衆議院

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第11号 平成29年4月11日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十九年四月十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    岩田 和親君

      鬼木  誠君    木村 弥生君

      小島 敏文君    國場幸之助君

      助田 重義君    田中 和徳君

      中村 裕之君    比嘉奈津美君

      藤原  崇君    堀井  学君

      前川  恵君    菅  直人君

      田島 一成君    細野 豪志君

      松田 直久君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    小沢 鋭仁君

      河野 正美君    玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        関  芳弘君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         潮崎 俊也君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            高橋 康夫君

   参考人

   (早稲田大学法学部教授) 大塚  直君

   参考人

   (東京農工大学大学院工学研究院教授)       細見 正明君

   参考人

   (一般社団法人土壌環境センター技術委員会委員長) 鈴木 弘明君

   参考人

   (元大阪市立大学大学院経営学研究科教授)     畑  明郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     中村 裕之君

  小島 敏文君     國場幸之助君

  比嘉奈津美君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     比嘉奈津美君

  國場幸之助君     岩田 和親君

  中村 裕之君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     小島 敏文君

    ―――――――――――――

四月十一日

 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 土壌汚染対策法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、早稲田大学法学部教授大塚直君、東京農工大学大学院工学研究院教授細見正明君、一般社団法人土壌環境センター技術委員会委員長鈴木弘明君及び元大阪市立大学大学院経営学研究科教授畑明郎君、以上四名の方々に御出席いただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、大塚参考人、細見参考人、鈴木参考人、畑参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず大塚参考人にお願いいたします。

大塚参考人 早稲田大学の大塚でございます。本日は、このような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 土壌汚染対策法改正案につきまして意見を申し上げたいと思います。お手元のレジュメを御参照いただければ幸いでございます。

 時間の関係で、二の、現行法の問題点と課題のところからお話ししたいと思います。

 二〇〇九年改正後、土壌汚染対策法、以下では本法というふうに申しますが、には、なお問題点とか課題があることが明らかになってまいりました。主要な点は、これから申し上げるとおりでございます。

 第一に、本法の対象につきましては、自然由来の汚染が含まれるかどうかという問題がございまして、自然由来汚染につきましても本法の対象であることは明文で示す必要があると考えられます。

 第二に、調査の契機についてはなお問題が残されております。具体的には、土壌汚染状況調査の一時免除中または操業中の特定有害物質取扱事業場に関する都道府県等の調査結果によりますと、三割から五割の割合で土壌汚染が確認されました。このため、これらの段階におきましても、一定規模以上の土地の形質変更を行う場合には届け出の対象とし、調査を行うことが考えられたということでございます。

 第三に、汚染の除去等に関する課題がございます。現行法の汚染除去につきましては、対策の実施者にその実施を委ねておりまして、真に適切な対策をなさるかどうかということを監視するための計画の提出の義務づけなどにつきましては規定が抜け落ちております。自治体のアンケートによりますと、要措置区域におきましてどのような措置が実際に行われたかを都道府県知事が確認しているとの回答があったのは六八%にすぎないということでございます。

 第四に、取引に関しましては、要措置区域等の指定の解除を行った場合に、台帳からの消除をするか否かという問題がございます。現行の通知におきましては、消除はするけれども、消除された台帳の情報については、本法六十一条一項に基づきまして、保管し、必要に応じて提供されることが望ましいという整理がなされております。これは、要措置区域等における汚染除去等の意欲を損ねないために必要であるという趣旨でございましたが、一方で、区域指定が解除された旨の記録を残す方が、土地の取得時に詳細な土地履歴を把握できるという指摘もなされております。

 第五に、要措置区域等からの汚染土壌の搬出に関しましては、現行法では、一つの事業場の土地や一連の開発行為が行われる土地であっても、飛び地になっていて指定されている区域間の土壌の移動は認められておりません。このことは、迅速な区域内でのオンサイトの処理の妨げあるいは工事の支障になりまして、掘削除去による処理施設への搬出の増加につながる可能性がございます。

 また、自然由来の特例区域間とか埋立地の特例区域間の土壌の搬出、移動につきましては、現行法では認められておりませんが、これらの区域から発生する基準不適合土壌は、特定有害物質の濃度が低く、特定の地層や同一の港湾内に分布していると考えられます。このため、区域間での移動を認めてもよいのではないか、さらに、オランダとかドイツでは低汚染の土壌は原則として資源として扱われていることに留意が必要ではないかという問題が発生しております。

 第六に、そのほか、区域指定とも関連する問題として、臨海部の工業専用地域では、一般の居住者による地下水の飲用などによる健康リスクが低いと考えられ、産業活性化等のためにも、一定の場合には特例措置を設けるべきであるという指摘がなされております。

 以上をまとめますと、まず一として、事業場の操業中の調査、それから一時免除中の段階からの調査の義務の導入という問題がございます。それから二として、汚染除去等の計画及び措置完了報告の提出の義務づけという問題がございます。三つ目に、台帳の記載事項につきまして、区域指定が解除された場合にその旨を台帳に残すことが問題となっております。四つ目に、自然由来の土壌汚染につきまして、本法の対象であることを明確にすることが必要ではないかという問題がございます。五つ目に、臨海部の工業専用地域につきまして特例を設けること。それから六として、搬出規制に関しまして、飛び地間及び一定の場合の区域間の土壌の移動につきまして規制緩和をすること。七つ目に、六と一部重なっておりますけれども、自然由来汚染についての移動それから資源としての活用について規制緩和をすることなどが特に問題だということになります。

 これらのうち、二と三の問題につきましては二〇〇二年法制定時から残された問題点であると言えるのに対しまして、一と四は二〇〇九年改正以降残された問題点ということになります。

 一の、事業場の操業中及び調査の一時免除中の段階からの調査義務の導入につきましては、二〇〇九年の本法改正時に国会で附帯決議を付していただいている問題点でございますし、四は、二〇〇九年改正の時点で本法には組み込まれずに、環境省が通知で対処してきた問題でございます。また、五から七は規制緩和に関連する論点でございます。

 次に、改正案の特色について申し上げたいと思います。

 まず、一でございますが、有害物質使用特定施設での土壌汚染状況調査についてでございます。

 改正案では、一時免除中の事業場において土地所有者が当該土地の形質を変更する場合には、都道府県知事に対する届け出義務を課し、届け出を受けた都道府県知事は、汚染状況について、土地の所有者等に対して、指定調査機関に調査させて報告するように命じるものとしております。一時免除中の土地に対しまして、汚染の拡散を防ぐという観点から、土地の形質変更に着目した改正が企図されていると言えると思います。

 では、もう一つの方の、操業中の事業場についてはどうでしょうか。

 操業中の事業場につきましては、土地の形質変更の際には四条の調査の対象となりますので、届け出義務が課され得るわけでございますけれども、現在は三千平米というのが面積の裾切り要件になっておりますが、環境省令で、この要件につきましては、現行の三千平米よりも縮小されるという予定でございます。

 次に、二といたしまして、改正案では、要措置区域における指示措置等の実施枠組みとして、汚染除去等計画の提出及び完了報告の手続を導入しています。

 汚染除去等計画の内容といたしましては、環境省令で定める一定の項目について記載する必要がございます。また、実施措置の着手予定時期及び完了予定時期について記載をすることも必要となってまいります。また、この計画に記載された実施措置を講じた場合には、都道府県知事にその旨を報告するという完了報告が必要となってまいります。

 次に、三といたしまして、台帳の記載事項につきまして、改正案では、区域指定が解除された場合に、措置の内容等とあわせて、区域指定が解除された旨の記録を解除台帳という別の台帳に残すことによって、措置済みの土地であるということを明らかにするとともに、その閲覧を可能にして、土壌汚染状況の把握ができるようにするということにいたしております。

 次に、四でございますが、自然由来の土壌汚染に関して現行法では規定を置いていない問題につきましては、改正案では、自然由来汚染であっても汚染の拡散のおそれはあり、規制対象となり得ることを前提としつつ、規制緩和をする規定が置かれています。

 次に、五でございますけれども、一方で、重要な規制緩和として、改正案は、臨海部の工業専用地域での特例を設けて、通常の形質変更時要届出区域とは異なり、事前届け出ではなく事後届け出としております。

 二つの要件がございまして、一つは、土壌の特定有害物質による汚染が専ら自然または埋立材由来のものである土地であり、もう一つの要件は、かつ人の健康に係る被害が生じるおそれがない土地の形質の変更の場合につきましては、汚染土壌の区域外への搬出は規制しつつ、管理方針をあらかじめ都道府県等と合意してこれを実施するかわりに、その都度の事前の届け出は不要とするということが考えられました。

 改正案では、この考え方に従いまして、管理方針については都道府県知事の確認を受けた上で、最低限必要な情報をまとめて事後的に届け出させるということにしております。

 次に、六でございますが、搬出規制に関して、要措置区域等における汚染土壌の飛び地間の移動及び自然由来等土壌の区域間の移動を可能にする規制緩和を行うということでございます。

 次に、七でございますが、自然由来の特例区域及び埋立材から成る埋立地特例区域から発生する基準不適合土壌につきましては、先ほど申しました理由で、一定の場合にはその移動や活用を可能とすべきであると考えられます。この活用につきましては、改正案では、国や自治体が汚染土壌処理の事業を行う場合の特例が定められておりまして、そこでは都道府県知事との協議が重要な要素とされています。

 次に、その他でございますけれども、十のところでございますけれども、改正案では、有害物質使用特定施設設置者の汚染状況調査への協力の努力義務の規定が置かれております。

 改正案の評価に移りたいと思います。

 今回の改正案は、一の、一時免除中、施設操業中の事業場における土地の形質変更の際の届け出、調査報告の導入、二の汚染除去等計画の提出及び完了報告の手続の導入の二点につきまして、従来から積み残されてきました問題点に対処することになります。

 一につきましては、搬出の場合を含めて、汚染土壌の拡散を防止するという観点から重要な改正であると思われます。二につきましては、汚染除去等の措置という本法の最も核心的な部分につきまして、従来は必ずしも明確な規定がなかったところに切り込んだものでございまして、本法の実効性を高める点で必要不可欠な改正であると考えます。

 さらに、三の台帳の記載事項につきましては、区域指定が解除された場合に、措置の内容等とあわせて、区域指定が解除された旨の記録を台帳に残すということでございまして、透明性を確保して、土地取得時に詳細な土地履歴を把握できるようにするという要請を重視しつつ、要措置区域等における汚染除去等の意欲を損ねないようにするという要請にも一定の配慮をしたというふうに評価できると思います。透明性の確保は、土地の履歴や状況に関する情報を社会で共有するためには必要なものでございます。

 他方で、五から七は規制緩和に関する改正案でございまして、本法が合理的な規制を行うために必要な改正であると思います。特に五の、臨海部の工業専用地域について、一定の要件のもとに通常の形質変更時要届出区域とは違う特例を設けるということは、経済界及び千葉県からの要請を踏まえたものでございますけれども、形質変更時要届出区域の一種としているというところでは今までどおりとも言えますし、事後届け出を命じているということもございますので、土地の管理は依然として必要でございます。これによって土壌汚染に伴う健康リスクが増大する可能性は乏しいと言えると思います。

 全体的に見て、今般の改正案は、現時点で必要な現実的な対応を最大限行おうとしているというふうに評価できると思います。

 もっとも、本改正案につきましても幾つかの将来的な課題は残されております。主なものを三つだけ挙げておきたいと思います。

 第一に、本法の目的が健康被害の防止に限定されているということでございます。

 我が国の土壌汚染対策は、健康被害に関連する特定有害物質の汚染除去対策だけでもかなりの困難を抱えているという現状にございますが、将来的には、生活環境被害防止あるいは生態系への被害の防止についても本法の対象に入れる、目的に入れるということが検討されるべきであると考えます。

 第二に、土地所有者の責任につきまして、欧米では、善意無過失の購入者については抗弁を認めて免責をする考え方をとるものが少なくありません。我が国でもこのような考え方を導入することが検討されるべきであると思われます。

 第三に、法改正でなく運用でも可能な点として、指定支援法人の基金の活用による助成金の交付がございます。これは、土地所有者等が汚染除去等をした場合に用いられるものでございます。さらに、土壌汚染の原因者に対しましては融資が検討されるべきであると思われます。

 助成につきましても融資につきましても交付例が少なく、助成については二件しかございませんが、融資につきましては現在は中止されているという状況にございます。しかし、今般の改正案によれば、一時免除中及び操業中の事業場の調査が新たに行われるということでございますので、特に中小企業の事業場についてはその必要性が生じるということが予測されます。かつて交付例が少なかった原因を真摯に探ることが必要であると思われます。

 助成につきましては、そもそも助成要綱を策定していない都道府県等があるということが想定されること、都道府県等が助成金の四分の一を負担することを懸念していることが想定されていることなどの問題点があると考えております。

 融資につきましては、土壌汚染の原因者に対して融資をしないことが、原因者に負担能力がないということになりまして、七条一項ただし書きの「相当であると認められ、」の要件に該当しなくなる結果として、原因者でない土地所有者等が汚染除去等の指示の対象とされる可能性をふやすということにも留意すべきであると思います。その意味では、融資制度の復活の必要性は高いと考えております。

 以上、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

平委員長 ありがとうございました。

 次に、細見参考人にお願いいたします。

細見参考人 東京農工大学の細見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、先ほどの大塚先生のメモにありますが、これまで、土壌汚染対策法の改正につきまして、あるいは制定につきまして、この大塚先生のメモをおかりすると、二番目以降、ずっと一緒にこの委員会、土壌制度について議論してまいりました。

 特に、昨年十二月十二日に、「今後の土壌汚染対策の在り方について」の第一次答申をさせていただきました。その際に、いろいろな方向性を提案いたしました。それに対して、実に、パブリックコメントで、百五の団体から四百二十一の御意見を賜りました。これを大まかに見てみますと、非常に、厳しくしろという御意見と、もう少しやはり緩和すべきであるという御意見、両方あったということは、非常に私は、この土壌制度小委員会で議論してきた内容が実にふさわしかったのではないかというふうに考えています。

 その意味で、今般の法律改正案につきましては、このあり方について、第一次答申に基づいて反映されていると私は強く思っております。

 本日、三つの観点からまずお話をさせていただいて、最後、法案審議、直接の審議というよりは、技術者、研究者の立場から、将来的な課題というのを述べさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、一番目ですが、土壌汚染状況調査が猶予されている土地の形質変更時の届け出義務と、それに伴います土壌汚染状況調査の実施でございます。

 土壌制度のあり方についていろいろな形で検討してまいりましたけれども、人の健康を保護する上で、土壌汚染対策によるポイントというのは、土壌汚染に基づくリスクを的確に把握し、そのリスクに対して適切な管理を行うということが重要でございます。しかしながら、土壌汚染というのは、目に見えない、あるいはにおわないので、土地の所有者等は契機を捉えて土壌汚染調査をする必要があります。まず、リスクの把握というのが重要になってまいります。

 これまで、廃止された有害物質使用特定施設のうち、約半数の土地で土壌汚染が見つかっております。しかしながら、操業中あるいは一時的免除中により、廃止された有害物質特定施設の約七四%で土壌汚染状況調査が猶予されてまいりました。すなわち、一時免除中及び操業中の土地については汚染土壌が存在する可能性が高い。汚染の程度や範囲、帯水層が不明な状態であります。そういった土地の形質変更や土壌の搬出などが行われた場合、地下水の汚染あるいは汚染土壌の拡散という懸念がございます。実際に、運び出されて、搬入場所で土壌汚染が見つかった例もございます。特に、汚染調査が行われないで汚染土壌が系外に残土として搬出されると、汚染の拡大につながりますし、また、その際の復旧、原状復帰の対策費用は莫大になると考えられます。

 個人的にも、地下水汚染の未然防止に関して、構造基準とか定期点検のマニュアルの作成にかかわりました折にも、なぜ地下水汚染を未然防止するのかという観点では、もし汚染が見つかると、その対策費用、浄化費用に膨大なお金がかかるということで、あらかじめ未然防止するという観点は非常に大事だというふうに思っております。

 このため、三千平方メートル未満の土地の形質の変更の場合でありましても、一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合には土地の形質変更時に届け出義務を課すことは、土壌汚染の適切なリスク管理の上で非常に合理的であると考えております。

 もちろん、一定規模の要件、調査対象となる敷地の明確化、これについては環境省令で具体的に決める必要がございます。特に規模の要件につきましては、都道府県の条例等の規制あるいは土地の形質の変更実態を踏まえて関係者の間で検討すべきと考えております。

 さらに、こうした土地の形質変更の届け出に基づいて、都道府県知事が土地の所有者に対し、指定調査機関に土壌汚染状況調査をさせてその結果を報告するということを命ずるというのは、土壌汚染対策法におけるリスク管理を行う上で必要不可欠であると考えています。

 次に、都道府県知事による汚染の除去等の措置命令制度の改善でございます。

 土壌制度小委員会でも報告されてまいりましたように、要措置区域におきましては、措置の計画段階や措置完了時に措置の実施内容が都道府県等によって確認されていないケースがございました。これは先ほど大塚参考人が述べられたとおりでございます。

 これを受けて、今般提案されましたこのたびの都道府県知事による汚染の除去等の措置命令制度の改善に関する事項というのは、これまで定められていなかった、メモでは要措置の要が平仮名になって恐縮ですが、要措置区域における汚染除去等の措置に関する手続を円滑に進めるものと考えております。

 三番目、臨海部の工業専用地域において形質変更時要届出区域における土地の形質変更の届け出制度の整備についてでございます。

 臨海部の工業専用地域は、一般の居住者による地下水の飲用、飲み水として利用するリスク、さらには土壌の直接摂取のリスクというのは非常に可能性がない。したがって、土地の形質変更に伴う人への健康リスクは低いと考えられます。

 次も、方という字は法律の法にさせていただきたいと思いますが、法第四条や第十二条の形質変更での規定におきまして、その都度調査あるいは届け出が必要で、その手続に時間とコストを要しているという要望がございました、実態を報告されました。一方で、産業活性化や土地の有効利用からの考慮も必要である。人の健康リスクに応じた必要最小限の規制とする観点も必要だと規制改革実施計画にうたわれております。

 すなわち、人の健康リスクの可能性が認められない、かつ自然由来か埋立材由来の汚染である臨海部の工業専用地域に位置する土地では、例外的な措置として、汚染土壌由来のリスクを自主的に管理する方針を認めることは妥当であると考えています。ただし、この自主管理の方針につきましては、都道府県知事により確認されていることが必要であります。

 特に、私は、土壌の系外への搬出に際しては、十分なチェック体制が図られていることが担保されなければならないと考えております。今回の法案においては、形質変更時要届出区域内の土壌の搬出届け出などの規制がかかることになりますので、趣旨に沿う形になっていると考えています。

 こうした考え方に基づき、対象の土地の形質変更を事後の届け出、年一回程度とすることで、産業活性化や土地の有効利用を図りつつ、都道府県知事が認めた自主管理方針に従ったリスク管理を行うことができると考えています。仮に当該工業専用区域が将来別の土地利用に変更されるといった場合には、こうした自主管理の方針に基づいた土壌の移動とか工事等の履歴、形質変更の経緯でございますけれども、これが資料として残されているはずですので、地歴調査の際、こうした汚染のおそれの程度を判断できると考えております。

 最後に、技術者、研究者として、課題という面で二つの点から述べさせていただきたいと思います。

 一つは、土壌汚染と地下水汚染との関係でございます。

 平成二十八年、昨年の三月、土壌環境基準項目に設定された1・4ジオキサンというのは、地下浸透しやすい、かつ水溶解度が非常に高い、非常に特徴的な物質で、第一種の特定有害物質に採用されています表層土壌ガスによる調査は困難であるということで、特定有害物質には設定されませんでした。すなわち、現行の土壌汚染対策法では、1・4ジオキサンの土壌汚染に対処することはできないということになります。

 一方、水質汚濁防止法の、地下水の常時監視、計画のもとで、仮に1・4ジオキサンが環境基準を超えて検出された場合、どのような対策を講じていくのか、何らかのガイドラインなどで検討していく必要があるのではないかと考えます。

 また、二十八年の三月には、クロロエチレン、これは別名塩化ビニールあるいは塩化ビニールモノマーといいますが、このクロロエチレンが土壌環境基準項目に、そしてさらに第一種特定有害物質に指定されまして、この四月から施行されております。

 クロロエチレンが仮に工場などから漏出する場合には、これまでの表層の土壌ガス調査で可能と考えられますけれども、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンからの分解生成物としてクロロエチレンが地下水中にのみ存在し、かつテトラクロロエチレンとかトリクロロエチレンといった親物質が分解されていた場合、表層の土壌ガス調査で把握することができるのかといった疑問も残ります。したがって、地下水調査を含めたさらなる調査検討が必要であると考えています。

 二番目は、ダイオキシン類対策特別措置法と、特定有害物質を対象とした土壌汚染対策法であります。

 ダイオキシン類対策特別措置法では、誰でも入れるような公共的な土地に対して、ダイオキシン類は人の健康に重大な影響があるために、土地の所有者、管理者、あるいは原因者、誰かにかかわらず早急な対策が必要であるという観点から、都道府県知事が対策地域を指定して、対策計画を策定し、この対策計画に基づく対策事業を実施します。いわば公共事業型で対策事業を実施します。都道府県知事は、公害防止事業費事業者負担法に基づき、汚染原因者に対策事業の費用を請求することができます。ただし、工場等の私有地に対しては適用されない。

 一方、人の健康リスクにおいて、直接摂取の経路の観点から、土壌中のダイオキシン類濃度を、含有量基準として環境基準が千ピコグラムTEQ・パー・グラム以下とされました。これを超えると何らかの対策を講じなければなりません。もちろん、汚染の除去対策や、例えば覆土などの対策でありますが。

 こういった直接摂取のリスクの観点から含有量基準が採用されましたことで、後に制定されることになりました土壌汚染対策法におきましても、第二種特定有害物質、これは重金属類ですけれども、これに対しては含有量基準が適用されております。

 一方、土壌汚染対策法におきましては、農用地以外の、住宅地だとか工場等の土地に適用されます。

 次の、有害特定物質は特定有害物質のちょっと間違いで、修正をお願いいたします。特定有害物質による土壌汚染は、人の健康リスクを回避するために、土地所有者等が調査、対策を実施する。実際には、調査するのは指定調査機関であります。汚染状況調査の結果、特定有害物質ごとの指定基準、これは溶出量基準、含有量基準、に適合しなければ、要措置区域か形質変更時要届出区域かに区域指定され、土地所有者等がそれらの区域のリスク管理を行うことになります。汚染の除去等の対策に要する費用負担は、土地所有者等が原因者に請求することができます。

 最近におきましては、ダイオキシン類汚染土壌は工場等の私有地でも発見されておりますが、ダイオキシン類汚染対策特別措置法がそこには適用されません。そこで、私有地におけるダイオキシン類の汚染につきましても、特定有害物質と同様に、土地所有者等が調査、対策を自主的に実施するためのガイドラインの作成の検討が必要なのではないかというふうに考えております。

 なお、ダイオキシン類対策特別措置法の対象外のダイオキシン類基準不適合土壌につきましては、どのように処理を行えばよいかに関する基本的な考え方と、適正に処理をするために必要な施設の構造、維持管理等の措置を既にガイドラインとして取りまとめておられます。

 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)

平委員長 ありがとうございました。

 次に、鈴木参考人にお願いいたします。

鈴木参考人 一般社団法人土壌環境センター技術委員会の委員長を拝命しております鈴木と申します。よろしくお願いいたします。

 本日は、土壌汚染の調査、対策の実務の方にかかわる者の一人としてお話しさせていただきたいと思います。

 お話しさせていただくポイント、五ポイント挙げさせていただきました。

 第一に、法第三条第一項により調査が猶予されている土地の扱いについて、第二に、措置実施計画の創設について、第三に、自然由来汚染土壌の扱いについて、第四に、土壌のトレーサビリティーの向上について、第五に、環境リスクに応じた最小限の規制についてでございます。

 まず第一の、法三条第一項により調査が猶予されている土地の扱いについてでございます。

 法第三条は、有害物質使用特定施設が廃止された事業場の土地について、土壌汚染状況調査の実施を義務づけるものでございます。

 お手元に配付させていただきました資料の二枚目をごらんください。

 法第三条の調査義務が発生する有害物質使用特定施設の廃止件数の推移というものを図一の方に示してございます。また、このうち、法第三条一項のただし書きにより土壌汚染状況調査の一時的免除を受けている件数の割合の推移というものを図二に示してございます。先ほどから何回か出たと思いますが、累計で見れば、約七四%の調査の猶予が認められているという状況でございます。

 有害物質使用特定施設の廃止は個々の施設で行われます。そのため、工場の廃止とは直接かかわり合いがありません。他の有害物質使用特定施設が使用中である操業中の工場においても法第三条の調査義務が生じてしまうため、調査の猶予が申請されるという事例が多いものと推測されます。もちろん、このような土地においても、三千平米以上の形質変更が行われる場合、法第四条の対象とはなりますが、小規模な形質変更では対象外となってしまいます。

 なお、一番下の表一にありますとおり、法第三条の調査が行われた場合、およそ半数で汚染が認められることを留意すれば、調査が猶予された土地において土壌が移動するということは、やはり、汚染土壌の拡散のおそれがあるということから、何らかの対応が必要だと考えます。

 したがって、法案の概要一として掲げられておりますが、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大というのは妥当なものというふうに考えております。

 第二に、措置実施計画の創設でございます。

 これにつきましては、お持ちの方はですが、調査局環境調査室でつくられた参考資料の三十八ページを見ていただければと思います。

 現在の法制度では、基準不適合土壌が存在し、かつ健康被害のおそれが認められるという場合には、要措置区域として指定され、都道府県知事から措置命令が発出されます。その後、措置が実施され、措置の完了内容によって形質変更時要届出区域や区域指定の解除等が行われるということになっております。

 このとき、実際に措置を実施するに当たっては、措置の実施内容の詳細について措置実施者が自主的ないしは自治体の要請で報告、相談している事例が多いと思いますが、今回、法案の概要二として挙げられている措置実施計画書の提出が義務づけられるということは、措置の明確化につながることから、好ましいと思っております。

 なお、措置実施中にも計画変更の届け出が必要となりますが、この点について、措置が進められている最中ということになりますので、計画変更の範囲等を明確に限ることにより、措置の実施自体に大きな遅延を生じない制度とするべきであるというふうに考えております。

 第三に、自然由来汚染土壌の扱いについてでございます。

 自然由来汚染土壌は、人為的な汚染ではありませんので、本来、基準不適合土壌と呼ぶべきものです。

 御存じのとおり、自然由来基準不適合土壌は、平成十四年の土壌汚染対策法制定時には対象外とされておりましたが、平成二十一年の法改正時に法の対象とされたものでございます。

 平成二十三年には、規則改正により自然由来特例区域が創設され、人為的な汚染による区域指定に比較して緩和された区域指定とはなっておりますが、区域外に搬出される土壌については、一般の形質変更時要届出区域と差がない取り扱いとなっております。

 さて、お手元に配付させていただきました資料の図三をごらんいただきたいと思います。この図は、国土交通省総合政策局の平成二十四年度建設副産物実態調査結果から引用させていただいているものです。

 建設副産物の中で、建設工事に伴い発生するコンクリート塊とか建設発生木材、このような建設廃棄物を除いた土砂、これを建設発生土と呼んでいますが、この図は平成二十四年の建設発生土の搬出及び土砂利用の搬入状況のフローでございます。

 発生量を見ていただきたいんですが、およそ三億立米、この二分の一が場外へ搬出されています。1に該当する部分でございます。また、場外搬出された建設発生土のおよそ六割は、一時的にストックされて利用されるということになっております。5に該当する部分でございます。

 この中には小規模な工事や岩盤掘削等が含まれておりますので、土壌汚染対策法の対象となっているのはごくわずかでございますが、国内では毎年多量の土壌が移動しているということがわかるかと思います。

 また、これらの残土のうち、自治体によっては、通称残土条例と呼ばれているもので、有害物質の基準に照らして搬入の規制が行われているものがございます。

 なお、土壌汚染対策法の範疇で行われる基準不適合の搬出は、法により汚染土壌処理施設へ搬出することになりますが、法の適用外である岩石について、自主的な対応が行われている事例について御紹介したいと思います。

 図四をごらんください。この資料は、私ども土壌環境センターの技術委員会のもとにあります自主部会の一つが、過去に公表されたトンネル工事等に関する文献を収集し、取りまとめたものでございます。したがって、国内の全ての事例を網羅しているわけではありませんが、左の円グラフ、対策方法をごらんいただくと、遮水封じ込め構造の事例が多いものの、真ん中の円グラフをごらんいただくと、利用方法として、道路盛り土として有効利用されている事例が多いということがわかります。

 このように、土壌汚染対策法の範疇で扱われる自然由来の基準不適合土壌についても、環境安全性を確保することはもちろんでありますけれども、適切な維持管理の上で利用していくことは、処理施設の逼迫等を考慮すれば重要なことと考えております。したがって、法案の概要三の2に掲げられておるとおり、特に大量の発生土が生ずる公共事業等においては、自然由来不適合土壌についての利活用の拡大が図られる必要があるものと考えております。

 第四として、土壌のトレーサビリティーの向上を挙げさせていただきました。

 お手元の資料、図六をごらんください。私ども指定調査機関というものが土壌汚染状況調査を実施するに当たっては、最初に行われるのは、調査対象地の汚染のおそれの把握、いわゆる地歴調査と呼んでいるものになります。

 この段階では、特定有害物質の使用履歴、土地の利用履歴を過去にさかのぼって調査、整理して、調査対象地の汚染のおそれというものを区分いたします。表三に区分を示しておりますけれども、汚染のおそれの程度によって現地における試料採取が異なることになります。したがって、この地歴調査の位置づけは、土壌汚染状況調査にとって非常に重要な位置づけになっております。

 ここで、地歴調査においては、既往の公開情報を用いるとともに、土地所有者ないしは土地利用者から正確な情報提供を受けることが必須となります。この点において、法案の概要四に掲げられております施設設置者による土壌汚染状況調査への協力というのは不可欠なものと考えられます。

 また、地歴調査では、土地の利用履歴として、土地の改変状況の把握というのも行われます。特に形質変更の履歴は明瞭な資料を残していない場合が多く、土壌の移動履歴として正確な記録が望まれるところです。

 また、法第三条第一項のただし書きにより調査が猶予された土地についても、その期間、土壌の移動の記録は必要となります。また、区域指定された後、形質変更時要届出区域と指定された区域においても、土壌の移動履歴は、これは法第十六条にかかわる認定調査時地歴調査において必要なものとなっております。

 最後になりますが、第五として、リスクに応じた規制の合理化について意見を申し上げたいと思います。

 昨年の十二月十二日、中央環境審議会から環境大臣に答申された「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申)」では、「平成二十一年の法改正以降の状況と主な課題」として、「人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制」という言葉が出てきます。

 お持ちでしたら、お手元の調査局の環境調査室で作成された参考資料の通しページの七十五ページをごらんいただければと思います。

 (1)として「土壌汚染状況調査及び区域指定」に記述されておりますが、平成二十一年の改正法によって、要措置区域と形質変更時要届出区域とに区分することによって、いわゆるリスクに応じた土壌汚染地の管理が進められるようになってきております。

 この段階で、最後の文章のところでございますが、「また、工業専用地域の土地の形質の変更については、平成二十七年六月三十日に閣議決定された規制改革実施計画において、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得る」とされています。臨海部の工業専用地域については、人の健康へのリスクは少ないものと考えられますので、ある程度の緩和は必要かと思います。

 ただし、日本の国土では土地利用状況が将来変化することも考える必要があることから、第四として先ほど述べさせていただきましたが、土壌のトレーサビリティーについては十分確保しておく必要があると考えております。

 また、その上の段落で、一方と書かれているところで、地下水汚染が到達し得る範囲の設定方法として地下水飲用リスクの評価手法について課題があるという文言があります。

 欧米では、土壌汚染について、リスク評価による対応が行われております。また、近年は、東南アジアにおいても、土壌汚染にかかわる法制度を策定する場合にはリスク評価手法が導入されつつあります。日本では、現行制度にリスク評価手法をうまく組み込んでいくという方向性が重要であるというふうに考えております。

 当土壌環境センターにおいても、技術委員会のもとにリスク評価手法に関する調査研究を進める部会を設置しておりまして、日本の環境に合ったリスク評価手法を構築することが重要と考えております。当センターでは、既に「リスク評価を活用した土壌・地下水汚染対策の考え方(ガイダンス)」というものを公開しております。また、今後も継続して社会に広くリスク評価の手法を説明していく努力をしていかなければいけないと考えているところでございます。

 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

平委員長 ありがとうございました。

 次に、畑参考人にお願いいたします。

畑参考人 畑と申します。関西から参りました。

 私は、最初の、二〇〇一年の土対法ができたとき、それから、二〇〇九年かな、改正されたとき、いずれも、参議院の環境委員会、参考人で来ておりまして、今回、この法案については三回目になります。

 私自身は、ずっと、環境問題の中でも、イタイイタイ病とか土壌汚染、それから廃棄物問題、また原発事故とか、そういう問題についてやっております。

 今回、この改正案と少し外れる面もあるんですけれども、やはり今、土対法が抱えている問題点、幾つか現場では出ていますので、そういうものを御紹介したいと思います。

 まず一番目、皆さん御存じのように、豊洲の問題ですけれども、大気中に揮散した、ガスが蒸発するわけですね、そういう特定有害物質の摂取リスク問題。

 豊洲では、御存じのように、報道されますように、地下水からベンゼン、シアン、水銀などが、特にベンゼンと水銀が揮発して、地下空洞の空気汚染、基準を超えるとかいうことが起こっているわけです。資料一にちょっと詳しいことを載せておりますので後でお読みいただきたいんですけれども、ポイントは、盛り土がされずに地下空洞になっているとか、それから、この築地の問題は、僕ももう二〇〇七年、十年前から取り組んでいまして、環境学会の会長のときからかかわっております。そういうことについても触れていますし、まあ、ちょっと時間がないので。

 しかし、土壌汚染対策法には、土壌の含有量基準と土壌溶出量基準及び地下水基準しかありませんでして、汚染ガスの、土壌ガスとか、そういう基準がないわけですね。そういう意味で、大気汚染のベンゼンの環境基準とか有害大気汚染物質に係る水銀指針値、これに基づいてリスクを評価していまして、この基準を超えたりしたわけです。

 豊洲の専門家会議では、レベッカ法という、アメリカの予測方法なんですけれども、地下水中のベンゼン濃度から空気中のベンゼン濃度を予測しているんですけれども、やはりこれは予測ですので不確実性もありまして、ベンゼンなどの揮発性有機化合物、VOC全般について、また水銀については常温でも揮発しますので、そういう揮発性の有害物質については、土壌汚染対策法にガスの基準も設定すべきではないか。調査では土壌ガスはされるんですけれども、基準として評価されていないという問題があります。

 例えば、資料の一の二、これは先週の週刊金曜日の記事ですけれども、そのレベッカ法によって、実際に、日水コンという、東京都が委託したところ、これは、地下空洞がある状態で、二〇一五年の段階で、地下空洞が発見されるより前に東京都が日水コンに委託して予測しているんですね。地下水は基準の十倍まではオーケーだろうと。しかし、今回、最高百倍が出ていますので、これで確実に基準を超えアウトになるわけですね。そういうことが具体的に紹介されていますし、地下水位は二メートルで設定しているんですけれども、実際には二・五メートルありますので、さらにリスクは上がるということがわかっております。

 それから、一の豊洲のところで、資料一の三、これはテレビとかに出ている一級建築士の水谷さんがまとめたものですけれども、地下水のモニタリングで基準を超えた原因としては、やはりタールだまり、コールタールですね、石炭からできるんですけれども、その中にベンゼン、シアンが含まれていまして、それが敷地のあちこちに散らばっているということで、そういう場合には、やはり十メートルメッシュの中央でしか調査していませんので、それが妥当かどうかという問題があります。

 また、地下水は、すごい油臭、油のにおいとかがして、油膜なんかが実際に出ているんですね。やはりそれはコールタールによる影響と考えられまして、そういうものが地上に、特に魚が油臭くなるとか野菜が油臭くなるとか、そういう問題が豊洲に行けば起こるんじゃないかと思っています。

 また、底面管理というんですけれども、ベンゼンの深さ方向の、どこまで汚染が到達しているかという調査がきちんとされていなかった。三百区画でそれがネグられたという問題があります。この問題についても、東京都は、環境省のガイドラインではやらなだめなんですけれども、東京都の裁量でそれをやらなかったということを平気で証言しているんですね。

 だから、こういう形で、特に地方自治体の事業局と環境局が話し合って、結局、環境局がそれを認めてしまえば、トップは都知事ですので、こういうなれ合い的な問題は起こっているということです。

 それから、地下水のモニタリングでも、一回目から八回目までは再採水をやっているということが最近わかりました。九回目は再採水していないんです。だから、基準を超えたものは何度もはかって基準をクリアするまでやるとか、そういうことはよくやられるんです。そういうことを東京都は実際に今回豊洲でやったということが明らかになってきております。

 それから、二番目の、法四条の届け出と調査の手続ですけれども、これは京都市の事例なんですけれども、最近、京都市の地域政党京都党の市会議員団長から、女性なんですけれども、ちょっと頼まれて。

 結局、京都市民が、資料の二なんですけれども、ちょうど京都の島原遊郭の近くに京都ガスの島原工場というのがあったんですね、後に大阪ガスがそれを吸収合併するんですけれども。その跡地が昭和四十六年に何になっているかといいますと、京都中央卸売市場の青果棟に何となっているんです。当然、ガス工場の跡地ですから、東京ガス、大阪ガスの工場は全て土壌汚染していました、だから、必ず汚染されている可能性があるんですけれども。

 もう一つ、朱雀工場。ちょっと東側の方にもう一つ大阪ガスの大きな工場があるんですけれども、そこでは、これに書いてありますように、シアン、砒素、ベンゼンが基準を超えて検出されたんですね。

 だから、こちらの島原工場についても土壌汚染されている可能性があるんですけれども、過去に有害物質の届け出がないとか、地歴調査もせずに三千平米以上の形質変更届け出をして、それを環境局は、調査する必要はないということをはっきりと市会の本会議で答弁しているんですね、この三月議会で。

 こういうことが、先ほど東京都の環境局と事業局のなれ合い、京都市においても事業局と環境局のそういうなれ合いというか、そういうことが全国で起こっているんじゃないかと思っています。特に、地歴調査もやっていないという問題があったわけです。

 だから、今回、もともと二〇〇九年の改正で、三千平米以上の土地の改変のときに知事への届け出とかになったんですけれども、余り土壌調査件数がふえていないんですね。本当はもっと、十倍以上になってもいいんですけれども、二倍ぐらいにしかなっていないということで、都道府県知事が土壌汚染のおそれがあると認める場合にのみ調査を行わせるということで、都道府県知事の判断で土壌汚染調査をさせない場合がかなりあるんじゃないかということで、そういう全国的なチェックが要るんじゃないかと思っております。

 それから、三番目ですけれども、汚染土壌処理施設に関する監督強化、情報公開の推進ですけれども、法案資料には、平成二十六年度、百六十万トンの汚染土壌が処理施設で処理されているとされているんですけれども、これは大阪の汚染土壌処理業者から聞いたんですけれども、もっと多いよ、年間二百万トン以上処理されている、その七割が自然由来の汚染土壌であると言われています。

 今回の法改正で、海岸部の自然由来汚染土壌の処理量が少し減るかもわかりませんけれども、これから工事されるリニア中央新幹線はトンネル部分が非常に多いですので、内陸部の自然由来汚染土壌が大量に発生する可能性がありますので、このことについても検討しておく必要があると思っております。

 それから、大津市の事例なんですけれども、全国から搬入される汚染土壌の処理後の土壌が資材置き場と称して大量に野積みされて、一日千台を上回るダンプカーが行き交っている。そういうことで、周辺住民に不安を与えております。だから、こういう汚染土壌の処理後の土の再利用は余りされませんので、そういう積みかえ、保管施設を許可制にしたりとか、また、大津市の指導監督も不十分なんですけれども、指導監督を強化する必要があると思っております。それは資料三に少し文言で書いておりますし、いわゆる京阪神の、要は、こういう残土、汚染土壌、産廃の、滋賀県の大津市北部は捨て場になっているという現状があります。年間二百万トン以上入っていると言われています。

 それから、資料の三の二ですけれども、これは大津市北部のNIMBY、十カ所以上あるんですね。こういういろいろな残土処分場とか汚染土壌処理施設とか、あと産廃処分場とか、そういうところでいろいろ問題を起こしているわけです。

 それから、最近相談を受けたんですけれども、三重県の紀北町にも汚染土壌処理施設が今計画されているんですけれども、水道の取水している河川のわずか三百メートル上流に立地する予定なんですね。排水は一切出さないと言っているんですけれども、排水を一切出さないことは技術的に無理なので、やはりこういう立地についても検討する必要があると思っています。

 それから、二ページ目ですけれども、建設残土、先ほどもちょっと話題にありましたけれども、建設残土に汚染土壌が混入される例が多々あります。これも大津市北部の例なんですけれども、建設残土処分場の排水や土壌から、砒素、鉛、シアン、弗素などが基準を超過しまして、建設残土に汚染土壌が混入していた可能性があるということですね。ということで、汚染土壌の搬出調査をもっと徹底させる必要があると思っております。

 それから、同じく京都府の城陽市の山砂利採取跡、数百ヘクタールあるんですけれども、近畿圏最大の山砂利採取地なんですけれども、砂をとった後に、建設残土、産廃、汚染土壌などが大量に搬入されて、付近の城陽市の水道水源井戸から水銀と砒素が基準を超えて検出されています。そして、井戸が閉鎖されたりしています。ということで、建設残土に汚染土壌が混入する事例が多いということです。

 それから五番目、測定方法です。

 今回の法案の資料でも、溶出試験方法については、なるべく実環境に近い条件で試験するということで、諸外国の例をされているんですけれども、現在、日本では、資料四にありますように、pH、中性、大体六前後ではかっているんですね。しかし、資料の四に比較が、これは廃棄物になっていますけれども、実際は溶出試験は土壌も一緒なんですけれども、アメリカ、カナダとかオランダですと、pH三から四とか、かなり弱酸性でやっているんですね。実際にpH四である酸性の雨が降っていますので、やはり実環境に合った、もちろん、これは濃度は値は高くなりますので、基準を超える確率が高くなるんですけれども、そういう弱酸性水で溶出試験をしないと、実験室でやったものと実際の自然環境と違う結果になるんじゃないかと思っています。

 それから六番目は、放射性物質の問題です。

 福島の原発事故後、二〇一三年の環境法の改正によりまして、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、南極環境保護法とか環境影響評価法では、放射性物質を法対象とされたんですけれども、農用地の土壌汚染防止法、土壌汚染対策法及び廃棄物処理法では、いまだに法対象となっておりません。

 従来の公害・環境法では、汚染物質の環境基準や排出基準は設定されているんですけれども、法改正された公害・環境法でもこれらはまだ設定されておらず、実効性のある法案になっておりません。

 したがいまして、土壌汚染対策法に放射性物質を法対象とし、土壌環境基準も設定すべきではないかと思っております。

 以上でございます。(拍手)

平委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 参考人の皆様方におかれましては、本日は、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございます。土壌汚染対策法の改正案につきまして、さまざまな立場から御意見を拝聴したところであります。心から感謝を申し上げたいと思います。

 平成十四年に制定された土壌汚染対策法は、平成二十一年に改正され、平成二十二年から改正法が施行されております。改正法の施行後、新たな制度が運用される中で、附則に定める施行状況の検討が行われ、調査が猶予されている土地の汚染状況の把握が不十分、汚染除去等の措置に係るリスクの管理が不十分、リスクに応じた規制の合理化が必要だという幾つかの課題が浮かび上がってきたことから、こうした課題を踏まえて、土壌汚染に関する規制の強化とともに、リスクに応じた規制の合理化を図る改正ということであります。

 私は、今回の改正案は、一定の合理性のあるものとして評価をするものであります。そうした立場に立った上で、参考人の皆様方に御質問をさせていただきたいと考えております。

 まず、各参考人にお尋ねをしたいと思います。

 土壌汚染状況調査に関して、法に基づく調査の拡大については一定の成果が見られるものの、工場が操業を継続している等の理由により土壌汚染状況調査が猶予されている土地においては、土壌汚染の状況の把握が不十分であり、地下水汚染の発生や汚染土壌の拡散が懸念されていることから、本法律案では、土壌汚染状況調査が猶予された土地においての土地の形質変更が行われる場合には、都道府県知事は、土壌汚染状況調査の実施を命ずることとしております。

 この改正は、工場や事業場からの汚染拡大防止の観点からも要請されているものであると考えておりますが、法律上、土壌汚染状況調査の実施する機会の増大に関して、先ほども御意見を賜りましたが、改めて各参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

大塚参考人 ありがとうございます。

 お答えいたします。

 先ほども御説明させていただきましたように、今回、一時免除中の事業場及び操業中の事業場に関しまして、従来よりも調査の機会がふえる、形質変更時ですけれども、調査の機会がふえるということで、望ましい改正だというふうに考えております。

 二〇〇九年の改正におきましても、調査の機会の増大に関しましては、四条という形で一定の拡大を見ているところでございますけれども、今回、さらにこの点について調査の機会が拡大したことは、大変よいことだと思っております。

 調査につきましても、自主的な調査はもちろん非常に重要でございますけれども、法律に基づく調査について、その割合をふやしていくということが非常に重要でございまして、二〇〇二年の法制定時のままですと、全体の調査の中で法律に基づく調査は二%しかなかったということでございますが、二〇〇九年改正で一定程度ふえてまいりましたけれども、今回、またこれについて調査の機会が拡大するということは、公正な調査あるいは後戻りのない調査をするために、事業者の方も含めて、大変重要なことだというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

細見参考人 私の陳述の要約で述べましたように、今先生がおっしゃられたように、一定の規模以上の、規模要件は議論する必要はございますけれども、新たに一定の調査の拡大を図るというのは、土壌汚染のリスク管理上、必要不可欠な事項だと思っております。

 以上でございます。

鈴木参考人 私の方も、先ほど陳述させていただきましたけれども、現状、有害物質使用特定施設が廃止されても、その四分の三は調査を猶予されている状態、将来的にはされるんですけれども、そういうような中で、形質変更がやはり行われるということがありますので、この措置の拡大というのは非常に重要なことだと思っております。

畑参考人 今回のこの改正については賛成です。

 しかし、法四条の形質変更時の調査命令はやはり少ないという、先ほどもちょっと言いましたけれども、そういうこととか、それから、過去に廃止された工場についてのフォローがされていないという問題はまだ残っていると思っています。

堀井委員 それぞれの参考人の皆様方から、この法律の改正のこの部分に関して、大変貴重な御意見をいただきました。皆さんが賛成をされる、多少残された課題はあるというわけでありますけれども、一定程度の理解をしていただけているものだと考えております。

 次に、自然由来の汚染土壌の処理に係る規制の合理化についてお伺いをしたいと思います。

 平成十五年の土壌汚染対策法施行当初は、土壌汚染が自然由来であると認められる場合には法の対象外とされてきましたが、平成二十一年改正では、人為的原因であれ自然由来であれ、健康被害防止の観点からリスクを区別する理由がないことから、人為的汚染と自然由来の汚染を区別することなく法に基づく規制を行うこととし、自然由来による土壌汚染も法の対象となりました。

 本法律案では、自然由来などの汚染土壌は、特定有害物質の濃度が低い汚染であることを踏まえて、人の健康の影響が生じない処理方法及び管理方法であることを都道府県知事などが事前に確認した上で、適正な管理のもとで処理の促進や他の同様な区域への搬出を可能とすることとしております。

 この自然由来の汚染土壌の取り扱いに係る規制の合理化に関して、それぞれの参考人の方々に御評価をお願いしたいと思います。

大塚参考人 ありがとうございます。

 自然由来の土壌汚染に関しましては、二〇〇九年改正のときには実は法律には条文は入っていないのですけれども、環境省が通知で対応してきたというところでございまして、今回初めて法律の中に自然由来の汚染について規定が入ったということでございます。

 それについての規制緩和に関しましては、今おっしゃっていただいたとおりでございまして、同じ地域間において、地層の性質が類似しているというところに関しまして、自然由来の汚染の区域同士で区域間の移動をするということにつきましては、新しく健康被害が発生するということは非常に考えにくいということでございますので、先ほどおっしゃったような形で適正な管理をしていくということは十分に可能であり、健康被害を新しく生じることもなく、問題が少ないというふうに考えております。

 さらに、先ほどちょっと申しましたように、オランダとかドイツでは、低濃度の汚染の土壌に関しましては資源として有効利用を考えているということもございますので、世界的に見ても、このような対応というのは十分に望ましいものだというふうに、合理的なものだというふうに言えると考えているところでございます。

 以上でございます。

細見参考人 もしお持ちでしたら、お手元のこの資料にございますが、第一次答申にも十七ページにございます、この資料ですと八十九ページにありますように、自然由来特例区域間あるいは埋立地特例区域間においては、低濃度レベルの汚染であり、土壌の搬出をお互いにやりとりをするということが可能とするような、リスクに応じた活用方法あるいは移動でございますけれども、このア、イ、ウと書いてある内容で、私は、これに基づいて具体的にどういう手続をすればいいのかということを検討すればいいと思っております。

 以上でございます。

鈴木参考人 自然由来汚染土壌につきましてですが、一番最初の、平成十四年の法制定時、これは汚染原因者がいないという、もともとあるものですので、それがやはり根本になって法の対象から外れていたものだと思っております。ただ、やはり搬出された土壌、持ち出された土壌については、人為であろうが自然由来であろうが同じ性質を持っているだろうということで、法の中に組み込まれてきたという経緯だというふうに理解しております。

 ただ、やはり、先ほどからありますように、もともと低濃度であるということが一番重要だと思いますが、それから、かなり大量に出てくることもあり得るということで、ただ野放しにするのではなくて、管理された自然由来の汚染土壌であるということであれば、今回の規制については、その条件であればやはり妥当であるというふうに評価しております。

畑参考人 基本的には、ちゃんと自然由来汚染土壌が管理されるのであれば賛成なんですけれども、ただ、豊洲とか、今回築地でも一部自然由来の汚染土壌が出ているんですね、後の埋立地で。千葉の方とかでも、いわゆる東京湾岸では結構多いんですけれども。ただ、臨海部で、工業専用地域でないというかそういう地域でならいいと思うんですけれども、工業専用地域については、特に工場が立地する場合にやはり人為的な汚染が付加される場合が多いですので、そういうチェックを十分やらないとやはり危険だと思っておりますので、十分管理監督しながらやるべきだと思っております。

堀井委員 次に、土壌汚染対策費用の低コスト化、また、特に中小企業土壌汚染対策に配慮した施策のあり方についてお伺いしたいと思います。

 土壌汚染対策全般の課題として、土壌汚染調査や汚染の除去等の措置には多額の費用を要し、環境に大きな負荷をもたらすことがあります。このため、中小企業者などから対策費用の負担ができないという意見もあると思います。このため、中小企業者などが土壌汚染対策を推進するためには、例えば、狭い土地でも適用できるような調査、対策手法の充実、低コスト化が必要であります。

 そこで、低コスト、低負荷型の土壌汚染調査、対策技術に係るさらなる開発、実用化、普及が必要と考えますが、どのような施策が必要と考えるか、教えていただきたいと思います。

大塚参考人 どうもありがとうございます。

 具体的な工事の手法についての低コスト化につきましては、私はちょっと専門的ではございませんので、ほかの参考人の御意見を伺いたいと思いますが、低コスト化を技術的に進めていくということは非常に重要だというふうに考えているところでございます。

 さらに、中小企業の方の負担の低減という点につきましては、先ほど最後の方で私が御説明させていただきましたように、助成を充実させるとか融資の制度を復活するということが非常に重要だと思っているということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

細見参考人 ただいまの御指摘は土壌制度小委員会におきましても指摘されたところでございまして、第一次答申の二十ページ、あるいはこの資料の通しページでいうと九十二ページの後段の部分にございます。

 私も個人的には、低コスト、低負荷型の土壌汚染調査、対策技術の実証調査の委員会の取りまとめをさせていただいております。そういう意味では、今委員の御指摘の点につきましては鋭意努力しているところではございます。毎年、公募技術、課題を掲げて公募して、そのうち適切な技術を選んで実証するという、予算の限られた範囲の中でさせていただくということで、平成何年からかはちょっと今記憶がないんですけれども、もう十年以上続けておりますので、その成果を、ただ単にことしはこうだったという評価ではなくて、全体として、先ほど言われた中小企業とか小規模な土地にも適用できる技術、使用者側から見たまとめ、これをすべきだというふうに考えてございます。

鈴木参考人 低コスト、低負荷型の技術に対する支援ということだと思いますけれども、やはり、国がまず公募をして、その中で開発していくということが重要かとは思っております。

 ただ一方、技術的なことを考えますと、もともと、汚染土壌を掘削除去するというのが法律の趣旨ではないと思っております。リスクを防いで、遮断して管理するということを考えていけば、やはりそれなりのコストの低減を図れると思いますので、そういう土壌をどう管理するかというような手法、施策の考え方も必要かというふうに考えております。

畑参考人 対策とか調査の低コスト化は必要だと思いますけれども、特に調査なんかではもうちょっと、簡易測定の開発なんかは余りされていませんので、そういうものを広げる必要があると思います。

 あと、対策については、僕は、どちらかというと掘削除去の方が望ましいと思っています。ただ、費用がかかるんですけれども。実際に、封じ込めとか、地下水を遮水壁で全部囲って漏れないようにするのは技術的には難しいんですよ。だから、やはり汚染の拡散というのは必ず、汚染土壌とか汚染地下水がある限り、豊洲の例を見たってありますから。それで、汚染土壌を一〇〇%きれいにするなんて技術的にはできませんので。幾らかやはり汚染は残りますので。

 そういう意味で、低コスト化は必要ですけれども、やはりそういう質が確保できる低コスト化を追求すべきだと思います。

堀井委員 三問の質問をさせていただきました。大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。皆様方の専門的な見識、知識の中で、示唆に富む参考人からの御意見を頂戴したことを心から感謝申し上げまして、ちょっと時間を余しましたけれども、私からの質疑を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さんから貴重な御意見をいただき、まことにありがとうございます。

 土壌汚染対策法の改正案についてですけれども、最初にお聞きしたいのが、今回の措置の中に、リスクに応じた規制の合理化ということで、規制緩和として臨海部の工業専用地域の特例の話がございます。

 四人の参考人の皆さんにそれぞれお伺いをしたいんですが、なかなか私もイメージが湧かないものですから、余り臨海部の工業専用地域に行く機会もありませんので。どんな現状になっていて、どんなニーズがあるからこういう特例として措置をしようと考えているのか。その辺について、臨海部ですと鉄鋼や石油や石油化学等々大きな事業所もあるわけですけれども、そういった際に今回の臨海部の工業専用地域の特例というのが、具体的な要望、ニーズがどんなものなのかについて、御存じのところをお聞かせいただけないでしょうか。

大塚参考人 ありがとうございます。

 先ほどからこの資料のページ数が出てきたりしていますので、四十一ページとか四十二ページのあたりに書いてあるところでございますけれども、特に一つだけ申し上げておきますが、臨海部の工業専用地域におきましては、一般の人が地下水の飲用をするということが余りない、それから土壌の直接摂取の可能性もないということでございますけれども、そういう中で、臨海部の工業専用地域の中でちょっとした土地の改変、形質変更をすると、そのたびごとに十二条の形質変更要届出区域の事前届け出というのを都道府県に対してしなければいけないということで、非常に煩瑣だということが産業界の方からの要望として出てきているところでございます。その中には、もちろん、自然由来の汚染の問題も入ってくるということになりますけれども、非常に、実際には健康リスクというのはほとんど考えられないのに手続が極めて煩瑣であるということに対する御批判があるということでございまして、必ずしも経済界だけでなくて、千葉県の方からも要請があるということなので、そのように、合理的なものだというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

細見参考人 御質問は、多分、臨海部の工業専用地域において具体的にどういうニーズがあるのかというような御質問だと思いますが、形質変更に伴うニーズとしては、日々生産現場というのは、生産品を効率化したりあるいは保守点検だとかというのは常につきまとってくるかと思います。具体的にどういう工事が何回行われるかということ等につきましては、別途、環境省のもとで検討されています委員会で今調査中でございます。産業界の方から具体的にこういう形質変更が行われているというのが上がってくるかと思います。

鈴木参考人 臨海部の工業専用地域のニーズということでお聞きしましたが、まず、臨海部であり、かつ工場は操業しているということで、土地は使われているということになります。また、一つの工場の規模は非常に広大な、大きな規模のものが多いということが臨海部の特徴であるかと思います。

 したがって、先ほどから、私の前の参考人の方からも出ましたように、操業中であることがゆえにどうしても土地の形質変更が生じるということで、その形質変更が生じる数が非常に多いということで、やはり要望が出てきているんだと思います。

 また、リスクの観点からいえば、臨海部ということでございますので、飲用リスクは少ない。また、地下水流動も海側に行きますので、その下流側での飲用の確率は少ないという観点からの要望だというふうに理解しております。

畑参考人 豊洲の事例を見ましても、東京ガスの大きな工場があったわけですけれども、こういう臨海部の工業専用地域の大規模工場の場合には、やはり汚染されている場合が多いですので、汚染状況のチェックは、やはりできるだけ機会をふやしてやるべきだと思いますので、ここの規制緩和については僕は反対です。

塩川委員 ありがとうございます。

 それと、今回の改正の中で、国等の、国や自治体が汚染土壌処理の事業を行う場合の特例がございます。

 先ほど鈴木参考人の資料を拝見しておりまして、鈴木参考人にお伺いしようと思うんですが、建設副産物の実態調査という中に、汚染土壌の対策方法、利用方法というのが資料の四ページ目にございます。対策の方法で遮水封じ込めが多いですとか、利用方法で道路盛り土が多いというお話がございました。

 これは、そうしますと、このように汚染土壌の対策方法、利用方法が現行こういうふうにあるということですけれども、今回の第二十七条の五の改正、国や自治体が汚染土壌処理の事業を行う場合の特例によって、こういう現状がどういうふうに変わるのか、その辺について御説明いただけないでしょうか。

鈴木参考人 私がお示しした資料、図五、四ページでございますけれども、これは法の対象にはなっていない岩石について行われているということをまず御理解いただきたいと思います。また、このようなものは自然由来ということもありますので、そのためにこのような対応がなされているということでございます。

 では、汚染土壌の方についてどうなっていくかということでございますが、やはり土壌についても、自然由来であるということであれば、先ほども申し上げたとおり、適切に管理できる、つまり、土壌がどこに移動するか、私、土壌のトレーサビリティーという言葉を申し上げさせていただきましたが、その性質のある土壌がどこに行って、どのように管理されているかということが明確になっている限り、それはやはり可能であるというふうに考えておるところです。

塩川委員 そうしますと、今回、こういった改正に向けた議論の中で、東京都からの要望なども出されているわけであります。鈴木参考人に伺いますが、例えば東京都などを念頭に置いた場合に、もちろん処理施設が非常に限られているということもあるわけなんですけれども、こういった今回の改正によって、東京都においては、どういうことがそもそもニーズとしてあって、どのような解決策が図られようとされるのか、その辺についてお聞きしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木参考人 ちょっと、十分なお答えになるかどうか心配なところはありますが、まず、東京都で自然由来特例区域と呼ばれているところは、私の記憶ですと、三カ所だけだと思います。非常に少ないという現状がございまして、東京都からまず自然由来の汚染土壌を移動させるという事例はまだ今後大きくは生じない可能性はあります。

 ただ、逆に、自然由来特例区域が非常に多い都道府県等もございます。そういうところで、例えば、ある自然由来特例区域のものから発生する土を別の特例区域に置くということ、これが先ほどの法の改正に出てきますが、管理された土地から管理された土地へ置く。ただ、そのときには、当然のことながら、性質の同じ、例えば溶出する特定有害物質が同じものとか、そういう条件をつけることによって余り変わらない状態での管理ができるだろうということが、今回の法案の中で考えられているものだというふうに理解しております。

塩川委員 ありがとうございます。

 畑参考人に伺います。

 先ほど意見陳述の中でも、公共事業との関係での汚染土壌の混入の問題のお話がございました。やはり、いろいろ懸念されるところがあると思います。

 現場に足を運んでおられて、公共事業に係るさまざまな汚染土壌の問題等々について御見識を伺わせていただければと思いますが、いかがでしょうか。

畑参考人 今回、公共事業という意味では豊洲の事例が一番典型的なんですけれども、やはり、東京都の対応というか、調査の仕方についても、東京都がちゃんと、事業者というか、あそこは担当部局は中央卸売市場の方ですけれども、それに対して非常に甘い対応を環境局がしていた。トップは都知事なので。さっきありましたように、京都市の事例でも、ガス工場の跡地とわかっているのに地歴調査すらもさせずに届け出させて、汚染のおそれなしと判定でしょう。京都の卸売市場になったときには、もうガス工場はなくなっているんですよね。だから、有害物質の届け出もありませんし、卸売市場から有害物質は普通は余り出ませんので。

 だから、やはり、公共事業について、自治体の中での事業者と土対法を管理する環境部局との、チェックというか、それはかなり不十分じゃないかと思っています。

 そういう意味で、今回の東京都の例はその一番なれ合いの例だと思いますし、京都市についても非常にひどい話だと思っております。そういうところはやはり正していく必要があると思います。

塩川委員 今お話も出ました東京都における築地市場の豊洲新市場への移転問題について、幾つか畑参考人に伺いたいと思います。

 先ほどの陳述の中にも、やはり揮発性のガスの懸念の話がございました。

 東京都の専門家会議は、地下の汚染は残るけれども地上は安全だということで安全宣言を出そうとしておりますけれども、やはり、地下の汚染物質でありますベンゼンやシアン、水銀などが揮発をして地上や建物内を空気汚染する可能性がある。

 実際には地下と地上は分離できないので、地上の安全も保証されないのではないのかと思うんですが、この点について畑参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

畑参考人 今回、豊洲の事例で明らかになったのは、やはり汚染土壌と汚染地下水はかなり残置、残されているということがはっきりしました。

 特に、地下水の汚染というか、もちろん土が汚染されているから地下水が汚染されるんですけれども、例の地下空洞は現在底は砂利でして、だから地下水が下から湧いてきて、今水を抜いていますけれども、その地下水から水銀とベンゼンは確実に揮発して、実際に基準を超えたりしているんですね。

 地下空洞だから地上一階以上と関係ないと思われますけれども、実際には地下空洞と一階の間には階段、通路とかがありまして、そういうところが開閉というか開いていると確実に一階、二階にもガスは行きますし、それから、もともと十年前の専門家会議でも検討されていたんですけれども、完璧に地下と地上を分けたとしても、コンクリートで被覆していても、コンクリートは基本的に時間がたてば割れていきますので、そういう割れ目とかすき間からやはりガスが出るので、だから、前の専門家会議でもベンゼンのレベッカ法による予測をやったんですね。

 今回の場合は確実に底が穴があいている状態というか、盛り土もないし、地下水が直接地下空気に接していて、その地下空気がやはり、今換気なんかしていますけれども、もともとはしていなかったですね、していなければ上の建物に行きますし。

 それと、やはり豊洲はもともと軟弱地盤というか、海底のヘドロを埋め立てていますので。築地は、江戸時代に、徳川時代に神田駿河台の山の土を運んで、いい土を使って埋めていますので、三・一一で築地は地震ではびくともしなかったです、建物はちょっと古いですけれども、土地は。しかし、豊洲は液状化しまして、百カ所以上、噴砂といって、砂が下から噴き出したんですね。だから、三十年以内に起こる首都直下型地震を考えると、やはり、地震で豊洲が液状化すれば、地下からそういう有害な、ベンゼン、シアンとか水銀とか、そういういろいろなガスが、そういう有害物質が地上に出てくる可能性があるので非常に危険だと思っております。

 だから、私は豊洲移転には反対で、やはり築地の再整備、それも安くできるという話が今出ていますので、そういうふうに考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 この豊洲移転の問題には、例えば本来都が措置すると言っていた盛り土が行われていなかった問題のように、今厳しい批判を浴びているわけですし、地下水のモニタリング調査も、都独自で行っている措置だとはいっても、一回目から八回目と九回目で大きな数値の差が出るということについても、非常に厳しい目が都民からも注がれているところであります。

 その点で私がやはり懸念をするのが、そもそもこういった地下水のモニタリング調査のデータの信頼性の問題というのがあるということを考えなければならない。というのも、今回の東京都における地下水のモニタリング調査の実際の実施主体というのが、工事を施工したゼネコン自身が行っている。それぞれ三つの街区にわたって、鹿島、清水、大成が請負の業者として建物の建設や土壌汚染対策工事を行っているわけですね。しかし、この地下水モニタリング調査をやっているのが誰かというと、工事を請け負った事業者が受注をしているんです。ですから、みずから土壌汚染対策工事をやっている事業者がモニタリング調査の仕事も受注するという点での、中立公正という観点からいっても非常に疑問が残るあり方というのが非常に納得のいかないところであるわけです。

 さらに言えば、鹿島の場合が、では、そういったパージや採水や分析をする、受注はもちろん鹿島がやるわけですけれども、実際の事業の方は事業者に任せるわけです。いわば指定分析機関となっているような事業者が受けるわけですが、そういった事業者が、いわば鹿島の子会社なんですよね。そうすると、私、中立公正なものと言えるのかなと率直に思うんですが、こういった調査の信頼性を損なうような実態があるということについて、何らかしっかりとしたルールが必要じゃないかなと思います。

 その点について、簡単で結構です、四人の参考人の皆さんに、一言ずつ御意見をいただきたいと思います。

大塚参考人 ありがとうございます。

 調査についての信頼性で、調査の主体をどう考えるかという問題は、環境法のほかの部分についても時折出てくる問題ですので、全般的に考えていく必要があると思いますが、御指摘の点については、例えば子会社についてはちょっと控えるとかいう運用をしていくというようなことは、信頼性を高めるためには非常に重要だというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

細見参考人 まず、調査の信頼性に関しては、計量証明事業として、分析値が、誰がやっても、公定法に基づいて調査、分析をし、同じ値が出るというのが基本だというふうに思っています。

 その上で、では誰が請け負うのかということの多分御質問だというふうに思いますので、それに関しては、できるだけ第三者というかが望ましいとは思いますが、ちょっと私も、豊洲の件で、うろ覚えですけれども、全ての調査八回が、先ほど言われたゼネコンの方の受注だったかどうかというのは、たしか一回目から三回目ぐらいは違っていたかもしれないと思いますので、そういう意味では、いろいろ情報がちょっと今、確認してから私も発言しないといけないかなと思っています。

 ただ、私としては、土壌汚染対策法というのは、調査地点を決めて、その調査方法を誰がやってもほぼ同じようになるように、いろいろ調査、対策ガイドラインというのを決めて努力してきているわけです。ただ、完璧かと言われると、人間がやることですので、足りない点につきましては、また御指摘があって、それを改善していく努力を常に惜しまないでやっていくべきだというふうに思っています。

 ありがとうございます。

鈴木参考人 今の御質問の豊洲について、詳細についてはちょっと細かく調べていないのでお答えし切れないところがございますが、基本的に、土壌汚染対策法に基づいた措置、対策が行われたという点で考えれば、対策はいわゆる建設業者さん等ができますが、最終的なモニタリングについては指定調査機関がしなければならないことになっているかと思いますので、そこでの立場は違うということで考えられるのだと思っております。

 以上です。

畑参考人 この問題は、私も専門家会議をいろいろ傍聴したりしてチェックしていますけれども、一回目から三回目の地下水モニタリング調査は、日水コンという、ゼネコンではないですけれども、今回の豊洲の地下水管理システムを設計、施工した業者なんですよ。つまり関係業者ですね。地下水の管理システムということは、地下水から基準を超えるとやはり困るわけですよ、自分らの対策の失敗を認めることになりますから。

 それから、四回目から八回目は全てゼネコンですね。清水、鹿島、大成という、五、六、七街区ごとに建物も土壌汚染対策工事も地下水のモニタリングも全部同じ会社が随意契約で受けていた。一回目から八回目は全部随契なんですよ。

 九回目、初めて湘南分析センターという一般競争入札で選ばれた第三者的な分析会社が受けて、それが物すごい悪い結果が出たわけですね。

 僕はもともと、テレビ朝日でも言ったことがあるんですけれども、最高が、土壌で四万三千倍のベンゼン、地下水で一万倍のベンゼンが出た地域なんですよ。そんなところが幾ら対策をやったといったって、全部基準以下になるのは僕は考えられないです。

 僕はイタイイタイ病の発生源であった神岡鉱山の亜鉛電解工場の地下水汚染対策を二十年かけてやったんですけれども、まだいまだにきれいにならないので、ずっとくみ上げて処理しているんですよ。一回地下水が汚染されると、土以上に浄化は非常に難しいんです。そういうことを実感していますので、もともとおかしいと思っていたんですね。

 それで、一回目から八回目は、もちろんパージの問題もあったんですけれども、何か従来と傾向が違ったデータが出た場合とか基準を超えた場合は再採水をしています、そういうことを専門家会議の事務局が前回の三月の専門家会議ではっきり言ったんですよ。これで再採水という、これはよく、この水谷さんの資料にもありますけれども、二〇一〇年に環境省通知で、土壌汚染状況調査等の公正な実施に支障を及ぼすおそれのない体制の整備についてという通知を出しているんですね。

 これはやはり、京都市でも清掃工場のダイオキシンであったんですけれども、それから、滋賀県の高島市でもダイオキシンデータの改ざん、何回もはかって基準の低い値を採用する、基準を超えたものは全部飛ばす、そういうことを行政は結構やっているんですね。そういう悪い実績がありますので、そういう意味で信頼をしておりませんでした。

 今回、やはり、第十回目、九回目の再調査として、四者、クロスチェックをやったんですね、専門家会議で。東京都環境研とこの湘南分析センターとあと二者、専門家会議が指定する業者とか。そうすると、ほとんど値は変わらなくて、逆に七十九倍だったところが百倍にふえた、そういう結果が出て、九回目の調査が暫定値じゃなくて正式値に採用されたということなんですね。

 そういう経過があって、一回目から八回目のデータの方が信用できないというか、東京都が再採水を指導していたんです。業者にやらせていた。だから、ゼネコンと東京都、どちらも利害が一致するという立場だったんじゃないかと思っております。

 以上です。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 きょうは、四人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。

 この土対法の改正、私は、やはり二〇一一年の東日本大震災並びに東電の原発事故があったことが、こうした環境の諸施策の法改正にもかなりこれまで多くのいろいろな影響を及ぼしてきたというふうに考えております。

 人の健康に被害を及ぼすことを防止する、もちろんこれも大切なことでありますが、本来、つくられてきたさまざまな法律の目的たるものを、やはりこうした改正のタイミングでしっかり、これで本当にいいだろうかという点検、再チェックというものが折々になされるべきなんだろうなというふうに思っております。

 畑参考人の提出いただいた資料の中にも、これまで、従来は、環境省の諸施策は放射性物質を除くということでずっと来ておったわけでありますが、あの原発事故が起こってから、環境基本法も見直され、そしてそれ以降、二〇一三年、水濁法や大防法等々も放射性物質を除くというのが外されるというところに来ました。

 私、今回、土対法の目的の部分から、この「(放射性物質を除く。)」というのも、水濁防止法や大気汚染防止法と並ぶような形で外されていくのかなという思いを実は寄せておったんですけれども、相変わらず今回はこれが残りました。

 決してこれだけにこだわろうとは思ってはいないんですけれども、たまたま先ほど畑参考人も御指摘をいただきましたので、目的の部分について、この点もぜひお伺いをしたいと思っておりますが、それ以上に、やはり私は当初より、人の健康被害を未然に防止していくという目的、問題意識をさらにやはり大きく捉まえていく必要があるのではないかという認識をずっと持ち続けておりました。この点は、大塚参考人の方も今後の課題ということでお記しをいただいておりますように、私も同じような認識を持っております。

 二〇一〇年に生物多様性条約の締約国会議を名古屋で開催し、いわゆる生態系、また生物多様性の保全等々、非常に多岐にわたる問題意識をこの日本にあっても認識、共有をするようになりました。

 この土壌汚染対策にあっても、生活環境への影響であるとか、さらには生態系の保全といった目的をやはり含めていくような視点を捉まえていくことが、関係する業界、地域、また近隣住民等にも意識を持っていただくのに非常に有効なのではないかなというふうに思っているところでもあります。

 大塚参考人が問題意識を持っていただいているこの目的、意識の拡大、対象の拡大、さらには「(放射性物質を除く。)」という括弧書きが今回も取り除かれなかったという点、この二つをあわせて、今回の目的の見直し等々にどのような御感想、御意見をお持ちなのか、四人の参考人の皆様それぞれから丁寧にお答えいただければというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

大塚参考人 どうもありがとうございます。

 まず、健康被害だけではなくて生活環境被害あるいは生態系の被害に関しても土壌汚染対策法の目的に入れるべきじゃないかという御指摘につきましては、二〇〇二年の法律制定のときから問題になり得る点であったというふうに考えているところでございます。

 具体的には、まず、生活環境被害に目的を広げたときに問題となるものとしては、油汚染が出てくるかと思いますけれども、それ以外にもいろいろなものがさらに対象になってくる可能性が出てくると思います。

 私は、将来的には、これについては非常によく検討していく必要があるというふうに考えているところでございますけれども、現在のところは、すぐにはちょっとなかなか対応は、残念ながらしにくいというところがございまして、今の健康被害だけを目的としている法律だけでも、結構土壌汚染対策は厳しいという指摘が社会的にはあるというところがございますので、将来的な課題としては非常に重要だと考えているということを申し上げておきたいと思います。

 それから、放射性物質を土壌汚染対策法の中に取り込むという点につきましては、これも中長期的に重要な課題だと考えているところでございますけれども、放射性物質の汚染に関しましては、福島を中心とした土壌汚染につきまして除染の実施計画がことしの三月に終了したところでございます。除染の実施計画の終了に合わせた形で、さらに放射性物質汚染対処特措法と土壌汚染対策法との関係については検討することになっておりますので、また早晩検討が始まるというふうに考えております。

 一般的に言えば、放射性物質の汚染に関しましては、福島を中心とした地域の大規模な汚染についての除染という問題がございまして、やや土壌汚染対策法の一般的な規制とは違うことも考えなければいけない点がございましたので、今まではなかなか土壌汚染対策法の中に取り込むことがちょっと難しかったということがございますけれども、今後それについては検討されるものと思いますし、検討されるべきであるというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

細見参考人 汚染土壌に基づく生態系影響だとか、あるいは生活環境に対する影響ということに限定すれば、例えばオランダだとかでもそういう生態系影響の評価プロセスが取り入れられているようでございますけれども、私は、ちょっと一つ思いますのは、確かにミミズに対する影響はどうなのかというのは、例えば大きな建物の下のミミズを、本当にそれを守るべきかどうかということも含めて、一体何をどうしたらいいのかということに関して、生態系というのはどういう指標でどのように評価していけばいいのかというのも実はまだ議論の真っ最中でございます。

 検討はすべきだと思いますけれども、ある程度やはり指標というのを決めて、それに対してどういう影響があるのかというのをしないと具体的な道筋が見えてこないと思いますので、そういう努力はすべきだと思います。

 一方で、表層の汚染土壌が雨が降って泥となって河川とか湖沼に入る、そういうリスクも当然考えられるわけですけれども、それについては公共用水域のモニタリング等がずっと継続して行われていますので、そういう意味では、汚染土壌というか、農用地の汚染土壌ももちろんあるわけですけれども、土壌由来という意味では、現在のところそれほど大きな影響はないもの、それは、水環境のモニタリングの結果からすると、そういうことが言えると思います。

 それから、放射性物質の件でございますけれども、大気、水というのは、常にフローというか変わっていくものですので、排出源をコントロールすれば、おのずと大気中だとか水のようなところだと回復すると考えられますけれども、土壌あるいは廃棄物だとかそういうものについては、一旦汚染されてしまうと、なかなかそれを回復したりするのは非常に難しいと思っています。

 そういう意味では、一方で除染というのが行われていますので、その除染の活動を私たちは見守るべきで、私個人も、この中間貯蔵施設の減容化だとか、そういう、二千万立方メートルに上るような除染された土壌だとか草木類が集まっていますので、それをそのまま中間貯蔵でするというのは非常に困難だと思われますので、現在、そのための減容化だとか、あるいは再利用に関してのいろいろ検討は進められております。

 そういう流れと、先ほど先生おっしゃられたような今後の、水と大気とちょっと違う、しかし何らかの考慮はしていくべきだというふうに思っていますが、そういう除染作業とも関連して議論すべきだというふうに考えています。

鈴木参考人 生活環境の保護それから生態系の保全を目的としたものについても土対法で考慮した方がいいのではないかという御質問だったと思いますけれども、その方向は非常に重要だと思いますが、反面、実務的なことを考えたときに、土壌汚染対策法というのは今一律の基準でやっております。ところが、実際にこのような生態系それから生活環境を考えた場合には、当然のことながら、場所、位置によってやはりそのリスクは変わるということがあります。

 現実的に、アメリカとかオランダではリスク評価という手法でこの対応がなされているというふうに私は理解しておりますので、やはり、土壌汚染対策法についても、そういうリスク評価手法という考え方が取り入れられた形になったときに初めて運用できるのではないかというふうに考えております。

 また、放射性物質についても同様な考え方が適用でき、やはりリスク評価というところがうまくできないと、一律の評価で対応するというのはなかなか難しいところだというふうに、個人的な見解ではございますが、思っております。

畑参考人 放射性物質につきましては、私ども、資料で提案していますので。やはり、今現在、福島等で行われている空間線量のシーベルトじゃなくて、土壌のベクレルというか、先ほど細見参考人が、大気、水はフローで、こういう土壌とか廃棄物はストック汚染と言うんですけれども、逆にずっと蓄積してなかなか減らないという問題がありますので、やはり放射性物質についても土対法の対象にすべきだと思っています。

 それから、生態系とか生活環境の問題ですけれども、土という字は、漢字の由来なんですけれども、あれは下の長い棒は地面なんですよ。僕もあれを本で読んでおもしろいと思ったんです。上の十字架、クロスはあれは植物なんですよ。そういう象形文字でつくられているように、土というのは、土がないと植物も育たない、その植物がないと動物も人間も生きられないわけですね。

 そういう意味で、地上の空気とか水とか、いろいろな生態系を支えているのは土壌の生態系なんですね。土壌といって、何も土の塊だけじゃないんです。土の中には水もあり、地下水もあり、地下空気もあり、先ほど言いましたようにミミズとか微生物とかいろいろなものがすんでいて、その死骸もあるんですけれども、それで土壌の生態系、独自の生態系がつくられているわけです。やはり、そういう作物をつくる農地だけじゃなくて、公園とか工場敷地でも緑化しますので、そういう意味では土壌はできるだけ健全にしておくべきなんですね。

 そういう意味で、土壌汚染対策法の対象に生態系の保全とか生活環境の保護というのをやはり入れていくべきだと思っています。

 さらに、土壌の壌という字ですけれども、壌もこれは豊壌の壌という意味で、豊壌とか肥沃なんという意味が入っていますので、単なる土ではないという、土壌というのは非常に大事なもの、人間にとっても生物にとっても非常に大事なものであるという認識はやはりすべきだと思います。

田島(一)委員 ありがとうございます。

 四人の先生方それぞれにお立場もあって、お考え方やまたは意見の違いも明らかになり、大変勉強になりました。

 鈴木参考人がおっしゃったように、私も、評価手法をきちっと取り入れていかなければ、我々がその理想たるものを実現していくにもそれが伴っていかないということは十分やはり考えるところでもあります。そういう意味では、まだまだ手をつけていかなければならないハードルがこの土対法の関連においては非常に多いんだと。

 ただ、現行、人の健康だけがその目的とされていることに対して、ややもすれば逃げ道になったり、本来ならば、いずれ回り回って人の健康に害を及ぼすんだけれども、それをさかのぼっていけば生活環境であったり生態系への影響であったりと、言ってみれば時間的なラグはあるかもしれないけれども全てが実はつながっているんだという認識を、私はどうも、この目的条項の中に、人の健康だけに特化されてしまったことによって何やらねじ曲げられたような、そんな気が実はしておったもので改めてお尋ねをいたしました。

 大塚参考人も正直におっしゃっていただいたとおり、二〇〇二年から同じ議論をずっとやってきていただいて、やはり一歩も進まずに、一文字も手を加えられずに来ているんだということが私は非常に残念でなりません。

 かつて、京都の射撃場の鉛汚染の問題に、それこそ細見参考人や畑参考人も随分かかわっていただいていた、とりわけ、細見先生にあっては、ガイドラインを作成していただいた重責を担っていただいたわけでありますが、残念なことに、あの京都の射撃場の周辺の鉛汚染の問題も、これは土対法の対象でなかったというようなことから、防止策であるとか事後対策というものも十分にとられてこなかったというような経緯もあります。

 近年、皆さんも御承知とは存じますが、中山間地域では、猿、鹿、イノシシ、熊という被害鳥獣と言われる野生鳥獣が増大を見せて、何とかこのふえ過ぎた数を適正数に抑えようということで、猟友会や関係者の皆様が頑張って駆除作業に随分当たっていただいております。

 鉛の散弾や鉛の弾を使わないようにという運動も出て久しいわけでありますが、いまだにやはり、命中率が高かったり、よく飛ぶからというような理由で鉛の弾が随分使われて、しかも、駆除された鹿等については、その鉛を摘出することもなく、重いものだから、食べられるロースの部位以外はそのまま土の中に埋めていく、場合によってはロースもとらずにそのまま埋めていくということで、鉛汚染の被害等々も中山間地域ではまだまだこれから広がっていくんじゃないかな、そんな心配も実はしております。

 とりわけ、この京都でも問題になった、地下水の鉛汚染の問題が指摘されたように、今、まだ全国では、中山間地域に行けば行くほど、地下水を飲用されている地域は決して珍しくありません。

 今後、こうした鉛汚染、今ようやく北海道では鉛の弾は禁止になりましたけれども、まだ全国全てで禁止になったわけでもありません。自衛隊の演習場等々での汚染の心配、懸念等々もやはりあると私は考えるわけでありますが、座長をお務めいただいた細見参考人、このような生態系等々への影響ということも私が意識させていただいたのはここのところにもよるところでありますけれども、どのような御認識をお持ちなのか、今後の対策等についてもお考えがありましたら、ぜひ聞かせていただけないでしょうか。

細見参考人 今御指摘のとおり、射撃場に係る鉛汚染調査・対策ガイドラインの取りまとめをさせていただきました。

 その際、多くの立場、もちろん自衛隊、警察も教育委員会も、さまざまな形で射撃場の鉛汚染問題については関係者はおられました。その中でまとめる作業をさせていただいて、私自身もいろいろ勉強させていただきました。かつ、諸外国の射撃場にも行って調査をさせていただいて、どういう管理をしているのかというのも、アメリカ、ドイツ等、行かせていただきました。

 それを踏まえて、射撃場というのは、やはりどうしても鉛弾を使わざるを得ないという実情がございます。ですので、そこの射撃場の中は鉛が存在しても特段問題にするものではなくて、射撃場の外へその汚染が広がるようでは、これはやはり環境上看過できないというふうに思っています。

 その意味で、飛ぶ可能性としては、あるいは場外に出る可能性としては排水として出てくる可能性がありますので、排水のチェックをしていただくということが一つの大きな対策あるいは調査だと思っていますし、同時に、地下水も調べなさいという形でお願いしているところでございます。

 また一方で、鉛自身は、この調査の過程でわかったのは、かなり土壌に吸着されやすいということもわかっています。その土壌が外に出ないような工夫をすれば、例えば射撃場でも十分管理はできるというふうに考えています。

 先ほどの、鉛を含んだイノシシだとかなんとか、動物の死骸というか、そこから鉛が環境中に出て地下水に行くのではないかという御懸念だと思いますけれども、少なくも、射撃場における鉛の散弾の密度と、イノシシとかそういう動物の密度から考えて、圧倒的に少ないと思われることが一点と、それから、土壌は鉛を吸着する能力がありますので、これは、土壌中に埋められて、その鉛が土壌、地下を通じて地下水に至る過程において十分な吸着能力を持っている、今得られている土壌の吸着する能力からすれば問題ないかというふうに思っています。

田島(一)委員 ありがとうございました。

 もう一問ありましたけれども、時間が参りましたので終わらせていただきます。

 ただ、先ほどの鉛被害でありますが、実は、猛禽類等々が鉛で撃たれた鹿やイノシシ等々を捕食していわゆる鉛被害が実は拡散しているという問題もあります。土対法とは関係ないので、きょうこの点を詰めるつもりはありませんけれども、ただ、生態系等々にまでいろいろなことが影響し、絡んでいるんだという認識はぜひ皆様にもお持ちいただいて、今後のこの目的の部分等々の拡大解釈や、また、運用等々、そしてリスク評価等々が拡大できるように、心から期待をしておきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

平委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、土壌汚染対策法改正案について、参考人の皆様に質問をさせていただきます。

 土壌汚染対策法は、平成十四年に制定され、平成二十一年の改正を経て今日に至っております。今回、平成二十一年改正法の施行から五年を経過したことから、政府において現行法の施行状況について検証が行われて、明らかになった課題等に対して今回の改正案が提出をされました。国民の健康被害の防止や、また社会的なニーズにもしっかり対応できるものになっているのか、参考人の皆様に確認をさせていただきたいと思います。

 まず、土地の汚染状況の把握が不十分であるという課題に対応するための、土壌汚染状況調査の実施対象となる土地の拡大について伺います。

 現行法では、有害物質使用特定施設の使用廃止時に義務づけられている土壌汚染状況調査について、工場が操業している等の理由がある場合、この調査が猶予されております。このような土地においては、土壌汚染状況の把握が不十分であり、土地の形質変更時に地下水汚染の発生や汚染土壌の拡散が懸念され、このために、今回の改正では、調査が猶予されている土地であっても、土地の形質変更を行う場合には、あらかじめ届け出をさせて、都道府県知事が調査を行わせるものとしたわけであります。

 改めて、この改正事項の評価、並びに運用に当たっての考慮すべき点等があればお伺いをしたいと思います。四人の参考人、それぞれお願いいたします。

大塚参考人 どうもありがとうございます。

 今おっしゃっていただきましたように、一時免除中の事業場あるいは操業中の事業場に関しても届け出及び調査命令をかけるということでございまして、今までこれについては調査が必ずしもなされていなかったわけでございますけれども、これについて調査がなされ、さらに搬出等を含めて汚染の拡散を防ぐという観点から、非常に必要性が高い改正案であるというふうに考えているところでございます。

 具体的には、今後の問題といたしましては、まず、三条につきましては、一時免除中の事業場に関しましては、軽易な行為は適用除外ということになっておりますが、それとの関係で、敷地面積について規模要件をどのぐらいにするかという問題が出てくると思います。

 操業中の事業場についても、四条の問題でございますけれども、これもやはり、敷地面積として、規模要件、敷地というか改変の面積ですね、済みません、土地の形質変更の面積としてどの程度のものを規模要件とするかということが問題となってくると思われます。

 それから、先ほども御議論がございましたように、敷地の境界についてどういうふうに考えていくかという問題も定義づけをしていくということが必要になってくると考えております。

 以上でございます。

細見参考人 私の意見陳述の要約の一ページ目にありますとおり、一定規模の拡大に関しては非常に合理的だというふうに考えています。

 その際、注意すべきことは何かという御指摘だと思いますが、私も、今、大塚参考人が言われましたように、一体どの規模を軽微なあるいは軽易な変更とみなして、余り細かいところまでぎしぎしやってしまうのはやはり効率の点とかいろいろな点から難しいかなと思っていますので、合理的に、今実際に行われている形質変更がどういう実態なのかというのを踏まえて検討すべきだと。

 もう一つは、もう既に、ある都道府県では条例として何平米以上はとかという規定もございますので、その辺も関係者間で議論はすべきであるというふうに考えています。

鈴木参考人 三条、一時猶予の土地に対する調査の強化ということになるかと思いますけれども、三条の調査で行われる場所から有害物質が出てくる確率は二分の一であるというような結果等を踏まえますと、猶予されている土地であるというだけのことでありますから、やはり調査は極力スムースになされるべきであろうというふうに思っていますので、今回の改正案は評価できるものと思っております。

 ただ、今までお二人の参考人も申し上げられたとおり、やはりどの程度から評価するのかというのは一番大きなポイントだと思います。この規模がどの程度であるかということはなかなか決めづらいところであると思いますので、今後の検討を待つところだと思いますが、それと同時に、やはり、先ほど私の申し上げた、土の移動ということがきちんと評価できているかどうかを含めて見ていく必要があるだろうというふうに思っております。

畑参考人 今回の三条の改正については賛成です。

 その規模についてですけれども、僕は、やはり四条の形質変更届け出と同じように三千平米にすべきではないかと思っております。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 また、運用に当たっての考慮すべき点においても今後反映をさせてまいりたいと思います。

 規制の強化の二点目について、汚染の除去等の措置にかかわるリスク管理が不十分、こういう課題がございました。それに対応するため、今回の改正では、汚染の除去等の措置内容に関する計画提出命令の創設について改正をするわけですが、この点についてお伺いをいたします。

 対策が必要な要措置区域については、従来は、都道府県知事が要措置区域の土地所有者に対策を行うべきことを指示するという仕組みのみであって、適切な措置が計画、実施されなくても、是正の機会はない、またリスク管理が不十分という課題がございました。

 そこで、今回の改正案では、都道府県知事は、要措置区域内における措置内容に関する計画の提出命令や、基準に適合しない場合の変更命令等を行うとされております。先ほど大塚参考人からも、本法の最も核心的部分に切り込んだものと指摘もなされたわけでございますが、改めて、この改正事項の評価、そしてまた運用に当たっての考慮すべき点について、四人の参考人にお伺いをいたします。

大塚参考人 ありがとうございます。

 この点は、二〇〇二年の法律制定のときから本当は検討しなければいけなかったことかと思いますけれども、当時はまず法律をつくること自体が非常に大変でございましたので、今般、この計画の提出それから完了報告等についての規定が入ったということは大変喜ばしいことだというふうに考えているところでございます。

 具体的な内容としましては、七条にかなり細かい規定が入ったわけでございますけれども、環境省令に委ねているところがかなりございまして、特に、計画の内容としてどのようなものを記載していただくかということに関しては、これから環境省令で決まっていくことになることが多いわけでございます。

 できるだけ詳しくということでもありますが、他方で、合理的な内容にとどめるという必要性もございますので、その両方の観点から、計画の内容について今後環境省令で決めていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。

細見参考人 先ほど来申し上げていますように、要措置区域での手続に関して、若干足りない面があったというふうに思っています。

 ただ、たしか、都道府県知事もだと思いますが、立入調査も一応できる権限があるので、そういう意味で、指示措置がちゃんと行われているかどうかに関しては一応チェックできると思われます。思われますというのは、実際、どの場でやられたのかちょっとわかりませんが。

 ただ、それは明らかにその手続を踏んだわけではなくて、立入調査というのは、もっと、計画、それからそれが実施されたのかどうかということと、最後に完了報告という一連の手続の中で例えば立ち入りが行われれば、より要措置区域での除去等の措置が行われたというのを確証できるかと思いますので、そういう意味では、今回の手続の改善というのは至極当然のことだというふうに思っています。

鈴木参考人 措置実施計画書の作成ということであると思いますが、やはり今までも、実は、大きな土壌汚染対策工事では、自主的ないしは先ほど申し上げたように自治体の方からの要請があった場合等で、打ち合わせがされていたという事例はあったかと思います。ですから、全てがそういうリスクがおろそかになっていたわけではないと思いますが、逆に、全てがそういうふうに行われてきたわけでもなかったということがあると思いますので、今回、明文化されるということは非常に評価できるものだと思っております。

 先ほど陳述の方でも述べさせていただきましたが、やはり、措置をするということは、期限があってその間にやるということで対応することになりますので、逆に、しかも、地面の下のことですから、何が起きてくるかわからないということで、措置実施計画を一回つくっても、それが変更されてしまう、変更しなければならないということは往々にしてあり得ることでございます。そのときに、その変更届を出すことによって措置がとまってしまうということはやはり非常によろしくないことだと思いますので、その措置実施計画、措置が進むことに対して妨げないような形での変更が進められるということが重要であろうというふうに思っております。

 以上です。

畑参考人 これも豊洲の事例ですけれども、措置内容として盛り土をすることになっていたのに、実際は盛り土をしていなかったという問題がありましたけれども、そういうことをできるだけ防ぐためにも、今回の第七条の改正は必要だと思います。

江田(康)委員 ありがとうございました。今後の改正法案に反映をさせていきたいと思います。

 この調査の強化、また計画提出の仕組みの導入について、今参考人の方からもありましたように、合理的なものであり、妥当であるという評価が参考人の方々からも陳述されたと思います。

 一方で、先ほど大塚参考人から陳述がありましたけれども、調査や対策には、主体者にとっては費用がかかるものでありまして、特に、資力の乏しい中小企業が円滑な調査や対策を実施できるようにしていくことが重要ですけれども、その際、基金などの助成や融資等、何らかの支援策を講じていく必要があると私は訴えております。

 また一方で、調査、対策手法の低コスト化を図るということも、実証試験段階にある低コスト、低負荷型の技術の実用化を進めるということも、またこれはそういう中小企業等への支援にもつながると考えますけれども、いかがでしょうか。

 これについては、大塚参考人と鈴木参考人にお伺いをさせていただきます。

大塚参考人 ありがとうございます。

 今御指摘の点については、私も非常に重要な点だというふうに考えているところでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、助成と融資の制度について充実を図る必要があるというふうに考えているところでございます。

 助成に関しましては、私のレジュメ九ページの下の方にございますけれども、交付例は二例にとどまっているということでございますが、なぜこのように少ないのかということについて真摯な探求が必要だというふうに思っておりますし、また、今般の改正案におきましては、一時免除中及び操業中の事業場の調査が新しく導入されることになりますので、中小企業等におきましては、特にこの調査の費用、あるいはそれに伴ってさらに発生する可能性がある汚染の除去等の費用についての助成というのが重要になってくると考えているところでございます。

 ただ、汚染者負担原則との関係で、助成につきましては、汚染者である土壌汚染の原因者については助成ができませんので、その考え方自体はなかなか変えにくいところがございますので、原因者である方についてはむしろ融資の方が重要になってくるということがございます。

 土地の所有者につきましては助成が必要ですので、助成自体はもちろん必要でございますが、汚染者については融資が必要になってくるということでございまして、現在この融資の制度が停止してしまっているということは、ぜひ復活をしていただく必要があるということだというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

鈴木参考人 低コスト、低負荷型の技術の導入ということですが、まず重要なことは、今、大塚参考人の方からも申し上げたように、やはり助成、融資ということが一つセットになってくることが重要だと思います。それがインセンティブが働くような形になってくると思います。

 また、このような技術をやはりもう少し体系的に外に出していく。例えば、国土交通省ですとNETISという新技術の登録、公開制度がありますので、そういうような形で、もう少し公開していって使っていくということを併用していくことも重要ではないかと、個人的ではございますが、思っております。

江田(康)委員 最後の質問になりますが、重要なことでございます、規制の合理化について一つ。

 リスクに応じた規制の合理化についてでございますが、臨海部の専ら埋立材や自然に由来する汚染のある工業専用地域は、地下水の飲用や土壌の直接摂取の可能性はなく、健康被害のおそれは低いが、大規模な土地の形質変更を行う場合には、その都度、届け出や調査が必要とされてきました。

 しかし、リスクに応じた規制の合理化が必要との課題に対応するために、今回の改正では、健康被害のおそれがない土地の形質変更については、あらかじめ都道府県知事の確認を受けた場合、工事ごとの事前届け出にかえて、年一回程度の事後届け出とすることとしたわけであります。

 一方で、これらの緩和が行き過ぎて汚染が拡散するなどの問題が生じてしまってはならないわけでありまして、この改正事項についての評価と運用上考慮すべき点について、最後に四人の参考人にお伺いをいたします。

平委員長 それでは、残り時間が少なくなっておりまして、一分弱をめどにお願いいたします。(江田(康)委員「それでは、済みません、お二人に、大塚先生と細見先生に」と呼ぶ)

大塚参考人 どうもありがとうございます。

 臨海部の工業専用地域につきましては、御指摘のように、ある種の規制緩和をしているということでございますけれども、事前に管理方針をあらかじめ都道府県との間で合意をして都道府県の方が確認をするという手続があるということがございますし、事後届け出もございますので、新しく健康被害が発生するようなリスクは乏しいというふうに考えているところでございます。

 実は、この点に関しましては、審議会におきましては、形質変更時要届出区域にそもそも入れないでほしいという要請が経済界の方からはあったわけでございますが、それだとなかなか管理がしにくくなってしまうので、それはちょっと今回の改正案の中には入っていないということでございまして、この点も含めまして、土地の管理に関しては遜色のないものとして残っているというふうに考えているところでございます。

 今後の問題としましては、この管理方針について、どういう内容とするかということについて検討していく必要がありまして、これも環境省令で定めるということになっておりますので、この管理方針をきちんとしたものとしていく必要があるということが重要であると思っております。

 以上でございます。

細見参考人 ただいまの大塚参考人とほぼ同じ意見でございまして、今回は都道府県知事が重要な役割を担うと思っています。特に、臨海部の工業専用地域というのはそれぞれ地域ごとに多分特性が異なると思いますので、それを一番よく把握しているのは都道府県知事だろうというふうに思いますので、都道府県知事がそういう把握している臨海部の工業専用地域に関して、健康リスクという観点から自主管理方針を確実にしていくという作業が非常に重要かと思っています。

 以上でございます。

江田(康)委員 ありがとうございました。

 今回の改正法案、参考人の皆様にさまざま聞かせていただきましたが、調査拡充などの規制強化と、適正な管理のもとでの規制の合理化とで、バランスよくリスク管理が推進される内容になっているということが評価されたものと考えます。

 一方で、規制合理化については、なし崩し的に緩和が広がるような運用は避けるべきであり、本法を自治体が適切に運用できるように、国がしっかりと取り組んでいく必要があると思っております。

 しっかり今後の審議に反映をさせてまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 四人の参考人の先生方には、本当に貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。まずもって感謝を申し上げます。

 まず、大塚参考人にお尋ねしたいと思いますが、今回の土対法の改正というか目的の中で、先ほど田島委員からもお話があった点でありますけれども、いわゆる人体、健康被害、こういう話だけではなくて、生活環境被害に拡大すべきである、こういうお話をいただきました。

 これは本当に、実は私は、環境委員会で環境問題といったときに、いわゆる環境問題というのは、一番最初は公害からスタートしました。今や大気汚染、気候変動なんという話になると、まさに国境を越えてのいわゆる問題にもなってきているわけです。ただ、意外と身の回りの生活環境という話の視点が余り出ていないのではないかということを言っていて、これは具体的には、もう何度も言っているから皆さんはまたかと思われるかもしれませんが、ごみ屋敷法、ごみ屋敷防止法案というのをつくろうと。そのときに、大事なコンセプトとして、生活環境権とでもいいますか、そういった話を考えるのが必要だ、そうでないと所有権との衝突になっちゃうものですから、これはなかなか大きな課題だ、こう思ってずっと主張しているんです。

 きょう、大塚参考人の方から、まさに土対法の中でも生活環境被害ということを考えるべきだというお話があって、具体的にどういったことをお考えになっているのかな、こう思って先ほど聞かせていただきました。

 先ほどは、油の問題という具体的な話が一つございました。ガソリンスタンドがなくなった後の油の問題というのは実際本当に起こっているわけでありまして、ほかにも生活環境権として大塚参考人がお考えになっている話というのは一体どんなものなのか、そのコンセプトは一体何かといったところをお聞かせいただけませんでしょうか。

大塚参考人 どうもありがとうございます。

 一番生活環境被害で主なものとしては油汚染がございまして、それが、今おっしゃっていただきましたように、ガソリンスタンドは全国にかなりたくさんございますので、その跡地について規制の対象に入るというのは非常に大きなインパクトのある問題でございます。

 それ以外のものとして、生活環境の被害として具体的に出てくるものとしては、例えば、建物が土壌汚染によって侵食されて腐食するとか、あるいは家畜が土壌汚染によって何か被害を受けるというような場合に生活環境被害ということになりますので、そういうケースが問題になり得ると思います。先ほど田島先生がお聞きになったところでの問題にもございましたが、家畜に対する被害というのがあれば生活環境被害ということになります。

 生活環境被害については、さらにもう少し拡張して、水生生物について、食用にするような水生生物に関しても拡張する可能性も出てまいりますので、そこまで広げると、かなり規制対象はふえるというふうに考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 ありがとうございました。

 この話、これからも議論を続けていきたいと思っておりますが、ただ、先生のお話の中で、私も、先生の、今回の法案についてということでお書きいただいているメモの中に一つ、「土壌汚染が公害であるにもかかわらず、生活環境被害の防止は含まれていないことである。」こういう文章があって、これは、公害と生活環境というのは私は分けて考えていきたい、こう思っていて、新しく生活環境権というのを立てたい、こう思っておりますものですから、これは私の拙い意見ですが、お伝え申し上げておきたいと思います。

 次に、鈴木参考人にお尋ねをしたいと思います。

 自然由来土壌汚染の問題でございます。

 これはさっきの健康被害の問題とも関係するんですけれども、この自然由来土壌汚染というのが当初の法案の中では省かれていた、恐らくそれは原因者が特定できないからだろう、こういうお話だったと思います。

 二〇一一年のところから、搬入、こういう話があるので、そこで特定できるようになった、こういうことでしょうか。そこから入れ込むことができるようになった、こういう理解でいいんでしょうか。

 それともう一つ。私は、自然由来だろうと何だろうと、やはり健康に被害がある話はそれは問題だろう、こうずっと感じておって、そういった意味では、この自然由来の土壌汚染というのは至るところにあるんですか。

 ぜひ、その辺を、土壌の専門家の先生としての御意見をお尋ねしたいと思います。

鈴木参考人 ありがとうございます。

 まず、最初の御質問の部分でございます。

 最初の土壌汚染対策法で入っていなかったのが、原因者が特定できないというよりは、一つは低濃度だったという部分と、特定できないと、両方あったかと思います。そのために、もともとの最初の法律のときは、自然由来の認定の考え方というのが出ていましたが、そこでは、原因者が不明であるということだけで、あと濃度の話がありました。したがって、ごく低濃度の人為も実はあの中には入っていたというふうに解釈できるかと思います。

 逆に、改正法のときには、搬出される土壌ですね、たしか当時は汚染土壌の不法投棄というのが一つの問題のテーマとあったと思いますが、廃棄物、ごみと違って土壌の方は区別がつかないという、逆にもっと、ごみより難しい問題があったということ、それから、そういう外に出る、搬出された土壌という観点からは、人為であろうが自然だろうが変わりはないだろうというのが導入された経緯だったというふうに記憶しております。

 では、現実的にどこでもあるのかということになるんですが、これはなかなか難しい問題ではございますが、やはり日本という特質があるかもしれません。火山国であるという特質もありまして、例えば、よく出てくる砒素という問題がありますが、これは地球の平均からしてもやはり日本はやや高いということがございます。

 ですから、そういう足元にあるものはもう現実にあるんだということがあるかと思いますが、では、その土がきちんと管理されること、それからあと、決して、あるとはいっても、非常に高濃度な部分というのは、例えば鉱山とかそういうところは若干あるかもしれませんが、それ以外については、今の基準に対してはやや高い、例えば〇・〇一という基準があれば〇・〇一一をどうするんだという、それでも基準超過は基準超過であるというところでの考え方で、その土を、トレーサビリティーを上げるということですね、やはり管理していくということが重要なんだろうというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 自然由来の汚染であっても管理していくことは必要なんだろう、こういうふうな理解でよろしゅうございますか。ありがとうございます。

 次に、きょうの議論の中で、土壌汚染と地下水汚染、こういう話がいろいろな先生方からずっと出ておりました。

 細見参考人にお尋ねしたいと思います。

 きょうの資料の中にもそういったことがございました。土壌汚染対策法と水質汚濁防止法、こういう話に分かれているわけであります。地下水の話というのは本当に一体だと私も思うわけで、今の法体系のあり方、そのあり方そのものは、今のような分離でいいんでしょうか、それとももう少し、まさにその一体化を含めて考え直した方がいいんでしょうか、御意見をお聞かせいただければと思います。

細見参考人 個人的には、将来、土壌汚染対策法と水質汚濁防止法というのは、本当に、例えば1・4ジオキサンだとかクロロエチレンとか、そういう物質にも対応できるようにするためには少し見直すところが必要かもしれませんけれども、それに当たってまずガイドラインのようなものをつくって、実際に地下水汚染があったらどう対処していったらいいかというのを具体的にまず経験というか、それを踏んでいく必要があると思います。

 もちろん、法律という点では、ちょっと私、御質問からすると、ダイオキシン特別措置法と土壌汚染対策法も、少し関連していてまたちょっと違っているというところもございます。

 以上でございます。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 今のは水の話でありましたけれども、今度は空気、大気の話で、畑参考人にお尋ねしたいと思います。

 畑参考人の方から、大気中に揮発した特定有害物質の摂取リスク、汚染ガスの基準がない、こういう御指摘がありました。豊洲の話で、ベンゼンの話をお使いになってのお話でありましたが、具体的にどういう基準を設定すべきか、こういう話、さらにはまた、さっき言った土対法との関係、これをどうしていったらいいか、御意見があったらお聞かせいただければと思います。

畑参考人 ガスについては、調査では土壌ガス調査というのはあるんですよ、VOCで。しかし、基準としては設定されていないんですね。

 なぜかというと、地下水とか土の濃度からガスの濃度がある程度決まってくるということで、土と水にしか基準が設けられていないんですけれども、実際にはいろいろな、ケース・バイ・ケースになりますので、環境によって変わってきますので、だから、値は、もちろん、ベンゼンの場合、大気汚染防止法の環境基準と同じにするかどうか、そういうのはまだ検討の余地がありますけれども、何らかの空気の基準というかガスの基準値をやはり設定すべきだと思っています。そうしないと今回のような、地上と地下は別だとか、そういう議論が出てきかねないと思います、豊洲のように。

小沢(鋭)委員 大気汚染防止法だけでは足りない、こういうことですか。

畑参考人 大気汚染防止法では、トリクロロエチレンとかああいう揮発性有機化合物。土壌汚染対策法とか、地下水の環境基準に設定されているものは設定されていないのと違いますか。大気汚染は、物質はかなり限定されていますので。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 豊洲の話をちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども、私、この土壌対策の話の特徴というのは、いわゆる飲料水として飲む、あるいはお子さんや何かが土や何かで遊んでいて摂取しちゃう、こういう話であって、それが、いわゆる知らない間に入ってきちゃう空気だとかというようなものとは決定的に違う、だから、そこが遮断できれば問題にはならないんだ、こういうのがこの土対法の基本だと思うんですけれども。

 そういった意味で、もともと水を飲まないところだろうし、例えばコンクリートで固めてしまえばそれを直接的に摂取するということもあり得ない、こういう話なんだろうと思うんですけれども、それに対して、先ほど畑参考人の方は、いわゆるベンゼン等の話は、空気中に出てくるんだよ、こういうお話がありました。

 この考え方に対して、先生方のそれぞれの御意見をお聞かせいただきたいな、こういうふうに思います。

大塚参考人 土壌汚染の特定有害物質の中でも、重金属と揮発性有機化合物とでは対処の仕方が違ってまいりますので、そういう、ベンゼンが空中に広がってくるということも含めて、揮発性有機化合物については基準を決めていく必要があると考えています。

 遮断をしていくことが基本的に重要であるというのは、主に地下水汚染に基づく飲料水の摂取等について考えているところでございますので、大気との関係については、必ずしもそれだけではないような基準を考えていく必要があるということだと思っております。

 以上でございます。

細見参考人 私は、土壌からの揮発性物質、これは実は水銀も含めてでございますが、ゼロリスクではないと思います。

 しかし、私たちが土壌を起源にしたときに、地下水に汚染する場合と大気に行く場合と考えますと、もし上を例えばコンクリートで覆ってしまうと、大気に行く分は、ゼロとは言いません、ひび割れとか何かありますけれども、ほとんど覆ってしまうと、そこから出ていく面積はもうほとんどないわけですので、大気に影響することはまずないというのが一点。

 それから、地下に行く場合には、ほぼ移動せずに、余り希釈されずに地下水に行くと考えられますけれども、土壌から大気に出た場合の拡散というのは、もうとてつもなく、例えば水の中の拡散とか比べると千倍以上はあると思いますので、そういう意味で、出てくるリスクはゼロではありませんが、人の健康に対してはほとんど影響を与えないのではないかというふうに思っています。

鈴木参考人 なかなか難しい問題だとは思っております。

 やはり今の土壌では、直接摂取と、それから地下水飲用という二つの側面での評価、まあ、リスクの評価も含んでいると思います。今度は大気経由ということになるわけですが、そういうことを見ていきますと、やはり、水、直接、それから大気と、それらを全部を重ね合わせた評価を将来的にはしていく必要が出てくるんだろうというふうに考えます。

 つまり、今欧米でもやられているリスク評価という考え方になろうと思いますが、そのようなスキームがうまく入ってくる状態になったときに、暴露経路を、やはり幾つかの暴露経路について評価をしていくということができるんだろうと思いますので、そういう方向にできるかどうかということが重要な論点になるのではないかというふうに個人的に考えております。

畑参考人 これは岡山市の事例なんですけれども、小鳥が丘団地というところで、廃油の再生工場の跡地に三十戸ほどの小さい団地がつくられたんですけれども、そこは、もうその団地に近づくとすごい油臭いんですよ。それと、家にいると気持ちが悪くなって、外出すると体調がよくなるとか、裁判にもなったんですけれども。

 結局、道路の側溝のすき間からメタンガスが出てきて、実際にライターで火をつけたら火がつくんですよ。それから、台所の床下というのはやはりコンクリートを敷いていませんよね、普通のちっちゃい家は。そうすると、噴火口みたいにガスが噴き出している跡があるんですよ。いろいろなVOCが入っていまして。

 だから、僕もびっくりしたんですけれども、そういう事例もありますので、やはりガスの基準は何らか設けておかないと、単にコンクリートを敷く、もうコンクリートを敷くことはなかなかできませんからね、家が建っちゃっていますから。そういう事例もありますので、やはり基準は絶対必要だと思います。

小沢(鋭)委員 ちょっと時間があるので、畑参考人にもう一つ。

 築地も、要は、もともとは米軍がクリーニング工場をつくっていた、こういう話があって、当然、だから有害物質があるのではないか、こういう話があります。

 築地と豊洲を比べるという観点ではいかがなんでしょうか。

畑参考人 それは今回出した本にちょっと、間に合わなかったのを織り込んだんですけれども、築地も、歴史的に見ると、勝海舟の海軍操練所があって、その後は海軍の基地だったんですよ。それで、海軍兵学校もそこにあったし。それから、問題があるのは、海軍造兵廠があったんですね。工場もあったらしいんです、そう規模は大きくなかったらしいですけれども。そういう海軍造兵廠なんかの場合は、やはり重金属汚染も考えられますので、調査が要ると思います。

 ただ、米軍の洗濯工場については、いわゆる今クリーニングで使われているテトラクロロエチレンではないんですよ。いわゆる工業用ガソリン、ソルベントというのを使っていまして、タンクも地上にありますので、多分、期間も短い、十年間ぐらいなので、ほとんど揮発しちゃったんじゃないかと思いますね。

 逆に、ガソリンスタンドのように地下にタンクがあると、ガソリンの中にベンゼンが入っていますから地下水汚染とかが起こり得るんですけれども、だから、米軍の影響はそんなにないんじゃないかと思っています。

 それからあと、築地大橋のたもとで出た砒素、弗素ですけれども、これは自然由来でして、昭和の時代に埋め立てたもので、これは、千葉の浦安とか、それから豊洲でも自然由来があるんですけれども、それと類似のもので、やはり土壌汚染の程度としては全然比べ物にならない。

 豊洲はやはり非常にダーティーな、いわゆる公害工場だったんですよ。豊洲スモッグというのが銀座まで行っていたらしいですけれども。それから、水も、汚い水を出したりとか。それから、特に敷地内はやはりコールタールだらけになっていて、それが散らばっていた。それを野外に野積みしていたこともあって、そういう、築地とは全然比べ物にならないと思います。

 ただ、築地も全くゼロかというと、やはり再整備に当たっては土壌調査はやるべきだと思っております。

小沢(鋭)委員 終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーと申します。

 参考人の皆様、本日最後の質問者となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、私は今回、この土対法の改正案に関連して、いわゆるブラウンフィールドについてを少し調べてみました。

 といいますのは、非常に、以前からあって今でも存在している、その利用されない土地が、私は沖縄県沖縄市というところに住んでおりますが、以前私もよく利用していたガソリンスタンドが廃棄というかもう閉鎖になり、そのガソリンスタンドの場所が、私が見る限り、ほとんどの場所がいわゆるブラウンフィールド化している。つまり、活用できない、野ざらしの駐車場になっているか、あるいは、いわゆる建設資材のストックヤード、ヤードですね、にしか使われていない。

 それが、ガソリンスタンドはもともと、沖縄では車社会ですので、とにかく十字路の角にあれば乗り入れやすいということがあって、町の表情を形づくる場所にもともとガソリンスタンドがあった。そこがぽかっと場所があいてしまっているんですが、それがなかなか再利用できないということをいろいろ調べてみましたら、やはりアメリカにおけるブラウンフィールド問題が浮かび上がってきて、日本もそのブラウンフィールドの問題が同じように浮かび上がってきている。

 本来資産価値のあるはずの土地のいわゆる塩漬けがずっとされていて、それにもともとその土地を所有していた方もなかなか手をつけることができない。その土地を、恐らく御家族や御兄弟の方々が、当然ですが、譲渡、譲り受けたものの、結果的にそれが活用できていないということがありまして、ブラウンフィールド問題について少し関心を持っている関係から、その関連の御意見を伺いたいと思います。

 私は、実は、二〇〇七年の、土壌環境センターが調査をして中間取りまとめをしたという資料で、先週この委員会でも質問をさせていただきました。

 そこで、鈴木参考人にぜひお伺いしたいと思います。

 我が国のブラウンフィールド問題の、潜在的なブラウンフィールドや土壌汚染が存在する土地ということで、具体的に数字をここで挙げられているんですが、全体の土壌汚染の可能性がある土地が資産規模で九十四兆円、二十七・二万ヘクタール、土壌汚染が存在する土地は、そのうち四十三・一兆円の資産規模に、十一・三万ヘクタールということです。他方、やはりそこには、土壌汚染対策費が多額となるため土地売却が困難と考えられる土地、いわゆる潜在的なブラウンフィールドが十・八兆円、二・八万ヘクタールというのが、二〇〇七年の段階でこの数字になっています。

 鈴木参考人にお伺いいたします。

 二〇〇七年当時のことをもとにしてはいるんですが、あれから十年たった現在、日本におけるブラウンフィールドのいわゆる資産規模や、あるいは土壌汚染が進んでいるのではないかと思われる点について、まず参考の御意見をお伺いしたいと思います。それは、少なくなっているんでしょうか、それともふえていると考えられるでしょうか。

鈴木参考人 二〇〇七年のレポートの詳細をちょっと記憶していませんので、余り明確なお答えはできない部分があるかと思いますが、御質問いただいた、当時と現在でどう変化しているかというお話だったと思います。

 それについては、もともと土壌汚染がストック汚染であり、過去の遺産である、今現在土壌汚染が進んでいるわけではないということですね。これは、化審法とかいろいろな問題で化学物質の使用は規制されており、土壌汚染が現在起きている例はほとんどないと思いますので、そういう点からいえば、ふえているということはないと思います。ただ、調査をして明らかになってブラウンフィールド化するという現象が起きているだけだというふうに理解をしております。

 ちょっとこれはついでになってしまうかもしれませんが、ブラウンフィールドの対応で、アメリカの方でやられている例というのを最近ちょっと幾つかお聞きしたことがあるんですが、やはり、一つの箇所で対応すると、それは個人の資産としての費用がかかってしまう。それを、ある都市計画の中の一つとして使い分けていく中で、補助金を使ってブラウンフィールドを対策するということでうまくいっている例があるというふうに聞いておりますので、そのようなやり方が今後日本でもできるといいのではないかというふうに考えます。

玉城委員 確かに、参考人のおっしゃるとおり、ブラウンフィールドとなる経緯というのは、いわゆる、土地価格より汚染対策費用が高額になるということ、それから、対策費用を、もともと持っていらっしゃる、原因者と言われる方々が捻出できないということ、それから、当然ですが、遊休地化しているんですが、そこで何らかの土壌汚染があるかもしれないということで、売り手側も困りますけれども、買い手がつかないということがあると思います。

 ですから、私は、参考人の御意見のように、まさに、きちっとした、土地の汚染状況についての調査をする段階から、何らかの申し出があれば、汚染原因者もしくは現有の所有者からの意見も考慮して、公的な資金でサポートするというやり方がやはりあってしかるべきだと思います。

 かつては、国が四分の一、都道府県が四分の一、そういうふうな形でサポートをしていきながら、原因者が持っている四分の一の能力で土壌を改良していくというふうなこともあるやに思いますが、しかし、現在ではもうそういう手だてがないという現状だと思います。

 つまり、銀行側も、そこが土壌汚染されているということであると、資産価値として、では、それを担保にして貸すことができるのかというと、ほぼ不可能だと思います。よっぽどそこの土壌汚染対策、例えば、もともと十億円の価値があったところ、三億程度でそこの汚染土壌を完全に入れかえれば、その価値は十二億にも十三億にもなるかもしれない、そういう可能性があれば、それは貸す可能性も出てくるかと思いますが、しかし、では、個人の力でそれだけの担保を入れて、そこの土地を活用することができるかというと、非常に私は困難であろうと。しかも、それが郊外であればあるほど土地の値段は安いですから。

 ですから、そこでもう全く手つかずの状態になってしまうということを考えると、個人の資産の限界で、塩漬けのブラウンフィールドは塩漬けのままになってしまうのではないかと思うんですね。

 鈴木参考人に、少しこういう形での融資の計画などがあれば恐らくその問題は解決に向かうのではないかというお考えがあれば、ぜひお聞かせをいただければと思います。融資の関連と土地の活用についてです。

鈴木参考人 融資の関連ということで、ちょっと難しいというか、ぱっとイメージが湧かないところがございますが、先ほどもちょっと申し上げたとおりですけれども、やはり総合的な開発、単独のその土地の開発ではなくて、総合的な開発の中で、例えば換地も含めて、その汚染された土地の利用は人の健康リスクに余り高くないものにかえていくとか、そういう全体の計画と一緒にやはり補助金制度をつけていく。一つの土地の対策だけで補助金をつけるというのはなかなか難しいと思いますので、そのようなスキームがあるのが好ましいのではないかというふうに思います。

玉城委員 では、続いて、大塚参考人に御意見をお伺いしたいと思います。

 大塚参考人の御意見の中にもこのブラウンフィールドの件が出てまいりまして、ブラウンフィールドはアメリカのスーパーファンドの関係から、日本とはちょっとその端緒が違う、そして今現在も取り扱いが違うというふうに思いますが、日本においてもそのような、先ほどは融資の話を鈴木参考人にお話を伺いましたが、大塚参考人からは、諸外国の、アメリカやイギリスの、例えばファンドやPFIなどを取り入れた土地の活用について、日本も可能性があるのではないかという点があれば、ぜひその参考御意見をお伺いしたいと思います。

大塚参考人 なかなか難しい問題だというふうに思っていますが、スーパーファンド法との関係で、先ほどもおっしゃっていただいたように、日本はそのスーパーファンド法をもちろん参考にしましたけれども、問題点も含めて検討しているということで、ブラウンフィールドに対して、一般的にブラウンフィールドはいろいろな形で起きるわけですけれども、土壌汚染対策法が、余りブラウンフィールド問題を引き起こさないように、特に二〇〇九年改正のときには気をつけているというところがございます。

 具体的には、掘削除去を余り進めていくと、掘削除去については非常に汚染除去のコストが高いという問題がありますので、もちろん環境リスクも、先ほど不法投棄の問題がございましたけれども、掘削除去したものを運んでいる途中に不法投棄をする可能性という環境リスクの問題もございますので、その二つの観点から、掘削除去については余り進めない方向に二〇〇九年改正で特に検討して改正をしたわけでございますけれども、その前提としては、日本でブラウンフィールド問題をできるだけ引き起こさないようにするということがあったわけでございます。

 掘削除去は相変わらずそれなりに多いのですが、それでも、形質変更時要届出区域における掘削除去というのは要措置区域に比べれば少なくなっているので、一定の効果は発生しているということだと思っております。

 融資との関係については、先ほど私がちょっと申しましたように、ファンドとかというほどかどうかわかりませんけれども、汚染原因者については融資をして、汚染除去について、あるいは調査も含めてですが、まあ調査は土地所有者ですけれども、お金を貸していくということが負担との関係で非常に重要だと思っておりますし、確かにブラウンフィールド問題との関係では融資は非常に重要だというふうに考えているところでございます。また、助成も、土地所有者等について非常に重要であると考えております。

 ただ、先ほどちょっと御指摘いただきました、公的な負担を全面的にやるということに関しては、なかなか財源の問題もあって難しいということもございますし、これも二〇〇二年の法律制定のときに検討されたことでございましたけれども、オランダは最初は公共負担で土壌汚染対策をすることを想定していたわけですけれども、うまくいかずに途中で規制型に変更したということがございますので、残念ながら全面的に公的負担でやるというのはちょっと難しいので、部分的に融資とか助成をしていくという方向が望ましいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 このブラウンフィールドの問題は、環境への影響、それから都市計画への影響、それから地域のコミュニティーへの影響ということで、放置されるということが非常に、私は、何らかの法的な救済策を講じていくことも、また土対法もしくは関連法案の中で必要になっているのではないかというふうに思料いたします。ありがとうございます。

 最後に、先ほどの、まず土壌汚染、水質汚染、そして空間汚染、空間環境の汚染について、畑参考人にお伺いしたいと思います。

 沖縄県で、一九九〇年代後半なんですが、それまで安定型処分場で使っていた土地を埋めて、そこに学校ができました。そこで埋められていたのは、地下水を汚染しない廃プラスチック、ゴムくず、それから金属くず、ガラス、陶器のくず、それから建設の廃材などだったんですね。安定型処分場ということで、大丈夫だという前提で盛り土をし、埋めて、その上に学校ができたんですが、しかし、そこができてしばらくしてから、いわゆる地下水から蒸気ガスが発生して、そこから例えば硫化水素やアンモニアのにおいが発生をし、そこの学校に通っていた子供たちが、体調を悪くする子も出て、退学した、そういうニュースがあります。

 ですから、環境基準値といいますか、測定の基準値、閾値の下回る値ではあっても、人間の五感で受けるその影響というのは、やはり空間におけるガス等の汚染についてもある一定の厳しい基準が設けられるべきなのかなというふうに思いますが、それらの環境基準について、畑参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

畑参考人 今の安定型処分場跡地の学校建設の問題ですけれども、これはちょっと似たような話がありまして、滋賀県の栗東市で、もともと安定型処分場だったのに、そこに、管理型処分場に入れなあかんようなもの、いろいろな有害物質が入っているものを、特に医療廃棄物なんかが多かったんですけれども、運び込まれて、結局、産廃不法投棄事件として、産廃特措法の対象で、今、一部撤去工事をやっているんですけれども、そこでもやはり、すぐ横に住宅地があるんですよ、そこの脇の側溝のあたりのところに、硫化水素が二万倍とか、致死量を超える硫化水素が出たりとか、もちろんそれはアンモニアのにおいなんかもしますし、そういう事例も、まあ学校建設じゃないですけれども、そういう、処分場の跡地にはいろいろ問題がありますので。

 そういう意味でも、やはり、今言われた硫化水素とかアンモニアにしても、豊洲の地下空洞でもアンモニアも出ているんですけれども、いわゆる悪臭防止法の基準しかないんですよね。だから、硫化水素なんかはやはり致死量、非常に、温泉なんかでも死者が出たりとかしますから、こういう有害なガスについては、やはり土壌汚染対策法についても基準を設けるべきだということで、それは廃棄物処分についても、もちろん廃棄物処理法の検討をしてほしいくらいです。

 以上です。

玉城委員 少し時間がありますけれども、以上で質問を終わらせていただきます。

 参考人の皆様、ありがとうございました。

平委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時五十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十一分開議

平委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省大臣官房審議官大角亨君、国土交通省大臣官房技術審議官潮崎俊也君、環境省水・大気環境局長高橋康夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田島一成君。

田島(一)委員 民進党の田島一成でございます。

 本会議後、お疲れさまでございます。大臣には、引き続き答弁でお世話になりたいと思っております。

 午前中、参考人質疑をやらせていただいて、そして、いろいろな課題や、また問題点、問題意識も共有したり、また、これから対策しなければならないなということも随分明らかになったところでもあります。

 参考人質疑でお尋ねしたことを改めてまた環境省にもお尋ねをしたいと思っておりますが、決してこれは、参考人の意見を聞いて、やはりそう思うというところからの質問でありますので、御理解いただいて、お答えいただきたいと思います。

 私、まずお尋ねをさせていただいたのは、今回の土対法の目的規定の部分であります。

 そもそも、この土対法の目的たるものは、人の健康に係る被害の防止というのが前面に来ております。しかし、土壌汚染が引き起こすさまざまな悪影響等々は、人の健康に係るものばかりではありません。生活環境の保護であるとか生態系の保全、生物多様性の保全などなど、まだまだ盛り込むべき、目的に相当すべきものが山ほど実はあろうかと思います。また、人の健康に係る被害の防止と生活環境さらには生態系の保全というのは、一連の流れの中ででき上がっている部分でもあります。

 今回、ぜひ、改正をされるに当たって、こうした目的をさらに幅広くあてがっていくというような考え方が本来なかったのかどうかという点について、まず、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘の生活環境及び生態系の保全については、環境の保全に関する重要なテーマだと考えております。がしかし、土壌汚染対策法の法目的に入れることについては、さまざまな課題があると認識をいたしております。関係者の意見を聞きつつ、将来的な課題として検討をさせていただきたいと思います。

田島(一)委員 今回お招きをした四人の参考人、皆さんそれぞれが、やはりこうした延長線上に、人の健康だけではなく、生活環境であるとかさらには生態系の保全というようなものについてもやはり検討していかなければならないという御認識をオープンにされました。

 決して今回これをネタに反対しようとかいうようなものでは毛頭ありませんけれども、ただやはり、人の健康にさえ影響がなければいいんだというようなことで事を片づけてほしくない、そういう強い思いを持っての質問でありますので御理解いただいて、ぜひ本当に次なる改正のときまでには真剣に御検討いただきたい、そのことを強くお願いしておきたいと思います。

 さらに、この目的条項の中の文言でありますが、やはり気になっておりますのは、追加でお願いをいたしましたが、「(放射性物質を除く。)」という文言であります。三・一一福島第一原発事故以降、環境省の所管も、環境基本法の見直し等々から放射性物質がこれまで除かれてきたものが対象として施策を展開されてきたところでもあります。

 二〇一三年に改正された大気汚染防止法、水質汚濁防止法、さらには海洋汚染防止法などなど、これは水系、空気系の法律ではありますけれども、こうした環境省所管の法律にあっても、この放射性物質を除くという括弧書きが外されることとなりました。

 今回、この土対法の改正にあっても、こうした「(放射性物質を除く。)」という一文、文言を削除されるというふうに私は当初想像しておったんですけれども、今回相も変わらず残ったところであります。もちろん、この後に、アセスメントの問題でありますとか除染の問題等々、絡みも当然ありますが、方向性として放射性物質を対象として考えていくことは、もちろん避けられない流れに来ていると思います。

 役所として、環境省として、今回、この「(放射性物質を除く。)」の一文を削除されなかった経緯等について、丁寧にちょっと御回答いただけないでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正における放射性物質の扱いということでございますけれども、委員も大変御承知のとおり、福島第一原子力発電所事故による放射性物質に汚染された土壌の除去等につきましては、大変重要な課題でございまして、放射性物質汚染対処特別措置法によって手当てをされているというところでございます。

 放射性物質に汚染された土壌一般の取り扱いということになりますと、これは、放射性物質特措法の施行状況の点検を踏まえて検討を行う必要があるということでございます。

 これを踏まえまして、平成二十七年の九月には、放射性物質汚染対処特措法の施行状況に関する取りまとめを行っております。そこの取りまとめにおいては、結論として、現行の除染実施計画が終了する時期を目途に、改めて特措法の施行、進捗状況の点検を行い、その結果を勘案しつつ、放射性物質の扱いの検討を行うべきという結論をいただいてございます。

 したがいまして、今回の土壌汚染対策法の見直しにおきましても、中央環境審議会でも御説明いたしましたけれども、この二十七年九月の取りまとめの考え方を踏まえまして、放射性物質の取り扱いについては今回の土壌汚染対策法の見直しの答申には含めないということで整理をさせていただいたものでございます。

田島(一)委員 確認ですけれども、では、次回の見直しの段階には、当然、この議論の末に、この括弧書き、「(放射性物質を除く。)」という一文を削除していく方向で考えるというふうに認識してよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まさに除染実施計画が終了いたしましたので、これから点検の作業をしていかなければいけないと考えてございます。その結果を踏まえて、今御指摘の点も含めて検討させていただきたいと思っております。

田島(一)委員 わかりました。

 では、次の質問に参ります。

 平成二十一年の改正以降、法に基づく土壌汚染状況調査の結果報告件数はこれまでの二倍にまで増加をしたということが資料から読み取れました。それなりに成果があったんだなというふうに私自身は評価をしているところでありますが、その中で、今回、一時的免除中であるとか操業中の施設の敷地において事業者が形状変更しても事後にしか把握できなかったケースが解消される、そのことについても歓迎をしたいと思っております。

 しかしながら、中環審の土壌農薬部会の土壌制度小委員会の第一次答申に対するパブリックコメントに寄せられた声は、こうしたケースの土壌汚染状況調査に対する不安、そしてまた不満に近いような声が相当数寄せられていたように読み取りました。

 操業中の事業者の敷地内というのは、情報漏えい回避であるとか、セキュリティーなどが非常に厳格であったりするなど、余計な心配や課題を、負担をしていくということが大変懸念されている、そんな声も上がっております。

 実際に、企業にとって、余計な作業、余計な調査、余計な心配を重ねたくないというのは、当然、無理からぬ考えだというふうにも思いますが、ただ、万が一土壌汚染が発見されようものなら操業に多大な影響を及ぼしかねないため、かえって、今後、そういったものをひっくるめて隠蔽へと働いていくのではないかという懸念を覚えているところであります。

 一時免除中や操業中の事業者の理解、協力を得なければ、なかなか、必要とおぼしき対応を今後図ることはできないでしょうし、対応していくことも大変困難ではないかというふうに考えております。

 どちらにとってもメリット、ウイン・ウインの形で運んでいくことが、なかなか、今回のこの改正ですんなりと読み取れないところがあるんですけれども、どのように理解、納得すればよろしいでしょうか。お答えをお願いいたします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘をいただきました、調査が猶予された土地、いわゆる一時的免除中の土地でございますとか、施設廃止前の土地、いわゆる操業中の土地につきましては、汚染土壌が存在する可能性が高いということで、調査が行われないまま土地の形質変更が行われますと、汚染土壌の飛散、流出、あるいは地下水の汚染の発生、拡散が生じるおそれがあるということでございます。

 そのため、今回の改正法案におきまして、調査対象となる土地の拡大ということを行うことは、この土壌汚染対策法の目的を達成する上で大変重要であるというふうに考えてございます。

 また、委員御指摘のとおり、この調査の契機の拡大に伴う負担に対する懸念というものもあるわけでございますけれども、一つは、操業中の段階から調査や対策に前倒しで取り組むということは、仮に汚染があった場合、結果的には汚染の拡散の防止につながり、最終的な費用、コストが抑えられるという事業者にとってのメリットもあるというようなこともよく御説明をして、今回の規制強化の趣旨についてよく御説明をして、御理解をいただけるように、制度の周知については万全を尽くしてまいりたいと思います。

 また、この調査自体が、やはり事業者にとって過大な負担にならないように、できるだけ効率的にやっていただくということが大事だと思っておりまして、具体的には、土壌調査の範囲を必要な最小限にとどまるように明確にしていくということで、調査対象を明確に規定するということで、より効率的に、適切な調査が行われるようなこともしっかりと検討してまいりたいと考えております。

田島(一)委員 企業によっては、カメラつき携帯電話すら工場敷地内に持ち込み禁止なんというところも、決して珍しくはございません。そんな中で、調査と称して、さまざまな、操業中のセキュリティー、秘密が漏えいしていくことに対する心配の声もあって、かえって、それをしっかりと守るんだという担保を示していくことが何より大切だと思います。後々、隠蔽を引き起こして、さらに大きな事故や、また事件に発展しかねないということを考えると、事業者との綿密な連携と信頼関係を築くことが大事だと思いますので、その点、十分に認識をいただいて進めていただくようお願いをしておきたいと思います。

 さて、土壌汚染処理業者が都道府県等に対してなされるべき処理状況の報告実績をひもといてみますと、全処理施設のわずか五六%、約半分程度にとどまっているということであります。逆の言い方をすれば、およそ半分の汚染土壌が、果たして適切に処理されているのかどうか確認できないという数字であります。

 積みかえ、保管施設に係る情報が都道府県等によって掌握されない現状からすると、適正処理を推進するためにも、積みかえや保管施設の設置を許可制にしていかなければならないのではないかというふうに私は思うわけでありますが、御意見をお聞かせください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 前回の平成二十一年改正におきましては、今御指摘のございました積みかえ、保管も含めた汚染土壌の運搬につきましては、廃棄物と異なりまして日常的にそういうことが行われるものではないということもございまして、その運搬を業とする者が想定されないということから、許可制とはしていないところでございます。

 汚染土壌を要措置区域等の区域外で運搬する場合には、積みかえや保管も含めて、飛散、流出等を防止する等の運搬基準というものを定めておりまして、これを遵守するということが必要でございます。遵守されているかどうかにつきましては、都道府県知事が搬出届け出書というものによって確認をするということになってございます。

 また、積みかえや保管を含めた汚染土壌の運搬または処理を委託する場合には、汚染土壌の汚染状態でございますとか積みかえ、保管施設の所在地等を管理票、マニフェストに記載いたしまして交付をするということとされてございます。

 こういう手続を通じまして汚染土壌の適正処理を進めているところでございますけれども、さらに、積みかえ、保管施設の把握のため、例えば、搬出届け出を受けた都道府県等から積みかえ、保管施設のある別の都道府県への情報共有を促すというようなことを通じまして、積みかえ、保管施設の適切な把握でございますとか効果的な立入検査等を進めまして、指導監督の強化を図ってまいりたいと考えております。

田島(一)委員 それでは、私が先ほど申し上げた報告実績、全処理施設の五六%にとどまっている数字ですけれども、今のさまざまな施策を展開することによって何%にまで引き上げようとお考えですか。

高橋政府参考人 現時点で具体的な数値目標まではちょっと持ち合わせてございませんけれども、委員の御指摘も踏まえまして、より情報の透明化、あるいは指導監督の強化というものを図ってまいりたいと考えております。

田島(一)委員 全然答えになっていないですよね。

 私が許可制を提案させていただいたのは、やはり、透明性を高めていくこと、さらには報告実績を限りなく一〇〇%に近くしていくことということからの提案であります。皆さんが、やります、努力します、頑張りますだけで、数字が上がるかどうかもわからない、目標も設定しない、これではなかなかすんなりとうんとは言えませんよね。間違いなく八〇%までこの五年でやってみますぐらいのことをおっしゃってくださらないと、今のままの積みかえ、保管施設の設置のやり方が果たして適切かどうかというのは本当にわかりません。

 時間ももうあと残り五分しかありませんので、もうこれ以上この点について詰めることはいたしませんけれども、曖昧なことで目標数字等々の実績を、評価を無視することだけは勘弁してください。ぜひそのことだけ強くお願いをしておきたいと思います。

 最後に、助成制度について大臣にお尋ねをし、閉じたいと思います。

 平成十四年度に造成された、日本環境協会で管理されている基金からの助成が、十五年もたちましたけれども、その助成実績はわずか二件であります。この助成に備えて交付要綱等々を整備している自治体もわずか四自治体、これまた非常に寂しい数字であります。都道府県等がそれこそ助成金の四分の一を負担しなければならないという県財政への逼迫を懸念して、どうも都道府県等は乗り気でないような、そういう実態が上がってきております。

 実績が二件で、さらに交付要綱を整備している自治体もわずか四件ということでは、本当にこの先、この基金自体が存続も危ぶまれていくのではないか、さらには、こうした制度をせっかくつくっていながら適正な汚染土壌処理等々に手がつけられないとなれば、非常に残念でならない、残念のきわみだと私は思っております。

 抜本的な改革がやはり必要なのではないかというふうに考えるところでありますが、大臣の御所見をぜひお聞かせいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘の助成制度は、将来必要な場合に助成できるように、やはり維持をしておくべきだと考えております。

 引き続き、基金による助成の活用が進むように、都道府県等に対して制度整備を促すとともに、一層の普及啓発を行うことで基金による助成制度の利用を促してまいりたい。私も、説明を受けたときに、先生と同様の感じを持ちました。都道府県に対して促してまいりたいと思っております。

田島(一)委員 それこそ、都道府県等の助成金の負担率も、ひょっとしてこれの伸びない足かせになっているのではないかと私は思います。

 抜本的改革というふうに提案させていただいたのは、この助成金の負担比率の見直しであるとか、都道府県自体の財政によらざるような形で進めることができないものかという検討、研究であります。こうしたところについても手を入れていかないと、実際に何かが発覚したときには、要綱もつくっていない都道府県があたふたすることは火を見るより明らかです。

 環境省がしっかりしているから大丈夫だとおっしゃるかもしれませんけれども、やはり地元の自治体の認識と理解がないことにはなかなか難しいと思いますし、また、近隣住民のさまざまな不安を払拭することも不可能だと思います。

 どうぞ、こうした点をしっかりと対策、検討していただくことを強くお願い申し上げて、時間が参りました、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 土壌汚染対策法の改正案の審議ということで、私も少し法案などを見させていただきました。

 土壌汚染というと、今、国民的に一番やはり関心が高いのは、豊洲新市場の問題だと思います。

 この問題はかなり古くて、私も何年か前に党の視察で現場に行ったことを記憶しておりますけれども、それからももう、政権交代より前でしたから、六年、七年前だったように思っております。

 この間の過程をずっと見ていくと、豊洲市場は、御存じのように、東京ガスが長年操業していた地域であって、東京ガス自身も、必ずしも生鮮食料品を扱う市場として使ってほしいと望まれたわけではないように聞いております。

 しかし、その後の過程の中で、例えば二〇〇一年の一月には、東京ガス自身が、豊洲の工場跡地で環境基準の千五百倍のベンゼンを検出したと発表されている。また、ことしになってからは、第九回目の地下水モニタリングにおいて、従来の八回のモニタリングに比べて驚くべきような高い汚染が判明しています。それを再確認するために行われた再調査、ことしの三月に発表されましたけれども、それによっても、九回目のモニタリングとほぼ同じ数字が多数のところで出ていることは、もう大臣も御承知だと思います。

 そういった意味で、なぜ、そういうことがかなり古い段階からわかっていたのに、ここまで問題が進んできたのかということです。

 そのときに、豊洲市場については、マスコミなどの報道は、よくも悪くも東京都の問題だ、あるいは都知事や都議会や、元都知事との関係者の問題だ、そのような扱い方をいたしているわけです。

 しかし、よく考えてみると、もちろん、東京都の施設ですから、東京都に第一義的な責任があることはそのとおりですが、まさに今我々がこの場で議論している土壌汚染対策法、環境省所管のこの法律にも関係しておりますし、また、中央卸売市場の移転などは、農林省が所管する卸売市場法によって、農水大臣の認可がなければ移転できない仕組みに、私の理解が間違っていなければ、そういう仕組みになっているはずです。

 ということは、東京都の責任であると同時に、国も同じような責任を負っている。そういう意味では、この問題を、他人事ではなくて、国の責任においてもどうするべきかということを議論していくべきだと思っています。

 過去においても、環境委員会などで、例えば当時の民主党の川内議員などが何度もこの問題を取り上げておりまして、私も議事録を大分読んでみました。その中にもいろいろな指摘がありました。そういったことも踏まえながら、少し長い時間をいただいていますので、この問題をしっかりと議論していきたい、このように思っております。

 まず第一に、二〇〇三年に土壌汚染対策法が最初にできたとき、いわゆる施行されたときに、豊洲市場はその対象になっていなかったというふうに聞いております。その後、改正があって、豊洲市場が対象に含まれることになったというふうに聞いておりますが、まず、その経緯を御説明いただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、平成十五年二月に土壌汚染対策法が施行されました。その時点で、有害物質使用特定施設の使用の廃止時に土壌汚染状況調査が義務づけられたわけでございますけれども、この法施行前に廃止された施設には適用されないということになってございましたので、豊洲市場予定地はこの土対法の施行よりずっと前に東京ガスの工場が廃止をされておりましたので、豊洲市場予定地は規制対象となっておりませんでした。

 その後、法に基づかない自主的な調査による土壌汚染の発見が非常にふえてきたということも踏まえまして、調査の契機を拡充するということとなりまして、前回、平成二十一年の改正によりまして、新たに、法に基づく土壌状況調査の契機といたしまして、一定規模、具体的には三千平米でございますけれども、三千平米以上の土地の形質変更の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるときには調査をさせるという、第四条でございますけれども、そういう規定が加わりました。

 豊洲市場予定地におきましては、三千平米以上の土地の形質変更が行われることになりますことから、土壌汚染対策法第四条に基づく届け出対象に該当することとなったということでございます。

菅(直)委員 このプロセスの中には、当時の民主党が対案を出したり、国会でもいろいろな問題を提起した、その背景には豊洲の問題が関連していたと思われます。そういったことで、現在は豊洲そのものがこの法律の対象になっているわけです。

 そこで、豊洲の新市場は、土壌対策法の手続ではどのような段階に来ているのか。今お手元に資料をお配りしましたが、この参考資料の一は、調査室がつくっていただいた参考資料の一部のページを抜粋した、五ページ目ですか、抜粋したものですが、これを見るといろいろな手続が書かれておりますが、現在の豊洲市場はこの土壌対策法の手続でどういう段階にあるのか、そのことをお述べいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、豊洲新市場予定地につきましては、三千平米以上の土地の形質の変更が行われるということでございますので、土壌汚染対策法の第四条に基づきまして、東京都知事、これは環境部局であるわけですけれども、東京都知事に対して土地の形質変更の届け出が提出されたというふうに承知をしてございます。

 その後、土壌汚染対策法第十四条でございます、十四条の自主調査という規定でございますけれども、この規定に基づきまして、市場建設に向けて東京都が実施をしておりました土壌汚染状況調査の結果が東京都知事に、環境部局に提出をされたということでございます。

 この調査結果に基づきまして、土壌汚染があったわけでございますけれども、汚染はあるものの、地下水利用がない等土壌汚染の摂取経路がなくて、健康被害が生ずるおそれがないというふうに判断をされまして、区域の指定のところの右側でございますけれども、平成二十三年十一月になりますが、土地の形質変更を行う場合に届け出が必要な区域、いわゆる形質変更時要届出区域というものに指定をされたということでございます。

 その後、土壌汚染の除去でございますとか新市場建設のためのさまざまな工事が、土地の掘削等行われるわけでございますけれども、それらの土地の掘削等につきましては、これは法第十二条になるわけでございますけれども、東京都知事に対して土壌汚染対策法第十二条に基づく工事の届け出というものが行われ、工事の施行方法の確認を受けた上でその工事が実施をされているということになります。

 東京都からは、土壌汚染対策法上必要な対策が実施されているという旨聞いてございます。

菅(直)委員 これは、私も事前に説明を聞いたんですが、届け出を受ける方も東京都、出す方も東京都、もちろん部局は違いますけれども、そういうことになっているために、一体どういうやりとりがあったのか、これを説明を聞いてもなかなか私の頭でも十分には理解をできなかったものですからお尋ねをしたんですが、今お聞きしても、必ずしもよくわからない。

 つまりは、あれだけの問題が起きているのが、東京都の中の部局だけでやっておられて、それで、法律はこの法律だと。もう少し、私は、どういう状況にあったのかを環境省としても把握しておられたんじゃないかと思うんですが、どうもそのあたりがはっきりしません。

 この資料のその次の欄に、汚染の除去が行われた場合には指定を解除すると。これはどういうことを意味しているんですか。また、解除をされる見通しなどについてはどういう状況にありますか。

高橋政府参考人 汚染の除去が行われた場合には指定を解除というところでございますけれども、要措置区域あるいは形質変更時要届出区域に指定された場合に、汚染の除去等が行われることによりまして、その指定をしたときの要件が外れれば解除できるという規定があるわけでございます。

 ただ、豊洲につきましては、東京都にも確認をいたしましたけれども、実は、豊洲の新市場の用地は、ガス工場の操業に由来する汚染物質に加えて、もともと自然由来の汚染があるというところでございまして、仮にガス工場の操業に由来する汚染物質が全て除去されたとしても、自然由来の汚染が残るために、区域の指定の解除はできる見通しはないというふうに聞いてございます。

菅(直)委員 解除できる見込みがないと聞いているという伝聞調ですが、では、解除できないということは、どういう法律効果があるんですか。普通は、何か汚染の除去を行って、そして、汚染の除去が終わったところで解除して、通常であれば、それが行われた段階でいよいよ建設に入るとか、そういうことで常識的には考えるんですが。

 この解除というのは、どういう法律効果をもたらすんですか。逆に言うと、解除できない場合はどういうことができなくなるんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 豊洲新市場は、形質変更時要届出区域ということになってございます。この指定が解除できないとどういうことが起こるかということでございますけれども、この形質変更時要届出区域は、これは何度も御説明してございますけれども、汚染はありますけれども、汚染の摂取経路がないということで、この区域を、土地を利用すること自体を制限しているものではございません。

 ただ、この土地で新たな工事、形質変更をする場合には、それが適切に行われるよう都道府県知事に届け出をして確認を受ける必要がある、こういうことでございますので、指定の解除ができないからといってこの土地が使えないということではなくて、リスクを管理しながら使うことはできるというふうに御理解をいただければと思います。

菅(直)委員 後で戻るかもしれませんが、少し前に進めます。

 農林省にもおいでいただいておりますが、まず、農林省は、豊洲市場の移転に関連して、どのような権限を持っておられるんですか。

細田大臣政務官 御質問ありがとうございます。

 中央卸売市場は食品流通の重要な基盤でございまして、食の安全性や消費者の信頼の確保は重要な課題であるというふうに認識しております。

 中央卸売市場における食の安全性の確保については、先ほど先生からも御指摘がございました、まずもって開設者である地方公共団体が責任を持って対応することが必要であるというふうに考えております。

 その上で、法的な権限について申し上げますと、中央卸売市場の開設や位置の変更に当たっては、卸売市場法に基づき、農林水産大臣の認可が必要となってございます。

 したがって、今後、東京都から認可申請が行われた場合は、例えば、生鮮食料品の卸売の中核的な拠点として適切な場所かどうか、あるいは食の安全を含めた各種法令に適合しているか否か等の基準に照らして、私ども農林水産省として責任を持って認可の判断を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。

菅(直)委員 ということは、現在のところはまだ白紙だということですか。もちろん申請も出ていなくて、白紙だということですか。

細田大臣政務官 御指摘のとおり、まだ申請も行われていない段階でございますので、私どもとしては、これ以上申し上げることはございません。

菅(直)委員 つまり、白紙だということでいいんですか。

細田大臣政務官 申請が行われた段階で、その申請の内容を拝見させていただいて、適切に判断するということでございます。

菅(直)委員 資料二に、昨年、小池知事が会見をされたときの資料をつけさせていただきました。

 このときの小池知事の記者会見では、ここにありますように、ことしの一月に地下水モニタリングの結果、これは九回目がもう出されて、今その再検査も行われたわけです、四月ごろに専門家会議の審議、評価、そして、市場問題PT云々と書いてあって、再アセスが必要になるとあと十五カ月ぐらい間がありそう、それがなければもっと早い段階で農水大臣への認可手続、こういうことが知事サイドからは言われております。

 これを見られて、農林省としては、大体こんな感じだと思っておられるのか、いや、ちょっと違うと思っておられるのか、どうですか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 東京都が昨年十一月に、豊洲市場への移転に向けたスケジュールを公表されたということ、また、今先生御指摘のあったようなスケジュールを公表されているということは、私どもとしても認識をしております。

 現在、東京都では、このスケジュールに即して、専門家会議や市場問題プロジェクトチーム、さらには、この三月に設置された市場のあり方戦略本部で、議論、検証を精力的に進めておられるものというふうに私どもとしては承知をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、私ども農林水産省といたしましては、先ほどから御説明を差し上げているとおり、都知事が総合的な観点から移転するかどうかを判断した後に、東京都から認可申請があった場合には、各種法令に適合しているか否か、卸売市場法の認可基準に従って厳正な審査を行って、適切に判断する考えでございます。

菅(直)委員 今、認可基準という言葉が出ましたが、認可に当たっての条件、特に、ここはまさに生鮮食料品を扱うわけです、そういうことに関して、認可に当たっての条件はどういうふうに、何によって規定されていますか。

細田大臣政務官 卸売市場法に基づきまして認可基準が定められているわけでございますが、幾つか例示的にお話しさせていただきますと、農林水産大臣が策定する中央卸売市場整備計画に適合しているか否か、生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所に開設されているか否か、業務規程の内容が関係法令に違反しているか否か、また、卸売業者、仲卸業者等の業務の適正かつ健全な運営を確保する観点から適切に定められているか、事業計画が適切でその遂行が確実であるかといった認可基準に沿って厳正な審査を行うということとされております。

菅(直)委員 今、中央卸売市場整備計画ということをおっしゃいましたが、一番最近のは二〇一六年、第十次の計画が出されていると思いますが、その中で、生鮮食料品に関してはどういうふうにこの計画では述べられていますか。

細田大臣政務官 これは先生十分御存じだと思いますが、「第五 その他」というところがございまして、その中で、中央卸売市場の整備に当たっては、災害等にも備えつつ、生鮮食料品等の安全を確保し、消費者等の安全につながるように留意する、こういう記載がございます。

菅(直)委員 つまり、これは今から話を進めていきますが、農林省の立場からすれば、生鮮食料品の安全を確保し、消費者等の安心につながるよう留意すると。この計画が充足されていれば、申請があった場合にはオーケーを出す。あるいは、必ずしもこれで十分でなければ、場合によってはノーと言う。厳正にということを言われたのだからそういうことだと思います。

 それに対して、少し話を戻しますが、環境省のいわゆる今議論している土壌汚染対策法がどういうことを担保しているのか。

 例えば、具体的に豊洲の話ですから、生鮮食料品を扱う豊洲にとっての、先ほど来、人に対しての、健康に対して云々と言われましたけれども、この資料の中では、いわゆる地下水を飲んだ場合のような摂取のリスクとか、土を直接扱う、子供たちが泥んこ遊びをするような直接摂取リスクというのは確かに例示されています。

 しかし、生鮮食料品というものを扱う場所で、例えば、今回の再調査のように、ベンゼンがある、場合によったらシアンが多少、検出されちゃいけないものが検出された。こういうことに関しては、環境省としてはどういう立場ですか。つまり、それではこの法律に反するという立場なのか、いや、そこはこの法律とは関係ないという立場なのか、その点をちょっとはっきりしていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 土壌汚染対策法上の位置づけにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この豊洲の新市場の予定地につきましては、土壌に含まれる汚染物質の摂取経路がないということで、形質変更時要届出区域に指定されているということでございますので、土壌汚染対策法上はそういう位置づけになっているということでございます。

菅(直)委員 経路がないというのは、きょうの参考人の方も、揮発性のものの場合にどうなるというようなことを議論されていました。

 あらゆる経路がないんですか。私が今わざわざこの二つの例示を、皆さんが多分例示を出されているんでしょう、ですから、地下水を飲むとかあるいは泥んこ遊びをするというような、そういう直接的な摂取のリスクはない。しかし、例えばベンゼンやシアンが揮発して、それが建物の例えば通路を通ってそういう生鮮食品があるところに流れ出る、そういうことまで考えてそういう可能性はないということを環境省としてきちんと把握して、そういう判断なんですか。

高橋政府参考人 ベンゼンやシアンなどのいわゆる揮発性の有害物質についてでございますけれども、これまでの私どもの調査によれば、例えば土壌汚染をされた土地を掘削する、掘り返すというような場合には、それによりましてそういう揮発性の有害物質が揮散をするということで大気汚染を引き起こすという事例がわかってございます。

 そういうことを踏まえまして、土壌汚染対策法におきましては、汚染地の掘削等の工事をする際には、それが周辺に揮散、そういう揮発性の有害物質が揮散しないように、周りをテントで覆うとか、そういう防止対策を義務づけているということでございます。

 他方、そういう掘削をしない状態で、汚染土壌が静置されている、そういう状況におきましては、そういう場所で揮発性の有害物質による大気汚染が生じたという事例は、私どもはこれまでのところ確認をできてございません。

 そういうこともございまして、現時点においては、土壌汚染地における揮発経由の摂取リスクについては、掘削中、工事中の場合を除いて、土壌汚染対策法における例えば区域指定の要件ということにはしてございません。

菅(直)委員 いいですか。つまり、掘削するとかしないということを聞いているんじゃないんですって。豊洲のことで聞いているんです。

 豊洲は生鮮食料品を扱う場所なんですよ。そういうところにおいて実際にベンゼンとかシアンというものが検出されている。そういうことが、皆さんが所管されている法案、この土壌汚染対策法の中でどういう扱いなんですか。つまり、そこは自分たちの管轄でないというのか、それとも生鮮食料品に対しても安全性を確認しているという意味なのか、はっきりさせてください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 土壌汚染に伴う健康被害の防止につきましては、汚染物質の摂取経路をしっかりと管理するということでございますけれども、先ほど申しましたように、土壌汚染対策法の今の現行の基準においては、そういう汚染土壌から揮発する有害物質による汚染というものの経路は基準上は入ってございません。

 ただ、豊洲市場の予定地につきましては、土壌汚染対策法に基づくさまざまな手続を、先ほど御説明しましたように、東京都の方で行った上で、市場として使うために、東京都におかれましては、法律を上回る対策やモニタリングを検討、実施されてきたものというふうに承知をしてございます。

 先日の専門家会議におきまして、現状では地上では科学的に安全とした上で、食の安全、安心を確保する観点から、将来にわたるリスク管理上の対応策というものを検討されているということでございますので、環境省としては、引き続き東京都の対応を注視してまいりたいというふうに考えております。

菅(直)委員 ここは、大臣、なぜこんなことを私がしきりに聞いているかというのをあらかじめ申し上げると、つまりは、土壌汚染対策法の範疇と、それから農水省が、先ほど政務官が述べられた、いわゆる生鮮食料品の安全、さらには消費者の安心という観点とが本当にダブっているのかあるいは離れているのか。

 私が事前に聞いた中では、先ほどの表現はちょっと忘れましたけれども、先ほど例を挙げたように、直接的リスクというのは、飲料とかあるいは泥んこ遊びのような中の泥に入っているような場合は入るけれども、それが揮発して、例えば地下にたまっている水が揮発して、廊下か何かを通って上に上がって、そういうものは、土壌汚染法はそこまでは想定していないので、そこまでは見てはいないというのか。そこをはっきりしないと、結局のところ、誰の責任かわからないという議論の繰り返しになるからなんです。

 私は別に環境省を追及しようと思って言っているんじゃなくて、この法律に基づいて、どういうところまでをきちんとリスクとして判断しているのかということを聞いているんです。はっきり答えさせてください。

高橋政府参考人 繰り返しになりますけれども、現行の土対法とそれに関連するさまざまな基準の中では、汚染土壌から有害物質が揮発をして、それが健康被害を及ぼすという経路は、これまでの調査の中では明らかになっていないということでございますので、そういう経路は考慮したものではないということでございます。

菅(直)委員 少しはっきりしましたよね。これまでにそういう例が、少なくとも環境省は知らないから、そういう経路については考慮していない。

 そこで、一つ先に進めます。

 資料の三に添えたわけですが、資料の三は、豊洲新市場予定地における土壌汚染等に関する専門家会議、先ほども専門家会議ということが出ましたが、その二〇〇八年の報告書の要旨の中の一部を、二ページ目を抜き出したところです。

 この三の三の中に下線を引いておきましたが、一応私から読み上げてみます。「仮に地下水中のベンゼンやシアン化合物が揮発して室内に侵入し、室内空気に含まれるベンゼンやシアン化合物が生鮮食料品の表面に付着している水分に溶け込んだとしても、その濃度はベンゼンが飲料水の水質基準の千分の一未満、シアン化合物が十分の一未満と非常にわずかであり、食の安全・安心の観点から見ても、悪影響が及ぼされる可能性は小さいと考えられる。」。

 これは現在における東京都の専門家会議の一つの考え方にもつながるわけですが、これは二〇〇八年ですから、まだ九回目の調査とか再調査がない段階でもこういう形が出ているわけです。

 つまり、この中の表現は、逆に言うと、たとえそういうものが揮発して、建物のすき間とかいろいろなところからそういうところに、地上に行っても、地下にあった水が地上に何らかの形で揮発していっても、そしてそれがたとえ生鮮食料品の表面に付着している水分に溶け込んだとしても、濃度が低いから、最後の言い方もちょっとあれですが、「悪影響が及ぼされる可能性は小さいと考えられる。」悪影響が全くゼロという表現ではないわけです。

 ですから、こういう状態が現実に、少なくとも東京都の専門委員会が言っているんですから、こういう可能性について触れているんですから、だから環境省に聞いているんですよ。こういうことについては検討していないということでしょう。それとも、こういうことまで検討した上で先ほどのような判断をしたということですか。どっちですか。

高橋政府参考人 いわゆる揮発性の有害物質の大気経由の汚染、そういうものの影響というものは、当然、そういうものがあればこの土対法の中にも取り込む必要があると思っていますけれども、現時点で私どもが持っているデータではそこまでの知見はないということでございますので、これについては、引き続き知見を収集してまいりたいというふうに考えております。

菅(直)委員 ですから、わざわざこれを見せたわけですよ。今は知っているわけですよ、少なくとも東京都の専門家会議がこういうことを言っているということを。先ほどまで知らなかったのかもしれないけれども、質問通告には行っているはずですけれどもね。

 だから、結局は、今まではそういうことは考慮に入れる必要がないと思って入れなかったけれども、これからは入れるか入れないかを検討するんですか。それとも、今の法律には、こういう経路については判断をしない、つまり、考慮の外だということですか。もし考慮するんだったら、この法律がこういうところまで考慮するのであれば、判断が変わるわけでしょう。そこを、だからまず責任の範疇をはっきりしないと、一体話が、農林省と環境省、あっちへ行ったりこっちへ来たりすることを防ぐために、あらかじめ環境省の今までの扱いについてきちんと説明をしてもらおうと思ってやっているんですよ。

 もう一回だけ、わかりやすく言ってください。今は入っていないのか、今も考慮に入れてあるのか。

高橋政府参考人 現状の土対法の基準の中には、こういうものを考慮した基準はありません。それは、そこまでのまだ知見が、影響があるという知見がないということでございますので、現状では、こういう経路を考慮した土対法上の基準というのは、国レベルではないということでございます。

 ただ、これは東京都でこういう上乗せ的に検討されていますので、こういうものも当然私どもとしても情報は収集させていただき、こういうものを含めて、今後とも、大気経由の汚染経路については、暴露経路については、引き続き知見の収集はしていきたいというふうに考えております。

菅(直)委員 やっと一つ前へ進みました。現在のところは、大気経由に関して現状は基準がありませんと。

 そこで、もう一回農林省の方に戻りたいと思います。

 農林省の、先ほど政務官も認められたいわゆる整備計画の中で、先ほど私が読んだんでしたか、どちらが読んだんでしたか、ありますよね、安全さらには消費者の安心。こういう報告を聞いた上で、農林省として、そういうものが満たされている、つまり、中央卸売市場整備計画の、生鮮食料品の安全を確保し、消費者等の安心につながるように留意するということがもう満たされている、そういうふうに判断できますか。いやいや、これではちょっと満たされているとは言えないなという判断ですか。どちらですか。

細田大臣政務官 先生が御紹介になった部分でございますが、まず、この部分に関して、いわゆる東京都で設置されている専門家会議において、平田座長が平成二十九年一月十四日の専門家会議において、揮発性物質がどの程度気化してくるのかを計算した結果として、これは引用でございます、「お魚あるいは野菜の表面についている水にくっつくベンゼンの濃度というのは、中略、まず安全に間違いないということを結論として申し上げた」でございますが、と述べているというふうに承知をしております。

 いずれにいたしましても、先ほど先生が配付された資料の二枚目にもございますけれども、この四月にも専門家会議の審議、評価が行われて、地下空間の安全性の検証と必要な対策という報告書を東京都が取りまとめられるというふうに承っておりますし、また、それを踏まえて、必要があればさまざまな措置がなされ、最終的には都知事が判断をされる。その判断を踏まえた上で、私ども農水省に対して認可の申請が行われるということで、いずれにいたしましても、認可の申請が行われた段階で、食の安全性の確保についても、これも当然のことながら厳正に審査を行ってまいる所存でございます。

 ぜひこの点について御理解をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

菅(直)委員 ちょっと今の答弁は、何か都の専門家会議の判断に委ねているように普通だったら聞こえますよ。だから最初に言ったんですよ。この問題は、マスコミ紙上でも東京都の問題としてほとんどが報道されていますが、しかし、実際には、農林大臣が移転を認可しなければ豊洲は動かないんですよ。意外とマスコミの関係者はそれを知らないんですよ。

 先ほどは余り言いませんでしたが、もう何千億もお金を使っている中で、事前に農水省と一切話をしていないなんということは、私は常識的に考えられない。

 そして、今申し上げたように、こういう要綱がちゃんとあって、生鮮食料品の安全を確保し、消費者の安心につながるように留意するというのがあって、これを充足していなければ許可できない、厳正にやるというのはそういう意味でしょう。

 現実に、こういう事実があるということを東京都の専門家会議そのものが認めているんですよ。もちろん、その座長は、しかしそれでも人体にそれほどは、安全だと言われています。

 話がややこしくなるから余りあれこれに行きたくありませんが、逆に言うと、その前の段階で、そういうことが起きないようにするために、揮発が起きないようにするために盛り土を提案していたんじゃないですか、この専門家会議は、もともとは。しかし、それがどういう理由か今でもよくわかりませんが、少なくとも一部には盛り土がない。つまりは、盛り土によって、下から揮発するものが、そういうやり方も含めて抑えられるというようなことを議論があったと私は聞いています。確かにその結論が出ているかどうかはわかりません。

 ですから、東京都の専門家会議がこう言っているから、そしてそれを踏まえて知事が言ってきたら、では、もうそれでオーケーですみたいな話では、私は責任はとったことにならないと思いますよ。

 農林省として、きちんとこの要綱に基づいて判断すべきじゃないですか。判断しますね。この第十次中央卸売市場整備計画、これは、法律がこの計画に基づいて判断するとなっているんですから。当然この整備計画に基づいて判断しますね。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど来何回か申し上げておりますが、まず中央卸売市場については、冒頭先生からも御指摘があったとおり、一義的には開設者である地方公共団体が責任を持って食の安全性を確保するということが必要であるというふうに考えておるところでございます。

 私ども農林水産省においては、東京都から移転に関する認可申請があった場合は、これは当然のことながら、卸売市場法に基づいて厳正に審査を行って、適切に判断をしていくという考え方でございます。

 なお、その審査を行うに当たっては、先ほど申し上げたとおり、中央卸売市場整備計画に適合しているか否かという点も判断基準の一つとなります。

 以上でございます。

菅(直)委員 一義的にはという言葉は私も使いましたが、それはあくまで、たくさんの市場がある中で、それぞれの自治体の市場ということは、それは当然自治体が計画を立てるわけですよ。しかし、認可するかどうかは、一義的に東京都じゃないですよ。特に、東京都の場合、先ほども言ったように、ややこしいんですよ。これが、都道府県がまたがっていれば環境省の多分範疇に入ると思いますが、都がまたがっていないから、いろいろなことが東京都の範疇でやるわけですよ。東京都のいろいろな部門間でやっているわけですよ。

 先ほど言ったこの専門家会議も、昔あって、一回やめて、またやって、またやめて、今また再開していますよね。そのときに、前の段階では、そういう揮発性のものを考慮して盛り土をするということが、ここの平田座長を初めとするところから提案されているんですよ。それがきちんとやられなかったということが、あれだけ報道されているわけですよ。

 では、そういうことをやっていなくて大丈夫なのかということを言ったら、また同じ平田座長が、いやいや、こういうふうにくっつくことはあるけれども微量だから平気だと言っているけれども、少なくとも、安全性だけではなくて、消費者の安心、こんなことで消費者の安心が確保できる、こういうふうに思いますか。

細田大臣政務官 大変恐縮でございます。繰り返しになりますが、東京都から豊洲移転についての認可の申請が行われた段階で私どもとしては適切に判断するということでございます。

 以上でございます。

菅(直)委員 お役人みたいな答弁をしないでくださいよ、あなたも政治家なんだから。だから、順序を追ってやっているわけですよ。

 ここにあるじゃないですか、あなたも認めたじゃないですか、この整備計画の文言を。文言の中に基準が書いてあるわけですよ、「生鮮食料品等の安全を確保し、消費者等の安心につながるように留意する。」と。二〇一六年四月の第十次中央卸売市場整備計画、あなた認めたじゃないですか、さっき、これに沿って判断すると。これに沿って判断するんですね、これに沿って。

細田大臣政務官 御指摘のとおり、中央卸売市場整備計画に適合しているか否かという点も判断基準の一つ、認可基準の一つでございます。

菅(直)委員 だから聞いているんですよ。具体的に、ベンゼンやシアンが揮発して、表面の水に溶け込む可能性があることを、あなたも言った専門家会議が認めているんですよ。しかし大丈夫だと言っているんですよ、もちろん、彼らは。しかし、その前には盛り土の問題があったんですよ。中身が出てきているんですよ。

 まだ何にも出てきていない、議論がないんだったら、いや、それは東京都から聞いてやりますでいいかもしれないけれども、現実に工事は進む、あるいはとまる、ぎりぎりのところでもう数千億の金が突っ込まれている。それで、こういう専門家会議の話も出ている。それから、最近の意見でも、つまりは、九回目の調査とその後の再調査で高い濃度が出ている、一回目から八回目よりも。そういう事実が現実にあるから聞いているんですよ、事実が現実にあるから。

 それを政治家として、あるいは農水省として判断して、こんなことではとても、今のままではとてもだめなのなら、早目にだめだと言った方がいいですよ。何千億もかけてまた、最終的に小池知事がどう判断されるか私もわかりませんが、やはりやろうかなと思って、最後になって農林省が、いやいや、これはもうこれに合いませんと。それは、そう言われてもいいですよ、厳正にやるんだから。言われてもいいけれども、この段階でどういう見通しを持っているか、どういう見解を持っているか、どういう考え方を持っているか、農水省のこの段階での判断をお聞きしているんです。

細田大臣政務官 農林水産省といたしましては、先ほどから繰り返し申し上げているように、都からの認可の申請が行われた段階で厳正に審査をし、適切に判断するということでございます。

 もちろん、その審査をするに当たっては、先生から御指摘があった中央卸売市場整備計画に適合しているか否かという点も判断の基準の一つとなります。

 以上でございます。

菅(直)委員 もう一回だけ同じことを念のために聞いておきますが、では、この整備計画に反しているとなれば許可しないということですね、反していれば。

細田大臣政務官 今まだ申請も行われていない段階でございますので、予断を持ってお答えすることはできないんですが、いずれにせよ、申請が行われましたら、判断基準に基づいて厳正に審査をさせていただくということでございます。

菅(直)委員 余り、お互い政治家なんだから、それは言いにくいことがあることはわからないわけじゃないけれども、少なくとも、ここまで話が具体的になっているんですよ。将来の、五年先、十年先じゃなくて、もうそれこそ、都議選が七月二日に投票日となっていますが、私の見通しでは、それまでにもしかしたら知事は何らかの判断をしなきゃいけなくなる可能性は十分あるわけですよ。みんな注目しているんですよ。だけれども、農水省が最終的な印鑑を持っているということを余り知らないんですよ、一般の人は。

 具体的な事例、事例というのは、こういうことがある、ああいうことがある、九回目の調査も再調査もあって、さらには、二〇〇八年にはこういうことまで言っている。そういうことまで含めて、そんな役人答弁みたいなことを。やはりちょっと心配だなぐらいは普通は、やはり政治家が政治をやるというのは、単に役人の、ぎりぎりのところで言っているんじゃない。先ほど、だから環境省にも聞いたわけですよ。環境省は、この問題に関してはこれまでは検討してこなかった、だから、今後のことについては考えるけれども、これまではそのことは検討してこなかったと。農水省は検討しているんだから。

 もう一回だけ、政治家として答えてください。

細田大臣政務官 御期待に沿うようなお答えができなくて大変申しわけございませんが、いずれにいたしましても、認可の申請が行われた段階で厳正に審査をし、適切に判断してまいる所存でございます。

 ありがとうございました。

菅(直)委員 環境大臣もやりとりを聞いていたと思うんですけれども、この問題は、たしか、共産党のある議員の方から質問主意書もかなりかつて出ています。同じような趣旨のことが出ています。当時の福田総理が答弁されています。

 結局のところ、今の問題に戻るわけですよ。ですから、これは環境省が直接所管する法律そのものではないかもしれないけれども、内閣としては、結果として、農林大臣の権限ということは、最終的には内閣として、国としてどう決めるかという問題になるんですよ。

 特に私は、この間、まさに小池都知事も言い、あるいは平田座長も言われている言葉に、ある意味非常に、まさにいい悪いは別にして、難しい判断が入っていると思いますよ。それは、安全性ということと安心ということです。

 つまり、安全性というのは、一応何ミリグラムとかなんとかだから一応の基準以下だとか、いろいろ言えます。しかし、安心というのは、ある種の信頼感です。まあ、そこまであの人が言うのなら、そこまで役所が調べた上で言うのなら、それはこれまでの過去の例から見て信用していいだろうと思うか、九回やった調査の結果、八回までが、簡単に言えば、九回目と全然違うわけですよ。きょうの朝の審議でもありました。誰がそんな調査をやったのか。多くは、ゼネコンの子会社とか、あるいは水質の処理をする会社の関係会社とか、つまり、自分のところがやって水質処理をするのに、自分のところが検査して、それが悪かったなんということは当たり前にないわけですよ。ということは、一回から八回までは、ある意味では改ざんされているんじゃないかということを多くの専門家が言っているんです、客観的にですよ、私が思っているだけじゃなくて。

 そういう中で、ここまで来て、安心しろ安心しろ。大臣として、まさに政治家として、どうお感じになりますか。

山本(公)国務大臣 政治家としての答えになるかどうかわかりませんけれども、先生がおっしゃる、私も最近、安全と安心というのは違うものだ、似て非なるものだということをしみじみ感じております。

 そういう中で、今回の豊洲の問題は、私どもはやはり発言を控えなければいけない部分が余りにも多うございまして、この場でそれ以上のことは、ちょっとコメントは差し控えさせていただきたいなと思います。

菅(直)委員 ですから、そこはやはり違うと思いますよ、私は。

 国会で本当にいろいろな議論をやっているんですよ、先輩の環境大臣は。若林さんとか斉藤鉄夫さんとか、いろいろな方がやっているんですよ、この議論を。

 結局、東京都の問題だと言うけれども、さっきも言ったように、法律でいえば、東京都の問題だけではなくて国の問題でもあることは、少なくとも農林省は認めているわけですよ。許可をするか、認可をするかしないかの権限を握っているんですからね。それに対して、いや、そういうことに何か意見を言うのは差し控えた方がいい、私は逆だと思いますよ。

 ちゃんと、環境省は環境省として、少なくとも、こういう問題にはきちんと気をつけてくれとか、農水省は、まさにここに書いてあるとおり、書いてあるとおりのことを言ってくれと言っているだけですよ。つまりは、生鮮食料品の安全性、それから安心について、ちゃんと有権者が、都民が納得できるように留意しろと書いてあるわけですよ。

 だから、もう一言、もしあれば、どうぞ。

山本(公)国務大臣 私ども、今回の豊洲の問題につきましては、従来の土壌対策法に基づいて調査や手続を行った上で、市場として使うために、東京都が法律を上回る対策やモニタリングを検討、実施してきたものと承知をいたしております。

 その上で、東京都の専門家会議において、現状では地上は科学的に安全とした上で、食の安全、安心を確保する観点から、将来にわたるリスク管理の対応策を検討されているところでございまして、環境省としては、引き続き東京都の対応を注視してまいりたいということに尽きると思っております。

菅(直)委員 今の、法律を上回る対応という、そういうことが議論があったんですよ。たしか、その中に盛り土が入っているんですよ、都の専門家会議で。それをやれば上回って、多少下の方にあっても地上には浮いてこないだろうと。きょうもどこかでやっていました、地下と地上が違うんだと。しかし、現実には、通路が、あの水が入っていた、今どうなっているかわかりませんが、水が入っていた地下のあのところから地上には階段がついているわけですよ、普通に。あるいは、板のすき間があるみたいなことまでわざわざ、私が言っているんじゃないですよ、わざわざ書いてあるわけですよ。

 ですから、もうこれ以上繰り返しませんが、この問題は、私はぜひ、この議論を聞いていただいている国民の皆さんに、決して東京都だけの問題ではないんだ、やはり、農林省も環境省も含めて、あるいは我々国会議員も含めて、私たちも責任の一端を担っているんだと。責任の一端を担う以上は、当然意見を言う。

 私は、過去の経緯からずっと見て、これでとても安全だとか、まして安心が確保されるとは言えない。やはり、もう一度もとに戻って、豊洲以外の選択を私は考えるべきだ、このように申し上げて、私の質疑は終わります。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 土壌汚染対策法について質問をいたします。

 きょうの午前中からも議論があります東京都における築地市場の豊洲新市場への移転問題に関連して質問をいたします。

 最初に環境省にお尋ねしますが、この豊洲の新市場の予定地と土壌汚染対策法の関係について、土壌汚染対策法のスキームはこの豊洲の新市場予定地においてどのようにかかわっているのか、この点についてまず御説明ください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 土壌汚染対策法における豊洲新市場予定地の位置づけでございますけれども、豊洲新市場予定地におきましては、三千平米以上の土地の形質の変更が行われるということに基づきまして、土壌汚染対策法の第四条に基づきまして東京都において形質変更の届け出がなされ、それを踏まえて、土壌の汚染状況の調査が、これは十四条に基づく調査でございますけれども、実施をされ、それによって、汚染があったわけでございますけれども、地下水利用がない等、土壌汚染の摂取経路がなく、健康被害が生ずるおそれがないという判断のもと、土壌汚染対策法に基づく形質変更時要届出区域に指定をされているというふうに認識をしてございます。

塩川委員 資料をお配りしました。一枚目をごらんいただきたいんですが、これは、東京都の豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議、よく言われています専門家会議の資料ですが、新市場予定地でガス供給を行っていた東京ガス豊洲工場は、石炭ガスを製造しており、一九五六年から一九八八年までの約三十年間操業しておりました。

 石炭ガス工場が操業していた昭和四十三年のときの写真が上の図です。ちなみに、築地の市場はNと書かれている北の方の先にあるわけですけれども。このように、ガスを製造する、そういうさまざまな設備、施設が置かれているところだったわけであります。下は昭和四十一年時の土地利用状況で、青い枠線に囲まれた区域が東京ガスの豊洲工場の敷地に当たります。真ん中あたりのちょっと右にある油ガスの発生装置、その下のコークス炉、こういうところが中心となって、石炭置き場、コークス置き場など、一連の施設が設置をされているという図であります。

 環境省にお尋ねしますが、このような石炭ガスの製造過程における有害物質の使用や排出状況というのは、一般的にどのようなものかについて説明をしていただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 石炭を熱分解してガス化をするというプロセスになるわけでございますけれども、その際には、ベンゼンでありますとかシアン化合物、こういうものが副生成をするということでございます。また、冷却後の副産物であるタールの中にはベンゼン等が含まれているというふうに認識をしてございます。

 通常、こういう排水とか排ガスあるいはその副産物中に含まれる有害物質というものにつきましては、排水、排ガスの処理工程等で環境保全上支障のない状態にして排出されているということでございますけれども、各工程において漏えいとか不適正処理があった場合には、こういうものが土壌汚染等の原因となるということが考えられるということでございます。

塩川委員 資料の二枚目の上の図、フローになっていますけれども、ガスの製造過程における有害物質の使用、排出状況ということです。

 ここに書いてありますように、新市場予定地でガス供給を行っていた東京ガス豊洲工場は、石炭ガスを製造しており、その精製過程において触媒として砒素化合物を一部使用するとともに、製造、精製過程においてベンゼン、シアン化合物が副産物として生成されていたというものであります。

 先ほど、タールとベンゼンの話もありましたけれども、ベンゼンは揮発性ですけれども、タールと一緒になるとなかなかすぐ揮発するものでもないということですから、一定期間残り得るという点でも、汚染をされれば中長期にその汚染が残るということにもなるわけであります。

 下の図がその汚染源とされるような場所でありまして、真ん中あたり、横長の楕円状のところがコークス炉、その右側に、触媒として砒素化合物を使用していた箇所、こういった図になっているわけです。

 それで、こういった汚染源も示されているわけですけれども、環境省にお聞きしますが、そういったところにおいて、この間、地下水のモニタリング調査が行われてきたわけですけれども、この一回から九回というモニタリング調査も大きく報道されましたけれども、この地下水モニタリング調査による現段階での汚染状況については、環境省としては把握しておられますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 豊洲市場の地下水のモニタリング結果については、東京都の専門家会議において議論がされているわけで、私ども、結果は承知してございますけれども、特に直近では、一月及び三月に公表された結果におきましては、多くの地点で地下水環境基準を超過するベンゼン等が検出をされている。その理由としては、一つの可能性として、地下水管理システムの稼働による地下水の流動の変化が原因と推定されたというふうに承知をしてございます。

塩川委員 基準超のそういった結果が出たという話です。

 土壌汚染対策の結果の適否を確認するために、二〇一四年以降行われてきた地下水モニタリング調査ですが、七回目までは環境基準を超えた有害物質はなかった。しかし、八回目に三カ所から環境基準を超えるベンゼンや砒素を検出し、ことし一月実施の九回目の調査では、調査地点二百一カ所のうち七十二カ所から基準値超の有害物質が検出をされる。ベンゼンは三十五カ所で基準値を超え、最大は基準値の七十九倍だと。砒素は二十カ所で基準値を超え、最大三・八倍。検出されてはならない猛毒のシアンも三十九カ所で検出をされたわけであります。

 資料の三枚目に、この地下水のモニタリング結果のシアンですけれども、上の図が第八回で、これは青いのは不検出ですけれども、下が第九回の図で、赤にバツがついているのは十倍、赤い色が基準値を超えるものという点でも、非常に多くのポイントでシアンが検出をされるということが見てとれるわけであります。大変安全性が危惧されるわけですね。

 こういった九回目の調査というのはクロスチェックで数値として確認されているわけですけれども、率直に安全性が危惧される問題なんですが、その点について、環境省としてはどのように認識をしておられますか。

高橋政府参考人 調査結果、それからそれを踏まえた今後の安全管理の対策については、まさに東京都の専門家会合で検討されているという状況でございますので、それをしっかりと見守っていきたいと思ってございますけれども、一般論として申し上げれば、汚染の検出をされた場合には、やはりその汚染の状況をしっかりと把握した上で、そこを利用しようという場合には、それが人の健康に影響を及ぼさないように摂取経路をしっかりと遮断して、適正に管理をしていくということが必要だろうというふうに思っております。

塩川委員 人の健康に影響を及ぼさないように適切に管理をする旨の話がありましたけれども、確かに専門家会議の会合を見守るという話もありましたが、その専門家会議が、地下の汚染は残るが地上は安全ということで安全宣言を出そうとしているということに対しては厳しい批判の声があるところです。

 環境省にお聞きしますが、この地下の汚染物質であるベンゼンやシアンや水銀などは、揮発をして地上や建物内を空気汚染する可能性があり、地下と地上は分離できないので地上の安全も保証されないのではないかと考えますが、この点についてはどうですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ベンゼンなどの揮発性の有害物質についての対応でございますけれども、これまでの私どもの調査によれば、土壌汚染地を掘削するような場合に、揮散による大気汚染を引き起こすということがあるということで、法律上は、汚染地の掘削の際の揮散防止対策というのを義務づけているところでございます。

 他方で、汚染土壌の存在そのものによって、そこから有機物質、揮発性の有害物質が蒸発をして大気汚染を生じるという可能性については、これまでのところ、そういうものによって例えば環境基準を上回るような大気汚染が生じたという事例は確認をしてございません。引き続き、そういう揮散のリスクについては、科学的知見の集積に努めてまいりたいと考えております。

塩川委員 ですから、掘削ではなくて、実際にその措置したところから出ているわけですから、やはり健康被害の懸念というのは当然生まれてくるわけで、形質変更時要届出区域というのが、要措置区域との対比の中で、汚染はあるんだけれども、要措置区域は汚染の摂取経路があります、形質変更時要届出区域の場合には汚染の摂取経路がない、だから健康被害が生ずるおそれがないという説明なんだけれども、私はやはり、率直に言って、こういった揮発性のガスによって健康被害が生ずるおそれがあるんじゃないか、こういう声というのは当然あるわけですから、健康被害が生ずるおそれがないというふうに言えないんじゃないかと思うんですが、この点どうですか。

高橋政府参考人 繰り返しになりますけれども、汚染土壌が存在しているというだけで、それによって、その揮発によって大気汚染が生じたという事例はこれまでのところはないということでございます。引き続き知見は集積をしてまいりますけれども、これまでのところはないということでございます。

 また、現に豊洲新市場予定地においてもさまざま大気の測定はされておりますけれども、一部、例の地下ピットで、密閉された空間でそこに地下水がたまっていたときに、そこから蒸発した水銀等によって濃度が高まったという事例はございましたけれども、そういうものも適切に換気をすれば問題ないということでございますので、十分対応可能な状況ではないかというふうに思っております。

塩川委員 もともとのこの土対法上についての健康被害の話というのが、やはり、地下水の話それから土壌の経口摂取という、非常に限定的な問題だというところにも問われているわけで、本来であれば、より健康を考慮するサイドから、揮発性のガスも含めて対処をするということこそ必要なわけで、そういうものが、こういう市場という形で、まさに国民の体にかかわるような、食品に携わる場所という点でも、安心という点でももちろんそうですけれども、安全という対策についても万全を期すのは当然であって、これについて、やはり健康被害が生ずるおそれが本当にないのかという立場で慎重な対応こそすべきであって、その対策こそ必要じゃないかなと思うんですが、大臣の方はこの点についてお考えはいかがですか。

山本(公)国務大臣 局長が答弁いたしましたとおり、今後は科学的知見の集積に努めてまいりたいと思っております。

塩川委員 こういった調査の結果というのが、先ほども示しましたように、第一回から第八回目と第九回目が大きく違うという結果になっているわけです。そういう点でも、これまでの対応がどうだったのかということが問われてくるわけです。

 資料の四枚目にありますが、日本共産党の都議団やしんぶん赤旗のこの間の追及によりますと、今回の、これは上の部分は、一番上が東京都の豊洲新市場の土壌汚染対策工事、五街区が鹿島を中心としたJV、六街区が清水を中心としたJV、七街区が大成を中心としたJVになって、同じように、施設の建設工事もそれぞれのJVが受注をしている。さらには、その下にある地下水のモニタリングについても、それぞれ受注者が対応する三つのJVになっているということが、ここにも見てとれるわけです。

 第一回から第三回は、採水、分析は日水コンや日立プラントサービスであります。第四回から第八回の方が、それぞれ受注者は全て、もともとの土壌汚染対策工事、施設建設工事を行うJVが受注をしているという図になってくるわけです。

 このように、この三つのJVの大手ゼネコンは、豊洲の新市場の土壌汚染対策工事を施工し、その後、青果棟などの建物建設、さらには地下水管理施設の整備工事を行っています。採水、分析は、同施設整備工事の一環として随意契約で受注をしていたという話であります。

 私、率直に言って、こういった土壌汚染対策を実施した事業者が汚染対策の効果をはかるための地下水モニタリング調査を受注するというのは、中立公正な調査と言えないんじゃないのか。こういった調査のあり方というのは客観性が担保できないのではないかと私は思いますが、環境省としてはどのようにお考えか。

高橋政府参考人 地下水モニタリングの測定でございますけれども、これは当然、しっかりとした技術的な基盤のあるところが実施をしなければいけませんので、具体的にまた、計量法に基づく計量証明等によって一定の信頼性が確保された実施機関において実施をするという必要があるかと思っております。

塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、午前中の参考人質疑でも、私、このことを聞きました。こういった土壌汚染対策を実施する事業者がこの地下水モニタリングの受注者になっている。みずからが実施した土壌汚染対策のその調査をみずからが受注するという構図はおかしいんじゃないですかという問いに対して、参考人の皆さん四人ともお答えいただきましたけれども、親会社のもとでの子会社が作業者になるような、そういうことは控えるとか、信頼性を高めることは必要だ、また、できるだけ第三者が望ましいとか、土対法に基づく措置でモニタリングしている調査機関であれば立場が違う、この点についておっしゃった方も一方でおられましたけれども、やはり関係の事業者が随意契約で受けるというのはおかしいという声ということで、どなたもそれはよろしいと言う方はいらっしゃらなかったわけで、多数の方々が、こういった関係事業者が採水、分析などの調査の事業を受注するのはおかしいという指摘をしておるわけですけれども、大臣もおかしいと思いませんか。

山本(公)国務大臣 好ましいものではないと思います。

塩川委員 それが現場で行われているわけであります。ですから、そんなことがなぜ、それがどういうことを生み出すのかという点が極めて重大で、実際に、採水をすることも土壌汚染対策法のガイドラインなどに示されているわけですよね。

 これは都議会でも我が党が追及しておりますが、地下水を採水する場合というのは、井戸にたまった水について一度排水をする、それで新たに出てくる水を採取するということになるわけですけれども、それは、やはりベンゼンなどは揮発しやすいわけです。ですから、時間がたつと飛んでしまう。また、砒素などは沈殿しやすいわけですから、時間がたつと下に落ちてしまう。となると、時間を置けば置くほどそういう意味では適切な調査にならないよねということがあるわけですよね。

 そういうことを見ると、例えば、一回目から三回目の採水を担当した日水コンは、排水をして、湧き出した水を採水するまでに二十四時間前後の時間が経過をしてから、つまり翌日になってから採水をするということが明らかになっておりますし、四回目から八回目のモニタリング調査ではゼネコンのJVが受注者でしたけれども、こちらも、こういった排水をして、またしみ出してくる、そのときから一日とか二日時間が経過してから採水するという点でいうと、データの信頼性を欠くことになるんじゃないのか。一方で、九回目を実施した事業者の場合では当日中に採水をする。試料の揮発や沈殿を防ぐ配慮がなされている。

 そういう点でいうと、やはり、一回目から八回目と九回目においては、適正に行われたと言われるこういった調査のあり方についても、私は一回目から八回目については信頼性が欠けるのではないのかと率直に思うんですが、環境省としてもそう思いませんか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今、地下水のモニタリングにおける、パージと言っておりますけれども、その手法についての御質問でございました。

 土壌汚染対策法に基づく調査等のガイドラインにおきましては、地下水をサンプリングする際には、観測井戸にたまっている地下水ではなくて、本来の地下水の状況を調査するために、観測井、井戸の中にたまっている水をまず十分にパージ、くみ上げた上で、地下水位が回復をして、濁りがなくなって、水質が安定したところで採水をするというふうな規定になってございます。ただ、具体的に採水までの時間というのは規定はしていないという状況でございます。

 今回、豊洲新市場における調査の結果については、東京都の専門家会議での評価においては、今まさに御指摘のあった部分につきまして、パージをした後に地下水位が回復した後どれぐらいの時間を置いたか、そういう時間の違いによって分析結果に違いが出るかというようなことも調査をされておりまして、その結果、地下水位が回復した後の静置時間の違いによる影響はないということが確認されたというふうに専門家会議ではおっしゃっております。

 したがいまして、ただ一つだけ、パージした水そのものを分析してしまった、これは不適切だったということでございますけれども、それを除けば、第一回から第九回までの地下水モニタリングの結果は有効であると専門家会議においては判断をされたというふうに承知をしてございます。

塩川委員 この問題についてはいろいろ現場から批判の声が上がっていて、日水コンが採水した試料は、一度会社に持ち帰って、その後、都に持ち込んで、都職員の確認を得てから分析会社に送付するという不可解な行動をとっているという問題なんかもありましたし、もともと、再採水を都の方が指示するようなことがある、そういった点での都の関与を含めて非常に不透明なことがたくさん続いているというのがこの地下水のモニタリング調査の問題であって、まさに信頼性を欠くような状況にあった、そのことが問われているわけであります。

 私は、大臣が、こういった、要するに、土壌汚染対策を行った事業者、それにかかわる事業者がこういった調査、検査を行うのは好ましくないと言うのであれば、それを排除するような仕組みこそ必要だと思うんですね。ですから、中立公正な第三者が、利害関係のない第三者が調査、分析を行う、こういう仕組みこそつくる必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

山本(公)国務大臣 おっしゃるとおり、土壌の汚染状況を適切に把握して対策を講じるためには、公正中立に調査を実施する仕組みが欠かせないと思っております。

 そのために、土壌汚染対策法では、環境大臣または都道府県知事が指定する調査機関に調査を行わせる仕組みとしているところでございまして、また、指定に際しては、その役員構成が調査の公平実施に支障を及ぼすものでないこと等の基準に適合していることを審査いたしております。

 いずれにしましても、環境省としては、指定調査機関の適切な指定及び監督を通じて、公正な調査を実施する体制を支えてまいります。

塩川委員 公正な調査を支えるということをおっしゃっていただきましたが、本当にそうなっているのかという問題なんです。

 これは資料の四のところに、鹿島のところを見ていただきますと、下の方のモニタリングの実施機関ですね、受注者は鹿島JVですけれども、パージ、排水をする、あるいは採水する、分析をする、そのところを見ますと、ケミカルグラウトという企業が出てまいります。

 このパージ、採水等を行う事業者であるケミカルグラウトというのは、土壌汚染対策法における指定調査機関ではないかと思うんですが、わかりますか。

高橋政府参考人 東京都港区に所在するケミカルグラウト株式会社であれば、これは土壌汚染対策法に基づく指定調査機関として指定をされているというものでございます。

塩川委員 指定調査機関のケミカルグラウトですけれども、このケミカルグラウトの株主が誰かというのはわかりますか。

高橋政府参考人 この株主構成については、現時点ではこれは公開情報になっておりませんので、私ども、回答は控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 ケミカルグラウトは鹿島の一〇〇%の子会社です。ですから、汚染対策や施設建設を受注したのは鹿島です、この親会社の鹿島が汚染対策を行い、子会社のケミカルグラウトがお墨つきを与える。これはやはりどう考えてもおかしいわけで、環境行政を所管する環境省としてこんなやり方を容認するのかと。

 先ほど、好ましくないというお話がありました。こういった仕事を現行では排除できるんですか。排除できているんですか。

高橋政府参考人 現行法では、いわゆる地下水の通常の、通常というか、モニタリング調査につきまして、請け負う会社の株主構成云々ということまで法律上規定をしておりませんので、排除しているというものではございません。

 ただ、これはさっき委員がおっしゃった話でございますけれども、今回の九回のモニタリング調査の結果の妥当性については今まさに東京都の専門家会合で詳細に検討されていますので、その調査が適正だったかどうかについては、その結果をしっかりと私どもは見ていきたいと思っております。

塩川委員 そもそも疑いが持たれているわけですよ、自分が実施をした土壌汚染対策について、その妥当性の調査を子会社にやらせているんですから。そんなのが容認されるのかという問題なんですよ。

 そういう意味でも、もちろん指定調査機関の枠組みの話がありますけれども、私は、そもそも、土壌汚染対策をやった事業者が、その調査、妥当性についてみずからの子会社にやらせるような、こういうことはきっぱり排除する、これはやはり環境省が行うべき仕事じゃないですか。そうなっているんですか。

高橋政府参考人 地下水のモニタリングにつきましては、先ほども答弁いたしましたけれども、計量法に基づく計量証明等によって信頼性の確保された調査機関が実施をするということで、信頼性を確保する必要があるかと考えてございます。

 いずれにしましても、今回の件につきましては、東京都において今検証がなされておりますので、その結果をしっかりと見て、何か必要なことがあればしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

塩川委員 信頼性を欠いているこの豊洲新市場の移転の計画そのものはやはりきっぱりと中止をすべきだ、築地市場の豊洲新市場移転計画を中止し、現在地再整備の本格的な検討こそ求められるということは申し上げ、その上で、ちょっと今の話の続きです。

 もともと、指定調査機関のあり方の話なんですけれども、先ほどもちょっと大臣の方でもお述べいただいたんですが、土壌汚染対策法上の区域指定が行われるときには、指定調査機関が中立公正な立場で関与することになっています。実際には、指定調査機関の看板でいろいろな検査とかをやっているわけですよね。それはやはりお役所としての指定という重みがあるわけですから、環境省がそういうお墨つきを与えているわけですから。そういったときに、今言ったような親会社、子会社のような関係というのはまずいよね、こういうのを排除するようなスキームにそもそもなっているのか、豊洲の話はちょっとおいておいて。

 そもそも土対法上のスキームがどうなっているのかということについて確認したいんですが。

高橋政府参考人 土対法上は、まさに今おっしゃったような公正な調査という意味では、土対法に基づく土壌汚染状況調査、これはまさに区域の指定にかかわる非常に重要なものでございますけれども、これにつきましては、まさに区域の指定を左右するということでございますので、非常に公正性が必要だということで、この土壌汚染状況調査については指定調査機関が実施するということが義務づけられております。

 この指定調査機関というのは、信頼性を高めるという意味で、業務規程の中に利害関係上疑念を持たれないようなことに配慮した規定というものをしっかりと設けるということも、業務規程の中にそういうことをしっかり盛り込むようにということも規定をしてございます。

 ただ、今回の、今話題になっております豊洲のモニタリング調査については、これはいわゆる土壌汚染状況調査ではございませんで、その後のモニタリング調査ということなので、法律上は、このモニタリングについては、指定調査機関が実施をしなければいけないという規定にはなっていないということでございます。

塩川委員 今お話しのように、土壌汚染状況調査、つまり区域指定を行う際にどれだけ汚染されていますかということを調査する際には指定調査機関が必要ですということで、その際には、確かに、環境省の事務方にお聞きしまして、実際、その文書、書類を出してもらう際には、参考例としての例示があるといった場合に、資本関係でいえば、五%以上保有する株主、指定調査機関の株を五%以上保有するような人が所有しているような土地を調査するのはだめよとかとなっているんですよね。もちろん、人的関係もあればだめとかという話には当然なるわけなんですけれども。

 そういうのであれば、私、それはもっと広げる必要があるんじゃないかなと思うんですよ。実際には、皆さん、指定調査機関の看板でいろいろなモニタリング調査なんかもやっているわけですよね。そういったときに、さっきも出てくるような、鹿島の行った土壌汚染対策を鹿島の子会社がチェックする、こういうことを含めて、これはもともと、資本関係があるのはだめよと排除しているというのが指定調査機関、そもそもの法律上の枠組みなんだけれども、それを敷衍して、制度としてまさに信頼性を高める、こういうことこそ今やるべきじゃないかなと思うんですが、最後にそのことをお聞きして終わりたいと思います。

高橋政府参考人 この指定調査機関の活用のあり方については、御指摘の点も踏まえて今後検討してまいりたいと思っております。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 きょう、午前中は参考人質疑ということで、私も質問にも立たせていただいたんですが、大変いい議論ができたと思っています。そういった議論を踏まえて質問をさせていただきたいと思います。

 通告、四問ほど出してあるんですけれども、若干順番を変えさせていただいて、リニアの土壌汚染、こういう問題から入らせていただきます。

 私は、この土対法の修正案のこの議論、自分でやり始めたときに、物すごく不自然な感じがしたのは、そもそも、自然由来の土壌汚染というのが当初入っていなくて、そして、二〇一一年の改正で、いわゆる搬送のところでは入るようになった、こういう話があって、それは自然由来だろうと人為的なものであろうと、土壌汚染は土壌汚染で、それが問題なんだから何でそれが入らないんだろうという、すごく違和感を感じました。

 午前中、そんな議論をしたときに、参考人の方からは、自然由来の土壌汚染は原因者が特定できないということと、一般的に汚染状況の程度が低いので当初は入っていなかったんだと思います、こういう御説明があって、まあ、そういう理由なのかな、こうは思ったんですが、繰り返しになりますが、由来は何であろうと、問題があるんだったら改善しなきゃおかしいじゃないか、こういう思いは拭えない、こういうことでございます。

 そこで、リニアの話です。リニアのトンネルの話、これは、もし土壌汚染があるという話になったときに、まず、この土対法の対象になるんでしょうか、ならないんでしょうか。

高橋政府参考人 リニア中央新幹線に係る工事の土対法との関係でございますけれども、これはさまざまなケースがあるかと思っております。

 例えば、駅舎をつくるというような場合には、これは当然、三千平米以上の形質変更ということになれば、届け出をして、もしそこが土壌汚染のおそれがある場合には調査をして、区域指定をするということで、土対法の枠の中に入るということもあるかと思います。

 ただ、例えば、トンネル工事になりますと、トンネル工事は、いわゆる地表面の改変という面積が小さいものですから、物によっては、トンネル工事自体だけですと、いわゆる三千平米を超える形質改変に該当しないということで、結果として、この土対法上の手続に入らないという場合もあるかと思っています。

 ただ、その場合、トンネル工事に伴って相当の土壌が出てくるということでございまして、それらの安全な処分というものが必要になってまいります。

 この観点では、平成二十六年に、環境アセスメント法に基づく環境大臣意見、また、それを勘案した国交大臣意見におきましては、土対法の対象にならないトンネル工事で出てきた土壌の汚染状態が土壌溶出量基準または土壌含有量基準に適合しないおそれがあるものについては、運搬、処理に当たって、土壌汚染対策法の規定に準じて適切に取り扱うということを事業者であるJR東海に求めております。JR東海において、この大臣意見を踏まえて、適切に対応していただけるものと考えております。

小沢(鋭)委員 駅舎の話が入るというのは、それはそうだと思います。

 今の二番目の方の話で、いわゆるアセスのところから引っ張ってきたガイドラインとか、そういった話をもって、土対法に準じた形で対応している、こういう御答弁だったんですが、これは変なんじゃないんですかね。やはり、これは繰り返しになって恐縮ですけれども、由来は何であろうと、実際にいわゆる汚染があった場合には対策ができるという話じゃないとおかしいんじゃないかと思うんですが、もう一回、高橋さん、お願いします。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 土壌汚染対策法は、土壌汚染という、非常に、目に見えない、調査をしないとわからないというところでございますので、その調査をどこまでやってもらうかというところが一つ大きな、制度設計上ポイントになると思うんですけれども、これまで、順次、少しずつ、土壌汚染の調査の契機をふやしてきた。今回の改正もそうでございます。

 ただ、特に自然汚染を念頭に置いた場合、これは相当広い部分でございますので、その自然汚染の調査というのをどこまで踏み込むかというのは、非常に判断の要るところでございます。

 現時点では、今の規定の中で、要は、基本的には、施設の廃止、それからそういう大規模な、一定規模以上の土地の改変、そういう中で見つかったものについては自然汚染であってもしっかりと対応するということで整理をさせていただいているというところでございます。

小沢(鋭)委員 それでは、その場合、実際の調査はどうやってやっているんですか。これは環境省じゃないんだと思いますけれども、実際にトンネル工事の所管の、国交省ですか、どういう調査をやって、どういう対応をして。

 それから、質疑時間がもう三分前ですと突然来たので、もうないので、ついでにもう一つ。どういう調査をしていて、もしそういう調査で汚染があるといった場合にはどういう対応をしようとしているのか、それをお答えいただけますか。

潮崎政府参考人 JR東海は、土対法の対象とならない掘削土につきましては、その重金属等の有無について、まず、運搬先の箇所に適用されるその受け入れに関する基準、これに基づき定期的に確認をする。この調査につきましては、環境大臣の意見で、国交大臣からも同じ意見を申しておりますけれども、専門家などの助言を得て、その調査の頻度を設定し、工事の前までに具体的な計画を策定せよということとされております。

 また、その確認の結果、基準に適合しない土砂につきましては、その運搬に当たっては、土対法の運搬に関する基準に準じて運搬を行う、また、処分に当たっては、土対法に定める土壌汚染の処理に関する基準に準じた対策を行うということとしておりまして、私どもも、こうした一連の土対法を初めとする関係法令に従って適切な運搬ないし処分等が進められるよう、JR東海を監督指導してまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 あくまでも、準じてというのは、土対法に従って処理をするということでいいんですね。もう一回確認です。

潮崎政府参考人 土対法の基準を初めとする関連の基準を準用いたしまして、その考え方に従って対策を行うということでございます。

小沢(鋭)委員 同じ答えで、準用してじゃなくて、従ってということでいいんですね。もう時間がないからいいんですが、しっかり従ってやってくださいね。

 それから、特定有害物質の数の問題なんですけれども、これは、目的に、いわゆる人体への影響ということだけになるのか、あるいはまた生態系への影響という話になるのか、そういった目的にも関連してなんだろうと思いますけれども、日本の場合、現在二十六ですか。諸外国の事例は、オランダが二百五十二、アメリカが八百、こういう大きな数字があります。この違いと、これをどうやって決めていくのか、そしてそれは本当に適切なのかどうか、これに関してはいかがですか。

高橋政府参考人 諸外国における規制物質の数ですけれども、例えば、ドイツは三十、イギリスは二十三ということでございますので、必ずしも日本だけが少ないというわけではなくて、なぜアメリカなんかが大きく違うかというと、一つは物質の数え方。例えばアメリカなんかだと、シアン化合物をいろいろな、シアン化カリウムとか細かく、日本だとシアン化合物と言ってしまっているものを細かく分けて決めておりますので、そういうこともあってちょっと数が多くなっておりますので、単純に比較はできないと思っております。

 いずれにしましても、有害物質については、土壌に含まれることに起因して人の健康に被害を生ずるおそれがあるものということで、そういう観点で決めてまいりますので、これは中央審議会における専門委員会の意見を聞きながら、必要に応じて見直しを図ってまいりたいというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 まだ質問があったんですけれども、時間ですから終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 土対法は、国民の健康の保護を目的とし、二〇〇二年に成立しましたが、調査義務対象が限定的など不十分さがありました。この反省に立ち、〇九年の土対法改正で、形質変更時の事前届け出制や汚染土壌搬出時の処理業者への委託義務など規制を強化しました。

 本案は、こうした規制強化に反発をした経団連や鉄鉱、石油、化学などの産業界の要求に従って、汚染土壌処理対策を中心に規制を緩和するものです。

 以下、反対理由を述べます。

 本案は、現行では形質変更時に事前に届け出なければならないところを、自然由来等の汚染による土壌であれば、年一回程度で事後に届け出ればよいとするものです。

 沿岸部の企業の敷地内では、長年の事業活動により排出された操業由来の汚染物質や、しゅんせつ土などの埋立材由来の汚染物質、そして自然由来の汚染物質が混然一体となっており、汚染が操業由来か自然由来かの判断は実態としては困難です。

 このような状況のもとで、形質変更時の事後届け出制を認めれば、操業由来の汚染土壌の事業者処理責任を曖昧にし、事業者の勝手な敷地内の形質変更による利活用を可能とすることになり、認めることはできません。

 また、本案は、汚染土壌の搬出に係る汚染土壌処理業者への委託義務の例外として、敷地内の自然由来等汚染土壌間の移動や、一つの調査結果によって指定された同じ種の指定区域間での土壌の移動を挙げています。

 土対法では、汚染土壌処理業者への汚染土壌の処理の委託義務がかかっています。これは、都道府県から許可された処理業者が、汚染土壌の処理を責任を持って行うことで、汚染土壌処理が適切に行われるよう担保する仕組みです。

 本案で、汚染土壌の移動を汚染原因者である事業者任せにすることは、事業者による不適正処理を助長するおそれがあり、容認できません。

 本案では、国等が行う汚染土壌の処理の特例を設け、汚染土壌を公共事業等に再生利用することができるとしています。

 道路や堤防などへの汚染土壌の再利用は、災害時における流出や、雨水等による浸透の可能性があり、汚染の拡散につながります。

 以上、本案は、土壌汚染対策強化に逆行し、国民の健康の保護に反しており、容認できません。

 以上の理由から、本案に反対を表明し、討論を終わります。

平委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、土壌汚染対策法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平委員長 次回は、来る十八日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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