衆議院

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第2号 令和5年11月9日(木曜日)

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令和五年十一月九日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 簗  和生君

   理事 鬼木  誠君 理事 小泉進次郎君

   理事 杉田 水脈君 理事 藤丸  敏君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 岩谷 良平君 理事 中川 宏昌君

      あべ 俊子君    上野賢一郎君

      江渡 聡徳君    大塚  拓君

      金子 俊平君    武田 良太君

      渡海紀三朗君    中谷  元君

      長島 昭久君    細野 豪志君

      松島みどり君    松本  尚君

      山本 左近君    若宮 健嗣君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    住吉 寛紀君

      北側 一雄君  斎藤アレックス君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   防衛大臣         木原  稔君

   外務副大臣        堀井  巌君

   防衛副大臣        宮澤 博行君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   防衛大臣政務官      三宅 伸吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 實生 泰介君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 池上 正喜君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局長)            河邉 賢裕君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            長岡 寛介君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 山崎  翼君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局次長)         久保田秀暢君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            土居健太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 扇谷  治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房報道官) 茂木  陽君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           中西 礎之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 今給黎 学君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  三貝  哲君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   政府参考人

   (防衛装備庁長官)    深澤 雅貴君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  松島みどり君     あべ 俊子君

  和田 義明君     金子 俊平君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     上野賢一郎君

  金子 俊平君     山本 左近君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     松島みどり君

  山本 左近君     和田 義明君

    ―――――――――――――

十一月八日

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

簗委員長 これより会議を開きます。

 この際、堀井外務副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。堀井外務副大臣。

堀井(巌)副大臣 外務副大臣を拝命いたしました堀井巌でございます。

 先日の委員会を公務により欠席させていただいたため、本日、御挨拶を申し上げます。皆様の御理解に感謝を申し上げます。

 国民の命と平和な暮らしを守り、国際社会の平和と安定に一層貢献すべく、外交分野において全力を尽くす所存です。

 簗委員長を始め、理事、委員各位の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

簗委員長 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官實生泰介君、外務省大臣官房審議官池上正喜君、外務省総合外交政策局長河邉賢裕君、外務省中東アフリカ局長長岡寛介君、財務省大臣官房審議官山崎翼君、国土交通省物流・自動車局次長久保田秀暢君、環境省水・大気環境局長土居健太郎君、防衛省大臣官房施設監扇谷治君、防衛省大臣官房報道官茂木陽君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官中西礎之君、防衛省大臣官房審議官今給黎学君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省整備計画局長青柳肇君、防衛省人事教育局長三貝哲君、防衛省地方協力局長大和太郎君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君、防衛装備庁長官深澤雅貴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

簗委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

簗委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 おはようございます。自由民主党の鬼木誠でございます。

 私は、昨年一年間、この安全保障委員会の委員長として、今、簗委員長が座っていらっしゃる席にかけさせていただきまして、激変する日本の安全保障環境について様々な議論を委員の皆さんとさせていただきました。防衛戦略三文書の改定により防衛予算を増強し、また、防衛生産基盤強化法の制定により、日本を守る防衛装備を国内で生産できる体制を強化してきた。そうした議論を一年間させていただきました。

 決してなれ合いではなく、与野党の緊張感ある議論、そして、考え方の違いはあっても、国民の命と平和な暮らしを守るという共通の目的のために真剣な議論を重ねてきた。そして、一定の結論を出すことができた。そういう意味で、私、本日おられる与野党の理事の皆さん、替わられて、おられませんが、理事の方始め委員の皆さん、与野党の安保委員会の皆さんに、本当に感謝を申し上げたいと思います。本当にすばらしい議論を積み上げていただきました。

 防衛予算の増強、そして戦略三文書、防衛生産基盤強化法の制定と、また、日英、日豪RAA、日本の防衛強化ができたということに私も本当に誇りを感じておりますし、今年は、この安保委員会に私は質問する側で一緒に参加させていただきますので、是非これからもよろしくお願いいたします。

 そして、こういう形で本当に前向きに進んできたんですが、やはり幾つかの誤解がありまして、国民との間のコミュニケーションが取れていないと感じることがあります。その中で一つありますのが、防衛予算が増えてもアメリカがもうかるだけじゃないかという批判があるわけですね。

 だけれども、私がこれまで様々な議論を重ねてきた中で感じるのは、むしろ、防衛装備は、輸入に依存するよりも国産化にかじを切っているのではないか。自分の国を守るために、自分たちできちんとできるようになろうよという方向に日本は今かじを切っているということが私の実感であります。

 特に、象徴的なものとして、次期戦闘機の開発やスタンドオフミサイルといったものが挙げられると思います。

 戦後の日本は、民間旅客機でさえ自国で生産できないということがありました。そういう中で、防衛においては、日本とイギリスとイタリア、三か国共同で次期戦闘機を、GCAPですね、開発することになりました。修理も自分でちゃんとできるようになるし、能力を向上するための改修だって自由にできるようになる。これは本当に、日本の、自分の国は自分で守るという独り立ちを示す象徴的な出来事ではないかと思っております。

 そこで、大臣に伺います。

 次期戦闘機の日英伊共同開発が日本の防衛や、さらには産業界にどういう好影響をもたらすとお考えか、このGCAP計画に併せて、防衛大臣の意気込みと併せて伺いたいと思います。

木原国務大臣 鬼木委員から、次期戦闘機の国際共同開発についての御質問と意気込みということで御質問いただきました。

 昨年の日英伊の共同首脳声明を踏まえまして、防衛省では、二〇三五年頃に退役を開始するF2戦闘機の後継機として、英国、イタリアとともに次期戦闘機の共同開発を進めています。

 一昨日の日英の2プラス2でもGCAPについて幾つか確認をさせていただいたところですが、次期戦闘機の共同開発は、三か国の技術を結集し、コスト等を分担しつつ優れた戦闘機を開発するものであり、これにより、我が国の防衛に必要不可欠な航空優勢を将来にわたって担保することができます。

 また、次期戦闘機の開発において様々な先進技術に投資するとともに、国際的に活躍する次世代のエンジニアが育成されることで、産業界全般への波及効果も期待できるわけであります。

 防衛省としては、我が国経済全般へのそういった広範な波及効果も期待される次期戦闘機の開発について、二〇三五年までの開発完了を目指し、着実に推進してまいります。

鬼木委員 ありがとうございます。

 まさに、日本の空を守るための機材になりますので、どういう脅威があって、それにどう対応するために、そうした必要な機能を万全に備えられるものとなるように、これからの開発を是非進めていただきたいと思います。

 また、先ほど述べたスタンドオフミサイルでございますが、スタンドオフというのは長距離のミサイルということなんですが、英語でスタンドオフってどういうことかなと調べますと、離れて立つとか近寄らないという意味があるらしくて、ラグビーでも、私はラグビーをやっているんですが、スタンドオフ、今年もワールドカップが、イングランドのオーウェン・ファレル選手が本当にキックを連発して、パスだと短くしか移動できないけれども、キックだと大きく前に前進することができる。あっ、これがまさにスタンドオフだなと思いながら、スタンドオフミサイルと重ねて見ていたんですが、ラグビーの時間、話をしているとあっという間に終わってしまうので、このぐらいにしまして。

 スタンドオフミサイルというのは、長距離の、長射程のミサイルで、島嶼防衛を目的として、敵の着上陸を阻止するという意味で、離れたところから大きな射程のミサイルを開発しているということなんですが、このスタンドオフミサイルも、私は国産化にかじを切っていると思います。一二式の地対艦誘導弾を能力向上いたしまして、航続距離を延ばすことで国産のものを改良、量産して配備するということが計画されているので、私は、これは国産にかじを切っていると思っているんです。

 ところが、今回注目されたのが、アメリカから日本がトマホークを購入するということだけに注目が集まってしまいまして、それで、象徴的な出来事として、アメリカがもうかるだけじゃないかという世論につながってしまっているなというのが、私が残念に思っているところなんですね。

 なので、なぜ、この度、日本はアメリカからトマホークを購入することになったのかということを御説明いただきたいと思います。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の防衛力の抜本的強化に当たりましては、今御案内いただきましたとおり、スタンドオフ防衛能力を抜本的に強化するということにしているわけでございます。

 このスタンドオフ防衛能力でございますけれども、こちらにつきましては、隊員の安全を確保しつつ、侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に対して脅威圏の外から対処をする、また、様々な地点から重層的にこれらを阻止、排除できる必要かつ十分な能力を保有するといった方針に基づいて整備をしていくものでございます。

 その上で、国産のスタンドオフミサイルを必要な数量を整備するには一定の時間を要するということがございますことから、それまでの間に十分な能力を確保する、そのために、既に量産が行われておりますトマホークを取得するということにしたものでございまして、これらのミサイルの取得を並行して進める、そのことで早期に所要量のスタンドオフミサイルを整備していくということにしたところでございます。

鬼木委員 まさに、国産のもので進めようとしているけれども、今配備するためには間に合わない。要は、一刻を争うという緊急性があるから、今配備できる実績のあるものを購入したということだと思います。そのぐらい、やはり日本の南西諸島、スタンドオフ能力を確保するということが日本の防衛にとって重要な局面であるということを国民に伝えていかなければならないと思います。

 そうした中で、この度、日本はトマホークの前倒し購入を決めました。元々ブロック5を購入予定だったものを、前倒し購入では、一つ前の型の機材であるブロック4を買うことになった。これに対して、やはり批判的な方からは、アメリカから型落ちの在庫を買わされているという批判もされるわけですね。

 そうではない、ちゃんと能力、機能があるということを御説明いただきたいと思います。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、可能な限り早くスタンドオフ防衛能力を整備するべく、国産のスタンドオフミサイルにつきましては二〇二六年度から配備開始を予定しておりまして、それを補うものとして、トマホークについては、二〇二六年度そして二〇二七年度に最大四百発、早期の取得を行うということにしていたところでございます。

 その上で、より厳しい安全保障環境を踏まえまして、スタンドオフ防衛能力の構築に向けた取組について、更に前倒しをして実施をする必要があるというふうに大臣が御判断いたされまして、その旨が事務方に指示をされ、国産スタンドオフミサイルについても、より早期の取得開始に向けて検討を行っているところでございます。

 トマホークにつきましても、米側と取得時期を早めるべく交渉いたしまして、日米防衛相会談においても議論されたところでございます。その結果、二〇二六年度それから二〇二七年度にブロック5を取得する一方、ブロック5の一部をブロック4に変更して、当初予定よりも一年早く、二〇二五年度から取得することにいたしたところでございます。

 ブロック5はブロック4に比べまして、通信方式が新しくなっているものの、弾頭、誘導方式、射程などにつきましては同等の性能を有しているところでございます。ブロック4とブロック5共に、スタンドオフ防衛能力として、我が国を防衛するために十分な機能を有しているというふうに認識しているところでございます。

鬼木委員 それだけ、もう前倒ししなきゃいけないというぐらい脅威が迫っているという事実、そして、弾頭の威力も射程距離も遜色ないものだということ、これはまさに木原大臣の英断だったと思います。

 もっと質問したかったんですが、木原大臣、しっかり頑張っていただきますようお願いいたしまして、私からの所信質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。

 当委員会では初めての質問となります。よろしくお願いいたします。

 日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しており、昨年末には安保関連三文書が閣議決定をされまして、反撃能力の保有が初めて盛り込まれました。

 我が党といたしましても、戦後長い間政策判断として保有してこなかったものを変更するものになるとして、丁寧な議論を進め、憲法九条の理念に基づく専守防衛を逸脱しない範囲で、反撃能力の行使は自衛権行使の一環であるということを明確にしました。日本の専守防衛ということはいささかも変わらないということであります。

 今年三月九日の本委員会における我が党の河西委員の質問の際、当時の防衛大臣から、新たに反撃能力を有したとしても、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されず、それを行うことはないことは、これは言うまでもないことでありますと答弁をいただいております。

 新たに木原防衛大臣が御就任されたわけでございますが、反撃能力を有しても、我が国は専守防衛を逸脱することはない、先制攻撃は行わない、このことにつきまして改めて確認させていただきたいと思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。

木原国務大臣 中川委員から御質問をいただきました。

 改めて、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、これは我が国の防衛の基本的な方針であります。

 そして、反撃能力は、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合に、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンドオフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力と、国家安全保障戦略及び国家防衛戦略にこれは明記しているところであります。

 どちらも、相手から武力攻撃を受けた場合の必要最小限度の自衛の措置という観点でこれは整合しているわけでありまして、このように、反撃能力は、憲法、そして国際法、国内法の範囲内で運用されるものであって、専守防衛の考え方を変更するものではなく、武力行使の三要件を満たして初めて行使されるものであり、また、三月に御党の河西委員が当時の浜田防衛大臣に質問されて、それで答弁があったとおり、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されず、それを行うことはないとの考えに私も変わりはありません。

中川(宏)委員 ありがとうございました。大臣に改めて確認をさせていただきました。

 昨年策定された新たな国家安全保障戦略においても、我が国の安全保障に関わる総合的な国力の要素の第一に外交力が掲げられておりまして、外交力、すなわち対話が特に大事だと思っております。政府におかれましては、より一層、これからも緊密な外交力としての対話を推進していただきたいと強くお願いを申し上げます。

 そこで、各国との関係の強化でございますが、平和安全法制が制定されてからは、より多くの国との連携協力、この推進が加速されたと思います。現在、我が国では、同盟国や同志国との防衛協力と交流につきまして、FOIPというビジョンの実現に向けて取組を進めているわけですが、改めてその取組につきまして外務、防衛両省から御説明をいただきたいと思います。

河邉政府参考人 お答え申し上げます。

 本年三月、岸田総理がインドにおきまして、自由で開かれたインド太平洋、FOIPのための新しいプランを発表しました。これは、国際社会を分断と対立ではなく協調に導くとの目標に向け、歴史的転換点におけるFOIPの考え方や取組について示したものでございます。

 その中で、FOIP協力の新たな四つの柱を示してございます。すなわち、第一に、平和を守るという最も根源的な課題への対処の在り方として、法の支配を重視すること。第二に、気候変動、食料安全保障、国際保健、サイバーセキュリティー等、幅広い分野をFOIPの中に取り込み、インド太平洋流の現実的かつ実践的な協力を推進すること。第三に、多層的な連結性の強化により、みんなが裨益する形での経済成長を目指すこと。第四に、海だけでなく空も含めた安全の取組を強化することでございます。

 FOIP協力を拡充するに当たりまして、官民が連動する形で各国のニーズに力強く応えていくことも重要でございます。例えば、ODAの効果的、戦略的な活用を推進し、日本の民間企業のノウハウ、技術などを生かした魅力的なメニュー作りを提案し、オファー型協力などを推進していきたいと考えてございます。

 政府といたしましては、このような取組を通じ、また、米国、豪州、インド、ASEAN諸国、太平洋島嶼国、韓国、カナダ、欧州など、多くの国々とも連携を強化しながら、FOIPの実現に向け、更に取り組んでまいる所存でございます。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 FOIPについてでございますけれども、国家防衛戦略の方におきましても同志国等との連携の強化を掲げておりまして、力による一方的な現状変更やその試みに対抗して、我が国の安全保障を確保するためには、同盟国のみならず、一か国でも多くの国々と連携を強化することが極めて重要である。そうした観点から、FOIPというビジョンの実現に資する取組を進めていくということにしているところでございます。

 防衛省としてのFOIP実現に資する取組でございますけれども、これまでも、各国との防衛協力、交流といったものに取り組んでおりますほか、ハイレベル会談、実務者協議、多国間の国際会議、共同訓練、演習、能力構築支援、防衛装備・技術協力などの取組を推進してきているところでございます。

 今後とも、地域の特性や相手国の実情といった面を考慮しながら、円滑化協定、物品役務相互提供協定、防衛装備品・技術移転協定等の制度的な枠組みの整備も含めまして、多角的、多層的な防衛協力、交流を積極的に推進していく考えでございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 時間もないものですから、最後に一問お伺いをしたいと思います。

 人への投資ということでございます。

 今回、防衛大臣の所信の中の大事な柱の一つとしまして、人への投資とございました。私も昔からおつき合いのある防衛協会の方にお話をお伺いしますと、近年の自衛隊員の募集はなかなか人が集まらず、御苦労が絶えない状況が続いてきているということであります。防衛力を大幅に強化することが決まっている中、募集対象人口が減少する中で多様な人材を確保するためには、採用制度の見直しも必要ではないかと考えるところであります。大臣の所信にあるように、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備することは重要な目標であります。

 そこで、防衛省・自衛隊といたしまして、隊員の募集、採用体制の強化、人材育成、隊員の処遇の向上や生活、勤務環境の改善等に現在も取り組んでおられると思いますが、特に採用制度の見直しにつきまして、この点につきましてお伺いをしたいと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化や労働人口の減少によりまして、我が国が深刻な人手不足社会を迎える中、民間を含め、人材獲得競争はより熾烈なものとなっており、防衛省といたしましても、強い危機感を持って対応しなければならないと認識しております。

 その中で、自衛官の採用制度につきましては、防衛力整備計画において、専門的知見を持つ外部の高度人材を取り込むため、柔軟な採用、登用を可能とする新たな自衛官制度を構築することとしておりまして、現在、最大五年の任期で自衛官として採用する制度を検討しております。当該制度を可能な限り早期に実現することで、多様な人材の確保に努めてまいります。

 また、これまで新卒者を中心とした採用を行ってきたところでございますが、民間での経験を積んだ方を来年度からキャリア採用幹部という形で募集、採用することで、転職市場の活用も重視してまいります。

 そのほか、御指摘いただきました各種施策につきまして、あらゆる選択肢を排除せず、人的基盤の強化のため有効な対策を講じてまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 人は城との格言もございまして、自衛隊員あっての防衛ですので、現状をしっかり捉えていただきまして、隊員の士気が上がる環境改善に是非とも取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、以上で終わります。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 両大臣、お疲れさまでございます。特に、上川大臣、連日外国訪問されたり、またG7の外相会合等々で汗をかかれたりということだったと思います。

 まずは、今申し上げたこのガザ地区をめぐる中東情勢でございます。

 今、連日テレビで、イスラエル側が一千四百人くらい亡くなったと、他方で、パレスチナ側が一万人を超える死者が出ている、子供も多いという報道がございます。

 ロシアのウクライナ侵略、これは、いわば白黒がはっきりしている問題だと思います。ロシアが黒です。ですから、ある意味対処の方針は簡単なところがあると思うんですけれども、このガザ地区をめぐる情勢については、二千年来の歴史を持つ問題です。どっちがいいとか、どっちが悪いとか、考えれば考えるほど白黒をはっきりできない、そういう問題という側面が少なくとも私はあると思っているし、そのことを踏まえる必要があるというふうに考えております。

 したがって、焦眉の急は止めるということだということを私も始まったときからずっと発言を求められれば言ってきたんですね。焦眉の急は止めることだということを申し上げたんですけれども、昨日、G7の外相会合で、最大公約数だったんだと思いますが、人道危機対処で、戦闘の人道的休止を支持することで一致したという表明がございました。このことの実効性、これをどう担保していくかということだと思います。

 報道によれば、一部ですけれども、双方とも一時的な戦闘の中断には合意する見通しだというような報道もあるやに聞いていますけれども、今申し上げたことの実効性の担保についてまず伺いたいと思います。

上川国務大臣 おはようございます。

 イスラエルそしてガザをめぐる今の状況につきましては、刻一刻と変化をしてまいりました。そして、今、玄葉委員からのお話のとおり、その状況については深刻度を増している、こうした認識でございます。

 今般のG7の外相会議におきましても、このことにどう対応するかということにつきましては、G7として一致した行動が取れるかどうか、ぎりぎりのところで議論をし、そして調整をして、その上での成果文書として今回発出したものでございます。

 今、ハマスによるテロの攻撃ということで多くの犠牲が出たということに対して、また同時に、イスラエルの行動に基づく様々な被害がガザ地区に深刻に及んでいるということ、この事実に目を背けてはいけないというふうに思っております。

 そして、何としてもこうした状況を止めること、このことについては、G7の間でも共通の認識をすることができました。それが成果文書として一つにまとまったということにつきましては、これは初めてまとめたものでございまして、大変大きな動きがあったというふうに認識をしております。

 大切なことは、これをいかに実現をしていくか、まさにその行動をしていくということが求められておりまして、委員御指摘のとおり、これからG7の責任を持って、今の方向性に向かって力を合わせて、また、G7のみならず、様々な国々と、そして中東の地域の国、さらには国際社会全体の中でこの実現に向けて様々な形で働きかけを深め、そして、この方向性が実現できるように最大の努力を切れ目なく日本としてもやってまいりたいと考えております。

玄葉委員 イスラエルに強く影響力を持っているのは、誰が見ても米国です。ただ、米国だけではなくて、日本も含めてあらゆる努力をしなければならない。恐らく、一時的な休止というのは、可能性としては私はあると思っています。ただ、その一時的な休止を、これは抜本的解決にはなりませんので、仮にそれができたら、次のステップの停戦等に向けて前進できるかどうかということまで視野に入れながらこの問題を見ていかなきゃいけないというふうに思います。

 それで、今、私自身が申し上げ、また上川大臣がおっしゃったように、とても結果が大事だということなんですけれども、この局面、結果をどう出すかということと同時に、私は、もう一つ大事なことがあって、どうしても日本は中東の問題でメインのプレーヤーにはなりにくいという側面が、地政学的にもあるような面があります。

 ですから、結果も大事なんだけれども、結果だけではなくて、日本自身がどういう立ち位置で、どういうスタンスで、どういう発言をしていくかということがとても大事だと思うんですね。それは実は、例えば南米だとかアフリカだとかといったグローバルサウス、さらには中東諸国もいわば鋭く見ているというふうに感じた方がいいと思うんですね、この問題は。ですから、そのことをまず上川大臣に是非とも意識してもらいたいと思います。

 着任早々大変だとは思いますけれども、これはすごく私は大事で、日本外交の地平を広げることができるかどうかの大事な局面だというふうに思っています。

 それで、日本の外交として大事なことは、いわばシンプルに、日本の外交の座標軸を、ぶれずに、ダブルスタンダードじゃなくて、言い続けるということが私は大事だと思っているんですね。では、日本の外交の座標軸って何だといったら、私は今回、九月の国連の岸田さんの一般討論演説を読みましたけれども、とても簡単明瞭でいい演説だと思いました。そこにある意味キーワードが明確に出ているなと思っていますけれども。

 これは通告したので、上川大臣は、岸田さんの演説、どういうふうに読まれているか、キーワードは何だと思われているか、お答えいただけますか。

上川国務大臣 キーワードということで御質問がございましたけれども、あえてキーワードとして一つ挙げれば、人間の尊厳ということが明確にうたわれてきたということでございます。

 これに付随する形でということも相互に連関しているわけでありますが、法の支配、そして人間中心の国際協力、こういった面、さらにはそうした文脈の中で核軍縮、このことにつきましても触れられたところ、これがキーワードというふうに考えております。

玄葉委員 私も全くそのとおりだと思っていまして、人間の尊厳と法の支配というのがキーワードだし、日本外交の座標軸と言ってもいいんじゃないかと思います。

 現に、上川大臣も、この安保委員会の大臣所信で最初に言っているのが、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持強化する、これがもう第一だという少なくともニュアンスでこの所信を述べられているわけです。

 ですから、人間の尊厳と法の支配というのを言い続ける。言い続けるという意味は、全ての場所で、全ての人に言い続ける、このことが今すごく問われているのが日本外交だ、私はそう考えているんですね。

 それで、お聞きしたいんですけれども、日本の中東外交というのは、これまで全方位の外交だと言われてきたわけです。最近は、新聞などは、何かバランス外交に腐心しているとか、そういう言い方をしていますけれども、いわば全方位なわけです。石油を九割は中東に依存しているということもあるということもあって、そういうところがあるし、私自身も、二十数年前ですけれども、小渕さんが団長でパレスチナの選挙監視に行ったこともありました。実際に投票所を回って、各地区歩いて、パレスチナの方々に触れ合って、とても親日的だというのを痛感しましたけれども、当時、アラファトさんにも会いました。その後もまた、外交の担当をしているときにもパレスチナへ行ったこともございました。

 そんな中で、中東における日本のこれまでの全方位外交、ジェリコの農業団地を支援したりしてきたりもした。

 そのことを上川大臣としてはどう認識をし、どう評価されておられるのかということをお聞かせいただけますか、通告しましたので。

上川国務大臣 我が国は、中東におきまして、様々な国々とひとしく、またそれぞれの特色を持った外交を積み重ねてきた歴史がございます。

 このことを私自身、今回、G7の外相会議の前の週でありますが、今、目下の大変重要な地域でありますイスラエルとパレスチナ、この問題に係る当事者でありますイスラエルとパレスチナも訪問をいたしました。さらに、その隣国でありますヨルダンにも行かせていただきました。

 先ほど委員からおっしゃったとおり、大変長い歴史の中で積み重ねられてきた様々な要素というものを、大変短い時間ではございましたが、今集約されている、フォーカスが当たっているこの地域の中で、極めて強く実感もしたところであります。

 同時に、その訪問をすることができたこと自体も、これまで日本の中東外交、様々な形で、いろいろな、多様なレベルで行ってきたこと、このことに対しましてその当該国からも大変高い信頼とそして友好の歴史があったということ、このこと抜きには今のような動きはすることができないということを感じたところでもあります。

 その意味で、今回、中東の各国に対して話をすることができる、アクセスすることができるということは、大変日本にとりまして大事な役割を果たし得るということの裏返しでもあると認識をしているところであります。

 日本独自のこうした立場を最大限活用をさせていただきまして、短期的に言いますと、今回の人道状況のまず改善、このことについてしっかりと取り組むとともに、中長期的には、日本が一貫して支持をしてまいりました二国家解決、この方向に向けまして、イスラエル、パレスチナ双方を含みます関係各国あるいは関係機関、こうしたところとしっかりと働きかけをし、連携をして、この文書にまとめ上げたことの行動を一つずつ丁寧に、また迅速にしてまいりたいというふうに考えております。

玄葉委員 今のお話だと、これまでの日本の中東における全方位外交を評価をし、それを最大限生かしたい、こういうことだと思います。

 問題は、生かし切れているかという問題だと思っているんですね。つまり、例えば、上川大臣がイスラエル、パレスチナ等を訪問しているときのイスラエル外相との対話と、ちょうど米国の国務長官も行ってネタニヤフさんと会っていたわけですけれども、そう言っていることが変わらないですね。というか、ほとんど変わらない。アメリカの言っていることと日本の言っていること、何がどう違うのかというのは私には判別できないのですけれども、その点はどういうふうにお考えですか。

上川国務大臣 様々な国が様々な中東地域に対して働きかけをしているというのが今の状況であります。

 私も、この事案が発生して以来、様々な国々と電話会談を重ね、また、最終的には、今申し上げたように、G7の外相会議の前の週に訪問をさせていただきました。電話会談におきましても、一貫して日本の姿勢を主張してきたところでありまして、この間、変わらず、変わらない立場であったところであります。

 他の国がどのような考え方をしているのかについて私の方からコメントすることができる立場ではございませんけれども、そうした立場の部分も明確に、G7の外相会議におきましても忌憚ない、そして率直な意見交換をさせていただいた上で、そして最終的に文書という形で初めてまとまったところであります。

 先ほど来、このところを一つの大きな土台にしながら、その実現に向けて、しかし粘り強く、最終的な中東の平和を実現するための取組、このことについて知恵を絞り、また関係する当事者及び周辺の非常に重要な役割を持つ国々とも連携をしながら取り組んでまいりたいと思っております。

玄葉委員 ロシアによるウクライナ侵略については、さっきも申し上げたように、力による現状変更で、我々の安保環境上、一番の懸念である中国も、もうはっきり言って、ずっとじっと見ているわけです、何が起きるのかということを。だから、これはもう西側として、日本も含めて足並みをきちっとそろえなきゃいけない、そういう大テーマだと思います。

 今回の事案はこれは歴史が余りにも欧米と違っていて、欧米はある意味イスラエル建国に携わった歴史ですから、最大公約数でG7として足並みをそろえるということは必要なんですけれども、でも、時に日本は日本として、踏み込むところは踏み込んで言うということが大事な局面だ。

 ここをうまく判別して外交しないと、冒頭申し上げたように、グローバルサウスだとか中東がどう見るか。アメリカと一緒じゃないかというふうに見る、あるいは見ている可能性が私は今出てきているというふうに思っているんですね。

 そもそも、このイスラエル、今回、もちろんハマスの無差別テロ、非難されるべきだし、イスラエル、自衛の権利ありますよ。でも、これはやり過ぎでしょう、こうなってくると。正直、私はそう思いますよ。イスラエル軍はやり過ぎだと思います。

 イスラエル軍による地上戦というのは、地上侵攻というのは、これは大量殺りくにつながりかねない、結果としてハマスを利することになりかねないと私は思っているんですね。回り回って中国とかロシアを利します、これは。

 だから、そもそも上川さんは、このイスラエルによる地上侵攻というものをどういうふうに考えているのか。どう評価しているのか。別に、法的にどうだこうだと言っているんじゃないんです。やるべきなのか、やるべきじゃないのか。やるべきじゃないと、はっきりやはり言うべきじゃないですか。

 これはもう千四百人と一万人。そもそも、もうプロポーショナリティーというか、均衡性を失していますよね。そもそも失しているでしょう。そういうことに対して日本の外務大臣が何の発言もない、法的評価も避けるということばかり言っていたのでは、変わらないじゃないか、欧米とという感じになっちゃうんじゃないですか。

上川国務大臣 今回、G7の外相声明におきまして、私は、日本の立場ということについて明確に主張をさせていただきました。そして、そのことについて多くの議論がございましたけれども、最終的にまとめ上げたところであります。

 これは、G7の議長国としての責任の中で、一つのボイス、ワンボイスでしっかりメッセージを出すこと、それは極めて重要なことだというふうに思っております。

 もちろん、バイの関係ということについても、これは当然重要であると考えます。しかし、G7そのものの中でまとまっていないという状況、このことについては、これも極めて大きな影響を及ぼすものだというふうに考えておりまして、その意味で、バイの関係、そして、そのことを生かしつつ、また、こうしたG7の一つのワンボイスでこの問題について対処するという力ということにつきましても極めて重要である、こういう姿勢で今回G7の外相会合に臨ませていただきました。

 昨日、最終的な声明を発出させていただきまして、私、記者会見をいたしたところでありますが、具体的に申し上げるところでありますが、まず、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難をすること。そして、人質の即時の解放を求めること。そして、ガザにおきます人道危機に対処するための緊急の行動を取る必要があるということ。特に、食料、水、医療、燃料、シェルター、こうしたものを含みます人道支援、そして人道支援の従事者のアクセスを可能とすること。そして、人道支援を促進するための人道的休止及び人道回廊を支持するということ。そしてさらに、国際法、特に国際人道法の遵守が重要であること。さらに、紛争の更なるエスカレーション、そしてより広範な地域への拡大を防ぐ必要があるということ。また、ガザの持続可能で長期的な解決等に取り組むことや、二国家解決が公正で、永続的で、安全な平和への唯一の道であることなどについて一致したところでございます。

 国際的な社会におきまして、こうした基本的な考え方にのっとり、そして、日本としてのこれまで取り組んできた長い外交の資産、そして信頼、こういったことをベースに粘り強く外交努力を更に積み重ねてまいりたいと考えております。

玄葉委員 私が聞いたのは、今おっしゃった、G7外相会合で意見を一致させる、このことは最大公約数で、確かに大事なことです。これを私は悪いと言っているわけでは全くなくて、これはこれで、最大公約数でまとまったんだからいいじゃないか、これを踏まえて結果を出そうよ、こう言っているわけです、冒頭申し上げたように。

 他方で、やはりこれは表に聞こえなきゃ意味がないんです。中で主張したなんと言ったって意味がない。表で日本の外交が何をどういうスタンスで展開しているのか、どう主張しているのかということがまた一方で問われているということを今申し上げているわけです。

 ですから、明確に言うべきところは言わなきゃいけないということを言っているんですね。私がさっき申し上げたのはそういう意味で、いわゆるイスラエルの地上侵攻というのはすべきでないよねということは、上川大臣はどう考えているんですかということを聞いたわけだし。

 もう一つ、では、今おっしゃったラインでいうと、国際人道法を始めとする国際法の遵守が重要だと。これはG7の話ですけれどもね。では、G7はともかくですよ、日本として、今のイスラエル、ハマス、私は、イスラエルもハマスも双方とも国際人道法に反する攻撃があるというふうに評価しますし、そう思っていますけれども、そういう認識でよろしいですか。

上川国務大臣 我が国におきましては、今般の事案に対しまして、全ての当事者が国際法に従って行動することを一貫して求めてきております。イスラエルに対しましても、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難した上で、一般市民の保護の重要性、まさに国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきておりまして、先般、私のイスラエル訪問におきましても、私からコーヘン・イスラエル外相に改めて直接お伝えをしたところでございます。

 その上で、目下の最優先課題は、ガザ地区の人道状況の改善であります。状況につきましては、深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来のある子供たち、また女性、高齢者が被害に遭っていることに大変心を痛めております。

 また、まずは同地区の一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道目的の戦闘休止及び人道支援活動が可能な環境の確保、これをイスラエル側に求めており、この点につきましても、私らからイスラエルのコーヘン外相に直接お伝えをしたところでございます。先ほど申し上げたG7の中でも、そのようなことを申し上げ続けてまいりました。

 イスラエル、パレスチナ双方と友好な関係を築いてきた、そして中東各国に対して話ができるという日本独自の立場を活用して、短期的には人道状況の改善、事態の鎮静化、中長期的には、日本が一貫して支持してきた二国家解決の実現に向けて、イスラエル、パレスチナ双方を含む関係各国に対して働きかけを行っているところでございます。

玄葉委員 私が聞いているのは、今御答弁があったので、国際人道法を始めとする国際法を遵守せよと。G7で言うのは分かりました、それで結構です。ただ、日本として、日本の認識として、日本の外務大臣の認識として、イスラエル、ハマス双方に、これは国際人道法に反する攻撃がありますねと。これは、事務総長は、ありますねと言っているんですよ、きちっと、あると。

 私、踏み込んだらいいと思う。いや、そういうところで踏み込まないと、みんな見ていますよということを言っているんです。アメリカと同じでしょう、イスラエル側に明確に立ったアメリカと一緒でしょうと。アメリカと歩調を合わせるときは、すごい大事です。同盟国ですし。この問題でも歩調を合わせなきゃいけないときはあります、もちろん。だけれども、日本が独自に認識を示さなきゃいけないところもあるんですね、この問題は。すごく大事ですよ、この局面は。

 ですから、双方とも、それぞれの反撃は国際人道法に反する、そういう認識ですということでいいですねと聞いています。

上川国務大臣 イスラエル軍の行動につきまして、今、人道法にのっとってという話がありましたけれども、法的評価をするということにつきましては、差し控えさせていただきます。

玄葉委員 だから、それでは駄目なんですね。これは、一番基本的なところなんですね。

 もう一つ、じゃ、聞きますよ。

 さすがにこれが言えなかったら、ちょっと終わっちゃうなと思うんだけれども、不法占領という現実がありますよね、この間の、イスラエルの。御承知のとおり、一九六七年に国連安保理決議は全会一致で、イスラエルのヨルダン川の西岸、ガザの占領を違法とし、撤退を求めました。アメリカも賛成しました。しかし、イスラエルは、残念ながら、五十七年間、安保理決議に背き続けているわけであります。

 別にイスラエルが憎いからそういうことを言っているわけではないし、憎いわけでは全然ないんですけれども、ただ、日本としてきちっと言うことは言った方がいいということを言っているんですが、日本もずっと、不法占領だ、こういうふうに言ってきているわけですけれども、これは、占領地での入植活動は国際法違反、こういう認識でよろしいですね。

上川国務大臣 そのとおりであります。

玄葉委員 だから、そのことを言えるんだったら、ハマスのことばかり何か言わないで、イスラエルのことも、日本の場合は、国際人道法においてだって、言ったっていいんですよ、何も。言うことで信頼が高まるんですよ、むしろ。

 だから、そのことの判断を、よく外務省の幹部というか担当者としっかりして、ここは、日本は踏み込んだ方がいいなと思ったら、アメリカは言っていないけれども、日本は踏み込もう、ここは。私のときもいろいろありましたよ、そういうときは。

 だから、ここは踏み込もうというときは、やはり踏み込むということが大事。それは、冒頭申し上げたように、人間の尊厳と法の支配と言っているわけですから、何でこの人道法のときだけ法の支配を封印しちゃうということに結果としてなっちゃうじゃないですか。そうすると、日本もダブルスタンダードだなと見られかねない。だから、シンプルに、基本的に日本は、ああ、なるほど、日本の外交の座標軸を言い続けているな、なるほどなといろいろな国が得心するような外交を私はしてほしいんです。だから、この局面はすごく大事です。

 G7をまとめたことは、私、一定の評価をします。だけれども、日本の独自のスタンス、そのこと、立ち位置というものを通じて、具体的に何を発信したら信頼が得られるか、特にいわゆるG7以外の国々から信頼される、それは、グローバルな課題がこれからたくさん出てきていますというか、もう既に出ています、それを日本が主導的に役割を果たして解決していくためには、とても大事なことになります。

 日本は、あのときも一貫して同じことを言い続けたなと。どこでも誰に対しても一貫して同じことを言ったということが生きてくるので、私は、そのことを言いたくて、ずっとこの問題を今日は取り上げてきたということでございます。

 ですから、アメリカのメディアは今、イスラエルの不法占領を伝えません。全く伝えません。一方で、アルジャジーラなどのアラブ系は、不法占領こそ戦争の原因だと毎日やっているわけですから。だから、日本は、ある意味そこはニュートラルな立場で、きちっとやはり言うべきところは言うという、そういう姿勢を貫いてほしいんですけれども、いかがですか。

上川国務大臣 先ほど私の方から、この間の日本としてのスタンス、姿勢について申し上げたところでございます。その姿勢に基づいてこれからも活動して、行動してまいりたいというふうに思っております。

 日本の独自の外交という形で、バイの会談、あるいはマルチの会談におきましても、忌憚なく申し上げてきたところでございます。また、対外的にもその旨の発表もしているところであります。こうしたことを粘り強く丁寧にしっかりと、また迅速に積み重ねてまいりたいというふうに思っております。

玄葉委員 もう何度も申し上げるのはやめますけれども、是非、シンプルに同じことを言い続ける。しかもそれは、中で言うだけではなくて、表に発信しなければ他国は分かりませんから、他国は。ですから、他国にも分かるように発信するという局面ではないかというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 もうほとんどこの問題で終わってしまいましたけれども、ウクライナの支援で特に気になるのは、対ロ制裁が利いていない、これがとても気になります。モスクワから帰ってきた人たちからいろいろな状況を聞くんですけれども、モスクワの市民の生活は変わっていない、食料もある、物価も上がっていない、こう言うんですね。日本車が中国車に替わった、半導体は古いのを使い回している、こういうレベルなんですね。弾薬は最近中東に流れている、こういう感じなんですけれども。中東というのは、西側の方ですけれどもね。

 これは、対ロ制裁はほとんど利いていないんじゃないかという感じもするんですけれども、どういうふうに認識をして制裁効果が出るような対策を打ちますか。

上川国務大臣 まず、ロシアによるウクライナ侵略でありますが、これは力による一方的な現状変更の試みでありまして、欧州のみならずアジアを含む国際秩序の根幹、これを揺るがす暴挙であると考えております。そのような行動には高い代償が伴うことを示していくということが極めて重要と考えております。

 制裁の効果ということで御質問でありますが、ロシアが発表した昨年のロシアの経済成長率、これは、これまでプラスでありましたが、マイナス二・一%となるなど、我が国を含む各国の制裁措置は一定の効果が出ていると考えております。

 また、一日も早くロシアが侵略をやめるよう、引き続き、G7を始めとする国際社会と連携して、厳しい制裁を講じてまいりたいと考えております。

玄葉委員 中国とかインドとの貿易がむしろ増えているというところがあるでしょうから、なかなか難しいということだとは思いますが、これは、支援疲れをしっかりエンカレッジするということは日本にとって大変大事なことだというふうに思います。プーチンの希望は西側の団結の乱れだと思いますので。そういう意味では、この間、昨日ですか、外相できちっと改めて一致できたのはよかったのではないかというふうに思っております。

 木原防衛大臣、今日は質問できなくて失礼いたしましたが、安保委員会なので、いずれまた機会があると思います。どうしても、今、パレスチナの問題が焦眉の急だったので、お許しをいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

簗委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 今の玄葉委員の質問の流れで、ちょっと通告した順番を入れ替えてお尋ねをしたいと思います。

 この委員会で、あるいは本会議場でも何度か指摘し続けてきたんですけれども、日本たばこ産業、JTがロシアの子会社を運営をしておりまして、ロシアの国に対して、私、当時三千億円以上の納税をしているということを指摘しました。それは事実として、ここに来られた参考人の財務省の方もお認めになられたんですけれども。

 八月の二十四日でしょうか、そのやり取りを知ってかどうか、ウクライナ政府は、八月二十四日に、最大の投資家で主要な納税者だ、多額を納税し、侵略国の経済を支えているとして、戦争支援企業として、日本で唯一、不名誉なことに、この日本たばこ産業、以下JTと言いますけれども、名指しで発表したんですね。御存じのとおり、日本たばこ産業の筆頭株主は、三分の一以上の株を持つ財務省、日本政府であります。

 今、上川大臣も、ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序を脅かす暴挙と所信でも述べていらっしゃいますし、高い代償を払うことになると言うけれども、高い代償どころか、納税してきているんですね。

 この問題についてずっと指摘してきたんですが、本会議でも鈴木財務大臣は民間企業であるから云々と言っていますけれども、G7の外相会合で、ロシアへの厳しい制裁とウクライナへの強力な支援ということを引き続き確認をしたという議長国日本の外務大臣、このことについてどのようにお考えか。まず冒頭、伺いたいと思います。

上川国務大臣 強力な制裁を科していく、引き続き科していくということについては、これはG7で共通した認識でございます。引き続きこうした方向でしっかりと取り組んでまいります。

渡辺(周)委員 ですから、JT、日本政府が筆頭株主の日本たばこ産業がロシアで税金を納めておる。ウクライナの言い分によりますと、五千二百億円だ、戦闘機百機分に相当するんだと。これを日本の国が株主であるJTがロシアに納めていて、それはどうですか、どう思いますかということを今私は伺ったんですが、大臣、いかがですか。

上川国務大臣 まず、JTの子会社でありますJTI、これが、ウクライナの国家腐敗防止庁が発表した国際的な戦争支援企業リストに掲載されました。

 JTグループのロシア事業につきましては、現下の情勢を踏まえまして、既に新規の投資またマーケティング活動等を停止しており、現在、同社のグループ経営からの分離を含めた選択肢の検討が行われているものと承知をしております。

 一つずつの事態に対してどう取り組んでいくのか、それぞれの企業の中の真剣な御判断をしているというふうに考えております。

渡辺(周)委員 これは大臣、純粋な民間の企業であるならば、それは経営方針なり株主の判断なり、あるいは企業の経営方針で様々なことはあり得ると思うんです。ただ、JTは筆頭株主が日本政府なんですね。それで、ロシアの暴挙は許さない、高い代償を払うことになる、ウクライナを支援すると言っても、日本政府は間接的にロシアに納税という形で支援をしているではないか。これはやはり否めない事実でありますから、これは是非政府の中で共有をして、このやり取りについて、細かいことについてはこれまでも言ってきていますから、私の過去のこの委員会での質問やあるいは本会議場での議事録を読んでいただければと思うんですけれども。

 まさに筆頭株主の企業が、日本政府が筆頭株主だ、この企業が戦争支援企業と言われているわけなんですね。今後、ウクライナの復興会議を立ち上げて、ウクライナの官民挙げての復興に協力をするという反面でロシアに対しては納税をしている。こんな分かりやすい矛盾はないわけでございます。

 しかも、今後、たばこ税を上げて防衛増税にするんだと。たばこをロシアで売って税金を納めておいて、そのたばこで今度は日本から、ロシアは脅威だといって増税するというのは、これはどう考えたって、喫煙者じゃなくてもちょっと理解できない話なんです。

 本当に、政府で是非共有をして、実際、日本たばこ産業も、ロシアによるウクライナ侵攻が始まったときに株主総会で、事業の撤退も含めて、あるいは休止も含めて検討しているといって、今みたいにお答えになっているんですよ。そこから更新されていないんですけれども。

 つまり、新規の投資はしていないけれども今までどおりやっていて、むしろたばこのシェアはどんどん広がっているんです。当然、筆頭株主ですから、配当は日本の国に入る。よもや、その配当が欲しいがためにロシアに納税をしていることは目をつぶっているとは考えたくはないんですけれども、そこは是非政府で共有していただきたいと思います。

 是非、防衛大臣にも伺いたいんです。今、防衛大臣も所信の中で、とにかく力による現状変更は認められない、許されないと、ここまでやはりロシアの脅威を言って、だからこそ我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しさが募っていると言っている、そのロシアに対して我が国の関与する企業が、我が国の政府が株を持っている会社が多額の納税をしているということは最大の矛盾だとは思いませんか。これは政府内で共有して、やはり休止する、やめさせるべきじゃないですか、いかがですか。

木原国務大臣 渡辺委員御指摘のように、ウクライナ政府が本年八月に日本たばこ産業株式会社の子会社について戦争支援者のリストに追加した旨を発表したということは私も承知をしております。

 日本たばこ産業株式会社の事業について私が防衛大臣として見解をお答えすることは、なかなか、所管ということもあって、差し控えたいということは委員は御理解いただけると思うんですが、先ほど、政府として共有していただきたい、そういう御要望については、我が国としては、一刻も早くロシアが侵略をやめるようにというような方向性を打ち出しているところであり、引き続き、こういったことは、上川外務大臣がもう答弁されましたけれども、G7を始めとして国際社会と緊密に連携していかなければいけないというふうに考えております。

渡辺(周)委員 G7と連携しなくても、我が国が判断できることなんです。それは我が国が、JTがやるということを、やはり、JTも多分困っていると思うんですよ、世論とのはざまに立って。しかし、筆頭株主がそうだという方向性を出せば恐らく事業の休止なり中止なりできるのかなと思いますが、それは残念ながら我が国の判断だと思います。ですから、そこについて是非問題意識を持っていただきたいと思います。

 もう一点。これは、四月十九日の財源確保法のときに合同審査にて、我が党の階猛議員が令和四年度末の国家公務員共済の中国国債への投資残高をめぐって質疑をしました。そのときに政府参考人は、八・三兆円ある、年金運用資金の原資となる厚生年金保険料の二二・七%が自衛隊員を含む防衛省関係者であるということは正式に答弁しているんですね。

 そのときに階議員は、防衛省関係者の年金資金が軍事力強化につながりかねない中国国債の投資に向けられているのはおかしくないかということを質問したんですけれども、当時の浜田防衛大臣は、運用については所管外であることからお答えは難しいと。それはそうですね、今まさに防衛大臣がおっしゃったとおり。だから承知で私も聞いていますが。としつつも、我々も、この運用の流れを承知しているわけではありませんので、御指摘をいただいたことを踏まえ、また対応を考えたいというところで終わっているんですが、大臣が替わっちゃいました。

 是非とも、木原大臣は、こうした引継ぎとして、防衛省・自衛隊の関係者のまさに年金が中国国債に充てられているということについて、これはいかがお考えですか。何かしらそういう問題意識は前浜田大臣から引き継がれたのでしょうか。それについては、確認です、お答えください。

木原国務大臣 もう委員は御承知の上で御質問いただいていると思いますので、前段はもう省略をいたしますが、所管省庁である財務省から私はしっかりと聴取をしたところでありまして、その結果、個別の投資商品の取扱いを含めて、その運用は国家公務員共済を含む管理運用主体に委ねられており、また、法制上、特定の発行体の債券を投資対象から除外する等の指示はできないというふうに聞いております。

 繰り返しになりますが、国家公務員共済、KKRですか、における年金資金の運用方法については、防衛省としてお答えできることは現時点では以上ということになります。

渡辺(周)委員 防衛大臣は、所信で、中国の対外的な姿勢や軍事動向等は我が国と国際社会の深刻な懸念事項である、また、これまでにない最大の戦略的挑戦と言っているわけですね。

 やはり、先ほどのロシアのJTの納税ではないけれども、と同じように、その国に防衛省関係者、自衛隊の方々も含めた保険料が間接的に貢献している、これは政府は否定していませんから。平たく言えば、脅威だとか懸念だとか言っている、だからこそ、安全保障環境が年々厳しさを増して、増税もしなければいけない、今まで購入していなかったような、やはりスタンドオフを始めとするものも買わなければいけない、そのためにはと言っているけれども、片一方で、一言で言えば、敵に塩を送っているではないかということなんですよね。

 こういうことが実際解決、解消されていないのに、脅威だけをあげつらっても、それはやはり国民は納得しないんだと思いますよ。皆さん方に国民の皆さんが、じゃ、我が国を取り巻く安全保障環境は年々厳しさを増している、それは分かる、あと北朝鮮も加えて、様々な中国の尖閣諸島周辺における動きとか東シナ海や南シナ海でのいろいろな法の支配を壊そうとする動きの中で、それは分かっている、だけれども、その国に対して我が国の姿勢はどうかといったら、実はそうじゃないと。これはちょっと納得されないと思うんですよ。

 ここに必ず、去年、もう一年たちますけれども、防衛三文書が出てきて、防衛力を含む総合的な国力という言葉が出てきますけれども、だというならば、その総合的な国力で、中国の国債の購入はやめるべきだ。少なくとも、防衛省・自衛隊の人たちが身を賭して、ひょっとしたら我が国を守るために戦わなければいけない国に自分たちの給料から、今度、給与法の審議がありますけれども、どうしてそれが相手国に行って、ひょっとすると自分たちの身に影響を及ぼすような軍事力の増強に使われているとしたら、これはどう考えても、やはりこれもまた大きな最大の矛盾ですよ。これは是非、この認識をやはり共有していただきたいんですけれども。

 もちろん、分かっていて、この安全保障委員会で防衛大臣に聞かれたって答えられない、防衛省の所管じゃないというのは百も承知です、我々も政権を取っていましたから。だけれども、おかしいと思いませんか。この辺、ちょっと防衛大臣の率直な感想を聞かせてほしいんです。

木原国務大臣 委員はもう分かっていて御質問いただいていると思います。

 防衛省・自衛隊に勤務する自衛隊員のこれは年金資金でありますから、そういったものを国家公務員共済組合連合会に納めているということであり、これは、まさに将来の年金財源を確保するために、他の国家公務員の年金資金と合わせて運用されているわけであります。とはいえ、自衛隊員の年金ももちろん入っているということになります。

 その上で、私は委員との認識は共有したいと思います。ただし、先ほど申し上げましたけれども、そういった現在の法制度上、国家公務員共済を含む管理運営主体にその運用というものは委ねられているということ、そして、特定の発行体の債券を投資対象から除外する等の指示はできないという法制度上の問題があるということから、現時点では認識を共有ということでとどめたいと思います。

渡辺(周)委員 そこまでしか多分お答えできないのは承知ですけれども、ただ、公的な、公の場を通じて、こういう事実があって、それに対して真剣にお互い共有をして、政府の判断を変えることになるかもしれない、そういうことに是非やはり御認識をいただきたいと思います。

 済みません、外務大臣にも、今のやり取りを聞いていて、まさに懸念である中国の台頭と脅威であるロシアに我が国が、間接的であるとはいえ、こうした形で関与してきた、そのことについて内閣の中でやはり共有をしていただきたいと思います。外務大臣、いかがですか。

上川国務大臣 今委員の問題意識については、私も共有というか理解をいたしました。

 元々この件につきましては外務省の所掌ではございませんけれども、問題提起を受け止めさせていただきます。

渡辺(周)委員 同じ静岡県を選挙区とする人間として、是非、上川大臣には、お体に気をつけて、また激務でございますが、御活躍いただきたいと思います。

 この後は防衛大臣に質問ですから、もしあれでしたら、外務大臣、御退室いただいても結構です。

簗委員長 では、上川外務大臣は御退席されて結構です。

渡辺(周)委員 それでは、防衛大臣にまた改めて伺います。

 先般、岸田総理大臣のフェイクニュースが、生成動画、フェイク動画ですね、日本テレビの何か画像の中に出てきて、何かちょっと、そっくりな顔とそっくりな声が出てきて、これは実はAIで作ったフェイクだということで、すぐにこんなものは否定されるんですけれども、いわゆる安全保障の中の世界でも、当然、AIというのにどう対応するか。

 今、安全保障分野で、特にこれから出てくるやはり脅威として、人工知能の発展というものが、アメリカの報告書、国務省が九月二十八日に中国の情報戦に関する報告書というのを初めて発表したんですけれども、人工知能の発展は情報戦において中国に有利に働くと分析している、中国は情報戦に年数十億ドルを使うと。もう既に台湾に対しては、今年台湾に行きましたけれども、台湾ではやはり、毎日のように膨大な量のフェイクニュースが流されてきている。台湾の安全保障の政策を担う行政部門の国家安全局というところは、中国のフェイクニュースと心理戦への対抗策というのを既に国民全員が共有をしているわけなんです。

 岸田総理のフェイク画像みたいに分かりやすい、すぐばれるものもあれば、しかし、最近では、どんどんどんどん進化をしていって、ちょっと分からないような精巧なものまで今どんどんできているわけなんですけれども、安全保障の中で、この分野でAIがどのような形で脅威となり得るのか。それに対する対応を我が国はどのように考えて、今、安全保障、防衛省は考えているのか。

 実際、今回の概算要求の中にも出てきますけれども、こうしたフェイクニュースに対する防衛省の取組、これについては、どう大臣は今取り組んでいらっしゃいますか。

木原国務大臣 国際社会においては、紛争がまだ生起していない段階から、委員御指摘のそういった偽情報又は戦略的な情報発信等によって他国の世論やまた意思決定に影響を及ぼすとともに、自らの意思決定を防護することで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点が置かれている、そういう認識をしております。

 特に、ロシアによるウクライナ侵略や昨今のイスラエル・ハマス紛争の状況を踏まえれば、我が国防衛の観点から、そういった偽情報の見破りの分析、そして迅速かつ適切な情報発信等を肝とした認知領域を含む情報戦への対応というのは急務だろうというふうに防衛省も考えております。

 このために、国家安全保障戦略等を踏まえて、防衛省全体として、抜本的かつスピード感を持って様々な取組を進めているところであります。

 具体的には、情報戦対応の中核を担う情報本部におきまして、各国による情報発信の真偽を見極めるためのSNS情報等を自動収集する機能の整備を行うなど、政策部門あるいは運用部門と緊密に連携しつつ、収集、分析、そして発信のあらゆる段階において必要な措置を講じてまいります。

 このような取組の中で、やはり民間企業の力をかりるところも出てくるんだろうというふうに私は思っておりまして、そういった民間企業の活用というのは、最新技術の迅速な取り込み、そして偽情報の分析等の専門知識の獲得の観点から非常に重要だというふうに考えております。

 情報戦対応というのは、将来にわたり我が国防衛を万全とするために不可欠な取組であることはもう言うまでもありません。そういった先進的な民間企業との緊密な連携の上に、引き続き所要の体制整備に全力を尽くしたいと思っています。

 AIに対しては、ちょっと細かいので事務方に答えさせます。

今給黎政府参考人 防衛省の取組につきましては、今大臣の方から御説明があったとおりでございますけれども、更に申し上げますと、令和六年度の概算要求におきましては、情報戦対応の中核を担う情報本部におきまして、情報収集、分析、発信するための体制を強化するということで、例えば、当該業務を専従で行うための情報官という専門の部署を設けることとしております。

 さらに、防衛政策局の調査課におきましては、省内における認知領域を含む情報戦対応の司令塔機能としまして、情報戦対応班、これは仮称でございますけれども、を新設いたしまして、事務官を増員いたします。

 さらに、陸海空の自衛隊につきましても、自衛官、更に事務官等の増員を現在予算要求をしておるところでございます。

 加えて、AIを活用した公開情報、SNS等の自動収集、分析機能の整備なども予算計上しておるところでございます。

渡辺(周)委員 そうすると、情報本部に情報官、対応班、専門の人間を配置して、また、陸海空にも配置をして対応するということですけれども、これは、台湾やほかの国に行ったときにも話をするんですけれども、いろいろなフェイクニュースがあって、例えば、すぐに分かりやすい、これは合成画像だ、あるいはAIで作られた生成画像だと分かるんですが、軍事的なものというのはやはりそれなりに知識がないと分からないということを台湾の方が言っていました。いわゆるファクトチェックをするようなNPOの人に見ていただいても、やはり軍事的な分野というのは、これは背景知識がないとなかなか分からない問題。

 それを見て、これがフェイクか否かということは、やはりある程度、人の目も必要だけれども、そういうデータを入れた上で、AIによって、AIがまたフェイクをはじくということも必要なんだろうと思います。

 とにかく、だんだん現実に近い、臨場感というのがつくられていって、それこそ音声も含めて、それこそ防衛大臣がフェイクの記者会見をして、何か今から有事が始まるみたいなことでも流されて、国民はわあっとなる。確認に追われている間に国の中はてんやわんやになって、とにかく分断したり混乱させたりすることがいとも簡単にできる世の中になってくる中で、今度は、今お話のあった情報本部で情報官や対応班の方々がSNS情報の自動収集や分析をして、問題は、発信して、決められた時間で、決められた端的な言葉で、これはうそです、これはデマです、これはどこかの国から来たやつで信じないでくださいということをやはり発信もする体制も早くつくらなきゃいけないと思うんです。

 台湾に行ったときには、台湾は日々そうした目にさらされているので、やはり重要なことについては、限られた時間以内で、三十分以内だったか、一時間以内だったかな、時間以内で、行数も多くなく、例えば二十行以内で否定をするとか、そういうふうにとにかく発信するようなシステムができているということです。官民合わせて、いっぱいそのファクトをチェックする人たちがいるんですが、やはり軍事情報については、経験者、専門家でなければ、なかなかその真贋が見極められないということです。

 そういう意味では、今、民間とも協力するというふうに言っておられましたけれども、例えば防衛関係の方で、もう退職された方もいらっしゃるでしょう。けれども、その分野にずっといた人たちをやはり幅広く活用して、AIに委ねる部分もあるけれども、やはりそこは人の目も使わなきゃいけないところはあると思うんですが、そうした体制を早急に構築するべきだと思いますけれども、大臣、ちょっといかがですか、この新たな脅威に対して。

木原国務大臣 この分野においては、防衛省の中では、やはり情報本部が情報戦対応の中核を担うということで、私の所管ではそれをまず念頭に、早急に体制を組みたいというふうに思っております。

 その上で、やはり民間の力ですね。そういう本当に先進的な民間企業の活用というものは、やはり最新技術の迅速な取り込みという観点から非常にこれは重要だと思っておりますので、そういう、いわゆる専門知識の獲得の観点から、これも非常に重要だと考えております。

 加えて、先ほど委員御指摘の退職自衛官の活用についても、自衛官がこれまで情報本部で、あるいはその他の部署で、この分野で蓄積した能力あるいは技術というものを退職後もやはり活用できるということ、これは昨今の人手不足の中でも非常に重要なテーマになってくると思いますので、委員御指摘のことについてはしっかりとこれから考えて、検討してまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 AIによって省力化、省人化される部分も相当あると思うんですね。ただしかし、やはり経験者でなければ真贋を見極められない。例えば、対潜哨戒機に乗って潜水艦をずっとウォッチしてきた人たちもいれば、ずっと陸上の装備品については詳しい人がいて、例えばフェイク動画を見たときに、これはロシアのと言われたときに、いやいや、それは違う、間違いだ、この時代にはこんなものはなかった、今の時代にこんなものはないとか、それによって合成かフェイクかとかというのは、それはやはり専門家でないと見極められないんですね。なので、是非この問題についても、またこれは機会があればいろいろ議論をしたいと思います。

 今日はちょっと、たくさん用意したんですけれども、時間がなくなりました。大臣所信には書かれていなかったんですけれども、防衛装備の、いわゆる防衛装備品の輸出の緩和について、ちょっと伺いたいんですね。

 今回のイスラエルとハマスとの戦いを見て、ハマスが最初に音楽フェスに攻撃をして、殺害をして、誘拐をして、人質に取って、そして、その報復でイスラエルがハマスを根絶やしにするんだと。その攻撃、このことのきっかけは私はハマスだと思っていますが、でも、改めて、殺傷兵器というものがこんなに恐ろしいものかと。壊滅的にガザの町が破壊をされている。一発でビルが瓦れきと化す。やはり殺傷兵器というのは、簡単に言うけれども、実際こうやって目の前の、映像ではありますけれども、毎日のようにテレビだったり、あるいはユーチューブとか、いろいろなサイトで動画が出てきますけれども、恐ろしいことだというふうに思うんですね。

 最近、与党での実務者協議は再開されたと聞いていますけれども、いわゆる防衛三文書が発表されてから一年になりますけれども、このいわゆる防衛装備品の緩和について、大臣はいつ結論を出して、どのような形で、いわゆる五類型を更に広げて拡大するのかどうか。大臣自身はどういうお考えを今持っていらっしゃいますか。

木原国務大臣 国家安全保障戦略に記載してあるとおり、まず、防衛装備移転というものに対しては、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、また、国際法に違反する侵略を受けている国への支援などのための重要な政策手段というふうになるわけであります。

 その上で、防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度の見直しについて、現在、与党におけるワーキングチームで、昨日また再開したということは承知しておりまして、そういった検討を踏まえて、政府として適切に判断していかなきゃいけないというふうに考えております。

 その中で、今後どのような形で制度の見直しを行っていくか、先ほどの五類型の話であるとか、それぞれ、論点整理というのは既に一回しているわけですが、そういった各テーマにおいてどのような見直しをしていくか。

 また、それには背景として、やはり国際情勢の変化があると思います。前回のこの装備移転三原則は十年前ですから、当然そのときとは国際情勢あるいは時代背景というのが違っている、そういったことも見据えていかなきゃいけない。

 そういった中で、制度の見直しの具体的な内容、あるいはスケジュールのことも今御指摘をいただきましたけれども、現時点では決まっておらず、その点、予断を持って私から現時点でお答えすることは困難であるということを御了解いただきたいと思います。

渡辺(周)委員 当初は年内にも何かまとまるような話でしたけれども、それは、あくまで与党の協議を待った上で、政府として受け取って考えるということなんですかね、ちょっと確認ですけれども。

木原国務大臣 私も防衛大臣就任の前まではその与党ワーキングのメンバーでありましたから、そういった意味で、見直しに向けて着実に歩みを進めていたわけでありますが、今、この立場になりまして、委員御指摘のとおり、まずは防衛移転三原則あるいはその運用指針、十年前のものですから、やはり時代に即したものとしなければいけないという前提で話合いをしていたところでありますが、今、この立場になりましてからは、そういったスケジュールとか内容については、防衛大臣としては今発言はできないということは御理解をいただきたいと思います。

渡辺(周)委員 じゃ、またこの問題、是非引き続きやりますが、最後に、まだ時間がちょっとだけ残っています。

 今回の概算要求の中にも、大分老朽化した自衛隊施設の改修とか強靱化については予算がついて、前耐震基準のものだったり、あるいは戦時中に使われていたものがいまだにまだ現存しているなんて話があります。

 これからいろいろな住環境、生活、勤務環境の改善ということもうたわれていますけれども、今後、WiFiを整備したり、何かルーターとかを設置したりとか、中には、潜水艦にも、乗組員も、家族と本部を、司令を中継しながら例えばやり取りできるとか、大分変わってきてはいるんですが。

 そこで、例えば防衛省の中にあるエレベーターが、音声だとかカメラだとか、こういうものによって外国に盗まれることはないのか。あるいは、潜水艦の人と、浮上したとはいえ、潜水艦の位置がひょっとしたら分かってしまうかもしれない。

 これは、家族の、何か電子家庭通信装備というのを整備すると書いてありますけれども、こうしたセキュリティー面は、外から攻めてくる目に見える脅威と併せて、今、じわじわと内部から、今のこのテクノロジーの時代の中でできてしまうかもしれないという。

 やはり、セキュリティーについて大臣はどう考え、どう対応していくか、最後にそれを伺いたいと思います。

木原国務大臣 重要な御指摘だと思っております。

 その電子家庭通信装置でありますけれども、艦艇の乗組員と家族等の間におけるメールの通信を行うための装置でありますけれども、潜水艦の場合は、運用上、受信のみを可能としていることは、もう委員は十分御承知のことと思います。

 具体的な潜水艦におけるメールの受信の仕組みというものは、家族等からのメールを一旦司令部で受信をして、そして司令部の業務用の端末から潜水艦の業務用端末に送信する、そういうことになっているわけですね。その後、潜水艦では、その業務用端末に受信したメールデータを電子家庭通信装置に移動することで、個々の隊員が専用のタブレット端末で閲覧できるようになります。

 潜水艦の電子家庭通信装置における通信というのは、既に潜水艦で利用しているセキュリティー対策が講じられた回線の使用というのを想定しておりまして、必要なセキュリティー対策に今後とも万全を期してまいる所存です。

扇谷政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛力整備計画におきましては、自衛隊施設の強靱化を図るために、老朽化対策を含め、自衛隊施設の整備を集中して実施していく考えでございます。これらの施設整備を進めていく上で、多くの建設工事関係者が参加していただく必要があると考えておりますけれども、工事等の受注に対しましては、引き続き、情報保全に関しましても、履行体制の確認などを行うなど、情報保全に万全を期す考えでございます。

 また、御指摘の、自衛隊施設に設置する監視カメラやWiFiルーターを含めたセキュリティー対応が必要な機器につきましては、平成三十年十二月のIT調達に係る国の物品等又は役務の調達方針及び調達手続に関する申合せ、これを踏まえまして、機器の安全性をチェックするなど、適切に対応しているところでございます。

 また、これに加えまして、特に通信機器の通信の暗号化や、不正アクセスを防止するための措置など、セキュリティー対策に万全を期すこととしております。

 防衛省といたしましては、情報の保全に十分配慮した上で、施設の強靱化を図ってまいる所存でございます。

渡辺(周)委員 終わります。

簗委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。

 初めに、イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突について、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

 パレスチナのイスラム組織ハマスが奇襲攻撃を行い、報復としてイスラエル軍がガザ地区への軍事作戦を開始してから一か月が経過をいたしました。双方の死者は約一万一千人を超え、今後更に増えることが懸念をされております。

 国連のグテーレス事務総長は、十一月六日、ニューヨークの国連本部で記者会見をし、ガザの悪夢は人類の危機だと述べた上で、人道目的での即時停戦を強く訴えております。

 国連総会は、十月二十七日、ガザ地区の情勢を協議する緊急会合で、人道回廊の設置や人道的休戦を求める決議案を百二十一か国の賛成で採択しました。米国やイスラエルは反対、日本は棄権です。

 多くの子供たちが犠牲になり、民間人が盾にされる中、即時停戦を訴える決議に日本はなぜ賛成をしなかったのか、棄権をしたのか。これは是非、多くの国民の皆さんからそういう声もあろうかと思うんですが、上川外務大臣にお伺いしたいと思います。

上川国務大臣 御指摘をいただきました国連総会の決議でありますが、今次、事態悪化の直接の原因となりましたハマス等によるテロ攻撃、また人質拘束、こうしたものへの非難がないなど、全体として内容面でバランスを欠いているものであったため、我が国は総合的な判断によりまして棄権をしたところであります。

 しかしながら、同決議に含まれておりました人道アクセスの要請など、ガザの人道状況に対処するための重要かつ前向きな要素については、我が国としても支持できる内容でございました。実際、我が国は、現在、人質の早期解放や、また事態の早期鎮静化に加えまして、ガザ地区の人道状況の改善や人道支援、人道的休止といった点につきまして、各国と連携しつつ、外交的働きかけを鋭意行ってきているところであります。

 かかる立場から、我が国は、本決議案に対し、ハマスによるテロ攻撃及び人質拘束を明確に非難する文言等を追加をするカナダ提出の修正案、これにつきましては賛成した上で、本決議案自体には棄権をいたしました。イギリス、豪州、そして韓国、インド等、多くの国々も我が国同様の投票行動を取っているところでございます。

 また、私自身、各国と連携しながら、様々な外交努力をしてきております。先般は、イスラエル、パレスチナ及びヨルダン、これを訪問したほか、G7外相会合におきまして、中東情勢につきまして突っ込んだ議論を行いました。

 引き続き、刻一刻と動く現地情勢でございます。こうした情勢を踏まえながら、在留邦人の安全確保に万全を期しながら、人道状況の改善や事態の早期鎮静化に向け、粘り強く積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

新垣委員 せっかくですから、通告にはないんですが、先ほど玄葉委員からもあったんですが、なかなか日本の立ち位置が分かりづらいような気がいたしております。

 外務大臣が先日のG7で議長国として大変頑張っているという思いはしておりますが、ただ、先ほどもあったんですが、G7で人道的休止の支持というのがありました。これは具体的にどうなんだろうと。実効性として、どういう形でやっていくのかというのがなかなか見えていないような気がしています。

 そこで、もしそういう、G7で、話合いの中で決議をされ、具体的にこうしていこうというのがあれば、そしてやはり、日本の立ち位置というのは、明確にすべきところはすべきだろうと思います。国際情勢上大変厳しいという事情もあろうかと思うんですが、今のガザの状況というのは本当に危機的な状況だろうと思っておりますので、この二点についてよろしくお願いします。

上川国務大臣 御質問一点目でありますけれども、まず日本の立ち位置ということでの御質問がございました。

 ガザ地区及び周辺におきましては、もう既に多数の死傷者が発生している状況にございます。現地の状況、緊張度、一刻一刻と大変緊張度が増しておりまして、情勢につきましては全く予断を許さない状況でございます。我が国といたしましても、深刻な懸念を持ってこうした情勢については注視をしているところであります。

 この間、我が国は、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難した上で、三つの点につきまして、特に一貫して主張をしてきております。

 一点目は、人質の即時解放、そして一般市民の安全確保。また、二点目として、全ての当事者が国際法に従って行動をすること。そして、三点目として、事態の早期鎮静化を求めてきてまいりました。引き続き、こうした情勢を踏まえながら取り組んでいくところでございます。

 また、今回、G7の外相会合におきまして、具体的に、大きく六つの点で一致をしたところであります。

 第一点目としては、ハマス等のテロ攻撃を断固として非難をすること。また、二点目は、人質の即時解放を求めるということ。そして、三点目として、ガザにおける人道危機、これに対処するための緊急の行動を取る必要があるということ。特に、食料、水、医療、そして燃料、シェルター、こうしたものを含む妨害されない人道支援並びに人道支援従事者のアクセスを可能とすること。そして、人道支援を促進するための人道的休止及び人道回廊の支持。そして、国際法、特に国際人道法の遵守が重要であること、これは四点目でありますが。さらに、五点目として、紛争の更なるエスカレーション、そして広範な地域への拡大を防ぐ必要があること。そして、六点目として、ガザの持続可能で長期的な解決等に取り組むことや、二国家解決が公正で、永続的で、また安全な平和への唯一の道であることなどにつきまして一致をしたところでございます。

 我が国におきましては、今般の声明に記されました取組等の着実な実施を通じまして、国際社会で積極的な役割を果たしてまいりたいと考えております。

新垣委員 いろいろ取り組んでいらっしゃるということは理解できますが、やはり現実は大変厳しいものがございます。ですから、一日でも早く戦争を止めるという努力を今後とも是非よろしくお願いしたいと思っております。

 どうぞ、上川外務大臣は。

簗委員長 上川外務大臣は御退席されて結構です。

新垣委員 次に、防衛大臣にお尋ねしたいと思いますが、日本が武力攻撃を受け、自衛隊が防衛出動した場合の手当額は政令で定めることになっていますが、現時点で政令は制定をされておりません。

 今年七月に提出された防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会報告書でも、事が起こってからの対応とならないよう、有事を想定した処遇の在り方について検討を進める必要性が指摘をされております。

 私は、いわゆる安保三文書に基づく防衛省・自衛隊の軍拡路線には本当に反対でありますが、この間の政府、防衛省の対応を見ておりますと、住民避難計画の策定は自治体に丸投げのような感じがします。そして、防衛出動手当の件など、自衛官への対応もなおざりで、現場で命の危機にさらされている人々のことを本気で考えているのかなというような疑問を抱かざるを得ません。

 そのような中、明日から二十日まで、十一月十日からですね、御承知のとおり、予定されている最大規模の実動演習、自衛隊統合演習、JXで、防衛省・自衛隊が、有事で戦死した隊員の遺体を取り扱う訓練を沖縄県内で計画をし、対外的に公表しないまま実施しようとしているとの地元紙の報道があるわけですが、かかる報道で、仮埋葬や臨時の遺体安置所の設置などを想定した訓練となるようですが、JXでそのような自衛官の戦死を前提にした訓練がなされているのか否か。大臣の明確な、イエス、ノーでよろしくお願いします。

木原国務大臣 自衛隊は、今月の十日から二十日にかけまして、防衛、警備等に係る自衛隊の統合運用能力の維持向上を目的に、日本全国において自衛隊統合演習、JXを実施します。

 その中で、沖縄県を含む各地域で傷病者に対する衛生訓練等の様々な訓練を実施する予定ですが、これはもう訓練の内容そのものになってしまいますので、その訓練の内容、詳細については、事柄の性質上、この時点ではお答えできないということを御理解いただきたいと思います。

 なお、訓練の実施に当たって公表する内容というのは、航空機、艦船又は車両の運用等、周辺の住民の皆様に与える影響等を含め、諸事情を総合的に勘案して決定するものでありまして、訓練の詳細について全てを公表しているものではないということを御理解いただきたいと思います。

新垣委員 訓練の詳細を全て公表しているものではないということですが、地元の報道が出た結果、非常に県民が不安に思っているんですね。当然、埋葬とか遺体安置所、そこまで訓練をするのか、こういう訓練はこれまでもあったのかどうなのか、そして、こういう訓練をするとなると、沖縄が、有事態勢に入った場合、確実にやられるというような不安を県民は持っているわけですね。

 ですから、こういう訓練は、これまでにあるのか、あるいは、これからもずっとやっていく予定なのか。よろしくお願いします。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の演習でございますけれども、あらゆる事態を想定して、自衛隊の対処能力の向上を図るために実施するものということでございますけれども、個々の訓練の内容、詳細につきましては、各種の事態における我が国の具体的対応に関わるものでございますので、事柄の性質上お答えできないということを御理解いただきたいというふうに存じます。

新垣委員 余り理解はできないんですが、訓練をやるということですから、今後もやるということでいいんですかね。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、今回の訓練につきましては、これまでも同じような訓練がございますけれども、あらゆる事態を想定して自衛隊の能力向上を目指すということでございますが、個々の詳細な訓練内容については、自衛隊の手のうちといった面がございますので、御説明を差し控えさせていただきたいということでございます。

新垣委員 では、次に行きます。

 辺野古の新基地建設をめぐる代執行訴訟の問題ですが、沖縄の自主性、自立性を侵害し、地方分権に逆行するもので、県民にとっては断じて容認できるものではないだろうと思います。今、国は、すぐ裁判を取り下げて、玉城知事の求めに応じて、対話による解決を模索すべきではないかというふうに私は思っております。

 そもそも、代執行訴訟の前提となる最高裁の判決をもってしても、軟弱地盤や、莫大な建設費用と工期がかかる経済的合理性など、沖縄県が不承認とした公有水面埋立法上の問題は何一つ解決をしておりません。辺野古新基地建設は今なお民意に背く本当に無理筋な事業であるということを強く指摘しておきたいと思っております。

 さて、辺野古の新基地建設をめぐっては、沖縄防衛局が、埋立承認申請前の二〇〇七年段階で、大浦湾の軟弱地盤について追加のボーリング調査が必要であると結論づけていたことが、共同通信が情報公開請求で入手した報告書で明らかになっております。軟弱地盤の存在を当時の仲井真知事が承認をし、二〇一三年より六年も前に把握していたのにもかかわらず、申請書では、長期にわたって圧密沈下する軟弱な粘着土層は確認されていないと明言をし、総工費三千五百億、工期を五年としたのは、公有水面埋立法で定める国土利用上適切かつ合理的なことの承認要件に適合せず、設計ありき、見切り発車の申請であったと言わざるを得ないのではないかというふうに思っておりますが。

 そこでお尋ねしたいんですが、辺野古新基地建設の総工費九千三百億円のうち、二〇二二年度末で幾らの予算が執行され、さらには、現時点での埋立進捗率と併せて伺いたいと思います。また、軟弱地盤の改良工事に係る総工費と工期はどの程度になると見ているのか、見積りの条件についてもお尋ねしたいと思います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立工事につきまして、現時点で、辺野古側の海域における埋立土量は、同海域の埋立てに必要となる土量約三百十九万立方メートルに対して約三百十八万立方メートルとなっております。率でいうと九九・五%ということになってございます。

 辺野古建設の工事を進めていくに当たって必要となる経費について、令和元年十二月に、地盤改良工事の追加に伴う施工計画の見直し結果や当時の工事の状況等を踏まえ、約九千三百億円とお示ししているところでございます。また、令和四年度までの支出済総額は約四千三百十二億円となってございます。

 工期については、令和元年十二月に、変更後の計画に基づく工事に着手してから工事完了までに九年三か月を要する旨お示ししているところでございます。

新垣委員 残り九年余りあるわけですよね、これから大浦湾方を工事をしていくという中で。そうなると九千三百億で収まるんですかね。

青柳政府参考人 まさに、経費につきましては工事の進捗等を踏まえつつ検討する必要があるものと認識をしておりまして、現時点で経費を具体的にどうこうするという段階にはないと考えてございます。

 引き続き、経費の抑制に努めながら、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいりたいと考えております。

新垣委員 誰が考えても、残る九年ぐらいですか、六年、九年になるか分かりませんが、恐らく九千三百億では収まらない。もう既に半分の四千億余り使っているということですから、九千三百億で収めるよという話にはならないと思うんですよね。だから、当然、今、見積りはできないけれども、それ以上になるということぐらいは言えるのではないかと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 経費につきましては、大変申し訳ございませんけれども、まだ、大浦湾側の工事、これが進捗していない現段階におきましては、具体的に見積もる、見積もり直すという段階にはなく、今後、工事の進捗等を踏まえて検討いたしたいと考えてございます。

新垣委員 具体的な数字を挙げるということではないんですが、誰が考えても、軟弱地盤、これから七万本余りのボーリングをやるという話ですから、当然これは費用はかさむだろう、誰が考えてもそう思います。

 ですから、具体的に幾らかかるよという質問をしているわけじゃなくて、当然、九千三百億では収まらないんです。収まらないというのは誰でも分かると思います。これはこれからまた少し具体的に話をしていきたいと思いますが、恐らく私はそれじゃ止まらないというふうに思っております。

 続いてですが、嘉手納基地の問題です。

 F15戦闘機が退役に伴って、戦闘機の巡回配備開始から一年が経過をしております。実は今、嘉手納周辺の爆音被害が非常に大きくなっているんですね。

 そこで、F15の戦闘機が退役する、それの後継機は決まったんでしょうか。選定状況について米側からどのような説明を受けているのか、お尋ねしたいと思います。

加野政府参考人 お答えを申し上げます。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、日米同盟の抑止力、対処力を高めるために、自衛隊、そして在日米軍が、各種の装備品の近代化などを通じて不断にその能力を向上させるということが必要であると考えてございます。

 このような中、アメリカ側からは、嘉手納飛行場のF15戦闘機を順次退役させるということ、そして、最終的な嘉手納飛行場の体制は検討中であるものの、より高い能力を有する恒久的な部隊に置き換えるため、様々なオプションを検討しているという説明を受けているところでございます。

 したがいまして、F15の更新計画につきましては、米側において現在検討中であるというふうに承知をしているところでございます。

新垣委員 恐らく今、いろいろな機種が嘉手納基地を巡回をしていると思うんですね。その中で、特にひどいのがF35戦闘機なんですよ。これは、エンジンがでか過ぎて、物すごい爆音です。それが今非常に多くなっているというのは、嘉手納周辺。今までは沖縄市もなかったのに、これはもう我慢できないというような状況で、周辺首長から非常に怒りが訴えられたと。当然、防衛省にも要請が来たと思うんですが。

 木原大臣、F35の爆音というのは体感したことはありますか。

木原国務大臣 部隊視察はいろいろと行っておるところですが、F35が、エンジンがかかった状態でのその音というのは、聞いたことはありません。

新垣委員 特に嘉手納町は、もう八〇%以上が基地なんですよ。残り、その周辺に町民が住んでいると。その戦闘機からの距離、格納庫からの距離が百五十メートルぐらいですね。だから、朝から晩まで物すごい爆音なんですよ。だから、もう嘉手納町に住めないということで、ほかの市町村に移動するということですから。是非、大臣、F35の後継機選定には、これはもう駄目だということを米側にも伝えてもらいたいなというふうに思っております。是非よろしくお願いをいたします。

 これは、非常に今、オスプレイもそうなんですが、F35、こういう大きなエンジンを載っけて、朝から晩まで飛び回っているわけですよ。この現状は、さながら戦場地じゃないかと思うぐらいに非常な爆音ですから、是非、大臣も機会があればこれを体験してみてください。よろしくお願いします。

 さて、同じく嘉手納に、米軍の無人偵察機MQ9が嘉手納基地に配備をされました。これは、県や周辺自治体からは、基地機能の強化ではないかということで、今、反対の声が上がっております。

 実は、これまで、海上自衛隊鹿屋航空基地配備に際しては、防衛省と鹿屋市との間で協定を結んで一年限りの限定配備、さらには住民説明会も開いているんですね。ただ、今回の嘉手納基地配備には、防衛省は、自治体への配備通告は直前で、配備期間も無期限、そして地元が求める説明会の開催についても予定をしていないと否定的なんですが。

 これは、なぜそのMQ9が、配備先が沖縄でなければいけないのか。実際に鹿児島で一年間運用されてきているものをなぜ沖縄に配備しないといけないのか。大臣、ちょっと県民が納得できる説明をお願いしたいと思います。

木原国務大臣 昨年の十一月に、海上自衛隊の鹿屋航空基地において御指摘の米軍無人機MQ9が運用を開始するとともに、MQ9を含む日米の情報収集アセットが収集した情報を共同で分析するための組織を、こちらは横田基地内に設置して運用を開始したところであります。

 その後、MQ9の運用が日米のISR活動においては非常に有益であり、また、引き続き運用が我が国の防衛に大きく貢献するものであること、また、海上自衛隊の鹿屋航空基地における一年間の運用実績を踏まえると、南西地域周辺海空域等での情報収集ニーズに対応する必要性が高く、南西地域等への進出には鹿屋より沖縄からの方が有利であり、より効果的で効率的な運用が可能となることなども踏まえ、検討した結果、こちらのMQ9について、期限を定めず嘉手納飛行場に展開させることが望ましいというふうに考えたところであります。

 MQ9の嘉手納飛行場への展開は、我が国の、特に沖縄を含む南西地域周辺におけるISR活動を一層充実させるためのものであって、我が国の防衛にも大いに資するものだというふうに考えております。

新垣委員 防衛に資するから全て沖縄という話にはならないんじゃないかなと私は思います。もう本当に、外来機から何から何まで最終的には沖縄に配備という状況では、県民は到底納得できないなと思っております。

 さらに、このMQ9、誘導ミサイルが八発搭載できるとあるんですが、情報収集の仕様で、武器は搭載できず、攻撃には使用できないと明記しているようですが、これはそういう武器は載せないということでよろしいですか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 嘉手納飛行場に展開いたします米空軍MQ9につきましては、我が国周辺海域におけるISR活動、これを行うことを目的として運用されるものでございまして、攻撃などの目的で展開を計画しているものではございません。

 米側からは、現在、これらの機体については、鹿屋航空基地へ展開したときと同様、情報収集用の仕様となっておりまして、武器を搭載できる仕様にはなっていないという旨、説明を受けているところでございます。

新垣委員 是非、武器は搭載しないようにしてもらいたい。お願いしたいと思います。

 最後に一点だけですが、九条交付金の件です。

 神奈川県の藤沢市が九条交付金の対象であるということで、これは騒音の規定に該当するということです。実は、嘉手納、普天間を抱える中部地域の中で、十市町村あるんですが、二つの町村だけが基地がないんです。普天間基地の隣になるんですけれども、中城村というところと西原町。ここは騒音がひどくて、今年、ホームページで基地苦情一一〇番が設置されているんですが、前回、これまでの基地の騒音の算定というんですか基準と今と全く違うはずなんですね。

 是非、大臣、調査をしていただいて、騒音区域の見直しなどを含めて、この中城村、西原町、もう大変な騒音です。基地がないから九条交付金に該当しないということではなくて、再調査をしていただいて、その対応をよろしくお願いしたいと思います。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、藤沢市が九条交付金の交付対象となった経緯について申します。

 御案内のとおり、特定防衛施設関連市町村は、環境整備法第九条の規定に基づきまして、防衛施設の設置又は運用が周辺地域の生活環境又は開発に及ぼす影響の程度及び範囲等を考慮して指定しているものであります。

 藤沢市につきましては、基地所在市町村ではありませんが、厚木飛行場において実施した第一種区域の見直しによって、騒音の影響が特に著しい第二種区域が大幅に増加したこと、こういったことを踏まえて、平成二十三年に特定防衛施設関連市町村として指定されたところであります。

 このように、特定防衛施設関連市町村の指定というのは、騒音の影響などを勘案して個別具体的に判断して決定しているところであります。

 御質問にありました中城村、それから西原町につきましては、環境整備法第九条等の規定に挙げられる防衛施設が所在していないこと、また、住宅防音工事等の対象となる第一種区域も存在していないことを勘案して指定されておりませんで、したがって、いわゆる九条交付金も交付されていないというところであります。

 そして、普天間飛行場周辺の騒音状況につきましては、昭和六十年以降、航空機騒音自動測定装置を各所に設置しまして騒音状況の把握に努めてきておりますが、今のところ、この区域を拡大する状況にはないというふうに考えているところであります。

新垣委員 ただ、実態は非常に激しいものになっているということだけは認識していただいて、その基準に合わないからそれは駄目だという話じゃなくて、やはりそれは真剣に考えていただきたいなと。これは切実な地元の声でありますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、上川外務大臣にもお越しをいただいております。先ほどの質問者同様、最初に上川大臣に質問させていただいてから、終わりましたらまた退室いただこうと思っていますので、最初に上川大臣に質問させていただきたいと思います。

 昨日まで二日間にわたってG7外相会議が東京で行われて、上川大臣に御参加いただいて、そして、その共同声明も拝見をさせていただきました。

 ハマスのテロ行為、これは民間人に対する殺りく行為でございますので、決して許してはならない行為でございます。しっかりとその主体が処罰をされるよう、また、攻撃が繰り返されないように対処をすることが必要だというのと同時に、今、イスラエルがガザ地区に行っている攻撃も同様に多数の民間人の被害を生み出してしまっています。

 特に、連日報道で目にする子供たちの凄惨な姿に関しては、本当に毎日私も憤りを覚えておりますし、それは上川大臣も同じお気持ちかと思います。

 そういったことを踏まえて、今回の声明では、テロ行為を糾弾すると同時に、人道的な休戦を求めるということ、そういったことが盛り込まれているわけでございます。

 私としては、先ほど玄葉委員がおっしゃられたように、より日本としては攻撃の停止に向けた積極的な働きかけをお願いしたいという思いでございますし、また、平和的な解決に向けて、イスラエルの更なる理解、取組というものが必要であって、その政府の更なる取組が必要だと思っておりますけれども、先ほどるる玄葉委員と御質疑がありましたので、それ以上御回答は難しいと思いますので、ちょっと何点か省かせていただきまして、中長期的な問題解決の方法、この共同声明でも改めてうたわれている二国家解決に関して、改めて日本政府の立場を少し確認をさせていただきたいと考えております。

 イスラエルが今ガザに行っている攻撃というのは、新たな被害者を生み出して更に暴力の連鎖を生み出す可能性は極めて高いという意味で、早急にこの攻撃を止めなければならないと思っておりますけれども、中長期的にこのパレスチナ問題を解決するためには、やはり一九九三年のオスロ合意で合意されたように、パレスチナ国家がしっかりと自立をされて、主権がある状態で、パレスチナの方々が自分たちで自分たちの領土を統治をできる、そしてその中でしっかりと経済生活が送れるようにする、こういった基本原則にもう一度立ち返って、それに向けて歩みを進めていくことがとても重要だと考えております。

 改めて日本政府に、二国家解決を支持するということがG7声明でも発出されたわけですけれども、その中身に関してでございますけれども、これは、領土に関してはガザ地区と、そしてヨルダン川西岸地区、そして東エルサレムをパレスチナの方々がしっかりと統治をできる、国をつくるという領土、その領土に関しては、そういった認識にちゃんと立っているのか。そして、国家に関しては、ガザ地区と今のヨルダン川西岸地区が分離して統治をされているような状態ではなくて、統合的な政府が樹立をされて、一体的にガザ地区とヨルダン川西岸、そして東エルサレムがパレスチナの人々の手によって統治をされる、そういった姿で二国家解決を目指しているのかということを改めて確認をさせていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 いささか技術的な点もございますので、政府参考人から少し御答弁させていただきます。

 委員御指摘のとおり、二国家解決というのは、将来の独立したパレスチナ国家とイスラエルが平和に共存するというものを目指しているものでございます。その際に解決すべき課題として、領土の問題、それからイスラエルの安全保障の問題等々ございますけれども、それが具体的にどういうふうになるのか、領土をどこまで、どういう形で切り分けるのか、あるいは、西岸とガザの間をどういうふうにつなげるのか等々の問題については、基本的にはパレスチナ側とイスラエル側の交渉によって解決されるものだというふうに理解をしております。

 日本政府として、こうでなきゃいけないとかああでなきゃいけないということを我々が申し上げるということではなくて、まずは当事者の交渉を見守る。今大事なことは、その交渉が再開されるように、国際社会としっかり一致して後押しをしていくというふうに理解をしております。

斎藤(ア)委員 できれば次は、外務大臣、もしお答えいただければと思うんです。

 交渉が必要だということですけれども、ネタニヤフ政権は、十五年間にわたって、ヨルダン川西岸地区にイスラエルの入植者がどんどんと入っていて、実質的にパレスチナの統治領域を狭めることを黙認してきたわけでございますし、また、パレスチナ自治政府と交渉をしない、交渉相手としてふさわしくないといったような態度を取ってきて、このパレスチナ問題の解決がどんどん今のイスラエルの政権下で遠のいているというのが現実だと思います。

 その点に関しては、やはり日本政府からも、これはアメリカからイスラエルに働きかけるのが最も効果的なわけでございますけれども、日本政府がアメリカ側に働きかける、あるいはイスラエルに働きかけるなどして、しっかりとパレスチナ側と交渉してくれ、平和的な解決には二国家解決しかないんだから、それに向けてしっかりと取組をしてくれということをイスラエル側にしっかりと伝えないと、イスラエルはこれを全くこの十五年間近く行っていない状態になってしまっていますので、その点に関しては私は日本としての役割を果たすべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

上川国務大臣 我が国といたしましても、イスラエルは、入植活動を始めとする一方的な行為、また扇動的言動、こうしたことにつきましては控えるべきとの立場でありまして、これまでそうしたことにつきましてイスラエル側に明確に伝えてきているところであります。

 この地域の平和と安定のためには、イスラエルとパレスチナが平和に共存をする以外の解決策はないと考えておりまして、今般の事案が中東和平の道を閉ざすようなことになってはならず、その意味で、二国家解決を支持する日本の立場を繰り返し当事者に向かっても申し上げてきたところであります。

 引き続き、このイスラエル、パレスチナの双方への直接の働きかけを通じまして、また、そうした国々と結びつきのある様々な国々がまた働きかけをしていこうということでありますので、今回のG7の外相会合で一つの文書という形でまとまった、その方向性に向かって、それぞれの特色を生かした外交努力を粘り強くしてまいりたいというふうに思っております。

 特に日本は、平和と繁栄の回廊構想などを通じまして独自の取組を実施し、また、引き続き、当事者間の信頼醸成ということにつきましても、大変信頼が双方から得られている立場にございます。そうしたことをしっかりとベースにして臨んでまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 やはり、パレスチナ問題の解決には二国家解決しかないということですし、それがイスラエルの国民の中でもだんだんと現実味が薄れてきてしまっているせいで支持が下がってきているようですけれども、やはり最もポピュラーな解決策としては二国家解決であるということがイスラエル国民の世論調査でも明らかになっているようでございますので、その点をしっかりと追求をしていただいて、そのためには、やはり、イスラエルの姿勢というのを変えなければ、変わらなければ問題解決は実現できないというふうに考えております。

 アメリカが最も影響力を持つと思いますけれども、日本もアメリカの同盟国として、また、中東地域に大変な利害関係を持つ国でもございますので、しっかりと積極的に、まずは早急に、民間人の殺りく行為につながってしまっているイスラエルの軍事行動を停止をさせるということと同時に、中長期的な解決に向けてより積極的に関与をしていただきたいというふうに思いますので、引き続きの努力をお願いしたいと思います。

 上川大臣におかれましては、これで退席をいただいて結構でございます。

簗委員長 上川大臣は御退席されて結構です。

斎藤(ア)委員 それでは、防衛省の方にお伺いをしていきたいというふうに考えております。

 本日は、自衛隊の専用車両、高機動車が海外に流出をしてしまっている問題についてお尋ねをまたさせていただきたいと思います。

 今年の三月、私もこちらの委員会で、安全保障委員会で質疑をさせていただきましたし、またほかの委員からも、またほかの党の先生方からも、参議院でも、またほかの委員会でも質問があったところでございます。

 日本の自衛隊の専用車である高機動車がロシアによって今使われている映像が流れて、そしてそれが今ウクライナ侵略に使用されているということで、大変衝撃を受けた日本国民も多いと思いますので、この原因究明と再発防止というのは極めて重要だと考えております。

 そんな中、今年の九月と十月、複数回にわたって読売新聞さんなどがこの問題を報じられました。読売新聞の調べによれば、タイに、実際にこの高機動車が使われている、民間人によって使われているところが確認をされたであったりとか、あるいは、フィリピンの方にこの車両を十分に処理をせずに横流しをしたという事例が確認できたりということが報道されているわけでございます。

 これまでこういった問題があるのではないかと言われている中で、こういったふうに大々的に報道されたのは初めてかと思いますけれども、それに対する防衛大臣の受け止めをお伺いしたいというふうに思います。

木原国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしております。

 自衛隊の高機動車の売払いの実態につきましては、委員が質問された後、本年四月から継続して調査を行っておりまして、調査結果については年内を目途に取りまとめるとともに、その調査結果等を踏まえて新たな転売防止強化策を策定し、併せてこちらも年内に公表する予定です。

 調査は現在実施中のために、委員御指摘のその新たな報道の件も含め、個別の事案については現時点ではお答えは差し控えますけれども、先般の報道を踏まえて、その報道内容に関する追加の調査、また業者に対する実地調査等について、鋭意実施しているところであります。

 調査において不正な行為を確認した場合には、契約及び関係法令に基づき厳正に対処してまいります。

斎藤(ア)委員 この件に関しましては、今調査をされて、再発防止策を検討されているということでございますので、その内容をまたしっかりと精査をさせていただきたいと思います。

 これは記事の中でも指摘をされていましたし、私もそう思うんですけれども、やはり、ほかの省庁との横断的な対策というものが必要になるというふうに考えております。

 例えば、本日、財務省にも来ていただいていますけれども、自衛隊専用車であると疑われるようなものがコンテナに詰まっているような状況を税関が確認をしたとき、税関は、それを、輸出を差し止める、止めるようなことができるのか。これは新聞記事の内容で、税関に写真を見せたけれども特に問題なく輸出をできたという証言をされている方がいて、その個別の事案について伺うことはできませんのでそれはいいんですけれども、仮にそういったことがあった場合、税関の職員がその輸出を止めるようなことができるのか、ちょっとお伺いできればと思います。

山崎政府参考人 税関におけます個別の申告への対応につきましてお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般的に申し上げますと、税関では、輸出される貨物につきまして、輸出者、仕向地等を踏まえまして、申告の審査におきまして、貨物の品名、数量、価格、輸出統計品目表の番号等が正しく申告されているかどうか、外国為替及び外国貿易法、いわゆる外為法等の関税法以外の法令によります輸出規制に該当するかなどを必要に応じて確認することといたしてございます。

 なお、当該貨物が外為法上の輸出の許可を要する軍事車両か否かにつきましては、当該法令を所管する経済産業省において判断される、このようになってございます。

斎藤(ア)委員 再利用が禁じられている、あるいは適切な処理をせずに横流しすることが契約上駄目だということになっているこういった高機動車に関しても、仮に書類がしっかりとそろってしまえば税関の方で止めることはできない、仮にこれは自衛隊の車じゃないかと思っても止めることができないというのが現在の制度の限界だということだと思います。

 もう一つ、国交省に今度はお聞きしたいんですけれども、海外に横流しをされた車両を海外で整備をされて国内に逆輸入をされて、そして、本来、自衛隊専用車というのは国内では車両登録が、廃棄されたものはできないのに、普通に運輸局に行って登録をされてしまって、民間車両として使える状態が生まれてしまっていたようでございますけれども、この事実を認識をされているか、それは何らか国交省、運輸局の方で止めることというのはできなかったのか、お伺いできればというふうに思います。

久保田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の自衛隊が売り払った自衛隊専用車両、いわゆる高機動車と考えられる車両が車両登録されているという事実につきましては、防衛省からの情報に基づき認識しております。

 こういうのが登録できなかったのかということでございますけれども、我々は、このような車について、自動車については、安全、環境の基準を満たしていて、さらに、所有権がちゃんとしっかりしている、あるいは保管場所が確保されているといった道路運送車両法上の登録要件を満たした場合には、登録を行うことができるということになります。

 なお、今回の車両についても、外形上、自衛隊で使用されていた高機動車であるか、あるいは一般の車両かを判別することは非常に困難であったというふうに考えております。

 これをどうするのかということでございますけれども、今申し上げましたように、外形上、他の車両と区別はつかないということでございますので、国交省のみで再発防止策を図ることは非常に難しいと考えておりますが、防衛省から具体的な情報の提供があった場合には、当該車両の検査、登録を一旦留保して確認するなどの防衛省の対応に協力してまいりたいと考えております。

斎藤(ア)委員 これも、要件を満たしてしまえば車両として登録することを拒否できないということだと思いますので、やはりこれは、各省庁のルールとか仕組みだけで防ぐということは難しい。防衛省がリーダーとなって、各省庁と横断的にこういった問題の再発防止を図っていくということは極めて重要だというふうに考えております。

 これから再発防止策が図られるということで、うまくいけば、今後はこういった横流しが防げるということかもしれませんけれども、既に大量の車両が多分流出をしてしまっていて、十年前に売り払われた車両が今になって購入をされるということも起きているようでございますので、そういった意味でも、しっかりと税関、財務省、経産省、そして国交省と連携をしながら、こういった問題が利益を生むような状況というのを防いでいっていただきたいと思います。

 今月に入ってからも、新たに、ロシア軍がウクライナで高機動車を戦闘に使っている映像が流れていました。本来、高機動車はそういった使い方はしませんけれども、後ろの部分に対空機関砲を載せて発射をしているという映像が今月インターネットに流れていましたので、やはり、非常に日本の国民感情としては複雑なもの、嫌な気分になるものでございます。他国の侵略に日本の自衛隊専用車が使われてしまっているという結果を生み出してしまっていますので、このことは重く受け止めていただきたいというふうに思います。

 特に、これから防衛装備に関しては輸出を促進をしていく。また、私も、この夏、与野党の理事の皆様と御一緒に欧州を視察をさせていただいて、GCAP関連の様々な取組を拝見をさせていただきましたけれども、防衛装備の輸出に関しては、我々、国民民主党も重要な取組だと考えております。

 だからこそ、この高機動車の問題を契機に、改めて防衛装備の管理の体制を徹底をしていただいて、それは省庁横断的にしっかりと行っていただいて、日本の防衛装備品や防衛技術が好ましくない主体に渡ることがないように徹底をしていただきたいというふうに考えておりますので、改めて、最後になりますけれども、防衛大臣の方から、再発防止に関して意気込みをお伺いできればと思います。いかがでしょうか。

木原国務大臣 多年にわたり、そういった不正な売払いが行われていたとすれば、そういったものについても、調査において、その不正な行為を、明らかだということが分かった場合には、これは厳正に対処してまいります。

 と同時に、これから新たにそういった不正な転売、あるいは売払いが行われないように、調査結果を踏まえて転売防止強化策を策定し、これを年内にしっかりと公表したいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 私が本年の三月に質問させていただいて以降、様々な対策に向けた検討が進んでいるというところかと思いますけれども、やはりこの問題、一部のマニアかいわいではもう広く知られた問題であったようでございます。今まで防衛省に問い合わせても、それが本当に高機動車かどうか確認できないといったような回答がマスコミにもなされていたようでございますので、そういった姿勢もしっかりと正していただきたいと思います。タイにある、フィリピンにあるということであれば、大使館の方、防衛駐在官の方に見に行ってもらえば確認できるわけでございますので、しっかりと真摯に対応していただくことを今後も求めまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 パレスチナ、イスラエル紛争について質問をします。

 外務大臣は十月十二日、イスラエルのコーエン外務大臣と衝突後初の電話会談を行い、今回のハマスによる無差別攻撃を非難した上で、イスラエルが国際法に従って自国及び自国民を守る権利を有することは当然であると述べられました。

 日本政府は、イスラエルによる軍事攻撃、それ自体は容認しているわけですか。

上川国務大臣 我が国といたしましては、イスラエルが、ハマスの攻撃を受け、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識をしております。同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならず、いかなる場合においても国際人道法の基本的な原則、規範は守らなければならないということでございます。

赤嶺委員 国際法を守るかどうかという、私が聞いたのは、イスラエルの軍事攻撃そのものは容認しているのか、いないのかという点です。

 自国を守る権利があるとイスラエルに伝えた以上、容認していることは明らかではありませんか。

上川国務大臣 我が国といたしましては、イスラエルが、ハマスの攻撃を受け、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識をしているところであります。同時に、全ての行動、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならないということであります。いかなる場合におきましても国際人道法の基本的な規範、これは守らなければならないというふうに考えております。

赤嶺委員 ガザ地区は、世界で最も人口密度が高い場所の一つです。市民の生活の場とハマスの軍事拠点が混然一体となっています。そこで空爆や地上侵攻を行えば市民に甚大な犠牲が出ることは、これはもう明らかです。これまでもそうでした。なぜ軍事攻撃を容認するんですか。

上川国務大臣 ガザ地区の状況でございますが、深刻化の一途をたどっているということでございます。地域に飛び火して情勢が不安定化することに対して、日本としても深刻な懸念を持っているところであります。事態が早期に鎮静化され、地域にテロと暴力のない平和と安定が実現することを強く望んでいるところでございます。

 目下の最優先課題でありますが、まさにこのガザ地区においての人道状況の改善であるところであります。状況は深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来ある子供、また、女性、高齢者が大きな被害に遭っていることに大変心を痛めている状況でございます。

 そのような被害の拡大を防止する観点から、まずは、同地区の一般市民に必要な支援が行き届くよう、人道目的の戦闘休止及び支援活動が可能な環境の確保をイスラエル側に強く求めているところでございます。

赤嶺委員 それで問題が解決するかということです。

 外務大臣は、今回の中東訪問で、イスラエルに連帯の意を表明し、自国を守る権利を有することを再確認したと述べました。

 この一か月、ガザ地区の病院や学校、難民キャンプなどが連日空爆され、市民を巻き添えにした軍事攻撃が繰り返されてきたにもかかわらず、なぜ正面から軍事攻撃の中止を求めなかったんですか。

上川国務大臣 いかなる場合におきましても国際人道法の基本的な規範、これは守らなければならず、例えば、子供を含む無辜の民間人を無用に巻き込む、こうした攻撃は国際人道法の基本的な原則に反するものであり、正当化することはできない、こんなふうに考えております。

赤嶺委員 その答弁がうつろに響くんですよ。

 アメリカ政府は、一貫してイスラエルによる自衛権行使を支持する考えを示してきました。人道目的の戦闘休止を求める国連安保理決議に拒否権を行使したのも、自衛権への言及がなかったからでした。今も、ハマスを利するとして、停戦には反対をしています。

 日本政府もこのアメリカと同じ考えなのですか。だから、停戦、これに口を閉ざしているんですか。

上川国務大臣 我が国は、イスラエル、パレスチナ両当事者の抱える問題につきましては、暴力によって解決されるものでは決してなく、当事者間の交渉と相互の信頼を築く、その努力によってのみ解決されるものという立場でございます。

 その上で、今般のハマス等によるテロ攻撃は、多数の一般市民を標的として殺害や誘拐を行う残虐な無差別攻撃であり、どのような理由であれ正当化し得ず、これを断固として非難してまいりました。

 また、我が国が、イスラエルが、ハマスの攻撃を受け、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有するという認識をしているところでありますが、同時に、全ての行動は国際法に基づいて行わなければならず、いかなる場合におきましても国際人道法の基本的な規範は守られなければならないと考えているところでございます。

 こうしたことも踏まえまして、我が国は、全ての当事者が国際法に従って行動することを一貫して求めてきております。イスラエルに対しましても、これまで、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難する旨を伝えた上で、一般市民の保護の重要性、国際人道法を含む国際法に従った対応等を要請してきているところであります。こうした点につきまして、私が先般訪問したイスラエルに対しまして、直接この旨を伝えたところでございます。

 引き続き、刻一刻と現地情勢が動いているという状況でありますので、関係国、国際機関との間で意思疎通を行い、人道状況の改善や、また事態の早期鎮静化に向けた外交努力を粘り強く積極的に働き続けてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 我々も、ハマスの行為は国際人道法に違反するもので、絶対に認められないという立場であります。しかし、国際人道法に違反することは認めないと言いながら、目の前でイスラエルによる攻撃が繰り返されて、本当にみんな胸の痛む思いをしている。

 これまで、日本政府は、中東和平の問題では、欧米諸国とは一線を画してきました。パレスチナとイスラエルの双方に自制を求め、対話による解決を働きかけてきました。

 これまでに、一方の側の軍事力行使を容認した事例はありますか、日本政府は。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 日本政府として、過去の様々な事例については、その時々の状況に応じて、当事者に対してメッセージを発出して、事態の早期の鎮静化を図り、文民の被害を最小限にするよう努めてまいりました。

赤嶺委員 いや、ですから、今までは、パレスチナとイスラエルの双方に自制を求め、対話による解決を働きかけてきたわけですよ。今はスタンスが違うんです。イスラエルの自衛権を認めた上であれこれ言っているわけです。こういう一方の側の軍事力行使を容認した事例、これはありますかと聞いているんです。同じ答弁なら駄目ですよ。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御質問の容認という言葉の意味次第かもしれませんけれども、日本として、直接の当事者じゃない武力紛争において、その一方の側の立場を完全に支持する支持しないということはなかなか申し上げにくいと思います。

 いずれにしても、我々としては、この中東和平の問題といったものは、最終的にはイスラエルとパレスチナの当事者が交渉によって解決をする、その解決の方向性としては、イスラエルと将来のパレスチナ国家が平和裏に共存する二国家解決というものを通して解決をするということが重要であり、そのための外交努力を続けてまいりました。

赤嶺委員 それはそのとおりなんですよ。ところが、今回、イスラエルの自衛権を認めるといって、この戦闘の停止を求めない。ここに、日本政府は、中東問題、パレスチナ問題、非常に転換したんじゃないかというような疑問を持つわけです。

 やっぱり、今の答弁にもありましたように、この問題で重要なことは、長年にわたる暴力の連鎖をいかに断ち切るかということです。暴力の応酬に加担するなど絶対にやってはならないことです。

 今、アラブ諸国では、欧米だけでなく、日本に対する怒りも渦巻いています。取り返しのつかない過ちを犯していることを自覚すべきだということを厳しく指摘しておきたいと思います。

 次に、辺野古新基地建設について質問をします。

 防衛省が、埋立申請前の二〇〇七年、辺野古、大浦湾の海域に軟弱地盤が存在し、追加のボーリング調査などが必要であることを認識していたことが分かりました。

 資料をお配りしていますが、委託業者が当時まとめた報告書に傍線を引いてありますが、軟弱な沖積層が広く、厚く分布することや、追加の調査が必要であることが明記されていました。ところが、防衛省が二〇一三年に提出した埋立承認申請書では、長期間にわたって圧密沈下する軟弱な粘性土層は確認されていないと否定しています。軟弱地盤の存在を認識しながら、確認されていないと事実を偽って申請を行っていた、そういうことではありませんか、大臣。

木原国務大臣 普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立承認願書の作成に当たっては、沖縄防衛局において、設計段階で必要な調査を行い、御指摘の沖積層についても認識した上で検討を行ったものであります。

 沖縄防衛局は、この地層の存在も含め、平成二十五年の埋立承認願書に記載するとともに、その審査過程において施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県に説明した上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものと承知をしております。

 その後、施工段階で必要な調査検討を行った結果、地盤改良工事が必要であることが判明し、同工事の追加などを行うこととしたものであります。

 このように、それぞれの段階において必要な調査検討を行ってきたものであり、このような対応には問題がないというふうに考えております。

赤嶺委員 ちょっと時間がなくなってきていますけれども、外務大臣も、辺野古の問題ですから、外務省マターで大事な角度ですから、私の質問を聞いていただきたいんですけれども。

 今、あらかじめ、防衛大臣は申請のときには書いてあったと言っておりますが、二〇〇七年の報告書では、沖積層には短期間で沈下が収束する砂れきだけでなく、長期間にわたって沈下するシルト、つまり粘性土層が含まれていることが明記されています。ところが、願書では、粘性土層は確認されていないと書かれているわけですよ。粘性土層が確認されていたのに、なぜ確認されていないのか、こういう問題があるわけです。

 別のページには、土質条件について書いたページがあります。そこでは、沖積層の性状は、砂れきとしか書いていません。粘性土層も確認されているのに、それについての言及がありません。これはなぜ書かなかったんですか。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 まず、最初に申し上げておきますと、沖積層というのは、これは一般に他の地層と比較して軟らかい場合があることは事実ですけれども、必ずしもそれをもって地盤改良工事が必要となる地層ではないと我々は考えております。

 そして、平成十九年までに実施した土質調査の結果、計画地で確認された沖積層の土質が粘性土ではなく、砂れき等、これが中心だったということから、設計段階では更なる土質の調査を実施しなかったところでございまして、それを踏まえまして、我々が出しました環境保全図書の中には、砂、砂れき層が主体であり、長期間にわたって圧密沈下する軟弱な粘性土質は確認されていない、すなわち沈むことのない土質であるということを記述させていただいたところでございます。

赤嶺委員 報告書にはより詳しく書いているんですよ。

 願書の審査過程で、沖縄県もこの点に疑問を持って、皆さんに照会しております。沖縄県が液状化や沈下対策の検討のために評価結果を示すよう求めたのに対し、防衛省は、計画地の直下には圧密沈下を生じるような粘性土層は確認されていないため、圧密沈下は生じないものと想定しています、こうはっきり書いているわけですね。

 軟弱地盤の可能性があるのでボーリング調査で確認する、このように書かなければいけなかったわけですよ。それが土質調査の報告書なんですよね、二〇〇七年の。ところが、ボーリング調査の必要もないかのような願書を出した。沈下は生じないと言っている。

 その結果、当時、防衛大臣は何と言ったかといいますと、辺野古には軟弱地盤はないので五年間で完成しますと。五年間で完成しますと言ったんですよ。一日も早い普天間の危険性の除去、今どうですか。軟弱地盤が見つかって、十二年じゃないですか。うそをついたんですよ。

 そして同時に、予算規模も、当初は三千五百億円ですよ。それが、軟弱地盤が見つかって、今、九千三百億円。新垣邦男議員が質問しておりますが、九千三百億円でとどまらないことはみんな知っていますよ。

 こういう、非常に、虚偽の申請を当初やって今の辺野古を進めていることは、絶対に許せないと思います。いかがですか、大臣。

簗委員長 青柳整備計画局長、申合せの時間を経過しておりますので、御協力願います。

青柳政府参考人 はい。

 お答えいたします。

 先ほど申しましたけれども、我々、当初の設計段階におきましては、まさに必要な調査を行いまして、沖積層というものは認識した上で、我々として、埋立願書を提出し……(赤嶺委員「沖積層は軟弱地盤なんですよ」と呼ぶ)いや、沖積層は必ずしも、今回は砂れきが……(赤嶺委員「この場合は軟弱地盤なんですよ」と呼ぶ)当時の調査では砂れき中心ということで、我々は、これは土地改良を必要とするというものではないと認識しておりました。

 そして、さらに、沖縄県の審査過程におきまして、施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県にも説明した、この上で知事から埋立承認を得たものでありまして、我々としては、適切な対応を行ったと考えてございます。

木原国務大臣 施工段階でボーリング調査等の必要な土質調査を実施することを沖縄県には説明した上で、沖縄県知事から埋立承認を得たものというふうに承知しております。

 また、工事計画等については、その工事の実施段階において、工事の進捗であるとか、また現場の状況、あるいは気象とか海象の条件、そういった様々な条件を踏まえて、更に綿密なものとするために、不断に予算などの検討も進めていくこととなります。

赤嶺委員 終わります。

簗委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 今日、大臣所信に対していろいろ聞かせていただきます。委員長、各党派の理事の皆さん、御協力いただきまして、ありがとうございます。

 まず、木原大臣、ちょっと通告はしていないんですけれども、初入閣ということで、大臣としての委員会質疑のいろいろ答弁、今日からだと思うんですけれども、私も衆議院一期で三年目になったところで、まだ若干緊張が残っているんですけれども、大臣は熊本一区で、出水南中学校を卒業されていらっしゃるかと思うんですけれども、中学生の頃に、今こうして大臣になっていらっしゃるということは想定されていらっしゃいましたでしょうか。

木原国務大臣 思いがけない御質問をいただきましたが、中学生の頃、中学三年生までとすると十五歳でしょうから、十五歳の時点では、政治家になって、さらに、衆議院議員になって、そして閣僚になるということまでは想定していなかったというふうに思います。

浅川委員 ありがとうございます。

 私は、政治家にとって必要な、重要なことは想定外を想定することということで訴えてきているんですが、そうはいっても、私も、中学生の頃あるいは社会人になって、今こうして衆議院議員をやっているとは全く想定しておりませんでした。

 想定外を想定することは、もう少し政治課題としては、後にもちょっと触れさせていただきたいと思いますが、それと、今日、環境省さんもお越しいただいているので、質問、そちらの方を、項目でいうと三つ目の自衛隊基地、米軍基地施設等について、先にちょっとさせていただこうと思います。

 さきの通常国会でも、神奈川県の厚木基地や横須賀基地でのフッ素化合物、PFOA、PFOSの流出事案につきまして取り上げさせていただきました。

 まず、その点について、その後の経過、数字的なことを含めて、どうなっているか、お伺いします。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 本年四月に委員から御質問をいただいて以降、横須賀海軍施設につきましては、日米共同の海水のサンプリング調査や米側が実施した排水のサンプリング調査に加えまして、防衛省が実施した海水のサンプリング調査の結果を七月十日に関係自治体等に御説明をいたしました。これらは、いずれも暫定目標値を下回るものでございました。

 厚木海軍飛行場につきましては、日米の共同のサンプリング結果に関し、これまで米側から受けた説明と併せて、七月十日に関係自治体に御説明をいたしました。サンプリング調査の結果、基地内の調整池については暫定目標値を超えたものの、粒状活性炭処理後の排水については暫定目標値を下回るものでございました。

 防衛省としては、引き続き、PFOS等に関する地域住民の皆様の不安を払拭するため、米側に対し、施設の安全管理と再発防止の徹底を求めてまいります。

浅川委員 ありがとうございます。

 この目標値を下回っているという点について、環境基準の数値かなという気がするんですけれども、これは、環境省さんの方ではどのように評価されているんでしょうか。

土居政府参考人 御質問いただきました暫定目標値につきまして御説明申し上げます。

 PFOS、PFOAにつきまして、これらを合算した値としまして、一リットル当たり五十ナノグラム以下というものを、水環境における水質の暫定目標値として二〇二〇年に設定したものでございます。

 この意味合いでございますが、二〇二〇年時点での科学的知見に基づきまして、水を一生にわたって毎日二リットルずつ飲用したとしても人の健康に悪影響が生じない値といたしまして、中央環境審議会の審議を経て設定したというものでございます。ですので、水から、飲料による暴露を抑えるという意味で、極めて重要な値だというふうに考えております。

浅川委員 環境省さんの方でいわゆる環境基準値というふうな形にする場合というのは、より研究が必要かと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

土居政府参考人 今御質問いただきましたように、科学的知見に基づきまして、どのような人への影響があるのかということを、専門家の議論も踏まえまして、政府全体で決めていくというのがこれまでの手順になっております。

 二〇二〇年にこの暫定目標値を定めたと申し上げましたが、国際条約、POPs条約で対象になったのが二〇〇〇年代に入ってからということでございますので、世界的に見ましても、科学的知見がまだ十分でないということから、今この瞬間は暫定値になっているということでございます。

 環境省を始めとしまして、政府機関で様々な科学的知見を今収集、整理をしているというのが現状でございます。

浅川委員 それを来年度から本格的に研究をするということでよろしいんですよね。

土居政府参考人 科学的知見の収集につきましては、環境省におきましても、もう既に専門家委員会を設置をいたしまして、世界中の知見を集め、整理をしているとともに、ほかの省庁におきましても、もう既に専門家会合、ワーキンググループなどで検討作業は開始されているというところでございます。

 まだ結論に至るということではございませんが、作業自体は進捗しているというところでございます。

浅川委員 事前のレクでは、何か、来年度、四億円の予算をかけて研究するということでした。

 これまで十年ぐらい、それほど重大な影響があると思われていないから環境基準までいっていなかったのかなと思いますが、ただ、地域の住民にとっては非常に敏感でございますので、防衛省さんの方では、そこら辺は今後も引き続きお願いしたいと思っております。

 こういった地域との関係につきまして、私は横浜なんですけれども、横浜もいろいろ米軍の基地が、戦後接収されて、ありまして、事あるごとに、毎年、接収解除、早期の返還をということで、私も市会議員時代もさせていただきました。

 こういった基地を抱える自治体、あるいは自衛隊の駐屯地も含めてですけれども、そういった自治体との関係というのを、大臣はいろいろ、もう既に石垣島等も訪問されているかと思うんですけれども、今後どのように関係を、これまでも経緯はあると思いますけれども、築いていかれようとしているか、お伺いします。

木原国務大臣 おっしゃるように、防衛省としましては、自衛隊施設や、また在日米軍基地の安定的な運用や部隊活動の円滑な実施に当たっては、地元の御協力が必要不可欠であるということは御指摘のとおりであります。

 私としても、現場に足を運びまして、地元の皆様の声を聞いて、そして意見交換をする機会を持つことは大変重要であるというふうに考えております。

 だからこそ、引き続き、様々な機会を追求しながら、地元との信頼関係を強固にしてまいりたいというふうに思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 是非、意見交換を重ねていただきたいと思います。

 続きまして、通告の自衛隊の広報ですね。特に、今回、「沈黙の艦隊」という映画が公開されました。これについては、議連の方で主催した試写会も議会等でも開催されまして、私も、その試写会の前段だけ出て、ちょっとその後の日程があって、あとは映画館で、うちのスタッフ全員で強制的に見て感想を求めました、これは自衛隊が、防衛省が協力しているからと。

 元々、私も、かつて、その全巻を読んでストーリーを頭に入れていた。ちょっと状況が、世界情勢が変わっているので、ストーリーも変わるんじゃないかなと思っているんですが、実は、私、この自衛隊が協力して映画を撮っているというのを、ちょうど一年前の「いずも」の艦上で知ったんですね。それをどうして知ったかをここで述べてしまうと、もしかしたら処分される方が出るかもしれないので、余りちょっと詳しくは、その経緯については申し上げませんけれども、いずれにしても、この一年、見たのは十月なんですけれども、非常に楽しみにしておりました。

 大沢たかおさんが、主演だけではなくてプロデュースされて、いろいろ足を運んで、この映画化に向けて動かれたということも聞きました。原作は、かわぐちかいじさんが作られて、非常にメッセージ性の強い原作だったなと思っているんですね。

 この映画の実現には、防衛省・自衛隊の協力がなければ、ああいった映像は撮れなかったと思いました。私も若干映像に関心があるんですけれども、この映像を撮るために使われたカメラが世界最高の、ハリウッドで使われるようなカメラで、レンズも、もし一本を一日借りたら最低四万円ぐらい、レンタルなんですが、非常に高価なレンズとカメラが使われてあの映像が撮られたということも知りました。それよりも何よりも、大沢たかおさんの意気込みというのが大きかったかなというふうに思っております。

 ところで、この映画の撮影についての協力あるいは打診というのはいつ頃からあって、制作上、特段配慮されたことはどういったことなのかというのをお伺いしたいと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の映画、「沈黙の艦隊」という映画でございますけれども、この撮影協力に当たりましては、私ども、潜水艦を始め護衛艦、航空機等の装備品の撮影、あるいは出演者に対します所作指導、すなわち、自衛官らしく、例えば敬礼するといった動作でございますけれども、こういう所作指導等について協力をしたところでございます。

 先方との関係がございますので、いつ頃から申込みがあったかということは、ちょっとこの場で申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、これまで、防衛省・自衛隊として様々な映画作品に撮影協力をさせていただいてきたわけでございますけれども、そうした場合と比較をいたしまして、今回特別に注意した点あるいは配慮した点ということは特段あるわけではないわけでございますけれども、ただ、撮影の協力に当たりましては、出演者、スタッフが安全に撮影できますよう、安全管理に注意をさせていただきました。

 また、撮影協力を行う時点では、映画の制作自体がまだ公になっておりませんでしたので、防衛省側で協力に関わる人員を局限いたしまして、情報管理を徹底する等の配慮はさせていただいたところでございます。

 また、撮影協力をいたしました結果としまして、例えば、自衛隊の装備品等の性能等が明らかになってしまうという事態は、これは避けなければならないわけでございまして、今回も、当然のことでございますけれども、こうした必要な保全措置ということは行わせていただきました。

 以上でございます。

浅川委員 これまでも、いろいろドラマとか映画の協力というのはあったかと思うんですけれども、その撮影協力をするときにどのようなことを期待したり、あるいは、どういった場合に協力をするという基準というか目安というのはあるんでしょうか。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の平和と安全を守ります防衛省・自衛隊の活動は、国民お一人お一人の御理解と御支持があって初めて成り立つものでございます。このため、自衛隊といたしましては、その幅広い活動を紹介させていただきます一つの手段といたしまして、映画やドラマ制作に協力いたしまして、国民の皆様の理解の促進あるいは親近感の醸成といったものを図っておるところでございます。

 部外の制作会社等から防衛省・自衛隊に対しまして、映画やドラマの制作につきまして協力依頼があった際には、防衛省におきまして広報活動に関する訓令その他の関連規則を定めておりまして、この規則に基づきまして判断をさせていただいているところでございます。

 具体的に申し上げますと、第一に、広報上の相当の効果があるかどうか、第二に、他の業務に著しい支障を及ぼさないかどうか、第三に、その内容が健全妥当と言えるかどうか、第四に、協力内容が防衛省・自衛隊以外では困難であるかどうか、最後に、協力が教育訓練等を兼ねて実施できるかどうか、こういった基準に基づきまして、個別に判断させていただいているところでございます。

 今回の映画でございますけれども、私どもが考慮いたしましたのは、一つには話題性があるということもございましたし、また、幅広い地域や年齢層の方々に防衛省・自衛隊の活動に興味を持っていただく機会になるのではないか。とりわけ、潜水艦といいます、一般的にはなじみの薄い自衛隊の活動の一端を知っていただく上で、一つのよいきっかけになるのではないか。さらに、本協力内容を適切に行えるのはまさに防衛省・自衛隊のみであるといったことを総合的に考慮いたしまして、協力することとしたものでございます。

浅川委員 非常に丁寧に、ありがとうございます。

 隊員に与える影響というのも非常に大きかったのではないかなと思います。しかも、ちょっと数字は忘れちゃったんですけれども、非常にヒットしているということで。

 ただ、ちょっと残念だったのが、ストーリーを事前に知らない方は、テロリストが原潜を乗っ取って、これ、どうするの、自衛隊がこんなテロリストを容認する映画を作っちゃったのと勘違いされた方がいたんですね。

 つまり、ある意味、第一話、前編であるんだと思うんですね。後編か、あるいは中編もあるのかもしれないですけれども、そこら辺、もう撮影協力というのは終わっているんですかね。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一企業側とのやり取りを今この時点で申し上げることは困難であることを前提とした上で、更にもう一つ申し上げますと、今回、私ども防衛省・自衛隊に依頼されました協力事項というものは全て終了しているという私どもの認識でございますので、現時点におきまして、続編の制作があるかどうかにつきまして、私どもはもちろん承知をしておりませんし、答える立場にもないということでございます。

浅川委員 多分、あのまま終わるということはないと思うので。全て撮影し終わっていると。つまり、今公開されているところまで見てしまうだけで終わりだと、テロリスト、艦長がテロって、原潜を乗っ取ってというストーリーで終わってしまうわけにはいかないと思いますので、そこは、結末、次の後編を期待したいなと思っています。

 先ほどちょっとお話ししましたけれども、この映画は非常にメッセージ性があると思っております。大沢たかおさんも、昔これを読んで、いずれ映画にしたいなというふうに思われていたそうなんですね。

 この映画の中で、世界を動かすにはまず日本が動かなければならないという言葉があったりします。理想を実現するためには力が要るとか、ここだけ見ると、何かちょっと危ない感じを思い浮かべるんですけれども、全く、原作では平和を求める男の理想が描かれていたと私は思っておりますので、是非この質疑で、ちょっと資料は御提示できなかったんですけれども、関心をお持ちいただく方が増えるといいなと思っております。

 ちなみに、シーバットという原子力潜水艦、劇中に出てくるものは、当時の仕様では三十二億ドルの建造費がかかっていて、今の金額にすると約五千億円なんですね。原潜を造ると四、五千億円ぐらいというふうに聞いていますので、大体合っているのかなと思います。

 ただ、もう一つ注意しなければいけないのは、攻撃型の原潜だと。つまり、戦略型の原潜ではないということで、つまり、戦略核を積むような原潜ではなくて、あくまで通常型の原潜を強化するような意味合いでの原潜だったようなんですね。

 自衛隊・防衛省が広報でこの「沈黙の艦隊」に協力したというのは、非常に歴史に残るのではないかと私は思っております。大臣、何か、この点について所感はございますでしょうか。

木原国務大臣 大沢たかおさんは、防衛省、市ケ谷にも表敬訪問していただいて、ちょうど世代も同じぐらいだったものですから、この原作についての話をしまして、先ほど中学生の話をしましたけれども、この原作は高校生を卒業するかしないかぐらいの頃から連載が始まって、私も、ちょうどその頃から講談社の「モーニング」を読むようになったという思い出があります。

 それからずっと、連載がすごく長かったので、大学を卒業して社会人になってからもまだ続いていたと承知しておりまして、日本を離れた時期もあったので、読んだり読まなかったり、そういう状況であった。

 大沢さんとも非常にそういった話題で盛り上がったところですが、そのストーリーや内容についてでありますけれども、今いろいろ委員は御指摘がありましたけれども、防衛省・自衛隊が関与していない、もうこれは架空の戦記でありますから、そういったことでありまして、防衛大臣として所感を申し上げることは、この場では控えさせていただきたいと思います。

浅川委員 ありがとうございます。

 また映画が完結したときに、個人的にちょっとお伺いしたいなと思います。

 その原潜なんですけれども、これまで我が党も、原潜の話をこの安保委員会とかほかの委員会でも取り上げております。党としては、日本は原潜を持つべきではないかと提案もさせていただいているんですけれども、今回、この件でいろいろ、事前のレクとかやり取りをさせていただいたときに、ちょっと思ってもみないようなお話を聞きました。

 ただ、そのお話の前に、ちょっと資料を添付させていただきました。

 十六年防衛大綱という見出しの、これは産経新聞の二〇一一年の記事なんですけれども、ここに書かれておりますところによりますと、平成十三年の九月、二〇〇一年ですかね、防衛長官の下に防衛力の在り方検討会議が設置されたということがあるんですけれども、まず、この防衛庁の中で防衛力の在り方検討会議というのは本当にあったんでしょうか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、特に、前の大綱でございますとかあるいは今回の各戦略文書、そういったものを作る過程あるいはそのフォローアップというような形で、防衛力の在り方についての省内における合議体をつくって、そこで議論を進めていくということがございます。

浅川委員 この記事の基は、当時の防衛庁の幹部が明らかにしたというんですけれども、そうすると、多分、このときもあったんだろうと思われるんですよね。

 その際に、テーマとして、日本独自の原子力潜水艦保有の可能性というのも検討されたというふうに書いてあるんですけれども、これについてはどうだったんでしょうか。

木原国務大臣 防衛省においては、御指摘の過去の防衛計画の大綱の策定時に、検討時を含めまして、様々な機会に、省内において防衛力の在り方について不断の検討を行ってきているところでありますけれども、その検討、採用されたもの、採用されなかったもの、逐一についてお答えすることは差し控えたいと思います。

 その上で、委員がお聞きしたいということは、原子力潜水艦の保有についてということであろうかと思いますけれども、様々な議論があるということは承知をしておりますが、原子力潜水艦の保有に関する検討は現時点では行っていません。

浅川委員 現時点で検討していないというのは、これまでもいろいろと言われたんですけれども、保有すると決めていることではなくて、保有するかどうかの議論、検討というのは、過去にこういう会議等であったということでよろしいんでしょうか。

木原国務大臣 省内において、防衛力の在り方については、これは逐次、不断の検討を行っているということでありまして、その検討については、逐一お答えすることは差し控えたいと思います。

浅川委員 そうすると、原潜の保有をどうしようか、具体的な条件も含めて、省内では、あるいは昔は防衛庁の中では検討したことも含まれるというふうに解されますけれども、いいんでしょうか。

木原国務大臣 同じような趣旨の答弁になって大変恐縮でありますけれども、そういった、私どもは、以前は防衛計画の大綱、今現在では国家防衛戦略あるいは防衛力整備計画ということで、それぞれ、時期に応じてあるいは時代背景に応じて様々な文書の策定というものをしていくわけでありますけれども、その過程において、省内において防衛力の在り方について検討していく中で、逐一そこをお答えしていくと、これはもう全てあからさまになってしまうということもありまして、その点については御理解をいただきたいというふうに思っております。

浅川委員 ありがとうございます。

 実は、レクの段階でも、原潜を持つメリットとかデメリットとかとお伺いしていたんですけれども、ただ、防衛省内では過去に保有する検討は一切していない、一回もしていないというようなお話を聞いていたんですね。

 ですけれども、今の大臣の答弁ですと、保有することも含めて、公表はできないけれども、もしかしたら検討していたということになるような気がするんですけれども、よろしいですか。

木原国務大臣 浅川委員がどのような感想をお持ちになるかというのは、これはもう委員御自身の感覚だと思いますけれども、現在においては、防衛省においては、防衛力整備計画に基づいて、通常動力型の潜水艦を毎年一隻ずつ取得し、必要な防衛力を整備しているところでありまして、我が国としては原子力潜水艦を保有する計画はありません。

浅川委員 分かりました。ありがとうございます。

 じゃ、次に参ります。

 UAPの問題、これも通常国会までいろいろ質疑をさせていただいておりましたけれども、ちょっとこの夏にもいろいろ動きがありまして、大臣も新任でいらっしゃるので、ちょっとお伺いしたいと思います。

 まず、メキシコの下院議会で、九月十二日にUAPの公聴会がありました。私も議会から招聘されまして、出席をしまして、日本でのUAPの議論とあるいは課題について述べさせていただきました。

 この資料にもありますように、出席者の中には、オンラインではあるんですけれども、アヴィ・ローヴ、アメリカの天文学者で非常に有名な方、それから、アメリカの下院議会での公聴会でもパイロットとしていろいろUAPに遭遇したということでの証言をされたライアン・グレイブスさんもいらっしゃっていました。

 大体、実務的な方たちが多かったんですけれども、このメキシコの下院議会での公聴会が開かれたというのは、いろいろワイドショーも含めて日本でも報道されたんですけれども、開かれたことについては大臣は御存じでいらっしゃいましたか。

木原国務大臣 委員が招聘をされた、本年九月ですかね、メキシコ議会でいわゆる未確認異常現象、UAPについての公聴会が開催されたということは承知しております。そして、浅川委員が公聴会で意見を述べられたということも承知しております。

浅川委員 ありがとうございます。

 このUAP、さきの通常国会では、大和参考人からもUAPという言葉で御答弁もいただいているんですけれども、そもそも、ちょっと私も確認していなかったんですが、官房長官もいろいろ記者会見や答弁もいただいているんですけれども、日本の政府としては、防衛省としてもなんですけれども、UAPの存在については認めているんでしょうか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 米国防省によればということでございますけれども、UAP、日本語では未確認異常現象ということであろうかと存じますけれども、これは、空中や水中などにおける異常な探知の原因といった意味で使われているというふうに承知をしております。

 ただ、米国政府によるこの用語あるいはその英語の定義等につきましては、防衛省としてお答えする立場には必ずしもないということでございます。

 ただ、いずれにしましても、私どもとしては、識別不能の物体も含めた我が国の安全に関わる事象について、アメリカと平素から緊密に連携しつつ、高い関心を持って、情報収集、分析に努めてきているということでございます。

浅川委員 何でこの質問をしたかというと、実は、私もちょっとびっくりしたんですけれども、党内、我が党の中でも、浅川が言っているUAP、いわゆるUFO、宇宙人が乗ってきている円盤の話か、そんな質問をするなということが実はあったんですね。でも、私が言っているのは宇宙人が乗ってきている円盤の話じゃなくて、国防上、もしかしたら脅威になるかもしれない、自然現象であるかもしれないし、未知の兵器かもしれない、そういったものの存在を前提、前提というか、脅威あるいは何らかの対応として見ているかどうか、対象として見ているかということを私は論じているので、宇宙人のUFOとかという前提ではないんですね。

 いまだに、実は、国民の中には、UFOを信じるか信じないかという議論があるんですよ。アメリカの政府、国防総省が予算をつけて、あるいはNASAもこういった研究をしているところの問題を、信じる、信じないという話、レベルじゃないんですね。まず、その点で、実は、人権侵害に当たるようなことも起きているんです。実は、大臣が昔お勤めだった日本航空で、機長がUFOに遭遇したということで、地上職配置に転換されたという有名な事件もあるんですね。

 そういった、私は、UFO、UAPの問題というのは、もう国会でも取り上げるべき。アメリカでは、もう上院も下院も法律まで作っているわけですよ。その作っている法律の中には、来年の予算、アメリカの予算の条件にするために、これまでも国防権限法の中で、民主党のチャック・シューマー上院院内総務、いわゆる上院のトップの方が、地球外生命体に関する政府の文書の機密解除、幅広い権限を有する委員会を設置する法案というのを出しているんですね。共和党ももちろん、理解している方も多いんですけれども。

 これについて、十二月、来月ぐらいに大統領が署名するかどうか。つまり、アメリカの予算の条件についているような法律ですので。こういったところまでアメリカでは行っている。つまり、アメリカの七月に行われた公聴会では、墜落したUFOを回収した作業とか、そういう証言まで出ているんですね。その証言をしている人はアメリカの情報将校だった人なんです、この三月まで。グルーシュさんという有名な方なんですけれども。

 私も、墜落したUFOがあるとはなかなかちょっと思えませんし、ここに書いてある地球外生命体が関係しているともちょっと思えないんですけれども、アメリカでは、議会でそこまで議論されて、法律まで作って、つまり、守秘義務を免除するような議論までされているんですね。ところが、日本では全くそういう議論がなされない。

 もっと言うと、もう一枚資料をつけさせていただきましたけれども、これは共同通信社の配信で、非常にまとまった記事なんですけれども、これはデジタル版なんですね。もちろん、地方紙さんが紙面で書いているところもあるかもしれませんけれども、残念ながら、幾ら私がこの委員会、国会で、このUAPの問題、もしかしたら国防上の脅威だからアメリカと一緒に取り組むべきだ、取り組んでいるとは言うんですけれども、情報開示をすべきだと何度言っても開示されない。

 実は、報道もほとんどされないんですね。唯一、地元の神奈川新聞社さんはちょっと書かれたことがあるんですけれども、大手の新聞社さんは、この国会での議論についてはほとんど触れないんですよ。これは、政治部の記者の方たちからすると、対象外だと言うんですね。

 でも、アメリカでは立派にもう大手のメディアが論じている。もっと言うと、公聴会も生中継されているわけなんですね。それぐらい国民の関心も高い、国防上の脅威かもしれないと言われていることが日本ではなかなか公で議論されづらいという状況が起きているんです。

 何でこだわるかというと、私自身、中学生のとき、私は横浜市立大道中学というところを卒業しているんですけれども、中学生のときに長時間見てしまっているんですね、複数の人間と。私は、元々天文学者になりたかったので、天体望遠鏡のファインダーでよく観察をして、当時、記録も取ったんです。今、それはなくなっているんですけれども。

 その後、先ほどお話しした日航ジャンボ機の事件が、そのUFOと言われていたものは木星の見間違いだと結論づけられたんですね。木星の見間違いじゃないことは明らかなんです、科学的に。にもかかわらず、メディアもそれで片づけてしまった。明らかに、このUAPの問題について、政府もメディアも前向きに捉えないというのはちょっとまずい。

 官房長官は、記者の質問に対して、情報を共有して分析しているというところまで言われているんですね。じゃ、分析をアメリカと一緒にしているんだったら、どういう分析結果が出ているかというのをお伺いしたいんですけれども。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 米国政府との間では、空中における識別不能の物体も含めた我が国の安全に関わる事象につきまして、平素から緊密に連携をして、情報共有、分析等を行っているところでございますけれども、その詳細につきましては、相手国との関係もございますので、お答えできないということを御理解を頂戴できればというふうに存じます。

 その上で、防衛省といたしましては、我が国の防衛を全うするという観点から、引き続き、様々な事象につきまして、高い関心を持って、情報収集、分析に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

浅川委員 これまでの答弁と余り変わらないんですけれども、実は、通常国会の後、アメリカの国防総省の所管部署が日本の上空にUAPが多数あるということを公表したんですね。日本の周辺にたくさんUAPが、特に西日本なんですよ。

 大臣、それは御存じなかったですか。

木原国務大臣 西日本に目撃多発エリアがあるというような話だと思いますけれども、このUAPという用語自体が、これは米国政府が使っている用語で、まだ防衛省の中では使われていない用語でもあるので、私も、委員からの質問通告を見たときには、最初は分からなかったわけです。

 米国政府との間では、空中における識別不能の物体も含めた我が国の安全に関わる現象について、平素から緊密に連携して、情報共有、分析を行っていますが、先ほどの答弁にもあったように、詳細については、これは相手国との関係もあるので、一方的に防衛省からお答えすることはできないわけであります。

 そして、しかしながら、今、委員がメキシコ議会に招聘された、これは議会で招聘された、そういった動きがあったこと、また、UAPについて米国政府が専門部署を設けて情報収集、分析を行っている、これは事実ということを承知しておりまして、防衛省としては、我が国の安全保障の観点から、その関連の動向は注視していきたいなというふうに思っております。

 西日本については、済みません、承知しておりません。

浅川委員 所管の方は当然知っていますよね、情報を共有しているので。

 AAROで日本がマッピングされているんですよ。世界中の中で、日本の特に西日本がUAPの目撃多発地帯になっている。それを目撃している主体は、ほとんど米軍だと思うんですね。何で東日本より西日本に多いかというと、空母の艦載機が岩国に移転した、昔は厚木だったわけですけれども、岩国に移転していて、岩国を中心に飛んでいるので、私は、東日本より西日本が多いのは、多分、艦載機が多く見ているんじゃないかなと予想しています、根拠はないんですけれども。

 それでいきますと、当然、自衛隊の艦船や航空機も目撃していてもおかしくないんですね。目撃した場合には、河野大臣が当時、報告するようにと通知を出していますけれども、いまだにそういうことがないというふうに聞いていますので、私としては、日米で情報共有、分析しているんだったら、少なくとも、日本の上空に飛んでいるUAPについてどうするのかということぐらいはちょっと検討していただきたいなと思いますけれども、いかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の大臣指示でございますけれども、我が国の防衛及び警備に影響を及ぼすおそれのある、空中における識別不能の物体を確認した場合に、報告や分析を万全に期すことを定めたものでございます。

 防衛省・自衛隊におきましては、これまで、対領空侵犯措置の中で、外国の通常の固定翼機や回転翼機等といったもの以外の何らかの飛行物体について、公表すべき特異な事案は確認をされておりません。また、これまで、御指摘の大臣指示に基づく報告というものもない、そういう状況でございます。

浅川委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので終わりますけれども、アメリカと同じように、UAPの部署を是非、大臣、つくることを御検討いただきたいと思います。

 以上です。どうもありがとうございました。

     ――――◇―――――

簗委員長 次に、内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。木原防衛大臣。

    ―――――――――――――

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

木原国務大臣 ただいま議題となりました防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 防衛省職員の給与について、本年度の官民較差に基づく改定を実施するため、所要の措置を講ずる必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由であります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。

 第一に、人事院勧告の趣旨を踏まえて、自衛隊教官、自衛官等の俸給月額等について引き上げることとしております。

 第二に、人事院勧告の趣旨を踏まえて、防衛大学校及び防衛医科大学校の学生等に係る期末手当について引き上げることとしております。

 なお、自衛官及び事務官等の期末手当及び勤勉手当の支給割合の引上げにつきましては、一般職の職員の給与に関する法律の改正によって、一般職の職員と同様の改定が防衛省職員についても行われることとなります。

 第三に、一般職の職員と同様に在宅勤務等手当を新設することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

簗委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十分散会


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