衆議院

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第1号 平成29年2月17日(金曜日)

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本国会召集日(平成二十九年一月二十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      井林 辰憲君    伊藤信太郎君

      小島 敏文君    白石  徹君

      助田 重義君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      河野 正美君    木下 智彦君

      玉城デニー君

平成二十九年二月十七日(金曜日)

    午後零時十分開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    木村 弥生君

      小島 敏文君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    田中 和徳君

      比嘉奈津美君    藤原  崇君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣

   国務大臣

   (原子力防災担当)    山本 公一君

   環境副大臣        関  芳弘君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府特別補佐人

   (公害等調整委員会委員長)            富越 和厚君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十日

 辞任         補欠選任

  木下 智彦君     小沢 鋭仁君

同月二十六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     木村 弥生君

二月十七日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     瀬戸 隆一君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     白石  徹君

    ―――――――――――――

一月二十日

 原子力災害対策特別措置法の一部を改正する法律案(田嶋要君外三名提出、第百八十九回国会衆法第三〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 環境の基本施策に関する件

 公害紛争の処理に関する件


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 環境の基本施策に関する事項

 地球温暖化の防止及び低炭素社会の構築に関する事項

 循環型社会の形成に関する事項

 自然環境の保護及び生物多様性の確保に関する事項

 公害の防止及び健康被害の救済に関する事項

 原子力の規制に関する事項

 公害紛争の処理に関する事項

以上の各事項につきまして、その実情を調査し、対策を樹立するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

平委員長 環境の基本施策に関する件及び公害紛争の処理に関する件について調査を進めます。

 この際、環境大臣から所信を聴取いたします。山本環境大臣。

山本(公)国務大臣 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の山本公一でございます。

 第百九十三回国会における衆議院環境委員会の御審議に先立ち、環境政策及び原子力防災に関する私の考えを申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いいたします。

 現在、環境行政の柱としては、大きく、東日本大震災からの復興・創生と循環共生型社会の構築の二つを基軸に考えております。

 まず、東日本大震災からの復興・創生について申し上げます。

 東日本大震災からことしの三月で六年が経過します。引き続き、被災地の復興を最優先の課題とし、取り組んでいかなければならないと考えております。

 復興のさらなる加速化に向け、まずは、本年三月までに除染実施計画に基づく面的除染を完了させるべく取り組みを進めてまいります。

 中間貯蔵施設については、昨年、土壌貯蔵施設等の本格的な施設の整備に着手いたしました。本年も引き続き、施設の整備と除染土壌等の継続的な搬入を着実に進めていきます。

 また、住民の方々の放射線に係る健康管理や健康不安への対応についても、福島県の県民健康調査への支援、疾病の動向の把握、地域のニーズに合ったリスクコミュニケーション事業の推進などの取り組みを適切に進めてまいります。

 帰還困難区域については、復興拠点の整備につき福島復興再生特別措置法の所要の改正がなされた上で、必要な役割を果たしてまいりたいと考えております。

 指定廃棄物については、各県それぞれの状況を踏まえつつ、引き続き、安全な処理の実現に向けて地元と調整を進めてまいります。

 さらに、放射性汚染物質対策を担う各組織を廃棄物・リサイクル部門とあわせて一元化する等の機構改革を行い、復興・創生を加速してまいります。

 まだまだ困難な課題がありますが、私は、被災地の皆様との信頼関係こそが一番大切であると考えています。何よりも被災地の皆様の思いに寄り添いながら、引き続き、誠心誠意取り組んでまいります。

 次に、循環共生型社会の構築について申し上げます。

 大きく、地球温暖化対策、自然の保全、活用と生き物との共生、資源循環の実現と安心、安全の確保という三つの柱から成ります。

 まずは、待ったなしの地球温暖化対策について申し上げます。

 昨年は、パリ協定が早期に発効するとともに、国連気候変動枠組み条約第二十二回締約国会議、COP22において、各国が一致団結して温暖化対策に取り組むというかたい決意を確認した年でした。世界は既に、産業革命以前と比べて平均気温の上昇を二度より十分低く保つとともに、一・五度に抑える努力を追求することを目的とするパリ協定の実現に向けてかじを切っており、私も会議に参加し、その潮流は変わらないものと確信しています。その中において、我が国は引き続き中心的な役割を果たしてまいります。

 温室効果ガスの長期大幅削減に必要な技術、製品、サービス等の将来市場は巨大なものとなります。技術、経済社会、ライフスタイルのイノベーションを通じて低炭素投資を拡大し、この市場を獲得し、経済戦略の重要な要素として気候変動対策を進めてまいります。その際、環境先進国である我が国が相応の責任を果たし、高い国際競争力を維持し、世界全体の削減にも継続的に貢献していく上で、国内での大幅削減を実現していくことが欠かせません。

 このため、まずは、昨年五月に閣議決定した地球温暖化対策計画に基づき、国内での温室効果ガスを二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減する目標の達成に向け、徹底した省エネルギーの推進や最大限の再生可能エネルギーの導入、代替フロン対策、民生や運輸を初めとする各部門別の取り組み、ESG投資など環境金融の充実強化、低炭素なライフスタイルや製品等の選択を促進する国民運動等を進めてまいります。我が国が有するすぐれた技術を生かして、二国間クレジット制度等も活用しながら、国内のみならず世界全体での削減に貢献し、我が国のさらなる経済成長につなげてまいります。

 また、二〇五〇年までに八〇%削減することを目指し、環境省として長期低炭素ビジョンの策定を進め、政府全体での長期低排出発展戦略の策定につなげてまいります。今後の中長期的な排出の大幅削減と新たな経済成長のための有効な手段の一つであるカーボンプライシングについて検討を進めてまいります。

 さらに、温暖化の影響が顕在化しつつある中、適応策についても、国内、国際両面で進めてまいります。

 次に、自然の保全、活用と生き物との共生に向けた取り組みについて申し上げます。

 二〇一六年には、推計約五百四十六万人の訪日外国人が国立公園を訪れました。これを、自然環境の保護と両立した上で、大胆な利用の拡大を図り、二〇二〇年には一千万人の方々に日本の自然に親しんでいただくことを目指す国立公園満喫プロジェクトを進めます。

 まずは、八カ所の国立公園において、昨年末までにステップアッププログラム二〇二〇が策定されました。これに基づき、すぐれた自然環境の保全を前提とし、自然の魅力を最大限引き出す取り組みや、快適な利用環境の整備等を進め、世界水準のナショナルパークへと改革していきます。

 また、人と自然との共生を目指し、生物多様性条約の愛知目標の達成に向け、生物多様性を確保するための取り組みを進めます。

 まず、希少種の保全や遺伝子組み換え生物の使用等の規制をさらに図るため、今国会に、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案及び遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律の一部を改正する法律案を提出します。また、鹿やイノシシなどによる被害を防止するための鳥獣管理を推進するとともに、外来種の防除などに取り組みます。さらに、災害時の対応も念頭に、ペットの適正飼養などを進めます。

 次に、資源循環の実現と安心、安全の確保に向けた取り組みについて申し上げます。

 将来にわたり地域社会、暮らしを支えるため、更新時期を迎えつつある一般廃棄物処理施設の整備については、地域の需要に的確に応えられるよう、広域化、集約化を図りつつ、早急かつ適切に支援を進めてまいります。あわせて、浄化槽についても普及を進めます。

 また、熊本地震や台風十号などによる災害廃棄物の処理について、全力で支援を行ってまいります。

 さらに、近年の災害の経験を踏まえ、災害が起こってから行動を起こすのではなく、今後想定され得る大規模災害もあらかじめ念頭に置いて、災害廃棄物の円滑な処理体制の確保及び処理施設の防災拠点化等の強靱化対策を進めてまいります。

 さらに、国内における廃棄物の適正処理の確保と、特定有害廃棄物の輸出入規制の適正化を図るため、今国会に廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案及び特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を提出します。また、使用済み小型家電からのリサイクルメダルの取り組みを初めとするスリーRの推進に取り組んでまいります。

 現在及び将来の世代が良好な環境の中で健康に暮らす、そのための安心、安全の基盤を確保するための取り組みは、環境省の原点であります。さまざまに存在する環境リスクの低減に向け、しっかりと取り組みを進めます。

 まず、水俣病を初めとする公害健康被害対策、石綿健康被害者の救済については、引き続き真摯に取り組みます。

 また、土壌汚染に関する適切なリスク管理を推進するため、今国会に土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を提出します。

 さらに、化学物質の環境リスクの低減に、より一層取り組みます。子供の健康と環境に関する全国調査、いわゆるエコチル調査については、息の長い取り組みとして引き続き着実に実施してまいります。

 水銀に関する水俣条約実施の対応に関して、国内での取り組みを着実に進めるとともに、途上国の水銀対策の支援等を通じて世界の水銀対策をリードしていきます。

 PCB廃棄物については、一番早い地域で来年度末にも処分期間を終えることから、その処分を確実に達成できるよう取り組みを進めます。

 依然として環境基準達成率の低い微小粒子状物質、いわゆるPM二・五については、モニタリング体制を強化するとともに、科学的知見の充実を図りつつ、排出抑制対策を推進します。あわせて、中国を初めとするアジア各国と大気汚染対策に関する協力を推進します。

 マイクロプラスチックを含めた海洋ごみ対策、瀬戸内海や琵琶湖の環境保全にも着実に取り組んでまいります。

 次に、原子力防災等について申し上げます。

 万が一の原子力発電所の事故に対応するため、内閣府特命担当大臣として、原子力防災に取り組みます。

 原子力防災会議を中心に、関係省庁を挙げて、地方自治体の地域防災計画、避難計画策定への支援、要配慮者への対応、防災資機材の整備への財政支援、原子力防災業務に携わる人材の育成など、きめ細かな取り組みを行います。

 原子力災害に対する備えに終わりや完璧はありません。今年度は、泊地域で冬季の訓練を含めた原子力総合防災訓練を実施しており、これらの防災訓練等を通じて、各地域の防災計画、避難計画の継続的な充実強化に努めてまいります。

 原子力規制に関しては、原子力規制委員会が、独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう、環境大臣としてしっかりとサポートします。

 また、今国会に、原子力利用における安全対策の強化のための核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等の一部を改正する法律案を提出しました。

 きのうよりきょう、きょうよりあした、未来に豊かな環境をしっかりと引き継げるよう、そして将来、子供や孫たちの世代に、我々が頑張ったから今の豊かな環境があるんだと思ってもらえるよう、私は全力を尽くしてまいります。

 以上、環境大臣として、また、原子力防災担当の内閣府特命担当大臣として、当面の取り組みの一端を申し上げました。

 平委員長を初め理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)

平委員長 以上で環境大臣の所信表明は終わりました。

 次に、平成二十九年度環境省所管予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。関環境副大臣。

関副大臣 平成二十九年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、一般会計予算では、総額三千二百六十六億円余を計上しております。

 以下、その主要施策について御説明申し上げます。

 第一に、地球環境保全対策については、昨年十一月にパリ協定が発効したこと等を踏まえ、国内及び世界全体での地球温暖化対策を着実に推進するとともに、気候変動の影響への適応策等に積極的に取り組んでまいります。そのために必要な経費として、一千三百八十八億円余を計上しております。

 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、廃棄物処理施設や浄化槽の整備、災害廃棄物対策、循環産業の育成や国際展開の支援、リデュース、リユース、リサイクルのいわゆるスリーRの取り組みの推進、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として、四百八十億円余を計上しております。

 第三に、自然環境の保全対策については、生物多様性の保全及び持続可能な利用に向けて、鳥獣保護管理の強化、希少種保護や外来生物対策の推進、国立公園や世界自然遺産などのすぐれた自然環境の保護と適正な利用の推進などに必要な経費として、百四十五億円余を計上しております。

 第四に、総合的な環境政策の推進については、環境、経済、社会が相互に高め合う社会経済の仕組みを構築するべく、事業活動や金融のグリーン化、環境教育施策の推進、実効ある環境影響評価の推進などに必要な経費として、三十三億円余を計上しております。

 第五に、公害健康被害対策等については、水俣病対策、公害健康被害補償制度や石綿健康被害救済制度の適正かつ円滑な実施、化学物質対策の着実な推進などに必要な経費として、二百九十五億円余を計上しております。

 第六に、大気、水、土壌環境等の保全対策については、微小粒子状物質、いわゆるPM二・五などの大気環境保全対策、漂流・漂着・海底ごみ対策、土壌汚染対策などの推進に必要な経費として、五十八億円余を計上しております。

 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発については、地球環境の保全、化学物質対策等に関する調査研究、技術開発の推進などに必要な経費として、四十億円余を計上しております。

 第八に、国民のニーズ、地域の実情に応じた環境政策を展開するため、地方環境事務所における経費として、六十億円余を計上しております。

 第九に、原子力安全の確保については、原子力規制委員会が行う原子力安全規制対策の推進に必要な経費として、四百二十八億円余を計上しております。

 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。

 まず、エネルギー対策特別会計予算では、総額一千九百六十七億円余を計上しております。

 以下、その内訳について御説明申し上げます。

 第一に、地球温暖化対策については、環境が経済を牽引する社会となることを見据え、家庭・業務部門を中心とした地域における再エネ及び省エネの普及、先導的技術の開発と社会実装、環境金融や社会システムの低炭素化、我が国の技術による世界の低炭素化への貢献などに必要な経費として、エネルギー需給勘定に、一般会計から一千三百五十四億円の繰り入れを行い、総額として一千五百三十四億円余を計上しております。

 第二に、原子力安全規制対策については、原子力安全規制のさらなる高度化及び原子力規制委員会の専門能力の強化等を図るために必要な経費として、電源開発促進勘定に、一般会計から三百二十六億円の繰り入れを行い、総額として四百三十二億円余を計上しております。

 次に、東日本大震災復興特別会計予算では、中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の適正管理、搬出等の実施、廃棄物の処理等の推進などに必要な経費として、復興庁所管予算に総額七千百九十九億円余を計上しております。

 以上が、平成二十九年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。

 最後に、各府省の平成二十九年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。

 政府全体の環境政策の効果的な実施を目的として取りまとめております環境保全経費については、平成二十九年度におけるその総額として、一兆八千七百八十四億円余を計上しております。

 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために五千百六十五億円余、生物多様性の保全及び持続可能な利用のために一千四百二十一億円余、物質循環の確保と循環型社会の構築のために八百七億円余、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために八百七十七億円余、大気環境の保全のために一千八百二十六億円余、包括的な化学物質対策の確立と推進のために四十六億円余、放射性物質による環境汚染の防止のために七千三百七十一億円余、各種施策の基盤となる施策等のために一千二百六十七億円余をそれぞれ計上しております。

 以上、平成二十九年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。

平委員長 以上で説明は終わりました。

 次に、平成二十八年における公害紛争の処理に関する事務の概要等について説明を聴取いたします。富越公害等調整委員会委員長。

富越政府特別補佐人 公害等調整委員会等が平成二十八年中に行った公害紛争の処理に関する事務について御説明申し上げます。

 まず、公害紛争の処理に関する事務についてでございます。

 第一に、平成二十八年に当委員会に係属した公害紛争事件は、合計五十三件でございます。

 主な事件といたしましては、空港を離着陸する航空機を増便する旨の計画案が実現すると、近隣において事業を営む申請人らの人格権及び財産権に対し、騒音により甚大な被害が生ずるとして、滑走路の供用制限等を求めた、東京国際空港航空機騒音調停申請事件、申請人らに生じた健康被害が、建設工事において土地を掘削した際に発生、拡散させた何らかの化学物質によるものであるとの判断を求めた、江東区における建設工事からの土壌汚染による健康被害原因裁定申請事件、水俣病と認定された患者とチッソ株式会社との間で患者個々人ごとに具体的な損害賠償額を定める水俣病損害賠償調停申請事件などがございます。

 また、平成二十八年中に終結した事件は、三十四件でございます。

 主な事件といたしましては、申請人らの家屋の損傷及び健康被害が工場から排出されるガスにより生じたとして損害賠償及び因果関係の判断を求めた、大東市における工場からの排出物質に係る大気汚染等による財産被害等責任裁定申請事件及び同原因裁定申請事件、油の漏えいによる土壌汚染をめぐる民事訴訟が係属中の大阪地方裁判所から、因果関係の存否について裁定を嘱託された、泉大津市における土壌汚染被害原因裁定嘱託事件などがございます。

 以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状の変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める申請が五件係属し、うち三件について手続が終了しております。

 当委員会では、公害紛争の迅速、適正な解決に向け、多様化、複雑化する公害紛争への着実な対応と公害紛争処理制度の利用の促進を図ってまいりました。

 具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、被害発生地などの現地で審問期日等を積極的に開催すること、事実関係を明らかにする事件調査の充実を図ること、国民や関係機関に本制度を積極的に周知することなどに努めてまいりました。今後もこうした取り組みを一層進めてまいります。

 第二に、平成二十八年に都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件は九十三件でございます。公害の種類別では、騒音に関する事件が多くなっております。これらのうち、同年中に終結した事件は五十二件でございます。

 第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情につきまして実態を調査いたしました結果、平成二十七年度の公害苦情の総件数は、前年度から約二千件減少して、約七万二千件となっております。

 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約五万一千件、それ以外の苦情は約二万二千件となっております。

 当委員会といたしましては、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体との情報交換などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。

 以上が、平成二十八年中に行った公害紛争の処理に関する事務の概要でございます。

 続きまして、公害等調整委員会における平成二十九年度歳出予算案について御説明申し上げます。

 当委員会の歳出予算額は、五億六千万円でございます。

 厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速、適正な解決に資するよう、第一に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため、現地で審問期日等を開催する経費として千二百万円、第二に、事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として三千二百万円をそれぞれ計上しております。

 以上が、公害等調整委員会における平成二十九年度歳出予算案の概要でございます。

 公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速、適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。

平委員長 以上で説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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