衆議院

メインへスキップ



第3号 令和5年11月10日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年十一月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 簗  和生君

   理事 鬼木  誠君 理事 小泉進次郎君

   理事 杉田 水脈君 理事 藤丸  敏君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 岩谷 良平君 理事 中川 宏昌君

      江渡 聡徳君    大塚  拓君

      小寺 裕雄君    坂井  学君

      鈴木 貴子君    武田 良太君

      渡海紀三朗君    中谷  元君

      細野 豪志君    松島みどり君

      松本  尚君    吉田 真次君

      和田 義明君    若宮 健嗣君

      鷲尾英一郎君    新垣 邦男君

      櫻井  周君    重徳 和彦君

      渡辺  周君    浅川 義治君

      住吉 寛紀君    北側 一雄君

      斎藤アレックス君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   防衛大臣         木原  稔君

   内閣官房副長官      村井 英樹君

   防衛副大臣        宮澤 博行君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   防衛大臣政務官      三宅 伸吾君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  望月 明雄君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理室次長)       英  浩道君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           中西 礎之君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 今給黎 学君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  青柳  肇君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  三貝  哲君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十日

 辞任         補欠選任

  大塚  拓君     吉田 真次君

  柿沢 未途君     鈴木 貴子君

  長島 昭久君     小寺 裕雄君

  玄葉光一郎君     櫻井  周君

同日

 辞任         補欠選任

  小寺 裕雄君     坂井  学君

  鈴木 貴子君     柿沢 未途君

  吉田 真次君     大塚  拓君

  櫻井  周君     玄葉光一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  坂井  学君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     長島 昭久君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

簗委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣府沖縄振興局長望月明雄君、国土交通省大臣官房危機管理室次長英浩道君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官中西礎之君、防衛省大臣官房審議官今給黎学君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省整備計画局長青柳肇君、防衛省人事教育局長三貝哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

簗委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

簗委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。

 防衛省給与法改正案に対して質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず一点、冒頭、通告しておりませんけれども、さきの衆議院の長崎四区の補欠選挙で、木原大臣が、自衛隊の政治利用とも捉えられるような問題の演説について、改めて認識をお伺いしたいというふうに思いますが、自民党候補への応援演説で、自民党候補を応援していただくこと、これが自衛隊並びに御家族に対してのその御苦労に報いることになると。現職の防衛大臣でありながら、自衛隊を使い選挙の支持訴えをしたこと、このことについて、大臣としての認識が甘く、資質に欠けると言わざるを得ないと思います。

 さらに、その後に、一議員としての党活動と開き直られたことも、議員としての資質も問われるというふうに思います。

 誤解を生んだなら、遺憾で、撤回をするという言葉で片づけられる、そういう問題ではありません。

 改めて、何を撤回をし、何に反省をし、問題の発言であったのか、認めているのかもお聞きをしたいというふうに思います。

木原国務大臣 おはようございます。

 伊藤委員にお答えいたします。

 御指摘の私の佐世保での発言でございますけれども、委員御指摘ありましたけれども、これは衆議院議員としての、あるいは党活動としての一環としての演説ということであります。その中で、自衛官と御家族への敬意と感謝を申し上げた部分であります。

 もとより、私自身に自衛隊を政治的に利用するような意図はございません。防衛大臣として、自衛隊員に対して、自衛隊員に対して特定の候補者に投票してもらうように呼びかけたことでもございません。

 今回の演説については、自衛隊の政治利用ではないかとの御指摘がございましたので、私自身、原稿に基づいて何かお話ししたわけではないので、逐一その内容を、現在、文字で起こして、それを今ここで御披露することはなかなか難しいわけですが、報道に言われている部分について、撤回したところを申し上げるならば、自衛隊並びに御家族に対してのその御苦労に報いることになりという部分について、ここは翌日に撤回をさせていただいたところであります。

 いずれにしましても、私自身に自衛隊を政治的に利用するような意図はないということ、そして、一議員としての党の活動としてお話しをさせていただいたということを是非御理解をいただきたいと思います。

伊藤(俊)委員 衆議員として、一議員としてということが通用するのかという問題でありますけれども、やはり自覚が足りないというふうに思います。

 以前も、稲田防衛大臣が同じような発言で問われましたけれども、あのときは大臣はその問題においてどういうふうに捉えられたのかもお聞きしたいというふうに思いますが、今回とどう違うのか、同じなのか、どういう認識なのか、お伺いさせていただきたいと思います。

木原国務大臣 私自身については、そういった、自衛隊員に対して特定の候補者に投票をしてもらうように呼びかけたものではないということ、そして、その演説の冒頭に、今日は衆議院議員として来ておりますということからその演説を始めたということ、そういうことを総合すると、私自身につきましては、ここはあくまでも一議員としての、そして党の活動の一環としての演説であったというふうに私は考えております。

伊藤(俊)委員 過去の稲田防衛大臣の、同様とも取られるような発言、大変批判を受けて、辞任の一端につながったというふうに思いますけれども、そのときの学びがないのではないかというふうに思いますし、防衛大臣として職責の重みというものを理解をしていたら、今回のような政治的な中立を明らかに侵すような、あるいは、服務の宣誓においても政治的活動に関与せずと誓う自衛隊員への裏切り行為でもあるというふうに思います。大臣の資質、辞任に値するというふうに思いますけれども、強く申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、今日は給与法の改正案の質疑でありますけれども、関連をして大臣にお伺いしたいと思いますが、現在、特別職の給与に関する法律の改正案が提出をされて、結果的に、岸田総理が年収にして四十六万円、閣僚の皆さんも三十六万円年収が上がるということで、政務官や私たち一国会議員も関与することでありますけれども、国民の皆さんの厳しい現状を鑑みて、理解が得られない、厳しい声が上がるというのは至極当然のことと思います。

 過去には、平成十年に引上げを見送られたという前例もあります。今回、凍結を決めればできるのに、あえてやらずに、一部返納するという話も出ておりますけれども、国会軽視そのものではないかなというふうに思っております。

 私ども立憲民主党は、給与増額を凍結をする修正案を提出をする予定でありますけれども、それに賛同していただければ今回は上がらずに済むということでありますけれども、返納するぐらいなら、きちんと凍結をすべきだというふうに思いますが、岸田政権の大事な国務大臣の一人として、認識を問いたいというふうに思います。

木原国務大臣 御指摘の法案に関しましては、昨日、官房長官から発表があったとおり、国会において法案を成立いただいた場合には、政治家である内閣総理大臣、国務大臣、副大臣及び大臣政務官については、今回の給与増額分を全て国庫に返納する旨を申し合わせることになったというふうに承知をしております。

 私としても、岸田内閣の一員として、そういった政府全体の方針に従って対応してまいりたい、そういうふうに思っております。

伊藤(俊)委員 今回こそ、一議員として、一衆議員として答えていただきたいと思いましたけれども、結果的に、国民の生活の実情を理解をせずに、御自身あるいは自分たちの給与を上げることを優先するという、こういう認識をお持ちだということで理解をしたいというふうに思いますが、政治家としてしっかりと対応された方がいいというふうに申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、給与法に関して質問をさせていただきたいと思いますが、我が国では、防衛力の中核を担う自衛隊員の確保がこれまで以上に一層難しくなっております。自衛隊では、特に若年層における充足率の未達成が恒常的な課題となっております。

 まず、士区分の自衛官の採用状況についてお聞きしたいと思いますが、令和四年度の任期制自衛官、いわゆる候補生の採用状況を見ると、採用計画数は九千二百四十五人、実際の採用数は三千九百八十八人にとどまり、採用計画の達成率は四三%。この達成率は、二〇〇九年度の二千三百二十一人に次いで過去最低だということで、二〇〇九年以降で見ても、過去最低を記録した二〇一八年度、七二%から見ても、大幅に下落をしております。

 また、令和四年度末における士区分の自衛官についても、非任期制そして任期制の自衛官を合わせた定員に対する現員の充足率は七六%ということで、自衛隊全体の充足率九二%からも大きく下回っております。

 若年層の採用人数を増やすことは恒常的な大事な課題だというふうに思いますが、これまでに防衛省が、募集の対象年齢の引上げやあるいは給与の、初任給の引上げなど、対応していただいていることは承知をしておりますが、残念ながら、結果的には厳しい現状にあります。

 自衛官の候補生については、三か月間の教育訓練期間が、給与が手当として支払われて、その期間の手当の月額が自衛官の任官後の俸給月額よりも約四万円少ないということから、給与が安く、低く見られがちであると。そしてまた、候補生という名称から、実際に自衛官として採用されないのではないかという誤った認識も指摘をされているところであります。これまでの募集要項も私も拝見をしておりますけれども、正しく書かれているんですけれども、この三か月間の低い金額が最初に書かれていたり、こういう記載の仕方も含めてですけれども、広報の更なる努力、工夫が必要なのではないかというふうに思っております。

 今回の採用状況の悪化の理由、原因、どのように分析をされているのか、また、どのような改善策、そしてまた広報の在り方、そしてまたこの記載の在り方も含めて、改善の余地をお聞きしたいというふうに思います。

木原国務大臣 少子化やまた労働人口の減少によって我が国が深刻な人手不足社会を迎える中に、高校新卒者の有効求人倍率というものがバブル期に次ぐ三・〇一倍になったことから、これは防衛省・自衛隊だけではなくて、民間も含めた人材獲得競争はより熾烈なものとなっておりまして、さらに、新型コロナウイルス感染症によって募集関連イベントも制限をされたということも相まって、いわゆる御指摘の士区分となる、士の自衛官候補生及び一般曹候補生の令和四年度の採用者数は計画数に達しませんでした。

 防衛力の中核は自衛隊員でありまして、防衛力を発揮するに当たっては必要な人材を確保することが不可欠であります。国家安全保障戦略等に定められた人的基盤の強化について、募集能力の強化、人材の有効活用、生活、勤務環境の改善、ハラスメント防止対策、給与面の処遇の向上といった各種施策を含め、あらゆる選択肢を排除せず、有効な対策を講じてまいります。

 その上で、今年度について言うと、例えば、より多くの若者が目にするSNS等を活用した積極的な募集広報の展開であるとか、地方公共団体や関係機関等との連携の強化など、採用に係る取組強化に加えまして、高校生等の夏休み期間に合わせて、陸海空自衛隊が一体となった募集広報活動、自衛隊サマー・フレンドシップキャンペーン、これはコロナで少し、ここ最近できなかったんですけれども、そういったイベントを実施し、職業としての自衛隊について認知の向上を図り、そして、地方協力本部の募集担当者である広報官に対してその募集対象者を引きつけるための民間のノウハウに係る教育を実施するなど、地本の能力強化を図るといった取組を行っております。

 引き続き、人材確保のための委員御指摘のパンフレット等の記載についても、これは書いてあることは正しいんですけれども、非常に正直に書いているというところもあり、そういった広報の在り方を含めて、民間のそういったパンフレットも研究をしながら、あらゆる取組を強化してまいります。

伊藤(俊)委員 是非改善に努めてもらいたいと思いますが、パンフレットを見ると、本当に、現行のやつを見ても、一番最初に候補生手当十四万六千円と書かれていて、これだけ見ると、少し低いなというふうに感じる方が多いんじゃないかというふうに思いますので、その記載の在り方を、今度、初歩的なところだけではないと思いますが、こういったところから、また改善も含めて検討していただきたいというふうに思います。

 先ほど大臣からも、ハラスメントの問題もありましたけれども、女性自衛官の登用についてもお聞きをしたいというふうに思います。

 防衛白書によると、防衛省における女性自衛官、あるいは女性事務官等の採用、登用について徐々に増加傾向にあるというふうにされておりますけれども、政府が掲げる数値目標、佐官以上に占める女性の割合を五%以上にするなど、その達成見込みを、現状をお聞きをしたいというふうに思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省におきましては、令和三年三月に、防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画を新たに策定いたしまして、女性職員の採用や登用を進めておるところでございます。

 女性自衛官の登用については、当該計画の中で、先生御指摘のとおり、佐官以上の幹部自衛官に占める女性の割合を、令和七年度末までの目標といたしまして、五%以上ということにしておりますが、これに対しまして、令和四年度末の時点で四・五%になっております。

 また、事務官等の登用につきましては、当該計画の中で、令和七年度末までの目標といたしまして、本省の課室長相当職に占める女性の割合を六%、指定職相当職に占める女性の割合を五%としておりまして、令和四年七月一日現在の登用状況は、本省課室長相当職で二・九%、指定職相当で三・六%となっております。

 女性職員の登用率は目標設定後、着実に増加をしておりまして、今後とも、各自の能力、適性、意欲を考慮しつつ、女性職員の登用の拡大を図るとともに、女性職員の活躍を推進するために必要な教育、生活、勤務環境、これらの基盤の整備やワーク・ライフ・バランスに関する施策を推進してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 かなり低い、まだ低いなという数値、印象ですけれども、組織の信頼なくしては増えないというふうに思いますけれども、ハラスメントも昨今、様々起こっております。昨年は陸自でハラスメントが発覚をし、問題となりましたし、そして、本年においても、海上自衛隊においても未公表の事案が報道されました。また、ハラスメント以外の問題もるる報道になっております。

 木原大臣の方から指示をいただいて、防衛省で再調査が始められているというふうに承知しておりますが、これまで滞っているもの等を早期にきちっと対応していただきたいということは申し上げておきたいと思いますし、その上で、防衛大臣がどれほど真剣にハラスメント防止に取り組むと表明しても、これまでの経緯を踏まえると、直ちにハラスメントの防止機能が正常に動くようには考えにくいふうに思います。

 これまでの経緯を踏まえて、ハラスメント防止機能の具体的な強化についてどのように考えているか、お聞きをしたいと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省といたしましては、防衛大臣を陣頭にハラスメント対策を講じる中、依然としてハラスメント事案がなくならないことについては、誠に遺憾に思っております。

 先ほど御指摘もございました、先月出ました海上自衛隊のセクハラ事案を受けまして、防衛大臣から、全てのハラスメント案件に対して厳正な措置を求める指示が発出され、また、防衛大臣からの指示に基づき、来年一月を防衛省・自衛隊におけるハラスメント防止月間といたしまして、ハラスメント防止教育等を集中的に行うことといたしました。

 また、防衛大臣が全隊員に向けたハラスメントに係るメッセージを発出いたしまして、隊員一人一人に対して、被害に遭った場合には、ためらうことなく、信頼できる隊員や通報窓口に申し出るように指示をいたし、また、指揮官、管理職に対しましては、ハラスメントが発生した場合には、被害に遭った隊員に寄り添うことを第一に考え、ちゅうちょなく、しかるべき対応をすること、強い決意とリーダーシップでハラスメント防止に取り組むことを求めたところでございます。

 現在、防衛省・自衛隊では、有識者会議の提言も踏まえまして、内幕一体となった検討グループの中で、相談体制や教育の見直しを含めた有効な施策を鋭意検討させていただいております。

 ハラスメントを一切許容しない環境は、防衛力の中核である自衛隊員の能力を発揮するため、基盤の強化のために必ず構築しなければならないものでございまして、本指示及び大臣メッセージを全ての自衛隊員に周知徹底し、ハラスメントを一切許容しない環境を構築してまいります。

伊藤(俊)委員 その上で、ハラスメントが昨今ある中で、その影響というものが、採用状況を含めて懸念をしているんですけれども、本件の事案が女性の採用、活用にどのように影響を与えるのか、防衛省がどのように捉えているのか。そしてまた、実際に、入隊希望の女性から不安の声を聞いたり、あるいは入隊を考えていたが志願を取りやめたような事案というか、そういったことがあれば、念のため教えていただきたいと思います。

木原国務大臣 影響というのを私も調べまして、令和四年度の自衛官等の応募者数そして採用者数に占めるそういった女子の割合は、昨年度に比して微増しておりまして、また、少子化や有効求人倍率の上昇などの影響もあるため、一概に申し上げることは困難なんですけれども、微増しておりました。

 ただ、しかしながら、募集への影響の有無を問わず、ハラスメントというのは、人の組織である自衛隊においては、これは自衛隊員相互の信頼関係というものを失墜させる、そしてまた、組織の根幹を揺るがすものであるということ、決してあってはならないものと私自身は考えております。

 防衛省・自衛隊として、国家安全保障戦略を始めとする三文書に基づきまして、有識者会議にも検討していただきました。その結果を踏まえた新たな対策を、先ほど参考人の答弁にもありました、そういった新たな対策を確立をしまして、全ての自衛隊に徹底させるとともに、さらに、時代に即した対応を行うように、不断に見直しを行いながら、ハラスメントを一切許容しない環境を構築し、誰もが安心して入隊いただける、そんな環境をつくっていきたいというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 是非、信頼回復に全力で努めてもらいたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 次に、サイバー人材の確保策についてお聞きをしたいというふうに思います。

 防衛省は、二〇二七年をめどにサイバー関連部隊を四千人に拡充をすると。そしてまた、全体として二万人の体制を目指すということであります。

 かねてから、サイバー人材の確保について、私も質問させていただいておりますけれども、二万人の体制をつくるというのは、相当あらゆる手段を取らなければ困難なことだと思いますけれども、防衛力整備計画では、サイバー領域等で活躍が見込まれる専門的な知識、技能を有する人材を取り込むために、新たな自衛官制度の構築、すなわち、特定任期型の自衛官制度ということを検討されているというふうに思いますが、まず現状をお聞きしたいというふうに思います。

木原国務大臣 昨年末に策定された国家防衛戦略や、また、本年七月に取りまとめられた防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会の提言を踏まえまして、サイバー分野も含めて、そういった専門的知見を持つ外部の高度人材を最大五年の任期で自衛官として採用する制度を検討しております。

 その際、高度人材の活用を促進すべく、給与法適用職員の最高額であるのは事務次官であるとかあるいは統合幕僚長なんですけれども、その彼らの年収に相当する給与の範囲内で支給することは、これは可能としたいというふうに思っております。さらに、身体検査や体力測定の基準の緩和なども検討しているところであります。

 このような制度を可能な限り早期に実現し、高度人材の活用を図りつつ、人材の確保に努めてまいる所存です。

伊藤(俊)委員 給与の体系も幅を持たせるということで、いい人材を確保するための必要なことなんだろうというふうに思いますけれども、具体的なことはこれからということでありまして、いい人材をどう確保できるかということを最大限考えていただきたいと思いますが、現在、令和三年度からはサイバーセキュリティ統括アドバイザーの採用もされておりまして、認識からすれば、こちらは非常勤ということで、そして、先ほどの新しい仕組みにおいては常勤の自衛官という認識だと思いますけれども、様々な組合せで、このサイバーの人材、そして能力を上げていくことが必要なんだろうというふうに思っております。

 前回、三月の二十三日の安全保障委員会で、私も質問させていただいたときに、外部のサイバー人材をどのように確保するのかという質問をさせていただいて、その答弁では、予備自衛官補の採用を開始していますという答弁がありました。

 サイバーセキュリティー技能を持つ予備自衛官補としてどのような人材、どのような活用を、活躍をしていただけるような場が提供できるのかということを、ちょっと、現状、どのくらいの人数で、どういうふうなことになっているか教えていただきたいと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省では、令和四年度から、サイバーセキュリティーの技能を有する予備自衛官補の募集を行っております。情報処理安全確保支援士などの資格を有する者を採用しております。

 こういったサイバーセキュリティーの技能を有する予備自衛官補につきましては、令和四年度に十四人を採用し、そのうち同年中に五人が予備自衛官となっております。

 また、令和四年度末のサイバー技能を有する予備自衛官の数は九十七名でございます。

伊藤(俊)委員 予備自衛官補で、最終的には予備自衛官の方に行くわけですよね。大体、九十七、百名近くという認識で。

 これも、基本的には民間で働いて職を持っている方が自衛官として学ばれて、民間で活躍をしていただくということなんだろうというふうに思いますが、前回質問させていただいたときの趣旨は、外部人材、どう確保していくかという中で質問させていただいたので、ちょっとこう直接的にはつながりにくいところなのかなと、人材なのかなという気もしますけれども、本来は、全体を考えれば、今あるNISCとかのところで、全体の省庁を網羅できるような体制ができれば好ましいというふうに思いますけれども、各省庁で、自己防衛をして、その人材の育成、確保に努めているということなんだと思います。

 この高いスキルのサイバー人材をどう確保するかという問題、課題に関して、内部の人材の育成ももちろん必要ですし、民間や外部からの人材の活用も必要だという、そして官民で行き来できるようなプラットフォームができればなお好ましいんではないかというふうに思います。給与、待遇など、よりいい人材を集められるような体制も取っていかなきゃいけないと。そういった意味での前回からの問題意識でありましたけれども、民間で活躍していただければ、当然民間のサイバーの能力も上がるということで、好ましいというふうに思いますが、本来は、官民で行き来できるようなプラットフォームがあれば、よりそういう人材が、また、本来は国で三年、五年働いていただいてまた民間に戻るような、こういった仕組みができると、なお、この人材としての流用というか、活躍できる場ができるんではないかなということを思っております。

 今日は、ちょっとサイバーの話に関しては、改めて質疑をまた別の機会にさせていただきたいというふうに思います。

 そして、防衛整備計画に基づく年齢制限等の見直しの一環として、上限の年齢を廃止にするという話もあります。

 本年四月に、システム防護の区分について、上限年齢を、廃止を見送った、あるいは維持をされている理由があれば教えていただきたいと思いますし、また、今後、逐次、廃止される対象技能を拡大する方針があるとされておりますけれども、このサイバー防護の区分について上限年齢を廃止する可能性があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方から御指摘ございましたとおり、本年四月に、一部の技能職につきまして試行的に、まず、継続任用時の上限年齢六十二歳を廃止させていただきました。衛生ですとか語学といった一定の技能の者にこれは試行的に行ったものでございます。

 今後、現段階では、サイバー防護、システム防護につきましては上限年齢を設けておりますけれども、これらも含めまして、上限年齢を逐次緩和し、人材確保に努める必要があると考えておりまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 前向きな答弁で、ありがとうございます。

 是非、サイバー人材が足りないという中で、最大限活用していただきながら努めていただきたいというふうに思います。

 次に、防衛大学校におけるサイバー教育の拡充についてお聞かせいただきたいと思います。

 昨年十月二十八日の、私も質問させていただきましたが、サイバーセキュリティーに高い能力を有する高度人材を確保するためには、外部人材の採用だけでなくて、一定の専門性を有する内部の人材の育成が必要だというふうに思います。防衛大学校においても高度な専門人材を育成をする必要があるとして、サイバーセキュリティーに特化した学科の設置の決断を求めておりましたけれども、そのときの答弁では、拡充については検討というところにとどまっておりました。

 令和六年度予算の概算要求では、防衛大学校の情報工学科をサイバー・情報工学科、仮称でありますけれども、改編をするということが盛り込まれております。この改編によって、同学科におけるサイバーセキュリティーの授業や研究がどのように変わるのか、名前だけではなくて、中身ももちろん拡充をしていくんだと思いますが、その期待を込めて、お聞かせをいただきたいと思います。

木原国務大臣 防衛省・自衛隊では、防衛力整備計画に基づいて、部隊の中核になり得る優秀な人材の確保、輩出のために、サイバー領域等の教育の内容、体制を強化することとしており、その中でも、御指摘の防衛大学校におけるサイバー領域等を含む教育研究の内容及び体制を強化することとしているところです。

 現在、どういうことをやっているかということを簡単に申し上げると、本科学生の必修である防衛学の科目において、サイバー領域を含む各領域における作戦の基礎を理解することを目的とした授業を行っております。それと、理工学専攻の学生については、サイバー戦の理解に必要な基礎知識を学ぶ授業をやっております。さらに、情報工学科においては、情報システムやサイバーセキュリティーに係るより高度な内容について学ぶための授業を実施しているほか、また、これは全学年に対するサイバーリテラシー教育なども今実施しているところでございます。

 これらに加えまして、令和六年度には、先ほど御紹介いただいた情報工学科をサイバー・情報工学科という、これはまだ今時点で仮称としておりますが、サイバー・情報工学科に改編をいたしまして、学科内にサイバーに更に特化したコースを設けることなどを通じて、より専門的な教育研究を行う体制の整備を進めていくことを予定しているところであります。

伊藤(俊)委員 是非中身が伴う、そしてまた、専門的な人材が育つ環境をつくっていただくように努めていただきたいというふうにお願い申し上げたいと思います。

 そして、最後に、貸費学生制度について、拡充についてお聞かせをいただきたいと思います。

 貸費学生制度というのは、いわゆる奨学金ですよね。若い人たちが貸費学生制度と言われてぴんと来るかどうかということも、最初から奨学金という分かりやすい、一般の方が分かりやすいような、名前を統一した方がいいのかなという気もしておりますけれども、将来は自衛隊で勤務する意思のある大学生等を対象に、学資金として月五万四千円を貸与するという制度であります。

 今回、条件付で返済が免除されるとか、あるいは理系だけではなく文系にも広げていただくとか、あるいは支給開始時期も、大学三年次からだったものを入学時からに変更していただく。そして、支給額も増額になるということが報じられております。

 同制度が一九五四年から始まっているんですけれども、認知度がまだ少ない、低いのではないかという指摘もあります。利用人数も限られていると思いますし、令和五年度の予算では二十六名から四十名に拡大をしているというふうに思いますけれども、現状を見ると、四十名のところ十九名しか今学生がいないということであります。

 これまでの利用人数の状況も含めてですけれども、今後、こういった制度、対象者を拡充していくためにどういうふうに対策を取られるのか、お聞きをしたいというふうに思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 貸費学生でございますが、将来自衛隊で勤務する意思のある大学生などに対しまして、毎月の一定額の学資金を貸与する制度でございます。先ほど御指摘のとおり、貸与人数を令和五年度予算におきまして二十六名から四十名に拡大しております。令和五年度四月一日時点の貸与数でございますが、十九名ということでございます。

 これを拡大していくために、これまでは大学及び大学院に通う学生のみを対象としておりましたが、これを高等専門学校、高専ですとか四年制の専門学校、こういったところにも対象の教育機関を拡大していきたいと思っております。また、これまでは学生の選考を理学や工学に限定しておりましたが、文系の分野にも拡大していくことを検討しております。

 また、名称につきましても、先ほど御指摘いただきましたとおり、分かりにくい部分もございますので、制度の一層の周知に取り組んでまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 十九名はちょっとまだ残念だなというふうに思いますので、アメリカや韓国なんかでも一般大学に通いながら軍の将校を育てるような仕組みがあったり、様々、今進んでおります。この制度の活用は、よりいい人材を拡充するのにはすばらしい制度だと思いますので、是非、認知度を上げていただける努力も含めてお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

簗委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党の櫻井周です。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほどの伊藤俊輔議員の質問、質疑を踏まえて質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 木原大臣には初めて質問させていただきます。質問の趣旨、それからこの法案審議にかける私の思いを含めて、ちょっと簡単に自己紹介をさせていただきます。

 私は、兵庫県の伊丹市の出身でございまして、伊丹市には、中部方面総監部、伊丹駐屯地、それから第三師団、千僧駐屯地がございます。自衛隊の町でございます。私は兵庫県立伊丹高校というところの卒業をしているんですが、この県立伊丹高校の敷地の隣はもう中部方面総監部ということで、フェンス一枚を隔てて、基地の中が、駐屯地の中が丸見え、こういう状況でございます。やんちゃな高校生が、時折、フェンスを乗り越えて基地の中に入って、ちょっと問題になったことも過去にはございました。そんな親密な関係にございます。もちろん、高校の前には自衛隊の官舎もございましたので、自衛官のお子さんが同級生というのもたくさんございました。

 この中部方面総監部でございますが、今の中部方面総監堀井泰蔵陸将、統率方針として、「部隊を強く、隊員を幸せに」ということを掲げていらっしゃいます。この統率方針、私も全くそのとおりだなというふうに思っているところです。隊員が幸せであってこそ部隊も強くなれる、その思いで、昨年十月にも、この安全保障委員会で自衛官の給与法の改正案について審議をさせていただきましたけれども、その思いを引き続き持ちまして今年も質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、自衛官候補生の採用状況について、先ほど伊藤議員からも質問がございました。自衛官候補生については、二〇二一年度までは一〇〇%とまではいかないまでも一〇〇%前後で推移していたのが、二〇二二年度の採用実績においては充足率四三%ということで、大変低くなっている。この大幅な定員割れの原因についてということで、先ほど大臣は、自衛官のみならず世間一般での有効求人倍率が三倍を超えるような状況で、ある意味、どの組織も人材獲得競争ということで厳しかったという状況をお話しされました。あと、コロナ禍で十分な広報活動ができなかったとか、少子化の影響がある、こういうお話でございました。

 ただ、コロナ禍、それから少子化というのは、二〇二一年度も二〇二二年度もそんなに大きく変わっている状況ではないですよね。これは、前の年は九割ぐらいあったのがいきなり四割にがくんと下がった理由ではきっとないだろうというふうに私は思うわけです。有効求人倍率が上がったというのは確かにそうですけれども、二〇二一年度のときだって二倍を超えていたわけで、人材獲得競争がそれなりに激しかったというのは同じだと思うんですね。

 それ以外にもやはり大きな理由があるのではないのかと考えるんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。

木原国務大臣 令和三年度との比較を申し上げると、令和四年度卒業予定の高校新卒者の有効求人倍率が三・〇一倍と先ほど紹介しました。バブル期の平成三年度の三・〇八倍に次ぐ高さとなっておりまして、令和三年度の二・三八倍から、これは大幅に上昇したと言っていいかと思います。

 そして、実際に、コロナ感染症によって、三年間、募集関連イベントが制限されたこと、そして募集対象者が職業として自衛隊を認知する機会が著しく限定されたことも理由として考えられます。

 さらに、もっと詳しく分析をしていくと、合格者数だけではなくて、何人の人が応募してきたか、そして最終合格者が何人か、そしてその中から本当に採用した人が何人かということまで見なくちゃいけないと思うんですね。

 そういうことを精緻に分析していくと、応募者数はもちろん減ってはいるものの、実は、令和四年度でいうと、自衛官候補生でいうと二万三千八百三十四人が応募していただいている。そして、最終合格者は一万五千九十三人いらっしゃる、合格者が。しかし、採用者数は三千九百八十八ということで、合格をしても、実際に応募していただいて合格しても採用には至らないということは、恐らく、合格したけれども採用されなかった方というのは、幾つかほかの分野の職業と重複していて、最終的に自衛官候補生として来ていただけなかったということになるんだと思いますね。

 ほかの職種でいうと、いろいろ考えられますが、よく言われるのは、警察であったり、消防であったり、あるいは海上保安庁であったりといったところなどとよく重複があるというふうに言われていますが、そういったことを含めてちょっと分析をしなきゃいけないなというふうに思っております。

櫻井委員 今いろいろ踏み込んだ分析を少ししていただきましたけれども、今のお話からすると、あともう一つ、自衛官候補生と一般曹候補生、これも併願可能なんでしょうか。一般曹候補生のことについてもちょっと後で聞こうと思っていたんですが、こちらも定員割れといいますか、減ってはいますけれども、自衛官候補生ほどではないですよね。自衛官候補生は九割から四割にがくんと減りましたけれども、こっちは十割ぐらいだったのがちょっと、一割ぐらい下がった程度で、下がり方はそんなに大きくはない。この差は何なのかというのも一つ分析しなきゃいけないポイントだというふうに思っております。

 それから、今おっしゃられた警察官や消防士との併願、これも以前から言われているところですが、今のお話からすると、合格した方は一万五千人ぐらいいらっしゃるけれども採用に至ったのは四千人弱ということで、一万人以上の方が併願していたほかのところに行かれたと。

 就職活動で併願するのは当然のことといいますか、私も、銀行に就職しましたけれども、いろいろな銀行を回って、どこにしようかというふうに見ましたし、実は国家公務員試験も受けていたので、いろいろなやつを見て回りながら、その中で自分がどれがいいかと選ぶわけですから、それは、自衛官を希望されている方が別のところもいろいろ見て回るのは当然のことだと思うんですが。

 特に警察、消防との併願が多いというふうに聞いていますけれども、これは、警察も消防も自衛官も合格した方はどこに行かれる傾向にあるとか、つまり、合格を出したのに来ていただけなかったのは何でだろう、こういう分析はされていますでしょうか。つまり、ちょっと私が地元で話を聞きますと、やはり、両方受かると警察、消防に行かれる傾向にある、ちょっと自衛官の方が人気が低いという話も聞くんですが、こういったことについて分析されていますでしょうか。

三貝政府参考人 技術的なこと、まず一般曹候補生の件でございますけれども、こちらは併願が可能となっております。併願が可能でございますので、両方合格いたしますと、一般曹候補生、こちらを選択する方が多いということでございまして、その面では自衛官候補生に比べてさほど低調ではないような数値になっているんだろうと思っております。

 また、警察、消防との比較、この分析、どうかということでございますけれども、まだそこにつきましては分析し切れていない部分もございますが、よく世間から御指摘がございますのは、エリア採用と申しますか、転勤を嫌う傾向があるという面はよく御指摘はいただいておるところでございます。

櫻井委員 今御答弁いただいたとおり、転勤がなるべくない職業を選ぶと。自衛官だったら、全国各地、職場はあるわけですし、場合によっては海外というのも最近は出てきているわけですから。それに引き換え、消防の場合だったら、基礎自治体、市町村の採用ですから市の外に出ることは余りない。警察であれば、都道府県警ですから県のエリアから外に出ることはほとんどないということで。私が聞いたのは、全部合格すると、消防が一番人気、二番人気が警察、全国に転勤の可能性がある自衛官がちょっと、一番人気が低いという話も聞きますので。

 であるならば、採用のときに、一部、もちろん幹部はいろいろなところに転勤して当然だと思いますけれども、しかし、いわゆる士とか曹の間はそんなに、特に転勤しませんよと。今も実際、運用はそうされているかと思いますけれども、もう少しその部分をはっきりさせるとかいうようなことで、じゃ、自衛官だからといって、全国あちこち、いきなり遠くに転勤しろと言われたりすることはありませんよというようなことが分かれば、転勤が嫌だから自衛隊をやめようという方は随分減らすことができるのではないのか。いろいろな工夫の仕方はあるかと思いますので、是非、その点もいろいろ分析をして対策を講じていただきたいということをお願い申し上げます。

 それから、今回これだけ人数が減ったということで、先ほどおっしゃられた、有効求人倍率が非常に高まっているとかいうことであれば、これが原因であれば、今年度だって有効求人倍率は高いわけですよね、同じことが起きる可能性が十分あろうかと思います。こういったことが何年も続くと部隊の運用ということでも支障が出てくるのではないのか、こんなふうに心配をするんですけれども、この点、いかがでしょうか、大丈夫でしょうか。

三貝政府参考人 御指摘のとおり、令和四年度の募集は厳しいものとなりましたけれども、防衛力の中核は自衛隊員でございます。募集環境が厳しい中でも必要な人材をしっかりと確保していく必要があると認識しております。

 その上で、自衛官候補生、士の階級に任用されますが、こうした士は、陸上自衛隊の普通科の部隊のように、いわゆる肉体的強靱性が求められる部隊、こういったところの重要な構成要素でございまして、士の充足率が自衛官全体に比較して低い中にございましても、このような部隊の任務遂行に支障がないよう優先的に配置をしてまいります。

 また、引き続き、自衛隊内で直接作戦を担う部隊へ優先的に士を配置することで、部隊の任務遂行に支障がないように措置をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

櫻井委員 今、幹部、尉官レベル、それから曹、士という区分の中で、士の充足率が低いというお話でございましたけれども、しかも、新規採用も昨年度は大変厳しい状況だったわけですね。充足率、現状でも七五%、七六%ぐらいですか。ですから、既にかなり足りていない状況で、昨年度も採用が振るわなかった状況を踏まえれば、非常に厳しいものがあろうかと思います。ですから、いろいろな工夫をしていただきたいなと先ほど申し上げましたけれども。

 あと、先ほど伊藤議員からも指摘がありました、自衛官候補生の場合には、最初の三か月は候補生ということで給与を低く抑えられる、十四万二千六百円。三か月たって、四か月目からは士に、二士になるので、そうすると十八万四千三百円ということで四万一千七百円上がるわけなんですけれども、一番最初に十四万二千円とばあんと出てくるから、えらい低いな、ほかの仕事に比べても低いなということになってしまうのではないのか。この点をちゃんと考えた方がいいんじゃないかということなんです。

 三か月たって候補生から二士になるときには、任用一時金が出るんですよね。これは二十二万円ぐらい出るということですから、このことを考えると、三か月分で、安い給料の分、四万一千七百円低いわけですけれども、掛ける三か月分だったら十二万五千円ですから、任用一時金が二十二万円ですから、むしろ何かお得なはずなんですけれども。なかなか、ぱっと見たときに十四万というのが目に入っちゃうと、そっちに引っ張られて、うっというふうになってしまうかもしれないから、こういうところだったら、もういっそのこと最初から十八万四千三百円でしてしまって、任用一時金をその分減らして十万円にすれば、別に予算上は何の損もないわけですけれども、見栄えはよくなりますよね。というような工夫とか、いろいろあろうかと思いますので、是非この点もお考えいただければというふうに思います。

 続きまして、防衛力整備計画についてもお尋ねをします。

 私、財務金融委員会で、通常国会、防衛財源確保法案についてもたくさん審議をさせていただきました。この中で四十三兆円というのがございます。この内訳として物件費が二十七兆円というふうに承知をしております。さらに、流れ出しといいますか、期間外の支出、後年度の支出の分も十六・五兆円あるということなんですが、この四十三兆円の積算をするに当たっての想定為替レート、一ドル百八円というふうに聞いております。現状、一ドル百五十円ぐらいですから、えらい円が強い見込みになっている。

 本日お渡ししております資料二の方で、米ドル建ての契約、外貨建ての契約、どれぐらいありますかということを、まず既に分かっている分だけ示してくださいと申し上げたところ、二兆円分あるわけなんですけれども、これは、為替が四割切り上がったら、この支出も単純に四割切り上がることになっちゃいます。

 それから、それ以外にも、国内で調達する装備だって値上がりしているわけですし、艦船を買うとかいうことになったら、その分だって従前の値段ではきっと買えないだろうということであります。それから、軽油など燃料費、これもたくさんかかるわけです。自衛隊の装備については、必ずしも燃費がいいとは言えないものがたくさんあるわけですよね、戦車なんかはすごく燃費が悪いというふうに聞いておりますけれども。そういったことを考えると、防衛力整備計画、これは四十三兆円の枠内で収まるんでしょうか。

 万博についてもいろいろ議論がありますけれども、当初予算からもう既に倍増しているわけなんです。防衛力整備計画も今後大幅に増額するということになりはしないかというふうにも心配するんですが、そういったことはあり得るんでしょうか。大臣、いかがですか。

木原国務大臣 防衛力整備計画の四十三兆円という規模ですけれども、これは、防衛力の抜本的強化が達成でき、防衛省・自衛隊として役割をしっかり果たすことができる水準としてお示ししたものであり、閣議決定された金額であります。したがって、防衛省・自衛隊としては、この定められた金額の範囲内において必要な防衛力の強化を着実に行っていくことが役割であるというふうに考えており、この金額を超過するということは考えておりません。

 そのことを前提に、昨年来、御指摘の為替の問題であったり、あるいは物価高の問題であったり、為替レートの変動や国内外の物価上昇はこれからも継続していく傾向にはありますけれども、こういった厳しい状況においても、防衛力整備の一層の効率化、合理化を徹底するとともに、経費を改めて精査をし直すであるとか、あるいは、まとめ買いの可能性、そして長期契約のスケールメリットを更に生かした価格低減策等の取組を行いつつ、閣議決定された防衛力整備計画等に基づいて、防衛力の抜本的強化を達成すべく努めてまいります。

 以上です。

櫻井委員 いや、長期契約とかいろいろ、調達の方法を工夫して節減に努めるとおっしゃられましたけれども、それは、だって、四十三兆円積み上げたときにだって、もうぎりぎり、一生懸命節減して、ここまでにしますよということでされたんじゃなかったんですか。そこからまだ絞る余地が残っていたのかというと、それはそれで、えっということになります、大問題ですし。

 逆に、四十三兆円はちゃんと守りますよということであれば、結局何か、装備の数はそろえたとしても、ちょっとクオリティーを下げるとか、仕様をちょっと低い、一段低いものにするとか二段低いものにするとか、いろいろな工夫の仕方はあろうかと思いますけれども。ないしは、場合によっては、装備を一部諦めるものも出てくるとかいうことになってくると、今度は一方で、今大臣おっしゃられたとおり、我が国の厳しい安全保障環境を、守るために絶対必要だと当初言っていたものから後退するわけですよね。それはおかしくないですか。私は、過剰なものだということを以前から申し上げていたので、そうなるのは妥当だというふうに思うわけですけれども、これは是非、ちょっとそのところをしっかりと精査をしていただきたいということです。

 その上で、今日は、給与法ですから人員についてお尋ねをいたします。

 これは、防衛力整備計画、装備も充実させるわけですから、それを運用する人、人員も当然必要なわけです。装備はあっても運用する人員が、隊員がいなければ宝の持ち腐れというか張りぼてになってしまうわけなので、この点、非常に重要なことだと思います。

 このことについても防衛財源確保法案の審議の中で議論になりました。当時の浜田防衛大臣は、人口減少、少子高齢化が進展する中で、無人化そして省人化の取組は重要であると考えます、この点、無人アセットは、有人機の任務代替を通じた無人化、省人化により自衛隊の組織の最適化に寄与するものであります、こういうふうに答弁されているんですね。ああ、そうか、無人アセットを活用すれば隊員が少なくてもできるのかなと思って、そのときにはふうんと思ったんですが、その後、ちょっとアメリカ議会の資料なんかを見ますと、いや、必ずしも、無人アセットだからといって、人手、必要な人員が少なくなるわけではないという議論もあるということを目にしまして、あれと思ったわけなんですよ。

 例えば、有人アセットであるF16戦闘機、これは、アメリカの議会の議論の中では、十二機を一つのユニットとして、それで人員の比較をしているんですけれども、F16戦闘機は、直接間接を含めてトータルで、ワンユニット、F16を運用するのに千二百六十人必要だというふうに計算をしています。無人アセットのMQ9リーパーの場合は千二十人、それからRQ4グローバルホークの場合は千六百人ということで、それぞれちょっと機能が違いますから一概には比較できないんですけれども、必ずしも、無人アセットだからといって必要な人員のレベルが有人アセットと比べて低いことにはならない。むしろシミラー、同等程度だというふうに議論をされているわけなんです。

 改めて大臣にお尋ねしますけれども、無人アセットで省力化を図れる、こういうふうに浜田防衛大臣はおっしゃられていたんですが、こういう認識でいらっしゃるんでしょうか。アメリカ議会でのいろいろな分析も踏まえて、やはりこの点はちょっと考え直した方がいいのではないのかと思うんですが、いかがでしょうか。

木原国務大臣 今委員の御指摘のあった米国の議会の調査局が作成したレポートを私も拝見しまして、議員が今おっしゃったような記述があることについて承知をいたしました。

 その上で、今般のロシアによるウクライナ侵略等において無人機が効果的に使用されていることが指摘されるなど、近年、軍事分野における各国の無人アセットの活用が急速に拡大している、そして、無人アセットを駆使した新たな戦いへの対応が急務となっているのも事実だろうと思います。

 国家防衛戦略及び防衛力整備計画においては、無人アセットというものは、人的損耗を局限し、長期連続運用ができるといった利点があることから、戦闘支援等の幅広い任務に効果的に活用するとともに、有人機の任務代替を通じた無人化、省人化によって、自衛隊の装備体系、組織の最適化の取組を推進することとされておるところです。

 これを踏まえまして、各種無人アセットを早期に整備して、最適な形で無人アセット防衛能力の強化が実現できるように、可及的速やかに取組を進めてまいりたいと思っております。

櫻井委員 いや、大臣がおっしゃられたとおり、私も、無人アセットについて、それは非常に有効なものだと考えます。ですから、無人アセットを導入するということについては別に、それは必要なことだと考えるんですが、ただ、省人化には余りつながりませんよと。

 先ほど来議論させていただいているとおり、やはり隊員がしっかりいないと、こうした無人アセットであっても、これは人が乗っていないだけで、今、基本的には、リモートコントロールといいますか、別な場所にいて操縦しているわけなので、ですから、結局、人が操縦するわけなんですよ。そういう意味で、無人アセットは人手はかかっているんですよね。パイロットが乗っているか乗っていないかの違いで、どこかにパイロットはいるんですよ。

 それから、AIに置き換えたらいいじゃないかという話もありますけれども、AIが戦闘するかどうかというのは、これはまた倫理的なものも含めてすごく深い議論があるので、今すぐそれはちょっと無理だと思うんですよね。ですから、そういうことを考えますと、やはり人の手当てというのが重要だということを改めて申し上げます。

 それから、あと、先ほど、伊藤議員の議論の中でも、サイバー部隊についてどうなのかということで、御答弁の中で、幕僚監部並みの給料を出すんだというお話がございました。(発言する者あり)はい、可能。一応、上限としてはそこまで行くんだということなんですが、幕僚監部の給料というのはお幾らぐらいなんでしょうか、年収ベースで。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 細かい話でございますけれども、事務次官それから統合幕僚長クラスですと二千三百万ぐらいでございます。

櫻井委員 サイバー部隊の中でもコア人材というのを四千人ぐらいに拡充していくというお話ですけれども、四千人掛ける、ざっと二千万円とすると八百億円、掛ける五年間だと四千億円ということになって、結構な金額になります。これも、サイバー部隊を整備するということで必要だというんだったら、それはそれで必要なものだと思うんですが、そうすると、多分、四十三兆円の中で人件費は増やしませんと言っていたので、これは収まるのかな、ちょっと全然収まらないんじゃないのかなというふうにも思いますが、これは大丈夫なんでしょうか。

三貝政府参考人 済みません、先ほど大臣の方からもございましたけれども、あくまで最高額でございますので、その点、よろしくお願いいたします。

櫻井委員 まあまあ、最高額だから、四千人全員が事務次官級になるわけではないということなのではありますけれども。

 民間企業でも、サイバー分野といいますかデジタル人材の争奪戦はかなり激しいものがありますから、自衛隊の中でせっせと育てても、民間企業で倍の給料を示されたらそっちに行っちゃうかもしれませんし、ですから、この点についてはやはり相当の給料の手当てが必要なのではないのか、財源の確保も含めてやりくりを是非お願いしたいというふうに思います。

 それから、続きまして、ちょっと時間も押してまいりましたので早めに行きたいと思いますが、超過勤務についてもお尋ねをいたします。

 昨年の十月二十八日の安全保障委員会でも、超過勤務の実態について、少なくとも的確に把握してくださいとお願いしました。浜田大臣からは、御指摘の点についても重く受け止めていきたいと御答弁をいただきました。

 その後、隊員全員の勤務時間を記録するようになったというふうに聞いておりますが、いつからどのように勤務時間を把握されていますでしょうか。

木原国務大臣 自衛官の勤務時間外の勤務実態については、防衛力整備計画に基づいて、本年四月からの実態調査に着手をし、まずは、いきなり全員ではなくて、一部の部隊等を抽出して予備調査ということを行いました。そして、その結果、全部隊等の自衛官を対象とする本調査の手法への的確性や課題というのを収集したところであります。より精緻な結果を得るために、そういうことであります。

 今般、準備が整いましたので、本年十一月から令和六年の十月までの一年間の期間を設けまして、今月から一年間、全部隊等の自衛官を対象とする本調査に取り組んでいるところです。もう始まっております。

 今後、この本調査の結果を踏まえながら、自衛隊員の任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与、手当の在り方について、様々な角度から検討してまいります。

櫻井委員 調査をしていただいていると。時間外勤務の実態について一人一人把握をすることを既に始めたということで、ありがとうございます。

 超過勤務の場合、自衛官の場合、いろいろな手当があるんだということが、これまでの御説明でございました。

 ただ、例えば、自衛官が駐屯地で警備をします、夜通し勤務をする、そういった任務があるやに聞いておりますが、この場合、支払われるのは数百円ということで、本来、夜間勤務であれば、残業代も割増しの残業代、深夜だったら五割増しなわけなんですよね。そういうのはもう全然なくて、一晩で数百円の手当のみということで、いや、やはりさすがにこれは少な過ぎるんじゃないのかというふうに考えたり、あと、災害派遣で、災害現場で活動するというときに、特に災害が起きた直後なんかですと、七十二時間に助けないとということで一つ目安になっていますけれども、そういったときには、多分、一生懸命、かなり長時間にわたって活動されるのではなかろうかと思います。

 そのときに、警察官や消防士も一緒になって活動する場面があるやに聞いています。警察官と消防士は残業代が出る、でも自衛官はプラスアルファの残業代が出ないということで、それもちょっと残念だなと。同じように一生懸命やっているのに、あっちはいっぱいもらっているのかというふうになっちゃうと、それはなかなかやはり、お金のためにやっているわけではない、人命救助のためだとはいえ、何か寂しいものがあるのではなかろうかというふうに思います。

 また、あと、同じ防衛省の中でも、市谷の本省に勤めているいわゆる背広組、事務官の方は残業代が出るわけですよね。でも、自衛官の方も市谷の本省勤務の方がいらっしゃいますよね。これは、残業代、プラスアルファで出るわけではない。何か、多分同じように机を並べて仕事をされているのに、その差は一体何だろうかなというふうにも思われる部分も出てくるのではないのかというふうにも思います。

 やはり、この点も含めて、ちゃんと、働いた分はしっかりとお支払いするという体制が必要なのではないのかというふうに考えるわけなんですが、この点、大臣、いかがお考えでしょうか。

三貝政府参考人 御指摘がございましたけれども、例えば警察や消防の職員、これは超過勤務の時間に応じた手当が支給されているということは承知しております。

 ただ、一方で、自衛官は常時勤務の態勢の下にございまして、通常の勤務時間のほか、訓練や演習といったような勤務を命ぜられておりますので、いつでも勤務に従事することとされておるところでございます。

 こういった勤務の特殊性から、事務官等と同様の、都度超過勤務を命じるということであれば即応性に欠けるということから、超過勤務手当を支給せず、その代わりに、俸給の約一割分、二十一・五時間相当分をあらかじめ超過勤務手当相当分として俸給に繰り入れさせていただいておるところでございます。先ほど先生から御指摘がございましたように、自衛官特有の任務に応じた手当を支給させていただいているということでございます。

 いずれにいたしましても、現在行っております自衛官の超過勤務の実態調査の結果を踏まえながら、自衛隊員の任務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与、手当の在り方について、様々な角度から検討してまいりたいと思っております。

木原国務大臣 大事な御指摘をいただきました。ありがとうございました。

 先ほどの採用の話と重ねると、そういった一緒に働く警察、消防、自衛隊が、警察、消防だけ時間ごとの手当が出る、そういったいわゆる超過勤務手当が充実していないということを理由に、警察や消防と比較して自衛官の採用者数の減少に影響しているとすれば、それは是正をする余地があるだろうというふうに思います。

 今の時点では推測で言っておりますから一概にお答えすることは困難でありますが、今月から始めているそういった実態調査で、一年たって、それぞれの自衛隊員に調査をした結果、そういうことが見えてくるかもしれません。そういった調査結果に基づいて、様々な角度から検討をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

櫻井委員 私も、その可能性もあるという可能性を指摘しているので、だからこそ、是非、原因分析というのをしっかりやっていただきたいということをお願いいたします。

 続きまして、ハラスメント対策についても、昨年も質問させていただきました。そして、特別防衛監察も実施されたというふうに承知をしております。

 ハラスメント被害の報告が千三百二十五件あったというふうに承知をしておりますが、この点について大臣はどのようにお受け止めになっているかということと、それから、ちょっと時間もないので次の質問を重ねて質問させていただきますが、海上自衛官のセクハラの問題も、先ほど伊藤議員から指摘がございましたけれども、新聞報道でも出ているところで、大臣、処分もされたというふうに聞いております。先週、参議院予算委員会でも質問も出て、我が党の杉尾議員が質問をして、御答弁もされております。

 やはり、重大な問題というのは、一つは、防衛監察中に起きているということ。だから、つまり、自衛隊の中で、これはもう、セクハラとかは駄目ですよと言って、ずっと言っているときに起きたということが一つ。

 二つ目に、この事件、申告されていなかったということですね。つまり、セクハラを受けているけれども言えないという方が少なからずいらっしゃるだろうということの表れの一つではなかろうかと。

 それから、三つ目に、一佐、一等海佐は自衛隊の中ですごく偉い方ですよね。そういう方にいきなり呼ばれて、被害者が呼ばれて、加害者に無理やり会わせられたというようなこともあったと。この対応が非常にまずかったということもあります。

 こういったことで、せっかく浜田大臣も一生懸命取組を進めようとしたのに、なかなか現場には届いていなかったのではなかろうかと思うんですが、この点も含めて、このセクハラ問題、ハラスメント問題について、大臣の受け止めと、それから対策について御答弁をお願いします。

木原国務大臣 まず、防衛省・自衛隊におけるハラスメント防止に関しまして、防衛監察本部が、昨年の九月から十一月までにハラスメント被害の申出を受け付けて、全自衛隊を対象とした特別防衛監察を実施しました。そして、特別防衛監察の申出の締切りまでに申出がなかった案件についても、防衛監察本部を含む各機関のホットライン窓口を通じて被害を申し出ていただき、申出があった場合には適切に対応することといたしました。

 本件は、その特別防衛監察ではなく、海上自衛隊の方ですね。上司等への相談を行っていたものですが、こうした案件を含めて、全てのハラスメント案件について厳正な対応が行われるように、対応状況を緊急に点検して、未報告の案件がある場合には速やかに報告を行うように指示をしました。

 そして、省全体で改めて、私が陣頭に立って、これまで浜田大臣が一生懸命取り組んできていただいたこと、それを私自身も更に、陣頭に立ちまして、ハラスメント事案に対しまして強い強い姿勢で臨んでいこうという覚悟を決めております。

 その一つの新たな取組として、来年一月を防衛省・自衛隊におけるハラスメント防止月間として、その期間中にはハラスメント防止教育等を集中的に行う指示をいたしました。

 また、懲戒権者がハラスメントを認知した場合に速やかに各機関等の長に報告する体制を構築して、それを徹底させるとともに、迅速な解決を図る観点から、各機関の長がハラスメントとして報告を受けた案件をデータベース化をしまして、全てデータベースとして、人事教育局服務管理官と共有することといたしました。

 そして、これは先日、十一月六日でありますけれども、私から、全隊員向けと管理職向けのハラスメントに係るメッセージを別々に発しました。管理職向けと自衛官向けということで、二種類のメッセージを発出しました。各機関等において指揮系統を通じて、これは、隊員一人一人に周知、そして管理職にも一人一人に周知、別々のものが行くということになります。

 有識者会議の提言も踏まえまして、これは内幕一体となった検討グループの中で有効な施策を鋭意検討しておりまして、ハラスメントを一切許容しない環境を引き続き構築してまいります。

櫻井委員 ちょっと時間も押してきましたので先に申し上げておきますが、最初の、自衛官の採用状況、非常に厳しいものがあるといったときに、二〇二一年度と二〇二二年度、何が大きく違うかというのは、これは一つあるのではなかろうか。自衛隊の中はこんなにパワハラとかセクハラが横行しているんだということになると、ああ、じゃ、ちょっとやめておこうかな、ないしは、親御さんが心配してやめておきなさいということがあったのかもしれないと思うわけなんですね。

 ですから、この点もちゃんと分析をしていただきたいと思いますけれども、やはり重要なファクターだと思いますので、よろしくお願いいたします。特に、民間企業においてもブラック企業とかという言葉があるように、劣悪な職場環境は今の若者は大変嫌う傾向にあるというのもありますから、この点も十分分析していただきたいと思います。

 特別防衛監察で申告されなかった件についても、早急に申告するようにというふうに言っても、やはり、被害者本人が、申告してもどうしようもないと思って諦めてしまっているケースが、泣き寝入りしてしまっているケースがどうやら少なからずあるようだと。

 今回の海上自衛隊の件についても、今回、結局、被害者の方は退職しているわけですけれども、退職するきっかけになった事案が相当ひどかったから、その時点で心が折れてしまったということであると報道されていますけれども、それ以前の職場でもセクハラはあったというふうに、ずっとあったというふうにお話しされているんですよね。ということは、いろいろな職場であったんじゃないのか。

 それから、この特別防衛監察のきっかけになった陸上自衛官の件についても、これも、私は直接お話を聞かせていただきましたけれども、やはり、いろいろな部署であったし、あと、御本人だけじゃなくてほかの女性の同僚の自衛官もそういうセクハラ被害に遭ってきたと。でも、どうしようもないというか、何とかやんわりと、相手を怒らせないようにやんわりと逃げるような、何か、そういうスキルを磨かなきゃいけないとか、処世術を磨かなきゃいけないとか、本当に、被害者がそんな苦労までしなきゃいけないのかというような状況がずっと続いていると。それは、御本人だけじゃなくてほかにもそういう方が大勢いるというか、ほとんど女性自衛官はそうなんじゃないのかというふうに思うようなお話も聞いております。

 ですから、最初の千三百二十五件というのは実際、しかもセクハラは百数十件ですよね、申告があったの。多分、何かもう、もっとたくさんあったんじゃないのかなというふうに思うわけですし、申告する先が特別防衛監察と、これは結局、防衛省の組織の中ですよね、だから、言ってもしようがないんじゃないか、そういう、そこで諦めてしまっている話もあるのではないのかなというふうにも思うものですから。

 大体、こういう内部通報のときには、自衛隊とは違う、組織とは別の外部につくって、外部の人で、ただし、情報のコントロールは、個人情報とかそういったいろいろな情報がありますから機密はちゃんと守ってもらえるような、弁護士であるとかそういった方にお願いをしてやるのが民間企業でも一般的にやっていることだと思うんですけれども。そういう意味でも、第三者性が薄いがゆえに申告されていない件が多いとか、いろいろあるのではなかろうか。

 この特別防衛監察、それから、申告、ハラスメント対策の仕組み自体、もう少し自衛官の、実際に被害に遭われた方々の気持ちに寄り添ったものにしていかないといけないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

木原国務大臣 特別防衛監察の在り方についても、これは、御指摘のとおり、より適切なものとすべきだというふうに考えております。

 また、それ以前に、やはり根本的に、ハラスメントを一切許容しない、そういう環境あるいは組織をつくっていかなきゃいけないということだと考えます。

 そこで、今回も私自身の言葉でメッセージを発出したわけですが、自衛隊員向けと管理職向けという二種類のものを作りまして、全隊員に向けたメッセージとしては、被害に遭った場合には、ためらうことなく、信頼できる隊員、上司とか、上司ではなくても、本当に身近な隊員であったり、あるいは前の職場の上司であったりとか、本当に信頼できる隊員に相談する、あるいは通報窓口に申し出るように指示をしました。私の言葉で投げかけました。

 そして、指揮官と管理職に対しては、その事案を疑うことなく、まずはそういったハラスメントを受けたと申告してきた者に寄り添えという指示、そして、強い決意とリーダーシップでハラスメント防止に取り組む、それぞれの部隊で取り組んでくださいということを求めたところであります。

 ハラスメントを一切許容しない環境というものが、やはり防衛力の中核である自衛隊員の能力を最大限発揮するものというふうに考えておりますので、引き続き、この点、注力してまいります。

櫻井委員 時間になりましたので、通告していた最後の質問なんですが、再就職支援。

 この点についても、やはり採用の方にも利いてくる話だと思いますので、自衛官の定年、五十六歳に引き上げられましたけれども、それでも早い退職ですので、この点についても最後にお願い申し上げて。

 また、今同時並行で行われている国土交通委員会においても、タクシー運転手不足というのが話題になっておりました。こういったところも、タクシーの運転手、去年までは給料が安かったけれども、今年急激に上がっているんですよね。

 ですから、そういった労働市場の変化にも合わせて柔軟に対応して、そういった情報も提供して、自衛官が退職後も安心して暮らせるような体制づくりをお願いして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

簗委員長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いいたします。

 まず、今回、大臣を含む政務三役の給与も引き上げる法案が提出をされておりますが、これについては、先ほど伊藤委員から質問がありましたので、私からはもう聞きませんが、やはり、昨日、官房長官がこれを返納するということを表明されました。

 しかし、我々維新を始め、野党の皆さん、あるいは国民の皆さんからの批判を受けて返納するような形になった。これは、最初からやはり引き上げるような法案を出すべきではなかった。批判を受けて慌てて返納を決めた、すなわち、岸田内閣の感覚が国民の皆さんの感覚とずれていたと言われても仕方がないというふうに指摘をしておきたいと思います。

 続きまして、質問を少し順番を入れ替えまして、三つ目の質問をさせていただきたいと思いますけれども、今回、自衛官の皆さんの給与を引き上げるという法案が審議されているわけでありますが、我々維新の会は、一般職の公務員の皆さん、あるいは特別職の皆さんの引上げには基本的には反対をさせていただいておりますが、自衛官の皆さんの給与の引上げについては賛成という形で議論をさせていただいております。

 ただ、今の自衛官の皆さんの給与体系そのものが、果たして、自衛官の皆さんの任務の特殊性であるとか、あるいはそのリスクに見合ったものになっていないんじゃないかということを繰り返し主張をしてまいりました。そして、実際に、自衛官の皆さんの給与体系を抜本的に改革、改善していくための法案というのも繰り返し提出をさせていただいておりまして、昨年にも提出をさせていただいております。

 そして、今年の七月十二日に、防衛省の諮問機関であります防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会から報告書が出されております。そして、この報告書の中においても「自衛官の給与」の項目がありまして、その中で、「自衛隊の任務の特殊性を評価し、自衛官として相応しい処遇となるよう俸給表の見直しを含めた検討をする必要があるのではないか。」と指摘をされております。

 大臣、この報告書、自衛官の処遇の改善、俸給表の見直しを含めた、特殊性を評価したふさわしい処遇となるよう改めるべきだというような、この考えにつきましてどのようにお考えになるか、お答えいただきたいと思います。

木原国務大臣 岩谷委員にお答えいたします。

 今回の法案については、前向きに考えていただいているということで、感謝を申し上げます。

 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、まさしく防衛省・自衛隊の任務は拡大をしております。また、国家防衛戦略等において防衛力の抜本的強化が求められていることから、これまで以上に隊員に対する処遇の重要性は高まってきていると認識をしております。

 したがって、今回の人事院勧告による給与引上げとは別に、隊員の任務の特殊性を踏まえた処遇の改善策を検討するために、自衛官の勤務実態調査や、また諸外国の軍人の給与制度等の調査を進めるとともに、特に、自衛官にも陸海空あります。そして、それぞれの陸海空の中にも様々な職種があります。特に、艦艇等で厳しい任務に従事する隊員、船乗りなどですね、については、その任務や勤務環境の特殊性を踏まえて、しっかりと検討していかなければいけないというふうに考えております。

岩谷委員 是非、抜本的な改革に取り組んでいただきたいと思います。

 平成十九年にも、防衛省に、防衛力の人的側面についての抜本的改革に関する検討会が設置をされて、その報告書の中でも、例えば諸手当についても俸給表に含むような形で見直しを検討すべきなどと様々提言がなされておるんですが、それから十六年たってもなかなか抜本的な改善に至っていないというのが現実でありますから、今後もしっかりと注視をさせていただきたいと思います。

 続いて、予備自衛官の質問に移りたいと思います。

 昨年三月、この委員会で、私は予備自衛官補の質疑をさせていただいておりまして、その中で、私が三十四歳のときに、予備自衛官補になって何とか国のために役に立とうと思って申込みのお電話をしたところ、一か月遅かったです、三十四歳未満じゃないと駄目なんですということで、予備自衛官補になれなかったという体験を交えながら、その経験から、なぜ三十四歳未満なのか、これはもうちょっと緩和すべきではないですかというような質問をさせていただきました。

 先ほども申し上げたこの検討会の報告書、今年の報告書ですね、この中でも、予備自衛官のところで、予備自衛官補の採用の年齢制限等の緩和というものが提言をなされております。

 それから、同じ去年の三月の質問で、登録のみ予備自衛官、すなわち訓練義務を免除した形での予備自衛官制度というのも創設すべきではないでしょうかということを提案させていただきました。そして、その当時の岸大臣からは、仮にそのような制度が導入された場合に、検討すべき事項を精査するといった御答弁もいただいております。

 こういった予備自衛官補の年齢制限の緩和とか、あるいは、訓練義務の在り方あるいは緩和とか、そういった検討状況をお聞かせ願えればと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防衛省では、防衛力整備計画に基づきまして、自衛官未経験者からの採用の拡大、いわゆる予備自衛官補でございますけれども、これや、年齢制限、訓練期間など、現行の予備自衛官制度等の制度の見直しに向けた各種の検討を鋭意進めておるところでございます。

 例えば、今年度から試行的に行っておりますが、特殊又は高度の技術、知識を有する技能予備自衛官のうち、例えば衛生とか整備、電気、建設、放射能管理、語学といったような、こういった技能を有する技能予備自衛官については、任期を更新する際、六十二歳未満としておりましたけれども、この上限年齢を試行的に廃止するといったようなこともやらせていただきました。

 委員御指摘の予備自衛官補の採用における年齢制限、現行の三十四歳未満でございますけれども、これにつきましても、その年齢要件を緩和する方向で検討を進めております。

 また、御指摘のございました登録のみを行う予備自衛官制度につきましては、対象となり得る職務の範囲や、登録のみの自衛官を平素どのように管理するかなど、検討すべき課題も多うございますので、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。

 防衛省といたしましては、作戦環境の変化、それから自衛隊の任務が多様化する中で、予備自衛官等が常備自衛官を効果的に補完できるよう、予備自衛官制度に係る制度の見直しを着実に進めてまいります。

岩谷委員 ありがとうございます。

 特に、予備自衛官補の年齢制限緩和については前向きに検討していただいているということでありますから、一刻も早く結論を出していただいて、実行に移していただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 続いて、同報告書では、部外力の活用が重要というふうにされております。そして、その一例として、基地とか駐屯地の警備業務を外注して、そして予備自衛官に担ってもらうということも提案をされております。すなわち、民間企業が基地とかの警備業務を受注して、そして、予備自衛官を雇用して警備業務に就いてもらう。あるいは、自らの社員を、予備自衛官補を経て予備自衛官として育成をして、そして基地の警備業務に就いてもらうというようなことが想定をされるわけなんです。

 私の議員会館の部屋からちょうど目の前に総理官邸が見えまして、そうすると、入館のチェックについては民間の警備会社の皆さんがやられていますが、警備については警察官の皆さんがされているわけなんですね。これは当然で、やはり武装をした警察官が警備業務をやらざるを得ないということなんですが、自衛隊の場合、予備自衛官制度があることによって、警備業務まで民間への外注ができるのではないかというふうに思うわけなんですね。

 さらに、これを民間委託することで、当然、業務が効率化されるということもありますし、また、限られた自衛隊の人員をほかの業務にしっかり割いていける。また、民間側からも、予備自衛官の活用促進とか、あるいは予備自衛官の人員増加といったことも期待できる、非常に私はよいアイデアだと思いますが、この提案についてはどのようにお考えか、お聞かせを願います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどございました有識者検討会の報告書でございますけれども、人材確保が厳しい中にあっても自衛隊の能力を最大限発揮するためにはアウトソーシングが重要ではあるものの、民間業者に部外委託した場合、有事における業務継続性の担保に懸念があるといった点も指摘をされております。

 このような状況を踏まえまして、平時においては、予備自衛官の身分を有しつつ、部外委託された業務に従事し、有事においては、招集命令を受けて自衛官となることで引き続き防衛省・自衛隊の業務に従事していただく、こういった枠組みができれば業務継続の観点からも有効ではないかというふうに提言をいただいたものだと理解をしております。

 防衛省・自衛隊といたしましては、アウトソーシングに予備自衛官を活用することは、有事における業務継続の確保のみならず、予備自衛官の充足率の向上、それから就職援護の充実といった副次的な効果も得られる可能性があると受け止めております。

 今後とも、自衛隊の限りある人材資源をより優先度が高い分野に充てていくといった観点から、いただいた御提言を踏まえ、基地、駐屯地の警備業務も含めた様々な業務に、部外力の活用に係る検討を進めてまいりたいと考えております。

岩谷委員 まさに今おっしゃったように、予備自衛官であれば、有事となれば、直ちに招集して、民間の身分から自衛官の身分になって業務を継続するということができるわけですから、是非前向きに検討していただきたいというふうに思います。

 そして、この報告書、そのほかにも様々な具体的な提案が入っております。

 例えば、人材確保関連として、任期制自衛官の採用増のための転職サイトの活用とか通年採用とか、任期満了金の見直しとか、あるいは、処遇関連として、営舎内の居住ルールの現代化とか、髪型とか髪色のルールの一部のしつけ事項についても、合理性に乏しいものは変更、廃止すべきとか、あるいは、艦艇乗組員から代休が消化できないまま失効するという声が多く寄せられているとして、その改善を求めたり、様々具体的な提案がなされております。

 この報告書、防衛省として今後どのように対応していくか、お伺いします。

三貝政府参考人 いただいた有識者検討会の提言につきましては、我々としては、これを鋭意検討を加速化させてまいりたいというふうに考えております。

岩谷委員 先ほど申し上げたとおり、平成十九年、十六年前の報告書でも提言はなされているけれども、その後実現されていない項目がありますから、しっかりと実現に向けて取り組んでいただきたいと思いますし、私も注視をしてまいりたいと思います。

 続きまして、今回の法案で、防大生の皆さんの期末手当も上がるということになっております。

 一方で、今、防大の方では、受験者数が、二〇一六年に一万五千名程度であった受験者数が、二〇二一年には一万名程度になって、昨年は八千五百名ということで、この十年間で四〇%もの減少をしているということで、急激な減少傾向にある。あるいは、任官辞退者も、例えば昨年でいうと、卒業した学生四百七十九名中七十二名が、七人に一人が任官を辞退された。あるいは、中途退校も、例えば、昨年四月に入学した四百八十八名のうち、五人に一人が一年以内に中途退校をされてしまったというような数字になっておりまして、これは当然、期末手当を少し上げたからといって、この状況が改善するわけではないというふうに思っております。

 さらに、非常に憂慮すべきものが出てきております。今年の六月、防衛大学校の現職の教授であります等松春夫教授が、「危機に瀕する防衛大学校の教育」という題で論考をメディアに公開をされました。告発のような形で公開をされました。

 その中では、読み上げますが、「任官しない学生たちの多くは断じて「打たれ弱い」から辞めるのではありません。むしろ、優秀で使命感の強い学生ほど防大の教育の現状に失望して辞めていく傾向が強いのです。」というふうに述べられておって、その後、様々な具体的な防大で起こっているとされる事件とか事象あるいは組織的な体質の問題等で、かなり具体的、詳細に様々書かれておられます。

 そして、結びに、「おわりに」というところで、一部省略しながら読み上げますが、「日々、黙々と任務に励む自衛官と事務官、教育への見識と熱意を持つ文官と自衛官の教官、学生たちと親身に接する若手指導官、そして真摯に学ぶ防大生たちを多く知っています。いまこの時も、学生たちの学習環境を改善するために奮闘している現場の人々がいます。彼らの名誉は守られねばなりません。 しかしながら、このような人々の努力を台無しにしかねない組織の構造的な欠陥があり、言行に大きな疑問符が付く人々が、防大および防衛省・自衛隊の要所要所に巣食っています。そこにメスを入れない限り、現場の努力には限界があります。」というようなことを述べておられます。

 私は、これは現職の防大の教授がこう言って告発をされているということですから、大変大きな、重大なことだというふうに受け止めております。

 一方で、久保防衛大学校長から、これに対する反論の文書も出されております。その中では、「改善の余地はおおいにあるとしても、「危機に瀕する」という表現には違和感を禁じえません。また、議論の少なくとも一部は、事実ではなく推測に基づいていると感じられます。」というような反論を、その他にも様々出されておられます。

 これは国民の皆さんも私もそうなんですが、一体何が真実で何が間違っているのか、そして、日本の幹部自衛官養成の中枢機関である防衛大学校で一体何が起きているのか、非常に不安を感じるところなんです。

 大臣、これはお読みになったとは思いますけれども、これについて、受け止めをお聞かせ願えますか。

木原国務大臣 御指摘の件でございますが、その、当該教授と申します、当該教授が集英社オンラインに自らの主張に基づく論考を掲載したものということを承知しております。私も拝読をし、また久保学校長の文書も読みました。

 防衛大学校においては、近年、私も久保学校長とお会いをして、そして学校長の下で各種の改善に取り組んでいるという報告を受けております。そして、その当該教授を含めた話合いの機会、同じテーブルに着く、そういう機会を設けるなど、各種の検討を重ねているという報告を受けております。

 今後とも、そういった様々な御意見を踏まえつつ、防衛大学校も不断の改善を図りながら、将来の幹部自衛官を養成する大学校ですから、その防衛大学校の教育がよりよいものとなるように、ここも力を尽くしていきたいと思っております。

岩谷委員 確かに、この教授も、「久保文明・新学校長のもとで、教育環境の改善をめざすさまざまな取り組みが始まりました。」と、それを期待するようなことも書かれております。ここに書かれていることが事実かどうか、あるいは何が正しくて何が間違っているのかというところを、なかなか我々が調査するのは難しいわけです。ですから、事実でないならば、しっかりと防衛省の方でもそのように表明をすべきであると思います。あるいは、この事実があるならば、それを認めて改善すべきだと思います。そして、その前提として、しっかりとした調査を行っていただきたいというふうに思います。

 これ、調査をして、何かあれば改善をしていく。ただ、その個々の事象を、問題を改善するだけではなくて、これは自民党の石破茂元防衛大臣もこれを読まれて発表されていますけれども、やはり、組織的な、構造的な何か問題があるのではないかということも、今回の問題を契機に、しっかりと点検をしていただくことを要望申し上げまして、私の質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 質問に入る前に、私、実は学生のインターンを受け入れております。毎年受け入れております。姫路市内各地の企業であったり、また団体、地方創生に資するようなところを見させていただいているんですけれども、自衛隊の姫路駐屯地を必ず訪れさせていただいております。国防に励む誇りというものを学生の皆さんに少しでも知ってもらおうという意図で始めております。本当に、大変親切に受け入れていただいて、感謝しているところでございます。

 そのプログラムの中でも、いろんなプログラムを提供していただけるわけですが、必ずこの採用の話はされるわけでございます。残念ながら、私のインターンからはまだ自衛隊の方に入っている学生さんはいないわけですが、これからも引き続き頑張ってまいりたいと思っております。

 本日は、防衛省の職員の給与等に関する法改正案について質疑ということで、主に自衛隊の待遇についてお伺いしたいと思います。

 今回の改正案において、令和六年四月から月額三千円の在宅勤務等手当が新設されることとなっております。これは、人事院勧告の一般職の国家公務員に準じての措置だと思いますが、一般的に自衛官というと、オフィスではなく、野外や船舶で活動する、そんなイメージが強いと思います。この在宅勤務手当は、在宅勤務、これはどのような任務を想定しているのでしょうか。

 また、公務員、これは防衛省・自衛隊だけではなくて、非常に秘匿性の高い情報等を扱うことが多いですが、特に防衛省関係は国防を担う大変重要な情報を扱うことが多く、情報漏えいの対策などは万全なのでしょうか。

 また、細かい話ですが、一般の企業であれば、テレワーク等で在宅勤務を行う場合、通勤の必要がなくなりますので、通勤手当が減額等されるケースが多いと思いますが、テレワークによって通勤手当、これはどうなるのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛官のうち、主に内部部局、防衛省本省の内部部局や各幕僚監部、防衛装備庁といったデスクワークによる業務に従事する者を想定しておりまして、警戒監視や災害派遣などの現場で行う事務、任務につきましてはテレワークの実施が困難であるというふうに考えております。

 その上で、今回新設する予定の在宅勤務手当につきましては、一般職の国家公務員と同じ条件でございまして、一定期間以上継続して一か月当たり十日を超えてテレワークを命ぜられた職員に対して支給するものでございます。この場合、通勤回数が減少するため、通勤するための経費、運賃やガソリン代などの減少に応じて通勤手当も減額される予定でございます。

 また、必要なテレワークに係る通信につきましても、一定の秘匿をかけた形で行うとともに、扱える情報については制限をするような形で実施をしております。

住吉委員 ありがとうございます。

 非常に限られた業務を想定しているということなんですが、情報漏えいとかに対しては何か対策を講じているのでしょうか。お願いします。

三貝政府参考人 情報漏えいにつきましては、一般的な情報漏えいの基準がございますので、そちらを適用されることになりますけれども、通信で扱う情報のカテゴリーですとかそういったものは、必要な秘匿のシステムを使用しておりますので、そこについては万全を期してまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 サイバー攻撃等も高度化しています。あと、故意ではないにせよ、例えば、これはもちろん防衛省の話ではないんですが、USBの個人情報を入れたものを飲み会の席でそのまま忘れてというのが年に数回、そんなニュースを見たりもします。非常に重要な情報を扱っているということを肝に銘じて、そのことも留意いただいて運用していただきたいと思います。

 次に、防衛出動手当についてお伺いしたいと思います。

 その前に、前提として、今の日本が国際環境の中で置かれている状況についてお尋ねいたします。

 ロシアがウクライナに侵攻して一年半以上が経過し、現在はイスラエルとハマスが衝突しております。我が国はもちろん、平和を希求し、外交努力等を全力で行うべきですが、そのような考え、行動とは正反対の行動となる国も多数存在しているのも事実でございます。

 木原大臣の所信においても、国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、既存の秩序は深刻な挑戦を受け、新たな危機の時代に突入していると認識しており、我が国を取り巻く安全保障環境も戦後最も厳しく複雑なものとなっていますと述べております。非常に強い言葉で述べております。

 中国や北朝鮮、ロシアといった国が近隣に存在し、その軍事力が脅威となる中、現在の日本の置かれている状況について、改めて大臣の認識をお伺いいたします。

木原国務大臣 まず、住吉委員におかれましては、姫路でのインターンプログラムについては、是非とも自衛官募集へのPRをまたよろしくお願い申し上げます。

 安全保障環境の私の情勢認識ということでありますが、余り繰り返しはもう避けます。もう委員も先ほど御紹介いただいたので。

 東アジアにおいても、そういった、戦後の安定した国際秩序の根幹を揺るがしかねない深刻な事態が発生する可能性が排除されないというふうに思っているわけであります。そこはやはり、中国、北朝鮮、ロシアの状況を鑑みると、私が所信で申し上げたとおり、そういった可能性が排除されないということを、これは誰もが認識すると思います。

 このように、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしている中で、防衛省・自衛隊は国民の命と平和な暮らしを守り抜かなければいけません。引き続き、全力を挙げてまいる所存であります。

住吉委員 今答弁ありましたとおり、非常に、日本の近海を取り巻く国際状況、これは決して楽観視できるものではありません。そして、その環境が悪化すればするほど、例えばですが、台湾有事の可能性も高くなると認識しております。

 台湾有事に関しては、これまで、仮定のことに対しては答えられないという答弁だったと理解しております。しかし、当然、様々な状況を想定して、様々なシミュレーションを行って万全を期しているものだと信じておりますが、裏を返せば、現在の日本を取り巻く環境は、防衛出動の可能性、これは戦後最大に高まっているということが言えると思います。

 そこで、防衛出動手当についてお尋ねいたします。

 現行法では、防衛出動手当の支給に必要な事項を政令で定めるとしておりますが、その額というのはいまだ制定されておりません。

 我が党は、日本維新の会は、昨年の十月の二十六日に防衛省職員給与法改正案を衆議院に提出いたしました。これは、日本が武力攻撃を受けて自衛隊が防衛出動した場合の手当額を定めるというのが目的の一つになっております。

 ちなみに、米軍で最も危険な任務に当たるネイビーシールズの隊員たちには、三千万円を超える年収と様々な各種手当がございます。

 一方で、日本はそこまで処遇、待遇はよくないどころか、有事の際の防衛出動手当の額も決まっていない。このままでは危険な任務に臨む自衛隊員の士気が低下することを危惧しております。

 厳しい国際環境の中、台湾有事など、現実的に起こり得るにもかかわらず、防衛出動手当の額が定まっていないのはなぜなのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

木原国務大臣 防衛出動手当に対しての御質問でありますけれども、防衛出動手当というものは、防衛出動時の戦闘などの著しい危険性や困難性等を評価して支給する手当でありまして、実際に有事が生起した時点における諸情勢を総合的に勘案し、適切な支給額を決定するものであります。

 その上で、防衛出動によってその任務に当たる隊員の処遇が速やかに確保されるように、陸海空自衛隊の演習、訓練を実地に検証し、防衛出動時の勤務時間等の変化やあるいは戦闘における著しい危険性を評価するための知見の蓄積などに今取り組んでいるところであります。

 いずれにせよ、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、防衛出動によりその任務に当たる隊員が誇りを持って、そして安んじて任務を遂行できるようにすることが重要でありまして、これらの点に十分に配慮し、適切な処遇となるように鋭意検討してまいります。

住吉委員 今御答弁あったとおりなんですが、先ほど岩谷委員からも紹介ありました、有識者、防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する、この報告書、この中にも、私も読ませていただきましたが、ちょっとそのまま読ませていただきますが、「自衛隊は有事への対応が想定されているのであり、事が起こってからの対応とならないよう、有事を想定した処遇の在り方について、今から検討を進める必要がある。平時も有事もしっかりと処遇されることではじめて任務にまい進できる。」。これは有識者の御意見。この有識者も、防衛出動手当の額を決めていく必要性を指摘されております。

 先ほどの答弁だと、今後いろいろな情報を蓄積していくということで、これは額を今から決めていくという認識でよろしいですか。レクのときは、有事が起こったときに、それが起こった後に決めてするというようなことだったんですが、今後決めていく、そういう検討を重ねていくという認識でよろしいか、ちょっと確認をさせてください。

三貝政府参考人 先ほども大臣の方から御答弁がありましたように、防衛出動手当は、防衛出動時の戦闘など著しい危険性や困難性を評価して支給する手当でございますので、実際に有事が生起した時点における諸情勢を総合的に勘案して、適切な支給額を決定する必要があると考えております。

 その上で、特殊な任務に従事する隊員に対しましては、発生する事態の態様を踏まえ適宜適切に評価した手当を支給する必要があると考えておりまして、例えばですけれども、東日本大震災における原子力災害派遣、これにつきましては、災害発生時に当該業務の危険性や困難性といったものを適正に評価いたしまして、当初日額千六百二十円でございましたけれども、そういった実際の状況を勘案いたしまして日額最高四万二千円に引き上げさせていただき、災害発生時に遡って支給させていただいたこともございます。

 防衛出動の任務に当たる隊員につきましても、事態の態様、これを踏まえまして、適切な処遇が速やかに確保されるように検討の推進に鋭意努力してまいります。

住吉委員 是非、検討を進めていただきたいと思います。いずれにせよ、厳しい環境下で、時には命の危険のある、そういった自衛隊員に報いる対応をお願いしたいと思います。

 続きまして、自衛官の離職者の状況についてお伺いいたします。

 先ほどから募集の大変さというのは各委員から御指摘あったとおりだと思います。私も毎年、姫路駐屯地の方で自衛官候補生課程教育入隊式と修了式に参加させていただき、祝辞を述べさせていただいております。僅か三か月程度の間に、入隊する前の顔と修了するときの顔つき、これはもう全く違うわけで、精悍な顔つきになっています。ちょっと言い方はあれかもしれないですけれども、入隊するときはちょっとこうマッチ棒のようなひょろひょろっとした人たちが、修了するときは、この人らはもうけんかでも勝てないなというぐらいしっかりとがっしりとしたような形になっている、そんな成長する姿を、親御さんの気持ちになったような、そういう気持ちでいつもうれしく思っているわけです。

 それと同時に、毎年修了式に参加されている方から、年々人数が減ってきた、そして令和五年度はもう過去一番、しかもかなり少ない状況だったと嘆いていたことが印象的でした。それだけ非常に採用の方も困難なわけですが、せっかく入ってきて、自衛隊という更に専門的な職種、ある意味特殊な職種で、コストをかけて人材育成しても毎年四千人近くが離職しているという状況でございます。約十年間で約四割増加しているというような状況でございます。

 政府は、今後五年間で防衛費を大幅に増額し最新鋭の装備導入を急いでいくわけですが、人材確保もままならないのに、新たな装備の訓練や運用で職務時間が激増するおそれもあり、日々限界に近い状態の部隊もあると聞いておりますが、劣悪な職場環境になれば更に離職者が増えるという負のスパイラルに陥る可能性もあります。

 自衛官の中途退職の現状、そして要因と対策、またそれをどのようにお考えなのか、見解をお伺いいたします。

木原国務大臣 自衛官の中途退職者数は、令和四年度は約六千二百名と、過去十五年間で最多となっております。せっかく採用しても、中途退職者数が増えればトータルで減ってしまうということになってしまいます。大変危惧をしております。

 一方で、中途退職に至る理由というのは経済動向の影響あるいは個人的な事情など様々な要因が考えられるところですが、これまで防衛省としては、育児や介護と仕事の両立ができるよう、フレックスタイム制の導入あるいは短時間勤務など、柔軟な働き方を可能とする制度の充実であったり、あるいは若手や女性隊員が悩みを相談できる体制整備や、また、部外カウンセラーの招聘といった取組や、給与面の処遇向上、生活、勤務環境の改善やハラスメント防止対策などの施策を、これは逐次改善をしているところであります。

 これらの取組を更に深化させるために、今年度から、専門的知見を有する民間会社を活用して、退職自衛官への聞き取りや、それと、先ほども出てきましたが、現役自衛官へのアンケートなどを実施し、更に中途退職抑制に有効な施策を検討しております。

 私自身も、部隊視察をもう既に十か所程度行きましたけれども、必ず部隊では時間をつくって、若手の隊員を集めて、上司を外して、若手隊員と私だけで率直な意見交換をしているところであります。

 防衛力の中核たる自衛官の人材流出というのは大きな課題でありまして、今後とも危機感を持って中途退職の抑制に取り組んでまいります。

住吉委員 大臣自ら若手の自衛官と率直な意見交換をされているということで、是非現場の声を拾い上げていただきたいと思っております。

 リクナビNEXTのホームページを見ると、もちろん、民間と公の機関、さらに自衛隊という組織は全く違うわけですので、参考になるかどうか分かりませんが、中途退職する理由の一番上位に来るのは職場の人間関係というのがございます。

 今、ハラスメント対策等々言いましたし、ほかの委員からもそういった指摘がありましたので、是非、なぜ辞めたのか、アンケート調査よりも更に深掘りしていただいて、そして、組織として問題があるのであればしっかりと改善していく。

 なかなか採用が厳しい状況下で、令和四年度だと六千二百名ということで、どんどんどんどん辞めていってしまっては元も子もない。もちろん、別のところに、前向きな形で辞めるのであれば、それは全然オーケーなわけですが、オーケーといいますか、それはその方の人生ということで仕方のないことかもしれませんが、いづらいとか、人間関係で悩んでいる、そういう後ろ向きな理由で辞めるのであれば改善の余地があるのかなというふうに思っております。

 最後、ちょっと質問を一問残しましたが、質疑時間が来たということで、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

簗委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 昨日に引き続き、質疑に立たせていただきます。

 まず、自衛官の待遇、勤務環境に関して私からも、少し先ほどとかぶりますけれども、質問させていただきたいと思います。

 私たち国民民主党は、給料が上がる経済というものを実現するということを公約の第一に掲げておりまして、そういった観点では、自衛官の皆様も、働く仲間の皆様でございますので、しっかりと給料を上げていくことは大変重要なことだと考えておりますので、継続的な処遇の改善、また勤務環境の改善、こういったことにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

 そういった中で、私からも、防衛出動手当のことについて、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどのやり取りを伺っていますと、有事が発生した際に、その有事の様相なども勘案をしながらその防衛出動手当を決めていくといったような趣旨かと理解をしたんですけれども、果たしてそれでいいのかというのは、改めて伺っても少し疑問が残ります。

 もちろん、その有事の様相に従ってその中身を修正をしていくことは必要だとは思うんですけれども、ある程度の基準であったり考え方、こういったものをしっかりと示して、安心して日々の勤務に自衛官の皆様に当たっていただくということは、私は、あるべき姿なのではないかなというふうに考えております。

 政令で具体的な金額、手当については定めるということになっていますけれども、この政令に関しても、いざ有事となった際に定める、それまでは定めないという理解でいいのか。そういった、今防衛省は考え方になっているのか。

 何らかの考え方を示すとか、金額、具体的なものに関して、ある程度の水準を示して、もちろん、その金額については、有事となった際には修正をする、見直すということもあり得るかもしれないけれどもということで示していく、水準を示していくということを検討する余地はないのか。そういったところを少し教えていただければと思います。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、防衛出動手当の対象となる任務、この任務の危険性、困難性につきましては、発生する事態の態様により様々な強度のものがあるというふうに考えております。

 このため、防衛出動によって、その任に当たる自衛官の処遇が速やかに確保されるよう、陸海空自衛隊の現在行っております演習や訓練を実地に検証いたしまして、防衛出動時の勤務時間等の変化や戦闘における著しい危険性を評価するための知見の蓄積にまずは取り組ませていただいておるところでございます。

 防衛省といたしましては、防衛出動時の任務に当たる隊員の処遇の確保の重要性に鑑みまして、人的強化の有識者会議の報告書も踏まえまして、検討の推進に鋭意努力してまいりたいというふうに考えております。

斎藤(ア)委員 検討を進めるということでありますけれども、もう十五年以上たつわけでございます、この防衛出動手当の文言が法律に記載をされてから。

 その中で、今は検討を進めるとおっしゃっていましたけれども、実際には、先ほどの委員とのやり取りを聞いていると、実際に有事が起こった際に金額を決めるといったことだったと思いますけれども、どういうことなんでしょうか。検討を進めるけれども、金額が出てくるのは、有事になってから金額が出てくる、そういった、今防衛省の考え方ということでいいんでしょうか。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの住吉先生に対する答弁と重複するところはございますけれども、まず、特殊な任務に従事する隊員に対しましては、発生する事態の特殊性を、事態の態様を、これをよく踏まえまして適切に評価した上で、その手当を支給する必要があると考えております。

 これも先ほどの住吉委員に対する答弁と重複いたしますけれども、例えばでございますが、東日本大震災のときにおける原子力災害派遣、この際におきましても、発生後に当該業務の危険性や困難性を適正に評価いたしますと、当初設定されておりました日額千六百二十円ということから、やはりこれは引き上げるべきであろうということで、最高額を四万二千円に引き上げて、これを災害発生時に遡って支給した例もございますので、こういった、しっかりとその実態を、発生した事態の態様を適切に踏まえていくことも必要であると考えております。

 いずれにいたしましても、防衛出動の任務に当たる隊員に対して、事態の態様をしっかりと踏まえた上で適切な処遇が速やかに確保されるよう、検討の推進に努めてまいります。

斎藤(ア)委員 原子炉に空中からヘリコプターで放水をするというのは、確かになかなか想定されていない任務だったと思いますので、その事態になってから手当を修正する、設けるということは、もちろんそういったことがあるのは当然だと思うんですけれども、しかし、いざ有事となった際に一般的にどういった作戦行動を取るかというのは、基本的なものはある程度分かるわけでございますから、一定程度の基準、金額をその部分については示していく、そして、安心して日々訓練、任務に当たっていただく、自衛隊に入っていただく、そういったことは私は必要なことだと思っております。

 これ以上は繰り返しになってしまいますので、そういったことで、有事になった際に全部示すんだということではなくて、一般的な類型の任務に関しては、しっかりと基準をあらかじめ示していくということも是非検討をお願いしたいということで申し上げておきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 もう一つ、こちらももう既に本日議論されていますけれども、ハラスメントの防止に関してでございます。

 私も、昨年の予算委員会でも質疑をさせていただいて、大変な問題だと考えております。隊員の方々が誇りを持って安心して勤務をしていただく環境をつくることなしには、日本の安全保障を構築することは不可能でございますので、ハラスメント対策も極めて重要でございます。

 こういった中で、先般明らかになった海自の事例では、被害者の方と加害者の方を、被害者の方の意向とか感情を無視して会わせて、そして加害者の方をかばうような言動を上官が行って、大変、被害者が更に傷ついて、退職をするということになってしまった。こういった対応を取るということ一つ取っても、まだまだハラスメント対策の体制が構築できていない、認識が共有されていないということだと思います。

 その対策を進めていく上では、こちら、防衛大臣も本日もおっしゃっていますけれども、ハラスメントの問題を安心して相談をできる、そういった体制を構築することが極めて重要だと思っていますし、また、ハラスメントが発生した際に適切な対処が行えるよう、そういった部隊の責任者の方が、相談をできるであったりあるいは指導を仰げるような、そういった権限であったり専門性を持った部署であったり、方々が自衛隊の中にとても重要であるというふうに考えておりますけれども、このハラスメント対策に関する相談窓口の在り方であったり、また適切な対処の実現に向けて、どういったことを防衛大臣として取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。

木原国務大臣 前浜田大臣も、この点は本当に真摯に対応して改善を重ねてきましたけれども、それを受けて、私も、引き続き陣頭に立ってその対策を講じている中ではありましたが、依然としてハラスメント事案がなくならないということは、従来行ってきたハラスメント防止施策の効果が組織全体まで行き届いていなかったということの表れであり、誠に遺憾であります。

 御指摘の海自のそのハラスメント事案を受けて、全てのハラスメント案件に対して厳正な措置を求める指示を発出するとともに、来年一月を防衛省・自衛隊におけるハラスメント防止月間として、これは今までやったことがありませんでした、その防止月間として、ハラスメント防止教育等を集中的に行うということを新たに指示をしました。

 また、全隊員に向けてハラスメント防止に係るメッセージを出し、隊員一人一人のメッセージについては、被害に遭った場合には、ためらうことなく信頼できる隊員や通報窓口に申し出るよう指示し、そして、指揮官、管理職用のメッセージとしては、ハラスメントが発生した場合には、被害に遭った隊員にまず寄り添うことを、このことを第一に考えて、そして、ちゅうちょなくしかるべき対応をすること、強い決意とリーダーシップでハラスメント防止に取り組むことを私の言葉で求めたところであります。

 現在、防衛省・自衛隊では、有識者会議の提言も踏まえて、内局あるいは幕一体となった検討グループの中で、相談体制や教育の見直しを含めた有効な施策を鋭意検討しております。

 本私の指示そしてメッセージ、それが全ての自衛隊員に行き渡り、周知徹底されて、ハラスメントを一切許容しない環境を構築してまいります。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 先ほども取り上げられていましたけれども、特別防衛監察の方で報告された数の中にも、この今お話にあった海自の事案というのは含まれていないということでございますけれども、これは根拠のない推察でありますけれども、やはり千何百件という数字は、私は全然実態にはまだほど遠いのではないかなというふうに思っております。

 なかなか被害を申し出にくい、それがセクハラであったりとかハラスメントの事案でございますので、そういった事案をしっかりとすくい上げていけるように、そして対処していけるように、まだ本当に取組は始まったばかりだと思いますので、是非、防衛大臣、引き続き、浜田大臣に続いて陣頭に立っていただいて、根絶に向けて取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 それでは、法案の中身とは、直接ではないですけれども、ちょっと外れますけれども、昨今の円安による防衛力整備計画に対する影響について、何点かお伺いをしたいと思います。

 大変、円安による物価高が続いていまして、本日も一ドル百五十一円ということで、円安が止まる気配がありません。日々スーパーなどでお買物をされる方、特に、家族が何人もいらっしゃって大きな金額を買われる方々においては、本当に物価が上がっていて生活が苦しいということを感じているところかと思いますけれども、これは同様に防衛省の方でも、円安によってお買物が厳しくなってしまっている状況が生まれてしまっているんだと思います。

 防衛力整備計画を策定したときの、令和六年度以降の想定為替レート、これは財務省から指定されているものですけれども、防衛省が考えたレートではないですけれども、百八円ということで実勢と大分かけ離れてしまっていて、その想定為替レートに基づいて組み立てられた防衛力整備計画、とてもじゃないですけれども、計画どおりに進捗することが今難しくなってしまっているのではないかというふうに懸念をしております。

 具体的に例を出して、もしお答えいただけるならお示しをいただきたいんですけれども、円安であったり部材高によって、昨年十二月に閣議決定されたこの防衛力整備計画どおりに装備調達などができなくなってしまっている、単価がこれぐらい増えてしまっているとか、単価が増えてしまっているので調達数を計画どおり調達することができなかったり、そういった事例があればお示しをいただきたいですけれども、いかがでしょうか。

木原国務大臣 装備品の価格というのは様々な要因から決定されるものでありまして、もちろん為替相場の変動もありますし、物価の高騰もありますし。ただし、それだけではなくて様々な影響がありますので、それを直ちに一言でお伝えすることはなかなか困難でありますけれども、その経費の精査をして、更にそれをやったり、あるいはまとめ買い、又は長期契約のスケールメリットを生かした価格低減策の取組というのを、これを粘り強くやっていきながら、閣議決定された防衛力整備計画等に基づいて、防衛力の抜本的強化を達成すべく努めなければいけないと考えています。

 その中で、具体的にというふうにおっしゃったので、幾つか例を紹介しますと、これは陸上自衛隊と航空自衛隊で同じヘリコプターを使っているケースがあります。CH47のJAとかJとかですね。そういったものは、それぞれ別々に調達していたものを長期契約による一括調達にするであるとか、あるいは、航空自衛隊のPAC3の再保証といって、弾には保証をつけるわけですが、それを再保証する際に、これも一括調達をするであるとか、あるいは、陸上自衛隊の輸送船舶の維持整備に係るPBL計画などを通じて、装備品の計画的、安定的、効率的な取得に努め、調達などの最適化に向けてしっかりと取り組んでいくなど、そういったことを、これも常に、逐次、まだできることはないかということを考えながらやっていきたいというふうに思っております。

斎藤(ア)委員 円安の影響で装備の価格が上がったり調達が難しくなった事例を聞きたかったので、こういう対処をしますということではなく、どういったふうに調達が難しくなっているかということを、これは、私は、円安の影響、もちろん財務省、日銀が一番分かっているわけですけれども、金融緩和政策の結果としてこの円安になってしまって、それが防衛力の整備にもすごい悪影響を及ぼしているということを是非国民の皆様に知っていただきたいという思いで質問をさせていただいたので、苦しい部分、厳しい部分については、是非とも正直に国民に教えていただければと思うんですけれども。

 もしお答えいただければ、例えば、今例に出していただいたチヌークヘリコプター、昨年の防衛力整備計画策定時と、今分かっている調達機数の一機当たりの調達価格、これはどれぐらい増えてしまっているか、変わってしまっているか、こういったことを、事務方でも構いませんけれども、教えていただくことというのは可能なんでしょうか。

青柳政府参考人 済みません、今のチヌークの価格についてはちょっと手元にございませんので、今手元にあるものでお答えすれば、例えばイージスシステムの搭載艦、これにつきまして申し上げれば、その取得は、昨年末の防衛力整備計画策定時点の計画額と比べて約〇・二兆円上昇している、二千億円上昇しているという状況でございます。

 これにつきましては、策定時点と比べまして、令和六年度概算要求に際しましては、イージスシステム搭載艦としての船体設計が進捗したということ、そして、その結果によりまして船体建造費の精緻化が行われた、先生御指摘の円安に伴う為替レート、こういうものの変動、そして、昨年からの国内外の全般的な更なる物価上昇、米国政府等との協議の進捗による各種装備品システム等のインテグレーションに係る内容、経費の精緻化、こういうものによりまして価格の上昇というものが発生したということでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 様々な要因があるということだと思いますけれども、大変多くの装備品を米国などから購入をしているということでございますので、この円安、想定為替レートよりも大分、今円安になってしまっているので、間違いなく、このままでは、当初想定していた装備品の調達が大変難しくなるということは明らかだと思います。

 例えば、今教えていただいたイージスシステム搭載艦の件に関しては、こちらは防衛省に教えていただいたんですけれども、二隻分を合計して、調達に係る経費は七千九百億円と今想定をされているわけですけれども、そのうち外国製の装備品、外国にお金を払う装備品の調達に関しては三千七百億円あるということで、およそ半分近くが海外に支払うお金ということでございますので、円安になってしまうと、今、想定為替レート百三十七円とか百八円とかそういった金額に比べて実際に円安になっていると、支払いをするときの支払い価格というのは、円に換算すると大変多くなってしまうわけですので、大変財政上の負担が重くなることが大変憂慮されるわけでございます。

 改めて、今の自衛隊の課題、問題、昨年から大変議論されていた、正面装備を調達するための予算に四苦八苦してしまうような状況で、整備とか修理とかに回すお金がなくなって共食い整備が行われて、可動率が低下をしているという問題がありました。

 その原因の一つが、何とか正面装備を整えようとしてということがあって予算が厳しくなったということがあるというふうに認識をしているんですけれども、今FMS調達で決まっているものであったり海外から買うと決まっているものに関しては、どうしても調達を進めないといけなくなってしまって、それであおりを食うのが国内の業者であったり、あるいは国内向けの支払いということになってしまえば、せっかく防衛力の基盤を強化をしようということで取組を始めたのにもかかわらず、それができなくなってしまうということで、大変、この円安の影響というのは本当に重大だなというふうに考えております。

 これは財務金融委員会ではありませんので、改めて、本当は財務省であったり日銀と議論をしなければならないということだと考えておりますので、そちらの方でさせていただきたいというふうに考えておりますけれども、金融緩和政策の影響として、これだけ日米金利差が生まれて、そして円安が進んでしまって、それが防衛力の整備、日本の安全保障にも悪影響を及ぼしているということはしっかりと野党の立場からも申し上げて、適切な予算が組めるように、金融政策の正常化に向けてもしっかりと議論をさせていただきたいというふうに考えておりますので、防衛省の皆様からも、悪影響が出ている、困っているという部分があれば、是非とも、野党の我々にも、また国民にも包み隠さずに教えていただければと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございます。

簗委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案については賛成であります。

 沖縄を始め全国で拡大する日米共同訓練、空港、港湾の軍事利用拡大について質問をいたします。

 今年一月の日米2プラス2の共同発表は、日本の南西諸島を含む地域において、日米の施設の共同使用を拡大し、共同演習、訓練を増加させると述べております。

 先月十四日からは、陸上自衛隊とアメリカ海兵隊が実施する国内最大規模の共同訓練、レゾリュート・ドラゴン23が行われました。日米が各地で共同調整所を設置し、新石垣空港には陸上自衛隊のオスプレイが初めて降り立ちました。ホワイトビーチから嘉手納弾薬庫まで、公道を使った弾薬などの輸送訓練も行われました。

 私は、アメリカの戦略に日本を組み込む共同訓練そのものに反対の立場ですが、このレゾリュート・ドラゴンは、元々は沖縄の負担軽減の一環として県外で行われていたはずのものです。なぜ今回、県内で行うことになったのですか。負担軽減に逆行しているのではありませんか。

木原国務大臣 まず、本法案については賛成という御発言をいただきまして、赤嶺委員には感謝を申し上げます。

 そして一方で、レゾリュート・ドラゴンについて御質問をいただきました。

 十月十四日から十月三十一日までの間、米海兵隊等と南西地域を担当する陸上自衛隊西部方面隊等が島嶼防衛のための作戦を共同して実施する場合の連携要領を、北海道、九州及び沖縄において演練をいたしました。

 本訓練を実施するに当たっては、訓練地域の広さといった訓練基盤の状況等のほか、訓練目的を達成できるか、参加する部隊等を総合的に検討し、実施場所を決定したところであります。

 その結果、今回の訓練に参加する西部方面隊の担当地域である九州内及び沖縄県内の自衛隊並びに米軍の施設、そして、良好な射撃訓練基盤を有する北海道の矢臼別演習場等において本訓練を実施しました。

 その上で、今般の訓練では、沖縄県外の高遊原分屯地、これは熊本ですが、を米海兵隊MV22の航空基盤として九州の演習場において各種訓練を実施することで、米海兵隊MV22の沖縄県内における駐留及び訓練時間が削減をされて、その結果、沖縄の負担軽減に資するものになったというふうに考えております。

赤嶺委員 レゾリュート・ドラゴンにおける沖縄のオスプレイの訓練が何がしかの負担軽減になったというのは、防衛大臣の錯覚です。改めてください。

 新石垣空港では、二度にわたる県の自粛要請を無視して、最近も墜落や緊急着陸を繰り返しているオスプレイの使用を強行いたしました。

 空港管理者は沖縄県であります。県の意向を無視して、なぜ訓練を強行したんですか。これが負担軽減ですか。管理者の意向は無視しても構わないということですか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 陸上自衛隊は、レゾリュート・ドラゴン23におきまして、陸自のオスプレイを使用した患者後送訓練を実施するために新石垣空港を使用いたしました。

 このオスプレイでございますけれども、高い航続性や速度を有しているところでございまして、事態対処や国民保護、災害対処等におきまして、極めて有用性の高い装備品だというふうに考えております。こうした有用な装備品をいざというときに円滑に運用できるようにするためには、平素から実地において訓練を実施することが必要でございます。

 自然災害、人的な災害、人為災害を含めまして、予期し得ない事態への対処能力を可及的速やかに向上させることは、離島が多い沖縄において住民の安全を確保するために必要なことであるというふうに考えている次第でございます。

赤嶺委員 全く聞いていることに答えません。

 私が聞いたのは、新石垣空港は沖縄県の管理であり、沖縄県の二度にわたる自粛要請を無視しているということで、管理者の意向は無視しても構わない、そういうことなんですか。

加野政府参考人 お答えを申し上げます。

 管理者の方からお申入れをいただいているという次第はございますけれども、私どもといたしまして、やはり、このオスプレイ、その有用性といったもの、あるいは、離島が多い沖縄におきまして住民の安全を確保するために必要なことであるという観点から、今回の演習におきまして使用させていただいたということでございます。

赤嶺委員 管理者の意向も無視して、必要な訓練だからといってこれを強行する、これは本当に地方自治を無視するやり方そのものであります。

 防衛大臣は、先月二十四日の会見で、今回の空港使用について、日頃からの実地での訓練は不可欠、このように述べておられます。

 実地での訓練とは、これはどういうことですか。防衛大臣の発言ですよ。防衛大臣の記者会見での発言ですよ。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、各種の空港でございますとか、あるいは港湾でございますとか、やはり、それぞれによって状況が違うところがございますので、そうしたところについて、きちんと平素から使用する際における状況等について確認をしておく必要があるということは、かねてから私ども防衛省・自衛隊として心がけてやっておるということがございます。

赤嶺委員 何か答弁が非常にずれまくっているわけですが。

 今回の訓練は、島嶼防衛作戦の訓練とプレスリリースに書いておりますが、そうではないんですか。

加野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回のレゾリュート・ドラゴンでございますけれども、その訓練の趣旨といたしまして、陸上自衛隊の戦術技量の向上あるいは米軍との連携強化を図ることを目的としているわけでございまして、そうした中の訓練項目として、離島における作戦といったものも加味しながら訓練させていただいているということでございます。

赤嶺委員 今度オスプレイで行ったのは、負傷した兵士を後方に輸送する訓練であります。これは、沖縄や離島が戦場になることを前提とした訓練そのものではありませんか。

木原国務大臣 先ほど、実地とは何かということでございました。

 説明をしたつもりでしたけれども、訓練の区域が非常に今回広く、広域にわたるということ、そして、訓練基盤の状況等を鑑みて、その訓練の目的を達成できるか、あるいは参加する部隊の状況などを総合的に考えて、最も適した場所ということで実施場所を決定したわけでありまして、本訓練は、特定の地域における事態の発生を念頭に置いたものではございません。

赤嶺委員 特定の地域において事態の発生を想定したものではないという大臣の今の答弁ですが、石垣駐屯地トップの井上駐屯地司令は、次のように言っております。尖閣諸島を含む八重山地域は防衛の最前線だ、南西諸島からフィリピンに至る列島線は、もし中国が台湾侵攻を考えれば、地政学的に重要な位置づけとなる、このように述べております。今回の訓練は、台湾有事に対処するための実地での訓練、負傷兵が出たときの輸送だとか、そういう訓練そのものであります。ごまかすことはできません。

 今日から、改めて自衛隊の統合演習が始まっております。岡山、大分、奄美、徳之島の各空港で、戦闘機による離着陸訓練などが初めて行われます。なぜ、空港で訓練を行う必要があるんですか。どういう想定での訓練なんですか。

木原国務大臣 御指摘のとおり、自衛隊は、本日から今月の二十日にかけて、防衛、警備等に係る自衛隊の統合運用能力の維持向上を目的として、日本全国において自衛隊統合演習を実施いたします。その中で、航空自衛隊の基地が使用できなくなった場合というのを想定して、航空自衛隊の戦闘機等が、岡山空港、大分空港、奄美空港及び徳之島空港において離着陸訓練を実施する予定であります。

 防衛省・自衛隊としては、あらゆる事態において自衛隊の能力を最大限発揮するため、自衛隊が多様な空港を使用できるようにしていくことは重要でありまして、平素から民間空港を使用した訓練を行う必要があるというふうに考えております。

赤嶺委員 平素から空港で訓練を行う。

 空港で訓練を行うことで、何らかの事態が発生した場合に、その空港自体が攻撃される可能性も高まることになりませんか。

木原国務大臣 本演習というのは、あらゆる事態を想定して、自衛隊の対処能力の向上を図るために実施するものですが、そういう、今委員が御指摘になったような詳細については、各種の事態における我が国の具体的対応に関わるものであるため、事柄の性質上、その詳細はなかなか申し上げにくいということを御理解いただきます。

赤嶺委員 よく、今の答弁、趣旨が分からなかったですね。

 いわゆる事態が発生した場合に、自衛隊の空港と違って民間の空港ですから、その空港自体が攻撃される可能性、これは出てくるわけですよね、ジュネーブ条約とは違うわけですから、軍事利用しているわけですから。いかがですか。

木原国務大臣 そういった、平素から様々な訓練を通じて我が国への攻撃に対する抑止力、対処力を高めること、このことで我が国への攻撃の可能性を低下させるものでありまして、それが、ひいては我が国国民の安全につながるものであるというふうに考えております。

赤嶺委員 抑止力を高めると言いますけれども、今度の訓練は、現に攻撃された場合を想定した訓練になっています。

 例えば、那覇基地、ここでは滑走路被害復旧訓練を行うことになっています。これはどういう訓練ですか。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 滑走路被害復旧訓練でございますけれども、こちらにつきましては、被害が生じた滑走路を迅速に復旧し、航空機の運用を速やかに再開できるように演練するものでございまして、従来から日本全国の自衛隊の基地において実施してきているものでございます。

 今般の自衛隊統合演習におきましては、那覇基地で実施する滑走路被害復旧訓練でございますけれども、統合訓練の機会を活用いたしまして、陸自の部隊と空自の部隊が、それぞれの能力や知見を互いに共有しながら演練するというものでございます。

赤嶺委員 抑止力という以前に、もう攻撃を受けたことを想定してやっている訓練です。非常に、住民を置き去りにしたもので、憤りを禁じ得ません。

 今、政府は、南西地域で訓練の拡大やインフラ整備を推し進めようとしています。沖縄の離島の空港でも戦闘機による訓練が行われることになるのではありませんか。

木原国務大臣 いわゆる、あってはいけませんが、いわゆる有事においては具体的にどのような空港を使用するかについては、これは我が方の手のうちを明かすことということにもなりますので、お答えすることは御容赦いただきたいと思っております。

赤嶺委員 軍事利用しないという立場であれば、手のうちを明かしても大丈夫ですよ。軍事利用するということですから、手のうちを明かしたくないという。手のうちを明かしたくない、住民には知らせたくない、そういうことだろうと思うんですよね。やはり、静かな離島で戦闘機が訓練する、あるいは港湾などの軍事利用は許されないと思います。

 政府は、八月二十五日、安保三文書に基づく研究開発や公共インフラ整備を推進する関係閣僚会議の初会合を開きました。

 そのときの資料によると、自衛隊、海上保安庁が平時から円滑に空港、港湾を利用できるよう、インフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設ける、このようにしています。

 この円滑な利用に関する枠組みとは、どういうものですか。具体的に何を定めていくんですか。

村井内閣官房副長官 委員御指摘の公共インフラ整備については、国家安全保障戦略に基づき、総合的な防衛体制の強化の一環として、民生利用のニーズに加え、防衛省、海上保安庁のニーズも反映できるよう、先ほど御指摘いただいたとおり、八月に関係閣僚会議を開催し、閣僚間で認識の共有を図ったところであります。

 この取組においては、自衛隊や海上保安庁とインフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設けることとしており、有事に際しての国民保護のためのニーズ等も念頭に、平素から訓練等で円滑に公共インフラを利用できるようにするとともに、そのために必要な調整等をインフラ管理者等と行う体制を構築することなどを想定をしております。

 こうした取組について、インフラ管理者等の、関係する自治体の理解が得られるよう、丁寧に説明を行ってまいりたいと存じます。

赤嶺委員 都道府県知事が管理する空港の使用は、条例で、許可ではなく届出事項になっています。管理者の自粛要請を無視して使用を強行できたのは、そのためであります。

 その上、何を円滑な利用として定めようというのですか。どこに問題があるという認識ですか。

簗委員長 室田内閣審議官。

 なお、申合せの時間を経過しておりますので、御協力願います。

室田政府参考人 はい。簡潔にお答え申し上げます。

 今回の取組におきまして、私どもが今やっておりますのは、海上保安庁や自衛隊が優先的に利用できるようにするということを目的としたということではございません。既存の制度にのっとりまして、あくまで、関係者の中で協力をして、円滑な利用について調整をするための枠組みをつくっていきたいということでございます。

 なお、その円滑な調整の枠組みの目的の一つといたしまして、私ども、八月二十五日、関係閣僚会議でも書かせていただいておりますけれども、自衛隊、海上保安庁の艦船、航空機等の利用につきましては、国民保護のためということも、私ども、打ち出させていただいております。

 こういった点につきましても、しっかりと地元の皆さんにも説明をさせていただいて、御理解を得ながら進めたいというふうに考えております。

赤嶺委員 取ってつけたように国民保護と言いますが、沖縄では軍隊は住民を守らないというのが沖縄県民の思いです。

 こういうことは絶対に許されない、円滑な利用の中身もはっきりしない、そういうことを指摘して、質問を終わります。

簗委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

簗委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

簗委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

簗委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

簗委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.