衆議院

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第12号 令和5年4月27日(木曜日)

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令和五年四月二十七日(木曜日)

    午後三時十二分開議

 出席委員

   委員長 鬼木  誠君

   理事 大塚  拓君 理事 國場幸之助君

   理事 宮澤 博行君 理事 若宮 健嗣君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 三木 圭恵君 理事 浜地 雅一君

      東  国幹君    江渡 聡徳君

      大岡 敏孝君    木村 次郎君

      小泉進次郎君    鈴木 憲和君

      武田 良太君    渡海紀三朗君

      中曽根康隆君    長島 昭久君

      細野 豪志君    松島みどり君

      山本ともひろ君    神谷  裕君

      玄葉光一郎君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      美延 映夫君    河西 宏一君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         浜田 靖一君

   外務副大臣        山田 賢司君

   防衛副大臣        井野 俊郎君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   防衛大臣政務官      木村 次郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  齋藤 秀生君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  増田 和夫君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  川嶋 貴樹君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    土本 英樹君

   政府参考人

   (防衛装備庁装備政策部長)            萬浪  学君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        坂本 大祐君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            堀江 和宏君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  宮本  徹君     赤嶺 政賢君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  細野 豪志君     東  国幹君

  新垣 邦男君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     細野 豪志君

  神谷  裕君     新垣 邦男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案(内閣提出第二〇号)


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     ――――◇―――――

鬼木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官齋藤秀生君、防衛省大臣官房施設監杉山真人君、防衛省防衛政策局長増田和夫君、防衛省整備計画局長川嶋貴樹君、防衛省統合幕僚監部総括官大和太郎君、防衛装備庁長官土本英樹君、防衛装備庁装備政策部長萬浪学君、防衛装備庁プロジェクト管理部長坂本大祐君、防衛装備庁技術戦略部長堀江和宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺周君。

渡辺(周)委員 早速質問に入らせていただきます。

 先般も委員会で取り上げましたけれども、四月十三日の北朝鮮のミサイルについてでございます。

 七時二十二分に発射をされて、Jアラートが発出されたのが七時五十五分。この三十三分の間に一体政府は何をしていたのか。Jアラートが七時五十六分に、「直ちに避難。直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい。ミサイルが、〇八時〇〇分頃、北海道周辺に落下するものとみられます。直ちに避難して下さい。」と北海道に送信しました。エムネットは、同じく、七時五十六分に、先ほど発射されたミサイルが、〇八〇〇、八時頃に北海道周辺に落下するものと見られます、直ちに避難してくださいというアラートを流した。

 このJアラートというのは、私自身、今回の例でいえば、これは空襲警報だと思うんですよ。空襲警報が、発射してから三十三分後に、突然、この間も申し上げましたけれども、あと五分で着弾するとすれば、一体、東へ逃げていいのか西へ逃げていいのか、全く分からない。しかも、このときは、制服と背広の防衛省幹部が直後に発言しているように、探知の直後には、北海道南西部の陸地に着弾する、領域内に初の着弾を想定していたということを明かしました。

 なぜ、探知した七時二十二分の直後に、おそれがあるという第一報、警報でなくても注意報、これは大雨でも、自然災害に例えれば、例えば津波到達のおそれがあるとか、あるいは線状降水帯が発生して命に関わる豪雨をもたらす危険があるとか、言いようは幾らでもあるんですね。ですから、そこを、なぜ五分前に出されたのか、おそれがあるという第一報でも出すべきではなかったかと。一体、何の手続があってこんなに遅れたのか。

 追尾、追跡の確認で、正確な詳細が分かり次第発信を修正すればよかったんですね。第一報は未確定ながらこういうことだと。そのときには、南西部に着弾するということであるならば、おそれありという形で、ただし、更に詳細な情報が入り次第直ちに更新しますと言って、リニューアルして、情報をアップデートしていけばよかったんですが、なぜこうなったのか。その点についてもう一回確認をしたいと思う。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、七時二十二分に発射されましたというお知らせを二十六分にしています。この時点では、我が国の領域に落下する可能性のある航跡というのはまだ出ていません。

 この航跡が出たのは、発射されてからしばらくしてからです。この具体的な時間が何分後だったかということは申し上げられないのですが、いずれにせよ、初探知からしばらくしてから我が国の領域に落下する可能性のある航跡が出たということです。当然、この航跡が出たことは防衛省から内閣官房に自動化されたプロセスの中で伝達をされております。

 そして、この航跡は、それからしばらくして消えています。限定された情報の中でできたものだったわけですけれども、この消えたことについても伝達をしているというところであります。

 その後、防衛省としては、この際形成されてかつ消えたデータに基づいて、その予測の飛翔経路の監視に全力を尽くしていたということです。そしてさらに、その間は、防衛省と内閣官房の間で我が国に落下する可能性のある軌跡についていろいろな確認作業をしていて、そして、その結果、Jアラートの発令が七時五十五分になったということであります。

 ただ、なるべく正確な情報を早く出すという御要請だと思いますし、そういった御指摘をちゃんと踏まえて、そして、速やかにミサイルによる落下物等の危険性を知らせるというJアラートの役割を十分に踏まえながら、防衛省としても、迅速かつ正確な情報の発信の在り方について、政府全体で不断に検討してまいりたいと存じます。

渡辺(周)委員 今申し上げましたけれども、この警報を出す前に、未確認ながら、第一報として、発射されたと。それはやはり注意報ですよね。警報になる前に注意報を出す。詳細が明らかになり次第更新します、あるいは危機が迫っているということを段階的に、何らかのパニックを起こさない形で伝えるということをしないと。

 こんな、正直言って、八時頃に到着すると四分前に言われて、それで、どこに飛んでくるか分からない、漠然とした、北海道周辺という言い方で、国民向けの警報が五分前に出される仕組みというのが、果たして、防衛生産・技術基盤というものが防衛力そのものと国家防衛戦略でうたっていますけれども、こんなの信用されるのかなと。

 あるいは、防衛装備品を今後海外に展開していく、OSAという名で警戒監視の様々な防衛装備品を同志国に今後供与していくというんだけれども、肝腎の日本がこのレベルで、果たして本当に大丈夫なのか。

 つまり、偵察や監視はできていても、伝達したり周知するシステムというのが、一番肝腎要の国民保護ということについては、こんな、こんなと言ったら大変申し訳ないけれども、何回もJアラートのことについては、様々な議員が、今回だけじゃなくて、その前のときも指摘をしました。

 ですから、そこはしっかりやるべきであると思うし、今回のことでちょっと確認したいのは、今回、防衛省から内閣官房、総務省、消防庁、そして自治体というルートで流れるんですけれども、そのときに、例えば、途中で、この北海道周辺だけでは分からないよと。当たり前ですけれども、一番最後、端末で受け取った住民にしてみると、あるいは同報無線等で知ったら、おい、北海道周辺ってどこなんだと、住民は、身近な自治体や、あるいは所轄、地元の警察や消防に問い合わせますよね。緊急事態に備えたら、自治体だって、国あるいは地方の、国の出先機関だって本省に問い合わせることになると思うんですよね。

 こういう問合せに返答したり、情報提供をより詳細にするシステムというのはあるんでしょうか、途中の段階で。そこはいかがなんでしょうか、どういうシステムになっていますか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 自治体との連絡調整を担っている消防庁によりますと、四月十三日の事案については、北海道庁や道内市町村から消防庁宛てに本事案に関する問合せはなく、さらに、北海道庁に対して道民や道内市町村から問合せなどがあったか確認したところ、なしとの回答を得ていると承知いたしております。

渡辺(周)委員 いや、あったかなかったかじゃなくて、例えば、問合せを受け付けるシステムはあるんですか。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 北海道庁、また市町村役場、それから消防庁におきまして、それぞれ担当課においてこうした相談や問合せに応じているものというふうに承知しております。

 また、国の各省庁におきましては、例えば、国土交通省においては、地方運輸局などの出先機関からの問合せには大臣官房危機管理官が対応し、海上保安庁においては、各管区本部などの出先機関からの問合せには総務部危機管理官が対応し、水産庁におきましては、漁業調整事務所などの出先機関からの問合せには資源管理部漁業取締課が対応するなど、各省庁において出先機関からの問合せなどに適切に対応するための窓口や体制を整えているものと承知しております。

渡辺(周)委員 いや、行政の上部団体に問合せしたって分からないじゃないですか。だって最初から北海道周辺しか言っていないんだから。

 つまり、私が聞いたのは、防衛省から内閣官房に行って、内閣官房から消防庁へ行って、自治体に行くという中で、じゃ、自治体はどこに聞いたらいいんですか、消防庁ですか。

 結局、消防庁だって答えられないわけでしょう。北海道周辺というのはどこですかと聞かれて、北海道周辺としか答えようがありません、それで、でも住民から、どこに避難したらいいのだと。

 もっと言えば、消防庁、地元、所轄の、所管する警察だって、機動隊や、消防だって、万が一に備えて、当然、住民を避難させたり、あるいは何かあった場合には緊急出動するための準備をしますけれども、それだってどうしたらいいんですか。

 全く違う町が慌てることになって、ほかの案件があった場合に、それが後回しにされたりすることはあるわけで、今の言っていることは、そんなのは別に当たり前で、そんなことは分かっていますけれども、結局、今回、一方通行なんですよ。一方通行の情報だけで、何か問合せされても答えられないだろうと。

 ちょっと言い方を変えますが、国家防衛戦略の中に、「国民の生命・身体・財産の保護に向けた取組」の項に、ちょっと前略しますけれども、抜本的に強化された防衛力を活用し、警察、海保、消防、地方公共団体等の関係機関と緊密に連携してというふうに書かれているんですね。またちょっと前略しますけれども、我が国への侵攻が予測される場合には、住民避難誘導を含む国民保護のための取組を円滑に実施できるようにすると書かれているんです。

 さっきも言いましたけれども、どこに飛んでくるか分からない漠然とした国民向けの警報が五分前に出されて、それで、今のところは、聞いたけれども、ヒアリングをしたけれども問合せはなかったとかいうんじゃなくて、これは結果的にそういうことだったんだけれども、こんな仕組みが信頼されるのだろうか。ここは私は、防衛生産・技術基盤が防衛力そのものというのなら、まず、最も大事な国民に危機が迫っている、住民の下に危険が迫っているということを瞬時にやはりちゃんと伝達できるシステムをつくることが、構築することが最優先だと思います。

 大臣は所管じゃないのかもしれないけれども、国民に差し迫った危機があった、あるとしたと考えれば、システムの改良が最優先だと思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。

浜田国務大臣 委員の御指摘、大変これは我々としても重く受け止めなければならないと思っておりますし、このアラートというものは、やはり、先ほどからお話にあるように、国民にどれだけ早く伝えるかということが大変重要になってくると思うわけであります。

 我々としても、この点については、今回、今御指摘のあったような点についても、我々とすれば、今後の対応というのはしっかりしていかなければなりませんし、そしてもう一つは、やはり地方自治体との関係、これは私の所掌ではありませんけれども、しかし、全体で避難訓練等々のいろいろな積み重ねというのがないと、なかなかこれは徹底していかないのではないかという気もしておるわけであります。

 当然のごとく、今御指摘の点についてはしっかり対応せねばならぬということは、私自身も思っております。

渡辺(周)委員 つまり、情報を探知するのは防衛省なんだ、しかし国民保護は内閣官房だ、そしてこの伝達をするのは消防庁だと。受け取る自治体から地元に対して、住民に対して出すのはそれぞれの自治体なんだと。はっきり言って、縦割りになって、こんな四段階に分かれていれば、これは必ず途中でいろいろな、私はタイムラグが生まれると思うんですね。

 だから、前回も言いましたけれども、防衛省から直接、自治体あるいは携帯端末の事業者を通して、気象庁から事業者を通してそのままアラートを出せるような、やはり仕組み、もう一つのトラックをつくるべきだと思うんですよ。

 今回、都道府県単位ということで、この間も聞きました、都道府県単位で出していると言うんだけれども、対象が広過ぎちゃって、北海道周辺と言われたって、これは青森県は入るのか入らないのかと、いっぱいあるわけですよね。

 逃げようもない直前に発信する警報のシステムが、日本国内ですら不安が持たれているわけですから、果たしてこれから、将来、防衛装備品の移転、その後押しをすべく、今回のこの法案の目的でもありますけれども、防衛基盤の技術の強化や維持といっても、果たして需要があるのだろうか。日本はお寒い限りじゃないか、何かそれを見せてしまっている。大変そこは、今回の、度重なってJアラートの問題を指摘してきたわけですから、是非、ここは改善をすべく早急に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それで、関連してですけれども、前回聞いたときは、今回のこの四月十三日のミサイル発射時に破壊措置命令は出したのかと言ったら、出ていなかったと。大臣は直接お答えはしなかったんですが、今回は準備命令を、いわゆる人工衛星と称するものを打ち上げるために、北朝鮮が撃つおそれありということで出した。石垣、宮古、与那国にPAC3を配備したということであります。

 このミサイル破壊措置の準備命令が出されたという根拠、配備した根拠は、南方向へ発射するという確たる情報、根拠があって出した、つまり、北海道に撃ったときには出していなかったけれども今回は出すというのは、ある程度こっちに向かって撃ってくるから、備えができているということで理解してよろしいのでしょうか。

大和政府参考人 まず初めに、委員おっしゃった点ですが、四月十三日のミサイル発射時に破壊措置命令が出ていなかったという話がありましたけれども、私たちは、その時点で破壊措置命令が出ていたか出ていないかは、これは申し上げられませんと言っておりまして、出ていなかったということはお話ししていないと思います。

 その上で申しますが、今回のミサイル破壊措置準備命令でありますが、北朝鮮の情勢に鑑みてのものでありまして、今月十九日、北朝鮮のメディアが発表したところによれば、金正恩委員長が、完成した軍事偵察衛星一号機を計画された期間内に発射できるよう、最終準備を早期に終えるよう指示したということであります。

 また、北朝鮮は、これまで、平成二十一年の四月、平成二十四年四月、平成二十四年十二月、そして平成二十八年の二月の四回、人工衛星と称する弾道ミサイルを予告の上で発射したことがあります。このうち三回は、沖縄周辺海域に向け、南側に向けて発射しています。これは、平成二十四年四月、十二月、それから平成二十八年の二月、この三回であります。

 こうしたことであるとか、あと、ほかの情報も総合的に勘案した上で、今回の破壊措置準備命令を出して、そして、南西の方に展開をしているということでございます。

渡辺(周)委員 つまり、人工衛星の打ち上げに備えてミサイルの破壊措置準備命令を出すと。前回の、十三日に不意打ちのように撃ってきたやつ、これは新型の弾道ミサイルではないか、実験じゃないかと言われたときには、出したか出していないかは手のうちだから言えませんと言うんだけれども、今回、人工衛星の場合は、もう既にそこまで、要は準備しているわけですね。

 前回のときは、じゃ、例えば、北海道にある千歳と青森県の車力にある地対空誘導弾部隊がそういう態勢を取って、当然、スタンダードミサイルが、イージス艦から発射して一発目撃ち漏らした場合は、地対空ミサイル・パトリオットで撃ち落とす、第二弾、第二撃で対応するという、本当に対応を取っていたのかどうなのか。

 もっと言えば、今回、南に飛ばす人工衛星というのは、その二〇一二年の四月のときは私もそこにいました、IAMDにいたから分かりますが、とにかく、気象の、いわゆる衛星と称する、人工衛星を乗せるには、何か軌道があって、そこに、南に向かって撃つことによって軌道に乗せる、だから人工衛星と称する場合は南に向かって撃つのだという、それは、私どもも随分担当しましたからよく分かります。じゃ、あわせて、北海道に向かって撃つやつは、これは、逆の言い方をすれば衛星打ち上げじゃないわけで。そうなってくると、二発同時に撃ってくることとかあるんじゃないですか。どうなんですか、そこは。

大和政府参考人 十三日の我が方の態勢については、こういうことです。

 十三日に命令が出ていたかどうかということは、これは、原則に従って言わないということで、申し上げています。同時に、我が国の領域に落下する可能性があるという航跡が生成された以上、そこに向けて警戒管制レーダーによる警戒を続け、かつ、MD、ミサイル防衛のアセット、イージス艦とかPAC3とかあるわけですけれども、それが実際に迎撃をする場合に使う兵器管制レーダー、火器管制レーダーというものを当てるということをやるわけですが、そういった態勢は取っていたということを申し上げております。

 命令は出していたかいないかということは申し上げられませんが、態勢は取っていたということです。それで、結果的に我が国には落下してこなかったということであります。

 それと、あと……(渡辺(周)委員「要は北にも南にも二発撃つことはあるのかということ」と呼ぶ)はい。

 今回、北朝鮮メディアは、軍事偵察衛星一号機ということを言っております。これは一般論ですけれども、偵察衛星と言われるもの、あるいは地表を観測する衛星というのは、大体、極軌道に近い軌道を通ることが多いです。したがって、それを上げるときは、北朝鮮であれば南向きに上げるということが一般的には言えるかと思います。

 それ以上、こちらの情報分析がどういう根拠に基づいているかということは、詳しくは申し上げられませんが、一般的にはそういうことは言えると思います。

渡辺(周)委員 よく、それは手のうちだと言うけれども、逆に、いや、そんなものを撃ってきたってうちは撃ち落とせるんだぞ、おたくの手のうちなんかもうよく分かっているんだ、それでも撃ってくるんだったら宣戦布告とみなすぞと、抑止力というのならば、逆にそれぐらいのことを言わないと。できるかできないかも分からない、向こうにしてみれば、いや、日本なんて大したことないよ、それが証拠に、手のうちを見せないということを理由にして、何か絶対能力を出さないように、本当にないくせに、実は、遠ぼえしているとか、彼らの好きな言葉では多分そういう言い方をするんだろう。

 だから、私は、ある程度、いや、彼らのやることなんというのはもうお見通しだよというぐらいのことは言った方がいいと思いますよ。それで、撃ち落とせるだけの準備はもうできていると言うべきなんですね。

 それで、もう一回、ちょっと大臣に、ミサイル破壊措置の準備命令というのは、今PAC3が配備されていますけれども、これは、発射のおそれなしと準備命令が解除されるまでは配備をされ続けるということなんでしょうか。

 それともう一つは、これは北海道の、もし万が一、また北に撃ってきた場合も対応できるんですか。このミサイル発射、つまり、南に向かって撃ってくるやつは破壊措置の準備命令だけれども、北に、北海道に向かって従来どおり撃ってくるときは、これは対象にならないと。どういうことになるんでしょうか。

大和政府参考人 まず、PAC3が配備され続けるかということでありますけれども、今般の沖縄県の地区への展開などは、四月十九日、先ほど申し上げた北朝鮮の発表などを含めて、各種情報を総合的に勘案して行っているものです。そして、今後の展開は、自衛隊法八十二条の三の規定によって弾道ミサイル等に対する破壊措置を命ずる可能性がないと判断した場合に終了することになりますが、その判断する時期というのは、ちょっと今の段階でいつということを申し上げることは難しいと思います。いずれにせよ、各種情報を収集して分析、評価を行っていく。

 それから、ちょっと補足しますが、これまで北朝鮮が、先ほど申し上げた時期、二〇一二年、二〇一六年を含む時期に人工衛星と称して弾道ミサイルを発射したときは、国際機関に通報して、それから、いろいろな部品の落下区域というのをちゃんと公示しています。公示している以上、我が方としては、破壊措置命令を出したとしても、我が方の態勢とか情報収集能力を察知されるという危険はないわけですね。そういう状況なので、破壊措置命令を出しますということも公に言っているということであります。

 以上です。

渡辺(周)委員 いや、だから、これは北海道に飛んでくるやつも対応できるということでよろしいですか、破壊措置命令、準備命令。

増田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の方から、北海道の方に向けた四月十三日のミサイルへの対応と、そしてまた、今回、破壊措置の準備命令を出しまして南方の方の態勢を取っていることの相互関係について御質問があったと承知しております。

 それで、まず、四月十三日の時点におきましても、命令の有無についてはお答えを差し控えさせていただきますけれども、ただ、そのとき、日本全国において必要な態勢は取っていた、こういうふうに私たちは申しております。その上で、今回、南方の方の偵察衛星の発射ということを念頭に置いた態勢を、改めて準備命令ということで一般命令を出してやっているということでございます。

 それは、結局は、最近ずっと北朝鮮は日本海の方に多数のミサイルを撃っておりますけれども、命令の有無についてはお答えできませんけれども、必要な態勢は取ってきている。そして、他方、今回、偵察衛星についての態勢を取るべく準備の命令を出している、そういうことでございます。

渡辺(周)委員 本来、法案の、ここの質問を用意しているんですけれども、分かりました。

 ただ、当然、北朝鮮のことですから、また北に、北海道に向かって撃って、もうとにかく南にも北にも撃ってくる可能性があるとすれば、これは万全の警戒態勢を、やはり滞ることなく対応しなきゃいけない。そんなのは当たり前のことで、別にそこは余り隠す必要はない。手のうちがどうの、詳細なんかは別に聞きませんから。

 万全の措置は取れる、北朝鮮のやることなんかお見通しだ、これ以上挑発すると本当に大変なことになるぞ、やはりそういう姿勢を見せないと、こんな、北京の大使館ルートに、本当にそんなものがあるのかどうか知りませんけれども、何度も何度も判で押したように言ったって、北京の大使館に、北朝鮮の大使館に持っていったって受け取るわけないじゃないですか。そんなものを金正恩に持っていったら処刑されますよ、日本からこんなものを、おめおめと抗議文を預かってきたのかと。こんなのあるわけないじゃないですか。

 いつも、北京の大使館ルートを通してと言うけれども、そんなの一回も役に立ったことないじゃないですか。ますます過激になる。

 だからこそ、やはりそこは、本当に、抜本的に強化された防衛力というなら、私は言葉でも示すべきだと思う。

 最後に、ちょっとこの法律について伺いますが、さきの四月七日の本会議で、基盤強化法の趣旨説明に対して私が質問したのに対して、浜田大臣が、平成二十六年六月策定の防衛生産・技術基盤戦略の考え方は現在も当てはまると答弁したんですね。

 ここで、「防衛装備品の取得方法」という項目で、輸入について、「我が国の防衛生産・技術基盤が保持する技術が劣後する機能」ということを言っているんですね。「劣後する機能・防衛装備品」、ここの「劣後する」というところを見直さないと、結果的に輸入は従来のままなんじゃないですか。これを見直す予定はないでしょうか。

 それから、続けて伺いますけれども、やはりこの戦略に、国内のどの分野で、どの企業、大学等が、防衛装備品に適用可能などのような防衛生産・技術基盤を有しているかの全体像を企業、大学等の協力を得て把握、マッピングできるよう努めた上で、国としてそれらの分野についての評価を行ってと言うんですけれども、防衛省がこれを評価できるのか。ベンチャー企業や大学研究室の可能性を誰がどのように目利きをして、その分野において協力を求めるということができるのか。その目利きをできるのかどうか。

 あるいは、知的所有権の保護だとか、つまり特許の取得だとか、あるいは、お金を借りるときの、融資の裏書だとか、そういうときの裏書は一体、防衛装備庁がやるんでしょうか。どういうふうな形で本当に企業の基盤強化をするのか。その点についてはどうお考えか、お答えをいただきたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前段の御質問の、防衛生産・技術基盤戦略における装備品の取得方法についての、輸入の関連の御質問の件でございますが、そこの部分につきましては、御指摘の要素のほかに、この戦略におきまして、一定期間内に取得、調達等が必要であること、性能、ライフサイクルコスト、導入スケジュール等の面で問題がないこと、少量、特殊な防衛装備品である等々の理由があることといった様々な要素を総合的に勘案し、輸入を通じ取得することとしておりまして、我が国の防衛生産・技術基盤が保持する技術が劣後する場合にすべからく輸入とするものではないということでございます。

 その上で、諸外国における技術の囲い込みが進み、サイバーセキュリティーやサプライチェーンのリスクが顕在化するといった状況におきまして、防衛装備品の取得に際しましては、国内基盤を維持強化する観点を一層重視していくことが重要となっておりまして、こういう点も踏まえまして、法律案に基づく基本方針というものにおきまして、基盤強化と装備品等の調達の基本的な方向性を記載するということにしているところでございます。

 あと、後段の目利きの関係でございますが、議員御指摘のとおり、まさにスタートアップ企業等やアカデミアとの連携が非常に必要不可欠であると認識しておるところでございます。

 そのため、現在、防衛装備庁におきましても、連携すべき相手を見極める観点も踏まえて、平素から様々な取組を行って、技術に関する情報収集、分析を行っているところでございます。

 幾つか例を挙げさせていただきますと、例えば、装備庁におきまして、技術シンクタンク機能を実現するため、装備庁の研究職技官と、アカデミアや研究機関の第一線研究者や企業OB等から成る活動体を令和三年に創設しております。キーとなる技術の特定、技術進展の予測、定量分析などを行いまして、戦略的な技術育成につなげていくための活動を行っているところでございます。

 さらに、御案内の、防衛装備庁のいわゆる安全保障技術研究推進制度、ファンディング制度でございますが、これに基づきまして、革新的、萌芽的な技術を発掘する取組を行っておるところでございます。

 さらに、この投資効果というものは、先端技術の橋渡し研究によりまして、防衛装備品という形、実装を目指して更なる育成を図っているところでございます。

 今申し上げましたような取組は、いずれも、民生技術を応用した場合に防衛上どのようなインパクトがあるかを構想するといった目利きの力が必要になるものでございます。これは、装備庁の研究開発に携わっている研究職技官がその任務を遂行する中で培われるものだと考えております。

 したがいまして、委員お尋ねの目利きにつきましては、研究者や企業OBから成る特別研究官の支援も得ながら、防衛装備庁の研究職技官が主となって役割を担っているというところでございます。

渡辺(周)委員 ありがとうございました。終わります。

鬼木委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 引き続き、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について質問させていただきます。

 まず、防衛装備品の調達の在り方について、幾つか質問させていただきます。

 これまで、財政審でも、全産業の利益率に対して、防衛産業の利益率が高いという指摘もあります。防衛省においては、利益率七%というのは低い利益率とお考えなのか、まず端的にお伺いしたいと思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の七%という利益率の値は、防衛省が原価計算方式を用いて予定価格を算出する際に付与していた利益率というものを指しておりまして、個別製品価格に含まれる利益の数字であるため、一般的に企業の収益力を示す営業利益率とは異なるものでございます。

 調達上、七%の利益が含まれていたとしても、契約履行中のコストの上昇や、各種スケジュールの遅延、仕様未達による手戻り等が発生し、当該七%の利益が必ずしも企業の手元に残らないという声もあると認識しているところでございます。そうした結果、防衛事業部門のいわゆる営業利益率は、社内の他の民生部門と比較しても低い、収益性が悪い場合もあると言われてきたところでございます。

 このため、今般、防衛省といたしましては、契約履行中のコスト上昇等の要因を取り除くべく、予算要求や契約、調達の在り方等を是正するため、事務次官通達を昨年末に発出しまして、省内における取組を徹底しているところでございます。

 加えて、原価計算方式の利益率の算定方式を改めまして、いわゆる品質、費用、納期、これらを評価のQCDと呼んでおりますが、これを導入いたしまして、五%から一〇%の間で利益率を算定するとともに、コスト変動調整率を一%から五%付与することで、企業の努力に応じた適正な利益の算定を通じ、防衛事業の魅力化を図ることとしているところでございます。

伊藤(俊)委員 要は、上振れとかをすると利益率を食ってしまうということなのかなというふうに理解をしました。

 財政審の話では、主要防衛装備品の調達数量の増加や、他産業に比べて高い適用利益率といった実態にもかかわらず、防衛関連企業の撤退が相次いでいるというふうに思います。三井E&S造船やダイセルなどの撤退事例も挙げられておりますけれども、そして、防衛産業が疲弊した原因の一例として、専ら自衛隊のための装備品開発、調達により、少量多品種生産に伴う企業の経営資源が分散をし、製造ラインの維持コストの増大が発生をし、その結果、防衛産業の魅力の低下、あるいは企業の撤退等が生じているのではないかとの指摘もあります。

 防衛産業の魅力の低下、あるいは企業の撤退、この原因について財政審でも指摘をされておりますけれども、この事実関係において、浜田大臣の認識をお伺いしたいというふうに思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛事業には、御指摘の、令和四年度の財政制度審議会資料に記載されているもの以外に、収益性や将来性が低く、事業としての魅力が乏しいといった課題とか、サイバー攻撃や事業撤退等といったサプライチェーン上のリスクや、いわゆるレピュテーションリスクといった課題などが存在しておると承知しております。

 これらを踏まえまして、今回御提出させていただいております法律案におきましては、防衛生産・技術基盤の強化を図るべく、事業撤退、サイバー攻撃などのサプライチェーン上の様々な供給途絶リスクや企業からの情報漏えいリスクに対応した措置を防衛省が取ることができることとしておるところでございます。

 また、企業ごとに事情が異なる中で、本法律案で全ての基盤強化の措置を実施するわけではなく、例えば、調達の見直しにより、先ほども申し上げましたような、適正に利益率を算定する等しているところでございます。

 今後も、防衛省といたしましては、このような御指摘も踏まえて、財務省を始めとした関係省庁ともいろいろ御議論させていただき、本法律案や調達の見直しを始めとする各種施策を実施してまいる所存でございます。

伊藤(俊)委員 政府は、二十一日に行われた我が党の篠原委員からの質疑でも、独自仕様の縮減、少数多種生産の改善の取組事例として、陸自オートバイの取得、UH60のヘリコプターの陸海空自衛隊での調達など、完成装備品の取得について答弁されております。

 財政審が指摘をしている事柄は、完成品だけではなくて、装備品の構成部品に当たるもの等も考えております。そして、装備品に使用されている部品の独自仕様、少量多種生産の改善に向けては、独自仕様にこだわらず、やはり装備品の構成部品の共通化は有効な手段の一つであるというふうに思います。

 防衛省は、これまで、短距離用の地対空誘導弾の一部構成品の共通化を図ってきたと承知しておりますけれども、既に量産されている既存の主要装備品のうち、これまで構成部品の共通化を実施した件数等、どの程度あるのか、そして事例も踏まえながら御答弁をいただきたいというふうに思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、これまで、各自衛隊の要求性能を踏まえ、装備品の研究開発や取得を進めてきたところでございますが、近年では構成部品の共通化の取組というものを進めているところでございます。

 委員御指摘の具体的な例ということでございますが、申し上げますと、陸上自衛隊一〇式戦車と一一式装軌車回収車の車体部を共通化する、陸自の一一式短距離地対空誘導弾と空自基地防空用地対空誘導弾のミサイルを共通化する、陸自UH60JA、海自UH60J、空自UH60J、海自SH60J、海自SH60Kの発電機や計器の一部などを共通化する、こういう具体例があるところでございます。

 今後とも、これらの取組を推進していくことによりまして、効果的、効率的な装備品の取得に努めてまいる所存でございます。

伊藤(俊)委員 例えば、航空機のドアハンドルとか、キャビンドアのラッチ機構を操作する、機体の内側に設置するハンドルとかです、強度によっていろいろ共通化できるかどうか、簡単ではありませんけれども、まだまだ共通化の課題に、できる限り努力の余地があるのではないかというふうに思っておりますけれども、企業の万が一の倒産、廃業等があったときにでも対応ができるような、そんな対策を取らなきゃいけないというふうに思いますけれども、現状の政府の取組についてもお伺いしたいというふうに思います。

坂本政府参考人 お答えを申し上げます。

 これまで、防衛省では、委員御指摘のとおり、各自衛隊の要求性能がありますのと、やはり、我が国独自の運用でありますとか、あるいは自衛隊員の体格といったような問題がありますので、一定程度、独自仕様が生じることはどうしても否めないわけではございますが、可能な限り、共通化、あるいは民生品の使用、独自仕様を廃止するといった取組を、研究開発段階で特に進めているところでございます。

 具体的には、P1、これは海上自衛隊の哨戒機でございます、それから空自の輸送機C2、これの一部、主翼の一部でありますとか搭載コンピューター、計器といったものを共通で開発したりでありますとか、あるいは、対艦ミサイルにつきまして共通の構成品、あるいはミサイルそのものを共通にするといったような取組、それから、無人の水中航走体、現在研究中でございますけれども、一部の仕様をモジュール化いたしまして、そのモジュールを取り替えることによって様々な用途に使える、こういったような開発を進めているところでございます。

 このように、研究開発段階で構成部品の共通化等を行うことによりまして、一旦量産された後に共通化しようといたしますと、どうしても改修のために期間がかかって、可動する装備品の数が少なくなったりとか余計な経費がかかるということもありますので、基本的には研究開発段階で共通の部品を使えるように取組を進めているところでございます。こういった取組、今後とも進めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 是非、共通化の課題を、引き続き、できる限り、余地があると思いますので、検討していただきたいというふうに思います。

 防衛産業の将来像においても何問か御質問したいと思いますけれども、二〇二二年十二月に決定をされた国家安全保障戦略では、いわば防衛力そのものと位置づけながら、防衛生産基盤の強化等に係る各種取組を進めているというふうに承知しております。

 しかし、我が国においては、軍事ビジネスというのは死の商人だ、こう言われるように、防衛産業の拡大に反対する世論や、海外への防衛装備移転そのものに反対をする声もございます。そのため、政府が防衛産業の強靱化と宣言をしても、民間の企業がなかなか乗ってこられない、限られているというふうにも思います。防衛以外の事業に対する悪影響、いわゆるレピュテーションリスクを避けたいと考えている企業もあります。

 その中で、企業の経営トップが、収益性のみならず、防衛事業の重要性、意義を適切に認識、評価し得る環境整備について検討というふうにされておりますけれども、具体的な検討についてお伺いしたい、実例もあればお伺いしたいというふうに思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、御指摘の、防衛事業の重要性、意義を企業の経営トップに適切に認識してもらうため、日常業務として行う企業との調整のほかに、大臣を始め政務三役と企業のトップとの意見交換というものを実施してきているところでございます。

 具体的には、令和元年度から令和二年度にかけて防衛大臣と経団連の意見交換を行ったほか、令和三年度から令和五年度にかけてプライム企業十五社のトップと防衛大臣の意見交換などを行い、防衛事業の重要性、意義を周知するとともに、防衛生産基盤に関する施策を中心に、防衛省の政策についても意見交換を行いました。

 また、平成三十年に閣議決定しました防衛計画の大綱においても、防衛産業の防衛政策上の重要性や今後の施策の方向性について言及するなど、認識の共有に資する発信を適宜実施してまいったところでございます。

 さらに、本法律案におきましても、第一条の目的規定の中で、国内の基盤強化が一層重要になっていることを条文上明確化しておりまして、このような政府の考え方を対外的に明確にすることは、防衛事業の重要性、意義を企業の経営トップに適切に認識していただく契機となり得ると考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 本法案においては、レピュテーションリスクに対する対応、施策というのが一切見受けられないというふうに思います。まずは、防衛関連企業のレピュテーションリスクの懸念を回避する必要性があるというふうにも思います。ここも、二十一日の委員会でも、我が党の重徳委員からの質疑に対しても、具体策においての答弁がなかったように思いますけれども、時間の関係上、余り、ここは割愛したいと思いますけれども、正直、中身が薄いというふうに思っております。

 政府の同戦略において、広く国民に対しても、防衛産業が我が国の安全保障、果たす重要性、意義について、防衛白書を活用しというふうに言われますけれども、防衛白書以外、活用以外にどのような取組を行っているのかということが見えていないというふうに思いますので、国民に対する理解も広がっていないというふうに思います。将来の像が見えないという声もあります。大臣から答弁いただきたい。

浜田国務大臣 政府は、昨年末に閣議決定した戦略三文書において、防衛生産・技術基盤をいわば防衛力そのものと位置づけるとともに、今般提出しました本法律案においても、目的規定の中で、国内の基盤強化が一層重要となっていることを明確化するなど、防衛産業の防衛政策上の重要性を強調させていただいております。

 加えて、私の記者会見や防衛問題セミナー等においても防衛産業をテーマに取り上げ、防衛産業の重要性について御説明するなど、広く国民の皆様に対して防衛産業の重要性、意義について理解の促進を図ってきたところであります。

 今後も、様々な機会を活用して防衛産業の重要性を強調することに加えて、防衛産業が優位性を保有している点を中心に、諸外国を含む各方面に対して積極的にアピールをしてまいりたいと考えております。

 また、本法律において策定することとなっている基本方針においても、御指摘の国内防衛産業のあるべき将来像も含め、しっかりと、基盤強化と装備品等の調達の基本的な方向性を記載していくことを考えておるところであります。

伊藤(俊)委員 レピュテーションリスクの部分、観点が極めて薄いというふうに思いますので、是非重要視をしていただきたいというふうに思います。

 そして、装備の海外移転の円滑化についてもお聞きしたいというふうに思いますけれども、そもそも論として、我が国の防衛装備品に対する海外からのニーズというものはいかほどあるのでしょうか。諸外国のニーズについて政府がどのように把握をしているのか、また、装備品の移転について、相手国は伏せてもいいというふうに思いますけれども、これまでどのような装備品が他国からニーズがあったのか、併せて答弁いただきたいというふうに思います。

土本政府参考人 委員御指摘の、我が国の装備品に対する海外からのニーズという点につきましては、その具体的内容は、まさに相手国の今後の防衛力整備の詳細に関わるものであるなど、相手国との関係もあることからお答えできないことを御理解いただきたいと考えますが、その上で申し上げれば、我が国としては、これまで諸外国から、艦艇、航空機、レーダー等といった装備品について引き合いを受けてきているところでございます。

 具体的なニーズの把握方法につきましては様々ありますが、例えば、防衛省は日頃から諸外国の防衛当局と様々なレベルで防衛装備移転の推進について意見交換を行ってきておりまして、このような場において諸外国からニーズが示されているところでございます。

 さらに、防衛省といたしましては、政府間で示されるニーズのみならず、相手国の潜在的なニーズの把握等を行うため、これまで、商社の持つネットワークを活用いたしました事業実現可能性調査、フィージビリティースタディーと呼んでおりますが、これなどを進めてきておりまして、今後もこのような取組を推進していく所存でございます。

伊藤(俊)委員 レーダーや艦船、いろいろ答弁がありますけれども、レーダーもこれまで、二〇二〇年八月のフィリピンへの実績として、レーダー納入は一件というふうに言われています。インドへの水陸両用機US2や、オーストラリアへの「そうりゅう」など、移転が失敗をしているという例もあります。端的にこれの理由もお聞きをしたいというふうに思いますが、オフセット取引、政府と政府ですので、これまで失敗した答弁や議事録というのはなかなかないというふうに承知しておりますけれども、総論ではなくて各論でもと思いますが、しっかりと説明をしていただきたいというふうに思います。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、US2の関係でございますが、救難飛行艇US2につきましては、波高三メートルといった非常に高い波への着水が可能でありまして、我が国周辺の広大な海域への進出を可能とする飛行性能を有するなど、非常に優れた性能を有しておりまして、これまで複数の国から関心を持たれ、移転に向けた取組を行ってまいりましたが、現時点では、御指摘のインドも含めまして、残念ながらその実現には至っておりません。

 各国との関係があることから、その詳細については申し上げられませんが、移転が実現しない主な要因について考察いたしますと、まず、US2は直近の機体単価が約百八十五億円と高額であること、また、US2をベースとした派生機に改造する場合には、更に多額の経費を要することなどによるものと考えております。

 次に、潜水艦の関係でございますが、潜水艦につきましては、平成二十七年から平成二十八年にかけまして豪州政府から実施した将来潜水艦の調達相手国の選定プロセスにおきまして、我が国は「そうりゅう」型潜水艦をベースとした提案を行いましたが、豪州政府は平成二十八年にフランスのDCNS社の提案を採用いたしました。

 フランスのこのDCNS社の提案を採用した理由につきまして、豪州政府は、一つは、フランスの提案が豪州特有の能力要求に最も適合していると評価したこと、加えまして、豪州企業の参画等も考慮したことと公表していることから、こうした観点で相対的に低い評価を受けたことが、我が国の潜水艦の提案が選ばれなかった理由と考えております。

 こうした経験も踏まえまして、防衛省といたしましては、防衛装備品の海外移転につきまして、関心を示す国々等の間で協議を行い、実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 是非、引き続き説明をしっかりとしていただいて、共有していただきたいというふうに思います。

 武器輸出三原則の運用方針の見直しについてもお聞きをしたいというふうに思いますけれども、これまで、輸出を慎むことで日本の武器で紛争等を助長することを回避する、あるいは、人を殺傷しないとの基本理念を変えるものだという反対の意見も上がっておりました。

 三原則や運用方針の見直しにより、殺傷能力のある防衛装備品の移転が認められることになれば、我が国国民の理解はもとより、諸外国に要らぬ懸念を抱かれることになるのではないかというふうに思いますけれども、浜田大臣の見解をお伺いします。

浜田国務大臣 その前の御質問に、少しだけ私からのコメントもさせていただきたいと思います。

 我々とすれば、もしもいろいろなものを売り込むというときに、我々のいろいろな足らざるところが大変あろうかと思います。今後は、今回のことをいろいろな糧として、我々とすれば、これに対応していかなきゃならぬというふうに思っておるところでもありますし、一般的な商取引の中で、やはり、当然、オフセットですとかいろいろな面もあると思いますので、そういった点を、もう少し我々もしっかりとしていかなければならないと思いますし、また、US2の有効性というか、これは大変各国でも評価が高いわけでありますので、こういったものをやはり積極的に何とか、貸し出すなり無償提供するなりというようなことが考えられれば、またこういった点も理解が得られるのかなと思いますので、どれが一番有益なのか、有効なのかを、是非我々も検討しながら、これは前に進めていきたいというふうに思っているところであります。

 そして、今の御質問に対してでありますけれども、戦後、我々の安全保障環境が大変厳しい中で、望ましい安全保障環境の創出に向けて取り組むのは、これは大変重要だというふうに考えております。

 そのための一つの手段として、防衛装備移転の推進を位置づけたわけでありますけれども、これは、あくまで地域における平和と安定を確保することを目的として実施する政策でございます。

 その上で、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的な内容は決まっておりませんが、政府としては、平和国家としての歩みは変わらないということについて理解を得ながら、国際社会の平和と安定に対して、しっかりと貢献していく必要があると考えておるところであります。

伊藤(俊)委員 自公の方で、移転可能な装備品の対象の拡大に向けた実務者協議というのも始まっております。新聞記事等でも、自民党内では、戦闘機や護衛艦など殺傷能力がある防衛装備品の移転も解禁すべきとの意見も報道されております。これは、殺傷能力、外交上も非常に影響があるというふうに思いますが、時間の関係で、ちょっと短縮して答弁いただきたいと思います。

山田(賢)副大臣 それでは、簡潔にお答えさせていただきます。

 先ほど防衛大臣からも御答弁がありましたけれども、防衛装備品の海外への移転につきましては、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略を受けている国への支援のための重要な政策的な手段であり、こうした観点から今後議論を進めていくものであり、殺傷力のある装備品の移転ということにつきましては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたいと考えております。

 いずれにいたしましても、国家安全保障戦略で明記したとおり、政府として、平和国家としての歩みを堅持していく、今後とも、多くの国と信頼関係を築き、我が国の立場への理解と支持を集める外交活動や他国との共存共栄のための国際協力を展開してまいります。

伊藤(俊)委員 答弁ありがとうございました。

 武器の輸出については、平和国家として、我が国の立場から、国際紛争等を助長することを回避するために、従来から政府においても慎重な対処をしてきたところだというふうに思います。

 戦闘機や護衛艦といった殺傷兵器を移転をすることと憲法九条との整合性、これは極めて重要なところだと思いますので、ここの点と、ちょっと時間がないので併せてお聞きをしたいというふうに思いますけれども、今後、我が国の装備移転の対象拡大を検討する場合、我が国らしさというんですかね、専守防衛という我が国の基本政策にもふさわしい守る分野、この間の参考人の質疑でもお話がありました、いわゆるこれまでの盾の分野。専門家の中では、そこを線引きするのは難しいという声も当然あるかと思いますけれども、しかしながら、この守る分野、つまり、テロ対策やサイバーや情報収集や分析、監視、あるいはミサイル防衛など、あるいはソフトの部分も、災害等、いろいろあるかというふうに思いますけれども、人や社会を守ることにつながる分野、そこに特化していくというのも一案だというふうに思っております。

 この守る分野を強くするということであれば、民間企業のイデオロギー的にも入りやすい領域になるんだというふうに考えますけれども、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

浜田国務大臣 まず最初の、九条との関係でございますけれども、装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しに関わる具体的な内容については決まっていないことから、結論を予断することはできないことを御理解いただいた上で、一般論として申し上げれば、装備移転三原則は、外国貿易及び国民経済の健全な発達を図るという目的を持った外国為替及び外国貿易法、外為法の運用基準を定めたものであり、憲法九条も含め、それ自体が憲法上の問題ではないと考えております。

 そしてまた、委員御指摘の守るという点でございますけれども、これは、我が国は専守防衛を徹してきており、我が国の装備品については、国民の命と暮らしを守り抜くために整備を進めてきているところであります。また、装備移転については、現在の防衛装備移転三原則において、国連憲章を遵守するとの平和国家の基本理念と、これまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持することとしております。

 その上で、防衛装備移転三原則の運用方針を始め、その制度の見直しに係る具体的な内容についてはまだ決まっておりませんし、内容に関する御質問はお答えすることが困難であることを御理解いただきたいと思いますが、今般の議論においても、政府として、平和国家としての基本理念を堅持することには変わりはございません。

伊藤(俊)委員 これまでの日本の国柄というものを十分配慮して、国内外に対してどういう発信をするのか、極めて大事だというふうに思っております。

 国際法に違反する侵略や、武力やその行使、武力による威嚇を受けている国への支援として必要なものは何かということに関しても、民主主義である我が国において、政府のみで決めることはなくして、是非、国会を踏まえて決めていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鬼木委員長 次に、美延映夫君。

美延委員 日本維新の会の美延でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 防衛省は、装備移転三原則を平成二十六年に定めて以降、様々な課題が浮き彫りになりました。課題の一つが、装備品を海外に実際に移転するとなると、自衛隊仕様と違うスペックを移転することになることです。

 本法案では、装備品の海外移転が行われる場合に対して、政府が、装備品製造事業者に対して、装備品の仕様と性能に関する装備品移転仕様等調整計画書を作成、提出を求めることになります。

 そうした場合、企業にとっては投資になるので、装備品等の仕様、性能等を変更する費用に対して補助金を交付することになります。防衛省は、指定支援法人を公募で見つけてきて、その法人に基金をつくってもらい、その法人から適宜支出するという形を取ると理解しております。もう少し具体的な公募の基準について教えていただけますでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの指定装備移転支援法人は、本法律案の成立、施行後、一般社団法人又は一般財団法人の中から、委員御指摘のように、公募により防衛省において指定することとなっております。

 公募における具体的な審査の基準につきましてでございますが、まず、防衛大臣が認定した装備移転に取り組む事業者の計画に基づき助成金の交付業務を行うほか、このための基金を管理するための経理的な能力、これを有するという点が第一点目でございます。

 第二点目といたしまして、装備品等の仕様等の調整に関しまして、事業者からの質問や相談に応じ、助言するための技術的な知見というものを有するというのが第二点目でございます。

 さらに、装備品等の機能、性能に係る情報とか、諸外国との関係に影響を与え得る情報を取り扱う可能性があるため、確実に情報保全を実施できること。

 こういうような観点から、防衛省において審査を行うこととしておりまして、これによりまして、装備移転支援業務を適正かつ的確に実施できる法人を指定することとしているところでございます。

美延委員 今のお答えで結構なんですけれども、私が危惧しているのは、またそれによって新しく政府の外郭系の団体ができるとか、そういうことは絶対にないようにしていただきたいと思います。

 次に、第二十六条の資金の貸付けでは、対象を装備品を製造する企業としており、第二十六条では、株式会社日本政策金融公庫は、装備品事業者による指定装備品等の製造等又は装備移転が円滑に行われるよう、必要な資金の貸付けに配慮するものとするとなっていますが、貸付けの配慮の根拠について教えていただけますか。

土本政府参考人 委員お尋ねの貸付けの配慮ということでございますが、日本政策金融公庫におきまして、装備品等の製造に取り組む事業者から借入れの申込みを受けた際に、防衛生産・技術基盤の維持強化という政策の趣旨を踏まえまして、事業者に寄り添った丁寧な対応を取られるよう期待したものでございます。これは、ほかの法律にも幾つか立法例があるところでございます。

 防衛省といたしましては、昨年末に決定いたしました防衛力整備計画において、「政府系金融機関等の活用による政策性の高い事業への資金供給を行う」と記載しておりまして、金融面から防衛産業への支援策を講じることとしております。

 このため、本法律案の日本政策金融公庫による貸付けの配慮の規定も踏まえまして、装備品製造等事業者に向けた融資制度を設けることなどにつきまして関係機関、関係当局と議論しているところであり、防衛産業において事業が安定的に行われ、投資が積極的にされるための施策を、実効性のある形で具体化してまいる所存でございます。

美延委員 そこはしっかりやっていただきたいんですけれども、ともかく、配慮するということですので、そこはしっかりやってください。

 次に、昨年十二月の八日の当委員会にて、私の質問に対し、装備品の選定に係る手続の明確化、透明化のため、ライフサイクルコスト等を「新たな重要装備品等の選定結果について」というような形で公表しているという答弁がありました。

 資料一を御覧ください。

 その選定結果についてのうち、本年一月二十三日に公表されたもので、表紙を入れて二十ページの資料ですが、そのうちの三ページと四ページを配付しております。

 この程度の情報の公表で、選定手続の明確化、透明化と言うのは相当無理があると思います。

 まず、ライフサイクルコストについて話を進めます。

 資料一にある、島嶼防衛用高速滑空弾の開発については、ライフサイクルコストすら記載されていません。これを含め、本年一月二十三日に公表された選定結果については、掲載された十九の装備品のうち八つについて、ライフサイクルコストが記載されていませんでした。

 この点について、元海将の香田洋二さんは、週刊朝日の二〇二三年三月三日号で、「価格や利点などを精査したうえで最適なものを選定したので、みなさんの税金を使わせてください、というのが本来あるべき姿なのに、「追って沙汰する」という態度」と、厳しく指摘をされています。

 その後、ライフサイクルコストが算定された装備品もあるようですが、筋論として、選定の際に算定ができているべきです。全ての重要装備品等について、選定段階でライフサイクルコストの見積りを出し、公表することが、説明責任上、一番必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省として、取得を検討している装備品等であって、かつ、ライフサイクルコストの見積りが一定の基準を満たすものの中からプロジェクト管理対象装備品を選定しており、計画時点で想定している全体の調達数量や平均量産単価、ライフサイクルコストの見積り等の概要を公表しております。

 これとは別に、装備品等の選定に係る手続の明確化、透明化のため、新たに研究開発や量産取得を行う装備品等につきましては、新たな重要装備品等に指定しまして、ライフサイクルコスト等を令和元年度以降公表しております。

 この新たな重要装備品等につきましては、令和五年一月にも公表しておりますが、全十九事業のうち八事業につきましては、ライフサイクルコストの算出が困難であったため、公表しておりませんでした。算出が困難な理由といたしましては、いわゆる研究段階にありまして、量産段階の仕様、調達数量等が未確定であるということ、また、国産、輸入などの取得方法がまだ未確定である等の理由があるところでございます。

 なお、令和五年三月にプロジェクト管理対象装備品の分析、評価の概要を公表する際に併せまして、令和五年一月にライフサイクルコストが未公表でございました八事業のうち二事業、いわゆる一二式地対艦誘導弾能力向上型(地発型)と、島嶼防衛用高速滑空弾、この二事業でございますが、これにつきましては、ライフサイクルコストを算出し、公表しております。

 いずれにいたしましても、ライフサイクルコストが未公表のものにつきましては、量産段階の仕様、調達数量等の前提条件が確定次第、ライフサイクルコストを算出し、公表するよう努めてまいる所存でございます。

    〔委員長退席、國場委員長代理着席〕

美延委員 これは当たり前やと思うので、もうしっかりそこはしてもらわぬと。税金を使うわけですから。

 一方、資料一の〇三式中距離地対空誘導弾の開発については、ライフサイクルコストは記載されております。ただ、国産兵器のライフサイクルコストは、当初の予定を大きく上回って、上昇することがよくあります。

 資料二の一ページを御覧ください。

 これは、二〇一九年十月二十三日に、財政制度等審議会財政制度分科会歳出改革部会に財務省から参考資料として提出された資料です。当初見積り時と比べ、一機当たりのライフサイクルコストは、国産の対潜哨戒機P1が一・六倍、国産の輸送機C2は二・一倍に上昇しています。

 さらに、資料の配付はしておりませんが、ライフサイクルコストに限らず、単価が高騰することもよくあります。一旦算定されたコストの高騰は、防衛費が予定額で収まらなくなるリスク要因であります。

 我々は防衛増税自体に絶対に反対ですが、仮に、仮にですよ、政府の計画どおり増税が行われる場合、増税額がまた更に更に膨らむ可能性もあります。また、単価やライフサイクルコストが頻繁に高騰するようでは、これは輸出も難しくなります。もっときちんと計画を管理すべきだと思います。

 防衛装備庁のプロジェクト管理の対象となっている装備品については、コストが上昇した場合の事業見直しの制度があります。それに言及されているのが資料二の四ページと六ページです。

 これは、二〇二一年に、財政制度等審議会財政制度分科会に提出された資料ですが、アメリカでは一定以上コストが上昇したプロジェクトの継続には議会の承認が必要な一方、日本では大臣が中止を命じない限り継続となるなど、アメリカと比較した上で日本の現行制度への疑問が呈されています。日本も、コストが大きく高騰した場合は、外部の批判的な目にさらして、厳しい追及にきちんと答え、継続の可否を判断する姿勢が必要だと思います。

 防衛省は、防衛力の根本的な強化を行うに当たり、防衛装備庁のプロジェクト管理について、何らかの改善を行った、あるいは今後行う予定がありますか。そもそも、防衛費増や増税を国民にお願いするのであれば、その前に、アメリカ並みの厳格なプロジェクト管理を導入し、コスト高騰について十分外部チェックを受ける体制を構築すべきと思うんですけれども、いかがですか。

    〔國場委員長代理退席、委員長着席〕

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、平成二十七年の防衛装備庁発足とともに制度化されたプロジェクト管理の取組を行ってまいりましたが、その中で改善にも努めてきたところでございます。

 まず、対象装備品につきましては、基準となる単価から相当程度上昇した場合には、計画の見直しや事業計画の是非を検討することとしております。

 この基準となる単価につきましては、いわゆる装備品の構想段階から量産段階までの総経費から算出した単価というものと、量産段階の経費から算出した単価、アメリカで用いられているこの二つを採用してきたものを、防衛省、日本独自の手法として、令和二年度から、装備品の運用、維持段階の経費も含む装備品のライフサイクルコストから算出した単価というものも採用することで、維持整備を含めました、より多角的な視点での評価を行うこととしております。

 また、同じく令和二年度から、プロジェクト管理対象装備品の選定基準につきましても見直しを行いまして、このうち、構想段階から研究開発段階までの経費につきまして、三百億円以上を対象としていたものを二百三十億円以上と変更して、対象装備品を拡大してきておるところでございます。

 このような制度上の取組に加えまして、コスト上昇の可能性がある場合には、プロジェクト管理の取組として、例えば、機体や構成品の長期契約による一括調達、維持整備費の低減に係る検討、他国の需給状況も考慮した調達計画の見直しといった取組を進めてきているところでございます。

 防衛省といたしましては、引き続き、これまで八年間、制度化されたプロジェクト管理の経験から得られた教訓を基に、プロジェクト管理の制度運用の不断の改善に努めてまいる所存でございます。

 あと、委員御指摘の後段の、アメリカ並みの、いわゆる外部のチェックという点でございますが、まず、米国におきましては、装備品の経費について、コスト管理のために基準として設定した経費から相当程度上昇した場合、プロジェクトを継続するためには議会の承認が必要とされているものと承知しているところでございます。

 我々は先ほど御説明したような取組を行っているところでございますが、防衛省におきましては、毎年度、装備品ごとに、あらかじめ定めた計画と実際にかかった経費などとの差異の分析、評価を行っておりまして、その結果は、防衛装備庁ホームページを通じて外部に公表し、透明性を確保するとともに、予算要求に反映しております。

 また、計画の見直し等の結果につきましては、例えばグローバルホークなどについても、国会において御審議いただいているところでございます。

 防衛省といたしましては、引き続き、プロジェクト管理の取組を通じまして、透明性の確保を図りつつ、効率的な装備品の取得に努めてまいる所存でございます。

美延委員 今長官がおっしゃっていたように、透明性を確保するのは、こんなのは当たり前のことですから、それをここでわざわざ言われても。私、今聞いていたら、中身、今までの内容と何にも変わっていないし、何か、私はもっと新しいことをどうですかという質問をしているわけですから、正直、私の質問に対して答えがかみ合っていないということはしっかり指摘させていただきます。

 次に、運用構想や要求性能などについて伺わせていただきます。

 〇三式中距離地対空誘導弾について、資料一の二ページの「検討結果」に、「国内による研究開発の候補のみが運用構想及び要求性能、具体的な整備計画等の所要の要件を満たすことが確認できた」とありますが、どのような所要の要件で選定したのでしょうか。選定に係る手続の明確化、透明化のため、より説明が必要ではないでしょうか。

 思いつくのが、同じく弾道ミサイル防衛が可能なアセットであるPAC3と比較して、なぜ〇三式中距離地対空誘導弾の方が優れているのかです。どのような所要の要件を設定した結果、PAC3と比べて〇三式中距離地対空誘導弾は優れているのか、教えていただけますか。

川嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、装備品の研究開発や量産取得を検討する際には、当該装備品が適切な運用構想及びそれに見合った要求性能を有すること、各自衛隊での役割分担等を踏まえまして装備体系を最適化するための検討を経たものであること、国内外の既存製品とのコスト比較を含む代替案分析を経たものであること等の要件を満たすか否かを検討した上で、選定を行うこととなります。

 今般の防衛力整備計画に基づき、陸上自衛隊の〇三式中距離地対空誘導弾(改善型)の能力向上型の開発につきましても、極超音速滑空兵器、HGV、弾道ミサイル等の高度化、多様化する経空脅威に対処することが可能と見込まれたこと、陸上自衛隊の部隊及び施設の防護を主眼としつつ、航空自衛隊の高射部隊と共同して戦略上の領域内の政経中枢及び重要施設を防護し得ると見込まれたこと、国内外の既存製品との比較を経て、運用構想に照らし費用対効果が見込まれたこと等を勘案した結果、事業開始を決定されたところでございます。

 また、〇三式中距離地対空誘導弾(改善型)は、能力向上によりまして弾道ミサイル等への対処が可能となり、これまでPAC3のみが行っておりました弾道ミサイル等に対する拠点防護を担うことが可能となります。これによりまして、対象アセットの増勢によって、弾道ミサイルに対する拠点防護の数と申しますか範囲、これが拡大する。のみならず、PAC3と〇三式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上型が重層的に展開した場合には、迎撃用誘導弾の合計数が増えるということで、対処能力及び継戦能力が特に向上するといった効果が期待できまして、我が国の統合防空ミサイル防衛能力が格段に強化されることとなるものと考えてございます。

 以上でございます。

美延委員 格段に強化されればいいんでしょうけれども、さあ、そうなんでしょうかねというのが疑問であります。

 資料三を御覧ください。文谷さんが「軍事研究」という雑誌の二〇二二年九月号で書かれた記事です。次のように述べられています。

 国産兵器は海外に売れるような商品ではない。何より計画段階からゆがんでいる。定評ある海外製兵器の導入を回避して国産兵器開発に誘導する。そのために要求性能の段階で不自然な形に曲げられている。世界中で売れている傑作兵器の購入を回避するため、わざわざ不便にしている。どう努力しても売れるはずがない。実際に航空機は全滅した。C2、P1は全く売れていない。日本製を買うぐらいなら傑作機C17、P8を買う。

 私は、文谷さんの指摘が本当かどうかは分かりません。しかし、検証には値すると思います。

 そこで、今回のスーダン在留邦人の救出にも使用されたC2輸送機を題材に見ていきたいと思います。

 資料二の二ページを御覧ください。

 C2の最大貨物重量は、米国製のC17とC130の間の三十六トンです。これでは、五十トンの九〇式戦車、それから四十四トンの一〇式戦車も搭載できません。C2輸送機の最大貨物重量について、三十六トンは非常に中途半端と思えるのですが、なぜこのレベルの仕様を要求したのですか。また、仕様で不整地着陸性能も要求しなかった理由についても併せて教えていただけますか。

川嶋政府参考人 お答えをいたします。

 輸送機C2は、輸送機C1の後継機といたしまして、各種事態のほか、国際緊急援助活動等の国外運航を含む航空輸送任務に使用するため、平成二十三年度以降、これまで十九機の取得経費を計上してきてございます。

 自衛隊の運用する輸送機につきましては、各種任務において想定される輸送所要に基づきまして最大積載重量等の要求性能が定められてございます。C2につきましては、弾道ミサイル対処において重要な役割を果たしますPAC3の発射装置、南西防衛において重要な機動戦闘車、あるいは一九式装輪自走百五十五ミリりゅう弾砲、これを島嶼部などに迅速に配置するための空輸を実施することを可能としています。

 また、不整地着陸性能を要求していない理由といたしましては、一つには、国際緊急援助活動を行う部隊やその部隊への補給品などを輸送するに当たっては、活動地域の近傍にあります民間空港などの飛行場での着陸が想定されること、二つ目に、飛行場が仮に使用できない場合に、物資の航空輸送を実施する際は空中投下により目的を達成できることなどなどを踏まえたものでございます。

 他方、設計上は、C2輸送機は、非舗装、舗装していない滑走路での離着陸を前提としておりませんけれども、それができるものと確認が取れたことから、設定された試験条件の下で、実機を用いた離着陸試験を令和二年十一月に実施してございます。これは、航空自衛隊の岐阜基地にわざわざ砂利の滑走路を造って、そこに着陸を行ったというものでございます。

美延委員 もうちょっと短くしてください。

 もう時間が来ているので、最後に、今質問させていただいたことに対して、やはり私はもうちょっと改善していかないかぬと思うんですけれども、大臣の御所見をお願いできますか。

浜田国務大臣 令和四年度の財政制度審議会資料において、防衛産業において、コスト高、低利益率、事業縮小、撤退の悪循環が発生をしており、その原因を掘り下げると、防衛省自身の内なる課題についても原因究明が必要である旨が述べられております。

 ここで列挙された項目の中に、例えば、御指摘の自衛隊独自の特殊な要求性能や、海外ニーズがない機能、仕様を追求するように、我が国の防衛力整備の必要な、根本的な解消が困難なものもありますが、指摘を正面からしっかりと受け止め、対応を図ってきたところであります。

 関係省庁とも議論し、提出しております本法律案や、調達制度の見直しを始めとする各種施策を実施したいというふうに考えております。

美延委員 ありがとうございます。

 終わります。

鬼木委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。国民民主党の斎藤アレックスです。

 まず最初に、一点確認をさせていただきたいのが、沖縄へのPAC3の配備に関して、沖縄本島への海上自衛隊の輸送艦が入港できなかったという報道がありますけれども、それの状況をお知らせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 四月十九日の北朝鮮の発表などを総合的に勘案し、防衛省として、今般、沖縄の地区へのPAC3部隊の展開など、必要な準備を実施することにいたしました。

 PAC3部隊などの展開先としては、地元自治体と必要な調整を行った上で、現在、与那国駐屯地、石垣駐屯地、宮古分屯基地への展開を行うこととしています。ただ、この際の調整内容の詳細については、相手方との関係もあるためお示しすることができないことを御理解ください。

 ただ、その上で、一般論として申し上げれば、我が国防衛上、いろいろな空港、港湾などを運用基盤として利用することは非常に重要なことであります。今回の部隊展開は、沖縄県の住民の方々の安心と安全を第一に、必要な体制を速やかに構築できるようにするとの観点から行いましたが、こうした活動も含めて、これらの施設を柔軟に利用できることが重要であります。

 防衛省・自衛隊としては、既存の空港、港湾を平素から柔軟に利用できるよう、地元住民の方々などの協力を得つつ、各種の取組を推進していきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 これは、配備の遅れは生じたんでしょうか。

大和政府参考人 配備の細かい計画についてはちょっと申し上げられないんですが、特段の問題があったということではございません。

斎藤(ア)委員 相手方といっても国内の主体ですから、何も答えていただけないと我々も取り組みようがありませんので、その点はお願いしておきます。ちょっともうこの話は、じゃ、終わりにさせていただきます。

 では、法案の質疑の方に移りたいと思います。

 改めて、防衛産業の基盤を強化をしていくことは我々も極めて重要だと考えております。その核となるというか、その理由なんですけれども、決して、防衛産業で稼ごうとか、防衛産業を成長産業にしようということを我々は申し上げているわけではないし、政府もそうだと思うんですけれども、やはり様々な防衛装備を日本の自衛隊としても買わなければならないときに、どう考えても、海外の企業から買うよりも国内の企業から調達できる方が、経済的合理性や秘密の保持の面で有利性があるわけですから、できるだけ、国内の企業に競争力を持ってもらって、国内の企業から調達できるようにしていくということがとても重要だと考えております。

 その上で、この法案というものは我々国民民主党も賛成ではありますけれども、あくまで入口としての取組であるという認識の下で、根本的には国内企業が競争力を持つという、それに向けた取組というのを更に続けていかなければならないというふうに考えております。

 その上で、一つ確認をさせていただきたいのが、国による製造設備の保有に関してでございます。

 こちら、参考人の方からも、うまい使い方をすれば競争力の強化、産業基盤の強化につながる有効な取組だといった趣旨の御発言があったと思うんですけれども、今この委員会でのやり取りを聞いていると、経営が厳しくなった企業の工場を買い取って救済するような側面ばかりが聞こえてくるんですけれども、そうではなくて、しっかりと、育成したい装備の製造であったり、あるいは、製造コストを下げて、それで国際競争力を持たせようといった、新しい装備を造るときとか、そういった戦略的な活用の仕方が本来はあるべきだと思うんですけれども、そういった部分に関しては装備庁の方はどう考えていらっしゃるでしょうか。

土本政府参考人 委員の方から、今、国による製造設備の保有に関する規定の関係の御質問がございました。

 装備品等のうち、自衛隊の任務遂行に不可欠であり、かつ、その製造等を行う特定の防衛関連事業者が製造等を停止すると調達に支障を生じるおそれがあるものであって、この法律の第二章で規定する防衛産業への措置等を講じてもなおほかに企業が安定的な製造等を図る手段がない場合には、当該装備品等を製造する施設である指定装備品製造施設等を防衛省が取得することができるという規定になっているというのが、今のこの法律上のたてつけでございます。

斎藤(ア)委員 そうですね。そういうことですから、まだまだこの取組というのは十分ではないと。経営が厳しくなったところにまずは補助をして、そして、それでも更に厳しくなったら買い取ってあげるというのは、衰退の道のりをつくってあげているみたいな形になってしまいますので。そこで、支援するところは、入口自体は必要ですけれども、やはりそこにとどまってはいけないということを改めて指摘をさせていただきたいと思っています。

 そういった中で、私も繰り返し申し上げましたけれども、やはり、企業に競争力を持っていただく上で一つ重要なのは、まず規模の経済を発揮してもらうこと。これはもう経済原理の最も根本的なものかもしれませんけれども、大きいことはいいことでありますから、その経済規模を持っていただくという競争力の強化の観点。改めて防衛大臣にお願いしたいと思いますけれども、是非、その件、改めて検討いただけないでしょうか。いかがでしょうか。

浜田国務大臣 当然、これは、今委員御指摘のとおり、我々もスタートとしてのこの法案を作っておるわけでありますが、しかし、それよりも先を見ていかなければならない。

 確かに、今までのこの状況というのは、大変そういう意味では厳しい状況であったのは事実でありますので、そういった、逆に安心感を持っていただくことによって、そこで安心していただいて更に上を目指せるような取組を我々とすればしていかなければならないというふうに考えます。

斎藤(ア)委員 いろいろ、新たな取組、知恵を出し合いながらになるかと思いますけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。

 その上で、やはり指摘をさせていただかなければならないのが、日本の今の財政状況がこの防衛産業にも悪影響を与えてしまっているという現実でございます。

 防衛予算、GDP二%というのは先進国からすれば決して多い予算ではないですけれども、今のこの日本の財政状況では、実質的に赤字国債に頼ったり、そして増税をしなければ調達はできないという状況になってしまっている。これは、今までの財政運営、経済政策、こういったものがうまくいっていなかった結果として、国民に負担を与えたり、将来世代にツケを回すという結果になってしまっている。

 このことはこの委員会の議論の趣旨ではないと思うんですけれども、改めて、これまでの経済政策が、財政政策がまずかったんだと。それを、違う、変えていかなければならないんだということを、我々野党としても次期衆議院選挙のときにはしっかりと訴えていきたいと思っているんですけれども。

 改めて、この財政状況が防衛産業の製造基盤にも悪影響を与える可能性がある、そういった状況になってしまっている、そういった危機感というものは、認識を防衛大臣にもいただければ、その点だけでもお答えいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 今委員の御指摘、私自身、この所管ではないわけでありますけれども、しかし、今の日本の経済状況というのを考えれば、当然、我々としてもしっかりとした防衛に対する財源というのをまた考えていかなければならないと思っております。

 今回は、そういう意味では、安定財源として、毎年度、令和九年度以降の四兆円のしっかりとした財源が必要になっていくわけでございまして、そういった意味では、いろいろな方策を立てていただいて、これを補っていくということでございます。

 しかし、その中で我々に課せられているのは、確かにそれは、財源も重要でありますが、我々とすれば、どこが、効率的に予算を使っていくというのは、これは絶対条件でありますので、更に効率的になる部分、いわゆるまとめ買いですとかいろいろな努力をこれからしていかなければならないというのは、これは委員の御指摘のとおりだというふうに思っておりますので、そういったことを念頭に置きながらこの問題は対応していきたいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 防衛省の方では、できるだけ効率的に、そして必要な、できる範囲での防衛力を強化をしていただくということが第一義でございますので、その点はおっしゃるとおりですけれども、ほかの、予算委員会であったり、本会議であったり、経済産業とか財金であったりとかそういったところで、しっかりとこの経済財政を立て直すということも一緒に取り組んでいければと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 防衛力の、防衛産業の競争力強化のためのもう一つの重要な取組というのは、やはり装備移転がしっかりとできるというか、装備移転をする障害ができるだけなくなることだというふうに考えております。

 先日の参考人質疑の中でも、やり取りの中で私もそうだなと思ったのが、この防衛装備の移転の前提となっているのが、政府の方針が、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出ということになっているんですけれども、確かに、日本の安全保障に害をなすようなところに与えるのはあり得ないわけでございますので、そこは当然なんですけれども、私も、質問するときもそうですけれども、常に答弁の中に、我が国にとって望ましい安全保障環境を創出するという、その前提が入ってきてしまい過ぎて、逆に、諸外国から見たら、日本の防衛装備を買うということは日本の安全保障、外交政策に取り込まれることを意味するんだと。

 もちろん、同志国であっても、それぞれの立地的な状況下から、そこまで中国を刺激したくないとか、ロシアは刺激したくないとか、そういった国は当然あるでしょうから、そこは余り表に出さずに、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出、これはもう大前提でございますから、そこまでアピールすると逆に装備移転に悪影響を及ぼす可能性があると思うんですけれども、その点、大臣はいかがお考えでしょうか。

浜田国務大臣 確かに、委員おっしゃるように、余りにこちらのことばかり言うのも、これはプラスにならないかもしれないわけでありますので、我々とすれば、この装備移転に関しては、相手国に対して施策の趣旨について丁寧に説明しながら、緊密に協議を行いながら、具体的な案件を進めていくというのが我々の考え方であるわけでありますし、御指摘の点は我々も注意していきたいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 確かに、防衛装備の移転に関しては、国民の間にも不安の声があるというふうに思います。

 そのときに、やはり国民向けにも、理解をしてもらう、納得してもらうためには、我々の、日本が売却する防衛装備というのは、例えば殺傷兵器であっても、それはその国の安心、安全を守るための防衛兵器として渡されるんだということを担保しているというか、そういったことを理解していただけるようにすることが重要だと思っていて、どういった国に売るのかということにより我々は神経を使っているんだということを是非アピールして、理解をしていただく必要があると思います。

 余り、稚拙な議論になって申し訳ないかもしれないんですけれども、拳銃であっても、犯罪者が持てば人を攻撃する武器になりますけれども、自衛隊、警官が持てば人を守る道具になるわけでございますから、そういった観点で対象国をよりしっかりと精査をして、その国が侵略をしないことはもちろんですけれども、その国が自国民を迫害したりだとか、その武器を使って攻撃することがない国に限定して、しっかりと精査をして売るんだ、そういった方向性をアピールするというか、徹底をしていくことが重要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 委員御指摘の対象国の限定については、国家安全保障戦略において「三つの原則そのものは維持しつつ、」と記載しておるところであります。

 防衛装備移転三原則においては、第一原則として、移転を禁止する場合を明確化しております。

 また、第二原則として、移転を認める場合を、我が国の安全保障に資する場合等に限定しているほか、移転先の適切性や安全保障上の懸念等を厳格に審査することとしております。

 さらに、第三原則としては、目的外使用及び第三国移転に係る適正管理が確保される場合に限り、移転を可能としております。

 その上で、防衛省としては、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しの具体的な内容については、引き続き関係省庁とともにしっかり議論していきたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 この通常国会での安全保障委員会での質疑ももう大詰めといいますか、この法案で内閣提出の法案は最後ということでございますので、改めて申し上げておきたいんですけれども、やはり防衛力を強化をすることは当然必要でありますし、ただ一方で、繰り返しになりますけれども、これまでの経済財政政策の誤りのせいでその財源に困ってしまっている、そして、防衛予算の規模は、決して私は過大ではないと思うんですけれども、身の丈に合わない財政状況になってしまっているというのは、これは本当に深刻な状況だと考えております。

 先月、「日曜討論」を見ていますと、自民党の政調会長が、アベノミクスは間違っていなかったと。その説明として、これまで国政選挙に六回勝ってきているからだという説明をされて、私は全身から力が抜けてしまったんですけれども、経済財政政策の成功、失敗の指標というのは、経済財政指標であって、選挙に勝ったから、負けたからではないと思っているんですね。

 そのことを改めて、これは我々野党が選挙に勝ってこなかったという問題もあるんですけれども、しっかり経済財政を立て直す、そのための政策を政治がやっていかないと、国を守ることも難しいという状態になってしまっていると思いますので、これまでの三十年間の反省を生かした上で、改めて、国を守るためにも経済財政政策を転換していく、よくしていくということに取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、浜田大臣には非常に丁寧に御説明を様々いただいたんですけれども、反撃能力の行使の例示の問題であったり、また、昨日、前原代議士から要求させていただいたイージス・アショアとイージスシステム搭載艦の比較であったりとか、重要な、予算の大きい部分であったりとか、転換の部分での説明というのが、なかなか我々としても不十分だと考えているところがあります。それでこの法案に反対するところまではいかなかったんですけれども、やはり問題があるというところはしっかりと指摘をさせていただきながら、引き続き取り組んでいきたいというふうに考えておりますので、今後ともまた御指導いただければと思います。

 どうもありがとうございました。

鬼木委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 まず、前回に続いて、軍事企業への財政支援について伺います。

 前回、財政支援の対象には製造ラインの増設も含まれるという答弁がありました。製造施設の国有化についても、国が新たな施設を造って、企業に委託することも可能だということでした。

 今、防衛省は、五年間で防衛力を抜本的に強化するとして、長射程ミサイルなどの誘導弾や弾薬の製造に五兆円をつぎ込み、一気に整備する計画です。しかし、企業からすれば、五年後以降も同規模の受注が見通せなければ、製造ラインの強化に二の足を踏むことも考えられます。

 今回の法案は、軍事企業の施設投資費を国が肩代わりして施設や設備を増設させ、それでも足りなければ国が買い取って施設を新設し、固定費も国が負担して企業に兵器を造らせる、そういうことが可能になると思いますが、いかがですか。

浜田国務大臣 企業の設備投資は、防衛大臣の認定を受けた装備品安定製造等確保計画に基づく特定取組として、製造等の工程の効率化に適合する限り、本法律第二章による財政上の措置の対象となります。

 また、指定装備品等の適確な調達を図るために必要な施設、土地、設備については、管理の委託を受けて当該指定装備品等の製造等を行う防衛関連事業者がいることを前提に、他に手段がない場合には、この制度の趣旨に合う範囲内において増設することは可能であります。

 いずれにしても、これらの制度の運用に当たっては、具体的な案件ごとに法律の要件を満たすか、個別に判断していく必要があると考えております。

赤嶺委員 私は、こういうことが可能になれば、企業にとっては初期投資も維持管理費も一切負担せずに経営することができることになると思います。究極の軍需産業支援措置にほかならないということを指摘しておきたいと思います。

 その原資は国民の血税です。防衛省に国民への説明責任があります。ところが、法案には、国会や国民への報告についての規定は一切ありません。計画を認定した企業、支援措置の内容、国が支払った金額を国民に明らかにするべきだと思いますが、いかがですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、国の支出の原因となる契約に係る情報につきましては、財務大臣通知、「公共調達の適正化について」に基づきまして、原則公表することとされております。

 このため、特定取組の実施に係る契約を締結した場合には、この通知に基づきまして、自衛隊の任務遂行能力に関する弱点を推認されるおそれがない範囲で、契約の相手方や契約金額などに係る情報の公表を原則行うこととなるというところでございます。

赤嶺委員 極めて限られた部分しか公表しない、そういう答弁ですよね。国民の血税で軍事企業を優遇しておきながら、その使い道や金額、全体像を明らかにしないなど、これは認められないと思います。

 更に伺いますが、法案は、国が取得した施設などを早期に譲渡するよう努めるとしていますが、一方で、管理を委託している企業の円滑な製造に支障がないよう配慮すると書かれています。これはどういう意味でしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案では、取得した指定装備品製造施設等につきまして、国は早期譲渡に努めることとしているところでございます。他方で、本法律案では、装備品等の安定的な製造等の確保を進めることを目的としているところ、これに支障を生じてまで早期に譲渡する努力義務を防衛大臣に課しているものではないとの趣旨を、念のために規定している条文でございます。

赤嶺委員 これまでの防衛省の説明でも、そもそも、他に製造できるところがない、継承先も見つからないものを買い取るというものになっています。国が所有したからといって、譲渡先が見つかる保証はありません。国が施設や設備を保有し続けることになりかねないと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

浜田国務大臣 製造施設等の管理委託契約の期間満了前に当該製造施設等を買い付けて、装備品等の製造等を行う事業者を公募いたします。その公募に対し、そのような事業者が応募してきた場合は、現行の管理委託契約終了後に、当該事業者に製造施設等を売却することとなります。

 他方、このような公募に対して応募する事業者がいない場合は、管理委託契約を新規締結又は更新し、装備品等の製造等を引き続き行わせることとなります。

赤嶺委員 結局、委託先、譲渡先というのか、その保証は全くないわけです。防衛省が、軍事力の強化のために、採算も効率も度外視して施設を買い取り、増強し、製造させるというものです。参考人質疑では、有事の際に業務従事命令を課すべきだという主張も出ていました。戦前の工廠をほうふつとさせるものであります。日本の経済や産業も軍事最優先に転換していこうというものであり、これも絶対に認められません。

 次に、企業への秘密保全措置について質問をします。

 法案は、防衛省と契約した企業の従業員に対し、いわゆる省秘の保全を法律上の義務として、違反者には罰則を科すとしています。しかも、企て、教唆、幇助も対象としており、国民の知る権利を脅かす危険は重大であります。

 今でも防衛省は、契約上の措置として、秘密を取り扱う従業員に保全義務を課しています。これまで、従業員が情報を漏えいし、問題となったことがあるんでしょうか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 装備品等秘密として指定することを想定しておりますいわゆる省秘につきまして、三十年近く前ではございますが、当時の防衛庁の許可なく、当時の庁秘に該当する情報を事業者が流出しました事案を一件確認しております。

 本件事案を受けまして、企業における情報保全を確実なものとするため、装備品等の調達に係る秘密保全対策ガイドラインの策定など、必要な対策を講じたところでございます。

赤嶺委員 三十年前に一件だけですよ。それも、従業員が情報を漏らしたという事案ではありません。

 その後、防衛省は、省秘保全に関する訓令も改定いたしました。その下で問題は起きておりません。

 今でも企業は、下請まで含めて、厳しく情報管理を徹底している、このように聞いております。にもかかわらず、なぜ今回、刑事罰までつけて、民間事業者に守秘義務を課していくんですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、安全保障環境が厳しさを増し、防衛産業におきましてもサイバー攻撃の脅威などのリスクの増大が見られ、また、諸外国からの装備品等の導入や共同開発の進展に伴い、これまで以上に、契約事業者が取り扱う装備品等に関する情報管理の徹底が必要となっております。

 特に、防衛省から提供いたしました秘密情報を含む装備品等の情報が、万が一、契約事業者を通じて漏えいした場合、我が国の安全保障上の影響や諸外国からの信頼喪失につながり、その後の装備品等の開発や調達に多大な支障が生じることとなります。

 このため、防衛産業の保全制度の一層の強化のため、契約事業者に提供する装備品等秘密に関しまして、これを取り扱う従業者に対する守秘義務を法定化した上で、これを漏えいした場合の罰則を設け、保全の強化を図ることとしたところでございます。

赤嶺委員 刑事罰まで科すわけですよね。しかも、近年厳しくなっているとお決まりの文言を使っておりますが、三十年前に一回あったきりですよ。それ以後ないわけですよね。

 結局、二〇一五年に改定された日米ガイドライン、ここに、秘密情報の保護に関連した政策、慣行及び手続の強化における協力を維持する、このようにしております。二〇一九年四月の日米2プラス2でも、共通の経済及び防衛上の優位性の保持のために政府全体の情報保全を強化すること、防衛産業基盤と名指ししてサプライチェーンセキュリティーを進めることを確認しております。

 こうした協議の内容を今回具体化するものではないかと思います。日米間でどんな話合いをしてきたんですか。

浜田国務大臣 機微な技術情報を始めとする情報保全体制の徹底や、装備品に係る安全なサプライチェーンの確保は、日米同盟の重要な基盤であり、この認識は従来から日米間で完全に一致しているものであります。

 日米間の協議内容については、相手国との関係もあり、お答えを差し控えますが、御指摘の記述等を踏まえ、米国との間では、情報保全体制の強化や安全なサプライチェーンの確保に関し、不断に検討を行っております。

赤嶺委員 今年一月の2プラス2の共同声明も、同盟にとっての情報保全の基盤的な重要性を強調しています。アメリカの要求に基づくものだということは明らかであります。

 法案で守秘義務を課せられる契約企業の従業員には、プライム企業だけでなく、防衛省と直接契約関係のない下請企業、ここも含まれるんですか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案により守秘義務が課される従業者の範囲は、契約事業者が装備品等契約に従い、装備品等秘密を取り扱うこと等について、あらかじめ同意を得た従業者となります。

 下請事業者が装備品等秘密を取り扱う必要がある場合は、防衛省は下請事業者とも装備品等契約を締結し、元請企業と同じ保全措置を求めることになるため、当該下請事業者の従業者に対しましても、本法律案の守秘義務が課されることとなります。

赤嶺委員 含まれるわけですね。

 今回の措置により守秘義務を課せられる従業員、これはどういう業種で、規模はどのくらいになると想定していますか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案により守秘義務が課される事業者の業種につきましては、装備品等の製造や研究開発を行う事業者が想定されるところでございます。その従業者数につきましては、約一万五千人程度を見込んでいるところでございます。

赤嶺委員 一万五千人の人がこの法案の成立で一挙に刑事罰まで科せられる。今でも契約上の措置として、企業に対し、省秘を取り扱う従業員の情報は報告させていると思います。その事業者数と業種、契約数、従業員数、これも明らかにしていただけますか。

土本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの、まず、省秘を取り扱う特約条項を適用した契約を結んだ事業者数は約百四十者。業種につきましては、様々ございますので、一概に申し上げられませんが、機微情報を含む装備品等の製造事業者や、研究開発等に当たる事業者が該当します。契約数は約三百五十件。省秘を取り扱う従業者数は、先ほど申しましたように、約一万五千人程度となります。

赤嶺委員 やはりこれも、下請企業まで含め、多数の従業員に秘密保全を強制し、刑事罰の対象としようというもので、認められない。

 そして、論点はまだたくさん残っている。今日で採決というようなことになっておりますが、これでは非常に不十分な議論で、危険な法律が成立させられようとしていることに大変危惧の念を持っております。

 そういう法案は廃案にすべきだということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

鬼木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、軍需産業支援法案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、憲法九条を踏みにじり、日本経済、産業の軍事化を一層推し進めるものです。

 法案は、国内の軍需産業を防衛力そのものと位置づけ、生産・技術基盤を強化するとした安保三文書を具体化するものです。

 軍事企業が製造体制の強化などに必要と言えば、国が費用を丸ごと肩代わりし、さらには、直接、製造施設を買い取って、設備投資や維持管理の負担なしに事業を行うことを可能にするものです。究極の軍事企業支援策であり、事実上の工廠の復活に道を開くものです。

 しかも、新たな販売拡大のために、武器輸出への助成も進めるとしています。戦争を企業のもうけや経済成長に利用するなど、断じて容認できません。

 第二は、軍事機密の保全体制を拡大、強化するものだからです。

 法案は、広範な契約企業の従業員に、従来の契約上の措置にとどまらず、法律で省秘の守秘義務を課し、刑事罰の対象にするものです。しかも、漏えいだけでなく、企て、教唆、幇助も処罰の対象としており、メディアの活動を萎縮させ、国民の知る権利を侵害するものです。

 政府は、敵基地攻撃用ミサイルの射程や数、保管場所さえ国民に示しておりません。国民の目、耳、口を塞ぎ、大軍拡を進めるなど、絶対に許されません。

 アメリカは、軍事情報の共有や共同研究開発を推進するため、官民一体の情報保全対策の強化を日本に求めてきました。

 政府が進める武器輸出の拡大も、中国包囲網の構築を狙うアメリカの戦略に沿ったものです。

 こうしたアメリカ追従の軍事体制強化は、東アジアの緊張を一層高めるものです。軍事力の強化ではなく、地域の包摂的な平和の枠組みを発展させる外交に全力を尽くすよう政府に求め、討論を終わります。

鬼木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鬼木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、國場幸之助君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    防衛省が調達する装備品等の開発及び生産のための基盤の強化に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 本法において実施される装備品製造等事業者への財政上の措置や基金による助成金の交付が装備品等の開発及び生産のための基盤の強化の入り口に過ぎないとの認識の下、我が国の防衛産業が自律的な産業へと発展し、国際的競争力を備えたものとなるため、防衛装備品の開発及び生産の基盤を抜本的に強化するための戦略を明示することが必要であることから、本法に基づき、しっかりとした基本方針を定めた上で、施策を実施すること。

 二 基本方針の策定に当たっては、生産・使用実績、実現可能性、我が国の外交・安全保障戦略を総合的に勘案し、重点的に強化を図る分野を明示すること。

 三 海外からの輸入ではなく、国内での開発又は調達を優先する場合の判断基準の基本的な考え方を基本方針において明示すること。

 四 防衛産業への新たな企業の参入及び既存の防衛関係企業の防衛分野における積極的な事業活動の推進を促すため、防衛産業に対する企業の忌避感を低減させるための施策を講ずること。

 五 防衛装備品に活用する先端技術を発掘・開発するため、既存の防衛関係企業を中心とした閉鎖的な旧来の研究開発体制を見直し、先端技術や優れた民生技術を研究している多様な企業が参入しやすい環境を整備するよう努めること。

 六 国内の防衛関連企業の撤退が相次いでいる状況に鑑み、長期的に企業の高コスト体質と国際的競争力低下を助長するとされる原価計算方式について、その改善を行うなど、防衛産業を産業として機能させるための改革を検討すること。

 七 防衛関連企業において防衛装備品の製造に係る事業計画が立てられないなどの負担を強いられている実情に鑑み、主要な防衛装備品については調達開始までに将来の調達予定数量を可能な限り明確にするとともに、できるだけ短期間の連続した年度で調達を完了するよう計画を定め、かつ、その確実な達成に努めること。

 八 防衛産業の国際競争力の強化及び防衛省における防衛装備品の調達の効率化・安定化の観点から、我が国の防衛産業基盤の強化策の在り方について、企業の事業連携及び部門統合等も含め、継続的に防衛関連企業との意見交換を緊密に実施すること。

 九 指定装備品製造施設等の取得及び管理の委託については、防衛産業の活性化が図られるよう、法律に定められた目的の範囲内で、国が所有する施設等を有望な企業が使用し、先端的装備品の開発もすることができるように配意すること。

 十 装備品の海外移転に際しては、我が国ならではの安心・安全の確保のための技術が平和と安定の維持に寄与するための移転とすること。

 十一 防衛装備移転は、政府が主導し、官民連携の下に推進することが重要であることに鑑み、外部の専門的知識を有する者によって構成される会議を設置し、その助言等を受けることを検討すること。また、防衛装備移転の案件を形成する過程においては、優先的に移転を推進する品目を政府主導で選定することを検討すること。

 十二 防衛装備移転に当たり、案件の形成過程が効果的・効率的に進められるよう、外国に所在する在外公館その他の政府機関において、装備移転の推進に係る業務に必要な能力の強化が図られるための必要な措置を講ずること。

 十三 防衛装備移転の交渉に当たり、民間の事業者のみでは困難な相手国政府との政治的課題等に対しては、政府、官民一体となって戦略的に交渉・調整を行うこと。

 十四 本法に基づく装備移転仕様等調整に係る助成金制度の対象とならない場合においても、状況に応じて事業者に対する助成を行うことができるよう、その仕組みの創設と必要な予算措置について検討を行うこと。

 十五 防衛装備移転の円滑化措置の実施結果については、透明性確保の観点から、品目、件数、仕様等調整に要する費用の規模について相手国との関係が許す限り公表すること。

 十六 本法に基づく調査や財政上の措置については、民生品の技術と共有する部分も多いことから、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならないことについて一層配慮すること。

 十七 本法に定める装備品等秘密の保護に関する措置については、事業者に対し十分な説明を行うとともに、イノベーションの意欲をそぐことのないよう関係者の意見を聴いて、慎重にその理解を得るようにすること。

 十八 本法の施行後二年以内に、法律の施行状況や課題について国会に報告するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 ありがとうございます。

鬼木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鬼木委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。浜田防衛大臣。

浜田国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。

    ―――――――――――――

鬼木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鬼木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

鬼木委員長 この際、御報告いたします。

 財務金融委員会との連合審査会を明二十八日金曜日午前九時から開会することとなりましたので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十八分散会


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