衆議院

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第17号 平成29年5月16日(火曜日)

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平成二十九年五月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平  将明君

   理事 石川 昭政君 理事 北川 知克君

   理事 高橋ひなこ君 理事 冨岡  勉君

   理事 福山  守君 理事 太田 和美君

   理事 福田 昭夫君 理事 江田 康幸君

      井上 貴博君    井林 辰憲君

      伊藤信太郎君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小島 敏文君

      助田 重義君    比嘉奈津美君

      藤原  崇君    星野 剛士君

      堀井  学君    前川  恵君

      菅  直人君    田島 一成君

      細野 豪志君    松田 直久君

      斉藤 鉄夫君    塩川 鉄也君

      小沢 鋭仁君    河野 正美君

      玉城デニー君

    …………………………………

   環境大臣         山本 公一君

   環境副大臣        伊藤 忠彦君

   環境大臣政務官      比嘉奈津美君

   環境大臣政務官      井林 辰憲君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           福島  洋君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          末松 広行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        山下 隆一君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         七條 牧生君

   政府参考人

   (環境省大臣官房長)   森本 英香君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   中井徳太郎君

   環境委員会専門員     関  武志君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     田中 和徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)

 特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

平委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案、特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、福島地方環境事務所の設置に関し承認を求めるの件の各案件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官福島洋君、経済産業省産業技術環境局長末松広行君、資源エネルギー庁資源・燃料部長山下隆一君、国土交通省大臣官房技術参事官七條牧生君、環境省大臣官房長森本英香君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長中井徳太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、廃棄物処理法改正案、またバーゼル法改正案、そして福島地方環境事務所設置に関する承認案件について質問をさせていただきます。

 これらはいずれも、国際的な資源循環や、福島の再生を含む循環型社会の構築に向けて非常に重要な法案であると認識をしております。時間の都合上、予定している質問も多少割愛するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、廃掃法でございますけれども、今回の廃棄物処理法改正案は、昨年一月に発覚しました食品廃棄物の不正転売事案の発生を一つのきっかけとして提出されたものと認識しております。この食品廃棄物の不正転売事案は、愛知県の産業廃棄物処理事業者である株式会社ダイコーが冷凍ビーフカツの食品廃棄物を不正転売した事案でありますが、食品の安全や廃棄物の適正な処理に関する国民の信頼を大きく揺るがせた非常に悪質な事案であります。

 政府を挙げて再発防止に取り組む必要がございますが、そこで、まずは、食品廃棄物の不正転売事案の再発防止に向けて、環境省の取り組みと決意についてお伺いをいたします。

井林大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年一月に発覚いたしました食品廃棄物の不正転売事案は、重大かつ悪質な事案であると認識をしております。

 本事案につきましては、昨年三月十四日に再発防止策を公表したところでございまして、この中で、一つ、電子マニフェストにおける不正検知機能の強化、二つ目といたしまして、排出事業者責任の周知徹底、そして指導強化に向けたチェックリストの策定、通知、さらには三つ目、食用と誤認されないよう、包装の除去等の適切な措置、四つ目といたしまして、都道府県等による食品廃棄物の不正転売に係る立入検査マニュアルの策定、五つ目といたしまして、食品リサイクル法に基づく国の立入検査と廃棄物処理法に基づく都道府県等の立入検査の連携強化を掲げ、対策を順次行っているところでございます。

 今般の廃棄物処理法改正案にも、その対策の一部といたしまして、電子マニフェストの一部の義務化、罰則の強化、そして許可を取り消された処理業者に対する命令等を盛り込んでいるところでございます。

 まだ全て、再発防止策、終わっているもの、終わっていないものがございます。こうした対策を的確に行うことによりまして、廃棄物の不適正処理に対してしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

江田(康)委員 今回の廃棄物処理法改正案の一つの柱として、電子マニフェスト使用の一部義務づけが盛り込まれております。電子マニフェストを使用することにより、廃棄物の動きや処理の状況を即座に把握することを可能とするものでございます。

 産業廃棄物の不適正処理の防止のため、重要な取り組みであると認識をしているところでありますが、他方で、ダイコーによる食品廃棄物の不正転売事案におきましては、電子マニフェストの虚偽記載が行われていたものと承知しております。こうした事案を踏まえると、電子マニフェスト使用のメリットを十分に生かすためには、電子マニフェストへの記載内容の信頼性を担保していくことが必要と考えるわけであります。

 電子マニフェストの不正防止対策のためにどのような取り組みを行うのか、お伺いをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 食品廃棄物の不適正処理事案は、電子マニフェスト上も虚偽の報告を行うなど、悪質な事案であったと認識しております。

 このため、昨年三月に公表いたしました再発防止策に基づく取り組みを進めるとともに、今回の法改正でも罰則の強化を盛り込んでいるところでございます。

 また、電子マニフェストのシステムにつきましても、平成二十八年度の改修におきまして、産業廃棄物の処理ルートごとに、廃棄物の種類について、産業廃棄物処理の委託契約書の記載内容と電子マニフェストの登録内容の相違を検知し、関係排出事業者及び処理業者に対し警告表示を行う機能、また、電子マニフェストシステムへの登録、運搬終了、処分終了を期限内に行っていない場合など、不適正な登録、報告に係るマニフェスト情報について自治体に情報提供する機能について、改善を行ったところでございます。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 次の質問については、ちょっと時間の都合上割愛をさせていただきまして、次の質問に入らせていただきます。

 もう一つの廃棄物処理法改正案の柱は、いわゆる雑品スクラップの不適正な保管や処分に対する対応の強化であります。

 使用済みの家電製品が不用品回収業者により回収されてさまざまなスクラップと混合されたものがいわゆる雑品スクラップと呼ばれておりますが、こうした雑品スクラップがぞんざいに保管されたり破砕の処分が行われたりすることで、火災の発生を初めとして生活環境保全上の支障を引き起こしている。

 また、家電製品については、本来は家電リサイクル法や小型家電リサイクル法によって適正にリサイクルされることとなりますが、雑品スクラップに混入されることにより、国内の適正なリサイクルルートから逸脱し、国外で不適正なリサイクルが行われていることが懸念されているところであります。

 こうした雑品スクラップのヤードにつきましては、なかなか現状を把握することが難しいと思われますけれども、環境省で把握している実態についてお伺いをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 雑品スクラップの保管または処分を行っているヤード及びその事業者の数につきまして、全国規模では把握されていないものの、例えば、不用品対策の条例を制定いたしました鳥取県におきましては、条例制定前の平成二十七年の時点で、雑品スクラップの保管または処分を行っているヤードを含め、県内に三十八カ所の不用品の保管を行っているヤードがあったと聞いております。

 また、その取扱量の全容については不明であるものの、家電リサイクル法対象四品目であるエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機につきましては、平成二十七年度、年間排出台数の合計約一千八百万台のうち、約三六%に当たる約六百四十万台がスクラップ業者等により取り扱われていると推計されております。

 こうしたことから、使用済み家電の不適正処理などが相当規模に行われていると懸念されるところでございます。

 今般の廃棄物処理法改正案によりまして、雑品スクラップ業者に届け出を義務づけることとしており、これにより、より詳細な実態把握が可能になるものと考えております。

江田(康)委員 そうした雑品スクラップのヤードの実態を踏まえて、今般の廃棄物処理法改正案においては、雑品スクラップに多く含まれる使用済みの電気電子機器を有害使用済み機器として指定し、業として行う保管等について、都道府県知事への届け出や、また保管等に関する基準の遵守を義務づけるものであると承知をしております。

 他方で、雑品スクラップのヤードには、廃棄物に該当するものや輸出されるものなど、さまざまなものが保管されている可能性がありますよね。このため、雑品スクラップのヤードに対する規制の実効性を上げるためには、やはり、単に都道府県が有害使用済み機器に対する規制を適正に行うだけでなくて、一般廃棄物に関する規制権限を有する市町村や、また、廃棄物の輸出入やバーゼル法に基づく規制権限を有する国等の関係者が連携協力して取り組んでいくことが重要であると考えます。

 こうした関係者間の連携をどのように図っていくのか、環境省の考えをお伺いいたします。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 有害使用済み機器は、適正なリサイクルルートを外れて自治体間で広域に移動し、また、雑多なものとまぜられて、雑品スクラップなどの形で不適正に海外に輸出されることがございます。御指摘のとおりだと思います。これによりまして、国内及び輸出先において生活環境上の支障を及ぼすおそれが大きいものとなっているのも現実でございます。

 また、実際には使用済み電気電子機器が廃棄物である場合であっても、廃棄物ではないと偽り、廃棄物処理上の許可を得ずにその処理を行っている実態も懸念されるところでございます。

 そのため、御指摘のとおり、産業廃棄物及び有害使用済み機器の監督権限を有する都道府県に加えまして、一般廃棄物に関する監督権限を有する市町村、そして、家電リサイクル法等に基づく監督権限を有する国といった関係者が連携をいたしまして、有害使用済み機器に対する規制の運用にしっかりと取り組んでいくことが重要であると考えております。

 このため、環境省といたしましても、都道府県等に対して技術的な助言を行い、また、必要に応じ、都道府県及び市町村と合同で立入検査を行う等、有害使用済み機器に対する規制を効果的に運用できるように、御指摘のとおり、しっかりと連携をしてまいりたいと考えておるところでございます。

江田(康)委員 この雑品スクラップにおきましては、最も大きな今回の廃棄物処理法改正の柱と思っております。この改正案の実効性を上げるためにも、今副大臣におっしゃっていただきましたけれども、しっかりと関係者間の連携に取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 次に、バーゼル法に関して質問に入らせていただきます。

 使用済み電気電子機器が混入したこういう雑品スクラップというのは、国内において生活環境保全上の支障が懸念されているのみならず、輸出先でも環境問題をもたらしていると聞きます。

 こうした不適正な輸出は、規制対象が不明確であることから起きるのではないかと考えております。例えば、香港では、液晶パネルについて特定有害廃棄物であると厳しく規制しており、日本では特定廃棄物とはみなされないものも、このように規制対象になっている。

 今回のバーゼル法改正案では、対象物を明確化する根拠規定を置くこととしておりますが、どのように不適正な輸出を防止することになるのか、具体的な対応についてお伺いをいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、バーゼル条約に違反いたしまして使用済み電気電子機器など有害廃棄物等を先進国から発展途上国に不適正に輸出し、輸出先国におきまして環境汚染を生じさせる事案などが国際的に問題視されております。

 具体的に、使用済み電気電子機器の野焼きなどによって重金属が環境中に放出し、周辺の土壌や大気を汚染している事案なども報告されているところでございます。こうした国の中には、不適正な輸入を防止するための体制を有していない場合もあることから、輸出国である先進国側の対応も不可欠となっております。

 また、御指摘のとおりに、国による、輸入先での対象物の相違という状況がございます。

 御指摘のとおり、我が国からの輸出につきまして、バーゼル法の手続を経ずに雑品スクラップが不適正に輸出される事案が発生している一方で、香港のように、有害廃棄物の輸入規制を強化している国がございます。

 今般のバーゼル法改正によりまして、特定有害廃棄物等の範囲の見直しを行いまして、規制対象となるものと規制対象外となるものとの混合物や、輸出先国で有害廃棄物とされているものを法の規制対象として明確化することで、適切な事前手続により有害廃棄物等の不適正な輸出や輸出先国からの不法取引との通報を防止してまいります。

 さらに、環境省は、バーゼル条約上の権限のある当局として諸外国との情報交換などを行っているところでございまして、改正法の施行に合わせまして、輸出先国との間で不適正な輸出を防止するための協力をさらに進めてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 ありがとうございます。

 このバーゼル法に関して次の質問をさせていただきますが、こうした対応を図っていくということが大変重要であるかと思っております。

 次に、もう一つの改正案の柱でありますが、今回の改正案では、不適正な輸出の防止と並んで、認定制度の創設等を通じた適正な輸入の円滑化が掲げられております。

 携帯電話などの電気電子機器には金、銀といった貴金属やレアメタルなどを含んでいることから、都市鉱山と呼ばれているわけでありますが、私も以前より、アジア大のスリーRが重要であるということを主張してまいりましたし、また、小泉政権では、私も環境副大臣のときでございましたけれども、スリーRイニシアチブを掲げて、大きくこれを進めてきたわけでございます。その実現においては、世界の環境負荷低減に関する日本の国際貢献となりますし、また、静脈産業の戦略的な育成、成長戦略に資するものと強く考えます。

 今回の改正で、具体的にどのような事業者が認定を受けるのか、また、そのことが環境上どのような意義を持つのかについて環境省にお伺いをしたいと思います。

 前後しましたけれども、貴金属とかレアメタルという部分における成長戦略についてですけれども、我が国にはすぐれた製錬並びに精製技術があるわけであります。そこから抽出してきた、例えばレアメタルの中でもインジウムとかいうのは、これは都市鉱山としては世界一の生産量を誇ると言われていますし、また、金よりもはるかに高価であります。そして、皆さんが通常見られているテレビの液晶画面に透明の金属として使われておりまして、大変有用、必須のものでございます。

 こういうようなレアメタル等を世界の資源の循環状況によらずに、また積極的に我が国にレアメタル等の資源を持ってくることが、大変重要な我が国における資源の確保にもつながる、そういうことであろうかと思っておりますので、先ほどの質問に対して、副大臣より答弁をいただきたいと思います。

伊藤副大臣 江田委員にお答えを申し上げます。

 途上国において、使用済み電気電子機器などの有害廃棄物等が環境上不適正に取り扱われ、人の健康や環境への悪影響が生じている事例も多く存在をしているわけでございます。

 一方、私たちの国では、環境上適正に有害廃棄物等から銅などの有用資源を回収する非鉄製錬事業者が多く存在をいたしております。銅だけではなくて、ただいま委員の御指摘をいただきました極めて価値の高いものの抽出能力というのも、私たちの国は極めて高い技術を持ってやっております。

 私自身も視察をして確認をしてきたところですが、こうした事業者は、海外からさらに有害廃棄物等を受け入れるだけの余力を有しておりまして、認定申請が行われる可能性があるものと思料いたしているところでございます。

 昨年五月のG7環境大臣会合で採択をされました富山物質循環フレームワークにおきましては、環境上適正に管理する能力を有しない国から能力を有する国への有害廃棄物の輸出が、世界の環境負荷低減や資源循環に寄与することと認識が共有されたところでもございます。

 今般の法改正において認定制度を創設することで、これまでの個別の輸入承認の場合と同様に、環境上適正な処理を担保した上で手続を簡素化することにより輸入を促進し、世界の環境負荷低減に向けて、さらに循環型社会がしっかりと構築をされていきますように、それに貢献できるようにしてまいりたいと考えております。

江田(康)委員 今申していただきましたように、今回の改正案は、まさに世界の環境負荷の低減に寄与するものであり、また成長戦略にも寄与するものであると私は高く評価しているわけでございます。

 バーゼル法は、制定以来、二十五年も見直されてこなかったんですね。今回の法改正を機に、我が国が環境先進国として世界の環境問題の解決に一層貢献していく必要があると考えますが、改めて、ここで山本環境大臣の決意をお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 近年、経済発展を遂げるアジア各国における資源消費量の大幅な増大や循環資源のリサイクル技術の向上を受けまして、我が国においても、過去五年で有害廃棄物の輸出が二倍になり、輸入が七倍に増加しており、雑品スクラップの不適正輸出や廃電子基板等の循環資源のニーズが顕在化してまいりました。

 我が国には世界に誇る先進的な環境技術が存在していることから、これを活用することで世界全体の環境負荷低減に貢献することが可能だと思っております。

 江田さんが環境副大臣時代に尽力されたスリーRイニシアチブや、その流れを踏まえ昨年採択された富山物質循環フレームワークの方向性に沿いながら、廃棄物処理法とバーゼル法の改正によって不適正な輸出を防止するとともに適正な輸入の円滑化を図ることで、これまで以上に国際的な循環型社会づくりに貢献ができるものと思っております。

江田(康)委員 大臣、ありがとうございます。

 続きまして、熊本地震に関して一つ質問をさせていただきたいと思うんです。

 熊本地震からの復旧復興の第一歩としまして、目標としている二年以内に被災家屋を解体して災害廃棄物の処理を完了する必要があります。県内の解体申請数三万三千五百五十四棟に対して、二万四百八十七棟の解体が現在完了しております。解体の進捗率は六一%。そして、県内の災害廃棄物発生推計量は三百十六万トンにも上るんですが、その中で百四十万トンの処理が完了して、処理の進捗率は四四%となっております。

 私も地元は熊本でございますので、発災当初より、地元を現場の声をお聞きしながら回っているわけでございますけれども、地域によっては、やはり解体や処理におくれが見られて、現場からは、解体業者の不足、一次仮置き場から二次仮置き場への災害廃棄物の搬出のおくれが生じている、そういう声もあります。

 復旧復興の前提となるこの二年以内の処理完了に向けて、熊本県全体でおくれが決して生じないように解体や災害廃棄物処理のスピードを上げていく必要がございますが、具体的には、県外の業者も含めて解体業者の数をふやし、また解体の体制を充実させること、さらには二次仮置き場の受け入れ体制を強化する必要があると考えますが、環境大臣の対応についてお伺いをさせていただきます。

山本(公)国務大臣 私も今月、水俣慰霊式の都合で熊本県を見てまいりました。ひところに比べると進んできているなとは思っておりますが、先生御指摘のとおり、市町村によってはまだまだというところもあるということも伺っております。

 そういう意味におきまして、県外の解体業者を含めて、解体の体制をさらに拡充していきたいと思っております。早期に解体が終了する市町村の業者をおくれている市町村に割り当てるなどの、県全体で解体事業者の不足が生じないよう調整を行ってまいりたいと思っております。

 さらに、県の二次仮置き場が昨年十二月二十一日に全面的に稼働するとともに、熊本港の二次仮置き場が本年三月二十七日に稼働を始めました。家屋解体で発生した災害廃棄物の受け入れを強化してまいったところでございます。

 環境省としては、引き続き熊本県や市町村と連絡を密にしながら、全力で支援をしてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 大臣、どうぞよろしくお願いいたします。国の全面的な支援を尽くしていただきたいと思います。

 次に、福島地方環境事務所の設置の承認の案件について、最後の時間になってきておりますが、まとめて大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 東日本大震災の発災からはや六年が経過する中で、被災地の復興に向けた動きは、一歩一歩これは着実に進んでいるわけでありますけれども、まだまだ進捗についてはばらつきがある状況であると承知しております。特に福島に関しては、復興、創生の取り組みを一層加速化して、被災された方々の生活を一刻も早く取り戻していくためには、除染や中間貯蔵施設の整備、放射性物質に汚染された廃棄物の処理など、環境省が現場で進めている環境再生に向けた取り組みをきちんと進めていくことが必要不可欠でございます。

 今回の福島地方環境事務所の設置というのは、そうした事業を実質的に進めていくために現地の体制の強化を図るものと認識しておりますが、改めてその具体的な意義についてお伺いをしたい。

 それとともに、もう一つ、加えて御質問をさせていただきます。

 この震災後に、業務の増加とともに組織が急拡大している。そういう中で、福島環境再生事務所に在籍する職員は、現在六百人規模に達していると承知しております。これだけの規模の職員について本省課長クラスの所長一人で管理するというのは、組織としては不適当であり、これまで放置してきたことは、これは問題ではないかと私は思うわけであります。

 今後、地方支分部局としてきちんと機能させるためには、こうした事務所の規模に応じた職の格付や、また、部門ごとに職員を管理するための組織体制の整備などを進めるべきではないかと考えますが、大臣にこの件もお伺いをしたいと思います。

 そして、最後に、現在の福島環境再生事務所は時限定員となっている。しかし、中間貯蔵だけでも、これは三十年の長期にわたる業務でありまして、やる気のある職員が安定して働ける、そして質の向上ができるように、一部でも恒常定員化を目指すべきではないか、そのように考えますけれども、環境大臣の見解をお伺いします。

山本(公)国務大臣 今般の組織の再編等々につきましては、先生御指摘のとおり、さまざまなことを考えた上で、ベストだと思って実行するわけでございます。

 その中で、福島の環境事務所につきましての御指摘がございました。これは、正直なことを申し上げまして、先生おっしゃるとおりで、とてもじゃないけれども、あの六百人になんなんとする人員を一所長が管理することはそろそろ限界に来ているというふうに思っております。

 ただ、そういう組織等々につきましては、私は、環境省のみならず、復興庁を初めとした政府全体で、福島の再生のためにはかくあるべしという考え方を出していただきました上で、我々の事務所についても組織というものを考えていきたいというふうに思っております。

 そして、期限つきの職員につきましても、これもおっしゃるとおりでございまして、期限つきというのは派遣社員みたいなものだと思いますけれども、やる気というものを我々は期待する以上は、やる気を求める以上は、その雇用の安定性についてもやはり考えていく必要があるんだろうと、もろもろ思っております。

 とにかく、六年経過いたしました。いろいろな面でやらなければいけないことが浮上をしてきたんだというふうに思っておりまして、今回の福島の事務所の格上げにつきましても、私が一番期待しますのは、やはり、長年やっていることによる士気の低下を防ぐという、士気の向上を求めていくということを私は第一義的に考えておりまして、非常に意義のある組織の再編だというふうに思っております。

江田(康)委員 私も全く同意でございまして、やはり第一に福島の復興、創生の取り組みを一層加速化するための今回の組織の再編ということであろうかと思っておりますので、その体制においても、実行力のあるそういう体制をつくっていくためにも、私は、この職の格付にしても、また組織体制の整備にしても強化すべきであり、また、恒常の定員化も進めていくべきだと思いますので、しっかりと支援してまいりたいと思います。

 最後になりますけれども今回の法改正について審議する中におきましても思うことは、平成十二年に循環型社会形成推進基本法ができました。私もこの年から衆の議員をしておりますので、十五年以上が経過したことになります。その間に、国際的にも都市鉱山の輸出入が活発化して、そして東日本大震災や熊本地震も発生するなど、さまざまに状況は変化してきている。その結果、国内、国際的にも、循環型社会の構築に向けて求められる取り組みや重要性がますます増してきていると感じております。

 環境省におかれましては、今回の法改正を含めて、しっかりとこれらの問題に取り組んでいただくことを期待しまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、バーゼル法を中心に質問したいと思いますが、冒頭、廃掃法の親子会社のところについてお尋ねをいたします。

 親子会社による一体的処理の特例についてでありますけれども、特例が認められる二以上の事業者が一体的な経営を行うものとして環境省令で定める基準、これはどのようなものかについて説明を求めたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度は、分社化等により、排出実態が変わらないにもかかわらず、従来行うことができたみずから処理ができなくなる事態が発生しているとの指摘があることを受けまして、二以上の事業者が都道府県知事の認定を受けた場合には、排出事業者責任を共有した上で、廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に産業廃棄物の処理を行うことができることとする制度でございます。

 産業廃棄物の一体的な処理の認定の要件につきましては、現時点では、親子会社のうち子会社が完全子会社であるか、または、親会社による一定以上の議決権の保有や取締役の派遣などの実態があり、親子会社が一体的な経営を行うと認められること、また、産業廃棄物の処理を行う事業者が欠格要件に該当しないことなど、産業廃棄物の適正な処理を行えると認められることといったことを要件と想定してございます。

塩川委員 今まで、みずから処理ということで、一つの企業内での流れ、今回、分社化によってそれが外出しになるという話ですけれども、そういった際に、どこまで親子、グループの中に含み得るのかという話として、もちろん一〇〇%子会社はわかるわけですけれども、親会社が一定以上の議決権を持つ、一体その範囲というのはどこまでを考えているのか。

 というのは、本来は一つの企業と思われていたのが、吸収合併をしたりして外からのものも入るような場合というのも、これは当然あり得るわけですよね。本来は、別会社だったもので、相互の間での廃掃法上の許可が必要だったものが、一つのグループになることによってそれもなくなってしまうのか。

 そういう点について、本来見える形のものが企業内で見えなくなるようであると、本当に適切な対処が行われているのか、そういう心配も出てくるわけですから、そういう点でのグループ内における範囲の問題ですとか、そういった透明性の確保について考えていることについて説明をお願いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 一体的な処理の認定の要件につきましては、先ほど御答弁させていただきましたように、親子会社が一体的な経営を行うと認められるということとの観点から今後検討して詰めてまいりたいと思っておりますけれども、仮に、こういうことで、いろいろな法逃れ的なことで不適正な処理が行われるのではないかということに対しましては、認定の際に、申請のあった親子会社につきまして、産業廃棄物を適正に処理することができるか否か審査を行うことによりまして、適正な処理の実施を行う能力のない事業者は排除できるものと考えております。

 また、認定を受けた親子会社につきましては、例えば、子会社において廃棄物の不適正な処理が行われた場合には、親会社と子会社の双方を改善命令等の対象とすることとするなど、排出事業者責任につきましても親子会社間で一体のものとして取り扱うこととしておりまして、両者が責任を共有することとなります。

 こうした措置を講ずることにより、生活環境保全上の支障が発生しないようにしていきたいと考えております。

塩川委員 認定時の対応、また、認定後においても必要な改善命令もきちっと行っていく、そういう点でも不適正な処理が行われないためのチェック体制をきちっと確保した、そういう取り組みについては注視をしていきたいと思っております。

 それでは、バーゼル法にかかわって、特定有害廃棄物等の輸入に係る認定制度の創設、規制緩和についてお尋ねをいたします。

 バーゼル法に基づく有害廃棄物の輸入における運搬または処分を行う場合に、現行ではどのような環境等の規制措置を行っているのかについて説明してください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定有害廃棄物等の輸入に際しましては、輸出者、輸入者、運搬者及び処分者の間の契約の内容、また、処分を完了することができない場合における代替的措置や費用負担に関する事項、そして、処分者の大気汚染防止法、水質汚濁防止法、廃棄物処理法等の環境法令に係る遵守状況等につきまして環境の汚染を防止する観点から確認を行っておりまして、必要があると認められるときには経済産業大臣に対して意見を述べることとしておるところでございます。

 なお、輸入されました特定有害廃棄物等につきまして、不適正な処理等が行われた場合においては、バーゼル法に基づく措置命令の対象となるとともに、措置命令に違反した場合におきましては、罰則の適用がなされるということになってございます。

塩川委員 実際に輸入されているものですけれども、廃電子基板や廃鉛蓄電池、鉛バッテリーですね、電気炉ダストとか金属汚泥の輸入、こういうものについて、直接、廃掃法上とかの環境規制の措置というのはあるんでしょうか。

中井政府参考人 今、輸入についての違反的な事例ということについての御質問かというふうに考えますが、近年の輸入におきまして、これもまずバーゼル法違反という観点から事例としてお答えさせていただきますと、輸入移動書類に記載されました内容と異なる処分を行ったとして行政指導を行った事例はございますが、輸入された特定有害廃棄物等につきまして、国内において環境上不適正な処理が行われ、環境汚染が生じたという事例は承知していないところでございます。

塩川委員 それでは、今回のバーゼル法の改正によって、再生利用等事業者、再生利用等目的輸入事業者を定めることになりますけれども、その認定要件は何か、このことについてお答えください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 認定要件ということについてでございますが、例えば、再生利用施設につきましては、その構造や排ガス、排水対策等の環境保全対策、関係する諸法令の許可の取得状況等を確認する基準を想定いたしてございます。

 また、認定する際には、環境上適切な再生利用を完遂するための経理的基礎を有するかどうかなどを確認する基準を想定しているところでございます。

塩川委員 今、再生利用等事業者の話でしたけれども、再生利用等目的輸入事業者の認定要件はどのようなものでしょうか。

中井政府参考人 再生利用等目的輸入事業者の認定ということで、法十四条で「当該輸入を行おうとする者が、当該輸入を的確に行うことができる者として経済産業省令、環境省令で定める基準に適合する者である」ということで、先ほどのように、環境上適切な再生利用を完遂するための経理的基礎を有しているというところは、この輸入事業者と再生事業者、両方の要件であろうというふうに考えてございます。

 また、この輸入事業者の認定の要件といたしましても、三号におきまして、輸入した結果の最後の処分施設に行く際の運搬が、人の健康の保護及び生活環境の保全上支障がないということを中身として省令で定めたいということで、輸入者及び利用事業者ということで、認定要件、それぞれ別建ての省令になりますが、連携した形で定めてまいりたいと考えます。

塩川委員 それでは、この再生利用等事業者及び再生利用等目的輸入事業者というのは、具体的にはどのような事業者を想定しているものでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 認定を実際される再生利用等目的輸入者の、これは現在の可能性ということでお答えいたしますが、過去の輸入実績を踏まえますと、二十者強から行われる可能性があると思っています。こういうものをまず輸入しているという事業者があるというふうに考えてございます。

 また、再生利用等事業者につきましては、我が国には、銅製錬所が七カ所、鉛製錬所が六カ所、亜鉛製錬所が五カ所ございまして、これらを運営する非鉄製錬事業者十五社が存在しておるほか、使用済み鉛蓄電池をリサイクルする鉛二次製錬事業者が九社存在していることからいたしまして、こうした事業者からの認定申請が行われる可能性があると思料しております。

塩川委員 銅、亜鉛、鉛といった非鉄製錬事業者それから鉛の二次製錬の事業者、それに係る系列の輸入事業者また独立系の商社なども含めて一応想定をされる、現行の実績のあるような事業者ということでよろしいですか。

中井政府参考人 先ほど御説明させていただきましたように、再生利用事業者につきましては製錬所等だと思いますし、それに関連いたします輸入というところの輸入取扱事業者についても、過去の輸入実績などの中から、再生利用事業者との連携の中での申請があるというふうに考えております。

塩川委員 再生利用等事業者または再生利用等目的輸入事業者の認定要件との関係で、例えば、施設について言えば、その構造基準ですとか、あるいは排水や排ガスの基準ですとか、輸送、運搬において必要な規制、こういうのは廃掃法を参考につくるというお考えでよろしいのか、その点はどうですか。

中井政府参考人 具体的な基準の検討はこれからということになりますけれども、そのように考えてございます。

塩川委員 その場合に、廃掃法の産廃処分事業者などの基準を参考にといった場合に、まあ参考にということですから、廃掃法よりも規制の基準が緩和する、そういうことというのもあり得るのか、この点はどうでしょうか。

中井政府参考人 具体的な検討はこれからということで、しっかりと環境配慮ができるものが何かという観点の中での検討をさせていただきたいと思っております。

塩川委員 今回の法改正ですけれども、特に輸入について今お聞きしてきたわけですけれども、大きく二つの話があって、一つは、比較的有害性の低い廃電子基板等の有害廃棄物等についてはバーゼル法の規制対象から除く、規制を撤廃する、それから、比較的有害性の高い有害廃棄物等については、認定制度を創設し、輸入承認を不要とする、こういうものとして理解をしているんですが、ここで言っている比較的有害性の低い廃電子基板等の有害廃棄物等というのはいわゆるOECD理事会決定のグリーンリストに相当し、また、比較的有害性の高い有害廃棄物等というのはアンバーリストに相当する、そういう受けとめでよろしいのかどうか。

中井政府参考人 今、委員御指摘のとおり、OECDの考え方に沿ったことを想定いたしております。

塩川委員 この点で、そのグリーンリストとアンバーリスト、有害性の低い、高いという線引きなんですけれども、これはどういう線引きなんですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 OECDにおきまして、当該廃棄物等の特性、またはその管理についての具体的な点につきまして非常に詳細に点検いたした上で、グリーンリストであるという有害性の低いものと、有害性が相対として高いアンバーリストというものに仕分けをOECD理事会決定としてされているということでございます。

塩川委員 その場合に、いずれにせよ有害性を持つ物質を含むものという前提で扱われているわけですけれども、例えば、アンバーリストがグリーンリストに比べて有害性が高い、そういう整理になっているんですが、その幅も一定あるのかなと思うんですけれども、今回こういう事業者の認定という手続はあるものの、輸入承認を不要とする、こういった措置において、有害性の高いものもそういう対象になるということについて若干の心配もあるんですが、そういうことについては大丈夫なんでしょうか。

中井政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回、有害性の低いものについてはOECD並みにバーゼルの対象から外す、有害性の高いものについては、認定制度ということで、いわばOECDでやっているように包括的な認定、包括認証というようなことで対応するということを考えておりますが、OECDにおいても、今、こういう運用をしてきた中での問題は生じていないと把握しておりますし、また、今般の新たな制度として、有害性があるものについての包括認証につきましても、先ほどからの御議論のように、しっかりと、国内での有害性についての環境配慮上の措置ができるというところを認定に際して見ていくということをさせていただこうと思っております。

塩川委員 その点でも、認定に際しての要件の適切さというのが求められてくることだと思います。

 実際に輸入拡大が想定されるものがあるわけです。廃電子基板ですとか電気炉ダスト、金属汚泥、例示されていますけれども、これはそれぞれ、そもそもどんなものなのか。また、それぞれに含まれる有用物がどういうものであって、一方で、その有害性の特徴とか程度はどういうものかについて、簡単に説明していただけますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、廃電子基板でございますけれども、これは使用済み電気電子機器に内蔵されました基板でございまして、金、銀、銅などの有用な金属を含む代表的な都市鉱山でございます。有害性は比較的低いものと認識されておりますが、有害物質である鉛などを含有すると指摘されておるものでございます。

 また、電気炉ダストというものは、電気炉での製鋼に際して生ずる副産物でございまして、亜鉛を含有するなどの理由でリサイクルが行われておるところでございますが、有害物質である鉛や塩化物を含有すると指摘されております。

 また、金属汚泥につきましては、メッキ工場などから出てくる副産物でございまして、メッキの種類にもよりますが、銅、ニッケル、金、銀、白金族を含有するなどの理由でリサイクルが行われておるものの、有害物質である鉛やアンチモン、塩化物を含有すると指摘されてございます。

 なお、我が国の非鉄金属製錬事業者等は、これらの有害物を含む循環資源を環境上適正に処理してきた実績を有するものと承知いたしております。

塩川委員 有価物としての金、銀、銅や亜鉛などをそれぞれ確保することができるということと、有害性のものとして鉛ですとか塩化物などの話がありました。

 実際にこの輸入実績がどうなっているのかについて経産省に確認をしますが、こういった、今話が出ました廃電子基板、電気炉ダスト、金属汚泥等について、直近の品目別の輸入実績、また主な輸入元がどこかについて説明してください。

末松政府参考人 お答えいたします。

 直近の特定有害廃棄物の輸入は、平成二十三年には五千三百トン、平成二十四年には九千六百トン、平成二十五年には三万二千二百トン、平成二十六年には二万九千九百トン、平成二十七年には三万八千五百トンとなっております。

 その内訳ですが、平成二十七年の主な輸入品目とその輸入量について申し上げますと、廃電子基板等の電子部品スクラップが一万九千百七十六トンで約五割、電気炉ダストが一万二、三千トンで約三割、銅含有スラッジが三千九百トンで約一割を占めてございます。その他の輸入品目としては、ミックスメタルスクラップ、七百トンなどがございます。

 それで、主な輸入国でございますが、電気炉ダストにおきますと台湾などが主でございます。それから、銅含有スラッジは台湾、フィリピンなどから輸入されております。それから、済みません、廃電子基板については香港、台湾、シンガポール、タイなどから輸入されているという実態があるということでございます。

塩川委員 今お話がありましたように、この間でかなりふえているんですよね。二〇一二年以前というのは一万トン以下だったのに、二〇一三年以降は三万トンですとか、大幅に増加をしています。この間、急激にふえている理由というのは何なんでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 直近三年間では、特定有害廃棄物等のうち、特に廃電子基板等の電子部品スクラップと電気炉ダストの輸入量が増大してございます。

 電子部品スクラップにつきましては、その背景の一つといたしまして、経済成長が続く東アジア及び東南アジアにおいて使用済み電気電子機器の排出量が近年急速に増加していることが挙げられます。ことし一月に国連大学が公表いたしました報告書では、二〇一〇年から二〇一五年までの五年間で六三%増加したとされてございます。これらの地域では、電子部品スクラップを環境上適正に処理できる施設が少ないため、適正に処理ができる施設を有する国への輸出需要が高まっているものと認識しております。

 こうした中、先進的な環境技術を有する我が国の非鉄製錬業界は、銅などの有用な金属を回収するための循環資源として、国内からの調達に加えまして、電子部品スクラップの輸入を積極的に推進しているため、近年輸入が増大しているものと考えられます。

 また、電気炉ダストにつきましては、その供給量の変動が大きいものの、我が国の非鉄製錬業界におきまして、亜鉛等の有用な金属を回収するための循環資源として、その需要が高まりつつあるため、輸入量が増大しているものと考えられます。

塩川委員 この間、急増しています。受け皿になっていますのが非鉄金属の製錬事業者であります。

 経産省にお尋ねしますが、こういった非鉄の製錬事業者において、鉱山保安法のもとで把握をしている有害物質の漏出事案に関して、過去十年間の件数、その主な内容、その後の対応策について説明をしてください。

福島政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年度から平成二十八年度までの十年間におきまして、鉱山保安法により届け出のあった鉱山に関係のある製錬所における有害物質の漏えい件数は十二件であります。そのうち、大気汚染防止法の排出基準超過は五件、水質汚濁防止法の排水基準超過は四件、その他の法令の漏出などは三件でありました。

 これらの漏出につきましては、鉱山保安法に基づき、事業者から速やかに報告を受け、原因究明や再発防止策について検討をさせ、その後、立入検査などを通じて、設備改善や設備点検強化などを行っていることを確認しております。

塩川委員 過去十年間で十二件、その中には、排ガス規制との関係でいえば、鉛濃度やダイオキシン濃度、二酸化硫黄濃度が規制基準値を超過していた、また、排水においては弗素濃度やpH濃度が規制基準値を超えていた、そういった事例などが出ているわけです。

 環境省にお尋ねします。

 このような有害廃棄物の輸入増加が見込まれる非鉄金属製錬所において、環境省として、大気汚染防止法や水質汚濁防止法など環境法令に抵触した事例というのは把握をしておられますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 環境法令ということでの違反の把握ということでございます。

 例えば、処分施設で過去に火事が起きた際に、一部、排ガスの基準値を超え大気汚染防止法違反になり、行政指導を受けていなかった事例がございました。これにつきましては、改善状況を確認し、現状の施設においては同様の事例が起きないよう措置されているとの確認を行っている、このような把握でございます。

塩川委員 例えば、岡山県の日比共同製錬玉野製錬所、JX金属グループと承知していますけれども、その製錬所から、銅の製錬で使用した電解液が河川に流出をし、環境基準値の千九百倍の砒素が検出された、こういう事例の報道を承知しているんですが、こういう問題ついて把握しておられるか、対応策がどうだったのか、わかりますか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げた、一点、訂正をお許しいただければと思いますが、大気汚染防止法違反になりまして行政指導を受けていた、そういう事例であったということでございます。

 今のお答えでございますが、岡山県の非鉄製錬所での事例の把握ということについてでございますが、当事業者につきまして、平成二十六年三月時点で、このバーゼル法においての輸入承認を受けていなかった、また、それ以降に輸入承認も行っていないという状況でございます。

 この違反事案につきましての把握ということについては、この事業者の状況を環境省として確認する状況ではございませんでした。

塩川委員 今回の一連の有害廃棄物の輸入については、日本鉱業協会の要望を踏まえて対処されている、その中の事業者の一つの例として紹介をしたわけです。

 大臣にお尋ねをいたします。

 今回の法改正というのは、リサイクル目的の有害廃棄物の輸入を拡大することになります。もちろん、それはメリットとして強調されておられることがあるわけです。一方で、やはりデメリットもあるんじゃないのか。

 こういった法改正におけるメリット、デメリットについて、大臣としてどのように受けとめておられるかについてお答えをいただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 私は、デメリットを否定するわけではございませんが、はるかにメリットが大きいと認識をいたしております。

 と申しますのも、やはり、先ほど部長が答弁いたしましたとおり、同じように、有害といいますか、いろいろな物質が廃棄物で生じる国において、それはリサイクルできる技術がないという現実もございますので、そういうこと等を踏まえますと、我が国が最先端の技術を有しているわけでございますから、我が国にとってもメリットがありますし、関係の国々にとっても私はメリットは大きいというふうに考えております。

塩川委員 メリットを強調されるのと同時に、やはりデメリットもあるんだということをしっかり受けとめた対処が必要で、もともとのバーゼル条約に基づく措置です。バーゼル条約上の義務として、締約国は、国内における有害廃棄物等の発生を最小限に抑え、有害廃棄物等の環境上適正な処理のため、可能な限り国内の処分施設等が利用できるようにすることを確保するとしているわけで、この原則に立った対応が重要だと思いますし、今回の措置は、有害廃棄物の輸入促進になるわけです。

 国の責任も問われますし、規制緩和を要求した業界団体、各企業の社会的責任も極めて大きい、このことを指摘して、質問を終わります。

平委員長 次に、太田和美君。

太田(和)委員 民進党の太田和美でございます。

 本日は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の改正の背景に、昨年の一月に起きた食品廃棄物の不正転売事案、いわゆるダイコー事件があるかと思います。

 まずは、これまで我が国で起きた産業廃棄物の大規模な不法投棄事案を振り返ってみたいと思います。

 代表的なものに、一九九〇年の豊島不法投棄事案、そして、国内最大規模の産業廃棄物不法投棄事案と言われた、一九九九年の青森・岩手県境不法投棄事案が挙げられると思います。

 豊島不法投棄事案は、悪質な廃棄物処理業者による十五年間にわたった大量の産業廃棄物が放置された事案であり、ことしの三月にようやく約九十万八千トンの産業廃棄物と汚染土壌の撤去作業が終わりました。発覚してから二十六年余りが経過しています。そして、投棄現場の六・九ヘクタールは穴だらけになってしまい、汚染された土地の回復には時間がかかります。

 また、青森・岩手県境不法投棄事案は、東京ドームの四分の三の容量に当たる、有害廃棄物も含む産業廃棄物が不法投棄されたものであり、発覚から十七年たっていますけれども、撤去、処理は二〇二〇年までかかるとされており、その費用に七百億円以上の国と地方の財源が費やされています。

 このように、不正投棄による社会的、経済的、そして環境的な被害は甚大であります。そのため、不正が起きやすい構造を改善するために、これまでも改正は行われてきました。そして、二〇〇〇年ごろから大幅に不正事案は減少してきていますが、昨年の十二月に環境省が発表した平成二十七年度の状況を見てみますと、新たに百四十三件、そして総量で十六・六万トンの不法投棄が発覚しており、依然として後を絶っていない状況であります。

 ダイコー事案では、法や規制の網をかいくぐり、廃棄食品横流しといった前代未聞の悪質な事件が起こってしまいましたけれども、現行法でこのような不正事案を未然に防げなかったことを考えますと、規制の強化を図り不正事案を防止することで、廃棄物の処理に対する信頼性を高めていくことが必要であるかと思います。

 しかし、他方で、パリ協定なども踏まえて、持続可能な社会を実現するためには、あらゆる産業が循環型社会を構築するという重大な社会的使命を担っており、廃棄物を排出する全ての事業者がその責任を全うするためにも、社会インフラと言える循環産業全体を育てていく必要があろうかと思います。

 しかしながら、ここ最近、循環産業の市場規模を見てみますと、例えば、五年間での推移ではほぼ横ばいで、環境産業全体に比べても伸び悩んでいます。

 そこで、今後の循環産業の発展のためにどのような策を講じていくのか、まず大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 循環型社会を構築するという重大な社会的使命を担いまして、あらゆる産業にとっての排出事業者責任を全うするための社会インフラと言える循環産業を育成していくことは重要だろうと思っております。

 そのために、環境省では、廃棄物等を積極的に循環利用するための制度の整備に加え、産業廃棄物処理業における優良な事業者の育成や人材育成、循環産業の国際展開、地球温暖化への取り組みなどへの支援を行っております。

 今後とも、循環産業の成長と底上げの両立のために、排出事業者、処理業者及び地方自治体等関係者と連携の上、各種事業の着実な実施やさらなる振興方策の検討等を進めまして、循環産業の発展に一層努めてまいりたいというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 産業の発展は雇用も生みます。資源の有効活用も進めていかなければならないと思います。防止と発展のバランスは難しい問題になりますが、業界全体が規制にがんじがらめといった閉塞感に陥らないように対策を講じていただければというふうに思います。

 次に、電子マニフェストについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 今回の改正では、特定の産業廃棄物を多量に排出する事業者には、紙マニフェストの交付にかえて、電子マニフェストの使用を義務づけるとしています。

 紙から電子、情報社会の中でこれは必然的な流れでありますが、制度が開始されてから十年、いまだ普及率は二十八年度末で四七・五%とお聞きしています。すなわち、約半数の業者がいまだに紙マニフェストを使用しているということであります。

 諸外国の状況を見ますと、韓国や台湾では既に紙マニフェストの併用が廃止されています。オーストラリアでもドイツでも、制度に違いはありますけれども、基本的に全て電子化されています。

 我が国は、諸外国より先行して十年も前に電子マニフェストを導入していますが、気がつけば、我が国よりも後に電子マニフェストを制度化した国に追い越されてしまって、おくれをとっているのが現状ではないかというふうに思います。

 では、なぜ我が国ではなかなかこの普及に時間がかかっているのかといえば、いろいろな要因が考えられますが、まずは利便性やコストの問題があろうかと思います。

 電子マニフェストは、排出事業者、収集運搬業者と処理業者の三者が使用しないと使えません。また、現在の電子マニフェストの導入率は、処理業者で約六割、収集運搬業者では余り進んでいないというふうにお聞きをしました。業務上移動が伴う収集運搬業者にとっては、現場での利便性はとても重要になってくるのではないかと思います。そのため、タブレットやスマホ対応というのも急いでいかなければならないのかなというふうに考えます。

 また、小規模の収集運搬業者にとっては利用コストも重要です。処理業者はシステム利用に年間約二千円弱、そして、収集運搬業者は年間約二万円弱というふうにお聞きしました。ほかの事業と兼業している小規模な収集運搬業者も多くいることからも、この利用料が普及の足かせになっているのではないかなというふうに思います。

 環境省としては、将来的にこの電子マニフェストの義務化の方向で考えているというふうにお聞きしておりますけれども、この普及がなかなか進まない原因をどのように分析し、どのぐらいの準備期間を設けて全業者に対して義務化をしていくお考えなのでしょうか。また、利便性を高めるためにも、タブレットやスマホ対応というのも急いでいく必要があろうかと思いますが、その対応状況と、今後利用料金の適正化が図られるかどうかについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 電子マニフェストの普及に向けた課題といたしまして、インターネットに接続できる環境や一定のITに関する知識が必要なこと、また、交付枚数の少ない排出事業者や、規模が小さく処理頻度の低い処理業者にとってはメリットが小さいと考えられること、そして、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の三者がそろって加入して初めて機能するシステムでありまして、そのどれかが対応していなければ電子マニフェストを登録することができないことなどが挙げられるところでございます。

 このため、現在、排出事業者が収集運搬業者に廃棄物を受け渡す際に、スマートフォンやタブレットにより現場で電子マニフェストの登録ができる機能を開発するなど、より簡便に電子マニフェストの登録が可能となるようシステム改修を行うことにより利便性の向上を図っております。

 また、電子マニフェストの使用料金につきましては本年四月に引き下げを行ったところでございますが、経済的な負担の軽減について引き続き検討していくとともに、排出事業者や処理業者にとってよりわかりやすい講習会の開催等の普及啓発を進めてまいりたいと考えております。

 全事業者に対する義務化についての御質問もいただきましたが、中央環境審議会の意見具申では、引き続き、電子マニフェストの普及に関する目標を設定した上で、当該目標の実現に向けた施策の計画的な推進が必要とされたところでございます。新たな目標に向けまして、排出事業者の負担や処理業者対応状況を踏まえまして、義務化の対象を段階的に拡大していくことを検討しております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 電子マニフェストについては機能強化も必要かというふうに考えます。ダイコー事案では、電子マニフェストを使用していて、虚偽報告がなされ、それを未然に発見できなかったわけであります。そのためにも、不正を検知できるようなシステム開発というのが必要なのではないでしょうか。そして、普及促進のためには、利便性の向上と、将来的に全業者に電子マニフェストの使用を義務づけていくのであれば、利用料金の適正化についてもぜひとも検討していただきたいというふうに思います。

 そして何よりも、ダイコー事案で浮かび上がってきた課題の一つでもありますが、排出事業者が処理事業者に廃棄物を引き渡した後、その廃棄物がどのように処理され、または適切に処理されるかが排出事業者に見えにくいという点があろうかと思います。今回の法改正で、このダイコー事案のようなことが規制の対象にしっかりなっているのか、そして不正転売の再発防止に本当になるのか、まだまだ改善点はあろうかと思います。しっかりと対策をとっていく必要があるということを御指摘させていただきたいと思います。

 さて、電子化ということで、もう一つお伺いをさせていただきたいんですけれども、私の地元で、主に収集、運搬を多く手がけていて、地球環境保全に取り組んでいる産業廃棄物事業者がございます。そこは電子マニフェストを導入しているということでありますが、定期的に産業廃棄物を排出する事業者とはマニフェストを利用しているとのことでありました。しかし、不定期または単発の場合は、排出先が電子マニフェストを導入していないケースがほとんどであり、紙マニフェストを使用しているということでありました。

 この紙マニフェストは、原本を五年間保存しなくてはならないという規定になっています。そのため、その原本が年間段ボール箱何十箱にもなるそうです。保存場所を確保しなければなりません。また、紙マニフェストの多くはカーボン式の複写式であるため、薄い紙で破損しやすく、保存環境にも配慮していかなければならないということでございました。この保存方法が、紙としてではなく、PDFや画像などにより電子データで保存することができれば負担も軽減されるというふうにおっしゃっていました。

 政府の規制改革ホットラインを見てみましたら、これとほとんど同じような要望がございました。しかし、この要望に対する環境省の回答は「対応不可」というふうになっていました。不正を防ぐために紙の原本保存を義務づけている理屈は理解できるんですけれども、情報社会の中で、環境面でペーパーレスを進めている時代の中で、いつまでも紙の原本の保存を義務づけるということは、世の中の流れとは逆行するのではないかと思います。

 将来的に電子マニフェストを義務化していくのであれば、過去の紙マニフェストの電子化は避けて通れないと思いますが、どのような理由で紙マニフェストの電子化は認められないのか、そしてまた、紙マニフェストの電子化を今後検討していくお考えはないのかについて、お伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 紙マニフェストの電磁的記録を認めることについては、改ざんやすりかえ等の不正行為の痕跡が残りにくいなどの課題があると認識をいたしておりますが、他の法令における電子化の取り組み等も参考にしつつ、実態をよく踏まえた上で、対応可能かどうか検討してまいりたいと考えております。

 一方で、電子マニフェストについては、国が指定する情報処理センターがマニフェストの登録情報を管理しておりまして、このため、紙マニフェストのように事業者が保存する必要がない等のメリットもあることから、電子マニフェストの利用を推奨しております。

 引き続き、電子マニフェストの利便性の向上や経済的負担軽減等により電子マニフェストの普及が進むよう、取り組んでまいりたいと思っております。

 今般の先生の御指摘について、私も同様に考えました。ぜひ検討をしてまいりたいと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。大臣から非常に前向きな御答弁をいただきました。

 私も現場のマニフェストを見たことがあるんですけれども、本当にくちゃくちゃになっていて、それも真っ黒に汚れていて、恐らくこのまま保存していたとすれば、数年後には見えなくなってしまっているのではないかなというふうに思いました。逆に電子化した方がきちんと保存できる可能性は高いと思いますし、技術的に今可能と思われますので、趣向を凝らして何らかの策を講じていただきたいというふうに思っております。

 次に、廃棄物に関連いたしまして、食品ロスについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先日の一般質疑で、SDGsについて質問させていただきました。そして、大臣からも取り組みに前向きな御答弁もいただきました。そのSDGsの十七ゴールの中に、つくる責任、使う責任という目標があります。これは具体的には、世界全体の一人当たりの食料を半減させ、食品ロスを減らすという目標です。

 世界では、生産されている食料の三分の一に当たる約十三億トンが廃棄されていると言われています。そして日本では、世界の約五%弱に当たる六百二十一万トンが破棄、すなわち食品ロスになっているというふうにお聞きしています。六百二十一万トンがどれくらいかと申し上げますと、例えば、今世界では九人に一人の子供が栄養不足で苦しんでおり、その子供たちへの全世界からの食糧援助量が約三百二十万トンです。よって、日本の食品ロスは、その全世界の食糧援助量の約二倍に当たるというふうに思います。

 とはいえ、食品ロス削減の取り組みは、国や産業界のみならず、地域、消費者一人一人の取り組みが少しずつ進んできています。SDGsのゴールを達成するにはまだまだ努力が必要でありますが、食品ロスの量は実際には年々減少傾向にあり、また食品ロスに関する国民の意識も向上してきています。最新の調査では、約八割弱の消費者が食品ロスについて認知しているという結果も出ています。

 食品ロスの多くは家庭ごみから出ます。よって、削減にはまずは状況を把握することが大切であるとして、昨年の廃棄物処理基本方針において、家庭からの食品ロスを調査している市町村の数を平成三十年度に二百市町村にするという目標が定められました。しかし、現状はまだ四十九市町村にとどまっているというふうにお聞きしています。

 リサイクルについて先行しているEUでは、家庭系廃棄物の各品目について、二〇二〇年までにリサイクル率五〇%以上にするということを自治体に義務づけています。また、ドイツ単独では六五%以上というふうにお聞きしています。

 我が国でも食品ロスの削減目標を設定することが重要ではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 家庭からの食品ロスを調査している市町村数については、今先生、四十九という御指摘ございましたが、当方では平成二十八年度時点で六十三市町村となっております。平成二十九年度からは、食品ロス削減、食品リサイクル促進を重点予算として位置づけ、新たに市町村による食品ロスの調査の支援を盛り込んだところでございまして、地方公共団体と連携して本目標の達成に取り組んでまいりたいと思っております。

 しかしながら、平成三十年二百という数字に比しまして、四十九にしろ六十三にしろ、大変低い数字でございます。ただ、少しずつふえているということだけは間違いないんだろうと思っておりますので、今後とも、この問題については全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 それの後押しになりますのが、昨年五月の参議院の決算委員会で、安倍総理みずからがこの問題について、目標の設定について検討してまいりたいという答弁も行っておりますので、私どもも積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 この食品ロスに関する自治体の取り組みについて、私、先日、地元の小学校を視察させていただきました。その小学校では、食品のロスを地元の収集処理業者の協力により、収集した後、肥料化し、千葉大学の指導のもとで、その肥料を用いて子供たちが花を育てて花壇をつくっていました。

 この取り組みはドリームフラワープロジェクトというもので、市内の二十三校の小学校で平成十九年から実施をしています。市、リサイクル業者、千葉大学と産民官の連携で成り立っています。このように、子供たちが学校現場において身近な環境問題を学んでいくことは非常に大切なことであろうかと思います。

 このドリームフラワープロジェクトは市独自の予算で行っているものでありますが、環境省でも、学校給食の食品ロスに関する事業を展開しているというふうにお聞きしました。しかし、環境省が行っている事業は、予算的なこともあり、規模は限定的のようです。今後、全国の学校で取り組めるよう、ぜひとも事業を拡大していただきたいと思います。

 大臣からは、ぜひとも前向きな御答弁をいただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。このような取り組みの拡大について、御見解と御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 学校給食用調理施設は、継続的な食品廃棄物の発生源の一つでもございまして、食品ロス削減に取り組むとともに、調理くずや食べ残しなどを分別し、再生利用を進めていくことは重要であろうと思っております。また、こうした取り組みは、食育、環境教育の推進にも資するものと考えております。

 このため、環境省では、平成二十七年度より、学校給食における食品ロス削減等のモデル事業を開始しております。これまでに全国五自治体の小学校や中学校で、地域の特色を生かした食べ切りや再生利用等に関して、授業や体験活動等が実施されまして、食べ残しの減少等の成果があらわれております。

 本年二月の事業報告会では、全国から二百名近くの教育関係者が出席するなどの高い関心が寄せられており、今後とも自治体と連携して、モデルとなる好事例の普及に努めていく所存でございます。

 なお、先生御指摘のようないわゆる食品ロスの世界を実現するために、食品のリサイクルという考え方、もうかれこれ十年ほど前からいろいろなところで始まっておりまして、身近で私が視察に行きましたのは、そこのでっかいホテル、ニューオータニなんですけれども、あの地下に行かれますと、ニューオータニで発生した食品の残りが全部あそこに集まってまいりまして、あそこで肥料化しまして、それを千葉に持っていきまして、自社農園で野菜をつくりまして、そしてまたニューオータニに持ってくるというような活動も既に十数年前からあそこは始めております。

 そういう等々の事例がございますので、学校現場でもぜひそういうことを紹介しながら、学校教育の一環としてやっていければというふうに思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 子供たちが環境教育を受けることの意義は大変大きいかと思います。また、その教育を受けた子供たちから家庭への影響の効果も期待できると思いますので、事業を拡大していただけるよう積極的な取り組みをお願いしたいと思います。

 次に、廃棄物政策全般についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 最初の質問で循環産業の発展について質問させていただきましたが、循環産業の発展をさせるためには、施策以外に考えていかなければならない根本的な課題があるのではないかと思います。それは、廃棄物とは何かという捉え方です。

 先日の委員会で、大臣はこのように御答弁なさいました。廃棄物というのは廃棄物全体の三%だという持論を持っております、九七%は資源であるという感覚を持っており、スリーRの物の考え方からいきますと、その九七%をスリーRの舞台にのせて再生していくということも廃棄物行政にとっては大きな観点ではなかろうかというふうに自分自身は思っておりますと。私も、大臣と同じように考えております。

 そもそも、リサイクル可能なものは廃棄物という区分から除外すべきではないかというふうに考えています。このリサイクル可能なものは廃棄物から除外すべきという議論については十五年ほど前に審議会レベルでも行われており、結果的に先送りされたというふうに聞いていますが、循環型社会形成促進にはこの議論を真剣に進めていく必要があるのではないかなと思っております。

 また、廃棄物処理法のたてつけについても同様です。我が国では、事業者から出る廃棄物を、大きくは、産業廃棄物と、それ以外を一般廃棄物と区分していますが、循環産業が発達しているEUでは、廃棄物をまずは有害か無害かに区分し、それぞれを処分廃棄物と利用廃棄物に分けています。このように、再利用できるものは再利用する、再利用できない、いわゆる真の意味での廃棄物は処分するといった合理的な区分を行っています。このようにして循環型社会の形成を着実に進め、それを取り巻くビジネスも発展しています。

 社会システムが異なりますので、一概に比較することは難しいことは承知していますが、しかし、我が国の制度の中においても、再利用できる廃棄物は何で、どれくらいかとわかりやすくすることは必要ではないかなというふうに思います。

 例えば、廃掃法の中においてもリユース、リサイクルの規定を明記すべきではないかと考えますが、この廃掃法においてもリユース、リサイクルという規定を明記することについてどのような御所見を持っているのか、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

山本(公)国務大臣 御指摘のリユース、リサイクルについては、循環型社会の構築の基本となる重要な考え方であると認識をいたしておりまして、廃棄物処理法の上位法である循環型社会形成推進基本法において、リユース、リサイクル、熱回収の順番に循環的な利用を進めることが規定をされております。

 このような基本法の考え方に基づきまして、廃棄物処理法においても、同法に基づく基本方針において、まず、できる限り廃棄物の排出を抑制し、次に、廃棄物となったものについては、再使用、再生利用、熱回収の順にできる限り循環的な利用を行うことを基本とするものと明らかにされております。

 また、廃棄物処理法においては、都道府県に対し、この基本方針に即して廃棄物処理計画を定め、達成に努めることを求めており、これにより、循環的な利用を進める枠組みが構築されております。

 環境省としては、こうした枠組みに基づき循環的な利用が行われるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、私の所感を申し上げますと、このいわゆる循環型社会形成推進基本法をつくりましたときに、スリーRを円滑に実施していくためには、やはり、業の部分が入ってまいります、企業、この業となる部分がうまく活動をしないとリサイクルは実現しないということを当時からずっと思っておりました。業として成り立つためには何が必要か。時折やはり潤滑油を注入するしかないんだろうといまだに思っておりまして、それも検討してまいりたい。それがやはりスリーRが本当の意味で前進していくもとだと私は思っておりますので、これからも頑張っていきたいと思っております。

太田(和)委員 ありがとうございます。

 管理が難しく、適切な処理を要する廃棄物を資源として通常の経済活動の中で扱うためには、慎重かつ綿密な制度設計をしていかなければならないと思いますが、世界で資源が今減りつつあります。大臣もこの危機感を共有していただけていると思っておりますので、よって、我が国も真剣に廃棄物の資源化について検討を進め、政策を実行していかなければならないということを申し上げさせていただきたいと思います。

 少し時間がありますので、最後の質問にさせていただきたいと思います。

 循環産業の促進を図っていかなければならないという観点から、もう一つお伺いしたいと思いますが、廃掃法の特例であります再生利用指定制度についてであります。

 再生利用指定制度とは、都道府県の政令市などが確実にリサイクルできる産廃品目を指定し、それを扱う業者に特例を設けるものでございます。この再生利用を一層推進し、広域的な流通を実現するために、再生利用指定制度を見直して積極的に活用するべきではないかと思いますけれども、政府参考人の方にお伺いをさせていただきたいと思います。

中井政府参考人 お答えいたします。

 再生利用指定制度の活用というのは非常に重要なテーマ、課題であると認識しております。特に、廃ペットボトルでありますとか建設汚泥、再生砕石等、こういうものについての課題という中でも、この再生利用指定制度の活用が重要であろうと考えております。

 特に廃ペットボトルにつきましては、二十八年一月八日付で、店頭回収されました廃ペットボトル等の再生利用の促進についての通知を発出したところでございまして、既に複数自治体が再生利用指定制度の活用に着手してございます。

 廃ペットボトルにつきまして、この再生利用指定制度を活用する自治体が増加すれば、広域的な流通が実現できるということでございます。引き続き、同通知について、会議等を通じまして、都道府県担当者などに周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。

 また、建設汚泥やコンクリート塊につきましても、非常に重要な課題でございまして、中央環境審議会において議論されたところでございます。ことし二年の環境大臣への意見具申の中におきましては、関係者により建設汚泥等の有用活用や広域利用に係る検討を踏まえて、モデル事業の実施等の必要な措置を講ずべきであるというふうにされてございます。

 こういうようなモデル事業の結果も踏まえまして、また検討をしてまいりたいと考えております。

太田(和)委員 時間が参りましたので、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、田島一成君。

田島(一)委員 三十分の時間を頂戴いたしました。

 今回、三本の法律が入っておりますので、あっち行ったりこっち行ったりと、答弁者側も大変だろうなと本当に心配しているところでありますが、私はきょうは廃掃法に絞ってお尋ねをさせていただきたいと思います。

 廃掃法、しょっちゅうしょっちゅう改正していますよね。これの大もとになっている法律というのは何という法律か、三役の方、どなたか御存じですか。

 私も、こうたびたび改正が起こっているので、ちょっと歴史をひもといてみました。一九〇〇年、伝染病がはやった時代のときでありますけれども、汚物掃除法というのが大もとになっているそうなんですね。一九〇〇年からもう百年以上、名をかえ手をかえ改正されてきたわけでありますけれども、二〇〇〇年代に入ってからは、改正がもう頻繁に、しょっちゅうしょっちゅう行われてきております。

 しかし、この改正というのが完全な対症療法的な改正でありまして、改正をしたら、その後にまた新たな問題が顕在化してくる。新たな問題の顕在化の方がスピードが速いので、結局、改正しても改正しても追いつかない、こういう悪循環のようなものにつながっているんじゃないかなと私は改めて非常に痛感したところであります。

 新たな問題の顕在化のスピードが速いため、結局、法改正しても、それが後手後手に回ってしまう。ですから、法改正する前に政令を変えたり施行規則を変えたり、また通達を多発したりと、結局、受け皿になる自治体や業界は、非常に皆さん混乱と迷惑されているんですね。簡素化されていくことについては、非常に皆さん寛大ではありますけれども。これだけ改正される法律というのも本当に珍しいなと私は思うわけであります。

 そういうことを思いながら、果たして今回の廃掃法の改正が一定の歯どめ、改正の歯どめになるのかどうかを考えたとき、やはりまた近いうちに改正するんじゃないかなと思う点、二点に絞らせてお尋ねをさせてもらいたいと思います。

 まず、電子マニフェスト使用の義務化についてであります。

 先ほど太田委員の方からも、もう海外では電子マニフェスト一本でやっていらっしゃる事例も御紹介いただきましたが、まだ日本においては、この電子マニフェストの使用義務づけ、非常に耳ざわりはいいんですけれども、残念ながら全ての業者、業界に付されるルールではありません。特別管理廃棄物を年間五十トン以上排出する事業場を設置している事業者を想定されているというふうに聞いているわけでありますけれども、これから先、この規制対象というのも相当拡大していく余地があるんだろうというふうに考えるんですが、残念ながら、その行方についてはこの法案の中身からは読み取ることはできません。

 パブコメにあっても、少量排出事業者や高齢者への配慮を求める声がありましたが、その一方では、特別管理産業廃棄物を排出する全事業者に義務づけるべきだという声もあり、どちらも非常に重要だというふうにも認識いたしますが、今後、この裾切りの切り下げを図ることについてどのようにお考えなのかをぜひお伺いしたいと思います。

 まず、年間五十トン以上を対象として、年間排出量全体のどの程度の割合が新たに電子マニフェストで管理されることになり、電子マニフェスト管理の総量はどの程度の割合に伸びるというふうに見込んでおられるのか、参考人からお願いいたします。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 電子マニフェストの義務化の対象につきましては、特別管理産業廃棄物の多量排出事業者である五十トン以上を排出する事業者を対象にすることを想定してございまして、マニフェストの交付を要する特別管理産業廃棄物の総排出量のうち、約九五%程度をカバーできると想定いたしてございます。

 また、御指摘の、電子マニフェスト義務化により登録される産業廃棄物の総量についての試算を行ったところ、現在、既に電子マニフェストにより登録されている廃棄物に、新たに義務化により登録される産業廃棄物を加えました総量は約六千二百万トンということでございまして、全産業廃棄物の排出量約三億九千六百万トンの約二割弱、そういう数字でございます。

田島(一)委員 二割程度という数字でありますから、今回の義務化についても、格段に使用の率が上がっていくというふうにはなかなか読み取れないわけなんですね。根本解決になっていない、対症療法だなということをやはり痛感したところでもあります。

 この先、いずれ年間五十トン以下の排出量の事業者にもやはり義務づけをしていかなければならないだろうというふうに考えているんですけれども、三役の方では、この裾切りの引き下げについてはどのように考えていらっしゃるのか、どのような考えに基づいて今後引き下げを考えているのか、お答えいただけますか。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 排出事業者責任の徹底と適正処理の推進の観点から、電子マニフェストを普及させていくことは重要であるというふうに認識をしております。

 他方、現状では、診療所を含め、少量の特別管理産業廃棄物を排出する事業者にとっても、電子マニフェストの義務づけを行うことは少々負担が大きいところでございます。

 このため、今回の法改正に伴う義務づけ対象につきましては、特別管理産業廃棄物を大量、年間五十トン以上と想定する排出事業者を想定させていただいておりまして、これによりまして、ただいま答弁もございましたが、特別管理産業廃棄物の大部分、九五%が電子マニフェストの使用の義務づけの対象となるものと考えております。

 しかし、電子マニフェストの使用義務づけの範囲につきましては、排出事業者の負担や処理業者の対応状況を踏まえつつも、段階的に拡大していくことを検討しているところでございます。

田島(一)委員 段階的というのは一番逃げやすい答弁なんでしょうね。どういう段階なのかというのを私は聞いているわけなんですけれども。いずれ、だから、近い将来にまたこの段階的の一弾目、二弾目が改正として出てくることになってしまうわけなんですよね。そういった先読み、先読みを、きちっと計画を立てることによって業界にもしっかりと認識をしてもらう、そして、予備知識を蓄えて計画を立ててもらうということがやはり大事なんだろうと思うんですね。

 こういう法改正のたびにそのハードルだけをどんどんどんどん上げていくというのでは、業界もやはり困っていらっしゃることは多分御理解いただけると思うんですね。そのあたりの方向性をきちっと示していく、それがやはり今環境省にとって一番必要な、また業界からも求められていることではないかなというふうに私は思うわけであります。

 今おっしゃってくださった特別管理産業廃棄物ではありますけれども、産廃は何もこの特別管理産業廃棄物だけではございません。これ以外にももっと広げていかなきゃいけないということが当然大事だと思いますし、実際に不法投棄や不適正処理が行われている、横行しているというのは、これは紙マニフェストの使用下で行われているのがもうほとんどでありますので、省令での指定について今後どういうふうに考えているのか、特別管理産業廃棄物以外に拡大していくことについてどうお考えなのか、お聞かせいただけますか。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 排出事業者責任の徹底と適正処理の進展の観点から、先ほど来申し上げましたとおり、電子マニフェストを一層普及させていくことが重要であるということは私どももしっかりと認識をしておりますが、先ほど来申し上げましたとおり、少量事業者、小規模の下請建設業者が収集、運搬を受託する場合など、産業廃棄物を取り扱う頻度が非常に少ない排出事業者や処理業者もいること、あるいは、特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物の収集運搬事業者や処分業者の電子マニフェスト加入状況はそれぞれ約三割、六割程度にとどまっていること、高齢者で電子機器の取り扱いをすることがなかなか難しい人たちもおられることといった排出事業者及び処理業者の実態を踏まえると、現段階では、全ての産業廃棄物を対象として電子化を義務づけることは難しいものと考えております。

 一方で、環境省では、引き続き、排出事業者や処理業者にとってよりわかりやすい講習会の開催等の普及啓発を進めるとともに、経済的負担の軽減について検討する等により、電子マニフェストの一層の普及を進めてまいりたいと考えております。

 環境省令で定める電子マニフェストの使用義務づけの対象となる産業廃棄物の範囲につきましては、産業廃棄物処理業者の電子マニフェストへの対応の状況、電子マニフェストの利用性の向上や利用料金の状況等を踏まえつつ、段階的に拡大していく必要があると考えております。

 ここで、先ほど来、田島先生から御指摘がございましたとおり、今度はこの電子マニフェストをやる側のことも考えていかなければならないよということを御指摘いただいたわけでございますが、そうしたただいまの委員の御指摘も踏まえまして、させていただいてまいりたいというふうに思っております。

田島(一)委員 私、決して、少量排出事業者や高齢者を切り捨てるなんということは、これっぽっちも思っておりません。もちろん、配慮していくことも大切であります。適正にしっかりと処理をされることももちろん大切です。この相反するテーマをどう両立させていくのかが霞が関の皆さんの知恵の絞りどころだと思っておりますし、皆さん三役のリーダーシップの大切なところだと思っています。

 そんな中で、平成二十五年に閣議決定された第三次循環型社会形成推進基本計画におきましては、この電子マニフェストの普及率の目標が設定されています。平成二十八年度中に五〇%の普及率を目標に立てられました。さあ、この五〇%という目標は年度内に達成できたのかどうか、まずお答えください。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 電子マニフェストの普及率につきましては、平成二十九年三月末時点で四七・五%となっており、残念ながら、基本計画に挙げた目標を達成することはできませんでした。

 電子マニフェストの普及率につきましては、平成二十四年度末から毎年四、五%ポイント上昇していることから、このまま推移をいたしますと、平成二十九年度内には目標を達成する見通しではないかと今考えているところでございます。

田島(一)委員 残念でしたね。あと二・五ポイント。

 決して皮肉るために言ったわけではありません。でも、やはり、目標を設定した、閣議決定までしたということは、これは重いんですね。それが守れなかったということは、責任の重さをやはり痛感していただかなければならないと思います。

 中環審の方からは、この目標の実現に向けた施策の計画的な推進が必要だというふうに意見具申もされています。さあ、この先、今年度中には達成できる見込みだというふうにおっしゃっていますけれども、新たな目標の設定というのはこれからされるのかどうか。もし、新たな目標を、目標値を設定される予定であるとするならば、その目標値と達成する時期をぜひ示していただきたいのと、まだ未定の場合でありましたら、この検討のスケジュールについてお答えいただけないでしょうか。

伊藤副大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘のとおり、中央環境審議会の意見具申では、引き続き、電子マニフェストの普及に関する目標を設定した上で、当該目標の実現に向けた施策の計画的な推進が必要だということとされているところでございまして、電子マニフェスト普及の新たな目標につきましては、平成三十年上半期に策定予定である次期循環型社会形成推進基本計画において設定をする予定といたしております。

 今後、中央環境審議会循環型社会部会において御議論をいただき、その結果を踏まえまして設定をしてまいりたいというふうに考えております。

田島(一)委員 閣議決定された基本計画の目標も達成できなかった中で、その普及率だけを高めることに期待を寄せても、やはりなかなか思うようには普及できないんだろうなというふうに私は感じるところであります。平成三十年の第四次の計画策定までまだ時間があるわけでありますけれども、時間があるといいながら、もう一年であります。もう、今ごろだったら既に想定されていて当然かなというふうに思ったものですから、お尋ねをさせていただいたわけでありますが。

 高い目標を立てて達成しようとするのであるならば、やはり環境省と業界との高い問題意識と、前提となる条件、それからインセンティブの用意が絶対必要だというふうに私は思います。このテーマについて最後に大臣、今後、この電子マニフェストの普及率の向上についてどのような姿勢で臨まれるのか、覚悟をぜひ聞かせてください。

山本(公)国務大臣 基本計画に掲げた目標については、先生御指摘のとおり、あと数%とはいえ、達成できなかったことは極めて残念であります。

 御指摘のとおり、今後新たな目標を達成するためには、従前以上に、環境省、排出事業者及び処理業者が高い問題意識を持つとともに、電子マニフェストを導入しやすい条件を整えることや、導入へ向けたインセンティブを高めることが重要であろうと考えております。

 そのために、より簡便なシステムの開発を行うなど利便性の向上を進め、使用料金の見直しなど利用者の経済的負担の軽減を図るとともに、電子マニフェスト導入への意識を高めるため、わかりやすい講習会の開催等の普及啓発活動を推進してまいります。

 使用義務づけの範囲については、今後、事業者の負担や対応状況を踏まえつつ、段階的に拡大していくことを検討いたしております。

 私どものこの電子マニフェストに限らず、さまざまな分野で、例えば医療の電子レセプトの話であるとか、いろいろなこと等が私どもの耳に入ってまいります。やはり高齢者の方が多いということもその中に理由によく出てまいりますけれども、私は、何となく社会が今ちょうど端境期にあるのかなという気がいたしておるんです。企業の経営者はそうであってはならないんですけれども、社会全体がこの問題に対して端境期にあるんだろうと。

 例えば、私のような年寄りは、いまだにガラ携を使っております。だけれども、もうガラ携じゃないよというお人の方が多い。

 ちょうど、そういう端境期に入ってきているんだろうと思っておりまして、これから、この問題についての電子マニフェストの世界も、普及活動を行うことによって加速度的に私はふえてくるんじゃないかと期待をいたしておるところでございます。

田島(一)委員 何で電子マニフェストの普及率を高めようとしているのか、この肝心かなめの目的を見失ってしまうと、どうしてもできない人たちのところにばかり気が行ってしまって、本来の目的なるもの、透明性の確保というところがおろそかにどうしてもなってしまうと思います。強い信念と決意をやはり持たない限り、私は、絶対、この普及率なんというのはそんな簡単には上がらないと思います。

 私も、スマホに切りかえましたが、やはりガラ携の方が使いやすかったなと思っている一人であります。

 そういったことを踏まえると、紙マニフェストであっても問題が起きないようにしていくということも当然大切なわけでありますから、双方をにらみながらの対応をぜひ考えていただきたいと思います。

 時間も限られておりますので、次の、親子会社による一体処理特例についての質問に移らせていただきます。

 今回の特例基準、二以上の事業者が一体的な経営を行うものに認められているこの基準は、省令で今後定められるというふうになっておりますけれども、残念ながら、省令でどんなケースが該当してくるのかが非常に不明確なところでもあります。

 今後、拡大解釈で悪用されるおそれもあることから、より具体的な事例や条件なるものを示して、対象となる企業の経営形態を明確にするために、外形的に判断できる要件を定めることが求められているというふうに考えますけれども、環境省の方ではどのようにお考えですか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 本制度は、分社化等により、排出実態が変わらないにもかかわらず、従来行うことができたみずから処理ができなくなる事態が発生しているとの指摘があることを受け、二以上の事業者が都道府県知事の認定を受けた場合には、排出事業者責任を共有した上で、廃棄物処理業の許可を受けないで、相互に産業廃棄物の処理を行うことができることとする制度でございます。

 御指摘のとおり、制度の健全な運用に当たっては、都道府県知事による認定が的確に行われることが重要でありまして、そのためにも、環境省令において規定する認定の要件については、できる限り外形的に定められるよう検討してまいります。

田島(一)委員 この親子会社のいわゆる判断というのは、これは非常に、企業によって、また人によって相当解釈が変わってくる可能性がやはりあるんですね。条文上では、十二条の七に「事業者の発行済株式の総数を保有していること」等々明記がされているわけですけれども、やはりこれだけでは、私、不十分だというふうに思うわけであります。

 一体的経営を行うものとして、例えば、連結法人でありますとか役員の派遣状況の基準など、こちらについてのわかりやすい外形的な基準をやはり示していく必要があるんだろうというふうに思いますけれども、今後、省令で示されていく上で、どのようなポイントに重点を置いて定めようとお考えか、お聞かせいただけますか。

井林大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、できるだけ外形的に判断できる基準を定めてまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、まず一つ、条文にありますように、子会社が一〇〇%の完全子会社である場合、または、親会社が子会社の一定以上の議決権を保有しており、かつ、取締役を派遣している等の実態があることといった要件を現時点では想定しているところでございます。

 一体的な経営を行うものというものをしっかりと外形的に判断できるように、具体的な検討を進めてまいりたいと思っております。

田島(一)委員 排出事業者責任の企業グループ内の共有ないし企業グループ内の廃棄物区分の明確化について、今回のこの措置では、処理業者への委託による処理から、排出事業者としてのみずから処理に切りかえが可能となるように書かれております。でも、よくよくこれを考えてみると、やはり、この制度を悪用しようと思えば何かできてしまえる余地があるように私は懸念をするわけであります。

 社内での監視、チェックというのは本当に十分にできるんでしょうか。機能するのかどうかも非常に不安でもありますし、安易なみずから処理の容認というのは、やはりここは慎重に考えていかなければならないテーマではないかなというふうに考えるわけであります。

 分社化による企業の親子関係によって、廃棄物処理についても、子会社が親会社をチェックすることが本当にできるのかどうか。このようなことを考えると、私、非常に、この点についてはちょっと問題があるなというふうに考えるんですけれども、どのような措置を講じようとお考えか、お聞かせください。

井林大臣政務官 お答え申し上げます。

 産業廃棄物の一体的な処理の認定の申請に際しましては、認定を受けようとする事業者間の産業廃棄物の処理の実施体制をまず確認させていただいて、それを申請書類として提出いただくということにしております。

 その具体的な内容につきましては環境省令で定めることになりますが、現時点においては、認定を受けようとする事業者間の産業廃棄物の処理に関する役割分担やチェック体制等を記載することを想定しております。

 さらに、都道府県は、事業者に対して廃棄物の処理状況に関し必要な報告を求め、また、その事業者に立ち入り、帳簿書類等の物件を検査することができ、不適正な処理が見つかった場合には、必要な行政指導を行うよう措置しているところでございます。

 環境省といたしましては、必要に応じ、技術的助言等を行うことを通じて、この特例規定が悪用され、委員御指摘のように、生活環境保全上の支障が生じることがないよう、そして排出事業者責任の共有という大原則に基づきまして、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

田島(一)委員 私、心配しているのは、既に産廃処理業の許可を取得している社が、他社の産廃の受け入れも可能になるわけでありまして、こうした業者が本制度で認定を受けますと、自社処理の領域が非常に拡大をして、親子会社間だけではなく、親子会社内外の廃棄物の区分、区別が非常に複雑になってくるのではないか、混乱を来すのではないかというふうに心配をしているわけであります。

 本来言うならば、これを明確にしていくための対策もしっかりと担保してお出しになる必要があったのではないかというふうに思いますけれども、何かお考えがあったら。お任せくださいという答えをぜひ聞かせてください。

中井政府参考人 今回のみずから処理の拡大ということでの新たな法的手当てということで、いろいろな御懸念があるというのも十分認識しておるところでございます。

 先ほど政務官から御答弁させていただきましたように、いろいろ、まず申請時点でしっかりと体制をチェックするということが大事でございますし、いざとなった際に、都道府県等が報告を求めるとともにいろいろな検査など対応ができるということでございます。

 今回のさらに大きな点といたしましては、仮に、認定事業者におきまして、例えば、その子会社において処理基準に適合しない不適正な処理が行われた場合には、実際に不適正な処理を行った子会社だけでなく、親会社についても改善命令等の対象となるということでございますし、また、その命令に従わない場合には、親子会社あわせて、双方罰則の対象になるということで、排出事業者責任という点で、親子会社を一体のものとして扱うというところをしっかりと担保させていただきながら、この点でいろいろ御懸念のところも対応していきたいと考えております。

田島(一)委員 やはり、親会社であるとか役員が連帯できちっと責任をとるということも担保しておかないと、ここは何かずぶずぶになっていくような気がして、私は気になっております。どうぞその点、十分に注意をしていただいた内容に仕立てていただきたいと思います。

 時間がもう限られていますので、最後の質問に入ります。都道府県の、定期的に確認する仕組みについてお尋ねしたいんです。

 今回、この認定を受けた後、都道府県等が定期的に認定する仕組みについて、残念ながら担保がされていないんですけれども、例えば、認定はするものの、有効期限を設けるなど、方法はちょっとあったんじゃないかなというふうに私は思うんですね。変更届が出されない限りチェックする仕組みがないということは問題ではないかというふうに思います。やはり、結局これはもう都道府県任せというふうに言われても仕方がないように思うんですけれども、お考えを聞かせてください。

井林大臣政務官 お答えを申し上げます。

 廃棄物処理法では、汚染者負担の原則の考え方に立ちまして、排出事業者は、まずはその産業廃棄物をみずから処理しなければいけないということを原則にしております。みずから処理をする場合には産業廃棄物処理の許可を不要としている、こういう状況でございます。

 今回の認定制度は、排出事業者として一体のものとみなすことができる状態にあるかどうかを認定することでございまして、その状況が続く限りにおいては、一定の期間の経過により認定の効力を失わせる必要がないものと考えておりますから、有効期間を設けることはしておりません。

 他方、事業者が認定の要件に適合し続けているということが非常に重要でございます。そのことを都道府県が把握するため、認定を受けた事業者がその申請した内容を変更する際には、都道府県知事への変更の認定申請や届け出を義務づけております。

 さらに、都道府県が必要であると判断した場合には、廃掃法に基づきまして、報告徴収や立入検査により、都道府県は認定を受けた事業者の現状を随時把握できるということにしております。

 これらの規定を通じまして、都道府県においては法的権限に基づく指導及び監督を行う一方、国といたしましては、都道府県に対しまして必要な助言等をしっかり行ってまいりたいと考えております。

田島(一)委員 忘れもしない、私の地元、滋賀県の栗東市小野地先というところでRDエンジニアリングの不法投棄が起こったのは、平成二年から七年間にわたっての問題でありました。豊島ほどの規模ではありませんけれども、近隣に住宅があって、私も副大臣当時、職員の皆さんと一緒に現地に乗り込んで、全ての自治会の皆さんと対話もさせていただき、何とか滋賀県がようやく動き出したというケースがあります。

 あのとき、もう少し県が組織としての対応をしっかりとやっていたら、こんなに長期化しなかっただろうな、深刻化しなかっただろうなという反省があります。やはり、県とそして国との間で心一つに同じ方向を向いていればいいんですけれども、どうしても都道府県にあっては温度差もあります、考え方の違いもあります。そういったところにどれだけ密接に寄り添うことができるかが、私、大切な課題だというふうに思います。

 正直、気になる課題、まだまだありますけれども、時間も参りましたので、この後用意しておりました太陽光パネル、太陽電池モジュールの回収、処理については、またこの後、次の機会にやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 日本維新の会の小沢鋭仁でございます。

 きょうは、今回この審議、三本の法案を対象にしているんですけれども、特に福島地方環境事務所の設置についての法案に関係して質問をさせていただきたいと思います。

 この法案は、地方自治法百五十六条第四項の規定によって、福島地方環境事務所を設置する場合には法案として提出をする必要がある、こういうことでありまして、それはそれで、先ほど来お話も出ているんですが。

 実は、私の最大の関心はそこではなくて、今回の法案を見ておりましたらば、本省の機構改革といわゆるセットになって行われるわけですね。

 本省の機構改革は、法案には関係ないのでこの場に法案として提出になっていないんですが、ある意味でいうと、環境省の筆頭局であった総政局、総合政策局を廃止するという話があるわけですね。大変驚いて、いろいろと勉強したり調べたり、きょうもここで質問をさせていただく、こういうことでございます。決して反対をする、こういう趣旨ではなくて、もう少しちょっと検討をしてみよう、こういう趣旨で質問をさせていただきます。

 まず、今回の地方環境事務所の設置については、どういう経緯で、いつそれが決まって、そして本省の改革と同時に実施、こういうふうに承知をしているわけですが、いつ実施をされるのか、おさらいをさせていただきたいと思います。

森本政府参考人 お答えさせていただきます。

 一つは経緯でございますけれども、一番大きな理由と申しますのは、福島において、昨年度末で計画的除染というのが終了しました。これからは、除染に関しましては、非常にたくさんたまりましたフレコンバッグというのを中間貯蔵施設に持ち込むということになったということでございます。

 それを考えますと、除染と中間貯蔵施設、それから廃棄物の処理というのを、かなりそれぞれ独立してやってきたんですけれども、より密接に連携してやっていく必要があるということで、昨年の夏前の機構要求としてさせていただいたという経緯がまずございます。それに合わせまして、福島事務所の格上げもあわせてということでございます。

 時期でございますけれども、ことしの夏を予定させていただいてございます。

小沢(鋭)委員 ことしの夏に、いわゆる本省の機構改革も一緒に行う、こういう意味ですか。

森本政府参考人 おっしゃるとおりでございます。

小沢(鋭)委員 地方の再生事務所だったここを環境事務所に格上げするということになると、普通、環境事務所の方は、自然のレンジャーを抱えたりとか、そういった話もあるわけですが、ここは放射能汚染の話だけに特化する、こういう特殊な事務所になりますけれども、それで間違いないですよね。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございまして、いわゆる東北地方の自然保護分野、そういったものは引き続き東北事務所が行わせていただいて、この事務所につきましては、福島の復興に関することをやらせていただきたいというふうに考えてございます。

小沢(鋭)委員 そして、それを受ける形で本省の方は、環境再生・資源循環局を設置する、こういう話になるわけですね。

 今まで、廃棄物・リサイクル対策部、あるいはまた水・大気環境局、あるいは総合環境政策局にまたがっていた案件を、ここで一括して放射能汚染対策は実施する、こういう意味では大変効率的になっている、こう思うわけですが、きょう議題になっております廃掃法の問題を含めて、いわゆる廃リ部の仕事というのは、循環型社会を目指していくということの中で、環境省としては大変大きな柱の一つ、私の理解でいうと、地球関係の地球局があって、それから、自然局があって、循環的な関係がある、こういう三本柱の一つのような気がいたします。

 その廃リ部と今回の汚染対策をセットにするという意味では、ある意味では環境省の今までの仕事がかなり変わるかな、こういう気がします。

 もともと、その汚染対策を環境省に持ち込んだのは当時の民主党政権でありまして、それまでは、御案内のとおり、放射能関係の話は環境基本法から外れておりましたので、そういった意味ではその時点で変わったといえば変わったんですけれども、今回、そういった意味ではかなり変わるかな、こう思っている。

 その新たな環境再生・資源循環局を設置する狙いといったものは一体どこにあるのかということをお尋ねしたいと思います。

山本(公)国務大臣 福島も復興・創生期間に入りまして、復興も新たなステージを迎えた中で、廃棄物・リサイクル対策部と水・大気局、そして放射性物質汚染対処技術統括官の三部局にまたがっていた廃棄物・リサイクル対策及び放射性物質汚染対策に係る業務を一元化し、新たに環境再生・資源循環局を設置することとしたものでございまして、これによりまして、廃棄物の発生抑制、循環型社会の形成に取り組むとともに、放射性物質による汚染への対処に関する業務を局として一元的に実施することで、被災地の復興、創生を加速してまいりたいと思っております。

 先生御指摘のように、本来の業務は業務として、きっちりと守っていきたいと思っております。

小沢(鋭)委員 私は、廃リ部は、部であるというよりも、局に昇格した方がいいなとはもともと思っていたんですね。さっきも申し上げたように三本柱の一つだ、こう思っておりますから、そう思っていたんですが、廃リ部を局にして、そしてこの環境再生・資源循環局をまた新たに設けるということは、これはできなかった、こういうことですか。

森本政府参考人 もとより、おっしゃるとおり、環境再生・資源循環局というのをつくりたいというのはございます。

 また、先生の御指摘のように、そういった、いわゆる温暖化、それから自然保護、それから循環という三本の柱、これをしっかりつくっていくということと、その連携をしっかりととっていくということで、新しく統括官というのをつくらせていただく、そんな形でございます。

小沢(鋭)委員 いや、私の手元に、平成二十九年度機構・定員等の審査結果という内閣官房内閣人事局のものがあるんですけれども、要は、定員あるいはまた機構改革の制限があって、四つの局はつくれなかった、こういうことかな、こう思っているんです。

 ということが実際のところかなと思っているんですが、これは正直言って、我々は無制限に行政を膨らますことに反対の政党だというのは、もう皆さん御案内のとおりですけれども、ただ同時に、全く新しい業務が環境省に付与されたのも、これまた事実でありますので、そういったところは本当に少し柔軟に考えてもよかったのかな、こう思っているわけです。

 そこで、総政局の廃止、こういう話になるわけですけれども、ここは先ほど来からも若干、いろいろ総政局の目的みたいな話も出ておりますが、例えばこの統括官というのは、どういう位置づけで、役割はどういう役割で、権限等はどうなるのか、いわゆる局長と比べた場合にどういう立場になるのかな、こう思っているんですが、いかがでしょうか。

森本政府参考人 失礼いたします。

 統括官は局長と同じ格付でございます。特に、この新しくつくります統括官については、局長の中でも格の高い統括官として認められてございます。

小沢(鋭)委員 少し安心は安心なんですが、やはり、さっきも申し上げましたように、総政局は環境省のある意味では筆頭局みたいなところがあって、大臣も御案内だと思いますが、後ろにいる事務方の人たちも、みんな、将来は総政局長を目指してみたいな気持ちである程度やっている人たちが多かったんだろうと思うんですね。そこがなくなっちゃうという話は、何かへそがなくなるような感覚が私はするわけです。

 いわゆる税の問題であるとかいうときは、まさに総政局が筆頭になって頑張る、こういうようなことでありますけれども、そういった意味で、総政局をなくすことに対して、ある意味では問題点はないんでしょうか。

山本(公)国務大臣 私は、今回設けます総合環境政策統括官という役職に対して、これは多分一名だろうと思いますけれども、総政局にかわる役割を期待いたしております。

 つまり、環境省全体の政策の企画立案、調整機能、それから、高い視座と広い視野を持って、環境政策のあるべき方向のコントロールタワーにしたいと考えているところでございます。

小沢(鋭)委員 ぜひ、そこの位置づけをしっかりしていただくことが必要かなと思います。

 ただ、立場の上では、総合環境政策統括官は大臣官房のもとに入ることになりますか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございまして、大臣官房のもとに入るという形でございます。

小沢(鋭)委員 大臣官房のもとに入るということになると、まさに官房長の、ある意味では組織の中に入ってくる、こういう話にもなるわけで、そういった意味では、そこのところの位置づけをはっきり、かなり明確にしてあげないといけないんじゃないかな、こう思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 何か違いましたか。

森本政府参考人 大変申しわけございませんでした。

 官房の中に入ると申しましたけれども、正確ではございませんで、官房と同列でございます。官房長あるいは各局長と同列の形で大臣のもとにあるという形でございます。失礼いたしました。

小沢(鋭)委員 そうですか。

 そうすると、例えば、次官がいて、地球審がいますね。そんなような感じですかね。

森本政府参考人 機構上は、局長と同じ立場で事務次官のもとにあるという形でございます。

 地球環境審議官はスタッフ職という形をとってございます。

小沢(鋭)委員 いずれにしても、私の申し上げたい趣旨は、いわゆる総合政策をしっかりやれる立場の人をつくっておくという話が大事なのではないかな、こう思っておりまして、ぜひ大臣におかれましても、そういった意義づけをしっかりしていただくようにお願いをしたいと思います。

 もう一つは、福島地方環境事務所への格上げなんですけれども、ここに別途、これは東北事務所の下にあって、だから全部東北事務所にお伺いを立てないとなかなか決まらなくてスピーディーではない、こういう話もあったんですが、福島環境再生事務所に権限を与えていくという形での改革はできなかったんでしょうか。

 さっきも言ったように、自然とかそういった話を何もしない事務所になっていますから、そういった意味では、福島環境再生事務所という名前の方がはっきりするような気もするんですけれども、そういったことは認められなかったということですか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正の趣旨は二つございまして、一つは、先ほど先生がおっしゃいましたように、この組織自体がみずから迅速に対応できるというのは一つございます。もう一点は、先ほどから先生の御指摘のありました本省の改革と連動してございまして、本省の組織を一元化する、それによって本省とかつ地方事務所がダイレクトに意思疎通をして、そして仕事を迅速にする、この二点、先生のおっしゃった現地の意思決定の迅速化ということと、それから本省とダイレクトの意思疎通を図る、この二点を目的としてございます。

 先生おっしゃるように、権限をおろせばよいではないかという点はございますけれども、全ての権限をおろすことはなかなか難しいというのが制度上あるのが一点と、それから、そもそも福島環境再生事務所というのは六百人の職員を抱えてございますので、その事務所が地方環境事務所ではなくて支所という形でよいのかという問題意識も持って、今回総合的に取り組ませていただいたという趣旨でございます。

小沢(鋭)委員 本当に汚染対策ということで、今官房長からも話がありましたように、六百人を超える人員。

 今はふえているのかもしれませんが、環境省は、それを除くと、いわゆる二千人ちょっとですよね、現在、本省関係といいますと。

森本政府参考人 恐縮です。

 本省は大体千人少しでございます。地方事務所が約千人、そのうちの六百人が福島事務所という形になってございます。

小沢(鋭)委員 ちょっと待ってください。地方の千人のうちの内訳が六百人ですか。私は、本省と地方を合わせて大体二千くらいだったのがふえたのではないかな、こういうふうに思っていたんですけれども。

森本政府参考人 恐縮です。

 本省と地方事務所を合わせまして約二千人。そして、本省で約千人、そして地方事務所、約千人になるわけですけれども、そのうちの六百人が福島事務所ということで、残りの四百人が残りの事務所に配置されているという形でございます。

小沢(鋭)委員 わかりました。私の持っていた認識とちょっと違ったんですが、大変なやはり規模の対応が福島でなされている、こういうことになるわけですね。

 最後に、では、この福島の問題が一段落したら、一段落というのは何をもってするかあれなんですが、除染を含めて一段落をした場合に、この福島地方環境事務所はどうするのか、あるいはまた本省の機構はどうするのか、もとに戻すのかどうなのか、それについて最後にお尋ねしたいと思います。

山本(公)国務大臣 私は、組織というものは常にやはりいろいろと時代の要請に応じて変わっていくものだと思っております。百億円の年商があった会社が一億円に落ちたときに、そのままの体制であるはずがない。

 環境省の場合は逆でございまして、一億円の年商しかなかった企業が百億円の年商が今ある、そういう状況の中で、環境省としての組織の再編はあってしかるべきだと思っておりますし、先生御指摘のとおり、私はちょっと人数も少ないんじゃないかな、かように思っておりまして、組織の組織がえだけではなくて、人員の補充等々も将来考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 時間ですから終わりますが、先ほど来質問の中で、期限つきの職員の問題とかありましたよね。やはり時代の変化に合わせて環境問題はある意味ではしっかり手当てをしていくことが必要な分野だと思っておりますので、そういった意味では、そういった観点からも御対応をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 自由党の玉城デニーです。

 廃掃法の一部を改正する法律案、バーゼル法の法案について質問をさせていただきます。

 さて、今週から私もかりゆしウエアに着がえさせていただきました。環境委員会では、このシーズンはこれがかりゆしデビューでございますけれども、せんだっては大臣からも、環境省も一生懸命みんなで環境対策に力を入れているというお話もありました。

 できるところから環境について考えるというのは、服装をかえる際に、例えばたんすをあけてみると、この冬どころか、三年、四年、一度も袖を通していなかった冬物があったりいたしました。なので、思い切って今般、この冬物と夏物を入れかえるときに少し断捨離をさせていただきまして、そういうことも、ふと気がつくと、再利用できるもの、それから、これはもう処分しないといけないなと気がつくものが家の中にもかなりありまして、この環境委員会でいわゆる雑品スクラップの質問をさせていただいてから、今度はまた家の周りを見渡しますと、やはり使えるのに使っていないものがかなりあるなというふうに気がつきました。

 少しの観点からその物事の根本を考えてみると、もう一度使えるもの、あるいは誰かに使ってほしいもの、これはもう使えないなと思うものを、リユースし、リサイクルし、そしてまたリデュースするという考え方は暮らしの身近な中にあって、非常にいろいろな形で国民の皆さんにも知っていただきたい観点がたくさんあるというふうに思いました。

 きょうは質問の通告はしていないんですが、最後に大臣の方からぜひ全体の所感としての一言をお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、質問に入らせていただきます。

 この法案の審議に伴い、環境調査室から提出をしていただきました参考資料の中の、中央環境審議会が平成二十九年二月十四日に意見具申として報告をしております「廃棄物処理制度の見直しの方向性」に関連して質問させていただきます。

 平成二十二年廃棄物処理法改正において創設された優良産廃処理業者の認定制度によって、産廃処理業全体の優良化、遵法性、そして事業の透明性ほか、本日も質問に出ておりました電子マニフェスト、あるいは財務体質の健全性などの前進が鋭意図られているというふうに思料いたします。

 平成二十三年四月の施行から平成二十八年の九月末までに七千六百七十件、業者数としては千五十者が認定されてきているというふうに資料には載っておりますが、質問させていただきます。

 優良認定を受けた処理業者による事業の透明性という観点から、処理状況の現況及び財務関係、あるいは、勤務環境及び事業所の稼働等における社内体制などの公表など、可能な範囲の情報公開など、現在どのように取り組まれているかについてお伺いしたいと思います。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 優良産廃業者認定制度は、認定基準の一つに事業の透明性の確保が定められております。

 具体的には、産業廃棄物処理業の許可内容、最終処分までの一連の処理の行程や直前三年間の処理実績、財務諸表や処理料金、人員配置等の組織体制等の情報を公表することを定めております。認定申請時点におきまして、これらの情報がインターネットにより六カ月以上公表されていることが要件となってございます。

玉城委員 廃棄物の適正処理等に貢献するなどの取り組みを事業所として積極的に行っている優良認定業者へは、例えば、さらにその優良認定業者を取得したいという意味でのインセンティブを高めていく意味で、その取り組みもまた他方、必要であるかというふうに思います。

 そのインセンティブを高める等の優遇措置についてはどのような検討が行われているのか、御紹介ください。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 優良産廃処理業者認定制度につきましては、去る二月の中央環境審議会の意見具申におきまして、認定基準の見直し、強化とあわせまして、優遇措置について検討すべきとの指摘をされてございます。

 意見具申を踏まえまして、優良認定を受けた処理業者が排出事業者からより選択されるようにする観点から、産業廃棄物を再生することにより得たものの持ち出し先に係る情報等、処理状況に関する情報の公表または情報提供を行っていることを認定要件へ追加すること、また、健全な財務体質の確保のための財務要件の見直しを検討していくことといたします。

 一方で、認定を受けました処理業者に対する優遇措置についても検討すべきとされておりまして、これにつきましては、今後、これらについて処理業者及び業界団体等関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

玉城委員 産業廃棄物の再利用については、まさにこれから建築物等のインフラ更新等によって、それ以外の解体事業もそうですが、コンクリート塊や建設汚泥など、発生量の増大が予想されています。この産業廃棄物について、最終処分場の減量化や不適正処理の防止などを踏まえ、再生利用の促進と広域的な流通の実現が必要という指摘もなされているところです。

 そこで、お伺いいたします。

 国交省にお伺いいたしますが、建設汚泥の処理について平成十八年六月に策定された建設汚泥ガイドラインについて、策定以降の再生利用の促進についてはどのような取り組み及び成果が見られるでしょうか。

七條政府参考人 お答え申し上げます。

 建設汚泥の再生利用に関するガイドラインを作成後、国土交通省では、建設汚泥の現場内利用、工事間利用を促進するため、これらの先進的な利用事例を取りまとめた事例集を作成し、都道府県や市町村に情報提供する等の取り組みを行ってきたところでございます。

 このような取り組みによって、建設汚泥の再資源化、縮減率は、ガイドライン策定前の平成十七年度の七四・五%から、若干ちょっと資料が古くて申しわけございませんが、平成二十四年度は八五%に達したところでございます。

 現在は、平成三十年度に九〇%以上とすることを目標に、さらなる取り組みを進めているところでございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 平成十八年六月に同じく策定されました、建設汚泥の再生利用に関するリサイクル原則化ルールについて、国交省の直轄事業等で、現場の状況や広域的連携など実施後の経緯の判断等から、特に見直しが求められている点がありますでしょうか。

七條政府参考人 お答え申し上げます。

 リサイクル原則化ルールは、建設リサイクルの推進を図るため、国土交通省が発注する建設工事を対象にその運用方針を定めたものでございます。

 建設工事に伴い発生した建設汚泥を工事現場から搬出する場合は、原則として、建設汚泥処理土として再生利用するため、他の建設工事現場に搬出するか、再資源化施設へ搬出することなどを定めているものでございます。

 これまでにリサイクル原則化ルールについて見直しの要望はいただいたことはございませんけれども、引き続き建設汚泥の再生利用の促進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 ガイドラインの事例集、それからリサイクル原則化ルール等々、これからこの廃棄物の再生利用に向けては、国、自治体、事業者、研究開発者との連携がますます緊密、重要になっていくというふうに思います。

 環境省にお伺いいたしますが、今後の連携をどのように進めていくという計画がおありでしょうか。

中井政府参考人 お答え申し上げます。

 建設汚泥やコンクリート塊につきましては、建築物等インフラが更新時期を迎えていること等により、今後発生量の増大が見込まれていることから、その再生利用をより一層推進することが求められていると認識しております。

 一方、例えば建設汚泥処理物等につきましては、土地造成に用いる建設資材等と称して不法投棄される等の不適正処理のおそれもあり、これらの課題解決のためには、不適正処理を防止しつつ広域的な流通を実現することが重要でございます。

 本件につきましては、中央環境審議会におきましても議論されまして、ことし二月の意見具申、「廃棄物処理制度の見直しの方向性」におきましては、「関係者による建設汚泥等の有用活用や広域利用に係る検討結果を踏まえつつ、モデル事業の実施等の必要な措置を講ずるべきである。」とされたところでございます。

 今後、この意見具申を踏まえまして、自治体、関係業界団体、関係省庁等と連携し、建設汚泥等の再生利用に係るモデル事業の実施等の措置を検討していくこととしてございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、一言だけ大臣にお伺いいたします。

 このような産業廃棄物の再利用等々について、やはりこれからは、捨てるのではなく使うという観点からリデュースしていくという方向性でいきたいものですが、大臣からの見解をぜひお伺いしたいと思います。

山本(公)国務大臣 先ほど田島委員からの御質問の中で、たびたび改正しているじゃないかというお話がございました。今まで十数回改正いたしております。それほど、やはり廃棄物という概念が時代とともに変わってきているんだろうと思っております。

 したがいまして、頻繁な法改正は都道府県を初め業者の方々に御迷惑をかけるかもしれませんけれども、やはり時代を見詰めながらこの法律は改正していくべきだ、かように思っております。

玉城委員 ありがとうございました。

 終わります。ニフェーデービタン。

平委員長 次回は、来る十九日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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