衆議院

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第4号 令和5年12月7日(木曜日)

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令和五年十二月七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 簗  和生君

   理事 鬼木  誠君 理事 小泉進次郎君

   理事 杉田 水脈君 理事 藤丸  敏君

   理事 伊藤 俊輔君 理事 篠原  豪君

   理事 岩谷 良平君 理事 中川 宏昌君

      東  国幹君    江渡 聡徳君

      大岡 敏孝君    大塚  拓君

      武田 良太君    渡海紀三朗君

      中谷  元君    長島 昭久君

      細野 豪志君    松島みどり君

      松本  尚君    山口  晋君

      和田 義明君    若宮 健嗣君

      新垣 邦男君    玄葉光一郎君

      重徳 和彦君    渡辺  周君

      浅川 義治君    住吉 寛紀君

      北側 一雄君    田中  健君

      赤嶺 政賢君

    …………………………………

   外務大臣         上川 陽子君

   防衛大臣         木原  稔君

   防衛大臣政務官      松本  尚君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  室田 幸靖君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  萬浪  学君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  飯島 秀俊君

   政府参考人

   (警察庁刑事局長)    渡邊 国佳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           今福 孝男君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            長岡 寛介君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           西海 重和君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 宮武 宜史君

   政府参考人

   (海上保安庁警備救難部長)            彼末 浩明君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 扇谷  治君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 今給黎 学君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 北尾 昌也君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  加野 幸司君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  三貝  哲君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  大和 太郎君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           田中 利則君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        片山 泰介君

   安全保障委員会専門員   奥  克彦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  斎藤アレックス君   浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野  哲君     斎藤アレックス君

同月七日

 辞任         補欠選任

  柿沢 未途君     大岡 敏孝君

  和田 義明君     東  国幹君

  斎藤アレックス君   田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     山口  晋君

  大岡 敏孝君     柿沢 未途君

  田中  健君     斎藤アレックス君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     和田 義明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の安全保障に関する件


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     ――――◇―――――

簗委員長 これより会議を開きます。

 国の安全保障に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官室田幸靖君、内閣官房内閣審議官萬浪学君、内閣官房内閣審議官門前浩司君、内閣官房内閣審議官飯島秀俊君、警察庁刑事局長渡邊国佳君、外務省大臣官房審議官岩本桂一君、外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官今福孝男君、外務省北米局長有馬裕君、外務省中東アフリカ局長長岡寛介君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官湯本啓市君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長久米孝君、国土交通省大臣官房審議官西海重和君、国土交通省海事局次長宮武宜史君、海上保安庁警備救難部長彼末浩明君、防衛省大臣官房施設監扇谷治君、防衛省大臣官房審議官今給黎学君、防衛省大臣官房審議官北尾昌也君、防衛省防衛政策局長加野幸司君、防衛省人事教育局長三貝哲君、防衛省地方協力局長大和太郎君、防衛省統合幕僚監部総括官田中利則君、防衛装備庁プロジェクト管理部長片山泰介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

簗委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

簗委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長島昭久君。

長島委員 おはようございます。自由民主党の長島昭久です。

 質疑の機会を与えていただきました委員長、また理事の皆さんに心から感謝を申し上げたいというふうに思います。また、質問時間をお譲りいただきました公明党の先生方には改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 まず冒頭、先月のオスプレイの事故に関してでありますが、昨日、本当に残念なんですけれども、米空軍が乗員八名全員の死亡を認定したと。米軍関係者並びに御遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げたいと思います。また、亡くなった乗員の方々の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。また、捜索に当たっていただいている自衛隊の関係者の皆さんには本当に敬意を表し、また感謝を申し上げたい、このように思います。

 オスプレイは我が国の陸上自衛隊も運用している航空機でありますので、一日も早い原因の究明、そして再発防止策をしっかり日米政府には講じていただきたい、このように考えております。

 それでは、質疑に入りたいというふうに思います。

 木原大臣とは、日本戦略研究フォーラムという民間のシンクタンクが主催をしたシミュレーションのゲームに去年、今年と御一緒させていただいたわけですけれども、今日はそのシミュレーションのシナリオの一部を皆さんと共有しながら、一番、去年も今年も問題になった事態認定について焦点を絞って議論をさせていただきたい、このように思っています。

 まず、皆さんのお手元に、「武力攻撃予測事態・武力攻撃事態・存立危機事態への対処の手続き」という一枚紙を配らせていただきましたけれども、まず手続の確認をさせていただきたいと思います。

 事態が勃発した場合に、まず政府としてはどういう事態であるかという事態認定を行います。それに基づいて対処基本方針というものを策定して、それを閣議決定をしなきゃいけない、まず閣議決定が必要だと。そして、防衛出動を下令する場合には国会の承認を求める。これは原則事前の承認ですけれども、間に合わなかった場合には事後でもいい、こういうことになっています。

 内閣総理大臣による防衛出動が下令されて初めて、平時の法体系から有事の法体系にがちゃっと替わるわけですね。有事の法体系に切り替わることによって、平時の法体系では自衛隊にもかかっていた様々な法的な制約が適用除外になるということで自衛隊がスムーズに展開できる、フルスペックで即応態勢で動ける、こういうたてつけになっているわけです。

 平時の制約というのは何かというと、例えば、緊急通行が普通は、平素はできない、それができるようになる、有事の法制、法体系に替わることによってできるようになる。あるいは、道路交通法によって、大型の装備移動というものが、重量とか幅とか高さとか、これは制約を受けているわけですけれども、その制約が解除される。あるいは、火薬取締法によって武器弾薬などの運搬の規制が平時の法体系ではありますけれども、それも解除される。あるいは、消防法による燃料や危険物の貯蔵、こういったものにかかっている制約も解除される。こういう、平時、有事の法制度のたてつけになっている。

 それを前提に、シミュレーションに従って、大臣と議論をさせていただきたいと思っているんですが、当然のことながら、こういった手続はアメリカにもないし、中国にもないし、韓国にも台湾にもないわけですね。日本特有の、ある意味でいうと非常にシビリアンコントロールを利かせるという意味では大事な手続なんですけれども、それが実戦といいますか、本当にこの事態が起こったときにうまく機能するかどうかというのが今日の私の質疑のポイントであります。

 まず最初に伺いたいんですけれども、その前に、もう一枚、皆さんのお手元に、政策シミュレーションにおけるシナリオの例ということ。

 これは、最大のポイントは、直接我が国が武力攻撃を受けていない、いわゆるグレーゾーンの、危機は高まっているけれども、直接我が国に武力攻撃が起こっていない。現代戦というのは、例えばハイブリッド戦、あるいはグレーゾーン事態、こう言われているように、平時と有事の境目がないというか、非常に分かりにくい、ここが特徴です。

 これからエスカレーションしていく可能性がある、例えば大規模なサイバー攻撃を受けているとか、あるいは、ある地域ではもう既に日本の近傍で激しい武力衝突が起こっているとか、あるいは、どこがとは言いませんけれども、軍や準軍事組織あるいは海上民兵とか漁船団とか、こういった動きが活発化している、それと同時に、日本に対して侵害を行おうという相手国としては、最近よく言われるんですけれども、認知戦といって、なるべく日本の政府の意思決定が遅れるように、自衛隊が動けないような、そういう仕掛けをしてくるわけですね。

 例えば、沖縄とか南西諸島で反戦運動を盛り上げて、政府がなかなか決定、決断ができないようにする。あるいは、政府要人にスキャンダル、これは本当かうそかも別にして、スキャンダルを流布して、そしてその偽情報も含めて政府に対する不信感をあおっていく。

 あるいは、ここまで言うとどこだか分かってしまうんですが、反スパイ法なんかで、国内に在留している邦人を拘束したり、あるいは拘束するぞと警告したり、こういうことをしてくる可能性がある。

 他方で、アメリカは、そういうエスカレーションを抑制するために、抑止するために、FDOといって、これはフレキシブル・ディタランス・オプションというんですけれども、一番端的な例は、一九九六年に台湾の総統選挙が行われたときに、中国がミサイル実験、ミサイル発射を台湾周辺で行いましたけれども、そのときにアメリカは空母二隻を台湾海峡の付近に派遣して事態を鎮静化させた、こういうのをフレキシブル・ディタランス・オプション、FDOというんですが、それを日本と一緒にやっていこうというようなことが、そういう呼びかけが起こる。

 政府としては、この最後の二行ですけれども、更なる事態のエスカレーションを防ぐ、あるいは、それに備えて例えば南西方面の国民保護というものを行っていく必要性を認識している、あるいは、更なる事態のエスカレーションに備えて南西方面に速く自衛隊の部隊を即応態勢で展開をしていきたい、そういう認識をしている、こういう前提で、以下、お伺いしたいんですけれども。

 まず、大臣もシミュレーションに参加されて、我が国が直接武力攻撃を受けていないという、そういう事態において、事態認定が非常に難しい。まだ武力攻撃を受けていませんから、武力攻撃事態は認定できない。

 そういう中で、じゃ、予測事態、武力攻撃予測事態を認定するという方法もあるんですけれども、まだ武力攻撃が起こっていない段階で日本が例えば予測事態を認定した場合に、相手国から、あっ、日本は戦争準備に入ったんじゃないかとか、日本側が事態をエスカレートさせているんじゃないかと。

 極めてこの事態認定というのは外交的なメッセージ性の高い手続でありますので、こういったことで政府の意思決定や自衛隊の行動というのをある意味でいうと遅らせる、こういう効果があるんだろうと思うんですけれども、こういった非常に難しい、判断に困るような事態、大臣もシミュレーションで経験されたと思うんですけれども、この点の難しさについて、大臣、今どのようにお考えか、伺えますでしょうか。

木原国務大臣 まず、冒頭触れていただいた、屋久島沖でのオスプレイ、米空軍CV22の墜落事故につきましては、昨日、私の方からロイド・オースティン国防長官並びにリッキー・ラップ在日米軍司令官に対しまして、弔意の書簡を発出したところであります。

 八名の乗員が亡くなられたという悲報に接しまして、心から哀悼の意を表したい。亡くなられた方々に加えて、その御家族に対しましても、また、米軍の、米国の皆様に対しても弔意を示したいというふうに思います。

 そして、御質問の点でございますけれども、委員の御指摘のとおり、今年と昨年と二回にわたって、シンクタンクの協力も得て、政策、大規模なシミュレーションに参加させていただきました。ここには、大塚委員も一緒に参加をさせていただいたところですが。

 その中で、その前段で申し上げるとすれば、私はシミュレーションでも防衛大臣役でしたけれども、今、その後、本当の、政府の閣僚として防衛大臣という立場になりましたので、その私のコメントというのは、そのシミュレーションでのコメントというのは実は差し控えなければいけません。それは御理解をいただけると思っておりますが、その上で、武力攻撃事態、武力攻撃予測事態などの一連の事態認定を果断に行っていくということは、我が国の安全を確保し、国民の生命身体を守り抜くための政府としての最大の責務の遂行であるというふうに私は考えております。

 とりわけ、御指摘いただいたような、事態が緊迫し、時間的な制約があるという状況において、我が国として、法律に定められた手続に従いつつ、必要な措置を的確に実施するためには、事態対処法制を適用する武力攻撃予測事態を極力早期に認定することが特に重要であるというふうに認識しております。

 武力攻撃予測事態の認定は、我が国として、抑止態勢を構築し、もって武力攻撃の発生という最悪の事態を阻止しようという意思決定にほかならないということであります。そして、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府として、その持ち得る全ての情報を総合し、ちゅうちょなく認定すべきものであるというふうに考えています。

 政府としては、平素より、武力攻撃事態等を含む様々な事態への対応を想定し、各種の検討、訓練等を行っているところであり、今後とも、不断に検討、訓練等を行い、対処に万全を期してまいります。

 その上で、さらに、安保のジレンマといいますか、武力攻撃予測事態をすることがかえってエスカレーションするんじゃないかということについては、これは、武力攻撃予測事態認定によって我が国の抑止態勢の構築開始を相手が察知し、それによる侵攻の開始があったとしても、それは相手国の一貫した意図に基づく侵攻であって、エスカレーション、すなわち、互いの防衛態勢を誤認した意図しない武力紛争への発展には該当しないというふうに考えております。

長島委員 おっしゃるように、事態認定というのは非常にメッセージ性が高いですので、これを判断するには、かなりの勇気、決断力が必要になってくる。

 別の角度からいうと、さっきFDOの話をしましたけれども、やはり、アメリカとの共同作戦というのは、非常に、日本の安全保障、つまり国防にとっては致命的に大事なポイントなんだろうというふうに思うんですが、日米が共同行動するためには、意思決定が同期、シンクロナイズドされていないといけない。アメリカ側には、日本のような、手続的な様々なバンプというか、敷居というのはないわけで、ここは是非、防衛大臣として意を用いていただきたいと思っているんです。

 シミュレーションに参加したアメリカの専門家は、これはシミュレーションに対してですけれども、日本政府の事態認定の遅れが、我々、つまり日米が対処する際の柔軟性を制約してしまうリスクとなり、それが仮に決断力の欠如として受け取られれば、抑止力そのものを弱めることになる、こういう感想を漏らしているんです。そのことを是非、防衛大臣にも念頭に置いていただいて決断をしていただきたいというふうに思います。

 その上で、今日の一番の肝の質問をさせていただきたいんですけれども、我が国が、先ほどのシナリオにあるように、我が国に対する直接の武力攻撃は行われていない、しかし、エスカレーションに備えなければならない。これは日本の法的な制約なんですけれども、自衛隊によって国民保護措置を行いたいという場合には、さっき大臣がおっしゃったように、少なくとも武力攻撃予測事態の認定が必要。それから、自衛隊の部隊を不測の事態に備え、エスカレーションに備えて即応態勢で移動、展開させるためには、自衛隊部隊を動かすための武力攻撃事態認定が必要であり、防衛出動が下令されなければならない。スイッチをオフからオンにしていく、そういう瞬間が必要だ。

 できるだけ早めに対応をしていくためには、事態認定の壁と同時に、平時の法体系から有事の法体系に替えていく、このスイッチをオンにする、その決断もしていかなきゃならない。平時の法体系のまま自衛隊を動かそうとしても、これは、二年前に三十年ぶりの陸自の大演習が十万人規模で行われましたが、北海道を含めて、南西諸島に陸自の部隊を移動するのに、平時の法体系ですから三週間かかった。これは、有事や危機に当たって、三週間というのは致命的な私は遅れにつながる可能性があるということなんですけれども。

 ここで質問なんですが、この武力攻撃予測事態あるいは武力攻撃事態を認定をしなければ、自衛隊をある種フルスペックで即応態勢で動かせないという、今の平時、有事の二元論のようなこの法体系について、意思決定をされる大臣として、現状の法的な制約、先ほどから言っているこの法的制約についてどのようにお考えか、御所見を伺いたいと思います。

木原国務大臣 有事に際しては、全国各地に配備されている部隊ですね、委員がおっしゃるように、部隊を、部隊だけでなくて、その装備品や弾薬なども一緒に必要な地域に迅速に機動展開していくことが重要だというふうに考えております。

 特に、防衛出動下令前においては民間と同様の規制が適用されるものについては、自衛隊における使用の態様を踏まえて、より柔軟に運用し、自衛隊の活動を円滑に行うことができるようにしておくことが必要だというふうに考えています。

 例えば、機動展開時に弾薬などを運搬する際には、防衛出動下令前では、二人以上の運転要員の確保や、あるいは弾薬の運搬を示すための標識の掲示が義務づけられており、こうした点も含めて、関係省庁と今議論を行っているところであります。

 自衛隊の活動によって国民の皆様を危険にさらすようなことがないように、安全性の担保は大前提としつつ、自衛隊のより円滑な運用を確保することができるように、具体的な方策について引き続き関係省庁と議論を進めていきたいと思っています。

長島委員 アメリカなんかは、DEFCON、1から5まであって、このDEFCONで手続を決めておいて、シームレスにギアチェンジを入れたり外したりすることができる。こういうやり方が一つ参考になるのかなと私自身は思っています。

 それで、今の事態対処法というのは、昭和五十年代に、防衛省が自らのイニシアチブによって、有事法制研究というものに基づいて作られたものであります。昭和五十年代というのは、今のようなハイブリッド戦とかグレーゾーンとか認知戦とか、そういうことは全く概念としてなかった時代。ですから、そのときは、平時と有事の二元的なやり方で、スイッチをオフとオンである程度考えることができた、そういう時代だったと思うんですけれども、今の大臣の問題意識、私、共通の問題意識を持っていると思っているんですが、新たな戦略三文書の下で自衛隊の行動や国民保護というのが円滑に進むように、改めて、今少しおっしゃっていただきましたが、法制度や運用の改善のための研究、こういったものを行えないか。

 もちろん、不断にそういった検討は行っているというのが政府のお答えなんでしょうけれども、もう一度、大臣として、この課題について総点検するような大臣指示を出していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

木原国務大臣 今委員おっしゃっていただいたように、不断にその点検はしているところですが、現下の厳しい安全保障環境を踏まえて策定された安保三文書、戦略三文書でありますから、その下で実際にどういうことをやってきたかというと、例えば、本年四月には海上保安庁の統制要領を定めたほか、また、現在は公共インフラ整備に向けて検討を進めているなど、政府全体が連携して、自衛隊の行動の円滑化を含む我が国の安全保障の実効性の向上のための取組を不断に今進めているところであります。

長島委員 これで最後にしますけれども、そういった検討をする際に、やはりシミュレーションという手法というのは非常に大事だと思うので、これを是非制度化していただけるようにお願いしたいというふうに思います。

 最後に申し上げますけれども、やはり、防衛費を仮に二倍にしても、肝腎なときに自衛隊が適切に動けなければ何の意味もないということなので、しっかり大臣のリーダーシップを発揮していただくことをお願い申し上げまして、質疑に代えたいと思います。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、住吉寛紀君。

住吉委員 兵庫県姫路市よりやってまいりました、日本維新の会の住吉寛紀でございます。

 まず冒頭、オスプレイの事故で八名の乗員が亡くなりました。心より御冥福をお祈りいたします。

 それでは、質疑の方に入りたいと思いますが、本日は一般質疑ということですが、さきの防衛省職員の給与等に関する法案審議の中で、ちょっと時間オーバーで積み残しだった質問であります、自衛隊員の生活、勤務環境の改善についてお伺いしたいと思います。

 防衛力の中核は自衛隊員であり、全ての隊員が高い士気と誇りを持って働ける環境を整備していくことは、我が国の防衛にとって非常に重要です。

 しかし、これまで、装備品等に予算が優先的に回されて、長年、人への投資は後回しになってきた経緯といいますか、歴史がございます。人材の募集も苦戦し、離職者も多い状況で、自衛隊員の生活、勤務環境の改善というのは急務であることは、言うまでもございません。

 そこで、まず最初に、隊舎や冷暖房の整備についてお尋ねいたします。

 今年二月三日の予算委員会、我が党の三木議員が、質疑の中で、青森県の八戸と三沢を視察した際に、基地内の隊舎は築五十二年が経過して、まるで野戦病院のようだったと感想を述べております。自衛隊の施設の多くは、耐用超えという状況です。

 また、冷暖房についても、青森県はこれまで、寒冷地ということがあって冷房がついておりませんでした。しかし、近年、温暖化の影響もあり、全国各地で熱帯夜になっております。時には、命の危険も生じることもあります。日々過酷な訓練についている隊員にとってはしっかりと休息を取ることも仕事であり、設置されていない隊舎では、冷暖房の設置、これも急務だと考えております。

 今年の予算委員会での三木議員の指摘を受けて、この状況は改善されたのでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。

木原国務大臣 国家防衛戦略等に基づきまして、全ての隊員が高い士気と誇りを持って個々の能力を発揮できる環境を整備するため、生活、勤務環境の改善を推進していく必要があるというふうに思っております。そこは、委員と全く認識は一致しております。

 このため、隊舎などの生活、勤務環境関連の施設について老朽化対策等を推進するため、建て替え、改修の実施に必要な経費として、令和五年度予算において、約一千四百六十四億円を計上し、令和六年度概算要求において、約三千六百五十億円を計上しています。これは、ちなみに、令和四年度の予算六百三十一億円と比較すると大きく増えているということになります。

 また、特に御指摘のあったエアコン、特に、隊員の健康にも直接影響があり、部隊のニーズも高い空調については、不具合のある空調設備の改修等を進めていくこととして、令和五年度予算において約四百二十九億円を計上し、令和六年度の概算要求において約三百四十四億円を計上しています。ちなみに、空調でいうと令和四年度の予算は約二十五億円でしたから、この点も大幅に増えているということになります。

 引き続き、全ての隊員が士気高く任務に専任できる環境の整備に向けた取組を重点的に推進してまいります。

住吉委員 大幅に予算要求も増やしていただいているということで、ありがたく思います。

 少し余談なんですが、私も、五年ほど前、県会議員をしていたときに、県立高校の冷暖房の設置というのが進んできて、そういったことを議論していたときがございます。実際に県立高校には冷暖房を一〇〇%設置したんですが、校長先生とかに話を聞くと、設置はしたけれども、電気代がなくて実際使っていないということで、緊急的に補正予算を組んで二億円措置して、そういった電気代に充てたという経緯もございます。

 冷暖房の設置もしっかりと進めていただきたいと思いますし、そのことも、今申し上げたことも十分御留意しながら運用していただけたらと思います。

 次に、糧食について、食事についてお尋ねいたします。

 近年の研究では、食事でパフォーマンスが大きく変わることが分かり、適切な栄養摂取は、パフォーマンスやコンディションの向上、けがや病気の予防のための重要な要素の一つであり、多くのトップアスリートやその家族もスポーツ栄養を学び、実践しております。

 自衛隊員にとっても同様で、逆に、コンディションが悪ければ国益を損なう結果につながる可能性があります。すなわち、食も仕事と言えます。自衛隊員総合案内、これはインターネットで見れますが、これを拝見すると、処遇や福利厚生のページに、現物給与として食事が入っており、食事、光熱費が無料という説明がなされております。この説明を見ると、現物給与ですので、給与とは別に食事、簡単に言えば、食事は無料でついてくる、そういう認識を持っております。

 しかし、かなり古い国会答弁ですが、昭和四十五年の国会答弁ではこのような答弁がなされております。そのまま読ませていただきますと、自衛隊の糧食費は、本俸の計算をする場合に控除いたしております、したがって、毎月の給与そのものから糧食費の約七割程度が個人負担で、約三割近くが国の負担ということで俸給表は作成されております、このような答弁となっております。すなわち、給与から食費が差し引かれているので、国の負担があるにせよ、七割、大部分は実費で支払っているのと同様の状況です。

 この答弁、これは五十三年前ですので、現在はどのようになっているのか、確認させてください。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、営内居住が義務づけられている自衛官につきましては、勤務時間外の時間におきましても他の公務員にはない拘束を受け、また、規律維持のために私的生活にも制約を受けるといった営内居住の特殊性がございます。こういったことを踏まえまして、国において営舎内での一定の食事経費を負担することとしております。

 考え方をちょっと若干申し上げますと、平日の朝食につきましては、これはやはり営内居住の特殊性というものが認められるということで国側が全額負担という考え方でございまして、また、例えば平日の昼食におきましては、営内居住の特殊性が顕著に認められない、他の通ってくる隊員の場合は全額自分でお支払いされておるものですから、それとの、他の職員と同様に自己負担といったような考え方にしております。

 これらを総合的に踏まえまして、国側が約七割を負担するという形で現在はやらせていただいておりまして、その辺は逐次改善をしてきていると考えております。

 いずれにいたしましても、防衛力の中核は自衛隊員であるという認識の下に、引き続き、自衛隊員の適切な処遇の確保がなされますように検討を進めてまいりたいと考えております。

住吉委員 五十三年前は個人が七割負担が、今は三割負担というようなことだと思います。私は、食も仕事だと考えると、やはり一〇〇%現物支給といいますか、現物給与にすべきだと思っておりますし、そのように是非、今後検討していただけたらと思っております。

 さらに、食費の一日の単価についてもお伺いしたいと思います。

 現在、一日九百四十七円というふうに聞いておりますが、コロナであったり、ロシア、ウクライナ問題に端を発し、この日本においても急激に物価高になっております。ランチ代でも千円を超えることも珍しくない現在、このような安い価格で、栄養、量、味、十分な食事を提供できるのか、甚だ疑問です。

 自衛隊では、基地の朝食でパンを余分に取って懲戒処分となる一方、諸外国の軍隊は、バイキング形式で十分な食事を取ることができます。少なくとも、一日の食事代は上げていく必要があるのではないでしょうか。

 今後どうしていくのか、政府の見解をお伺いいたします。

片山政府参考人 お答えいたします。

 防衛省では、令和三年度末に隊員が摂取すべき栄養基準量等を定めた栄養摂取基準を見直し、令和四年度より新しい栄養摂取基準を踏まえた食事を支給しております。令和五年度予算においても新しい栄養摂取基準を踏まえており、委員御指摘の物価の状況についても考慮した上で、単価を引き上げるべく、必要な費用について予算を計上しております。

 陸上勤務員の一日当たりの単価につきましては、令和四年度糧食単価九百二十円から令和五年度は九百四十七円に、二十七円引き上げており、糧食費については、令和四年度の約三百七十三億円から令和五年度は約三百八十七億円に、約十四億円増額しております。

 防衛省といたしましては、引き続き、隊員が任務遂行に当たって必要な栄養を摂取できるよう、適切な食事を、支給に努めてまいる所存でございます。

住吉委員 食事も仕事と言いましたが、本当に厳しい環境の中で、この食というのは、ある意味、楽しみでもあると思います。ただ単に栄養を取ればいいというわけではないと思っております。そういったことも考えながら、この単価の引上げ、これは物価高もそうですが、しっかりと十分に引き上げていただきますよう、要望しておきます。

 続きまして、衣食住でいう衣の部分についてお伺いいたします。

 衣服、制服については、国からある程度支給されるものの、激しい訓練によって摩耗が激しい一つでもあります。

 陸上自衛隊、私の地元姫路市ですが、姫路駐屯地がございます。この現役の自衛官の方とも話す機会があり、何か要望があれば言ってくださいねと言うんですが、隊員の方は、有事の際に最大限パフォーマンスが発揮できるよう、日々精進します、そういうようなことで、一切要望は聞いたことはないんですが、このOBの方々からはたくさん要望を承っております。

 そのうちの一つが、この防衛費増額の、予算が増えるなら、制服や靴などの個人貸与の整備に使ってほしいという話をよく聞きます。また、寝具類等についても、納入から四十年経過したマットレスが使われており、汚れや損傷により非常に衛生環境が悪いということも言われております。隊員にとって休息も仕事の一つ、仕事のうちであるにもかかわらず、このような環境では十分休息できず、士気向上にはつながらないのではないでしょうか。

 このような状況について国は把握していたのでしょうか。また、把握した上で、お金がなく、放置したままだったのでしょうか。これらの整備を進めていく必要があると思いますが、政府の御所見をお伺いいたします。

片山政府参考人 お答えいたします。

 隊員の生活、勤務環境の改善は極めて重要であると認識しておりまして、隊員が日常的に使用する被服につきましては、品質の改善や必要な数量を見直すよう、様々な御指摘をいただいているところでございます。長袖のシャツ、半袖のシャツ等に係る費用を令和六年度概算要求に計上しております。

 なお、被服の使用状況について、全国の隊員にアンケート調査も実施しております。現在、その結果を踏まえまして、品質や必要な数量の見直しに向けた検討も行っております。

 また、隊舎等で隊員が使用する寝具類につきましても、これまで更新できていなかったものも含め、損耗分を計画的に更新するべく、所要経費を令和六年度概算要求に計上しております。

 隊員が日常的に使用する被服、寝具類について所要数を確保することは極めて重要と認識しておりますので、引き続き、隊員の生活、勤務環境の改善に努めてまいります。

住吉委員 是非進めていただきたいと思います。最近、週刊誌等でもこのことがクローズアップされて、実際の写真なんかを見ますと、かなり、ここで寝ろと言われてもちょっと厳しいなというような、非常にショッキングな画像もございました。そういったところ、すぐに、早急に取り替えていただきますようお願いします。そして、隊員の士気向上に努めていただけたらと思います。

 続いて、公務員宿舎、いわゆる官舎についてもお尋ねいたします。

 自衛隊の官舎については、建築から随分経過した古い建物が多く、老朽化が進んでいる状況です。インターネットの検索で自衛隊、官舎と入力すると、予測変換でぼろいというのが出てまいりました。

 そのネットで紹介されていた一つの事例をここで紹介しますと、官舎に入居したが、入居時には既にお風呂のバランス釜が壊れて使えず、仕方なく修理申請を出したが、それから半年後、管理する業務隊から、設備の新規交換は認められないと無慈悲な回答が返ってきた、代替案としてほかの官舎への移動も認められたが、それに関わる引っ越しの費用は自己負担という非情な対応だったとのことです。

 ほかにも様々な、これだけひどいので、まあ、特にひどいところをピックアップして掲載されていると思いますが、非常にぼろぼろの写真が出てまいりました。私も青山宿舎におりますが、それでも、この私でもなかなか厳しいなというのが感想でした。

 官舎の老朽化対策としていろいろ工夫をして経費節減しながら順次整備していくことが必要であると思いますが、現状の今後の方向性について、政府の見解をお伺いいたします。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、防衛力整備計画に基づきまして、宿舎の老朽化対策を進めておるところでございます。具体的には、外壁改修や内装のリノベーションなどの宿舎改修により計画的な老朽化対策を講ずることで、住宅設備の更新を図り、居住環境を維持していくこととしております。

 令和五年度の予算におきましては、このような宿舎の老朽化対策や必要な宿舎の整備を含む宿舎事業の経費といたしまして、前年度比二・三倍となります約九百四十三億円を計上しております。

 今後とも、必要な予算を確保し、隊員及びその家族の居住環境の整備に努めてまいります。

住吉委員 是非進めていただきたいと思います。

 予算をしっかりとつけていただくことはもちろん重要なんですが、私もいろいろと地域を回りますと、公営住宅も含めてですけれども、公営住宅自体が、高度経済成長期時代に造られたものは順次建て直しをされていっております。その一方で、周りの環境ですと、空き家や空きアパートというのがどんどんどんどん増えている状況も実は見ております。もっとそういった空き家や空きアパートなんかも活用しながら、公営住宅の建て替えに何十億とかけて、一方でその周りに空き家があるというのは非常にもったいないというのは実際に地域を回る中で感じていたりもします。そういった空き家、空きアパートをサブリースするとか、そういった工夫も今後検討の余地があるのではないかと思っております。少し、こういう考えもあるんじゃないかということで、意見を述べさせていただきました。

 次に、当直勤務、警衛勤務についてお尋ねしたいと思います。

 当直勤務というのは、火災、盗難の予防や電話対応といったいわゆる当直の仕事であり、仮眠はできるものの、基本的には夜の勤務になります。仕事をして、当直をして、また次の日任務につくというような、非常に過酷な、まあ、実際体験したことはないですが、話を聞くだけでも大変なんだろうなというのは想像できます。

 また、警衛勤務は、駐屯地の警戒であったり出入りする人の監視に当たる仕事であり、二十四時間休みなく駐屯地の警戒を行うというものです。この警衛勤務に対しては夜間特殊業務手当という手当が支給されますが、その額は、二十二時から、夜の十時ですね、二十二時から五時までで一回千百円、途中仮眠を取ると一回七百三十円となっております。非常に少ないなという印象を受けております。

 自衛隊では、装備品に優先的にお金を使うため、自衛隊員の生活、勤務環境改善への予算を極端に抑えられてきましたが、このような環境での生活を強いれば、自衛隊員というのはなかなか集まらず、また、中途退職者も増えていくのではないでしょうか。一般の感覚で、夜通し働いて一回千円程度というのは、素人ながら、時代に合っていないなと感じるところでございます。

 このような、重労働に対する手当がなかったりごく僅かであったりする現状は改善し、引き上げていくべきだと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。

三貝政府参考人 お答え申し上げます。

 まずちょっと、考え方でございますけれども、自衛官は常時勤務態勢の下にございまして、通常の勤務時間のほか、訓練や演習等のために勤務を命ぜられる場合がございまして、そういった場合にいつでも勤務に従事することとされておりまして、こうした勤務の特殊性から、事務官等と同様にその都度超過勤務を命ずると即応性に欠けるという考え方から、超過勤務手当や当直手当に対する手当などを支給せず、その代わりに、本俸の約一割を超過勤務手当相当分としてあらかじめ俸給に繰り入れる給与体系となっておるところでございます。

 その上で、先ほど御指摘ございましたように、警衛勤務などの深夜における業務については、日額千百円などの手当を支給しているところでございます。

 いずれにいたしましても、現在、本年の十一月一日から、自衛官の勤務実態調査、これを行っているところでございまして、今後、この調査の結果も踏まえながら、自衛隊員の勤務や勤務環境の特殊性を踏まえた給与、手当の在り方につきまして、様々な角度から検討してまいりたいと考えております。

住吉委員 ありがとうございます。

 質疑時間が終わりましたので、終了いたします。ありがとうございました。

簗委員長 次に、浅川義治君。

浅川委員 日本維新の会の浅川義治でございます。

 今日は、前回、一般質問を大臣所信に対してさせていただいたところの、ちょっと続きもさせていただきたいと思います。

 まず最初に、米軍のオスプレイの墜落事故につきまして、今日も既に委員からお話もありましたが、まず、お亡くなりになった方には御冥福をお祈りしますし、また、御遺族の方にはお悔やみを申し上げたいと思います。

 この事故につきまして、もう資料を配っていただいていますね、神奈川県、地元であるんですけれども、基地関係県市連絡協議会というのがございます。これまでも地元の基地関係の質疑もさせていただきましたけれども、緊急要請ということで、十二月一日付で、防衛省、外務省、大臣の方に要請を出されております。

 内容については、事故原因の究明、再発防止、安全確認されるまでオスプレイの飛行停止、それから、再発防止等の情報について、情報提供、遅滞なく公表することということが要請内容なんですけれども、まず、こういった神奈川県の連絡協議会以外でも、全国の自治体等からのこういう要請というのはあるんでしょうか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事故に関しましては、これまでに二十四の地方自治体等からの要請を受領しております。

 防衛省としては、米軍機の運用に当たっては、従来から安全確保が大前提であると考えておりまして、今回の事故を受けた地元の御心配や御懸念の声を真摯に受け止めているところであります。

浅川委員 神奈川県、とりわけ横浜市では、昭和五十二年、私がまだ十歳になる前に、米軍戦闘機が墜落して、住民が三人亡くなるという痛ましい事故もありました。それもドラマとかで再現もされておりまして、住民としては非常にこういう事故に対して敏感なところもあります。

 これも含めて、今回、この神奈川県連絡協議会から上げられております要請等、特に回答を求める内容にはなっていないんですけれども、大臣としてはどのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。

木原国務大臣 委員御指摘のとおり、一九七七年ですが、横浜市の緑区に米海兵隊所属のRF4Bファントム戦術偵察機が墜落して、民間人を含む九名の死傷者が発生したことは承知しております。また、今回の米軍オスプレイの事故に関しまして、神奈川県基地関係県市連絡協議会から、事故の原因究明、再発防止等を求める要請が出されていることも真摯に受け止めてまいります。

 今回の米軍オスプレイの事故のみならず、米軍機による事故は住民の皆様に大きな不安を与えるものであり、誠に遺憾です。米側に対しては、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請するとともに、早期の情報提供を求めております。

 その上で、今回の事故に際しては、米軍や陸自のオスプレイが配備されている又は飛来実績のある米軍、自衛隊施設の関係自治体を中心に、米側から得られた情報を基に適切に情報提供を行っているところであります。

 米軍機の運用に当たっては、地域の皆様に不安を与えないようにすることが重要でありまして、引き続き、適切な情報提供を行うとともに、米側と緊密に連携して安全の確保に努めてまいります。

浅川委員 ありがとうございました。

 私たち日本維新の会は、防衛力、つまり、仮想敵国はないことになっていると思うんですけれども、他国からの侵略を抑止するための国防力増強というのは十分あるというスタンスです。当然、その前提は日米同盟であるわけですけれども、こういった、前回もお話ししておりますけれども、基地とか、自衛隊もそうですけれども、抱えている自治体とは緊密な連携等も今後もお願いしたいと思います。

 続きまして、前回、大臣所信に対しての初の質問ということでしたので、細かいところはお伺いしませんでしたけれども、UAPのことについてお伺いしたいと思います。

 今日は、今日もそうなんですけれども、ニコニコ動画の中継、この委員会もネットで放送されております。そのニコニコニュースの記者が、九月の一日に、官房長官の記者会見でこのUAPのことについてお尋ねしております。

 先日も、前回も触れているんですけれども、アメリカの国防総省が、八月に、日本の特に西日本を中心とした領空で、UAP、いわゆる識別不能物体、自衛隊で言う識別不能物体が世界的にも多く見られる場所だということで、今日、資料を、ホームページの方のコピーをお持ちいたしました。この右下の世界地図のところの日本のところが赤くなっているところ、これが多発地帯ということで、これについてニコニコニュースの記者が官房長官にお伺いしたところ、詳細は防衛省にお聞きいただきたいと思いますというお答えもあったんですね。

 これにつきまして、今日は内閣官房もお越しいただいていると思うんですけれども、内閣官房の中では、この識別不能物体、危機管理として、どのように防衛省と連携して情報共有したりしているのかをちょっとお伺いしたいんですけれども。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房、政府の事態室でございますけれども、私どもの、事態対処、危機管理を担当する部署でございます。常日頃から様々な事態への対応を行ってございまして、対応に際しては関係省庁と緊密に連携するという立場でございます。例えば、我が国の防衛、警備に影響を及ぼすおそれがある情報を防衛省が入手したような場合に、内閣官房事態室としても、共有を受けた上で対応することとなります。

 その上で、防衛省からは日々様々な情報を様々な形で受領してございまして、その詳細については、情報収集、分析能力が明らかになるおそれがあることから、お答えを差し控えますけれども、議員御指摘いただきましたように、識別不能の物体、これにつきましても、我が国の防衛、警備に影響を及ぼすおそれがある場合には、対応に私どもとしても万全を期す考えでございます。

浅川委員 そうすると、今、内閣官房としては、この識別不能物体は我が国の危機には余り関係していないという認識をお持ちなんでしょうか。

萬浪政府参考人 お答え申し上げます。

 お答えが若干繰り返しになりますけれども、私ども、これが我が国の防衛、警備に影響を及ぼすおそれがある場合には対応に万全を期すという形で、常日頃から関係省庁と連携を取りながらやってまいるということでございます。

 個別の事柄が、逐一詳細に、どれが我が国の防衛に影響があって、ないということを全てつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、そういった形で対応してまいりたいと考えております。

浅川委員 米軍が発表しているんですよ、識別不能物体が日本の近辺にたくさんあると。自衛隊は分かっていないという前提なんですよね、この間の答弁では。内閣官房、官房長官が詳しくは防衛省の方にということで、この間、私、質問したんですけれども、内閣官房の方はこれ以上お話ししても厳しいと思いますので、防衛省の方、大臣を含めてお伺いします。

 まず、私、九月の上旬、メキシコの議会に招かれて行く前に、防衛省の方に、今度もし自分がまた安保委員会になったら、一回目のときに、この米軍の発表した識別不能物体、いわゆるUAPのことについて大臣にお伺いしますよと言っておいたんですね。ところが、大臣は正直に、この間、当日の朝、レクで初めてUAPという言葉を聞きました、しかも、西日本の上空の件については承知していませんという御答弁をいただいたんですね。

 これは、防衛省内の危機管理の問題があると思うんですよ。つまり、担当者ベースから、議会でこういう質問をしますよ、わざわざ質問取りも来ていただいてやり取りしているのに、どうして大臣に当日の朝、この国防総省が発表していることを知らせるのか。私は二か月前からこれを質問でやりますよと言っているんだから、もうちょっと前に丁寧に大臣の耳に入れておくべきだ。大臣は新任なので、着任早々じゃなくてもいいんですけれども。

 この辺について、これは大臣にお伺いしたんですけれども、事務方の方で、何でこの情報が大臣の方に行っていなかったのか、それについてお答えいただけますでしょうか。

今給黎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま議員の方からお話がありました大臣の答弁につきましては、十一月九日の答弁でございますけれども、「UAPという用語自体が、これは米国政府が使っている用語で、まだ防衛省の中では使われていない用語でもあるので、私も、委員からの質問通告を見たときには、最初は分からなかったわけです。」というふうに大臣の方から御答弁を差し上げているところでございます。

 その上で、空中における識別不能の物体や周辺国の動向などにつきましては、我が国の安全保障に関わる事象、これにつきましては、大臣を含めまして、日々適切な報告を行っておるところでございます。

 その上で、先ほどのその委員会での答弁、これは、防衛省におきましては、米国政府が定義するUAPとの用語は使用していないことから、その用語そのものについては目新しさがあるとの趣旨を申し上げたものでございます。

 いずれにしましても、我が国の防衛を全うする観点からは、委員御指摘のいわゆるUAPも含めた我が国の安全に関わる事象につきましては、しっかりきめ細かく注視していくことが重要というふうに考えております。

浅川委員 UAPの言葉の定義については分かりました。

 ただ、このマッピングされている西日本で多いということについては、済みません、承知していませんというふうに大臣は述べられているんですね。これについては、前回、質問の朝のレクのときには、大臣は聞いていらっしゃっていないんですよね。どうなんでしょうか。

木原国務大臣 今参考人からありましたように、UAPという言葉は防衛省では使っていなかったので、空中における識別不能の物体というふうに私は聞いておりまして、そして、周辺国の動向など我が国の安全保障に関わる事象については、日々適切にそういった報告は受けております。例えば、気球だとかもそうだし、無人のドローンなんかも含めてですね。

 そういう中で、我が国の防衛を全うする観点からいうと、委員御指摘のいわゆるUAPを含めた我が国の安全に関わる事象についてはきめ細かく注視していかなきゃいけないという、そういう認識を今持っているところであります。

 西日本云々については、前回の答弁はそのまま、そのとおりであります。

浅川委員 本当に、大臣、正直な、すばらしい方だと思います。実は、いろいろレクを受けたり、防衛省の関係の職員の方とか、あるいはメディアの方たちも、木原大臣は本当にすばらしい方だと好評をたくさん私もいただいておりまして、このUAPについては、是非、大臣のそのリーダーシップを発揮していただきたいなと思っているんですけれども。

 今、この西日本については、そのとおりというお話があったんですけれども、じゃ、これ、アメリカ、米国防総省が、日本の防衛省の方に何の承諾もなく、いきなりホームページで発表したんですか。これは事前に、防衛省、米国の方から、こういうのを発表しますよというのはあったんでしょうか。

今給黎政府参考人 お答え申し上げます。

 米国政府の発表内容の逐一につきましては、日本政府としてコメントする立場にはありませんけれども、米国政府との間では、空中における識別不能の物体も含めた我が国の安全に関わる事象につきましては、平素から緊密に連携し、情報共有、分析等を行っております。

浅川委員 ということは、これは事前に聞いていたということでいいんですね、緊密にということなので。

 そうすると、アメリカ軍がこの空中の識別不能物体、UAPを認識していて、自衛隊では認識していなかったんですか。何だか分からないものが日本の領空を飛んでいて、自衛隊はスクランブル発進するわけですよね。米軍がスクランブル発進したんですか、じゃ。個別じゃなくて、むしろ何件もたくさんあるということで、日本の自衛隊は、これ、どう対応していたんですか。

 報告すべき内容じゃなかったということだと思うんでしょう。これはゆゆしき事態だと思いませんか。どうでしょうか。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、米国防省によれば、UAP、未確認異常現象とは、空中、水中などにおける異常な探知の原因といった意味で用いられているということで、米国政府において専門部署を設けて、省庁横断的に情報収集、分析を行っているというものと承知をしております。

 その上で、政府としましては、従来から申し上げておりますけれども、地球外から飛来してきたと思われる未確認飛行物体の存在を確認したことはない旨を御説明してきております。

 また、防衛省としましては、令和二年九月に、我が国の防衛及び警備に影響を及ぼすおそれのある空中における識別不能の物体を確認した場合には報告や分析に万全を期すことを定めておりますけれども、前回もお答え申し上げましたが、これまで、そのような確認をしたとの報告は上がってきていないところでございます。

浅川委員 そうすると、日米の同盟というのはちょっと危ないと思うんですよ。

 米軍は、この識別不能物体、UAP、世間で言うUFOですね、これを世界的に把握して、研究しているわけでしょう、これがもし最新兵器だったらどうするんだと。重力に反する動きをする研究を米国も五〇年代、六〇年代からやっているという情報もありました。もしもどこかの国がそういうのを実用化していたらどうするのかということで、こういうことをやっていると思うんですね。

 日本の自衛隊が把握していない、だけれども、米軍は把握している。情報共有しているというのに、日本の自衛隊がこれについて一切コメントしないというのは問題じゃないかと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか、この点については。

田中政府参考人 御指摘いただきましたように、様々な経空脅威というものが多様化、複雑化している状況でございます。委員の問題意識も踏まえまして、空中における識別不能の物体について、我が国の安全保障上の問題と捉えて、情報収集、分析を不断に行っていく、こういうことで、先ほど申し上げました令和二年九月の大臣指示というものも出されているということでございます。

 他方、これに基づきまして確認された事象というものはなく、報告が上がってきているということもないということでございますので、その旨を御答弁させていただいたところでございます。

浅川委員 去年も大体同じような御答弁をいただいていたので予想しておりましたけれども、大臣、前回、私の質問後一か月ありましたけれども、大臣は、着任されるまで、この件についてはそれほど重要視されていなかったかもしれないんですけれども、ただ、この一か月間あって、米国が今議会でもホットな話題としてやっている中で、この一か月間で防衛省内で情報収集して、大臣なり政治家として、どのようにこれから対応していくべきだとお考えでしょうか。

 そもそも、大臣、このいわゆる未確認飛行物体、いわゆる識別不能物体みたいなものを、大臣自身、見たことはありますか。私はあるから、これ、こだわって言っているんですよ。

木原国務大臣 前回の委員会の後に委員から資料をいただきまして、メキシコ下院議院、公聴会に関する報告書、それをしっかりと読ませていただきました。また、動画も、大変、これはしっかりと見ました。

 その上で、その公聴会において議員が述べられておりました、識別不能の物体が他国の最新兵器や偵察機であった場合の危機感について、私自身、認識を完全に共有できるというふうに思いました。私も、元々航空会社の出身であります。操縦桿を握ったこともある立場でありますから、関心があるかないかというと、とても関心がある分野でもあります。

 我が国周辺の安全保障環境が厳しさを増している中で、万全の備えを行うべきという委員の問題意識というのは、私、しっかりと受け止めたいと思っていますし、引き続き、これは米国との連携がどの程度であるかというのは、今私は調べているところですが、実際に米国には対策室が設けられているという、そういう状況だということまで確認をしております。しかも、ペンタゴンの中でありますから。

 私のリーダーシップの下で、防衛省として情報収集、分析に努めて、対応に万全を期したいというふうに考えております。

浅川委員 どうもありがとうございました。

 大臣に期待しておりますので、日米同盟、言葉だけで終わらないように、実りあるような状況をつくっていただきたいと思っております。

 以上です。どうもありがとうございました。

簗委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。早速質問させていただきます。今日は、国民保護についてお伺いをしたいと思います。

 北朝鮮による弾道ミサイルの発射により、十一月二十一日にも沖縄県にJアラートが発令をされました。台湾有事の懸念など日本周辺の安全保障環境が厳しさを増す中、有事の際いかに国民を守るのかというのが国民保護への関心の高まりとつながっているかと思っています。今日は、国民保護法が作られた頃から大きく変わる環境変化の中で、これまでの取組と、そして今後の展開について御質問したいと思っています。

 まず、平成十七年に閣議決定された基本方針によりますと、想定される武力攻撃事態の類型を、着上陸侵攻、また、ゲリラや特殊部隊による攻撃、弾道ミサイル攻撃、空港攻撃の四つに分類するとともに、これらの類型に応じた避難や救護や武力攻撃災害への対処の措置について記載がなされています。その中で、これまで国民保護訓練というのが二百九十件実施をされておりまして、訓練の実施件数というのは増加傾向にあると聞いています。

 一方、訓練を行う場合の事態等の種別に関しては、武力攻撃事態における国民保護のための措置の訓練というよりは、大規模集客施設やターミナル駅などにおけるテロ事案の発生後の緊急事態保護措置訓練としてパターン化されているんじゃないかという指摘が今続いています。さらに、実施の地域というのも偏在化しているという声も上がっています。

 これは改善の余地があるのではないかと思いますが、まず見解を伺います。

門前政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、従来の国民保護訓練では、都道府県の実施回数の開きや、訓練内容がテロ対処に偏っている等の課題が顕在化したことから、令和三年度以降の国重点訓練につきまして見直しを行ったところでございます。

 具体的には、全国を六ブロックに分け、輪番制で実施するとともに、毎年度、テロなどの緊急対処事態とこれまで十分に取り組めてこなかった武力攻撃事態等を想定した訓練をそれぞれ実施することといたしました。

 あわせまして、各ブロックで、国と地方公共団体の間で最新の情報を共有するとともに、国民保護関連の各種課題について意見交換を実施する地域ブロック検討会も実施することとしたところでございます。

 今後も、訓練の実施方法等を工夫しながら、全国各地において効果的な訓練の実施に努めてまいりたいと存じます。

田中(健)委員 地域を六ブロックに分けて平準化していくということであると思うんですけれども、国が重点的に行う地域ブロック検討会訓練というのは、年間で図上訓練で僅か六件にとどまっています。実際、多くは都道府県が主導するものでありまして、県主導では令和四年二十七件ということでありますと、やはり、実施が少ない地域に取組を、国が県主導の訓練等を施していく、また促していく必要があるかと思います。

 そうでないと、口だけで六件ですから、とても四十七都道府県にブロックとしても回れないと思いますので、是非、県に訓練の地域の取組を促していって、そして中身を充実をさせていただきたいと思っています。

 さらに、具体的に訓練の中身に入っていきますと、武力攻撃事態に係る訓練としては、令和三年の高知県、山口県、愛媛県の共同図上訓練ですね。この訓練では、高知県が他国からの攻撃目標となるとしまして、高知県民六十九万人を他県に移動させる、要する期間は一か月ということであります。そして、令和四年度には、これは県独自の訓練でありますが、沖縄県の国民保護図上訓練が実施をされまして、沖縄県全土が避難地域となって、先島諸島における十二万人は島外避難というものであります。

 これは、実現できれば、まさにすばらしい訓練ではあるんですが、現実離れをしているという感は否めません。避難先を沖縄においては九州としていますが、船や飛行機で運べたとしても、その後の移動手段や、また、一時的な、どこに滞在するのか、さらには衣食住の生活の確保、こういったことがなければ、単なる、あくまで図上の訓練にとどまってしまいます。

 この現実性というものをどのように考えているのか、伺います。

門前政府参考人 お答えいたします。

 令和三年度の高知県訓練を始め、近年の国重点訓練におきましては、これまで取り組めてこなかった県境をまたぐ広域的な避難として、多くの県民をいかに短期間でスムーズに県外に避難させるかを主眼に訓練を実施しております。

 例えば、高知県の訓練では、平時の公共交通機関の輸送力では所要期間が約二か月と見込まれましたが、国の支援を得て、県において貸切りバス、航空機、船舶を確保することにより、所要期間を約一か月に短縮できるとの検討成果が得られたところでございます。

 また、昨年度の沖縄県訓練では、県と先島五市町村が行う訓練に国も協力して実施したものでございますけれども、ここでも、平時の約二倍の輸送力の確保や、各市町村における避難手順等について一定程度具体化が図られたところでございます。

 他方で、これらの訓練を通じまして、要配慮者の輸送を含めた輸送力の確保、市町村の避難実施要領の更なる具体化、避難先施設の確保等の課題も明らかになったところであり、これらの課題につきましては、引き続き、関係機関が連携して、検討及び訓練への取組を進めておるところでございます。

 今後とも、こうした訓練等を通じまして、練度の向上や課題の改善を図るなど、国民保護の実効性の向上に努めてまいりたいと存じます。

田中(健)委員 今、確かに言ったのは課題なんですけれども、その課題は恐らく前から言われてきたことでありまして。といいますのも、平成十七年の基本方針に既に、沖縄離島から避難のためには九州各県との連携が必要だ、そして整備が必要だと明記されているんですね。しかし、今も、令和五年になって、また同じようなことを、課題を掲げている。これは余りに現実性がないと私は言わざるを得ないと思っています。当時はまだ安全保障環境が今と違いますから、それほど緊迫性がなかったのかもしれませんが、今こういった意識が高まっているところでありますから、こういうときにしっかりと整備を進めていただきたいと思っています。

 さらに、現実的といえば、国民保護の枠組み自体の問題になってしまいますけれども、近年の戦争に即しているかということですね。私は、とても言い難いと思っています。つまり、今の軍事的技術の進歩が反映されていないということです。

 最近の戦争は、もちろん武力衝突はありますけれども、やはり、先にインフラやシステムの破壊、サイバー攻撃等により、先にそれが先行していることが言われています。その場合は、今の行政誘導の避難に偏重している国民保護の考え方では、事態の展開を予測するのが困難であったり、また、武力攻撃やテロと錯綜して様々なことが起きることで、かえって危険にさらしかねないというおそれがあると考えています。

 現代の戦争に即した有事や緊急事態の想定事態の設定というのをどのように考えているのか、伺います。

門前政府参考人 お答えいたします。

 近年の武力攻撃事態等を想定した訓練におきましては、要配慮者の輸送や輸送手段の確保など、住民の避難に直結する課題の対応に重点を置いているため、これまで、御指摘のようなサイバー攻撃等への対応までの検討には至っていないところでございます。

 今後、サイバー攻撃への対処等に関しましては、国民保護の観点から、どのような課題があり、また、どのようなことに留意すべきか等について、関係省庁に意見を聞くなど、訓練の在り方について検討してまいりたいと存じます。

田中(健)委員 訓練では、まず、そもそも避難させるのかさせないのかということから始まって、行政誘導の避難をする以前に、私たち国民がどのような行動をするのかというのを考えてもらうような訓練も必要だと思っていますので、是非、想定する事態というのを、様々な事態を想定して訓練につなげていってほしいと思っています。

 そして、この移動避難訓練と併せて、国民保護法では避難施設の指定を都道府県や政令市に義務づけています。

 内閣官房の取りまとめでは、今、避難施設が九万四千四百二十四か所指定をされており、また、ミサイル攻撃の際の爆風からの直接の被害を軽減するための一時的な避難先として有効なコンクリート造り等の堅牢な建物、地下施設、これを緊急一時避難施設としています。これが五万二千四百九十か所、このうち地下の施設は千五百九十一か所だと。

 しかしながら、どのような建物が堅牢に当たるのか具体的な基準はなく、深さや、さらに構造などの条件もありません。Jアラートの件を冒頭言いましたけれども、Jアラートが鳴りますと、頑丈な建物とか地下へ避難してくださいと携帯にもテレビにも出るわけでありますけれども、今の流れでいきますと、この緊急一時避難施設にこれは当たるかと思いますが、この緊急一時避難施設にどこまでの機能を今求めているのか、さらには、今後求めていこうと考えているのか、伺います。

門前政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました緊急一時避難施設につきましては、国民の保護に関する基本指針に定める考え方に基づきまして、弾道ミサイル攻撃による爆風等からの直接の被害を軽減するための一時的な避難に活用する観点から、コンクリート造り等の堅牢な建築物や地下街、地下駅舎等の地下施設が指定されているところでございます。

田中(健)委員 今、定義だけを言っていただいたんですけれども、どのように求めていくかという意味では、じゃ、シェルターと比較してお話ししますけれども、海外では核シェルターの普及が進んでいるという話がよく出ますが、日本においては、シェルター、核シェルターの明確な定義はないというふうに聞いています。

 その中で、沖縄県は、地下の一時避難施設が六か所しかなくて、先島諸島では石垣島の石垣市役所だけだ、整備が遅れているというふうに言われています。実際、先島諸島ではシェルター整備の要請がありまして、七月、八月には官房長官が視察をし、要望を聞き取っております。

 この間、政府は、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に対し、諸外国の調査を行う、そして、この調査を基にこれから検討していくということでありましたが、この調査の検討結果と、我が国におけるシェルターの在り方というのをどのように位置づけていくのかということについて伺いたいと思います。

門前政府参考人 お答えいたします。

 シェルターを含めた有事における避難施設の在り方に関し、政府におきましては、これまで諸外国の調査を行ってきたところでございます。

 その結果によりますと、例えば韓国では、住民避難施設として、国境地域に一定の滞在機能や堅牢さを有するシェルターが設置されているほか、一時的な避難のために既存の民間施設及び公共施設等の地下が指定されております。また、シンガポール、イスラエル、スイスでは、住宅及び公共施設等に対して、各国の実情や施設の種類に応じ、一定の滞在機能や堅牢さを有するシェルターが設置されてございます。

 政府におきましては、こうした調査結果を参考とし、一定期間滞在可能で堅牢な避難施設につきまして、現在、必要な機能や課題などの検討を進めているところでございます。

田中(健)委員 それらの調査でしたら、インターネットを調べれば一日で分かるわけでありまして。つまり、具体的にどうしていくかということが、この間、もうずっとこの議論があったようですけれども、進んでいないと思っています。

 では、公共施設にするのか、各家庭にシェルターとして位置づけていくのか、是非、これも先ほど来言っていますが、具体的でありませんし、現実的でありませんので、しっかりと進めていってほしいと思っています。

 その中で、防衛省の関連では、自衛隊施設の住民向けシェルターへの活用ということについてお聞きしたいと思います。

 昨年、自衛隊の施設を地域の住民向けの地下シェルターに検討しているかといって問われた官房長官は、具体的方針は決めたとの事実はないが、国民保護のために何ができるのか、新たに安全保障戦略を策定する中で検討していきたいということをおっしゃっています。

 明確に否定をしていなかったわけですけれども、防衛省においてこの検討があったのは事実かどうか、伺います。

木原国務大臣 いわゆる弾道ミサイルなどによって、武力攻撃災害から住民の生命及び身体を保護するために必要な機能を備えた避難施設の整備、普及というものは、武力攻撃から被害を防止するのみならず、武力攻撃の抑止という観点からも重要であるというふうに考えています。

 自衛隊施設を住民向けの地下シェルターとして活用するといった具体的方針を決めたという事実はありませんけれども、今、先ほど政府参考人から答弁がありましたように、内閣官房を中心に、緊急一時避難施設の指定推進など様々な取組を行っていると承知しています。

 その上で、防衛省としても、こうした政府全体の取組と相まって、様々な種類の避難施設の確保を行っていく考えであります。

田中(健)委員 検討はなかったということでありますけれども、私は、はっきり言ってもらった方がいいと思っています。これは、どちらなんだろうかということが、かなりいろいろな人から質問があったり、聞かれておりまして。

 余り災害時のような感覚、災害時のときは、自衛隊も協力をしてくれたり、また施設のところを、駐車場を開放してくれたり、物資を提供してくれたりとありますけれども、その感覚でいると、武力攻撃事態や有事とは違いますから、余り不毛な期待をさせてしまうというのもよくないと思っておりますので、やはり自衛隊の施設というのは、あくまで自衛隊が指揮命令をし、そして、そのために使うということははっきりとさせていただき、そして、その上で、内閣官房が今シェルターというものを位置づけておりますので、そこはしっかり、シェルターとして、これからの課題を解決していってもらいたいと思っています。役割分担や費用負担、まだまだ乗り越えなきゃいけない問題はありますけれども、しかし、是非、これは実現を進めてほしいと思っています。

 次の質問に移ります。

 戦略三文書策定後の取組について伺います。

 令和四年の十二月に戦略三文書が策定されて、国民保護も、より幅広い取組が進められるようになってまいりました。国家安全保障戦略において、国民保護法に我が国が優先する戦略的なアプローチが記載をされています。

 この中身について伺っていきたいと思いますが、まず、この中で、総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊、海上保安庁の連携と国民保護への対応ということが明記をされています。事態発生時における自衛隊の第一義的な役割というのは武力攻撃の排除措置であるということは理解をしておりますが、これまでのテロ等の事態対処を念頭に置いた場合とは、この武力攻撃事態というのを想定した場合、自衛隊が国民保護にどのように関与できるかというのは私は課題だと思っています。

 さらに、ここにある海上保安庁との連携となりますと、お互いがどのような役目を果たして、また連携をしていくのかということは大切なものだと思っておりますので、まず、これについて確認をしておきたいと思います。

木原国務大臣 武力攻撃事態における自衛隊と海上保安庁の連携については、本年四月に作成されました統制要領に基づき、両機関の適切な役割分担を確保した上で事態に対処することとしております。

 具体的には、自衛隊は、作戦正面に集中をし、我が国に対する侵害を排除する一方で、海上保安庁は、非軍事的性格を保ちつつ、住民の避難及び救難といった国民保護措置や海上における人命の保護等で最大限の役割を果たすこととしております。

 その際には、事態の推移を踏まえた情報共有や対応が重要であり、武力攻撃事態において海上保安庁を防衛大臣の統制下に入れた場合での住民の避難等を実施することを想定した訓練も実施をしました。両機関における情報伝達、現場における訓練など、連携要領をその際確認をしております。

 今後とも、あらゆる事態に適切に対応できるよう、自衛隊と海上保安庁との連携強化を図っていかなければいけないと考えております。

田中(健)委員 確認でありますけれども、武力攻撃事態における防衛大臣による海上保安庁の統制下において、海上保安庁の任務とか権限というのは変わらないという認識でいいのか。統制下に入ったとしても、いわゆる海上保安庁法の第二十五条と矛盾することはないのかということを改めて確認したいと思います。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁が自衛隊の統制下に入った場合におきましても、海上保安庁においては、非軍事的な性格を保ちつつ、住民避難等の措置に当たるということでございまして、委員御指摘のとおりであろうかと存じます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 説明をお聞きしました。海上保安庁は、武力紛争時にあっても文民機関であるということですね。とりわけ、国際法に基づく国民保護の特殊標章を表示するということ、これについても是非周辺国にも広く周知をして、軍事目標とされる可能性というのを極力減らしていくということをしていただきたいと思っています。

 さらに、輸送機についても引き続き伺います。

 安保三文書では、防衛力の抜本的強化の柱として、機動展開能力を柱の一つに挙げています。南西諸島で有事が発生した場合に全国各地から部隊を派遣するというものでありますけれども、国民保護とセットとすることで、自衛隊や装置を運ぶ輸送機が沖縄に行って九州や本州などに戻る際、その際に、避難住民を運ぶことというふうに連携が考えられるのか、そのようなことを国民保護法に想定がされているのか、伺います。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊でございますけれども、武力攻撃事態におきましては、主たる任務としては武力攻撃の排除があるわけでございますけれども、武力攻撃から十分に先立って迅速な避難を実施するということは大切なことだというふうに考えてございます。

 国家防衛戦略、防衛力整備計画におきましては、機動展開のための輸送力の確保に向けて、海上輸送力、航空輸送力の拡充といったことをやろうということを決めているわけでございますが、そうした能力を使いまして、事態の様相によって一概には申し上げられませんけれども、例えば、機動展開の復路、帰りにおきまして、自衛隊自身の輸送力あるいは自衛隊が活用する民間の輸送力、そういったものを用いて住民の皆様を輸送して避難していただく、そういったことも考えられようかというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 まさに復路の話でありまして、実際、先ほどの、輸送力が足りない、何十万人の人を輸送するためにはどうしたらいいかという議論が進んでいるかと思いますので、是非、この機動展開能力も生かしていただきたいと思っています。

 さらに、この記載を進めていきますと、空港また港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みをつくるともあります。

 これは民生利用の、デュアルユースのことかとは思いますが、どのような狙いの下、整備、機能強化を進めていくのか、そしてまた、特定重要拠点港湾また空港という話も出ておりますが、この選定も併せて、二つ伺えればと思います。

室田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の取組は、国家安保戦略に基づきまして、総合的な防衛体制を強化するという観点から、民生ニーズに加えまして、防衛省、海保庁のニーズも反映しながら公共インフラ整備を進めていこうということでございます。

 具体的な狙いということでございますけれども、基本的に、有事における対応の実効性を確保するというためには、まず、平時からの訓練を行って、自衛隊、海保庁の対応能力を維持向上させていくということが不可欠であるということでございますので、そういった狙いを持ちまして、この取組を進めていくということでございます。

 過去には、具体的な事例は細かくは申し上げられませんけれども、空港において、自衛隊が災害派遣、防災訓練等でしか利用できない空港があるとか、様々な理由で入港が不可能になった港があるとか、そういうことがございます。

 そういうことをできるだけなくしていくという観点から、インフラ管理者と政府の間であらかじめ利用調整の枠組みを設けて、円滑な利用ができるようにしていく、これまで以上に円滑な利用を可能にしていく、こういうことを狙っているということでございます。

田中(健)委員 確かに、災害の訓練だけでも、自治体との、要請に一か月以上かかるということもお聞きをしておりますので、是非、有事のみならず平時からも、こういった訓練で空港、港湾の公共インフラの整備を進めていただければと思います。

 その港湾についてなんですけれども、この七月、名古屋の港湾システムが障害に当たりました。これは、三日間にわたってコンテナ貨物の輸出入が停止をしたということで、原因はランサムウェアによるサイバー攻撃と言われています。

 侵入経路においては特定ができたのかということと、あわせて、港湾というのは、現時点では、経済安全保障推進法上にも、またサイバーセキュリティ基本法にも位置づけられていません。港湾が、今、デュアルユースでこれから使っていく、さらに、有事の際にも活用していくということであるならば、私は、この位置づけというのを明確にして、しっかりとセキュリティー対策をすべきだと思いますが、見解はいかがでしょうか。

西海政府参考人 お答えいたします。

 本年七月の名古屋港の事案発生後、直ちに専門家による検討委員会を立ち上げまして、緊急に対応すべき対策と、それから情報セキュリティー対策推進のための制度的措置について検討を進めているところでございます。

 御質問ございました侵入経路でございますけれども、検討委員会でも調べていただきましたが、サイバー攻撃により、システムのアクセスの履歴が全て暗号化されております。ですが、状況を踏まえますと、脆弱であった保守用の回線から侵入された可能性が現在指摘されてございます。

 それから次に、制度面でございますけれども、経済安全保障法でございますが、港湾を経済安全保障推進法の基幹インフラ事業の対象とするかどうかについてですが、法の趣旨を十分に踏まえながら検討を進めるということで検討委員会から提言いただいておりますので、検討してまいります。

 それから、サイバーセキュリティ基本法についてでございます。こちらにつきましても、検討委員会におきまして、サイバーセキュリティ基本法に基づく重要インフラに港湾分野を位置づける方向で検討すべきという提言をいただいておりますので、現在、関係者との調整を進めているところでございます。

田中(健)委員 時間となりました。ありがとうございました。

簗委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉です。

 まずは、ALPS処理水の放出に伴って中国が暫定的に輸入停止措置というものを取りました。その対中外交の対処方針、特に、振り上げた拳をどうやって下ろさせるかということについてまずは議論したいんですけれども、その前に、実はこのALPS処理水、私、福島なんですけれども、国内でほとんど風評被害は起きていないというふうに私は考えています。

 中国の禁輸の問題の前に、国内で風評被害が起きていないことについての理由、分析、評価、これは経産省で結構ですから、お聞かせいただけますか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ALPS処理水の処分につきましては、安全性を確保した上で海洋放出することとしております。具体的には、トリチウム以外の放射性物質について規制基準を満たすまで浄化した上で、トリチウムの濃度が国の規制基準の四十分の一である千五百ベクレル・パー・リットル未満になるように希釈して実施するというものでございます。

 こうした放出方法については、IAEAの包括報告書におきまして、国際安全基準に合致しており、人及び環境に対して無視できるほどの放射線影響となると結論づけられております。風評発生を抑制する観点からも、こうしたIAEAの報告も含め、安全性の確保に関する説明あるいは意見交換を計千五百回以上実施してきております。

 加えて、新聞広告、ウェブ広告、SNSやテレビCMなどによる丁寧な情報発信を行ってまいりました。また、国内の水産物の消費拡大ということで、様々なイベント、キャンペーンを通じまして、その安全性や魅力を積極的に発信していくとともに、小売業界、あるいは経済団体、地方自治体等に対しまして働きかけを行っております。また、最近では、ふるさと納税による応援の拡大というのもありまして、国内消費拡大の動きが広がりつつあるというふうに認識しております。

 他方、一部の国、地域による輸入規制強化、御指摘のありましたとおり、こうしたことから、国内の水産業に影響が生じているという声が経産省にも届いております。このため、総額千七億円の「水産業を守る」政策パッケージを取りまとめておりまして、水産物に関する学校給食等への提供、ネット販売、小売での販売促進等の多様な販路拡大の取組に対する支援を行っております。

 今回の経済対策でも国内販路拡大等について盛り込んでおりまして……(玄葉委員「短くやって」と呼ぶ)はい。引き続き、水産物の消費を支えるなど万全を期してまいります。

玄葉委員 もちろん国内の関係の皆様の御努力に敬意を表したいと思いますが、私が見るところ、大きく二つ理由があって、一つは、これは外交に関連するんですけれども、IAEAの存在というのは非常に大きいと思いますね。グロッシーさんが来てくれて、かなりつまびらかに説明をし、非常にフレンドリーな行動を取って、最後の一滴まできちっと自分たちはとどまって見届けますということを言ったというのは、私は大変大きいと思うんですね。

 三・一一のときも、実は低線量被曝というのが一番大変な問題でした。もう本当に言葉にならないほど大変だったんですけれども、収まってきた一つの理由は、UNSCEARという国際的な評価をしてくれるところが、我々もお願いもしたんですけれども、よく来てくれて、国際的な評価として大丈夫ですよ、こんなに厳しい措置を取ってきたんだから大丈夫だと言ってもらったのが大きいんですね。今回もIAEAの存在というのは非常に大きいということが一つ。

 もう一つは、これも私は大きいと思っているんだけれども、中国による結果としてのアシスト、つまり、中国の、科学的な知見に基づかない、嫌がらせ的なキャンペーン、発言に対して、やはり日本国内で、国民世論の反発、あるいはメディアの論調もこれによって変わりましたよね。変わりました。ですから、非常に国内では、常磐物を応援しようよ、みんながそうなったんですね。

 これは外務大臣にもお聞かせいただきたいんですけれども、私はそう分析しているんですよ。結果として中国がアシストすることになった、国内の風評被害はですよ、国内の。そう思っていますけれども、どういうふうにお考えですか。

上川国務大臣 ALPS処理水の海洋放出に係るこの間の日本の対応ということにつきましては、まさにIAEAの科学的かつ大変丁寧な指導の下で、この仕組み及びこれから先のモニタリングも含めて、パッケージとして、またMOUも私も結ばせていただきましたけれども、このことの意味は大変大きかったというふうに思います。

 私も、二国間交渉をする過程の中でも、必ずIAEAの存在と、そして国際的に大変中立で、公正で、なおかつ科学的な知見をベースにした形でのフォローということについては、これは国際的な評価を得ているということでありますので、そこのところについては私も委員の御意見と同一の感想を持っているところであります。

 そして、二点目。

 国際的な形で支持をしていただく、つまり理解をしていただいた上で、そして的確な行動を取っていただくということが大変大事だということでありまして、これは中国も含めて全ての国々にこの間のプロセスそのものも透明性高く出していくということも併せて極めて重要であるというふうに思っております。

 今回、水産物に関しまして輸入規制を取った、この行動につきましては、まさに科学的な裏づけの中で御理解をいただくべく、この間も様々なアプローチをしてきたところでありますが、今まさにそうした中でこの間の一連の首脳会談を含めての動きがございましたので、ある意味では丁寧に、そして、どの国云々ではなく、丁寧に全世界に向けて粘り強くこの間の取組を支持、理解していただくべく行動していくことが日本外交としても極めて重要な要素ではないか、こう考えているところであります。

玄葉委員 私は、IAEAと、中国の結果としてのアシストというか、嫌がらせ的なキャンペーンが日本国内をまとめちゃったみたいなところは、率直に言って、あると思っています。

 他方で、やはり中国による禁輸というのは、日本の水産関係者にとっては大きな打撃になっています。脱中国依存で、ある意味、中国以外に輸出先を見つけていくというようなことも当然やっていくということなんですけれども、そう簡単には進んでいきません。当然、その間は、損失に対して賠償するということになるわけです。

 これは御承知かもしれませんけれども、私なんかも当時原発事故対応に関わったので、原賠機構というのをつくって、結局、その賠償というのは原賠機構から出すんですね。今、原賠機構でいわゆる交付国債をどのぐらい増額するかとかという話になっていて、私のところにも相談が来るんですけれども、これは経産省、ホタテだとか、中国に対して例えば毎年八百億ぐらいのを世界で輸出しているわけです。中国はもう全く今入れていない状況ですから、これはこのままいくと、どのぐらい損失が膨らんでいくのか、見積もっているのか。それによって実は賠償のこれからの、いわゆる交付国債をどのぐらい増額するか関連してくるものですから、どのぐらいだと見積もっているんですか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありましたとおり、中国等の輸入規制強化に伴い被害が出ているという声は、経産省にも届いているところでございます。

 例えば二〇二二年の実績ですけれども、日本産水産物の輸出、中国向けに八百三十六億円、香港については四百九十八億円でありました。直近、九月、十月の貿易統計ですけれども、これが対前年比で約七割減というふうに承知しております。これに伴いまして、北海道のホタテを始めとして、国内の一部産地の価格下落あるいは在庫の滞留が生じているというふうに認識しております。

 先ほどもお答えしましたけれども、こうした影響を抑制するための「水産業を守る」政策パッケージ、こちらの方を今取りまとめて、支援を実施中でございます。今回の経済対策でも、必要な支援策の追加を盛り込んだところでございます。(玄葉委員「額、損失」と呼ぶ)はい。まずは、こうした措置によりまして、輸出先の転換、それから、国内外の新規の販路拡大を後押しすることで、禁輸の影響を抑えることが重要だと思っております。

玄葉委員 損失額は見積もれていないということですね。

久米政府参考人 今お答え申し上げましたとおり、まず損失額を減らしていくということが大前提でございますけれども、一方で、こうした影響も含めて交付国債の限度額については現在精査をいたしておるところでございます。

玄葉委員 これは、とにかくできるだけ賠償、しっかり賠償はせざるを得ないのでありますけれども、できるだけ早く振り上げた拳を下ろさせるための外交を上手にやらなきゃいけないという状況にあると思います。

 私、この間の中国の習近平主席とか王毅さんの発言を聞いていると、かなり、拳のいわば置きどころを探ってき始めているんじゃないかという感じもするんですよね。だから、これをどういうふうに外交でうまく収めていくかというところにだんだんなってきているんじゃないかというふうに思っています。

 もちろん、何というのか、日本の主権の問題があるので、日本の領海で勝手に中国にモニタリングさせたりとかそういうわけにはいかないんだけれども、これは外交の妙味というか業でやっていかなきゃいけない話ではないかというふうに思っていて、例えば中国の国内で、彼らもメンツの国なので、譲歩したと思われないように、だけれども譲歩してもらうという、そういうようなやり方を、知恵を絞って、日本の外務省で、先方としっかり話し合うということが必要なんじゃないかと思いますが、外務大臣、いかがですか。

上川国務大臣 このALPS処理水の海洋放出につきましては、先般の日中の首脳会談及び日中の外相会談におきましても、日本側から、日本産の食品輸入規制の即時撤廃につきましては強く求めたところでございます。

 また、ALPS処理水につきまして、日中両国の間、お互いの立場につきましては隔たりがあるということについては認識をしながら、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出していく、このことにつきましては一致をしたところでございます。

 今後は専門家のレベルで科学に立脚した議論、これを行っていくということになろうかと思っております。

玄葉委員 これは、同じ漁場で捕った魚を、日本で水揚げしたら禁輸で、中国で水揚げしたらオーケーだ、こういう話になっているわけですよね、今。

 だから、中国にも相当無理が今生じてきているし、中国の水産業にもかなり打撃があるということもありますので、本当に、一押しとまではいかないけれども、そう簡単ではないとは思いますけれども、さっき外務大臣おっしゃっていましたけれども、いわば専門家同士の協議の場のつくり方が、多分、最大のポイントなんじゃないかと。つくり方によっては彼らもこれによって拳を置くということも十分考えられるんじゃないかというふうに思っていまして、この辺りはいかがですか。

上川国務大臣 まさに、先般の日中首脳会談及び日中外相会談におきまして、先ほど申し上げたとおり、建設的な態度をもって協議と対話を通じて問題を解決する方法を見出していこうということで一致をしたことであります。

 そのことを踏まえまして、専門家のレベルでの科学に立脚した議論が今後調整を経た上で行われることになるというふうに考えているところでございます。

玄葉委員 そうすると、これはもう暫定的に停止と最初から言っているので、暫定とあえてつけているんですよね、彼らも。だから、最初からちょっと怪しいなと思ったんだと思うんですけれども。だから、専門家同士の協議の場の設置の仕方というのがポイントだということでよろしいですね。

上川国務大臣 今委員の御指摘のとおり、専門家のレベルでの議論ということがベースになるというふうに考えております。このことにつきましては、日中間で今後調整してまいりたいと思っております。

玄葉委員 はい。ありがとうございます。

 次に参ります。

 中東における日本関係船舶の安全確保の問題、これは大事だと思います。

 十一月十九日に日本郵船のタンカー、フーシ派というかホーシー派による貨物船の拿捕がありました。

 十一月二十六日、リベリア船籍のタンカーの襲撃がアデン湾でございました。

 十二月三日、バハマ船籍の、イギリスが所有する、運営する貨物船など三隻がホーシー派の攻撃を受けたという事案がございました。

 これは日本のタンカーあるいは日本関係船舶、どうやって安全を守りながら航行するかという重要な事案だと思いますけれども、国交省、安全確保の具体的な対策、どうされていますか。

宮武政府参考人 お答えいたします。

 先月十九日に日本の海運会社が運航する船舶が拿捕された事案等を受けまして、国土交通省におきまして、イエメン沖付近を航行する船舶等に対しまして、安全確保を徹底するよう業界団体を通じて注意喚起を行っております。

 また、国内の海運会社におきましては、今般の状況を踏まえまして、配船計画、どの船をどこに、どの航路に就航させるかという計画でございますけれども、この一部見直しなどの対応を行っているところでございます。

 引き続き、関係省庁や海運会社と緊密に連携しまして、状況の推移を注視するとともに必要な対応を行ってまいります。

玄葉委員 配船計画を変えるという意味するところは、例えば、ホーシー派、フーシ派がイスラエルの船を狙いますと言っているので、イスラエルの船を使っている日本の関係船舶について、そこでは使わない、そういうような意味での配船計画の変更ですか。

宮武政府参考人 御指摘いただきましたように、フーシ派による声明ですとか地域情勢、あるいは、御指摘ありました、引き続いて発生しております事案、こういったものを総合的に判断して海運会社において決定するものであると考えております。

玄葉委員 自衛隊は、木原防衛大臣、こういったことに対してどういうふうに対応されているんでしょうか。

木原国務大臣 まず、防衛省・自衛隊としての前提としては、原油の輸入の約九割を中東地域に依存している我が国にとっては、同地域を航行する日本関係船舶の航行の安全を確保することは非常に重要だ、そういう前提でお話をさせていただきますと、自衛隊はソマリア沖・アデン湾での活動でございまして、先ほどの例えばセントラル・パークの事案などは、これは紅海でありまして、海賊対処行動及び中東地域における情報収集活動の活動区域としては、紅海は含まれていないということにもなります。

 しかしながら、自衛隊が活動を続けていく中で、実際に、海賊事案の発生件数などを見てみると、我が国を含む国際社会の、日本だけではありません、継続的なその取組によって、現在、低い水準で推移しているというのはエビデンスとしてあるわけでありまして、これは、自衛隊を含む各国の海賊対処行動が極めて大きな抑止効果を発揮しているものというふうに分析をしているところです。

 そういった中で、引き続き、部隊の安全に万全を期しつつ、この活動は継続していく意義はあるというふうに思っております。

玄葉委員 私が今挙げた三つの事案というのは、いわゆる海賊対処の事案もあれば、対ホーシー派、対フーシ派の事案もあるわけです。

 今おっしゃった、いわゆる海賊対処のための行動というのは、P3Cと艦艇を出していますということだと思うんですが、それに対する海賊対処は、それはそれで結構なことだ、エリアを決めて、紅海は対象外だというお話でありますけれども、それはそれで結構なことだと思いますけれども、対ホーシー、対フーシ派、つまり、ホーシー派とかフーシ派が襲撃をするという事案が発生しているわけです。それに対して何か自衛隊は役割を果たせるのかという質問です。

木原国務大臣 済みません、一点訂正です。先ほど、セントラル・パークは紅海と言いましたけれども、アデン湾への修正でございます。

 委員御指摘のとおり、セントラル・パークの事案、アデン湾東方海域で何者かに乗っ取られた、そういった情報を受けた際には、我が国の海上自衛隊のP3C及び護衛艦の「あけぼの」を現場に急行させたということ、そして、警戒監視、情報収集を行いつつ、海賊対処を任務とするCTF151、第一五一連合任務群に対して、迅速に現場で得た情報を提供しました。

 結果として、この事案がどうなったかというと、米軍は、民間タンカーであるセントラル・パークの乗員の無事を確認し、乗っ取りに関与した五名が投降したということ、これは公表されている事実であります。

 そういう形で、実際に海賊事案も減っている、そして、今回、こういった乗っ取り事案についても五名が投降した、そういう実際に結果が出ているということであり、我が国の現在行っているオペレーションというのは一定の効果があり、国際社会とも連携をしつつ、引き続き継続したいというふうに考えております。

玄葉委員 いや、私は継続しちゃ駄目だと言っているわけでは決してなくて、私が申し上げている趣旨は、今の事案というのは海賊対処なんですよ。ソマリア人なんですよ、投降しているのは。そうじゃなくて、いわゆるフーシ派とかホーシー派が襲撃をするということに対して自衛隊は何かするのですかという話を聞いています。

木原国務大臣 政府といたしましては、全ての当事者に対して、船舶の自由かつ安全な航行を阻害する行為を自制するよう求めなければいけないわけでありまして、実際に、米国を含む関係者とは様々なやり取りをしているところであります。

 具体的に詳細を言うと手のうちを明かすことになりますけれども、そういったアデン湾でのこと、そして紅海での活動について、様々な形で、米国を含む関係各国とこれからも情報共有しながら対処していかなければいけないというふうに考えております。

玄葉委員 海賊対処行動をしていて、海賊に対して海賊対処をする、当然のことだと思うんですけれども、ホーシー派とかフーシ派が襲撃をされたような事案で自衛隊が海上警備行動で対処するということも、これはあり得るということでよろしいですか。

木原国務大臣 海賊対処行動に従事する海上自衛隊の自衛官は、海賊行為への対処に当たりまして、これは、自己又は他人の防護のため必要な場合など準用する警職法の第七条に基づく武器の使用が可能であるほかに、海賊対処法第六条に基づき、一定の場合には、海賊行為を行う船舶を停止させるための武器の使用というのも可能であります。

 海賊行為への対処以外の武器の使用ということも考えられますが、個別具体的な状況によってもそれは様々に異なるものというふうに理解をしております。

玄葉委員 これは非常に難しいんですよね。

 結局、フーシ派とかホーシー派というのは国準に当たるんじゃないか。多分、国に準ずる組織ですよ、現に。判断しているのかしていないのか分かりませんけれども、これは判断しているんですか。フーシ派、ホーシー派は国準ですか。

木原国務大臣 大事な論点だと思っております。

 現時点におきましては、ホーシー派については、政府として、国家に準ずる組織であるか否かについて判断を行っていないということであります。

玄葉委員 二万人いて、イラン製の中距離ミサイルを持っているんですね。もうほとんど国準というふうに言ってよいのではないかと思います。これを警察権で取り締まれるかというと、無理ですね。自衛権の行使になると思います。

 だから、そういうときにどうするのかということはよく整理しておかないといけないし、もっと先のことを言うと、もしトラ現象と最近言われていますけれども、もしトランプさんがまた大統領になったらという、また有志連合みたいな話で、自分のタンカーは自分で守れみたいなことになってくると、何ができて何ができないのかということをより整理しておかないと、結構難しい局面になるのではないかと心配しているんですね。

 サリバン米大統領補佐官が、次の対応を同盟国、友好国と集中的に協議していると。さっき、中身は言えないけれどもとおっしゃっておりましたけれども、多分協議しているんでしょう、いろいろ。

 多国間の役割分担で当面は何とかやり過ごせるとは思うんですけれども、日本の役割として、今まで以上のことをやるということを考えていくのかどうか。いかがですか。

木原国務大臣 また委員の重要な御指摘であります。

 確かに、私どもが様々な法令に基づいて武器使用を行った後に様々なことが分かって、それが違法性とか違憲性が生ずることというのは、そういうことは事前に様々な、これは考えておかないといけないと思っております。

 海賊対処行動に従事する中で、相手方の船舶が、例えば、外観上漁船の姿を装うなどの偽装行為を行っているなど、そういう客観的な状況に基づいて、その時点で合理的に判断をし、海賊行為を行っていると認定できれば、仮に事後的に武器使用の相手方が実は国家主体であったということが判明したとしても、それは遡って、当初行った武器使用については、私は、私はといいますか、これはもう世界共通の概念として、違法性、違憲性が生ずることはないというふうに考えているところであります。

玄葉委員 これは、防衛大臣、今日はもう時間がないのでやめますけれども、整理しておいた方がいいと思いますよ。かなり、現実に起きていることだし、自衛隊が行っているわけですから。

 ただ、いわゆる海上警備行動というのは、海賊対処で行っていて、警察権しか基本的に使えないということなので、何がどこまで自衛隊にできて、これからやろうとすれば何が必要なのかということについて、よく整理をしておいてほしいなと思います。今日はもう時間がないので、これでやめておきますが。

 あと、ガザのことで。

 私は、この間申し上げましたけれども、ハマスが悪いんだけれども、やはりイスラエルもやり過ぎだというふうに考えていて、一刻も早く停戦する、そうしないと、このままだと、反イスラエルの感情が反米感情につながって、結果として、それが中国とかロシアを利することになっちゃうんじゃないかということを大変心配をしています。

 そもそも、人間の尊厳とか法の支配というのを日本は大事にしてきているんだから、そのことを前面に打ち出してもっと具体的に踏み込んだ方がいいということを言ってきました。アメリカの姿勢はだんだん変わってきましたね。とにかく民間人を守れと。そうじゃないと、多分、バイデンさんの再選が危うくなってきていると思います。岸田さんの発言も今までよりは踏み込んだ。昨日、ネタニヤフさんと初めて話したようでありますけれども、やはりここはもっと踏み込んでいいと思いますよ、日本は。

 昨日、グテレス事務総長が、今のガザに安全な場所はない、国連憲章九十九条に基づいて停戦の実現を求めると注意喚起を安保理の議長国に送った。こういうのは数十年ぶりだというんですね、事務総長がそういうことをするのは。相当危機感を持っていて、当然、彼は就任して初めてこういうことをした。

 私もかなり危機感を持っていて、いや、ユダヤ人というのは道徳的優越性を、かつてああいう事象があったので、持っていたんだけれども、今回のことで世界中からかなり、えっ、ユダヤ人、大丈夫って思う人は増えちゃっていると思うんですよね。イスラエルにとってもよくないと思うんです。

 もっと言うと、ハマスをせん滅しても、恐らくハマスよりもより過激な武装勢力が出てくる可能性が私は高いと思っているんです。イラクがそうですよ、イスラミックステートが出てきたわけです、最後は。アフガニスタンだって、私はすごく関わりましたけれども、最後はやはりタリバンが制圧するわけですね。簡単じゃないんですよね、こういった問題というのは。

 だから、やはりやめさせることが何よりなので、このグテレスさんの九十九条を使った訴え、書簡に対して、上川大臣としてどういうふうにお考えになられますか。

上川国務大臣 今般のイスラエル、そしてハマスの攻撃に基づく一連の中東の動きにつきましては、テロ攻撃発生から二か月が経過している状況でございまして、ガザ地区におきましての人道的な状況につきましては、特に子供たち、また女性や高齢者の皆さんが、死傷者が本当に日に日に増えている状況については、大変深刻に受け止め、また注視をしている状況でございます。

 先般、人質等をめぐりますイスラエル、ハマス間の取引につきまして、戦闘休止の更なる延長について合意に至らなかったという形で期限を経過したこと、また、イスラエル国防軍が南部を含むガザ地区におきましての戦闘を再開しているということでございまして、この点につきましては、現地の情勢、深刻な懸念を持っているところでございます。

 危機的な人道状況が更に深刻化するということにつきましても、さらには誘拐されて長期に拘束されていらっしゃる方々も大変厳しい状況にあるということなので、合意への復帰及び事態の早期鎮静化が何といっても重要であると考えているところであります。

 昨日、日・イスラエル電話首脳会談におきましても、今委員から御指摘いただきましたとおり、岸田総理からネタニヤフ首相に対しまして人道状況の改善の必要性等につきまして直接働きかけを行ったほか、G7の首脳テレビ会議におきましても、更なる人道的休止を支持し、そして慫慂することで一致をしたところでございます。

 そして、こういう中におきまして、現地時間の六日でありますが、グテレス国連事務総長から安保理議長に対しまして、国連憲章九十九条に基づきまして、人道的惨事の回避を求め、人道的停戦が宣言されるべきとする内容の書簡が発出されたということで承知をしているところでございます。

 今次事案の経緯とか複雑な事情がこの背景にございますので、停戦に至るまでのプロセスの中におきましては、人道的中止も含めまして、いろいろな選択肢の中でぎりぎりの調整をしながらここまで来ているということにつきましては、私も、この間非常に、発生してからの事態の中で身をもって感じているところでございますが、何といっても、人道危機を、とにかく守り、そして将来に向けての状況をよい形でつくり上げていく、このための知恵と力については、まさに安保理の場におきましても、また様々なプラットフォームの中での議論を重ねながら、これに向かって一直線で進んでいく必要がある、こう思って今臨んでいるところでございます。

玄葉委員 もう最後の一言だけ。

 このグテレスさんの憲章九十九条に基づく書簡、停戦の実現、これに対してはもう賛同するということでよろしいですね。最後です。

上川国務大臣 このガザ地区の状況を踏まえますと、まさに安保理におきましての更なる取組ということについては待ったなしだと思っております。

玄葉委員 このグテレスさんの書簡に対してはいかがですか。

上川国務大臣 こうした書簡が発信したことについては大変重く受け止めている状況でございます。

玄葉委員 終わります。ありがとうございます。

簗委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 今日は、私、発言の機会をいただきまして、御質問の機会をいただきましてありがとうございます。篠原豪でございます。

 今、玄葉委員からもお話もありましたので、少しちょっと通告の順番を変えて、関係するところをまずお伺いしたいと思います。

 今のイエメンのホーシー派による商船攻撃について防衛大臣にお伺いしたいと思うんですが、これは、我が国の対応を今後どうしていくのか、自衛艦をどういうふうに考えていくのかということについてお伺いしたいんです。

 先ほどの十一月二十日の、拿捕について、タンカーは無事解放されましたけれども、米軍が出動をして付近を航行し、情報収集や情報中継を行った我が国の護衛艦、これは先ほどありましたけれども「あけぼの」ですね。この「あけぼの」について何が起きたかというと、「あけぼの」と付近を航行している米艦を狙って弾道ミサイルが発射をされた。まさに玄葉委員がおっしゃっているように、ミサイルを持っているわけですよね。

 問題は、今の海賊対処行動で派遣されていますけれども、今回米軍を支援した「あけぼの」はミサイル対処能力を持っていないということなんですね。私、先週も餅つきに行きまして、イージス艦で働いていた方にやはり話を聞きましても、「あけぼの」はミサイルに対応できないから、もうそのとおりですというようなお話をいただきました。

 イランはフーシ派に対して、少なくとも六種類の弾道ミサイル、三種類の巡航ミサイル、八種類の徘徊型兵器に加えて、三種類の対艦弾道ミサイルとロケットを提供しているというふうに報じられています。実際に発射されていますので、離れたところには着弾しましたけれども。

 こういった中で、フーシ派による商船攻撃への対処行動に自衛隊の護衛艦がいろいろ、警戒監視も含めて参加するのであれば、当然、ミサイル対処能力を持つことが前提になっていくんだろう。今までは考えられなかった話なので、しかし実際にはそういうことが起きているんだということであれば、これはやはりしっかりと対応していかなければいけない、玄葉委員もおっしゃっていましたけれども、そういったフェーズに入ってきているんだと思います。

 なので、このことを、私も通告していますので、防衛省として今後どのように対応していくのかということをもう少し詳しく教えていただきたいと思います。

田中政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、イエメンの武装勢力、弾道ミサイルを保有している、巡航ミサイルを含め各種のミサイルを保有しているということでございます。他方、これらにつきまして精密にターゲティングをする能力というものを保有しているということは承知をいたしておりません。

 私どもとしましては、情報共有を含め、関係国とも緊密に連携をしながら、的確に緊急時の行動を取るということで部隊の安全は確保できるというふうに思っております。

 引き続き、関係各国と情報共有それから分析というものを密にしながら、安全に活動を継続できるように努めてまいりたいと思っておるところでございます。

篠原(豪)委員 ターゲティング能力はまだそんなに十分じゃないからといっても、撃ってきているわけですね。それが何かあったらもう取り返しがつかないので、そういう事態に入ってきているということをやはりしっかりと考えていただいて、対応していただくことを強く申し上げたいと思います。

 実際に、ホーシー派はイスラエルに長距離弾道弾ミサイルを撃って、それを紅海のアメリカのイージス艦が撃墜しているということも実際起きているので、いろいろなところに向かって撃ち始めているということであれば、本当にこれは、守らなきゃいけないのは、やはり、我が国の自衛隊の艦船と、商船もそうですけれども、隊員の皆さんもしっかり守らなきゃいけないので、不測の事態が起きないように御対応いただきたいと思います。

 それと、あと、先ほどホーシー派の話があったんですが、ちょっとハマスの位置づけ、これについて外務大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、中東和平を目指すPLOと対立関係にあるハマスですけれども、イスラエルへの武力攻撃、テロを繰り返してきて、欧米ではテロ組織に認定されています。

 岸田文雄首相は、十月の八日にパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃を非難をして、これはX、昔のツイッターですけれども、罪のない一般市民に多大な被害が出ており、強く非難すると投稿したということがありました。

 そこで見てみたいんですけれども、やはり、ハマスは二〇〇六年の選挙で勝利をして、しかし、イスラエルだけではなくて、そこでアメリカ、EU、国連、ロシアが形成する中東和平カルテットと呼ばれるグループも、ハマスが参加するパレスチナの自治政府は認めていないということになっています。そのため、選挙でハマスに負けたPLOの主力勢力であるファタハが、パレスチナ、ヨルダン川の西岸地区からハマスを追い出した。ガザ地区では、逆にハマスがファタハの勢力を追い出す形で実効支配を二〇〇七年の六月から始めています。イスラエルは、このために、ガザ地区全体を六十キロ、横のところに建っているだけでも、フェンスを造って封じ込めて、十五年間、これまでやってきたんですが。

 こうした経緯を踏まえれば、日本政府は、ハマスがガザ地区を実効支配していても、これはパレスチナ人の代表者として認めていない、単なるテロ組織として認識しているということでいいのかどうか。政府はハマスをどのように位置づけているのか。国準の話もありましたので、教えていただければと思います。

上川国務大臣 ハマスの位置づけということでございますが、ガザ地区は、二〇〇七年六月にハマスが武力による実効支配を開始するまではパレスチナ自治政府による統治が行われておりまして、日本政府としては、ガザ地区におけるパレスチナ自治政府の実効的な統治の確立を通じた同地区の安定化が重要という立場を取っているところであります。また、我が国は、先般のハマスによるテロ攻撃に対しましては断固として非難をしてまいりました。

 我が国には、二〇〇三年九月三十日付の閣議了解によりまして、ハマスについて、テロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としているところでございます。また、本年十月三十一日付の閣議了解によりまして、ハマス関連の九個人及び一団体をテロリスト等に対する資産凍結等の措置の対象としたところでもございます。

 テロにつきましては国際的に確立した定義はございませんけれども、日本の立場としては、今のような立場でこの間取組をしてまいったところでございます。

篠原(豪)委員 そうしますと、私は思うんですけれども、この二国家というか地域がやはり共存の話合いに着くことが大事だといっても、パレスチナの問題の唯一の最終的な解決策をこうやってやるためには、日本政府としては、その当事者にハマスはなり得ないということで考えているとすると、唯一西岸を支配するファタハなどのPLOのみが話合いの席に着くということになるのか、そういうことが果たしてできると考えているのかということを、もうちょっと教えていただければと思います。

長岡政府参考人 お答え申し上げます。

 ハマスにつきましては、現実に今、上川大臣が御答弁申し上げたように、ガザ地区を二〇〇七年六月以降、事実上実効支配しているわけですけれども、いわゆる中東和平の問題との関係で申し上げると、イスラエルを承認せず、イスラエルと平和的に共存していくという将来についても一貫して拒否をしているという状況でございます。

 そういう立場にあるハマスとの間で、将来の二国家解決に向けた対話ということを建設的に行うことは難しいであろうというのは、当然、国際社会として共通した認識だと理解しております。

篠原(豪)委員 そういう考え方があるとしても、現実を見てみると、例えばハマスについては、ガザ地区で、教育だとか福祉だとか病院だとか医療の草の根の支援活動をそもそも通じて、これを貧困層の皆様に浸透してきた組織であるということがあって、ハマス以外に頼るすべはないわけですよ、あの地域では。福祉も教育も医療も。実際、そういうところで今のような人道的な、非常に危機的な状況が起きている。

 そういった中で、やはり、当然、ガザではハマスがそうやって実効支配をしていて、全てのベースサービスも担っているということになります。食料だって水だって全部やっているわけですよ。ということになると、その方々が、だから、そこに住んでいる一般の方々、一般市民の方々が、どうしてもそこに頼って、抵抗運動をハマスとしてやっているとなると、それ以外選ぶすべがないので、なかなかこれは難しい問題だなと思っているんです。そういった意味で、大事なのは、今、そうやっていっても、人道危機状態が本当に極まっていますから、国際社会の圧力だけが、休戦状態に持っていくということが鍵だと考えています。

 それをどうやって展開していくのか。政府はそれをどう分析しているかというのは先ほど伺いましたので伺いませんけれども、アメリカも、ずっとイスラエル一辺倒だったのから、要するに、人道的な状況を、やはりこれはよくないということで、大分姿勢が変わってきた。バイデンさんの再選という話も玄葉委員からありました。こういった中で、日本政府も、もう少しパレスチナの人道危機については寄り添った立場を取るようにということをアメリカ政府にも直接働きかけるということが、今の話でなかったので、あっていいんじゃないか。それは、止められるのはアメリカですから。なので、このことについて外務大臣のお考えを伺いたいと思います。

上川国務大臣 まさに私自身、議長として取りまとめましたG7の外相声明、また安保理決議の採択におきましても、またイスラエル、パレスチナ及びヨルダンを訪問した機会、また多くの電話会談も実施させていただきましたが、その折には、関係国に対しまして様々な働きかけを行うことでの成果を出すということで、G7の成果の文書も打ち出させていただいたところであります。

 今次の事案の経緯とか複雑な背景事情がございますので、停戦に至るまでは引き続き一つずつの成果を積み重ねていく必要がある中で、特に我が国は、人道的な、危機的な状況、これを何としても一日も早く止めるということを目標に、人道目的の戦闘休止と、そして人道支援の活動が可能な環境の確保に向けまして尽力してきたところでございます。(篠原(豪)委員「アメリカに対して言ってくださいと」と呼ぶ)これは、アメリカに対しても、今、G7の中でこうした主張をし、そして成果を上げてきているという状況でございます。

 こういった取組につきましては、安保理という国連の状況、またG7を始めとした国際間の状況、また、中東の和平に向けましても様々なプラットフォームがありますので、そういう中でこうした主張をし、アメリカにおきましても、そうした中での意見交換をしながら、今の立ち位置で動いているところであります。

篠原(豪)委員 是非、本当にこの状況は止めなきゃいけないので、外務大臣のお力を全力で尽くしていただければと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、日米韓関係についてお伺いいたしたいと思います。

 最近の日本外交を取り巻く環境変化としてやはり大変大きいのは、去年の五月に韓国で保守の尹錫悦政権が誕生したことだと考えています。それ以前の政権は、安全保障は同盟国のアメリカに依存していましたけれども、最大の貿易相手国である中国との経済関係も重視をしていた。また、北朝鮮の非核化を実現する上でも中国の影響力を大きく期待し、対中傾向をずっと強めてきたというふうに思っています。

 そういった中で、特にこれは後に玄葉委員からあった水産物の禁輸の問題にもずっとつながっていく問題だと思うので、いろいろちょっと話をさせていただきたいと思っているんですけれども。

 文在寅政権は、在韓米軍による韓国へのTHAAD配備について、中国の習近平政権から韓国たたきと言われる経済圧力を受けた結果、一七年の十月に、在韓米軍に配備された米軍のミサイル防衛システムのTHAADの追加配備、アメリカのミサイル防衛システムへの参加、日米韓の軍事同盟への発展をしないということを表明しましたね。しているんです。

 しかし、尹政権は、バイデン政権を念頭に、対中包囲網を構築するという選択をして、アメリカとの同盟関係を軍事的な関係にとどまらない包括的戦略同盟にすると宣言しました。

 これで何が起きたかというと、対日関係でも、両国の最大の懸案となっていた韓国人の徴用工問題をめぐる訴訟が最悪の結果を迎えつつあった中、三月の尹政権の政治決断で事態を急変させて、これは時代の転換点になるような決断だったんじゃないかと思いますけれども、日韓関係は正常化に向かいつつあると思っているところでございます。

 尹政権の政治的決断の代償というのは決してちっちゃくなくて、支持率が急落をして、来年の四月の総選挙に保守系与党の国民の力が敗れた場合、今、共に民主党が批判していますから、何をやったかというと、処理水の問題で、韓国は問題ないといって、やったら、七月に尹さんの支持率が、たしか六ポイントぐらいでしたっけね、落ちたということがあって、この対日政策にも影響が及ぶ可能性があります。

 そういった中で、まず、日本政府としては尹政権の誕生と政治決断がどのような意義があったと考えているか、ちょっと短く教えていただければと思います。

上川国務大臣 日韓両国でございますが、国際社会の諸課題の対処に協力していくべき重要な隣国同士でございます。

 今年三月以来、両首脳のシャトル外交が本格をいたしまして、日韓関係の改善が軌道に乗ったところでございます。日本政府としては、本年の三月六日の韓国政府による措置の発表を、非常に厳しい状態にあった日韓関係を健全な関係に戻すためのものとして評価をしているところでございます。

 日韓両首脳のリーダーシップの下で日韓関係を積極的に動かしてきたところでありまして、引き続き様々な面で取組を進めてまいりたいと考えております。

篠原(豪)委員 そういった中で、日米韓の結束を後退させないということで考えて多分やっているというふうに今思っていまして、八月十八日にキャンプ・デービッドで首脳会談がございましたね。これは、特に安全保障面で日米韓の連携を深める好機というふうに考えたんだと思いますし、そこで合意されたのが、中身をこれから分析したいと思うんですけれども、何なのかということ。それは何を意味するかということが大事なので。

 まず、これは四つ合意されていまして、首脳、外相、防衛相、安保担当高官が毎年定期会合を開催する。そしてもう一つが、日米韓の定例共同演習、これは対潜訓練ですね、対潜水艦訓練。ミサイル防衛等の実施、北朝鮮ミサイルの探知情報のリアルタイムの共有の年内開始。半導体等の重要物資の供給網などで早期警戒メカニズムを新設するということでありますが。

 それぞれについて、短くていいので、合意事項の履行の進捗状況、進捗予定など、あと、今後の課題があれば教えていただきたいと思います。

岩本政府参考人 ただいま委員から御指摘のとおり、様々な形で、三か国間、重層的に連携を深めてきております。

 まず、首脳間では、先月のAPEC首脳会議の機会に三首脳が集まりまして、引き続き、日米韓の戦略的連携、これを一層強化していくことで一致しております。

 また、外相間でも、先月、APEC閣僚会議に合わせて日米韓外相会合を開催するとともに、また、先月二十一日に北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用した発射がございましたので、これを受けて、先月二十五日にも日米韓外相電話会談を行い、緊密に連携することを再確認したところでございます。

 さらに、防衛大臣間では、先月十二日に日米韓防衛相テレビ会談が実施されたと承知をしております。

 また、国家安全保障局長間につきましても、今週八日から九日まで、韓国・ソウルにおきまして三か国の協議が実施予定と承知をしております。

 そのほかの点につきましては、担当の者から続いて答弁させていただきます。

加野政府参考人 お答え申し上げます。

 共同訓練の関係でございますけれども、今外務省から御案内がございました先月十二日の日米韓防衛相テレビ会談におきましても、三か国共同訓練の定例化に向けて複数年にわたる共同訓練計画を年末までに策定する、そのための調整を加速させるということを確認したところでございます。現在、三か国の間で調整を継続しているという状況でございます。

 それと、北朝鮮のミサイル警戒データ、そのリアルタイム共有の関係でございますけれども、本年の八月に所要の試験を実施したといった点も含めまして、年内のメカニズムの始動に向けて検証と調整を行っているという状況でございます。十一月に実施いたしました、先ほど申し上げました日米韓の防衛相テレビ会談、その場合におきましても、最終段階を迎えているという認識で一致したところでございます。

 そのメカニズムの具体的な運用開始の時期等の詳細につきましては、引き続き、アメリカ、韓国と調整中でございますけれども、この取組というのは、北朝鮮によるミサイルの脅威を探知し評価する各国の能力を向上させるための重要な取組であるというふうに考えてございまして、引き続き、年内の運用開始に向けて調整を加速してまいるという状況でございます。

今福政府参考人 委員から御指摘ございました、半導体等の重要物質の供給網などで早期警戒メカニズムを新設するという件について申し上げます。

 先ほどありましたように、重要物資のサプライチェーンに関する早期警戒システム、これを試験的に立ち上げるということでキャンプ・デービッドで合意されておりますが、一致しておりますが、三か国で、重要鉱物、蓄電池などの優先物資を特定した上で、情報共有の拡大や政策連携の強化を行うとしております。重要なサプライチェーンに混乱が生じた場合に、三か国で迅速に情報共有を行うためのメカニズムの構築、これに向けて今緊密に連携しているところでございます。

篠原(豪)委員 そういった中で、今言った合意事項というのは、日米韓が参加する安全保障の協議の枠組みの内容を示して、その枠組みをしっかり通じて、キャンプ・デービッドの首脳会談以降、これをがっちりやっていくために、様々な分野でいろいろやっていこうというふうに考えていると思います。

 例えば半導体の話がありましたけれども、これは今、尹さんがやはり大きな政治的リスクを冒しても両国の最大懸案であった徴用工問題の政治解決に動いたというふうに思いますし、時代の転換点である快挙だったと思いますが、また、先ほども申し上げました福島の処理水の海洋放出を事実上認めたことを多数派の野党が今攻撃して、二六年の次期大統領選挙までに、日韓関係が後退しないように、途中でもし、来年選挙もありますので、春にですね、そういった中で尹政権の基盤が揺らいでいくということになると、今決めた新しい取組、転換しましたから、日米韓は新しくこういう枠組みで、今御説明していただいたようにやっていく、今までできなかったところにかじを切ったわけですね。そうすると、我々とすれば、韓国の今の尹政権がいかに、安定化していくということが日韓関係の安定化につながっていくというのは間違いないんだと思います。

 また、文さんみたいに、一回合意した徴用工問題でもそうですし、以前には慰安婦の像の問題もありましたけれども、今後、だから、どんどんとまた日本に対して圧力をかける形になるような政治勢力が出てくると、今決めた、これから一生懸命やっていこうという枠組みが揺らいでいく。これは絶対止めなければいけないというふうに思うわけです。

 それがこの地域の安定化につながっていくと思っている。なので、日韓関係が後退しないように、やはり日本は最大限の外交努力を払う必要があると思いますけれども、そういった観点から、尹政権に対してどのように、我々と一緒にやっていくということになっていますので、我々としては、今、韓国に、こういう内情を抱えています、そういった中で共にやっていくための支援というか応援というか、どういうふうに戦略的に考えているかということを外務大臣にお伺いしたいと思います。

上川国務大臣 この二国間関係を前に進めるということでありますが、何といっても両国国民の理解そして後押しが重要であるというふうに考えております。

 尹政権の発足以来、日韓間につきましては、先ほど来のお話のとおり、首脳間を含めまして緊密な意思疎通が行われてきておりまして、様々な分野で前向きで具体的な取組がダイナミックに動いている状況がございます。

 また、安全保障や財務といった分野におきましての政府間の対話の再開でありますとか、経済界の交流の力強い復活、また、地方間の航空路線の就航などを例として挙げることができるというふうに考えております。

 こうした取組も含めまして、この日韓関係の現在のよい流れをしっかりと支えていくために、両国国民の間で日韓関係の改善の機運を一層高めていくために、特に、若い世代の交流を後押しをし、未来に向けて両国の協力を更に強固で幅広いものとし、そして両国国民が日韓関係の改善を実感できる、そうした具体的な取組につきましては引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

篠原(豪)委員 今申し上げましたように、安定的にやっていくためには、すごく重要だと思うことは、今回、キャンプ・デービッドの会談で米韓同盟を、これまでは対北朝鮮同盟だったんですが、対中抑止を含む戦略同盟に拡大させている点なんですよね。

 さっき言った、THAADをアメリカが韓国に配備した、決定したときに何が起きたかというと、習近平政権は、韓国製品のボイコットをやりました。輸入しない。だから、一番の経済的なつながりのある国なんだけれども、したんですよね。圧力をかけて、ロッテグループの中国店舗も営業停止に追い込みました。

 韓国は、文さんは、だから、その圧力があったので、先ほど申し上げました、THAADの追加配備も、アメリカのミサイル防衛システムへの参加も、日米韓の軍事同盟への発展もしないということを約束させたわけですよね。そういう約束をさせて、まさに今、日本の水産物で起きているように、韓国は過去に中国に対して、何かあった場合にはそういう行動に出てきている、実際に行ったわけです。我々の水産物も、今、暫定的ですけれども禁輸措置になっていて、やはりこれも困った状態になっている。韓国もそれを経験しているわけですよね。

 そういった中で、日米韓、これからやっていくというときに、今回、やはり大きいのは、キャンプ・デービッド原則は、今まで言わなかった、インド太平洋地域の水域における一方的な現状変更の試みに強く反対する、台湾海峡平和と安定の重要性を再確認する、両岸問題の平和的な解決を促すと明記し、さらに、今までやらなかった共同声明で、南シナ海において最近我々が目の当たりにした、中国による不当な海洋権益に関する主張を後押しする危険かつ攻撃的な行動と、中国を初めて名指ししているんです、韓国も入れて。韓国はそれをやっていなかった。

 したがって、今後、当然、米国は韓国に中国抑止への協力を求めていくことになると予測されます、いろいろ合意していますから。具体的には、台湾有事を想定した在韓米軍基地の使用や韓国軍からの弾薬供給等の協力を求めていくんじゃないか、日本にもいろいろ求めてきていますから。

 そういったことが考えられるんじゃないかとなりますと、今までは、韓国は北朝鮮への対応なんです、中国を相手にするということはしてきていないので、そういった中でこの米韓同盟が対中抑止戦略を併せ持つことになったので、日本政府はこれに対してどのように評価しているのか。そしてそれが、南西シフトに精力的に取り組む日米同盟にとってどのような影響が今後出てくるのかということについて、政府のお考えをお聞かせください。

上川国務大臣 アメリカが他の同盟国に対しましていかなる協力を求めるか、また、どのような戦略を追求するかにつきましては、予断を持ってお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 また、その上で、一般論として申し上げるところでございますが、八月の日米首脳会合で打ち出したとおり、日米同盟と米韓同盟の間の戦略的連携を強化していくことは極めて重要だと考えております。

篠原(豪)委員 今言ったようなことも全体的に考えていただいて、当時、韓国に起きたこと、そして、この尹政権が替わるとまたそうなってしまう、この今の枠組みというのがうまくいかなくなるということを両大臣にお伝えさせていただきましたので、そういうことも含めて、今後、しっかり考えて対応していただきたいと思います。

 もう一つだけ、韓国の核保有、これをさせないということで、キャンプ・デービッドの目的で一つあったのが、核不拡散、これについてだと思います。

 二〇二二年の十一月の韓国の世論調査は、国民の七〇%が核武装を支持し、尹大統領自身も、米戦術核の配備や独自の核武装が必要だと当時発言をしているんですね。

 これは、歴史的にも、カーターさん、ニクソンさん、朴正熙大統領と、軍事政権を率いているときに核技術を秘密裏に開発しますよと言っていたのをやはり止めるために、冷戦終結とともに韓国から戦術核を撤収して、その代わり、原潜とか核の傘を提供するということになってきて、北朝鮮は、ICBMも開発し、アメリカを脅して介入阻止するようになっている今の状況はもう御承知のとおりですけれども、韓国では、アメリカの拡大抑止に対する不信や懸念が拭えないまま存在しているから、そういう世論調査の結果になっているということでございます。

 こういった中で、私も、ちょっとワシントンに行かせていただきまして、政府の高官の方と話をさせていただきましたけれども、当然アメリカは核脅威なんて認めないですし、それから、拡大抑止を拡大をしていくということがやはりこの地域の安定にとっていいんだということでありました。

 この米韓の協議体をこれからやっていくということなので、核抑止の、二〇二二年にアメリカ政府は、NPRというのをつくって、日米韓やオーストラリアを加えた四か国の拡大抑止に対する新対話を創設すると打ち出しているということなので、このことについて、どういう協議体になるのか。統合されてくるのか。米韓の協議体は、二〇一〇年から日米の間で継続している拡大抑止協議とどのような連携になっていくのかということを教えていただければと思います。

上川国務大臣 まず、日米両国間でありますが、事務レベルの日米拡大抑止協議の場を含めまして、同盟の抑止政策に関連する様々な事項につきまして、日頃から様々なレベルで緊密かつ幅広く意見交換を行っているところでございます。

 その上で、政府として、第三国間のやり取り等にコメントすることは差し控えさせていただきますが、米韓間で拡大抑止の強化に関する取組が行われるということは、日米の間での拡大抑止の強化に向けた取組とも相まって、地域の平和と安定に資するものであると考えているところでございます。

 また、二〇二二年の十月に米国が発表したNPRにおきましては、これまでの二国間での拡大抑止協議の強化に加えまして、日米韓三か国や、また、日米韓豪四か国での情報共有と対話の機会を設ける重要性について言及されているということにつきましては承知をしているところでございますが、そうした協議が開催されたことはございませんで、現時点で予定されている状況ではございません。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 もう終わりますけれども、今、ガザの問題もある、そしてウクライナの問題もある、そしてこの地域の問題もある。その中で、国際会議で一致した意見を表明できるのはG7だけなんです。そのG7の議長国を日本はやっていますので、これをやはりしっかりと活用する、もう終わってしまいますけれども、引き続きやっていただいて、国際法が何の意味も持たず、力が支配する世界に逆戻りするということは許されませんから。これは今、方々でいろいろなことが問題になっていますから、日本政府として何をすべきかということをしっかり考えて進めていただきたいと思いますので、そのことをお願いさせていただきまして、私の質疑とさせていただきます。

 ありがとうございました。

簗委員長 次に、新垣邦男君。

新垣委員 立憲会派、社民党の新垣邦男です。

 通告をしていませんが、国民の政治不信に直結する大変重要な問題なので、冒頭、自民党各派閥の政治資金パーティー券収入キックバック問題について、両大臣にお尋ねをしたいと思います。

 ずばり、政府の立場ではなく、有権者に負託を受けた国会議員として説明責任を果たしていただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

木原国務大臣 お答えいたします。

 個々の政治団体や個人の政治活動に関するお尋ねについては、政府の立場としてお答えすることは差し控えさせていただきます。

 それぞれの政治団体の責任において、現在必要な対応がなされているものというふうに考えております。

上川国務大臣 今ここで、私は外務大臣としての使命感で立たせていただいているところでございます。この件につきましては、その意味で、お答えすることについて差し控えさせていただきたいと存じます。

新垣委員 両大臣から明確なお答えがなかったのは大変残念ですが、推移を見守っていきたいなと思っております。

 先ほど来、委員の皆さんからあったんですが、十一月二十九日のオスプレイの墜落事故です。

 私は、とうとう懸念と不安が現実になってしまったなという思いを強くしております。乗組員八人の全員が死亡という発表がなされております。大変残念な結果で、哀悼の意を申し上げたいなと思っているんですが、一刻も早い原因究明をしていただきたいと思っております。

 国内初のオスプレイによる死亡事故となった今回の事案で、防衛省は、当初、米軍の説明をうのみに不時着水としていましたが、その後、墜落という発表をしております。目撃者の証言や機体残骸の状況から、コントロールを失って墜落したのは明らかですから、事実を矮小化することなく、主権国家として主体的に判断すべきだったのではないかと思っております。

 このオスプレイですが、開発段階から死亡事故が相次いで、構造的な欠陥が改善されない以上、いつ同様の事故が起きてもおかしくありません。ですから、国民の生命と財産を守るために、今こそオスプレイの全機撤去を私は決断すべきではないかなというふうに思っております。

 今回の重大事故をめぐって、日本政府の求めに応じない米軍や、民間漁船による救助捜索活動への参加など、日米地位協定上、本当に疑問視すべき点が多く見られます。本日は、この点について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、防衛大臣にお尋ねしたいんですが、沖縄県を始め県内自治体や市町村議会が原因究明までの飛行停止を最低ラインとして求める中、木原大臣は、事故の翌日、機体の安全が確認されてから飛行するよう米軍に要請したと述べております。また、大臣は、飛行停止という定義が曖昧なので、そういう意味で使ってはいない、あくまでも安全が確認されてから飛行するよう要請したと記者会見の場でお答えをしていますが、実は、沖縄では、事故後もオスプレイが飛び回っているんですね。だから、安全確認はされたんだろうと思ったんですが、いやいや、もう翌日からどんどんどんどん通常のように飛び回っているんですよ。

 そういう意味では、安全確認という認識をして、大臣としてはそういう発言をして、沖縄も飛ばさないということで確認できたのかどうなのか。そして、その確認主体は米側なのか防衛省なのか。沖縄県民からすると、安全確認されていないんじゃないかという思いがあるわけです。その辺、よろしくお願いします。

木原国務大臣 今般の事故の発生を受けまして、そして、米国の東部時間でありますけれども、十二月五日、日本時間だともう六日になりますが、米軍は、捜索救助活動を終了することを決定し、乗員八名全員の死亡を宣言をいたしました。

 自衛隊を含め、海上保安庁、米軍、さらには現地の漁業関係者を含む関係者による懸命の捜索救助にもかかわらず、全員が無事に家族の元に帰ることができなかったことは誠に残念であります。我が国及び地域の平和と安全を維持するため日夜任務に献身していた八名に対し、心より哀悼の誠をささげます。

 私あるいは外務大臣からは、米国に対して、要請を含め、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう正式に要請をしてきたところであります。

 そして、その中で、米側からは、日本に配備されている全てのオスプレイは徹底的かつ慎重な整備と安全点検を行った上で運用されていると説明を受けました。

 また、四日には、全てのオスプレイの部隊は、CV22の事故をしっかり踏まえた上で、安全点検及び予防的な整備を継続的に行っているとの説明を受けていたところです。

 そこで、ちょっと新しい話、先ほどちょっと入ってきた話をさせていただきますと、米空軍は、日本時間の七日の九時台ですから、委員会が始まった後ですが、調査が継続している中、リスクを軽減するため、米空軍CV22オスプレイの運用停止、オペレーショナル・スタンドダウンという、今、ちょっと翻訳も同時でやっているところですが、を指示したということです。これは日本だけではなくて、世界中のCV22のオスプレイの運用停止というふうにそれは理解できます。

 さらに、初期的な調査情報は、潜在的な物質的不具合、ポテンシャル・マテリアル・フェーラーと書いています、が事故を引き起こしたことを示唆しているが、根本的な原因は現時点で不明である、この運用停止はCV22が飛行活動に復帰することを確保するための原因と推奨策を導き出すための徹底的な調査を行う時間を与えるものである旨ホームページで発表をしたという、私も座っておりましたので、後から、今、後ろから聞きました。

 さらに、米海軍及び米海兵隊は、その米空軍の決定を受けて、全てのオスプレイの運用停止措置を導入しているところである旨も発表いたしました。

 米軍機の運用に当たっては、飛行の安全を確保することが最優先ということは私も申し上げてきたところでありまして、現在、その米軍の発表を確認中でありますが、引き続き、米軍と緊密に連携して対応してまいります。

新垣委員 今大臣からお話があったように、幸いにも飛行停止をしてくれたということは非常によかったなと思っております。恐らく、米側もこの八名の方の死亡が非常に重大なことだと受け止めているんだろうなと思っているんですね。

 これまで沖縄では、何度要請しても、なかなか飛行停止してくれなかった。ですから、今回、一時的にしろ飛行停止ということですから、ある意味ほっとしているんですが、しかし、これがまた短期間で、はい、安全確認されましたというんじゃ困るので、是非大臣、これは全世界飛ばさないということですから、これは、確実に安全が担保して保障される、そういうことを明確にアメリカ側に、米側に要請をしていただきたいし、また、どのような安全確認ができたのかということも是非確認をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今日よかったなと思うのはその答えなんですが、ただ、オスプレイが墜落して、普天間飛行場からMV22オスプレイが奄美空港に派遣をされているんですね。救難活動と人員輸送のためとしているんですが、二機派遣されて、一機は奄美空港で機体の不具合があったということなんです。

 これをちょっと確認したいんですが、奄美空港に飛んでいった二機が、そこで一機不具合なのか、それでもう一機また行ったのか、これはどうなんですか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 十二月二日でありますが、捜索救助活動のために奄美空港に飛来したMV22オスプレイの一機に整備の必要性が生じたということであります。

 通常、飛行前、飛行後には安全確保のため入念な点検を行うものと承知しておりまして、その際、整備の必要が生じたということであると承知をしているところであります。

新垣委員 救助活動、人員輸送ということなんですが、事故が起こった後にまた不具合ということですから、やはりオスプレイというのは欠陥機なんだろうなと思っております。ですから、オスプレイに対しては、本当に、国としてしっかりアメリカ側に言うべきことは言う、その姿勢が私は重要だろうと思っています。

 そして、オスプレイが落ちたときの件なんですが、オスプレイの機体には放射性物質が使われていることが指摘をされております。二〇一六年十二月、普天間飛行場所属のMV22が名護市安部海岸で墜落した際には、日米地位協定十七条に基づく捜査権、米軍財産の保全を理由に、事故現場に規制線を張った上、防護服を着込んだ米軍関係者らが機体の回収作業に当たっているんです。

 今回の屋久島の事案では、民間漁船の漁師さんが、墜落、大破した機体の一部と見られる残骸を防護服や防護マスクなしで、いわばふだんどおりの格好で回収をしているんです。機体に触れても危険性はないことを米側に確認を取った上で回収作業に当たってもらったのかどうなのか、また、民間漁船が救助捜索活動に加わるに当たって、漁師さんらにどのような説明がされたのか、捜索依頼に至る経緯と併せて、海上保安庁さらには防衛省にお伺いをしたいと思います。

大和政府参考人 まず、放射性物質の方から申します。

 一般的に、航空機のエンジン点火装置などに放射性物質は広く使用されているところでありまして、オスプレイのエンジン点火装置にも他の航空機と同様に放射性物質のクリプトンが使用されております。

 その上で申し上げますが、航空機のエンジン点火装置に使用されている放射性物質であるクリプトンは希ガスであることから、水や食品の中に蓄積されることはなく、装置の中のクリプトンから放出される放射線量も極めて小さいことから、人体や環境への影響について問題ないレベルであるというふうに認識しております。

 それから、今回の捜索に当たってでございますけれども、米側に改めて確認しましたところ、機体の残骸等について、汚染や人体への危険がないとの回答が得られたため、その旨、屋久島漁協の組合員や関係機関の方に御説明をしているところであります。

彼末政府参考人 お答え申し上げます。

 海上保安庁では、事故発生の第一報を受け、直ちに巡視船艇、航空機を発動するとともに、地方水難救済会の屋久島町救難所を含む関係機関等に対し、本件事故に係る情報共有を行っております。これを受け、現場海域においては、屋久島町救難所に所属する地元漁船も捜索救助活動に当たっていただいております。

 現場海域での捜索に当たっては、救助に当たる側の安全確保の観点からも、防衛省等の関係機関から、機体の一部と思われる残骸等の安全性について情報収集を行った上で、屋久島町救難所等に対し、危険物はない旨の情報提供を行っております。

新垣委員 これはあれですか、海面に落ちたので、放射性物質が若干あっても大したことはないという認識なんですか。

大和政府参考人 先ほど申しましたとおり、エンジン点火装置等に含まれているクリプトンというのは希ガスでありまして、水や食品の中に蓄積されることはない、そして、装置中のクリプトンから放出される放射線量も極めて小さいということでありまして、人体や環境への影響について問題ないレベルである、こういうことであります。

新垣委員 では、次に、二〇一六年、名護市安部へのMV22の墜落、そして二〇〇四年、沖縄国際大学へのCH53Dの墜落、炎上、二〇一七年、東村高江へのCH53E不時着、炎上事故のいずれも、事故現場には警察や海保、そして地元の首長、国会議員も入れない状況でした。特に、沖縄国際大学への墜落事故当時、唯一規制線の内側に入れたのは、大学構内に宿営する米兵から注文を受けたピザ屋の配達員だったとか。全くもって笑えない皮肉な話なんです、これ。全然日本側には触らせなかったという現実があります。

 ただ、米軍機墜落事故で、これは一九〇〇年の時代ですが、米側が日本の警察の現場検証を認めた例もあるんですね。一九六八年、福岡、九州大学へのファントムの墜落、一九七七年の横浜市への同じくファントムの墜落などですが、ただ、これまで、沖縄における米軍機の墜落事故で、米軍と県警が合同で機体や現場の検証に当たった事例はあるのかどうなのか。よろしくお願いします。

渡邊政府参考人 お答えします。

 御質問につきましては、平成二十年十月に沖縄県名護市で発生いたしましたセスナ機が墜落した事件に係る捜査におきまして、沖縄県警察が米軍の協力を得てセスナ機の機体の検証を行うなどした例があると承知しております。

 この事例を除きましては、把握しておりません。

新垣委員 それは私も確認をしております。セスナ機だったから合同でやったと思うんですね。恐らく、これが米軍機だったら、全く触らせない、規制線を張って、全く日本側にタッチさせないという状況だったと思うんですね。ですから、恐らくないんですよ、米軍機が落ちた場合は。ですから、これも私は地位協定の大きな壁なのかなと思っています。

 ですから、是非この辺は改善を、地位協定の見直しというんですかね、改善をしないと、こういう事故が起こるたびにいろんな問題が出てくるというふうに思っているので、是非、外務大臣、地位協定の改定について、お考えがあればお願いします。

上川国務大臣 本件の事案につきまして、我が国領海内で発生したということでございまして、海上保安庁におきましても所要の捜査が行われていると承知をしているところでございます。

 今般の事故におきましては、事実関係の確認に向けまして、日米双方で緊密に連携して対応してきておりまして、これまでの対応におきましては何ら問題は発生していないと承知をしているところでございます。

 その意味で、今の枠組みの中で、外務省としても、関係省庁や米側とも緊密に連携して対応してまいりたいと考えております。

新垣委員 ちょっと質問を飛ばしたいんですけれども、今の関係で、日米地位協定合意議事録の第十七条10の(a)及び10の(b)に関し、日本の当局は、「所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行なう権利を行使しない。」とあります。続いて、ただし、合衆国軍隊の権限のある当局が、日本国当局による検証に同意した場合は、この限りではないとあるんですよね。

 次の段落で、日本国内にある合衆国軍隊の財産について、捜索、差押え又は検証を行うことを日本国の当局が希望するときには、「合衆国の軍当局は、要請により、その捜索、差押え又は検証を行なうことを約束する。」というように書かれています。

 今回の屋久島への墜落事故において、米軍当局に捜査権の行使を希望したのかどうなのか。

上川国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、本件事案につきましては、領海内で発生したものであるということでございますので、海上保安庁におきまして所要の捜査が行われていると承知をしているところでございます。(発言する者あり)

簗委員長 不規則発言はおやめください。お控えください。

新垣委員 そうなると、米軍に対しては捜査権の行使の希望はしていないということでいいんですか。

有馬政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から申し上げましたとおり、本件事案は、我が国領海内で発生したものであることから、海上保安庁において所要の捜査が行われていると承知しております。

新垣委員 やはり、こういう事故にあるときは、捜査権の行使を希望したら米側は受け入れるというわけですから、やはりその辺はしっかり行使をすべきだろうと私は思います。そうじゃないと、いつまでも地位協定が変えられない状況の中で、せっかくこういうチャンスというんですか、機会はあるわけですから、しっかりそれはやっていただきたいなというふうに思います。

 続いて、嘉手納以南の米軍基地の返還が当初予定より大幅に遅れているために、自治体が策定する返還跡地利用計画の障害になっております。

 二〇一三年四月に日米合意された沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画、嘉手納以南の土地の返還に関する統合計画ですが、付表Aには、例えば普天間飛行場が「二〇二二年度又はその後」といった形で、返還時期が示されておりますが、既にめどとなる返還時期を過ぎているものが大半なんですね。統合計画の「概観」には、「付表Aにおける施設・区域の返還時期は、日米両政府により、三年ごとに更新され、公表される。」とあります。これまで更新されたことはあるんでしょうか。

大和政府参考人 政府といたしましては、目に見える形で沖縄の負担軽減を実現するため、日米間で緊密に連携しながら沖縄統合計画を着実に実施し、嘉手納以南の土地の返還を進めているところであります。

 沖縄統合計画においては、御指摘があったとおり、返還対象となっている在日米軍施設・区域の返還時期が記載されておりまして、具体的な年度に続けて「又はその後」と併せて記載されているところであります。これまで統合計画が更新されたことはありませんが、防衛省においては、現在、可能な限り速やかに返還を実現するよう、統合計画に記載された手順に従い、必要な工事などを着実に進めているほか、日米間で様々な調整、協議を行っているところであります。

 いずれにいたしましても、防衛省としては、嘉手納以南の土地の返還を始め、沖縄の基地負担軽減に引き続き全力で取り組んでまいります。

新垣委員 更新はされていないということですが、なぜ更新されないのかが非常に不思議でしようがないんですね。負担軽減と今おっしゃっていたんですが、余り負担軽減にはなっていないというのが現状であります。ですから、やはり、統合計画、「概観」にあるような形で返還時期をしっかり示さないと、各市町村、そして県もそうなんですが、なかなか返還計画が立てられない、いつになるのか分からないという状況であります。

 特に普天間飛行場は二二年度又はその後という形で、それぞれの施設にその後がつくんですよね。だから、全くめどが立たないという状況で、非常に県内市町村からもどうにかしてくれというような声が上がっていますので、是非、今後、更新に向けてしっかり日米間で話し合って、早急に返還のめどがつくような形の表示をしていただきたいなというふうに思います。

 そして、米軍と自衛隊の一体化、融合化が進み、嘉手納以南の基地返還や自衛隊の南西シフトが進む中、在沖米軍基地の機能も大きく様変わりしようとしております。

 日米地位協定に基づき提供された在沖米軍基地の使用条件や期間などを日米間でまとめたものとして、五・一五メモがあります。これは、一九七二年、復帰時に日米合同委員会で合意されて以来、一言一句変わっていないんですね、この五・一五メモ。二百六十ページあったと思います。

 近年では、那覇軍港における普天間飛行場所属ヘリやオスプレイの飛来、嘉手納基地や津堅島訓練水域におけるパラシュート降下訓練など、五・一五メモにない訓練が常態化しており、記載内容と運用実態にずれが生じているのではないかと多くの県民が疑念を持っているのが現実であります。

 また、先ほど触れた統合計画に書かれている返還条件に基づく移設が進めば、五・一五メモに記載のない機能が新たに付される米軍基地も出てきます。

 今後生じてくるであろう統合計画と五・一五のそごについて、どう整合性を持たせていくおつもりなのか、大臣にお尋ねしたいと思います。

木原国務大臣 御指摘のいわゆる五・一五メモでございますが、昭和四十七年ですから、一九七二年の五月十五日の日米合同委員会合意でありまして、沖縄における在日米軍の各施設について、その使用主目的などを定めたものであると承知しております。

 現在、防衛省として、嘉手納以南の米軍施設・区域の返還に向けて全力で取り組んでいるところですが、今後、機能の移設、土地の返還が実現していく際に五・一五メモをどのように取り扱うべきか、現段階で予断を持ってお答えすることは差し控えますが、嘉手納以南の返還の実現に向けて、米国と一層緊密に連携しながらしっかりと進めてまいる所存です。

新垣委員 これは大変重要な、沖縄県にとっては重要な課題というか問題ですので、是非ともに早急な対応をお願いしたいなと思います。

 続いて、PFOSの件なんですが、沖縄県企業局が県内二十八受水市町村に対する水道供給単価を三割程度引き上げる条例改正案を、今開会中の県議会、十一月定例会に提出をしております。

 近年のエネルギー価格高騰に伴う電気料金の値上げや老朽化施設の更新等を受けたもので、水道水の安定供給のために避けられない事情がある一方で、引上げ分にはPFOS等の対策費も含まれております。

 県企業局が水道水供給事業において実施するPFOS等の対策は嘉手納基地に起因する可能性が極めて高いことは、これまでの県実施の各種調査からも疑いようがありません。在沖米軍基地の提供が日米安全保障条約に基づく国策である以上、PFOS等の対策費用は当然国が負担すべきだろうと考えるんですが、防衛省の見解をお聞きしたいと思います。

大和政府参考人 まず最初に申し上げますが、現時点において、PFOS等の検出と在日米軍との因果関係について確たることを申し上げることは困難であります。

 その上で申しますが、防衛省は、環境整備法に基づいて、防衛施設の設置又は運用により周辺地域に障害が生じる場合に、その緩和に資するため地方公共団体が行う施設整備に対して補助を行っています。例えば、令和元年度から、この法律に基づきまして、沖縄県が行う北谷浄水場の設備改良事業に補助を行っています。

 繰り返し申しますが、現時点で米軍施設とPFOS等の検出との因果関係について確たることを申し上げることは困難でありまして、この補助はPFOS等による障害を理由とするものではございません。北谷浄水場は、嘉手納飛行場などに飲料水を供給しております。この事業は、嘉手納飛行場等への水の供給により浄水場にかかってきた負荷を措置するとともに、嘉手納飛行場等への飲料水の供給を継続的かつ安定的に行うために必要な事業でありまして、こういった観点から防衛省として補助金を交付しているものであります。

 いずれにせよ、防衛省としては、地方公共団体から御要望があれば、お話を丁寧に伺いながら、防衛施設の設置又は運用による障害の実態などを踏まえて適切に対応するとともに、PFOS等をめぐる問題については、引き続き、関係自治体や関係省庁と緊密に連携しながら、必要な対応をしっかり行ってまいります。

新垣委員 今、基地とPFOSと因果関係がはっきりしないということなんですが、ならば、基地への立入調査を認めていただきたい、今これは県もお願いしているところですが。そうじゃないと、今、嘉手納、そしてほかの基地からも、PFOSは確実に出ている、これはもう民間で調査をしているんですが。それが因果関係がはっきりしないというのであれば、是非立入りも認めていただきたいなということを強く要望しておきたいと思います。

 最後に、このPFOSの問題ですが、せめて嘉手納基地への関係当局の立入調査が実現をし、因果関係の有無が証明されるまでの期間だけでも沖縄県企業局のPFOS対策費を国の責任で支援できるように、関係省庁と予算措置に向けた協議に是非入ってもらいたいなということを強く要望したいと思います。

簗委員長 答弁はいいですか。要望ですか。

新垣委員 はい。

簗委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 今までちょっと憲法審査会に出ておりまして、戻ってきたら、米軍が世界中のオスプレイの全機飛行停止を求めているというニュースに接しました。それに関連した質問は後ほどやっていきます。説明もそのときに防衛大臣にはお願いしたいと思うんですが、ただ、これまでのオスプレイの墜落に関する日本政府の対応については、検証すべき問題が幾つかあると思います。そこから防衛大臣には問うていきたいと思います。

 十一月二十九日、米軍のオスプレイが鹿児島県屋久島沖に墜落をしました。

 防衛大臣に伺いますが、政府は、二〇一六年、名護市安部に墜落したときは、安全が確認されるまでの飛行停止、これを米側に申し入れました。安全が確認されるまでという曖昧な内容ではありましたが、それでも、飛行停止、これ自体は明示的に求めておりました。言及していました。ところが、今回は、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うことを申し入れただけであります。飛行停止には言及をしていません。なぜ飛行停止に言及しなかったんですか。

木原国務大臣 まずは、今回のような事故の発生は、地域の皆様に大きな不安を与えるものであり、誠に遺憾であります。

 米側に対しては、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請するとともに、事故の状況等について早期の情報提供を求めておりました。

 二〇一六年の話もございました。名護市沖のオスプレイの事故の際は、防衛省から米側に対し、御指摘のように、安全が確認されるまでの飛行停止を要請いたしました。

 今回の事故に際しても、米側に対し、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請をしておりまして、飛行に係る安全が確認されなければ飛行を行わないということを明確に求めているというところであります。

赤嶺委員 全然違いますよね。

 二〇一六年のときには飛行停止を明示的に求めていたわけですよ。今回はなぜそれを求めなかったのか。飛行停止という文言で明示的に求めていないわけです。要請内容を変えたわけですよ。その要請内容を変えた理由、これを明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。

木原国務大臣 二〇一六年は安全が確認されるまでの飛行停止を要請、今回は、直接的な表現は異なるものの、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう要請、つまり、飛行に係る安全が確認されなければ飛行を行わないということ、これを明確に求めていたというところであります。

赤嶺委員 つまり、考えなければ分からないんですよ。

 安全が確認されてから飛ぶようにということは、やはり、はっきり飛行停止ということを求めた場合には、米軍も、ああ、そうかということになるわけですが、政府は安全を確認してから飛行するよう求めたとはいえ、事故原因は明らかになっていないわけです。明らかになっていないにもかかわらず、安全を確認するとは、どういうことを確認するよう求めたのか、これも分からないわけですね。

 事故原因が明らかになっていない以上、一般的な確認にならざるを得ないのではないかと思いますが、いかがですか。

大和政府参考人 先ほど大臣から御答弁があったように、今般の事故発生を受けて、防衛大臣、外務大臣からの要請も含め、国内に配備されたオスプレイについて、飛行に係る安全が確認されてから飛行を行うよう正式に要請しております。それから、防衛大臣が在日米軍司令官と会った際にも、原因の究明というものを求めているところであります。

 そして、これらの要請を踏まえて、アメリカからは、まず一日に、今般事故を起こしたCV22の飛行を現在行っていないということ、それから、事故に関する可能な限り詳細な情報を透明性を持って日本政府に共有する旨、説明がございました。また、日本に配備されている全てのオスプレイは、徹底的かつ慎重な整備と安全点検を行った上で運用されているという説明を受けたところであります。さらに、全てのオスプレイの部隊は、CV22の事故をしっかり踏まえた上で、安全点検及び予防的な整備を行っているとの説明を受けています。

 そして、先ほど大臣から御説明いたしましたが、日本時間の七日の九時台に、空軍からCV22の全機の運用停止ということ、そして、これを受けて、米海軍、米海兵隊が全てのオスプレイの運用を停止したということを発表したところであります。

 いずれにせよ、米軍機の運用に当たっては、飛行の安全を確保することが最優先でありまして、今回の措置も含めて、今、詳細を確認しているところでございます。

赤嶺委員 今回の要請については、大臣、自衛隊の関係者からも疑問の声が上がっているわけですね。安全が確認されてからと言うけれども、自衛隊員は日々、安全確認をしてから飛んでいるわけですよね。一体、安全確認と言うけれども、大臣、何を求めているのかさっぱり分からないというのが報道されているわけです。

 飛行停止にも明示的に言及せず、何を求めたかも分からないような要請だから、国防総省の報道官の、正式な要請は受けていないなどという発言につながったのではないかと思います。

 沖縄では、墜落後も、何事もなかったかのように、住民の頭上をオスプレイが飛び回っていました。米軍の都合をおもんぱかるにもほどがある、こういう怒りが広がりました。

 鹿児島県は、事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまでは、オスプレイの飛行を停止することを求めています。沖縄県も同じです。住民の命に責任を持つ立場からすれば、これは当然のことです。

 今朝の報道で、米軍は、独自の判断として、世界に配備している全ての種類のオスプレイの飛行停止を決めたことが報じられております。その点の事実関係、改めて政府として、事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまで、オスプレイ全機飛行停止を継続するようアメリカに求めるべきだと思います。大臣、いかがですか。

木原国務大臣 事実関係ということでございますけれども、米空軍が日本時間の七日の九時台に、調査が継続している中、リスクを軽減するため、米空軍CV22オスプレイの運用停止を指示した、そして、初期的な調査情報は、潜在的な物質的不具合が事故を引き起こしたことを示唆しているが、根本的な原因は現時点で不明である、この運用停止はCV22が飛行活動に復帰することを確保するための原因と推奨策を導き出すための徹底的な調査を行う時間を与えるものである旨をホームページで発表しております。

 さらに、これを受けて、米海軍及び米海兵隊は、その米空軍の決定を受けて、全てのオスプレイの運用停止措置、つまり、海軍の場合はCMV22、そして海兵隊の場合はMV22でございますが、全てのオスプレイの運用停止措置を導入しているところである旨を同様に発表をいたしました。

 そして、私どもでございますけれども、米側に対しては、事故の状況等について早期の情報提供を求める中で、事故の原因究明についても要請しているところであります。

 飛行の安全の確認を行う中にあっても、事故に関する可能な限りの情報も透明性を持って共有されていたものというふうに認識しております。飛行を行うに当たりましては、その飛行に係る安全が確認されることが何よりも重要であるという、そういう認識は日米間で共有されているところであります。

赤嶺委員 ですから、日本は、アメリカがそういう措置を取るまで、海兵隊のMVオスプレイはじゃんじゃんじゃんじゃん飛ばしていたわけですよ。事故が起きたその日も住宅地上空を飛んでいたわけですよ。

 今度こそ、アメリカに対して、事故原因が究明され、再発防止策が講じられるまで、オスプレイ全機の飛行停止は継続するようアメリカに対して求めるべきだと思いますが、アメリカの説明をまつまでもなく求めるべきだと思いますが、その点、いかがですか。

木原国務大臣 米側に対しては、事故の状況等についての早期の情報提供を求める中で、事故の原因究明についても要請をしております。

 飛行の安全の確認を行う中にあっては、事故に関する可能な限り詳細な情報も透明感を持って共有されるものというふうに認識をしております。

 防衛省としては、飛行の安全が確認されることが何よりも重要であるということを十分に踏まえて、今後、適切に対応してまいる所存です。

赤嶺委員 オスプレイは、開発段階から墜落事故を繰り返してきた危険極まりない欠陥機であります。オートローテーションの機能の欠如、あるいはクラッチの不具合などの構造的欠陥を抱え、日本に配備されてからも墜落とトラブルを繰り返してきました。

 これまでに何件の墜落、緊急着陸、部品落下を引き起こしていますか。

大和政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国内における米軍オスプレイの事故、それから緊急着陸等の件数は、これまで三十四件発生しておりまして、うち、予防着陸が二十三件、緊急着陸が一件、部品落下等が七件、不時着水が一件、墜落が一件、そして、脚、ギアですね、脚を出すことができず、パッド上に着陸したものが一件というふうになっております。

 なお、この中での不時着水については、平成二十八年、二〇一六年十二月十三日、沖縄北東の海上で、夜間、空中給油訓練を実施していた米海兵隊MV22のプロペラがMC130の給油ホースと接触したことにより、名護市の沖合に不時着水したものであります。

赤嶺委員 名護市安部のことをまだ不時着水と言っていますけれども、名護市への最初の連絡は墜落だったんですよ、防衛省からも、米軍からも。それをまだ、いまだに不時着水と言い換えている。本当に、私は、この態度が絶対に納得いきません。

 国民の不安と反対の声を押し切って米軍基地への配備を容認して自衛隊への導入を進めてきた日本政府の責任は極めて重大だと思います。

 そればかりか、米軍の運用最優先で、飛行停止さえ求めなくなっています。こんな対米従属姿勢で、国民の命を守れるはずがありません。住民の頭上をいつ墜落するかも分からない欠陥機が飛行し続ける現状をこれ以上放置することは許されません。オスプレイは全面撤去すべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 次に、武器輸出の拡大についてです。

 政府・与党は、安倍政権が二〇一四年に策定した防衛装備移転三原則と同指針を見直し、殺傷兵器の輸出解禁に踏み切ろうとしています。

 外務大臣に伺いますが、アメリカ政府は、今回のハマスによる攻撃直後から、イスラエルに対する武器の供与を拡大しています。どういう武器を供与しているのか、日本政府はそれについてどのような見解なのか、明らかにしていただけますか。

上川国務大臣 御質問でございます、第三国間の関係につきまして日本政府としてコメントすることにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。

赤嶺委員 答弁を控えさせてもらうということですが、迎撃ミサイルや精密誘導弾や軍用車両、暗視機器など、次々とアメリカからイスラエルに送られていることは、報道でも明らかです。さらに、今アメリカで審議中の補正予算には、ウクライナとイスラエルへの十六兆円の軍事支援を盛り込んでいます。人道目的の戦闘休止が必要と言いながら、軍事攻撃を継続するための支援は着々と進めているわけです。

 今、与党のワーキングチームで、いわゆるライセンス品の輸出解禁が議論されております。国内企業がアメリカのライセンスを使用して製造した戦闘機やミサイルなどの完成品を、ライセンス元のアメリカやそれ以外の国に輸出可能にするというものです。

 今、アメリカは、ウクライナやイスラエルへの軍事支援で、武器や弾薬が不足してきています。日本からライセンス品の輸出を解禁すれば、日本製品の殺傷兵器が直接紛争地で使用される可能性が出てきます。外務大臣は、そうしたことをお認めになるんでしょうか。

上川国務大臣 防衛装備移転三原則や運用指針を始めとする制度、この見直しの内容につきましては現時点で決まっておりませんで、仮定の質問に対して予断を持ってお答えすることはなかなか困難であると考えております。

 いずれにいたしましても、今後どのような形で制度の見直しを行っていくかにつきましては、国際情勢の変化を見据えながら、与党における検討も踏まえまして、政府として適切に判断していく考えでございます。

赤嶺委員 私は、今回、報道によりますと、国民の批判を恐れてか、戦闘行為が行われている国、地域を輸出対象から除外すると言い出しています。しかし、アメリカの在庫不足を補うために輸出するのであれば、アメリカによる紛争地への輸出を後押しするようなものです。

 今、日本の軍需産業は、安保三文書に基づく軍拡で、生産ラインを次々と拡大していることが報じられています。一旦拡大した生産体制は、一体どうやって維持していくのか。戦争で自国の経済を潤すような国になってはなりません。殺傷兵器の輸出解禁は絶対にやるべきではないということを強く申し上げたいと思います。

 最後に、イスラエル、パレスチナ紛争についてです。

 イスラエル軍は、今月一日、ガザでの戦闘を再開しました。ガザ全域で空爆を激化させ、住民を避難させた南部にも地上戦を拡大しています。逃げ場のない状況に置かれ、子供たちを含む民間人の犠牲者が更に拡大しています。イスラエルのネタニヤフ首相は、ハマスを壊滅するまで戦争を継続することを明言しています。

 今回の軍事衝突の直接の契機となったハマスによる無差別攻撃が絶対に許されないことは明らかです。しかし、同時に、こうした事態が起こった根底には、イスラエルが、国連決議も無視してヨルダン川西岸とガザを占領下に置き、パレスチナ住民を排除しながら入植地を拡大してきたことがあります。ガザに対しては、分離壁で封鎖して、天井のない監獄と呼ばれる非人道的な状態をつくり出し、度重なる空爆で多くの住民を犠牲にしてきました。

 外務大臣は、こうしたイスラエルによる占領や入植、封鎖については、どのような見解ですか。

上川国務大臣 我が国といたしましては、この入植活動は国際法違反でありまして、二国家解決の実現を損なうとの立場でございます。この間、イスラエルに対しましても、入植活動を完全凍結するよう強く求めてまいりました。

 ガザ地区の状況につきましては、深刻化の一途をたどっておりまして、一般市民、とりわけ未来ある子供たち、また女性、高齢者を含む多くの死傷者が発生していることに、大変心を痛めている状況でございます。

 そうした中におきまして、戦闘休止、人質の解放及び人道支援物資のガザ地区への搬入増大を歓迎していたところでございますが、戦闘が再開されたことは誠に残念でございます。戦闘再開により、現地の危機的な人道状況が更に深刻化することを強く憂慮しているところでございます。また、ハマス等によりまして誘拐され、長期にわたりまして拘束されている方々も、極めて厳しい状況に置かれております。

 こうしたことから、こうした危機的な人道状況の改善、そして事態の早期鎮静化を実現するためには、合意への復帰が重要でありまして、再度の戦闘休止に向けた関係者への働きかけなどを通じまして、我が国としても、外交努力を払ってまいりたいと考えております。

赤嶺委員 パレスチナ住民の怒りは、長期にわたるイスラエルによる占領、入植、封鎖、殺りくという不正義に対して向けられたものです。

 外務大臣は、イスラエルに対し、自国を守る権利があると繰り返し伝えてきていますが、軍事力の行使は暴力と憎しみを一層拡大することになると思いますが、この点はいかがですか。

上川国務大臣 今次の事案の経緯、また複雑な背景事情等に鑑みまして、停戦に至るまでは、引き続き一つ一つの成果を積み重ねていく必要があるというふうに考えておりまして、まさに、我が国は、人道目的の戦闘休止と人道支援の活動が可能な環境の確保に向けまして、尽力してまいったところでございます。

 現下の人道危機の状況に大変憂えているところでございまして、あらゆる場、安保理、そして様々なG7の取組、さらには二国間の関係、こうしたことを通じまして、一日も早く状態が改善できるような取組につきましては、粘り強い外交努力を重ねてまいりたいと考えております。

赤嶺委員 二〇二一年の軍事衝突以降、イスラエル国内のユダヤ人とアラブ人約一千人を対象に世論調査を続けてきたというヘブライ大学のエラン・ハルペリン教授のインタビューが報じられていました。ハルペリン教授は、対立の背景として、ユダヤ人とアラブ人の双方が、集団的に強い被害者意識を持っていることを挙げています。そして、占領下でパレスチナ住民を排除しながら入植地を拡大してきたことがあります。

 是非、その双方の平和的な和解のための努力、戦闘を停止することをイスラエルにきちんと要求して、双方の和解のための努力を尽くすことこそ、憲法九条を持つ日本の国の役割ではないかと思います。

 これを要請しまして、質問を終わります。

簗委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


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