のような、いわゆる我が国に対する武力攻撃があった場合の対応等につきましては、防衛省としてしっかりと対応していかなきゃいけない。それは、民間の飛行場なんかは重要なインフラ施設でございますので、飛行場のみならず、その他原子力発電所等を含めてどのように守っていくかということについては、我々としてはしっかりと考えていかなきゃいけないものだと思っております。

三木委員 質問の趣旨がうまく伝わっていないと思うんですね。

 原発であるとか民間の重要インフラ施設というのを防衛していくというのはもう至極当然のことだと思うんですけれども、私が言っているのは、自衛隊の飛行場と民間の飛行場が一緒になって共用をして使っていることによって民間の方が巻き込まれる危険性が高くなっているのではないかということをお伺いしているのであって、民間の様々な重要インフラ、もちろん国民も含めて自衛隊が防衛しなければいけないのはこれはもう当たり前のことでございまして、だからこそ自衛隊ということなのでありますから、守るのは当たり前だと思うんですね、今おっしゃったように。

 ただ、守るときの防衛政策上、離れていた方が守りやすいんじゃないか、敵からの攻撃から逃れられるんじゃないかという観点というのはお持ちなのかどうなのかということをお伺いしています。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が民間の飛行場と共用で使う、若しくは自衛隊の空港を民間にも使っていただくという中で、やはり、例えば区画を別にするとか様々な形で、共存している中での対応というのは考えていかなきゃいけないんだと思っております。

三木委員 ちょっと時間がないので次の質問に移ります。

 今の軍民共用飛行場なんですけれども、これを国際空港としても使っているわけですね。これは、国際空港として使っていることに対する危険性というのをどれぐらい認識されているのかなと思うんですね。

 外国の諜報員、つまりスパイというのは、航空会社の職員に身分を偽って情報収集することが少なからず報告されています。軍民共用の空港でこのようなスパイが暗躍すれば、飛行場を利用する自衛隊の戦闘機の様子、滑走路の利用、いつ飛び立って誰が任務についているのか、そういったもの、言うたら機密情報ですね、これが更に漏れやすくなる、更に盗まれてしまうということになると思うんですが、そういった危険性について政府はどのように認識されているんでしょうか。浜田大臣の御見解を。

浜田国務大臣 自衛隊が管理する共用飛行場は、札幌、千歳、百里、小松、美保及び徳島の六施設があります。防衛省としては、安全保障に関する情報の保護を図ることは極めて重要だと考えており、それぞれの施設において適切な保全措置を実施をしております。

 具体的に申し上げると、例えば、空港施設や滑走路以外の区域への立入りの制限や、国際航空便の乗り入れ時における訓練の中断など、個別の空港の特性に応じて適切に措置をしております。

 我が国の防衛を全うする観点からは、自衛隊の運用に関わる情報を始め、国の重要な情報等の保護を図ることが極めて重要と考えており、防衛省としては、引き続き情報保全に関わる取組を徹底してまいりたいと考えております。

三木委員 質疑時間が終了いたしましたので、ちょっと不完全燃焼な部分もございます。

 是非とも、空港の扱い方、飛行場の扱い方、やはり自衛隊の情報を守っていくという観点、こういったこともとても大切なことだと思いますので、また引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 まず、質問に入る前に、私からも、宮古島周辺で発生した自衛隊ヘリの事故で殉職をされた自衛官の皆様に心から哀悼の意を表したいと思います。

 また、まだ捜索救助活動が続いているかと思いますので、引き続き早期の発見に向けて取り組んでいただきたいと思いますし、また、原因の究明、フライトレコーダーの回収なども通じてしっかりと原因究明をしていただいて、再発防止にも取り組んでいただきたいと思います。

 冒頭、発言をさせていただきます。

 それでは、質問の方に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず、反撃能力に関して改めて本日も質問をしたいというふうに思います。

 これは、先週もこの委員会の場で玄葉さんから質問がありました。予算委員会の場で総理大臣であったり、あるいは、この委員会の場でも私の質問に対して浜田大臣からも、存立危機事態における反撃能力の具体的な例示に関してはどういったものが出せるのか、できるのかどうか検討をしていきたいというふうなことをおっしゃっていただいていました。

 先週玄葉さんが質問をされたところ、予算委員会で出された、私も予算委の理事で見させていただいたんですけれども、抽象的な図、先週玄葉さんが使っていた図ですけれども、それで精いっぱいであると考えていますというふうなことをおっしゃって、その後、改めて玄葉さんが、具体的な分かりやすい例示は示したいと総理大臣も言っていたけれども、それが残念ながら出てこないなと思うけれどもどうかと言われて、改めて浜田大臣が、いろいろと今検討を重ねておるところでありますが、なかなかこれは大変時間がかかっておりまして、申し訳なく思いますけれども、出せるかどうかも含めて、もう一度確認させていただきたいというふうに思いますとおっしゃられていました。

 私はこの反撃能力の質問を先週も通告していたんですけれども、さすがに同じ週に聞くのはどうかなと思いまして飛ばさせていただいたんですけれども、改めて伺います。

 今、この検討状況はいかがなんでしょうか。大臣、よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、國場委員長代理着席〕

浜田国務大臣 委員からお話がありました件につきましては、我々の方も、どういった形でどのようにこれを説明することができるかということを考えさせていただいてきたわけでありますけれども、これを、今回の説明に当たっては、最終的に、結論としては、先ほどお話にあったイメージ図ということが我々としては限界ということであります。

 そしてまた、もう委員御存じのように、我々とすると、いかなるケースでいかなる対応をするかというようなことを明らかにするというのは、やはり我々としては限界がありまして、この点については、先ほど申したこのイメージ図が限界という結論に達したところであります。

斎藤(ア)委員 済みません、ちょっと予想外の回答だったんですけれども、この一般質疑が終わると次は防衛装備の基盤の強化法の審議がこの委員会で始まって、本日から財金の方では防衛財源確保法案の審議が始まって、明日からは連合審査で我々も質疑に立たせていただくことになります。

 安保三文書の質疑に関しては、衆議院では本会議のものも、そしてこの安保委員会でのものも終わったということでございまして、このままいくと、防衛装備の基盤の強化法の採決とか審議の時間に関しては今与野党で協議していただいていて、防衛財源確保法もそうだと思うんですけれども、与党の方、政府の方は、もうゴールデンウィーク前にも採決をしたいという中で、大分前倒しというかスケジュールを急いでいる感があるんですけれども、本当にそのままいってしまうとゴールデンウィーク前にはこの議論が衆議院では終わってしまって、もしかしたら本当に近いうちに衆議院解散・総選挙があるかもしれない、この議論が流れていってしまうかもしれないといった、すごい危機感を持っています。

 改めてなんですけれども、財源確保に関してもそうです、財源を防衛の方に回すことになったら、その分どういったところに影響が出るのかということはしっかりと国民の皆様に理解していただかないといけない。この反撃能力の点に関しても、反撃能力というものに関しては国民の理解は大分広まっていると思いますけれども、新しい武力行使の三要件の下で、反撃能力を持つということがどういったことを意味するのかということは、やはり国民の理解というのはなかなか広まっていないんじゃないかなというふうに思います、難しい話だと思いますので。

 そういった中で、こういった例示をしていただくことが我々としては、野党としても、立憲民主党さんも我々国民民主党も同じようなことを要求しているんですけれども、例示をしていただいて、どういったふうに対応するかはもちろん求めていないんですよ、どういった形で反撃するのかということを、説明を求めているのではなくて、反撃する可能性があるのかどうなのか。そういった、本当に表面的な回答だけでも構わないんですけれども、例示をある程度していただかなければ国民は理解できないんじゃないかなということが非常に懸念としてあるわけです。新しい武力行使三要件に基づいて個別具体的に対応すると言われても、我々としては反撃する可能性があるんだなというふうに理解できますけれども、一般の国民の方はできないと思うんですよ。だからこその例示を求めているわけです。

 若しくは、反撃する可能性があると明確に言っていただくということでもいいかと思うんですけれども、大臣、今のままのイメージ図の説明で精いっぱいだということで本当に国民理解が広がるとお考えなのか。改めて考えていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

浜田国務大臣 我々とすれば、この国を守るためにいかなる対応であれ考えていかなければならないというふうに考えておるわけであります。

 今委員から御指摘の点について、どのような説明をするかというのは、我々とすればできる限りの努力をしたいというふうに思っておるところでありますので、そういったことを全て理解をしていただいた上で、では今後どのようなことができるのかも含めて、私として、またもう一度確認をしてみたいというふうに思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 繰り返しになりますけれども、我々国民民主党にしても、当委員会で質問をいただいている立憲民主党の委員の方々にしても、何かイデオロギー的な観念から反対を申し上げているわけではなくて、本当に国民への理解というものが、防衛政策の大転換だと思っていますので、そういったものが必要だという立場からお願いをしていることでございますので、是非その点に関しては、もう本当に日がなくなってきてしまっている、我々議員にしても、次の解散・総選挙があったとき、その後どうなっているか分からないわけでございまして、国民に、そして有権者に説明する上でもなかなか今のままでは、そういった説明で賛否を決めたのかと言われれば我々としても厳しい立場がございますので、是非とも更なる丁寧な説明というものを求めていきたいというふうに考えています。

 重ねて、ちょっとここの部分に関連して確認をさせていただきたいんですけれども、こちらも先週の玄葉委員の質問のやり取りの中でちょっと確認をさせていただきたい点があるんですけれども、今回の安保三文書を作成する過程で、現実的なシミュレーションを行って防衛力の不足部分を埋めるための防衛装備の強化、防衛力の強化というものを行っているというような趣旨の質問や回答がありました。その中で、存立危機事態を想定したシミュレーションというものは行われたのかというふうに玄葉委員が質問されて、それに対して浜田大臣は、存立危機事態における対応能力の検証を目的としたシミュレーションは行っておりませんというふうにお答えになりました。

 今は具体的な例を示す示さないのお話は一旦おいておいて、新しい武力行使の三要件に基づいて、あらゆる可能性を想定してシミュレーションを行う、それに基づいて防衛予算、防衛力を整備していくということは当然のことだと思っていたので、存立危機事態におけるシミュレーションは行っていないというふうに聞いたとき、ちょっと驚いてしまって、この質疑はそれで終わってしまったんですけれども、その真意というか具体的な意味はちょっと理解できなかったんですけれども、存立危機事態における対応能力の検証を目的としたシミュレーションは行っておりませんというのは、どういった意味なんでしょうか。

    〔國場委員長代理退席、委員長着席〕

浜田国務大臣 防衛省は、従来より、将来の防衛力の在り方を検討する過程で、自衛隊の能力を評価するためのシミュレーションを行い、防衛力の不足等を検証をしております。

 今般策定された国家安全保障戦略等の策定に際しても、相手方の能力と新しい戦い方を踏まえ、想定される各種事態への対応について、能力評価等を通じた、様々なシミュレーションを通じた分析を行ったところであります。

 今般実施したこれらのシミュレーションは、国民の命と暮らしを守り抜くためいかなる防衛力が必要かという観点から実施するものであることから、最も烈度が高いと想定される我が国への侵攻事態等を想定して行うこととしたものであります。

 その上で、国民の命と平和な暮らし、そして我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くことは防衛省・自衛隊の最も重要な責務であります。あらゆる事態が生起した場合においても対応はできるよう、平素から様々な検討を行っていくことは言うまでもなく、国民の皆様の信頼にしっかりと応えられるよう引き続き努力してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 確認なんですけれども、もちろん、存立危機事態になった際にどういったケースがあって、どういった対応をしていくのかとか、どういったことができるのかということは、当然シミュレーションをして、検証を常にされていると思うんですけれども、一方で、今回の安保三文書を作成する過程でのシミュレーションというのは、存立危機事態を想定したシミュレーションというのは行っていないということなんでしょうか。そこの切り分けというか、なぜ、通常であれば存立危機事態のことも想定してもちろんやっていると思うんですけれども、何で安保三文書を作成する過程に当たっては存立危機事態における対応能力の検証を目的としたシミュレーションは行っていないということになるのか、ちょっとそこの差を教えていただきたいんですけれども。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回実施したシミュレーションというのは、まさに三文書を作るとき、とりわけ防衛力整備計画を作るためにシミュレーションを行っているわけでありますけれども、したがいまして、その中では、国民の命と暮らしを守り抜くためいかなる防衛力が必要かという観点から実施いたしたものでございます。したがいまして、想定されるシミュレーションは、最も烈度が高い、戦況状況という観点で最も烈度が高いと想定されます我が国への侵攻事態等を想定して行ったものでございます。

 すなわち、防衛力整備のためのシミュレーションでございますので、最も烈度が高い状況を想定してシミュレーションをすることによりまして、一体、防衛省の持つ装備品が足りているのか足りていないのか、足りていないならどれだけ足りていないのか、したがって、足りていないものは埋めなきゃならない、それが防衛力整備なんだ、こういうことでございます。

 したがいまして、最も烈度が高い状況に対応できる防衛力を十分に備えておるという状況を達成いたしたならば、様々な状況に対しても、それらの装備品等々を活用して自衛隊として十分な活躍ができるんだろう、こういうことでございます。

 したがいまして、ポイントは、防衛力整備のためのシミュレーションといたしましては、烈度が最も高い状況を想定して行いました、こういうことでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。よく分かりました。

 仮に、存立危機事態のシミュレーションを行っていないというふうに外部に誤解されたらいけないなと思って、そういった趣旨で質問させていただきました。

 あくまで国民を守るための最も厳しい状態、直接侵攻される事態を想定して防衛力を整備して、その装備を基に、その防衛力を基にその他の事態にも対処していく方法というのはシミュレーションを行っているということを御説明いただきましたので、しっかりと、そういった認識で、同盟国、諸外国にも、周りの国にも、いてもらいたいなというふうに思います。ありがとうございました。

 次に、先週から、こちら、続いてになってしまうんですけれども、チャットGPTに代表される生成系AIのリスク、安全保障のリスクというのは、先週質問を防衛省にさせていただいたんですけれども、ちょっと広めに、政府全体の対応といったところで、本日、内閣府、内閣官房の方にも来ていただいていますので、この生成系AIのリスク認識について、政府として今どういったものを持っているのかということを確認させていただきます。どうぞ、お願いします。

渡邊政府参考人 生成系AIの危険性につきまして、認識をお答え申し上げます。

 生成系AIにつきましては、一定の誤り情報が含まれるといった問題のほかに、例えばフェイクニュースで世論をあるいは情報を操作するとか、あるいは偏ったデータだけを学習して偏った情報を提示するようなAIの存在とか、あるいはセキュリティーですとか個人情報保護の観点での懸念というのが考えられます。

 このうち、誤った情報を提示するとか、あるいはフェイクニュース、フェイク画像などにつきましては、最近の生成AIは非常に表現能力が高くて、もっともらしさが高いものですから、利用者がそれを感知しにくいという問題があると思います。

 また、セキュリティーあるいは個人情報につきましても、利用者が関心事を文章で入力していくということがございますので、懸念があるというふうに認識しております。

斎藤(ア)委員 情報操作の部分の懸念に関してはまた対応してほしいという件に関しては先週防衛省の方にも申し上げましたので、今日は情報漏えい上のリスクについてもう一つ確認をしてみたいと思うんですけれども、これは、質問をする際に様々な情報を入力してしまって情報漏えいするかもしれないということで、企業でも警戒感を高めて、利用上のガイドラインなどを作ろうとしている企業もあるというふうに報道されています。

 この情報漏えいのリスクに関して、政府の方での対応をどう行うのか。例えば、省庁の人が何か調べ物をする際に、誤って情報を入れた中に機密情報が紛れてしまっているという、そういったリスク等もあると思うんですけれども、そういったリスクに対してどう対応していくのか、教えていただければと思います。

吉川政府参考人 お答え申し上げます。

 生成AIの活用は、一般的に業務負担の軽減等につながり得るものでございますけれども、一方で、利用に伴う様々なリスクも考えられるところでございます。情報漏えいリスクもその一つでございます。

 政府においては、業務で取り扱う情報の漏えい等のリスクに対応するために、必要なサイバーセキュリティー対策を政府統一基準として定めております。同基準では、職員が要機密情報を取り扱う場合には約款型の外部サービスは利用できないとしておりまして、チャットGPTのような生成系AIがこの形態でサービス提供される場合には、同基準が適用され、要機密情報は利用できません。

 また、要機密情報を取り扱う場合であっても、業務上の必要性や外部サービスの利用に伴うリスクを踏まえた上で利用の可否を判断する必要がございます。

 こうした基準を踏まえて、生成AIの特性の把握やリスクの精査をしながら、関係省庁において、望ましい利用の在り方について必要な検討を行っていくこととしております。

斎藤(ア)委員 その上で、機密情報を取り扱う業務を行う際にはスタンドアローンの隔離されたコンピューターを使うというようなセキュリティー対策を取っているんでしょうけれども、これも先週ちょっと申し上げたんですけれども、国会答弁を作成する際に、この答弁者、作成する人というのは、チャットGPTを今活用できる状態なのかどうなのか、ちょっとピンポイントですけれども、教えていただきたいと思います。

 各省庁違うのであれば、内閣官房、内閣府でもいいんですけれども、対応を教えていただければと思います。

渡邊政府参考人 国会答弁での活用につきましてお答え申し上げます。

 基本的には全省庁統一のルールがございまして、こういった外部サービスにつきましては、基本的にはもちろん情報漏えいとかそういうことをしないという形で、基本的には一定の範囲での了承を得た上でないと使えないということになっておりますし、当然のことながら、使う場合であっても、情報漏えいがないように留意しながら使うということになっております。

 その上で、国会答弁につきましては、現時点では、一般的な使われ方は、まず、危険性がないということに加え、国会答弁の参考となるようなデータの検索ですとか、そういったことで使える可能性があるのではないかというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ちょっと時間がなくなってきて、最後の質問になると思うんですけれども。

 このチャットGPTといったAIを国会答弁で活用する際に、一つは、機密情報管理上どうなのかという問題はもちろんあると思うんですけれども、それとは別に、国会の答弁をAIに一部でも頼って作成することが本当にいいのかどうなのかというもう一つの問題が、こちらの方が大きいと思う、まあ、どっちも大きいですけれども、もう一つの大きな問題があると思っています。

 国会の質疑というのは、私も初めて質疑する際に、先輩議員に国会質疑は真剣勝負だと言われて、質疑のやり取りの中で国の方針が決まったり、あるいは明らかになったり、そういった質疑を経てこの国の歴史が一応つくられているということでございますので、その一部でもAIに頼って答弁を作成するということが本当に国の方針を決めるこの国会の場であっていいのかということは、私は、丁寧に議論をしてから、あるいは国会にもしっかりと説明をしてから、了承を得てからそういった方針というのは決めていただきたいので、なし崩し的に活用するということはあってはならないというふうに考えております。

 どう活用していくのか。危険性を排除するための対策というのは様々あると思います。より正しい回答ができるAIを作ったり、AIで作られたものなのかが分かるような回答の仕方を、ルール作りだとか、そういった方法はあると思うんですけれども、それ以前に、どう活用するかというのは、それぞれの主体、それぞれの関係者が議論して決めていかないといけない問題だと思っています。

 特に国会答弁に関しては、まずは、代表者で選ばれた我々がいるこの国会でしっかりと確認を取ってからしていただきたいと思うし、私は個人的には反対なんですけれども、あくまでそこは慎重に対応を検討して、了承を得てから活用するようなことが進んでいくように対応を求めたいと思いますので、是非防衛省の方でも検討いただければと思います。

 以上で質問を終わります。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今朝、東京にいる伊良部島出身の私の同期生から電話がありまして、島で起こった事故について、本当に嘆き悲しみ、何でああいう事故が起こったんだという訴えがありました。

 改めて、亡くなられた隊員の皆様に御冥福をお祈り申し上げるとともに、残された隊員の捜索活動にも全力を挙げ、そして、今度の事故の原因の究明、島の人々の不安を取り除くための再発防止、こういうことに全力を挙げていただきたい、このように思います。

 安保三文書に関わって、敵基地攻撃能力の保有について質問をします。

 今月四日の本会議で、敵基地攻撃能力の保有とアメリカのIAMDとの関係について質問をしましたが、総理からは具体的な答弁はありませんでした。

 まず、防衛省に改めて確認しますが、そもそもデータリンクとはどういうものか、自衛隊や在日米軍が保有する装備のうち、データリンクによる情報共有が可能なものはどれか、これを説明していただけますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、まず、データリンクの概要でございます。

 一般に、データリンクと申しますのは、艦船等に搭載された互いのコンピューターを無線通信回線で接続いたしまして、レーダー等で収集した航空機等の位置に関する情報、こういった情報等につきまして、相互に送受信することにより情報を共有するシステム、このようなものをデータリンクと呼んでおるところでございます。

 データリンクをこのように有して情報共有が可能な自衛隊の装備品、これを全て御明示することは困難でございますが、主要な装備品を申し上げますと、例えば、自衛隊の防空システムにおきましては、海上自衛隊のイージス護衛艦、航空自衛隊のレーダーサイトやAWACS、早期警戒管制機、あるいは防空のミサイルでございますペトリオットミサイル、こういったシステムの間で、データリンクのネットワークによる情報共有、こういうことが行えるところでございます。

 また、米軍との間でもこういったデータリンクによる情報共有は可能でございますけれども、御指摘にありました在日米軍の装備品につきましてお答えすることは、相手国との関係もございますので困難でございますのを御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 今の答弁の最後は、F35戦闘機や無人偵察機グローバルホーク、これもデータリンクの機能を持っているかどうか聞こうと思ったんですが、その点、いかがですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、米軍の装備ともデータリンクで情報共有というのは可能なのでございますが、具体的に一つ一つ、どの装備が可能になっているかということについては、お答えを控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 私の質問を先取りして答えているので次の質問になかなか行きにくいんですが、ただ、もう一回はっきりさせたいんですが、在日米軍との間でデータリンクによる情報共有、これはどのような場合に行ってきているのか。ミサイル防衛の共同訓練や北朝鮮の弾道ミサイル発射に共同で警戒監視する場合などでは行っている、このように理解しているんですが、それはいいですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 実運用における自衛隊と米軍とのデータリンクによる情報共有、こういう実績などについては、自衛隊の運用に関わることでございますのでなかなかお答えすることが難しいということは御理解いただきたいと思いますが、その上で、日米共同訓練などにおきましては、必要に応じてデータリンクによる情報共有を実施しております。

 最近の主な訓練としては、本年四月に、四日から六日におきまして、米海軍と海上自衛隊の間で、各種の戦術訓練の中で情報共有の訓練もやっておることがございます。そしてまた、昨年の八月の八日から八月十四日、ハワイの周辺で、日、米、豪、韓、カナダのミサイル警戒演習、パシフィック・ドラゴン二〇二二というのがございまして、海上自衛隊、米海軍、オーストラリア海軍、韓国海軍、そしてカナダ海軍の間で、弾道ミサイルの模擬標的等の追尾に係る情報共有、このような訓練なども行っているところでございます。

赤嶺委員 データリンクは、訓練では盛んに行われていると。

 共同交戦能力、CEC、これはどういうものでしょうか。自衛隊や在日米軍のどの装備に導入し、今後、導入を計画しているのか、また、費用はどれだけかかるものなのか、これも説明していただけますか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 共同交戦能力、CECでございますが、このCECとは、複数のイージス艦等の間で捕捉した目標情報をリアルタイムで共有することにより、遠距離の目標を早期に探知し、対処するためのシステムであり、海上自衛隊におきましては、イージス護衛艦「まや」及び「はぐろ」のみが装備しているところでございます。

 もう一方、CECによる情報共有が可能な在日米軍、米軍の装備品等につきましては、相手国との関係もあるためお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思います。

 今後のCECを搭載する艦艇の導入計画に関しましては、イージスシステム搭載艦の整備に令和五年度予算から着手しているところでございます。

赤嶺委員 早期警戒機E2Dにも導入を検討しているということが報道でありますが、これはどうなっているんでしょうか。

土本政府参考人 CECを搭載するE2Dの機数や取得時期、全体像に関しましては、CEC搭載に関する経費やスケジュールに係る米側との調整結果も踏まえつつ、今後検討していきたいというところでございます。

赤嶺委員 CECによる情報共有、これは在日米軍との間で行ってきているんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 実運用における自衛隊と米軍との共同交戦能力、CECによる情報共有の実績につきましては、自衛隊の運用に関わることでございますのでお答えできないことを御理解いただきたいと思いますが、その上で、先ほどお答えいたしましたように、訓練におきまして申し上げますと、訓練におきまして共同交戦能力による情報共有を行った実績はございません。

赤嶺委員 防衛大臣に伺いますが、安保法制の審議の際に、そのときの委員長は浜田防衛大臣でした。

 当時、防衛大臣は中谷さんで、次のように述べています。

 「他国からのミサイル攻撃に対して我が国を守る上におきましては、我が国自身のミサイル防衛システムもございますが、米国のミサイル防衛システム、これと共同で警戒監視をし、実際に攻撃を受けた場合には共同で迎撃をするというシステムができ上がってきております。」「我が国の防衛につきましては、自衛隊自身も対応しますが、日米安保体制によって日米共同対処、これガイドライン等でも平時から有事に至るまで共同で対処するということになっておりました。特にミサイルの防衛につきましては、我が国だけでは対処できないということで、日米合同でそのイージス艦にしましても実際の場合には日本海で共同対処をする、」このように述べています。

 改めて確認しますが、ミサイル防衛については日米が共同で対処するという見解、これは今も変わりはないですよね。

浜田国務大臣 弾道ミサイルによる攻撃を含め、我が国に武力攻撃が発生した場合には、日米安保条約第五条に基づき、日米両国が共同して対処することについては、これまで国会等の場で説明を差し上げてきており、この見解に変わりありません。見解に変更はありません。

 なお、その際、自衛隊及び米軍は、各々独立した指揮系統に従って行動し、かつ、自衛隊は憲法、国際法、国内法に従って行動することは当然なことであります。

赤嶺委員 変わらないということでありました。

 日本が敵基地攻撃能力を保有することになれば、日本が購入するトマホークは自衛隊のイージス艦に配備されます。ミサイル防衛のために展開している日米のイージス艦が同時に敵基地攻撃も行うことになるわけですから、当然、敵基地攻撃も日米共同で行うことになると思いますが、いかがですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末に策定いたしました国家防衛戦略に記載しておりますとおり、反撃能力につきましても、先ほど御議論がありました弾道ミサイル等の対処と同様に、日米が協力して対処していくこととしております。

 この点、我が国の防衛のためには、日米両国が共に可能な限りの努力を行いつつ、連携して対応していくことは当然であることから、日米共同でその能力を効果的に発揮する協力態勢を構築することとしております。

 日米間での協力内容としましては、例えば、情報収集、分析などについて検討が必要と考えておりますが、こうした協力内容につきましては今後日米間で議論していくということにしておりまして、また、自衛隊の運用に関わる事柄でございますので詳細をお答えできないことを御理解いただきたいと思います。

赤嶺委員 アメリカは今、同盟国を巻き込みながら、敵基地攻撃とミサイル防衛を一体化させた統合防空ミサイル防衛、IAMDを構築しようとしております。政府も、敵基地攻撃能力の運用に当たっては日米の連携が重要と述べ、統合防空ミサイル防衛を強化するとしています。

 政府は、アメリカのIAMDに参加することはない、全く別物だと説明しておりますが、現実に進んでいるのは、イージス艦を中心とした攻撃と防御の両面からの日米の連携強化です。そのことをアメリカはIAMDと言い、日本は統合防空ミサイル防衛と言っているということであります。

 実態は一つです。それを全く別物という説明は、これは事実と反するのではありませんか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、政府が決定いたしました反撃能力の保有、これは、弾道ミサイル等の技術の向上、そして運用能力が飛躍的に向上している中で、あくまで我が国を守り抜くために必要な最小限度の武力の行使のために必要な能力として保有することとしたものでございます。

 そして、これは、有効な反撃を加える能力を我が国が持つことによりまして、相手に攻撃を思いとどまらせ、武力攻撃そのものを抑止することを目的としております。

 すなわち、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、我が国が有効な反撃を加える能力を保有する、この二つの能力によりまして、相手方が我が国をミサイル攻撃する、その抑止の効果を、やめさせようというその抑止の効果を得られるものだと考えておるところでございます。

 このように、ミサイル防衛網と反撃を加える能力、これが二つ相まって、我が国に対するミサイルの攻撃を防止するためのものでございます。

赤嶺委員 ですから、私が聞いたのは、アメリカのIAMDとは全く別物という政府の答弁が続いているわけです。これは事実に反するのではないかということです。

 ミサイル防衛は、日米のイージス艦が共同対処するというのが従来の政府答弁です。そのイージス艦にトマホークを配備して、日米間の調整要領も作って、敵基地攻撃も行っていくことになるわけです。それをアメリカはIAMDと呼んでいるわけです。

 しかも、安保三文書を見ると、統合防空ミサイル防衛の英訳は、アメリカと同じIAMDとなっています。にもかかわらず、アメリカのIAMDと全く別物だという説明、これは事実と違うのではないかということをただしているわけです。

増田政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、日本が、我が国が導入いたします反撃能力は、あくまでミサイル防衛網と一緒になりまして相手国からのミサイル攻撃を抑止する、そのために持つものでございます。

 我々は、そのような考え方で、我々独自の考え方で、このようなミサイル防衛網と反撃能力による抑止を目指した考え方を推進していきたいというふうに考えているところでございます。

赤嶺委員 何だか日米がそれぞれが独立した指揮系統に従って行動するかのような言いぶりですが、日米が共同でミサイル防衛に当たるときに、飛来する複数のミサイルにどのイージス艦が対処するのかを瞬時に決めなければならないはずです。

 指揮系統がばらばらでは瞬時の判断などできないと思います。どうやって判断するんですか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 日米は独自の指揮系統に従ってそれぞれ作戦行動を行うということは、これは我々の大原則でございますし、アメリカとも共通の理解でずっと来ているところでございます。

 その上で、日本の防衛に当たりまして日米が共同で対処するということも、これは日米防衛協力のガイドライン等で定まっていることでございまして、その共同の対処行動をどのようにしていくかということにつきましては、日米間で調整を行っていくということでございます。

赤嶺委員 調整を行っていく。ミサイルが飛んでくるときに、複数のミサイルに瞬時に対処しなければならないときに、日米で調整するとか話し合うとか、こんな時間はないですよね。あらかじめ指揮系統を一元化しておかない限り対処できないのではありませんか。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 日米間でどのような共同の対処行動を行うかにつきましては、あらかじめ大きな方針、考え方を定めておきまして、その枠の中で個別具体的に、例えば弾道ミサイルからの防護をどうしていくかということが個別具体的に決まっていくということでございます。

赤嶺委員 あらかじめ決めていると言っても、実態は、実際に戦闘になれば飛んでくる複数のミサイルを瞬時に撃ち落とす、それはやはり、共同対処の中でも、指揮が一つにならなければできない話であります。

 今、日本の国は、ミサイル防衛、敵基地攻撃能力でも大変危険な道を歩み出している。それは絶対にやめるべきだし、安保三文書は撤回すべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

鬼木委員長 次回は、来る二十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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